杉並区議会 > 2019-10-01 >
令和 元年決算特別委員会−10月01日-02号

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  1. 杉並区議会 2019-10-01
    令和 元年決算特別委員会−10月01日-02号


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    令和 元年決算特別委員会−10月01日-02号令和 元年決算特別委員会                  目   次 席次について ……………………………………………………………………………… 5 委員会記録署名委員の指名 ……………………………………………………………… 5 決算審査  認定第1号〜認定第5号   総括・監査意見、一般会計歳入全部、一般会計歳出第9款・第10款・第11款 用地会計に対する質疑応答   杉並区議会自由民主党    大和田 伸委員 …………………………………………………………………… 6    大泉やすまさ委員 …………………………………………………………………25    わたなべ友貴委員 …………………………………………………………………37    矢口やすゆき委員 …………………………………………………………………43    小川宗次郎委員 ……………………………………………………………………50   杉並区議会公明党    大槻城一委員 ………………………………………………………………………55    中村康弘委員 ………………………………………………………………………62   日本共産党杉並区議団
       富田たく委員 ………………………………………………………………………75    くすやま美紀委員 …………………………………………………………………80    山田耕平委員 ………………………………………………………………………83   立憲民主党杉並区議団    太田哲二委員 ………………………………………………………………………89    関口健太郎委員 ……………………………………………………………………95              決算特別委員会記録第2回  日   時 令和元年10月1日(火) 午前10時 〜 午後4時28分  場   所 第3・4委員会室  出席委員  (47名) 委 員 長  山 本  ひろ子     副委員長  今 井  ひろし        委  員  佐々木  千 夏     委  員  ほらぐち ともこ        委  員  田 中 ゆうたろう     委  員  堀 部  やすし        委  員  松 尾  ゆ り     委  員  奥 山  たえこ        委  員  野 垣  あきこ     委  員  奥 田  雅 子        委  員  松 本 みつひろ     委  員  木 梨 もりよし        委  員  ひわき    岳     委  員  関 口  健太郎        委  員  川 野 たかあき     委  員  わたなべ 友 貴        委  員  國 崎  たかし     委  員  矢 口 やすゆき        委  員  松 浦  威 明     委  員  酒 井  まさえ        委  員  山 田  耕 平     委  員  そ ね  文 子        委  員  小 林  ゆ み     委  員  藤 本  なおや        委  員  山 本  あけみ     委  員  中 村  康 弘        委  員  北    明 範     委  員  川原口  宏 之        委  員  大 泉 やすまさ     委  員  井 原  太 一        委  員  大和田    伸     委  員  浅 井  くにお        委  員  金 子 けんたろう     委  員  富 田  た く        委  員  くすやま 美 紀     委  員  けしば  誠 一        委  員  新 城  せつこ     委  員  岩 田  いくま        委  員  太 田  哲 二     委  員  大 槻  城 一        委  員  渡 辺  富士雄     委  員(副議長)                                 島 田  敏 光        委  員  安 斉  あきら     委  員  脇 坂  たつや        委  員  吉 田  あ い     委  員  小 川  宗次郎        委  員(議 長)              井 口  かづ子  欠席委員  (1名)  委  員  大 熊  昌 巳  出席説明員 区長      田 中   良   副区長     宇賀神 雅 彦        副区長     吉 田 順 之   教育長     井 出 隆 安        代表監査委員  上 原 和 義   政策経営部長  関 谷   隆        施設再編・整備担当部長事業調整   企画課長事務取扱政策経営部参事        担当部長情報・行革担当部長             伊 藤 宗 敏                喜多川 和 美        行政管理担当課長高 林 典 生   施設再編・整備担当課長                                  福 本   弘        財政課長    中 辻   司   営繕課長    相 馬   吏        総務部長    白 垣   学   総務課長    寺 井 茂 樹        政策法務担当課長高 倉 智 史   人事課長    林 田 信 人        職員厚生担当課長松 沢   智   経理課長    山 田 隆 史        広報課長    藤 山 健次郎   危機管理室長  寺 嶋   実        危機管理対策課長事務取扱      区民生活部長  渡 辺 幸 一        危機管理室参事                青 木 則 昭        地域活性化担当部長オリンピック・  区民生活部管理課長事務取扱区民        パラリンピック連携推進担当部長   生活部参事                岡 本 勝 実           武 田   護        区民生活部副参事          区民課長    阿出川   潔        (ふるさと納税担当)                河 俣 義 行        地域課長    原 田 洋 一   地域施設担当課長                                  梅 澤 明 弘        課税課長    出 保 裕 次   納税課長    山 田 恵利子        オリンピック・パラリンピック    スポーツ振興課長矢 花 伸 二        連携推進担当課長                大 澤 章 彦        産業振興センター所長        産業振興センター次長                齋 木 雅 之           馬 場 誠 一        産業振興センター事業担当課長    保健福祉部長  森   雅 之                高 橋 俊 康        高齢者担当部長 田部井 伸 子   健康担当部長杉並保健所長                                  増 田 和 貴        保健福祉部管理課長         国保年金課長  青 木   誠                白 井 教 之        障害者施策課長 河 合 義 人   高齢者施策課長 堀 川 直 美        杉並福祉事務所長事務取扱保健    健康推進課長事務取扱保健        福祉部参事             福祉部参事                神 保 哲 也           井 上 純 良        地域保健・医療連携担当課長     子ども家庭部長 徳 嵩 淳 一                布 施 晴 香        子育て支援課長 福 原 善 之   保育課長事務取扱保健福祉部参事                                  武 井 浩 司        児童青少年課長 土 田 昌 志   都市整備部長  有 坂 幹 朗        まちづくり担当部長         土木担当部長  友 金 幸 浩                茶 谷 晋太郎        都市整備部管理課長         住宅課長    塚 田 千賀子                高 山   靖        市街地整備課長 花 岡 雅 博   耐震・不燃化担当課長                                  伊 藤 克 郎        土木管理課長  土肥野 幸 利   都市整備部副参事(荻外荘担当)                                  星 野 剛 志        環境部長    齊 藤 俊 朗   環境課長    小 松 由美子        ごみ減量対策課長内 藤 友 行   会計管理室長  南 雲 芳 幸        会計課長    松 田 由 美   教育委員会事務局次長                                  田 中   哲        教育企画担当部長白 石 高 士   学校整備担当部長中 村 一 郎
           生涯学習担当部長中央図書館長    庶務課長事務取扱教育                安 藤 利 貞   委員会事務局参事                                  都 筑 公 嗣        学務課長    村 野 貴 弘   学校支援課長  市 川 雅 樹        学校整備課長  渡 邊 秀 則   選挙管理委員会委員長                                  織 田 宏 子        選挙管理委員会事務局長       監査委員事務局長                石 田 幸 男           手 島 広 士  事務局職員 事務局長    佐 野 宗 昭   事務局次長   植 田 敏 郎        議事係長    蓑 輪 悦 男   担当書記    十 亀 倫 行        担当書記    渡 辺 美由紀   担当書記    高 橋 知 久        担当書記    高 野 貢 志   担当書記    三 井 真太郎        担当書記    矢 澤 泉 未 会議に付した事件  席次について……………………………………………………………………………決定  付託事項審査   決算審査    認定第1号 平成30年度杉並区一般会計歳入歳出決算    認定第2号 平成30年度杉並区国民健康保険事業会計歳入歳出決算    認定第3号 平成30年度杉並区用地会計歳入歳出決算    認定第4号 平成30年度杉並区介護保険事業会計歳入歳出決算    認定第5号 平成30年度杉並区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算     総括・監査意見、一般会計歳入全部、一般会計歳出第9款・第10款・第11款、用地会計      ……………………………………………………………………………質疑応答                           (午前10時    開会) ○山本ひろ子 委員長  ただいまから決算特別委員会を開会いたします。  私と今井委員とで正副委員長を務めさせていただきます。  本日から10月11日まで実質9日間に及ぶ委員会ですので、委員会運営が円滑に進行できますよう、皆さんの御協力をお願いいたします。  《席次について》 ○山本ひろ子 委員長  初めに、当委員会の席次についてでありますが、ただいまお座りになられている席で御了承願います。  《委員会記録署名委員の指名》 ○山本ひろ子 委員長  次に、本日の委員会記録署名委員を御指名いたします。ほらぐちともこ委員にお願いいたします。  質疑に入ります前に、理事者と委員の皆様に7点ほど確認及びお願いをさせていただきたいと存じます。  第1に、理事者の答弁は迅速かつ簡潔にお願いいたします。そのためにも質問者は、冒頭で、予定されている質問項目を全てお知らせ願います。  また、発言が聞き取れなかった場合は、委員長の私に申し出てください。  第2に、質問は該当の審査区分の範囲内で行っていただき、他の審査区分に及ばないよう御留意願います。  第3に、当委員会は議員全員を委員とする委員会でありますので、他の委員と重複する質問は御遠慮願います。  第4に、決算書や請求資料等を引用して質問される場合には、その都度ページ数または整理番号をお知らせ願います。  また、資料を提示する場合は、委員長の許可を受けるようお願いいたします。  第5に、質疑時間の計測方法についてですが、質問者が起立したときから着席するまでをはからせていただきますので、御了承願います。ただし、質問項目をお知らせいただいている間は、時間の計測はいたしません。  第6に、各会派の質疑開始時刻は持ち時間表に予定として記載しておりますが、進行状況により時間は前後しますので、各委員は進行状況に合わせ質問の準備をお願いいたします。  第7に、区民の信託に応え、品位ある発言に努められますようお願いいたします。  以上、進行に御協力のほど、お願いいたします。  《決算審査》   認定第1号 平成30年度杉並区一般会計歳入歳出決算   認定第2号 平成30年度杉並区国民健康保険事業会計歳入歳出決算   認定第3号 平成30年度杉並区用地会計歳入歳出決算   認定第4号 平成30年度杉並区介護保険事業会計歳入歳出決算   認定第5号 平成30年度杉並区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算     総括・監査意見、一般会計歳入全部、一般会計歳出第9款・第10款・第11款、用地会計に対する質疑応答 ○山本ひろ子 委員長  それでは、認定第1号平成30年度杉並区一般会計歳入歳出決算、認定第2号平成30年度杉並区国民健康保険事業会計歳入歳出決算、認定第3号平成30年度杉並区用地会計歳入歳出決算、認定第4号平成30年度杉並区介護保険事業会計歳入歳出決算、認定第5号平成30年度杉並区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算、以上5件を一括上程いたします。  これより、総括・監査意見、一般会計歳入全部、一般会計歳出第9款公債費、第10款諸支出金、第11款予備費、用地会計に対する質疑に入ります。  なお、質問は審査区分に従ってされるよう、また理事者の答弁は迅速かつ簡潔に行うよう、重ねてお願いいたします。  杉並区議会自由民主党の質疑に入ります。  それでは、大和田委員、質問項目をお知らせください。 ◆大和田伸 委員  全般的な総括、財務の話、あとは各主要施策について総括的に伺ってまいります。使用する資料は、区政経営報告書、監査意見書、決算書、請求資料の303、316、318、319、320、321あたりを使わせていただきます。  くしくも本日から約5年半ぶりの消費増税ということ、10%となります。必然的に税金の使われ方がまさにこれまで以上に問われることになりますけれども、そのための一丁目一番地が、当区におきましては、まさにこの決算特別委員会であると言っても過言ではありません。本日から長丁場にはなりますけれども、理事者の皆さんにおかれましては、何とぞ真摯な御答弁をよろしくお願いいたします。  それでは、まず、その決算審査の最初ということで、平成30年度における区政運営について総括的に伺ってまいります。  平成30年度について、区としては我が国を取り巻く経済状況をどのように認識していたのか、同時に、区の抱えていた課題についてもあわせてお示しください。 ◎財政課長 まず、平成30年度の日本全体の経済状況でございますけれども、海外経済につきましては、現状さらに深刻化しておりますけれども、先行き不透明な状況であるというふうな認識を持っておりました。とはいえ、一方で、経済自体は好循環、内需を中心として好景気の状況が続いているというふうな認識を持ってございました。  また、これは現在も同じでございますけれども、課題認識といたしましては、保育の待機児童解消の継続ですとか、足元の行政需要にしっかりと対応しつつも、施設の更新ですとか、さらなる少子高齢化の進展、将来を見据えた施策の展開、財政運営、そういったものが課題であるというふうに認識を持っておりました。 ◆大和田伸 委員  ただいま経済状況の認識をお伺いいたしましたけれども、それを受ける形で、当区におきましても、歳入状況は数字の上では過去最高になっている。  そういった中で、当該年度の予算は「未来への道を拓くステップアップ予算」と命名されました。総合計画等の最後の改定がなされた年を象徴するようなネーミングでありますけれども、30年度の予算の特徴、また諸課題の達成度についてどのように総括をされているでしょうか。 ◎企画課長 予算でございますけれども、今委員御指摘ございましたとおり、計画の最後の更新の時期ということもございましたので、そうしたことも踏まえて、まずは総合計画の改定を見据えた取り組みを着実に進めるということ、また、財政の健全性の確保というものをきちんと踏まえた上で喫緊の課題にも対応していく、こうした予算の編成を行って、昨年度に関しましては、総合計画、実行計画の改定を順調に進めることができました。また、施設の改修改築等を含めました整備の推進、また保育の待機児ゼロの継続、こうしたさまざまな取り組みにつきましても、諸課題についてはおおむね順調にできてきたものというふうな認識でございます。 ◆大和田伸 委員  今御答弁で、計画についてはおおむね順調に運ぶことができたというふうな話もありましたけれども、達成度ということについては、後ほど改めて触れさせていただきたいと思います。  当該年度は、いわゆる財政運営の5大ルールの見直しを行った年でもありました。言いかえれば、当該年度予算は旧5大ルールのもとで組まれたわけですから、本来であれば、旧ルールと照らし合わせて評価を見るという視点も忘れてはいけません。  そこで、当該年度の決算の状況について、旧ルールの枠に当てはめてみた際の改めての評価についてお示しください。 ◎財政課長 まさに御指摘のとおり、ルールを見直した年でございましたが、今回の30年度の決算に当たりましては、今御指摘のとおり、旧ルールにのっとって見ていただくということかと存じます。  1点目、経常収支比率の80%以内を目指しますという部分につきましては、前年に比べて0.9ポイント改善はいたしましたけれども、結果として81.7%というところで、80%には届かなかったという状況でございます。続きまして、決算剰余金の2分の1以上を財政調整基金に積み立てるということ、こちらにつきましてはクリアをしております。総体的に見まして、待機児童ゼロの継続も含めましてですけれども、足元の行政需要にしっかり対応しつつも、健全な財政運営が図れたというふうに評価をしております。 ◆大和田伸 委員  ここで基金についても簡単に伺っておきます。  これまで、財政のダムということで、基金総額を標準財政規模の2分の1、当時でいえば550億円を目指すとしてきました。新ルールのもとでは、財政調整基金あるいは施設整備基金について、おのおの具体的に目標額を定めているわけですけれども、30年度末の基金残高、また標準財政規模についてお示しください。 ◎財政課長 30年度末の基金全体の残高につきましては、およそ578億という状況でございます。標準財政規模でございますが、およそ1,212億という状況でございます。 ◆大和田伸 委員  つまり、当区の標準財政規模というと、どうしても550億円という固定概念がありますけれども、今の御答弁でもありました。これはあくまで旧ルール上での話と断った上で申し上げるならば、一部で展開されるような、安易に財調を切り崩す、そういった論には、当然ながら慎重にならざるを得ないということを確認いたしました。  さて、新5大ルールにつきまして、その改定時にも述べましたけれども、私たちの会派の立ち位置というのは、区の考え方と同じく、1つの指標に目くじらを立てて、そのことで区民福祉の向上に弊害をもたらしてはならない、こういった立場でございます。しかし、当然そこには財政の健全性は担保されなくてはならない。  それでは、ここで、当該年度において行政がやるべきことをやっているか、一方で収支の均衡については保たれているのか、財政の健全性について監査の意見をお伺いします。 ◎監査委員事務局長 まず、区の財政におきましては、2年連続で待機児童ゼロの実現に伴いまして、保育関連経費に係る扶助費、あるいは高齢者人口の増による繰出金の増など、経常収支比率は80%を超えてございますけれども、昨年度よりも下回っているという状況がございます。  また、実質単年度収支につきましては黒字を維持してございますし、特別区債の発行額も前年度を下回っている。それから、特別区税の徴収努力によりまして、収入未済額も減という形になってございまして、健全な財政運営に向け着実な取り組みを進めていると評価してございます。  あわせて、健全化判断比率におきましても、法定の4つの財政指標がございますけれども、これは全て水準をクリアしているということから、一定の弾力性が保たれており、全般的に健全であるという判断をしてございます。 ◆大和田伸 委員  先ほども触れましたけれども、現状においては、好景気に加え、当区では人口増により歳入については過去最高の数字を残している。現に、おおむね歳入については予算現額に対してそれを上回る調定額となっております。  しかし、米中貿易摩擦を初めとした国際不安、また国内に目を向けますと、万全な体制をしいたとは言われるものの、消費増税の影響に加え、資料の321を見ますと、都心部においては、ふるさと納税を初めとしたいわゆる税源偏在是正が暗い影を落とします。仮に今後、これら要因も重なりまして歳入の環境が今と真逆となった際、財政の健全性を担保するのであれば、今の各種施策をトーンダウンさせなくてはいけない。逆に、今の施策ペースを維持するのであれば、区債発行が増すなり、あるいは基金が減るなりで、財政の健全性が担保されない。その点、区はどのように考え、また、区民福祉の向上と財政の健全性を両立させるためには何が重要で、そのために日々どういうことをしていくべきとお考えか、お尋ねいたします。 ◎政策経営部長 改めて財政運営というふうに捉えたときに、全天候型の財政運営ということが大事なんだろうと思っています。経済危機や経済環境の変化というのはあっという間に起こるということで、ちょうど今から20年前になりますけれども、平成11年に、当時、金融環境も含めて経済環境がバブル崩壊後に激変して、定率減税等が繰り返されて、区民税の大幅な減収で、財調基金、当区で19億とほとんど底をつく状況になっておりました。翌年、財政再建への緊急プランを打ち立てたわけなんですけれども、こうしたことがあって、ニアイコールでいうと10年前、それから10年たった10年前、リーマンショック後の景気の変動で、当初算定で340億だった財調交付金が最終算定で300億と、40億の減になったということがございます。  そんなことで、これは大震災なんかもそうですけれども、経済危機ということにはいつも備えていかなきゃいけないということで、まして地方交付税が措置されない区ですから、自助で、天気がいいときに基金をきちんと積み立てていく。あわせて、スリムに、余分なぜい肉をそぎ落として基礎体力を高めていくということが必要だろう。そのためには、行政改革に対して不断に取り組みを進めていくことが大事であって、区民福祉の向上に尽くしていくためには、これは自治体にとって普遍の原理でありますけれども、最少の経費で最大の効果を挙げていくということを肝に銘じていかなきゃいけないというふうに考えております。 ◆大和田伸 委員  よくわかりました。過去の教訓をしっかりと踏まえて歩んでいかれるということ、また、他力本願ではなくて行革もしっかりと進めていくということであります。  せっかく行革の話題も出ましたから、ここで資料316も使いながら数点伺ってまいります。  まずは、当該年度の行革について。当然ながら、行革については入りの部分と出の部分とがあるわけでございます。当該年度の取り組みとその成果について、おのおのの視点から監査の意見を確認させてください。 ◎監査委員事務局長 行革への質問でございますけれども、まず入りについての評価でございますけれども、徴収努力もございまして、税やあるいは保険料等の収納率が向上してございまして、収入未済額も減少しているという状況がございます。また、保育施設利用者負担の適正化を図りまして、30年4月から新たな保育料を適用しているというところがございます。  それから、出の部分でございますけれども、区立保育園の民営化等の推進あるいは学童クラブの運営委託等についても着実に推進してございまして、行革全般を通じ、効率的な行財政運営に向けた取り組みが進められているというところで判断をいたしてございます。 ◆大和田伸 委員  時間の関係もありますので、ただいま御答弁いただいた中でも、ここでは出の部分について1つだけお伺いしてまいります。  先ほども少し触れましたが、議会からの再三の指摘もありました。そういったことで、区ではこの間、経常収支比率という十字架を背負っていた。その改善のためには、23区の中でも上位に位置する人件費の削減が重要であり、その最たるは、何といっても保育セクションの職員の皆さん。私自身、最近でも東棟3階の職員の皆さんが本当に遅くまで残っていらっしゃる姿を目にいたします。本当にお疲れさまでございます。  しかし、同様の悩みは、当区だけではなく、都心部においてほとんどの自治体が抱えています。そこで、板橋区や荒川区では、来春の保育園等の入所選考にAIを導入するということ。このことはたしか以前当議会でも取り上げられ、当時の部長が検討に前向きな御答弁をされたというふうに覚えてございます。その後の検討に向けた進捗状況はいかがか。また、当区で導入がかなった場合、その費用対効果をどのように捉えているのでしょうか。 ◎行政管理担当課長 保育園の入園業務へのAI導入に向けた区の取り組みについてでございますけれども、まず区の業務における活用効果を見きわめるために、実証実験を行っているところでございます。その実証実験を行った結果でございますけれども、昨年の一次入所選考につきましては、職員6名で19日間をかけて行っていたんですが、AIを導入することによりまして、施設の割り振りの作業時間が約1分で済むということになりました。それによりまして、期間につきましてはおおむね半分、仕事量といたしまして400時間程度の削減が見込めるということになっているところでございます。今後は、導入に向けまして、既存の保育システムとの連携などにつきましても検討を進めていきます。  また、導入により削減された時間についてでございますけれども、利用者にとっては、選考の結果通知を少し前倒しで時期を早めるとか、あるいは入園相談への対応、こういったものにも時間を少し割いていくというようなところで、区民サービスの向上につなげていくという考えでございます。
    ○山本ひろ子 委員長  傍聴人より撮影の申請が提出されましたので、これを許可します。 ◆大和田伸 委員  今御答弁をお聞きしましたけれども、AIというものがやはりすごく力を発揮するんだなということも確認させていただきました。このことは、単に職員の働き方改革の視点だけではなくて、職員の方が他の業務に時間を割けるという点においては、区民視点においてもメリットになりますので、先ほど申し上げましたとおり、導入先行区があるようですから、そういった自治体の様子等も見ながら、ぜひ前向きに検討されることを要望しておきます。  続いて、歳入面についても伺ってまいります。  偏在是正等の影響が暗い影を落とし始める中で、自助努力として、先ほども御答弁ありましたが、徴収率の向上等には大きな成果を上げています。この点は後ほどうちの会派のフレッシュな若手議員から触れさせていただきますので、この場におきましては1点だけお聞きします。  このところ右肩上がりであった国あるいは都の支出金、さかのぼると四、五年ぶりになるんでしょうか、前年度を大きく下回っている。再度この点について確認をさせてください。 ◎財政課長 国・都支出金でございますけれども、御指摘のとおり、30年度につきましては、若干減額になっているというところがございます。確かに、事業の実施状況によって上下するというところはございますけれども、30年度で申し上げますと、減額となりました国庫支出金については、例えば臨時福祉給付金事業費補助金、保育所等整備交付金、都支出金におきましては、都市計画公園事業費補助金、待機児童解消区市町村支援事業費補助金、こういったものが減額になっているというところでございます。 ◆大和田伸 委員  ただいまの減額の補助金のキーワードで、保育だとか待機児童だとか、そういった文言が聞こえてきました。今の御答弁をそのまま受けますと、当区が至上命題として取り組んできた保育施策について、国や都が蛇口を閉めたのか、あるいは当区の保育施策が前年度と比較して少しスローダウンをしたのかどうか、その点はどのように捉えればよろしいですか。 ◎保育課長 ただいまの保育所等整備交付金については、保育所の整備について、事業者が更地から、建物を一からつくっていくパターンと、既にある建物を賃借して、そこに改修を加えてやる整備の仕方とあるわけですが、昨年度については、一からつくるパターンではなくて改修型でやるというケースが非常にふえました。国の交付金は一からつくるパターンのものでしたので、そちらのほうは減って、逆に改修型のほうの補助金はふえています。  東京都のほうは、どちらについても上乗せして出すというものなんですが、一からつくるパターンのほうが1件当たりの額が大きいので、都のほうはそれに合わせて減ったというもので、施設の整備のほうは、依然として実行計画を前倒しする形でしっかりと行っております。 ◆大和田伸 委員  うちの会派でも、今保育施策を前進させるという必要性は支持しつつも、常にその出口戦略については警鐘を鳴らしている立場ですので、少し気になったところであります。よくわかりました。  では、今せっかく文言も出てきましたので、ここで当区の今最も大きな取り組みの1つであります保育施策についても数点伺ってまいります。  まずは、待機児童ゼロを2年連続で達成したこと、このことは会派としても大きく評価をするところであります。今月から無償化が開始になるということも踏まえ、来年、令和2年4月には3年連続の待機児童ゼロが当然という状況に果たしてなるのかどうか、現在の進捗状況及び見通しをお伺いいたします。 ◎保育課長 来年4月の待機児童ゼロというものを確実にするために、今年度についても計画を前倒ししまして、新たに認可保育所19施設1,123名分を既に確保しています。ちょうどきょう、10月1日ですけれども、これから一次申請が始まりますので、こういった状況を踏まえまして、定員の弾力化ですとか、あるいは定期利用保育の実施などを図っていくこともしっかりと行っていって、3年連続待機児童ゼロに向けて万全を期していく考えでございます。 ◆大和田伸 委員  一方で、毎年1,000名以上の認可保育所の整備を続けていると、定員が充足しない園もあるのではないかといった声も一部で聞こえ始めています。現に、資料の320でもその内容が見てとれますけれども、そのあたりの実情、いかがでしょうか。 ◎保育課長 新規の認可保育所を整備いたしますと、持ち上がりがありませんので、4、5歳児はあきが出るということは、当然そういうことになるわけですけれども、そういったことを入れましても、現在90%以上の定員充足率を満たしておりますので、そういう意味でいえば適切に整備ができているのかなというふうに考えておりますし、現時点では、しっかりと保育需要を見ながら、必要な地域に限定して公募をして、まず必要な地域にしっかり整備をするという考え方でやっているところでございます。 ◆大和田伸 委員  保育についてあと1点だけ。計画上では、令和3年度に保育需要率あるいは認可整備率がイーブンになるというふうにされております。