渋谷区議会 > 2021-09-13 >
09月13日-11号

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  1. 渋谷区議会 2021-09-13
    09月13日-11号


    取得元: 渋谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2022-11-23
    令和 3年  9月 定例会(第3回)      令和3年 渋谷区議会会議録 第11号 9月13日(月)出席議員(32名)   1番  松本 翔     2番  岡 美千瑠   3番  中村豪志     4番  神薗麻智子   5番  橋本侑樹     7番  小田浩美   8番  金子快之     9番  鈴木建邦  10番  斉藤貴之    11番  一柳直宏  12番  近藤順子    14番  森田由紀  15番  田中匠身    16番  治田 学  17番  堀切稔仁    18番  須田 賢  19番  斎藤竜一    20番  下嶋倫朗  21番  久永 薫    22番  沢島英隆  23番  薬丸義人    24番  佐藤真理  25番  吉田佳代子   26番  田中正也  27番  牛尾真己    28番  丸山高司  29番  木村正義    30番  栗谷順彦  31番  伊藤毅志    32番  岡田麻理  33番  五十嵐千代子  34番  苫 孝二欠席議員(1名)  13番  松山克幸欠番   6番-----------------------------------出席説明員  区長        長谷部 健  副区長       柳澤信司  副区長       澤田 伸   会計管理者     佐藤賢哉  経営企画部長    松本賢司   総務部長      船本 徹  人事担当部長兼新型コロナ     財務部長兼施設整備担当部長            木下毅彦             北原竜也  ウイルス感染症対策担当部長  危機管理対策部長兼新型コロナ            齊藤和夫   危機管理対策監   斎藤兼一  ウイルス感染症対策担当部長  区民部長      古沢昌之   産業観光・文化担当部長                             宮本安芸子  スポーツ部長兼新型コロナ            山中昌彦   福祉部長      藤野貴久  ウイルス感染症対策担当部長  高齢者政策担当部長兼            高橋由紀   子ども家庭部長   菅原幸信  生涯活躍推進担当部長  子育てネウボラ担当部長      健康推進部長    阿部敦子            松澤俊郎  都市整備部長    加藤健三   まちづくり推進担当部長                             奥野和宏  土木部長      井川武史   環境政策部長    佐藤哲人  教育委員会教育長  五十嵐俊子  教育委員会事務局次長                             富井一慶  教育委員会事務局次長       選挙管理委員会委員長            小泉武士             廣瀬 誠  選挙管理委員会事務局長      代表監査委員    國貞美和            植竹ゆかり  監査委員事務局長  黒柳貴史-----------------------------------事務局職員  事務局長      伴 秀樹   次長        前崎敏彦  議事係長      根岸正宏   議事主査      武田真司  議事主査      杉村洋子   議事主査      山田義明  議事主査      伊藤洋子   議事主査      原 久美子-----------------------------------   令和3年第3回渋谷区議会定例会議事日程                 令和3年9月13日(月)午後1時開議 日程第1 会期決定の件 日程第2 同意第6号 渋谷区副区長の選任の同意について 日程第3 諮問第4号 人権擁護委員の候補者について 日程第4 議案第33号 渋谷区手数料条例の一部を改正する条例 日程第5 議案第34号 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例 日程第6 議案第37号 渋谷区いじめ防止等対策推進条例 日程第7 議案第35号 渋谷区旅館業法施行条例の一部を改正する条例 日程第8 議案第36号 渋谷区公衆浴場法施行条例の一部を改正する条例 日程第9 議案第38号 令和3年度渋谷区一般会計補正予算(第3号) 日程第10 議案第39号 令和3年度渋谷区国民健康保険事業会計補正予算(第1号) 日程第11 認定第1号 令和2年度渋谷区一般会計歳入歳出決算 日程第12 認定第2号 令和2年度渋谷区国民健康保険事業会計歳入歳出決算 日程第13 認定第3号 令和2年度渋谷区介護保険事業会計歳入歳出決算 日程第14 認定第4号 令和2年度渋谷区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算 日程第15 議案第40号 四反道跨線人道橋架替え事業に伴う工事の施行に関する協定の締結について 日程第16 報告第7号 健全化判断比率の報告について 日程第17 報告第8号 株式会社渋谷サービス公社の経営状況の報告について 日程第18 報告第9号 渋谷区土地開発公社の経営状況の報告について 日程第19 報告第10号 一般財団法人渋谷区観光協会の経営状況の報告について 日程第20 報告第11号 株式会社渋谷都市整備公社の経営状況の報告について 日程第21 報告第12号 公益財団法人渋谷区文化・芸術振興財団の経営状況の報告について-----------------------------------     開会・開議 午後1時----------------------------------- ○議長(斎藤竜一) ただいまから令和3年第3回渋谷区議会定例会を開会し、本日の会議を開きます。 この際、会議規則に基づき、9番鈴木建邦議員、25番吉田佳代子議員を本日の会議録署名議員に指名いたします。 日程に先立ち、事務局長に諸般の報告をさせます。     〔伴事務局長報告〕----------------------------------- 本日の会議に欠席、遅刻の届出の議員を報告します。 松山議員から欠席の届出がありました。 遅刻の届出の議員はありません。----------------------------------- 本日の会議に出席を求めた説明員は次のとおりであります。 長谷部区長、柳澤副区長、澤田副区長、佐藤会計管理者松本経営企画部長、船本総務部長、木下人事担当部長新型コロナウイルス感染症対策担当部長、北原財務部長兼施設整備担当部長齊藤危機管理対策部長新型コロナウイルス感染症対策担当部長斎藤危機管理対策監、古沢区民部長、宮本産業観光・文化担当部長、山中スポーツ部長新型コロナウイルス感染症対策担当部長、藤野福祉部長、高橋高齢者政策担当部長兼生涯活躍推進担当部長菅原子ども家庭部長松澤子育てネウボラ担当部長阿部健康推進部長加藤都市整備部長奥野まちづくり推進担当部長、井川土木部長、佐藤環境政策部長五十嵐教育委員会教育長富井教育委員会事務局次長小泉教育委員会事務局次長廣瀬選挙管理委員会委員長植竹選挙管理委員会事務局長國貞代表監査委員黒柳監査委員事務局長----------------------------------- 監査委員から、令和3年5月末日現在、6月末日現在、及び7月末日現在における例月出納検査の結果について報告がありました。----------------------------------- ○議長(斎藤竜一) 区長から発言の通告がありますので、これを許可いたします。 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 本日ここに、令和3年第3回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案について御審議をお願いすることとなりました。 この機会に、当面する区政の課題について御説明申し上げ、区議会及び区民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてです。 本年8月以降、国内では、感染力が極めて強いデルタ株が猛威を振るい、全国的な感染拡大の様相を呈しています。 東京都における新規陽性者数は、1日当たり5,000人を超えたこともあり、これまで経験したことのない爆発的な感染拡大となっています。 本区においても、8月には新規陽性者数が100人を超える日がしばしば見受けられ、今なお予断を許さない状況下にあり、患者対応をはじめとするコロナ対策を最重要事項として、全庁的な応援体制と外部人材の導入により、おおよそ100人体制で臨んでいます。 また、感染者の急増に伴い、7月下旬から重症者の入院調整など、医療の確保が困難な状況になったため、重症化リスクのある方へのパルスオキシメーターの配布や、症状悪化時の対応として、渋谷区医師会と連携した往診医の派遣など、安心して在宅療養ができる体制を確保しました。 さらに、感染拡大防止に対する積極的疫学調査については、家庭内のほか、学校や幼稚園、保育園及び高齢者や障がいのある方の福祉施設、医療機関等を重点的に取り組んでいます。 今後も患者数の増加が危惧される中、流行の規模に応じて体制の強化を図ってまいります。 感染拡大及び重症化を抑制するためには、ワクチン接種をスピード感を持って推進していく必要があります。本区は、7月19日から「NHK渋谷フレンドシップシアター」、8月3日から「幡ヶ谷社会教育館」の2か所を、9月末まで集団接種会場として増設しました。とりわけ新規陽性者に占める割合が高い20代から40代の方への接種が急務と考え、平日や日中に仕事をお持ちの方が接種しやすいように土日、祝日及び夜間の対応も行ったところです。 また、個別接種医療機関や集団接種会場に行くことができない事情のある要配慮者に対する接種については、渋谷区医師会の御協力の下、自宅訪問により希望者への接種を今月初旬に完了しました。 区民の接種率については、2回目の接種を完了した高齢者は80%を超え、区全体の2回目の接種率も60%に迫っており、他の自治体に比べても遜色ない水準となっています。 ワクチン接種がお済みでいない区民の皆様には御自身はもとより、御家族や身近な人を感染から守るためにも、是非、接種をお受けいただき、感染の収束に向け御協力をお願いいたします。 本区は、10月末までに区全体で70%を超える接種率を目指し、引き続き渋谷区医師会と協力してワクチン接種を推進してまいります。 次に、東京2020大会についてです。 今月5日に、13日間にわたるパラリンピック競技の熱戦を終え、東京2020大会が閉幕しました。 本大会は、新型コロナウイルスの感染拡大により、過去に経験のない緊急事態宣言下での開催となりました。選手及び大会関係者の皆様には、コンディションづくりや感染予防対策に大変な御苦労があったものと拝察いたします。とりわけ医療関係者の皆様には、通常の医療に加えて一方ならぬ御尽力を賜り、改めて敬意を表すとともに感謝を申し上げます。 困難な状況下での大会でしたが、選手の皆様が連日、すばらしいパフォーマンスを繰り広げ、互いをリスペクトし合う姿勢は、多くの人に、障がいの有無を越えて感動と共感をもたらしたものと思います。まさに、スポーツの持つ力と価値を改めて示してくれました。 本区では、これまでのパラスポーツを中心として「する・見る・支える・応援する」を標榜してオリンピック・パラリンピック推進事業に取り組んできました。 こうした取組を大会開催の価値あるレガシーとして継承していくために、今後もパラスポーツの大会実施など、様々な形で継続して実施し「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の実現に向けて大きな原動力にしていきたいと考えています。 次に、教育における取組についてです。 このたび「渋谷区いじめ防止等対策推進条例」の制定について、議案を上程し、御審議いただくこととしています。 いじめ防止等の対策については、平成25年9月28日に「いじめ防止対策推進法」が施行されて以降、いじめ防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することが、一層、求められてきたところです。 これまでも、区立小中学校では、いじめを未然に防止する対策やいじめが起こったときの早期発見と対応は、重要な課題と捉え、取り組んできました。 しかしながら、いじめが発生する背景が複雑化・多様化する中で、学校がいじめを防止し、また、迅速かつ的確に対応できるようにするためには、社会全体の力を結集し、いじめに対峙することが必要です。 このような思いから、学校はもとより、区、教育委員会、保護者の責務、そして、地域住民及び関係機関の役割を明確に示すことで、より緊密な連携を促進し、もって体制の強化を図るため、本条例の制定を考えたところです。 本区といたしましても、教育委員会とともに、子どもたちが安心して学校生活を送ることができるよう、尽力してまいります。 次に、区立中学校の部活動の支援についてです。 これまで部活動は、生徒たちがスポーツや文化活動を自主的・自発的に行う中で多くの喜びや達成感を覚え、さらに、集団において互いに切磋琢磨することにより、豊かな人間性や社会性を培うなど、大きな教育効果を上げてきました。 しかし、生徒が希望する種目や活動が必ずしも整っていないために、多様なニーズに応えられていないこと、運営面でも日々の指導や競技会への引率などにより顧問教員の負担が大きいことといった慢性的な課題を抱えています。 このような状況の下、学校の働き方改革の議論が高まり、文部科学省では、令和5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行の方針を打ち出しています。 本区では、この方針をスピード感を持って対応しなければならない教育課題として捉え、今年度新設したスポーツ部に専門員を配置し、学校や教育委員会等と密接な連携を図りながら「渋谷ならではの部活動改革」を調査・研究してきました。 11月から試行事業として、サッカーやボウリング等学校の枠を越えた合同部活動や、フェンシングやパソコン等運動部に限ることなく生徒の新たな幅広いニーズに即した種目を地域部活動として新設し、令和4年度からの本格実施を目指していきます。 そして、各種目の指導に当たっては、生徒に、より専門的で魅力的なプログラムが提供できるように、プロスポーツ経験者、競技団体、民間企業等、渋谷の特性を生かした多くのパートナーの皆様に御協力をいただきます。 また、新たな部活動では、段階的な学校の負担軽減や生徒のニーズに対して、柔軟かつ的確に応えていけるように、一般社団法人を10月に設立し、事業運営を担っていただきます。 この法人では、将来的には区立中学校を卒業した方々も継続して活動に参加し、多くの区民が集い、スポーツや文化活動が楽しめる「総合型地域クラブ」を目指します。 本定例会では、こうした部活動支援事業及び一般社団法人の設立・運営に係る経費を補正予算案として上程しております。 次に、環境施策について申し上げます。 昨今の集中豪雨や記録的な猛暑等の気象災害は、温室効果ガスによる地球温暖化が大きな原因と言われています。 先月公表された国連の気候変動に関する政府間パネルIPCCの報告書は、人間の活動が気候変動を引き起こし、激しくしていることに議論の余地がないと述べ、各国に温室効果ガス削減の加速を呼びかけています。 これに先立ち、国や東京都は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを表明しています。 こうした国内外の流れの中で、本区は、自治体レベルでの環境負荷低減の実践が急務との観点から、ごみの減量を目指し、当面、二つの取組を進めます。 一つは、これまでもお伝えしてきた「廃プラスチックの資源化」です。 本年第1回定例会で申し上げたとおり、プラスチック資源回収事業は、来年7月開始を目標に鋭意準備を進めているところです。 現在、特別区で廃プラスチックを資源回収している区の多くが、「容器包装リサイクル法」対象のプラスチックに限定しているのに対し、本区はプラスチック全般を資源として一括回収する先進的な取組を行う予定です。 もう一つは「生ごみの減量の可能性を探る実証事業」です。 水分を多量に含む生ごみの焼却は、大量の二酸化炭素を排出しながら水の処理をしていると考えることができます。 新たに取り組む事業は、生ごみを焼却することなく、微生物による完全な自然分解の可能性を探るという大変ユニークなものです。 その内容は、有機性廃棄物を高速分解させる微生物群を使い、生ごみの処理能力がどの程度発揮されるか等を検証するもので、「渋谷区ふれあい植物センター」及び「特別養護老人ホーム渋谷区あやめの苑・代々木」の2か所に専用容器を設置します。 また、「渋谷区ふれあい植物センター」が清掃工場還元施設であることに鑑み、この実証事業の中で、23区初となる「生ごみの拠点回収」を実施し、その定着の可能性についても研究してまいります。 これらの廃棄率等の発生抑制と循環的利用により、天然資源の消費を抑制し、環境に優しいまちの実現を目指してまいります。 最後に、福祉について3点申し上げます。 まず、生活にお困りの方への支援についてです。 コロナ禍が続く状況から、本年第2回臨時会において御議決いただきました「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」の申請期間が延長されました。生活に困窮されている方に必要な支援が適切に行き届くよう、対象となる方全員に案内を送付するとともに、窓口におきましても新型コロナウイルスの影響で収入が減少された方などに対し、引き続き安心して相談できる体制を整え、相談者に寄り添った丁寧な対応に努めてまいります。 次に、障がい者福祉施設についてです。 本区初の重症心身障がい児者及び医療的ケアが必要な身体障がい児者を対象とした複合施設である「神宮前三丁目障がい者施設」は、令和6年12月の開設を目指して、先月から工事に着手しました。近隣住民の皆様をはじめ、隣接する渋谷保育園の園児への安全に十分配慮しながら建設を進め、地域に開かれ、親しまれる施設として整備してまいります。 最後に、高齢者デジタルデバイド解消事業についてです。 高齢者にスマートフォンを2年間無料で貸与する実証事業は、応募いただいた方に対し、スマホを貸与の上、端末やアプリケーションの基本的な操作方法を学ぶための講座を今月6日からスタートしました。まずは、スマホ被貸与者への講座や個別相談会を計画的に実施しスマホの操作に慣れていただくとともに、既にスマホをお持ちの方も含めて、本区独自の「デジタル活用支援員」や「なんでもスマホ相談」を活用しながら、高齢者のデジタルデバイド解消と、それに伴う生活の質の向上に引き続き取り組んでまいります。 今後も「あらゆる人が、自分らしく生きられる街」の実現に向け、福祉の充実を図っていきます。 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には、条例案5件、令和3年度一般会計補正予算案1件、令和3年度国民健康保険事業会計補正予算案1件、令和2年度一般会計歳入歳出決算等4会計の決算審査、契約案件1件、人事案件2件、報告案件6件を御提案しております。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。----------------------------------- ○議長(斎藤竜一) この際、区政一般に関する質問を許可いたします。 なお、事前に質問の通告がありましたから、順次指名いたします。 2番岡 美千瑠議員。 ◆2番(岡美千瑠) 私は、渋谷区議会自由民主党議員団を代表いたしまして、質問いたします。 その前に、一言申し述べさせていただきます。 静岡県熱海市で7月に発生した大規模な土石流では、これまでに26人が犠牲となりました。災害発生から2か月となりますが、今なお行方不明者の捜索活動が行われ、150人ほどの方々が避難生活を続けており、ライフラインの復旧や地域の復興への道のりは遠いままです。犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。 昨日期限を迎えた緊急事態宣言は、19都道府県において期限を30日まで再延長することが決定されました。変異を続ける新型コロナウイルスに医療現場の混乱は続き、今なお予断を許さない状況です。本区のワクチン接種は、先ほど区長発言にもあったとおり、順調に推進されていることは評価いたしますが、様々な理由でワクチンを接種できない人もいます。ワクチンハラスメントが生じないように、啓発も必要です。今回の新型コロナウイルスの蔓延に際し、私の脳裏に浮かんだのは、篠田節子さんの「夏の災厄」という作品でした。これは未知の感染症でパニック状態に陥る社会で、感染防止と原因究明に奔走する市職員らの必死の対応や予防接種をめぐる攻防を描いたパンデミック・ミステリーです。25年前に発表された作品ですが、改めて読み直すと現状に酷似しており、昼夜を問わず最前線で必死の対応を行っていただいている医療従事者、保健所の職員の方々、エッセンシャルワーカーの皆様に改めて感謝を申し上げます。 さて、歴史をひもとくと、14世紀に蔓延した黒死病・ペストは、世界全体で猛威を振るい、ヨーロッパでは人口の60%が命を落としたと言われます。度重なるペストの波が長期化・慢性化することにより、ヨーロッパでは社会変化の必要が加速され封建社会が崩壊し、絶対王政へと移行することになりました。約100年前に流行したスペイン風邪は、まさに近現代的な伝染病で、大規模な遠隔地への高速移動がウイルスを瞬く間に世界中に拡散させ、5,000万人以上が亡くなったと推定され、第一次大戦の終結の遠因になったとも言われています。 このように、”パンデミックは社会が大きく変化するきっかけ”となり、それまで進行してきた事態が加速します。