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  1. 渋谷区議会 2019-06-01
    06月06日-06号


    取得元: 渋谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2022-11-23
    令和 1年  6月 定例会(第2回)        令和元年 渋谷区議会会議録 第六号 六月六日(木)出席議員(三十四名)  一番  松本 翔     二番  岡 美千瑠  三番  中村豪志     四番  神薗麻智子  五番  橋本侑樹     六番  中田喬士  七番  小田浩美     八番  金子快之  九番  鈴木建邦     十番  斉藤貴之 十一番  一柳直宏    十二番  近藤順子 十三番  松山克幸    十四番  森田由紀 十五番  田中匠身    十六番  治田 学 十七番  堀切稔仁    十八番  須田 賢 十九番  斎藤竜一    二十番  下嶋倫朗二十一番  久永 薫   二十二番  沢島英隆二十三番  薬丸義人   二十四番  佐藤真理二十五番  吉田佳代子  二十六番  田中正也二十七番  牛尾真己   二十八番  丸山高司二十九番  木村正義    三十番  栗谷順彦三十一番  伊藤毅志   三十二番  岡田麻理三十三番  五十嵐千代子 三十四番  苫 孝二欠席議員(なし)-----------------------------------出席説明員    区長            長谷部 健    副区長           柳澤信司    副区長           澤田 伸    会計管理者         藤本嘉宏    経営企画部長        星野大作    情報戦略担当部長      松本賢司    総務部長          大澤一雅    財務部長          佐藤哲人    施設整備担当部長      黒柳貴史    危機管理対策部長      山中昌彦    危機管理対策監       吉見 隆    区民部長          菅原幸信    オリンピック・パラリンピック担当部長                  安蔵邦彦    文化・都市交流担当部長   佐藤賢哉    福祉部長          藤野貴久    高齢者政策担当部長     鴨井純子    子ども家庭部長       植竹ゆかり    子ども総合支援センター長  松澤俊郎    健康推進部長        山川博之    都市整備部長        加藤健三    まちづくり推進担当部長   江端治朗    土木部長          齊藤和夫    環境政策部長        北原竜也    教育委員会教育長      豊岡弘敏    教育振興部長        鴨志田暁弘    生涯学習・スポーツ振興部長 木下毅彦    選挙管理委員会委員長    福田昭子    選挙管理委員会事務局長   倉澤和弘    代表監査委員        神田健一    監査委員事務局長      丸山喜弘-----------------------------------事務局職員事務局長  斉藤則行    次長    野島一純議事係長  松嶋博之    議事主査  根岸正宏議事主査  武田真司    議事主査  市川洋子議事主査  杉村洋子    議事主査  井上晴代-----------------------------------       令和元年第二回渋谷区議会定例会議事日程                  令和元年六月六日(木)午後一時開議日程第一       会期決定の件日程第二 同意第二号 渋谷区教育委員会委員の任命の同意について日程第三 同意第三号 渋谷区教育委員会委員の任命の同意について日程第四 議案第三十四号 渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例日程第五 議案第三十五号 渋谷区特別区税条例等の一部を改正する条例日程第六 議案第三十八号 渋谷区地区計画等の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例日程第七 議案第三十九号 渋谷区立都市公園条例の一部を改正する条例日程第八 議案第四十号 渋谷区スポーツ施設条例の一部を改正する条例日程第九 議案第三十六号 渋谷区介護保険条例の一部を改正する条例日程第十 議案第三十七号 渋谷区立新橋作業所条例の一部を改正する条例日程第十一 議案第四十一号 令和元年度渋谷区一般会計補正予算(第一号)日程第十二 議案第四十二号 神南分庁舎跡地複合施設(仮称)建設建築工事請負契約日程第十三 議案第四十三号 環境対策型舗装工事(その2)請負契約日程第十四 報告第三号 平成三十年度渋谷区一般会計予算繰越明許費の繰越しの報告について日程第十五 報告第四号 株式会社渋谷サービス公社の経営状況の報告について日程第十六 報告第五号 渋谷区土地開発公社の経営状況の報告について日程第十七 報告第六号 一般財団法人渋谷区観光協会の経営状況の報告について日程第十八 報告第七号 株式会社渋谷都市整備公社の経営状況の報告について日程第十九 報告第八号 公益財団法人渋谷区美術振興財団の経営状況の報告について-----------------------------------   開会・開議 午後一時----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) ただいまから令和元年第二回渋谷区議会定例会を開会し、本日の会議を開きます。 この際、会議規則に基づき、二番岡 美千瑠議員、三十三番五十嵐千代子議員を本日の会議録署名議員に指名いたします。 日程に先立ち、事務局長に諸般の報告をさせます。   〔斉藤事務局長報告〕----------------------------------- 本日の会議に欠席、遅刻の届け出の議員はありません。----------------------------------- 本日の会議に出席を求めた説明員は次のとおりであります。 長谷部区長、柳澤副区長、澤田副区長、藤本会計管理者、星野経営企画部長、松本情報戦略担当部長、大澤総務部長、佐藤財務部長、黒柳施設整備担当部長山中危機管理対策部長吉見危機管理対策監、菅原区民部長、安蔵オリンピック・パラリンピック担当部長、佐藤文化・都市交流担当部長、藤野福祉部長、鴨井高齢者政策担当部長植竹子ども家庭部長松澤子ども総合支援センター長、山川健康推進部長、加藤都市整備部長、江端まちづくり推進担当部長、齊藤土木部長、北原環境政策部長、豊岡教育委員会教育長鴨志田教育振興部長、木下生涯学習・スポーツ振興部長福田選挙管理委員会委員長倉澤選挙管理委員会事務局長神田代表監査委員丸山監査委員事務局長-----------------------------------三十一渋総総発第三十一号   令和元年五月二十二日 渋谷区議会議長 下嶋倫朗殿                         渋谷区長 長谷部 健          監査委員の選任について(通知) 渋谷区監査委員を下記のとおり選任したので、お知らせします。                 記氏名住所選任年月日備考木村正義東京都渋谷区本町四丁目四四番一号令和元年五月二十二日議員選出----------------------------------- 監査委員から、平成三十一年四月末日現在における例月出納検査の結果について報告がありました。----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) 区長から発言の通告がありますので、これを許可いたします。 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 本日ここに、令和元年第二回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案について御審議をお願いすることとなりました。 この機会に私の所信を申し上げ、区議会及び区民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。 私は、先の区長選挙において、区民の皆様から広く力強い御支援を賜り、再び区政運営の重責を担うことになりました。元号も「令和」に改まり、新たな時代の幕明けに区長として身の引き締まる思いをかみしめています。「令和」には「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味が込められているといいます。これは「ダイバーシティとインクルージョン」をうたう本区の基本構想とも符合するものです。 私は、一期目において、諸先輩が築かれてきたすばらしい渋谷区を継承しつつ、創造性を加えてさらに発展させ、次の世代につなげていきたいという思いから、まず着手したのは、二十年先を見据えた「渋谷区基本構想」の策定でした。「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」、このスローガンは、子育て、教育、福祉、健康・スポーツ、防災、環境、文化、産業振興と、あらゆる分野を包含し、成熟した国際都市を目指す渋谷のまちづくりの基本理念です。 一方、人々の生き方や価値観などが多様化した現代社会においては、これまでの行政が主導する手法だけでは解決が困難な課題が山積しています。幸い本区には、多彩な社会資源が豊富にそろっています。そこで、民間企業、NPO、大学等、産官学民の連携の手法を進め、課題解決とともに、新たな創造を企図しています。 「もっともっとアクティブな渋谷区へ」を念頭に置き、四年前に掲げた政策において実現したもの、また、具体的に動き始めているものがあります。今回新たに掲げた政策は、多様な人々が集う本区の持つポテンシャルをさらに引き出し、より大きく伸ばすものだと思っています。 私は、二期目の区政運営に当たって、「可能性をはぐくむ街、渋谷区へ」全力を傾け、区議会とも協力しながら、先頭に立って汗をかいていく所存です。 初めに、安全・安心のまちづくりについてです。 私は、本年の第一回区議会定例会における所信表明で、ここ数年、アルコール飲料の瓶や缶を含め、大量のごみの不法投棄や器物破壊など、社会問題にまでなっているハロウィーンについて言及しました。昨年、軽トラックを横転させるといった犯罪行為を引き起こし、逮捕者を出すまでに至った事態を看過することはできず、今後の対策を検討する会議体を設置し、イベント開催などによる渋谷駅周辺地域に集まる群衆の人数の抑制や、路上における飲酒禁止を含む規制、交通規制のあり方などを検討し、具体的な方策に向けて動き出すことを表明しました。 翌々日の二月二十七日には、広島県警本部長や東京都副知事を歴任された竹花 豊氏に座長をお願いし、地元の商店会や町会、青少年対策地区委員会、民間の関係者、警察からなる「渋谷ハロウィーン対策検討会」を立ち上げたところ、計七回の検討会が開催され、先月十五日に中間報告をいただきました。 この報告では、ハロウィーンの問題点を検証した上で、「対応を効果的に行うには大きな困難と制約があることは否めないが、渋谷区は、安全・安心なまちづくりを行う責務を果たすため、自らが主体となって最大限の努力を行うべき」とし、「ハロウィーンを渋谷で楽しみたいと思って来訪される、国内外の多数の方々を喜んでお迎えするが、来訪者にも、ルールやマナーを遵守してもらい、穏やかな行動をお願いするとともに、特定の狭い地域に密集することによる混乱や、犯罪行為をなくすことに御協力いただく」ということに対処方針の基本的スタンスを置いています。 その上で「渋谷区のハロウィーンに対する総意をまとめた条例を策定することは、渋谷区の認識を明確にし、来訪者に協力を求める上で有効なものと考えられる」という御提言をいただきました。 また、「新たなイベントの実施については、検討する事項も多々あるため、今年の開催を目指して検討を行い、それが困難となっても来年以降に実施できるように準備を進めるべき」との御提言をいただいたところです。 私は、この報告を真摯に受けとめ、「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」の制定について本定例会に上程しています。 また、この条例を御議決いただいた際には、速やかに中間報告で提言のあった「渋谷ハロウィーン対策実施連絡会(仮称)」を設置し、条例の実効性の確保を含め、様々なハロウィーン対策の具体化を検討してまいります。 来年には「東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会」が開催され、国内外から多くの来街者が訪れることが予想されます。 そこで、本区としては「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」を改正し、本年四月から、指定喫煙所を除き、吸い殻のポイ捨てや受動喫煙につながる路上や公園等での喫煙を禁止しました。 現在、平日はもちろんのこと、土日・祝日を含め八時から二十二時まで、分煙対策指導員による路上等喫煙防止の普及啓発及び指導を行っていますが、渋谷駅周辺では、朝になると吸い殻が大量に路上に散乱している状況が日々見受けられます。したがって、深夜帯においても、巡回指導を行う必要性を強く感じています。 また、指定喫煙所のあり方として、区民や来街者を受動喫煙から守るために、パーティションによって仕切られた屋外喫煙所である「渋谷駅モヤイ像喫煙所」を、副流煙が外に漏れない構造のコンテナ型喫煙所へ変更することを検討しています。 本定例会には、これらに係る経費を補正予算案として上程しています。 七月一日から実施する違反者からの過料徴収を踏まえ、今後も喫煙対策をより強化し、生活環境の向上に取り組んでまいります。 街中の新緑が目にも鮮やかな清々しい気候の中「六月第一日曜日は、渋谷おとなりサンデーの日」を合い言葉に、区内各地で様々な地域交流の場が設けられ、多くの方々の笑顔で活況を呈していました。 今年は、プレ企画として五月七日から区役所十五階で「おとなりサンデーパーク」を開設し、「おとなりサンデー」に関する企画や準備、各種届け出の相談窓口や地域コミュニティを題材とするトークイベントなど、新たな試みを展開しました。 また、昨年に引き続き、区内各地域の商店会の御協力のもと、「おとなりサンデー」のフラッグを掲げた周知にも取り組みました。御協力いただきました関係者各位には、この場をかりて感謝申し上げたいと思います。 六月二日当日は、情報発信の拠点として、千駄ヶ谷地区の鳩森八幡神社やS-SAP協定を結んでいる津田塾大学を中心に、地域をめぐりながら、青空将棋やスリッパ卓球、津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス祭との連携企画などを多くの人たちが楽しみ、にぎわいを見せていました。   〔「長谷部区長、仮庁舎建設の野宿者排除の責任をとれ」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 傍聴人、静粛に…… 傍聴人に申し上げます。 静粛にお願いします。   〔「仮庁舎建設のときの、解体工事の野宿者排除の責任をとれ」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 会議を妨害した傍聴人に申し上げます。 再三注意しましたが、なお議長の命令に従わないので、地方自治法第百三十条第一項の規定により、退場を命じます。   〔「長谷部 健、責任をとれ。何を考えてんだ」「退場してください」「責任とれよ。野宿者排除、何回も繰り返して」「退場してください」「何回繰り返す……」「退場」「うるさい、このやろう」「うるさいじゃないよ」「うるさい、出ろ」「野宿者排除をやめろ」「早く退場しろよ」の声あり〕 ◎区長(長谷部健) 六月二日当日は、情報発信の拠点として、千駄ヶ谷地区の鳩森八幡神社やS-SAP協定を結んでいる津田塾大学を中心に、地域をめぐりながら、青空将棋やスリッパ卓球、津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス祭との連携……   〔「六月二日にいきなり解体工事始めましたよね」「退場」「六月五日からでしたよね、仮庁舎の解体は」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 傍聴人に申し上げます。 静粛にお願いします。   〔「野宿者排除やめてください」「退場」「仮庁舎の野宿者排除、またやりましたね。やめてください」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 会議を妨害した傍聴人に申し上げます。   〔「退場、退場」「もういい加減やめてください、野宿者排除」「おまえも出ていけよ」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 再三注意しましたが、なお議長の命令に従わないので、地方自治法第百三十条第一項の規定により、退場を命じます。   〔「直接言いたいんで来ました」「いいの」「全然会ってくれないし、話聞いてくれないじゃないですか」「早く退場してください」「野宿者排除、やめてください。どれだけの人の命を危険にさらせば気が済むんですか」「帰ってください」「早く退場してください」「庁舎管理課も総務課もうそばっかりですよ」「早く退場しろよ」の声あり〕 ◎区長(長谷部健) 津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス祭との連携企画などを多くの人たちが楽しみ、にぎわいを見せていました。 この「おとなりサンデー」は、御近所の方と顔見知りになり、地域の防犯、清掃など、同じ地域の人同士で助け合うこと、また、町会や商店会活動に、新しい仲間や参加者を増やしていくことなど、人と人との語らいの中で地域のきずなを深めていく取り組みです。 今後も区民だけではなく、企業、団体、多くの人が交じり合い、地域コミュニケーションを活発にする「おとなりサンデー」を大きく発信していきたいと思います。 次に、「渋谷区子育てネウボラ」についてです。 先月二十日、第二美竹分庁舎で「渋谷区子育てネウボラ」がスタートしました。 この事業に関しては、専用ホームページの立ち上げ、フィンランドのネウボラや区が行っている妊娠期から十八歳までの切れ目のない子育て支援を御案内することにより、区民の皆様への周知広報に努めています。 今月からは、既に開始しているネウボラのファースト・アプローチである妊婦全数面接に加え、育児パッケージの配付が始まります。妊婦全数面接は、今後、子育て支援のLINEによっても予約が可能となります。 来る九日の日曜日には、区内の子育て支援団体等の御協力を得て、「渋谷区子育てネウボラ」の紹介や、育児パッケージの展示、さらに妊産婦を対象としたワークショップや体験講座などを内容とするオープニングイベントを実施します。 今後は、第二美竹分庁舎で子育て支援事業の実績を積み重ね、再来年に開設予定の「神南分庁舎跡地複合施設(仮称)」での「渋谷区子育てネウボラ」の本格実施に向け、その内容を進化させていきます。 次に、待機児童解消と保育の質の確保についてです。 今年度は、四月に「認可保育園」二園を開設したほか、七月は「小規模保育施設」一園を、十月には「認可保育園」三園を開設する予定となっており、合計で四百三十六人の定員拡大を図ります。 また、本年四月の待機児童数は、九十二人で、昨年四月の百五十一人と比較して、五十九人の減少となっています。三年連続で着実に減少しているものの、依然として、多くの待機児童が発生している現状を厳しく受けとめ、引き続きスピード感を持って定員拡大を図ってまいります。 特に、恵比寿・広尾地区については土地が高額であることなどから、保育事業者による保育施設の整備が難しい状況となっており、今後はこれまでの保育事業者への補助制度だけでなく、区が用地を取得することも視野に入れ、保育施設の整備を進めてまいります。 一方、待機児童対策とあわせて両立させるべき重要な課題は、良質な保育・教育の確保です。保育施設の増加に対応すべく、昨年度から、保育施設への巡回指導体制の強化、保育士のスキルアップを目的とした研修体制の充実を図っていますが、今年度もこれを着実に行い、保育・教育の質の向上に努めてまいります。 次に、教育における取り組みです。 渋谷区が進めるICT教育は、一昨年九月に、全ての児童・生徒に一人一台のタブレット端末を配付し、今年は三年目を迎えることから、今年度、教育委員会では、十一月八日を「渋谷タブレットの日」として、これまでの取り組みを初め、学校での活用の様子を広く発信する予定です。当日は、各校において公開授業や研究発表を行い、他自治体に先駆けて推進しているタブレット端末の活用の成果や課題を、全国に発信していきます。 次に、外国語教育の充実に関する取り組みです。 小学校では、来年度から新学習指導要領が全面実施となり、小学校第三学年から外国語活動、第五学年から教科としての英語が始まります。 渋谷区では、小学校における外国語教育の充実を図るため、今年度、小学校第四学年の全児童が、東京グローバルゲートウェイを訪問し、外国語活動で身につけたキーフレーズや、実践的なコミュニケーション力を生かし、英語学習へのさらなる興味・関心につなげてまいります。 そして、その成果をその後の学習活動や「東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会」で来日する来街者の方々へのおもてなしの心や行動に生かしてまいります。 今年度は、「車いすラグビーワールドチャレンジ二〇一九」が予定されています。競技を見る際に、各学校が昨年度までの取り組みを生かし、応援を通して、選手や大会を「Cheer up(チア・アップ)」することを推進してまいります。 次に、特別支援教育の充実に関する取り組みです。 本年四月に、区内六校目の特別支援教室・巡回指導拠点校・千駄谷小学校「かやのき」を開設しました。これにより、小学校三校に一校の割合で特別支援教室・巡回指導拠点校の配置となりました。引き続き、一人一人の教育ニーズに寄り添い、児童・生徒の将来の自立と社会参加に向けた特別支援教育を推進してまいります。 教育の最後は、教員の働き方改革についてです。 教員が心身ともに健康で生き生きとしていることは、結果的に子どもたちとしっかりと向き合い、質の高い教育活動につながるものと考えます。 そこで、昨年度設定した、学校閉校日を二日から三日にすることを継続し、今年度は、部活動指導員の任用の準備をしています。加えて、小学校五校、中学校三校に時間外対応として留守番電話を設置します。運用については、現在、教育委員会で検討しておりますが、留守番電話の設置校はもとより、未設置校についても、就業時間後の夜間及び休日の電話対応をなくすことで、長時間労働を減らし、質の高い教育活動を展開できるよう、教育委員会と連携して取り組んでまいります。 次に、「渋谷生涯活躍ネットワーク・シブカツ」についてです。 「シブカツ」は、人生百年時代を見据えて、おおむね五十五歳以上のプレシニア世代からアクティブシニア世代をターゲットとして、区民一人一人の人生を豊かで充実したものにするために、様々な活動の場につなげる支援を行う事業です。 まず、区主催のイベントや講座などの情報、地域のコミュニティやNPOなどの社会活動の情報を一元化して新たなウエブサイトを立ち上げて発信します。 また、「シブカツ」は、駅直結という利便性があるヒカリエ八階で事業を展開する予定ですので、気軽にお訪ねいただくことで、その場でも多くの情報を得ることができます。 一方、新たな学びの場でもある「渋谷ハチコウ大学」の開校のため、S-SAP協定を締結している区内八大学及び二十社の企業と協議を進めています。大学のキャンパスで質の高い講義を受講することや、企業の持つ様々なノウハウを学ぶ機会を提供してもらいますので、大学の図書館の利用などを含めて、学ぶ楽しさを改めて感じていただければと思います。 さらに「シブカツ」では、シニア世代の相談窓口として、働く意欲をお持ちの方を、これまで培ってきたスキルを生かせる場に紹介するなど、個々の要望に応じたベストマッチングを図ります。 現在、七月一日の開設に向けて、情報発信の拠点となるスペースの工事を進めており、今月二十九日には、ヒカリエでのオープニングイベントを予定しています。 S-SAP協定締結企業やNPOを初め、各種の地域団体から少人数のグループまで、多様な活動の担い手と連携を図っていく中で、まさにネットワークを構築し、区民が生涯を通じて元気に活躍できるよう、しっかり支援してまいります。 次に、渋谷公会堂についてです。 渋谷公会堂は、建替えのため平成二十七年十月から休館していましたが、先月末に無事竣工し、今後の準備期間を経て、本年十月十三日に開設する予定です。 管理運営は指定管理者が行い、インターネットを活用した情報発信や、チケットの電子化への対応などにより、区民等が一層利用しやすい最先端の次世代型公共ホールを目指します。 なお、ネーミングライツ事業者による施設のネーミング(通称名)は「LINE CUBE SHIBUYA」と決まりました。 新しい渋谷公会堂が、あらゆる世代に多様な文化に親しむ機会を提供し、渋谷カルチャーの進化と、世界への文化・芸術の発信拠点となることを期待しています。 次に、オリンピック・パラリンピックについてです。 「東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会」まで、あと一年余りとなりました。先月にはオリンピックの観戦チケットの申し込み受け付けがあり、パラリンピックの申し込みも間もなく始まる予定です。是非多くの区民の方に会場で直接選手を応援し、世界のスポーツの祭典を肌で感じていただきたいと思っています。 そのため本区では、区内の会場で開催される競技を中心に、ルールや魅力を理解し、応援の仕方などを経験していただくため、リアル観戦事業をさらに推進していきます。 今月二十九日には、「東京二〇二〇大会」で日本選手のメダル獲得も期待される「卓球のリアル観戦」、来月六日には、日本のトップチームの対戦を間近で見る「ハンドボールのリアル観戦」を順次実施してまいります。 リアル観戦事業の運営を支えてくださる多くのボランティアには、選手や来場者へのおもてなしを実践していただきたいと思います。区ではこうしたボランティア経験を積み重ね、大会時における「渋谷区ならではのおもてなし活動」に備えていきたいと考えています。 さらに、「東京二〇二〇大会」後のレガシーを見据え、子どもや高齢者など、誰もが手軽に楽しめるパラリンピック競技のボッチャの普及に取り組んでまいります。現在、各地域の公共施設にボッチャ用具を配備していますが、今後はゲームを進行するサポーターの養成事業も行い、多くの区民の皆様に楽しんでいただけるよう体制を整えていきます。 最後に、高齢者福祉についてです。 超高齢社会の進展に伴い、高齢者福祉施策については、本区の最重要課題の一つと捉え、今後も多様な事業を展開していきます。特に認知症施策については、人生百年時代を見据え、力を入れていきたいと考えています。 今年度は、これまで以上に、区民の皆様の認知症に関する正しい理解促進を図っていくとともに、「認知症になっても住みやすいまち渋谷」を推進していくため、日本認知症予防学会と協定を締結し、予防から共生までをテーマに、毎年二回開催している「認知症フォーラム」をより拡大して開催する予定です。今月開催する今年度第一回の「認知症フォーラム」では、区役所大集会室で行うシンポジウムのほかに、十五階の「スペース四二八(シブヤ)」を活用し、各種イベントや展示を初め、オレンジカフェやライブラリーコーナーを設け、認知症についての理解を深めていただきます。 また、秋には認知症を理解する普及啓発事業として定着してきた「ラントモ」や、認知症予防に関する取り組みにも挙げられている「うた」のイベントなどを後援するとともに、認知症高齢者の見守りとして、AI搭載ロボットの活用に向けた実証を行ってまいります。 来年二月に開催予定の第二回認知症フォーラムに至るまで、様々な事業を連続して展開しながら、区民の皆様に対し認知症の正しい理解の普及啓発に努めてまいります。 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には、条例案七件、令和元年度一般会計補正予算案一件、契約案件二件、人事案件二件、報告案件六件を御提案しております。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。   〔「長谷部区長」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 静粛に願います。   〔「破壊をやめてください。ホームレスの生活破壊をやめてください」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 会議を妨害した傍聴人に申し上げます。 再三注意しましたが、なお議長の命令に従わないので、地方自治法第百三十条第一項の規定により、退場を命じます。   〔「強制排除をやめてください。許しません、長谷部さん」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 退場です。   〔「退場ですね」「長谷部区長、いいかげんにしてください。何度繰り返すんですか、こういうことを。長谷部さん」「退場だって言っている」「何度繰り返すんですか」「何回目ですか。ホームレス排除のプロセスを立ち上げて、このような排除はやめてください」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 早く退場してください。   〔「何回繰り返すんですか、こういうことを。やめてください」「退場してください」の声あり〕----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) この際、区政一般に関する質問を許可いたします。 なお、事前に質問の通告がありましたから、順次指名いたします。 三番中村豪志議員。 ◆三番(中村豪志) それでは、渋谷区議会自由民主党議員団を代表しまして、区長、教育長に質問いたします。 その前に一言申し述べさせていただきます。 令和元年最初の渋谷区議会に議席をお預かりしました。私自身、令和元年の初日に区議会議員としての任務をスタートし、最初の代表質問でこのようにこの場に立たせていただいていることに、大きな感動と重い責任を改めて感じ、身の引き締まる思いです。 令和の御世の最初の国賓として、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領が来日され、安倍総理とともに多くの課題について議論がされました。さらに今月はG20大阪サミットが開催され、先進国として解決しなければならない課題について、議論がされます。この折に触れて世界を見ると、高齢化は日本だけの問題ではなく、多くの世界中の国が将来的に抱える問題です。世界の先頭で高齢化を迎える日本にあって、私たちが高齢化の社会モデルをどのようにつくっていくのか、注目をされています。 現在、我が国は「Society五・〇」という目標を掲げ、社会的課題の解決と経済発展を両立させる、新しい社会モデルの構築に向けて取り組んでいます。今は、AIやITシステムの発展により急速に物事がデジタル化されています。それが当然の状況で育ってきた若者と、デジタルにふなれな高齢者が美しく調和する社会をつくろうとしているのが、今の日本です。まさに、令和の時代に公式英訳とされる、ビューティフル・ハーモニーを形づくっていかなければなりません。 長谷部区政一期目の渋谷においては、多様性を重んじ、「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の実現のために、言葉どおりに長谷部区長が提案、実行された多くの施策があります。その中でも、区政において最もわかりやすい例が、この新庁舎を初めとする区政の仕組みにICT環境を整えているところではないかと思います。このことは、さきに申し上げた政府の現在の方針にも沿う、非常に重要なかじ取りの方向であります。 令和という新しい時代になっても、大前提として私たちが目指さなければならないことは、これまでと同様に、二十三万人余の渋谷区民の生活環境の向上です。社会の仕組みのデジタル化は、それ自体が目的ではなく、区民生活をより便利にするためのサポートであるということを、立ち位置とすることが必要です。区民生活の向上を新しい仕組みで目指すとともに、デジタル化への対応が難しいと感じる区民への対応も忘れずに、誰も取り残さない区政を実現することが重要だと考えます。 この前提に立って、以下について伺います。 まず初めに、長谷部区政二期目にあたって、区長に、政治姿勢、目指すべきことを伺います。一期目の四年間は、私とほぼ同じ年代の区長が俯瞰的に物事を捉え、一歩も二歩も先を見据えて新しい提案、施策を実行されたように感じます。非常に斬新なものも多く、今の時代に合った施策が多いと理解をしています。 一方で、制度や施設の運用開始はこれからのものも多く、二期目の選挙戦においては、区長自らが、「まだまだやり残したことがある」と区民に訴えていた姿を何度も拝見をしました。これからの四年の任期中には東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックも開催され、今後の渋谷を創造する上で非常に重要な四年間となります。 そこで、これまでの四年間の総括並びに二期目にあたっての政治姿勢、これからの四年間でなし遂げたい具体的ビジョンを区長に伺います。 次に、インフラ・制度の計画整備について伺います。 さきの平成三十一年第一回定例会において、我が会派の代表質問で、持続可能な行財政の実現に関する区長の考えについて伺いました。区長からは、喫緊の課題解決に全力を図る一方で、より中長期的な視点に立ち、将来にわたる強固な財政基盤を構築するとの回答でした。この点において、我が会派としては、渋谷区内の施設・制度の中長期的視点での計画整備の必要性があると考えます。