その点は私たち会派も注視していきたいと思いますが、少し前に、当区において、待機児童ゼロではあるが隠れ待機児童がいる、そういった報道もなされました。区としては、その点どう考えているでしょうか。 ◎保育課長 隠れ待機児童というのはマスコミのほうで使われている言葉ですけれども、いわゆる認可保育所に入りたいけれども認可外保育施設などに入っている方のことを指して使われている言葉です。  ことしの4月の時点で、認可保育所への入所率も高まって、85%程度まで上がりました。ただ、15%の方は認可を希望してまだ入れないという状態があるということも確かです。ここに向けて、今実行計画に従って、全ての認可保育所を希望する子供たちが認可保育所に入所できる環境を整えていくということでやっていきますので、いわゆる隠れ待機児童についても解消していくという考えでございます。 ◆大和田伸 委員  よくわかりました。  都支出金に関連して、ここで都と当区の関係性についても一部言及させていただきたいと思います。  当区においては、先ほども申し上げましたとおり、現基本構想の期間が残り2年余りとなり、次期基本構想の策定も視野に入れるべき時期に差しかかっています。現在、区政は足元にもさまざまな課題を抱えており、無論、そうした個別の課題にも迅速かつ的確に対応していくことが必要でありますけれども、ぜひ区長には、常々おっしゃっている、区の使命は区民福祉の向上に尽きるんだという大義、この大きな大義を常に念頭に置いて、大都市問題に対処するパートナーであります東京都との連携協力もしっかりと図りながら、区政運営のかじ取りを行っていただくことを改めて要望するものであります。  続いて、歳出面についても触れておきます。  先ほども御答弁がありましたけれども、当該年度は、基本構想をかなえるための総合計画等、その最後の改定も行われました。そこで、いよいよ田中区政の当面の終着地であります10年が見えてきた中で、掲げた5つの目標について、おのおの施策指標の進捗状況について確認をいたします。 ◎企画課長 計画年次でございますので、総合計画の最終年度、令和3年度の目標ということでの到達度で申し上げます。施策、全部で94ありますが、重複を避けて84の施策で見ていったときに、7割以上達成しているものが、おおむね84.5%というふうな状況でございます。 ◆大和田伸 委員  私もざっと当該年度における施策指標の進捗状況を確認したんですけれども、今ありましたけれども、ゴールである令和3年度を軸に考えるのであれば、ただいまの御答弁の捉え方も確かにできると思います。しかし、積み重ねという視点に意を用いるのであれば、あらかじめ当該年度の当初に設定した当該年度の目標、すなわちこの1年間の目標と成果で見ると、残念ながらそのほとんどが達成をされていない。さらに加えると、資料の318、ここ数年の各年度の進捗状況をお示しいただいたんですけれども、そのような状況がずっと続いている状況であります。  計画も最後のステップ部分の総仕上げの時期に入っている中で、私としては看過することなく注視をする必要があると捉えておりますが、監査はどのように捉えているでしょうか。監査意見の中では少しソフトタッチの感もありますけれども、その点はいかがでしょうか。 ◎監査委員事務局長 令和元年度につきましては、基本構想の実現に向けたジャンプの初年度となりまして、元年度から3年間が目標達成の総仕上げとなる重要な期間であるという認識に立ってございます。そのため、区におかれては、計画項目の進捗状況あるいは目標の達成度を常時確認しながら、計画の実現に待ったなしの姿勢で着実な推進を図るよう、全庁挙げて取り組んでいただきたいという思いを込めて、意見要望にさせていただいたところでございます。 ◆大和田伸 委員  私も、これまで各所管課さんが汗を流して頑張っていることは十分理解はしていますし、最終目標値が上方修正されたものも現にございます。しかし、田中区政総仕上げのこの時期に、いや、まだ2年あるし大丈夫だよと捉えるのか、それとも、1年スパンで見るとその多くが目標を達成できなかったと、ここで緊張感を持って捉えるのか、この意識が今問われているというふうに私は思うところです。  言うまでもなく、令和3年度のゴールに掲げている目標値は、近づけることが目的ではなく、達成が目的ですよね。そのあたりを明確にしていただいた上で、再度、達成に向けた意気込みをお聞かせいただきます。 ◎企画課長 委員御指摘のとおりかと思います。まず、令和3年の目標の達成はもちろんのことですけれども、単年度で目標を設定している以上、こちらの達成に向けてしっかり取り組んでいくということは必要だと思っています。  そうした中、達成できてない項目が多いという御指摘はそのとおりかと思います。ここはやはり緊張感を持つ必要があるというふうに考えます。令和3年度の到達に向けて各年度の目標達成、また未達であったならばそれをどのように見直してさらに加速を図るのか、しっかりと各所管での検討をし、見直しを図りながら、各年度の目標達成に向けた努力をしっかり積んでいく、それが必要だというふうに考えております。 ◆大和田伸 委員  ぜひとも今の御答弁のとおり、全庁挙げて目的を達成していただきたいというふうに思います。  その他、歳出面で気になった部分も、やはり扶助費等の社会保障関連経費の増加であります。今や歳出全体の4割に迫る勢いであります保育関連経費や、高齢者人口の増に伴い増加の一途をたどるわけですけれども、もちろん必要なところにはしっかりと手を差し伸べることは大切である、これは言うまでもない。しかし一方で、まさにハチドリの一滴の精神ではありませんけれども、無抵抗でこのまま社会保障の関連経費の増加をただ黙って見過ごすということは許されません。そのことに対する区の見解、そしてそのために取り組んでいる主な施策、またその成果や課題について、まとめてお伺いします。 ◎保健福祉部長 扶助費と申しますか、社会保障関連経費の増加についてでございますが、これにつきましては、国全体で同様の傾向がある中、各種の改革が行われているところでございますが、区におきましても、限られた財源の中、年々伸びる経費についてきちんと対応していく必要がある、このように考えてございます。  具体的には、国保等、生活保護でのジェネリック医薬品の使用の促進だったり、データヘルス計画に基づく医療費削減の取り組み、また、生活保護での就労自立支援プログラムによる経済的自立や就職活動の支援、さらには、高齢者の主体的な健康づくりに向けた介護予防、認知症予防、フレイル予防などに取り組んでございまして、それぞれ課題を抱えつつも、一定の成果を上げてきたところだというふうに考えてございます。  今後の課題につきましては、そうした施策自体の充実を図りつつも、世代間の公平性の問題や、区民の生活意識や社会経済状況の変化なども十分認識して踏まえていく中、個々の分野でそれぞれ今できる取り組みに1つずつ着実に取り組んでいくことが大切、課題だというふうに考えているところでございます。 ◆大和田伸 委員  今御答弁いただきましたが、そうですよね、まさにそういったところだと思います。  ここで私が1点触れたいのは、今部長の御答弁でも触れていただきました、以前我が会派からその重要性を発信させていただきました、要介護の状態に入る前の段階、いわゆるフレイルの予防対策であります。会派でこのフレイルについて取り上げた当時は、私自身、区の資料でも目にすることが多くあった、そういった記憶があります。現に、当該年度の区長の所信表明の中においても、フレイルに関する記述が非常に多く見受けられます。  しかし、実際に何をやっているのか、正直私たちには届かないところもあります。現状はどのようになっているのでしょうか。フレイル予防の重要性を区がどのように認識しているのかという点もあわせてお伺いいたします。 ◎健康推進課長 人生100年時代を健康な状態で暮らすためには、高齢期の加齢による心身機能の弱まりを健全な状態に戻すためのフレイル予防につきましては、重要であると認識してございます。そのため、健康長寿の3つの柱である運動、栄養、社会参加、この3つの視点から総合的なフレイル対策に取り組んでまいりました。  フレイル予防につきましては、1つの事業だけを実施しているわけではございませんので、体操、ウオーキング、栄養、口腔など、多種多様な事業を重層的に行うということで予防効果の向上を図っているため、その全体像がわかりにくいのではないかというふうに感じてございます。今後につきましては、多くの区民がフレイル予防の大切さを理解しまして、事業に積極的に参加していただけるよう、わかりやすい周知に努めてまいります。 ◆大和田伸 委員  確かに、社会保障の関連経費の増を、時代の流れだから仕方ないよねと言うのは簡単なことであります。しかし、これを全国の自治体が、ある意味、最後は国が何とかしてくれるだろうという発想の中で目を背け続けるのであれば、これは本当に危険なことである。これは言うまでもないことであります。  今、区のフレイルに対する考え方を確認いたしましたが、一方、このことは区だけではなく、国においても骨太の方針2019において明確に記載されており、その内容を前年度の骨太方針と比較すると、フレイル対策には口腔の健康が重要との記載が追記されているようであります。  ここで、今回の骨太方針において具体的にどのように示されているのか、確認させてください。 ◎地域保健・医療連携担当課長 国の骨太方針2019において、フレイル予防については、健康寿命延伸プランの推進、そういったところで、さまざまな予防に取り組むというふうに書いてありました。この方針の中では、口腔の健康は全身の健康につながるといったところについて国民への適切な情報提供、あと、生涯を通じた歯科健診やフレイル対策における口腔管理の重要性が示されていました。 ◆大和田伸 委員  つまり、国が、口腔を維持することがフレイル予防、ひいては健康寿命の延伸につながるとお墨つきを与えているということですね。わかりました。  それでは、目に見える形でのフレイル予防、当区において、まずは歯科健診事業になりますでしょうかね。当区では70歳で終了となってしまう歯科健診も、近隣自治体の中では複数の区が古希以上の方を健診の対象に含んでいるようであります。先ほど確認した国の方針、また近年の他自治体の状況も勘案する中で、ぜひ当区においても、生涯を通じた口の健康管理の1つとして、さらなる高齢者の方を対象とした歯科健診の実施を強く要望いたしますが、区の見解はいかがでしょうか。 ◎地域保健・医療連携担当課長 他区の実施状況等は私どもも把握しておりまして、当区もその点については研究する必要があると感じております。新たな高齢者を対象とした歯科健診の導入につきましては、導入による高齢者の健康保持や疾病予防、介護予防の効果等を分析した上で、また費用対効果の観点も含めて検討してまいりたいと考えております。 ◆大和田伸 委員  ぜひよろしくお願いします。  最後に、いよいよ大詰めを迎える基本構想の5つの目標に沿って、これまで質疑で触れていない分野、その中でも、これからの区政を展望する意味で、個別施策についても伺ってまいります。  初めに、「災害に強く安全・安心に暮らせるまち」について。ここでは私たち会派も率先して区長に要望書を提出させていただいた事案について取り上げます。  昨年6月に発生いたしました大阪府北部地震によるブロック塀の倒壊に伴い、当区において昨年11月から実施されました危険ブロック塀等対策事業の件であります。同様の助成制度は特別区においてもほぼ一斉に実施をされたわけですが、おのおのの自治体によって、その対象の範囲だったり助成額であったり、大きな差があるようなことも聞いています。  そこで、まずは当区の当該助成制度の特徴を確認させてください。 ◎耐震・不燃化担当課長 まず、当区の助成制度の対象範囲でございますけれども、通学路、それから避難路の沿道を対象としまして重点的に取り組んでいるところでございます。また、助成額につきましては、除却費用につきましては全額、設置費用につきましては、50万円を限度として、設置費用の半分を助成することとしております。  他区の状況でございますけれども、現在22区で助成制度を設けております。助成範囲につきましては、多くの区が区内全ての道路を対象としております。  また、助成額につきましては、1メートル当たりの単価などから想定しますと、多くの区では、除却については10万から20万円程度、設置費用につきましては、助成のない区も8区ございますが、そのほか助成のある区でも15万円から30万円程度といったところでございます。御指摘のとおり、各区いろいろな状況でございます。 ◆大和田伸 委員  今御答弁いただきました。一言で言えば、当区は、守備範囲は狭いんですけれども、その分手厚い。逆を言えば、手厚くしているがゆえに対象範囲が非常に限られているというふうなことであります。  そこで、資料の303を見ますと、うちの区の話ですけれども、対象の危険ブロック塀が127件のうち、助成額が手厚いにもかかわらず、実際に助成を受けた方というのはわずか14件、率にしますと2割弱ということであります。もちろん年度途中からの事業だとしても、それを加味した上で、設定した目標の半分にも至っていないということ。ここで所管課からこの事業の総括をお伺いしておきます。 ◎耐震・不燃化担当課長 この助成制度につきましては、広報紙とか区の公式ホームページ等を通じました周知初め、各種イベントや定期的な無料相談会、そのほか木造密集地域や危険ブロック塀等の所有者等へのポスティングなど、制度の周知に努めてまいりました。その結果、多数の助成の相談がございましたけれども、最終的に助成を受けて塀の改修まで行った方が14件と、想定より少なかったということを感じております。今後は、さらに戸別訪問等により制度の周知を図り、塀の改修を進めてまいりたいと思います。 ◆大和田伸 委員  戸別訪問を含めて周知をしていくというふうなことで、確かに攻めの姿勢で行っていくというふうなことは、ぜひそのようにしていただきたいですし、努めていただきたいと思います。  ただ、私がこの資料請求で注目する別の視点は、今も一部答弁にありましたけれども、対象には含まれていない、つまり、通学路や避難路には面していないけれども、同じく安全面で課題のある塀などの所有者からの相談も一定数存在するということ。先ほど当区の同助成制度の特徴は、繰り返し申し上げますけれども、狭く深くということを確認いたしましたが、これだけでは私、お子さんの皆さんを含む区民の安心・安全を守るには不十分であるというふうに危惧をするものなんです。  そこで、いかがでしょうか、現行、通学路、避難路に限定をされている対象範囲をこの際拡大する。仮にそこで財政の均等性の担保が必要になるのであれば、助成の深い部分を少し浅くする。つまり、助成制度が呼び水となって、自発的に危険ブロック塀等の所有者が改善に向けて動き出す一助になるような、つまり背中を押すような、そういった実効性のある制度設計を、この際積極的に検討するべきだというふうに私は思いますけれども、区の御所見はいかがでしょう。 ◎まちづくり担当部長 危険ブロック塀の改修に対する助成制度につきまして、広く浅くと考えるべきではないかというふうに御提案をいただいたものと存じます。現在の助成制度につきましては、今年度末で期限を迎えるといったことでありますけれども、危険ブロック塀の改修はまだ道半ばといったところでございます。御指摘のとおり、現在の制度では対象外となってしまうような御相談も多くいただいているといったことや、国や都からも、ブロック塀対策については引き続き講じてもらいたいといった要請もあることなどから、来年度以降の取り扱いについては、今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆大和田伸 委員  ぜひよろしくお願いいたします。  続いて視点の2つ目、「暮らしやすく快適で魅力あるまち」に関連してお伺いをいたします。ここでは、当該年度に「制定」の2文字を区長みずからが発信された公契約条例について伺います。  まずは、公契約条例の制定について、現在の進捗状況、そして事業者団体を初めとして関係者から幅広く意見を聞く中で出されている主な意見と、また区の対応方針を確認させていただきます。 ◎経理課長 公契約条例の検討状況でございますけれども、内部検討における課題の洗い出しを経まして、事業者、労働組合、そういった区内の団体の方からの丁寧な意見聴取に努めてまいったところでございまして、あわせて学識経験者からの意見聴取も行って、意見の聴取については最終段階を迎えつつあるかなといったところでございます。  出されている主な意見でございますけれども、事業者団体からは、提出書類についてはできるだけ簡素化をしてほしいということ、また、区内業者優先という原則について恒久化ができないかというような御意見を頂戴しているところでございます。  また、組合のほうからは、実効性を高めるための方策、それから働き方改革、そのあたりのバランスをとりながらしっかり、単なる理念型の条例にとどまらない形での条例制定をお願いしたいというようなことでの御意見をいただいているところでございます。  それに対しまして、区の対応方針でございますけれども、提出書類につきましては、実効性を担保しつつも、最大限御負担は避けていかなきゃいけないということで対応していきたいというふうに思っておりますし、また区内業者優先原則につきましては、条例の施行に向けまして、これは当然競争性を適切に担保するということが大前提にはなりますけれども、区内業者優先については、しっかりと条例施行に向けて対応していくということでお話をしているところでございます。そういったことで、組合のほうの理念型条例にとどまらないという内容で、できるだけ実効性を確保するということで条例制定に向けてまた検討を進めていきたいというふうに思ってございます。 ◆大和田伸 委員  つまり、ただいまの答弁、事業者団体からは、1つには提出書類の簡素化をしてほしい、それに対して区は、実効性が損なわれない程度に最大限対応する。2つ目には、区内業者優先原則の恒久化というふうな御意見に対しては、条例制定時にしっかりと対応していくということで、区とすると、事業者団体側の要望に十分に応えることができている、そのような認識でよろしいのかどうか。 ◎経理課長 この点、新たな作業負担が生じることに対しての懸念というのは強く出されております。これについて、組合側のほうとも十分協議をしながら、事業者を含めて、このことに関係する当事者の皆さんがしっかり同じスタートラインに立てるようにということで、最後までしっかり御意見を聞いていく姿勢を貫いていきたいというふうに考えてございます。 ◆大和田伸 委員  その点については、ぜひともよろしくお願いいたします。  公契約の最後に、今後のスケジュールについて、同条例に関する他区の状況とあわせてお示しください。 ◎経理課長 まず、他区の状況でございますが、この6月に新宿区のほうで公契約条例を制定されまして、まさに本日、10月1日から施行ということになってございます。その他、当区含めまして6区で何らかの条例に向けた検討が行われていると聞いてございまして、合計で13区、半数超が条例の制定に向けた何らかの検討を始めているところでございます。  当区の今後の条例制定に向けたスケジュールでございますけれども、関係者の方からの意見聴取、最終段階に入っております。それを経まして、12月の議会でパブコメ内容についての御説明、そしてパブコメを年内に実施いたしまして、来年の第1回定例会に条例案を提出させていただく、そういうスケジュール感、条例の施行については令和3年度の契約から適用させるというようなことで、条例の内容について今詰めているところでございます。 ◆大和田伸 委員  それでは最後に、これも同じく喫緊の課題であり、区民福祉の向上にも大きくかかわる施設再編整備計画について伺ってまいります。  いわゆる新財政健全化等を確保するための5大ルールにも、毎年度40億円を積み増すことが明記された同施策ですが、まずは平成30年度における取り組みと成果について総括的にお伺いいたします。また、施設再編の取り組み以外でも、30年度において目立った施設整備の取り組みがありましたら、あわせてお伺いいたします。 ◎施設再編・整備担当課長 30年度につきましては、28年度に改定いたしました施設再編整備計画第一次実施プランに基づきまして、区有地や国有地を活用いたしました保育所でありますとか、あるいは特別養護老人ホームなどの整備を初めといたしまして、旧永福南小学校の跡地を活用いたしました永福体育館の移転開設、さらに子ども・子育てプラザを新たに2カ所開設するなど、取り組みが着実に推進された1年でございました。こうした取り組みによりまして保育の待機児童ゼロの達成につながったほか、施設の転用によりまして以前の施設よりも利用者の増加が図られるなど、施設の有効活用を図りつつも、区民のニーズに的確に対応することができたものと認識しているところでございます。  また、施設再編以外での主な施設整備の取り組みといたしましては、桃井第二小学校並びに高円寺学園の建設工事が着実に進められたことが上げられるかと思います。桃二小につきましてはことし4月、高円寺学園については、中学校について先月より新校舎での運営がスタートしたところでございます。 ◆大和田伸 委員  後段の部分、取り組みとしては学校関係、具体的には桃二小あるいは高円寺学園がウエートを占めたというふうに私も思います。その中で、高円寺学園について数点伺ってまいります。  新校舎を先日視察させていただきました。最新設備の数々、今の時代に学校を建設するとこのようなものになるのかと、ハード面においてはとにかく圧倒されました。高円寺地域の学校適正配置をめぐっては、私の前任である河野議員も熱心に取り組まれており、私もその後を引き継ぐ形で、初当選以来、今日に至るまでかかわらせていただきました。ゆえに、新校がいろいろな方のいろいろな思いを背負っていること、そして、正直、一部にいまだ複雑な思いを抱いている学校関係者がいることも理解をしております。  しかし、それらの方々は、その思い以上に未来を見据え、まさにこの新校がパイロット校として、高円寺の、そして杉並の教育を引っ張っていくんだという夢と決意を選択し、前に進んだという経緯があります。私は、絶対にこれら皆さんの思いを裏切ることなく、自分たちの選択は決して間違っていなかった、全ての学校関係者の皆さんにそのように思っていただきたい。ここで区教委の思いをお聞きいたします。 ◎教育長 いよいよ来年の4月には、区内2番目となります施設一体型の小中一貫教育校、杉並区立高円寺学園を開設する運びとなりました。考えますと、10年以上前になります。杉並第八小学校が全学年単学級になった。これは平成19、20、このあたりからです。そこで、これをどうしたらいいかということで、学校関係者、また保護者、地域の方々と議論を始めました。  これは言うまでもないことでありますけれども、学校というところは地域の発展とともに育っていく。また学校そのもの、子供のためだけではなくて、地域に住まう、地域に生きる方々の大切なよりどころでもある。そう考えますと、その学校がなくなるということを思えば、さまざまな考えが錯綜することは容易に想像がつきます。特に杉四小、杉八小におきましては、この学校への思いが大変強いものがありまして、統廃合をこのまま続けることについて、これでいいのかという疑義を発する方もおられました。当然のことというふうに受けとめております。  しかしながら、子供が減っていくということ、そして学校がこのまま存続できるだろうか、こういったことについて、いつまでも手をこまねいているわけにはまいりません。この後どのようにしていったらいいかということについて話し合って、そして道を見つけて方向性を明らかにしていく必要もございます。その危機感あるいは不安感も同様にございました。そういうことから、高円寺につきましては、隣にあります高円寺中も同じような課題を抱えているということから、杉四小、杉八小、そして高円寺中も含めて、今後この地域の学校をどのようにしていったらいいのかということについて協議を開始いたしました。  委員の御指摘のように、多くの方々から御意見をいただき、その成果を踏まえまして、子供たちにとってより望ましい教育環境を提供していきたい、ついては杉四小と杉八小と高円寺中学を一体化して、校舎一体型の小中一貫教育校をつくりたい、そんな話も生まれてまいりました。そして、平成25年に新しい学校づくり計画という形で策定をいたしたところでございます。  その後、地域の方々と一緒になりまして、高円寺地域における新しい学校づくり懇談会を設置してさまざまな御意見を伺う中で、校舎のあり方、あるいは教室の配置、あるいは教育目標、教育活動の内容等について議論を重ねていく中で、やっとまとまりまして、先般、7月に新校舎が無事竣工し、来る10月21日には落成式を行うことができるという運びになりました。この間の地域の方々、多くの関係者からいただいた御理解と御支援に改めて厚く感謝を申し上げたいと存じます。  教育委員会といたしましては、これまで3校が取り組んできましたさまざまな実績がございます。こうしたものを踏まえ、小中9年間の継続性、一体性を踏まえた新たな学校、こういった期待のもとに、高円寺学園、地域の方々は「学び舎高円寺」と呼んでおります。まさに自分たちの住まう地域の学びや、そして大事な施設としての高円寺学園。御指摘のとおり、これからの教育を担い、未来を見通して、高円寺だけではなくて杉並区の教育、さらに広い未来の教育を目指して一体となって支援をしてまいりたい、そのように決意をしております。今後とも変わらぬ御理解と御支援を賜りたく、改めてお願いを申し上げます。 ◆大和田伸 委員  今教育長から、この間の経過も含め、御丁寧に御説明をいただきました。今の御答弁、私自身も本当に強く賛同もさせていただきますし、そういった中で、私自身も関係する議員としてしっかりとできること、協力をさせていただきたい、このように改めて思った次第でございます。  そういった中で、ここで要望として上げたいのは、1つ目には、積極的に地域に開放していただきたい、こういった視点に加え、安全面の話であります。既に学校を見学された学校関係者の中からは、区に対し幾つかの安全対策の要望が示されている、こういった話も聞いております。正式に開校する来春までに、安全・安心の視点からまだ改善の余地がある部分については、手間と時間を惜しまず、ぜひとも安全対策を講じていただくことを、ここで強く要望するものであります。これは、所管課の不退転の決意、そういったものに期待いたしまして、要望にとどめておきますので、ぜひ学校整備課と、あと営繕になるかな、政経部長も含めて、ぜひともよろしくお願いをいたします。  さて、高円寺学園に関連してもう一つ、杉八小学校の跡地活用についてもお伺いをしておきます。  杉八小の跡地活用については、この間、区では地域の声を丁寧に聞きながら、第二次実施プランにおいて基本的な考え方や活用方法を定められました。地域コミュニティーの核となる施設づくりを目指すとしており、私も大いに期待するところであります。  さて、その杉八小は来年3月をもって87年の歴史に幕を閉じることになります。しかし、校舎等が解体されるまでに若干の時間的な猶予があり、私自身、前回の予算特別委員会の場におきまして、学校機能が移ってから解体工事までの間、防災拠点や地域活動の場所の確保等の視点から暫定的に活用したいという地域の声をお伝えし、あわせて、ぜひこの声に寄り添っていただく旨、要望させていただきましたが、その後の進捗状況についてはいかがでしょうか。 ◎施設再編・整備担当課長 杉八小の跡地の暫定活用のことにつきましては、前回の予算特別委員会での委員からの御要望を受けまして、この間検討させていただきました。その結果、来年度1年間、防災拠点や地域活動の場などとして暫定的に跡地を活用するという方向で、一定の見通しが立ったところでございます。今後は、詳細を詰めますとともに、年内にその後の本格活用も含めた跡地の整備方針を策定する予定でございまして、その中で暫定活用についても定めてまいりたいというふうに考えております。 ◆大和田伸 委員  これも地域の声に寄り添っていただき、感謝を申し上げる次第でございます。  学校施設の活用は、住宅地が中心の杉並区におきましては、行政ニーズに応えるポテンシャルだけではなくて、いわゆる稼ぐ視点としても大いに可能性を秘めています。そして、言うまでもなく、学校は災害時の避難所としても重要な役割を果たしてきた施設であるとともに、地域コミュニティーの拠点でもあります。それゆえに、跡地の活用に当たっては、杉八小のように地域の声をしっかりとお聞きいただき、コミュニケーションをとりながら丁寧に進め、そして新たな活用のデザインを地域とともに描いていくこと、これがまさに重要と考えるものであります。これまでも、区ではこうした点に留意をし、検討あるいは整備を進めてきたことと思いますが、これまでの学校跡地の活用に向けた取り組みの総括と、また今後の展望について最後に区の御所見をお伺いし、質問を終えます。 ◎区長 住宅都市である杉並区は、大規模な用地を確保するということが非常に困難な地域でございます。そういう中で最大規模の公共施設となると、学校施設ということがまずありまして、その学校施設をどう有効に活用していくかということは、区民福祉の向上を図る上で大変重要な課題だというふうに思っております。  こういった認識のもとに、これまで暫定活用を含めて小学校5校、永福南、新泉、若杉、そして杉四、杉八、この5つの跡地活用について、基本的な考え方や活用方法を定めまして取り組みを進めてきたということでございます。  また、杉四小の跡地活用では、経費の縮減や歳入確保の観点から、民間活力の導入を図るために、今年度、サウンディング型市場調査を実施いたしまして、民間事業者からのアイデアや参入の可能性についても確認を行ってきたところでございます。
