世田谷区議会 2020-10-01
令和 2年 9月 決算特別委員会-10月01日-03号
令和 2年 9月
決算特別委員会-10月01日-03号令和 2年 9月
決算特別委員会
令和2年
決算特別委員会
決算特別委員会会議録第三号
日 時 令和二年十月一日(木曜日)
場 所 大会議室
出席委員(四十七名)
委員長 真鍋よしゆき
副委員長 中塚さちよ
副委員長 神尾りさ
阿久津 皇
石川ナオミ
おぎのけんじ
加藤たいき
上島よしもり
河野俊弘
宍戸三郎
下山芳男
菅沼つとむ
畠山晋一
板井 斎
岡本のぶ子
河村みどり
佐藤弘人
高久則男
高橋昭彦
平塚敬二
福田たえ美
いそだ久美子
風間ゆたか
桜井純子
中村公太朗
中山みずほ
羽田圭二
藤井まな
大庭正明
田中優子
ひえしま 進
桃野芳文
小泉たま子
佐藤美樹
つるみけんご
江口じゅん子
たかじょう訓子
中里光夫
金井えり子
高岡じゅん子
田中みち子
あべ力也
上川あや
ひうち優子
そのべせいや
くりはら博之
青空こうじ
出席事務局職員
議事担当係長 下村義和
出席説明員
副区長 宮崎健二
政策経営部 部長 中村哲也
政策企画課長 松本幸夫
経営改革・
官民連携担当課長
髙井浩幸
広報広聴課長 山戸茂子
ICT推進課長
山田和彦
副参事(財政担当部副参事兼務)
寺西直樹
財政担当部 部長 松永 仁
副参事 寺西直樹
交流推進担当部 部長 小澤弘美
交流推進担当課長
山田一哉
特別定額給付金担当部
部長(
交流推進担当部長兼務)
小澤弘美
特別定額給付金担当課長(
交流推進担当課長兼務)
山田一哉
総務部 部長 田中文子
総務課長 後藤英一
区政情報課長 末竹秀隆
人事課長 好永 耕
庁舎整備担当部 部長 松村浩之
危機管理部 部長 菅井英樹
災害対策課長 前島正輝
地域生活安全課長
吉田忠博
副参事 若松 武
財務部 部長 小湊芳晴
経理課長 阿部辰男
施設営繕担当部 部長 佐々木康史
施設営繕第一課長
高橋一久
会計室 会計管理者 工藤郁淳
選挙管理委員会事務局
局長 渡邉謙吉
監査事務局 局長 伊藤美和子
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本日の会議に付した事件
認定第一号 令和元年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定
認定第二号 令和元年度世田谷区
国民健康保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第三号 令和元年度世田谷区
後期高齢者医療会計歳入歳出決算認定
認定第四号 令和元年度世田谷区
介護保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第五号 令和元年度世田谷区
学校給食費会計歳入歳出決算認定
(
企画総務委員会所管分に対する質疑)
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午前十時開議
○真鍋よしゆき 委員長 ただいまから
決算特別委員会を開会いたします。
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○真鍋よしゆき 委員長 本日は、
企画総務委員会所管分の決算審査を行います。
それでは、質疑に入ります。
公明党、どうぞ。
◆岡本のぶ子 委員 おはようございます。公明党世田谷区議団の企画総務領域の質疑に入らせていただきます。
まず、おくやみコーナーの設置について、政策経営の観点から伺ってまいります。
さきの一般質問でも触れましたが、本年五月に
内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室は、おくやみ
コーナー設置ガイドラインを発行しました。我が国の平成三十年の年間死亡者数は約百三十六万人となっており、年々増加傾向にあります。そのうち約九〇%が六十五歳以上、約七六%が七十五歳以上となっており、死亡、相続に係る御遺族の負担は大きく、今後、高齢化の進展により、配偶者が高齢となるケースや世帯構成や家族形態の変化により、親族が遠方または疎遠になるケース等が増え、御遺族が行う死亡、相続に係る手続の負担は一層増加することが想定されます。御遺族の負担を軽減することを第一に考え、区民生活に一番身近な自治体の行政の窓口業務改善を進めるために、国が先頭に立って利用者目線でデジタル化を進めたこの取組を構築していることに正直私は大変驚きました。
さきの一般質問では人口約十六万人の三重県松阪市の事例を紹介しましたが、コロナ禍において、人口九十二万人を擁する本区の本庁、各支所の窓口は、三密回避の課題が浮き彫りになったことからも、今後、区民の負担軽減と待たせない窓口業務への早急な改善が必要です。そうした観点からも、おくやみコーナーの設置に向けた業務改善の取組は大変有用と考えます。
ここで伺います。御遺族に寄り添う具体的なサービス設計には、手続に関係する課が多岐にわたることから、庁内を横断的かつ迅速につなげる政策経営の視点が必要と考えます。区の見解を伺います。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 区民目線で課題を解決してまいりますためには、目的を共有し、縦割りを超えて各所管部が連携する、いわゆるマッチングによりまして、最善の施策を組み立てていくことが重要と認識しておりまして、庁内横断的な課題解決のためには
プロジェクトチームを発足させるなどいたしまして、柔軟で迅速な課題解決を図っております。
お話しのございました区民目線の窓口改善につきましても、例えば地域行政部と各窓口所管部がともに真の課題を洗い出し、業務内容の整理、再構築を進め、内部事務の効率化を図りまして解決を図るとともに、政策経営部といたしましては、政策の形成や事務の効率化を推進するなど、関係各部の視点を生かして連携しながら区民サービスの向上を図っていくということが大切かと思っております。
◆岡本のぶ子 委員 さきの一般質問で区長に再質問を求めたんですけれども、ちょっと区長の思いが高まってしまって、なぜかチラシとホームページの改善というところに力点を置いた答弁になってしまいましたので、今日はデジタル化の推進による業務改善、業務効率の向上の視点に立ち、区民に寄り添うおくやみコーナーの設置の必要性について、改めて担当副区長の見解を伺います。
◎宮崎 副区長 さきのおくやみコーナーの御提言をいただいたところでございますけれども、まさにこういう
ライフステージに係るものについてや窓口の改善には必要に寄与すると思っております。今般コロナ禍の高齢化の進行ですとか、新型コロナの影響もありまして、今御指摘もございましたように区の窓口に対しましていろいろ求められているものが多岐にわたっております。特に電子申請などの非接触手法の拡充、区民目線に立ちました効率化、
ワンストップ化などの業務改善が求められるものと認識しております。
そこで、ICTの関係と窓口の関係をやはりこの段階で結びつけていく必要性が非常にあると思っていますし、また、これは急を要すると思っております。そういう意味では、各会派からのICTに係る御提案をこの間いただいておりますけれども、この進めに関しましては、おくやみコーナーを例としまして早急に、地域行政とも関わる問題ですので、十分全庁的に課題解決に向けた取組を進めたいと考えております。
◆岡本のぶ子 委員 ぜひよろしくお願いいたします。
先日、菅新内閣が誕生し、デジタル庁を創設し、日本のデジタル化を加速させると発表しました。今後、区としても国のデジタル化の速度に対応できる体制の強化が求められます。
ここで伺います。国の情報を素早くキャッチし対応するためにも、東京都と連携しながら、民間活力を取り入れ、庁内横断的にIT戦略を練り上げる陣容を備えた専属の部署の設置が必要と考えます。区の見解を伺います。
◎中村 政策経営部長 今回のコロナ禍におきまして、電子申請や
オンライン相談など行政窓口のデジタル化に向けた課題が顕在化したほか、職員の在宅勤務における業務効率の向上など新たな観点からの取組が必要と考えております。お話しありました国のデジタル庁の設置の動きは、こうした区の取組の後押しになるとも考えています。
一方で、専門のスキルを持った人材の確保も課題になっておりまして、民間の人材のさらなる活用や庁内の公募によるICT推進にスキルのある熱意のある人材の登用、また、他自治体の先進事例に学ぶなど人材の確保育成に取り組む必要があると考えています。現在、ICT推進課を中心に区の方針ですとか業務改善の観点から、政策経営部内の各課が連携して庁内を牽引していますけれども、今後、御提案も踏まえまして、より全庁横断的に区政のデジタル化を推進できる戦略的な体制について検討してまいります。
◆岡本のぶ子 委員 ぜひ今答弁いただいた戦略的な体制が必要だと思います。各部署からの声をただというか、推進するだけではなくて、戦略的に先に先に考えていけるといった評価が重要と思いますので、よろしくお願いいたします。
では続きまして、令和元年度の世田谷区各会計主要施策の成果について伺います。
私
たち公明党世田谷区議団として、平成二十三年第一回定例会で新公会計制度の導入を提案してより、約八年かけて、ようやく平成三十年度より本区において新公会計制度が導入されました。今年度で二年目ということで経年比較ができるようになっていく、また、他自治体との比較も今後進めていただくことで財政の見える化が期待されていくわけですけれども、そのためにも区は主要施策の成果の報告の中で、事業の
フルコスト情報を公開し、税金が適切に区民の安心安全や文化的な暮らしのために充当され、その効果が現れているかを納税者である区民へ説明する責任がさらに求められてまいります。
本日は、区が説明責任を果たすという視点から、この報告書の記載についての分かりやすさという点から、改善を求めて質疑させていただきたいと思います。
まず初めに、皆様のお手元にあると思いますけれども、四二ページをお開きください。政策の成果の成果指標の表記の妥当性についてです。重点政策3に掲げられた安全で災害に強いまちづくりの成果指標ですが、四二ページです。ちょっとパネルを作る時間がなかったので、申し訳ありません。1食料を備蓄している区民の割合は令和元年度(二〇一九年度)六八・五%でした。令和三年度(二〇二一年度)目標に対する達成状況は達成したと書いてはあるんですけれども、ただ気になるのが、区が表記した(3)の政策の成果の中の令和元年度(二〇一九年度)のところで六八・五%と書いてあります。区は全て区民意識調査を基にしながら今回の主要施策の成果報告書をつくられていることは確認させていただいて分かったんですけれども、区民意識調査で見ますと、食料を備蓄している区民の割合という円グラフというか、内容では、三日分の備蓄をしている区民が三二・七%、四日分から六日分は二一・六%、一週間分以上は一四・二%となっているんです。なので、これは三日分以上を合計して六八・五%と書かれたんだなということは理解したんですけれども、私も消防団員なので、最近大規模地震だとかが想定される中で「一週間分」と言っていることがすごく印象に残っているので、どうなっているのかなと思いまして、世田谷区災害対策条例第四条を確認させていただいたところ、区は区民に対して、災害の備えとして「おおむね七日分(少なくとも三日分)の飲料水及び食料の備蓄」に努めるよう求めております。
ここで確認させていただきたいんですけれども、区が災害対策条例第四条に「おおむね七日分」としたその根拠を伺います。
◎前島 災害対策課長 平成二十九年三月に区の災害対策条例を一部改正しまして、その中の第四条で、区民の責務とする飲料水及び食料の備蓄の規定の中に「おおむね七日分(少なくとも三日分)」という文言を加えたところでございます。この改正の背景につきましては、平成二十五年に公表されました国の
首都直下地震被害想定におきまして、物流機能の低下による物資の不足などが示されたことや東京都や他自治体の動向を踏まえまして、区民の一週間備蓄の推奨を地域防災計画に反映しまして条例に盛り込んだところでございます。
◆岡本のぶ子 委員 そうしますと、今の御答弁ですと、やはり七日分を区は条例で必要だということを言いながら、実際この指標の中では三日分。しかも、三日分とは書いていないので、一般の人が見れば、ああ、六八・五%の区民が七日分備蓄しているのかなとも勘違いしてしまいかねません。そういう意味では、この指標の書き方について、今後、項目の欄に三日分以上というコメントを入れるのか、もしくは七日分と指標を変えるのか、どちらにしても条例で求めている方向に進む書き方が望ましいと思いますが、いかがでしょうか。
◎前島 災害対策課長 区では、地域防災計画や条例に基づきまして、食料備蓄につきましては
区ホームページや
各種防災啓発物等におきまして、一人最低三日分以上、できれば一週間分の備蓄をと呼びかけております。区民の皆様には、まずは少なくとも最低限三日分の備蓄をお願いしたいということから、成果指標に採用しているところでございます。区民の皆様誰もが条例で区民の責務とするおおむね七日分の備蓄をしていただくことを目指しておりますが、まずは実施計画期間におきましては、少なくとも最低限である三日分、最終的には一週間分以上の備蓄の割合の増加を目指していくことを今後成果の達成状況等に反映してまいります。
◆岡本のぶ子 委員 しっかりと行動につながる反映の仕方をお願いいたします。
次に、同じ四二ページ、今見ていただいたそのすぐ下の段に地区防災計画の認知率というものがあります。ここでは四五・三%の区民の方が
地区防災計画のことを知ったよと書いているんですけれども、ここについて
地区防災計画の目的を伺います。
◎前島 災害対策課長 東日本大震災を契機といたしまして、区民の自助、共助の意識の高まりとともに、平成二十六年に
災害対策基本法に規定されました地区防災計画の策定までを視野に入れまして、さらなる防災知識の普及啓発を目的として、平成二十六年度から防災塾を開催しております。防災塾等で作成されました地区防災計画は、地区の防災力の現状を明らかにし、地区において今後の対策を検討する際の資料として、さらにそれを計画として公表することで、各地区が相互に高め合う基盤をつくることを目的としております。
◆岡本のぶ子 委員 同じく世田谷区の区民意識調査の中で地区防災計画についての問いが書かれていまして、そこを見ますと「内容まで知っている」二・七%、「名称は知っている」が四十何%と書いてあるんですね。そうしますと、今回の指標の実績のところで、四五・三%と書いてあるのは「内容まで知っている」人が二・七%しかいないということを考えますと、地区防災計画をつくられた本来の目的が果たされていないということになると思うんですけれども、こうやって甘い数値を載せるのは、今後区民にさらなる啓発をしていくという点からは課題があるのかなと思いました。
また、
地区防災計画の中、幾つかの地区を見たんですけれども、かなりばらつきを感じました。本当にこれを配ったほうがいい地区と配らないほうがいい地区と言ったら言い方が変なんですけれども、もうちょっと中身も所管として見ていただかないといけないのかなというのも感じたんですが、併せて御答弁ください。
◎前島 災害対策課長
地区防災計画につきましては、本来でございましたら、地区住民の皆様が計画内容を熟知していただき、計画に基づきまして各取組に参画いただけるのが理想でございますが、まずは最優先として
地区防災計画自体の存在を知っていただくことが重要であるとの認識から「名称は知っている方」も含めた成果指標といたしました。
区といたしましては、全ての区民が
地区防災計画の内容をしっかりと理解している状態を目指すことは重要であると認識しております。今後も総合支所と連携いたしまして、
地区防災計画の
ブラッシュアップをするとともに、
地区防災計画の認知度を高め、地区の防災力向上に向けて取り組んでまいります。
◆岡本のぶ子 委員 よろしくお願いいたします。
じゃ、次に、重点政策5に世田谷の文化の創造と知の
ネットワークづくり事業があります。その中の成果指標の表記の仕方で私の理解がつながらなかったものがありました。二三八ページの(4)のところを見ていただくと、
文化財ボランティア登録者数(四年間の累計)、平成三十年度(二〇一八年度)ゼロ人、令和元年度(二〇一九年度)ゼロ人、そして令和二年度(二〇二〇年度)はこれからなので、令和三年度(二〇二一年度)目標は二百人と書いてあるんです。二年間連続でゼロ人で、どうやって二百人にするのかなというのが疑問だったんです。
また、二四四ページ、同じく事業の成果の
総合型地域スポーツ・文化クラブの設置数は、平成三十年度(二〇一八年度)八クラブ、令和元年度(二〇一九年度)八クラブ、そして令和三年度(二〇二一年度)目標は十クラブになっています。
先ほどのボランティアは達成状況がゼロ%で、
総合型地域スポーツ・文化クラブも達成状況はゼロ%なんですけれども、ちょっとこの数字の動きが見えなくて、分かりにくいなというのが率直な意見です。その点について区に求めます。
◎松本 政策企画課長 御案内のとおり、成果指標は区の取組の成果を量的に把握し、客観的な達成度を明らかにするために、平成三十年度をスタートとする新実施計画後期から初めて導入いたしました。設定に当たりましては、計画の
スタートラインと四年後の達成すべきゴールを明確にするために、計画策定時の状況と目標値を示すとともに、主要施策の成果、新実施計画後期の推進状況では目標達成に向けた各年度の成果の実績を示しております。
計画策定時の平成二十九年度の数値は、成果指標によって
スタートラインが様々であることから、策定時からの増減が見えず、目標達成に向けた進捗が分かりにくいという御指摘であると受け止めております。例えば、各年度の成果の実績とともに、策定時からの実績の増減を追記するなど目標値の達成に向けた動きが分かるよう工夫を検討してまいります。
◆岡本のぶ子 委員 ぜひお願いします。そもそもこの成果指標がどうなのかというのも気になるところで、二百人をあと一年で達成できるのかとか、また、その反省というか、課題及び今後の進め方のところを見てみても、令和元年度はコロナだったのでゼロでしたみたいなのが書いてあって、元年度の行動は年度末しかしていないのかというところのその行動量も見えないというのがありました。また、
総合型地域スポーツ・文化クラブの設置数については実は五年前からゼロなんです。設置が増えていない。だから、五年間ずっとゼロのまま、これから頑張りますというような内容が書いてあるのは、やはりここももっと要因分析をしていただかないとと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 御質問の
総合型地域スポーツ・文化クラブの設置につきましては、学校や地域利用団体にクラブ設立の理解を求めることの困難さから新規設立に至っていないという状況でございます。また、
文化財ボランティア登録者につきましても、昨年度については実施予定であった年一回の
文化財ボランティア養成講座が
新型コロナウイルス感染拡大により中止となったため、登録者が増加しなかったということでございます。いずれも累計数を成果指標としておりますので、二か年の積み上げ実績がなかったため、このような表記となっております。
しかしながら、御指摘のとおり、
総合型地域スポーツ・文化クラブについては、成果と行動量、コストの欄で数値の記載が不統一で分かりづらい表記となっておりまして、改善の工夫が必要であったと反省しております。
達成状況の主な要因の中で先ほどの未達成の要因については挙げておりますけれども、そもそも達成可能な計画であったのか、あるいは計画の進捗管理が適切であったのかといった点で本質的な検証、評価が十分だったとは残念ながら言い難い面もございます。背景ですとか要因を踏まえまして、達成への道筋などをより分かりやすく丁寧に記載いたしまして、区民への説明責任を果たしていく必要があると考えております。
◆岡本のぶ子 委員 ちょっと私の質問の時間がなくなってしまったので、一問飛ばしまして、最後の質問になります。
産業、文化などの事業には、多くの印刷物、配布物の配架の拡充などが記載されていました。いろいろなところに配布物を設置しましたということが行動量として載っているんですけれども、印刷の枚数ですとかがフルコストとして載っていたんですけれども、ただ、実際区民の手に情報が渡って、そして、その区民の行動がどのように変わったのかというのが本来重要なことであって、配架する場所が拡充しましたということを
行動量イコール成果みたいにされるのは区の自己満足のようにしか見えませんでした。
そこの点は確認していただきながら、今後ですけれども、今年度、
新型コロナウイルスによって様々な事業が中止になりました。区の事業のほとんどが休止したということになりますと、経年でこの情報を見てもらいたいといっても、すっぽり抜け落ちてしまうと。今年も、来年もちょっとどうなるかというのがありますので、今後、今申し上げた課題も含めて見直していただいて、区民への説明責任を果たせるよう、専門家の目線も取り入れて財政の見える化の資料作成を求めたいと思います。区の見解を伺います。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 今回作成いたしました令和元年度決算の主要施策の成果におきましては、外部の専門家の知見も取り入れまして、新たに
ロジックモデルの掲載ですとか、成果の達成状況、要因別に分析整理するようにするなど、書式の一部を変更いたしまして内容の充実を図ったところでございます。
しかしながら、本日御指摘いただきましたように、成果指標と行動量の因果関係が不明瞭であったり、要因の分析が十分とは言い難いケースもあったと認識しております。計画のつくり自体に関わる問題も含まれておりますけれども、成果指標の妥当性ですとか成果の要因分析の結果などをより分かりやすく区民にお伝えする工夫が必要であると認識しておりまして、その際、専門家の意見等を取り入れて改善を図ることは有効であると考えております。
お話しのとおり、コロナ禍で新実施計画事業につきましても取組内容の見直しを図る必要に迫られた今の状況下では、計画達成に向けた見通しの不確実性が高まっているということもありまして、現在全庁を挙げて取り組んでいる本質的な見直しによる事業の総点検におきまして、各施策の整理をまずは優先して行っていく。その上で、コロナ禍を経た主要施策の成果の改善について専門家の目線を取り入れながら検討いたしまして、一層の見える化を図っていきたいと考えております。
◆岡本のぶ子 委員 以上で私の質問を終わり、河村委員に替わります。
◆河村みどり 委員 それでは引き続き、公明党の質疑を続けさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症の影響によって、かつて経験したことがない大幅な減収が見込まれることとなり、全庁挙げて事務事業の見直しを行っており、今後いかにコスト削減を図っていくか。それが区において目下の重要な課題となっております。
そこで、公共施設の資産において、より少ないコストで、より有効に活用するための管理手法であるファシリティーマネジメントについて質問、提案をしてまいります。
このファシリティーマネジメントのファシリティーとは、土地、建物、設備等のことを指しております。企業や自治体等が業務に用いる土地、建物、設備等を単に不動産としてだけではなく、経営資源として捉え、総合的に最大限活用するための管理手法で、資産の維持管理とともに、プラスコスト削減や区民サービス等の価値の効果に寄与する自治体経営に欠かせない考え方です。公共施設マネジメントのハード面と併せ、区全体の管理資産として、ソフト面であるパソコンや複合機、椅子とか棚などの什器備品の維持管理についても、このファシリティーマネジメントの視点が大変重要であると考えます。
そこでお伺いいたします。公共施設における物品調達等のソフト面に対してのファシリティーマネジメントの必要性について、まず区の認識をお聞かせください。
◎松本 政策企画課長 ファシリティーマネジメントは自治体経営に欠かせない考え方であると認識しております。既に土地、建物、設備など公共施設のハード面についてはファシリティーマネジメントの要素を公共施設等総合管理計画に取り入れてございます。
新型コロナウイルス感染症の影響により大幅な減収が見込まれるなど、大変厳しい財政状況の中、区は什器など多くの物品を保有しており、物品の購入管理などソフト面のファシリティーマネジメントの視点は今後ますます重要になると認識しております。
◆河村みどり 委員 では、それぞれの部署で物品が必要となった場合、例えば所管で棚が必要になったとか、また、今般GIGAスクール構想に伴って区立小中学校九十校の児童生徒の一人一台のタブレット、四万三千台に及ぶ購入もありました。ちょっとした備品から大規模な事業での調達もあると思いますが、コスト面からリース契約にするか、購入にするか等の判断についての基準や調達手法についてのルールがあるのでしょうか。予算についての政策決定の流れをお伺いいたします。
◎松本 政策企画課長 物品の調達は、基本は各所管部で行っておりますが、例えば庁内の事務用パソコンについてはICT推進課が、また、庁内の職員用事務机、椅子、ロッカーなどの庁用物品は会計課が行うなど、効率的な調達や一括した管理のためにまとめて調達しているものもあります。リースとするか、購入とするかの判断は、予算編成時に各所管部において調達経費や維持管理も併せましてコスト比較を行い、調達目的や国や都の補助金等の状況も踏まえながら、効率的、効果的な手法を判断し、財政担当部が予算編成過程において調達手法や金額の妥当性を確認し、最終的には区長査定で決定して、予算案に反映しております。
◆河村みどり 委員 調達手法の流れについては、予算編成時に財政担当部が確認をする、区長査定になっているということですけれども、今の御答弁を伺いますと、やはり各所管部の力量にかかっている現状なんだなということが分かりました。その資産となった公共施設の物品について有効に活用するために適正な管理が必要だと思います。その後の管理はどこの部署が担って、どのように物品の維持管理に努めているのか、お伺いいたします。
◆工藤 会計管理者 物品は、物品管理規則において、備品、消耗品、材料品、動物、借用動産、庁用物品の区分を設けておりますが、そのうち備品として台帳により管理されているものだけでも、元年度末時点で約十万点ございます。その膨大な数の物品の管理を適正かつ円滑に行うため、課に物品管理者を置いており、収支命令者―これは課長級所属長となりますが、こちらを充てまして、日常の維持管理の責任を担っております。
なお、備品に関しましては、その状況を把握するため、備品台帳を備え、管理しているところでございます。
◆河村みどり 委員 日常では所管が管理、会計課では十万点にも及ぶ備品を台帳で管理されている。ちょっと伺ったところによると、金額五万円以上のものだということでよろしいかと思うんですが、それでは、維持管理における効果についてどのように認識されていらっしゃるのか、お伺いいたします。
◆工藤 会計管理者 日々の管理としましては台帳での管理といったことが中心になりますが、備品を含めましたこれらの物品類につきましては、物品管理規則において「使用の見込みがなく、かつ、供用可能なものについては、所属換のあっせんをしなければならない。」と定めておりまして、その具体的な実現方策の一例としまして、庁内公開サイトにおいて各所管で不用となったものを掲示板で情報共有するといったような互いに融通し合うことで有効活用を図っています。
また、最近の事例なんですけれども、今般の特別定額給付金交付事務に従事している応援職員が簡易なパイプ椅子で執務をしているといった情報を得たものですから、直ちに会計課が直接現場状況を確認し、必要数を把握するとともに、一定期間使用しないことが見込まれる椅子を全庁所管に募り、現場に供給するといったようなことも実施してまいりました。
物品の有効活用の重要性は十分認識しておりますので、今後とも適切な維持管理を行い、最終的には、不用となったものの売却に至るまでの処分にも全庁的な意識を持って取り組んでまいりたいと考えております。
◆河村みどり 委員 様々工夫もされていらっしゃるとお伺いいたしました。九十二万の人口を有する本当に大規模な自治体である世田谷区においては、小さなコスト削減であっても、その積み重ねが大変大きな効果を生むことはもう間違いないわけでございます。先ほど話がありましたけれども、今後まさしく調達から最終処分までのトータルでしっかりとマネジメントすることがさらに重要なんだなと思います。
そこで、先日、備品、消耗品を調達したりとか、また、様々な雑務などの庶務機能を担う職員がそれぞれの課にいらっしゃることをお聞きいたしました。そのような不効率な仕組みこそ改善すべきではないかなと思います。将来的には、その庶務機能については一元化させるなどして効率的な職員の配置を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
◎後藤 総務課長 お話しの庶務機能の一元化でございますが、限りある人員、財源の有効活用の観点から非常に重要な要素であると考えております。現行、組織ごとに設置している庶務機能をどのように一元化していくべきか。メリット、デメリットをしっかりと検証しまして、適宜適切なタイミングで最も効率的な改善を重ねていくことが必要であると考えてございます。新庁舎整備では、例えば複合機や消耗品などをフロアの一部に集約した執務サポートエリアの設置を予定するなど、ハードの面からも課や部を超えて庶務機能の一元化を想定した設計としてございまして、運用方策等の検討を庁内で進めているところでございます。
また、一元化は、障害者雇用にも適した業務を生み出すきっかけにもなると考えてございます。こうしたことを総合的に視野に入れまして、積極的にできるところから改革を進めてまいります。
◆河村みどり 委員 こういったことが障害者雇用にも適した業務を生み出すきっかけにもなる、積極的にできるところから改善を進めていってくださるという課長の力強い御答弁をいただきましたけれども、まさしく新庁舎誕生を契機に有効な取組を導入する大きなチャンスでもあると思います。今回の庁舎建て替えに伴って多くの物品調達が想定されるわけです。現在の財政状況からどんな小さな無駄も出さない覚悟で、従前からの課題を改善するためにも、このタイミングを最大の契機として、経営という観点から戦略的に物品の維持管理をしていくファシリティーマネジメントを担う専門部署を設け、逼迫する区財政や区民サービスの向上に寄与すべきと考えますが、区の見解を改めて伺います。
◎中村 政策経営部長 ただいまお話しありましたとおり、今後、本庁舎建て替えに当たっては、第一期が完成する令和五年度以降に事務机や椅子、キャビネットなど多くの物品を順次調達することとなります。現時点ではこれら庁舎等の備品の調達経費を約二十億円と見込んでおり、その調達手法の検討は大変重要な点になってきていると思います。厳しい財政状況でもある中、区はよりファシリティーマネジメントの視点を持って、物品の調達、維持管理に当たる必要を認識しております。
今後は、予算編成過程において財政担当部と政策経営部の経営改革・官民連携担当課が連携して、庁内で多く調達している物品等を中心に、テーマを設定して調達手法の分析を行い、全庁の調達に反映させるなど両部の役割分担の下にファシリティーマネジメントに取り組んでまいりたいと考えています。
◆河村みどり 委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
次に、入札制度について伺います。
コロナ禍において、区内事業者の方々、現在大変厳しい経営を迫られております。令和三年度当初予算についてマイナス百二十二億円の減収が見込まれ、そのうち六十二億円は内部経費の見直しや施策事業の見直しによる区の努力によって財政運営を行っていかなければならないわけですが、区の具体的な経済対策が全く示されておりません。納税者である区内事業者の経営状況が区の財政に多大な影響を及ぼすことを考えれば、令和三年度の予算編成においては公共事業をできる限り実行し、投資する戦略が必要だと思っております。
まず、その点について財政担当部の見解をお伺いいたします。
◎松永 財政担当部長 お話しのように、
新型コロナウイルスの影響により極めて厳しい予算編成になることは必至であると考えております。今後の予算編成に当たりましては、区内事業者への影響なども十分に踏まえながら、主に公共工事などの投資的経費において、前年度の決算繰越金を活用した補正予算による対応も含めた複数年を見据えた計画的な財政運営に取り組む必要があると考えております。先般策定いたしました世田谷区政策方針においても、区内経済の循環と地域経済の活性化及び公共工事の効果的実施を当面取り組むべき重点課題に掲げておりまして、今後の区内経済活性化への波及効果をにらみながら、今年度の四次補正予算以降での計画的な対応を図ってまいりたいと考えております。
◆河村みどり 委員 その公共事業等の入札参加資格についてですが、区では区外事業者の参入の機会が多くあるのに対し、他区では区外事業者の参入機会の縛りがかかっていて、なかなか参入することができないなど区の入札はとても甘いとの不満の声が私の下にも届いております。その理由の一つとして、区内だけでは入札の競争が働かず、やむを得ず区外にまで広げている現状もあるとお聞きしていますが、入札に参加できる適正な予定価格の積算に問題があるのではないでしょうか。区内事業者の方からも同様の声が届いております。
ここでお伺いいたしますが、改めて、区内事業者が参加できる公契約条例に基づく適正な予定価格の積算に努めること、また、優先業種登録などある一定程度の区内事業者対象の入札はありますが、コロナ禍において、さらに区内事業者の経営を守っていくための参入の機会を広げるべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
◎阿部 経理課長 区は契約発注に当たり、予定価格を積算する際には、最新の公共材料や労務の単価、市場価格を参考とし、公契約条例に基づき、事業者の健全な経営環境が確保されるよう適切に設定をしておりまして、契約の相手方にも労働者に適正な賃金を支払うなどの適正な労働環境の確保を求めているところです。
また、区では、公共工事の発注に際しまして、受注者の専門性の発揮によって工事の品質と適正な履行の確保を図るため、世田谷区建設工事等競争入札参加資格優先業種区分登録制度を設けまして、この登録を区の競争入札に参加するための条件の一つとしております。区内経済振興の観点から、登録対象は、区内に営業所を設け、継続的な営業実態が認められる事業者に限っており、一社につき、土木、建築、電気設備、機械設備、造園の主要五業種の中から一業種を選択させることによりまして、区が発注する公共工事の競争性、公平性を確保しております。
この登録制度同様の制度の工事以外の案件への導入につきましては、その業種等が多岐にわたるため、設定はなかなか難しいところですが、工事以外の案件でも区内で十分な競争性が確保できるものについては入札参加者を区内事業者に限定しておりまして、今後も案件に応じ、入札参加資格、入札参加条件を設定してまいります。
◆河村みどり 委員 積算について適切に設定しているとの御答弁には大変疑問があります。公共事業においては区内事業者に限定されているものの、工事以外の入札については、競争性のある案件については区内事業者に限定されているとの御答弁からの状況を鑑みれば、なおさら適切な積算について問題意識を持ってぜひ取り組んでいただきたいことを再度要望いたします。
その一方で、優先業種登録区分については、工事以外でも一部の造園委託案件において実行されております。また、区のホームページにおいて「造園委託の入札に優先業種区分登録が必要な案件を順次拡大します」と広報されておりますが、ここ数年においては実績がございません。昨年九月に発生した台風第十五号では、強風により、区の報告ですと百件に及ぶ倒木があったということで、私も驚くような倒木の場面に何度か出くわしましたけれども、区道上の大きな街路樹が倒れるなど被害が発生をしております。近年の多発している自然災害に対する防災の観点からも、街路樹に限らず、日頃からの樹木の維持管理は大変重要な観点となっております。
ここでお伺いしますが、適切な履行の質を安定的に確保するための優先業種区分登録が必要な案件についてどのように選定されているのでしょうか。また、順次拡大するとされておりますが、今後の見通しについてお伺いいたします。
◎阿部 経理課長 区が発注いたします造園委託の案件につきましては、区内で造園業を主とする事業者であることを基本的な要件とし、これまでも地域性と専門性を考慮した発注に努めてまいりました。しかし、履行の質を安定的に確保する上では、案件の規模や内容によりまして、より高度な技術力や履行能力が求められることから、確かに一部の案件につきましては工事の入札参加資格における造園の優先業種区分に登録があることを入札参加条件に追加し、二十八年度から試行して、現在まで順次拡大をしてまいりました。現在も行っているところでございます。
今後の発注につきましても、履行の質を確保するために、発注所管課と十分に調整しまして、それぞれの業務の実態に即した適切な入札参加条件の設定に引き続き努めてまいります。
◆河村みどり 委員 区民生活に影響を及ぼしかねない事態を見据えて、安心安全に備えるためにも、ぜひ今後も検討を進めていただきたいことを要望いたしまして、板井委員と交代いたします。