たとえ単年度制の財政であっても、中長期的視点で施設の整備計画を作成して、順序立てて実行する必要があるのではないでしょうか。 例えば、新島施設です。区民からの利用ニーズが多い施設でありながら、竣工以来大きな改修や設備投資がなされていない状況です。必要に迫られたときのその場対応ではなく、施設の耐用年数や現状を把握した上で、計画整備をしていく必要があると考えます。東京都では、一、三、五、十年ごとに事業検証と見直しをしています。本区においても、全ての施策について、三年ないし五年の運営計画を付した上で新規施策を実施し、定期点検の上で、状況を鑑みて実施計画を見直すことが必要だと考えます。新島の改修計画も含め、区施設の計画整備の実現について区長の所見を伺います。 次に、施設や制度と区民をつなぐための、人材育成の戦略と手法を伺います。 長谷部区政となってからの四年間、並びに平成三十一年度予算の概要を見ると、区民のために効果のある施設や制度は、コストをかけて整備しているように感じます。本年度も渋谷区子育てネウボラ、渋谷生涯活躍ネットワーク・シブカツ等、新たな施策が実行される予定になっております。 これらの施策について、我が会派から、さきの第一回定例会で質問し、区長からの答弁は、様々な社会活動の情報を一元的に集め、利用者のニーズに合った情報発信や学びの場の提供、スキルを生かした社会参加の機会提供を行うとのことでした。区長の二期目に当たりチェックをしていかなければならないのは、時間とコストをかけて設置したものが想定どおり機能しているのか。新しい運用方法で区民が満足しているかどうかです。 まず、組織横断的・一元的に情報を集約して、窓口を一本化して、ワンストップで区民が情報を得ることができる状態にするということは、非常に重要な一歩だと考えます。次の段階は、作って終わりにはならず、区民の満足度が上がる運用方法にすることだと思います。そこで重要なのは、施設と区民、制度と区民をつなぐための人材育成の戦略と手法です。 新設した施設、制度の活用の仕方を正確に理解して、区民が誰でも使えるように存在と活用方法を広められる人材の育成が必要ですし、育成のための投資も必要だと考えます。その人材育成と教育手法について、区長の見解・計画を伺います。 次に、ポスト二〇二〇の渋谷として、持続可能な社会をつくるための戦略を伺います。 オリンピック・パラリンピック成功のために、そして、そのレガシーを渋谷によい形で残すために、二〇二〇年をまたぐ二期目の長谷部区政の方針は非常に重要です。大会期間は合計で約一カ月ほどに過ぎません。オリンピック・パラリンピックを、施設整備や意識醸成のきっかけとして施策を実施し、それが二〇二〇年以降の区民生活の向上に結びつくようにすべきです。 バリアフリー、多言語化対応などのように、グローバルな視点で物を考えつつ、ローカルに落とし込むことで、施策を区民の生活向上に結びつくようにしなければなりません。さらには、大会期間中を渋谷のPRの場として捉え、世界中からの来街者の目に触れてもらうことで、世界からその評価をされるような取り組みが必要です。私たちは、二〇二〇年の先の区民生活向上を常に意識して、残り一年という時間を大切に、策を講じていく必要があります。レガシーとして大会後も渋谷に残るもので、かつ外国からの来街者が渋谷の魅力を感じて、持ち帰ってもらえるものが必要ではないでしょうか。 渋谷区では、「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」を制定して、環境美化に努めています。平成三十一年四月一日の改正で、来月一日から吸い殻、空き缶のポイ捨て、落書き、犬のふんの放置、路上喫煙に対して過料の適用があるなど、地域美化を実践する動きを進めています。 今回の提案は、目に見える形として、きれいなトイレの整備と利用を促すことです。既に区内の十数カ所のトイレについては、日本財団の協力を得て整備が着手されていますが、基本的に対象は駅や競技場の周辺です。この折に、区内全域の公園などの公衆トイレの整備計画をつくり、トイレを整備、きれいに使うということを施設面でもマナー面でも主導し、公衆・民間建物内のどこでどのようなトイレを利用しても、「渋谷のトイレはきれいだ」と感じて帰ってもらうことは、一つのレガシーとなります。 この施策を区民生活の向上という視点で見ると、高齢者が抱える課題の一つを解決できます。高齢者ほど、外出先でのトイレ利用の不安を抱えています。公衆トイレの洋式化、トイレの増設、清掃頻度の増加等により、常に公衆トイレが利用しやすくなることで、トイレが不安で外出をためらう区民の皆様が外出しやすくなります。トイレの整備は、二〇二〇年のその後の区民生活を豊かにする上で有益だと考えます。区長の所見を伺います。 次に、キャッシュレス決済導入促進事業について伺います。 オリンピック・パラリンピックの開催を翌年に控え、インバウンド受け入れ環境の整備や、本年十月の消費税引き上げなどへの対応が、商店街の喫緊の課題となっていることから、本年度予算化がされています。事業者への説明会、及び主に商店会に加盟する中小・小規模事業者などを対象に、端末五百台の導入を予定している事業です。 課題は、多くの事業者がまだ導入メリットと必要性を感じていないことです。配付予定端末での決済では、クレジット決済同様の手数料負担が事業者に発生します。実質手数料負担ゼロやポイント付与可能という、事業者側に導入メリットがある端末やシステムが民間で開発されていますが、今回の端末ではそれができないということも要因の一つかと思います。 また、本年度の事業内容には、キャッシュレス決済で買い物をする区民の視点がないように思います。区民がキャッシュレス決済に興味と関心を持ち、理解を深め、そして利用しないことには、事業者にとって導入メリットはありません。 もう一つの課題は、無償配付の対象が希望する個別事業者ごととなっている制度のため、商店街全体で導入するというモデルができづらいという点です。区内全域にばらばらに配付するよりは、商店街を絞って実績をつくるほうが効果を検証しやすいと考えます。本年度の事業推進並びに次年度以降の継続性を踏まえた実施計画について、区長の見解を伺います。 次に、これからの渋谷が、世界との玄関口として国際都市渋谷になるために、以下の二点について伺います。 一点目は、「SDGs推進」です。SDGsとは、平成三十年度第三回定例会で、我が会派からの質問で説明のとおり、国連加盟国が全会一致で二〇一五年に採択した、二〇三〇年までの持続可能な開発目標のことです。二〇三〇年までに十七の国際目標、百六十九の具体的ターゲットを達成しようという、世界共通のゴールです。 目標内容は、環境、教育、福祉、経済と多岐にわたりますが、本区の渋谷区基本構想並びに渋谷区環境基本計画二〇一八が掲げる未来像と同じ視点です。特に、十七番の目標である「公的機関や企業、市民のパートナーシップで目標を達成しよう」は、地球市民である渋谷区民にも共通する目標です。 また、SDGsは外務省も積極的に主導しており、推進企業、団体は世界の中で高く評価され、資金の観点でも投資や寄附の判断基準に用いられています。渋谷区として積極的に、区民、民間企業、団体とSDGsを推進することにつき、区長の所見を伺います。 二点目は、産業振興の観点で、「スタートアップ・エコシステム拠点都市」としての都市整備についてです。 必要な要素を補完し合う自然界の生態系を、エコシステムと言います。これに倣い、創業してから間もない革新性のある、スタートアップと呼ばれる企業が成長するための必要な要素を補完し合う仕組みを、スタートアップ・エコシステムと呼びます。革新性のある企業、名実備わっている大企業、投資家や金融機関、引き合わせる仲介役、優秀な人材などが仕組みを構成します。既に政府・内閣府は、平井卓也内閣府特命担当大臣のもと、平成三十一年三月に中間取りまとめとして発表しているとおり、ニューヨークを初めとして、世界の大都市のように行政主導で拠点都市を形成することが重要であり、その都市への集中支援として、政府も制度面や資金面でのサポートをするとされています。 東京というくくりでは、その機能が分散し過ぎている中、渋谷にはこの仕組みを形成する個別の機能が既に相当程度存在します。渋谷区が世界と伍する国際都市、当該拠点都市として、世界との玄関口となることを明確に打ち出すということは、渋谷の産業振興に寄与すると考えます。対内的・対外的な施策のバランスは重要です。 その上で、私たちが最優先すべきは渋谷区民です。当該拠点都市の推進を行うことで、大・中・小のあらゆる規模の企業、人材が集まってきます。今評価されるのは、社会的課題を解決するためのビジネスを展開する企業群です。その企業が、寄附、ボランティア、技術協力等あらゆる形で行政サービスへの積極的な参画をすることで、渋谷区の行政サービス拡充にも貢献してもらうことができると考えます。既に、渋谷ソーシャル・アクション・パートナー協定、通称S-SAPをスタートしていますが、加えて、渋谷をスタートアップ・エコシステム拠点都市としていくことについて、区長の所見を伺います。 次に、財源についてです。 寄附による行政施策財源確保とソーシャル・アクション・ファンドの実効性について伺います。平成三十年度第二回定例会で、我が会派からのふるさと納税に関する質問に区長から答弁がありました。「ふるさと納税制度で芽生えた寄附文化を活用して、地域社会の課題解決に取り組む質の高い活動を支援する資金であるソーシャル・アクション・ファンドのように、NPO支援に特化した寄附制度の検討を行いたい」との回答でした。 区長もお考えのとおり、行政主導で募った寄附を行政サービスの一部財源として充てる手法は、財源確保の観点から真剣に考えるべきです。近隣事例では目黒区の事業で、保育園と区内大規模公園間を結ぶバス輸送サービス、通称「ヒーローバス」が、その手法を取り入れて事業実施しています。前述のスタートアップ・エコシステムが実現すれば、駅周辺商業地域から生まれる新たな技術や寄附財源という果実を、区民の住宅地域の行政サービスに生かすという、渋谷区版のエコシステムとも言うべき好循環がさらに現実的になります。区内のそれぞれの地域の特色とニーズをよく理解した上で、区政運営できる手法だと考えます。 また、区内に本店登記をし、事業所床を広く確保している企業には相応の税金が発生しますが、基本的には都税です。しかし、国・都と連携をした上で渋谷に企業誘致をする分、それぞれから拠点整備に充てる資金提供の働きかけを行っていくことも十分考えられる施策であると考えます。政府が前述のスタートアップ・エコシステム拠点都市をつくろうと誘導していることから、これは絵に描いた餅ではなく、実現可能なところまで来ている非常に具体的な事案だと言えます。 ふるさと納税に関する我が会派からの質問と区長からの答弁から一年が経過し、ソーシャル・アクション・ファンドに対しての取り組みの実績と寄附による行政施策の財源確保の今後の方向性について、区長の所見を伺います。 ここからは具体的な政策について伺います。 まずは、区民生活の環境整備について伺います。 ハロウィーン対策についてです。本議会でも制定条例の提案があります。昨年十月末の件が報道でも全国的に話題となってしまったことから、区としても対策をとる必要があり、渋谷ハロウィーン対策検討会を設置して、本年二月から地元関係者や有識者とともに議論がなされました。本年五月に中間報告があり、条例案については検討会の報告を踏まえ、公共の場所における飲酒の制限をする内容が含まれています。 来街者が瞬間的にスクランブル交差点を占拠する状態はハロウィーンのときだけではなく、年末のカウントダウン、スポーツの日本代表の試合の前後など、年間を通して起こり得ます。規制とルールづくりをしても、来街者がそれを認知し、遵守するかが重要だと思います。違反をしている人をどのように取り締まるのかという問題もあります。 我が会派としては、条例は実効性が伴うべきものであると考えます。当該条例案は、違反者への過料、罰則等のない内容です。当日の運用手法や違反となる基準も明確ではないことから、実効性がある条例かどうかは議論が必要です。また、条例制定後も懸念される課題項目に対して、区として策を講じる必要があります。 例えば、昨年十月末のハロウィーンのときの状況を踏まえた年末のカウントダウンでは、人が集まるエリアと移動する方々のエリアを明確に区切ることで、ハロウィーンのときのようなことは起こりませんでした。今回の条例が制定された後、経過を見て、実効性がないようであれば、条例改正も含め実効性を伴うものとしていかなければならないと思います。今回の条例案を提案される目的効果、そして善後策について、区長の見解を伺います。 関連して、制限、規制の次のステップとしてのモラル・マナーの意識醸成について伺います。 条例化や予算化して実行している分煙対策、民泊対策などの施策ですが、制限、規制だけでは不十分であり、実際はモラル・マナーに依存するものです。「ルールを認識していない」「守ろうという意識が低い」などの理由で、結果的として路上喫煙が増えたり、ヤミ民泊が横行したり、騒音やごみ出しに際して近隣に迷惑をかける行為があったりと、区民生活に影響が出ています。オリンピック・パラリンピックを開催する今だからこそ、区内の企業、団体とも協力をして、渋谷のモラルやマナーといった意識づけをして、定着させる必要があると考えますが、区長の所見を伺います。 続いて、福祉について伺います。 初めに、障がい者サポートについて伺います。 現状は、障害者手帳、愛の手帳を持つ区民などに相談支援専門員が訪問して、面談、ケアプランの作成をしています。平成三十一年第一回定例会において、我が会派から障がい者の相談支援事業について質問をした際、区長から、相談支援事業所に委託して、障がい者の障がい特性や支援上の配慮事項がわかる個人カードを作成し、保護者に不測の事態が生じたときに活用する仕組みを導入するとの答弁がありました。 このカードは、障がい福祉サービスを利用する人が対象で、災害時要援護者名簿の登録者とは必ずしも一致しないと思われますが、避難時や避難生活においてカードの内容を共有することは、支援する側、支援を受ける側の双方にとって大変有益であると考えます。そこで、今後このカードを部署横断的に管理する方向について、どのようにお考えか、区長の所見を伺います。 もう一点、渋谷区障がい者スポーツ体験教室について伺います。 本事業は、東京ヴェルディへの委託事業として、障がいの有無や種目の垣根を越えて、参加者に体を動かす楽しさを伝えることを目的として、本年度実施されています。障がいを持つお子様のいる父母の方からも、障がいのない区民からも好評だと聞いておりますし、この時世にあって、スポーツを通して多様性を育む上で、非常に意義のある事業であると思います。 一方で、現在は会場がスポーツセンターに限られているため、移動手段が限られる障がい者には参加しにくい面があります。文化総合センター大和田などのほかの地域の会場と交互開催をするなど、広く障がい者が参加しやすい会場面の工夫や移動手段のサポート体制も必要と考えます。計画や意向について、区長の所見を伺います。 次に、地域の見守り機能の民間委託可能性について伺います。 現状では、地域見守り機能として、民生委員、安心見守りサポート協力員を初め多くの皆様が、サポートが必要な区民のために活躍いただいています。しかしながら、現在の見守り機能の担い手は、役割の性質上、要援護者名簿に基づくサポートのため、担当範囲が限定されています。高齢単独居住の区民や手帳未給付でもサポートが必要な区民への体制が十分ではないと感じます。 そこで、拡充を目的として買い物代行、配食サービス、宅配便配送業者等の民間企業に委託し、見守りのサービス機能を補完できるのではないかと考えます。また、高齢者単独居住世帯へのタブレット、携帯機器の端末無償貸与により連絡手段を確保したり、使い方指導を担う受託業者が見守りを代行することも可能ではないかと考えます。地域見守り機能として、民間業者との提携について区長に所見を伺います。 次に、本年度から開始された子育てネウボラについて伺います。 全ての妊婦に対する面接を行い、支援プランを作成して出産後の育児支援や心の健康維持を図るとあり、制度と設備が整った状況だと言えると思います。次は運用が重要です。現状、渋谷区LINEアンケートの回答によると、平成三十一年四月十六日時点で、区民の回答者の三分の二が「子育てネウボラの存在を知らない」という回答になっています。課題は、区民に子育てネウボラの存在と活用の仕方について、認識と理解をしてもらう必要があること。運営側がその機能の利点を生かして、ユーザーである妊産婦に適切な対応ができるかどうかです。 例えば、ネウボラの拠点まで、妊娠中の方や産後の方が子どもを連れて通うということは大変です。時間の予約がとれれば、施設訪問しなくても自宅にいながら電話やウェブチャットで、遠隔での相談が受けられるようにして利便性を高めることができると思います。 また、妊産婦にとっては生後四カ月までの一貫したケアが主眼ですが、子育てはその後も続きますし、子育てネウボラとしても就学までのトータルサポートが制度上の対象期間です。産後の家庭のキャリアプランに応じた、生活環境に隣接した場所での保育施設の確保ができるかどうかは、多くの妊産婦が懸念するところです。子育てネウボラと保育課が連携をして、妊婦への産後のキャリアと子育てのプランのヒアリングを、妊娠中に実施することもできます。待機児童対策のために、産後何カ月でどのエリアの保育施設に預けたいのかといった保育ニーズを妊娠中に把握できれば、保育児童の受け入れの需給バランスを考慮した、受け入れ数の整備計画に反映できると考えます。 渋谷区子育てネウボラは、組織横断的にワンストップで妊産婦ケアができる仕組みですが、組織横断的な仕組みゆえの横串対応ができるように、スタッフの教育も必要です。また、ネウボラ指導を機に、子ども発達相談センターに配置している発達障がい児の専門人材を拡充したり、一時保育や病児保育のシステムを使いやすくしたり、運用面で必要なことは幾つも想定されます。これからの子育てネウボラの運用計画はどのようになっているのか、区長の所見と今後のプランを伺います。 次に、保育環境の整備について伺います。 現在、待機児童の解消に向け、区立保育園と民間保育所をあわせて、受け入れ数の需要を満たす努力をしている状況ですが、土地価格や貸し室賃料が高い渋谷の区内保育施設は、園庭なしやビルインなどの環境になりがちなのも事実です。近隣の公園などに移動して公園遊びを取り入れているようですが、最近、移動中の児童の列に車が衝突する痛ましい事故が続発しており、移動のリスクは看過できないものとなっています。距離の関係で広い公園までは足が伸ばせない実情や、近隣区でも同様の課題がある中で、前述の目黒区の事例で通称「ヒーローバス」と呼ばれる、保育施設と公園間のバス移動サービスがあります。保育環境のサポート並びに安全面を考慮して、渋谷区でも実施することについて、区長の所見を伺います。 次に、青壮年期のひきこもり対策について伺います。 最近では八〇五〇問題とも言われ、大人のひきこもりが社会課題になっています。平成二十八年九月内閣府の発表によると、十五歳以上三十九歳以下の働き盛り世代を対象に生活に関する調査を実施した結果、推計五十四万一千人、うち六割が男性のひきこもりが存在します。また、平成三十一年三月、内閣府は四十歳から六十四歳を対象に再調査を実施し、推計六十一万三千人いることが判明しました。調査時期の違いなどはあるものの、若者を合わせたひきこもりの総数は、現在百十万人を超えると予想されています。実態調査の際、家事手伝いという職種項目があると、女性のひきこもりを見落としてしまったり、家族が問題を隠したりしてしまうことで、現状の把握は難しいこともあり、実数はそれ以上だと言われています。 渋谷区としても、六十四歳までを対象に詳細な実態調査を行い、本来働き盛りの世代である区民がひきこもりの状態から脱することができるように、独自でも民間委託でも、区役所内にニートやひきこもり相談窓口を設置する等の施策が必要だと考えます。青壮年期のひきこもり対策につき、区長の所見を伺います。 また、手が差し伸べられれば、働き盛りの世代として労働人口の減少にも歯どめをかけることにもなります。生活保護受給者を減らすことができるなど、財政面でもよい効果があります。民間委託も視野に入れて、行政内組織でニートやひきこもりに対応できる就労移行支援が実現可能かどうか、あわせて区長の所見を伺います。 続いて、教育について伺います。 まず、校外学習場所についてです。 昨年度、富山臨海学園が廃止されたことにより、渋谷区の子どもたちが海のプログラムを実施できる場所がなくなりました。子どものころの実体験というものは非常に重要で、区として富山にかわる臨海学習場所を用意する必要があると考えます。我が会派からも、この点については、さきの定例会で質問をしておりますが、渋谷区管外施設として機能している「河津さくらの里しぶや」があることから、河津町内の今井浜や河津浜の利用により、プログラム実施を可能にできるのではないかと考えます。 プログラム拠点として、河津さくらの里しぶやを利用し、実施に際しては河津町並びに河津町観光協会の協力を含め、渋谷区の子どもたちの海のプログラム実施場所を確保することについて、教育長の所見を伺います。 なお、当該敷地内の東館跡地が空地になっています。当該地に施設増設をして受け入れ体制を増強した上で、プログラム実施場所として活用することも考えられるのではないかと思います。この点については区長に所見を伺います。 次に、ICT教育環境のこれまでの実績と今後の整備について伺います。 本区は、区内の公立小学校の児童全てにタブレットを無償貸与し、かつ教室にもICT設備の導入をして、指導員による教育を実施しています。平成三十年の第二回定例会でも、我が会派から昨年度の指導方針について質問しておりますが、運用と指導については、実績から修正を重ねてよりよいものとしていく必要があります。 また、他会派からも質問が出ていましたが、経済産業省が開発したRESAS(地域経済分析システム)というビッグデータシステムは、現在自治体だけではなく民間企業にも開放され、活用が始まっています。このデータに義務教育期間から触れておくことは、データ分析を前提に説得力ある理論立てた考え方をする訓練となり、非常に有益と考えます。さらには、日本国内でも先端とされている渋谷区所在の民間企業ノウハウをさらに活用することで、効果的な教育を子どもたちに提供できると考えます。 ICT教育について、これまでの実績と効果、今後の取り組みに対してのお考えを教育長に伺います。また、具体的に渋谷の民間企業のノウハウを活用して区内学校におけるICT教育を進める取り組みについて、どのようにお考えか、あわせて教育長に伺います。 最後に、地域コミュニティについて伺います。 まず、町会組織の充実のための施策について伺います。 現在、町会組織は区内に百五あります。町会は、住みよいまちづくりのために、代々その地域でよりよい環境をつくるために自主的に活動され、コミュニティを形成しています。災害時には町会組織が中心となり、地域で助け合うことで公助が行き届くまでの間、共助を行うことになります。現在の町会加入率は、最後に町会の協力で調査をした平成二十五年一月時点で、区内全域で平均三五%程度の低い水準です。もちろん、町会によってはほぼ全ての世帯が町会加入している地域もあります。しかし、世代交代があったり、頻繁に住民の転入出があったりする地域では、会員数が増えず苦労している町会が多いのも事実です。 会員構成、役員構成も高齢化し、役員の皆様が担う仕事量も活動の機会も多く、正直負担が大きいのが実情です。現実的には、「町会活動参加が面倒だ」という理由で入会しなかったり、新しくまちに移り住んできた人が、「先代からずっとまちで暮らしてきた皆さんの輪に簡単に入りづらい」という理由も聞きます。しかし、まちの楽しいイベントには、町会の加入・未加入で参加を制限することもできないですし、災害時に「町会に加入していないから手を差し伸べない」ということもできない状況があります。 町会加入を促進するため、平成二十九年四月一日施行の「渋谷区新たな地域活性化のための条例」が制定され、区、町会、集合住宅の管理組合、それぞれの責務として町会加入の勧誘を促すことを定めていますが、町会加入者の増加は、今も多くの町会で継続した課題です。渋谷区は、おとなりサンデーを推進し、本年六月二日にも各地域でイベントが開催されました。区長も御発言のとおり、近所の方と顔見知りになり、人と人との語らいの中で地域のきずなを深めていく取り組みとしては、非常に効果的だと思います。また、自主的に町会のウエブサイトやSNSのページを作成して登録を促している地域も、区内にあります。取り入れられていない町会のほうが多いのも事実ですが、まずは地域の情報を共有し、顔を合わせる機会を増やすことで、町会活動に徐々になれていくという仕組みづくりは、町会加入者の増加には必要だと考えます。 平成二十九年の条例制定から二年が経過し、さらなる策を講じていくことについて、区長の所見を伺います。あわせて、地域住民同士がつながっていることが必要であるという前提に立ち、これまでの町会組織のつながりに加えて、コミュニティ形成の補完材料としてSNSを活用したつながりをつくることについて、区長に所見を伺います。 最後に、地域コミュニティのワンストップ化について伺います。 民生委員、ふれあい相談員、安心見守りサポート協力員、保護司、ケアマネジャーが縦割り的に地域のサポート役として存在しているのが、今の現状です。課題としてあるのは、国の制度に従って上記の見守り役が個別に動いていること。リスト管理や対応も、役割の性質上縦割りとなっていることです。この皆様の情報をまとめる人材が各地域にいて、常に地域の見守り役と連携できる役割を担うことができれば、その地域の顔が見える化され、災害時の助け合いにも役立つと考えます。渋谷区の制度として、地域サポートのワンストップ化を実現するためのコミュニティマネジャーを配置することについて、区長の所見を伺います。 以上で質問を終わらせていただきます。   〔「終わっちゃだめだ」の声あり〕 ◆三番(中村豪志) はい。訂正いたします。 以上、質問をさせていただきます。 ○議長(下嶋倫朗) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 渋谷区議会自由民主党議員団、中村豪志議員の代表質問に順次お答えします。 まず初めに、四年間の総括と二期目に当たっての政治姿勢等についてのお尋ねです。 先ほどの所信表明の中でも申し上げましたが、私は、四年前の区長選挙の際に、「もっともっとアクティブな渋谷区へ」と題し、区長として実現したい政策を掲げました。これらを実現するために初めに着手したことが、二十年ぶりとなる基本構想の策定です。渋谷の未来像を「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」と掲げ、七つの政策分野ごとに、ダイバーシティとインクルージョンの理念のもとに目指すべき方向性を示しました。その実現に向けて、区議会、区民の皆様の御協力をいただきながら日夜懸命に努力してきた四年間だったと思います。 二期目の区政運営に当たっては、公約に掲げた「可能性をはぐくむ街、渋谷区へ」の実現に向け、福祉、教育、環境などの区政のあらゆる分野の新たな進展のために、一期目以上に全力を傾けてまいります。特に、初台から笹塚間の玉川上水路緑道の整備や、首都高速四号線高架下を有効活用する西参道プロジェクト「ササハタハツ」のまちづくりを推進してまいります。 また、フィンランドの政策を参考に、妊娠期から十八歳まで切れ目のない支援を行う、新たな子育て支援事業である「渋谷区子育てネウボラ」や、プレシニア世代の応援事業である「渋谷生涯活躍ネットワーク・シブカツ」がスタートしました。子育て環境の一層の充実を図るとともに、シニアの方々を応援する施策をさらに進めていきます。 これからの四年間は、諸先輩方が築かれてきたすばらしい渋谷区政に創造性を加え、さちに発展させ、次の世代に継承していくことの責任と重みを意識し、誰よりも汗をかいていくつもりです。ほぼ同世代の中村議員も一緒になって、「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の実現に向けて、御協力をいただけることを期待しています。 次に、インフラ・制度の計画整備についてのお尋ねです。 本区では、行財政運営を進めるに当たり、渋谷区基本構想に基づく中長期的計画として、十年間を計画期間とする渋谷区長期基本計画を策定するとともに、施策を具体的に進めるための渋谷区実施計画を策定し、こちらは三年ごとに見直ししています。区には、このほかにも様々な計画がありますが、今後の行財政運営において重要となってくる課題の一つは、公共施設等の老朽化への計画的な対応です。このことは、自治体共通の大きな課題となっており、申し上げるまでもなく施設の新設、廃止、維持管理等の一件当たりの費用が膨大になりがちであることによるものです。 施設の整備について、中長期的視点を持って計画的に行うことは、議員の御発言にもありますが、今後ますます重要になるとの認識です。施設の管理に関しては、国の主導により全国的に進められた公共施設等総合管理計画の策定を、本区は平成二十九年度に終了しています。現在は、国の要請に基づき、令和二年度末に向けて個別施設計画の策定を進めているところです。これらの取り組みにより、区民ニーズに応える施設の実現と将来的な経費負担把握の一助とし、持続可能な行財政運営の実現に生かしていきたいと考えています。 なお、議員お尋ねの新島青少年センターは、離島という特殊な立地の施設です。このため、施設運営には厳しい部分もありますが、これまで培ってきた新島村との友好関係を尊重するとともに、的確な利用ニーズ等の把握に努めながら総合的に検討していきます。 次に、施設や制度と区民をつなぐ人材育成についてのお尋ねです。 区を取り巻く経済状況や社会環境の変化、多様化・高度化する区民ニーズや地域課題に迅速かつ的確に対応していくためには、施策を実行するだけではなく、施策の担い手である職員を育成することが大変重要となります。こうした状況を踏まえ、本区では職員を区の財産と位置づけ、昨年度渋谷区基本構想の実現を初め、新たなニーズや課題に対応できる多様なプロフェッショナル人材の育成と、職員同士の信頼感を高め、最大限の成果を創出できる組織づくりを行うための指針として、渋谷区人財育成基本方針を策定しました。 この方針では、あるべき人財像を「渋谷区に住む人・集う人の笑顔のために邁進する職員」、あるべき組織像を「目標を共有し、柔軟で俊敏に動く組織」とそれぞれ定め、日々の職務の先には区民や区に関係する人々が存在しており、そのことを職員一人一人が常に意識しながら、サービスの満足度を向上させ、区に笑顔があふれるよう職務に取り組む姿勢が大切であるとしています。 職員の育成につきましては、あるべき人財像の五つの行動である、「街や人を深く知る」「人々にとっての理想・未来を描く」「どうしたらできるかを知恵を出し合って考える」「産官学民と連携し、多様なちからを活かす」「自分ごとと捉えてやりとげる」を着実に実践する職員を育成していくことが重要であると考えます。 そのため、これまでの研修内容の見直しを図るとともに、今年度はマネジメントや職員への指導、育成力、サービスの想像力をさらに強化する新たな研修を実施するなど、研修カリキュラムの充実を図ることにより、施設と区民、制度と区民をつなぐ人財育成を実現し、将来に向けた人財育成のために積極的な投資を行い、常に区民本意のサービスを提供できる人財の育成に取り組んでまいります。 次に、公衆便所や公園便所といった、いわゆる公衆トイレについてのお尋ねにお答えします。 本区では、平成二十五年度から便所洋式化工事を実施しており、八十二施設中三十施設において完了しております。また、昨年十一月に渋谷区トイレ環境整備基本方針を定め、ダイバーシティ&インクルージョン社会を実現するための取り組みの一つとして、トイレ環境整備の基本的な考え方を示しました。誰もが安心して集い、訪れることができるようにするため、みんなが快適に使えるトイレ空間や設備、ピクトサインの整備を進め、多様性を受け入れるトイレ環境をつくるなどの基本方針を掲げています。この渋谷区トイレ環境整備基本方針に沿った形で、今年度中に区主導で二カ所の公衆トイレを改修します。さらに、包括協定を締結している日本財団の協力により、二〇二〇オリンピック・パラリンピックまでに区内十八カ所の公衆トイレを建て替える準備を進めています。 一方、公園の魅力を向上し、多くの利用者を引きつけることができる公園を整備するため、今年度より魅力ある公園整備計画の策定に取り組んでいます。この計画の中に、公衆トイレ整備の計画を盛り込んでまいります。トイレは生活の中で不可欠な設備ですが、トイレの影響で様々な人がその行動を制限され、力を最大限に発揮できないことがあっては、社会全体の損失となりますし、新しいトイレをレガシーとして残し、多様な人々がまちづくりの原動力として活躍できる社会をつくることで、区民生活のさらなる向上につなげてまいります。 次に、キャッシュレス決済導入促進事業についてのお尋ねです。 本事業については、新規事業として準備を進めているところですが、議員から幾つかの課題を御指摘いただきました。 一つ目は、決済手数料の負担があるため、導入事業者がメリットを感じられないということです。本事業は、QRコードを初めとする多様な決済手段への対応を支援することを目的としています。決済手数料については、海外の事例のような低廉な手数料モデルになることを期待していますが、それまでは客数や客単価等の増につながるプロモーション支援に重点を置き、キャッシュレス決済の普及に力を注いでまいります。 二つ目は、消費者である区民への働きかけが必要ということです。まずは、導入のための準備を進めているところですが、消費者に関心を持ってもらい、キャッシュレス決済の利用を促進するため、PRや店舗を回遊するキャンペーンなど、様々な取り組みを検討していきたいと考えています。 三つ目は、個別の店舗単位でなく商店街を絞って導入していくほうが、効果を検証しやすいということです。現在、各地域での説明会や商店街への説明を始めたところですが、説明会の状況も踏まえながら、議員御提案の商店街やエリアを絞った導入ということについても、検討していきたいと思います。 今年度の課題や効果を踏まえながら、次年度以降の計画について検討し、区内事業者のキャッシュレス決済の導入を推進してまいります。 