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  1. 渋谷区議会 2019-09-01
    09月10日-09号


    取得元: 渋谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2022-11-23
    令和 1年  9月 定例会(第3回)        令和元年 渋谷区議会会議録 第九号 九月十日(火)出席議員(三十四名)  一番  松本 翔      二番  岡 美千瑠  三番  中村豪志      四番  神薗麻智子  五番  橋本侑樹      六番  中田喬士  七番  小田浩美      八番  金子快之  九番  鈴木建邦      十番  斉藤貴之 十一番  一柳直宏     十二番  近藤順子 十三番  松山克幸     十四番  森田由紀 十五番  田中匠身     十六番  治田 学 十七番  堀切稔仁     十八番  須田 賢 十九番  斎藤竜一     二十番  下嶋倫朗二十一番  久永 薫    二十二番  沢島英隆二十三番  薬丸義人    二十四番  佐藤真理二十五番  吉田佳代子   二十六番  田中正也二十七番  牛尾真己    二十八番  丸山高司二十九番  木村正義     三十番  栗谷順彦三十一番  伊藤毅志    三十二番  岡田麻理三十三番  五十嵐千代子  三十四番  苫 孝二欠席議員(なし)-----------------------------------出席説明員    区長            長谷部 健    副区長           柳澤信司    副区長           澤田 伸    会計管理者         藤本嘉宏    経営企画部長        星野大作    情報戦略担当部長      松本賢司    総務部長          大澤一雅    財務部長          佐藤哲人    施設整備担当部長      黒柳貴史    危機管理対策部長      山中昌彦    危機管理対策監       吉見 隆    区民部長          菅原幸信    オリンピック・パラリンピック担当部長                  安蔵邦彦    文化・都市交流担当部長   佐藤賢哉    福祉部長          藤野貴久    高齢者政策担当部長     鴨井純子    子ども家庭部長       植竹ゆかり    子ども総合支援センター長  松澤俊郎    健康推進部長        山川博之    都市整備部長        加藤健三    まちづくり推進担当部長   江端治朗    土木部長          齊藤和夫    環境政策部長        北原竜也    教育委員会教育長      豊岡弘敏    教育振興部長        鴨志田暁弘    生涯学習・スポーツ振興部長 木下毅彦    選挙管理委員会委員長    福田昭子    選挙管理委員会事務局長   倉澤和弘    代表監査委員        神田健一    監査委員事務局長      丸山喜弘-----------------------------------事務局職員事務局長  斉藤則行       次長    野島一純議事係長  松嶋博之       議事主査  根岸正宏議事主査  武田真司       議事主査  市川洋子議事主査  杉村洋子       議事主査  井上晴代-----------------------------------   令和元年第三回渋谷区議会定例会議事日程             令和元年九月十日(火)午後一時開議日程第一       会期決定の件日程第二 同意第四号 渋谷区副区長の選任の同意について日程第三 議案第四十四号 渋谷区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例日程第四 議案第四十五号 会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例日程第五 議案第四十六号 地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係条例の整理に関する条例日程第六 議案第四十七号 渋谷区印鑑条例の一部を改正する条例日程第七 議案第五十号 渋谷区立公衆便所条例の一部を改正する等の条例日程第八 議案第四十八号 渋谷区保育料等徴収条例の一部を改正する条例日程第九 議案第四十九号 渋谷区特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例日程第十 議案第五十一号 渋谷区立幼稚園条例の一部を改正する条例日程第十一 議案第五十二号 渋谷区幼保一元化施設条例の一部を改正する条例日程第十二 議案第五十三号 幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例日程第十三 議案第五十四号 幼稚園教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例日程第十四 議案第五十五号 令和元年度渋谷区一般会計補正予算(第二号)日程第十五 議案第五十六号 令和元年度渋谷区国民健康保険事業会計補正予算(第一号)日程第十六 認定第一号 平成三十年度渋谷区一般会計歳入歳出決算日程第十七 認定第二号 平成三十年度渋谷区国民健康保険事業会計歳入歳出決算日程第十八 認定第三号 平成三十年度渋谷区介護保険事業会計歳入歳出決算日程第十九 認定第四号 平成三十年度渋谷区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算日程第二十 議案第五十七号 神南分庁舎跡地複合施設(仮称)建設電気設備工事請負契約日程第二十一 議案第五十八号 神南分庁舎跡地複合施設(仮称)建設空気調和設備工事請負契約日程第二十二 報告第九号 健全化判断比率の報告について日程第二十三 報告第十号 株式会社渋谷サービス公社の経営状況の報告について日程第二十四 報告第十一号 渋谷区土地開発公社の経営状況の報告について日程第二十五 報告第十二号 一般財団法人渋谷区観光協会の経営状況の報告について日程第二十六 報告第十三号 株式会社渋谷都市整備公社の経営状況の報告について日程第二十七 報告第十四号 公益財団法人渋谷区美術振興財団の経営状況の報告について-----------------------------------   開会・開議 午後一時----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) ただいまから令和元年第三回渋谷区議会定例会を開会し、本日の会議を開きます。 この際、会議規則に基づき、五番橋本侑樹議員、二十九番木村正義議員を本日の会議録署名議員に指名いたします。----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) 日程に先立ち、事務局長に諸般の報告をさせます。   〔斉藤事務局長報告〕----------------------------------- 本日の会議に欠席、遅刻の届け出の議員はありません。----------------------------------- 本日の会議に出席を求めた説明員は、次のとおりであります。 長谷部区長、柳澤副区長、澤田副区長、藤本会計管理者、星野経営企画部長、松本情報戦略担当部長、大澤総務部長、佐藤財務部長、黒柳施設整備担当部長山中危機管理対策部長吉見危機管理対策監、菅原区民部長、安蔵オリンピック・パラリンピック担当部長、佐藤文化・都市交流担当部長、藤野福祉部長、鴨井高齢者政策担当部長、植竹子ども家庭部長、松澤子ども総合支援センター長、山川健康推進部長、加藤都市整備部長、江端まちづくり推進担当部長、齊藤土木部長、北原環境政策部長、豊岡教育委員会教育長鴨志田教育振興部長、木下生涯学習・スポーツ振興部長、福田選挙管理委員会委員長倉澤選挙管理委員会事務局長、神田代表監査委員、丸山監査委員事務局長----------------------------------- 監査委員から令和元年五月末日現在、六月末日現在及び七月末日現在における例月出納検査の結果について報告がありました。----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) 私からも御報告いたします。 議員派遣の件の一部変更について御報告いたします。 本年六月十九日、第二回定例会において議決されました議員派遣の件の一部につきまして、本職において議決事項の一部を六月二十日及び七月二十四日に変更決定いたしましたことを御報告いたします。----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) 区長から発言の通告がありますので、これを許可いたします。 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 本日ここに令和元年第三回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案について御審議をお願いすることとなりました。 この機会に、当面する区政の課題について御説明申し上げ、区議会及び区民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。 今年の夏は、梅雨明けが遅く、夏らしい季節が短かったようにも感じましたが、議員各位におかれましては、それぞれ地域活動や管外視察、選挙など、充実した大変お忙しい夏を過ごされたことと思います。 私は、今年、梅雨明け前の六月末から七月初めにかけて、かねてより招待を受けていた「ニューヨーク・シティ・プライド(NYC Pride)」に、毎年ゴールデンウイークに渋谷で開催されている「東京レインボー・プライド」の主催者の皆様と御一緒に初めて参加してきました。 「ニューヨーク・シティ・プライド」は、世界中のLGBTパレードの始まりと言われており、今年は、そのきっかけとなった「ストーンウォールの暴動」から五十周年という節目の年で、パレード参加者が十五万人、来場者が三百万人という史上最大規模でした。ニューヨークの街はいつにも増して盛り上がりを見せ、街中がLGBTフレンドリーをあらわすレインボーに彩られていたのが印象的でした。 ニューヨーク市議会を表敬訪問した際には、二年前に本区に来訪されたリッチー・トーレス議員とも再会し、本区のダイバーシティの取り組みに対し、ニューヨーク市議会から感謝状をいただくというサプライズもありました。 一方、同じく表敬訪問した国連では、「アジアの国々の中でも、日本と中国はLGBTの人権において、なかなか難しい国。渋谷区がLGBTの人権擁護を推進していることに感謝している」との話を伺い、誇らしく思うと同時に複雑な気持ちにもなりました。 また、一九九〇年に、LGBTの人とLGBTをアライする先生たちのグループの活動から始まり、今や全米最大のNGOとなった「グリセン(GLSEN)」に伺った際に、生徒や先生への支援、調査研究など、大変幅広い活動を行っていることを知り、教育分野におけるLGBTの取り組みについては、日本でやるべきことがまだまだ多くあると痛感しました。 今回のニューヨーク視察では、LGBTだけでなく、多様性を包含してまちづくりを推進している様々な団体も訪問しました。 「ハイライン」は、かつて放置され、荒れ果てていた貨物用の引き込み線路でしたが、市民が声を上げたことをきっかけに、最終的にすばらしい緑道公園に再生された、今やニューヨーク市民にも観光客にも愛されている憩いの場です。 ちょうど、笹塚・幡ヶ谷・初台の玉川上水旧水路緑道と同程度の長さでもあり、その建設の知見を、本区が進めている「ササハタハツ」の取り組みに生かすことで、より愛される緑道のビジョンが描けるのではないかと思いました。 また、渋谷でも年末に行っている「カウントダウンイベント」の大先輩「タイムズスクエアアライアンス」にも行ってきました。 タイムズスクエアが世界的に有名な観光スポットになるまでには、清掃や防犯に地道に取り組んだ後に、歩行者優先の道路整備を行ったという長い苦労の歴史があったそうです。今や人々が安心して集える観光スポットになったタイムズスクエアからは、とても学ぶところが多いと感じました。アライアンスの皆様とも、「何かコラボレーションができたらいいですね」と盛り上がったので、是非とも何か形にできたらと思います。 さらに、ニューヨーク市観光協会は、民間や行政におけるLGBTに係る取り組みのハブの役割を担っており、ダイバーシティ・アンド・インクルージョンを推進する立て役者であることを知り、彼らの持つプラットホームは、産官学民による社会課題解決を目指す本区にとって、非常に参考になると感じました。 そして、今回、行く先々で、渋谷区が掲げる基本構想「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」へ、強い共鳴の言葉をいただきました。それは、ニューヨークの人たちが、自分たちのシティプライドがダイバーシティにあると強く信じていることに由来する共鳴です。ダイバーシティ・アンド・インクルージョンの推進を通じて、成熟した国際都市を目指すという私たちのビジョンは間違っていなかったのだという確信を新たにしました。 加えて、お土産に持参した、シブヤフォントのタオルやYOU MAKE SHIBUYAピンズ、オリパラピンズは、取り組みの背景も含めて大好評でした。 これまで以上に、いろいろな方々と手を携えて、共生社会づくり、まちづくりに取り組んでいこうとの思いを強くしたニューヨーク視察となりました。 次に、ハロウィーン対策についてです。 ここ数年のハロウィーンの時期における渋谷駅周辺地域の騒然たる混乱状況を改善するために、前回の定例会において「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」を上程したところ、多数の賛成を得て、同条例は可決成立しました。 ハロウィーン対策の基本となるのが、条例の骨子である公共の場所における飲酒の制限や各種迷惑行為の禁止、また、事業者に対する酒類の販売自粛の協力要請です。 現在、条例の骨子をどのように周知徹底し、実践するか、さらに、不足しているトイレの確保、ごみ対策、道路開放を含めた交通規制のあり方などについて、地元の商店街や町会、事業者や警察関係者などとの協議を続けており、東京都や民間事業者の協力を求めながら、実効性のある対策を検討し、今年のハロウィーンにおける安全・安心の確保に最善を尽くしてまいります。 次に、スタートアップ・エコシステム拠点形成についてです。 現在、内閣府などが中心となり、「スタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」が進行中です。これは、簡潔に申し上げますと、自治体、大学、民間企業等がコンソーシアム(協議会等)を組成し、世界の都市に負けない起業しやすい拠点都市の形成を目指すというものです。 内閣府は、このような拠点都市を今年度末には、全国で二、三カ所選定し、制度面・資金面で集中支援するとしています。 本区は国際的にも知名度があり、IT企業が集積し、スタートアップ企業の支援拠点やコワーキングスペースも数多くあるなど、スタートアップ・エコシステムの拠点都市として、最もふさわしい都市であると言えます。 今後、スタートアップ・エコシステムの拠点都市を目指し、庁内に検討組織を設置し、積極的に取り組んでまいります。 「東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会」まで、いよいよ一年を切りました。大会へ向けた開催準備に当たって、試行とその検証が行われています。選手も大会出場を目指して、合宿や国際大会への出場など準備に余念がありません。 こうした中、区内でも国際大会や「東京二〇二〇大会」のテストイベントが開催されます。十月十六日からは日本を含む世界ランキング上位八カ国による「車いすラグビーワールドチャレンジ二〇一九」が東京体育館で、十一月十三日からは「JAPANパラバドミントン国際大会二〇一九」が国立代々木競技場で開催されます。 両大会では、区民観戦や学校観戦を予定しています。来年の本大会を前に、世界トップレベルの選手のプレーを間近で観戦し、大きな声援を送っていただき「応援する文化」が根づくことを願っています。 次に、幼児教育・保育の無償化についてです。 本区は、これまで子育て世代の経済的な負担軽減のため、保育料の軽減並びに認証保育所の保育料の補助及び認可外保育施設の保育料の補助など、様々な施策に先駆的に取り組んでまいりました。本年十月から、幼児教育・保育の無償化が実施されますが、今後も国や東京都の施策との整合性を図りつつ、子育て世代の経済的な負担軽減に取り組んでまいります。 また、幼児教育・保育の無償化の実施に伴い、新たに手続が必要となる方もいらっしゃいますので、区ホームページなどや、利用されている各施設を通じて丁寧に周知を図ってまいります。 次に、「新島青少年センター」についてです。 管外にある青少年施設として、長年区民に利用されている「新島青少年センター」は、昭和四十五年の開設から来年で五十年を迎えます。これまで多くの青少年団体や御家族が宿泊利用し、東京都でありながらも離島ならではの自然体験ができる施設として多くの区民に愛されてきました。 しかし、築五十年を迎える当施設は、施設の老朽化や設備不足など、御利用される方に不便を感じさせる部分もあり、さらに、今年度末をもって土地賃貸借契約も満了を迎えます。 本区といたしましては、近年の利用状況から区民ニーズが十分にあること、また、これまでの新島村との交流を鑑み、土地の賃貸借契約を更新した上で、施設の建替えを含め、青少年施設としてのあり方を検討してまいります。 なお、今回の台風十五号により、宿泊棟の一部に甚大な被害があり、当面の営業に大きな支障が出ています。このことには、迅速な対応策を検討してまいります。 次に、教育における取り組みです。 まず、本区が進めるICT教育に関してですが、渋谷区教育委員会は、本年六月に区内企業五社と、プログラミング教育協定を結びました。今後は各社と連携を図り、次年度から小学校で全面実施となるプログラミング教育の実施に向け、それに係る授業支援やカリキュラム開発などを進めてまいります。また、十一月八日の「渋谷タブレットの日」においても、プログラミング教育の授業を公開する予定です。 現在、区内の全小中学校は「日本教育工学協会」が実施するICT教育の意図的・計画的な活用を進めている学校を認定する「学校情報化優良校」の取得に向けた取り組みを行っています。既に八校の小中学校が認定を受けていますが、今後、全校での認定を目指し、本区が地域として「学校情報化先進地域」の指定を受けることを目標としています。 次に、オリンピック・パラリンピック教育の充実に関する取り組みです。来年の本大会では、区立幼稚園の五歳児、区立小中学校の全児童・生徒がいずれかの競技を観戦する計画を立てており、今月末には、実際に観戦する日程等が決定します。本大会は、海外から多くの来街者が訪れることから、多様性の理解や、おもてなしを考える機会でもあります。 今後は、実際に観戦する競技や参加国について調べたり、まとめたりするなどして、理解をさらに深めていくとともに、区民部と教育委員会が連携し、各小中学校で、横断幕の作成などのシティ・ドレッシングの取り組みを行います。 また、昨年度から始めた「Cheer up(チア・アップ)表彰」にも取り組み、応援することを通して大会や選手を支えていくことにつなげてまいります。 さらに、リアル観戦事業などの機会を利用して「ボランティア精神」の醸成を図り、オリンピック・パラリンピック教育を一層推進してまいります。 次に、渋谷公会堂についてです。 来る十月十三日に渋谷公会堂は「LINE CUBE SHIBUYA」として新たに開設する運びとなりました。当日は、午前中に開設記念式典を、午後には区内文化団体などによる開設記念イベントを予定しております。 また、開設後は、十月十六日から二十七日までの間で八日間、指定管理者による「こけら落とし公演」が行われるほか、翌月の十一月四日には、こどもテーブル事業への寄附を目的とした区主催のチャリティーイベントも予定しております。 今後も、本区の文化・芸術の発信拠点として、区民のみならず多くの皆様から愛されるホールとなるよう、指定管理者とともにしっかりと運営してまいりたいと考えております。 最後に、福祉についてです。 まず「渋谷生涯活躍ネットワーク・シブカツ」についてです。 「シブカツ」は、プレシニア世代からアクティブシニア世代の区民一人一人の人生を、豊かで充実したものにすることを目的に、七月一日に、渋谷ヒカリエ八階に開設しました。 シブカツの支援の柱は「学ぶ」「はたらく」「つなぐ」の三つです。「学ぶ」の支援では、新たな学びの場である「渋谷ハチコウ大学」の開校に向けて入学生を募集したところ、四百人を超える皆様から入学の申し込みがありました。シニア世代の学びに対する関心の高さがうかがえます。 現段階ではS-SAP協定を締結している八つの大学と二十社の企業との連携により、三十以上の講座がラインアップされており、今後も、ハチコウ大学入学生の興味や要望に応えられるように、多様な講座を企画してまいります。 「はたらく」では、新たな働き方として、プロボノやクラウドワーキングを紹介するため、関係NPO団体等と協議を続けており、「つなぐ」では、専用のウエブサイトを開設して、社会活動の情報を提供するとともに、区主催のイベントなどの情報を一元化して区民の皆様にお伝えしています。 今後は「渋谷ハチコウ大学」の講座を充実させるとともに、区民が生涯を通じて元気に活躍できるように「はたらく」「つなぐ」の支援についてもあわせて推進してまいります。 続いて、障がい者福祉についてです。 今年は、例年より二カ月早く、九月三日から昨日の九日まで、渋谷ヒカリエを中心に「超福祉展」が開催され、四月の区長選挙で私が掲げた「可能性をはぐくむ街、渋谷区へ。」を体現する取り組みが紹介されました。 その一つが、十一月にオープンする「渋谷スクランブルスクエア」内のスーベニアショップにおける渋谷みやげの販売です。 ここでは、日本、東京、渋谷のカルチャーとライフスタイルを体感できる多種多様な商品が展開され、そこに「シブヤフォント」を使ったタオル、Tシャツ、手ぬぐい、ポストカードなどが加わります。 同じく本区独自の取り組みである「超短時間雇用(ショートタイムジョブ)」も、今年の超福祉展で注目を集めました。区内では昨年七月から、既にフラワーショップ、番組制作会社、商店街、公衆浴場などで超短時間雇用が実現しており、区役所内のコンビニエンスストアや飲食店でも、障がいのある人が超短時間雇用で働いています。また、本年四月からは、障がいの異なる六名の方々が、区の臨時職員として、超短時間雇用で資料の丁合い、郵便物の発送、パソコン入力などに従事しています。 こうした法定雇用率の対象とならない週二十時間未満の働き方については、国の研究会で議論が進んでおり、東京都も就労支援条例の制定を検討しています。本区としましては、これらの動向も注視しながら、障がいのある人が多様な働き方のできる先駆的な街として、超短時間雇用の拡大と制度化を目指してまいります。 また、はぁとぴあ原宿の隣接地に建設予定の「(仮称)神宮前三丁目障がい者施設」については、重症心身障がいのある方や、医療的ケアの必要な方も安心してサービスを利用できる施設として、本年四月から六月にかけて、公募型プロポーザルにより事業運営提案を受け付け、七月に提案採用事業者を決定しました。「恵比寿西二丁目複合施設(仮称)」に続く新たな障がい者施設として、令和五年度の完成を目指しています。 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には条例案十一件、令和元年度一般会計補正予算案一件、令和元年度国民健康保険事業会計補正予算案一件、平成三十年度一般会計歳入歳出決算等四会計の決算審査、契約案件二件、人事案件一件、報告案件六件を御提案しております。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) この際、区政一般に関する質問を許可いたします。 なお、事前に質問の通告がありましたから、順次指名いたします。 二番岡 美千瑠議員。 ◆二番(岡美千瑠) 渋谷区議会、自由民主党議員団を代表いたしまして、区長、教育長に質問いたします。 その前に一言、申し述べさせていただきます。 去る四月の統一地方選挙において初当選させていただいてから四カ月が過ぎました。本日、渋谷区議会自由民主党議員団を代表してこの場に質問に立たせていただくことに、晴れがましい思いに胸がいっぱいになるとともに、区民の皆様から託された重責に身の引き締まる思いがいたします。 渋谷区が活力にあふれた都市として成長し続けるには、都市間競争を勝ち抜き経済を活性化させることが課題です。 七月に発表された令和元年度年次経済財政報告によりますと、日本のGDPは平成の三十年間で過去最大となる五百五十兆円まで拡大しました。また、有効求人倍率は一・六倍を超えて四十五年ぶりの高水準となり、インバウンドは十倍となっております。 一方、労働力人口の減少と国内需要の縮小は、日本の活発な経済活動を中長期的に低下させると懸念されています。渋谷区の人口も、近い将来減少局面を迎え、本格的な少子高齢、人口減少社会が到来すると言われています。 将来にわたり持続可能な渋谷区を実現するためには、グローバルな視点を確保し、国際競争力を備えることで、活力にあふれ魅力ある渋谷として成長し続けなければなりません。 渋谷をロンドン、パリ、ニューヨークと並ぶ国際都市とするためには、二十三万人の全区民の生活の質をさらに向上させるとともに、少子高齢、人口減少社会の到来後も成熟した都市であり続けるための先駆的な施策を積極的に展開する必要があります。区民ニーズに応え、全ての区民が未来に希望を持ち、生き生きと安心して暮らせるまちを実現することは、渋谷区に求められる使命であると考えます。 このことを踏まえ、以下質問いたします。 初めに、東京二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会について伺います。 東京二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会開催まで十カ月余りとなりました。渋谷区としては、その先のレガシーを見据えた施策を着実に遂行していかなくてはなりません。 この世界が注目している本大会は、開催期間中だけでも多数の外国人が来日し、その多くが本区の観光名所であるスクランブル交差点や明治神宮などを訪れることになります。基本構想の重点項目にもなっている、区民や来街者の安全・安心の確保は、決して本大会に向けたものだけではなく、そのレガシーを継承していくものであると考えます。二〇一二年にオリンピック・パラリンピックが開催されたイギリスのロンドン市では、政府の主導による開催に向けたテロ対策などの防犯対策への取り組みが、その後の治安にも大きく寄与し、市民の安全確保や安心感を向上させ、観光客の増加にもつながっていると仄聞しております。 そこで、本大会に向けた準備の進捗状況と今後の予定についてお伺いいたします。 一点目は、インフラ整備についてです。 今年の夏もうだるような猛暑でした。オリンピック開催期間中の最高気温と平均気温を比較しましたところ、一九六四年五輪東京大会の年の比で平均一度、最高気温比較では二・五度も上昇しております。熱中症で倒れる人も少なくなく、都市の高温化は年々深刻な問題になっております。 本区では現在、環境対策型舗装工事を進めており、神宮前通りでは完成していると承知しておりますが、さらに本区として温度を下げる取り組みが必要に思います。遮熱性舗装の整備とともに、緑陰の活用やミスト噴射機の設置なども効果的かと思いますが、本区独自の取り組みとしてどのような対策を検討しているか、お伺いいたします。 また、公共サインについては渋谷駅や原宿駅、千駄ヶ谷駅周辺地区に百一の公共サインを整備予定であると承知しております。ピクトグラムを活用した見やすい公共サインながら、日本語と英語の二カ国語表示と伺いました。しかし、これでは世界中から訪れる多様な来街者のニーズに応え切れないと考えます。 今後は、現在、設置を進めているものに附属板を加える形で、視覚障がい者のための点字案内板や多言語表示のためのQRコードなどを追加する形であれば、費用を抑えつつニーズに応えた展開が可能かと思いますが、お考えをお聞かせください。 さらに、来街者や体調の悪い人、高齢者がまちを歩いていて困るのはトイレです。本区では「渋谷区トイレ環境整備基本方針」や「渋谷区立公衆便所条例」に基づき、公衆トイレの整備を進めていることは存じておりますが、渋谷駅周辺などで誰もが使えるきれいなトイレを見つけるのは困難です。 そこで、S-SAP企業に協力いただき、協力いただける店舗にはトイレマークを設置するのはいかがでしょうか。整備費として補助金を支出しても、公衆トイレを整備するより費用も抑えられると思いますが、お考えをお聞かせください。 以上、本区の独自性を持ったインフラ整備の取り組みについて、区長の所見を伺います。 二点目は、観光振興についてです。 本区には多くの観光スポットがあり、本大会はその普及の好機です。渋谷の夜を楽しむナイトエコノミーの活性化や、さらに渋谷を深く知ってもらうための昼や夜のガイドツアーの増設、翻訳アプリの紹介などが必要だと考えます。多様な観光マップを整備していると承知しておりますが、紙のみならずQRコードでの読み込みができると、多言語展開も低コストでできるのではないかと考えますが、区長にお尋ねいたします。 また、海外都市に行ったとき、都市の豊かさと先進性を感じる指標の一つがフリーWi-Fiです。現在、本区ではフリーWi-Fiが三十四カ所設置されていると承知しております。一方、本区設置のもの以外にも、東京都や鉄道会社などの設置する多様なフリーWi-Fiがありますが、規格が統一されていないため、そのたびごとに利用者登録し、途切れるたびに新たなアクセスポイントにつなぎ直す必要があります。本大会を機に、渋谷区全域へのフリーWi-Fiのネットワークを構築することが、今後の観光振興に寄与すると考えます。 そこで、区長にお尋ねいたします。 以上、渋谷区を多くの来街者に知っていただき、快適に観光を行い、また訪れたいと思えるような観光振興の取り組みについて、区長の所見を伺います。 三点目は、バリアフリーについてです。 リアル観戦事業を推進するなど、パラスポーツへの気運は上昇しており、本大会では多くの障がい者の方も渋谷区を訪れることが予想されます。 平成二十七年第三回定例会で、我が会派からのバリアフリーに関する質問に、区長からの答弁で、「バリアフリーを考えるに当たっては、物理的なバリアの解消だけではなく、バリアがあっても人が介助することで乗り越えることができるなど、意識のバリアフリーが欠かせない。そのためには障がい者への理解拡大を進めることが大切で、バリアフリー情報の収集・提供システムづくりと同時に、助け合いの環境づくりの進め方についても調査・研究していきたい」と発言されておりました。 本区では平成三十年に発表された「バリアフリー基本構想」に従って整備を進めていることは承知しております。再開発が進む渋谷駅前では、車椅子の方や大きな荷物を持つ来街者も、段差や階段を使わずワンルートでアクセスできるアクセシビリティールートの整備が進んでいることは承知しておりますが、広く周知や広報を推進する必要があるのではないでしょうか。 一方、段差や坂道、高架橋の残る渋谷のまちの全ての公道において、物理的なバリアフリーを完全に実施するのは困難である現状を鑑みると、”意識のバリアフリー“の気運を高めていく必要があると思います。アクセシビリティールートの周知や意識のバリアフリーの気運醸成はどのように進めていく予定かお伺いいたします。 なお、パラリンピック観光の一環として、今後はアクセシブルツーリズムも検討が必要だと思います。これは、障がい者や高齢者など、移動やコミュニケーションにおける困難さに直面する人々のニーズに応えながら、誰もが旅を楽しめることを目指す取り組みのことです。アクセシブルツーリズムの充実はオリンピック後も役に立ち、多様性推進の一助になるのではないかと思います。 そこで質問いたします。 以上、今後のバリアフリーの取り組みについて区長の所見を伺います。 四点目は、組織横断型のオリンピック対策本部の設置についてです。 多言語表示、インバウンド、大会開催期間中に地震などの大規模災害が発生した場合の対応や、外国人の安全・安心を確保するための多言語版でわかりやすい防災マップの整備など、組織を超えた多様な準備や情報の発信が必要になると考えます。既に本区においてはオリンピック・パラリンピック推進課が設置されておりますが、大きな目標の実現のためには知恵や経験を共有し、全庁的に取り組む必要があると考えます。 今回の代表質問に当たり、様々な部署に現状を確認させていただきましたが、取り組み部署が多岐にわたる一方、情報共有ができておらず、たらい回しになった部分もございました。私が全体像を把握するのが困難である以上、区民の方が情報を入手するのは、より一層難しいのではないかという印象を受けました。 部署ごとでは担当の方々が限られた時間と予算の中、真摯な姿勢で様々な取り組みを行っているのは評価いたしますが、今後は大会の成功と区政の透明化のためにも、情報の集約・共有・提供が必要です。組織横断的な対策本部を設置することで、今後、自然災害対応やテロ対策を一元的に所管する組織横断的な取り組みのモデルケースにもなるのではないでしょうか。各課からメンバーが集まり、全庁的に一元的所管する組織横断型のオリパラ対策本部やプロジェクトチームの設置が必要だと考えますが、区長の所見を伺います。 次に、区民の生活の基幹となる、安全・安心なまちづくりについて二点質問します。 一点目は、避難所運営委員会の組織化と地域防災マニュアルの作成についてです。 政府・内閣府の本年三月の発表によると、南海トラフ沿いの地域において、今後三十年以内にマグニチュード八~九クラスの地震が発生する確率は七〇~八〇%とされており、大規模地震発生の切迫性が指摘されております。本区ではこのような大地震などに備えて、区立小中学校を中心に三十三カ所を一次避難所として指定するとともに、高齢者や障がい者など配慮が必要な人については、高齢者施設などを利用した二次避難所の整備を進めています。避難所は被災者の一時的な生活を確保するための施設で、高齢者や乳幼児、障がいのある方、妊産婦など様々な被災者の方々が安心した避難生活を送るための整備や運営を行うことが望まれます。 地域によっては、自主防災組織と施設管理者が避難所運営委員会を組織し、避難所運営にスポットを当てた訓練を行っていることは承知しております。しかしながら、現在、避難所運営や避難訓練の実施については、特別な予算付けは行われておりません。また、他の避難所との連携や共同訓練も実施されていないのが現状です。 また、区内全域には約八百人の災害時要配慮者の登録があることなどを踏まえ、日ごろから定期的に多様な訓練を実施していくことが必要と考えます。今後は、近隣避難所との合同訓練や災害時要配慮者の避難訓練などを実施するために、訓練メニューに応じて予算措置をとるなど、区は積極的に支援すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 また、現在、本区では地域防災計画が策定されていますが、避難所運営委員会の自主的な活動のためには、その地域の特性に合った避難計画や避難所運営、連絡協同体制などを地域の方々が検討し、共有することが大切です。そのため地域防災マニュアルの作成と作成委員会の設置が必要と考えます。当該マニュアルの作成においては、有識者やケアマネジャー、介護士や看護師、町会代表や地域の代表などを加えた話し合いの場を定期的に設ける必要があると思います。 加えて、避難所運営についてです。今年の七月、停滞する梅雨前線の活発化は、九州南部を中心に、記録的な大雨をもたらしました。このとき、避難指示・勧告は鹿児島・宮崎・熊本の三県で合計百九十六万人超に発令されたものの、避難指示対象者の避難率は、鹿児島市では一%にも達しなかったと報じられています。