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平成28年第2回定例会−05月31日-11号

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  1. 杉並区議会 2016-05-31
    平成28年第2回定例会−05月31日-11号


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    平成28年第2回定例会−05月31日-11号平成28年第2回定例会  平成28年第2回定例会              杉並区議会会議録(第11号) 平成28年5月31日 午前10時開議 出席議員47名 欠席議員1名 1 番  奥  田  雅  子      25番  安  斉  あ き ら 2 番  川  野  たかあき      26番  北     明  範 3 番  木  村  よ う こ      27番  川 原 口  宏  之 4 番  田  中 ゆうたろう      28番  大  槻  城  一 5 番  堀  部  や す し      29番  今  井  ひ ろ し 6 番  松  尾  ゆ  り      30番  浅  井  く に お 7 番  上  保  まさたけ      31番  脇  坂  た つ や 8 番  市  来  と も 子      32番  吉  田  あ  い 9 番  小  林  ゆ  み      33番  金  子 けんたろう 10番  藤  本  な お や      34番  原  田  あ き ら 11番  上  野  エ リ カ      35番  くすやま  美  紀 12番  山  本  あ け み      36番  け し ば  誠  一
    13番  木  梨  もりよし      37番  新  城  せ つ こ 14番  山  本  ひ ろ こ      38番  佐 々 木     浩 15番  中  村  康  弘      39番  河  津  利 恵 子 16番  大  泉  やすまさ      40番  太  田  哲  二 17番  井  原  太  一      41番  渡  辺  富 士 雄 18番  大 和 田     伸      42番  島  田  敏  光 19番  山  田  耕  平      43番  横  山  え  み 20番  富  田  た  く      44番  大  熊  昌  巳 21番  そ  ね  文  子      45番  は な し  俊  郎 22番  岩  田  い く ま      46番  井  口  か づ 子 23番  松  浦  芳  子(欠席)  47番  富  本     卓 24番  増  田  裕  一      48番  小  泉  や す お 出席説明員       区長             田 中   良       副区長            宇賀神 雅 彦       政策経営部長         白 垣   学       施設再編・整備担当部長    吉 田 順 之       情報・法務担当部長      牧 島 精 一       総務部長           関 谷   隆       危機管理室長         寺 嶋   実       区民生活部長         井 口 順 司       地域活性化担当部長       オリンピックパラリンピック連携推進担当部長                      安 藤 利 貞       産業振興センター所長     内 藤 友 行       保健福祉部長         有 坂 幹 朗       高齢者担当部長        田 中   哲       子ども家庭担当部長      田部井 伸 子       杉並保健所長         向 山 晴 子       都市整備部長         渡 辺 幸 一       まちづくり担当部長      松 平 健 輔       土木担当部長         吉 野   稔       環境部長           森   雅 之       会計管理室長(会計管理者)   南 雲 芳 幸       政策経営部企画課長      松 沢   智       総務部総務課長        都 筑 公 嗣       教育長            井 出 隆 安       教育委員会事務局次長     徳 嵩 淳 一       学校整備担当部長       大 竹 直 樹       生涯学習スポーツ担当部長   齋 木 雅 之       中央図書館長         森   仁 司       選挙管理委員会委員長     伊 田 明 行       代表監査委員         上 原 和 義       監査委員事務局長       和久井 義 久       平成28年第2回杉並区議会定例会議事日程第2号                              平成28年5月31日                                 午前10時開議 第1 一般質問 ○議長(井口かづ子議員) これより本日の会議を開きます。  会議録署名議員は前回の会議と同様であります。  これより日程に入ります。  日程第1、一般質問に入ります。  47番富本卓議員。       〔47番(富本卓議員)登壇〕 ◆47番(富本卓議員) おはようございます。私は、杉並区議会自由民主党の一員として、通告に従い、一般質問をさせていただきます。少し声がかれておりますのは、先般のハロー西荻で、実行委員で頑張り過ぎたためでございます。お聞き苦しいかと思いますが、お許しをくださいませ。  そのハロー西荻においては、区の皆さんにも大変お世話になりまして、ありがとうございました。無事に終わりました。心から感謝を申し上げます。  それでは、まず通告の第1、観光施策について伺ってまいります。  2020年の東京オリンピックパラリンピックを控え、東京の自治体を中心に全国の自治体が、インバウンドを意識しながらさまざまな観光施策を進めております。杉並区においても、これまで、例えば高円寺のトランスボックスへのラッピングやアニメ事業の推進など、いろいろ取り組んでいることは承知をしております。が、私が見るに、それらの事業一つ一つの小さな効果はあるかもしれませんが、それが結集しての区の観光施策全体、ひいては区政全体への波及効果や意義といったレベルまでいまだ達していないように思います。そしてそのことが、私たち議会や商業関係者を初め、区民の側から見れば、杉並区の観光施策の方向性、あり方、達成度などがよく見えない、わからない状況に陥っている要因ではないかと考えるものであります。  では、なぜそのような状況に陥ってしまっているのか。私なりに考えるに、区の現状の観光施策には大きなビジョン、ストーリー性がなく、さまざまな事業は、杉並区に興味を持ってもらう、来てもらうための入り口的な事業なのか、それを目的につなげていくためのゴールに位置する事業なのか、また、それをつなぐ中間的な事業なのか、そのあたりが曖昧なままに、それぞれの施策を遂行しているからではないかと思うところであります。ですので、私は、杉並区の観光施策、観光事業をどうしたいのか、どういうゴールを目指しているのかといった大きなビジョンを早急に策定し、統括的、体系的に施策を推進していく必要性を感じ、それを区に強く求めるものであります。  そして、それをもとにして、全庁挙げて各施策に横軸目線で取り組み、それを区民と共有し、区全体で観光施策を進めていくことが必要と考えます。この指摘に対する区の見解をまずは求めるものであります。  加えて、観光事業全体を統括する施設や団体に関する施策の進展も見受けられません。区は西荻窪に観光拠点施設を設置する方向で、1年前の予算特別委員会では、具体的な設置場所の候補名まで議会で答弁がありました。が、その後それが立ち消えとなり、私ども西荻地域の関係者は大いに落胆をしたものであります。  当時、議会という公式の場で、具体的な候補地名まで挙げ、区から答弁があった内容ですので、改めて議会の場で、なぜ設置に至らなかったのか、その経緯と理由についてお尋ねをさせていただきます。加えて、新たな場所の選定作業の進捗についてもお伺いしておきます。  当時、非公式に区からは、設置地域の選定を再考するとともに、具体的な観光プランを策定後設置するほうが、より実用的で意味ある施設ができるからといった説明をいただき、その説明自体は理解をしましたけれども、あれから1年以上を経過した中で、いまだにそのプランは策定をされていません。この点からも、プランについては早急に策定すべきと指摘をするものであります。  加えて、区にはいっとき観光協会を設置するという発想もありましたが、こちらも結局、現在まで設置に至っておりません。この点の検討、進捗はどうなっているのか、あわせてお尋ねをしておきます。  また、民泊についても、少し前に条例化云々がマスコミ等でも話題になりましたが、あれ以来全く話題に上ることもなくなりました。一体現状はどうなっているのでしょうか、同様の答弁を求めるものであります。  さて、話を戻しますと、観光事業のゴール、目的をどう考えるかについては、さまざまな考え方があると思いますが、私は、来訪者にどうやって区内でお金を使っていただくのかに尽きるのではないかと思います。こちら側から見れば、どうやってもうけるかではないかと思います。  もちろん、名所旧跡を回ってもらう、日本や杉並の生活文化、芸術を身近に感じてもらう、知ってもらうという視点は必要であると思いますけれども、それはあくまでも入り口、導入であって、やはりゴールは、どうやってもうけるのか、どうやってお金を落としてもらうのかに置くべきではないかと思います。そうでなければ、今後も、ただ英語のサイン表記をつくりましたとか、ただ公園を整備しましたといったような施策をやって終わりとなってしまうのではないかと危惧をするものであります。  そして、今後、観光面でも起爆剤として期待されるビーチスポーツ場においても、単なるスポーツ施設、単なる砂場に終わってしまっては非常に残念であります。  また、外国人が何に興味を持つかは、私たちには理解できないものがあったりします。また、日本人の中でも不思議なものがはやったりします。例えば、これらをキャッチし観光事業に昇華させていくためには、明確なビジョン、ゴールを持っておかなければ、単に情報をとって終わりとなってしまいます。それをどうもうけにつなげていくのか、そういうゴールからそれを見れば、おのずと何をすべきか、入り口の施策は何なのか、自然と見えてくるのではないでしょうか。区にとって、もうけるというのは最も苦手な分野でありますけれども、ある意味、観光事業とはそういうものではないでしょうか。この点の見解を求めて、次の項の質問に移ります。  通告の第2は、まちづくりについてであります。  まず、今回、保育緊急事態宣言に関連して、区政の施策管理についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  今回の保育緊急事態宣言において、私も待機児童対策に取り組むことは当然理解し、必要な施策であると認識をしております。が、さきの総財での質疑や、きのうの我が会派の幹事長の一般質問でも、さまざま指摘がなされたところであります。これらの内容の主は、待機児童問題の解消自体は理解をするものの、その手法、スケジュール化への違和感といったものではなかったかと思います。そういう思いで、私からは、今回の宣言の区政での位置づけについて、まずは伺いたいと思います。重複する部分もありますけれども、あえて重複して質問をさせていただきます。  具体的に申すならば、今回の宣言とこれまでの区の計画や施策進行との整合性はどうなっているのかという疑問であります。そこで、まず伺いますけれども、区政は、総合計画、実行計画、各種行政計画、そして予算という形で施策管理をしておりますけれども、今回の宣言はどういう位置づけにあるものと理解をすればよろしいのでしょうか。区内部での、今回の宣言に至った進行管理も含めての答弁を求めるものであります。  今回の施策は、ある意味、激変であったわけであります。区はこうした激変に対する影響を抑えるためと、総合的な視点での区政運営全体との整合性を図るために、通常、何カ年計画、○カ年計画という形で、数年で平準化を図りながら施策を推進していく手法をとります。が、今回はそうではありません。ほかの施策は数カ年で対応するが、保育の待機児童の解消だけ、なぜ来年4月までに対応するのか。  確かに待機児童問題が社会問題化している側面は否定をしません。が、区のほかの施策も全て満点がとれているわけではありません。では、なぜ保育は緊急事態宣言で、例えば特養はなぜ行わないのか、この違いはよくわからないものもあります。この指摘に対する区の見解と、今後、例えば特養緊急事態宣言発令といったような可能性もあるのか、あわせて区の答弁を求めるものであります。  次に、今回の宣言と区の他の計画との整合性についての中で、施設再編整備計画との関係についてお尋ねをしてまいります。  初めに、再編整備計画の15ページには、区立施設の再編整備によって生み出された施設、用地を保育施設整備に活用していくと記載がありますが、今回の公園用地等はどういう位置づけで新たに生み出された土地と解釈すればよいのか、そのあたりが正直よくわかりません。  なぜこのようなことを伺ったかといいますと、私は今回の待機児童対策プランを見たときに、実は保育そのもののことよりも、施設再編整備計画策定の際の議論は何だったんだという疑問のほうが強く真っ先に頭に浮かびました。なぜなら、私は当選以来、一議員として自分がまちを見ていて、利用率の低いと感じる公園などが散見される中、それぞれの公園の存続、必要性の有無について、常々区にもただしてまいりました。  また、会派として施設再編整備計画に関する要望を求められた際、私たち自民党会派では、区の50年、100年後を見据えて、一から真っ白なキャンバスに絵を描くイメージで、従来の発想にとらわれず、ゼロベースでの大胆な再編整備計画の策定を区に求めました。そして、その議論の際にも、公園などが再編の対象に上がっていないことについて、私は疑問を呈しました。が、結局、計画策定の際にはその指摘は盛り込まれず、公園は対象施設にも入っていませんでした。しかし、今回の宣言において、公園の転用が盛り込まれました。また、資材置き場も廃止となり、保育用地となることとなりました。  再編整備計画では、土木事務所や公園事務所については、目次のみ名称の記載はありますが、本文には具体的な掲載は全くありません。これらの施設は、仮に転用しても最も区民への影響が少ない施設であり、区としてはそういう点から真っ先に目をつけるべき場所であったとも思えます。これでは、保育用地に聖域なし、施設再編に聖域ありであったと指摘されてもいたし方ないのではないでしょうか。非常に疑問であり、不満でもあります。  そこでお尋ねしますが、現在の施設再編整備計画は将来への見通しと踏み込みが甘かったのではないか、率直に感じるところでありますが、区の見解を伺います。  あわせて、今後改定が予定されている施設再編整備計画においては、私たち会派が求めてきたゼロベースで検証、改定を行っていただきたく思いますが、区の見解を求めておきます。これは、今回の区の宣言の正当性を担保するためにも必要な作業ではないかと私は思います。力強い答弁を求めます。  次に、区は施設再編整備計画の際に、基本的に児童館を廃止し、学校に学童クラブを随時入れていくという大きな方針を示しました。が、今回の宣言によって保育利用者がふえれば、当然、学校に通う児童数もふえることが予想されます。現に天沼小学校では、積極的な保育施策が理由としか考えられない生徒数の増加現象が教室の不足を招いているとも伺っております。  また、必然的に、保育園を利用していた家庭はそのまま学童クラブへ、その利用は移ることとなることが予想されます。そうなると、学童クラブを学校へという区の方針も物理的に厳しくなるのではないでしょうか。  今回の宣言を受けての学校学童クラブへの影響といった点についてどのように考えているのか。できれば数字等も挙げて、現在の施設再編整備計画との差異なども示しながらの明確な答弁を求めたいと思います。  次に、施設再編整備計画の59ページ、60ページにある財政効果について伺ってまいります。  施設再編の目的としては、施設を時代の要請に合わせてモデルチェンジをしていくという視点とともに、今後の少子高齢社会の中で、厳しい財政環境を予測しての施設のスリム化という視点もあったかと思います。  そこで、財政効果については、和田堀会館が廃止でなく転用となったことや、保育整備などによる延べ床面積の増加によるコスト増など、計画どおりに進展をしていないのではないかと危惧をしておりますが、どうなっているでしょうか、見解を求めるものであります。  特に、いわゆる土地については、田中区長就任以来、積極的にその購入を進めてきたように思います。それ自体を一概に否定するものではありませんが、やはり持ち物が多くなるとその維持コストは大変上昇するというのは必然であります。  そこで、田中区長就任以来の土地の購入について、その主な場所、用途目的、購入した土地の総面積、購入に要した総費用を、土地開発公社で先行取得をしている分も含めて、施設再編整備計画策定前と後に切り分けてお示しをいただければと思います。  必要な土地を購入することは否定をしません。が、今後の時代環境を鑑みたとき、現状にプラスしてそれらを右肩上がりに持ち続けることは、非常に厳しいものがあると思います。そうなると当然、不要なものは売却という手段をとる必要があります。が、行政財産を売却することについては、廃止、転用以上に難しいものがあると思います。区にとっても相当な覚悟で臨む必要があります。この財産の売却について、区の考え方や今後の計画についてはどうなっているのか、答弁を求めるものであります。  ここまで、今回の宣言と現在の施設再編整備計画に関して伺ってまいりました。そこで率直に感じるのは、今年度改定が予定をされている施設再編整備計画は、もはやマイナーチェンジの改定という手段では無理があるのではないかという点であります。なぜなら、これまで指摘をしたように、現在の施設再編整備計画は、1つ、区の施設全てを包含しているものではなかった、2つ、保育定員の増を筆頭に、当時示した予想数値とさまざまな面で乖離を生じているのでは、3、廃止等の財政効果についても修正せざるを得ない状況となっているのでは、などがその理由であります。  ある意味、今回の宣言を施設再編整備計画の見直しのよい機会と捉え、新たにゼロベースで策定を行ってみてはと提案をいたしますが、区の見解を求めるものであります。  次に、公園行政についてお尋ねをいたします。
     ここでは、今後の公園行政のあり方について幅広く質問をする予定でおりましたけれども、時間の都合もあり、それは次の機会に譲るとして、今回は、今宣言によっての影響に絞って何点か伺います。  今回の宣言によって、公園用地が保育用地に転用されることになりましたが、総面積としてどの程度マイナスとなったのか、伺っておきます。  また、公園行政としては独自の整備計画を有していると思いますが、今回の転用の及ぼす影響についてはどのように捉えているのか。また、今回面積が減ったわけですが、今後これらを埋めるための早急な公園整備を計画しているのか、お尋ねをしておきます。  今回、区は、区政という池に保育緊急事態宣言という一石を投じました。この石が、単に保育行政のみならず区政全体に大きな波紋を広げていることは、ここまでの私の質疑から見ても明らかであります。しかし、私から見て、現状の区の認識は、待機児童解消、それに伴う公園の利用云々、周辺住民との利害調整といった、とりあえず今回の宣言で提案した保育園が無事に開設したらそれでよし的な、近視眼的な感覚にとどまっているように感じられてなりません。  確かに、当面の保育園開設への取り組みも大切ですが、私はさきにも申したとおり、今回の宣言を契機に、施設再編も一から、財政の考え方も一から、区政の中での施策の力点の濃淡のあり方も一からと、区政全体を再検証する、再構築するチャンスであると捉え、広い視点で区には取り組んでいただきたいし、厳しい言い方をするならば、取り組まざるを得ない状況になっているのではないかと指摘をするものであります。そうであるならば、本来は一宣言にとどまらず、総合計画の見直しまで視野に入れるべきではないかと思いますが、少なくとも今年度改定が予定されている実行計画の改定においては、そのような考えを明確に反映させるべきではないかと思いますが、この点についての見解も求めておきます。  また、これらを考える上で、基本的な考え方について質問をさせていただきます。それは、果たして杉並区は何万人都市を目指しているのか、また想定しているのかという点であります。  これは施設再編整備計画を考える際にも、何万人だから、ある施設は総数幾つみたいな考え方を有するか否かで質疑を行った記憶があります。私は、ある程度の目標とか数値を置いて、そこから施設の数などを推しはかるべきだという論を展開しました。が、結局、区はその方法をとらず、施策別の推計に合わせたといった考えで現状区政運営がなされております。別にどちらがいいとか悪いとかということを決することが目的ではありませんが、私は、高度経済成長期には現状の区の方法でもよかったと思いますが、今後の超少子高齢社会の中では、ある程度数値を設定、区政運営をせざるを得ない状況ではないかと思っております。  確かに、区政は区民のものであります。また、困っている人を助けること、区民福祉の充実を図ることを否定するものではありません。が、多様化が変化、異質化し、自分だけよければよいという風潮があります。加えて、逆にシングルイシューに予想以上、必要以上に走る傾向があることも否めません。  また、IT化の進展が高度情報社会化を生み、それが皆を近視眼的な思考に陥れているように思えてなりません。そして、社会が豊かになる中で、住民が求めるサービス水準も飛躍的に高くなっているように思います。  また、長寿命化は喜ばしいことでありますが、核家族化、地域力の低下などにより、高齢者の行政依存度は高くならざるを得ない現状があります。保育や介護も社会化の流れの中で、それらに対する行政コストがふえている現実があります。そういう社会の流れの中で、行政運営はどうしても肥大化傾向が強くなります。加えて、その風潮が、足りなかったらつくる、言われたらつくるの連鎖をとめどなくするのではないかと危惧するものであります。  それに対する方策として、今後の行政運営、行政施設のあり方を考えていくベースとして、何万人都市杉並といった進行管理を行っていったほうが、私たち議会を初め、区民にとってもわかりやすい、そして合意形成を得やすい、真に区民とともにつくる区政につながるのではないかと思いますが、いかがでしょうか、見解を求めるものであります。  時代の流れによって、私は、やはりここはみんなで我慢をしていくというのは仕方がないかなと思う部分があるので、そういう中で、どう我慢をしていくか、どう議論を構築していくかという1つの指標を示す必要があるのではないかという思いで、この質問をつくらせていただきました。  さて、まちづくりの最後に、公共交通の充実についてお伺いをいたします。  私を筆頭に、我が会派では、自分たちの地元の声を届けていく中で、すぎ丸のようなミニバス等の導入などの公共交通網の充実を強く求めてまいりました。この施策は、地域の要望という側面もありますが、それとともに、例えば高齢者の分野でいえば、介護施設を求める声があるのも事実ですが、数でいえば圧倒的に元気高齢者、アクティブ高齢者のほうが多く、その層に向けた効果的な施策であると思うからであります。なぜなら、元気であっても、高齢になると車の運転は厳しくなってきているという方がふえているのが現実であります。そういう方が引きこもらないように、ずっと元気でいていただくためには、公共交通の充実が必要であります。  また、若い人たちは、今自家用車を持つことが異性にもてるアイテムでもないようで、私たちの世代のようにそれに拘泥することがありません。となると当然、公共交通を利用することになります。また、子供たちの安心・安全の充実といった点からも効果がある施策であります。そういう意味で、幅広い世代の区民に恩恵のある施策であるからであります。  加えて、元気高齢者が元気のままでいれば医療費の削減にもつながりますし、余り交通の利便性のよくない場所の多い区の施設の利用率の向上や、観光行政の推進の後押しなど産業施策への寄与等々、区政の幅広い分野への効果が期待できる政策であるからであります。  