◆板井斎 委員 令和元年台風第十九号に伴う浸水被害の検証について、昨年の決算委員会で検証しろと話をしたところ、関根部長よりやりますと言って、一年がたつわけでありますけれども、その結果がまだ公表に至っていない。ホームページを見ても、三回目が七月十六日、四回目が八月末と書いてはありましたけれども、もう一年になるわけですよ。にもかかわらず、検証ができていないということで、地元の方の大変厳しい御意見が私のところに届けていただいているんですが、これはいつ公表されるのか、そして、それはどのように生かされていくのか。そのスケジュールと基本的な考えについてまず伺います。
◎若松 危機管理部副参事 令和元年台風第十九号に伴う浸水被害検証委員会は九月二十九日に第四回が開催されまして、検討結果の最終報告がなされました。最終報告書につきましては、近日中に公表予定と事務局である土木部より聞いております。危機管理部といたしましては、最終報告書や委員からの提言などを踏まえまして、区民が適時適切に早めの避難行動を取っていただけるよう、避難勧告などの発令判断基準を見直してまいります。
◆板井斎 委員 この検証で様々な今までのやり方を変えたり、あるいは、備えをしていかなければならないわけであって、一言「遅い」というのが私の実感であります。既に内水被害が出たところ、例えば狛江とか調布なんかはいち早く検証結果を公表して、水門のところにデジタル水位計だとか、流速・流向計、監視カメラを設置するなど、そうした被害から区民を守るための情報発信力を高めているわけですね。世田谷区では検証結果も出ていない、そうした対策も講じていないということでは、やはり区民は納得しないわけであります。
昨年も樋門、水門の開閉のことが大きな問題として指摘されていたわけでありますし、それについて、この検証結果を基にして対策を講じていくということが皆様方に求められていたことではないかと思うんですよ。これについて早急に、そうした水門の管理だとか、あるいはその内水が起こっている状況だとかをやはりいち早く伝える仕組みというものがもうできていないとおかしいと思うんですが、今の情報発信の状況について改めて伺います。
◎若松 危機管理部副参事 区は風水害対策総点検を実施いたしまして、水害時における情報発信体制を強化しました。避難勧告などの情報発信のほか、特に水害時避難所の運用状況や多摩川に設置されている樋門、樋管の開閉状況について現場職員からの情報を災対各部が速やかに集約し、災対本部で共有した上で区民に情報発信する体制としております。
区といたしましては、区民の避難行動に関わる情報を様々な広報媒体により速やかに情報発信できるよう、今後も引き続き情報発信の見直し及び検討を行ってまいります。
◆板井斎 委員 確かに現場には職員が行っているわけですけれども、雨風が強いときに正しい判断、逆流が起こっているのか、起こっていないのか、水位がどのぐらい上がっているのか、上がっていないのかというのは、人の目で見ることも大事ですけれども、そうした計器を使って遠隔からでも確認ができるということはやはり大事なことだと思うんですね。昨年、それができていないから、結局は現場でのアナログ的なやり取りの中でタイミングを逸してしまった。ですから、水門が閉められなかったり、閉めたけれども、そのことが伝わらなかったという反省点が本当に生かされているのかなと私は思います。
また今、その情報発信についても具体的な話がなかったわけですよ。このようなことをやりましたと。七月十九日の地元の説明会ではそのような話はあったけれども、果たしてこれで大丈夫なのかなといった声はその会場の中でもあったわけであります。
一問飛ばして、避難所についてお伺いをします。
今言ったように七月十九日の地元説明会の中で、また、ハザードマップにも記載されていたんですけれども、一次避難所。やはり要配慮者というか、高齢者、障害者の方が避難する場所について記載があったんです。それは、例えば玉堤地域の方だと、学区域があって、なじみのある尾山台中学校、尾山台小学校ではなくて、地理カンも全くない八幡小学校に行きなさいと書いてあるんですよ。当然バスでは行けません。歩いて行くにしても坂道を、どんなに健康な方でも三、四十分はかかる。おまけにその体育館は二階にあるんです。何でそういうところが一次避難所として指定されているのか。やはり高齢者、障害者が行きやすいところ、なじみのあるところにすべきではないのかというお声が届いているんですけれども、なぜそのような形になったのか。できれば変えてほしいんですけれども、お伺いします。
◎若松 危機管理部副参事 委員からお話しありました避難所の設定の考え方といたしましては、やはり遠いところというのは、まず一次避難所といたしまして、台風接近、上陸の二十四時間前に開設をし、公共交通機関。委員は今ないところもあるとおっしゃられましたけれども、そういったものを利用して避難していただくといった考えで設定させていただいています。
◆板井斎 委員 だから、バスで行けるところがあるのに、なぜバスで行けないところを避難所にするのかという質問をしているわけですよ。
一次避難所というのは、体育館は二階にあってはいけないんですよ。学校の一階、教室を全部貸し出すというんだったら別でしょうけれども、そういう話もない。一次避難所というのは、昨年の台風第十九号にしてみれば、二時四十五分に避難命令が出て、東京に上陸したのは町田辺りで二十一時頃ですよ。その期間も短かったわけですよ。その短い期間の中で避難をしろということを世田谷区は昨年区民に求めたわけですよ。そう考えたときに、二十四時間という話があったとおり、早めになじみのあるところに、そして、一階に体育館があるところに避難所を設けるというのが当たり前なのではないですか。
今年世田谷区で、玉川・砧総合支所の水害時の避難行動要支援者への調査及び対応についてというアンケート結果の報告をいただきましたけれども、このエリアの中では障害者あるいは要介護者で、避難の何らかのお手伝いが必要だという方が約四百二十八名いるということが書いてありました。それで私もこの春、予算委員会のときに東京都市大学が地域住民にアンケート調査をしているというお話を紹介しましたけれども、先般そのアンケート調査の速報版ができたということでお話を聞きに行かせていただきました。その中でも、若い人はそれなりに情報を取っていて、車だとか、バイクだとか、自転車で避難しているんです。二十代と六十五歳以上では避難者の数が二十代のほうが倍多いんですよ。だから、六十五歳以上の人は二十代の半分しか避難していないんですよ。そういう実態も分からずにこういう避難計画を立てられても困るわけですね。
先ほど避難情報の話をしましたけれども、都市大のアンケートでは、高齢者は、テレビ、ラジオ、そして家族からの情報収集が上位ベストスリーなんですよ。そのような対応の仕方もどうなのか。そういう実態にそぐわない区答弁だということで私の不安はさらに増すんですけれども、せめて障害のある方、要介護者の方が今言ったような、例えば八幡小学校に行く、あるいは中町小学校、玉川中学校に避難する。中町小学校、玉川中学校も一次避難所に指定されているわけですよ。これも多摩川の浸水エリアの方にしてみれば非常に遠いですよ。そういう人が行くに当たって、例えば車が止められるスペースがあるのか、あるいは何らかの形で命の電源、電気が必要な方への備えが避難所にあるのか。そうしたこともやはり多くの声を聞いておりますので、その辺の避難所の対応についてお伺いをします。
◎若松 危機管理部副参事 避難行動要支援者の方に対しましては、玉川総合支所、砧総合支所保健福祉センターが多摩川浸水想定区域内の対象者にアンケート調査を行いましてニーズを把握するとともに、早めの避難や分散避難を呼びかけるチラシを作成し配布したところです。水害時避難所の駐車場につきましては、避難所近隣のコインパーキングを利用していただくことや、区立総合運動場体育館などの駐車場が利用可能な施設につきましてはホームページなどで周知をしてまいります。
区といたしましては、今後も保健福祉所管を中心に防災関係所管が連携して、必要な対応策を検討してまいります。また、電源の確保につきましては、水害時避難所となる区立小中学校に携帯電話やスマートフォンの充電に利用する大容量ポータブル蓄電池を配備しておりますので、緊急時にはほかの機器の充電にも活用できると考えております。
◆板井斎 委員 質問したのは、要するに避難所と駐車場がセットではないかという話をしたんです。今、総合運動場体育館に行けばちゃんと障害者の方あるいは要配慮者の方が受け入れられるようになっているという解釈でいいんですか。
◎若松 危機管理部副参事 第二次の水害時避難所として開設されますので、収容は可能だと考えております。
◆板井斎 委員 いや、それは第二次でしょう。私が言っているのは第一次の要配慮者、障害者の方はどうなんだと聞いているわけですよ。そうではない方が車で避難するところの問題についても、それはそうだと思いますよ。浸水被害に遭った方は、今度同じようなことがあれば、やっぱり車にできるだけ多くの家財道具を積んで高台に避難する、せめて車だけでも持ち出すという方も多くいますよ。そういう方はそういうところでいいんだと思うんですよ。そうではない人と電源と安定した環境というものがセットでないといけないのではないかということで質問しているわけですよ。その辺の考え方があまりにもデスク上のワークでやっているのではないかなと思うんです。
もう一度確認するんですけれども、せめて要配慮者、高齢者等が避難する避難所は、地元の歩いて通える、バスに乗って行けるところにすべきだと思うんですけれども、やりますという言葉を聞きたいんですが、どうでしょうか。
◎若松 危機管理部副参事 障害者、高齢者の方につきましては、教室と体育館以外の場所でも対応していきたいと考えておりますので、八幡小につきましてもそういった打合せをさせていただいていると聞いております。
◆板井斎 委員 いや、納得していないですよ。何で遠いところに―東京都市大学がアンケート調査をやったんですよ。先ほど言ったように一番避難手段で多かったのは車、その次が徒歩なんですよ。バスはほぼほぼゼロでした。そうですよね。バスは運行していないんだもの。使えないです。だから、バスを使ってなんて言うのはおかしいですよ。やっぱり歩いて行かなければいけないんです。歩いて行ける範囲で避難所をつくらなければいけないんですよ。こればかりやっているとあれなので、避難所のことで最後に聞いて終わりにします。
じゃ、昨年は、一次避難所、職員二人で任に当たっていたわけですよ。その出身校の中学生が一生懸命お手伝いをしている姿を見ましたとここで報告したけれども、職員何人で対応するんですか、お伺いします。
◎若松 危機管理部副参事 職員の配置体制につきましては各避難所によって差はございますが、玉川地域ですと大体二十人前後がローテーションを組んで対応するといった体制を取っております。
◆板井斎 委員 そのことを聞いて安心したわけですけれども、財政についてせっかく取材いただいたので一問だけお伺いしたいと思うんです。
代表質問で、新公会計をベースに全事務事業を見直すという質問をしました。私が心配しているのは保坂体制、今の区長になって十年ですよ。この間、本格的な行財政改革をやったという記憶はありません。それ以来十年間たっているわけです。だから、皆さんも、そういうことを経験していない部長、課長が増えている。私はこれを非常に危惧しているんです。やったことがないんですもの。それをまた、今やれやれと言って、百二十二億円あるいは六十二億円が果たしてできるのか。自分の胸に手を当てて考えてみれば、やったことがないことをやるわけですよ。そういう緊迫感も、危機感も全く感じられない。他会派も、うちの河村委員もそのことを心配して質問しているのに危機感がない。うちの区長もさほど緊張感を感じていないかもしれないですけれども、公会計制度を使って全事務事業を見直してくださいよ。どうですか。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 昨年度から、長年の懸案でございましたけれども、新公会計制度を活用しました各事業のフルコストの算出ができるようになりまして、各所管において事務事業評価の基礎情報としているところでございます。コロナ禍によりまして、区民の生活ですとか事業活動が大きな影響を受けて、さらには区財政が非常に厳しい状況に陥るという見通しを踏まえまして、八月に策定いたしました世田谷区政策方針等に基づいて、現在、来年度予算編成と併せて、全庁挙げて施策事業の本質的な見直しに取り組んでいるところでございます。これによりまして、区民の健康や生命を守る感染症対策、生活や経済を維持、活性化する支援策、子どもの学びと育ちの支援といったものに必要な財源を確保していく必要があると認識しております。
この見直しに当たりましては、区民、利用者の視点に立ちまして、全ての事業を必要性、有効性、公益性等の観点から一つ一つ検証いたしまして、見直しの方向性を判断することといたしております。その中で、お話しありました新公会計制度によりますコスト分析等を踏まえた行政コストと利用者等が得られる効果のバランスといったものを重要な要素の一つとして検証を行っているところでございます。
◆板井斎 委員 私は、来年度予算は、今、依命通達も出ているけれども、基本的に数字合わせの予算編成にはしてほしくないんですよ。先ほど河村委員も言ったけれども、改革した予算、財源は区民に還元するというような思いで、気持ちで予算を組まなければ、数字だけ合えばいい、あとは知らないよというふうになってしまうわけですよ。やはりそうした皆さん方の思いが来年度の予算編成になるのかどうか。これが常に問われていることだと思いますよ。裏を返せば、そういう財源を確保するためには、生まれた財源を区民に還元すれば、足りない部分は赤字、起債をしても構わないぐらいの覚悟でやっていただきたいということを要望して、公明党の企画総務委員会の質疑を終わります。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で、公明党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午前十一時五分休憩
──────────────────
午前十一時十五分開議
○真鍋よしゆき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
世田谷立憲民主党社民党、どうぞ。
◆中山みずほ 委員 世田谷立憲民主党社民党の企画総務所管の質問を始めます。
区の広報の在り方についてまず伺います。
先月の一般質問でも取り上げましたが、九十二万人都市である世田谷区においては、組織としての戦略的広報の必要性を感じています。今回議会での指摘が多かった世田谷区独自のPCR検査に関しての広報という視点に特化して分析してみました。先日の一般質問では、自治体に求められる戦略的広報として七つの原則に触れましたが、それも踏まえて今回のPCR検査の広報について考えたいと思います。
七つの原則、再度読み上げます。一、体系的かつ組織的に行われること、二、持続的に行われること、三、訴求ターゲット・テーマが明確であること、四、有効なプレースメントがなされていること、五、世界目線に立っていること、六、大胆で意表を突くこと、七、広報の顔が見えること。議会での指摘の多くは区長のメディア露出の多さによる影響のことであり、さらには、議会への報告が遅れたことによるものと考えます。さらには、区長だけが独り先走り、区の職員は知らなかったのではないかという指摘もありました。広報機能にはインナー広報という、いわゆる職員への周知も含むと思います。
最初のメディア露出は七月二十八日のBS―TBSでした。このとき区長が発した内容について庁内に周知されたのかどうか、教えてください。
◎山戸 広報広聴課長 七月二十八日の取材には広報広聴課長として立ち会っておりましたので、区長の発言はメモを取っておりました。その内容を取り急ぎ政策経営部や保健所など関係部署に共有しております。
◆中山みずほ 委員 このBS―TBSを皮切りに、世田谷区のPCR検査については本当にたくさんのメディアに取り上げられました。一体どれほどの露出があったのか、把握されていますでしょうか。
◎山戸 広報広聴課長 テレビなどの取材を受ける際には、事前に広報に申込みがあり、取材内容を確認した上で取材の可否を協議することとしております。七月二十八日から九月八日までの間にPCR検査に対して取材を受けたのは、テレビは十番組、新聞等は九社であったと承知しております。
◆中山みずほ 委員 今の御答弁では、いわゆる取材を受けたものについて把握しているということだと思います。私のほうで確認した限りでは、九月十日までにテレビ、全国ネットのもので六十五件、新聞、全国紙だけで十四件、ウェブで四百十八件の報道、記事の確認ができました。昨日の総括で我が会派の風間幹事長からもあったように、広報の評価指標の一つとして、この露出が広告だとしたら幾らになるのかという広告換算というものがあります。実際に七月二十八日から九月十日までの広告換算をしてみました。テレビが六十五件、尺という時間数で言うと二万三千百五十五秒、六時間二十六分で約四十五億円、新聞十四件で約四千六百万円、ウェブで四百十八件で二・七億円、合計で四十八億一千二百万円を超えていました。これはBSは入れておりません。全国ネットのテレビのみ入れています。
一つの基礎自治体がこれだけの露出を行うこと自体が大変希有なことであり、区民だけではなく、国民全体に与えた影響は、賛否も含め多大であったと言えます。一度取り上げられるとメディアがメディアを呼ぶといい、一気に露出が増えていきます。特にテレビではそれが顕著です。七月二十八日というと、時期的にも陽性者の増加時期とも重なり、視聴者の関心も高いタイミングでもありました。たくさんのメディアに報道される一つの広報の機能ですけれども、そういう観点だけで見れば好条件が本当に整っていた第一報であったとも言えます。区民の方の中には、保坂区長が立ち上がったことで、結果的に国や都が動いたと見ている方もいらっしゃいました。実際議会の中でも、そういった発言もありました。しかし、このことを証明するエビデンスはありません。(笑声)そう見られてもおかしくないほどのメディア露出があったということだけは事実であると思います。
では、報道された中身についてはどうでしょうか。いつでも誰でも何度でもというフレーズは大変キャッチーであり、メディア好みで、使いやすいものです。また、多くの方々が望んでいた検査体制でもありました。特にテレビではフリップやテロップで強調されました。そこが切り取られ、実際とは違う印象を持たれたことは、広報として軌道修正が必要となります。
ただ、実際、軌道修正というのはもう無理だと私は思いました。あれだけメディアで取り上げられて、今何か区が発信したとしても、この修正は至難の業です。つまり、番組特性を事前に踏まえて、コントロールできない、特にこういうテレビの番組に関しては取材を受けないという判断もあったのではないか。例えばワイドショーなんかでは、コメンテーターの声というのは司会者も遮れないという状態なんですね。そう考えると、やはり緻密なメディア選定が本来必要であったのではないかと考えます。
一方で、保坂区長は、番組出演や記者会見においてふるさと納税の告知を行うこともありました。私も何度か目にしました。この効果は全国に波及し、結果、四十の都道府県から五千二百五十万円の寄附があったと聞いています。すかさずタイミングを捉えた告知は、かなりの広報効果があったものと分析します。これは区長の天性なのかもしれないんですけれども、物すごくうまく会話に滑り込ませて、ふるさと納税の告知をされていたと思います。
もちろん広報機能はメディアだけに及ぶものではありません。本来の広報機能としては、いわゆる企業で言えばステークホルダー、利害関係者ですね。株主、顧客、その他取引先等への情報提供も広報の機能の一つです。自治体における関係者への正しい情報提供は行われたのかどうか、この点も踏まえて伺います。
先ほど述べた七つの原則などの広報視点を捉まえたときに、今回の世田谷独自のPCR検査の発表に関してはどのように総括されていますでしょうか。
◎中村 政策経営部長 今回の総括ということですが、ただいまお話しいただいた七原則のうちの顔の見える広報という点では、区長が自らメディアで発信することは効果的である一方で、今般の世田谷区のPCR検査の拡充に関する区長の発言については、事務方として目指すべき方向性は理解しているところでありましたが、財源を含め、どのように具体化していくかという実務的な整理をする点で発信のスピードに追いついていなかったという部分がありました。また、特に広報という点で七月二十八日のテレビ放送以降、相次ぐメディア露出に当たり多くの問合せをいただきましたが、区民への説明が遅れたこと、また、八月五日に区のホームページでPCR検査の拡充における現在の状況について経緯を含めて発信しましたけれども、区民の疑問に十分答える内容となっていたかなど反省点であると考えています。
今後、今般のような政策決定過程の情報について、どのような形で、かつ正確に区民にお知らせするか、また、様々な媒体の活用方法を含めて十分検討し、さらに広報体制を整えていきたいと考えています。
◆中山みずほ 委員 今の御答弁で政策決定過程という言葉がありました。私は、これを示すことというのは、区民の方々にとっては、いつも言っています参加と協働を促す意味ではすごく大事なことだと思っています。政策が決定してから発表するのではなくて、その過程も区民に知らせる。そういう意味では、広報の仕方というのは、ここは工夫のしどころがあるのではないかと考えます。
次に、ちょっとPCRから離れまして、リスクコミュニケーションの必要性。これについてはさきの一般質問でしましたが、今回は令和元年度の主要施策の成果の冊子を拝見させていただきまして、これを踏まえ、マーケティングコミュニケーションについて伺いたいと思います。
マーケティングコミュニケーションとは、政策、行政サービスの広報コミュニケーションのことです。これは多分日常的に行われているものだと思いますが、達成状況の低い事業の中には、広報が強化されることで達成に近づくのではないか、また、区民の方々にもっとうまく周知すべきではないかと思える政策がありました。例えば一五一ページにありましたが、世田谷版ネウボラの認知度、これは令和三年度までに三三%、つまり区民の三人に一人が知っている状況をつくり出すというハードルの高い指標です。しかし、今見ますと令和元年度は七・五%という低い認知度です。これだけではなくて、幾つかあるんですが、挙げていると切りがないので、まず例えとしてネウボラを挙げましたが、また、今後に関しても気候非常事態宣言を行うなど、より区民に向けた徹底した広報が必要な政策も出てきます。現在、区民への行政サービスの周知、政策の理解、啓発などは各所管で行われているものがたくさんあります。今後は分野ごとに所管を横断したマーケティングコミュニケーションの強化が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
◎山戸 広報広聴課長 主要施策の成果にて御報告している成果指標の数値の幾つかは、世田谷区区民意識調査にて、新実施計画期間の間は毎年調査しているものとなります。御指摘の世田谷版ネウボラの認知度は前年度では六・五%であり、若干の伸びはあったものの、まだ周知が足りないことを裏づけできます。これに限らず、区民意識調査において経年で調査することで、その施策に関する取組の効果が分かるものもあり、例えば世田谷区がアメリカ合衆国の「ホストタウン・共生社会ホストタウンであることも知っているし、ロゴも知っている」という問いでは、昨年度は二・八%の認知度でしたが、「区のおしらせ」一面での特集やロゴの露出により、今年度は七%の認知度となりました。
現在の広報広聴課は、広聴の機能を併せ持っております。区民意識調査や区長へのメールなど、区民からいただいた御意見を十分に分析して広報に生かし、庁内横断的な視点を持って区民と区をつなぐ効果的な広報を目指し、取り組んでまいりたいと考えております。
◆中山みずほ 委員 広報はとても専門的なものだと思います。今、役所というのはジョブローテーションでいろいろ人材も回っていくと思うんですが、やっぱり広報機能。これから特に、一般質問でもしましたようにそのリスクコミュニケーションも含めて考えますと、すごく体系立ったもので、知識の集積が必要だと考えています。これからは広報担当部署が中核となって、広報が必要な関連部署との信頼・協働関係を形成して、統率が取れた組織的な広報活動が行えるよう望みたいと思います。
次に、デジタルトランスフォーメーションについて伺います。
新型コロナウイルス対策で実施された十万円の特別定額給付金では、オンライン申請を行った人への二重交付を避けるための確認作業で住民基本台帳との照合作業がシステム上でできず、紙にプリントアウトして確認するという作業が発生。行政のデジタル化の遅れの象徴の一つとされました。この遅れを打開すべく、今、国ではデジタル庁が創設され、また、総務省においても地方自治体のデジタル化促進のため、自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)推進計画を年内に策定する意向を示しています。
二年前に出された経産省のDXレポートを私も読みましたけれども、これでは、複雑化、老朽化、ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、二〇二五年から二〇三〇年の間に最大十二兆円の経済損失が生じるとの推定があります。いわゆる二〇二五年の崖と呼ばれているものです。世田谷区においてもこのDXを推進すべく、計画が立てられていると聞いています。
そこで質問します。DX推進のポイントは、各所管が保有するニーズや課題を吸い上げて、分析した結果に基づいて施策を検討していくことだと思います。いわゆるシステムありきでやるのではなくて、それぞれの所管の課題を吸い上げた上でのシステム構築が必要ではないか。ここがおろそかなまま進めることは、結果的にベンダーの言いなりになる、そのまま進む懸念もあり、区が主体的に取り組むため必要な工程と考えていますが、現在このDXを推進していくことをどのように考えているでしょうか。
◎山田
ICT推進課長 御指摘のポイントは区としても重要と考えており、各所管課のニーズや課題を効率的に収集、分析してDXに取り組めるよう、これから組織横断型のDX推進プロジェクトを立ち上げ、窓口サービスのDX、働き方改革などDXに関連する各種テーマについて検討を進めていくことを想定しております。
◆中山みずほ 委員 DX推進プロジェクトが発足するということですよね。重要なのは、DXを通じて区民へのサービスと職員の働き方がともに向上することと考えます。しつこいようですけれども、決してベンダー都合に陥らないこと、システムが最終的に区民の生活をどう変えるか。ここもイメージして行っていただきたいと考えています。欲を言えば、区民のニーズ調査などもあればよいかなと思います。
自治体システムの核である住基システムや税システムなどの基幹系システムの今後の在り方は、DXを推進する上で重要なテーマであると考えます。この点についてはどのように考えていますでしょうか。
◎山田
ICT推進課長 経済産業省が二〇二五年の崖問題として警鐘を鳴らしているように、長年カスタマイズを続け、複雑化、ブラックボックス化している基幹系システムなどの、いわゆるレガシーシステムの対応を見誤れば、将来IT予算のほとんどを維持管理コストに充てざるを得なくなり、DXの推進の大きな障壁となります。次期基幹系システムの検討は、先ほど申し上げたDX推進プロジェクトの中核となるテーマの一つと考えており、政府の掲げる国家戦略や現在総務省にて進められている仕様の標準化の動向とも整合性を図りながら、次期基幹系システムの在り方について検討してまいります。
◆中山みずほ 委員 適切にガバナンスできるように見える化指標の策定も必要ではないかと思っています。データ活用のしやすさ、また、最終的にはサービスが区民まで到達するステップの見える化も必要と考えます。もちろんこの進捗に関しては議会への報告も求めたいと思います。
武田総務大臣はこの自治体DX推進計画の中で、中央省庁や地方自治体で統一されていない情報システムの標準化と共通化が柱と言っています。先ほど御答弁にもありました。加速する政府のDX推進の取組に世田谷区はどのように連動していくのでしょうか。
◎山田
ICT推進課長 デジタルガバメント実行計画や規制改革実施計画といった方針の提示、デジタル庁の創設など、現在政府によるDX推進が加速しております。今後、自治体に対するそれらの施策への期限付の対応要請や財政支援を伴う推進事業が立ち上がっていくものと思われます。そのような動きに迅速に連動していけるよう、国や他自治体の動向に注視しながら、世田谷区としてのDX推進の方向性を整理の上、検討や準備を進めてまいります。
◆中山みずほ 委員 これだけのプロジェクトを進めていくには、今おっしゃったように組織を横断してガバナンスできる人、そして、中立的で、しつこいようですけれども、ベンダーと対等に渡り合える人材が必要と考えます。現在山田
ICT推進課長がそれを担っているかと見ていますが、任期は二年と聞いています。このプロジェクトは中長期的なものでありまして、今後人材の在り方をどのように考えていますでしょうか。
◎山田
ICT推進課長 御指摘のとおり、DXの推進は単年度で終わる事業ではありませんし、一つの組織、一人の力で進めていけるものではありません。DX推進プロジェクトを通して、幹部職員を含めた職員一人一人の意識改革やICT人材の育成を図るとともに、中長期的にプロジェクトを推進していくための体制づくり、それ自体をプロジェクトのテーマの一つとして検討していきたいと考えております。
◆中山みずほ 委員 今御答弁いただいたように、中長期的なプロジェクトで、当然予算も投下されます。今のやり方、さっき民間登用の話も他会派から出ましたけれども、土木や電気などと同様に、技術的な知識管理が求められる技術系の職種としての情報人材の確保、あと育成もやっぱりやっていかなければいけないのではないかなと思います。また、こういうプロジェクトが進むとき、組織で往々にあるのはやっぱり現場の抵抗感。これは皆さん忙しい中で
プロジェクトチームの中に入っていくということで、ここのモチベーション管理も大事だと思います。このような中、これをいかに実行していくか、これからまた注視していきたいと思っております。
時間ないので、次の質問はちょっと巻きでいきます。区職員における男女共同参画について伺います。これは今までも聞いてきたことではありますが、最新の情報をもって確認します。
係長級の女性の増加により、管理監督者の女性管理職比率は、昨年度の三七・五%から今年度三八・一%となっており、目標数値も上方修正され、四〇%に引き上げられた。これは大変すばらしいし、評価したいと思います。
一方、令和二年四月一日現在の各役職段階の女性職員の割合は、特定事業主行動計画を拝見しますと、部長級が一三%、課長級が二二・二%、合わせた管理職比率は二〇・二%です。ここ五年ほど、平成二十七年ぐらいからの推移を見ていますと二〇%前後を全く動いていない、ましてや今年度に至っては昨年度より下回っている状況です。さらに細かく見ますと、一般行政職の女性管理職比率は、部課長の比率で、先ほどの特定事業主行動計画上は二〇・二%となっているんですが、一般行政職に絞ると一六・七%です。これが高いか、低いかということの判断も必要だと思っています。
この女性管理職の数が伸び悩んでいる理由、また、その女性管理職の比率を今後どうやって上げていくのか、お答えいただきたいと思います。
◎好永 人事課長 女性管理職がなかなか増えないことの理由でございますが、妊娠や出産など職員個々のライフイベントと昇任時期が重なることも、職員が昇任をちゅうちょする要因になっているものと考えております。この間、様々取り組んでおりますが、今後、女性管理職の比率を上げていくためのさらなる取組でございますが、制度の周知を強化しながら、中長期的な視点に立って、これまでの取組を継続していくことはもとより、現女性管理職や育児、介護と仕事を両立している職員のロールモデルを紹介することで、職員が抱いている不安の解消につなげるとともに、昇任に向けた具体的なイメージを持ちやすくし、昇任意欲が向上するよう取り組んでまいります。
これに併せまして、各職場において管理職自らがワーク・ライフ・バランスを踏まえた仕事の進め方を体現するとともに、職員に対して実体験に基づくアドバイスを行いながら受験勧奨を行うことにより、力のある職員が積極的に管理職昇任にチャレンジできるような職場風土を醸成してまいりたいと考えております。
◆中山みずほ 委員 今の御答弁でありましたように、ライフイベントが昇任時期と重なるのは多分一生続くと思うんです。それが要因であることは確かですけれども、それだけを理由にしていただきたくないのと、必ずこういうときには常套句で、昇任意欲を向上する女性側に問題があるかのような言われ方をします。これは、前にも申し上げたとおり、やっぱり職場の中で重点課題として取り上げていただきたいとお伝えしまして、私の質問を終わりまして、藤井委員に替わりたいと思います。
◆藤井まな 委員 私からはまず、防犯情報についてというテーマで質問をさせていただきたいと思います。
ちょうど昨日の九月三十日、砧地域でアポ電詐欺が集中的に固定電話にかかってくるという情報が警察からも発表されました。この一週間で同じようなアポ電詐欺、キャッシュカードを落としていませんか、不正に使われていますみたいなところが、昨日の三十日には砧、九月二十五日には宇奈根・大蔵地域、九月二十三日には三宿・太子堂地域にこういった電話がかかってきている。固定電話を狙っているので、地域が分かるわけですね。それがタイムリーに各警察署から広報されていく。
また、九月二十二日には上用賀で強盗事件があったわけです。押し込まれて、暴行を受けて、お金を取られるという大変危険な犯罪がありまして、これは九月二十二日夕方に発生した事件なんですけれども、警察は当然その日のうちに情報を流しているわけですが、世田谷区が情報を流したのは次の日になっているわけです。
あとは九月十三日、この日は実は世田谷区内、弦巻と経堂で公然わいせつ事件が二件起きていて、こういうものが二件起きていると同じ犯人かなとかなんとかというのが気になったりするんですけれども、各警察署の発表を見てみると、犯人像が違うので、これは別々の事件だということが分かるわけです。
こういった様々な情報が警察署から出ているわけですけれども、これを残念ながら世田谷区はタイムリーに伝え切れていないと思います。一日遅れるだけでも、その日にアポ電詐欺がその地域にかかってきているわけですから、まさに警察発表をタイムリーに。私が理想とするのは、もう警察発表と同時に世田谷区のツイッターとか各総合支所で情報発信とかができるようにしていかないと、せっかく警察が広報しているのは意味がないのではないかなと思うんですけれども、こういったシステムをつくっていくことはできないんでしょうか、御質問します。
◎吉田
地域生活安全課長 まず、区内で発生した事件事故や特殊詐欺に関するアポ電情報などの防犯情報を区民の方々に発信することにつきましては、自身の防犯意識を高めることにつながりまして、結果、被害拡大や二次被害を防止できる効果、さらには、地域の方々が声をかけ合い、互いを注意喚起するなど地域全体の防犯力を高めるといった効果があるものと認識しております。
区では区民の安全安心を確保するために、区内及び隣接自治体で発生いたしました刃物使用による事件、子どもを対象とした事件、さらには、特殊詐欺の予兆行為であるアポ電情報、重大な交通事故情報などについて災害・防犯情報メール、また、ツイッター、ホームページ、区のあらゆる媒体を使いまして情報を発信しております。また、区内警察署からの情報を受けまして、このアポ電集中地域へは世田谷区二十四時間安全安心パトロールカーを急行させ、地域にスポットを当てた注意喚起に努めているところでございます。
このシステム、警察からのメールけいしちょうを受信し、さらにタイムリーに発信するという状況につきましては、現在災害・防犯情報メールにつきましては企業が替わるという状況もありますので、そういった企業と相談の上、今後検討していく必要はあるかと思いますが、現在まではそれができていない状況でありますので、警察から発信された情報はタイムリーに、迅速に、正確に発信するよう心がけていきたいと思っております。
◆藤井まな 委員 システムをつくるにはお金がかかるということで、ならば今できることは、本当にできる限り早くその情報をキャッチして、できる限り早くツイッターとかに載せるということだと思いますので、一年間に一億円以上の被害がいまだにそういった詐欺で出ているわけですから、タイムリーな情報というのが必要だと思いますし、いかに情報を発信しても見てもらわなければ意味がないわけですから、そのツイッターのフォロワー数とか、災害・防犯情報メールに登録してくれる人というのをもっと増やしていく必要があると思いますけれども、そこに関しては区はどうですか。
◎吉田
地域生活安全課長 区の発信する防犯情報などを広く区民に周知していくためには、災害・防犯情報メールなどの利用登録者を増やしていくことは大変重要と認識しております。今後、区のホームページや「区のおしらせ」または新しい防犯啓発チラシや防犯冊子を作成する際、QRコードなどを掲載していくことに努めまして、広く区民に周知いたしまして、利用者登録数を増やしていくといった工夫をさせていただきます。