それは「避難しない=危機感の欠如」という単純な公式ではなく、避難所での生活をためらう人が多かったことが原因でした。 「スフィア基準」という国際赤十字などが設定した避難所の国際最低基準がありますが、今なお基準を満たしていない避難所は多くあり、二次健康被害も懸念されます。実際、東日本大震災では、災害関連死が千六百件以上報告されました。昨年は六月の大阪北部地震以来、災害が相次ぎ、たった三カ月の間に延べ八万二千七百七十三人が避難生活を余儀なくされています。有事の際に地域の方々が避難をためらうことのないよう、ストレスの軽減された質の高い避難所運営が求められていると考えます。 そこで質問いたします。 以上、有事に備えた避難所運営委員会の組織化や、災害時要配慮者を加えた避難訓練の実施、地域防災マニュアルの作成と委員会の設置、より質の高い避難所運営について、区長の所見を伺います。 二点目は、シティネットワークの形成についてです。 世界の大都市間では、温室効果ガスの排出削減など、気候変動に取り組むC40(シー・フォーティ)と呼ばれる「世界大都市気候先導グループ」のほか、U20(アーバン・トゥエンティ)やユネスコの創造都市ネットワークなど、多様な都市ネットワークの形成が行われています。東京都でも、平成十三年にアジアの首都及び大都市が連携を強化することにより、国際社会におけるアジア地域の重要性を高め、各共通の課題に共同で取り組み、その成果をアジア地域の発展につなげていくことを目的とした、「アジア大都市ネットワーク二十一」という国際ネットワークを設立し、共同事業の推進などを行っていました。共通の課題解決のため都市間が連携し、ネットワークを構築することは有益です。 現在、二十三区では、防災ICTシステムの共同開発の話が進んでいると伺います。この気運を生かし、まずは広域災害の発生に向けて近隣区・周辺区との協力・協同体制の構築について、プロジェクトチームを立ち上げて検討に入れないでしょうか。特に防災のICTを活用したツールを共同活用し、防災ネットワークの情報共有ができれば、開発費用が抑えられるとともに、有事の相互支援連携強化が期待できます。得られた共同データはビッグデータとして分析し、課題解決に活用できると考えます。 東京都では九都県市広域連携を行っていますが、南海トラフ地震のような大規模災害のリスク分散のためには、遠隔市との連携も必要と考えます。お考えをお聞かせください。 また、防災に限らず共通の都市問題の情報共有や解決のためにも活用が期待できます。特に児童虐待について、本区ではこれまでも妊娠届提出時にアンケートを行い、妊婦に寄り添いつつ親身に相談に乗ることで、虐待の相談件数が平成二十九年度の百六十一件から平成三十年度は七十八件に減少したと承知しております。こうした取り組みの中で取得した子どもの情報は、個人情報の点から、現時点では自治体を超えて共有することが困難な状況です。児童虐待のおそれのある子どもについて、親が短期間で転居を繰り返すことにより実態が把握できず、昨年三月に目黒で痛ましい事件が起こったことは記憶に新しいところです。 他の自治体に先駆けて、渋谷から住まいが変わると途切れがちな子どもの情報の継続的な共有を行うシステム構築を行うことは有益だと思いますが、いかがお考えでしょうか。 以上、都市共通の課題解決に向けたシティネットワークの形成と、当該ネットワークを活用した近隣区、遠隔都市との連携体制の構築、児童虐待防止のため、自治体間での子どもの情報共有の取り組みへの活用について、あわせて区長の所見を伺います。 次に、成長を生み続け、全ての人の生活の質がさらに向上する街・渋谷実現のため、経済活性化について三点質問します。 一点目は、「スタートアップ・エコシステム拠点都市」としての都市整備についてです。 政府・内閣府は本年三月に、今後のスタートアップ施策に関する戦略について、「Beyond Limits.Unlock Our Potential.~世界に伍するスタートアップ・エコシステムの拠点形成戦略~」を中間取りまとめとして発表しました。その後、六月にはスタートアップ・エコシステムの拠点となる都市をグローバル拠点都市として、全国から二~三カ所選定することを発表しています。 令和元年第二回定例会で我が会派からの質問に、区長からは「スタートアップ・エコシステムの拠点化の検討を進めていく」との答弁をいただき、先ほどの所信表明の中で「スタートアップ・エコシステム拠点都市を目指し、庁内に検討組織を設置し、積極的に取り組んでいく」と発言がありました。私は、IT企業やベンチャー企業が集積している渋谷こそ、国が目指す「世界に伍するグローバル拠点都市」に最もふさわしい都市であると思います。拠点都市に選定されれば、これまで以上に世界から注目されるだけではなく、区内の産業振興にも寄与するものと考えます。他の多くの都市も高い関心を寄せる中、グローバル拠点として日本をリードするのは渋谷区しかないと考えます。 公表されているスケジュールでは、来年の一月に公募があり、三月に拠点都市を決定するとされています。世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成のためには、まず大学、革新性のある企業や名実ともに備わっている大企業、投資家や金融機関、マッチングコーディネート機関、優秀な人材を引き入れ、コンソーシアムと呼ばれる協議会等を形成することが必要です。当該コンソーシアム形成のため、どのような主体をどのように選定し、組み入れ、体制や創業環境を整備していくのでしょうか。本区がグローバル拠点都市として選定されるための具体的な取り組みについて、区長のお考えをお聞かせください。 二点目は、CSVのエコシステム形成についてです。 CSVとは、経済学者のマイケル・E・ポーター氏が二〇一〇年に提唱した概念で、Creating Shared Value(クリエイティング・シェアード・バリュー)の略称であり、共有価値の創出と訳されます。これまで言われてきたCSRが、寄附や社会貢献を通じて自社のイメージの向上を図ることであったのに対し、CSVとは、「企業が事業活動を通じて社会的課題に対応することで、企業と社会の両方に価値を生み出し、双方が持続的に発展すること」を基本思想としています。 日本には「三方良し」という概念があります。事業活動を、自分良し、相手良し、世間良しの三方を満足させるよう行わなければいけないという意味の言葉で、江戸時代中期、全国的規模でビジネス活動を行い、ときには海外へも進出していた近江商人の思想・哲学を伝えたものです。 欧米では経済効果と社会的価値の創出は相入れないものだと考えられてきましたが、パナソニックの創始者である松下幸之助氏も、「企業は社会の公器である」として、企業と社会は共存共栄すべきと述べるなど、日本の発展を支えてきた多くの企業経営において、CSVの基本思想は根づいておりました。 私は今後、渋谷区の持続的発展と課題解決のためには、CSVの実現とエコシステムの形成が必要であると考えます。本区では、地域の社会問題を解決しながら新しい価値をつくる”Inclusive City Shibuya“(インクルーシブシティ渋谷)を提唱していますが、今後は渋谷未来デザインとS-SAP協定をこれまで以上に生かし、多様な主体によるネットワーク形成と環境整備を行う必要があると考えます。 具体的には、まず一点目として、渋谷未来デザインにおいて、CSVの意識を明確に持ちながら活動し、社会問題解決に向けた問題意識やビジョンを共有・発信すべきだと思います。 次に、二点目として、S-SAP協定に参画する多様な主体が、それぞれの活動を推進しつつ連動し、互いに補完し合うため、定期的かつ継続的なコミュニケーションのための場を設ける必要があります。マッチングイベントの開催やマッチングコーディネートの支援プラットホームを整備することで、新たな事業展開を創造し、産官学民のさらなるネットワーク構築を進めることができると考えます。 そして、三点目として、地域特性を生かした環境整備を行う必要があります。先述のスタートアップ・エコシステム拠点都市としての都市整備を進めるとともに、社会起業家育成のための拠点整備や支援体制を構築します。さらに、ビットバレーと呼ばれている渋谷をICT分野における世界的技術拠点へ押し上げ、スマートシティを実現することは、便利な近未来都市を実現するばかりでなく、ICTやビッグデータを活用した都市問題解決につながり、資本のない者でも、志があれば世界に社会的事業を拡大するチャンスにつながると考えます。 実際、カリフォルニアでは、新進気鋭の社会起業家を中心に、大学や地域が協力するネットワークが形成され、地域独自のエコシステムが形成された結果、多くの社会起業家が誕生し、中には世界的企業に成長したものもあります。 また、バングラデシュでは、二〇〇六年にノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行から、様々な社会問題解決を図るグラミン・ファミリーと呼ばれる多角的なベンチャー企業集合体が発展し、多国籍企業や日本の企業も参加するグラミン・グループというエコシステムを形成し、貧困脱却の自立的なアプローチに貢献しています。 CSVエコシステムが渋谷で実現することは、本区のみにとどまらず、地球規模での課題解決に寄与する可能性を秘めています。”世界の渋谷“実現のため、渋谷未来デザインとS-SAP協定をこれまで以上に活用し、スマートシティなど環境整備を行うことで渋谷発のCSVエコシステムを形成することについて、区長の所見を伺います。 三点目は、ササハタハツについてです。 昨年度、ササハタハツでは「初台緑道マルシェ」など、地域住民を初めとしたフューチャーセッションに参加された方々から出された多様な意見やアイデアにより、住民主体の自発的なまちづくりプロジェクトが実施されてきたと承知しております。これらの取り組みは住民と行政による「協働のまちづくり」をさらに発展させた多様な主体による「共創のまちづくり」を実践し、まちの可能性を育んでいくための第一歩になると期待しております。 私は、ササハタハツまちづくりを進めることにより、地域住民のシティプライドを醸成するとともに、ササハタハツエリアにおける多くの商店街の発展など、地域経済の復興も大切な要素であると考えています。 今年度は、ササハタハツまちづくりを長期的な視点でまちの活性化とコミュニティ形成につなげる「まちラボ」について検討されていると思います。商店街を活性化していくためのササハタハツまちづくりの取り組みについてどのようにお考えか、区長の所見を伺います。 また、当該エリアには、玉川上水旧水路緑道及び神田川支流遊歩道が広がっています。先ほど「玉川上水旧水路緑道をニューヨークのハイラインの建設の知見を生かすことで、区民にも観光客にも愛される緑道としてビジョンを描けるのではないか」との区長発言がありましたが、玉川上水旧水路緑道や水道道路のみならず、神田川支流遊歩道もつなぎ、回遊型のヘルシーロードとして整備すべきと考えます。 当該ヘルシーロードは、クッション性のある路面やトイレ、休憩所などを整備することにより、高齢者が安心して歩け、地域の皆様がリハビリやマラソン、ウオーキングといった健康づくりの場として、安心して使えるよう活用できるのではないかと考えます。あわせて、子どもの遊具や土に触れられる区民農園のスペースを設けることで、子どもが自然に学ぶ場になります。また、区民が集う広場を整備・形成することにより、近隣商店街の活性化やイベントの促進に寄与するのではないかと考えます。 そこで区長に質問いたします。回遊型のヘルシーロード整備について、区長の所見を伺います。 次に、本区の財源課題の一つであるふるさと納税について質問します。 ふるさと納税についての我が会派からの平成三十年第二回定例会での質問には、「ふるさと納税制度で芽生えた寄附文化を活用して、地域社会の課題解決に取り組む質の高い活動を支援する資金であるソーシャル・アクション・ファンドのように、使用用途をNPOに特化した寄附制度の検討を行いたい」と、令和元年第二回定例会での質問には、「スタートアップ・エコシステムの事例も参考に、なるべく早期の実現に向けて引き続き検討を行いたい」と答弁がありました。 一方、ふるさと納税利用者の多い都市部の自治体では、税収減が膨らみ、本区でも平成二十七年度は約七億五千万円、平成二十八年度は約十三億円、平成二十九年度は約十七億円、昨年度に至っては約二十三億三千五百万円の税収への悪影響がありました。かねてから区長は、「返礼品の過当競争に加わることは、歳入確保のためとはいえ、賢明な策ではない」と繰り返し発言されており、本区の財政は堅調に推移しているのは承知しておりますが、わずか四年間で六十億円を超える税収減は看過することができない課題と考えます。 墨田区ではふるさと納税サイトを活用し、現在百八十九品目の返礼品を掲載しており、平成三十年度には三億超の税収を確保しています。渋谷区には様々な魅力とサービスがあります。本区独自の特産品やホテルの宿泊券のほか、ヒカリエの東急シアターOrb(オーブ)や渋谷公会堂の観劇券や貸し切り権利、ふるさと納税イベントへの招待、デジタル・サイネージやスクランブル交差点の大型ビジョンでの発信権利などなど、S-SAP協定締結企業や本区にゆかりの深い団体に協力いただき、有形・無形の様々な返礼品の可能性があります。特に本区ならではの無形の返礼品は、返礼品の過当競争に陥ることなく、さらなる経済効果を生むと考えます。 先ほどの所信表明の中で渋谷公会堂について、「こどもテーブル事業への寄附を目的とした区主催のチャリティーイベントも予定している」と発言がありました。このような寄附文化の芽生えを大切にしつつ、本区の特色あふれる多様な返礼品とソーシャル・アクション・ファンドやクラウドファンディングを両立させ、渋谷区ならではのふるさと納税モデルを確立することについて、区長の所見を伺います。 次に、誰もが誇りを持ち、輝きながら生き生きと幸せに活躍できる街・渋谷実現のため、福祉について四点質問します。 一点目は、地域包括ケアシステムの深化・推進についてです。 渋谷区基本構想の「福祉」のテーマでは、「すべての人々が支え合い、どんな人でも自分らしく生きていける共生の街」の実現をうたい、高齢者が住みなれたまちで質の高い生活を送るため、地域包括ケアシステムの構築を進めています。限られた財源の中、今後も高齢者が住みなれた地域で自分らしく住み続けられるようにするためには、専門家を登用した予防医療の充実が必要になると考えます。 特に、口腔内環境の向上は健康の第一歩です。本区では、早期から口腔機能の向上事業を行い、「口腔機能維持向上健康診査」や「摂食機能低下予防支援事業」を積極的に行っているのは承知しております。八〇二〇については、国が平成二十八年で五一・二%、都が平成二十八年度で五五・五%なのに対し、渋谷区では平成二十九年度には七一・二%という高い水準を達成しています。六月の「よい歯のつどい」には、八〇二〇を達成した百九十四人、九〇二〇を達成した三十四人が表彰されました。今後は人生百歳時代を見据え、歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士といった専門家が連携し、訪問看護や施設での定期的なケアを行うことが必要だと思います。 また、認知症高齢者の早期の支援については、専門医のみならず、専門看護師の育成や活用を増やし、認知症支援コーディネーターによる早期発見・対応が必要です。専門人材の連携と積極的な登用による予防医療の充実について、区長にお尋ねいたします。 さらに、地域包括ケアシステムは元来、高齢者に限定されるものではなく、障がい者や子どもを含む地域の全ての住民のための仕組みです。障がい者が同一施設内において介護保険サービスを受けるための共生型サービスの推進や、両親が亡くなった方や高齢化した方へのサポートは喫緊の課題だと思いますが、どのような対策を検討しているかお伺いいたします。 一方、介護の現場では人材不足が深刻です。待遇の改善として、後述の多世代型共生住宅への入居による住宅補助や、ショートタイム・ジョブを増やすことによる働きやすい環境整備など、介護人材の確保のための施策が必要だと思いますが、どのような対策を検討しているかお伺いします。 以上、専門人材の積極登用による地域共生社会の実現と、クオリティー・オブ・ライフの向上のための施策について、あわせて区長の所見を伺います。 二点目は、多世代共生型の暮らし方の推進についてです。 近年、多世代共生型の暮らし方というものが、ロシアでは”ユング・ウヌ・アルト“として、フランスでは”ホームシェア“として広がりつつあります。これは、多様な世代が助け合いながら暮らす暮らし方で、多世代共生を入居条件とした住宅を整備するとともに、コミュニティスペースを併設することで交流の場を設け、住民間のトラブルを調整し、交流イベントを企画するエリアマネジャーを配置することで実現しています。近隣でも、御茶ノ水のワテラスで、地域活動に参加することを条件に学生に安い賃料で住宅を提供する試みが行われており、一定の成果を上げていると仄聞しております。 現在、代々木二・三丁目の国有地の取得については、どのような状況でしょうか。代々木二・三丁目の国有地については、以前、区長より「使用目的は特養ホーム、保育園、住宅を考えている」と答弁をいただいておりますが、福祉の総合施設として整備すると同時に、多世代共生エリアとして整備を進めてはいかがでしょうか。 居住者間の助け合いや地域活動、災害発生時対策を条件とした若者や子育て世代の家賃補助や住宅整備を行うことで、地域に若い力を取り入れることができます。また、災害対策要員及び災害時対策介護要員への優先的入居を行うことで、危機管理対策や介護職員の人材不足に対する待遇改善に寄与することが可能です。 そこで区長にお尋ねします。 以上、渋谷区でも先進的な暮らし方を選択できる多世代共生型のまちづくりを進めることについて、また、区政策を推進するための住宅政策について、あわせて区長の見解を伺います。 三点目は、区民の福利施設としての管外施設の整備についてです。 今回、第二回定例会後、各所の管外施設を視察させていただきました。中でも新島は、竹芝桟橋から高速船でわずか三時間の距離ながら、都内と打って変わった豊かな自然環境が広がり、透き通る海の青さと白い砂浜のコントラストが印象的でした。その地に「新島青少年センター」が設置されていることに、これまで渋谷区が培ってきた新島村との深い友好関係を感じました。 当該施設は来年三月に土地賃貸借契約が満了を迎えます。令和元年第二回定例会での我が会派からの質問に、区長から、「施設運営には厳しい部分もありますが、これまで培ってきた新島村との友好関係を尊重するとともに、的確なニーズ等の把握に努めながら総合的に検討していきます」との答弁がありました。 さらに、先ほどの所信表明では、「土地の賃貸借契約を更新した上で、施設の建替えを含め、青少年施設としてのあり方を検討する」との踏み込んだ発言がありました。昭和四十五年の開設から来年で五十年を迎えることから、当該施設は老朽化や設備不足が指摘されております。 また、先ほどの区長発言のとおり、先日の台風十五号により、宿泊棟に甚大な被害がありました。(写真掲示) これが昨日時点での被災後の建物の様子です。天井には穴があき、今後生活するのが困難な状態になっております。以下、合計三枚の写真を提示させていただきます。 今見ていただきましたとおり、このような状況を鑑みますと、早急な建替えが必要であると考えます。また、その際は青少年のみならず、広く区民が利用できる施設として活用できるようにすべきと考えます。例えばレクリエーションの場として、区が推奨しているボッチャやペタンク、スポーツ吹き矢といった新スポーツ推進のレクリエーションの場としての活用です。いずれも特別な設備を必要とせず楽しめるスポーツですので、アクティブ峰の原や河津さくらの里といった他の管外施設にも展開できます。青少年やシニアへの新スポーツの普及に寄与するとともに、大会を管外施設で開催することで、閑散期の利用率の向上も期待できます。的確な利用ニーズを把握した魅力的で多様なツアーの企画も有用だと考えます。 以上、新島の施設の建替えを早急に行い、新たな施設を広く区民の福利厚生のための施設として活用し、新スポーツや利用ニーズに応じたツアー企画を進めていくお考えがあるか、あわせて区長の所見を伺います。 四点目は、幼児教育と保育環境の整備についてです。 先日、私立保育園との懇談会に参加した際、発達障害児の専門家を求める声が多く上がりました。発達障がいが懸念されるお子様は多々いますが、職員にはその見極めが難しく、親御さんも受け入れがたい部分がある、園で日々顔を合わす専門家の声なら信頼してもらいやすく、臨床発達心理士など専門家に短時間でもいいので、日々常駐してもらいたい、との切実な要望でした。発達障害児のケアについては、子ども発達相談センターが専門家の巡回を行っているのは承知しておりますが、数カ月に一度の頻度であると伺います。私立幼稚園連合の園長会でも、発達障がいの子どもが増えていることに懸念の声が上がり、親御さんのみならず、職員が接し方に悩んだときに相談できる専門家の増員や研修を求める声を伺っています。 一方、人材不足も深刻で、「職員を研修に送り出す余裕がない場合も多い」とのことです。よりよい保育環境整備のためには、職員を確保し、質を高めるための施策が必要と考えます。eラーニングや遠隔授業など、受講しやすい研修形態の検討とともに、職員の待遇改善の一環としての住宅補助の期限延長や、モンスターペアレンツ対応に苦慮する若い職員向けのカウンセリングの導入、専門人材の増員や常駐のための施策の拡充が必要と考えます。 発達障害児の専門家の常設や職員の人材育成といった保育環境の整備について、区長の所見を伺います。 また、区長の公約のひとつに、渋谷区幼児教育プログラムの改定があります。海外の先進的な幼児教育を学びながら進めるということで、平成二十八年にはイタリア・スイスへ、平成二十九年にはニュージーランドに職員などの派遣が行われておりますが、現在の進捗状況はいかがでしょうか。当該視察の知見を生かし、どのような海外先進事例を導入したプログラムを検討しているのか、区長の所見を伺います。 最後に、渋谷区の未来を担う子どもを育む教育について四点質問します。 一点目は、ICT教育についてです。 本区では「渋谷区モデル」により、区内の公立小中学校に通う児童・生徒及び教員に一人一台のタブレット端末を貸与し、携帯電話と同じLTE回線を利用し、学校だけではなく、家庭においてもタブレット端末を利用した学習ができるようにしています。先日、国では「GIGAスクールネットワーク構想」を打ち出し、二〇二二年度中の整備完了を目指し、全ての小中学校を結ぶ十ギガ相当の超高速通信網の整備に乗り出すことになったと報道がありました。当該超高速通信網の整備が進めば、全国の大学や研究機関を光回線で結ぶ世界トップレベルの超高速通信網「SINET」を小中学校などの教育に活用することができるほか、インターネットを通じた遠隔教育の本格運用が可能となり、データ化された学習情報の個別指導への活用や、病児や不登校児の自宅学習、子どもごとの個別の才能を引き出すオーダーメイド教育など、学力向上とともに、子どもの新たな可能性を伸ばすことが期待されます。来年の八月に契約期間が終了しますが、今後、新たな基盤整備をどのように進め活用していくか、新しい「渋谷区モデル」はどのように構築する予定か、教育長の所見を伺います。 二点目は、プログラミング教育についてです。 二〇二〇年からの新学習指導要領では、小学校で新たにプログラミング的思考の育成が求められています。一方、「ICT教育に関するアンケート調査結果」によると、今年の七月時点でプログラミング教育を実施した小学校は三五・七三%ですが、その中で「プログラミング教育が楽しかった」と回答した児童の割合は三六・四一%でした。 本区では特色ある学校づくりを推進し、ICT教育推進校として笹塚中学校を指定し、プログラミング教育の充実を目指してきたと承知しております。先日、「プログラミング教育事業に関する協定」が締結されましたが、S-SAP協定を結んでいる企業のノウハウを活用し、教育活動の充実を図る取り組みは評価いたします。他の地方自治体に先行して蓄積した渋谷区でのこれまでの経験を生かしつつ、外部人材や当該協定企業のノウハウを活用し、児童がプログラミング教育に苦手意識を持つことなく、楽しく学ぶ手法を共創することが大切かと思います。今後のプログラミング教育をどのように魅力的なものにしていくか、教育長に伺います。 三点目は、生きた教育の推進についてです。 混沌とした世界情勢の中、多様な価値観の交差する国際社会において、これからの児童・生徒には基礎学力の向上とともに、違いを尊重し受け入れ、主体的に課題解決を図り、生き抜くための諸能力の獲得が必要です。東京二〇二〇大会は、異文化や多様性理解の良い機会です。オリンピック・パラリンピック教育については、先ほど区長から、渋谷区の子どもたちが競技を観戦する計画を立てていること、シティ・ドレッシングの取り組みを行うことについて発言がありました。実際に競技を観戦し、調べまとめることは、限りない人間の努力と可能性の理解につながると考えます。 また、本大会は国内外から多くの来街者が訪れることから、人間の持つ多様性や異文化の理解、おもてなしについて考える機会でもあります。人権教育の一環として心のバリアフリーを推進し、ユニバーサルデザインを意識した取り組みを行う良い機会になるのではないでしょうか。 また、主権者教育についてです。 四月には十八歳選挙権が導入された初の統一地方選挙が実施されましたが、その際の投票率は三七・四二%であり、七月の参議院議員選挙の四五・二七%に対し低い率となっており、地方選挙への関心の低さが懸念されます。 また、本区の十代の投票率は全国平均より高いものの、回を重ねるごとに投票率は低下しております。これはアイデンティティーの一環として、自分が生活する地域に対する愛情や関心の形成とも関連が深いように思います。若い世代の声を区政に届けるためにも、シティプライドを育むための教育を授業に組み入れ、子どもの生きる力を育成することが必要だと考えます。 オリンピック・パラリンピック教育や人権教育、シティプライドを育む生きた教育をどのように推進していくか、教育長の所見を伺います。 四点目は、いじめ対策についてです。 本年七月、岐阜県岐阜市や千葉県野田市でいじめが原因と見られる子どもの自殺が相次ぐという、大変痛ましいニュースが報道されました。新年度や学期の改変時期は特にそのような悲しい事態が多く発生する時期でもあります。 東京都では、SNSを活用した相談窓口を設けるなどといった対策を進めており、本区では年に二回、いじめに関する調査が行われていると承知しております。九月に入り、夏休みも終わりましたが、新学期のスタートにあたり、何か対策は講じましたでしょうか。冒頭のような悲しい事件がこの渋谷区において起きることがないよう、いじめ防止のため、教育委員会ではどのような対策を練られているのか、教育長の所見を伺います。 以上につきまして、区長、教育長の答弁のほど、よろしくお願いいたします。 ○議長(下嶋倫朗) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 渋谷区議会自由民主党議員団、岡 美千瑠議員の代表質問に順次お答えします。 まず、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会について、インフラ整備について三点のお尋ねがありました。 まず、都市温度を下げる取り組みについてです。 温室効果ガスの影響による温暖化はもとより、都市におけるヒートアイランド現象も相まった気温上昇への対応は喫緊の課題です。特に、来年の東京オリンピック・パラリンピックでは、選手、関係者や観客等、国内外から本区を訪れる多くの来街者を迎え、暑熱対策が急務です。そのため、現在区では、国立代々木競技場周辺道路の遮熱性舗装を進めており、今年度は公園通りや岸体育館前の道路等の整備をしていきます。加えて、東京都観光公社が進める暑さ対策推進事業の助成金を活用し、東京体育館周辺の歩道についても、来春の完成を目指して遮熱性ブロック舗装の整備と減熱ベンチの設置を進めているところです。 また、来街者によりさらなるにぎわいが見込まれる渋谷駅前については、同助成金の活用を図り、事業者の協力により遮熱性塗装や微細ミスト装置の設置が進められています。さらに、街なかに熱をためないヒートアイランド対策として、街路樹による緑陰の形成のほか、開発事業者等の協力も得ながら、建築物の壁面緑化や屋上緑化など緑の創出を進めることや、区所有の微細ミスト装置の貸し出し等を進めることで、会場自治体として積極的に暑熱対策の強化を図ってまいります。 次に、公共サインについてです。 議員の御質問の中にもありましたとおり、世界中から訪れる多様な来街者のニーズに応えることは重要です。また、議員御提言の、現在設置を進めている公共サインに視覚障がい者の方々のための点字を加えることや、多言語対応のためのQRコードなどの追加についての重要性も認識しています。 今後、費用を抑えるニーズに応えた展開をどのようにすべきかという点で、点字については、地図盤面の全面交換時に向けた研究課題として残りますが、まずは、多言語対応のためのQRコードの早期追加実施について検討してまいります。 次に、公衆トイレについてのお尋ねです。 本区はこれまで、「渋谷区立公衆便所条例」に基づき、公衆トイレの整備及び管理をしています。また、利用者目線に立ったトイレ整備を推進するために、「渋谷区公共サインガイドライン」や「渋谷区トイレ環境整備基本方針」などを策定してきました。さらに、渋谷らしい取り組みの一つとして、昨年十月には公益財団法人日本財団と、Shibuya Inclusive TOILET(シブヤ・インクルーシブ・トイレ)に関する覚書を締結し、性別、年齢、障がいの有無を問わず、区民を初め渋谷区を訪れる全ての人が快適に使用できる公共トイレを、共同して設置することとしました。区内十八カ所のトイレを整備する予定です。 このように、公衆トイレの整備を進めてきていますが、東京二〇二〇大会を控え、さらに多くの方々が渋谷を訪れることを考えると、公衆トイレだけでは対応ができなくなる可能性があります。議員御提案のS-SAP企業の店舗へのトイレマークの設置は一つのアイデアだとは思いますが、店舗数が限られてしまいます。S-SAP企業に限ることなく一般の店舗にも連携を要請し、来街者のトイレ使用について協力店舗数の拡大を図るとともに、周知方法について検討を進めていきたいと思います。 次に、観光振興についてのお尋ねです。 東京都を訪れるインバウンドは昨年一千四百万人を超え、その中の約半数が渋谷区を訪れています。区では、インバウンドの受け入れ環境整備のため、観光Wi-Fiの設置、キャッシュレス導入促進、渋谷区観光協会によるマップの作成やガイドツアーの開催など、様々な取り組みを進めてきました。 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、国内外からさらに多くの来街者が見込まれますが、私は、この機会を区の観光振興に生かしていくため、御提案のQRコードを活用した多言語対応や、ナイトタイムエコノミーの活性化などに取り組み、大会後のレガシー創出につなげていくことで、国際成熟都市渋谷を実現したいと考えています。 フリーWi-Fiネットワークの構築については、各事業者間の技術的な調整や課題もあり、直ちには困難かと思いますが、技術の進化に後れることなく、東京都や民間事業者と連携をとりながら、区内全域の通信環境の向上に今後取り組んでまいります。 産官学民との連携を一層進め、多くの来街者をもてなし、安全に楽しく渋谷に滞在してもらえるよう、渋谷区らしい観光振興事業を進めていきます。 次に、バリアフリーについてです。 議員の御質問にあった、バリアフリー対応によるアクセシブルツーリズムの充実は、オリンピック・パラリンピック以降も本区が魅力を維持・向上し続ける上でも、また、本区が掲げる基本構想「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の実現のためにも、大変重要です。 本区は、バリアフリーを進めるために、「渋谷駅周辺地区バリアフリー基本構想」に示したとおり、建築物や道路などのハード面の整備を引き続き実施します。 また、議員御指摘の「意識のバリアフリー」への気運醸成を進めることについては、「心のバリアフリー講演会」を実施するなど、区民、事業者、区が一体となって障がい等に対する理解促進に取り組みます。 次に、アクセシブルツーリズムについてです。 本区は、障がい者や高齢者など、移動やコミュニケーションにおける困難さに直面する人々も、気軽に渋谷区を訪れることができるような「心のバリアフリー」への取り組みとして、来年の東京二〇二〇大会に向けた区民や区独自ボランティアへのまちなかでの障がい者サポートなどの実践を重視した、「おもてなし講座」を進めています。 また、観光協会とも連携しながら、障がいのある人や高齢者も安心して観戦や観光を楽しめるよう、回遊しやすいルートなどの情報を収集し、渋谷の魅力とあわせて発信していきます。 次に、組織横断型のオリンピック対策本部の設置についてのお尋ねです。 議員御発言のとおり、区では二〇一六年四月より、オリンピック・パラリンピック推進担当課長を設置し、「ハンドボールや車椅子ラグビー等の区内開催競技のリアル観戦事業」「おもてなし講座」「パラリンピック紙芝居」など様々な事業を展開して、区民の大会に向けた気運を盛り上げるとともに、教育委員会と連携し、オリンピック・パラリンピック教育にも力を入れてきました。このことは、オリンピック・パラリンピック組織委員会や東京都オリンピック・パラリンピック準備局などからも高い評価をいただいているところです。 そして、今年四月からは、課内に開催準備調整主査を置き、庁内関係各部署との連携、都組織委員会との連携、大会運営支援などについてさらに強化する体制とし、大会の準備に取り組んでいます。また、これまでも全庁的に情報共有が必要な場合には、臨時管理課長会を開催するなど対応していますが、有事の際に関連部署が速やかな連絡や行動がとれるよう、組織横断的な協力体制も検討していきたいと思います。 なお、大会期間中の災害やテロの発生に備えて、多数の外国人来街者に安全な避難行動を促すために、四カ国語で防災情報を提供する「渋谷区防災ポータルサイト」の案内などを盛り込んだ、多言語版の「防災マップ」を作成することも考えています。 次に、安全・安心なまちづくりについてのお尋ねです。 まず、避難所運営委員会の組織化と地域防災マニュアルの作成についてです。 議員御指摘のとおり、発災時には、高齢者や乳幼児、障がい者や妊産婦など様々な方が避難所に避難されますので、どなたにも優しい避難所の整備・運営が望まれます。そのため、各避難所に設置されている避難所運営委員会が活発に活動できるように、これまでの自主防災組織等への働きかけに加えて、財政的な支援や避難所運営訓練の強化など、さらに具体的な支援の実施について検討してまいります。 また、一人でも多くの要配慮者等の安全・安心を守るためには、地域や避難所ごとの状況に応じた必要な配慮を確認し、いざというときに速やかな対応がとれるようにしていくことや、要配慮者の避難支援プランのとおり実際に避難できるのか、避難経路等を確認しておくことが重要と考えます。 幼稚園の園児等の要配慮者等も含めた避難行動を定める地域防災マニュアルについては、避難支援プランを作成している自主防災組織と民生委員、見守りサポート協力員、地域包括支援センターなどによる連携の仕組みを活用し、作成の支援をしてまいります。 次に、避難所運営についてです。 区では、避難所における快適な空間を確保するために、三十三カ所の避難所の大部分を占める小中学校における空調の設置や、プライバシーに配慮したワンタッチパーティションの配備を進めています。また、妊産婦や育児中の女性等への配慮のため更衣室や授乳室の確保、乳幼児・高齢者・障がい者に配慮した居室の提供、ペットの同行避難のルールを定めたマニュアルの作成など、安心して避難所生活を送ることができるように取り組んでいます。 議員から御指摘がありました「スフィア基準」については、内閣府が平成二十八年に策定した「避難所運営ガイドライン」にも取り上げられ、「今後の我が国の避難所の質の向上を考えるとき参考とすべき国際基準」として紹介されるなど、快適かつ衛生的な避難所の設置基準と認識しています。