杉並区議会 > 2018-10-15 >
平成30年決算特別委員会−10月15日-10号

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  1. 杉並区議会 2018-10-15
    平成30年決算特別委員会−10月15日-10号


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    平成30年決算特別委員会−10月15日-10号平成30年決算特別委員会  目   次 委員会記録署名委員の指名 ……………………………………………………………… 5 決算審査  認定第1号〜認定第6号   各会派の意見開陳   杉並区議会自由民主党代表(浅井くにお委員) ………………………………… 5   杉並区議会公明党代表(北明範委員) ……………………………………………11   いのち・平和クラブ代表新城せつこ委員) ……………………………………16   日本共産党杉並区議団代表(くすやま美紀委員) ………………………………22   自民・無所属クラブ代表(小林ゆみ委員) ………………………………………28   区民フォーラムみらい代表(河津利恵子委員) …………………………………35   立憲民主党杉並区議団代表(川野たかあき委員) ………………………………41   杉並わくわく会議(松尾ゆり委員) ………………………………………………46   美しい杉並(田中ゆうたろう委員) ………………………………………………52   無所属(堀部やすし委員) …………………………………………………………57   日本維新の会(木村ようこ委員) …………………………………………………65
                 決算特別委員会記録第10回  日   時 平成30年10月15日(月) 午前10時 〜 午後2時35分  場   所 議場  出席委員  (46名) 委 員 長  渡 辺  富士雄     副委員長  はなし  俊 郎        委  員  木 村  ようこ     委  員  田 中 ゆうたろう        委  員  堀 部  やすし     委  員  松 尾  ゆ り        委  員  関 口  健太郎     委  員  奥 田  雅 子        委  員  市 来  とも子     委  員  小 林  ゆ み        委  員  藤 本  なおや     委  員  上 野  エリカ        委  員  川 野 たかあき     委  員  山 本  あけみ        委  員  太 田  哲 二     委  員  山 本  ひろこ        委  員  大 泉 やすまさ     委  員  井 原  太 一        委  員  小 川  宗次郎     委  員  山 田  耕 平        委  員  上 保 まさたけ     委  員  そ ね  文 子        委  員  岩 田  いくま     委  員  増 田  裕 一        委  員  安 斉  あきら     委  員(副議長)                                 中 村  康 弘        委  員  北    明 範     委  員  川原口  宏 之        委  員  大和田    伸     委  員  今 井  ひろし        委  員  浅 井  くにお     委  員  脇 坂  たつや        委  員  金 子 けんたろう     委  員  富 田  た く        委  員  くすやま 美 紀     委  員  けしば  誠 一        委  員  新 城  せつこ     委  員  佐々木    浩        委  員  河 津  利恵子     委  員  大 槻  城 一        委  員  島 田  敏 光     委  員  横 山  え み        委  員  吉 田  あ い     委  員(議 長)                                 大 熊  昌 巳        委  員  井 口  かづ子     委  員  富 本    卓  欠席委員  (1名)  委  員  松 浦  芳 子  出席説明員 区長      田 中   良   副区長     宇賀神 雅 彦        副区長     吉 田 順 之   教育長     井 出 隆 安        代表監査委員  上 原 和 義   政策経営部長  白 垣   学        施設再編・整備担当部長事業調整   企画課長    伊 藤 宗 敏        担当部長                喜多川 和 美        総務部長    関 谷   隆   情報・法務担当部長                                  牧 島 精 一        総務課長事務取扱総務部参事     危機管理室長  寺 嶋   実                原 田 洋 一        区民生活部長  森   雅 之   地域活性化担当部長オリンピック・                          パラリンピック連携推進担当部長                                  安 藤 利 貞        産業振興センター所長        保健福祉部長  有 坂 幹 朗                齋 木 雅 之        特命担当部長子ども家庭担当部長   高齢者担当部長 田部井 伸 子                徳 嵩 淳 一        健康担当部長杉並保健所長      都市整備部長  渡 辺 幸 一                木 村 博 子        まちづくり担当部長         土木担当部長  吉 野   稔                茶 谷 晋太郎        環境部長    齊 藤 俊 朗   会計管理室長  南 雲 芳 幸                          教育委員会事務局次長        会計課長    小 松 由美子           田 中   哲        教育企画担当部長白 石 高 士   学校整備担当部長中 村 一 郎        生涯学習担当部長中央図書館長    選挙管理委員会委員長                鈴 木 雄 一           西 村 文 孝        監査委員事務局長和久井 義 久  事務局職員 事務局長    佐 野 宗 昭   事務局次長   植 田 敏 郎        事務局次長代理 杉 本   稔   調査担当係長  久保井 悦 代        議事係長    蓑 輪 悦 男   担当書記    十 亀 倫 行        担当書記    渡 辺 美由紀   担当書記    高 橋 知 久        担当書記    高 野 貢 志   担当書記    三 井 真太郎        担当書記    矢 澤 泉 未 会議に付した事件  付託事項審査   決算審査    各会派の意見開陳    認定第1号 平成29年度杉並区一般会計歳入歳出決算…………………原案認定    認定第2号 平成29年度杉並区国民健康保険事業会計歳入歳出決算     ………………………………………………………………………………原案認定    認定第3号 平成29年度杉並区用地会計歳入歳出決算…………………原案認定    認定第4号 平成29年度杉並区介護保険事業会計歳入歳出決算………原案認定    認定第5号 平成29年度杉並区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算     ………………………………………………………………………………原案認定    認定第6号 平成29年度杉並区中小企業勤労者福祉事業会計歳入歳出決算     ………………………………………………………………………………原案認定                             (午前10時    開会) ○渡辺富士雄 委員長  ただいまから決算特別委員会を開会いたします。  《委員会記録署名委員の指名》 ○渡辺富士雄 委員長  初めに、本日の委員会記録署名委員を御指名いたします。金子けんたろう委員にお願いいたします。  《決算審査》   認定第1号 平成29年度杉並区一般会計歳入歳出決算   認定第2号 平成29年度杉並区国民健康保険事業会計歳入歳出決算   認定第3号 平成29年度杉並区用地会計歳入歳出決算   認定第4号 平成29年度杉並区介護保険事業会計歳入歳出決算   認定第5号 平成29年度杉並区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算   認定第6号 平成29年度杉並区中小企業勤労者福祉事業会計歳入歳出決算
        各会派の意見開陳 ○渡辺富士雄 委員長  これより、認定第1号平成29年度杉並区一般会計歳入歳出決算外5件に対する各会派の意見を聴取いたします。  それでは、多数会派順に意見の開陳をお願いいたします。  杉並区議会自由民主党代表、浅井くにお委員。 ◆杉並区議会自由民主党代表(浅井くにお委員) 私は、杉並区議会自由民主党を代表して、平成29年度杉並区各会計歳入歳出決算について意見を申し述べます。  私たち会派は、平成29年度各会計の決算審査に当たり、1つに、基本構想の実現に向けて、区政を取り巻く環境の変化を踏まえて改定を行った実行計画などに沿って事業が着実に執行されたか、2つには、計画事業以外であっても、区政の喫緊の課題に適時適切に対応してきたか、3つには、歳入確保の点からも、国や都との連携を重視しながら適切に補助金などの確保に努め、持続可能な財政運営に取り組んだか、4つには、さまざまな行政需要の高まる中、より効果的、効率的な行政執行に向け、不断の行政改革に取り組んだかの4つの点に重点を置き、決算の審議に当たりました。  その結果、杉並区議会自由民主党は、平成29年度杉並区各会計歳入歳出決算の全てを認定いたします。  以下、決算の認定理由を、大きく3つの観点から述べてまいります。  認定理由の第1は、先行き不透明な社会情勢が続く中で、増大する行政需要に対応するために慎重な財政運営に努めたことを評価します。  一般会計歳入歳出決算において、歳入は前年度よりも121億円余増加し1,956億円余、歳出が約1,867億円と、それぞれ過去最高額となりましたが、区の財政状況を財政指標から見るに、一定程度弾力性が保たれ、健全な状況にあると判断いたしました。  具体的には、健全化判断比率においては、実質赤字比率、連結実質赤字比率、将来負担比率は生じておらず、実質公債費比率は早期健全化基準を大幅に下回り、区財政の健全性は保たれていると認識しました。  また、財政の弾力性をあらわす経常収支比率は、昨年度に引き続き、区の定めるルールである80%以内を上回る結果となりました。みずからが定めるルールを2年続けて上回ってしまったことや、23区平均との差が大きくなっていることについては、今後注視していかなければなりませんが、財政構造など総合的に見れば、一定程度の弾力性は保たれていると捉えています。  ただし、保育の待機児童対策など特定の事情は一定程度理解しますが、これまで数値が低かった公債費負担比率も23区平均に近づいています。  今後、保育対策は落ちついたとしても、新たな行政課題が発生することは容易に想定されますので、今後一層慎重な財政運営を行っていくことを強く求めるとともに、新たに定める財政健全化と持続可能な財政運営を確保するためのルールについては、区がみずから策定することを自覚し、財政運営に努めるよう要望します。  次に、基金と区債について見ると、基金の積立金は、当初予算の際には、財政調整基金について46億円の取り崩しもあり、これまで積み上げてきた基金残高が減少するのではと危惧しておりましたが、最終的には2億円ほどの積み増しができたこと。施設整備基金については、今後の区立施設再編、老朽改築を見据えて41億円の増とし、特別会計分も含めた基金全体で523億円とするなど、着実な積み立てを行っているものと確認しました。  一方、区債については、49億円の発行もあり、区債残高は確実に上昇しており、今後とも施設の老朽化に伴う改築改修が見込まれる中では、施設再編の取り組みによる施設規模の適正化に努めるとともに、補助金などの確保に努めるなど、区債発行額の縮減に努めていくことを求めます。  次に、特別会計ですが、用地会計は、性格上、収支同額により適正、中小企業勤労者福祉事業会計は、今決算の最終繰越金の一般会計への組み入れをもって終了、その内容を適正と認めます。  国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療の各事業会計については、いずれも実質収支額については赤字がないことから、問題はないものと考えます。  各保険料については、国民健康保険、介護保険で収納率の向上、収入未済額については後期高齢者医療保険料で若干の増となっていますが、特別会計全体では5年連続の減となっており、徴収努力について評価するものです。  一般会計からの繰入金も全体で減少していることは、率直に評価します。  次に、認定理由の第2です。  平成29年度は、基本構想実現に向け、平成28年度に改定した実行計画などを推進する年であり、また、10年先を見据えて策定した基本構想、10年ビジョンの後半を迎えるに当たって、「時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させる予算」と名づけ、時代の先を見据え、先手を打ってチャレンジしていくとの決意のもと、実行計画事業を着実に推進した点を評価します。  総合計画に掲げた事業に合わせて申し上げますと、まず、「災害に強く安全・安心に暮らせるまち」では、震災救援所周辺などにおける建物の耐震・不燃化を進めたほか、独自の地震被害シミュレーションによって建物被害の見える化を図り、区民の防災意識を高めたこと、また、防災機能を備えた下高井戸おおぞら公園の西側エリアを先行して開園するなど、着実に災害に強いまちづくりを推進したと考えます。  「暮らしやすく快適で魅力あるまち」では、引き続き、狭隘道路について、火災危険度の高い木造住宅密集地域重点整備路線等を中心に拡幅整備を進めたことを確認しました。  また、荻窪駅周辺まちづくり方針や阿佐ヶ谷駅等周辺まちづくり方針を策定したことから、今後の進捗を期待します。  さらに、産業分野では、商店街装飾灯のLED化や防犯カメラの設置による安全・安心のまちづくりが進んだと考えます。ただし、商店街の活性化に対しては、商店街のニーズを捉え、寄り添った支援を望みます。  そして、2020東京オリンピックパラリンピック競技大会に合わせた、多くの来街者が訪れるような取り組みや、訪れた方がまちを回遊する仕掛けづくりを行っていくことを期待いたします。  「みどり豊かな環境にやさしいまち」では、荻外荘の復原・整備の具体化に向けた整備基本計画の策定が進められました。建物の復原に、ふるさと納税の杉並版クラウドファンディングによる資金調達が進むことを期待します。  また、環境清掃分野では、ごみ減量において、7年連続で区民1人1日当たりのごみ排出量を23区最少としたことを評価するとともに、フードドライブなど食品ロスの取り組みも着実に進んでいることを確認しました。  「健康長寿と支えあいのまち」では、南伊豆町との自治体間連携による特別養護老人ホームエクレシア南伊豆の整備や、福祉と暮らしのサポート拠点としてのウェルファーム杉並複合施設棟がオープンしました。今後さらに居住支援や地域包括ケアなど福祉と医療の連携が進むことを期待します。  「人を育み共につながる心豊かなまち」では、計画の前倒しを含めた精力的な定員確保により、保育の待機児童ゼロが達成されました。この間の職員の大変な御努力が実ったものと評価します。  その一方で、保育関連経費の増大は今後の区政運営に大きく影響すると考えます。今後も保育施策を進めていく上でさまざまな手法を研究し、最少の経費で最大の効果を上げられるよう工夫して施策を進めていただきたい。  教育では、小中学校などへのタブレット端末の配備の拡充や、今後の乳幼児教育の支援を総合的に推進する仮称就学前教育支援センターの工事も始まり、今後の乳幼児施策の充実を期待します。  中には、一部目標達成できなかった事業も見受けられますが、全体を見れば、着実に実行計画事業を進めたものと評価します。  さらに、一般会計の歳出予算の執行率を見ると、96.7%と比較的高い数値を示すほか、6次にわたる補正予算の編成などにより、保育待機児童対策や教育環境の整備を初め、機動的な課題対応が行われたことを評価します。  認定理由の第3は、増大する行政需要のもとで、行財政改革推進計画に基づく歳出削減や歳入確保を図るとともに、国や都の支出金による歳入確保に努めたことを評価します。  行財政改革基本方針のもと、具体的に動き出した区立施設再編整備計画事業の着実な推進に努め、学校跡地を活用した特別養護老人ホームなどの開設や、荻窪税務署とあんさんぶる荻窪の財産交換によるウェルファーム杉並の開設など、着実に事業が進んだものと確認しました。  ただ、これらの区立施設再編整備を通じ、本当に施設の縮減、経費の縮減が図られているのか、建物の面積の精査などをさらに実施し、改めて検証しつつ計画の実施を進めていただきたい。  また、歳入確保としては、高井戸地域区民センターなどの駐車場有料化、区立施設に新たに設置する自動販売機の入札による事業者選定などに加え、国、都の支出金が前年比で36億7,000万円の大幅増となりました。これは国や都の施策と歩調を合わせ、多くの特定財源を確保したものとして評価します。  ただ、その中身を見ると、その多くが保育関連による増となっており、保育施策の推進とともに増加したものと言えます。補助金などの確保に当たっては、職員のスキルが大きな要因となることから、今後も職員のスペシャリスト化を進め、さらなる特定財源の確保を求めます。  そのほか、今後、サウンディング型市場調査手法など、民間活力の導入を進めるとのことですが、成果連動型のソーシャル・インパクト・ボンド手法など、官民連携事業の推進も求めておきます。  以上、3つの観点から認定理由を述べてまいりました。  次に、今後の区政運営に当たっての会派の主要な要望について申し上げます。  まず初めに、減災・防災については、首都直下地震対策のための建物の耐震・不燃化や狭隘道路の拡幅をさらに進めるとともに、都市型水害の被害を減少させるための実効性ある下水道改善や河川氾濫対策の速やかな充実を要望します。  また、災害発生時には、罹災証明書発行の案内など、被災者に寄り添った対応を望みます。  産業振興については、さきにも申し上げましたが、商店街の自主的な取り組みとともに、商店街の実態に即した補助、支援制度の充実と、引き続きの要望となりますが、施策とのリンクを前提としたプレミアムつき商品券の活用を要望いたします。  また、区内の農地については、住環境の保全に必要であるとともに、大震災時の野菜の供給など、さまざまな存在価値を再評価し、農地保全のための農業振興の拡充を要望します。  2020東京オリンピックパラリンピック競技大会は目前です。新たにオープンした永福体育館のビーチコートの活用や来街者をふやすことなど、組織全体でできることを早急に提案し、取り組みを加速化させて実施することを求めます。  保健福祉分野については、さまざまな障害をお持ちの方への移動支援の充実など、一人一人に寄り添ったきめ細かな施策の推進を要望します。  さらに、今後の保育の質の向上を図るとともに、待機児童ゼロを継続していくことを求めますが、今後の需要予測をしっかりと行い、出口戦略を明確にした取り組みを求めます。  また、幼稚園教諭及び保育士の不足がさらに大きな問題となることは容易に想像できますから、早目早目の対策をしっかりと行っていくことを要望します。  そして、保育の次に来る学童クラブについても、待機児童ゼロに向けて取り組みの加速化を要望します。  医療の分野では、特にことし発生したがん検診問題については、二度と同じようなことが発生しないよう、区と医療機関、医師会、それぞれの責任、役割をしっかりと定めるとともに、これを機に、関係機関と十分協議の上、検診全体の抜本的な見直しを求めておきます。  また、杉並区歯科保健医療センターを中心に、成人歯科健診や訪問医療の充実を求めます。  さらに、女性に特化した保健対策の充実を望みます。  そのほかの分野では、虐待3法について、人的支援、財政支援などを含め、施策のさらなる充実を望みます。  都市整備の分野では、パークPFI制度を活用し、条例改正を含めて、公園資源を活用しての収益力強化を求めます。  また、危険ブロック塀などの解消に力を入れるとともに、道路に面した敷地部分、いわゆる接道部の緑化推進、さらに区内の高木保全にも力を入れるよう要望します。  環境清掃の分野では、特にごみ集積所の防鳥用ボックスが希望する区民に適正に行き渡るよう、強く要望します。  教育の分野では、災害対策にもなる学校の体育館への空調設置の推進や学校のトイレの改修について要望いたします。  また、教員の働き方改革を進め、多忙化の緩和を求めます。同時に、CSや青少年委員の活動支援の充実を求めます。  最後に、2020東京オリンピックパラリンピック競技大会は、日本として今世紀のビッグイベントの1つとなります。聖火リレーなど、本区のレガシーづくりを含め、戦略的広報を駆使し機運醸成に努めるとともに、他自治体との連携や観光施策を含めた展開により大いに盛り上げていくよう求めます。  また、我が会派所属委員が要望したとおり、本区におかれましては、この大会を契機に、改めて国旗に対する敬意の心を誰もが抱くような機会としていただけるよう望みます。  以上述べました要望は、我が会派の一人一人が地域を歩き、まちの皆様から預かった要望であります。区として重く受けとめ、取り組んでいただきますようお願い申し上げます。  