このような私たちの政策の意図を酌み取っていただき、区も総合計画に記し、これまでさまざま調査研究を進めてきていると思いますが、残念ながら最近は全く話題にも上らず、報告もありません。  そこで伺いますが、公共交通網の充実施策については、総合計画の策定後どのような調査研究を行い、その結果はどうであったのか。また、その結果、現状、区はこの施策についてはどのような見解をお持ちなのか、答弁を求めるものであります。  全ての世代に対して幅広い効果のある施策であり、税の使い方としても非常に納得感の高い施策であると思っております。諦めずあらゆる可能性を追求していただくことを求めて、次の終活の質問に移りたいと思います。  終活、終わりの活動といえば、高齢者当事者が自身の人生、老後をどう過ごし、そして終わりをどう迎えていくのかの活動であります。それに付随して、自身の資産をどう生かしていくのか、使っていくのかを考えていこうということで、昨今、銀行等が積極的に終活セミナーなどを開催しております。もちろん、その当事者がお考えいただくことを否定するものではありません。資産家であれば当然選択肢も多いので、元気なうちから、医療や介護も完備されている高級有料老人ホームなどに移り、万全な体制をつくることができると思います。が、そこまで余裕のない人たちは、自分が元気なうちはそんなことは考えない、考えたくないというのが現実ではないでしょうか。  地域で特養の建設計画が発表されると必ず反対の声が上がりますが、ここが人間の不思議なところで、反対の声を上げる人は、自分たちはそういう施設には絶対に入ることはないと思っている節があります。そうした事例がその現実を物語っているのではないかと私は思います。そういう現実の中で、もし残念ながら高齢者が介護や施設入所が必要となった場合、実はその影響を最も受けるのは、その子供たちではないかと思います。  私も現在48歳で、父親は後期高齢者となりました。ちょうどその世代であります。そうした中、私はおかげさまで議員をさせていただいておりますので、こういう介護のこととか制度や施設の内容については、ある程度承知をしておりますが、例えば私の友人などは全く情報を持っておらず、知識量はゼロといった感じであります。  また、親が介護のどのサービスを受けるにしても、またどの施設に入るにしても、決して無料ではありません。しかし、親がどのぐらいの年金をもらっているのか、どの程度の資産を有しているのか、多くの子供たちは全く知らないと思います。そういう無知の中で、さきに申したような状況を迎えてしまうと、当然慌てて対応せざるを得なくなり、多くのことが後手を踏んだり狂ってきたりします。現に、親の介護のために一流企業を退職せざるを得なくなり、その後、あっという間に資産も枯渇、その前後では生活が一変してしまった方のお話をネット上でも読んだことがあります。  ですので、実は終活セミナーを受けなくてはならないのは、その当事者でなく、子供たちの世代ではないかと思うものであります。が、現状、親の世代は、子供たちに迷惑をかけたくないという意識を強く持っております。それに対して、子供たちの世代からは、親の財産を狙っていると思われたくないという意識があります。また、その話をした瞬間、親の側から、早く殺そうと思っているのかなんて毒づかれたりもします。が、ある意味、相手を思いやる日本人特有の優しさの壁が、いざこの問題となると、逆に大きな障壁となって立ち塞がってしまっていることではないかと思うわけであります。  例えば、20年前ぐらいまでは、親の介護は嫁がするもの、保育園に預けることはどちらかというとイレギュラーといった感覚が一般にありました。が、社会は変わり、今はそのようなことを言う方はいなくなりました。それは、介護や保育が社会化されたことを意味しております。  なお、ここでいう社会化とは、制度化という意味でなく、社会全体で対応していく土壌が整ったという意味で言葉を使っておりますので、そういう意味でお聞きください。  そうした中、私は、さきに申した終活の問題も社会化していく必要性を感じているものであります。なぜなら、それは親の世代にとっては、例えば仮に認知症になったとしても、自分が希望する形での尊厳ある老後を過ごせることにもつながります。また、子供たちの世代にとっても、早くから準備することで、生活面においても資金面においても破綻することなく、自分たちの生活を守りながら親の面倒も見られることになります。加えて、相続税が改正をされ、税率もアップした中、その家の財産を守ることにもつながります。財産を守るということは、少子化対策にもつながると思います。  子供を産まない理由としてはさまざまありますけれども、やはり子供を育てる経費、特に学費の問題は大きな要因であろうと思います。国でも贈与税の改定等を行いましたけれども、どこまで実効性が上がっているのか、疑問の残るところではあります。そうした中、世代間の資産の公平性といった部分からも有効な考えであるのではないかと思います。  この社会化の推進は、区政にとっても大きな有益があると思います。多くの区民の知識量がふえれば、高齢者施策への行政への依存度が低くなり、効率的な行政運営が図られることとなります。また、自分の親のときに学び活用したものは、十数年後には自分のこととして活用でき、より行政依存度は低下する方向に進んでいきます。また、行政側から、より実態に即したニーズ調査の実施も可能にし、施設建設のバリエーションを考える上での一助ともなるのではないでしょうか。また、空き家対策が喫緊の課題となっていますが、そもそも空き家を生まないための一策にもなり、メリットも大きいものではないかと思います。  超高齢社会の到来の中で、この新たな分野の社会化を進めるために、区として民間事業者の知恵もいただきながら、面倒を見る立場の世代向けへの終活セミナーの実施やサイトの充実など、積極的に進めるべきと提案をするものであります。  結びに、ここまで私が述べてきた終活の社会化についての区の見解と、提案した関連する施策の実施についての区の考えもあわせてお伺いをいたしまして、私の一般質問を終了させていただきます。  御清聴ありがとうございました。 ○議長(井口かづ子議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。       〔区長(田中 良)登壇〕 ◎区長(田中良) 富本卓議員の御質問にお答えを申し上げます。  区政の目標は区民福祉の向上ということは、これまで一貫して申し上げてまいりました。そして、区政においては、安定性、継続性も大事な要素であるということはおっしゃるとおりでありますし、その意味で計画行政が必要だということもおっしゃるとおりだと思います。しかし同時に、生活に、暮らしに身近な基礎自治体の忘れてはならない役割というのは、一つ一つの課題をきちっと解決をしていくという、その実践の積み重ねということであります。  特に、このたび保育緊急事態宣言を申し上げて、今取り組んでおります保育の緊急対策でございますけれども、国も17年度に待機児ゼロを目指すと。その意味では私は、安倍政権は保育という、これまで国の中心に必ずしも据えてこなかったそういう分野を据えた、そしてきちっと目標を掲げたということは評価をいたしておりますし、その意味では大変これは大きな、国も含めた社会問題だというふうに思っております。  そういう中で、待機児童の背後におられる親御さん、ひとり親家庭であったり、あるいは共働き家庭、こういう方々からすれば、職を失うかどうかという、まさに死活問題と裏腹の問題であります。来年度、このまま手をこまねいておれば、500人を超える待機児童数だということが予想される中で、この喫緊の課題に本気で取り組むかどうかということが私は問われているものだというふうに思っております。  その意味で、後ほど個別に担当部長より御答弁を申し上げますが、いろいろと困難な課題があろうかと思いますけれども、申し上げた認識のもとで、全力を尽くして待機児童対策には取り組んでまいりたい、こう考えております。  私の答弁は、あと終活に関するお尋ねにお答え申し上げます。  御質問の中で述べられたいわゆる終活という言葉、数年前に流行語大賞となったということ、私も記憶しております。死というものは誰にでもやってくるものでありますけれども、一方で、議員が御指摘のように、家族の間で死を話題にするということは、縁起が悪いということもあり、なかなか本音で話すことに何となくためらい傾向があるのではないかと思います。  しかし、実際に介護が必要な状態、それが重度になればなるほど、例えば親の施設への入所、あるいはお亡くなりになった後には当然、相続、家はどうするんだ、あるいは土地はどうするんだというような具体的な問題が現実に発生してくるということでして、そういう意味でも、子世代も早いうちから必要な知識を得ておくということは大変重要なことだと思います。  これまでも、地域包括支援センター(ケア24)における家族介護教室では、こうした終活に関連した課題も題材にしてまいりましたが、御自身のこととしてだけでなく、御家族の立場でも関心が高いテーマだと聞いております。あわせて、地域の多様な団体が実施する関連の講座につきましても、区として開催の支援をしているところでございます。  御指摘をいただきました終活に関する子世代への取り組みに関しましては、超高齢社会の進展の中、誰もが抱える課題として、早いうちから意識しておくということが重要であると認識をしておりますので、御提案いただいた内容も含め、今後もそうした取り組みを充実発展させていきたいと存じます。  私からは以上です。残りの御質問につきましては、関係部長より御答弁いたさせます。 ○議長(井口かづ子議員) 産業振興センター所長。       〔産業振興センター所長(内藤友行)登壇〕 ◎産業振興センター所長(内藤友行) 私からは、区の観光施策に関する一連の御質問にお答えいたします。  まず、区の観光ビジョンの策定に関する御質問ですが、区では、観光事業の目的をにぎわいと商機の創出と捉えております。その目的達成に向け、地域の魅力をPRすることで、区内だけでなく、広く国内外からの集客力を高める取り組みを進めているところです。  具体的には、中央線あるあるプロジェクトや、すぎなみ学倶楽部の運営、アニメーションミュージアムの充実、フィルムコミッション事業の実施などがありますが、これは、既存の観光資源を有効活用した区の魅力の発信を基本としながら、来街者の受け入れができる環境整備の観点を持って進めているものです。そのため、観光事業の実施に当たっては、発信した情報の受け手である観光客が、区を訪れたいと感じ、受け入れる商店街などの地域が、多くの方に来てほしいという、双方の意識が両立していることが必要であり、商店街のにぎわいと潤いを願い、積極的に取り組む地域を区が支援していくことが重要と考えております。  区としましては、こうした観光事業の目的や区と地域との役割分担、商業振興との関係など、観光事業に対する区の基本的考え方を明らかにし、事業者や区内産業経済団体などの御理解、御協力を得ながら取り組みを推進してまいります。  次に、西荻窪地域の観光拠点施設の整備並びに観光協会設置に向けた検討についてのお尋ねにお答えいたします。  観光拠点施設につきましては、これまで、西荻窪に設置する方向で検討を進めていくこととし、その旨御説明をしてまいりました。この件につきましては、候補としていた物件の具体的活用方法を検討するとともに、地域の関係者の方々などにも御意見を伺ってまいりましたが、西荻窪駅周辺のにぎわい創出のための拠点は必要との御意見を多くいただく一方で、区全体の観光情報の発信拠点を置くことに対しましては、事業内容や立地条件などに関しさまざまな意見がございました。  こうした中で、地域の皆様の御意見をまとめていくことや、それを踏まえたにぎわい創出の方法、観光情報発信拠点の運営など具体的な検討が十分でない状況で、長期の賃借により物件を確保することは時期尚早と判断し、設置を見送ることとして、物件所有者の方にも御理解いただいたところでございます。  しかし、にぎわい創出の拠点づくりにつきましては、各地域の主体的な意思と取り組みのもと、特に中央線沿線を中心に、エリアごとに観光情報の発信と案内ができる場を整備することが、区内各所のにぎわい創出にとって効果的であると考えております。そこで、西荻窪地域を含めたエリアごとの観光情報等発信の拠点について、候補となる場所の検討など、その具体化に向けた取り組みなどを今般の実行計画改定に反映してまいりたいと考えております。  観光協会につきましては、将来的には、エリアごとの観光拠点の取り組みや情報を一元化して、連携などの調整ができる組織が必要との認識はありますが、その組織のあり方や運営方法、区のかかわり方などについては十分検討が必要と考えており、各エリアの拠点整備の具体化とあわせて検討してまいりたいと存じます。  次に、民泊についての検討状況に関するお尋ねにお答えします。  いわゆる民泊の中でも、区では、外国人滞在施設経営事業について調査検討を進めてまいりました。この事業は、平成27年8月に東京都全域が国家戦略特区に指定されたことを受け、一定の要件に該当することを条件に、旅館業法を適用せずに、マンションやアパートなどの賃貸住宅を外国人旅行客向けの中長期宿泊施設に活用することができるものです。区としましても、2020年の東京オリンピックパラリンピック開催に向け、インバウンド対策の1つとして、まち・ひと・しごと創生総合戦略でその取り組みをまとめ、関係条例の制定など条件整備の検討を進めてきたところです。  しかし、この施設は、消防法上は旅館と同等に扱うことから、消防設備整備が必要なため、マンションなどの空き部屋を直ちに転用することが困難であることや、建築物の用途変更手続の必要性、設置に当たっての近隣との調整など課題もあります。また、現在国においては、国家戦略特区の指定による取り組みとは別に、新たな民泊事業の制度化を検討しているとも伺っております。こうした状況も踏まえまして、区としましては、他自治体、国の動向を注視しつつ、引き続き慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。  私からの最後に、観光事業にとっての、もうけるという考え方についての御質問にお答えいたします。  観光につきましては、多くの方々に杉並区に訪れていただき、区内のイベントや名所などを見ていただくということだけで完結するものではなく、例えば西荻窪かいわいの飲み屋街、荻窪のラーメン、中央線沿線で展開しているカレーなど、独自の文化に触れて味わってもらうことや、名所などを見ながらの飲食、杉並ならではの商品の購入など、区内での消費を含めたものと認識しています。  観光庁の発表によれば、2015年の訪日外国人による消費額は約3.5兆円に達しており、国では2020年の東京オリンピックパラリンピックの開催を見据え、今後も訪日外国人の増加を見込んでいます。  区ではこうした状況を新たなビジネスチャンスと捉え、来街者を呼び込むための方策を積極的に考え、進めようとする地域に対して支援していくことで、まちのにぎわいを生み出し、そのことを通じて、区内での消費喚起と区内経済の活性化につなげてまいりたいと考えております。こうした意味から、区の観光事業が目的とするにぎわいと商機の創出は、御指摘の視点にもつながるものと捉えております。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 政策経営部長。       〔政策経営部長(白垣 学)登壇〕 ◎政策経営部長(白垣学) 私からは、保育の緊急事態宣言と施策管理に関する一連の御質問にお答えいたします。  まず、今回の宣言の位置づけ、宣言を行うに至った経緯についてですが、本年1月下旬の第1次利用調整の段階で認可保育所の申込者数が大幅に増加したことを受け、本年4月の待機児童解消は極めて困難であり、このまま早期の対応を行わなければ、来年4月にはさらに待機児童の増加が見込まれるという認識を持ちました。そこで、直ちに緊急対応の検討を開始し、2月下旬の最終の利用調整の結果を踏まえ、緊急対策の第一弾として、当初予算の訂正及び補正予算により、区有地や区立施設を活用した施設整備を計画化いたしました。  その後、区長を本部長とする待機児童解消緊急対策本部を設置し、検討を重ねてまいりましたが、緊急対策第一弾を実施したとしても、来年4月に500人を超える待機児童の発生が見込まれることが判明いたしました。このことを受けて、来年4月に確実に待機児童を解消するため、公園を含め、現在使用している区立施設も活用し、緊急対策の第二弾として、1,100名規模の施設整備を行うことといたしました。  保育緊急事態宣言は、こうした保育をめぐる厳しい切迫した状況を区民の皆さんに訴え、施設整備への御理解と御協力を求めるために行ったものでございます。  なお、今回の緊急対策は、待機児童の早期解消に向けた単年度の緊急措置であり、整備を行う施設数が実行計画の計画量を上回ることから、補正予算を議会に御提案し、議決を経て、施設整備等を進めさせていただくものでございます。  次に、他の施策は数カ年で取り組むのに、なぜ待機児童解消だけ来年4月までに対応しなければならないのかというお尋ねがございました。  待機児童の解消につきましては、区長就任以降、毎年目標として掲げ、この間、精力的に取り組んでまいりましたが、残念ながら実現には至っておりません。29年度につきましても、従前から、実行計画の最終年度の目標として待機児童ゼロを掲げており、法律に定められている自治体の責務であることから、このたびの緊急対策に基づき、確実な実現を図ってまいる考えでございます。  一方で、特養につきましては、総合計画において、10年間で1,000人の定員確保を目標に掲げ、着実に施設整備が進んでおりますので、緊急事態宣言を行う考えはございません。  次に、今回の宣言を契機に、区政全体を再検証、再構築する視点で実行計画の改定を行うべきとの御質問にお答えいたします。  今回の実行計画の改定は、区政を取り巻く社会経済状況の変化に対応し、平成29年度以降の総合計画の後半において基本構想実現に向けた道筋を明確にするため、この間の取り組み成果の検証のもと行うものでございます。総合計画の改定ではございませんので、施策体系を含めた見直しを行う予定はございませんが、計画事業のこれまでの実績や区民ニーズの動向などを踏まえまして、事業規模の見直し、手段、手法の変更など、必要な見直しを大胆に行ってまいる考えでございます。  私からの最後に、今後の行政運営、行政施設のあり方を考える上での人口規模に関する御質問にお答えいたします。  地域の活力とにぎわいを維持し、また持続可能な財政運営を確保していくためには、一定規模の人口は当然必要だと考えてございます。しかしながら、年齢構成も踏まえ、何万人を区としての適正人口と考えるかということにつきましては、さまざまな考え方があり、また日本全体の人口減少が進み、国を挙げて地方創生の取り組みが行われている中で、将来の人口を目標として示すことはなかなか難しいことであると認識してございます。区といたしましては、総合計画及びまち・ひと・しごと創生総合戦略等に基づきまして施策の充実を図り、地方との連携にも意を用いながら、住みたい、住み続けたいまちとして区の魅力を高めてまいりたいと考えてございます。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 施設再編・整備担当部長。       〔施設再編・整備担当部長(吉田順之)登壇〕 ◎施設再編・整備担当部長(吉田順之) 私からは、現在の区立施設再編整備計画に対する区の見解についてお答えをいたします。  区立施設再編整備計画につきましては、施設の活用状況や施設を取り巻く社会状況の変化などを踏まえ、緊急性の高い施設を優先的に整備するとともに、複合化、多機能化等により運営の効率化を進めることなどを基本方針とし、平成30年度までの具体的な取り組みやスケジュールを第一次実施プランとして策定したものでございます。  今般の保育需要の増加につきましては、計画策定時においても十分予測をしておりましたが、現在の計画が予測を大きく上回る需要増に対応できていないことは、御指摘のとおりであるというふうに認識をしております。  今回の改定に当たりましては、第一次実施プランの改定ではありますが、御指摘にございましたとおり、改めて区立施設全体を俯瞰し、さらなる施設、用地の洗い出しなどを行い、保育や特別養護老人ホーム等の変化する区民ニーズへ的確に対応するとともに、持続可能な行財政運営の実現に向けて、先入観にとらわれることなく、必要な見直しをしっかり行ってまいりたいと考えております。  次に、区立施設再編整備計画による財政的効果及び行政財産の売却についてのお尋ねにお答えをいたします。  財政効果を見込んでいた施設のうち、和田堀会館など、計画策定時には売却する施設として算定していたものの、喫緊の保育ニーズに迅速かつ的確に対応するため、保育施設への転用に方針を切りかえたものもございます。計画変更により、売却による歳入を得ることはできなくなりますが、既存施設を有効活用することにより、新たに土地や建物を取得する経費を抑える歳出削減効果がございます。  また、保育施設の整備により延べ床面積が増加しているとの御指摘もございましたが、保育施設や特別養護老人ホームは民設民営による整備が中心でございますので、その場合、新たな施設の整備による延べ床面積の増加はございません。一方、区有施設全体では、御指摘のとおり、計画策定以前と比べ多少増加してございます。  区立施設再編整備計画は、施設や用地を有効活用し、時代の変化に応じた区民ニーズへ対応することに加え、施設の廃止等に伴う改築改修経費と施設維持費の軽減、用地の売却、貸し付け等による財政効果を生み出すという目的もございますが、その効果があらわれるまでには一定の時間がかかるものと考えております。今後ともこの両方の視点から、廃止した施設の跡地等については、売却も含め、より有効な活用方法を追求してまいります。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 子ども家庭担当部長。       〔子ども家庭担当部長(田部井伸子)登壇〕 ◎子ども家庭担当部長(田部井伸子) 私からは、就学前人口の増加に伴う学校及び学童クラブへの影響に関する御質問にお答えいたします。  就学前人口は、施設再編整備計画の中で平成29年度約2万3,000名と推計していたところ、保育緊急事態宣言直前の推計では同年度約2万6,000名と、約11%の上方修正となりました。  区立小学校においては児童数及び学級数が増加傾向にあり、学童クラブ需要についても、今後、保育需要に一定程度連動して増加するものと認識しております。児童数の増加に伴う余裕教室の減少が、学童クラブの学校内への移行に影響することも想定されますが、これまでも学校及び関係所管が連携し、計画どおりの移行を進めてきたところでございます。今後も適時適切に将来動向を精査し、区が一丸となって移行を進めてまいる所存でございます。  なお、中長期的な視点に立てば、出産年齢にある女性の人口は減少が予想され、子供の人口自体も減少に転じるものと考えられます。学童クラブの校内への移行は、こうした動向を踏まえ、学校の校舎改築の時期との整合も図りながら段階的に進めていく考えでございます。それまでの間、既存の学童クラブ受け入れ数を拡大するとともに、児童館の一般利用の促進や放課後等居場所事業の拡充をあわせて進め、学童クラブの需要増に適切に対応してまいる考えでございます。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 総務部長。       〔総務部長(関谷 隆)登壇〕