今後は、これを参考として、より快適な避難所の環境整備を目指し、具体的な対策を検討してまいります。 次に、シティネットワークの形成についてです。 防災、児童虐待に限らず、都市間の情報連携は都市共通の課題解決を図る上で非常に重要な課題です。各自治体がデジタル化を推進すれば、全国的に情報連携が可能になると思われますが、現段階においては、特別区での情報連携を優先し、昨年度設置された特別区長会調査研究機構のプロジェクトで研究を進めています。 議員御提案の防災システムの共同化についても、その構築のあり方について、特別区区長会調査研究機構のプロジェクトで検討しています。特別区のスケールメリットを生かし、防災システムを共同運用することにより、開発コスト、運用コストを抑えられ、また、特別区間で広域的に災害情報を共有化することで、周辺区と連携した避難者誘導、帰宅困難者対策及び相互の協力体制等において、区民及び来街者の安全・安心に資することができます。 また、このプロジェクトとは別に、児童虐待対応においては、転居などで必要な支援が途切れないよう東京都と連携し、児童相談所や都内各自治体の子ども家庭支援センターをつないだ情報共有システムを、来年度の導入を目指して検討を開始するなど、情報共有のための環境整備を図っていきます。 いずれにしましても、都市間の情報連携は、議員の御提言のとおり、都市共通の課題解決にとって様々な効果が期待できることから、今後も積極的に取り組んでまいります。 次に、「スタートアップ・エコシステム拠点都市」としての都市整備についてのお尋ねです。 冒頭の発言でも申し上げましたが、世界の都市に負けない起業しやすい拠点都市の形成を目指して、積極的に取り組んでいくつもりです。 本区は、IT企業やベンチャー企業の集積が国内ナンバーワンの都市であり、多様な人材と情報が集まります。また、多数のコワーキングスペースやインキュベーション施設でのネットワーク力も、国内トップの力を有するものと認識しています。 議員御発言のとおり、国が目指す「世界に伍するグローバル拠点都市」に最もふさわしい都市は渋谷区であると、私も確信しています。 今後、スタートアップ・エコシステムの拠点都市を目指すためには、大学や民間企業等を巻き込んだコンソーシアムの形成が必要です。具体的なコンソーシアムのメンバー等についてはこれから検討を進めていきますが、渋谷にはスタートアップ・エコシステムにかかわる数多くのプレイヤーが存在します。代表的なところでは、エッジ・オブやプラグアンドプレイなどがあります。 大学についても、本年十一月にオープン予定の渋谷スクランブルスクエアの十五階にオープンする産業交流施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」は、東京大学、東京工業大学、慶応義塾大学、早稲田大学、東京都市大学などが連携し、新しい価値の創造、クリエイティブ人材の育成を目指すことが公表されています。このような大学と連携することも考えられます。 さらに、渋谷未来デザインが加わることで、多様なジャンルの構成員からなるコンソーシアムが形成できるのではないかと思います。 本件については、さらに議論を深める必要があるため、産官学連携でプロジェクトチームを組成することとし、現在準備を進めています。 スタートアップ・エコシステムのグローバル拠点都市に選定されることは、基本構想の産業振興分野で掲げる「ビジネスの冒険に満ちた街へ。」の実現に向けて、非常に重要な取り組みであると考えています。「グローバル拠点都市」の選定に向けて、今後も御支援をいただきたいと思います。 次に、CSVのエコシステム形成についてのお尋ねです。 私は、行政だけでは解決することが困難な課題であっても、民間企業、NPO、大学などと連携し、それぞれが持つ得意分野のリソースを出し合うことで、課題解決を図れることがあるのではないかと思っています。そのため、平成二十八年度に公民連携制度、S-SAP協定を創設しました。また、課題解決にとどまらず、渋谷のまちの未来の可能性をデザインする組織として、渋谷未来デザインを設立しました。 今回の議員御提案の渋谷未来デザインとS-SAP協定締結団体が協業し、多様な主体によるネットワークを形成することは、まさに私がこれから進めようとしていた施策と同じ考えです。 渋谷未来デザインの設立時の参画パートナーは、渋谷を含め十五社、S-SAP協定締結団体は、民間企業二十社、八大学になります。全国の自治体の中でも、これだけの企業、大学と社会課題の解決やまちの未来の可能性について、一緒になって取り組んでいけるプラットホームを持っているのは、渋谷区以外にはないのではないかと思います。 これからは、CSVの観点も重視した、渋谷ならではの産官学民のネットワークを形成していきたいと思います。 次に、ササハタハツについてのお尋ねです。 議員御発言のとおり、「共創のまちづくり」を実践することで、ササハタハツにかかわるあらゆる人々のコミュニティ活動を促進するとともに、商店街の活性化を通じて地域経済の振興に寄与するまちづくりを進めていくことが大切であると考えています。 ササハタハツまちづくりでは、都市の活力を高める経済活動や新たなサービスの担い手である民間企業の力を生かして、地域課題の解決やエリア価値の向上に取り組んでまいります。将来的には、ササハタハツエリアのPR活動やプロモートイベントの企画、まちづくりに関するセミナーを開催するなど、商店街に御協力をいただきながらまちの活性化を進めていきたいと考えています。 本年度八月三十日より、まちラボフューチャーセッションを開始しましたが、まちづくりの重要なセクターの一つである民間企業のノウハウやリソースと連携しながら、地域住民を主体としたまちの担い手の確保や、商店街の活性化にもつながるまちづくりプロジェクトを進めていきます。 次に、ヘルシーロードについてのお尋ねです。 玉川上水旧水路緑道の整備につきましては、ニューヨークのハイラインに肩を並べるような、世界に誇れる緑道を目指していきます。計画づくりには、関連分野で活躍するデザイナーやクリエイターなどを招き入れるとともに、地域の様々なステークホルダーを集め、ハイラインの知見も取り入れながら、地域の皆様はもとより世界中の人々に愛される緑道を整備していきたいと考えています。 この緑道を自由な発想で様々な方々に利用していただくことで、新たなコミュニティが生まれ、それが緑道からまちへと、さらには世界へと広がっていくことこそが、世界に誇れる緑道づくりであると考えています。 一方、議員御提案の玉川上水旧水路緑道、水道道路及び神田川支流遊歩道をつなぎ、回遊型のヘルシーロードを整備することにより健康づくりの場を創出していくことは、渋谷区が掲げる「十五キロ平方メートルの運動場」の考え方につながるものと考えています。 また、設置する子どもの遊具をインクルーシブな遊具とすることで、あらゆる多様性を受け入れ、その多様性をエネルギーと変え、集まる全ての人の力をまちづくりの原動力にして、「ちがいを ちからに 変える街」を創出するという、未来像へとつながっていきます。さらに、区民農園はそのあり方を再検討することで、野菜センター事業との連携の可能性があります。 いずれの提案も非常に魅力のあるものと感じていますが、当面は玉川上水旧水路緑道の整備に心血を注ぎ、回遊型ヘルシーロードの整備については段階的に検討していこうと考えています。 次に、ふるさと納税についてのお尋ねです。 私はこれまで、ふるさと納税による返礼品の過当競争に加わることには消極的でしたが、議員御発言のとおり、ふるさと納税に伴う減収額は毎年膨らみ続けており、もはや看過できるレベルではありません。 渋谷区には、国内外を問わず多くの来街者が訪れ、渋谷でしか味わえない魅力的な体験やサービスが数多く存在します。また、スクランブル交差点を初めとした多くの方を呼び寄せるスポットがあるなど、無数の可能性を秘めたまちでもあります。 今後の区政運営を持続可能なものとしていくためにも、この高いポテンシャルを無駄にすることなく、単なるモノにとらわれない、多くの渋谷ファンに喜ばれるような、渋谷ならではの体験、コト消費を提供したいと考えています。渋谷らしい返礼を提供することで、渋谷の応援団を増やしていく取り組みにつなげていきたいと思います。 現在、渋谷ならではの体験、コト消費について、全庁的に職員から企画アイデアを募集しているところです。渋谷区らしいふるさと納税とは何かということを、私も職員と一緒になって考えていくつもりです。 議員御提案の、有形、無形の返礼品の例も参考にさせていただき、実現に向けて検討を進めてまいります。 次に、福祉について、地域包括ケアシステムの深化・推進について三点のお尋ねです。 初めに、専門人材の連携と積極的な登用による予防医療の充実についてのお尋ねです。 議員御発言のとおり、健康に過ごしていただくため口腔機能の維持、向上は必須と考えており、本区では、高齢者に対しそのための事業を、渋谷区歯科医師会の協力のもと実施しています。 口腔機能は、食べることやコミュニケーションにかかわる重要な役割を果たします。かむ、飲み込むといった口腔機能が低下すると、安全に食事を摂取することが困難になることにより、免疫力が衰えたり会話がしづらくなるといった影響が出てきます。口腔機能を維持するため、歯科に携わる専門家が連携し、定期的なケアを行うことが重要だと思います。 また、区内特別養護老人ホームの入居者に対しては、歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士といった専門家が連携し、診察や入れ歯の調整などの口腔ケアを行っています。 他方、認知症は早期発見・早期対応が重要です。そのため、本区では、一番身近な高齢者の窓口である「地域包括支援センター」を認知症の相談窓口と位置づけています。加えて、認知症高齢者の支援のため、各日常生活圏域に設けた「機能強化型地域包括支援センター」四カ所に、看護師資格を有する認知症地域支援推進員各一名を配置し、圏域内の他の地域包括支援センターをサポートする体制を構築するとともに、同じく各圏域に配置した認知症サポート医と連携し、医療の観点からの相談者対応も行っています。 これらのファーストアプローチにより、認知症が疑われた方については、地域連携型認知症疾患医療センターとして東京都から指定を受けている、東京女子医科大学附属成人医学センターを初めとする専門機関へつなぐ体制を整えています。 一方、認知症支援コーディネーターには区保健師を充て、包括の後方支援を行うとともに、認知症が疑われる家庭を訪問し、適切な医療や介護につなげる役割を持つ、「認知症初期集中支援チーム」の取りまとめ役として活動しています。 口腔ケア、認知症対応では、各専門職が専門性を生かし業務を進めることにより、円滑な対応が図られていますが、今後、高齢者の増加が予測されることからも、三師会に対し、専門職の配置や育成についてお願いをしていきたいと思います。 引き続き、各分野の専門家と連携を図りながら、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく住み続けられるよう、きめ細やかな地域包括ケアシステムの推進に取り組んでまいります。 次に、包括支援についてのお尋ねです。 議員の御指摘のとおり、障がいのある人と家族の高齢化への対応は急務の課題であり、障がいのある人が親なき後も地域で暮らし続けるには、医療、介護、住まいなどの包括的な支援が必要です。 本区では、渋谷区長期基本計画において、高齢者、障がい者、児童等への新たな地域包括支援体制の構築を施策の重要な柱と位置づけました。これを受けて、渋谷区障害者福祉推進計画では、地域で暮らし続けるための取り組みとして、地域生活支援拠点への段階的整備と、障がい者福祉サービスから介護保険サービスへの円滑な移行を重点項目に掲げました。 このうち、地域生活支援拠点については、はぁとぴあ原宿と、その隣接地に建設予定の「(仮称)神宮前三丁目障がい者施設」を、本区における障がい者施設の中核と位置づけ、これら施設で介護、ショートステイ、医療相談、機能訓練などを利用しながら、住み慣れた自宅や地域のグループホームで安心して暮らしていけるよう、区内全域で地域生活支援ネットワークを構築してまいります。 また、障がい福祉サービスから介護保険サービスへの円滑な移行についても、その要となるプランを作成する相談支援専門員が、障がいと介護のそれぞれのサービスや制度について理解を深められるよう、本年一月に新庁舎五階に開設した「基幹相談支援センター」を中心に、相談支援専門員を対象とする研修や勉強会を開催しています。 本区としても、昨年度から東京都市大学と連携してスタートした、児童・障がい・介護の関係者が集う「渋谷福祉学会」などの機会を活用して、福祉の現場を担う方々とともに、障がいと介護のサービスや施設の相互利用について検討してまいります。 次に、介護人材の確保についてのお尋ねです。 介護人材の確保については、「第七期渋谷区高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」の中で重点施策と位置づけており、今年度は、これらの介護の事業を始めようとする人を対象に、入門的研修と区内の介護事業所とのマッチングを兼ねた介護講座や就職相談会を実施し、介護人材の裾野の拡大に向けた取り組みを強化していきます。また、区内の介護事業所に向け、経験年数や職層に合わせた人材育成研修として、リーダーの育成や現場のスキルアップ、職員のメンタルヘルスなどについて講座を開催し、働きやすい職場環境づくりを支援し、人材の定着を目指します。 今後は、さらに介護人材の確保、定着を推し進めるために、職員の住宅補助のほか、将来介護の担い手となり得る若年層を含めたより多くの人に介護の仕事をアピールする機会をつくるなど、多様な視点から実効性のある施策を検討してまいります。 次に、多世代共生型の暮らし方の推進についてのお尋ねです。 現行の渋谷区住宅マスタープランの計画期間が、令和二年度までであるため、今年度から基本構想及びまちづくりマスタープランに基づく改定作業に着手したところです。 改定に当たっての大きな課題は、単身の高齢者世帯の加速的増加です。このまま超高齢化を迎えるとコミュニティが衰退し、孤独死などが広がるおそれがあります。 議員御提案の、若者を含む多世代が助け合って暮らす暮らし方の構築は、実現すべき重要な課題だと思っています。現在検討している方向性は、スウェーデンなどで実施している共用のキッチンや交流スペースがあることで、家事や育児を助け合いながら暮らすコレクティブハウジングという住まい方です。助け合いの暮らし方を維持するためには、御紹介いただいたエリアマネジャーのような仕組みも必要となりますので、ロシアやフランスの事例も研究してまいりたいと思います。 このため、今年七月に立ち上げた住宅政策協議会に、コレクティブハウジングに詳しい専門家を部会長とする専門部会を設置して検討を進めています。実現に向けて、渋谷区において、家事や育児を交代で負担する暮らし方のできる人が、実際にどれだけいるのかといった調査を始めています。来年度作成する新たな住宅マスタープランにおいては、渋谷区で実現可能な多世代共生の暮らし方を取り入れたいと考えています。 代々木二、三丁目の国有地につきましては、取得に向けて国と協議中でありますが、取得でき次第、保育園や高齢者福祉施設とともに、多世代共生のモデルとなる区民住宅を整備したいと考えています。また、共生のためには、支える側の人材が必要ですので、若者や介護人材が一定の条件のもとで入居できる枠も設けたいと思います。 新たな住宅マスタープランの策定にあわせてモデル事業を実現することで、これまでにない先進的かつ多様な住み方を選択できる住宅政策を推進してまいりたいと考えています。 次に、区民の福利施設として、管外施設の整備についてのお尋ねですが、新島青少年センターは、豊かな自然環境の中、青少年団体や小中学生を含む家族が、グループ活動や親子のふれあいを深め、青少年健全育成の場として多くの区民の方に利用されてきました。 施設は来年で開設五十年を迎え、建物の老朽化や設備不足などの課題もあり、また、土地の賃貸借についても今年度末をもって満了となるため、区は今後の施設運営について検討してまいりました。冒頭の発言でも述べましたが、区民の利用状況や新島との関係などを鑑み、新島青少年センターの土地賃貸借契約を更新し、建替えを視野に検討しておりますが、現在の区民ニーズでは、青少年育成に限らず、ファミリーのレジャーや幅広い世代でのマリンスポーツ、さらには豊かな自然環境の中でのリフレッシュを目的とした利用などが含まれております。時代とともに青少年施設としての位置づけも変化しております。 今後は、施設のあり方についても検討を行い、民間の手法を取り入れるなど、現在の区民ニーズに即した宿泊施設として、さらには豊かな自然を持つ新島を体験できる施設として、より区民に喜ばれる運営を目指します。不足する設備等につきましては、施設を整備する中で解決を図り、新島の魅力を生かした事業展開についても検討してまいります。 また、今回の台風十五号の影響で一部の宿泊棟の屋根が剥がれるなど、甚大な被害が出ており、幸い人的被害は出ておりませんが、当面は営業する上で大きな支障がある状況です。建物等の被害状況を確認し、今後の営業については早急に検討し、対応を図ります。 次に、幼児教育と保育環境の整備についてです。 保育施設等に臨床発達心理士などの専門家を常設することについては、それぞれの園の状況、運営方針等により、保育施設等を運営する法人がその責任において対応していることもあると聞いています。 区としては、子ども発達相談センターで、区内の公立・私立を問わず未就学児通所施設の巡回訪問相談を実施しています。これは、日々の保育の中で発達の気になるお子さんへのかかわりについて、保育士等への助言・指導をするもので、平成二十七年度から行っています。今年度より心理士を二名増員、さらには心理士の資格を有した大学教授を新たにチーフアドバイザーとして配置し、体制を強化したところですので、この巡回訪問相談に加えて、現段階では区が常勤の専門家を配置する考えはありません。 職員の人材育成などの保育環境の整備については、現在私立保育園等の保育士への研修を、渋谷区私立保育園・認定こども園連合会へ研修業務を委託して実施しています。 実施方法については、受講者が集合する形式で実施していますが、グループワークや講師との質疑応答を行うことで、受講者の習熟度を高めることやモチベーション維持につながる研修内容であると考えているためです。 研修にeラーニングを導入することについては、受講機会の確保や保育現場の負担軽減などの効果があると考えられますが、eラーニングに適した研修内容や実施方法については、今後の研究課題としたいと思います。 また、保育従事職員の宿舎借り上げ事業については、国と東京都の制度であるため、その動向を注視してまいります。このほか、職員配置に関する保育事業者への補助制度については、保育の質の確保や職員の処遇改善に資するよう、国や東京都の制度を活用しつつ、保育事業者への支援を実施してまいります。 次に、幼児教育プログラムについてのお尋ねです。 渋谷区幼児教育プログラムの改定については、これまで「幼児教育」という表現を、幼稚園や保育園、認定こども園の小学校入学前の子どもたちを広く対象としたことが明確化できるよう、「渋谷区就学前教育プログラム」と表現を変更する予定です。 また、今回の改定に当たっては、様々な園に活用されるよう、公立・私立の幼稚園や保育園等の教員などを含めて検討を進めています。 本プログラムの改定のポイントは、国の指針等を踏まえ、幼稚園、保育園、小学校との接続に係る取り組みを充実させるとともに、海外での先進的な幼児教育を参考に検討しています。具体的には、子どもたちを新たな価値の創造者として捉え、作品等を積極的に展示するイタリアでの取り組み、自分の考えや思いを他者に伝え、認め合う場面を設定するニュージーランドでの取り組みなど、視察の成果を指導計画に反映してまいります。 引き続き検討を進め、九月末を目途に、この改定プログラムを踏まえた教員研修についても検討してまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○議長(下嶋倫朗) 豊岡教育長。 ◎教育長(豊岡弘敏) 私には、教育について四点のお尋ねがありました。順次お答えしてまいります。 まず、ICT教育についてのお尋ねです。 教育委員会では、タブレット端末の導入効果や課題を把握するため、ICT教育に関するアンケート調査を、これまで二回実施してきました。児童・生徒の調査結果では、学習に対する興味・関心の向上、自分の意見や考えが伝えやすくなったこと、他者の多様な見方、考え方が気がつきやすくなったことなどに効果が出ております。教員の調査結果では、タブレット端末を含むICT機器の環境に対する評価や、指導者用のデジタル教科書に対する評価が高い状況でした。 これらの結果は、現行の渋谷区モデルの特徴である児童・生徒、教員に一人一台のタブレット端末が貸与され、LTE回線により、いつでも、どこでも使える環境が整備されたことによるものと認識しております。そのため、新しい渋谷区モデルにおいても、このICT教育環境を前提とし、学校や家庭における、質の高い学びにつなげていきたいと考えています。 一方で、調査結果からは、学習ドリルや教員の負担軽減などについて課題が見られたため、これらの課題が解決されるようなシステムを構築することも必要と考えられます。 今後は、議員御指摘の国の構想も参考にするとともに、学校現場に支障が出ないようなスケジュール計画をし、新しい渋谷区モデルの検討を進めていきたいと考えています。 続いて、プログラミング教育についてのお尋ねです。 プログラミング教育は、子どもたちに、コンピューターに意図した処理を行うように指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業につくとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としてのプログラミング的思考を育成するものです。このような力を身につけるには、これから多くの学校で、子どもたちが楽しかったと言える、魅力あるプログラミング教育にしていくことが必要です。 教育委員会では、区内におけるプログラミング教育の充実を目的とするプログラミング教育事業に関する協定を締結し、カリキュラム開発に向けた準備を進めています。また、ICT教育推進校としての笹塚中学校はもとより、長谷戸小学校、常磐松小学校においても、論理的に考えていく力を育むプログラミング教育の研究を行っています。放課後クラブやこども科学センター「ハチラボ」では、多様なプログラミング体験などの取り組みも進めています。 このように、プログラミング教育のカリキュラム開発や授業研究など、今後も様々な取り組みを充実させ、プログラミング教育を魅力的なものにしてまいります。 次に、生きた教育の推進についてのお尋ねです。 議員御指摘のオリンピック・パラリンピック教育や人権教育、シティプライドを育むための教育は、異文化理解や子どもの生きる力につながるものと考えます。こうした教育活動は、学校の中だけで行われるものではなく、学校で習得した知識や技能等を生きた社会で活用したり、現実の社会の課題を学習内容として取り扱ったりすることで、より質の高いものとすることができます。 そのため、今後とも児童・生徒が社会とのかかわりの中で生きる力を育み、未来の渋谷を担う人材となるよう、また、各学校がコミュニティスクールとしての特色を生かし、地域の人材や資源を活用した教育活動が行えるよう支援してまいります。 最後に、いじめ対策についてのお尋ねです。 いじめは、子どもの生命や心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼす人権侵害であり、絶対に許されない行為です。 議員御指摘のとおり、各学校では年間二回、いじめに関するアンケート調査を行っております。その結果については、全職員で共有するとともに担任やスクールカウンセラーとの面談につなげています。また、各校の生活指導担当者を対象に、いじめをテーマとする研修会の実施や、中堅・若手教員研修など、職層に応じた研修を実施し、教員のいじめ問題への対応力を高めています。 子どもたちが日々の生活を送る際に発生するトラブルや悩み、ストレス等について相談できるよう、区の教育センターや都の「LINE相談」窓口などについても周知をしています。さらに、教育委員会では、本年八月にいじめの未然防止等の対策を協議する会を開催するなど、今後もいじめ防止のための対策を講じてまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○議長(下嶋倫朗) 二番岡 議員。 ◆二番(岡美千瑠) ただいま区長、教育長より、数々の提案に対して意をお酌みいただき、大変前向きで丁寧な御答弁をいただき、誠にありがとうございました。 以下、若干の所感を申し述べさせていただきます。 まず、東京二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の準備について、様々な取り組みを進めていただいていることに感謝いたします。今後とも、区の独自性を持った取り組みを進めていただき、組織の透明化と情報の集約・共有・提供のためにも、是非組織横断型の取り組みを進めていただきますようお願いいたします。 次に、経済活性化について、スタートアップ・エコシステム拠点都市としての整備について、積極的な答弁をいただきました。実現に向けた今後の取り組みに期待いたします。 CSVのエコシステム形成についても前向きな答弁をいただき、ありがとうございます。 行政だけでは解決困難な課題に、多様な主体の得意分野を生かした産官学民協業の働きかけは重要です。また、その潮流の中での環境整備としまして、ビットバレーと呼ばれた渋谷をIT分野における世界的技術拠点へ推進し、スマートシティを実現することは、便利な近未来都市を実現するばかりでなく、都市問題解決にICTやビッグデータをも活用できると考えております。 是非、CSVの意識を明確に持ちながら活動いただき、多様な主体と協働し、都市問題解決に寄与するCSVエコシステムの早期形成を期待いたします。 多世代共生型の暮らしの推進については、実現すべき重要な課題であると答弁いただき、ありがとうございます。是非、代々木二・三丁目の国有地の取得を進めていただくとともに、新たな渋谷区住宅マスタープランの策定にあわせ、先進的で多様な住み方を選択できる新たな住宅政策を推進し、未来を見据えたまちづくりを進めていただきたいと思います。 教育につきましては、教育長に前向きな力強い答弁をいただきました。渋谷区の未来を担う子どもたちの健やかな成長のため、全力で取り組んでいただきますよう期待いたします。 最後になりますが、私ども渋谷区議会自由民主党議員団は、渋谷区の活力を向上させる先駆的な施策を積極的に推進し、全ての区民が希望にみちた明日を享受できる社会を実現するため、誠心誠意、最大限の努力をしてまいりますことをこの場にお誓い申し上げ、私の代表質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 ○議長(下嶋倫朗) 暫時休憩いたします。-----------------------------------   休憩 午後二時五十分   再開 午後三時十分----------------------------------- ○副議長(岡田麻理) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 区政一般に関する質問を続行いたします。 四番神薗麻智子議員。 ◆四番(神薗麻智子) シブヤを笑顔にする会の神薗麻智子です。会派を代表して質問いたします。 質問に入る前に、一言述べさせていただきます。 先月の九州北部豪雨では、佐賀県の武雄市、大町町を初め大きな被害が発生いたしました。亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被災者の方々にお見舞いを申し上げます。 先週、横浜市でも、集中豪雨でJR横浜駅や戸塚駅が浸水する被害がありました。また、昨日未明、台風十五号が猛威を振るい、関東エリアでも停電や倒木、建物の破損などの被害がありました。関係の深い新島村でも、停電が続いたり建物が壊れるなど被害が大きかったと聞いております。被害に遭われた地域の一刻も早い復旧・復興を願っております。 昨年の西日本豪雨など、ここ数年、豪雨や台風による大規模な災害が全国で多く発生しており、三十ミリを超える大雨がおよそ三十年間で約一・七倍に増えています。大雨増加の一因として、地球温暖化との関係が疑われております。地球規模で起きている問題に向き合うとき、無力感を感じてしまうこともありますが、「Think Globally,Act Locally」(シンク・グローバリー、アクト・ローカリー)を信念に、百年先を見据え、地球規模で物事を考えながらも渋谷区で地道な実践をつくっていくことが明るい未来につながっていくと信じております。 渋谷区の掲げる基本構想である「ちがいを ちからに 変える街」の実現に向け、区民の皆様から負託を受けた議員として役割を全うしてまいります。 以上のことを申し上げて、質問に入ります。 まずは、残り一年を切った二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた環境対策について区長にお伺いいたします。 大会組織委員会は、二〇一五年九月に国連サミットで採択された持続可能な開発目標、SDGsに貢献し、将来に引き継がれる取り組みを行うことを宣言しています。 二〇一二年に開催されたロンドンでは「廃棄物ゼロ」を掲げ、生ごみのコンポスト化やリサイクルの推進を積極的に行った結果、六二%の一般廃棄物と九九%の施設建設・解体時に発生した廃棄物がリサイクル、リユースされました。前回のリオデジャネイロでも3Rは重要視され、合計千百トンの廃棄物がリサイクル・リユースされました。 「渋谷区環境基本計画二〇一八」では「持続可能な仕組みづくりに取り組む」と発信しておりますが、オリ・パラへ向けてSDGsを実践していくことは渋谷区にとって非常に意義があることと感じます。 そこで、二点区長にお伺いです。 一点目は、食品ロスについてです。 日本では毎年約五百万から八百万トン、渋谷区では一日当たり約二トンの食品ロスが発生しております。渋谷区では「シブラン三ツ星レストラン」認証制度やフードドライブ、生ごみのコンポスト容器のあっせんなどを実践していますが、現状を踏まえると、活動をさらに加速させていく必要がございます。 そこで、オリ・パラを契機に、食品ロスに関する取り組みの積極的な周知や活動の拡大を提案いたします。 食品ロスやごみの削減、環境美化などに取り組む区内の飲食店を認証し、区のホームページでPRするシブラン三ツ星レストランがこの六月からスタートしております。八月末段階で六件の認証と聞いています。例えば、認証された店舗をより多くの方々に利用していただけるように、渋谷区観光協会と連携し、来街者向けに積極的にPRを仕掛けるのはいかがでしょうか。 フードドライブは、現在、常設で一カ所、あとはリサイクルバザール等のイベントで回収を行っています。杉並区では常設の受付が区内に十カ所あり、区民施設など目に触れやすい場所に設置されています。渋谷区でも、地域交流センターや提携した企業、店舗への設置はいかがでしょうか。 コンポスト容器のあっせんに関しては、現在、問い合わせ対応と聞いています。こちらも区報やウエブメディアで積極的に発信をし、各家庭や事業所へ案内を行うのはいかがでしょうか。 オリ・パラを契機にした食品ロスの積極的な周知や活動の拡大について、区長の見解をお伺いします。 二点目は、プラスチック消費の削減についてです。 マイボトルやマイ容器、マイバッグの利用促進を渋谷区として取り組むことはできないでしょうか。現在、キャットストリートでは、ごみを出さない経済循環を目指したプロジェクト「530week(ゴミゼロウィーク)」を実施し、マイボトルなどの持参促進や各店舗で給水所を設置するなど取り組みが広がっています。また、東京都水道局はTokyo Water drinking station(トウキョウウオーター・ドリンキング・ステーション)を推進しており、渋谷区でも二十一カ所が指定されています。都の設置する給水所や、マイボトル・マイ容器・マイバッグ対応をしている店舗などを渋谷区として発信し、利用促進を区民や来街者へ積極的に働きかける取り組みなどができるのではないかと考えます。 オリ・パラへ向けたプラスチック消費削減の取り組みについて、区長の見解をお伺いします。 続いて、渋谷区喫煙ルールについて区長にお伺いいたします。 四月から屋外の公共場所が終日禁煙となりました。違反者は過料の対象になることもあり、周知を促すビラ配りや、分煙指導員が巡回し、指導が始まっています。しかしながら、公園に「公園内禁煙」の黄色いのぼりが複数設置されているにもかかわらず、喫煙者の数は一向に減らない状況です。 そこで、森田由紀議員と私で約一カ月間、区の取り組みに関するアンケート調査をインターネット及び街頭で行い、二百三十四名の方から回答をいただきました。わかったことは、大きく二点です。 一点目は、改正された「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」の認知がまだ広がっていないということです。東京都の屋内施設に関する喫煙を規制した受動喫煙防止条例は六七・二%の方が「認知している」と回答、一方で、渋谷区の条例に関しては三四・一%にとどまっていました。 二点目は、「喫煙スペースを各所にしっかり設置してほしい」という御意見が多かったということです。喫煙者、非喫煙者ともに御意見いただいたのが、「喫煙スペースをもう少し増やすことでしっかりルールを守れるのではないか」という声でした。 そこで、区長に二点質問です。 一点目は、現在行われている周知方法及び指導の現状と、今後の周知徹底について区長の所見をお伺いします。 また、配布されているチラシやのぼりなど、今後、外国からの来街者が増えることも想定し、英語などの外国語表記も追加していく必要があると考えます。外国語表記対応について、あわせて見解をお聞かせください。 二点目に、「渋谷区安全・安心なまちづくりのための大規模建築物に関する条例」で、一万平方メートルを超える建物の中には公共喫煙施設の設置が義務づけられておりますが、それだけでは喫煙スペースが足りないと考えます。一般開放可能な屋内喫煙所を設置する建築物の所有者等に対し、設置費及び維持管理費を助成する自治体もあります。例えば千代田区では、設置経費の初期費用、原則一回限り、七百万円の上限で一〇分の一〇を負担しています。維持管理費は年額二百四十万の五分の四を助成しています。渋谷区にも屋内喫煙所を設置するための助成金制度を設け、たばこ販売店やコンビニなど、喫煙者が日常的に利用する小規模喫煙所の設置を促進するのはいかがでしょうか、区長の見解をお聞かせください。 続いて、渋谷区管外施設について区長にお伺いいたします。 渋谷区では、過去二年間で檜原自然の家、山中高原学園、富山臨海学園が廃止となりました。子どもたちの成長を見守り続けてきた青少年施設が次々と閉じられていることに、区民の皆様からも「青少年活動への支援が削減されているのではないか」と不安の声を伺います。 また、一九七〇年に創設され来年五十周年を迎える新島青少年センターは、これまで施設の耐震や補強整備等を行いながら運用を続け、渋谷区と新島村はお互いを助け合い、友好関係を築いてきました。一九八〇年に新島村から渋谷区へモヤイ像が寄贈、また、二〇〇〇年の伊豆諸島北部群発地震では、トンネルの崩落により孤立した地域の村民の方たちが「新島青少年センターを避難所として活用した」と、先日の視察の際に感謝の言葉もいただきました。このように、災害時にも助け合うことのできる関係づくりの重要性を感じております。 区長発言で、新島村との賃貸借契約を更新した上で施設の建替えを含め青少年施設としてのあり方を検討するとありました。シブヤを笑顔にする会ではこれまでも新島青少年センターの存続を訴えてまいりましたので、区長の発言を高く評価いたします。 我が会派から、これまでの青少年施設、宿泊機能に新たな価値をプラスして、都市と島の連携だからこそできる地域創生の事業について提案します。 ここ数年、ワーケーション、テレワーク、サテライトオフィスという三つの働き方が注目されています。