平成18年 6月 定例会(第2回) 平成十八年 渋谷区議会会議録 第五号 六月八日(木)出席議員(三十三名) 一番 前田和茂 二番 奈良明子 三番 小林清光 四番 岡本浩一 五番 沢島英隆 六番 栗谷順彦 七番 薬丸義朗 八番 金井義忠 九番 芦沢一明 十番 長谷部 健 十一番 東 敦子 十二番 水原利朗 十三番 松岡定俊 十四番 丸山高司 十六番 吉野和子 十七番 古川斗記男 十八番 伊藤美代子 十九番 鈴木建邦 二十番 平田喜章 二十一番 牛尾真己 二十二番 森 治樹 二十三番 新保久美子 二十四番 五十嵐千代子 二十五番 木村正義 二十六番 齋藤一夫 二十七番 染谷賢治 二十八番 座光寺幸男 二十九番 広瀬 誠 三十番 植野 修 三十一番 小林崇央 三十二番
岡野雄太 三十三番 苫 孝二 三十四番 菅野 茂欠席議員(なし) 欠番 十五番
----------------------------出席説明員 区長 桑原敏武 助役 神山隆吉 収入役 内山卓三 企画部長 星宮正典 総務部長 松井
裕 危機管理対策部長 仁科 忍 区民部長 山内一正 福祉保健部長 千葉博康 保健所長 吉村伸子
子ども家庭部長 松崎 守 都市整備部長 古川満久 土木部長 日置康正
清掃リサイクル部長 坂井正市
都市基盤整備調整担当部長 中島豊六
教育委員会委員長 椿 滋男
教育委員会教育長 池山世津子
教育委員会事務局次長 柴田春喜
選挙管理委員会委員長 石井治子
選挙管理委員会事務局長 田中泰夫 代表監査委員 倉林倭男
監査委員事務局長 菊池
淳 ----------------------------事務局職員事務局長 石川民雄 次長
小湊信幸議事係長 倉澤和弘 議事主査
中山俊幸議事主査 宮本 勇 議事主査 太田 晃議事主査 友永伸二 議事主査 谷口 徹
---------------------------- 平成十八年第二回渋谷区
議会定例会議事日程 平成十八年六月八日(木)午後一時開議日程第一 会期決定の件日程第二 諮問第一号 人権擁護委員の候補者について日程第三 議案第三十五号 渋谷区附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例日程第四 議案第三十六号 職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例日程第五 議案第三十七号 渋谷区
ラブホテル建築規制条例日程第六 議案第三十八号 渋谷区
防災従事者損害補償条例の一部を改正する条例日程第七 議案第三十九号
渋谷区営住宅条例の一部を改正する条例日程第八 議案第四十号 渋谷区
在宅介護支援センター条例を廃止する条例日程第九 議案第四十一号 平成十八年度渋谷区
一般会計補正予算(第一号)日程第十 報告第一号 平成十七年度渋谷区
一般会計予算繰越明許費の繰越しの報告について日程第十一 報告第二号
株式会社渋谷都市整備公社の経営状況の報告について日程第十二 報告第三号
株式会社渋谷サービス公社の経営状況の報告について日程第十三 報告第四号 渋谷区土地開発公社の経営状況の報告について日程第十四 報告第五号 財団法人渋谷区美術振興財団の経営状況の報告について
---------------------------- 開会・開議 午後一時
----------------------------
○議長(芦沢一明) ただいまから平成十八年第二回渋谷区議会定例会を開会し、本日の会議を開きます。 この際、会議規則に基づき、十七番
古川斗記男議員、二十一番牛尾真己議員を本日の
会議録署名議員に指名いたします。 日程に先立ち、事務局長に諸般の報告をさせます。 〔
石川事務局長報告〕 ---------------------------- 本日の会議に欠席、遅刻の届け出の議員はありません。
---------------------------- 本日の会議に出席を求めた説明員は次のとおりであります。 桑原区長、神山助役、内山収入役、星宮企画部長、松井総務部長、
仁科危機管理対策部長、山内区民部長、
千葉福祉保健部長、吉村保健所長、
松崎子ども家庭部長、
古川都市整備部長、日置土木部長、
坂井清掃リサイクル部長、
中島都市基盤整備調整担当部長、
椿教育委員会委員長、
池山教育委員会教育長、
柴田教育委員会事務局次長、
石井選挙管理委員会委員長、
田中選挙管理委員会事務局長、
倉林代表監査委員、
菊池監査委員事務局長。
----------------------------渋監発第五十号 平成十八年三月三十一日 渋谷区議会議長殿 渋谷区監査委員 倉林倭男 渋谷区監査委員 浅生博介 渋谷区監査委員 広瀬 誠 平成十七年度
財政援助団体等監査及び随時監査の結果に関する報告について 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百九十九条第九項の規定に基づき、平成十七年度
財政援助団体等監査及び随時監査の結果に関する報告を次のとおり提出する。 〔以下の朗読を省略いたします〕
----------------------------渋監発第五十一号 平成十八年三月三十一日 渋谷区議会議長殿 渋谷区監査委員 倉林倭男 渋谷区監査委員 浅生博介 渋谷区監査委員 広瀬 誠 平成十八年二月末日現在における例月出納検査の結果について 地方自治法第二百三十五条の二の規定により執行した出納検査の結果を下記のとおり報告する。 〔「記」以下の朗読を省略いたします〕
----------------------------渋総総発第二号 平成十八年四月三日 渋谷区議会議長殿 渋谷区長 桑原敏武 監査委員の選任について(通知) 渋谷区監査委員を下記のとおり選任したので、お知らせします。
記氏名住所選任年月日備考倉林倭男東京都渋谷区東三丁目二五番四-七〇三号平成十八年四月一日識見を有する者(
再任) ----------------------------渋監発第二号 平成十八年四月三日 渋谷区議会議長殿 渋谷区代表監査委員 倉林倭男 代表監査委員の就任について(通知) 平成十八年四月一日付をもって、下記のとおり代表監査委員に就任したので通知します。
記職名氏名就任年月日代表監査委員倉林倭男平成十八年四月一日
----------------------------渋選発第三号 平成十八年四月五日 渋谷区議会議長 芦沢一明殿 渋谷区
選挙管理委員会委員長 石井治子 委員長及び副委員長の就任について(通知) このことについて、平成十八年四月五日付けで下記のとおり就任しましたので通知いたします。
記職氏名住所備考委員長石井治子渋谷区恵比寿一-三〇-一四-三〇五 副委員長三橋勝郎同 上原三-三一-二一-三A 〔以下の朗読を省略いたします〕
----------------------------渋監発第五号 平成十八年四月二十八日 渋谷区議会議長殿 渋谷区監査委員 倉林倭男 渋谷区監査委員 浅生博介 渋谷区監査委員 広瀬 誠 平成十八年三月末日現在における例月出納検査の結果について 地方自治法第二百三十五条の二の規定により執行した出納検査の結果を下記のとおり報告する。 〔「記」以下の朗読を省略いたします〕
----------------------------渋監発第六号 平成十八年五月三十一日 渋谷区議会議長殿 渋谷区監査委員 倉林倭男 渋谷区監査委員 浅生博介 渋谷区監査委員 広瀬 誠 平成十八年四月末日現在における例月出納検査の結果について 地方自治法第二百三十五条の二の規定により執行した出納検査の結果を下記のとおり報告する。 〔「記」以下の朗読を省略いたします〕
----------------------------渋教庶発第三号 平成十八年六月七日 渋谷区議会議長 芦沢一明殿 渋谷区教育委員会
教育委員会委員長等の就任について(通知) このことについて、下記のとおり就任しましたのでお知らせいたします。
記職名氏名就任年月日委員長椿 滋男平成十八年六月七日
委員長職務代理者蝦名公子平成十八年六月七日 〔以下の朗読を省略いたします〕
----------------------------
○議長(芦沢一明) 区長から発言の通告がありますので、これを許可いたします。 桑原区長。
◎区長(桑原敏武) 本日ここに平成十八年第二回区議会定例会を招集し、議案の御審議をお願いするとともに当面の区政の課題について御説明申し上げ、
区議会議員各位及び区民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。 初めに、渋谷区
ラブホテル建築規制条例についてであります。 私は、これまで「安全で安心して暮らせるまち渋谷」を目指し、
警察等関係行政機関を初め都、近隣区等とも連携を図りつつ、区民、関係者と協力し、安全対策の実現に努力してまいりました。とりわけ、まちづくりの手法等を活用し、地区計画を推進し、あるいは生活環境を守り、青少年の健全育成を図るため、地元の皆様の強い要請をいただいて、あえて小さいながらも都の協力を得て児童遊園地を設置し、ホテル等の設置を規制するなどの施策を推進してきました。 しかしながら、最近のまちの動向を見るとき、日本でも有数の繁華街を抱える本区は、今後、「性」の売買を手段とした暴力団の資金源となることのないよう、また、安全なまちづくりを推進し、青少年の健全育成を阻害しないような環境にしなければならないという思いを持ち、このたび、区内全域でのラブホテルの新規建築を規制する「渋谷区
ラブホテル建築規制条例」を本定例会に提出したものであります。 この条例は、ホテル等の建築に先立って区長の同意を得るための手続等を定めるものであります。ラブホテルを使用目的及び構造・設備面から定義し、ラブホテルについては区内全域において同意を行わないよう、新たな建築を規制しようとするものであり、区長の権限として立入調査、改善勧告、中止命令等を規定し、命令違反等に対しては罰則を適用するものであります。 この条例制定の検討に当たっては、現行法令や既存のホテル等との関係等について、弁護士を初め有識者によってたび重なる御審議をいただき、また、罰則の規定等についても検察庁との協議を重ねてまいりました。 この条例を生かし、区民及び関係行政機関の御協力を得て、今後も「安全で安心して暮らせるまち渋谷」を目指し、その実現に努めてまいります。 次に、
震災対策基礎調査の活用についてであります。 去る五月二十七日、インドネシア・ジャワ島中部で発生した地震は、死者が五千人を超えるという甚大な被害をもたらしました。
マグニチュード六・三という規模に比して大きな被害をもたらしたのは、この地震が典型的な直下型地震であり、さらには、人的被害を拡大したのは簡素なれんがづくりの家屋が多かったゆえであったと報道されました。このことは、人的被害を最小限にとどめるためには建築の耐震性を高めることが重要な課題であることを示唆しております。 ところで、本区は独自施策として、
震災対策基礎調査--ハザードマップを実施し、本年三月、
建築士事務所協会渋谷支部から報告をいただきました。この調査は、区内建築物全棟の実地調査を行い、とりわけ建物について、その建築年次やその形状等を把握し、
マグニチュード六・九、震度六強の直下型地震発生時の倒壊の可能性を
ハザードマップにしてあらわしたものであります。 調査結果によれば、本区においては地震による全壊は二千二百八十五棟、火災によって六千七百六十六棟が焼失する推定であります。 また、あわせて区内の狭あい道路、ブロック塀、落下物、危険物等の危険箇所等についても報告をいただきましたが、この結果を具体的な震災対策に反映したいと思います。 まず、倒壊が想定される建物については、建物の所有者または管理者に通知を行い、建物の個別相談会を開催し、耐震診断や耐震改修の普及促進を図るなど、災害に強いまちづくりを強力に進めてまいります。 次に、災害発生時に災害による被害を可能な限り小さくするために、この
ハザードマップを活用し、消防署や自主防災組織や消防団と共通認識を持って、今後の避難のあり方や災害時要援護者対策の充実を検討してまいります。 なお、建物の危険度を区民によりわかりやすい形で認識していただくため、この本定例会で、映像による倒壊と延焼の
シミュレーションシステムを作成するための経費を補正予算として計上させていただきました。 また、この調査結果に基づいて備蓄品の再配分、避難所計画の見直しを行うとともに、
大型ガラス等危険箇所については事業所等に耐震性の確認と是正を行ってまいります。 いずれにいたしましても、直下型地震の発生を具体的に想定し、地域防災力の強化、減災対策を着実に進めたいと考えます。 次に、ペットボトルのリサイクル拡充と、
廃プラスチックの熱回収についてであります。 現在、ペットボトルのリサイクルについては、コンビニエンスストアなどの店頭回収を中心に進めておりますが、ペットボトルの回収をさらに拡充するため、本年度から集合住宅の集積所における回収など、区民が参加しやすい
ペットボトル回収を実施してまいります。 また、一方で、資源として回収できない
廃プラスチックは、現状では不燃ごみとして最終処分場にそのまま埋め立てておりますが、逼迫する最終処分場の延命を図るために、これを焼却し、電力等の熱エネルギーとして回収するサーマルリサイクルの実施を、現在、二十三区共同で検討しているところであります。プラスチックを可燃ごみとして焼却している他都市の清掃工場においては、いずれも安全性に関する法規制値を大きく下回っており、問題なく操業しております。環境対策などの技術開発の進展により、
廃プラスチックをエネルギー資源として安全に活用することは十分可能な状況であります。 本年度は、四区において
廃プラスチックを不燃ごみから可燃ごみに分別を変更するモデル事業の実施が予定されておりますが、モデル事業において清掃一組が行う実証確認の結果などを見極め、区民の理解を得ながら着実に検討を進めてまいります。 次に、放課後クラブの拡充についてであります。 放課後クラブは、一昨年九月に学童館の待機児対策として加計塚小、上原小の二校でスタートし、昨年度から全児童を対象とし、豊かで安全な放課後の生活とするため教育委員会へ事務移管を行うとともに、順次実施校の拡大を図ってまいりました。 放課後クラブは広く当該校児童を対象とし、
学童クラブ機能に加え、放課後における主体的な学習機能とそれを支援する教育機能をあわせ持つものであり、保育や教育の、あるいは地域の人材を活用して、基礎・基本の学習から伝統文化の承継まで幅広いプログラムを提供することが可能であります。これらの活動を通して学校と家庭と地域とが一体となって教育力の向上を図るとともに、児童、保護者にとって通いなれた学校において安全な放課後を過ごすことができるよう、そして子どもをめぐる痛ましい事件のないよう努力をしてまいります。 現在は七校で実施していますが、本年十月初めには新たに六校、臨川、長谷戸、猿楽、笹塚、本町、中幡で開設し、残りの七校、幡代、山谷、西原、千駄谷、神宮前、代々木、本町東についても、できるだけ早く設置してまいります。 一方、放課後クラブは発足から間もないため、保育需要や子育て支援機能、とりわけ学童館にかわる機能など、保護者の不安に的確にこたえねばならない課題もあります。これらの課題解決を図りつつ、学童館の統合等も視野に入れ、施策の拡充を図ってまいります。 最後に、本定例会に提案しております
一般会計補正予算についてであります。 防災に関する経費については既に説明したとおりでありますが、今補正予算において、
幡ケ谷区民施設と
児童福祉センターの改修工事について計上しているところであります。 最初に、幡ケ谷第二保育園の天井裏吹き付け材への対応であります。
幡ケ谷区民会館に併設する幡ケ谷第二保育園の天井裏の耐火被覆材にアスベストが含有されていることが本年二月末に確認されました。天井によって囲い込みがされており、現状において飛散のおそれはありませんが、当初予算に計上済みの併設施設、
幡ケ谷区民施設総合改修工事に合わせて保育園の
アスベスト除去工事を実施することとしました。そのため計画を変更し、工事期間中、保育に支障が生じないよう仮設園舎を設置することとし、都の補助金を確保しつつ、既定予算の中で実施いたします。 それに伴って区民部の当該予算を減額し、子ども家庭部に組み替えをしております。 次に、
児童福祉センターの改修工事であります。
児童福祉センターにつきましては、昨年十月にプールの内壁や正面入り口のコンクリートの崩落が続いたため、施設利用者への安全面への配慮から休止していたものであります。この間、老朽度の進行状況や子どもたちのニーズについても総合的に検討いたしました。結果として、今後も児童・青少年の健全育成に資するよう、この施設を生かして使うため、外壁、屋上及びプールを改修し、これを活用することとし、子どもの感性を育てることのできるよう全面的に改修する経費を計上したものであります。 以上、本定例会には条例案六件、補正予算案一件、人事案件一件、報告案件五件を御提案しております。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
----------------------------
○議長(芦沢一明) この際、区政一般に関する質問を許可いたします。 なお、事前に質問の通告がありましたから、順次指名いたします。 一番前田和茂議員。
◆一番(前田和茂) 私は、
自由民主党議員団を代表して、桑原区長に質問をいたします。 質問に入る前に、お許しをいただき一言申し述べたいと存じます。 去る五月二十七日のインドネシア・ジャワ島で発生した
マグニチュード六・三の地震は、死者が五千人を超える甚大な被害となりました。亡くなられた方々に心より追悼の意を表するとともに、けがをされた方の一日も早い御快癒を心よりお祈り申し上げ、質問に入らせていただきます。 まず初めに、渋谷駅
周辺整備事業計画の中での渋谷川についてお尋ねをいたします。 昨年十二月に都市再生本部より、渋谷駅周辺地域を
都市再生特別措置法に基づく
都市再生緊急整備地域に指定され、渋谷駅周辺は、商業、業務、文化機能の集積を生かし、周辺の緑豊かな環境の調和をとりつつ、多世代による先進的な生活文化等の情報発信拠点を形成することを目標とし、整備を進めることになりました。 この
都市再生緊急整備地域の地域整備方針の中には、重点的な市街地の整備の推進に関して必要な事項として「道路や公園などの緑の厚みを生み出し、また、渋谷川などの水辺を生かした良質な空間を創出する都市開発事業を誘導し、周辺とも連携した水と緑のネットワークを形成する」とありますように、渋谷駅周辺の整備には、環境との調和をとるためにも渋谷川の整備は欠かせないことだと考えます。 しかし、渋谷駅周辺で東口地区を考えた場合、渋谷川の計画や
東急東横線跡地計画が未定のため、東口地区の将来像が全く見えません。国の河川再生事業を受けた春の小川構想など、様々な渋谷川についての御意見があると承知しておりますが、
都市再生緊急地域指定を受けた部分の渋谷川だけでも、一日も早く将来の方向性が示されることを望みます。 今回は、
都市再生緊急地域指定を受けた渋谷川の中で、稲荷橋から並木橋区間のみの質問をいたします。 この区間を限定させていただいた理由は、昭和三十六年に東京都
都市計画審議会の
河川下水道調査特別委員会において渋谷川暗渠化の方針が打ち出され、昭和六十一年からは、渋谷川を暗渠化するために、川の上部にふたをかけることが可能な構造による護岸改修工事が施工されました。しかし、昭和六十三年ごろから、東京都は国の意向を踏まえ河川の暗渠化の見直しを始めたため、渋谷川の暗渠化はストップしてしまったからです。 この渋谷川は現在、水源を持っていないため、平常、水がなく、現実には大雨が降ったときに下水道のバイパスとしての余水吐け機能のみであります。渋谷川の河川環境が著しく悪化したため、平常の水の確保と河川環境の改善を目的として、平成七年、
落合水処理センターから高度処理水を導入し、これを並木橋わきから放流することとなりました。 しかしながら、稲荷橋から並木橋までの区間は護岸改修後そのままになっており、依然として水のない区間は大きなコンクリートの溝と化して、また、雨の後は汚水のようなにおいがすることもあり、ユスリカも発生するなど、ますます河川環境は悪化しております。これが
都市再生緊急整備地域の指定を受け、整備を行う渋谷駅周辺の顔とも言える部分の現実です。 水がなく、巨大な溝と化していて川として機能していない稲荷橋から並木橋区間については、渋谷川全体とは切り離し、緊急に対応する必要があると考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。 また、一方で、先月の地元新聞に掲載されましたように、渋谷川で同じく余水吐け機能のみで既に暗渠化をされている宮益橋から稲荷橋区間は、地下鉄十三号線、東急東横線の駅前広場や国道二百四十六号線を活用した地下通路、駅東西を結ぶ自由通路などを計画検討するために、渋谷川の一部移転の案が検討されているようです。 もしも東京都が渋谷川の暗渠化を認めないのであれば、今回、移転を検討されている宮益橋から稲荷橋区間と同じ、余水吐け機能のみで通常、水がない稲荷橋から並木橋区間も同じように移転をし、宮益橋より明治通り下を経由し、並木橋につなげれば、昭和六十一年より長きにわたり巨大な溝と化していた渋谷川、
稲荷橋-並木橋区間が新たな利用方法も考えられると思いますが、区長の御所見をお伺いいたします。 次に、歩行喫煙撲滅のための渋谷区分煙ルールの強化についてお伺いいたします。 第一回定例会に、「渋谷区における