    ◎総務部長(関谷隆) 私からは、用地の取得状況に関する御質問にお答えします。  まず、区長就任後の平成22年度以降に購入した主な用地とその用途でございますが、公園整備用地として旧東京電力グランドや旧近衛邸などを、また保育施設整備用地として旧荻窪団地の一部や成田東4丁目用地などを、また特養整備用地として宮前5丁目や和泉4丁目用地を取得してございます。  次に、平成27年度末までに取得した用地の面積と購入経費でございますが、土地開発公社の先行取得分も含めて総取得面積は約8万700平方メートルで、購入経費は204億1,600万円余でございます。このうち、施設再編整備計画策定後の平成26年度以降の取得面積と購入経費は、約2万2,600平方メートル、82億2,800万円余となってございます。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 土木担当部長。       〔土木担当部長(吉野 稔)登壇〕 ◎土木担当部長(吉野稔) 私からは、公園行政と公共交通網についての御質問にお答えします。  まず最初に、今回の保育緊急事態宣言による公園の保育用地への転用面積に関するお尋ねですが、向井公園、久我山東原公園、高井戸みどり公園の各一部及び善福寺だいかんやま公園、合わせて約0.35ヘクタールでございます。  次に、影響と公園整備に関するお尋ねですが、平成28年4月現在の区民1人当たりの公園面積は2.04平方メートルでございます。今回の転用で、1人当たりの公園面積は0.006平方メートル減となりますが、現在、都市計画下高井戸公園の西側部分約3ヘクタールの公園工事を進めているほか、成宗公園や仮称荻外荘公園、馬橋公園の拡張整備も予定しているところでございます。今後も着実に公園整備を進めてまいる所存です。  次に、公共交通網の充実施策についてのお尋ねですが、区は、交通不便地域の解消や高齢者などの交通弱者対策として、既存公共交通を補完する南北バスを導入するものとし、平成12年11月から運行を開始したけやき路線を初め、すぎ丸3路線を運行してまいりました。さらに、民間バス事業者へ働きかけ、永福町駅から松ノ木住宅間を高円寺駅までの路線延伸や、荻窪駅を起終点とする上井草保健センター循環路線が開設されました。これらの取り組みにより、区内における交通不便地域はほぼ解消されたと認識しております。  また、総合計画において新たな地域交通の整備を計画化し、その取り組みとして、ワゴン型車両などを使用し、地域を限定した区域型乗り合いデマンドタクシーや民間のバス路線などの充実に関する研究、他都市の公共交通の事例調査を進めてまいりました。  デマンドタクシーに関しては、タクシー事業者などとの競合や補助負担などの面から実現には至りませんでしたが、平成26年9月に佼成病院の開院と合わせ、高円寺駅から佼成病院間などに民間バス事業者による新たなバスルートが開設され、バス路線の充実に努めました。  区では地域交通の充実は重要と考えており、少子高齢化の進展など社会環境の変化や区立施設再編整備の進捗状況に応じ、地域交通について、今後とも調査研究を行ってまいります。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 47番富本卓議員。       〔47番(富本卓議員)登壇〕 ◆47番(富本卓議員) 若干時間もありますので、再質問をいたします。  いい答弁あり、悪い答弁あり、ありがとうございました。また、区長の今回の保育にかける決意、改めてよくわかりました。私もそれ自体否定するものではありません。多分、今の時代、前の方は行革だったんでしょう、今の方は保育なんでしょうということで、その時代時代で、トップが取り組まざるを得ないテーマというのがあるんだなということを改めて私も強く感じます。  それ自体を一生懸命やられることは否定をしませんけれども、それを中心に据えながら、いろいろほかも全部やろうというのは、私はなかなか厳しいんじゃないかなというのが正直あるので、その中で先入観にとらわれず見直していくというのは非常にいいと思うんですけれども、例えば、残りの5年間、保育を中心に頑張ってやるから、ちょっとほかのことは我慢しようやとか、そういう力強いメッセージを区としても僕は出してもいいのかなと。これからの時代、私は、何でもかんでもできます、やります、頑張りますというのは無理だと思っているんですよ。その辺は区としてどういうふうに考えているのかなということ。  今回、保育の宣言でいろいろ私も指摘をしましたが、宣言をすることはよろしいので、それを一生懸命頑張ることはよろしいわけで、そうすると、ほかへいろいろ波及しておるわけですよ。それを全部調整して、じゃ全部仕上げられるのかということもあるし、その辺、もっと保育に力を入れるんだということをばーんと打ち出してもいいし、何かその辺の方向性を区としてどうしていくのかなというのを、これからもやるけれども、ほかも頑張って総花的にやるというのがどこまでできるのかなみたいなことが、そうするとやっぱりいろいろ財政負担、コスト負担もかかっていくんじゃないのかなというのがあるので、その辺、区としてどういう方向性を目指していくのかなということがちょっと見えてこないので。だから、施設再編なんかも一生懸命やらぬときついよとか、いろんなことを指摘したわけなので、その辺ちょっと、区としてどういう思いでいるのかなということを改めて聞きたいなということを再質問しておきます。  それと、次、観光については、何度もこういう答弁を聞きました、正直言って。にぎわいと商機が云々かんぬんと言っているけれども、商店街の人、僕もハロー西荻をやりましたけれども、誰もそんなこと言わへんよ、はっきり言って。それは、区はそう思っているけれども、区民というか商業者には全然伝わっていない。これはもうちょっと強い認識を持ってもらいたいということ。  それからあと、商店街とか、若い人がやっている商店もありますけれども、商店街はやっぱり非常に疲弊していますよ。皆さんが思っているより、ここ数年で弱体化がひどい。この辺の認識をもうちょっと強く持たないと、今までどおりの商店街というイメージで話をしても、なかなかみんなついてこられないと思います。  正直、ハロー西荻をやっていても、イベントをやるのも大変ですよ。青年部といったって、みんな青年部も年とっていくわけで、若い人がなかなか入ってこない中で、そういう商店街というものとか商店というものの現状認識をもっと強く持った上で、もっと強くアピールをしていかないと、全然皆さんが思っている商機とにぎわいとかというのは、事はわかるんですけれども、伝わっていないような気がするので、もっとそういう強いメッセージ性を持っていただきたい。  それと、検討、検討はいいんですけれども、お尻はいつなのか。正直言って、オリンピックも2020年、決まっております。検討している間にオリンピックですではしようがないので、そこはいつまでにやるのか、具体的な答弁を求めたい。  それから、最後に公共交通について。  いろいろ御研究いただいて、確かに難しいこともよく理解をしている中で頑張っていただいているんですが、今後も調査研究を進めていきますというのはわかるんですが、何か可能性はあるんですか。ベロタクシーみたいな、ああいうのを走らせるとか、何か新しいそういう発想があるのか。じゃ、どういう調査研究がほかに方法論としてあるのか、何か具体的な方策があるのか、その辺について伺っておきたい。  それから最後に、吉田部長さんが答弁してくれてありがたい。もちろん保育のやつは民設民営ということは私もわかっているんだけれども、やっぱり補助を出したりするわけで、そういうコスト増という意味があったということは御理解いただきたい。ちょっと質問の仕方が悪かったんですが、そこはそういう意味だということで御理解をいただきたい。  以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。       〔区長(田中 良)登壇)〕 ◎区長(田中良) 富本卓議員の再度の御質問に私から御答弁申し上げます。  保育をめぐる議論は、今議会でも各会派の皆さんから御質問が寄せられておりますが、緊急事態宣言を発したということ、その理由の1つは、先ほど申し上げたこともございますけれども、さまざまな誤解とか思い込み、こういうものが、保育を論ずるときに、行政側においても、あるいは区民の側においても呪縛としてあったのではないか、私はそう感じております。  私は行政の長としてここで御答弁申し上げますけれども、同時に、区民から公選で選ばれた区民の代表として行政組織をお預かりするという立場として、組織を見るという目も持たなくてはならない、そういう中でそういう印象を持っております。  シンポジウムのときにも申し上げましたけれども、保育行政というのは、供給が需要をつくり出す、こういうふうに言われてきた課題です。つくればつくるほど潜在的な需要を掘り起こすと言われてきました。それだけ潜在的な需要というものが埋もれているという言い方もできるだろうと思います。  しかし、そこで埋もれている需要を掘り起こすということが、今日において悪いことなのかというと、私は逆だと、いいことだと考えます。それは、例えば出産を希望する方々にとって、保育サービスが整備されているかどうかというのは、踏み切るか踏み切らないか、背中を押す意味が保育サービスにはある。これはアンケートの答えからもそういうことがはっきりと示されておりますし、また、女性のいわゆる就労の拡大、これにもつながっていくことであろうかというふうに思います。  もう一つは、やがて少子化になるから、いずれ必要なくなる、だから、保育は金がかかるので必要最少限度でやっておればいい、そういう感覚も今まで呪縛の1つとしてあったのではないかというふうに思います。したがって、致命的な政治的な失点にならない程度でコストを抑制するということで、抑えていこうという抑制的な考え方が行政側にも根強くあったというふうに思います。  それから、意外に信じられているのは、つくればつくるほど、他地域から流入して需要がさらにふえてイタチごっこになるのではないかと。これは、私も就任直後はそういう漠然とした考えにとらわれておったということもございますけれども、実はさまざまな調査をしても、そういうことを裏づけるようなデータというのは何一つ私のところに上がってきたことはございません。むしろ今の東京の現象というのは、待機児童があふれている、これが非常に大きな問題になっているにもかかわらず、全国から20代、30代の若者を中心に東京に、23区部に人口が流入している、こういう現象が起こっているわけです。  私が都議会に入ったのは平成5年ですから、そのころは23区の人口は800万人を下回るという瞬間があったように思いますけれども、今は920万人まで膨張し続けております。待機児童は解消されないけれども人口が流入しているということを見れば、杉並区におきます人口流入も、保育園をつくっているから入ってくるということとは違う次元、違うレベルの、私は、全国の一極集中問題の反映の人口流入だろうというふうに捉えております。そういうことが、しかしながら、一般的には先入観として漠然と区民の間にも感覚が広がっている。  それから、私が就任して以来、保育行政は力を入れてきたわけですけれども、保育園をつくり過ぎだと、こういうことをおっしゃる方もいないわけではない。しかし、よく調べてみれば、認可保育園の整備率は23区中20位だということも事実であります。私たちも保育行政に力を入れてきたけれども、他自治体も一生懸命取り組んでいるということでありまして、そういう非常に先入観というものが、保育行政の問題については、呪縛として行政側も区民の側もとらわれている面があるのではないかというふうに思っております。  先ほど申し上げましたように、しかしながら、保育というのは、子供たちが待機児童となれば、それは、親御さんも含めてせっぱ詰まった大きな問題でありますし、認可保育園に入れないという方々にとりましては、認可に入れないから、別の受け皿としてさまざま認可外施設ということになりますが、中には、ビルの一室に押し込んでしまうようなケースも出てくる。そういう方々にとりましては、たとえ公園の面積が縮小したとしても――公園の遊び場がなくなるじゃないかという方も、それもよくわかる。しかし、そういった待機児童あるいはその予備軍の方々から見れば、狭くなってもしっかりと遊び場がある、園庭が確保できたところにお子さんを預けることができるという、逆から見ると、またプラスマイナスは別の視点があるということもあります。  そういう意味で、いろいろ課題は大きいと思いますけれども、同じ地域で解決していかなければならない課題であります。譲り合いの精神で、そして私どもとしては、最大限子供たちの環境を確保するために、さまざまな手法を駆使して、困難な課題を解決していくために全力を尽くして取り組んでまいりたいというふうに思っております。  ほかの質問につきましては、関係部長より御答弁させていただきます。 ○議長(井口かづ子議員) 産業振興センター所長。       〔産業振興センター所長(内藤友行)登壇〕 ◎産業振興センター所長(内藤友行) 富本議員の再質問にお答えいたします。  まず、にぎわいと商機という目的の達成に向けた観光施策が、なかなか実際の商店街の方々のにぎわいと潤い、そのような形で実感できていないということにつきましては、少し力が足りなかったのかなと思っているところです。今後は、見える化というか、商店街の方がにぎわいと潤いを実感できるような、そんな形で具体的に今後も進めていくことにしております。  また、商店街の疲弊についても御質問いただきましたけれども、現状としては、7ブロックを定期的に回りまして、商店会の会長さんなんかと話をさせていただいていますが、その中でも、高齢化した店主さんだとか、担い手がいないというようなものは共通としていただいていることでございます。それぞれの状況に応じてそれぞれの施策を打っていくということで、現在も行っているところでございますが、より具体的で実効性のあるような施策を打っていきたいと思ってございます。  また、いつからというような話がありましたけれども、リオオリンピックが終わりますと、一気に東京というようなムーブメントもやってくると思いますので、しっかりその機を逃さずにやっていきたいと思ってございます。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 土木担当部長。       〔土木担当部長(吉野 稔)登壇〕 ◎土木担当部長(吉野稔) 私から、公共交通網の具体的な方策についての富本議員のお尋ねにお答えいたします。  申し上げましたように、さまざま検討してまいりましたが、それぞれ課題もあり、難しい現状でございます。しかし、少子高齢化社会の中、地域の現状が変化していく中で、新たな可能性を見つけていく努力をしっかりしていきたいので、御指導をよろしくお願いしたいと思います。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 以上で富本卓議員の一般質問を終わります。  20番富田たく議員。       〔20番(富田たく議員)登壇〕 ◆20番(富田たく議員) 日本共産党杉並区議団の富田たくです。会派を代表いたしまして、1、杉並区の震災対策について、2、杉並区内の駅周辺の客引き、スカウト行為について質問いたします。  まず初めに、ことし4月に発生しました九州熊本地方の地震で犠牲になられた方々に対しまして謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。  日本共産党は、震災発生直後に対策本部を立ち上げ、現地の地方議員団と国会議員団が連携して被害の実態把握を行うとともに、被災した方々の支援活動に全党を挙げて取り組んでまいりました。  区内でも多くの皆様からたくさんの義援金や支援物資をお預かりし、現地の党議員団を通して自治体や被災者へ直接お渡ししています。改めて、区内で御協力いただきました皆様に、この場をおかりいたしましてお礼を申し上げます。今後もできる限りの支援活動を行うとともに、熊本地震の教訓をしっかりと学び、杉並区の防災力の向上に生かしていきたいと思います。  熊本県、大分県を中心として発生したこの地震は、4月14日と16日に震度7が2回、震度5弱以上の揺れは、5月24日までに18回、昨日5月30日時点で建物の被害は11万175棟、死者49名、行方不明者1名、負傷者1,736名、避難所での震災関連死と考えられる方は20名と、大きな被害が発生しています。  九州地方の活断層である布田川断層と日奈久断層の2つが連動して発生した地震と言われており、日本の観測基準の最大である震度7が2回も観測されたのは、1885年以降の地震観測史上初めてのことで、これほど大きな揺れが多発することは、今まで想定されておりませんでした。  今回の震災で、1981年以前の旧耐震基準で建てられた建物の多くに被害が発生しており、住宅など建物の耐震化の重要性を改めて浮き彫りにしました。東京でも大規模な首都直下型の地震がいつ発生するかわからないと言われる状況であり、杉並区内の耐震化が急がれます。  区内の旧耐震基準で建てられた住宅などの建物の耐震化対策の取り組みに区としてもより一層力を入れるべきと考えますが、区の見解を求めます。  1923年の関東大震災を受け、その翌年に、世界に先駆けて施行された日本の耐震基準ですが、当初は震度5程度に耐えられるようにとつくられました。これがいわゆる旧耐震基準で、その後1981年には、震度6強以上の地震でも倒れないようにと新たな基準が設けられました。特定地域を指して耐震化を進めるという言葉を使うときは、旧耐震基準でつくられた建物について、耐震補強を行うか、新耐震基準で建てかえを行うかということを指し、旧耐震基準の建物を減らしていくという意味が一般的です。  さて、熊本地震では、この新耐震基準で建築された耐震化された建物にも被害が発生しており、住宅だけでなく、公共施設への被害が問題となりました。前震、本震と2度の震度7の揺れを記録した熊本県益城町の役場庁舎を初め、その近隣自治体を中心に、熊本県内45市町村のうち5市町で本庁舎が閉鎖となる被害を受けています。1度目の震度7の揺れで被害を免れても、2度目の震度7や、続く大規模な余震によってダメージが蓄積し、新耐震基準の建物でも倒壊、半壊などの被害を受けました。  また、自治体の庁舎だけでなく、避難所と指定されていた小中学校でも被害があり、避難所として開設できない状況が発生しています。災害発生直後に重要な役割を担う庁舎や避難所が使えないとなれば、被災した住民のその後の避難生活に大きな影響が出てしまいます。  耐震化した避難所などでの被害は、建物を支える骨組み、いわゆる躯体には影響がなく、倒壊の危険性はないものの、天井や外壁などの非構造部材に被害が発生し、建物自体が使用できないケースも発生しております。建物の耐震化は済んでいるが、非構造部材の耐震化が行われていなかった、もしくは想定以上のダメージで非構造部材に被害が発生したという状況です。  文科省では、学校施設の非構造部材の耐震化の重要性を学校設置者や教員に理解してもらい、その耐震化を進めてもらおうと、2010年に学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブックを策定し、昨年3月には改訂版を発表しております。  杉並区でも、震災救援所となる区立小中学校などの震災時に重要な役割を持つ施設について、非構造部材の総点検とその耐震化を早急に行う必要性があると考えますが、区の見解を求めます。  また、震災救援所が使用できない場合も考慮し、震災救援所補助代替施設のさらなる確保や震災救援所の増設を求めますが、区の見解はいかがでしょうか。  私たちは過去の震災からさまざまな教訓を学び、それを今後発生するだろう災害に生かしていかなければなりません。耐震化の必要性や不燃化の取り組みなども、過去の関東大震災や阪神・淡路大震災などの教訓から学んだことだと思います。今回の熊本地震からの教訓は何でしょうか。学術的な調査研究は今後専門家が行っていくことになりますが、私たち素人から見ても大きな教訓となるのは、震度7クラスの揺れが短期間に2度も発生し、その後も大規模な揺れが何日も続くという群発型の震災に対する備えが必要というものではないでしょうか。  もともと地震が少ない地域と思われていた熊本ですが、行政の地域防災計画では、震災に対する被害想定で、今回の地震と同じ布田川・日奈久断層帯の連動地震で、震度7、マグニチュード7.9の大地震が想定されておりました。ただし、前震、本震で震度7が2回も発生することは想定していませんでした。日本の観測史上初めてのケースなので、被害想定に反映されていないことはしようがありません。しかし、今後熊本と同様の群発地震が発生し、大きな被害が発生しても、想定外だからしようがないとするわけにはいきません。  東京都の首都直下地震の被害想定についても、震度6や7などの大規模な揺れが複数回発生した場合を想定した被害を算出し、防災計画に反映させるべく検討を進めるべきと提案したいと思います。これは東京都に対する働きかけなどを行い、都と連携していく必要性があると考えますが、区の見解を求めます。  実際に首都直下地震が発生した場合を想像してみてください。現在東京都が想定している規模の震災であったとしても、今回の熊本地震で、私たちは群発型の地震の怖さをテレビなどで目の当たりにしていますので、大規模な余震の発生の心配から、想定する以上の方々が、身近な公園や学校の校庭などオープンスペースに一時的に退避するのではないでしょうか。そういう意味でも、住宅密集地が多い杉並区では、小さな公園や学校の校庭などのオープンスペースはとても重要です。この点からも、杉一小学校複合化による屋上校庭計画案や公園の転用など、区内のオープンスペースが減少する施策は、区の防災力の低下につながると指摘します。  また、区立小中学校が杉並区では震災救援所となり、その運営は、学校の教職員、区の職員、地元の防災会の3者で連携して行うことになりますが、施設一体型小中一貫教育校設置のために行われる学校統廃合では、学校跡地を震災救援所として残しても、その運営から教員が欠けることになります。これでは震災救援所の運営に大きな支障が発生するのではないでしょうか。  こういった防災力の低下が懸念される施策や計画案については見直しが必要と考えますが、区の見解を求めます。  さて、熊本地震を受け、首都直下地震の被害想定の見直しの必要性については先ほど言及いたしましたが、現状の首都直下地震の被害想定には一定の問題があることを指摘しなければなりません。  2012年、東京都防災会議は、東日本大震災を受け、新たな首都直下地震等による東京の被害想定報告書を取りまとめました。その中では、「東日本大震災の経験を踏まえ、」「可能なかぎり、実際に起こりうる最大の被害像の把握に努めた。」と記されており、被害想定の前提条件となるマグニチュードについては、2006年に発表された想定と変わらないものの、東京の最大震度を6強から震度7へ引き上げ、被害を算出しています。より大規模な震災を想定するように見直された被害想定ではありましたが、実は、一部前提条件が2006年のものよりも低く見積もられてしまっているのです。それは、地震が発生した際の風の強さ、風速です。  関東大震災では、台風並みの強風によって火災の延焼被害が大規模化し、多くの人命を奪いました。当時の麹町気象台での記録で、発災当日の19時には風速13メートル、20時には風速18メートルという強風となり、最大風速は22メートルが記録されています。こういった強風による被害の拡大を考慮し、2006年の被害想定では、最大風速15メートルと想定して避難者数や死傷者数を計算しておりました。しかし、2012年の被害想定の見直しでは、その最大風速の前提条件が15メートルから約半分の8メートルへ引き下げられてしまいました。前提となる風速を引き下げたことは、最大の被害像の把握に努めるという基本方針から外れたものと指摘せざるを得ません。この引き下げられた前提条件の被害想定のままで本当によいと考えているのか、区の認識を伺います。  また、避難者の想定についても、一定の問題点を指摘しなければなりません。現状の被害想定では、発災後1日が経過した際の杉並区内の避難者は、最大で17万6,000人以上と想定しています。そして、そのうち行政が設置する避難所に避難する方々を避難生活者と定義し、避難者全体の65%、約11万5,000人前後と見積もっています。  杉並区はこの被害想定に基づき、震災救援所等の収容人数は、避難生活者約11万5,000人分の準備をするにとどまっております。では、避難者のうち避難生活者を除いて、残り35%、約6万人の方々はどうなるのでしょうか。  東京都の被害想定では、疎開する方々と想定し、被災地域以外の親戚や知人を頼る方、区内でも避難場所と指定されていない駐車場や公園、ホテルなどに避難する方などとされています。この根拠は、1996年及び2006年に中央防災会議や東京都が行ったアンケート結果によるもので、都の資料によると、2006年に行った被害想定における都民アンケートの結果、「自宅付近で被災した場合、あなたはどこに避難しますか。」との問いに対し、「避難所」との回答が68.3%と一番多く、次いで、「被災地域以外の親戚・知人宅等への疎開」が20.1%、公園、広場、路上の車両等の「屋外」と回答したのは6.0%、「ホテル等」との回答が2.6%となっています。これを受け、東京都は、避難者のうち35%は避難所に避難しないと想定しているわけです。  しかし、実際に首都直下地震が発生した場合を想像すると、鉄道などの交通機関は使用できないことは容易に想像できますし、主要幹線道路は震災時緊急輸送道路に指定され、車での避難は一定の規制がされることになるので、思ったように疎開行動がとれるかどうかはわかりません。