ワーケーションは休暇中に旅先などで仕事をするという新しい働き方、テレワークはICTを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方、サテライトオフィスは企業等の本拠地から離れた場所に設置されたオフィスのことを言います。 徳島県ではこの三つの環境づくりを実践し、全国十八カ所のお試しサテライトオフィスモデルに採択されたり、海外企業二十社以上のワーケーションを実施しているそうです。渋谷区の企業も、オフィスの多拠点化のため徳島県へ進出している事例もございました。 また、新島村も徳島県を視察され、村をあげてサテライトオフィスなどの推進を行うということでお話を聞いております。 新島青少年センターがよく利用される時期である七、八月の夏休みやゴールデンウイークは渋谷区の青少年やファミリー世帯への貸し出しを優先し、閑散期には多拠点で働く方々やワーケーションの企業などに積極的に利用してもらうことで、海と自然という豊かな資源を持っている新島と、たくさんの企業があり世界とも密につながりのある渋谷区が共同で新たな地域創生の形をつくれると考えております。 時代に即した施設の見直しや新しい価値づくりを検討し、地域活性化にもつなげていけたらと考えますが、新島青少年センターの今後について区長の見解をお聞かせください。 次は、子育て支援について大きく三点、区長に質問いたします。 まず、大項目一点目、渋谷区子育てネウボラについてです。 この五月からネウボラの取り組みがスタートし、オープニングイベントの開催やアンバサダーの認定、四月から八月末の段階で約百二十件の妊婦面接、それを受けて出産後の育児パッケージも送付がスタートしたと聞いております。 前出しましたアンケート調査では五〇%以上の方がネウボラの取り組みを認知されており、短い期間で多くの方に浸透している状況がうかがえます。 今後さらに準備すべき点ということで、渋谷区子育てネウボラについて区長に二点質問します。 一点目は、子どもや御家庭の情報を複数部署で連携するための「ネウボラ電子カルテ化」についてです。 ネウボラの取り組みは、産前・産後の面談を行う保健師を起点に、多くの関係者が横断して御家庭や子どもたちの成長を見守ることに大きな価値があります。第二回定例会でも、区長の答弁に「母子健康保健情報のシステム化について検討する」とありましたが、それを実現するためには面談や健康診断、予防接種等の情報を一元管理し、関係する担当者が入力、閲覧できるシステムが必要になります。また、保育園や幼稚園、学校、放課後等デイサービス、子ども家庭支援センター、子ども発達相談センター、今後、設置予定の児童発達支援センターなどからも情報入手や提供が必要となるでしょう。 京都府南丹市では、児童虐待を防止するために、市役所や学校などの関係者が情報共有できるクラウド型のシステムを二〇一九年七月より導入しています。従来は紙ベースで十日以上要していた出欠状況の確認、取りまとめなども、アプリへの画面入力だけで完結するようになったということです。例えば「今日も児童に会えなかった」という学校からの報告を市の担当者が夕方に参照、学校と緊急度を相談した上で、その日のうちに児童の自宅を訪問して状況確認ができているようです。 母子健康保健情報のシステム化の準備状況、上記お伝えしたように、母子の健康保健情報に加え複数関連箇所からの情報を収集し、連携できるようなシステム構築になればと考えますが、区長の所見をお聞かせください。 二点目は、ネウボラの全体計画についてです。 十八歳までの子どもたちのいる御家庭をサポートする渋谷区子育てネウボラにおいて、子どもの成長に合わせ御家庭がどう変化するかを踏まえ、働きかけていく必要があります。特に、子どもたちにスペシャルニーズがあったり御家庭が不安定で虐待の可能性があったり、ひきこもりや不登校の問題を抱えている場合など、相手からの情報を待つのではなく積極的な働きかけを行い、状況を改善していくことが必要です。 一方で、ある程度子育てが軌道に乗った御家庭に対しては、頻度の高いきめ細やかなフォローというよりは、多くの方々が欲する情報を提供し、必要があれば相談先があるという体制が有用と考えます。例えば、発達段階に合わせた子どもへの対応方法、保育園や幼稚園の情報、小学校や中学校の情報などは多くの保護者が欲しています。インターネットの普及に伴って子どもたちが誤った性に関する情報を手に入れる機会も早まっていますので、年長くらいから命や性に関することを保護者と一緒に学ぶ機会が必要という声も多く聞こえています。 妊娠期から十八歳までの御家庭と子どもたちの発達段階や想定される活動を踏まえ、専門家や支援を実践している方、担当部署を入れて委員会を立ち上げて、全体計画を設計すること、全体計画に関しては区民にも公表し、今後どういった支援がネウボラを通じて行われるのかを認識いただく必要があると考えますが、区長の見解をお伺いします。 大項目二点目、認可保育園の質の保証について区長にお伺いいたします。 六月に発表された待機児童数は九十二名ということで、昨年度の百五十一名から大幅に削減されています。今年度もさらに認可保育園の定員を四百三十六名拡大し、多くの共働き世帯が仕事を継続して行える環境をつくっており、子育て世帯からも評価をもらっています。 一方で、多数の新設園ができているため、保育園の質を一定水準以上に保つ努力を渋谷区としてしっかり行う必要があります。現状、東京都と合同の実地調査や巡回指導の担当を配置、私立認可園に関しては合同で研修会を設定するなどの対応を進めているかと思います。 そこで、区長に三点質問です。 一点目は、以前、議会でも提案がありました「保育の質ガイドライン」の策定についてです。 前出のネウボラでも全体計画が重要とお伝えしましたが、保育の質保証に関しても同様と認識しております。「保育の質ガイドライン」があることで、急激に増える民間の私立園と渋谷区が目線をしっかり合わせ、渋谷区の子どもたちを育てていけると考えます。また、保育園の自己評価の活動にもつながりますし、運営に協力する保護者や地域とも視線を合わせて取り組みが行っていけます。 世田谷区、豊島区、足立区など、二十三区内でも設置する自治体が増えています。渋谷区においても保育の質ガイドラインの策定が必要と考えますが、区長の見解をお聞かせください。 二点目は、区独自の巡回指導の強化についてです。 現在、渋谷区では保育巡回指導アドバイザーと指導検査担当の事務職員が一名ずつ、園長経験者四名の合計六名が巡回していますが、世田谷区では看護師、栄養士といった複数の専門職も入り巡回指導のチームをつくっています。渋谷区の巡回指導の現状と今後の方向性、看護師や栄養士などの複数の専門職の配置が検討できるか区長の見解をお聞かせください。 三点目は、保育士研修のオンライン化です。 渋谷区でも場を活用した研修会を行っていますが、保育士は現場があるため、全員が必須で研修参加というのが難しい現状です。そこで、ICT先進地域でもある渋谷区ならではの取り組みとして、eラーニングの講座を生かした研修を促進するのはいかがでしょうか。区長の所見をお伺いします。 大項目三点目、スペシャルニーズのある子どもたちの移動支援について区長に御質問します。 これまでも、要望を受け、スペシャルニーズのある方たちへ向けた移動支援の充実が進んでいます。スペシャルニーズ児童・生徒への移動支援については、特別支援学校の小学部、中学部及び高等部の自宅と学校間の通学、学校の送迎バス停留所までの送迎、また、放課後等デイサービス事業者や放課後クラブへの送迎も相談できることになっています。 特別支援学校だけではなく、特別支援学級あるいは通常学級に在籍しているスペシャルニーズ児童・生徒たちにも同様に移動支援を求める声が上がっています。区内にある放課後等デイサービスを利用する際も、送迎支援をしている事業所が少なく、療育的な要素を必要とされる児童・生徒を持つ保護者の送迎負担が大きいのが現状です。特別支援学級や通常学級に在籍するスペシャルニーズ児童・生徒へ移動支援の拡充をお願いできないでしょうか、区長の見解をお伺いします。 また、移動支援のヘルパーの確保も困難と聞いておりますので、シブカツのハチコウ大学などで移動支援ヘルパー養成講座を設置し、積極的に発信する働きかけも必要と考えます。ヘルパー養成の取り組みについてもあわせて区長の見解をお伺いします。 次に、高齢者の見守り施策について区長及び教育長に質問します。 渋谷区でも六十五歳以上の高齢者人口が二〇一三年から二〇一七年で四万三百二十二名から四万二千五百六十一名に増加しています。また、単身世帯の人口が全体の六五%を占めることから、今後、ひとり暮らしの高齢者が増えることも想定されます。 二〇一七年に発表された「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査結果報告書」には、ひとり暮らしが三四・四%と最も多く、次いで夫婦二人暮らしが三二・四%でした。御家族がいない方をどう見守っていくかは今後、重要な課題になってきます。 現在、「セーフティネット見守りサポート事業」のように人の力を生かした見守りと、IoT・Beacon(アイオーティー・ビーコン)を活用した宅外での認知症の方の見守りサポートの実証研究も進んでいると聞いております。 質問が二点ありますが、一点目は区長に質問です。 宅内での見守りサポートということで、ロボットを利用した見守りもできるのではないかと考えます。愛媛県西条市では、音声認識AIを内蔵した見守りロボットを設置し、離れて暮らす家族との連絡や介護予防の運動動画の情報を提供したり、ロボット自体が決まった時間に声かけをするなどの実証研究を行いました。遠方に住む御家族との「コミュニケーションが気軽にとれたこと」「ロボットとの会話に癒やされる」という声も出ており、高齢者の暮らしのクオリティー・オブ・ライフの向上にもつながっているということでした。 新たな高齢者の見守りのツールとして、宅内にAIロボットを設置する仕組みを整える助成を行うなど検討いただけませんでしょうか、区長に見解をお伺いします。 二点目は、教育長に質問です。 現在、区内複数箇所に設置されているオレンジカフェと中学生をつなぐ仕掛けができないかという提案です。 渋谷区の中学一年生は、認知症のサポーター講座を各校で受講しています。ここで得た知識を講座のみで終わらせるのではなく、社会活動の一環としてオレンジカフェでボランティアを行うことによって知識を生かす活動につなげるなど、今年度施行しているシブヤ科の取り組みも踏まえて実施できませんでしょうか。次世代を担う中学生と高齢者の方々の交流は、世代の分断をなくし、ちがいをちからにするまちづくりという意味において大変重要な取り組みと認識しています。教育長へ見解をお伺いします。 教育について、大項目四点を教育長に質問いたします。 まず大項目一点目、小中学校のICT教育の推進についてです。 渋谷区では、二〇一七年九月より全児童・生徒へLTEタブレットを貸与しています。次年度の九月でリース期間が切れ、新しい契約をどうするか、まさに検討されている時期かと思います。先日八月二十九日の文教委員会でも、「校務システムが教員の負担軽減になっていない」「ドリル学習ソフトの肯定回答が少ない」「新指導要領に対応した改革が必要」といった報告を受けました。 また、二〇一七年四月に公募があった文部科学省、次世代学校支援モデル構築事業及び総務省、スマートスクール・プラットフォーム実証事業へ参加し、二〇一九年三月に報告が出ています。 スマートスクール・プラットフォームとは、教員が蓄積する出欠や保健情報、成績情報が管理されている校務系のシステムと、児童・生徒も利用する授業・学習系システムを安心・安全かつ効率的に情報連携を行うための実証研究です。渋谷区として得られた成果は、「複数データの分析から通常の対面では発見しづらい生徒の様子を把握、指導を充実できた」点、「個人情報の対応方法を確立できた」点、「セキュリティを担保しながらビッグデータを運用し、生徒や学校の様子を具体化できる連携システムの枠組みを構築できた」点と認識しております。 多くの自治体で学校のICTに関する予算の獲得が難しい中、全児童・生徒へのLTEタブレットの導入、そしてその両輪としてスマートスクール実証研究へのチャレンジを行い、未来の学びへ向かう環境を学校現場と自治体が協力してつくっていることは大きな成果であり、評価いたします。 全国をリードする渋谷区モデルのさらなる発展へ向けて、五点、教育長に質問いたします。 一点目です。 今後、タブレットや学校のICTシステムがさらに活用されていくために、日常的なコミュニケーションソフトがあったほうがよいと考えます。 現在、全国五千校ある高等学校の約半数が利用している学校ICTソフトで、活用率が上位の学校群は全校の教員、生徒の八〇%以上が毎日活用するといったログが出ています。大きな要因は二つで、一つはコミュニケーションツールがあるということ、もう一つは保護者にも利用してもらうということです。どうしても協働学習、ドリル学習のツールのみだと利用する場面は限定されます。一方で、コミュニケーションは毎日行われますので、データで送受信することで業務が効率化できます。 スマートスクールの実証研究で、大阪市は、児童・生徒たち自身で心の天気を毎日つけてもらうことで、状況を把握した担任や養護教諭が生徒に声がけをするといった取り組みがなされていました。将来、顔認証の技術が進歩すれば、児童・生徒の健康状態がわかったり出欠をとったりということが児童・生徒がタブレットにアクセスするだけで可能になります。 また、保護者にも学校ICTを活用いただくことで、さらにICT化を進めることができます。既に区立認可保育園を中心に御家庭と園を連携するアプリが導入され、お知らせや書面、欠席や遅刻などの連絡もデータでのやりとりに移行されました。 そういった環境を経験した保護者が、小学校へ上がった途端、欠席連絡が連絡ノートになります。連絡ノートを学校に届けるまでに保護者同士が朝からやりとりをして受け渡しをお願いし、また夕方以降に依頼した御家庭へ受け取りに行かねばなりません。しかも、病気の子どもが一人でいるのが嫌だという場合は、感染リスクがある中、受け渡しの御家庭に連れていくこともあります。下の兄弟がいる場合はその兄弟を連れて移動したりと、保護者の負担がかなり大きいという声が上がっています。 教員の業務効率化という意味においても、紙の印刷や配付、回収、データ集計などの業務を削減することが可能です。学校ICTの取り組みとして、児童・生徒、保護者とのコミュニケーションツールの導入を検討いただけないでしょうか、教育長の見解をお伺いします。 二点目です。 文科省が二〇一九年六月に、新時代の学びを支える先端技術推進方策を発表しました。そこで提唱されている学びにおける時間、距離などの制約を取り払うという取り組みでは、遠隔技術を活用し、多様な人々との学び合いの機会をつくることもICT活用の具体的な効果とされています。 二〇一八年六月定例会で田中匠身議員がテレビ会議システムを使ったフューチャールームの構想を提案した際、教育長からは「海外派遣事業で訪れた現地校と交流が可能になるなど教育効果が期待されますので、今後、費用面などを調査し導入について研究してまいります」という答弁をいただいておりましたが、その後の進捗状況をお知らせください。 三点目です。 推進方策の柱の一つに「個別に最適で効果的な学びや支援」があります。現在は学習アプリ内で完結する仕組みですが、全国的な学力テストの結果を踏まえ、個別・最適化された学習コンテンツを、学力や学習状況に合わせて問題を提供する「アダプティブラーニング」の仕組みを導入することで、さらなる学習効果が上がると期待されています。「アダプティブラーニング」の仕組みを導入することについて、教育長の見解をお聞かせください。 四点目です。 さらにもう一つの柱「可視化が難しかった学びの知見の共有やこれまでにない知見の形成」があります。現在、協働学習用のアプリが導入されていますが、発信された教員の指導教材や生徒たちの発表内容は授業の実践知になります。このような指導や学習の履歴をビッグデータとし、自動的、継続的に収集、分析、共有することが可能です。指導や学びに関するデータ活用について、教育長の見解をあわせてお聞かせください。 五点目は、二〇二〇年度から新指導要領に入ってくるプログラミング教育についてです。 既に渋谷区では、六月に締結された「Kids VALLEY(キッズバレー)未来の学びプロジェクト」に協力いただきながら、各社のコンテンツや専門性のある社員派遣など、次年度へ向けての準備が進んでいる状況かと思います。特に小学校の教員は、専門外の取り組みということで非常に不安を抱えているのではないかと思います。現場の教員の業務負荷をかけずに安心してスタートするためには、各社のアプリケーションの内容と、指導目標や目的を踏まえた渋谷区独自の指導カリキュラムや指導案が必要と考えます。また、学校へ派遣される講師やサポート役の社員に関しては、学校現場や児童・生徒への理解、学校カリキュラムの把握などの研修機会が必要と考えます。 新指導要領におけるプログラミング教育に向けた準備状況について、教育長にお伺いします。 大項目二点目、小中学校のコミュニティスクールについて教育長へお伺いします。 今年度、渋谷区では全小中学校のコミュニティスクール化が完了します。子どもたちの無限大の可能性を未来へ向けて開いていくためには、御家庭や学校だけではなく、地域の力を合わせていくことが重要と考えます。 現状では、多くのコミュニティスクールの学校運営協議会は、学校長の発信する学校経営方針や活動について承認し、相互の連絡活動にとどまっています。そのような中、設置第一号の松濤中学校のコミュニティスクールの仕組みを教えてもらったところ、大変進んだものになっていました。学校運営協議会に学校支援本部が実行部隊として併設されており、さらには活動支援をするための資金を育英基金で集め、運用しています。 また、コミュニティスクールの運営に力を入れている品川区でも、学校運営協議会に当たる校区教育協働委員会に併設して学校支援地域本部が設置され、その間を地域コーディネーターが連携しています。地域コーディネーターのデスクを職員室に設け、教員とのコミュニケーションをしっかりとれる体制をつくっています。 そこで、教育長に四点質問いたします。 まずは一点目です。 学校運営協議会が承認や連絡会としての役割にとどまることなく、意思決定機関として機能するため、シブヤを笑顔にする会が提案してきた裁量予算を実現いただいたことは高く評価いたします。ただ、今年度、一校当たり二十万円と設定されていますが、各校の課題は一律ではありません。学校運営協議会の提案内容に応じて増額できる仕組みにすればコミュニティスクールも活性化すると考えますが、教育長の見解をお伺いします。 二点目に、渋谷区のコミュニティスクールとしての目指すべき方向性を教育委員会として提示し、学校支援本部の設置や予算を捻出する育英基金などの設置について各学校と議論いただきたいと思います。教育長の見解をお聞かせください。 三点目は、地域コーディネーターに関して、区の臨時職員としての設置、職員室へのデスク設置を検討いただけないでしょうか。学校のカリキュラムや行事、運営協議会での決定事項を踏まえ、学校支援本部のマネジメントをするという時間のかかる仕事になります。地域コーディネーター同士の情報交換や合同研修、学校との物理的な連携も必要です。現在の各学校における地域コーディネーターの活動状況と今後の地域コーディネーターに対する費用の予算化、活動支援について教育長の所見をお伺いします。 四点目です。 今年度より、シブヤ科ということで、シティプライドを醸成する取り組みが施行されています。総合学習の時間の一部を使って渋谷をテーマに各校が取り組むシブヤ科ですが、代々木中学校が「ちがいを ちからに 変える」をテーマに中学一年生から段階的に取り組んでいると聞いております。地域にいらっしゃる元教員の方が取りまとめ、渋谷区で活動する社会人とプロジェクトチームをつくり、教員とともにプログラムの設計や事業運営を行っているようです。まさに、シブヤ科のような社会教育をベースにした取り組みこそ地域の力が発揮されると感じた事例でした。 その際、ボランティアファシリテーターに事業を一緒に行ってもらうためには、指導案を踏まえたファシリテーション技術を身につけてもらう必要があるとプロジェクトをされた方々から要望が出ていました。これは先ほど質問したプログラミング連携でも同様なのですが、学校の授業に複数の地域の方や社会人の方が入っていただくとき、小中学生向けのファシリテーション技術を体得していただいた上でかかわっていただくほうが教員や地域コーディネーターとの連携もしやすいのではないかと思います。 例えば、S-SAP協定を結んでいる青山学院大学では、社会情報学部でワークショップデザイナー育成プログラムを実施しています。プログラムを渋谷区の小中学生を支援するボランティア向けに簡易的に設計いただくことも検討できるのではないでしょうか。 学校にかかわるボランティアへの研修の設置を教育委員会でまとめて実施することに対して、教育長はいかがお考えでしょうか、所見をお聞かせください。 大項目三点目、放課後クラブについて教育長にお伺いします。 放課後クラブに関しては、六月の第二回定例会でも森田議員より質問いたしました。 現在、放課後クラブ全体の運営に関するアンケート調査は準備いただいていると聞いております。今後、経過や結果に関しては文教委員会を通じて御報告いただきたく存じます。 今回は、特に夏休みに関する質問を二点、教育長にお伺いします。 一点目は、今年度予算化された統括コーディネーターについてです。 夏休みの放課後クラブの活動プログラムの充実のため、コンテンツ提供などを行ったと聞いています。どのようなコンテンツが実施され、放課後クラブの事業者や子どもたちの反応はいかがでしたでしょうか、教育長の所見をお聞かせください。 また、次年度へ向けてはどのような運営を検討しているのか、前出した学校設置の地域コーディネーターとの連携を行うのか、有料のコンテンツに関しては予算化するのか、統括コーディネーターから上がっている現時点での困り事などあわせてお聞かせください。 二点目は、長期休暇の昼食提供についてです。 私自身も小学校一年生の保護者として渋谷区の小学校にお世話になっていますが、夏休みに入る直前、保護者たちのつながるLINE上で大きな話題になっていたのが、夏休み中のお弁当をどうするかということでした。そして、その声は個人的なLINEグループだけではなく、オンライン上で政策実現を目指すサービスや署名を集めるサービスでも「何とかしてほしい」という声が多く上がっている現状です。特に夏場は食中毒の問題もあり、とても気を使ってお弁当をつくっている保護者がほとんどで、毎日のことともなるので心身ともに負担が大きいという声が上がっていました。 また、先日の文教委員会での放課後クラブ視察の際も、長期休暇の昼食提供について質問が出たと会派で報告を受けております。過去の文教委員会や議会質問でも議題に上がっています。具体的なニーズを受けて、市販のお弁当持ち込みの許可やクッキング教室の実施がされていますが、根本的な解決には至っておりません。 共働き世帯の増加に伴い、既に他自治体、例えば奈良市や八王子市、葛飾区などで長期休暇の放課後クラブや学童保育での昼食提供への挑戦が始まっています。葛飾区では、二〇一八年度から弁当配達マッチングサービスを利用した昼食提供を行っています。もともとは企業や団体向けの配達サービスだったものを学童保育用にアレンジしたもので、保護者のスマートフォンやパソコンなどを利用して注文から支払いまでウエブ上で行えるので、放課後クラブ事業者も、決められた時間に受け取り児童への手渡しをする業務だけで完結します。このサービスは、二〇一九年度に二十三区中七区で広がっています。 是非渋谷区でも他自治体の事例を参考にしながら、保護者が弁当をつくる以外に長期休暇の昼食提供サービスを選択できるよう検討を進めていただきたいと思っておりますが、教育長の見解をお聞かせください。 最後の質問として、不登校対策について教育長にお伺いします。 自殺総合対策推進センターの二〇一八年の発表によると、直近十年間の通学適齢期の自殺者数を見ると八月下旬から九月上旬が多いと発表されています。また、文科省の不登校の学校調査では、約十四万四千人程度の児童・生徒が不登校であると発信があります。 一方で、「不登校児童・生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行うときも指導要録上出席扱いとすること、及びその成果を評価に反映することができる」という通知が、二〇〇五年に文科省から教育委員会に発令されています。渋谷区においても、けやき教室やフリースクールの出席を学校の出席扱いにする、そういった取り組みが進んでいます。 しかしながら、不登校の児童・生徒に関しては、御家庭から出ることが難しい方もいます。二〇一七年の渋谷区教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行状況の点検及び評価報告書においても、教育相談やけやき教室につながっていない児童・生徒が多く存在していることへの問題提起が上がっています。 ネットを利用した在宅学習ができ、文科省の出席認定要件を満たす取り組みも始まっています。ネット上に担任がいて、子どもたちの学習進捗に対してサポートをし、学校との連携も行います。ネットでのフォローアップをきっかけに、街の元気学校ということで、地域に出て大人たちと学ぶ場もつくっています。 場に来ることが難しい児童・生徒たちのため、事例でお伝えしたようなオンラインでのフォローアップや出席認定ができないかと考えています。これは全児童・生徒にタブレットを導入しており、地域にこどもテーブルなど子どもたちのサポートをできる居場所がある渋谷区だからこそできる取り組みではないかと考えますが、教育長の見解をお伺いします。 以上、区長、教育長の答弁のほどよろしくお願い申し上げます。 ○副議長(岡田麻理) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) シブヤを笑顔にする会、神薗麻智子議員の代表質問に順次お答えいたします。 東京二〇二〇大会に向けた環境対策についてのお尋ねです。 初めに、食品ロスについてのお尋ねです。 本区は「渋谷区環境基本計画二〇一八」に基づき、食品ロス削減の組織としてフードドライブやもったいないマーケットを実施しています。さらに、食品ロスに関する普及啓発のリーディングプロジェクトとして、今年度から--失礼しました、先ほど「組織」と言ったけれども、「取り組みとして」ですね、失礼しました。取り組みとして、フードドライブやもったいないマーケットを実施しています。 さらに、食品ロスに関する普及啓発のリーディングプロジェクトとして、今年度から、食品ロス削減等に取り組む飲食店等を認証する制度、「シブラン三ツ星レストラン」を開始したところです。認証店のPRについては、現在、区のホームページ上で掲載していますが、議員から御提案がありました渋谷区観光協会と連携したPRの拡大は、認証店舗をより多くの人に知っていただくのはもちろんですが、食品ロスに関する区民意識啓発を図るとともに、他の飲食店舗の自主的な取り組みを促進するのに有効であると考えますので、今後、具体的な企画等の検討を進め、継続的なPR力の向上に努めていきたいと考えます。 次に、フードドライブの常設場所の拡大については、現在、地域交流センター等区の施設では、紙パックや食品トレーなどの他の資源回収の拠点場所となっているためスペース等の課題がありますが、今後、民間施設を含め、常設箇所を増設できないか検討してまいります。 最後に、コンポスト容器のあっせんについては、今後、区ニュース、ホームページやツイッターなどに掲載するなどオウンドメディアを活用し、広く皆様に周知してまいります。 いずれにしても、区は東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に持続可能な社会を形成するために、区民、来街者、事業者の意識醸成を図り、さらなる食品ロス削減に向けて取り組んでいきたいと考えます。 次に、プラスチック消費の削減についてのお尋ねです。 プラスチックごみが漂着ごみ、海洋汚染により生態系に大きく影響を与え、世界的に問題となっています。レジ袋やペットボトルに見られるプラスチック製品の消費は削減していかなければなりません。 「渋谷区環境基本計画二〇一八」「渋谷区一般廃棄物処理基本計画」において、リデュース、リユースに重点を置いたライフスタイルへの転換をうたっておりますが、その実現のためには区民や来街者に広く普及啓発をしていく必要があります。 委員御指摘のプラスチック製品をもらわない、使わない取り組みの一つであるマイバッグ、マイボトルやマイ容器の利用を促進することは、プラスチックごみ削減に有効と考えます。本区ではこれまでエコバッグを推奨し、くみんの広場等で配布するなど普及啓発に努めてきました。今後はさらにマイボトルやマイ容器を取り入れながら、環境シンポジウム、もったいないマーケット、親子バス見学会などあらゆる機会を捉えて区民、来街者等に普及啓発し、プラスチックの消費削減に取り組んでいきたいと思います。 次に、渋谷区喫煙ルールについて二点のお尋ねです。 まず、現在の周知方法及び指導の現状と、今後の周知の徹底についてのお尋ねです。 渋谷区喫煙ルールの周知については、ホームページ掲載はもちろんですが、公用車による巡回広報、ポスター、チラシを作成し区施設や町会掲示板へ掲出をしたほか、区内鉄道事業者に配布し掲出を依頼しています。現在は区内十五カ所の駅及びその周辺において、九月末までの予定で、チラシの配布等により重点周知キャンペーンを行っています。また、渋谷駅前については駅前大型ビジョンを活用し、多くの来街者に対する一斉周知を図っています。さらには、この四月より大幅に増員した分煙対策指導員により区内全域を対象とした巡回啓発、個別指導も行い、加えて八月からは違反者からの過料徴収も行っており、禁煙ルールの徹底を図っています。 今後につきましては、新たに路線バスでの車内放送の実施や、夜間・深夜帯における委託事業者による路上喫煙の注意指導を行う予定です。 次に、配布チラシ等の多言語対応についてのお尋ねです。 現在、駅前での啓発キャンペーンで配布しているチラシについては「路上での喫煙禁止」「過料徴収」等の内容の一部を英語並記対応しています。また、路上に啓発のためのシートを張っているところですが、こちらは来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックに向け増加する外国人来街者対応として、四カ国語対応のものを大幅に増やし、普及啓発を行っています。 今後もあらゆる時機を捉えつつ周知徹底、普及啓発を図り、喫煙ルールをより実効性のあるものとします。 次に、屋内喫煙所設置助成金制度の御提案です。 本区には喫煙場に適した場所が少なく、路上等での受動喫煙を生じさせない閉鎖型の喫煙所設置場所の確保が課題です。その取り組みの一つとして、モヤイ像喫煙所のコンテナ型喫煙所への変更を予定していますが、議員御提案の屋内への喫煙所設置の助成制度は、この課題解決に非常に有効であると考えます。コンビニエンスストアなど喫煙者が日常的に利用している店舗に喫煙所が設置されることで、路上喫煙者が減るとともに吸い殻のポイ捨て防止にもなり、事業者責務として環境美化の確保に寄与するものと考えますので、制度創設に向けて検討を進めたいと考えます。 次に、新島青少年センターの今後についてのお尋ねですが、冒頭の発言で述べ、また渋谷区議会自由民主党議員団、岡 美千瑠議員の代表質問でお答えしましたが、新島青少年センターは、今年の夏においても抽せんの上、多くの区民の利用があるなど非常に人気の高い施設であります。また、渋谷駅南口のモヤイ像の寄贈に始まり青少年団体や消防団などの交流、さらに新島における災害時の避難場所としての活用など、新島村と渋谷区は長年にわたり深く交流を続けてきました。 このような状況を鑑み、今後の新島青少年センターにつきましては、土地賃貸借契約を更新し、老朽化した建物や施設の設備不足などに対しては、施設の建替えなどを視野に検討しております。 施設の設立当時と比較し社会環境は大きく変化しており、青少年施設としてのあり方についても見直しを図る時期と考えています。今後の施設運営については、時代に即した宿泊施設となるよう区民ニーズの的確な把握に努め、民間を活用した運営手法や、さらには議員御提案の企業のサテライトオフィス利用など、豊かな自然環境を持つ新島と世界につながりを持つIT企業の多い渋谷区とのお互いの特性を生かした連携事業も含め、新しい施設が有効活用できるよう検討を行ってまいります。 次に、渋谷区子育てネウボラについて二点のお尋ねです。 まず、ネウボラ電子カルテについてです。 議員御指摘のとおり、妊娠期から十八歳までの子どもと家庭を支援するに当たり、関係機関が必要な情報を迅速に共有することは大変重要であると考えます。 そこで、まずは現在、紙ベースで行っている母子保健関連の記録を一元管理し、ネウボラ関連部署である地域保健課、三カ所の保健相談所、子ども家庭支援センター、子ども発達相談センターで情報共有を可能とする新しい母子保健システムを、「神南分庁舎跡地複合施設(仮称)」の完成時までに導入するため、準備を進めております。 特に支援が必要な要保護児童については、母子健康保健情報のほか保育園や学校などの関係機関情報を迅速に収集して対応に当たっており、これらについては現在、子ども家庭支援センターがシステムにより管理しています。そのため、今後は新しい母子保健システムを基盤に子ども家庭支援センターの情報と必要に応じてリンクを図るなど、渋谷区子育てネウボラの目指す子どもと家庭の支援に必要な情報が迅速に関係機関で一元的に共有できるよう、段階的にシステム構築を進めてまいります。 次に、「渋谷区子育てネウボラ」の全体計画についてです。 渋谷子育てネウボラは、フィンランドの妊婦と乳幼児を対象としたネウボラと、就学後の子どもと家庭を対象とした家族ネウボラを参考に、これまでの区の支援体制を統合した上で新たな体制を構築するものです。 そこで、手始めに本年五月から教育センターと子ども家庭支援センターの相談部門を統合し、就学前から就学後も引き続き相談支援が行える体制を整えました。また、区立小中学校については、今年度から教育相談員と子ども家庭相談員が一緒に全学校を訪問して、支援が必要な子どもに係る情報共有や支援方針の確認を行います。 今後は義務教育終了後の子どもと家庭についても、子ども家庭支援センターが中心となって、教育センターの相談事業である若者サポートを活用しながら思春期の子どもと保護者を支援していきます。 これからも妊娠期から十八歳までの子どもの発達段階に応じた相談支援の充実に努めてまいりますが、全体計画については子ども・子育て会議の場を活用するなどして検討していきます。 次に、認可保育園の質の保証について三点のお尋ねです。 まず、「保育の質ガイドライン」についてです。 他区のガイドラインでは、国の保育所保育指針などとの整合性を図りつつ、保育を実践するに当たっての各区の保育方針などが主な内容として記載されています。本区では、今月改定予定の「渋谷区就学前教育プログラム」において本区が考える幼児教育、保育の内容について示していますので、このプログラムを活用して保育の質の向上を図っていきたいと考えています。 次に、巡回指導について。 本区では、区立保育園の園長経験者等五名と、保育中の事故防止や事故発生時の対応などについて助言、指導を行う保育巡回指導アドバイザー一名により巡回指導を実施しています。昨年度は全園を一回以上訪問していますが、新設園については特に重点的に巡回し、それぞれ六回以上訪問しています。 また、今年度は東京都の保育施設の指導検査部門に研修のため職員一名を派遣しております。 今後も保育の質の向上のための体制を強化していきたいと考えており、その中で、看護師などの専門職の配置については検討してまいります。 次に、保育士研修のオンライン化についてですが、研修におけるeラーニングの活用については、先ほど渋谷区議会自由民主党議員団、岡 美千瑠議員にお答えしたとおり、受講機会の確保や保育現場の負担軽減などの効果があると考えられますが、eラーニングに適した研修内容や実施方法については今後の研究課題にしたいと思います。 次に、スペシャルニーズのある子どもたちの移動支援についてのお尋ねです。 本区は障害者団体連合会の御要望などを踏まえ、渋谷区障害福祉推進計画に基づき移動支援事業の充実に努めてまいりました。このうち子どもの移動支援については、一人で通学することが困難であっても教育を受けられるよう、特別支援学校の在学生を対象とする通学支援を平成二十七年十月から段階的に導入し、現在は小学部、中学部、高等部の児童・生徒が対象となっています。 一方、個々の希望や成長に応じた教育を選択し、区立小中学校の特別支援学級や通常学級へ通学するケースも増えていますが、一人で通学できない子どもは保護者が登下校に同行する必要があり、保護者に病気や仕事の事情が生じると子どもの通学が困難になってしまいます。したがって、本区としては、個々の子どもの教育の充実に加え、保護者の支援を含めて渋谷区障害福祉推進計画の重点項目に掲げた「通学支援の充実」を、今後も具体的に検討してまいります。 また、通学支援は登下校時における短時間の利用が中心で、支援者のガイドヘルパーの確保やマッチングが困難であることから、地域での活躍が期待されるプレシニア世代やアクティブシニアの方々にも区主催のガイドヘルパー養成研修へ積極的に参加いただけるよう、議員御提案のシブカツでの開催についても実現に向け検討を進めてまいります。 次に、高齢者施策について、宅内での見守りサポートにロボットを活用してはどうかとのお尋ねです。 ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯が増加傾向にある中で、多様な手法による見守り体制の構築が急務であると考えています。 本区では、毎年九月に七十五歳以上の全ての高齢者を民生委員が訪問し、敬老祝い金をお渡ししながら生活調査を実施しており、このときに心配なケースとして判断した方については地域包括支援センターと情報共有を行うとともに、必要に応じて見守りサポート協力員による日常的な見守りにつなげています。 しかし、日々の見守りを人的対応のみで続けるには限界があることから、AIロボット設置など新たな見守りツールの導入は、この課題解決に大変有効だと思います。 議員御提案の愛媛県西条市が導入を進めているAIロボットは、利用者を見つけると御家族に写真を送信するほか、利用者がロボットに話しかけると応答する、またロボットから利用者に話しかけられる機能などを有していることから、利用者への癒やしの効果とあわせて離れて暮らす御家族の安心感につながっているものと思います。 本区は今年六月、「地域社会的課題の解決の取組みに関する協定」を株式会社ソニーと交わし、今後、AIロボット・アイボを活用したひとり暮らし高齢者の方への見守りについての実証を進めていきます。アイボを活用した見守りに関しては、セコム株式会社と連携したシステム構築により、急変時の迅速な対応などさらなる見守りの強化を目指しています。 一方、AIロボットはコスト面に課題があることから、仕組みや助成制度の構築についてあわせて検討してまいります。 引き続き高齢者及び御家族の不安解消及び安全の確保と負担軽減のため、様々な技術を積極的に取り入れ、誰もが安心して住み続けられる渋谷区の構築に努めてまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○副議長(岡田麻理) 豊岡教育長。