次に、SDGsの推進についてのお尋ねです。 本区の基本構想は、本文の中で全編においてサスティナビリティの視点を大切にすることをうたっています。そして、この基本構想で掲げるビジョンの実現に向けて、「YOU MAKE SHIBUYA」を合い言葉としてキャンペーンを初め、企業、大学との協働パートナーシップ協定であるシブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定、通称S-SAP協定を推進してきました。S-SAP協定は、区内に拠点を置く企業や大学等と区が協働して、地域の社会的課題を解決していくために締結する公民連携の制度になります。この協定に基づき、各企業や大学の持つ技術や特色を生かして、新たな区民サービスを提供しています。 これまでに、区内に拠点を置く企業二十社、大学八校、合わせて二十八の機関と締結しています。また、平成二十九年度より笹塚・幡ヶ谷・初台エリア「ササハタハツ」のまちづくりに関して、三つのエリアの方々がつながり合い、地域の未来を自分ごととして考えるセッションを通じて、多くの皆様からまちづくりに関するアイデアをいただきました。 こうした取り組みは、まさにSDGsの十七番目の目標、「パートナーシップで目標を達成しよう」にも合致するものだと考えています。これからも常にサスティナビリティを意識した区政運営を心がけていきます。 次に、スタートアップ・エコシステム拠点都市についてのお尋ねです。 渋谷区をスタートアップ・エコシステムの拠点都市とし、世界との玄関口としていくことは、区内産業の活性化に寄与するとともに、基本構想で産業振興分野の柱として掲げている「ビジネスの冒険に満ちた街へ。」の実現に向けて、非常に重要な取り組みであると考えます。渋谷区は国際的にも知名度があり、大手IT企業も集積するなど、今も多様な企業や人材が集まっています。また、渋谷はスタートアップ企業の支援拠点やコワーキングスペースが数多くあり、日本で最もイノベーションを受け入れる文化を持った街と言えます。 スタートアップ・エコシステムの拠点化には規制緩和の問題もかかわるため、国の支援も必要不可欠ですが、区に求められる役割としては、まず渋谷がオープンイノベーションを受け入れ、スタートアップを積極的に支援していくまちであるというブランディングをし、発信していくことが考えられます。また、国際都市として、外国企業や海外からの起業家を積極的に受け入れ、その生活を支援していくことも考えられます。 区内でのスタートアップ支援を行っている企業や、一般社団法人渋谷未来デザインとも連携し、海外の事例なども参考にしながらスタートアップ・エコシステムの拠点化の検討を進めてまいります。 次に、財源についてのお尋ねです。 私はかねてより、ふるさと納税による返礼品の過当競争に加わることは、歳入確保のためとはいえ賢明な策ではないと、繰り返し発言してきました。議員御発言のとおり、昨年度第二回定例会で貴会派の質問に対し、ふるさと納税制度で芽生え始めた寄附文化を活用して、地域社会の課題解決に取り組む質の高い活動を支援する資金であるソーシャル・アクション・ファンドのように、使用用途をNPO支援に特化した寄附制度の検討を行いたいと答弁しました。 その後、庁内で関係部署を集めた検討会を立ち上げ、他自治体の先行事例の研究やNPO団体との協議を行ってきましたが、一過性のものではなく、永続的な制度とするための仕組みづくりの検討にはもう少し時間が必要です。 一方で、現在工事中の宮下公園の仮囲いに、NPO法人と美大生らと総勢二百名ほどのボランティアが、渋谷の街で少女が愛犬を探すストーリーのイラストを描きました。イラストの登場人物には、障がい者やLGBTのカップル、車椅子のスポーツ選手など、渋谷の特徴であるダイバーシティが表現されています。この製作にかかわる費用をクラウドファンディングで募る試みも行われました。このような取り組みは、今後の参考になると考えています。 議員御提案のスタートアップ・エコシステムの事例も参考とさせていただき、なるべく早期の実現に向け引き続き検討を進めてまいります。 続きまして、区民生活の環境整備についてのお尋ねです。 まず、ハロウィーン対策における「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」案について、目的、効果、善後策について並びに実効性の確保に関するお尋ねです。 本条例案につきましては、本年二月に立ち上げた渋谷ハロウィーン対策検討会から提出された中間報告を踏まえ、区のハロウィーン等を対象とした条例案を策定し、上程したところであります。昨年の自動車が横転させられた事案等を踏まえ、受容の限界を超えた人々が密集する状況で発生した、犯罪行為や迷惑行為を未然に防止する必要が生じた背景から、渋谷駅周辺地域における区民、事業者及び来街者の安全・安心を確保して、マナーの向上及び迷惑行為の防止を推進することにより、渋谷区が成熟した国際都市へと進化していくことを目的としたものであります。 本条例の効果については、ハロウィーンや年末カウントダウン等の、人々が密集するエリアにおける路上等での飲酒行為が、様々な犯罪行為や迷惑行為を引き起こし、区民等に大きな不安感を与える要因となっていることから、罰則規定はないものの、公共の場所における飲酒制限を広く、来街者等のモラルに訴え、ルールやマナーの遵守につなげていくことにより条例の実効性を確保し、渋谷駅周辺地域の平穏と来街者等の安全・安心の確保に寄与していきたいと考えています。 さらに、その後の善後策としては、渋谷駅周辺地域の事業者に対しても、酒類の販売自粛を積極的に要請します。また、公共の場所における飲酒の制限や迷惑行為の禁止については、チラシの配布、大型ビジョンの活用、区のホームページやツイッターでの配信、ハロウィーン等の期間中におけるパトロールの強化など、あらゆる工夫を凝らしながら周知の徹底を図ってまいります。 実効性の確保のための条例改正については、この取り組みの効果を検証した上で検討してまいります。 次に、制限、規制の次のステップとして、モラル・マナーの意識醸成についてのお尋ねです。 区民生活の環境の整備を進めていくためには、渋谷区に係るあらゆる人の協力が必要となります。本区においては、S-SAPとして協定を結んでいる事業者や大学とタイアップして、様々な課題に取り組んでいます。路上喫煙対策やヤミ民泊などの制限、規制の次のステップアップとしてのモラル・マナーの意識醸成としては、S-SAP協定を結んでいる事業者や大学とタイアップした取り組みが考えられます。 今後、こうした取り組みを行うことで、S-SAP協定を通じて渋谷区にかかわる全ての人のモラルとマナーの向上を実現し、区民生活の環境と関連性の深い企業や団体と連携を進め、問題を人ごととしてではなく自分ごととして捉えることのできるよう、意識づけに取り組んでまいります。 次に、福祉について、まず、障がい者サポートに関する個人カードについてのお尋ねです。 この個人カードは、名称を「渋谷区障がい者サポートカード」とし、相談支援専門員と協議しながら、障がい別に記載項目を調整するなど準備を重ね、間もなく作成事業をスタートする予定です。作成に当たっては、医療、行動特性、コミュニケーション、災害時の対応などについて、本人や家族からの聞き取りに基づき、支援相談専門員が必要事項を記録します。これらの記録内容は、災害発生時の避難行動、避難生活、移送支援などにも大変有効であることから、本人や家族の同意に基づき必要な情報を共有できるよう、庁内横断的な連携を強化してまいります。 次に、障がい者スポーツ体験教室について、現在実施しているスポーツセンター以外の施設でも実施し、二カ所で交互に開催すること。また、移動手段のサポート体制が必要とのお尋ねです。 教育委員会は、平成三十年三月に策定したスポーツ推進計画に基づき、生涯にわたる多様なスポーツの総合推進の施策の一つとして、本年四月からスポーツセンターにおいて障がい者スポーツ体験教室を実施しています。この事業は、障がいのある人もない人も、誰もが気軽にスポーツ参加をする機会をつくることを目的とし、あわせて、会場である大体育室をあえて反面のみ使用し、隣の反面を一般のスポーツ団体が使用することで、相互理解の進む環境づくりを目指しています。 障がいの有無にかかわらずスポーツを体験することは、まさに渋谷区が目指すダイバーシティとインクルージョンの実現に向けた取り組みです。今年度は初めての試みであることから、スポーツセンターのみで実施しておりますが、今後の取り組みについては、参加状況や利用者からの御意見や御要望も踏まえて実施会場を増やしていくことを、教育委員会とも調整しながら検討していきます。 また、移動手段についても、区立障がい者施設からのバス送迎や移動支援サービスの充実などを検討してまいります。 次に、地域見守り機能の民間委託についてのお尋ねです。 ひとり暮らしの高齢者、高齢者のみの世帯が増加傾向にある中で、多様な手法により見守り体制の構築が急務であると考えています。本区では、毎年九月に七十五歳以上の全ての高齢者を民生委員が訪問し、敬老祝い金をお渡ししながら生活調査を実施しており、このときに心配なケースとして判断した方については、地域包括支援センターと情報共有を行うとともに、必要に応じて見守りサポート協力員による日常的な見守りにつなげています。 また、警備会社が駆けつける緊急通報システム事業や、配食時に在宅確認を行っている食事券事業、高齢者宅を訪ねて実施する軽作業代行サービスなど、本区では民間事業者等への委託による見守りも行っています。さらに、郵便局や生活協同組合などと協定を締結し、郵便や食事の配達時に業務を行いながら、高齢者の見守りに取り組んでいます。現在でも多様な手法により見守りを実施していますが、今後もあらゆる機会を捉え、民間事業者などと提携をし、地域での見守り体制の強化に努めてまいります。 次に、渋谷区子育てネウボラの運用計画と今後のプランについてのお尋ねです。 先ほども申し上げたとおり、渋谷区子育てネウボラは、第二美竹分庁舎で関係所管が集まりスタートしたところであり、まずは妊婦全数面接から、支援の中心となる保健師が今後の出産・子育てに関する相談をお受けして、必要な支援をコーディネートしていきます。保健師だけでは対応が困難な場合には、保育士や心理職などの専門家もチームとして対応していく仕組みを整えます。 議員御指摘のとおり、今後の面接時の御意見・御要望を参考に、保育園に関する情報を初めとする子育て情報の充実や、LINEの活用による利便性の向上を図るとともに、神南分庁舎跡地複合施設では、さらにきめ細かく個別のニーズに合わせた子育て情報を提供できる環境を整えていきます。 また、渋谷区子育てネウボラの趣旨や目的を十分に理解し、組織横断的な対応を円滑に進めることができる職員を育成するため、さらなる専門知識の習得や資質の向上に努めてまいります。 次に、保育環境の整備についてのお尋ねです。 保育施設の子どもが公園等に散歩で、あるいはバギーで移動して行ういわゆるお散歩は、園庭の有無にもかかわらず身近な自然に触れ、豊かな体験を得る機会として、重要な保育活動の一つであると考えています。公園へ移動する際にバスで送迎する事業については、本区内の保育施設は原則として近くの公園等を利用しているところですが、園庭のない保育施設が増えてきている状況もあります。子どもたちの屋外活動の支援策の一つとして、それぞれの保育施設のニーズも確認しながら、他自治体の事例も参考に研究をしていきたいと考えています。 次に、青壮年期のひきこもり対策についてのお尋ねです。 議員御指摘のとおり、ひきこもりは若者だけではなく、中高年も含む全世代で増えてきており、とりわけ、ひきこもりの長期化した中高年が高齢者の保護者と暮らす八〇五〇問題は、新たな社会問題となっています。一方、本年三月に内閣府が初めて四十歳から六十四歳までの推計値を発表したように、現状では、ひきこもりの規模や状況を地域別に把握できる客観的なデータがほとんどありません。 本区としては、まずアンケート調査や支援団体のヒアリングなどを通じて、ひきこもりの実態を把握するよう努めてまいります。その上で、就労への移行についても、例えば、障がいがある人を対象に実施しているショートタイムJOBをひきこもりの人にも拡充するなど、企業やNPOと連携しながら、個々の状況に応じた適切な支援につなげていきたいと考えています。 次に、河津さくらの里しぶやの空地を、校外学習の実施場所に活用してはとのお尋ねです。 この土地は、本館の隣にあった古い宿泊棟を解体した跡地で、広さはおよそ五百九十平方メートルあり、現在は宿泊者や従業員の駐車場として利用しています。議員が御提案された、河津さくらの里しぶやを校外学習の場として活用することは、私も以前から考えていたことであり、海も川も山もある河津さくらの里を、是非学校で活用してもらいたいと、教育委員会に伝えていました。 学校が河津さくらの里しぶやを利用する場合に問題となるのは、十四室、定員六十四人という施設のキャパシティであると思います。もちろん、この規模で利用できる学校があれば、すぐに使っていただいても全く構いません。「子どもたちを河津に行かせたい」「せっかく区の保養施設があるなら活用したい」という声やプランが届くようであれば、すぐにというわけにはいきませんが、児童・生徒専用の宿泊棟を増設することなども、今後検討していきたいと思います。是非、教育委員会や学校での検討が進むことを期待しています。 町会組織の充実施策について。 次に、町会加入者を増やしていくための、SNSの活用についてのお尋ねです。 これまでも、区内町会では独自のホームページ制作や地域の情報SNS掲示板「マチマチ」との連携などにより、地域活動や行事の情報を提供しているところです。また、区では、「渋谷区新たな地域活性化のための条例」に基づき、地域で活動する町会・自治会等のホームページ開設に要する経費やICT機器の購入に要する経費など、加入促進に関する財政支援を行い、少しずつではありますが、町会独自のホームページも増えてきています。 区では、町会長へのアンケート結果や、日ごろからの地域の声を受け、町会役員の高齢化や世代交代、集合住宅の加入促進などが町会の優先課題と捉えています。議員もおっしゃられていたおとなりサンデーは、その催しを通じて、地域の中で活動する方々と地域の団体が世代を超えて知り合いになり、活動の手助けや、将来的には地域の活動を担っていただけるきっかけとなることを、施策の目標としています。また、集合住宅の加入促進にも、町会加入チラシをリニューアルし、転入手続の際にお渡ししたり、不動産業者への周知を図るなどの働きかけを行っています。 御提案いただいているSNSを活用してコミュニティ形成を補完していくことは、大いに賛同するところですが、担当者やサポート体制を区が主導するということではなく、おとなりサンデーをきっかけとしてお知り合いになった、地域で活動するNPO法人、個人事業を営む方、SNSの発信に詳しい方と連携していただいたり、これから事業が立ち上がる「シブカツ」との連携による地域人材の発掘、ウエブやSNSに知識のある方とのビジネスマッチングなど、町会加入の支援策となる可能性がありますので、これらの施策をさらに進めていきたいと考えています。 次に、地域コミュニティのワンストップ化についてのお尋ねです。 現在、地域の高齢者で何らかのサポートが必要な方には、地域包括支援センター、民生委員や安心見守りサポート協力員、ケアマネジャーが情報を共有し、随時必要なサポートを行っています。また、災害時に援護が必要な方の名簿を、町会で組織されている自主防災組織、民生委員、地域包括支援センター、安心見守りサポート協力員とで共有し、自主防災組織が発災時の避難支援プランを取りまとめています。 地域サポートのワンストップ化を実現するためのコミュニティマネジャーを配置していくことの御提案ですが、今後出張所業務でのIT化を進めていくことにより、地域コミュニティの総合的なサポート事業にシフトしていきたいと考えているところです。コミュニティマネジャーの配置についても、その一つとして研究していきたいと思います。 以上、私からの答弁といたします。
    ○議長(下嶋倫朗) 豊岡教育長。 ◎教育長(豊岡弘敏) 私には、教育について二点のお尋ねがありました。順次お答えしてまいります。 まず初めに、校外学習場所についてのお尋ねです。 小学校の段階における様々な自然環境の中での活動は、健康増進を図り心身の鍛練に努めるとともに、忍耐力や協調の精神を育成するために重要です。 小学校五年生の自然体験の活動場所としては、国立施設とか河津さくらの里しぶやを、各学校に選択肢として示しています。議員より御提案のありました海のプログラムの実施場所の確保に河津町並びに河津町観光協会の協力を得ることについては、今後、荒天時のプログラム実施などを踏まえつつ、検討してまいります。 次に、ICT教育環境についてのお尋ねです。 渋谷区では、区内の公立小中学校に通う児童・生徒及び教員に、一人一台のタブレット端末を貸与し、また、携帯電話と同じLTE回線を利用したICT教育システム「渋谷区モデル」により、学校だけではなく家庭においてもタブレット端末を活用した学習ができるようにしています。 本システムの導入以降、学校においてはタブレット端末を使い普通教室等における調べ学習、カメラ機能を活用し撮影した写真を用いた資料作成、プレゼンテーション形式での発表、授業のまとめの場面における意見の集約・比較を行い、様々な見方・考え方の提示、タブレット端末の機能を用いた宿題の配信など、着実に活用が進んでいます。 また、これまでのタブレット端末の活用状況から、学年に応じた操作能力の育成や、持ち帰りを進める上での家庭との連携が重要であることを改めて認識をいたしました。 今後、教育委員会といたしましては、学校におけるICT教育のさらなる推進に向け、本年十一月八日を「渋谷タブレットの日」とし、全ての学校がタブレット端末を活用し授業を公開いたします。この日に向け、指導室訪問や教員研修の実施を通して指導力の向上、並びに児童・生徒のタブレット端末活用の日常化に取り組んでまいります。また、次期のタブレット端末の導入に当たっては、現行システムに関する学校からの要望等を踏まえ、区長部局のICT関連部署と一体となり、全庁的な体制で検討を進めています。 さらに、二〇二〇年からの新学習指導要領では、小学校で新たにプログラミング的思考の育成が求められています。指導に当たっては、民間企業のノウハウが必要となり、S-SAP協定を結んでいる企業等の力をさらに活用し、教育活動の充実を図ってまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○議長(下嶋倫朗) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 先ほどの私の答弁の中で、ちょっと数字を間違えて言ったところがあるので、訂正させていただきます。 インフラ制度の計画整備についての御質問の中での答弁です。「施設の管理に関しては、国の主導により全国的に進められた公共施設等総合管理計画の策定を、本区は平成二十八年度に終了しています」が正解です。先ほどは、この平成二十八年度というのを二十九年度と発言してしまいました。訂正をお願いいたします。 ○議長(下嶋倫朗) 三番 中村豪志議員。 ◆三番(中村豪志) 区長、教育長より丁寧な御答弁をいただき、まことに感謝をいたします。 所感を二点述べさせていただきたいと思います。 まず、幾つかありました新施策について、組織横断的な連携がやはり必要不可欠であると理解をしています。まさに、運営側がまずその組織自体を理解をし、活用できるために、しっかりと研修教育というものを実施するという区長の御答弁もいただきました。是非、区民がサービスを利用するに当たり満足度が得られる、そういう運営にしていただきたいと、心から願います。 そして、もう一つはSDGs、モラル・マナー、スタートアップ・エコシステム等の施策について、かかわる活動をする企業、団体、そして学校、そういったところが民間活力を生かしながら、しっかり区民サービスを向上させる結果に結びつくよう、渋谷区としても積極的に応援をすることでサポートいただきたいと、心から願います。 そして、教育長におかれましても、将来の宝である子どもたちが、できるだけ多くの原体験から多くのことを学び、そして成長できる教育環境の整備というものを、これまで同様整備いただけることを期待をいたします。 最後になりますが、私ども渋谷区議会自由民主党議員団は、今までどおり区政進展のため、議会人としての矜持を持って最大限の努力をしてまいりますことを、令和となった新しい時代の幕開けのこの定例会において、改めてここにお誓いを申し上げ、私の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(下嶋倫朗) 議事進行上、暫時休憩をいたします。-----------------------------------   休憩 午後二時三十五分   再開 午後三時----------------------------------- ○副議長(岡田麻理) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 区政一般に関する質問を続行いたします。 十四番森田由紀議員。 ◆十四番(森田由紀) 私は、シブヤを笑顔にする会を代表いたしまして大きく八つ、区長並びに教育長に質問させていただきます。 質問に入る前に、一言申し述べさせていただきます。 去る五月二十八日、神奈川県川崎市にてスクールバスを待っている子どもたちを含む十九名に男が刃物で襲いかかり、小学六年生と男性二名の命が奪われました。私も二児の母として心痛む事件に、犠牲となられました方の御冥福を心よりお祈り申し上げます。 シブヤを笑顔にする会は、今期より、佐藤真理議員とともに新人三名、神薗麻智子議員、橋本侑樹議員と私、森田由紀が新たに加わり、八名のうち女性が五名という仲間で、それぞれの個性と違いを力に変えて、区民の誰もが笑顔で暮らせる渋谷にするために一致団結して邁進する所存でございます。 さて、このたびの区長選挙において、長谷部区長におかれましては二期目の御当選、心よりお祝い申し上げます。まことにおめでとうございます。 私も、このたび渋谷区議会議員選挙におきまして区民の皆様の多くの御支援をいただきましたおかげで、渋谷区議会議員の一員として働かせていただくことになりました。改めまして、区民の皆様には深く感謝しております。 ここで、私の渋谷区議会議員としての決意表明をさせていただきます。 私はこれまでの七年間、NPO法人で社会課題と向き合い、活動してまいりました。平成二十八年からスタートした「渋谷をつなげる三十人」の一期生として、私は企業、行政、NPOのクロスセクターで課題に向き合う機会をいただきました。それぞれの立場が渋谷をよりよくしていきたいと同じ目標に向かって議論し合い、協創、(協力して創る社会)と協働、(協力して活動する社会)の大切さから、組織の壁を超えてお互いの強みを出し合い、社会課題の解決を目指すアプローチにつながる糸口を学びました。この経験を生かして、渋谷の協働モデルをどんどん提案していきたいという思いでおります。 以上のことを申し上げまして、質問に入らせていただきます。 最初に、これからの渋谷区政について区長に伺います。 長谷部区長は選挙期間中、「課題を解決するだけではなく、渋谷区の可能性を生かす政策を進めたい」と話されていました。区長が旗振りされた一期目四年間を振り返ってみますと、先進自治体として、多くの可能性を切り開いてきたと思います。 先日、三年目を迎えた「おとなりサンデー」の実施や、町会その他の地域共同体の活性化を図る「渋谷区新たな地域活性化のための条例」制定は、地域の課題を地域で解決し、誰もが生き生きと暮らせる社会を実現するための試みだったと考えます。全国に先駆けて発行した同性カップルへのパートナーシップ証明は、セクシャルマイノリティーの方々に自分らしく生きる勇気を与え、その後、多くの自治体が追随しました。従来の福祉の枠を超えて新しい価値を生み出す「超福祉」からは、障がい者の個性を生かしたシブヤフォントが誕生し、渋谷土産に発展しました。 また、区内に拠点を置く企業や大学等と協働して社会的課題を解決していくS-SAP協定や、公民連携を実行支援する「一般社団法人渋谷未来デザイン」の設立からは、多くの新たな取り組みが生まれています。新宮下公園等整備事業ではPPPの先進モデルを推し進め、区民が主体のまちづくり「ササハタハツ・プロジェクト」でも、地域にかかわる民間事業者の協力を得て進めています。 さらに、渋谷のど真ん中で開催した「渋谷盆踊り」は、新しいものと古いものを融合した新たな文化を全国に発信し、平成二十七年「ササハタハツ・プロジェクト」の前身となる「かもづくりフューチャーセッション」では、百年に一度と言われる大規模な渋谷駅前周辺再開発を大々的に発表したことで、何度もニュースに取り上げられ、全国に知らしめるきっかけとなりました。 こうした人、もの、情報から生まれるエネルギーこそ、渋谷区の持つ力の源泉であり、これらを区政に、いかに生かしていくかを区長は「可能性」と表現されているのではないかと考えております。 区長発言にもあります「可能性をはぐくむ街、渋谷区へ」とのフレーズのとおり、今後の四年間で、渋谷区の可能性をどう発展させていくのか、これからの区政について区長の具体的なビジョンをお聞かせください。 まちづくりについて、三点伺います。 一件目は、令和元年で三年目を迎える「ササハタハツまちづくり」についてです。 これまで地域住民の方から出された多様な意見やアイデアを踏まえ、住民が主体となったプロジェクトが進んできたことと思います。一月の全員協議会でも御報告がありましたが、「ササハタハツまちづくり」を長期的な視点でまちの活性化につなげ、地域課題の解決を目指す「(仮称)まちラボ」を設置する計画となっています。二年間の取り組みの成果や実証実験が、持続可能な活動へ発展していくとともに、甲州街道、緑道、水道道路や公共施設の新たな活用なども期待しております。 また、五月二十三日、元ニューヨーク交通局長のジャネット・サディク=カーン氏が交通政策の視察で来日した際に、区長は「ササハタハツエリア」も一緒に御案内されたと伺いました。区長は以前より、延長約二・六キロメートルある玉川上水旧水路緑道を、鉄道高架を再利用したニューヨークの公園「ハイライン」のように整備することを目指すとおっしゃっていました。今後につながるヒントが見つかったことと思います。 そこで、区長にお伺いします。 ササハタハツまちづくり各プロジェクトを支える「(仮称)まちラボ」に関して、運営主体の考え方や具体的な内容及び設置までのスケジュールについてお示しください。 二点目は、首都高速道路の高架下を活用した「西参道プロジェクト」についてです。 区長の選挙公約で発信されていたこともあり、近隣住民の関心が高くなっております。しかしながら、具体的な情報が出てこないことにより不安に感じていらっしゃる方や「ササハタハツまちづくり」のように地域住民として主体的にまちづくりにかかわりたいが、どのようにしたらよいかといったお声もいただいております。 「ササハタハツまちづくり」の玉川上水旧水路緑道とは違い、用地を含む高速道路施設の所有者が日本高速道路保有・債務返済機構、高速道路の運営事業者が首都高速道路株式会社ということもあり、公開できる情報が限られているかもしれませんが、四月一日より西参道高架下利活用に関する公募型プロポーザルも実施され、事業者の決定もちょうどなされている時期かと思います。 そこで、「西参道プロジェクト」の今後の具体的な計画及びスケジュール、また「ササハタハツまちづくり」とどのように絡めていくのかについて、区長の所見をお伺いします。 三点目は、シェアリングシティについて伺います。 渋谷区は平成二十九年六月、シェアリングエコノミーを活用した地域社会的課題の解決を推進するために、シェアリングエコノミー協会と連携協定を締結し、日本初の都市型モデルのシェアリングシティの実現と創出を目指すと発表されました。そして平成三十一年三月、渋谷区観光協会とシェアリングエコノミー協会は、「国際観光都市シブヤ」を目指し連携協定を結びました。ますます渋谷区がシェアリングシティに向かっていくことで、区民の期待も高まっていると思います。 さて、そもそもシェアリングシティとはどんな街でしょうか。都市やエリア単位で時間、スキル、所有物などの資産を共有するコミュニティのことです。シェアされる資産が街のインフラとなり、街の活性化に役立ちます。地域でそのシェアの動きを推進することで、個人の資産をより多くの不特定多数と共有し、地域内で不足しているサービスや資産を分け合い、地域の課題を解決する側面を持っています。シェアリングをきっかけに、これまで知らない誰かとつながり、新しい暮らし方や働き方を生み出すこともできます。効果的に活用できれば大きな経済効果と地域活性化をもたらします。 区民がシェアリングサービスや価値を具体的に理解していくためにも、既にシェアリングを活用している実践者の話を聞いたり、サービスを学ぶイベントを開催するのもよいのではと思います。 シェアリングサービスを学ぶイベント開催と併せて、区長の所見をお伺いします。平成二十九年六月よりちょうど二年がたちました。区長がおっしゃるベストプラクティス--最良の実践事例は生まれておりますでしょうか、区長の所見をお伺いします。 次に、交通について二点伺います。 一点目は、ハチ公バス路線についてです。 シブヤを笑顔にする会では、これまで何度かハチ公バスについて質問を重ねてきました。「逆回りルートも設定してほしい」「乗りかえができるようにしてほしい」「広尾ルートをつくってほしい」「丘を越えてルートは区役所まで延ばしてほしい」「運行本数を増やしてほしい」「定期券をつくってほしい」「シニアは無料にしてほしい」など多くの提案をさせていただきました。平成二十九年第四回定例会で「区内観光名所を巡るハチ公観光バスを走らせてほしい」と提案した際には、区長より、「福祉面での役割を継承しつつ、バス運行事業者とも具体的な相談を重ねながら、引き続き観光バス運行や新ルートの可能性を探ってまいります」との答弁をいただいております。 改めましてハチ公バスの事業拡充について、その後の進捗を区長に伺います。 私は「ササハタハツ」プロジェクトに二年ほど参加し、何度となく代官山から笹塚、幡ヶ谷、初台に足を運びました。同じ区内なのに、渋谷駅を経由すると何となく遠く感じます。しかし、実際には自転車で山手通りを走ると笹塚まで二十五分で着きます。また、恵比寿、代官山に住む方からも同様に、西原スポーツセンターに行く機会が多いのですが、「ハチ公バス路線の渋谷駅経由でのアクセスに不便さを感じている」という声が寄せられています。是非山手通りを直通する南北ルートの設定をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか、区長の所見を伺います。 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、海外からの観光客を含む来街者の増加が予想されますが、渋谷駅周辺地域だけでなく、渋谷区内全域への回遊性をよくすれば、地域活性化のよい機会になると考えます。新ルートの開設には様々なハードルがあることは承知しておりますが、これらの課題を乗り越えるために、必要な条件があればお聞かせください。あわせて区長の所見を伺います。 二点目は、交通の新しい形態「AIオンデマンド乗り合い交通」についてです。 近年、高齢者ドライバーによる交通事故が頻発し、多くの死傷者が出ています。自動車メーカーも自動ブレーキなどの安全技術を搭載した、いわゆる「サポカー」の開発に努め、自動運転車の開発も急いでいますが、急激な高齢者ドライバーの事故の増加に追いつかないのが現状です。 渋谷区では六十五歳以上の方を対象に、自動車免許を自主返納される高齢者の方にハチ公バスの回数券を交付し、自主返納を支援していることは評価いたします。一方で、ひとり暮らしの高齢者には自動車にかわる移動手段を確保し、家に引きこもらないよう外出を支援することが介護予防の観点からも重要です。 平成二十九年の「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」によれば、区内でひとり暮らしをする六十五歳以上の高齢者は三四・四%に上り、平成二十六年の前回調査の二三%から急速に増えています。また、年齢が高くなるほど「ひとり暮らし」が多くなる傾向が見られます。 ハチ公バスの路線拡充は是非お願いしたいものの、全ての移動ニーズを定期路線でカバーするには限界があるでしょう。とはいえ、いつでもピンポイントに行きたいところに行けるタクシーは、やはり料金の高さが問題点です。 そこで、九人乗りのワゴン車を乗り合いで運行するオンデマンド交通を整備してはいかがでしょうか。タクシーのように任意の目的地まで乗ることができ、一人で乗車するよりも料金が安く抑えられます。ただし、乗車地点も降車地点もバラバラな乗客を、どのように効率的にマッチングして、ピックアップし、距離と時間のロスを最小限に抑えたコースをとるかが問題です。そこをAIの力で解決し、乗客それぞれのニーズから最適コースや料金を算出する実証実験が既に始まっています。 本年四月に伊豆エリアでスタートした、日本初の観光型MaaS(マース)実証実験では、専用アプリケーション「Izuko」でAIオンデマンド乗り合い交通も実現し、観光客の利便性向上と地域活性化に寄与しています。 MaaSとは、利用者の目的や嗜好に応じて最適な移動手段を提示するサービスのことです。スマートフォンで検索すると、近くの乗り合い車が迎えに来るまでの待ち時間がわかり、アプリ上で予約・決済ができるため、目的地までそのまま移動ができて支払いもキャッシュレスです。 また、千代田区では、丸の内エリアを発着地点とした「オンデマンド通勤シャトル」の実証実験を実施しました。東京・丸の内エリアに勤務する人を、スマートフォンのアプリケーションで選択した場所から勤務地付近まで送迎するサービスで、休日を除く毎日、朝は六時三十分から九時三十分、夜は十七時四十五分から二十時三十分の時間帯で運行し、「ビジネスパーソン」向けと「ワーキングパパ・ママ」向けの二つを実施したそうです。 横浜市青葉区では、田園都市線たまプラーザ駅近くの住宅街を巡回する「オンデマンドバス」の実験運行を開始しました。