豊島区議会 2007-06-19
平成19年第2回定例会(第 7号 6月19日)
平成19年第2回定例会(第 7号 6月19日) 平成19年豊島区議会会議録第7号(第2回定例会)
平成19年6月19日(火曜日)
議員定数 36名
出席議員 36名
1 番 原 田まさひろ
2 番 和賀井 哲 代
3 番 永 野 裕 子
4 番 五十嵐 みのる
5 番 日 野 克 彰
6 番 古 坊 知 生
7 番 中 田 兵 衛
8 番 水 谷 泉
9 番 西 山 陽 介
10 番 根 岸 光 洋
11 番 辻 薫
12 番 高 橋 佳代子
13 番 竹 下 ひろみ
14 番 磯 一 昭
15 番 森 とおる
16 番 儀 武 さとる
17 番 小 林 俊 史
18 番 藤 本 きんじ
19 番 島 村 高 彦
20 番 中 島 義 春
21 番 河 原 弘 明
22 番 村 上 宇 一
23 番 堀 宏 道
24 番 本 橋 弘 隆
25 番 渡 辺 くみ子
26 番 小 林 ひろみ
27 番 山 口 菊 子
28 番 大 谷 洋 子
29 番 此 島 澄 子
30 番 木 下 広
31 番 里 中 郁 男
32 番 吉 村 辰 明
33 番 小 峰 博
34 番 遠 竹 よしこ
35 番 垣 内 信 行
36 番 河 野 たえ子
欠席議員 なし
────────────────────────────────────────
説明のため出席した者の職氏名
区 長 高 野 之 夫
副区長 水 島 正 彦
政策経営部長 河 原 勝 広
総務部長 小 野 温 代
施設管理部長 上 村 彰 雄
区民部長 渡 邉 文 雄
文化商工部長 大 沼 映 雄
清掃環境部長 齋 藤 賢 司
保健福祉部長 松 﨑 充 彦
健康担当部長 山 中 利 道
池袋保健所長 永 井 惠
子ども家庭部長 横 田 勇
都市整備部長 増 田 良 勝
土木部長 亀 山 勝 敏
会計管理室長 鈴 木 公 一
─────────────────
教育長 日 高 芳 一
教育総務部長 佐 藤 正 俊
中央図書館長 桐 生 建 樹
─────────────────
選挙管理委員会事務局長
森 茂 雄
─────────────────
監査委員事務局長
陣野原 伸 幸
────────────────────────────────────────
職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
事務局長 大 門 一 幸
議会総務課長 石 川 裕
議事係長 熊 谷 雅 夫
議事担当係長 外 川 淳 一
────────────────────────────────────────
議事日程
1.
会議録署名議員の指名
1.一般質問
────────────────────────────────────────
会議に付した事件
1.
会議録署名議員の指名
1.一般質問
遠
竹よしこ議員「この街をふるさととして育つ子らへ残そう 緑ゆたかな安心・安
全の街豊島区」
山口菊子議員「人に優しい豊島区のために」
此島澄子議員「人と地域が輝く豊島をめざして」
垣内信行議員「くらし・福祉優先の区政こそ区民の願い」
1.会議時間の延長
────────────────────────────────────────
午後1時3分開議
○議長(吉村辰明)
これより本日の会議を開きます。
───────────────────◇────────────────────
○議長(吉村辰明)
会議録署名議員をご指名申し上げます。7番中田兵衛さん、8番水谷泉さん、9番西山陽介さん、以上の方にお願いいたします。
───────────────────◇────────────────────
○議長(吉村辰明)
これより一般質問を行います。
発言通告に基づき、順次これを許可します。
まず、34番議員より、「この街をふるさととして育つ子らへ残そう 緑ゆたかな安心・安全の街豊島区」の発言がございます。
〔遠
竹よしこ議員登壇〕(拍手)
○34番(遠竹よしこ)
私は、
自由民主党豊島区議団を代表して、「この街をふるさととして育つ子らへ残そう 緑ゆたかな安心・安全の街豊島区」と題しまして、1つ目、高野区政3期目を迎え、区長の決意を問う、2つ目、都市再生の諸課題について、3つ目、
スポーツ振興について、4つ目、安心・安全対策について、5つ目、介護に伴う課題について、6つ目、その他として4点、以上の質問をいたします。当局の積極的なご答弁を期待いたします。しばらくの間、ご清聴をお願い申し上げます。
去る4月22日の
統一地方選挙におきまして新しく選出された議員の1人として、この伝統ある豊島区議会で最初の発言を許されたことを大変光栄に存じ、感謝を申し上げるところでございます。私
ども自由民主党は、18名の公認候補を擁立し、10名の当選を得ましたが、この結果は大変厳しいものと受け止め、10名が一丸となって高野区長をしっかりと支えていく決意を固めているところでございます。
顧みますと、私ごとで恐縮でございますが、20年前、昭和62年の6月24日、その折の第2回定例会におきまして、当時10名ずつ2会派を組んでおりました自民党区議団、民主クラブの一員といたしまして一般質問をさせていただきましたが、そのとき発言をさせていただきました
電波障害解消への訴えは、早速に全国に例を見ない
複合電波障害条例の制定となりました。現在はその役を終え、光ファイバーの活躍する時代となったのであります。アナログからデジタルの時代に移り、まさにIT文化の中で、新しい価値観の構築がなされつつあります。しかし、忘れてならないのは、人間は生命ある生き物であり、魂を持ち、心を通わせ合いながら共に助け合い生活していく社会的存在であるということであります。であればこそ、家庭を大切に地域社会との連携を強くし、先人の築き上げた伝統文化をしっかりと承継していく必要があると思います。
たまたま今朝のニュースで知ったのですが、戸籍に
自分たち夫婦の亡くなった子どもの名前が記されてなく驚いたということがございました。電子化に伴い、転記する際に除籍されたものは消されてしまっているという現実があるそうです。そのご夫婦は、もう一度自分の子どもを亡くした思いであるとおっしゃっていました。人の情けを忘れず、顔の見える心豊かな
行政サービスが求められています。
さて、高野区長におかれましては、多くの区民の方々から信託を受けられ、3期目の重責を担われることになりました。改めて、ここにお喜びを申し上げ、敬意を表します。
招集あいさつにありましたように、高野区長の2期8年は、財政再建への対応がすべてであり、思いを十分果たせなかったと推察いたしております。しかし、その努力の結果、財政再建をほぼ達成した現在、新たな決意で区政を推進しようとの思いが伝わってきており、私たちも大いに期待するところでございます。そして、その方向が区長選挙での公約として掲げられた4つの基本政策と4つの重点政策として示されていると思うのであります。いずれも区政にとって重要な施策であります。財政健全化の見通しがあるとはいえ、二度と同じ道を歩むことにならぬよう、高野区長のリーダーシップに期待いたします。改めて、ご決意の程をお聞かせください。
次に、都市再生について質問します。
まず、昨年9月、第3回定例会におきまして、「梟の樹を創る会」の方々による公園や史跡などの訪ねてみたい街角などにふくろうの像を建てて「梟の路」づくりを進める活動や、
NPO法人アーバンクリエイト21の方々によるトキワ荘や並木ハウスに縁のある漫画家たちの作品を生かしたまちづくりをしたいという活動を豊島区もバックアップしていただきたいと申し上げましたが、この件について、その後どうなっているか、お聞かせいただきたいと思います。
次に、平成20年6月の副都心線の開通で、池袋・新宿・渋谷の3副都心が1つの鉄道で結ばれ、さらに平成24年予定の渋谷から東急東横線との
相互直通運転が開始されますと、横浜やみなとみらいまで、広域的な
鉄道ネットワークが完成します。都市間競争はますます激しくなるわけですが、顧客を他の地区に取られてしまうといった危機感は、池袋ばかりでなく、渋谷も同様と伺っております。渋谷駅は、JRや東急東横線、
京王井の頭線などのプラットホームが何層にも重なっており、バリアフリーの問題や災害時の安全性、迷路のような歩行空間など、様々な問題を抱えておりますが、その解決に向け、平成17年12月には
都市再生緊急整備地域の指定を受け、鉄道事業者が主体となって駅施設の機能更新を進めることで、東横百貨店の改修や民間開発も促進させていくなど、都市再生に向けた事業が計画的に進められております。
一方、豊島区では、財政危機を乗り越えやっと未来を開くための改革へ軸足を移したばかりであり、多くの時間と費用がかかる都市再生では、残念ながら遅れをとってしまったのではないかとの危惧を抱かざるを得ません。しかしながら、
池袋西口駅前の広場改修と交番の移転が計画されたことや東京メトロが
池袋エチカ計画を打ち出すなど、池袋に新しい風も吹き始めています。まだまだ池袋を再生させる上昇気流には程遠い状況ではありますが、都市再生に携わる方々の意気込みとアイデア次第では、他の副都心にも決して負けることのない、豊島区ならではのまちづくりを成し遂げられるものと確信しております。
もともと池袋は、他の副都心にはない素晴らしさがたくさんあります。夜間人口が副都心の中で一番多いことも特徴の一つで、親しみやすい街として住みよさがあると思います。毎年、地元の町会と商店街の方々が協力して行われる
池袋ふくろ祭りが大いに盛り上がるのは、こうした土壌のおかげだと思っております。こうした池袋の素晴らしさを育て、改善すべき点は見直し、いつまでも住み続けたい、訪れたい街として築いていかなければならないと考えるのであります。こうしたまちづくりを一つ一つ着実に実現していくために、池袋駅
東西デッキ構想については大きな期待を寄せている計画であります。都市再生のシンボルとして、積極的に進めていただきたいと考えております。
そこで質問いたします。今年度から調査に入ります「池袋及び駅周辺整備」の今後の予定と事業推進に向けた区長のご意見をお聞かせください。また、昨年の第3回定例会でご答弁いただきました
都市再生緊急整備地域の指定については、池袋周辺の方々から強い関心が寄せられております。渋谷でも様々な苦労を経て国から地域指定を受けたとお聞きしておりますが、池袋については、今、どのような状況にあるのかお知らせください。また、国の地域指定を受けますと、どのようなまちづくりを展開できる可能性があるのかもお聞かせいただきたいと思います。
続きまして、
都市計画道路173号線に接続する
地区道路計画について伺います。補助173号線の用地取得も70%を超える状況となっており、平成25年度には道路工事も完成すると伺っております。また、周辺地区には建築物の高さの制限を設けるなど、地区景観的にも優れた街並みになっていくことと期待しております。しかしながら、補助173号線事業に着手した平成12年度頃、旧大明小学校に通じる地区道路も計画されていましたが、財政的な面からも
都市計画道路との同時着手ができなかったと理解しております。大地震に対する危機意識が高まる中、旧大明小学校は災害時の
救援センターとして今でも重要でありますし、今後の有効活用の計画によっては、地区道路も合わせて整備することも重要になるのではないかと考えております。
防災まちづくりの観点から、地区道路についてはどんなお考えでいらっしゃるのかお聞かせください。
次に、旧大明小学校の跡施設についてでありますが、ご承知のように、この施設は、
NPO法人いけぶくろ大明が生涯学習施設みらい舘大明として有効に活用しており、成果を上げておりますが、地元の方々からは、立教大学が使うとか郷土資料館が移転してくるとか、いろいろな話が区から聞かされているけれども、どうなるのだろうという声が聞こえております。私どもは生涯
学習センターを設置するとの方針は理解しておりますけれども、どのような計画になっているのかお聞かせいただきたい。あえて申し上げますならば、地域の方々は、区のちょっとしたお話でも、いろいろと噂が飛び交い混乱してしまいます。その辺も十分にご配慮いただき、地元とお話をしていただきたいと思います。
次に、緑豊かな豊島区づくりについて伺います。このテーマにつきましては、昨年、一昨年も質問を行い、みどりの基金設立について粘り強く提案してまいりました。この要望をやっと聞き入れていただき、平成19年第1回定例会で豊島区みどりの基金が創設されたことは、緑を増やす取組みの大きな前進であるといえます。また、明治通りに面した
総合庁舎玄関脇に、
バイク駐車場を設置する計画をやめて、豊島区と交流している県や市や町の花や木を植えた「交流都市の杜」が3月に完成したことで、庁舎の品格も大分上がったと思いますが、これも区長の英断だと思います。緑豊かな庁舎への取組みは、区長が常日頃お話をされている品格ある豊島区に少し近づいたのではないかとも思います。一方、東京都では、昨年末に策定いたしました「10年後の東京」で、第1の柱に掲げられている、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活に向けて、様々な緑の施策への取組みが示されるなど、
ヒートアイランド現象の緩和や
都市景観みどりに対する意識が非常に高まっております。
そこで伺います。豊島区みどりの基金が創設されましたが、今後どのような取組みにより緑を増やしていくのでしょうか。また、地域で活動しているみどりの団体などについてどのように取り組まれていくのでしようか。ご見解をお聞かせください。
次に、
スポーツ振興施策について伺います。
豊島区の体育協会、この度は法人格を得られまして、NPO法人となられまして、私どもの先輩の副島先生が理事長になられましたけれども、日頃からこの方たちが区民のスポーツに対していろいろな点でのご尽力をいただいていることに、この場を借りまして、一言感謝を申し上げさせていただくところでございます。
それでは、質問に移ります。
この度の選挙戦の中で切実に訴えられたことがあります。それは、
PTA活動時代の仲間や後輩たちから、豊島区には他の区から来てもらって交流試合をする体育施設がないということです。ママさんバレーも大変多くの人が参加して活発に活動していますが、「近隣区の板橋区や練馬区には立派な体育館があってうらやましい」「招かれて行く度に、お返しに豊島区に来てくださいと言うには、雨漏りに耐えてだましだまし使っている豊島体育館の婆はあまりにも惨めな感じで肩身の狭い思いをしている」、また、「自分たちの技量や情熱は相手に負けないつもりで試合に臨んではいるけれども、副都心を抱える豊島区で、文化の薫り高い品格ある街といいながら情けない気持ちです。区は私たちにボロは着てても心は錦で頑張れと言うのでしょうか」という声をいただきました。また、昨日のことでございますが、少年サッカーを指導している方から、豊島区で正式にサッカーができるのは旧長崎中のグラウンドだけ、十中跡にサッカーのできる球技場をつくってくださるという話も聞いていますが、本当にできるのでしょうかという不安を訴えられました。
区長の所信表明の健康政策の中で、
スポーツ振興に触れ、健康政策の柱として取り組むとし、豊島体育館の全面改修、総合体育場の人工芝の張替えなどをしていくと言われますが、文化、文化の掛け声の中でいかにも軽く扱われている感じがします。野球場にスタンドもつくると言われてますが、ようやく野球場が2面とれているグラウンドがますます狭くなり、また今でも過密なスケジュールで使われているのですから、必要な絶対量をどう確保していけるのかが心配であります。また、区長は、健康の保持・増進や子どもの体力向上のためにも
スポーツ環境の整備や充実が重要な課題の1つであるとおっしゃってはおります。これまで、文化による経済の活性化を進めると言い、文化政策に力点を置くと申されておりましたが、この文化の中にスポーツは入っていなかったのではと感じられてなりません。
新たな文化政策のシンボルとして、
舞台芸術交流センターあうるすぽっとや文化芸術の創造と情報発信の拠点として新中央図書舘を開設し、加えて、
熊谷守一美術館を豊島区初の区立美術館とすることも進められております。その他にも、芸術、美術、産業や観光、生涯学習など、文化政策の一環として推進しておられることは、それはそれで素晴らしいことと思います。しかし、私があえて問いたいのは、スポーツも文化の一つではないのかということであります。文化を辞書で引いてみますと、文化とは、人間の生活様式の全体、人類が自らの手で築き上げてきた有形・無形な成果の総体、それぞれの民族・地域・社会に固有の文化があり、学習によって伝承されるとともに、相互の交流によって発展してきた、特に哲学・芸術・科学・宗教などの精神的活動及びその所産、物質的所産は文明と呼び文化と区別されるとあり、この例示の中にはスポーツはありません。しかし、スポーツも、人間が手を加えて築き上げてきた成果以外の何物でもありません。
確かに
近代スポーツは明治以降、欧米から移入されたものですが、それ以前の日本には、スポーツに相当する言葉こそなかったものの、蹴鞠や武術、相撲、綱引きなどの身体運動の文化がありましたし、明治以降も、柔道、剣道などの、道を究めるという精神的なものを含め、欧米のスポーツとは違う発展をしてきたのではないでしょうか。私は、「日本の」という言葉がつく
スポーツ文化として立派な存在だと思っております。ただ、日本では、芸術は精神性の要素の強い高尚なものであるけれど、スポーツは身体性の要素が強い泥まみれで汗臭いもの、精神的要素はあっても、根性と忍耐が大切なものとされ、高尚とは程遠いものだというようなイメージから、これまで
スポーツ文化というようなことが理解されにくかったのかもしれません。
しかし、英語のカルチャーには耕作・開拓の意味があって、そもそも文化は人間が身体と知恵を使って切り開いてきたものであり、日本でも最近は、スポーツが文化の一つとして位置付けられるようになってきておりますが、まだまだスポーツも文化の一つであるという認識は十分とはいえないのが現状です。
そこで、区長は
スポーツ文化についてどのような認識をお持ちなのかお聞かせをいただきたいと思います。そして、スポーツが文化の一つとして位置付けられるのであれば、現在、子どもから大人まで、区民の方々が健康のため、技術習得のため、競技力向上のため、日々利用している
スポーツ施設の整備にも、文化施設同様、力を注いでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に安心・安全についてであります。
私の住む池袋三丁目北町会では、毎月8の日ごとに
町内パトロールを青年部が中心となって実施しています。6月の区政連絡会でのご報告によれば、本年に入ってから5月までに、北町会内では、空き巣が1件あっただけで、ほかは被害がないということです。これは要するに引ったくりも含めてですね。また、
御嶽神社桐朋睦の方たちも定期的にパトロールを続けてくださっています。
池袋西口環境浄化委員会も、たゆまぬ努力をなさっておられ、先日は西池袋一丁目町会と池袋警察の協力で、盛り場の
環境整備活動を実施されました。町内の巡回には、池袋婦人会の方たちも当番を組んで街の隅々に目を届かせていただいております。
このように、区民の協力のおかげで、豊島区の
犯罪認知件数は大変減少してきているとのことです。しかし、西池袋一丁目から三丁目、東池袋一丁目、南池袋一丁目など、池袋駅の周辺の
犯罪認知件数は依然として40%近くになっております。相変わらず、池袋は怖いという声もあります。もちろん、犯罪対応は基本的に警察が行うものであると考えておりますが、豊島区の顔といわれる池袋での犯罪を減少させないと、区長のおっしゃる品格や文化の街も色あせてしまうのではないでしょうか。
そこで、まず、同じく副都心といわれております新宿・渋谷区では豊島区と比べ犯罪件数はどのようになっているのか、また新宿では歌舞伎町への特別な対策も行われると聞いておりますが、どのような対策がされているのでしょうか。お伺いいたします。区長の
招集あいさつでは、大塚・目白地域での具体的な対応について触れられておりますが、池袋駅周辺の繁華街対策は抽象的なものであると思います。例えば、青色パトカーも中央に配置することや、これまで、指摘されております
ロサ会館周辺など、街灯を明るくするような具体的な対策についてはいかがでしょうか。また、地域の方たちのご努力が一層効果的に作用するような行政としての
仕組みづくりを考えていただけたらと感じています。例えば、地域力の受け皿を一本化するとか、横の連絡を密にするとか、お考えいただけたらと思いますが、いかがですか。さきに申し上げましたとおり、豊島区の犯罪の40%近くが池袋駅周辺で発生していることから、さらなるご尽力を期待いたすところでございます。
次に、これも広く安心・安全に関わるものと思いますが、連日、新聞等で問題になっておりますコムスンなどの介護の問題であります。
介護保険制度ができて8年になります。高齢化の進展でこの制度の果たす役割は今後さらに大きいものになると考えておりますが、一方、介護を受ける側からは、事業者に言われたままに介護用品の購入や
ヘルパーサービスを受けざるを得ないことや、不必要なものでも受けるというような声も多く聞こえております。介護を受ける側の弱みにつけ込むような業者の不適正・違法なことについての本区でのチェック体制はどのようになっているのかお聞かせください。また、コムスンや文京区での問題は、人手不足なことから出発した面もあります。現在、介護施設の人手不足はどのようになっているのかお聞かせください。また、本区の施設も人材確保がしっかりできなければ、安心して介護を受けることができなくなりますので、今後の見通しも含めてお聞かせください。
最後に、その他として、次の4点を質問いたします。
まず、商店街振興についてですが、商店街の活性化は街の活性化に欠かすことのできない存在だといわれ、私もそう思っております。まちづくりの核としての商店街というとき、商店街の機能の多様性も考慮に入れる必要があります。私がここで取り上げたいのは、商店街の持つ防犯・防災機能の点です。現在、区は商店街の所有する装飾街路灯に対して電気料補助を行っておりますが、商店街によっては、その補助額が実際に払う電気料の1割にも満たないところもあると聞いています。商店街の方々が防犯・防災のために明かりをつけて暗がりをなくそう、できれば夜通し安全のためにつけておきたいと思っても、電気料のことを考えると二の足を踏まざるを得ない、会員数が減る中で各個店の負担はますます増える一方だとのお話を聞きます。区が商店街をまちづくりの拠点の一つと考え、街の安全・安心にも重要な役割を持ってほしいと考えるならば、電気料の補助については、少なくとも半額程度の補助となるよう、工夫すべきであると思っています。
そこで伺いますが、装飾街路灯等照明補助の現状と今後の補助金をどうしようとしているのか、現在の補助が実際の電気料に比べてどれくらいになっているのかを参考にしながらお答えいただきたいと思います。
商店街のことについて、いま一つお伺いします。国や都、また区では、商店街が任意の団体ではなく、ちゃんとした法人格を備えるべきだとして、振興組合への移行を推奨しております。法人格を持ち、ある程度の利益を上げながら、税金もちゃんと支払う。ところが、実際には絵に描いたようにはいかず、設立時は補助を受けたものの、その後の施設整備などの補助では任意の組合と何ら変わらない、そして税金だけは払い続けるということになっていると言います。私は、商店街が堅固な財政基盤を築き諸々の仕事をする上でも、法人格の取得は大いに意義があると思っております。
そこで、振興組合への移行を区が奨励していくためにも、施設整備に対する補助などで優遇策を設けるなど、何らかの誘導策が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