    ◎教育長(豊岡弘敏) 私には高齢者施策について一点、教育について十二点のお尋ねがありました。順次お答えしてまいります。 まず初めに、オレンジカフェでのボランティア活動についてのお尋ねです。 議員御指摘のとおり、オレンジカフェでのボランティア活動など、中学生が高齢者と交流する機会を充実することは重要と認識しています。今後、教育委員会では、各学校が特色に応じ、中学生が地域の社会活動の中で高齢者と交流する取り組みを進めていくことを検討してまいります。 次に、小中学校のICT教育の推進についてのお尋ねです。 五点のお尋ねのうち児童・生徒、保護者とのコミュニケーションツール、フューチャールームについて、アダプティブラーニングの導入について、指導や学びに関するデータ活用についての四点については次期システムの検討に関することでもあるため、一括してお答えをいたします。 議員御提案のコミュニケーションツール、アダプティブラーニングの導入、指導や学びに関するデータ活用については学校からも要望があり、また、渋谷区教育委員会が参加している国のスマートスクール・プラットフォーム実証事業の成果等を活用できるため、アンケート調査の結果とともに、次期システム検討に含めていきたいと考えています。 また、フューチャールームにつきましては、その大きな特色でもある教室へのマルチスクリーンの設置、テレビ会議システム導入に至っていませんが、例えばICT教育推進校である笹塚中学校では、大型モニターを校内に設置し、生徒の日常の活動の様子や生徒の映像作品を流すなど、現在あるICT機器を活用した先進的な取り組みを行っているところです。 今後、テレビ会議システムのように離れた場所にいる多様な人々との学び合いができるようなソフトを次期システムに導入することについても検討してまいります。 次に、プログラミング教育についてのお尋ねです。 教育委員会では、渋谷区内公立学校のプログラミング教育の充実を図り、次世代に必要な資質、能力を持った人材を輩出する土台づくりを進めることを目的に、渋谷区にあるIT企業等と「プログラミング教育事業協定」を締結をいたしました。次年度に向け、協定を結んだ五社と各社のプログラミング教育のコンテンツや事業支援の内容について研究するとともに、カリキュラム開発に向けた準備を進めております。今後、学校との意見調整等を行いながら指導計画を作成してまいります。 また、学校へ派遣される講師やサポート役の社員の方については、各社合同の連絡会や学校への参観を行うなどの研修を通して、児童・生徒の理解や学校の現状等に対する理解を深めてもらうこととしています。 次に、学校運営協議会の予算についてです。 教育委員会では、地域と学校がともに企画した学校支援の取り組みを実現につなげるために、各学校運営協議会に裁量予算を措置しています。 学校においては、裁量予算を活用することで異学年交流の際に「めんこ遊び」や「あや取り」などの昔ながらの遊びを行ったり、体育の授業において現役のダンサーからの指導を受けるなど、児童・生徒の豊かな学びや体験につながっているものと認識をしています。 議員御提案の、内容に応じて増額する仕組みについては、次期評価基準などを含めて検討してまいります。 次に、コミュニティスクールの方向性の提示と学校支援本部の設置や予算を捻出する育英基金などの設置についてのお尋ねです。 まず、教育委員会では各年度において施策の方向性を作成しており、本年度においてはコミュニティスクールの推進も方向性の一つと位置づけています。その中で、地域の教育力を活用した、社会に開かれた教育課程の理念を共有しながら信頼関係に基づく学校支援体制を確立することとしています。 今後は学校運営協議会、地域学校協働本部、地域コーディネーターなどコミュニティスクールにかかわる取り組みについて、その目的や役割を明記するなどして策定をしてまいります。 また、教育委員会では、学校支援本部としての地域学校協働本部がコミュニティスクールとともに学校の地域活動における車の両輪になると考え、既に設置の検討を進めております。今後、先行して取り組む地域を設定して地域学校協働本部の設立の準備を進め、将来的には拡大を図っていきたいと考えています。 また、資金確保については国・都の補助を活用し、さらに地域の状況に合った多様な支援の方法をコミュニティスクールと地域学校協働本部で議論をしていただきたいと考えております。 次に、地域コーディネーターについてのお尋ねです。 議員御指摘のとおり、地域コーディネーターの活動は、コミュニティスクールの活動を活性化させる重要な一つの要素であると考えます。 地域コーディネーターの活動状況については、キャリア教育の一環として社会の第一線で働いている方々を招いた出前授業を神宮前小学校で実施したり、卒業生や地域の方々も参画した校内緑化活動を松濤中学校で実施したりするなど報告を受けております。 教育委員会の活動支援としては、地域コーディネーターを含む学校運営協議会の委員を対象に研修会を実施いたしました。 また、今年度から、他校の学校運営協議会を見学し情報共有をしやすくするため、開催日の一覧を各校に共有しております。 議員御指摘の地域コーディネーターに対する費用の予算化と活動支援については、今後、地域学校協働本部を整備していく中で検討してまいります。 次に、渋谷区の小中学校を支援するボランティア向けの講座の実施についてのお尋ねです。 議員御指摘のとおり、小中学生を支援するボランティアが授業の指導案を踏まえたファシリテーション技術を身につけてもらうことは、授業を進める上で大切なことだと考えます。今後、教育委員会では学校を支援するボランティア向けの手引の作成や、講師を招きファシリテーターとしての技術等の習得を目的とした研修の実施などについて検討してまいります。 次に、統括コーディネーターについてのお尋ねです。 御質問のありました統括コーディネーターを介した夏季休業期間のプログラム実施状況としては、民間企業九社の協力を得て、リサイクルや色彩を学びながらの工作、うどんづくり体験など多様な体験活動を行いました。参加した児童は興味を持って話を聞き、また積極的に取り組む姿もあり、楽しく活動をしておりました。 次年度に向け、教育委員会では統括コーディネーターとともに今回実施したプログラムの振り返りを行う中で課題を整理し、また、議員御指摘の地域コーディネーターの連携も含め検討してまいります。 有料のコンテンツについては、今後、保護者等への意向調査によりニーズを把握し、検討を進めてまいります。 次に、放課後クラブにおける長期休暇の昼食提供についてのお尋ねです。 現在、放課後クラブにおける夏季休業期間等の昼食について、家庭における子どもたちに対しての食育も大切と考え、各家庭の責任のもと昼食を持参いただいております。一方で、就労世帯等においては昼食を持参することが一部保護者の負担となっていることも認識をしております。 このことを踏まえ、さらに保護者のニーズを意向調査により把握した上で、夏季休業期間等の昼食提供について選択できるよう検討します。 最後に、不登校児童・生徒へのオンラインでのフォローアップや出席認定についてのお尋ねです。 不登校児童・生徒への対応は、児童・生徒の意思を十分に尊重しつつ、個々の児童・生徒の状況に応じて支援を行うことが重要です。渋谷区では全ての児童・生徒にタブレット端末を整備しており、オンラインによるフォローアップはできると考えます。 また、自宅においてIT等を活用した学習活動を出席認定することにつきましては、保護者との連携のもと、家庭訪問による学習支援に加えタブレット端末を活用した学級担任と課題等のやりとりを計画的に行い、学習内容や学習状況を学校が把握するなどの要件を満たしていると校長が判断したとき、出席扱いとすることができます。 教育委員会では、不登校児童・生徒に対し、個々の状況に応じた支援を今後も進めてまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○副議長(岡田麻理) 四番神薗麻智子議員。 ◆四番(神薗麻智子) 区長、教育長より丁寧な御答弁をいただき、まことに感謝いたします。 所感を二点述べさせていただきます。 一点目は、区長答弁に関してです。 多くの施策について前向きに検討いただけるということで、ともに実現へ向けて私どもも進めていきたく思っております。多くの施策が、一部署だけではなく他部署やクロスセクターでの連携が必要な案件かと思います。是非我々も力を出して一緒に進めていきたい、そう考えております。 一点、ネウボラの全体計画に関して、「子ども・子育て会議」での検討とありましたが、小・中・高の専門家や先生方がこの会議にはおりません。この全体計画は教育委員会の協力が必須ですので、是非体制を考えていただきたく思います。 二点目は、教育長の御答弁でも前向きな回答をたくさんいただきまして、まことにありがとうございます。 ICTとコミュニティスクールは、「ちがいを ちからに 変える街」を支えられるような子どもたちの育成にとって必須の基盤と認識しております。学校だけでは、これからの変化の激しい社会で生き抜く力を身につけるには非常に困難と考えております。是非多様な力を持った大人や、企業のある渋谷の持つ力を子どもたちにつなげていただきたく思います。 最後になりますが、私どもシブヤを笑顔にする会は「提案をする政策集団であれ」という会派指針を持っています。提案をすることでまちの課題を解決し、可能性を引き出してまいります。そして「ちがいを ちからに 変える街」をつくっていくことで、渋谷に暮らし、働き、集う皆様の笑顔につなげていくことをお誓いし、私の代表質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○副議長(岡田麻理) この際、会議時間の延長をいたしておきます。 十二番近藤順子議員。 ◆十二番(近藤順子) 私は、渋谷区議会公明党を代表して、長谷部区長、豊岡教育長に質問をさせていただきます。 質問に入ります前に、一言申し述べさせていただきます。 公明党は本年十一月に結党五十五周年を迎えます。公明党の議員は、結党以来「調査なくして発言なし」との思いで現場第一主義を貫いてきました。改選期となった本年、渋谷区議会公明党は、区民の皆様の代表としての自覚を改めて確認をしたところでございます。そして日々いただく区民の皆様からの小さな声を具体的に区政につなげるべく、この夏も党本部の研修会や会派での勉強会、視察などを八回ほど実施し、学びの汗をたっぷりと流しました。 その視察先の中で、当区のみならず社会の課題でもある福祉の人材確保・育成という課題の糸口を探しに、ある介護施設へ伺いました。 「介護」と言うと「お世話をする」というイメージがありますが、そこでは心身ともに疲れてしまった入居者に寄り添い、心のリハビリを大切にしながら、高いスキルが求められる自立支援をしっかりと行っています。そして入居者が本来の姿を取り戻していく事例を幾つも教えていただきました。その実証の連続の中で、介護者は入居者の人生を支えるプランナーとしての自覚と喜びに満ち、成長していることに大変感銘を受けました。 おこがましいのですが、ある意味で、行政も議員も主役である区民の皆様の人生のプランナーの一翼を担っているかもしれません。だからこそ私は、これからも区民が主役の区政を前に進めるために精進してまいります。 それでは、質問に入ります。 一点目に、防災について、災害時要配慮者対策についてです。 危機管理対策部に災害時要配慮者対策課が設置され、二年が経過。福祉部の高齢者福祉課、障がい者福祉課と連携し、二次避難所の開設等に向けて着実な取り組みがあると聞いています。その中で、配慮が必要な高齢者、障がい者等が避難する二次避難所の数は十分でないと察するところです。 そこで、何らかのサービス等を受けておられない要配慮者支援拡充の提案です。 自宅で暮らすことができたとしても、支援が必要な要配慮者は数多くいらっしゃると思います。そこで、自宅避難の要配慮者への支援は区内に点在している通所系の事業所を、自宅では暮らせず避難が必要な要配慮者には、例えば区内の有料老人ホーム等との協力体制を築いていかれてはどうかと考えます。この際の支援は年齢で分けるのではなく、配慮の特性に応じた支援方法を基本に考えていただけたらと思います。 その際、自治体から支援者側にどのような支援が可能であるかをチェックできる「災害時支援類型判定シート」の活用もあわせて提案します。 この判定シートは、東京都健康長寿医療センターが東日本大震災を教訓に作成をしたものです。例えば地域の要配慮者の受け入れの有無、一時滞在、宿泊、自治体から送られる要配慮者への物資の提供を受けられるかなどを整理できるものです。区長の御所見を伺います。 要配慮者対策の二点目は、妊産婦、乳幼児への支援体制についてです。 文京区では二〇一三年、地域防災計画に妊産婦と乳幼児専用の救護所を盛り込みました。それは、東日本大震災のときに被災地に支援に入った区職員が目の当たりにした、妊産婦や乳児の安全・安心が守られていない悲惨な避難所での光景が胸に刻まれたからです。乳児の泣き声を気にして肩身の狭い思いをしたり、プライバシーが守られず授乳の環境が厳しく、トイレ等の衛生環境も整わないのが実情です。そして何より妊産婦が安心して出産することも難しいため、「避難所を去っていく乳児の親や妊産婦が多かった」との報告も受けたそうです。 これらを受け、私は平成二十八年の第四回定例会の代表質問で、渋谷区においても母子救護所の設置をすべきであると提案をさせていただきました。今回も、母子の命を守る大変重要な課題であることから再び提案をさせていただきます。 文京区では、区内の四つの女子大学と妊産婦・乳児救護所の提供に関する災害協定を結びました。女子大学は、女子トイレが多いなどの環境が整っていることから入っております。また、医療・福祉系を持つ大学では実習設備としてベッドや入浴施設も兼ね備えており、また、支援ボランティアとして学生の協力も期待できるかもしれません。 文京区では、協定大学の一つである跡見学園女子大学で、妊婦、乳児、ゼロ歳児を対象とした受け入れ態勢などの訓練を学生も交えて毎年実施しています。渋谷区においても要配慮者である妊産婦、乳児の保護のため、母子救護所の設置を提案します。 その上で、次期の渋谷区地域防災計画策定のときには妊産婦・乳幼児救護所の設置を盛り込んでいただくことも提案をいたします。 女子大学は、その女子大学という特性から、帰宅困難者受け入れ施設にはなり得ません。しかし、有事の際に本当に被災をした人が避難できるように、避難に配慮が必要な人が安心して避難できるように支え合える避難所の整備を願ってやみません。 女子大学だけではなく、二〇二一年に完成する渋谷区子育てネウボラ施設・中央保健相談所、幡ヶ谷・恵比寿保健相談所も視野に入れてもよいのではないかと考えます。区長の御所見を伺います。 次に、「三百六十五日防災の街 渋谷」について。 「天災は忘れた頃にやってくる」は災害の本質を見事に言い当てています。頻度が高い事象には、人は経験を通して学習して備えることができます。しかし、災害の頻度は地域や時間を限定すると決して高くありません。ここに防災を推進することの本質的な困難さが存在します。 こうした課題に対して、防災にかかわる新しい概念、フェーズフリー、ふだんの生活の中に防災・減災の思想を取り入れることが重要だと感じます。フェーズフリーという考え方は、いつもの暮らし、日常時と災害が起きたときの非常時の二つの時間、フェーズに分けて考えることをやめてみようという発想の転換です。 四回目を迎えた防災フェスは、防災行政情報などがなかなか伝わりにくい若い世代の方々などが気軽に参加できるフェスとして開催され、体験型の防災ゲームなどはキャンセル待ちが出るほどの大盛況でした。その上で思いますのは、長谷部区長が発信をされている「三百六十五日防災の街 渋谷」は、フェーズフリーの概念と通じるものがあると考えます。 その視点で考えると、地域の防災力を上げるためには防災訓練だけに頼るのでは限界があります。また、地域の防災訓練の参加者を増やすことは至難のわざです。 私は今年、所属をしている町会主催で「おとなりサンデー」を実施しました。主催者になり、おとなりサンデー事務局と何度も連携をとらせていただく中で、御案内チラシを持って御近所さんを回ることの重要性を教えていただきました。当日の企画も大切ですが、御案内に回ることでふだん地域とつながっておられない方々を訪問するチャンスとなり、準備期間も大事な取り組みとなります。 これは、見方を変えると潜在的な災害時要配慮者の方へのアウトリーチにもなり得ます。既に民生・児童委員さんや見守りサポート協力員の方々、町会自主防災組織の役員の方々はふだんからこういったフェーズフリーの概念、「三百六十五日防災の街」の意識を持っておられるかと思いますが、改めて意義づけをしていくことを提案します。 また、有事の際には若い世代のパワーほどありがたいものはありません。聖心女子大学や東海大学の学生さんは、地域の夏祭りや防災訓練にも参加をしてくださっていると伺っています。 そこで、S-SAPを結んでいる大学の学生さんが町会や地域の行事や防災訓練などに参加しやすい仕組みを構築していくことを提案します。渋谷区ならではの多言語対応などの課題も含め、大学や学生さんが持ち得る知見やスキルを防災の観点からも最大限に発揮していただけるような流れができることを願っています。区長の御所見を伺います。 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック期間の防災対策についてです。 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックを一年後に控えています。世界規模のスポーツの祭典であり、想像を絶する来街者をお迎えするホストシティとして、おもてなしの気持ちとともに最重要であるのが、この期間における防災対策だと考えています。東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック期間における渋谷区の防災対策を教えてください。 次に、教育について二点お尋ねをいたします。 初めに、いじめ防止条例制定に向けてです。 平成二十九年第四回定例会において「いじめを許さない街。渋谷区」の条例の制定を提案させていただきました。そして、実効性のある条例へと積み上げていけるように、まずは児童・生徒が自発的にいじめについて考えるところからスタートをするのがよいのではないかと考え、例えば区内中学校の代表者、生徒会による「いじめゼロ中学生サミット」を開催して学校ごとの取り組みやアイデアを共有するなど、優秀な渋谷区の児童・生徒の力を引き出していけたらどうかと提案をいたしました。 これに対しての御答弁は「条例で定められた責務だから対応するのではなく、いじめ問題への区民の機運が高まった結果、条例として結実するというムーブメントを起こすことが大切であると考えています。(中略)例えば、区立中学校の生徒会役員が一堂に会していじめをなくすための取り組みについて話し合い、生徒会アピールを出すなど、子どもたちが自発的にいじめについて考える機会を充実していきたいと考えています」とありました。 私も、条例制定を優先するのではなく、いじめについて子どもたちが考えていることや感じていることを安心して話せる環境をつくっていくことが最優先であると考えております。区長から御提案のありました区立中学校の生徒会役員が一堂に会していじめをなくすための取り組みについて、話し合いの実施に向けての見解を改めてお示しください。 また、より有意義な会となるように、一堂に会する前段階で学校ごとにアンケートなどを実施する場合には、そのアンケートの項目なども子どもたちが中心となって作成することもあわせて提案をさせていただきます。 教育長の御所見を伺います。 次に、防災教育についてです。 長期休業日に入る前に、各小学校・中学校から保護者宛てに、夏休み、または冬休み、春休みの過ごし方についてのプリントなどを配付していると思います。大もととなる渋谷区教育委員会で作成をしている安全対策と児童・生徒指導には、規則正しい生活を送ること、交通事故などに注意をすること、犯罪に巻き込まれないようになどが押さえてあります。 この中で防災・減災に関することでは、夏であれば水難事故等の防止、冬であれば防火に対する指導をという内容です。 防災・減災に対する意識は自分事、家族事として捉えていくことが重要です。そこで、この長期休暇前のタイミングで各家庭で「家族防災会議の日」を設け、避難行動や避難場所の確認をしていくことを提案いたします。その際、基本的な確認項目を掲示できるようにフォーマットの提供、東京タイムラインの活用、そして渋谷区防災アプリを活用し家族でコミュニティ登録をするなど、楽しくかつ実効性のある家族会議が開催できるように進めていただきたいと思います。区長の御所見を伺います。 次に、福祉についてです。 医療と介護の連携について。 超高齢社会において、医療と介護の連携については定例会のたびに会派で質問を重ねてきました。地域包括ケアシステムを深化、深めていくには、多職種の連携は肝となります。私ども公明党の提案でスタートをした「渋谷区在宅医療・介護連携推進会議」の進捗を教えてください。 次に、認知症支援についてです。 「認知症なっても展」は本年初の試みでありましたが、二週間にわたり認知症の理解、啓発、さらには共生社会の構築へ向けて大変有意義な展示会となりました。特に日がわりで行われたトークショーでは、若年性認知症当事者であり、全国で精力的に講演活動をされているおれんじドア代表、丹野智文氏を講師にお迎えしたり、認知症専門医、落語や音楽を楽しみながら参加できるイベントなど多様な内容で、すばらしい企画でしたので、期間中何度も足を運んだ参加者も多くおられました。既に実施をしている年二回の認知症フォーラムも定着してまいりましたが、「認知症なっても展」も、明年以降も是非バージョンアップをして継続していただきたいことを提案いたします。 今回の展示企画の中では、平成二十九年第四回定例会で私が提案をさせていただいた認知症ケアの認識を新たにする映画「ケアニン」の上映会も行われました。映画「ケアニン」は認知症の方への深い理解と、さらには介護の仕事に対しての認識が百八十度変わるほどの大変にすばらしい内容でしたので、今後、中学校などで上映することも検討していただきたいと思います。 その上で、「認知症なっても展」の内容について、二点提案をさせていただきます。 一点目は、福祉人材の確保、育成、定着の視点を入れて、福祉の仕事の魅力が伝わるような企画を盛り込んでいただくことです。二点目は、認知症の方への防災、避難といった視点での講演会などを実施することです。「認知症なっても展」についての明年以降の実施について、区長の御所見を伺います。 次に、認知症サポーター養成講座についてです。 超高齢社会の中で区民サービスの質の向上を考えたときに、全ての職員が認知症サポーター養成講座を受講すべきだと考えます。どこの所管であっても、高齢者の方と接することは必然です。また、若年性認知症の方への対応を考えますと、将来的には全ての職員を対象にしていただきたいとは思いますが、まずは高齢者の方と接することの多い福祉部所管の職員から実施することを提案します。区長の御所見を伺います。 次に、住宅政策についての提案です。 セーフティネット機能の強化について。 私ども会派の議員は、区民の方から、物件の老朽化による退去や、オーナーの代がわりにより継続して賃貸契約を更新できなくなるなど、住み替えにかかわる御相談を多く受けております。 今後、大幅な増加が見込まれる高齢者の単身世帯や障がい者の方は、家賃滞納や孤独死などへの不安から民間賃貸住宅オーナーの多くが入居に拒否感を抱いており、住宅確保に支障が生じているケースが見受けられます。これらの課題について、オーナー、不動産会社のリスクに目を向けることも重要です。また、住宅ストックの現状を見ると、総人口が減少する中で公営住宅の大幅増も考えにくく、反対に民間の空き家、空き室は増加傾向となることは否めません。 そのような中、平成二十九年十月に、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律」が施行されました。いわゆる新たな住宅セーフティネット制度です。この改正法は、低所得者、高齢者、子育て世代などの賃貸人から入居を制限される懸念のある者を住宅確保要配慮者と位置づけ、一、都道府県及び市町村による賃貸住宅供給促進計画の作成、二、民間の空き家、空き室を有効活用した住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度の創設、三、居住支援法人の指定などの措置を講ずるなど、重層的な住宅セーフティ機能の強化を図ることを目的としています。 これまで、渋谷区としても高齢者などの住み替えを支援するため、都内屈指の厳しい不動産状況の中、区内の協力不動産店の紹介や転宅費用の補助などを実施していることは評価いたします。その上で今回、提案をさせていただきたいのは、住まいに関する三つのサービスを一つのパッケージにして提供し、入居者自身の安心とともに家主や管理事業者が単身高齢者などに安心して住宅を貸すことができる制度の創設を提案いたします。 具体的には、一、見守りサービス、二、利用者が亡くなった際の葬儀対応、費用補償、三、利用者が亡くなった際の残存家財片づけ、費用保障です。 新たな住宅セーフティネット制度が開始されたことにより、東京の各自治体においても新たな居住支援制度が始まっています。対象者を高齢者に絞っているところや登録料などの補助を設定していないところなど、様々です。 本年一月より開始をした「中野区あんしんすまいパック」については、先日、会派で中野区の担当者や委託先の事業者より説明を受けました。その中で目からうろこだったのは、孤独死の男女別死亡年齢の構成比でした。孤独死は後期高齢者が圧倒的に多いと思い込んでいましたが、六十代が最多、そのうち男性が八割。また、五十代男性は八十代よりも比率が高いことがわかりました。定年後、社会とのつながりが希薄となる世代と言えます。そして、男性は女性に比べ、積極的に他者とのかかわりを持たない方が多いのかもしれません。他方、高齢者になると家族などが心配をして様子を見に行くことが増え、また、公的サービスを受ける確率も上がり、孤独死の回避につながっていることが証明されます。 これらを鑑み、対象は高齢者に絞らず単身世帯と設定し、また、利用しやすい制度にするため登録料などの助成も検討していただきたいと思います。 ちなみに、東京都のモデル事業も併用しますと月額利用料も半額となります。こちらは令和三年三月までの期間限定です。スピーディーな対応を期待いたします。 「渋谷区版住宅セーフティネット制度」の創設について、区長の御所見を伺います。 次に、渋谷区子育てネウボラについてです。 私ども公明党の提案により、今年の五月二十日より渋谷区子育てネウボラがスタートしました。六月にはオープニングイベントが実施をされ、ネウボラを広く周知するためのイベントとしてとてもよいものと認識しています。今後の方向性について教えてください。 さらに、子育てネウボラの重要な事業の一つとして妊婦全数面接が始まりました。妊娠中に保健師と会い、何でも気軽に相談できることで安心につながります。現在の実施状況と、連携の事例を教えてください。 また、LINEを活用した予約システムの導入時期を教えてください。 次に、母子健康手帳についてです。 妊娠届を提出することでもらえる母子健康手帳は、妊娠中から妊婦健診や子どもの健診、予防接種を記録する重要なものです。また、正式な記録のほか、妊娠中や子育て中の健康に関するスケジュール管理ができる電子母子手帳サービスが「シブヤ母子健康ノート」として開始をされました。 私ども公明党は、党一丸となって切れ目のない子育て支援を推進しており、この電子母子手帳サービスにつきましても党東京都本部での研修会、また、全国各地の自治体とともに事業を展開している事業者に講師を依頼し、会派で勉強会を重ね、所管にも提案をしてまいりました。多くの子育て世代の方々に喜んでいただけると期待しています。 このシブヤ母子健康ノート事業の詳細を教えてください。 そして、母子健康手帳の二点目の提案があります。母子健康手帳に「子どもの権利条約」を掲載していただくことです。 「子どもの権利条約」は世界で最も短期間に広く批准された人権条約で、現在百九十六の国と地域が批准しています。一九八九年に国連総会で採択され、日本がこの条約を批准したのは一九九四年です。 「子どもの権利条約」は、子どもは保護される存在であるだけではなく、子どもが権利の主体であるという基本的な考えに立っています。「子どもの権利条約」は、大きく分けて四つで構成されています。一つ、生きる権利。全ての子どもの命が守られること。二つ、育つ権利。持って生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療や教育、生活への支援などを受け、友達と遊んだりすること。三、守られる権利。暴力や搾取、有害な労働などから守られること。四、参加する権利。自由に意見を出したり団体をつくったりできること。 この権利は、命の始まりの瞬間から子どもが持っているものです。特に乳幼児期の子どもは、言葉にならない表現方法で自分の気持ちや考えを伝えています。 先日、公明党女性議員の勉強会で、国連子どもの権利委員会委員に日本で初めて選出をされた大谷美紀子弁護士の講演を伺うことができました。大谷弁護士は「乳幼児期の子どもの権利の保障のためには、子どもの療育に主としてかかわる人たちを支援することも重要である。この時期に子どもに接することは子どもの豊かさ、生命力を感じ楽しいこともあるが、大変なときには周りに支援を求めてもいい。その支援の体制をつくっていかなくてはならない」とお話しくださいました。まさに渋谷区子育てネウボラの理念そのものだと感じました。 是非「子どもの権利条約」を母子健康手帳に掲載していただき、父母などが子どもの健診や予防接種の順番を待っている時間などに目にとめてもらえるように、まずはシブヤ母子健康ノートに掲載していただくことを提案します。今後は通常の母子健康手帳への掲載も検討をお願いします。区長の御所見を伺います。 次に、食品ロス削減についてです。 「食品ロスの削減の推進に関する法律」が全会一致で成立し、令和元年五月三十一日に公布されました。この法律の前文には、「多様な主体が連携し、国民運動として食品ロスの削減を推進するため本法を制定する」旨を宣言とあります。食品ロスの削減推進法のもと、いよいよ国民運動、社会的な取り組みとして定義されました。 渋谷区は法律の制定を待たず、長谷部区長のリーダーシップのもと、食品ロス削減に向けた取り組みを先進的に実施してまいりました。 私ども渋谷区議会公明党は、本法制定の中心となった竹谷とし子参議院議員と連携をしながら、国連で定められた世界食料デー月間の十月に啓発イベントを実施すべきと提案をさせていただき、平成二十八年のキックオフから始まった「もったいないマーケット」の実施など、食品ロス削減を推進してまいりました。 また、家庭で余っている食品などを持ち寄り、それらを福祉団体や施設、フードバンクなどに寄附をするフードドライブ活動においても、渋谷区リサイクルバザールや地域のイベント会場での実施が定着し、昨年度からは渋谷区清掃事務所での常設窓口に拡充をしています。さらに、今年度からは渋谷区では食品ロスの削減、地域環境の美化、ごみの削減に取り組む飲食店を「シブラン三ツ星レストラン」として認証する事業もスタートしました。 「食品ロス削減推進法」が施行される本年十月は、国として食品ロス削減月間が設けられます。渋谷区のもったいないマーケットも三年目を迎えます。期待される今回の渋谷もったいないマーケットの内容を教えてください。 また、今回は、食品ロス削減の取り組みの意義づけを再確認するために、世界の食料事情、食品ロスの現状や、生きるために最低限必要な食べることさえも十分でない人たちがいることを知るために、親子で学べる環境・人権教育の視点でパネル展示をすることを提案します。 国際社会は、持続可能な開発目標SDGsの中で、二〇三〇年までに飢餓をゼロにすることを約束しています。展示の素材となる資料はハンガー・フリー・ワールド--飢餓のない世界を創るために活動する国際協力NGO、こちらのホームページの活用、同サイト内から無料でダウンロードできる教材もあります。是非御検討ください。 そして、より多くの方々が参加できるような周知方法も工夫が必要だと感じます。区ニュース、チラシ、町会掲示板に張るポスターのほかにも、親子で学べる場もありますので、LINEによる子育て情報に載せるなどもあわせて御検討ください。区長の御所見を伺います。 最後に、健康についてです。 がん検診受診率の向上を目指して。 国が平成十九年度に策定をしたがん対策基本計画に定めたがん検診受診率、目標五〇%が未達成であることから、平成三十年三月に閣議決定された第三期がん対策推進基本計画において、がん検診受診率向上のための取り組みとして個別の受診・勧奨・再勧奨が新たに明記されました。 また、国は、がん検診の受診率の向上のために有効な施策として特定健診と同時受診を推奨しており、多くの自治体で導入されています。