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平成29年第2回定例会−05月31日-11号

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  1. 杉並区議会 2017-05-31
    平成29年第2回定例会−05月31日-11号


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    平成29年第2回定例会−05月31日-11号平成29年第2回定例会   平成29年第2回定例会             杉並区議会会議録(第11号) 平成29年5月31日 午前10時開議 出席議員46名 欠席議員1名 1 番  (欠員)            25番  安  斉  あ き ら 2 番  川  野  たかあき      26番  北     明  範 3 番  木  村  よ う こ      27番  川 原 口  宏  之 4 番  田  中 ゆうたろう      28番  大  槻  城  一 5 番  堀  部  や す し      29番  今  井  ひ ろ し 6 番  松  尾  ゆ  り      30番  浅  井  く に お 7 番  奥  田  雅  子      31番  脇  坂  た つ や 8 番  市  来  と も 子      32番  吉  田  あ  い 9 番  小  林  ゆ  み      33番  金  子 けんたろう 10番  藤  本  な お や      34番  富  田  た  く 11番  上  野  エ リ カ      35番  くすやま  美  紀 12番  山  本  あ け み      36番  け し ば  誠  一
    13番  木  梨  もりよし      37番  新  城  せ つ こ 14番  山  本  ひ ろ こ      38番  佐 々 木     浩 15番  中  村  康  弘      39番  河  津  利 恵 子 16番  大  泉  やすまさ      40番  太  田  哲  二 17番  井  原  太  一      41番  渡  辺  富 士 雄 18番  大 和 田     伸      42番  島  田  敏  光 19番  山  田  耕  平      43番  横  山  え  み 20番  上  保  まさたけ      44番  大  熊  昌  巳 21番  そ  ね  文  子      45番  は な し  俊  郎 22番  岩  田  い く ま      46番  井  口  か づ 子 23番  松  浦  芳  子      47番  富  本     卓 24番  増  田  裕  一      48番  小  泉  や す お(欠席) 出席説明員       区長             田 中   良       副区長            宇賀神 雅 彦       副区長            吉 田 順 之       政策経営部長         白 垣   学       施設再編・整備担当部長    大 塚 敏 之       総務部長           関 谷   隆       情報・法務担当部長      牧 島 精 一       危機管理室長         寺 嶋   実       区民生活部長         森   雅 之       地域活性化担当部長オリンピックパラリンピック連携推進担当部長                      安 藤 利 貞       産業振興センター所長     内 藤 友 行       保健福祉部長         有 坂 幹 朗       在宅医療・生活支援センター開設準備担当部長                      習 田 由美子       高齢者担当部長        田 中   哲       子ども家庭担当部長      鈴 木 雄 一       杉並保健所長         向 山 晴 子       都市整備部長         渡 辺 幸 一       まちづくり担当部長      松 平 健 輔       土木担当部長         吉 野   稔       環境部長           北 風   進       会計管理室長(会計管理者)   南 雲 芳 幸       政策経営部企画課長      伊 藤 宗 敏       総務部総務課長        原 田 洋 一       教育長            井 出 隆 安       教育委員会事務局次長     徳 嵩 淳 一       教育企画担当部長       白 石 高 士       学校整備担当部長       大 竹 直 樹       生涯学習担当部長中央図書館長 齋 木 雅 之       選挙管理委員会委員長     與 川 幸 男       代表監査委員         上 原 和 義       監査委員事務局長       和久井 義 久         平成29年第2回杉並区議会定例会議事日程第2号                               平成29年5月31日                                  午前10時開議 第1 一般質問 ○議長(富本卓議員) これより本日の会議を開きます。  会議録署名議員は、前回の会議と同様であります。  これより日程に入ります。  日程第1、一般質問に入ります。  17番井原太一議員。       〔17番(井原太一議員)登壇〕 ◆17番(井原太一議員) 杉並区議会自由民主党の井原太一です。会派の一員として、通告に従って一般質問をいたします。  質問項目は大きく3つ、1、自尊感情を育てる教育のあり方について、2、ライフデザイン教育の推進について、3、高齢者が歩きやすいまちづくりについてであります。  では、初めの質問は、自尊感情を育てる教育のあり方についてです。  その国の将来を知りたければ、その国の若者たちを見よと言われています。では、我が国の青年たちはどうでしょうか。以前にも御紹介しましたが、財団法人日本青少年研究所が、日本、韓国、中国、アメリカの4カ国の高校生に対して意識調査を行い、2012年4月に発表したデータがあります。これによると、「私は他の人に劣らず価値のある人間である」という問いに対して、「よくあてはまる」「まああてはまる」と肯定的に答えた高校生の割合は、中国と韓国で86.8%、アメリカで79.6%であるのに対して、日本では39.7%と、ほかの国の半分にもなりませんでした。また同様に、「自分はダメな人間だと思うことがある」という問いに対しては、韓国31.9%、中国39.2%、アメリカでは52.8%であるのに対して、日本では83.7%と、飛び抜けてその割合が高い。日本の高校生は、よほど自分に対して自信がないという傾向が見えてきます。自信がなければ、物事に対して積極的になったり外に出ていこうとする意欲もなえてしまいます。  日本には、これといった目に見える資源は多くありません。ですから、グローバル化した世界と渡り合うには、豊かな人材、それが資源であると言われてきた国であるのに、これはゆゆしき問題です。もちろん、彼らは、高校生になって急に自信がなくなったというわけではないでしょう。生まれてから、保育園や幼稚園、小学校、中学校と進んでいく過程で、自尊心やら自尊感情やら自己肯定感やらをしっかりと育んでこられなかった、そう考えるべきでしょうか。  ところで、自尊心、自尊感情自己肯定感など、似たような言葉が幾つもありますので、釈迦に説法、少し専門的になりますが、この後に続く質問の内容をより明確にするために、しばらくこれらの言葉の違いをまとめさせていただいて、あらかじめお互いの認識を共通化しておこうと思います。  まず、人は、生まれたばかりの赤ちゃんのとき、目がほとんど見えず、自力で体を動かすこともできない状態で、あらゆる面で他人にお世話してもらわないと生きていけない状態から始まります。このときに、身近にいて育児をしてくれる人、それがママであったりパパであったりするわけですが、いつも一緒にいてくれると安心することができる。そして、その人との間に特別な情的な結びつき、すなわち愛着――英語ではアタッチメントといいますが――を形成するようになる。こうして生まれた基本的な信頼関係の上に、自分は愛されている、自分はこの世に出てきてよかったと、そう思えるようになると、これは成長への意欲を支える基盤となっていきます。これは第1回定例会でも述べたとおりです。そして、その上に少しずつ、自分は大切な存在なんだ、自分は生きていていいんだと思える基本的な自尊感情(セルフエスティーム)、すなわち自分を大切に思える感情が育っていくようになります。  さらに、自己肯定感(セルフアファメーション)ですが、これは自分のあり方を積極的に評価できる感情、つまり自分の長所も短所もありのままに受け入れ、みずからの価値や存在意義を積極的に肯定できる感情だといいます。が、これはいきなり生まれてくる感情ではなく、自尊感情の土台の上で、いろいろな成功や失敗の体験を通して改めて自己評価を繰り返す中で、具体的な活動の中で培われていくものです。  また、それらの過程で自尊心(プライド)も芽生えます。すなわち、自分の人格を大切にする気持ち、自分の思想や言動などに自信を持ち、時には他からの干渉を排除する態度を示したりもします。  このように、自尊感情自己肯定感、自尊心と、似たような言葉ではありますが、それぞれ全く別の概念であるわけです。もちろん、心理学者の間ではこれとは別の解釈をする人もいますから、これらの定義が絶対とは言い切れません。それぞれを同義語として扱う人もいます。が、今回私の質問では、これらの定義に従って行います。  さて、その子の幸せのためにも、社会の未来のためにも、子供たち自尊感情を子供のころからどう育てるかが課題であるわけですが、日本ウェルネススポーツ大学近藤卓教授がおもしろい指摘をされています。近藤教授によれば、自尊感情には基本的自尊感情社会的自尊感情の2つがあるそうです。  歴史をさかのぼってみると、自尊感情についての研究の起源は、今から120年以上前のこと、1890年にアメリカで、ウィリアム・ジェームズが書いた「心理学原理」という本の中にあると言われています。この本の中でジェームズは、自尊感情は、成功という分子を要求という分母で割るという割り算によって決定されると定義しました。この数式に従えば、自尊感情は成功という結果に依存している値だということですから、自尊感情は、達成したものが認められたり褒められたりすることで育つものだ、何かすぐれた結果を出して達成感を得ることを繰り返して高まっていくものだということになります。  ところで、成功というものの多くは、社会の中で相対的に決まってきます。つまり、人と比べて自分には価値があるかどうか、社会の中ですぐれているかどうかということによって決まってくる感情だとも言えますから、近藤教授は、これを社会的自尊感情だと定義しました。  これも大切な感情ではあります。人よりもよくできる成功体験を繰り返す中で、親や教師あるいは信頼する大人から褒められる、認められると、子供たち社会的自尊感情は大きく膨らみます。しかし、人は、いつまでもずっと勝ち続けたり成功し続けたりすることはできません。失敗したり叱られたりすることもある。すると、すぐにしぼんでしまう。これは不安定な感情だとも言えます。  また、分母である要求についても、これを自分で定められる子供がどれだけいるでしょうか。その多くは教師であったり親であったり社会が決めてくれるのですが、その要求水準は自分の意思によらず、常に上がっていくのです。  1980年代にアメリカでは、子供を褒めて、認めて、成功体験を積ませることで自尊感情を高めようとする教育運動が展開されました。そして、その教育運動は10年ほどで終息してしまいましたが、結果は期待どおりにはならなかったそうです。確かに子供には自信がついたものの、自己中心的でわがままな子供がふえました。当初期待していた、本当の意味で自信を持ち、生きる力や打たれ強さを高め、その自信に裏打ちされて他者を思いやろうとする態度は、ほとんど育っていなかったそうです。  近藤教授は、社会的自尊感情の有益さを認めながらも、それだけでは半分であって、基本的自尊感情を育てることも行わなければならないと指摘されています。この自尊感情は、成功とか優越とかは無関係に、自分のよいところも悪いところもあるがままに受け入れ、自分を大切な存在として尊重できるものです。他者との比較に基づくものではなく、絶対的で無条件の感情であり、永続性があるものだといいます。そして、この基本的自尊感情を育むには、愛着形成により培われた基本的信頼の上で、他者との共有体験を積み重ねることで育まれると近藤教授は指摘しています。その詳細については、時間の関係で割愛するにしても、これまでの論説は1つの考え方にすぎないかもしれませんが、多くの示唆を含んでいるものと思います。  そこで、まず、確認の意味でお尋ねします。区では、自尊感情とはどのようなものであると捉えているのでしょうか。また、就学前から義務教育期間を通して子供たち自尊感情を育むために、子供園や小中学校ではどのような取り組みをしているのでしょうか。  さて、親が子供に向かって、おまえはだめだ、生きている資格がないなど否定ばかりをしていれば、もちろんこの時点で精神的児童虐待に当たりますが、子供の自尊感情が育たないことは言うまでもありません。が、一方で、親が干渉し過ぎるときも、やはり子供の自尊感情は育ちません。親が手を出し、口を出し過ぎて、子供が自分でやったという達成感や成功体験を得られなければ、それは子供の成長にはつながっていきません。親の顔色ばかりをうかがう子供では、自尊感情や自信をなかなか得ることができません。  就学前から義務教育過程における子供の教育を考えたときには、教育のあり方について親が理解することも大切なことです。昨年度の教育課程研究発表の結果が保護者とどのように共有されているのかも気にかかるところです。  そこで伺います。昨年度の成田西子供園での教育課程研究発表の成果が、区立子供園全体にどのように普及しているでしょうか。  さらに、この項目の最後として、子供たち自尊感情を育むことは、杉並区教育ビジョン2012の目指す人間像「夢に向かい、志をもって、自らの道を拓く人」を育てることにつながると思いますが、区の見解と今後の取り組みを伺います。  さて、大きな2番目の質問は、ライフデザイン教育の推進についてです。  小学校の卒業式に参加してみると、学校によってもやり方は異なるでしょうが、卒業生が1人ずつ、中学校に進む抱負や将来への夢などを語ることがあります。そのとき、昔なら、野球選手になりたい、サッカー選手になりたい、科学者になりたい、先生になりたい、保育士になりたい、パティシエになりたい、あるいは花屋さんになりたいなど、自分が将来なりたい職業について多くを聞いたものですが、最近は違ってきました。学校で友達の大切さを知りました、仲間の大切さを知りました、団結のすばらしさを知りました、中学に行ってもいつまでも仲のよい友達でありたい、このようなことを言う児童がふえました。このこと自体は、恐らく学校におけるいじめ対策の教育が功を奏しているものと考え、評価するものではありますが、一方で、なりたい職業を熱く語る児童が減ったことには物寂しさを覚えます。人を思いやること、大切にすることなどは、その人が備えるべき徳目であり、社会性ですが、将来に対する夢は、その人の意欲や人生を生きる力につながるからです。  学校現場では、現在キャリア教育が行われています。高等学校では、キャリア教育は進路や職業選択にすぐに結びつくので、切実な学習課題であり、盛んに行われていますが、中学校でも職場体験実習を行ったり、平成20年度以降でしょうか、小学校でもキャリア教育が行われるようになりました。  キャリア教育は、いろいろな職業の話を聞いたり体験したり、社会人としての生き方に触れたりしながら、自分で進路や職業を選択できる力をつけさせる指導をしているので、ともすれば職業紹介とも捉えられがちですが、実はそればかりではなく、キャリア教育では、児童生徒の一人一人にしっかりとした勤労観、職業観を形成させ、将来社会人、職業人として自立していく能力や態度を育てようとしています。  なお、その意味では、学校でのキャリア教育においては、職業観ばかりではなく、人生の向き合い方、生き方まで考えさせようとしているので、私は、キャリア教育という言葉よりライフデザイン教育という言葉を使ったほうがいいようにも考えます。  そこで、まず確認します。ライフデザイン教育は、学校現場ではいわゆるキャリア教育とも言いかえられるものと考えられますが、まず、こういった教育の必要性について、教育委員会の見解を伺います。  続けて確認しますが、小学校段階中学校段階におけるライフデザイン教育はどのように行われているのでしょうか。また、こういった教育を進めていく上では、事業者や団体等の教育のほか、地域の方々の理解と協力も欠かせないと思います。そういった視点で取り組んでいるのかを伺います。  さて、繰り返しになりますが、ライフデザイン教育では、児童生徒の一人一人が将来社会人、職業人として自立していくことができる力をつけさせますが、キャリア(仕事)の面ばかりではなく、ファイナンス(お金)、そしてライフ(人生)の3つの要素を総合的に考えて人生のあらましをデザイン(構想)できるように、この基礎的な知識を教えていく必要があります。言いかえれば、将来への夢を持つばかりでなく、大人になったときに必要となる、あるいは役に立つことを知っておくことが大切です。例えば、世帯を持ったらどのようなお金がかかるのか、なぜ税金を払うのか、病気になったら医療費はどうなるのか、年金とは何か、行政は自分をどう支えてくれるのか、結婚したらどうなるのかなど、大まかにでも知っていれば、自分の人生構想をより具体的に持ちやすくなり、それは子供のころに持つ漠然とした将来への不安を取り除いてくれます。霞が関からはライフプランニング支援という言葉が聞こえてきますが、ライフデザイン教育からライフプランへと発展し、ライフプランニング支援へとつながるものと考えます。  ところで、先日、ある話を聞きました。学校での文化祭でしょうか、このような出し物があったと聞きました。真っ暗な部屋の中に、懐中電灯を照らすと、壁に張った紙には「これが人生です」と書いてある。人生真っ暗という意味だそうです。部屋の中に張ったひもには靴がたくさんつるしてあり、やはり「これが人生です」と書いてある。人生、靴(苦痛)ばかりという意味でしょうか。ブラックユーモアとしてはおもしろいと思います。確かに人生にはそういう面もあるでしょう。  しかし、子供たちの多くが人生をそのように消極的に捉えているとしたら、人生を積極的に希望を持って見詰めることができなくなってしまっているとしたら、それは問題です。ですから、学校でも地域の中でも、子供たちにはただそれだけを教え伝えるのではなく、教えるときには、人生に対して希望を持てるように、苦があれば楽があるとか、明けない夜はないということもあわせて教えてあげるべきです。  また、大人たちが、結婚は人生の墓場であると言うのを聞いて、結婚についてよい印象を持てない子供たちがいます。私が言った言葉ではないにしても、いずれかの大人が子供たちにこのような言葉を言い浴びせてしまっていることは、私も大人側の1人として申しわけなく、情けなく、残念に思えてなりません。  私たちは今、それぞれが議会活動をしながら、あるいは行政での職務を果たしながら、区民の福祉を向上させるとともに、あすにつながるよりよい社会の構築を目指して、言いかえれば、子供たちに未来をつなぎ、この社会、私たちのまち、ふるさとを発展、継続させるために、汗を流し、知恵を絞り、税金も出し合い、日々努力しているものと思っています。私たちも含めて、大人は子供たちの未来への夢や希望を与える努力をすべきであって、それを摘むような言動、姿勢は避けなければならないと思っています。特に教育の現場では、です。  ライフデザインをする中で、結婚は人生の重要なライフイベントの1つです。結婚し、新しい家族となり、子供を産み、育て、次の世代へと命をつなぐ。家庭をつくり家族を持つことには、苦労する大変な面もありますが、喜びもそこにはある。ライフデザイン教育では、そのようなことも教え伝える必要があると考えます。男女がお互いに理解し合うということ、お互いが助け合い共同するということ、暴力で解決することはしない、家庭を持つことの喜びと責任、赤ちゃんと命、子育てなど、これらを教え伝える中で、子供たちには、家庭生活のあり方に対する理解を若いときから少しずつでも深めてもらう。これは、子供たちの将来の結婚や子育てへの意欲形成にもつながると考えます。  そこで伺います。子供たちはやがて就職したり結婚したり、出産、育児を経験することになるなど、これからの人生において、さまざまな場面に向き合うこととなります。これらについて、義務教育の中で子供たちはどのように学んでいるのか伺います。