歩行喫煙禁止条例の制定を求める請願」が提出されました。この請願は、現役の高校生から出たこともありましたが、歩行喫煙に対する区民の意識が非常に高いことがうかがえました。我が会派では、現在、渋谷区で施行されている、「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」や「渋谷区分煙ルール」との整合性のため、新たな条例制定には反対しましたが、このような請願が出されるのは、「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」や「渋谷区分煙ルール」が今のままでは十分機能しているとは思えないからです。請願趣旨にあった、やけどや引火など人的被害の防止のためにも、「渋谷区分煙ルール」をさらに強化していただきたいと考えます。 区では、喫煙スペースの設置など分煙対策に努力をされていますが、まだまだ十分ではなく、実際に、私や私の子どもなどが歩きたばこで危ない思いをしたことがあります。また、渋谷区は来街者が多く、「渋谷区分煙ルール」の周知が徹底されていないと思います。「渋谷区分煙ルール」を実効性のあるものにするために、喫煙スペースの計画的な増設や歩きたばこ禁止区域の明確なる表示など、段階を踏み、進めていく必要がありますが、歩行喫煙に対する早急な対策をお願いしたいと存じますが、区長の御所見をお伺いいたします。 次に、震災対策についてお伺いいたします。 渋谷区は、区独自策として震災対策調査を行うなど、震災対策には力を入れられておりますが、今回は、もし渋谷駅周辺で震災が発生した場合についてお伺いいたします。 渋谷区で震災が起きた場合、帰宅困難者は約二十三万人と予想されています。特に来街者が多い渋谷駅周辺での帰宅困難者は、約十万人と予想されています。まず、震災が起きた場合、渋谷駅周辺はパニックになると思われます。東京都防災会議地震部会の被害想定によれば、渋谷駅周辺の滞留者は東京駅に次ぐ多さで、約十八万人と予想されています。 渋谷区では、特に企業など地元の組織に属さない来客や買い物客が多く、駅前に集まってきたその人たちに行政が震災情報をどのように提供するのか、今のところ具体策はありません。渋谷駅周辺では十八万人のほとんどが来街者であり、避難場所すらわからない人が多いと考えられます。駅前が手の施しようのない混乱に陥る可能性は否定できません。 日中、渋谷には地元の人が少なく、在住者が少ない地域だからこそ、区による対策だけではなく、特に地元企業や商店街との協力体制が必要になると考えます。例えば避難場所への誘導も、警察、消防など関係団体の人数だけでは絶対数が足りず、地元の道に詳しい企業、商店街の方が誘導の腕章もつけ、道案内に協力をしたり、企業が帰宅困難者に宿泊場所を提供したり、協力を求めるべきだと考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。 また、千代田区では、家族の安否がとれ、慌てて帰宅する必要がなくなった人々や、自宅に家族がいない独身者を復興ボランティアとしてお願いをするという考えで、四月に施行した災害対策基本条例に帰宅困難者の共助の条文を盛り込みました。 都心が被災した場合、自宅が都心から遠ければ遠いほど被害は少なくなります。在住者よりも在勤者、来街者が圧倒的に多い渋谷区でも、帰宅困難となった来街者とともに、負傷者の救護など活動を考えていくべきだと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。 次に、住宅地の放置自動二輪対策についてです。 今、渋谷区では自転車、自動二輪の駐車場の整備に力を入れていただいておりますが、住宅地における自動二輪の違法駐車についてお伺いいたします。 自動二輪の駐車場を持たずに自動二輪を購入された方の違法駐車が住宅地で多く、ある場所ではガードレール内に自動二輪が何台も駐車され、歩行者が通れず、特に車いすや手押し車の高齢者、幼児連れの親子などが車道を歩かざるを得なく、大変に危険な思いをされています。自動二輪は自動車のように車庫証明も必要なく、駐車場もないのに購入される方がいらっしゃいますので、このような現状を招いていると思われます。自動二輪の駐車場の絶対数が少ないのが原因ですが、まず、区としてマンション建設の際の自転車、自動二輪の駐車スペースの増加を図れないか、御所見をお伺いいたします。 また、現在の違法駐車対策のために、住宅地においても自動二輪駐車場の整備が必要と考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。 次に、放課後クラブと学童クラブの運営についてお伺いいたします。 平成十六年度に学童クラブの保留児対策として始まった放課後クラブは、平成十七年度より教育委員会に移管され、全児童対策として拡大をされています。放課後クラブは現在、かなり利用者も多く、大変人気があると伺っております。近年、子どもたちを取り巻く事件が多く発生し、公園などで安心して遊ばせられない保護者は、放課後クラブに大きな期待を寄せています。 一方、昭和三十八年、保育に欠ける児童対策として福祉の立場から設置された学童館は、家庭の事情により家庭的な雰囲気を味わえない子どものため、おやつを提供し、家庭の雰囲気が味わえる施設としての役割を果たしてきました。当初は毎年定員を下回り、利用者は、昭和五十三年には四百三十五人の定員に対して一年の平均利用者は二百八十四人、平均利用率は六五%、昭和六十三年には定員四百四十五人に対して利用者は二百五十八人、利用率は五八%、平成十年、四百五十五人の定員に対して利用者は平均二百七十九人、六一%と平均利用者の六割前後であった学童館が、近年、子どもたちを取り巻く環境の悪化から、安心して遊べる場所を求めて学童クラブを希望する子どもたちが増えてきました。 放課後クラブが設置された平成十六年度には、五百九十五人の定員に対して保留児が百六人という状況にまでなり、その後、安全で安心な放課後の居場所を提供する放課後クラブが開設され、放課後の居場所を求める子どもたちは、学童クラブだけでなく放課後クラブを選べることにより、より多くの子どもたちが対象となることができました。 安全で安心な放課後の遊び場の提供だけならば放課後クラブで十分できるとのことから、学童クラブは放課後クラブに移行するという区長の発言の「移行」という言葉だけが先走り、家庭の事情により家庭的な雰囲気が味わえない保育に欠ける子どもを対象とした学童館がなくなるのではないかという声が数多く上がっております。本来、役割が違うと思われる放課後クラブと学童クラブの役割が明確にされないまま、本来は学童クラブでの福祉的要素まで放課後クラブに担わせる要望があるなど、混乱を招いています。 そこで、いま一度放課後クラブと学童クラブの役割を明確にした上で、学童館が担ってきた家庭の事情による子どもへの福祉的要素への対応を考え、放課後クラブの充実を考えていくべきと考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。 また、放課後クラブで行われている日曜日の対応については、本当に保育に欠ける子どもへの対応ということで始められましたが、現在開設されている七校の放課後クラブの本年四月における日曜日の利用状況を見ますと、一カ月の合計で二十から三十人、一日一校当たり平均利用者は一人前後というのが現状でございます。本当に子育てに御苦労されている方もいらっしゃいますので、現状の数字だけを見て見直せとは申し上げませんが、家庭の事情で日曜日に家庭にいられない子どもへの対応は、全校実施を目指している放課後クラブではなく、福祉的な立場から考えた別の施設で行うべきと考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。 最後に、高齢者福祉、障害者福祉についてお尋ねをいたします。 本年四月二十七日の東京都市区長会資料によると、七十五歳以上の後期高齢者を対象に、平成二十年度に独立した医療制度を創設するため広域連合を設立し、患者負担を一割とするとあります。これは医療費の増加に伴い、高齢者の医療費制度の持続のため三割負担としたことが、現実問題として高齢者の方々にはかなりの負担となるため、現役並みの所得を有する方以外は一割負担にするとのことでした。 高齢者には、三割負担はかなり重いと存じます。「増加する医療費を、医療現場と話し合いながら解決していかなくてはならない」と主張してきた我が会派としては、高齢者の一割負担は賛同するところですが、この制度を実施する以上、持続可能な制度とならなくてはなりません。国の制度であっても区の制度であっても、区民にとっては行政の制度として同じように受けとめられます。国の制度に区民が振り回されないように、東京都市区長会に参加される区長は、是非この制度が持続可能なように、増加する医療費の問題も含め検討されるよう強く要望いたします。 このような心配をするのも、国の制度の見込みや考え方の甘さから、障害者支援費制度、介護保険料、介護保険の軽度者の介護サービスなど、急激な考え方の変化に伴い区民の方に混乱を招いているからです。障害者の所得の保障や予防給付重視の考え方が間違いとは思いませんが、なぜ初めからその方針を打ち出さなかったのか。制度の考え方の変更が行われ、今まで受けられたサービスが受けられない方々は「取り上げられた」というような意識になります。これが国の制度であっても、区民の方々には、区役所が制度を取り上げたように思われます。 渋谷区は、低所得者の介護サービス負担を区独自に軽減したり、介護保険料も区独自に低所得者層の保険料引き下げなど行っています。今回の後期高齢者医療費制度も、持続可能な制度となるよう申し入れや医療現場との相談を行い、もし万が一患者負担が見直されるようなことがあっても渋谷区は独自に政策を考えるほどの決意で臨まれるか、区長にお伺いいたします。 また、介護保険、新予防給付の実施に伴い、区独自で実施しているヘルパー派遣事業の現状と、介護保険対応時代との違いなどないか、お尋ねをいたします。 最後に、障害者自立支援法についてお伺いいたします。 障害者の所得を確保することで、障害福祉サービスの利用者負担を伴っていけるとの目的の障害者自立支援法は、本年四月より障害福祉サービスの利用者一割負担が施行されています。しかし、景気が少し回復したとはいえ、障害者の方の就労ができているかは心配です。所得の確保は、年金制度の改革など国政レベルで解決していく課題と考えますが、障害福祉サービスの利用者負担を再検討し、区としての独自の支援策を拡充することが必要であると考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。 以上、大きく六項目にわたり、区長の御答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(松岡定俊) 桑原区長。
◎区長(桑原敏武) 渋谷区議会
自由民主党議員団、前田和茂議員の代表質問に順次お答えしたいと思います。 最初に、渋谷駅周辺整備事業に関連し、渋谷川のうち河川としての機能が生かされていない稲荷橋から並木橋の区間について、水のない川、大きなコンクリートの溝と化している現状に対しての緊急対応、それと並行して明治通り地下への移転させた上で、新たな利用方法等についてのお尋ねでありますが、御質問のとおり、渋谷駅周辺の基盤整備に当たり、渋谷川の存在は重要な課題であります。現在、国と区の行政機関と鉄道事業者とで渋谷駅周辺基盤整備検討会を発足し、駅周辺の基盤整備の協議・調整を進めているところでございます。その中で、今後、専門的かつ技術的な視点も含め、渋谷駅周辺整備の全体計画の中で、治水機能を確保した上で渋谷川の位置や構造等について結論を出していくものになるであろうと、このように理解しております。 お尋ねの、渋谷川につきましては当河川全体の議論と切り離して緊急対応をされたいという点につきましては、この検討会では、限られた時間の中で全体スキームの論議を優先させることが重要であります。また、新たな利用方法等につきまして検討されたいという点につきましては、都の財政的な負担を新たに生じるという問題があり、前田議員の御提言に沿った対応は直ちには難しいことであろうと思いますけれども、今後は歩行者の回遊性や水や緑の確保のため、地域課題として受けとめさせていただきたい、このように思います。 次に、歩行喫煙禁止についてのお尋ねであります。 歩行喫煙につきましては、平成十五年八月、「渋谷区分煙ルール」を定め、歩行喫煙を禁止してきたところであります。全国から多くの人々が昼夜を問わず訪れる渋谷のまちの特性から、条例の罰則によるのではなく、分煙ルールを理解し、ルールを遵守するというマナーの向上に期待してまいりました。分煙ルールの制定後、歩行喫煙はしない、たばこは決められた場所で吸うというルールの理解と協力を得るため、区と区民、事業者、ボランティアが連携・協力して広く運動を展開しております。広報車両による街頭宣伝、公共施設の掲示板へのポスターの掲出、路面ステッカーによる表示や看板、のぼり旗の設置など、各地区の美化推進委員会の力強い御協力により、三年近くにわたり啓発活動を行ったところであります。 歩行喫煙は、ややもすればやけどや引火など人的被害にもつながる心配があり、人が込み合う渋谷のまちでは歩行喫煙対策も重要であると思います。今後とも分煙ルールのキャンペーンなど啓発活動を、歩行禁煙強化のため、さらに効果的に実施してまいります。 次に、震災時における渋谷駅周辺の帰宅困難者対策について、特に地元企業や商店街との協力体制が必要ではないかというお尋ねでございます。 首都直下地震については、今年三月に公表された東京都防災会議地震部会での被害想定によりますと、渋谷駅の帰宅困難者は約十万三千人、区内全域の帰宅困難者は約二十三万一千人と想定されています。 都心区と周辺部との中継地点に当たる渋谷区においては、区内への来訪者が自宅を目指し区外に出ていったとしても、都心区からの帰宅者の通過による新たな流入と滞留の発生が想定されます。帰宅困難者については広域自治体である都の役割であり、本区は住民の避難所対策や運営に重点を置きたいと考えています。 東京都では、帰宅困難者対策として徒歩帰宅支援対象道路を選定し、沿道上の都立高校、郵便局を帰宅支援ステーションとして、水やトイレを提供すること、さらにコンビニエンスストア等のフランチャイズチェーンやガソリンスタンドとも協定を結び、帰宅者の支援を図っております。 また、本区においてはシンポジウムや個別相談の中で、事業所や集客施設に対して、事業者の責任で社員のための水、食料の備蓄、顧客の安全確保、帰宅困難者への水、トイレの提供等、帰宅対策を行うことを促してまいりました。しかしながら、帰宅困難者への支援には個人、事業者の行動規範の確立、情報提供、安全確認の手段の通知、駅における情報提供の強化、一時収容施設の確保など、繁華街という渋谷駅周辺の特性に応じた対策が必要であります。このため、議員も御指摘のとおり、都や区のみならず区内にある多くの事業所、大規模店舗、商店街や大学等の協力が是非とも必要であります。そのため本区においては、安全情報の提供、一時収容施設の確保など帰宅困難者への支援については、鉄道事業者、商工会議所や企業等との連携・協力体制を構築し、役割分担を明確にし、整然と対応できるようにしてまいります。 また、事業所の社員等で家族の安否確認ができたためすぐに帰宅する必要がなくなった方々については、渋谷区にとどまっていただき、ボランティアとして応急対策の活動に参加してもらうべきであるとの御提言につきましても、上記の商工会議所等との連携・協力体制の中で検討してまいりたいと存じます。 次に、住宅地に駐車場を持たない自動二輪車運転者等による違法駐車が多いが、区としてマンション建設の際、自転車、自動二輪車の駐車スペースの増加を図れないかというお尋ねであります。 放置問題の第一の原因は、自動二輪車が車庫証明が必要でないことにあります。本区は渋谷区ワンルームマンション等建築物の建築にかかわる住環境の整備に関する条例、同施行規則におきまして、自動二輪車、原動機付自転車及び自転車の駐車施設を計画戸数の二分の一以上の台数といたしております。また、今後、新たに土地利用調整条例の検討の中で、自動二輪車等の駐車スペースの確保を義務づけたいと考えております。 次に、違法駐車対策のために住宅地において自動二輪駐車場の整備が必要であるという御質問でございますが、自動二輪車の放置問題は、安全、安心はもとより美化、景観、防災、商店街振興等、地域に様々な影響を及ぼしております。そのため、本区は区内全域で六月一日現在八百二十九台の自動二輪車等駐車場を整備し、さらに、住宅地を含め五百台程度の増設を計画しております。 今後とも関係機関、団体等との協議を進め、駐車場用地の確保に努めてまいります。御理解をいただきたいと存じます。 次に、放課後クラブと学童館の役割を明確にした上で、学童館を検討すべきではないかというお尋ねでございます。 放課後クラブの役割は、全児童対策として、当該校のすべての児童を対象として安全で豊かな放課後を提供するものであり、学童クラブの役割である、放課後、家庭に保護者がいない児童に対する留守家族対応を包括するものでございます。全児童を対象とするためには指導者の数が少ないのではないか、あるいは学童クラブ対象児童数を的確に把握できるのか、あるいはおやつ等についてもその取り扱い、工夫をすべきではないかと様々の御意見がございます。本区といたしましては、これらの課題に一つ一つ対応することにより、放課後クラブの充実を図ってまいります。 なお、家庭的な雰囲気が味わえない保育に欠ける子どもがあれば、別途それにふさわしい対応を検討してまいりたいと存じます。 次に、放課後クラブの休日の対応についてでありますが、放課後クラブは安全で豊かな活動の場を当該小学校のすべての児童に提供するとともに、保育が必要な児童に対しては休日も対応を行っております。この対応につきましては、保護者の就労事情に限定して実施しているところであり、利用が少ない現況となっております。 今後、休日対応につきましては、放課後クラブを全小学校へ開設する中で、保護者への就労事情や子育て支援要望を的確にとらえまして、そのあり方を検討してまいりたいと存じます。 次に、後期高齢者医療制度についてのお尋ねでございます。 高齢化の進展などにより医療費が大幅に伸びる中で、医療制度全体は財政的に危機的な状況にあり、国民の安心の基盤である皆保険制度を維持し、将来にわたって持続可能なものとするために、高齢者医療制度も改革を迫られている状況にございます。 国は安心、信頼の医療の確保と予防の重視、医療費適正化の総合的な推進、超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現という基本的な考えのもと、今通常国会に一連の医療制度改革のための法案を提出し、現在、審議がなされているところでございます。 この中で、七十五歳以上の後期高齢者につきましても持続可能な制度となるよう、平成二十年四月に独立した医療制度を創設するため、都道府県単位の広域連合を設立する内容となっております。この独立した医療制度の患者負担については、一割。ただし、課税所得百四十五万円以上の現役並みの所得を有する方の患者負担については三割として、財源的には、患者負担を除き保険給付に要する費用の約五割を公費負担、約四割を各医療保険の被保険者である現役世代から支援、残り一割を後期高齢者の保険料を充てることを想定しております。 後期高齢者医療制度の創設につきましては、今通常国会において審議されているところでありますので、今後、国の動向などを注視してまいりたいと存じます。 いずれにいたしましても、今後とも区民の生活全体を見通した上での適切な対応に努めてまいる所存でございます。 次に、区独自で実施しているヘルパー派遣事業の現状と、介護保険制度との違いについてのお尋ねでございました。 今回の介護保険法改正の中で、国は、介護予防重視の観点から軽度の認定者への介護給付を見直し、新予防給付を創設しておりますが、要支援者への給付は支給限度額が下げられております。他方、本区では平成十二年度の介護保険制度発足時に、その対象とならない方への救済策として区独自に生活支援型ホームヘルプサービスを実施してまいりましたが、この介護予防重視という考えの中で、その役割を十分に果たしたものと考え、平成十七年度をもって終了したところでございます。 現在、これらを補って区独自で実施しているヘルパー派遣事業としては、介護保険で自立と判定された高齢者など、疾病等のやむを得ない理由により緊急にヘルパー派遣が必要となった場合に、緊急派遣型ホームヘルプサービスを実施しております。また、社会福祉協議会にも独自のサービスとして、高齢者、障害者等で在宅で援助を必要とする方に家事援助等のサービスを行う有償の「やすらぎサービス」を行い、区民サービスにこたえているところでございます。御理解をいただきたいと存じます。 障害福祉サービスの利用者負担を再検討し、区として独自の支援策を拡充してはどうかという御質問でございました。 障害者自立支援法の実施に伴う区独自の利用者負担の軽減策として、現在、本区では区市町村民税非課税世帯に対するホームヘルプ、ショートステイ等、居宅系サービスの定率負担を一〇%から三%に引き下げる措置を行っております。この措置は、施設入所サービスに比べて利用できる負担軽減措置が少ない居宅系サービスに対して、補完的に実施したものでございます。本年十月からは、障害福祉サービスが障害者自立支援法における新しい事業体系へと移行してまいりますが、その中で、コミュニケーションへの支援、日常生活用具の給付、移動支援などが、区市町村が主体的に実施する地域生活支援事業と位置づけられております。 この地域生活支援事業の利用者負担につきましては、実施主体の判断によるものとされていることから、これらの地域生活支援事業についての国の細目が現在、明らかになっておりませんが、検討を重ね、負担が過大とならないよう、そして適正なものになるよう努めてまいりたいと存じます。 以上、答弁を終わります。
○副議長(松岡定俊) 一番前田和茂議員。
◆一番(前田和茂) ただいまは区長より大変丁寧な御答弁、ありがとうございました。御答弁いただいた内容をもとに、これからじっくりと話し合いを続けさせていただきたいと思っております。 特に渋谷川につきましては、都や国に申し入れをしていかなければならないと思います。 今、東京都は清流の復活ということで、水辺に親しむことができるように水質の向上と、水辺に生き物がすみ、親しめる水辺環境を目指して、
落合水処理センターの高度処理水を利用しているというPR看板を並木橋に上げております。その看板には、
落合水処理センターからの水の流れが並木橋を経由し、古川へとつなぐ説明の絵がかかれています。今回、取り上げた稲荷橋から並木橋区間が申しわけなさそうにつけ加えられております。この区間は、東京都の清流復活の計画の上でも取り残された形となっております。 区長の今回の発言の「地域課題として考える」という言葉の裏には、取り残されたこの区間を初め渋谷川全体のため、先頭に立って都に申し入れをしていくという決意が感じられました。是非よろしくお願いをいたします。 これからも私は、一区民として、また、区民の代弁者の議員として、皆様とともに「愛したいまち渋谷」、「愛されたいまち渋谷」をつくっていくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○副議長(松岡定俊) 議事進行上、暫時休憩いたします。
---------------------------- 休憩 午後二時 再開 午後二時二十二分
----------------------------
○議長(芦沢一明) 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、会議時間の延長をいたしておきます。 区政一般に関する質問を続行いたします。 二十四番五十嵐千代子議員。
◆二十四番(五十嵐千代子) 私は、日本共産党渋谷区議団を代表し、区長並びに教育長に質問します。 質問に入る前に、日本の進路にかかわる憲法改定問題について述べます。 現在、国会では、自民、公明、民主党が憲法改定のための国民投票法案を提出しています。国民投票法案を今、持ち出すことは、憲法を変えると言っているのと同じです。 自民党の改憲案では、第九条二項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」を改悪し、自衛隊を自衛軍とし、日本を海外で戦争できる国につくり変えるためのもので、絶対に認められません。 今、国民の憲法に対する意識は、市民団体が五月三日、渋谷駅前などで行ったアンケートでは、九条を変えることに賛成はわずか一二%、反対は七七%だったことが発表されました。また、一昨年六月十日に大江健三郎さんらが呼びかけた九条の会は、草の根で全国に広がり、今や四千七百七十団体を超え、「平和憲法を守れ」の国民のエネルギーの大きさを示しています。こうした国民の声にこたえ、小泉内閣は憲法改定のための国民投票法案を撤回すべきです。 それでは、質問に入ります。 第一に、憲法を変えることと一体のものとして今国会に提案されている教育基本法の改悪について、教育長に求めます。 現在の教育基本法は、二度と悲惨な戦争を繰り返してはならないとつくられた日本国憲法の掲げる理想の実現を目指してつくられたものです。しかし、今、政府与党は平和憲法を変え、日本を戦争する国に変える動きを強める中で、新しい憲法に見合う教育が必要だと教育基本法の改悪案を今国会に提案し、一カ月足らずの審議で成立させようとしているのです。 政府案の重大な問題は、新たに第二条に教育目標を定め、国を愛する態度など二十の徳目を挙げ、それを学校と子どもに義務づけるやり方を盛り込んだことです。 私は、子どもたちが市民道徳と国を愛する気持ちを培うことは大切なことと考えます。しかし、国を愛する心を含む民主的市民道徳を身につけることは、国からの強制ではなく、市民の討論と合意で形成されていくべきです。我が党の志位委員長が、福岡県が採用していた愛国心を評価する成績表を示して行った質問に、小泉首相は「愛国心を通信簿で評価するのは難しい」と答弁したのです。それなのに改悪案では愛国心を教育目標とし、その達成をはかり、評価もするということは、内心の自由を保障した憲法十九条を侵すことです。憲法違反の改悪は行うべきではないと考えますが、教育長の見解を求めます。 政府案のもう一つの問題は、国家が教育に介入しようとしていることです。 現基本法第十条では、国家権力による不当な支配を厳しく禁止しています。それは、戦前の教育が国家の支配下に置かれ、やがて教育が軍国主義一色に染め上げられていった歴史の教訓に立ってつくられたからです。しかし、改悪案はこれを削除し、国がつくった法律や計画で教育を実行せよというもので、国家権力が無制限に教育内容と方法に介入できるよう改悪するものです。 このように、戦前と同じように教育に国家が介入するよう変えるべきではないと考えますが、見解を求めます。 また、新たに盛り込まれた教育振興基本計画に、中央教育審議会は、全国一斉の学力テストを制度化しようとしています。かつて六一年から行われた全国一斉学力テストは、子どもたちを競争に追い立て、学校を荒らし、国民的な批判を浴びて中止されました。この学力テストを復活させて子どもたちをさらに競争に追い立て、序列をつけ、勝ち組、負け組にふるい分けるやり方は、教育として好ましくないと考えますが、教育長の見解を求めます。 今、子どもの非行や学力の問題、高い学費による進学の断念や中途退学、子どもや学校間の格差拡大など、子どもと教育をめぐる様々な問題を解決することを国民は願っています。しかし、政府は国民の願いを逆手にとって教育基本法を改悪し、前文から憲法と基本法が一体であることを明記した言葉も、平和を希求する人間の育成という理念も取り去り、再び国が愛国心を強制し、若者を戦場に行かせるようなことは絶対に行ってはいけないことです。また、競争本位の教育に変えて、子どもたちを早い時期から負け組、勝ち組に分け……