     こうした学校跡地の活用策を進めるに当たりましては、取り組みの必要性や考え方などを地域にわかりやすく説明をしていくとともに、地域の声を丁寧に聞き取りながら進めていくということが極めて重要なことだろうと思っておりまして、今後もそういった点に留意して取り組みを進めていかなければならないと思います。  そういう中でも、委員からお話がございました杉八小の跡地活用につきましては、地域の町会関係者やPTA、学校支援本部などの学校関係者などから構成をされました杉八小跡地とその周辺のまちづくりを考える会には、地元での懇談会やアンケートの開催を通じて意見を集約しながら、将来を見据えた建設的な御要望を、これまで数度にわたり区に提出していただきました。双方で活発な意見交換を行いながら、活用案をともにつくり上げていったという点で、今後のロールモデルとでも言うべきすばらしい事例であると捉えております。この間、区と地域とのパイプ役として御尽力をされてきた大和田委員にも心から感謝申し上げたいと思います。  今後も、地域の皆様と強固なタッグを組みながら、地域のさらなる発展に最大限寄与する跡地活用を推進してまいりたいと考えております。 ◆大和田伸 委員  御答弁ありがとうございました。また、名前も出していただき恐縮でしたけれども、ただ、私がここまで間に入らせていただくことができたのは、何といっても所管課、政経部もそうですし、また施設再編の部門もそうですし、本当に地域の声に丁寧に寄り添っていただいたからこそであります。今御答弁の一部で触れていただきましたが、地元側として区に積極的に要望書等を提出させていただいたのも、まさにこれは区の所管課が本当に膝を突き合わせて地域に寄り添っていただいたからこそであります。先ほど申し上げましたけれども、今回の高円寺学園の取り組みには、正直、一部にはいろいろな声もありました。しかし、申し上げましたとおり、その方々の思いというものが一直線に今後の未来の高円寺に向いたのは、まさに所管課が頑張ってくれたからだというふうに、私も地域の議員として心から感謝を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございます。  そういった中で、まさにおっしゃいましたが、杉八小学校のこの取り組みがこれからの杉並区の施設再編の1つのモデルケースとなるよう、私もしっかりと見守りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上です。 ○山本ひろ子 委員長  大泉委員、質問項目をお知らせください。 ◆大泉やすまさ 委員  総合計画について、区の事業を総括的に質問させていただきます。使います資料は、決算書、区政経営報告書、あと、平成29年に行われた総合計画等の改定に向けた区民アンケートの集計結果を使います。  平成30年度の区政運営上の最も大きなトピックといえば、やはり総合計画を初めとする主要計画の改定であろうと思います。今ほどの大和田委員の質問にもありましたけれども、重複しないように、計画行政の背骨とも言える総合計画の進捗、また成果等を通して、当年度の決算について総括的に質問をしてまいります。  平成30年度予算は、その編成時から主要6計画の改定が織り込まれ、区政経営計画書にも明記されたとおり、総合計画の第3段階、ジャンプに向けて大きく飛躍していくためのステップ最後の年として、各取り組みに要する経費を確実に反映したとしてスタートを切りました。そして、決算というゴールに至っては、総合計画の進捗状況は、到達度7割以上の達成が8割超という状況であること、また着実に進行しているとの見解も先ほどの答弁にございました。  そこで、私からまず伺いますのは、当該年度がステップ最終年としての役割を十分に果たせたかどうかという点、主な成果とともに、改めて区の認識を伺います。 ◎企画課長 先ほど他の委員の御質問にもお答えをしてございますが、まず、計画の改定というものをしっかり30年度は行ってまいりました。その中で、これまでの取り組みを踏まえて、指標の見直し、また取り組みの内容の見直しを行ってございます。特に、上方修正をするというものが12項目あるということで、より高みを目指すというふうな取り組みも行ったところでございます。  また、計画に関しましては、第2段階のステップの最終年度でございますので、そうした取り組みの中で、施設の整備でありますとか、保育の施設整備、また高齢者の特養の整備、こうしたものも進めて、最終年度にしっかり目標が達成できる見込みが立っている、また待機児童ゼロの継続ができた、また学校の改築等の着実な推進、そうしたものも図れましたし、体育施設の大規模改修なども行うことができました。こうしたさまざまな取り組み等に加えて、安心・安全やさまざまな取り組み、こうしたものも着実に推進できたのかなというふうに考えてございます。 ◆大泉やすまさ 委員  ジャンプに向けて、しっかりとその役割を果たした1年だったというような御答弁だというふうに受けとめさせていただきます。  区政経営報告書の151ページ、総合計画の目標別施策の進捗状況から、この一覧表に沿って以降伺ってまいりますけれども、まずは目標の1、施策の1番、「災害に強い防災まちづくり」では、前年決算額から2億7,000万円ほどの減となっており、また施策1を構成する主な事業を見ますと、区政経営報告書の456ページ、耐震改修促進、こちらの執行率が68.3%、また不用額が約2億8,000万円余、そして、同じく区政経営報告書の448ページに防災まちづくりの事業がございますけれども、こちらも執行率が77.9%で不用額が6,200万円余と、ちょっと執行率が低いなというふうに考えているところなんですけれども、ここで確認をいたしますが、このあたりが施策1全体の決算額を押し下げた要因という理解でいいかどうか。また、その増減の構成について、主なものをお知らせください。 ◎耐震・不燃化担当課長 まず、施策1の今年度の決算額が前年度の決算額から2億7,000万円ほど減になっているというお話がございましたけれども、こちらは、29年度、ことし開園いたしました馬橋ほんむら公園の用地取得費が計上されていた関係がございまして例年より多くなってございました。平成30年度は、その用地取得費の分、決算額が減っておりますけれども、事業規模としましては、ほぼ例年並みとなってございます。  その上ででございますけれども、決算額が予算額より下がっている大きな理由といたしましては、ただいま委員御指摘のとおり、耐震改修促進事業の執行率や防災まちづくり事業の執行率が影響してございます。  増減の主な構成でございますけれども、耐震改修促進事業では、耐震改修助成申請の減により約2億2,000万円、耐震診断助成申請の減により約2,400万円、また防災まちづくり事業では、老朽建築物除却や建てかえ助成等の減が約5,000万円となってございます。 ◆大泉やすまさ 委員  いろいろないわゆる耐震診断系、そういったものが思ったより伸びていかなかったというようなことかと思いますけれども、その一方で、計画改定を前に平成29年11月に実施した区民アンケート、以下アンケートと言いますけれども、今お話しさせていただいている目標1の中で、区が特に力を入れるべきと区民が考える設問、これの1位というのがまさに建築物の耐震化、不燃化というふうになっております。もちろん、区においても、そういった結果を踏まえて今回30年度予算を組んで、十分な予算を計上した上で、ことし3月にはさらに杉並区住宅耐震化緊急促進アクションプログラムでは、一部の新耐震基準の建物まで助成対象を広げると。非常に画期的な取り組みだなというふうに受けとめておりますけれども、そういった区の意欲は非常に評価をするものであるんですが、現状住んでいる建物の改修という部分では、非常にそのハードルの高さということがありまして、区のほうで組んだ予算と、意欲に対しての成果や執行率が追いついてこない。非常にもどかしい状況ではないかなというふうに受けとめるところでございます。  片や、方南1丁目地区等での目覚ましい成果なども見受けられますけれども、こういった点も含め、この目標1に対して、「災害に強く安全・安心に暮らせるまちづくり」、これについての区の総括的な評価、また今後、第3段階としてどのようにこれを加速させていくのか、その意欲も含めてお示しください。 ◎まちづくり担当部長 災害に強い安全・安心なまちづくりを進めていくためには、個々の建築物の不燃化や耐震化の促進というのは非常に重要な課題として捉えてございまして、この間、取り組みを進めてきたところでございます。御指摘のとおり、区民の方が現在お住まいの住居に関することであるということと、改修なり除却なりには多額の資金が必要となるといったことから、区の計画どおりなかなか進まないところがございますが、一方、地震被害シミュレーションの活用によりまして、地震による被害を自分事として捉えていただくことなどに加えまして、今後も、戸別訪問の強化や各種イベントでの周知などを踏まえまして、制度の周知を図ることを粘り強く行うことによりまして、区内の建築物の不燃化、耐震化の促進に向けて取り組みを強化してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆大泉やすまさ 委員  先ほどの委員では、狭く厚くなのか、広く薄くなのかという話もありましたけれども、そういったことも含めてしっかりと強化を進めていただくということで、このあたりの施策の進展が区民の安心感につながっていくのかなというふうに思いますので、しっかりよろしくお願いいたします。  次に、目標の2、「暮らしやすく快適で魅力あるまち」につきましては、決算額が前年と比べて大きく動いたものに、施策の7番、「地域の特性を活かし将来を見据えた産業の振興」が上げられます。額としては約14億円余の増となりますけれども、その主な要因を確認します。 ◎事業担当課長 これにつきましては、農福連携事業のための井草3丁目の用地取得費13億3,960万円余によるものが大きな要因となるかと存じます。 ◆大泉やすまさ 委員  まさに今御答弁いただいたとおり、都市農地の確保として、区がそれまで無償で借り受けていた井草区民農園の用地を取得したものということでございます。その活用方法として着手した農福連携農園の取り組み、都内でも非常に画期的な事業だというふうに受けとめておりまして、都市緑地の保全と同時に、農業と福祉の連携を通じての障害者等の生きがいづくり、また健康増進に寄与し得るものとして、この新しい試みへのチャレンジを評価するものであります。  ここで注目するのは、異なる所管が連携することで、単なる足し算ではなくて掛け算の効果が生まれるという点であります。こういった柔軟な所管連携の発想は、行政需要が今後ますます多様化していくほどに、その必要性も増していくものと考えるところから、今後もぜひこういった視点を果敢に用いていただくように求めるものですけれども、まずは、このたびの所管連携に当たりまして工夫をされた点、またその手応えがどうか、あわせて農福連携農園の現在の進捗状況も確認させてください。 ◎事業担当課長 委員おっしゃるとおり、減少する貴重な都市農地を自治体が取得、保全をし農福連携に取り組む、そういうような例というのは本当に画期的なもので、国や都からも注目されているところでございます。  所管連携ですけれども、農福連携事業の基本計画の策定に当たりまして、障害者等の福祉部門はもちろんのこと、企画、営繕、みどり公園など幅広い関係部課から成る検討会を立ち上げまして、多様な視点で検討を進めることで事業目的を明確化させ、利用者本位の計画とするとともに、計画の策定後も連携をして事業を発展させていくことができるように努めたところでございます。この8月には、障害者関係課とともに、障害者施設の利用者や関係者の方などに御参加いただき、農園の見学会、収穫体験等を実施するなど、連携の継続によって事業を着実に進めることができていると感じております。  農園の現在の進捗状況でございますけれども、秋まきの作物を試験的に一部また作付を行いまして、今月からは、区民ボランティアの活動、また体験農園の利用が始まり、11月にはその作物を福祉施設等にお届けできる予定でございます。  また、管理棟の基本設計なども営繕部門と連携を進めており、引き続き庁内連携をしっかりと図りながら、令和3年4月予定の全面開園に向け、事業を発展充実させてまいりたいと存じます。 ◆大泉やすまさ 委員  私も収穫体験に伺いまして、大変おいしいトウモロコシと枝豆、ありがとうございました。ぜひともここを区民への周知も含めて活用していっていただきたいということと、また、多彩な所管連携には非常に手応えを感じられているということでございます。こういったものをますます発展させていって、さらなる区民のさまざまな多様化する要望にもその対応幅を広げていっていただきたいなというふうに思うところでございます。  また、総合計画の目標2についてもう1点、先ほどの区民アンケート、区が特に力を入れるべきと思うものの1位が狭隘道路の拡幅整備でありました。区政経営報告書464ページの狭あい道路拡幅整備を見ますと、予算現額が前年比13%強の増額で始まりまして、支出済額でも前年比7%の増、それだけしっかりと取り組んでいただいているなというふうな形、さらには、先ほど答弁にもありました地震被害シミュレーション結果において被害が大きいと想定された地域を新たに整備地区として追加するなど、取り組みを拡大かつ着実に進めていただいているというふうに感じるところであります。  そこで伺いますけれども、新たに追加した地域での整備率に向上が見られたかどうか、確認いたします。 ◎土木管理課長 地域での整備率につきましては、集計をしてございませんけれども、30年度に指定しました新たな整備地区での実績につきましては、16件の問い合わせがございまして、そのうち5件が整備拡幅に至っているという状況でございます。今後は、さらなる周知に努めまして、整備の向上に努めてまいりたいと考えてございます。 ◆大泉やすまさ 委員  16件ということで、地震被害シミュレーションを区が行ったことによって非常に関心が高まっているのかなと、その結果だというふうに考えております。  また、事業としての不用額が7,800万円余。前年の不用額はちなみに1,200万円余だったんですけれども、この予算の不用額、もう一歩この施策というのは進める余地があったのかなというふうに残念に思う部分もあるんですけれども、この点についての区の受けとめ、あと今後のさらなる工夫、何かお考えがあるかどうか、お聞かせください。 ◎土木管理課長 確かに、整備としましては進めたいというふうに考えてございましたけれども、建てかえの件数が減少傾向ということであったために、結果として不用額が生じてしまいました。  今後の工夫としましては、これまでの取り組みに加えまして、実態調査などを計画的に実施した上で、順次対象者を戸別訪問し、積極的に区民の協力を求め、さらなる拡幅整備を促してまいりたいと考えてございます。 ◆大泉やすまさ 委員  ぜひよろしくお願いいたします。  この目標2では、そのほかにも商店街の活性化支援や中小企業支援についても注力を望む回答も多くありましたけれども、この点も含めまして、目標2についての総括的な評価をお願いいたします。 ◎産業振興センター所長 商店街の活性化や中小企業の支援につきましては、しっかりと取り組まなければいけないと考えてございます。  商店街の活性化事業では、30年度から、商店街が地域の団体の皆様と活性化に取り組む地域連携型の商店街支援をしておりますし、イベントなど商店街チャレンジ戦略支援事業を初め、装飾灯のLED化、防犯カメラの設置など、着実に商店街の支援を進めてまいりました。  一方、中小企業の支援につきましては、商工相談や資金融資の限度額の引き上げなどをいたしまして、金融機関からの貸し付けがふえてございます。先端技術の導入を図るために、導入促進計画を策定して中小企業が国の支援を受けることができるようにするなど、さまざまな変化に応じた支援ができたものと考えてございます。  昨年改定いたしました産業振興計画のもと、さまざまな課題はございますが、今後とも商店街や中小企業に寄り添った支援を行ってまいりたいと存じます。 ◆大泉やすまさ 委員  よろしくお願いいたします。  次に、目標3に移ります。「みどり豊かな環境にやさしいまち」、こちらでは施策の8番で「水とみどりのネットワークの形成」、これは、区政経営報告書の464ページ、水辺環境の整備というところで、執行率が17%というところがございました。これはどういった理由なのか、教えてください。 ◎土木管理課長 こちらにつきましては、水辺の環境整備の部分でございまして、善福寺川の河川管理用通路の補修工事を予定してございました。この工事が不調ということになってしまいまして、年度内に執行ができなくなったための低さということでございます。 ◆大泉やすまさ 委員  わかりました。引き続きまたこれはよろしくお願いいたしたいと思います。  同じく施策の8番なんですけれども、当年度に杉並区多世代が利用できる公園づくり基本方針が策定されました。詳細は該当する款に譲りますけれども、内容を大まかに言いますと、一定地域を単位とした公園機能の見直し、また施設の長寿命化と公園施設の再配置によって区民ニーズに応えていくということでございます。その進め方としては、区民との対話、また地域におけるワークショップの手法なども取り入れながら、地域の偏りに配慮しつつ、効果の高い公園区から順次改修を進めるというふうにあります。こちらは全区的な見直しになるということなので、期間や費用も大がかりになるものと考えますけれども、そのスケジュール感、どのようにお考えですか。 ◎土木管理課長 一定の規模を持った多機能を備えている公園を核となる公園というふうに決めてございまして、これを32ほどつくってございます。その32の公園区で順次進めていくということになるんですけれども、1つの公園区につきましては、まず1年をかけて区民との話し合い、ワークショップなどをし、設計をするという考えを持ってございます。また、その後1年で整備をするということで、1つの公園区について2年かけていくような考えを持ってございます。工事をしている間、次の公園区がありますので、そちらについて区民との話し合いでどういうふうにしていくかということを入れていくというふうな形で進める予定でございます。 ◆大泉やすまさ 委員  本当に長期的な施策というようなことになろうかと思うんですけれども、その間にも、環境の変化、時代の変化、こういったものもしっかり柔軟に取り入れて進めていただければなというふうに思います。  また、その費用に関してなんですけれども、縮減を図るためにこそ長寿命化と再配置を行うということなんですけれども、例えば事例を挙げますと、西東京市の取り組みで、一定の地域にある大小53カ所の公園を一括して指定管理の対象としまして、その指定管理業者がそこで自主事業もできるということで、施設の維持管理経費自体を縮減させながらも、さらに質を高めて市民満足につなげていく、そういった事例もございます。また、たびたび繰り返しになりますし、先ほど区長の御答弁にもありましたけれども、いわゆるサウンディングだとか、そういった民間事業者との対話も含めて、行革の観点からも経費低減策というのはいろいろ考えられる部分はあろうかと思いますので、こういったことも含めて、基本方針を策定したとはいえ、またさまざま新しい手法だとか、そういった可能性を排除せずに、区民に喜ばれる公園づくり、区民が利用したくなる公園づくり、そういった視点を持って取り組んでいただきたいと思いますけれども、この点、区の見解を伺います。 ◎土木管理課長 多様な世代が安全・安心に利用できる公園づくりを目指しているという中におきましては、区民の方々が利用してみたい公園という視点は大切だと思いますので、そういう視点については十分配慮してまいりたいというふうに考えてございます。  また、Park−PFIにつきましては、ある程度の規模を持った公園というところが前提かというふうに考えてございますので、こちらにつきましては、他区の事例だったり今後の動向などを注視して研究してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆大泉やすまさ 委員  大変期待したいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。  そして、改めて目標3の総括としまして、持続可能な環境にやさしい住宅都市づくり、またごみの減量と資源化の推進等も含め、おおむね順調な進捗というふうに受けとめてよいのか、本目標に対する区の評価を確認しておきます。 ◎環境部長 今、緑に関する答弁がございましたので、主に環境分野についてお答えさせていただきます。  二酸化炭素の排出量ですとかごみの排出量の削減につきましては、今や世界的な課題となっており、区民の関心も高まっております。ただ、30年度の数値目標に照らし合わせますと、二酸化炭素の排出量につきましては目標を達成しておりますが、逆に、数値の上方修正をしておりました区民1人当たりが排出するごみの排出量や、国の制度変更などに伴う太陽光発電の発電量、また新聞購読量が極端に減っていることに伴いまして、古紙が減ったことによります資源の回収率などは、目標を達成することができませんでした。また、環境に配慮する取り組みを行っている区民の割合というものも、これは国の世論調査と傾向は一緒なんですけれども、若干下がっているような状況になっております。  そうした観点から見ますと、30年度の目標に照らし合わせますと、かなり厳しい状況であったと認識してございます。ただ、「みどり豊かな環境にやさしいまち」のためには、区民の環境等に対する意識、関心を高めるだけではなくて、具体的な行動変容につなげていくことが必要であると考えておりますので、今後新たな事業を行うに当たりましては、個別の事業にもう少し意図を明確にして区民への気づきが与えられるよう、また数値の低いものにつきましては、新たな取り組みとともに、国や東京都あるいは企業等で実施しております同種の取り組みなどもPRしながら、最終的な目標に向けて努力していきたいと考えております。 ◆大泉やすまさ 委員  今御答弁いただいた内容、まさに中身からすれば、国連のSDGsの取り組み、こういったものにもしっかりと合致していくものだろうなというふうに思うんですけれども、素朴な疑問として、区の施策の中にSDGsの文言というのはなかなか出てこなくて、何か意図的に避けているとか、そういったことがあるわけではないんですかね。何でSDGsの名前を余りつけてないのかなというのが質問なんですけれども。 ◎企画課長 決して意図的にやっているわけではなくて、世界的な趨勢であることは確かに認識してございます。ですので、今後の計画の改定等を踏まえつつ、SDGsの取り組みについては、いかにして区民にも明示をしていくのか、こうしたところが課題かというふうに考えておりますし、検討してまいる必要があると思っております。 ◆大泉やすまさ 委員  周知が進むにつれて、皆さんの共通の目標という、わかりやすいものなのかなというふうに思ったので、伺わせていただきました。  続いて、目標の4、「健康長寿と支えあいのまち」に移りますけれども、何といっても、この年はウェルファーム杉並本格稼働が始まった。なおかつ区民アンケートからも、区民が期待しているものというのは、在宅介護、在宅療養、家族介護者の支援、こういったことになりまして、ウェルファーム杉並にかかる期待というのは非常に大きいというふうに考えております。改めて、オープンからこの間の利用状況ですとか開設による効果をどのように捉えているか、伺います。 ◎杉並福祉事務所長 ウェルファーム杉並でございますけれども、在宅医療・生活支援センターのほか、就労支援センター、くらしのサポートステーション、消費者センターなど多くの相談機関が設置されております。開設以来、縦割りではなくて連携して相談者を支援できるよう、このような体制づくりを進めてまいったところです。  その結果、困難事例の調整機関であります在宅医療・生活支援センターでは、平成30年度に87件の事例を扱って33件を解決に導くことができ、御相談者からも感謝の声を頂戴しているところです。今後とも、複合施設の利点を生かしまして、迅速かつ円滑な情報共有と支援体制づくりを進め、今まで以上に困難事例の解決支援に結びつけてまいりたいと考えております。 ◆大泉やすまさ 委員  まさにワンストップの強み、こういったものをしっかり生かしていただければなというふうに思います。  そして、目標4の中で、当年度に起こりました痛ましい事案がございます。区肺がん検診による見落とし、私たちはこれを忘れるわけにはまいりません。改めてここに亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、この間の検証委員会の答申に基づき、区の精度管理、再発防止等、信頼回復に向けて真摯に取り組む決意を、我々も思いを一にする意味で、ぜひお聞かせください。 ◎区長 大泉やすまさ委員の肺がん検診に関する御質問でございますが、私からお答え申し上げたいと思います。  昨年、区内の医療機関が実施した区肺がん検診におきまして、肺がんの疑いを見落として、当該区民の方は残念ながらお亡くなりになられました。私は直ちに原因究明と再発防止を目的といたしました肺がん検診外部検証等委員会を設置して、その最終答申を踏まえた改善策を検討し、医師会の協力のもと、本年7月16日より検診事業を再開いたしました。また、これに合わせて7月19日に、私みずから、お亡くなりになられた区民の御遺族に面会をさせていただきまして、検診事業再開の御報告と、改めておわびとお悔やみを申し上げました。  さて、令和元年度肺がん検診の主な改善点の1つ目としては、指定医療機関制度の廃止ということがございます。これまで指定した医療機関におきましては、自院で、自分のところで二重読影をしていたわけですけれども、2回目は全て医師会において実施する体制に見直したということでございます。2つ目は、実施医療機関の担当医に精度管理研修会への参加を義務化して、読影・判定技術の向上を図っていくということでございます。3つ目は、検診の結果説明を実施医療機関の担当が受診者と対面で行いまして、区民の皆様に判定結果を十分理解していただくことにいたしました。  このように、再開に当たりましては、十分な検討を通してしっかりした改善策を講じさせていただきました。今回の改善策によりまして、安心して信頼できる肺がん検診事業を実施してまいることを、お亡くなりになった方、御遺族の方、そして区民の皆様にかたくお約束をする所存でございます。 ◆大泉やすまさ 委員  この問題に関しては非常に心を痛めるところが多々あるかと思いますけれども、ただし、この間の精度管理をどういうふうに実現していくか、これは区の決意をしっかりと受けとめたところでございます。  また、目標4のまとめとしまして、これまでの指標、施策の状況を確認したところ、当該年度の実績が前年よりむしろ後退しているように見受けられるものが多々ございました。例えば障害者の移動支援事業利用者数であるとかグループホーム利用者数、こういった後退しているというふうに思われているものに対して、新年度で既にいろいろな強化策を講じているかと思うんですけれども、超高齢社会への対応ですとか、また共生社会の形成に向けた取り組みの強化、こういった視点からも、さらなる注力が必要ではないかというふうに考えるところでございます。その点の見解も含めて、目標4の進捗、成果に対する総括を確認します。 ◎保健福祉部長 目標4の総括でございますが、第1には、先ほど区長から御答弁申し上げたとおり、がん検診事業につきましては、安全・安心な事業の実施に向けて真摯に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  その上で、当該年度の成果でございますが、ウェルファーム杉並の開設と関連した各種施策の充実、健康づくりによる区民の健康寿命の延伸、さらに重度障害者通所施設の整備の促進など、障害者の地域生活を支える施策の強化などがございます。また、御指摘の高齢者分野では、特別養護老人ホームを3カ所新設するとともに、地域で安心して暮らしていくための地域包括ケアの仕組みづくりが大変重要になっておりますので、その点に注力した取り組みを推進するなど、着実に施策を進めてまいった次第でございます。  今後につきましては、人生100年時代を迎えようとする中、目標4の「健康長寿と支えあいのまち」の実現に向けて精力的に取り組んでまいりたい、このように考えてございます。 ◆大泉やすまさ 委員  決意をしっかりと受けとめさせていただきまして、ぜひともよろしくお願いいたします。  変わりまして、目標の5になります。総合計画全体の決算額の半分以上をこの目標の5、「人を育み共につながる心豊かなまち」が占めるということになりますので、ここの進捗というのが総合計画全体に対しても非常に影響が大きいのではないかなというふうに考えております。ここは先ほど、保育関連や高円寺学園、桃二小の建てかえ等も言及がございましたけれども、それ以外の部分で本目標の進捗、主な成果を教えてください。 ◎企画課長 御指摘のとおり、目標5に関しましては、32の施策のうち14、約半数が入っておりますので、非常に大きい施策体系となっております。  この中で、今ありました保育の関連、教育関係を除きましても、障害児、そうしたところもございました。こうしたところを踏まえて申し上げますと、重症心身障害児対応の放課後デイなどに関しましては、民間でございますが、2施設の整備を進めることができました。また、子育て支援というところに関しましては、保育とは別に、昨年の目黒の事件を受けた未就学児の実態把握などをもちまして、今年度の訪問事業のほうに結びつけているというふうなこともございます。また、学校関係で申し上げれば、特別支援教室の小学校全校への配置、そうしたことなども進めたところでございます。また、オリパラですとか、保育とは別に学童保育、学童クラブに関しましてもその拡充を図った、こうした取り組みがございます。 ◆大泉やすまさ 委員  非常に多岐にわたる取り組みを行っているということで理解をして、今ちょっとオリパラという言葉が出ましたけれども、この分野の中で2点だけ触れたいのがまさにそのオリパラ。  イタリアのビーチバレーボールナショナルチームが事前キャンプに杉並区を訪れていただくというふうなことなんですけれども、非常にこれは貴重な機会として、成果としてもすばらしいものと評価するんですが、いまだにイタリアチームが来ることを知らないという声が聞こえてしまうということで、このあたりの取り組み、杉並区とイタリアが非常に身近に感じられるような取り組みをもう少し打っていく必要があるんじゃないか。その点について課題認識と意気込みを教えてください。 ◎オリンピック・パラリンピック連携推進担当課長 本年5月9日にイタリアと事前キャンプの協定の締結をいたしまして、その後、区のホームページ、広報紙、それから文化・交流課で発行している「コミュかる」などで周知してきたところでございます。また、事前キャンプ決定記念イベントとか、あるいは永福体育館にイタリアとの協定の関連の展示も行ってきたところです。ただ、委員御指摘のとおり、区民全体に知れ渡っているかというと、まだ十分でないところがあるということも認識してございます。  今後ですが、つい先週の末ですけれども、永福体育館の外壁とビーチコート内にイタリアの事前キャンプに関する横断幕を設置いたしました。また、現在、身近な永福町駅と下高井戸駅に同じような横断幕を設置することで京王電鉄と話を進めているところでございます。また、11月に行われるフェスタでもイタリアフェアというコーナーを設けまして、そこでも事前キャンプについて周知する予定でございます。  今後とも、地域の商店街とか町会等も中心に、関係所管とも連携をとりながら、事前キャンプの周知については、より力を入れていきたいというふうに考えてございます。 ◆大泉やすまさ 委員  あらゆる場面でイタリア、イタリアといったことで目に触れる機会がふえれば、その分、区民にも周知が広がるのかなというふうに思います。  時間がないので、最後1点だけ。同じく施策の29でスポーツ施設の整備、これは平成30年度さまざま進展をしていただいているというふうに思っているんですけれども、特に屋外スポーツ施設について、日よけの少なさを指摘されることがたびたびございます。今、災害級の暑さなんて言われておりますので、こういった身の危険を感じるところ、差し迫るこういった暑さに対しての対策が早急に必要だと考えます。その点について区の見解を最後に伺います。 ◎スポーツ振興課長 委員御指摘のとおり、暑い日々が例年続く中、各施設においては、高温時に熱中症対策の呼びかけを行ったり、施設によってはミストファンや氷の提供を行うなどの対策をしているところでございますが、日よけにつきましても、夏場に野外スポーツが多い施設を中心に、計画的に整備に努めてまいりたいと考えております。 ◆大泉やすまさ 委員  ぜひよろしくお願いします。 ○山本ひろ子 委員長  それでは、わたなべ委員、質問項目をお知らせください。 ◆わたなべ友貴 委員  私からは、特別区たばこ税について、寄附について、収入未済、不納欠損について、電子収納についてお伺いさせていただきます。使う資料は、決算書、区政経営報告書、監査意見書、情報化アクションプランです。  先輩委員から区政全般にわたって大きなお話がありましたので、私からは個々の施策についてお伺いさせていただきます。よろしくお願いいたします。  まず、特別区たばこ税についてお伺いいたします。  たばこ税については、当初予算約26億7,900万円ということでしたが、最終的に入ってきたお金は26億6,500万と、約1,400万円のブランク、減収となりました。この差額について、まず区はどのように分析をしているのか、お伺いいたします。 ◎課税課長 まず、一般のたばこの税率と、旧3級品と呼ばれているたばこの税率、これの引き上げがございました。それで増要素があったんですが、それ以上に、私ども予想していなかったんですけれども、たばこの販売本数の減が大きかった、その影響だというふうに分析しているところでございます。 ◆わたなべ友貴 委員  たばこを吸う人自体がそもそも減ってきているというような状況があると思います。またあわせて、東京都が策定しました受動喫煙防止条例の施行やたばこ本体の価格の値上げなど、今後、たばこを取り巻く環境、吸う人の環境はより一層厳しくなっていくと考えます。今後の杉並区におけるたばこ税の増減見通しについてお伺いいたします。 ◎課税課長 たばこ税につきましては、税制改正によって、今後また数回の税率の引き上げというのがございます。ただ、今委員おっしゃったような形で、喫煙者の環境の厳しさによって、販売本数がどのように増減があるかということで、その減によっては区の税収に大きく響いてくるものというふうに考えているところでございます。 ◆わたなべ友貴 委員  たばこ税は年間26億6,000万円にも上る大きな杉並区の歳入源であります。この減収に対しては歯どめをかけなくてはいけないという認識は、私も杉並区と同様の意見であります。そのためには、私は、屋外喫煙所の整備など、たばこを吸う人が適切にたばこを吸う環境を整えることが必要だと思います。今の状況では、そこもだめ、ここもだめと吸う場所がどんどんなくなってしまって、吸う人のそれこそ真綿で首を絞めるようなやり方、これは私はフェアじゃないと思いますし、都条例はそういう条例だと思っているので、私は批判的な立場です。  加えて、私たばこを吸わないんですが、喫煙所の整備は吸わない人にとっても必要なものだと思います。煙自体が苦手な人も多く、そういった人たちがたばこの煙を浴びないで済む環境、こういったものも整えなくてはいけません。何が言いたいかというと、たばこを吸う場所を確保することは、吸う人にとっても吸わない人にとっても必要だということです。そして、そのような環境をつくることがたばこ税の減収に歯どめをかけると私は思いますが、区の見解をお聞かせください。 ◎環境課長 まず、たばこを吸える環境につきまして私のほうから。