今回のコロナ禍では、徐々に浸透しつつあった働き方改革が急激に進行し、働くことに付随する様々な固定概念が打ち壊されました。オンライン会議をはじめとするリモートワークが標準化し、人々の居住場所に対する概念も大きく変化しつつあります。 また、コロナ禍で再認識されたのは、人は一人では生きられない、孤独や孤立には耐えられないということでした。物質的に充足していても、他者とコミュニケーションを取り、ぬくもりを感じ、自分の居場所を見つけられなければ、本当の意味で生きてはいないのです。 そこで政府は今年、コロナ禍で深刻さを増す孤独・孤立問題の対策室を内閣官房に設けました。2018年1月、イギリスでは、”孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題の一つ”として、世界初の孤独担当大臣を任命し、対孤独戦略で2,000万ポンド、約28億7,000万円を計上したと仄聞しております。これは孤独が医療費や経済を圧迫しかねないがための対策ですが、孤独・孤立は認めることは恥である、弱いからだといった認識が強く、表面化しづらい問題です。低所得者ほど孤立に陥りがちですが、他人を煩わせたくないと隠したがる傾向があります。コミュニティの大切さ、人との関わりの大切さを改めて認識した今、日本でも社会的不安に寄り添い、深刻化する孤独・孤立を防ぐ社会変革の推進が求められていると考えます。 社会の変革が急激に進む今、人生100年時代を迎えるに当たり、時代のニーズに応えていくには、区政運営においても、歴史に学び、パンデミックが終息した後の社会の変化を見据え、長期的視点に立った政策が必須です。そして、前例や周囲の動向に従うばかりでなく、大きく変化する時代の機微を捉え、想像力によって未来を切り開く視点を養っていかなければなりません。区民ニーズに応え、目の前の困難や課題に取り組むと同時に、誰も取り残さない持続可能な社会を構築し、ウィズコロナ・アフターコロナの時代の先を見据えたまちづくりを行っていくことは、本区に求められた使命であると考えます。 このことを踏まえ、以下、質問いたします。 初めに、安全・安心なまちづくりについて、2点質問いたします。 1点目は、新型コロナウイルス感染症対策についてです。 都内の新型コロナウイルス感染症の新規感染者数はようやく減少しつつありますが、医療現場の混乱はまだ続き、今なお予断を許さない状況下です。さらなる感染拡大を防ぐための対策や、完治後の対応が必要です。 コロナに罹患した際の体力低下は、インフルエンザの比ではなく、自宅療養を余儀なくされた単身者は自己治癒力を頼みに療養するものの不安で押し潰されそうになると話してくれました。自宅療養中に死亡したケースは、千葉県や埼玉県でも発生しています。自宅療養者から希望がある場合は、医師会と連携して往診医を派遣し、薬の調合や診察を行っていることは承知しておりますが、つらい病状の中、病院をたらい回しになったり、コロナ難民となる方が出ることのないよう、重症化する患者を早期に見極め、重症患者を減らし、医療体制の逼迫を防ぐため、まだ軽症のうちに完治するための体制整備が必要です。オンライン診療の導入も必要と考えますが、本区の対応について、区長の所見を伺います。 また、先日、世田谷区ではコロナ罹患者の半数に後遺症が認められたという調査発表がありました。完治後も罹患前のように働けないと訴える人は多く、味覚障がいや倦怠感、頭痛、異常脱毛といった症状が長期間続く新型コロナの後遺症「ロング・コビット」が発生しています。今後大きな問題になっていくことが懸念されますが、本区としてはどのような対策を検討しているのか、区長の所見を伺います。 2点目は、避難所運営についてです。 近年では、秋に強力な台風が多々発生し被害をもたらしており、首都直下地震の発生も危惧されます。本区では、渋谷区業務継続計画を策定していること、避難所については、感染症予防に留意した渋谷区避難所運営基本マニュアルを策定し、避難所の運営に当たっても、新たに感染症対策を盛り込み、密を避ける運営が規定されたのは承知しています。しかし、感染拡大が現在の想定以上の深刻なものになった場合の対応が必要と考えます。 今後、さらに感染が拡大した状況下で災害が発生し、行政も被災する深刻な事態となる場合の業務継続計画及び避難所運営計画について、区長の所見を伺います。 次に、避難所の災害対応の見直しについてです。 先日、ある自主防災組織から、備蓄倉庫の鍵が合わず開けられないという問合せがありました。確認したところ、その自主防災組織の備蓄倉庫は、委託事業者の管理下にある施設の中にあり、毎年1月17日の渋谷区防災点検の日には、備蓄倉庫の点検を行っていたものの、いつも委託事業者が鍵を開錠していたため、合わない鍵を保有していたことに長年気づいていなかったとのことでした。 区の施設は、近年委託化が進んでおり、現在、避難所及び自主避難施設46か所中18か所、また、二次避難所14か所のうち民間施設を除く施設は、その全てが委託または指定管理者による管理施設となっています。渋谷区地域防災計画によると、災害発生時には避難所となる施設の管理者が災害対応に当たることになっています。しかし、委託先との協定が再整備されていないものも多く、夜間や休日など施設が開館していない場合、備蓄倉庫を開錠すらできないことになります。 また、その他の避難所の多くは学校に設置されており、備蓄倉庫の鍵などは、学校管理者が保管しています。そして、指定地域においては、町会長に鍵を渡し管理していることが多いわけですが、町会長の交代などで体制が変わり、引継ぎや連絡が行き届いていないことも考えられます。 委託化が進む区の施設における協定を見直すとともに、全ての避難所において、災害発生時の対応が機能しているのか、検証と定期的な確認が必要と考えますが、区長の所見を伺います。 なお、今後の課題を明らかにするためにも、鍵の開錠から全てを災害発生時を想定した実践的な訓練を行い、避難所から二次避難所への避難や受入れ、災害時要配慮者の避難プランに沿った避難訓練の実施など、現体制が本当に災害時に有効なのか、検証する必要があると考えます。まずは、毎年9月1日の防災の日に実施される総合防災訓練や渋谷防災キャラバンで実証実験を行ってはいかがでしょうか。災害発生時を想定した実践的な訓練を区主導で実施し、その結果を地域に波及させていくことにより、災害時に有効な体制を整備・構築できると考えますが、区長の所見を伺います。 次に、次世代へのレガシーの継承について3点お伺いいたします。 1点目は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーについてです。 東京2020大会は、2013年の招致決定から8年間の準備を経つつも1年間延期となり、本年コロナ禍の中、9年間の集大成として無観客での開催となりました。招致が決定されたときの高揚感や、長年準備に奔走されてきた担当者の御苦労を考えると残念な思いもあります。しかし、その準備の過程の中で、区民の方々の意識は確実に変わってきたのではないかと考えます。 「ちがいを ちからに」をうたい多様性の推進を掲げてきた本区では、先ほど区長発言にもありましたとおり、パラスポーツを中心に「する・見る・支える・応援する」を標榜してオリパラ推進事業に取り組んできたことは承知しております。今後も、「パラスポーツの大会実施など様々な形で継続していく」と、先ほどの区長発言にもありましたが、本区のスポーツ推進計画では、スポーツ企画を「する」「見る」「支える」に加えて「つながる」の観点からも、体系的に整理しております。 パラスポーツは、年齢や性別を越えて幅広く楽しめます。当該計画をパラスポーツ推進にも適用し、普及やパラリンピアンの応援、ボランティアの活性化、パラスポーツを通じた多世代交流と地域コミュニティの活性化推進といった形でスポーツの裾野を広げ、オリパラ準備の取組を大会開催の価値あるレガシーとして継承し、次世代につなげていくことができるのではないでしょうか。 大会が終わった今、醸成された機運を捉え、本区でどのようなレガシーを具体的に構築していくのか、区長の所見を伺います。 また、各小中学校では、三、四年前から機運醸成のため、オリンピック・パラリンピックの理解度を上げるため、様々なオリパラ教育を行ってきたことは承知しております。その集大成として実施された「学校連携観戦プログラム」では、区立小学校17校、中学校7校、合計3,127名の生徒がパラリンピック会場でパラスポーツを目の前で観戦しました。世界最高峰のパラリンピアンの活躍をリアルに見ることができた子どもたちの感動は、想像に難くありません。 子どもたちの貴重な経験をオリパラ教育のレガシーとしてどのように残していくか、教育長の所見を伺います。 例えば、その感動を子どもたちの絵として街中に残すのはいかがでしょう。現在、本区では、「落書き消しプロジェクト」として、通報すると落書きを消してもらえます。しかし、せっかくきれいになっても、そのままでは再び落書きされてしまうのが課題です。一方、高架下など子どもの絵が描かれている場所には、落書きの被害はほとんどありません。割れ窓理論としても地域防犯の一助になりますし、本区の就学前プログラムの参考とした世界最高峰の幼児教育の一つと言われるイタリアのレッジョエミリアを本区でも実践することにつながり、街中に子どもたちの絵があふれ、子どもの存在感を示すことになると思います。区長の所見を伺います。 2点目は、渋谷文化の再評価と継承についてです。 本区には、文化の双璧として白根記念渋谷区郷土博物館・文学館と松濤美術館があり、興味深い展示が行われています。また、文化遺産の解説について、昨年からQRコードによる多言語化を進めていることは評価いたします。 一方、先日文化遺産の候補リストを拝見しましたが、それほど数はなく、基本的に民俗学的なものばかりでした。渋谷区には文化的なものがあまりないという意見もありますが、私は本区には近代建築や近代文化に目を見張るものが多くあると考えています。例えば、渋谷駅の岡本太郎の壁画は、芸術的にも歴史的にも価値あるものですし、街中を歩いていると、シェ松尾の松濤レストランやメゾン・ド・ミュゼをはじめ、個人宅にも多くの趣のある建物を見かけます。 しかしながら、近年そのような貴重な建物の中には、再開発や老朽化、所有者の相続の関係などで惜しまれながら取り壊されているものも多くあります。幸い、同潤会アパートは、白根博物館で解体前に入手した貴重な資料や当時の資料などが収集・展示されており、また表参道ヒルズにおいて、その外観が安藤忠雄の設計により忠実に再現され、「同潤館」として商業施設の一部になっています。JR山手線で最古の木造駅舎として知られた原宿駅舎は先日解体され、今後は外観を再現して建て替えられる予定です。 また、渋谷の街からは、数多くの若者文化が生まれました。しかし、当時は一世を風靡したものも、流行が終われば消えつつあり、その後に生まれた人は存在自体知らないものも多々あります。 そのような近代文化遺産や渋谷カルチャーについて、専門家による鑑定や再評価を行い、保存し後世に残すことが必要です。そのまま残すことはできないものも、アーカイブ化し、展覧会や特集を行うことで、多くの人に触れ知ってもらうことに意義があります。専門の職員がいないため難しいというのであれば、区内の専門家や関係機関、団体等に御協力いただくことも可能と考えます。 近代文化遺産や渋谷カルチャーを再評価し、広く知ってもらい、後世に残していくことについて、区長の所見を伺います。 3点目は、戦争の記憶の記録と次世代への継承についてです。 高齢の方と親しくなると必ずと言っていいほど集団疎開でつらかった思い出、焼け野原になった衝撃、そんな戦時中の体験を話してくれます。5月24、25日の山手大空襲では、合わせて4,413人の方が犠牲になりました。「表参道の灯籠横には多くの被災者が積み上げられ、今なお灯籠に黒く残る染みは、亡くなられた方から出た油の跡、行方不明になった家族を探して積み上げられた一人一人の顔をのぞいて回った」、そんな話も、わざわざ私を現地に連れて行き、切々と話してくださいました。自分の経験を話したい、伝えたいという思いが確かにあることを感じます。 私は小学生のとき、祖父から戦争体験を聞き、それを自由研究としてまとめて発表したことがあります。今でも折に触れて思い出しますが、当時小学生だった私には分からなかった祖父の気持ちの機微も、戦争当時の祖父の年齢を超え、新たに思うところもあり、つらい経験を話してくれたことに感謝しております。 しかし、そうした経験もいずれできなくなります。戦後76年を迎え、戦争を経験した方は年々少なくなっています。残念ながら、いずれはいなくなってしまうでしょう。この悲しい経験はレガシーとして、残し伝えていかなければなりません。 現在、渋谷区の子どもたちは学校で戦争について学ぶ機会は教科書でしかないと伺っております。まずは戦争を知り、平和について考えるため、子どもたちに戦時中の体験を聞く機会を今年度スタートしたシブヤ科の中に組み込んではいかがでしょうか。実際に戦地に行かれた方の多くは高齢者施設にいらっしゃるかもしれませんが、学びのハイブリッド化推進の一環として、オンラインで交流は可能ですし、話している様子を録画してアーカイブ化し、残すことができます。子どもたちにとっても、身近な人から聞く戦争の経験は考えさせられるものがあるはずです。 戦争体験の語り部など、平和教育の実施について、教育長の所見を伺います。 また、本区では、平成14年に区制施行70周年を記念し、10月1日を「平和・国際都市 渋谷の日」と定め、条例を制定していることは承知しております。来年は区制施行90周年となりますが、この機会に体験談や戦争遺産収集の編さん事業を行ってはいかがでしょうか。編さん書籍は図書館に保管するとともに、先人の貢献を次世代に伝えていくよう、毎年10月1日を含む週に、「平和・国際都市 渋谷week」としてイベントを開催してはいかがでしょうか。 歴史を学ぶことは未来をつくることです。今、残さなければ、永遠に失われてしまう先人の戦争体験について、区制施行90周年を機に、本区の貴重なレガシーとして編さんし、イベントを開催し、次世代に継承していくことについて、区長の所見を伺います。 次に、経済活性化について、大きく2点伺います。 1点目は、長引くコロナ禍で困窮する商店街の活性化支援についてです。 例年商店街では様々なイベントを開催し、人を集め、街のにぎわいの創造や商店街の活性化につなげていたわけですが、コロナ禍で人を集めてはいけないという状況下で、商店街も店舗も苦境に立たされています。イベント補助金はあっても、活用方法を見出せないという商店街の声を受け、先日、オンラインでのイベント事例や補助金の活用について、区の担当者に協力いただき説明会を開催しました。ほかの商店街はどんな取組を行っているのか、オンラインで人を集めずにどんなイベントが行われているかを知り、模索するための取組でしたが、商店街の方々からは、「活性化したくても現在の補助金では使えないものや制限があるので、渋谷区商店街緊急支援補助金のように、もっと使い勝手のよい支援にならないか」という声が上がりました。 コロナ禍にあえぐ商店街の支援と新たな取組のため、区としてさらなる対策を検討できないでしょうか。商店街活性化のため補助金として新たなものを新設することについて、区長の所見を伺います。 2点目は、起業家、特に社会的起業家の支援についてです。 社会的課題解決には、新たなアイデアで事業を展開させる民間の力が重要な役割を果たすことが期待されます。これまでスタートアップ企業というと、利益追求を優先し、社会課題を顧みないイメージがありましたが、近年は本業を通して社会的意義を追求する企業も多く、実際本区で募集した社会課題の解決を目指した実証事業には、160を超える企業から応募があったと仄聞しております。本区ではスタートアップ支援事業にも積極的に取り組み、官民協働で地域課題解決をするための仕組みが幾つも用意され稼働しているのは承知しておりますが、これらを実践的に機能させるための協創の「場の整備」と、資金支援のための「財源の確保」、この2点についてお伺いいたします。 1つ目は、協創の「場の整備」です。本区では民間企業と様々なパートナーシップを締結し、積極的に官民協働して、住民サービスの充実や行政効率化に取り組んでいること、その一環で民間企業に協力いただき、社会課題を解決しようとする産官学民が集える場を提供していることは承知しております。ただし、その提供は時限的で、現在使用している場も令和3年9月までしか使えないと仄聞しております。また、志を持つ人たちが同じ空間に集い切磋琢磨することは相乗効果を生みますが、事業拠点が集積する場はまだありません。起業家の集積拠点を行政主導で恒常的に用意する必要があると考えます。 また、実証事業の実施までつなげられる場「LABO」を設け、地域経済・社会の活性化の推進のため、解決すべき課題について長期的視点で考え、本区が進めるダッシュボードやビッグデータも活用し実証事業を行うことは、区民サービスの向上に資すると考えます。この「LABO」には、区民の参画が不可欠です。欧州北部などでは、70年代頃から市民などが参加し、コミュニティ全体でまちをデザインし、社会課題を解決していく「リビングラボ」という手法が独自に提唱され、実践されています。翻って本区では、地域住民がリーダーとなって進めている数多くの活動に対して、ササハタハツまちラボが支援することで、新たな地域コミュニティが生み出されています。当該「LABO」で、地域コミュニティから生まれつつある起業家などの育成プログラムや研修を行い、著名な起業家を講師として招いたハイブリッドな講習会や交流も考えられます。オンライン上でもコミュニティを形成させ、会員内外での情報共有や交流も可能です。 本区における起業家支援のため、起業家の集積拠点を設けること、社会課題解決のために、区民をはじめ、多様な産官学民のコミュニティの構成者が参加でき、実証実験や研究、新しいチャレンジを推進する場として、本区における行政主導の「LABO」を創設することについて、区長の所見を伺います。 2つ目は、資金支援のための「財源の確保」です。 起業家にとって、事業の展開には資金が必要ですが、事業のスタートや継続において最も頭を悩ませる問題の一つです。一方、本区においては、コロナ禍の影響による経済停滞と税収減が見込まれる現下の状況において、区民サービス維持のための行政経営の努力は必要不可欠で、社会的な事業であっても補助金や助成として容易に支出できない状況です。 令和3年第2回定例会で、我が会派から提言したとおり、事業の成果指標の設定と評価による改廃などの事業見直しや、新たな民間委託手法による行政運営の効率化の検討は不可避な状況であり、この点を令和4年度の予算編成方針に盛り込んでいただいたことは評価いたします。限りある財源で区民サービスを提供するために、これまでも民間の活用という点では、我が会派から提言した民間委託事業の成果連動型支払契約による財源確保案や、区庁舎や公共施設のPFIやPPPでの建築費、整備費への民間資金の活用を本区でも実施してきたことは承知しております。社会課題解決のために、区が自前で事業を実施するより、民間委託によって行政コストの削減と高い成果を得られるようになり、財源の一部を民間から調達して成果が出れば、行政が報酬を払う手法によって事業の総コストを抑えることもできます。 「SIB=ソーシャル・インパクト・ボンド」というこの仕組みは、前述のとおり、事業成果を図る評価が適切に行われる仕組みが整えられた上で可能となる新たな財源確保策として、来年度に向けて就業支援事業での活用などで検討できるのではないかと考えます。民間からの事業資金調達を伴う成果連動型民間委託は、新たなアイデアで社会課題解決を目指す社会起業家にとって、資金面での支援に活用でき、本区で取り組む意義があると考えますが、区長の所見を伺います。 次に、渋谷区らしいまちづくりの推進について、4点質問します。 1点目は、低炭素なまちづくりについてです。 世界的な低炭素化の潮流の中、日本は「カーボンニュートラル」として2050年までの目標達成を宣言しました。本区では渋谷区全域を対象に、渋谷のまちのにぎわいを維持しながら、エネルギーの賢い使い方を同時に進めるための指針として、渋谷区低炭素まちづくり計画を作成し、もっとスマートなエネルギーの使い方や、まち全体として二酸化炭素を減らす方法を検討し、低炭素社会の実現に向けて様々な取組が行われています。一方、日本の二酸化炭素排出量12億2,700万トンのうち、自動車は全体の15%を占めており、低炭素化推進のポイントとなるのは、電気自動車の普及であると考えます。 しかし、電気自動車はバッテリーが高価なため、車本体の価格が高額になることや、給電場所が限られていることが普及を妨げています。本区でも低公害車の融資を行っていますが、申請件数は、令和元年9件、令和2年は4件でした。各種団体から要望も出ておりますが、電気自動車のさらなる普及のためには、個人宅や駐車施設などへの給電設備の設置が必須と考えます。本区における低炭素なまちづくりに寄与する電気自動車の普及のため、給電設備設置の助成を行うことについて、区長の所見を伺います。 2点目は、ササハタハツにおけるにぎわいの創出と多世代共生型住宅の整備についてです。 令和元年第3回定例会では、多世代共生型住宅の渋谷区での実現に対する我が会派の質問に対し、代々木二・三丁目の国有地を活用し、多世代共生のモデルとなる区民住宅を整備していくと答弁をいただき、住宅マスタープランにも取り上げていただきました。しかし、残念ながら、代々木の国有地の取得が難しくなり、代替地がないことから頓挫していることは承知しております。 そこで、今後、笹塚・幡ヶ谷・初台で実施されているササハタハツまちづくりの中で整備するのはいかがでしょうか。昨年、ササハタハツまちラボが立ち上げられ、市民共創プロジェクトの活動支援が進められていることは承知しております。今後、玉川上水旧水路緑道の利活用を通じて、コミュニティ活動の場を創り上げるために、区民や企業と協力して、官民連携によるプロジェクトが展開されると、次はまちのにぎわいの創出のために、水道道路沿いの整備が必要になると考えます。 水道道路は幾つもの商店街が交差している好立地であり、資源の宝庫です。当該エリアの整備を進めることで、ササハタハツまちづくりが加速される可能性を秘めていると考えます。