さらに、地域で実施いたします防犯イベントや犯罪ゼロの日などの機会を捉えまして、町会・自治会、PTAや自主防犯パトロール団体に対しまして、防犯意識を高めるツールとして災害・防犯情報メールやメールけいしちょうの普及に努めていきたいと考えております。
◆藤井まな 委員 しっかりと防犯情報の迅速化を進めていただきたいと思います。
次に、公契約条例について質問を行います。
今日、十月一日、残念ながら東京は千十三円ということで最低賃金据置き。お隣の神奈川県とかは一円上がったそうでありますけれども、残念ながら最低賃金は据え置かれたわけですが、こういう状況だから最低賃金を上げなくていいという話には僕はならないと思っていて、最低賃金を上げていって、働く人たちの生活のために賃金を上げていく、内需を拡大していくということは私は個人的には重要だと思っています。もちろんこういったコロナの状況下で企業側のことも考えれば、そう簡単に賃金を上げられないというのももちろん理解できる話であります。
これは公契約条例も同じでございまして、本来であれば、毎年毎年私は公契約条例、労働報酬下限額を上げていくべきだという話をずっとさせていただきましたけれども、もちろんこの状況ですから上げていこうという議論にはなかなかならないと思いますけれども、まさかこれを下げていくという話が出ないように私はしていただきたいと思うんです。もう適正化委員会の会合も再開したと聞いておりますけれども、こういった労働報酬下限額の今の流れについては世田谷区はどう思っていらっしゃるのか、お伺いします。
◎阿部 経理課長 昨年十一月に公契約適正化委員会より提出された意見書を受けまして、令和二年四月一日からの工事請負契約の労働報酬下限額。こちらは東京都公共工事設計労務単価の八五%相当、また、工事以外の委託契約等の労働報酬下限額については、区職員の高卒初任給相当額である一時間当たり千百三十円として設定をしております。特に委託契約等に係る令和三年度の下限額につきましては、今年度に行われる特別区人事委員会の給与勧告を基に公契約適正化委員会の労働報酬専門部会で審議されることとなっております。今年度の勧告は、
新型コロナウイルス感染症の影響で例年より遅れる見通しと聞いておりますけれども、専門部会での審議を経て、改めて公契約適正化委員会より意見書をいただく予定となっております。
区といたしましては、この意見書の内容を十分尊重しまして、区の財政状況等も考慮した上で判断してまいります。
◆藤井まな 委員 人事委員会の勧告も、適正化委員会の意見ももちろん大事ではありますけれども、我々としては、最低でも労働報酬下限額は維持していくことを行っていただきたいということは区にお伝えをさせていただきたいと思います。
そして、労働報酬下限額を上げられないという状況において、じゃ、次の年に何が大事かということになってくると、僕は二つの視点が大事だと思っていて、今まで私も求めてまいりましたけれども、今こそしっかりと職種別の労働報酬下限額というものを設定していく。もちろん金額を幾らにするかというのはすぐに一足飛びに決めることはできないけれども、労働報酬下限額の職種別を行っていくということをまず方針としてしっかり決めること。そして、あとは実効性の担保ですよね。例えば工事現場の人たちとかが本当にこの労働報酬下限額をもらっているのかという実効性の担保ということも必要だと思います。この職種別の設定をするという方向性を打ち出すことと今年しっかりと実効性の担保をやっていただきたいと思いますけれども、区の考え方をお伺いをさせていただきます。
◎阿部 経理課長 お話にありました職種別の下限額につきましては、今現在、業務や職種を問わず、確かに一くくりにした額でお示しをしているところです。これにつきましては、これまでの公契約適正化委員会の中でもぜひ検討すべきという御意見をいただいておりまして、区はこれを受けて、昨年六月に職種別の労働報酬の在り方についても委員会へ諮問を行ったところです。現在、委員会の労働報酬専門部会では、区の委託契約等における各職種。例えば保育士、看護師ですとか、こういった方が実際に従事している業務内容やその労働時間といった労働実態の把握の必要性などについて御意見が交わされているところでして、区は今後も十分議論が尽くされるよう必要な資料や情報の提供に努めてまいります。
一方、実効性の担保についても、今年度、現場の実態調査なんかも行いまして、その結果、アンケートをまとめたものを委員会に提示し、また、同様に御議論をいただいているところです。今年度末には委員会から答申をいただく予定でございますので、この答申内容を十分に踏まえ、労働実態に即したよい環境となるよう、職種別の労働報酬の在り方、あるいは条例の今後の施策展開に生かしてまいりたいと考えております。
◆藤井まな 委員 前から求めていますとおり、看護師や、保健師さん、栄養士さん、保育士さん、もちろん様々ほかにも職種はありますけれども、こういった部分の職種別の労働報酬下限額というものを設定する方針をしっかりと示していただきたいということをお願いをさせていただきます。
そして、実効性の担保に関しては、世田谷区はしっかり見ているという話を今しておりましたけれども、区内の建設団体で調査をしたところによると、これが実際に、二次請け、三次請け、どんどんどんどん下に下がっていって、一番下の現場で働いている人たちが本当にその賃金をもらえているかというと、もらえていないという事例があったという話を聞いていますので、そこまでしっかり世田谷区が丁寧に調査をして、本当に全部大丈夫なのかということをいま一度確認していただいて、実効性の担保ということを胸を張って言えるような状況にしていただきたいと思います。
また、今建設現場のお話をさせていただきましたけれども、代表質問で風間幹事長から、建設キャリアアップシステムのお話をさせていただきました。これは建設に従事する人たちが技能や経験をしっかり蓄積していく、そして分かるように見える化していこうという新しいシステムでありますけれども、これは国がどんどん進めていくべきだという話をしていますし、大手のゼネコンの中では、もう既にこれを採用、登録することが当たり前になっている会社もあるそうであります。
前回の代表質問の答弁では、世田谷区は、産業政策の部門が関係各所管と連携をして取り組んでいくというふうなお話をされていました。まさに関係所管の一つが経理課だと私は思っていますから、こういった建設キャリアアップシステムという観点を入れる会社というものが当たり前になっていくようなことを経理の視点からも行っていただきたいと思いますけれども、そのことについて考え方はいかがでしょうか。
◎阿部 経理課長 区は公契約における労働者の適正な労働環境や業務の質を確保することなどを目的に公契約条例を制定しておりまして、公契約の従事者の社会保険への加入や労働報酬下限額などについて、労働条件確認帳票を事業者から提出していただき、各事業所管課で確認するなどの取組を行っております。
お話しの建設キャリアアップシステムにつきましては、技能者が経験や技能に応じた適切な処遇を受けられる労働環境の整備を図ることで、人材の確保育成につなげ、工事の品質の確保を目指していく仕組みであり、区の公契約条例の理念に通ずるものと考えております。
今後も国等の取組状況を踏まえまして公共事業での活用などの対応について、経済産業部門を含めた関係所管と検討を進めてまいります。
◆藤井まな 委員 建設キャリアアップシステムというのが当たり前になっていくように、周知徹底も同時にお願いをしたいと思います。
先ほど他会派からも出ました避難所についても質問をしていきたいと思っているんですけれども、私は今まで協定の提言をずっとしてきましたけれども、一番最近だと、前回の一般質問において、広い駐車場を持っているところであるとか、立体駐車場を持っているところ。区内に百台以上駐車可能な民間施設は十か所以上あるという話を、私も個人的に調査をさせていただいて、一般質問でも話させていただきましたけれども、民間企業と世田谷区はそういった話合いを進めている最中だ、話合いを進めるという答弁をされていましたけれども、現状として、そういった駐車場を災害時に活用する、ソーシャルディスタンスがしっかりと確保できるような状況をつくり出す避難行動につなげていくということに関して区の現状をお伺いいたします。
◎若松 危機管理部副参事 現在、複数の民間事業者に対して、大型の台風が接近、上陸するおそれがあり、店舗の臨時休業の決定などの際に、自家用車で自主避難する区民に対して、店舗の駐車場を一時的な避難場所として利用させていただけないか、協力の打診をしているところでございます。
区といたしましては、民間事業者とのやり取りを続けていくことで、今後も新たな自主避難の方策や場所の確保について鋭意取組を進めてまいります。
◆藤井まな 委員 既に協力の打診をしたというところでありますけれども、今やっている会社がどこだかはあえてここでは聞きませんけれども、世田谷区内に十か所ありますから、広くまた協力の打診を行っていただきたいということをお願いをさせていただきます。
また、僕はホテルとか宿泊施設に関しても打診を行っていくとか、協定を結んでいただきたいという提言を前回の一般質問で行わせていただきましたので、それも同時にしっかりと進めていただきたいんですけれども、もっと僕が大事に思っているのは実はその前の一般質問。つまり三回前の一般質問のときに私が提言をさせていただいた、地域とマンションと世田谷区が協定を結ぶ防災三者協定。例えば震災時であれば、今は新しいマンションであれば大変に耐震性も強いわけですから、そのマンションに住んでいない人たちがそこに避難をするであるとか、例えば台風であれば垂直避難ということができるわけです。そういった震災、地震に対しても、水害に対しても、高層マンションと地域の人たちが協定を結ぶということは大事でありますし、地域の分断が叫ばれる世の中、この昨今、そういった協定をしっかり進めなければいけないと思いますけれども、そこに関しては世田谷区は今どういった状況であるか、お伺いをさせていただきます。
◎若松 危機管理部副参事 区、マンション管理組合、町会などの三者による協定につきましては、それぞれが日頃からの交流を深め、お互いの強みを補完し合うことで、災害に強いまちづくりを進めていくものと考えております。例えば内水氾濫の発生による緊急かつ一時的な避難場所としての高層マンションの活用につきましては、災害発生時の共助の取組として有効と言える反面、多くのマンションには強固なセキュリティーがかかっていること、マンション住民の理解を得る必要があること、また、多数の区民が集まることによる感染症対策などクリアしなければならないハードルが多くございます。そうしたことから、高層マンションを活用する避難に関する三者協定の締結に向けましては様々な課題はございますが、今後も引き続き関係部署と連携を図り、問題解決に向けた方策を探ってまいります。
◆藤井まな 委員 いきなり協定を結んでくれと言っても、難しいという話ですよね。もちろん高層マンションは新しい住民の人たちがいきなり来ているわけですから、今までいた地域の人と連携していくのは難しいと思いますけれども、課題が今幾つか副参事から言われましたので、じゃ、その課題を一つ一つ解決していくというところからしっかり始めていただきたいと思います。
私の質問の最後に、午前中、板井委員からも、水害時の要配慮者の話とかがいろいろ出ていましたけれども、私は、水害時においても、今現在まだない福祉避難所というものをしっかりつくっていくべきだと個人的には思っているんです。なかなか新しいマニュアルとかを見ていても、震災時は当然福祉避難所は随分と多く記載がありましたけれども、水害時に何で福祉避難所という概念が存在しないのか。私、すごい不思議なんですけれども、そこら辺を区ではどう考えているのか、お伺いさせていただきます。
◎前島 災害対策課長 お話しいただきました福祉避難所につきましては、高齢者、障害者、母子という三つのカテゴリーで協定を結び、開設することになってございます。現状としましては、地震時を想定し、主に一次を想定し開設することとして、まずは指定避難所に行き、そこから優先度、開設する施設との調整により、福祉避難所に移動していただいて、滞在していただくという方式を取ってございます。そのため、地震時の想定を主に検討してきているということもございますので、今後は水害時についての検討についても、福祉所管を中心に検討していく必要があるかと考えております。そのため、その検討については危機管理部も関わりまして、その検討に加わってまいります。
◆藤井まな 委員 今は水害時の中に福祉避難所という文字すらないので、検討していきますでも何でもいいですけれども、そういうときには何か考えているよ、区は考えているんだよというところはしっかりPRをしていただきたいということを申し述べまして、中村委員と交代をさせていただきます。
◆中村公太朗 委員 決算、予算というのは、一般質問、代表質問と違って、生でやり取りができる貴重な機会であるがゆえに、やっぱり効果的にというか、本当に区政を前に進めていく、課題を乗り越えていく有意義な議論をしていかなければいけない時間なんだなと改めて思うわけなんです。これまでも言ってきましたけれども、自戒を込めて、やっぱり我々議会は、チェック機能であると同時に提案機能でもありますから、提案をする際には、あれやれ、これやれだけでなくて、しっかり財源、そのお金はどうするのかということも含めて提示していく、責任ある提案をもっと心がけなければいけないなと自戒も込めて思っていますし、それがないと役所側は、いや、分かりました、おっしゃることは分かるけれども、じゃ、どうするの、お金はどこから持ってくるのとは言いませんけれども、顔に出ている方はたくさんいらっしゃいますし、結果として、検討します、研究しますで塩漬け状態という、何も進展のないやり取りで進んできたのがこれまでの部分の大きなところを占めているのかなと思うと、これだけの緊急事態で前に進めていくためには、議会側も具体的な提案をしっかりとして、行政もちゃんと考えて、それに対して駄目なら駄目、いけるなら、ちゃんと検討して打ち返すということがこれまで以上に求められていくんだろうなと思います。
一般質問で契約見直しについても、さっき板井委員が怒っていましたけれども、僕も同じような感覚を持っています。やる気がまだまだないですよと。熊本区長時代の事業見直しは時代に応じてやったものだろうと思っていますが、それ以降、区長がやってきた削減、プレハブ化、電算機を削減しましたというのと、あとは―分からないですけれども、そのぐらいかな。(「長寿命化」と呼ぶ者あり)ありましたっけ、長寿命化。興味のあることはやるなと思います。歳出を伴う新しい政策には興味があるけれども、基本的に歳出削減についての取組というのはいまいち興味がないのではないかなという感覚は僕も持っています。
でも、その中で行政の皆さんがそれに足並みを合わせていけないと思うし、来年度、六十二億円下げなければいけないので、本当にあらゆる知恵とアイデアと努力をしていただいて削っていただきたいなと思うし、後ほど触れますけれども、所管任せになっている現状だと温度差もあるし、やらないところも出てくると思うし、インセンティブがない中でほかにもやることがあるということでは、この捻出は、歳出削減は進んでいかないんだろうなと思いますので、改めて質問していきたいと思っています。
具体的になんですけれども、先ほど河村委員からもファシリティーマネジメントですか。これも後ほど触れますが、ありましたけれども、その中の一つに複合機という話がありました。僕も具体的に、一括契約をすることで、スケールメリットで経費が大幅に削減できるものの一つとして複合機を捉えています。今回総務課長に大分御努力をいただいて、現状、各所管、各総合支所等でそれぞれ契約をされている複合機。カラープリンターであり、コピー機ですね。世田谷区では現状、全部で三百五十九台持っています。年間リース料が総額二千万円、年間保守費用で四千万円、計六千万円かかっていますということだったんです。
一般質問でも触れましたけれども、実際に調査をして、民間同士の中でどの程度の金額ベースで動いているかを把握しない限り削れないですよということなので、今回は全く利害関係のない、それを仕事にされている方をアドバイザーとして、総務課長、経理課長、経営改革・
官民連携担当課長そろってもらって分析してもらいました。結果として、共有していますけれども、安く見積もって三分の二は下がります、ちゃんとやれば半分ぐらいいくかもしれませんよということなんですよ。これだけで二千万円から三千万円の税金がほかのことに使える。これだけのコロナ禍で税収も下がる、やらなければならないことも多い。もちろん確定ではありませんよ。まだまだ部署によって使わなければいけないもの、必要な機能等々あると思いますから、細かく契約していかなければいけませんけれども、少なくともメーカーをそろえる、一括契約をすることで大幅に削減ができるというアドバイスをいただきました。あれが一週間ぐらい前ですか。これまでの経緯と現在の検討状況を伺います。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 御紹介いただきました複合機に関する民間のノウハウを生かしました効率的な調達という観点でございます。
その中で言いますと、本庁舎で調達しております複合機につきましては、一括契約ということでスケールメリットを生かした状況になっておりまして、ある程度妥当な金額に近いものになっているかと認識しております。こういった状況につきまして庁内で共有をいたしまして、少なくともそういった適正な相場観の共有をまずは図っていきたいと考えているところでございます。
◆中村公太朗 委員 適正な相場観を共有したところで、それぞれで契約していたら、小さなロットの契約だと単価は変わらないんですよ。それを言われたところで、いや、うちはできませんと所管は打ち返してくると思うんですけれども、その辺はどうお考えですか。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 それぞれ複合機の契約調達につきましては、一定期間の長期継続契約という形になっている部分がございますので、その切れ目のばらつき等もあるかと思います。その辺につきまして、タイミングを見計らいまして整理をかけて、可能であれば一本化ということも検討してまいりたいと考えております。
◆中村公太朗 委員 それが悠長なんですよ。いや、分かりますよ。これから検討が必要なんだと思うんです。ただ、様子を見てとか、期限を区切らなくて大丈夫ですか。結局さっき言ったことと一緒なんですよ。検討します、研究しますで期限を区切らない。結局二か月、三か月置いて、一年置いて、三年置いて。もう常に必要になることが目に見えているわけではないですか。そこに対してのスピード感であり、ステップというものをどう考えているか。これは経営改革なのか、分かりませんよ。もっと全庁的な話だと思いますけれども、そこに対しては危機感がない、明確な答えがないということをさっき怒られた―怒られたと言うと語弊がありますね。そういう意見が出たわけではないですか。だから、ぬるいのではないか、本気ではないのではないかという指摘があったのではないんですか。どう考えますか。
◎中村 政策経営部長 今コロナ禍で厳しい財政状況に直面していますけれども、今の業務見直しというのは、かつては、例えば学校の給食調理ですとか、警備の委託ですとか、定員適正化。この間、千人減らしましたけれども、そういう大きいところはほとんど着手してきていて、今できるというか、方針としているのは、本質的な見直しという言い方をしていますけれども、施策事業一つ一つを見直している、それを積み上げていくということをしていこうと思っています。
その中で、御提案の物品調達を横断的に見ていくということは重要な視点だと考えています。考え方として、各部、各所属それぞれの直接的な目的は、高齢者、障害者、子ども支援ですとか、都市づくりとか、そういうところが組織目標になっていますので、その手段の物品をいかに効率的に追求するかという視点は、やはり違う所属で見ていくというのが必要だと思います。
先ほど他会派の答弁の中で、具体的にはお金の通る過程で、予算査定の中で財政担当部と政策経営部とで当たりたいという答弁をしました。これはぜひやらせていただきたいと思いますが、それに加えて、この間、試みとして、民間のアドバイザーからそういう回答を得たということもありますし、その点についても検討させていただきたいと思います。
◆中村公太朗 委員 言いたいことはありますが、まずは先に進みます。
もう一点は庁有車なんですよ。庁有車は今現在三百十一台ですね。経理課が自由に貸せるような二十台程度は持っていますが、それ以外は、基本、各所管で保有をしている、管理をしているのが約三百台弱ありますね。リース、購入についての費用であったり、保険については一括で契約をしていますということですけれども、一方で、車検であったりとか、修理は保険にかかるのかな。私は分かりませんが、それについては保持をしている各所管で実施しているということのようですけれども、車検だって普通に考えれば二年に一回、三百十一台あるということは毎年百五十台はありますということになるわけですよ。これはスケールメリットで安くなったりしないんですか。
◎阿部 経理課長 お話しございました庁有車の車検でございますけれども、今おっしゃっていただいたとおり、現状としては保有所管課ごとに、各車の車検時期ごとに実際にその検査を実施しているという状況です。各庁有車の車検時期についてだけは経理課でも全て把握しているんですけれども、実際どこの実施工場で行われているですとか、その辺の詳細までは把握できていないのが現実でございます。ですので、やっぱりその状況把握をまず行って、その上で、おっしゃるような一定程度のまとまりで発注することが可能になるのか。メーカーとかの違いで結局メリットが出るのか、出ないのかですとか、その辺。あるいは、例えばこういったことを入札にかけるときにどのような条件であれば多くの事業者の手が挙がるのか。申し訳ないんですが、そういったところをこれから急ぎ課題整理しまして、ぜひ検討を進めていきたいと考えております。
◆中村公太朗 委員 前向きな答弁だと思うんですけれども、急ぎのスケジュール感が一番重要だと思うんですね。この時期ですから来年度予算云々ということは分かりませんけれども、来年度の再来年度の概算要求に向けて組み直すみたいな話になられたら、それはそれで困るし、調べるのも含めて、遅くても数か月で検討結果を全て出すぐらいのスピード感でやっていかないと、いつまでたっても無駄なお金を垂れ流し続けるという構図は変わらないと思いますよ。
もう一点、庁有車に関しては、お金ではないですけれども、提案をというか、指摘したいと思いますが、皆さん、議会の控室から下を見ると、議会の駐車場も見えますけれども、その横にずらっといつも車が止まっているんですよ、稼働していないんですよ。いろんな事情があって動いていない車もあるんでしょうけれども、あまりにも止まっている、誰も使っていない車があり過ぎるなというのが僕の個人的な感想なんです。そこから今どういうやり取りをしているのかと聞いたら、先ほど言った経理課が保有する誰でも予約をして借りられるのかな。分からないんですけれども、その二十台以外の各所管で保有している車というのは、自分たちが使わないときは置いてあって、どこか必要な部署ができたときには、部署間で独自に連絡を取って、おたくは空いていないかというようなやり取りをしているということなんですよ。多分これは、細かいことは言いませんけれども、そんなにうまくいかないですよ。やっぱり非効率は生まれます。簡単に庁内のシステムで、今どこが空いています、じゃ、予約を入れますというシステム。お金もかからないと思いますし、組めないものなんですか。それでこそ、初めてふだんは全然連絡を取ることのない部署にあることも分かるし、借りられると思うんですよ。その上で、本当にうまく稼働するんだったら、台数を削ることだって可能だと思うんですね。
確かに懸念点というか、一つ言われたのは、工事系の車だと後ろに脚立が積んであるとか、人があまり乗れないとか、もしくは緊急で必要な場合、ほかに貸していたら動けないということも例外としてはあるんでしょうけれども、少なくとも非効率をなくすために、今当たり前に行われているような予約システム。簡単な予約システムかも分かりませんけれども、現状を知らせる予約システムみたいなことを組めば、もっと効率的な貸し借り、運用ができるのではないかと思いますが、いかがですか。
◎阿部 経理課長 現在でも、お話しありましたとおり、各部内での共有化は一定程度図られていると認識しておりますけれども、お話しのようにその範囲を広げて、例えば予約管理のような仕組みをつくることは、やはり利便性の向上にもつながると考えられます。お話にもありましたとおり、今後の本庁舎棟整備に向けては車両台数減ということも課題になっておりますので、この観点からも、さらに効率的な運用改善について検討を進めていきたいと考えております。
◆中村公太朗 委員 各部署の持っている車の問題であったりとか、さっき言った各部署の複合機の問題とか、やっぱりちょっと対処的に見ないと、ロットも含めて、契約も含めて、削減できるという提案は所管ではなかなか上げづらいと思うんですよ。問題意識を持ちづらいと思うんですよ。なので、一般質問でそういうところに特化した別の機能を置くべきだと。今日くしくも河村委員が言っていたファシリティーマネジメント部みたいなものでもいいと思うんですけれども、僕の感覚はもう少し経費削減とか契約見直しに特価した機能でいいと思っていますが、それを各部署ではない実務を行う、現場で行うところに置いて、そこがしっかりと民間の市場動向、市場価格等も調べた上でアドバイスをするというような形にするのが一番効率的、効果的なのではないかと思うんです。先ほどそういう部分の機能の可能性もほのめかしていらっしゃいましたけれども、政策経営部長、いかがですか。
◎中村 政策経営部長 そのことについては、部内で少し話合いをして検討しました。まずは、お金が流れるタイミングでチェックをするのが効率的だろうということで、財政課。ただ、財政課の予算査定の中でそれを全部するというのはなかなか困難ですし、そういうところでは政策経営部の特に経営改革・官民連携担当課が業務改善とか行政改革を担当していますので、その視点からやっていきたい。この両部でやっていきたいと思っています。
先ほど民間アドバイザーのお話をいただきましたけれども、お話を聞いて、テーマを決めて、成功事例を横展開していくという方法ができないかと考えています。組織的には、今ある組織を生かして、どうにか対応できればと現段階では考えています。
◆中村公太朗 委員 議会にはいろいろなスタンスの人もいるし、いろいろな考えの方もいらっしゃいますから、様々具体的な提案がこの後飛ぶと思いますけれども、とにかく寝かせることなく、何となく先送りすることなく、駄目なら駄目で結論を出すべきだと思います。いつまでたっても検討します、研究していますという逃げ口上ではなくて、駄目なら駄目と言い切ったほうがいいと思うし、もちろん前向きに検討した上で、ちゃんとした努力をした上でだと思いますが、やれるものはどんどんやっていく、スピード感を持って早めに結論を出していく。もう一年も二年も寝かせるようなことがないように取り組んでいただかないと、コロナ禍での―コロナ禍に限りませんよね。一括購入で安くしろなんていうのは本来恒常的に行われていかなければいけない問題だと思うんですよ。民間企業では当たり前に行われていることだと思うんですよね。そのずれを認識をした上で、ぜひスピード感を持った、責任ある結論を出していただきたいなと思います。
あまり時間がないので、最後、区内事業者の育成。
自民党の代表質問でもそういう話がありまして、先ほどの河村委員とはここまでは全く同じ方向を向いていたんですけれども、今度は真逆になります。区内事業者は確かに区民で納税者ですけれども、そこに使われる税金は区内事業者だけではない区民の税金も使われるわけですよ。そういう意味で、全ての納税者から集めた税金をどう区民のために使うかということを考えていただきたいという前提で―時間がない―伺います。
今後、区内事業者を増やしていくというようなニュアンスの発言がありましたけれども、そうすると、競争性が鈍くなり、余計な税金がこれまで以上にかかると思うんですが、それは幾らぐらいを読んでいて、それは区内事業者のために出すんだと認識をしているのか、伺います。
◎阿部 経理課長 すみません、金額で確定しているわけではありませんので、あくまでもその案件の内容に応じて、区内で十分な競争性の確保ができるのであれば区内事業者で、それができないのであれば区外事業者も入れて検討するということでございます。
◆中村公太朗 委員 そうすると、結論としては、落札の金額がそこまで大きく変動するという想定はないということで認識をします。
以上です。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で、世田谷立憲民主党社民党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後零時十九分休憩
──────────────────
午後一時十分開議
○真鍋よしゆき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
無所属・世田谷行革一一〇番・維新、どうぞ。
◆田中優子 委員 無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質問を始めます。
まず、特別定額給付金、いわゆる十万円給付について伺います。
あまりにも給付が遅く、多くの区民の皆様に迷惑をかけてしまったことを踏まえ、総括が必要であると思いますが、今回はそのための検証をできるだけ詳細にしたいと考えます。給付事務作業はオンライン申請と郵送による申請の二種類があり、それぞれに課題、問題があったわけですが、時間の関係で、今日は事務委託をした郵送による申請について取り上げます。
端的に言って、世田谷区は人口が九十二万人以上、世帯数も五十万近くあり、作業が大変であることは当初から予測されていたことではないでしょうか。にもかかわらず、なぜ遅い、遅いと言われ続けたのか。事務委託の内容の検討や見込み、予測が甘かった。それに尽きるのではないかと思いますが、区としてはどのようにお考えでしょうか。
◎山田
特別定額給付金担当課長 全四十九万世帯の大規模な給付金事業であることに加えまして、
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として初のオンライン申請の導入、また、外国人も対象となるなど作業内容や工程に工夫が必要でございます。類似事業やオンライン申請などの情報収集を行いながら、関係所管と調整し、処理手順やスケジュール、体制を決めてまいりました。これまでの類似の給付事業の経験を踏まえまして、限られた時間の中で事業者と役割やスケジュールを調整してまいりましたが、受付開始から十日ほどで三十三万件を超えるなど想定を上回る申請数があったことや、事業者の申請書処理、いわゆる開封、確認、データ入力の関係ですが、それらの開始が遅れたこと、さらには、当初の一日の処理件数が少なかったことなどが今回の給付金を速やかに給付できなかった要因ではないかと考えてございます。
◆田中優子 委員 受付開始から十日ほどで三十三万件を超えた、想定を上回ったとおっしゃっていますけれども、そんなものは言い訳にならないと思うんです。十日間でほぼ全ての世帯が申請してくることだって、可能性としてはあるわけですよ。また、処理の開始が遅れたのはなぜかと、当初の一日の処理件数が少なかったとさらっと言っていますけれども、なぜそのようなことになってしまったのか、原因について伺います。
◎山田
特別定額給付金担当課長 委託事業者と契約当初から調整してまいりましたが、事業者側の人員確保やシステム開発等の調整に時間を要したことで処理の開始が遅れたと考えてございます。一日の処理件数でございますが、委託事業者が世田谷区をはじめ複数の自治体から同じ業務を受託し、その中で最多の処理件数を提示されたことから、まずは一日八千四百件として開始せざるを得なかったところでございます。
◆田中優子 委員 今の御答弁ですと、まずは委託事業者の事情ありき、そちらのスケジュールに区が合わせたみたいに感じます。一日約八千四百件で開始したと言っていますけれども、私がそれを知ったのは六月議会なんですけれども、もう唖然としました。単純に割り算すれば、もう三か月以上優にかかってしまうではないですか。今さら言っても遅いんですけれども、なぜそのような甘い件数でよしとしたのか。委託事業者の言いなりですか、それでよかったんですか。では、そのように様々な見込みが甘かったことで、一体どれだけの想定外の負荷というものが、本来かかるべきでない職員にかかったのかについて伺います。
◎山田
特別定額給付金担当課長 開封や入力処理が開始された後も、既に到着している申請も三十万件を超えている中で、一日の処理が約八千四百件だったことから、到着している申請書の処理がなかなか進まない状態でございました。そのため、給付を待つ区民からのお問合せが殺到いたしまして、日中はその電話対応に時間を費やしたこと、関係書類の提出を求める連絡や支出事務など給付に向けた事務処理を時間外にて対応せざるを得なくなりました。それに加えまして、事業者では確認が困難が代理申請であったり、給付金としては初の外国人からの申請では振込口座の名義を確認するなど区で確認しなければならないケースが多うございました。それが二十人の職員体制では対応できなかったため、さらに追加の兼務であったり、応援職員によって対応せざるを得ないような状況でございました。
◆田中優子 委員 本来委託業者に任せておけば済んだであろうことに対し、区の職員にどれだけの負荷がかかったことかと思います。担当がとても大変だったことはよく分かりますけれども、待っている区民からしたら、そんなことは全く関係ないわけですね。五月二十八日に郵送での申請書が発送されて、もう一か月半も過ぎた七月十五日の時点で申請数は約四十五万一千件以上に達していました。にもかかわらず、処理件数は二十六万件に満たない、約十九万二千件が取り残されていました。このような状況から、六月中旬から八月過ぎまで、なぜこんなに時間がかかるのだ、もう遅い、遅い、本当に困っています、何とかしてくださいという声が毎日毎日SNS上に上がっていて、私のところにも区民の方々からの問合せ、苦情が殺到していました。その都度区の担当に、忙しいと分かっていながらも状況を確認したり、遅くて申し訳ないと謝ったりの繰り返しの日々で、区の職員の皆さんも大変だったであろうことは分かりますけれども、もう私だけでなく、多くの議員も同じような状況にあったことと思います。
先ほども言いましたが、六月議会で一日の処理件数を当初八千四百件で進めていたと聞いて、そんなことではもう絶望的だよと思いまして、私は何としても処理件数を増やす努力をしてほしいと訴えました。そして、その再質問のときに宮崎副区長から、委託業者と金融機関に依頼して、なるべく早く、一日でも早くお手元に届くように頑張りたいという力強い答弁があり、その後、しばらくかかりましたが、約二倍の一万五千件までスピードアップすることができたという経緯をたどりました。でも、まだ遅い、遅いという声は止まりませんでした。当初の八千四百件のままだったらと思うと本当に恐ろしくなります。
給付のための作業にかかる費用は全額国が負担ということですけれども、はっきり上限というのはない、目安額というものが示されていたと聞いています。一日八千四百件から一万五千件に処理件数を増やしたことで、委託業者トッパン・フォームズ株式会社にはどのような変更が生じたのか、それに対して増額された金額はどのくらいか、伺います。
◎山田
特別定額給付金担当課長 主に申請書処理にかかります人員体制の強化が図られまして、処理件数増加に係る変更金額でございますが、税込みで六千五十万円でございます。
◆田中優子 委員 六千万円を超える契約変更だったということですけれども、その委託費は、総額で言うと幾らから幾らになったのか、お答えください。
◎山田
特別定額給付金担当課長 一元的な委託の内容は、申請書の印刷、発送、処理作業であったり臨時窓口の対応、専用ダイヤル、勧奨通知の発送などを行っておりまして、金額につきましては、当初の契約額としましては五億六千三十四万九千八百九十四円でございます。
◆田中優子 委員 国費としては大体上限とはっきり決まっているわけではないんですけれども、世田谷区の規模だったらどのぐらいまで出せると聞いていますか。その金額だけでいいので教えてください。
◎山田
特別定額給付金担当課長 国から示されています額につきましては、交付目安額としまして約八億六千万円から九億二千万円となってございます。
◆田中優子 委員 委託事業費以外にも諸経費、人件費とか、いろいろかかるというのは聞いていますけれども、やっぱり九億二千万円まで示されていたのであれば、もう少し事務費がかかってもいいから最初からスピードアップできるような制度設計、やっぱり制度設計が甘かったなと言わざるを得ません。
一方で、今回はDV被害者などからの申請に対しては特段の配慮というものをして、個別対応がなされました。それは必要なことで、よかったと思いますが、そもそも特別定額給付金は