     そして、この項目の最後に、こういったライフデザイン教育の推進に向けた教育委員会の見解を伺います。  さて、大きな3番目、最後の質問は、高齢者が歩きやすいまちづくりについてです。  健康寿命を延ばすことは、本人の生活の質を高め、幸福感を増し、また社会保障負担の軽減にもつながる重要な施策の1つです。そのためには、家に引きこもらずに、外出の機会をふやし、ほかの人と多くコミュニケーションの機会を持つことは、とても大切です。シニア世代が積極的に外出の機会を得、また社会参加をするためには、行きたいと思うところがある、行きたいと思うイベントがある、会いたい人がいる、見てみたいものがある、あるいは健康であり続けたいと願うなど、シニア世代が魅力を感じ、家の外に連れ出すような仕掛けや動機づけを多くつくることが有効であり、そのために、区でもさまざまな試みや施策が行われてきました。  きずなサロンのような仕組みもその1つと言えます。気軽に立ち寄れ、人と会話を楽しめるきずなサロン、これ自体は、社会福祉協議会が進め、区も応援している取り組みですが、これに限らず、このような仕組み、シニア世代が立ち寄れる居場所がまちの中に多くあればいい。平成27年の第3回定例会でもそのように質問させていただきましたが、その後どのように進んでいるのでしょうか。  そこで、まずお尋ねしますが、きずなサロンのように高齢者が身近で気軽に集まることができる場所は区内にどのくらいあるのか、サロンの数や開催頻度などの現状を伺います。  さて、シニア世代に、出ていきたいと魅力を感じさせる、いわば積極的にさせるポジティブな要因をつくり出す一方で、出ていくことをためらわせる、消極的にさせるネガティブな要因があるのも事実です。この意欲をなえさせるネガティブな面、要因を取り除く努力をすることも、区が行う施策としては重要だと考えます。例えば散歩道、舗装が老朽化してくると、アスファルトがひび割れてきて、亀の甲羅のようになる。甲羅模様の一つ一つがでこぼこをつくり、つまずきの原因となる。わずかな出っ張りでも、シニア世代にとっては大敵とばかり用心して、もうこの道を通ることをためらわせてしまいます。  また、いつでも、自由に外出する場合にも、トイレが心配となります。トイレがどこにあるかわからないと、見知らぬ新しいところに行くことをためらってしまう。このとき、まちの中にいつでも駆け込めるトイレがあり、ふやしていくことが重要と考えます。また、これを案内する表示が要所要所にあったなら、あるいは地図があったら安心して出かけられるとの区民からの声があることも指摘をしておきます。  そこでお尋ねしますが、高齢者が歩きやすいまちづくりのためには、老朽化し路面にでこぼこのある道路の改善など、外出をためらわせてしまうようなネガティブな面を解消する仕組みも必要かと考えます。区の所見と対応への意気込みを伺って、私の質問を終わります。 ○議長(富本卓議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。       〔区長(田中 良)登壇〕 ◎区長(田中良) 私からは、井原太一議員の御質問のうち、高齢者が歩きやすいまちづくりについて、にお答えを申し上げます。  議員の御指摘のように、高齢者が不安を感じずに安全、自由に歩くことができる環境づくり、健康寿命を延ばすためにも大変重要なことだと私も思います。区ではかねてより、高齢者の健康づくりや介護予防のために、地域活動などの社会参加を支援する施策を進めるとともに、誰もが安心して道路を通行できるよう道路の補修を行うなど、ハード、ソフトの両面からさまざまな取り組みを行ってきております。  また、御指摘のトイレの整備につきましては、バリアフリー法などに基づいて、公共施設、民間施設を問わず、高齢者の利用が見込まれる建築物について、安全、快適に利用できるトイレの整備に取り組んでおります。  トイレの案内も、従来から施設案内図や河川沿いの遊歩道に設置した案内板など、公衆トイレなどの位置を表示してまいりましたが、今後も案内図の更新などの機会を捉えて、見やすくわかりやすい表示に努めて、利便性の向上を図ってまいります。  区といたしましては、今後も、高齢者の方々、そして誰もが暮らしやすいまちの実現のために、全庁挙げて取り組んでまいりたいと存じます。  私からは以上です。残りの御質問につきましては、関係部長より御答弁を申し上げます。 ○議長(富本卓議員) 高齢者担当部長。       〔高齢者担当部長(田中 哲)登壇〕 ◎高齢者担当部長(田中哲) 私からは、高齢者が集えるサロンのような場についての御質問にお答えいたします。  現在、区内には、高齢者が気軽に立ち寄り、交流や体操、趣味、食事を楽しむことができる集いの場が153カ所あることを掌握してございます。こうした場における活動は、区民の方々が主体的に運営されているもので、開催の頻度も、週5日から、週1から2回、月1回程度までと、さまざまでございます。  私からは以上です。 ○議長(富本卓議員) 教育企画担当部長。       〔教育企画担当部長(白石高士)登壇〕 ◎教育企画担当部長(白石高士) 私からは、教育に関する残りの御質問にお答えいたします。  まず、子供たち自尊感情の育成に関するお尋ねですが、自尊感情とは、自分をあるがままに受け入れ、かけがえのない存在として捉える気持ちであり、みずからの学び方や生き方を考える基礎となるものであると受けとめております。こうした自尊感情は、人や物、自然と豊かにかかわり合う多様な経験を積み重ねることで育成されるものであるため、子供園では、集団での遊びのほか、自然と触れ合う野外活動や多くの人とかかわる行事を効果的に実施しております。  また、昨年度、成田西子供園自尊感情の育成をテーマとして実施した研究成果につきましては、本年度から他の子供園においても実践され、みずから感じたことを共有する取り組みが充実してきております。  小中学校においても、ゲストティーチャーを招いた授業や異学年交流、社会奉仕活動など、学校支援本部や地域の人々等の協力による多様な交流体験活動など、あらゆる教育活動を通して、自尊感情を高めるよう取り組んでいるところです。  御指摘のとおり、杉並区教育ビジョン2012に掲げた人間像に向けては、子供たち自尊感情を着実に育成すべきと考えておりますので、今後も子供園や小中学校がより一層豊かな教育活動を実施することができるよう、支援してまいりたいと存じます。  次に、キャリア教育に関する一連の御質問にお答えします。  キャリア教育は、子供たちが今後の成長の過程の中でそれぞれが直面するであろうさまざまな課題に対応し、社会人、職業人として自立していくための必要な教育であると認識しております。このキャリア教育につきましては、小学校では、地域の商店街での買い物調べや、みずからの誕生から今日に至るまでの成長を振り返る学習など、中学校においては、事業所や団体等での職場体験のほか、赤ちゃんのだっこやおむつがえをしたり、その母親から育児に関する話を聞いたりする学習などを行っております。  これらの教育活動は、御指摘のとおり、各学校の実情等に応じて、地域の人々や事業者等の理解と協力を得て実施しているところであり、教育委員会といたしましては、こうした取り組みがより充実したものとなるよう、引き続き各学校を支援してまいりたいと存じます。  私からは以上です。 ○議長(富本卓議員) 以上で井原太一議員一般質問を終わります。  3番木村ようこ議員。       〔3番(木村ようこ議員)登壇〕 ◆3番(木村ようこ議員) 通告に基づきまして一般質問を行います。今回は、高齢者の運転免許自主返納支援の取り組みについて、性的マイノリティーに対する差別是正についてです。  まず初めに、高齢者の運転免許自主返納支援の取り組みについて質問いたします。  昨年来、高齢者の自動車運転に伴う事故が相次いで報道されています。例えば神奈川県で、80代男性の軽トラックが小学生の列に突っ込み、8人が死傷。兵庫県の高速道路では、70代男性が約20キロを逆走。福岡県では、70代女性の運転する軽乗用車が病院玄関に突っ込むなど、多くの事故が報道されておりました。  もっとも、高齢者の方の名誉のために申し上げれば、少子高齢化に伴い、高齢ドライバー自体がふえており、高齢ドライバーが起こす事故が件数、比率とも増加するのは、統計上、ある意味当然ではあります。一方で、認知症や判断能力低下が事故の確率を高めるのもまた事実です。  こうした背景から、高齢ドライバー御本人を守るという観点も含め、申請による運転免許の取り消し、いわゆる免許の自主返納が重要な取り組みとして注目されています。  ここで、警視庁の統計によりますと、昨年、都内での65歳以上の免許保有者はおよそ115万人。対して、65歳以上の免許返納者はおよそ4万2,000人でした。単純計算すると、4%の方が免許返納に踏み切られたという計算になります。他方、杉並区では、推計になりますが、昨年、65歳以上の免許保有者はおよそ4万人。これに対し、区が行っている運転免許返納支援事業の利用者は年間500から600名程度と伺っており、こちらも単純計算すると1%強です。  そこで伺います。杉並区の高齢ドライバーの運転免許返納は、東京都の平均よりも低調なのでしょうか。把握されているデータとあわせ、区の認識をお聞かせください。  次に、高齢者の運転免許の自主返納に対する支援状況について伺います。  運転免許の返納は、あくまでドライバーの皆様の自主的なアクションです。ただ、政策的に返納を進める必要から、警視庁では、運転免許の返納後に発行される運転経歴証明書を提示すると、高齢者運転免許自主返納サポート協議会の加盟店や美術館等でさまざまな特典を受けられる支援を実施しています。このような支援を行っているのは警視庁だけではありません。例えば台東区では、運転免許を自主返納した65歳以上の区民を対象に、コミュニティバスの専用回数券11枚つづり1冊と、区立文化施設4館共通入館券を進呈。杉並区では、75歳以上の区民で運転免許証を自主返納されてから6カ月以内の方を対象に、5,000円相当のICカードを差し上げる支援事業を行っています。  このように、それぞれの自治体が地域に合ったサービスを提供しているのですが、平成27年度の区市町村における支援内容を確認すると、1点、気になることがあります。支援の対象年齢を75歳以上としているのは杉並区だけなのです。限られた財源を効率的に活用するために一定の年齢制限を設ける必要性は理解できますが、なぜ75歳以上の方と限定されたのか、その理由をお聞かせください。  警視庁では、65歳以上の高齢者の交通事故を減らすため、運転に自信がなくなった高齢者の方に対しては、運転免許の自主返納を勧めていることから、例えば区の年齢制限を70歳、65歳などに緩和するのも一案だと考えますが、いかがでしょうか。  ところで、杉並区の支援事業の利用者については、年々増加傾向にあると聞いております。そこで伺います。高齢ドライバーの間での支援事業の認知度アップに向けて、どのような工夫をされているのでしょうか。また、今後予定されている動きがあるようでしたらお聞かせください。  改めて、区独自の支援事業については、高齢ドライバーによる加害事故の未然防止、さらには高齢ドライバー御本人を守るという観点からも重要な施策だと考えております。より効果的な施策となるよう工夫を講じていただくことを要望しまして、次の質問に移ります。  性的マイノリティーに対する差別是正について質問いたします。  渋谷区が同性のパートナーシップ証明書の受け付けを開始し1年半がたちました。その間渋谷区では、17組の同性パートナーシップ証明書を交付。世田谷区でも、同性パートナーシップ宣誓の受け付けを開始し、50組の宣誓書を交付しています。また、この間、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、那覇市が条例や要綱を制定。札幌市も、同性カップルについて公的なパートナーとして認める制度の導入を検討しているとのことで、実現すれば、政令指定都市では初の試みとなります。  LGBTを初めとする性的マイノリティーへの配慮は、行政にとどまらず、呼応するかのように、例えば日本アイ・ビー・エム株式会社では、IBMパートナー登録制度を導入。パナソニック株式会社では、人事関連制度において、法的要件等で対象外となる者を除き、同性パートナーにも配偶者に準じた適用を行うなど、今後の動向が注目されるところです。  こういった我が国の状況から、近年の動向と思われがちですが、同性パートナーシップの歴史をひもとくと、世界初の同性パートナーシップは、実に四半世紀以上も前にさかのぼります。性的マイノリティーに関する啓発活動を行っているNPO法人EMA日本によると、1989年にデンマークで法制化され、2001年には、オランダが同性婚を世界で初めて正式に認めた。今日までに同性婚あるいは同性婚に相当する同性パートナーシップなどの制度を法制化した国は、英、米、仏、ドイツなど欧米のみならず、ブラジルや南アフリカなど全世界で47カ国に上るとのことで、私たちがかかわる多くの国が、同性婚や同性パートナーシップを認めているのです。  こうした同性婚をめぐる諸外国の状況、他の自治体の同性パートナーシップ証明書等の発行、さらには民間企業における社内規定の改定等の近時の動向を踏まえ、改めて同性パートナーシップに対する区の考えをお聞かせください。  さて、杉並区議会においては、昨年の第1回定例会で性的マイノリティーについて活発な議論が行われ、世間の注目を集めたことは、記憶に新しいところです。杉並区での議論の後、このテーマは、国政のレベルでも盛り上がりを見せました。昨年5月には、野党4党がLGBT差別解消法案を衆議院に提出。また、注目すべき点としては、自民党でも性的指向・性自認に関する特命委員会が組織され、国民の理解増進を目的とした議員立法の具体化が打ち出されました。自民党の特命委員会が公表した「わが党の基本的な考え方」では、歌舞伎の女形や「とりかへばや物語」などに触れ、「わが国においては、中世より、性的指向・性自認の多様なあり方について必ずしも厳格ではなく、むしろ寛容であった」と、保守らしい視点からこの問題に理解を示されている点は、大いに注目したいところです。こういった国政の動向からも、性的マイノリティーに法的保護、権利を認める動きは確実に広がっていることがうかがえます。  そんな中、大きなニュースが飛び込んできました。大阪市が、市内に住む男性カップルを養育里親として認定したというのです。現大阪市長の吉村洋文氏は大阪維新の会の政調会長でもあり、維新といえば保守というイメージがあることから、その点からも、今回のニュースに衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。  そこで、吉村大阪市長のツイッターへの書き込みを御紹介したいと思います。「LGBTは、単なる少数者。活躍の場が制限されるのは社会的にもったいない。色々考え方はあろうが、他の自治体にも広がればいい。」、「LGBTのカップルでは子育てができないのか。僕はそうは思わない。里親は子供のための制度。子供の意思確認もした。養育里親制度の趣旨も理解され、経済的にも安定、愛情を持って養育してくれている。児童虐待で回復不能な心身の傷を負う子もいる。」とつぶやかれています。  私も、吉村大阪市長のお考えには大いに賛同するところであります。一人でも多くの子供が家庭で育つ環境を得られることが何よりも大切なことで、今回の一歩が他の自治体に波及することを願うと同時に、私もそのための活動の一翼を担っていきたいと考えております。  そこで早速、東京都の状況を確認してみました。ところが、東京都の里親認定基準は、同性カップルを里親として認定しない基準となっているのです。しかも、毎日新聞の調査によると、児童相談所のある69自治体で、同性カップルを除外する基準を設けているのは東京都だけでした。なぜこのような基準になっているのか、東京都の担当者に確認するも、納得のいく回答は得られずじまいです。  このことについて、林浩康日本女子大学教授がコメントされていますので引用しますと、「同性カップルに育てられることに何の害もないことは海外の事例からも明らかで、都は施設で暮らす子の数に比べ圧倒的に少ない里親の貴重な担い手を失っている。自治体の懸念はマッチングを慎重にすれば解決できる。家族のあり方の時代の変化に里親制度も対応させる必要がある」と指摘されています。  そこで、まず、里親までの道のりを簡単に御説明させていただきます。1、児童相談所へ問い合わせ、2、申請要件の確認、3、認定前研修の申し込み・受講、4、児童相談所に申請、5、家庭訪問による家庭調査、6、児童福祉審議会里親認定部会で審議、7、東京都知事が認定、登録という手順になっており、申請から登録までの流れは、3カ月から6カ月程度かかり、十分な審査が行われ、子供を紹介されるスキームになっています。しかし、その後すぐに同居生活がスタートするのではなく、外出、外泊を重ね、子供と里親の関係を築いていきます。さらに、児童相談所が訪問し、養育家庭の意思や子供の状況をもとに総合的に判断した上で、委託の可否が決定されるのです。その間、おおむね3カ月という期間を要します。  以上の里親までの道のりからも、林浩康日本女子大学教授の御指摘のとおり、問い合わせの段階で里親の門をわざわざ狭める必要はなく、マッチングを丁寧に行いさえすれば済むことなのです。  また、大阪市の担当者にも大阪市の里親認定基準を確認してみたところ、国の里親委託ガイドラインに従っているとの回答を得ました。この里親委託ガイドラインには、同性カップルを除外するような内容は見当たりません。国のガイドラインに従うとするならば、子供の最善の利益を実現する担い手であれば、同性カップルも養育里親になることが可能なのです。  