当該事業の中で、多世代共生型住宅を整備し、コミュニティマネジャーの下、テーマに応じた助け合いを条件に、多世代が交流し共生できるような住み方を実現できないでしょうか。 居住支援協議会を設置し、民間事業者の協力を得て、コーディネーターを配置して進めることも可能で、ライフステージに応じた住み替えの実現や、単身高齢者のセーフティネットとしての住宅、ハウスリースバックといったものも検討できるのではないかと考えます。ササハタハツまちづくりにおける水道道路の整備による街のにぎわいの創出と多世代共生型のまちづくりの推進について、区長の所見を伺います。 3点目は、ハロウィーン対策とバーチャルなまちづくりについてです。 昨年の渋谷でのハロウィーンは、おととしの混乱への反省から、モラルとマナーに期待するキャンペーンを展開し、大きな混乱もなく終えることができました。今年のハロウィーンは週末に当たります。今回のコロナ禍の波はようやくピークを越えたと言われていますが、第6波の到来も懸念される中、町なかに人が密に集まる事態になっては大変です。 また、昨年本区では、3密を避けた新しいハロウィーンスタイルとして、「集まらないハロウィーン」を発信した結果、本区公認の仮想空間「バーチャル渋谷」で開催されたバーチャルイベント「ハロウィーンフェス」が話題になりました。コンサートやイベントを行えないエンタメ業界の方々からは、こうしたバーチャルの場を普及させて、活動の場が欲しいという切実な相談も受けます。アメリカでは今勢いを増しつつあるバーチャルリアリティーですが、日本での認知度やプレーヤーの数はまだ多くありません。今年のハロウィーンでは、どのようにバーチャル渋谷を活用するのでしょうか。また、毎週定期的にイベントやコンサートなどを行うなどして、認知度を上げ、利用者を増やし、コロナ禍で苦境に立たされたエンタメ業界の方々の活動の場を広げられないでしょうか。 バーチャルなまちづくりとしてのバーチャル渋谷の今後の展望やエンタメ振興の場づくり、今年のハロウィーンにはどのような対策を検討しているのか。今年のハロウィーンでのバーチャル渋谷の活用について、併せて区長の所見を伺います。 次に、デジタル化の推進について、大きく2点質問します。 1点目は、今後の本区のデジタル化推進のビジョンについてです。 9月1日にデジタル庁が創設されました。同日開設されたホームページはアクセスが集中し、つながりにくい状況になっており、関心の高さがうかがえます。他国では1990年代から推進していた国が多くある中で、出遅れた感は否めませんが、まずは第一歩を踏み出したと考えます。 本区では、他の地方自治体に先駆けてデジタル化を進めてきたことは承知しております。3月に総務委員会で、スマートシティについては、ダッシュボードの形成と、民間にビッグデータ分析のための公募を始めると報告がありました。スマートシティの推進やビッグデータの集積と活用は、社会課題解決に寄与すると考え期待します。 デジタル庁創設により、本区や23区の事業推進に影響はあるのでしょうか。スマートシティの推進と社会課題解決のための今後の展開やビッグデータの収集・活用についての具体的スキーム、本区のデジタル化推進のビジョンについて、区長の所見を伺います。 2点目は、デジタルデバイドの解消についてで、3つの項目について質問いたします。 1つ目は、シニアのデジタルデバイド解消についてです。 デジタル化による社会変革が進み、ますます問題となるのがICTを使える人と使えない人に格差が生じる問題、すなわちデジタルデバイドの解消です。我が会派からの令和2年第2回定例会での質問に応えていただき、スマートフォンの無償貸与や「なんでもスマホ相談」を推進していることは評価いたします。 私はかつてIT革命と呼ばれる頃から、デジタルデバイドが問題になってくると考え、研究課題にしていました。これまでも草の根的に、地域の高齢者にスマホの勉強会を行っています。当初は、あるグループのスマホ保有率は6割弱で、電話以外使わないという方や、アプリは悪用されるのではないかと警戒していた方もいましたが、便利であること、仲間が始めたこと、コミュニケーションを楽しく取れるようになることを知ると、スマホを購入する方も出始め、先日は会合のZoom配信を行うことができました。今回スマホ貸与事業に応募した方々が貸与されれば、そのグループでのスマホ保有率は100%になります。 また、デジタルデバイドの講習会を行った際、簡単な操作方法を実習してみましたが、講習中は静かに聞いていた方々も、間を回ると「もうすぐ90歳になるけどできるかしら」「私なんかがやろうとしても皆さんに迷惑かけないかしら」と活発に呼び止められるのが印象的でした。講演後のアンケートでも、不安と期待の入り交じった様子が見られました。 人々がICTを始める動機づけとしてよく言われるのは、便利だから、必要だから、みんながやっているから、といった理由です。しかし、シニアのデジタルデバイド解消の課題として、つまずく前に立ち止まってしまっている状況であるという研究報告があります。多くのシニアは始める前に「怖い」「自分には関係ない」「難しい」といった先入観から入り口にも立てていません。知りたい欲求はあっても、”分からない、だから怖い、だから必要ない、だから損していることに気づかない”という悪循環の中で格差が生まれているのが現状です。 しかし、これまで自分には必要ないと言い切っていたシニアの方々も、ワクチン予約時にネット予約できず苦労した経験から、デジタル化は自分の生活に決して関係のないものではないと必要性を感じ始めており、今が推進のチャンスです。 高齢者のデジタルデバイドの解消においては、トップダウン式は難しく、ボトムアップで行っていかなければなりません。来るのを待つのではなく、こちらから働きかけを行うため、シニアクラブなどへ講師を派遣できないでしょうか。先日デジタル活用支援員を募集しており、第1回目の研修が終わったことは承知しておりますが、当該募集の際は40人の枠に、幅広い年齢層から約200人の応募があったものの多くの方が抽せんに外れてしまったと仄聞しております。こうした意欲のある方々に、シニアのデジタルデバイスへの苦手意識の解消のために御活躍いただくことは大変効果的と考えます。デジタル化推進のためのさらなる施策について、区長の所見を伺います。 2つ目は、デジタル化の環境整備についてです。 デジタル化を進め、利便性を向上させるには、同時に環境整備を行う必要があります。まずは情報通信ネットワークの整備の支援として、区内の全区施設でWi-Fi環境を整備し、アクセスポイントを拡充できないでしょうか。 本区では、YCC代々木八幡コミュニティセンターと一部の図書館にフリーWi-Fiの設置を行っているのは承知しております。しかし、その他の区施設には導入されてはいても、キャリアWi-Fiであるため、対象キャリアの人しか利用できません。必要に応じて費用対効果を鑑みて設置するのではなくて、環境ありきでデジタル化を推進すべきです。少なくともデジタルデバイド対策としては、シニア関連の施設に統一規格のWi-Fi環境の整備が必要です。区民の皆様からは、Wi-Fiがあれば活動をリモートにしたり、パソコン教室を開いたりしたいといった声も寄せられています。 令和元年第3回定例会での我が会派からの本区全域でどこでもつながれるフリーWi-Fiの設置についての質問については、特に渋谷駅前は様々な組織が独自のWi-Fiを設置しており、統一化は難しいと回答いただきました。必要に応じて都度設置を行うと、このように規格がばらばらになり、使いづらいものになりかねません。高齢者のデジタルデバイドを解消するのであれば、まずはシニア関連の施設から統一規格のWi-Fi整備を行い、デジタル化推進のための環境を整備していく必要があると考えます。区長の所見を伺います。 3つ目は、支援の場の拡充です。 デンマークやアメリカなどでは、図書館などの公共施設を情報教育の場とし、常駐者に気軽に相談できる取組を行っています。今後は経済的事情に基づく格差の是正も必要となってきます。そうした区有施設の未活用スペースを活用して、相談員を常駐させ、いつでも相談できる体制を構築できないでしょうか。区長の所見を伺います。 また、生まれたときから、ICT機器に慣れ親しんでいるデジタルネーティブ世代の子どもたちは、感覚的にICT機器を扱います。高齢者の中には、仲間や子どもに教わるのはプライドが許せないが、孫に教わるのはうれしいという方も多くいます。エストニアでは、子ども先生を設置し、活動に対する報酬は将来渡すという制度を設けていますし、港区ではデジタル支援員に大学生枠を設け、コロナ禍でアルバイトがままならない学生の働く場としています。子どもや学生をICT講師とすることは、高齢者のやる気を引き出すとともに、多世代交流にもつながると考えますが、区長の所見を伺います。 次に、本区における福祉政策について3点質問します。 1点目は、本区における地域共生社会実現のための地域福祉計画の策定についてです。 令和3年第1回定例会では、「福祉分野全体の方向性を示す「渋谷区地域福祉計画」を策定する予定であり、福祉施策を包括的に取りまとめることにより、必要な支援が切れ目なく届くようさらなる強化を図ります」と区長発言がありました。これは渋谷区長期基本計画福祉分野の政策の一つである「地域における共生型社会の実現」の一環であり、包括的な支援体制を総合的に推進する計画と伺っております。 本区が渋谷区基本構想で掲げる「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」実現に向け、目指す地域共生社会のビジョンと、その実現のために、本年度策定予定の地域福祉計画の方向性について、区長の所見を伺います。 2点目は、重層的支援体制整備事業の推進についてです。 高齢化や単身世帯の増加、社会的孤立などの影響により、区民が暮らしていく上での課題は、様々な分野の課題が絡み合い複雑化しており、現状の制度利用や支援だけでは十分に対応できないケースも増加しています。例えば、介護と育児に同時に直面するダブルケアや8050問題、ヤングケアラーや孤独対策、保育の質の向上、里親縁組など、新たな課題の多くは、現在個別の担当部署がありません。こうした分野の対策は、関連部署が協力し合う重層的支援体制事業の中で進めていくことが考えられます。この重層的支援体制整備事業とは、制度や仕組みの「支援のしづらさ」を少しでも改善し、「生きづらさ」を抱える人の生活を支援していこうとする事業です。本年からは、モデル事業が重層的支援体制として法定化され、一部の自治体で取組が本格化しています。 本区では、重層的支援体制事業を推進する予定であると伺っておりますが、実施には区関係所管の横断的な取組が必要であり、既存の制度間の仕切りは適切に残したまま、対象者別の制度の壁を低くすることで、風通しをよくする必要があると考えます。スムーズな連携を実施するには、阻害要因を検討することが大切です。 また、重層的支援体制の確立までは、包括的な相談支援体制を構築し対処することも考えられますが、生活が立ち行かなくなる深刻なケースが発生する前に、具体的な対処が必要となります。そのためにも早期の実態調査が必要で、他の自治体では調査機関に委託するなどして取り組んでいるところもあります。 地域共生社会実現のため、どのように縦割りの弊害をなくして区関係所管の横断的な連携を行い、重層的支援体制を整備していくのでしょうか。また、制度が整備されるまでの期間においては、現在直面する課題にどのように対処し、実態調査を行うのでしょうか。本区における重層的支援体制整備事業のデザインやスキーム、スケジュールについて、区長の所見を伺います。 3点目は、不妊助成についてです。 女性にとって、男性にとって、社会においても、子どもを産むか産まないかは大きな問題です。かつて、本区では不妊治療に助成を行っており、東京都からの助成が始まった後も上乗せ助成を行っていました。しかし、東日本大震災後の混乱と業務見直しの中で、当該助成は廃止されたと仄聞しております。不妊の原因は様々ですが、加齢によるものばかりでなく、体質や遺伝的な問題で、20代前半から治療している人も少なくなく、心身的・精神的負担に加えて、高額な医療費から子どもを持つことを諦めざるを得ない方も少なくありません。 国ではそのような状況を鑑みて、不妊治療への所得制限の撤廃などを行い、助成対象を拡大したことは承知しております。それに合わせて本区としても経済的負担の軽減を図るため、国の助成対象者にさらに上乗せして助成を再開できないでしょうか。区長の所見を伺います。 最後に、教育政策について4点質問します。 1点目は、「渋谷区いじめ防止等対策推進条例」についてです。 本定例会で提案された「渋谷区いじめ防止等対策推進条例」は、本区が本気になっていじめ防止に取り組み、総合的かつ効果的な対策を推進していく決意の表れであると考え、評価いたします。 本区のいじめの認知件数は、ふれあい月間中の調査報告によると、年により変動はあるとはいえ、いじめは残念ながら人が集まる場では、ほぼ必ず発生します。大人であれば転職したり、引っ越したりして環境を変えることもできますが、自身を取り巻く世界の全てが学校や地域のみである子どもに逃げ場はありません。被害者には一生の心の傷になり、中には自ら命を絶つといった痛ましい出来事も起きています。また、加害者も心の闇を抱えていることもあります。 本条例案の提出に当たっては、本区の様々な背景や必要性を総合的に鑑みて検討を重ねられたことと推察いたします。一方、実際いじめはその根が深く一筋縄ではいかない問題であり、本条例を制定しただけでは、実際の効果のほどは未知数です。本条例を制定するだけでなく、実効性あるものにしなければならないと考えますが、本条例案策定への思いや意図するところなど、本条例制定の意義について、区長の所見を伺います。 また、本条例制定後はどのようにいじめ防止を推進していくのでしょうか。いじめの早期発見のためには、心の健康を守り把握する取組も必要だと考えます。学校によっては、「心の天気」を活用して、子どもたちに今の気持ちの認識と把握を行っていることは承知しております。あわせて、オンラインで匿名相談できる体制をつくることで、子どもの心の健康を守るとともに、早期発見によるいじめ防止対策にもつながっていくのではないかと考えます。 いじめを防止し、子どもが加害者や被害者になることを防ぐため、具体的にどのようなスキームと対策を推進していくのか、教育長の所見を伺います。 2点目は、区立中学校の部活動改革についてです。 区長発言にもあった部活動改革を実施するために設立する一般社団法人については、我が会派からの令和3年第1回定例会での質問に応え、当該課題に取り組んだものであることを評価するとともに、全国に先駆けたモデルになることを期待しております。 先ほどの区長発言では、「渋谷の特性を生かした多くのパートナーの皆様に御協力いただきます」とありました。一般社団法人として組織されることにより、今後アスリートのセカンドキャリアとして活用できるのではないかと考えますが、同時に教員の中には部活動の指導に意欲を持つ方もいらっしゃいます。そういった方々を巻き込み、子どもたちの部活動が魅力的に多様化し、活発に行われるようにするため、当該一般社団法人がどのように”渋谷ならではの部活動改革”を推進していくのか。そのビジョンとスキームについて、まず区長の所見を伺います。 また、本件についての我が会派からの令和3年第1回定例会での質問に対して、区長から、「区内のあらゆる世代の文化・スポーツ活動を、生涯楽しめる部活動と捉える契機である」と答弁がありました。また、先ほど区長からは「総合型地域クラブを目指す」との発言がありましたが、本区では既に各地域クラブが存在しております。既存のクラブとどのように共存し、整合性を図り、あらゆる世代が生涯楽しめるスポーツ活動を形成していくのか、区長の所見を伺います。 さらに、教員の働き方改革の視点からは部活顧問の負担軽減となり、授業の質の向上に寄与するとともに、教員不足の解消にも資すると考えます。今後学校はどのように部活動に関与し、教員の働き方改革を進めていくのでしょうか。教育長の所見を伺います。 3点目は、放課後クラブについてです。 本区では、全区立小学校内に放課後クラブを開設しており、利用人数に応じて事業者が指導員を配置して運営を行っていると承知しています。昨年から続くコロナ禍での放課後クラブは、教育課程から解放された子どもたちが全力で遊んだりじゃれ合ったりしているところに距離を取らせ、正しいマスクの着用を促しながら運営していることは承知しております。しかし、児童数の多い学校では、利用できる教室が制限されており、十分な感染対策をできる距離が取りにくく、密になりやすい状況です。 利用者数が日によって変化する放課後クラブで、利用者の利便性を確保しつつ、安全な学校施設利用を進めるためには、学校と放課後クラブ運営委託事業者、そして教育委員会が円滑なコミュニケーションを取り、調整をする必要があります。さらに、一部の放課後クラブでは、学校施設の利用に当たって、学校とのコミュニケーションに課題があると仄聞しております。 また、現状を解決し、安全に運営するために、利用できる会議室や特別教室の範囲を広げ、現在の資源を最大限に活用できるように、学校に協力を求める必要があると考えます。放課後クラブの学校施設の利用の在り方について、教育委員会では、学校や放課後クラブ事業者とともに協議できるようにできないでしょうか。教育長の所見を伺います。 来年は放課後クラブの事業者に対するプロポーザルの年に当たります。保護者の皆さんに安心して放課後クラブを利用していただくためには、事業者が学校や教育委員会と連携し、適切に運営していただく必要があります。このためには、事業者自身が経験や資格がある指導員、学校や保護者との連携ができる責任者、コミュニケーションが取れる人材を確保することが必要ですが、人材を確保するためには経費が必要です。このため来年度予算において、事業者が経験のある人材や安定稼働できる人員を確実に確保できる環境整備が必要と考えます。教育長の所見を伺います。 4点目は、ハイブリッド化の推進についてです。本区では、子ども全員にタブレット配布が実現されていたことから、オンラインの活用が進んでいること、今年からは対面の授業とオンラインの授業を融合したハイブリッド化を進めており、夏には海外とオンラインでつないだ授業を開催したことは承知しております。 こうしたハイブリッド化の潮流は、保護者とのコミュニケーションにおいても有用だと考えます。三者面談や進路相談など、保護者に直接会い話すことでコミュニケーションが円滑になり、家庭環境も推測できるなど、大切なことであることは承知しております。しかし、学校の用事のために働く保護者がそのたびに休みを取るのは大変ですし、その時間分の収入が減ることは死活問題です。保護者の会議や面談もリモート参加を可能とし、コロナが収束した後もハイブリッド化を進めるべきと考えますが、教育長の所見を伺います。 以上につきまして、区長、教育長の答弁のほど、よろしくお願いいたします。 ○議長(斎藤竜一) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 渋谷区議会自由民主党議員団、岡 美千瑠議員からの代表質問に順次お答えします。 初めに、安全・安心について大きく2点のお尋ねです。 まず、新型コロナウイルス感染症対策について2点のお尋ねです。 新型コロナウイルス感染症対策におけるオンライン診療に関してですが、区は、区内医療機関と連携し、24時間の往診体制を確保するとともに、自宅療養者で薬の追加が欲しい方や自宅に医師が来る往診よりも、オンライン診療を希望される方には、既にオンライン診療を利用していただいています。 また、オンライン診療の活用を含めた自宅療養者に対する医療のさらなる強化については、渋谷区医師会との協議を現在進めているところです。今回、東京都医師会が開始する在宅療養支援におけるオンライン診療の仕組みにつきましても、渋谷区医師会や区内医療機関との協議の中で検討してまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症については、診断・治療法などが整理されつつあり、東京都などのホームページでも情報提供がされています。 渋谷区においても最新の情報を集めながら、かかりつけ医や専門医と連携して、区民からの相談に対応できるよう体制整備を進めてまいります。 次に、避難所運営について、業務継続計画及び避難所運営についてのお尋ねです。 本区では、平成27年に「渋谷区新型インフルエンザ等対策行動計画」を策定し、新型コロナウイルス感染症以上に感染力が強い新種の感染症により、区民の約30%が罹患するという被害想定を前提に、対策本部の設置や各部の役割など、区政の運営に関する対応策を定めています。 しかし、議員御指摘のとおり、これまで首都直下型地震発生後の行政サービスの継続を規定した業務継続計画は策定していましたが、感染症の蔓延を想定したものはありませんでした。自然災害と感染症によるパンデミックでは、今、我々がまさに経験しているように、優先する業務が異なります。そこで、今年度新型インフルエンザ等の発生を想定した業務継続計画を新たに作成することとし、現在、策定作業を進めています。 また、本区が策定した「避難所運営基本マニュアル」では、感染者や発熱者が避難所に避難してくることを想定し、ゾーニングによる一般避難者との隔離など、感染症対策について規定をしています。 今後は、さらに感染力の強い感染症が蔓延した際の人員体制や避難所運営の対策についてさらに検討を進め、マニュアルの改訂を図るなど、必要な対策を講じてまいります。 次に、避難所の有事対応の見直しについてです。 議員御指摘のとおり、本区が指定している避難所、自主避難施設、二次避難所の一部の施設は、渋谷サービス公社等への委託や社会福祉法人などの指定管理者による管理、運営がなされています。 このような避難所においても、学校等の避難所と同様に、発災時に施設管理者の協力を得て、迅速な開設をする必要があります。ほとんどの施設では、そのための協力に関して、委託業務仕様書や協定の中で規定していますが、改めて全ての施設における協定等で規定の漏れがないか点検して不備があれば対応します。 