○議長(芦沢一明) 静粛に願います。
◆二十四番(五十嵐千代子) ……弱肉強食の社会に順応する人間をつくることで、このような改悪は子どもたちの成長に悪影響を及ぼすとともに、憲法の平和と民主主義の理念に反する暴挙です。 教育基本法の改悪に反対すべきと考えますが、所見を伺います。 次に、医療制度の改悪について区長に質問します。 五月十八日、政府与党は国民の命と健康にかかわる医療制度の改悪案を、我が党などの反対を押し切り衆議院で強行採決し、現在、参議院で成立させようとしています。とりわけ今回の改悪でひどいのは、今年の十月から高齢者が長期入院する療養病床の食費、居住費を保険から外し、全額自己負担とするとともに、高齢者の窓口負担を現役並みの所得者は二割から三割に、二〇〇八年の四月からは七十歳から七十四歳の窓口負担も現在の一割から二割に引き上げ、この引き上げによる一人当たりの負担増は年間二万円になります。さらに、新たに高齢者だけの医療保険制度をつくり、保険料を一人平均年間で六万円も取り立てようとしています。 この間、全国では多くの団体が医療制度の改悪に反対の運動を繰り広げ、渋谷社会保障推進協議会も区内の医療機関に呼びかけてきましたが、区内の開業医の方からは、「今でも慢性疾患の患者は受診を減らしているのに、これ以上の負担は医者に来られなくなる」また、ある医師は「既に手遅れになってから救急車で運び込まれたり、入院患者の中には、家族に迷惑がかけられないと途中で退院していく人もいる」と声を上げています。今でも深刻な高齢者の実態をさらに厳しくする医療制度の改悪はやめるべきだと求めていくべきと考えますが、区長の所見を求めます。 次に、保険のきかない医療を無制限に拡大し、治療の格差を一層広げる混合診療の問題です。 これまでの保険証一枚あればいつでも、だれでも、どんな病気でも診てもらえる国民皆保険制度を、根本から崩すことになります。患者の支払い能力がなければ命が差別されるのです。 こうした改悪を強く求めてきたのは、日本の大企業や財界であることが明らかになりました。混合診療の解禁を強く主張していた民間解放推進会議のメンバーの三十三人のうち十七人が民間企業の出身者、そのうち六人は保険関係会社であることが明らかとなったのです。 すべての国民が安心して医療が受けられるよう保障することこそ、国の義務です。日本共産党は、国民が必要な医療を確保する改革を提案します。第一は、二十年間減らし続けてきた国の医療費負担を三千億円増やすこと、第二は、大企業の社会的責任を果たさせドイツ並みにするだけで、国民の窓口負担を二割に減らすことができます。第三は、医師や看護師の確保など、医療提供体制を国の責任で確立することです。 区長は、区民の命を守る立場に立って国の医療制度の改悪に反対すべきと考えますが、見解を求めます。 次に、学童クラブの廃止について。 今年も渋谷区で学童クラブの入所を希望した子どもは七百十九人に上り、そのうち保留児は八十四人となっています。学童クラブの必要性は一層高まっています。 六月一日、我が党の塩川議員が、衆議院青少年問題特別委員会で学童保育について質問をしました。厚労省は、運営基準を国としてつくることについて「市町村のガイドラインを調査・研究し、参考にしたい」また、塩川議員が、文科省と厚労省が先ごろ発表した放課後児童健全育成事業と地域子ども教室推進事業を一体的に進めようとしていることに対し「事実上、学童保育の廃止につながる懸念があるが、学童保育の量的・質的拡充の立場は変わらないか」とただしたのに対し、「さらに拡充させていきたい」と学童保育の必要性を認め、その拡大の方向を示しました。 ところが、区長は行革の名のもとに、四百人の職員を削減する一つとして、昨年突然、区民にも職員にも何の説明もなく、二年間で全校に民間委託の放課後クラブを設置し、放課後、家庭に保護者がいなく保育の必要な子どもたちを四十年以上も保育してきた学童クラブを廃止することを打ち出しました。これに対し、三月議会には六千名近い区民から存続を求める請願が出されました。我が党が行ったアンケートでも「保育園と学童クラブをなくしたら女性は働けない」「区長が学童クラブをなくすと言っていることはとんでもない。共働きの我が家にとってはなくてはならない」などの声が寄せられました。 区長が学童クラブを行革の対象として廃止しようとすることは、国の方針にも区民の願いにも反するものです。行革の犠牲にすべきでないと考えますが、区長の所見を求めます。 これまでの渋谷区の学童クラブは、児童福祉法に基づく学童保育事業を行う施設として、正規職員を指導員として子ども二十人に一人の基準で複数配置をするとともに、施設的にも、最低でも四平米の施設を確保しました。また、児童福祉施設として位置づけてきたため、私立学校に通う子どもも障害のある子どもも受け入れ、おやつも提供してきました。しかし、放課後クラブについては、所管する教育委員会は「保育するところではない。自由遊びが主となる」と説明したのです。実際、この間、設置された放課後クラブの職員体制は、常勤一人にアルバイト二、三人で、百人もの子どもたちが登録しているのに使える教室は一部屋だけというのが実態です。とても保育のできる状態ではなく、放課後クラブが学童クラブにかわり得るものではありません。区長はどう認識しているのかお答えください。 また、少子化対策は重要課題と言いながら、幼い子どもたちを行革の犠牲にすることは間違っています。学童クラブを一方的に廃止するやり方自体が区民の不安を拡大しています。今、放課後、保護者がいない子どもたち、保育の必要な子どもたちに対して区に求められているのは、これまで十二カ所まで拡大してきた学童クラブを廃止することではなく、希望者全員が入所できる、二十の小学校すべてに対応する学童クラブを設置することです。区長の所見を求めます。 介護保険制度の改善について質問します。 改悪された介護保険法が実施され、ホテルコストの導入、サービスの切り捨てが行われ、介護の社会化がどこでも大きく後退し、許しがたい改悪であることが明らかになっています。 深刻となっている福祉用具の取り上げについて質問します。 今回の制度改悪で、要介護度一までの軽度者は車いすや介護用ベッドなどの福祉用具が、半年間の経過措置はありますが、原則保険から外され、利用できなくなりました。このため返還もしくは買い取りを求められている高齢者が区内でも多数に上っています。 実際、介護度が一の八十二歳の男性は、肺の病気で二十四時間酸素が必要となり、バス停まで歩くのも困難なため電動車いすを借りていましたが、保険から今回、外されたために返還しなければならず、「これまでは玄関から目的地まで人の手をかりずに出かけられたのに、外出する機会を奪われてしまう」と怒っています。 また、股関節の骨にがんが転移し、末期がんと診断された六十代の女性は、骨折しないよう部屋の中でも車いすで移動し、布団の上げおろしもできないために介護用のベッドを借りていますが、介護度が一のため利用できなくなりました。介護度一でも例外として使えるベッドの条件は、寝返りか起き上がりのいずれかができない場合に限られるからです。 こうした福祉用具を利用しているから自立できている高齢者が、引き続き利用できるよう、区独自の助成制度をつくるべきです。所見を伺います。 次に、三月で打ち切った自立認定者への生活援助のヘルパー派遣制度の復活と、新たに要支援一、二となった人へのヘルパー派遣について質問します。 四月から実施された見直しで、これまでの要支援、要介護度一の人たちが新段階の要支援一、二とし、受けられるサービスが限定されたため、家事援助ヘルパー派遣も削減されました。渋谷区では、三月まで実施していた自立と認定された高齢者にも区独自の高齢者福祉施策として生活援助ヘルパーを派遣し、二〇〇四年度には延べ二千八百三十四回の利用がありましたが、その役割は終わったとして三月いっぱいで打ち切りました。しかし、港区では、家事援助のヘルパーサービスを受けている高齢者の生活を見れば、家事援助は高齢者の自立に欠かせないと独自判断し、四月以降も自立者への派遣を継続するとともに、新たに要支援一、二となった人にもヘルパー利用できるように助成しています。 法案審議の中でも、厚労省も、家事援助サービスを受けることによって八割以上の軽度者が状態を維持もしくは改善していることを認めているのです。まさにヘルパー派遣は在宅介護のかなめです。渋谷区でも高齢者がこれまでどおり自立した生活ができるよう、打ち切った自立者へのヘルパー派遣制度を復活するとともに、要支援一、二の対象者にも助成をすべきと考えます。見解を求めます。 特養ホーム、グループホームの増設について。 今、区内には六百八十人の特養ホーム待機者がおり、そのうちの六百二十三人の人が区内の施設を希望しています。しかし、美竹の丘の特養ホームと笹塚二丁目のグループホームに入所できるのは百四十五人、区内の施設に一年間に入所できた人は昨年実績で百六人です。引き続き、四百人近い人たちは当てもなく待ち続けなければならないのです。 実際、本町では昨年、五年間入所を待ちながら七十代の妻を一人で介護していた八十代の夫が倒れ、数日後に亡くなるという事件がありました。また、七年も前から九十四歳の母親を介護していた七十代の夫婦は、奥さんは脳梗塞で倒れ、旦那さんは脊髄の手術を必要とするという共倒れの状況が二年間も続き、やっと先月、特養ホームに入所が決まりました。区長はこうした切実な区民の実態を直視し、改善するために、直ちに特養ホームやグループホームの増設計画をつくるべきと考えます。見解を求めます。 次に、本町地域包括支援センターについては、二丁目に取得した旧幡ケ谷浴場跡地に二〇〇八年度までに整備をすることになっています。本町地域の高齢者人口は五千三百八人、そのうち介護認定を受けている高齢者数は七百六十一人となっています。渋谷区では一センター当たり三人体制となり、平均七百人もの高齢者のケアプランをつくることになっています。しかし、現実には一人で受け持てる数には限界があり、既存の支援センターで働く職員からも、職員を増やしてほしいという声が上がっているのです。介護の必要な高齢者に速やかに介護の給付ができるよう、包括支援センターの体制を増員すべきです。 また、施設整備についても、地域住民の意見を聞くことはもちろん、是非小規模多機能型居宅介護施設を取り込むべきと考えますが、あわせてお答えください。 介護保険料の軽減について。 渋谷区は四月からの保険料を六段階から九段階に拡大し、低所得者の料金を据え置き、所得に応じた負担に近づけたことは評価します。しかし、もともと介護保険の保険料は収入のない人からも徴収し、低所得者に重い負担となっています。保険料引き上げ前の二〇〇五年度でさえ千四百五十六人が未納、そのうちの七百四十三人が第二段階の低所得者です。保険料が高くて払えない低所得者の保険料を軽減するため、住民税非課税世帯まで軽減を拡大すべきと考えますが、所見を求めます。 次に、利用料の軽減について。 施設利用者にホテルコストが導入された昨年十月の渋谷区の介護給付限度額に対する利用率は四六・七%と、半分にもなりません。現在、区が実施している利用者負担額助成制度は、ひとり暮らしの場合、年収百八十万円以下、預貯金三百五十万円以下が限度となっています。利用した人からは「アパート代も上がり、介護を受けるのは諦めなければならないかと思っていたが、この制度が利用できて本当にありがたい」と喜ばれています。是非すべての住民税非課税世帯まで対象を拡大すべきと考えますが、所見を求めます。 五点目に、旧大和田小学校跡地の施設建設について。 百二十億円もの税金を投入する旧大和田小学校跡地の施設建設は、区民にも区議会にも十分な説明がされていません。今なぜ百二十億円もの税金をかける必要があるのか、全く理解できません。しかし、区長は五月に基本設計、十一月には実施設計という一方的なスケジュールを決め、それを強引に進めようとしています。この手法は、まさに区民無視のトップダウンと言わなければなりません。区民からは「税金の無駄遣いではないか」「第二の植物園ではないのか」などの批判の声が上がっています。 まず、経費の問題です。 三月議会で苫議員が、プラネタリウムやホールについて、建設費とランニングコストを質問したことに対し、区長は「具体的な設計作業を進める中で検討したい」と具体的答弁を避けました。にもかかわらず総額百二十億円と決め、それに向かって進んでいくやり方は全く不明朗で、区民の税金を投入する施設建設として絶対に認められません。 また、総務区民委員会が横浜市のみなとみらいホールの視察をしましたが、このホールは九四年に民間のホールとして着工されましたが、建設中に、ホール運営の赤字が事業全体を圧迫すると計画の見直しが行われ、完成前に横浜市に無償譲渡されました。現在、稼働率は九〇%近くになっていますが、収入はわずか二億円で、横浜市の持ち出しは四億円にも上っています。 また、二〇〇一年に定席六百十二でオープンした世田谷パブリックシアターの世田谷区の運営補助金は、約七億円となっているのです。 二つのホールの実態から見ても、旧大和田小跡地施設建設も多額のランニングコストが予想されます。全体のランニングコストが幾らかかるのか、また、プラネタリウム、中小のホール、公益用スペースのそれぞれが幾らなのか詳細な経費を明らかにすべきです。見解を求めます。 さらに、行革だといってこの間、福祉現場や教育現場の職員を次々と削減しながら、さらに学童保育まで廃止を打ち出しているのに、区長が進めるこのホール建設のためには民間企業から職員を四年間も区の職員として採用する、いわゆる天上がりのやり方を行ったこと。区民の納得は得られません。なぜこんなことを行ったのか、区長の見解を求めます。 また、民主的手続の問題について伺います。 百二十億円もの巨額な税金を投入する施設建設は、この間、ありませんでした。当然基本構想の段階から区民の意見を聞くべきなのに、パブリック・コメント制度が行われたのは基本構想をつくってからで、多くの区民から「このような施設が必要なのか」「利用する人がどれぐらいいるのか」「大幅減収が見込まれる中、建設に百二十億円も使って大丈夫なのか」「計画の白紙撤回をして一からの議論を」などなど、計画自体の見直しを求める意見が多数寄せられています。こうした区民の意見に私も同感です。区長はこうした意見にこたえ、計画を中止すべきと考えます。所見を求めます。 六点目に、本町三丁目地区計画と住友不動産高層ビル建設について質問します。 昨年十月、住友不動産は、清水橋交差点の本町三丁目十二番地に所有している三千二百平米余りの土地に、総合設計を使い、百七十メートルの超高層ビルを建設する計画を打ち出しました。これに対し、本町の二軒家、東、山の上の三町会は一致団結して、総合設計による開発は日照、風害など多大な被害を周辺住民にもたらし、ふさわしくないとして東京都と渋谷区に反対の声を上げてきました。また、住民は区に要望して、コンサルタントの援助も受けてまちづくりの学習会を重ね、三月には二軒家町会として、「わがまちルール」を区に認定させました。さらに、この地域にふさわしい高さは隣接する新宿区と同じ、山手通り、方南通り沿道は四十メートル、住居地域は二十メートルとすることも町会住民の過半数、千五百人の署名をつけて区に要望してきました。 こうした中で、渋谷区は住民に対し、地区計画で高さ制限をかけることを提案。四月に二回の説明会を行い、五月にたたき台を提案することを明らかにしました。ところが、住友不動産は、区がたたき台を出す前の四月二十八日、突然高さ七十七・九五メールのビル建設のお知らせ看板を掲示したのです。 さらに住民を驚かせたのは、それと一体となるように渋谷区が地区計画のたたき台として五月に示した高さ制限案は、新宿の四十メートルよりも高い六十メートル、さらに加えて敷地面積の広さに応じて一・五倍まで緩和策を設け、最大では九十メートルの高さまで認める案です。この案に対し、住友不動産の代表者は「区が緩和策を設けたことにほっとした。住友の計画もこの中におさまる」と発言しました。しかし、住民からは「住民が要望しているのは四十メートルだ」「緩和策を設けるのは一切やめてほしい」という意見で、この提案に賛成したのは住友不動産以外だれもいませんでした。 区長は、地区計画の策定に当たって当然住民の意見を十分に反映させるべきなのに、それを無視して高さを六十メートル、緩和策を最大に使えば九十メートルという案をなぜ出したのか、区民が要望している四十メートルに見直しをし、住友不動産に対しても高さを下げるよう求めるべきと考えますが、所見を伺います。 また、こうした高層ビル建設をめぐる紛争は、本町だけではありません。西原、千駄ケ谷、神宮前、広尾など、区内のあちこちで起きています。これは、既に隣接している新宿区や世田谷区が絶対高さ制限を既に設けたため、建てられなくなった高い建物を業者が駆け込みで渋谷区で建てようとしているからです。景観シンポジウムでも、このことを危惧する声が上がっていました。 この間、PTAが中心になって進めた学校の日影を規制する運動が盛り上がり、引き続き、広範な区民は渋谷区全体に高さ制限をかけてほしいと運動を続けています。住み続けられる地域環境を守りたいという住民の願いを区長はどのように認識しているのか、二年後と言わず早急に絶対高さ制限をかけるべきと考えますが、区長の見解を伺います。 七点目に、
廃プラスチックの焼却問題と資源回収について質問します。 区長は本日の発言で、資源回収できない
廃プラスチックは清掃工場で焼却し、熱エネルギーとして回収するサーマルリサイクルすることを区民の理解を得ながら着実に検討を進めていきたいと述べました。しかし、この考えには二つの重大な問題があります。 第一は、
廃プラスチックを焼却することはごみを増やすことにつながり、これまで「まぜればごみ、分ければ資源」の原則のもと、分別によってごみの減量努力を続けてきた区民の努力を踏みにじる行為です。 さらに、区が三月につくった一般廃棄物処理基本計画で、区長は「廃棄物処理については、循環型社会形成推進基本計画が制定され、ごみの発生抑制--リデュース、再使用--リユース、再生利用--リサイクルという三Rの推進を基本としたものに転換し、資源を大切にする循環型社会を実現する」と述べています。私もこの基本計画をつくる審議会に参加していましたが、三Rの順番について徹底した議論が行われ、これまでのリサイクル優先ではなく、まずごみの発生抑制--リデュース、次にそのまま再使用するリユース、最後に再生利用のリサイクルと決まったのです。 渋谷区としても、国とメーカーに発生抑制を求めるとともに、既に多くの自治体が実施しているペットボトルだけではなくトレーやビニールなど
廃プラスチックの回収を行うなど、区長は
廃プラスチックの発生抑制と資源回収計画を具体化し、即実行すべきです。区長の所見を求めます。 次に、安全性の問題です。 区長は、既にプラスチックを焼却している他都市の清掃工場では問題なく操業していると言っていますが、安全だと結論づけた科学的根拠は区民の前に何一つ明らかにされていません。しかも、渋谷清掃工場の操業差し止め裁判で証言された、摂南大学のダイオキシンの第一人者、宮田教授によれば、現在の清掃工場の排ガスや灰の中には、鉛、ニッケル、砒素、カドミウムなどで発がん性の高い有害な重金属が非常に高濃度に含まれていること、これらの物質は高温になるほど気化してしまい、集塵機では除去できないことも指摘しています。さらに、
廃プラスチックを燃やすと千種類以上の物質が瞬時にでき、ダイオキシン類似毒性物質が大量に生成されると警告しているのです。 何よりも、渋谷の工場の建設については住宅密集地の建設であり、区民と環境への影響が極めて大きいこと、ごみ量から見ても必要がなかったのに、大きな反対運動を押し切って建設したもので、当時の小倉区長は区民の強い反対を受け、工場の操業工程の中に「可燃ごみ以外の焼却はしない」つまり現在、不燃ごみとして処理しているプラスチックごみは燃やさないことを二十三区事務組合と区民に約束していたのです。この約束を守るよう事務組合に求めるとともに、渋谷工場では
廃プラスチックの焼却を行わないことこそ区長の責務と考えますが、見解を求めます。
○議長(芦沢一明) 桑原区長。