以上のとおり、大阪市の同性カップル里親認定を契機として、東京都の里親認定基準の問題点が浮き彫りになりました。  ところで、東京都の所管である里親制度について、なぜ区議会の一般質問で扱っているのか、そう思われるかもしれません。しかし、改正児童福祉法により、特別区での児童相談所の設置がようやく可能となります。杉並区の児童相談所開所については、所管より、担当ポストの新設に伴い、今後、開所時期等を含む具体的な内容を検討していくと伺っております。杉並区において児童相談所を設置するとなれば、どう里親をふやしていくかを考えていかなければなりません。  これまで述べてきたように、東京都の里親認定基準は、古い固定概念を引きずった、問題のあるものです。国の里親委託ガイドラインとの整合性を図り、同性カップルを除外するような運用は正すべきです。この点について、ぜひとも区長のお考えをお伺いしたいと思います。  続いて、性的少数者に対する理解の促進事業について質問してまいります。  杉並区男女共同参画行動計画の一部改定からおよそ1年半がたちました。計画には、「区民等に向けた啓発」として、「人権問題の一つである性的少数者に対する差別や偏見が解消され、区民や区職員の正しい認識と理解が促進されるよう啓発に取り組みます。」という記述があります。この間、区職員に対し、性的マイノリティーへの理解促進に向けて、具体的にどのような啓発に取り組まれたのか、どのような理解促進が進んだのか、お伺いします。  区職員を対象とした性的マイノリティー研修については、昨年1度、任意参加の研修が行われ、約80人が参加したと所管から伺っております。しかし、職員の皆さんは、業務の中でさまざまな区民の方々と接するわけですから、できれば全職員が研修を受けることが望ましいはずです。例えば国立市では、市職員や嘱託等を対象に、平成26年から年に1回程度、LGBT研修を行っているそうです。現在までで全職員のおよそ3分の1がLGBT研修を受講しており、この研修は全職員の受講が修了するまで継続するとのことです。杉並区においてもこのような全職員への研修を検討すべきと考えますが、区の見解を伺います。  さらに、文京区では、文京区職員、教職員のために、性自認、性的指向に関する対応指針を策定し、この指針をもとに研修等も実施しているそうです。杉並区においても、性的マイノリティーに関する職員の姿勢や考え方の指針となるものが必要と考えますが、区の見解を伺います。  次に、区民に対する性的マイノリティーへの理解促進に向けて、実際にどのような啓発に取り組まれたのか、どのような理解促進が進んだのか、お伺いします。  さて、研修等により性的マイノリティーに対する理解が広がったとしても、実際に施設を利用する際に障害があっては、対策は不十分です。大阪市では、性的マイノリティーの方が利用しやすい庁舎、施設とするために、各庁舎、施設の多目的トイレの入り口に、性の多様性を象徴する虹をあしらったステッカーを掲示しています。大がかりな改修が不要なこういった対応は、すぐにでも可能です。ぜひ本区においてもこういった取り組みを敢行すべきと考えますが、区の見解を伺います。  次に、性的マイノリティーの児童生徒への支援について伺います。  平成28年4月、文部科学省は、教職員向けの周知資料「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」を通知しました。ちなみに、平成27年4月に通知されたのは、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」です。皆さんもお気づきになられたかと思いますが、平成28年のタイトルには「性的指向・性自認」が加えられています。そして、1ページ目の最初には、性的指向、性自認に関する用語の説明が記載されており、さらに読み進んでいくと、「まずは教職員が、偏見等をなくし理解を深めることが必要です。」と書かれ、性的マイノリティーへの理解を呼びかけています。  そこで伺います。この文部科学省の通知を受け、具体的にどのような対応を行ったのか、お答えください。  性的マイノリティーは、少数者であるがために、周りと違う自分に戸惑いながらも、いじめや差別につながることへの不安からなかなか周囲に相談できず、1人で悩んでしまうケースが多いと聞きます。そんなとき支えとなるのは、やはり教員やスクールカウンセラーではないでしょうか。児童生徒が何に困っているのか、どのような対応を望んでいるのか、教員みずからが性的マイノリティーについて正しく理解した上で、児童生徒一人一人と一緒に考えていくことが大切です。  そこで伺います。教職員を対象とした性的マイノリティーに特化した研修は行われているのでしょうか。場面ごとの配慮も必要となりますので、全教職員が研修を受けることが望ましいはずです。  さて、世田谷区では、世田谷区第二次男女共同参画プランの次期プラン策定に向けて、2016年8月、インターネットで、全国の10代以上の性的マイノリティー当事者約1,000人を対象に、「性的マイノリティ支援のための暮らしと意識に関する実態調査」アンケートを行いました。いずれも複数回答で、「あなたが経験したことのあるものを教えてください。」という質問では、「自殺したいと思った」が最多の49.7%、「自殺未遂」18.9%と続きました。  また、日高庸晴宝塚大学看護学部教授らによる調査によると、日本のゲイ、バイセクシュアルの男性においては、全体の65%が自殺を考えたことがあり、15%が自殺未遂をしているという結果が出ています。  近年、インターネット等では性的マイノリティー関連の情報量もふえ、肯定的な意見も多く見受けられる一方で、我が国には今なお根強い偏見や差別が残存しており、少数者にとっては生きにくい環境であることが、これらの調査結果からもうかがえます。  以上を踏まえ、当区においても、当事者の気持ちに寄り添った性的マイノリティー専用ダイヤルを設けるべきと考えますが、区の見解を伺います。  なぜ専用なのか、そんな疑問もあるかもしれません。しかし、誰にも相談できず、自分だけで悩み続け、自殺を考えてしまうケースが相当数あることも、アンケートでわかりました。この問題は極めてセンシティブな問題なのです。一縷の望みをかけて区の相談窓口に電話したところ、相談員の軽はずみな一言が、相談者に回復不能なダメージを与えてしまう、そんな事態は防がねばなりません。性的マイノリティーに関する正確な知識を持った専門スタッフによる専門ダイヤルは、場合によっては、いのちの電話と同等の意味を持ち得るのです。  2015年4月、株式会社電通が全国の約7万人を対象に行った調査では、7.6%、13人に1人がLGBTに該当すると回答しています。本区においてもそれだけの割合のLGBT区民が居住されている、そのことを前提に政策を考えていくべきです。  次に、今後の杉並区男女共同参画行動計画について伺います。  現在の杉並区男女共同参画行動計画については、29年度までの計画とされています。今後改定される本計画で、LGBTを初めとする性的マイノリティーについて、どのような方向を目指しておられるのか、過去の議会答弁では明確なお答えはなかったように記憶しております。国政の動きなども踏まえた場合、杉並区としては、例えば、より力を入れて啓発に取り組むなど積極的な方向に向かうのか、それとも現状の取り組みで十分であるとお考えなのか、基本的な方向性だけでも構いませんので、現時点での区としてのお考えをお答えいただければと思います。  次に、実行計画を超えた条例レベルの対応について伺います。  昨年の議会では、既存の法制度との整合性や区民の賛否などを理由に、渋谷区や世田谷区と同様の条例、要綱の制定には否定的であるとの御答弁がありました。しかし、性的マイノリティーに関する区市町村の条例対応は、パートナーシップに踏み込んだものだけではありません。例えば、都内では文京区や多摩市などで見られますが、男女平等参画の計画の上位に推進計画を定め、そこで、性別と並び、性的指向や性自認による差別を禁止するといったアプローチもございます。既存の法制度との整合性や区民の賛否を理由に、パートナーシップ制度の創設は困難ということであったとしても、少しでも現状を変えるべく、このようなソフトなアプローチを行うことは可能なはずです。より一般的な形での性的マイノリティーに関する条例の制定について、区の見解を伺います。  さて、性的マイノリティーに対する差別是正について、るる質問してまいりました。そろそろ私の持ち時間も少なくなってまいりましたので、最後に、オリンピック憲章より、オリンピズムの根本原則第6項をこの場で御紹介させていただきたいと思います。「このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。」と明記されています。  本区では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、国際規格のビーチバレーコートを整備し、外国チームの事前キャンプを誘致する計画です。ビーチバレーコートの整備については、私は反対しておりますが、外国チームの事前キャンプを誘致するということであれば、ぜひとも小中学生を初め区民の皆さんに、オリンピズムの根本原則第6項に、性的指向による差別禁止がなぜ加えられているのか、学ぶ機会を設けていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。 ○議長(富本卓議員) 理事者の答弁を求めます。  土木担当部長。       〔土木担当部長(吉野 稔)登壇〕 ◎土木担当部長(吉野稔) 私からは、高齢者運転免許証自主返納支援制度についての一連の質問にお答えいたします。  制度を導入した平成21年度当時、後期高齢者である75歳以上の方の運転による交通事故が多く発生していたことや、道路交通法の改正により、後期高齢者の運転免許証更新時には認知機能検査が義務づけられたことなどによる理由により、この制度の対象年齢を75歳以上と設定いたしました。  区内の75歳以上の運転免許証保有者数はおよそ1万人と推定しており、そのうち制度の利用者数は500人を超えていることからも、区内75歳以上の返納率は5%以上と試算しております。  年々増加してきている75歳以上の高齢ドライバーによる交通事故対策は、免許返納だけで解決するものではなく、総合的に取り組む必要があります。制度導入の背景からも、本制度の対象年齢は当面現行のままと考えておりますが、今後の社会情勢の変化等を注視しながら対応を考えてまいります。  次に、制度の認知度アップに向けた取り組みですが、職員が出向く高齢者向け交通安全講習会における制度紹介や、高齢者に向けた冊子などへの記事掲載を行い、返納支援制度の周知に努めてきています。  また、区内3警察署には、運転免許証返納手続の際に、75歳以上の返納者に対し、案内チラシの配布をお願いしております。  今後も、すぎなみフェスタ等、集客が見込めるイベントや高齢者が集まる施設での交通安全講習会の開催など、さまざまな機会を捉えて積極的に制度の周知に努めてまいります。
     私からは以上でございます。 ○議長(富本卓議員) 区民生活部長。       〔区民生活部長(森 雅之)登壇〕 ◎区民生活部長(森雅之) 私からは、性的マイノリティーに対する差別是正についての御質問のうち、所管の事項についてお答えいたします。  最初に、同性パートナーシップに関するお尋ねにお答えいたします。  区では、性的マイノリティーへの差別や偏見は、なくしていくべき重要な人権問題の1つと考えており、啓発に取り組んでいるところでございます。  そうした中、同性婚をめぐるさまざまな動向は区も承知しておりますが、同性パートナーシップ制度につきましては、既存の法制度との整合性等の課題とともに、婚姻のあり方や家族観など、区民の中にもさまざまな意見がありますので、慎重に取り扱うべきものと考えております。  次に、性的マイノリティーについての区職員への啓発等に関する御質問にお答えいたします。  最初に、区職員の研修についてのお尋ねですが、区では昨年8月に、性的マイノリティーである方を講師に招き、基礎的知識に加え、当事者としての日常体験などを踏まえた、「LGBTってなんだろう? −互いの違いを受け入れあえる社会を目指して−」をテーマに実施いたしました。研修修了後のアンケートでは、有意義だった、今後の職務に生かせるなどの声が9割を超え、参加した職員を通じて、研修の成果が各職場で共有されていくものと考えております。  また、区では新規採用者を対象に、毎年、人権についての研修を実施し、その中で性的マイノリティーについても必要な知識の習得を図っているところでございます。  次に、性自認、性的指向に関する対応指針の策定に関するお尋ねですが、区では男女共同参画都市を宣言し、その行動計画において、関係機関等と連携協働し、人権問題の1つである性的マイノリティーに対する差別や偏見を解消するよう取り組む中で、職員に対しての啓発に努めておりますので、現時点で指針等を策定する考えはございません。  次に、区民に対する啓発等のお尋ねですが、区では、日常の活動に加え、毎年12月の人権週間に合わせて取り組みを強化し、性的マイノリティーに対する差別や偏見、配偶者暴力、部落差別など、さまざまな人権問題についての相談窓口のPRやイベント等をお知らせするなど、区民の理解が深まるよう取り組んでおります。  また、性的マイノリティーに関する区民の理解度を把握するため、平成27年度には区政モニターアンケートを実施するとともに、昨年度実施した男女共同参画に関する意識と生活実態調査において、性的マイノリティーについての調査項目を設け、実態の把握に努めたところでございます。  また、昨年11月に男女平等推進センターが実施した講座「はじめてのLGBT〜性的マイノリティへの理解」では、終了後のアンケートにおいて、参加者から、講座に参加してよかった、LGBTや性的マイノリティーへの理解が深まったという感想が寄せられるなどの評価を受けたところでございます。  次に、区立施設のトイレに関するお尋ねにお答えします。  現在区では、本庁舎など区立施設の多くに、どなたでも御利用いただける多目的トイレを設置しております。御質問の虹のステッカーにつきましては、性的マイノリティーの方から、ステッカーがあると安心するという声がある一方、当事者と知られたくないのに知られてしまうとためらう声もあると伺っております。そうしたことから、現時点でステッカーを張ることは考えておりません。  次に、性的マイノリティーの電話相談に関する御質問にお答えします。  区では男女平等推進センターにおいて、電話や面接での一般相談業務の中で、性的マイノリティーの方の相談を受けており、臨床心理士などの資格を有する相談員が適切に対応しております。さらに、相談内容によっては、東京弁護士会が主催するセクシュアル・マイノリティ電話法律相談や、一般社団法人社会的包摂サポートセンターの電話相談よりそいホットラインにつなげるなどの対応をとっているところでございます。こうした総合的な対応の中で、専門の相談員がプライバシーに配慮した相談を行っていることに加え、性的マイノリティーに関する年間の相談件数が少ないこともあり、専用ダイヤルの設置につきましては、現時点では考えておりません。  次に、男女共同参画行動計画の改定についての御質問にお答えします。  区では、昨年度実施した男女共同参画に関する意識と生活実態調査の結果等も踏まえ、男女共同参画の推進会議や区民懇談会において、計画の改定について検討しているところでございます。改定に当たりましては、ワーク・ライフ・バランスの推進などに重点を置いた計画としていくこととしておりますが、性的マイノリティーへの差別や偏見につきましても、当然人権問題の1つとして、引き続き計画に位置づけてまいりたいと考えております。  私からの最後となりますが、性的マイノリティーに関する条例制定についてのお尋ねがございました。  区では平成9年に男女共同参画都市宣言を行い、その中で、男女が、性別を超え、世代を超え、互いに個性や能力を尊重していくことをうたい、その方針を明確にしております。さらに、同宣言に基づき行動計画を策定し、人権等に関する施策、事業に積極的に取り組んでいるところでございますので、御指摘のような条例につきましては、現時点で制定する考えはございません。  私からは以上でございます。 ○議長(富本卓議員) 子ども家庭担当部長。       〔子ども家庭担当部長(鈴木雄一)登壇〕 ◎子ども家庭担当部長(鈴木雄一) 私からは、東京都の里親認定基準についてのお尋ねにお答えします。  児童福祉法の改正により、里親の開拓から児童の自立支援まで一貫した里親支援が児童相談所の業務として位置づけられ、今後の里親による養育の推進がますます重要になってきていると認識しております。  東京都は、状況に応じて里親認定基準の見直しの検討を行っております。区が児童相談所を設置した際は、こうした東京都の検討状況を注視しつつ、子供が温かく安定した里親家庭で養育されるよう、適正な運用に努めてまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(富本卓議員) 教育企画担当部長。       〔教育企画担当部長(白石高士)登壇〕 ◎教育企画担当部長(白石高士) 私からは、性同一性障害に係る文部科学省通知に関する御質問にお答えします。  教育委員会では、同通知を受け、各学校に対し、児童生徒の心情等に配慮したきめ細かな対応を徹底するよう、さまざまな機会を捉えて働きかけております。  また、人権教育研修や保健主任会において、全ての教職員が性同一性障害に対する正しい理解と認識を深めるとともに、子供たち一人一人が抱えるさまざまな課題に寄り添った対応を図ることができるよう、啓発を行っております。  これらの取り組みを踏まえ、各学校では、全教職員が、子供が発するわずかな兆候も見逃さず、スクールカウンセラーや医療機関等と連携しながら、個々のケースに応じた組織的かつ適切な対応に努めているところでございます。  私からは以上でございます。 ○議長(富本卓議員) 以上で木村ようこ議員の一般質問を終わります。  12番山本あけみ議員。       〔12番(山本あけみ議員)登壇〕 ◆12番(山本あけみ議員) 私は、区民フォーラムみらいの一員として、区政一般についてお尋ねをいたします。  テーマは、高齢者介護施設について、学校図書館について、グリーンインフラについてです。  最初に、高齢者介護施設についてお尋ねをいたします。  平成27年4月の介護保険制度変更により、特養へ新たに入所する方は、基本的には要介護3以上に限定されましたが、現在でも当区の特養の待機者は約1,000名であり、本年4月末現在で、優先度Aは540名、優先度Bが298名、優先度Cが141名と聞いています。  こうした状況において、特養の整備が喫緊の課題であることは認識しているものの、待機者の中には、既に他施設などに入所している方や、在宅介護支援施設の利用により介護が必要な状態が充足している場合、また、場合によっては他界された方も含まれているのではと考えています。特養入居を1つの選択肢として考えている状態であると推察しますが、より現状を言いあらわした言葉としては、特養待機者というより特養申込者とすべきと考えますが、いかがか、お尋ねをします。  ここでは、いわゆる待機者を申込者と言いあらわして質問を続けます。  昨年の決算特別委員会の資料請求で、現在の特養Aランク申込者の介護度と介護場所別の人数、率の資料をいただきました。