新型コロナウイルスの影響で経済的に困窮された方が多くいる。そのためのものですから、急がなければならなかった。世田谷区は人数が多いので、なかなか全員急ぐことはできない。であれば、経済的に困窮した方、どうしても急ぎたい方も特別に同様の個別対応をすべきであると私たちの会派ではさんざん要望しておりました。実際にその対応をした自治体もあり、早く給付され、本当に助かりました、感謝していますという声がニュースでも流れていました。世田谷区ではその対応をしなかったために、困っている人も、困っていない人もごちゃ混ぜで、何十万件もの申請が一気にたまってしまいました。全く急ぐ必要のない人に早く届いて、本当に困っている方が後回しになってしまったということが起きているわけです。なぜそのような対応をしなかったのかについて伺いたい。
また、オンライン申請がとんでもない代物だったということ。ここでは詳細に説明しませんけれども、本当に区の職員の大変な労力と時間を要することはすぐに分かったはずです。他自治体では郵送で申請していただいたほうが早いですと案内し、すぐにオンライン申請を中止したところもありました。翻って、世田谷区でオンライン申請を止めたのは六月十二日です。もう既に三万四千件近くも申請が来ており、あまりに遅きに失したと思います。これらについては、区長が政治判断をしなかった、遅かったために現場に大きな負担がかかり、結果として区民に大変な迷惑をかけてしまったと思います。大いに反省すべきだと思っております。本日は保坂区長は出席しておりませんので、副区長に答弁を求めます。
◎宮崎 副区長 今般の特別定額給付金の関係につきましては、様々に議会側からの御指摘をいただきました。今般、田中委員から、委託ということに限定しても様々に御指摘を今いただいたわけですけれども、まず作業を含めての部分については、確かにこの見通しを含めて、もう少し制度設計の部分について周到なものがあったほうがよかったということは反省すべきだった点だと思っております。
その中で、例えば今、御指摘いただきました経済的困窮者のほうに選択をする道があったのかと言われれば、あったとは思いますけれども、そこについては私どもはDV被害者などの手続の面で配慮する人がやはり多くいらっしゃった。こちらのほうに少し重心を置いたということで、これにつきましても、今後こういうケースがまた出てきたときには改めて判断をさせていただきたいと思います。
また、オンライン申請の関係については、御案内のとおり、国からもいろいろ手順を含めての部分では、少し行き違いを含めていろいろ報道されたと思いますけれども、こういう点も含めて、我々も少しそこに対しては過信した部分があると思いますので、そこについても、今後はもう少しその辺を周到にやっていく必要があるということで、様々に今申し上げましたが、今後のことを考えますと、やはり反省点をきちんと検証して今後につなげたいと思っております。
◆田中優子 委員 もし将来的にまた何かあったときに同じ轍を踏むことは絶対に許されないと思っております。しっかり事務の検証、総括を今後していただきたいと思います。
次に、今年七月五日に執行された都知事選挙の選挙公報の配布漏れがあちこちで起こっていた問題についてであります。
今回は新型コロナ禍の中での選挙戦だったため、公開討論会、街頭での演説等々、通常のような選挙活動がなかなかできなかったということもあり、いつも以上に選挙公報が重要となっていたのではないかと思います。
ところが、投票日の前日に、私の知人から選挙公報が届いていないという声が上がりまして、ほかにもいるだろうかと、私はSNSで問いかけてみました。すると、あっという間に三十件以上の連絡が来て、町名も二十に及んでいました。そのとき、これは異常事態だなと思いました。
選挙管理委員会事務局では、選挙後に、委託業者の株式会社エリア広告に事情聴取し、その報告書を私も読みましたが、全く納得できない内容でした。つまり、エリア広告は全戸配布しましたと主張しているんですね。配布したところを住宅地図上にチェックするという条件は守られていませんし、届いていないと申出があったところに再配布した件数百十四件、三百九十部と聞いていますけれども、とてもきちんと配布していたとは思えない信じ難い状況です。今回のことは大事件だと思いますので、詳細に検証することが必要だと考えます。
まず、選挙管理委員会が把握しているのはどういう状況なのか、お答えください。
◎渡邉
選挙管理委員会事務局長 選挙公報が届かずに御連絡いただき、事業者より再配布させた件数は、お話しのとおり百十四件であり、通常の選挙の二倍ないし三倍ございました。このほか、百十四か所の投票所からのアンケートの報告では、十二か所から同様の指摘があったとの回答がありました。これも、これまでは一、二か所あるかないかという状況でございます。
また、選挙期間中、複数の区議会議員の方より、届いていない、あるいは区民からそのような連絡が来ている旨を直接お電話でいただいており、今回の選挙では配布漏れが特に多いという感覚は私自身も肌で感じてございました。
本会議場でも申し上げましたが、選挙公報が届かなかった方には本当に申し訳なく、改めておわび申し上げます。
◆田中優子 委員 指摘してきたのはほんの一部だと思うんです。区全体としての配布漏れの状況というのは何件あるか、把握されていらっしゃるでしょうか。
◎渡邉
選挙管理委員会事務局長 選管では区内の住戸としての全世帯、全事業所の正確な数値を持っていないため、正確な件数については算出できませんけれども、履行に当たり、あらかじめ事業者から得ていた配布想定数は五十一万八千五百四十一部で、これに対しまして、これまでに報告のあった配布部数が五十万七千三百十九部と一万千二百二十二部の開きがございます。また、選管で有している前回、昨年の参議院選挙の配布実績五十一万九千四百六十三部と比較しますと一万二千百四十四部の開きがございます。
◆田中優子 委員 今のことを聞いても、一万部以上も下回っているということは過去の選挙であったんですか。また、再配布が三桁になるようなことはあったのかについても伺います。
◎渡邉
選挙管理委員会事務局長 選挙公報は毎回事業者の配布想定数を基にして配布計画を作成しておりますけれども、実際に配布した部数について、これは平成二十八年、一つ前の都知事選挙まで過去五回ございましたけれども、下回ったことはございませんでした。例えば昨年の参議院選挙では、想定数に対し約一〇一・四%、区議・区長選挙では約一〇三・六%と上回っておりますけれども、今回の選挙では想定数の約九七・七%と下回ってございます。あわせて、昨今の人口増も影響していると思いますけれども、過去五回の選挙では、いずれもその直前に行われた選挙の実績数を右肩上がりで上回っている状況でございます。あわせて、再配布の件数についても、多いときで六十六件、少なかったときは二十七件で、三桁に上ることは過去五回の選挙ではございませんでした。
◆田中優子 委員 詳細に聞けば聞くほど、やっぱりこれは異常事態だなということが分かります。区全体に配布漏れがあったのかどうか、その辺、区で把握している町丁目など具体的に教えていただければと思います。
◎渡邉
選挙管理委員会事務局長 選管であくまで昨年の参議院選での実績を町丁目で比較したところでは、どこか特定の地域、区域といったところに集中しているのでなく、満遍なく、全区的に配布数が少ない町丁目が見られてございます。逆に実績を上回っているところもございます。前回の選挙から約一年が経過しておりますので、マンションなど建物、住宅の増減もあると思いますけれども、顕著な部分で申しますと、奥沢五丁目では前回選挙から五百八十部、松原二丁目では五百十五部、羽根木一丁目では四百二十八部少なく、こうした百部以上開きがあったところは七十の町丁目でございました。
一方で、前回の実績を上回ったところでは、北烏山七丁目では四百四十八部、深沢四丁目では四百七部、北烏山一丁目では三百二部と百部以上多かったところは二十一町丁目ございました。
◆田中優子 委員 かなり区も把握していらっしゃるようですけれども、このおかしなことを事業者はどのように区に説明しているんでしょうか。
◎渡邉
選挙管理委員会事務局長 現在、事業者に対して配布日当日の履行状況はどうであったのか、改めて確認しているところでございまして、配布漏れ等の理由について今後明らかにしてまいります。現在のところ、事業者からは全ての世帯への配布は完了したが、結果として区に迷惑をかけたというような弁はございますけれども、原因を特定するような説明や事実確認等はいまだ取れてございません。
◆田中優子 委員 選管では事業者に対していろいろ指導や監督をしていたとは思うんですけれども、ちょっと至らないなと感じています。
詳細は置いておいて、契約のほうですけれども、契約としてはどこまで履行できていて、何ができていないのかについてお聞きします。
◎渡邉
選挙管理委員会事務局長 この契約ですけれども、区内全世帯及び全事業所の郵便受け等へ投函することにより、選挙公報を一部ずつ配布することが具体的な履行内容でございます。選挙終了後は、完了届、また、履行に伴い区が提供した資料の返却、各戸配布実績状況の報告書、配布時にチェックをつけた住宅地図、また、公報の残部数報告書といったものの提出を仕様書で定めてございます。このうち配布時にチェックをつけた住宅地図に漏れが多数ありましたため、現在配布当日に使用した集計表など、実際に配布した部数が確認できる資料の追加提出を求めているところでございます。
◆田中優子 委員 多数のチェック漏れがあるということは契約条件を満たしていないと私は思いますけれども、事業者に対して既に契約のお金は払っているんでしょうか。
◎渡邉
選挙管理委員会事務局長 現在、追加資料の御提出を求めていること、また、配布部数の確定に基づいて作成される完了届も未提出の状態ですので、検査について完了しておらず、履行代金も支払ってございません。
◆田中優子 委員 それは当然のことだと思うんですけれども、このような事業者に対して区は毅然と対処すべきであると考えます。
ちなみに、罰則というものはあるんでしょうか。
◎阿部 経理課長 今回のような委託契約におきまして、事業者の責に帰すべき理由により適切な履行がなされなかったと認められる場合には、契約約款に基づきまして、区は違約金として契約金額の一割を事業者に請求することができます。また、その場合には、違約金に加えまして、不適切な履行を事業者による契約違反とみなし、世田谷区指名停止基準の規定に従い、一か月以上十二か月以内の指名停止措置を行うこととなっております。
◆田中優子 委員 今回の事業者、株式会社エリア広告は入札で選定したとのことですが、選挙公報の配布は選挙があるたびに今後もずっと続くわけです。入札で質の高い事業者をより安く選定できれば、それにこしたことはないんですけれども、結果的に安かろう悪かろうでは元も子もないと思います。今後どのように再発防止に取り組むのかについて伺います。
◎渡邉
選挙管理委員会事務局長 約五十二万部の選挙公報を三日間で全世帯に配布するのは容易なことではございません。例えば区議会議員・区長選挙では、日程上からも三日間での配布が譲れない中で、今後も着実に履行する事業者を選定していく必要がございます。まずは、そもそもの原因を究明しなければ、真に再発防止はできないと考えてございます。その結果として、仕様書の見直しやそれに伴う監督方法の強化などで可能かどうか、または、官公庁実績などを入札の条件に加えることや随意契約など、選定方法そのものの見直しについても検討してまいります。
あわせて、ただ単に事業者に厳しい条件を課すだけでは、事業者の参加が得られなくなると考えてございますので、事業者等の意見も参考に伺いながら進めてまいります。
◆田中優子 委員 難しいところがあるのは重々分かるんですけれども、しっかりと今回のことは処理していただき、今後にきちんと生かしていただきたいと思います。
それでは、私からの質問を終わり、大庭委員に替わります。
◆大庭正明 委員
新型コロナウイルス感染症対策本部の事務局がここにあるということなので、それについてちょっとお伺いします。
例の七月二十七日の意見交換会の場で、九時半頃までやられたそうですけれども、結果として、本部として、または区として決定した事項はあるのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
◎後藤 総務課長 二十七日の本部ですが、二十一回目として、題材を有識者との意見交換会を実施するということで実施したものですので、特段政策決定したものはございません。
◆大庭正明 委員 となると、翌日の二十八日にテレビに出演したときは、要するに区長は手ぶらで行っている。区の政策決定は何もなかった。新しい決定もないままに、前日に児玉名誉教授から受けた話を自分の妄想で組み立てて、世田谷区の決定なしに発表したということなんですけれども、そのことについては補充でやります。
そのことを確かめたいんですけれども、補充のための補充の質疑をしたいんですけれども、実際計画が立っていないということは、その三日後の福祉保健常任委員会で報告がなかったということと何で報告がなかったのかということも聞いて、そうしたら宮崎副区長が、そのことについては今私もよく分かっていない、テレビ等も見ていないので、文章起こししたものを読んでいる最中だというふうな答弁があったんですけれども、それを確認します。
◎宮崎 副区長 表現として、私が七月二十八日に発言した内容についての文字起こしについては確認をしたところで、それ以上のことは見ていないということは申し上げたと思います。
◆大庭正明 委員 要するに区長が独断で、自分の勝手な考えをテレビに向かって、いかにも世田谷区で決定したかのごとく、世田谷区の政策のごとくしゃべったということなんですよ。そういうことでいいですよね。二十八日の段階では決めていなかったんだから。
◎宮崎 副区長 確かに区長の発言を聞いてみても、目指すところや経過のことをお話ししていると思っていますので、確かに二十七日に決定した内容はございませんので、その途中経過、それから、この先、どういう方向でいけるかという発言をされているというふうな認識でおります。
◆大庭正明 委員 福祉保健とダブらないように聞きますけれども、そのとき言った世田谷モデルの中の誰でもいつでも何度でもという言葉の意味はどういうことか、副区長、分かりますか。
◎宮崎 副区長 その表現を含めては、前の日に行われました児玉先生からも、その間もそのような御発言をされていると思うんですけれども、そこを受けて、ニューヨークの例も挙げながら、そのようにPCRのほうを持っていくべきではないかということを象徴して、そういう言い方をされているというふうな理解はしております。
◆大庭正明 委員 違うんですよ。誰でもいつでも何度でもというのはワンパックの言葉なんですよ。しかも、これはPCR検査の本質を言っているんですよ。いつでも誰でも何度でもというのは、ある一定の間隔なり、要するに一回だけでは駄目だよというPCR検査の本質を言っているわけですよ。ですから、誰でもいつでも何度でもというのは、ニューヨークの美容師さんとかの話をされていましたけれども、二週間に一回はPCR検査を受けることが義務づけされています。ほかの業種も義務づけされているんですよ。ですから、いつでも誰でも何度でもというのは切り離せない言葉なんですよ。ですから、お金がかかるということなんです。PCR検査を無症状者にやるという場合は一回だけでは済みませんよということでお金がかかるんですよ。
それで、二十七日の議事録が八月の中旬に出ました。その議事録を読んでいると、児玉先生がばあっとしゃべっている中で宮崎副区長は、そんなことをやったら世田谷区は経済的にもたない、駄目なんですよということを言っているんです。そうですよね。
さらに、九月十日の発言ですけれども、これは代表質問でも述べましたけれども、究極は世田谷でどこまで持ちこたえられるかということに尽きるんです。そうすると、二週間に一回でも世田谷区の予算はパンクしてしまうんですという発言をされていますよね。要するに予算がパンクするということで、これはできないということを言っているわけです。どうですか。
◎宮崎 副区長 確かに世田谷区が独自でこういうケースを抱えた場合には、予算的なことを含めて、ある意味現実性が非常に乏しいという趣旨のことは申し上げましたし、その際に九月十日のほうのケースですか。国や東京都の支援という部分についても、やはり当然セットでこういうことは考えていきたいということを申し上げたと思います。
◆大庭正明 委員 我々が企画総務委員会の中で出した動議の考え方については今もって正しいと思っていますけれども、最終的には、このPCR検査については国が十分の十補助するということになったんでしょう。そうすると、当初あったのは、こんなことを世田谷単独でやっていたら財政はもつのかというところで、世田谷モデルに対する疑問が出てきたわけですよ。
それが最後の最後になったら、お金が出ると言うわけではないですか。あなたが言っていた都や国の要するに関係というのかな。参加というか、協力が得られればできるということになっているのではないですか。となると、何で世田谷モデルをやらないんですかというのが一つの疑問なわけですよ。やればいいではないですか。九十万人全員に二週間に一回ずつ。国から金が出てくるんでしょう。今こそやるべきではないですか。それをあの鋳型の小さな形で四億円だけしか、少しの人しか、一巡しかやらないみたいなものも含めてやるというのは、世田谷モデルと全然違うものがここに来ているではないですか。財源問題は解決したのではないんですか。財源問題が解決すれば、議会とすれば、やれるものならやってみようという感じになるではないですか。お答えください。
◎宮崎 副区長 もちろん財源問題というのが非常にキーになっていると思いますが、実際区がこれを実行するときに、例えば委託事業者を含めてそこまでのものができるかどうかというのは確信は持てませんし、まして区が直接的に疑義照会の形で出したのは、区が今取り組もうとしている社会的検査そのものの内容をお示しして、これは行政検査として認められるということで言質を取ったという状況ですから、改めて九十二万フル回転させますということをお尋ねしているわけではないという状況です。
◆大庭正明 委員 それは説明がおかしくないですか。あの小さいモデルだったら行政検査として認められるけれども、区長が判断して、感染拡大地域だって必要性があると言って、九十万人だろうが、五十万人だろうが、検査をすると言ったら、それは認められないほどのものなんですか。そういう内容だったんですか。
◎宮崎 副区長 ですから、私どもが直接的に区の内容を照会したときは、社会的検査に限定してお尋ねをしたということでして、改めて、じゃ、フル回転させてということについてはお尋ねしていませんし、ましてこの後に出てきた指針を含めては、例えば国の発言には高齢者に限定した言い方をしている部分がございますので、その内容について国がどのような対応をしてくるのか、また、東京都がどういう対応をしてくるのか。その辺については十分注視しなければ、今お尋ねの件については軽々にお答えできる状況ではないと思っております。
◆大庭正明 委員 区長は、羊頭狗肉とは言いませんけれども、要するに最初のプランを押し通して、なぜやらなかったんですか。九十万人なり、何十万人なり、何回もやりますよという形で厚労省に問合せをすればよかったではないですか。そして、オーケーが出る可能性もあったではないですか。あれだけ大々的に打ち上げ花火みたいに上げておいて、最後は何か訳の分からない、全く無意味なものに変質して、四億円が消費されようとしているんですよ。だから、これは今もって私は断固反対だということを申し上げて、今日の質問を終わります。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で、無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質疑は終わりました。
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○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、Setagayaあらた、どうぞ。
◆神尾りさ 委員 区議会というところにおりますと、理事者の皆さん方がすごく批判されたりとか、指摘をされたりとか、今回特にそうなんでしょうけれども、日々本当に大変でいらっしゃるなと感じております。
ただ、区のいろんな施策とか、事業とか、そのほかの様々なものを見ていきますと、区民にとって本当にいいこともたくさんされていると思います。そのよい事業、区民のためになる事業を区民一人一人に届ける、その役割を担っていらっしゃるのが広報だと思いますので、今日はまず、広報の在り方について伺います。
今般、新たに担当の広報広聴課副参事というのが配置されたと思いますが、新型コロナの影響もあったようですけれども、まずその役割について伺いたいと思います。
◎寺西 政策経営部副参事 昨年発生した台風第十九号や現下の
新型コロナウイルス感染症など、前例のない事態が続いている中で、区民の安全を守るために正確な情報を迅速かつ的確に伝える広報、報道の役割がより重要になっていると考えております。本年九月一日に兼務発令されて以降、この一か月間は特に区内事業所における
新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生した事例について、広報広聴課長との連携の下、平日、休日を問わず、関係部署との連絡調整や区民への情報発信に取り組んでまいりました。
今後、ツイッターやホームページ、紙媒体など、それぞれの特性を生かした広報の拡充に向け、担当副参事として体制の強化を担い、平常時における広報も含め、これまで以上に広報、報道の充実を図ってまいります。
◆神尾りさ 委員 これまでお一人でされていたことが、二人体制になって強化されるということだと思うんですが、今まで区の情報提供ということで大きな役割を担ってきたと思われる「区のおしらせ」について伺います。
今年度の区民意識調査では「区のおしらせ」の入手経路について「新聞折込」からが四一・四%、「出張所・まちづくりセンターなど区の施設」からが一〇・七%、「駅等の広報スタンド」からが八%と並ぶ一方で「入手していない」が三三・八%でした。また、七十歳代以上の七割前後が「新聞折込」で入手しているのに対し、四十歳代以下の五割前後が「区のおしらせ」自体を入手していないということも分かりました。新聞の発行部数というのは年々下がっていると思いますけれども、新聞とともに配布されてきた「区のおしらせ」の発行部数はどのような傾向にあるのでしょうか。また、新聞を読まない世帯に届けるためにどのような工夫が考えられるのか、伺います。
◎山戸 広報広聴課長 「区のおしらせ せたがや」は、ここ数年、毎年一万部ずつ発行部数を減らしており、昨年度は二十六万六千七百部発行しました。そのうち二十四万一千部を新聞折り込みにて配布しております。その他、区役所をはじめとする公共施設、区内私鉄駅四十五か所、区内コンビニエンスストア百十一店舗、スーパーマーケット十店舗、また、区内郵便局や金融機関、書店や大学などで配布しております。また、御希望の方にはマンション等入り口への配布や新聞未購読者の方の個人宅への個別配送を行っております。
◆神尾りさ 委員 毎年一万部ずつ発行部数が減っているということですので、危機感を持たなければいけないと思います。個別配布があることをさらに周知する必要があると思いますが、どのような工夫が考えられるか。例えばまた、マンション交流会といったところに働きかけているようですけれども、もっと取組を強化させるべきではないでしょうか、伺います。
◎山戸 広報広聴課長 「区のおしらせ せたがや」やホームページにて定期的に個別配布やマンション等入り口への配布についてお知らせしているほか、区内の町会・自治会の回覧板等を通じても御案内をしてございます。こちらの回覧板等で御案内いたしますと、一回につき百人以上の個別配布の御希望もあるので、今後も続けてまいります。また、御提案のマンション等入り口への配布につきましても、ホームページでの御案内だけではなく、現在マンション交流会が
新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のために開催されておりませんでしたが、近日中に開催されると伺っておりますので、そちらに伺うなどして御協力を願うなど、さらに働きかけを進めてまいりたいと思っております。
◆神尾りさ 委員 SNS等が活用される時代ですが、多くの情報を一瞬で得ることができる見開き版の広報紙の役割はまだまだ大きいと考えます。一人でも多くの方に手に取っていただけるよう工夫していただきたいと要望いたします。
次に、現在実証実験中のLINEを活用した区民への情報発信事業について伺います。
現在、官民連携の手法を用い、無償でLINEを実証実験していると思いますが、現状と課題について伺います。実証実験終了後、正式に採用するか否かの判断はどのように行うのでしょうか。
◎山戸 広報広聴課長 世田谷区は五月二十五日からLINEの実証実験を開始し、
新型コロナウイルス感染症に関する情報に限定して運用しております。運用開始時に「区のおしらせ」特集号とホームページにて周知をいたしましたが、登録者数は微増ではあるものの伸びてきており、本日八時現在では千四百二十六人でございました。こちらの登録の流入経路や通知したURLのクリック率などを現在分析しているところでございます。二十三区内でもLINE導入の動きがあり、新たなコミュニケーションツールとして有用であると認識をしてございます。また、LINEを活用して発信したいという所管のニーズや他自治体の窓口改善の事例の適用可能性も検討中でございまして、それらをもって判断したいと考えております。
◆神尾りさ 委員 実証実験が継続できないとなった場合は、その担当所管の取り組み方に問題があったと言わざるを得なくなるなと思いますので、そうならないために、あと半年間ありますので、どのような工夫をしていくのか、伺います。
◎山戸 広報広聴課長 LINEのお友達登録でございますが、通常はブロック数が一日に一人いるかどうかのところ、プッシュ通知というものを送信いたしますと、二人から三人にブロックされていることから、登録者数を減らさないために、プッシュ通知が頻繁にあるとブロックされてしまうということをなくすため、結果、ブロックされてしまうと区の情報が届かなくなる懸念があるため、プッシュ通知の内容や頻度を調整して行っております。これは、自治体で最もLINEの登録者数が多い福岡市においてはプッシュ通知は半年に一回程度で、タイムラインは頻繁に活用していることなどを参考にしております。世田谷区のLINEにおきましては特別定額給付金の申請受け付けが終了したことから、トップページのメニューアイコンをツイッターへの誘導に変更したり、また、タイムライン機能の活用を始めたりといった工夫をしてございます。
◆神尾りさ 委員 現在様々な自治体においてもLINE導入の取組の事例が見られます。世田谷行政にとって最善の活用方法を検討していただき、ぜひよい結果につながるよう期待しております。
次に、庁内におけるICT活用推進について伺います。
新型コロナの影響もあり、テクノロジーの活用が活発になったように見受けられますが、この間、庁内のICT化はなかなか進んでいないという印象があります。まずは現状の認識と課題について伺います。
◎山田
ICT推進課長 妊娠期の両親学級のオンライン実施、世田谷246オンラインハーフマラソンなどの新しい形態でのイベントの開催、モバイル端末を活用した在宅勤務、ズームなどのウェブ会議システムの活用など、コロナ禍における一連の対応の中で庁内のICTへの取組は加速したと認識しております。
課題としては、職員一人一人のICTスキルの向上や積極的な活用意識の醸成、庁内に横串を通したICT施策の検討が十分にできていないことが挙げられます。
◆神尾りさ 委員 現在各所管部において、様々な事業等を通じてテクノロジーの活用の推進を進めていると思いますが、ICT推進の進捗度がその課に熱心な職員がいるかどうかに頼る体制では困難だと思います。この間の取組にも様々な課題等が見られました。テクノロジー活用の際にトラブル等は付き物ですが、一つの部署で起こったトラブル等の事例を他の部署にも共有することで、同じ失敗を繰り返さないように心がける仕組みが必要ではないでしょうか。その役割を担うのがICT推進課だと考えますが、見解を伺います。
◎山田
ICT推進課長 職員端末やネットワーク、メールやファイルサーバーなど、職員が共通的に利用されるシステムやサービスについては、ノウハウの共有、トラブル再発防止対策も含め、ICT推進課にて所掌しております。最近では、社会的な広まりもあり、多くの組織でズームによるウェブ会議が始まりましたが、初めて利用する職員が同じトラブルを繰り返すことが多々見受けられましたので、利用申請方法や利用マニュアル、トラブル事例などの情報をまとめた庁内サイトを開設しました。
今後も、トラブルの再発防止や職員のICTスキル向上に向けた対応を図ってまいります。
◆神尾りさ 委員 庁内横断型でノウハウを共有し、ICTやDX等の推進を抜本的に進めていく必要があると感じます。先ほど他会派への御答弁でも、DX推進
プロジェクトチームを立ち上げるとありました。本プロジェクトに関わる部署や期間などの具体的な計画について伺います。
◎山田
ICT推進課長 プロジェクトを構成する具体的な組織としまして、政策経営部各課、庁内の窓口所管、区政情報課などを想定しております。スケジュールとしましては、年内に準備PT、年度内にはプロジェクトを立ち上げる予定でいます。早急にプロジェクトを立ち上げ、電子申請手続の拡大、次期基幹系システムの検討、働き方改革など、DXの推進に向けた検討を進めてまいります。
◆神尾りさ 委員 検討ばかりに時間をかけるのではなく、本質を見極め、具体的に進めていただくよう要望いたします。
最後に、災害時の自治体連携について伺います。
近年、災害が多発しています。それに加え、今年は感染症の脅威にも見舞われました。当区では地震等の大規模災害の発生に備え、近隣自治体のみならず、ある程度距離の離れた自治体とも協定を締結しています。現在、災害時の相互応援協定を七自治体と締結していると思いますが、その経緯や実際の応援、受援の実績などについて伺います。
◎前島 災害対策課長 区では、平成七年一月にありました阪神・淡路大震災を教訓といたしまして、災害時における相互援助協定を縁組協定先である川場村と同年七月に締結いたしました。その後、同一の災害で同時に被災しない、かつ世田谷区からおおむね三百キロ以内で、高速道路及び迂回可能な国道等で到達できる自治体と相互の応援協定を締結し、現在は七自治体と締結しております。
なお、近隣自治体の東京二十三区、城南五区、調布市、狛江市、三鷹市ともそれぞれ相互応援協定を結んでございます。この協定に基づきました実際の応援、受援の実績でございますが、応援としましては、平成二十七年九月にありました関東・東北豪雨の際、小山市に職員派遣と飲料水の提供を行いました。受援といたしましては、昨年の台風第十九号の際に、城南五区の協定に基づきまして、目黒区、渋谷区、品川区から清掃職員を派遣していただきました。
◆神尾りさ 委員 このパネルにもありますけれども、当区と協定自治体は高速道路等、この黄色の線で結ばれており、早い段階からお互いに応援できる体制づくりを目指していることが分かりました。七自治体では毎年意見交換会を行っているようですが、これまでの議論を踏まえた課題について伺います。
◎前島 災害対策課長 委員お話しのとおり、区と七自治体とは持ち回りで開催地を設定しまして、毎年意見交換会を行っておりまして、開催時期は出水期後のおおむね十一月ごろを設定しております。意見交換会では協定内容の確認と具体化を図るとともに、開催時期が台風シーズン後であることから、各自治体における住民への情報発信手段、避難所運営などの対応実績についての意見交換がここ数年続いておりました。今年度につきましては、これまでと同様に協定内容の確認と具体化を図るとともに、水害対策に関する情報提供、共有に加えまして、特に避難所における
新型コロナウイルス感染症対策の課題、取組状況につきましても、各自治体と意見交換したいと考えております。
なお、今年度につきましては、
新型コロナウイルス感染防止のため、いずれかの自治体に集合せず、オンラインでの意見交換会を開催するよう準備を進めております。
◆神尾りさ 委員 七自治体に加え、他の枠組みで交流している自治体とも災害時の応援の事例があったと記憶していますが、現在の交流自治体数とこれまでどのような支援を行ってきたのか、短めにお伺いします。
◎前島 災害対策課長 交流自治体としましては、現在、九十八自治体、百八十八事業となってございます。近年の主な支援といたしましては、交流自治体関係では、平成二十三年の東日本大震災の際には南三陸町、気仙沼市などに、平成二十八年四月の熊本地震の際には熊本市等々に対しまして職員派遣や救援物資、見舞金等による支援を行ってまいりました。平成三十年九月の北海道胆振東部地震の際には、特別区全国連携プロジェクトにおけます連携自治体に向けまして保健師の派遣、見舞金による支援を行ってまいりました。
◆神尾りさ 委員 これまで挙がった自治体と協定内容等を具体的に詰めていき、実効性を高めていく必要があると考えますが、区としてどのような到達点を見据えているのか、伺います。
◎前島 災害対策課長 区では、七自治体とも毎年度協定内容の検証や見直し、連絡担当者の相互確認を行っておりまして、先ほど申し上げました意見交換会を開催して、情報提供、共有を図ってございます。その他の交流自治体につきましては、各事業担当部署との間で緊密に連携を図ってございます。
区といたしましては、協定により応援、受援が円滑に行えるよう、各自治体の特色を理解した上で、協定内容を掘り下げて、より具体的にしていく必要があると考えております。引き続き、毎年実施してございます意見交換会等を通じまして、情報発信手段の発展、コロナ禍における災害対策等、最新の他自治体の動向も参考にしながら、近年頻発し、かつ甚大化する災害に対しても、迅速かつ適切に応援、受援していけますよう、今後も協定自治体と連携を強化してまいります。
◆神尾りさ 委員 災害というのは誰にとっても不安材料ですが、区外の自治体との取組が少しでも区民や他の自治体の住民の安心につながるよう、今後も連携の強化に努めていただきたいと思います。
委員を替わります。
◆佐藤美樹 委員 私からは、昨日に引き続きまして、世田谷区の人口動態の変化と政策への影響というところで伺っていきたいと思います。
昨日も提示させていただいたパネルなんですけれども、すみません、これは八月までの数字で、九月の数字が取れるかなと思ったら、転出転入の増減分の精緻な値というのは十月八日頃ということなので。ただ、八月と九月の全体の人口の増減が四百六十一人減となっているので、やはり九月も転出超過ということが言えると思います。
そこでお伺いしたいのは、財政面でのインパクトということなんですけれども、今我々に提示されている当初予算の税収の区民税のところは八千人の納税者の増を見込んでの数字と提示されているんですけれども、この八千人の納税者の増という見込みですとちょっと楽観的数字なのかなと思うんですが、この辺についての見解をまず伺います。
◎松永 財政担当部長 お話しのとおり、今般お示ししました来年度、令和三年度の予算フレームと五年間の中期財政見通しにおきましては、コロナウイルスの影響による減収とともに、ここ数年の人口の傾向を踏まえまして、八千人の納税者数の増を見込んでいるところでございます。
ただ、お話しのとおり、区の人口につきましては、本年に入りまして、六月、八月、九月、お示しされているとおりですが、人口が微減にはなっています。四月、五月には大きく増加していますので、その辺も踏まえて特別区民税、その年の一月一日に世田谷区内に住んでいる住民について課税されるため、今後納税者数の増が見込める可能性はあるんですが、今後の動向によっては八千人まで届かないということもあり得るのかなとは認識しています。
人口増減には納税者数ではない年齢層も含まれていますので、区民税の推計に当たりましては、生産年齢人口の動向などより詳細な分析を行っていく必要があると思っております。また、現在の人口の動きというのがコロナの影響による一時的なものなのか、あるいは在宅勤務等の増加による社会変容による恒久的なものなのか、その辺も今後見極めていきたいと考えております。
◆佐藤美樹 委員 今お話にあったように、今のベースにしている納税者数の八千人増加というところのベースがどうかということは、財政課としても今後動向を見ないとということですけれども、そうすると、来年度予算の編成、当初予算のフレームができてくるまでにはもう時間が限られていますので、この中で仮に八千人の増加ではないというベースに立つ場合に、どのタイミングで、どのように修正をされるのか、その辺を伺いたいと思います。
◎松永 財政担当部長 御指摘のとおり、人口動態の分析を基にした納税者数の動向というのも考慮していきながら、特別区民税の収入について、歳入については慎重に見通しを立てて、中期財政見通しについても更新していく必要があると考えております。これから本格化する令和三年度の予算編成において区民税の歳入を見込んでいくことになるんですが、本来区民税は一月一日現在の住所地で課税されるんですが、予算編成のスケジュール上、十二月までの人口動態、例えば昨年度と今年度の比較をするとか、そういった形で納税者数というのは推計していく。また、区民税については、納税者数だけではなくて、今後一人当たりの納税額にも影響されるので、全体的な景気の動向というのも考慮していく必要があると思っています。
今後、公表されるGDPのほか、国が地方財政計画を策定したり、東京都が財調の来年度のフレームを作成したりする、そのあたりを参考にしながら令和三年度の予算編成を進め、それに合わせて中期財政見通しも更新してお示しをしていきたいと考えております。