というよりも、被災地域以外に自力で移動することは困難な状況になるでしょう。屋外への避難等は、結局区内での避難生活になるわけですし、ホテル等の宿泊施設は、震災発生直後から新たな宿泊客を受け入れ可能かが疑問です。結果的には、疎開すると見積もっていた約6万人もの方々も、その大半は区内での避難生活を余儀なくされるのではないでしょうか。  以上の観点から、現状の被害想定で避難者の65%分しか震災救援所等を用意しないとの考え方ではなく、最大の避難者17万6,000人の方々を受け入れられる準備が今後必要と考えますが、区の見解はいかがでしょうか。  次に、福祉救援所についてですが、この点については、きのうの他会派の方の一般質問でも取り上げられておりましたので、重複しないようにしたいと思います。  現状、区内の福祉救援所は19カ所との報告を受けていますが、各施設5名から10名程度の収容人数で、全体としても200名前後の受け入れが想定されています。高齢者、障害者、妊婦や乳幼児など、特に配慮が必要な方々のための避難先としてはまだまだ足りていないというのが現状ではないでしょうか。  福祉救援所、一般的には福祉避難所と言われますが、その設置運営について、2006年に赤十字社から福祉避難所設置・運営に関するガイドラインが発表されました。そして、ことし4月には、東日本大震災の教訓を考慮した改訂版が内閣府から発表されています。ガイドラインの冒頭で、「東日本大震災では、犠牲者の過半数を高齢者が占め、また、障害者の犠牲者の割合についても、被災住民全体のそれと比較して2倍以上に上った」とし、福祉避難所の重要性を訴え、平時の取り組みなくして災害時の緊急対応を行うことは不可能であるとの認識に立って、行政を中心に、平時から取り組みを進めてほしいと呼びかけています。  改めて福祉避難所の拡充と日常的な訓練が必要と考えますが、区の見解はいかがでしょうか。  熊本地震では、通常の避難所での避難生活でもさまざまな課題が上がっていました。中でも、食料や飲料水などの支援物資が行き渡らない状況が報道されておりました。支援物資の輸送、分配についても他会派の方の質問で取り上げられていましたので、1つだけ確認いたします。  発災直後の混乱した状態で、物資の輸送、配布手段を確保することは大変難しいことだとは思いますが、輸送、配布ルートの再確認と、実質的な訓練を日常的に行う必要があると考えますが、区の見解はいかがでしょうか。  震災救援所の課題として熊本地震でも報道されていたのは、避難所のごみ問題です。震災直後は民間事業者の収集も滞り、避難所で出された生活ごみがその一角にうずたかく積まれている映像が印象的でした。衛生面での課題、またにおいの問題など、避難生活にとって大きな懸念として改めて認識しました。  震災救援所等のごみ問題について、区の対策はどのような検討が行われているのか、お答えください。  さて、熊本地震では、指定避難所以外の公園や駐車場などで車中泊やテント泊を行っている自主避難者への支援が課題となりました。行政側の自主避難場所の把握が難しく、支援物資が行き渡らない状況、食料などを求めて避難所に行っても、その食料が避難所に滞在している人数分しかなく、支援物資を分けてもらえないなどの課題です。  この課題は、5年前の東日本大震災でも指摘されておりました。当時、私たち日本共産党杉並区議団も被災地ボランティアへと何度も通いましたが、区内からお寄せいただいたさまざまな支援物資、生野菜などの支援物資を被災地に運び、食料は現地で小分けにして、自宅で被災生活を送っている方々に直接お配りしましたが、これが大変好評だったと記憶しています。  また、公民館や仮設住宅の一角をお借りして、さまざまな支援物資を提供する青空無料バザーも行いましたが、近隣在住の方も避難所で生活を送っている方も分け隔てなく利用していただき、必要な支援物資を自由に選んでお持ちいただきました。この取り組みも好評でした。  こういった取り組みを参考に、区としても、自主避難者など震災救援所に避難していない方々への支援を検討しなくてはいけません。  杉並区の防災計画では、震災編第2部第10章の「備蓄食糧の配布」の項目で、「給食を必要とする自宅残留被災者、補助・代替施設収容者等についても、原則として最寄りの震災救援所で配布する。」と明記されています。自主避難者については、自宅残留被災者と同等の扱いと考えるのがここでは妥当ですので、震災救援所で食料の配布を受けられると認識して問題ないと思いますが、実際にそのように運営するためには、震災救援所のスタッフとなる方々にこのことを知っていただく必要があります。また、自主避難者、自宅残留被災者の方々にも食料配布が受けられるとお伝えできるかどうか、さらには、震災救援所の備蓄食料が自主避難者、自宅残留被災者となっている方々の分まであるかどうかということも考慮しなければなりません。
     以上のことを踏まえ、自主避難者の方々にも格差なく支援物資が届くよう今後検討が必要と考えますが、区の認識はいかがでしょうか。  続いて、杉並区の新たな取り組みである感震ブレーカー設置支援制度について確認させていただきます。  阪神・淡路大震災では、発災後に出火した火災によって延焼被害が大規模化しました。また、発災後数日が経過しての出火もありました。後の調査で、電気の通電に伴う電気火災が主な原因だったことがわかり、その教訓から、地震の揺れに反応してブレーカーが自動的に落ちる感震ブレーカーが効果的と言われております。  私たち日本共産党杉並議団は、2012年の第2回定例会で、感震ブレーカーの杉並区内での普及の必要性を区議会でも先駆けて提案し、杉並区の助成制度とするよう粘り強く訴えてまいりました。ことし4月から設置支援制度が実現したことについては、大変うれしく思っていますし、他会派の方々も議会報告の紙面などでかなり大きく取り上げていただいているようで、防災施策の向上の一助になれて幸いです。  この制度の導入で、火災延焼危険度の高い特定地域において、2,000円の実費で感震ブレーカーを設置できることになりました。4月から6月までの期間限定で、先着3,000世帯までとなっています。先日問い合わせたところ、申し込みは5月半ばで300世帯余りだと聞きました。発災時の電気火災を予防するためには、区民の皆様にこの制度をもっと活用していただくことが必要です。制度の周知の強化と、実施期間の延長などの検討が必要と考えますが、区の認識はいかがでしょうか。  続きまして、区立施設のエレベーターの耐震化と閉じ込め防止対策についてです。  以前も何度か、エレベーターの閉じこめ防止対策については取り上げさせていただきました。地震で停止しても自動的に最寄りの階に移動し、ドアが開閉される機能の必要性とともに、万一閉じ込め事故が発生したときのために、エレベーター内に飲料水や救急セットを入れた救急備蓄ボックスの設置などを求めてきました。  2014年の決算特別委員会で質問した際は、区営住宅や小中学校を含め、区立施設全体で123台のエレベーターが稼働しており、そのうち28台が最新の適合基準に合致しているとのことでした。また、それら以外についても、地震の揺れでエレベーターが停止しても、大地震と停電が直ちに起こらなければそれほど危険ではないと認識しているとの答弁を区からいただいております。  杉並区の首都直下地震等による被害想定では、東京湾北部地震でマグニチュード7.3が発生した場合、区内は震度6弱から6強の揺れとなり、停電は区内で9.9%から最大で25.2%に及ぶと想定されています。25%という数字は、大規模な火災も発生した状態を想定しているので、発災直後の停電発生率とは言えないと思いますが、区内の建物の少なくとも1割近くは停電となることが、被害想定からも予想できます。  最新の適合基準に合致していない区立施設のエレベーターは95台余り、そのうち1割というと、単純計算で、10台は停電による閉じ込め事故が発生する可能性があることになります。停電となった施設に非常用電源があれば救出は可能と考えられますが、全ての施設に非常用電源が設置されているわけではありません。大規模震災で一定の割合で停電することが想定されている以上、エレベーターの閉じ込め事故が発生しないとは言えないと考えます。  区立施設のエレベーターについて、最新の適合基準への更新も急務ですし、エレベーターの中に簡易トイレや飲料水などを備えた救急備蓄ボックスを設置する必要性があると改めて考えておりますが、区の見解を伺いまして、防災関連の質問を終わります。  続きまして、駅周辺の客引き、スカウト行為についてです。  先日、区内在住の男性から、高円寺駅周辺での迷惑行為についてお話を伺いました。その男性の娘さんが、高円寺駅の改札を出て自宅に帰ろうとした際、若い男性から声をかけられたそうなのですが、これがいわゆるキャバクラへの勧誘だったそうです。勧誘を断り、歩き出しても横についてしつこく誘われ、大変不快で不安な思いをしたとのことでした。父親の男性からは、高円寺駅の迷惑行為をどうにかできないのかとのお話でした。  私も、高円寺駅では迷惑行為について気になっておりました。週末の夜など、高円寺駅から自宅に帰る際、必ずと言っていいほど客引きに声をかけられます。こういった風俗店のスカウト行為、客引き行為は、東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例、いわゆる迷惑防止条例の第7条で禁止されております。  また、余談ではありますが、客引き行為、スカウト行為を行う者の歩きたばこやそのポイ捨てなど、大変マナーが悪く、住民にとって迷惑ではないでしょうか。  杉並区としてこういった状況をどのように認識しているか、まず確認いたします。  新宿区や渋谷区などでは、こういった行為に対して、区独自の条例をつくって対応しているようですが、杉並区内での条例化については、その必要性から議論が必要ですが、少なくとも東京都の条例で定められているのですから、ルールは守ってもらわなければなりません。  区としても警察などと連携し、駅前の迷惑行為防止対策の強化が必要と考えますが、最後に区の認識を確認させていただきまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。 ○議長(井口かづ子議員) 理事者の答弁を求めます。  都市整備部長。       〔都市整備部長(渡辺幸一)登壇〕 ◎都市整備部長(渡辺幸一) 私からは、区の耐震化対策の取り組みに一層力を入れるべきとの御質問にお答えいたします。  熊本地震の発生以降、区民の皆様からの耐震化に関するお問い合わせや相談が急増しており、先日、区役所の1階ロビーにおきまして、被災建築物応急危険度判定員として熊本に派遣をいたしました職員が被災地で撮影した写真の展示や、また耐震相談会を臨時に開催いたしました。当日は多くの区民の皆様から御相談があり、耐震化に関する機運の高まりを感じたところでございます。この機を逃すことなく、より一層の普及啓発に取り組み、区内建築物の耐震化を促進してまいりたいと存じます。  なお、写真展示につきましては、本日まで2階の区民ギャラリーで行っておりますので、ぜひごらんください。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 政策経営部長。       〔政策経営部長(白垣 学)登壇〕 ◎政策経営部長(白垣学) 震災救援所となる施設の非構造部材の耐震化のお尋ねですが、東日本大震災でも多数の被害が発生して問題となった屋内運動場のつり天井の点検を平成25年度に行いまして、つり天井が設置されていた7校について、平成27年度までに改修工事を終えたところでございます。  つり天井以外の照明やバスケットゴール等の非構造部材につきましては、今年度総点検を行いまして、計画的に耐震化に取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 危機管理室長。       〔危機管理室長(寺嶋 実)登壇〕 ◎危機管理室長(寺嶋実) 私からは、初めに、杉並区の震災対策についてお答えをいたします。  震災救援所の補助代替施設の増設についてのお尋ねですが、震災救援所65カ所のほか、補助代替施設として、現在、区内の都立、私立の高等学校と私立大学を指定しております。これらは、都の首都直下地震等による東京の被害想定をもとに定めたものでございます。杉並区地域防災計画は国、都の計画と整合性をとることとされておりますので、その改定に合わせ、適宜見直しを行ってまいります。  次に、救援物資の配布に関するお尋ねですが、必要な物資を滞留することなく迅速に被災者の方に配布することは重要なことです。このたびの熊本地震では、報道によりますと、避難者数や避難場所についての情報収集が十分でなかったこと、救援物資の受け入れ、仕分け、搬送手段の確立が当初十分でなかったと伝えられております。こうしたことを踏まえ、迅速、正確な避難者情報の収集や搬送体制の整備などの対策を検討してまいります。  また、熊本地震における自動車やテントによる避難者が多くいらっしゃいますが、1つの要因として、大きな余震が長期間にわたり発生したことも影響があると捉えております。区では、こうした避難者、震災救援所等に避難せず自宅にとどまる方々についても、震災救援所に届け出をいただき、この情報に基づき、必要な食料、生活必需品を提供してまいります。  次に、被害想定の見直しに関するお尋ねですが、今後、国による平成28年熊本地震の十分な検証を経て、首都直下地震等による東京の被害想定の前提条件や杉並区の被害想定が見直された場合に、地域防災計画に反映してまいります。  また、平成24年発表の被害想定は、都内の気象データから、実情に即した最大風速を用いております。また、火災被害は発生時刻、季節、気象によって状況が大きく異なることから、冬季の18時という条件のもと、被害想定をしたものです。したがいまして、客観的なデータや最新の科学的知見に基づき見直されたものと認識してございます。  次に、オープンスペースの減少と震災救援所の運営に関するお尋ねですが、震災救援所となる区立小中学校では、校庭のほか、体育館、校舎等の利用可能スペースを最大限に利用して運営してまいりますので、屋上の校庭化で防災力が低下するとは考えておりません。  次に、学校統廃合に伴い、教員等が欠けて人手不足になるとの御指摘ですが、震災救援所の運営は、防災会、町会・自治会、区職員等の共同により運営を行っていますが、不足する人員の確保については、他自治体派遣職員、ボランティア等も含め、支援に支障が生じないよう努めてまいります。したがいまして、お尋ねの施策や計画案を見直す考えはございません。  次に、被災者を全員震災救援所に受け入れる準備が必要との御指摘でございますが、平成24年の被害想定は、阪神・淡路大震災直後のアンケート調査結果と、平成18年東京都被害想定において行った都民アンケートの結果を踏まえ、中央防災会議、東京都防災会議で避難率65%と設定したもので、この想定は合理的な数値であると認識しております。  次に、震災救援所におけるごみについてのお尋ねですが、震災救援所では大勢の人が生活するため、大量のごみが発生し、悪臭や衛生上の問題も危惧されます。そのため、震災救援所運営管理標準マニュアルで、当初からごみの分別の徹底とごみ箱、ごみ集積所を設置するよう定めているところです。  なお、清掃事業の復旧に合わせ、衛生上、速やかに処理を必要とするごみから優先的に収集・運搬を開始いたします。  次に、感震ブレーカーに関するお尋ねですが、感震ブレーカーの設置申込台数は、5月20日現在、387台となっております。これまで、区公式ホームページや「広報すぎなみ」に事業内容を掲載、杉並区町会連合会への事業説明と町会・自治会でのチラシ回覧、防災市民組織へのチラシ配布を行っております。今月からは、起震車に感震ブレーカーを取りつけるなど、震災時の電気火災を防ぐための啓発と事業案内を行っております。このほかに、杉並区小規模建設事業団体連絡会の事業や防災訓練、地域のイベント等の機会を捉えて周知を図るとともに、同時に行っております防災用品あっせん事業を通して、震災時の電気火災の防止に取り組んでまいります。  なお、申込件数の状況によっては、期間延長を判断してまいります。  防災対策の最後になりますが、区立施設のエレベーターの閉じ込め防止対策に関する御質問にお答えいたします。  区のエレベーターは、総数140台のうち36台が新基準の閉じ込め防止機能を備えております。それ以外の旧基準のものも、地震時の管制機能で一定の防止策はとられておりますが、なるべく速やかに新基準に移行すべきとの認識から、エレベーターの更新時を捉えて、計画的に閉じ込め防止対策を講じているところです。  救援ボックスの設置については、区の施設は総じて低層のものが多く、施設の職員対応も可能なこともありますが、今後、施設の状況に応じて対応を考えてまいりたいと存じます。  私からの最後になりますが、区内の駅周辺における呼び込み等に関するお尋ねにお答えいたします。  御指摘の高円寺駅周辺の一部で店舗利用の呼び込み行為等があることについては、区としても承知しております。東京都の迷惑防止条例で規制する執拗な客引き行為や勧誘行為がある場合には、警察署への通報を御案内しております。  区ではこれまでも、地域の安全・安心を高めるため、地域の防犯自主団体、警察署と情報共有を図り、合同パトロールを実施しているところです。引き続き地域や関係団体との連携を図り、安全・安心でにぎわいのあるまちづくりを進めてまいります。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 保健福祉部長。       〔保健福祉部長(有坂幹朗)登壇〕 ◎保健福祉部長(有坂幹朗) 福祉救援所に関する御質問にお答えします。  現状では、民間の福祉施設との協力体制を整えながら、実行計画に基づき、協力施設をさらにふやして絶対数の確保に努めていくとともに、協定を締結している施設におきましては、発災時の対応に関するより詳細なルールづくりを進め、具体的な想定に基づいた訓練の実施等について取り組んでまいります。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 20番富田たく議員。       〔20番(富田たく議員)登壇〕 ◆20番(富田たく議員) 御答弁ありがとうございました。  まず、震災救援所となる小中学校の非構造部材の総点検につきましては、今年度行うというふうにお話がありました。今年度行って、その状況を見て、対応が必要なら対応していくということだと思うんですが、一定の期間というのも考えていかなければいけないと思いますが、一体どれぐらいまでに最低でも非構造部材の対応を行っていくのか、お答えいただければと思います。  また、小中学校での総点検なんですけれども、そこの地域に実際に住んでいて、その震災救援所を使う住民の方々と一緒に、住民参加型で総点検をしてみるというのはいかがでしょうか。区として気づかなかった点や、また住民としてここが不安なんだけどという部分について、区からの説明がその場でできたりということで、住民との連携もできると思いますので、検討を求めますが、区の見解はいかがでしょうか。  耐震化対策の取り組みについては、より一層普及啓発に取り組んでいくという答弁がありましたので、ぜひここは頑張っていただきたいと思います。  避難生活者と疎開者、65%と35%の割合についてなんですけれども、アンケートの結果だから合理的だとおっしゃっていますが、アンケートはアンケートで、そのときどうしていけばいいか、被災していない状態で答えているものです。実際に被災した場合については、その方々が本当に回答したとおりの行動がとれるかどうかというと、そうはならないというのを先ほど僕は指摘したつもりなんですけれども、その点については区はどう思われているのか、確認させてください。  また、最大風速が15メートルから8メートルに引き下げられて、首都直下地震等の被害想定が改定されてしまいましたが、この点についても、東京都や国の施策に準じるんだ、被害想定に準じるんだというようなお話でしたけれども、本当にそれでいいのでしょうか。先ほどもお伝えしましたが、最大の被害像把握に努めるという基本方針から外れているということ自体、都に対して指摘を区から上げるべきではないでしょうか。この辺について、改めて区の認識を伺います。  そして、小学校の屋上校庭化案や学校統廃合の後の震災救援所、教員がいなくなっても防災力は下がらない、屋上が校庭になっても防災力は下がらないというふうにおっしゃっていますが、先ほど他の方々に答弁がありました先入観の呪縛という言葉、それを改めて区に対して私は考えてほしいなと思います。  本当にオープンスペースって必要なんですよね。蚕糸の森公園地域や高円寺南、阿佐谷南地域などは、少しでもオープンスペースをつくっていこうというふうな防災の取り組みがされております。ぜひそういった観点をしっかりと見て、見直しも考えていただきたいと思いますが、区の認識はいかがでしょうか。  いろいろ言いたいことがありましたが、一応持ち時間が切れてしまったので、以上としたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○議長(井口かづ子議員) 理事者の答弁を求めます。  政策経営部長。       〔政策経営部長(白垣 学)登壇〕 ◎政策経営部長(白垣学) 私からは、富田議員の再度の質問のうち、非構造部材の点検に関するお尋ねにお答えをいたします。  まず、総点検を踏まえてどれくらいの期間で改善を行うのかというお尋ねがございました。これにつきましては、今年度の総点検の結果を踏まえまして、全体の計画を立てて段階的に取り組んでいく考えでございます。ただし、緊急性の高いものについては、今年度の予算で対応させていただきます。  それから点検につきまして、住民参加で行ってはどうかという御提案がございましたが、やはり点検は専門的な見地から区の職員が行ってまいりたいというふうに考えてございます。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 危機管理室長。       〔危機管理室長(寺嶋 実)登壇〕 ◎危機管理室長(寺嶋実) 富田議員からの再度の御質問にお答えいたします。  被害想定の前提となります風速の話、それから避難率65%についてお尋ねをいただきました。  御答弁申し上げましたのは、一定の条件のもとの被害想定を定め、それに対して備えをしていくということは、防災対策を構築する上で大変重要な視点であるというふうに思っております。  また、御指摘のとおり、災害は想定されたとおりには起こらないというのが私の認識でもございます。いざ発災があったときには、避難者の方を全て受け入れ、対応するように、区としても対策を整えているところでございます。  また、オープンスペース、それから震災救援所の運営に係る人員についてのお尋ねがございました。  震災救援所のスペース等を考える際に、利用可能なものとしては、校庭、体育館、校舎の中から、安全を確認し、利用可能なスペースを全て震災対策に当てていくということを考えてございますので、一概にこういった屋上化が防災力の低下につながるものではないというふうにお答えをさせていただいているところでございます。  また、人員につきましては、先ほどの災害想定にもかかわりを持つというふうに思いますが、震災の規模によっては、当初計画をした人数で足りない場合もあると思います。そのための備えとして、他の自治体であったり、あるいはボランティアの派遣というものの手段を講じながら、そういったさまざまな震災対策を着実に行っていく、そういう体制を組んでいるところでございます。よろしくお願いいたします。 ○議長(井口かづ子議員) 以上で富田たく議員の一般質問を終わります。  ここで午後1時まで休憩をいたします。                               午前11時57分休憩                                   午後1時開議 ○議長(井口かづ子議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。  33番金子けんたろう議員。       〔33番(金子けんたろう議員)登壇〕 ◆33番(金子けんたろう議員) 日本共産党杉並区議団を代表して、1、ヘイトスピーチ対策法制定について、2、富士見丘小学校について質問をいたします。  まず、ヘイトスピーチ対策法制定について伺います。  今月24日、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、いわゆるヘイトスピーチ対策法が可決され、努力義務ではありますが、地方自治体にも不当な差別的言動の解消に向けた取り組みを講ずるよう求めています。この立場から、改めて、ヘイトスピーチを許さない、毅然と対応する取り組みを区に求め、質問いたします。  さきの第1回定例会において、差別扇動を標榜する団体の公共施設の利用、占用許可に対し、ガイドラインの設置、使用の制限などの検討を私は求めました。区は、今後、国の動向を見ながら、都と23区の情報の交換の場である人権施策都区連絡会等の場において情報共有に努めていくと答弁していますが、その後の進捗状況をまず確認いたします。  次に、この対策法の具体化について質問をいたします。  第1回定例会後の今月24日、先ほども申し上げましたが、自民、公明両党が提出した本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、いわゆるヘイトスピーチ対策法が、日本共産党、民進党なども賛成し、可決、成立しました。この間、国会では昨年の8月から人種差別撤廃基本法案の審議が行われてきましたが、継続審議となり、その間、国会議員の皆さんは、在日コリアンの方を招き、直接お話を伺ったり、在日の方の集住地区である川崎市桜本への視察を行い、現地で直接お話を聞き、差別や偏見により苦しんでいる地域や人々がいることを見てきた経過があります。  我が党は、与党案に、適法に居住する本邦外出身者を対象とするこの骨格が、人種や民族を理由とする差別は許されないという憲法と人種差別撤廃条約の趣旨を曖昧にすること、また「不当な差別的言動」の用語が明確性を欠く、また、前文で「許されないことを宣言する」としながら、ヘイトスピーチの違法性を明確にしていないなどの問題点があると指摘し、以下の修正を求めました。  1、法案名称をヘイトスピーチ根絶に向けた取組の推進に関する法律等とすること。2、何人もヘイトスピーチを行ってはならない旨の規定を設けること。3、ヘイトスピーチの定義について、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」にかえ、人種もしくは民族に係る特定の属性を有する個人または集団の社会からの排除、権利、自由の制限、民族等に対する憎悪または差別の意識もしくは暴力の扇動を目的として、不特定多数の者がそれを知り得る状態に置くような場所または方法で行われる言動であって、その対応が民族等を著しく侮辱、誹謗中傷し、脅威を感じさせるものをいうとのような規定を置くこと。4、「適法に居住する」との要件は削除すること。5、地方公共団体の責務は、「努めるものとする。」にかえて、国と同様、「責務を有する。」ものとすること。