結びに、本委員会の審議に当たり、田中区長、そして誠実に答弁をいただきました多くの理事者の皆様、本委員会審議のために資料作成をされた職員の方々、公正公平な委員会運営に努められた正副委員長に心から感謝を申し上げ、杉並区議会自由民主党の平成29年度杉並区各会計歳入歳出決算に対する意見といたします。  御清聴ありがとうございました。 ○渡辺富士雄 委員長  杉並区議会公明党代表、北明範委員。 ◆杉並区議会公明党代表(北明範委員) 私は、杉並区議会公明党を代表して、平成29年度杉並区各会計歳入歳出決算について意見の開陳を行います。  平成29年度は、景気動向において緩やかな回復に向かうことが期待されていた中、数年来増収が続いていた基幹収入である特別区税のさらなる増収が見込まれたものの、ふるさと納税による影響や地方消費税率引き上げの影響の平年度化など、今後の区財政を取り巻く環境は先行き不透明な状況にありました。  一方、全庁挙げて取り組んできた保育の待機児童対策では、定員増に伴って運営経費が大幅に膨らみ、高齢化の進行による大幅な医療費の増、高齢者施策、障害者施策等における義務的経費も年々増加が見込まれていました。  加えて、施設建設費が高騰を続ける中でも、老朽等に伴う学校を含む大規模施設の改築改修の計画的な実行、さらには児童相談所の移管、東京オリンピック・パラリンピックに向けた対応など、新たな行政需要にも的確に対応していかなければならない状況にありました。  以上のような状況下、当該年度の当初予算は、「時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させる予算」と名づけられ、長期最適、全体最適の視点で、実行計画並びに協働推進計画の取り組みに要する経費を確実に予算に反映させるとともに、「首都直下地震等に備えた減災・防災対策の推進」、「将来にわたるにぎわい創出に向けた環境整備と魅力発信」、「豊かなみどりと持続可能な環境を次世代に継承」、「超高齢社会の進展を見据えた健康づくりと福祉の充実」、「未来を担う子どもたちのための教育・支援の拡充」の5つの視点から編成が行われたものでありました。  また、当該年度中においては、変化の激しい区政を取り巻く環境や区民ニーズに的確に対応するため、区は、計6度に及ぶ補正予算を編成し、103事業に対して計133億円を投じて対処してきました。  こうした過程を経て執行された平成29年度の決算審査に当たり、杉並区議会公明党は、各会計歳入歳出決算につきまして、いずれも認定いたします。  それでは、以下、その認定理由について、まず区財政に関して申し上げます。  当該年度は、保育施設の整備を進めた結果、喫緊の課題であった待機児童は平成30年4月においてゼロを達成しましたが、その分、扶助費の増などにより経常収支比率を押し上げ、現行のルールで定めていた80%を超えたものの、単年度の収支においては黒字を維持しているほか、公債費負担比率や実質収支比率、また新地方公会計制度による各財務指標においても特段著しい悪化の傾向は見られず、区財政の健全性は維持されているものと考えられます。  また、一般会計の収入未済額においては2年連続、特別会計全体の収入未済額も5年連続で減になるなど、健全な財政運営に努められたと高く評価するものです。  今回の委員会でも多くの質疑がなされた財政健全化と持続可能な財政運営を確保するためのルールの見直し案については、短期と中長期の視点が加えられ、財政調整基金と施設整備基金の積み立て目標においても一定の合理性がある考えに基づいているなど、現行のルールに比べ大きく進歩したものと、区財政当局の姿勢を高く評価いたします。  私どもも、財政の健全性はあくまでも区民福祉の向上を支えるものであり、それ自体を目的とするものではないとの立場であります。したがい、本ルールに関しては、今後も区政を取り巻く環境の変化に的確かつ迅速に対応しつつ、臨機応変な運用に努めていただきたいと思います。  一般会計については、歳出の執行率は96.7%と高い割合となっており、各分野では着実に事業が推進されていると言えます。  保育待機児童対策などでは、さきに述べたとおり、補正予算を通して喫緊の課題に対する対応など、一般会計予算は的確に執行されたと評価いたします。  また、特別会計については、保険料の収入未済額や一般会計からの繰入金の動向には留意が必要であり、保険料の収納率の向上と保険給付適正化には、引き続き取り組みの充実が望まれますが、各特別会計は、それぞれの制度、趣旨に沿って適切に運営されたと認められます。  認定理由を、総合計画の目標別、施策の取り組み状況について、我が会派からの要望も含め申し上げます。  目標の1つ目、「災害に強く安全・安心に暮らせるまち」について。  区独自の50メートルメッシュの地震被害シミュレーションを実施し、建物被害の見える化を図ったこと、豪雨時の水防活動や水防情報システムの計画的な改修を初め、水害多発地域対策に取り組むなど、区民の安全確保と水害に強いまちづくりを推進したことは、高く評価いたします。  我が会派からの要望について、4点申し上げます。  1点目、女性の視点の防災対策推進については、全ての震災救援所において、更衣室や授乳室等女性専用のスペースを確保し、女性に配慮した運営に努めること。また、妊産婦や乳幼児専用の母子救護所の早期開設を求めます。  2つ目、スタンドパイプやD級ポンプの初期消火訓練は大切です。提出書類の煩雑さによって訓練が遠ざかってしまうようでは本末転倒です。提出書類の一元化を求めます。  3つ目、これまで大きな地震が起きるたびに、トイレに関する問題により、被災者はつらい体験を強いられてきました。トイレ問題は、一人一人の健康問題を引き起こすとともに、公衆衛生の悪化による感染症の蔓延にもつながります。また、トイレ不備による水分制限は、脱水や体力、免疫力低下などとともにさまざまな病気を招き、災害関連死につながることが危惧されています。改築する学校については、断水になったとしても停電になったとしても、いつも快適にトイレが使える完全循環型水洗トイレシステムの導入を求めます。  4つ目、子供を犯罪から守るため、防犯カメラを活用した通学路の安全対策の充実を求めます。  目標の2つ目、「暮らしやすく快適で魅力あるまち」について。  狭隘道路整備については、木造密集地域や重点整備路線等において戸別訪問等を強化し、拡幅整備を進めました。また、空き家等の対策については、専門家による総合相談窓口を開設し、空き家等の所有者に助言、提案を行うなどきめ細かな対応を行ったことは、高く評価いたします。  我が会派からの要望につきまして、1点申し上げます。  ユニバーサルデザインのまちづくりの観点から、公園の利用状況を調査し、高齢者や障害者等に配慮した公園トイレの洋式化を計画的に推進すること。さらに、乳幼児親子が頻繁に利用する公園については、ベビーチェアやおむつ交換台の設置を求めます。  目標の3、「みどり豊かな環境にやさしいまち」について。  園庭のない保育施設周辺の公園に乳幼児の遊び場エリア、すくすくひろば6カ所の整備を行いました。  また、環境の分野では、我が党が強く推進してきた食品ロスの削減を区民、NPOなどと連携して進めたことは、高く評価いたします。  我が会派からの要望につきまして、1点申し上げます。  区立公園の整備については、区民の多様なニーズに応えるため、防災機能を備えた公園や高齢者の健康遊具を備えた公園、多世代の人たちが安全に安心して利用できる公園整備をお願いいたします。  目標の4つ目、「健康長寿と支えあいのまち」について。
     南伊豆との自治体間連携により整備した特別養護老人ホームの開設は、区民の選択肢が大きく広がりました。また、福祉と暮らしのサポート拠点、ウェルファーム杉並複合施設棟の開所は、杉並の地域包括ケアシステム構築へ向けての大前進であり、高く評価いたします。  我が会派からの要望につきまして、3点申し上げます。  1つ目、地域包括ケアシステムの構築に向けて、当該年度は、地域包括ケアの取り組みを積極的に進めていただきながら、在宅医療・生活支援センターの設置に御尽力いただいたと認識しています。地域包括ケアシステムの構築を進めていく上で大事な視点は、あくまでも高齢者の立場から、必要なケアを必要に応じて提供することを目的としたシステムでなければならないということです。高齢者にとって地域で一番身近な相談窓口はケア24です。そこに寄せられる相談内容がますます多様化、複雑化していく中で、在宅医療・生活支援センターとの有機的な連携によって、ケア24の相談対応機能、コーディネート機能をさらに充実させていくよう要望いたします。  2つ目、障害者雇用について。当該年度の障害者雇用事業団からの就職率の減少について、質疑によってその要因を理解いたしました。事業団の限られた人数による粘り強い取り組みに好感を持ちます。法定雇用率引き上げに伴い、障害者の就職率が上がることが期待できますが、それでも就職できない求職者の重度化が加速するであろうという予測が現実的となっています。そういった状況を踏まえた就労支援のあり方について検討を深めていただくことを要望いたします。  3つ目、認知症は、脳卒中や転倒、骨折などとともに、高齢者が要介護状態に陥る3大原因の1つです。また、介護保険サービスを利用する人の約半数は認知症を患っていると言われています。したがって、認知症を予防することは、高齢化社会を考える上で重要な課題と言えるでしょう。区として認知症予防活動の積極的な推進をお願いいたします。  最後に、目標の5つ目、「人を育み共につながる心豊かなまち」について。  保育待機児童ゼロを目指して、認可保育所19カ所、1,404名を含め、1,676名分の保育定員の増加を図り、30年4月時点で待機児童ゼロを実現したこと、小規模保育の連携園と育児休業特例制度の方向性を示されたことを高く評価いたします。  また、当該年度の教育費の支出済額は前年度に比べて減となっていますが、就学前教育の基盤整備、特別支援教室の段階的設置、ICT教育の推進などを積極的に進めたことを評価いたします。  我が会派からの要望につきまして、5点申し上げます。  1つ目、全ての児童生徒が夢や希望をかなえられるよう、民間との連携協働を視野に、教育機会の確保を図っていただきたい。  2つ目、経済的弱者への配慮や地域偏在解消を目指した病児・病後児保育施策の拡充をお願いいたします。  3つ目、教育環境の整備について。教育に金を惜しむべきではないというのが私たちの一貫した考えです。学校教育にかかわる諸課題の一つ一つに的確に対応することによって、魅力ある学校づくりを進めていただきたい。今回補正予算で出てきました学校体育館への空調整備につきましても、東京都議会で公明党の代表質問に答える形で、小池都知事が、公立小中学校体育館への空調設置を進めるために区市町村を支援する旨を明言いたしましたので、積極的に進めていただきたいというふうに思います。その上で、空調効率の悪い古い体育館については、スポット冷房など、臨機応変な対応をお願いいたします。  4つ目、富士見丘小中一貫校について。学校改築用地の周辺には、高井戸公園や富士見丘通りの整備など、まちづくりに関する動きがさまざまあると思います。それらの課題を踏まえ、富士見丘小中学校の改築は、一学校の改築にとどまらず、これを契機として、富士見ヶ丘駅周辺を含め、まち全体の将来を見据えたまちづくりの取り組みが欠かせません。都市計画や建築のプロ、教育者、地域住民など多くの方々の声を拾い上げ、すばらしい学校をつくっていただきますよう、よろしくお願いをいたします。  5つ目、性的マイノリティーは人口の約7.6%存在すると言われております。人口56万人の杉並区には、単純計算で4万3,000人の当事者がいることが予想されます。その多くの方は、差別を恐れ、声を上げることができません。誰もが生きやすい社会の実現に向け、性的マイノリティー支援、理解促進施策を求めます。  さて、どのような分野であれ、一流の仕事をなし行く一流の人物はどこまでも謙虚であり、精進の歩みをとめることはありません。「我以外皆我師」とは、吉川英治の言葉ですが、そういう姿勢に徹する中に人間的な深みも培われていくような気がいたします。私どもは、今後とも謙虚に大衆の中に入り込んで、大衆の意見をしっかり聞いて、現場第一主義で仕事をしてまいる所存でございます。  結びに当たり、本委員会の審議に当たり、誠実に御答弁をいただきました理事者の皆様、そして資料作成に御尽力いただきました職員の皆様、公平な委員会運営に努められました正副委員長に心から感謝を申し上げまして、杉並区議会公明党の意見の開陳とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。 ○渡辺富士雄 委員長  傍聴人より撮影の申請が提出されましたので、これを許可いたします。  それでは、いのち・平和クラブ代表新城せつこ委員。 ◆いのち・平和クラブ代表新城せつこ委員) いのち・平和クラブを代表し、認定第1号2017年度杉並区一般会計歳入歳出決算並びに各特別会計歳入歳出決算について意見を述べます。  当該年度の日本経済は、2012年の底から緩やかな景気回復が続く状況であり、個人消費や設備投資においての改善が言われています。しかし、景気回復の恩恵は一部上場企業などに及んだだけであり、非正規雇用の増大による経済格差で、低所得者や中小業者には景気回復の実感は得られない状況となりました。  国政では、5月3日、安倍首相が自民党総裁として、憲法改定を目指し、2020年の施行を目指すという方針を表明しました。  一方で、森友、加計問題に不信が強まる中、内閣支持率は急落し、7月の都議会議員選挙で、小池百合子都知事率いる都民ファーストの会が55議席の都議会第1党になり、自民党は過去最低の23議席となる歴史的惨敗を喫しました。  ところが、10月衆院選直前に小池都知事が希望の党を結成、小池氏の排除発言により、民進党内のリベラル系を中心に立憲民主党が結成され、選挙結果は、小池氏率いる希望の党が惨敗となりました。これにより自民党が、追加公認を含めた294議席となり、公明党を含む与党が計313議席を占め、憲法改定の国会発議に必要となる3分の2以上の議席を維持する状況となっています。立憲民主党が野党第1党となり、安倍一強体制が崩れ出した政局の激しいジグザグを見せています。  年度末には、森友学園に関する財務省の文書改ざんが発覚し、それを居直る官僚や擁護する安倍内閣に、政治不信が一層高まった年でもありました。  そうした中で、安倍政権の喉元に刺さる沖縄の状況は、県民の反対の声を無視した国の名護市辺野古の護岸工事の強行着手と、相次ぐ米軍機の墜落事故に、沖縄県民の不安と日米両政府への反発が拡大しました。翁長県知事の護岸工事承認撤回時期に関心が強く寄せられ、沖縄の自己決定権を体現する翁長県政と日本政府、安倍政権との攻防が焦点となり、国と地方自治をめぐる大きな課題を示した年でした。  本決算審議に入る直前の9月30日、沖縄県知事選挙において、故翁長県知事の遺志を引き継ぐ玉城デニー県知事が誕生しました。イデオロギーよりもアイデンティティーを、保守も革新もなく、沖縄が1つになることで、これ以上の基地建設を許さないとした故翁長知事の思いが、沖縄県民の意思として引き継がれたことを示しました。  日本政府による金に糸目をつけない強引な投票の強要、日本本土からの膨大な人を使った電話や訪問による押しつけに、沖縄が1つになって反撃したあかしです。自治の核心である住民の自己決定権を示したものとして学びたいものです。  私たちいのち・平和クラブは、地方自治体の責務は福祉の増進であり、その前提となる平和と立憲主義こそが地方自治の本旨であるとの立場から、2017年度の各決算書を検討しました。決算特別委員会での質疑を通して確認できた点から、以下、意見を述べるとともに、今後の課題について、意見、要望を述べさせていただきます。  第1は、財政運営の姿勢です。  今回、財政の健全性をはかる指標を見直す方針が示され、これまでその1つとされてきた経常収支比率が5つの柱から排除されることが懸念されました。今後も区政経営報告書に引き続き掲載され、1つの指標として残されることと説明されました。  指標はあくまでも財政の健全性をはかる目安であり、それを達成することが目的ではなく、福祉を向上させる基盤を支えるための手段です。指標達成が自己目的化され、基金を積み上げ、起債を減らすことが目的とされれば、ゆがみが生ずることは、前区政で経験したところです。  福祉の向上を自治体の第1の目的とし、必要な施策には財政を投入し、一方で、持続可能な財政運営に向け、状況に合わせて基金や起債を柔軟に活用する田中区政の姿勢は妥当だと考えます。  第2に、質疑を通して、区立施設再編整備計画が、全国自治体の共通の避けては通れない課題であることを示しました。  築40年、50年を超え、老朽化した学校施設を初めとした区立施設の建てかえや長寿命化は、安全対策から、また限られた財源や区民ニーズの大きな変化から、一定の再編は不可欠であることがわかりました。  児童館を新たにふやせばよいとの意見には、その財源保障がなく、用地もないことから、不可能であることを確認しました。学童クラブの待機児童の急増や乳幼児親子の利用の拡大によって求められた児童館事業の拡充に対応するためには、児童館の再編は避けられないものと考えます。  和泉児童館を転換した子ども・子育てプラザ和泉では、乳幼児親子の利用は旧児童館に比較して約4倍に拡大し、和泉学園内に整備した放課後の居場所事業も2倍の実績が確認されています。学校になじめない児童対策が、引き続きプラザで実施をされています。  今後、中高生の居場所の拡大が準備をされています。着実な実施を求めるものです。  第3に、保育園待機児童ゼロの実現に向け、認可保育園を精力的に増設した姿勢を評価するものです。  働く若い世代が安心して子育てができる環境を整備することは自治体の責任とし、区有地の一部使用や大きな財政投入に対する批判に対し、田中区長のぶれることなく臨んだ姿勢により、ことし4月のゼロ達成に至りました。  保育園入園を選考する指数行政を改めることを目指し、指数が低い非正規雇用の家庭も含め、必要とする全ての世帯が認可保育園に入れるよう対策を進めたことは、大変重要だと考えます。  一方、保育園の急増に、依然として保育士の確保が重大な課題となっています。保育士の処遇改善のためのさらなる杉並独自の人材確保策を要望します。  また、民営の保育園がふえる中、保育の質を維持するためには、区立保育園の存在と、その実績や経験がますます必要です。区立保育園を維持していく方向を強く求めるものです。  第4に、少子高齢化、超高齢化社会に備える果敢な取り組みです。  介護離職が社会問題化する状況の中で、国有地や都有地、学校統廃合の跡地の活用で、区内での特別養護老人ホーム増設を進めました。エクレシア南伊豆特養で区域外特養建設に先鞭をつけたことも重要です。  当該年度の取り組みにより、600人を超えるAランクの特養待機者が解消するめどが立ち、ことしは南伊豆の特養にも既に34名の区民が入所されていることを確認しました。Aランク以外でも、必要な方に対応する対策を求めるものです。  土地が高く、用地の確保が難しい杉並で、今後は青梅市など近隣自治体との連携に期待をします。  また、介護人材の確保が大きな課題です。区独自の財政支援策と介護人材の確保に、区としてもさらに力を尽くすよう求めます。  介護に従事する外国人労働者もふえ、継続した就労ができるよう、区の支援策を求めるものです。  ウェルファーム杉並が開所し、介護と医療の連携や、福祉や介護、医療などの支援を同時に要する困難事例に対処できる在宅医療・生活支援センターができました。持ち込まれる一つ一つのケースに積極的にしっかりと対応する経験から、新たな知見も生まれると確信します。  第5に、防災・減災のまちづくりを加速している点です。  3・11から6年が経過した中で、風化をさせないために、福島を忘れない取り組みを継続していることは重要です。首都直下地震に備え、狭隘道路拡幅整備の促進、木造住宅密集地域対策、耐震・不燃化対策に加えて、新たに地震被害シミュレーションの実施、感震ブレーカーの設置助成、道路等の現状調査を拡充しました。  また、防災機能を備えた下高井戸のおおぞら公園が開園しました。いざというときに、その機能を住民が使いこなすために、平時からの訓練を広く進めることを求めておきます。  震災時の延焼危険地域とされている高円寺地域の不燃化まちづくりは重要な課題です。質疑を通し、区長選過程で意図的に宣伝された高円寺北口再開発が事実無根であること、また、2年前、第4次優先整備路線とされた補助227号線の事業化は、地元商店会、住民の要望や理解がない現状では実施をしないという区の姿勢を確認しました。  第6に、児童虐待を防ぐために、子ども家庭支援センターを初め、職員が子供の命を守るために、長時間労働になりながらも献身的に取り組む姿勢には頭が下がります。今後、区が新たに子ども家庭支援センターを増設し、職員を3倍の26人にふやす取り組みを強化することに期待をいたします。  第7に、環境保護への取り組みです。  その1つは、原発に頼らない新電力(PPS)からの電力購入を拡大してきたことです。  経済産業省は、電力の契約先を新電力に切りかえた家庭の件数が2018年3月末に約622万件に達し、初めて件数ベースで10%を超えたと発表しました。2016年4月の電力小売りの全面自由化から約2年間がたち、この間、新電力への切りかえは、全面自由化以降、着実に増加しています。区はいち早く区立施設の電力を新電力に切りかえ、その後、児童館や図書館など出先施設にも拡大し、引き続き財政削減にも寄与しています。  2つ目は、緑と農地を守る取り組みです。  農地の保全につながる取り組みとして、土に触れ、食育の観点から、小学校や保育園等の子供たちを対象に収穫体験ができる上井草二丁目団体利用農園が開園しました。また、学校給食に杉並産野菜を提供するための適性作物の試験栽培も行うなど、区内農業の推進がなされたことを評価します。  今後、生産緑地の2022年問題が懸念される中、農地の保全の取り組み強化を求めておきます。  3つ目は、区民1人1日当たりのごみ排出量が、7年連続で23区最少となったことを評価します。  