今後は「渋谷区防災点検の日」で実施する避難所一斉点検において、鍵の開錠の確認等を定期的に実施するとともに、改めて全ての避難所において、発災時の実践的な訓練を徹底し、有事発生時の対応を検証するなど、避難所運営委員会の継続的な支援を強化してまいります。 次に、有事を想定した実践的な訓練の実施についてのお尋ねです。 各避難所運営委員会や二次避難所に指定されている施設では、避難所運営基本マニュアルや開設運営マニュアルの作成ガイドを基に、鍵の開錠から始まり、それぞれの施設の実情に合わせたマニュアルを作成し、役割分担や開設訓練等を計画・実施していただいています。 有事の際は、日頃からの知識の習得や、体制の整備が大きく影響し、特に避難行動要支援者には、避難支援プランのとおり実際に避難できるのか、避難経路等を確認しておくことが重要です。 これまでも防災総合訓練で、リヤカーによる搬送訓練等を行っています。また、避難所の確認や配慮への相互理解を深めるため、障がい者団体等に地域の防災訓練への参加を呼びかけていますが、現在は残念ながらコロナ禍により、防災訓練自体が実施できていません。 コロナが落ち着き、各地域の防災訓練が再開できるようになりましたら、避難支援プランに沿った実践的な移送避難訓練等を取り入れ、その有効性を検証してまいります。 また、防災キャラバン等の啓発事業を通じて、効果的な訓練手法の普及を進めてまいります。 次に、次世代へのレガシーの継承について、私には2点のお尋ねに順次お答えします。 初めに、東京2020大会のレガシーについてです。 区では、大会に向けてパラスポーツを中心としたリアル観戦事業等において、選手のトップレベルのプレーを見ながら、競技への興味・関心を高め、選手に対する応援文化を育んできました。 残念ながら会場での観戦はできませんでしたが、こうした取組によって、多くの区民の方がテレビ等で選手とその努力に対し、応援をしていただけたのではないかと思っています。 多くの感動と共感を得て、東京2020大会は閉幕しましたが、大会のコンセプトである「多様性と調和」を実現し、その先にある共生社会への取組は、今、まさにスタートしたと思っています。 議員御指摘のとおり、渋谷区スポーツ推進計画に基づき、パラスポーツの普及・発展についても着実に進めていきたいと思っています。具体的には、ボッチャ等のパラスポーツを実際に「体験する機会」、選手がプレーする姿を「見る機会」、ボランティアとして、選手や事業を「支える機会」を大会レガシーとして継続して実施していきます。 その結果、多様な個性を理解し、多くの人が「つながる機会」を創出し、障がいの有無にかかわらず、誰もがスポーツ活動を楽しめるようスポーツの裾野を広げてまいります。 次に、本区でのレッジョエミリアの実践についてのお尋ねです。 議員御指摘の子どもたちが絵を描くことにつきましては、ある小学校で、大会に出場する選手や競技観戦をする方々へのおもてなしの心から、児童がイメージしたデザインを基に近隣の専門学校の学生が小学校の壁面に絵を描くといった取組も行われていると聞いています。 今後とも、教育委員会と連携を図りながら、学校の取組を支援していきたいと思います。 次に、渋谷文化の再評価と継承についてのお尋ねです。 議員御指摘のとおり、近代文化遺産や渋谷カルチャーを後世に残すことは重要です。 本年4月から白根記念郷土博物館・文学館と松濤美術館を一体として運営する渋谷区文化・芸術振興財団が設立されました。これを機に、博物館と美術館の学芸員が連携し、渋谷文化の再評価や継承について、専門家の意見を聞きながら、今後どのように進めるか検討してまいります。 戦争遺産の編さんと次世代への継承についてお答えします。 議員から御提案のありました戦争体験等の書籍の編さんにつきましては、既に渋谷区教育委員会において、平成7年度に編さんされた「語り継ごう平和の尊さ」という戦後50周年を記念した300ページを超えるすばらしい冊子があります。戦争体験を風化させず後世へと語り継ぐ書籍として、庁舎の区政資料コーナーのほか、区立図書館においても所蔵しています。また、戦争遺産につきましては、白根郷土博物館・文学館において、収集作業を行っています。 したがいまして、改めて編さん作業を行う考えはありませんが、しかし、歴史を学ぶことがよりよい未来をつくることにつながり、平和の尊さを訴えることは継続していかなければならないと私自身も考えていますので、そうした機会となるイベントの開催につきましては、今後の検討材料とさせていただきます。 次に、経済活性化について2点のお尋ねです。 初めに、コロナ禍で困窮する商店街の活性化支援についてのお尋ねです。 区では、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況にある商店街や各店舗を支援するため、昨年度は、特別融資をはじめ、消費喚起キャンペーン、感染対策グッズの配布、商店街の新型コロナウイルス感染症対策事業への助成など、様々な支援を行ってきました。 今年度も感染症の影響が長期化していることから、特別融資や感染対策グッズの配布、消費喚起キャンペーンをはじめ、空き店舗を活用した地域活性化事業などにも取り組んでいます。 議員の御質問にもありますが、現在も地域でのイベントは開催が難しく、また、各店舗も通常の営業ができない状況が続いています。私は、地域のにぎわいを創出し、区民生活において欠かせない、商店街という大切なコミュニティが衰退していかないよう、従来のイベントだけでなく、各商店街の新たなチャレンジを支援していくことは大切だと考えます。商店街のニーズも捉えながら、意欲的な取組についての支援を検討するとともに、次年度に向けては、地域コインをはじめとする消費喚起策など、商店街、そして各店舗の活性化に一層つながるような施策を検討してまいります。 次に、起業家支援についてお答えします。 初めに、協創の「場の整備」についてです。 現在、渋谷区では、コンソーシアムのメンバーである民間企業とともにスタートアップ企業の拠点運営を実験的に行っています。この経験から同じ場所で共に働くからこそ、それぞれが組織の垣根を越え、起業家のための最適環境を共につくっていけると確信しており、次のステップとして、恒常的な拠点形成を目指していきます。 次に、LABOの設置についてですが、社会起業家は、社会課題を解決するため、アイデアを構想し、ビジネス化しますが、この過程には様々な材料が必要となります。区民の声や課題に関する情報を集約し多様な人、組織が集うLABOを設置することを検討し、社会起業家が革新的なアイデアを生み出しやすくなる仕組みをつくってまいります。 次に、起業家に必要な財源の確保についてです。 社会起業家への財源確保としてのソーシャル・インパクト・ボンドの活用については、成果指標の設定など難しい選択に直面するほか、実質的な結果より検証要素が強い企画になってしまいがちですが、課題解決の有効なツールの一つとして、ソーシャル・インパクト・ボンドを位置づけ、課題解決に協力的な民間企業とも協議をし、今後の成果連動型民間委託の活用を検討してまいります。 スタートアップ企業への財源の確保については、海外では、政府、自治体によるファンドが数多く存在します。近年、国内でも幾つかの自治体が民間企業とファンドを組成するケースが出てきています。日本の中では、他の自治体よりスタートアップ企業数が圧倒的に多い渋谷区でも、民間企業と連携し、ファンド組成を含め、財源確保についての議論を深めてまいります。 次に、渋谷区らしいまちづくりの推進について、3点のお尋ねです。 初めに、低炭素なまちづくりについてのお尋ねです。 国や東京都が2050年までの二酸化炭素排出の実質ゼロを表明する中、既に都内での新車販売を2030年までに非ガソリン車とする具体的な目標も示されています。 東京都の報告によれば、都内の鉄道、船舶、航空を含む運輸部門における二酸化炭素排出量の構成比は、自動車からの排出量が約8割と最も高くなっています。 脱炭素社会を目指すためにも、岡議員御提言の二酸化炭素等の排出ガスを出さない電気自動車をはじめとするゼロエミッション・ビークルの普及が必要ではないかと考えます。 電気自動車の普及の鍵を握るのは、購入価格と充電インフラの整備であると言われています。 本区では、中小企業者等の低公害車等の購入に対する融資あっせん制度を実施しています。 今後、さらに、電気自動車の普及を促進するため、自宅や事業所等の電気自動車給電設備の新設に要する費用の助成制度の創設に向け、検討を進めてまいります。 次に、ササハタハツのにぎわいの創出と、多世代共生型住宅の整備についてのお尋ねです。 ササハタハツまちづくりでは、市民共創プロジェクト支援を中心に、玉川上水旧水路緑道の整備に伴う地域コミュニティの醸成に取り組んでいます。 議員御指摘のとおり、ササハタハツまちづくりとして、水道道路の整備による街のにぎわい創出についても重要な課題であり、水道道路の管理者である東京都と協議し、継続して取り組んでまいります。 また、多世代共生型住宅の整備につきましては、今年策定した「新住宅マスタープラン」(しぶや多様・快適・安心すまいプラン)の基本方針1に「ライフステージの変化に応じて多世代で共生できる多様な住まいづくり」を掲げ、民間と連携した多様な住宅の供給を進めることとしています。 議員御指摘の居住支援協議会は、区内の不動産事業者や福祉団体等の民間事業者をネットワーク化し、高齢者や子育て世帯といった住宅確保要配慮者のライフステージに応じた住み替え等の支援を進める場となりますので、新住宅マスタープランの実現に向け、実施計画にも定めて、来年度、設置する準備を進めています。 居住支援協議会をプラットフォームとすることで、地域コミュニティでの助け合いを促進することにより、多世代が共生できるような住み方の実現を目指してまいります。 次に、ハロウィーン対策とバーチャルなまちづくりについてのお尋ねです。 新型コロナウイルス感染症が収束していない中、渋谷の街でクラスターを発生させるわけにはいきません。昨年は、街に来させない、人が集まらない対策の一つとして「バーチャル渋谷・ハロウィーンフェス」などと連携し、渋谷の街に集まらずに楽しんでもらう方策を積極的に講じたことで、来街者の減少につながる成果を上げることができました。 今年のハロウィーンでも、昨年と同様にイベントを実施すると聞いていますので、多くの人が自宅から「バーチャル渋谷」内でのイベントを楽しんでいただくことを期待しつつ、区民及び来街者の安全確保に向け、警察などと連携を図りながら、警備員等の配置や区職員による路上飲酒の抑止に向けたパトロールなどの対策の実施を予定しています。 一方、「バーチャル渋谷」は、「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」という5G時代を迎えた渋谷で、エンターテインメントに特化したテクノロジーを駆使し、街をアップデートしていくプロジェクトから生まれたもので、プロジェクトには多くの民間企業が参画しています。 昨年実施した「YOU MAKE SHIBUYA クラウドファンディング」では、エンターテインメント産業支援として、「バーチャル渋谷」を活用した音楽イベントも実施しました。 「バーチャル渋谷」はまだ発展途上の段階にあると思いますが、民間企業などの多様な主体が知見と技術リソースを提供することによるオープンイノベーションによって、さらに発展していくものと考えています。引き続き区が関わるイベントなどで「バーチャル渋谷」を活用し、エンターテインメント産業支援にもつなげていきたいと考えています。 次に、デジタル化の推進について2点のお尋ねです。 初めに、本区におけるデジタル化推進のビジョンについてですが、渋谷区基本構想で明記したとおり、最先端技術を積極的に活用し、区政運営を俊敏かつ効率的に進め、区民の皆様とともにダイバーシティとインクルージョンのまちづくりを実行することを目指しています。そのためにも常に変化し高度化する技術を駆使し、様々な手続を来庁型から非来庁型にシフトし、移動時間や待ち時間といったストレスのゼロ化を図ります。もちろん本区において、交付率4割を超えるマイナンバーカードの活用も、しっかり進めていきます。 また、区内で活発に動く再開発やまちづくり推進においても、様々なステークホルダーと協働し、居心地のよい、住みやすい、人に優しい空間やサービスを生み出すことが、本区の目指すところであり、都市の役割であると考えます。そのためにも様々な都市データを活用し、可視化するシティダッシュボードは重要なプロジェクトです。来春には「防災と交通についての関連データ」を先行してオープン化することを計画しています。ここから未来を見据えた先駆的な取組ができるよう、全庁横断でスマートシティ推進を着実に進展させます。 最後に、デジタル庁発足は待望の動きであり、大きな期待とともに今後の基幹業務システムの標準化にしっかり対応してまいります。 次に、デジタルデバイド解消について、3点のお尋ねです。 初めに、シニアのデジタルデバイド解消についてです。 デジタル化社会の進展やコロナ禍において、特に高齢者のデジタルデバイド解消は喫緊の課題であると捉え、重要施策の一つとして取り組んでいます。 その取組の一つとして、昨年10月から「なんでもスマホ相談」の窓口を開設して、スマホを利用する上での悩みや困り事に対する個別相談を実施し、今年度から区内全域に相談窓口を拡大したところです。 さらに今月から、全国に類を見ない規模でスマートフォンを貸与する「高齢者デジタルデバイド解消に向けた実証事業」を開始しました。本実証事業により、高齢者のデジタル機器の活用を支援することで、デジタルデバイドを解消し、高齢者の生活の質の向上を図ることを目指しています。 今後、実証事業で収集したデータを活用した効果検証や分析を学術機関等と連携して行い、今回、実証事業への参加に至らなかった方々への支援も考慮した上で、新たな施策の検討や既存事業の改善につなげてまいります。 あわせて、新たな取組として、デジタル活用支援員育成研修も今年度開始しました。本研修には、学生からシニアの方まで幅広い層から応募をいただき、非常に心強く感じています。今回の抽せんに外れてしまった方にも、次回以降の研修に参加いただけるよう、引き続き募集を行っていきます。 高齢者のデジタルデバイド解消のためには、丁寧なサポート体制が重要であると考えていますので、「なんでもスマホ相談」の拡充に加え、育成研修を経て、一定の知識やスキルを習得したデジタル活用支援員によるサポート体制の充実にも取り組んでまいります。 また、コロナ禍におけるシニアクラブの活動を支援するための取組として、本実証事業に協力意向のあったシニアクラブに対し、スマホの活用によるクラブ活動の活性化を図るための支援策も、現在、準備を進めており、高齢者のデジタルデバイド解消に向けて、様々な施策を推進しているところです。 議員御提案のデジタルデバイスへの苦手意識の解消のための取組等、デジタル化推進のためのさらなる施策につきましては、現在取り組んでいる実証事業等の効果を踏まえ、検証してまいります。 次に、デジタル化の環境整備についてのお尋ねです。 本区では、議員御承知のとおり、図書館、区民施設、福祉施設等の区有施設に利用者へのインターネット接続環境提供を目的として、フリーWi-Fi、またはキャリアWi-Fiを設置しています。フリーWi-Fiは、利用者が契約通信会社にかかわらず使用することができるメリットがある一方、通信料金が固定費として発生すること、また施設ごとの利用頻度に違いがある等の課題があります。 これらのことを踏まえ、シニア関連施設へのWi-Fi整備につきましては、施設の利用状況や利用形態、また、現在実施中の「高齢者デジタルデバイド解消に向けた実証事業」の状況を見据えながら、必要に応じて検討してまいります。 次に、支援の場の拡充について、2点のお尋ねです。 初めに、相談員の常駐による相談体制の構築についてお答えします。 デジタルデバイド解消事業は、ICT機器の利用率が低いために、災害時やコロナ禍において情報弱者となり得る可能性が高い高齢者への支援が喫緊の課題であると捉え、高齢者のデジタルデバイド解消に向けた取組を最優先課題として推進しているところです。 経済的事情等、年齢以外の理由で生じているデジタルデバイドの解消につきましては、現状を踏まえた上で、今後必要な取組を研究してまいります。 また、高齢者がいつでも相談できる体制の構築につきましては、デジタル活用支援員の育成状況を踏まえながら、ニーズに応じて段階的な実施を検討してまいります。 次に、子どもや学生によるICT講師についてのお尋ねです。 高齢者のデジタルデバイド解消のためには、丁寧なサポート体制が重要です。サポート体制を充実させるため、デジタル活用支援員育成研修を実施し、学生からシニアの方まで幅広い層の方に御参加いただいています。 育成研修は、スマホに関する知識を習得していただくだけでなく、実践形式のロールプレイングを盛り込みながら、高齢者の新たなチャレンジを尊重、応援し、また、気持ちに寄り添って丁寧に根気強くサポートすることが何よりも大切であることを学んでいただくカリキュラムとしています。 まずは、育成研修を経て、一定の知識やスキルを習得したデジタル活用支援員によるサポート体制を構築してまいります。 育成研修の対象外としている18歳未満の若年層を講師にすることは予定していませんが、ICT機器を活用した多世代交流の取組については、今後、検討してまいります。 次に、地域共生社会のビジョンと地域福祉計画の方向性についてのお尋ねです。 近年、少子高齢化、核家族化の進行、人口減少、さらには地域とのつながりの弱まりなど、地域社会を取り巻く環境がますます変化しています。また、従来の福祉サービスでは、高齢者・障がい者・子ども等といった対象別に対応してきた事案が、現在では、複合化・複雑化するなど、個別対応が困難なケースとして顕在化してきています。 このような社会環境の変化を踏まえ、本区は「渋谷区基本構想」の実現に向け「支える側」「支えられる側」という従来の関係を越えて、一人一人が生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らしていくことができる共生社会を目指しています。 このビジョンに基づき、高齢者・障がい者・子ども等への包括的な支援体制の充実、福祉人材と共助を支える人材の育成強化などの区の福祉政策を包括的に推進する計画として、今年度、「渋谷区地域福祉計画」の策定を進めてまいります。 重層的支援体制整備事業の推進についてのお尋ねです。 議員の御指摘のとおり、重層的支援体制整備事業の実施に当たっては、従来の縦割りの弊害を排除し、横断的な連携が必須となります。こうした課題に対応するために、副区長を座長とする関係所管を集めた庁内検討会を立ち上げました。現在は、担当者レベルでの意見交換・情報共有を実施していますが、事業開始までの間、その頻度を増やし、課題の共有や実態把握に努めるとともに、さらなる体制強化を図りながら、令和5年4月の事業開始を目指して、引き続き検討を進めてまいります。 次に、不妊助成についてのお尋ねです。 国の事業として、都が実施している「特定不妊治療費助成制度」については、本年1月に拡充され、事実婚の方も対象に含まれたほか、所得制限の撤廃や助成上限額の増額、助成上限回数の見直しなどが行われました。 しかしながら、助成制度を利用しても医療費の自己負担が高額であるとして、区民から経済的負担についてさらなる支援の拡充を求める声も届いています。 今後、国が保険適用を導入する方向で検討すると聞いていますが、詳細についてはまだ明らかになっていません。 議員御提言の、区が国の助成対象者にさらに上乗せして助成することにつきましては、前向きに検討してまいります。 次に、渋谷区いじめ防止等対策推進条例についてのお尋ねです。 いじめは、子どもの生命や心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすものであり、絶対に許されない行為です。一方で、いじめはどの学校でも、どの子どもにも起こり得るとの認識の下、学校が保護者や関係機関等と緊密な連携を図り、いじめの解決に向け組織的に対応していくことが重要と考えています。 冒頭でも発言しましたが、複雑化・多様化するいじめに対峙していくためには、社会全体の力を結集する必要があり、このたびの条例の制度は、その体制強化を図る上で重要なことと捉えています。 区といたしましても、教育委員会とともに、子どもたちが安心して学校生活を送ることができるよう尽力してまいります。 次に、区立学校の部活動改革については、生徒の多様なニーズに対して、柔軟かつ的確に応えていくとともに、部活動に係る教員の負担軽減を実現するため、一般社団法人を設立し、事業運営を行っていきます。その法人名には「互いに力を合わせて進んでいく」というビジョンを示す意味で「渋谷ユナイテッド」としていく予定です。皆様のお力添えをいただき、渋谷ならではの部活動改革を、スピード感を持って推進していきます。 法人による事業運営に当たっては、アスリート経験者や熱心に部活動指導に取り組んでいる教員についても、指導者として関与いただけるように準備を進めています。 また、11月から予定している試行事業では、そのほかにも各種目の競技団体、民間スポーツ施設や企業等、渋谷にゆかりのある皆様に御協力をいただき、9つの種目・活動を実施しています。 このように、生徒のニーズに応えて、多種目・多目的な事業を展開し、専門指導者による適切なコーチングを受け、生涯にわたるスポーツや文化活動を楽しむ基礎的な能力を育みたいと考えています。 そして、将来的には中学校を卒業しても継続して活動ができ、会費や寄附によって運営経費を賄い、法人が自主運営できるような「総合型地域クラブ」を目指していきます。 その際には、区内各地域で既に活動している4つの総合型地域スポーツクラブと十分に連携を図りながら、その対象や種目等も調整し、区全体でのあらゆる世代へのスポーツ振興を推進してまいります。 以上、私からの答弁といたします。 ○議長(斎藤竜一) 五十嵐教育委員会教育長。 ◎教育長(五十嵐俊子) 私には、次世代へのレガシー継承について2点、教育政策について4点、合わせて6点のお尋ねです。 まず、オリンピック・パラリンピック教育のレガシーについてお答えいたします。 教育委員会では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を、子どもたちの人生にとってまたとない重要な機会と捉え、オリンピック・パラリンピック教育を進めてまいりました。 