それによれば、816名のうち、最も緊急度が高いと思われる要介護5で在宅の方が142名で全体の17%、また、既に特養に入居されている方が6名いらっしゃることがわかりました。  なぜこの資料の提示を求めたかというと、特養申込者の個々の現状を細かく把握していくことで、より困った人が優先される制度となっていかなければ、ただ漠然と申込者数1,000人という極めて大きな数字だけを把握していても、必要な人に支援の手が届かず、真の福祉向上にはつながっていかないだろうと考えてきたからです。  これまでの答弁では、今後特養整備を進めるに当たり、特養申込者の実態把握をしていくとあったと記憶をしています。区では特養申込者の現状把握はどれくらい進んでいるのか、お伺いします。  当区では、本年3月に特養入所判定基準の変更が行われました。これまでの判定基準では、本人の状況が要介護度のみであり、在宅であるのか、既に他自治体の特養に入居しているのか等、本人の状況が判然としなかったこと、また、介護者がどれくらい介護を担える状況にあるのか、詳細を知ることができないことが大きな課題だと感じていました。今回の改定で、これまでの申込者の詳細な現状把握の取り組みをとの要望に対して、真摯な御対応をいただいたことを大きく評価するとともに、また感謝も申し上げる次第です。  改めて今回の基準変更の趣旨について確認をいたします。また、どのような検討が行われ、課題意識等の共有などどのようにしたのか、経緯もお尋ねいたします。  次に、第一次評価指標の具体的な内容についてお伺いします。  待機場所の把握、点数配分をどのような論理づけで決めたのか。また、区民ではない場合と他の特養入所者の場合は加点ゼロにした理由は何か。  さらに、介護度が高く、在宅介護等を多用している方など、自宅での介護の大変さを示す指標はあるのでしょうか。  介護者の状況を細かく設定していますが、意図は何か。また、本人の日常生活状況の把握は、これまで一次評価指標にはなかった項目ですが、追加された意図についてお伺いします。  次に、特養申し込みの有効期限を提出から2年としていますが、今回期限を決めた理由と、なぜ2年にしたのか、お伺いをします。  広く高齢者の介護を支える社会を目指すためには、こうした内容をケアマネジャーから当事者への説明に任せるだけではなく、利用者自身や家族、また、広く一般の区民に対しても御理解いただけるようにすべきと考えますが、今後の区民周知への工夫があればお伺いします。  次に、入居順位の決定は、日次処理または月次処理、どちらで行われるのでしょうか。  入居順位の決定後、申込書の有効期限を待たずに条件が変更になり、緊急を要するようになった場合に、提出し直しは可能か、また逆に、緊急を要することがなくなった場合に、申し込みを辞退する書類の提出義務はあるのか、お尋ねをいたします。  新たに申し込む方は新しい基準が適用になりますが、これまでの申込者への対応はどのようにするのでしょうか。  次に、今回の入所申し込みのしおりに添付されている区内外の特養での徘回、医療処置が必要な方の受け入れ状況を拝見しますと、大きくばらつきがあり、特養ごとに特色があることがわかります。人工透析や中心静脈栄養、気管切開に関しては、おおむね受け入れができない状況は一緒ですが、区内特養においては、それに加えて、経管栄養や在宅酸素が必要な方の受け入れには消極的である状況がうかがえます。これでは、たとえ区内の特養入居を望んでも入れない方も多いのではと推察します。今後は地域医療との連携が進み、医療処置が必要な方の受け入れをふやしていく方向性はあるのか、お尋ねをします。  また、こういった状況下では、区内施設と区外協力施設において、特養申込者の希望が特定の施設に集中する傾向があると考えますが、いかがでしょうか。あるとすれば、区はその理由をどのように分析しているのか、お尋ねをします。  次に、特養の申し込みのしおりには、区内施設、区外協力施設以外に、独自に申し込みができる特養ホームの案内がありますが、ホームページを参照してくださいとのみアナウンスされており、情報を得る手段が限られていると感じます。もっと広く知ってもらう工夫をしてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。  重要なのは、特養の申込者の実態をしっかり分析し、本当に必要な人の支援を行うことだと考えます。利用者の実態や多様なニーズに合った医療と福祉のマッチングなど、今後の区の施設整備のあり方について見解をお伺いいたします。  さきの決算特別委員会の資料請求では、介護保険サービス別、介護度別の利用状況の件数、金額の過去5年間の推移に関しての資料もいただき、どのサービスの需要が伸びているか等を把握することができました。これによると、在宅介護を支える訪問介護の実数は8万7,925人から8万9,153人と、1.4%増で微増、これに対して訪問看護数は2万4,783人から3万3,321人と、34.5%と大きくふえ、伸び率を比べれば、今後は訪問看護の需要がふえていくと予測されるなど、さまざまなことが見えてきます。  国においては、来年度は6年に1度の医療の診療報酬と介護報酬の同時改定の年に当たるとともに、医療介護総合確保方針等、医療と介護にかかわる関連制度の一体改革にとって大きな節目であり、それを目前にした今年度は、医療及び介護サービスの提供体制の確保に向け、さまざまな視点からの検討が重要となる年です。当区においても、区民の生活を足元で支える基礎自治体の使命として、まずは現状把握をしっかりとすること、そして一歩先を見据えた支援のあり方の議論の成熟を図ることを要望しまして、次の質問に移ります。  学校図書館についての取り組みをお伺いします。  杉並区子ども読書活動推進計画においては、学校図書館図書標準100%を達成した学校の割合は、平成29年度の目標を小学校、中学校ともに80%としていますが、現在の状況はどのようになっているのか、お尋ねします。  また、この目標達成に向けて、区としてどのような取り組みを行っているのでしょうか。100%達成も大切ではありますが、図書資料の蔵書内容の充実も重要と考えます。学校ではどのような取り組みを行ってきたのか、お尋ねをいたします。  本年3月、文部科学省は、学校図書館図書整備等5か年計画を取りまとめ、図書標準の達成を目指すとともに、計画的な図書の更新、学校図書館への新聞配備と学校司書の配置拡充を図るための地方財政措置について取りまとめをしました。  背景として、各学校で新聞を活用した学習を行うための環境が十分には整備されていない現状を踏まえ、平成27年6月の公職選挙法等の改正による選挙権年齢の18歳以上への引き下げ等に伴い、児童生徒が現実社会の諸課題を多面的に考察し、公正に判断する力をつけることが一層重要になっており、発達段階に応じた学校図書館への新聞の複数紙配備が必要であるとしています。当区では財政措置は受けないものの、今回の措置において、新聞の配備が小学校においては1紙、中学校では2紙という目標が示されたことを念頭に置くべきと考えます。  新聞各社には伝え方に特徴があり、複数紙をそろえることによって、児童生徒が多様な知識や情報に接することができ、みずからが情報を取捨選択しながら自分なりの考えを形成していくといった教育に生かすという視点を重視していくことも必要であると考えます。  同じ事柄であっても、新聞社ごとに伝え方には違いがあります。例えば先週の5月24日の朝刊には、組織的犯罪処罰法改正案の衆院本会議での可決に関してのニュースが、各紙の1面に掲載されました。見出しを挙げますと、朝日新聞では、「『共謀罪』衆院通過 自公維賛成、参院へ 29日審議入り 会期内成立厳しく」と伝え、副題として、「『何が罪に』不明確なまま」と疑問を呈しています。これに対して読売新聞では、「テロ準備罪衆院通過 自公維賛成 今国会で成立へ」とし、副題としては、「野党抵抗 与党会期延長も視野」に加え、「不安あおらず冷静な議論を」とし、野党の動きに対して、あおるという表現をつけ加えています。また、日本経済新聞では、トップニュースではなく、1面のやや端に、「『共謀罪』法案が衆院通過 29日にも参院審議入り」と事実のみを伝えています。同じ国会での出来事を伝えてはいるものの、共謀かテロ準備か、文言が違う上に、世論の一部に対して見解を大きく示すなど、法案の捉え方によって紙面構成が違い、見出しの言葉も違います。  一口に新聞といっても、どの新聞を読むかによって受ける影響は違うと考えます。教育の現場においては、その違いを知り、みずからの考えを培う力をつけることが目的なのだろうと考えますが、当区での認識も同じであることを望みながら質問をいたします。  図書資料に関連して、調べ学習には、図書資料の蔵書内容の充実及び新聞も活用すべきと考えますが、学校の活用状況はどのようになっているでしょうか。  また、さらなる新聞活用に向けた取り組みについて、教育委員会の見解をお伺いします。  当区においても、全国的な取り組みを確認しながら、子供の教育に資する環境を整えていく視点をより一層持っていただけるよう要望いたしまして、次の質問をいたします。  次に、グリーンインフラについてお尋ねをいたします。  去る4月26日の日本経済新聞に、「都市緑化で浸水被害減 神田川上流、効果100億円」という見出しの記事がありました。日本政策投資銀行などが、神田川上流域の豪雨を想定したシミュレーションで、緑化を進めた場合に、浸水する建物が減少し、100億円を超える効果が得られる試算をまとめたとのことです。大型下水設備など従来の社会インフラは老朽化が進むため、財政に与える影響が心配される中、いわゆるグリーンインフラとする都市緑化への投資を自治体に提言するとしています。神田川上流域の自治体とは、イコール杉並区のことで、本文には、シミュレーション対象は杉並区の神田川上流域約23平方キロメートルとあり、細かな試算がされています。  当議会でも、浸水被害を低減させるためには、被害が想定される住宅の建て方を工夫することで効果が出るのではないかといった議論がありましたが、今回のように広範囲での取り組みの効果額を示されると、格段にインパクトは大きいと感じました。  さて、この記事の中にあるグリーンインフラとは、米国で発案された社会資本の整備手法であり、自然環境が有する機能を社会におけるさまざまな問題解決に活用しようとする考え方です。日本においては、平成27年度に閣議決定された国土形成計画、第4次社会資本整備重点計画の中にあり、国土の適切な管理、安全・安心で持続可能な国土、人口減少、高齢化社会等に対応した持続可能な地域社会の形成といった課題への対応の1つとして、取り組みを推進していくことが盛り込まれました。  それを受けて、国土交通省総合政策局環境政策課では調査を行い、実は新たな考え方であり概念ではあるものの、既にグリーンインフラの要素をおおむね兼ね備えた取り組みがあるとの結果を得たとのことです。  翻って当区の取り組みを眺めてみても、緑地の整備には力を入れ、その恩恵を生活に生かすためにさまざまな工夫をしているところです。  そこで、確認のため質問をいたしますが、例えば国土交通省の調査結果に事例として挙げられている浸水被害を軽減するための取り組みとしてはどのようなものがあるのか、お伺いします。  また、昨年度取りまとめられた玉川上水・放射5号線周辺地区地区計画の中には、既にこのグリーンインフラの概念が盛り込まれていると考えています。既存の住宅街を今後の変化に合わせて新たに生まれ変わらせるための地区計画の策定に当たっては、将来を見据えた課題解決が図られていくようなものにすべきと考え、本地区計画においては、地域の緑化の推進、住宅の建て詰まりの防止により、ひいては省エネのまち、低炭素のまちを標榜できる内容となっていると考えていますが、当区の見解をお伺いします。  戦後の高度経済成長期を経て、日本のインフラ整備は着々と進んできました。まさしくその真っただ中に生まれ育った私の世代は、目に見える形でインフラが整備され、利便性が高まっていくことを体感してまいりました。そして、順次更新期を迎える今、既存のものを全てそのまま建てかえをしていくことがこれからの需要に応えるものでは決してなく、また財政的にも困難であるということを、さまざまな生活の場面からも感じるようになってまいりました。  今回質問で取り上げたグリーンインフラという概念はまだ日本では定着をしていませんが、人工構造物をつくることばかりに腐心してきたインフラ整備とは対照的に、自然環境が持つ力を活用することで代替していくという、この動きの潮流をしっかりと捉え、積極的に調査研究を進め、当区で先駆けて実践をしていくことによって、次世代にできる限りの負担を残すことなく安全・安心なまちをつくっていけると考え、当区での今後の力強い取り組みを要望いたしまして、私の質問を終わります。 ○議長(富本卓議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。       〔区長(田中 良)登壇〕 ◎区長(田中良) 私からは、山本あけみ議員の高齢者介護施設に関する御質問のうち、利用者の実態や多様なニーズに沿った今後の施設整備に関するお尋ねにお答えをいたします。  御指摘のとおり、超高齢社会が進展する中、介護施設を必要とする高齢者の実態はさまざまでございまして、幅広いニーズにきめ細かく対応していくことが重要であると考えております。そうした考えから、医療的ケアを必要とする方やみとりを希望する方へ対応するために、平成33年度の開設を目指して、天沼3丁目に特養を整備していくほか、多様な住まい方の選択肢を広げる観点から、自然豊かな南伊豆町に、自治体間連携によります区域外特養を来年1月開設に向けて整備をしております。  今後の整備に向けましては、入所希望者や御家族の心配事、御希望などを把握するために、今年度、実態調査を行うよう私から指示をいたしております。この調査によりまして、標準的な仕様に加えて、どんな機能を付加する必要があるのか、住まう場所をどこに望まれているのかなど細かく分析をして、今後の整備内容に生かしていく考えであります。このほか、施設運営事業者などからも幅広く意見をいただきながら、区民の皆様が真に安心して心豊かに高齢期を過ごすことができるよう知恵を絞っていく所存でございます。  私からは以上です。残りの御質問につきましては、関係部長より御答弁申し上げます。 ○議長(富本卓議員) 高齢者担当部長。       〔高齢者担当部長(田中 哲)登壇〕 ◎高齢者担当部長(田中哲) 私からは、高齢者介護施設に関する残りの御質問にお答えいたします。  まず、待機者という呼び方に関する御質問ですが、介護保険制度以前の措置時代の呼び方でございます。現在の特養の入所に際しては、措置から契約へ移行し、正確には、待機者から入所希望者に呼び方が変わっております。  次に、特養入所希望者の現状把握の進捗状況ですが、これまでも、「入所申込みのしおり」に日常生活状況の項目を加え、介護者の状況の項目を細かくするなどの変更を行い、申込書による入所希望者の状況把握に努めてまいりました。  さらに、今年度は新たに検討組織を立ち上げ、実態調査の実施に向け、入所希望者の状況や御家族のニーズなどを把握するために、調査内容の検討を始めます。こうした調査の分析結果につきましては、今後の施設整備計画や第7期介護保険事業計画に反映をしてまいります。  次に、入所判定基準の変更についての御質問にお答えいたします。
     特養は、法改正により平成27年4月から、要介護3以上の中・重度の要介護者を支える施設になりました。こうしたことを踏まえ、区におきましても、入所が必要な事情を一層きめ細かく把握し、より優先度が高い人が入所できるように、入所判定基準を見直すことにいたしました。見直しの検討に際しては、評価案を検討の各段階で特養側の代表と協議し、昨年の8月には、全ての特養と入所判定基準について協議や意見集約を行い、第一次評価の点数配分や項目の考え方を整理した上で、新評価基準を作成いたしました。  次に、第一次評価項目の一連の御質問にお答えいたします。  まず、待機場所の点数配分は、常に見守りがあるかを基準に判断をしております。  次に、区民優先とするため、区民でない場合等はポイントに差を設けました。  また、小規模多機能型居宅介護の利用者は、待機場所を在宅と位置づけ、ポイントを高くしてございます。  次に、介護者の状況に関しては、さまざまな同居家族の実情を今まで以上に把握するため、さらに細かく第一次評価項目を設定いたしました。  続いて、本人の日常生活の状況を新たに設けた理由ですが、要介護度が低くても、認知症などにより在宅生活、在宅介護が難しいケースが多くなっているため、今回追加をしたものでございます。  また、有効期限については、入所を希望している中でさまざま状況等に変化があっても、変更の届け出が提出されない現状があります。期限は設けましたが、これまでと同様に、状況が変われば、随時変更の届け出を提出していただいております。それ以外の事情の変更による更新は2年程度が妥当と考えました。  なお、区民周知については、内容を整理し、記入上の注意点や、特養に入所できるまでの案内などを別紙として作成するなど、さらに見やすくわかりやすいしおりの作成に努めてまいります。  次に、入居順位の決定に関する御質問にお答えいたします。  入居順位は、月次処理で行う区の第一次評価を踏まえ、各施設が第二次評価を行い、原則2カ月に1回開催する入所検討委員会において、優先度が高い方から順位を決めていきます。  また、緊急を要する場合や、以前の申し込み内容と状況が変わった場合は、随時変更の申し込みは受け付けております。辞退する場合は、原則取り下げ届を提出していただいております。  次に、新しい基準設定前の申込者への対応のお尋ねですが、平成29年2月に、初めての2年更新者と同時に、旧書式で申し込みされている全ての方に対し通知をし、入所希望を継続される方には、新書式で提出していただいております。提出されたものは全て新基準で評価し直し、新しい優先度を通知しております。  次に、徘回、医療処置が必要な方の受け入れ状況のお尋ねにお答えします。  特養における医療処置は、在宅酸素やペースメーカーのように、1度設置すれば特別なケアを必要としないものもあれば、人工透析のように、専門の設備と医療関係者が必要なものなど、その施設の設備や人員等に大きく左右されます。医療的ケアを必要とする入所希望者のニーズは増加傾向が見込まれますので、施設側や医師会を通じた医療機関との話し合いなどを通し、受け入れをふやしていく方向で検討していきたいと思ってございます。  次に、入所希望の集中に関する御質問にお答えします。  入所希望の傾向としては、区内施設におきましては、できるだけ早く入所できる定員数の多い施設、急病時の対応が迅速にできる病院が近接している施設、利用料が安い従来型の施設といった施設に申し込みの希望が集中してございます。区外協力施設においても同様の傾向がございます。  私からの最後に、独自に申し込みができる特養の案内に関する御質問にお答えします。  区内施設や区外協力施設以外の特養への入所を希望される方には、情報の豊富な東京都のホームページを案内するとともに、窓口で施設一覧を配布し、御案内ができるよう準備をしております。今後も窓口で、毎月更新されるホームページ情報等を入手しつつ、必要な情報を提供していきたく思ってございます。  私からは以上です。 ○議長(富本卓議員) 土木担当部長。       