次に、3点目、ものづくり産業についてお伺いします。今年度、としまものづくりメッセが計画され、区内の産業界を中心に大いなる盛り上がりを見せつつあると聞いております。予算特別委員会での質疑の中で、私は、区内のものづくり産業の存続のしにくさや区のこれまでのものづくり産業に対する施策の乏しさを質すと同時に、としまものづくりメッセへの期待を表明したものであります。都市の中で新たなものづくり産業を展開すると同時に、既存産業の時代の変化に対応する創意工夫が必要であるとのご答弁をいただきました。今は、とりもなおさず、区内産業界の元気を区民の方々に実際に見聞していただき、地域に根付いてもらう一歩としてのメッセ開催に意義があるとも伺っております。
そこでお伺いしますが、先日の豊島新聞で第1回目の実行委員会が開催されたと報じられておりましたが、平成20年3月の実施に向け、今、どの程度まで準備が進んでいるのか、現在の進捗状況を教えていただきたいと思います。ものづくり産業へ新たなスポットを当て、商工業並んでの施策の展開が、商・工・住のバランスのとれた都市を形成することにつながると考えております。行政は時代の変化に対応できる商工業の下支えとなるよう、タイミングのよい支援策を組み上げてほしいと願っております。
最後の4点目は、地方自治体への税源移譲に伴う住民税のフラット化についてであります。区民税と都民税の通知が数日前に一斉に届いております。区民の中には、大幅な区民税の税額引上げに驚いている方も少なからずおられます。一部には、こうした区民の不安感に便乗して、一方的に住民税の増額だけを取り上げるような方もいらっしゃるようですが、同規模の所得税の減額と住民税の増額をセットにして地方へ税源移譲を果たそうという今回の税制改正について、区としてはどのようにして区民に説明し周知してきたのか、お伺いいたします。また、大幅な引上げとなっている区民の方の納税については、柔軟な対応が求められると思いますが、どのように対応されているかお答えいただきたいと思います。そして、今回のこの税源移譲に伴う区の財政収支への影響について、既にご説明いただいているかと思いますけれども、改めてお答えいただきたいと思います。
予定しました質問はこれで終わらせていただきますが、もうちょっと時間が私に与えられておりますので、一言だけこの際申し上げさせていただきます。区長さんの
招集あいさつの中に、長年の懸案だった新庁舎整備についても副都心再生の起爆剤となる価値あるプロジェクトとしてその方向を見出しつつありますということと、副都心再生の進めている新庁舎整備と現庁舎の跡地活用もその一つであり、早期に整備方針を決定したいと考えていますと、この2つがありました。今は場所についてはまだ決まっておりません。議会もそういう点では一致していると思います。あえて私は質問の項に入れませんでしたけれども、区民の方から、もう日出に移ることに決まっているだろうというような質問を度々受けます。現実にはまだ決まってない、その方向でのお話はいっぱいありますけれども、議会としてもそういうことには理解しておりませんと、私は思っているのです。ぜひ、庁舎の問題は、区民全体の財産の問題ですので、ここにあるということの歴史的経過もきちっと踏まえて、慎重に対応していただきたい。
それだけを一言お願いして、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕
○区長(高野之夫)
ただいまの遠
竹よしこ議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
ご質問の冒頭において、自民党豊島区議団を代表され、区長3期目となる私に大変力強いご支持を表明いただきましたこと、大変心強く、衷心より感謝申し上げる次第であります。遠竹議員におかれましても、6期目を迎えられ、豊島区議会の重鎮として、円滑な議会運営に向けて、その卓越した政治手腕を存分に発揮され、先人の築き上げた伝統文化を継承するとともに、今後とも区政発展を導くご提言を賜りますよう、お願い申し上げる次第であります。
それでは、まず、3期日に臨む私の決意についてお答えいたします。
ご質問で、破綻寸前まで追い込まれた財政危機に陥らないよう、二度と同じ道を歩んではならないとのお言葉を拝聴いたしました。これまでの8年間は、まさに財政健全化がすべてでありました。今振り返れば、私のスタートは区政史上最悪の状況からの出発であり、この財政危機を克服するためには、言葉に尽くせない、区民、議会の皆様のご協力をいただくことで、財政健全化に一定の区切りをつけることができました。また、新たな地方分権改革の進展は、自己決定・自己責任の原則の下に、自治体に対し、これまで以上に厳しい変革を求めてくることは間違いありません。特に、最近、にわかにクローズアップされている地方税の地域間格差の問題は、特別区の財源にも大きな影響をもたらす憂慮すべき問題であります。今、豊島区に求められるのは、地域の活力を高める政策を進めつつ、自らの力で道を開きながら進むだけの力を取り戻すことであります。未来戦略推進プラン2007に基づき、都市経営という観点からは、「文化と品格を誇れる価値あるまち」に向けた未来戦略を展開するとともに、行政経営の観点からは、「大きな公共、スリムな行政」という考えの下、さらなる財政健全化と体質改善に取り組みつつ、地域の力と協働を広げるなど、今後も気を引き締めて、自治体経営の構造改革を推し進めていく決意であります。
これまでは、土を耕し、種と苗を植え、育ててきた8年間でした。中には既に花開いたものもありますが、これからの4年間こそが大きな花を咲かせる大事なときであります。振り返れば、遠竹議員と同じ地域から初めて区議会議員となり、区議6年、都議10年、そして区長8年、通算いたしますと24年にわたり、豊島区の発展に向け力を尽くしてまいりましたが、豊島区に生まれ育った政治家として、この4年間は、まさに集大成であると考えております。私たちが次の世代に残すべきは、豊かな実りだけではなく、新たな価値を生み続ける豊かな土壌である、そんな志しを胸に、今後4年間の区政運営を進めてまいりますので、議員におかれましても、格段のご協力を賜りますようお願い申し上げます。
次に、文化のまちづくり支援に関するご質問にお答えいたします。
ご質問にあります梟の樹を創る会と東京アーバンクリエイト21の活動は、郷土の歴史や地域の文化資源に誇りを持たれる方々による取組みとして、区全体のイメージをアップするだけでなく、かつてない新しい切り口で、街の文化的価値を高めるものと高く評価しております。この街の方々の自主的な活動に対します区の役割は、様々な関係団体等のコーディネート機能であると考えております。現在、こうした自主グループの活動が新しいまちづくりの発展につながり、商店街や町会など多くの方々を巻き込んだ、より大きな輪となるように、可能な限りしっかりと支援を行っております。
次に、都市再生に向けての諸課題についてのご質問にお答えいたします。
まず、池袋及び駅周辺整備の今後の予定と事業推進についてのご質問にお答えいたします。さきの選挙戦で、私は、文化と品格を誇れる価値あるまちの実現に向け、未来戦略推進プラン2007を基本とした重要政策の強力な推進をマニフェストに掲げ、区民の皆様にお約束いたしました。都市再生の分野では、池袋副都心の再生を強く打ち出しています。副都心線の開業を間近に控え、池袋・新宿・渋谷で百貨店の大規模リニューアルが計画されるなど、都市間競争が激化している今、池袋駅を中心とする鉄道事業者や大型百貨店、そして区が、国や東京都の支援を受けながら結集し、駅と街が一体となったプロジェクトを進める絶好の機会と受け止めております。
こうした流れを追い風とし、新庁舎の整備を初め、
東西デッキ構想の実現、新たな西口・東口の再整備構想の策定など、活力みなぎる池袋副都心の再生に向けた事業を強い決意を持って実践してまいります。中でも
東西デッキ構想の実現は、新庁舎整備と合わせて、必ずや池袋副都心を再生する起爆剤になると信じております。昭和57年から始まった
東西デッキ構想の動きは大きな盛り上がりを見せた経緯もございますが、残念ながら当時は、東西デッキの実現に至らなかったわけであります。現在、区政を取り巻く環境は整いつつあり、そして区の底力は格段に高まっております。特に、放置自転車等対策推進税の創設時から培ってきた鉄道事業者との協力関係、そして日頃からの池袋駅周辺百貨店との信頼関係など、
東西デッキ構想を実現していく条件が整ってきているのであります。
こうした中で、来月6日には、池袋駅及び駅周辺整備検討委員会の第1回会合を開催し、
東西デッキ構想の検討をスタートさせます。検討委員会のメンバーは、鉄道上空の活用や交通計画、都市デザインなどに深い見識のある学識経験者を初め、鉄道事業者や池袋駅周辺の百貨店関係者の方々、そしてこの検討を制度の面からフォローアップしていただける国土交通省と東京都に参加をお願いしております。また、この検討委員会と合わせて、地元の関係団体による協議会を別途組織し、委員会による検討状況の報告と意見交換を随時行ってまいります。検討委員会では20年度中に結論を出していただきたいと考えておりまして、21年度以降には、実現へ向けたステップを確実に進めていく所存でございます。
次に、
都市再生緊急整備地域の指定に向けてどのような状況にあるのかとのご質問にお答えいたします。
本区では、池袋副都心に限らず、様々なまちづくりが急速に動いております。東長崎駅・大塚駅では、駅舎改築と南北自由通路により、利便性だけでなく、優しさやにぎわいが地域に生まれようとしています。目白や駒込・巣鴨など歴史ある街では地域ブランドを生かした多様な催しが行われ、伝統や文化を発信しております。また、今年の12月には首都高速道路中央環状新宿線が開通するほか、現在、事業に入っているいくつもの
都市計画道路が平成20年代の前半には完成いたします。交通ネットワークが大きく変わろうとしている今こそ、新交通システムの導入などによる、環境に配慮した、人に優しく、居住環境の向上につながるまちづくりに大きく転換していかなければならないと考えております。そのため、都市再生に取り組む戦略的な視点を持ち、池袋副都心の競争力を高め、ひいては豊島区全体をこれまで以上に活性化させるためにも、緊急整備地域の指定を受け、民間資金の積極的な導入による開発を行うことが不可欠であります。また、来年6月の副都心線開通により、池袋・新宿・渋谷の都市間競争が一層激しくなることからも、喫緊の課題となっております。この
都市再生緊急整備地域を指定する最大の目的の一端を述べますと、民間の自由な発想とその力を都市に振り向け、経済再生を実現し、都市の魅力を高めることにあります。現在、指定に向けての事前の協議を、国、東京都と行っております。
指定する地域につきましては、都市再生の拠点として、都市開発事業などを通じ、緊急的かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域というエリアであることが法律で厳格に定められており、政令で定める基準も示されております。現在の指定の状況は、平成14年7月、新宿駅周辺地域など東京都内7カ所、全国で17カ所が1次指定され、平成19年2月の第6次指定までに、全国で66カ所になります。新宿駅周辺地域などの第1次指定では、都市再生の緊急性に重点が置かれておりましたが、当時は、指定基準の適合性については、比較的緩やかな判断だったと伺っております。しかし、その後、指定基準の適用も厳格となり、最近では、公共貢献を伴う優良な民間都市再生事業が早期に実施される地域かどうかが最大のポイントになっております。渋谷駅周辺地域では、平成15年度から国と都に対して指定に向けた協議に入りましたけれども、民間による具体的な都市再生事業の熟度が十分でなく、平成17年3月まで指定ができなかったと伺っております。
池袋駅周辺地域におきましては、マンション開発など民間の開発意欲は大変旺盛でありますけれども、公共貢献を伴う具体的な民間の都市再生プロジェクトにはまだ至っておりません。したがいまして、新庁舎建設や
東西デッキ構想を都市再生の核として、その周辺の具体的な優良民間開発をいかにして都市再生に結び付けていくかが、緊急整備地域指定の重要なポイントと考えております。そのため、今後のまちづくりビジョンを具体的に示し、民間の開発意欲を誘導しながら、早期の地域指定に向けて、国や都との協議・調整を積極・果敢に行っていく所存でございます。
また、緊急整備地域が指定されるとどのようなまちづくりが展開される可能性があるのかとのご質問にお答えいたします。
まず、都市再生に貢献する優良な民間開発プロジェクトは、民間から都市再生特別地区という都市計画手続きが提案でき、容積率や用途などを、一律の基準によらず地域貢献度に応じて、上乗せした緩和を受けることができます。また、民間都市再生事業計画として国の認定を受けますと、税制上の特例や民間都市開発機構による無利子貸付など、金融支援を受けることができます。こうした制度を活用した民間事業者に積極的に都市再生に参加いただくことが、最も期待するまちづくりの可能性だと考えております。
例えば、先程述べた
東西デッキ構想ですが、池袋駅はターミナル機能と大型百貨店とが一体となった高度な商業集積と利便性があり、この強みを積極的に都市再生に生かしていくことが必要だと考えております。そのためには、鉄道事業者や大型百貨店の積極的な参加が不可欠でありますし、駅周辺の民間事業者の参加も欠かせません。関係者が結集することで、駅と街が一体となったプロジェクトを推進することが可能となり、地下ネットワークやデッキが一体となった、新たな広がりと魅力を備えた池袋副都心が築かれるものと考えます。
また、新庁舎建設についても、街の中に新たなにぎわいが生まれる拠点となるものであります。これを契機として、周辺に優良な民間開発を誘導し、緑豊かな広場や文化施設など、地域に貢献し品格をもたらす施設を整備するとともに、災害に強く、環境に優しい都市に再生できるものと考えております。
都市再生緊急整備地域の指定のご要望に込められております、池袋副都心の再生を願う、地元の方々の大きなご期待を真摯に受け止めまして、区議会のご意見も賜り、本区の街の再生を確実なものとして、文化と品格を誇れる価値あるまちづくりに積極的に取り組んでいく所存であります。
次に、
防災まちづくりの面からの地区道路についてのご質問にお答えいたします。
補助173号線に接続する地区道路につきましては、平成2年に策定された地区別整備方針で指定された路線を
都市計画道路の整備と合わせ、地域の防災性向上を目的に整備する計画となっておりました。この事業は、買収方式の区単独事業であることから、事業化に着手できなかったことはご指摘のとおりでございます。補助173号線の西側地区は、狭隘な道路が多いなど防災上の課題も抱えていること、及び旧大明小学校の有効活用をも考え合わせますと、事業効果の高い路線であると考えております。今後、区が所有する用地を活用した路線の変更や補助173号線から旧大明小学校までの一部事業化なども含めて検討してまいります。
次に、旧大明小学校への生涯
学習センター設置の計画についてでございますが、未来戦略推進プラン2007においては、生涯
学習センターの基本構想を定めた上で、耐震及び改修工事を行い、平成22年度開設予定となっております。この旧大明小学校への生涯
学習センター設置の計画につきましては、今年の10月を目途に、豊島区生涯学習推進協議会におきまして豊島区の生涯
学習センター構想をまとめていただくことになっております。また、地元でいろいろと噂が飛び交っているとのご指摘につきましては、地域の方々のご意見を拝聴しながら計画づくりを進めようとした結果でありまして、ご理解を賜りたいと思います。なお、立教大学との協働事業や郷土資料館の移転の話につきましては、事業の類似性から、生涯
学習センターとの連携がとれないかなどの様々な検討の過程の中で出てきたものでございます。
次に、緑豊かな豊島区づくりのご質問にお答えいたします。
緑を増やす取組みにつきましては、学校跡地の活用による大規模な公園の設置などについては行政が、身近な緑については民間に任せていきたいと考えております。公園等の整備には多額の用地費と多くの時間が必要となるため、区全体の緑を増やすには、マンションや個人住宅などの民有地の緑化を推進していくことが効果的であり大切であります。今後の役割分担については、10年計画となっております「みどりと広場の基本計画」が5年を経過いたしましたので、この中で見直しを検討してまいります。また、身近な緑を増やす取組みにつきましては、現在は、地域で活動しているみどりの団体やNPOと、花壇管理や樹木への名札付け活動について協議しております。今後は、協議を踏まえまして新たな活動支援を検討し、将来的には主体的に活動する団体として担っていただきたいと考えております。身近な地域で緑を増やしていく活動や、個人住宅等に対する屋上緑化や壁面緑化の補助については、みどりの基金を有効活用してまいります。また、基金は、区民から緑を増やすための寄附の受け皿として活用するとともに、さらに区民の緑への関心を高めるきっかけになることを期待しております。
次に、
スポーツ振興についてのご質問にお答えいたします。
まず、
スポーツ文化の認識についてですが、私も、スポーツは心身両面に影響を与える文化であるという認識を持っております。かつまた、それは世界共通の文化ではないかと認識しております。そして今日では、健康づくりや体力、競争力の向上のために、ボールを蹴ったり、投げたり、そして走ることなどにより、爽快感や充実感を味わう「自らするスポーツ」や、スポーツを観戦したり応援するなどして楽しむ「みるスポーツ」、さらに多様なスポーツへのボランティアとして関わる「支えるスポーツ」と、このように、スポーツは広がりをみせてきていると感じております。
次に、
スポーツ施設の整備についてですが、健康づくりや青少年スポーツの活性化のためにも、生涯を通してスポーツ・レクリエーションに親しめる環境づくりをぜひ進めてまいりたいと考えております。そのためにも、ご案内のように、豊島体育館や総合体育場の改修に着手するとともに、旧長崎中学校や旧第十中学校、そして旧朝日中学校などの跡地を活用した計画の具体化につきまして、早急に現在の
スポーツ振興計画の見直しを行い、
スポーツ施設の全体像を明らかにしたいと考えております。今後も、多くの区民の方々が自主的にスポーツを楽しみ、健康づくりが行えるよう、財政の苦しい中においても、創意工夫により文化施設と同様に、
スポーツ施設の整備にも力を注いでまいりたいと思います。
次に、住民税のフラット化についてのご質問にお答えいたします。
まず、税制改正に関しての区民の皆さんへの説明・周知についてでございます。去る平成17年末に、所得税は平成19年1月から、そして住民税は平成19年6月から、三位一体改革に伴う税源移譲による新しい税率が適用されることが決定されました。所得税と住民税のシステムが異なることから、それぞれの税額を前年と比較することはあっても、住民税と所得税を並べて税額を比較する機会がない中で、大幅な額の変動が行われるので、大変な混乱が生じることが想定されておりました。そこで、本年6月の普通徴収の納税通知書の発送に備えまして、昨年末から周到な広報活動を展開してまいりました。昨年11月のリーフレットの作成と配布、さらにはポスターの貼付に始まりまして、広報紙では、2回の記事掲載とは別に、6月5日号で特集号を発行いたしました。また、発送前には、区政連絡会で説明させていただき、チラシの回覧をお願いし、さらに豊島都税事務所と合同でキャンペーンを実施しました。
去る6月6日に税制改正についてのチラシを同封いたしました納税通知書6万8,588通を発送いたしましたところ、翌7日昼前から窓口あるいは電話でのお問合せが始まり、最も混雑いたしましたのが8日金曜日で、来庁も含めて1日で800件の問合せをいただきました。現在はほぼ平常に戻っておりますが、土日を除く5日間で2,200件に及ぶ問合せ件数になっております。内容としては、半数以上が税制改正についてのご質問、次いで、ご自分の税額についての詳細な説明を求められるものとなっていました。また、窓口においでいただいた皆さんも、こちらが想像していた以上に冷静な様子であり、税制改正については浸透していたとの印象を持ったところでございます。
次に、納税者への対応についてのご質問にお答えいたします。定率減税分を除けば、所得税と住民税との合算額は変わらないとは申しましても、年金受給者の方々には、年4回、納付書で納める期ごとの住民税額は増えることになり、この点についてご相談を受けることがありました。これにつきましては、月ごとの分納をお勧めするなどの対応をさせていただいているところでございます。
最後に、税源移譲に伴う区財政収支への影響についてお答えいたします。この度の税制改正は、これまで所得水準によって3段階の税率で課税いたしておりましたが、所得にかかわらず税率を一律10%としたものでございまして、その結果、所得水準の高い都心区では、大幅な減収になることが想定されております。平成18年をベースにした豊島区で想定される影響額といたしましては、様々な改正がありますが、総計で約1億円が減収になるものと見込んでおります。
私からの答弁は以上でございますけれども、その他の質問につきましては、関係部長から答弁させます。
〔小野温代総務部長登壇〕
○総務部長(小野温代)
安心・安全についてのご質問にお答えいたします。
池袋駅を中心とする町会や商店会を初め様々な団体の皆様には、以前から活発なパトロールをしていただいております。先日も、東京都の担当者から、都内有数の繁華街を抱える地域として、極めて活発な取組みであると驚嘆されたところです。こうした皆様のご尽力によりまして、区内の犯罪件数は確実に減少しております。池袋駅周辺地域も概ね同様の傾向にありますが、豊島区内全域における比率となりますと、繁華街という特性から、37.7%という数値が出てくることになります。
新宿区、渋谷区の状況と対策についてでございますが、各区の犯罪発生件数につきましては、今年1月から4月末までの4カ月間で、新宿区が3,243件、渋谷区が2,806件、豊島区が2,671件となっております。繁華街の風俗営業店につきましては、昨年12月の調査では、派遣型ファッションヘルスなどの性風俗関連特殊営業は、新宿歌舞伎町地区が約600店舗、渋谷地区が約430店舗で、これに対し池袋地区は約230店舗となっております。また、キャバクラ、バーなどの風俗営業は、新宿歌舞伎町地区が約1,490店舗と群を抜いておりまして、渋谷地区の約290店舗に対し、池袋地区では約330店舗と若干多くなっております。こうした風俗営業の店舗数などでは歌舞伎町が突出した状況にあることから、歌舞伎町につきましては、安全で誰もが楽しめる歌舞伎町にしようと、平成17年1月、新宿区長を会長とする歌舞伎町ルネッサンス推進協議会が設立されました。この協議会は、当時の竹花豊東京都副知事を初め、有識者や地元の方々、国、警察署、消防署等により構成されたものですが、新しい対策などの情報が聞こえてまいりませんので、なかなか妙案がないものと推察しております。
次に、池袋駅周辺の防犯対策の具体的な考えでございますが、昨年からの委託警備員による繁華街巡回を継続しておりますほか、風俗スカウト対策につきましては、都内の自治体担当者による情報共有のための会議を開催し、検討を進めております。池袋地区につきましては、これまでも最重点地区として積極的に取り組んでまいりましたので、取組みとして考え得るものは既に着手している状況にあります。ご指摘の青色パトカーは、具体的な運用はこれからの検討となりますが、本年4月1日より西池袋交番から改められた地域安全センターなどを中心に、池袋駅周辺にも巡回する方向で検討したいと考えております。また、
ロサ会館周辺の街灯につきましては、商店街振興に関するご質問とも関連いたしますが、引き続き、商店街の皆様とご相談しながら、方策を検討してまいります。
次に、地域の方々のご努力が一層効果的に作用するような行政としての仕組みにつきましては、区といたしましても、常に努力を重ねているところでございます。それぞれの持つ専門的なノウハウを維持しながら、縦割りの弊害に陥らないよう、ご指摘を踏まえまして、連絡体制等を一層強化してまいります。