◎区長(桑原敏武) 日本共産党渋谷区議会議員団、五十嵐千代子議員の代表質問に順次お答えをしたいと思います。 医療制度改革について二点のお尋ねでございました。一括して御答弁を申し上げます。 先ほど前田和茂議員にもお答えしましたけれども、医療制度改革は、国において、高齢化の進展等による医療費の大幅な伸びに対して、二十一世紀においても国民の生活と生命と健康に対する安心を確保するために国民皆保険制度を堅持し、持続可能なものとするためであります。 負担のないことにこしたことはありませんが、御質問にありましたように、高齢者の負担割合や混合診療につきましても含めまして、これから国民各層の意見を聞いて今国会で審議されるところでございますから、その動向を見守ってまいりたいと存じます。 学童クラブの存続についてのお尋ねでございます。 まず、五十嵐議員の会派は、学童クラブのこれまで抱えていた課題に目をつぶって、保護者の不安だけをあおっていらっしゃるんではないのかなと、このように思いました。 私は、行革の名のもとに学童館の廃止を打ち出したのではございません。現状では学童館が、その施設上の制約から、小学校三年生さえ全員が学童館へ入れない状況がある、こういうことでございました。まして四年生から六年生については、これは全然受け入れられていない、こういう状況であったわけでございます。また、今日では通学路の安全性の確保が問題になっている。それにもかかわらず、現状では学校が終わってから学童館に移動しなくてはならないという状況に置かれているわけでございます。少しでも子どもの安全のことを考えると、学校にそのまま残ることができれば学校には警備員もおり、学校の方がより安全であることはよくわかることではありませんか。 今の学童館では、保育に欠ける児童の土曜日、日曜日の受け入れ態勢をとることは困難でございます。また、さらに言えば、学校施設を活用することができれば、そのままでより教育的な環境を活用することができ、教育的な指導プログラムも可能になってくると、このように私は思っているわけでございます。 私は、行革としての放課後クラブに移行しようとしているものではございません。安全で豊かな活動の場を当該校のすべての児童に提供するため、また、保育に欠ける児童について一年生から六年生まで対応していきたいと、こういう考え方でございます。 放課後クラブは保育の場になっていない、このように言われますけれども、保育に欠ける児童がその放課後クラブの体制のもとに、安心、安全の中で友と時間を過ごすことでございまして、十分保育の場となっていると、このように思っております。幼児と学童では当然保育のあり方も異なってまいると、このように思っております。 あなたは放課後クラブをかたくなに非難を、否定をされておられますが、だからといって、どのような保育をどこで行うのか、このことについて「どこで」といえば、私は「学校で」と、このように申し上げたいと思います。「どのようなこと」と、「どのようなやり方で」といえば、これまでの体制に加えて教育ボランティアなど、この事業に理解される様々な区民の協力を得ながら、子どもに安全で豊かな放課後の場を提供してまいりたい、時間を提供してまいりたい、機会を提供してまいりたい、このように思っております。 先ほど前田議員にお答えいたしましたように、一つ一つ課題に対応しながら、これからも放課後クラブを充実してまいります。 次に、介護保険制度の改善についてのお尋ねでございます。 要介護一までの軽度者の福祉用具使用についてのお尋ねでございました。 介護予防給付は、状態の改善可能性の高い軽度者に対して、状態の悪化防止を目的として実施するものでございます。車いすにつきましては、その軽度者の認定調査で歩行ができないとされたか、あるいはケアマネジントにより移動の支援が特に必要と認められるとされた方々、また、特殊寝台については認定調査で起き上がることができない、寝返りをできないとされた方々に、新予防給付導入後も引き続きサービスが受けられるところでございます。したがいまして、区独自の助成制度については、そのような考え方は持っておりません。 次に、自立者へのヘルパー派遣の復活と、要支援一、二の対象者にも独自のヘルパー派遣を助成すべきというお尋ねでございます。 先ほども前田和茂議員の代表質問にお答えしましたように、国は、軽度の認定者への介護給付が介護度の改善に必ずしもつながらないことから、要支援者の従来の給付内容を介護予防重視の観点から見直すこととしたものでございまして、こうした考え方の延長として、平成十二年度の介護保険制度発足時にその対象とならない方々への救済策として始めました生活支援型ホームヘルプサービスも、その役割を終えたものと考え、十七年度をもって終了したところでございます。 また、現在これを補って、区独自のヘルパー派遣事業といたしまして、介護保険で自立と判定された高齢者につきましても、疾病等やむを得ない場合、緊急派遣型ホームヘルプサービスを実施することといたしておるわけでございますし、また、社会福祉協議会においても、やすらぎサービスも行っているところでございまして、これをもって今後とも対応してまいりたい、このように考えております。 次に、特養ホームやグループホームを増設すべきであると、こういうお尋ねでございます。 この「美竹の丘・しぶや」にショートステイを含み百五十五床を開設したばかりでございます。また、十八年度には笹塚二丁目に認知症対応のグループホーム十八床、さらには幡ヶ谷高齢者センターにグループリビング九床の開設を予定しているところでございまして、御要請のような増設には、直ちに行う考え方は持っておりません。 次に、本町の地域包括支援センターの職員配置と施設整備についてのお尋ねでございます。 地域包括支援センターの職員配置につきましては、国の基準に従いまして、社会福祉士、保健師等、主任ケアマネジャーの三職種を、それぞれ計三名を配置しており、さらに対象者の多いひがし、せせらぎ、笹幡本町の三地域については一名増やし、四名配置としているところでございます。加えまして、笹幡本町地区につきましては、近々、さらにもう一名増やし、五名とする予定でございます。 平成二十年度の開設を目指しております本町地区の新しい地域包括支援センターにつきましては、国の基準を踏まえつつ、適切な職員配置を行ってまいりたいと考えております。 なお、本町地域包括支援センターの施設整備のあり方につきましては、地域のお話を聞きながらも、別途総合的に検討してまいりたいと存じます。 次に、介護保険、低所得者の保険料の軽減対策拡大についてのお尋ねでございます。 五十嵐議員の会派議員からは、地元のシニアクラブあるいはそれ以外のところで、私や他の議員のいるところで、渋谷は全国の中でもトップの、保険料に配慮した区であると、このようなお褒めの言葉をいただいているところでございます。しかし、これも渋谷の区議会議員の皆様方の御理解をいただいて、ここまで渋谷区として努力をしてまいった、こういうことでございます。改めまして、それをさらに拡大し、住民税非課税世帯まで対象を拡大するという考え方は持っておりません。 利用料の負担軽減についてでございますけれども、このことについても同様に、これを拡大する考え方は持っておりません。 次に、旧大和田小学校跡地についてでございます。 この質問の最後で、計画を中止せよということでございますけれども、そういうことであるならば、このすべてについてお答えをしても無駄であると思いますけれども、まさか文化政策を持たない政党会派ではないであろうと、このように思い、私はお答えをさせていただきます。 また、百二十億、百二十億とこのように言われますけれども、このうち医師会関連施設等につきましてはそこに負担をさせるというとは、私、これまでも申し上げてきたところでございまして、余り過大な言い方は避けていただきたいな、誇大広告は避けていただきたいなと、このように思っております。 最初に申し上げることは、中小の文化ホール、これは区民文化の発展のためになくてはならない施設だということで、区民の方々や教育関係者から強い要望のあった施設でございます。また、プラネタリウム、これは今日では星座の輝きや巨星誕生など、これを子どもに伝えたいと、伝えることは、今、ブームになっていることは新聞紙上等でも御存じのことであろうと、このように思います。これら今回の施設計画は、一つには文化・教育施設、中小のホールあるいはプラネタリウム、教育センターがございますし、図書館も予定をしているわけでございます。 福祉・保健施設としては、保育園あるいは健康センターも併設するわけでございます。もう一点が、医師会関連施設と公益用途の施設でございます。 このうちランニングコストについてのお尋ねでございますけれども、当然のことながら、医師会関連施設あるいは公益用途施設についてのランニングコストはそこの負担で考えてまいるわけでございますし、文化施設等のこのトータルな、このコスト、採算等については、現段階ではまだその状況に至っていないということで御理解をいただきたいと存じます。 ただ、私が不思議に思いますことは、文化施設について、常に採算性を優先させるような思想はいつから出てきたのか、私にはわからない、そのように思っております。 次に、民間の職員起用についてのお話でございますけれども、中小のホール等の建設に当たりましては、音響特性や演出照明等についての検討、調整を図るとともに、舞台への良好な視線確保や舞台と客席との演出に配慮が求められるなど、ホール・劇場建設全般についての幅広い専門的知識、経験が必要でございます。本区にはそのようなキャリアのある職員がいないというようなことから、本区としてお願いをし、民間から来ていただいたということで、天下りでも何でもございませんので御心配をしないでほしい。「天上がり」という言葉はございません。 パブリック・コメントを根拠に、計画を中止しろということでございます。 パブリック・コメントは、もともと計画の是非を問うものではございません。区民の意見を反映し、よりよい施設にするための、この制度でございます。 施設の必要性については再三申し上げたとおりでございまして、区民が必要である施設であるということは自信を持って申し上げることができると、このように思っております。 次に、本町三丁目地区計画と住友ビルの建設についてでございます。 地区計画についてのお尋ねでございますけれども、今回、本町三丁目周辺地区地区計画を策定することといたしましたのは、単に事業者によるビル建設問題に対応することだけでなくて、まちの様相の著しい変化に伴い、地区におけるまちづくりの機運の急速な高まりを受けまして、都市計画マスタープランに定める地区の将来像である「安心して快適に住み続けられるまち」の実現を目指すことにあるわけでございます。 地区計画の「たたき台」について御批判がございましたけども、「わがまちルール」を前提にしつつも、この地区の将来を見越した土地利用、そしてその調和、将来の建て替えに対するインセンティブなど、総合的な配慮によるこのお示しであるわけでございます。 今回、ビル事業者も計画を大幅に変更し、法の許容範囲内での良識を発揮しようとしていると、このように思っております。そのようなときに一方的にこちらの都合だけを相手に押しつけるならば、まとまるべき話もまとまらないわけでございます。対立関係だけではいいまちづくりはできない、私はそのように思っております。 御案内のとおり、隣接の新宿区は当該幹線道路の沿道に四十メートルの絶対高さ制限をしておりますけれども、敷地面積に応じて最大三倍の高さ緩和措置を設けております。これも建て替えのインセンティブや、あるいは空地や緑を確保した多様な建築手法の選択に配慮したものであると、このように思っております。 いずれにいたしましても、今後、本区として地域住民とも協議を重ね、その後に都市計画法に定められた手順、手続に従って逐次進めてまいりたい、このように思っております。 続いて、早急に絶対的高さ制限を設けるべきだと、このようなお尋ねでございます。 渋谷区実施計画二〇〇六でお示しをしたとおり、絶対高さ制限につきましては平成十八年度から検討に着手し、平成二十年度までに導入を図ることといたしました。その趣旨は、将来にわたってまちづくりの方向性を決定していくことでございますので、「協働型のまちづくり」によりながらも時間をかけて民意を集約し、地域特性に即したまちづくりを進めていく必要があると、このように考えるからでございます。 したがいまして、憲法で保障された財産権についても配慮し、地権者と居住者が対立することのないよう、拙速な絶対高さ制限の導入は避けて慎重に対応したい、このように思っております。 最後に、
廃プラスチックの焼却問題と資源回収についてのお尋ねでございます。 私、このことについて、いろはのことを申し上げて恐縮でございますけども、この日本の国は循環型社会実現のために平成十二年の六月に循環型社会形成推進基本法が公布されまして、十三年の一月から施行されたところでございます。同法に基づく基本計画が策定されまして、各種リサイクル法とも相まって、循環型社会の構築に向けて取り組みをされているところでございまして、本区においてもそのような取り組みをし、一定の成果を上げているところでもあるわけでございます。 今回、そのような一方でこういった制度についての見直しが図られている、とりわけ容器リサイクル法の制度の見直しが進められてまいりました。その一つは拡大生産者責任でございます。もう一点は発生の抑制、再使用の推進でございました。 その中で課題とされましたことは、一つは分別収集であり、市町村と事業者の責任範囲の見直しであったと、このように思いますし、もう一点は市民の環境意識の向上でございまして、消費者が社会的責任を意識した購買行動を促し、市民の三R活動への参加意識やこの政策を啓発していくことにあったと、このように思っております。もう一点は、最終処分場の残余年数を延ばしていく、そういうこともその中で課題になっていたと、このように思います。 そのために、本区はこれまでの施策に加えまして、一つは、ふれあい植物センターを設置し、自然環境の大切さの啓発に努めてまいりました。もう一点は、新たにペットボトルのリサイクルのための回収拡大を図っていくこと、もう一つは生ごみ処理機購入助成を行うなど、様々な対応に努力をしてまいったわけでございます。
廃プラスチックの問題につきましては、これまで不燃ごみとして最終処分場にそのまま埋め立てをしている。しかし、このままでは最終処分場の延命ができない、そのような状況にありますこと、また、これを焼却し、電力等の熱エネルギーとして回収する、そのために二十三区で共同して検討をしているところでございます。その考え方、手順につきましては所信表明で申し上げたところでございまして、それで御理解をいただきたいと、このように思っております。 もう一点は、
廃プラスチックを可燃ごみとしている他都市の工場においては、排ガスの測定結果は法規制値を大きく下回っているわけでございまして、問題なく操業されている。また、渋谷清掃工場の流動床炉につきましては、排出される排ガス性につきましても、炉の形式による差はほとんどないと、このように理解しております。現状でも焼却ごみに六%程度のプラスチックが混在しており、各清掃工場で焼却しておりますけども、炉による排ガス性状には相違がないと、違いがないと、このように考えているところでございます。 したがって、
廃プラスチックを焼却しないよう清掃一部事務組合に求める考え方は持っていないところでございます。 以上、答弁とさせていただきます。
○議長(芦沢一明) 池山教育長。
◎教育長(池山世津子) 私には、教育基本法改正についてのお尋ねでございます。 現行の教育基本法制定から六十年弱が経過する中で、社会状況も教育をめぐる環境も大きく変化し、教育全般についての様々な課題が生じている今日、教育の根本まで遡った改革が求められております。 このような認識のもと、文部科学大臣の諮問を受けた中央教育審議会では、平成十五年三月、新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画のあり方について答申をし、これを受けて今年の五月十六日に教育基本法の改正案が国会に提出され、現在、様々な審議がなされていることは私も十分認識しております。 このような状況の中での御質問であり、まずは国の動向を注視することが大切であると考えますが、児童生徒をめぐる今日的状況、例えば家庭のしつけの問題や、何でも自由という社会的風潮などが取りざたされている中で、審議中の改正案は、「家庭の教育力の回復」、「学校・家庭・地域社会の連携・協力の推進」、「公共に主体的に参画する意識や態度の育成」など、子どもたちの人格の完成を目指すため極めて重要と考えられる理念を明記したものであると考えております。 その一つとして、日本の伝統、文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと、このことが挙げられております。郷土や国を愛する心や態度の育成につきましては、国際社会に生きる心豊かでたくましい人間を形成するための教育上の重要な課題の一つとして、私は大切であると考えております。 いずれにいたしましても、現在、国会での審議中であり、これ以上の答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○議長(芦沢一明) 二十四番五十嵐千代子議員。
◆二十四番(五十嵐千代子) 時間制限をされているために、早口で質問をいたします。 最初に、教育長への質問です。 大分踏み込んでの答弁をいただきましたが、改めて、最後に教育長が答弁されました愛国心の問題です。 教育長は現在の教育基本法が、私は先ほども述べましたけれども、戦前の苦い教訓、つまり、日本が引き起こした侵略戦争によってアジア太平洋戦争では二千万人以上、国内では三百万人以上の国民の命を奪ったこと、そして、その戦争に駆り立てていったのは、教育が使われたこと、戦前は子どもたちにお国のために命を捨てよと教え込み、若者たちを侵略戦争に駆り立てたのです。この反省に立ったからこそ、憲法九条で日本はいかなる国際紛争にも武力を用いない、そして教育基本法も、戦前の子どもたちを戦争に駆り立てるために使うのではなく、一人一人の人格の形成のために教育は行う。そして、その目的は、平和的な教育を育成するというふうになっているのです。 この戦前の侵略戦争の反省のもとにつくられた現在の教育基本法、それを変えて、戦前と同じように再び愛国心を植えつけ戦争に駆り立てていく。何よりも証拠に、自民党が既に示しております憲法草案の中には……
○議長(芦沢一明) 静粛に願います。
◆二十四番(五十嵐千代子) ……先ほども申し上げましたが、第九条二項を変えて、戦争できる国に変えようとしているのです。その動きと一体のものとして、今回の教育基本法の改悪、とりわけ教育の中に愛国心を持ち込もうとしているのです。この戦前の侵略戦争と愛国心の問題について教育長はどのように認識しているのか、改めて求めます。 次に、区長に質問いたします。医療の問題です。 区長は、医療制度の今回の国会提案は、二十一世紀においても生命と健康を維持し、また、制度の確保のために変えるんだということを答弁されました。しかし、この間、この改悪に対して多くの国民から切実な声が上がっています。 あるお年寄りは「老後、病気になったら病院に行かないで死ぬしかない」また、退職して二年目の男性は「高血圧で通院していますが、二週に一回を一カ月に一回にして倹約したり、診査を省略して薬だけにしたりと、なるべくお金がかからないようにしている」また「現役時代、身を粉にして働き続けながら高い保険料を払ってきて、病気もせず、健康保険をほとんど使わずに来て引退と同時に体がぼろぼろになったのに、複数の病気に見舞われ、高い医療費に今でも生活が苦しくなる。これ以上医療制度が改悪されたら、もう生きていくことができない」。今回の改悪は、まさにこのように国民の暮らし、もはや待ったなしのところまで追い詰められているのに、さらにこれを追い詰めていくものです。 こういう実態に対して区長は改めて医療制度の改悪、反対しないのか、答弁を求めます。 三点目は、学童保育の問題です。 区長は盛んに「学童クラブは行革のために廃止するのではない。これまでの課題に目をつぶっているのではないか」と言いました。しかし、全員入られない状況を区長はるる述べられましたが、全員入れない状況をつくったのは一体だれなんですか。だれがこんな状態に置いているのか。この間、十二館まで学童保育が増やされましたけれども、決して区が積極的に増やしてきたわけではありません。その背景には、区民の切実な運動があったのです。 区長は自分の現在の責任である、今の、一年生から六年生まで学童クラブは受け入れるというふうに名目上、うたっています。しかし、それが入れない責任は、区長、あなたにあるんではないでしょうか。区民にあるわけではありません。なぜこの学童クラブを放置しておいて全員入れない状態を私たちや区民のせいにするのか。改めて学童クラブをつくらない理由、とんでもないことだということを申し上げます。改めてこういう状況にした責任、区長にあることを指摘し、なぜそうなったのか答弁を求めます。 また、安全。学校がより安全だと言いました。しかし、選択性が導入されて、子どもによっては学区域外の学校に通っている子どもも多数生まれています。そうした子どもたちは、自宅の近くの学童館の方が通学時間も短く、安全なことは当たり前ではありませんか。そういうことも無視して学校だけが安全だ、こんなことは通用しません。改めて理由にならないということを指摘し、学童クラブそのものをつくるべきです。 さらに問題なのは、子どもの福祉を行革ではないと言いながら、職員を削減するために廃止することを打ち出しているではありませんか。学童クラブと放課後クラブは全く違うと私は認識しています。実際、区が今、出している学童クラブのパンフレットには「放課後の家庭の保育に欠ける児童を対象とする」一方、放課後クラブのしおりには「小学校に在籍している全児童に対し、安全で安心して過ごせる見守り型の居場所を提供する事業」こういうふうに言っています。学童クラブは児童福祉法に基づく福祉施設として、保育の必要な学童に保育を提供する施設です。居場所ではありません。この放課後クラブと学童クラブの違い、改めて、行革の名でこの福祉施設を廃止することはとんでもありません。 保護者からも「未来人の子どもたちの生活を守り、温かい環境をつくることは行政の義務です」と、また「今、深刻な問題になっている少子化の原因の一つは、子育て支援の充実いかんにかかっている。時代の要求に逆らうような学童クラブ廃止は許せない」等々の意見が寄せられています。改めて学童クラブ、こういう区民の声に区長はどうこたえるのか。 次に、介護の問題ですが、保険料ですけれども、全国でトップクラスの保険料だというふうに言われたと言いましたけれども、区長は二十三区の保険料を見ているんでしょうか。現在、渋谷区の保険料は、高い方から二十三区で十番目です。既に三つの区は十段階のきめ細かな対応もしているのです。決して渋谷がトップではありません。 とりわけひどいのは、介護保険料が全く無収入の人からまで徴収する制度になっていることです。とりわけ、そうした人も含めた低所得者への軽減措置は、当然とられるべきです。改めて区長にこの問題について求めます。 次に、旧大和田小学校の問題です。 パブリック・コメントが寄せられましたが、百三十一件の意見中、期待を述べているのはわずか十五件。 また、「文化施設に採算がいつから優先されたのか」とも区長は言いました。私が問題にしているのは、逆に伺いたいと思います、文化施設だったら幾らをかけてもいいのか、その陰で学童クラブをつぶしていいのか、収入のない高齢者から介護保険料を徴収していいのか。まさにこの問題は、税金の使い方として問われているのです。しかも、百二十億円だけで済むものではありません。孫子の代までランニングコストとしてその維持費がかかってくるんです。百二十億円の施設をつくるために学童保育が十二館つぶされ、また、介護保険料を徴収していいということではありません。改めてこのことについて区長に問います。 とりわけ、医師会に負担させると言っていますが、答弁の中では、幾ら建設費で負担してもらうのか、ランニングコストについても幾ら医師会に負担してもらうのか、改めて明確な答弁を求めます。 本町のまちづくりです。 地区計画について、区長は安心して住める快適なまちづくり、また、ビル業者も法の範囲内で良識的対応を示している、一方の話だけではまとまるものもまとまらないと言いました。また、憲法で保障された財産権に配慮したとも言いました。改めて聞きます。住民は、今回の住友ビルなどのように高層ビルが建てられたまちに、安心して快適なまちとして住むことができるんでしょうか、お答えください。 また、住友のビル建設は法の範囲内で良識的だと言いました。だれのための地区計画なんでしょうか。これでは住友不動産のための地区計画、高さ制限だと言わざるを得ません。 ある説明会に参加した人が、こう言いました。「一体どこが六十メートルの建物を建てられるのか。広大な土地を持つ一部の企業だけが利用できて、住民は泣かされるだけではないのか」と言いました。この質問にお答えください。 また、財産権の問題ですが、企業の財産権を優先することはわかりました。それでは、住民の財産権をどう守るのでしょうか、お答えください。 最後に、
廃プラスチックの焼却の問題です。 区長に一点お尋ねしたいのは、前区長が結んだ操業協定について、可燃ごみ以外は燃やさないとしたことについて区長はどのように認識しているのか、お答えください。
○議長(芦沢一明) 桑原区長。
◎区長(桑原敏武) 五十嵐議員の再質問に御答弁をさせていただきたいと存じます。 まず、医療制度の改悪に対して反対をしろということでございました。 私、何回も申し上げますけども、お金がかからなければそれが一番いいと思います。しかし、そうはいかないんです。やはり国民の安心の基盤である皆保険制度を維持して、将来にわたって維持、持続可能なものとするためには、安心、信頼の医療の確保と予防の重視、あるいは医療費の適正化の総合的な推進、あるいは超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現といった諸課題について、一つ一つ解決していかなくてはならない。そのために、今、通常国会でそのことの審議がされているんだと、私、そのように理解していると、このように申し上げました。御理解をいただきたいと思います。 学童クラブについてのお話がございました。 何か開き直ったような御質問であると思いましたけれども、放置したのはだれだと、こういうことでございますけれども、私はそういうことを言っているんじゃない、放置しないようにするために、制度を固定化しないために、新たに子どもたちを、これを受け入れるために私はそのようにしたいと、こういうふうに言ったわけです。ですから、そのことについては御理解をいただきたいと、このように思います。 それから、介護保険料の問題でございますけども、少なくとも渋谷区がですね、前回の事業期間と比べて保険料は上がっていない、上げなかった、そのことについての会派の議員の評価であったのかもしれません。それは金額でなくて、そのようなことについての渋谷区の努力を評価していただいた、低所得に対してはそれなりの渋谷区は対応をしている、それは五十嵐議員ならよく御存じじゃありませんか。私から改めて言うことはないと、このように思っております。 大和田の施設について、文化施設なら幾らでもかけてもいいのかと、こういうような、これも開き直りのお話だと、こう思いますけれども、それなら特養なら、その他の福祉施設なら幾らでもかけていいのか。そこにはすべてに区政としてのバランスが要るじゃないですか。調和があっていいじゃないですか。私は、福祉も文化政策も教育も大切だと、そのように申し上げているんです。 それから、医師会にかかわってのお金は幾らだと、こういうことでございますけれども、これも改めてですね、今、コストと同様に、その積算は今、申し上げられる段階にはないということでございます。 それから、本町三丁目について、この住友ビルの建設について、それで安心して住み続けられるのかと、こういうようなお尋ねでございますけども、そのことについては水かけ論になりますから、そのことについては答弁をしない。私は、地域の住民がその中で適切な判断をしてくれると、私はそのように思いますので、私の方から申し上げることはございません。 それから廃プラについての、可燃ごみとしての--燃やす、それは社会状況変化に対応して、このままいくと埋立地が危ない、こういうことから、それを燃やしても、このことが有害ガスを出さないんだと、それだけの今は焼却技術が向上している、そしてまた、そういったことについてのそれなりのデータがあるんだということでございますから、そのように申し上げたわけでございまして、