会派から提案した古紙のさらなる資源化、食用油の回収を前向きに検討することや、マイクロプラスチック対策として、さらにレジ袋削減に取り組むことに期待をしています。  第8に、住宅施策については、2016年11月に居住支援協議会が設立され、高齢者、障害者、子育て世帯などの住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居支援が進められました。区の福祉部門と住宅部門、さらには不動産業界団体や社協、NPOなどの居住支援団体が連携する仕組みである居住支援協議会のもとに、不動産連携専門部会や空家等利活用専門部会が設置をされました。  また、当該年度、区において開催された障害者の住まいに関する懇談会を受け、2018年度、障害者専門部会の設置につながりました。居住支援協議会のさらなる機能の充実と実効性を求めておきます。  第9に、区長が教育委員会の独立性、中立性を保障し、教育長部局が、子供の教育環境を第一に、保護者、学校関係者の意見を聞きながら進めてきた姿勢を評価します。  杉並第一小学校の改築に関する取り組みについて、地権者と河北総合病院の要請を受け、学校を病院跡地に単独で建設する方針に転換しました。これは区が、一部から反対があった高層の複合施設ありきではなく、子供の教育環境を優先する姿勢から判断したとして評価するものです。  計画の転換で改築時期がおくれることに対する問題に対し、校舎の耐震化やIT関連対応など、教育環境整備に力を入れ、保護者の安心を得る努力を行っています。これまで、杉一小改築懇談会で長期にわたり協議を担ってこられた保護者や学校関係者に向き合い、杉一小改築に向けたさらなる協力支援を得ながら進めていくことを願うものです。  評価する点の最後に、田中区長が、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と規定した憲法99条を立憲主義の核心であるとする日ごろの姿勢です。  杉並区長で初めて平和市長会議へ参加し、核兵器の廃絶を世界に呼びかけています。  ことし3月、杉並区平和都市宣言30周年を記念して準備されている平和都市宣言30周年、原爆の図展に対する積極的な取り組み、かかわりを評価いたします。  加えて、決算質疑を通じて、今後の区政運営について取り組んでいただきたい点について意見を述べます。  第1に、施設再編整備に関する課題です。  これまで学童クラブの対応に、遊戯室を育成室に転換するなどの暫定措置を余儀なくされ、浜田山地域では、小学校内に100人規模の施設をつくりながらも、今後は児童館を学童クラブ専用館にしなければ対応できない状況です。和泉学園でも、今後も厳しい待機児童対策が喫緊の課題であることがわかりました。  施設再編を進めるに当たり、児童館を拠点に実施されてきた地域行事に不安が寄せられています。児童館にかかわる子ども・子育てプラザ職員が引き続き支援にかかわることなど、児童館を利用してきた方々への丁寧な説明を求めておきます。  また、プラザや地域コミュニティー施設などで、学校になじめない子や私学の子供たちが、同じように居場所が確保されるよう求めておきます。  さらに、新しい施設をつくる場合には、誰もが利用しやすいバリアフリーの施設となるよう、特に障害当事者や団体との協議を保障する新たなルールが必要と考え、区の積極的取り組みを確認いたしました。  第2に、高齢障害者施策の拡充です。  質疑を通じて、障害者が65歳を超えても引き続き障害者施策と同様のサービスが2019年1月よりできるようになりました。区は当事者から相談があった事例に向き合い、それぞれのサービスの検証に踏み出し、改善をしたことを評価いたします。  一方で、介護保険サービスへの移行により、これまでの障害者サービスが減らされる状況もあり、今後も高齢障害者が住みなれた地域での自立生活を支援するよう求めておきます。  第3に、LGBT支援についてです。  職員や教職員等の研修を拡充し、ポスター、パンフレットなど区民向け啓発を実施し、パートナーシップ制度導入を検討するよう、改めて求めておきます。  第4に、生活保護基準の相次ぐ削減による就学援助世帯への影響です。  生活保護費削減の影響がどのように及ぶのか検証し、対象者の基準を拡大するなど、その対策を求めておきます。  入学準備金の増額が不可欠であり、その対策も求めておきます。  第5に、当該年度5月から特別徴収税額決定通知書にマイナンバーが記載をされ、誤送付などで、マイナンバー制度における個人情報漏えいを防ぐ環境が整備されていない状況が明らかになりました。  また、カードの取得は任意でありながら、区が職員を区内事業所に訪問させ、カードの発行拡大に従事させることは行き過ぎです。カードを携帯することは、区民の個人情報保護の観点からも危険であることから、このようなカード拡大に職員を使うことはやめるよう求めておきます。  第6に、事務量が急増する状況で、職員の処遇改善と定数増は喫緊の課題です。福祉事務所ケースワーカー職員を初め、必要とされる職員の配置を求めておきます。  さらに、非常勤職員の処遇改善と、会計年度任用職員制度に向けて、この間、当該団体、職員団体との交渉で実現してきた労働条件を引き続き継続するよう求めておきます。  最後に、いじめ対策と特別支援教育のあり方について要望をしておきます。  外部の専門家に依頼して、いじめ問題対策委員会を設置したことは評価しています。しかし、いじめによる不登校がゼロと報告されていることには大きな疑問を感じます。  学校もいじめによる不登校と認めている案件について、教育委員会が、友人関係をめぐる問題による不登校と答えたことについては、当事者を深く失望させています。いじめによる不登校をいじめ問題対策委員会に正しく報告しないことは、いじめを防止する姿勢に逆行するものであり、その姿勢を改めるよう、強く求めておきます。  また、区の特別支援教育推進計画に示された共生社会を形成する観点からも、仮称高円寺学園では、普通教室と特別支援学級の間への格子戸設置については見直すよう求めておきます。  さらに、富士見丘小中学校の改築に当たり、和泉学園や仮称高円寺学園の改築によって得た教訓や、保護者や学校関係者からの意見を生かし、学校周辺住民の理解を得つつ進めることを求めておきます。  以上の理由から、認定第1号、2017年度杉並区一般会計歳入歳出決算、認定第2号、国民健康保険事業会計歳入歳出決算、認定第3号、用地会計歳入歳出決算、認定第4号、介護保険事業会計歳入歳出決算、認定第5号、後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算、認定第6号、中小企業勤労者福祉事業会計歳入歳出決算に賛成をいたします。  最後に、決算特別委員会の審議に当たり、資料作成に御尽力をいただきました職員の皆さんに感謝を申し上げ、いのち・平和クラブの意見開陳といたします。 ○渡辺富士雄 委員長  日本共産党杉並区議団代表、くすやま美紀委員。 ◆日本共産党杉並区議団代表(くすやま美紀委員) 日本共産党杉並区議団を代表して、平成29年度杉並区一般会計ほか各特別会計の歳入歳出決算について意見の開陳を行います。  富裕層への富の集中が加速する一方、国民、区民の生活は深刻化しています。本決算年度直近の政府統計でも、労働者の平均賃金は1997年をピークに55万6,000円も減少し、国民生活基礎調査でも、生活が「苦しい」と答えた人は60%に及んでいます。さらに、働きながら生活保護基準以下の収入しかないワーキングプア世帯は勤労者世帯の9.7%に拡大し、貯金ゼロ世帯は30%を超える事態となっています。  我が党区議団が取り組んだ区民アンケートでも、暮らしに関し、「よくなった」と回答した人が3.9%に対し、「苦しくなった」は43.2%でした。そして、苦しくなった主な原因の支出については、税金とともに、医療・介護費、保険料が挙げられています。
     こうした状況だからこそ、福祉の増進を基本使命とする杉並区の任務は、区民の暮らしに光を当て、増大する区民の負担を軽減し、暮らし、福祉、教育の向上のために全力を挙げることです。  我が党区議団は、そうした観点から、2017年度の各会計決算を認定できるか否か審議してきましたが、認定第1号、杉並区一般会計決算外、認定第2号から第6号までの特別会計決算の認定について反対いたします。  以下、理由を述べます。  第1に、区民への負担は軽減されないどころか、区が行ったのは国民健康保険料の連続引き上げであり、区立施設使用料の引き上げでした。  国民健康保険料は、低所得の被保険者が多く、保険料徴収は困難だと特別区長会も見解を表明しています。ところが、本決算年度は、金額、率ともにこの5年間で最大の値上げが区民に押しつけられ、年収300万円、40代夫婦と子供1人の世帯では国保料は年額35万円余で、年収の1割以上の負担となりました。  一方、質疑でも明らかにしたように、区の一般会計からの法定外繰り入れは前年度比20億円も減額しており、前年度と同額の繰り入れが行われていれば保険料を上げる必要はありませんでした。  また、区立施設使用料は、2015年から始まった段階的引き上げの最終値上げが行われました。登録団体は、使用料の引き上げと2分の1減額措置廃止が同時に行われた結果、使用料が一気に2倍以上引き上げられました。質疑でも紹介したように、水中歩行の会を廃止することになったという声が寄せられたことが、区政に関する意識と実態の報告書にも記載されています。  第2に、区民生活を脅かし、区民の社会参加を抑制するような値上げをせざるを得ないほど区財政が切迫している状況だったのかという点です。  決算報告でも明らかなように、歳入は前年度比121億円、予算現額比26億円もふえ、実質収支比率は7.6%と拡大しました。これは23区平均の6.1%と比べても高い水準です。 この実質収支比率は、「標準財政規模に対する実質収支の割合を示す指標で、一般的には、概ね3〜5%が適当」と、区みずから経営報告書に記載しています。  しかも、基金残高は総額で523億円、うち財政調整基金は366億円になりましたが、これは2008年、平成20年度以降最高の額です。これだけの黒字を出す財政力があるなら、区民施策の拡充にこそ回すべきであり、国保料や使用料の引き上げではなく、引き下げこそ行うべきでした。  第3に、不用額の問題です。  一般会計全体の不用額は60億円に上りました。執行率は96.7%ですが、事業別に見ると、低所得者施策や高齢者福祉分野で執行率が7割にも満たない事業が多数あることは見過ごせません。  例えば、災害や病気等で応急に資金を必要とし、ほかから借り受けることが困難な低所得世帯に無利子貸し付けを行う応急小口資金貸付事業の執行率はわずか39.1%です。経年で見ると、平成27年度70.8%、28年度43.6%と、減少の一途をたどっています。また、要援護者に対するサービスの総合調整の執行率は、決算年度35.5%、前年度は24%です。高校生奨学資金貸付金の決算年度の執行率は71.8%でした。  さらに、高齢者福祉分野で執行率が70%に満たない事業が7事業ありましたが、うち4事業は、2年連続70%以下です。例えば、高齢者配食サービスは60.4%、高齢者24時間安心ヘルプは59.5%です。  こうした高齢者福祉分野で執行率の低い事業を見ると、区が地域包括ケアの推進と位置づけている分野に集中していることも見過ごせません。区も重視し、在宅高齢者を支える重要な事業の執行率が低いという事態は、行政としての本来の役割が発揮されていないということであり、低執行率の問題を調査分析し、真に区民が利用できる施策に拡充を図るべきです。  また、介護保険事業会計でも、介護保険利用の給付費の不用額は約20億円で、介護予防サービス費は前年度比5億円の減、地域支援事業の不用額は約1億2,000万円です。これは、軽度者の保険外しなど、たび重なる制度改悪を行い、給付費削減を狙った国のもくろみがそのまま反映されたものと言わざるを得ません。  こうした国の社会保障費削減路線に何ら意見を上げないどころか、ひたすら容認の姿勢を続けてきた区の姿勢は問題です。  全高齢者に保険料を負担させながら保険給付を受けられなくする改悪には、介護保険制度の創設を主導した元厚労省の高官も、このままでは介護保険は国家的詐欺の制度になると危惧の声を上げています。介護保険の公的給付を際限なく切り縮め、利用者、家族負担を引き上げていく制度改悪に対し、きっぱりと反対の意見を上げるとともに、区独自の施策拡充を図るべきです。  第4に、区民の切実な声に耳をかさず、強引な施設の廃止や統廃合を進めてきた点です。  決算年度、区立施設をめぐる最大の問題は、荻窪税務署との財産交換によるあんさんぶる荻窪、荻窪北児童館の廃止でした。  これまで再三述べてきたように、財産交換は、事前に議会や区民への情報提供はなく、突然の区長のマスコミ発表から始まり、存続を求める住民や利用者の声は全く無視され、説明会さえも一度も開かれないなど、一貫して区長のトップダウン、住民不在で進められてきました。  駅前の一等地に建設費だけで28億円かけ、まだ築14年というあんさんぶる荻窪は、区と区民が協働してつくったコミュニティー施設であり、子供たちの大切な居場所でしたが、廃止によって、地域住民や利用者から、あんさんぶる荻窪がなくなり、荻窪5丁目は公園が1つしかないので、子供が家から出なくなり困っている、おぎきた子どもプレイスに1度行ったら、とにかく行きたがらなくなった、集会室が減らされて会合を開く場所がないなどの声が寄せられています。  児童館以外のあんさんぶるの機能を移すための複合施設棟ウェルファーム杉並と、学童クラブを桃井第二小学校に移すための前倒しでの改築費用に約70億円の支出は、あんさんぶる荻窪を廃止しなければ出さなくて済んだ費用であり、税金の無駄遣いにほかなりません。  高円寺地域の小中一貫校問題でも、前代未聞の事態が発生しました。教育環境と住環境の見直しを求め、巨大校舎反対などのプラカードを掲げて抗議する近隣住民に対し、工事業者が恫喝目的で訴えただけでなく、住民説明会では、参加者を盗撮までしていたことが明らかになりました。あげくの果てに、事業者は、区のずさんな手続が原因で、都の建築確認が4カ月おくれたことによる工事遅延の責任を近隣住民になすりつけました。  重大なのは、こうした工事業者による一連の人権侵害行為や責任転嫁を、区が、事業者が必要と判断したものと容認してきたことです。区の教育ビジョンにもうたわれているように、学校づくりにおいて地域住民との協働は欠かせないものですが、高円寺地域の小中一貫校建設は、住民の住環境をないがしろにし、恫喝や人権侵害行為を繰り返すなど、異常きわまりないものです。  このように、区立施設の問題で共通していることは、計画先にありき、住民無視の姿勢です。多くの区民から計画の見直しを求める声が寄せられても全く耳をかさず、計画が強行されています。  杉並区自治基本条例では区民参画の保障がうたわれ、政策の立案から評価に至るまでのその過程に主体的に参加し、意思決定にかかわるとされていますが、田中区長の区政運営は、自治基本条例の理念からも遠くかけ離れるもので、容認できません。  以上、本決算の全体的な問題について意見を述べましたが、その上に立って、委員会質疑で指摘した個別事業の問題点や改善提案に対し、区が真摯に取り組むことを求めるものです。  まず、国民健康保険料についてです。  区は、東京都の国保運営方針に基づき、一般会計からの法定外繰り入れを6年かけて段階的に縮小・廃止しようとしていますが、繰り入れがなくなれば、今でさえ高い国保料が大幅値上げとなり、区民生活はますます困難に追いやられることになります。  さきの予算特別委員会で、法定外繰り入れ廃止に法的な縛りがないことは、区自身が認めています。国に対し、引き下げてきた国庫支出金の割合を引き上げ、東京都にもさらなる財政投入を求めるとともに、一般会計からの繰り入れを縮小・廃止ではなく増額し、全ての加入者が無理なく払える国保料に引き下げるべきです。  また、我が党区議団が条例提案し、継続審議となっている多子世帯の均等割額の負担軽減についても、実施に踏み出すよう求めます。  施設使用料についてです。  質疑の中で、杉並区の使用料が他区と比べて2倍、3倍に高くなっている原因が、施設の性格を考慮せず、原価を100%区民負担とする算定方法にあることを明らかにしました。区が、他区も参考にし、施設の種別に使用料負担を検討する旨の答弁をしたことは重要です。  所得にかかわらず、全ての区民がひとしく施設を利用する機会を保障するために、他区の先進事例の取り組みも調査し、5割減額などの導入を求めます。  就学援助の認定基準について、10月からの生活保護基準の引き下げに連動させることのないよう、改めて求めておきます。  準要保護世帯の入学準備金について、都区財調の算定単価見直しにより、杉並区でも来年度から引き上げの方向が示されたことは重要ですが、23区で比較してみると、既に多くの区が増額しており、なおかつ国基準以上の区も見受けられます。入学準備に際して実際にかかる費用は、これで十分というわけではありません。今後も実態に見合った額に引き上げる努力を求めます。  高校生奨学資金貸付金について、不用額のところでも触れましたが、決算年度の執行率は71.8%です。利用しづらいということではないでしょうか。台東区、文京区などでは、貸し付けではなく、給付型の奨学金実施に踏み出しています。区としても給付型の奨学金制度の創設をぜひ検討すべきと求めます。  学校施設整備についてです。  学校トイレの洋式化については、今年度は予算を増額し、新たに3校の洋式化を図りましたが、それでも23区平均以下の洋式化率です。質疑の中で、区教委自身、児童生徒から洋式化促進を求める声が寄せられていることを繰り返し述べていました。我が党は、年度計画の目標を持って洋式化率を一気に引き上げた他区の取り組みを紹介しましたが、区としても年度目標を持ち、早急に洋式化を進めるべきと求めます。  学校体育館へのエアコン設置については、改築時の設置が中心で、既存のかまぼこ形式の体育館は後回しになっています。区長はみずからの選挙公約に掲げていたにもかかわらず、区長会で補助制度を求めていると言うだけで、積極的な姿勢が見られませんでした。  トイレの洋式化、体育館へのエアコン設置など、学校施設整備の促進は、児童生徒の教育環境の向上にとどまらず、災害時の救援所としての機能強化という観点からも重要であり、優先課題として取り組むよう求めます。  施設再編整備問題についてです。  第一次実施プランで出された児童館全館廃止方針が、第二次実施プランでも進められようとしています。児童館は、遊戯室、図書室、音楽室など多彩な機能があるからこそ、さまざまな遊び方、過ごし方を子供たちに提供できています。児童館施設自体が廃止されれば、放課後等居場所事業を小学校内で実施したとしても、こうした遊び方や過ごし方ができなくなる、あるいはまた、不登校や何らかの事情で学校には行けない子供たちの居場所がなくなるなどの懸念が指摘されています。児童館施設の廃止方針は見直し、全ての児童館の存続を強く求めます。  ゆうゆう館を地域コミュニティー施設へ一体化する方針が示されましたが、高齢者の活動拠点としての機能後退や、利用しづらくなるのではないかとの懸念の声も上がっており、現状のゆうゆう館機能を後退させることのないように求めます。  区立施設は、区民の社会参加や活動の拠点となるべき施設であり、区民の大切な財産です。再編整備計画改定に当たっては、住民説明会やパブリックコメントに寄せられた声を吸い上げ、計画に反映するよう、改めて求めます。  次に、質疑の中での区の見過ごせない答弁について発言します。  昨年の都議選に向けた練馬区の民進党候補の決起大会に区長が出席し挨拶したことについて、理事者は公務と答弁しました。しかし、公務と判断できる判例はなく、苦し紛れに援用した大阪府交野市長に関する判例は、あくまでも首長選挙の場合です。しかも、府下の20市長も参加したなど、具体的な事実認定のもとで儀礼的範囲と限定するものです。他自治体の一都議会議員候補の決起大会に参加することを妥当とする公的判断がないにもかかわらず、公務と断定する答弁は許されません。  また、区長、副区長の区の利害関係者とのゴルフについてですが、国家公務員倫理法に基づく倫理規程では、ゴルフを禁止し、地方公共団体もこの法及び規程にのっとることが義務づけられています。しかし、理事者は、区の職員が利害関係者とゴルフをすることは禁止されていると明言しませんでした。これは法令から逸脱した答弁と言わざるを得ません。  こうした理事者の答弁は、法令等に基づく厳正な判断ではなく、あくまでも区長の行動や主張をひたすら擁護しようとする態度と言わざるを得ません。たとえ区長の行為であっても、公務員としての公正な対応をとることを求めます。  最後に、区長の発言について述べます。  我が党の質問は、法令、判例等を研究し、それに基づいて、区長の行動について問題提起を行ったものです。にもかかわらず、区長の答弁は、法令上、判例上の解釈もなく、かつ、我が党が難癖をつけているかのように勝手にねじ曲げて答弁を続ける態度が繰り返されました。こうした態度は改めるよう、強く求めます。  以上、意見を述べてまいりました。  多くの資料を準備していただいた職員の皆さんに厚くお礼を申し上げ、意見の開陳を終わります。 ○渡辺富士雄 委員長  自民・無所属クラブ代表、小林ゆみ委員。 ◆自民・無所属クラブ代表(小林ゆみ委員) 自民・無所属クラブを代表して、平成29年度杉並区各会計歳入歳出決算に対する会派の意見を申し述べます。  当該年度の国内景気を振り返りますと、海外景気の改善を受け、輸出関連産業を中心に生産が増加基調で推移したほか、設備投資や個人消費も上向きとなってきたことから、緩やかに回復しました。  個人消費に関しても緩やかな持ち直しの動きが見られ、夏場以降の天候不順などマイナス要因があったものの、実質総雇用者所得は緩やかに増加し、日経平均株価上昇による資産効果等もあり、消費マインドは徐々に上向きとなりました。  このような社会経済の状況下で、杉並区では、ふるさと納税により13億9,000万円の収入減があったものの、納税義務者増により特別区民税や特別区財政交付金などが増加したことから、一般財源そのものは増加し、歳入歳出総額は8年連続で増加となりました。