〔土木担当部長(吉野 稔)登壇〕 ◎土木担当部長(吉野稔) 私からは、グリーンインフラにつながる、浸水被害を軽減する取り組みについての御質問にお答えいたします。  区では、水害に強いまちづくりのため、また地下水の涵養など自然環境の保全のため、雨水の流出抑制対策に取り組んでいます。道路や公園、学校などの公共施設で透水性舗装や雨水の浸透・貯留施設の整備を積極的に進めるとともに、民間施設へも浸透ますの設置をお願いしています。東京都豪雨対策基本方針に示す時間10ミリの降雨相当分となる58万8,000立方メートルを目標としており、平成27年度末で約50%の達成率となってございます。  また、樹林地や緑地では雨水が地中に浸透しやすく、緑化を進めることも治水対策につながります。区では新たな公園の整備や屋敷林、農地などの保全に取り組むとともに、民間の建物についても、新築や建てかえの際に一定の緑地面積の確保を指導するなど、緑化の推進に取り組んでいるところでございます。  私からは以上でございます。 ○議長(富本卓議員) まちづくり担当部長。       〔まちづくり担当部長(松平健輔)登壇〕 ◎まちづくり担当部長(松平健輔) 私からは、玉川上水・放射5号線周辺地区地区計画についてのお尋ねにお答えいたします。  本年3月に決定した玉川上水・放射5号線周辺地区地区計画は、玉川上水の緑と景観などを生かしつつ、沿道の緑化や大規模敷地における環境緑地の創出を誘導することなどにより、新たな道路環境や地域の課題に対応した一体的、総合的なまちづくりを進めるものでございます。これは、地域の自然環境が有する機能をまちづくりの課題解決に活用する取り組みでございまして、御指摘のグリーンインフラの趣旨にも合致するものと考えてございます。  私からは以上でございます。 ○議長(富本卓議員) 教育企画担当部長。       〔教育企画担当部長(白石高士)登壇〕 ◎教育企画担当部長(白石高士) 私からは、学校図書館に関する一連の御質問にお答えします。  まず、学校図書館図書標準100%を達成した学校の割合は、小学校では平成26年度の59.5%が平成28年度は70.7%に、また中学校では同じく43.5%が60.9%になり、それぞれ上昇してきております。これは、平成27年度に新たに実施した学校図書館活用実践事業等による成果と受けとめており、引き続き平成29年度目標の達成に鋭意取り組んでまいります。  次に、図書資料の充実に向けた取り組みですが、各学校では毎年度の予算による蔵書の購入のほか、区立図書館の団体貸し出しや学校図書館相互の貸し出しにより、学校司書と教員が調整の上、子供たちの調べ学習や読書活動に資する図書資料の充実を図っているところです。  また、新聞につきましては、小学校では記事の見比べや紙面構成の特徴をつかむ学習などで、また中学校では記事の論理展開や表現方法等を議論する学習などで活用しておりますが、これらの学習は他の図書資料やインターネットの情報を活用して行うこともできるため、新聞を購入していない小中学校も、全体の4分の1程度ございます。教育委員会といたしましては、御指摘の新聞の活用を含め、今後とも各学校の実情等に応じた取り組みを支援してまいります。  私からは以上でございます。 ○議長(富本卓議員) 以上で山本あけみ議員の一般質問を終わります。  ここで午後1時まで休憩いたします。                               午前11時47分休憩                                   午後1時開議 ○副議長(北明範議員) 議長の職務を代行いたします。  休憩前に引き続き会議を開きます。  15番中村康弘議員。       〔15番(中村康弘議員)登壇〕 ◆15番(中村康弘議員) 杉並区議会公明党の一員として、地域包括ケアシステムについて質問いたします。  改めて、地域包括ケアシステムとは、住まい、医療、介護、予防、生活支援の一体的なサービスの提供により高齢者の地域での生活を支える体制であり、おおむね中学校区での日常生活圏域、つまりケア24のエリア単位で構築していくというものです。またそれは、フォーマルなサービスとともに、インフォーマルな個人や団体の地域資源をネットワーク化していくことで実現するとしています。  本区における2025年に向けたシステム構築への取り組みは、調整・検討期間を含めて足かけ5年になりますが、まずは、これまでの取り組みに対する検証と現状認識、また顕在化してきた課題等について所見をお聞かせください。  私が指摘したいのは、システムの具体像の見える化とシステムの構築過程のマネジメントのあり方であります。本取り組みにおいて、従来からの区の高齢者施策や介護保険事業との違いは何か、医療機関や地域資源、ネットワーク化などについての具体的、定量的な情報は十分か、2025年までの具体的なロードマップ及び進行管理は関係者間で共有されているか、日常生活圏域ごとと区全体を単位とした進捗状況など、整理する点が幾つかあるのではないでしょうか。それぞれの地域で、何がどうなるのか、いつまでに何をなすべきなのか、システム構築の可視化を進めるとともに、関係者間においてその共有化を図るべきではないかと考えますが、区の所見を伺います。  また、区の役割として、地域単位と区全体という2つの視点からのロードマップの作成や進行管理などを行うマネジメントに、もっと重心を傾けるべきではと考えます。この点についても、区の考えをお聞かせください。  天沼3丁目に建設中の複合施設は、地域包括ケアの取り組みをバックアップするものとして、平成30年度に複合施設棟、33年度に特養棟が開設する予定です。複合施設棟内に設置予定の在宅医療・生活支援センターは、地域の在宅医療の推進と高度困難な事例への対応という2つの機能を備えた新たな枠組みの施設となります。  在宅医療の推進は、地域包括ケアシステムにおいて必要不可欠な要素であります。昨年7月に東京都が発表した地域医療構想では、本区を含む区西部医療圏において、2025年には、1日当たり2万2,000人近い在宅医療のニーズがあるとの推計値が示されました。しかし、これには区などの自治体単位の数値が示されていないため、杉並区における在宅医療の需要と供給の実態を把握することはできません。区は、東京都の地域医療構想から、区内の在宅医療の現在と将来の状況をどのように読み取っているのか、認識をお聞かせください。  先日、NHKのドキュメンタリー番組で紹介された横浜市の訪問診療所は、常勤の医師が6名、看護師やドライバー等を含めると、合計で50名以上のスタッフを擁し、国内でも最大規模とのことであり、この人員で1日に約40件の患者を訪問し、年間で約300人のみとりを行っているとのことであります。こうした実例も参考にした上で、区内の実態把握、地域の特性に合った運営や連携の仕組みづくり、また新規参入の誘引策の検討など、具体的な政策立案と計画化を進める必要があります。  区では、本年度、千葉県柏市と東京大学高齢社会総合研究機構との連携事業である、レセプト情報を利用した終末期医療・在宅医療の実態調査の手法を参考にしながら、区内の在宅医療に関する調査分析を行う予定です。改めて、この実態調査について、具体的な取り組み内容、さらには、得られた調査分析結果をどういう形で活用していくお考えか、所見を伺います。  また、在宅医療を推進する過程において、在宅医療・生活支援センターは具体的にどのような役割を担うことになるのでしょうか。さらに、平成33年度開設の特養棟内には、訪問診療を中心とした診療所や訪問看護ステーションのほか、ショートステイ、看護小規模多機能型居宅介護など、在宅介護を支援する施設を併設する考えも示されています。これらを含めた複合施設全体が完成した後の推進体制についてはどのように構想しているのか、あわせてお聞かせください。  区では、在宅医療推進連絡協議会や、7つのブロックごとの在宅医療地域ケア会議などを通して、関係者の顔の見える関係づくりや課題の共有など、医療と介護の連携推進にも取り組んでいます。在宅療養者のニーズに応じた多様なサービスや支援が1つのチームから提供されていると感じられる、利用者から見た一体感が重要であります。医療、介護の連携におけるこれまで進めてきた顔の見える関係づくりの後の展開についてはどのようにお考えか、お聞かせください。  関連して、自宅でのみとり支援について伺います。  昨年、厚生労働省が、平成26年の人口動態調査をもとに、市区町村別の在宅死率、自宅で死を迎える方々の割合の統計を公表しました。それによると、同年、杉並区民が死を迎えた場所は、自宅が17.7%、老人ホームが6.3%、病院が73%という推計結果でありました。一方、区が行っている高齢者実態調査では、全体でおおむね6割の方が、現在の住まいで介護サービスを受けながらできるだけ住み続けたいと回答しています。また、私ども区議会公明党が平成27年に区民約3,000人を対象に行ったアンケート調査の中で、終末期を迎えたい場所として自宅を希望する方の割合が58.5%との結果が見られました。しかし、実態は17.7%。希望と現実には大きな乖離があると言えるでしょう。  人生の総仕上げとなる最後の時間を、どこで誰とどのように過ごすのか、また病とどのように向き合いながら生を全うしていくのか、全ての人にとって避けて通れない人生最大の課題であり、また、それは個々人及び家族がそれぞれの人生観に基づいて選択していくものであると私は思います。みとり支援については、区としての具体的なものはまだ存在していないようですが、本人や家族が選択できる環境の整備や支援体制の充実の必要性は高いのではないでしょうか。区のみとり支援について、どういった視点での取り組みが重要と認識をしているのか、所見を伺います。  在宅医療・生活支援センターが担うもう一つの機能は、高度困難事例への対応です。これは、高齢者、障害者、経済的な困窮、未受診の精神疾患患者、あるいはサービスの拒否など、本人または世帯において異なる分野での複数の福祉的課題を抱えたり、制度の谷間で適切なサービスが受けられていなかったりする事例等を対象としたものと理解しています。  複合施設棟には、同センターのほかに、福祉事務所、成年後見センター、消費者センター、就労支援センター、社会福祉協議会、生活支援自立窓口等、生活支援や福祉全般にわたる施設、部署も同一の建物内に集約されることになります。全ての人が安心して自宅で暮らし続けられる、まさに全世代を対象とした地域包括支援の拠点となることが期待される中、物理的な集約化は大きな利点であると考えます。区はこうした複合施設棟の物理的な特色をどのように生かしていくお考えか、お聞かせください。  この取り組みの入り口とも言えるのが相談の受付業務であります。現在では、各地域のケア24、保健センター、福祉事務所、障害者地域相談支援センター「すまいる」のほか、区役所の各所管担当課などが、いわば区のフロントオフィスとして、福祉に関する区民からのさまざまな相談を受け付けています。私は、これらフロントオフィスと在宅医療・生活支援センターとの役割分担や全体を通した業務フローなどを体系化し、その上で、複合的な課題に対する適切なアセスメント、支援のコーディネート、さらには関係機関との調整といった一貫したシステムとすることで、センターの効果的な運営が可能になると考えます。区役所全体の業務における同センターの位置づけ、また、センターの開設に伴う相談受付業務の見直し、再構築について、区の考えをお聞かせください。  また、入り口に対して、出口は課題の解決であります。困難な事例には、背景や要因が複合化して解きほぐしが困難なケース、当事者に解決に向けた意欲や意識がなく困難になっているケース、地域や社会から孤立し解決策が見出せないケースなど、困難となる要因は幾つか考えられます。また、解決に至るまで5年、10年、あるいはもっと長い期間を要する、または既に要している場合も少なくないと考えられます。センターにおける困難事例への対処に関して、どこを出口と設定するのか、またどの程度の期間での解決を目指すのか、その基本姿勢、原則について所見を伺います。  また、複合化、困難化した事例への対応は、自助・互助・共助・公助の枠組みを基礎としつつ、課題解決に向けての当事者のエンパワーメント、また、地域の身近な伴走者、支援者づくりが欠かせないと考えます。そして、何よりもセンターに求められるのは、解決能力にすぐれた強いチームとして、区民の皆様から頼りにされる存在になることだと思います。そういう意味から、担当職員の一定数の確保とあわせて、専門職の国家資格である精神保健福祉士など職員の質の確保も重要です。センターの人員体制について、現段階における区の考えをお聞かせください。  高齢になっても健康で自立した生活を送ることは誰もが望んでおり、地域包括ケアシステムにおいても核となる要素であります。ここからは健康寿命の延伸について伺ってまいります。  区は、生涯にわたって健やかに生き生きと暮らせる健康長寿の地域社会を目指し、健康づくり推進条例を制定しました。そして、65歳健康寿命の延伸に具体的な数値目標を設定して、さまざまな施策を実施しています。平均寿命が東京都で男女とも1位である杉並区が健康寿命延伸の取り組みを充実させる必要性については、私もこれまでたびたび訴えてまいりました。老化現象は身体内で起こる進行性の現象であり、誰人も避けられないものであります。しかし、それは画一的に生じるものではなく、個人差が非常に大きいとされています。  議長、ここで資料の提示の許可をお願いいたします。 ○副議長(北明範議員) 許可します。 ◆15番(中村康弘議員) このグラフは、東京大学高齢社会総合研究機構特任教授である秋山弘子氏が、全国から無作為に抽出した約6,000名の高齢者の生活を20年にわたりパネル調査を行い、高齢者の日常生活の自立度を指すADLの低下をパターン化したものであります。縦軸が自立度、横軸が年齢をあらわしています。上のグラフは男性、下のグラフは女性です。男性は3つの、女性は2つのパターンに分かれるそうであります。  この図における赤い線、男性の19%、女性の12%が、60歳を過ぎたころに急速に自立度が低下し、重い要介護の状態になってしまいます。この集団には進行の早いがんなども含まれ、メタボリックシンドロームを背景とした脳、心臓、血管にかかわる疾患の発症が関係している可能性が高いとされています。一方、青い線、男性の70%、女性の88%が75歳ごろを境に自立度が低下しています。これらは虚弱化と言われており、ロコモティブシンドロームや加齢による筋肉の減少、いわゆるサルコペニア、また認知症などにより、個々に自立度が低下していく可能性を多く含んでいるとされています。  健康寿命を延ばすには、こうしたADL低下の傾向性を加味した上で、効果的な疾病予防と虚弱予防に注力する必要があります。区の所見を伺います。  本年度より、区は、高齢者の健康づくりにおいて、フレイル予防という新たな概念を掲げました。フレイルとは虚弱を意味する言葉で、健康な状態から要介護状態に至るまでの中間的な状態を指します。そして、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題(フィジカルフレイル)、認知機能障害や鬱病などの精神・心理的問題(メンタルフレイル)、独居や経済的困窮などの社会的問題(ソーシャルフレイル)の、3つが相互に絡み合って発生するという概念です。  区は、フレイル予防の1つとして、今年度より口腔機能チェック事業を開始し、高齢者の歯と口腔の健康状態を保つことで、食事を通した栄養補給による体の健康保持を促進するとしています。大変有意義な取り組みであると思います。ただ、一方で、ただいま述べたとおり、フレイル予防は多面的であります。区が従前より実施している高齢者の健康増進策や社会参画を促す取り組みなどの既定事業の多くも、フレイル予防につながるものと考えます。このたび区は、フレイル予防という新たな概念を打ち出したことを受け、関連する事業をどのように体系化し展開していくお考えなのか、お聞かせ願います。  先日、信州大学大学院の能勢博教授が考案したインターバル速歩という、速歩き3分、ゆっくり歩き3分を交互に繰り返すウオーキング法についてお話を伺い、また、その運動法を取り入れた健康事業を行っているNPOの活動を視察させていただきました。専用に開発された計測器により個人の最大体力を測定し、その70%以上の負荷で1日30分以上、週4日以上のウオーキングを実施することで、6カ月で体力が10%向上、生活習慣病の症例も10から20%改善するという効果が実証されています。エビデンスに基づく政策の実践が求められている今日、区で行っているウオーキングや介護予防といった多様な健康づくりの方法についても、本人の行動変容や健康状態の把握、そして課題解決についての検証を行い、より効果的、効率的な方法の導入を積極的に進めていただきたいと考えます。所見を伺います。  最後に、住まいの確保について伺います。  住みなれた地域で長きにわたってその人らしく暮らし続けていくことができるエイジング・イン・プレイス、地域居住は、地域包括ケアシステムの前提となる概念であります。区では昨年11月、居住支援協議会を立ち上げ、区役所の都市整備部と保健福祉部、住宅・不動産の業界団体、さらにNPOと社会福祉協議会が参画、協働して、高齢者や障害者などの住宅確保要配慮者に対して居住支援を行う体制を新たに構築しました。この協議会では、不動産連携と空き家等利活用の2つの専門部会を設け、それぞれのテーマに沿った具体的な対策を検討しています。先日、協議会の会議を傍聴させていただきましたが、既に家賃等債務保証制度の充実策や空き家利活用モデル事業が立ち上げられるなど、大変素早い展開が印象的でありました。本年度、居住支援協議会の活動が本格化するにつれて、住みやすい地域づくりが一層進むことに大いに期待したいと思います。最後に居住支援協議会の今後の活動予定を伺って、私の質問を終わります。  ありがとうございました。 ○副議長(北明範議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。       〔区長(田中 良)登壇〕 ◎区長(田中良) 私からは、中村康弘議員の御質問のうち、在宅医療に関するお尋ねに対しまして御答弁申し上げます。  私の知人に、80歳を過ぎた母親が突然病に倒れまして、1カ月半の入院後、治療方法がないということから、自宅でみとることを選択した方がいました。退院前に、地域の医師、看護師、また介護職等と話し合いを行いまして、自宅での準備を整えて母親を迎え入れて、退院後2週間ほどで他界をされましたが、もしこのまま介護が続く状況であったならば、退職も視野に入れていたとのことでございます。  こうした話を聞きますと、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けまして、自宅で最期を迎えることを希望する方のために在宅医療を支える体制をどう整備していくかということは、行政の喫緊の課題であると感じております。  都が示しました在宅医療の推計によりますと、杉並区を含む区西部医療圏で在宅医療を受ける人は、2013年の約1万人から、2025年には2万2,000人と、約2倍増加するとされております。区としましても、より詳細な在宅医療の実態を把握しまして対策を講ずる必要があるために、現在、レセプト情報などを利用しました在宅医療の実態調査の準備に着手をするとともに、在宅医療・生活支援センターの設置準備を進めているところでございます。  