◆佐藤美樹 委員 財政見通しやGDPという話もありましたけれども、どれを取ってもあまりプラス要因というものが今見えていない状況だと思います。
ここで気になるのが、こういった税収の見込みが立たない、見通しが不透明というところで、今このまま進めるという意思決定をされている本庁舎整備が財政悪化を招かないかどうかというところはやはり懸念材料ですので、一点だけ質問というか、意見として申し上げます。
八月末の日経新聞の記事で「自治体『箱モノ』、延期・凍結相次ぐ コロナで税収減」というタイトルがありまして、千葉県八千代市ですとか静岡市、あるいは滋賀県湖南市ですとか、そういった地方自治体が軒並み本庁舎の整備をコロナの収束後まで見送り、あるいは延期という意思決定をされています。今回、延期とかそういう意思決定をするためには、今の本庁舎のまま使い続けた場合の維持管理コストというのが一つ判断材料として必要なんですけれども、担当所管の方に、要は建て替えないで、例えば一年なり二年でもこのまま本庁舎を使った場合のコストをお伺いしたところ、そういうものは算出していないとお答えになりました。私は、このまま進めるという意思決定をするのであれば、このまま使った場合のコストの推移というのも判断材料としてそろえた上で意思決定をするべきである、今の判断の材料としては不十分であるということを申し上げておきます。
それから、先ほどの人口動態というのも、やはり我々世田谷区の税収のベースになっている一つの大きな要素でありますので、この人口動態のところでもう一点伺うんですけれども、これは全体の転出転入の増減ですが、今回、年代別の増減を見たところ、比較的若い世代、二十代、三十代の転出が五月ぐらいからずっと続いていて、加えて、年齢の刻みが五歳刻みですので、ゼロ歳から四歳という、いわゆる乳幼児と言われるところの転出もずっと五月から続いている状況というのが分かりました。
ここから一つ分かるのが、子どもも含めて、こういったいわゆる子育て世代が世田谷区から転出しているという傾向が言えるのかなと思うんですけれども、こういったことも含めて、今お話しした内容は保育園整備計画であったり、福祉関連の政策にも大いに影響がありますので、もう少し区としてもこの辺の政策のベースとなる人口動態、今コロナの影響でどうなっているのか、分析していただきたいと考えますが、見解を伺います。
◎松本 政策企画課長 区の将来人口推計は、計画の策定や政策の立案に際し、前提となる人口規模や年齢構成などの将来の推移を判断するための大変重要な基礎資料となります。直近では新実施計画後期の策定に併せて、平成二十九年七月に推計を行っております。この推計では、移動の変動要因を平成二十四年から平成二十八年の過去五年間の転出入のトレンドが今後五年間継続すると仮定して推計しております。今般の
新型コロナウイルス感染拡大に伴いまして、民間シンクタンクが実施しました全国調査によりますと、
新型コロナウイルス感染症の影響とテレワーク等の普及の影響により、転居意向が高まる傾向があったとしているなど、トレンドが大きく変わる可能性が指摘されております。そのため、これからの区の施策を検討していく上では、アフターコロナの人口動態を踏まえることが不可欠であると考えております。
今はまだトレンドが動いている最中ではありますが、時期を捉えまして人口推計の作成を担当する政策研究担当課と連携しまして、人口動態を分析するとともに推計の見直しを検討してまいります。
◆佐藤美樹 委員 やはりいろんな政策に影響する部分ですので、ここは政策企画のセクションが中枢となって基礎データの分析をお願いしたいと思います。
テーマは変わりまして、災害対策についても伺いたいと思います。
コロナ禍での避難所という論点について伺いたいんですが、去年の台風第十九号があって、世田谷区の水害時の避難所として主に多摩川に近いところに、従来の避難所に加えて、都立高校であったり、大学といったところを避難所として追加で備えるように調整をされていると聞いています。避難所を増やしておくことは密を避けるという意味で非常に有効だと思うんですけれども、発災時、実際の避難所運営面においては、感染症対策を誰がどのように取っていくのかであったり、例えばそういったことを事前に地域住民と情報共有、認識のすり合わせという部分も必要になると思うんですが、この辺についての区の取組を伺います。
◎若松 危機管理部副参事 コロナ禍における避難所での
新型コロナウイルス感染症対策としては、区の備蓄品に衛生用品を追加していくこと、自助の取組として非常持ち出し袋にマスクや消毒液、体温計などを入れておき、避難所へ持参していただくことを「区のおしらせ」九月一日特集号や
区ホームページで情報発信しております。
また、避難所運営上の新型コロナ感染症対策としては、定期的な換気や消毒、体調が悪い方への対応方法などの基本方針を定めた上で、現場で運営に当たる総合支所が水害時避難所ごとにマニュアルを作成して対応することとしております。
今後も、コロナ禍での避難所運営につきましては、地区の防災訓練や防災講話、防災塾など様々な機会を捉えて、地域住民の皆様としっかり情報を共有し、
新型コロナウイルス感染症対策などに関する意見もいただきながら、円滑な避難所運営に取り組んでまいります。
◆佐藤美樹 委員 実際は、もし割と近いタイミングでコロナ禍でも避難所を使わなければいけないとなった場合には、運営面では本当に様々な課題があると思いますし、やはりマニュアル等々、そういったものも用意しておかないと実際のときには使えないだろうと思いますので、この辺はもう少し詳しく、また別の機会に伺いたいと思います。
最後に一点、先日すごくきれいな改訂版のハザードマップが配布されましたけれども、今お伺いしている追加になった避難所の部分はこのハザードマップにも記載がされていませんし、ホームページ上も調整中と載っておりますので、この辺について実際に使えるようになったかどうかということを住民の皆さんにどう周知されていくのか、お伺いします。
◎若松 危機管理部副参事 区施設以外での水害時避難所の拡充に向けて、現在、総合支所を中心に施設管理者と調整を行っています。最終的な合意を得た上で、水害時避難所として開設できるようにいたします。新たに加える水害時避難所が開設できるようになりましたら、
区ホームページやハザードマップにおける公表につきましては、了承いただけた施設を掲載してまいります。
◆佐藤美樹 委員 以上で、Setagayaあらたの質疑を終わります。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で、Setagayaあらたの質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後二時十五分休憩
──────────────────
午後二時三十分開議
○真鍋よしゆき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
日本共産党、どうぞ。
◆中里光夫 委員 それでは、日本共産党の企画総務の質問を始めます。
まず最初に、来年度の、新年度予算の編成について質問をしていきたいと思います。
八月に新年度の予算フレームが示されました。今年度の繰越金を活用することで、来年度の財調基金の取崩しを実質ゼロにするということがこの資料には書かれています。なぜ来年度の基金取崩しをゼロにするのか。今後の第二波、三波に備えたコロナ感染に備えた中長期財政運営はどうあるべきなのか、こういったことに問題意識を感じております。まず最初に、財調基金の目的、趣旨について伺います。
◎松永 財政担当部長 財政調整基金につきましては、大幅な税収増があった場合などには積み立て、経済事情の著しい変動等によって財源が著しく不足する場合に取り崩すことによって年度間の財源を調整し、長期的視点から財政の健全な運営を図ることを目的とする基金でございます。
地方財政法では、地方公共団体に対し、当該年度に余裕財源が生じ、または生じることが予想される場合や、決算余剰金が生じた場合には、その余裕財源または決算剰余金を積み立てたり、地方債の繰上償還の財源に充てることを義務づけております。
◆中里光夫 委員 税収が多いときに積み上げていく、そして、経済情勢などで少ないときに使う、これが財調基金だということですから、この財調基金の目的を伺いますと、今まさにこのパンデミックという非常事態の下で大幅な税収減となっている、これが見込まれるという中で、この基金の活用が今こそ必要なときではないでしょうか。区はなぜ来年度の財調基金の活用を実質ゼロとしているのでしょうか。
◎松永 財政担当部長 財政運営上では、コロナウイルス感染症の収束が見えない中で、地域経済への影響が長期化することも考えられまして、さらなる減収も十分に想定されることから、今後の様々な状況変化に耐え得るように繰越財源等を活用し、実質的には来年度三百億円の財政調整基金の残高を引き続き確保し、財政の持続可能性を維持していきたいというものでございます。
◆中里光夫 委員 しかし、来年度の予算フレームを見てみますと、財調基金は実質ゼロだという一方で、六十二億円の不足が生じていて、そこは事業見直しをしていくというふうになっています。優先すべきことの一つに事業の本質的見直しを行っていくということになるんじゃないですか。そんなことになると、この事業の見直しは区民サービスに影響を及ぼすものであります。
例えば、今年度も緊急見直しがありましたけれども、障害者団体のバス補助がカットされて、デモもありました。また、病後児保育所の年間中止、こういったものもありました。こうした区民サービスへの影響がある。コスト削減ばかりに重点を置くのではなく、事務事業見直しにおいては、利用者や区民への説明、多角的な見直しがなければ区民の理解は得られません。
同時に、区として、今ある基金を区民生活を守るために今後どう活用するのか、そうしたことも示さなければ、サービス削減や、時に区民に痛みを伴う、少なくとも事務事業見直しへの理解を得られないんじゃないでしょうか。
まして、今、区民生活は大変疲弊しています。私の知っている北沢地域のあるライブバーを経営する方は、何とか営業を再開したけれども客が激減してしまった。もう店を閉じるかどうか考えているというお話でした。また、ある製造業の方は、四月から取引先四社のうち一社の仕事が止まってしまった。もう一社も仕事が減ってしまって大変な痛手を被っている、こういうお話であります。
この間、財調基金は積み上がってきました。区の財政は、区自身も健全と認めています。まず、事務事業見直しありきの財政運営であってはならないと思います。今後の財政運営について、基金活用をどう位置づけていくのか。コロナ禍で区民生活が疲弊する中、なぜ、まず事務事業見直しを優先させるのか。区民理解が得られるよう、区として説明していただきたいと思います。いかがでしょうか。
◎松永 財政担当部長 繰り返しになりますが、やはり今後の様々な経済状況を考えたときには、まず財政調整基金につきましては、先ほど言いました今後の持続可能性ということを維持していくために、当面は現在残高を確保していきたい。その他の、例えば特定目的基金ですとか、あとは起債の活用、その辺は計画的に図りながら、真に必要な区民サービスを維持していく。また、国や都の補助制度の活用、政策方針でもお示ししておりますが、優先課題の整理と本質的な見直しによって財源を確保していくということを優先していきたいと考えております。
◆中里光夫 委員 特定目的は計画的に使っていくものですけれども、財調基金については、当面、今の三百億円を確保していくということですが、今後の財政運営について、柱に財調基金を活用していく、これに関する区の方向性をぜひ提示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎松永 財政担当部長 財政調整基金につきましては、冒頭申し上げました基金の趣旨を踏まえた活用を考えていきたいんですが、二十三区を比較しても、世田谷区の予算規模に対する財政調整基金の残高は決して割合としては多くはないというふうにも認識しております。その辺も踏まえまして、やはり今後の健全財政を維持していくというバランスを取りながら、財政運営を図っていきたいと考えております。
◆中里光夫 委員 今後の経済状況を見ながらバランスを見てということですが、これはちょっとよく分かりません。来年度の予算でどうするのかということでも三百億円、これは維持するというふうに言っていますけれども、だったら、その後、経済状況を見てというのはどういうふうに進めていくのか。
例えば、今年度も百億円の繰越金が出ています。それを活用して、来年度当初予算及び百二十二億円の不足額の半分も補填するとなっています。また、事務事業見直しありきではなく、こうした繰越金や基金の活用での財源確保の検討が必要だというふうに思います。来年度当初予算が使い切れなかったとか、繰越金が生じる、こういう可能性もありますし、区民税また財調など歳入がコロナの影響でどうなるのか、不確定な要素もたくさんあります。今後の財政状況は非常に不確定なものです。それ次第でまさに区財政がどうなっていくのか、そこは基金も活用しなくてはいけないと思います。
今後、こうした基金の活用についてどう見直していくのか、どう位置づけていくのか、副区長、答弁を求めます。
◎宮崎 副区長 今、財政調整基金のありようにつきましては、財政担当部長から申し上げたとおりだと私も思っております。やはりこの財政調整基金の一番使いどころという部分につきましては、先が少し見えてきた段階で、財政計画を含めて、今、世田谷区も五年先まで見通しを立てて出していますけれども、これも非常に不安定な状態。先ほど来、他会派からも、この不安定さについてはいろいろ御指摘もあったと思うんですけれども、そういう状況が少しでも見通せる段階で、例えばここはやはりサービスの部分についてもう少し拡充しなきゃいけない。
例えば、今般で言うと、コロナ禍の中でいろいろ不測の事態が起きているわけです。そうすると、そういう出動をしなきゃいけないときの財源が果たして東京都や国を頼りにできるかどうかという問題も正直出てきます。そういう段階こそ、本当に議会と御相談しながら財政調整基金というものの活用ということについて十分協議していかなきゃいけないと思います。現時点では、その先が見えないという中では、もうその協議の前提になる部分のところがもう少し先を行かないと分かりません。予算編成の中でまたこういう議論が出てくると思うんですけれども、その中では、やはり事務事業の見直しを先に手をつけさせていただいて、でき得る限り、緊急性の高いところに優先的に出していく方法を取らせていただいて、その上で、そのサービスのありようとかそういうことについてもやはり十分検討していかなきゃいけません。先ほど来出ています区民の方にもきちっと御説明をしていかなきゃいけないということ。これは財政の見える化にも続くと思うんですけれども、そういう部分について十分議論して、結論を出していきたい、こういうふうに思っております。
◆中里光夫 委員 将来予測できない事態があったら財調を使うということですけれども、私、当面の問題でもやはり事務事業見直しを優先して財調は温存するというのはおかしいのではないかと。財調基金を積極的に使うべきではないかというふうに思います。伺いますが、その事務事業見直し、具体的にどのような内容を想定しているのでしょうか。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 八月にお示しいたしました世田谷区政策方針に掲げておりますとおり、区民生活の安全や区民の健康、生命を守り抜くことを基本にいたしまして、感染症防止対策、それから区民や事業者の社会経済活動の維持、活性化のバランスを保つ地域社会づくり、こういったことを念頭に置きまして、来年度の予算編成に合わせて全ての施策事業の見直しに取り組んでいるところでございます。
この見直しに当たりましては、区民の生活や経済の実態に配慮いたしまして、単なるコスト削減だけの視点でなく、区民の理解を得られるよう、区民、利用者の視点を中心に、必要の度合い、それから利用者が得られる効果とコストのバランス、あるいは代替手段の有無など、多角的な軸を設けまして、一つ一つ事業を検証いたしまして、どのような見直しを行うべきか検討しているところでございます。
見直しの内容として、柱立てでございますが、例えば感染症の状況を踏まえました行事ですとかイベントの見直し、あるいは各種補助金の額や対象者等の見直し、あるいは外郭団体支援の見直し、安全を最優先した上で、公共施設ですとかインフラ整備の時期の調整、さらには、その他の施策事業につきまして、区民目線の必要性、有効性、公益性等の観点から、内容ですとか手法の転換、事業そのものの縮小や終了、一時休止などを検討していくということを考えております。
◆中里光夫 委員 事務事業見直しについては、新実施計画の十の視点を貫くと、今るる述べていただきましたが、区民負担増や区民に痛みを求めるんじゃなくて区民の目線、区民生活を守る、そこを最優先にすべきだというふうに思います。そこをしっかりと守ることが事務事業見直しで必要です。それから、やはり財調基金の活用で見直しの規模も圧縮する、そのこともぜひ行ってほしいということを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
次に、政策形成過程での参加と協働、区民目線の検討を進める、そのためにということで質問したいと思います。
ふじみ荘の廃止をめぐって区の政策転換について区民の声を聞かずに決定された。その後、説明会を行われましたが、区民や利用者の理解は得られず、区も有効な対案を示せないまま、ふじみ荘の廃止決定に至りました。
ふじみ荘でコミュニティーをつくって憩いの場としてきた利用者の皆さんの行き場がなくなってしまった、高齢者に冷たい、大蔵や千歳は代替にならない、こういった声を私もたくさん伺ってきました。利用者は納得していません。説明会は、利用者の声を聞いて政策に反映させるためのものではなくて、単に廃止の方針を伝えるだけのものだったんじゃないか。
ふじみ荘廃止に至るプロセスに問題がありました。政策転換の前に十分に区民、利用者の意向を捉え、政策に反映できなかった。政策形成過程での住民参加、住民合意形成をどう進めるかが課題となっています。今後こうした問題を起こさないためにも、政策形成のプロセスを見直す必要があるというふうに考えます。
一般質問でも厚生会館の土地売却、STKハイツなどの公共施設の集約化について議論いたしました。障害・高齢分野などから土地がないという要望はよく聞きます。区もこの地域に高齢施設のニーズがあることを認めています。STKハイツの教育相談室分室は、知的や発達障害など不安を抱える親子が、まず相談する場所です。中には、新しく行く場所に不安を感じて教育相談に行くことに強く抵抗する、そういうお子さんもいらっしゃいます。だから、駅に近い場所で助かった、こういう親の声も聞いています。こうした親子に交通不便な新教育センターへ行くというのは大変な負担です。そうした区民目線での検証が不十分だったというふうに考えます。
参加と協働は、区政の根幹に関わる問題です。区は、事務事業見直しについて、コロナ禍で困窮する区民、事業者の状況に十分配慮し、全ての事業について区民の理解を得られるよう、区民、利用者の視点を中心に、多角的な見直しの軸を設けると答弁しています。そうであるなら、事務事業の見直しや公共施設等総合管理計画において、政策形成過程から参加と協働の在り方を検討するべきじゃないでしょうか。政策形成過程での参加と協働、区民目線での検討をどう進めるのか、たたき台や素案の段階で区民の議論を行うということもあるんじゃないか。見解を伺います。
◎松本 政策企画課長 政策立案から決定までの検討過程においては、区民、利用者の視点を中心に多角的な視点から検討することが政策の質を高め、区民の利益向上にもつながると認識しております。区は、これまでも各種計画などを策定する際には、たたき台や素案の段階からパブリックコメントや区民意見募集、意見交換会の開催など、案件に応じた意見聴取の手法を取り入れることで、区民の区政参画を促し、透明性の確保に努めてまいりました。
一方で、政策形成過程の未成熟な状況を公表することで、区民の無用な混乱を招くおそれのあるものもあり、どのような手法を取り入れることが適切であるか、区民の参加の機会を工夫しながら、政策ごとに最も適した手法を選択することが重要であると考えております。今後も、各種政策の検討に当たりましては、区民との協働による区政運営と区民生活のさらなる充実を図るため、区民の目線に立った適切な手法を選択し、政策決定を進めてまいります。
◆中里光夫 委員 その政策形成は、物によっていろいろ選択するんだというお話でしたけれども、ここで具体的にどういうふうに検討の過程を変えていくのか、住民参加をそこに入れていくのか、その検討が必要だと思います。政策過程で区民参加を進めるための具体的な検討、これは行わないのでしょうか。参加と協働、区民目線と高らかに理念を掲げていますけれども、具体的な検討なしでは、これは進みません。だから、ふじみ荘も区民の納得が得られない。そういう状況をつくってしまったんじゃないでしょうか。区政の在り方に関わる大きな問題だと考えます。従来型の延長ではなく、保坂区政でこそ、このプロセス、この仕組みを前進させていくべきだと考えますが、副区長、この認識はいかがでしょうか。
◎宮崎 副区長 広報の関係のところでもちょっと触れましたが、やはり区民参加と協働の中でどうやってまずお伝えをして、それで、どういうふうに区民の方々から御意見をいただくか。この過程の中には、当然のことながら、区民の代表であります議会のほうからもいろいろ御指摘をいただくわけでございます。
我々が、今回のふじみ荘の分におきましては、二月の当初の段階から政策決定した内容をお示しして、いろいろ御意見をいただき、その内容について説明会も開かせていただいているということを踏まえますと、今般については、まだまだ代替策の部分についてのものがきちっと示されていないじゃないかというのは、昨日区長が申し上げたとおり、区長のほうもその確認をして、最終的にどういう案で代替という形のものをお示しするかということについてはきちっとやっていくということを申し上げたわけです。
そういう意味では、この政策形成過程の部分についてのオープン化というのは今までの課題でもありますし、そこについてはもうちょっと丁寧にやっていくという必要性はあろうかと思いますけれども、その内容の時々の状況の中でどういう発信をして、どういう御意見をいただきながら、最終的な結論を持っていくかということはもうちょっと透明化を図っていく。こういう努力はしていきたいと思っております。
◆中里光夫 委員 透明化を図っていくということですから、これは期待をします。この間、ふじみ荘のような件があったり、それから厚生会館の問題などもありました。やはり区民の理解、納得を得るためにはオープン化を進めて、より早い段階から参加を進めていくということが重要だと思います。しっかり検討していただきたいと思います。
それでは次に、避難所の環境改善について伺います。
避難所の非常用電源の配備について、避難所の標準配備のガソリンであるとかカセットガスを使った発電機では、避難所の本部機能を三日間維持するのがやっとだと。我が党は、医療用などの電源が必要になる福祉避難所から優先的に電源確保を進めること、そして、何よりエアコンを稼働できる非常用電源の確保、その充実を求めてきました。避難所の電源確保は今どこまで進んでいるのでしょうか。
◎前島 災害対策課長 大規模災害発生時には、被災した区民が生活する場として避難所を開設いたしますが、その避難所の非常用電源につきましては、ガソリンを燃料とする発電機のみの備蓄に加えまして、ガスボンベ式発電機を全避難所に二台ずつ配備するとともに、ソーラーパネル一体型蓄電池を導入いたしまして、避難所運営に最低限必要な電気機器の使用でおおむね三日間の電源を確保しております。
また、令和元年台風第十九号に対する風水害対策総点検におきます具体的な取組といたしまして、避難者のために、スマートフォンやタブレット等の情報機器の充電に必要な電源として、大容量ポータブル蓄電池を全ての指定避難所に一台ずつ配備いたしました。
さらに、避難所に配備していますガソリンやガスボンベ式発電機などの燃料が枯渇した場合を想定いたしまして、環境に配慮した災害時の電源確保のための庁有車として電気自動車を七台導入いたしました。これによりまして、電気自動車を電源車として活用することが可能となりまして、停電が発生している避難所の電源として活用することとしております。今後も、これらの電源を有効活用しまして、避難所の電源確保に努めてまいります。
◆中里光夫 委員 私たちは、エアコンが使える発電設備の設置であるとか、今回電気自動車を使った電源供給が始まったということですが、今後そういったことをさらに広げて配備を進めていく必要があると思いますが、今後の計画はどうでしょうか。
◎前島 災害対策課長 現状としまして、教育委員会によりますと、今日現在で停電時でも稼働する自立式のガス式エアコンを二十一校に配備、導入しております。体育館のエアコンの配備につきましては、それを含め九十校全てで完了しております。今後の展開でございますが、電気自動車などの活用も見据えまして、災害時の利用について、民間事業者との協定による避難所の電源確保についても関係部署と連携して検討してまいります。
◆中里光夫 委員 時間ですので、以上で終わりにします。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。
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○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、生活者ネットワーク、どうぞ。
◆金井えり子 委員 生活者ネットワークの企画総務所管の質問を始めます。
まず、災害対策について伺います。
避難とは難を避けること、避難所に行くことではありません。これは世田谷区の女性防災コーディネーター講座の講師も務める目黒星美学園の亰百合子先生の言葉です。そのとき、その人にとって最も難を避けるのに良い場所にいることが大事ということです。
昨年十月の多摩川の台風被害でも、避難所の混乱がありました。震災と風水害では、避難所や避難の仕方が違うこと、避難するタイミングや避難方法も様々なケースを考えなければならないことが分かりました。現在のコロナ禍では、感染症対策などで避難所のスペースも限られてきます。
九月の九州豪雨では、避難所だけではなく、ホテル避難という方法も取られました。しかし、世田谷区では、ホテルなど宿泊施設が少ない。では、世田谷区にたくさんある空き家や賃貸物件などはどうでしょうか。いっときの避難場所、生活の場としてのみなし仮設だけではなくて、物資分配の拠点という活用もできます。居住支援課やトラストまちづくりなどとも協力し、いざというときに空いている物件情報が共有できるよう連携を図る。民間でも、社会福祉法人などと協定を増やすなどで少しでも避難所を増やすために、少しでも助かる人が増えるように、可能性を探っていくべきと考えます。
水害など、早めの避難をしなければならない場合の避難所について、一次避難所、二次避難所があること、また、避難所に行かなくても御自宅にとどまることのほうが安全な場合もあるということ、在宅避難や縁故避難などが選択肢の一つであることを区民に伝えることが必要です。どのように区民へ理解を促すのか伺います。
◎前島 災害対策課長 区では、「区のおしらせ」六月四日特集号、九月一日号におきまして、また、九月七日より区内全戸に配布いたしました洪水・内水氾濫ハザードマップにおきまして、コロナ禍における風水害時の避難について、自主避難や縁故避難、在宅避難といった様々な避難方法があることを周知し、呼びかけております。
自宅にとどまる在宅避難につきましては、水害時における浸水により、また、震災時での自宅の倒壊や火災により身の安全を守れず命の危険にさらされてまでも自宅にとどまることではございません。
区といたしましては、災害の事象やリスクにおける区民それぞれの状況に応じまして、適切に避難行動を取っていただけるよう、区のあらゆる広報媒体を通じまして分かりやすい言葉で周知するとともに、防災塾や地区での訓練においての理解促進、また、避難行動要支援者や関係団体などへの周知を徹底してまいります。
◆金井えり子 委員 在宅避難、縁故避難を進めるためには、在宅でも安心できるような仕組みも必要です。区民の備えとしては、回転備蓄、ローリングストックが有効です。食料や水、生活に必要なものは、防災用品としてではなく、ふだん使っているものをいつも多めに用意し、使ったら足していく、備蓄しながら回していくといった方法です。日頃からの備えについて周知啓発をどのように進めるのか伺います。
◎前島 災害対策課長 区では、ホームページや「せたがや防災」、震災時区民行動マニュアルマップ版などの防災啓発物で、自宅が安全な場合は在宅避難することを推奨し、併せて、飲料水や食料品を備蓄するよう呼びかけております。
これらの防災啓発物におきまして、飲料水や食料品の備蓄のための購入量、入れ替え方法として、いつもの二倍の量を購入し、日常生活の中で半分使ったら使った分を購入するという、委員お話しのローリングストックを紹介してございます。
区民にローリングストックを呼びかけるに当たりまして、防災啓発物によっては、ローリングストック、ランニングストック、日常備蓄といった表現が異なるというところも見受けられます。ふだんから、そういうところを見直したり、各家庭で冷蔵庫や食品棚等にある食料の活用方法など、そういったことを分かりやすく具体的に実践例としてまとめ、掲載するなどの工夫をしていくことで、区民への在宅避難を積極的に推進してまいります。
◆金井えり子 委員 本当に防災用品として備蓄をしていくとなりますと、ロスが生じたりすることもありますので、ぜひこのローリングストックを勧めていただきたいと思います。
しかし、このローリングストックがあったとしても、避難生活が長期になる場合、在宅で必要なものがなくなってしまったらどうしよう、タイムリーに入る情報を見逃してしまったらどうしよう、そんな不安も出てきます。特に物資の分配については、うちにいたら何ももらえないのではないかと思う方も多いようです。このような心配を払拭できるように、在宅の方への対応をどのように進めるのかを伺います。
◎前島 災害対策課長 在宅避難をする方への支援といたしましては、避難所運営マニュアル(標準版)にも在宅避難者の方への食料や物資の配給などについて明記してございます。この中には、在宅避難者を登録カードによって把握いたしまして、物資の仕分け、配給時には在宅避難者に事前周知して手伝っていただくことも盛り込んでおり、その手順等も記載してございます。
また、在宅避難者への物資提供は、区民への備蓄の呼びかけを現在一人最低三日分以上、できれば一週間分の備蓄を推奨していることから、基本的には全国各地からのプッシュ型支援等の支援物資が避難所に届いた後のおおむね四日以降に開始するものとしております。
また、現在、災害時のボランティア体制整備を進めてございますが、各避難所に設置するボランティアの受付窓口に集結する一般ボランティアの方には、避難所の支援だけではなく、在宅避難の方への支援も役割に入れております。今後も、関係部署や関係団体などとも連携いたしまして、在宅避難者が安心して避難生活を過ごせるよう、その支援に取り組んでまいります。
◆金井えり子 委員 今の避難所運営マニュアルですとか、それから在宅避難者の登録カードなど、ちょっと込み入った感じになってくるかなと思いますけれども、こういったことを毎年防災塾などで共有されているのかと思います。防災塾はその時々でその地域に必要なテーマで訓練や討議など、本当に有意義な活動だと思いますけれども、コロナ禍の今年、防災塾の開催状況はどのようになっているのかを伺います。
◎若松 危機管理部副参事 防災塾の開催状況ですが、九月三十日現在で区内二十八地区中五地区が開催済みで、残り二十三地区については、今後の実施に向けて検討、調整中でございます。
新型コロナウイルス感染症の影響で、防災塾のように多くの人を集めるような事業は実施が困難な状況が続いておりますが、地区によっては動画を活用したオンラインでの防災塾の実施や、会場に応じて参加人数を絞った形での開催などの工夫を行っている地区もございます。
防災塾は、高齢の方の参加も少なくない事業ですので、参加者の不安なお気持ちにも配慮しつつ、感染防止対策をしっかり講じながら、事業手法の見直しも含め、実施に向けての検討、調整を進めてまいります。
◆金井えり子 委員 工夫してやってくださっているところもあるということですよね。先日、その工夫といいますと、九月十九日に世田谷総合支所街づくり課の太子堂五丁目、若林二丁目のまちづくりの企画、オープンハウスというのがありました。小学校の校庭の校門のところにテントを張りまして、展示やシール貼りアンケートなどを行っていました。通りすがりに寄った方、それから少年野球チームの子どもたちや、遊び場開放に来た人などの参加があったそうです。講演会や企画に来る方とはまた違う方々の声も集まるという広がりを感じました。
このような工夫をすれば、防災についても、子どもや地域の方が参加して、身近に自分事として考える良い機会がつくれます。前回の予算特別委員会でも求めましたが、コミュニケーション型の情報周知、区が伝えたいことを広報するだけでなく、区民意見や気づき、発想を共有することで、地域の防災力も高まると考えます。区民に自助を求めるには、一方通行では進まないと思います。防災塾をはじめ地域ごとの防災啓発の取組について、区の見解を伺います。
◎前島 災害対策課長 区では、区民の自助、共助の推進を図る取組といたしまして、先ほど答弁させていただいた防災塾を行っております。また、地域、地区では、町会・自治会やマンションなどの単位でも防災訓練、防災教室などを実施しているところもございます。委員お話しの地区よりも小さい単位での防災啓発を進めるためには、町会・自治会などのイベント及び事業の中で防災の要素を盛り込む等、防災を身近なものとして認識していただけるよう工夫が必要だと考えております。
現在は、
新型コロナウイルス感染拡大防止のために、地域、地区、さらには町会・自治会などの単位でのイベント等の取組は少なくなってございますが、今後も、イベント等の実施に当たりましては、地震体験ができる起震車や水消火器、アルファ米などの防災備蓄品、様々な防災啓発物などをフル活用いたしまして、様々な団体の活動の中での防災の要素を取り込んでいただけるよう、各総合支所とも連携して対応してまいります。
◆金井えり子 委員 本当に工夫していただけたらと思います。
そして、新しいハザードマップが配布されました。大きなマップを開く前に、水害時避難行動判定フローが見える。フローを進めるとマップを開きたくなるという仕掛けになっているそうです。台風接近時のタイムラインなど、大きく見やすくなりました。様々見直しがされましたが、やはり配りっ放しではどんなすばらしいハザードマップでも宝の持ち腐れとなってしまいます。まず、マップを開き、自分の住む地域を確認すること。課題を見つけること。区はどのように進めていくのか伺います。
◎若松 危機管理部副参事 委員お話しのとおり、洪水・内水氾濫ハザードマップを活用し、区民が風水害のリスクを十分に理解いただき、事前に迅速かつ円滑に命を守る行動が取れるようになるためには、地区での自助、共助の取組による理解促進も大切であると認識しております。区といたしましては、「区のおしらせ」等による広報媒体で全区的な周知を図るとともに、総合支所と連携し、地区での防災塾や防災講話、防災訓練などにおいて、地区における風水害のリスクを地区の皆さんで把握し、地区の実情に応じた避難の仕方等を確認できるよう、また、東京マイ・タイムラインなどの都の取組とも連携し、洪水・内水氾濫ハザードマップの理解促進につながるような自助、共助の取組を支援してまいります。
◆金井えり子 委員 こういったハザードマップですとか地区のまちづくりのマップこそ、本当に地区の方々が自分事として見るものだと思います。ぜひぜひコミュニケーション型の情報周知、よろしくお願いいたします。
そして、水防災の区民への啓発として五月に講演会を行う予定がありましたが、今年は集まるということができなくて多くのイベントが中止になっています。本当にちょっと楽しみにしていたんですけれども、残念でした。今後の工夫や展望について伺います。
◎若松 危機管理部副参事 今年五月に開催予定だった水防災に関する講演会は、近年、台風や大雨による甚大な被害が全国で発生していることから、区民が気象情報や避難情報を正しく理解し、自身の水害リスクを把握して適切な避難行動が取れるようにすることを目的として、気象の専門家の講演と、区から、洪水・内水氾濫ハザードマップの主な改定内容の説明を予定しておりました。
区といたしましては、広く区民の方々に周知啓発を図ることは大変重要であると認識しております。今後も、このような講演会への参加を通じまして、御自身や御家族から防災意識や備えをしていただけるよう、来年度の実施に向けた検討をしてまいります。
◆金井えり子 委員 次に、女性防災コーディネーターについて伺います。
令和元年度講座の修了者は三十八名、講座を受けた方の多くが修了されたそうです。今年は防災訓練なども中止が多くて、地域での活動としては今後に期待するところですが、これまでもずっと女性の視点が重要であることは生活者ネットワークからも訴え続けてまいりました。現在この三十八名の女性防災コーディネーターがいますけれども、避難所や地域の数を考えたら、本当に僅かな数です。せめて避難所、地域に一人は必要です。