東急電鉄や横浜市は、郊外型住宅地が「いずれゴーストタウンになってしまうのではないか」という懸念を抱いているようで、買い物、福祉、医療、子育て施設など、生活に必要な施設を住民からの予約に応じて運行されるオンデマンドバスで結び、地域住民の外出を促す狙いがあるそうです。 もし、こうしたオンデマンド乗り合い交通が渋谷区で実現できれば、高齢者、障がい者、妊婦、乳幼児連れなどの交通弱者が、同じ方向に向かう車両に低額で乗り合いできるなど、ハチ公バスを補完する移動手段になると考えます。さらに外食や買い物を楽しむ機会なども増えると考えます。 マイカーやタクシーよりもエコな移動手段、技術的には既に民間で開発されています。各地で実証実験を担っている事業者は、令和三年までに百の自治体に同様のサービスを広げたい方針を打ち出しています。是非渋谷区も連携してはいかがでしょうか、区長の所見を伺います。 次に、公園の整備についてお伺いします。 東京都では「スペシャルニーズ」、つまり障がいがある子どもとない子どもがともに安全に、安心して遊ぶことができる遊戯場であるインクルーシブ公園を世田谷の砧公園と府中の森公園で整備することになっています。 インクルーシブ公園は、日本ではまだなじみがありませんが、欧米では広く普及しているもので、これまで公園で遊ぶことが難しかったスペシャルニーズのある子どもたちが安心して遊ぶための工夫や配慮がされています。 そもそも「スペシャルニーズ」という文字のあらわし方については、障がいのある方を、特別な支援や配慮を必要としている方という意味で「スペシャルニーズのある方」と表現することが一般的になりつつあります。例えば、大型遊具にスロープがついていて、車椅子でもアクセスできたり、ブランコに背もたれと固定器具があって肢体不自由児でも乗ることができたり、ゲートがついていて発達障がいなど行動の抑制がきかない子どもが飛び出していかないよう配慮がなされています。 東京都ではこういうコンセプトの公園を設計するのは初めてということもあり、一年かけて数多くのスペシャルニーズ当事者の保護者から話を聞くとともに、有識者から話を聞き取るなどしてきたそうです。今後、こういった公園が各地に増えていく必要性があることから、東京都では、区市町村など他の自治体に対して、積極的にノウハウやスキルを公開していくと仄聞しております。 本区では昨年度、区民環境委員会の中で、区立公園等に設置されている遊具の構造及び機能を点検し、安全性の確保と維持を図る調査を実施し、一部の遊具は撤去し、再設置をすることが決まっています。その結果、C判定とされた遊具のうち、ホームページに記載されているとおり「更新--既存の遊具は撤去するが、公園敷地が広く、同種類で同規模の遊具を設置する」というグループ七基と、「再設置--既存の遊具を撤去するが、公園敷地が狭く、同種類で同規模の遊具は設置できないもの。ただし、規模を縮小させた遊具等、設置可能な遊具を検討していく」というグループ十五基は令和二年三月に全箇所完了すると発表されています。 そこで、今後、更新対応していく遊具については、東京都の情報等を参考にしながら、インクルーシブな遊具を設置することを検討すべきではないでしょうか。 さらに、ササハタハツ地区の緑道など、大規模な公園整備計画等も進めていく際には、それらの計画の中にも、インクルーシブな視点の整備を進めていただきたいと思います。区長の所見を伺います。 次は、環境、防犯について三点伺います。 一点目は、落書きについてです。 渋谷区では、「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」第十四条で「土地、建物及び工作物を所有し、又は管理する者は、落書きが放置されているため地域の美観を著しく損なう状態にあるときは、落書きを消去し、原状の回復を図るとともに、良好な状況の維持に努めなければならない。」と規定されています。 しかし、区内の公共空間を初め、民地での落書きは増加傾向にあります。高齢者の方から「一人では消せない、道具をどうやって手に入れたらよいか、何で消せばいいかわからない」「たまたまビルに落書きをしている姿を目撃したが、怖くて声がかけられなかった」との声や、建物の所有者からは「ずっと気になっているが、どうしたらよいかわからずついつい放置している」という声も聞きます。 改めて公共空間二カ所の現状を調査してみました。こちらをごらんください。   (パネル提示) ◆十四番(森田由紀) 宇田川町の壁面です。 宇田川町の壁面はびっしり落書きがされています。この場所は神南小学校正門のすぐそばで、平成十七年、宇田川町リーガルウォールとして企業が協賛のもと、アーティストが作品を描いたアートウォールでした。しかし、今までは多数の落書きが上書きされている状況です。   (パネル提示) ◆十四番(森田由紀) 続きまして、こちらは、猿楽橋高架下です。猿楽橋高架下は、落書きを消してはかかれての繰り返しです。昨年末、落書きを消しましたが、すぐにまたかかれてしまい、現在そのままの状態です。 落書きがある場所は、ごみの不法投棄、たばこの受動喫煙の誘発、異臭、暗がりの犯罪につながる心配もあります。渋谷区は平成三十年三月に環境基本計画を発表しました。その中で、「落書きバスター(仮称)」の創設により区民、来街者からの通報の仕組みや落書き消去活動ボランティアの育成支援、また、美術系学生やアーティストと連携し、落書きされそうな場所へのアートワークの製作、さらには企業の社会貢献活動としてのこの取り組みに対して、物的、金銭的支援をいただく仕組みをつくっていくとされています。その後の具体的な行動計画はいかがでしょうか、区長の所見を伺います。 海外では、先進的な取り組みが見られます。アメリカ・フェニックス市は、落書きを見つけたらすぐに通報できるホットラインを開設しています。落書き対策にはスピードが大切であるため、通報があってから通常は二十四時間から長くても四十八時間以内に除去することを目標としています。 さらに市民からの落書きに関する通報、市民への落書き問題の周知、用具の貸与などを行っていて、市の担当課にあらかじめ登録している団体であれば、地域の環境を改善するための用具を無料で借りることができます。各団体は、市が倉庫に保管してある用具をとりに行くことができるだけでなく、「落書きバスターズ」と呼ばれる同市の担当者が直接配達もしてくれるそうです。 渋谷区も平成三十一年三月、景観問題の解決のためにボッシュ株式会社より落書きを消すための高圧洗浄機ほか電動工具二十九点を寄贈いただきました。この工具を区民や地区美化推進委員会にPRして利用促進を図るなど、もっと積極的に活用を図ってはいかがでしょうか、区長の所見を伺います。 また、フェニックス市サニースロープビレッジ地区では、地区内の中学生とともに落書きを除去する活動を行っており、落書きが犯罪であることについて教育活動を実施しています。こうした活動により、同地区内における落書きは減少し、一定の成果を上げたようです。本区においても教育活動の一環に取り入れてはいかがでしょうか。 また、落書きを繰り返される壁そのものを壁面緑化したり、シブヤフォントを使った障がい者アートを描くなど渋谷らしい対策を取り入れるべきと考えますが、いかがでしょうか、区長の所見を伺います。 二点目は、防犯アプリを活用した協創・協働モデルについてです。 七月一日より受動喫煙禁止に伴う過料の徴収も始まります。たばこのポイ捨てと同様に、ごみの不法投棄、落書きなど、総合的な環境保全に関する取り組みが必要だと考えます。 そこで、渋谷を愛する区民、企業、団体、NPOの力をかりて協創・協働するきれいなまちづくりサポーター、略して「きれまちサポーター(仮称)」を提案します。 たばこのポイ捨ては分煙指導員が対応しますが、ごみの不法投棄や落書きはきれまちサポーターに巡回いただいてはいかがでしょうか。 きれまちサポーターは一般公募で呼びかけ、あくまでも任意で参画いただくこと。日ごろの生活や活動の延長線上でパトロールをお願いし、落書きやごみの不法投棄など気になる場所を発見したら通報いただきます。その通報方法ですが、平成三十一年三月よりスタートした防災アプリのように、防犯アプリを開発してはいかがでしょうか。リアルタイムで位置情報と写真を区に送っていただくものです。通報データを蓄積していけば今後のきれまち対策にも活用できると考えます。 また、サポーター登録いただいた方には、渋谷ハロウィーンや年末カウントダウンのような大型イベントの際に、見守りとごみ拾いの呼びかけをお願いすることも検討してはいかがでしょうか。 足立区にも同様の事例があります。落書き一一〇当番を設置し、発見した人は所管に電話通報する仕組みとなっています。登録している団体の中には、そば屋パトロール、新聞配達パトロールのような、日々まちを巡回している企業にパトロール協力をお願いしています。渋谷区でも是非検討していただきたいと考えます。区長に「きれまちサポーター(仮称)」の創設について所見を伺います。 三点目は、渋谷ハロウィーンについてです。 平成三十一年第一回定例会で我が会派の伊藤毅志議員より、渋谷ハロウィーン等における路上飲酒の禁止や交通規制などを盛り込んだ規制条例制定の提案をさせていただきました。 令和元年五月、「渋谷ハロウィーン対策検討会」による中間報告があり、課題の整理と問題提起が明らかになりました。これらを受けて、本定例会には「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例案」、いわゆるハロウィーン等規制条例が上程され、様々な安全対策の具体化が盛り込まれましたこと、率直に評価いたします。 この条例案には罰則規定はないようですので、渋谷区として条例の実効性を上げるための方策が必要です。是非さきに提案しました「きれまちサポーター(仮称)」やボランティアを募って、彼らに「ノーリカー」と書かれたビブスを着用して巡回パトロールに協力いただいたり、渋谷駅周辺の大型ビジョンをフルに活用してノーリカーの呼びかけを行うなど、抑止策を講じてはいかがでしょうか。罰則規定は設けなくとも、この条例にかける渋谷区の本気度を示す必要があると考えます。区長の所見をお伺いします。 次に、子どもの安全対策について伺います。 先日、滋賀県大津市で保育園の子どもたちのお散歩中の列に軽自動車が突っ込み、園児二名のとうとい命が失われる事件・事故が起きました。また、冒頭でもお伝えしました神奈川県川崎市では、登校中の児童ら十九人が相次いで殺傷され、二名の命が失われるという事件も起きました。二度とこのような痛ましい事故や事件が起きないよう、再発防止に全力で努めることが必須であると考えております。 渋谷区の保育園においては大津市の事件を受けて、既に園児のお散歩コースに関しては緊急の安全点検が行われていると聞いております。その後、改善すべき道路に関して保育園から報告はありましたでしょうか。また、報告があった場合、どのように対応されているのか区長にお伺いします。 次に、幼稚園のお出かけと小学校の登下校についてお伺いします。 保育園では緊急の安全点検が行われていますが、区立幼稚園に関しても遠足などのお出かけコース点検は行われましたでしょうか。また、区立小学校の通学路に関しては、子どもたちが一人で登下校することも考え、交通安全及び防犯の二つの観点から緊急安全点検を行う必要があると考えます。こちらは全ての学校の点検が実施されていますでしょうか。 区立幼稚園、区立小学校の点検がまだのようであれば、是非警察などの協力もおかりして緊急安全点検を行い、安全性が担保されない道路に関しては整備を行う必要があると考えております。こちらは教育長にお伺いします。 安全対策の最後に、点検結果の公開についてお伺いします。 点検した結果に関しては警察や関連部署へ連携し、道路の改善状況を各園や学校へ伝えていると伺っています。その調査結果報告を区のホームページに公表していただきたいと考えます。 平成三十年六月に内閣府からも登下校防犯プランが打ち出され、地域の連携強化についても具体的な提示がなされています。関係者による合同点検の推進、進捗を見える化することで、関係者の連携が深まると考えられます。教育長の考えをお示しください。 次に、教育について二点伺います。 一点目は、放課後クラブについてです。 平成十六年から段階的にスタートした放課後クラブ事業ですが、今年でちょうど十五年を迎えます。これまでを振り返りますと、スタートした当初は学校の中に学童をつくるという先進的な取り組みに他区からも注目を集めました。この十五年で放課後クラブを利用する御家庭の世帯状況も、共働き世帯が増加するなど保護者にも変化が起きています。 渋谷区の小学生のいる御家庭は、学童保育の待機児童になるという心配はせず、また、現在でもB会員に関しては、区立幼稚園同様に十九時半まで預けられる状況で、小学校生活を送ることができることに対して、多くの御家庭が評価しています。 また、今後は保育園利用者の伸びに伴い、B会員の需要が伸びることが想定されます。昨年度までの増加数を見ると、渋谷区の放課後クラブ会員数は平成二十五年から平成三十年の間で登録者数は三千五百七十名から四千三百六名と七百三十六名増、B会員は千九百八十九名から二千七百九十五名と八百六名増加しています。また、平成三十年に東京都教育委員会が発表した「東京都教育人口等推計報告書」によると、渋谷区の区立小学校の児童数は、今後五年間で六千三百六十二人から七千八百三十二人と二三・一%増加となることが予測され、放課後クラブのニーズそのものも、さらに高まっていくものと推察されます。 そこで、十五年の節目にA・B会員の保護者及び児童に対して、また、放課後クラブに登録していない御家庭の保護者に対しても、放課後クラブ事業に関する実態ニーズを把握できるアンケート実施を提案します。 私も保護者としてPTAの活動をする中で、放課後クラブの長期休暇の昼食提供やおやつの質改善、部屋の狭さや学習プログラムの充実など多くの声をいただいています。また、今年度より、放課後クラブ事業の充実を図るために統括コーディネーター設置という新しい取り組みもスタートしています。次年度へ向けた企画立案の際に、アンケート結果は保護者や児童の関心のある分野やニーズを踏まえたプログラムの設計及びコンテンツ収集に必ず役立つものと考えております。 御家庭や児童の利用の実態把握及びニーズを引き出すことのできるアンケート調査の実施について、教育長の所見を伺います。 二点目は、学校指定用品についてです。 渋谷区の区立小中学校では、学校生活に必要な備品、例えば上履きや体育着などを指定し、学校ごとに同一のものを使うことになっております。それに伴い、購入店舗は学校指定先を推奨されていることもあり、共働き、ひとり親家庭では営業時間内に購入することが困難であるという保護者の声が寄せられております。 宮城県では「学校用品ドットネット」というサイトがあり、学校用品に必要なものを宮城県学校用品協会という会社が学校とは別の組織で運営し、購入できる仕組みがあります。本区においてもネット購入が実現できれば、補助教材で必要となる習字セットや鍵盤ハーモニカなど、先生が一括購入を担当されていた作業もネット通販に切りかえることもできますし、子どもにお金を持たせて先生が回収するといった、お金の授受がなくなることから、保護者も先生も安心して学校生活が送れます。 今年度に入り、渋谷区の一部の公立小学校ではウエブ写真販売を導入されていて、コンビニ支払いとカード決済の二通りが選べるようになりました。送料は別途かかるものの、その制度は保護者からも好評で、「わざわざ写真の注文のために学校へ行かなくて済むようになった」との声も聞こえています。 このような仕組みと同様に、学校指定品もネット販売を併用し、実店舗と選択できるようにしてはいかがでしょうか。教育長に所見を伺います。 最後の質問は、シブカツについて伺います。 人生百年時代を迎えて、元気な高齢者を新たな活動につなげる支援を行う事業「シブカツ」が七月一日よりスタートします。この事業は、一、区の事業や地域で活動する団体などの情報を一元化、二、新しい働きの提案や、プロボノやハチコウ大学のような新たなサービスの構築、三、専用ウエブサイトを作成して的確なマッチングの三つを軸に、情報発信、学び、就労支援があると聞いております。 スタートまで三週間余りとなりましたが、まだそれぞれの取り組みのビジョンとミッションがわかりづらいという声があります。 そこで、二点質問します。 一点目は、ハチコウ大学や就労支援についてです。 五十五歳をプレシニアと設定し、登録を呼びかけています。五十五歳は親の介護に追われていたり、中には子どもの学費にお金がかかる方もいます。対象の方がわかりやすいように、想定されるロールモデルを発信してはいかがでしょうか。例えば、五十八歳の女性で元教員の方が、ハチコウ大学で文章講座を学び、地域レポーターになったなど、シブカツ講座受講によって学びからセカンドキャリアにつながる事業計画をお示しください。 また、ハチコウ大学や各種講座についても、渋谷区にある八つの大学と連携すると伺っていますが、具体的にどのような講座をお考えでしょうか、区長の所見をお伺いします。 二点目は、登録者データ管理についてです。 登録者のスキルや趣味・趣向を個別管理するなど、「どんな紹介に対してどんな活動につながったか」が一元管理できるデータベースはどのようにお考えでしょうか。是非データベースや登録者別のマイページができることを期待しています。また、初年度の目標登録者数もあわせて区長に所見を伺います。 以上、区長、教育長の答弁のほど、よろしくお願いいたします。 ○副議長(岡田麻理) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) シブヤを笑顔にする会、森田由紀議員の代表質問に順次お答えします。 まず初めに、これからの区政についてのお尋ねです。 先ほど渋谷区議会自由民主党議員団、中村豪志議員の代表質問にもお答えしましたが、二期目の区政運営に当たっては、諸先輩が築かれてきたすばらしい渋谷区政に創造性を加え、さらに発展させ、次の世代に継承していくことの責任と重みを意識し、誰よりも汗をかいていくつもりです。 一期目の四年間で、課題を解決するだけでなく、このまちが持っている可能性を育んでいくことの重要性に改めて気づかされました。可能性を育むための具体的なビジョンは「可能性をはぐくむ街、渋谷区へ」に記載しました。ここに掲げた内容は全て実現したいと思っています。 特に甲州街道エリアのまちづくりや子育て環境の一層の充実、シニアの方々を応援する施策をさらに推進していくつもりです。森田議員も「可能性をはぐくむ街、渋谷区へ」の実現に向けて御協力いただけるとうれしいです。 次に、ササハタハツまちづくりについてです。 ササハタハツまちづくりでは、地域住民や地域にかかわるあらゆる人々にとって魅力的なまちにしていくために、フューチャーセッションにより未来志向で対話し、良好な関係性がつくられ、昨年度は「初台緑道マルシェ」など参加者による自発的なプロジェクトが展開されています。 フューチャーセッションの取り組みを経て地域課題について再認識し、今年度はササハタハツまちづくりを長期的な視点でのまちの活性化とコミュニティ形成につなげ、新たなサービスや事業の創造を目指すための「(仮称)まちラボ」について設置検討を進めているところです。 (仮称)まちラボの主体は、持続可能な仕組みを構築するために産官学民連携を前提とした地域主導による運営が望ましいと考えていますが、ササハタハツ全体のエリアマネジメントを担うことを念頭に置き、民間企業等の起用も検討してまいります。また、活動拠点の設置については、周辺公共施設の建替え計画等との連携が必要と考えますので、玉川上水旧水路緑道の基本計画策定後に、開設時期や場所等の計画を進めてまいります。 次に、西参道プロジェクトについてです。 西参道は二〇二〇年に創建百周年を迎える明治神宮へと続く、表参道、北参道と並ぶ歴史ある参道です。私は、これらの三つの参道については、それぞれの顔を持ちつつも、参道としてのにぎわいは共通であると考えています。特にこの西参道については、将来的にも発展の可能性を秘めており、まちの可能性を育んでいきたいと考えています。 その最初のステップとして、参道に隣接する首都高速四号線の高架下のうち、現在、区が放置自転車の集積場などに利用している区間を見直し、参道らしさを意識した上で、地域のにぎわい創出を図っていきたいと考え、この西参道プロジェクトを立ち上げました。 現在、区が主導して高架下の利活用方策や運営方法などを具体化し、これをプロジェクト素案として、首都高速道路等関係機関へ提案するため、市場調査や実現可能なスキーム等の検討を始めるところです。検討の過程では、議員の御指摘の周辺住民の方々の御不安を解消するため、地域の御意見も伺いながら進めてまいります。 なお、本プロジェクトを進めるには首都高速道路等関係機関の協力が不可欠であり、特に区案を踏まえた高架下利用計画の策定や道路占用に係る入札等の手続は、日本高速道路保有・債務返済機構が主体となって行うこととなっています。そのため、現時点では具体的なスケジュールをお示しすることができる段階ではございませんが、鋭意協議を進めて早急に道筋をつけたいと考えております。 最後に、この西参道とササハタハツまちづくりにおける玉川上水旧水路緑道は極めて近接していることから、両者の相乗効果によって、この地域が東京の新たなブランドエリアとして確立されるよう取り組んでまいります。 次に、シェアリングシティについてのお尋ねです。 シェアリングエコノミーについては、カーシェアリング、家事代行、シェアオフィスなど私たちの生活の中にも普及してきています。また、コインロッカーのかわりに旅行者の荷物などを駅近くの事務所、店舗の空きスペースで預かるサービスや傘をシェアするサービスなど、多様なサービスが民間主導で渋谷から生まれており、この街はシェアサービスに適した街だと考えています。 議員御発言のとおり、渋谷区は、平成二十九年六月に他の自治体に先駆け一般社団法人シェアリングエコノミー協会と協定を締結し、区民のひろばでの啓発活動の実施や協会主催事業の後援等を行ってきました。また、同年十月には土木部が自転車をシェアするコミュニティサイクル事業を実施しています。今後も行政の様々な分野でシェアリングエコノミーは拡大していくものと考えています。 今年度はこれまでの普及啓発から、シェアリングエコノミーを活用した事業実施を推進するため協定書の一部見直しを行う予定です。現在、傘のシェアサービスや災害時にも活用可能なモバイルバッテリーのシェアサービスなどの事業を実施することを検討しております。 私は、区民の皆様にもシェアリングエコノミーをより身近に感じてもらえるような普及啓発イベントを実施するとともに、新しい働き方、生活スタイルの提案ができるよう検討を進めてまいります。 次に、ハチ公バス路線についてのお尋ねですが、一括してお答えします。 区は、誰もが快適に移動できる手段の強化を図るために様々な施策を展開しており、とりわけ福祉的要素を中心に据えた交通弱者の移動手段を提供することを基本目標としたハチ公バスの運行事業を行っております。一方、本事業の推進に当たっては運行体制の再編や最適化、バス運転手の慢性的な人手不足と人件費増、及び環境対策など多くの課題を抱えており、それらを総合的に調整することが必要となっております。また、多様化する利用者ニーズに全て対応するためにも、バス事業者の自立性を高める営業促進等により、都市の交通インフラを民間主導で拡充されるべきと認識しています。 なお、現在の検討の進捗状況については、バスルートの設定や運行体制の再編成に関して事業主体であるバス事業者との調整を進める中、最終的な乗降客数の見込みや採算性の検証など様々なクリアしなければならない点があり、さらには区がバス事業者の収入を補填している補助金の増額抑制も重要課題であり、いまだに結論に至っていない状況であります。 今後につきましては、貴会派からいただいたハチ公バスの運行に関する御提案を初め利用者の御要望を念頭に置きながら、様々な角度から具体的な検討を進めてまいります。 次に、交通の新しい形態、AIオンデマンド乗り合い交通についてのお尋ねです。 デマンド交通システムは、従来の路線バスやコミュニティバスに比べ需要に応じ運行を行うことにより効率を上げ、利便性をよくすることでサービス水準を高めることができ、交通不便地域の解消により交通弱者に対しても非常に有効なシステムです。また、近年では、森田議員の御質問にありますように様々な地域において新たなデマンド交通システムが開発され、民間事業者が主導となった実証実験も行われておりますので、今後の新しい交通システム開発に区としても注視をしてまいります。 また、渋谷区は都市交通網における鉄道、バス、タクシー等の民間サービスが充実しています。そのため、例えば福祉バスであるハチ公バスを補完する乗り合い福祉タクシーの導入については、特定の顧客、特定サービスにより民間事業者が主導となった実証実験及びその効果検証を踏まえ、区の福祉サービスの向上と財政負担の低減につなげることもとても重要と考えておりますので、今後の検討課題とさせていただきます。 次に、公園遊具についてのお尋ねです。 議員の御発言のとおり、本区ではスペシャルニーズを含めあらゆる多様性を受け入れ、その多様性をエネルギーへと変え、集まる全ての人の力をまちづくりの原動力にして「ちがいを ちからに 変える街」を創出するという未来像を掲げています。したがいまして、公園においては障がいの有無にかかわらず全ての子どもたちが安全に楽しく、ともに成長できるような場所へと整備することが大切であると考えています。 こうした中で、議員も御案内のとおり、本年度中に合計二十二基の公園遊具を更新する予定でありますが、その際の遊具選定につきましては地域の皆様の意見も取り入れながら、東京都とも連携して、インクルーシブな視点を取り入れたものをできる限り導入していければと考えています。 また、公園遊具の整備だけではなく、ササハタハツ地域の緑道整備やその他の公園の新設改良におきましても、魅力ある公園整備計画策定業務等を進める中で、インクルーシブな公園の整備に取り組んでいくことを重要な要件として検討してまいります。 次に、環境、防犯について三点のお尋ねです。 初めに、落書き対策について三点のお尋ねですが、一括してお答えします。 昨年制定した「環境基本計画二〇一八」ではリーディングプロジェクトとして「(仮称)落書きバスター創設」を定め、落書きゼロの実現と協働の仕組みの構築をミッションとしています。 昨年度は、まず各地区美化推進委員会や町会、ボランティアで落書き消しを行っている方等により区内の落書きの現状について情報交換をし、今後の落書き消しのあり方について意見交換を行いました。また、区民、事業者や団体、区が連携・協力した「渋谷をつなげる三十人」から派生したボランティアの方々と連携し、今年度、既に数回の落書き消しを行ったところです。これからはこのネットワークを活用し、落書き情報の共有化や通報の仕組みなどの構築を検討していきます。 また、議員御発言のように、S-SAP企業であるボッシュ株式会社より落書き消しのための工具を寄贈していただき、既に活用しておりますが、今後は地区美化推進委員会やボランティアなどの活動にも貸し出すなど、積極的な有効活用を図っていきます。 さらに、落書き消し活動を教育活動の一環に取り入れてはとの御提案ですが、六月一日、二日に代々木公園B地区において環境省と共催したエコライフフェアにおいて落書き消しのワークショップを開催したところ、多くの親子に御参加いただきました。今後も環境シンポジウムの開催等、環境学習を検討します。 落書きの再犯を防ぐために壁面緑化やシブヤフォントを使用したアートなど渋谷らしい対策を取り入れるべきとの御提案につきましては、既にシブヤフォントと連携した障がい者アートとの協働を昨年度より始めています。この工事現場の仮囲いをアート化するプロジェクトを、今後さらに推進していく計画です。 次に、きれまちサポーターの創設についての御提案ですが、区内では、各地区の美化推進委員会をはじめリサイクル等推進員や清掃協力会など、渋谷を愛する区民や事業者、NPOなどが協働して落書きやごみの不法投棄防止活動等、日ごろから環境美化活動が行われています。まずは既存の活動団体等とのさらなる連携を図ってまいります。 さらに、区内の情報収集に、新しく防犯アプリを開発して利用することを御提案いただきました。 リアルタイムで情報が送れる、写真も共有できるなど有効なツールであると考えますが、メールやツイッターなどSNSの活用も含め、今後の参考とさせていただきます。 続きまして、いわゆるハロウィーン等規制条例における実効性を高めるための方策についてのお尋ねです。 本年二月に立ち上げた「渋谷ハロウィーン対策検討会」から提出された中間報告を踏まえ、区のハロウィーン等を対象とした条例案を策定し、上程したところであります。 公共の場所における飲酒の制限につきましては罰則規定を設けておりませんが、来街者等に対する周知の徹底を図り、そのモラルに訴えてルールやマナーの遵守につなげていくことで実効性を確保してまいりたいと考えています。 また、周知の方法につきましては、議員からも御指摘いただきましたが、巡回パトロールや渋谷駅周辺の大型ビジョンを活用した啓発を初め、公共の場所での飲酒や迷惑行為に特化したチラシの配布、掲示物の表示、区のホームページやツイッターでの配信など、工夫を凝らしながら抑止策に万全を期してまいります。 次に、子どもの安全対策についてのお尋ねです。 保育園については大津市での事故の発生を受け、各園で日ごろから行っている園外の活動における安全対策について再度確認するよう周知しました。これまでのところ、保育園近隣の道路について、「通行する車がスピードを出していて危ないので保育園がある旨の注意喚起の看板を設置してほしい」との要望があり、警察とも協議の上、看板の設置に向けて準備を進めているところです。 また、現在、各園のお散歩コースや保護者の送迎経路における交通安全上の危険箇所について各園から情報収集を行っており、危険箇所があった場合には、今後も警察を初めとする関係機関と協議しながら対応を検討してまいります。 次に、シブカツについて二点の御質問です。 まず、ハチコウ大学と就労支援についての御質問です。 「渋谷生涯活躍ネットワーク・シブカツ」は、人生百年時代を見据え、区民がより一層生き生きと住み続けられるよう、おおむね五十五歳以上のプレシニア世代からアクティブシニア世代をターゲットとして、新たな生きがいが得られるように様々な活動の場へつなげる支援をする事業です。 シブカツが五十五歳以上のプレシニアを対象としたのは、定年を迎えるなど就労を終える前から趣味、生涯学習や地域活動への参加などを準備として早期に始めることが必要との観点から、意識啓発を目的として設置したものです。 議員御提案のセカンドキャリアへつなげる支援ですが、シブカツとしては年齢を問わず、今後、ハチコウ大学の講座を初めプロボノなどの新しい働き方の紹介などをしていきます。それらがきっかけになって新たな就労に結びつくことがあれば、シブカツの事業の成果ともなります。 また、議員の御提案のとおり、区民にシブカツのミッションを理解してもらうために、シブカツの支援が新たな活動につながった例として、新たに開設するウエブサイトにおいてロールモデルとして御紹介していきます。 次に、S-SAPの大学や企業のノウハウを提供していただく新たな学びの場であるハチコウ大学ですが、十月の開校に向けて現在、各大学と企業との協議を続けています。ハチコウ大学向けのオリジナル講座の提供や、既存の生涯学習講座に優先枠を設けるなどの方法で講座を構成することとします。 具体的な講座の選定はこれからですが、例としては、古代ローマ史を学ぶ講座から英語の翻訳講座、ジャズを学ぶ音楽系の講座など多様な内容となっています。また、企業からは落語を学ぶ講座、高齢者のためのプログラミング教育など、それぞれの企業が持つノウハウを生かした講座を提供していただく予定です。 いずれにいたしましても、七月からのシブカツの開設後、利用者から寄せられる様々な御要望を蓄積しながら、よりよいサービスの提供に努めてまいります。 次に、登録者などのデータ管理についての御質問です。 シブカツは、一人一人の活動したいという意欲を高められるように、各個人の持つ能力を発揮できる場につなぐ支援を行う場でもあります。 シブカツでは新規のウエブサイトを立ち上げて、持っているスキルを生かせるように、NPOや地域活動などのほか既存の区の事業を一元化して多くの情報を提供していきますが、相談機能もありますので、直接やってみたいことをお話しいただき、その要望に合った活動につなげていきます。そのため企業、大学、NPO、地域団体とのコミュニケーションを図り、幅広いリソースをそろえることによりベストマッチングを目指しております。 今年度は持っているスキルを必要としている各種団体や地域活動に、個別の相談を通じてつなげていきます。 議員から御提案のありました相談者のスキルや趣味、趣向を個別にデータベース化して管理することは、今後のシブカツのマッチング機能を高めることに必要と考えています。今年度はまず相談記録などから、シブカツの支援機能がどのように有効に活用されたかについてデータを蓄積していきます。 また多くの民間企業、NPOや地域団体とも連携していきますので、それぞれが持つ様々な仕組みとノウハウの活用も検討するとともに、どのようなスキルにニーズがあるのかについての把握もあわせて行い、スキルバンクのようなデータベースの構築に向けた準備を進めてまいります。 以上、私からの答弁といたします。 ○副議長(岡田麻理) 豊岡教育長。 ◎教育長(豊岡弘敏) 私には、子どもの安全対策について一点、教育について二点のお尋ねがありました。順次お答えをしてまいります。 まず、子どもの安全対策についてのお尋ねです。 大津市や今回の川崎市での事件、事故を受けて、教育委員会では先月二十八日に区立小中学校、区立幼稚園、放課後クラブ事業者に対して登下校等における安全確保に関する文書を発出し、指導、指示をいたしました。内容は、下校までに行う安全指導や、教育活動等で使用する近隣地域の安全点検の実施などを依頼したものです。 各学校・幼稚園においてはこの文書を踏まえ、安全確保の徹底に努めています。 また、幼稚園の遠足については事前に実地踏査を必ず行うとともに、園外学習届を教育委員会に提出し、承認を得た上で、経路の安全性を含め確認して、実施をしております。 