廃プラスチックは、ですからこれは、前区長のときに燃やさない、不燃ごみとして燃やさないということですけども、私は可燃ごみとして燃やすことが可能だと、このように思っております。 以上、答弁といたします。
○議長(芦沢一明) 池山教育長。
◎教育長(池山世津子) 私への再質問でございます。 先ほど申し上げましたように、五月の十六日にこの教育基本法の政府の改正案が提出をされました。あわせて五月の二十三日に民主党案が提出されているところでございます。 私、五月の半ばからこの六月にかけまして、区内各小中学校で運動会が開催されております。そこで子どもたちが元気な姿で、汗をふきふき歯を食いしばりながら競技に参加している姿を見るにつけ、戦争であれ事故であれ事件であれ、この子どもたちが命を落とすようなことがあってはならないと、私は強くそう思いました。 現在、国会で審議をされております政府案、民主党案どちらを見ましても、その内容から戦争に駆り立てていくということは読み取れません。いずれにいたしましても、これからの国会審議に注視をしてまいりたいというふうに思っております。
○議長(芦沢一明) 二十四番五十嵐千代子議員。
◆二十四番(五十嵐千代子) 教育基本法の改悪ですけれども、まさに二十一世紀の教育をどうするか、子どもたちの未来をどうするかが問われている問題。平和を選ぶのか戦争を選ぶのかが、まさに教育の場で求められていると私は考えています。 日本共産党は、子どもたちの成長を阻害する今回の教育基本法の改悪、平和を否定する教育基本法の改悪を許さず、基本法の理念が生かされる教育が行われるために全力を挙げます。 また、区長への質問ですけれども、医療問題も介護問題も、そして学童クラブの実態も、本町のまちづくりについても、いずれも住民の切実な願いを取り上げたつもりです。とりわけ旧大和田小跡地に百二十億円使うことは、今、税金の使い方が問われているということを申し上げたつもりです。 特養であれば、これまでの例に見れば、百二十億円あれば二カ所以上がつくられます。学童の廃止をする必要も全くないのです。百二十億円はこちらに置いておきながら、行革だと言って福祉の学童を削ることに、私は絶対許されないと思います。 以上をもちまして質問を終わります。
○議長(芦沢一明) 五番沢島英隆議員。
◆五番(沢島英隆) 私は、渋谷区議会公明党を代表して、大きく七点質問します。 最初に、少子化対策について三点質問します。 まず、四月二十七日に坂口 力元厚労相を本部長とする公明党少子社会総合対策本部が発表した少子社会トータルプランについて、一言申し述べます。 昨今「ワーク・ライフ・バランス」という言葉をよく耳にしますが、これは生活を犠牲にしない働き方ということですが、公明党は、まず働き方改革をすべきであると考え、「(仮称)仕事と生活の調和推進基本法」の制定を目指します。その上で、育児休業制度の給付水準の引き上げや、分割取得など利用しやすい育児休業制度への改革を挙げています。また、賃金や社会保障面で非正規と正規労働者の格差解消を目指すほか、夫婦が〇・七五人分ずつ働き一・五人分の所得を得るオランダ方式も検討します。さらに、長時間労働を抑えるため、割り増し賃金率を現行の二五%から四〇%へ引き上げ、ただし、中小企業に対しては助成金や税制などの優遇措置を検討しますが--を盛り込んでいます。経済的基盤が弱い若者の自立支援としては、一定の年数雇用した場合の正規雇用への移行義務づけや、学校教育を就労と結びつけるキャリア教育の強化を挙げています。 一方、子育ての負担を過重にしない考え方として、児童手当の対象を高校生まで拡充し、給付水準の倍増を目指しますが、当面、低年齢層から実施するなど段階的な取り組みを進めます。また、不妊治療への助成倍増や、保育所のサービスをすべての家庭の子が利用できるよう普遍化を提案しています。さらに、新婚家庭への家賃補助など、若者の家庭形成を支援するためのネスト--巣づくり--プランの策定、実施を政府に求めています。 政策を実現する財源については、介護、医療などと同様に、育児保険制度の創設を正式に検討課題として取り上げます。財源がさらに必要な場合には、税制からの支援を検討します。 以上、ポイントのみ申し述べましたが、女性に対しての過度の負担を取り除く対策は、雇用制度改革など国による一元的な施策で対応すべき領域もありますが、同時に、地域ごとの特性に見合った施策の導入が重要です。 都市部では、ファミリー・サポート・センターやNPOなど、民間レベルで相互協力を図る共助のシステムが構築されてきていますが、まだまだ十分とは言えないと思います。地方分権が進んでいく中で、公助における地方自治体の役割と、共助をサポートする意味での地方自治体の役割は今後ますます重要になると考えますが、まずは桑原区長の少子化対策への御決意をお聞かせください。 少子化対策の二つ目の質問は、マタニティキーホルダーを無償配布してはどうかという提案です。 〔資料提示〕 このマタニティキーホルダーというのは、これが実物ですけども、ちょっと見えないんですが、これがそのデザインです。淡いピンク色のハート型をしており、「おなかに赤ちゃんがいます」と書かれていて、母親が子どもをやさしく守っている様子がデザインされています。厚労省で認可された全国統一のマークです。 これはもともと埼玉県の恩賜財団母子愛育会が作成し、埼玉県で配布されていたものです。そして昨年、公明党、松 あきら参議院議員が委員会質疑で国の統一規格をつくるべきとの訴えに、厚労省がデザインを公募、千六百を超える応募作品からこのデザインが最優秀作品として全国統一マークに決定したものです。 妊娠初期の妊婦は外見ではわかりにくいため、満員電車で押されたり、近くでたばこを吸われるなどの苦痛を強いられることが多いのが現状です。渋谷区ではこの四月より、我が会派の強い要望で、全国初となるハッピーマザー助成制度がスタートし、区民の方からも喜びの声をいただいていますが、さらに妊産婦にやさしい環境づくりを推進するため、是非このマタニティキーホルダーの配布を実現していただきますよう提案します。 少子化対策の三点目は、区商連などと連携した子育て支援について伺います。 政府は少子化対策の一環として、子どものいる世帯が買い物で割引などの特典を受けられるようにする制度を導入する方向で調整に入りました。石川県など一部自治体が先行実施しており、運営費を国が補助することなどにより全国展開を目指し、二〇〇七年度には実施したいとしています。 今年の一月に始まった石川県の取り組みは、プレミアムパスポート事業と呼ばれ、十八歳未満の子どもが三人以上いる世帯にパスポートを発行します。このパスポートを事業に協力するお店で提示すれば、全商品五%引き、学用品一〇%引き、毎月十九日--育児の日は食料品一五%引き、多子世帯限定商品販売など、店ごとに独自に決められた割引特典を受けられます。サービスは企業負担で、県はパスポート発行や協賛店の募集などの運営を担っています。石川県では一月の事業開始後、わずか三カ月足らずで対象世帯一万七千世帯のうち六割がパスポート申請し、協賛企業も約千百五十店舗に達しているとのことです。 奈良県でも同様の取り組みをしており、十八歳以上の子どもが三人以上いる世帯に対し、「なららちゃんカード」を交付し、例えば大和郡山市では…… 〔「未満」の声あり〕
◆五番(沢島英隆) あ、十八歳未満の子どもが三人以上いる世帯に対し、「なららちゃんカード」を交付し、例えば大和郡山市では、美容室の技術料金の一〇%割引、喫茶店の飲食代を二〇%割引、桜井市の信用金庫では定期預金の利率の引き上げ、奈良市ではパソコン教室や音楽教室の入会金全額免除、貸し衣装代三〇%割引などを実施しています。 現状では都道府県が中心の事業かもしれませんが、渋谷区としても東京都と連携して、渋谷ならではの子育て支援を実現できればすばらしいと思いますし、地元商店街と連携することで商店街の発展にも寄与できるものと確信します。是非「(仮称)渋谷ちゃんカード」の創設に向けて一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。 以上、少子化対策についての三点の質問に対し、区長の御所見を伺います。 次に、まちの美化について二点伺います。 一つ目は、分煙ルールの強化についてです。 前回定例会で、高校生の有志の方が罰則付の
歩行喫煙禁止条例制定を求める請願を提出されました。我が会派としても、その精神には強く共感できる部分はあったのですが、きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例との整合性や、渋谷の外来者の特性と関連した過料徴収の問題等、大きな課題を含んでいたため、どうしても賛成することができませんでした。 しかし、現状を見ますと、特に駅周辺では歩行喫煙者が非常に多く、若干改善されたとはいえ、ポイ捨てのたばこもいまだに多い状況です。区民の方からも、依然として「歩行喫煙とたばこのポイ捨て、何とかできないの」というお声を数多くいただいています。私個人にいただいた陳情の中でワーストスリーに入ると言っても過言ではありません。 そこで、分煙ルールについて、今まで以上に啓発強化、運動強化をすべきと考えます。 具体的には、地域と企業、学生、ボランティアなどに対し行政が再度、分煙ルール強化についての協力を呼びかけ、知恵を出し合うところから初めてみてはどうでしょうか。今まで約三年間実施した分煙ルールの評価も含め、もう一度検討するべき時期に来ていると考えます。 例えば、強化月間を設け、集中的に一カ月間啓発運動を毎日実施する。運動の内容も、不特定多数に呼びかけるのではなく、一人一人に「分煙ルールは御存じですか」など直接アンケート方式で話しかける。また、駅周辺の企業に呼びかけ、朝礼、社員教育の中で徹底をしてもらう。あるいは、場合によっては、逆に喫煙場所を拡充した方がよい地域もあるかもしれません。いずれにしても、区としての取り組み強化を是非お願いします。区長の御所見を伺います。 美化についての二つ目の質問は、カラス対策の強化です。 カラス対策については、東京都、また渋谷区も力を入れて対応しており、かなり数も減り、カラス被害が減っているのは高く評価するものであります。巣の撤去予定数も、平成十八年度予算において四十件から七十件に拡充されました。しかし、歩行喫煙同様、区民の方からは依然として多くの苦情をいただきます。「学校のそばの木に巣があり、よくカラスがとまっていて、子どもに危害を加えないか心配だ」あるいは「ごみの散らかり方がひどい。ごみ収集の場所に大型の網でできた小屋を設置してはどうか」など区民の悩みは深刻で、カラスによる被害はまだまだ多いなと感じております。 そこでお聞きしたいのですが、渋谷区では、カラス被害に対する黄色のごみ袋の効果を検証するとしていますが、現在の進捗状況及び今後の取り組みを教えてください。区長の御所見を伺います。 三点目に、防災対策について質問します。 渋谷区では、かねてより準備を進めてきた
ハザードマップが完成し、公表される予定となりました。また、我が会派からも代表質問等で強く要望してきた耐震改修助成制度も今年度、予算に組み入れていただきました。三月の第一回定例会にてともに高く評価し、予算原案に賛成をした次第であります。 次のステップとして、耐震改修の普及促進のため、主に木造住宅を対象とした耐震改修工法・装置展示会を開催してはどうでしょうか。 東京都では、既に本年三月二十四日から三十日にかけて都庁内の都政ギャラリーで開催され、訪れた人は六日間で千六百二十五人と、同ギャラリー展示会で過去最高を記録したそうです。展示された耐震改修工法・装置は三十一種類、昨年十月より二カ月間募集し、寄せられた百九件の中から選定されました。工法部門では、天井や床を壊さずに特殊パネルなどで壁を補強する事例、壁の内部に金属製の筋交いを取りつけて壁を補強する事例、ポールや金属枠などで建物の外側から補強する事例など二十八種類を展示、工費は百万円前後が中心で、壁の補強では五十四万円の工法も展示されました。装置部門では、落下物から身を守るため鋼鉄製のフレームを上部につけた防災ベッド、これは二十七万円、住宅が倒壊しても中の空間を守る木製シェルター、これは三十一万五千円などが展示されました。 耐震改修はしたいがどうやっていいかわからない、また、実際のイメージがわかないという方は多いと思います。目で見て納得すれば安心して工事に取りかかれます。常設展示となると場所の問題がありますが、まずは防災の月・九月などで期間を決めて開催してみてはいかがでしょうか。場合によっては、九月一日の防災訓練会場にてコーナーを設け、展示してみてはどうでしょうか、区長の御所見を伺います。 四点目に、食育推進について伺います。 本年四月に、国は食育推進基本計画を発表しました。これは公明党が粘り強く推進し、昨年施行された食育基本法に基づき、今年度から五年間の基本的な方針を定めています。各自治体にも推進計画の策定を求めており、五年後には全都道府県と半数以上の市町村で策定、実施することを目指しています。 制定された背景には、現在の食をめぐる状況が各世代で様々な課題を抱えていることがあります。朝食を抜く子どもが増え、肥満の低年齢化、生活習慣病につながる中高年の肥満、高齢者の低栄養化、あるいは妊婦の過度のダイエットによる低体重児の増加も深刻な問題です。今回の計画の中には、朝食を抜く子どもの割合の減少については、「ほとんど食べない」とする小学生の割合を現在の四%からゼロにすると明確な目標が掲げられました。生活習慣病の予防については、内臓脂肪症候群--メタボリック・シンドロームの考え方を知る国民の割合を八〇%以上に高めることを目指します。 このほかにも、一、食育を推進するボランティアの増加、二、妊産婦への栄養指導充実、三、栄養教諭を中心とした学校、家庭、地域での連携・協力推進などの具体案が幅広く盛り込まれています。あわせて、毎年六月を食育月間、毎月十九日を食育の日とするなどして計画の定着を図っています。 今後、渋谷区でも大いに各世代への食育推進に取り組んでいくべきと考えますが、特に、次代を担う宝の子どもたちの食育に真っ先に取り組みをお願いしたいと考えます。 一つの事例を紹介しますが、千葉県市川市で実施された健診でびっくりする結果が出て、関係者を驚かせました。 市川市では、昨年十月から十一月にかけて、小学五年生と中学一年生の希望者、合計四千五百五十六人を対象に小児生活習慣病予防検診を実施しました。この検診の特徴は、身体測定、血液検査などを行った上で、市医師会の協力を得て市独自の判定基準を設け、内臓脂肪を重視した検査になっていることです。担当課の市川市教育委員会健康体育課では「こうした比較的新しい基準での実施は、全国で初めての試みではないか。独自の基準を設けた背景には、最近耳にする内臓脂肪症候群--メタボリック・シンドロームがあった」と言っています。 そして結果は、検査項目がすべて基準値以下の「正常」は三千百十四人で全体の約六八%、これに対し、基準値を上回ったのは千四百四十二人で約三二%。つまり、なんと三人に一人が血圧、肥満度、総コレステロール値などで基準値を超え、生活習慣病になる要因を抱えていることがわかったのです。 市教育委員会では「こうした結果を配布して終わりではなく、結果に対するフォローが大事」として、基準値を超えた対象者には、運動面では順天堂大、食事面では県立衛生短大、生活面では市医師会と連携し、きめ細やかな個人指導を行っていくとしています。 検診と同時に行ったアンケート調査でも、朝食を「食べない」「ときどき食べない」「食べないことが多い」を合わせると小学校で一四%、中学校で約一九%に上りました。就寝時間が午後十一時から午前零時が小学校で約一一%、中学校で約二三%、運動が「大嫌い」「どちらかといえば嫌い」合わせて小学校で約一〇%、中学校で一五%。また、テレビゲーム、パソコン、メールなど一日三時間以上する日が一週間で何日あるかを聞いたところ、「毎日」が小学校で約二四%、中学校で約三七%に上りました。 市教育担当者は「朝食を抜いて空腹のまま昼食をとると、すべてエネルギーになり、かえって太りやすい。アンケートでも、朝食を食べない、就寝時間が遅い、運動が嫌いという児童生徒に肥満化傾向が強かった。ゲームやパソコンなどテレビ画面に向かう時間の長さの問題もある。生活習慣病に三人に一人が要注意という結果には大変に驚いているが、科学的に実態を把握して改善点を具体化していきたい」と言っています。 渋谷区の小中学生も同様の問題を抱えている可能性もあります。渋谷区でも、さらに医師会の協力も得て独自に検診を実施してみてはどうかと考えますが、いかがでしょうか、区長の御所見を伺います。 五点目は、二〇〇七年問題について質問します。 二〇〇七年は、言うまでもなく団塊の世代の大量退職の始まる年です。様々な問題点も指摘されていますが、私は、逆に大きなチャンスでもあると考えています。 それは、豊かな人生経験、職場経験をお持ちで、なおかつお元気な世代の方がいよいよ地域に戻ってこられる方です。地域のコミュニケーション不足、いわゆる御近所づき合いの希薄化から地域力の低下がずっと指摘されてきていますが、団塊世代の方が地域で元気に御活躍いただければ、地域の再活性化が必ずできると確信します。あわせて、その方々がいつまでもお元気で暮らしていただけるように、施策充実することも重要と考えます。 お隣の杉並区では、四月から、社会貢献、地域貢献の人材を育成するための「すぎなみ地域大学」を設立しました。同大学では一般教養的な学習の場ではなく、ボランティア活動などに意欲のある区民などを対象に、実践的な知識や技術を提供しています。開設された講座は、一、地域デビューのきっかけづくりの地域活動入門講座、二、NPOが人材を育成するためのNPO活動実践講座、三、公共サービス分野の起業を目指す人のための公共サービス起業コース、四、子育て事業の担い手を広げる地域で子育て支援コースなどです。 また、豊島区では、「としま健康づくり大学」を開設し、団塊の世代など壮年期から高齢期に向かう区民を対象に、健康体力づくりについて総合的な連続講座を実施します。講座は五月から十一月まで計二十回。大学や健診センター、区立体育施設と連携し、一、運動生理、免疫学、メンタルヘルス、東洋医学、食生活などの講義、二、筋力・持久力トレーニング、ストレッチ、エアロビクス、ヨガなどの実技、三、健診に基づく健康・体力づくりの目標設定などを行います。講座修了者には地域における健康増進リーダーとして活躍してもらいます。 そのほかにも、埼玉県では、埼玉大学の経済学部夜間コースの授業を団塊の世代の方、高齢者の方に開放する協定を大学と結びました。 各自治体も団塊世代支援に本腰を入れ始めています。渋谷区もシニアいきいき大学等、施策を講じていますが、団塊世代の方が地域で活躍いただけるための施策をもう一歩充実すべきと考えます。区長の御所見を伺います。 六点目は、休日開庁拡大についてです。 三月から休日開庁が開始され、区民の方からも喜びの声をいただいています。区長の御英断を高く評価するとともに、休日出勤してくださる職員の方の御苦労に敬意を表するものです。来庁者も、五回で五百十一名と多くの方が御利用されました。まだ試験的に始まったばかりですが、早くも「定期的に休日開庁してほしい」と要望される方もいましたし、「扱う業務も是非拡大してもらたい」という方もいました。 区長も「今回の結果を検証した上で、ワンストップサービスへの移行とも関連して今後の休日開庁のあり方を考える」とされていますが、是非積極的な取り組みをお願いしたいと思います。区長の今後の御決意をお聞かせください。 最後に、図書館の快適な利用について伺います。 端的に伺いますが、中央図書館、渋谷図書館等において、臭気などで利用者が大変に困っています。平等に開かれた図書館として困難な問題かもしれませんが、快適な利用環境を提供することもまた図書館の使命であると考えます。今後、図書館については登録制にしたり、何らか身分証明の提示を求める、たまたま身分証明を持ち合わせていなければ名前、住所、連絡先を記入してから入館するなど対策を講じるべきと考えますが、区長の御所見を伺います。 以上、大きく七点の質問に対し、答弁をお願いします。
○副議長(松岡定俊) 桑原区長。