     以上、私たち野党の修正案は入れられませんでしたが、委員会質疑の中で、対象となる言動は、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動であり、扇動の定義も例示していることから、「不当な」や「差別的」という曖昧な用語が、それだけで要件とはならないこと。また、政府や在日米軍を批判する言動は対象たり得ないこと。アイヌ民族や難民認定申請者など在留資格の有無、争いにかかわらず、ヘイトスピーチは許されないこと。道路使用許可など行政処分あるいは司法判断において、理念法が根拠規範となり得ることなどが答弁で確認されたことを前向きに評価し、こうした与党の答弁の重みを前向きに捉えるためにも、我が党は法案に賛成することにしました。  参議院法務委員会で全会一致で決議した際、満場の拍手が起きました。この力が、特定の人種や民族を排斥する差別扇動行為、ヘイトスピーチ根絶の力となると確信しています。委員会の場ではありますが、この法案が、発議者である与党を初め、日本共産党、民進党によって全会一致で可決されたことは、とても意義のあることだと思います。差別を許す社会であってはならない。現実を受けとめ、前を向いて、政策では異なる与党と野党がともに努力をしようと決意したことは、人間としての誇りであり、良心を成長させる、価値のある全会一致だと思います。  前回の一般質問に対し、杉並区もヘイトスピーチに対し、こうした言動は決して容認できないものと考えていると答弁し、強い懸念を持っていることが確認できました。今回成立した当該法、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、ヘイトスピーチ対策法についての区の見解を求めます。  当該法は、いわれのない差別や偏見によって苦しんでいる人や地域がいることを理解したこと、また、人種差別を許さないという抗議を続けているカウンターと呼ばれている人々や当事者たちの活動によって生まれたものです。そのことを踏まえ、差別扇動により特定の人種や民族を排斥し、地域を分断する行為を許してはならないことをこの法は根幹に据えています。  改めて、地方自治体に求められる今後の施策について議論をしていきたいと思います。  当該法は、国及び地方公共団体の責務が設けられており、努力義務ではありますが、「地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努める」としています。また、附帯決議においては、「国及び地方公共団体は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。」とし、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動のほか、不当な差別的取扱いの実態の把握に努め、それらの解消に必要な施策を講ずるよう検討を行うこと。」としています。  杉並区交流協会が発行している「杉並区の外国人ミニデータブック」によれば、2015年4月末現在、区内には1万2,080人の外国人が在住しています。国別の多い順では、中国、韓国・朝鮮、ネパールとなっており、在留資格においては、一番多い留学に次いで、永住、特別永住が3割を超えています。  全国で今も続くヘイトスピーチは、在日中国人や在日コリアンに多く向けられています。杉並区も当該法の立法趣旨に即して、私たちが住むこの場所で何が起きているのか、実態把握に努めることが必要ではないでしょうか。  当該法は、国と地方公共団体が連携し、差別的言動や差別的取り扱いをなくすよう求めています。杉並区に対し、今後具体的な施策をするよう求めますが、どのように検討しようと考えているのか、お聞きします。  外国人居住者への差別的言動や取り扱いの実態はどうなっているのか、外国人居住者の実態把握を求めますが、区の見解はどうか。  あるNGOのヘイトスピーチ実態調査では、被害体験や被害感情の聞き取りを行っています。別のNPOのヘイトスピーチ被害の実態調査も同様に、ヘイトスピーチを見聞きしたときの感情を聞いています。このように具体的に質問してこそ、人権侵害や被害の状況を知ることができるのではないでしょうか。  ある在日コリアンの男性にお話を伺いました。住民の方々にとって、ヘイトスピーチが言葉の暴力であることを示しています。当該法の趣旨に照らし、とても大切な部分なので、少し長文となりますが、お聞きください。  公の場所で大人数で行われるヘイトスピーチに初めて遭遇したのは、2010年ごろ、偶然訪れた鶴橋駅前でした。それまで、落書きや投書など顔を隠してこそこそとしかできない行為であると思っていた、在日朝鮮人は帰れなどの差別発言が、白昼堂々行われていることに衝撃を受けました。同時に、社会のたがが外れ、底が抜け、祖父母たちの世代が経験した関東大震災時の朝鮮人虐殺が発生したような時代に陥っているのではないかという恐怖を感じました。何かを言い返そうにも、大人数の街宣団体に、たった一人で何も言い返すこともできず、ただただ悔しい、情けない、みじめな思いでその場を立ち去りました。在日コリアンである私が日本で暮らしていく、そんな当たり前のことが脅かされているという危機感を覚えました。  その後、改めて在特会等の情報をネットで注視するようになり、毎週のように街宣やデモが行われていることに衝撃を受けました。また、当時小学校低学年だった子供たちを連れて外出する際には、特に出向き先で活動予定がないかをチェックするようになりました。自由に町を歩く、そんな当たり前の日常、権利が奪われていることが悔しくてなりません。  行政がヘイトスピーチを放置してきたことで、表現の自由、言論の自由の名のもとで悪質な人種差別扇動を公の場所で行う権利と、私たち在日コリアンがささやかな日常生活を営む権利がはかりにかけられ、前者が優先され続けてきたようにも感じていました。そのことが、面前でヘイトスピーチを浴びるのと同様の、あるいはそれ以上の恐怖でした。何かの拍子で、在日コリアンだというそれだけの理由で、よってたかってなぶり殺しにされるのではないかという恐怖ですと、ヘイトスピーチにより平穏な日常が壊される体験を語ってくださいました。  実態把握においては、こうした被害体験や被害感情など、民族差別による人権侵害の被害実態を聞く具体的な項目を設けて調査を行うよう求めますが、区の見解を求めます。  当該法は、単に本邦外出身者を差別するなという意味ではなく、我々の社会は、差別を許す社会であってはならないという社会理念の制定です。だからこそ、参議院法務委員会でありますが、全会一致だったのであり、そこに普遍の価値があるのだと思います。この理念を普遍的なものにするには、区として何ができると区は考えているのか。  先ほども申し上げましたが、当該法は、本邦外出身者に対する不当なヘイトスピーチによって地域社会を分断してはならないという基本理念に基づいている理念法です。そのためにも、当該法の基本的施策の啓発活動に照らせば、住民への周知、理解促進、住民同士の相互理解を進めることが必要な取り組みであると考えます。区として今後何ができるのかを考えていく必要があると思いますが、区の見解を求めます。  当該法は、ヘイトスピーチは許されないという表現にとどまっており、禁止規定や罰則規定はありません。また、当該法で懸念されるのは、適法に居住、日本以外の出身者の要件です。野党が、不法滞在の外国人やアイヌ民族への差別的言動が野放しになると批判しましたが、与党は修正しませんでした。差別を受けない権利は、在留資格の有無にかかわらず、ひとしく保障されるべきです。  こうした点からいって、当該法は決して十分とは言えませんが、地方公共団体がヘイトスピーチを許さない、具体的に言えば、人種差別を標榜する団体がヘイトスピーチなどの人種差別行為を行うための集会を開催するために公共施設の利用を求める場合には、区がその管理権に基づき、その利用を制限するなどの具体的な措置をとるなどの姿勢を示すことができる根拠法となります。  これまでにも、自治体が、民族差別及び扇動行為をすることが明白な団体などに公的施設の使用を認めなかった例があります。他自治体においては、人種差別などをあおり立てるヘイトスピーチを繰り返してきた団体が、来月、法施行後の5日に川崎市でデモを行うことを予定していますが、川崎市議会では、公園をデモに使わせないよう求める要望書を、議員全員の賛同のもと、市長に提出いたしました。また、愛知県の大村知事は、30日の定例記者会見で、申請があれば許可しないと述べ、県施設の使用を今後認めない方針を明らかにしました。  改めて、ヘイトスピーチの実態は、表現の自由を逸脱した差別、暴力であり、人種や国籍による差別は許されない、人権侵害、この認識を胸に刻みたいと思います。そして、国や自治体、私たち一人一人がその良識を共有し、法の成立を、差別なき社会への一歩を自発的に踏み出す契機とせねばなりません。  先ほど紹介した在日コリアンの男性は、当該法成立の受けとめを語ってくださいました。今回の成立がどう受けとめられているのかを示した部分です。紹介いたします。  法律をつくることで、国が率先してヘイトスピーチを許さないという姿勢を示したことが率直にうれしいですし、救われたような思いです。少なくとも従前の、よってたかってなぶり殺しにされるかもという恐怖は薄らいでいます。恐らくは、法律をつくるために尽力された国会議員の皆さんが想像される以上の救いと希望です、こう語っています。  人種差別の被害者が最も身近な行政機関は、地方自治体です。今後、差別を拡散するような目的のために公共施設は貸さないなどの姿勢、地方自治体は迅速で実効性ある対応をとること、区内でもヘイトスピーチを許さない姿勢を示す対処ができるよう条例制定が求められます。第1回定例会においても、ヘイトスピーチは決して容認できないものと区の姿勢を示しました。ヘイトスピーチは違法、この姿勢を打ち出すために条例制定を望みますが、区の見解を求め、次の質問をいたします。  次に、富士見丘小学校について質問いたします。  この間、富士見丘周辺地域のまちづくりに伴い、周辺の環境も変化するという理由から、富士見丘小学校教育環境懇談会と富士見丘地域における教育環境懇談会というものが設置され、話し合いが進められてきました。そして、2つの懇談会のまとめでは、今後の富士見丘小学校の改築の方向性について、計画の概要が示されました。それによると、都市計画高井戸公園周辺まちづくりグランドデザインで示し提案されている、高井戸公園に隣接する企業用地を活用し、富士見丘中学校と一体的に再整備する案の考え方を目指すべきであるとの方向性が出されました。  2つの懇談会のまとめ以降、都市計画高井戸公園周辺まちづくりグランドデザインで提案されている高井戸公園に隣接する企業用地を活用した教育環境の整備について、区はどのように取り組んできたのか伺います。  富士見丘中に隣接する企業用地を教育環境の充実に充てることが示されている一方で、当計画には、ある点を指摘しなければなりません。懇談会のまとめで示された、富士見丘小学校を現在の場所から移転し、富士見丘中との施設一体型小中一貫校を整備するという方向性です。このまとめには、施設一体型小中一貫教育校の方向で進む場合とか、施設一体型小中一貫教育校が設置される際にというように、施設一体型小中一貫校が前提となっている文言が多く見受けられます。  小中一貫校はこの間、その教育的効果なども検証されないまま、学校統廃合を進めるために強行されてきました。そうしたことから、子供たちの教育環境に大きな影響を与えるさまざまな問題点が指摘されてきました。  まず第1に、子どもの発達に関する問題です。文科省の研究機関の調査では、小学校1年生から中学3年生の児童生徒が同じ学校内に押し込められることにより、小学校高学年の児童が自己肯定感を持ちづらくなるなど、子供の発達に悪影響を及ぼすといった研究結果まで報告されています。  第2に、小中一貫校づくりを学校統廃合とセットで強行することによる問題です。学校統廃合による小中一貫校づくりにより、多くの児童生徒の通学時間、距離が増加し、子供たちの通学環境に大きな影響を与えます。また、地域から学校という地域コミュニティーや防災の拠点が喪失し、まちづくりにも大きく影響を与えます。実際に、高円寺地域の小中一貫校計画に対しては、地域から反対する声が上がっています。  加えて、この間、当区における小中一貫校計画では、決して広くない、限られた敷地の中に9学年の児童生徒を押し込めることにより、校舎が高層化せざるを得ず、専科の教室や校庭やプールなどの体育施設、教職員のためのスペースが十分に確保できていません。そして、そのことにより授業のカリキュラムを組むことが困難になるなど、現場の教職員からは悲鳴が上がり、教育環境に悪影響が及ぶことは必至です。  我が党区議団は、さきの予算特別委員会において、施設一体型小中一貫校の運営や教育的効果についてしっかりと総括をしたのか尋ねましたが、所管からの答弁は、これからアンケート調査などを経て検証するというものでした。教育委員会としてしっかりとした小中一貫校の検証もせず、また別の地域に安易に小中一貫校をつくろうとする姿勢は、到底理解できません。区として、まず、施設一体型小中一貫校の問題点を検証することが必要と考えますが、区の見解はどうか。  同時に、この計画が進められれば、上高井戸1、2丁目地域、放射5号線以南から小学校がなくなります。当該地域に小学校がなくなるということはどういうことか。放射5号線以北の地域と分断されること。また、小さい子供たちを持った家族が移り住めなくなることが当然考えられます。学校から離れた地域では、住民サービスが十分に受けられなくなる可能性も高くなる。  地域の子供が育つには、学校を中心とした地域社会の長い期間にわたる親密な継続的、安定的な人間関係の維持が不可欠であり、その過程でさまざまな生きた経験が子供の成長を促します。そのために、みんながよく知り合い、地域の人々と交流が深まる、身近で小さな学校をつくっていくことが教育先進国の流れです。  富士見丘小学校は築40年以上50年未満となっており、耐震補強をすれば10年から15年は使用可能になります。移転改築を早まるのではなく、まず耐震補強をすべきではないか、区の見解を求めます。  同時に、この計画を多くの周辺住民が知らされていない現状があります。懇談会には一部の区民しか参加しておらず、多くの地域住民の声が計画には反映されていません。懇談会まとめも平成27年に出されたもので、小学校に新たに入学した子供たちの保護者の意見も反映されておらず、一般住民が情報を知らなさ過ぎます。保護者や地域住民にまず情報周知を行うべきではないか、区の見解を求め、私の質問を終わります。 ○議長(井口かづ子議員) 理事者の答弁を求めます。  総務部長。       〔総務部長(関谷 隆)登壇〕 ◎総務部長(関谷隆) 私からは、いわゆるヘイトスピーチ対策法に関連した一連の御質問にお答えします。  まず、都と23区の情報交換の場である人権施策推進都区連絡会の進捗状況についての御質問がございました。当該連絡会につきましては、今年度、7月中旬の開催が予定されておりまして、現段階では特段の進展はございません。  次に、当該法に対する区の見解についてのお尋ねですが、法の成立によって、不当な差別的言動は許されないとの宣言がなされ、国としての姿勢が明確になったことは大きな前進と捉えております。  次に、外国人居住者への差別的言動や取り扱いの実態把握及び住民への周知や理解の促進についての御質問にお答えします。  まず、実態把握につきましては、今般の法の成立を機に、例えば区民意向調査の活用や、交流協会と連携してアンケートを実施するなど、具体的な方策について検討してまいりたいと考えております。  次に、区民への周知等についてですが、法第7条において、国との適切な役割分担を踏まえた上で、地域の実情に応じ、広報等による啓発活動を実施することと規定されているところでございまして、法の理念や趣旨等について、広報紙や区ホームページへの掲載、人権集会において啓発を行うなど、区民周知等に努めてまいりたいと考えております。  いずれにしましても、今後の具体的な施策の検討につきましては、先ほどのお尋ねにございました、7月に開催予定の人権施策推進都区連絡会の場において示されると想定される国、都の考え方や、都区間の情報共有などを踏まえた上で検討してまいりたいと考えてございます。  最後に、条例化を図るべきであるとのお尋ねでございますが、ヘイトスピーチに対しての対応については、全国的な対応が求められればこそ今般の法整備に至ったところであり、区としましては、法に基づいた取り組みを進めてまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 学校整備担当部長。       〔学校整備担当部長(大竹直樹)登壇〕 ◎学校整備担当部長(大竹直樹) 私からは、富士見丘小学校に関します一連の御質問にお答えいたします。  まず、これまでの取り組みでございますが、平成27年2月の富士見丘地域における教育懇談会のまとめを踏まえまして、小学校移転となります企業用地の取得に向けた所有者との交渉を進めるとともに、都市計画高井戸公園の一部を校庭として供用できるよう、公園管理者である東京都との協議を行ってきてございます。本年秋にはこれらの協議、調整が整うものと認識してございます。このため、年内のしかるべき時期に改めて学校関係者や地域の方々等による懇談会を設置いたしまして、富士見丘地域における新しい学校づくり計画の策定に向けて取り組んでいく考えでございます。  こうした懇談会などの動きにつきましては、懇談会ニュースや区ホームページなどを通じまして、未就学児の保護者を含め、適切に周知を図ってまいります。  なお、富士見丘小学校は既に平成21年度に耐震補強を行っておりますが、来年度には築後50年を経過します。空調設備や建築躯体の老朽化も進んでいることから、改築の優先順位は高いものと考えてございます。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 教育委員会事務局次長。       〔教育委員会事務局次長(徳嵩淳一)登壇〕 ◎教育委員会事務局次長(徳嵩淳一) 私からは、施設一体型小中一貫教育校の検証に関する御質問にお答えします。  区内初の小中一貫教育校として昨年4月に開校した杉並和泉学園につきましては、保護者や学校関係者、地域の方々とともにさまざまな教育活動を進める中で、学校全体の活性化が図られたものと受けとめています。  こうした成果をより確かなものとしていくため、教育委員会では、本年5月に、既存の内部組織である小中一貫教育推進委員会のもとに専門部会を設置し、開校後1年を経た同学園について、多面的な視点による検証に着手したところです。この検証は今後毎年度継続的に行っていくこととしておりまして、各年度の検証結果は、同学園の運営のさらなる充実はもとより、高円寺地域における新たな小中一貫教育校づくりにも十分生かしてまいりたいと存じます。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 33番金子けんたろう議員。       〔33番(金子けんたろう議員)登壇〕 ◆33番(金子けんたろう議員) 再質問します。答弁ありがとうございます。  まず、ヘイトスピーチのほうなんですけれども、23区の情報共有の場は7月ぐらいという話だったじゃないですか。そこの場でいろいろなものが出てくるんじゃないかという答弁だったと思うんですけれども、杉並区からは何の情報を持っていって、何を共有しようと考えているのか、それを具体的にお示しください。  2点目は、やっぱり条例化するべきだと思うんです。それを求めます。なぜかというと、2013年11月23日に、在特会という差別を扇動する団体に杉並区は蚕糸の森を貸しちゃっているんですよね。もう杉並区はこういうことをしないよ、そういう団体には貸さないよという姿勢をはっきり言うべきなんですよね。その根拠法になるのが当該法であって、私はそのためにも区として条例をつくるべきだということを申し上げていますので、改めて答弁を求めます。  富士見丘小について、1点。  教育環境のあり方について、情報共有はしていくよという話だったんですけれども、一般の地域住民と膝詰めで、そもそもどう思っていらっしゃいますかとか、施設一体型小中一貫校ってこういうものなんですよとか、いや、そこはどうなのと、そういう意見を交わす場を設けるべきだというふうに私は思います。その点、区の見解を求めて、再質問を終わります。 ○議長(井口かづ子議員) 理事者の答弁を求めます。  総務部長。       〔総務部長(関谷 隆)登壇〕 ◎総務部長(関谷隆) 私からは、ヘイトスピーチに関しての再度の御質問にお答えします。  具体的な議題設定はこれからということでございますので、個々の設問というのはまた出てくるかと思いますけれども、区からの現状で把握しているヘイトスピーチの情報について提示をして、そこで情報共有ということになろうかと思いますので、まずそれを、それから、国や東京都の考え方をまずしっかり聞いた上で、区としての考え方もまた改めて講じていくということになろうかと思っています。  条例化につきましては、表現の自由の問題もあって、ヘイトスピーチに切実に直面している自治体を中心に、条例化が難しいということで、法整備をという声が多く上がってきて、ようやく法が成立ということになったわけでございますので、法にも地方の実情に応じて取り組みを進めると規定されているところでございまして、法に則した対応をとってまいりたいというふうに考えてございます。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 学校整備担当部長。       〔学校整備担当部長(大竹直樹)登壇〕 ◎学校整備担当部長(大竹直樹) 私から、地域の皆様に細かく周知をして意見を聞けばいいだろうということについての御質問にお答えいたします。  ことし、なるべく早い時期に本年度懇談会を開催して、学校の理念だとか今後の予定だとか議論していきたいと思ってございます。