次に、区立小学校の通学路点検を一斉に行う必要があるのではないかとの御提案ですが、通学路の安全点検については、昨年度にブロック塀の危険性の有無、防犯の両面から点検を実施いたしました。そして保護者やPTAが声を発し、学校教職員と自発的に、警察や道路管理者とともにガードレール、カーブミラーの設置状況や人通り、交通量などを実際に歩いて確認していく通学路点検を教育委員会は支援をしているところでございます。 現在、警察によるパトロール強化が最も重要と考え、渋谷区内の三警察署に対して区長部局とともに協力し、パトロール強化の依頼を口頭で行うとともに、文書による依頼をしたところでございます。 今後も引き続き、児童・生徒の登下校時の安全確保について各学校を指導してまいります。 次に、調査結果の公開についてですが、調査結果の公開につきましては、改善が必要となる施設、構造物や設備は公共施設だけではなく企業や個人の所有のものも含まれていることから、検討課題とさせていただきます。 次に、放課後クラブについてのお尋ねです。 放課後クラブにおいては今年度よりコーディネーターを活用し、多様な学習・体験活動のプログラムの充実を図り、子どもたちへ豊かな放課後の提供を進めています。 現在、放課後クラブでは各委託業者が保護者からの御意見、御要望を直接聞く機会もあり、教育委員会と情報共有が図られています。 今後、教育委員会といたしましては、議員御提案のとおり、児童数が増加することによりニーズも多種多様化することも考えられることから、家庭や児童の利用実態の把握、ニーズを引き出すことのできるアンケート調査の実施に向けて検討してまいります。 最後に、学校指定用品についてのお尋ねです。 議員御指摘のとおり、学校指定用品のウエブを活用した購入は、保護者の利便性を考えると大変に有用な手法と考えます。今後、教育委員会では、学用品の購入における保護者の利便性とともに現金を取り扱うことによる事故の未然防止の観点も含め、各学校が業者と相談し、ウエブ上での販売の可能性を探ってもらいたいことを周知してまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○副議長(岡田麻理) 森田由紀議員。 ◆十四番(森田由紀) 区長、そして教育長、まことに丁寧な御答弁ありがとうございました。 二点ほど所見を申させていただきます。 まず、ササハタハツフューチャーセッション、まちづくりフューチャーセッションについて、私も二年間参加させていただきまして、このたびのまちラボへの三年目の計画となっているかと思います。 このササハタハツフューチャーセッションをきっかけに、渋谷区、他の地域にも是非このいい事例をですね、つくっていただきまして、渋谷区全域に新しいプレーヤーが参加できるようなまちづくりを、是非今後とも御尽力いただきたいと思います。 そして落書き、きれまちサポーターの検討についても、本年度のハロウィーンから是非その前身をつくっていきたく、区民の本気度を見せていきたいという思いもありますので、引き続ききれまちサポーターの御検討もお願いしたいと思います。 最後に、すみません、教育長のほうも御検討ありがとうございました。 是非母親の視点として、子どもたちの安心・安全をつくっていくためにもその結果報告をホームページなどで公開いただけるように努めていただき、多忙な子育て世代の親の方たちもホームページを通して知るきっかけができると、さらに安心なまちづくりができると思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。 このたびの代表質問は、子育てをしている母親の視点を盛り込ませていただきました。今回伺いました質問については今後も理事者の皆さんとさらに一緒に向き合いながら、議論を重ね、よりよい渋谷の未来につなげていきたいと思っております。 これからもシブヤを笑顔にする会、ますますのチーム力を発揮して、一人一人の笑顔から幸せの連鎖が生まれるような努力をしてまいります。今後とも長谷部区長をお支えし、世界が注目する渋谷の未来を発展させていくことをここでお誓いし、これで代表質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○副議長(岡田麻理) 三十番栗谷順彦議員。 ◆三十番(栗谷順彦) 区議会公明党を代表し、区長並びに教育長に大きく五点質問をさせていただきます。 その前に、長谷部区長におかれましては、さきの選挙で圧倒的な区民の支持を受け、長谷部区政第二期への続投、まことにおめでとうございます。 私たち公明党も新たな気持ちで、私たちは政策提案型の会派でございますので、これからもあらゆる方向から区長にぶつかっていこうと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。 それでは、質問に移らせていただきます。 初めに、渋谷区子育てネウボラについて区長に伺います。 公明党は、これまで一貫して切れ目のないシームレスな子育て支援を実現するため、全力で取り組んでまいりました。 ちょっとおさらいをしてみますと、私たち公明党が提案したハッピーマザー助成があります。今は出産時の負担軽減策として、渋谷区の象徴的な子育てサポート、いわゆるハッピーマザー出産助成金となっておりますが、これには第一次ハッピーマザー助成がありました。 これは妊娠期の負担軽減策として、当時十三回の妊婦健診のうち三回しか国の助成がなかった。残り十回分の妊婦健診の負担を軽減するため、妊娠手当としてこの第一次ハッピーマザー助成が生まれました。これは党を通じて国に伝えたことにより、十三回全て国が見るようになりました。 渋谷区の第一次ハッピーマザー助成は、現在の出産時の負担軽減策、ハッピーマザー出産助成金として生まれ変わり、最大五万、八万、十万円と助成額の拡大もしてまいりました。 この第一次ハッピーマザー助成は、当時子育て支援のスタートラインは、出産後ではなく、妊娠期から始まる。その概念を打ち立てたことでも大きな役割を果たしたと思っております。 その後、産前産後ケアの体制、こんにちは赤ちゃん事業の開始、多様なリスクへの対応、幼保一元化、こども園の推進等々、まさに隙間を埋める十数年でありました。 私ども公明党が二年間、機会あるごとに提案をしてまいりましたこのネウボラ、これは区長の現地視察を経て、渋谷区子育てネウボラとして、日本で初めてとなる拠点型ネウボラが五月二十日、美竹第二庁舎でプレスタートいたしました。 あえて拠点型ネウボラというのは、フィンランドに忠実に倣ったという意味で、日本のほとんどのネウボラは連携型で、中には子育て支援の予算にまでネウボラと冠するものがあります。 そういう意味では、渋谷区議会公明党の政策実現した子育て支援の集大成がこの渋谷区子育てネウボラと確信をしております。 また、公明党は、子育て支援だけではありませんが、子育て支援は大きな政策の柱として、政策立案の際、その根底に私たちはテーマを持っております。 それは二〇二五年問題、いわゆる渋谷区が人口減少に転じると言われているその対策であります。既に自治体間の生き残りをかけた戦いが始まっているわけで、この小さな渋谷区が区民のための行政サービスを向上させ、結果的に選び続けてもらえるためには、圧倒的な効果と先進性が戦略的に推進される必要があると思っております。その大きな柱の一つが子育て支援であります。その集大成が渋谷区子育てネウボラとの位置づけであります。 また、ネウボラはワンストップサービスを行う場所ではありません。二重行政につながる手続業務は避けるべきであります。 それらのことを踏まえて、二点質問をいたします。 一つは、組織体制についてであります。 健康推進部、子ども家庭部、教育振興部の三つの部から関連の所管をチームネウボラとして結成しているわけですが、これはある意味行政改革であります。ゆえに組織構成は今後大事になってまいります。 そこで、このネウボラは三つの部署からの出先機関の集合体になるのか、あるいはセクションとしてのネウボラは今後可能なのか、区長のお考えをお聞かせください。 もう一つは、人材確保と育成としての研修についてであります。 区長は最終的にフィンランドを視察され、渋谷区子育てネウボラの設置を英断されました。日本では気がつかなかったネウボラの進化や空気感を持ち帰ったと感じております。 今後、ネウボラのリーダーとスタッフは、いずれ区長を超えなければいけません。もう既に超えてはいるんですけれども、超えなくてはいけません。現場の空気感やノウハウをどう感じ取ってくるか、非常に大事になると思っております。その意味で、人材確保と育成としての研修はネウボラのかなめであります。 何度か提案させていただいておりますが、渋谷、日本での研修はもちろんのこと、フィンランドへの派遣研修は必須と考えます。リーダーの研修とスタッフの人材確保と育成について、区長のお考えをお聞かせください。 先ほど述べたとおり、渋谷区は基礎自治体として生き残りをかけた戦いをしております。その意味において、このネウボラは絶対的先進性と完成度、さらに大きな効果が求められます。このネウボラを育てるため、区長におかれましては、今後幾つかの政治判断が必要になると思います。 若干圧をかけてしまいましたが、それらのことを念頭に置いて、この二つの質問をお答え願いたいと思います。 教育について、三点、区長並びに教育長に伺います。 昨年の秋口、東京都が市区町村の学校体育館へのエアコン設置費用等の助成をするため、補正予算を組む情報を得、十月二十九日、区長、教育長に渋谷区も補正予算を組んで、スピード感を持って設置してほしい旨の緊急提案をさせていただきました。 子どもたちの熱中症対策とともに、災害時は避難所にもなる小学校の体育館のエアコン設置は急務でありました。そのかいがあって、昨年の第四回定例会で、エアコン設置費用等の補正予算が提出され、成立をいたしました。これにより、渋谷区は未設置の小学校の体育館へのエアコン設置が夏前までに完成することになりました。 ほかの自治体では、今年度予算で対応したところが多く、夏休み期間中の工事や夏から随時設置など、渋谷区のスピード感が際立ちます。 また、小中学校へのウオータークーラーの設置も推進していただき、設置された小学校では列をなし、後ろに並んだ児童はぬるかったそうであります。しかし、給水の興味づけに一役買ったことは間違いありません。子どもたちは水筒を持参していますが、ウオータークーラーに列をなしたということは大事な視点だと思っております。 そこで、二つお願いがあります。 一つは、小中学校の施設開放などで体育館を使用する団体等に熱中症対策のため、有料でもよいので、エアコン利用のルールをつくってほしいというものであります。 二つ目は、小中学校のウオータークーラーの増設、また老朽化したウオータークーラーの交換をお願いいたします。教育長の御所見を伺います。 次に、小中学校のタブレット端末の貸与も二年目になりました。使いこなすことはもちろん、知識だけではなく、知恵を育む学習効果、教育効果は徐々に上がってきているものと確信をしております。 四年前の第一回定例会で、タブレット端末の貸与を提案させていただきましたが、これとセットになるのがネットリテラシー教育であることもお願いをいたしました。 貸与されているタブレットはアクセス制限されていますが、いずれ子どもたちはスマートフォンを持つようになり、既に自分のスマホを持っている子どもたちもおります。保護者への情報発信も必要となります。 インターネットの何が便利で何が脅威となるのか、そしてネットのルールを理解し、正しい情報を利用して、よりよい情報発信をすることができる能力を身につけることは必要不可欠であります。 ネットリテラシーを育む情報モラル教育の現状を教育長に伺います。 次に、区長、教育長に伺います。 当時年間三千人の方が子宮頸がんが原因で亡くなっていたことから、一〇〇%ではないにしろ、ワクチン接種でHPV、ヒトパピロマウイルスを予防できる唯一のがんが子宮頸がんとされ、厚労省は平成二十一年、子宮頸がんワクチンを承認しました。それを受け、渋谷区は中学三年生の女子生徒に接種費用を全額助成としてきました。 その後、ごくまれな頻度とはいえ、因果関係は否定できないとした重篤な副反応が報告され、積極的な勧奨は行われておりません。その後、ワクチン接種をしないリスクとするリスクを理解し、自己判断、保護者の判断で接種されてまいりました。 定期接種である子宮頸がんワクチンの区民による接種の現状を区長に伺います。また、HPVも含め、感染症から自分の身も守り、他人に感染させない教育は、この場合は性教育の分野であります。感染症対策も含め、小中、児童・生徒への性教育の現状を教育長に伺います。 次に、福祉と健康について区長に三点伺います。 昨年、近藤順子議員が提案させていただいたフレイル予防について、「渋谷の健康づくりガイド」等、区の広報紙に取り上げていただき、大変感謝をいたしております。 栄養、運動、社会参加を推進し、フレイル、いわゆる老いを予防する取り組みは、確かな統計データから注目をされております。既に提案させていただいておりますが、柏市のように、フレイルチェック講習会を元気に研修を受けた高齢者がさらに高齢者を対象に行う。これは双方社会参加につながる取り組みとなります。この取り組みを例えばシニアクラブなどにお願いしてはいかがでしょうか、区長の所見を伺います。 次に、看護小規模多機能型居宅介護について伺います。 私は、両親と義理の母、三人を妻と在宅介護した経験がございます。介護からいっとき開放されるショートステイやデイサービスが担ういわゆるレスパイトケアは、在宅介護の大事な役割と感じております。しかし、医療的なかかわりがあると一気に門戸は狭くなります。 平成二十七年度の介護報酬改定において、看護小規模多機能型居宅介護がそれまでの複合型サービスから名称変更し、独立した形でスタートいたしました。通い、泊まり、訪問看護・リハビリ、訪問介護、ケアプランのサービスを一体化して、一人一人に合わせた柔軟な支援ができる看護師を中心としたトータルケアをしております。 看護師、介護職員がいる地域密着型のこの介護事業所は、介護する家族にとっては非常に頼りになる機能となります。看護小規模多機能型居宅介護、いわゆる「かんたき」の今後の整備、誘致について区長の所見をお聞かせください。 次に、二〇一六年、施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、いわゆる障害者差別解消法を受け、条例制定をする自治体も増えてまいりました。 この法律は、障害者基本法第四条の差別の禁止を具現化したものであります。障がいのある人への差別が起こってしまう原因は、障がいについての知識や理解の不足、偏った考え方が挙げられます。よって、障がいによっての理解を促すための啓発活動が欠かせません。 区は、これまで様々なツールを活用し、啓発活動をしてきたことは認識をしております。障がい者に優しい、差別のないまちづくりは、障がい者福祉課だけではつくり得ません。都市整備、商工観光、保健所、広報コミュニケーション等々、それぞれのセクションが一体となって取り組む必要があります。 昨年、区の公園で行われたハチ公前での介助犬の入店拒否解消キャンペーンは、今後各所管の協力体制で大きな効果が上がるものと考えております。 法は、自治体は障がいのある人の差別について、相談内容を地域で共有するネットワークとなる障害者差別解消支援地域協議会を組織することができるとしております。この協議会は、相談事例を抱える関係機関に適切な相談窓口を紹介したり、具体的な対応例の共有や協議を通じて、地域の実情に沿った差別解消の取り組みを効果的に進めることを目的とするとあります。 協議会の設置は、区の福祉計画でも明記されておりますが、設置に向け、区長の考えをお聞かせください。 次に、防災について区長に伺います。 昨年九月、北海道胆振東部を最大震度七の地震が襲いました。北海道で震度七という驚きもさることながら、その後に起きた北海道全域の停電には衝撃を覚えました。この日本で初めてとなる北電エリア全域に及ぶ大規模停電、いわゆるブラックアウトが発生したわけであります。 主な原因は、大地震の後、電気の需要に対する供給のバランスが崩れ、電気が足りなくなったことにより周波数が下がったことから、安全装置が作動し、大停電が起きてしまったとのことでした。 また、昨年は台風二十一号、二十四号、あるいは七月の中国・四国地方の集中豪雨等でも、大規模な停電が起こりました。むしろ送電線の倒壊や電線への飛来物の除去、土砂災害により、水害のほうが電力供給の完全復旧に時間がかかったようであります。 このような中、品川区では災害に伴う電源に対応するため、全ての避難所、五十二カ所でありますが、全ての避難所に大容量の蓄電池を配備することとしたそうであります。その目的は、避難者のスマートフォン等の充電用としてでありますが、先日実物を見せていただきました。 キャスターつきで簡単に可搬でき、三百台ほどのスマートフォンをフル充電できる容量でありました。また、使用しながら、附属の太陽光パネルやガソリンエンジンの発電機からの充電も可能で、四十口の全キャリアに対応できる充電コードは、電気が回復しても、被災者生活には重要な役割を果たすと思いました。 渋谷区は、防災においては不断の努力を積み重ねてまいりました。殊、避難所備蓄ではトップクラスの自治体と認識をしております。 ただ、近年災害時の安否確認や、あるいは情報収集にスマートフォン等のデバイスは欠かせません。非常用の発電装置を持つこの庁舎の防災センターから、災害ポータルサイトやSNSを介し情報発信しても、受け手の区民の電源が確保されていなければ十分ではありません。 避難所へのスマートフォン等の充電用蓄電池の配備について、区長の所見を伺います。 次に、食品ロス削減について区長に伺います。 この五月二十四日、食品ロスの削減の推進に関する法律、いわゆる食品ロス削減推進法が成立し、五月三十一日公布され、一週間がたちました。 公明党は二〇一五年、食品ロス削減推進プロジェクトチームを立ち上げ、食品の生産、製造、流通、小売、そしてフードバンクなどについて、多様な関係者から現場の声を聞き、二〇一七年に法律骨子をまとめ、そしてそれから二年弱、議員立法として食品ロス削減推進法が今般全会一致で成立し、食品ロスの削減とフードバンク支援を国民運動として推進するために、まさにスタートラインに立ったと言えます。 先日、党のプロジェクトチームの座長で、国会の超党派議連の事務局長を務めた竹谷とし子参議院議員と意見交換をしてまいりました。 二〇一五年国連総会で決議されたSDGs、持続可能な開発目標に挙げられる食品ロス廃棄半減と未利用食品の福祉的活用で、もったいないをありがとうに変える区民運動にしていかなければいけないと改めて感じております。 広くヒアリングされていたこともあり、企業の対応も非常に早かったように思います。 翌日すぐ報道されたのは、例えば賞味期限三分の一を過ぎたものは納品しない。いわゆる三分の一ルールが二分の一に緩和され、消費期限が迫った商品を購入した場合は、顧客にポイントを還元し、購入を促すというものでありました。 渋谷区も区長のライフワークの一つとして、この食品ロス削減に向けた取り組みと啓発活動を行ってまいりました。私たちも、機会あるごとに食品ロス削減に向けた提案をしてまいりました。 一昨年キックオフイベントとして、また昨年第一回として開催していただきました「もったいないマーケット」、今年は新庁舎がオープンしたので、場所を変えて開催することになると思いますが、その詳細を教えてください。 あわせて、法整備後の区長の食品ロス削減推進への思いをお聞かせください。 最後に区長に伺います。 明年二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会が行われます。第三十二回オリンピック競技大会の開会式が七月二十四日、閉会式が八月九日で、東京二〇二〇パラリンピック競技大会の開会式が八月二十五日、そして閉会式が九月六日であります。渋谷区は二〇二〇大会の気運醸成のため、区一体となって取り組んでまいりました。それは今後も所管と議会において、特別委員会も含めてお任せしたいと思いますが、終わった後の話をさせていただきます。 パラリンピックの閉会式、九月六日、それから間もなく来年の十月一日、渋谷区は米寿、区制施行八十八周年を迎えます。そして、二〇二二年、令和四年は、区制施行九十周年を迎えることになります。大事な節目となります。節目は大事です。私も節目、節目で生きておりますけれども、渋谷区の節目でございますので、大事でございます。 私のことはどうでもいいんですけれども、渋谷の断固たる姿勢の発信が渋谷区に来る人のよくもあしくも質を変えるかもしれません。 このたびのハロウィーンの対策等の条例案も、大事な区の姿勢であると思います。区制施行九十周年の二〇二二年に向けたオリンピック・パラリンピック後の観光立区、国際都市、渋谷として、またインバウンドを呼び込むための取り組みとして、区長のお考えをお聞かせください。 ○副議長(岡田麻理) この際、会議時間の延長をいたしておきます。 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 渋谷区議会公明党、栗谷順彦議員の代表質問に順次お答えします。 初めに、渋谷区子育てネウボラについて二点のお尋ねです。 先ほども所信表明で申し上げましたとおり、この五月、第二美竹分庁舎に中央保健相談所、子ども家庭支援センター、子ども発達相談センター、教育相談が移転し、渋谷区子育てネウボラがスタートしました。 妊娠期から十八歳までの子どもと家族を支援する仕組みが整い、妊婦全数面接から担当保健師が寄り添い、切れ目のない支援を行っています。現在、妊娠、出産から乳幼児期の相談支援は基本的には保健所、その後の子どもの成長に伴う様々な悩みは、発達段階に応じて、子ども発達相談センターや子ども家庭支援センター、教育相談がそれぞれ連携しながら相談支援を行っています。 今後は根幹となる母子健康保健情報のシステム化による組織を横断した情報共有も予定しており、令和三年度の神南分庁舎跡地複合施設完成までに、ネウボラ運営に係る課題を整理しながら、準備室の立ち上げなど、組織の構成も含めて、将来的な渋谷区子育てネウボラのあり方について検討してまいります。 渋谷区子育てネウボラのリーダーの研修、そしてスタッフの人材確保と育成について順次お答えします。 初めに、リーダーの現地研修についてお答えします。 ネウボラの本場、フィンランドでの保健師との交流や研修を実施することは、非常によい経験になると考えており、今後施策を構築する中で実施を検討していきます。 次に、スタッフの人材確保と育成についてお答えします。 子どもとその家族に寄り添った支援をするために、妊娠期から産後の支援体制を整備し、妊婦全数面接を初めとして、身近な相談役となる保健師とのつながりをつくります。そのためにも、あらゆる相談を一元的に受け、コーディネーターとして関係機関につなげる保健師の人材確保と育成については、重要な課題と考えています。 そこで、今年度保健師人財育成ワーキンググループを立ち上げ、人財育成計画の策定に向けて進めております。さらにS-SAPを活用し、大学の講師による面接技術の向上や専門分野外からの講師派遣等を行い、ネウボラに重点を置いた視野の広い保健師の確保と育成に努めます。 次に、子宮頸がんワクチンの現状についてお答えします。 子宮頸がんワクチンは、平成二十五年四月から定期予防接種となりましたが、ワクチンとの因果関係を否定できない副反応が複数認められたため、平成二十五年六月から国の判断により、積極的勧奨を差し控えて現在に至っております。 ただし、定期接種を中止するものではないため、国が作成した周知内容を区のホームページに掲載し、接種を希望する方への御案内は継続して行っております。 区内では百十五カ所の医療機関で接種することができ、平成二十八年度は十二件、平成二十九年度は三十五件、平成三十年度は七十六件の実績がありました。今後、国の新たな方針が決まり次第、区民への情報提供に努めてまいります。 次に、福祉と健康について三点のお尋ねです。 まず、フレイル予防についてお答えいたします。 人生百年の時代を見据える中、区の高齢の方が今後も増加することを踏まえて、健康長寿を達成するためのフレイル予防は、区としても重要な課題と認識しております。 議員御提案の高齢者自身が高齢者を対象に行うフレイル予防の取り組みにつきまして、高齢者の中からそうした支援の担い手を育てていくに当たっても、まずフレイルという言葉、そしてフレイル予防のために必要とされる三つの柱である、栄養、運動、社会参加の重要性等について、区の高齢者の方への普及啓発が必要であると考えています。 今年度はフレイル予防の普及啓発のためのイベントを実施する予定であり、さらに渋谷区健康増進計画に取り上げられているフレイルのチェックなどを通じて、高齢者の間にフレイル予防に取り組む気運の醸成を図ってまいります。 また、シニアクラブなどへの委託を含めて、フレイル予防を効果的なものにするため、実効性のあるチェック項目の研究や高齢者の相互支援によるフレイル予防の仕組みづくりについて、引き続き検討してまいります。 次に、看護小規模多機能型居宅介護、いわゆる「かんたき」の今後の整備、誘致についてのお尋ねです。 医療ニーズの高い高齢者に対するより身近なサービスである「かんたき」は、利用者やその家族等のニーズに適宜対応するために、訪問、通い、宿泊を柔軟に組み合わせて提供し、日常における在宅生活を複合的に支援するものです。 また、これらのサービスを同じ介護事業所のスタッフが行うため、利用者の小さな変化まで気づきやすく、きめ細やかなサービスが期待できます。 高齢者が住みなれた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、第七期渋谷区高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画では、超高齢社会の対応として、「かんたき」は在宅ケアを中心とした地域包括ケアシステムの構築に不可欠な地域密着型サービスの拠点として位置づけています。そのため、民間事業者の誘致を進めており、令和二年度に一施設開設に向けた協議を行っています。 また、令和三年三月開設予定の恵比寿西二丁目複合施設(仮称)の整備もあわせて、日常生活圏域ごとのバランスを考慮しながら、「かんたき」の拡充を計画的に図っていきたいと考えています。 次に、障害者差別解消支援地域協議会の設置についてのお尋ねです。 議員御指摘のとおり、障がいの有無にかかわらず、誰にも優しい差別のないまちづくりを進めるには、区政各分野において、障がいの特性や対応への理解を深める啓発活動が欠かせません。 区では、これまで障害者差別解消法講演会を初め、超福祉展やシブヤフォントプロジェクトを通じて、心のバリアフリーの啓発に取り組み、昨年十二月には日本盲導犬協会開催の「盲導犬受け入れ拒否をなくそうキャンペーン」を支援し、この取り組みは複数のメディアに取り上げられました。 これらの取り組みに加え、本年三月には渋谷区障害者福祉推進計画を着実に推進するため、障害者差別解消支援地域協議会の設置に向けた勉強会を開催し、区、自立支援協議会、障がい者施設の関係者が集まり、内閣府のアドバイザーから、地域協議会に求められる役割や他自治体の好事例などを学びました。 今年度はこの勉強会の成果を踏まえ、自立支援協議会とも協議しながら、地域協議会設置に向けた準備を進めてまいります。 次に、防災について、災害に伴う停電に対応する避難所の携帯充電用蓄電池の配備についてのお尋ねです。 議員の御質問にありますように、帰宅困難者や避難所での避難者の方々にとって、家族などとの安否確認や様々な情報を取得する手段として、携帯電話は必要不可欠な電子機器となっており、「災害時に携帯電話等を充電したいが、充電する場所がない」という充電難民へのニーズに対応する必要性が高まっているところです。 渋谷区においては、災害時の停電対策としましては、新庁舎においては、非常用発電設備、都市ガスを利用しての発電や熱供給を行うコージェネレーションシステム、太陽光発電設備など、非常用電源の多重化対策を実施しております。 避難所においては、停電時に備え、現地本部となる事務室で使用するOA機器及び避難所となる体育館において使用が見込まれるテレビ、扇風機、携帯電話の充電などの電力量を予測しており、この予測値に基づき、ガソリン等の燃料を使用する発電機及びLEDバルーン投光器搭載型発電機、カセットボンベを使用する防災無線用の発電機等を装備しているところです。 最近では、従来の燃料を使用した発電機以上の出力を持つ大容量の蓄電池の製品が販売されています。このような製品の中には、停電時においてもソーラーによる充電が可能となっているものもあり、燃料の備蓄が不要であることや燃料による発電機と比べ、排ガスが出ないことで、避難所などの建物の中でも使用しても安全であることなどの特徴があります。 今後は避難所の発電機の更新に合わせて、燃料型発電機との性能や価格との比較を行いながら、議員の御提案にありますように、携帯電話の充電が可能な大容量蓄電池の配備について検討をしてまいります。 次に、食品ロス削減についてのお尋ねです。 賞味期限切れや食べ残し、調理の過程で発生するくず等、食べられるのに捨てられてしまう食品ロスは、限りある地球資源の無駄遣いであり、ごみとして排出されることによる環境問題や廃棄コストの点、もったいないを基本にしたライフスタイルの推進の点からも、区が積極的に取り組むべき課題と考えております。 本区では、平成二十九年度から民間事業者と連携した食品ロス削減イベントとして、もったいないマーケットを実施しています。昨年は小学生から応募のあった食品ロス削減の標語の表彰をするとともに、映画の上映やフードドライブの受け付け、また国連大学前で開催されているファーマーズマーケットと連携し、フードロスディスカッションを行い、多くの皆様にお越しいただきました。 今年度については、子ども向け講座やワークショップ、規格外食品販売など、事業内容や場所を検討し、食品ロス削減月間である十月に実施する予定です。 また、新たに公布された「食品ロスの削減の推進に関する法律」では、地方自治体の責務として、食品ロス削減に関し、その地域特性に応じた施策を策定し、実施する義務が規定されました。 一方、事業者には、「地方自治体の施策に協力するとともに、食品ロス削減に積極的に取り組むように努めなければならない」と規定されたところです。 その上で、本区においては、渋谷区環境基本計画二〇一八のリーディングプロジェクトでもある、「シブラン三ツ星レストラン」の認証制度を実施します。 この認証制度には、例えば食べ残しは持ち帰りができる。その人に合った量に調整できる。食材の管理を徹底しているなど、食品ロス削減に取り組んだ区内の飲食店舗を渋谷区食品ロス削減等推進店舗として認証し、店舗へのステッカー掲示や区ホームページへの掲載など、区として応援していくものです。 最近広まりつつある使い切れない食材や、売り切れない料理を無駄にしない取り組みであるフードシェアリングについても、このシブラン三ツ星レストランの認証の一つの項目とすることとしています。 今後も年間を通じたフードドライブを実施するとともに、あらゆる機会を捉えて、区民、事業者に対して普及啓発し、食品ロス削減に向けた取り組みを行ってまいります。 次に、区制施行九十周年に向けたインバウンド観光への取り組みについてのお尋ねです。 東京都を訪れるインバウンドは、年間一千三百万人を超えており、その中の約半数が渋谷区を訪れています。区では、インバウンドの受け入れ環境整備のため、観光Wi-Fiの設置や渋谷区観光協会によるマップの作成やガイドツアーの開催など、様々な取り組みを進めてきました。 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に、国内外からさらに多くの来街者が見込まれます。 インバウンド観光を推進していくに当たっては、安全面への対応、外国語サービスの拡充、キャッシュレス化対応、宿泊施設数、交通機関の問題などを初めとするナイトタイムエコノミーの普及など、課題は多くあります。 渋谷区では、この機会を観光振興に生かしていくため、国際成熟都市にふさわしい、バランスのとれた産官学民連携による観光振興策を進めていきたいと考えています。 多くの来街者をもてなす準備を進めるとともに、安心して区内で滞在してもらうための環境整備にも積極的に取り組みます。 このことが東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の区のレガシーの一つとなり、区制施行九十周年に引き継いでいきたいと考えます。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○副議長(岡田麻理) 豊岡教育長。 ◎教育長(豊岡弘敏) 私には、教育について三点のお尋ねがありました。順次お答えをしてまいります。 まず、初めに学校体育館のエアコンについてのお尋ねです。 学校においては、熱中症対策の一つとして、本年六月末までに全ての区立小中学校の体育館に空調機器が設置され、冷房を稼働させることが可能となります。体育館における熱中症対策は、これまで利用者に対して熱中症への注意喚起を行い、十分に御注意をいただきながら、大型扇風機を使用するなど、行ってまいりました。 本定例会で提出している「渋谷区スポーツ施設条例の一部を改正する条例案」は、利用者の要望に応え、スポーツセンターにおける空調設備の使用料の規定を新設するものであります。学校施設開放においても、利用者からは、「夏の暑いときにはエアコンが利用できないものか」といった声をいただいております。 今後、学校施設における空調機器の使用についても、受益者負担を視野に入れて、より快適な施設利用ができるように、空調機器使用のルールの策定を検討してまいります。 次に、ウオータークーラーに関するお尋ねです。 各校においては、熱中症予防策として水分補給を適切に行うため、学校設置の水道や持参している水筒に加え、ウオータークーラーが有効に活用されています。 議員より御指摘のありました各校におけるウオータークーラーの設置台数を増やすことや老朽化したものの交換については、今後学校の現状を踏まえ、適切に対応してまいります。 次に、情報モラル教育についてのお尋ねです。 インターネット上には様々な情報が氾濫し、SNSを利用した誹謗中傷などもあることから、議員御指摘のとおり、情報モラル教育は重要です。 