その上で、厚生労働省が発行する「今すぐできる受診率向上施策ハンドブック」では、同時受診の際に検査項目のオプトアウト式を導入することも効果が期待できる施策の一つとして紹介されています。 オプトアウトとは「希望すれば特定健診と同時にがん検診を受けられる」ではなく、「断らない限りは特定健診と同時にがん検診をセットで受診することになる」という手法です。この手法は、ジェネリック医薬品の処方箋などの各種保健事業において既に導入されています。 東京都中央区では、肺がん、大腸がん、前立腺がん、眼圧、骨粗鬆症、肝炎検査は、特定健診からのオプトアウト式を導入しているそうで、受診率も特定検診が約三七%、がん検診が約三三%とほぼ同等の数値となっているようです。 平成三十一年三月に発行された「渋谷区健康増進計画」の中に、二〇一八年に実施をした「渋谷区健康づくり区民意識調査」では、がん検診を受けなかった理由の多くは「受けに行く時間がない」「受診方法がわからない」「面倒だから」といった比較的曖昧な理由が挙げられています。だからこそ、特定健診を受ける際に当たり前のようにがん検診を受けることができれば、受診率は改善するものと考えられます。 このような現状を踏まえますと、がん検診をオプトアウト化することが受診機会を広げ、区民の健康につながるのではと考えます。「どれにする」から「いつにする」、「選ばなくていい」は最高の選択肢と言えます。 既に渋谷区は全国でもトップクラスの各種検診を実施している自治体ですが、さらにがん検診の受診率を高め、早期発見、早期治療を促進し、区民をがんから守る積極的な取り組みをお願いいたします。 がん検診のオプトアウト化の導入を提案いたします。区長の御所見を伺います。 以上、御答弁をお願いいたします。 ○副議長(岡田麻理) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 渋谷区議会公明党、近藤順子議員の代表質問に順次お答えします。 最初に、防災についてのお尋ねです。 災害時要配慮者対策について、まず、何らかのサービスを受けておられない要配慮者支援の拡充についてです。 議員御指摘のとおり、障害者手帳等を取得しておらず介護保険サービス等を利用していない障がい者、高齢者の方もおられます。災害時要配慮者名簿は、自力避難が困難もしくは不安な方の手挙げ方式による登録を受けており、自主防災組織や民生委員等、地域の皆様に該当されると思われる方の登録をお勧めいただいております。 二次避難所については、危機管理対策部と福祉部が連携して宿泊が可能な通所施設や民間施設との協定による拡充を図るとともに、今後は発災時に支援施設がどのような支援が可能かを確実に把握し、対象者が必要としている配慮に応じた支援が受けられるように、二次避難所の充実も図ってまいります。 在宅避難者の支援については、介護保険サービスを利用されている方には渋谷区ケアマネジャー連絡協議会や、訪問看護を利用されている方には訪問看護ステーション協議会等、平時から状況を把握している機関による安否確認や訪問支援を行うことを目指し、現在、協定等の具体的な方法を検討しています。 次に、妊産婦、乳幼児への支援体制についてのお尋ねです。 議員御質問のとおり、妊産婦や乳幼児を抱えた人には、乳児の泣き声や授乳等のプライバシーに配慮した環境が求められます。妊産婦の方の安心な居場所の確保として、第一には乳幼児等の家族や顔見知りの人とともに過ごせること、安全で衛生的な環境にあることが重要と考えます。 これまでも自主防災組織や避難所運営委員会において、各地域の実態や避難者の状況に応じた避難所内のエリア区分や、更衣室、授乳室の確保等の配慮を推進してまいりました。現在、災害時要配慮者対策として二次避難所の整備を進めており、今後、指定施設の拡充を図るとともに、避難所への段ボールベッドの供給や、訪問による各種支援として保健師による衛生指導のほか、妊産婦支援について渋谷区助産師協会との連携による相談支援の仕組みを整備している状況にあります。 母子救護所の確保については、S-SAP協定先の区内の女子大学や渋谷区子育てネウボラを担う中央保健相談所、幡ヶ谷保健相談所、恵比寿保健相談所等を含めて検討してまいります。 次に、「三百六十五日防災の街 渋谷」について二点のお尋ねです。 「三百六十五日防災の街 渋谷」は、先日の八月三十一日、九月一日に開催した渋谷区総合防災訓練、渋谷防災フェスのテーマです。 今年で四回目の開催となりました渋谷防災フェスは、これまで地域の防災訓練に参加したことのない若い世代やファミリー層に防災への意識づけをしてもらうことで地域の防災力向上を促進し、安全・安心な渋谷のまちにするべく始めたものです。今年は昨年を上回る三万三千人の来場があり、徐々にその成果を上げているものと確信しています。 区は、ほかにも「防災キャラバン」事業や「渋谷のラジオ」と協力した防災情報の発信を行っており、本年度は区民防災マニュアルを改訂し、全戸配布する予定です。今後も、例えば防災アプリを活用した日常的な防災の心構えについて情報を配信するなど、広く区民に対する意識啓発に努めます。 「三百六十五日防災の街 渋谷」は、このような様々な啓発活動を通じて、区民がいつ起きるかわからない災害に備え、三百六十五日防災の意識を持ち、準備を行うということであり、議員の御指摘のフェーズフリーの考え方にもつながるものと考えております。 次に、大学生の防災訓練等への参加に関する御質問です。 自主防災組織や町会を初めとする地域の皆様は、日ごろから様々な面で防災訓練等に積極的な活動をしていただいております。しかし、議員の御指摘にもありますが、大学生のような若い方々に地域の防災の戦力となってもらうために、地域の訓練等に参加するなど大学との連携の仕組みを強化していくことは重要と考えます。 渋谷区は、区内にある八大学と災害対策時の支援を含めたS-SAP協定を締結し、また、このうちの三つは避難場所、五つは帰宅困難者支援施設に指定されています。区内の大学は地域の重要な防災拠点となっております。 青山学院大学のボランティアセンターの活動については区も支援させていただいておりますが、このような大学生のボランティア活動と行政がもっと連携を密にし、有事の際に協力をいただけるような仕組みづくりを推進してまいります。 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック期間の防災対策についてのお尋ねです。 議員の御指摘のとおり、大会期間中は国内外を含め多数の来街者が渋谷区を訪れることになります。これは渋谷の魅力を世界に発信する大きなチャンスでもあり、是非この大会を事故なく成功させたいという思いです。 そのため、災害やテロ等が発生した場合に、日本語を母国語としない多数の外国人来街者が適切で安全な避難行動を行うため、避難場所などの情報や、四カ国語で防災情報を提供する渋谷区防災ポータルサイトへのリンク先など、防災に関する情報を盛り込んだ多言語版の防災マップを作成するなど、様々な手法で外国人への防災情報の発信を進めてまいります。 一方、大会期間中に地震や台風などの自然災害、感染症の発生やテロ等が発生した場合を想定した万全な危機管理の備えも必要です。有事の際に多数の来街者の生命、身体の安全を確保し、適切な避難誘導を行うため、オリンピック・パラリンピック大会組織委員会や東京都と密接な連携を図り、対応する必要があります。 またさらに、庁内においても、関連所管部署が有事の際に迅速な連絡や行動がとれるように組織横断的な連携を図り、状況によって災害対策本部を設置し、迅速な災害対応を行う体制の構築を進めます。 次に、防災教育についてのお尋ねです。 区立小中学校においては、毎年定期的に防災訓練を実施しています。小学校においては保護者との引き取り訓練、起震車体験、AED操作などの訓練を行い、中学校においてはD級ポンプによる消火訓練も実施し、防災教育、訓練による意識の啓発に努めているところです。また、今年度から区の防災キャラバン事業の一環として、学校の防災訓練の場に、被災地での活動経験を持つ職員が生徒に防災体験を語る啓発事業も実施しております。 区としても、学校の防災訓練やPTAの会議、防災キャラバン事業を活用して、家庭における渋谷区防災アプリの普及促進、東京都のマイ・タイムラインの活用などを積極的に推進し、地震だけではなく、近年多発している台風や大雨による水災害に備えるための啓発を推進してまいります。 議員御提案の防災家族会議は、家族で防災を考える機会を設けるという趣旨で大変意義のあるものと考えます。御家庭で防災の備えが確認できる区民防災マニュアルを今年度改訂し、全戸配布を予定しており、防災家族会議で活用を図っていただきたいと思います。 次に、福祉について、最初に医療と介護の連携についてのお尋ねです。 本区では、高齢者が在宅で医療や介護サービスを利用しながら安心して暮らし続けられるよう、退院支援やかかりつけ医の紹介などを行う在宅医療相談窓口を設置しています。この相談窓口については、第七期計画でもお示ししているとおり、相談者の利便性の向上のため地域包括支援センターにその機能を付与し、医療・介護相談のワンストップ化を目指すものです。 そのため、包括を中心とした医療・介護関係者等による多職種ネットワークの構築を図ることを目的に、渋谷区在宅医療・介護連携推進会議を設置しました。包括による在宅医療の相談体制の構築など、今後の取り組みについて協議します。今年度は従来のメンバーである三師会、ケアマネ、訪問看護事業者、包括に東京都栄養士会を加え、在宅生活でのサポート体制について議論を行っています。現在は各関係団体からどのような情報を収集し、収集した情報を窓口となる包括にどのように提供すべきか意見交換を行っています。来年度、窓口機能が包括へスムーズに移行できるよう、引き続き会議での議論を重ねてまいります。 次に、認知症支援についてのお尋ねですが、一括してお答えします。 本年六月、庁舎十五階、スペース428において、二週間にわたり「認知症なっても展」と題し、認知症に関するイベントを開催しました。イベントでは幾つかのブースを設置し、地域包括支援センター職員による認知症相談対応を初め認知症カフェの紹介、また、認知症当事者の方の日常風景の写真展示や本区で展開している施策の紹介を行いました。さらにステージを設け講演会や音楽イベント、映画上映などを実施し、イベント期間中は多くの区民、関係者の方に御来場いただきました。 イベント終了後には、このイベントに携わった関係者間でイベント内容や開催期間など課題の抽出を行い、共有を図りました。 会場で行ったアンケート調査において好評をいただいたことや、本区としても新しい形で普及啓発が実施できたと考えておりますので、来年度においても、課題として挙がった開催期間や内容など改善に取り組み、実施したいと思います。 なお、開催に当たっては、認知症のみならず介護や障がい者施策など福祉全般を学べるような福祉イベントとして内容を拡充し、開催したいと考えています。その中で、こちらも大きな課題となっている福祉人材の確保の取り組みを絡めるとともに、議員御提案の防災に関する講演についても実施に向けた検討を行い、多くの区民に御参加いただけるよう実施していきたいと思います。 次に、認知症サポーター養成講座についてのお尋ねです。 超高齢社会の進展に伴い、認知症高齢者あるいはその予備軍が増加すると予測されています。このため、認知症について理解することは必須であることから、本区では、認知症に対する正しい知識の普及啓発を目的とした認知症サポーター養成講座を推進しています。区主催や区立中学校での講座開催を初め町会、区内企業、さらには警察や金融機関などで開催していただいたことにより、これまで約一万五千人のサポーターを養成してきました。 今回、議員から御提案いただきました区職員を対象とした認知症サポーター養成講座の開催ですが、認知症に対する理解の向上は職務上必要な知識と考えており、今年度、福祉部職員を対象に実施する予定です。全職員の受講につきましては今後の検討課題とさせていただきます。引き続き認知症サポーター養成講座や認知症フォーラムなどにより、認知症に対する正しい理解の普及啓発にしっかりと取り組んでまいります。 次に、住宅政策について、セーフティネット機能の強化についてのお尋ねです。 御紹介いただいた中野区の「あんしんすまいパック」は、居住支援法人が提供する高齢者の見守り及び遺品整理等のパッケージサービスについて登録料を補助し、月額利用料は利用者が負担する制度です。このサービスに登録することで、賃貸住宅の入居の際に大家さんに安心して貸していただける効果があると思います。 なお、都の月額利用料補助は、大家さんがセーフティネット住宅として都に登録することを条件とするモデル事業のため、期間が限られているものです。 本区におきましては、高齢者の民間賃貸住宅への居住支援として、立ち退きに伴う住み替え家賃補助制度や、賃貸契約に必要な保証人がいない場合に区と協定を結んだ保証会社を利用した高齢者に対し、区が初回保証料を補助する家賃等債務保証制度を実施しています。 しかし、単身の高齢者世帯がますます増加している中、高齢者の居住支援の拡充は重要な課題だと認識しています。今年度より改定作業を始めている新たな住宅マスタープランの重点課題として、住宅セーフティネットの強化を挙げ、区内の不動産事業者や福祉団体も参加した住宅政策協議会で様々な御提言をいただいているところです。 議員御指摘のとおり、民間の空き家は増加傾向にありますので、今後は民間住宅への居住支援に区の住宅政策を重点化することが必要だと思います。そして、区内で活動できる住宅支援法人や不動産事業者と協力し、渋谷区版住宅セーフティネットを構築したいと考えています。 御提案いただいた助成制度や対象につきましても、障がい者等を含む住宅確保要配慮者の実態調査を行った上で、本区において最も効果的な方法を検討してまいります。 次に、渋谷区子育てネウボラについて四点のお尋ねです。 まず、渋谷区子育てネウボラ周知のイベントについてです。 本年五月から、妊婦全数面接を初めとした渋谷区子育てネウボラがスタートしたところです。六月にはオープニングとして子育て応援イベントを実施し、区民で仕事と子育てを両立していらっしゃる若槻千夏さんにも「渋谷区子育てネウボラアンバサダー」として御参加いただきました。 このイベントの目的は、気軽に立ち寄れる子育て応援イベントを通じて渋谷区子育てネウボラを広く周知することです。当日は男性の育児参加を促すワークショップを開催し、実際に送られる育児パッケージの展示や保健師の役割についてわかりやすく紹介するなど、参加者からは好評を得たとの報告がありました。また、十月六日には、保育の質の向上を目的として協定を締結している東京大学大学院の遠藤利彦教授をお招きして、アンバサダーの若槻千夏さんと子育て中の父親である私も参加して育児に関するトークセッションを行うほか、歯科衛生士、栄養士によるワークショップや初めて保育園の入園を考えている保護者向けのガイダンスを予定しています。 今後も「神南分庁舎跡地複合施設(仮称)」での渋谷区子育てネウボラ完成を見据えて、子育て中の家族を応援するようなイベントを継続し、区民の皆様に広く周知を図っていきます。 次に、妊婦全数面接の実施状況と連携事例についてお答えします。 四月から開始した、妊娠十六週以降の妊婦を対象に行う妊婦全数面接の八月までの実績は百十九件となっております。妊婦全数面接を開始したことで妊婦との関係性が構築でき、産後鬱状態の早期支援を、子ども家庭支援センターと連携し赤ちゃんショートステイの利用につなげることにより、母親の育児負担の軽減と治療に専念する環境を整えることができた事例がありました。 LINEを活用した予約システムについては、保健相談所で行っている「妊婦全数面接」「パパ・ママ入門学級」「育児学級」を初めとした六つの事業を対象に、九月十七日の開始を目指して準備をしております。 次に、電子母子手帳「シブヤ母子健康ノート」についてお答えします。 議員御提案の電子母子手帳シブヤ母子健康ノートについては、渋谷区が全国に先駆けて、LINEと連携させた事業として九月二日から開始いたしました。主な機能としては、妊産婦が健診結果を記録することでグラフ化し、体調管理ができることや、子どもの成長記録を写真とともに家族のスマートフォンで共有、閲覧できます。さらに自動で予防接種スケジュールを計算し、予定日が通知されるなど、デジタルならではの機能を生かして母子健康手帳を補完するものとなっています。また、妊産婦の了解のもと保健師と記録を共有することで、より丁寧な支援につなげてまいります。 次に、子どもの権利条約の電子母子手帳等への掲載についてお答えいたします。 御指摘の電子母子手帳への掲載については、「シブヤ母子健康ノート」の子育て情報欄へ、ユニセフの許諾を得た上で子ども権利条約サイトのリンクを張ることといたします。母子健康手帳への掲載につきましては、今後、検討してまいります。 次に、食品ロス削減についてのお尋ねです。 本区では平成二十九年度から、民間事業者と連携した食品ロス削減イベントとして「もったいないマーケット」を実施しています。今年度のもったいないマーケットの内容ですが、ごみ削減を呼びかける標語の表彰式、エコクッキング、講演、啓発用映画の上映、木製再生家具の展示販売などを予定しています。開催日まであと一カ月ではありますが、現在も内容をさらに充実するための検討を重ねております。 議員の御提案にありました親子で学べる環境・人権教育の視点でのパネル展示ですが、是非とも内容を確認させていただき、会場に来られた方に御理解いただけるよう、パネルなどの展示ができないか検討していきたいと考えます。そして、より多くの方に会場に来ていただけるよう、LINE配信を含めPRに努めてまいります。 次に、健康についての御質問です。 がん検診受診率の向上についてお答えします。 現在、渋谷区では、各種がん検診の対象となった区民は検診申し込みの必要がなく、一斉に必要な受診券を送付しており、いわばオプトアウトの考え方を取り入れて実施していると考えております。 議員御提案のオプトアウト化を行うためには、特定健診とがん検診を人間ドックのように同時実施できる医療体制が必要です。また、渋谷区のがん検診は、がん発見率等の検診精度を高く維持するため、渋谷区医師会区民健康センター桜丘診療所にできるだけ集中化する方法をとっています。オプトアウト化の導入は、医療体制の確保や検診の精度管理等の課題があることから、今年度設置する区、医師会、学識経験者が構成する「渋谷区がん検診精度管理委員会」においてオプトアウト化等の受診率向上策を議論し、施策への反映を検討してまいります。 以上、私からの答弁といたします。 ○副議長(岡田麻理) 豊岡教育長。 ◎教育長(豊岡弘敏) 私には、教育について、生徒会役員によるいじめをなくすための取り組みについてのお尋ねがありました。 いじめは子どもの生命や心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼす人権侵害であり、絶対に許されない行為です。昨年は区立中学校の生徒会役員が一堂に会して、「よりよい学校にするために」というテーマでSNSによる誹謗中傷を受けた生徒の経験からトラブル防止に向けた取り組みを紹介した学校があり、いじめについて深く考える機会となりました。今年は十二月に、いじめ問題をテーマの一つとして区内中学校の生徒会役員が話し合いを行う予定です。教育委員会といたしましては、生徒会役員同士で充実した話し合いができるよう、実施に向けて支援してまいります。 現在、六月と十一月の年二回、東京都教育委員会が実施している「ふれあい(いじめ防止強化)月間」の中で、児童・生徒にアンケート調査を実施しているところです。また、学校の実情に応じて、年に複数回いじめに関するアンケート調査を実施している学校もあります。 議員御提案のアンケート項目を子どもたちが中心となって作成することについては、学校によっては項目に盛り込むことが有効な一つの手だてとなることから、学校に働きかけてまいります。 いずれにいたしましても、生徒会役員によるいじめ防止についての話し合いを継続して進めてまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○副議長(岡田麻理) 十二番近藤順子議員。 ◆十二番(近藤順子) 長谷部区長、豊岡教育長、丁寧かつ前向きな御答弁をありがとうございました。 少々所感を述べさせていただきます。 まずは防災について。 防災家族会議については、一期生の四年間、青少年問題審議会の委員として毎回参加のたびに課題と捉えてきたことでしたので、今回の提案に賛同をしていただき本当に感謝申し上げます。 また、要配慮者支援については、近年起きました大震災の教訓を思いますと、母子救護所、また制度のはざまにある方々の支援も視野に入れていくことが必要だと思います。 フェーズフリーの視点についても、例えば多くの参加者が見込まれるイベントについては、もしイベント中に大災害が発生したらどうするかを想定し、そのイベントの避難リーダーを決めるなど、日常的に水面下では防災の意識を持つことをルールとしてもよいのではないかと思います。 多様な対応が求められるだけに一朝一夕には進まないと思いますが、特に区民の命を守る防災行政については全庁を挙げて横断的に、全職員が一丸となって進めていただきたいと思います。 また、いじめについても、「よりよい学校にするために」という取り組みの中で、この十二月には生徒が集まる話し合いを持たれるということ、また子どもたちが発信する、作成するアンケートも進んでいくように感じました。ありがとうございます。こちらも命にかかわることにつながってまいります。しっかりとまた私どもも提案を重ねてまいりたいと思っております。 そして医療と介護の連携、地域包括ケアシステム、認知症支援施策については、渋谷区らしい支え合いのまちづくりの核になると信じております。よい提案ができるように、こちらも重ねて提案してまいります。 また、住宅セーフティネットの創設については、調査からというような答弁でございましたが、私ども会派の議員には本当に連日、住宅関連の御相談が次々と上がっております。住宅確保要配慮者の方が長年暮らした渋谷区に住み続けられるように、是非前に進めていただきたいと思います。 最後に、渋谷区子育てネウボラでございますが、今回は、子どもの権利条約を学ぶ中で改めて渋谷区子育てネウボラ事業の深さを認識することになりました。世界に誇れる事業として多世代の方々に周知をされ、醸成していけますように、また、この事業も、やはり高い専門性と人格を兼ね備えた人材の確保、育成に力を注いでいただきたいと会派一同願っております。 結びに、渋谷区議会公明党は心を一つに、区政発展のために地に足の着いた活動を軸に日々精進することをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 ○副議長(岡田麻理) 議事進行上、暫時休憩いたします。-----------------------------------   休憩 午後五時十七分   再開 午後五時四十分----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 区政一般に関する質問を続行いたします。 三十四番苫 孝二議員。 ◆三十四番(苫孝二) 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して区長に質問します。 まず、十月からの消費税一〇%増税についてです。 消費税の八%への増税以来、消費不況が続いており、こんなときに増税を強行すれば国民の暮らしも日本経済も大破綻になります。複数税率は混乱が予想され、プレミアム商品券についても「二万円の購入費を工面することは困難だ」など怒りの声が出されています。 八月三十一日の読売新聞の世論調査では、消費税増税に賛成は三六%、反対は六三%となっています。国民の多数は消費税一〇%を認めていないのです。 消費税を増税しなくても、社会保障拡充の財源はつくることができます。日本共産党は、大企業や大金持ちに中小企業やサラリーマン並みの課税をすれば七兆円の財源ができることを提案しています。区長は区民の営業と生活を守る立場から、政府に対し十月からの消費税増税の中止を求めるべきです。区長の見解を伺います。 次に、平和憲法、第九条を守ることについてです。 安倍首相は、七月の参議院選挙で自衛隊を憲法に書き込む改憲を訴えました。安保法によって海外での武力行使が可能となった自衛隊を憲法に明記すれば、戦争放棄、戦力不保持の第九条は死文化し、日本は再び戦争する国になってしまいます。 参議院選挙では自民党が過半数割れとなり、改憲勢力が三分の二割れの審判が下されました。朝日新聞の七月の世論調査でも、安倍首相の任期中の改憲に反対が四六%で賛成の三一%を大きく上回っています。まさに国民の多くは安倍改憲に反対し、第九条を遵守することを求めているのです。 幡ヶ谷一丁目在住の八十六歳の方から、「小学校二年から六年の夏休みまで戦争でした。八月十五日はいつまでも戦争のことが語り継がれ、忘れてはいけないと思います」と平和の願いが寄せられています。区長は憲法第九条を守ることを表明すべきです。見解を伺います。 次に、核兵器廃絶についてです。 八月六日、広島市の平和祈念式典で、子どもの代表は「昭和二十年八月六日、血で染まった川、瓦れきの山、皮膚が剥がれた人、たくさんの亡きがら、見たくなくても目に飛び込んでくる地獄のような光景が広がったのです。私たちは大切なものを奪われた被爆者の魂の叫びを受けとめ、次の世代や世界中の人たちに伝え続けたい」と誓いました。 被爆者の訴えが世界を動かし、「核兵器禁止条約」が国連で採択され二年がたちました。現在、署名国は七十、批准国は二十六カ国となっています。唯一の戦争被爆国である日本政府は直ちに核兵器禁止条約に署名、批准すべきです。ところが、安倍首相は、平和祈念式典後の被爆者との懇談会で条約の批准を求めた被爆者の声を拒否したことは到底許されるものではありません。区長は核兵器の非人道性についてどう認識しているのか伺います。 また、平和首長会議の一員として、政府に対して核兵器禁止条約への署名、批准を求めるべきです。区長の見解を伺います。 今、被爆者の平均年齢は八十二歳を超えており、子どもたちに戦争の悲惨さ、広島、長崎の被爆の実相をしっかり伝えていくことが重要になっています。区長は先頭に立って被爆地を訪問するとともに、小中学生を広島、長崎に派遣し平和学習を進めるべきです。区長の見解を伺います。 次に、暮らし、福祉第一の区政についてです。 渋谷区の責務は、地方自治法で明記されているように住民福祉を増進し、生活を向上させることです。そのためには福祉のまちづくりが必要です。 保育園など子どもの施設、特別養護老人ホームなど高齢者や障がい者施設の増設は、地域の建設業や商業などの中小業者を活性化させ、新たな雇用を生み出します。福祉人材の確保は災害に強いまちづくりにもなります。 しかし、長谷部区長の四年間は、区民には国民健康保険料や介護保険料の引き上げ、学校給食費の値上げなどの負担増、障がい者福祉タクシー券の削減や生活保護世帯の夏・冬の見舞金の廃止、富山臨海学園や山中高原学園の廃止など福祉、教育を切り捨てるものでありました。今議会には昨年度の繰越金六十億円を都市整備基金に積み増す一般会計補正予算が提案されており、都市整備基金と財政調整基金の総額は千八億八千万円という莫大なものとなります。 基金を積み増すのではなく、切り捨てた福祉をもとに戻すとともに、学校給食の無償化を初め子ども医療費を高校生まで拡大すること、七十五歳以上の医療費無料化など暮らし応援、子育て支援、教育の充実などの施策に使うべきです。区長の見解を伺います。 次に、渋谷駅周辺再開発事業についてです。 渋谷駅周辺再開発事業は、グローバル大企業を呼び込むためにアジアヘッドクォーター特区などを活用し、長年住み続けてきた住民や飲食店を追い出して進められている大企業のための再開発で、総額百六十六億円もの税金が投入されようとしています。大企業のための渋谷駅周辺再開発事業への税金投入は中止すべきです。区長の見解を伺います。 次に、スタートアップ・エコシステムについてです。 区長はさきの発言で、スタートアップ・エコシステムの拠点都市に参加すると表明しましたが、これは地方自治体と大学、民間企業などが協力して海外起業家の招致を進める財界戦略に従うものです。区長は検討組織を立ち上げると言いましたが、国は、そのために自治体が関連予算を組み、担当部署を設けるとしています。 我が党区議団は、基本構想で「高度な国際競争力を備えたまちを目指す」としたことに対して、それは日本経団連と安倍政権が進める日本再興戦略に基づいて、グローバル大企業のもうけに奉仕するものだと批判してきました。今回のスタートアップ・エコシステムは、まさに財界戦略そのものです。スタートアップ・エコシステムの拠点都市参加はやめるべきです。区長の見解を伺います。 次に、公園整備事業についてです。 宮下公園整備事業は、三井不動産に宮下公園を三十四年間貸し付けて、商業ビルやホテルを建設させて大もうけさせるものです。建設現場を見た区民からは「とても公園とは言えない。巨大な商業施設だ」との怒りの声が寄せられています。 我が党区議団はこの事業に反対するとともに、定期借地料を百九十億円も値引きし二百三十五億円にしたことについて、三井不動産が最初に提案した金額に合わせるために様々な手だてで値引きし、ホテルは不動産鑑定さえも行っていないことを指摘してきました。改めて、なぜホテルの不動産鑑定をしなかったのか、その理由を明らかにすべきです。また、宮下公園整備事業の定期借地料について区は再鑑定すべきです。あわせて区長の見解を伺います。 長谷部区政は、公園面積の一二%を営利活動に活用できる条例をつくり、さらに公園全部を指定管理にして営利企業にもうけさせようとしています。北谷公園は、公園内の飲食店、売店で収益を上げさせるパークPFI制度を使って参加企業の公募を行い、東急電鉄を代表企業とするグループが選定されました。北谷公園を初めとした都市公園を民間資金で整備させ、もうけさせる手法はやめるべきです。区長の見解を伺います。 次に、小規模企業・商店街振興策についてです。 二〇一四年に成立した小規模企業振興基本法は、小規模企業を「地域経済の活性化並びに地域住民の生活向上及び交流を促進し、地域社会に貢献している」と評価しました。東京都もその役割を位置づけ、同趣旨の条例を制定しました。 当区は従業員二十人以下の小規模企業が全事業所数の八七%を占めており、小規模企業のまちでもあります。今、長引く消費不況のもと、区内の小規模企業は厳しい経営環境で、二〇一八年の中小企業の倒産は百三件、負債額百三十四億円、職を失った従業員は四百五十四人となっています。当区としても小規模企業振興対策を区政の中心課題として位置づけ、施策を総合的に推進するため小規模企業振興基本条例を制定すべきです。区長の見解を伺います。 私の地域の商店街では、高齢者のための宅配事業を行っています。商店街振興策と同時に買い物難民対策としても、生鮮食品など生活に不可欠な小売店舗を誘致するための助成制度や、空き店舗を借り上げ、貸し出す制度を創設すべきです。また、商店街の高齢者への宅配事業への助成制度を実施すべきです。あわせて区長の見解を伺います。 商店街の街路灯に対する補助金は二分の一です。商店街を支援する立場から全額補助にすべきです。区長の見解を伺います。 次に、住宅簡易改修事業についてです。 建設業者の支援と区民に快適な住まいを提供する住宅簡易改修事業の実績は、スタートした二〇一三年度は百四件、七百二十六万円でしたが、二〇一八年度は三十五件、二百七十万円と減少しています。既存不適格の住宅や一度補助を受けた住宅でも必要な場合は再度補助すること、住まいを兼ねている店舗の場合は店舗の改修も対象にするなど制度を拡充するとともに、補助額も引き上げるべきです。区長の見解を伺います。 次に、国民健康保険料の引き下げについてです。 当区の今年度の保険料は十五年連続で引き上げられ、保険料通知書が届いた六月十四日から二十八日の間に保険料に関する抗議や苦情、問い合わせは昨年を上回る八百九十一件もありました。年収四百万円の四十代夫婦と子ども二人の世帯では、四十九万四千九百二円と給料の一・五カ月分もの高い保険料となりました。同じ世帯でも、協会けんぽ加入者の保険料は二十三万七千二百五十二円です。国保加入者はその二倍以上の保険料です。低所得者に余りにも高過ぎると思いませんか、区長の認識を伺います。 国民健康保険の加入者は、七十四歳までの高齢者や失業者、非正規労働者など所得の低い人が多くを占めている上、被用者保険のような事業主負担がありません。そのため、国も公費による相当の負担が必要と認めてきました。ところが、一九八四年度以降国保への国の負担を次々と引き下げてきた結果、国保会計に占める国の負担は約五割から二割にまで減ってしまいました。だからこそ、全国知事会は国に一兆円の負担を求めているのです。一兆円を投入すれば協会けんぽ並みの保険料に引き下げることができます。区長は国に対し、国保に対する負担を増やすよう求めるべきです。見解を伺います。 昨年度から、国保財政の都道府県化が実施されました。国はこれに合わせて区市町村が行っている一般会計からの法定外繰り入れを解消することを求め、都の国保運営方針では六年間で解消することが示されています。渋谷区はこの方針に従って、一般会計からの繰り入れについて、二〇一七年度予算では十一億七千万円だったものを今年度は三億五千六百円に減らしてしまいました。さらに、区長はこの繰り入れをなくそうとしています。そうなれば四人家族で七万二千円もの負担引き上げとなり、苛酷過ぎて払えなくなります。 区長は一般会計からの繰り入れについて「国保加入者以外の納税者の理解を得られない」と言っていますが、低所得者や生活が困難になった区民のために税金を使うことこそ社会保障であり、自治体の役割ではありませんか。区長の見解を伺います。 そして区長は、国保制度が社会保障の制度だと認めるのなら、一般財源を活用して国保料を引き下げるべきです。区長の見解を伺います。 千代田区では、一般会計からの繰り入れをほぼ維持することによって、昨年度から二年連続で保険料を引き下げています。また、二十三区の保険料は子どもが一人増えるごとに五万二千二百円も高くなります。この均等割を軽減する自治体も全国で二十五に広がっています。当区でも、こうした区の努力でできる保険料軽減策を実施すべきです。区長の見解を伺います。 次に、介護保険についてです。 政府は二〇二一年度から始まる第八期介護保険事業計画で、ケアプラン作成の有料化、要介護一、二度の生活援助サービスの保険給付外し、介護施設の室料徴収の拡大など、一層の負担を利用者や家族に押しつけようとしています。今でも保険あって介護なし、介護崩壊の事態です。高齢者の尊厳と介護を守るために、国に対してこれ以上の介護制度の改悪を中止するよう求めるべきです。区長の見解を伺います。 国が要支援者を介護保険給付から外して総合事業に移し、区は要支援者の生活援助訪問介護と通所介護に緩和サービスAを導入しました。国基準の七から八割の安い単価でサービスを無資格者に担わせようとしましたが、人材が確保できず、資格を持ったヘルパーが安い単価で担っています。そのしわ寄せは介護事業者の経営悪化や介護職員の低賃金となり、利用者はこれまでのサービスが継続されないなど深刻な事態に陥っています。 緩和サービスAはやめて国基準に戻すべきです。区長の見解を伺います。 区内の介護現場では、人手不足が深刻化しています。必要な職員を確保できないため土日のヘルパー派遣ができなくなった、施設が開設できない、また、事業所の一部閉鎖や廃業などの事態が起こっています。その原因は、介護労働者の賃金が全産業労働者の平均賃金より九万円も低く、正規の訪問介護労働者の月額平均賃金は二十一万一千七百三十二円で、非常勤の訪問ヘルパーは正規の半分程度と言われています。 政府は勤続十年以上の介護福祉士に月額八万円の賃上げをするとしていますが、介護労働者の平均勤続年数は六年で、しかも三年以内で離職する人が六割もいるため、全体の処遇改善にはなりません。介護労働者が希望を持って働くことができ、人材不足を解消するために、区長は政府に対し全ての介護労働者の賃上げを求めるとともに、区としても独自の賃金の引き上げを図るべきです。 さきの議員への答弁で、家賃補助実施をするとのことでありましたが、いつからどのような補助をするのか明らかにしていただきたいと思います。区長の答弁をお願いいたします。 次に、特別養護老人ホームの増設についてです。 