     来年以降、改正健康増進法等の完全施行を受けまして、屋内は喫煙が厳しくなる。その結果、屋外での喫煙の増加が予想されるため、区では今般、3定補正予算におきまして議決をいただきました後には、区内において受動喫煙防止に配慮した公衆喫煙場所を整備して、分煙に努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◎課税課長 加えまして、税部門としましては、今申し上げました健全な環境の整備とともに、喫煙する方々の区内購買、これが一番大事だと思っております。ですので、関係団体の方々と今後私どものほうで協調しまして、区内での購入、この辺の周知を図っていき、そして税収の確保に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆わたなべ友貴 委員  私もいい提案ができるように……(区長「たばこ吸うのか」と呼ぶ)私、吸わないです。吸わないからこそ、吸う人の立場に立って発言をさせていただきました。  では次に、寄附についてお伺いいたします。  2017年の日本財団の調査によると、60歳以上の5人に1人が遺贈の意向を示したと言っております。単身高齢者が増加して法定相続人が減っていく社会情勢でもあり、今後区への遺贈がふえていくと私は考えております。  そこで、区民の方から区に対する、今回はとりわけ不動産についての遺贈に関する相談というものは前年度あったのかどうか、お伺いいたします。 ◎経理課長 不動産の遺贈に関するお尋ねでございます。寄附全体、不動産の寄附に関するものは年間十数件程度でございますけれども、中でも遺贈に関する御相談というのは、現状では年間一、二件程度といったところでございます。 ◆わたなべ友貴 委員  区に対する不動産の遺贈があった場合、例えば面積を理由に活用法に区が苦慮する場合や、使用目的を限定して遺贈される場合もあるかと思いますが、区の求めるものと遺贈したい側のミスマッチが生まれてくる場面があると思います。このような場面が出た場合、区としてはどのような対応をしていくお考えか、お伺いいたします。 ◎企画課長 遺贈に関しましては、手続的には、こちらは放棄というふうな手続をとる必要があります。こちらは自治法の規定に基づき議決が必要かと思います。 ◆わたなべ友貴 委員  このような区と遺贈する側のミスマッチが原因で遺贈を放棄しなくてはいけない場合が出てくることもあると思います。しかし、不動産の場合には、遺産を放棄した場合にはその場所が空き家になる可能性もありますので、可能な限り遺贈を受けることが理想だと私は考えます。  そこで、遺贈のミスマッチを回避する方策として、遺贈を希望する高齢者と生前に例えば話し合う場面を設けるなどして、可能な限り遺産を放棄しない仕組みづくりが必要だと考えますが、区の見解を伺います。 ◎企画課長 確かにおっしゃるとおりで、こちらに関しましては、まず御相談があった場合にはしっかり受けとめていくということが必要かと思います。その際に、区としてきちんと要求しているものといいましょうか、ミスマッチが生まれない程度にどのようなものが必要なのか、また遺贈の物件についての詳細をきちんと伺った上で御相談に応じていく、これがまず必要かと思います。その上で、他自治体ではそうした相談会などを設けているというような事例も聞いておりますので、そうしたところも踏まえながら、少し調査研究はしていきたいと思います。 ◆わたなべ友貴 委員  杉並区なりのいいシステムが構築されるように期待いたします。  次に、収入未済、不納欠損についてお伺いさせていただきます。  区の一般会計、特別会計を合わせました収入未済額は、平成22年度をピークに、徴収努力の結果、年々減少しています。昨年から7億5,000万円の減、9.2%の減と、私は数字上すばらしい成果だと思っております。  そこで、まず、特に大きな金額を占める特別区民税について、徴収にどのような取り組みをされてきたのか、お伺いいたします。 ◎納税課長 納税課では、特別区民税につきまして、早期に滞納が解消しやすい現年度課税に力を入れるとともに、納付センターの勧奨の案内を活用するとともに、適切な債権管理に取り組みました。 ◆わたなべ友貴 委員  しかし、一方で収入未済額全体の金額に着目すると、74億1,500万円とまだまだ多額であります。パーセンテージ自体は下がっておりますが、数字上はなお多額であるというこの状況について、監査の御意見をお聞かせください。 ◎監査委員事務局長 決算審査意見書においても、税や保険料で収納率が向上しているという記載をしているところでございますけれども、収入未済額が74億円というこの数値については、非常に大きな数値であるという認識を持ってございます。区においては、平成24年度に104億円の収入未済額がございましたけれども、この間、各主管課の徴収努力によりまして、30億円の減額がなされてきているという状況がございます。  税や保険料は、お支払いいただいている区民とそうでない区民が生じていくということは絶対回避していかないといけないという認識を持ってございます。そのためにも、引き続き実態を見定めながら、適切な収入未済対策を講じていただきたいというふうに要望しているところでございます。 ◆わたなべ友貴 委員  区の債権には、強制徴収が可能な性質のものとそうでないものがあると思います。強制徴収が可能なものに関しては、淡々と徴収のフローに乗せて手続を所管の皆様が進めているかと思いますが、強制徴収できない債権については、徴収のために区はどのような取り組みをしているのか、お聞かせください。 ◎会計課長 非強制徴収公債権や私債権の分野においては、債権の種類によっては福祉的性質を有するものがあること、それから個々の債権額が比較的少額であること、所管に滞納整理のノウハウの蓄積がないこと、さらには強制力が当然に担保されないことなどから、債権回収が滞る面が一部にありました。平成29年度に会計課と関係課が連携して債権管理の手引を作成しました。それを個々の債権に合わせて各現場でカスタマイズする取り組みを行ってきました。この手引で強調しているのは、個々の債権について管理台帳を整備し、債権の長期の塩漬け状態をつくらないということにあります。強制力が担保されない債権は財産調査にも限界があります。債権回収に苦心することが多くありますが、会計所管は、債務者との折衝を強化するなどの取り組みによって収入未済額の減少に努めております。 ◆わたなべ友貴 委員  さまざまな努力をされていることが確認できましたので、ますます取り組みを進めていただきたいと思います。  一方で、収入未済額が減少しているにもかかわらず、不納欠損額については過去5年間で最大、昨年よりも2,500万円増の16億4,500万円と多額になっています。特に大きい金額を占める特別区民税について、昨年よりも不納欠損額が増額した原因を区はどのようにお考えなのか、伺います。 ◎納税課長 特別区民税の不納欠損につきましては、昨年度に比べて時効を迎える件数が多かったこと、また執行停止に係る1件当たりの金額が大きかったことなどが原因にあると考えております。 ◆わたなべ友貴 委員  しっかり原因を分析されているということが確認できました。ありがとうございます。  収入未済も不納欠損もともに区の債権です。適切に納税をしている区民の方が大多数であり、公平性という観点からも、さまざまな手だてで回収を進めていくことがこれからも必要だと考えますが、区のこれからの回収に向けての意気込みをお伺いいたします。 ◎会計管理室長 一言申し上げたいのは、収入未済額を減らすための特効薬とか近道はないということです。例えば、強制徴収が当然に担保されてない債権につきましては、専門の債権回収業者とか弁護士、法曹関係、そういう者のノウハウの活用の拡大というものも考えられますけれども、個々の債権について、債務者へ請求や督促をしっかり行って滞納繰越分をふやさない。また日ごろから債務者の生活状況等を十分見聞きしまして、必要があれば徴収停止、そういうものを行う一方で、支払い能力がある滞納者に対する債権回収に注力していく、そういった債権管理の基本を徹底するということだと思います。  また、これまで強制徴収公債権の分野で納税課が牽引してまいりました滞納整理のノウハウ、そういうものの蓄積を、先ほども出ました非強制徴収の公債権や私債権、そういう分野でも拡大して、債権の種類によっての手詰まりというものを解消するなど、債権を扱う関係所管の連携をさらに強化して、収入未済、不納欠損額の圧縮に努めてまいりたい、そんなふうに考えてございます。 ◆わたなべ友貴 委員  所管をまたぐ協力関係というお言葉をいただきました。よろしくお願いいたします。  区民の皆様が税金を納税しやすくなるという利便性の視点から、次に電子収納サービスについて伺ってまいります。  区の情報化アクションプラン16ページにもありますように、区民の納税の利便性の向上に向けて、電子収納サービスを拡充していく方針だと思います。電子収納サービスを進めることで区民の利便性にはどのような影響を及ぼしていくとお考えか、お伺いいたします。 ◎会計課長 現在区では、モバイルレジが利用できる債権種類の拡大と、ペイジーやクレジットカード収納の導入を準備しております。導入の直接的な狙いは、委員おっしゃいますように、収納のチャンネルをふやして納付者にとっての利便性を高めることにあります。  一方で、実施に当たってはシステム環境の整備など導入経費が必要であり、導入後は運用経費もかかってまいります。先行自治体の状況を見ましても、導入によって収納率が格段に向上したという例はございません。区は、多様な電子収納サービスを求める区民の声に応え、支払い方法の利便性の向上を図ることは、期限内納付や収納率の向上を図る上で効果的な手段であるとの考えのもとに導入を進めております。 ◆わたなべ友貴 委員  区民の利便性の向上という意味でも、収納のメニューをより多く準備するということは利便性の向上に資するものだと思いますので、私も大賛成です。  町なかにはさまざまなキャッシュレスのサービスが今は広がっておりまして、しかし、そんな中でも、7月には、サービスを提供し始めたばかりの電子決済サービスが、サービス開始直後に不正アクセスを許して、たったの3カ月でサービスを廃止するなど、電子決済サービスの安全面での課題が浮き彫りとなりました。加えて、電子決済は、震災など電気が通らなくなった状態では一切使うことができなくなることも想定されます。  そうした中で、区はまず電子収納サービスとしてペイジーを導入するということですが、これから多くのサービスが乱立する中で、区は今後どのような基準で導入サービスを選択していく方針か、お伺いいたします。 ◎会計課長 以前、フィンテックの登場によりまして、さまざまなキャッシュレスサービスが開始、提供される中で、区が何を選択するのかについて、そのサービスにどのような機能、例えばチャージ機能、クレジット機能、銀行口座機能であったり、そういうものがひもづいているかによって、発展可能性が重要であると答弁したことがございます。  電子収納サービスの拡充に当たりましては、例えば、先日千葉県内で、発生した台風によりまして大規模停電が起こりました。そういう自然災害によってスマートフォンやパソコンが使えなくなるようなリスクもあります。そのほかにも、区民の決済情報が悪用されるリスク、委員も御指摘されましたが、そういうリスクがないかというようなことについて十分に検討されるべき点がございます。したがいまして、区が提供する電子収納サービスにつきましては、安全性がサービス選択の上で重要であると考えております。 ◆わたなべ友貴 委員  安全性というキーワードをいただきました。町なかでの皆さんが使う選択基準としては、使える場所の多さという利便性に加えて、キャッシュレスのポイント還元などのお得感というようなものだと思いますが、納税という観点からは離れると思いますので、区の安全性を重視するという大原則に私も賛同いたします。キャッシュレスの推進は国の方針でもありますし、今後急速に展開していくものと予想されます。区としても、納税部門に限らず、商店街の決済方法についてもキャッシュレスの推進に取り組んでいくべきだと私は思います。  一方、電子決済に抵抗感のある方や、そもそも現金しかお使いになれない方もいらっしゃいます。そういった区民の方を取り残さない、しっかりとサポートしていくことも区として必要な役割だと考えますが、見解を伺います。 ◎会計管理室長 今の委員の御指摘は大変重要なことかと思います。区は、基礎的自治体として、御高齢の方や、また銀行口座を持たない低所得者、そういうようないわゆるデジタル弱者に配慮しなければなりません。それで決済難民というものをつくらないように心がけることが重要かと思ってございます。  また、電子収納のサービスを拡充する一方で、お話にも出てきた窓口ということで、現金納付に遠くからいらっしゃる区民の方々、また分割納付、納期限の延期、延長の納税相談にいらっしゃる方々、そういう方々への窓口でのきめ細かい対応というものの充実、それも欠かせない取り組みだ、そんなふうに考えてございます。 ◆わたなべ友貴 委員  これからも区民に寄り添った収納サービスの推進に取り組んでいただきたいと思います。先ほど大泉委員の発言にもありましたSDGsの目指す社会は誰一人取り残さない社会でありまして、今の答弁とも一致しております。先進的な課題意識をこれからも区と共有させていただきまして、よりよい方策を考えてまいりたいと思います。  本日はありがとうございます。終わります。 ○山本ひろ子 委員長  杉並区議会自由民主党の質疑の途中ですが、ここで午後1時まで休憩いたします。                           (午前11時55分 休憩)                           (午後 1時    開議) ○山本ひろ子 委員長  休憩前に引き続き委員会を開きます。  杉並区議会自由民主党の質疑を続行いたします。  傍聴人より録音の申請が提出されましたので、これを許可します。  それでは、矢口委員、質問項目をお知らせください。 ◆矢口やすゆき 委員  歳入19款諸収入のうち、広告料収入と16款寄附金について、午前に続いてテンポよく進めてまいりたいと思います。使用する資料は、区政経営報告書、歳入歳出決算書、審査意見書です。  まず、広告収入について伺ってまいります。  広告料収入について、平成30年度は598万円の収入がありました。内訳を見てみると、6媒体での収入で、金額が多い順に、杉並区公式ホームページが342万円、「広報すぎなみ」が84万円となっていますが、この2媒体に絡めて幾つか質問させていただきます。  まず、最も広告料収入の多い杉並区公式ホームページでの広告主はどのような業界、企業の傾向なのか。また、最も多く広告料を払っている団体、企業は幾らほどなのか、お示しください。 ◎広報課長 特に突出してこの業種が多いというものはないんですけれども、区内または近隣の不動産事業者であったり保育事業者であったり、また古物商といった事業者に御活用いただいています。30年度実績では、1年間通して活用いただいている事業者が8者ございます。1カ月当たり2万円ですので、各24万円、最高額を払っていただいているという状況です。 ◆矢口やすゆき 委員  次に広告料収入が多い「広報すぎなみ」での広告主の傾向、最大料金をお伺いします。 ◎広報課長 こちらもこの業種が多いというものは特にございませんけれども、結婚相談所であったり、行政書士事務所、老人ホーム、植木業など多種多様です。全体的に区民生活に密着した業種が多いのかなという印象です。年間24回発行していまして、平成30年度で見ますと、このうちの21回、1回1万円ですから、21万円お支払いいただいているのが最高額ということになります。 ◆矢口やすゆき 委員  続いて、それぞれの広告出稿企業の杉並区内と区外の割合をお伺いします。 ◎広報課長 30年度の決算ベースで申し上げますと、ホームページは区内が43%、区外が57%、「広報すぎなみ」では区内が47%、区外で53%。やや区外事業者が多いという状況です。 ◆矢口やすゆき 委員  広告掲載につきまして、どのように広告出稿の募集をしているのか。また、出稿時の窓口はどの部署がどのように対応しているのか。広告主が区の媒体に広告を出すまでの一連の流れを御説明ください。 ◎広報課長 主には「広報すぎなみ」ですとか区のホームページ、広告掲載の募集もそういった媒体でしております。まさにきょう発行しました10月1日号には、ごみ収集カレンダーですとか教育報ですとか「広報すぎなみ」へ広告を出してみませんかというような募集広告を出しております。また、過去活用いただいた事業者には、当然ですけれども、こちらからお呼びかけするということも間々ございます。  一連の流れですけれども、発行している所管が窓口になりまして、申し込みをいただきまして、審査をして、決定しましたらデザインをいただいて掲載するという流れでして、それに並行して納付書をお送りして料金を納めていただくという形になります。 ◆矢口やすゆき 委員  広告掲載について、出稿時の審査基準、表現基準があればお示しください。 ◎広報課長 平成27年に杉並区広告掲載基準というものを設けておりまして、業種ごとの基準ですとか全業種にまたがる統一的な基準ですとか審査に当たっての考え方、そういったものを具体的に列挙して、それに照らして審査を行っているという状況です。 ◆矢口やすゆき 委員  杉並区公式ホームページに関して、広告主からバナー広告出稿に対する評価や効果、また詳しい数字などがあればお示しいただきたいと思います。 ◎広報課長 直接業者の方からアンケートというふうな形でお伺いしたことはないですけれども、時々、ホームページを見て来たんだというような、そういったお話をいただくことはあります。数字で見ますと、区に掲載した広告からどれだけアクセスしたかというアクセス数で見ますと、昨年1年間で1,000アクセス、月平均90アクセスというのが1事業者が記録した最高の数字ということになりまして、全ての掲載事業者でならしますと、月平均22アクセスということになります。 ◆矢口やすゆき 委員  バナー広告に関連しますが、現在、杉並区は広告を出していますでしょうか。出しているのであれば、媒体、金額をお示しください。 ◎広報課長 大きく見ますと、「広報すぎなみ」ですとか区のホームページ、SNSということ自体が区の広告とも言えるのではないかなと思いますけれども、もう少し狭い意味で申し上げますと、特段区の広告というものを大々的に出しているということはございません。  ただし、最近始めております区のフェイスブック、ここでは、区のフェイスブックページを周知するためにフェイスブック内に広告を出すというようなことを行っております。試行的にやっているということもございまして、今年度は年間10万円で広告を出しています。同様にツイッターも、始めたばかりなんですけれども、同じような取り組みをやらせていただいているところです。 ◆矢口やすゆき 委員  広告料収入という観点で、本日から区役所庁舎内にて運用が開始された広告つきデジタルサイネージ、こちらについては、独自の媒体設置及び広告収入の1つのよいモデルケースとして、個人的にも大変高く評価しております。全部で年間572万円ということですが、こちらの広告収入は、現在の年間広告収入額の598万円に匹敵するほどの金額で、このデジタルサイネージ事業を推進、導入された区長初め区の職員の皆様の不断の努力と御決断は、大変評価するものであります。  いろいろと先ほどから詳細をお伺いしておりますが、いかに広告収入をふやすことができるかというのは、自治体にとっては大変大事なのではないかというふうに思います。自治体広告の主な効果としては、地元の企業のブランディング向上につながる、エリアやターゲットを特定した効率的なPRが可能になる、地域貢献につながるという3つの効果が上げられます。  これまでの質疑の中で、現状の杉並区の広告料収入に関して詳細をお示しいただきましたが、今後、杉並区の広告料収入の現状の中で広告料収入増額に向けて設置、開放を検討している媒体があれば、お示しください。 ◎行政管理担当課長 区では、企業等の広告宣伝活動や今御指摘のありました地域活動、こういったものを区の収入に結びつけるために、30年度からネーミングライツ事業というのを導入いたしました。広告料収入ということでいえば、その中の一環として、一定の利用者数が見込めるイベントなどの事業を対象にして募集をしているところです。一方で、今御指摘もありましたけれども、企業や区内事業者のほうから見れば、その媒体が魅力があるかということが非常に重要であるということから、広告媒体のあり方につきましては、区としても可能性をきちっと追求して、広告料収入の確保に努めていきたいというふうに考えております。 ◆矢口やすゆき 委員  ぜひお願いいたします。  自治体によっては、広告料収入自体はそれほど多い金額ではありませんけれども、各部局が稼いだ分はその部局が使えるというような編成方針で使われる自治体もあるようです。職員の間では、収入より支出のほうに気が向きがちだったものが、収入を得るために何かできないかと考える意識改革がなされたという点では、意義は大きいのではないかなと考えます。もちろん、収入を得ようとするばかりにそもそもの行政サービス自体が低下してしまっては、本末転倒になってしまいます。そのあたりはバランスは大事かと思いますが、どうしても支出に目を向けがちな部分がありますが、収入を得るために職員全体の意識改革につながる制度などもぜひ前向きに御検討いただけますよう、これは要望とさせていただきます。  また、自治体の広告に関しては、自主財源確保だけでなく、地元の地域振興の推進も図ることができます。また、地元企業や代理店などと連携して官民双方のノウハウを結集させることで、新たな媒体の作成による広告収入の確保、また杉並区の事業に対する話題づくりなどは、とても重要になってくるのではないかと思います。それによって、あっ、杉並区、何かおもしろそうなことをやっているなとか、この杉並区のイベント行ってみたいななどとさらに思わせることで、区民の満足度のアップや来街者の増にもつながっていきます。  広告料収入についての最後に、そのような形で大々的に杉並区のPRをさらに仕掛けていくことが杉並区の価値の上昇にもつながると考えますが、区の見解を伺います。 ◎広報課長 杉並区のPRということでいえば、平成28年度から広報戦略というものを策定いたしまして、伝える広報から伝わる広報ということで転換を図りまして、「広報すぎなみ」の刷新ですとかSNSを新たに始めるですとか、さまざまな取り組みを開始しております。また、インバウンド的なところでの御質問も感じられましたが、区と民間事業者が連携して中央線あるあるプロジェクトというようなことも進めておりまして、こういった取り組みが民間と区の連携を象徴したような取り組みなのかなというふうに思います。今回の広告料収入を得るための広告自体がそういった杉並区のPRに直結するというところについては、まだまだ課題があるのかなというふうに思いますけれども、民間との協働の中で区のPRを進める、そういった観点は忘れずに進めていきたいと思います。 ◆矢口やすゆき 委員  続いて、寄附金について伺ってまいりたいと思います。  平成30年度の杉並区の寄附金は、一般、指定合わせて3,261万円余りの金額となっています。杉並区のふるさと納税の流出額は24億円にも上りまして、小学校41校分の運営管理費にも相当すると。ふるさと納税の流出を少しでも減らして、地元杉並に還元させる手段として、クラウドファンディング事業に個人的には非常に可能性を感じているところです。  クラウドファンディングというのは、インターネットで群集、クラウドから資金調達、ファンディングする方法となっています。資金調達が難しいある目的達成のためのプロジェクトに対して、その目的に共感する人からできる範囲で資金を調達するということで、早期に該当のプロジェクトを進めることができるという仕組みがクラウドファンディングとなっています。昔は現場やその周辺だけでは共感者を集めることは難しかったのですが、現在はインターネットを経由して、地域の方はもちろん、遠く世界中の不特定多数の方々から多くの共感者を見つけることができています。  クラウドファンディングとふるさと納税の違いについて簡単にお話しさせていただきますが、クラウドファンディングの場合は、資金の使途、目標金額、募集金額がしっかりと表示されているのに対して、ふるさと納税の場合は、期の締めというのはありますが、いつからいつまでに幾ら必要といった目標金額の提示がないものが多い傾向があるということになります。以上の違いを踏まえた上で、幾つかお伺いしてまいります。  まず、現在杉並区が実施しているクラウドファンディング事業はどのようなものがあるのでしょうか。 ◎区民生活部副参事(河俣) 現在、荻外荘の復原・整備、国の史跡の復原・整備と、日本フィルハーモニー交響楽団の被災地復興支援の応援のクラウドファンディングがございます。この2つでございます。 ◆矢口やすゆき 委員  荻外荘のように歴史的・文化的資源は、区の財産でもあり強みでもあるというふうに認識しております。その荻外荘についてもう少し詳しくお伺いしますが、荻外荘の寄附について、寄附の方法や特典など、またそれぞれの寄附額は現状どのぐらいに達しているのか、お伺いします。 ◎都市整備部副参事(星野) 現在、寄附額に応じた特典を幾つか用意して寄附を募っております。1万円以上寄附してくださった全ての方を荻外荘倶楽部の会員として登録いたしまして、特典の1つ目が、荻外荘の復原・整備の進捗を年3回ほどの会報紙でお知らせしております。2点目が、建物の内部の開放や発掘調査の現地の見学会など、会員限定のイベントに御招待をするというような特典、そして3点目が、これは御希望によってですが、完成後、敷地内に設置する銘板にお名前を掲示するというものでございます。  これに加えまして、5万円以上と10万円以上の寄附をしていただいた方、荻外荘の応接間の床に敷かれておりました敷き瓦、れんが調のタイルなんですが、5万円以上の寄附者の方には無地のタイル、10万円以上の方に関しては、荻外荘の設計をしました建築家の伊東忠太がデザインした竜の文様が刻まれたタイル、これらを復原する敷き瓦1枚を寄附記念として認定し、認定証を発行いたします。  9月末現在の寄附の金額でございます。1万円以上が147万円余、5万円以上、10万円未満になりますが57万円、10万円以上が1,819万円余、合計で2,031万円余となっております。 ◆矢口やすゆき 委員  結構多額の寄附を区民のほうからも募っているということで、よりいい形で募っていただければなと思います。  先ほどもお話がありましたが、現在の杉並区のクラウドファンディングは荻外荘と日本フィルという2つお伺いしましたが、もうちょっと何かあればいいんじゃないかなと思うんですけれども、クラウドファンディング事業を実施するに当たっての障害やデメリットがあればお示しください。 ◎区民生活部副参事(河俣) 障害というんですか、性格の違いから、寄附は一過性で、はやりにより左右される傾向があるんですが、行政サービスというのは継続的に問題解決のために行っていくことが必要になりますので、その辺で寄附で事業を賄うというのはある程度限界があり、税金で賄うべきじゃないか。  それともう一つ、障害というわけではないんですが、杉並区の姿勢として、返礼品には頼らず寄附文化の醸成を図っていくということがございますので、クラウドファンディングの対象も、資金調達のみではなくて、寄附文化の醸成に合致するようなものを選ぶ必要がある、その点でちょっと慎重になっているというところでございます。 ◆矢口やすゆき 委員  クラウドファンディング事業実施の際、どの部署がどのような流れで事業を遂行していくのか、お伺いします。 ◎区民生活部副参事(河俣) まず、どのようなクラウドファンディングをしたいかということを事業を行う主管課のほうで申し出いただいて、それを、ふるさと納税制度検討会というのがございますので、そこで検討していくということでございます。あと、寄附の募集のサイトやそういうのは、ふるさと納税担当のほうで委託業者と調整して行っております。 ◆矢口やすゆき 委員  いろいろ伺ってきましたが、クラウドファンディングを使って寄附額をふやすことはもちろん重要ですけれども、民間企業や区民に事業に参加してもらうことで企業や区民を巻き込み、彼らに当事者になってもらうということがとても大事なのではないかなというふうに思います。  私がこれまで民間でかかわってきた経験をもとに挙げますと、映画のクラウドファンディングなどがあります。ハリウッドとかの大作に比べれば、小さい映画というのは規模が小さくて制作費、宣伝費などが潤沢にはないんですけれども、その映画の制作資金などをクラウドファンディングなどによって募って、寄附の金額によって参加者にさまざまな特典を設けている。出演者のサインが入った台本とか小道具、もしくは映画のエンドロールに自分の名前が掲載されたりと、実にさまざまな施策をやっています。自分の名前が作品のエンドロールに掲載されると、当然ファンとしてはとてもうれしく、ある意味自分の作品として、より宣伝、PRを進んで行ってくれるようになる。ファンがふえることによって、パイが広がることによって、草の根の宣伝、PRが浸透していき、映画の成功の可能性が高くなっていくという形で、民間でもクラウドファンディングというのは積極的に活用されております。  このように、クラウドファンディングのメリットというのは、資金調達だけでなく、自治体が行っている事業、イベントに対する活動自体も広く伝えることができるというメリットもあります。一過性のものではない社会問題などに対する活動は、税金だけでは十分に対処できない状況です。クラウドファンディングのシステムなら、一時的な資金集めのみならず、広く状況とそれに対処する自治体の活動を知ってもらうこともできるかと思います。また、出資者に対しての税金の控除、社会問題解決に向けた資金の活用なども期待されております。  これまでお伝えしてきたように、クラウドファンディングという手法を用いることで、区が行う魅力的な事業や企画について民間企業や区民を巻き込み、賛同、参加、寄附してもらう、それによってふるさと納税の流出も減らして、少しでも杉並区のために税を還元する方法、仕組みとなる明るいプロジェクトになるのではないかなというふうに考えています。
