• 発掘調査(/)
ツイート シェア
  1. 世田谷区議会 2019-11-26
    令和 元年 12月 定例会-11月26日-01号


    取得元: 世田谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-03
    令和 元年 12月 定例会-11月26日-01号令和 元年 12月 定例会 令和元年第四回定例会 世田谷区議会会議録第十七号  十一月二十六日(火曜日)  出席議員(五十名) 一番   つるみけんご 二番   神尾りさ 三番   そのべせいや 四番   青空こうじ 五番   ひうち優子 六番   上川あや 七番   くりはら博之 八番   佐藤美樹 九番   小泉たま子 十番   あべ力也 十一番  高岡じゅん子 十二番  金井えり子 十三番  田中みち子 十四番  和田ひでとし 十五番  石川ナオミ
    十六番  河野俊弘 十七番  宍戸三郎 十八番  津上仁志 十九番  福田たえ美 二十番  河村みどり 二十一番 いそだ久美子 二十二番 中山みずほ 二十三番 中里光夫 二十四番 江口じゅん子 二十五番 たかじょう訓子 二十六番 畠山晋一 二十七番 山口ひろひさ 二十八番 真鍋よしゆき 二十九番 高橋昭彦 三十番  高久則男 三十一番 平塚敬二 三十二番 桜井純子 三十三番 中村公太朗 三十四番 藤井まな 三十五番 桃野芳文 三十六番 ひえしま 進 三十七番 阿久津 皇 三十八番 加藤たいき 三十九番 菅沼つとむ 四十番  板井 斎 四十一番 佐藤弘人 四十二番 岡本のぶ子 四十三番 羽田圭二 四十四番 風間ゆたか 四十五番 中塚さちよ 四十六番 大庭正明 四十七番 田中優子 四十八番 下山芳男 四十九番 おぎのけんじ 五十番  上島よしもり  出席事務局職員 局長     平澤道男 次長     井上徳広 庶務係長   星野 功 議事担当係長 水谷 敦 議事担当係長 長谷川桂一 議事担当係長 下村義和 議事担当係長 岡本俊彦 議事担当係長 菊島 進 議事担当係長 末吉謙介 調査係長   佐々木 崇  出席説明員 区長     保坂展人 副区長    宮崎健二 副区長    岡田 篤 世田谷総合支所長        志賀毅一 北沢総合支所長        髙木加津子 玉川総合支所長        岩元浩一 砧総合支所長 澤谷 昇 烏山総合支所長        西澤 滋 政策経営部長 中村哲也 財政制度担当参事        松永 仁 交流推進担当部長        小澤弘美 総務部長   田中文子 庁舎整備担当部長        松村浩之 危機管理室長 工藤 誠 財務部長   進藤達夫 生活文化部長 松本公平 地域行政部長 清水昭夫 スポーツ推進部長        内田政夫 環境政策部長 本橋安行 経済産業部長 田中耕太 清掃・リサイクル部長        原田茂実 保健福祉部長 板谷雅光 高齢福祉部長 長岡光春 障害福祉部長 片桐 誠 子ども・若者部長        澁田景子 児童相談所開設準備担当部長(子ども・若者部長兼務)        澁田景子 保育担当部長 知久孝之 世田谷保健所長        辻 佳織 都市整備政策部長        畝目晴彦 道路・交通政策部長        五十嵐慎一 土木部長   関根義和 教育長    渡部理枝 教育次長   淺野 康 教育政策部長 池田 豊 総務課長   菅井英樹     ──────────────────── 議事日程(令和元年十一月二十六日(火)午後一時開議)  第 一 代表質問     ────────────────────
    本日の会議に付した事件  一、会議録署名議員の指名  二、会期の決定  三、諸般の報告  四、日程第一 代表質問     ────────────────────     午後一時開会 ○和田ひでとし 議長 ただいまから令和元年第四回世田谷区議会定例会を開会いたします。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 これより本日の会議を開きます。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 本日の日程はお手元に配付の議事日程のとおりであります。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 まず、会議録署名議員の指名を行います。  会議録署名議員には、会議規則第七十九条の規定により、   四  番 青空こうじ議員   四十七番 田中 優子議員 を指名いたします。