いずれにいたしましても、豊島区の最大の繁華街である池袋が安心・安全な街となることは、区全体のイメージを左右するものであり、今後も力を傾注してまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔松﨑充彦
保健福祉部長登壇〕
○
保健福祉部長(松﨑充彦)
次に、介護に伴う課題についてのご質問にお答えいたします。
初めに、業者の不適正・違法のチェック体制についてのご質問にお答えいたします。平成18年度の制度改正により、区の指導監督権限が強化されましたので、地域密着型サービス事業所には年1回の集団指導、実地指導、その他の事業所につきましては、3年に1回程度の実地指導を行う予定で計画を立てております。また、個々のサービス利用者に対して、年に2回、月別のサービス内容、保険給付額、利用者負担額等を記載した介護給付通知書を送付し、サービス実績内容、自己負担額などの確認を呼びかけ、その通知書に対する問合せの中から、事業所をチェックいたしております。さらに、償還払いである住宅改修や福祉用具購入につきましては、適正な価格の工事や品物であるかどうかのチェックを書類審査で行い、不正が疑われる場合は訪問をして確認いたしております。このような様々なチェック機能の中で、業者の不適正・違法を見抜き、地道な実態調査、張込み等を重ね、区で摘発しました悪質事業所は、数カ所に上っております。その中には、近々、刑事告発や民事訴訟を提起する準備に入っているものもございます。今年度より組織再編の中で取り入れたグループ制の試行により、介護保険課に監査グループを設け、課全体で調査や張込みに取り組み、一定の成果を上げ、東京都からの評価も得ております。今後も、新たなチェック体制を模索し、悪質な事業者に対しましては厳しく対応し、区民の皆様に信頼される
介護保険制度の構築に努めてまいりたいと考えております。
次に、介護施設の人手不足についてのご質問にお答えいたします。現在、福祉施設における人手不足は深刻な事態となっております。豊島区内の施設においても職員の確保が困難になっており、事業団の場合は、平成18年度の退職者が、正規職員13名、非常勤職員が60名で、特に非常勤職員の定着率が低下してきております。東京都社会福祉協議会の調査によりますと、福祉施設における定年退職と定年以外による中途退職者数は平均で4.3名に対して、退職に伴う新規採用者の補充は3.8名にとどまり、正規職員で退職者数を補充できない数になっています。欠員の状態が発生した施設では、欠員が埋まるまで平均4.3カ月かかっているという状況にございます。このような事態を招いている要因として、給与水準を初めとする労働条件が他の業界に比べて悪いことや福祉施設全体が専門性を生かせる魅力ある職場になっていないことなどが挙げられます。しかし、一方で、さきの都社協の調査によりますと、正規職員の確保がスムーズに行われているという回答も24%あり、施設や法人により実態に差もございます。来年4月より外国人介護福祉士の導入が制度化されるなど、人材確保についての議論が活発に行われておりますが、このような人材不足の状況はすぐに改善できないものと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
〔大沼映雄
文化商工部長登壇〕
○
文化商工部長(大沼映雄)
次に、商工振興の施策についてのご質問にお答えいたします。
まず、装飾街路灯の照明補助についての現状と今後の考え方についてでございますが、この補助は、商店街が設置する装飾街路灯やアーチ・アーケードの電灯照明に係る経費の一部を補助するもので、明るい商店街をアピールするとともに、地域の交通の安全と防犯を図ることを目的としたものです。このことから、区としては、街路灯を終夜点灯することをお願いしております。補助金額の算出は、装飾街路灯1基当たりの単価、例えば水銀灯使用であれば月額228円とし、それに街路灯数を掛けて算出した電灯料に、電球消耗費を加える方法をとっております。補助額と各商店街が実際に支払った電気使用料を比較してみますと、平均で4分の1程度の補助実績となっております。ただ、定額の単価を使用して補助額を算出する現行の方法では、商店街ごとの補助率のばらつきも大きく、10%以下の商店街からほぼ満額支給というところまで様々でございます。区としては、本補助金が商店街ごとに大きなばらつきが生じていることもございまして、昨年の秋、商店街に対する補助金の説明会の中で、算定方法の改正に向けた検討を行うことをお話しいたしてございます。今後は、単価による補助率方式から実績に基づく補助率方式への変更を検討いたしており、当面、電気使用料実績に対する補助率の下限を30%まで引き上げるとともに、財政状況も勘案しながら、できるだけ早期に半額程度まで引き上げてまいりたいと考えております。
次に、振興組合等への優遇策についてでございます。ご指摘のとおり、商店街が堅固な財政基盤を築き、積極的に社会の中で活動を行っていただくためには、法人格の取得は意義の深いことと考えております。振興組合や事業協同組合の設立に当たりましては、区としても、現在、設立のための助成を行うとともに、その後4年間の運営助成も行っているところです。ただ、運営助成の年限が限られていること、また助成額が少額であることなどから、なかなか実績が上がらないのも事実でございます。区といたしましては、できる限り多くの商店街が任意の団体から法人格を持つ振興組合、事業協同組合への移行を図っていただくことを願っており、設立時及びその後の運営助成に加え、今年度からは空き店舗対策事業での家賃助成期間を振興組合は今までの3年のところを5年へと延長することにいたしました。さらに、先程の装飾街路灯の照明補助につきまして、下限の補助率を当面、電気使用料の30%に引き上げたいと申し上げましたが、振興組合に対しましては、40%にすることといたしまして、任意団体である商店街より10%の優遇策を講じてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、商店街が法人格を持って社会に対する責務と自らの活動の幅を広げることに躊躇することがないよう、補助のあり方の検討を進めてまいりたいと存じます。
次に、としまものづくりメッセの現在の進捗状況についてでございますが、先日、6月8日に区長を委員長とするメッセの実行委員会を立ち上げ、実施に向けた組織づくりを終えたところでございます。実行委員会は、区内産業団体などの代表などをメンバーとしており、メッセの方向性や実施に向けた重要事項を決定する機関としてございます。実行委員会は、その下部に運営委員会を設け、さらに運営委員会のメンバーを3つの部会に分けて、機動的に企画・広報・募集・集客などの活動を進めることとしております。運営委員会と部会は、既に本年の3月末から活動を開始しており、事業実施に向けた様々な準備を着々と積み重ねてきております。運営委員会で協議を深めた到達点をこの前の実行委員会にご報告をし、基本的な方向のご承認を受けまして、さらなる細部の検討が始まりました。来春の3月20日から22日までの3日間のメッセ実施に向けて、産業界も徐々に盛り上がりを見せつつあります。ものづくり人の気概を見せたいとして、アピール文を企業募集用のリーフレットに掲載する用意をしているところでございます。今後は、運営委員会、部会での協議を図りながら、より実施に近づけた出展企業の募集、講演会等の具体的な内容、集客の仕組みなどを検討していくこととなっております。区内のものづくり産業がこれからも活力を維持するためには、地域との共存が不可欠であり、その第一歩がこのメッセにあると考えております。区といたしましては、できる限りものづくり産業の方々の意思を尊重しながら、商・工・住のバランスのとれたまちづくりへの足掛りを築きたいと考えております。
以上をもちまして、遠
竹よしこ議員のご質問に対する答弁を終わります。
○34番(遠竹よしこ)
大変異例なことで、私がこういう形で与党から発言をすることは異例なことだということは承知しております。一言だけ、申し訳ないのですけれども、発言を許していただきたいと思います。
先程の区長さんのご答弁、非常に丁寧にいただきまして、ありがとうございます。ただ、梟の樹を創る会や、それからアーバンクリエイトの方の、要するにアニメのキャラクターをつくるまちづくりに対しましては、各種団体との調整とかコーディネート役に徹するようなご発言がありましたので、ちょっと私としては、もう一歩踏み込んで、こんなに素晴らしい財産があるのですから、区としても力強い応援をしていただきたい、そういうふうに思うところであります。
一言だけ、その辺についてのお考えをお聞かせください。具体的なことは、まだ固まってないこともいっぱいありますから、公にできないこともいっぱいあると思います。でも、これができれば、アニメのキャラクターたちというのは大変な財産です、そういうものをやはりしっかり使うためには、そういう業界との、いろいろな権利というものがありますね、著作権とか、そういうものに対しても、やっぱり区がきちっと方向を決めていただかなければできないことでございます。その件だけをちょっと一言確認をさせていただきます。
○区長(高野之夫)
先程の梟の樹を創る会、そしてアニメによるまちづくり、これは私たちの今までのまちづくりといえば画期的な、本当に素晴らしい盛り上がりだと思っております。梟の樹を創る会も、もう6年になりますか、大変地味でありますけれども、着実に豊島のイメージアップといいますか、今、19カ所にそういうそれぞれのふくろうを飾っているというのは、本当に我々ででき得ない、民間の方が大きな力を注いでくれているということに対しては、本当に敬服する次第でありまして、私も絶えずご報告もいただきながら、どういう形で区が応援できるのか、先程、コーディネーターというような形では、大変ご不満なようでありますけれども、言葉ではしておりますけれども、私は、このまちづくりというのは、今までにないような形だと思っておりますので、大きな盛り上がりで、そして区民の方々が誇りに持てるような、そういうまちづくりは必ず広がっていくというような意識を持っておりますので、しっかりと支えていきたい。
また、この6年目に何か梟の樹を創る会でもいろいろなことを考えておられるようでありますので、我々の方もなかなか窓口がないというようなことでありますけれども、ちょっとオーバーかもしれませんが、全庁を挙げて応援したい。また、アニメによるまちづくりというので、他のいろいろな地域でもやっておりますけれども、私は、トキワ荘とか、先人が残された素晴らしいアニメ文化といいますか、そういうのがあるわけでありますので、今回、非常に大きな盛り上がりといいますか、そういう機運が出てきただけに、これをさらにさらに大きく発展させていくようにということで、来月でありますけれども、宮城の石ノ森章太郎の生誕の地の石巻にもおじゃまをするような計画がつくられておりますので、私も一緒に参加をさせていただきながら、うちだけではなくて、やはり今までのいろいろな関係の中でつくられた、そういうものを本当に、黙っていればそれで終わってしまいますから、それをいかに掘り起こしていくかというようなことで、それをさらにさらに大きく広げていく。私は、この2つのまちづくりというのは、今までと違った切り口で進められていると、本当に地味でありますけれども、非常に私はこれから本当に、大切な皆さんの努力だと思っておりますので、言葉ではなかなか難しいのですけれども、予算も計上はしておりませんけれども、強い認識を持ってこれから進めさせていただきたい、そんな思いをしておりますので、よろしくお願いします。
────────────────────────────────────────
○議長(吉村辰明)
次に、27番議員より、「人に優しい豊島区のために」の発言がございます。
〔
山口菊子議員登壇〕(拍手)
○27番(山口菊子)
民主・区民豊島区議団を代表いたしまして一般質問をいたします。
私たち民主・区民豊島区議団9名は、政策協議を交わし、同じ会派を結成いたしました。さきの都知事選挙では一緒に浅野史郎候補を応援した仲間でもあります。また、当然ながら、それぞれが高野区長と政策協議をし、高野区長与党として、豊島区政に責任を持った立場で臨んでいく所存でございます。豊島区は財政の危機的状況から少し明るさの見えてきた今日ではありますが、25万人余りの豊島区民の皆様が安心できる暮らしを実現していくために、9名が力を合わせていきたいと思っております。
それでは、「人に優しい豊島区のために」と題し、1つ目に、情報管理について、2つ目に、コムスン問題から見る
介護保険制度の問題点について、3つ目に、人件費に関わる問題について、4つ目に、その他として、地上デジタル放送に関わる問題について、以上の4点の質問をさせていただきます。高野区長の積極的なご答弁を期待いたします。
まず初めに、1つ目の質問です。
消えた年金記録5,095万件、さらに未統合1,430万件という問題は、国民の年金に対する信頼を失うという大きな政治問題となっております。その中には100歳以上の方が161万7,600人入っているとのことで、現在100歳以上の方は3万人程ですから、多くの方が既に鬼籍に入られていることになります。今後1年間で名簿の照合を行うと政府は言っておりますが、誰が悪い、彼が悪いといった責任のなすり合いではなく、国家の責任として問題の解決の手段を速やかに講じ、国民の不安を少しでも少なくするのが政府の責任であることは明らかです。
本区でも、国保年金課では、2003年度までは加入受理など多くの事務を取り扱っており、それ以後の事務は法改正により格段と少なくなっておりますが、国民年金に関する業務を行っております。国の事務ではありますが、年金問題は区と全く関係ないとは言えません。政府が責任ある解決策を講じるよう、豊島区としても、ぜひ国に対し訴えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
そこでお尋ねいたします。豊島区が徴収事務を行っていた経過もあり、社会保険事務所ではなく、豊島区に相談にこられる方も少なからずあると聞いております。区としては、そうした方々への対応をどのように行っているのでしょうか。また、昭和50年以前のケースでは、区に記録も残っていないということですが、そういう方々への対応も大変なことだと思われます。いずれにせよ、相談にこられる方々への対応をしっかり行っていただきたいと思います。
国の年金問題が大きく報道されたとき、私は、年金に限らず、様々な分野での区民の方々の情報管理がきちんと行われているのかという疑問が生じました。戸籍や住民登録、税の情報、あるいは国民健康保険などの区民の皆様の健康情報など、実にたくさんの情報を豊島区は持っております。
実は28年前、私は、住民票が必要になり、当時の第3出張所に行きました。受け取って確認すると、夫と私、3歳の息子、10カ月の息子の4名が記載されているはずが、下の息子の記載がありませんでした。大変驚きました。本当に言葉に尽くせない程の驚きでした。記載されていない旨を伝えると、「そんなはずはありません。出生届を本当に出したのですか」と、窓口の職員は平然と対応したのです。上の息子の手を引き、下の息子を背負った私は、急いで帰宅し、母子手帳を持って、さして近い道のりではありませんでしたが、再び出張所に歩いて行き、職員に見せました。豊島区が出生届を受理した証拠です。結果として、明らかに豊島区のミスであることがわかりました。戸籍が記載されているかどうか急いで確認したところ、戸籍には記載されていましたが、住民登録はされていなかったのです。子どもの3カ月検診などで保健所には行っていましたから、どういう情報管理になっていたのか、今となっては調べようがありませんが、そのようなことがありました。当時の私、今程に気が強くなかったものですから、出張所のカウンターを叩いて怒鳴ることも、徹底的に原因を究明することも、損害賠償を含めた法的措置をとるというようなこともしませんでしたが、とんでもない事実がありました。
年金問題の報道を聞いて、年金5,095万件が宙に浮いているということは、複雑な要因が重なっているようですが、28年前に私が身をもって体験した豊島区のミスのようなことが積み重なっている面もあるのではないかと、即座に思いました。年金が紙による記録からコンピュータに入力されるときの間違い、基礎年金番号ができたときのミスなど、制度やシステムが変わるときのミスが今回の年金問題の大きな原因だといわれています。自治体の事務も、手書き、人の手による帳簿への消し込み作業、そろばんを使った計算などから、多くは1970年代からコンピュータが導入され、逐次、様々な情報がコンピュータに入力されてきています。紙に手書きするのも、コンピュータに入力するのも、いずれも人の手を使って行われます。現在はバーコードの導入などが進んでおりますが、いずれにせよ、100%完璧ということにはならないのではないでしょうか。
今回の年金問題は、決して豊島区から遠い問題ではありません。今回の問題を豊島区としてどのような受止め方をされたのでしょうか。庁内の各部各課で、「もしかして」、あるいは「自分も同じようなミスをしたかもれない」と思われた職員はいなかったでしょうか。事程左様に、正確に仕事をしていくことは、当たり前のようでいて、実は難しいことなのだと私は思っております。そこで、個人情報を取り扱う部署のみならず、あらゆる情報管理について、日常的にどのように作業の正確さを検証されているのでしょうか、お尋ねいたします。これまでも、特別区民税の納付書の誤り、封入ミスなど、様々なミスがありました。すぐに発見できるようなことはまだましなのかもしれませんが、先程の私の家族に関わる問題のように、すぐには見つかりにくいようなこともあります。今回の年金問題を、他山の石以て玉を攻むべしと、豊島区が常に信頼されるよう、ぜひこの機会に庁内の各部署での取組みをしていただきたいと思います。
次に、コムスン問題から見る
介護保険制度の問題点についてお尋ねいたします。
コムスン問題は、既にここで述べるまでもなく大きな社会問題となっております。豊島区内にもコムスンの事業所があり、さきの議員協議会で報告されたように、豊島区もその実態を十分掌握され、対応についても確認をされていると伺っております。規制緩和によって、福祉が市場原理にさらされているため、儲かるはずのない制度で儲けようとした結果がコムスン問題だといえます。
これまでも、介護保険による不正請求などは問題になってきました。豊島区では、事業者の処分を自治体として初めて行うなど、厳しい取組みがされてきたことは評価されています。悪徳な事業者は論外ですが、まじめに介護を行っている事業者にとって、現在の介護報酬が低いため、介護職員が不足する事態が生じています。文京区の「くすのきの郷」が大きな問題になりましたが、私もよく知っていますが、あの施設は利用者には大変評判のよい施設でした。よいサービスを提供しているから脱法行為をしてよいということにはなりませんが、介護報酬が低いために、福祉の専門学校を出て国家資格を持つ若い職員が希望を失って職を離れていくことがテレビ番組で報道されていたように、介護の現場は厳しい状況にあります。つい最近も、介護事業を始めたが、職員が集められなくて危機的状況にあるという方の話を聞きました。地域包括支援センターも、運営が大変で全国的に赤字になっています。私が昨年予算要望し、豊島区では、今年度、地域包括支援センターに対する支援が予算化されましたが、あらゆる事業に豊島区が支援をするということなどはできるはずがありません。
豊島区として、コムスン問題について、どのように受け止めているのでしょうか。また、介護報酬については、どのような見解をお持ちでしょうか。報酬が上がれば保険料に反映してしまうという、別の問題も生じてしまうことは承知していますが、介護に関わる方々が生活していけるだけの報酬は必要だと思います。
介護保険制度は地方分権の制度といいながら、実際は国の制度であり、法律が変わらなければ、安心できる介護システムは構築できません。今回のコムスン問題は、コムスン自身の悪質な企業姿勢は許されませんが、
介護保険制度の問題点を明らかにしている部分もあります。
介護保険制度が信頼に足る制度となるために、介護が必要になったときに安心して介護を受けられるようにするために、豊島区として、国に対して要望すべきことはきちんと行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、人件費に関わる問題について質問いたします。
人件費削減は、高野区長が積極的に取り組まれてきた政策であり、また議会などの大きな要望もあって進められてきました。その結果、施設の民営化、指定管理者制度などにより、職員定数が削減され、人件費が大幅に減ってきております。しかしながら、人件費とカウントされなくても、様々な事業を進めていくために、実態として人が働いていることには変わりありません。庁内でも、非常勤職員、アルバイト、人材派遣業者から派遣された職員など、職員のありようも大きく変わってきました。
そこでお尋ねいたします。現在、庁内には非正規雇用の職員はどのくらいいるのでしょうか。また、その採用に当たっては、どのような手法をとられているのでしょうか。今年になって、派遣業者から派遣されてきた職員が結核に感染しており、その職場の正規職員に2次感染の疑いが生じました。結果として、その職場のすべての職員がレントゲン検査を受けるということになりました。派遣業者が職員の健康診断をしていなかったことが原因でした。その派遣業者は、入札によって選ばれたと聞いております。入札によって選ぶということは、一般的に価格が安い業者に落札されるものだと受け止められているのだと思います。もちろん様々な条件を付し、そうした条件をクリアした業者であることが前提であると思いますが、入札する業者の経営内容など、業者の実態についてはどのように調査して、応札するに相応しい業者と認定しているのでしょうか。また、この結核に感染している職員を派遣した業者については、どのような経緯で選ばれたのでしょうか。さらに、このような事例は他にはないか検証されたのでしょうか。
定期健康診断を行っている区の職員が2次感染の危機にさらされ、緊急の検診を行うというのはいかにも無駄なことです。また、正規・非正規職員にかかわらず、区の職員の多くは区民の皆様に直接向き合う仕事が多く、職員の健康に問題があれば、区民の皆様に感染させる危険もあます。つまり、職員の定期健康診断は、職員の福利厚生という面だけでなく、区民の皆様の安全・安心を守るという意味も持っています。人件費を削減するために正規職員の採用を控え、非正規の職員を雇用することが大きなリスクを伴うというのは好ましいものではありません。何か問題が生じれば、区の責任が問われることになります。このようなことが二度と生じないような対策をとられていると思いますが、どのように検討されたのでしょうか、お尋ねいたします。人件費削減が、あらゆる面で、安かろう、悪かろうということにならないようにしていただきたいと思います。
最後に、その他として、地上デジタル放送についてお尋ねいたします。
豊島区への誘致は叶いませんでしたが、新しいテレビ塔の建設が決まり、2011年のデジタル化へ向けて準備が進んでおります。豊島区内では、高層建築物などによる電波障害の地域が多く、その対策が行われている地域が広範囲にあります。そして、電波障害対策を行っている事業者などから、電波を受けている住民に、2011年のデジタル化をもって電波障害対策を取りやめ、施設の撤去を行うということが伝えられるところも出始めております。デジタル化されれば、現在の電波障害対策は全く意味を持たなくなりますから、当然といえばそのとおりです。としまテレビに加入していればデジタル対応は可能ということですが、実際はデジタル対応のテレビ受信機に取り替えるなどの手段を講じる必要があり、としまテレビに加入していなければ、個別のアンテナを立てるなどの受信対策をテレビを見る側が行わねばなりません。2011年までは、あと4年ありますが、わずか4年という見方もあります。情報をきちんと知らずにいて何の対策もしなければ、ある日突然テレビが映らなくなるという事態になります。