もちろん、始めた以降、町会の皆様だとか就学前の親御さんの皆様、また学校のPTAの方々、個別にきちっと説明会を開くなどして意見交換をしながら、懇談会にその意見を反映していきたいというふうに思ってございます。  いずれにしましても、これまで学校改築におきましては、地域の方々ときめ細かに意見や説明をする機会を持ってきてございますので、富士見丘地域の新しい学校につきましても、同様に進めていきたいというふうに考えてございます。  私から以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 以上で金子けんたろう議員の一般質問を終わります。  12番山本あけみ議員。       〔12番(山本あけみ議員)登壇〕 ◆12番(山本あけみ議員) 私は、区民フォーラムみらいの一員として、区政一般について質問をいたします。質問項目は、防災対策について、子供の遊び場について、公共施設の改築についてです。  質問に先立ち、会派を代表いたしまして、4月に発生しました熊本、大分を中心とした地震災害においてお亡くなりになりました方々の御冥福と、被災者の方々の一刻も早い復興、何より一日も早く安定した暮らしを取り戻していけることをお祈り申し上げます。  各地で起こる震災を目の当たりにして、当区においても、いつ来てもおかしくない首都直下型地震を見据えた対策を力強く進めていかなくてはなりません。  私が強く記憶している中だけでも、日本各地で発生する大震災は、さまざまな示唆を私たちに与えてくれています。21年前の阪神・淡路大震災では、木造密集地帯における火災の恐怖と都市におけるインフラの脆弱さを、5年前の東日本大震災では、教育現場における防災教育や訓練いかんによって子供の生死を分けることがあるのだという悲劇を、そして先日発生した熊本の大震災では、1度は大きな揺れに耐え、安心と思われた我が家に帰宅したものの、2度目の大きな揺れにより倒壊し、被害を広めたという、想定を超えた自然の猛威を感じてまいりました。  さて、先日の熊本地震から1カ月を過ぎた5月15日の日本経済新聞に、大変心配になる記事が掲載されていました。それは「罹災証明発行遅れ 申請の3割どまり」というもので、熊本県内で罹災証明申請が9万件余りに上る一方で、発行は3万件弱、約3割にとどまっているというものでした。  罹災証明書は、被災者からの申請を受けて市町村が住宅被害を調査し、全壊や半壊などと判定をした上で発行するもので、被害の大きさを証明し、発行のおくれはそのまま生活再建の大きな足かせとなってきます。  益城町では、活断層の周辺で大きな建物の倒壊による被害が出ました。この町では、震災が起きる直前の3月に、益城町建築物耐震改修促進計画を改定したばかりでした。その中で、直下にある活断層による地震が発生した場合には最大震度7になることが予測され、建築物の耐震化率を上げていく計画がされていました。町内の建物1万5,000棟余りの全ての建物の構造別、建築年次別区分のデータを上げ、建物全壊率を解析していましたが、残念ながらこの計画が生かされることはありませんでした。しかしながら、私は、自治体の規模によっては、ここまできめ細かな全壊率の調査と解析が可能なことを知ることができました。  こういった取り組みをしていた自治体ですが、罹災証明書発行においては、町役場の設備が整っていないという理由で、申請の9割の調査を終えたものの、最終的な発行までは至るのが難しいというのが現状です。  その後、5月26日に私が町のホームページで確認をしたところ、5月20日から益城町内にあるグランメッセ熊本という大規模なコンベンションセンターの1カ所に限り、地域ごとの配布の開始を始めたことを告知しています。町で1カ所だけの交付であり、1日当たり700件しか受け付けず、期間も延長したものの、6月5日で交付終了とするなど、限られた職員での対応だと推察しますが、生活再建にとっては最も重要な書類であるにもかかわらず、被災者にどれだけ交付の情報が伝わっているのか、グランメッセ熊本まで行けない人はいないのか、交付の期間を区切るのではなく継続できないのかなど、疑問と不安が募ります。  熊本県の災害対策本部の発表では、他県からの応援職員を市町村に割り振って対応しているとのことですが、人口3万3,000人余りの益城町でも多くの困難があるとすれば、人口56万人を超える規模の杉並区においてはどれほどの混乱を来すのか、はかり知れないと考えます。  先日、区内各戸に配布され、杉並区協力のもと発行されたとされるNTTの防災タウンページ杉並区2016においては、被災後の生活を立て直す支援に関し、杉並区情報として、まずは罹災証明書の申請をとあり、窓口の案内の紹介がされています。  まず、震災発生後、当区においては、罹災証明書の発行はどのように行う想定となっているのか、お尋ねします。  一方、熊本県のホームページには、震災後1カ月を過ぎた5月20日から、熊本県行政書士会による罹災証明書の交付申請支援が無料で受けられるという告知が掲載されました。益城町単独では行政の手が回らない状態が続く中、平時には書類作成のプロとして仕事をしている行政書士の方々が、得意分野を生かした支援を始めてくれています。しかしながら、大災害の混乱の中、こういった望ましい支援の形をつくり出すのは大変困難であっただろうと思います。  私は、これまで、台東区の例を挙げながら決算特別委員会などで検討を要望してきたように、平時から、9士業と言われる弁護士、土地家屋調査士、行政書士、1級建築士などと行政との連携をとり、災害が起きたときの支援の体制を話し合う環境をつくっていくことが重要と考えます。熊本の例を教訓にして、このことを再度私から要望をさせていただきます。
     さて、杉並建築会では、3月に、「杉並における地区防災のすすめ」というテーマで意見交換会を行いました。多くの建築の専門家や杉並区の方々も参加をされていました。ワークショップも行いましたが、その中では、震災直後の二次被害を防ぐために行う応急危険度判定に関する幾つかの意見が出ましたので、それを踏まえて質問いたします。  区内の倒壊家屋など、被災状況により応急危険度判定員の必要な人数は変動すると考えます。応急危険度判定の前提となる杉並区の地震による被害状況について、区はどのように調査を考えているのか、お伺いします。あわせて、杉並区在住在勤の建築士との連携をどのように考えているのか、お伺いします。  次に、杉並区は、東京都の応急危険度判定制度をより有効に機能させるため、区内の判定員の震災時における情報伝達を円滑に行えるように地域ネットワークを構築しているとのことですが、意見交換会では、御自身も登録をしているものの、杉並区応急危険度判定員ネットワークが震災時にうまく機能するかどうか心配であるとの意見も多くありました。このネットワークの事前連絡訓練を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、この項の最後にお尋ねします。災害対策を一歩進めて考えていきますと、防災、減災、復興の3種類があると考えます。防災は、主として直接被害を軽減する対策であり、減災は、災害時において発生し得る被害を最小化するための取り組みであり、そして復興においては、普通は震災が起きた後に進めるべきものと考えがちですが、事前の準備、復興計画があれば、数段有効な復興対策が図れる。被災者の住まい、生活、仕事の再建、地域の経済基盤の復興などが地域全体の力強い復興につながるということから、災害が起きるよりも事前に復興対策を計画的に準備しようというのが、事前復興の考え方であると思います。  震災後のまちのあるべき姿を描き、災害に強い都市を大局的な観点から協議し、災害対策の取り組みを考えるには、行政を初め、幅広い市民、企業、団体間での課題の理解共有への努力と、合意形成に向けた継続的な取り組みが求められると思います。厳しい道のりが想定されますが、実際に大規模な災害に遭遇したとき、復興について住民合意や地域合意が得られやすくなるのだと考えます。  昨日行われた一般社団法人日本有機資源協会主催のシンポジウムにおいては、農林水産省の農村振興局長が、熊本震災の復興に触れ、創造的復興を目指していくという話があったといいます。従前に戻すというこれまでの復興とは違った方向性が中央省庁の中で示されているのだと考えます。  そして、この項の最後に質問をいたします。事前復興という観点では、区はどのような取り組みを行っているのか、また今後の展望を含めてお伺いします。  次に、子供の遊び場についてお伺いします。  すぎなみ保育緊急事態宣言につきましては、さきの議会において、会派としても種々意見を述べさせていただきました。その後、区民を初め関係者の皆様方からも、さまざまな立場から大きな反響を呼んでいるところと思いますが、保育園が必要であるという点においては、誰も異論は出していません。  区では、住民説明会を通じて予定地周辺の住民の御意見を伺ってきていると思います。その中で寄せられる、保育園増設のために子供の遊び場が減るのは困るという区民感情に関しては、十分理解できるものです。今後、公園や遊び場用地のできる限りの迅速な確保などを通し、区の真摯な対応をもって御理解を進めていくことを求めておきます。  また、区南西部に位置する都立高井戸公園予定地の一部では、区の御努力により、遊び場として暫定開放をしてくれています。このエリア拡大と北側の早期開放を都に求めるよう、あわせて要望をいたします。  私は、全ての区民の根本的な願いは、子育て環境をしっかり整えてほしいということであると考えています。総じて言えば、保育園も公園も学校も、それぞれ子育てには大切な施設ですし、また、全ての施設で子育てに資するさまざまな取り組み、仕掛けが必要になってくるのだと考えます。この間、主に施設整備というハード面での議論が先行して行われてきた感がありますが、ソフト面、すなわち、これらの施設をどのように活用していくかという部分に今後はもう少し注目して、子育て環境を考えるべきではないでしょうか。  私は、議員となって第1回目の一般質問においてプレーパークを取り上げ、区にもっと着目をしていただけるよう訴えてまいりました。公園を活用して子供の外遊びを推進するプレーパーク事業は、よりよい子育て環境を整備する観点から見てもすぐれた取り組みであり、大人が考えるお仕着せの遊びとは違い、子供みずからが生き生き伸び伸びと自分の遊びをつくり出し、主体性を持つことができるものと考えています。特に自然に接することが少ない都市部においては、大変貴重な経験になるとも考えます。とりわけ世田谷区においては、区内に6カ所プレーパークを設置していることに加え、プレーカーといった出前型のプレーパーク事業を展開しており、全国におけるプレーパーク事業の先駆けとなりました。  杉並区でも協働提案制度で子どもプレーパーク事業を開始することになったことについて、大きな期待とともに、その姿勢を高く評価しているところです。まずは、区の子どもプレーパーク事業について、その狙いと実績、評価をお伺いします。  この事業については、協働事業として、区と民間事業者であるNPOが連携して取り組んだ点にも非常に意義があると感じています。ノウハウと人材を持った民間事業者が事業の実行部隊を担い、また、区は公園という場の提供や広報等の役割を担い、それぞれが強みを生かしたことで相乗効果が生まれてきているのではないかと考えています。子どもプレーパークを協働という形で実施した区の考えについてもあわせて伺います。  この間、参加者を初めとして、それに従事されている方、関係者等から、子供が自主的に生き生きと活動し、大人も一緒になって楽しい時間を過ごしていると評価する声が私のところまで届いています。そして、これからも引き続きプレーパークを存続してほしいと、ほとんどの方々が強く希望していると考えますが、一方で、NPOの体制を維持しつつ事業を継続していくことは、運営や経営面において不安が残るところです。私としては、協働事業終了後においても、子どもプレーパーク事業がさらに広がりを見せ、区内で継続することを望んでいますが、当区の見解をお伺いします。  次に、この質問の最後に、公共施設の改築についてお尋ねをいたします。  当区では現在、杉並区区立施設再編整備計画(第一期)・第一次実施プランを実施しています。この計画を見ていくと、数多くの公共施設を保有していることを改めて再認識するところです。これらの建築物を順次更新していく際には、将来を見越して、計画策定から設計、施工、そしてメンテナンスや解体に至るまでを総合的に捉えていく必要があると考えます。建築物が及ぼす影響を、区民目線での評価のみにとどまらず、もっと大きく捉えて、自分たちがつくっていく建築物は、ひいては地球環境へも大きく影響すると考えた上で、一つ一つの改築や改修に丁寧に当たっていただきたいと考えています。  区内にあるハウジングメーカーでは、住宅建設時から生活段階、最終的な廃棄に至るまでの住宅のライフサイクル全体のCO2収支がマイナスとなる住まいを実現し、住宅のエネルギー技術をリードしています。これからの公共建築物においては、エネルギー消費に対しても最新の技術に学ぶ姿勢が求められるのではないでしょうか。  そこで質問をいたします。施設の改築や改修において、省エネの機器類などの採用に加え、建物自体の性能を含めた省エネ化を目指すべきと考えますが、いかがでしょうか。  さて、私が所属する民進党では、本年4月28日、分散型エネルギー社会推進4法案を衆議院に提出しました。これは、東日本大震災による福島第一原発事故の教訓として、原子力依存度を可能な限り低減し、2030年代原発再稼働ゼロを目指すため、大規模集中型中心のエネルギー施策からの脱却を目指し、地域エネルギー源を効果的、効率的に活用して、エネルギーの地産地消、分散型エネルギー利用を推進するものです。  4法案の1つ、公共施設省エネ・再エネ義務化法案というものがあります。日本では建物の断熱性能が諸外国に比べて極めて低く、例えて言うなら、穴のあいたバケツに水をためようとしている状態になっているといいます。この法案では、国、独立行政法人の建物について実施目標を定め、最も厳しい断熱基準を定めるとともに、省エネ機器を導入し、エネルギー使用の20%以上を再エネで賄うことを義務づけているものです。既存の建物についても、各省庁が改修計画を策定し、2030年までに全ての建物で改修を終えることとしています。これにより、断熱材や省エネ機器の増産によるコストダウンで民間への波及効果が期待され、日本全体の建物の断熱性向上に大幅に資すること、ゼロエネルギー化の早期実現を図るものとしています。  残念なことに、自治体の既存の建物に対する省エネ性向上は、この法案の中では努力義務とされていますが、昨今の地球温暖化がもたらす気候変動による海水面の上昇、洪水、干ばつ、森林火災やハリケーン。この杉並区においても、ゲリラ豪雨などの自然災害は、今までにない規模や頻度で発生しています。その影響はもはや将来世代の問題などではなく、実際に現在私たちが体験しており、このままでは、私たちの子供や孫の世代の暮らし、人々の生活を支える地球環境に、より深刻な影響を与える大きな問題になると考えます。当区には、こういった問題点を真摯に捉え、区立施設の改築や改修のときの計画においても、建物の省エネルギー性能に関しては最大限議論されるべきと考えています。  特に、現在検討が進められている中央図書館の改修では、外壁部分にガラス面を多用し、西日の影響を受けやすい建物であることなどからも、省エネ建築への転換が必要ではないかと考えます。これにより室内環境は快適となり、空調などの光熱費も格段に抑えられるのではないかと推察します。改修をチャンスと捉え、一歩踏み込んで計画を進めるために、大学の研究室などとの協働により、省エネの成果を測定しながら改修を進め、今後の省エネ改修の参考事例とすることを要望いたしますが、当区の見解はいかがでしょうか。  また、今後の改築改修において、省エネ性能のみならず、よりよいものをつくろうとすればするほど設計者の力量に負うところが大きいと考えます。これまでの設計業務委託の設計者選定においては、大きく入札とプロポーザル方式を採用してきた経緯がありますが、この2つの方法の優位点の違いを当区ではどのように捉えているのでしょうか。また、これまでのプロポーザル方式での実績と評価、課題点をどのように捉えているのか、お伺いします。  私ども会派は、これまで中央図書館改修について、幅広い区民の意見聴取と、それを設計に反映させていくことを求めてまいりました。区からの答弁では、図書館協議会のほか、区民参加により幅広い意見を聞きながら検討を進めるとしていますが、省エネ建築物としての検討や区民意見聴取などを十分に進めていくための当区での今後の具体的な取り組みについてお伺いします。  公共建築物をつくっていくということは、区民からの税金で、区の責任のもと、区民のための施設をつくることであり、使い勝手や居住性、デザイン性やコストパフォーマンス、場合によってはランドマークとしての優位性など、さまざまな要素の実現が求められます。  建築物というのは、一旦完成してしまえば、老朽化し、取り壊しをするまでその影響を受ける期間が長く続くことから、企画、設計、施工の段階においては、先を見越して最良の方法を選び取っていくことが最も重要であると考えます。また、最終的な成果物である建築物は、先ほど述べたような要素においてバランスのよさを追求し、完成度を高めていくこと、建物のでき上がりの品質を確保していくことを、これに携わる全ての人によって目指すべきと考えています。今後の当区での取り組みに大いに期待をいたしまして、質問を終わります。 ○議長(井口かづ子議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。       〔区長(田中 良)登壇〕 ◎区長(田中良) 私からは、山本あけみ議員の御質問のうち、事前復興についてのお尋ねにお答えをいたします。  さきに発生をいたしました熊本地震におきましては、震災から1カ月半余りが経過をいたしたわけでございますが、仮設住宅の提供のめどが立ったという報道があったものの、いまだに多くの方が避難生活を余儀なくされております。電気、水道、鉄道や道路等のインフラにつきましては、急ピッチで復旧に向けた取り組みが進んでおりますが、地域経済の再生、被災者の生活再建、インフラの総合整備といった復興に向けた取り組みまでは、まだしばらくの時間がかかるものと推察をいたしております。  区では、発災後速やかに救援物資を搬送いたしましたほか、人的な支援では、応急危険度判定や罹災証明の発行の支援としての職員派遣、また経済的支援では、見舞金のお届けや義援金の募集などを行っておりますが、被災地の一日も早い復興を切に願っております。  御指摘のとおり、地震発生後の混乱を想定いたしまして、行政と住民の意見交換を含め、あらかじめ可能な限り準備を行い、発災後直ちに復興に着手する事前復興という観点は大変重要と考えておりまして、区では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、震災後における都市及び生活の再建の道筋を示すため、平成16年3月に杉並区震災復興マニュアルを策定いたしております。  また、東京都においては、毎年度、区市町村職員を対象に、都市復興の一層の意識向上と復興手順の習熟を図ることなどを目的とした都市復興訓練を行っておりますが、今年度は杉並区内を対象地区として、8月から10月にかけまして都区合同で実施をいたします。  東京都では本年3月に東京都震災復興マニュアルを修正いたしましたが、区においてもマニュアルの早期修正の必要性を感じておりまして、必ず来る首都直下地震に備えて、より効果的かつ実践的なマニュアルとなるように検討に着手してまいりたいと存じます。  私からは以上です。残りの御質問につきましては、関係部長より御答弁申し上げます。 ○議長(井口かづ子議員) 区民生活部長。       〔区民生活部長(井口順司)登壇〕 ◎区民生活部長(井口順司) 私からは、震災発生後の罹災証明の発行に関するお尋ねにお答えいたします。  地震によって被害があった建築物については、まず、余震等による二次被害を避けるため、できる限り速やかに倒壊等の危険についての応急危険度判定を行います。その上で、住家の被害状況について、外観目視による建築物の傾斜の計測や、主要な構成要素ごとの損傷の程度などを確認するための第1次被害認定調査を実施し、被災者からの申請に基づき罹災証明を発行いたしますが、この調査結果に異議がある方については、申請者立ち会いのもとで、さらに第2次調査を実施いたします。これら調査の過程においては、被害の規模に応じ、建築に専門知識のある区職員の活用だけでなく、他自治体への応援要請や外部の専門家にも御協力をお願いし、調査員を確保いたします。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 都市整備部長。       〔都市整備部長(渡辺幸一)登壇〕 ◎都市整備部長(渡辺幸一) 私からは、応急危険度判定に関する御質問にお答えをいたします。  まず、被害状況調査につきましては、発災後の建物の応急危険度判定に必要な判定員の人数などを把握するために行うものでございまして、現時点では区職員で行うこととしておりますけれども、より迅速に対応するため、杉並建築会等の民間の御協力も得られるよう、今後協議をしてまいります。  また、杉並区応急危険度判定員ネットワークの事前連絡訓練でございますけれども、こちらにつきましては、今年度実施をする予定でございます。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 子ども家庭担当部長。       〔子ども家庭担当部長(田部井伸子)登壇〕 ◎子ども家庭担当部長(田部井伸子) 私からは、子どもプレーパーク事業についてお答えいたします。  子どもプレーパーク事業は、子供の外遊びに関する取り組みを長年続けてきた区内のNPO法人から協働提案を受けまして、協定締結後の平成27年度に事業を開始いたしました。子供たちが生き生きと集い、遊べる環境を公園という身近な場所に広げて、健全育成の取り組みをより豊かにするといった行政課題に対し、専門的な知識、人材を有する民間団体と区とがお互いの役割を明確にしながら取り組む、まさに協働と呼ぶにふさわしい事業というふうに考えております。  27年度は柏の宮公園及び井草森公園で合計32回実施し、子供約2,600名、大人約1,600名の延べ参加者を数えまして、子供の新たな活動場所の選択肢として着実に成果を上げてまいりました。  また、プレーリーダーの育成や他の団体が主催する同事業へのノウハウの提供、他の公園での出前プレーパークの開催など、事業規模の拡大や運営を担う人材の育成についてもあわせて取り組んでいるところでございます。これらの成果やNPO等活動推進協議会からの評価結果を踏まえまして、今後の健全育成の取り組みにつなげてまいりたいと存じます。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 政策経営部長。       〔政策経営部長(白垣 学)登壇〕 ◎政策経営部長(白垣学) 私からは、まず、施設建設の際の省エネ化に関するお尋ねにお答えいたします。  施設の改築工事や大規模修繕工事に当たっては、エネルギーの使用の合理化等に関する法律に基づきまして、設備機器に加えて、建物の性能も含めた総合的な評価による省エネ基準を満たすようにしております。  中央図書館の改修におきましても、施設の老朽化に伴い、設備機器や内装などの更新を行うことになりますので、改修工事の範囲内で採用可能な省エネ対策を実施してまいりたいと考えてございます。  次に、建築・設計業務委託の設計者選定における入札とプロポーザル方式に関する御質問にお答えいたします。  プロポーザル方式は、高い技術力や創造力、実績などを求められる施設の設計者選定に適していることから、実例の少ない施設や大規模な施設の設計者選定に適していると考えております。一方、競争入札は金額の多寡で選定することから、経済的で公平性、透明性が高い上、短期間で選定できるため、多くの自治体で採用されているのが現状です。  プロポーザル方式の実績といたしましては、施設一体型小中一貫教育校の杉並和泉学園や大宮前体育館、杉並芸術会館などがございます。  評価につきましては、施設が建設業界の表彰を受けたり、にぎわい創出などで地域のまちづくりに貢献するなど高い評価がある一方で、事業費が高騰したり、デザイン優先で維持管理の負担が重くなることがあるなどの一面があると認識しております。  こうしたことを踏まえ、施設の規模や性格に応じ、その施設にふさわしい方式を選択し、安全性や快適性、省エネなどの建物性能とコストが最適化された施設づくりを行っていくことが重要であると考えてございます。