それを考慮すると、当該年度は、杉並区としても財政状況を改善させるチャンスであったと言えます。  私たち会派は、29年度の決算審議に当たり、各決算を認定するか否かの判断基準として、1、適切に財政運営がなされているか、2、適切に事業が執行されているかという、28年度決算と同様、主に2つの観点から決算審議を進めてまいりました。  まず1つ目の観点、適切に財政運営がなされているかという点を見てまいります。  経常収支比率についていうと、当該年度は82.6%でありました。冒頭でも申し上げました特別区民税の増のほかに、利子割、配当割、株式等譲渡所得割交付金などの増により、経常一般財源等総額が32億7,000万余、前年度比2.8%増加という好材料がありながら、一方で、扶助費や公債費の増により、経常的経費充当一般財源等が35億3,000万余、前年度比3.7%増加いたしました。つまり、収入増を上回る支出増をした結果、前年度に比べ、経常収支比率0.7%増となりました。  経常収支比率を80%以下に抑えることは、区みずからが24年度に定めた財政健全化と持続可能な財政運営を確保するためのルール、以下、財政のルールと申し上げますが、こちらの筆頭に据えられています。まずは、当該年度にこの基準を満たさなかったことを重く受けとめる必要があります。  何らかの経済状況等からたまたま財政指標が一時的に悪化することもあり得るので、単年度だけを見て評価すべきではありませんが、経常収支比率については、基準値超えが、28年度に引き続き連続でルール破りとなってしまい、しんしゃくできません。  さらに、80%超えでも、せめて少しでも28年度から改善に向かっているならまだしも、28年度の81.9%から82.6%と数値が悪化しており、事態はさらに深刻です。  加えて、財政のルールを制定した24年度から29年度までのこの6年間で、この筆頭ルールが守られたのは26年度、27年度のたったの2年だけであり、残り4年は守られていないということから、そもそもこの存在意義が疑われます。  これらのことについては、昨年の決算特別委員会においても私たち会派は厳しく指摘をしておりましたが、それにもかかわらず、このような結果になったことは大変遺憾であります。  質疑の中でもこの経常収支比率について答弁がありましたが、経常収支比率の分母についていうと、冒頭に申し上げたとおり、景気の改善の影響を受け、区税収入や交付金が当該年度は増加していることを考慮すると、仮に歳出が前年度並みであるならば、経常収支比率は小さくなり、改善するはずであります。つまり、問題は、分子に当たる数値である支出にあると考えられます。  分子については、人件費、物件費、扶助費がその多くを占めており、その歳出増の主因は保育関連経費の急増であり、区の答弁でも、もしも待機児童対策において手を緩めていれば待機児童が発生していたということを強調していました。  質疑において人件費等を確認してまいりましたが、その中でも、人件費比率のここ10年間の増減率が、23区のマイナス25%と比べ、杉並区はマイナス23%と低いことから見ても、当区の人件費削減のペースは遅いと言わざるを得ません。  また、補助金についても削減の余地がありますが、直近で見直したのは10件のみで、少な過ぎると言わざるを得ません。今後は、評価シートを有効活用し、適宜見直しを進め、必要なもののみ補助金として支出すべきです。  扶助費の増は、時代的な流れからある程度は避けられないとしても、それを上回るペースで行財政改革に挑む姿勢が必要でした。  また、事業の見直しについても、当該年度の事務事業の縮小は49件、廃止や他の事業への統合は26件のみとおっしゃっていたように、ここでもスクラップ・アンド・ビルドのスクラップの意識が欠けております。  時間の関係上、幾ばくか例を挙げてまいりましたが、支出を抑えるという努力が全体的に足りないことが、経常収支比率の悪化という結果として出たのであると分析いたします。  ここで、財政のルールを破ったことについての他委員との質疑における区長の御発言を引用します。「私からすれば、予算の編成権をあれやこれや、あれやこれやとがんじがらめに縛られるというのは、やっぱり私でなくてもね、公選で選ばれた首長にある種の編成権を預けるわけだから、そういう意味で、あれやこれやがんじがらめに縛られるのは、ちょっと私でなくても抵抗感があると思います。(中略)大事なことは、自治体が抱えている問題をどう解決していくのか」とのことですが、区長のこの御発言を聞いていますと、ルールを破っても構わないというように聞こえてしまい、自治体のトップとして見た際、ルールに対して無自覚のそしりを免れません。  次に、基金について見てまいります。  本年2月からの予算特別委員会で、私たち会派は、独自に30年度当初予算ベースでの各区の基金総額を調べ、ランキング化することで、当区の基金額の現状把握や課題を指摘いたしましたが、今回も23区内の比較という視点を活用させていただきました。  そこで、29年度決算ベースでの他区との比較を調べましたが、基金総額では23区中17位、区民1人当たりの基金額の順位では、30年度当初予算の21位から1つ下がり、下から2番目という現状がわかりました。  また、23区平均の基金額は730億から812億へ1.11倍増加しているのに対し、杉並区では1.09倍にとどまっていること、さらに、杉並区の基金総額は当初予算段階では23区平均の61%であったものが、今回の決算額で見ると60%となお後退していることも指摘させていただきます。このため、経常収支比率に続き、基金の状況も減退していることがわかります。  次に、区債についてです。  公債費の引受先を見ると、ここ数年市中銀行が多くなっている現状があり、当該年度もそのような傾向があります。公的資金から調達すると金利は低く抑えられますが、各地方自治体の施設の老朽化に伴い、改築経費が必要なため、公的資金への需要が高まっており、自治体間で枠を奪い合っております。そのため、杉並区でも市中銀行からの調達の割合が多くなっています。  市中銀行からの資金調達は満期一括償還が基本となり、当該年度は比較的長い10年満期のものでありましたが、さきに発行した28年度は4年ないし5年の満期一括償還で発行した債券が多く、32年度と33年度は元利償還額が大幅に膨らんで、その年度の財政が圧迫される要因となってしまいます。  次に、補正予算に言及しますと、29年度補正予算(第1号)は、工事単価増による専決処分の補正でしたが、当初予算段階で織り込むことも可能でありました。28年度も7回の補正予算を組んでおり、前回決算審議の際も、私たち会派は、補正予算の乱発は控えるべきと指摘をさせていただき、区の答弁でも、今後二度と繰り返さないと言っていたにもかかわらず、当該年度も6回という結果を見ると、私たち会派の指摘が生かされておらず、相変わらず行き当たりばったりの区政運営という印象を受けてしまいます。  執行部は今後、当初予算案作成の際に、しっかりと先を見据えて編成することを肝に銘じていただきたいところです。  以上述べてまいりました理由から、当該年度は適切な財政運営をしてきたとは言いがたく、決算認定の1つ目の基準は、残念ながらクリアできていないと判断いたします。  次に、2つ目の観点、適切に事業が執行されているかという判断基準から当該年度を見ていきます。  成果指標の達成状況について、執行部はこれまでたびたび、8割の項目が、現計画における33年度の目標数値の7割以上の達成率となっておりますと、微妙な表現を用いて胸を張っておりました。  そこで、総合計画の中の施策指標の目標達成状況について、私たち会派は質疑をしましたが、全指標84項目のうち、28年度は目標達成数が33項目であったのに対し、当該年度は9減って24項目であり、実は大きく後退しているということが明らかになりました。  監査意見書の中では、総合計画について、「数値目標の達成度に一層留意され、」との簡略な記載があるものの、実際は、達成した指標の割合が30%弱で、これは総合計画初年度である平成24年度以来の低いレベルであります。  さらに、28年度は数値目標を達成していたが29年度は達成できなかったものが14個、28年度に数値目標が達成できておらず、29年度も引き続き達成できなかったものが42個であることを考えると、施策指標の目標達成は大変厳しい状況であり、これは、総合計画の残り3年は大変な苦労を要することを意味します。  よって、2つ目の決算認定の判断基準もクリアできているとは言いがたい状況です。  以上、一般会計における歳入歳出決算に対する会派の意見を述べましたが、1つ目の観点、適切な財政運営が行われているかについては、我々の基準に達しておらず、2つ目の観点、各事業が適切に執行されているかについては、そのように認めるには抵抗があります。したがって、総合的に判断し、平成29年度一般会計歳入歳出決算は不認定といたします。  次に、特別会計について申し上げます。  質疑において、杉並区中小企業勤労者福祉事業に参加している事業所の従業員数と所在地が、27年度以降、杉並区中小企業勤労者福祉事業に関する条例に違反していることを区が認識していながら、必要な是正措置を講じてこなかったこと、それによって、29年度に3名の内部職員が戒告処分とされたことを確認いたしました。そもそも区が認めてしまっているというゆゆしき事態であるため、中小企業勤労者福祉事業会計は不認定とさせていただきます。  なお、審査意見書の中では、中小企業勤労者福祉事業会計及びこの条例違反の件について監査も指摘しておらず、全く言及しない理由について、質疑において指摘したところ、保険事業に比べて、会計規模、対象となる区民の数が桁違いに小さいということを挙げていましたが、私ども会派は、監査として、合規性、合法性という観点を踏まえて判断すべきであったと指摘をしておきます。  その他特別会計については認定といたします。  本委員会は議員全員参加でありますので、我が会派の質疑の内容については周知のことでありますが、以下、この場では、質疑の要点を踏まえた問題提起、また、時間の関係で省略された課題等について簡潔に述べます。  私たちの会派は以前より、さまざまな財政指標を組み合わせた、新しくより厳しい財政健全化のルールを検討するよう要望してまいりましたので、この際、ここで新たな財政のルールについて述べていきます。  決算審議の中では、新ルールについて、幾つかのルール項目の設定条件をかみ合わせるといささか矛盾する点があることを指摘いたしました。当該年度は現行ルールの適用となりますが、新ルールにおいては、現行ルールの1番目の柱である経常収支比率を外しているのは違和感があり、まるでこのルールを満たせないことから新しいルールに切りかえたかの印象が残ります。
     財政の弾力性を示すには、行政コスト対税収等比率と経常収支比率の並行活用が望ましいものです。新たな財政のルールの筆頭に、「財政調整基金の年度末残高350億円の維持」が明記されていますが、350億円の内訳については、大規模災害時の備え150億円、経済事情の変動などによる減収の備え200億円とのことです。  大規模災害時の備えについては、他自治体を参考にしたと質疑で確認をいたしましたが、なお算出根拠が曖昧です。杉並区はせっかく独自の地震被害シミュレーションを行っているのですから、このシミュレーションの取り組みを最大限に活用するため、杉並区として被害想定額を算出して備えるという目標額にすべきであります。  もう一方の、経済事情の変動などによる減収への備え200億円の設定根拠にも疑問が残ります。例えば財政再生基準から考えると、実質赤字比率が20%を超えると、杉並区は事実上自治体の倒産、破産という状態になりますが、29年度の標準財政規模から逆算すると、一般会計等の実質赤字額232億円がこの20%に当たります。新しい財政のルールの200億円設定だと32億円不足してしまうことになりますので、本来であれば、財政再生基準から算出して、標準財政規模の20%を基金として確保したほうが、明快で力強い積み立て根拠になります。  このように、本来であれば、経済事情の変動を想定した上で、大規模災害や景気後退によって経営破綻するという最悪のケースを想定して基金を積むべきです。  行政コスト対税収等比率についても、わかりやすさということで、100%を超えないようにとおっしゃっていましたが、それと同様に、切りがよいから350億円ではなく、積立金は区民にしっかりと説明できるような根拠を持った形で積まれるべきです。  また、施設整備基金の毎年40億円の積み立てという新ルールの積算根拠は、施設白書から、30年間の施設再編整備の必要経費の年平均115.1億円をベースにしており、この総額の構成を分析しました。  ここで、まず、これまで明らかにならなかった施設再編整備の30年スパンの金額の削減率ですが、思いがけず、ここで5%程度という消極的な設定が見えてきました。いかに積算根拠上の仮の計算値であったとしても、将来の人口推計から判断しても、余りにも志の低い設定であると指摘せざるを得ません。  また、その他の構成は、国・都支出金約11億円、区債約27億円、一般財源分約32億円、残り約40億円が施設整備基金積み立て目標分となります。  また、この想定では、区債分は施設再編整備30年間で810億円と巨額になりますので、区債発行額を抑制するためには、できるだけ施設整備基金の積み上げ額を増す必要があります。さらに一般財源分年32億円も、扶助費が右肩上がりで増大し、財政の弾力性を年々圧迫していき、資金余裕の先細りは目に見えております。積み上げ目標40億円はあくまでも最低ラインとはいうものの、今のうちにさらに上乗せした目標設定が必要であります。  続いて、行財政改革についていえば、扶助費等が年々増加していくことを考えると、今後は民間委託、職員の適正管理、超過勤務の削減をスピードアップしていくことが緊要です。  また、他自治体の中ではAIやRPAの実証実験が進んでいることもあり、区も不可欠な取り組みとおっしゃっていたため、研究、検討と足踏みをせず、早急な導入を求めます。  最後に、区長の姿勢について、何点か申し上げます。  田中区長は質疑において、財政指標を1つ取り上げてよい自治体だと判断することはそもそもおかしいんだとおっしゃっておりました。無論、財政指標をよくすることそれ自体が、区が目指す目的ではありませんが、適正な財政目標を目指すことは、将来世代の杉並区民を守ることとイコールであります。  そして、そもそも区長は、御自身のオフィシャルウエブサイトにおいても、「財政健全化」という欄で、実質公債費比率1つを取り上げて杉並区の健全財政を訴えていることについてはどのように説明されるんでしょうか。  また、他の委員への答弁において、数値1つを見ることを非難する文脈において、人間の体に例えれば、健康診断の数値1つだけを見て不健康とみなすのはおかしいという例をたびたび挙げていました。今般、まさに区の健康診断で見落としがあり、お亡くなりになった方がいらっしゃったため、区長報酬の削減となった重大事件を審議している今定例議会において、健康診断の例を持ってくるのは不謹慎です。  さらに言えば、10月3日の決算審議における他の委員への答弁において、新しい財政のルールから経常収支比率を除外したことについて問われ、区長は、あろうことか、財政当局が言い出したことであるとし、責任を押しつけました。都合の悪いことに限ってはボトムアップであったと主張することは、トップの姿としてはあってはならないことであり、職員の方々に対して失礼千万であります。  以上、今後の区政運営に対する要望を申し上げてまいりましたが、一般的に物事の状況を判断する際に有効な視点として必要なのが、虫の目、鳥の目、魚の目であると言われております。自治体もこの3つの目でバランスのよい区政運営を目指していくべきです。  虫の目でしっかりと細部まで注意深く財務分析をする、鳥の目で区業務の全体像を俯瞰的に捉える、魚の目で時の流れを読み、これからどのように流れていくかをしっかりとつかむ、このような、多角的に見て均衡が保たれた区政運営を要望いたします。  結びに当たりまして、本委員会の審議及び資料作成に御協力いただきました区長初め理事者、職員の皆様、また公平公正な審議に御尽力いただきました正副委員長に感謝を申し上げて、会派の意見といたします。 ○渡辺富士雄 委員長  区民フォーラムみらい代表、河津利恵子委員。 ◆区民フォーラムみらい代表(河津利恵子委員) 平成29年度杉並区一般会計歳入歳出決算、各特別会計歳入歳出決算に対して、区民フォーラムみらいを代表して意見の開陳をいたします。  平成29年度予算は、杉並区基本構想、10年ビジョンの折り返し点に当たりました。予算の基本的な考え方として、情勢の変化を踏まえ、長期最適、全体最適の視点を持って改定された実行計画、協働推進計画及び行財政改革推進計画に要する経費を確実に予算に反映させること、また、持続可能な財政運営を図るために、財政の健全化の確保に努めることを掲げ、「時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させる予算」とされました。  緩やかな景気回復基調が続く中、特別区民税収入は614億円で前年度比約11億円余の増となりました。その他の各歳入も前年度と比較して増加しており、全体で前年度比121億円余の増で、歳入は過去10年間で最高額の1,956億円余となっています。特別区税の増は納税義務者の増によるものと理解しています。  景気の回復傾向や子育て家庭や外国人在住者がふえるなど、肌感覚でもまちの活力を感じるものとなってきています。子育て世代が住みやすいまちづくりを進めることにより、まちの活性化とそれに伴う財政基盤の安定化を確保することが重要です。  杉並のまちの魅力をより高め、内外に発信し、今後も人口規模を維持する施策を展開することを要望いたします。  ふるさと納税の影響額は、当初10億円超を見込んでいましたが、前年の7億3,000万円から当該年度は13億9,000万円と1.9倍となり、看過できない状況となっています。  これまで田中区長は制度のひずみを訴え続け、政府においてもようやく根本的な議論がされるようになってきました。これも田中区長が粘り強く提言してきた成果とも言えます。  ふるさと納税は、これまで税について余り関心のなかった若い世代に、改めて税金の仕組みや使われ方を考えるよい機会になったとは思いますが、本来の趣旨から外れ、返礼品競争になってしまったことは残念でしたし、そもそも制度自体が成熟されていなかったと言わざるを得ません。  今後も、制度の行方を注視しつつ、都市部からの発信を続けるとともに、これまでのスタンスを崩すことなく、地道な取り組みを進めていただきたいと考えます。  収入未済額は前年度比1億2,500万円の減で37億4,500万円余り、2年連続の減、不納欠損額は前年度比3,900万円余の減で2億7,900万円、4年連続の減となりました。  また、特別会計と合算すると、収入未済額は約81億7,000万円と前年度比減となっていますが、不納欠損額は合計約16億円と増加しています。  国保料の不納欠損のふえ幅が大きいことは、今後も注視していかなければなりません。税負担の公平性のために、さらなる努力を要望いたします。  財政の健全化を示す各指標には特段の問題はなく、健全性が保たれているものと認識します。  本委員会では、経常収支比率についての議論が行われました。経常収支比率は、自治体の財政の状況を把握する上でわかりやすい指標であるために注目される数値で、当該年度も82.6%と前年度に引き続き増となり、80%を超えました。この状況は念頭に置いておかなければならないと考えます。  原因としては、扶助費と公債費の増となっており、前年度に引き続き、保育所待機児童ゼロ達成を目指し尽力した結果とも言えます。  ここ数年はこうした状況が続くことも想定されますが、この数値にひるむことなく、保育所整備などについては果敢に進めていくことと、運営形態の見直しなど行財政改革を継続的に実行することを求めておきます。  トランプ米大統領によるアメリカ一国主義によって引き起こされたこれまでの貿易秩序の崩壊により、世界経済の先行きは不透明さを増しています。今後の日本経済に及ぼす影響や、来年予定されている消費増税の影響などを考えると、区財政は必ずしも楽観視できる状況にはありません。常に手綱を引き締めて財政運営に当たられることを申し上げておきます。  一般会計では、歳出は当初予算案に対して96.7%と高い執行率になっていることや、実行計画に基づく事業が着実に推進されたこと、エクレシア南伊豆やウェルファーム杉並の開設を果たし、待機児童ゼロ実現に向けての取り組みに見られるように、区民福祉の向上に向けた取り組みに尽力したことを大いに評価するものです。  また、私たちの会派が政策提言しているものが十分区政に反映されているかどうかなども鑑み、審査した結果、的確に執行されたものと判断し、一般会計、各特別会計決算を認定いたします。  具体的な予算については、時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させるために、「首都直下地震等に備えた減災・防災対策の推進」、「将来にわたるにぎわい創出に向けた環境整備と魅力発信」、「豊かなみどりと持続可能な環境を次世代に継承」、「超高齢社会の進展を見据えた健康づくりと福祉の充実」、「未来を担う子どもたちのための教育・支援の拡充」と、5つの視点に意を用いたこととされました。いずれの項目とも各所管課が事業に精力的に取り組まれたものと理解しています。  以下、本委員会で取り上げましたものを除いて、要望を付しておきます。  最初に、施設再編計画についてです。  学校を初めとする老朽化施設の再編は、自治体として避けて通れない問題です。着実に進めているものと認識するところですが、乳幼児から高齢者の幅広い区民の暮らしに影響するものです。杉並区全体を俯瞰して各施設の配置を考えていただくとともに、今後も地域のニーズや声を丁寧に吸い上げていただくことを要望しておきます。  次に、減災・防災対策についてです。  