今年度は講座の開催もできないということですが、来年度以降、どのように女性防災コーディネーターを増やし、活動を進めるのかを伺います。
◎若松 危機管理部副参事 多様性への配慮も含め、女性の視点で地域の防災活動等において活躍していただくことを目的に、区では、女性防災コーディネーター養成研修を一年間で全八回開催し、昨年十月に三十八名の修了生を輩出することができました。修了生の皆様には、今後、講師となって地域の防災事業等の様々な場において、多様性への配慮も含め、女性の視点からの防災について啓発を推進していただくことを計画しておりましたが、今般のコロナ禍の影響により、今年度は活動を開始できていない状況でございます。
現在、防災塾をはじめ地域の様々な防災事業が実施困難な状況にある中、講師、参加者双方の不安を配慮しつつ、感染防止対策をしっかり講じながら、事業手法の見直しも含め、地域防災啓発事業の実施に向けて検討、調整を進めてまいります。
◆金井えり子 委員 災害時、災害弱者である妊産婦、母子への気配りにもこの女性防災コーディネーターの存在が必要です。巡回の保健師との連携で、母子の栄養指導や必要な物資の分配などには女性の視点が欠かせません。最も栄養ケアが必要なのは、ミルク、離乳食が必要な乳児です。乳幼児は、僅かな食事の変化で脱水や重大な健康障害に発展することもあります。
国からは、育児用ミルク、粉ミルクまたは乳児用液体ミルクや哺乳瓶等がプッシュ式で送られてくるそうですが、これには実は心配の要素もあります。母と子の育児支援ネットワークから提言も出ています。備蓄時の温度調整など製品管理、特にこの液体ミルクに関しては、三十五度以上になると保存が大変難しいということ、また、乳児用ミルクが必要な乳児の見極め、母乳育児中の方に関しては、ミルクの使用で母乳産生量が低下する可能性もあるので、支援者側の理解と母親への確認が必要となること。そして、乳幼児ミルク使用時の飲み残しは廃棄することも徹底しなければなりません。災害に備えるには、乳幼児ミルクの備蓄だけではなく、乳幼児栄養全体を見据えた防災対策が必要です。個別のニーズに沿った適切な支援が求められてまいります。
備蓄品、プッシュ式などの母子への物資の分配について、どのような分配がされるのか伺います。
◎前島 災害対策課長 発災後四日目以降からは、国のプッシュ型支援によりまして国や東京都を通じて各区市町村への支援物資が供給されることとなってございますが、発災後おおむね一週間以降につきましては、各避難所の要請に応じまして支援が行われる計画となってございます。
しかしながら、災害時におきましては、そこにいる全ての方が被災者であるという意識から、委員お話しの授乳中の女性の方をはじめ、高齢の方、障害のある方など、要配慮者の方にとって、自分たちの困り事を周りに訴えることがなかなかできない状況が発生しているということが、過去の被災事例からも分かってございます。区では、そのような要配慮者の皆様の声を円滑に支援につなげることが重要であると考えておりまして、避難所運営マニュアル(標準版)に記載してございますが、要配慮者の必要とする支援の事例といったものをまとめてございます。そちらの内容の啓発などを、今後も、先ほど申し上げました女性防災コーディネーターと連携、協働しまして、地域の皆様への普及啓発に取り組んでまいります。
◆金井えり子 委員 それでは、続いて自治体間連携について伺います。
世田谷区総合戦略では、区単独で解決が難しい課題に対して、全国の自治体との連携を強化し、広域的な解決に結びつけることを施策の一つとしているとあります。自治体間連携は、現在はどのように進められているのか伺います。
◎山田
交流推進担当課長 区は、他自治体との連携強化を図り、区単独では難しい政策課題を解決するため、世田谷区総合戦略に自治体間連携を位置づけまして、取組を進めてまいりました。具体的には、川場村との縁組協定や区民まつりをはじめとした多くの自治体との交流事業を進めております。連携の取組といたしましては、つくば市などとの災害時の相互応援協定であったり、弘前市などとの自然エネルギーを活用しました発電事業の協定などが挙げられます。
◆金井えり子 委員 区民まつりは、実際に他の自治体の方と区民が交流できるとても良い機会だと思います。また、自然エネルギーの自治体間連携も、広報などで目につくようになってきました。先ほどほかの会派の方が、災害時の自治体間連携のお話をされていましたけれども、本当にいろいろな連携が組んでいけるのだなと感じています。この他自治体と世田谷区をつなぐプラットフォームとして、せたがやふるさとサイトというものがありますが、この目的について伺います。
◎山田
交流推進担当課長 自治体間連携のプラットフォーム、いわゆるせたがやふるさとサイト、通称せたふるは、世田谷区と交流のある自治体の首長が参加いたします自治体間連携フォーラムにおきまして、インターネット上で交流のある自治体同士の情報を発信し、共有する場が必要だという御意見を踏まえまして、自治体同士の情報を共有し交流を深めるため、サイトを立ち上げました。
◆金井えり子 委員 自治体同士の情報共有サイトとして始まったということです。ということは、自治体間の首長さんたちがこういったことをやっていったらいいんじゃないかというふうにお話しになって立ち上げたということですけれども、これは世田谷区民も見ていくということになりますよね。実際に世田谷区のホームページから見られるようになっているようなところですので。
世田谷区民がこの自治体間連携について見たときに、ちょっと分かりにくいなと感じました。世田谷区がやっていることと、それから連携している自治体の場所がばらばらに載っているんです。世田谷区が具体的にどことどんな連携をしているのかというのが、明確に分からないようになっています。また、参加団体の中の紹介のところにも、区とのつながりの記載がありません。殊に、先ほどもお話がありましたけれども、川場村縁組協定などのことは、もっともっとPRしてもよいのではないかと思います。本格的な自然を区民が自分のふるさとのように体験できる誇らしい連携だと思いますけれども、他の自治体間の連携などの参考にもなりますし、また、それを見たほかの自治体が新たな関係性をつくってくるかもしれません。
単なる観光案内ではなく、区民に自治体間連携の意義や効果が分かることが大切ではないかと考えます。人と人の交流が生まれ、個人のつながりが産業に結びつくなど、広がっていくことと思います。区とのつながりをもっと具体的にアピールするとよいと思いますが、見解を伺います。
◎山田
交流推進担当課長 せたがやふるさとサイトに掲載している自治体は、世田谷区を含めまして十三自治体ほどございます。各自治体と世田谷区がつながる理由は様々ございます。例えば群馬県川場村は、昭和五十六年に縁組協定を締結いたしまして、世田谷区民の第二のふるさとといたしまして、森林保全活動や農業体験など様々な交流をしている自治体でございます。その他の自治体としましては、区民まつりでの物産展、また、地域や商店街などの交流をきっかけに、区とつながる理由をふるさとサイトに掲載していくことで、住民同士の交流を促す効果があると考えられますので、掲載に向けましてサイトの工夫をしてまいります。
◆金井えり子 委員 今行っている自治体間連携に加えて、持続可能な社会のために、食の原点ともなる農業や漁業などとも連携を今後も御検討いただけるよう要望いたしまして、以上で生活者ネットワークの質問を終わります。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後三時十八分休憩
──────────────────
午後三時三十五分開議
○真鍋よしゆき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
減税せたがや、どうぞ。
◆あべ力也 委員 それでは、質問してまいりますが、今日は防犯カメラについて質問をします。
実は私も犯罪の被害に遭っておりました。それで、内容としては、政治活動用のポスターを剥がされるということで、これは防犯カメラに助けられて犯人を検挙したということなんですが、ところが、びっくりしたことに、その方は現職の都議会議員の方でした。新聞報道で皆さん知っていると思いますけれども、なぜ私がびっくりしたかというと、前回の都議会議員選挙のときにその方から電話がかかってきて、今回の選挙は大変厳しいので、あべさん、悪いけど公選はがきを書いてくれないかというので、実は私、百枚ぐらいこの方の公選はがきを書いているんです。ついでにポスターも貼ってくれというんで近所にポスターも貼ったりして、よもやこの方が私のポスターを剥がしているというふうには全く考えていなかった。そういう方が、実は犯罪を犯していたということに大変衝撃を受けたんです。
今日は、防犯カメラによって犯罪の抑止であったり、もしくは、プライバシーの問題もありますけれども、逆に身の潔白を証明できたり、犯罪の検挙もできたりということで、地域には町会や自治会、商店街に設置をされている、区が補助を出している防犯カメラがあるわけですけれども、今申し上げたように、犯罪の検挙には大変役に立つということなんですけれども、現在の設置状況はどういう状況なのか。それと、今後の予定についてまず伺います。
二点目は、防犯カメラは、犯罪抑止のほか、犯人の検挙に有効であるため、設置台数を増やすということが私は望まれると思うんですけれども、聞くところによると、防犯カメラの説明会というのを町会や自治会、もしくは商店街の皆さんに行っていると。その機会にできる限り―防犯カメラというのは密度の問題で追跡ができたり何なりということがありますので、同じところに何台もあるというよりは、どちらかというとメッシュで何メートルごとにあるとか、それで追っていける、リレー方式にするということのほうが犯罪の検挙につながるというふうにお聞きをしております。
世田谷は、今、メッシュ方式とリレー方式ということに関してはどういう検討をされているのかということも含めて、また、そういう有用性、有効性についても説明会などで説明をして、理解してもらうということも私は必要なことだと思いますので、それについてどういうふうに考えておられるのか。あとは、実施をしていただきたいと思うんですが、可能なのかということ。
それと、三番目については、防犯カメラの設置場所については、区内には個人宅もしくは事業者などが独自に設置している場合もありますけれども、効果的な設置場所の設定をするための区としての指導であったり取組。先ほど申し上げた、区が設置しているものと個人が設置しているものとの防犯カメラのリレーションの問題、そこも含めてしっかり検討していくべきだと思うんですけれども、この三点についてとりあえず伺いたいと思います。
◎吉田
地域生活安全課長 まず、区の設置状況と今後の予定でございます。
区では、町会・自治会、商店街に対しまして防犯カメラの設置補助を行っております。防犯カメラは、区民等の権利、利益を保護するとともに、全ての区民が安全で安心して生活することができる地域社会を実現することを目的に設置、運用しているものでありまして、犯罪抑止と犯人の検挙の効果が期待できる防犯設備であると認識しております。
現在まで五十四の町会・自治会と七十の商店街に千百八十二台の防犯カメラが設置、運用されております。さらに、今年度末までには七つの町会と二つの商店街に七十台増設される予定でございます。いずれもプライバシーの侵害に留意し、防犯カメラを公道に向ける形で設置しております。
次に、設置の密度関係とか設置台数の関係でございますが、区では毎年町会・自治会対象の防犯カメラ説明会や、また、商店街を対象といたしまして商店街振興事業説明会におきまして、各町会・自治会、商店街の方々に防犯カメラの設置補助について説明を行い、設置意向を調査しております。
防犯カメラは、犯罪抑止の効果、そして犯人検挙にも役立つ設備でございますので、各地域をメッシュ分割し、分割単位で防犯カメラを設置する、こういった設置方法は防犯効果を高める方法の一つであると思います。今までは、設置意向に応じまして補助をしてきたわけでございますが、今後は、防犯カメラ説明会などの機会に、設置台数の調査に加えまして、リレー捜査方式で犯人を検挙したといった事例もございますので、そういった事例を紹介しつつ、メッシュ単位での設置手法も防犯と検挙効果を発揮する方法の一つであることを説明してまいります。
次に、設置場所についてですが、これにつきましては、死角であるとか交差点、ほかの防犯カメラと重複しない場所の選定など、町会・自治会、商店街や警察と協議を行った上、犯罪抑止と犯人検挙の効果が最大限に発揮できるような適切な場所に設置してまいります。
今後も、区内の治安向上のため、防犯カメラの設置を推進してまいります。
◆あべ力也 委員 ありがとうございました。
地域の防犯のためにも、防犯カメラの設置台数を増やしていただくようにお願いをしたいと思います。どうしても死角になる部分というのがあると、先ほど申し上げたリレー方式で追っていくということが途中で途切れてしまうということもありますので、なるべくメッシュの網の間隔を狭めていけるような、全体的な総数とか目標を決めて、メッシュをなるべく細かくしていくということが抑止や検挙につながると思いますので、ぜひ、私のような体験をしている方ってそんなにないと思いますけれども、防犯カメラによって検挙されるということは実際に有効だと思いますので、区としてもしっかり取り組んでいただきたいと要望しておきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で減税せたがやの質疑は終わりました。
────────────────────
○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷どうぞ。
◆上川あや 委員 初めに、防災行政無線について伺います。
区では、災害時にいち早く区民に災害関連情報を伝えるために固定系防災行政無線を整備してきましたが、さきの整備から三十年が経過をし、老朽化が進んできたことから、平成二十七年度から五か年をかけ、最新のデジタル方式への更新を進めてきたと認識をしております。まず、全体の整備の額と併せて完了したのかどうかを確認いたします。
◎前島 災害対策課長 防災行政無線塔などの固定系防災行政無線デジタル化工事につきましては、議会へ報告もいたしましたが、電波法審査基準の改正によりまして、アナログ無線設備が令和四年十一月三十日以降に使用できなくなることから、平成二十七年度から五か年かけましてデジタル化工事を行い、令和元年度でデジタル化工事は完了しております。この工事にかかります五か年の費用の総額につきましては約九億六千百万円で、そのうち国の補助金として三億八千七百万円を活用してございます。
◆上川あや 委員 五か年の歳月と九億六千万円余りをかけて最新の設備に更新がなされたということです。ところが、先月二日、落雷がありまして、あっけなく本庁舎の災害対策本部に設けられた最新の防災行政無線の操作卓本体が使えなくなりました。また同時に、区役所本庁舎では、電話は外線内線共に不通になったと認識をしております。
このように、落雷で発生する過大電流が電気、通信ネットワークに入り込み、防災関連機器を含む多くの電子機器が使えなくなる雷の被害、雷害対策の必要性については、私より、平成二十年の決特、平成二十六年の決特と相次いで指摘をし、特に雷害に弱い防災行政無線やJアラートなどについては名指しで対応を求めたところです。
その結果、区では数回にわたり対策工事を行ってきたと報告も受けておりましたので、今回あっけなくその最新設備の中央の部分が使えなくなったという事態に大変驚きました。どうしてこのようなことになったのか、原因となったその脆弱性、今後の対策についても御説明をいただければと思います。
◎前島 災害対策課長 現状の本庁舎におきます固定系防災行政無線の雷対策といたしましては、屋外のアンテナと屋内の無線機をつなぐケーブルへ、また、屋内の電源と無線機の間に雷を防ぐ装置を設置してございます。このたびの事態に関する保守事業者の見解によりますと、第一庁舎屋上にありますアンテナに落雷が直撃したものでなく、付近に落雷した際に伝わる誘導雷が、第一庁舎と第三庁舎をつなぐ防災行政無線の通信ケーブルを通じて伝わり、無線機器類の一部が故障したことが原因ではないかとのことでした。
また、さらなる雷対策につきましても保守事業者と協議いたしましたが、これ以上の雷対策としては、今回の誘導雷が伝わった通信ケーブルの端と端の一つずつに雷を防ぐ装置を百個以上設置する方法があるというふうなこともありましたが、区の防災行政無線機器類の設置スペースから対応も難しく、また、装置を入れたとしても誘導雷を完全に防ぐものではないことから、現状以上の対策を取ることは困難だと考えてございます。
区といたしましては、今回のような雷による被害が生じた場合には、ホームページ等で速やかに区民に情報発信し、防災行政無線の保守事業者による故障箇所の特定と早期復旧のための作業内容等の事前確認を徹底するとともに、防災行政無線による情報伝達ができない場合でも、現在多重化を図っている災害・防犯情報メールやツイッターなどの情報伝達手段を活用いたしまして、引き続き、区民への適切な情報提供に努めてまいります。
◆上川あや 委員 雷害対策の必要性は、本庁舎に限るものではありません。平成二十六年の決特では、他の総合支所の防災関連機器についても、この雷害対策が取られていないということを確認し、その是正を求めました。これらは改善されたのでしょうか。
◎前島 災害対策課長 総合支所の防災関連機器といたしましては、総合支所の庁舎屋上等に設置している防災行政無線塔及び総合支所の庁内放送のための戸別受信機、避難所となる学校やまちづくりセンターとの内部通信手段としての二百六十メガヘルツの地域系防災行政無線などがございます。
区民向けの情報発信のための防災行政無線塔などにつきましては、区内全ての無線塔に落雷対策を施してございませんが、仮に個別の無線塔が落雷による影響を受けたとしましても、全体の無線放送に影響を与えるものではないことから、早期復旧をすることで対応するとともに、先ほど申し上げましたメールやツイッターなど多様な情報伝達手段の活用により適切に情報提供してまいります。
一方で、区災害対策本部内や防災関係機関などの内部通信手段としての二百六十メガヘルツ地域系防災行政無線は、本庁舎に設置しているものと同様に、屋外のアンテナと屋内の通信機器の間に雷を防ぐ装置を設置している等の対策を取っております。その他の通信機器につきましては、特段の落雷の対策を取っておりませんが、PHSや衛星携帯電話などの内部通信手段の多重化により対応が可能と考えてございます。
今後も、他自治体の事例や事業者などの意見を参考に必要な対応を検討してまいります。
◆上川あや 委員 ぜひ再点検と手抜かりのないようにお願いいたします。
今回取り上げた雷害対策の手薄さは、なお全庁的な課題ではないかと私は考えています。今回、営繕に避雷器等の設置等、雷害対策の取られた公共施設の一覧をいただきました。すると、分かったのは、平成二十五年度以降、改築及び大規模改修のあった施設で対策が取られ、現在三十六棟で整備を終えているということだったんです。ところが、区が建物ごと所有する区立施設そのものを政策経営部に伺いますと七百八十四施設あるのだそうです。建物の数でまとめても五百十三棟。つまり、区が雷害対策を施した三十六施設はごくごく一部なんです。むしろ大多数の施設は無策のままとなっています。
情報通信機器の発達と普及は区立施設においても例外ではありません。それらが軒並み雷害に弱いということははっきりしているのですから、改築改修時のみ対策を取るというのではなくて、計画的に、戦略的に対策に当たるべきではないでしょうか。
◎高橋 施設営繕第一課長 近年頻発するゲリラ豪雨等に対する区施設の雷対策は、情報通信機器の普及などから重要な取組であると認識しております。従来の雷対策は、主に避雷針の設置により設備機器の安全確保に努めてまいりましたが、近年は誘導雷対策として避雷器の設置も改築や大規模改修などの機会を捉え、工事を行う施設を中心に設置に努めているところです。
御指摘いただいた設置状況については、現在区施設が五百棟以上ある中では、お話しのように計画的に対策を進める必要性もあると考えます。今後の避雷器の設置につきましては、これまでの改修工事等の機会を捉えた設置に加え、施設の規模や工事内容などの課題を整理して、計画的な対策を関係部署と調整を図り検討してまいります。
○真鍋よしゆき 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。
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○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 本日は、コロナ禍における職員の方の在宅勤務について伺います。
コロナ禍において、国は企業に社員の七割を目標にテレワークなどの在宅勤務を求めました。渋谷区では、昨年から五百人規模のテレワークを実施し、今年四月からはさらにモバイルパソコンの台数を増やし、職員の出勤数を半分以下に抑制しております。
世田谷区の現状は、在宅勤務をしても区役所のサーバーとつながるモバイルパソコンが配備されていないので、テレビ会議や庁内のメールチェックや送受信、文書の起案や決裁ができず、結局その分の仕事がたまってしまい、出勤した日は残業になると伺いました。区のIT環境の整備の後れはこれまでも指摘されてきましたが、このコロナ禍で如実に現れたのではないでしょうか。民間企業では、コロナを契機と捉えてテレワークを推進しており、今後急速に進みます。この流れに乗り遅れないように、モバイルパソコンの配備など、今からしっかりと環境を整えておくべきです。
昨日のあべ委員への区長の答弁では、目指すはエストニア、ITで推進できる業務は推進して、一方で対人しかできない業務は対人でやる、体質転換を行っていくとありました。
区役所では法律の縛りがあり、また、窓口業務といったテレワークに切り替えられない業務があるとしても、できるところからテレワークに切り替える必要があると考えます。まずは、区役所のサーバーとつながるモバイルパソコンを配備する必要があると考えます。区では、後ればせながら、八月にモバイルパソコンが配備されたとのことですが、各部に一台か二台ということで、これでは一桁以上に足りないと思います。今後、職員の方のテレワークが可能となるような台数のモバイルパソコンを早急に配備するなど、速やかにIT環境を整えるべきと考えます。見解をお伺いいたします。
◎山田
ICT推進課長 区においては、平成二十九年度末より、外出先でのモバイルワークに関する試行を行ってきたところです。四十台から試行を開始し、毎年台数を増やし、令和二年八月時点で庁内百四十五課に対し百八十四台のモバイル端末を配置しました。
新型コロナウイルス感染防止のため、全国的な在宅勤務が実施される状況の中で、新たに端末を調達することなく、このモバイル端末を在宅勤務用としてスムーズに流用できたことは大きな意味があったと認識しております。しかしながら、御指摘のとおり、十分な状況であるとは言えませんので、経済性などにも配慮しながら、モバイル端末のさらなる増台を検討してまいります。
また、在宅勤務の再開に当たっては、在宅勤務を可能とするよう、業務自体の見直しや、紙書類のデジタル化、勤務条件や各種制度の構築なども必要です。それらがうまく融合することにより、効果的な在宅勤務が実現できると認識しておりますので、今後、関係所管課と連携しながら、計画的にIT環境整備を進めてまいります。
◆ひうち優子 委員 国では、デジタル庁が新内閣の目玉とされ、まずは行政のデジタル化を進め、判こ行政の廃止、DXによる働き方改革、役所に行かなくても行政手続ができる社会を目指しています。国の動きに後れることなくデジタル環境の整備を要望いたします。
次に、ふるさと納税についてお伺いいたします。
先日、区民の方から次のような御意見をいただきました。世田谷区のふるさと納税のPRサイトを見たが、がっかりした。あれでは世田谷区民は他の地域にふるさと納税する。私も他の地域に全額納税したというものです。
ふるさと納税については、昨年六月に制度改正があり、自分の住んでいる自治体にふるさと納税をしてもその自治体から返礼品の提供は受けられないこととなりました。そこで、世田谷区では、たまがわ花火大会の無料席や、世田谷二四六ハーフマラソンの出走権など、返礼品には該当しない体験を寄附のお礼品として提供しておりますが、さらなる工夫と開発が必要と考えます。さらに、世田谷区外の方からふるさと納税を呼び起こすアイデアも不可欠です。人の流れは正直です。神の見えざる手は動きません。例えば世田谷区には、著名なアーティストがたくさんいらっしゃいますので、コンサートのチケット、また、オンラインコンサートを開催し、返礼品として出すなど、さらなる工夫が必要と考えます。見解をお伺いいたします。
◎寺西 財政担当部副参事 今年度のふるさと納税の影響による区の減収額は約五十六億円に達しており、今後コロナ禍の影響による大幅な減収も見込まれる中、様々な手段を通じて本制度による財政的な影響を最小限に抑えることが不可欠であると考えております。
委員お話しの体験型の記念品は、区民、区民以外を問わず寄附を促すことができ、減収の抑制と寄附の獲得の両面から有効な手法である上、区の魅力を知ってもらうきっかけともなり、寄附のリピートにつながる効果も期待されると認識しております。
今年度は、八月よりJA東京中央との連携の下、みどりのトラスト基金への一定額以上の寄附者に対しまして、大蔵大根の収穫体験の提供を行っております。引き続き、御提案の趣旨も踏まえ、区内区外の寄附者の共感が得られる取組を推進し、世田谷ならではの資源を生かした魅力ある体験型記念品の開発にも取り組んでまいります。
◆ひうち優子 委員 世田谷区でしかできない記念品を出していただくように要望いたします。
次に、新公会計制度に基づく決算書についてお伺いいたします。
三月の
決算特別委員会において、新公会計制度に基づく計算書の財務諸表について取り上げました。そこでは次の四点を質問いたしました。①外郭団体や一部事務組合を含んだ連結財務諸表についても、連結精算表及び行政コスト計算書の当期収支差額とキャッシュフロー計算書の行政サービス活動収支差額の差異の内訳を開示すること。②比例連結対象となっている五つの一部事務組合について連結比率を明示すること。③一般会計と四特別会計の内部取引の相殺について内訳の詳細を開示すること。④外郭団体や一部事務組合を含んだ連結財務諸表についても、内部取引の相殺について、内訳の詳細を開示することなどの改良を行うことについて質問いたしました。
その後の進捗状況について答弁を伺います。また、外郭団体や一部事務組合を含んだ連結財務諸表についても注記を作成する必要があると考えます。見解をお伺いいたします。
◆工藤 会計管理者 ただいま御案内いただきました、従前御指摘いただきました四点につきましては、それぞれいずれも対応済み、もしくは、今度の、令和元年度の決算資料の中で実現するということで、準備を進めさせていただいています。また新たに一件改善提案いただきました。そちらにつきましても、連結財務諸表の注記ということで、令和元年度決算より開示予定ということで準備をさせていただいているところです。
◆ひうち優子 委員 ぜひ今後もよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。
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○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、都民ファーストの会、どうぞ。
◆そのべせいや 委員 一般質問、総括に引き続き、申請のデジタル化について伺います。
ここまで形式的な電子申請のハードルを下げるために押印の廃止、本人認証手法の確立が進むよう、具体的な問題点の整理と解決策の提案を行い、検討状況とスケジュールを併せて公表するよう求めてきましたが、一方で、選択肢の拡大、利便性の向上という観点ではなく、生産年齢人口が減り、一方で一般的に支えられるとされる高齢者が増える日本、東京、世田谷において、行政の効率化は選択肢ではなく唯一我々に残された道であり、デジタル化への移行は一時期まとまったコストを投じてでも強力に進めなければならないと考えています。これを否定するのであれば、さらなる増税を繰り返すか、将来世代の資産を食い潰し、ツケを若者、子ども、生まれてすらいない世代に払わせるか、必要な人に必要な福祉を届けることをさらに諦めるしかありません。
デジタル化を強力に推進する方法として、既に民間ではデジタル化に後塵を拝している銀行でも、国内大手三菱UFJ銀行では通帳のオンライン化へ切り換え、つまり、今後の利用を廃止する人に対して先着で千円、三井住友銀行で抽せんで二千円というインセンティブの付与を行う一方で、みずほ銀行は今後新規に開設する口座を中心に通帳を新規で発行する場合には千百円を徴収することを発表しており、りそなグループもりそなホールディングス社長が会見で通帳有料化も選択肢と述べており、個人が従来の行動様式をそのまま続けるという選択をする場合には、ディスインセンティブを支払わなければならない時代に突入し始めました。
人的、場所的なコストが高い窓口対応について、窓口の設置に必要な場所代、窓口の人件費、申請に必要な紙代などの電子申請と比較して、特別対応に必要なコストをこれまで以上に正当に負担をしていただくこと、また、窓口申請の申請期限は早く閉め切り、一方、電子申請の申請期限を遅くまで延長する。ほかにも、窓口に足を運んだところで電子申請と同じ順番で処理を行っていくといったディスインセンティブを、デジタルへ積極的に移行していくためにあえて設定しなければ、他人の時間を使うことにコスト意識がなく、お散歩がてら役所に来る人たちは行動様式を変えず、その人たちに合わせていては永遠に窓口コストは圧縮できないと考えますが、デジタル移行に向けたディスインセンティブの考え方、ロードマップについて伺います。
◎山田
ICT推進課長 区民が窓口申請と電子申請のどちらも選択できる場合に、電子申請をより多く選択してもらうインセンティブの仕組みとして、例えば住民票の写しや戸籍証明書の交付では、窓口手数料よりもコンビニやマイナンバーカード専用証明書自動交付機による交付手数料を百円安くしている例があります。住民票の写しの手数料の差をつけることについては、多くの自治体が実施している一方で、申請の種類によっては、インターネット環境が身近にない方が多かったり、実際に窓口に出向いて職員に尋ねながら申請するほうが安心だと感じる方が多いことが想定され、インセンティブやディスインセンティブの仕組みの導入は慎重な検討が必要と考えております。
今後、まずは各種手続の分析により、電子申請の占める割合や主たる申請者の年齢層なども参考にしながら、ニーズや効果の高い手続を優先的に拡大し、区民にとって便利さが実感できることを第一に、デジタル移行に取り組んでいきます。
◆そのべせいや 委員 ここまで主に区民個人を対象とした申請のデジタル化、電子申請について伺いましたが、今度は対事業者の契約のデジタル化、電子契約について伺います。
区民からの申請に押印を要求するだけでなく、取引に係る契約書面についても、これまでは日本の商習慣上、押印は重要視をされ、そのせいでテレワークが導入されても判こを押しに出社しなければならないということが、この間、大きな課題になりました。区民からの申請だけでなく事業者との契約についても、電子契約を前提に進めるべきであると考えます。
電子契約にすると、紙の契約書に必要な収入印紙の必要がないため、経費の削減というインセンティブが働くかと思いきや、役所の場合はそもそも印紙税はかからないため、オンライン化による経費面でのインセンティブは民間企業と異なり働きませんが、今後の安定的な業務遂行、BCPの観点と、今後また国も東京都も外出自粛を要請したとしても、世田谷区を相手方とした契約書への押印のために民間企業へ出社を強制するといった矛盾した事態を回避するためにも、電子契約を原則とすべきではないでしょうか。
また、一定数の民間企業は、既に自社が発行する電子契約に対して相手方へ電子サインを求める方式で契約を行っていますが、相手方の事業者が用意した電子契約に対して区がサインをすることも当然すべきであると考えますが、制度上の可否と、できないのであればどこに課題があるか伺います。
◎阿部 経理課長 国では、政府電子調達システム等にて契約の電子化が進められておりますが、今般の
新型コロナウイルス感染症への対応に関連し、経済団体から、地方自治体の契約手続についても従来の規制の見直しが求められているところです。当区を含め、全国の自治体では、電子契約の基礎となる電子認証における課題等からシステム導入の事例はなく、民間の仕組みも活用できない状況ではありますが、総務省より、この九月十八日付で契約に必要な自治体の電子証明書の範囲拡大が告示されたことを踏まえ、区としましても、現在電子入札を実施している都内市区町村共同運営システムの将来的な機能拡大も視野に入れ、先行している国の運用状況や他自治体の動向などを参考に研究をしてまいります。
◆そのべせいや 委員 最後に、続きは補充で伺っていきますが、この場では公文書の保存に関して現在区が一年に新たに作り出す公文書について、印刷資料については紙面の量、デジタルについてはデータ量で、それぞれお聞かせください。
◎末竹 区政情報課長 区の公文書のうち、紙文書につきましては、保管単位である庁内各課において保存しており、原則として現年度分とその前年度分までは各事務室などに保管することとしております。このうち、世田谷総合支所を含む本庁舎及び城山分庁舎の各課では、二年目以降は船橋公文書庫で保存する取扱いを基本としております。
紙文書の量につきましては、本庁舎及び城山分庁舎、加えて、船橋公文書庫の文書量となりますが、A4判の紙がおよそ三千六百枚収納可能な文書保存箱で推計すると、約六万四万千箱、A4の紙に換算して、おおむね二億三千万枚が保存されていると考えております。
これを踏まえまして、船橋公文書庫における令和元年度の一年間の新規搬入の文書保存箱の数は四千三百五十九箱、廃棄等搬出の文書保存箱の数は三千五百九十九箱で、差し引き七百六十箱の増加となっており、増加の分量から推計すると、本庁舎等各課の合計として、毎年二百七十万枚の紙文書が増加していると想定しております。
一方、紙文書と電子データを取り扱う総合文書管理システムにつきまして、保存しているデータの容量が令和元年度の一年間で二百十八ギガバイト増加しており、全体の容量として令和元年度末時点で二千百五十九ギガバイト保存されている状況でございます。
◆そのべせいや 委員 昨年一年間のデータが二百十八ギガとのことでしたが、二百五十ギガバイトのHDD、SSDは廉価なものだと五千円前後で今売っています。個人のものと法人が管理するシステムは同列ではないですが、この保存コストについては、引き続き補充で伺います。以上です。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で都民ファーストの会の質疑は終わりました。
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○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、区民を守る会、どうぞ。
◆くりはら博之 委員 私からは、一般質問に引き続き、区の特別定額給付金の給付等に関する質問について話します。
区は、五月二十八日に全世帯に申請書等を送付し、六月上旬から順次支給が開始されるものと区民に説明したわけですが、実際には六月上旬から七月上旬までに申請した区民には、支給までに一から二か月ほど遅れたわけです。
今回は、申請書の開封、受け付け、確認、支払いの処理とコールセンターの業務が民間に委託されました。つまり、区の委託先が四十万件を超える申請の処理及び問合せに対応できなかったわけです。ゆえに、区民がコールセンターに問い合わせてもつながらないか、呼出し音の途中でアナウンスがなく電話が切れてしまうような事態が起きました。区は、そもそも特別定額給付金の事務についてどのように業者を選んだのでしょうか。また、コールセンターの委託についてどういった考えで委託されたのか、お伺いいたします。
◎山田
特別定額給付金担当課長 特別定額給付金事務は、約四十九万世帯からの申請を処理するため派遣会社の活用も検討いたしましたが、作業場所や人員の確保、機器の設置、作業のノウハウの活用等から、一元的に処理することで正確、迅速な給付が可能であると考えまして業務委託といたしました。
総務省から、地方自治法施行令などに基づきまして緊急の必要により随意契約を締結することができるものであるとの見解も示されておりまして、特別定額給付金事務を受託したトッパン・フォームズ株式会社は、平成二十一年度の定額給付金支給事務にプロポーザル方式により選定した事業者であることに加えまして、平成二十六年度から二十九年度に実施されました臨時福祉給付金支給事務も担われました。そうした経験も考慮いたしまして、委託事業者を選定いたしました。