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 中央図書館長。       〔中央図書館長(森 仁司)登壇〕 ◎中央図書館長(森仁司) 私からは、中央図書館の改修に関するお尋ねにお答えいたします。  中央図書館の改修につきましては、既存施設の内部改修という一定の制約はあるものの、区立図書館サービス基本方針に掲げる図書館像の具現化を目指して、図書館協議会のほか、今年度上半期に、多用な参加手法により幅広い区民等の意見をお聞きしながら検討を進めてまいります。具体的な取り組みとしましては、専門家等の支援のもとでのワークショップ形式の区民意見交換会を初め、区民意向調査や区政モニターアンケート、さらには関係部門の協力を得て実施する中高校生との意見交換などを予定しております。  こうした取り組みを通じて寄せられるさまざまな区民等の意見を生かしながら、御指摘のあった省エネの課題も含む検討を行い、平成29年度の設計に向けて、改修基本計画を今年度中に策定してまいる考えです。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 以上で山本あけみ議員の一般質問を終わります。  1番奥田雅子議員。       〔1番(奥田雅子議員)登壇〕 ◆1番(奥田雅子議員) いのち・平和クラブの一員として、直下地震で生き延びるための備えについて、具体的には、1、熊本地震から区が得たもの、2、震災救援所の運営について、3、エコノミークラス症候群の回避について、4、公園の機能を使いこなすために、5、震災用井戸の活用について、6、液体ミルクの導入について、以上6つの項目に従って質問してまいります。  熊本が2回もの震度7の激しい揺れに見舞われてから一月半がたちました。地震によって亡くなられた49人及び関連死が疑われる20人の方々の御冥福をお祈りするとともに、行方不明お一人の方が早く御家族のもとに戻れることをお祈りいたします。  最初の地震発生以降、震度1以上の余震回数は1,500回を超え、5月25日の熊本県の発表では、一連の地震で被害を受けた住宅は10万棟を超えたとのこと。いまだ避難生活を強いられている方は9,000人近くおられ、一日も早い復興を願うばかりです。  東京でも30年以内に70%の確率で直下地震が発生すると、2013年末に内閣府が発表いたしました。この20年余りの間に起きた震度7クラスの大地震は、阪神・淡路大震災、中越、中越沖地震、東日本大震災、そして熊本地震があります。私たちはこれらの地震から学び、生き延びていくためには、行政ばかりを頼るのではなく、市民が積極的に自助・共助の備えにかかわっていく必要があると考え、その視点で質問いたします。  最初の質問です。田中区長は、首都直下地震は必ず起こるとの認識を示され、待ったなしの課題として、これまで区の施設の耐震化などを着実に進めてこられました。今年度予算編成の重点分野においても、減災対策等の充実による地域の安全・安心の拡大を打ち出しておられます。この間、数年ごとに起きている大地震のたびに、区はみずからの対策について検証を重ねてこられたと思いますが、今回の熊本地震も含め、改めてこれまでの地震災害から何を学び、生かしていこうとされるのか伺います。  次に、震災救援所運営について、4点お聞きします。  杉並区では、大震災に備え、各小中学校65カ所に震災救援所を設置することを定め、その運営は、防災会、PTA、学校、区などのメンバーにより構成される災害救援所運営連絡会が担うこととしています。その震災救援所は、倒壊などにより自宅で生活ができなくなった人の受け入れ場所としていますが、実際のところはどうでしょうか。熊本地震では、自宅が全壊していない人も、頻発する余震が怖いという理由で避難所に避難していました。そして避難所に入ったとしても、続く余震で建物の中にいられない多くの人が、自動車やテントの中で暮らすことを選択していました。  一方、運営はというと、各震災救援所運営連絡会では、いざというときのために救援所の円滑な運営を行うためのマニュアルづくりや防災訓練を実施しています。しかし、想定どおりにいかないのが大規模災害です。避難所運営において臨機応変な対応ができるようにするには、大勢の地域住民が主体的にかかわっていく意識を平時から醸成していくことがとても重要だと考えます。  そこで、当区の震災救援所の収容人数と、実際に震災救援所に来る人はどのくらいと想定されているのか。また、帰宅困難者の想定はどのくらいで、その対策はどのようになっているのか。他の議員の質問と重なる部分もありますが、改めてお聞きします。  2点目として、救援物資の供給体制についてです。  震災救援所マニュアルでは、救援所に来た人に名前や年齢などを書いてもらい、避難者人数を災害対策本部に報告して救援物資を要望するという流れになっています。具体的には、発災後1日目は震災救援所で備蓄しているアルファ米やクラッカーなどでしのぎ、2日目以降は東京都からの救援物資が搬入され、4日目ごろから炊き出しを始め、炊き出しの材料や救援物資の供給を行政が行うことになっています。しかし、実際には物資が行き渡らない人が大勢発生することや、またその逆に、物資を余らせるようなこともあろうかと思います。そこで、もっと柔軟な考え方のもと、炊き出しなどは多様な主体が多様な場所で実施できるように、物資の配布を例えばコンビニとの新たな協定によって対応していくことも必要だと考えますが、区の見解を伺います。  被災者の避難状況の確認や物資の配布などにおけるきめ細かな対応には、町内会や商店会、PTA、民生委員などの地域組織が頼りとなります。日ごろから防災に関心がある地域住民や、既に自主的に防災訓練や災害時の研究を行っている地域の活動団体を巻き込んで、地域組織と協力関係をつくっておくことが大事だと考えます。東京都が認定する共助の仕組みとして防災隣組の事業があり、杉並区内の町会や防災会、震災救援所運営連絡会、大型マンションでの管理組合防災会など7つの組織が認定を受けています。これらの事例を共有していくことも必要ではないでしょうか。  そこで、3点目の質問として、震災救援所運営連絡会を、目的意識を持って主体的に活動する組織として機能させることや、既に主体的な取り組みをしている団体の活動を伝播させていくための工夫、支援が必要と考えますが、区の考えを伺います。  4点目は、生活者ネットワークがかねてより主張してきた女性の視点からの質問です。  救援所の運営はリーダーの力量に左右されると、これまで起きた大震災のたびに言われてきました。区が毎年行っている防災リーダー養成講座の役割は大きいと考えますが、特にここで指摘しておきたいのは、震災救援所に女性リーダーをふやすことの重要さです。この間、高齢者、障害者、女性、子供、外国人など災害弱者に対する配慮が重視されるようになってきたと思いますが、熊本地震の避難所においてもまだ十分ではなかったと聞いています。女性リーダーとして震災救援所を運営するに当たって、管理、企画立案、リーダーシップのとり方などの研修も重要だと考えます。目的意識的に女性リーダーをふやすこと、そのための育成や研修が必要と考えますが、いかがでしょうか、区の考えを伺います。  次に、3つ目の項目です。エコノミークラス症候群の回避について、3点お聞きします。  当区では学校や公共施設の耐震化は進んでいるとはいえ、さきに述べたとおり、余震が怖くて、半壊、一部損壊であっても避難所生活を送る人がかなり大勢になります。過去の大震災でも問題とされたエコノミークラス症候群は、トイレが汚い、数が少なく長時間並ばなければならない、行くまでが大変、男女別の不備などの理由で、トイレに行く回数を減らすために水分を控えたり、また、車中泊により足を伸ばして寝られない状況であったりすることで起きる身体の症状で、命の危険を伴います。せっかく地震で助かった命を避難生活で落とすことがあってはならないと考えます。  そこで、区はエコノミークラス症候群に対してどのような対策をお考えか、1点目として伺います。  2点目です。震災救援所では、家族ごとに段ボールのパーティションで仕切りがされればまだよいほうで、プライバシーはないに等しいような暮らしを強いられることになりますが、プライバシーの保護は人の尊厳にかかわる問題です。その点、キャンプ用のテントはプライバシーの確保に適していることに加え、足を伸ばして寝られるということで、熊本地震でもテントの活躍が目立っていました。保管スペースの問題もあるとは思いますが、震災救援所でのテントの活用を進めるべきと考えます。区の見解を伺います。  また、避難所を学校だけに頼るのではなく、発災直後の段階からテント村として大規模公園などを活用することを検討し、公園を利用する計画を入れていただきたいことを要望しておきます。  3点目として、エコノミークラス症候群を回避するためのトイレ対策の重要性についてです。  阪神・淡路大震災では、健康被害や衛生環境の悪化、精神的ストレスを引き起こすトイレの問題が浮き彫りとなり、大震災が起きるたびに、災害時のトイレの確保は重大な課題と捉えられるようになりました。  熊本地震の直後に、内閣府が避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを公表しましたが、国交省もそれ以前の3月にマンホールトイレのガイドラインをつくっています。避難生活を支援する行政が取り組むべき事項のうち、トイレの確保と管理に関して指針を示したものですが、これまでの大震災における課題を踏まえたトイレの確保、管理に関する基本的な考え方がわかりやすく示されていると感じました。利用する人の状況によってトイレのあり方も変わってくるため、ニーズに対応した備えも重要です。このガイドラインを受けて、今後区はトイレの確保量の対策をどのように考えていくのか、お聞きします。  次に、震災時における公園の機能を使いこなすことについて、3点の質問をいたします。
     防災公園の桃井原っぱ公園や柏の宮公園などにあるベンチや椅子の座面を外すとかまどになるかまどベンチやかまどスツール、災害時トイレは、当区においては、大災害が発生したときに使う道具として設置されており、平時に使うことはないとしています。しかし、周辺地域の人がそれらの道具の存在を知っていること、ふだんから使っていくことが、訓練という意味では重要ではないかと考えます。  豊島区に住民が平素から使っているかまどベンチやかまどスツールがあると聞き、見てきました。池袋の繁華街から少し離れた住宅街にある公園や児童遊園に、かまどベンチ、かまどスツール、調理台一体型の炊事場、井戸などを設置し、ふだんから町会などが使いこなしていました。  当区においても、かまどベンチ、かまどスツールなどが設置されている公園で、防災会や町会、学校などが行事で使えるようにすべきと考えますが、区のお考えを伺います。かまどスツールは、1度使うと熱で表面の塗装が剥げてしまうつくりになっています。豊島区の担当者は、剥げてもいいんです、いざというときに地域の方が使える環境をつくるのが自分たちの仕事ですとおっしゃっていたのが印象的でした。ぜひ前向きな答弁を期待いたします。  2点目、現在は桃井原っぱ公園、柏の宮公園のほか、三井の森公園、西荻窪平和児童遊園の4カ所の公園に設置されているかまどベンチやかまどスツールですが、今後、例えば出火の危険性が高いと予想される地域の外側で、設置が有効と判断される公園に配置していくことが必要だと考えますが、区の考えを伺います。  3点目は、ことし3月の予算特別委員会でも、災害時における東京都公園協会と杉並区との連携協力体制について質問いたしました。都立公園と連携していくとの答弁をいただきましたが、まだ具体的に決まっていない時期でしたので、改めて財団法人東京都公園協会と杉並区との協定について伺います。この協定の目的、主な内容、この協定で期待されていることは何か伺います。  なお、要望を2点申し添えておきます。  1つは、地域の小学校のPTAなどが行う地域活動として、都立公園の中にある防災用の道具であるかまどベンチや災害時トイレを使ってみようという企画を立てた場合のことについてです。都立公園のサービスセンターがその受け皿になっていますが、区としてこのような区民の動きを把握することも必要かと思います。また、せっかく備えてある都の設備を区民が積極的に使う機会を得られるよう、区からも情報発信していただけるとよいと思いましたので、東京都公園協会との協定に基づいて、しっかり実態をつくっていってほしいと要望いたします。  もう一つの要望は、都立公園、区立公園、公共施設や駅前広場に植えられている樹木についてです。東京都が災害時の火災による危険性が高いとしている地域に、燃えやすい樹木であるアケボノスギやヒマラヤスギなどが植えられています。特にヒマラヤスギは物すごい勢いで燃える樹木だと聞きます。しかし、緑の保全という観点からいえば、切ってしまうのではなく、延焼を防ぐ装置の設置の検討が必要ではないでしょうか。蚕糸の森公園には放水銃が5基、樹木スプリンクラーが25基設置されています。ほかにも井草森公園や馬橋公園などにも防災装置が備えてあります。これらの装置は、防災公園や一時避難所、広域避難所、都立公園など全てに対策がとられていないため、大きな避難所周辺や震災救援所となる学校や、また区役所周辺の植栽についても必要な対策を検討していただきたいと要望いたします。  次に、5つ目の項目、震災時の井戸の活用について、2点質問いたします。  地域の中の震災時の井戸協力の家の情報が、杉並区防災マップにも載っていません。個人情報の観点からそういうことになっているのでしょうか。震災時の井戸の活用について区民には余り知られていない状況ですが、実際水道がストップした際に生活用水として井戸は役立つと思われ、改めて地域防災における位置づけを確認する必要があると感じています。  まず、区立施設の防災井戸や民間で生活用水井戸としての登録は、現在何カ所あるのか伺います。  これらの震災用井戸の役割は何か。また、いざというときにどのように機能するのか、お聞きします。  6つ目の項目の質問です。液体ミルクの導入について伺います。  災害時において必要度の順位が高いものとして、乳幼児用の粉ミルクが挙げられますが、粉ミルクは、消毒、調乳するためのお湯や哺乳瓶などが必要となります。それに対して、そのままで飲ませられる、常温で保存がきく液体ミルクがあれば、災害時にどんなに助かるでしょうか。東日本大震災では、フィンランド在住の日本人女性らが1万4,000個の液体ミルクを被災地に送り、先ごろの熊本地震でも国会議員のグループが緊急輸入し、注目を集めました。4年前、当議会生活者ネットワークが、国の動向を注視して、区としても液体ミルクを災害時の備品に入れるよう要望しておりますが、現在もまだ国は乳幼児用の食品を粉乳と限定しており、液体ミルクは認められていません。したがって、国内での製造販売もされていないため、個人輸入などで手に入れるしかない状況です。ただ、ここへ来て国での議論が始まったようで、期待したいところです。区は液体ミルクについてどのような認識を持っておられるか、お聞きします。  質問の最後に、他の議員からも指摘がありましたが、事前復興の考え方について、私からも述べておきたいと思います。  事前復興とは、近い将来、大震災で壊滅的な被害がわかっているのであれば、それを前提に事前に復興まちづくり計画をつくり、まちづくりを今から進めるというものです。市民、専門家、行政の日常的な交流、学習、シミュレーション活動の実践をもとに、発災する前に復興を視野に入れて計画を立てることになります。自助・共助・公助の連携で、事前から事後へと連続する災害総合対策機能を確立していくことが必要だと考えます。ぜひとも事前復興という観点から地域住民主体の復興計画づくりを進めていかれることを要望し、私の一般質問を終わります。 ○議長(井口かづ子議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。       〔区長(田中 良)登壇〕 ◎区長(田中良) 私からは、奥田雅子議員の御質問のうち、これまでの地震災害の教訓とこれからの震災対策についてのお尋ねにお答え申し上げます。  我が国は地理的条件から、世界の中で自然災害に見舞われる割合は非常に高く、被害も甚大でございます。区の喫緊の課題であります首都直下地震に対する対策に、災害の教訓から学び、それを生かしていくということが大切であると私も強く思っております。熊本地震からは、震災救援所の代替施設や物流対策の複線化など、どのような災害が発生した場合にも対応できるような、第2、第3の策を備えることが大切であると改めて感じた次第でございます。  御質問にもございました阪神・淡路大震災ですが、私もその翌日に現場に行ったわけでございまして、その状況を目の当たりにいたしました。今でも鮮明に覚えております。大都市直下の地震によりまして多くのビルや住宅が倒壊をいたしまして、その後の電気火災等による延焼によりまして大きな被害をもたらしたということもございました。  私も若いころに、今でも若いつもりですけれども、もっと若いころに、神戸、大阪で仕事をして住んでおりましたので、あの三宮駅周辺のビルの倒壊は本当に驚いたわけでございます。実際に映像で見るのと現場を見るのと、またその衝撃は違うわけでございまして、そういう意味では大変ショックを受けて帰ってきた思い出がございます。  東日本大震災ですが、地震発生後の津波、原子力発電所事故による広域な被害がもたらされました。発災直後は通信手段も途絶えまして、混乱が生じておりました。こうしたときにこそ、助けることのできる自治体が被災地に対して迅速に支援の手を差し伸べる、基礎自治体間の水平的支援が有効な手段となったと思います。  先般、南相馬市の桜井市長からメールをいただきまして、7月に避難区域が解除になりますということをついこの間いただきましたけれども、5年少々時間がかかりました。解除されたといっても、これから賠償の終了と裏腹という関係もあるようでありまして、これからも大変な御苦労が続くんだろうというふうに思います。  そういった経験をしながら、迅速な支援をちゅうちょなく行えるように、ともに法律改正を求めて、そして全国市長会からの要請ともなって、そして災害対策基本法の改正にスクラム支援会議の活動が結びついていったということもございます。その後、スクラム支援会議におきましては、相互支援の条例を同時に制定いたしまして、災害時の関係強化を図ってきております。  私は、この災害の教訓から、「3・11を忘れない」を合い言葉に、減災の視点に立ち、防災対策を積極的に進めてまいりました。災害に備えるということで、いざ発生したときの被害を可能な限り最小限に押さえ込んでいくということが重要でありまして、それがその後の復旧復興のスピード、それからコスト、これにつながっていくということでございます。そういう意味で、震災のためにお金をためるというような発想は、私は余りリアリティーがないということを再三あのときもお話をさせていただきましたけれども、まさに事前復興という考え方はそういう考え方でもあろうかというふうに思っております。  そもそも首都東京が首都直下地震に見舞われて壊滅的な被害をこうむったときには、国や東京都が大規模な財政スキームをつくるということは確実でありまして、要はそれを活用していかに早く立ち上がっていくかという自治体の側の取り組み、これが非常に重要だというふうに考えております。  今年度は、首都直下地震で最も人的、物的被害が想定される電気火災対策としての感震ブレーカーの設置支援や、狭隘道路拡幅整備、物資の受援計画を策定してまいります。震災対策を確実にスピード感を持って進めまして、全力で取り組んでまいりたいと思います。  私からは以上です。残りの御質問につきましては、関係部長より御答弁申し上げます。 ○議長(井口かづ子議員) 危機管理室長。       〔危機管理室長(寺嶋 実)登壇〕 ◎危機管理室長(寺嶋実) 私からは、震災対策にかかわる御質問にお答えさせていただきます。  震災救援所の運営に関する御質問にお答えいたします。  まず、震災救援所の収容人数と避難者数についてのお尋ねですが、収容人員は約9万4,000人で、避難生活者数は最大約11万4,000人でございます。約2万1,000人を上回りますが、補助代替施設の22カ所で収容可能と考えております。  また、区内の帰宅困難者は最大約9万3,000人と見込まれる中、行き場のない帰宅困難者は約1万8,000人と想定されております。現在、区立施設や民間事業者の施設を一時滞在施設として9カ所指定しており、備蓄品の購入助成を行っております。  次に、物資等の配布に関するお尋ねですが、震災救援所が被災された方々への食料や生活物資の配布、情報提供の拠点となっております。コンビニでの配布については、利便性がある半面、欠品などが生じた際には混乱を招くおそれがありますので、今後の検討課題であると考えております。  なお、物資を震災救援所で受け取ることが困難な要配慮者等の方々へは、ボランティア等のお力をかりて個別に配布してまいります。  次に、エコノミークラス症候群への対策についてのお尋ねですが、エコノミークラス症候群は、前兆が外見から判断できない上、発症すると突然死をもたらす非常に恐ろしい疾患です。現在も熊本県の被災地から被害の情報が上がってきておりますが、区といたしましても、各震災救援所に配布している避難者の健康管理マニュアルの中で、適度な水分補給と運動をすることなどを避難者に周知することを定めているほか、ラジオ体操を取り入れた対策を行った事例などを紹介して、エコノミークラス症候群の注意喚起をしております。  また、災害時には、区災害対策本部医療救護部の保健師や医療ボランティアによる震災救援所の巡回を通して予防活動を行うなど、エコノミークラス症候群対策に力を入れてまいります。  次に、震災救援所でのプライバシーの保護についてのお尋ねですが、震災救援所となる体育館では、プライバシーの保護と犯罪抑止の観点から、立つと人から見え、座ると人からは見えなくなる高さの段ボール間仕切りを採用しております。保管場所や経費の点でも、体育館の中でのテント使用は考えておりません。  また、屋外での使用に関しても、校庭は、物資を受け入れ、ペットの飼育場、トイレなどの設置など、さまざまな活用が想定されておりますので、現在テントの使用は考えておりませんが、熊本地震の検証を注視してまいります。  次に、トイレの確保についてのお尋ねですが、現在、各震災救援所に国基準の避難者75人に1基の目安を上回るマンホールトイレ10台、ペール缶トイレ3台、簡易トイレ20台を備蓄しております。また、平成26年度から備蓄を始めた不織布毛布の段ボール箱は簡易トイレに転用が可能で、1救援所当たり40台追加の設置可能となっております。今後も学校改築の際に、敷地内にマンホールトイレを新たに5台から10台設置してまいります。  次に、東京都公園協会との協定についてのお尋ねですが、区は、本年3月30日に、東京都公園協会との間で、大規模災害発生時に、都立和田堀公園、善福寺川緑地において避難者の安全確保及び支援等を迅速かつ的確に行うことを目的に、災害時の避難場所等における連携協力体制に関する協定を締結したところです。主な内容として、協会が発災時に区と連携して行う被災者支援や平常時からの連携体制、近隣住民を含めた防災訓練や意見交換会の推進に関することが盛り込まれております。本協定により、区と協会との連携協力体制が強固なものになるほか、平常時における防災訓練や防災意見交換の実施などを通し、地域の防災力の向上が期待できると考えております。  次に、生活用水井戸に関するお尋ねですが、平成27年度末現在、登録井戸は、区立小中学校65カ所、区立施設35カ所、民間の井戸355カ所、防災兼農業用井戸が9カ所ございます。  また、活用方法でございますが、停電時にも利用可能なことから、生活用水としてトイレの水洗水や洗濯等に利用してまいります。  私からの最後になりますが、備蓄品としての液体ミルクに関するお尋ねでございますが、液体ミルクにつきましては、委員御指摘のとおり、災害時に手間がかからず利用できるなどの一定のメリットがございます。しかし、現在、厚生労働省令で国内での製造販売が認められていないため、備蓄品としては考えておりません。今後、法令等が改正された際には、備蓄品の入れかえの機会を捉え、検討、見直してまいります。  次に、震災救援所運営連絡会の活動についてのお尋ねですが、震災救援所運営訓練では、年1回以上、連絡会が主体となって企画立案して、中学生レスキューによる安否確認など、地域の特性に合った訓練を実施しております。訓練内容については、毎年5月に開催される会長・所長会の中で重点訓練項目を示す際に、特徴的、先進的に取り組んでいる活動事例を紹介するなど、救援所の運営を後押ししてまいります。  