当該年度は、震災救援所周辺における建築物不燃化助成、そして区独自の50メートルメッシュでの被害シミュレーションの実施、下高井戸おおぞら公園西側エリアの先行開園など、災害に強いまちづくりに取り組まれました。  本年に入ってからも、大阪北部地震、北海道胆振東部地震、西日本豪雨災害、たび重なる大型台風などの災害が相次ぎ、いつ何どき、何があっても不思議ではない状況にあると言えます。あらゆることを想定し、機動的に動ける体制整備と、ハード面、ソフト面ともに災害に強いまちづくりの推進を心から願うものです。  子育て支援策について申し上げます。  当該年度は、前年のすぎなみ保育緊急事態宣言の流れを受け、急ピッチで保育所整備が進められました。田中区長のリーダーシップのもと、関係所管課は血のにじむような努力をされたと認識しています。そして、結果として本年度の待機児童ゼロを実現したことは、誇らしいと同時に安堵しました。  都市部の自治体としては画期的なことと注目されていますが、この評価は持続させなければなりません。と同時に、人材確保や保育の質の維持など、険しい道のりだと思いますが、これからも御努力いただきたいと思います。  本区では、保育所入所要件を見直し、育休をとり、1歳児から入園を希望することで、入所要件に1点が加点されることとされ、育休をとることにインセンティブを働かせることになりました。これも国の動きを注視したいところですけれども、着実に認可保育園の整備が進められており、育休を延長した母親にとっては期待も大きいところです。  しかし、相変わらず、相談のたびに厳しい状況を知らされ、不安な気持ちが払拭されているわけではありません。生後数カ月の赤ちゃんを連れての保育所回り、いわゆる保活は大変な作業でしょう。あえて加点を選んだ母親に確実にメリットとなるような配慮が必要だと思います。不毛な保育所入園バトルから脱却でき、ゆったりと乳児期の子供の育児に専念できるよう、さらなる御努力を要望しておきます。  当該年度は、子どもプラザの整備や子ども家庭支援センターの準備にも力を注いできました。近年、子供が虐待で命を落とす事件の増加には心が痛むばかりで、地域型子ども家庭支援センターの創設については、大きな期待を持って注目しています。  社会的な問題を身近な自治体が受けとめて解決するという姿勢を積極的に応援したいと思います。関係機関や地域を巻き込んだ機動的な組織や仕組みづくり、人材の育成に御尽力いただきたい。子供を守り、育ちを支援するための施策は力強く推進されることを期待しています。  次に、障害者の施策についてです。  保育、高齢者、障害者分野での人材不足は、いずれの事業所においても深刻な問題となっています。特に障害者の事業所においては顕著で、事業所の存続自体が危ぶまれる状況に追い込まれている事業所もあります。実態の把握に努められたいと思います。  地域の中に生活の場や働きの場があることはもちろんですが、加えて、居場所や多様なサービスがあってこそ障害者の日常生活が豊かになるものです。  就労継続支援A型の事業所、特例子会社の誘致、グループホームやショートステイの整備など、これからももっと充実させていただきたいサービスが山ほどあります。国や東京都の制度や交付金、補助金を活用して積極的に臨んでいただくことを要望します。  次に、清掃行政について、1点申し上げます。  プラスチックや瓶、缶などのリサイクル事業は、実験的取り組みを経て本格導入されてから約20年になります。区民のライフスタイルの変化により、自宅前での収集を望む人が増加している現状や、外国人在住者の増加でのごみ出しマナーの徹底など、収集方法も時代の変化に対応したものにしていくべきと考えます。慎重な検討を要望いたします。  教育分野について述べます。  いじめや不登校の問題についても多くの委員が取り上げました。不登校の生徒は、中学生で約200名、小学生で約100名と、少々驚きの数字と認識しています。さざんかステップアップ教室は現在、中学生の教室が3カ所、小学生の教室が1カ所ですが、受け入れ体制や教室の運営状況などを精査し、さらなる底上げをすることを望みます。  いずれの問題も、学校サイドと教育委員会が情報を共有、連携し、機動的に動き、早期に発見し対応することが求められます。保護者との話し合いの場を十分に持つなど、風通しのよい学校の体制が求められ、何よりも子供の立場に立って問題解決に当たられることを求めておきます。  虐待、いじめ、こども食堂、働き方改革、生活困窮者支援等々、課題とされるこれらのテーマは、世相を反映し、人々の生きにくさを感じさせます。くらしのサポートステーション、子ども家庭支援センター、そして就学前教育センターなど、新設の相談機能が期待されますが、福祉や教育の関係所管課が強力に連携し、個々の問題を解決していただきたいと思います。  いま一度、高円寺小中一貫教育校、仮称高円寺学園に関して一言申し上げておきます。  和泉学園に次ぐ区内2校目の小中一貫校、しかも特別支援学級の新設で、小中9年間を貫く特別支援教育は初めての取り組みとなり、質の高い教育を確立できるという可能性に大いに期待したいところです。  しかし、中学生の支援学級を小学生と同一フロアに設けることについて、これまでの間、何度も自問自答して悩みましたが、いまだに釈然としない思いでいます。教育効果をとるのか、中学生としての生活環境をとるのか、どちらが100%完璧で正解という答えではないかもしれません。私は、多くの専門家、教師、支援学級卒業生の保護者、仲間たちに電話やメールでヒアリングしましたが、9年間小学生と同一フロアで学ぶことに、ほぼ全員が、なぜという反応でした。  障害がある生徒も同世代の生徒とともに学び、生活することが社会の構図であり、当たり前の姿ではないでしょうか。日常的にテレビドラマや歌番組やLINEでのやりとりなど、同世代の文化や話題に触れて成長することが重要なことではないか。交流や共同学習では埋められないものがあると思います。  私の経験上ですが、中学校から入学してくる支援学級の生徒の中には、恐らく普通学級ではおくれがちな生徒や、家庭の事情などで精神的に不安定な生徒、いじめを受けていた生徒など、知的レベルの高い生徒も多いことが予想されます。こういった生徒はどう受けとめるでしょう。中学校に進学することの喜びとプライドは、著しい成長につながるということも事実だと思います。  障害がある生徒もそうでない生徒も、ともに育つことでお互いを知り、多様性や違いを認め合える大人になってほしいと考えます。私は、生徒や母親たちの切ない思いを受けとめたいと思います。  なお、2階フロアに設置予定の格子戸の問題と、改善の必要があればフロアの見直しをすることについて、要望書を提出する予定ではありますが、この場においても要望しておきます。  格子戸については仕様の見直しを検討されること、教育活動においては使わないとお約束いただくこと、しつこいようですが、再度要請しておきます。フロアの見直しの必要性については、開級後、児童生徒や保護者の気持ちや評価を酌み取る工夫をされることをお願いしておきます。  特別支援学級、特に中学の教育内容や指導は、学級によって格差があると感じています。高円寺学園の取り組みによって、杉並区の特別支援教育がよりすぐれたものとして構築され、区全体に波及することを期待するものです。また、人がかわっても継続していけるよう、体系化、組織体制、教師の質の向上を求めておきます。  最後に、決算書について申し述べます。  もっとわかりやすいものと意見は聞かれますが、3,100億円を超える歳入をあらわすものとして、膨大な量になることはいたし方ないことと思います。決算説明書に関しては、毎年のように改善、工夫され、数年前と比較しても格段によくなっていると感じています。各所管課が取り組んだことや評価、課題などを抽出し振り返る作業は大変有意義なことですし、議員にとっても参考となり得る資料となっていて、皆様の御努力を評価したいと思います。  なお、本委員会で私たち会派の委員が取り上げました各款ごとの意見や要望については、今後の区政に反映していただくことを要望いたします。  区長は予算編成方針の中で、時代の変化の大きさや速さを取り上げ、10年は一昔ではなく、今や大昔の感があると述べられています。私も同感です。10年ビジョンの実現に向け、過去を振り返りつつ、変化に機敏に対応し、一歩一歩着実に歩んでいただきたいと思います。  次世代に胸を張って、暮らしやすい、住みたいまち杉並を手渡していけるよう、区役所が一丸となって取り組んでいくことを願っています。  私たちの会派は、生活者、納税者、消費者、働く者、もう一つ加えて、子供たちの立場に立ち、区民の声を集約して議論を尽くし、未来への責任を果たすため、未来志向の政策提言を行ってまいります。広く区民との協働による政策の決定と実行を目指し、今後ともよりよい区政に向けての提言をしていくことをお誓い申し上げます。  結びに、決算審査に当たり、区長初め理事者の皆様、資料作成に御尽力いただいた職員の皆様、円滑かつ公平公正な委員会運営に努められた正副委員長に感謝を申し上げ、区民フォーラムみらいの意見開陳とさせていただきます。 ○渡辺富士雄 委員長  各会派の意見開陳の途中ですが、ここで午後1時まで休憩いたします。                             (午前11時59分 休憩)                             (午後 1時    開議) ○渡辺富士雄 委員長  休憩前に引き続き委員会を開きます。  各会派の意見開陳を続行いたします。  立憲民主党杉並区議団代表、川野たかあき委員。 ◆立憲民主党杉並区議団代表(川野たかあき委員) 立憲民主党杉並区議団を代表いたしまして、平成29年度杉並区各会計歳入歳出決算について意見を申し述べます。  その前に、まずは、ことしの4月に結成をいたしました新しい会派として、一言御挨拶をさせていただきたいと思います。  私たちは、「立憲主義に基づく民主政治」と「多様性を認め合い、困ったときに寄り添い、お互いさまに支え合う社会」を実現するため、立憲民主党に集いました。  1つの価値観を押しつける政治ではなく、区民の皆さんとつながり、日常の暮らしや働く現場の声を立脚点としたボトムアップの政治を実現してまいりたいと思います。公正公平なルールに基づく自由な社会を実現し、一人一人の持ち味が発揮され、それぞれに幸せを実感できる社会経済を目指します。また、自治体議員の最大の役割である地域社会に根差した活動の中から課題を見出し、行動してまいります。公開、参画、対話を重んじ、広く区民との協働による政策の決定を実行してまいります。  以上のような基本姿勢のもと結成をされました私ども立憲民主党杉並区議団は、イデオロギーやそのときの政治情勢によらず、区政における政策一つ一つ、その中身を吟味し、是非を問い、同時に提案を行いながら、区政に当たってまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。  さて、決算審査に当たり、まず、平成29年度の日本経済について見てみますと、監査意見書にもあるとおり、「景気は、緩やかに回復している」とされています。国内総生産の推移を見ると、2017年中はプラスが続き、18年1月から3月にはマイナスに転じたものの、通期で見ればGDPは実質で1.6%増、名目で1.7%増とプラス成長でありました。「完全失業率は前年度比マイナス0.3ポイントの平均2.8%と7年連続で低下し、平均の有効求人倍率も前年度比プラス0.15ポイントの1.54倍となり、雇用の改善傾向が続いた。」とされております。  しかし、実際のところ、国民の消費は伸びておらず、雇用はふえてはいるが、その多くは非正規で、雇用の質は上がらず、したがって賃金も上がらない、ゆえに消費も伸びないという悪循環に陥っているという見方もあります。来年には再び消費税が増税となる予定ですが、もともとは増大し続ける社会保障費のためと政府は説明していましたが、実際には十分な社会保障は行われないまま、毎年度、防衛費は過去最大額を更新し続けております。依然として格差と貧困は広がる一方です。  そんな中、区を見れば、決算特別委員会では、一時的な人口増などによる区税収入の増加が見られるものの、ふるさと納税の影響や災害対策基金の確保など、まだまだ楽観できない状況にあるということを確認してまいりました。  平成29年度予算は、「首都直下地震等に備えた減災・防災対策の推進」、「将来にわたるにぎわい創出に向けた環境整備と魅力発信」、「豊かなみどりと持続可能な環境を次世代に継承」、「超高齢社会の進展を見据えた健康づくりと福祉の充実」、「未来を担う子どもたちのための教育・支援の拡充」という5つの視点から組まれ、「時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させる予算」と銘打たれておりました。  超少子高齢社会や首都直下地震などに備えるものとして、その中身は読んで字のごとく、基本的に、将来を見据える中長期的な施策としておおむね得心のいくものでありました。そして、当然ながらまだまだ課題は残るものの、その成果も、この決算特別委員会において確認をしてきたところであります。  数値におきましても、一般会計歳出の執行率は全体で96.7%と、十分な水準に達しております。中でもやはり、特にことし、平成30年4月時点で保育園における待機児童ゼロを達成したことは、大きく評価をいたします。平成28年度のすぎなみ保育緊急事態宣言に引き続き、29年度も待機児童解消対策として保育施設整備をしっかりと継続されてきた結果であり、区民の保育ニーズに応えるものでありました。  さて、決算審査の最も重要なテーマは、杉並区の財政状況が健全かどうかということかと思います。  総務省が主要な財政指標として掲げているのは、財政力指数、経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率及びラスパイレス指数の5つです。  平成29年度の区政経営報告書、そして監査委員による各会計決算審査意見書及び健全化判断比率審査意見書を拝見いたしますと、その5つの中で、区政経営報告書には経常収支比率が記載されており、健全化判断比率審査意見書には実質公債費比率と将来負担比率が記載されており、各会計決算審査意見書には財政力指数、経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率が記載されております。決算特別委員会の配付資料のどちらにもラスパイレス指数が見当たりません。  別の機会にいただいた資料にはラスパイレス指数が掲載されており、また、総務省のホームページ資料を見れば、杉並区のラスパイレス指数は正常であることは承知をしておりますが、財政問題は、区民にとって大変理解が難しいテーマです。したがって、一応のところ、総務省の5つの主要財政指標に即した形にて区政経営報告書にも記載すべきかと存じます。
     もちろん、公債費負担比率や実質収支比率や基金残高、公債費と区債残高の数値は記載しなくてもよいというものではありません。それらもしっかりと御記載いただきました上でなお、総務省の5つの主要財政指標も順序よく記載していただきたいと考える次第であります。そのことが、難しい財政問題を理解する一里塚となるのではないでしょうか。いかに健全な財政を営んでいても、区民にわからない、区民に信用されないということになってしまってはもったいないと危惧するところであります。  前置きが長くなりましたが、本題に移りまして、杉並区の財政状況が健全かどうかというところですが、決算特別委員会におきましてもたびたび議論がされてきました経常収支比率ですが、悪化したといいましても、若干、81.9が82.6になったというところです。例えば平成28年度の政令指定都市における経常収支比率は、100を超える市が、川崎市、相模原市、京都市、大阪市です。他自治体のことながら、100以上とは正直驚きますが、90以下は岡山市ただ1市で、何とか88.1となっています。あとは全てが90台であり、全国平均も90台であります。経常収支比率は、東京23区は基本的に非常によいと言えるでしょう。  さらに、先ほど申し上げましたように、当該年度は、待機児童ゼロを達成するため、認可保育園を数多く整備していったものであり、計画当初から、経常収支比率は若干悪化するだろうということは予測されていることでもありました。実際、確かに経常収支比率が若干悪くはなりましたが、それは区民福祉向上のためであったわけでして、区民の理解も得られるものであると考えます。  他の財政指標も、特に異常は見られないかと思います。  そうしたことから、杉並区の財政は健全であると判断をし、私ども立憲民主党杉並区議団は、平成29年度各会計歳入歳出決算に対して認定をいたします。  ここからは、平成31年度杉並区各会計の予算の編成、また、今後の区政運営に際して特に御留意いただきたい事柄につきまして、私ども会派の意見、要望を数点申し述べさせていただきます。  1つ目は、保育についてです。  先ほど来申し上げておりますように、待機児童ゼロ達成は大いに評価するところでありますが、御存じのとおり、まだまだ課題は山積みであります。広がる民営化に伴い、保育の質が低下するということのないよう、さらに維持向上させるよう、さらなる体制づくりと保育人材の確保のための施策の展開を求めます。  また、待機児童ゼロを達成した反面、家庭福祉員など、これまで杉並の保育を担ってきていただいた認可外の小規模保育が定員割れを起こすなどの新たな課題も出てきております。既に御対応いただいていることもあり、その点は感謝申し上げますが、お互いが納得のいく解決策を協議していただくなど、今後も引き続きのフォローをお願いいたしたいと思います。  2つ目は、医療・介護についてです。  健康において必要なものは、常識でもあり基本となっていますが、1、栄養バランスのとれた食事、2、適度な運動、3、社会活動、4、口腔ケアの4つです。社会変化が激しく、かつ情報過剰な現代では、常識、基本というものはおもしろくないので、案外忘れがちです。新奇なこと、新奇な言葉、とっぴなことが話題になってしまうこともあります。健康維持、介護予防、認知症予防に関して多岐にわたる施策が展開されておりますが、絶えずこの4つの常識、基本を忘れずに事業を行っていただきますようお願いいたします。  なお、当該決算年度ではありませんが、ことしの夏、肺がんレントゲン検診の見落とし事件が発生いたしました。そして、本年9月末に杉並区肺がん検診外部検証等委員会の中間答申が出されました。その最後の部分にこうあります。  「今回の事案を単にたまたま生じた案件として見るにとどまることなく、検診制度そのものまでにも及ぶ問題であることを改めて感じる次第である。ついては、今後の審議に当たり、念頭に置くべき事項を以下に挙げて中間答申とする。○今回の課題に対する方策を明確にする。○基本に立ち返って、見直すべきところは徹底的に対処する。○全国のどこよりもきちんとした肺がん検診とする。」  一言で言えば、杉並から大改革という最終答申が出されるのではと感じております。たまたま発生した事件ではない、検診制度そのものの改革の必要あり、そのようなものになるのではないかと感じております。私ども会派は、最大級の緊張感を持って最終答申をお待ちしております。しっかりと覚悟に満ちた答申となることを期待します。  3つ目は、障害者福祉についてです。  今定例会においての代表質問及び決算特別委員会で、関連する数多くのことを申し上げてまいりました。そして、立憲民主党杉並区議団としての予算要望書にも記載をいたしました。障害者福祉というものは、当事者及び保護者などから成る障害者団体でしかわからないことが多々あります。生の声にしっかりと耳を傾けていただき、障害者福祉をさらに充実させていくことを要望します。  また、関連して、学校の特別支援教育について、障害のある子も、そうでない子たちと同様にしっかりと自分の成長を実感できるよう、障害のある子にも、そうでない子たちにも、それぞれが異なる存在であると認識をさせないよう、真のインクルーシブ教育というものに根差した教育環境を整備するよう要望をいたします。  仮称高円寺学園の特別支援学級中等部のフロアの件に関しましては、文教委員会でも我が会派から申し上げましたとおり、問題があるようであればすぐにでも見直していただくよう、改めて強く要望をしておきます。  最後に、施設再編整備計画についてです。  老朽化やニーズの変化、そして、繰り返しになりますが、超少子高齢社会を現実の問題として捉えれば、施設の再編整備は避けることができないものと理解をしております。しかし、それが個別の問題となったときに、区民の理解を得られずに紛糾するということが多々発生してきております。  計画の進め方という課題については、これまでも多くの会派からも指摘をされている点であります。区も改善に努めていることはうかがえますが、その対応はまだ不十分なのだろうと思います。  先日の第二次実施プラン計画案が提出された際も、区内7つの地域での説明会に、パブコメという対応がされましたが、私たち議員にとっても区民にとっても、案が出されてから議論を始めるまでに、じっくりと中身を吟味するという期間が十分であったとは言えません。御多忙のところに難しいことを言っているのは承知しておりますが、立案から提案、議論に至るまでと各段階において、もっと時間的余裕を持って事に当たっていただくよう要望をいたします。  さらに、より区民の声を反映した計画、政策とするために、私ども会派の山本あけみ委員が一般質問にて提案いたしました、無作為抽出による不特定多数の区民による住民協議会の設置を御検討いただくよう、改めて会派としても要望をさせていただきます。  すぎなミーティングなど、既に無作為抽出による区民と区長との意見交換会を実施していることは存じておりますが、住民協議会のイメージは、区民が区の意見を聞きながらということではなく、ある決まったテーマについて、現状と課題の説明を受けた区民が、区民同士が自分事として議論を重ねていって、意見をまとめていくというものになります。それを参考に、区は計画立案、政策立案を進めていくという形です。  このほか、本決算特別委員会におきまして、私ども会派からの意見、また、先日提出いたしました会派要望の内容につきましても、平成31年度予算の編成において前向きに御検討いただくよう、重ねてお願いを申し上げます。  