渋谷区教育委員会では、児童・生徒がいじめ等のトラブルに巻き込まれないようにするとともに、学習への悪影響を防ぐため、「スマートフォン・SNSしぶやルール」を平成二十八年三月に策定をしています。また、各学校は午後九時以降はSNSを利用しない。送信前に読み返し相手の気持ちを考えてから送信するなどのSNS学校ルールを定めており、学校としての指導方針の共通理解、周知徹底を図り、児童・生徒に指導を行っております。 今後、さらに教育委員会といたしましては、ICT担当者等を対象に研修を充実させ、道徳や家庭科などの教科学習の中で指導事例を周知するなど、情報モラル教育を一層進めてまいります。 次に、小中学校の性教育の現状についてのお尋ねです。 近年の社会環境の変化や情報化社会の進展の中で、性情報の氾濫や性をめぐる現在的な課題、性感染症への対応など、性に関する正しい理解を行うことは重要です。 現在、性教育につきましては、小学校第三、四学年では体育の保健分野の中で、体の発育、発達、男女の特徴について学習し、第五、六学年では、病気の予防について、さらに中学校では保健の事業の中で、感染症や思春期の様々な変化について学習を進めております。 今後、教育委員会としては、東京都教育委員会が作成した「性教育の手引」を活用して、専門家を招聘した研修会の実施、出前授業を行うなど、性教育に取り組んでまいります。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○副議長(岡田麻理) 三十番栗谷順彦議員。 ◆三十番(栗谷順彦) 区長並びに教育長には、大変丁寧かつ前向きな御答弁をいただきました。 ばっさりが一つもなかった。いい節目の今日を迎えることができると思います。 今日はとにかく早く終わることが私の使命みたいなというふうになっておりますので、渋谷区議会公明党五人、またしっかりと団結し、区政や区民の福祉向上のため、しっかりと全力で活動していくことをお誓いし、私の代表質問を終了いたします。 ありがとうございました。 ○副議長(岡田麻理) 議事進行上、暫時休憩いたします。-----------------------------------   休憩 午後四時五十六分   再開 午後五時十六分----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) 休憩前に引き続き会議を開きます。 区政一般に関する質問を続行いたします。 六番中田喬士議員。 ◆六番(中田喬士) 中田喬士です。この四月の統一地方選挙で初当選させていただきました。区民の皆様の負託に応えるべく、全力で取り組んでまいります。よろしくお願いいたします。 それでは、立憲民主党渋谷を代表して質問いたします。 まず初めに、きれいなまち渋谷について三点質問いたします。 まず初めに、路上喫煙の禁止の推進について質問いたします。 「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」の改正に伴い、渋谷区内全域の公共の場所等について全面禁煙とすることが決まりました。しかしながら、現状は渋谷駅、原宿駅、恵比寿駅などの周辺には多くの指定喫煙所が残り、その多くは指定喫煙所に灰皿を置いてあるだけという現状です。指定喫煙所では、喫煙者の方が灰皿を中心に、歩道に大きく広がってたばこを吸っています。 健康増進法の一部を改正する法律では、望まない受動喫煙をなくすこと、子ども、患者など受動喫煙による健康への影響が大きいことを考慮して、受動喫煙対策を一層徹底することが求められています。 また、東京都が制定した東京都受動喫煙防止条例は、受動喫煙による都民の健康への影響を未然に防止することを目的としています。厚生労働省の報告書の中には、日本では受動喫煙による年間死亡者数は推定、約一万五千人とされており、肺がん、脳卒中のリスクは一・三倍に上がり、乳児性突然死症候群のリスクは四・七倍に上がると報告されています。 東京オリンピック・パラリンピックの会場も、加熱式たばこを含め、完全禁煙になることが発表されており、また、練習会場、スポンサーによる展示スペースなどでも禁煙となっています。 これらのことを踏まえて、渋谷区内に残っている指定喫煙所のしっかりとした分煙対策を行うべきではないでしょうか。本定例会の補正予算にコンテナ型の喫煙所設置の予算が計上されています。本来であれば「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」の改正とともに、全ての指定喫煙所を煙の出ないものにすることが望ましいですが、指定喫煙所を残すのであれば、コンテナ型の喫煙所へと早急な移行をお願いしたいです。区長の見解をお伺いします。 次に、ネズミ対策についてお伺いします。 東京都では「東京都ねずみ防除指針」を策定しており、市区町村に対して、ネズミの対策のガイドラインとして活用するように求めているものです。まず、防除とは、ネズミの「発生及び侵入の防止」と「駆除」という意味です。ネズミが引き起こす被害は衛生上の被害として、ネズミ由来の感染症が挙げられます。都市機能を阻害する被害としては、電線ケーブルやガス管をかじることによる停電や火災、爆発事故、それに伴うシステムダウンや交通機能の停止などが挙げられます。 大阪府枚方市では、ネズミにコンセントがかじられ、ぼやが出た事例が消防組合の報告でありました。また、ネズミに光通信ケーブルがかじられ、電話が不通になった事例もあります。 渋谷区の対策として、現状、町会や商店街などにネズミとり用の粘着シートの配付と殺鼠剤の配付を行っております。しかし、渋谷区が今年度配る予定になっている二種類の殺鼠剤のうち、九〇%を占める殺鼠剤は、スーパーラットと呼ばれる、近年増加しているネズミには効果がないとされています。スーパーラットとは、東京都に生息しているネズミの九割と言われるクマネズミのうち、殺鼠剤に対して耐性ができたネズミのことを言います。このスーパーラットの割合を調査したところ、新宿では約八〇%がスーパーラットという調査結果も出ています。 飲食店等では定期的に害獣駆除業者を入れ、ネズミ対策をしていますが、費用も高額になるため、行いたくても行えない企業があるのが現状です。 東京都北区では、建物の解体工事に伴って生ずる近隣の紛争を未然に防止するために、「東京都北区建築物の解体工事計画の事前周知に関する指導要綱」の中で、ネズミ等防除の衛生対策を行うことを盛り込んでいます。要綱の中で解体工事の事前にネズミの生息状況を調査し、生息が確認されたときは駆除することを規定してあります。 東京都中央区では、二〇一九年度からネズミ駆除に対する補助制度を始めました。補助の対象となるのは区内の町会、自治会、商店街などで、ネズミの駆除のための物品購入や業者への委託費など三分の二を補助します。ネズミは繁殖力が高く、面的、広域的に駆除に取り組むことが有効で、ネズミ駆除には多くの団体の協力が不可欠です。ネズミ対策のパンフレットを作成し、ネズミ駆除のポイントをまとめ、町会や商店街に配付し、対策をとることはいかがでしょうか。 また、東京都中央区同様に、専門業者による駆除に対して補助金を出すこと、そして東京都北区同様に、建物の解体の際に必ずネズミの駆除を行うよう指導していくことはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。 次に、落書き消しについて質問いたします。 先ほど森田議員からも質問、提案がありましたが、私からも提案させていただきます。現在、渋谷駅周辺には多くの落書きがあります。その大部分は無断で書かれた違法なものです。「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」の第十四条には、土地、建物の所有または管理者が落書きに対して、「落書きが放置されているため地域の美観を著しく損なう状態にあるときは、落書きを消去し、原状の回復を図るとともに、良好な状況の維持に努めなければならない。」としています。この条例では、落書きを消す主体は、土地、建物の所有者または管理人となっています。このことからも渋谷区として、現在の渋谷駅周辺の落書きの実態、現状を把握していますでしょうか。 現在、渋谷区では町会単位で定期的に落書き消しを行っている地域もありますが、落書きは消しては書かれ、書かれては消してのイタチごっこが続いてしまう現状があります。しかし、景観の悪化は治安の悪化にもつながります。 アメリカのニューヨークでは、地下鉄の落書き撲滅キャンペーンを展開したところ、治安の改善につながったという報告もあります。現在、活動している団体には、しっかりとしたこれまで以上の補助を、また、区としてたびたび書かれるところには、東京都港区で行っているように、防犯カメラの無償での貸し出しを行うのはいかがでしょうか。さらに、落書きを消したところには、落書きを消したというシール等をつくり、掲示していくのはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。 次に、誰もが暮らしやすい渋谷区について七点質問いたします。 まず初めに、安全な遊具があるインクルーシブな公園の改修について質問いたします。 こちらも先ほど森田議員から質問がありましたが、是非渋谷区として推し進めていただきたく、私からも提案いたします。 区内の公園を、障がいのある子どももない子どもも一緒になって安全に遊べる遊具が設置してある、インクルーシブな公園へ改修することを提案します。具体例としましては、車椅子に乗ったまま遊べる大型遊具や、体を支える力が弱い子が乗れるブランコなどの設置や、遊具の下に衝撃を和らげるクッション性のある舗装を行うこと、また、休憩所には車椅子で利用できるテーブルを用意し、日光に弱い子に向けては日よけを用意するなど、様々あります。「ちがいを ちからに 変える街。渋谷」、それぞれの個性を持った子どもたちがみんないっしょになって遊べる街、渋谷。そのためにもインクルーシブな公園の整備を推し進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。 次に、障がい者の方が利用しやすいスポーツ施設についてお伺いします。 障がい者の方も利用できるスポーツ施設についてですが、車椅子からトレーニングマシンに乗り移って運動するためには、専用のトレーナや介助者の方が同伴する必要があるのが今の現状です。しかしながら、現在は車椅子に乗ったままトレーニングできるトレーニングマシンも増えてきております。このような障がい者の方が使いやすいトレーニングマシンを導入することにより、障がい者の方が自分のタイミングで運動ができ、体力、自信をつけることができれば、社会進出をする足がかりになるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。 次に、渋谷駅周辺小規模施設のバリアフリー化の助成についてお伺いします。 二〇〇六年十二月に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」、いわゆるバリアフリー法が施行されました。この法律により、駅を中心とした地区や公共施設等が集まる地区において、重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進するため、区市町村が一定の地区、重点地区を定め、その地区のバリアフリー化の事業の推進に関する計画、バリアフリー基本構想を策定することができるようになりました。 また、二〇一六年四月に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、障害者差別解消法では、社会的障壁を取り除くために、必要かつ合理的な配慮を行うことや、配慮を行うための環境整備として、バリアフリー化の実施に努めることが求められています。 渋谷区では道路、公園、公共的な建物等を整備する際、東京都福祉のまちづくり条例にのっとり、バリアフリーに考慮したまちづくりを進めてきた中、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、より一層充実したバリアフリー化の実現に向け、二〇一八年三月に「渋谷駅周辺地区バリアフリー基本構想」を策定しています。 本年度の事業計画にある渋谷駅周辺小規模施設に対するバリアフリー化推進の助成について、予算が二百五十万円となっており、渋谷区が整備費用の二分の一を助成するもので、上限五十万円が三回、百万円が一回となっています。この事業に関して先日、担当の課の方にお聞きしたところ、「まだ告知方法や対象になる店舗の規模など、検討中」とのことでした。 この事業の事業目的に「二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けてのおもてなしの向上」とあります。オリンピック・パラリンピックの事前合宿も早いところでは年明けから始まる国もあります。早急に内容を決め、告知をしていかなければ、工事も間に合わなくなってしまいますが、計画はどのようになっていますでしょうか、お聞きいたします。 また、助成の対象が四件と少ないところも、申請する側からすると、二の足を踏む一つの要因になってしまうのではないかと考えます。今後の事業の拡大の考えはありますでしょうか。 さらに、バリアフリー工事をするにはお店を休みにしなくてはなりません。この助成のほかに簡易設備の設置、車椅子の方などのための簡易スロープ購入などに対して、この助成金とは違う小規模な助成金を行う考えはありますでしょうか。区長の見解をお伺いします。 次に、緊急ネット通報システムについてお聞きします。 東京消防庁の運用している、聴覚や言語機能などに障がいがある人向けに、スマートフォンやタブレットからインターネットを通じて一一九番を通報する緊急ネット通報というシステムがあります。この通報システムを広報に載せるなどして、渋谷区として啓発活動を行うのはいかがでしょうか。これまでは聴覚や言語機能に障がいのある方は、ファクスやメールで一一九番通報を行うしか方法がありませんでした。しかし、いざ火事になったとき、落ち着いてファクスを送れるでしょうか。 そこで、このスマートフォンやタブレットから一一九番を通報できる緊急ネット通報システムが活躍します。このシステムは事前登録が必要です。このシステムの利用者は、事前に自宅やよく行く場所などを登録します。そして、いざ火事となったときに、スマートフォンやタブレットからアプリを起動して、専用ページにアクセスし、通報ボタンで救急か火事、自宅か外出先などを選ぶことで、音声に頼らず通報できるシステムです。外出先の場合は、GPSから取得した位置情報から地図が画面上に表示され、通報者の現在地を特定することができます。このシステムがあることで、聴覚や言語機能に障がいのある方でも、スムーズに一一九番通報をすることができます。 現在、東京消防庁に確認したところ、まだ九百人程度の登録しかないとのことでした。愛知県名古屋市などでは、市を挙げて啓発活動を行っています。渋谷区もこのシステムの啓発活動を行うのはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。 次に、LINEでの住民票申請についてお伺いします。 住民票のデジタル申請について伺います。現在、渋谷区では、長期計画にもうたっているように、ICTの活用により電子申請及び業務効率化を図ることを掲げています。そこで、区民の方からの申請が最も多い住民票の申請手続をスマートフォンから申請できるシステムの運用を始めてはいかがでしょうか。 千葉県市川市では、LINEと提携をし、自身のスマートフォンのLINEアプリで必要事項を入力し、カメラで本人確認書類を撮影した上で、電子マネーで決済を行うことで、後日、住民票が自宅に郵送される仕組みを導入しています。このシステムを導入することによって、自宅にいながら手軽に住民票申請、取得をすることができるようになります。このシステムの導入について、区長の見解をお伺いします。 次に、LGBTカップル職員の休暇規定についてお伺いします。 現状、渋谷区では、結婚時や配偶者の死亡時に取得できる慶弔休暇などを同性カップルの職員には認めていません。同性カップルでも慶弔休暇や介護休暇をとれるように規則を改正するのはいかがでしょうか。 千葉県千葉市では、LGBTの職員が同性パートナーと同居している場合、法律上の結婚や事実婚のカップルに認めているのと同じ休暇制度を利用できるよう、就業規則を改正すると発表しています。 また、千葉市では、結婚休暇に当たるパートナー休暇のほか、パートナーや、その親族の介護のための休暇を付与するとのことです。 渋谷区は全国に先駆け、長谷部区長のもと、同性パートナーシップ制度を導入しています。その点からも、休暇等の規定の運用変更を提案します。区長の見解をお伺いします。 次に、公用車へのドライブレコーダーの設置についてお伺いします。 世間ではあおり運転等の危険運転行為に対して、しっかりと記録を残すという部分でも、ドライブレコーダーは大きな効果を発揮しています。また、安全運転に対する職員の意識の向上にもつながります。ドライブレコーダーですが、確認したところ、現在、区総務部が所有している全十二台にはついていないとのことでした。この総務部の所有している十二台には区長車、議長車も含まれます。区長、議長に何かあっても困りますし、運転する職員の安心・安全のため、また、万が一事故が起こった場合は、その責任の所在が明確にもなりますので、区所有の公用車にドライブレコーダーを設置してはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。 次に、福祉施策について六点お伺いします。 認知症検査の助成金についてお伺いします。 日本では、総人口に占める六十五歳以上の人数が二〇一八年九月現在で三千六百万人となっています。総人口に占める割合は二八・一%と年々増えており、二〇二五年には三〇%を超えると予想されています。その中で認知症患者数も増えており、二〇二〇年には約六百万人、二〇四〇年には約八百万人になるという推計があります。認知症は早期の発見、治療により進行をおくらせることができます。しかし、いまだ認知症の発症原因は突きとめられておらず、認知症を治癒させる薬は開発されていません。 東京都は七十歳以上の都民に対して、認知症検診の全額補助に乗り出すことを決めていますが、二〇一九年度予算では四自治体を先行に始めるとのことです。東京都に確認したところ、まだその選定には入っていないとのことでしたので、是非渋谷区として東京都に要望し、いち早く認知症検査の助成をお願いしたいと思います。 また、認知症は高齢者だけの病気ではありません。東京都の認知症検査の助成金は七十歳以上を対象にしておりますが、七十歳未満にも区として検診費の助成を行うのはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。 続きまして、認知症行方不明者発見アプリの活用についてお伺いします。 警察庁の発表によりますと、二〇一七年度の認知症による行方不明者数は約一万六千人でした。この数は統計をとり始めた二〇一二年以降、五年連続で最多を更新しています。その中で不幸なことにお亡くなりになってしまった方が四百七十人もいます。 昨年、渋谷区でも認知症の方で行方不明になった方がいらっしゃいました。そちらの方は無事発見されたとのことでした。そのような認知症行方不明者を早期に発見するためにも、認知症行方不明者発見アプリを活用し、認知症行方不明者の早期発見につなげる事業を提案します。 登録された認知症患者が行方不明になった場合、行方不明になった認知症の方の家族の方が捜索願を出します。そうすると、アプリ登録者に通知が行き、アプリ内の地図に発生位置を明示し、チャットを行う機能もあり、進捗状況など行方不明者の情報をリアルタイムで共有できるシステムです。このシステムは、認知症の人や家族を支援する民間団体「全国キャラバン・メイト連絡協議会」と民間企業が共同で開発したものです。既に岐阜県大垣市などでは導入されています。登録の対象は、過去に行方不明になり、警察の保護歴などがある高齢者が対象となります。 また、お隣の中野区では、徘徊高齢者探索サービスを行っています。認知症による徘回行動のある高齢者を介護している方が対象で、GPS位置情報サービスを活用し、介護者に電話やインターネットで高齢者の現在地を知らせてくれるシステムです。六十五歳以上の方が対象で、月額六百円で利用ができます。 また、中野区では、認知症事故の保険導入も始めました。認知症患者の徘回などによって引き起こされた事故の被害者や本人を救済するものです。以前同じ質問がありましたが、その際、区長は、「まだ導入事例が少ないので、今後の研究課題に」とのお話でした。 平成十九年には、愛知県で高齢者が徘回中に電車にひかれるという事故がありました。その際、鉄道会社から莫大な損害賠償を請求された事案がありました。この中野区加入の保険では、一人年間二千円ほどの保険料で、鉄道事故などで最大三億円、本人死亡などで最大五十万円を補償する保険に区として加入するものです。四十歳以上で認知症と診断された区民が対象で、三十一年度内に百人の申し込みを受け付け、今後も人数を増やすとのことでした。 渋谷区にはJR、小田急、京王線のそれぞれの路線には多くの踏切があります。その点を考えても、この愛知県で起こった事故が起こる可能性が皆無ではないはずです。認知症対策に明確な答えはありません。それぞれの自治体がそれぞれの地域に合った施策を行っています。渋谷区ではIoTを活用した高齢者行方不明対応事業を行っていますが、そこに地域の方をさらに巻き込む認知症行方不明者発見アプリの導入を検討し、また、GPSによる見守りサービス、認知症事故に対しての保険導入など、多方面からの支援体制をとるべきではないかと考えますが、区長の見解をお伺いします。 次に、不妊治療の助成についてお伺いします。 現在、不妊治療に対しては、渋谷区として助成制度は存在せず、東京都の特定不妊治療助成事業に任せているというのが現状です。国の特定不妊治療の助成件数は二〇一六年度で約十四万件あり、二〇〇八年度と比べると二倍になっています。不妊治療は家計への負担が大きく、二の足を踏む家庭があるのも現状です。体外で受精させた胚を子宮に戻す体外受精は一回平均三十万、精子をガラス針で卵子に入れる顕微授精は一回平均四十万かかります。いずれも公的医療保険の対象外となる自由診療で、全額自己負担となっています。回数を重ね数百万円を投じる方も少なくはない現状があります。東京二十三区の半数近くの自治体が、東京都の特定不妊治療の助成金に対して上乗せ事業を行っています。 この東京都の特定不妊治療ですが、体外受精と顕微授精のみが対象となっています。また、特定不妊治療に至る過程の一環として行われる男性不妊治療にも一定の助成制度が設けられています。不妊治療は、特定不妊治療に至るまで、大きな時間とコストがかかります。不妊治療の流れは、まず初期の様々な検査から始まり、血液検査によるホルモン値により排卵日を予測するタイミング法、人工授精、それでも妊娠に至らなかったとき、初めて体外受精や顕微授精にステップアップすることになります。 女性は不妊治療に入る前に感染症検査やホルモン値などの血液検査に加え、甲状腺の検査、卵巣年齢を見る検査など、多くの基本検査が必要です。全て保険適用されず、総額で大体七、八万円という金額がかかってしまいます。特定不妊治療に至るまでの基本検査費用が大きな負担になることから、治療自体を諦めている方がいる現状もあります。 また、東京都が定めている所得制限も世帯収入となっており、助成金がもらいにくい一つの要因となっています。 現在、渋谷区では、特定不妊治療に対する助成金をもらっている方の数を把握していますでしょうか。男性、女性ともに初期の検査費用に対しての助成制度、さらには、東京都の助成制度への上乗せ事業を行うのはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。 次に、精子・卵子凍結保存の助成についてお伺いします。 がん患者の出産支援として、精子・卵子凍結保存への助成を提案します。 若い世代のがん患者の妊娠、出産を支援するもので、がん患者の方が抗がん剤や放射線治療の影響で生殖機能が低下し、妊娠、出産が難しくなる場合があり、不妊のリスクが高くなる前に、精子や卵子を凍結保存するものです。 国立がん研究センターの調査によると、がん治療前に精子や卵子を凍結保存するなどの方法があることを知っている人は四割程度にとどまっていると調査があり、不妊のリスクが高くなることを知らず治療が進むケースが多いといいます。 また、多くの費用がかかります。採取や凍結をするのに精子は二万円から七万円、卵子は十五万円から四十五万円かかり、さらに保管するには精子では年間一万円から六万円、卵子では五万円ほどです。この助成制度を導入することにより、がん患者の方の人生の選択肢を増やすことにつながると考えますが、いかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。 次に、新生児の難聴検査の助成についてお伺いします。 新生児聴覚スクリーニング検査は、産科医や診療所でおおむね生後三日以内の赤ちゃんに対して行われています。検査方法は一般的に耳にイヤホンを入れ、入れたイヤホンから小さな音を聞かせ、脳幹からの電気反応を調べるABR(自動聴性脳幹反応)か、音に反応して内耳から返ってくる反響音を測定するOAE(耳音響放射)のどちらかで検査が行われています。現在、検査は母親が妊娠中に風疹と診断され、難聴を伴うおそれがある新生児を除いて保険が適用されず、自由診療となっています。費用は精度の高いABRが五千円で、OAEが三千円です。 昨年末、厚生労働省が公費助成を促す通知を出したこともあり、四月より東京都で三千円の助成が始まりました。しかし、区として独自に精度の高いABRが受けられるよう、公費助成の上乗せを検討すべきではないでしょうか。全国的にも全額助成している自治体が多くあり、また、上乗せすることにより、検査で異常が見つかった場合は、医療機関と情報共有をしながら療育につなげていくシステムの導入を提案します。 この検査、システムの導入により、新生児千人当たりに一人、二人とされている先天性難聴を早期発見し、早期の療育を行うことによって、言葉の発達が促され、社会参加を容易なものとしてほしいと考えますが、区長の見解をお伺いします。 次に、免許証返納に伴う助成についてお伺いします。 二〇一七年の七十五歳以上の運転手による死亡事故の全年齢に占める割合は一二・九%で、十年間で五%近く増加しています。七十五歳以上の免許保有率は二〇一七年で五百四十万人、自主返納は進んでいますが、それ以上のペースで七十五歳以上の保有率が増加しています。昨今、高齢ドライバーによる歩行者を巻き込んだ痛ましい交通事故が多発している現状から、高齢者の免許返納を促すとともに、生活の中でどうしても車に乗らなくてはならない高齢者がいる現状も考え、ASV(先進安全自動車)の購入に際して、補助金を出すのはいかがでしょうか。車両の条件は被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い時速度制御装置など「サポカーSワイド」と呼ばれる四つの安全装置を備えている車のことです。 また、免許証を返納し、運転経歴証明書を発行する際に、千百円の手数料が発生しています。運転経歴証明書は運転免許証と同様に、身分証明書として用いることができます。もちろん渋谷区でも公的な証明書として活用することができます。 また、運転経歴証明書を提示することにより、高齢者運転免許自主返納サポート協議会の加盟店や美術館などで様々な特典を受けることができます。この免許返納に伴う運転経歴証明書発行に補助金を出すことはいかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。 次に、防災について三点お伺いします。 まず初めに、避難所の備蓄品についてです。 現在、災害に備え様々なものが備蓄されています。今年度も使用期限や消費期限切れのものを入れかえるなどで、新たな備蓄品を購入する予定がありますが、この入れかえに伴い、今現在備蓄庫に入っているものの処理はどのようにするのか質問いたします。 一部のものは地域の防災訓練等で配ったり、粉ミルクに関しては保育園へ寄附したりしているとお聞きしましたが、その備蓄品の提供に関する規定、マニュアルはありますでしょうか。食品ロスの深刻さが大きく世界的にも言われる時代で、本国会でも食品ロスの減少目標を定めた法案も可決されています。その観点からも、消費期限が切れてしまって破棄することがないよう、徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。区長の見解をお伺いします。 次に、備蓄庫に新たに液体ミルクを加えることを提案します。 ミルクをつくるにはお湯ときれいな水が必要になります。災害時、それぞれの子どものニーズに合わせお湯を沸かすことは大変困難です。そこで、昨年八月より国内で販売が解禁された液体ミルクを活用するのはいかがでしょうか。 国でも二〇一九年度に改定された「防災に関する指針」で、災害時に必要な物資の位置づけとして、自治体に備蓄を促しています。しかしながら、液体ミルクにも難点はあります。それは消費期限が半年程度ということです。現在、備蓄している粉ミルクは一年程度の消費期限があります。以前、同じく液体ミルクを備蓄庫に加える提案がありましたが、備蓄庫を半年に一回あけ、備蓄品の交換は難しいとのことでした。そこで、備蓄先を避難所近くの保育園等にし、備蓄管理を任せるという形で災害時に備えるのはいかがでしょうか。粉ミルクも消費期限が来たら、保育園等に寄附をしていることを踏まえ、液体ミルクも消費期限が来たら、そのまま寄附をすれば無駄になることなく備蓄が可能となります。 大阪府箕面市では、百二十五ミリリットル入りの液体ミルクを六百個、市内四カ所の公立保育所に分けて備蓄を行っています。消費期限が近づいたものは日常の保育で使い、減った分を買い足していくローリングストックの手法で備蓄を行っています。これらのことに対して、区長の見解をお伺いします。 次に、現在運用されている渋谷区安全・安心メールについて質問いたします。 現在、渋谷区安全・安心メールは、日本語のみの対応となっています。毎日のように悪天候のお知らせや不審者のお知らせ、詐欺の電話があったなどのお知らせなど、渋谷区の様々な情報が入ってきます。そのメールを見ることにより、不審者に対する警戒心を強めるなど、日々の防犯にもつながっていきます。新たに導入された渋谷区防災ポータルサイトは多言語に対応している観点からも、日々の防犯につながる渋谷区安全・安心メールも多言語化すべきと考えますが、いかがでしょうか。区長のお考えをお聞きします。 次に、教育施策についてお伺いします。 まず初めに、スクールロイヤー制度の導入についてお伺いします。 スクールロイヤー制度とは、弁護士が学校側の代理人ではなく、第三者的な立場で子どもや保護者の事情を検討し、学校側に助言をする制度です。国でもスクールロイヤーの拡充に向け、日弁連や各地の弁護士会と連携する考えを示しました。その背景の一つには、いじめ防止対策推進法ができたのに、学校や教育委員会の不適切な対応がなくなっていないところにあります。 スクールロイヤー制度は、当初学校現場でのいじめ防止を目的に、弁護士に授業を行ってもらうなどして、相手に手を出せば傷害罪に問われたり、いじめで精神的な苦痛を与えれば、損害賠償を求められたりするということを想定していました。 その後、教員の働き方をめぐる負担軽減の議論で、スクールロイヤーに求められる役割も変化しており、保護者からの過度な要求や苦情への対応も期待されているのが今のスクールロイヤー制度の運用実態です。 千葉県野田市で起こった小学校四年生の虐待事件では、虐待をしていた父親が学校や市の教育委員会に「名誉毀損で訴える」と訴訟をちらつかせ、その威圧的な態度に学校長は情報を開示する旨の念書に判こを押してしまいました。 また、「お父さんに暴力を受けている」と書かれた、いじめに関するアンケート用紙の写しを市の教育委員会は渡してしまっています。 スクールロイヤー制度の導入により、弁護士に相談することによって、法律に詳しくない教員が、威圧的な言動で迫られたり、対応に苦慮し間違った対応をしてしまうことを防ぐことができるのではないでしょうか。 そのほかには子どもの保護者から「いじめられている」との訴えがあった場合、いじめなのか遊びの延長なのか、教員ではなかなか判断がしかね、解決策を見出せないところを、そんなとき、スクールロイヤー制度を活用することで、弁護士が客観的な立場から事例の解決に導きます。 東京都港区では、二〇〇七年度にスクールロイヤー制度を導入しています。学校長や教員は直接電話で弁護士に相談でき、司法の観点を踏まえた助言を受けることができます。当事者同士の話し合いに同席を求めることも可能で、学校から弁護士に寄せられた相談は年間四十件弱です。内容はいじめ問題や近隣家庭からの苦情、保護者の理不尽な要求などでした。学校側が判断に迷った際に駆け込めるところがあるということは、教員の心理的負担の軽減にもつながると考えますが、区長、教育長の見解をお伺いします。 次に、制服のリサイクル事業について提案いたします。 現在、渋谷区立の小中学校の標準服、夏服、冬服を合わせた値段ですが、小学校で一番高いもので女子の制服で約五万円、中学校で約七万六千円です。大変高額なものとなっています。また、中学生の成長期には、一年時に買った制服が三年生になったときに小さくなってしまって着られないということも起こってしまいます。だからといって、三年時で新たな制服を買い直すことは、家庭に大変な負担です。 そこで、制服のリユース、再利用を教育委員会として推し進めていくのはいかがでしょうか。 東京都公立高等学校PTA連合会では、PTAが制服のリユースを始める際の参考になる「活動ガイド」をつくって取り組みを進めています。 福岡県古賀市の教育委員会では、市内の中学校や近郊の高校の生徒に呼びかけ、不用になった制服を集めています。約三百点を市役所内で保管し、来庁した希望者に無料で譲渡しています。 愛知県長久手市では、市が回収事業を行い、各中学校に呼びかけ、制服の譲渡会を年一回開いています。かつては上級生から不用になったお下がりを譲り受けることも多くありましたが、最近では近所のつき合いなどが減り、その機会も減ってきている現状があります。