     ぜひ、今後も積極的にクラウドファンディングを用いることで、企業、区民の参加・巻き込み型のプロジェクトを推進していただきたいと要望するとともに、最後にこのクラウドファンディング全体に関しまして区の見解をお伺いし、私の質問を終わります。 ◎区民生活部副参事(河俣) ふるさと納税に関しましては、今回法の改正がありまして、過度な返礼品競争やそういうのはなくなりまして、今後は寄附の事業がどういったものかというのを皆さんに共感を持ってもらうことがより必要になってきました。御指摘のように、クラウドファンディングによって共感を持って一緒に課題を解決できていくというところでは、非常に魅力のある制度かと存じます。そこで、今後も、今現在やっているクラウドファンディングについて、参加者を巻き込んだり、意識を同じにして共感者をふやしてどんどんやっていきたいと思ってございます。現在のクラウドファンディングの事業をしっかりと行って、そのノウハウあるいはまた御指摘いただいたところ、クラウドファンディングの成功例等を見ながら、今後クラウドファンディングの可能性について研究してまいりたいと思います。 ○山本ひろ子 委員長  それでは、小川委員、質問項目をお知らせください。 ◆小川宗次郎 委員  公有財産、使用料、時間がありましたら法定外目的税。  基金は他区に比べると下位のほうではありますが、これは平成バブルと言われた時期に基金を積み立ててこなかったことが一番の原因だったかと認識しております。区債残高がたびたび取り上げられておりますが、公有財産の資産も、区の財政に直接関係なくても取り上げていいものと私は考えております。公有財産も起債残高も区債残高も一体のものとして捉えるべきと私は思っております。施設再編整備計画では公有財産の有効活用も継続的に検討されていますし、実際に活用した施設も今までいろいろとありました。  現在、公有財産の活用検討場所、売却地は、従前から課題として残っている富津学園であると認識をいたしております。富津学園は、市街地調整区域、国定公園第二種特別地域となっており、売却が非常に難しい。今までいろいろと検討されてきましたが、富津学園が廃止されてから40年近くたって、更地で、区の職員が草を刈ったり、委託でありますけれども、ごみの不法投棄を監視したりしているということは、さまざまなところで報告を受けております。  念のため聞いておきますけれども、この旧富津学園の公有財産の有効活用で新たな活用方法、草を刈っていらっしゃいますので、何かあったらお聞かせください。 ◎経理課長 富津学園でございますが、御指摘いただいたように公法上の規制が非常に強い地域でございますので、なかなか活用策が見出せないという状況がずっと続いているところでございます。なかなか難しいことには変わりはないんですけれども、千葉県あるいは富津市といったところとも粘り強く取り組みについていろいろ検討していきたいと思っていまして、宅地の開発、造成というのは難しいんですが、例えば農地のようなものができないかどうかということについては、引き続き考えているところでございます。 ◆小川宗次郎 委員  富津学園は、私も小学校6年のときに移動教室で最後から2番目に利用して、当時からも大変古い、お化け屋敷みたいなところでありましたけれども、非常に思い出が深いところでございました。  ほかに利用されてない区有地は、現在、一応ないという報告は受けておりますけれども、あるのかどうか。そして、今後売却検討場所になりそうな公有財産はあるのかどうか、お聞きしておきます。 ◎経理課長 未利用の区有地で、かつ売却に向けた検討がすぐに具体化できそうだというような用地については、残念ながら、現在のところ持ち合わせていないというのが現状でございます。 ◆小川宗次郎 委員  今まで遠回しにいろいろと話をしてきましたが、要は、公有財産の考え方をもっと区民にわかりやすく周知することも必要であるのかなと私も思っております。平成30年の杉並区の財務書類を見ても、なかなかぴんとこないというのが現実だと思っておりますので、周知すること、区の見解をお聞きしたいと思います。 ◎経理課長 公有財産の一般的な管理を行っております経理課のほうからお答え申し上げます。  今委員御指摘の、区が保有している財産についての情報をわかりやすく区民の方にお示ししていくということ、これは大変大切な視点だろうというふうに考えてございます。広い視点からは、例えば公共施設全体のマネジメントというようなこともあわせ持って、そういう視点も持って、庁内の幅広い連携の中で、どのような見せ方でお示しするとわかりやすいのかといったことについては、しっかり考えていくべき課題ではないかなと認識してございます。 ◆小川宗次郎 委員  よろしくお願いしたいと思います。  続いて、使用料についてですが、当該委員でありますけれども、きょうからパブコメが始まったということで質問をさせていただきたいと思います。委員会でも示されましたけれども、重複しないように気をつけていきたいと思います。  今後、区施設は、杉並区のセシオン杉並ですね、大規模修繕等施設再編整備計画を進めるには、多額な経費が見込まれるということは従前から示されております。利用者の適正な受益者負担を求めていくことを踏まえ、見直し案を示したと記載されていますが、使用料の適正な受益者負担の考え方を、これは今後の質問にかかわるので、お聞きしたいと思います。 ◎財政課長 今般見直します施設の使用料でございますけれども、区立施設の使用料につきましては、利用する人もいれば利用されない方もいる、そういった関係の中で公平性をどう見ていくのか。加えまして、施設を利用することの受益、便益に対する負担をどの程度見ていくのか、そういった意味で受益者負担の適正化という表現を使わせていただいております。 ◆小川宗次郎 委員  見直し案では、集会施設はおおむね利用料が下がって、大きなホールは上がって、体育施設はおおむね上がっているという認識でよろしいでしょうか。 ◎財政課長 御指摘のとおりでございまして、若干補足いたしますと、ホールにつきましては、セシオン杉並と勤労者福祉会館の大規模なホールにつきましては引き上げになりますが、その他の区民会館のホールにつきましては、集会室同様引き下げになるというところでございます。 ◆小川宗次郎 委員  体育施設の使用料で、区民・区外利用者の区分を杉並区は設定しておりません。その理由をお聞かせください。 ◎スポーツ振興課長 料金改定以前については、社会体育団体については半額ということでやっておりましたが、その当時、利用の7割近くが社会体育団体という状況もあったことが理由として上げられます。 ◆小川宗次郎 委員  他区で、区外・区内利用区分を設定している区があるかと思いますけれども、もしもあるとしたら例をお示しください。 ◎スポーツ振興課長 5区ございます。台東区、墨田区、品川区、目黒区、大田区でございます。 ◆小川宗次郎 委員  まだ少ない状況ではありますが。  個別でちょっと聞きますが、テニスコート利用料について、区内の民間施設の利用料はどのような状況でしょうか、お聞きします。 ◎スポーツ振興課長 いずれも会員以外の一般の方に貸し出しているテニスコートの例になりますが、2つのテニスクラブにつきましては、安い時間帯で1時間3,300円、高い時間帯で4,400円。ほかのクラブにつきましては、1クラブになりますが、平日が2時間8,800円、土日が2時間で1万2,100円という設定になってございます。 ◆小川宗次郎 委員  1時間、2時間で利用すると相当開きがあるのかなというふうに思っております。団体利用の場合、10名以上かつ区内在住・在勤・在学が3分の2以上の要件があります。しかし、実際に利用するときには区内在住・在勤かの確認はとっていないかと思います。最初にお聞きした受益者負担の考え方からすれば、区内利用者はもとより、利用しない区民の方から見れば公平性に欠けるのではないか。先ほど区外利用者の区分は設定していないことはわかりましたが、区民感情からすれば、区外利用者の区分を設けるべきであるとの声も一部にはあると思います。区内・区外利用の区分を設定しない理由はさきの答弁でわかりましたが、民間宿泊施設は区内利用者、区外利用者の区分を設定しています。そう考えますと、設定していくことが今後検討されるべきであるかなと思っております。  テニス団体の利用区分設定について、今後、受益者負担、区民感情から設定していくべきであると考えますが、見解をお聞きするのと、また区外利用者の利用状況も把握していくことが先決だと思います。利用の運用をあわせて検討していくべきと考えますが、見解をお聞きしておきます。 ◎スポーツ振興課長 利用者の利用状況につきましては、毎年、利用者実態調査も実際実施しておりますので、そういったものも上手に活用しながら、項目も検討しながら利用者の状況を分析し、今後の活用について検討してまいりたいと考えております。 ◆小川宗次郎 委員  よろしくお願いしたいと思います。  区内の有料施設を使用している区民がどのくらいいらっしゃるのかは、利用実態からは区は把握されていないかと思います。体育施設を利用しない、集会施設も利用しない区民からすれば、受益者負担は当然であり、先ほどの民間のテニスコート利用の使用料からすれば、区の施設は民間より相当安価で利用することができることもわかりました。今後さらなる検討課題であると思いますので、特に体育施設を利用する区民は限られているのではないかと思っていますので、区外の細分化も検討をお願いしたいと要望しておきます。  続きまして、ホール利用料についてお聞きをいたします。  大きなホール利用料は今回の見直しから上がっておりますが、セシオン杉並ホールについて、平日午後から夜間まで利用すると、現行では平日11万400円、土日祝日で13万400円で、見直し後は平日14万4,000円、土日祝日17万円。個人利用する利用者はいないと思いますので、受益者負担の考え方からすれば、多様な意見がパブコメでもあると思います。そして、入場料5,001円以上の利用については5割増し。入場料5,000円以上のイベントは毎年それほど多くないと聞いておりますが、5,001円以上徴収したイベントと入場料5,000円以下を徴収して使用したそれぞれの利用状況、また入場料を徴収しない利用状況をお聞かせください。 ◎生涯学習担当部長 セシオン杉並ホールの利用状況でございますけれども、入場料が5,001円以上で利用した団体につきましては、平成30年度は8団体ございます。また、5,000円以下の団体は42団体となってございます。また、入場料を徴収しない団体は183団体となってございます。 ◆小川宗次郎 委員  5,001円以上の入場料を徴収する使用料を5割増しにする考え方、お示しください。 ◎財政課長 ホール以外にもかかわりますので私から御答弁いたしますけれども、集会施設も同様でございますが、5,001円以上の入場料を徴収する、そういった団体につきましては、通常の使用料の5割増しということで特別の規定を置いてございます。入場料ごとの使用料という区分は設けておりませんけれども、そういった割り増しの規定を置いております。この趣旨といたしましては、公共施設を利用して収益事業を行う、そういった観点から、一定額以上、高額の入場料設定のものについては割り増しとしているものでございます。 ◆小川宗次郎 委員  例えば、本来5,500円の入場料を徴収するイベントで利用する団体が、入場料を5,000円にしたほうがホール使用料が安くなるということも考えられます。入場料を徴収してホールを利用する団体は、入場料を使用料の一部に充てる場合と、イベント出演者の出演料、講師の講師料に充てる場合など、利用団体によってさまざまなケースがあると考えられます。複数の団体で利用する場合は、1団体だけで利用する場合と使用料の負担も変わってきております。入場料を徴収してホール使用料の一部を団体利用者が負担する場合、イベントの入場料について入場者を想定して入場料を設定することになると思います。入場料でホール使用料を賄う場合は高目に入場料を設定する形になる。そういういろいろ矛盾が出てくると思いますので、そうしたことを避けるためにも、今回の見直しを機会に、入場料の割り増し規定を細分化するなどの検討の必要があると思いますが、区の見解をお聞きしておきます。 ◎財政課長 割り増し規定につきましては、委員から御指摘いただきましたけれども、若干低く設定する、細分化するとした際にも、境界の区分というのはどうしても出てしまう、そういった課題はあろうかなというふうに考えております。  また、現状の利用状況を見ますと、5,001円以上のが8団体ということで先ほど御答弁申し上げましたように、それほど多くないというところもございますので、現時点で直ちにということではございませんが、この使用料につきましては、今後も定期的に検証して、見直す必要があれば見直すという方針を持っておりますので、その時点で必要があれば、そういったことも含めて見直してまいりたい、そのように考えております。 ◆小川宗次郎 委員  よろしくお願いいたします。  今回の使用料の見直しに当たり、使用料が上がる施設もあります。また、稼働状況も重要であります。今まで利用しやすいよう改善はされていることは承知しておりますが、さらにこの機会に使い勝手がよい施設にすることで区民の理解を得られるものと思いますが、見解をお聞きするのと、ほとんど利用しない区民にも利用してもらえるような取り組みも必要であると思います。あわせて見解をお聞きするのと、施設が今以上に利用しやすくなるように期待しますので、よろしくお願いをしたいと思います。 ◎政策経営部長 歳入の確保という面から捉えると、適正な使用料を御負担いただくということとあわせて、施設の稼働率を高めていくということは、まさに私も同感しております。そのとおりだと思います。  そもそも施設には決まりがあって、その決まりが、ともすれば長い間見直されずに存続しているというところが多いわけでございまして、それは当初運営側の論理が先行し過ぎているところももしかしたらあるのではないか。当初はそれが適切だったんですけれども、時代状況の中で、サービスの面から見て問題があるというものも多々ございますので、それについてはこの機に見直して、皆さんが利用しやすい施設に変えていくということが大事だと思いますし、そうしていきたいと思っています。  また、新しい方々を施設に取り込んでいくということですけれども、せんだって、使用料の見直しに当たって、ちょこっトークというところでいろいろな皆さんの意見をお聞きしたんですけれども、まず公共施設は敷居が高い、特定の人が利用していて入りづらい、あるいはそもそも施設の存在自体知らないという声が出ておりました。当然施設のPRということは大事なんですけれども、新しい区民層の方々を呼び込んでいくために、施設をプロモーションするお試し企画的な取り組みだとか、そういう工夫も必要なんだろうなというふうに思っております。いずれにしましても、施設サービスの向上というところには力点を置いて取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ○山本ひろ子 委員長  以上で杉並区議会自由民主党の質疑は終了いたしました。  杉並区議会公明党の質疑に入ります。  それでは、大槻委員、質問項目をお知らせください。 ◆大槻城一 委員  SDGsについて伺います。  区財政や会計については、この後、会派の中村委員から質問がありますので、私からは、全ての分野にわたる包括的なテーマでありますSDGsについて、最近の情勢を踏まえ質問させていただきます。  私は、平成29年第1回定例会でSDGsについて質問をしました。2年経過し、日本でもSDGsの理念は浸透してきております。SDGsの特性の1つは、国連加盟国193カ国全ての国が合意しているという点であり、世界共通の目標となっています。全世界が一致して同じ方向にかじをとることで、とても大きな潮流を生み出します。その流れを無視して社会やビジネスを構築することは難しく、SDGsの目標年である2030年にどのような社会にしていきたいかを考え、それにのっとった行動の必要性が求められています。当区は、世界的、国内的にも進展するSDGsの潮流をどのように捉えているのか、伺います。 ◎企画課長 まず、SDGsに関しましては、今委員おっしゃったとおり、国連の全会一致で採択されているものでございます。最近でも、大阪のG20、また先般、国連の中でもSDGsに関する会合が行われて、安倍首相がそこで日本での取り組みを公表するといったこともあって、国際的な潮流の中で国も挙げてきちんと取り組んでいこう、またそれを各自治体でも取り組んでほしいということが言われている。そうした流れの中で、各自治体も一定の取り組みをしていくというか、個々の取り組みの中でSDGsに貢献するものが必要になってくるというふうにも思っておりますし、民間企業でもかなり最近は、新聞紙上でも広告などでSDGsの取り組みを掲げているということもございますので、潮流としては非常に大きな流れになってきているのかなというふうに捉えています。 ◆大槻城一 委員  このSDGsは、先進国か開発途上国かを問わず、世界全体の経済、社会及び環境の3側面における持続可能な開発を統合的な取り組みとして推進するものです。SDGsでは、17のゴール、169のターゲットが設定されるとともに、進捗状況をはかるための約230の指標が提示されています。  これらを活用することにより、行政、民間事業者、市民等の異なるステークホルダー、いわゆる利害関係者間で地方創生に向けた共通言語を持つことが可能となり、相互間の政策目標の理解が進展し、自治体業務の合理的な連携の促進が可能になると言われていますが、当区はSDGsのこれらの特性をどのように認識しているのか、伺います。 ◎企画課長 委員おっしゃるとおり、まず、これは国連の全会一致で採択されている点を踏まえれば、世界の共通言語であるというふうに思います。  また、取り組みそのものも、広域的な連携というんでしょうか、自治体間でいうならば広域的な連携、また国レベルでいうならば国際的な取り組みの連携、そうしたものにも波及するものかというふうに思います。また同時に、各自治体レベルで申し上げるならば、その自治体が取り組んでいるさまざまな区民福祉の向上という考え方のもとに行う取り組みは、SDGsの取り組みと軌を一にするもの、そうした考え方で行われているものなのかなと思っておりますので、その特性そのものは、国や自治体が取り組むべきものと同じ方向を向いているというふうな特性を持っていると思っております。 ◆大槻城一 委員  ここで我が国のSDGsのこれまでの動向について再確認したいと思います。  2015年5月、2030年アジェンダが国連で採択され、世界全体がSDGsという相言葉のもと活動を始めています。1年後の2016年5月、日本では、内閣総理大臣を本部長、全ての閣僚を委員とする持続可能な開発目標(SDGs)推進本部を設立、同年6月には、有識者、NPO、民間セクターから成る持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議が設置され、我が国としてSDGsに取り組むための基盤が形成されました。  同年の2016年12月には、持続可能な開発目標(SDGs)実施指針では、8つの優先事項が提示されました。このSDGs実施指針は、持続可能で強靱、そして誰一人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指すことをビジョンとしています。  実施指針を実行に移す施策として、2018年発表されたSDGsアクションプランでは、3本柱として、(1)、SDGsと連動する「Society5.0」の推進、(2)、SDGsを原動力とした地方創生、強靱かつ環境に優しい魅力的なまちづくり、(3)、SDGsの担い手として次世代・女性のエンパワーメントが設定されています。  この持続可能な開発目標(SDGs)実施指針では、SDGsを全国的に実施するためには、広く全国の地方自治体及びその地域で活動するステークホルダーによる積極的な取り組みを推進することが必要不可欠である、この観点から、各地方自治体に、各種計画や戦略、方針の策定や改定に当たってはSDGsの要素を最大限反映することを奨励しつつ、関係省庁の施策等も通じ、関係するステークホルダーとの連携の強化等、SDGs達成に向けた取り組みを促進する必要があるとしています。  2017年6月、まち・ひと・しごと創生基本方針2017に、地方公共団体における持続可能な開発目標(SDGs)の推進が盛り込まれ、自治体SDGs有識者討論会が設置されました。各種計画や戦略、方針の策定や改定に当たって、SDGsの要素を最大限反映することについて、当区の見解を伺います。 ◎企画課長 先ほども他の委員の御質問もございましたが、今後計画の改定に当たっては、SDGsの取り組みと区の取り組みとの関連性、こうしたものをきちんとお示ししていくようにするためには、どのような手法で見せていくのかということをしっかり検討していく必要があろうかと思います。そちらの部分を十分検討していくということがまず課題であるというふうに考えています。 ◆大槻城一 委員  ぜひお願いします。  その他、企業や団体等の先駆的な取り組み事例を表彰するジャパンSDGsアワードが創設され、政府だけでなく、地方自治体、民間セクターの取り組みの一層の奨励と、すぐれた事例の発見をしようという動きが今加速しています。直近では、SDGsアクションプラン2018、またその拡大版が決定され、自治体SDGs推進モデル構築のためのSDGs未来都市の選定や、次世代によるSDGs推進の後押しのために、次世代のSDGs推進プラットフォームの立ち上げを急ぐなど、日々SDGsの推進の取り組みに対する具体化及び拡充がなされているとのことです。  本年2019年、日本が議長国を務めたG20サミットや、8月に横浜で開催されたTICAD7(アフリカ開発会議)といった国際会議があり、9月には世界で初のSDGs首脳級会合がニューヨークで開催されました。席上、安倍首相は、12月までに日本のSDGs推進の中長期戦略である実施指針を改定し、進化した日本のSDGsモデルを示す、SDGs達成の目標に向け、我々の行動のインパクトを最大化するため、あらゆるステークホルダーの力を結集していくと発言。本年はSDGsを考える上でとても重要な年になっています。  地方公共団体によるSDGsの達成に向けた取り組みは地方創生の実現に資するものであり、地方創生を進化させていくためには、中長期を見通した持続可能なまちづくりに取り組むことが重要です。当区はSDGsと中長期を見通した持続可能なまちづくりについてどのように考えているのか、伺います。 ◎企画課長 SDGsのゴールの中には、例えばパートナーシップ、また住み続けられるまち、そうした1つのゴールというのが定められています。こうした取り組みは、区が行っております地方創生の取り組み、まち・ひと・しごと創生総合戦略、また実行計画、総合計画のほうでも取り組んでおります、住みやすい、また住宅都市としての価値を高めるための取り組み、そうした中長期的な流れの中で行っているものが含まれているかと思っております。こうした中長期的な視点に立って考えれば、防災や環境、パートナーシップによる地方創生の取り組み、これらは各自治体が行っていくというふうな考え方の中で見れば、杉並区も当然ながら行っていくものというふうに考えております。 ◆大槻城一 委員  SDGsを達成するには、国や自治体を初め、企業や団体、個人が連携協働して取り組んでいくことが求められます。  遠藤健太郎内閣府地方創生推進事務局参事官は、日本のSDGsモデルを実現させるプランの核となる内閣府の取り組みを、地方創生に向けたSDGsの動向と政策として紹介しています。遠藤参事官は、政府が推進する取り組みの1つとして、自治体によるSDGsモデル事例を構築していくこと、もう一つは、民間企業に対し、官民体制をドッキングすることと発言しています。この2つの政策を展開することでSDGsを実現するためのベストプラクティスを創出し、そこで得たプランを全国に広げていく普及促進活動に生かし、2020年には全国の3割を超える自治体がSDGsに取り組んでいる状態をつくることを目標としています。  当区も世界や国に連動したSDGsに取り組んでいる状態をつくることを要望しますが、見解を伺います。 ◎企画課長 まず、国が今後示していく実施指針というのは、やはり見ていく必要があろうかなと思いますけれども、一方で、先ほど来申し上げているとおり、区の取り組みはSDGsの取り組みと軌を一にするものだというふうな認識に立っておりますので、基本的には世界や国に連動した取り組みになっているという認識ではおります。ただ、それをいかに見せていくか、またそれをどのようにして区民にもわかりやすくお示ししていくか、ここが非常に重要なのかなというふうに思っております。また、示しているゴール、それが総合計画、実行計画で示している目標といかにリンクしているか、これもお示ししていく必要があるのかなというふうに思っております。 ◆大槻城一 委員  私も同感でございます。  甲木浩太郎外務省国際協力局地球規模課題総括課長は、外務省は政府のSDGs推進本部の事務局を担っており、G20サミット、第7回アフリカ開発会議が日本で開催されたことし2019年はSDGs推進の重要年と発言し、政府が推進するSDGsアクションプランの3本柱である企業とSDGs、地方創生とSDGs、次世代・女性のエンパワーメントに取り組み、日本ならではのSDGsの形をつくって大企業から中小企業に広げ、全国にSDGsの活力を行き渡らせたいと述べています。また、今後はどうしたら中小企業がSDGsを成長の活力に使えるのかということが大きな課題。SDGsに取り組む中小企業の社員やサービスが市場から高く評価をされ、ビジネス環境全体が改善していく形ができればと述べています。甲木氏は、自治体が地方と中小企業の接着剤としてしっかり仕組みづくりを支える後押しをと指摘していますが、SDGsにおける区内中小企業への当区の役割について伺います。 ◎企画課長 中小企業は、区内には事業所数でいえば約2万ほどございますので、こうした事業所が区が行っているまちづくり、SDGsにも資するまちづくりの取り組みについて一定の協力をいただくことは必要かと思っております。また同時に、多くの企業が今SDGsの取り組みを開始しておりますので、これは中小企業も避けられない流れかなというふうにも思っております。そうした取り組みをしていく方々が、仮にそれを大きく公表していくというのであれば、そこはそうした御相談にも乗っていきながらとは思っております。 ◆大槻城一 委員  また、次世代を担う若者や女性が愛着を持って住み続けられるまちづくりを実現していくのが、政府が目指す持続可能な開発目標SDGsの狙いですが、SDGsにおける当区と若者、女性のあり方についても伺います。 ◎企画課長 地方創生総合戦略の中で、杉並区の行っております総合戦略の中でも、若者また女性の社会進出、そうしたものを支えていこうというふうな動きがございます。現在行っております保育施設の整備も含めた子育て支援に関しましては、女性の社会進出を支えようというふうな考え方です。こちらは、女性のあり方、働き方、そうしたところについての支援の1つの方法です。また、若者の支援というところにつきましても、同様かなというふうに思っております。杉並は若者の流入が多いのと同時に流出も多いということもございますので、こちらの定住策というのもどうなのかというのが1つの課題にはなっておりますが、そうした若者や女性のあり方、こちらは区の取り組みの中でもしっかり生かしていく必要があろうかと思っております。 ◆大槻城一 委員  国連持続可能な開発ソリューション・ネットワークなどは、28日、世界のSDGs達成度ランキングを発表しています。日本は162カ国中15位、昨年と同順位であり、依然としてジェンダー平等や責任ある消費・生産、気候変動対策、パートナーシップに大きな課題があると指摘されています。1位から5位は、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、フランス、オーストリアの順になっています。日本に関しては、経団連がSDGsの達成を企業行動憲章に盛り込み、SDGsの達成を目指すよう大号令をかけたことで、日本企業がSDGsの掲げる課題領域において技術革新を進めていることは、注目すべき事例だと評価されています。  地方自治体は、国や政府と地元企業や市民との間に位置する行政機関です。地方自治体は、国が推進するグローバルな課題にも、地元企業や市民が直面するローカルな課題にも、双方に対応できる唯一のポジションにあります。地方自治体は、各地域に密着したさまざまな取り組みを実践し、数多くの成功事例を有していますが、当区にも同様な事例があり、その中でSDGsの理念に合致した事例もあると考えますが、見解を伺います。 ◎企画課長 わかりやすいところで申し上げれば、恐らく環境の取り組みなのかというふうに思います。例えばごみの削減ですとか資源化、そうしたものに関しましては、SDGsの中でも、住み続けられるまちをつくる責任といったところ、また、さまざまな海洋また陸の資源というか豊かさを維持する、そうした取り組みの中に生かされてくるものというふうに考えてございます。また、それ以外にも、貧困やジェンダー、また働き方、経済成長、それからパートナーシップ、こうしたところについても、区の行っております海外自治体との連携、それから子供の貧困対策のようなもの、それ以外にもさまざまな福祉施策の中でも十分生かされているものというふうに考えてございます。 ◆大槻城一 委員  地方自治体がSDGsに取り組むことでどのようなメリットが得られるのかを確認することは重要です。  第1に、SDGsによる持続可能なまちづくりを推進することで、住民の生活の質、QOLが向上する。このQOLが高い地域は、移住希望者などからも魅力的です。結果として定住・移住促進に寄与するとも言われています。良質な住宅都市を志向する当区にとって重要であります。  第2に、SDGsという世界共通の目標に取り組むことで、さまざまな国や地方自治体と自分たちの地域を比較することができ、おのおのの地域が持つ強みや弱みを把握できる機会になります。これを活用することで強みを伸ばしたり、弱みを克服することで現在よりもよりよい魅力的なまちづくりの促進に役立ちます。  第3に、SDGsは世界共通の言語であるため、国内外を問わず、同じ目標に向けた協力関係を結びやすくなると同時に、SDGsという枠組みを通しての世界中の成功・失敗事例を数多く収集することができます。これにより各自治体が成功事例を積み上げることが容易となり、よりSDGs達成に向けた取り組みの促進が期待されています。  最後に、第4に、SDGsを通して地方自治体が直面している少子高齢化や人口減少、地方経済の低迷などの課題に効果的にアプローチできるようになります。SDGsは地方創生へとつながるものであり、より魅力的なまちづくりを推進していくためにも、SDGsを積極的に推進していくことが必要となっています。  外務省や国連を退職後、デロイトトーマツコンサルティングの執行役員兼CSR・SDGs推進室長であった田瀬和夫氏は、SDGsについてしっかりと本質的なところまで理解しなければ、単に17の目標のうちこれとこれについて貢献しているといったひもづけ、マッピングにとどまってしまい、それ以上の付加価値を生み出すことはできないとも指摘しています。当区も、SDGsを推進していくには、幹部職員等の研修を行うなど、SDGsの本質的な理解を深めることが今後必要と考えますが、見解を伺います。 ◎企画課長 委員おっしゃるとおりかというふうに感じます。先ほど来申し上げているとおり、これから計画改定等を行っていく中で、いかに区民の皆様に、SDGsの取り組みと区の取り組みというのがリンクしていて、その取り組んでいた結果がSDGsの目標といかにリンクしていくのか、そうしたところをきちんとお示ししていくということを検討していく中で、庁内での情報共有というのは必要かと思っています。計画の改定などの作業を行っていく中で、SDGsの取り組みをまず最優先に考えるということはないかもしれませんが、ただ、区民福祉の向上というのを考えていった結果としてSDGsに結びつくのであるという基本的な考え方を持っているということが重要かなと思いますので、こうしたところは庁内でしっかりと情報共有ができるような取り組みはしていく必要があろうかと思いますし、そうしたことを検討してまいりたいというふうに思います。 ◆大槻城一 委員  短い時間でしたが、SDGsについてここ数年間大きく変動している中、私、そして行政側の考えはほぼ軌を一にしているなと感じました。ありがとうございます。  最後に、これまで述べてきたSDGsの特質を踏まえ、当区の決意を伺い、質問を終わります。 ◎政策経営部長 この間、SDGsの大分深掘りをして質疑がございましたので、あえて申し上げるとしたら、委員からの御指摘ございましたけれども、これは世界のスタンダードの基準、それから共通の言語という言われ方もしますけれども、何よりも、私も思うのは、自治体がこの取り組みを進めることによって、世界のSDGsに共通に取り組んでいるところの、国だけじゃなくて、ローカルな地域単位での比較ができる、それによって身近な少子高齢化や地域経済の問題だとか環境の問題をみずから考えていく素材にできるというメリットがあるというふうに思っています。そうしたことを起爆剤にして、この国が抱える、あるいは地域が抱える、基礎自治体が抱えるそうした問題に効果的にアプローチをしていくことができるというふうに思っています。  そういう観点からすると、今の総合計画は最終章に入ってきました。すぐ新しい展開ということになりますので、その中で指標等の見える化と、総合計画の指標ともオーバーラップする部分は多いんですが、改めてSDGsという捉え方の中で、SDGsについてどう取り組んでいくのか、検討してまいりたいというふうに考えております。 ○山本ひろ子 委員長  それでは、中村委員、質問項目をお知らせください。 ◆中村康弘 委員  財政についてと公会計について。使う資料は、いただいている資料174番、203番、区政経営報告書、30年度の財務書類、また総務省の地方公会計の推進に関する研究会報告書を使います。  では、改めて確認します。平成30年度における区の財政状況について、改めて総括を伺います。 ◎財政課長 30年度でございますけれども、区民税の増を見込んでいる一方で、ふるさと納税制度による減収、また国による税源偏在是正措置、そういった影響がある中、足元の増加する保育需要への対応、さらにはブロック塀の安全対策、こういった喫緊の課題にもしっかり対応しつつ健全な財政運営を行ってきた、そのように分析しております。 ◆中村康弘 委員  さまざまな見方があると思うんですが、30年度に関しては、特徴的な形としては、扶助費を初めとする経常経費に関しては右肩上がりで増加し続けてきている一方で、特別区税や都区財政調整交付金等の一般財源が大きく増加したこと、これが健全な財政状況が保たれた1つの要因であると言えると思います。こうした一般財源の歳入が増加した背景について、区はどのように分析しているでしょうか。 ◎財政課長 特別区税につきましては、この間御説明しておりますとおり、納税義務者の増、また雇用環境の改善を背景にした所得の増というところが要因と見ております。また、財調交付金でございますけれども、こちらも、好景気、景気回復状況、こういった状況に支えられながら、特に法人住民税を中心とした調整3税、こういったところが増加している、そういう要因であると分析してございます。 ◆中村康弘 委員  先ほど財政課長からもお話ございましたけれども、一方で、歳入の背景に関しましては、将来的な不安要素もあります。具体的には、1つ目として地方法人課税の一部国税化の問題、2番目に地方消費税の清算基準の見直し、3つ目はふるさと納税、これらの減収要素が考えられるわけでございますけれども、この3つの課題について、区の財政面にとってどのような影響が考えられるのか。また、これからの将来的な時期的なもの等を含めて、また影響の規模について、区の見通しを伺います。 ◎財政課長 具体的な影響額を区で算出するのは難しいという状況がございますので、特別区長会事務局のほうの試算で申し上げますと、消費税10%の段階において、地方法人課税の国税化の影響、平準化いたしますのは令和5年度ということで、特別区全体では1,295億の減収。これは、杉並区にいたしますと67億円の減収というふうに見込まれております。次に、地方消費税の清算基準の見直しにつきましては、影響が平準化いたしますのは令和3年度というふうに見込んでございますが、特別区全体で681億円の減収。杉並区で申し上げますと、34億円の減収というふうに見込まれております。最後、ふるさと納税制度による減収額でございますが、特別区全体で今年度324億円の減収。杉並区でいいますとおよそ24億円の減収。そういった影響額でございます。 ◆中村康弘 委員  これから将来を見越すと、そういう大きな減収要素が立ちはだかっているということでありますけれども、そういったそれぞれのリスクに対して、区は現在どのような対策を進めているのでしょうか。