結びに当たりまして、決算特別委員会の審議に際し、誠意を持って御答弁いただきました理事者の皆様、資料を作成していただきました職員の皆様、また、円滑で公正公平な委員会運営に努めていただきました正副委員長に対しまして感謝を申し上げまして、立憲民主党杉並区議団の意見開陳を終わります。  御清聴ありがとうございました。 ○渡辺富士雄 委員長  以上で各会派による意見開陳は終了いたしました。  ほかに意見はありませんか。──松尾委員、田中委員、堀部委員、木村委員から意見の申し出がありました。  それでは、意見の申し出がありました委員を順次御指名いたします。  松尾ゆり委員。 ◆杉並わくわく会議(松尾ゆり委員) 杉並わくわく会議として、決算に対する意見を述べます。  認定第1号平成29年度杉並区一般会計歳入歳出決算外5件の認定に対しては反対とし、以下、その立場から意見を述べます。  まず、当該年度を振り返ると、杉並区政史上に例を見ないほど、住民がないがしろにされ、田中区長の専横がきわまった年であったと思います。  特に、高円寺小中一貫校をめぐってそれは顕著でした。  5月の連休に高円寺の住民のもとに突然裁判所から書類が届いたのが、高円寺スラップ訴訟の始まりでした。自分の家の隣に高さ約30メートルという巨大な建物が建つというのに挨拶もなく、計画が決まってから突然知らされたという住民の抗議に対して、建設会社が区と結託して行ったのが仮処分申請でした。突然裁判所に呼び出された住民は大きなショックを受け、中には体を壊した人もいます。  このスラップ訴訟の過程で、事業者が工事説明会のとき、住民を無断で隠し撮りしていたことも判明しました。また、建設会社の部長は、住民の1人に対して暴行傷害の被害届を警察に提出し、この住民は、何度も警察や検察に呼び出されて長時間の取り調べを受けました。しかし、当然のことながら、この事件は不起訴処分となりました。全くのぬれぎぬであったことを検察も認めたのです。  住民の心と体に大きなダメージを与えるさまざまな事件を繰り返して、高円寺小中一貫校の工事は着工いたしました。しかもその後も、設計の不備による建築許可のおくれまでも住民のせいにするなど、住民を容赦なく攻撃し続けた1年であったと言っても過言ではありません。何とえげつない区政が展開されたことでしょうか。  もう一つ、住民を敵視した対応が繰り広げられたのは、上井草保育園の民営化でした。  そもそも民営化が保護者に知らされたのが、計画発表よりも後というところから混乱が始まったものですが、当該年度はいよいよ事業者選定が行われました。驚くべきことに、素点では2位だった事業者が選定されて園舎を建設し、ことしの開園に至っています。  該当者なしとなった最初の選定後、強引に選定委員会を解散、委員会が存在しない状態で公募要項を制定して公募を開始、保護者には、10日以内に委員を選出しないと選定委員会に参加させないとおどしたあげく、標準偏差などという異例の手法を使って成績を逆転させるという、やりたい放題の選定でした。事業者の提案した計画では、園舎の中に法人事務所があり、保育に使われるべき面積が犠牲になっているにもかかわらず選定されたことも不自然でした。  委員会でこれらを指摘された区長や部長の答弁は、民営化や区のやり方に疑問を持つ保護者に対する敵意をむき出しにした異様なものでした。法人事務所部分の面積について、減額対象から外すとのことでしたが、法人部分を極めて小さく評価していることが区の収入を減らす結果につながっていることも、質疑で指摘しました。現在、区立保育園の民営化が加速化されようとしていますが、上井草の例を見るとき、民営化は慎重であるべきと言わざるを得ません。  第3に、当該年度は、あんさんぶる荻窪の財産交換へ向けて、あんさんぶる廃止の計画が進んだ年でもありました。  現ウェルファーム杉並の建設と桃二小の改築が行われ、ことしの3月には、荻窪北児童館が3月17日に閉鎖されたことを皮切りに、福祉事務所等が閉鎖され、移転しました。荻窪北児童館は3月末日をもって廃止され、子供たちは保健所のおぎきたプレイスに現在仮住まい、不自由を強いられています。  あんさんぶるの諸施設を移転したはずのウェルファーム杉並に新たに設置された天沼集会所の利用率が極めて低いことも確認しました。あんさんぶる荻窪では60から75%あった利用率が、天沼集会所では1桁から高くて十数%と、2割に達していません。地元の強い反対の声を蹴散らして行われた、全く愚かな財産交換であったとしか言いようがありません。  足を踏んだ者は忘れても、踏まれたほうは決して忘れないといいます。以上述べてきた、これら住民を踏みつけにした区のやり方は、区政不信を招き、住民をふるさと納税に走らせる一因ともなっているのではないでしょうか。  あんさんぶる荻窪も、過去廃止された科学館も永福南小も、現在取り壊しが始まったけやきプールも、また、今後廃止される予定の杉四小学校も、個性的で、杉並の歴史と記憶、文化を担う施設でした。あんさんぶるは築後14年足らず、杉四小は二十数年で事業廃止、永福南小では30年と新しい施設が解体されました。区有財産の扱い方が粗略に過ぎると思います。他区でこれほどぞんざいに新しい施設を潰したりしているところはまずないと思います。  ひたすら施設の文字どおりのスクラップ・アンド・ビルドを行っている田中区政は、区民の財産を毀損し、将来負担を増大させています。そして、本来であれば、施設に集う人々によって紡がれ続けていくはずだった文化はぷつりと途絶え、人と人とのつながりは、また一からつくり直しです。このやり方では、杉並の歴史はぶつ切りになり、文化が育つことはなくなるでしょう。  施設はただの箱であってはならず、住民の活動を保障し、子供の育ちを保障するものとして魂を入れなくてはなりません。施設再編のあり方を転換するよう求めます。  さらに、当該年度中には、20年ぶりの保育料値上げと同時に、区長、区議会議員等特別職の給与引き上げが決定されました。また、国民健康保険、介護保険など大幅な値上げとなったことも問題です。これらの区民負担を抑制するよう求めます。  次に、質疑の中で指摘してきた区政の問題点等について述べます。  第1に、阿佐谷北東地域のまちづくりについてです。  これまでも何度も指摘し、また今議会の一般質問でも取り上げたように、土地区画整理事業を中心とする北東地区の再開発計画には問題が多過ぎます。  駅前の一等地に立地する杉一小を移転させ、跡地を民間に手渡す計画は、マンションディベロッパーにリボンをかけて差し出しているかのようです。病院の跡地は汚染地であり、しかも、ハザードマップ上の浸水地です。小学校用地としては不適切です。区の試算によれば、徹底した土壌汚染対策には7億円以上かかるとのことであり、汚染の原因者である河北病院が果たしてそのような対策をとるかどうかは不透明です。  ケヤキのまち阿佐谷の象徴的な存在であるけやき屋敷の森は、ほとんどが伐採される計画です。区内を14ゾーンに分けたとき、阿佐谷は樹林率が最も低く、1.42%しかないことを確認しました。ほとんどゼロに近いのです。緑被率も、高円寺ゾーンに次いで下から2番目となっています。これは井の頭線沿線などの他地域の方には想像がつきにくいかもしれませんが、本当に阿佐谷は緑がないのです。その中でケヤキの森が消滅することの意味を、区長、区役所、そして区議会の皆さんにはよくよく考えていただきたいと思います。  北東まちづくりの意見交換会では、コンサルタントから、けやき屋敷といっても大して木はないかのような説明もありましたが、みどりの実態調査によれば、けやき屋敷の敷地内は、建物が建っているとおぼしき部分を除いては、ほぼ全部が樹木被覆地、すなわち樹木に覆われた土地とされていることも確認しました。今般の土地区画整理事業でこの被覆率を守れるとは到底思えず、根本的に計画変更が必要と考えます。  東京における自然の保護と回復に関する条例についても説明を求めました。この条例に従って、区はこれから秋、春2回の自然環境調査を行うとのことです。東京都に対しては、既存樹木の保全、移植の計画、またはそれを検討したができない場合の理由を提出しなければならないことを確認しました。区がこれらを誠実に履行されるよう期待します。  また、街並み誘導型地区計画についても質問しました。道路の拡張などのかわりに、斜線制限や容積率を緩和できる地区計画です。これが導入されて阿佐谷が開発される計画だということを知っている区民がどれだけいるでしょうか。  高さについて、意見交換会で聞いたことをつけ加えます。コンサルからは、新進会通りの高さ制限を30メーターにする案が出されました。その理由は、25メートルを超えるビルが1棟あるので、それ以下の高さ制限だとこのビルがひっかかってしまうということでした。しかし、それ以外の建物は四、五階建てで、仮に25メートルでも十分な余裕があります。ちなみに、このビルは河北病院のサテライト診療所ですが、この1棟だけのために大甘の高さ制限となることは容認できません。  杉一小用地については、60メートルが提案されました。これは南口の16階建てマンションと同じような高さです。しかも、杉一小跡地だけではなく、その南側に並ぶ西友や三菱UFJ銀行がいずれ同じ時期に建てかえられ、一斉に60メートルの高さになったら、阿佐ケ谷駅北口の環境、景観は大きく損なわれます。  意見交換会では、北口でお店を営む方から、現状でも風害の問題があり、60メートルの高さには反対との意見が出されました。コンサルは、皆さんからの御意見があれば検討しますよと言いながら、この御意見に対しては、何度も発言を遮ろうとし、反対と明言されたことに対しては、あ、そうですかと、まともに取り合おうとしないのです。意見交換会と銘打っているものの、区とコンサルの案ありきの説明会になってしまっています。しかも、この会に来ている人は毎回十数人と極めて少数です。地元阿佐谷も含む圧倒的多数の区民は、全くこの計画を知りません。区民が知らない間に進めて、発表したときに意見を言うと、もう決まりましたという区のやり方は、いつもの手口としか言いようがありません。  既に行われている不動産鑑定や緑地に関する情報、河北病院の設計案など、区画整理事業にかかわる情報は、区が事業主体としてかかわっている以上、区議会と区民に公表されてしかるべきものです。個人情報を盾に一切情報を公表しようとしない区の隠蔽体質は、公有財産の適正な管理、処分の担保という点からも許されるものではありません。  このままだと阿佐谷は緑が消えて、駅前に高層マンションが林立し、商店街が衰退して、どこにでもある殺風景なまちに変わってしまうことでしょう。私たちのまちは、これからも長く子孫に受け継いでいくものです。田中区長一人のお好みや御都合で勝手につくり変えていいものではありません。  第2に、保育についてです。  ほとんど全額が公費で賄われているにもかかわらず、私立認可保育園に投入される公費の十数%が、運営法人によって、新規事業や他園の運営、高齢者など他分野の事業に流用されていることを指摘しました。ちなみに、公定価格では7割に設定されている人件費比率について、他の委員からも質疑がありましたが、私の調査では、把握できた区内37園の認可保育園のうち、人件費比率が7割を超えたのはたった7園にすぎませんでした。これでは、保育士不足や保育士の待遇改善などと言っても空語です。これは国の制度上の欠陥ですが、区は都や他区と連携して、保育士給与にきちんと使われるよう、制度改善に向けて努力をしていくべきです。  また、区としても財務上改めるべき点があることも指摘しました。区有地の貸し付けです。区有地を活用して私立認可保育園を建てると、基本的に当初3年間の地代が免除され、以降も3分の1に減額をされるという優遇を、区は、向井公園や久我山東原公園などに建てた保育園に対して行っています。他区ではこのような例はないようだとの答弁を得ました。ただでさえ、建設費は事業者の持ち出しが16分の1のみ、運営費はほとんど公費、お客は放っておいても押しかけてくるという事業で、その上に地代もただとなれば、事業者は笑いがとまりません。  保育園の費用拡大により、経常収支比率も大きな声で言えなくなってしまった杉並区としては、土地代くらいは回収すべきではないでしょうか。  第3に、児童館について述べます。  高井戸児童館学童クラブについて質問しました。私たち議員が知らないうちに、いつの間にか学童クラブを民営化することになっていました。なお、担当部長の答弁では、現在の行革計画で4クラブの民営化が決まっているとのことでしたが、具体名は挙がっていませんでした。  私は先日、高井戸児童館に視察に伺い、公園に隣接した環境、広々として、外の公園が見通せる開放的な遊戯室など、すばらしい児童館だと思いました。学童クラブの待機児童解消のためとはいえ、この遊戯室を削って他用途に振り向けるのは本当にもったいないと感じました。まして、将来的にこの館が乳幼児専用などということにならないように願うものです。  学童クラブは、児童館内にある場合、児童館事業との分離が難しく、偽装請負の危険があることから、学校内など、児童館外に設置の場合のみ委託化と受けとめてまいりました。しかし、このたびの高井戸では、児童館から動かないのに委託の計画が進んでいます。  質疑では、児童館内の階段を閉鎖することを確認しました。偽装請負の危険を回避しつつ委託するために、やむを得ない措置と考えたのでしょう。しかし、これまで児童館内を自由に行き来して、好きなところで遊ぶことができた学童クラブの子供たちは、民営化後は、わざわざ別の階段を通って一旦外に出て、玄関から入り直して1階の遊戯室などに遊びに行くことになります。しかも、学童クラブの運営事業者が引率しなくてはならず、自由には行けません。  学童クラブは子供の福祉のために行っていることなのに、子供の生活の質を引き下げてどうするのでしょう。民間委託に邁進する余り、肝心な子供たちが不利益をこうむります。  しかも、そこまでやっても、偽装請負を回避することは難しいのではないでしょうか。なぜなら、1階で遊ぶ子供のうち、学童と一般来館の子供の区別はつきにくく、また、委託の職員が区職員と同じ現場に居合わせ、委託の職員が区の職員から指示を受けるような場面が容易に想像がつきます。違法となる可能性が高く、委託は中止するのが適切と考えます。  児童館については、施設再編整備計画第二次プランでさらに9館の廃止が提案されています。加速化しています。対象となった児童館を抱える地域、私の地元の杉九小学校区もそうですが、それらの地域の皆さんにとっては青天のへきれきです。しかも、区はこの計画をつくるに当たって、地域の事情や意見を全く把握していませんでした。放課後子ども教室や土曜日学校などの実施状況も知らず、いきなり放課後等居場所事業を学校で行うということになり、学校支援本部にかかわる方々に混乱が生じています。施設の利用状況、例えば杉九ゆうゆうハウスがどれだけ地域に必要とされているかも把握されていません。しかも、町会にも事前に何の説明もなかったとお聞きしました。  これらは、区役所がいかに地域から乖離しているかを示すものです。もういいかげんに仕事のやり方を変えていただきたいと思います。区役所の皆さんは、区長の手下ではなくて公僕です。区民全体のために働くことが使命です。所管の皆さんは、まず地域に入り、地域の方々に事情をよく聞いてください。区役所が勝手に決めた計画を上から押しつけるのではなくて、地域が納得するやり方を探り、区民と一緒に物事をつくり上げる区役所に変わってほしいと思います。  第4に、区民施設の利用料と施設使用料値上げの関係です。  資料をいただいて確認したところ、地域区民センターの諸室のうち、区民が一般的に会合に使う集会室、和室の利用率の低さは衝撃的でした。  今年度の実績ですが、利用率が5割を割り込んでいるこまが55%にも及び、2割未満、すなわち数%から十数%しか使われていないこまが19%。惨たんたるものです。せっかくの施設が軒並み半分以上空っぽなのです。しかも、施設使用料値上げと団体割引の廃止が進むにつれ、利用率がどんどん下がっていきました。この現実を直視すべきです。  そもそも区民施設は何のためにあるのか。住民同士がさまざまな形でつながり、学び、活動することが地域を活性化させ、豊かな地域をつくっていくことに有効だから、区が公費を投じて整備しているのではないでしょうか。また、団体割引を行ってきたのも、グループを形成することが区民のまとまりを促すからではないでしょうか。杉並区はそのことを忘れ、使わせてやっているんだから、経費は負担しろと言わんばかりの傲慢な姿勢で大幅な値上げを行い、無残な結果となってしまいました。使用料の大幅な引き下げと団体割引の復活を再度強く求めます。  このほか、質疑の中では、男女平等センターの委託事業者の一部契約不履行について指摘しました。公的な施設が開館日に閉まっているなど、あってはならない不祥事です。同センターの事業に対する区の軽視が緩みにつながっていると指摘いたします。所管の管理責任は重大です。猛省を求めます。  プレミアム商品券についても述べました。来年には消費税の税率引き上げも待っています。予想される消費の冷え込みと商店街の苦境を打開するためにも、この事業は必要です。真剣に検討していただきたいと思います。  小学校の警備について質問しました。警備会社からシルバー人材センターへの変更は見送りとのことで安心しましたが、今後とも、子供の安全にかかわる費用について、出し惜しみするようなことのないよう求めます。  以上をもちまして反対意見といたします。  最後になりましたが、質疑に当たり、多数の資料を調製してくださり、さまざまな問題について御教示いただき、また、連日丁寧に答弁してくださった職員の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。 ○渡辺富士雄 委員長  田中ゆうたろう委員。 ◆美しい杉並(田中ゆうたろう委員) 美しい杉並の田中ゆうたろうです。平成29年度杉並区一般会計歳入歳出決算ほか各種会計歳入歳出決算について意見を申し述べます。  本年6月24日、杉並区長選挙が行われました。結果、田中良区長が3期目の当選を果たされました。区長は、本定例会に入ってから、今後4年間の区政運営の所信を述べられましたが、その中で、自身の当選を次のように振り返っておられます。  「私は、区民の皆様の御信任をいただき、引き続き区長の重責を担わせていただくことになりました。」「これは、私の2期8年の区政運営に対する評価であるとともに、今後の取り組みへの期待のあらわれであると受けとめており、その責任の重さに改めて身の引き締まる思いであります。」このように区長は振り返っておられますが、果たして本当に2期8年の区政運営に対する評価であったと言えるのかどうか。  本決算特別委員会において、私は、区長選挙の最中である6月22日夕刻、方南町駅頭において区民が撮影した写真を提示し、この写真の中に写った、たすきをかけた人物が区長本人であるかどうかを確認したところ、自分であろうと区長は答弁されました。  委員長、資料の提示、よろしいでしょうか。──よく見えなかった方もいらっしゃるかと思うので、もう一回提示いたしますけれども、これを横から見るとこうなんですよ。これでもまだわからないですか。(「見えません」と呼ぶ者あり)眼鏡かけてくださいよ。 ○渡辺富士雄 委員長  意見開陳を進めてください。 ◆美しい杉並(田中ゆうたろう委員) 続けます。区長は、御自身であろうとみずから認められたわけであります。  また、この写真に写っておられる残りの2名につきましては、区長御自身が、応援してくださった方であろうとも述べられました。実際私もこの場におりましたから、明確に断言できますが、まず、このたすきをかけた人物、これは田中良候補御本人に間違いありません。また、残りの2名は、けしば誠一議員、斉藤常男元議長御本人であることも間違いありません。  田中良候補は、氏名を大きく記したのぼり数本を背に街頭演説を行っておられましたが、これは明らかに公職選挙法142、143両条に違反するものと思われます。候補者や支援者らの遵法精神が大いに疑われるところであり、こうした法律違反の上に田中区長が当選を果たされたとするならば、到底、区民の信任を得た、これまでの評価や今後への期待のあらわれと受けとめるなどと言うことは許されません。  これまでの田中区政2期8年について、改めて厳しく検討し直すことが必要と考えます。とりわけ当該年度、平成29年度は、区長選を翌年に控え、待機児童ゼロ達成を拙速に目指す余り、認可保育園の無計画な乱造が災いして、ついに区財政を圧迫し始めたことが誰の目にも明らかとなった1年、いわば田中区政の失敗が顕在化した1年であったと総括せざるを得ません。  区みずからが定めた財政健全化と持続可能な財政運営を確保するためのルール、以下、財政のルールといたしますが、財政のルールを2年連続で不達成に終わったという事実は深刻であります。なぜこの時期に唐突に、経常収支比率という財政指標をいわゆる5大ルールから外し、かわりに行政コスト対税収等比率100%以内という新たなルールに切りかえたのか、なぜ経常収支比率という指標を残し、その数字自体を見直さなかったのか、その妥当性について納得のできる答弁は得られませんでした。  結局のところ、保育関連経費の急増が経常収支比率を押し上げ、当該年度も引き続きルールの不達成に終わり、それをごまかすために、いよいよ、経常収支比率という指標自体を5大ルールから外し、区民の目から隠そうと企てているものとみなすよりほかありません。しかもそれを財政当局の責任に転嫁して、ボトムアップなどと表現し、みずからは逃げ隠れする姿勢は、極めて見苦しいものがあります。  区長はしばしば財政を健康診断に例えられましたが、その例え自体が不謹慎であるとの他会派の指摘もごもっともながら、では、例えば体温が40度を超えても、全体の中の1つを取り上げてみても仕方がないと言って、体温という指標を健康診断から外してしまってよいものなのかどうか。普通は、健康診断で1つでもBがあれば、総合判定でもBになるし、CがあればCになるのであります。子供でもわかる道理であります。  なるほど、待機児童の解消は、児童福祉法24条1項に定められた基礎自治体の法的責務であります。しかし、決算特別委員会の席上でも述べたとおり、それはひとり杉並区のみに課せられた責務ではありません。全ての基礎自治体が連携してこれを果たすべきと考えます。