デジタル化については、豊島区が直接関わるものではありませんが、電波障害対策に関しては豊島区が関わってきた経緯もあり、区への問合せや相談は増えてくるものと考えられます。総務省からは詳細な情報が出されていないと聞いておりますが、豊島区としての地デジ対策について、検討を始める必要があるのではないでしょうか。地デジという言葉は耳に慣れてきましたが、デジタル化ということがどういうものか理解できる方がどのくらいいらっしゃるのか想像できませんが、高齢化が進む中で、高齢者の方々のご理解を得るのは難しいのではないかと思います。
豊島区の青少年委員会では「NO テレビデー」という活動をされていますが、テレビのない家族団らんも必要ではありますが、テレビが家庭の必需品であるのは誰も否定できないと思います。経済的負担を含め、国民にとっては大きな課題になることは間違いありません。様々な課題についての国の考え方や取組みについて、早めに明らかにするよう国に対して要望すべきだと思いますが、いかがでしょうか。たかがテレビという時代ではなくなっており、豊島区の取組みも遅きに失しないようにしていただきたいと思います。
以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕
○区長(高野之夫)
初めに、
山口菊子議員におかれましては、今まで、1人会派として孤軍奮闘され、時に厳しく時に暖かく、様々なご意見やご指摘をいただいてまいりました。そして、地域を思い豊島区の発展を思う強い気持ちは私と同じであり、区長就任以来、終始一貫、高野区政を与党として支えていただいてまいりました。この度の選挙で5回目の当選を果たしまして、民主・区民豊島区議団に参画してのデビューであります。今後とも、歯に衣を着せない厳しい発言もいただきながら、豊島区を思う気持ちを一つにして、よりよく豊島区を発展させていきましょう。
それでは、
山口菊子議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
まず、情報管理についてのご質問にお答えいたします。
初めに、年金問題について、国に対して解決策を講じるよう区として訴えるべきとのご質問にお答えいたします。年金は老後の生活を保障する極めて重要な制度でありまして、社会保険庁における一連の事務処理ミスにつきましては、公務員に対する信頼を著しく失う行為で大変残念であります。今後、事態の推移を見詰めつつ、他の自治体とも連携を図り、私が会長職にあります東京国民年金協議会において、ご質問にありますように、政府で責任ある解決策を講じる内容の要望書の提出について積極的に検討してまいりたいと思います。先日も東京国民年金協議会の総会が開催されまして、会長として議事の進行をしたわけでありますけれども、それぞれの区市町村の担当から、現場としての様々なご質問、ご意見もたくさん承りました。ぜひそれらを生かしていきたいと思っております。
次に、区民からのお問合せへの対応についてのご質問にお答えいたします。現在、自分の年金は本当に大丈夫なのかという相談が多くなっております。窓口にいらっしゃる方につきましては、職員が社会保険庁へ照会の上、丁寧にご相談に応じております。文書記録の提供が必要な場合及び電話での問合せ等につきましては、社会保険事務所をご案内させていただいているところでございます。また、保険料を納めたにもかかわらず未納の扱いとなっており、本区に記録が残っていないかどうか確認を求められるケースもあります。昭和50年代以前の納付についてのご相談がほとんどでございますけれども、平成元年度以前はシステム上の記録も台帳も残っていないため、確認の方法がないのが実情でございます。区民の真剣な眼差しに応えられないことにつきましてはじくじたる思いがございますけれども、現在の年金システムの中で職員は精いっぱい対応しておりますので、ご理解をお願いしたいと思います。
次に、区としてどう受け止めているかについてのご質問にお答えいたします。今回の問題は、社会保険庁の年金の重要性に対する認識を欠いた不適切な事務処理が招いたものと言わざるを得ず、あってはならないことと認識しております。また、同時に、今回のケースを他山の石として、こうした問題が本区では決して起こることのないよう、改めて注意を喚起してまいります。
次に、あらゆる情報管理についてどのように検証しているのかとのご質問にお答えいたします。るるご指摘をいただきましたとおり、区が日常的な業務の中で取り扱っております様々な情報は、個人情報を初め、区民の皆様にとって大変重要なものばかりでございます。情報管理のミス、とりわけ記録の漏れや漏洩等の事故は、区民の皆様の権利・利益を損なうばかりではなく、区政を推進する上で最も重要な信頼をも損なうものとなります。本区におきましても、福祉施策や社会保障制度に基づく各種手当等の給付事業を行っておりますけれども、情報管理のミスによって該当者の皆様に不利益の生じることがないよう、より万全の取組みを改めて指示したところでございます。本区では、これまでも、常に複数体制での作業や再確認など、一つ一つのプロセスを丁寧に行うように努めてまいりました。今後は、さらに、窓口受付や情報の受渡し、データ入力や移行作業等、それぞれの過程での入念な作業記録とともに、必ずダブルチェックを行うなど、正確性を検証し確保するための体制づくりを徹底してまいりたいと考えております。適正な情報管理は、信頼される区政運営の根幹であり基本であります。この度の年金問題は、まさにそれを所管する職員や組織に大切な情報を扱うという意識が欠如していたことによるものと言わざるを得ません。これを機会に、今後とも、職員の意識啓発のための研修を繰り返し行うとともに、危機管理の徹底、ミスの未然防止、迅速な対応等、区民の皆様の信頼をより万全なものとするための取組みを、区の全組織を挙げて積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、コムスン問題から見る
介護保険制度の問題点についてのご質問にお答えいたします。
初めに、コムスン問題をどう受け止めているかについてのご質問にお答えいたします。
介護保険制度は、平成12年4月にスタートし、今年で8年目を迎えました。現在では、在宅サービスを中心にサービス利用者が発足時の約2倍に増加し、老後の安心を支える仕組みとして定着してまいりました。しかしながら、一方で介護保険事業者の不正が後を絶たず、今回のコムスンの事件では、水増し請求、架空請求、処分逃れの廃業届、運営基準違反等、あらゆる不正が行われていたことが明らかにされました。このような最大手の訪問介護事業者による違法行為は、
介護保険制度の根幹をも揺さぶる由々しき問題で、大変遺憾に思っております。
平成18年度の制度改正で不正事業者に対する事後規制ルールが強化されたことにより、コムスンにも連座制が適用され、新規の指定や更新ができなくなりました。今回のことで、悪質事業者には、厳しい処分が適用されることが広く示されたことは、一方で、今後の
介護保険制度の維持・発展のために評価できると考えております。
次に、介護報酬の見解についてのご質問にお答えいたします。介護サービスを提供した事業所・施設は、医療制度と同様に、その対価として保険者である区市町村から介護報酬の支払いを受ける仕組みになっておりますが、ご指摘のとおり、介護報酬を引き上げることは保険料の引上げにつながることになり、大変難しい問題を抱えております。そこで、昨年、制度維持を目標に、予防重視型システムの確立、施設給付の見直し、地域密着型サービスの創設、サービスの質の確保・向上、負担のあり方・制度運営の見直し等、10年後を踏まえた大幅な改正がなされたところでございます。改正作業の際には、介護に関わる職員の待遇についても大きな課題となり論議されたところでございますが、今回の改正では見送られた経緯がございます。今後、介護職員の待遇につきましては、介護報酬で人件費を賄うシステムを堅持しつつ、行政が現場職員の最低賃金を設定するなど、国としての何らかの対策が求められるところであります。その他にも、家族介護を評価するインフォーマルケアの見直し、待機者を少なくするための施設入所基準の見直し、介護の質向上のための福祉人材確保の施策、悪質事業者の参入を阻止するための指定審査の見直し等、引き続き継続的な制度の見直しが必要であると考えております。あらゆる機会を捉えまして、国に要望していく所存でございます。
なお、私からの答弁は以上でございますけれども、その他の質問につきましては、関係部長から答弁させます。
〔小野温代総務部長登壇〕
○総務部長(小野温代)
次に、人件費に関わる問題についてのご質問にお答えいたします。
まず、非正規雇用の職員数と採用手法についてでございますが、現在、本区では、再雇用職員約50名を含めた約400名の非常勤職員と、約430名の臨時職員、いわゆるアルバイトを雇用しております。また、人材派遣契約により、業者から5名程の職員の派遣を受けております。さらに、これとは別に、区民課入力業務や学校給食業務など、業務請負契約に基づき相当数の人員が区の現場において働いております。採用手法につきましては、再雇用職員は人事課で選考の上、採用を行っておりますが、その他の非常勤職員につきましては、原則として各所管課で公募をし、筆記試験や面接等の選考を行った上で採用をしております。また、臨時職員につきましては、育児休業等の代替分は、人事課で公募をし、面接の上、登録を受け付け、配置の必要に応じて採用を行っておりますが、その他の臨時職員につきましては、各所管課が事業の必要に応じ、ほぼ同様の方法で採用を行っております。人材派遣や業務委託契約に基づくものにつきましては、当然のことながら、各業者が採用を行っております。
なお、非正規職員の健康診断でございますが、社会保険加入の非常勤及び臨時職員につきましては、労働安全衛生法に基づき、正規職員と同様の健診を行っております。また、それ以外の非常勤及び臨時職員につきましても、結核予防を目的として、平成11年度以来、区独自に年1回の胸部エックス線検査を実施しているところでございます。
次に、入札する業者の検証についてのご質問にお答えいたします。
本区では、入札に参加する業者につきましては、東京電子自治体共同運営協議会に登録され、かつ当該事業に関して履行実績のあるものの中から選定しております。この登録は、事業許可の有無や営業年数、決算状況、法人事業税の納付実態など、入札に参加しようとする業者が適正な参加資格を有するか否かを厳しく審査した上で、それに合格した者を登録している信用性の高いものであると考えております。健康診断につきましては、労働安全衛生法により、派遣業者や委託業者に義務付けられておりますことから、区といたしましては、契約の際に、他の業務内容と合わせて、適法な事業経営がなされていることを確認するにとどまっております。
次に、結核に感染している職員を派遣した業者が選ばれた経緯と他の事例の検証についてお答えいたします。選定の経緯につきましては、まず東京電子自治体共同運営協議会に登録され、かつ履行実績がある業者から、7業者を指名し、これらの業者に対して、契約条項、仕様書など、見積りに必要な事項を示しました。その上で、それぞれの業者から見積書を徴し、見積合せを行った結果、最も低い金額を提示した当該派遣業者に決定いたしました。契約に際しましては、改めて、契約条件と履行の意思を確認した上で締結いたしましたが、その時点で、業者から特段の説明や報告はありませんでした。当該業者に対しましては、ご指摘のような事態が生じた後、所管部署において聞き取り調査を実施し、合わせて、健康管理について強く指導したところです。こうした安全衛生に関する事項は必ず人事課に報告することになっておりますが、改めて確認いたしたところ、本区において、過去にこのようなことはございませんでした。
次に、今後の対策についてお答えいたします。非正規の職員も、正規職員と同様に、様々な
行政サービスに当たりますので、心身ともに健康であることが求められるのは当然のことでございます。したがいまして、今後、人材派遣や業務委託の契約をする際には、仕様書の中に健康診断の必置の項目を入れることとし、健康管理に留意するよう喚起してまいりたいと考えております。また、プロポーザル方式での業者選定の場合には、派遣職員の健康管理についての考え方を文書により提出させるなどの措置を講じ、職場の安全衛生に十分配慮してまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔増田良勝
都市整備部長登壇〕
○
都市整備部長(増田良勝)
次に、区として地上デジタル放送対策の検討をすべきについてお答えいたします。
ご案内のとおり、平成17年12月から、区内全域において、地上波デジタル放送の本格送信が開始されており、デジタル対応型の受信設備を設置していれば視聴が可能な状況にあります。2011年までは、アナログ波とデジタル波の2種類の電波が送信されておりますので、特に問題はありませんが、2011年7月にはアナログ放送が停止されますので、テレビを視聴するにはデジタル対応型の受信設備を設けるなどの措置が必要となります。ご指摘のとおり、本区の市街地は高層建築物が数多くあり、高層建築物等の所有者が設置した対策施設によるアナログ波の電波障害対策が講じられております。これらの地域の受信者も2011年までに何らかの対策が必要となりますが、今後、所有者との間で、対策施設のデジタル放送対応に係る改修方法や費用負担等について、所有者と受信者とを当事者とする協議によって決定されるのが基本となるのではないかと考えています。しかしながら、今後、本区でもデジタル対応に対する相談の増加が見込まれることに加え、これまでに区の施設を建設した際に約2,500世帯の電波障害対策を講じており、その相談にも対応しなければならず、区にプロジェクトチームを立ち上げ、国の動向を踏まえつつ、支援の方法等を検討していきたいと考えています。
次に、国に対して要望すべきについてお答えいたします。
2011年の地上デジタル放送の対応につきましては、豊島区だけでは解決できる問題ではありません。今後、都や他の自治体と連携をとりながら、国に対して、高齢者世帯等の負担のあり方や、高層建築物の共同受信施設の地上デジタル放送対応に係る基本的考え方を明らかにするよう、働きかけてまいりたいと考えています。
以上をもちまして、
山口菊子議員のご質問に対する答弁を終わります。
───────────────────◇────────────────────
○議長(吉村辰明)
この際申し上げます。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後3時休憩
───────────────────◇────────────────────
午後3時24分再開
○副議長(藤本きんじ)
休憩前に引き続き会議を開きます。
議長の都合により副議長の私が議長職を務めますので、よろしくお願いいたします。
───────────────────◇────────────────────
○副議長(藤本きんじ)
この際申し上げます。
本日の会議時間は、議事の都合により、あらかじめこれを延長いたします。
───────────────────◇────────────────────
○副議長(藤本きんじ)
一般質問を続けます。
次に、29番議員より、「人と地域が輝く豊島をめざして」の発言がございます。
〔
此島澄子議員登壇〕(拍手)
○29番(此島澄子)
私は、公明党豊島区議団を代表して、「人と地域が輝く豊島をめざして」と題し、まちづくり、区民の健康づくり、障害者福祉と就労支援、元気はつらつ長寿社会、豊島区教育ビジョンの5点にわたり一般質問いたします。
高野区長は、圧倒的勝利で、3期目の再選を果たされました。区議会議員も、新人の方8名を含め、36名の陣容が整い、私ども公明党も、新人3名を加え、8名全員が当選をさせていただきました。支持者の皆様に心から感謝申し上げるとともに、高野区政を支える与党として、新たな決意で、安全・安心のまちづくり、教育・福祉の充実のために、全力で区政に取り組んでまいる決意です。
さて、今年は、三位一体改革の流れで、地方に本格的に税源移譲された最初の年であり、地方分権から地方主権元年ともいえ、いよいよ自己決定による自己責任・自己負担の行政経営の時代に入りました。そして、これからますます基礎的自治体が政策を競い合い、豊かな価値を創造し合うことで、活力を生み出していくという地域の時代が到来します。私たちも、新たな分権社会を築く原動力として、精いっぱい頑張ってまいりたいと思います。
高野区長は、これまでの負の遺産を克服するための改革に区切りをつけ、未来を開くための改革の要となる未来戦略推進プラン2007を策定し、豊島区の将来像を示されました。その将来像を実現するため、区民の皆様の参加と協働を基本として、子育て環境の充実、生きる力を育む教育としま、特色ある教育の展開、弱者を守る安心ネットワークの強化、安心・安全なまちづくりなど、住みたい街、住み続けたい街の基本をつくっていきたいと言われておられます。
そこで、区長がマニフェストに掲げられた政策を含め、豊島のまちづくりについて、ソフト・ハードの両面にわたり質問いたします。
まず初めに、区民の足である交通機関についてお伺いします。
その1点目は、副都心線についてであります。来る平成20年6月、東京メトロ副都心線がいよいよ延長開通の運びとなり、池袋・新宿・渋谷の三大副都心と東京城北・埼玉県西部を結ぶ新路線が重要な位置付けとして期待されております。また、その開業に合わせ、豊島区内の千川駅及び要町駅の副都心線ホームにつきましても使用を開始することになり、現行の有楽町線に加え、さらに利用者の増加が見込まれます。そこで、有楽町線の池袋発最終電車が他の路線より早い時間に終了してしまうことについて取り上げます。
現在、有楽町線の池袋駅発最終電車は、平日・休日ともに、0時8分、和光市行きになり、0時台はこの1本のみです。そのため、都心で夜遅くまで働く人にとって、この電車に間に合うように帰宅するのは困難だという声を多々聞いてまいりました。一方、同じく池袋から郊外に向かう路線では、平日で、東武東上線は、準急0時44分、普通0時45分、西武池袋線は、準急0時44分、普通0時45分と、実に40分近くも時間差があります。そのため、要町、千川、小竹向原、氷川台、平和台とそれぞれの駅に向かう有楽町線利用者は、この最終電車に間に合わないと、東武東上線や西武池袋線の駅までの乗車券を別途購入し、一番近い駅から徒歩で帰宅したり、池袋よりタクシーを利用するなど、個人負担を強いられているのが現状です。この終電繰下げにつきましては、実際の運行には、東京メトロ有楽町線と相互乗入れしている東武鉄道、西武鉄道との協議が必要と思いますが、決して時間的に不可能ではないと思われます。そこで、副都心線開通を前に、豊島区として、有楽町線の最終電車の時間繰下げを東京メトロに要望していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
2点目に、区内を走るコミュニティバスについてお伺いします。昨年の第2回定例会の私の一般質問に対するご答弁は、学識者や関係機関により構成される池袋副都心交通ビジョン検討委員会で、池袋駅へのアクセスが不便な地域の洗い出し、地域特性に応じた交通システムの選択、走行ルート、運行経費等について検討を進め、18年度末までに基本的な考え方を整理するということでしたが、その検討結果は、いかがでしょうか。高齢社会にあって、バリアフリー、予防介護、生涯学習、地域コミュニティ、地域経済振興等の総合的な観点から、区民の自由な外出を促し、社会参加につなげることを考えると、政策連携して早急に実現すべきものと考えますが、区長の前向きなご答弁を期待いたします。
3点目は、LRTについてであります。先日、区民と区長の対話集会が3回にわたり開催され、そこでも、路面電車構想で街を活性化するという区長の政策に批判的な意見が聞かれました。街を歩きますと、そうした声が多々ありますので、改めてお伺いいたします。
高野区長は、LRTを都市再生の目玉、都市間競争に勝利するための切り札として挙げられております。この路面電車の初期建設費は、車両基地の状況により異なりますが、少なくとも38億円かかり、その後、毎年2億から4億円規模の負担が継続的に生じるということであります。以前にも予算委員会で触れさせていただきましたが、全国の自治体が公営交通事業の赤字に苦悩し、横浜では2,000億円もの累積赤字があります。国の補助の中で区が立ち上げたとしても、交通料金で運営維持は難しいと思いますし、観光の目玉とか話題性を目的にすると台東区でロンドンから2階建てバスを購入して運行したけれども、最初は話題性もあってかなり成果が上がったものの、結果として短期間で廃止に追い込まれたという経緯があります。路面電車の場合、固定した建造物と同じ扱いのため、バスのように簡単に廃止ができません。地域的に必要不可欠な交通機関であればともかく、また潤沢なゆとりのある時代と違い、区民の理解を得るにはかなりの難しさがあると考えますが、区長のお考えを伺います。
次に、劇場都市・池袋についてお伺いいたします。
区長は、平成16年1月、有識者による「豊島区の文化政策に関する提言」を受けて、文化政策を区政の重要な政策の一つに位置付けてまいりました。
舞台芸術交流センターあうるすぽっとの落成は、ある意味で豊島区における文化芸術振興のエポックを象徴しているかと思われます。
統計資料・演奏年鑑(2006)から、東京都内の劇場・ホールを大ざっぱにリストアップしてみますと、106の施設があり、客席数200以上のホールは136ホールあります。日本を代表するような大規模なものから小規模な劇場・ホール、公共ホールから民間の劇場など、バラエティーに富んでおります。豊島区内でも、最新の資料で見ますと、客席数60の小さなホールを含めますと、11施設16の劇場・ホールがあるようであります。さらに映画館8館19スクリーンで、述べ4,200席を超えていますし、大学ホール4施設などの文化施設があります。これらの都内・区内の劇場・ホールでは、毎日のように、音楽、演劇、ミュージカル、舞踊、映画などなどが多様に展開されています。加えて、美術館、ギャラリーなどもありますので、区民・都民は、芸術・文化に触れる機会、見る機会に十二分に恵まれており、ある意味では、鑑賞機会は飽和状態にあるくらいにいわれております。
こうした中で、301席のホール、あうるすぽっとの売込みポイントは、東池袋駅前というのはもちろんですが、どのようにお考えでしょうか。また、区長は、今後このホールを通じて、区民や利用者に何を、またどのような社会的価値を提供していくのか、このホールの使命を具体的にお聞かせください。新しくきれいなホールは、目新しさもあり、それなりの集客もあることと思われますが、それだけで急に池袋が演劇のメッカになれるわけでもなく、サンシャイン劇場、シアターグリーンなどの民間劇場や東京芸術劇場など、さきに述べた区内11施設の劇場・ホールとの連携ネットワーク化を進め、渋谷でも新宿でも下北沢でもなく、池袋だよと言われるような仕組みをつくることが大切であると考えますが、「演劇の街・劇場都市」と言われるためのクリエイティブ・シティへの戦略をお聞かせください。
次に、劇場都市・池袋の西側の核になる東京芸術劇場についてお伺いします。東京芸術劇場は、地元池袋にありながら、区や区民との関わりがこれまで希薄な感じがしておりましたが、豊島区文化フォーラムにおける会場提供や小田島芸術劇場館長の全面的な協力など、最近変わってきたなあという印象を受けております。区長は、東京都の都立文化施設のあり方検討会の委員として、この東京芸術劇場のあり方検討委員会にも参画されたと聞いておりますが、どのように東京芸術劇場を評価し、区長の言われる「芸術文化の振興による街づくり・街おこし」に、地元の劇場として芸術劇場をどう位置付け、活用しようとしておられるのか、また東京都の検討委員会では、東京芸術劇場のあり方について、どのようにまとめが行われたのか、合わせてお聞かせください。