    ◎財政課長 区の対策というところでございますが、まず1つ上げられますのは、昨年度、財政運営のルールを見直したというところでございまして、持続可能な財政運営、健全な財政運営を行うためにルールを改定したという部分がございます。また、特別区全体の取り組みといたしましては、区長会を通じて国に不合理な税源偏在是正措置について申し入れを行うなど、特別区23区の考え、主張を公表している、そういったところでございます。 ◆中村康弘 委員  財政の健全性についてのいわゆる判断基準について伺いますけれども、区政経営報告書とかあるいは監査の審査意見書、さまざま読みますと、従来の財政指標に基づく分析、一方で新地方公会計の財務書類の数値によるもの等、指標が非常に多岐にわたるということが感じられるわけであります。  改めて30年度の財政状況について、従来の財政分析に基づくもの、また新地方公会計の数値、指標に基づくもの、それぞれどういったことが分析として判断されたのか、それぞれお聞かせいただきたいと思います。 ◎財政課長 私のほうから、従来の財政指標ということで、旧ルールでも定めてございました経常収支比率でございます。こちらは、保育を初めとする扶助費など社会保障関連経費が伸びていくという中で、分母になります歳入が増加しているという状況を受けまして、0.9ポイント前年度よりも改善し、81.7%ということで、一定程度財政の弾力性は保たれているというふうに捉えております。 ◎会計課長 私からは、新地方公会計の指標、数値に基づく財政状況についてお答えいたします。  まず、世代間の公平性という観点からは、将来世代と現世代の負担がどのようになっているかということをあらわす指標になりますが、純資産比率と負債比率がございます。それぞれ、純資産比率が90.4%、負債比率が9.6%ということで、将来世代の負担は低い状況となっております。続きまして、プライマリーバランスでございますが、こちらのほうは黒字となっております。地方債等の元利償還額を除いた歳出と、地方債の発行収入を除いた歳入のバランスには問題ございません。また、債務償還可能年数でございますが、こちらは1.0年となっておりまして、持続可能な財政運営になっていると言えます。最後に、財政の弾力性の観点からも、行政コスト対税収等比率につきましては92.9%となっておりまして、こちらは100%を下回っております。したがいまして、弾力性が確保できていると言えます。 ◆中村康弘 委員  今お話を伺っただけでも非常に多岐にわたるということで、私もこれまでも何回も財政に関する質問をしてまいりましたけれども、財政というのは、あらゆる面から判断していかなければいけない多面性があるなというのが1つの大きな難しさの要因じゃないかと思っております。ただ、指標が余りにも多岐にわたると、評価及びそれぞれに伴う対策が散漫になりかねないというふうな形で、従来の、今財政課が述べられた財政指標と、また会計課がおっしゃった財務書類、この2つの判断材料のお互いの整合性あるいは関連性について、区としてどう捉えていくのかという考え方を整理する必要性があると考えます。区の見解をお聞かせいただきたいと思います。 ◎政策経営部長 財政を診断するための財政の指標というのは数多くあって、ともすれば、我々もそうなんですけれども、できた当時の経緯だとか、その指標の意味合いがよくよく吟味されずに使われているというような嫌いがあると思います。財政診断のための考え方の整理があって初めて指標が出てくるわけであって、最初に指標ありきではないというふうに受けとめております。  今日的な意味でいうと、財政が健全ということは、現金主義会計の健全度と、あわせて発生主義会計での健全性を確保していくことが大事だろうというふうに思っています。ですから、そのための指標も両面のアプローチができる指標、考え方を持ってくる必要がある。今後ともそういう観点から、指標というのはその都度その都度時代状況に合わせて見ていく必要があると思いますけれども、そうした観点から指標を捉えて活用を図っていくというふうなことで進めていきたいと思っています。 ◆中村康弘 委員  今部長がおっしゃったとおり、昨年度改定いたしました財政健全化と持続可能な財政運営を確保するための新ルールに基づいての総括が、私は1つの大きな参考資料になってくると思います。整理する上でという面におきましてもですね。  というのは、昨年度改定した新ルールは、単年度の収支均衡と中長期的な財政の健全性をはかるルール、また、今おっしゃった現金主義、これは従来の決算書の数値、また発生主義、これは新地方公会計の数値、この両面からの健全性を模索する、それを5つのルールにコンパクトにまとめた、そういうものが今回の新ルールだというふうに私も思っておりまして、私個人的には、このルール、非常によくできたルールだというふうに高く評価しているところであります。  午前中の質疑の中でも、旧ルールに基づいての30年度の総括というのがございましたけれども、というのは、実際は新ルールは今年度、令和元年度からの適用ということでありますので、30年度の分については公表されるものではありませんけれども、ただ、資料として私は174番と203番の計算をお願いいたしました。先ほど会計課長の御答弁の中にも含まれておりましたけれども、ルール上の2つの指標、行政コスト対税収等比率、また債務償還可能年数、それぞれ30年度はどういう結果だったか、改めて確認させてください。 ◎財政課長 まず、行政コスト対税収等比率でございますが、29年度93.6%という状況から、30年度決算では92.9%となっております。債務償還可能年数でございますが、29年度の1.2年から30年度の1.0年ということで、いずれも改善方向に数値は変化しているという状況でございます。 ◆中村康弘 委員  償還可能年数については後で伺います。  行政コスト対税収等比率については、新ルールでは100%を超えないというところが1つの目標でありますけれども、30年度の結果は92.9%。ということは、幾分かは余力があったと判断できるのか、その辺に関しては区はどのような見解でしょうか。 ◎財政課長 行政コスト対税収等比率でございますが、財政の弾力性をあらわす指標ということでございます。表現の仕方というところでございますけれども、余力と申しますか、一定程度財政の弾力性が保たれた状態であったというふうに捉えております。 ◆中村康弘 委員  続いて、基金と区債の状況について伺います。  基金と区債の運営に関しましては、平成24年度に決定いたしました「今後の財政運営のあり方」、そういうまとめを基本とした考え方により運営されてきたというふうに理解しております。平成24年度当時は、当区の課題としては、標準財政規模に対する積立基金の額の低さ、これが1つありまして、そのことを受けまして、決算剰余金の2分の1以上を積み立てていくということや、あるいは標準財政規模に対して積立金額の総額を、50%を1つ目標というふうな形、あるいは区債と基金のバランスなど、こういったことを基本として、これまで7年間、財政運営の取り組みを進められてきたと思いますけれども、平成24年度当時の区が認識していた課題に関しましては、30年度はどういうふうな状況であらわれてきたのか。 ◎財政課長 大きく3点あったかと存じます。まず1点目でございます決算剰余金の2分1以上を財調基金に積み立てるというルールでございますけれども、こちらにつきましては、昨年度、2号補正におきましておよそ45億円を積み立てておりますので、クリアしているという状況でございます。  標準財政規模でございますけれども、この間、財政のダムということで550億という話がされておりますけれども、この議論のベースにあるのは、標準財政規模が1,100億当時の議論でございます。30年度の額で申し上げますと1,212億ということになっておりまして、それの2分の1ということであれば、606億というのが標準財政規模の2分の1ということでございまして、30年度末の残高というのがおよそ578億でございますので、47.7%ということで、近づいているという状況にございます。  また、基金と区債のバランスということでございますけれども、区債残高につきましては、この間、毎年の事業規模に応じて増加しているという状況ではございますけれども、世代間の負担の公平性を考慮し起債しているところでございまして、バランスは確保できているというふうに私どもとしては認識しております。 ◆中村康弘 委員  財政調整基金の期末残高は425億円でありました。現状の新ルールに基づく下限目標である、維持すべき額として350億円というのを設定しております。その設定に対して、下限に対して75億円上回ったというふうにも言えると思います。この350億円については、ルール設定を行うに際して、大規模災害への対処ということで150億円、そして経済事情の変動への備えということで200億円というのを基本的な考え方としていると思いますけれども、改めて、この150億円、そして200億円、それぞれの算出根拠について説明を求めたいと思います。 ◎財政課長 まず、災害時の備えの150億円でございますけれども、過去の震災で実際に被災した自治体の災害復旧経費を杉並区の人口に換算し直した、さらに、集中復興期間、5年間とされておりますけれども、この5年間に要する経費ということで150億という数字を算出したものでございます。  もう一方の経済事情の著しい変動への備えの200億円でございますけれども、具体的に、リーマンショックのときの杉並区としての区税収入、また財調交付金の減収額、さらには財調基金の取り崩し額というものが4年間で200億を超えた、こういった状況を踏まえまして200億。合わせて350億という数字を下限ということで今般定めたものでございます。 ◆中村康弘 委員  この下限額と現状の30年度末の差については、区はどのように捉えているのでしょうか。また、今後の財政運営にとって、こういった差額に関してはどのように関連づけられて運営されていくのでしょうか。 ◎財政課長 あくまで私ども、下限ということでこの間説明しておりますけれども、災害への備えというものは、150億円あれば絶対安心なのかと言われると、そういった数字ではないと私どもも認識しております。これは経済事情の著しい変動につきましても同様というふうに捉えております。現在景気が回復基調にあるというところで、区税収入、また財調交付金というものが右肩上がりで伸びている、こういう状況下においてはいいわけですけれども、この状況がいつまでも続くというふうには捉えておりません。先々を見据えて、足元の行政需要にしっかりと対応しつつも、将来への備えという意味で、財調基金、さらには施設整備基金にしっかりと今後も積み増していく必要があるというふうに捉えております。 ◆中村康弘 委員  次に、施設整備基金について伺います。  現在の新ルールでは、この基金については、今お話しした財政調整基金のような基金残高、いわゆるストック指標ではなくして、毎年度40億を積み立てるという、いわゆるフローの額を指標として設定しております。改めて、何ゆえ財調はストック、そして施設整備に関してはフローというふうなルール設定としたのか。また、この40億の算出根拠についても御説明いただきたいと思います。 ◎財政課長 それぞれの基金につきまして、ストックとフローという厳密に分けた考え方を持っているというものではございませんで、財調基金のほうにつきましては、今後の備えということで、蓄えておく部分というふうに捉えております。一方の施設整備基金につきましては、今後30年間に改修改築する区立施設というものを見据えたときに、必要な1年間の最低限の額が40億ということでございまして、この算定に当たりましては、30年間、施設白書のほうで今後改修改築が必要な施設ということで一旦見積もっております。その額を施設再編整備計画第二次実施プランのほうで再試算いたしまして、その中に、国の補助金ですとか起債、そういった特定財源も見込んだ上で、最低毎年度幾ら必要なのかということでシミュレーションして算出した額、これが40億だったというところでございます。 ◆中村康弘 委員  40億と今御説明ございましたが、30年度の施設整備基金への積立額はちなみに幾らだったのか。財調基金に関しては45億と先ほどお話がございましたけれども、施設整備基金に関しては幾ら積み上げたのか、御説明いただきたいと思います。 ◎財政課長 まず、財調基金の45億という部分ですが、決算剰余金の2分の1という意味で積み立てたのが45億ということで、財調基金全体としては87億だったと思いますけれども、積み立てております。施設整備基金につきましては、具体的な積み立てというものはございませんが、利息分ということで600万積み立てたという状況でございます。 ◆中村康弘 委員  そうですね、財調基金はトータルで八十数億円ですね。施設整備基金に関しては、30年度、当該年度はほとんど利息以外は積み立てなかったということであります。  では、今年度以降は、40億円というフローのルール化を定めたわけでありますけれども、実現性は大丈夫なんでしょうか。 ◎財政課長 まさに事前統制的なルールというふうに私どもも受けとめておりまして、現在の歳入が好調な時点は決算剰余金でしっかり積み立てていけるということでございますけれども、先々景気が下降局面に入ったときには、非常に厳しいルールになってくるのかなというふうに受けとめておりますが、今後の改修改築を見据えれば、しっかりと達成していきたいというふうに考えております。 ◆中村康弘 委員  ストックとしての基金残高については、施設整備基金に関しては30年度末は74億円でありました。今るる御説明がございましたけれども、今後の40億積み立てていくというふうな考え方のもと、ストックの残高の額というものは、フローとの運営において財政運営上どのような関係性があるというか判断材料となるのか、その辺に関してもう少し御説明いただければと思います。 ◎財政課長 施設整備基金への40億円の積み立てというものは、シミュレーションの中でございますけれども、今後改修改築を30年間行っていくに当たって、40億ずつ積み立てていくことによって基金が枯渇しないというものでございまして、残高自体の目標額というものは設定してございません。ただし、今後計画を立てていくに当たりまして、中期的に大規模な施設が見えているような状況で残高が想定よりも少ないというような場合には、40億以上にさらに備えとして積み立てていく、そういったことで残高についてもしっかり注視はしてまいりたい、そのように考えております。 ◆中村康弘 委員  引き続き本年度も含めてよろしくお願いいたします。  次に、公会計に関して質問させていただきます。  30年度は、統一的な基準が本区で採用されてから3年目を迎えた年でございます。財務書類の全体、一般会計等と全体とありますけれども、全体の資料に基づいてお示しいただきたいんですが、30年度はどのような状況であったか。バランスシート、いわゆる貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書、この4表に関して、それぞれの前年度からの主な変化点、それと28年度からの3年間の傾向性を、概略で結構なのでお示しいただきたいと思います。 ◎会計課長 2点ありました。  まず、前年度からの変化につきましてですが、貸借対照表につきましては、資産は7,361億円となり増加、負債は700億円となり減少、純資産は6,661億円となり増加となりました。続きまして、行政コスト計算書ですが、前年度との比較で、経常費用につきましては2,579億円で減少、経常収支は119億円で増加、純行政コストは2,464億円で減少となっております。続きまして、純資産変動計算書でございますが、本年度末純資産残高は6,661億円となりまして、前年度末より増加しております。続きまして、資金収支計算書ですけれども、業務活動収支は155億円で前年度より増加、投資活動収支につきましてはマイナス193億円で減少、財務活動収支につきましては19億円で増加となっております。本年度末資金残高は101億円になりまして、前年度より減少しております。  2番目の御質問ですが、3年間での傾向性としましては、資産から負債を差し引いた純資産はこの3年間で増加、純行政コストは、29年度に一旦増加しておりますけれども、30年度に減少、純行政コストを税収や国、都の補助金等で賄った後の本年度差額につきましては、増加傾向にございます。 ◆中村康弘 委員  続いて、ちょっと中身を確認させていただきますけれども、まず行政コスト計算書、全体のほうですけれども、移転費用として補助金等の支出が前年度より67億円減っております。また、一方で社会保障給付が32億円増加しているという状況がございます。結構大きな変動が前年度よりあったというふうに見られるわけでありますけれども、この大きな変動について御説明をいただきたいと思います。 ◎会計課長 まず、補助金等につきましては、国民健康保険事業会計で国保制度改革がございました。そのため共同事業拠出金が減ったことによりまして、その影響が減少に通じております。  2つ目の社会保障給付でございますが、民営保育園に対する保育委託などが増加していることによりまして、全体的に子育て関係の扶助費が増加していることが影響していると思います。 ◆中村康弘 委員  それで、経常収益のほうも、その他という項目が前年度より20億円増加しておりますけれども、20億円も大きな収入があったということなんでしょうか。その辺に関してはどういうことが背景にあるのでしょうか。 ◎会計課長 その他でございますけれども、まず保育園の保護者負担金の収入がふえていること、それから財産貸付収入などが増加していることが影響していると思われます。 ◆中村康弘 委員  続いて、資金収支計算書、キャッシュフロー計算書のほうなんですけれども、この中の財務活動収支に関して伺いたいと思うんですけれども、合計の収支の額としては、前年度の5億円から、30年度は18億円へと大きく増加したということで、支出と収入を見ていくと、財務活動の支出面が44億から17億円へと27億円減少した、また、収入に関しては49億円から36億円へと、収入のほうに関しても13億円減少している。支出、収入両方減少している、そういう傾向があるわけですけれども、30年度の財務活動については、どのようなことが反映しているのでしょうか。 ◎会計課長 まず、キャッシュフローの財務活動収支の内容でございますけれども、地方債の発行、償還の収支、それからリース負債の償還が内容となっております。財務活動収支が30年度決算において変動している主な理由としまして、まずリース取引の計上を見直したことの影響があります。なお、満期一括償還の皆減などにより償還支出額は減少しておりますけれども、新規区債を発行する際の精査をすることなどによって、地方債収支自体は同額となっております。 ◆中村康弘 委員  今ちょっとお話がございましたが、リース取引の見直しに関して、それに関連してお伺いしますけれども、30年度の財務書類の作成において、計上の仕方について大きな変更が2点あったと思います。30年度は前回よりもどのような変更を行ったのか、その2つの変更内容と変更した理由、背景について御説明をいただきたいと思います。 ◎会計管理室長 財務書類の注記にも記載してございますけれども、1つは、平成30年度決算からは、区に所有権が移転しないいわゆるファイナンスリースについては貸借対照表に計上せずに、通常の賃貸借契約取引に係る方法に準じて、年間リースをPLの費用としてPLに計上することといたしました。  ファイナンスリース取引は中途解約ができず、借り手が最後まで使用するということが想定されているものでございますけれども、個々の契約においてはその点が必ずしも明確に読み取れなくて、いろいろな要件を勘案して、実質的にこれは解約不能だという ようなことが考えられる場合がありまして、会計処理に当たっては判断に苦しむところが多うございます。国は、そうした実務面に配慮して、所有権が借り手に移転しないリースは、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理をすることを許容しておりますので、区といたしましては、統一的な基準により財務書類を作成している他の自治体の状況も考慮しつつ、実務上の判断基準を明確にするため、今般リース取引の処理方法を変更したものでございます。  もう一つは債務負担行為に係るものでございますけれども、区は、社会福祉法人等による施設の建設助成に係る債務負担行為のうち、開設済みの施設に係る助成、具体的には借入金の償還等に係る助成なんですけれども、これを負債として貸借対照表に計上してまいりました。平成30年度の今般の決算からは、当該の債務負担行為を負債としてBSに計上せず、会計年度内に区が支払った金額を費用として行政コスト計算書に計上することとしたものでございます。これは、補助金の交付額の確定というのを、法人等の実績報告等を踏まえて年度ごとに行ってございます。例えば、1年間の入所実績に基づく区民利用率などに応じて交付額を確定しているものもございます。  当該債務負担行為につきましては、限度額を定めるもので、区が支払うべき金額を確定するものではないという考えでございます。負債として計上することについての公会計上の疑問点というものは、財務書類作成支援事業者からも指摘されていたこともあり、これも他の自治体の状況も考慮しつつ、負債ではなく、償還等の助成を実際に行った時点で費用として行政コスト計算書に計上するものとしたものでございます。 ◆中村康弘 委員  結構大きな変更で、実際、キャッシュフロー計算書にも大きな数字の変更としてあらわれているわけでありますけれども、実際の内容を精査して、またいろいろな外部の人の意見も聞きながら、また他の自治体のトレンドも判断しながらこういう判断に至ったということで、今後、こういった大きな変更というのはあり得るのでしょうか。その辺に関して、可能性も含めて御意見を聞かせていただければと思います。 ◎会計管理室長 今の統一的基準による財務書類は28年度からつくっているのでございますけれども、中途からこういうように変更いたしますと、前と比べるといいますか、比較という面で大変課題が生じてまいります。今回も懸案課題といいますか、今の財務書類を始めるに当たって残した課題ということでありまして、これは解決したかったのでございますけれども、こういうような会計書類の変更は本当に慎重に今後はやってまいりたい、そんなふうに考えてございます。 ◆中村康弘 委員  公会計自体が、制度も国としても全体も変わったりとか、なかなか暗中模索の部分は否めないというふうな部分は確かにあると思います。ただ、説明責任も含めて、しっかりと今後ともよりよい形を模索していただければなというふうに思います。  ちなみに、総務省の地方公会計の推進に関する研究会の報告書に関しては、こういった財務書類内の3つの指標に対する算定式について、これもまだ見直しを提案するような内容となっておりますけれども、その見直しを提案された対象とされた指標は何でしょうか。 ◎会計課長 ただいまの研究報告書で今般見直しがされた指標でございますが、1つ目は社会資本等形成の世代間負担比率、いわゆる将来世代の負担比率です。2つ目が基礎的財政収支、プライマリーバランス、3つ目が債務償還可能年数の3点でございます。 ◆中村康弘 委員  将来世代負担比率、社会資本等形成の世代間負担比率、これに関しては、当区では、これは特に採用というか、区政経営報告書にも公表されていないわけでありますけれども、ちなみに、この実績に関しては、今お聞きして答え出ますでしょうか、いかがでしょうか。 ◎会計課長 算定式にのっとりまして算出しますと、4.9%となります。 ◆中村康弘 委員  余りこの数字はぴんとこないんですけれども。  では、次に行きます。基礎的財政収支、プライマリーバランスに関して改めて確認したいと思うんですけれども、区の指標としてのプライマリーバランスの持つ意味と、また、研究会報告書で見直しが提案されておりますけれども、この研究会報告書の見直しの指摘内容について御説明をいただきたいと思います。 ◎会計課長 まず、プライマリーバランスについてでございますが、どういう意味かといいますと、税収等の収入と公債費を除く歳出との収支、つまり、その時点で必要とされる財政的な経費をその時点の税収等でどれだけ賄えているかということをあらわしている指標です。  研究会の報告での指摘内容でございますが、従来の算定式では、投資活動収支に基金の収支が含まれております。つまり、基金を積み立てる余裕のある団体よりも基金を取り崩している団体のほうが収支の状況がよく見えるという課題がございました。しかし、基金への積み立ては実質的な黒字要素でありまして、基金の取り崩しは実質的な赤字要素ですので、今回の見直しにおいて基金収支が除かれることになりました。 ◆中村康弘 委員  基金収支が除かれることになりましたということなんですが、改めて確認させていただきますけれども、要するに基金を取り崩したりとか区債を発行したりとか、そういう財政活動に関して、実際そういったことを頑張れば数字が落ちてしまうし、例えば区債の繰り上げ償還も含めて、やらなかったら数字がよく見える、そういうちょっとジレンマの数字が含まれているというふうな指摘があったということですね。  ちなみに、区政経営報告書も、これまでもずっとプライマリーバランスの指標という形で掲載をされてきたわけでありますけれども、30年度の分に関しては、変更前、変更後、どちらの数字を掲載したのか、改めて確認します。 ◎会計課長 区政経営報告書に関しましては、見直し後の算定式を採用しております。 ◆中村康弘 委員  それで、どういう数字が示されたんでしょうか。 ◎会計課長 当区の30年度の決算におきましては、報告書は一般会計等で載せておりまして、27億円の黒字。ちなみに、全体でも27億円の黒字となっております。 ◆中村康弘 委員  研究会の報告書では、そもそも地方自治体の指標としてのプライマリーバランスについて、研究会としての留意意見が報告書内に書かれておりますけれども、どういったところに留意すべきだというふうなことが研究会のほうから、プライマリーバランスの数字に関しては指摘されているのでしょうか。 ◎会計課長 留意事項でございますけれども、まずプライマリーバランスにつきましては、業務活動収支と投資活動収支のいずれも赤字の場合、またはどちらか一方が赤字の場合でも赤字になってしまうということになります。そのため、基金収支を除いたとしても、例えば公共施設など老朽化対策をしようと必要な事業を行えば、投資活動収支は赤字になります。そのために基礎的財政収支も赤字になり得ます。このことをどのように評価、分析すべきかということについては、引き続き検討が必要だと思っております。一概に黒字であれば評価できるものではないということに留意が必要であると思っております。地方公共団体の財政に関しましては、厳密に建設公債主義が適用されておりまして、原則的には赤字公債に依存することができないということになっております。そのため、健全化判断をする比率とは異なるものだということで言及しております。 ◆中村康弘 委員  次に、債務償還可能年数について伺います。  これは、これまでもお話しされてきた新5大ルールにも含まれているわけでありますけれども、改めてこの指標の持つ意味について御説明をいただきたいと思います。 ◎財政課長 債務償還可能年数につきましては、中長期的な財政の健全性、持続可能性をあらわす指標でございます。 ◆中村康弘 委員  中長期的な財政の持続可能性をはかる指標ということで、同類の指標としては、健全化判断比率における実質公債費比率、あるいは先ほど御説明がございました将来世代負担比率等も同じような類似の指標として考えられるわけでありますけれども、この債務償還可能年数については、それらほかの指標とはどういった点が異なるのか、よろしいでしょうか。 ◎財政課長 債務償還可能年数でございますけれども、発生主義という点で、健全化判断比率の1つでございます実質公債費比率とは異なっているという部分が1点ございます。また、将来世代負担比率でございますけれども、こちらの比率につきましては、地方債残高を有形・無形固定資産合計で除したものというところでございます。債務償還可能年数でございますけれども、地方債残高の将来負担額に加えまして、分子において基金残高、分母においては業務収支の情報と、あらゆる観点から財政の健全性をはかる指標ということで、今般このルールに加えたものでございます。 ◆中村康弘 委員  債務償還可能年数についても、研究会報告書では見直しが提案されております。具体的に、今現状では何が課題とされているのでしょうか。 ◎財政課長 分母でございます業務活動収支のうち、支出の面でございますけれども、投資的、活動的な性質を持つ支出が含まれているということで、結果として、自治体にとってより厳しい数値が算出される状況にあるということでございます。 ◆中村康弘 委員  区政経営報告書では、1年というふうな数字が記載されております。今回資料174番で、研究会が提案している計算式の変更による数値も出していただいておりますけれども、1年というものに対して、新たな計算式と言えばいいんでしょうかね、変更後の計算式についてはどのような数字上の変化があったのでしょうか。 ◎財政課長 国が示している当面の間の参考数値というもので算出いたしますと、0.6年ということで、よりいい数字が算出されるというものでございます。 ◆中村康弘 委員  1年あるいは0.6年、いずれにしても、5大ルールでは3年以内というふうな定めがあります。現在の区の発行済みの区債の平均償還年数が17.1年ということもありますので、これを見ると、区債発行に対して相当まだ余力が残されていると言えなくもないんじゃないかと思いますけれども、その辺に関してはどのような見解でしょうか。 ◎財政課長 区といたしましても、中長期的に見ても、区の財政というのは健全性が保たれているというふうに捉えております。しかし、この間御答弁申し上げてきておりますように、現在の景気動向というものがこの先も続くわけではございませんし、さらには税源偏在是正措置の影響、そういった区財政を取り巻く環境というものは、今後も厳しい状況が十分想定されるところでございますので、今後とも健全性、持続可能性というものをしっかり見据えた財政運営が必要だというふうに考えております。 ◆中村康弘 委員  では、最後の質問になります。今回の区政経営報告書では、こういった総務省の研究会の報告書を受けて、プライマリーバランスに関しては、その提案の変更に伴った数字が記載されております。ただ、一方で債務償還可能年数については、その提案ではなくして、従来の計算式に基づく数字が載せられている。プライマリーバランスは変更した、しかし償還可能年数は変更しなかった、この違いは何なんでしょうか。 ◎会計課長 まず、債務償還可能年数につきましては、投資活動支出的な性質を持つ支出でも業務支出に含まれるという課題もありますので、従来の算定式について見直しが必要とされて、当面は決算統計の数値を用いて算出する参考指標となりました。そういうふうに当面の算出方法ということですので、国のほうでさらなる検討を進めて、算定式が新たに示される可能性も考えられます。こうした状況や、財政運営の新ルールの5番目としては、過去の実績を踏まえて経年比較をする上でも、債務償還3年を超えないという目標値を設定しておりますので、旧算定方式で示したものでございます。 ○山本ひろ子 委員長  以上で杉並区議会公明党の質疑は終了いたしました。  ここで午後3時まで休憩いたします。                           (午後 2時45分 休憩)                           (午後 3時    開議) ○山本ひろ子 委員長  休憩前に引き続き委員会を開きます。  日本共産党杉並区議団の質疑に入ります。  それでは、富田委員、質問項目をお知らせください。 ◆富田たく 委員  一般会計歳入、主に特別区民税と使用料について。使用する資料は、ナンバー33、区政経営報告書、使えたら、ナンバー44、49、55、99等々です。  まず、一般会計歳入、主に特別区民税について質疑を進めていきたいと思います。  2018年度の歳入歳出ともに前年度決算額よりも増加しています。歳入総額は昨年度から6億112万5,000円、約0.3%増加して1,962億1,718万4,000円となりました。特別区民税が約17億7,000万円、特別区財政交付金が約31億円の増、その他減額もあり、差し引き6億円の歳入総額の増となっています。今回は17億7,000万円増加した特別区民税について、その内容を分析しながら、区民の収入の増減、生活実態について確認していきたいと思います。  ということで、毎年請求している資料ナンバー33、特別区民税についてを使いたいと思います。4項目めの所得階層別納税義務者数と税額で、課税標準額の段階ごとに、納税義務者と区民税の所得割の税額について、過去5年間の推移を出していただいている資料です。分離を有する者を含めた納税義務者数の合計と税額の合計について、当該年度、決算年度の数字と、この間の傾向についてお示しください。 ◎課税課長 お渡ししている資料につきましては、分離課税を除いているという形になりますし、7月1日現在の集計というところになりますので、それだけ御了承いただければと思っております。  納税義務者、当該年度につきましては31万6,904名、それの税額については約632億ということになります。 ◆富田たく 委員  ちなみに、この数年間の傾向というか、その動きについてはいかがでしょうか。