     杉並区が相当の無理をして認可保育所を乱造したと断言するのは、何も経常収支比率80%超えの1件のみをもってするのではありません。都市公園法をないがしろにし、区民に愛される久我山東原公園や向井公園を潰すという大きな犠牲を払いながら、また同時に、永福地域に法的責務もないビーチコートという不要な施設をつくり、保育所をつくっていれば約30名は預かれたという貴重な区有地を無駄遣いするという愚をも犯しながら、認可保育園原理主義、認可保育園至上主義を妄信的にひた走ってきました。そこには計画性といったものがいささかも見当たりません。  育児休業を1年半や2年に延長したいために、保育園に落選することを期待する保護者の層が一定程度は存在するであろうと、決算特別委員会の質疑で指摘をいたしました。それに対する答弁によれば、申込書に第1希望しか書かれていなかった方が約150名おられたとのことであります。そうした方々の偽らざる本心をよく知ることが大切であると考えます。  そうした親御さんたちのうち、少なからぬ方々は、子供が乳飲み子でいるうちは子供と一緒にいたいという至極真っ当な希望を抱いているにもかかわらず、第1希望園しか書かないなど、行政の現場を混乱させ、また行政需要を見誤らせるという負の要素を持つ、いわば裏わざを使わざるを得ないところに追い詰められていたという一面があります。これは、親御さんと行政の双方にとって大きな不幸でしかありません。  希望者全員が保育所に預けられることを目指す前に、まず、希望者全員が十分な育児休業をとり、しかも、確かな復職を果たすことができる社会をつくることこそが行政であり、政治の役割であると考えます。  不承諾通知希望層に関する実態把握を求めたところ、区長は、既に保育所利用調整指数を見直したところであるので、その件は解決しているといった旨の答弁をされたかと思いますが、この答弁は、私の質疑への答えに全くなっていないのであります。  なるほど、指数見直しを図ったことにより、育休を1年以上とった方が保育所に入りやすくなったとは言えるでしょう。この指数見直しについては、遅きに失したとはいえ、私もこれまで率直に当議会で評価してまいりました。しかし、育児休業を1年半や2年に延ばそうと思ったら、不承諾通知が必要なのです。その不承諾通知が出にくくなったことで、育休を延長しづらくなってしまったことも事実であります。  このまま希望者全員、認可保育園で子供を預かれるようにするという区長の施策を推し進めれば、そもそも育休自体を延長できなくなってしまい、指数の見直しという制度設計それ自体が無意味な施策となってしまうのであります。  区長、私の質疑に対してどれほど無意味な答弁をなさったか、おわかりでしょうか。  ある程度保育園をつくるスピードを調整する必要が生じてきていることは、こうした不承諾通知を期待する親たちの声からも明らかであります。  ことしの夏、大阪市、江戸川区、川崎市、所沢市など、計32の自治体が共同提案者となり、不承諾通知期待層に関する対策を国に要望しました。本来、23区中最も無理をし、住民に犠牲を強いている杉並区こそが率先して声を上げるべきであったと指摘するものであります。  区に認可園を希望した約4,000人のうち、約4分の1が入れなかったからといって、その方々の全てが本心から入園を希望しているとは限らないということを重く受けとめ、緻密に調べる必要があると考えます。保育の需要率に認可整備率を一致させることが、必ずしも親たちの本音に応えるとは限らないということを指摘いたします。  ほかに、保育所の地域偏在の問題について、久我山地域や清水地域での手痛い失敗が教訓として生かされず、同一地域内で定員割れを起こしている認可園が複数出ていることも、重ねて指摘しておきます。  こうした認可園の乱造が、結果的に、保育事業者や保育士らの人材獲得を困難に陥れているのであります。区長の私に対する答弁の中で、お金でなく、予算でなく、用地や人材獲得こそが待機児童対策の課題であるといった言葉も、これまた全く的を射ないことを指摘しておきます。  またあわせて、特定の保育施設名を出すときは、議員の側も理事者の側も細心の注意を払っていただきたいと要望いたします。ますます人材確保が難しくなると危惧いたします。  雇用主の言い分ばかり聞いていたら、母親たちの生の声はかき消され、少子化は解決せず、将来的には、この日本は移民国家となってしまうのかと恐れます。指数の見直しを経て、国の労働行政への働きかけを強めるとしていた区長の方針に、私は正直、期待をしておりました。しかし、その方針は早くも忘れ去られ、区の保育施策は再び認可園絶対主義に後退いたしました。保育園のつくり過ぎで、結局保育の質は落ち、犠牲になるのは子供たちです。田中区政は失政であると断言するゆえんであります。  私は、平成25年の予算特別委員会で次のように述べました。「昨今、母親たちの苦情が、当区を初めあちこちの自治体に届いております。」「保育施設を増やす必要があるということは十分に理解いたしますが、」「そもそも区の予算は限られており、保育問題にかけられる金額にもおのずから限度がある、区の面積にも限りがある」、このように述べたのですが、まず、公園潰しという形で面積に関する懸念が現実化し、今また、財政ルールの改悪という形で財政に関する懸念までもが現実化したことは、まことに遺憾というよりほかありません。  思い起こせば8年前、田中良区長は、区長就任後、前区政の施策を、1、継続性、妥当性に問題はないか、2、前区長の国政転身のための話題づくりではなかったか、3、極端なイデオロギーに根差したものではないかの3点から検証し、必要であれば見直す考えを表明されました。しかしながら、今日、子育ては社会で行うものという根深いイデオロギーが災いし、保育関連経費の急増を招いた田中区長御自身の考えは、今や大きなブーメランとなって御自身に突き刺さろうとしているかのようであります。  以上の理由により、平成29年度杉並区一般会計歳入歳出決算について、不認定といたします。  また、同年度杉並区中小企業勤労者福祉事業会計歳入歳出決算について、他会派の質疑に対する区の答弁に不信が残り、不認定といたします。それ以外の各種歳入歳出決算には特段の異議なく、認定といたします。  最後に、理事者並びに正副委員長、また委員各位に御礼申し上げ、美しい杉並の意見といたします。 ○渡辺富士雄 委員長  堀部やすし委員。 ◆無所属(堀部やすし委員) 決算審査の締めくくりに当たりまして、平成29年度各会計決算の認定に反対を表明するとともに、決算から見た杉並区政の問題点について、以下、意見を申し述べます。  第1の問題は、資産老朽化への対応及び歳入構造の変化への対応です。  発生主義に基づく平成29年度杉並区財務書類によれば、区の施設インフラの老朽化比率を示す減価償却率は、建物で54%、道路などインフラまでを含めた全体で見ると、その数値は62%に達していることが明らかとなっています。有形固定資産の3分の2近くは既に減価償却が終わっている、すなわち耐用年数を超えているということです。耐用年数を超えたからといって、直ちに問題があると言いたいわけではありませんが、問題は、これに対する備えがほとんどないことです。  有形固定資産全体の減価償却累計額は1,912億円となっています。減価償却累計額は本来、将来の更新に対する準備額というべきものであり、健全な民間企業であれば、内部留保として一定割合の財産を用意しているものですが、自治体においてはそうではありません。杉並区においても、これに対応する施設整備基金の期末残高は92億円にすぎません。いわば頭金となる準備金を4%しか持っていない計算になるわけです。  もちろん、減価償却累計額に示された金額のみで施設インフラは更新できません。この間の物価上昇などもあるためで、区でも今後30年間の建物の更新費用は、平成30年現在価値で試算額3,452億円、100年間の道路舗装経費は、平成25年現在価値で試算額471億円などと見通されています。しかし、質疑においても指摘したように、これはかなり過小な見積もりというべきです。特に道路については、既存の狭隘道路拡幅や私道への舗装需要も小さくはなく、これまた重点事業の1つとしているはずで、その持続可能性も問われます。  高齢化に伴う担税力の低下、さらには経済環境の変化に伴う金利上昇、物価上昇が現実化しつつある中で、一体どのようにして必要な資金を用意するのか。現状において建物更新のみに注目し、インフラ資産の道路などを含めた維持更新経費を軽く見ている現状は、妥当とは考えられないところです。区の現状からは、経常収支比率90%を超えてくるとかなり厳しくなるというべきです。当初見通しよりも好調な歳入額をもってさまざま不合理な歳出圧力が強まりつつある現状には、疑問を感じないわけにはいきません。  歳入総額に占める区税収入の割合は、平成2年度決算、つまり1990年度のピーク時には54.7%を占めていました。しかし、当該決算年度は32.9%と、ついに全体の3分の1以下となっています。歳入決算規模は過去最高で、実質収支比率が7%を超えたといっても、その主要因は、杉並区が収入額について決定権を持たない依存財源が膨れ上がったことによるものです。そう安易に喜んでいられるのか、その持続可能性にはよくよく注意が必要です。  このような中で、来年度より財政運営ルールの指標から経常収支比率を削除し、新たな指標として、行政コスト対税収等比率を採用する方針が打ち出されています。みずから設定した管理目標値である80%を維持することができなくなったとはいえ、経常収支比率をルールから完全に削除するのは妥当ではありません。  歳入の中で依存財源が拡大傾向にある中、かつ減価償却累計額を踏まえた施設整備基金の備えがない中、行政コスト対税収等比率が100%を超えなければ支障がないといった安易な判断は非常に危険で、認められません。100%では、減価償却に見合った最低限の積み立てさえできませんし、この指標だけでは、補助金など特定財源に依存する歳入構造の変化を発見することもできません。仮に国庫補助金への依存を高めながら100%が続いたとして、そこに真の意味で財政構造が柔軟性、弾力性を保っていると評価できるものなのか疑問で、説得力がありません。  したがって、主要財政指標である経常収支比率との併用による判断は不可欠というべきであり、財政健全化と持続可能な財政運営を確保するためのルールから経常収支比率を削除することには強く反対します。  ところで、平成27年1月の総務省通知により、全ての地方自治体において、平成29年度末まで、すなわち当該決算年度末までに、企業会計の考え方に税収など自治体の特殊性を加味した、統一的な基準による財務書類及び固定資産台帳を新たに作成することが要請されました。これにより、ほぼ全ての自治体が、この統一的な基準による固定資産台帳及び財務書類を整備したと思われます。新たに統一的な基準として再整備されたことにより、正確なコスト情報に基づいて類似団体と比較すること、すなわち、東京23区の間で有意義な比較検証を行うためのツールとなることが期待されています。  公共施設、インフラ資産の老朽化は深刻さを増しており、課題から目をそらすことはできません。今後は、事業用資産のみならず、インフラ資産を含めて有効活用できるように、公有財産台帳、道路台帳などとの一元化、一体化を目標に、固定資産台帳の適切な管理、更新を要請するものです。  第2の問題は、債権管理が適正に行われていない点です。  参加資格のない企業が、中小企業勤労者福祉事業、通称ジョイフル杉並に団体参加を続けていた条例違反は、余りにも露骨な条例違反であったにもかかわらず、不当利得返還請求を行っていないなど、問題が解決していません。単に職員を懲戒処分にして終わりというわけにはいかない問題です。  昨年度末まで存在していた杉並区中小企業勤労者福祉事業に関する条例は、区の勤労者福祉事業、通称ジョイフル杉並を利用することができる者として、区内に主たる事業所または事務所を有し、常時使用する従業員の数が300人以下の中小企業の代表者及び当該企業の従業員等となっていました。ところが、杉並区外でパチンコ・パチスロ店を経営しているサンキョー株式会社は、これらの要件を満たしていなかったにもかかわらず、ジョイフル杉並に参加し続け、長く利益を受けていた事実がありました。条例違反は明らかで、民法703条及び704条に言う「悪意の受益者」と判断するほかないものです。  昨年度決算での指摘後、当該企業は昨年10月末日をもって脱退となったものの、区長はその後も必要な措置をとっておりません。  当該企業は、平成23年7月、川口市に本店を移転させており、区内で事業展開はしていません。遅くとも平成23年7月以降、当該企業に不当利得が発生していたことに疑いの余地はありません。その上で当該企業は、平成24年3月14日付杉並区中小企業勤労者福祉事業継続確認書に、みずからの事業所所在地を杉並区下高井戸4丁目と記載し、杉並区長に対して、平成24年度から杉並区が行う中小企業勤労者福祉事業に継続して参加しますと、継続参加を申し込んでいました。これにより当該企業は、そのままジョイフル杉並への参加継続が認められているわけです。  しかし、当該企業は平成23年に川口市に本店移転を行っていたのであって、当該届け出文書は内容虚偽の文書というほかありません。届け出ていた事業所所在地は第一種低層住居専用地域であって、主たる用途は住居と評価するしかない建物が建っています。ここに、全国各地に数多くのパチンコ・パチスロ店などを経営している遊戯業の本拠としての実態があったなどとは言えず、数百人の従業員を抱えるアミューズメント企業の主たる事業所、主たる事務所と判断することのできる実態はないというべきです。  しかも、平成25年以降、当該企業の参加者は300人を超えることがほぼ常態化するようになり、平成26年度にはそれが揺るがないものともなっていました。人数要件の上でも、全く参加資格を満たさなくなっていました。その数はふえる一方で、ピーク時、平成28年度第2四半期には372人という参加者まで確認されていましたが、それでも何ら対応はなく、この情報を隠し続けていたのです。  ジョイフル杉並の参加者は、四半期ごとに参加人数に応じた参加費を杉並区に支払う必要がありました。したがって、参加者数が300人を超える条例違反が常態化していた事実は定期的に把握されていました。ジョイフル杉並には、当該決算年度当初、3,000人程度の参加者が確認されていましたが、このうちの1割を超える350人前後が当該企業からの参加者となっていたのです。当該企業は長く参加者数1位の企業でしたが、その1位の企業が参加資格を持たずに長く参加していた事実は、決して軽いものではありません。  区は、不当利得は存在しない、損害はないなどと言っていますが、ジョイフル杉並のサービスは、平成24年度以降、特別会計を通じて提供されていたのであって、区は直接被害を受けています。賃貸ビルであるインテグラルタワーを拠点としてサービスが提供されており、その事業遂行において、その職員人件費や賃貸料なども区の一般会計において経費負担していました。これは、資格のない者のために負担していたわけではありません。当該企業は、これらの負担を含めて対応を図らなければならないというべきであって、もし関係者に不当利得の返還及び損害賠償を求めないというのであれば、その賠償責任は区長に負ってもらわなければなりません。  このようにでたらめな運営を続けていたジョイフル杉並は昨年度末で廃止となり、その事業は、一般財団法人東京広域勤労者サービスセンターが引き継ぎました。参加資格は、300人以下から、500人以下の企業にまで拡大されています。  移行に当たっては、半年間会費無料など、派手な勧誘作戦が展開されましたが、それでも会員数を維持することはできず、2,200人台まで激減していました。平成30年度に入ってからも、半年分の会費に相当するQUOカード3,000円分プレゼントなど、これまた、長く参加してきた旧会員よりも新会員を優遇する大胆なキックバックまで行ってきましたが、区内からの入会者は余りふえず、その数は依然として2,300人台とのことです。会員になれば安くチケットが買える、安くゴルフに行けると言われても、そこに月500円、年6,000円を支払う気分にならない中小企業者がふえているというべきです。  会員企業情報については再び非開示となったことから、現在の詳細は不明ですが、以前公開された情報から推測するに、恐らくは、区の外郭団体、補助団体、委託先、保険給付先といった取引先の参加が目立つのではないか。区には約2万の事業所があり、十数万人が会員となる資格があると見られる中で、この現状は余りにも課題が多いと言わざるを得ません。依然として昭和の発想で続けているこの事業を現状のまま維持すべきなのか。半年分の会費を無料にしても思うように会員がふえない現状を真摯に受けとめ、事業からの撤退を考えなければなりません。  第3の問題は、公務員制度改革や公務員倫理の確立に向けた取り組みが十分でなく、フェアで透明度の高い区政の実現に資するものとなっていない点です。  第1に、職員の天下り、退職管理です。  区においては、再就職者による依頼等の規制、すなわち退職職員による働きかけの規制については、条例に定めを置いたものの、1、職員による再就職のあっせん禁止、2、在職中における求職活動の禁止、3、利害関係にある団体に対する求職活動の禁止、4、再就職状況の届け出義務違反に係る過料の賦課などについては、条例に規定がありません。これら一定の規制はいずれも国家公務員法などに定めのある内容ですが、区の対応はそれよりも緩い規制となっています。  補助金の支出、委託、請負、指定、保険給付といった形で区が民間に仕事をお願いしているケースは多々ありますが、このような利害関係先に天下り再就職をしたり、また、不適切な関係を持ちかけたりすることがどのような意味を持つのか、よく考えなければなりません。厳格な退職管理が必要です。  静岡県南伊豆町、社会福祉法人浴風会、株式会社細田工務店などにおいて、なぜ区の職員OBが職を得ているのか。露骨というべきであります。  第2に、地方自治法が定める二元代表制や監査の独立性を無視した人事評価制度が放置され、いまだに解決されていません。  区長が指名した副区長が、区議会事務局の局長、監査委員事務局の局長などの人事評価を行っています。法改正により人事評価が厳格化されるとともに、給与に対する反映も強まっている現在、これはもう無視することはできません。  地方公務員法23条の2において、人事評価の権限を持つ者は任命権者であると明確になっています。杉並区議会事務局長の任命権者は区議会議長です。監査委員事務局長の任命権者は代表監査委員です。いずれも副区長には何の権限もありません。一体何の根拠に基づいて副区長がこれらの者の人事評価を担い、勤務成績をつけているのか。何ら権限のない者が勝手に評価を加え、それが給与などに具体的に反映されているとすれば、違法支出の疑いさえある問題です。  組織経営において健全な内部統制が重視されるこの時代に、いつまで時代錯誤なことを続けているのか。執行機関である杉並区長が、議会や監査を間接的にコントロールする手段として活用しているだけなのではないか。任命権者ではない副区長がこれらの人事評価に関与することは違法であることを改めてここで強く指摘しておきます。  第3に、公務員倫理の問題については、先週末の本会議で指摘したとおりです。区の契約担当者が、区の入札・契約の相手方など利害関係者と同じ組で一緒にゴルフコースに出ているなど論外です。契約担当者は、その権限の大きさ、影響を考え、利害関係者との接触には細心の注意を払うよう要請いたします。  第4の問題は、実行計画に盛り込まれていない大きな投資事業を唐突に予算に盛り込むなど、無計画な区政経営が目立つほか、不合理な箱物投資事業を繰り返している点です。  民間でいえば中期経営計画に当たる杉並区実行計画(3年プログラム)は、単年度予算主義の弊害を克服するとともに、計画的な自治体経営を確保する上で非常に重要な計画です。財政規律を失うことのないよう、特に大きな投資事業については、必ず計画に盛り込み、事前統制を図ることが不可欠というべきです。  当該決算年度においては、柏の宮公園の拡張整備事業が唐突に予算に盛り込まれました。これは、予算化するまで議会側に全く報告されていなかった計画外事業です。拡張する土地は、予算化される前に土地開発公社が23億円で先行購入していました。23億という金額の大きさからも、土地開発公社を通じた買収は妥当でなく、本来は用地会計を使って購入すべきものでした。  土地開発公社は、理事長権限で、すなわち副区長の判断で本件用地を先行取得し、用地費及び補償費の支払いを済ませていました。このことは、土地開発公社の理事会にも評議員会にも事前には一切諮られておらず、もちろん議会側にも一切事前に説明されてはおらず、当該年度の当初予算質疑の場で初めて、土地開発公社で購入済みであることが明るみに出たものです。  事実確認したところ、既に一昨年8月には土地購入の方向性が決まっていたことが明らかになりました。現在の実行計画(3年プログラム)の改定前のことです。同年9月7日に、昭和58年以降継続して設定されていた根抵当権が解除されている事実からも、既にこの時点で区の土地購入が完全な既定路線に入っていたことは明白です。ちょうど当時、パブリックコメント手続に入った杉並区実行計画の改定案に本件公園拡張事業が盛り込まれていなかったのは、その金額の大きさから見ても不自然と言わねばなりません。その結果、用地取得の事実が明らかになったのは、既に土地開発公社で用地購入が終わった後となりました。  同規模用地の購入となる馬橋公園の拡張用地については、購入前から実行計画に事業内容が明記されていたにもかかわらず、本件はなぜそうならなかったのか。馬橋公園の拡張用地は約6,400平方メートル、本件拡張用地は約5,800平方メートルと、その規模に差はなく、どちらも高額な取得費を要するものであったにもかかわらず、このように対応に差があるのは、最初から何か情報を隠したい特別な理由があったのではないかと考えるほかありません。