特に、学校連携観戦において、様々な困難を乗り越えてきたパラリンピアンのすばらしい演技を子どもたちが直接見聞きできたことは、共生社会の一層の理解促進につながったと考えています。 こうした体験をレガシーとして、渋谷区内の学校では、特別支援学級の児童・生徒との交流や、シブヤ科において「バリアフリー」をテーマとした探求学習などを通じて、児童・生徒が多様性を認め合い、共生社会の実現に向けて取り組んでいる事例もあります。 教育委員会といたしましては、こうした実践を周知するなどして、これまでオリンピック・パラリンピック教育で育んできた「ボランティアマインド」「障がい者理解」などの資質を子どもたち一人一人の心と体に残るかけがえのないレガシーとして、学校、家庭、地域を含めた共生社会の形成につなげていけるよう、学校の取組を支援してまいります。 次に、戦争体験の記録と次世代への継承についてのお尋ねです。 現在、学校によっては、教科書を使った学校の授業に加えて、戦時中の様子を学ぶことができる昭和館へ出かけ、語り部の方々から戦時中の体験談を聞いたり、当時の映像資料を閲覧したりする学習や、戦時中の疎開先であった富山県射水市金山小学校との交流活動の中で、実際に戦争を経験した方の体験談を聞いたりする活動を行っています。 なお、シブヤ科は総合的な学習の時間の一部であり、各学校で設定したテーマの中で、子どもたちが自ら課題を見つけていく探求学習です。歴史に興味を持った子どもには、議員御提案のような体験の場を提供することも、意義が大きいと考えます。 今後とも、各学校の実態に応じて、学習施設や戦時中の体験談を聞く活動、また、NHK戦争証言アーカイブスなどのオンライン資料等を活用し、平和を願う日本人として世界の人々と共に生きることの大切さを学ぶ取組を継続してまいります。 次に、「渋谷区いじめ防止等対策推進条例」制定後の取組に関するお尋ねです。 議員御指摘のとおり、現在、いじめを未然に防止する取組の一環として、「心の天気」を活用して児童・生徒の心情の変化を把握したり、生徒が不安や悩みを抱えたときに、いつでもオンラインで担任に相談できる仕組みをつくったりしている学校もあります。 本条例制定後につきましては、子どもの不安や悩みに対して、スクールカウンセラーを含む教職員がいつでも相談に応じる体制を充実させるとともに、子どもたち自身が、いじめを自分たちの問題として主体的に考え、話し合い、行動できるよう、学校の取組を示してまいります。 次に、教員の働き方改革についてのお尋ねです。 現在、教育委員会では、教員の働き方改革の一環として、部活動顧問に代わって、技術指導や管理業務等を担う部活動指導員を配置し、教員の負担軽減を図っています。 今後は、教員が日々の授業準備や子どもたちと触れ合う時間を一層確保することができるよう、スポーツ部と緊密な連携の下、一般社団法人「渋谷ユナイテッド」による指導体制への円滑な移行に向けた取組を推進してまいります。 次に、放課後クラブについて御質問をいただきました。 議員御指摘のとおり、放課後クラブは、日頃より学校との調整の上、特別教室等を利用しています。今後も、新型コロナウイルス感染防止の観点から、より一層の協力を学校に求めてまいります。 御提案いただいた、学校やクラブ運営事業者との協議につきましては、これまでも定期的に情報交換の機会を設けておりますが、引き続きクラブ運営事業者及び学校と丁寧に情報交換を行ってまいります。 来年度のプロポーザルの実施に当たっては、いただいた御意見を十分踏まえて、放課後クラブが充実したものになるよう、必要な予算の確保に努め、環境を整備してまいります。 次に、ハイブリッド化に関する保護者とのコミュニケーションについてのお尋ねです。 今年度は渋谷区の半数以上で、保護者会は、対面かオンラインの選択ができるよう、実施または予定をしています。 議員御指摘のとおり、今後も様々な事情を抱える保護者の方々が保護者会や学校行事等に参加しやすくなるよう、ICT機器を活用した事例を紹介するなどして、学校の取組を支援してまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○議長(斎藤竜一) 2番岡 美千瑠議員。 ◆2番(岡美千瑠) ただいま区長、教育長より、数々の提案に対して意をお酌みいただき、大変前向きで力強い御答弁をいただき、誠にありがとうございました。 以下、若干の所感を申し述べさせていただきます。 まず、低炭素なまちづくりについては、前向きな答弁をいただきました。将来的な課題としては、ワイヤレス給電の実装があります。走行中に給電できれば、電気自動車単価も下がり、バッテリー製造時のCO2排出も削減できます。東京大学が大阪万博での実証実験移行を予定していますが、本区でも、社会実装に向けて実証実験ができると考えられ、今後は新しい時代を視野に入れた施策展開を期待します。 次に、経済活性化についてですが、商店街の「意欲的なチャレンジについて支援を検討する」と、商店街の活動を後押しする答弁をいただきました。コロナ禍で困窮する商店街、各店舗の活性化につながる施策を期待します。 社会起業家支援については、恒常的な拠点形成やLABOの設置について前向きな答弁をいただきました。また、ソーシャル・インパクト・ボンドやファンドの組成についても議論を深めるとのことで、期待いたします。 本区においては、よい循環を持つエコシステムが重層的に形成されつつあると考えますので、このような支援を通じて社会的起業家が、より一層活躍できるシステムを構築していただきたいと思います。 デジタルデバイドの解消には、環境整備とともに、ボトムアップでの根気強い支援が必要です。今後本区でも潮流があるようでしたら、「ICTカフェ」を設置し、自由に使えるPCやタブレットを設置して、モバイルアクセス支援を行い、常駐者がサポートする体制を整備することを要望します。 不妊助成については、女性活躍社会の推進のため、国では小児・若年世代がん患者に対して、卵子・精子の凍結保存への助成が始まりましたが、今後本区においてもその裾野を広げた助成を行い、自分らしい生き方を追求できる社会が実現することを期待します。 教育長からは、教育政策について前向きで丁寧な答弁をいただきました。 今後も本区の未来を担う子どもたちの健やかな成長のため、全力で教育政策に取り組んでいただけますよう期待いたします。 最後になりますが、私ども渋谷区議会自由民主党議員団は、長期的視点に立ったまちづくりを推進するため、変化する時代の機微を捉え、想像力を持って未来を切り開き、渋谷区のよりよい未来のため全力で取り組んでいくことをこの場にお誓い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(斎藤竜一) 議事進行上、暫時休憩いたします。-----------------------------------     休憩 午後2時46分     再開 午後3時11分----------------------------------- ○副議長(薬丸義人) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 区政一般に関する質問を続行いたします。 5番橋本侑樹議員。 ◆5番(橋本侑樹) シブヤを笑顔にする会を代表し、区長、教育長に質問いたします。 質問の前に一言申し述べさせていただきます。 新型コロナウイルス感染症との闘いが始まって、1年半がたちました。今もなお、感染症対策の前線で、私たちの健康と生活を守ってくださっている医療従事者の方々に心より感謝を申し上げます。 コロナ禍で起きている様々な問題のうち、リモート化や自粛による女性の家事育児の負担の増加や、女性の自殺者や失業者数の増加など、ジェンダーギャップが浮き彫りになっています。こうした問題は氷山の一角で、多くの人にとって多様な背景が絡み合って、さらなる困難となっているのが現状かと思います。 また、ウイルスだけではなく、気候変動による災害などあらゆる困難に対してどう対応していくか。長期的な街としての強さ、しなやかに適用する力、レジリエンスとは何かと考えさせられるところです。 そんな今だからこそ、私たちは今後起きるかもしれない自然災害や新たな感染症、気候変動に、「ちがいをちからに変えて」立ち向かっていかなければいけません。 以上を申し上げて、未来の渋谷のために質問します。 最初に、喫緊の区政課題について、大きく3点伺います。 1つ目は、新型コロナウイルス対応についてです。渋谷区におけるワクチン接種率は、区長発言でもあったとおり、2回接種完了が60%に迫っています。国からのワクチン配分の関係で、他自治体よりも遅れての接種スタートにもかかわらず、集団接種会場の増設や予約を取りやすいシステムの構築などにより、ワクチンを希望する方がなるべく早く接種できる体制が実現しました。ほかにも感染症対策前線に関わる職員を増員するなど、できる限りの対応をしていただいていることを感謝いたします。 新型コロナウイルスに関する状況は日々変わっています。感染力の強いデルタ株の拡大に伴い、若年層や自宅療養者が重症化するケースも増えるなど、感染拡大も新たなステージへ入っています。しかし、これだけ状況が変わっているにもかかわらず、区民の方からは「区からの情報発信がない」との不安の声を聞いています。感染症への警戒意識を高めるためにも、しっかりと陽性者のデータを分析した上で、自宅療養中、入院中などの陽性者の状況、年代別新規感染者数や感染経路など、きめ細やかな情報発信ができないでしょうか。 また、自宅療養の区民に対して、現在どのように対応しているのでしょうか。不安を抱いている自宅療養者に寄り添った対応をしていただきたいです。さらに、自宅療養者が急に重症化するなどの緊急時に適切な判断と行動ができるように、新たなフローチャートを整理し、発信するべきと考えますが、区長の所見を伺います。 妊婦のワクチン接種については、区ニュースでの発信など、対応していただいておりますが、さらに渋谷区の妊婦が安心して出産を迎えられるように、コロナ対応の病院と産婦人科との連携の調整を行っていただけないでしょうか。区長に伺います。 また、小中学校での児童・生徒の感染も増えています。進学期には学校での感染、そこからの家庭内感染の懸念もあります。渋谷区では、感染症対応として、夏休みの延長や分散登校などの対応を行ったばかりですが、分散登校期間中には、子どもたちの学びを止めないために、どのような工夫が行われたのでしょうか、教育長に伺います。 それを踏まえて、今後の感染拡大時の児童・生徒の学びのフォローや教室での密対策をどのように講じていくのか、併せて教育長に伺います。 さらに、区職員の感染ケースも多数報告されています。区職員がワクチン接種をする場合、また、接種後に体調を崩した場合に休みを取れる制度を整え、職員のワクチン接種を推進しているとのことですが、区職員のワクチン接種状況を区長に伺います。 2つ目は、東京2020大会についてです。 東京2020大会は、複雑な状況下での開催となりました。私自身、この感染状況の中での開催に不安はありましたが、テレビを通して見たアスリートの全力の姿に多くの感動と元気をもらいました。渋谷区は、「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」として、パラスポーツの普及・推進や多様性社会の実現に向けて積極的に取り組んでおり、東京2020大会はそうした区の理念を後押しするビッグイベントであったはずで、本区もその機運醸成に努めてきたものと思います。 その集大成としての東京2020大会についての振り返りとともに、今大会をこれからのまちづくりにどう生かしていくのか、その決意を区長にお聞きします。 3つ目は、ハロウィーン対応についてです。 10月のハロウィーン対応も渋谷の課題です。去年のハロウィーンは、感染拡大前の2019年と比べて、人手も4割減となり、コロナ以前のような混乱は起きませんでしたが、ハロウィーン当日の持込みと思われる路上飲酒の指導数は、2019年と比べて約1.7倍となりました。この増加理由には、渋谷での路上飲酒禁止が大きく報じられなかったことや、コロナ禍での路上飲みが日常化してしまったことなど、様々考えられます。 今年は、飲食店の時短営業や酒類提供中止に伴い、ますます路上飲酒が増えています。路上飲酒禁止に違反した場合の罰則として過料を設けるなど、毅然とした危機対応が必要ではないでしょうか。また、路上飲酒禁止区域も円山町など、人流の多いエリアまで拡大すべきではないでしょうか。今年のハロウィーン対策について区長の所見を伺います。 次に、子育て支援について、大きく3点伺います。 1つ目は、子育てクーポン制度についてです。渋谷区では、病児病後児保育・一時保育・ショートステイ、にこにこママなど多くの子育て支援サービスが整っていますが、このコロナ禍においては自粛や療養、隔離など、様々な要因によって、子育て世帯の支援ニーズはさらに多様化しています。育児支援だけでなく、家事の支援も行う産後ドゥーラや、福祉的なサービスも含めれば、医療的ケア児の保育、療育など、多岐にわたる支援を必要に応じて選択し、等しく支援を受けられる制度が必要です。 そこで、子育てクーポン制度を導入できないでしょうか。子育てクーポンとは、子育て支援を受ける世帯に交付するもので、子育て支援に用途を絞って、利用者が選んだサービスに使える割引券のようなものです。利用者自身が必要なサービスを選択して使うことで、それぞれにとって最適な支援を選ぶことができます。この子育てクーポン制度を導入することで、渋谷区が全ての子育てサービスについての支援事業を網羅的に用意する必要はなく、多様な子育て支援の選択肢を確保することができます。子育てクーポン制度の導入について、区長の所見を伺います。 2つ目は、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツについてです。 リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツとは、「性と生殖に関する健康と権利」のことで、具体的に言うと、誰もが「子どもを持つ」「持たない」を決める自由を持ち、自分たちの子どもの数、出産間隔、出産する時期を自由に決定でき、そのための健康を享受できること、また、それに関する情報と手段を得ることができる権利のことで、人権の重要な一つです。 この権利を保障するためには、不妊治療体制や性教育の充実が求められますが、日本はまだまだ環境整備の道半ばにあります。国では、来年度から不妊治療の保険適用が拡大される予定ですが、費用面以前に「不妊治療という選択肢を選べる社会的環境でない」「そもそも選択肢を知ることができない」といった課題が残されています。妊娠時の健康面のリスクは年齢とともに上がっていくので、妊娠を希望される方が早期から計画的に動けるように、妊活に関する正しい知識を周知していくことが重要です。 渋谷区では、若い女性の子宮頸がん検診の受診率は低く、子宮頸がんワクチンの接種率も9.6%と、自分の体を守るための選択肢や知識が浸透していないようです。国でも、子宮頸がんワクチンの積極勧奨についての議論が再開される方針となっていますが、本区でも、女性特有の健康課題対策の啓発を積極的に行えないでしょうか。将来の妊娠について考える機会の提供を行うために、例えば、身近に相談できる区内産婦人科の案内を成人式で配るなど、意識啓発のための情報発信を行ってはいかがでしょうか。区長の所見を伺います。 3つ目は、ひとり親支援についてです。 渋谷区では、ひとり親家庭に対し、レクリエーション助成や家事支援、医療費助成など、様々な支援を行っています。民間の調査によると、コロナ長期化で収入が減ったひとり親世帯は7割に上り、生活負担を軽減するための支援がさらに必要なのではと思います。厚生労働省の離婚前後親支援モデル事業では、令和3年度より、地方自治体における養育費確保の支援策に対する補助制度が創設されました。これは離婚後に養育費をもらえずに困っているひとり親が養育費を受け取れるように支援するものです。相談支援と取決めに関わる書類作成などの支援は、東京都ひとり親家庭支援センターで行われていますので、本区では、この制度を使って、養育費不払い分確保のための保証料補助、養育費取決めに係る公正証書作成手数料補助、養育費取決めに係る裁判紛争解決手続の利用料補助、相談員が支援プログラムを作成するサービスなどのより細やかな支援を渋谷区で行えないでしょうか。ひとり親のための養育費確保支援について、区長の考えをお聞かせください。 次に、教育について大きく3点伺います。 1つ目は、性教育についてです。 日本財団が17歳から19歳の男女各500人を対象に行った「学校での性教育について」の調査では、性教育に対する意見に「抽象度が高い」65.6%、「避妊方法を具体的に知りたかった」58.1%、「現在抱えている悩みに適合していない」52.1%などの意見が挙げられ、性教育が物足りないと感じている青少年が多いということがよく分かります。 また、特別支援学校では、学習指導要領に性教育についての具体的な指導内容は明記されておらず、知的障がいのある子どもたちが「自分を守るため」「自分を大切にするため」の性教育を十分に受けられていません。こうした現状では、学校での性教育はいまだ充実しているとは言えない状況です。だからこそ、家庭での「おうち性教育」など、幼児期からの性教育のサポートが必要です。 先日、民間企業主催の「こども性教育」の講座に参加しました。看護師、臨床心理士が講師となって、子どもたちと保護者に向けて「体と心について」「赤ちゃんはどうやって生まれてくるのか」などのテーマで易しくお話しするものでした。体の部位の名前から始まって、嫌なことをされたときの対処法、赤ちゃんがどうやってできるのかなど、具体的なことに触れながらも、丁寧な説明が行われ、子どもたちの反応は「女だけではなぜ赤ちゃんができないの」「双子はどうしてできるの」「どうして赤ちゃんは人の形になるの」など、質問が止まりませんでした。どの質問にもはぐらかさずに答える講師の様子は、保護者にとっても、家庭で子どもの疑問にどう答えるかのヒントになると思います。このような専門家による講座や、子どもたちの質問に答える場所などをネウボラで定期的に設け、子どもたちが正しい知識によって自分を守れるように、おうち性教育のサポートを行ってはと思いますが、いかがでしょうか。区長の所見を伺います。 前回、第2回定例会での我が会派の岡田麻理議員の質問に対する答弁で、「適切なSOGI理解などを狙いとして、教育委員会と連携した、幼少期からの性教育の充実に努める」との見解を伺いました。SOGI理解を踏まえた性教育を物心つく頃から、という方針は、まさに多様性の街、渋谷らしいものです。現在、学校での性教育は、学習指導要領や東京都の性教育の手引に基づいて行われていますが、東京都の性教育の手引を見ると、心の性において「男女差」に基づいた記述が多くあります。幼少期からSOGI理解を浸透させる施策を一貫して学校教育でも行うのであれば、それぞれの学校現場が手引の内容を、SOGI理解を踏まえたものにアレンジして実践する必要があります。どのようにSOGI理解を踏まえた教育を学校現場で実践していくのか、教育長に伺います。 また、アイリスと共同してSOGI理解を踏まえた渋谷区版「性教育の手引」を作成する、アイリスが作成したLGBTQ基礎知識のリーフレットを学校で配布するなどの対応を行ってはいかがでしょうか。こちらは横断的な対応と考えられますので、区長の見解をお聞かせください。 2つ目は、標準服についてです。 渋谷区が行った令和3年度男女平等及び多様性社会推進に関する調査の中学生意識調査において回答した中学生の11%が性的マイノリティーという結果が出ました。この11%という数字をしっかりと受け止めて、多様性を尊重する学校をつくっていくべきです。 7月に行われた多様性推進特別委員会の講演会において、男女平等・ダイバーシティ推進担当の永田課長より、「不登校の理由に男子、または女子の制服を着ることに違和感を感じるということが挙げられる」というお話をお聞きしました。男子はスラックス、女子はスカートという男らしさ、女らしさにのっとった標準服が生きづらさにつながっているのです。 平成31年第1回定例会での岡田麻理議員の質問の答弁で、「LGBT等の児童・生徒がスカートもズボンどちらでも選択できることが望ましいと考えている。今後とも教育委員会を通じて、児童・生徒が自由に標準服を選択できることを引き続き周知していく。」とのことでしたが、その後、周知発信を行っているのでしょうか。学校では水着やジャージなど、標準服以外の指定のウエアもあると思いますが、どのように対応しているのでしょうか。また、選択できるといっても、女性が男性用に作られたスラックスをはくと、サイズがフィットしないという問題が発生した場合に、業者とどのように対応するのか。学校での衣類の選択についての情報発信とその対応について、教育長に伺います。 さらに言うならば、男子はこれ、女子はこれと決められていない性差が出にくいニュートラルな形のものを用意し、多様な子どもたちの違いを尊重するというメッセージを発信していただきたいです。制服は各学校の歴史や伝統の一つではありますが、今を生きる子どもたちが自分らしさを否定されずに着られるということが一番大切だと思います。ジェンダーレス標準服の採用について、教育長の所見を伺います。 3つ目は、部活動についてです。 渋谷区一体となっての部活動が可能となりました。本定例会でも、予算案が提出され、今まさに部活改革を試行錯誤の中で進められていると思いますが、現時点での渋谷ならではの部活動づくりの進捗を区長に伺います。 学校内でもコロナに感染した児童・生徒が出るなど、まだまだ感染状況は落ち着かないままですが、中学校で過ごす3年間はあっという間で、かけがえのないものです。コロナ禍においても、生徒が楽しみ、熱中できる居場所を一刻も早くつくるべきです。集まらなくても、オンラインで対戦ができるeスポーツやプログラミングなど、離れていてもつながって活動ができるものから、オール渋谷体制の部活を整備してはいかがでしょうか。eスポーツについては、全国的な認知度も少しずつ上がってきたところではありますが、まだ実際に定着するには至っていません。