この在宅医療・生活支援センターの在宅医療に関する主な役割といたしましては、在宅医療に関する区民の相談支援や普及啓発、調査分析並びに医療・介護関係者向けの研修の企画、開催といったようなことが挙げられます。こうした取り組みを、区内の医療機関や介護事業者などと連携しながら進めていくということで、高齢者を初め、障害者や子供、がん患者など、在宅医療が必要な方及びそれを支える家族の方々のニーズに的確に対応して、在宅医療体制の基盤を着実に整備してまいりたいと思います。  そして、平成33年に開設予定の特養棟でございますが、ショートステイを初め、診療所や訪問看護ステーションなど、区民の在宅療養を支える施設を整備することとなります。在宅医療・生活支援センターが核となりまして、こうした施設と密に連携をして、医療・介護関係者とのネットワークをさらに強固なものにしていくということで、地域での在宅医療提供体制の拡充に向けまして体制を整備していきたいと考えております。  あわせて、特養棟開設の前後には、さきに述べました実態調査の分析結果が明らかになるだろうと思いますが、例えば、疾患や要介護度別あるいは入院前後の居場所や在宅医療・介護サービスの利用状況の比較などから、その地域偏在や資源不足が把握できるものだと考えております。将来的には、これらのデータを活用いたしまして、在宅医療・生活支援センターにおきましてさらなる分析を進めて、効果的な施策の立案につなげて、冒頭の知人のように、希望どおりに最期を迎えたいといった高齢者や障害者、子供やその家族の在宅生活を支えていくということで、全ての区民が住みなれた地域や希望する場所で安心して暮らす社会の実現を目指してまいりたいと考えております。  私からは以上です。残りの御質問につきましては、関係部長より御答弁申し上げます。 ○副議長(北明範議員) 高齢者担当部長。       〔高齢者担当部長(田中 哲)登壇〕 ◎高齢者担当部長(田中哲) 私からは、地域包括ケアシステム構築のこれまでの取り組みなどに関する御質問にお答えします。  区では、平成25年、26年度の地域包括ケアシステム構築に向けたモデル事業を経て、27年度から、全ての地域包括支援センター(ケア24)に地域包括ケア推進員を配置するなど、地域包括ケアの推進に取り組んでまいりました。こうした取り組みにより、医療、介護の連携強化や認知症の早期対応の仕組みづくりなどにおいて、顔の見える関係づくりや地域の人材資源の発掘、連携といった地域包括ケアシステムの構築に向けた基礎づくりが進んできたものと捉えてございます。  一方、地域の中には、孤立したまま必要な支援がおくれるといった事例もございます。そうしたことからも、認知症などで生活に支障がある高齢者に周囲がいち早く気づき、必要な支援につなげていく見守り体制や支え合いの地域づくりをより一層進めていくことが課題であると認識してございます。  次に、地域包括ケアシステム構築の可視化や区の役割に関する御質問にお答えします。  御指摘のように、地域包括ケアシステム構築に向けた取り組みを可視化していくことは大変重要で、関係者間の共通認識のもとに進めていくべきものと考えております。そのため区では、在宅医療、認知症対策、生活支援体制整備という取り組みの3本柱について、2025年のあるべき姿をそれぞれ、在宅でみとりができる医療体制が構築されている、認知症になっても支援によりその人らしい尊厳ある生活ができる、1人でも安心して暮らせると設定したロードマップを作成しており、これに基づき、区として事業方針を定め、各ケア24においても3年間の事業計画を作成し、取り組みを進めております。今年度は基礎づくり期の最終年度であり、次の発展期につなぐために具体的な取り組みを進めていきたいと考えております。  また、進行管理につきましては、毎月各ケア24から報告書の提出を受けるとともに、隔月開催の連絡会において、地域包括ケア推進員と区の担当者との間で、振り返りや確認、意見交換、課題整理等を行っております。  区は、そうしたケア24単位の進捗状況を把握するとともに、広域的な視点を持ったマネジメントの役割を担い、在宅医療体制の充実や介護との連携の強化促進を初め、在宅生活の安心につながるよう、地域包括ケアシステムの構築を着実に進めていきたいと思ってございます。  私からは以上です。 ○副議長(北明範議員) 杉並保健所長
          〔杉並保健所長(向山晴子)登壇〕 ◎杉並保健所長(向山晴子) まず、医療・介護関係者間の顔の見える関係づくりの今後の展開についてのお尋ねがございました。  区は、平成27年度より、在宅医療地域ケア会議や多職種研修などを通し、医療・介護関係者の情報の共有や信頼関係の醸成などに努めてまいりました。今後は、在宅医療・生活支援センターが核となって、国の地域ケア会議運営マニュアルを踏まえ、関係者による地域の共通課題の発見や、その解決に向けた各機関の取り組みの充実を進めてまいります。  次に、区のみとり支援についてのお尋ねがございました。  近年、病院で亡くなる方が多く、自宅でのみとりはまれなこととなっております。このため、区では、区民向けフォーラムを開催し、講演や体験談を通じて、在宅医療やみとりに関する啓発を進めているところでございます。今年度のフォーラムでは、自分自身や家族の最期、みとりを考える機会として、明るい老い支度をテーマに取り上げ、取り組みを充実してまいります。  次に、健康寿命の延伸に関して、効果的な疾病予防と虚弱予防についてのお尋ねにお答えいたします。  高齢者の健康寿命と強く関連いたします日常生活動作能力、いわゆるADL低下の大きな要因は、議員が先ほどパネルでもお示しくださいましたように、糖尿病や高血圧などの生活習慣病に引き続いて起きます脳血管障害、虚血性心疾患やがんの罹患などが関連いたします。また、後期高齢者につきましては、加齢に伴う自立性の低下がございます。  このため、健康寿命の延伸に効果的に取り組んでいくためには、高齢者のライフステージに応じて、生活習慣病につながるメタボリックシンドローム対策に加えまして、自立性の低下につながってくるフレイルの予防を進めていくことが重要であると考えております。今後、従来からの健康づくり活動に加えまして、65歳以上を対象として実施をしております介護予防事業につきましても、その中でフレイル予防の考え方を織り込んだ取り組みを進めてまいります。  フレイル予防の実際の展開方法に関してのお尋ねについてお答えいたします。  フレイル予防には、しっかりかんで食べること、運動すること、楽しく社会参加をしていくこと、これが日常的にバランスよく実践されることが重要でございます。区民お一人お一人が自分に合った活動を選択し、継続していく必要があります。フレイル予防の取り組みには、医師会を初めといたしまして、区の集団給食研究会でございますとか、あるいは高齢者クラブなど、多くの団体の方が関心を寄せておられます。  区は、こういった区内の関係機関や団体と連携し、区民目線によるフレイル予防を展開することが可能でございます。今後は、保健所、保健センターで従来から実施をしています事業に加えて、地域のこうしたさまざまな団体と連携しながら、フレイル予防を進めてまいります。  私から最後のお答えになりますが、健康づくりにおける効果的な方法の導入についてのお尋ねにお答えいたします。  区では、更年期世代の女性や元気高齢者などを対象に、さまざまな健康づくりを進めております。その中では、ウオーキングや健康運動指導士による体操指導など、運動習慣の獲得や身体機能の維持を目指した取り組みを行っております。今後、これらの取り組みにつきましては、健康度の向上や身体機能の維持の検証を行うとともに、他で実施をしております先進的な事例を踏まえて、より効果的、効率的な方法で健康づくりに取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 ○副議長(北明範議員) 在宅医療・生活支援センター開設準備担当部長。       〔在宅医療・生活支援センター開設準備担当部長(習田由美子)登壇〕 ◎在宅医療・生活支援センター開設準備担当部長(習田由美子) 私からは、在宅医療・生活支援センターについてお答えいたします。  まず、複合施設棟にさまざまな施設が集約されるという物理的な特色の活用についての御質問にお答えいたします。  在宅医療・生活支援センターに困難事例に関する相談が寄せられた場合、センターでは、必要に応じて関係機関を招集し、支援について話し合い、支援に関する計画を作成することになります。その際に、複合施設棟内に主な関係機関が集約されているため、各種連絡や打ち合わせが効率よく実施できるだけでなく、日常的な連携により顔の見える関係がつくられているため、施設間の調整を円滑にできるものと考えております。こうした複合施設棟の物理的な利点を生かして、センターがその中核となって、施設間の連携を密に図ってまいります。  次に、区の相談受付業務における在宅医療・生活支援センターの位置づけ、相談受付業務の再構築についてお答えいたします。  困難事例については、地域の相談機関からの相談を受け、事例にかかわる関係機関を招集し、関係機関の役割の調整、支援に関する計画作成など解決までの進捗管理を、中心となって地域の相談機関の後方支援を行ってまいります。センターが対応することによって、事例にかかわる関係機関を制度横断的に招集し、さまざまな観点から支援を提案するため、これまで以上に支援の充実が図られます。また、センターが進捗管理を行うことで、計画的に支援が提供されます。さらに、センターに事例が蓄積され、事例研究や研修等を通じて関係機関に共有されることで、区全体の相談機関の質の向上も図られます。  続きまして、困難事例に対するセンターの基本姿勢、原則についてのお尋ねがございました。  議員御指摘のとおり、近年、区民の生活課題は複合化、複雑化しており、ケア24や保健センターを初めとする地域の相談機関だけでは、解決が困難な事例がふえております。このような困難な事例について、今後は、在宅医療・生活支援センターが一括して情報を収集し、その事例に関係するさまざまな機関と連携し、支援の方針や期間を定めた計画を決定し、その進捗管理を行います。また、必要時には関係機関と連携しながら支援対象者や周囲への直接的な対応を行うことで、地域の相談機関を強力にバックアップし、より適切かつ速やかな解決を図ってまいりたいと考えております。  私からは最後になりますが、高度困難事例に対応するセンターの人員体制についてお答えいたします。  現在、体制を固めるに当たり、業務内容の詳細や業務量に関する精査を進めております。業務の性質上、複合的な課題を有するケースに対応いたしますので、保健、医療、福祉など多角的な視点で状況を分析できる体制が必要であると認識しております。そのため、配置する職員につきましては、これまで高齢者や障害者などの困難事例の対応を経験してきた保健師やケースワーカー経験者などが望ましいと考えております。また、近年、精神障害に関する事例もふえていることから、精神保健福祉士の必要性を検討しているほか、ケースに応じて弁護士や医師等の専門職の活用も検討しております。今後、適切な人員体制についても検討してまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 ○副議長(北明範議員) 都市整備部長。       〔都市整備部長(渡辺幸一)登壇〕 ◎都市整備部長(渡辺幸一) 私からは、居住支援協議会に関する御質問にお答えいたします。  居住支援協議会につきましては、御指摘をいただきましたとおり、昨年11月の設立後、本部会のもとに不動産連携、空き家等利活用の2つの専門部会が設けられ、区、不動産関係団体、社会福祉協議会等の居住支援団体の間で活発な議論が行われてございます。  そのうち、不動産連携部会におきましては、高齢者等アパートあっせん事業の窓口の拡大や家賃等債務保証の拡充など、民間賃貸住宅への円滑な入居支援の具体策について検討が進んでございます。また、空き家等利活用専門部会におきましては、今後の住宅確保要配慮者に対する住宅確保策の有効な方策の1つとして、空き家等の利活用によるモデル事業の検討を行っており、8月には事業者の募集を開始する予定でございます。  今後は、こうした取り組みをさらに進めまして、住宅確保要配慮者の方にしっかりと寄り添いながら、関係者間の連携をさらに強化し、誰もが安心して住むことのできる住宅の確保に向けて取り組んでまいります。  以上でございます。 ○副議長(北明範議員) 以上で中村康弘議員の一般質問を終わります。  33番金子けんたろう議員。       〔33番(金子けんたろう議員)登壇〕 ◆33番(金子けんたろう議員) 日本共産党杉並区議団を代表して、4点について伺いたいと思います。  まず、首相の改憲発言に関連してです。  安倍首相は5月3日、憲法9条に自衛隊を明記する会見を行いました。2020年の施行を目指すと表明。憲法9条は日本国憲法の恒久平和主義の核心であり、改憲を目指す勢力は、その本丸としてきました。9条改憲に期限を区切って踏み込んだ発言は歴代首相でも初めてのものであり、極めて重大だというふうに考えています。この発言は、ただ単に自衛隊の存在を追認するだけにとどまらず、無制限に海外での武力行使に道を開くことになる重大な内容です。  2015年9月、集団的自衛権の行使を認めた安保法制が強行され、専守防衛を建前としてきた自衛隊の活動は、海外の戦闘地域での米軍支援や武器輸送、弾薬提供なども可能とするなど、大きく変容させられてきました。それでも安倍政権は、表向きは9条2項の制約の範囲だと言ってきました。首相は憲法9条に自衛隊をどう書くかは語っておりません。しかし、どう書くにせよ、1項、2項に加えて、例えば3項に自衛隊の存在理由を書くということになれば、3項に基づいて海外での武力行使に対する制約がなくなってしまう、2項は空文化せざるを得なくなると考えています。  自民党の改憲草案は、これまで戦力の保持を禁止した9条2項をなくすことで一貫していました。しかし、9日の参議院予算委員会でも首相は、1項、2項をそのまま、これはいわば自民党の今までの草案とは大きく違うわけであります、自民党の中では1項は残して2項を変えていこうということを前提に議論したわけでございますが、そこと大きく違うということについて考えてもらいたい、そうでなければ3分の2の発議は難しいし、ましてや国民の過半数をとることは難しいと、世論を意識した答弁をしています。  同様のことが、保守系議員と連携しつつ、議連、政策グループに対する政策アドバイスを行い、日本会議と関係のあるシンクタンクの日本政策研究センターの出版物にも書かれています。2項を削除し、自衛隊を世界の国々が保持している普通の軍隊として位置づけることが最もストレートな解決方法だが、70年間にわたって浸透してきた9条平和主義は根強い、だから、2項はそのままにして、9条に新たな3項を設け、第2項が保持しないと定める戦力は別のものであるとして、国際法に基づく自衛隊の存在を明記すると、安倍首相の答弁と同様のことが書かれており、要約すれば、自衛隊の明記は戦力の不保持と交戦権否認を定める2項を空文化させるということを断言しています。  実際、3項が加えられ自衛隊が明文化すれば、その活動に歯どめがきかなくなり、専守防衛が崩壊するのは目に見えています。専守防衛の志を持ち自衛隊に入った自衛隊員、あるいは災害救助・復旧のために頑張っている自衛隊員、こういう人たちを海外での殺し殺される戦場に送っていいのかどうかということが問われています。  憲法9条は、日本が行った侵略戦争と植民地支配によってアジアの人々と日本国民に甚大な犠牲をもたらしたことから、その痛切な反省をもとにつくられたものです。そして、9条の一番の命は2項です。2項の戦力不保持は日本国憲法にしかない世界の宝であり、それを空文化すれば、9条が9条でなくなってしまいます。  そこで伺います。安倍首相の9条改憲発言について区長はどのような見解をお持ちか、問います。  改憲について、改憲派集会と読売新聞のインタビューで表明し、国会では説明を拒否して、読売新聞を熟読してほしいと言い放つ首相の態度は無責任そのものです。また、あくまで自民党総裁としての発言であって、総理と総裁は別だというこの言いわけも、「首相インタビューのポイント」と読売新聞に書かれていることからも成り立ちません。何より重大なのは、安倍首相が憲法9条を変えることを時期まで決めて宣言したことです。日本国憲法99条は、国務大臣、国会議員その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を定めています。憲法99条の遵守義務があるにもかかわらず、改憲の発言を総理大臣が期限まで区切ってやる、これは憲法違反であります。2020年の東京オリンピックまで持ち出していますが、オリンピック憲章はスポーツの政治利用をしてはならないとしており、安倍首相の改憲発言はオリンピックの政治利用であり、憲章違反という点でも許されません。  区長はこれまで議会答弁で、憲法99条で国会議員など公職にある者の憲法遵守義務を定めていることが強調されたと、重要性について述べています。首相みずから憲法改正を公言していることは99条に違反するものと考えますが、区長はどう対応するのでしょうか、見解を問います。  憲法改定について、安倍首相は機は熟したと言っています。しかし、世論調査では、9条について、これを変えるべきではないという声が多くあります。NHKが4月に行った世論調査では、戦争の放棄を定めた9条については、「改正する必要があると思う」が25%、「する必要はないと思う」が57%、朝日新聞の5月の全国世論調査では、憲法改正を提案したことを評価するかとの質問に、「評価する」は35%、「評価しない」は47%でした。区長は、昨年の第1回定例会で、憲法改正について、国会や国民的な理解の深まりが何より大切と答弁しています。現状、国会や国民の理解が深まっていると考えているのか、見解を問います。  区長は憲法を擁護する姿勢であると他の会派からも評価されていますが、一方で、この間、我が党区議団の憲法に対する質問には答弁に立たず、真摯な姿勢が全く見えません。  そこで伺います。区長は、自治体と国の対等なあり方について問われた際、言うべきことは言うなど対等協力の関係に立ってとの姿勢を示しています。憲法擁護の区長であるならば、首相の改憲発言について、公務員は憲法を遵守すべきと言うべきですが、見解を求めます。  憲法にかかわって今切実に求められていることは、世界に誇るべき9条を初め、日本国民が大切に育んできた憲法の平和、人権、民主主義の原理原則を守り、私たちの住む社会と政治に一層深く定着させることであります。そのため、私たちは皆さんとともに力を尽くすことを述べ、次の質問に移ります。  次に、東京五輪の費用負担についてであります。  小池都知事は、今月11日、安倍首相と会談し、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の都内、都外の仮設施設の整備費について、都が全額負担する意向を表明しました。きょう31日にも、関係自治体を交えて、都、組織委員会、政府と会談すると報道されていますが、現時点でわかっている範囲での状況から質問いたします。  11日の表明では、組織委員会負担を除く仮設費用の総額2,000億円を都が負担することになります。既に都負担が確定している都立競技施設整備や用地購入、新国立競技場の整備、さらに選手村の基盤整備など、費用負担は3,000億円を超えており、合わせれば施設整備の都負担は5,000億円を超えてしまいます。