また、先月、読売日本交響楽団の「東京芸術劇場マチネー(お昼)のコンサート」に出かけた区民の方から、教育プログラム事業・芸劇みらいシートの参加校として区立中学校5校の名前がホールの入り口に掲示され、子どもたちが大勢来ていたとお聞きしました。その方から、「子どもたちが一般の大人の聴衆の中に入って音楽を静かに聞いていたが、情操教育の実践面からとてもよいことですね。でも、予算も大変でしょうね」と言われました。これは、東京芸術劇場が行っているものなのか、読売日本交響楽団が行っているものなのか、区教育委員会はどのように関わりを持っているのか、この事業の仕組みと教育委員会の予算措置などについてお聞かせください。
また、聞くところによりますと、東京芸術劇場と読売日本交響楽団とは本年4月から事業提携したとのことですが、その他の教育プログラム事業が行われているのかお聞かせください。さらに、この教育プログラム事業と本年3月に策定した豊島区教育ビジョンに書かれている豊かな人間性の育成、心の育成の充実、文化の担い手の育成などとの関係についてもお聞かせください。また、芸術劇場を取り巻く環境ですが、劇場が夜9時半には照明を落とすことから、この時間以降にここを通る区民から、暗闇の中に大きなマンモスが寝ているようだという声を聞きます。特に高齢者の方からは、離れ島のバス停に移動する際、足元が見えづらくで怖いという声も聞きます。ここ一帯は、20年近く前、芦原先生がヨーロッパ風に石畳などを取り入れてデザインしたものと伺っており、私も街づくり大学の1期生として、芦原学長には大変お世話になりましたが、安心・安全という観点からしても、もう一工夫必要ではないかと感じておりますが、いかがでしょうか。ここは、東京都のほかに、公園緑地課と道路整備課が関わっておりますのでお伺いいたします。
続いて、南長崎地域の安心・安全のまちづくりについて伺います。
区は、5月下旬に、長崎中学校跡地の有効利用について、隣接するJRアパート敷地も視野に入れた整備のプロポーザル方式の公募を行いました。その整備条件の中には、プール施設を備えた西部地区スポーツセンターを組み込んだ施設であることや
救援センター機能の確保等が挙げられています。一方で、この地域は、西武池袋線の椎名町駅から東長崎駅にかけて線路を挟んだ南北地域、即ち、長崎、南長崎地域は、東京都の危険度判定では、木造家屋が密集している最も危険な地域として指定されていることはご案内のとおりでございます。
そこで、長崎中学校跡地利用について、隣接するJRアパート敷地と一体になった整備を考えると、現在使われているサッカーなどが引き続き可能なスペースとすることは当然として、さらに災害時の避難場所確保を視野に入れた防災公園整備が必要と考えます。ご案内のように、南長崎地域は社会教育会館や図書館などの公共施設が少なく、南長崎地域住民への施設サービスについて、区としても課題とされてきた経緯があります。そのような南長崎地域への区民サービスの観点からも、長崎中学校跡地とJRアパート敷地の整備については、西部地区スポーツセンターの機能とグラウンド機能は確保しながら、大災害時には避難場所等として活用できる防災公園の設置をぜひ検討していただきたいと考えますが、区のお考えをお聞かせください。
次に、区民の健康づくりについてお伺いします。
初めに、来年度から変わる健診体制についてですが、近年、個々の被保険者に対し、自主的な健康増進・疾病予防の取組みを働きかけることが保険者の役割として重視されるようになりました。食生活、運動、飲酒、喫煙など、様々な生活習慣の蓄積による糖尿病、高血圧などの生活習慣病を予防する健康管理、健康増進を目的に生活習慣そのものを改善して、発症を未然に防ぐことが求められるようになりました。来年4月から、40歳から74歳までの方々は、医療保険者の責任で特定健診・特定保健指導が実施されることになり、そのために健診は加入している医療保険者が指定する健診機関で受診することになりました。そこで、国民健康保険でも、平成20年4月から、メタボリックシンドロームに着目した生活習慣病の予防のための健診・保健指導を実施することとなりました。政管健保や組合健保に入っている方の扶養になっている方は、今度は指定される健診機関で受診するようにとあります。
そこでお伺いします。現在行われている節目健診は、保健所の管轄で行われておりますが、これはどのようになるのでしょうか。また、加入保険者の指定する健診機関に容易に行かれる方はいいのですが、指定される場所が遠かったり、身体的に負担を要する方も少なくないと思われますが、それについてはいかがお考えでしょうか。お伺いいたします。
2点目に、昨年9月から開校いたしましたとしま健康づくり大学は、40代からの壮年期を対象として、運動の実践と健康づくりの知識の習得を組み合わせた半年間にわたる講座で、「アンチエイジング」をテーマとして、単なる病気予防だけでなく、積極志向の人生観など、健康の原点を学び、地域における健康づくりのリーダー的人材を育成していくと伺いましたが、具体的な取組みをお聞かせください。
また、豊島区では、平成7年に東京都の主催で地域健康推進委員の養成課程講座を5日間受けて、修了証書をいただき、何度か保健所等に通った方々がたくさんおられますが、あまり活躍の場もなく、そのまま尻切れとんぼになった経緯がありますので、ぜひ有効な展開をお願いいたします。今、各地で「健康・いきいきまちづくり」が進み、中高年齢者のための健康・体力アップ、スロービクスやストレッチ体操などを行い、健康づくりのために運動習慣をつけるための教室が盛んであります。ぜひ、各区民ひろばで展開されるよう要望いたします。
また、学校教育においても、食育の推進と体力向上を重点とした、体いきいきうきうきプロジェクトを展開し、今後はさらに、食育リーダーの育成や食育に関する研修に取り組むということですが、合わせてお聞かせください。
次に、障害者福祉と雇用促進について質問いたします。
マザー・テレサは、「人間にとって最も悲しむべきことは、病気でもなければ貧乏でもない。それは、自分はこの世にとって必要のない人間なのだと思い込むことである」と語っております。誰もが生きがいを持ち、安心して暮らすことのできる地域社会。また、それに加えて、誰もが生き生きと、その場所で、誰かの役に立つために行動しているというようなユニバーサルデザイン化された社会を築いていくことが今こそ大切だと考えます。
しかし、障害者の方々を街の中で普通に見かける国が世界にはたくさんある中で、日本ではまだまだ少ないという現実があります。600万人近い障害者が暮らしている中であまり見かけないということは、障害者の方々が希望するような基本的な生活を送れる社会には、まだまだなっていないということではないでしょうか。障害者も含め、誰もが生き生きと働いて普通に暮らせる社会であれば、これから高齢化が進んでいく日本において、誰もが働きやすく、誰もが暮らしやすい社会になると考えます。逆に、障害者の方が働きにくく、暮らしにくい街というのは、これから極めて多くの人が働きにくく、暮らしにくい街になっていくおそれがあるのではないでしょうか。
その意味でも障害者の自立・雇用の問題は、これからの日本社会が抱える様々な課題が凝縮されていると考えます。まず、障害者の自立とは、必ずしも経済的自立や身辺自立を指すのではなく、どのように生きていきたいのか、できる限り自分の意思に基づいて、自分の生き方を選択できるということであると思います。障害者が本当に人間としての生き方を自ら追求して、それが選択できるようにするために、社会全体がバックアップしていく。そしてそれをできる限り実現していくこと、それを支えることが障害者自立支援の原点ではないかと思います。
豊島区におきましても、本年2月に、豊島区障害福祉計画が策定され、障害者自立支援法施行後の区内授産関係施設について、自立支援法に基づく新体系移行や工賃アップなどの取組みがなされていると思います。先日、一般企業への障害者の就労支援について、旧池袋授産所に設置された障害者就労支援センターを視察いたしましたところ、就労実績も年々増加の傾向にあるようです。また、国や東京都の動向とともに、障害者福祉課として、障害者関係授産施設の共同販売所の設置など新規拡充事業を初め、知的障害者を含めた庁内実習の促進や福祉作業所から就労希望者の掘り起こし、また障害者雇用を行ってもらえる企業へのPR活動の強化等様々な取組みをなされていることは、評価できるところであります。
昨年私ども公明党が提案した公園清掃も、4カ所だったのが19カ所で実施され、先日お聞きしましたところ、共同作業所など障害者授産施設では非常に喜んでやっている様子を伺うことができました。今後も区内の多様な社会資源を活用し、施設や機関と連携をとりながら、当事者に適した地域生活への移行が図られるよう期待するところであります。
さて、19年4月2日、厚生労働省は、個々の障害者に対して就職の準備段階から職場定着までの一貫した支援を行う地域障害者就労支援事業をすべての都道府県労働局・安定所において実施する最終改正案が出されました。障害者雇用施策と障害者福祉施策、特別支援教育との連携の一層の強化を図るため、福祉施設、特別支援学校に対して、一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進と就労支援の取組みの強化を働きかける障害者就労支援基盤整備事業を実施するとともに、地域の福祉施設や特別支援学校等関係機関と緊密に連携して、個々の障害者に対して就職の準備段階から職場定着までの一貫した支援を行う地域障害者就労支援事業を実施し、福祉施設を利用している障害者本人やその保護者に対して、一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進等のための働きかけを行うことも重要であるという通達を出されました。これに対し、どのように対応されるのか、本区の取組みをお伺いいたします。
2点目に、昨今、まちづくりの推進のためのワークショップなど、障害者が様々な分野に企画の段階から参加するケースも増えてきているとは思いますが、さらに今後、単に参加するということだけではなくて、様々な分野で障害者が重要なポジションに着いて、意思決定へ参画していくという、このようなポジティブアクションを推進していく必要があると思いますが、本区の実態とお考えを伺います。
3点目に、障害者が自立と社会参加を図る上では、3つのバリアがあるといわれております。1つ目は、交通機関や建築物などの物理的なバリア、2つ目は、障害のある人は特別な存在であるといった意識上のバリア、最後が、視覚障害者の自由な社会生活を阻害する様々なバリア、この3点を取り除くことを促進していく必要があります。中でも心のバリアフリーを促進するため、区民一人一人が障害や障害のある人のことをよく知った上で、理解や行動をしていくことが重要なことから、障害者週間を契機とした啓発活動を実施し、障害の理解、また障害者に対する理解を深めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。障害者基本法に「すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられる」と示されているように、障害のあるなしにかかわらず、誰もが地域社会の一員として活動できるようにすることが大切だと考えます。
4点目に、障害者と教育現場の接点についてであります。誰もがかけがえのない存在であって、かつ大切な役割がある、そして相手の立場を自分のこととして感じることができる心、これは、ハードの分野や制度以上に重要なことであると考えております。そこで、障害者の皆様から学ぶという姿勢が非常に大事であると考えますが、教育現場を考えますと、障害者への理解を広げる事業、それは障害者自身が関わると、非常に強い影響を与えられるかと思います。知的と精神の場合は確かに接点は難しいと思いますが、決してタブー視する領域ではないと考えます。必ずしも職業として教育に関わるということだけではなく、様々な活躍の場が考えられると思いますが、いかがでしょうか。この障害者の問題というのは、そういう根底的な流れというものと対決して、誰もが受け入れられるんだという社会を築いていくことが根本になければならないと思います。もちろん働いて税金を納めるに越したことはありません。ありのままの自分に価値を認め合う社会をつくるために、教育の問題というのは避けて通れないというふうに考えておりますが、教育長のご所見をお伺いいたします。
次に、元気はつらつ長寿社会を目指して質問いたします。
訪問介護大手コムスンが介護報酬の不正請求を理由に、2011年12月まで事業所の新規指定と更新を認められなくなった問題では、コムスン以外にも、ニチイ学館とジャパンケアサービスで不正請求が判明し、東京都はこの2社にも業務改善勧告をしたばかりであります。豊島区では、これ以外にもスマイル・サポートについて、4,000万円以上にも及ぶ不正請求の返還を求めておりますが、いまだ解決への途上であり、急成長する訪問介護ビジネスの質が改めて問われております。
地域では、懸命に働くヘルパーさんたちを見ているだけに、こうした利益追求のために不正をする事業所は、保険者としても断じて許せません。サービス事業者の増加とともに、不適切なサービス利用と思われる事例が増加しているということで、国においても保険者機能強化と適正化対策が強調されてきました。サービスの提供から給付費通知までの大まかな流れはどうなっているのか改めて確認しますと、例えば1月サービス分は、2月10日までにサービス事業者が請求書を国保連合会に提出して、3月中旬頃、国保連合会が給付費納付書(請求書)を区に送付、そして3月25日までに区が給付費を国保に振り込み、その後、区が給付費通知を利用者に送付となっております。
ここで問題なのは、国保連合会から請求書が区に来てから振込みまでわずか10日ぐらいしかありません。請求内容を確認できないまま、巨額の給付費が、豊島区の場合、年間約114億円を超えていますから、毎月約9億5,000万円が国保連合会に振り込まれている状況です。厚生労働省は、こうした流れで行われている介護給付費通知とサービス事業者が利用者宅に置いてあるサービス利用票の内容と一致しているか、利用者あるいはその家族に確認するよう周知をお願いしたいと要請していますが、それが不可能なケースも少なくないと思います。1人暮らし高齢者、高齢者夫婦、介護度がもっと進んだ対象者では、もはや不可能です。不適切なサービス利用と思われる事例が増加しているどころか、水増しした内容が書かれていても、利用者に身に覚えのないサービスの請求があっても、疑義がわかることは不可能に近いと思います。
東京都の監査では、何らかの過大請求があった事業所は、監査対象となった186事業所の相当数に上るとみられておりますが、そもそもこうしたNPO等の事業所立上げの許可があまりにも簡単にできてしまうところにも問題があると考えますが、いかがでしょうか。そして、豊島区でも今年度からチェック機関を拡充したところですが、監査は本来東京都の役目ですから、そうした予算は東京都が出すように要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。
区民に信頼される区政を担う保険者として、この際しっかり取り組まれることを要望いたします。
2点目に、
介護保険制度を活用した高齢者の介護支援ボランティアについて質問いたします。厚生労働省は、介護保険と連動させた高齢者ボランティア制度を考案し、全国に普及させていく方針を決めました。活動実績に応じてポイントが貯金できるようにし、そのポイントで介護保険料や介護サービス利用料などが払えるようにするシステムで、元気な高齢者に社会参加してもらうことでいつまでも元気でいてもらい、介護給付費の抑制につなげようというものであります。これは、稲城市がかねてから国へ要望してきた提案に応える形でできたものであり、高齢者による介護支援ボランティア活動を介護保険で評価する仕組みを創設したいとの稲城市の構造改革特区要望を契機に厚労省が各都道府県に通達いたしましたが、先日、その稲城市を私も視察してまいりました。稲城市では、保険料軽減額は年間最大5,000円程度、管理機関は社会福祉協議会で、ボランティアの内容も、介護保険対象施設などに行ってのレクリエーション指導、配膳や散歩の補助、話し相手などの介護支援を見込んでおります。ボランティアの人材登録やポイント・基金管理をする管理機関には、地域支援事業交付金が使われることから、元気高齢者がボランティアに携わることにより、社会参加が広がり、例えば1人の人が2、3週間介護サービスを受け始める時期が遅くなることにより、どれだけ介護保険者の負担が減るかを考えただけでも大変有意義な事業になると、稲城市の担当者、経済学博士は答えておりました。
本区でも社会福祉協議会のリボンサービスに賛助会員として登録してくださる方は少なくないものの、自身がリボンサービスの協力会員としてできるサービスを提供していこうとする方々はニーズには対応できておりません。元気高齢者は多いものの、どんなに忙しい人でも必ずボランティアをしているというボランティア先進国に比べると、まだまだ日本ではボランティアへの参加が積極的とはいえません。そのような中で、結果的に自身の介護保険料を減額することになるという、こうしたやり方であれば、やってみようという方も増えてくるものと確信しますが、いかがでしょうか。
これまでは、
介護保険制度ということから、保険料を引き下げたり免除したりすることは、その制度上できませんでしたが、地域支援事業交付金の一部を使って、社会福祉協議会の協力をいただきながら、ぜひ始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
3点目に、地域包括支援センターについてお伺いします。介護保険が始まって、介護を必要とする高齢者の生活はすべて介護保険で賄うようなイメージがありますが、区の福祉サービスでカバーしないと生活に支障が出る方も多々おります。その一翼を担う地域包括支援センターについてお伺いします。
豊島区には、民間5カ所を含めた8カ所の地域包括支援センターがありますが、地域包括支援センターの仕事は何なのか改めてお伺いします。また、区民はこの包括支援センターを選ぶことができませんが、見ておりますと、民間のその対応に大きな違いを生じており、受け皿が狭過ぎる、ないに等しいという声さえ聞いております。そこで、包括支援センターの位置付けをお聞かせください。また、場所によって差異が生じることは不平等と考えますので、区民が納得できる対応をお願いするところであります。
4点目に、練馬区では、「高齢期をいきいきと過ごすための住まいの手帖(てちょう)」というのを発行いたしました。これは、区民公募の編集委員さんとともに、健康福祉事業本部福祉部高齢社会対策課が作成した冊子ですが、自宅に住み続けるためのリフォームのポイントや、高齢者向けの施設や住宅などを、52ページにわたり、大変わかりやすい形でまとめられております。これからアイデアをいただき、高齢者社会に向けてどうしたらいいのか、わかりやすく紹介する冊子を本区でも作成すべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
最後に、豊島区の教育ビジョンの中からお伺いいたします。
19年度から23年度までの5年間を対象に策定された今回のビジョンですが、教育相談の充実について伺います。
私ども公明党が予算要望したスクールカウンセラーの拡充という面では、小学校へのカウンセラーの派遣回数を早急に週1回となるよう努力されたいと思いますが、いじめの対応につきましては、「ひとりで抱え込まないで!いじめの悩み、直接教育委員会が受け止めます」という形で、電話相談の時間の延長も行っていただき、相談メールも設けていただいていることは評価しております。それに加えて、東京都が、いじめ相談ホットラインということで、24時間、相談を受け付けておりますので、豊島区の相談者のこれまでの相談件数・メール件数、実態をどのように掌握し、対応しておられるのか伺います。
先日、「見えないいじめを解決するために、いま、大人がなすべきこと」をテーマに、東京都児童相談センターの心理士、山脇由貴子さんの衝撃的なお話を伺ってまいりました。大人が知っているいじめと子どもたちのいじめの現実とは、あまりにも大きなギャップがあるということ。これだけ報道されていても、いじめの本質はほとんど伝わっていない。いじめによって子どもが自殺するのは、その子どもが弱いからではなく、現代のいじめがそれ程残酷かつ巧妙だからだということ。そして、いじめは特定の誰かの問題ではなく、次々に感染していくウイルスのようなもの。子どもたちは、あらゆるメディアや通信ツールを使って、大人たちのマイナスの側面を驚くべき速さで吸収し、持ち前の柔軟さで、残酷ないじめの手段を開発し続けている。それでも、誰もが被害者になり得るし、加害者にもなり得るのが現代のいじめである。そこで、大人は子どもを守るために、いじめのメカニズムを知り、いじめがあると知ったとき、親として何をすべきか。子どもにどう接するか。学校と何を話せばよいのかなどを具体的に教えていただきましたが、私もこれまでの概念が根底からくつがえされたような衝撃を覚えました。いじめが発覚したら、まず学校に問題実態の調査だとこれまで考えてきた対応が、多くのケースを伺ってみて、間違っていたことを知らされました。
そして、いじめは子どもたちだけでは解決できない。今立ち上がらなければならないのは、私たち大人である。現代は、コミュニティの崩壊により、ご近所でも大人たちが仲よくしようとしない傾向にある。要求と文句ばかりを言う大人が多く、大人同士、保護者同士、みんなが単なる他人同士になっている。あまりにも多くのことをいつも学校の責任にし過ぎた。そういう状況の中で、解決を学校にゆだねてもだめであり、学校と保護者が協力しなければならない。子どもたちの幸せを願う大人たちが力を合わせるとき、必ず、いじめ社会は変わっていく等々のお話を伺いました。
このことを通して、専門化によるカウンセラーの重要性を改めて考えさせられた状況です。いじめの解決について、教育長のご所見をお聞かせください。
以上で質問の全部を終わります。大変長い間、ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕
○区長(高野之夫)
まず、この度の定数2名減の厳しい区議会議員選挙の中で、公明党新人3名の方を加えての全員の当選に敬意を表します。
私も、この選挙戦において、皆様とともに手を携えて、ともに豊島区の未来像をつくり上げようと固く誓い合った選挙でありました。今回、初めて首長選挙にマニフェストを示すことが可能となりました。私も、まさに、これからの4年間について、財政の裏付けを持った豊島区の将来像をお示しすることができたわけであります。それは、行政の基本である教育・子育て・福祉・医療を充実させて、安心・安全な「文化と品格を誇れる価値あるまち」をつくり上げていくことであります。必ずやこのマニフェストの実現を果たし、新たな分権時代に、ともに対応してまいりたいと決意いたしております。
それでは、
此島澄子議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
まず、路面電車構想についてのご質問にお答えいたします。
これまでも折りに触れ申し上げてまいりましたが、今、新宿、渋谷、さらには他の新都心との間の都市間競争が激しくなる中で、池袋を、人々が集い、交流し、多彩な魅力を放つ副都心に再生していくことが緊急の課題であります。多彩な魅力を放つ都市とは、人と人との触れ合いの中から、新たな文化が創造され、人々のにぎわいによって、訪れたい街、住みたい街へと、成長していくことができる都市だと考えています。LRTをグリーン大通りに導入したいという構想は、池袋が多くの人々から親しまれ、愛され、ひいては信頼される豊島区を築いていくための仕掛けづくりが魅力ある都市づくりには必要であり、その具体の最善の手段がLRTであるという、私の強い思いがあるからであります。