◎区長(桑原敏武) 渋谷区議会公明党、沢島英隆議員の代表質問に順次お答えをしたいと存じます。 最初に、少子化対策についてでございます。 本年の六月一日、厚生労働省は二〇〇五年人口動態統計を発表しましたけれども、合計特殊出生率は一・二五であり、前年の一・二九を大幅に下回った、また、五年連続で過去最低を更新したということの報道もあり、社会に、国家に随分この影響、反響のあったことでございました。 こういったことを踏まえまして、公明党の少子化対策本部が発表された少子社会トータルプランの骨子を御提示されながら、少子化対策に対する私の決意をお尋ねであったと、このように思っております。 本区は平成十六年度に、安心して子どもを産み育てることができ、次世代を担う子どもたちが健やかに成長していくことができるまちづくりに向けた環境整備の指針として、渋谷区次世代育成支援行動計画を策定し、その計画内容に基づきまして着実な事業推進を図っているところでございます。 また、本年二月に策定いたしました渋谷区実施計画二〇〇六におきまして、少子化対策につきまして、新規事業である妊娠期間中の経済的負担を軽減するハッピーマザー助成の実施、中学三年生までに入院費の助成を拡大した子ども医療費助成の創設、また、子ども家庭支援センターや子育て支援センターの利用日や事業の拡充、さらには区民サービスの向上に向けました指定管理者制度による美竹の丘保育園の開設や、認証保育所の設置による保育園の充実など、いずれも重点事業として推進しているところでございます。 また、結婚や出産、就労などにつきましては、これに目を向け、少子化対策として、渋谷区のみならず国や都、企業、地域が一体として解決を図っていかなければならない課題であると認識しているところでございます。 少子化の進行は、社会保障制度や子どもの健全な成長への影響、労働力人口の減少など、社会、経済に大きな影響を与えていることから、区の最重要課題の一つとして認識をしてまいりたいと、このように思っております。今後とも「産みやすい、育てやすい、働きやすい」環境づくりに向け総合的な子育て支援策を推進し、出産と子育てに誇りと喜びを感じることのできる地域社会の実現に向けて努力をしてまいります。御理解をいただきたいと存じます。 次に、外見ではわかりにくい妊娠初期の妊婦への配慮を推進していくため、マタニティキーホルダーの無償配布をしてはと、こういう御提言でございました。 マタニティマークは、ハッピーマザー助成周知のためのシンボルマークとして使用することといたしておりますけれども、妊産婦にやさしい環境づくりの御提案としてすぐれた一つのアイデアであると、このように思います。しかし、このことについては財政負担や配布方法などの課題もございますので、今後さらに検討を深めてまいりたいと、このように考えております。 次に、少子化対策の三点目といたしまして、石川県のプレミアムパスポート事業等の例を挙げながら、地元商店街と連携した「渋谷ちゃんカード」の創設に向けて一歩を踏み出してはと、こういう御提言をいただきました。 議員の御提言にあります石川県の例では、財団法人が事務局となって協賛企業を募り、割引等のサービスは企業負担として実施しているところでございます。他方、本区のような大規模の商業の集積が進んでおり、消費者の購買行動が広範囲にわたっている状況にありますこと、さらには各商店におきます割引カードやポイントカードの普及の進んでいるという地域特性を考えあわせますと、御提言の趣旨につきましては、さらに今後、研究課題とさせていただきたいと、このように存じます。 分煙ルールについての強化についてのお尋ねでございます。 御提言のとおりであると、このように思っているわけでございまして、これからも歩行禁煙の啓発にさらに努めてまいりたいと、このように思います。 次に、カラス対策の強化として、黄色いごみ袋の検証の結果についてのお尋ねでございます。 黄色いごみ袋は、カラスによるごみ散乱の防止を図るため、袋を黄色に着色することで袋の中身が見えなくなるというカラスの視覚特性を利用したものであるわけでございますけれども、これは七月実施に向けまして、五百世帯に黄色いごみ袋を町会を通して配布をしたいと、このように考えております。一カ月間、試しに使用をしていただき、その効果につきましてはアンケート調査をしてまいりますので、その上で御報告をさせていただきたい、このように存じます。 区民に対して耐震改修の普及促進を図るため、耐震改修工法・装置展示会を開催してはということの御提言でございました。耐震化促進のための具体的な、区民に考えてもらうためのいい結果を生む御提言であると思っております。今後、建築士事務所協会と、九月一日、総合防災訓練でコーナーを設置できるよう関係機関との協議を進めてまいりたいと、このように思っております。 食育推進についてのお尋ねでございました。 学校におきます健康診断は、学校保健法に基づきまして、定期健康診断のほか各種健康診断を実施しております。小学生につきましては、定期健康診断の結果、肥満度が高いとされました児童を対象といたしまして、また、中学生につきましては、一年生のうち受診を希望する生徒を対象といたしまして、生活習慣病予防検診を実施いたしております。いずれも医師会の御協力をいただいているものでございます。この予防検診におきましては、血圧、肥満度、総コレステロール値などを検診項目といたしております。 市川市の事例といたしましては単純に比較できませんけれども、十六年度の当区の結果におきましては、小学生については全児童の約一・二%、中学生につきましては全一年生の四・三%に対して生活指導等が必要とされ、養護教諭が中心となって指導を行っているところでございます。 生涯にわたって健康で生き生きとした生活を送るためには、子どもの時代から食について考える習慣を身につけ、望ましい食生活と健康管理が自分自身でできるようにすることが重要であると、このように存じます。 そこで、区立小中学校におきまして、学級担任と栄養士がチームティーチングを組みまして、家庭と連携して食生活と健康、食物の働きと栄養、食事のマナーなど、子どもの興味、関心や発達段階を考慮しながら食に関する指導に取り組んでいるところでございます。 今後とも、医師会の御協力をいただきながら学校、PTAとも連携しながら食育を推進し、子どもたちに規則正しい生活習慣が身につくように努めてまいりたいと存じます。 次に、二〇〇七年問題についてのお尋ねでございました。 少子・高齢化、人口減少の社会におきましては、女性や高齢者の活用が活力ある地域社会の発展のかぎであると存じます。本年の中小企業白書によりますと、サービス業や卸売、小売りなどの業種で高齢者層などの開業が増えていると聞きまして、大変喜ばしいことだと、このように思っております。本区といたしましても、高齢者自身が高齢社会の担い手として一層活躍できる社会を実現するために、高齢者の就労やボランティアとしての活動、子育て支援への参加促進などに努めてまいりたいと存じます。御理解を賜りたいと存じます。 最後に、休日開庁の拡大についてのお尋ねでございます。 これまでの取り組みについて評価をしていただきまして、大変職員も生きがいを感じていることであろうと、このように思います。これも区民本位の区政を推進し、区民のニーズにこたえていこうという、この積極的な区民サービスの向上に努めようとする区の姿勢、職員の姿勢を評価していただいたものと考え、感謝を申し上げる次第でございます。 今後の扱いでございますけども、この試行実施の結果を踏まえながら、引き続き職員労働組合の協力を得ながら、さらに窓口事務の拡充を図り、推進をしてまいりたいと、このように考えております。御理解のほどお願いを申し上げたいと存じます。 最後に、図書館の快適利用についてのお尋ねでございました。 議員の御指摘のとおり、快適な利用環境の維持は重要でございます。教育委員会では、おしゃべりや飲食等は禁止するとともに、利用の妨げとなる臭気等の迷惑行為に対しましては入館を制限し、退館を勧告したり、させていただいているところでございます。 公立図書館の役割は、利用者の皆さんに広くその利用の機会を提供することであるため、これらの対応に苦慮しているところでございますが、今後は御提言の登録制等、入館に対しまして何らかの制限がさらに可能かどうか検討してまいりたいと存じます。どうぞ御理解をお願いしたいと存じます。 以上で答弁とさせていただきます。
○副議長(松岡定俊) 五番沢島英隆議員。
◆五番(沢島英隆) 私の質問に対し、一つ一つ丁寧で前向きな御答弁をいただき、大変にありがとうございます。いずれも区民の切実な要望であり、避けては通れない課題であります。積極的な取り組みをお願いいたします。 最後に一言申し上げます。 「うそをつくことは下劣な悪徳だ。言葉を偽る者は公の社会を裏切る者だ」これはフランスの大思想家、モンテーニュの言葉であります。うそがはびこるようになると社会の基盤は大きく揺らぐことになる、これがボルドー市長としても活躍したモンテーニュの結論であります。 我が公明党は真実を語り、うそをはびこらせる極悪とは徹底して闘っていくことを決意し、質問を終わります。 ありがとうございました。
○副議長(松岡定俊) 議事進行上、暫時休憩いたします。
---------------------------- 休憩 午後四時十四分 再開 午後四時三十六分
----------------------------
○議長(芦沢一明) 休憩前に引き続き会議を開きます。 区政一般に関する質問を続行いたします。 十九番鈴木建邦議員。
◆十九番(鈴木建邦) 未来の渋谷をつくる会を代表して質問をいたします。 まず、区の財政について質問いたします。 当選して以来三年間、財政政策についてもいろいろな角度から質問をしてまいりましたが、区の基礎体力である収入を増やすこと、そして区のサービス、つまり支出を適正化することに眼目を置きました。目指すところは、当然なことなんですが、財政の弾力性を十分に確保しつつ、サービス水準を適切に底上げしていくことでございます。 今回はその総まとめとして、財政全般について質問をいたします。 区の歳入歳出は、年度によって大きく変化をいたします。国や都の制度の変更や景気変動などによるものですが、単純に言うと、歳入は好景気のときに増え、不景気のときに減ります。一方、歳出は、不景気なときに扶助費などを中心に増大する傾向がございますけれども、好景気のときにも、増収が見込めるときにもですね、増大圧力が高まってしまうものでございます。ですから、常に収支ギャップの構造がどうしても内包されてしまいます。この構造を断ち切らなくてはなりません。 ちなみに、昨年十一月、東京都が発表した「人口減少社会における都財政運営のあり方」という報告書では、このようなことが書かれております。今後の都財政は、一、生産年齢人口の減少による税収の低迷、二、高齢者の増加による社会福祉関係費の増加、三、高度成長期に形成された社会資本ストックの維持・更新経費の増加、そして人口減による社会資本ストック形成能力の低下、四、都市間競争の激化による新規投資の必要性増大、以上四つの要因によって長期的に収入が減り、支出が増えるということが予想されています。短期的な収支に一喜一憂するのではなく、社会構造の変化にも機敏かつ柔軟な対応がとれる財政構造を確立することが財政運営に求められていると、この報告書では結んでいます。 この報告書でも指摘をされているように、地方政府に今、求められているのは、長期的な視点でサービス水準を見直して、弾力性に富んだ財政運営をすることでございます。具体的には、好景気のときには一定のサービスの水準を確保した上で支出を減らして基金を増やしていく、一方、不景気のときには支出を増やして、あるいは減税を行ってですね、さらに基金を取り崩すというように財政のスタイルを変えていくべきではないでしょうか。所見をお聞かせいただきたいと思います。 同様の観点から、財政の長期計画、これは絶対に必要であると考えています。以前、金井議員が長期計画の策定を求めたとき、区長は「国の三位一体改革の影響によりまして、長期の財政計画に対する見通しはつけがたい」と答弁なさいました。しかし、これでは流れに翻弄される小舟のようなもので、非常に心もとないと言わざるを得ません。今後どのような行政需要があらわれるのか、施設の改築需要、介護等福祉費の増大がどうなのか、職員の退職金がどうなっていくのか、現行制度のもとでも、どのような支出が避けられないのか示していく必要があるのではないでしょうか。その上で単年度の事業計画を組み上げていくべきではないでしょうか。 例えば、旧大和田小学校跡地の施設計画では、早急にランニングコスト等、後年度への影響をはっきりさせるべきですし、ほかにも、さきに挙げたような需要などを検討して、将来一体どのような財政状況が訪れるのか、これの予想をできるだけ詳細かつオープンに議論をすべきでございます。長期的な財政についての基本シナリオはどうなっているのか、所見をお聞かせいただきたいと思います。 次に、区の預金とも言える基金についてでございます。 年度間の財政調整を図るための基金である財政調整基金は、景気変動などによる財源不足や緊急に実施をする必要がある事業のために充当するものでございますから、財政の変動幅と変動期間を予測することで、ある程度、必要水準を算定できるはずです。財政調整基金の充実は、弾力的な財政運営を確保するために必要不可欠です。区長は基金の適正水準をどれくらいと認識していらっしゃるのでしょうか、所見をお聞かせください。 続いて、財政政策の選択肢という観点から二点伺います。 まず、減税策です。 現行制度の中で、減税を渋谷区が行う余地は一体あるのでしょうか。もちろん起債制限などの制限はあるのでしょうが、財政政策の選択肢を増やすという点で重要だと認識しています。所見をお聞かせください。 次に、渋谷区にとって大きな影響を与えている二十三区との協調についてでございます。こちらも財政政策の選択肢、こちらにかかわってまいります。 以前、渋谷区が行った国民健康保険の統一保険料離脱は、現時点で考えても高く評価できるものでございました。二十三区は近しい兄弟とはいえ、かなりの状況の相違も出てきておりますし、地方自治の進展とともに二十三区横並びを変えていく必要もあるでしょう。その意味で、同様の思い切った決断を求めるものでございます。 他区の区長でも、そのような発言をしている方もいらっしゃいますし、区民のために協調すべきところは協調し、主張すべきところは主張する、そんなめり張りをきかせた上で、自主性を持った区政運営をさらに進めていただくべきだと思いますが、いかがでしょう、区長の所見を伺います。 最後に、歳入を増やす試みとして、社会的投資としての寄附制度やネーミングライツの検討状況について伺います。 平成十六年四定で寄附制度について、平成十七年三定ではネーミングライツについて提案を申し上げまして、前向きな答弁をいただいたと考えております。歳入を増やすことは、先ほど述べましたように、サービス水準を上げることにつながっていきますから、是非とも取り組んでいただきたいと思います。 現在の検討状況はどのようになっているのか、お聞かせください。 続きまして、職員の意識改革についてお尋ねをいたします。 当選して以来三年間、課長級職員の皆様方に対して「あなたが今、もし区長になったら何をやるのか」と聞いております。これは区政全般の状況をどういうふうに把握をしているのか、こういうことを聞いている質問なんですけれども、残念ながら、ほとんどの答えがですね、「今の仕事に手いっぱいで考える余裕がない」というものでございました。少しばかり近視眼的になってしまっているんではないでしょうか。 区の第一線で活躍する能力の高い課長級の皆様ですらこの状況なのですから、職員全般が仕事に対して「木を見て森を見ず」という状態になっているのではないかと危惧をしております。区政を担うための全体的な視野やコンセンサスが欠落し、セクションごと、部門ごとに矮小化してしまっているのではないでしょうか。渋谷区の現状を把握した上で、区全体が目指す方向性の中でどのように一つ一つの仕事が生きていくのか、これを是非とも考えてほしいなと思います。 渋谷区がどういう方向になるべきなのか、そのために何をどうしていくべきなのか、もっと言えば、東京の中で渋谷区がどういうふうにあるべきなのか、日本の中でどういうふうに存在していくべきなのか、あるいは全世界に対して何を発信していくべきなのか、少し大げさでございますけれども、それぐらい大きな視野を時間的にも同様に、長期的な視野を持って仕事をしてほしいと思います。 そういう意味で言えば、例えば今回のラブホテル条例は、日本じゅうに渋谷が大きな発信をしようとする試みであるという点で評価ができます。渋谷はもっともっと発信できるし、もっともっと一丸となれると思います。是非職員の皆様方には広い視野での仕事を行ってほしいと考えます。 そのためには、職員提案制度などを充実させたり、権限の移譲を進めて思い切った仕事をできるようにしたり、さらには研修などを活用したりして広い視野に立った仕事をできるよう促すべきではないでしょうか。所見をお聞かせいただきたいと思います。 次に、
ラブホテル建築規制条例についてお尋ねをいたします。 渋谷区は日本有数の繁華街を持つまちでございますけれども、その区域全域でラブホテルの新規建築を規制する罰則付の条例を提案なさった区長の意気込みは、先ほども申し上げましたように、日本じゅうに大きな発信をしようとする試みであると評価をするものでございます。 とはいえ、幾つかの疑問もございます。 一番大きいのは、訴訟を起こされたときに本当に勝てるのかということでございます。特に、日本国憲法第九十四条の論点、条例制定権の範囲の問題、こちらが大きく立ちはだかっています。 御存じのとおり、徳島県公安条例事件、こちらの判決で示されたように、上乗せ条例や横出し条例は、法律が必要最小限の定めを行っており、それ以外の事項については地方の特性に応じて必要であるときには条例にゆだねるという趣旨であるとき許される、そういうふうに解されております。そういったときには条例も許されるとされています。ここが大きな論点になります。 同種の条例についての裁判例を見ますと、近年は、宝塚パチンコ店規制条例事件、これが最高裁までいきました。具体的には、宝塚市パチンコ店等及びラブホテルの建築の規制に関する条例、これに基づいてパチンコ店出店の中止命令を出して、業者に対して市が工事差し止めの訴訟を行ったものでございます。最高裁で平成十四年の七月九日に、何と却下判決という形で市が負けています。特に下級審では、一審、二審では、条例に基づくパチンコ店の中止命令が風営法違反であると、このような判断を下されているのは御存じのとおりでございます。 この判決後、類似の条例での規制を廃止した自治体もございます。 このほかにも、最近ですと、岡山市がラブホテル業者に訴訟を起こされて「市の条例は無効である」と一審敗訴、四月二十四日には控訴を断念されております。 逆に、愛知県の東郷町では、規制条例に基づいたラブホテルの建設中止命令に対して訴訟を起こされ、五月十八日、つい最近ですね、生活環境への悪影響は相当で、規制は合理的であるという理由で一審勝訴を勝ち得ています。 このように、裁判所でも非常に微妙な判断になるのではないでしょうか。 この条例制定権の範囲の問題あるいは罰則の問題などについては、有識者との協議などを行ったと区長も発言していらっしゃいますから、所管の総務区民委員会での議論を待ちたいと思いますけれども、私が気になるのは、ほかに二点ございます。 一つは、目的と手段の関係。つまり、規制という手段が本当に目的達成の手段になっているのかという点でございます。 区長発言では「性の売買を手段とした暴力団の資金源となることのないよう、また、安全なまちづくりを推進し、青少年の健全育成を阻害しないよう」と条例の目的を語っています。新聞報道などによると「違法な性風俗の手段になるものはつくらせないという強い意思を込めた」ということもおっしゃっています。 しかし、性の売買や暴力団の資金源、違法な性風俗を目的とするならば、違法な性風俗そのものの規制が必要なはずです。この条例では既存のホテルの営業権を当然認めています。ここで同種の違法行為がもし行われるとするならば、条例を制定しても効果が薄いんではないでしょうか。ラブホテルというものの存在がよろしくない、だから条例を制定するのだということならばよくわかりますが、目的が、性の売買の防止が中心にあるのならば、目的と手段の関係が薄く、効果も薄いのではないでしょうか。 もう一つの問題点は、抜け道が考えられることでございます。 条例の目的に対してストレートな規制でないために、抜け穴や、潜行する余地を残してしまっていると言えるのではないでしょうか。 例えば、ラブホテルを利用した無店舗型風俗について考えれば、一般のマンションを共同で借りている体裁にするとか、シングルルームを活用するとか、ちょっと考えただけで素人の私としても様々な抜け道がもちろん考えられますし、結果、裏風俗化してしまうのではないか、このような憂慮をするものでございます。 他自治体で昭和六十年代前後に制定された、同種の条例とほぼ同じような定義を持つこの条例が本当に的確に現状をとらえられているのかなというところが疑問がございます。 大規模な繁華街を抱える渋谷区として、この条例をきっかけに「渋谷型のラブホテル」だとか「渋谷流の風俗」といった新しい新種を生み出すことは絶対に許されないと思うんです。そのあたりに懸念はないのか、区長の所見をお聞かせください。 次に、災害対策についてお尋ねをいたします。 我が会派で何度か主張しましたが、大規模な繁華街を抱える渋谷区でございます。毎日大勢訪れる来街者対策、必要不可欠でございます。 先ほども他の会派から質問がございましたが、特に物資の調達あるいは避難の問題、こちらについては懸念がございます。現在は、来街者に対応する備蓄は渋谷区では行われてはおりませんが、被災地でですね、区民と来街者の区別をつけるというのは非常に至難のわざだと思うんです。そうしたら、避難所等にもし来街者が殺到した場合に、対応した分の備蓄がなければ、結果的に区民を守ることはできないのではないでしょうか。 残念ながら、港区では約六三%の事業所は、先日調査があったんですが、六三%の事業所は食料備蓄を全く行っていないとのデータが出ています。渋谷区内でも、例えば、表参道ヒルズは一日集客五万人であるにもかかわらず、備蓄は一切ないと聞いています。来街者を集めている事業所、法人、企業等に応分の協力と負担を求めていくべきではないでしょうか。 事業所等へ協力を求めるという意味では、現在、デパート等と非常用食料及び日用品の供給に関する協定等の締結がなされております。しかし、これは物資を購入する協定でございます。もう一歩踏み込んで、大勢の人を集めている事業所等には、その方々に対しての責務があるはずです。こちらを求めていくべきではないでしょうか。 具体的には、まず各事業所等がどれだけの災害用備蓄をしているのか把握をする必要があるでしょう。その上で、事業所等がどれだけの備蓄をしているのか登録、公表してもらう制度や、備蓄を義務づける制度をつくるべきではないでしょうか。ことによったら、法定外税等を活用して災害備蓄を誘導するなどということも不可能ではないでしょう。災害時の来街者対策について、事業所等の責任を求めていく制度をつくるべきではないでしょうか、区長の御所見をお聞かせください。 続いて、区の国際協力についてお尋ねをいたします。 渋谷区では、トルコとの友好交流や各国大使館との連携、災害時の積極的な募金活動など、国際交流、国際協力といった事業が現在でも行われております。ただ、そういった目に見える国際協力のほかにも重要な国際協力があるんだと思います。それがフェアトレードやCSRに配慮した企業の活用でございます。 フェアトレードというのは、公正な貿易といいまして、第三世界に住む立場の弱い人々を犠牲にしないような形で貿易をすることでございます。CSRとは、企業の社会的貢献を求めるという考えでございます。 安い物品を購入すると、知らないうちに、それが児童労働による産物などであって、結果として逆国際貢献になってしまうということはよくあることなんです。来歴にもできるだけ配慮をしてこれらを極力避けることによって、消極的かもしれないですけれども、永続的な国際貢献、これができるのではないでしょうか。さすがに区で使用する物品などの来歴をすべて調べるのは困難でしょうから、まずは購入や契約時にCSR、すなわち社会貢献に積極的な企業を基準の一つにしていくべきではないでしょうか、所見をお聞かせください。 続いて、教育について四点、教育長に質問をいたします。 まず、コミュニティスクールについて、今回は住民参加の観点から質問をいたします。 近年、様々な教育問題が取りざたされておりますが、それらを克服するためには保護者や学校周辺の地域住民の方々との連携が不可欠でございます。その意味で、保護者や地域住民が学校運営に参画できる、みんなでつくる学校であるコミュニティスクールは、まさに教育問題に対処するための一つの突破口であると考えます。 私が平成十七年第三回定例会で行った質問に対して、教育長は、渋谷でも導入されている学校評議員とコミュニティスクールの組織である学校運営協議会、これは軌を一にしている。また、幾つかの学校は地域との活動が、協働が行われて連携がうまくいっている、とおっしゃっておりました。様々な形で地域とのかかわりが増えることは大変すばらしいことで、どんどん進めていってほしいと思います。 ただ、本当に保護者や地域住民の方々の意見は学校運営に反映されているのでしょうか。 先ほど触れました学校評議員は、校長の求めに応じて設置をされて、校長は必ずしもその意見に耳を傾けなくてもよいという制度でございます。これではあくまで校長の補完にしかすぎません。より地域や保護者との連携を深めていくためには、ある程度の権限を与え、保護者や地域住民にやりがいや責任感を持って活動していただくことこそが特に重要でございますから、さらに進んでコミュニティスクールを導入すべきだと考えます。 確かに、コミュニティスクールでは、保護者や地域住民と校長との間に意見の相違があった場合どうするのかという問題が生じますけれども、そもそも学校と保護者、学校と地域住民の間に意見の相違があること自体、あってはならないことなんです。どんな制度であっても、保護者や地域との溝を克服しない限り当然よい教育はできないでしょう。当然のことですが、校長は、地域や保護者と意見を同じくするために日ごろから自分の考えを説明しなければなりません。逆に意見が食い違う場合でも、それをまとめるために校長が専門的な識見やリーダーシップ、これを持っているかどうかが求められるのではないでしょうか。 同様に、区や教育委員会の方針も、常に保護者や地域の皆様方に真摯に説明をしていただくこと、区全体が一体となって子育て教育に邁進することなしには、よい教育は成り立たないんだと思います。 私が小学生だったころは、今から十八年ぐらい前……、もうちょっと前……、三十……、二十何年前ですが、自分の年がわからなくなってしまいましたが、それぐらいの年でございましたけれども、やっぱりですね、地域の皆さん方と非常に多くの交流がありました。一度だけではありませんけれども、何度もですね、叱られたりですね、あるいは御迷惑をかけたこともありますし、逆に皆さん方からいろいろ育てていただいたというようなことがあります。感謝を申し上げます、この場をおかりをいたしまして。 そういったですね、ことがあるからこそ、今、私が三十一歳になってもですね、ついこの間には「あそこの角の木が実をつけたよ」だとか、あるいはこの間あそこの、友達の名前なんですけど、友達のところに子どもができて「おじいちゃんと一緒に散歩してたよ」こんな話がですね、いまだ、三十一歳にもなって続いているんです。是非とも地域とのかかわり合い、もっともっと学校の子どもたちと地域の交流が進んでいくこと、望んでおります。 さて、住民や保護者に権限を与え、学校を運営していくためには多大な労力がかかるでしょう。しかし、それにも増して近年の教育問題は深刻です。