さらに、今回の表明では、役割分担が未定の大会運営費4,100億円などについて、都が負担を負わないという表明も確認もありません。開催都市の責任を理由にすれば、この大部分も都が背負うことになりかねない。大問題です。到底都民の理解を得られるものではありません。また、議会にも事前報告がない点についても問題であります。東京五輪における都外施設も都が負担するといった都の費用負担について、区の認識を問います。  日本共産党は、都知事が2月の施政方針演説で、都外を含め、仮設整備費の都負担の検討を指示したと述べたことに対し、他県の負担を避けることは当然ですが、組織委員会にも本来の責任を果たさせるとともに、国にこそ負担を求めるべきだと提案いたしました。これに対し都知事は、国が自治体への支援など果たすべき役割は極めて大きいと答弁するとともに、都民の皆様の負担をできる限り軽減し、都民施策に影響を及ぼさないよう検討すると答弁しました。にもかかわらず、今回、答弁を覆すような負担表明を突然行ったことは納得できません。都の費用負担が増大すれば、杉並区を含む都下の自治体にも、財政負担ないし住民サービス、福祉の後退を招く可能性が高まります。区の見解はどうか。  2011年12月、野田政権時代に行った東京招致を目指す2020年の第32回オリンピック競技大会及び第16回パラリンピック競技大会に関しての閣議了解の決定文書においては、五輪の運営費については組織委員会が賄うと縛っています。また、立候補ファイルでは、組織委員会が赤字になった場合は東京都が支払うと書かれており、都が出せないのであれば国が支払うこととなっています。  そもそも五輪経費の役割分担問題につては、全体経費が最大1兆8,000億円と発表された後も、施設や事業ごとの金額、積算の根拠、検討状況など情報の公開が一切されないまま、国、都、組織委員会の協議が続いています。私たちの税金にかかわる問題を密室で決め、都民に押しつけることは許されません。直ちにその詳細を明らかにし、何よりも削減の努力を優先させるべきです。  また、国が東京都の開催都市としての責任を殊さら強調し、みずからの負担を回避し続けることも問題です。国は、本来国が負担すべき新国立競技場整備費のうち448億円を都に押しつけるなど、最低限の責任すら果たしていません。赤字の場合の財政保証の順番が東京の次であることは、大会経費への国の支出を妨げるものではありません。五輪を初めとする国際大会の資金の確保に国が特別の措置を講ずるとしているスポーツ基本法第27条の立場に立ち、財政面でも開催国としての責任を果たすべきです。  杉並区として、都知事の発言は都民の理解を得られるものではなく、撤回し再検討を求めること、また、五輪開催国として財政面での責任を果たすことを国に強く求めるとともに、企業等の協力を求めるなど多様な収入の確保の努力を強化するなど、都に意見していくことが必要ではないでしょうか、区の見解を求めます。  次に、都営住宅の建てかえについて伺います。  先日、都営久我山アパートの建てかえに関する説明会が行われました。都の説明の中には杉並区にかかわることもあったようですが、区議会には事前の報告がありませんでしたので、何点か確認いたします。  都営久我山一丁目第2団地の建てかえに関する都の説明会において、用途未定地の活用を杉並区が検討しているとの説明があったそうですが、区の認識はいかがでしょうか。また、区としての活用を検討し、都に求めたのでしょうか。具体的な活用方法についても伺います。  東京では、家賃面での賃貸住宅事情が大変深刻です。立地環境などにもよりますが、収入が低い人でも住めるところは圧倒的に少ないのが現状です。そうした中で人気なのが都営住宅などの公営住宅です。しかし、戸数が限られ、入居は至難のわざであります。昨年の都市環境委員会でも、公営住宅に申し込んでも倍率が高く、入居が困難であることを浮き彫りにする区の答弁もありました。住宅問題は深刻で、都営住宅の新規建設が十数年にわたって行われておらず、単身者は入居がさらに困難となっています。建てかえ前と建てかえ後の入居枠について、入居枠が減らされることのないよう都に対して求めるべきと考えますが、区の見解はどうか。  次に、取り壊し予定の都営住宅について確認いたします。都営桃井二丁目アパートの1号棟が取り壊しになるようですが、現在の土地には今後都営アパートが建設されず、今後の跡地活用も現在示されていません。区は把握しているでしょうか、確認いたします。  当該住宅の住民の皆さんから話を聞くと、さまざまな声がありました。1つは高齢化。ひとり暮らしの高齢者が都営住宅でも増加しています。孤独死や周りの人たちとのコミュニケーション、介護ベッドを置いたらほかに何も置けない、1DKにお住まいの人からは、せめて希望する人は2DK程度の広さになどの声が聞かれました。認知症の方もおり、とても心配だという声もありました。建てかえを前にして空き部屋も目立ち、期限つきでも入居させてくれたらいいのに、また、使用承継の問題も切実でした。住まいは人権、住まいは福祉、今の環境を少しでも改善してもらいたいという皆さんの思いが伝わってきました。都営住宅存続を望む声も多くあります。都に対し今後も住宅確保を要望し、区民福祉の向上に資するべきではないでしょうか、見解を問います。  最後に、空地の確保についてです。  地域の町会から、活動場所の確保をしたい、あそこに目ぼしい空地があるなど、要望を耳にしてまいりました。ここでは、区としての町会活動の支援について簡潔に伺います。個別具体的な内容もありますので、その点については、今後の委員会質疑で確認をいたします。  まず1つ目に、町会や自治会が会合などを行う場所の確保についてはどのような支援を行っているのか、見解を求めます。  また、町会や自治会の会合の場として、例えば町会会館のような建物を建てたいとした場合、何らかの支援はあるのか、確認をし、質問を終わります。 ○副議長(北明範議員) 理事者の答弁を求めます。  総務部長。       〔総務部長(関谷 隆)登壇〕 ◎総務部長(関谷隆) 私からは、憲法改正についての質問にお答えいたします。  憲法改正につきましては、御指摘の9条の問題を含めて、護憲の立場から改憲の立場までさまざまな議論があるとともに、改正内容につきましても、さまざまな意見が国民及び各方面から示されてございます。こうした状況の中で、憲法を改正するには、国民的な議論を一層深めていくことが何よりも大切なことと考えてございます。  また、首相が改憲を行うと発言したことについての御質問がございましたが、政治家としての首相御自身のお考えを述べられたものと受けとめてございます。  私からは以上です。 ○副議長(北明範議員) オリンピック・パラリンピック連携推進担当部長。       〔オリンピック・パラリンピック連携推進担当部長(安藤利貞)登壇〕 ◎オリンピック・パラリンピック連携推進担当部長(安藤利貞) 私からは、東京五輪における都の費用負担にかかわる一連の御質問についてお答えいたします。  2020年東京五輪・パラリンピックの大会経費の費用分担につきましては、国は1,500億円、都と組織委員会では6,000億円ずつ負担することで大筋の合意ができたと新聞報道がございました。都外施設の経費を含め、東京都と大会組織委員会と国の3者が協議して、区は、それぞれの役割により決定していくものと認識しております。今後、詳細について段階を追って取り決められていくものと考えてございます。  都の負担増による都下の自治体の費用負担発生などについての御懸念についての御質問がございましたが、都財政の中で計画的に行われ、都下の自治体独自の負担の発生や、子育て支援や高齢化への対応などの福祉、住民サービスの低下を招くことがないように実施されるものと考えているところでございます。  また、都知事の発言を撤回させるよう求めてはとの御質問がございましたが、歳入確保策を含めて3者でしっかり協議し、決定していくものと考えておりますので、都に対して現時点で費用負担に関する意見を申し述べることは考えてございません。  私からは以上です。 ○副議長(北明範議員) 保健福祉部長。       〔保健福祉部長(有坂幹朗)登壇〕 ◎保健福祉部長(有坂幹朗) 私からは、都営久我山一丁目第2団地の建てかえに関する御質問のうち、所管の事項についてお答えします。  まず、御指摘のありました都の説明会につきましては、区としても承知しております。  次に、当該団地の建てかえに際し、この間、他の議員からも福祉施設の必要性についての御質問もいただいており、また、地域ニーズや福祉施設の整備状況等を踏まえまして、区としましては、障害者施設及び高齢者施設を整備すべきものと判断したものでございます。先般、区から都に対しまして要望を行ってございます。  私からは以上です。 ○副議長(北明範議員) 都市整備部長。       〔都市整備部長(渡辺幸一)登壇〕 ◎都市整備部長(渡辺幸一) 私からは、都営住宅に関する御質問のうち、所管事項についてお答えいたします。  まず、都営久我山一丁目第2団地の建てかえによります入居枠の増減でございますが、計画されております後期工事が完了いたしますと、団地全体では、現在の366戸から393戸へと27戸ほどふえる予定と聞いてございます。  次に、都営桃井二丁目アパートの1号棟につきましては、今後廃止される予定でございますけれども、跡地の活用につきましては、現時点では未定と聞いてございますので、早目の情報収集に努めてまいります。  最後に、都営住宅の建てかえにおきましては、ひとり暮らしなどの高齢者が地域で安心して生活できるように配慮されたシルバーピアの設置を初め、一般住宅等の入居募集における杉並区の地元割り当ての確保や、地域住民に必要な保育施設などの併設についても要望しているところでございます。  私からは以上です。 ○副議長(北明範議員) 区民生活部長。       〔区民生活部長(森 雅之)登壇〕 ◎区民生活部長(森雅之) 私からは、町会・自治会が会合を行う場の確保に関する御質問にお答えいたします。  まず、区では、町会や自治会が会合を行う場合、区域内の区民センター等の集会施設を無料で提供しております。また、区域内に施設がない場合は、適切な最寄りの施設を探し、御案内するなどの支援を行っております。
     次に、町会・自治会が町会会館を建設する場合の支援ですが、区の補助金交付要綱に基づき、延べ床面積が50平方メートル以上の会館を新築、増築、改築または購入する団体に対して、2,400万円を限度に、経費の2分の1を補助しております。いずれにしましても、区では、町会・自治会活動は活力ある良好なコミュニティーの形成にとって重要なものと考えており、必要な支援に取り組んでいるところでございます。  私からは以上でございます。 ○副議長(北明範議員) 33番金子けんたろう議員。       〔33番(金子けんたろう議員)登壇〕 ◆33番(金子けんたろう議員) 再質問します。  する前に、オリンピックの費用負担の問題は、住民サービス、福祉が後退するんじゃないかと聞いたら、可能性はないという趣旨の答弁だったと思います。かなり軽い発言だったなというふうに思います。  憲法改正についてなんですが、通告は4つ質問を出していて、答えてないのがあるので、改めて時間を使って聞きます。  さまざまな議論がある、国民的な議論を一層深めていく必要があるというふうに言われましたが、区長は国会や国民の理解が深まっていくことが大切だというふうに姿勢を示していて、じゃ、今現状どうなっているんだというふうに聞いたんですね。国会での深まりをどう思われているのかなというふうに思います。ちなみに言っておきますと、衆参の憲法審査会で憲法9条はテーマに上がってないんですよね。今、立憲主義だとか緊急事態条項だとか地方分権だとかで、9条は実際に議論されていなくて、深まっているとか煮詰まっているとか言える状態じゃありません。見解を求めます。  あと、区長の政治姿勢について、憲法99条は大事だよという答弁をされているのに、今そうじゃない状態があるという事実に対して区長はどう対応するのかという答弁がなかったので、再度答えていただきたいと思います。  以上です。 ○副議長(北明範議員) 理事者の答弁を求めます。  総務部長。       〔総務部長(関谷 隆)登壇〕 ◎総務部長(関谷隆) 再度の御質問にお答えいたします。  憲法改正についてでございますが、国民的な議論は各方面で深めていく必要性について述べたものでございます。  また、改憲の是非につきましては、地方自治体の長として改正の是非を述べることは差し控えさせていただくということでございます。  私からは以上です。 ○副議長(北明範議員) 以上で金子けんたろう議員の一般質問を終わります。  20番上保まさたけ議員。       〔20番(上保まさたけ議員)登壇〕 ◆20番(上保まさたけ議員) 日本共産党杉並区議団を代表して、1、杉一小改築を含む阿佐谷地域のまちづくり計画について、2、高円寺地域の学校統廃合による小中一貫校計画について質問いたします。  まず、杉一小改築を含む阿佐谷地域のまちづくり計画についてです。  この間、阿佐谷地域の集会施設を杉一小に統廃合する杉一小複合化計画が、杉一小に隣接するけやき屋敷に河北病院が移転することにより計画の見直しを余儀なくされ、今月、見直し案であるB案を推進する方針が出されました。  そもそも、もともとの複合化計画であるA案については、小学校と集会施設を複合化することや、それに伴う屋上校庭化などにより、地域の防災機能の低下や、子供たちの健全な育成が図られるのか、不安の声が上がっていました。  一方、見直し案であるB案については、学校と集会施設を別々に整備し、杉一小に関してはA案よりも良好な環境となる可能性が出てきてはいるものの、その他の内容にはさまざまな問題点や疑問点が区民から指摘をされています。  ことし3月に計画に対する見直し案が区民に示されてから、我が党区議団は、その内容を区民に知らせるとともに、まちづくり計画に対するアンケート調査を行い、区民から意見を募集しました。そこで、そのアンケート調査や、この間、複数回やられた説明会、ここで出された意見も踏まえ、何点か質問をしてまいります。  第1に、けやき屋敷の緑についてです。  我が党区議団が行ったアンケート調査では、阿佐谷の森、けやき屋敷は何としても守るべきです、けやき屋敷は住民にとって阿佐谷の歴史そのもの、緑の杉並区と区は言っているが、このごろ開発業者と変わらないことをしているように見えるという意見や、緑を大切にする杉並とうたっているなら、保護樹林であるけやき屋敷は残し、自然環境を守り、避難場所を兼ねた憩いの場にしてほしいという提案も寄せられています。区の説明会でも、地域を象徴するけやき屋敷の森を何とか残せないかという意見が続出するなど、多くの区民が阿佐谷を緑豊かなまちにすることを望み、緑が削減されることについて懸念を抱いているということが鮮明となっています。  そこで伺います。病院が移る予定のけやき屋敷の森について、緑が大幅に削減されることが示されていますが、どの程度削減されることを見込んでいるのか、伺います。  けやきの森の大幅な削減は、身近な緑を守り、その質を高め、緑でまちをつなげるとともに、みんなで緑を育てよう、こういったみどりの基本計画などと照らしても矛盾するものであると考えますが、区の見解を伺います。  その上で、けやき屋敷の緑の存続を願う多くの地域住民の声に基づき、当該用地の緑を残すような案を検討するべきと考えますが、区の見解を伺います。  次に、けやきプールについてです。  説明会でも多くの区民から、阿佐谷地域からプールをなくさないでほしいという声が多く出されました。けやきプールは、一昨年の利用者で約1万4,000人、1日で換算すると200人以上が利用しています。しかしながら、A案における杉一小複合化に伴う仮設校舎建設のため、昨年の第2回定例会で廃止が強行されました。B案においても、プールの跡地に区民センターを建てることになっており、別の場所にプールを移すことにはなっていません。  区は、けやきプールの代替案として、馬橋小学校の開放プールを示していますが、学校プールが利用できる期間と1日の時間帯はいつごろなのか、お示しください。  そもそも、この学校プールの開放ということ自体、けやきプールの代替にはならないということを厳しく指摘しなければなりません。けやきプールは7月1日から9月10日まで約70日間、午前9時から午後6時まで利用できていました。これに対し学校開放プールは、夏休みの数日しか利用できません。これではとても代替とは言えません。我が党区議団のところにも、学校プールの開放ではなく市民プールを開設してほしい、乳幼児が使っているけやきプールは残してほしいという声が寄せられています。加えて、けやきプールのような市民プールは、災害時、消防水利としても活用できることから、プールの廃止は、木密地域となっている阿佐谷地域にとって防災力の低下に直結します。乏しい代替案ではなく、阿佐谷地域にプールの設置を検討するべきだと考えますが、区の見解を伺います。  次に、B案で突如出てきた、杉一小跡地に建てる予定となっている13階建ての商業施設についてです。  B案では、杉一小の跡地に産業商工会館を併設した商業施設が建てられる計画となっていますが、この構想には多くの区民が驚愕しています。用途地域的に可能だからといって、13階建ての建物を区と地権者の共同事業で建てようというのですから、これは無理もありません。しかも、それを区民の血税を投入して建てるわけですから、箱物行政以外の何物でもありません。  しかも、区民への影響はそれだけにとどまりません。北側にこのような商業施設ができれば、南側の商店街はたまったものではありません。阿佐谷南地域の商店街からは、この13階建ての施設ができれば商店街への影響ははかり知れないと、この商業施設の計画に反対の声を上げています。加えて、地域では、将来的な駅前開発で駅前をデッキ化し、地上のバスターミナルや中杉通りを通らずに、直接その商業施設に行けるようにすることなども懸念をされています。このように、杉一小跡地に箱物の商業ビルができること、それに付随する駅前開発などにより、阿佐谷南地域の商店街からは、商店街のにぎわいの喪失への不安の声が上がっています。  そこで伺います。そもそも小学校跡地にこの13階建ての商業施設を建てる構想はどこから出てきたのか。加えて、阿佐ケ谷駅の北側にこの商業ビルができた場合、南地域の商店街の商売に大きな打撃となると考えますが、そのことについて区の見解を伺います。  この項の最後に、計画の進め方についても伺います。  そもそも区は、昨年の夏に病院の移転計画を知ってから、幅広い区民と対話することもせず、ほんの数カ月という短期間で見直し案を作成し、区民にA案とB案の二者択一を迫るという態度をとっています。こうした進め方も大変問題です。この間、数回の説明会、そしてオープンハウスなどが行われ、A案についてもB案についても問題点が多く、数々の疑問の声が出されています。しかし、そこで出た意見は計画に全く反映されていない。こういった進め方は大変問題だと考えますが、区の見解を伺います。  さらに、区民と対話をしていても、計画の見直しをまだ知らない区民も多くいることと同時に、例えば病院と小学校を交換してけやきの森を公園になど、A案でもB案でもない新しい案を提案する意見も多く、見直しの事実を知らせれば多くの区民が関心を持つこともあり、この点からも計画に対する区民の意見を幅広く募集する必要があるのではないでしょうか。