多くのカルチャーを発信してきた渋谷から、eスポーツを離れていても楽しめる新しいスポーツとして発信していければと思います。コロナ禍でのオール渋谷体制での部活動の展開予定とともに、eスポーツの発信について、区長の所見を伺います。 次に、福祉について大きく3点伺います。 1つ目は、高齢者福祉についてです。 渋谷区における高齢化率は約18.7%と全国の値に比べ低い傾向にあるとはいえ、2050年には約30%まで増加が予想されており、特に渋谷区では75歳以上の高齢者の4人に1人が独り暮らしと、高齢者の単身世帯が多いという特徴もあります。さらに、新築マンションの増加・町会加入率の低下・近所付き合いの希薄化など、地域と単身世帯者がつながりにくい現状にあり、このままでは、地域に居場所のない単身高齢者が増加し、それによる認知症の進行や、鬱などの副次的な健康面への影響も考えられます。 令和4年度から令和8年度までの5年間で策定予定の地域福祉計画(案)では、「地域住民のつながり強化」が区の課題として挙げられ、住民主体で運営される継続性のある通いの場づくりの支援が予定されていると思いますが、感染症拡大の中、今は気軽に外に出ることすらままならない状況です。デジタル機器を活用した地域住民のつながりの場づくりを区として支援することはできないでしょうか。ウィズコロナでの通いの場の在り方をどのように考えているのかを含めて、区長の考えをお聞かせください。 また、デジタルデバイド解消事業により、高齢者のスマホ利用の支援を行っているところだと思いますが、デジタルデバイド解消事業でのスマホの活用状況や事業としての進捗を区長に伺います。 スタートアップや民間企業には、健康や福祉分野でのIoTサービス、プロダクトを開発しているところもあり、こうした企業は、実際にサービスを使う高齢者モニターを必要としています。しかし、ニーズを持っている高齢者になかなかつながれずにいます。 例えば、代々木には整形外科の歩容解析、つまり歩行パターンの解析を靴内のデータで行うスマートフットウエアを開発しているスタートアップがあり、実際の歩行データを解析し、適切な歩行指導へとつなげるサービスを展開しています。このサービスを利用すれば、歩くモチベーションが向上し、適切な歩行習慣によって、心身のアセスメントにもつながります。高齢者がこうした福祉IoTのモニター参加を行えば、高齢者が実際に体験するサービスを通じて、健康支援や生活支援を受けられるだけでなく、高齢者福祉でのIoT活用も広がり、高齢者とスタートアップをはじめとする企業の多世代交流も生まれます。 高齢者のモニター参加を通して集めたデータを共有してもらうことで、区の福祉施策に活用することもできると考えます。区ニュースでは、高齢者モニター登録の呼びかけも行われましたが、20人ほどの登録があり、モニターをしてみたいと考える人も一定いるようです。これをさらに広げ、地域包括支援センターなど交流の拠点となることが期待される場を通じて、福祉IoTと高齢者がつながる機会、実証実験に参加できる機会をつくる、施設利用者にモニター登録を呼びかけるなど、福祉IoTの推進を行うことはできないでしょうか。 また、現在検討されている社会参加活動ポイント制度に、こうしたモニター活動も対象に加えることができないでしょうか。区長の所見を伺います。 2つ目は、相談体制についてです。 2019年から2020年に渋谷区が実施した障がい者・児へのアンケート調査、意見交換会においては、「どこに問い合わせたらいいか分からない」「必要な情報を選ぶのが困難」「各種相談や手続が1か所で済む総合相談窓口が欲しい」「身近で親しいところに相談がしたい」など、相談に関して多くの意見が挙げられていました。まず、相談を分かりやすくしていかなければなりません。現在、地域包括支援センターで障がい分野を含めた包括的な相談窓口を設置する計画がありますが、相談窓口が設置されることとともに、地域で窓口として浸透するように、分かりやすく発信するべきです。コロナ禍で困り事が複雑化し、深刻な問題を抱える方も多い中、早急な対応として、今、どのように相談体制を分かりやすく発信していくのかを区長に伺います。 また、どんな相談も一旦受けて、複合的な問題を相談者が抱えていても、内部で関わる所管に割り振り、支援や対応を統括する仕組みが必要ではないでしょうか。早期から関係各所との連携を進めておくことで、令和5年度の包括的相談窓口の設置後もスムーズに体制が整うのではと思いますが、区長の所見を伺います。 内閣府の調査によると、日本の15歳から64歳までの人の1.5%前後がひきこもり状態ということで、渋谷区の人口に当てはめると、約3,500人に上ると見込まれます。「ひきこもりではなく、福祉や医療のサービスも利用していないが、生きづらくて苦しい」という方々を含めると、さらに多いと想定できます。本区においても、2015年から2020年の間に、精神障害者保健福祉手帳所有者が506名増となりました。その申請が必要とされる手続にも至らず、困っている人たちも増えているのではないでしょうか。 そこで、生きづらさや望まない孤独で苦しむ方からの相談を受け止め、たらい回しにしない相談窓口が早急に必要です。生きづらさを感じ、その後ひきこもりになり、その状況が長期に及べば、生活保護の受給者も増え、社会保障費をはじめ、区の財政負担に大きな影響が及びます。生きづらさを早期に予防することで、渋谷区が力を入れる多様な就労支援へつなげるなど、自立も不可能ではありません。 コロナ禍が長期化し、生活の変化から生きづらさを抱いている人たちの増が予想されます。高齢者や介護分野に限らず、あらゆる世代が抱える生きづらさに早期に対応し、適切な相談先や支援につなげる仕組みが早急に必要です。令和3年第2回定例会での岡田麻理議員の「断らない相談窓口設置」の提案に対する答弁では、「事業者の活用も視野に入れて検討中」とのことでした。生きづらさを感じている人たちにとって希望となる「断らない相談窓口」の設置について、その後の進捗状況をお聞かせください。 3つ目は、セクシャルマイノリティー支援についてです。 区内のセクシャルマイノリティー当事者が早期に相談でき、区の各所管と連携した対応につながる直接的支援が必要です。現在、にじいろ電話相談が月に2回行われていますが、相談窓口を拡充し、各所管とアイリスとの連携を強化していただきたいです。ただ、相談窓口を拡充するとしても、現在委託している民間団体は、既に多くの自治体の相談業務等を担っており、相談事業を拡充するには、相談員が足りないというのが現状です。 そこで、セクシャルマイノリティー専門相談員の養成講座の事業を提案します。相談員を養成することで、相談員不足のために相談の拡充ができないという問題の解決にもつながるほか、相談員とまではいかずとも理解を深めて、職場や家庭などでのコミュニケーションに生かしたい、といったニーズに応えることで、アライの輪を広げ、多様性社会推進の後押しができるのではないでしょうか。 また、就職支援や障がいへのサポート、DVなど、あらゆるセーフティネットにどんなセクシャリティであってもつなげられる環境を整えるためには、各種相談、対応を行う専門人材や、有資格者がセクシャルマイノリティーに関する専門知識を習得する、もしくは専門の相談員を増員する必要があるのでは、と考えます。アライ理解も視野に入れた、セクシャルマイノリティー専門人材の育成、セーフティネット環境整備のための専門員の増員について、またあわせて、アライ拡大の観点から、一般向けのアライ講座の実施についても、区長の所見を伺います。 次に、産業振興について大きく2点伺います。 1つ目は、スタートアップ支援についてです。 スタートアップ企業支援が本格的にスタートしました。渋谷区では既に80のベンチャーキャピタル、2,000のスタートアップ、100のインキュベーション施設があり、こうした環境を生かしたスタートアップ支援が渋谷のビジネスを元気にすることと期待しているところです。 スタートアップ支援の各自治体での事例や民間資源による支援環境を研究するべく、私自身も様々な施設を視察して回ってきました。川崎では、研究開発分野、秋葉原では、電気機械を活用した大規模なものづくり系の支援施設、荒川区では、周辺の繊維街という地域特性から、ファッション系の企業が入居する支援施設があり、そこには地域の方も自由に使えるミシンが置いてありました。靴やかばんなど、ものづくりの工房が集まる台東区では、廃校を利用したデザイナーズビレッジという施設があり、そこに創業を目指すデザイナーが集まり、地域ぐるみで工房やお店を開いて、体験や販売を行うイベントを行ったり、さらに、施設卒業後には、地域にお店を出したりと、地域活性化にも一役買っていました。 このような様々な施設を回る中で分かったのは、各支援施設には、地域の特徴を生かした明確なコンセプトを掲げることで、街に合う事業を集め、さらに、街の資源へとつなげることで、その事業の成長を後押ししているということです。それだけではなく、地域に開かれた作業スペースや地域を巻き込んでのイベントによって、スタートアップの若いエネルギーが地域の活性化の一助にもなっています。渋谷においても、東京コンソーシアムで何を強みにしていくのか、コンセプトデザインをはっきりさせることで、各自治体との連携を行いながら、より渋谷と相性がいいスタートアップと関わっていけるのではと思いますし、地域に開かれた仕組みをつくることで、地域が活性化し、スタートアップもカスタマーや実験者などとつながりを持てる環境をつくれます。 渋谷区のスタートアップ支援が掲げるコンセプトについて、また、どのようにコンセプトを形にしていくのか、区長に伺います。 渋谷区は神戸市とスタートアップに関する連携を行っています。この連携はどのような効果を期待しての連携でしょうか。都内の各スタートアップ支援の場所でも渋谷区には働く人、遊びに来る人などの来街者が多く、実証実験や商品販売などに最適な場所で、成功したスタートアップは渋谷に店舗や事務所を構えるのだ、というお話は各所で多く聞きました。こうした各スタートアップの目が渋谷に向いているという状況からしても、各地に広がるスタートアップエコシステムとの連携を強化することで、渋谷に最適な成長段階にあるスタートアップを集める、ほかの自治体とも連携した支援の在り方が考えられますが、他自治体との連携について、区長の見解を伺います。 渋谷区の地域課題解決を狙いとしたInnovation for New Normal from Shibuyaが始まって14か月がたちました。この事業は、新しいアイデアや技術を渋谷区の課題解決につなげる取組として大いに期待をしておりました。23件の事業が採択されていますが、その後、実証実験に発展した事例、区の課題解決につながった事例を区長に伺います。 せっかく本事業を通して官民連携の取組にチャレンジしてきたのに、期間限定で終わってはもったいないと思います。幸いにも渋谷区には多くの企業やNPOなどが集まり、区内を拠点に活動事業を行っています。区外からも、実証実験は渋谷区でやりたいという大学やスタートアップ企業などが渋谷区にアプローチしてきてくれることもしばしばあります。そういった民間活力を行政課題の解決に生かしていくのであれば、官民連携のプラットフォームを常設で設けるべきかと思います。分かりやすく言えば、渋谷区のWANTEDリストを公開し、それに対する提案や解決策を持った大学や企業がコンタクトを取れるようにするというものです。渋谷区WANTEDリストの公開について、区長の所見を伺います。 2つ目は、エンターテインメント支援についてです。 令和2年第3回定例会の一般質問でも取り上げたライブハウスへの支援についてです。ワクチン接種が進んでも、いまだ新型コロナウイルス収束の道のりは遠く、残念ながら今回のコロナ禍を乗り越えられずに閉店してしまった歴史あるライブハウスもたくさんあります。今回の新型コロナウイルスによるインパクトをしっかりと教訓にして、エンタメ空間をはじめとした渋谷の街を感染症に強い環境に変えていく必要があるのではないでしょうか。 本区でも、今年に入ってから、2度感染症対策グッズの配布を行っており、その中には、CO2測定器も含まれています。このCO2測定器は、空気中の二酸化炭素濃度を測定・可視化することで、適切な換気を促し、事業所内でのマイクロ飛沫感染を防ぐことができます。 私は、安全・安心なエンタメ環境をつくること目的に、換気についての実証実験を電気通信大学と東京大学に協力いただき、区内ライブハウスなどで、35回行いました。そこから、CO2測定器を用いた適切な換気と既存のダクトを活用した環境改善が非常に有効かつ事業者にも導入しやすいものということが分かりました。   (タブレット画像提示) ◆5番(橋本侑樹) こちらが都内飲食店での実証実験のデータです。CO2測定器を用いて換気状況を観測しながら換気行動を行うことで、従来の環境よりも有意に環境改善がされています。青い部分が改善後で、改善前がピンクの部分です。CO2濃度が有意に下がっています。 そして、こちらが都内大学の例です。こちらについても同様で、左側が改善前のCO2の濃度測定のデータです。CO2測定器を置いての改善後のデータがこちらになります。 ちなみに、既存のダクトを活用した環境改善後の写真がこちらになります。ライブハウスにはもともと飲食店だった名残で、使われずに眠っているダクトがあるケースが多く、そのダクトを活用すれば、簡易的かつ安価な換気工事を行える、という環境改善の工夫の例として捉えていただければと思います。ピンクの丸で囲ってあるのが、もともとあったダクトで、そこに青い丸で囲ってある追加のダクトを通すということで、通常すごく高額になる環境改善、換気改善の工事を安価に行ったという事例です。 換気の難しい地下ライブハウス空間でのノウハウは、公共施設や飲食店、学校などのあらゆる場所や、寒い冬場など換気の厳しい状況でも応用できると考えます。そこで、区としても感染症対策セットを配布した事業者等を中心に、CO2測定器を活用した適切な換気法ガイドを配るなどの周知を行ってはいかがでしょうか。区長の所見を伺います。 次に、防災について大きく2点伺います。 1つ目は災害時の情報発信についてです。災害時の避難所の混み具合を地図で示し、市民がスマートフォンやパソコンで確認できるシステムが鹿児島市で6月1日に導入されました。混雑を避けて避難をためらう心理の解消や避難分散化を狙う効果があると考えます。令和元年第4回定例会でも、避難所の混雑状況などが分かるリアルタイム情報の発信について提案させていただきましたが、そのときにも指摘したとおり、感染状況が落ち着いたときには、みんなが避難しているのかどうかという状況把握、避難するかどうかの判断に役立ちます。鹿児島市は、東京にあるIT企業と協定を締結することによって、このシステムを導入したということですが、渋谷区でもこうしたリアルタイム混雑情報の発信システムを取り入れることはできないでしょうか。区長の所見を伺います。 2つ目は、健康面のサポートについてです。 災害時においての避難生活は心身の負担が大きいとされ、健康面のサポートも備えていかなければなりません。被災者の健康をサポートするために、災害時でのオンラインでの健康相談を行えないでしょうか。避難所にいながら健康相談ができれば、予期せぬ異変にも早期に対応することができます。緊急性の高い外科系と違い、医療資源が届きにくい婦人科系の相談などもオンラインの環境が整えば、特殊な状況での予期せぬ体のトラブルなどにも対応でき、女性にとっても安心です。災害時の健康相談にオンラインを活用することについて、区長の考えを伺います。 次に、交通について大きく2点伺います。 1つ目は、ハチ公バスについてです。 今年4月に行った我が会派のオンライン区政報告会では、参加者からハチ公バスに関する要望が多数寄せられました。移動支援の介助者が必要な方からは、介助者分の往復の運賃の負担が大きく、介助者の分も含めて無料化できないか、という切実な要望もありました。他自治体でも福祉乗車券を発行することで、乗車する本人は無料で、介助者も割引としています。福祉的機能を持ったコミュニティバスとして、日常生活にハチ公バスを必要とする方の利用負担軽減を行えないでしょうか。区長の所見を伺います。 2つ目は、移動支援についてです。 本区には入り組んだ狭い道や、私でも上り下りがつらいような坂道が多く、高齢者や障がいのある方、妊婦などの移動に大きな障がいになっており、「買物に行くのも一苦労よ」との切実な声を聞いています。そういった細かいルートはハチ公バスでカバーし切れないので、モビリティを使ったライドシェアを行うことはできないでしょうか。その時々の利用者の乗車地点、降車地点、乗車時刻に合わせて運行するので、待ち時間の短縮や運搬による環境コストも削減されます。地域を走るモビリティのライドシェアによる移動支援について、区長の考えをお聞かせください。 次に、環境とコミュニティについて大きく4点伺います。 1つ目は、区民や民間資源との協働についてです。 世界全体で2050年頃にカーボンニュートラルを実現するために様々なアクションが取られています。東京都でも「ゼロエミッション東京」を掲げ、アクションプランを策定していますが、渋谷区としても、2050年以降の渋谷を生きる、これからの世代のための環境政策を行っていくべきではないでしょうか。まずは環境について何を考え、渋谷区に何を求めているのか、未来を担う10代から30代に対して意識調査や意見交換を行ってはいかがでしょうか。 また、ササハタハツフューチャーセッションなどのオープンな会議体は、多くの方に参加していただき、まちづくりについて考えるきっかけとしての役割を担っていたと思います。同じように、多くの未来世代が気軽に参加できる「気候シブヤ民会議」を開催できないでしょうか。意識調査の実施と併せて、区長の所見を伺います。 環境に関する取組は、一人一人の行動という小さな規模のものから、あらゆる民間資源が連携し大きなうねりを生み出すものまで様々です。現在、渋谷区は、意識啓発事業として、家庭、学校、職場での持続可能なライフスタイルや環境に優しい取組を表彰する「渋谷サステナブル・アワード」が行われていますが、民間の環境を考えた未来志向、持続可能な取組は、渋谷区の未来のために必要なものですので、そうした取組をステークホルダーにつなげる、最初に必要な費用を助成するなど、支援の仕組みができないでしょうか。区長の考えをお聞かせください。 2つ目は、まちの緑化についてです。 パリ市では、2016年までにパリ全体で17万本以上の木を植え、2030年までに市の50%を植樹地で覆うという大胆な街の緑化計画が示されました。かの有名なシャンゼリゼ通りは2030年までに緑でいっぱいの通りに変貌を遂げる予定です。一方、渋谷区の「みどりの整備方針」では、緑被率21%の目標は達成されたものの、「区民が身近に緑を感じられる環境づくり」「安定して緑を確保すること」などの課題はまだあるとされています。 ヒートアイランド現象の緩和のためには都心部に緑を増やし、今ある緑を保全していく必要がありますし、区民にとって身近な緑を増やすためには、区民協働による緑化推進をさらに後押しする施策が求められます。木密地域にポケットパークを増やせば、環境面だけでなく、防災面での効果も期待できます。加速度的に進む気候変動に対応し、持続可能で強いまちをつくるために、街の緑化についての具体的なアクションや、さらなる緑化支援策を次に策定される「みどりの基本計画改訂版」に盛り込めないでしょうか。渋谷区の緑化についての考え方とともに、区長に伺います。 3つ目は、コンポストについてです。 令和2年度の清掃工場に搬入された可燃ごみの割合は、紙類41.97%、生ごみ20.62%、プラスチック類21.76%となっており、来年度から検討されているプラスチックの資源回収と併せて生ごみの減量を行えば、多くのごみが減らせると考えられます。現在渋谷区でもプラスチック製コンポストのあっせん申込みが行われています。家庭の中でコンポストに取り組むことができるのはよいことですが、去年の申込み件数は6台と、なかなか浸透していません。そもそも堆肥を作っても活用できる機会があまりない上に、過剰に堆肥が増えることで、かえって堆肥自体を焼却することになってしまいますので、生ごみ自体を減容する工夫が必要です。 7月に我が会派で加計塚小学校のKAKEZUKA FARMへ視察に行ってきました。ここでは小学校脇の菜園にコンポスト装置が設置してあり、学校給食の残渣を処理しています。komham菌という微生物による処理で生ごみの98%を水と二酸化炭素に分解することができ、高速処理により、臭いも気になりませんし、1日に10回ハンドルを回すだけで手軽です。ごみの分解により、運搬コスト、焼却コストを減らすこともできます。区長発言にありましたとおり、ふれあい植物センターでの拠点回収や特養での実証実験が行われており、こうした新しい取組を早速検討されていることは大変すばらしいです。地域の生ごみを気化、もしくは堆肥化し、地域で処理・活用するという取組は、子どもたちの食育にも通ずるものがありますので、各学校、施設や公園、区民菜園などのコミュニティ拠点に設置を増やし、地域での循環の取組を実装してはいかがでしょうか。区長に伺います。 4つ目は、ササハタハツプロジェクトについてです。 笹塚、幡ヶ谷、初台、本町エリアでのまちづくりを支援するために設立された「まちラボ」で、地域プロジェクトを支援する事業「ササハピ」が実施されています。「ササハピ」には、認定制度と登録制度があり、7つのプロジェクトが認定され、コミュニティを盛り上げています。神戸市のまちラボは、実際に場所として設けられており、まちを拠点に活動するNPOや市民プロジェクト、フィールドワークの活動拠点としてのミーティングスペース、フリースペースが備わっていて、常駐のスタッフが地域との連携や企画のサポートを行っています。本区のまちラボは、現状リアルな拠点があるわけではありませんが、行く行くはまちラボの拠点を設けられないでしょうか。地域プロジェクトの拠点があれば、各プロジェクト、地域住民の交流や連携が生まれるのではないでしょうか。今後はどのような形で地域プロジェクトの後押しを行い、地域の居場所をつくっていくのか、区長に伺います。 また、ファームというコンセプトで検討されている玉川上水旧水路緑道については、ハード面の整備とともに、ファームに集う人がどのように活動するかというソフト面の整備も重要です。 