一方、コールセンターでございますが、コールセンター自体は、区民からのお問合せに的確、丁寧に対応することが必要であると考えており、コールセンター運営の経験があることから、他の給付金事務と併せまして事業者に委託しました。過去の給付金実績を踏まえて二十八回線で対応いたしましたが、七月から八月にかけて多くのお問合せをいただき、電話がつながらないことや、コールセンターでは対応できないケース等に多くの苦情をいただきました。
今回の委託の課題を踏まえまして、委託内容の精査と区民への情報提供の視点から検証いたしまして、今後に生かしてまいります。
◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。
今回のコロナ禍での区の対応は、定額給付金業務にとどまりません。感染症拡大に伴う保健所業務をはじめ、当面の生活や事業を支える窓口には多くの区民の申請が殺到し、大変だったと聞きます。この間、部署の垣根を越えてどのような業務に何人ぐらいの職員が応援したのかお伺いします。
◎好永 人事課長 この間、区では、感染拡大防止とともに、区民の生活や事業活動を支える緊急対策に取り組み、新たに発生、また増加した業務に関しましては、委員お話しのとおり、組織の垣根を越えた職員配置を推し進め、現時点での応援職員の延べ人数は千七百人となっております。
具体的に申し上げますと、世田谷保健所の相談防疫体制の強化に百三十四人、定額給付金の確認支給事務に千三百二十六人、区民・事業者向けの緊急融資や住居確保給付金に関する業務に百九人、国民健康保険料、介護保険料の減免事務に百七人、PCR検査の拡充に向けた体制整備に二十四人の応援職員を配置するなど、それぞれの緊急課題に適正に対応できるよう、全庁的な応援体制を講じており、今後も状況に応じて応援体制を更新していく予定でございます。
◆くりはら博之 委員 人数については分かりました。
応援体制は継続中のものもある中で、これから来年のオリンピック・パラリンピックの開催に向け、再度準備が進み、そのほかの止まっていた
通常事業も挽回しなければなりません。今後、突発的な業務についてはますます応援職員のやりくりが厳しくなると思いますが、どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
◎好永 人事課長
新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見通せない中、これからの区政運営は、感染の拡大防止対策と社会経済活動の維持、活性化のバランスを保ち、感染症を抑えながら活動する地域社会を構築していくことが求められており、これまで休止していた事業につきましても、政策方針に基づく本質的な見直しの進行状況にもよりますが、徐々に再開していく見込みがございます。
今後も、
新型コロナウイルス感染症対策につきましては全庁を挙げて取り組み、新たな緊急課題等で繁忙となる職場につきましては、引き続き他部署の職員による応援体制を組みながら対応していく所存です。休止していた事業が再開した後につきましても、組織の垣根を越えた応援体制を柔軟に組んでいけるよう、これまで以上に現場の状況等を注視しながら、必要性の高い業務への従事を随時職員に要請するなど、緊急課題に適正に対応できる応援体制の整備に取り組んでまいります。
◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。
コロナ禍で想定以上の業務の中、必死に業務をされてこられたことが分かりました。ただ、
新型コロナウイルスは冬にも第三波が来ると言われております。引き続きよろしくお願い申し上げ、質問を終了いたします。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で区民を守る会の質疑は終わりました。
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○真鍋よしゆき 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。
◆青空こうじ 委員 今日から十月に入り、子どもたちの朝の立ち番をしていても、少しずつ秋の訪れを感じられるようになってきました。また、今年の八月の気候は、統計を取り始めた一九四六年以降最も暑かったそうですが、そうした中でも、皆マスクをつけ、旅行も思うようにできず、いつもと違う夏、嫌なコロナの暗い夏でした。例年であれば、夏が過ぎ、秋になれば行楽やイベントにうってつけのシーズンになってもいるのに、コロナの感染が収まらない中で、いつもと違う秋、さらには、いつもと違う冬を迎えようとしています。
また、寒くなると、ただでさえ風邪を引きやすくなります。重症化のリスクが高い高齢者は、コロナの感染のおそれから気軽に外出することもできずに、家にこもりがちの方が増えるようです。しかし、家にいれば必ず安全とは言えません。コロナで外出できず孤立しがちな高齢者がたくさんいる中で、こうした在宅の高齢者を狙った詐欺が数多く起きていることがニュースで報道されております。
世田谷区の特殊詐欺被害件数は、三年連続して二百件を超えているそうです。振り込め詐欺のような従来の手口に加え、最近では、コロナの定額給付金に便乗した詐欺、銀行員や警察官になりすましてキャッシュカードをだまし取る詐欺、また、事前に電話で資産状況などを聞き取った上で強盗に入るいわゆるアポ電強盗など、巧妙かつ悪質な手口が次々と出てきているようです。
現在、高齢者が十八万人以上暮らしている世田谷区において、こうした高齢者を狙った犯罪や被害の状況はどうなっているのかお伺いします。
◎吉田
地域生活安全課長 令和二年上半期におけます世田谷区内でのオレオレ詐欺、還付金詐欺、キャッシュカード詐欺盗などの特殊詐欺の発生件数は八十六件で、被害額は約一億四千七百万円となっております。昨年同期と比較いたしまして、発生件数はマイナス二十三件、被害額は約二千二百万円の減少となっております。
手口で多いのが還付金詐欺、キャッシュカード詐欺盗で全体の約七割を占めております。オレオレ詐欺、還付金詐欺、キャッシュカード詐欺盗などの特殊詐欺被害に遭った年代別比率で見てみますと、七十歳以上の高齢者の方が約八割を占めている状況でございます。
次に、区内における巧妙かつ悪質なアポ電強盗などの発生状況でございますが、先日、区内におきましてガス検針を装った強盗事件が発生いたしましたが、事前のアポ電はなかったとのことです。これまで区内でのアポ電強盗の発生は確認されておりません。また、
新型コロナウイルス感染症や特別定額給付金の給付を口実とした特殊詐欺の発生は確認されておりません。
◆青空こうじ 委員 コロナでなければ、高齢者の皆さんは、地域のサロンやサークルなどで顔を合わせたときに、うちで変な電話がかかってきたとか、こんな防犯グッズがあるとかという話をおしゃべりしながら、気軽に情報交換することができました。そうした身近なところで得られる情報が地域の防犯にも一役買っていたのだと思っております。
ところが、コロナの影響で、今、高齢者が集まる場所や機会が少なくなっています。若い人のように直接会わなくてもスマートフォンやパソコンで仲間とコミュニケーションを取ったり、インターネットから地域の情報を収集したりすることができればよいのですが、多くの高齢者は、こうしたことが苦手です。そのため、どうしても身近に起きた犯罪の情報や、警察や区役所が発信する防犯情報に疎くなりがちで、そして、結果としては、犯罪の被害に遭う危険性が高くなっているわけです。
そこで伺いますが、コロナ禍で孤立しがちな高齢者が犯罪の被害に遭わないために区はどのような対策に取り組んでいるのかお伺いします。
◎吉田
地域生活安全課長 特殊詐欺やアポ電強盗は、共通してアポ電から始まることから、区では、自動通話録音機設置などの電話対策を講じることで、特殊詐欺や悪質セールスなどから高齢者を守ることができると考えております。よって、
新型コロナウイルス感染症予防のため、自宅で過ごす高齢者などに対しまして、民生委員のふれあい訪問や区広報をはじめとした様々な広報媒体を活用いたしまして、特殊詐欺防止に向けた注意喚起と自動通話録音機の設置を進めてきたほか、
新型コロナウイルス感染症に便乗した詐欺対策といたしまして、特別定額給付金の郵送申請書類にチラシを封入して、注意を呼びかけるなどの対策を講じてまいりました。また、区内警察署と連携を図り、アポ電集中地域に世田谷区二十四時間安全安心パトロールカーを急行させまして、広報機材を活用した注意喚起も行っております。
今後も、特に高齢者が特殊詐欺などの被害に遭わないよう、引き続き対策に取り組んでまいります。
◆青空こうじ 委員 区内では、地域の見守り活動や住民による自主パトロールなど、地域の力を活用した様々な対策に取り組んでいただいております。ところが、コロナが流行している中、地域での団体活動が活発に行えないために、地域の力を生かした見守りや防犯活動が十分にできていないのではと私は思っておりますが、安全で安心な地域づくりのために、このコロナ禍で区はどのような対策に取り組んでいるのかお伺いします。
◎吉田
地域生活安全課長 安全で安心な地域づくりを推進するためには、地域住民の方々による地域の力を活用した自主的防犯活動は必要不可欠でございます。しかしながら、
新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、町会・自治会、PTAなどによります防犯活動が困難になっている状況です。
区では、世田谷区二十四時間安全安心パトロールカーによる通学路を中心とした地域での巡回を始めまして、区と協定を締結いたしました郵便局、新聞販売業者など十一の事業者、団体に子どもや高齢者などの見守り活動を行っていただいております。あわせまして、町会、商店街に防犯カメラの設置を促進するなど、未然に犯罪を防止する対策を行っております。
また、十月十五日実施予定の犯罪ゼロの日では、町会・自治会、PTA、自主防犯パトロール団体の方々に対しまして、新たな生活様式を取り入れた無理のない防犯活動を呼びかけているところでございます。さらに、区内警察署からの情報を受けまして、災害・防犯情報メールやツイッター、あらゆる広報媒体を利用しまして、区民自身が安全を確保できるような治安情報の周知に努めているところでございます。
◆青空こうじ 委員 御苦労様でした。ありがとうございました。これからも見守りをお願いします。
以上で質問を終わります。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後四時二十四分休憩
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午後四時四十分開議
○真鍋よしゆき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
自由民主党、どうぞ。
◆宍戸三郎 委員 自由民主党の質疑を始めます。
初めに、財政計画について伺ってまいります。
八月に区が示した中期財政見通しでは、
新型コロナウイルス感染症による減収見込みを来年度と再来年度の二か年で特別区民税、特別区交付金については二〇%の減収を見込んでいますが、新聞報道などによりますと、政府の景気判断は、十二か月連続の悪化、コロナショックで内需外需共に総崩れとなり、リーマンショック時に比べても景気の悪化は際立つとされています。
今年四月の緊急事態宣言のように、感染者の急増により人々の移動が制限され、経済活動が悪循環に陥ることを私たちは既に経験済みです。このようなことが繰り返されないことを望んでいるところですが、これについて四点ほど質問したいと思います。
初めに、今後、コロナウイルス感染症の影響が長期化し、感染者数が急増するようなことがあった場合、さらに区の税収が落ち込むという最悪の状況を想定しているのでしょうか、伺います。
◎松永 財政担当部長 お話しの特別区税、特別区交付金につきましては、景気の変動を直接受けるということがかなり影響いたしますので、直近のGDP成長率ですとか、各種指標等を参考にして、令和三年度、令和四年度の二か年で今年度比二〇%程度の減収の影響というのを見込んでいるところでございます。
また、その後は、経済活動の段階的な引上げにより一定の回復というのは想定しつつも、新たな生活様式に対する考慮等により、コロナ以前の水準への回復は当面見込めないということを前提としております。極めて厳しい状況を勘案した上で、五か年の財政見通しというものをお示ししているところでございます。
しかしながら、今後の
新型コロナウイルス感染症の動向や社会経済活動の変動等の影響はいまだ不透明なところもございますので、委員御指摘のとおり、感染症による影響がさらに長期化、深刻化する場合には、今回の見通しを上回る減収が生じる可能性は否定できないというふうに考えております。そうした可能性も念頭に置きまして、区民生活への影響を勘案した上で、適切な対策を取らなければならない状況も想定しておく必要があるというふうに認識しております。
◆宍戸三郎 委員 仮に、中期財政見通し以上に減収が見込まれる場合、世田谷区の財政の持続可能性は確保できるのでしょうか。
◎松永 財政担当部長
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する場合、今後どれくらいの規模で財政運営への影響が出てくるのかというのは、現時点ではなかなか予測は難しい状況もございますが、そのため、現在の見通しを上回る減収といった状況の変化にも対応できるように、財政調整基金については今年度の繰越金を活用することで予算規模の約一割、三百億円を引き続き確保するとともに、現時点での中期財政見通しでは、その後も繰入れは行わない見通しとしているところでございます。
また、複数年にわたる減収の影響下においても、真に必要となる区民サービス等を維持していくために、政策方針でお示ししました施策事業の本質的な見直し、事業手法の転換を進めることで財源を確保していきたいというふうに考えております。そうした取組の下に、今後も引き続き、複数年を見据えた計画的な財政運営に努めるとともに、感染症拡大の状況変化や地域経済の動向など、区財政への影響を十分に見極めて、必要に応じて財政見通しの修正も行いながら、持続可能な財政運営に取り組んでまいります。
◆宍戸三郎 委員 さらなる減収が見込まれる場合、事務事業等の見直しの追加も必要になると思いますが、区が来年度に向けて見直しするとしている六十二億円以上の見直しについて、どのような策を考えているのか伺います。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 令和三年度予算編成に合わせました事務事業の見直しにつきましては、区民生活への影響にも配慮いたしながら、物品購入費ですとか印刷費、施設維持管理費、調査研究委託など内部経費の削減、それから、団体や個人に対する補助金の精査、イベントの在り方見直し、公共工事の時期の調整、その他施策事業の本質的な見直しによりまして、六十二億円の財政効果を生み出そうと取り組んでいるところでございます。現在作業を進めておりますが、まずは全力でこれに取り組んでまいるということでございます。さらに、お話しのような最新の財源見通しが出ますれば、それを踏まえまして、状況に応じて一層取組を強化する必要もあるものと認識をいたしております。
◆宍戸三郎 委員 中期財政見通しによれば、令和四年度までは減収が続いた後、五年度からは特別区税、特別区交付金が増収に転じ、コロナ禍以前の水準は見込めないものの、一定の回復に向かう見通しとなっています。今回の見直しは、必要性の低い事業の廃止など、思い切った判断をすべきと考えますが、今後、財政の好転により廃止した事業が復活するということもあり得るのか、区の考えを伺います。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 今般の事務事業見直しにつきましては、コロナ禍によります区民生活や事業活動を取り巻く様々な環境の変化に対応するとともに、大変厳しい財政状況を乗り切るため、全ての施策事業について、必要性、有効性、公益性などの観点から、改めて実施の是非、内容や手法の妥当性を検証いたしまして、本質的な見直しを行うものでございます。
その中で、これまでの実施状況、区民への影響等を分析いたしながら、事業の縮小や終了などの判断を行うもののほか、この間、財源不足が最も厳しい期間におきまして一旦事業を休止し、その間に区民への影響を見定めながら今後の在り方を検討し、必要に応じまして新たな形に転換していくというケースもあり得るものと考えております。各部におきまして、区民ニーズと行政効果、財源状況を総合的に勘案して、見直しの在り方を模索することが重要であると認識をいたしております。
◆宍戸三郎 委員 いろいろ聞いてまいりましたが、今後も非常に厳しい財政運営が見込まれる中で、世田谷区の財政規模からすると、財調基金の残高三百億円は、他区との比較ではかなり心細い気がいたします。しかしながら、このコロナ禍における現状を踏まえて、
新型コロナウイルス感染症の拡大防止や、区民や区民事業者を支える施策をさらに推し進めていく必要があると思います。持続可能な財政運営を維持するために、全ての事務事業について見直しや事業手法の転換を図り、また、今後の財政負担など、将来を見据えた計画性を持った基金や起債の活用をしていただきたいと思います。
そして、その上で、区長の独善的な施策ではなく、私たち議会とともに、十分に議論を重ね、区民や事業者の方々が真に必要としている施策にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、事務処理ミスについて伺います。
令和元年十二月から令和二年八月までの間に、窓口での証明書交付や通知文の郵送における事務処理ミスが、郵送での文書等の誤送付が九件、文書等の紛失が三件、文書等の誤記載三件、窓口での文書等の誤交付三件、資質に関わる誤りが一件、委託事業者、指定管理者に対する履行確認不足が一件、合計二十件と多発していますが、このことは区民の皆様に多大な迷惑をかけるばかりでなく、個人情報の流出につながるなど、大変重要な問題であると考えます。
区では、本年四月に世田谷区コンプライアンス基本方針を定め、事務処理ミスや服務事故の防止に当たっていると聞いていますが、一向に改善されているとは思えません。それどころか、さらに増加している状況です。
自治法の改正で、都道府県知事と政令指定都市の長は内部統制方針を定めなければならないと義務化されています。また、市区町村長にも努力義務が課されています。職員の事務処理ミスが少なくない区の状況と、世田谷区の規模などを考え合わせると、区としても、内部統制方針を定め、体制を整備したほうがよいと思いますが、区の見解をお聞きします。
◎後藤 総務課長 内部統制制度は、組織目的の達成を阻害する事務上の要因をリスクといたしまして識別評価し、対応策を講じることで事務の適正な執行を確保するものでございます。区においては、事務の適正な執行に向けまして会計事務指導、文書事務の自己点検、情報セキュリティー監査、事務事業の評価などの取組を実施しているところです。
このような従来から実施している取組に加えまして、令和二年四月から、内部統制制度の趣旨を踏まえまして、個人情報の漏えい、紛失や不適切な財務事務といったリスクを重点リスクとして捉え、対応策を整備、運用するリスクマネジメントを全庁的に実施しているところでございます。
今後とも、区民から信頼される区政を目指しまして、危機感を持ってコンプライアンス確保に向けた取組を進めてまいります。
◆宍戸三郎 委員 業務量の増加をはじめ、事務処理の細分化、また、電算システム化や業務委託の増加など、様々な原因が考えられますが、組織内のチェック体制が不十分でしっかり機能していないのではないかと思います。今後、個人情報の漏えいを防止し、また、誤った通知の送付などで区民の皆様へ迷惑をかけないようにするのに、組織のチェック体制の強化や職員の指導育成にどう取り組んでいくのかお聞かせください。
◎後藤 総務課長 郵送による文書の誤送付や窓口における文書の誤交付といった事務執行上の誤りを未然に防止するためには、御指摘のとおり、職員の育成と組織としてのチェック体制の整備、運用が重要な課題であると認識してございます。
お話しいただきました世田谷区コンプライアンス基本方針では、職員一人一人がコンプライアンスを深く認識し行動する、組織的にコンプライアンスの確保に取り組むことを行動指針として掲げ、全職員に示しているところでございます。職員の目的意識の向上や、誤りを発生させない職場環境づくりに向けまして、事務執行上の誤りの事例の検証や、業務を進める上で遵守すべき事項の整理と併せまして、人材育成や働き方改革の取組との連携も視野に入れて、庁内横断的に検討を進めてまいります。
◆宍戸三郎 委員 この件については、大変重要な問題なので、区民の皆様からの信頼をいただくためにも、緊張感を持ってしっかりと取り組んでいただくことを要望いたします。そして、コンプライアンス基本方針の中にも、区民の皆様に魅力あるサービスを提供することを目指しますと書いてあるんですが、私も商売をやっていますけれども、やっぱり信頼を得るということは、お客様に本当に寄り添わないと伝わらない。これが一番大変なことだと思うんです。だから、そういう気持ちを持った職員を一人でも多く育てていただくよう、よろしくお願いいたします。
以上で阿久津委員と代わります。
◆阿久津皇 委員 続きまして、私からは商店街における治安維持についてということで伺ってまいります。
先般、九月十四日に警察庁から一―九月期の犯罪統計というものが発表されました。これを見ますと、凶悪犯、窃盗犯、知能犯など、ほぼ全ての項目において大幅に減少しているということで、これは警察のみならず、行政、また関係する方々皆様の大きな努力によるところなのだろうと思いますけれども、その中でも、払出し盗というのと、あと訪問盗というものだけが若干増えているということです。
この払出し盗というのは、先ほどもありましたけれども、特殊詐欺あるいはひったくりなんかによってクレジットカードとかキャッシュカード、こういったものを盗み出して、そこから現金を搾取するということです。これはなかなか、いろいろ、犯罪する側も手を変え品を変えで、なかなか抑止に至っていないというところです。
もう一つが訪問盗というもので、これも先ほどありましたけれども、先般上用賀であったような、業者を装った犯罪者がお宅を訪問して、応対している隙に自宅から金品を盗むといったもので、これは特に、コロナウイルスの感染拡大に伴って、高齢者が在宅している機会が多いということもあって、今年に入ってから都市部で増えているということなんです。
今年の一月―八月の統計を見ても、都内のいわゆる侵入強盗というものの認知件数は四十六件で、前年同期の一・七倍に増えている。また、千葉、神奈川、兵庫などでも同様に前年を上回るペースで被害が出ているということなんです。
このように、コロナ禍で我々の生活スタイル、ライフスタイルが変わる中で、新たな犯罪手口というものが増えている。その中の一つが、いわゆるデリバリーなんかの需要が増えたことで、家庭への置き配を狙った窃盗であったりとか、あるいは飲食店等々の営業自粛あるいは時短営業に伴って無人となった店舗を狙ったと見られる窃盗が増えているということです。特に先般のゴールデンウイークの自粛期間中には、休業されている、あるいは時短営業で不在の飲食店を狙った盗難被害が全国で相次いで発生しており、警視庁のホームページでも、コロナウイルス感染症に伴う各種防犯情報として、店舗を狙った侵入窃盗被害、こういったものを注意喚起しているというところです。
特に商店街というところは、各店舗、飲食店等々で売上金なんかを保管していて、その保管場所も、レジであったりとか、比較的現金が置いてある可能性が多い割に保管場所が分かりやすいということで、そういった窃盗被害に遭いやすい状況にあるということなんです。なので、もちろん各店舗における金銭の管理とかセキュリティー体制といったものをしっかりと構築していただくことは前提としながらも、特にこの
新型コロナウイルスで新たな手口の犯罪が増えているということで、区としても治安対策をしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
伺ったところでは、特に青パトによる巡回ですとか、あるいは警察との情報共有、それから見守り活動、防犯カメラと様々、区でも手を尽くしているということで、特にその中でもコロナ禍における新たな手口の犯罪についての啓発ですとか、あるいは防犯カメラの設置、これもちょうど更新時期に来ているという商店街も多いですので、これについては引き続きしっかりと進めていただくように要望いたします。
その商店街の治安維持という観点から、風俗営業店、特にガールズバーの営業について少し伺ってまいります。
カウンターに着席するお客様、客と相対する形でカウンターの中にいる女性が接客するというのがまずガールズバーと言われておりますけれども、いわゆる風営法で規制されるクラブとか、いわゆるキャバクラのように、スタッフが隣に座ったり、たばこに火をつけるなどの接客サービスを行わないということで、風俗営業ではなくて、いわゆる一般の飲食店と同じように分類されるということです。これは二〇〇六年五月の風営法改正によって、そういったいわゆる風俗営業店に対する罰則強化、あるいは自治体の条例による規制強化の動きによって、二〇〇六年頃から急速に普及してきたと言われています。
この風俗営業店であるキャバクラというのは、午前零時以降は営業できないとか様々な規制があるんですけれども、ガールズバーというものは、深夜営業も届出をすればできたりとか、あるいは客引きというか呼び込みといったものに対する規制もないということで、いわゆるキャバクラ等からの業態変換というものも今増えているということです。
特にガールズバーは区内でも今増えているということで、下北沢とか三軒茶屋といったターミナル駅のような繁華街だけではなくて、祖師ケ谷大蔵とか千歳船橋、あるいは用賀、駒沢大学、桜上水など、住宅街と近接するような商店街においてもそういった業態のお店が増えていて、特に夜、今ちょっとコロナ禍で落ち着いているところでありますけれども、夜時になると割と、特に夏場なんかは、露出度の高いちょっと派手な衣装を着た女性がお店の看板を持って、お店の名前が入ったプレートを持って、客引きはしないまでも、お客さん、通行人から話しかけられるのを待っているような、そういった状況が見受けられます。
そういったことに関しては、青少年への影響とか、あるいは、普通にというか、いわゆるお買物とか飲食を楽しまれている方々への影響というものも懸念されておりまして、より安心安全に地域の方々が商店街で楽しんでいただける、安心してお買物をしていただけるような商店街を維持するために、どのような対応が考えられるのか伺います。
◎吉田
地域生活安全課長 商店街では、多様な業種が集まるため、営業時間が深夜帯に及ぶ風俗店もあるかと思います。風俗店は、法律に基づきまして、許可または届出を行って営むこととされているため、適正な手続を経ての営業であり、ほかに違法行為がない限りは適正な営業と言えます。
しかし、都内では、集客目的に客引きなどの行為を行ったがために風俗店が摘発される、そういった事例が多々あるように、区内商店街でも違法行為を行う風俗店があることも想定されます。よって、風俗店の違法行為を認めた場合には、決して見逃すことなく警察に通報するといった対応を図るのはもちろんのことでございますが、違法行為を見逃さない、違法行為はさせないといった地域づくりが必要であるかと考えます。
区といたしましては、こういった違法行為を見逃さない、違法行為をさせないといった地域づくりのために、警察と連携をしながら、商店街や町会による防犯集会の場におきまして、問題点の共有、助言、提言などをさせていただくほか、合同防犯パトロールなどに参加させていただくなどいたしまして、官民一体となった防犯対策を実施していきたい、そう考えております。
◆阿久津皇 委員 もちろん区内にあるいわゆるガールズバーというお店は、当然合法的に営業しているということは前提なんですけれども、中には、いわゆる接待行為を行ったりとか、あるいは未成年、十八歳未満の店員を深夜に勤務させたりといった違法行為があったりとか、あるいは、いわゆるぼったくり営業だったりとか、そういったことも区内に限らず報告はされている、あるということです。
そういった違法行為を行うようなお店に関しては、いわゆる反社会的な勢力といったものが経営に関わっているというようなことも指摘されています。反社会的な勢力とのつながりまでなってくると、なかなかその地域だけで対応してくというのは難しくなってくるので、そういった際には警察との連携も必要になってきますけれども、反社勢力への対応というのは区としてはどのように考えていらっしゃいますか。
◎吉田
地域生活安全課長 区は、区民の安全で平穏な生活の確保や事業活動の健全な発展に寄与するために、世田谷区暴力団排除活動推進条例を定め、区、区民及び事業者が警察などの関係機関と連携を図りながら、暴力団排除活動に努めることとしております。
暴力団は、暴力団に対する対抗策が弱い地域に、素性や団体を隠し、そして潜り込み、その後、商店街内におきまして違法な風俗営業などの活動が行われていくことも想定されるため、地域に入り込む隙をつくらない活動でありますとか、地域全体で暴力団排除の意思を示す、そういったことが必要であるかと考えております。
よって、区といたしましては、商店街の各事業者が集まる会合などに参加させていただきまして、暴力団排除方針の確認、情報の共有、暴力団による資金集めなどの情報を知り得た場合における区または警察への情報提供の依頼、または暴力団排除宣言事業所であることを示したステッカーの掲示の要請を行うなど、商店街と連携して暴力団排除の意思を示す隙のない地域づくりに努めてまいりたいと思っております。
◆阿久津皇 委員 地域の取組で町の治安を、商店街の治安を向上したというのは、明大前ピースメーカーズ、明大前の治安維持を御自身でやられたということもありますので、こういった事例も参考にしながら、地域の安心安全を行政、警察と一体になって守っていきたいなということを、行政の指導力といったものを期待いたします。
次に、公園の防災拠点化ということを伺います。
都市におけるオープンスペースというのは震災時に様々な役割を担うということは間違いございませんで、都においても国においても、避難場所あるいは防災公園というものを整備して、そういった震災の復旧復興拠点にしたりとか、生活物資の中継基地にしたりとか、そういったことで緊急的に防災公園の整備を進めているというふうに聞いております。
都や国が広域的な防災公園を整備する一方で、身近な区の公園においても、一時集合所としての機能に加えて、スタンドパイプあるいは防火水槽といったものを活用した初期消火の拠点として、あるいは炊き出しの場なんかとして、区内の各公園の防災機能、こういったものを向上していく必要があると考えますけれども、見解を教えてください。
◎若松 危機管理部副参事 区立公園や一部の都立公園は、敷地が広い面を防災に生かし、一時集合所や広域避難場所として指定されております。また、防災倉庫を設置しており、区内における防災拠点の一つとしての位置づけがございます。委員お話しの公園の防災機能を高める取組につきましては、避難場所や備蓄などのソフト面だけでなくハード面での取組も必要になってくることから、関係所管と連携した上で、どのような方策が取れるか検討してまいります。
◆阿久津皇 委員 防災拠点となる公園において、日頃町会とか自治会が主体となって、いわゆる防災訓練なんかも行われています。こういった活動を活発にしていくことで、いわゆる一般のというか、そういったことになかなか関心の低い区民の意識啓発向上にもなると思いますので、特に防災訓練といったものに対して参加を促す、そのための様々な方策を考えられると思います。
そのうちの一つが、今般、せたがやペイと言われるいわゆる電子マネーなんかも導入されるということで、そういった防災訓練に参加したらそちらにポイントが加算されるといったインセンティブなんかも与えながら、地域の方々の防災意識の啓発向上に努めていただきたいと要望しまして、上島委員に代わります。
◆上島よしもり 委員 私からは、防災、危機管理、また、広報等について伺ってまいりたいと思います。
まず、防災ということで取組がいろいろありますけれども、区として災害というものの定義、対象、そういうものはどうなっているか、まず教えてください。
◎菅井 危機管理部長 区としての災害の定義でございます。危機管理部といたしましては、
災害対策基本法に基づく地震や風水害などの自然災害や、大規模な火災、爆発による被害、また、国民保護法に定める武力攻撃等による被害と考えてございます。また、
新型コロナウイルス感染症へのこの間の区の対応といたしましては、これら災害時の対応と同様、全庁挙げまして各部署の役割に応じて対応しなければならない事案であると考えてございます。
◆上島よしもり 委員 としますと、定義的には感染症というものは明確には入っていないけれども、区としては取り組んでいるということで承りました。
それで、危機管理部門が中心にやっている他自治体というのは結構見受けられるわけです。そういった自治体と、例えば実際の対応であるとか、もしくは責任分担、もしくはその守備範囲というんですか。どこまでやるかみたいなところの違いってあるんじゃないかなと思うんですが、その辺、世田谷区でやっていることと他の自治体の違いというのは、なかなかちょっと現状走ってきた中で把握されているかどうか分からないんですが、分かったら教えてください。
◎菅井 危機管理部長 どこの自治体も、基本的には対策本部を立ち上げまして、自治体挙げての対応を取られているかと思います。オペレーションというお話がございました、
新型コロナウイルスの本部の事務局はどこが担っているかということで、城南五区、世田谷、品川、目黒、大田、渋谷、それと、隣接の市です。三鷹、調布、狛江、この八自治体について確認したところ、災害防犯部門、危機管理部のようなところが事務局を担っているところが三自治体、それと、総務福祉部門が担っているところが五つの自治体ということで確認はしております。
◆上島よしもり 委員 いろいろその自治体によってやり方があると思うんです。できますれば、そういった体制のメリット、デメリットというものをやはりこれからしっかりと捉えてもらって、よりよい―こういう感染症というのは、多分このコロナもいつまで続くか、長引くとも言われています。それもありますし、世界的には五年に一度大きな感染症の波が来ると言われていますから、本当にこれから感染症対策というのは自治体においても必須のこととして体制づくりをやってもらいたいんですけれども。現状において、感染症蔓延を想定した、いわゆる体制づくりというものを、今実際走っている中ですが、よりよくしていくという取組も、今後、長引くことが考えられる中では必要と思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
◎菅井 危機管理部長 この間、世田谷区コロナウイルス感染症対策本部を中心に、国の緊急事態宣言なども踏まえた区の事務事業の継続等について、庁内で情報共有を図りながら対応してきたところです。今後も、この間の
新型コロナウイルス感染症対策の経験を踏まえまして、多角的な観点から、お話しの体制や、あと、事業継続計画などの見直しにつきましては、庁内関係所管と連携して対応してまいりたいと考えてございます。
◆上島よしもり 委員 これから国のほうも、外国人の方々が入ってくるとか、もしくは第三波とかのレベルがどんな状況になるかも分からないという中では、やはり体制を更新していくことが必要だと思います。これまで保健所が中心になってきましたけれども、保健所というのは、いわゆる罹患している可能性がある方、もしくは確実に今陽性の方を対象にしたもの、もしくは健康情報発信であるとか、そういうことはあると思うんですけれども、やはり全区的にしっかりと体制を組むということが必要な中では、危機管理部もしっかりと前に出ていってやってもらいたい中では、新たな体制づくりのまた大きな役割を担っていただきたいなと私自身思っておりますので、ぜひともお願いいたします。
それと、これは感染症対策に限らないんですけれども、いわゆる災害全般において、緊急事態時の正確な情報提供もしくは収集、そういったものは非常に重要になってくるわけです。以前は危機管理室という名前でしたけれども、今で言えば危機管理部のほうが、情報のいわばかじ取り役をやるべきだなんていうことを私は議会でもお話をさせてもらったんですが、今、広報のほうがかなりその辺を中心になってやっているということなので、そのどちらがやるかは別としまして、役割分担はしっかりやってもらいたいと思うんです。
それで、その情報収集とか情報提供の在り方なんですけれども、非常時においては、いろんな情報が区側に区民からも寄せられると思いますし、区もいろんな情報を発信しなきゃいけないという中にあるわけであります。特に、区民から来た情報を新たな情報として役立てるという情報の、いわゆる災害時の区分けというんですか、トリアージ。情報のトリアージというのをやっていきながら、より区民のいろいろな厳しい状況を乗り越えていかなきゃいけないという大変重要な役割を、区の危機管理もしくは広報が担うと私は思うんですが、その辺の体制の在り方というのはどうなっていますでしょうか。
◎山戸 広報広聴課長 災害時には、特に区はいかに区民に必要な情報を分かりやすく迅速かつ正確に伝えていくか、多様な情報発信手段を効果的に活用することを含めて、区の広報の役割は高まっていると考えております。特に災害時におきましては、例えば昨年の台風十九号の際には、議会でも緊急時の広報について様々御指摘をいただきました。災害時には、区役所第三庁舎に設置する災害対策本部に常駐しまして、本部に集約される被害状況や避難所開設などの情報を