せっかく使えるものが家の中で眠っているのは大変もったいなく、家庭に眠る資源を最大限に活用し、子どもを助け合って育てるネットワークの形成、さらには、物を大切にする意識の向上につなげていけるのではないかと考えます。 現在、渋谷区の公立小中学校で制服のリユースを行っている学校はどのくらいありますでしょうか。もし行っていない学校があるのであれば、PTAの方々と協力し、制服のリユースを進めるのはいかがでしょうか。教育長の見解をお伺いします。 次に、放課後クラブ事業者へのAED指導について質問いたします。 先日の教育委員会の定例会の報告の中に、放課後クラブの事故の報告がありました。その中で骨折等を含む救急車を要請する大きな事案もありました。放課後クラブ事業者に対しては、応急手当の指導は行っていますが、AEDの使用方法の訓練については、「事業者に任せており、区としては指導を行っていない」とのことでした。 いつどんなことが起こるかわかりません。特に小学生は注意も散漫になり、大きなけがをすることもあります。 現在、渋谷区では各小学校にAEDを配備しています。いざというとき、AEDはあるが、使い方がわからないでは救える命も救えません。そのことからも、放課後クラブ事業者にAEDの使い方の講習を必ず受けるようにすべきではないでしょうか。厚生労働省が作成している放課後クラブ運営指針にも、放課後クラブで事故等が発生した場合、速やかに適切な処置を行っていく必要があると明記してありますが、教育長の見解をお伺いします。 最後に、教育委員会の傍聴規則についてお伺いします。 現在の教育委員会の定例会では、傍聴者に対して資料の提供もなく、読み上げられている数字等をメモすることにとどまっております。個人情報が書かれている部分は隠していただき、持ち帰ることで支障が生じるなら回収しても構わないと思いますが、傍聴者にも資料を提供することはできないでしょうか。それも現状できないというのであれば、渋谷区はICTの活用を積極的に進めておりますので、大きな画面に資料を映し出す等をすることも可能かと考えますが、いかがでしょうか。教育長の見解をお伺いいたします。 以上、質問いたします。よろしくお願いいたします。 ○議長(下嶋倫朗) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 立憲民主党渋谷、中田喬士議員の代表質問に順次お答えいたします。 初めに、きれいなまち渋谷区について三点のお尋ねです。 まず、路上喫煙禁止の推進についてのお尋ねです。 現在、渋谷駅、原宿駅、恵比寿駅周辺には、喫煙者のために指定喫煙所を設定していますが、その中にはつい立て等がなく、灰皿だけが設置されているところもあるのが現状で、条例改正に合わせて早急な対応が求められています。 「渋谷区安全・安心なまちづくりのための大規模建築物に関する条例」では、公共利用の屋内喫煙施設の設置を義務づけていますので、今後、受動喫煙対策にもなる屋内喫煙施設が設置されることに応じ、受動喫煙対策のとれていない指定喫煙所は、順次、撤去することを考えてきたところです。 しかし、屋内喫煙施設の設置には時間が必要なこともあるため、所信でも申し上げました「渋谷駅モヤイ像喫煙所」については、既存の喫煙所をコンテナ型喫煙所に変更する予定です。 来月七月一日からは過料の聴取が始まります。指定喫煙所の見直しや新たな喫煙所設置の検討については、コンテナ型(トレーラーハウス型)喫煙所の設置に、ある一定規模以上の空地(民有地を含む)を含む諸条件を満たすスペースが必要なため、現在、全庁的なプロジェクト体制を立ち上げ、探索しております。条件が整い次第、設置を順次進めてまいります。 次に、ネズミ対策について二点のお尋ねです。 初めに、ネズミ対策のパンフレット作成配布と駆除のための補助金についての御質問です。 ネズミ対策の周知については、区ホームページで対策のポイントを案内するほか、電話等による個別相談を行っており、パンフレットを作成することは考えていません。 また、飲食店等は食品衛生法における衛生措置として、ネズミ対策が義務づけられています。このため本区では、平成二十二年度より、飲食店営業許可更新時の講習会において、ネズミの駆除対策について説明しており、今後も引き続き実施いたします。 なお、事業者が専門業者に委託した場合の補助金については、実施する予定はありません。 次に、建物解体時におけるネズミ駆除についてのお尋ねです。 議員御提案の、建築物の解体工事の際にネズミ駆除の指導を行うとのことですが、各種相談事例からも、ネズミの捕獲、あるいは駆除は非常に難しいと認識しています。解体時に指導を行ったとしても、実効性に乏しいと考えますので、今後の研究課題とさせていただきます。 次に、落書き消しへの助成金についてのお尋ねです。 まず、落書きの把握については、区では区民や事業者からの相談や苦情、あるいは庁外で職務を行う職員から情報を得て確認している状況です。 落書き消しに関しては、区内各地区の美化推進委員会に委託し、対応をお願いしています。また、区民、事業者、団体、区が連携協力した「渋谷をつなげる三十人」から派生したボランティアの方々も、独自に精力的な活動をされています。区としては、資機材の提供や貸し出しを行っているところですが、これからもボランティア団体等の広がりが図られるよう、引き続き支援をしてまいります。 次に、防犯カメラについての御提案ですが、防犯カメラの無償貸し出しについては、落書き防止には有効であると考えますが、設置場所や管理については課題と考えられます。他自治体で今年度から実施するとの情報がありますので、その実施状況や効果を参考に、今後検討することといたします。 また、落書きを消した場所にはシール等を掲示してはどうかとの御提案ですが、区民等の落書き消しの取り組みをアピールするとともに、周囲の注目を浴びるということで、落書き抑止になると考えますので、検討してまいります。 次に、安全な遊具があるインクルーシブな公園への改修についてのお尋ねです。 議員御発言のインクルーシブな公園については、シブヤを笑顔にする会、森田由紀議員の代表質問にお答えしたとおり、本区としては先行して整備を進めている東京都と連携し、できる限り導入していければと考えています。 車椅子に乗った子、体を支える力が弱い子や日光に弱い子など、様々な子どもたちが一緒になって安全に遊べる遊具を整備していくことは、本区が掲げる「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」という、目指すべき新しい未来像へチャレンジしていくこと、そのものです。 したがいまして、障がいの有無にかかわらず、全ての子どもたちが安全に楽しく、ともに成長できるような公園を整備することが大切であると考えています。 次に、車椅子に乗ったままでトレーニングできるトレーニングマシンを導入すべきとのお尋ねです。 議員御提言のとおり、障がいのある方がスポーツを通して、体力、自信をつけ、社会進出をする足がかりを得ることは非常に大切なことであると考えます。 現在、渋谷区立のスポーツ施設は、スポーツセンターを初め、猿楽トレーニングジムやひがし健康プラザなど十一カ所あり、そのうちトレーニングジムは二カ所に設置されています。全てのスポーツ施設は、スロープやエレベーターなどバリアフリー化されており、車椅子の方にも支障なく入場できるように整備されております。 本年度より、教育委員会は新たに「障がい者スポーツ体験教室」を実施し、これまでスポーツ施設を利用したことがなかった方にも御参加いただく機会をつくり、大変好評を得ているところです。 車椅子の方を初めとする障がいのある方が、利用できるスポーツ施設のあり方については、まず、多様なスポーツに参加していただく機会をつくり、そこで多くの皆さんから御意見をいただきながら、様々なスポーツに親しめる環境を整備することを検討してまいります。 また、所信表明でも申し上げたとおり、渋谷区では車椅子の方でも、どのような年齢の方でも、皆さんがともに参加できるボッチャを普及させていきたいと考えています。 次に、バリアフリーについて一括してお答えします。 本年度創設する渋谷駅周辺地区の小規模施設に対するバリアフリー化推進助成制度は、飲食店などの小規模店舗に対するバリアフリー整備費用の一部を助成するもので、このことにより障がい者や高齢者の方々が、安心して渋谷のまちの魅力である小規模な路面店などを訪れ楽しむことができるようにしています。 事業の実施に当たっては、区ニュースへの掲載とともに、エリア内各商店会へ周知しながら、当面は着実な事業設計と実施に努め、民間施設のバリアフリー化を進めてまいります。 また、事業規模などの拡大については、実績を見ながら、今後の展開について検討してまいります。 なお、お尋ねのバリアフリーに関する小規模の助成制度を策定する計画は今のところありません。 次に、緊急ネット通報システムについてのお尋ねです。 「渋谷区障害福祉推進計画」の策定に当たり、平成二十八年度に、区内在住の障がいのある人を対象に実施した調査では、約四〇%の人が携帯電話やスマートフォンを日常生活で使用しています。 このように、障がいの有無にかかわらず、携帯電話やスマートフォンの利用率が高まる中、議員御指摘の緊急ネット通報は、聴覚や言語機能に障がいのある人にとって、命と安全を守る上で大変有益なツールです。 区としても、東京消防庁と連携しながら、区ホームページへの掲載を含め、積極的に周知に努めてまいります。 次に、住民票の写しのデジタル申請について、システムの導入のお尋ねです。 議員からの御質問のとおり、千葉県市川市では、今年の三月からLINEで住民票の写し等をオンライン申請できるサービスを開始しています。 一方、国においてはデジタル手続法案が先月、国会で可決され成立しました。今後、国主導によるオンライン申請も加速度的に推進していくものと考えます。 当区での取り組みは、住民サービスの電子化を推進することは、行政改革の最優先課題であると考え、証明書が必要となったときに、全国どこのコンビニエンスストアでも即時に証明書が取得できるよう、他自治体に先駆けて住民票の写しなどのコンビニ交付を導入してきました。 区内で利用可能なコンビニは三百店舗を超えており、コンビニ交付の利用数は年々増加しています。 今後もマイナンバーカードの普及促進に注力するとともに、戸籍証明のコンビニ交付など、区民サービスのさらなる充実を図る予定としています。 御提案の住民票の写しのLINEアプリでの申請については、先ほど申し上げたデジタル手続の動向に注視し、今後も研究してまいります。 次に、パートナーシップ関係にある職員の慶弔休暇に関するお尋ねです。 渋谷区では、平成二十七年の「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」の制定後、「渋谷区職員互助会給付金規程」を見直し、平成二十八年四月より職員がパートナーシップ関係にある場合にも、結婚祝い金を支給できるようにしました。しかしながら、本日に至るまで申請は一件もありません。 一方、委員の御指摘の慶弔休暇や介護休暇は、「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例」に定めがあり、この変更には特別区人事委員会の承認が必要です。これまで他区の動向を注視してまいりましたが、パートナーシップ制度を導入する区も増えてきたことから、人事委員会との調整に向けて準備を行っているところです。 あわせて、区職員にアライを増やす取り組みを推進し、あらゆる人が働きやすい環境づくりに取り組んでまいります。 次に、公用車へのドライブレコーダーの設置についてのお尋ねです。 ドライブレコーダーは、職員の安全運転意識及び運転マナーの向上、並びに交通事故発生時における責任の明確化及び事故処理の迅速化などに有効なツールとして、設置される車両は増えており、その実効性も評価されるようになりました。 今後、公用車にも車両更新や新規導入などの機会に、順次導入を図りたいと考えています。 次に、福祉政策についてです。 初めに、認知症検査の助成についてのお尋ねです。 超高齢社会の進行とともに、認知症高齢者が増加することを見据え、本区では認知症施策を重要施策と捉え、多方面からの施策を展開しています。 まず、早期発見、早期対応が重要なことから、地域包括支援センターを相談窓口として位置づけ、各日常生活圏域に認知症地域支援推進員を配置するとともに、認知症初期集中支援チームや医療機関との連携を図っています。 また、渋谷区医師会の協力のもと、各日常生活圏域に認知症相談協力医を配置し、定期的な相談会を開催する中で、認知症が疑われる方を東京都が指定している認知症疾患医療センターなどへの専門機関へつないでいます。 東京都が今年度から開始する認知症検診推進事業は、診断を各自治体が委託した医療機関で受診する費用を補助するものであり、認知症の診断を希望する高齢者の負担が軽減されるものと期待しています。 本区としても、要望していきたいと考えていますが、受診する医療機関との調整や、診断が出た後のフォローアップ体制の構築など、導入に当たっての課題もあることから、現在、都と調整をしているところです。 なお、区が独自に検診費の助成を行うことについては、今後の研究課題とさせていただきます。 次に、認知症行方不明者発見アプリの活用についてのお尋ねです。 本区では、認知症高齢者が行方不明になったときに備え、「見守りキーホルダー」の配付を行っています。これは高齢者で認知症状による行方不明の不安のある方を対象に配付しており、同時に洋服などに張れるアイロンシールもお渡ししています。このキーホルダーをお持ちの方が発見されると、専用のコールセンターに電話をすることにより、事前に登録されている緊急連絡先に連絡がいくシステムとなっています。 また、認知症高齢者が行方不明になった際に、事前に御登録いただいている協力者に対し、行方不明者の情報を記載した捜索メールを配信し、早期発見・早期保護につなげる「おかえりサポートメール事業」をあわせて実施しています。これらの事業に加え、東京都や警察の検索システムを活用することにより、発見につながっていることからも、引き続きこれらの事業の継続、拡充を図っていきたいと思います。 また、ICTやIoT、さらにはGPSなどの技術を活用した見守りサービスについては、多くの事業者から提案を受けており、議員御提案の認知症行方不明者発見アプリもあわせて、本区にとって最適な機器の導入に向け、検討を進めてまいります。 なお、認知症事故に対しての保険制度の導入につきましては、自治体としてどこまで個人の責任に関与するのかなどの課題もあるため、他自治体の導入経過も踏まえながら、引き続き研究課題としていきます。 次に、不妊治療助成についてのお尋ねにお答えします。 平成二十九年度に渋谷区で、東京都の特定不妊治療助成制度を利用したのは二百九十四件でした。 不妊検査及び一般不妊治療に対する助成制度は、平成二十九年度より東京都が助成を開始しており、また、特定不妊治療については、東京都が平成十六年度より助成を開始し、その後、助成額の増額や男性不妊治療への助成開始、所得制限緩和、対象者を事実婚のカップルへ広げる等、充実してきています。区としての独自の助成を行う考えはありません。 次に、精子・卵子凍結保存への助成制度を導入すべきとのお尋ねです。 御指摘のとおり、がん患者の将来の妊娠、出産については、がん治療の主治医と特定不妊治療の専門医との連携のもと、がん治療の早期の段階から相談できる体制の充実が重要だと考えております。 精子・卵子凍結保存への区としての独自助成は考えておりませんが、医師会やがん拠点病院と連携し、がん患者の相談支援体制の充実を働きかけてまいります。 次に、新生児聴覚検査の助成についてのお尋ねです。 四月より開始された新生児聴覚検査の助成制度は、検査可能な医療機関数やフォロー体制の現状を二十三区で共同して調査し、都内全ての子どもたちが検査を受けられる環境を構築していくため、都内全ての区市町村で開始された助成制度ですので、区独自の対策については考えておりません。 次に、免許返納に伴う助成についてのお尋ねです。 区は、高齢者による交通事故が増加傾向の中、運転免許を返納する気持ちを少しでも背中を押す意味で、昨年十月より、運転免許を返納された六十五歳以上の方に対し、ハチ公バスの回数券を一冊差し上げる助成制度をスタートしております。本年四月末現在、二百十五人の方に御利用いただいております。 助成制度の変更については、スタートして八カ月しか経過しておらず、今後の利用実態を見ながら考えてまいります。変更、検討の際は、議員からの御提案も参考とさせていただきたいと存じます。 次に、避難所の備蓄品についてのお尋ねです。 避難所の備蓄品については、マニュアルは整備していませんが、賞味期限を管理しており、計画的に入れかえを行っています。賞味期限が近づいた備蓄品については、地域の防災訓練、防災フェスで配布したり、保育園には賞味期限内に使用することを条件に提供するなど、できるだけ廃棄することがないように工夫しています。 また、防災訓練等で配布しやすいよう、今まで備蓄していた飲料水は二リットルのペットボトルでしたが、五百ミリリットルのペットボトルに変更しています。 今後も備蓄品の廃棄を減らすように取り組んでまいります。 次に、液体ミルクの備蓄についてのお尋ねです。 粉ミルクは賞味期間が二年前後であるのに比べ、現在販売されている液体ミルクの賞味期限は半年から一年と短くなっています。また、一回の使用量に対する価格を比較すると、粉ミルクに比べて単価が高く、さらに五度から三十五度の常温保存が必要とされ、備蓄倉庫での温度管理が求められるなど、備蓄に当たって課題も残されています。 しかし、今後、製品の改良等により、賞味期間の延長、保存方法の改良、価格の低下なども進むことが考えられます。 液体ミルクの備蓄に当たっては、粉ミルクと比較して備蓄品として適しているか、「ローリングストック」などの備蓄手法も含め、総合的に検討してまいります。 次に、安全・安心メールの多言語化についてのお尋ねです。 区では、メール配信システムをリニューアルし、平成二十九年十二月から、注意報や警報などの気象情報、地震などの防災情報、特殊詐欺や不審者情報などの防犯情報を配信登録した区民に速報する「安全・安心メール」を運用しています。 また、新庁舎移転に合わせて導入した新防災情報システムによる「渋谷区防災ポータルサイト」では、英語、中国語、韓国語などの四カ国語に対応し、災害情報の発信を行っております。 日本語以外を母国語とする外国人の安全・安心を確保するために、各種情報を多言語で配信し、適切な行動をとってもらうことは、国際都市渋谷における防災対策として必要なことと考えます。 安全・安心メールの多言語化については、システムの更新等を踏まえ、研究課題とさせていただきます。 次に、教育政策について、スクールロイヤー制度の導入についてのお尋ねです。 スクールロイヤー制度とは、学校内でいじめ問題等が起きた際に、弁護士を学校に派遣し、法律の専門家である弁護士の知識や経験を生かして、法的観点から学校に助言を行うものであり、重要と考えています。 学校現場における弁護士の活用においては、学校の状況や要望に応じて、教育委員会において適切に対応するものと考えています。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○議長(下嶋倫朗) 豊岡教育長。 ◎教育長(豊岡弘敏) 私には、教育について、四点のお尋ねがありました。順次お答えをしてまいります。 まず、私にもスクールロイヤー制度の導入についてのお尋ねです。 先ほどの区長答弁にもありましたように、現在、学校教育では様々な問題が発生していることから、問題への対応については、学校だけでなく、法務的観点から助言を行うことは重要であると考えています。 渋谷区教育委員会では、二〇一七年、平成二十九年から弁護士を教育施策アドバイザーという名称で設置をしており、学校からの相談に対して、法務的な観点から助言を行っております。 今後も、弁護士の教育施策アドバイザーによる相談を行い、学校を支援してまいります。 次に、制服のリサイクル事業についてのお尋ねです。 議員御提案の制服のリユースは、御家庭の経済的な負担を軽減することとなります。 現在、区内の全ての中学校が標準服のリユースを行い、小学校では標準服のある三校のうち二校がリユースを行っています。残りの一校については、昨年度から標準服の導入であるため、現段階では行われていませんが、今後、実施に向けて検討していくと聞いております。 各校では、PTAに御協力をいただき、使用済みの制服の回収、希望者への配付が自発的に行われていますが、今後は、教育委員会といたしましても、PTAに対し必要な支援内容を聞き取りつつ、標準服のリユース・再利用を進めてまいります。 次に、放課後クラブ事業者へのAED指導についてのお尋ねです。 放課後クラブにおいては、児童が安全・安心に活動できる環境を整えることは重要です。議員御指摘のとおり、AEDの講習については、各委託事業者における研修などにより実施されていますが、今後、教育委員会が実施している校庭開放指導員研修会での合同実施や、各小学校にて実施している教職員の研修などに参加する機会を設けるなど、事故等が発生した場合に速やかに対応できるよう検討してまいります。 最後に、教育委員会の傍聴規則についてのお答えをいたします。 まず、教育委員会会議規則第十一条第一項本文において、「会議は、公開とする。」としており、また、同規則第三十条において、傍聴の規定があり、さらに別に傍聴規則が定められています。 そして、会議規則第二十九条において、会議録の公表につき規定はあるものの、傍聴者への資料配付については規定はございません。 議員の御提案については、区長部局や区議会の傍聴に対する考え方も考慮しながら、規則改正の検討を始めており、改正案がまとまり次第、教育委員会に諮りたいと考えています。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○議長(下嶋倫朗) 六番中田喬士議員。 ◆六番(中田喬士) 区長、教育長、答弁ありがとうございました。是非区民の皆様が渋谷区に住んでよかったと思える区政運営に、さらに取り組んでいただきたいと思います。 私たち立憲民主党渋谷は、区民の皆様の小さな声に耳を傾け、その声が区政に反映されるボトムアップの政治を目指し、今後も活動してまいります。ありがとうございました。 ○議長(下嶋倫朗) 二十七番牛尾真己議員。 ◆二十七番(牛尾真己) 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、区長、教育長に質問します。 質問に入る前に一言述べさせていただきます。日本共産党区議団は、区議選で訴えた区民の暮らし、福祉第一の区政を目指すとともに、引き続いて行われる参議院選挙で、安倍政権の暴走政治をストップさせ、国民が主人公のあすに希望が持てる政治を実現するために全力を挙げます。 それでは、質問に入ります。 初めに、区民の安全と暮らしを脅かす国政の問題についてです。 まず、消費税増税について。 安倍政権が進める十月からの消費税増税に対し、朝日新聞の世論調査では、増税反対が五四%と引き続き多数で、区民からも、「四月以降、食料品が次々と値上げされて大変なのに、消費税増税で物価が一斉に上がったら、暮らしが成り立たない」と悲鳴が上がっています。個人消費も設備投資もマイナスという中での消費税増税は、国民生活と日本経済を自滅の道に追い込む悪政の象徴です。 導入以来、二〇一八年度までに納められた三百七十二兆円の消費税収入の約八割、二百九十一億円は同時期の法人税減税の穴埋めにされました。消費税は所得の低い人ほど負担率が高く、応能負担という民主的な税制の原則にも反するもので、社会保障のための財源としてもふさわしくありません。 日本共産党は、消費税増税に頼らなくても、大企業に中小企業並みの法人税負担を求め、証券税制と所得税・住民税の最高税率の見直し、米軍への思いやり予算などの廃止で、七兆五千億円の財源を提案しています。 区長は、区民の生活を守る立場に立って、今こそ政府に対し、十月からの消費税増税の中止を求めるべきと考えますが、見解を伺います。 次に、憲法九条問題、改憲問題について。 安倍首相は、憲法記念日の改憲派の集会に、二〇二〇年に新しい憲法を施行する気持ちに変わりはないとメッセージを送り、九条改憲への執念を示しました。 自民党の九条改憲案には、二つの危険があります。第一は、自衛隊を書き込むことによって「戦争はしない」「戦力は持たない」と定めた九条二項の制約を外すこと、第二は、憲法上できないとされてきた集団的自衛権の行使、攻撃型の武器の保持や徴兵制など、自衛隊の行動を無制限に拡大することです。まさに日本を再び戦争する国にするもので、絶対に認められません。 日本共産党は、憲法九条を生かした平和外交で、アジアと世界の平和に貢献する日本をつくることを提案しています。 朝日新聞の世論調査では、安倍改憲に反対が五二%、九条改憲に反対は六四%と圧倒的で、どの世論調査でも改憲反対が賛成を上回っています。多くの国民が望んでもいないのに、安倍首相が改憲の旗を振ることは許されません。 憲法九十九条は、国会議員や公務員は、「この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」と明記しており、安倍首相の言動は明らかに憲法違反の行為と考えますが、区長の認識を伺います。 また、区長は区民の命と安全を守るために、九条改憲に反対の意思を表明すべきと考えますが、見解を伺います。 区長は、第一回定例会の議会答弁で、自衛隊の求めに応じて、若者の名簿を提供していることを明らかにしました。自衛隊の主たる任務は「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛すること」であり、安倍政権が強行した安保法のもとでは、アメリカとともに海外にまで出かけて武力行使することも可能になっているのです。 区長が、自衛隊に名簿を提出すれば、若者を戦場に送ることに協力するものになりかねないと考えますが、区長の見解を伺います。 区長は、名簿提出が法定受託事務であると言いましたが、自衛隊法施行令に名簿の提出は指定されておらず、三月の国会で岩屋防衛大臣も「強制できない、義務はないという趣旨は今も変わらない」と答弁しているのです。 また、渋谷区個人情報保護条例では、「個人情報を、区の機関以外の者に提供するときは、本人の同意を得なければならない。」と定めており、自衛隊の隊員募集案内を郵送された若者は、「断りもなく名簿を提出していることは許せない」と怒りをあらわにしています。名簿提出は明らかな条例違反の行為です。 区長は、名簿提出が法定受託事務ではないことを認めるべきです。また、若者のプライバシーを守り、自衛官募集のための名簿提出をやめるべきです。区長の見解を伺います。 次に、暮らし、福祉優先で区民が主人公の区政について質問します。 区政の本来の役割は、住民福祉の増進を図り、区民の暮らしを守ることにあります。日本共産党区議団は、税金の使い方を改めて、誰もが安心して暮らせるように特養ホームの待機者ゼロ、認可保育園の待機児ゼロ、学校給食の負担ゼロ、高校生と低所得高齢者の医療費負担ゼロと、高過ぎる国保料の軽減などのために、積み立てた九百四十八億円の基金も活用して、暮らし福祉第一の区政を提案しています。 第一に、区民の福祉切り捨てと負担増をやめることです。区長は、「渋谷区の手厚い福祉を守る」と言いながら、区民に生活保護世帯への夏冬の見舞金の廃止や障がい者の福祉タクシー券の削減などの福祉切り捨てと、国民健康保険料の値上げなどの負担増を押しつけてきました。 今年度は、学校給食費の値上げ、新橋出張所の窓口や富山臨海学園、山中高原学園の廃止を強行し、さらに今定例会には、スポーツセンターの空調設備使用料を新たに徴収する条例改正案が提案されています。こうした福祉切り捨てや負担増をやめ、区民福祉の増進を図る区政に転換すべきです。 国民健康保険についてです。 国保の加入者の多くは、高齢者や失業者、他の医療保険に入れない不安定雇用の労働者など、所得の低い人たちです。十五年連続の保険料値上げは、加入者の暮らしを直撃します。 年収四百万円の四十代夫婦と子ども二人の世帯の保険料は、四十九万四千九百二円で、収入の一二%を超えています。区民からは、「子どもの教育費がかさむ中で高い国保料はひど過ぎる」また、「退職した翌年から国保料の高さに驚いた。年金になって収入が減るのに、国保料が上がるのは理解できない」などと怒りの声が寄せられています。 さらに、安倍政権は、保険料を引き下げるために自治体が行っている一般会計からの繰り入れをなくすことを求め、長谷部区長も「減らす」と言っています。これを許せば、四人家族で七万五千円もの値上げとなります。四百万円の収入の世帯に五十七万円の保険料は負担の限界を超え、社会保障の理念に反するものと考えますが、区長の見解を伺います。 全国知事会は、住民の暮らしを守るために、国に一兆円の公費負担を求めています。区長は国に対し、高過ぎる国保料を引き下げるために、国の負担を抜本的に増やすよう求めるべきです。区長の見解を伺います。 国保の財政運営が都道府県に移されても、保険料を決めるのは区市町村の権限です。 千代田区では、自治体独自の判断で、昨年に続き二年連続で保険料を引き下げています。年収四百万円の四十代夫婦と子ども二人世帯の保険料で比較すると、千代田区では四十五万五千五百三十二円で、渋谷区に比べ三万九千三百七十円も低く抑えています。 当区では今年度も二十三区統一保険料に合わせ、十八年度予算で七億九千二百五十九万円あった一般会計からの法定外繰入金を、四億三千六百三十八万三千円も減らしてしまいました。当区でも千代田区のように、法定外繰入金を維持して区独自の保険料引き下げを行うべきです。区長の見解を伺います。 加入者が多い世帯ほど国保料が高くなるのは、人数に応じて課せられる均等割保険料があるからです。二十三区では子どもが一人生まれるたびに五万五千二百円の保険料が加算されます。子どもの均等割軽減を実施する自治体が年々増え、都内では武蔵村山市が年収二百万円未満の世帯の第二子を半額に、第三子以降は無料にする軽減を開始しました。 また、岩手県宮古市や福島県白河市では、南相馬市に続いて今年度から、全ての子どもの均等割をゼロにしました。 我が党の調査では、全国で少なくとも二十五の自治体で子どもの均等割軽減に踏み出しています。渋谷区の場合、今年度の子どもの均等割保険料をゼロにするための予算は一億五千百万円あればできます。渋谷区でも実施すべきと考えますが、区長の見解を伺います。 次に、スポーツセンターの空調設備使用料についてです。 区長は今定例会にスポーツセンターの体育施設などの空調設備使用料として二時間につき五百円から三千円を徴収するための条例改正案を提出しています。公共の体育施設は、誰もが自由に利用できることが何よりも大切ですが、空調設備使用料の徴収で利用が制限される団体が生まれかねません。そもそも施設を利用する際に必要な空調設備に料金を課すべきではありません。 我が党区議団は、指定管理者制度の導入で、公共の教育施設が営利優先の運営になるとして反対してきましたが、指定管理になった翌年からの値上げは、我が党の指摘どおりになったと考えますが、区長の見解を伺います。 また、利用者から空調設備使用料を取ることはやめるべきと考えますが、あわせて区長の見解を伺います。 富山臨海学園の復活についてです。 区長は、区立小中学生が校外学習施設として利用してきた一九五〇年開設の富山臨海学園、一九五六年開設の山中高原学園の予算を削り、廃止してしまいました。小中学校の行事として楽しみにしていた子どもたちの残念な思いが聞かれ、子どものころに利用した保護者からも、「親子で話し合う共通の話題が一つ減った。区はなぜ廃止したのか」と疑問の声が出されています。 区は富山で行っていた海水浴は、「妙高から日本海に移動すればできる」と言いましたが、今年度、海水浴の計画をしている学校は一校もありません。また、小学校四年生の移動教室は一泊二日に短縮されました。 教育委員会の説明では、「校外学習の内容の充実を図る」としていましたが、移動教室を短縮したり、義務教育の期間中に一度もクラスの友人と海水浴さえ楽しめないようでは、決して体験学習の充実などとは言えません。富山臨海学園は今も区の施設なのですから、復活させるべきです。区長の見解を伺います。 次に、学校図書館専門員の継続雇用についてです。 学校司書は専門的な知見を生かして、図書館を活用した児童・生徒の自由な学習を担当教員と連携して進める重要な役割を担っており、二〇一四年の学校図書館法の改正で努力義務ではあるものの、配置が法制化されました。 渋谷区でも「学校図書館専門員」と名づけた非常勤職員が全小学校に配置されました。区は昨年秋に学校図書館専門員について、直接雇用していた十三名の非常勤職員を解雇し、派遣会社に委託しようとしましたが、今年度は継続しました。この五月にも募集が行われましたが、雇用期限は来年の三月末までで、月給はわずか十五万四千円、これでは安定した人材確保は望めません。 区として、国が示す司書配置を実現するため、正規職員として雇用し、全小中学校に配備すべきです。区長の見解を伺います。 次に、新橋出張所の窓口についてです。 区は今年四月一日から、新橋出張所の職員を所長一名、所員二名の三名体制に縮小し、窓口業務を廃止してしまいました。地域の住民からは、「出張所の窓口が廃止されて不便になった」「交流センター施設と一体で利用しやすかったのに、なぜ廃止したのか」「職員がいるのに窓口で手続ができないのはおかしい」などの批判が寄せられています。 地域の行政サービスの拠点である出張所の窓口を廃止することは、明らかな住民サービスの後退であり認められません。直ちに必要な職員を配置し、新橋出張所の窓口を再開すべきです。区長の見解を伺います。 また、新橋出張所の周辺には、毎年六月、七月に収入報告をしなければならない約千人の都営住宅の住民がいます。外出が困難な高齢者や障がい者も数多くいるだけに、出張所窓口を再開するまでの間も、住民が必要とする証明等の発行に便宜を図るべきです。あわせて区長の見解を伺います。 第二に、暮らし福祉第一の区政にするために、大企業の利益のための税金の使い方や財産の活用をやめ、区民が主人公の区政を目指すことです。 区長は、国保料などの値上げや区民の福祉を削る一方で、渋谷駅周辺再開発など、大企業のために莫大な税金を投入しています。