    ◎課税課長 区民税全体につきましては、ここのところ伸びがありまして、毎年増加の傾向でございます。 ◆富田たく 委員  納税義務者数も税額も、どちらも毎年増加しています。2015年度の場合は納税義務者数が29万6,442人、税額が563億8,000万円余り、そこから当該年度は31万6,900人に納税義務者がふえて、税額が610億3,000万円という形で伸びております。納税義務者数は2015年度から約2万人の増、税額については約46億5,000万円の増となっています。こうした納税義務者数と税額の増加傾向について、区はどのように判断をしていらっしゃるでしょうか。 ◎課税課長 景気が緩やかな回復基調にあるということになりまして、所得環境、それから雇用環境の改善によって増ということで捉えているところでございます。 ◆富田たく 委員  さきの他の会派の方々の質疑からもそのような答弁がありましたが、この間、区内の人口も増加しております。そういった意味で、総体的に納税義務者数が増加していることは否定できないことだと思います。一方、人口増以外の要因として、景気の動向が区民の所得、収入にどのように影響しているのか、これを確認することが区民生活の実態を確認する1つの手法だと考えております。  そこで、所得階層別に納税義務者数と税額を見ていきたいと思います。まず、2018年度の課税標準額が10万円以下の層、100万円以下の層、200万円以下の層の納税義務者数をお示しください。 ◎課税課長 まず10万円以下でございますけれども、7,651名、100万円以下が7万2,158名、そして200万円以下が8万7,898名といったところになってございます。 ◆富田たく 委員  それらの、課税標準額が200万円以下の3階層の今お示しいただいた納税義務者数の合計は16万7,707名、その年の均等割のみの納税義務者数が1万1,484人なので、それらの合計は17万9,191名となります。  次に、いわゆる中間層、課税標準額が300万円以下、400万円以下、550万円以下、700万円以下のこの4つの層の納税義務者数をお願いします。 ◎課税課長 まず300万円以下でございますけれども、5万2,826名、400万円以下は2万8,173名、550万円以下が2万3,161名で、700万円以下が1万2,055名といったところになってございます。 ◆富田たく 委員  これら課税標準額が200万円超から700万円以下の層の納税義務者数の合計は11万6,215人となります。  では最後、課税標準額が700万円を超えて1,000万円以下の層と、1,000万円超の層と、分離を有する者の納税義務者数、この3つの階層についてお示しください。 ◎課税課長 まず700万を超えて1,000万以下の者ですけれども、1万2,025名、1,000万超が1万3,362名、そして分離を要する者、これは階層別になってございませんけれども、7,595名ということになってございます。 ◆富田たく 委員  これら3つの階層の合計は3万2,982人となります。  改めて整理をすると、均等割のみを納める方々から課税標準額が200万円以下の階層は16万9,000人余り、納税義務者数全体の約54.57%に上ります。同じように税額を合計すると、この階層では約97億9,000万円の税額で、税額全体の16.04%となります。課税標準額が200万円超から700万円以下の階層は11万6,000人余り、全体の35.39%、税額合計が約235億5,500万円なので、税額全体の38.6%。さらに、課税標準額が700万円超で、さらに分離を有する者の階層、納税義務者数は3万2,982人で、全体の納税義務者数の約10%に当たります。税額は276億8,624万9,000円、税額合計の45.36%です。こうした階層ごとの合計について、区はどのような分析、判断、見解をお持ちでしょうか。 ◎課税課長 それぞれの階層にそれぞれの人がおりまして、所得が低いと言われる方々も多うございますけれども、その方々からもいろいろと税を負担していただいていますし、高額の所得の方々には高額の納税をしていただいているというふうに考えているところでございます。 ◆富田たく 委員  そうですね、高額の方には高額の。税率については、私いろいろ考えるところはあるんですけれども、今回はそれはおいておきます。  以前もこの問題を取り上げましたが、課税標準額が700万円超から1,000万円以下、さらには1,000万円以上、さらには分離課税を要する方々、この方々の3つの階層の合計が納税義務者数の10%、1割にしかならないのに、納税額は全体の45%を占めているという状況です。逆に、先ほど申し上げました課税標準額が200万円以下という方々、これが納税義務者全体の5割以上を占めているわけですね。改めてこの数値を見ると、格差の社会だなというふうに認識をさせられます。  ちなみに、分離を有する者について、この階層だけで少し見ていきたいと思いますけれども、2018年の納税義務者数と税額をお示しください。 ◎課税課長 分離が、納税義務者数が7,595名おりますけれども、ここのところの額が70億5,952万余でございます。 ◆富田たく 委員  私、以前からこの資料を系統的にとっておりまして、2013年度以前の数値もちょっと見てみました。そうすると、例えば2010年では、分離を有する者は2,698人で21億8,000万円、2011年では3,157人で27億9,000万円、2012年では3,106人で26億5,700万円といった形で、2013年以前は大体2,000人から3,000人、さらに税額としては20億から30億という値で推移していたんです。それが、2013年を越えたあたりから人数と税額がぐぐっと伸びてまいりました。2016年には、納税義務者数、分離を有する者の階層が6,687人、税額が58億4,217万円、2017年では6,112人の納税義務者数で58億、当該年度、7,500人を超えて70億円を超えるといった状況になっております。  こういった状況について、区はどのように判断しているでしょうか。 ◎課税課長 中を見ていきますと、分離の長期と短期というのはそこそこありますけれども、このところ伸びているのは、株式の譲渡、上場株式の配当、こういうところが少し伸びているかなというふうに感じているところでございます。 ◆富田たく 委員  私もそういった認識、印象を持っております。  ちなみに、資料ナンバー33の5項目め、高額納税者の納税額についての資料ですけれども、これについて、簡単にどういう資料か説明していただけますか。 ◎課税課長 これは、過去5年間の納税額と、そのうち分離分がどれぐらい額があるかということのベスト10の資料でございます。 ◆富田たく 委員  毎年の高額納税者の上位10名の納税額をそれぞれ出していただいているんですけれども、2018年度の上位10名の納税額の合計が19億3,000万円、納税義務者数は10名ですので、全体が約31万7,000人ですから、0.003%の人が特別区民税の全体の税額の約3%を支払っているということになっています。これはすごい割合だと私は思うんですね。この19億円余りの納税額のうち、分離分が約17億5,600万円、10名の納税額の9割以上が株式譲渡などによるものだというような傾向が出ているものです。この上位10名の納税額合計とその分離分の割合がこの数年間どのように推移しているか、おわかりでしょうか。 ◎課税課長 手元に合計数値は出しておりませんけれども、この10人の総計をざっと見ますと、やはり近年だんだん伸びているというところでございます。 ◆富田たく 委員  税額も、そして分離分の割合も2013年ごろから上昇し始めて、2016年からは税額が10億円を超え、分離分の割合も7から8割となっている。当該年度は9割となっています。こうした傾向は、やはり先ほどの株式の譲渡などだと思うんですけれども、その根本的な原因というのは一体何でしょう。 ◎課税課長 景気の上昇による株価の上昇が基本的なところだと思っております。 ◆富田たく 委員  この景気の上昇という言い方が大変くせ者でして、本当にそういう言い方でいいのかどうなのか、私はいつも疑問に思っているんですけれども、2013年から始まった安倍政権による異次元の金融緩和や年金財政を株式市場に投入した株価のつり上げ、こうした金融政策が高額所得者の所得を引き上げているというのが明らかになっているのではないでしょうか。  ちなみに、先ほどの課税標準額が200万円以下の層が納税義務者の半数を占めるといった傾向は、大体2011年のころから見ても変わりがない状況です。所得の分布というのは余り変わりがないけれども、高額所得者だけが株式譲渡などで利益を上げているという実態が区税収入の状況からも明らかになっているのではないでしょうか。  ちなみに、国の統計では、2018年の実質賃金は約382万円、これは年収ベースですね。前回の消費税増税前の2012年の平均実質賃金は約396万円ですので、この間14万円も低下しているという状況です。同様に、2人以上世帯の年間の平均消費支出は、2018年で約338万8,000円、増税直前の2013年の平均は363万6,000円、約25万円の減少で、月2万円以上も減少している計算です。低所得者の固定化と、富める者はますます裕福になるという二極化が杉並区内で発生しているのではないでしょうか。この点の区の認識はいかがでしょうか。 ◎課税課長 まず1つだけ申し上げておきたいのは、分離課税だということで全てが株ということではないということだけ御承知いただければと思っております。長期譲渡、短期譲渡もありますので、土地を売ったとかいうのは毎年満遍なくございますので、そういうところが半分以上占めておりますので、そういうところは今までと同様かなと思っております。それ以外につきましては、今後、そういうような株の譲渡については見据えながら、上昇だということも考えるんですけれども、それを捉えて私ども税収の予測について考えていきたい、そういうふうに考えています。 ◆富田たく 委員  こういった貧困と格差が広がっているという状況の中で、いかに低所得者層や生活が苦しい方々を支援していくかということが区の責務となってくると思います。  さて、ここで財政指標について1つ目を向けていきたいと思いますけれども、当該年度の実質収支額と実質収支比率、お示しください。 ◎財政課長 実質収支額が76億3,460万余、実質収支比率が6.3でございます。 ◆富田たく 委員  いわゆる区財政の黒字額に相当する実質収支額が76億円以上。昨年度の87億円以上に比べて幾ばくか少なくなりましたが、それでも標準財政規模に対する黒字額の割合、実質収支比率は6.3%と、例年どおり高水準です。実質収支比率については、3%から5%が一般に適正と言われております。区政経営報告書にも書かれていますが、それはどういった理由からでしょうか。 ◎財政課長 実質的な黒字が財政規模に対してどの程度あるのかというのをあらわす指標でございますので、行政という性格上、利益を追求するといった活動ではないというところで、黒字分については一定程度、平均的にこの程度だというものを示していると捉えております。 ◆富田たく 委員  そういった中で、毎年5%以上となっております。行政の財政では、余剰、いわゆる黒字が多ければ多いほどいいというものではなく、適度の余剰を超える場合は行政水準の向上や住民負担の軽減に充てられるべきということで、杉並区も3から5%と記載していると思うんですけれども、先ほど見た格差が拡大している状況の中で、そういった世帯に対しての支援の策というのは杉並区はどのように行ってきたか。 ◎財政課長 まず、適正と言われる3%から5%という数字でございますけれども、これは杉並区が設定したものではございませんで、一般的にそういう数字が示されているというものでございます。加えまして、杉並区の政策として、低所得者、またそういう支援が必要な方にどういうことをやってきたのかというところでございますけれども、直接的にこの施策この施策ということではございませんが、この間私のほうからお話ししておりますように、足元の行政需要にはしっかりと応えてきている、そういうふうに我々分析をしておりますので、各所管において必要な事業は予算化し、実施しているものというふうに受けとめております。 ◆富田たく 委員  実質収支比率5%を超えた1.3%分、約15億7,000万円になります。この分が区民福祉に充てられるべきだったと指摘するものです。区内の各種団体の毎年の要望で毎年出されているもののうち、こうした余剰金を活用することで実現できるものがあると思うんです。  例えば、移動支援事業の自宅以外からの利用や通所・通学への拡充など、他区では柔軟に対応していると思います。また、視覚障害者の日常生活用具の対象に音声入力ができるタブレットやスマートフォンを追加してほしいという要望、これも大きな財政負担とは考えられません。さらに障害種別で格差が生まれているような部分、例えば精神障害者に対する、区独自の心身障害者福祉手当を他の障害と同様に1万1,500円に増額してほしいという要望、ほかにもたくさんの要望が毎年上がっておりますが、この黒字分の一部を使えば、こういった困難を抱えている方々に対する支援を拡充することが可能だと私は考えております。  この点、強く要望いたしまして、時間が来ましたので終了させていただきます。 ○山本ひろ子 委員長  それでは、くすやま委員、質問項目をお知らせください。 ◆くすやま美紀 委員  歳入の中の高齢者福祉施策にかかわる都の補助金について質問いたします。  高齢者福祉事業を拡充させていく上で、都の補助金は大きな比重を持っていると認識しています。そうした観点から、私は、歳入における高齢者福祉関係の補助金の予算現額と収入済額及び29年度の収入済額と当該年度の収入済額を調べてみました。その結果、補助金の中でも、高齢社会対策区市町村包括補助事業補助金、地域福祉推進区市町村包括補助事業補助金、地域密着型サービス等重点整備事業費補助金、地域密着型サービス等整備助成事業補助金、この4つの収入済額が予算現額よりも減額、減っているということが気にかかりました。  中でも減額の大きいものが高齢社会対策区市町村包括補助事業補助金でした。この補助事業は補助額も高く、杉並区の高齢者福祉施策を進める上で重要な役割を持ち、幅広い活用が可能な補助金だと思います。まず、この補助金について、東京都が示している目的、対象事業名などについて御説明をお願いします。 ◎高齢者施策課長 東京都が示している項目はたくさんございまして、私どもはその中から選んで事業をしている状況でございます。例えば、いっぱいありますけれども、先駆的事業であるとか選択事業、選択事業の中にはさまざま、高齢者虐待防止対策事業であるとか住宅改善とか地域の見守りとか、そういった細かなものがいろいろ入っております。そういったメニューから区に適したものを選んで補助をもらっているという状況でございます。 ◆くすやま美紀 委員  これは、区市町村が地域の実情に応じて創意工夫を凝らして主体的に実施する高齢者に対する福祉サービスの充実に資する事業を応援する、支援するということが目的だと思います。  次に、数字上の点について確認しますが、この高齢社会対策区市町村包括補助事業補助金は、決算書を見ますと、当該年度決算では、予算現額3億8,547万円余に対し、収入済額は1億4,073万6,000円余と、2億4,472万円余減額となっております。率にすると36%の減額です。金額についてはこれで間違いないかどうか、確認いたします。 ◎高齢者施策課長 間違いございません。 ◆くすやま美紀 委員  次に、なぜこうした大幅減額になったのかという問題です。事業によっては執行率が低いなどという問題もあると思いますけれども、2億4,000万円を超える減額、率にして36%の減というのは大きいものだと思っております。なぜこうした結果になったのか、その理由について説明してください。 ◎高齢者施策課長 他に有利な補助金があったため、そちらを選択したということ、それから、当初の歳入見積もりと実績との差が生じたということによります。 ◆くすやま美紀 委員  有利な補助事業に移ったということですか。それを具体的にお答えいただければと思うんですが。 ◎高齢者施策課長 区有地活用介護基盤整備促進事業補助金というもの、それから区市町村介護人材緊急確保対策事業費補助金、これは新規です。それから、人生100年時代セカンドライフ応援事業補助金と長いものですが、その3つです。 ◆くすやま美紀 委員  額についてもお願いできますか。 ◎高齢者施策課長 最初の区有地が1億7,685万円、人生100年時代が635万2,000円、区市町村介護人材緊急確保対策が202万7,000円でございます。 ◆くすやま美紀 委員  今3つお示しいただきましたが、このうち人生100年時代セカンドライフ応援事業補助金ですけれども、これは確かに29年度の決算収入では計上されていませんでしたが、区有地活用のほうの補助金は既に29年度決算で予算現額と収入済額が計上されていると思うんですが、いかがでしょうか。 ◎高齢者施策課長 予算を要求する際には、こちらが有利であるという判断をしたということでございます。 ◆くすやま美紀 委員  区有地活用のほうの補助金なんですけれども、30年度の予算現額は1億7,685万円で、既に29年度から別メニューで存在していたと思うんですね。ですから、この事業と予算額をもって包括補助の収入済額が、私どもは後退していると思っているんですけれども、後退の理由にはならないのではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。 ◎高齢者施策課長 もともと包括補助金の中でやってきたものですので、特に大きな変化があるということではございません。 ◆くすやま美紀 委員  人生100年時代セカンドライフのほうなんですけれども、この収入済額は635万円ほどですよね。ですから、これを引いても、収入済額の減額規模、2億3,000万台だと思うんですね。ですから、収入済額が減ったということは、予定した事業の規模の縮小ですとか予定した事業が実施されなかったというふうになると思うんですけれども、改めて、この収入済額の大幅減ということの理由について説明をお願いします。 ◎高齢者施策課長 特養の整備に関するものでございますけれども、当初予算を組むときには、出来高を大体このパーセンテージということで補助金の計算をいたします。それが実際に実績が若干違ったということで差額が生じたということでございます。 ◆くすやま美紀 委員  事業によっては執行率の低い事業もあると思うんですけれども、いかがなんでしょうか。執行率の低い事例については具体的にお答えいただきたいと思うんですが、どうでしょうか。 ◎高齢者施策課長 低い事例というのは、安心コール事業というのが1つございますけれども、それが若干、9万7,580円ぐらい未執行、健康長寿モニター事業で37万6,000円、公衆浴場を活用した高齢者の健康増進事業61万2,600円、この辺が大きなところで、あとは数千円とか10万円以下といったような状況でございます。 ◆くすやま美紀 委員  予算現額と比べての後退を今指摘したんですけれども、あわせて、29年度の収入済額と比べても大幅後退だというふうに指摘したいと思うんです。29年度決算書を見ますと、包括補助事業の収入済額は3億8,549万円でした。昨年度の収入済額と比べて、30年度の収入済額は1億4,073万6,000円ということで、2億4,000万円も後退しています。その理由についても説明していただきたいと思うんですけれども、昨年度と比べて、事業数ですとか事業規模、事業費の後退など、具体的に説明をお願いします。 ◎高齢者施策課長 29年度まではちょっと分析をしておりませんけれども、どう考えても設備関係、そういったところが大きかったんだろうと想像しております。 ◆くすやま美紀 委員  想像ということですけれども、決算の審議ですので、そうしたところまでしっかりと分析していただきたいと思います。  ここまで高齢社会対策区市町村包括補助事業補助金の収入済額について取り上げてきましたけれども、他の高齢者福祉分野の補助金全体も確認する必要があると思いまして、29年度と30年度の決算書で、補助金の担当が高齢者施策課と書かれた補助金を調べてみました。私が調べたところでは、29年度は11事業の補助金が記載されて、収入済額は7億5,200万円余、30年度は、同じく11事業なんですけれども6億1,500万円余と、やはり1億3,600万円余の減額となっておりました。施設の整備などについて、年によって波があるということも承知しておりますけれども、高齢者施策だけを見ても1億を超える減額。施策にどう影響しているのかと心配しますけれども、いかがでしょうか。 ◎高齢者施策課長 高齢者施策課の事業は基本的に大きく変わることはございませんので、既定の事業に変化はないです。やはり特養の整備、そういったところだと考えます。 ◆くすやま美紀 委員  今後も高齢者人口が増加する中で、しっかりとした分析が必要と思います。高齢者施策を充実させていく上で、歳入の確保、補助金の活用というのは大変重要になってくると思いますので、今後ともその努力を求めまして、質問を終わります。 ○山本ひろ子 委員長  それでは、山田委員、質問項目をお知らせください。 ◆山田耕平 委員  商店会の補助金不正問題について。杉並区商店会に関する補助金検証委員会の進捗状況についての資料などを使わせてもらいます。  この間、商店会の補助金不正問題について、一般質問、委員会質疑などを通して真相解明に向けた質疑を行ってきました。杉並区議会としても調査特別委員会の設置も求めているところです。一方、この間の議会答弁や検証委員会の進捗状況の報告では、率直に言って不十分であるということを指摘せざるを得ないと思います。真相解明に向けて商店会の責任を明らかにするとともに、この問題が発生してしまった原因について区責任も含めて解明することを求める立場から、以下質問していきます。  最初に、30年度の当初事業の要確認事業について確認していきたいんですが、補助金検証委員会の進捗状況の(5)、他の補助金について、区の11事業で確認を要する事項、都の8事業で返還を要する可能性があるとの指摘の部分について、11事業、8事業について補助金合計額を改めて確認したいんですが、できれば30年度分を示してほしいのですけれども、可能であればお示しください。 ◎産業振興センター次長 区民生活委員会での御質問に対するお答えとして、後日お答えした総額でございます。事業を特定できないものとして、5年間の総額としてお伝えいたしました。11事業が1億9,862万3,000円、8事業が1億9,347万6,000円ということでございます。30年度というお尋ねですが、事業者情報に当たりますので、特定できないようにということで、お答えは控えさせていただきたいと存じます。 ◆山田耕平 委員  5年間で出した意味というのが少し問われると思うんですけれども、各事業で5年間にわたり同じようなことが繰り返されていたということなんでしょうか。どのような問題があったのか、返還を要する不正の可能性があると判断されたのか、区の11事業、都の8事業、それぞれ確認したいと思います。 ◎産業振興センター次長 5年間というのは書類の保存年限ということで、悪質なケースの場合には5年間さかのぼって請求される場合があるということで5年間ということだと存じます。  今回の11事業、8事業ですが、これはあくまで区の検査、また都の検査の直後、返還が生じる可能性があるということで取り上げたものでございまして、その後調査を継続しておりまして、商店会等に確認してございます。そうした中で、さまざま問題はありますけれども、具体的に金額等はまだ固まってございません。 ◆山田耕平 委員  8事業について返還の可能性があるのかどうかということと、8事業の都区の補助金支給額の総額、5年間で割ったとしたら大体3,000万円以上になると思うんですけれども、全額返還を要するとなれば事態は深刻だと思いますが、現在の調査段階における区の認識はどうでしょうか、確認します。 ◎産業振興センター次長 まだ検査中でございまして、金額のほうは算定できる段階ではございません。もちろん、全額返還というようなものは想定してございません。 ◆山田耕平 委員  次に、25年度の東京都からの是正指導について確認したいんですが、都への情報開示請求で、区から提出を受けたさまざまな資料を確認しました。その資料に基づいて、何点か確認していきたいと思います。  開示資料の中には、平成25年度実績に対して都が平成26年度に行った検査結果、是正指導に該当する文書を確認しました。この是正指導について、ハロー西荻以外に何事業で返還を要する事業があったのか、またその返還理由についても確認したいと思います。 ◎産業振興センター次長 26年度につきましては、25年度の都区の補助金について検査を行っていただいています。その結果、5事業について指摘を受けて返還を行ってございます。5事業の合計の返済額は65万6,000円となってございます。  返還の理由ですけれども、主なものとしては、チラシや看板への他事記載、要するに、チラシや看板へそのイベントもしくは参加商店会以外の記載を書きますと補助対象外となるということで、他事記載ということで補助対象外になったケースがかなり多くなってございます。また、郵送料、たまたま商店会員に対する郵送料ということで補助対象外になったものがございます。 ◆山田耕平 委員  ハロー西荻を含む、協賛金が未計上であったというものについては何事業あったのか。 ◎産業振興センター次長 ハロー西荻以外では1事業が、金額は少ないんですけれども、協賛金の未計上を指摘されてございます。 ◆山田耕平 委員  3事業じゃなかったですかね、ハロー西荻を含んで。 ◎産業振興センター次長 申しわけございません、3事業でございます。 ◆山田耕平 委員  ハロー西荻を含めて3事業だったと思うんですけれども、当時これは、率直な疑問なんですけれども、議会への報告があったのかどうか、確認します。 ◎産業振興センター次長 当時は、違約加算金も含めて損害賠償という認識がございませんで、通常の流用ということで処理してございます。そのため、特段議会への報告はございませんでした。 ◆山田耕平 委員  ぜひ、こういった問題が発生したからには、議会にも報告をしていただければと思います。  この5事業を行った商店会に対して、是正指導と補助金返還の話及び今後の改善について個別に協議をしたのでしょうか、確認します。 ◎産業振興センター次長 まず、是正指導ですけれども、都から疑義照会をいただきまして、その回答をするに当たって各商店会に確認を行います。また、補助対象外となった理由につきましても指導を行ってございますので、是正指導は行ってございます。  返還につきましては、その際いろいろ検討したんですけれども、基本的に区の要綱に従って事業を行っている商店会に対しては返還を求めないということで、都に対しましては返還を行ってございますが、各商店会については返還を求めてございません。 ◆山田耕平 委員  返還を求めてないということはわかるんですけれども、こういった問題が発生して、しっかり対応してくださいということは、ハロー西荻も含めて協議をしたということなんでしょうか、確認します。 ◎産業振興センター次長 各商店会に対しまして、こういった理由で課題があったということは指導してございまして、またハロー西荻につきましては、返還があったという事実はお伝えしているということは確認してございます。 ◆山田耕平 委員  そうすると、1回目の都の是正指導のときに、商店会に対しては協議というかそういうことを伝えていたのにもかかわらず、もう1回行われたということなんですかね、確認します。 ◎産業振興センター次長 課題につきましてはお伝えしてございまして、返還金について明確に伝えたか伝えてないかということになりますと、ハロー西荻につきましては、今調査を行ってございまして、その当時の西商連の会長に対しましてお伝えしているということは確認してございます。 ◆山田耕平 委員  その点についてはしっかりとこの後も調査していってほしいと思うんですけれども。