次に、女性リーダーをふやす工夫についてのお尋ねでございますが、女性の視点を取り入れた震災救援所運営管理標準マニュアルを改定し、参加促進に努めているところでございます。今後も多くの女性リーダーを育成するため、養成講座等を開催するなどにより、多くの女性にリーダーとして参加いただけるよう工夫をしてまいります。  私からは以上です。 ○議長(井口かづ子議員) 土木担当部長。       〔土木担当部長(吉野 稔)登壇〕 ◎土木担当部長(吉野稔) 私から、防災機能を備えた公園におけるかまどベンチ、かまどスツールに関する御質問にお答えいたします。  最初に、かまどベンチ、かまどスツールの活用に関するお尋ねですが、桃井原っぱ公園や柏の宮公園では、公園の計画づくりを区民とともに行う中で、災害時に活用するため設置してきた経緯がございます。災害時の際の性能への支障のない範囲で、ふだんの訓練で活用していただくことについて対応してまいりたいと存じます。  次に、かまどベンチ、かまどスツールを設置する公園の配置についてですが、区では近年、桃井原っぱ公園や柏の宮公園など大規模な公園整備の際には、防災機能の向上の観点から設置してきてございます。また、現在整備を進めている都市計画下高井戸公園でも設置予定でございます。  規模の小さい公園を初め既存公園につきましては、公園改修時などを捉え、防災に関する区民要望に合わせて、かまどベンチ、かまどスツールの設置を進めていきたいと存じます。  私から以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 以上で奥田雅子議員の一般質問を終わります。  3番木村ようこ議員。       〔3番(木村ようこ議員)登壇〕 ◆3番(木村ようこ議員) 通告に基づきまして一般質問を行います。今回は、広告掲載事業について、投票率の向上について、DVの男性被害者支援についてです。  まず初めに、広告掲載事業について質問します。  現在我が国では、主要先進国でも類を見ない速さで少子高齢化が進んでいます。我が国の生産年齢人口は1995年をピークに減少に転じ、総人口も2008年をピークに減少に転じており、その減少スピードは今後加速度的に高まっていくことが予想されます。その一方で、保健、医療、福祉サービスなど、健康、福祉関係経費の財政需要はますますふえ続けています。  財政需要増加の波は当区にも押し寄せています。先日、区長から保育緊急事態宣言が発され、待機児童ゼロに向けて、平成28年度中に保育所の大規模な整備を行うことになりました。それに伴う補正予算額は約2億9,000万円です。また、今定例会でもさらに新たな補正予算案が提出されております。  厳しい財政状況に置かれているのは国ばかりではありません。地方自治体も同様であります。過去何度か指摘させていただいているように、それぞれの自治体が切磋琢磨し歳入確保策を講ずることは、もはや住民に対する行政の義務だと言っても過言ではありません。  私は、平成27年決算特別委員会、また平成27年第4回定例会の一般質問において、区の施設に設置される自動販売機の入札を提案させていただきました。これは、区が所有する有形無形のさまざまな資産を活用することで、新たな財源の確保及び事業経費の縮減を図り、それにより市民サービスの向上策を講ずるとの意図のもとに行ったものです。今回は同じ視点に基づき、歳入確保策の第二弾としまして、広告掲載事業による歳入確保策を提案させていただきたいと思います。  まず、「広報すぎなみ」の広告掲載についてです。  「広報すぎなみ」は毎月1日、11日、21日に約19万部を発行していますから、広告媒体としての価値は極めて高いと言えます。ところが、広告枠は、1号当たり縦10ミリメートル、横235ミリメートルの細長い枠が2つだけで、1枠1万円です。「障害者のてびき」や「高齢者のしおり」では、1枠20万円以上の枠も設けられているのに、これはもったいないと言えるのではないでしょうか。例えばお隣の練馬区では、縦88ミリメートル、横248ミリメートルというかなり大きな広告枠を設けており、掲載料は24万円です。  そこで伺います。「広報すぎなみ」の広告枠を拡大すれば、区としても収益が上がり、地域企業等も区民に宣伝でき、区民も有益な情報が得られる可能性があるというウイン・ウイン・ウインの関係が築けますので、ぜひ検討していただきたいと思いますが、区の見解をお聞かせください。  また、自治体の広報については、より意欲的な取り組みとして横浜市の事例を挙げることができます。横浜市は、「広報よこはま」市版、区版の広告枠を公募による指名競争入札で一括して売り渡すという施策を実施しているのです。これによる収益は驚くべきもので、平成26年度の広告枠は3,100万円で落札されています。さらに、類似の事例として、福岡県久留米市では、市公式ウエブサイトのバナー広告掲載募集を取り扱う広告事業代理者の公募を行い、入札による事業者を選定しております。  このように、例えば「広報すぎなみ」「障害者のてびき」「高齢者のしおり」などの1年分の広告枠について、公募型指名競争入札を行い、一括して広告代理店に売り渡すという手法も一案だと考えますが、区の見解をお聞かせください。  次に、その他の広告掲載事業について、幾つか提案させていただきたいと思います。  1点目、杉並区立図書館のログインページ、また、さざんかねっとのログインページにバナー広告を掲載する。2点目、本庁舎1階ロビーの動画モニターを活用し、行政情報を掲載すると同時に、広告もあわせて掲載する。3点目、受付等のカウンターのスペースに広告を掲載する。4点目、庁舎内の空きスペースに広告専用のパンフレットラックを設置する。5点目、経費縮減策として、公共施設の出入り口用玄関マットを広告つき玄関マットにより無償で調達する。これら5点は、他の自治体で既に実施済みの事業を参考にしたものです。現状にとどまらず、ぜひ歳入確保策について攻めの姿勢を示していただきたいと思いますが、こういった新たな広告掲載事業を展開するお考えはあるのでしょうか、お伺いします。  以上は広告掲載事業の具体的例でしたが、広告掲載事業の取り組み、組織づくりについても触れてみたいと思います。  先ほど事例として取り上げた横浜市ですが、ここは広告掲載事業の組織化、効率化についてもオピニオンリーダーと言えます。横浜市には、広告掲載事業の窓口を一本化した共創推進課という部署があります。広告掲載事業専用のウエブサイトの運営、広告募集のメールマガジンの発信、広告掲載事業に関する規定、マニュアルの整備、さらには広告代理店への売り込みまで行っています。この部署ができたことにより、企業の担当者が問い合わせ先を迷うこともなくなり、また経費削減にもつながりました。そして、この部署の前身である財務局広告担当が設置された平成16年から平成25年度までの10年間で、横浜市の広告料収入は2倍以上に増加しました。  このように、広告掲載事業の一元管理は、事業の効率化、歳入確保の観点から有益であると考えます。当区においても、広告掲載事業に特化した部署を設置することを検討されてもよいのではないかと考えますが、区の見解をお聞きし、次の質問に移ります。  投票率の向上について質問します。  さきの予算特別委員会では、共通投票所の設置についてお尋ねしました。これまでは、投票日の当日は自治体が指定する学校などの投票所1カ所でしか投票できませんでしたが、駅や商業施設などの人が集まる場所で投票できる共通投票所を設置できるようになるというものです。その共通投票所設置について、選挙管理委員会の見解は、人が大勢集まる大規模商業施設等、区内にはそういうスペースを持っているところがないという理由から、共通投票所の設置は難しいとの御答弁でした。  予算特別委員会の後、国会で、共通投票所の設置を可能とする公職選挙法の改正案が可決されましたので、改めて、質問できなかった部分に触れてみたいと思います。  今回の参議院議員選挙においては、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられることを契機に、何としても投票率向上を目指したいところです。函館市選挙管理委員会が、今回の参議院議員選挙で、市内4つの大学に日がわりで1日ずつ期日前投票所を設置することを決めたとのことです。この期日前投票所を大学構内に設置する試みについては、既に愛媛県松山市にある松山大学が平成25年の参議院議員選挙のときに実施済みです。その結果、同市では、各年齢層の投票率が下回る中、20代前半だけ2.72ポイント上昇しました。このことは評価されるべき事例ではないでしょうか。  そこで伺います。共通投票所の設置が難しいのであれば、大学構内の期日前投票所設置については、ぜひとも挑戦していただきたいと思いますが、今回の参議院議員選挙において、区内の大学に期日前投票所を設置するお考えはあるのか、選挙管理委員会の見解をお聞かせください。  また、函館市選挙管理委員会は、実際の選挙事務を体験することで政治や選挙への関心を高めてもらうことを目的とし、18歳以上の学生を対象とした、投票事務、開票事務等のアルバイトを採用募集するとのことです。  予算特別委員会では、若年層啓発について具体的な取り組みをお伺いしたところ、昨年から高校生向けの啓発活動を展開しているとのことでした。もちろん学校での啓発活動も大切ですが、選挙の現場に触れる体験はなかなかできるものではございません。実際の投票現場に直面し、さらに自身が選挙を体験することで、投票に対する啓発に直結するのではないでしょうか。当区においても、18歳以上の学生に投票事務、開票事務等の協力依頼を検討すべきと考えますが、選挙管理委員会の見解をお聞かせください。  とまらない投票率の低下は民主主義の危機であります。その危機的状況を打開するために、今回公職選挙法が改正されたわけですから、やはり何か投票率を向上させるための新たな対策を期待したいところです。  先ほど2つの例を挙げました。また、高校生向け啓発活動を区が行うということは伺っております。それでは、これら以外に、従来とは異なる投票率向上策を講ずるお考えはあるのか、お聞かせください。  今回の公職選挙法の改正における一番重要な変更ポイントは、やはり共通投票所の設置が可能になったことです。有権者の利便性向上は、投票率を上げるために極めて大きな効果がありますので、当区においても共通投票所の設置は必須でございます。今回の参議院議員選挙では見送るとしましても、選挙管理委員会といたしましては、いつまでに共通投票所を設置するお考えなのか、見解をお聞きし、最後の質問に移ります。  DVの男性被害者支援について質問します。  配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律、通称DV防止法が平成19年に改正され、都道府県のみに義務づけられていた配偶者暴力相談支援センターの設置が、市町村についても努力義務とされました。この改正を受け、当区においても、ことしの4月からDV相談専用電話が設置されました。増加、深刻化するDV被害に歯どめをかけるべく、住民に身近な基礎自治体での設置は歓迎されるべきです。  ところが、専用電話の設置を告知する区のウエブサイトを拝見すると、気になる表現があります。「配偶者などからの暴力(DV)は主に女性の被害者が多くなっています。」との文言です。これは告知文本文の最初の行に出てきます。DV問題の歴史をひもとけば、確かに女性の被害が圧倒的に深刻で、問題視されてきました。これは疑いようのない事実でしょう。  しかし、社会問題は時代に応じて変化します。近時、ようやくDVの男性被害者について取り上げられる機会がふえてきました。警察庁の統計によれば、平成27年のDV被害の男性比率は12%、平成22年の2.4%から実に5倍にふえています。さらに、平成26年の内閣府の調査により、男性は女性以上にDV被害を相談できない傾向にあることが浮き彫りになり、警察庁の統計も氷山の一角にすぎないことが懸念されます。  男性被害者が相談をちゅうちょする大きな要因がジェンダーバイアスでしょう。いまだに、女性から暴力を受けたくらいでといった偏見があり、被害を訴えることを恥だとする意識が残存しています。このバイアスの問題は根が深く、もう一歩踏み込むと、DVの男性被害者といった場合、女性加害者をイメージする傾向がまだまだあるのではないかと思います。しかし、当然のことながら同性愛者間でのDVも起こり得るわけで、加害者男性、被害者男性という事態も、DV問題を考える際には想定する必要があります。  さて、このようなDV問題の裾野は近時拡大しているわけです。それにもかかわらず、当区ウエブサイトの「配偶者などからの暴力(DV)は主に女性の被害者が多くなっています。」との文言。家庭内で妻から日々罵倒され、暴行を受けている男性が、友人、知人にも相談できず、一縷の望みをかけて当区のウエブサイトを見たら、どう思うでしょうか。心が折れてしまいます。  そこで、まず伺います。区がバイアスをかけてしまう必要性は全くなく、ウエブサイト上の当該文言を早急に削除すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。  引き続き、DV相談専用電話について伺います。  4月19日に設置されてから現在に至るまでの相談件数をお答えください。また、相談件数のうち、男性被害者は何名いらっしゃいましたか。  仮にさきの警察庁が公開した統計の男女比と相談者の男女比に乖離があった場合、全国平均以上に泣き寝入りしている男性被害者の方たちがいらっしゃる可能性があり、対策が必要と考えますが、区の見解をお聞かせください。  次に、実際に相談を受ける相談員についてです。  区が作成したパンフレットを見ると、専門の女性相談員による相談という表現になっており、女性である点が強調されています。これは相談者の多くが女性という前提のもと、同性の方が望ましいという配慮の結果なのだと思います。しかし、裏を返せば、男性被害者からしても男性相談員のほうが話しやすいということになるのではないかと思います。男性相談員の配置についても検討すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。  また、仮に男性相談員を配置する余力がないとしても、男性被害者からの相談については、ジェンダーバイアスに配慮した対応が求められますが、相談員用のマニュアルはあるのでしょうか。あるいは、現在なくても、今後作成する計画はあるのでしょうか、お伺いします。  さらに、先ほど同性愛者間のDVについても触れましたが、この点について、福岡県が画期的な対策をとりました。本年度からLGBTのDV被害専用相談窓口を開設することを決定したのです。当区においてもこういった先進的な取り組みを検討すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
     次に、これは男性被害者という視点から若干外れますが、区のDV相談窓口の受け付けは、平日午前9時から午後5時に限られています。これだと、働いている人はなかなか相談することができません。例えば練馬区では、平日は午後7時まで、祝休日も年末年始を除き午後5時まで受け付けています。また、当区の相談窓口は特定非営利活動法人メンタルケア協議会に委託しているようですが、この法人の相談員の求人情報を拝見したところ、勤務時間を午前8時30分から午後8時30分までのうち、実動5時間から9時間とする記載があります。そうすると、区が依頼すれば、相談受付時間は延ばせるということなのではないかと思います。  そこで伺います。相談受付時間の延長及び土曜日の受け付けを行うべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。  以上、DVの男性被害について質問してまいりましたが、この問題を取り上げたきっかけは、冒頭に述べたとおり、区のウエブサイトの記載です。たかがウエブサイトの表現ではないか、そう思う方もいらっしゃるかもしれません。また、男性被害者向けの相談窓口は東京ウィメンズプラザが提供しているからよいではないか、そう思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、精神的に追い詰められ、そして男性のくせにという偏見にさらされる男性被害者にとっては、細かい表現さえ彼らの傷口を広げる凶器となり得るのではないでしょうか。ウィメンズプラザ、日本語にすれば女性広場です。その名称が、男性被害者にとって一歩を踏み出す障害になる可能性を私はどうしても想像してしまいます。  真の平等とは、条件が同じなのであれば、属性に関係なく同じ扱いを受けること、同じ救済を得られることではないでしょうか。女性被害者が多いからといって、男性被害者がないがしろにされてよいはずがありません。女性以上にDV被害を相談できない傾向にあるのであれば、相応の配慮があってしかるべきです。  以上を踏まえ、最後に、男性のDV被害について区としてはどのように認識し、対策を検討しているのか、改めてお尋ねし、私の質問を終わります。 ○議長(井口かづ子議員) 理事者の答弁を求めます。  総務部長。       〔総務部長(関谷 隆)登壇〕 ◎総務部長(関谷隆) 私からは、「広報すぎなみ」の広告枠拡大をとの御質問にお答えします。  昨今、区民にお伝えしなければならない情報量が増大しております。限られた紙面の中で、まずもって区民に対してお伝えをしなければならない必要な情報が損なわれることのないよう配慮しつつ、今年度、「広報すぎなみ」の紙面やデザインの見直しを行う中で、広告枠については改めて検討する予定でございます。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 政策経営部長。       〔政策経営部長(白垣 学)登壇〕 ◎政策経営部長(白垣学) 私からは、広告掲載事業に関する所管に関する一連の御質問にお答えいたします。  まず、広告募集を区が直接行うのではなく、広告代理店などに依頼してはどうかというお尋ねですが、こうした手法を活用するためには、広告掲載を募集する総数を一定程度ふやすことが必要だと考えており、紙媒体のみならず、広告媒体全体で総数をふやす取り組みを進める中で、その可能性について検討してまいりたいと考えております。  次に、広告掲載事業の新たな展開に関する御質問ですが、広告掲載事業を拡大していくことは、歳入確保の観点から重要であり、これまでの概念にとらわれずに、さまざまな可能性を追求していく考えでございますが、一方で、行政としては、公共性に対する信用や信頼を損なうおそれがあるものは避ける必要もございますので、そうした点にも留意をしながら慎重に検討してまいりたいと考えております。  最後に、広告掲載事業に特化した部署を設置してはどうかというお尋ねにお答えいたします。  広告掲載事業による広告収入の確保は、歳入確保の観点から、行政管理担当が広告掲載事業を実施する所管部門と調整を図りながら進めており、これだけに特化した部署を設置する考えはございません。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 区民生活部長。       〔区民生活部長(井口順司)登壇〕 ◎区民生活部長(井口順司) 私からは、DVの男性被害者支援についての御質問にお答えいたします。  初めに、お答えが前後してしまいますが、男性のDV被害への区の認識と対策についてお答えいたします。  配偶者からの暴力被害、いわゆるDVにつきましては、今日、その被害者に男性も女性もおられると認識しております。そのため、今般整備した配偶者暴力相談支援センターでは、女性だけでなく男性からの相談も対象としておりますが、実態として被害者の多くは女性でありますので、支援体制は女性の視点に重きを置いたものとしております。  次に、主に女性の被害者が多くなっているとのホームページの記述についてですが、DVの被害者は男性でも増加しているものの、依然として9割が女性でありますので、この記述を削除する考えはございません。  次に、配偶者暴力相談支援センターの相談件数ですが、4月19日から5月25日までに45件ございましたが、その中に男性からの相談はございません。警視庁の統計資料と区の相談件数の男女比の乖離については、区の相談は開設から1カ月ばかりのものでありますので、現段階での比較は時期尚早と捉えております。  次に、男性相談員の配置についてですが、相談者の多くが女性である現状から、考えておりません。男性相談員への相談を求められた場合には、東京ウィメンズプラザで実施している男性相談専門の相談員による男性のための悩み相談を御紹介いたします。  次に、相談員用のマニュアルについてのお尋ねですが、相談に当たっては、東京都のDV相談窓口でも使用している東京都発行の「配偶者暴力被害者支援ハンドブック」や、内閣府男女共同参画局発行の「配偶者からの暴力 相談の手引」をマニュアルとして使用しております。区独自の相談マニュアルについては、今般開設した配偶者暴力相談支援センターでの相談状況などを見て考えてまいります。  次に、LGBTのDV被害専用相談窓口に関するお尋ねですが、現在でもDVに関する相談は、性的マイノリティーの方も含め対応しております。福岡県の事例をお示しされましたが、県レベルとは状況が異なりますので、専用相談窓口の設置は考えておりません。  私からの最後になりますが、配偶者暴力相談支援センターの相談受付時間についてですが、センターは区役所内に設置していることから、開庁時間内を基本としております。時間外の対応については、東京ウィメンズプラザや警察署でも相談を受け付けておりますので、お急ぎの場合はこちらを活用していただきます。  私からは以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 選挙管理委員会委員長。       〔選挙管理委員会委員長(伊田明行)登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(伊田明行) 私からは、投票率向上についての質問にお答えをさせていただきます。  初めに、区内の大学に期日前投票所を開設することについてでございますが、昨年の統一地方選挙では、複数の地方の大学が構内に期日前投票所を開設している例がございましたが、杉並区を含めて大都市では、ほかの市区町村から通っていらっしゃる学生さんの比率が高いことや、大学のキャンパス内に安全管理のため、学生以外の区民の立ち入りが制約されていることが多いなど課題があり、現時点では開設の予定はございません。  次に、18歳以上の学生への投票事務、開票事務等の協力依頼についてでございますが、選挙管理委員会では従来より、投票立会人希望意向を含めて、啓発事業として、20歳の誕生月にバースデーカードをお送りしていましたが、これを改正に伴い18歳誕生月にするとともに、本年3月には、新有権者となる18歳、19歳の方々へも同様の啓発のお知らせをお送りいたしました。その結果、今回の参議院選挙では、18歳の方16名を含む56人の新有権者が投票立会人となる予定で現在準備を進めております。  次に、新たな投票率向上策についてでございますが、今回の公職選挙法改正に伴う投票率向上対策ではございませんが、選挙管理委員会では、各選挙期間中の全世代にわたる投票への呼びかけ、啓発のほかに、小中学校への出前授業や選挙器材の貸し出しなどを通じて、選挙権年齢に達する前の若年層に対する啓発事業にも力を入れてまいりました。これらの事業は投票率向上効果を直ちに見込むのはなかなか難しいものがございますが、次世代の有権者を育てていく、息長く継続する事業として今後も確実に実施してまいりたいと思っております。  私からの最後に、今後の共通投票所の設置についてでございます。  共通投票所設置に当たっては、解散総選挙や首長辞職など予定外の選挙においても、駅や大規模なショッピングモールなどの施設内に広い投票スペースの確保が必要です。また、全ての投票所に対して二重投票の防止システム構築が必要となるなど、解決すべき課題があります。このため、今回の参議院選挙においても、地方都市の少数の実施にとどまるものと思われます。選挙管理委員会では、今後も、特に大都市部での実施の有無については、他の自治体の動向等を注視してまいりたいと存じます。  以上でございます。 ○議長(井口かづ子議員) 以上で木村ようこ議員の一般質問を終わります。  以上で日程第1を終了いたします。  議事日程第2号は全て終了いたしました。  議事日程第3号につきましては、明日午前10時から一般質問を行います。  本日はこれにて散会いたします。                                午後3時17分散会...