今定例会には補正予算で、渋谷駅南口北側自由通路の建設費として一億八千二百万円が計上され、総額で二十六億五千百万円が見込まれています。渋谷駅街区北側自由通路、道玄坂一丁目駅前地区再開発、桜丘口再開発と合わせた税金投入は、国と区で百六十六億円余になります。南口北側自由通路は、JRと再開発ビルの利用者が圧倒的であり、その建設費は事業者が負担すべきものです。大企業中心の再開発のための税金投入はやめるべきです。区長の見解を伺います。 安倍政権は、財界が求める国際競争力の強化、企業が一番活躍しやすい国づくりに向けて、地方自治体に対しても財政削減とともに、公共サービスを民間のもうけの場にすることを求めています。 渋谷区は庁舎建設や新宮下公園整備で、区有地を民間事業者に差し出して、マンションやホテル、商業施設などを建設して大企業の利益を最優先にする手法を導入しました。区は、公有地を使ってのマンション建設で三井不動産が幾らもうけるかも区民に一切知らせず、宮下公園整備では、路線価が上昇しても時点修正もせず、ホテルを含めたまともな鑑定も行わずに定期借地契約を結び、借地料の百九十億円もの異常な値引き疑惑が浮上しても、何ら答えず、説明もしていません。 東京新聞の報道で、国連PPP作業部会の議長を務める東洋大学のサム田渕教授は、「住民、自治体、民間企業が参加する公聴会を何度も開くことが基本だ」として、「渋谷区の進め方は民主主義的なやり方とは随分違う。少なくとも再鑑定し、その時点の正しい借地料を議会で公表することが必要であり、それが当たり前だ」と述べています。 区民への説明よりも、企業の秘密を守ることが優先される民間資金の活用手法は、公共施設の整備に採用すべきではありません。また、宮下公園は区民の土地、財産なのですから、区は再鑑定を行って、区民が納得できる説明をすべきです。区長の見解を伺います。 次に、官民連携事業についてです。 昨年度は区と民間事業者が連携し、公共施設等を活用して利潤を上げる事業などを展開する渋谷未来デザインを区が主導して立ち上げました。大企業が利益を上げるための新たな仕組みづくりに、区は七千万円の出資金を出し、さらに四人の職員を派遣しています。 一方で、渋谷未来デザインは、区の出資額が五割未満のために、事業計画や予算、決算などの区議会への報告も全くありません。 また、区長が第一回定例会で取り上げた西参道プロジェクトでは、「民間の事業だから」ということで、区議会に全く報告もしないまま、首都高速道路下を店舗として活用する計画が進められ、近隣の住民からも、「何の説明もない」と怒りの声が寄せられています。 西参道プロジェクトの事業の内容と規模、誰が事業主体となるのか、また、区の役割について区長の答弁を求めます。 また、渋谷未来デザインのような法人を支援し、住民無視、議会軽視で公共の財産を大企業の利益のために差し出すやり方はやめるべきです。区長の見解を伺います。 次に、保育について質問します。 保育園の待機児については、今年四月の入所申し込みがゼロ歳児で六百八十六人、一歳児で七百十三人、二歳児で二百四十一人で、全体で千八百十人に対し、募集人員はゼロ歳児四百三十一人、一歳児四百五十一人、二歳児で七十八人、全体で千百三十人と聞いています。単純計算すると、認可保育園にはゼロ歳児で二百五十五人、一歳児で二百六十二人、二歳児で百六十三人、全体で六百八十人が入れない深刻な事態と思われます。四月一日に実際に認可園に入れなかった児童数は、年齢別にそれぞれ何人なのか伺います。 政府与党などが強行した幼児教育・保育の一部を無償化する「子ども・子育て支援法改正案」は、国の最低基準を満たさない認可外保育施設についても補助対象とするだけでなく、認可外保育施設指導監督基準さえ満たさない状態の施設であっても、五年間補助対象としています。このことによって、認可外の施設でも一律に国がお墨つきを与えることになり、全体の保育の質を掘り崩すことにつながります。区長は、これまで認可園に限らず様々な手法を活用しながら待機児対策に取り組むとして、認可外保育園や企業型保育なども活用してきました。 公的保育を守る渋谷実行委員会が行ったアンケートには、「パートで働いているため、認可園に入るのが非常に困難です」「来年度、認可保育園に入れるか不安でいっぱいです」などの声が寄せられているように、多くの保護者が求めているのは、職員も施設も国の基準を満たした認可保育園であることは明らかで、東京都の保育ニーズ調査でも、区立認可園を六七%、私立認可園を六三%が希望しています。 港区では二〇二〇年開設予定で重度障がい児や医療ケア児にも対応できる区立認可園を建設中です。当区でも幡ヶ谷社教館の隣地の都有地や代々木二、三丁目の国有地などの公有地を取得し、待機児ゼロに向けて区立を中心に認可保育園の増設計画を立てるべきと考えますが、区長の見解を伺います。 次に、子どもの安全対策についてです。 滋賀県大津市の県道交差点で信号待ちをしていた保育園児と保育士の列に自動車が突っ込み、園児など十六人が死傷するという痛ましい事故が発生しました。この事故を契機に、子どもの安全をどう守るかが、多くの国民の関心事になっています。 区内でも園庭のない施設も増えており、園児が外出する機会も多くなっています。安全に園外活動を行える環境整備は、子どもの命にかかわる喫緊の課題となっています。 区は、全ての保育施設に対し、道路などの危険箇所についての聞き取り調査を行ったと聞いていますが、何カ所の危険箇所が報告されたのか、どう対応しようとしているのか伺います。 また、警察とも連携し、ガードレールや信号機等の設置、歩道の確保、子どもたちの利用する時間帯の車両進入や速度規制などの具体的な改善措置を速やかに実施すべきです。 また、園外活動における安全確保に必要な保育職員等の増配置ができるようにすべきです。区長の見解を伺います。 次に、民間保育職員の処遇改善です。 渋谷区でも、今年度も開設された保育園は全て民間の施設だけに、民間保育士の処遇改善は、区の保育水準を引き上げるために欠かせません。今年度から、国は「人事院勧告に伴う〇・八%と、月三千円相当の賃上げをできるようにする」としましたが、労働者の平均賃金よりも月七万円も低い水準だけに、これだけでは不十分です。国に対し、さらなる賃金引き上げを求めるとともに、区としても世田谷区が実施しているように、区独自の賃金助成を行うべきです。区長の見解を伺います。 次に、教育についてです。 衆議院内閣委員会は、区市町村に貧困対策に関する計画の策定と公表の努力義務を課す、子どもの貧困対策推進法改正案を提出することを全会一致で議決し、今の通常国会で成立する見通しとなりました。 子どもの間に広がる貧困の連鎖をどう断ち切るかは、社会にとっても重要な問題で、中野区では子どもの貧困調査のための予算を計上したと聞いています。また、荒川区が行った子育てニーズ調査では、「衣類が買えなかった経験がある」が一〇%、「食料が買えなかった経験がある」と答えた世帯が六%を超えるなど、子育て世帯の深刻な実態が示されました。 渋谷区は、来年度からの子ども・子育て支援事業計画づくりに向けたニーズ調査を行いましたが、子どもの貧困をつかもうとする項目はありません。改めて子どもの貧困の実態調査を行うべきと考えますが、区長の見解を伺います。 貧困と格差が広がる社会の中で、今、区の教育に求められているのは、区立小中学校に通う全ての子どもの学ぶ権利をひとしく保障することです。 まず、就学援助についてです。 就学援助は、小学生の一九・七%、中学生の三一・一%が受給しており、給付と対象を拡充することが、渋谷の教育の底上げを図ることにつながり、区が最も重視すべき教育施策の一つです。 世田谷区では、今年度から準要保護となる収入基準を四人家族で年収約五百九十万円、給食費については年収約七百六十万円に引き上げ、給食費は約三分の一の世帯が対象になるとしています。 当区でも、就学援助の対象となる収入基準を引き上げるべきです。区長の見解を伺います。 また、区は新入学学用品費の支給額を昨年から引き上げましたが、国は昨年十月の生活保護基準の改定で、小学生は六万三千円、中学生は七万九千五百円にさらに引き上げています。入学に係る費用の実態に合わせて、準要保護の支給額も国の基準に引き上げるべきと考えますが、区長の見解を伺います。 次に、学校給食費の無償化についてです。 四月からの給食費の値上げで、渋谷区の保護者の給付費負担は年額で小学校低学年が四万六千七百四十円、中学年が四万九千四百七十円、高学年が五万二千二百円、中学生が六万一千四百七十六円に値上げされ、保護者の重い負担になっています。 昨年七月に文部科学省は、学校給食の無償等の実施状況の調査結果を初めて公表しましたが、七十六の自治体で小中とも、六自治体で小中いずれかで無償化を実施していることが明らかになりました。無償化を求めた日本共産党の質問に、文部科学大臣も「重要な参考データになる」と答弁しています。また、私が調べたところ、さらに昨年度は六自治体で、今年度も新たに五町で無償化に踏み切り、年々実施する自治体が広がっています。給食費の値上げを行った区長の姿勢は時代の流れに逆行するもので、認められません。 給食費無償化に当たっての最大の課題は財源と言われていますが、我が党が予算修正でも示したとおり、当区の小中学校の給食無償化に必要な予算は三億五千万円です。区長は「総合的な子育て支援策の中で検討する」と言い続けて四年間もたっています。この間に基金を三百十四億円も積み増ししているのに、なぜ実施できないのか伺います。 また、直ちに実行すべきと考えますが、区長の見解を伺います。 次に、奨学金制度の改善について。 安倍政権が開始する大学授業料の無償化は、授業料の引き下げをせず、対象もわずか一割の学生にすぎず、財源も消費税増税を充てるなど、無償化の名に値するものではありません。日本共産党は速やかに授業料を半額程度に引き下げ、返済不要の月三万円以上の奨学金を七十万人の学生に給付することを提案しています。 足立区では既に大学や専門学校に通う学生の給付型奨学金と、日本学生支援機構第一種奨学金の貸与額総額の半額助成を実施しています。渋谷区でも教育の負担軽減の願いに応え、せめて現行の高校生に対する奨学資金貸付制度は、返済困難者に対する免除制度の導入と、給付型への改善を図るべきと考えますが、区長の見解を伺います。 次に、少人数学級の実施についてです。 文部科学省は二〇一一年度から小学校一年生の学級編制基準を四十人から三十五人に減らし、二〇一八年度までに小中学校の全学年で三十五人学級を実施する計画を開始しました。しかし、この計画は中断され、現在も小学校一、二年生と中学校一年生しか実施されていません。全国で少人数学級を推進していないのは東京都だけです。渋谷区では、神南小、中幡小の二年生は、この三月まで三クラスでしたが、今年度、三年生になってクラスが減り、学級人数も四十人近くになり、子どもと教員の負担が増えました。全学年での三十五人学級は小学校で八クラス、中学校で三クラスを増やし、教員を配置すれば実現できます。 一人一人の子どもに行き届いた教育を実現するためにも、教員の多忙化を解消するためにも、最大の効果が見込めるのが少人数学級の実施です。東京都に対し、三十五人学級を直ちに実施することを求めるとともに、区としても独自に推進し、さらに三十人学級を目指すべきです。教育長の見解を伺います。 最後に、羽田空港都心低空飛行計画についてです。 国土交通省は、羽田空港の国際便増便のため新飛行経路案を示し、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催までに実施する計画を進めています。区民から出された「羽田空港都心低空飛行経路案の撤回を求める請願」は、「海から入り海に出る」というこれまでの原則をほごにして、都心の住宅地や商業地の上空を低空で飛ばす計画で、想定外の事故は絶無とは言えず、落下物、騒音、大気汚染による被害が予想され、安全・安心が脅かされるとして、計画の撤回を求めています。この請願を受けて、区議会第一回定例会では、「羽田空港増便による都心低空飛行計画の見直し等を国に求める意見書」を全会一致で採択しました。区内上空を低空で飛行すること自体が、区民に危険をもたらす根本原因であることは明らかです。 これまで区長は、「羽田空港の機能強化は必要」と言ってきましたが、機能強化を認めることが区内上空の飛行を容認することになるという認識はあるのか伺います。 また、区長は区議会が議決した、国に対する意見書をどう受けとめているのか。そして、区長として、区民の安全と住環境を守るために、国に対し、羽田空港都心低空飛行計画の撤回を求めるべきと考えますが、区長の見解を伺います。 ○議長(下嶋倫朗) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 日本共産党渋谷区議会議員団、牛尾真己議員の代表質問に順次お答えいたします。 まず初めに、消費税についてのお尋ねです。 このことにつきましては、これまでもお答えしてきたとおり、国の総合的な財政計画、運営にかかわる問題ですので、そのような考えはありません。 次に、憲法についてのお尋ねです。 改憲につきましては、国政の場で議論されるべきものと考えておりますので、そのような考えはありません。 次に、自衛隊への名簿提供についてのお尋ねです。 名簿の提供についての法的根拠は、平成三十一年第一回定例会で、貴会派の五十嵐千代子議員へお答えしたとおりです。 自衛官募集等の推進については、防衛大臣からの依頼があり、自衛隊東京地方協力本部長からの募集対象者情報の提出依頼に基づき、区では適切に事務を執行しています。 次に、国民健康保険についてのお尋ねです。 初めに、国民健康保険の国の負担についてですが、社会保障制度の一つである国民健康保険制度の安定的かつ持続可能な運営のためには、歳入と歳出の適正なバランスを確保していくことが重要と考えます。 また、国庫負担の拡大については、特別区長会を通じて国に対し要望を行っています。 次に、一般会計からの繰り入れを行い、保険料を引き下げるべきとの御意見ですが、一般会計からの繰り入れは、国民健康保険の被保険者以外の区民にも負担をかけることとなるため、保険料の水準を勘案しながら、段階的に縮小していくべきと考えます。 次に、子どもの均等割軽減についてですが、既に所得に応じた均等割の軽減制度があることに加え、総合的な子育て支援に取り組んでいるため、区独自で軽減を行う考えはありません。 次に、スポーツセンターの空調設備使用料についてのお尋ねです。 先ほど渋谷区議会公明党、栗谷順彦議員の御質問に教育長がお答えしたとおり、今回の改正案は、冷房運転の強化や暖房運転の開始を望む多くの利用者からの強い要望に応えて、必要な規定を新設するものであるので、取りやめる考えはありません。 次に、富山臨海学園の復活についてのお尋ねです。 校外学習について、教育委員会において新学習指導要領の趣旨等を踏まえ検討され、適切に実施されているものと考えており、富山臨海学園を復活することは考えていません。 次に、学校図書館専門員についてのお尋ねです。 学校図書館専門員の配置については、学校現場の状況を踏まえ、教育委員会において適切に対応するものと考えています。 次に、新橋出張所の業務の再編について二つのお尋ねをいただきましたので、一括してお答えします。 新橋出張所では、四月、五月に行われている各種地域団体の総会等にお伺いして、地域コミュニティ活性化のための現在の出張所業務について御理解をいただくように説明に回っているところです。 出張所は近い将来、業務のICT化やオンライン手続の普及に伴い、地域コミュニティの拠点としての機能が拡大されるべきと考えています。新橋出張所の新しい業務スタイルは、今後の地域とのかかわり方の指針になるものであり、新橋出張所の業務をもとに戻す考えはありません。 また、証明書の発行には、出張所に出向くより、より便利なコンビニ交付を御利用していただけるよう、マイナンバーカードの普及に力を入れてまいります。 次に、渋谷駅周辺再開発についてのお尋ねです。 渋谷駅及びその周辺は、施設の老朽化やバリアフリー化が不十分であること、乗りかえが不便なこと、JR線や国道などにより、まちが分断されているなどの問題があり、これらを解消するために開発を進める極めて公共性の高い事業です。 議員御指摘の渋谷駅南口北側自由通路整備事業についても、これらの問題を解決するために大変重要な事業であり、渋谷区議会第一回定例会における本事業に関する議案において、本趣旨に御賛同いただき、御議決いただいているものです。 このように地域に貢献する公共性の高い事業については、渋谷区としても事業の実施や補助金交付など、区として担うべき適切な支援をするもので、議員御指摘の大企業中心の再開発のために税金を投入するものではありません。 次に、宮下公園の整備事業について、事業用定期借地料を再鑑定すべきとのお尋ねですが、これまでもお答えしていますが、その時々の路線価は上昇と下降を繰り返しており、こうしたことは社会経済情勢の大きな変化とは言いがたく、現時点において、いずれ再鑑定することがあるとしても、今はまだその時期ではないと考えています。 次に、官民連携事業についてのお尋ねです。 昨年四月に設立した一般社団法人渋谷未来デザインは、基本構想で示した「ダイバーシティ&インクルージョン」「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の考え方をまちづくりの分野にも取り入れるため設立した団体です。 渋谷に集まる企業、大学など多様な人々のアイデアや才能を領域を超えて収集し、オープンイノベーションにより社会的課題の解決策をデザインすることを目的としています。 したがって、「大企業が利益を上げるための仕組みづくり」という議員の御指摘は間違っています。また、活動報告がないとの御指摘ですが、ピッチ大会等の機会に説明、アイデアの募集をしていますし、一年間の活動報告について、本定例会開催期間中に総務委員会にて行う予定です。 もう一つ、お話がありました西参道プロジェクトについてですが、その概要及び現在の状況については、先ほどシブヤを笑顔にする会の森田由紀議員の代表質問にもお答えしたとおり、首都高速道路等関係機関に対し、区が主導して首都高速道路高架下の利活用方策や運営方法を提案するための検討を始めようという段階であり、現時点において、議員のお話にあった店舗とするかどうかも含め、何も決まっていません。 いずれにせよ、まちづくりとは公共の財産を地域のために最大限の有効活用を図るものであり、大企業の利益のために差し出すものではありません。議員の御指摘は、地域のまちづくりに対する本質を見失っており、全く受け入れられません。 次に、保育について四点のお尋ねです。 まず、認可保育園に入れなかった待機児童数についてですが、認可保育園の申し込みを行い、入れなかった児童数は、ゼロ歳児二百二十一人、一歳児二百三十三人、二歳児百二人、三歳児三十二人、四歳児八人、五歳児六人、合計は六百二人です。 次に、都有地及び国有地を取得して区立認可保育園を中心に増設を行うことについてです。本区では、従来から認可保育園等の増設をスピード感を持って着実に進めておりますが、今後も区立認可保育園に限ることのない様々な手法を活用しながら、待機児童対策に取り組んでいきます。 次に、子どもの安全対策についてです。 大津市での事故の発生を受けての保育園における対応については、先ほどシブヤを笑顔にする会、森田由紀議員の代表質問にお答えしたとおりです。 次に、民間保育職員の処遇改善についてですが、保育士の賃金については、国の公定価格や東京都のキャリアアップ助成金により処遇改善が図られており、国に対し賃金引き上げを求めることは考えておりません。 また、こうした国や都の制度を活用しながら、本区においても処遇改善を図っていきますので、区独自の賃金助成を行う考えはありません。 次に、教育について、まず子どもの貧困の調査についてのお尋ねですが、子ども青少年課では、従前より児童扶養手当の認定の際に、職員による面談や、民生委員の訪問調査により家庭環境の把握を行っています。また、手当更新の際には生活実態に関するアンケートを実施し、家庭環境内に問題があった場合には、子ども家庭支援センターや教育センターなどの関係機関と連携し、適切な対応を行っています。 したがいまして、現段階では議員が御提案する、子どもの貧困に係る実態調査は実施する考えはありません。 次に、就学援助の拡充についてのお尋ねです。 所得基準の拡大についてですが、渋谷区では就学援助世帯の所得基準を生活保護基準の一・二倍としており、二十三区におきましても、おおむね同程度の基準が設定されていることから、現行を維持していきたいと考えています。 次に、新入学学用品費については、就学助成制度の趣旨や目的などを踏まえ、適切に設定されていると考えています。 次に、学校給食の無償化についてのお尋ねです。 給食の無償化につきましては、これまでもお答えしてきたとおり、今後、子育て支援策を検討していく中で、総合的に判断していきたいと考えています。 次に、奨学金制度の改善についてのお尋ねです。 奨学金の免除制度については、奨学資金対象者の個別事情を把握した上で、返済期間の猶予等の対応を行っていますので、返済免除については考えていません。 また、給付型の奨学金を含む区の奨学金制度については、国、東京都における取り組みの成果や影響を検証していく必要があるものと考えています。 次に、羽田空港都心低空飛行計画の撤回についてのお尋ねです。 機能強化を認めることが、区内上空の飛行を容認するという認識があるのかということですが、今回の機能強化が渋谷区上空を飛行することになるということについては、もちろん認識しています。だからこそ、これまで区長として、国が責任を持って、区民への丁寧な説明と環境の影響や安全対策等について取り組むよう要望してきたところであり、意見書にもあるとおり、区民の理解が一層進むように、今後も要望していきたいと考えています。 一方で、羽田空港の機能強化を図ることについて、東京の国際化をより強化していくために重要な課題であると認識しています。よって、御質問のような、計画の撤回を求める考えはありません。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○議長(下嶋倫朗) 豊岡教育長。 ◎教育長(豊岡弘敏) 私には教育について「少人数学級の実施」についてのお尋ねがありました。 渋谷区では、国・都の基準に基づき学級編制を行い、学習内容に応じて少人数編成の授業を取り入れています。 学級編制につきましては、今後も国及び都の基準に基づいて行ってまいります。 また、教員の定数については、国及び都の基準に基づき、県費負担教職員の人事配置を行っており、都に対して教員の増員を要望する考えはなく、区独自の教員を増やす考えもありません。 以上、私からの答弁とさせていただきます。 ○議長(下嶋倫朗) 牛尾真己議員。 ◆二十七番(牛尾真己) 再質問を行います。 区長の答弁は、本当に区民に冷たい区長の姿勢を示すものだというふうに思います。国政の問題については、区長は答えませんでしたけれども、区民の命と暮らしにかかわる問題だけに、我が党は引き続き、区長に対しても、その姿勢を正すことを求めていくことをここで表明しておきます。 国民健康保険についてなんですけれども、高い保険料を何とかしたいという思いがあるからこそ、区長は国に要望を提出しているということだと思います。しかし、そういっていながら、自らの判断でできる保険料の引き下げを行わない。この姿勢は結局高い保険料や一部負担金による国保加入者の困難を理解しようとしていないものと言わざるを得ません。 区長は、国保料が他の医療保険制度に比べても著しく高いということが、どんな現実を生んでいると考えているんですか。今年三月に全日本民主医療機関連合会が、昨年一年間の経済的事由による手後れ死亡事例調査報告を発表しました。それによると、把握された七十七件の死亡事例の中で、国保加入者が三十件、本来ならば国保に加入すべき無保険者が二十人を占めているように、国保加入者が最も経済的な困難のために命を落としている、この事実があるわけです。 ですから、誰もが無理なく払える保険料にして、無料低額診療の制度などとあわせて周知して、大きく改善するということができると思います。 区長は、国保制度を社会保障の制度だというふうに答弁されているんですから、保険料を引き下げるために、国に必要な要求をし、区としてもできる財政措置をとることは、区の当然の責務であると考えます。改めて保険料の引き下げと子どもの均等割軽減に対する区長の答弁を求めます。 それから、宮下公園ですけれども、この整備は公共の財産を三十四年十カ月も民間に活用させる事業でありながら、区民には何の説明もなく、意見を述べる場もないまま進められてきました。議会も基本協定の締結以外に議論の場はほとんどないまま、計画の未定のものがほとんどという段階で、事業の全容が明らかにされないまま強行されてきました。区民から、余りにも安い借地料が指摘され、我が党が鑑定評価を行って浮上した百九十億円の値引き計画に対しても、何ら答えてきませんでした。 この東京新聞の指摘、出しましたけれども、サム教授というのは、全国日本各地で官民共同開発を手がけている方です。そういう方が言っているのは、「自治体が保有する土地は市長や議会のものではなく、あくまで住民がオーナーだという認識が基本にある」と。そして、「その土地の最もベストな利用法を徹底的に議論し、土地の価格、建設費用、民間企業の利益などを住民に開示し、これならフェアだと思われるプロジェクトをつくり上げていく、これがPPP地域事業だ」と言っているんですよ。今、区がやっているのは、区民や議会に知らせるべきことを知らせずに強行する。このやり方は絶対に許すわけにはいきません。 さらに、区長は、この区庁舎建替えや宮下公園整備の民間手法を、今後さらに推進するという考えを表明されています。そうであれば、区民の疑問に答え、理解や納得を得るというのは大前提ではないでしょうか。改めて定期借地料の再鑑定を行うとともに、区民が納得いく説明をすべきと考えますが、区長の再答弁を求めます。 それから、認可園についても一言だけ言っておきます。 認可園の待機児六百二人という答弁がありました。確かに区長がこの間、認可園等の増設をやってきたことは、それはもう事実として認めますけれども、区長が就任したときの認可保育園の待機児童数って何人か御存じですか。五百二十八人です。増えているんですよ。保護者が望む認可保育園の待機児を減らしていく、この立場に立って、認可保育園の待機児ゼロに向けた計画を立てることを求めておきたいと思います。再答弁をお願いします。 それから、最後、羽田の問題ですけれども、羽田については、区長は、渋谷上空を飛行するということは認識しているとおっしゃいました。そして、同時に国に対しても責任を持ってやるように説明をしろ、あるいは安全対策を要望していると言っていました。現状のままで計画を進める、実際に飛行させるということに対して、区長はどうお考えなのか、答弁をお願いいたします。 ○議長(下嶋倫朗) 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) 牛尾真己議員の再質問に順次お答えいたします。 まず、国保の件ですけれども、この後、人口が減ってきて受給者が増えてくるという中で、この制度設計自体が今問題になっているわけです。それに対して、またさらに一般財源を投入して充てていくということは、負の連鎖を続けていくことになるというふうに考えています。それで御理解いただければと思います。 また、次、もう一つが宮下公園についてですけれども、これはもうずっとお答えしているとおり、現時点においては、いずれ再鑑定をすることがあるとしても、今はまだその時期ではないというふうに考えています。これも御理解いただくしかありません。 あとは、認可園について、認可園にこだわらず、今後も待機児童対策をしっかりと進めてまいります。これも御理解いただければと思います。 最後に、羽田についてです。 羽田についても、もう再三お答えしてきておりますが、機能拡充についてはもちろん反対するものではありませんし、ただ、区がこれは決めてやっているものではありません。私にできることというのは、区長会で発言をし、国がしっかりと説明すべきだということをやってきております。 私も一つお伺いしたいんですが、選挙を通して、これを断固阻止するということをおっしゃっていましたが、どうやってやるのかなというふうに思っていました。私はずっとそれについては意見を表明できないというふうに答えていますし、まさか区長にそれを言うことが皆さんの公約だとも思えないので、また、皆様方は国政政党であり、国交省とも話のできる立場にあると思いますから、できる限りのことはすると思いますが、私に対しての要望としては、今までお答えしているとおり、できる限りのことはもうしております。 以上です。 ○議長(下嶋倫朗) 二十七番牛尾真己議員。 ◆二十七番(牛尾真己) 区長から再答弁いただきましたけれども、納得できるものではありませんでした。 羽田の問題だけ言っておきますけれども、区長も聞きたいとおっしゃっていましたが、もちろん私たちは、この計画は住民との「海から入って海に出ていく」という、こういったものを根本から覆すものでとんでもないというふうに思っています。ですから、当然国会でもそういうことを求めますし、自治体としても直接区民に危害、あるいは環境の悪化をもたらすわけですから、それをやめるように求めていくということは、僕は区長を先頭に国に求めるということが必要だということを言っておきたいと思います。 日本共産党議員団は、住民の暮らしや福祉を第一にする、そういう自治体として最も重要な役割をしっかりと果たすような、そういう渋谷区をつくるために、今後も全力を挙げる決意を表明いたしまして、代表質問を終わります。 ○議長(下嶋倫朗) 以上をもって、区政一般に関する質問を終わります。 これから日程に入ります。 日程第一を議題に供します。   〔野島次長朗読〕----------------------------------- △日程第一 会期決定の件----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) お諮りいたします。 本定例会の会期は本日から六月十九日までの十四日間とすることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 御異議ないと認めます。 よって、会期は十四日間と決定いたしました。 日程第二を議題に供します。   〔野島次長朗読〕----------------------------------- △日程第二 同意第二号 渋谷区教育委員会委員の任命の同意について----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) 提案理由の説明を求めます。 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) ただいま議題となりました同意第二号は、教育委員として、坂本眞理子氏を任命するため提出するものです。よろしく御同意くださいますようお願い申し上げます。 ○議長(下嶋倫朗) これから質疑に入ります。 質疑はありませんか。   〔「なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 質疑なしと認めます。 本件は委員会付託を省略することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 御異議ないと認めます。 よって、本件は委員会付託を省略することに決定いたしました。 これから日程第二を採決いたします。 本件については、区長提案のとおり、坂本眞理子氏を渋谷区教育委員会委員として任命に同意することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 御異議ないと認めます。 よって、坂本眞理子氏を渋谷区教育委員会委員として任命に同意と決定いたしました。 日程第三を議題に供します。   〔野島次長朗読〕----------------------------------- △日程第三 同意第三号 渋谷区教育委員会委員の任命の同意について----------------------------------- ○議長(下嶋倫朗) 提案理由の説明を求めます。 長谷部区長。 ◎区長(長谷部健) ただいま議題となりました同意三号は、教育委員として、園田 香氏、旧姓使用松澤 香氏を任命するため提出するものです。よろしく御同意くださいますよう、お願い申し上げます。 ○議長(下嶋倫朗) これから質疑に入ります。 質疑はありませんか。   〔「なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 質疑なしと認めます。 本件は委員会付託を省略することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 御異議ないと認めます。 よって、本件は委員会付託を省略することに決定いたしました。 これから日程第三を採決いたします。 本件については、区長提案のとおり、園田 香氏を渋谷区教育委員会委員として任命に同意することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 御異議ないと認めます。 よって、園田 香氏を渋谷区教育委員会委員として、任命に同意と決定いたしました。 お諮りいたします。 本日の会議は議事の都合により、延会することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(下嶋倫朗) 御異議ないと認めます。 よって、本日の会議はこれをもって延会することに決定いたしました。 次回の会議は明六月七日午後一時に開議いたします。 なお、日程は当日、文書により御通知いたします。 本日の会議はこれをもって延会いたします。-----------------------------------   延会 午後七時十分-----------------------------------右会議の経過を記載し、その相違ないことを認め署名する。渋谷区議会議長  下嶋倫朗渋谷区議会副議長 岡田麻理渋谷区議会議員  岡 美千瑠渋谷区議会議員  五十嵐千代子...