是非保護者や地域住民とより深く協働をして、まさに地域全体が子どものふるさとになっていく、そういったコミュニティスクール制度の検討を再度お願いをいたします。いかがでございましょうか、所見をお聞かせください。 続いて、学校への除細動器、いわゆるAEDの設置について質問をいたします。 前回も他の会派で質問がありましたけれども、非常に重要なものであると私たちも考えています。特に今回はですね、子どもたちに対しての問題点でございます心臓震盪といった事故を御紹介をしたいと思います。 胸部、胸のところですね、衝撃が加わったことによって心臓が停止をしてしまう状態でございます。多くはスポーツの時間にですね、健康な子どもや若い人の胸部に、例えばキャッチボールをしたりして、当たってしまって衝撃が加わることによって起こります。十八歳以下の子どもたちに比較的起こりやすいもので、これはAEDにより命を救うことができます。心臓震盪による突然死から--シントウというのは「脳震盪」の「震盪」という字でございますけれども--心臓震盪による突然死から渋谷区の子どもたちを守るために、区内小中学校にAEDを設置をしてはいかがでしょうか。 学校に設置をすることによって、地域の方々にも周知し、AEDが必要な際はまず学校へという状態にすることができます。学校を舞台にした地域行事などでも安心です。AEDにつきまして、是非とも地域の方々の安全、安心を確保するためにも学校に設置をしていただきたい。 さらに、AEDを活用して小中学校での救命講習を実施し、救命救急の技術だけではなくて命の尊さを子どもたちに伝えていくべきではないでしょうか、所見をお聞かせください。 続いて、図書館のあり方について質問をいたします。 図書館の貸し出し実績、平成十五年の数字で渋谷区では一人当たり年間五・八冊でございます。この数字、平成十年の時点では六・六冊でした。長期的に低下傾向を示しています。二十三区の平均値で比べますと、こちら平成九年度に六・九冊だったものが平成十五年度に七・五冊と微増傾向を示しています。このような中で、残念ながら渋谷は減少をしてしまっています。 さらに、二十三区の中で、比較をするわけではありませんが、下から五番目という数字でございまして、文化を掲げている渋谷区としては残念な結果になっております。 一人当たり年間の貸し出し数は、もちろん一つの尺度でしかありません。しかし、図書館がいかに有効に活用されているかをはかる指標であるとも考えます。今後どのように貸し出し数を増やしていくのか、教育長の御所見をお聞かせください。 さて、この長期的なデータを読み込んでいくと、一人当たりの年間貸し出し数について二つの傾向が見えてまいります。 一つは、図書館数の増減が一人当たりの貸し出し数の増減には必ずしもつながらないこと。江戸川区や千代田区では図書館や分館を増やしていて、利便性は高まっているはずなんですが、実際には貸し出し数は横ばいになっています。図書館や分館を増やしても、コストに見合った効果が必ずしも生まれるわけではないということではないでしょうか。 もう一つは、視聴覚資料の増加が一人当たりの貸し出し数の増加に着実につながっていくことです。台東区や目黒区では、視聴覚資料を一年間に三割程度増やしたところ、一人当たりの年間貸し出し数は、三割程度ポーンと増加をしているのです。この傾向はほかでも同様で、渋谷区では、どちらかといえば視聴覚資料の所蔵を減らしており、その結果が貸し出し数の低迷につながっていると考えることもできます。視聴覚資料については積極的に所蔵を増やすべきではないでしょうか。 その際には、例えば渋谷を舞台にした映画などを、あるいはドラマなども含めてですね、重点を置いて収集するとおもしろいと思います。あるいは宇田川町などのレコード文化を生かしてレコード資料を充実させ、レコード・DJ図書館を併設するなども一つ考えられます。あるいは、借りたい資料を全渋谷の図書館で検索できるわけですから、今後、図書館の特色づくりを各分館ごとに分散して行うことで、機能分担にもなって、渋谷の図書館全体の向上にもつながっていくんではないでしょうか、所見をお聞かせください。 続きまして、養蜂、つまりミツバチを利用した食育について提案をいたします。 先週の日曜日、最近話題となりました銀座におけるハチミツづくり、見学をしてまいりました。銀座のビルの屋上に数万匹のミツバチが飼われており、皇居を初めとする周囲の緑から集められたハチミツが毎週十キロ以上とれるそうです。「あの銀座で」と話題になり、各メディアでも注目をされています。 ミツバチは、実は性格温和で人に危害を与えることがほとんどありません。これを食育に生かしたらどうでしょうか。子どもたちの大好きなハチミツは自然食品で、栄養にも富んでいます。ハチノコのような伝統食材もとれます。栄養面からも、また、食と生命の関係を考える上でも、子どもたちにとっては貴重な体験になるでしょう。それだけでなく、副産物の蜜ろうは、伝統的にキリスト教などのお灯明、ろうそくのことでございますけれども、こちらとして使われるほか、優秀な素材として伝統的な工芸に欠かせないものでもございます。さらに周囲の緑の貴重さを考えるきっかけにもなります。 このように、食に限らず多方面から教育の材料にすることもできましょう。 なお、プロポリスやローヤルゼリーといった近年注目されている健康食品も、かなりの量とることができます。これらは手伝ってくれたPTAのお母さん方に差し上げて、美貌と健康を保つために使っていただくというようなことで協力を求めてはいかがでしょうか。歓迎をされるのではないでしょうか。 学校の屋上で、あるいは区施設の屋上を利用して、養蜂を生かした教育、食育を超えた教育を行ってはいかがでしょうか。プロポリスなどは、実はかなりとることができるといいます。教育長の御所見、お伺いをしたいと思います。 続いて、区の情報という点から三点、企画部長に質問をいたします。 まずは広報媒体について、情報を提供するという機能から御質問させていただきます。 広報媒体については、大きく分けて二つございます。情報を区民がとりにいく媒体、例えばポスターや掲示板、あるいはホームページなど、こちらをプル型の媒体といいます。情報を区民に届ける媒体、例えば区ニュースあるいはメールマガジンなど、こういったものをプッシュ型の媒体と言うそうです。 プッシュ型媒体は、直接情報が届けられる点、選択して情報を届けることができる点で非常に効果が高いといいます。区民のもとに直接情報を届けるプッシュ型の媒体をうまく活用することで、有効な広報活動ができるのではないでしょうか。 具体的には、例えばホームページであれば、RSSという、更新をですね、更新情報を登録していただいた方に知らせる技術、こういう技術があるそうです。こちらを導入してはいかがでしょうか。あるいは安全対策ニュースのようなメールマガジン、これをほかでも導入できないでしょうか。タイムリーに関心のある区民に情報を届けるメールマガジンは、速報性と選択性の観点から非常に有効なツールであると考えます。携帯メールだけではなくて、パソコンメール用のメールマガジンも活用してはいかがでしょうか、企画部長の所見をお聞かせください。 次に、区のホームページにおける電子申請について取り上げます。 区のホームページから講座を登録する際、電子申請をするときには、講座紹介のページから登録をするために、東京都全体の自治体がつくっている東京都電子情報共同運営サービスのトップページなどを含めてですね、七回か八回リンクをたどらなくてはなりません。これでは電子申請の手軽さは失われています。 電子申請の問題だけではありませんけれども、まずホームページ上の講座などの電子申請について、利用しやすいリンクやわかりやすいマニュアルの整備など改善をしていただきたい、そして区の情報を、あるいは区へのアプローチをもっと気軽にしていっていただきたいと考えます。企画部長の所見をお聞かせください。 続いて、情報の管理について質問をいたします。 先日来のウィニー事件はようやく峠を越したように見えますが、まだまだ同種の事件は起こるものと推察されます。こういうような情報漏洩の問題に対して、渋谷区はUSBメモリ対策などを的確にとり、情報セキュリティについての認識も高まっていると感じます。三年前に私物パソコンの問題を取り上げたときと比べ、対策が格段に進んだことを率直に評価したいと思います。 ただ、昨今の風潮を考えると、予期できる危機に対して早急に、現状考え得る最善の体制を構築しなければ、区民に納得をしていただけないこともしばしばでございます。セキュリティポリシーやUSBの対策だけでは、抜本的な対策をとって最善の体制を構築したとは言えません。やっぱり物理的に情報漏洩を断ち切るためには、早急に必要な端末を漏れなく確保して、私物の情報機器を一掃することが不可欠でございます。企画部長の所見をお願いいたします。 最後に、区の事務について二点、総務部長に質問をいたします。 一点目は、文書管理でございます。 文書については、従来の紙での保存管理に対し、電子化する組織、団体が増えていることは周知のとおりでございます。渋谷区でも検討をしていると伺っておりますけれども、是非とも早急に電子化をしていただきたいと考えます。 電子化により検索や保存などの事務処理が簡便になること、半永久的に劣化せずに保存をできるようになること、紙を使わないため省資源、省スペース化をできること、改ざん防止機能が付加できるなどコンプライアンスが強化できることの大きく四点の効果が見込まれます。 特に文書の保存期間、大変重要です。この間の情報公開審議会の中でも、情報公開の前提として文書の長期保存が重要であるんだという議論がございました。この点も踏まえまして、文書管理の電子化につきまして総務部長の所見をお聞かせください。 最後に、電話について取り上げます。 昨今、携帯電話の普及とともに、かかってきた電話の番号が表示される機能が当たり前のものになってきました。そのような状況の中で、いわゆる番号非通知については、どこからかかってきたのかわからないために着信拒否を設定する、あるいは居留守を使って留守番電話で要件を聞いてからコールバックするなどの対策をとっている方が増えています。 渋谷区の通話は、原則、番号非通知でかけられているようでございますけれども、時代に合わせて原則番号通知に改めて、かけた担当者の番号を先方に表示させるようにしてはいかがでしょうか。 あわせて、昨今話題になっているIP電話、いわゆるインターネット電話等の活用も検討されてはいかがでしょうか、総務部長の所見をお聞かせください。 以上、御答弁をお願いいたします。
○議長(芦沢一明) 桑原区長。
◎区長(桑原敏武) 未来の渋谷をつくる会の鈴木建邦議員の代表質問に、順次お答えをしたいと存じます。 景気変動に対応した財政運営についてであります。 景気のいいときには金を残せ、支出を減らして基金を増やせと、不況のときには基金を取り崩し支出を増やせと、こういうお話だったと思います。 本区の場合は、端的に言いますと、景気のいいときも景気の悪いときも基金を残してきました。支出も詰めてきました。これはどういうことかといいますと、常に渋谷区は、効率的な行政運営に努めなくてはならない、どこに無駄があるのか、どこにこの費用対効果の点で問題があるのか、そういう問題意識を持ってやってまいりました。ですから、人件費等経常経費の削減については厳しく対応してきた、そして、この二十三区でもトップと言われる経常収支比率に変えて、政策選択の幅を広げる努力をしてきた。また、基金についても同じでございまして、二十三区でもトップと言われる状況にしてあります。 そのことを私は自慢をしたいということではなくて、そのこと自身が区政をあずかる者の責任だと、私はそのように思っております。言われるまでもないことだと、このように思っておるわけでございます。 次に、長期的な財政計画についてのお話でございました。 私は、この長期計画のもとに、これを担保する長期財政計画も必要だと、このように思いますけれども、確かに本区には基本構想があり、長期計画もあります。しかし、今日の少子・高齢化あるいは情報化、あるいはグローバル社会において、国においても自治体においても、今、社会システムのこれを変えていかなくてはならない、時代に適応していかなくてはならない、そういう努力をしている時期なんです。だとすれば、年金改革も、あるいは先ほど話にありました医療制度、あるいは渋谷区に大きな影響を及ぼす三位一体改革、自主財源が減っていくわけですから。このようなこともすべて、時代に対応する社会システムの構築に向けてこれが変革をされ、そしてまた、それへの対応を余儀なくされている、そういう時代だと私、思っております。 今日の景気回復、これだったって、米中の景気いかんによってはいつ変わるか知れない。あるいは石油の高騰が続くならば、これはいつまで続くかわからない。そのような中にあるわけですから、いずれもこの時代というものは変革を求められ、安定的な社会情勢にはないと、このように私は判断しているわけでございます。 でありますから、私は、そのような時代であれば、やはり短期実施計画、そしてそれをローリングしていく、そういった考え方のもとに行政運営をしていくことが着実な行政運営につながると、このように考えております。 したがいまして、今、直ちにですね、長期財政計画というものを考えてはいないわけでございますが、このことは、御提言を否定するわけでも何でもありません、今の時代はそういうことが難しい時代だと、私はそのように思っております。 基金についてのお尋ねでございました。 私はこのことについて、適正水準はどう考えているのかということでございましたけども、基金の場合は、都市整備基金についてもあわせて考えていかなくてはならない。一方では年度間の財源調整をする、一方では都市整備基金を活用して長期的な施設計画に対応し、財政の適切な運営を図るということは当然のことだと私、思っております。 したがいまして、議員がおっしゃっているような、過去にもおっしゃいましたけれども、庁舎や公会堂の建て替えをするとすれば、これは都市整備基金しかないんです。都市整備基金を積み立てていく以外ないんです。適正な水準ということはないんです。目的があれば、それに向けてどうしていくか。いずれか来る庁舎の建て替え、そのためにそれを意識しながらどうしていくかということを一方で考えていかなくちゃいけない、私はそのように思っております。 他方では、大和田小学校跡地、こういった実施計画上の課題や、あるいはこの区としての財政運用上の必要な資金、これは財政調整基金を活用しながら対応していかなくちゃならない、私はそのような考え方を持って、常に財政運営に支障のないような、そういうような考え方で進めて、その基本は今の段階、足りないわけですから、できるだけ残していきたい、そのためには無駄を省きたい、そういう考え方に立っているものでございます。 次に、減税についてお話がございました。この地方分権にふさわしい行政運営をするためには、今、財源は足りない、そういう状況だと思います。先ほど申し上げましたように、三位一体改革では七十億減るだろう、こういうときに、私は軽々に減税の話というのは理解ができない、このように思っております。 それから、二十三区の横並びを変えていけと、こういうお話がありました。本会議での議員の質問、往々にして他区や他市の例を引用されることが多いんです。それは私はいけないとは思っておりません。情報化の時代ですから、よその行政のあり方も学ぶ必要があると、このように思っているわけでございます。したがって、独自の行政運営をしていく、それは何かといえばですね、そういうような均質化の中で、他方、何を考えるかというと、そこの地域の持っている独自の文化、これはローカリティと、こう言いますけれども、それをどう見て、それをどう生かしていくか、これは非常に難しいことだと私は思っております。 鈴木議員にも、そういう意味において奥行きのある、厚みのある御提言をこれからもお願いをしたいな、御期待を申し上げたい、このように思っております。 次に、社会的投資としての寄附についての現状の検討状況についてのお尋ねでございました。 確かに平成十六年第四回定例会に御提言をいただきまして、寄附による投票条例を制定した岐阜県泰阜村あるいは北海道のニセコ町の調査を実施し、十七年度には、寄附による投票制度を検討している自治体の動向も含め、引き続き調査・検討を行ってまいったところでございます。 しかしながら、少額の寄附では財政規模の大きい都市部には新たな財源確保の手段にはなり得ない。また他方、都市部において、財源確保の手段だけでなくって住民参加の手段、あるいは住民ニーズの調査、そういったことについての手法として、この寄附制度を前提とした仕組みを考えることができないかというお話もあったと思いますけれども、このことのための鈴木議員がおっしゃっている費用対効果はどうなっていくのか、その辺も考えあわせながらやらなくてはならない、私はそのようなことを思いました。 したがいまして、今日の現段階においては成案は得ていないという状況でございます。 ネーミングライツについての御提言もいただきました。このことについては、私は一考に値すると、このように思っております。現在、具体的な選定方法等について細部を詰めている段階でございます。近日中にスポンサー企業の公募手続に入りたいと、このように思っております。 次に、職員の意識改革についてのお尋ねでございました。 鈴木議員は、課長に対して「あなたは区長になったら何をやるの」ということの問いに対して「手いっぱいで考える余裕がなかった」こういうことの返事があったと聞きましたが、私は、そのような課長の答え方をしたということは聞いておりませんし、確かめようもないわけでございます。だからといって、「課長は、区政を担う全体的視野、あるいはコンセンサスが欠落している」と決めつけることはですね、鈴木議員の論理の飛躍ではないのかと、このように思っております。 東京の中で渋谷がどうあるべきか、日本の中で全世界に向かって何を発信するのか、それはありがたいことですけども、課長の職責には直接関係のないことです。私が課長職に対して求めること、それは自分の職責をですね、十二分に発揮して、区民に対して心温まる親切で行き届いた区民サービスを行ってほしい、そのための努力をしてほしい、私はそのように考えているわけでございます。 これまでも鈴木議員に何回も申し上げましたけれども、権限移譲とか研修とか、ありきたりの経営のいろはを説くのでなくて、行政意欲を生むためには自主的、自律的なキャリア形成の支援が何よりも大切だと、私はそのように思っているわけでございます。 今日の厳しい時代、地方自治体としての渋谷区が生き残っていくためには、私は、管理職や職員が傲慢になってはならない、自己満足になってはならない、そのことを一つ考えております。もう一つ何か。それは、内部調整が多くって何事も決められない、そういったことではあってはならない。もう一点は、改革の摩擦を恐れる、そのような職員や管理職であってはならない。私は、そのようなことを思いながら区政推進のために努力をしているということで御理解をいただきたいと思います。
ラブホテル建築規制条例についてのお話でございました。 私も質問の趣旨が最初、よくわからなかったんですけれども、今、聞いてよくわかりました。 これが、条例制定が自治権の範囲内にあるのかということを一つお尋ねになりました。 私は、このことについてはですね、この検察庁、あるいはこのことが法務省にも及んでいろいろと話があり、私は直接、電話ではありましたけれども、そのことについても話をしてですね、このことについては訴訟上の対応は十分できると、そういう私は認識を検察庁とも持ったということで、今回、提案をしているというふうに御理解をいただきたいと思っております。 目的と手段についてのお話がございました。 建物の規制が目的達成の手段のためのふさわしい条例になっているのかということでございました。 私は、この建築規制が、建物が性風俗を生み出す手段となっている、だから建物規制をしようと、こういうことでございますから、私は、目的と手段についてはそれなりの対応をした規制の方法であると、このように思っております。 無店舗型あるいはシングル型について、そういう形の性風俗の乱れに対してどうするかというお話がございました。このことについてはですね、私どもが、表面はわからなくても、このことについてはわかる方法もあるんです。間違いなくあるんです。今、ここでは申し上げません。だけどもそういう方法があって、そのことについては関係機関の連絡・調整によって、そのこともある程度まではわかる、このように思っております。したがいまして、このホテル建築規制条例については御理解をいただきたいと、このように思っているものでございます。 災害対策についてのお話がございました。 このことについて、特に物資の調達に関して、集客企業に備蓄を義務づけ、備蓄の登録を行うことが必要ではないかということが一つであったと思います。 帰宅困難者についての役割は、まず第一義的には東京都が対応する広域的な、これはこの事業であると、このように思っております。したがいまして、先ほどにも申し上げましたけれども、東京都においてそれへの対応をされているということでございます。 それだけでなくて、本区としても、そういったことにかかわっての啓発努力をしていくということでございました。 避難所で二日も三日もですね、地域住民と見知らぬ人間がまじり合うということはですね、これは避難所運営に破綻を来す、問題が生ずるということはですね、私、知っているんですよ。ですから、そのことについては先ほど申し上げたような形で、私はこれを切り分けをしたい。これは一つは、例えば商工会議所や企業に協力をしてもらえないか、あるいはその避難所の施設については都立の高校とかそういったところを利用できないものか、そういうことについて所管の方に指示をしているということでございます。 いずれにいたしましても、企業等の責任を求めていく、そのことについては私も賛意を示すところでございますので、そういった意識を持って対応してまいりたいと、このように存じます。 なお、次に区の国際協力につきまして、児童労働による産物などの購入は逆国際貢献になってしまうんだというようなお話がございました。なるほどなと思いながら聞かさせていただきましたけれども、そのためには、このフェアトレードとかですね--交易ですね、交易の適切さ、あるいはCSRを基準として考えろというようなことでございました。 私は、そういうことができればそれにこしたことはないんですけども、CSRというのはですね、あなたも聞かれたか知りませんけれども、企業の経営者はですね、必ずしも国際貢献のためのCSRとは考えていないんです。人のため、世のためにこれを意識を持ったですね、社員が多くなっている企業は、また企業の成績もいい、だからCSRをもっともっとやっていこう、そういう企業が多いんです。ですから私は、そういう意味でCSRを理解しております。 また、この児童労働に対する産物等の課題は、またほかの対応が必要であろう、このように考えているところでございまして、またさらに鈴木議員のお力、お知恵をかしていただきたいと、このように思うものでございます。 以上で答弁を終わらせていただきます。
○議長(芦沢一明) 星宮企画部長。