今年四月一日現在の待機者は四百十七人で、厳しい事態が続いています。高齢者ケアセンター跡地に八十四床のホームが建設中であり、神宮前に二十九人入所の民間のホームがつくられます。しかし、それらが完成しても三百人は取り残されてしまいます。 ある人から「母は重い認知症で、自宅での介護はとても困難で特養への入所を願っていました。だけれども、入れないまま亡くなってしまいました」と聞かされました。早急に代々木二、三丁目の国有地、幡ヶ谷二丁目の都営住宅跡地などを取得し、特別養護老人ホームを初めとする複合施設として整備すべきです。特に代々木二、三丁目の国有地は、特養ホームを初め保育園、障がい者グループホーム、高齢者住宅など、福祉の総合施設として区が直接整備することを明確にして政府と交渉すべきです。あわせて区長の見解を伺います。 次に、高齢者の住宅問題についてです。 今年の区営高齢者住宅の空き家待ち登録者募集には、世帯用五戸に対し五十六人、単身者は十五戸に対し二百十五人の応募がありました。七十歳以上の高齢者を受け入れるアパートはほとんどありません。多くの高齢者は安心して住める区営住宅に入りたいと願っています。しかし、現在は恵比寿西の都営住宅跡地の複合施設の計画しかありません。高齢者住宅増設計画を策定し、着実に進めていくべきです。また、東京都に都営住宅の増設を求めるべきです。あわせて区長の見解を伺います。 現在、都営住宅の入居者の浴室は都が整備していますが、既に入居している人が浴室を取り替える際は自己負担です。同じ入居者なのに余りにも不公平です。既に入居している人の浴室の取り替えは都が負担するよう求めるべきです。区長の見解を伺います。 最後に、羽田空港の増便による区内の低空飛行問題についてです。 国土交通省は八月八日、「羽田空港新ルートについて関係自治体から理解を得られた」として、二〇二〇年三月二十九日から、南風時、午後三時から午後七時の間に約百三十本の航空機が都心上空を航行すると発表しました。 区民の請願を受けて、当区議会は、国が進めている羽田空港の機能強化に伴う新飛行計画は「落下物や騒音、大気汚染など区民生活に大きな影響が想定される」などとして、羽田空港増便による都心低空飛行計画の見直し等を国に求める意見書を全会派一致で議決しました。 私たち区議団は去る七月二十九日、長谷部区長に対し、東京都が三十日に開く羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会に参加するに当たって、区議会や住民説明会で出された声を十分に示すとともに、地元の理解は得られていない、そのことを明確に表明することを求める要望書を提出しました。しかし、当区は関係区市連絡会で全く意見を表明しませんでした。これは区民や区議会の意思を踏みにじった裏切り行為と言わなければなりません。どうして意見を言わなかったのか、区長の見解を伺います。 区民の不安は全く解消されておらず、現在、私たち区議団が行っている区政アンケートでは「平穏な市民生活を脅かす新ルートは絶対反対」「説明会は納得のいくものではなく、不安だけが残りました。転居も考えています」などの声が相次いで寄せられています。 区長は危険な羽田空港新飛行ルートの開設について撤回を求めるべきです。見解を伺います。 ○議長(下嶋倫朗) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 日本共産党渋谷区議会議員団、苫 孝二議員の代表質問に順次お答えいたします。 初めに、消費税についてのお尋ねです。 このことにつきましては、これまでもお答えしてきたとおり、国の総合的な財政計画、運営にかかわる問題ですので、そのような考えはありません。 次に、憲法についてのお尋ねです。 改憲につきましては国政の場で議論されるべきものと考えておりますので、そのような考えはございません。 次に、核兵器廃絶について三点のお尋ねですが、一括してお答えします。 核兵器の非人道性については言うまでもないと認識しております。しかし、核兵器禁止条約への署名や批准については国政の場で議論されるべきものであり、そのような考えはありません。 渋谷区が加盟している平和首長会議においては、政府に対して核兵器廃絶に向けた取り組みの推進を要請し、本区においても「世界連邦都市宣言」や「平和・国際都市渋谷の日条例」を制定し、平和への確固たる意思を示しています。あわせて、平和・国際都市を推進する事業として講演会やパネル展などを開催しており、今後も引き続き、そうした活動を通じて平和の取り組みを行ってまいります。 次に、区長の政治姿勢について大きく六点のお尋ねです。 まず、財源を暮らし応援や子育て支援、教育の拡充などの施策に使うべきとのお尋ねですが、地方自治法にあるとおり、もとより地方公共団体は住民福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものです。本区は法にのっとり税や基金を活用し、新たな施策や事業を展開して、区民福祉の充実、向上を図るため全力で区政を進めています。 次に、渋谷駅周辺再開発に税金を投入すべきでないとのお尋ねです。 本事業は、これまでも貴会派へ再三御説明しておりますが、防災力の向上や歩行者ネットワークの整備など地域の様々な課題を解決し、都市機能の更新を図ることにより公共の福祉の増進に資するもので、区としても最重要プロジェクトの一つとして位置づけております。こうした地域に貢献する公共性の高い事業については、区としても積極的に支援するものと考えております。 なお、百六十六億円もの区民の税金を本事業に投入している旨の発言がありましたが、この際、正確に申し上げますと、このうち半分の額は国庫支出金であり、あたかも全額が区民の税金であるかのような誤った情報を提示し、区民の皆さんを煽動する方法は改めるべきです。 次に、スタートアップ・エコシステムについてのお尋ねです。 スタートアップ・エコシステムの拠点都市への参加をやめるべきとの御意見ですが、先ほど渋谷区議会自由民主党議員団、岡 美千瑠議員の代表質問にお答えしたとおり、本区はIT企業やベンチャー企業の集積が国内ナンバーワンの都市であり、多様な人材と情報が集まっています。また、多数のコワーキングスペースやインキュベーション施設でのネットワーク力も国内トップの力を有しています。そのため、スタートアップ・エコシステムの拠点都市として必要な要素は既にそろっているまちが渋谷なのです。 議員の御発言は、渋谷のまちの特性を正しく理解していないと言わざるを得ません。したがって、スタートアップ・エコシステムの拠点都市への参加をやめるつもりはありません。 次に、宮下公園について、なぜホテルの不動産鑑定を行わなかったか明らかにすべきというお尋ねと、定期借地料を再鑑定すべきとのお尋ねです。 これまでもお答えしていますが、ホテルの不動産鑑定については適正に行っております。 また、定期借地料の再鑑定については、再三お答えしているとおり、その時々の路線価は上昇と下降を繰り返しており、こうしたことは社会経済情勢の大きな変化とは言いがたく、現時点においては、いずれ再鑑定することがあるとしても、今はまだその時期ではないと考えています。 次に、パークPFI制度についてのお尋ねです。 都市公園において整備や管理運営に活用できるパークPFI制度等の手法については、区立公園に民間の優良な投資を誘導し、区の財政負担を軽減しつつ公園の質の向上、公園利用者の利便の向上を図るため、令和元年第二回定例会において渋谷区立都市公園条例改正を行うなどしてまいりました。したがいまして、議員御指摘のように営利企業にもうけさせるための手法ではなく、渋谷区の公園を安全・安心で魅力あふれるものとしていくためのものであり、これからも積極的に導入を検討してまいります。 次に、小規模企業・商店街振興策について三点のお尋ねですが、順次お答えします。 まず、小規模企業振興基本条例の制定についてのお尋ねです。 渋谷区では中小企業振興を図るため、これまでも中小企業診断士による経営相談を実施し、区内の中小企業に対し具体的かつ実効的な支援を行っています。基本構想及び長期基本計画においても中小企業対策を柱の一つとしており、御意見のような条例を制定する考えは持っていません。 次に、買い物難民対策として助成制度などを実施すべきとの御意見です。 そのような助成制度を直ちに実施する考えはありませんが、商店街の活性化や誰もが安心して暮らせるまちづくりを進めていく中で、こうした課題についても取り組んでまいります。 次に、商店街街路灯の補助についてのお尋ねです。 商店街街路灯の補助について全額を補助すべきとの御意見ですが、そのような考えはありません。一基当たり年間九千円の電気料の補助を継続するとともに、電球のLED化の支援を通じてランニングコストの負担軽減を図ってまいります。 次に、建設業者の支援として、住宅簡易改修支援事業についてのお尋ねです。 平成三十年度の実績は、件数では減少しているものの金額では二十九年度より増加しています。また、既存不適格の住宅であっても、既存不適格を解消する工事であれば対象としており、昨年度より、ブロック塀を改修する工事であれば一度助成を受けた方でも認めるなど、事業の拡大も図っています。 店舗につきましては、住居の安全性の向上と快適な居住空間の提供という制度の目的に沿わないため、対象とする考えはありません。 次に、国民健康保険料について四点の御質問です。 初めに、保険料についてのお尋ねです。 持続可能な制度運営のためには、歳入と歳出の適正なバランスを確保していくことが重要と考えています。その上で、国・都では公費を投入して保険料の上昇を抑えるとともに、特別区独自でも激変緩和措置を講じています。保険料率の設定については、引き続き特別区長会で議論してまいります。 次に、国庫負担の拡大については、区長会でも毎年要請を行っています。 次に、一般財源を活用して保険料を引き下げるべきとの御意見ですが、一般会計からの繰り入れは国民健康保険の被保険者以外の区民にも負担をかけることとなるため、保険料の水準を勘案しながら段階的に縮小していくべきと考えます。 次に、保険料軽減策を実施すべきとの御意見ですが、既に所得に応じた均等割の軽減制度があることに加え、総合的な子育て支援に取り組んでいるため、区独自で軽減を行う考えはありません。 次に、介護保険について三点のお尋ねですが、一括してお答えします。 介護保険制度の改正内容については、国が将来を見据え、国政の場で議論しながら制度設計を行うものであり、現段階で区が国に対して中止を求めることはありません。 介護予防・日常生活支援総合事業の訪問型・通所型サービスAについては、これまでもお答えしているとおり、国基準相当サービスと区独自基準サービスを実施することによりサービスの選択肢が増え、利用者のニーズに合ったサービスの利用が可能となりますので、引き続き実施してまいります。 介護士の賃金改善については、国による処遇改善加算により拡充が図られており、国に対して賃金の引き上げを求めることや、区独自に賃金改善のための助成制度をつくる考えはありません。 介護人材の確保、定着に向けては、先ほど渋谷区議会自由民主党議員団、岡 美千瑠議員にお答えしたとおりです。 次に、代々木二、三丁目の国有地を複合施設として整備し、区が直接整備すべきとのお尋ねですが、先ほど自由民主党議員団、岡 美千瑠議員の質問にお答えしたとおり、保育園や高齢者福祉施設とともに、地元の南新宿まちづくり検討会からいただいている御要望を踏まえ、子育て世代から高齢者まで世代を超えて助け合いができるような、多世代共生モデルとなる区民住宅を整備する方向で協議中です。 この施設の整備は巨額の経費が見込まれる大型事業であり、行財政運営の持続可能性確保の観点から、整備工事や運営における公的負担抑制も課題の一つであり、区の直接整備に限定した交渉を進める考えはありません。 次に、高齢者の住宅問題についてのお尋ねです。 高齢者住宅につきましては、公営住宅だけでなく、サービス付き高齢者住宅など、所得や健康など本人の状況や希望に応じて様々な選択が可能な住宅供給が求められており、また、必要だと考えています。単身の高齢者が増加している中で、所得制限のある公営住宅だけでは充足できないため、先ほど渋谷区議会公明党、近藤順子議員の代表質問にお答えしたとおり、今後は民間住宅への居住支援について、住宅マスタープランの中で重点課題として検討したいと思います。 都営住宅に対する御要望につきましては、貴会派の都議会議員もいらっしゃる都政の場で議論すべきことですので、私から要望する考えはありません。 次に、羽田空港新飛行ルートについて二点のお尋ねです。 羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会において、なぜ意見を表明しなかったかとのお尋ねですが、同連絡会において、引き続き区民に対する丁寧な説明と安全対策への取り組み、情報提供を行うこと、騒音対策のさらなる充実を行うことなど区の意見として表明しています。   〔「伝わってないだろう」の声あり〕 ◎区長(長谷部健) 次に、羽田空港新飛行ルート開設について撤回を求めるべきとのお尋ねです。 区としましては、引き続き国が責任を持って丁寧に区民へ説明し、環境の影響や安全対策等について取り組むよう要望していきたいと考えています。こうしたことから、御質問のような計画の撤回を求める考えはありません。 以上、私からの答弁といたします。 ○議長(下嶋倫朗) 傍聴人に申し上げます。 会議中に騒ぎ立て会議を妨害する方には、地方自治法第百三十条第一項に基づき直ちに退場を命じますので、よろしくお願いいたします。 三十四番苫 議員。 ◆三十四番(苫孝二) 区長から答弁がありましたが、全然まともな答弁だと思えません。区民は納得しないと思います。 まず、渋谷駅周辺再開発事業の百六十六億円の税金投入。国も税金出して、合わせて百六十六億円ということです。国の税金は、私たち区民の税金でもあるじゃありませんか。そういうことで、それだけの血税が投入されているということで示しているわけですから。 それから、宮下公園の整備事業にかかわってホテルの不動産鑑定をやったというふうにおっしゃいましたけれども、誰が、いつやったのか明確に答弁してください。 それから、区長に私は国民健康保険料が高過ぎるということでその指摘もし、年額で四十九万四千九百二円のこんな高い保険料をどう思うのかということを聞いたわけですから、その認識についてはきちんと答えてください。やっぱり区民が、二六%も滞納世帯がいるんですよ。高過ぎて払えない、そういう実態があるからこういう結果になっているわけですよ。だから、そのことについて明確に答えていただきたいと思います。 それから、最後の羽田空港の増便による区内の低空飛行問題について。これは、やはり区民が万が一の事故、そうしたことや、騒音被害、そういうことで皆さん不安に思っているわけですし、今まで羽田空港は、大田区の運動で、結局、市街地は通らない、海に出ていく、入る、住宅地は通らないということを約束して、それで羽田空港は成り立っているではありませんか。そういうことを踏まえて、大田区民の方々を初め私たち区民が、そういう危険なことはやっちゃいけないということを言っているわけですから、そういうことについて区長はきちっと意見を言っていく。先ほどいろいろ意見を言ったんだということでありますけれども、こんなことについて、やはり危険なことは危険だということを、区民の命を守るのが区長の責務じゃありませんか。そういう立場からきちんと意見を言っていくべきだというふうに思います。再度答弁ください。 ○議長(下嶋倫朗) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 苫 孝二議員の再質問に順次お答えします。 まず、宮下のホテル部分も含めた再鑑定をすべきだ、いつやったかということですが、これまでも何度もお答えしておりますが、平成二十七年第四回定例会において、ホテル建設を前提とした借地評価額を含む基本協定について議決をいただいたものであり、今はまだ再鑑定する時期ではないと考えております。 また、時期については総合的に判断をしていきます。 続いて、保険料についてです。 これについては、もうこれも再三お答えしていますが、全体の考え方として、次の世代のことを僕はまず考えています。今、これから人口が減っていきます。今のままではこのツケを次の世代に回していくだけです。我々の、今、僕らは第二次ベビーブームの世代です。この世代がしっかりいるうちに、またベビーブームの人たちがまだしっかりと働けているうちに、次の世代へ向けて、やるべきことをやっていく。嫌だけれども、しようがないという思いもあります。ですが、これはしっかりと我々が理解していかなければ、今まで同様に次にツケを回していくだけです。それについて、むしろどう考えているかということは伺いたいぐらいです。 そして、羽田についてです。 これは先ほども言っていますが、今でも意見はずっと表明しております。国の責任で、反対している人たち、納得していない人たちにしっかりと説明すべきだということです。御理解をいただければと思います。 ○議長(下嶋倫朗) 三十四番苫 議員。 ◆三十四番(苫孝二) 区長の答弁がきちんとされていないので、再質問します。 ホテルの、宮下公園の鑑定は誰が、いつやったのかということを答えていないじゃないですか。誰が。そのことを答えてください。 ○議長(下嶋倫朗) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 失礼いたしました。 これまでも、これも何回もお答えしておりますが、専門家の意見、鑑定士の意見を聞いて区の職員が行ったものです。 ○議長(下嶋倫朗) 三十四番苫 議員。 ◆三十四番(苫孝二) 今の答弁は、きちんと不動産鑑定士を入れて借地料は確認していく、それが区としてやるべき立場だったんじゃないですか。それが明確にホテル部分はされていない、そこが私たちが問題にしている、また区民が問題にしていることなんですよ。それがはしなくも明らかになったということだと思います。 私たち日本共産党は、今回の質問で取り上げた問題は深刻な区民要求です。引き続き私たちは区民要求実現のために頑張ってまいります。 以上で終わります。 ○議長(下嶋倫朗) 七番小田浩美議員。 ◆七番(小田浩美) 小田浩美です。私は、立憲民主党渋谷を代表いたしまして、区長、教育長にお伺いいたします。 質問に入る前に、一言申し述べたいと存じます。 平成三十一年四月の区議会改選により、九人の新人が新たに区議会に加わりました。その後、区議会では初めてとなる新人研修として、七月十七日、十八日の基礎講座と、八月六日から三日間にわたり区長、副区長による研修を開催していただきました。研修では、渋谷区の基礎情報と、二十年ぶりに改定した渋谷区基本構想を中心として、区長、副区長のそれぞれの立場からお考えを伺いました。改めまして、研修の機会をつくっていただきました議長、副議長、また区長、副区長ほか関係の皆様に感謝を申し上げます。 私は、さきの区議選で、もっともっと輝くシブヤを実現するために、「はぐくむ」シブヤ、「誰にも優しい」シブヤ、「命を守る」シブヤ、「健康イキイキ」シブヤという四つの分野を政策で訴えました。本日は、渋谷区基本構想「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」に関連させまして、会派を代表して、私なりの考えも交えながら質問させていただきます。 ちょっとお聞き苦しいかもしれませんが、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。 初めに、区政運営についてお伺いいたします。 渋谷区基本構想の価値観とビジョンは、国が推進する持続可能な開発目標SDGsの実施指針に整合させる部分と、独自性を兼ね備えた渋谷区らしい未来志向型の構想であると評価いたします。同時に示されました十年間の施策の方向性「渋谷区長期基本計画」におきましては、その実行指標検証をしっかりと行っていただきたいと思います。 渋谷区では、将来展望を考え実行していく組織として、外郭団体の「一般社団法人渋谷未来デザイン」が官民連携事業として昨年設立され、区のシンクタンクとして様々な事業を展開されています。 渋谷未来デザインの事業の中には、区長の選挙公約にもあります、代々木公園B地区のスタジアム計画も、実現プロジェクトが既に進行しております。また、澤田副区長からは、「今後、独自のオープンデータの構築を渋谷未来デザインにやってもらう」というお考えも伺いました。 平成三十一年度一般社団法人渋谷未来デザイン事業計画概要を見ても、その存在が区政運営の一端を担っていることがわかります。先進的な政策を、スピード感を持って実現することは、魅力あるまちづくりにおいて大事ではありますが、そこには区民の意思が連動して尊重されることが重要であります。しかし、私が住んでいる渋谷駅から東側では、スタジアム計画を初めササハタハツ・プロジェクトなどを知っている人が少ないと感じております。 八月三十日には、タレントの若槻千夏さんが渋谷未来デザインのフューチャーデザイナーに就任したことをネットニュースで知ったという方から、「どうやって決めているんだ」と質問されました。渋谷未来デザインには、区の職員も派遣されており、その活動については丁寧な説明が必要です。そして、その説明責任は区にあると考えます。 区議会としても、渋谷未来デザインと足並みをそろえて将来に向けた真摯な議論をしていくために、是非、区長には渋谷未来デザインの事業、活動について丁寧な御説明をお願いいたします。 そこで、改めまして、渋谷未来デザインと区政の関係性について、及び意思決定のプロセスについて御説明をお願いいたします。 次に、今年も十月末にやってきますハロウィーンについてです。 古代ケルト人のお祭りが世界に広まり、日本にもやってきて、渋谷が日本を代表するハロウィーンの街として知られるようになったことは、渋谷区基本構想で掲げる「ロンドン・パリ・ニューヨークと並び称される成熟した国際都市、世界に注目される愛される都市」へと渋谷が進化しているという意味では喜ばしいことだと感じています。 しかし、安全・安心なハロウィーンを実現することは喫緊の課題であり、昨年のハロウィーンにおけるスクランブル交差点での混乱などを踏まえ、前定例会においてその対策とされる「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」が制定されました。条例の内容は、渋谷ハロウィーン対策検討会の中間報告をもとに作成された旨を総務委員会で確認させていただいた上で、我が会派から修正案を提出させていただきましたが、否決となりました。 修正案のポイントは、対象エリアに実質被害事例があった円山町を加えること、及び規制対象の期間や飲酒制限時間帯の決定には、緊急の場合を除いては区長の判断のみならず検討会を立ち上げ幅広く多くの意見を踏まえて決定することなどの四点です。ほかにも違反者への過料や罰則等がないなど、その効力の限界が懸念されております。 そこで、お伺いいたします。 条例実施には、区職員及び警備会社へ依頼して飲酒規制などの指導体制を図るとのことでしたが、今年、具体的にどのような体制をとるのかお聞かせください。 また、条例の実施効果の検証はどの機関がどのように行うのか、検証結果はどのように公表されるのか。 さらには、改めて実効性のある条例へと再考していくお考えがあるのか、以上三点について、区長の御所見をお伺いいたします。 また、ハロウィーンに参加する若い世代のほとんどが仮装をしており、自分とは違う他者となったかのように気が大きくなる傾向があります。その中で、昨年も多くの女性が痴漢など性犯罪被害に遭っていることが確認されています。 渋谷区を拠点として、様々な生活困難を抱える十代、二十代の女性の支援を行っているNPO法人BONDプロジェクト代表の橘ジュンさんは、昨年のハロウィーンで自主的パトロールを行って感じたこととして、性犯罪被害に遭った女性の駆け込み場所、また性犯罪を未然に防ぐためにも、ハロウィーンの一時期だけでも女性駆け込みシェルターブースの設置が必要だと強く訴えております。 今年、ハロウィーンにてシェルターブースを設置する可能性があるかについて、区長の御所見を伺います。 関連いたしますが、次に、渋谷区における性犯罪被害の取り組みについてお尋ねいたします。 本区には、最先端の魅力的な街というイメージから多くの若者が集まってきます。しかし、そういう若者をターゲットにした犯罪も後を絶ちません。特に、女性への性犯罪被害は深刻です。アダルトビデオへの出演強要、性産業での望まない就労など、渋谷が性産業の窓口というイメージは、おしゃれで最先端な国際都市を目指す渋谷という街を、違った側面を持つ街としても映し出しております。 本区においては、平成二十八年第一回定例会において「アダルトビデオ出演等の強要の防止及び被害者の救済に関する法整備を求める意見書」を国に政策提言し、平成二十九年四月と平成三十年四月には、長谷部区長も参加されて、センター街で、内閣府主催の啓発活動を行っております。国としても、内閣府、厚生労働省、消費者庁、警視庁それぞれが業界への関係法令遵守を通達いたしましたが、今なお、業界の自主規制による犯罪根絶には不安が残ります。また、盗撮画像のネット流出、SNSからの画像転用でアダルトサイトなどへのなりすまし被害なども大きな問題であり、著しく人権を侵害する行為です。 本年は選挙の年ということも関係したのか、パレードは行われませんでしたが、性犯罪被害をなくす啓発活動、被害に遭わないためのハンドブックを作成するなど、若者が多く集まる街だからこそ、シティプライドを持って、渋谷区の意思として啓発発信し続けるべきだと考えます。区長の御所見をお伺いいたします。 また、学校教育の性教育においても注意喚起することが必要だと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 次に、渋谷区の教育環境についてお伺いいたします。 平成三十一年度学校教育施策の重点には、教育目標として、子どもたちが自信を持ち、夢と志に向かって挑戦し、社会全体や地域の持続的な発展を牽引できるよう、「未来の学校」づくりを掲げております。細かく目標が示されており、教育委員会の本気度が読み取れます。 ここで、一点申し上げたいことがございます。 渋谷区では、小中学校において、「教育情報化(ICT教育)システム「渋谷区」モデル」を他自治体に先駆けて導入し、「児童・生徒一人一台のセルラータブレットを配付して、学校に限らず「いつでも、どこでも」学べる環境を用意し、子どもたちが二十一世紀型能力を身につけられる各種の学びを提供してまいります」と、導入について説明をされています。 童心の小学校一年生から、多感な中学校三年生まで、区が、その責任において児童一人に一台配付したタブレットの使用に際しては倫理観、道徳意識など世代や状況によって変化するモラル教育に、教育委員会、学校現場は常に向き合い、必要な手だてを講じることが重要であります。また、万全なセキュリティ環境のもとに運用されることが大前提であり、その責務は導入側の区に帰属するものと考えます。決して、児童個人のモラルなどと切り分けてほしくないということを確認したいと思います。 そこで、進化し続ける情報通信技術の中では、児童の意思とは関係なく、犯罪へとつながっていくおそれがあります。想像もつかないような事態に児童が巻き込まれることも想定しなければなりません。改めまして、ICT教育推進の環境整備、危険性除去への具体的対策と決意について、区長及び教育長の所見をお伺いいたします。 平成三十一年度学校教育施策の重点には、残念なことに、主権者教育の具体的な学習項目がありません。社会の一員として存在する自己認識を学ぶことは、高度情報通信技術社会、インターネット時代において重要な分野であります。 七月の参議院選挙では、十八歳から十九歳の投票率は三一・三三%で、全体の投票率も一七・四七ポイント下回る結果でした。社会参加に対する若年層の関心度の格差は大きく、それがそのまま社会的格差へとつながっていくおそれがあります。教育の場におきましては、主権者としての理解力を向上させることが必要で、そのことが社会全体や地域の持続的な発展を牽引できる人材の育成につながると考えます。 千葉大学教育学部附属中学校校長で、教育方法学が御専門の藤川大祐先生は、「未来は決まっていなくて、自分たちで決めなければならない。そのときに意見は多様だ。だから、意見を主張することも大事だし、違う意見の人の話を聞くことも大事。対話をしながら、よりよい解決策を自分たちでつくれるようにしましょう」とおっしゃっています。 渋谷区のICT教育、タブレット活用法の一つとして、タブレットから模擬投票を行うシステムを導入し、子どもたちに身近なテーマや問題、さらには渋谷の将来的な課題について議論し、主体的にかかわることを学ぶ主権者教育、シチズンシップの学習を取り入れることを提案いたします。 タブレットを活用して体験するメリットは、同じテーマを数回に分けて上書き投票することによって、第一印象の結果から、それぞれの発表や議論を経て、どのように考えが変化していくのかをグラフやデータで確認できることです。そのことによって聞く力、伝える力、共感する力、考える力を高め、意思決定の変化を学ぶとともに、熟慮する経験を通して、無関心にやり過ごすことのない投票行為を習得することです。 主権者教育を通じて、社会的決定のための対話を経験し、相手を尊重することの意義や、そのための発言の作法や態度を学ぶことは「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」を基本構想とする当区が率先して取り組む分野だと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 続いて、児童の放課後ライフについてお伺いいたします。 昨年、文部科学省と厚生労働省が共同で策定した「新・放課後子ども総合プラン」の指針が示されました。渋谷区においては、既に全区立小学校で放課後クラブが開設されており、さらに先駆けて保護者の就労状況にかかわらず、全ての児童が参加できる体制であり、単に子どもを預かり、保護するということにとどまらず、子ども教室として子どもたちに成長する機会を提供することも一つの目的であります。単に放課後の居場所があるかどうかではなく、どのように過ごすかが大切です。 しかし、大都会渋谷区では、塾や習い事に忙しい児童も多く、共働き世帯でも、高学年になるとB会員登録をせず、家に一人帰りする子どもが多くいるのが現実です。 親としては、犯罪や事故が発生しやすいと言われる放課後の危険な時間帯こそ、安心・安全なところで過ごしてほしいと願っています。 高学年が放課後クラブに行かない理由として聞こえてくるのは、「一緒に遊ぶ友達がいない」「自由がない」「つまらない」などです。当区には、放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰氏が教育委員として就任されており、子どもたちの放課後をもっともっとよくしたいという区長の思いが伝わってきます。しかし、まだまだ充実した内容でアフタースクールの機能を果たしているところまで来ていないように感じます。 各学校の放課後クラブが、より魅力的な取り組みをするために課題となっている点は何か。 現在、二名の統括コーディネーターが、放課後クラブや学校コミュニティスクールの運営にかかわっていますが、今後増員する予定はあるのでしょうか。 放課後クラブの充実を図るために、シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定、いわゆるS-SAPを結ぶ団体等との連携を考えているのか、教育長の御所見をお伺いします。 また、放課後の問題は中学生も同様で、家庭に大人が不在で、居場所のない子どもたちが非行に走るケースも少なくありません。渋谷にはそういう子どもたちが陥りやすい環境が存在していることも事実です。 是非、小学校までではなく、中学生になっても利用できる居場所づくりに、NPO団体を支援するなど、思春期の成長過程をサポートする仕組みづくりを行っていただきたいと考えますが、区長の御所見を伺います。 次に、学校からの情報提供のあり方について伺います。 昨日九日朝は、台風十五号の影響で当区も大変混乱をいたしました。保育園、幼稚園、小中学校の各家庭に、当日の朝に配信されるはずの緊急連絡が、「区からの一斉メールが一部不具合になった」ということで、各PTAが学校間で確認を行い、PTA役員からのメール、LINEグループの活用、ホームページでお知らせする学校など、対応に混乱が生じました。 六日に学校から紙で配付されたお知らせには、「緊急メールがない場合は、通常どおりの登校・登園といたします」との内容で、メールが届かなかった御家庭の児童が朝登校したり、前日の夜に来た教育委員会からのメールでは、登校時間を遅らせると配信されていたため、三校時目に登校した児童もあり、かなり情報が錯綜しておりました。 当日の朝、教育委員会からの一斉メールが一部不具合になった理由とは、また、区、教育委員会からの各家庭に配信される緊急連絡体制の課題について、教育長の御見解をお伺いいたします。 今、多くの御父兄から、「学校から持ち帰ってくるお知らせの量の多さについてどうにかならないか」という声をいただいております。学校からのお知らせに加え、各施設の利用案内、イベントの案内、近隣中学校の学校だよりなど、多いときには十枚以上にもなり「大切なお知らせが埋もれてしまう」「兄弟の人数分配付される御家庭には無駄を感じる」などの声が多くあります。 そこで、学校連絡の配信の利便性向上とペーパーレス、さらなる活用の可能性を持つ学校専用アプリの導入を提案いたします。現在、スマートフォンを利用している割合は九八・七%です。学校関係のやりとりにはLINEグループを活用することが多くなりました。しかし、グループが複数になり、また、自分には関係のない内容ややりとりも届くなどの煩わしさもあります。 学校アプリを利用するよさとしては、学校に関する情報、手紙やお知らせ、スケジュール、PTAの連絡などの確認をアプリ上でできるのでペーパーレスになること、過去のお知らせもすぐに確認できる点、発信の一元管理、連絡網の機能や緊急事態連絡、アンケート機能、さらに帰宅時間がわかる機能や、学校指定品や写真の購入をアプリ上で行えるなど、幅広く活用できる可能性があります。共働きの家庭が増えていく中においては、教師と保護者、双方の負担軽減にもつながると思います。既にそのようなアプリが開発されて実証段階にあることも申しおきたいと思います。 学校からのお知らせのペーパーレス化、情報共有に学校アプリを活用する可能性について、教育長の御所見を伺います。 次に、健康対策についてお伺いいたします。 渋谷区の基本構想の福祉の章には、「どんな人をも、社会から孤立させないこと。児童、高齢者、障害者、生活困窮者、認知症の人など、誰もがこの社会にとって大切な一人ひとりだからです」という一節があります。私も、この考え方に大いに賛同いたします。 まさに今、人生百年の時代を迎えようとしています。このような時代にあっては、健康寿命の延伸も大切ですが、同時に病気とともに生きていく高齢の区民が増えていくのも事実だという点を指摘しておきたいと思います。 昨年、国会で「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が成立され、今年の十二月から施行が見込まれております。これで、「がん対策基本法」と並んで、日本の三大疾病に対する基本法が出そろったことになります。 現在、区の高齢化率は約一九・二一%で、高齢者の実際の人口は、平成二十五年以降、一貫して増加しております。 渋谷区は、高度治療が可能な医療環境に比較的恵まれておりますが、そもそも疾患を早期に発見できることが重要な課題だと言えます。心臓疾患には一般的に知られている心不全があります。一命を取りとめたとしても回復は難しく、その後の入院治療費や介護に係る経済的、時間的負担も大きいものです。 この心不全に至る原因疾患には、高血圧、不整脈、心臓弁膜症、心筋症、心筋梗塞の五つがあり、心不全に至る前にこれらの道筋をどれだけ予防的に介入して、防ぐことができるかがポイントになります。 心不全の原因疾患となる高血圧性心疾患や心筋症については、心電図検査や血液検査で診断が可能ですが、高齢者がかかる代表的な疾患でもある心臓弁膜症を発見するためには、心エコー検査や丁寧な聴診を行わないと発見できません。つまり、検査で心電図をとっただけでは安心できないということです。 