通常の売買契約であるにもかかわらず、その補償費支出は実に大きなものでした。  田中区長と土地開発公社の理事長である副区長の判断だけで、理事会にも評議員会にも一切諮ることなく、23億もの高価な土地を簡単に購入できる現状の仕組みは、余りにも不透明です。大きな用地購入は、用地会計を活用して公明正大に購入すること。さらに、不透明な先行取得を完全に廃止するため、土地開発公社の解散を強く求めるものです。  次に、区立施設の再編整備についても、施設再編整備計画において示された基本理念どおりに必ずしも遂行されておらず、改修済み公共施設の短命化、重複投資、重過失による事業の頓挫、不自然な規模の拡大など、不合理なものが少なくありません。  第1に、旧永福南小学校の教室棟は、校舎として26年しか使用されず、さらには、区の計画ミスにより、まだ使用可能である築29年で解体、取り壊しとなりました。跡地は、2020年オリンピックにおいてビーチバレーボール競技のキャンプ地としての活用を前提に、常設固定型のビーチコートとなっています。  当初、区は、この建物をそのまま生かす形でユニット型特養に転用するとしていました。平成26年、最初に策定された区立施設再編整備計画(第一期)・第一次実施プランの記載です。しかし、調べてみると、この問題については、例えば平成21年の段階で既に松戸市に詳細な調査検討があり、その転用可能性が低いことが明らかになっていました。区は、ユニット型特養への転用可能性について、計画策定前に十分な調査検討をしておらず、これによって、当初計画は最初から大きく狂ってしまいました。重過失による事業の頓挫と指摘しないわけにはいきません。  その結果、計画策定からわずか7カ月で、基本的な考え方に反する方針転換が行われることとなり、教室棟は結果的に29年から30年で解体となりました。短期最適、部分最適を優先した結果ですが、区立施設の改築時期を築80年程度まで延ばすことを真剣に考えざるを得ない、今厳しい現状に直面している事実を考えると、本当にこれでよかったと言えるのか、甚だ疑問の残る結果となりました。  第2に、杉並第一小学校改築複合化事業も、区の重過失により事業が中断し、当該決算年度までに支出した約2億円は全くの無に帰しました。  本事業は、小学校を含む本格的な施設再編の第1号であり、杉一小の老朽改築に合わせて、阿佐谷地域区民センター及び産業商工会館の集会関連機能を集約し、新たな複合施設を建設する予定となっていました。ところが、途中で、河北総合病院が隣地であるけやき屋敷に移転し、建てかえを行うとする計画が伝えられたことから、事業は実施することなく終了となりました。  河北による移転改築の発表は青天のへきれきだったと説明されてはいましたが、その理事長は、過去に田中区長の政治資金パーティーの発起人を務めていた方で、関係の薄い方ではありません。また、河北医療財団の理事長は杉一小の学校運営協議会の会長であったことから、杉一小改築・複合化検討懇談会の委員にも入っていました。河北総合病院の築年数は杉一小とそう変わらず、将来の建てかえについて課題を抱えていたことから、理事長は当時より、病院改築を検討している旨の発言をしていたのです。  杉並区産業振興審議会の中でも、平成27年度には、河北総合病院を含めた地域全体の再開発の必要性などが指摘されていたところであり、このような課題認識は、区においても当然に把握されていたはずです。この段階で、関係地権者と今後を展望し、検討を行う時間的余裕があったにもかかわらず、区は漫然と事業を遂行し、結果として2億円もの支出を無駄にすることになりました。  第3に、築14年の荻窪五丁目複合施設、あんさんぶる荻窪を国に譲り渡すことにより進められた天沼三丁目複合施設、ウェルファーム杉並複合施設棟の建設と、これに伴う桃井第二小学校の前倒し改築も、重複投資の最たるものです。  これに伴い、あんさんぶる荻窪に入っていた各施設は短期間に再び建てかえることとなり、改修したばかりの桃井第二小学校も前倒しで建てかえることになりました。桃二小において近年進められていたトイレ等の改修、プールの改築などは一体何だったのか。桃二小よりも築年数が古く、より早く対応が必要と考えられる学校がほかにもある中で、全く説明がつきません。これも短期最適、部分最適を追求した結果というべきです。  本件については、政府の情報公開により、そもそも特養整備を発端とした施設再編ではなく、荻窪駅前再開発の一環で、駅周辺に国税、都税、区税の行政機能の集約化を図るなどの施設整備を行うことを主目的として話が進められた実態も明らかとなりました。しかし、その区長のトップダウンによる無謀な試みは失敗し、老朽化が進む荻窪税務署の持っていき場がなくなったことから、最終的にあんさんぶる荻窪を差し出すとともに、桃二小をイレギュラーな前倒し改築とするしかなくなったというべきものです。  施設再編については、将来の財政負担を考慮して取り組んだとは言いがたいものが少なくありません。全体最適、長期最適を語りながら、現実には例外が数多く出ている始末です。全ての区立施設を更新することが不可能な現状においては、施設を短命に終わらせることなく、適切なメンテナンスにより長寿命化を図ることを基本としなければなりません。  施設一体型小中一貫校として建設中の高円寺学園も、今後に多くの課題を残しました。その規模は論点の1つとなりましたが、結局は、至近距離に現存する杉並第四小学校を併用する方針となっています。杉四小は築26年と比較的新しい建物ですので、まだまだ長く使用することは可能であり、有効活用は当然と言えますが、杉四小をそのまま活用できるのであれば、なぜ高円寺学園の建物規模をあそこまで拡大する必要があったのか、屋上、6階部分に設置する中途半端な屋外プールは必要不可欠なものだったのかなど、疑問は尽きません。新たな財政運営ルールを踏まえつつ、今後の施設再編においては、より厳格な精査を求めるものです。  このほか、時間の関係から詳細を述べることはできなくなりましたが、例えば、地方自治法に基づいてあるべき入札・契約制度が長く骨抜きにされており、それが見過ごせない状態になっていること、ジェネリック医薬品の使用率を平成29年度までに70%とする閣議決定目標による管理が、生保を除き、区政経営計画書や事務事業評価に掲載されていないことを初め、医療費適正化の取り組みに問題があることなど、多くの課題を抱えており、各会計決算認定に反対をするものです。  決算審査に先立ちまして、資料を御提供いただきました職員の皆さんに感謝を申し上げます。ありがとうございました。 ○渡辺富士雄 委員長  木村ようこ委員。 ◆日本維新の会(木村ようこ委員) 日本維新の会・木村ようこです。平成29年度各会計決算審査を終えるに当たり、意見を申し述べます。  平成29年度の区の予算は、「時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させる予算」でした。時代の先ということですが、私は、昨今の我が国を取り巻く時代の変化について、大きく4つの潮流が続いているように感じております。  まずは、災害という形であらわれる自然環境の変化です。  平成29年度も厳しい災害に見舞われた年でした。5月には早くも群馬県で猛暑日を記録し、7月には九州北部豪雨災害で36名が死亡。長野、北海道、秋田など、マグニチュード5を超える大型地震も頻発しました。こうした自然環境変化は杉並区にとっても例外ではなく、災害から区民の命を守るという区の役割が今後もさらに求められていくことになるでしょう。  2点目は、国際的な政治情勢の変化です。  平成29年度の国際問題といえば、北朝鮮によるたび重なるミサイル発射実験に尽きます。以前は半ば絵そらごとだった有事という言葉が、にわかに現実味を持った年でした。太平洋を挟んだ国際的な緊張はその後も拡大し、昨今では、貿易その他で米中の2国が衝突する様子を新冷戦と呼ぶ識者まで出ています。軍事、経済などさまざまな面で拡大するリスクは、区にとっても他人事ではなく、例えば10年前のリーマンショックのような大きな衝撃があっても耐え得る強靭な行政、財政を備えておくことが求められているように思います。  3点目は、技術の進展に伴う価値構造の変化です。  AIやデータ分析といった新たな価値の源泉が生まれるにつれ、従来我が国が得意とした均質で大量な物づくりの優位性は、過去のものとなりつつあります。こうした変化を捉えて区として考えなければならないのは、次世代の子供たちへの教育でしょう。平成29年度には、将棋の藤井聡太四段が公式戦29連勝を達成し、30年ぶりに記録を更新しました。こうした突き抜けた才能を潰すことなく、出過ぎたくいをもっと出るように育てていく新しい教育を、我々から区の子供たちに届けていく必要があると感じます。  最後に、人口と社会構造の変化です。  家族の形が変わり、少子高齢化が進み、ついには人口全体が減る、日本全国を覆うこの波は、もちろん杉並区にも及んでいます。家族内で抱え込む余力のなくなった保育、介護に万全を期す一方で、財政の持続可能性を増すため、子育て世代を呼び込み、高齢者の健康と活力を維持する、時には矛盾することもある役割に優先順位をつけ、進めていくという複雑な営みを今後も区として続けていかざるを得ません。  では、こうして考えた場合、平成29年度の予算執行は、時代の先をしっかりと見据えられていたでしょうか。人口と社会構造の変化については、変化するニーズをしっかりと捉えられていたのではないかと思います。予算策定の際に重点項目とされて、待機児童解消や高齢者の在宅生活支援には一定の進捗が見られたと思います。また、猛威を振るう自然災害についても、区の災害リスクを直視し、備えを固める取り組みを進めていただけたと評価しております。  他方、経済情勢の悪化や生産年齢人口の減少についてはどうでしょうか。財政の健全性を維持するための取り組みについては、一言で言えば、粗さが目立ったように感じます。  昨年この場でも申し上げたとおり、必要な事業に本当に必要な形で公金を充てること、そのために財源を確保することは重要です。それに伴う経常収支比率の悪化や区債残高の増加も、ある程度は仕方がありません。しかしながら、区債残高が特別区平均を上回り、貯金は少なく借金は多い区となった杉並区にとって、不必要な事業に支出を回す余裕は一切ありません。こうした視点で一つ一つの事業を見ていくと、粗い部分、言いかえれば、緩みのある部分がやはりあったのではないでしょうか。  個別の議案について、具体的な点を申し上げます。  まず、認定第1号平成29年度杉並区一般会計歳入歳出決算についてです。  1つ目の緩みは、従来から何度も申し上げておりますが、永福体育館の移転改修費です。  当初の計画を変更し、50年から60年は十分に使えるはずの校舎を築29年で解体してしまうという財政規律の緩み。区民の陳情を放置し、ニーズもないビーチコートの設置を強行する強引さ。既に移転は完了してしまいましたが、仮にコートの敷地を保育所に充てていれば、さらに30名のお子さんを預かれたという事実は変わりません。  2点目は、天沼三丁目複合施設、すなわちウェルファーム杉並の整備です。  この春、ウェルファーム杉並の複合施設棟がオープンしました。4階には5つの立派な集会室がありますが、現時点の利用状況にはあきが目立ちます。区民の利用ニーズを把握した上での整備と伺っていましたが、区の見立てに粗さはなかったでしょうか。かつて、荻窪駅から至近距離にあり、地域住民が行政と自分たちでつくったと愛着を持っていたあんさんぶる荻窪に比べて、使い勝手が悪くなっているということはないでしょうか。もし特養棟だけでよいのならば、国家公務員宿舎の跡地だけでも十分だったはずです。この施設整備は本当に必要だったのでしょうか。  3点目は、高円寺地区の小中一貫校整備です。  この小中一貫校は、開校時600名程度、最大1,080名程度を想定する大規模校です。地上6階、地下1階、中庭つきという大きな建物は、外側だけでなく、中庭に面しても教室を詰め込んでいます。学区も広がり、低学年の足では最大30分ほどかかり、交通量の多い道路も通ります。以前にも申し上げましたが、施設や学区に無理がある統廃合を強引に進めるのではなく、地域住民の理解を得ながら、学校のあり方を検討し直すべきであると考えます。  続いて、認定第3号平成29年度杉並区用地会計歳入歳出決算についてです。
     本議案では、富士見丘小学校移転に伴う土地取得のための移転補償費を含め、2億円余りが支出されています。本件については、予算審議の際から移転補償費の内訳を求めておりますが、示せないという御説明をいただいたまま今日に至っております。これでは、最も必要な支出であったことを確認することすらままなりません。  次に、認定第6号平成29年度杉並区中小企業勤労者福祉事業会計歳入歳出決算について意見を述べます。  本事業については、予算審議の際も、事業自体を廃止すべきと申し上げておりました。平成29年度末をもって事業会計が廃止され、一般財団法人に事業が移されましたが、遅きに失したと言わざるを得ません。  以上のことから、認定第1号、認定第3号、認定第6号の3件については反対いたします。その他につきましては認定といたします。  最後に、31年度予算の編成に向けて留意いただきたい点について要望を申し上げます。本日は、子育て支援について、保育の定員確保の先を見据えた取り組みを3点お願いしたいと思います。  さきに述べたとおり、待機児童ゼロに向けた区の取り組みについては賛同します。お願いしたいのは、さらなる保育の質の確保、向上です。昨年の子ども・子育て会議では、医師会の委員から、区内の小児科専門医の数が不足と、保育園における嘱託医確保の難しさについて御意見がありました。平成29年度予算でも取り組みが進められておりましたが、今後、区と医師会の間で連携し、さらなる保育の質の向上を図っていただきたいと思います。  2点目は、病児・病後児保育の拡充です。  区の取り組みの結果、認可保育所へ入所できる区民は着実にふえています。一方で、病児保育は区内に2カ所、病後児保育は区内に1カ所と、圧倒的に不足しています。せっかく保育園に入れたお子さんでも、熱が出れば保育所から預かりを断られます。結膜炎などの感染症が広がれば、多くのお子さんが1週間、2週間と登園できなくなることもざらです。仕事を続けるお父さん、お母さんからすれば切実な問題であり、ぜひ受け入れの拡大をお願いしたいと思います。  3点目は、ふるさと納税による児童養護施設の退所者支援です。  以前私から、ふるさと納税を財源として、施設を巣立つ退所者への支援を行うことを提案しました。ふるさと納税の一部を充て、児童養護施設や乳児院にプレゼントを贈る今の区の取り組みも大変すばらしいことだと思います。ここからさらに一歩進み、退所者への支援を行うことをもう一度御検討いただけないでしょうか。  世田谷区の児童養護施設退所者等奨学基金への寄附は、ふるさと納税の控除対象となることもあり、2年半で累計5,900万円の寄附を集め、健全な寄附文化を証明しています。区でも、杉並クラウドファンディングのメニューに施設退所者の支援を追加されてはどうでしょうか。もちろん被災地復興支援も重要な取り組みではあります。しかし、杉並で育ち、必死に生きようとしている若者に手を差し伸べることも、それに劣らず重要だと思います。ぜひとも御検討ください。  最後になりましたが、理事者の皆様には真摯に御答弁いただき、まことにありがとうございました。また、たくさんの資料の作成に当たられた職員の皆様にも深く感謝申し上げます。さらに、公平な運営に当たられた正副委員長にも心より感謝申し上げまして、私の意見といたします。 ○渡辺富士雄 委員長  これをもちまして意見の開陳を終了いたします。  これより採決いたします。  認定第1号平成29年度杉並区一般会計歳入歳出決算を認定することに賛成の方の起立を求めます。       〔賛成者起立〕 ○渡辺富士雄 委員長  起立多数であります。よって、本決算を認定すべきものと決定いたしました。       〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕 ○渡辺富士雄 委員長  ただいまくすやま美紀委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認します。  それでは、くすやま美紀委員の少数意見の留保に賛成される方は挙手願います。       〔賛成者挙手〕 ○渡辺富士雄 委員長  賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。  認定第2号平成29年度杉並区国民健康保険事業会計歳入歳出決算を認定することに賛成の方の起立を求めます。       〔賛成者起立〕 ○渡辺富士雄 委員長  起立多数であります。よって、本決算を認定すべきものと決定いたしました。       〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕 ○渡辺富士雄 委員長  ただいまくすやま美紀委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認いたします。  それでは、くすやま美紀委員の少数意見の留保に賛成される方は挙手願います。       〔賛成者挙手〕 ○渡辺富士雄 委員長  賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。  続きまして、認定第3号平成29年度杉並区用地会計歳入歳出決算を認定することに賛成の方の起立を求めます。       〔賛成者起立〕 ○渡辺富士雄 委員長  起立多数であります。よって、本決算を認定すべきものと決定いたしました。       〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕 ○渡辺富士雄 委員長  ただいまくすやま美紀委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認いたします。  それでは、くすやま美紀委員の少数意見の留保に賛成される方は挙手願います。       〔賛成者挙手〕 ○渡辺富士雄 委員長  賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。  認定第4号平成29年度杉並区介護保険事業会計歳入歳出決算を認定することに賛成の方の起立を求めます。       〔賛成者起立〕 ○渡辺富士雄 委員長  起立多数であります。よって、本決算を認定すべきものと決定いたしました。       〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕 ○渡辺富士雄 委員長  ただいまくすやま美紀委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認いたします。  それでは、くすやま美紀委員の少数意見の留保に賛成される方は挙手願います。       〔賛成者挙手〕 ○渡辺富士雄 委員長  賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。  認定第5号平成29年度杉並区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算を認定することに賛成の方の起立を求めます。       〔賛成者起立〕 ○渡辺富士雄 委員長  起立多数であります。よって、本決算を認定すべきものと決定いたしました。       〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕 ○渡辺富士雄 委員長  ただいまくすやま美紀委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認いたします。  それでは、くすやま美紀委員の少数意見の留保に賛成される方は挙手願います。       〔賛成者挙手〕 ○渡辺富士雄 委員長  賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。  認定第6号平成29年度杉並区中小企業勤労者福祉事業会計歳入歳出決算を認定することに賛成の方の起立を求めます。       〔賛成者起立〕 ○渡辺富士雄 委員長  起立多数であります。よって、本決算を認定すべきものと決定いたしました。       〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕 ○渡辺富士雄 委員長  ただいまくすやま美紀委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認いたします。  それでは、くすやま美紀委員の少数意見の留保に賛成される方は挙手願います。       〔賛成者挙手〕 ○渡辺富士雄 委員長  賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。  ただいまの採決の中で留保を認められた意見については、明日16日午前10時までに文書により委員長まで提出してください。  それでは、委員会の終了に当たりまして、一言御挨拶を申し上げさせていただきたいと思います。  本決算委員会は、10月2日から10月12日まで実質8日間の審議となりました。私とはなし副委員長とで、皆様の御協力をいただきながら無事終了させることができました。  若干いろいろありましたけれども、この質疑の内容につきまして、また、皆さん方からいただいた意見、御要望につきましては、これから31年度の予算のほうにしっかりと反映していただけるものと、このように私たちも要望したいというふうに思っております。  審査に当たりまして、委員各位、そして区長を初めとする理事者の皆様、また資料作成に当たられた職員の皆様、また委員会の運営に尽力いただいた事務局の皆様に感謝を申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)  本日の委員会を閉じます。                             (午後 2時35分 閉会)...