計画の見直し自体をまだ知らない住民に今からでも周知を図り、計画に対するパブリックコメントを実施するべきだと考えますが、区の見解を伺います。  我が党区議団には、4、5月に決定は拙速過ぎるという声も多く寄せられ、説明会の場でも、そうした意見が多く出されています。二者択一を迫る区のやり方にも、多くの区民が納得をしていません。  私がこの見直し案をめぐる議論の中で印象的だったのは、今までA案を進めてきた学校関係者の方からも、今までと話が違うという怒りの声が上がっていることです。区はこれまで、区立施設再編整備などで施設を削減することばかり区民に押しつけてきました。A案の計画自体、最初から施設の集約ありきで進められてきました。その中で学校関係者は、杉一小改築・複合化計画に関する懇談会に入れられ、複合化しかないのだから、どのように複合化するのがいいかという議論しかさせられてこなかったわけです。それが急に、事態が変わったからといって複合化はしませんと言われれば、はしごを外されたと思うのは当然です。今後の阿佐谷地域全体のまちづくりにかかわることであり、数カ月やそこらでB案にすると結論を出すのではなく、区民との対話を続け、そうして幅広い区民から吸い上げた意見を反映させ、時間をかけて結論を出し直すべきだと考えますが、区の見解を伺い、次の質問に移ります。  次に、高円寺地域の学校統廃合による小中一貫校計画についてです。  この間、近隣住民が、地域の教育環境と住環境が脅かされる同計画に対し、門の前などで、よりよい教育環境と住環境を求めて、巨大校舎建設反対などのプラカードを掲げるなどの抗議行動を行っています。  そうした住民に対し、一貫校の工事を請け負っている工事業者から、4月27日付で抗議行動の中止を求める仮処分が申し立てられました。5月12日付の東京新聞では、この事件を取り上げ、同訴訟は抗議行動の萎縮を狙ったスラップ訴訟だという住民の声を紹介しています。このスラップ訴訟のSLAPPとは、住民の集団行動に対する戦略的な対抗訴訟の英訳の頭文字をとった言葉で、このスラップ訴訟は通称恫喝訴訟とも言われています。権力を持った企業や政府などが、公の場での発言や政府、自治体などの対応を求めて行動を起こした権力を持たない弱者や個人に対し、恫喝的、報復的な嫌がらせ目的で行われています。被告となった側は、法廷準備費用、時間的拘束等の負担を強いられるため、仮に原告が敗訴しても、主目的となる嫌がらせは達成されることになります。  欧米では、このスラップ訴訟が表現の自由を揺るがす行為として大きな問題となっており、法律で禁じている自治体もあります。日本でもこの間、沖縄県東村高江での米軍用ヘリパッド建設現場で、抗議の座り込みをしていた住民を通行妨害だと国が訴えた裁判が、スラップ訴訟だとして大きな問題となっています。  まさにこの訴訟は、一貫校計画で住環境を脅かされる住民の正当な抗議行動を恫喝、弾圧し、行動を萎縮させる目的で行われている訴訟であり、紛れもないスラップ訴訟です。以前、本議会でも、この高円寺小中一貫校計画の区の強行的な姿勢を取り上げ、沖縄と同じだという指摘がありましたが、まさにそのとおりの事態となっています。  そこで、まず伺いますが、抗議行動を行っている住民に対し、工事会社が、住民が工事を妨害しているとして起こした訴訟は、間違いなくスラップ訴訟です。杉並区でスラップ訴訟が起きていることについて、区の見解を伺います。  工事会社は、住民が工事を妨害していると訴えを起こしていますが、区も同じような認識を持っているのか、見解を伺います。  同時に工事業者は、このスラップ訴訟を起こすことを前提に、工事の着工以前から住民を監視していた事実が明らかとなりました。高円寺スラップ訴訟の中で、昨年の12月17日に区が主催で行った工事についての説明会で、今回訴えられた住民の様子を写した資料が工事業者により提出をされています。区の職員を含めた説明会の参加者によれば、業者が表立って住民を撮影した様子は見受けられなかったとのことであります。これは明らかに隠し撮り、盗撮であり、重大な人権侵害行為です。しかも、この時期は、まだ住民が正門前などでプラカードを掲げての抗議行動などを行っていない段階から行われている点でも異常です。住民の肖像権、プライバシーの権利をじゅうりんする暴挙でしかありません。公的な機関が主催する住民説明会で住民への人権侵害行動が行われていることは重大問題です。工事業者が区主催の住民説明会の場で住民を隠し撮りしていた事実が、この裁判資料の中で出てきていますが、まず、このことを区は知っているのか、伺います。  次に、当時現場で工事業者による盗撮が行われていた事実を区は知っていたのか、確認します。  これは重大な人権侵害行為であり、こんなことは絶対に許されないという認識を区は持っているのか、伺います。  最後に、業者に対し、事実確認と画像の消去など、厳格な指導、対処を行うべきだと考えますが、区の見解を伺います。  その後、工事業者は、住民の抗議行動を監視するため、中学校の門に監視カメラを設置しました。これは、常に抗議行動を監視するとともに、住民のこうした行動を萎縮、威圧する目的での設置であり、許されません。区の防犯カメラ条例には、第4条で、防犯カメラを設置する場合には区長に届け出なければならないとされています。しかし、そうした届け出はなされていません。加えて第5条には、防犯対象区域ごとに見やすい場所に、防犯カメラ管理責任者の氏名、防犯カメラを設置している旨、その他規則で定める事項を表示しなければならないとされていますが、そうした表示も一切ありませんでした。住民の抗議もあってカメラは取り外されましたが、工事業者が住民を監視、萎縮、威圧する暴挙に出たことは重大です。こうした、区の防犯カメラ設置条例にも違反し、住民の行動を監視、萎縮、威圧する目的での監視カメラの設置は許されないと考えますが、区の見解を伺います。  住民を隠し撮りして監視、威圧する、まるで現在国会で審議されている共謀罪法案の先取りみたいなことが工事業者によって行われています。このことは重大問題です。工事業者の一連の人権侵害行為は許されるものではありませんが、そもそもこうした住民と業者を争わせている最大の原因は、区が住民の声を無視し、計画を進め、現場での対応を工事業者に丸投げしていることです。地域住民はこの間、区との話し合いの中で、ずさんなボーリング調査の問題、一貫校に通う予定の児童生徒数の問題など、この一貫校建設に対するさまざまな問題点や疑問点を区に投げかけていました。しかし、区はそうした問題点や疑問点にろくに答えもせず、工事を強行しようとしてきました。だから、住民はそうした工事に抗議を行ってきたのです。  そのさなか、工事業者との口論も起こっています。その都度、住民は、今区と話し合っている最中だから工事をやめてくれないか、区に問い合わせてほしいと要請し、区にも連絡をし、現場に来てほしいと要望していました。にもかかわらず、区は現場の対応は工事業者がやるものと、無責任な態度をとり続けてきました。そもそも、工事を請け負っている業者は住民と同じ高円寺の会社です。この間の区の無責任な態度が地元の住民と業者を争わせている最大の原因であり、そのことについて区の反省はないのか、見解を伺います。  そもそも、工事業者に住民が訴えられている状況というのは大変異常な問題です。区は、裁判の経過を傍観するのではなく、直ちに間に入り、工事会社の申し立て理由の1つである、工期遅延に対する違約金の請求を行わないなどの措置を講じるべきだと考えますが、区の見解を伺います。  こうしたトラブルになっている根源は、この一貫校計画が、住民の声を聞かず、学校統廃合ありきで進められてきたということです。本来、学校は地域コミュニティーの拠点です。今回改定された教育ビジョンでも、地域、学校が協働し、ともに支える教育を進めるとされています。しかし、学校をつくる際に、地元住民がその校舎によって安心して暮らせる住環境を脅かされ、それに抗議をすればスラップ訴訟を起こされて建てる、こんな学校づくりは、この教育ビジョンと照らしても異常きわまりないことです。このような深刻なあつれきを生むような学校づくりは、区の教育方針とも矛盾するものではないのか、教育長の見解を伺います。  そして、今からでも直ちに工事を中止させ、地域住民と話し合いのテーブルに着き、計画の見直しを含め議論するべきと考えますが、区の見解を伺い、私の質問を終わります。 ○副議長(北明範議員) 理事者の答弁を求めます。  まちづくり担当部長。       〔まちづくり担当部長(松平健輔)登壇〕 ◎まちづくり担当部長(松平健輔) 私からは、阿佐ケ谷駅北東地区のまちづくりにおける屋敷林の緑の保全に関する一連のお尋ねにお答えいたします。  区としては、屋敷林などの民有地の緑の保全は重要な課題であると認識してございます。お尋ねのいわゆるけやき屋敷に関し、病院の移転改築に伴い、具体的にどの程度の緑が保全できるかについては、今後、病院の建てかえ計画の具体化や地区計画などの検討を進める中で、病院及び地権者と調整していく考えでございますが、その前提といたしまして、病院及び地権者と締結する協定において、病院の移転改築に当たってけやき屋敷の緑の保全に配慮する旨の方針を明確に位置づけるとともに、区といたしましても、土地利用の見直しや地区計画制度の活用などにより、けやき屋敷の緑を将来にわたって可能な限り保全し、周辺環境との調和などを図ってまいります。  私からは以上でございます。 ○副議長(北明範議員) 地域活性化担当部長。       〔地域活性化担当部長(安藤利貞)登壇〕 ◎地域活性化担当部長(安藤利貞) 私からは、けやき公園プールに関する一連の御質問にお答えいたします。  同プールにつきましては、先般、区としまして決定いたしました杉並第一小学校等施設整備等方針に基づき解体撤去し、その敷地に阿佐谷地域区民センター等の移転を図ることとしてございます。  これに伴う代替案といたしましては、教育委員会と連携しまして、新たにプール開放を行う馬橋小学校のみならず、既にプール開放を実施しています阿佐ヶ谷中学校の開放日数を拡大することとしてございます。この両校のプール開放日数につきましては、ともに通常の10日間よりも拡大することとし、それぞれの開放期間が可能な限り重複しないよう調整を図っていくこととしてございます。  なお、1日当たりの開放時間につきましては、従前同様、午前9時半から午後4時までと考えてございます。  私からは以上です。 ○副議長(北明範議員) 施設再編・整備担当部長。       〔施設再編・整備担当部長(大塚敏之)登壇〕 ◎施設再編・整備担当部長(大塚敏之) 私からは、杉並第一小学校跡地に整備する施設についてのお尋ねにお答えいたします。  杉並第一小学校移転改築後の跡地については、駅前という立地条件を踏まえ、産業の振興やにぎわいの創出などに資する施設の整備を検討していく考えであり、産業商工会館を移転するとともに、今後、商店街関係者を含め地域の声をしっかりとお聞きしながら、他の地権者と協議の上、具体化を図ってまいります。  なお、今回の整備方針では、あくまでも一体的な街区として土地利用の見直しを行った場合に整備できる建物の最大規模を示したものでございます。  私からは以上でございます。 ○副議長(北明範議員) 政策経営部長。       〔政策経営部長(白垣 学)登壇〕 ◎政策経営部長(白垣学) 私からは、阿佐谷地域のまちづくり計画及び高円寺小中一貫校についての所管に関する御質問にお答えをいたします。  まず、杉並第一小学校等施設整備等方針決定までの進め方に関する一連の御質問にお答えをいたします。  いわゆるB案につきましては、昨年10月末から11月初旬にかけて実施した関係団体等に対する意見聴取の結果を踏まえ、詳細な検討を進めることとし、検討が長期化した場合、学校を初めとする施設の開設時期がおくれることを勘案し、期限を平成28年度末と区切ったものでございます。  その後、区では、A案との比較考察を精力的に進めるとともに、検討内容について、地域説明会、関係団体への説明、オープンハウス等を実施し、いただいた御意見等を踏まえ、中間まとめ、整備方針案、整備方針案の修正と、各段階で内容の修正を重ねるとともに、いただいた御意見に対する区の考えを更新し、公表してまいりました。  また、説明会の開催に当たっては、「広報すぎなみ」による周知に加え、検討内容の概要を記載した御案内の近隣住民の方への各戸配布や、区ホームページへの資料掲載を通して周知の徹底を図りました。  区民等の意見提出手続につきましては、今回の方針が区民等の意見提出手続に関する条例に規定する「政策等の策定」に当たるものではないことから実施いたしておりませんが、このような取り組みを経て方針決定を図ったものであり、進め方には問題はないものと認識してございます。  次に、高円寺小中一貫校に関する一連の御質問にお答えいたします。  初めに、工事業者が住民に対して工事の妨害をしないよう申し立てた仮処分についての御質問にお答えします。  御指摘の申し立ては、工事業者が一部住民の妨害行為に対して法的措置が必要と判断したことによる対応であると考えてございます。妨害行為については区も同様の認識でございまして、既に裁判所においてもこれを認め、工事等の業務の妨害をしてはならない旨の決定がなされたと聞いてございます。  次に、工事業者の仮処分申し立て資料に関する一連の御質問にお答えします。  工事業者が工事説明会や現場において住民を撮影した写真が申し立て資料の中に含まれていることは、業者から報告を受けております。撮影につきましては、説明会が冒頭から騒然とした状況となり、区としては、実際にどのように撮影していたか把握しておりませんでしたが、工事業者が記録の必要があると判断して行ったものと認識してございます。また、区として画像の消去などを指導する考えはございません。  次に、防犯カメラに関する質問にお答えします。  御指摘の防犯カメラについては、個人の容貌等をみだりに撮影するものではなく、建築資材の盗難防止など、工事現場の防犯対策として工事業者が設置したものであり、条例違反に当たらないと認識してございます。  工事現場における住民対応につきましては、さきの区議会でも御答弁しておりますが、第一義的には、区との契約の相手方である工事業者が責任を持って行うべきものと考えてございます。  区として工事業者に工事遅延に対する違約金を請求しないなどの措置を講じるべきとの御質問ですが、工事業者は、違約金の発生を含め総合的な観点から判断し、仮処分の申し立てを起こしたものと認識してございまして、区として御指摘のような対応を行う考えはございません。  私からは以上でございます。       〔発言する者あり〕 ○副議長(北明範議員) 静粛にお願いします。
     学校整備担当部長。       〔学校整備担当部長(大竹直樹)登壇〕 ◎学校整備担当部長(大竹直樹) 私からは、高円寺地域における新しい学校づくり計画に関する御質問にお答えいたします。  本計画は、御指摘にありました杉並区教育ビジョン2012に掲げた取り組みの方向性を踏まえまして、地域との連携による新しい学校づくりを進める観点に立ちまして、杉並区立小中学校新しい学校づくり推進基本方針に基づきまして、保護者や学校関係者、地域の方々と、意見交換やパブリックコメントなどの必要な手順を経て作成したものでございます。したがいまして、区の方針とも矛盾するとの御指摘は当たるものではなく、これまでの経過等を踏まえまして、引き続き平成31年4月の開校に向けて着実に取り組んでまいる考えでございます。  私からは以上でございます。 ○副議長(北明範議員) 20番上保まさたけ議員。       〔20番(上保まさたけ議員)登壇〕 ◆20番(上保まさたけ議員) 何点か再質問させていただきます。  まず、杉一小改築を含むまちづくり計画についてですが、商業施設に関してなんですけれども、私は、13階建てがどうこうという問題もそうはそうなんですけれども、そもそもこの跡地に商業施設を建てる構想というのはどこから出てきたのかということを聞いたので、それを答えてください。  あと、これができた場合に、南地域の商店街の商売に大きな打撃となると考えますが、区はどう思っているんですかということを聞いたので、これにも答弁がなかったので、答えてください。  杉一小のことについては、総務財政委員会もありますので、そこで詳しく聞きたいと思っています。  次に、高円寺の計画についてですが、本当に重大な人権侵害行為が行われているにもかかわらず、それを問題とも思わないような区の姿勢というのは大変重大だと思っています。異常です。盗撮された写真を見てみますと、机の上からとか、要するに腰というか、胸より下から確実に撮っているアングルなんですね。この写真を見て盗撮だと思わない人はいないというぐらいの写真なんです。そうしたことが区が主催する説明会で行われているんですよ。だから、こんなことが平然と行われて問題じゃないと言っていれば、別の説明会でもこうした盗撮というのが行われている可能性もあるんじゃないかと区民は思ってしまいますよ。本当にその辺をちゃんとしないと、これは大変問題だと思いますので、そのことに対して答弁をお願いします。  あと、私は、こうした住民が工事会社に訴えられるということは本当に深刻な事態だということで、こうした学校づくりをどう思うんですかと教育長に聞いたんです。なので、ぜひ教育長が答弁をしていただきたいと思います。もし教育長が答弁できないのであれば、その答弁できない理由もお答えください。  以上です。 ○副議長(北明範議員) 理事者の答弁を求めます。  施設再編・整備担当部長。       〔施設再編・整備担当部長(大塚敏之)登壇〕 ◎施設再編・整備担当部長(大塚敏之) 杉一小学校跡地に関する施設についての再度の御質問にお答えします。  まず、商業施設がなぜかということなんですが、これは、説明会が始まるときに、ある程度具体的なイメージがないと判断できないというような御質問がありまして、今回は一例として、この場所は駅前という立地条件を踏まえて、商業の振興、にぎわいの創出などをする施設がふさわしいという意味でお示ししたものでございます。あくまでも一例でございます。  また、阿佐谷南の商店街がどうかということですけれども、どういう施設を建てるかというのは今後決めますので、そのとき商店街関係者を含め地域の方々としっかりお話をし、ほかの地権者がおりますので、その方と協議の上、具体的な構想を図っていきたいと考えております。  私からは以上でございます。 ○副議長(北明範議員) 政策経営部長。       〔政策経営部長(白垣 学)登壇〕 ◎政策経営部長(白垣学) 再度の御質問にお答えをいたします。  御指摘の事業者による撮影は、区と工事業者の共催の工事説明会の場において、冒頭から非常に騒然とした状況になった中で業者の判断で行われたことであり、そうした状況でしたので、区としても、どういう形で撮影が行われているのかということは、当時把握のしようがございませんでした。法的見地から判断する立場には区はないというふうに考えてございます。  私からは以上です。 ○副議長(北明範議員) 以上で上保まさたけ議員の一般質問を終わります。  以上で日程第1を終了いたします。  議事日程第2号は全て終了いたしました。  議事日程第3号につきましては、明日午前10時から一般質問を行います。  本日はこれにて散会いたします。                                午後2時39分散会...