したがって、まず初めに、LRTはグリーン大通りだからこそ、その意味があり、池袋だからこそ導入せねばならないのであります。また、LRTは、低騒音で、人や環境に優しく、住民の生活に身近な交通手段としても見直されつつあり、自動車交通に頼り過ぎてきた生活をわずかずつでも見直し、環境にやさしい都市づくりに取り組む池袋副都心だからこそ必要なのであります。
副次的効果も大変大きなものがあります。まず第1に、都電荒川線に乗り入れることにより、早稲田、王子、三ノ輪方面とのアクセスが可能となり、区外から池袋副都心に訪れる人々との新たな交流やにぎわいが生まれます。また、目白、高田方面など、我が豊島区にとって池袋へのアクセスが悪い地域が改善され、LRTが高齢者など区民の生活の足となります。第2には、池袋の玄関口であるグリーン大通りを、LRTによって、池袋副都心のシンボルとして、さらにイメージアップさせることができ、それが街の特色となります。道路空間を歩行者優先のトランジット・モールとすることによって、通行の安全性が確保され、また歩行者空間でのオープンカフェや、イベントなどの催しが常に行われることによって、にぎわいあふれる空間づくりが可能となります。
こうしたまちづくりを一体で進めることで、池袋は何ですかと問われれば、「LRTが走り、品格とにぎわいのある街」だと言われるに違いないのであります。それがLRT構想を掲げた私の考えであります。ぜひ、ご理解をいただきたいと思います。
次に、劇場都市・池袋についてのご質問にお答えいたします。
まず、あうるすぽっとの売込みポイントについてであります。最初に、ハード面について申し上げますと、客席数301の劇場は舞台と観客との距離が大変近く、その臨場感は他の大劇場では味わうことができないものであります。また、小規模でありながら、劇場全体がゆったりとした上質なつくりとなっております。同規模の劇場としては舞台面が広く、最高レベルの照明や音響設備を備えており、理想的な舞台環境を実現いたしております。まさに、演じ手、観客ともに充実した舞台芸術を堪能できるものであります。次に、ソフト面について申し上げますと、単なる貸し館にとどまらず、劇場に制作や舞台技術に関する専門スタッフをそろえており、オリジナル企画を実施するほか、他の劇団等とのタイアップにより、幅広い分野にわたる演目を提供し、池袋から全国に文化芸術の情報を発信してまいります。さらには、劇場と図書館が一体となって文化を同時多発的に発信できる点も大きな特徴であります。文化・芸術活動に関連した情報等を図書館が蓄積し、提供する情報機能を活用しながら、講演会やドラマリーディングなど、劇場公演と関連した共同事業を有機的に展開してまいります。あうるすぽっとは、これらハード・ソフトの特徴と図書館との一体性という3つのポイントから、積極的にアピールしてまいりたいと考えております。
次に、あうるすぽっとの具体的使命についてのご質問にお答えいたします。まず第1に、芸術文化の創造・発信拠点の使命でございます。優れた舞台芸術をつくり出し、継続的に上演することにより、区民が良質の芸術文化活動に触れる場を提供します。第2に、芸術・文化の担い手の育成の使命でございます。舞台芸術は、アーティストのみならず、照明、音響、制作など多くのスタッフに支えられて成り立っております。芸術・文化を支えるこうした人材を育成していくため、演劇やダンスなどのワークショップ等により、子どもたちや区民の芸術的感性と創造性を育んでまいります。第3に、区民が気軽に集い楽しめる環境づくりの使命でございます。学校などへのアウトリーチ活動や誰もが気軽に参加できる地域イベントを開催するなど、芸術・文化に親しめる機会をつくり、地域コミュニティの活性化を促します。何よりも、良質な作品の上演を通して、区内外から訪れる多くの人々との交流を促し、池袋副都心の新たなスポットとして街の魅力とにぎわいを創出することによって、池袋副都心のまちづくりをさらに発展させていくことがあうるすぽっとの最大の使命であると考えております。
次に、「演劇の街・劇場都市」と言われるためのクリエイティブ・シティへの戦略についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のように、豊島区には、東京芸術劇場を初め、多くの劇場・ホールがあり、多様な情報が発信されています。また、豊かな地域資源や人材等を生かした新たな文化創造活動が展開されております。このため、あうるすぽっとを拠点として、これら区内外の劇場とのネットワーク化を戦略的に進めてまいります。具体的には、チラシやポスターなどの配布・掲載等の相互協力や演劇の巡回公演、また定期的なネットワーク会議による情報交換等により緊密な連携を保ってまいります。また、池袋演劇祭は来年で20周年を迎えようとしており、区民が参加する演劇祭として、池袋を演劇の街・劇場都市と印象付けております。さらに、にしすがも創造舎が主催する東京国際芸術祭は、文化庁や国際交流基金、財団法人地域創造などの支援により、世界各国から話題性の高い劇団を招聘しております。こうした豊島区を特徴付ける演劇祭について、さらに充実・発展するよう支援してまいります。
文化による活力ある創造的なまちづくりを推進していくためには、幅広い分野と連携した総合的な文化政策を推進すること、また区民を初めとする多様な主体との連携と協働が不可欠であります。豊島区の様々な文化芸術事業を展開してまいりました財団法人としま未来文化財団を充実させるとともに、地域コミュニティの活性化と都市活力の創出に取り組むため、所信表明で申し上げました文化政策推進プランの策定に着手し、積極的にクリエイティブ・シティを目指してまいります。
次に、東京芸術劇場への評価・位置付け及び活用についてのご質問にお答えいたします。文化施設は地域の活性化の源であり、東京芸術劇場は、池袋西口公園などと一体となって、豊島区のイメージアップに大きく寄与していると評価いたしております。また、東京芸術劇場は、
池袋西口駅前に位置し、演劇の街・池袋という地域的背景と相まって、豊島区の文化発信の拠点として位置付けることができます。ご指摘のとおり、東京芸術劇場は、これまで地域との関係が希薄であった時期もあり、この点につきまして、私は、束京都の「都立文化施設のあり方検討会」の委員として参画した際に訴えてまいりました。その意見につきましては、本年3月の検討会報告書でも取り入れられております。東京芸術劇場は、計画された昭和50年代、劇場・ホールが不足していた時代背景があり、貸し館ニーズに応える施設としてスタートいたしました。しかし、社会文化環境の変化によって、単なる貸し館から舞台芸術活動の育成・支援や創造環境の整備への対応が課題となっております。検討会報告書におきましては、今後、自主事業の拡充により存在感を強化することを基本に、地域との関わりを密接にし、地域に愛される劇場を目指すべきとの方向性が示されているところでございます。これは、あうるすぽっとの目指す方向性と軌を一にしているところであり、東京芸術劇場とともに文化発信の拠点として相互協力し、面的な広がりを持った事業展開によって、文化と品格を誇れる価値あるまちづくりをさらに強力に推進してまいります。
次に、東京芸術劇場を取り巻く環境についてのご質問にお答えいたします。東京芸術劇場前の石畳の道路につきましては、平成元年度の整備から年数も経過しており、ご指摘のようなご意見をいただいております。今後、池袋西口では、西口交番の移設を含めた駅前広場の改修の計画があります。これと時を同じくして、東京メトロの地下通路の整備計画も具体化いたしますことから、それぞれの事業との調和が必要となります。一方、将来を見据えた池袋副都心の再整備構想を策定する予定となっておりますので、全体のまちづくりという視点で検討を深めてまいります。整備に当たりましては、東京芸術劇場とも連携を図りながら、役割分担の明確化を図ってまいります。
次に、長崎中学校跡地の整備についてお答えいたします。
現在、温水プールを中心とした室内
スポーツ施設や屋外スポーツ広場等を整備すべく、民間の創意工夫の活用も想定した調査・検討を行うため、委託業者を公募しているところでございます。また、JRアパート敷地についても、JRと連絡をとり、土地取得の可能性の検討を進めているところでございます。
このような状況も見ながら、区の関連部署で構成する検討会議を設置し、今年度中に基本構想を策定してまいりたいと考えております。構想を策定する上での基本的な考え方でございますけれども、ご案内のとおり、平常時は屋内・屋外のスポーツ機能を中心とした施設配置を考えております。しかし、ご指摘のとおり、旧長崎中学校周辺地域は、木造密集市街地が分布しております。また、長崎中学校跡地と隣接するJRアパート敷地は、いずれも豊島区の中では、またとないまとまった土地でございますので、緊急時防災機能を十分発揮できる敷地であると考えております。平常時のスポーツ機能と、緊急時の防災機能をどのようにバランスよく組み合わせるかも、この検討会議での重要な課題であると認識しております。
いずれにいたしましても、防災公園的機能は、この地域にとって必要な機能であると認識しておりますので、今後の検討会議の中で十分に審議してまいります。
なお、その他の質問につきましては関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁させます。
〔増田良勝
都市整備部長登壇〕
○
都市整備部長(増田良勝)
まず、区民の足である交通機関についてのご質問のうち、有楽町線の終電時間についてのご質問にお答えいたします。
ご案内のとおり、来年6月の副都心線の開業で、鉄道利用者にとりましては、通勤の混雑緩和や目的地への時間短縮など、多くの期待が寄せられております。こうした点から考えますと、ご指摘のとおり、0時8分の終電は早過ぎると感じますので、東京メトロに事情を伺いました。東京メトロからの回答ですが、深夜0時30分以降は、地下鉄ネットワークの保守・点検に充てる時間とのことです。その時間までに、ネットワーク上の一番遠くの駅に電車を到着させねばならないことから、例えば、東武東上線・和光市駅に0時30分までに到着するには、0時8分が池袋の発車時刻になるとのことです。改善の余地についてでございますが、他の路線に乗り換える利用者のため、乗り継ぎ電車の確保が必要となり、結局、地下鉄ネツトワーク全体の終電を遅くする必要があるとのことです。同様なご要望を利用者からも寄せられており、社内での検討課題となっているとのことですので、鉄道利用者の利便性向上のために、区から、改めてご要望の趣旨を伝えてまいります。
次に、コミュニティバスについてのご質問にお答えいたします。
ご質問にもありましたように、18年度の池袋副都心交通ビジョン検討委員会では、新たなアクセス交通の1つの方策として、コミュニティバス導入の可能性について検討し、一応の取りまとめを行いました。この報告書では、池袋駅までの2つのルートを想定し、標準的な運行経費も算出しております。ルートの設定に当たっては、鉄道や既存のバス路線から離れた、池袋駅へのアクセス不便地域を抽出し、この地域をカバーする路線について、交通規制や道路幅員などの運行の諸条件を考慮しています。また、本区の狭あいな道路事情を考慮して、小型バスにより集客施設や病院などを巡回することを想定しています。
運行経費につきましては、運行頻度によって異なりますが、収支バランスは厳しい状況にあります。しかしながら、既存のバス路線のない地域へのルート設定が必要となり、またこのことがコミュニティバス導入の必要性にも結び付くものであります。
したがいまして、採算面でのバランスは、当然、慎重に考慮しなければなりませんが、地域の魅力と区民の利便性を高めるため、効果が期待できるとの判断に立ち、積極的に導入について検討してまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔山中利道
健康担当部長登壇〕
○
健康担当部長(山中利道)
区民の健康づくりについてのご質問にお答えいたします。
まず、節目年齢健康診査ですが、現在は老人保健法に基づき区が実施しておりますが、ご案内のように、平成20年4月からは、この健診は各医療保険者が実施する健診制度に移行することになります。また、指定する健診機関に行かれない方につきましては、医療保険者がどのように対処するかを決めることになりますが、各保険者は、いまだ方向性を具体的に示していない段階にあります。したがいまして、今後、その動向を見極め、区としての対応を検討してまいる考えであります。
次に、としま健康づくり大学についてのご質問にお答えいたします。この事業は、地域におけるリーダー的な人材育成もねらいとしておりますが、修了者には財団法人健康・体力づくり事業財団が認定する健康運動実践指導者資格の取得を奨励し、実践を通じた自己管理とともに、さらに専門性を磨けるよう育成を図っているところであります。ご指摘のように、区民の健康志向の高まりとともに、中高年の様々な健康増進活動が活発に展開されております。人材活用に関しましては、健康づくり大学の卒業生が、地域で活躍していただくことは事業目的の1つでありますので、今後の活動の場として、区民ひろばのほか、区内の体育施設や地域文化創造館におきましても、事業の企画立案や各種講座の講師依頼など、様々な方策を検討してまいる考えであります。
私からの答弁は以上でございます。
〔松﨑充彦
保健福祉部長登壇〕
○
保健福祉部長(松﨑充彦)
障害者福祉と就労支援についてお答えいたします。
まず、一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進等への区の取組みについての質問にお答えいたします。障害者自立支援法では、障害者の就労支援が大きな柱として位置付けられております。それに基づき、国や都では就労移行支援事業や地域障害者就労支援事業など様々な積極的な取組みが行われつつあります。本区におきましても、公園清掃など就労の場の拡大や障害者就労支援センターを中心とした就労への支援、就労した方への職場定着のための支援などを積極的に取り組んでおります。さらに、これから特例子会社の誘導などにも取り組んでまいりたいと考えております。
今後も、障害者就労支援ネットワークに参加しているハローワーク池袋や特別支援学校、授産施設などと連携し、就労支援施策のPRや就労している障害者の方の講演会などを通して、障害者の方が一人でも多く一般就労できるよう支援していきたいと考えております。
次に、障害者の意思決定への参画の推進についてのご質問にお答えいたします。これまで、障害者の方には、障害当事者として、意見をお伺いするため、心身障害者対策調整会議や障害福祉計画策定委員会などに参加していただきました。今後は、区の政策決定などに関わる様々な審議会や委員会などに積極的に参加していただけるよう努力してまいりたいと考えております。
次に、心のバリアフリー促進のための啓発活動の実施と障害・障害者への理解についてのご質問にお答えいたします。ノーマライゼーションの考え方は、障害者の方が、ハンデを意識することなく、障害のない方とまち中で自然に触れ合い活動できることだと考えます。そのためには、環境面でのバリアをなくすだけでなく、心のバリアをなくすことが重要であります。障害者の方が地域で生き生きと暮らすためには、地域の皆さんの障害者への理解とバックアップが何より大切だと考えます。本年2月に策定しました豊島区障害福祉計画におきまして、「障害に対する正しい理解が得られ、区民の相互理解のもとに、障害者への偏見や差別のない社会をめざします」と謳い、区の障害者施策として重要課題として位置付けました。今後は、障害者週間だけでなく、障害への理解を得るため、あらゆる機会を利用し、積極的な啓発活動を行っていきたいと考えております。
次に、元気はつらつ長寿社会についてのご質問にお答えいたします。
初めに、監査に要する予算を東京都に要望すべきについてのご質問にお答えいたします。
昨年、
介護保険制度の大幅な改正が行われ、事業者規制の見直しが大きな柱の1つとなりました。これは、悪質な不正事業者に対する事後規制ルールを強化する観点から、指定の欠格事由、指定の取消要件の追加や指定の変更制の導入などの見直しが盛り込まれたものでございます。その中で、不正事業者に対するきめ細かな指導監督を可能にするために、これまで「指定取消」だけだったものを「勧告」「命令」「指定の効力の停止」などの行政上の権限が付与され、指導には都道府県とともに区市町村も関与できるようになりました。また、今回の改正で新しくできた地域密着型サービス事業は指定から行政処分に至るまで区の権限となり、本年1月には認知症通所デイサービス1事業所の取消処分も行っております。
現在、悪質事業者に対しましては、権限が都より区へ移譲されたことに伴い、毅然とした態度で指導監督を行っておりますが、国や都の補助は給付適正化事業の非常勤2名分の人件費のみとなっております。また、ご指摘のとおり、ほとんどの事業者の指定は都の権限で行っており、書類審査が主で、チェック体制の不備が指摘されております。これまで特別区課長会等でも要望してまいりましたが、今後とも、区の監査に関わる経費の補助を都へ要求するとともに、厳格な指定審査についても要望してまいりたいと考えております。
次に、高齢者の介護支援ボランティアについてのご質問にお答えいたします。
高齢者にとって社会参加やボランティア活動が外出のきっかけとなり、認知症予防の効果があるということは、東京都の認知症予防対策室の研究からも実証されており、区といたしましても、関係課で検討を始めたところでございます。しかし、現在活動している高齢者の実態や問題意識、活動の場や受入れ施設等、需要と供給の体制について、区としては正確な情報を把握しておりませんので、この検討の中で調査したいと考えております。
また、ボランティア活動にポイントを付与することで、ボランティア精神が揺らぐなど、質の確保に問題が生じないかや、活動内容や活動の場を特定すること等、具体的な実施に当たりましては多くの課題がありますが、介護支援ボランティア制度によって、積極的にボランティア活動に参加する方が増え、介護予防につながるような仕組みになるよう、十分検討してまいります。
次に、具体的に社会福祉協議会の協力をいただきながら始めるべきではないかというご提案についてですが、社会福祉協議会はボランティア活動のコーディネート機能において、十分なノウハウを持っている組織であると認識しておりますので、実施に向けては管理機関の有力な候補として考え協議をしてまいりたいと考えております。
次に、地域包括支援センターについてのご質問にお答えいたします。
地域包括支援センターは、介護保険の地域支援事業の包括的支援事業、即ち、介護予防ケアマネジメント、総合相談支援、虐待の防止及び早期発見、権利擁護事業、包括的・継続的ケアマネジメントの事業を実施し、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設です。この施設の位置付けですが、在宅介護支援センターを基礎に平成18年度に区を8つの地域に区分し設置したもので、直営も民間も対等に区域、事業を有しております。1年目でありますが、施設ごとに対応能力や力量に差が出ていることは重大な問題で、ご指摘の不平等がないように、民間5カ所のセンターにつきましても区が指導してまいります。今後、区は、各センターへの支援体制を確立し、指導、支援、研修等の多様な業務を行ってまいりたいと考えています。
次に、高齢社会に向けてのわかりやすい冊子の作成についてのご質問にお答えいたします。
現在、介護保険や福祉サービスを中心とした高齢者向けの冊子については、それぞれの課が関係課と連携・調整しながら作成し提供しております。網羅的なものとしては、高齢者福祉課において「高齢者のてびき」を作成しておりますが、秋頃の改訂に向け、各区の冊子なども参考に、よりわかりやすいものになるよう、検討してまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔日高芳一教育長登壇〕
○教育長(日高芳一)
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しましてお答え申し上げます。
まず、芸劇みらいシートとの関わりについてのご質問にお答えします。この事業は、東京芸術劇場の教育プログラム事業の1つである芸劇マチネーシリーズに、区立中学生を年11回、毎回50人、無料招待するものであります。教育委員会の予算措置はありませんが、各中学校と連携して参加者の募集を行っています。この企画は、中学生が一般の観客とともに、芸術性の高いコンサートを鑑賞することで、子どもたちの感性や情操を培い、豊かな人間性の育成が大いに期待されるものであります。
次に、その他の教育プログラム事業の実施状況についてのご質問にお答えします。区の次世代文化の担い手育成事業の一環として、中学校吹奏楽部員を対象に、吹奏楽リーダー講習会を既に昨年度2月17日に実施いたしました。当日は、読売日本交響楽団のプロ演奏家を招き、フルートなど4つのパートで、各校の部員46名が丁寧な技術指導を受けました。プロの指導は、演奏技術の向上に絶大な効果をもたらし、部員たちにも大変好評でした。この企画は、今年度も拡充し実施してまいります。
次に、豊島区教育ビジョンと東京芸術劇場の教育プログラム事業との関係についてのご質問にお答えします。本区の教育ビジョンの豊かな人間性の育成では、芸術に親しむ習慣や態度、豊かな情操、社会的マナーを身に付ける必要性を謳っております。こうした観点から、芸劇の教育プログラム事業は、本区の教育ビジョンの目指す方向そのものでありますので、教育委員会といたしましても、引き続き事業連携を推進してまいります。
次に、学校教育における食育等の取組みについてのご質問にお答えします。バランスのとれた食事の摂取は、身体の成長や健康づくりに不可欠であり、学校教育においても、食育は、食事の楽しさや喜びを理解するとともに、望ましい食習慣を形成するなどの役割を果たし、その必要性が改めて見直されております。食育の重要性を認識し、より一層の充実を図るためには、指導体制を明確にし、組織的・計画的に取り組むとともに、食育推進のための教員研修の実施や指導資料の作成、また食育を推進する食育リーダーの育成など、区内の女子栄養大学とも一層連携を深め、積極的な取組みを進めてまいります。
次に、教育現場における障害者の様々な活躍の場についてのご質問にお答えします。障害者に対する理解を深め、相手を思いやる心を育成するためには、学校教育におきましても、障害のある方々や障害のある子どもたちとの交流の機会を持つことが極めて重要であり、学校において様々な取組みを進めています。具体的な事例として、ある小学校では、介助犬とともに生活している障害者の方を学校に招いて学習を進め、また、ある中学校では、障害者の方々と車椅子バスケットを体験しました。また、本年度からは、豊島区に在住し都立の特別支援学校に通学している子どもが、居住する地域の小中学校の子どもと交流を行う副籍制度が本格的に始まりました。知的障害や肢体不自由など様々な障害のある子どもとお互いの作品を交換したり、授業や行事に参加したりすることを通して、同じ地域に住む子ども同士のつながりを深めてまいります。
次に、誰もが受け入れられる社会、ありのままの自分に価値を認め合う社会をつくるためには、教育の問題は避けて通れないというご意見ですが、まさに学校教育は、そうした社会をつくるための重要な役割を担っており、障害のある方との交流の場をさらに充実させていくことが大切であります。教育委員会といたしましては、ご指摘のとおり、誰もがかけがえのない存在であり、より豊かに関わっていくことのできる社会を実現するため、学校教育における取組みの充実に努めてまいります。