◎企画部長(星宮正典) 私に対しましては、区の情報にかかわりまして三点のお尋ねがございました。順次お答え申し上げます。 まず、区の広報媒体の強化にかかわりまして、ホームページの更新を知らせるRSSリーダーという技術を導入してはいかがか、また、安全対策ニュースのようなメールマガジンを他の所管課でも導入できないかとのお尋ねでございます。 まず、RSSはウェブサイトの記事の見出しや概要を配信するための技術で、更新を頻繁に行うニュースサイトやブログなどで、更新した記事を広く知らせる目的で利用されております。このRSSを用いましてサイトの最新情報を簡単に確認するために、RSSリーダーと呼ばれるソフトウェア、これが必要とされるものでございます。 お尋ねのRSSシステムでございますが、これはXML言語で記述されましたホームページにおいて有効なシステムでございます。一方、本区のホームページは、情報の受け手でございます区民が用いてございますパソコンの機種、機能に幅広く対応できますよう、ホームページ言語の国際標準でございますHTML言語、これを使用してございます。このため、情報提供側である区がこのRSSシステムを導入するためには、言語の書きかえ、これが必要になってくるわけでございまして、また、パソコン機種、その機能によっては区民の方がホームページを閲覧できなくなると、こんな課題も生じてくるわけでございます。 平成十六年六月にホームページのJIS規格、これが定められまして、区のホームページへの接続のよさ、使いやすさが今、求められておりまして、現在ホームページ全体の充実を図っているところでございます。 区民各層の皆様が様々なパソコンの機種、機能、利用環境のもとで区のホームページを閲覧されることを想定いたしまして、まずはその対応に万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。 次に、メールマガジンについてでございます。 メールマガジンは、インターネットの電子メールを使いまして、あらかじめ登録した方に情報を届けるサービスでございます。このサービスは、多くの方に同じ情報を同時に伝えることができることから、多くの自治体で、子どもの安全、安心を守るための不審者情報、防犯情報などの配信に利用されております。 本区では、平成十六年十二月に区立小中学校、幼稚園で各校・園の保護者に限定しましたメールを配信を開始したほか、本年度から区内在住、在勤、在学までを対象といたしました「しぶや安全・安心メール」を開始し、地域の防犯の取り組みに御活用いただいております。今後はメールマガジンに適しました情報、これを精査いたしまして検討していきたいというふうに考えてございます。 続きまして、ホームページにおける電子申請について、講座を登録する際にわかりにくく、申請しにくい。利用しやすいリンクやわかりやすいマニュアルの整備など改善を求めるとのお尋ねでございます。 電子申請につきましては、都内自治体五十六団体が共同で運営いたします東京電子自治体共同運営サービス、通称e-Tokyo、このシステムを利用しまして平成十七年一月からサービスを開始しております。電子申請を行うに当たりましては、区のホームページから一度e-Tokyoの画面へ飛んでいただき、必要とするサービスを選択する必要があり、直接電子申請への画面へ展開することができません。現在、共同運営によりシステムを運営しているために、区独自でのシステムの改修を行うことができませんが、共同運営協議会の改修、改善にかかわります会議の場に持ち寄ってまいりたいと、こんなふうに考えてございます。 また、区側で管理しております画面の構成、これを見直しまして、わかりやすい展開となるように改めるとともに、利用方法につきましてもわかりやすい案内を掲載するよう検討し、区民サービスの充実に努めてまいりたいというふうに存じます。 最後でございますが、早急に必要な端末を漏れなく確保し、私物の情報機器を一掃するべきであるとのお尋ねでございます。 事務用パソコンの増設、このことにつきましては、現在、内部情報システムの整備に合わせましてパソコンの増設に向けて整備計画を策定し、電源工事、LAN配線工事などのインフラ整備を図りつつ、平成十九年度から必要な部署へ増設に向けて準備を進めているところでございます。 そうした中で、なお情報管理につきましても、情報セキュリティポリシーによりまして機器の管理を徹底し、区民の個人情報など情報流出を防止し、情報セキュリティの確保に引き続き努めてまいりたいというふうに考えてございます。 以上、答弁とさせていただきます。
○議長(芦沢一明) 松井総務部長。
◎総務部長(松井
裕) 私には、区の事務について二点の御質問です。 初めに、文書の保存期間の長期化を踏まえた文書管理の電子化についてのお尋ねであります。 電子自治体の推進は、渋谷区実施計画二〇〇六においても重点事業と位置づけられており、その一環として、文書管理の電子化について、現在、検討を進めております。文書管理の電子化の目的は、決裁事務の迅速化、内部管理事務の効率化、情報活用の高度化、共用化、文書管理の厳格化、ペーパーレス化による文書量の削減等であります。 一方、文書の保存期間は、法令に保存期間が定められている文書については当該期間、また、時効が完成する間、証拠として保存する必要がある文書については当該時効期間を保存期間とするなど、文書の重要度、利用度、資料価値等に考慮した行政運営上、必要な期間が設定されており、現在でも適正な管理が行われていると認識しております。 このように、文書の保存期間は、文書の保管スペース等の制約により廃棄時期を定めているわけではありませんので、文書管理の電子化と文書の保存期間とは関連するものと考えていないところでございます。しかしながら、文書管理は情報公開とも一体となるものでありますので、このことにつきましては個人情報の保護及び情報公開審議会とも相談をしてまいりたいというふうに考えております。 次に、区からの電話を原則番号通知で行い、相手に対し担当者の番号を表示させてはいかがか、あわせてIP電話等の活用も検討されてはいかがかとのお尋ねでございます。 現在、本区の電話交換システムは、発信用、受信用で電話番号が分かれており、区の代表番号は外部からの受信専用番号でございます。一方、区役所から外部に電話をかけるときは、五十本ある発信用電話のうち交換機があいている番号を任意に選んで発信いたします。したがいまして、発信用番号は一時的な使用となるため、受信者が折り返しその番号にかけても、もとの発信者につながるとは限らないシステムとなっております。そのため、混乱を来さないように、現在は番号非通知の設定としております。 しかしながら、現在でも、必要な業務においては頭に一八六をつけることにより対応しているところであります。 また、IP電話等につきましては、既に行政改革の一環として検討を進めているところであります。 以上、答弁とさせていただきます。
○議長(芦沢一明) 池山教育長。
◎教育長(池山世津子) 私には、四点にわたる質問でございます。順次お答えをいたします。 初めに、コミュニティスクールについてのお尋ねでございます。 平成十六年九月に施行されました地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正によって設置が可能になりました学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティスクールは、学校運営協議会を設置し、その協議会が教員の人事や学校の運営方針について、教育委員会、または校長に意見を具申できる仕組みの学校であります。しかし、あくまでも現行の学習指導要領及び公立小中学校の教育運営組織を前提としており、校長、教員等の任命権も都道府県教育委員会が保有いたしたままです。コミュニティスクールの教員等の公募も、現行のルールに基づいた中での人事異動となります。 「早寝早起き朝ごはん」、「百ます計算」、こういったことで全国的に有名になりました広島県尾道市の土堂小学校などの先進例は、文部科学省の実践研究指定校として学校裁量権拡大についての研究開発をしたものであり、このような実践例がそのまま適用されるものではございません。 学校が地域のふるさとにという御提言につきましては、私も大賛成でございます。しかしながら、現在の学校運営協議会制度--コミュニティスクールは、あくまでも現行の教育運営組織を前提としており、国、都、区が有する権限をコミュニティスクールに集中する制度とはなっておりません。現時点の導入は混乱を生ずる場合があるのではないかと私は考えております。 したがいまして、本区では、これまで進めてまいりました専門的な知識や経験を有する評議員が学校運営に関して校長に意見や助言をする「学校評議員制度」、学校、家庭、地域が協議し、それぞれの教育機能を有効に生かす「学校運営連絡協議会制度」、保護者や地域住民が学校の教育活動を評価する「学校外部評価制度」によって保護者や地域住民と連携した学校づくりを推進し、御質問の趣旨を生かしてまいりたいと考えております。 続きまして、小中学校にAEDを設置し、地域にも周知するとともに、救命講習を実施すべきであるとの御提言でございます。 AED、すなわち自動体外式除細動器は、けいれんを起こし血液を送れなくなった心臓を電気ショックで回復させるものであり、厚生労働省が一昨年、医師などに限っていたAEDの使用を一般市民に解禁したため、不特定多数の人が集まる大規模集客施設などに普及し、当区におきましても区役所及び西原のスポーツセンターに配備をされました。 御質問にありました小中学校へのAEDの設置につきましては、各学校に養護教諭が現在、配置されておりますし、緊急の際の第一次的な対応が可能とされております。また、近隣には緊急対応が可能な医療機関も多く、それらに連絡、搬送することで対応できるものと考えております。したがいまして、全小中学校へのAEDの設置につきましては、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。 なお、現在、実施しております救急救命講習は、中学三年生全員、それと教職員が受講しており、昨年度からAEDの操作方法もその項目に含まれております。 いずれにいたしましても、教育現場における緊急対応につきましては万全を期してまいります。 次に、図書館のあり方についてのお尋ねですが、御質問にございましたように、平成九年度と十五年度の貸し出し実績を単純比較いたしますと確かに減少しておりますが、この十年間の推移を見ますと、平成十三年度を底に徐々に回復してきております。これは平成十四年度より一回の貸し出し冊数を五冊から十冊に増やしたこと、平成十五年にインターネット、携帯電話による図書の予約サービスを開始したこと、平成十六年度からは開館日時を拡大したことなどにより、より図書を借りやすくしたことによるものと考えております。そのほか、お体の御不自由な方を対象に図書やCDカセットの宅配サービスにも努めております。 御提言の視聴覚資料の増加が貸し出し数の増加に直接つながるかどうかは、今後の研究課題ですが、さらに利用率の向上を図り、より多くの方が図書館を利用していただけるよう努めてまいりたいと考えております。 最後に、養蜂を利用した食育についてのお尋ねでございます。 子どもたちが生涯にわたって健康で豊かな生活を送るためにも、子どものうちから食や栄養について正しい知識を持ち、自分の食生活を考える力を身につけることは大切であると考えております。 御質問にある養蜂につきましては、自然食品や健康食品として、あるいは高級ろうそくの蜜ろうとして、さらには化粧品など幅広く活用されております。また、養蜂の産地では、養蜂家の飼育を子どもたちが見学し、自然環境や命とのかかわりを学ぶ活動もあると伺っております。そうした活動は、その土地の特性を生かした実践をしてこそ意義のあるものと考えております。 御提案の、渋谷区の小学校での養蜂につきましては、お答えに際しまして専門家より指導を受けたところでございます。 まず、都心でミツバチを養蜂するための条件といたしましては、蜜源となる植物が十分に生息していること。蜜源がない場合には、ごみなどからジュースの余りなどを集めてくることもあるということでございました。 学校の飼育につきましては、ミツバチは家畜として扱われ、家畜伝染病予防法などの法のもとで管理をされるということでございます。 また、刺されたときの注意でございますが、過度に恐れず、細心の注意さえすればミツバチはそれほどの危険はないということでございました。ただし、子どもが手を振ったり体を動かしたりしますと、ミツバチといえども刺すことがあると。ミツバチに繰り返し刺されますと、花粉症と同様な理論でアレルギー症状が出る場合もあるということでございました。 また、夏から初秋にかけまして、スズメバチが来ることもあると。最近は都心でもキイロスズメバチなどが発生しているので、かなり注意が必要であると、こういった御指導を受けたところでございます。 これらの専門家からの御注意を受けまして、教育委員会といたしましては、子どもたちのアレルギー問題や屋上での活動などの安全面を考えた場合、本区での学校教育において実現することは難しいと考えております。 教育委員会といたしましては、食についての学習の中でミツバチの栄養なども視野に入れ、バランスのいい食生活を実践できるよう、保護者等とも連携をし、食育基本法に基づく、食に関する知識と食を選択する力を身につけていくための食育を推進してまいりたいと考えております。御理解のほどよろしくお願いを申し上げます。
○議長(芦沢一明) 十九番鈴木建邦議員。
◆十九番(鈴木建邦) 今、御答弁いただきましたけれども、例えばですね……。 失礼しました、再質問いたします。 まず一点、財政計画について、社会システムの変革の中でですね、非常に難しいと。ですから短期的な財政計画が着実なものなんだ、実施計画が着実なものなんだというふうにおっしゃっていました。 私の質問としてはですね、どのような行政需要があらわれるのか、その支出を避けられないのかを示す必要があろうということでございます。例えば、施設の改築需要などを挙げました。 この次の基金のところでですね、都市整備基金は、目的があればそのときに積み立てるものだと。それは目的があって、それに対して積み立てる。要はですね、その先があるわけですよ。あるわけですから、これのわかる範囲で財政計画は、計画という形かどうかわかりませんが、示せるものは示すということをお願いをしたつもりでございますが、ここの点、なぜ都市整備基金については目的があるから積み立てられると、財政計画については短期的なものだからわからない、このあたりがよくつながりがわかりません。 この二点、まず財政計画について、わかるところはわかる、ということは示せないのかということ、次に都市整備基金について、じゃ一体幾らが今の目的なのか、これぐらいは示せると思います。こちらについて質問をいたします。 続きましてですね、減税について、確かにおっしゃるとおり、行政需要が非常に多い、だから今の水準では財政は厳しいんだ、そんな中で減税、軽々に議論できないというお話だったと思いますけれども、私の質問はですね、減税を渋谷区が行う余地があるのかという技術的な質問でありました。こちらについて、しっかりとお答えをいただきたいと思います。 三番目。三番目ではありませんね。職員の意識改革についてでございます。 自分の職責を十二分に発揮することが必要なんだとおっしゃいました。それはそのとおりなんですが、その後、自立的なキャリア形成をということでですね、将来にわたってどういうキャリアが自分に必要なのか、それを職員が考えるためには、将来にわたって渋谷区がどういうふうになっていくのか、どういうふうに変わらなきゃいけないのか、あるいはどういうふうになっていなきゃいけないのか、これが自覚できなければ自立的なキャリア形成ができるはずがないと私は思います。その点について、是非お答えをいただきたいと思います。 要は、将来を見据えてキャリア形成をしろというのであれば、将来を見据えた仕事もできるはずではないかというお話でございます。この点について御認識をお願いをいたします。 その次、結構増えてしまいましたね。
ラブホテル建築規制条例についてはですね、私が質問をしていない範囲までお答えいただいて大変恐縮なんですが、法務省や検察庁と交渉を持って、十分できるという認識を持ったという御答弁をいただきました。この「十分できる」というのがですね、もうちょっと具体的にお答えをいただきたい。 要は、もし訴訟などを起こされた場合に必ず勝てるということなのか、それとも、いろいろと問題はあろうけれども何とか、十分できるというのは勝つ可能性が非常に高いということなのか、その区別をつけていただきたいなと思います。 最後に、これは質問ではなくて要請でございますけれども、
ラブホテル建築規制条例というのは、風営法あるいは、東京都あるいは国でやっていることを角度を変えてやるということであろうかなと思います。災害対策についても、東京都が広域的事業としてやっていることであるということでございますけれども、ラブホテルの方はやろうと、そして災害対策については東京都だというところにはですね、やっぱりそれはそれなりの事情とかがあろうと思いますので、そのあたりをですね、もう少しはっきり御答弁いただければありがたかったかなと思いました。 質問をした点について、御答弁をお願いをいたします。
○議長(芦沢一明) 桑原区長。
◎区長(桑原敏武) 鈴木建邦議員の再質問に御答弁をしたいと思います。 まず、この財政計画についてでございますけれども、改築需要があるかないかというとですね、建てたものについては全部、いずれかの時期に改築しなくちゃいけないんです。あるいは機能が変わるかもしれません。しかし、それはそのときの財政状況で先延ばしすることもできるんです。何もその中ですべて、列挙したからそれが全部やるということでなくて、このことについては、これから考えるとすれば、公的会計のあり方を考え直すとこの前、御助言をいただきました。御提言をいただきました。そのことを考えながら、どこでそのことについての減価償却をしていくのか、そういった財源対応をしていく、そういうことの方が大事なんじゃないでしょうか。私はそのように思っております。 ですから、今ですね、金を借りたら、財政計画というのは絵にかいたもちにしてはならないんです。やはりそのときにそのことをやらなくちゃいけない。それをどうしていくかということですから、私は、延ばしたり早めたりいろいろできるものについての弾力的な対応をしていくためには、財政計画がすべてじゃない、こういうことを言っておるわけです。 それから、基金を幾らと、こういうふうに言われましたけれども、例えば庁舎の建て替えであれば、これは三百億は少なくとも要るんです。三百億は要るんです。ですからそのことについて、それは五万平米とすればですね、私は三百億を越えると、こういうふうに思っているということです。ですから、それに向かって少しずつでもためていく。 しかし、それで全部使い切っていいのか、そういういろんなことを考えながら、私はやっていくことですから、今、すべてをですね、決めつけるということは避けた方がいいんじゃないでしょうかね。私はそういうふうに思っております。 それから、将来がわからなきゃ職員のキャリア形成ができないじゃないかと、こういうようなことを言われました。 企業でもそうなんですよ。これはね、キャリアアドバイザーというんです。あなたは最終のところをどこに置いているのと。そのことがあれば、それに対するキャリアアドバイザーがつくわけです。ですから、この渋谷区の区長になることを置いてですね、キャリアアドバイザーをつけるということはですね、これまた異常なことですから、そのようなことはないでしょうし、また、そういうことあってもいいですけどですね、そういう飛び跳ねたことでなくて、課長というのは今の職責をどう果たしていくか、だから課長であるんです。部長になれば部長の職責を果たすからその次の段階が出てくるわけであって、みんな目先のこと、自分の役割をしっかり果たしていく、その中で次のステップが出てくる、こういうふうに私は思っているということなんです。 それをあなたの話で聞くと、世界への情報発信だのいろんなことを言われるとですね、何を言っているのかな、何を考えているのかわからない、こういうことを私は思いました。 それから、このラブホテルの建築規制条例について、訴訟に対して勝てるというのはどういうことかということなんですけれどもですね、風営法でいくとですね、これはなかなか法律が、条例が入る余地がない。しかし、建築規制条例であるならば、これについてはその余地が十二分にあると、そういうことに結論としてなった、そこらで対応が決まってきたということで御理解をいただきたいと思います。 災害対策についてはですね、私は広域行政だと言いました。渋谷の区民じゃないんです。渋谷の区民じゃなくて来街者あるいは通過者への対応ですから、広域的な対応が必要だ、そういうことを申し上げたわけです。ラブホテルというのはですね、二十三区全部あるわけじゃないんです。そういう地域特性があるわけだから、そのことについては渋谷区として対応していかなくちゃならんだろう、そのことが
ラブホテル建築規制条例だと、このように申し上げました。 私の答弁は以上です。 〔「ごめんなさい、ちょっと漏れました」の声あり〕
○議長(芦沢一明) 区長、どうぞ。
◎区長(桑原敏武) 減税について漏らしたようでございます。 私はですね、減税ということならば、私は増税したいぐらいなんです。悪いですけど。それができないんです。口にも出せないんです。ましてや減税なんて言うとですね、だれが何と思うか。それは渋谷区は余裕があるんだろうと。そうでなくてもそう思われているんです。私は、そのようなことは軽々にですね、お話をすることではない。真剣に、今の財政状況で区民サービスがどうできるか、そのことに私は意を注ぎたいと、このように思っております。 以上です。
○議長(芦沢一明) 十九番鈴木建邦議員。
◆十九番(鈴木建邦) 区長から再答弁をいただいたところでございますけれども、どうなのかなというような思いが非常にあるわけでございます。 例えばですね、職員の意識改革について、「あなたが区長になったら何をやるか」というのは、別に区長候補を探しているわけではなくてですね、とにかく全体のことをやっぱり見て仕事をしてほしいというようなことでございます。そのあたり、質問の意図が明確に伝えられなかったところもありますけれども、若干ですね、大変残念な議論であったなというふうに思います。 今後も、議論の中ではですね、意見も当然違うこともあるわけでございますけれども、真摯に議論を重ねていくこと、意見の相違がどこにあって、どういうふうな議論になっているのか、こういったことをですね、真摯にとらえて議論をしていきたいと思います。 未来の渋谷をつくる会を代表しての質問を終わります。
○議長(芦沢一明) 以上をもって区政一般に関する質問を終わります。 これから日程に入ります。 日程第一を議題に供します。 〔小湊次長朗読〕
----------------------------
△日程第一 会期決定の件
----------------------------
○議長(芦沢一明) お諮りいたします。 本定例会の会期は本日から六月二十日までの十三日間とすることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」の声あり〕
○議長(芦沢一明) 御異議ないと認めます。 よって、会期は十三日間と決定いたしました。 日程第二を議題に供します。 〔小湊次長朗読〕
----------------------------
△日程第二 諮問第一号 人権擁護委員の候補者について
----------------------------
○議長(芦沢一明) 提案理由の説明を求めます。 桑原区長。
◎区長(桑原敏武) ただいま議題となりました諮問第一号は、人権擁護委員の任期が満了することに伴い、その後任者として竹内 清氏を推薦するため提出するものであります。 よろしく御決定いただきますようお願い申し上げます。
○議長(芦沢一明) これから質疑に入ります。質疑はありませんか。質疑なしと認めます。 本件は、委員会付託を省略することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」の声あり〕
○議長(芦沢一明) 御異議ないと認めます。 よって、本件は委員会付託を省略することに決定いたしました。 これから討論に入ります。討論はありませんか。討論なしと認めます。 これから日程第二を採決いたします。 本件については、区長諮問のとおり支障ない旨、答申することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」の声あり〕
○議長(芦沢一明) 御異議ないと認めます。 よって、竹内 清氏を区長諮問どおり支障ない旨、答申することに決定いたしました。 お諮りいたします。 本日の会議は議事の都合により延会することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」の声あり〕
○議長(芦沢一明) 御異議ないと認めます。 よって、本日の会議はこれをもって延会することに決定いたしました。 次回の会議は、明六月九日午後一時に開議いたします。 なお、日程は当日、文書により御通知いたします。 本日の会議はこれをもって延会いたします。
---------------------------- 延会 午後六時四分
----------------------------右会議の経過を記載し、その相違ないことを認め署名する。渋谷区議会議長 芦沢一明渋谷区議会副議長 松岡定俊渋谷区議会議員 古川斗記男渋谷区議会議員 牛尾真己...