今後、緑道を拠点とし、地域がつながる仕組みをどのようにデザインしていくのか、区長に伺います。 最後に、区民サービスについて大きく2点伺います。 1つ目は、手続のICT化についてです。 令和元年第4回定例会で提案したAIによる保育所入所選考については、早速、実証実験を経て、保育園の入園申込みに必要な申請から利用調整、結果公表までの一連の流れのデジタル化など、手続の負担削減に向けて前進しているところと思います。とはいえ、保育園の入所手続や現況届など、同じ情報を別の手続で何度も記入、提出する必要があり、特に障がいのある子どもの保護者は、保育課と障がい者福祉課それぞれにおいて手続が必要であるなど、依然として煩雑なものです。非来庁型サービスを推進する渋谷区としても、この手続ストレスは早期に軽減していただきたいです。例えば、ネウボラで管理するアカウントを子育て世帯に配付し、そこに世帯の情報等をひもづけることによって、手続を簡素化してはいかがでしょうか。マイナンバーの活用も考えられると思います。このコロナ禍では、行政サービスのオンライン化が加速していますが、保育園入園申込みや現況届などの手続の電子化、手続の簡素化について、現在の検討状況と今後の方針を区長にお尋ねします。 2つ目は、各種届出についてです。 我が会派の薬丸義人議員からも以前、渋谷区オリジナル出生届について提案をしておりますが、自治体が扱っている届出書の中には、婚姻届や出生届など、単なる手続のための書類ではなく、人生において大切な意味のある届出書もあります。婚姻届や出生届では、かわいらしいデザインがあしらわれているものが人気で、こうしたデザイン届出書は1,000円から5,000円ほどで販売されています。渋谷区でも、シブヤフォントなど、渋谷らしいデザインを施した御当地届出書を作れないでしょうか。渋谷区民はもちろん、渋谷で青春時代を過ごしてきた人、渋谷に思い出がある人など、多くの渋谷愛のある方々にとって特別なものになると考えます。さらに複写式のものにすることで、届出書の1枚目を提出しても、2枚目が思い出として手元に残ることができます。届出書の売上げを渋谷区の子育て・教育・福祉などの支援金として活用することで、シティプライドの醸成にもつながると思います。渋谷区オリジナル届出書の作成について、区長の所見を伺います。 以上、それぞれ御答弁よろしくお願いします。 ○副議長(薬丸義人) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) シブヤを笑顔にする会、橋本侑樹議員の代表質問に順次お答えします。 初めに、喫緊の区政課題について、私には5点のお尋ねです。 まず、新型コロナウイルス対策の情報発信について、2点の御質問です。 新型コロナウイルスについては、ホームページ、デジタルサイネージ、LINE等を通じて注意喚起を図っていますが、区内の流行状況や、年代別新規感染者割合、トピックスなど、感染予防につながる情報発信を強化してまいります。 軽症及び入院する必要のない中等症の方は、自宅で療養いただいています。また、基礎疾患がなく、重症化リスクの低い軽症者は、SMSを使用して療養の案内を行っており、中等症の方の場合は、毎日、保健所から電話で健康状態を確認しています。さらに希望者には、血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターを貸し出しており、食事や飲料水などの食料品の置き配も手配しています。 自宅療養患者からの健康相談については、日中は区の相談電話で、夜間は東京都フォローアップセンターで受けており、24時間連絡を受けられる体制を取っています。 自宅療養中に体調が悪くなった場合は、容態に応じて入院、往診を調整する体制を整えています。 次に、新型コロナ対策における産婦人科との連携についてですが、妊婦が新型コロナウイルスに陽性となった場合は、基本的に入院していただくよう調整を行っています。自宅で経過を見る場合でも、かかりつけ医と連絡を取り、妊婦の状態を確認しながら療養を進めています。 次に、区職員のワクチン接種状況についてのお尋ねです。 議員の御発言のとおり、ワクチン接種の前後に職務に就かないことで、一切の不利益が生じないように制度を整え、職員の接種を推進し、区民の安全・安心を確保する取組をしてきたところです。 まず、医療従事者や保育士、清掃職員などエッセンシャルワーカーである区職員約300人の接種を優先させました。続いて、民間企業の協力や都との連携により、区立学校教員や私立保育園、福祉施設などに勤務する区職員以外のエッセンシャルワーカー約1,000人と、窓口職場など区民に接する機会の多い職員の接種を推進し、9月上旬までに約2,000人の接種を終えました。 さらに、窓口業務を委託する事業者や関係団体の職員を含む全ての職員に対象を拡大し、加えて、それまで接種の対象としていた者に対しても再度の募集を行い、現在では、NHK渋谷フレンドシップシアターの集団接種会場において、250人以上の接種を進めています。 その結果、職域接種を希望する区職員約1,200人と関係者約1,100人は、9月末までに2回目の接種を終える見込みです。 次に、東京2020大会についてのお尋ねです。 区では、リオデジャネイロ大会が開催された平成28年度に、オリンピック・パラリンピック推進課を設置しパラスポーツを中心とした気運醸成事業、海外からの来街者に備えるおもてなし事業や独自ボランティア育成等に、ホストシティとして先進的に取り組んできました。 残念ながら、大会は新型コロナウイルスの感染拡大により、原則無観客となり、制約や困難が多い異例の開催となりました。しかしながら、オリンピック・パラリンピックともに、選手の皆さんが連日、最高のパフォーマンスを繰り広げ、苦難に立ち向かう姿や互いをリスペクトし合う姿勢に、多くの感動と共感が広がったのではないかと思います。 私も、連日テレビで応援し、スポーツの持つ力と価値を改めて感じたところです。特に、パラリンピアンの活躍は、障がいを乗り越えて多様な個性を認め合い、大会のコンセプトである「多様性と調和」を体現し共生社会への大きなきっかけになるものと強く感じています。 区では大会終了後もパラスポーツを中心に、選手が世界や大きな目標に挑戦する姿を、区民の皆様にリアルに観戦していただく機会を設けるとともに、会場での応援やボランティアとして支える機会も創出していきます。また、ボッチャ等のパラスポーツを身近に体験していただき、選手とも交流することで、多様性を感じ取れる事業も実施していきたいと思っています。 こうした取組は、大会開催の価値あるレガシーとして、今後に継承し、「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」に向けた大きな原動力としていきます。 次に、ハロウィーン対策についてのお尋ねです。 本年のハロウィーン対策については、先ほど渋谷区議会自由民主党議員団、岡 美千瑠議員にお答えしたとおり、昨年同様に、警備員の配置や区職員による路上飲酒の抑止に向けたパトロールなどの対策を実施するほか、新型コロナウイルス感染症拡大防止に配慮した各種方策を講じる予定です。 議員御提案の路上飲酒規制の適用区域については、令和2年12月に「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例施行規則」を改正し、適用範囲を拡大しており、さらなる拡大については考えていません。また、路上飲酒規制の違反に対しては、これまで同様に、警備員の配置やパトロール等により、実効性を保つことを基本として、警察をはじめ関係機関と連携しながら対策を推進してまいります。 次に、子育て支援についての3つのお尋ねに順次お答えします。 まず、子育てクーポン制度の導入についてです。 本区では、これまでも子育て世帯の経済的負担軽減と、安心して子どもを産み育てられる環境づくりを推進するため、妊娠期の保護者を支援するハッピーマザー助成金や、育児に必要な衣類や体温計などを詰め合わせとした育児パッケージを支給し、妊娠期から出産時の支援を拡充してきました。 さらにコロナ禍が深刻となった昨年度からは、育児支援ヘルパー派遣事業の利用時間の拡大や多胎児利用の一部無料化などにより、育児期の経済的負担軽減についても強化してきました。 加えて、東京都では、今年度から、出産した世帯を対象に、10万円分の育児用品や子育て支援サービスを提供する「東京都出産応援事業」を実施しており、利用者自身が必要なサービスを選択することができるとのことです。そのため、現時点では、子育てクーポン制度の導入について実施する考えはありません。 次に、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツに関し、女性特有の健康課題対策啓発について、区として情報発信を行ってはどうかとのお尋ねです。 本区では、これまでにも若い世代に対し、子宮頸がん検診の受診勧奨、性感染症の予防と検査などについて啓発するとともに、思春期相談・外来の医療機関を案内してきました。 成人式では、新成人に配布する冊子に様々な健康に関する情報に加え、子宮頸がん検診の受診勧奨や性感染症予防と検査についての御案内を掲載しています。 今後は、専門スタッフによる都のホットラインの御案内や、女性の健康情報等、区のホームページを充実させ、ツイッターなどのSNSを使用した情報発信にも努めてまいります。 次に、ひとり親支援についてのお尋ねです。 御質問にあった厚生労働省の「離婚前後親支援モデル事業」は、離婚協議開始前の両親に対して、離婚が子どもに与える影響や、離婚後の生活を考える機会を提供し、養育費の支払いを確保するための取組を支援することを目的としています。 養育費の不払いは、離婚後のひとり親世帯の生活困窮の一因であり、子どもの健やかな成長の観点からも深刻な課題であると考えます。 ひとり親家庭の困り事に即した支援については、議員からの御提案も含め、総合的に検討してまいります。 次に、性教育について、私には2点のお尋ねです。 まず、ネウボラでの性教育講座の実施についてです。 渋谷区子育てネウボラでは、区民が不安なく少しでも喜びの多い子育てができるよう、保護者が子育てについて考えるためのヒントとなる課題を取り上げた「ペアレンツセミナー」を実施しています。 子どもの性教育についても、必要な課題として認識しており、今年度は専門家による小児・学童期の性についてや、思春期の性についての講座を計2回実施しています。 コロナ禍のため、リモートによるものでしたが、多くの保護者から参考になったとの意見が寄せられたところです。 これにより、保護者が自信を持って子どもの性の成長に関わっていけるようになることや、子どもと性の不安や思春期の悩みについて話し合うことで、新たな親子関係をつくるきっかけになればと考えています。 次に、渋谷区版性教育の手引や、アイリスのリーフレット配布に関する質問です。 性教育については、学習指導要領に基づき、発達段階に応じて計画的に指導していくことを基本にしながら、自らの性のありようにかかわらず、自己も他者もいたわる心を育てていく取組が大切だと考えます。 そのためには、多様な性について学ぶ機会はとても重要で、アイリスの出張授業で活用されてきたLGBTQ基礎知識リーフレットを広く配布することは大変有用です。 しかしながら、情報の提供だけでなく、並行して、安心して相談できる体制を整えることも欠かせません。まずはスクールカウンセラーや養護教諭、教育委員会の各種相談事業向けの研修をアイリスがサポートし、子どもたちが性のありようを肯定的に受け止められる環境を整えていきます。子どもたちには、リーフレットと相談窓口の情報を併せて配布していきます。 次に、部活動について2点のお尋ねに一括してお答えします。 区では、学校や教育委員会等と密接な連携を図りながら、渋谷ならではの部活動改革を調査・研究してきました。その結果、長らく学校生活になじんでいる現行の部活動を、よりよいものへ変革していくためには、まずは試行事業を実施し、その検証を行った上で、令和4年度新学期から本格実施することが望ましいと考えました。 そのため11月から試行事業として、サッカーやボウリングの合同部活動、フェンシングやパソコン等生徒の新たなニーズに即した種目を地域部活として新設し、取り組んでいきます。また、新たな部活動の運営には、段階的な学校の負担軽減、生徒のニーズに対して柔軟かつ的確に応えていけるよう、一般社団法人を10月に設立し、事業運営を行っています。 次に、eスポーツについては、プロ選手による国際大会も開かれ、国内外での関心や知名度も高まるとともに、コロナ禍においても、在宅でプレーができる等、多様な広がりと効果が期待されています。 一方、子どもたちにとっては、より安全・安心なeスポーツの楽しみ方を指導する必要があるとも思っています。そのため、11月から施行されるパソコン部の活動の中で、一定のカリキュラムやガイドラインに沿って、専門の指導者に御協力をいただき、活動ができないかと、現在、準備・調整を進めているところです。 また、ゲーム操作によって反射神経や状況判断、高度な戦略・戦術を身につける新たなスポーツの楽しみ方としてeスポーツを発信することができればと思っています。 次に、福祉について、大きく3点のお尋ねです。 初めに、高齢者福祉についてです。 デジタル機器を活用した地域住民の「つながりの場づくり」への支援と、デジタルデバイド解消事業の進捗についてお答えします。 現在、感染拡大防止のため、サロン等の高齢者の「通いの場」の多くが活動を自粛している状況にありますが、ウィズコロナでの「通いの場」の在り方としては、オンラインでの交流や活動によって継続性を高めていくことが重要であると考えます。 「第8期渋谷区高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」では、「新しい生活様式に適した社会参加の支援」を重点的な取組の一つに掲げ、コロナ禍においてもオンラインを活用して、自宅で介護予防や健康づくりに励むことができる施策を展開していきます。 現在、自宅でできる簡単な体操の動画を配信しているほか、一部の運動講座については、会場で実施すると同時に、リアルタイムで配信し、自宅からオンラインで参加いただける仕組みを準備しています。 また、「通いの場・自主グループ立ち上げ支援研修」においても、研修プログラムの中で、スマホやオンラインを活用した活動方法を視野に入れて実施するなど、ウィズコロナでの「通いの場」の活動の支援をしてまいります。 デジタル機器を活用した地域住民の「つながりの場づくり」の支援については、まずは前提となるデジタルデバイドの解消を進めながら検討していきます。 高齢者デジタルデバイド解消事業については、今月6日から実証事業の参加者約1,700人に対して、順次スマホを貸与し、講習会を開始しています。12月の上旬にかけて、講習会を3回、個別相談会を1回実施し、スマホやアプリの操作に慣れていただくとともに、個人の習熟度に合わせたアドバイスを行ってまいります。 それらの結果を踏まえた上で、既にスマホをお持ちの方も対象とした講習会の展開や手厚いサポート体制を整え、スマホやアプリを楽しみながら利用していただけるよう、継続的に支援してまいります。 次に、高齢者のモニター参加と福祉分野のIoTの推進についてお尋ねです。 スタートアップのモニター制度については、現在700人を超える区民がモニター登録しており、スタートアップ企業に対しての実証の機会を提供できる体制を整え、実証実験を開始しました。 登録者の割合としては、高齢者モニターはまだ少ないのが現状であるため、引き続き様々な機会を通じてモニター登録を呼びかけるとともに、高齢者の健康増進やフレイル予防のためのアプリについては、高齢者が集う施設を実証実験の場として活用することも検討しております。 福祉分野のIoTの活用と「社会参加活動ポイント制度」にモニター活動を対象とすることについては、今後、実証実験の結果を踏まえながら研究してまいります。 次に、相談体制について3点のお尋ねです。 初めに、議員御指摘のとおり、「機能強化型地域包括支援センター」で、高齢・障がい分野を一体的に受け付ける相談窓口の設置も含め、相談先が分からず不安を抱えている方々に、現在の区内の相談先について分かりやすく発信し、相談につなげていくことは大切だと考えます。 現在、区役所2階の障がい者福祉課の窓口をはじめとした区設置の相談機関のほか、民間事業者で様々な相談を受けています。これらの相談窓口が、どこでどのような相談を受けているのか、様々な困難を抱えている方に分かりやすく伝わるように、区ホームページへ福祉の相談窓口をまとめて掲載するなどの見直しを図り、一層の周知に取り組んでまいります。 次に、相談を受けた後に支援や対応を統括する内部の仕組みづくりについてのお尋ねです。 複合的な課題を抱える事例に関しては、その課題を解きほぐし、本人や世帯の状況をアセスメントした上で、関係部署の役割分担や支援の方向性を整理することが欠かせません。ケースに応じて関係者を招集して支援会議を開催し、支援プランを作成した上で、関係部署や支援機関等と連携を図りながら、課題の解消まで継続的に支援を行うことが重要であり、その連携の中核を果たす組織の設置が必要です。 議員御指摘のとおり、早期から関係部署との連携を進めていく必要があり、既に庁内検討会を立ち上げ、準備組織の設置を視野に入れ検討を進めています。 次に、断らない相談窓口の設置についてのお尋ねです。 コロナ禍などの影響により、区民ニーズがさらに多種多様化することから、一つの制度・分野にとどまらない複合的な相談が急増していくことが予想されます。 そのため、本年第2回定例会で、貴会派岡田麻理議員から御提案いただいた「断らない相談窓口」の設置は急務であると考え、継続的に検討を進めているところです。今後は窓口設置に向けたワーキンググループを立ち上げ、スピード感を持って全庁横断的に取り組んでいきます。 「断らない相談窓口」の設置に加え、地域づくり事業や参加支援事業などの整備も同時に行い、重層的支援体制整備事業を推進してまいります。 次に、セクシャルマイノリティー啓発や支援の強化に関する質問です。 渋谷男女平等・ダイバーシティセンター<アイリス>では、センターでの啓発講座の開催に加えて、区内の大学や事業所等の求めに応じ、様々なテーマの出張啓発を行ってきました。コロナ禍にあっても断続的に問合せが入ってくるため、来年度に向けて出張啓発とアライづくり強化の可能性を探っていたところです。 また、セクシャルマイノリティー相談支援を担える人材が少ないことが課題となっていますが、これまで様々なセーフティネットを担ってきた民間社会資源において、セクシャルマイノリティー対応が進んでいないことも、その一因です。 アイリスが実施している「にじいろ電話相談」の相談件数は、民間等での相談事業が増えていることもあり、今のところ逼迫には至っていません。しかしながら、前述の出張啓発強化の一環として、様々なセーフティネットに関わる民間の社会資源への啓発及び区と協業できる社会資源開拓の可能性についても、併せて探ってまいります。 次に、スタートアップ支援について4点のお尋ねです。 初めに、渋谷区のスタートアップ支援が掲げるコンセプトについてです。 渋谷区は2,000社を超えるスタートアップが存在する国内最大の拠点です。特定のコンセプトやテーマを決めることよりは、ダイバーシティとインクルージョンが「渋谷区基本構想」であることからも、スタートアップに関しても、「ちがいを ちからに 変える街。」であることが重要であると考えます。グローバル拠点都市として、より国際化を支援することに力を入れていきます。 次に、他の自治体との連携についてです。 他自治体との連携については、御指摘のとおり、それぞれの特徴を生かした相互補完ができればと考えています。例えば、協定を結んだ神戸市には豊かな自然や農地があり、医療系ベンチャーが強いという特色もあります。市場の観点でも、実証実験の観点でも補完し合える関係にあります。 また、自治体間連携は、スタートアップへの機会創出にも寄与できます。各自治体はそれぞれの地域課題を抱え、都市戦略も異なります。したがって、自治体間連携することで、各地域のスタートアップの発想力やソリューションを実装する市場を広げ、スタートアップ企業に、より大きな機会を提供することができます。 さらに、神戸市とは新しい起業の形の創出として、神戸、渋谷と異なるロケーションにいる人材がチームを組成し起業する実証実験を開始しました。自治体間連携を通じ、スタートアップの育つ多様な環境をつくっていきます。 次に、実証実験事業についてのお尋ねです。 現在行っている実証実験事業の中で、社会課題に向き合った実証実験の事例として、意義ある実験が幾つか行われています。不登校の学生を対象にしたAIロボットによる学習補助の実証を開始しているほか、オンデマンド型シャトルを展開する企業とは、コロナ禍での密の回避や、新しい通勤の形を考える上での通勤シャトルサービスの実験をササハタハツで行いました。また、女性活躍社会実現のため、女性の健康問題のオンライン相談アプリの実証を、区民モニター制度を利用し実施しています。社会問題に寄り添った企業の新しい技術が、より洗練されたものになるよう、受入れ態勢を充実させていきます。 次に、官民連携オープンイノベーションの常設設置や、WANTEDリストの公開についてです。 官民連携オープンイノベーションの常設拠点については、現在、場所も含め、検討を進めているところです。また、区の課題の公開については、実証実験事業のサイトでの公開を既に始めています。さらに、実験的ではありますが、区の所管課と大企業、スタートアップ企業間で、区の課題に関する対話を行い、解決策を探る試みを開始しています。 今後は、区の課題にとどまらず、様々な課題を可視化していくことで、社会課題解決につながるイノベーションの創発の機会を増やしていきます。 次に、エンターテインメント支援についてのお尋ねです。 区では、新型コロナウイルスの感染拡大防止と事業者支援のため、昨年度、商店会連合会と連携して、飲食店を中心にCO2測定器やパーティションなどの感染対策グッズを配布し、今年度も第2弾を行っています。 現在、ワクチンの接種も進んではいますが、感染症の影響は依然として続いており、飲食店やライブハウスなど、多くの事業者が通常の営業が困難な状況にあることから、感染拡大防止に引き続き取り組んでいく必要があると考えています。 