区ホームページ、ツイッター、エフエム世田谷を活用して、絶え間なく正確性に十分配慮して発信していくこととしております。
また、先ほどの情報のトリアージといいますか、区民の方からの情報でございますけれども、発信した情報の正確性の確保の一つの手法といたしまして、現在の広報広聴課の組織は、発信をするという広報機能と区長へのメールや区民の御意見をいただく広聴機能を併せ持っております。この組織の利点を生かしまして、発信した情報について区民がどう受け取っているか、理解に誤解がないか、点検、検証を強化するとともに、区民の受け止めに誤解が生じているような場合には迅速に正しい情報を発信するなどの対応に努めてまいります。
◆上島よしもり 委員 やはり正しく伝えるということは非常に重要になってきますので、特に災害時のようなパニックにそれぞれ区民が陥っている状況ですから、そこはしっかりやっていただきたいと思います。
それで、ちょっとしつこいようなんですけれども、昨日の質疑の部分に戻りますが、八月五日に区が出された内容です。表題は、PCR検査の拡充における現在の状況について、八月五日二十二時更新というこの内容なんですけれども、私はここの発信というものが今回非常に重要な場面だったんじゃないかなと、非常に強く思っております。これは昨日も申し上げたとおりです。まず、決定していないことを多くの方に伝えてしまった。やるかのごとく伝わってしまったという大きな問題、これは今日はいいです。
もう一つは、やはり多くの方にしっかりと伝えようとする広報としての姿勢というんですか、そこはもう一度ここで議論しなくてはいけないかなと思って、質疑させていただきます。
課題の一つは、これは区長のいろいろな発言でよく見られるんですけれども、言葉の定義がちょっと曖昧というか、はっきりしないというのは問題だと思います。これは今後しっかり直してもらいたいと思います。特に社会的検査、これも、その時々で結構変わるんですよね。これは区民にとっては非常に困ることなので、いろんな方が違う意識でその言葉を捉えている。言葉って難しいんですが、ここは広報としてかなり気をつけて、言葉の定義というものを、区長の発言においてもそこを気をつけていただくようにしていただきたいと思います。
そしてもう一つの課題が、昨日も申し上げましたが、対応が遅いですよね。一週間以上たってからの発信ということでございまして、これはもうその間にいろんな形で人づてで伝わることもありますし、対応が遅い。午前中にも質疑がありました中で、テレビにあれだけ出たら取り返しがつかないという、本当にそのとおりだと思います。しかしながら、それでもやはり最大限、区が、それはちょっとこういう意味なんですよという努力をしなきゃいけないですし、その工夫も必要なんです。
だから、そういう意味では、八月五日で出したものをもっと早くすべきだったと思いますが、その内容についてです。これも昨日申し上げました。区長の名前じゃないんですよね。世田谷区という名前で出されています。確かに世田谷区の広報を見ていますと、いろんなお知らせの最後に世田谷区となっているもの、もしくは表紙に世田谷区となっているものが見受けられるわけです。もちろん多くのお知らせはいいんですけれども、この場合、内容と表記というのが合致していないといけないと思うんです。
これは単なるお知らせじゃないですよね。今回の八月五日のは、これはどちらかというと、区とか医師会とかに区民からいろんな問合せが来て、議会にも来ていました。議員にも来ていました。そういう問合せに対して、これは大変だという思いの中で、一部の報道には誤った表現もあったということで、これは訂正というか、ある意味声明的な、ステートメントみたいな、そういうものの意味合いが非常に濃い文章だったにもかかわらず、誰が責任を持って出しているか分からないというのは、僕は非常に問題だと思います。特に、今回は区長がテレビに出たところからスタートしているので、ここは区長の言葉でしっかりと、こういう意味ですということをやるべきだったんじゃないですかと私は昨日申し上げたわけであります。これは、どうでしょうか。
その点、私は広報のほうから、本来の広報の役割としては、そういうのを進言したほうがいいと思うんです。区長に、ここは区長名で出すべきなんですよと。多分この文章自体は、区長は目を通しているはずなんですが、区長の名前で出されたほうがよろしいんじゃないですかということを進言できなくては、広報の役割としてどうかなと思いますが、この点をどなたかお答えいただけますか。
◎宮崎 副区長 昨日、ちょっと私も質疑の中でお答えしましたので、改めて私のほうから。
ただいま、委員のほうから区長名も含めての意図は、分かりました。この内容をつくる際に、二十八日から、まず昨日も反省しているということを申し上げましたが、五日という日を議会のほうからも、その途中の委員会の中で、その内容についていろいろ質疑もいただき、その後に後手を踏んだ形で八月五日に出したということについては、やはり私の責任で十分反省しなければならないと思っております。
今、意図として、区長名でということであれば、それも考え方としてあると思いますが、ちょっと文章をつくる際に、この間の、区長からどういう下命があったかということについて文言の中に入れてしまいましたので、ここは下命を受けた側の立場で発信をさせていただいた関係で、このような表現をとらせていただいた。区民からも、先ほど広聴機能のお話もございましたけれども、いろいろこの内容点を含めての部分で、分からないということや賛否まで言ってしまっている方々もいろいろいらっしゃいましたので、今はこういう状況なのだということをお伝えしたかったということをここで書かせていただいたんですけれども、なかなかやはり内容的にはインパクトがあったということですので、ここについての書き方も今後十分考えて、この発信をスピードを持ってやりたいと思います。
なお、ここの中で一応いろいろ御意見をいただいているということも最後のところにちょっと書かせていただいたので、ここの部分について改めて区民の方にも、この意図の部分についてはこれで御理解いただけないかなと思っていますが、改めて、先般、区長のほうでこの声明ですか、この内容についての説明がありましたので、こちらのほうも併せて改めて見てもらうようにいたしたいと思います。
◆上島よしもり 委員 それで、区長の声明というのは先日出されて、非常に時間がたっているわけですよね。いいんですよ、今回はもうこれで。これからですよね。これからしっかりやってもらいたいなと思うんですが、区が出すとしても、私はこういう内容によってどこの責任でやっているかというのは、やっぱり明示すべきだと。それが多分、今、社会常識的には、もちろん世田谷区で出すのもあっていいんですが、文書によっては所管が名前をきちっと書くのが、誠意あるというか、区民により理解されるために必要だと思いますので、その辺も含めて広報の在り方をいま一度お考えいただきたいなというふうに思います。
こういった話も含めてなんですけれども、これから広報の位置づけというのは非常に重要になってくるというのは、昨日の最後、ちょっと発言させてもらいましたけれども、本当に重要だと私は思います。
午前中、また今日も、いろんな方からお話がありましたが、そういう中で、一般社会の中では今どこが注目されているかというと、今言った広報と、危機管理と、あと、うちではICTです。ここの分野というのが大きく変化をこれからしていくということで、非常に注目もされているし、頑張らなくてはいけない分野だと思うんです。そこら辺の強化と、またそういった部門がしっかりと土台になるのか中心になるのか分かりませんが、どういう表現か分かりませんけれども、重要な役割を果たすような世田谷区の体制づくりが非常に重要だと思うんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
◎松本 政策企画課長 昨年の台風被害ですとか現下の
新型コロナウイルス感染症など、区民の生活と安全を守るためには、区民の不安や混乱が生じないよう、正確な情報を迅速かつ的確に伝える広報の役割がより重要になっていると考えております。また、コロナ禍や災害時等においては、オンラインの活用やICTを活用した区民への多様な情報発信など、新たな観点からの取組が必要になっております。
災害対策や様々な危機管理への対策の強化が求められる現状においては、区民の生活と安全を守るため、お話しの危機管理、広報、ICT部署がこれまで以上に連携していく必要があると考えております。
今般のコロナ禍におけます区の対応を危機管理の視点からいま一度振り返りまして、区の危機管理、広報、ICT部署の連携強化を図るとともに、改めて正確で効果的な情報発信や情報共有に向けた関係各部の役割を明確にしてまいります。
◆上島よしもり 委員 しっかりその辺をやっていただきたいなと思います。
それで、すみません。先ほどにまた戻ってしまうんですが、八月五日のPCR検査の拡充における現在の状況についてという文書の中で、そこにも表記されているんですが、いわゆる有識者の御意見の中で、東京都立大学法学部教授の大杉先生のほうからの発言内容が載っていたんですが、実際、こちらも議事録のほうを拝見させていただきまして、非常に、いや本当にそうだなと私自身は思ったんです。PCRのことも、いわば新型ウイルス対策ですから、PCRというものが頭に来るのはよく分かるんですけれども、こういう有識者の方からいただいた御意見というのは本当に貴重だなと思っております。
どういうことをおっしゃっているかというと、直接的には
新型コロナウイルスによる感染とかそういうものを防止しなきゃいけない、もしくはそこの対応というのは重要なんだけれども、実際には、それ以外にも様々な問題が生じているんじゃないかということです。そのことについては職員の方々もたくさんいろんな形で感じていらっしゃるんじゃないかと。もちろん、職員だけでなくいろいろ地域の中で、民生委員さんも含めてですけれども、いろんな形で地域もしくは社会を見ている方々のいろんな感じていることがあると思うんですけれども、そういった問題をしっかりと捉えて、ばらばらにするんじゃなくて、それをどういうふうにつなげていって、やっていくかというものが求められているということをおっしゃっていました。
私もそう思いまして、大杉先生はアウトリーチをかけてでもそういう現状を捉えるべきだと。まさに地方自治体がやれること、こういうことこそ地方自治体がやることなんじゃないかなということを改めて気づかせていただいたんですけれども、その辺の取組。せっかく有識者の方からいただいた御意見ですから、PCRで忙しかったと思いますけれども、こういったものに対する区の取組というのはどういうふうにされているのでしょうか。
◎松本 政策企画課長 委員お話しのように、そういった場で大杉先生から非常に重要な視点をいただきました。この間のコロナの感染拡大は、家計収入の減少や健康不安の高まり、経済活動の縮小や地域での交流の減少など、区民生活や地域社会経済にこれまでにない多くの影響と変化をもたらしております。こうした実態をしっかり把握し、施策に反映していくことは大変重要であると認識しております。
新型コロナウイルス感染症対策本部等において、区民、事業者の方々の現場の声や統計データについて、日頃、区民や事業者等と直接に接する各総合支所や各部の報告を共有しながら、感染予防の徹底と区民、事業者の活動の活性化を両立させ、誰もが安心して暮らせる地域社会を実現するために全庁横断的に取組を検討し、時期を逸することなく対策を実施してまいります。
◆上島よしもり 委員 この新型コロナの発生で、在宅勤務とか、悪いところもあれば、もしかするとよく活用できるところもあるかもしれないというところをしっかり捉えて、これからそれを政策にしていくということが私は重要だと思います。特に今、ある程度対策というものが、こなれてきたというんですか、ある程度落ち着いて来ている。もちろん第三波が来ればまた状況が変わりますけれども。そういう中で、やはり地域からの声、もしくは職員の中の声を吸い上げて政策に変えていく、そういう自治体のまさに醍醐味というのをしっかり進めていただきたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
そろそろ私の時間は終わるんですけれども、最後に、ちょっと今回コロナ関係で、やはり避難所運営に携わる方々から、本当に不安だという声をたくさんいただいています。もちろん皆さんやるつもりではいるんだけれども、本当に皆さん、やれるかどうか不安だと。つまり、受付をやったり避難所運営をする上では、感染症予防みたいなものがちゃんとできるのかどうか。もしくは、お年寄りが多いものですから非常にリスクも高いので、やらせていいのかという意見が出ています。
これは従前からの課題ですけれども、避難所運営というものをもう少し幅広い人材で組み立てていく必要があるのではないかと思います。現状、地域によっては世代を超えてうまく取り組まれているといった地域もあると思いますけれども、中には、以前からの町会・自治会の方々が、場合によっては杖を持ちながらやるような、そういった地域もある中で、本当にそれをそのままにしていていいのかというと、私はそう思いませんので。
この辺は、以前から言われているけれども、特にこういうコロナの状況が発生した今、人材確保というのを真剣にやっていくべきだと思います。例えばボランティアの配置というのは、ボランティアの方が来られたら避難所に配置できるような計画とか、もしくは、私は前から思っているんですけれども、中高生が、もちろん無理には駄目ですし、体制を完全につくることはあまりよくないと思いますが、できなくはないと思うんです。彼らにできるような環境づくりみたいなものを考えていくのもあると思うんですが、その点についていかがでしょうか。
◎前島 災害対策課長 区では、コロナ禍における発災を想定しまして、
新型コロナウイルス感染症防止を踏まえました避難所運営開設の留意事項を作成いたしまして、避難所運営組織等への周知を進めているところでございます。しかしながら、委員お話しのように、コロナ禍で、町会・自治会を中心とした避難所運営組織の構成メンバーだけで行うことは難しいのではないかという声も出ているのを認識してございます。
現在の避難所運営組織は、町会・自治会、商店街、PTA、NPOなどの地域で活動する団体等によって組織されてございますが、新たな人材確保としては、まずは総合支所と連携いたしまして、これまで参画していない団体に対して積極的に呼びかけをしてまいります。
また、お話しのございましたボランティアの活用についても、それを視野に関係団体と調整しまして、避難所運営組織とのコーディネートをしていくなど、今後、総合支所、まちづくりセンターとも連携し、新たな人材確保による避難所運営組織の活性化を目指してまいります。
また、お話しいただきました中学生、高校生の人材活用につきましては、様々課題はあると認識してございます。例えば、中学生、高校生がどのような役割を担うのかとか、あと、本人はもちろんのこと、保護者や学校の理解を得る必要があると、そういったこともございます。ただし、訓練等に中学生等が参加している事例もあることから、参加する中学生や高校生が活躍できるような可能性については、関係部署と検討してまいります。
◆上島よしもり 委員 菅沼委員に替わります。
◆菅沼つとむ 委員 まず最初に、世田谷区の財政についてお聞きします。
令和三年度予算では、厳しい財政の中、六十二億円の具体的な事業の見直しを行うとしています。一般質問で、第四回定例会の前に議会に報告しますとありますが、確認します。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 事務事業の見直しにつきましては、八月にお示ししました政策方針に基づきまして、ただいま令和三年度予算編成と併せまして一つ一つの事業の見直しに取り組んでいるところでございます。予算編成に反映していくに当たりまして、第四回定例会で御意見等を頂戴できるように、それ以前に概要をお示しして御意見を頂戴したいというふうに考えております。
◆菅沼つとむ 委員 また、本年度の緊急見直しも一緒に分かりやすく出していただけるということでよろしいでしょうか。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 今年度行いました緊急見直しにつきましては、一旦、歳出ベースで二十九億円という効果をお示しさせていただきまして、これについては第三次補正予算まででかなり減額をさせていただいたというところでございます。これに今年度中にさらに見直しをかけられるものがございますれば、この後の補正予算等に反映をさせながらお示ししていきたいと思っております。
◆菅沼つとむ 委員 緊急見直しの中に学校だとか改築だとか様々大きいやつから細かいやつまであるんですよ。それで、第四回定例会の前に出していただけるということなんだけれども、一緒にしないと、これとこっちを見直ししながら、じゃ、こっちの事業は、緊急見直しのほうは、どこまで進んでいるのか。大変分かりづらいんです。だから、一緒に出してくださいねと。忙しいですけれども、大丈夫ですよね。出していただけますよね。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 今年度の緊急見直しでもう既にお示ししましたものにつきましては、一覧表の形でお示しをさせていただきまして、この中で継続をして来年度以降も削減対象となるというものがそれなりにあろうかと存じます。そういったものと、それから、来年度に向けて新たにお示しをする見直し対象事項というものを併せてお示ししたいと思っております。
◆菅沼つとむ 委員 ありがとうございます。
次に、令和三年度、四年度の二年間で二〇%の削減の見込みということを世田谷区は言っていますけれども、三年度の予算案より厳しいのは四年度。なぜかといったら、当たり前の話ですけれども、前の年、元年度の景気が良かった。それが一年ずれるわけですよね。その中で、例えばコロナ対策で事業費が膨らんだり、減収補填債が組めなかったり、財調が予定より収入が減ったり、令和三年度の景気が落ちて二〇%以上削減になったときなど、税金の前年度の景気の状態で区の収入が決まるわけですよ。
令和四年の予算を見ていたら、三年度は二年度ですから、事業や何かで使わなかったやつとかが様々あって、何とか乗り越えられると思うんですけれども、本当に厳しいのは四年度なんです。四年度の見込みをお聞きいたします。
◎松永 財政担当部長 先日お示しいたしました世田谷区中期財政見通し、令和六年度までの間で委員がおっしゃったとおり、令和四年度が財政規模としては一番厳しいというふうに見込んでいるところでございます。
◆菅沼つとむ 委員 それには実際に三年度、四年度で事業費の見直しだとか様々な二〇%するだとか、そういうものを的確にしないと、三年度にやらないと四年度にツケが来る。四年度になると、当然収入が落ちるわけですから、その辺をしっかりやらないと、ツケを後回しにしないでいただきたいというふうに思います。
また、区の財政で特別区債の残高、償還額、それから基本残高の推定の見込みについてお聞きします。
令和七年度になると、本庁舎整備をはじめ特別区債残高が一千億円を超えます。また、右肩上がりでピークには区債残高が一千三百六十八億円になります。また、毎年大体百五十億円ぐらいの特別区債の返還をすることになります。それから、ピーク時には二百五十億円の返還になる予定です。これから何年も特別区債を大量に発行し、予算を組んでいきます。もちろん、区の貯金などはできるはずがございません。自転車操業が当分続くと思いますけれども、区の考えを聞きます。
◎松永 財政担当部長 公共施設整備ですとか学校改築ですとか、多額の経費を要する事業につきましては、やはり世代間の負担の均衡、また、財政負担の平準化という観点から、基金や起債の計画的な活用というのは引き続き不可欠であるというふうに考えております。
今後の特別区債残高については、おっしゃるとおり増えていく見込みでございますが、毎年度の実償還額としては、おおむねこれまで同様に年四十億円から七十億円程度の中で推移をしていきたいというふうに見込んでいるところでございます。
毎年度返済、将来の負担が過大にならないように、例えば減債基金なども計画的に活用しながら、財政負担の平準化を図り、持続可能な財政運営には努めていきたいというふうに考えております。
◆菅沼つとむ 委員 お話しのように、来年度は何とか行けると思うんですよね。四年度、五年度になったときに、本当にそれが乗り越えられるのか。実際には、令和元年度では、今、基金が一千五十億円あります。本庁舎整備ができる頃には大体五百億円ぐらいに落ちるわけですよね。それでまた、世田谷区の退職金など支払いのほうが、負担が大きくなる。それを計算しながら支払いのほうをやっていくんですけれども、リーマンショックのときを思い出したときに、えっ、明日この金が落ちるんだけれども金がないという危機があったんです。そういうようなことが、四年度ぐらいに起きるかもしれない。その辺のことを考えて区の財政をやっているのか。
今は、金利が安いから銀行から借り入れしちゃえばいいやという考えもあるけれども、健全経営にはならないと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
◎松永 財政担当部長 今般の地域財政見通しと併せてお示しさせていただいた中にも、複数年度にわたって、例えば今年度で言いますと昨年度の決算剰余金とかも活用しながら、例えば前倒しでできるものを多くやったりという形で、複数年度にわたる財政運営というものを考えながら、当面の厳しい状況というのは乗り切っていきたいというふうに思っています。
◆菅沼つとむ 委員 例えば世田谷区は、オイルショックとかリーマンショック、厳しい財政のときがありましたよ。だけど何とか越えてきたんですけれども、保坂区長になって七年連続毎年財政がよかったんです。七年。それなのに、こういう備えはしてこなかったのか。その辺をお聞きします。
◎松永 財政担当部長 例えば財政調整基金、今年度三百億円を超える確保をできているんですが、過去一番低いときで言いますと、一時、七十億円台まで落ち込んだという年度もございます。それを徐々に積立てを重ねてきまして、今三百億円、約一割まで持ってきたと。
また、起債につきましても、平成十年度になりますが、財政規模、予算規模としては二千二百三十億円ぐらいのところで千四百七十億円ほどの起債残高で、当時の金利と比較しましても、現在の七百億円ぐらいの起債残高になりますので、財政規模と比較しても、過去よりは改善しているというふうに思っています。
◆菅沼つとむ 委員 ほかの議員からも見通しが甘いんじゃないかというふうなお話がありましたけれども、私もちょっと甘いかなと。要するに、支出があって収入があってバランスが取れる。ところが、収入が減るとバランスが取れないから、V字回復はしないけれどもある程度行くだろうという計算の下でやるから、ちょうど何とかなる。それが、こちらのほうが余り収入が入ってこなかったら、当然借金するか、区債を出さなくちゃいけない。そういうふうにならないようにしっかりと、これから事業の見直しだとか様々なものをやっていただきたいというふうに思います。
次に、世田谷区の令和二年の事業一〇%削減を目指すと言っています。各所管が何月までに一〇%の削減案を出すのかお聞きします。
◎松永 財政担当部長 今、予算編成を始めたところでございますが、今回、十月上旬に予算要求の締切りを予定しているんですが、その時点で予算編成方針に示している、今年度当初予算と比較をして一〇%の削減というシーリングをかけておりますが、当然このコロナ禍の中で膨らむところというのも出てくるだろうと思います。この間も御答弁させていただいている中で、できるだけ特定財源を確保するというところも含めて、まずは要求の状況を確認していきたいというふうに思っております。
◆菅沼つとむ 委員 各所管にたまに言ったりするんですけれども、一〇%の削減なんて無理だ。今までだって五%の削減をするといいながら、何とか三%ぐらい減らすのがやっとだったわけ。一〇%なんて本当にできるの。数字を言うのは、大変だけれども、所管というのは自分たちのやっていることは絶対区民のためになるんだといって自信を持ってやっている。それを一〇%削減しろといったら、どれを切れば。本当に一〇%の削減をできるの。
◎松永 財政担当部長 あくまで予算編成方針の中で目標として一〇%。先ほど御質問にもございましたけれども、来年度当初予算の中では今年度と比較して、あと六十二億円ほどの財政効果を生み出さなければいけない。それに合わせて見直し等を図っていく中で、一応目標として一〇%というのをお示ししたところでございます。
◆菅沼つとむ 委員 先ほど言ったように、削減が五%だとかそのくらいだったら、そのツケは次の令和四年から五年に行くわけですから、そうすると、財政がもっと厳しくなるというふうに思います。口で言うのは簡単ですけれども、やっぱり所管としては、一割の事業を減らせ、大変なことだろうと思います。
また、事務事業の見直しで物品購入費、印刷費を二〇%削減するというふうになっています。世田谷区というのは、区報も含めて何かの事業をやるときは、まず印刷して、町会だとかいろんなところに印刷物を配ってやっているわけですよ。それを削減しろといったって、そんな簡単に、二〇%ですよ。これは本当にできるの。計算上はできるかもしれないけれども、担当としてみれば、今まで区民に知らせたやつが、ないですよって話ですから。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 広報印刷物につきましては、これまで紙に印刷をして配布するというものが中心でございますけれども、IT化の推進ということがございまして、デジタル情報の配信といったものに中心を切り替えていくということも可能かと思っております。あるいは、複数のものをまとめて発行するですとか、そういった効率化も図っていくということを行っていく。それから、内部的な印刷物につきましては極力数を減らすなど、努力をしていくということで何とか達成できればというふうに考えているところでございます。
◆菅沼つとむ 委員 実際に印刷物といったって、大量に多く刷るときには自分たちの印刷機でやるよりは印刷屋に出しちゃったほうが今安いわけですから。それと、デジタル化ということはありますけれども、やっぱり区民に知らせるのはほとんどがアナログなんですよ。だから、その辺を町会の回覧だとかいろんなものをやって、いろんなところにまちづくりセンター、出張所を置いて、見てもらってやるわけですから。区の広報だって、区民が見て区のことを一番よく分かるのは何かといったら広報でしょう。あれを二〇%削減なんかできないじゃないですか。
だから、本当に区として厳しいんだから、やるような覚悟じゃないと、数字だけじゃやっぱり駄目だと思いますよ。
次に、また施設の維持管理費の五%削減、これも大変な話。今だって、八百ぐらい施設があって、それが古くなっているから、やっぱり老朽化しているから、管理費が、金がかかるわけですよ。これを具体的にどうやって減らすの。
◎松本 政策企画課長 例えば、仕様をいま一度点検しまして、清掃の回数が適切なのかどうかとか、そういった細かな部分を見直していただいて、五%削減を目指していきたい、そういったことでございます。
◆菅沼つとむ 委員 例えば新しい施設だったら二十年とか二十五年はあまり手がかからないんです。だけど、三十年とか四十年の施設がごろごろしているでしょう。水回りはいかれる、電気配線はいかれる。これはなかなか厳しい話です。
それからまた、次に事業の見直しで、来年度の予算のたまがわ花火大会、二四六ハープマラソン、区民まつりなど、世田谷区は結論を出すという。来年じゃなくて、これからやるかやらないか、長期にわたって結論を出すと言っているんですけれども、出ましたか。お答えをお聞きします。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 今お話しのありました大型のイベントですけれども、今年度につきましてはコロナ禍の影響もありまして例年どおりの実施はできなかったところでございます。来年度に向けまして、コロナ禍を克服するような新たな実施方法などを模索する中で、可能なやり方を今検討しているというところだと存じます。
◆菅沼つとむ 委員 やるの、やらないの。考え中なの。これがあるから、聞きづらいんだよ。
◎髙井 経営改革・
官民連携担当課長 失礼いたしました。今はまだ結論が出ておりませんで、令和三年度予算編成の中で結論を出してまいります。
◆菅沼つとむ 委員 ありがとうございます。報告書にちゃんと結論を出しますよというから、もう出たのかなということで。
また、令和三年度予算編成に当たって、人件費の削減、これが具体的に何をするのか、何ができるのかお聞きします。
◎松永 財政担当部長 今般お示しをいたしました中期財政見通し、来年の予算フレームの中で、人件費についてはマイナス一・三%という形でお示しをしております。こちらは、主には退職手当、退職者数の増減によるものを反映しているというものでございます。
◆菅沼つとむ 委員 今説明していただいたんですけれども、来年度の職員の採用だとかそういうのを抑えるつもりはあるの。
◎松永 財政担当部長 一応、今、中期財政見通しの中では一定数、来年度の職員増というのは見込んでおりますが、令和四年度以降は、その先は職員増を見込んでいないという形での今の見通しとなっております。
◆菅沼つとむ 委員 外から見ていても、やっぱり採用者はある程度絞らなくちゃいけない。それから、去年からかな。非常勤の今までボーナスがなかったのが、ボーナスが同じ働きで払わなくちゃいけない。それから、今、コロナ対策で保健所だとか学校だとか、ある程度、非常勤を含めて、去年も児相を始めたから二百人ぐらい増えているんですよ。ばあっと見ると、非常勤と職員を入れると。そういう中で本当に人件費の削減をできるのか。
役所の中で人件費の削減ほど難しいものは、私はないと思っている。その辺も含めて、腹をくくってやらないと、こんなこと言っては申し訳ないけれども、部長が何かたくさんなると、一人部長になると課長が出て、何かパイがでかくなるような、外から見ているとそういう感じがするので、この辺は、三%といったら本当大変ですよ。しっかりとやっていただきたいというふうに思います。
次に、世田谷区の公共施設等総合管理計画、区民利用施設の利用率が低い、四〇%以下は廃止するということですけれども、間違いないか聞きます。
◎松本 政策企画課長 先日お示しさせていただきました公共施設等総合管理計画の一部改定の検討状況では、さらなる区民利用機会の拡充というような重点方針の中で、区民利用施設について、利用率の低い施設を洗い出すとともに、老朽化や地域偏在、地域の施設ニーズ、用途地域等を総合的に分析し、統廃合や転用に向けた検討を進める、そういった状況でございます。ですので、これから検討していくと、そういった時点でございます。
◆菅沼つとむ 委員 区民利用施設というのは、基本的には条件が一緒じゃないんですよ。例えば、新しい施設もあるし、古い施設もあるし、それから、バリアフリーでエレベーターがある施設もあるし、高齢者が二階に上がれないような急な階段の施設もあるし、交通の便がいいところもあるし、悪いところもあるし。それから、区境だとかそれに近い施設、それから、そこの施設から近くに世田谷区の施設がないところ。様々な問題があるんです。それで、基本的には八百ぐらいあろうかというふうに思いますけれども、じゃ、利用率が悪かったら切るのか。
私のあれだと、たしか元の教育センター、あれは会議室の利用率が四〇%以下だったと思いますよ。それは当たり前ですよ。学校の先生は月―金やっているでしょう。その間誰も使えないでしょう。それで、上なんていつもがらがらしていましたよ。
区民に言って、逆に、そういう自分たちのところだけは守るという話じゃないわけですから、区民利用ということは、区の中だって四〇%削減しないと、自分たちの身を切るようなことを考えなくちゃ駄目じゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
◎松本 政策企画課長 今回、総合管理計画の検討状況では区民利用施設を例として出させていただいておりますけれども、本庁舎の中において、例えば多機能化、複合化等によって庁舎関連についても余剰スペースといいますか、統合できるようなそういったものの視点というのは持って、検討を進める必要があるというふうに考えております。
◆菅沼つとむ 委員 ふじみ荘は、高齢者の居場所は切られる。区民施設は、夜はいろんな人が使いますよ。昼間だったら、年寄りが将棋を打ったり、碁を打ったり、カラオケをやったり、踊りをやったりしているわけですよ、ほとんど。夕方五時ぐらいから一般の人たちも使いますけど。そういう中で、じゃ、区民施設が一個なくなると、ほかの場所まで行けるかというと、なかなか歩いていけないんですよ。そういうこともやっぱり考えていただきたいというふうに思います。
次は、世田谷区新実施計画に外郭団体の見直し、平成三十年から令和三年まで毎年、調査、研究、検査、修正、点検など、同じ言葉が何年もなっていますけれども、少しは事業が進んでいるの。
◎松本 政策企画課長 新実施計画の後期のほうで外郭団体の見直しについて取組の計画を記載しておりますけれども、現在検討というような段階でございまして、また、今回コロナの状況もございまして、そういった中でこれまでと同様の財政支援を維持するということも難しい状況でございます。そうした中で、この間も御答弁申し上げさせていただいておりますように、新実施計画後期の期間の中で一定の結論を出していきたいというふうに考えております。
◆菅沼つとむ 委員 例えば、世田谷サービス公社の目標は、社内のコンプライアンスの強化、社内のビジネススキルの向上。実際にこれはサービス公社ですから、ずうっとやっていますけれども、サービス公社が世田谷区に必要なものなの。必要だったら必要な理由をお願いします。
◎松本 政策企画課長 サービス公社は、区の地方公社としまして、区と連携を取りながら施設維持管理業務をはじめ、飲食、FM放送などの事業を展開しまして、障害者雇用や高齢者雇用の促進に貢献するなど、地域社会の発展と区民福祉の向上に寄与するために取り組んでおります。中でも、障害者雇用率は二二%を超えておりまして、法定の二・二%を大きく上回るなど、地域の雇用促進への貢献度も高いと、そのように認識しております。
◆菅沼つとむ 委員 実際にサービス公社は株式会社ですから、ほかの区の受注を取れるんですよ。だけど、チャレンジしたけれども、今まで何十年もどこも取れないでしょう。それで、今、サービス公社はエフエムを持っているだけで、あと、エフエムが災害のときに役に立っているからって、この間も役に立たなかったじゃない。
それで、区から受託を受けていますよ。三十七億五千四百万円、これは区からの受注を受けてやっていますけれども、障害者も含めて使っているというけれども、契約のときに障害者を、どのくらいの人間をどういうふうに使うと初めから決めておけば、サービス公社じゃなくていいわけですから。この辺はやっぱり、担当部局に聞いても、担当部局が必要だと言うのは決まっているわけだから、政経部が、もうこれは時代遅れだから要らないってばっさりやらない限り、これはなくなりませんよ。いかがでしょうか。
◎松本 政策企画課長 やはりサービス公社は区の地方公社として公的な目的に即して取り組んでおりますので、そうした中ではこういった障害者雇用というのも一つの地域貢献ということで使命を持ってやっておりますので、非常に大事な取組ということで考えております。
◆菅沼つとむ 委員 一回役所が外郭団体をつくると潰さないということだろうというふうに思います。
また、世田谷区産業振興公社、目標は中小の経営の安定と発展ということになっています。世田谷区には同じような経済産業部と世田谷区産業振興公社、世田谷区として、二つある必要はあるの。
◎松本 政策企画課長 産業振興公社は、区の産業振興施策を推進する公益財団法人としまして、区との連携によりまして弾力的、機動的に公益性の高い中小企業振興施策の展開等に取り組んでおります。また、今般の新型コロナの影響に際しまして、区内中小企業への融資あっせんや経営支援に関しましても取り組んでおりまして、より一層重要な役割を担っていると、そのように認識しております。
◆菅沼つとむ 委員 それは産業振興公社じゃなくても、経済産業部でもできる話じゃない。同じものを二つあったって本当に意味があるのか。その辺まで、区のほうが財政が厳しい中、やっていかないと、これだって五億一千六百万円補助金を出しているわけだから。本当に産業のため、区民のためになっているのか、それをきちんと見てからやらないと、これをそっちのほうに任せておいたらなかなか切れないじゃないですか。議員のうるさいのがいるから切りましたと、そのくらいのことをやっていただかないと駄目だろうというふうに思います。
実際には、令和四年、五年、厳しくなると思いますけれども、本当に身を切った改革をしないと世田谷区は危ないというふうに思います。
自民党の質問を終わらせていただきます。
○真鍋よしゆき 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。
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○真鍋よしゆき 委員長 以上をもちまして本日の質疑は全て終了いたしました。
本日の委員会はこれにて散会いたします。
午後六時七分散会...