     さきに取り上げた11事業で確認を要する事項と、あと都の8事業で返還を要する可能性のある事業ということなんですが、平成25年度の是正指導の際の5事業と重なっているところはあるのかどうか、確認したいと思います。ハロー西荻以外で。 ◎産業振興センター次長 若干重なっている事業がございます。 ◆山田耕平 委員  そういうふうになってくると、是正指導を受けた後の区の対応というのがどうだったのかというのが問われると思うんですね。本来であれば、そういった是正指導を受けたところ、ハロー西荻も含めて、1回やっているわけだから、しっかりと協議を尽くせばこのようなことはなかったと思うんです。それがしっかり行われてなかったのかなと思うんですが、その点はどう分析しているのか。 ◎産業振興センター次長 1度指摘された事項につきましては、基本的にはその事業について商店会にも御注意申し上げますし、私どもも注意して点検してございます。したがって、翌年度以降、同じ理由で返還となった事業はございませんでした。  御指摘をいただいたように、26年度の指導につきましては、先ほど申し上げましたように、チラシや看板への他事記載、また会員商店に対する郵送料、協賛金の未計上でございました。これにつきましては、当然、同一の団体に対しましては、同じことで翌年度指摘されてはございません。  御指摘のように、十分なチェック体制ということで、翌年度以降も、100を超えるさまざまなイベントにつきまして区のほうではチェックしてございまして、残念ながら同じような理由で返還になったケースもございます。ただ、同一事業者に対して同じようなケースというのは、これまでないようにしてございます。再発防止につきましては、十分留意しながらこれからも取り組んでまいります。 ◆山田耕平 委員  丁寧にありがとうございました。よくわかりました。  同一事業者というのは、ハロー西荻はあったけれどもほかはなかったということだと思うんですが、チェック責任というのが結構問われているなと思うんですね。我が党議員の一般質問に対して区は、管理職は商店会側からの収入計上がなかったため協賛金の存在自体を知り得ず、その結果、都からの是正指導後も協賛金未計上のまま実績報告を出し続けたというふうに答弁しています。ただ、一方、平成26年時に都の是正指導を受けた管理職の方と、その後の平成27年時の実績報告を決裁した管理職の方、この人は同一の方だと思うんですけれども、その点どうなんでしょうか、確認しておきます。 ◎産業振興センター次長 同一の管理職の場合もあるんですけれども、ヒアリングの中では、決裁の際にあえて記載のないことについて指摘をするというのはなかなか難しいものでして、記載の内容について正しいか間違っているかというチェックはしているんですけれども、そこに記載のない協賛金がないのかあるのかということ、そこまで追及した者はいなかったというのが事実でございます。 ◆山田耕平 委員  なかなか難しい確認事項だと思うんですけれども、都の是正指導があった翌年の実績報告書ですので、しかも同じ方の印鑑が押されている文書もあるんですね。本来であれば、区みずからが、この問題についてはチェック機能を果たす必要もあったのかなというふうに感じるところです。平成27年の実績報告書の段階で、前年度の是正指導を踏まえたチェック機能をしっかり果たしておいたほうがよかったというふうに感じますが、その点についてどう考えるでしょうか。 ◎産業振興センター次長 26年を踏まえまして、マニュアルのほうは変更いたしました。27年2月の商店会に対する指導におきましては、そのマニュアルの変更点について強調してございます。そうでありながら、ハロー西荻について、26年度以降協賛金が計上されなかったというのは非常に残念なことだと存じます。具体的に実績報告が上がった段階でさらに精査、確認していれば見つかったかなと存じますが、今後もそういうことのないように十分注意してまいりたいと存じます。 ◆山田耕平 委員  チェック機能というのは本当に厳しいものが求められると思うんですね。この点について、管理職は商店会からの収入計上がなかったため協賛金の存在自体を知り得ずというような答弁というのは、都の是正指導を踏まえていれば、そういった言い切りみたいなことは成り立たないというふうに考えるんですが、その点どうでしょうか。  あと、この問題については個々人の責任によるものではないというふうに思うんですね。そういったチェック体制を組織としてどのようにつくっていくのかということも検証委員会として確認していただきたいと思いますが、その点どうでしょうか。 ◎区民生活部管理課長 委員今御指摘のあった点を含めて検証委員会で検証して、再発防止策についても報告書のほうに載せていきたいというふうに考えてございます。 ◆山田耕平 委員  よろしくお願いします。  次に、ちょっと個別的な話に入っていきたいんですけれども、西荻の事例について会の実績報告を確認したところ、かなり不完全で不備が多いということを指摘せざるを得ないものです。そうした実績報告について、区の担当者が恐らく不備を手直しするというような対応をせざるを得なかったのかなと。善意でやっている可能性もあるんですけれども、そういったもので報告書が作成されていたということを考えざるを得ないんですけれども、その結果、会の責任だったり区の責任というのが不鮮明になっているのではないかと思います。  この点について確認していきたいんですが、都が区から提出を受けた平成30年度の実績報告書では、添付された収入明細に各商店会からの負担金が計上されています。しかし、商店会が区に提出した資料では、収入明細表はあるんですが、負担金の金額が記載されていないという状況です。添付された出納帳にも、広告料の記載はありますが、負担金の記載はありません。都に示した区への実績報告書は、そもそも商店会が作成したものなのか、またはそれを区が整理した上で提出したものなのか、その点、確認したいと思います。 ◎区民生活部管理課長 委員今御指摘いただきました実績報告書と、また西商連の代表商店会が出された資料、これについても今現在検証委員会のほうで検証してございますので、もうしばらくお待ちになっていただきたいと思います。 ◆山田耕平 委員  ぜひ検証をお願いします。  さらに、27年度のケースですが、商店会の提出資料について、区職員がつくり直し、売り上げ台帳への商店会担当者の押印をお願いしている事例があったと確認しています。区には事前に情報提供もしていることなんですが、この点についてはどうなっているのか、またこの件についてどう認識しているのか、確認します。 ◎区民生活部管理課長 この点につきましても、検証委員会の中で検証させていただきます。 ◆山田耕平 委員  ぜひよろしくお願いします。  さらに、区職員が実績報告を修正、書き直していたのではないかと考えざるを得ない文書を都からの開示文書で発見しました。区に商店会から提出された平成27年度の実績報告について、商店会が作成し区に提出した出納帳は、5月23日付で協賛金75万5,000円、広告費25万円が記載されています。一方、都の開示文書では、収支報告が整理されて、協賛金の記載そのものが出納帳から消え、広告費は25万円ではなく、6者6万円というふうに変わっています。このことについて区はどういった認識を持っているのか、確認しておきます。 ◎区民生活部管理課長 この点につきましても、必ず検証して解明していきたいと思ってございます。 ◆山田耕平 委員  ぜひ検証をお願いします。  こうした事実経過については、これからの検証でしっかりと明らかにする必要があると思うんですね。この問題についてしっかりとした検証を深めて、きっちりと対応していただきたいということを求めて、質問を終わります。 ○山本ひろ子 委員長  以上で日本共産党杉並区議団の質疑は終了いたしました。  立憲民主党杉並区議団の質疑に入ります。  それでは、太田委員、質問項目をお知らせください。 ◆太田哲二 委員  財政指標と財調と保育園の補助金。  まず、総務省の5大財政指標のことですけれども、財政力指数、経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率、5番目がラスパイレス指数。先回の決算特別委員会だったか予算特別委員会だったか忘れましたけれども、ラスパイレス指数が杉並区の報告書には割と無視されているということで、今回からちゃんと書いていただけるようになってありがとうございます。  それで、さっき言いました5大指標については、一々数字読まなくてもおわかりのとおり、別に異常なし、心配なし、そういう数字なんですよね。だから、何も言うこと──学校の先生が、自分の生徒、とても優秀な生徒に対して何を指導するのかなと。おまえ、成績いいから怠けてもいいよ、成績いいから遊んでいていいよ、そういうことは多分言わないんだよね。今までどおり一生懸命やってくれと言うだけのことだろうと思うんですよ。そうなると、どうしても学校の先生は、成績の悪い子、そっちのほうに関心がずっと行くわけですよ。  私も、いろいろ調べていると、どうしてもほかの自治体のところへ、成績が悪い自治体のほうへ関心が行っちゃうわけですよ。今年度の数字はまだインターネットでも出てないので、去年の数字とかになっちゃうんですけれども、2017年の数字ですけれども、千葉市は財政力指数が0.94だけれども、将来負担比率が159.4もあるわけです。将来負担比率、御案内のとおり、杉並区はなしというわけですね。すごいな、159もあるかと。横浜市はどうなのかというと、財政力指数は0.97だけれども、将来負担比率は145.6もある。京都市も、財政力指数が0.81だけれども、将来負担比率は197もある。広島市も、財政力指数は0.84だけれども、将来負担比率が199.6もあるんですね。私の記憶では、広島とか千葉とか京都、あそこは数年前は200以上だったんですね。二百何十だったんですよ。さすがに悪過ぎるというので、一生懸命頑張ってやっとこさっとこ200以下にこぎつけたということだろうと思うんですよ。今述べたところだけじゃなくて、政令指定都市が概して悪いんですね。もちろん、政令指定都市の中でも浜松市なんていうのは、杉並と同じように将来負担比率なしですよ。いいところはいい。だけど、概して百何十というか、ちょっと前までは200を超えているところがずらっとそろっていた。一体何なんだろうなということで、非常に心配をしているわけです。自治体がでかくなると将来負担比率が悪くなっちゃうのかな、大きくなると目が届かないから、でたらめな財政運営やるようになっちゃうのかなと、そんなような心配をするわけです。  それから、これは東洋経済新報社の東京23区を除く財政健全都市ランキング20。100ぐらいまで書いてあったんですけれども、面倒くさいから20までなんですけれども、23区を除きますから、2番が武蔵野市なんですね。調布市が10番、三鷹市が12番、府中市が13番、国分寺が15番、立川が19番、そういうことになって、あとは大体愛知県のやつと同じようなところで、ほかの県とかは余りないんですね。愛知県と大体東京がずらっと占めちゃっている。そういうようなことで、23区は都区制度なんて変なことをやっているからこういうところに出てこないんですけれども、ちゃんと本当に東京大改革、23区大改革やって都区制度というのを取っ払ってしまえば、私は、杉並は武蔵野とか三鷹と似たり寄ったりの、ベスト10入りぐらいになるんだろうなというふうに思っております。  そういうようなことで、杉並区はとにかく健全財政だ。だから、何を言うかというと、健全財政だから何もしなくてもいい、ぼーっとしていてもいいというわけではなくて、やっぱり何か注意しなくちゃいかぬことがあるだろうなというわけです。時々答弁やら出てきていますけれども、突発的な経済危機、リーマンショック並みの経済危機が勃発したらどうなるのか、どうするのか、どう準備していくか、あるいは大災害が発生したらどうするんだ、もうすぐ団塊の世代が全員後期高齢者になっちゃう、そうなったらどうなるんだろうな、あるいは一番ありそうなのが国家財政の破綻というやつですね。かつて小渕総理は、自分は世界一の借金王だというふうに自嘲していたんですけれども、それは立派な認識だと思うんですね、小渕さん。最近は国家財政は、借金することはいいことだというような感じで、一体何なんだろうなという風潮になっちゃっているわけです。小渕さんのころに比べれば、今は2倍か3倍ぐらい悪化しているんですよね。それでも平気の平ということで、どうなのかなあということであります。もし総務省が自治体と同じような数字で国家財政を検証したら、財政再建団体間違いなしというぐらいな話ですよ。  そんなようなことがいろいろ心配あるんですけれども、御質問したいことは単純なことで、健全だ健全だということなんですけれども、健全の中にあっても何を杉並区は注意して財政運営に当たらなければならないのかなと、実にわかりやすい質問です。よろしくお願いします。  それから、財調の件に移りますけれども、ここ何十年間、55%で財調の調整率が固定化されたままずっと来ちゃっているわけですよ。さっき言いましたように、東京大改革だとか23区の大改革というのは、都区制度を取っ払ってやるということなんですけれども、そういう話は全然出なくてずっと推移しているわけですよね。要するに、私から言わせれば、東京都に23区のお金が毎年2,000億ぐらい取られちゃっているという話なんですけれども、ずっとぼんやりしているものだから、その金を今度は国が取っちゃう、すっと横取りしていく。23区が取るなら話がわかるんだけれども、勝手に横からぴょこっと国が来て取っていっちゃう、そういうことになるんですよね。だから、23区の都区制度の改革というのをやらなければいかぬのですけれども、ちょうどたまたま今、児童相談所の移管というのがテーマになってきているわけです。児童相談所の移管ということは、現在の55%プラス何%か、当然なるはずなんですよね。それが一体どんなようなことで議論されているのか。もちろん、児童相談所の経費の部分だけパーセンテージを上げるというんじゃなくて、それとあわせてほかのことも一気にこの際どばっと、パーセンテージを55%から65%ぐらいまでびょーんと上げる。そうすれば何十億円という話になるから、児童相談所絡みで財調調整率どうなるか。 ◎政策経営部長 最初の御質問ですけれども、最初に他の委員に御答弁したとおり、本区の場合でも、平成11年の時点の状況、それからリーマンショック後の状況のことはお話をさせていただきました。また、委員からも引用がございましたけれども、国の対外債務というのは対GDP比で230%ということで、異常な状況で、この国は対外債務というのは政府部門のほうが多いから、それは大丈夫だというようなことがよく言われますけれども、我々は、いつ何どきどういう状況が起きたときも、区民のために財政運営を持続可能なものにしていくということに焦点を当てて、財政運営のルールを定めて、天候が好天に恵まれているときでも基金を着実に積み立てていくということを旨として、具体的には、ルールを昨年度定めて、それに沿った財政運営を行っていくということでございます。  もう一つ、財調の配分割合の問題なんですけれども、財調協議、これまでの間も、あるいはこれからも、ポイントになってくるのが児相の問題です。委員からかつて三位一体改革のころの話もございましたけれども、児相の問題も、そもそも平成12年の都区制度改革のときに、大きな財源割合だとか配分変更があったときは、財源配分の割合を変えるという東京都との仕切り、約束事があったんですけれども、今回の児相の問題で東京都はそういう見解をとっていません。今回の法改正は、かつての保健所や清掃事業を移管したときと違って、児相については都道府県が引き続き設置と運営の義務を負う、ただ特別区が担うことができるということになったにすぎないから、大きな制度変更には値しないという論理なんですね。ですから、今の段階で、ましてや設置しようとする22区が具体的な計画をまだ示されていない段階で、配分割合を議論する段階ではないという主張をしています。  これに対して区長会は、それは違うということで、来年、先行3区が始めるんですけれども、そのときの配分割合を平たくそろばんをはじくと大体0.2%、1%に満たないんですけれども、もう来年度から配分割合の変更をしていくべきだと。令和15年度にはたしか13区が児相を設置する、その段階になって2.0%ということになるんですけれども、いずれにしても、この辺、かつての東京都との交渉も難航をきわめてきておりますから、今までの節目節目の交渉を見ていると、早い段階からそこは対峙して区の主張を貫いていくということが必要だと思っています。  また、戻ると、委員がおっしゃった主要5課題の解決を、平成19年、三位一体の影響額を勘案して52%から55%にしました。そのときに、大都市事務は東京都と特別区が一緒に担っていきますので、東京都が考える大都市事務、都が担う大都市事務と区が担う大都市事務、区が考える東京都が担う大都市事務の乖離が5,000億もあるんですね。この辺のところは都区のあり方検討会というところに委ねられたんですけれども、それも終わってしまったということで、いずれにしても、大都市事務の捉え方というのは都区で双方食い違っていますから、この辺は、その先に財調の配分割合、区側の主張というのは出てくるかと思いますけれども、今はまず何よりも児相の問題できちんと対峙して配分割合の変更を考えていかなきゃいけないという段階でございます。 ◎区長 ちょっと補足ということで。  かつて、二十数年前、30年近く前の政治状況というのは、地方分権に対して非常に関心が高まった時代があったと思いますが、今果たしてそういう時代状況になっているかどうかというと、漠然とした印象論で、多少語弊があるかもしれませんけれども、非常に集権的な流れというかな、風潮というのがむしろ強くなってきているんじゃないかという気がいたしますね。東京都もその辺どういう認識をしているのか。基礎自治体優先という原則をきちっと尊重しながら都区間のテーブルに着くという感じがむしろ薄れてきているんじゃないかという気がしますよね。  身近な例でいえば、たばこ。私はこれは非常に憤慨をして、今でも憤慨をしているわけですけれども、かつて、バス停を10メートル移動させるのに何でこんなに国の関与が必要なんだということを叫んでいた同じ人が、たばこを吸う場所をどこにするかというのを国が一方的に決めていこうというのをさらに上回って、自分でもっと勝手に権限を行使していこうなどという条例をつくろうと、実際つくったわけだけれども、だから、発想のよって立つ──私はたばこを吸え吸えと言っているんじゃないですよ、そうじゃなくて、物の考え方、制度のつくり方、そういうところに自治権とか分権ということの発想というのが非常に薄れてきているんじゃないかという気がいたしますから、国全体としてもう1回、地方分権というのは何だったんだろうという議論がもう少し高まってくるという状況があってほしいなというふうに思いますね。 ◆太田哲二 委員  どうもありがとうございます。  それから、保育園の補助金の件ですけれども、一般的なイメージは、区民サービスをいっぱいやれば財政は悪化する、区民サービスを削減すれば財政はよくなる、当たり前ね。仕事を一生懸命やれば金かかる、やらなきゃ金かからないという発想があるんですけれども、だから私は、当該年度、本当におめでたいことに待機児童ゼロを達成した、保育園をつくるために、どんどんつくれ、じゃんじゃんつくれとやっていたわけですけれども、その際も話したと思うんですけれども、いっぱいつくると一時的に財政悪化するのではないか。だから、一時的な財政悪化を余り恐れずにどんどんつくれというようなことを話したと思うんですけれども、ところが、実際やって、決算書なんか見ても、その感じがどこからも、保育園いっぱいつくったものだから財政がこの分悪くなりましたというのがよくわからないんですよね。よくわからないどころか、何か全然関係ないみたいな感じで、すーっと。普通だったら、いっぱいつくったんだから、財政がその分悪くなったというのが出てくるのかと思ったら、出てない。  一方、補助金の資料をいただいたら、国やら東京都からいっぱい補助金が来ているんだな、ああ、これであれなのかなと思ったり、もう一つのいただいた資料で、超過負担の資料を見ると、保育園だけで50億とか60億か、それぐらい超過負担になっちゃっている。その分財政が圧迫になっているのかなと決算のあれを見ていると、そうでもないな、一体何なんだろうな、どうしてこう円滑にいっているのかなというのを、わかりやすく御説明をいただければありがたい。  以上です。 ◎区長 細かいこと、もし補足があれば幕閣が多分カバーしてくれるだろうと思いますけれども、保育園ということでいえば、この間ずっとつくってきたのは民営の保育園ですね。しかも、認可です。認可で、民設民営中心につくってきた。要するに、認可を今一生懸命一生懸命つくり出しているということで、認可外をつくるより、御承知のように、自治体の持ち出しというのが非常に少ないわけですよね。保護者のニーズにも合っているということで、確かに保育関連経費は、私が就任したころ60億ぐらいでしたかね、今は250億か300億ぐらいまで膨張しているかもしれませんけれども、それだけの区民に対するサービス還元は行われているわけです。額面はふえているけれども、太田委員がおっしゃるように、それを全部持ち出しでやっているというわけではないので、多分そういう外見的な数字上は、私が責任者苦しくないんじゃないだろうかと思っていると言うと眉をひそめる財政担当者がいるかもしれませんけれども、何とかやれている。  今回の無償化に関連した食費の問題なんかも、聞いてみると、今までやってきたことが財政的な意味では非常にいいアドバンテージとして、杉並区は、国からの補助金というんですかね、助成を獲得してきているという意味で、無償化をしたほうがむしろ経費がかからないということで給食の無償化もやることになったということで、それぞれつかさつかさで、いろいろみんな知恵を出しながら、財政規律をきちっとキープしてきているというふうに思います。  もう一つ言うと、先ほどもほかの会派の委員の方に言いましたけれども、困った人を助けるのが政治の一義的な責任だと私は常に思っています。ただ、景気の変動というのは将来非常に不安定、これはいつの時代でも多分そうだろうと思います。ただ、底に行ったときに、例えば国の水準よりも厚い形でさまざまな手当てをしてきていた場合に、ボトムになったときに、苦しくなったからすぐそれを引き揚げるということは、むしろできるだけ避けるべきだと思います。最も避けなければいけないのは、再建団体になって自治権を事実上行使できない経営状況に陥るということ、これは絶対避けなきゃならないけれども、それを絶対避けなきゃならないがゆえに、一定程度の基金というのは、どうしても福祉政策を継続して安定してやっていく上では必要だということです。そういう意味で、財政のルールもつくりながら、その辺は上手にバランスを見ながら、できる限りのことを尽くしてやっていくというのが自治体経営かなというふうに思っております。 ◎保育課長 区長のほうから、民間施設中心に整備してきたというお話が今あったところですけれども、もう少し細かいところで話をさせていただきますと、平成30年には保育料の改定を行って、そこでの歳入増を図ったこと、あるいは、認証保育所等の認可外施設の認可化移行を進めていること、また段階的に保育室の廃止を進めていること、こういったことで、全体として保育関連経費は確かにふえていますけれども、そういった保育の中でのいわゆる区が持ち出しになるような部分をいかに削減するかということで、またあわせて区立保育園の民営化もそうですけれども、そういったことを全部パッケージで進めているということから、現在、全体として保育関連経費がふえている中で、そこのところを財政運営に大きな影響を与えないような形で進めているということでございます。 ○山本ひろ子 委員長  それでは、関口委員、質問項目をお知らせください。 ◆関口健太郎 委員  クラウドファンディングと、時間があれば特別区民税について。  まず初めに、クラウドファンディングについて伺いたいと思います。  先日、区内のNPOの皆さんと懇談をいたしました。多くの御意見をいただき、参考になりました。区としても、行政の手の届かないところへNPOと協力して課題解決に向かっていくということは、重要であると考えております。  そこで、まずは現在のNPOの支援基金についての概要を伺いたいと思います。 ◎地域課長 NPO支援基金につきましては、NPO等の活動に対して支援する目的で設立された基金でございまして、平成30年度末現在、約807万余の基金の残がございます。寄附でございますが、毎年、近年は90万から100万程度の寄附金が集まってございます。  一方、支出のほうでございますが、毎年、近年5から10団体に助成金という形で支出しております。ちなみに、平成30年度は7団体に対して助成いたしました。この助成につきましては、NPO等活動推進協議会で助成額と助成団体を決めた上で助成をしているところでございます。 ◆関口健太郎 委員  今おっしゃったとおり、NPO支援基金は、まず基金に寄附をしていただいた方のお金が入って、その後、事業の選定を行われるということで、NPO支援基金に寄附はするけれども、使われ方の選択肢がないというところであると思います。それだけではなかなか寄附というものも集まらないのではないかと思っております。  そこで、寄附をする側がどの事業に寄附をしたいか、こうしたことをみずから選択できるようなクラウドファンディングというものを拡充してはと考えますけれども、いかがでしょうか。 ◎区民生活部副参事(河俣) 現在、御指摘のように、クラウドファンディングは、寄附が何に使われるか、どういう事業に使われるかということを寄附者のほうがイニシアチブを持っているという点で、魅力的な寄附の募集方法だと思います。  拡充についてなんですが、御指摘は重要な要素なんですけれども、一方で、区の方針である寄附文化の醸成と、クラウドファンディングは福祉の増進につながるか、また税金で直接賄われるべきものか、さまざまな考慮をする必要があると思います。今行っているクラウドファンディングをしっかり行いながら、ノウハウをためて、今後拡充をするべきかどうか研究してまいりたいと考えてございます。 ◆関口健太郎 委員  よろしくお願いします。他自治体では、例えば動物の殺処分というものを掲げて、数億円単位で寄附が集まっているというものもございますので、ぜひよろしくお願いいたします。  現在、区としては、荻外荘、日フィルということで、2つクラウドファンディングを実施しておりますが、区は現在の状況をどのように分析しておりますでしょうか。 ◎区民生活部副参事(河俣) 2つの事業とも、平成29年度からクラウドファンディングを行ってございます。年々寄附する方もふえて、ことしは荻外荘について高額の寄附をいただくなど、徐々に理解も広がってきているのではないかというふうな手応えを持っているところなんですが、うちの課のほうで区政モニターをやったところ、4人に1人はまだ寄附の内容をよく知らないという反応なんかもございまして、まだまだ事業の周知に力を入れていく段階ではないかと思っております。すぎなみフェスタを初めいろいろな行事で宣伝するとともに、区外の方にもSNS等を利用した周知を図っていかなければならないと考えているところでございます。 ◆関口健太郎 委員  よろしくお願いします。  区の実施しているクラウドファンディングに関しても、まだまだ潜在能力があるのではないかと思っております。例えば荻外荘では、近衛邸という側面が多く見られがちでありますが、先ほども他の委員の質問に答弁でありましたけれども、設計自体は日本を代表する建築家である伊東忠太氏がやっていた。代表作には、明治神宮ですとか、築地の本願寺ですとか、一橋大学の兼松講堂などがあります。建築的観点からクラウドファンディングを進めていくことも有効ではないかと思います。例えば、建築的な分野を学ぶ、そういった大学の教育機関を巻き込んだりですとか、あるいは建築業界を巻き込むといったことによって、かなり荻外荘のクラウドファンディングも前進をしていくんじゃないか、お金が集まるんじゃないかと思うんですけれども、そこのところはいかがでしょうか。 ◎都市整備部副参事(星野) 委員御指摘のとおり、荻外荘は建築家・伊東忠太が設計した現存する数少ない邸宅建築でございます。意匠を凝らした建物は、建築的な価値が非常に高いと認識しております。委員御指摘のとおり、歴史的な側面だけではなくて、建築的な観点から進めていくことは、とても有効ではないかというふうに我々も感じております。今後も、国の史跡であります荻外荘の復原・整備の重要性について区の内外に発信して、多くの支援を得られるように取り組んでまいりたいと考えております。 ◆関口健太郎 委員  よろしくお願いします。  また、今後区がクラウドファンディングを活用していくために必要なことは、楽しいとかわくわくするとか、そういった要素ではないかと考えております。クラウドファンディングに参加をする層は若い方も多いと思います。クラウドが1,000人いて、999人がなかなか関心がなくとも、1人にヒットすれば、これは大成功だと思っております。そうしたニッチな部分が好まれるという部分もあると思いますので、今後の取り組みとして求めていきたいと思いますけれども、区の見解をお願いします。 ◎区民生活部副参事(河俣) クラウドファンディングについては、例えば1匹になってしまった公園のポニーを救うとかというような、狭い範囲のニッチな取り組みが大成功をおさめているというふうな例もございます。大事なことは、委員御指摘あったように、寄附をすることの楽しさとか事業についての共感が寄附者を引きつけるという重要な要素かと思います。先ほども報告がありましたように、今後クラウドファンディングを活用していくポイントとして、御指摘の点と、現在行っている荻外荘について、歴史や建築とか、コアな層を捉えての発信とか、また、いろいろ行事を行っていく中で若者にどのように訴求をしていったかとか、そういったことを事業の中でしっかり評価して、今後のクラウドファンディングに生かしていきたいというふうに考えてございます。 ◆関口健太郎 委員  よろしくお願いします。  続きまして、特別区民税でありますが、先ほどの他の委員とかなり重複をする部分でありますので、はしょって質問したいと思います。  特別区民税は、一般会計歳入に占める割合は32.2%で、自主財源に占める割合は68.9%ということで、非常に貴重な財源の1つでもあります。先ほど他の委員がまさに指摘をされましたけれども、高額納税者の部分に焦点を当てると、高額納税者の平成30年度のトップ10を見ますと、合計納税額が19億3,088万、そのうちの分離課税額は17億5,638万でありまして、合計納税額に占める分離課税の割合は91%ということで、区内の高額納税者に関しては相当、株の配当ですとか譲渡ですとか、あるいは不動産の関係、そうしたものによって利益を得ているということがわかるかと思います。  しかし、今から10年前を振り返ると、平成21年は、同じく高額納税者のトップ10、合計額は3億8,462万6,000円、そのうちの分離課税額は1億3,670万2,000円でありまして、分離課税額の割合は35.5%ということで、10年前に比べると、今の分離課税額の割合が非常に高くなっているということで、私もこれは危機感を持っております。  ただ、その反面、高額納税者が非常に税負担をしていただいているということは非常にありがたいことでもありまして、先ほどの委員も指摘しましたけれども、格差社会であるという側面とともに、高額納税者と低所得者の分断というものが生まれてしまっているのではないかということも正直思っております。ただ、株の配当、譲渡、こうしたものは景気にかなり左右されるものでございまして、今後の税収の見通しというものをしっかり見ていただきたいと思うんですけれども、そのことについて伺って、質問を終わりたいと思います。 ◎課税課長 さきの委員の御質問にお答えできなかった部分がありまして、今まさに委員がおっしゃったように、税部門としましては、高額の所得者に関しては、それなりの税負担をしていただくことが必要だというふうに考えているところでございます。  景気の状況の変化などによって、株価だけじゃなくて、実際には給与の所得、こういうものにも影響が生じてまいりますし、あわせて納税義務者の増減などにも影響してまいるところでございます。こういうところが区民税の収入に影響してくると思っておりますので、今後とも経済の状況などを注視しながら、私どものほう、税収の動向を推しはかってまいりたいというふうに考えているところでございます。 ○山本ひろ子 委員長  立憲民主党杉並区議団の質疑の途中ですが、本日の委員会はこれで閉じ、明日午前10時に委員会を開会いたします。  本日の委員会を閉じます。                           (午後 4時28分 閉会)...