議員御提案の適切な換気方法の周知については、現在、感染症対策のガイドラインが各業種ごとに整備されており、また、各店舗の構造によっても状況が異なることから、店舗への周知に当たっては、しっかりとガイドラインや科学、医学的な知見も含めて検証する必要はありますが、感染対策を進める一つの手段だと考えます。 その上で、今後重要になってくる、政府が検討を開始している行動制限緩和指針やワクチン接種証明書の電子化などの動向を先取りし、基礎自治体に求められる体制整備をしっかりと行ってまいります。 次に、防災について、災害時の情報発信についてのお尋ねです。 鹿児島市のシステムでは避難所の混み具合を「空いています」「やや混雑」「混雑」「満員」の4段階に表示することができます。一方、本区では、新庁舎移転と同時に刷新した防災システムによって、避難所の避難者数を情報として管理することが可能となっており、避難所が満員の場合は、情報ポータルサイトや防災アプリの地図上の避難所マークを赤く表示して知らせる機能があります。 ただし、議員御提案にありますように、避難所の混雑状況は、コロナ禍においては、特に、区民にとって、避難先の選択の判断に必要な重要な情報と考えますので、今後、よりきめ細かい避難所の混雑情報をリアルタイムで提供できるよう、システム改修などを検討してまいります。 次に、災害時の被災者の健康をサポートするために、オンラインでの健康相談を活用することについてお答えします。 区は、発災初期に緊急医療救護体制を確保した後に、医療支援等に関する調整・情報交換を可能とするように体制を整備し、医療やメンタルヘルス支援の専門家チームが巡回して、避難所等における被災者の健康状態の把握や健康管理が行われるよう支援します。 さらに、これらをサポートするものとして、医療職の職員等がオンラインで相談対応する仕組みについても検討してまいります。 次に、ハチ公バスについてのお尋ねです。 本区は誰もが安心して快適に移動できるよう、様々な取組を行っており、その一環としてハチ公バスを運行しています。 議員御指摘の福祉乗車券については、福祉的要素を中心に据えたハチ公バスの運行に合致するものと考えますが、その一方で、バス事業者の収入を補填している補助金の増額抑制も重要な課題です。このため、引き続き利用実態の把握に努めながら、渋谷区に適したハチ公バスの在り方について検討してまいります。 次に、移動支援についてのお尋ねです。 議員御指摘のライドシェアといった新たな移動手段については、利用者のニーズに応じたサービスが受けられることから、坂が多いことなどにより、移動が困難な地域の利便性向上にも有効な手段であると考えます。 このライドシェアについては、本年7月から、渋谷駅周辺において、民間事業者によるサービスが展開されるとともに、スタートアップ企業により、西新宿と笹塚・幡ヶ谷・初台エリアを結ぶ通勤シャトルの実証実験も実施されています。こうした事業者との意見交換や情報収集などを行いながら、今後とも渋谷区にふさわしい移動手段の在り方について、研究してまいります。 次に、環境とコミュニティについて、大きく4点のお尋ねです。 初めに、区民や民間資源との協働についてです。 本定例会冒頭で申し上げたとおり、区や東京都は2050年までの温室効果ガスの実質ゼロを表明しており、これに呼応する取組が急務であると考えています。 現在、特別区長会調査研究機構で研究している「ゼロカーボンシティ・特別区」に参画しており、脱炭素に向け、知見を深め、令和5年度「渋谷区環境基本計画2018」の中間見直しにつなげていきたいと考えています。 来年度は、中間見直しに当たり、区民意識調査を実施する予定ですので、その中で、議員御発言の未来を担う10代から30代までの御意見も聞かせていただければと考えています。 また、「気候シブヤ民会議」の開催については、「渋谷環境シンポジウム」のオンライン開催など、コロナ禍で培った意見交換・集約の新たな手法の実績を踏まえ、誰もがより気楽に参加できる方法がないかを検討してまいります。 次に、未来志向、持続可能な取組につなげるステークホルダーへの支援についてですが、渋谷区環境基本計画では、「わたしが動く。渋谷が変わる。」を、計画が示す渋谷区の姿としています。 持続可能な社会の実現は、一人一人の意識や行動が重要です。本区として、引き続き「渋谷サステナブル・アワード」を通した環境に優しい取組を広く紹介し、一人一人の行動につなげていきたいと思いますので、現時点では、費用を助成することは考えていません。 次に、まちの緑化についてのお尋ねです。 本区には、緑化に関する計画として、計画期間をおおむね10年とする「渋谷区みどりの基本計画」があり、屋上緑化や壁面緑化を推進してきました。また、基本計画を補完する目的で、「渋谷区みどりの整備方針」を平成28年に策定し、以来、みどりの創出、保全、啓発していく地域社会の構築を目的として、「みどりの質の向上」、「緑被率、緑視率の目標達成」に努めてきたところです。 都市における多様な緑化による「見えるみどり」の創出は、豊かな都市景観の形成、にぎわいの創出、ヒートアイランド現象の緩和につながるものと考えます。 現在、上位計画である「渋谷区環境基本計画2018」の中間見直しを来年度着手する予定ですので、「渋谷区みどりの基本計画」の改定については、新たな上位計画と整合を図りつつ、「まちの緑化」を推進する具体的な計画としていきたいと思います。 次に、コンポストについてのお尋ねです。 本区は、ごみ減量に取り組むため、生ごみの減量に向けた実証事業を進めており、この詳細は先月、所管委員会を通じて議会に御報告を申し上げたところです。 本実証事業は、議員御発言のとおり、生ごみを微生物で分解し、堆肥としない取組です。 実施に当たっては、23区初となる生ごみの拠点回収の仕組みを取り入れ、参加者が、微生物の入った容器に直接ごみを投入することを想定しており、安全に、継続して運用することができるか、また、微生物のごみ処理能力等を併せて検証するものです。 安全性、有効性、経済性、そして環境負荷の程度、これらのいずれにも一定の効果が確認できれば、将来的には区施設や地域の拠点に設置し、渋谷区から排出される生ごみの一層の減量につながるものと考えます。 次に、ササハタハツプロジェクトについて2点のお尋ねです。 初めに、本区のまちラボとしての拠点ですが、まずは、ササハタハツエリアで都市開発事業等を進める民間企業に対して積極的な協力を求め、地域コミュニティとしての拠点となるような設置を具体化していきたいと考えています。 そして、玉川上水旧水路緑道の整備に合わせて、拠点の整備についても、今後検討を進めてまいります。 また、ササハタハツの地域プロジェクトに対して、継続してまちラボが伴走支援していくとともに、プロジェクトリーダー会議の開催や、プロジェクトの成果発表会などにより、地域コミュニティを醸成していきます。 地域の居場所づくりについては、地域プロジェクトとも連携しながら、幅広い住民参加による様々な形態でのコミュニティ活動を通じて進めていきたいと考えています。 次に、緑道を拠点として、地域がつながる仕組みをどのようにデザインしていくかのお尋ねです。 玉川上水旧水路緑道の整備については、ササハタハツ会議や出張座談会等を開催し、幅広い地域住民の御意見をいただきながら検討を進めています。議員御指摘のとおり、ハード面の整備だけでなく、ファームに集う人がどのように活動するのか、というソフト面の整備も重要です。 今年度は様々なノウハウを持った方々と、まちラボとの連携により、緑道における実証実験に取り組む予定です。緑道に集う人々が関わりたくなるような場所と、つながりをつくるコミュニティの場を提供したいと考えています。 本プロジェクトは、地域の人々にとって居心地、住み心地の充足といった「ウェルビーイング」を軸にまちづくりのデザインを進め、そのためのパブリックスペースとしての緑道整備と、まちづくりが密接に連携したプロジェクトとして、地域共創型でしっかりと進めてまいります。 次に、手続のICT化についての御質問です。 保育園入園申込みや現況届などの手続については、申込みから結果公表までの一連の流れをデジタル化するため、順次検討を進めているところです。昨年からは、AIによる入所選考を導入し、結果公表までの期間を短縮するなどの一定の効果を上げています。 オンライン申請についても、この夏から一部の証明書発行手続について、電子申請の取扱いを開始しました。今後、現況届や入園申込みなどの他の手続についても順次拡大していく方向で検討を進めます。 議員御指摘のとおり、障がいのあるお子さんが保育課と障がい者福祉課でそれぞれの手続が必要な場合があります。いずれかの窓口で手続がワンストップでできるよう、職員同士の連携を図ってまいります。 将来的には、非来庁型サービスと、対面での丁寧な受付のどちらでも、対応に満足いただける窓口の実現を目指してまいります。 最後に、各種届出について、渋谷区オリジナル届出書の作成についてのお尋ねです。 議員御提言のとおり、区で取り扱っている各種届出には、人生の節目に関する届出も多くあります。特に、戸籍の届出に関しては、人生最大のイベントとも言える婚姻届や出生届など、記念に残る届出があり、最近では官民を問わず様々なところからオリジナルの届出書が作成されています。 渋谷という街を愛していただき、人生の大きなイベントである婚姻届や出生届を大好きな渋谷区へ届出いただき、記憶に刻んでいただくことは大変ありがたいことだと感じています。 これからも一層、渋谷区を好きになっていただくためにも、渋谷らしい取組で、皆様をおもてなしできればと考えています。 戸籍の届出は、届け出た後は現物がお手元に残らないため、御提言のとおり、複写式などの検討が必要であることや、現在は無料でお渡ししている届書を販売し手数料を徴収するかという課題もあります。例えば、申請に応じて交付している届出の受理証明書を現在の無機質なものから特別な仕様として交付すれば、心に残る思い出にとどまることなく、見た目にも記念品としていつまでも残しておくことができます。また、デジタル発行も視野に入れれば、劣化することなく永遠に保存できることも検討できると思います。 受理証明書は一つの例ですが、今後、各種届出においてどのようなサービスが求められているかを検討し、電子化での対応も視野に入れて、渋谷らしさが出せるよう研究をしてまいります。 以上、私からの答弁といたします。 ○議長(斎藤竜一) 五十嵐教育委員会教育長。 ◎教育長(五十嵐俊子) 私には、喫緊の課題について1点、教育について2点のお尋ねがありました。順次お答えいたします。 初めに、分散登校期間中における学びを止めないための工夫と、感染拡大時の児童・生徒の学びのフォローや教室での密対策についてのお尋ねです。一括してお答えいたします。 まず、分散登校期間中において、登校せずに自宅等で学習する子どもたちには、同時双方向型のオンラインを活用した学習指導や、課題の発信・提出などによる学習を行いました。その際、オンライン上でコミュニケーションを図るなどして、子どもの学びを支援したところです。 また、感染拡大時における密対策として、渋谷区立園学校版感染症予防ガイドライン等に基づき、分散登校によって教室で学習する人数を減らし、座席の間隔を1メートルから2メートル以上確保したり、適切な換気や対面とならない学習活動を行うことで、密集・密接を回避するなど、学校における感染防止対策の徹底を図ってまいります。 次に、SOGI理解を踏まえた教育の実践についてのお尋ねです。 教育委員会では、令和3年6月に人権教育推進研修において、「性同一性障がい者」「性的指向」を含めた人権課題について、学校でどのように指導するのかを教員自身が考える研修を行いました。その際、社会において「性的指向」を理由とする偏見や差別がいまだに起きていることから、教職員が「性的指向」や「性自認」について理解を深め、その必要性に関して協議したところです。 今後とも、教育委員会といたしましては、学習指導要領や東京都教育委員会が発行している資料等を活用しながら、関係機関とも連携し、児童・生徒が性に関する正しい知識を身につけ、適切な意思決定や行動選択ができるよう、性教育の充実に向けた学校の取組を支援してまいります。 次に、標準服に関する2点についてのお尋ねです。一括してお答えいたします。 本年初めに、区で実施した「男女平等および多様性社会推進に関する意識調査」では、渋谷区内の中学2年生の7.9%が性的マイノリティーに該当することが明らかになりました。この内訳を見ると、性別に関して違和感を持っている生徒が大半を占めており、制服に関する不安のコメントも寄せられています。こうした戸惑いを抱えた生徒であっても安心して通える学校づくりが重要です。 一方、性的マイノリティーの生徒の多くは、大人からは見えていません。そのため、保護者への周知だけでは不十分であり、全ての生徒に対して選択肢があることを伝える必要があります。 このような背景も含め、学校は標準服の選定や見直しを行う場合は、児童・生徒、保護者等の意見も聞きながら、決定することが望ましいと考えています。 現在、区立中学校と小学校の一部は標準服であり、性別に対して違和感を持っている児童・生徒への配慮、動きやすさ、防寒対策等の観点から、児童・生徒がスラックスでもスカートでも自由に選択することが可能であり、各校の新入生、保護者説明会においても、保護者に案内をしています。また、スラックスやその他の標準服以外の衣服についても、男性用、女性用ともに、それぞれのサイズに合ったものを選べるようになっています。 また、これまで学校は、スラックスやスカートに加え、ネクタイやリボンを選択できるようにするなど、子どもたちが自分らしさを大切にできるよう対応してまいりました。 教育委員会といたしましては、今後とも国の動向や他地区の取組を情報提供するなど、学校が児童・生徒や保護者等のニーズも踏まえ、適切に標準服の選定や見直しができるよう支援してまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。
    ○議長(斎藤竜一) 5番橋本侑樹議員。 ◆5番(橋本侑樹) 区長、教育長、それぞれ御答弁ありがとうございました。幾つか所感を述べさせていただきます。 まずは、コロナ対策についてですが、きめ細やかな情報発信の強化、自宅療養者の容態に応じた対応が取れる体制を整えていただくということで、大変な中ですが、できるだけ早くの体制の整備をよろしくお願いいたします。 子育てについては、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツについての情報発信を充実していただけるということで、若い世代に届くよう工夫された発信をお願いいたします。 また、ひとり親支援についても前向きに検討していただけるとのことで、せっかくの国の補助制度ですので、是非とも活用してください。よろしくお願いいたします。 教育については、SOGI理解や部活動についても、児童・生徒に寄り添い、柔軟に対応していただけるとのこと、うれしく思います。 標準服については、全ての生徒に選択肢があるとの案内をしているという答弁があったんですけれども、残念ながら、私が調べている限りというか、情報として実際に公開されていなかったり、届いていないというのが現状だと思います。是非やはり渋谷区としても、渋谷区は自由に選べるんだと強く発信していただきたいなと思います。それが、子どもたちが安心して学校を選べるということにつながると思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。 そして、福祉については、ウィズコロナでの通いの場づくりを進め、相談窓口の発信については、分かりやすいように見直し、包括的相談窓口の準備組織をつくる。また、断らない相談窓口の設置を進めていくとのことで、ありがとうございます。是非、今、困っている方々のためにも、スピード感を持って進めていただきたいと思います。 産業振興については様々なトライが行われていること、すばらしいと思います。グローバル拠点都市推進室が設置されてから、渋谷でも、イノベーションや連携がどんどん起こるのだろうと、非常に期待をしておりました。WANTEDリストの公開、他自治体との連携、大いに効果があるということですので、連携の輪を是非広げていってください。 防災については、避難所の避難状況のリアルタイム発信や、オンラインでの健康相談の提案について、前向きに検討していただけるとのこと、非常にありがたく思います。安心の災害対策が進むことを期待しております。 環境とコミュニティについては、「気候シブヤ民会議」の実施や、まちラボの拠点設置の具体化、「ウェルビーイング」を軸にしたまちづくりなどの検討とのことで、大変前向きな答弁、うれしく思います。今後とも健やかに生きられるまちづくりを実現する提案を、私たちも行っていきたいと思います。 区民サービスについても、申込みの電子化の拡大、手続ワンストップ化など、一層の利便性の向上と、渋谷らしい届出の取組ができる日を楽しみにしております。 全て、こんな大変な社会情勢の中でも、渋谷は前進していくんだと強く感じる答弁をいただき、この街の未来に希望を感じることができました。 シブヤを笑顔にする会は、渋谷のみんなが安心して笑顔で過ごせる日常をつくるために、これからも政策提言に邁進していくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(斎藤竜一) 以上をもって区政一般に関する質問を終わります。 これから日程に入ります。 日程第1を議題に供します。     〔前崎次長朗読〕----------------------------------- △日程第1 会期決定の件----------------------------------- ○議長(斎藤竜一) お諮りいたします。 本定例会の会期は本日から10月13日までの31日間とすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(斎藤竜一) 御異議ないと認めます。 よって、会期は31日間と決定いたしました。 日程第2を議題に供します。     〔前崎次長朗読〕----------------------------------- △日程第2 同意第6号 渋谷区副区長の選任の同意について----------------------------------- ○議長(斎藤竜一) 提案理由の説明を求めます。 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) ただいま議題となりました同意第6号は、副区長として宮口小枝氏、旧姓使用、杉浦小枝氏を選任するため提出するものであります。 よろしく御同意いただきますようお願い申し上げます。 ○議長(斎藤竜一) これから質疑に入ります。質疑はありませんか。質疑なしと認めます。 本件は委員会付託を省略することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(斎藤竜一) 御異議ないと認めます。 よって、本件は委員会付託を省略することに決定いたしました。 これから日程第2を採決いたします。 本件は表決システムにより採決したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(斎藤竜一) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それでは、表決ボタンを押し、区長提案のとおり宮口小枝氏を渋谷区副区長として選任に同意することに賛成の方は青ボタン、反対の方は赤ボタンを押してください。     〔ボタンにより表決〕 ○議長(斎藤竜一) 押し忘れはありませんか。     〔「なし」の声あり〕 ○議長(斎藤竜一) なしと認め、確定します。 本件は、賛成者多数。 よって、宮口小枝氏を渋谷区副区長として選任に同意と決定いたしました。 日程第3を議題に供します。     〔前崎次長朗読〕----------------------------------- △日程第3 諮問第4号 人権擁護委員の候補者について----------------------------------- ○議長(斎藤竜一) 提案理由の説明を求めます。 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) ただいま議題となりました諮問第4号は、人権擁護委員の任期の満了に伴い、法の規定するところにより吉田俊則氏を推薦するため提出するものであります。 よろしく御決定いただきますようお願い申し上げます。 ○議長(斎藤竜一) これから質疑に入ります。質疑はありませんか。質疑なしと認めます。 本件は委員会付託を省略することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(斎藤竜一) 御異議ないと認めます。 よって、本件は委員会付託を省略することに決定いたしました。 これから日程第3を採決いたします。 本件については区長諮問どおり支障ない旨、答申することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(斎藤竜一) 御異議ないと認めます。 よって、吉田俊則氏を区長諮問どおり支障ない旨、答申することに決定いたしました。 お諮りいたします。 本日の会議は、議事の都合により延会することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(斎藤竜一) 御異議ないと認めます。 よって、本日の会議はこれをもって延会することに決定いたしました。 次回の会議は明9月14日午後1時に開議いたします。 なお、日程は当日、文書により御通知いたします。 本日の会議はこれをもって延会いたします。-----------------------------------     延会 午後4時42分-----------------------------------上会議の経過を記載し、その相違ないことを認め署名する。渋谷区議会議長  斎藤竜一渋谷区議会副議長 薬丸義人渋谷区議会議員  鈴木建邦渋谷区議会議員  吉田佳代子...