次に、いじめの実態掌握といじめの解決についての私の所見に関するご質問にお答えします。いじめ自殺予告問題以降、いじめ電話相談の件数は49件、うち本区の児童・生徒と思われる相談件数は8件でした。また、メールによる相談件数は115件、うち本区の児童・生徒と思われる件数は13件ありました。相談の内容については、友達からの無視や言葉による嫌がらせなどの訴えが多く見られ、その実態から、いじめは、大人の目から見えにくく、わかりづらくなっていることが改めて浮き彫りになっております。このような状況から、いじめの解決に当たっては、学校における担任、養護教諭及び専門家のスクールカウンセラー等による組織的な対応はもちろんのことですが、ご指摘のとおり、子どもを取り巻くすべての大人が、子どもたちの健やかな成長のために、社会全体で子どもたちを見守っていくという姿勢が極めて重要であり、学校・家庭・地域相互の信頼関係がいじめ根絶の基盤になるものと考えております。
以上をもちまして、
此島澄子議員のご質問に対する答弁を終わります。
────────────────────────────────────────
○副議長(藤本きんじ)
最後に、35番議員より、「くらし・福祉優先の区政こそ区民の願い」の発言がございます。
〔
垣内信行議員登壇〕(拍手)
○35番(垣内信行)
私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「くらし・福祉優先の区政こそ区民の願い」と題し、1、区政運営に当たる区長の基本認識と緊急課題について、2、子育て支援策のさらなる拡充について、3、商工振興策の抜本的拡充について、4、椎名町駅周辺のまちづくりについて、以上、4点について質問を行います。区長の明快な答弁を求め、早速質問に入ります。
去る4月22日に投開票された豊島区議会議員選挙で、我が日本共産党は、定数2減、かつてない多数激戦の下で、6人の区議候補全員が当選、1万2,383票を獲得、前回から2議席増、議席占有率を10.53%から16.67%へ、1.6倍近く前進させ、躍進することができました。また、区長選挙では、我が党推薦の山本としえ候補が、2万8,116票、得票率31.57%を獲得、高野現区長との一騎打ちとなる中、実に3人に1人近くが山本候補を支持し、前回から1万2,084票、1.75倍に伸ばして善戦・健闘いたしました。
今回の結果は、「くらし・福祉第一に」を掲げる我が党の「緊急くらし応援プラン」、山本区長候補の「区政転換の3つの約束」に、多くの区民の皆さんからご支持をいただくとともに、福祉切捨て、開発優先の無駄遣いを進める高野区長と自民、公明、民主、社民などのオール与党区政に対する審判を下すものとなりました。区長選挙では、支持政党の力関係から見て、オール与党の推す現区長と日本共産党推薦の候補との闘いでしたから、いかに高野区政に対する批判が強いものであったかを示すものでありました。高野区長におかれましては、こうした選挙結果を重く受け止め、真に区民の立場・目線に立った区政運営をすべきことをまず指摘しておきたいと思います。
さて、改選後初めての定例会ですので、まず、区政運営に当たる区長の基本認識について伺いたいと思います。
区長は、選挙戦の中で、いわゆるマニフェストを配布し、4つの基本政策と4つの重点政策を掲げ、これを強力に推進することを主張しました。また、8年間の区政運営とこれからについて、7カ条の指針を挙げ、これからもこれをモットーに推進するとしております。この区長のマニフェストの基本は、今年度予算編成前に打ち出した未来戦略推進プラン2007がベースになっております。私は、本年2月の一般質問で、区の発表した基本計画の実施計画、未来戦略推進プラン2007は、財源が好転しても必要な福祉、介護、教育、営業は後退させたまま、池袋を中心とした都市開発、都市再生を重点としたものになっており、見直すべきと質しました。特に池袋副都心関連の経費は、舞台交流センターの整備関連、副都心商業業務エリア地区計画、南池袋再編まちづくり、市街地再開発事業などで、4年間の総事業費は何と122億円。その他、
都市計画道路の推進、事業化はまだですが、新庁舎関連、現庁舎の都市再生起爆剤策定、東西デッキやLRTなどの導入を加えますと、莫大な財源を要する計画が、未来戦略推進プランには盛り込まれているのであります。
区長の掲げたマニフェスト、私のモットーである7カ条を見てみますと、「税のムダ使いを根絶し、納税者の立場に立って最大限有効に使う」とあります。また、「問題を「先送り」せず、常に「攻め」の姿勢で、必ず解決をする」と言っております。あなたは、この8年間で、593項目にも及ぶ区民サービスの切捨てと負担増、そして見直しを進めてきました。おむつ、入浴券、障害者のタクシー券の削減、敬老入浴デーの有料化など、お年寄りの楽しみを奪う、障害者の移動の自由を奪う、寝たきりのお年寄りからおむつも取り上げることが、税の無駄遣いの根絶というのでしょうか。また、先送りせずに攻めの姿勢でやったのが、これも福祉・区民サービス削減が中心でした。自ら民間委託・民営化によるスリムにして、職員を600人も削ってきました。効率的な行政といいますが、保育園の民営化を進め、児童館をなくし、学校も減らし、区民施設を奪い、挙句の果てには売却、結局、区民にすべて犠牲を負わせるやり方でありました。
一方、池袋副都心関連には多額の資金を今後も投入することが、納税者の立場に立った有効活用といえるでしょうか。区長にとっての納税者とは、一般庶民でなく、ゼネコンや大企業、高額所得者だけを指し、その納税者の立場で最大限有効に税金を投入するとなれば、大型開発優先の区政に他なりません。これまでも東池袋四丁目再開発事業に140億円も投入し救済するなど、ゼネコン、大企業には失敗しても攻めるどころか、逆に守ってやる結果になりました。
このように、あなたの政治信条は、これまで推進してきた区政運営を検証してみますと、7カ条のモットーのどれ1つとっても、区民の置かれている現状を打開し、区民の暮らし・福祉を守るという自治体本来のあるべき姿を実現できるものとは思えないのであります。
そこで質問です。これまで進めてきた大型開発優先の区政を転換し、福祉や介護、営業、教育など、あらゆる分野において、区民生活向上と区民サービスの拡充を中心に据えた区政運営に改めるべきと考えます。区長の見解を求めるものであります。
次に、直ちに実現すべき緊急課題について質問いたします。
区長の掲げた7カ条には、「敢然と「不正」を排除し、迅速に「不公平」を是正する」とも書かれております。我が党区議団は、不公平を是正するというなら、まず広がる格差をなくすためにできる手立てを打つべきではと、区長の認識と具体策について、この間、質してまいりました。しかし、区長の答弁は、社会的格差についてはごく一般的な評価にとどめ、政府の税制改悪を容認し、区としてやれるはずの増税に伴う国民健康保険、介護保険の負担軽減策を否定し続けてきました。その結果、あまりにも高い住民税、国保料、介護保険料の負担の大きさに悲鳴が上がっております。
さて、今月に入って住民税の大増税がまた区民を襲うことになりました。納税通知書が送られてきて、あまりに住民税が高くなったのに驚きの声が上がっています。中には4倍になったという人もいて、翌日8日には、800件を超える問合せがあったそうであります。5日の広報では、住民税改正特集号を組んで、主な変更点が掲載されました。よく読んでみたけどさっぱりわからない、合計額は変わらないと書いてあるけど昨年よりずっと増えているようだという疑問が寄せられております。広報を見ますと、「住民税と所得税を合わせた負担額は変わらないように調整されていますが、今回お送りする住民税の「納税通知書」だけを見ると、負担額が増えているので、驚かれる方も多いと思います」と書かれております。この負担イメージは、上の方にちょっと触れられているように、定率減税の影響は考慮されておりません。実態とは違うものになるのは当然であります。実際には、定率減税の影響が大きく、50歳で年収600万円のサラリーマン世帯では、年間12万円の増税であります。さらに、高齢者では、年金課税の強化も加わり、住民税が4倍近くになってしまう人もいるのであります。要するに、定率減税の廃止の分が増税になるということです。
昨年は、特に高齢者世帯を中心に大増税と負担増の大波が襲いました。老齢者控除の廃止、公的年金控除の縮小、定率減税の半減、125万円老齢者非課税制度の廃止で、5,900人に新たに住民税が課税され、多くの区民が所得税のみならず、住民税の負担が増えました。区民税の増税は、国保料や介護保険料などにも大きく影響しました。まさに雪だるま式の負担増でした。今年も住民税の増税により、この負担増はさらに拡大されることになり、暮らしはますます厳しくなることは明らかであります。
住民税増税の元となった定率減税の廃止を決めたのは、政府と自民、公明両党の国会議員であります。よって我が党は、住民税増税の中止を国の責任で実施するよう求めているところですが、国が応じない今、黙って見過ごすことはできません。住民税増税は法で決められたことなので、区の負担軽減実施は困難という見解について、我が党は、今年の予算委員会で、住民税の軽減は可能という根拠を示し追及したところ、区長がその気になればできることを明らかにしたのであります。我が党のこの追及とこの実施を願う区民から、住民税の減免制度の確立は選挙でも多くの共感が寄せられました。
そこで質問します。昨年、今年と住民税の増税によって苦しむ区民を救済する区の独白の制度創設に踏み切るべきです。住民税そのものが軽減されるなら、増税に伴う国民健康保険料も軽減されます。明快な答弁をお願いいたします。
次に、保育料について質問いたします。
定率減税の廃止、縮小に伴う雪だるま式負担増については、国民健康保険料、介護保険料のみならず、保育料にも影響するために、この負担を抑えるように、我が党は、当初から求めてまいりました。昨年、区は、定率減税半減による影響で自動的に引き上がる保育料については、据え置くための条例改正を行いました。これは、区としては、増税に伴う負担を唯一抑えたものであります。定率減税実施のとき引き上げられた保育料ですから、元に戻すのは当然ですが、今回の全廃によっても引き上がる保育料については、昨年同様に据え置く条例改正を実施すべきであります。答弁を願います。
次に、第2の質問、子育て支援のさらなる拡充についての質問に入ります。
1つ目は、子どもスキップに関しての質問です。
区民ひろば構想の実施と合わせ、児童館を廃止し、学童クラブ機能を学校に移し、全児童を対象とした放課後対策事業、子どもスキップが始まって3年が経過いたしました。これまでも指摘してきたように、そもそも子どもスキップは、子どものことを考えて検討されたものではありません。財政効果を生み出すために、一番金のかかる人件費を削ることにし、常勤職員30名を削減しました。質が下がり、機能を維持することができなくなるのは当たり前であります。特に、人手が足りないために児童館のときに比べておろそかになり、一人一人の子どもに目が行き届かない、保育が後退していることも明らかになっております。また、おやつの時間を5時以降希望者のみにしてしまいました。この間題は、今でも元に戻してほしいという声が寄せられております。
また、異年齢児の交流の場が縮小され、子どもたちの交流の場であった児童館は、施設の再構築で、スキップに移行したところから廃止し、転用、貸付、売却されていきます。さらに、児童館では6時まで学童の児童も一般の児童も遊びや保育が実施されてきたものが、スキップに移行すると、冬場は、一般の児童は4時30分になると自宅へ帰らなくてはならないなど放課後事業そのものが縮小されたのであります。子どもスキップは、一般の児童はもとより、学童クラブの入会数も定員は設けず、誰もが入会できることにしています。また、校庭や体育館で自由に遊べることを理由に、児童館に比べ、施設は狭あいなスペースになっております。校舎内型は、わずか教室2つ分をコアスペースとセカンドスペースとして事業を展開しています。一方、まだ子どもスキップに移行していない児童館では、これまで進められてきた優れた子育て支援、乳幼児のためのプログラム、小学生以上の子どもたちには、放課後や学校休業日の地域の遊び場と活動の拠点として、中高生の居場所として、さらには地域のいろいろな団体と協力して、子どもを中心としたイベントや行事に取り組んでおります。これまでも述べてきたように、子どもスキップの導入においては、様々な問題がいまだに残されていることからみても、学校の児童数の規模、地域で実施してきた歴史的な取組み、障害児学級への対応など、慎重にすべき課題が残されているのが事実であります。
先に計画ありきで、強引に進めるやり方はやめ、残された児童館を存続すること、そして区民ひろばとされた児童館についても、児童館本来の機能を果たすように見直すべきと考えますが、いかがお答えください。
2つ目は、学童クラブの障害児の定員枠の撤廃についてであります。
先般、区民と区長の対話集会がありました。私は、千早地域文化創造館での集会に参加し、熱心に語る一人一人の区民の意見や質問を拝聴させていただきました。我が党区議団は、3カ所での集会に分担して参加し、出された意見については慎重に議論もいたしました。ごもっともな意見が多く寄せられたと思います。
私の参加した集会では、最後に障害児を持つ母親から発言がありました。障害児を長崎小に通わせながら働いている方ですが、学童、スキップでの障害児対応について2名という定員枠の現状を告発したものでありました。現在、障害児は、児童館でもスキップでも、原則6年生まで預けられることになっており、この人の子どもは、現在のところ、児童館で受け入れられているそうです。しかし、今後、新たな入所の希望があった場合、障害の程度や低学年優先を理由に排除されることもあるといいます。朋有小学校区では、時習小・大塚台小の統合の前には、児童館、育成室でそれぞれ学童があったのに、スキップ朋有になりました。そうであるなら、障害児対応は、当然倍になるべきですが、原則2名枠のため、今は、特例として4名になっているそうであります。障害児の中には、既に定員2名枠では入所できないために、あきらめて別の児童館やスキップに受入れを求めている実態であります。特に障害児学級のある学校区では、今後の対策が急務であります。
区は、以前、区民から提出された陳情を審査した子ども文教委員会での私の質問に、障害児の定員については、「希望については柔軟に対応したい」と前向きな答弁もあったのですが、枠を増やすならば、当然、専門の正規職員をつけなければできないのに、そうなっていないことが問題なのであります。スキップになる前から指摘してきたではありませんか。区長は、対話集会での発言に対し、前向きに検討するとその場で確約したのですから、職員も予算もつけ、障害児の定員枠を外すことを明確に表明すべきであります。区長の答弁を求めます。
子育て支援の3つ目は、医療費の拡充、妊産婦検診、出産費用の無料化など、切れ目のない子育て支援についてであります。
子どもの医療費無料化については、この4月から小学校6年生までに拡充され、10月からは、中学3年生までに対象に広がることが決まっております。我が党区議団は、子どもたちが安心して医療が受けられるようにと、一般質問や予・決算など、機会あるごとに取り上げたり、条例改正案の提出や予算の組替え動議も行うなど、この制度の拡充に力を尽くしてまいりました。前期の4年間でも、毎回のように一般質問で取り上げ、区長に拡充を求めてきました。区長が応じる姿勢がないため、拡充の条例改正案、修正案を提出、また拡充を求めた区民の陳情についても採択を主張し続けました。これに対し、自民、公明、民主などの与党は、これに背を向けてきたのは周知の事実であります。我が党の頑張り、そして区民の粘り強い運動と拡充を求める声は、とうとう区長の姿勢を変えるまでになりました。
こうした成果は、東京都全体にも広がりました。都知事選挙では、我が党推薦の吉田万三氏の論に、かたくなに否定し続けてきた石原知事は、中学3年生まで医療費負担をゼロにすると公約せざるを得なくなりました。都の制度として中学3年生まで拡充されれば、区の持出しは大幅に減ります。仮に就学前までの制度同様に半分を東京都が負担するとなれば、本区の場合、この事業で約1億2,000万円余が軽くなるのであります。
そこで質問です。第1に、都知事が中学3年生まで医療費負担をゼロにすると言ったのですから、区長会などあらゆる機会を通じ、早期実現を求めるべきであります。また、区に対する補助を大幅に拡充するとともに、所得制限を撤廃するよう強く働きかけるべきです。区長の見解を伺います。第2に、小学生、中学生について入・通院にまでは無料になりましたが、入院時の食事療養費について助成の対象から外しています。万が一入院したときの病院給食は、治療の一環です。元気なときにも食事はとっているので、助成は必要ないという誤った考えを改め、直ちにこれも対象とすべきです。お答えください。第3には、妊産婦検診、出産費用の無料化の実現であります。安心して子どもを生み育てるための施策、そして子ども医療費無料化、こうした切れ目のない子育て支援策が、今、本区に求められています。区長の前向きな答弁を求めます。
以上が子育て支援策の質問であります。
次に、大きな3つ目、商工振興策の拡充についての質問に入ります。
今回の区長・区議選の中で、商店街や中小企業の多くの方たちから、商売が大変、廃業寸前といった声が寄せられました。今、商店街は、シャッター通りといわれるくらい落込みがひどく、日曜日ともなると人影もまばらであります。一時は商工豊島といわれたはずの本区がこうした状況になったのは、時代の流れというだけではありません。政治の責任であります。規制緩和による打撃は大きく、多くのコンビニが24時間営業となり、大手スーパーも早朝から深夜まで、中には24時間営業の店舗もつくられました。規制で販売できなかった洒・たばこ・米・薬など、何でも気軽に買えるようになったことは、消費者にとって便利になったと見えますが、一方で、身近な商店が1軒また1軒と消えていっています。酒屋、米屋、薬屋、生鮮食料品などの商店が近所からなくなることは、街のにぎわいが失われ、人と人とのつながりも希薄になり、地域ぐるみの取組みはどんどん弱体化していくばかりです。区長は、豊島区の未来像について、都市問競争に打ち勝つことこそ豊島区を活性化させることにつながると言いますが、渋谷、新宿、丸の内、六本木などのように、人が集まる街、大規模なビルが乱立し、住民が追い出される街、金持ちしか住めない街になれば、ますます地域の商店は寂れていくことになるではありませんか。区長は、後継者もいない、展望が持てない自営業者が多くなっているとよく言いますが、そうしてしまったのは、本人だけの問題ではない、予算を大幅に減らした区長の責任も重大ではありませんか。
そこで、最初の質問であります。にぎわいをなくした商店街、身近な商店が1軒また1軒とつぶれていく現状をどう認識され、どういう対策を進めるつもりなのか。また、区独自の対策で、大型店や大手スーパーの営業時間、販売品規制などで、地元商店の営業を応援すべきと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
次に、商工予算の増額についてであります。
高野区長になってからの8年間、福祉分野の削減も大きいが、予算の比率から見て最も減らされたのが生活産業費であります。私も調べて驚きましたが、高野区長就任前の平成11年度の予算額は、約53億円であります。昨年度の予算は、6億9,000万円ですから、実に8分の1近くに減らされたのであります。東京全体でもこれほど削った区はほかにはないでしょう。この削減は、商工融資の預託金40億円の全廃が占められていますが、これを除いても平成11年度の13億円から半分に減らしたのですから、商人出身の政治家とは思えない異常な減らし方であります。1番目のかたきにされたのが融資であります。豊島区は、バブル崩壊後の不況に当たり、区内の中小業者の願いに応えて、区が損失保証する低利の不況対策特別資金、緊急特別資金を創設し、全国的にも注目されたほどでありました。この融資で救われた業者が大勢いました。その後、信用保証料の全額自己負担、融資制度の統合などで削ってきました。融資さえ気軽に受けられるなら、まだ希望を持って事業ができるという業者は大勢います。無担保、無保証人、金利ゼロなど、大胆に借り手の立場に立った柔軟な融資制度を創設し、営業を守ること、そして商工振興、中小企業対策予算の大幅増額で、支援強化を進めるべきです。区長の答弁を求めます。
次に、公衆浴場に対する支援についてであります。
先日の区長との対話集会で、上池袋の公衆浴場の突然の廃止について復活を求める声が上がったそうであります。事情はどうであれ、身近にあった公衆浴場の閉鎖は深刻であります。本区の公衆浴場の廃業は、年々深刻で、5月現在41軒に減少し、地域によっては1軒もないというところもあります。公衆浴場は、区民の公衆衛生の役割のみならず、地域コミュニティの核ともなる健康増進、安らぎ、憩いの場としても必要不可欠の存在であり、特に都心部での公衆浴場に対する支援は、存続を左右するものになっております。
本区の対策を見てみますと、燃料費、福利厚生助成、改築改善の利子補給など、浴場への直接支援策も削ってきております。また、区民への支援を見てみますと、生活保護の入浴券を年30枚に減らし、高齢者への敬老入浴デー、ふれあい入浴デーの自己負担を強いるなど、後退ばかりでありませんか。生保の入浴券の年間支給枚数について周辺区を見てみますと、諌馬、板橋、杉並、新宿、中野とも、倍の60枚を支給、そして独自の施策として、無料の入浴デーや、毎週のふれあい入浴デーで、特に高齢者の触れ合いを大切にする公衆浴場対策を講じているところであります。
そこで質問です。財政が好転した今、浴場への直接支援と合わせ、銭湯でのぬくもりある区民サービスの拡充、特に生活保護の入浴券支給については直ちに60枚に戻すべきです。区長の答弁を求めます。
最後に、4つ目の質問、椎名町駅周辺のまちづくりについて2つ質問いたします。
1つ目は、西武池袋線椎名町駅の改良についてであります。
駅舎の改築につきましては、隣の東長崎駅のエスカレーター、エレベーターの設置、バリアフリー化した自由通路、自転車駐車場の整備、駅前広場の拡充などが順調に進められており、想像以上に立派なものがまもなく完成することになりました。私は、初めて区議会に送っていただいて以来、西武鉄道や区に対し繰り返し東長崎駅の改善を求めてきた1人として、完成を心待ちにしております。
さて、椎名町駅でありますが、隣の駅舎が立派になる中で、改善を求める声が寄せられております。環状新宿線の工事が進む中、跨線橋下の広場、踏切の改良が進められている一方、駅舎そのものについての改善計画を含め、駅周辺についてのバリアフリー化については十分具体化がなされておりません。朝夕の開かずの踏切解消策としての自由通路の確保など、椎名町駅の改善を区としても推進すべきと考えます。いかがでしょうか。
2つ目は、椎名町駅周辺の病院廃止に関する質問であります。
橋本病院、恭和記念病院の突然の閉鎖、敬愛病院の移転と、3病院の相次ぐ閉鎖に、付近住民、患者から、困ったという声が上がっております。病院が街から消える。これは社会問題であり、政治の責任です。特に病棟を抱えた病院経営の悪化は著しいものがあります。政府の進めてきた相次ぐ医療制度の改悪は、医療・介護難民を増大させる一方、診療報酬の引下げで、高額な差額ベッド代や保険外負担を患者に求めないと病院が経営できないほど深刻化しております。また、医師や看護師不足も大きな問題になっています。自民党政治の矛盾がこういうところにまで影響を及ぼしているのであります。
敬愛病院については、移転後、これをそっくり藤和不動産が買い取り、マンション建設を進める計画が浮上し、地元では大きな問題となっております。藤和不動産は、5月に取壊しの説明会を開催、どういうマンションにするのかも示さないまま、ただ取壊すという日程と工事のやり方だけの説明に住民から怒りが噴出、続く2回目の説明会でも納得の得られるはずもなく、いまだ住民との話合いは、平行線となっているようであります。