心不全を初め生活習慣病の対策は、行政による単なる啓発や情報提供だけでは不十分です。そこで、区民の健康維持に、心臓疾患に対する正しい認識を持って予防的な行動を主体的にとるための健康学習活動を、区民による生涯学習の一環と位置づけ、人生百年時代における今後の区の健康施策のコアとして推進していくべきだと思います。また、「ハチコウ大学」に多数の区民が入学したと聞いております。シブカツでも健康学習の講座を提供してはいかがでしょうか。 あわせて、区が実施する特定健診、特定保健指導や後期高齢者健康診査において、心不全の原因疾患発見のための心エコー導入など、区独自の取り組みを拡張する予定があるか、さらには、心エコーや聴診の検査がなされず、患者が未診断や未治療のまま放置されることがないよう、区内医療機関との連携を促進する施策の用意があるか、また、今後の生活習慣病対策の進展に資するために、統計的な実証データ、あるいはエビデンス(根拠)に基づいた政策形成、施策の執行が重要だと考えますが、区長の御所見をお尋ねいたします。 関連して、口腔内健康維持のための施策についてお伺いいたします。 危険な老化の早期対処といった介護予防、すなわちフレイルとして必要とされる三つの柱、栄養、運動、社会参加。このうち栄養を良好に摂取し健康を維持していくために大事なのがオーラルフレイル・口腔内健康維持です。 渋谷区では、平成二十六年に「渋谷区歯と口腔の健康づくり推進条例」を策定し、成人歯科健康診査、障がい者・高齢者の口腔保健事業を行っています。 平成三十年からは、渋谷区歯科医師会へ委託し、区内在住の六十五歳以上で、自分で通所できる人に限り、区内施設四カ所において年二回、抽せんによって選ばれる各回二十名を対象に、お口のアンチエイジング教室を行っています。しかし、昨年においては、延べ百二十一人であり、本年の第一回第一日目には、一カ所十五人または三人など参加者が低調で、抽せんにもならない状態です。歯科医師会の協力も得ているのにこの結果では、大変もったいない状況です。 さらなる条例の積極的な運用が求められるところであり、周知の強化、告知の方法の改善が必要だと考えますが、区長の御所見を伺います。 続いて、区内にはびこるネズミの問題です。 これまでも我が会派の吉田佳代子議員、中田喬士議員、ほかの皆様からもたびたび問題提起されてきました。しかし、区の対応としては、現在でも、あくまでも当事者の努力に委ねられております。 本年八月には、明治通り沿いのコンビニエンスストアにクマネズミが大量発生し、営業停止、閉店まで追い込まれる最悪の事例となりました。ネズミ駆除業者から見ても、「渋谷は圧倒的にネズミが多く、潜在的には数万匹はいる」と話しております。私も渋谷駅から自宅まで公園通り沿いで、ネズミが徘回しているのをよく見かけますし、センター街や道玄坂でも我が物顔でネズミが行き来している、「何とかしてほしい」との声が多く寄せられています。もはやビル所有者や各事業者、町会の責任で駆除に努めるレベルを超えており、渋谷区の衛生問題としてしかるべき対応をとらなければ、国際都市渋谷はネズミの楽園とやゆされることにもなりかねません。 原因として、百年に一度と言われる渋谷駅周辺再開発事業が再三指摘されておりますが、並んで、飲食店やその他店舗などが出すごみの問題も大きいと考えます。さきの定例会で、我が会派の中田議員が、北区や中央区の先行した取り組みを御紹介いたしましたが、いずれにいたしましても、行政として当事者意識を持った対応が望まれます。 渋谷区として、今後再開発を行う事業者、解体工事業者へ解体着手前にネズミ駆除を義務づける条例または区規制を、責任を持って積極的に制定するべきだと考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。 飲食店など事業系ごみの処理については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によって、自らの責任において自ら処分するか、区から許可を受けた一般廃棄物処理業者に委託して適正に処理をするとした、事業者と回収業者の「民民」の契約案件ではありますが、渋谷区の環境美化、衛生的な観点に立ち渋谷区ルールを作成して、回収時間やごみ容器に入れることなど踏み込んだルール導入を行うべきと考えます。 また、ネズミには住民票がありません。生きる環境が整っていればどこへでも移動して繁殖を繰り返します。そこで、東京都はもちろんですが、近隣区とも連携した広域的な協議体を呼びかけて対応していくべきだと考えますが、区長の御所見を伺います。 さらに、万が一の大きな災害に見舞われるようなことがあれば、「倒壊家屋から逃げ出すネズミが避難所に押し寄せるのではないか」との御不安の声もあります。ネズミによる食品備蓄への影響、病原菌、感染症被害、物をかじる習性から電気ケーブルの発火やガス漏れなど、災害時におけるネズミの大量発生にどのような対策を講じるのか、改めて区長の御所見をお伺いいたします。 四月、初当選後区役所に登頂する際の公園通りに、黒いポリエチレン袋で覆われたクジラのオブジェが展示されておりました。開いた口からはたくさんのペットボトル、ビニール傘、各種プラスチックケースなど、人間社会がつくり出したごみが吹き出していて、明らかにそのごみが原因で死んでしまったクジラだと見てとれ、世界的に深刻化しているプラスチックごみに対する問題提起に衝撃を受けました。 私が政治にかかわりを持つきっかけになったのは、焼却型の渋谷清掃工場建設の住民活動です。循環型社会に戻していくことで、ごみの焼却や埋め立て処分による環境への負担を減らす社会をつくっていくことを訴えました。現在、その問題意識は高まっているものの、便利さと経済活動が優先された社会の仕組みにさほど変化が見られません。 私は、渋谷駅ハチ公前広場の清掃ボランティア、チーム888という活動に参加しております。深夜の三十分足らずの活動でも、多くのポイ捨てごみが回収され、そのすさまじさを目にしております。最近になり、テロ対策のためにごみ箱が撤去され、ますますごみのポイ捨て量が増えております。しかし、一度、自販機の前に大きなごみ袋を置いてみたら、ほかで購入した缶やペットボトル、タピオカ飲料などを、ハチ公前広場まで飲みながら来た人が、各々その袋に入れていきました。「捨てる場所と容量があれば、ポイ捨ては減る」ということです。 多くの来街者が集まる渋谷区ですが、ポイ捨てされるごみは渋谷区の税金で処理しなければなりません。 二〇二〇オリンピック・パラリンピックのときには、渋谷からポイ捨てをなくしたい、きれいな渋谷を世界の人に見ていただきたい、それには渋谷区だけでは限界があります。東京都や生産企業、協力企業、環境省や観光庁、マスコミともタッグを組み、渋谷らしいデザインの大型のごみ箱を設置して、分別、リサイクルの指導員を配置しての、「ポイ捨てはしてはいけない」という啓発活動を渋谷区から発信してみてはいかがでしょうか。区長の御所見を伺います。 たばこの吸い殻のポイ捨ても、いまだなくなりません。令和元年四月に改正された「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」には、「渋谷区喫煙ルール」が新たに定められました。 その中には、公共の場所での喫煙には一万円以下の過料とあり、三カ月の告知期間を経て、七月一日から適用が始まりました。しかし、実際に指導員が過料巡回を始めたのは八月二十六日からです。理由としては、「PR不足で周知が足りなかった」点、「過料に関してトラブルになった際の対応を一律に徹底するレクチャーの時間が必要だった」ということです。この点は、施行までに行われるべきことではないかと指摘させていただきます。 指導員は警察OBに限られており、現在十八名です。トラブルになった場合の対応のために、四、五人体制で巡回しており、八月二十六日から九月五日までの十一日間で、厳重注意を除いての過料対象が百十一件という実績です。 当初、二人一組での巡回を想定していると聞いておりましたが、これからも常時四、五人体制での巡回となるのか。その場合、現行の十八人では稼働率が低くなります。今後の増員の見込みと、また、警察OB以外の人員採用の可能性について、また、過料ができる非常勤の指導員については、朝八時から夜十時までの巡回となっておりますが、喫煙やポイ捨てがひどくなる夜間においての今後の対応について、区長の御所見を伺います。 さきの選挙では、区長も、これから取り組む目標としてプラリサイクルを挙げております。私も大いに賛同いたします。国際都市となるべく渋谷区から、その象徴としてアクションを起こすことの意義は大きいと思います。しかし、社会変革を行うには、時間と資金が必要で容易ではありません。 そこで、プラスチックごみ減量のアクション事業をふるさと納税の仕組みを活用して、資金調達とPRを図り、渋谷らしい取り組みを検討してはいかがでしょうか。渋谷が自治体として処理するプラスチックごみは、区民と多くの来街者によるものです。渋谷を愛する人、渋谷を応援したい人からの御協力をいただくふるさと納税を利用することで、話題性もあり、渋谷が、訪れてくれる多くの皆様の象徴的なふるさとと思ってもらえるような取り組みができないかと考えます。 プラスチックのリサイクル事業に加え、例えば、シブヤフォントを用いたオリジナルのおしゃれな紙ストローや、プラスチックにかわる製品の製作、区内の持ち帰り飲食店にデポジット制の導入推進をするなど、渋谷区からプラスチックごみを減らし、地球環境問題へアプローチしていくための施策にふるさと納税を活用することについて、区長の御所見をお伺いいたします。 最後に、管外施設など区有施設の運営についてお伺いいたします。 新島青少年センターについては、区長発言において、新島村との交流を鑑み、土地の賃貸借契約の更新の意向を示されたことに安堵しております。新島村から寄贈されたモヤイ像は、今や渋谷を象徴するものであり、是非、新島村との友好を大切に守っていただきたいと思います。その上で、施設の建替えや設備投資を考えれば、限られた財源の中で、支出を絶えず見直すことも必要となります。そこで、特定の目的のために有志が資金を提供して、その目的を実現していくというクラウドファンディングの活用を御提案いたします。 渋谷区では、既に協力企業と協定を結び、クラウドファンディングでこどもテーブル、シブヤアロープロジェクト、スタディクーポンなど基金や新たな資金調達にチャレンジしてきている経緯があります。例えば公園遊具やベンチの新設、東京二〇二〇パラリンピックを盛り上げる一環として、区内施設をバリアフリーにする事業など、アイデアごとに実施し、参加を呼びかけることができます。さらには、昨年廃止された富山臨海学園跡施設に関しましても、本年八月、サウンディング型市場調査が実施され、現在公募の中身を吟味中とのことですが、富山臨海学園跡施設につきましても、是非、クラウドファンディングを活用し、区民が優先して利用できる区保有の施設として復活させる検討をしていただきたいと思います。 渋谷区のアイデアやプロジェクトを応援したいという民間や区民の意欲と資源を、公共の施設整備や運営へと活用していくクラウドファンディング、つまり、広く多くの方から資金を調達することを導入して区民のための施設運営を行っていく可能性について、区長の御所見を伺います。 以上を質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 ○議長(下嶋倫朗) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 立憲民主党渋谷、小田浩美議員の代表質問に順次お答えいたします。 まず初めに、渋谷未来デザインについてのお尋ねです。 渋谷未来デザインは、基本構想で示した「ダイバーシティ&インクルージョン」、「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の考え方を、まちづくりの分野にも取り入れるため設立した団体です。 渋谷に住む人、働く人、学ぶ人、訪れる人など、渋谷に集う多様な人々のアイデアや才能を領域を超えて収集し、オープンイノベーションにより社会的課題の解決策と未来の可能性をデザインすることを目的としています。 渋谷未来デザインは、昨年度、都市の空間価値デザインや市民共創の事業デザインなど、五つの領域で二十を超えるプロジェクトを実施しました。この中には、ハロウィーンの参加者に対するプロジェクションマッピングを活用しての注意喚起や、5Gを活用した最先端テクノロジーの実証実験なども含まれています。 今後も、行政だけでは解決することが困難な案件や、全く新しい区民サービスを生み出す取り組みなどについては、渋谷未来デザインが主体となって取り組んでもらうつもりです。 設立の過程では、他都市の事例研究やシンポジウム、ワークショップを開催するなど、多くの区民や学生、在勤者などにもかかわってもらいました。また、その都度、委員会での報告等も行ってきました。 また、事業の意思決定プロセスについては、東京大学教授の小泉氏を代表理事とし、東京商工会議所渋谷支部会長の佐藤氏など七名の理事が参加する理事会で、基本構想の実現に資する事業かどうかなどの観点から意思決定をしています。 今後も、区民、区議会と一緒になって、渋谷のまちづくりを進めていきたいと思います。 続きまして、ハロウィーン対策についてのお尋ねです。 区では、本年二月に立ち上げた「渋谷ハロウィーン対策検討会」から提出された中間報告を踏まえ、区のハロウィーン等を対象とした条例案を策定し、前定例会において賛成多数により可決成立したところです。 条例制定後、区では、地元商店街、関係団体、警察等により構成された渋谷ハロウィーン対策実施連絡会を立ち上げ、ハロウィーンにおける警備体制を初め、群集対策のあり方、トイレやごみ問題への対応、酒類販売の自粛要請、公共の場所における飲酒制限の周知方法など、具体的な対応策について現在検討を進めているところです。 また、実施効果の検証及び公表については、随時開催する渋谷ハロウィーン対策実施連絡会において関係団体、警察などと対策結果を共有しながら検討してまいります。 そして、今年のハロウィーン対策の実施結果を踏まえ、来年以降も引き続き条例の実効性の確保に努めてまいります。 次に、ハロウィーンにおける女性に対する性犯罪被害についてですが、議員が御指摘のとおり、渋谷駅周辺地域における人が密集した区域では、女性に対する痴漢や盗撮が相次いで発生しています。 女性用シェルターブースの設置については考えておりませんが、強固な警備体制の確立に向けた検討や大型ビジョンやSNS等を活用して、犯罪行為や迷惑行為の禁止についての啓発を積極的に行うとともに、警察とも連携を図り、女性に対する性犯罪を初めとする各種犯罪の未然防止に取り組んでまいります。 続きまして、若年女性の性犯罪被害についてのお尋ねです。 区ではこれまで、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題を、女性に対する重大な人権侵害と受けとめ、その対策として、内閣府男女共同参画局、警視庁等と連携した「渋谷駅周辺啓発街頭キャンペーン」を初め、区ホームページや大型ビジョンを活用した人身取引被害防止啓発運動「あなたへ」の放映、区ニュースを活用した相談窓口の周知など、被害防止に向けた啓発を行ってまいりました。 現在においても、アダルトビデオ出演強要問題に対する区の姿勢や取り組みの重要性についての認識に変わりはなく、引き続き、この問題に対して、関係省庁と連携した取り組みやホームページ等を活用した啓発に継続的に取り組んでまいります。 次に、子育て教育環境について二点のお尋ねです。 まず、ICT教育推進の環境整備・危険性除去についてです。 渋谷区では、児童・生徒に一人一台のタブレット端末を貸与して以降、教育委員会において、全児童・生徒に対しアンケート調査を行ったところ、おおむね肯定的な評価が高いと聞いており、タブレット端末の活用が学びの質の向上につながったと考えます。 ICT教育を進めるに当たっては、授業改善や学びの質の向上を求めるとともに、一方で、日々進化し続ける情報通信技術を適切に扱う能力やモラルを育むことも不可欠であると考えます。 引き続き、教育委員会に対して、情報利活用能力や情報モラル教育を進め、さらなるICT教育の充実に取り組むよう支援をしてまいります。 次に、中学生の居場所づくりについてのお尋ねですが、区では小学生、中学生、さらに高校生の居場所として、代官山ティーンズクリエイティブとフレンズ本町があり、とりわけ代官山ティーンズクリエイティブでは、高校を卒業した青少年の人の利用も多く、青少年間のコミュニティも活性化しています。どちらの施設も放課後から休日まで多くのお子さんでにぎわっております。 施設では、青少年の居場所の提供のほか、様々なワークショップやイベントを実施しており、思春期の青少年が抱える悩みなどについては、施設職員が真摯に相談に乗り、内容によっては関係所管と連携を図っております。また、こどもテーブルにおいても、中学生がボランティアに参加したり、中学生も対象となる学習支援を実施する団体もあり、中学生の居場所の確保につながっています。 また、中学生にとっては中学校における部活動という選択肢もあり、今後も学校での活動や、既存の青少年施設やこどもテーブルを活用し、子どもたちの成長過程をサポートしてまいります。 循環器病に係る対策に関する基本法の成立を受け、心臓疾患に関する三点の御質問に順次お答えいたします。 初めに、区民の健康維持のため、心臓疾患に対する正しい認識を持った予防的な行動が可能になるように、生涯学習の一環としてシブカツで健康講座を提供するのはどうかとの御質問です。 議員の御提案のとおり、シニア世代の区民の疾病に関する知識を深めていただき、健康意識を根づかせていくことは健康寿命の延伸にもつながり、重要であると考えています。 七月に開設した「渋谷生涯活躍ネットワーク・シブカツ」では、区民の新たな活動につなげる支援の一つである「学ぶ」について、渋谷ハチコウ大学を中心に展開しています。 ハチコウ大学では、S-SAP協定を締結している八つの大学の専門性と二十社の企業の特色を生かした多様な講座を提供していく予定であり、企業の持つ健康に関する情報を提供する講座を実施することが既に決まっております。 今後は、これまでのように保健所による食生活改善につながる講座などを実施して生活習慣病についての啓発活動を継続していくとともに、ハチコウ大学においても、医療系の区内大学である日赤看護大学にS-SAP協定締結を働きかけることで連携を深め、より専門性の高い健康に関する講座を提供することも検討してまいります。 次に、特定健診等における心エコーの導入と、区内医療機関との連携に関するお尋ねです。 特定健診については、国の基準を踏まえ、医師会とも協議しながら検査項目を決定し、実施しています。 これに加え、今年度からは人間ドック費用助成を開始しました。これは、人間ドックの受診費用のうち八千円までを助成する制度で、心エコーを含め詳細な検査を受ける際に活用していただいています。 また区では、健診データやレセプトデータをもとに、健診未受診者や健診で異常値が見られる方、生活習慣病の治療を中断されている方に対し、医療機関への受診勧奨を行っています。 区が実施している受診勧奨の内容は、区内医療機関にもお知らせしており、相互に連携して疾病の早期発見・早期治療につながるように取り組んでいます。 次に、データやエビデンスに基づいた生活習慣病対策の執行についてのお尋ねです。 区では、心臓疾患や人工透析のハイリスク要因である糖尿病に対して、特定健診の結果データを分析し、糖尿病の重症化が懸念される区民に対して、医師会とも連携した糖尿病重症化予防事業に平成二十九年度から取り組み始めており、今後も継続して取り組んでまいります。 次に、口腔内健康維持のための施策についてのお尋ねです。 正しい知識を持って口腔ケアを実施し、高齢期の歯と口腔の健康を保つことは、低栄養から起こるフレイルを予防するだけではなく、しっかりとした口元が交流を楽しいものにするなど、生活の質を改善し、介護予防及び認知症予防にも資するものです。 このため区は、渋谷区歯科医師会に「お口のアンチエイジング教室」を委託し、実施しております。 お口のアンチエイジング教室は、六十五歳以上を対象に、歯科医師指導による口腔機能検査、機能向上トレーニングを実施しています。 お口のアンチエイジング教室について、区による周知方法としては、出張所や地域包括支援センター等、区内各施設にチラシを配布するとともに、区ニュースやホームページ、デジタルサイネージを活用して周知を図っています。また、渋谷区歯科医師会においても、自らが勤務する医院で周知等を行っていただいております。 しかしながら、議員御指摘のとおり、教室の参加状況は定員に満たない状況が続いており、事業の周知徹底・強化が求められています。 そこで今年度は、「いい歯の日」にちなんで十一月の区ニュースに特集を組む予定であり、参加者の増加を目指してわかりやすい周知を進めていきます。 また、高齢者を対象とした口腔機能維持向上健診の際、歯科医による参加勧奨を徹底するなど参加者増に取り組み、歯と口腔の健康づくり推進条例の理念を踏まえ、渋谷区歯科医師会と連携しながら、より魅力ある教室づくりに取り組んでまいります。 次に、環境への取り組みについてのお尋ねです。 ネズミの問題について一括してお答えします。 初めに、ネズミ対策は、建築物はもとより周辺の衛生的な環境を確保することにより、ネズミをすみ着かせないことが重要です。 まずは、えさ場をつくらない、巣をつくりにくい環境づくりに取り組む必要があると考えています。そのため、再開発事業者、開発事業者、事業系ごみの排出、回収処分事業者など事業者の皆さんの協力が欠かせません。区はもちろんですが、区民、事業者、そして来街者の皆さんと一体となり、引き続き、ネズミがすみ着かない環境づくりに一歩ずつ取り組んでいきます。 議員御提案の条例または区規則についてですが、ネズミの捕獲あるいは駆除は非常に難しいと認識しており、規制しても実効性に疑問がありますので、現在、解体業者には、事前にネズミ駆除を行う義務はありませんが、先月から、解体工事の届け出があった際に、所管の窓口において、ネズミ対策についての協力を求めて対策を強化しております。 再開発事業者も、桜丘地区及び道玄坂一丁目地区等においても、解体説明会の中でネズミ駆除について説明をし、駆除を行っています。 また、事業系ごみの排出、回収方法については、事業者と一般廃棄物処理業者とで決められるため、収集時間の指定や容器の提供について、区で関与するのは難しいものと考えます。 なお、事業系ごみについて、適正に処理されていないことが判明した場合は、排出事業者、一般廃棄物処理業者に対して、適宜適切に指導していきます。 広域的な協議体については、本区から呼びかける考えはありませんが、ネズミ害虫などの防除について調査研究及び相談を行っている「公益社団法人東京都ペストコントロール協会」、繁華街を有する近隣自治体、東京都などと引き続き情報共有をしてまいります。 避難所における備蓄食料については、長期保存用の真空パック包装となったものがさらに二重に梱包された状態で保管されており、過去にネズミによる食害被害は発生していません。 避難所の防災備蓄倉庫の環境衛生については、施設管理者及び庁内関係者が連携し、対策を講じてまいります。 次に、ごみのポイ捨て禁止の啓発活動についてのお尋ねです。 ごみのポイ捨て禁止対策の強化という点では、ごみ箱の設置も考えられますが、路上への設置に関しては、道路管理者による占用許可や警察による使用許可等の規制やごみの収集、運搬、処理費用、また、ごみ箱を設置するとごみ箱の周辺にごみが放置され、かえって環境が悪くなるなど多くの課題があり、直ちに設置できるものではありません。 本区では、「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」第五条に、事業者の責務を規定しています。第一項では、事業活動を行う地域での清掃その他の環境美化活動を、第二項では、ごみの散乱の原因となるおそれのある物の製造、加工、販売等を行うものは、散乱の防止について区民等に対する意識の啓発、その他必要な措置を講じなければならないとしています。現在、区として、物販店舗においてごみ箱の設置がなく、店舗前にごみが散乱している等の苦情が寄せられた場合には、指導を行っております。 また、指導員を配置して啓発活動をしてはどうかとの御提案については、各地域の地区美化推進委員会や清掃協力会、区が委託しているリサイクル等推進員と連携をとりながら、ごみ・リサイクル等に関するルールの周知、啓発を行っています。 さらに、現在、清掃ボランティア活動を行っている団体や事業者、個人が、個別に活動しておられます。この方たちの連携が図れることで、ごみのポイ捨て禁止の周知、啓発活動の強化を図ることができると考えますので、そのスキームを検討してまいります。 次に、「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」の罰則事例についてのお尋ねです。 議員御案内のように、「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」は、改正により本年四月から、区内では屋外の公共の場所での喫煙は禁止となりました。過料徴収については、規則上七月から可能でしたが、ルールの周知・浸透をより一層図るため、実際の徴収を八月から開始したところです。注意指導においては、二名体制で行っていましたが、過料徴収はトラブルが発生する可能性もありますので、指導員が習熟するまでは四、五人体制としています。多人数のほうが抑止力は高いと考えますが、今後、適正な人員体制を検討していきます。 なお、実効性から考えると、人材としては警察官OBが適していると考えています。 次に、夜間、深夜帯の指導についてのお尋ねですが、先ほどシブヤを笑顔にする会、神薗麻智子議員にもお答えしたとおり、委託事業者による注意指導を行う予定です。 今後も、渋谷区喫煙ルールの啓発と指導を強化、徹底していきます。 次に、プラスチックごみ減量に、ふるさと納税を活用することについてのお尋ねです。 プラリサイクルについては、区長として、是非取り組みたいことの一つとして公約に掲げたものです。次年度検討を予定している総合的なごみ減量施策の中で、実現に向け取り組んでいきたいと考えています。小田議員にも御協力いただきたいと思います。 プラスチックのリサイクル事業については、安定的に継続して取り組むべき内容であることから、ふるさと納税に財源を求めるのではなく、区の事業予算で推進していく予定です。 議員御提案のシブヤフォントを用いたオリジナルのおしゃれな紙ストローなどは、プラスチックごみ削減につながるおもしろいアイデアだと思います。シブヤらしいふるさと納税の検討を進める中で、アイデアの一つとして参考にさせていただければと思います。 次に、管外施設など区有施設の運営についてのお尋ねですが、冒頭の発言で述べ、また、渋谷区議会自由民主党議員団の岡 美千瑠議員、シブヤを笑顔にする会、神薗麻智子議員の代表質問でお答えしたとおり、新島青少年センターについては、区民の利用状況やこれまでの新島村との交流を鑑み、賃貸借契約を更新し、建替えを視野に検討を続けています。 現段階では、議員御提案のクラウドファンディング導入の予定はありませんが、新島青少年センターの施設整備や運営等については、今後、適切な手法を検討してまいります。 以上、私からの答弁といたします。 ○議長(下嶋倫朗) 豊岡教育長。 ◎教育長(豊岡弘敏) 私には、若年女性の性犯罪被害について一点、子育て教育環境について五点のお尋ねがありました。順次お答えしてまいります。 まず、学校現場における性教育についてのお尋ねです。 現在、性教育につきましては、小学校第三、四学年では、体育の保健分野の中で「体の発育・発達、男女の特徴」について学習し、第五、六学年では、「病気の予防」について、さらに、中学校では、保健の授業の中で、「感染症や思春期の様々な変化」について学習を進めています。 また、心と体は、自分にとっても相手にとっても大切なものであり、自分の性を大切に育むよう指導を行っています。 教育委員会といたしましては、学校教育の場における性教育を充実させ、議員御指摘のように、子どもたちが性犯罪被害に遭わないよう注意喚起を行うことを、学校に引き続き指導してまいります。 次に、ICT教育推進の環境整備・危険性除去についてのお尋ねです。 渋谷区議会自由民主党議員団、岡 美千瑠議員への答弁にもありましたように、タブレット端末導入は、質の高い学びに効果的であると認識をしています。他方で、タブレット端末の活用に当たっては、必要な情報を主体的に収集、判断、表現、処理、創造し、受け手の状況などを踏まえて発信、伝達できるという情報活用の実践力や、情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度などが重要と考えます。 教育委員会では、児童・生徒の情報利活用と情報モラルの一層の向上を図るため、ネット犯罪等の知見のある警察署と連携したセーフティ教室の実施や、教員の力量を高める研修の充実などを行ってまいります。また、引き続き、インターネットの閲覧記録などを学校と共有し、学校において不適切な使用をしている児童・生徒への指導に生かしてまいります。 次に、ICT教育、タブレット活用法に関するお尋ねです。 議員御指摘のとおり、他者との対話を通じて、相手を尊重することや、発言の作法や態度を学ぶことは重要です。 教育委員会が実施したICT教育に関するアンケート調査では、児童から、「意見や考えを伝えやすくなった」「他者の考えとの相違点が見つけやすくなった」といった回答が多く、授業において子ども同士が協働し、対話をすることにタブレット端末の活用は効果的と考えます。 今後とも、教育委員会では、主体的で対話的な学びを進めるため、タブレット端末のさらなる活用に取り組んでまいります。 また、平成三十一年度の学校教育の重点には、渋谷についてより深く知り、かかわることを通して、渋谷区への誇りと愛着を持つ「渋谷シティプライド」を記載しており、教育委員会としては、未来の渋谷を創造する担い手の育成についても重要と考え、引き続き取り組んでまいります。 次に、児童の放課後ライフについてのお尋ねです。 まず、放課後クラブがより魅力的な取り組みをするための課題についてです。 放課後クラブがより魅力的な取り組みをするための課題としては、活動場所の確保です。現在、放課後クラブが魅力的なものになるよう活動プログラムの充実を進めていますが、プログラムの多様化に伴い、活動場所の拡充が必要となり、現在、放課後クラブ室のほか、特別教室などを活用しています。 次に、統括コーディネーターの増員については、今後の活動状況に応じて適切に対応していきます。 次に、議員御指摘のシブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定を結ぶ団体等との連携については、活動プログラムの充実のために地域の教育リソースを活用することは必要と考え、検討を進めてまいります。 次に、学校からの情報提供のあり方についてのお尋ねです。 議員御指摘の教育委員会メールの一部不具合につきましては、業者が保有するシステム本体の障害によるものです。業者に対して原因究明と詳細な報告を指示をしております。 このたびの一斉メールの不具合で児童・生徒、保護者の方々に御迷惑をおかけし、大変重く受けとめております。 また、教育委員会では、今回の課題については、学校が保護者の方々に連絡をする際に、その手段が限られていた点であるとも考えています。 そのため、今後は、学校の判断により、今回も代替措置として使ったPTA連絡網や、教育委員会による渋谷区のホームページへの掲載など、複数系統の連絡手段の活用を引き続き検討してまいります。 最後に、議員御提案のICT機器を活用した学校から保護者の方々への情報提供については、シブヤを笑顔にする会、神薗麻智子議員の代表質問にお答えしましたように、学校からも要望があり、次期システムの検討に含めていきたいと考えています。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○議長(下嶋倫朗) 七番小田浩美議員。 ◆七番(小田浩美) 短く短く所感を申し上げます。 区長、教育長、本当にありがとうございました。 簡単に。子どもたちの環境整備は、未来への投資であります。丁寧な施策の対応と推進をお願いいたします。 また、生活習慣病、循環器病の原因疾患の早期発見も、しっかりと対応していただきたいということを述べまして、私たち立憲民主党渋谷は、今後とも区民生活の向上のため、多くの声を区政に届けるボトムアップの政治に誠心誠意取り組んでまいります。 これで代表質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(下嶋倫朗) 以上をもって、区政一般に関する質問を終わります。 これから日程に入ります。 日程第一を議題に供します。   〔野島次長朗読〕----------------------------------- △日程第一 会期決定の件----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) お諮りいたします。 本定例会の会期は本日から十月十一日までの三十二日間とすることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 御異議ないと認めます。 よって、会期は三十二日間と決定いたしました。 日程第二を議題に供します。   〔野島次長朗読〕----------------------------------- △日程第二 同意第四号 渋谷区副区長の選任の同意について----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) 本件に関し、副区長澤田 伸氏は暫時御退場願います。   〔退場〕 ○議長(下嶋倫朗) 提案理由の説明を求めます。 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) ただいま議題となりました同意第四号は、副区長として澤田 伸氏を選任するため提出するものです。 よろしく御同意くださいますようお願い申し上げます。 ○議長(下嶋倫朗) これから質疑に入ります。 質疑はありませんか。   〔「なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 質疑なしと認めます。 本件は委員会付託を省略することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 御異議ないと認めます。 よって、本件は委員会付託を省略することに決定いたしました。 これから日程第二を採決いたします。 本件は、表決システムにより採決したいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それでは、表決ボタンを押し、原案のとおり選任に同意することに賛成の方は青ボタンを、反対の方は赤ボタンを押してください。   〔ボタンにより表決〕 ○議長(下嶋倫朗) 押し忘れはありませんか。   〔「なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) なしと認め、確定します。 本件は、賛成者多数。 よって、澤田 伸氏を渋谷区副区長として選任に同意と決定いたしました。 澤田 伸氏の入場を許可いたします。   〔入場〕 ○議長(下嶋倫朗) お諮りいたします。 本日の会議は議事の都合により延会することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 御異議ないと認めます。 よって、本日の会議はこれをもって延会することに決定いたしました。 次回の会議は明九月十一日、午後一時に開議いたします。 なお、日程は、当日文書により御通知いたします。 本日の会議はこれをもって延会いたします。-----------------------------------   延会 午後七時三十五分-----------------------------------右会議の経過を記載し、その相違ないことを認め署名する。渋谷区議会議長  下嶋倫朗渋谷区議会副議長 岡田麻理渋谷区議会議員  橋本侑樹渋谷区議会議員  木村正義...