そこで質問です。区長との対話集会でも住民から病院の廃止について対策を講じるべきと意見が上がっていましたが、病院の誘致も含め、区としてできる対策をあらゆる角度から直ちに検討すべきです。区長のマニフェスト、4つの基本政策には、「福祉と医療の充実」が掲げられ、「医療サービスをいつでも提供」とあります。安心できる医療体制の確立が緊急に求められています。事態の打開について区長は一体どうするつもりなのか、見解をお聞かせください。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕
○区長(高野之夫)
冒頭に、今回の区長選挙についての総括した分析をしていただきました。候補は2人で、どちらかの選択でありました。再三申し上げておりますが、私が区長になった8年前を思い起こせば、区財政は破綻寸前まで追い込まれておりましたが、これをようやく安定させることができたわけであります。そのためには、想像を絶する厳しい行財政改革を断行し、すべての事業を見直し、今まで行っていた区民サービスも後退をせざるを得ませんでした。それだけに、過去2回の選挙から比べると確かに私の得票率は、残念ながら70%を切ってしまいましたが、その一方で、これからの4年間、収支均衡のとれた財政見通しを策定することができたわけであります。今回の得票は、「もっと頑張れよ」との厳しい票であると認識しております。また、行政運営の7カ条は、この8年間、常に私のモットーとしてきた志であります。心の支えでもあります。この思いがなければ、私は、現在の豊島区の将来像を明確に示すことができなかったと思っております。
それでは、
垣内信行議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
初めに、区政運営に当たる私の基本姿勢についてお答えいたします。
所信表明でも申し上げましたとおり、私が目指す都市経営の基本姿勢とは、文化、健康、都市再生、環境を中心とする重点政策に積極的に取り組むことで、豊島区の魅力と活力を高め、福祉や子育て、教育、安心・安全など、区民生活の基盤を支える基本政策の水準を押し上げていくような好循環をつくり上げることであります。こうした好循環があって初めて、安定した歳入に支えられた強固な財政基盤を確保することができ、将来にわたって区民サービスを持続しつつ、新たなニーズにも応えていけるのであります。
ただいま、大型開発優先の区政を転換すべきとのご質問をいただきましたが、平成5年度から平成18年度まで14年間の東池袋四丁目市街地再開発事業経費140億円のうち、国庫補助や都市計画交付金、都区財調等を考慮した実質的な区の負担は24億円であります。また、ご質問のこれからの4年間の池袋副都心関連経費122億円についても、同様に区の実質的な負担は14億円であり、このうちプラン4年間の新規・拡充事業における区の負担は9億円に過ぎません。一方、保健・福祉や子育て、教育に関するプラン4年間の新規・拡充事業は、事業費で39億円、一般財源ペースでは27億円を計画をしており、この数字を比べていただければ、大型開発優先とのご指摘には当たらないと考えております。
これからの4年間、マニフェストとしてお示しした「4つの基本政策」、そして「4つの重点政策」の実現に向け、地域活性化と区民サービスの向上の両面から、全力を挙げて取り組んでまいりますので、ご理解・ご協力をお願いいたします。
次に、税について区の独自制度に踏み切るべきとのご質問にお答えいたします。
去る3月6日、東京都で独自の住民税軽減措置を実施することが発表されました。この措置は地方税法第6条を根拠とすることとされておりますが、本条項の解釈適用につきましては、総務省から、「その内容について徹底的検討を加え、濫用することがないよう特に留意すること」、さらに「納税義務者に係る一定の事由に該当することを理由として一律かつ無条件に当該税負担を軽減するような措置を講じることのないよう留意すること」が通達されているところであります。
東京都による軽減措置の公表後、23区税務課長会では、都に対しまして、措置の具体的な内容、そして何よりも適用条項の解釈や総務省との交渉経過などを明らかにするよう求めてまいりましたが、いまだに「検討中である」以上の報告を得られておりません。そのため、実現の可能性について、確信を持ってお答えできる状況にはありません。
一方、これまで今回の税制改正については、国から地方への税源が移譲されることを中心に説明されてまいりましたけれども、その他にも様々な視点から制度が改められております。これまで、住民税、所得税ともに高所得者により多くの負担を求める累進税率が適用されていました。これは、能力のある者が税負担を行うということから、応
能性を重視した制度ということができます。しかしながら、今回の改正では、住民税率がフラット化され、少子高齢化に伴い重要となる福祉等の対人サービスなどの受益に対する負担として応益性を強めることになったわけであります。それに対して、所得税の方では、累進性、応
能性を強めることとなり、税が行う財政機能のうち、所得再配分や景気調整は主として国が担うべき役割として、国税と地方税との役割の分担が明確になったわけであります。さらに、所得税のような累進性の高い税は景気の変動を受けやすいのに対して、フラット化された住民税は税収の安定をもたらすという面もあります。また、個人住民税は、地域社会の会費として、広く浅く負担をいただくことにより、急速に進行しております高齢社会で持続可能な財政基盤を確立することが、何よりも重要であるとして、今回の国家としての税制改正の趣旨となっていると理解しております。そのような税制に移行する過渡期にあり、また景気対策として実施されてまいりました定率減税が廃止されることによりまして税負担が増えたものであり、自治体が独自に、こうした税制改正の趣旨を修正することについては行うべきでないと考えております。
次に、児童館の存続と区民ひろばとされた児童館についても児童館本来の機能を果たすよう見直すべきとのご質問にお答えいたします。
この子どもスキップ事業開始の背景として、児童館の公共施設としての効率的活用や地域区民ひろば計画と連携した新しい地域コミュニティの形成という目的もありますが、小学生の放課後の生活環境を根本的に見直すという目的もあります。平成15年に発行いたしました豊島区子ども白書にまとめました「子どもの生活実態調査」によりましても、少子化による子ども人口の減少とともに、塾や習い事などで小学生の放課後の時間は子どもたちの交流が少なくなっており、その結果、子どもたちの遊びも、テレビや漫画を見たり、ゲームをして過ごすという姿が浮き彫りになってきています。こうした環境を見直し、小学生期の子どもには、戸外で体を目いっぱい使い、群れ遊びを復活させ、学年を越えた友達との交流を促進させることが必要であります。そして、こうした目的は、子どもスキップの実施によりまして、期待した以上の効果になって現れております。子どもスキップでは、晴れた日には、ほとんどの子どもが、校庭に出て、学年を越えて、サッカーやドッジボールや野球に興じたり、1輪車や竹馬に夢中になっております。
平成17年度及び平成18年度に実施した子どもたちを対象とするアンケートでも、子どもスキップを利用してよかったことという項目では、友達と遊べる、学年を越えて遊べる、校庭で遊べるという意見が多くなっております。また、保護者へのアンケートでも、子どもスキップを利用する理由として、安全・安心だから、友達と交流できるからという理由が上位にあり、子どもスキップへの満足度でも、約70%の保護者が満足しております。まだまだ課題があることも十分に認識しておりますが、課題となる点は事業内容を検証し、子どもスキップがよりよいものになるよう事業を見直しながら計画を進めてまいります。
したがいまして、今後とも、児童館の地域区民ひろば等への転用を図ってまいりますが、既に地域区民ひろばに転用した児童館の見直しは考えておりません。
次に、学童クラブに職員と予算をつけて障害児の定員枠を撤廃すべきとのご質問にお答えいたします。
学童クラブへの障害児の入会につきましては、ご質問にありますように、実施要綱で、定員2名と定めて運営をしているところでございます。この定員枠につきましては、学童クラブが集団保育であり集団生活であることから、健常児の生活との調整を図る必要があること、また、障害児を受け入れるに当たりましては、特別な配慮が必要であることから、一定の条件を定めたものであります。障害児も健常児と同じように生活でき、ともに豊かな生活体験ができることが理想でありまして、可能な限りそうした生活環境を整備すべく行政施策も充実させていくべきであると認識しております。
しかし、障害児が安全・安心に過ごせる環境を整備するためには、施設環境等の物理的な環境整備はもとより、人的な整備も必要でございまして、一定の限界があることもご理解いただきたいと思います。
児童館などの現在の施設は必ずしもバリアフリーに整備されているわけではなく、また突発的な行動などを防ぐための設備もありません。さらに、研修等で職員の資質やスキルの向上を図っておりますけれども、必要な職員数を配置しても障害の態様によっては安全を確保するのが難しい場合もございます。
したがいまして、現段階における認識としては、予算や職員配置の有無にかかわらず、障害児を人数の制限なくして受け入れながら、なお安全・安心な生活を責任を持って保障していくのは大変難しいと考えております。しかしながら、同じ「障害」という言葉を使用しても、その態様や程度は個々人で異なることから、障害児の障害の状況や受け入れる施設の状況、職員態勢等を施設ごとに総合的に判断し、可能な限り柔軟な対応に努めるとともに、定員枠の撤廃についても前向きに検討してまいります。
次に、西武池袋線椎名町駅の改良についてのご質問にお答えいたします。
椎名町駅につきましては、ご質問にもありました老朽化した駅舎の改善やバリアフリーへの対応等の課題があると同時に、駅周辺における放置自転車や開かずの踏切の解消、狭あいな駅前広場の改善に関して対策を講じる必要があります。その対応策として、中央環状新宿線の椎名橋の架替えに伴う桁下空間の活用や、新たに鉄道事業者も踏切解消と合わせた橋上駅の検討も行っております。こうした駅舎とともに駅周辺を同時に改善する手法としては、鉄道事業者と協議し、東長崎駅で活用した国の補助制度である駅・まち一体改善整備事業の適用が考えられます。この制度の適用を含め、地域のまちづくりにどのような方策がとれるのか、関係者の意向調査を初め、具体的な計画へ向けての調査・検討を今年度実施してまいります。
次に、椎名町駅周辺の病院廃止についてのご質問にお答えいたします。
医療制度が大きく変動する状況下で、長崎地区において3つの病院がほぼ同時期に廃止になったことは、大変驚いていると同時に、誠に残念であります。区民が安心して生活していくためには、必要とする保健医療サービスを身近な場所で、適切に受けられることが欠かせないところであります。しかしながら、地域の必要な病床数は、医療法に基づく保健医療計画で定める広域的な二次医療圏の中で整備していくことになっております。その責務は東京都にあり、区はその機能を有しておりません。東京都においては、今年度、第4次保健医療計画の改定時期を迎えており、現在、その策定に向けて検討中であります。
したがいまして、この計画策定に当たり、地域の病床数の算定見直しを含め、本区の実情を踏まえた医療体制の充実について、都に要望してまいる考えであります。
私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては副区長から答弁させます。
〔水島正彦副区長登壇〕
○副区長(水島正彦)
まず、保育料を定率減税廃止に伴い昨年同様に据え置くべきとのご質問にお答えいたします。
平成11年から定率減税が実施され、平成12年度から保育料徴収金額表の適用に際して、下位の階層に移行する利用者が生じたため、これを補正すべく平成14年4月から徴収金額表の改正をいたしました。また、平成18年1月の定率減税2分の1縮小に際しては、逆に上位の階層に移行する利用者が生じたため、徴収金額表を改正したものであります。したがいまして、平成19年1月の定率減税廃止についても、昨年同様、上位の階層に移行する利用者が生じますので、保育料額に影響が出る平成20年4月からご質問の方向で徴収金額表の改正をすべく準備を進めております。
次に、中学3年生までの医療費無料化の早期実現及び区に対する補助の大幅拡充と所得制限撤廃を働きかけるべきとのご質問にお答えいたします。
本区では、現在、小学校6年生まで通院及び入院医療費を助成しており、本年10月からは、これを中学校3年生まで拡大いたします。この制度に対する都の補助が現行以上に拡充すれば、区の財政負担が減少することは申すまでもありません。特別区区長会では、毎年、都に対しまして乳幼児医療費助成制度における所得制限の撤廃を求めておりますが、今後もご指摘の件も踏まえて働きかけてまいります。
次に、小中学生の入院時の食事療養費を助成対象とすべきについてのご質問にお答えいたします。
入院時食事療養費のうちの入院時食事療養標準負担額につきましては、入院時の食事材料費を、診察や投薬、また療養から切り離して、平均的な家計における食費を勘案した定額の一部負担金として負担していただくものとなっております。それは、入院と在宅時の費用分担の公平化、食事の質の向上、患者ニーズの多様化などに対応することを目的といたしております。このような趣旨から申しまして、入院時食事療養費のうちの入院時食事療養標準負担額の助成につきましては、これまで同様考えておりませんが、先程のご質問にありました、東京都の医療費無料化の拡充が行われ、入院時食事療養標準負担額がその中に含まれるのであれば考えてもよろしいと思っております。
次に、妊産婦健診、出産費用の無料化についてのご質問にお答えいたします。
区では、妊娠・出産にかかる経済的不安を軽減して、積極的に妊婦健康診査の受診を図るために、妊娠前期・後期にそれぞれ1回、公費負担、即ち無料で妊婦健診を行っております。さらに、今年度より事業を拡大いたしまして、妊娠後期に1万円の費用助成を開始したところであります。また、現在、妊婦健康診査の公費負担のあり方については、東京都と区市町村、東京都医師会等で検討がなされておりますので、その結果を踏まえてさらに積極的に取り組みたいと考えているところであります。
産婦健診につきましては、新生児訪問や乳児健診時に問診を中心に心や体についてのご相談を受けて、必要に応じて医療機関をご紹介しておりますが、現状について申し上げますと、出産後に必要な場合は既に医療として受診されている産婦の方が多いこともあり、産婦健診の公費負担をする考えはありません。また、出産費用につきましても、一般的に加入している健康保険から出産育児一時金の給付がありますことに加え、区では出産時に費用の支払いが困難な場合は出産費用を助成する入院助産制度がありますので、出産費用を無料化する考えはございません。
次に、商工振興策の抜本的拡充についてのご質問にお答えいたします。
まず、商店街の現状認識と今後の対応策についてでございますが、商店街は、区民にとって暮らしの広場であり、地域の顔、コミュニティの核としての役割を、現在も、またこれからも担っていく重要な存在だと考えております。しかし、現状は、消費者ニーズやライフスタイルの変化になかなか対応し切れず、またその状況が事業承継を阻み、廃業から空き店舗へと向かうところが見えるのも事実です。現在、区内に99の商店街がございますが、昨年の調査では225の空き店舗があり、1商店街当たり平均2.3軒の空き店舗を抱えていることになります。1商店街当たりの店舗数が平均67となっていますから、空き店舗率は3%を超えるものとなっております。
しかし、池袋西口の緑化推進活動や巣鴨、大塚の新たなイベント企画やマップの作成、また目白バ・ロックにおける精力的な活動など、次代を担う若手の出現に区内商業の将来に向けた明るい光を感じ、大いなる期待も抱いているところであります。ご提案の大型店、大手スーパーの営業時間や販売品規制など区独自の対策についてですが、大規模小売店舗立地法は地域的な需給調整を目的とする措置をいましめていることから、区独自の規制は課題が多いと考えております。むしろ、現行のまちづくり三法の考え方などは、中心市街地のコンパクト化を図り、スーパーなどを商店街の活性化のための核として地域の商店街と共存しながらまちづくりをすることを想定しており、私もそういう認識を基本に商店街の振興を図ってまいりたいと考えております。
区内の商店街の活性化に向けた具体的な施策としては、従前のイベント開催や施設整備の支援事業のほか、先程デー夕をお示ししました空き店舗対策を今年度の重要な施策と捉え、その補助制度や相談体制を強化しているところであります。空き店舗対策については、区が出資しております株式会社豊島にぎわい創出機構を活用した事業展開も検討してみたいと考えております。
また、商業者を含む中小の事業者にとって、事業承継が大きな課題となっていることにつきましては、今年度、実態調査を実施し区内事業者の承継のネックとなっている事項を明らかにすることで、その後の施策につなげたいと考えております。
少子高齢社会の到来に対応し、商業者がやる気と創意にあふれ、商店街が環境整備や不足業種の導入等、地域と一体となった魅力あるものとなるよう、今後も適時適切な支援策を実施してまいりたいと考えております。
次に、柔軟な融資制度の創設と中小企業対策予算の増額についてでありますが、現在の区の融資制度は、平成16年度に行いました豊島区融資制度検討会の報告を基に再構築したもので、資金種別の簡素化、協定利率の明確化、利子補給の重点化などを柱として、平成17年度以降、実施に移したものであります。ご提案の、無担保、無保証で融資をし、デフォルトの場合には区が損失補償する施策が適切であるのか、かつての小口緊急資金や不況対策臨時特別資金の貸付総額16億円に対する損失補償額が1億6,000万円を超え、未済額がいまだに約1億円もあり、その回収が進まず不能欠損額が累積している事実も踏まえますと、慎重にならざるを得ません。区内中小企業にとって、区の融資制度が大きな役割を果たしていることは承知しております。財政の健全化も踏まえながら、行政の行う中小企業のセーフティネットのあり方など、経済状況や金融情勢に適合する弾力的な融資制度を今後も模索してまいりたいと考えております。
また、予算の大幅増額のみで商工の振興、中小企業対策が実現できるというものでもありません。区の活力と商業やものづくり産業の活性化のために、創意工夫を講じながら、商・工・住のバランスのとれた総合的な施策展開を図っていくことがまずは必要であると考えております。
次に、公衆浴場への直接支援の充実についてでございますが、公衆浴場への直接支援につきましては、今年度から施設改修等資金利子補助の対象工事の下限額を引き下げて使いやすくするなど、改善を図っているところであります。自家風呂保有率の上昇による客離れ、経営者の高齢化、後継者難などから廃止が続く状況でございまして、現在、区内の営業中の浴場は38浴場にまで減っております。このため、区としても、より一層効果的な支援策がないか、浴場組合の方々との協議も行いながら、検討してまいりたいと考えております。
次に、生活保護の入浴券支給を60枚に戻すべきとのご質問にお答えいたします。入浴券の支給枚数は、平成16年度までは60枚でありましたが、財政上の理由で、平成17年度からは30枚といたしました。この事業は法外援護事業で、限られた財源をどのように配分するかは、区が独自に、福祉のそれぞれの立場を視野に入れまして、総合的に判断すべきものであります。財政状況は、危機的状況を脱したとはいえ、まだまだ厳しい中にありますので、生活保護の入浴券の支給枚数につきましては、今後の財政状況を見極め、検討してまいりたいと考えております。
なお、公衆浴場対策事業といたしましては、敬老入浴、ふれあい入浴があり、平成18年度からは、新規事業として浴場ミニデーサービスを実施し、平成19年度には、ふれあい入浴、浴場ミニデーの回数を増やすなど、拡充をいたしております。
以上をもちまして、
垣内信行議員のご質問に対する答弁を終わります。
○35番(垣内信行)
自席にて再質問させていただきます。
時間の関係もありますので、1つだけに絞らせていただきますけれども、学童クラブの障害児枠の撤廃についての質問に、前向きに検討されるという話がありました。これまでも質問もしたように、柔軟な対応をするとか、それからこの間も区長がホット集会で、先程も例を挙げました母親の質問に対して、区長も胸が詰まるような思いで聞かれて、目頭も熱くなった中で、前向きにというふうに言われたものですから、今回、明確に撤廃をするという答弁が出るのではないかというふうに期待をしていたわけです。
ただ、今の中では、なかなかそういう条件もある中で、なかなかそういうのは検討しなければならない課題はありますが、ここで改めて、ちょっと確認という意味でお尋ねしたいのは、そういう意味では検討するという前向きの検討という意味が、希望されれば受入れをすると、それから、現在受けられている子どもが、新しい子どもさんが入所されても排除されることがないというようなことの認識で、そういう理解でいいのかどうか。この辺について再度区長の答弁をお聞かせいただいて、安心して、そこが一番不安を持ってらっしゃるわけですから、これまでもそういう答弁もされていましたから、とにかく今の定員枠があることで、不安の声が上がっているわけですから、とにかく希望されれば受け入れる態勢をとる、あるいは入ってらっしゃる方が、新たな人が希望されると追い出されるというようなことがないような、そういう意味で理解してよろしいのかどうか、これだけお尋ねしておきたいと思いますので、区長の答弁をお願いいたします。
○区長(高野之夫)
この前の対話集会でも、本当に切々と訴えられ、その他陳情でも数々いただいておりまして、これらについては内部では十分検討しておりますけれども、今、おっしゃるように様々な検討する事項があるわけでありまして、これらについて十分検討しなければいけない、もう少しこれらについては時間が必要であると思っております。
私も先日のことも踏まえながら、これらについてはぜひいろいろな条件をクリアして進めていかなければいけないというご要望に応えるような形にしていかなければいけないという、強い気持ちがあるので、すぐにはまだできませんけれども、これらについては十分前向きに進めていきたいと思っております。
○35番(垣内信行)
前向きに検討されることはわかったのです。だから、そういう意味で今一番その柔軟な姿勢もされるということもあるし、前向きに検討されるのはわかっています。ですから、今一番不安なのは、申し込んだときにそういう対応がされなければ、今枠があるわけですから、枠があるためにそういう不安な声が上がっているわけですから、まず枠の撤廃は今検討するというわかりました。ただ、理解として話が質問しているのは、私の理解として柔軟な対応するということですから、とにかく申し込んだ方の受入れは応じてもらう、あるいは入っている方たちが排除されないようなことで理解してよろしいのですねと、こういう質問ですから、そういう理解でいいのかどうかのことなので、前向きな検討されているのはわかりますから、そういう理解をしてもらって、安心している声を区長から述べてもらえばそれで終わりなのですけれども、ぜひそういうご答弁をお願いしたいと思います。
○区長(高野之夫)
ご満足いける答弁じゃなくて大変恐縮ですけれども、先程来お話ししたように、もう少し時間をいただいて、本年度中にはとても無理だと思いますけれども、20年度に向けてこういうようなことをしっかりやっていきたいという、そんな強い思いでありますので、よろしくご理解いただきたいと思います。
○副議長(藤本きんじ)
本日の一般質問を終わります。
───────────────────◇────────────────────
○副議長(藤本きんじ)
以上で、本日の日程全部を終了いたしました。
本日は、これをもって散会といたします。
午後5時55分散会...