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 次に、会期についてお諮りいたします。  本定例会の会期は、本日から十二月五日までの十日間とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」呼ぶ者あり〕 ○和田ひでとし 議長 御異議なしと認めます。よって会期は十日間と決定いたしました。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 次に、区長から招集の挨拶の申し出があります。保坂区長。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 令和元年第四回世田谷区議会定例会の開催に当たり、区議会議員並びに区民の皆様に御挨拶を申し上げます。  最初に、台風十九号の教訓と災害対策についてです。  十月十二日から十三日にかけて日本列島を襲った台風十九号は、死者、災害関連死者、行方不明者が百名を超えるおびただしい犠牲者と広範囲の被害をもたらしました。記録的な降雨による計七十四河川での決壊や氾濫、土砂崩れは各地に深い爪跡を残しました。  世田谷区内も、多摩川の無堤防箇所からの溢水による氾濫、また、多摩川の水位上昇による内水氾濫では、多くの家屋に浸水被害が生じました。ここに、台風十九号により犠牲になった方々に哀悼の意を表します。あわせて、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。  台風十九号は、これまで培ってきた区の災害対策にも大きな教訓を残しました。  八年前の平成二十三年、二〇一一年に起きた東日本大震災以後、区は首都直下型地震や火災延焼を主に想定して防災計画や防災訓練を積み重ねてきました。一方、近年の気象異変による海水温の上昇に伴い、勢力が衰えることなく巨大化した台風による被害が相次いでいます。また、四年前の平成二十七年、二〇一五年に台風十八号により北関東を襲った線状降水帯による集中豪雨は、鬼怒川を決壊させ多くの住民を孤立させ、昨年七月の西日本豪雨では、台風七号と梅雨前線の活発な活動により、死者二百六十三名、行方不明者八名を数える豪雨災害となりました。関西国際空港が浸水、孤立した昨年の台風二十一号、千葉県を中心に大きな被害を出したことしの台風十五号と甚大な被害が続いております。  台風十九号の対応を振り返り、頻発する豪雨災害に備え、今後の災害対策の課題に早速取り組んでいきたいと思います。  まず、時系列で整理します。大型で強い勢力の台風十九号が発達しながら首都圏に向かってくるという警戒情報は、台風上陸の三日前の十月九日には気象庁から伝えられていました。今回、世田谷区では、通常の大型台風より早く警戒態勢を整えるとともに、災害対策本部の準備会合を行い、十日には災害対策本部を立ち上げました。  同十日の本部長室会議では、台風が区に最接近する十二日の区立小中学校、幼稚園、保育園の休校、休園、新BOP、学童クラブの原則休止を決めました。加えて正午以降に鉄道事業者の運行休止が伝えられていたこともあり、区の窓口の閉鎖やイベント休止、自主避難者用の避難場所八カ所の開設なども決定しました。豪雨に備えて、区内五十三カ所の土のうステーションを見回り、補充を続けるとの報告を受け、さらに、強風による停電後のバックアップとなる非常用電源を確保するとともに、発電機などの燃料確認を進めました。同日夕刻には、ホームページに区の対応方針を掲載しました。  十一日の本部長室会議で、台風の直撃による暴風が予想されたことから、翌十二日の資源・ごみの収集作業の中止を決め、区の対応方針の区民周知を図るよう指示しました。その後、区のホームページ、ツイッター、防災行政無線、二十四時間安全安心パトロール子育て応援アプリ、高齢・介護応援アプリメールマガジンエフエム世田谷で周知を行いました。また、同日、部長会で、庁内の台風十九号対応についての情報共有を進め、各所管の台風対応や課題を危機管理室に集約することにしました。  十二日朝には、ブライトホールにおいて、区内三消防署、自衛隊から連絡員も加わり災害対策本部体制が稼働しました。ところが、午前中からホームページへのアクセスが集中してつながらなくなるという事態が起きました。区の広報や危機管理室の公式ツイッターの表記も「詳しくはホームページをご覧下さい」と誘導していたことから、改めて発信情報を画像で張りつけるなどの工夫をする一方で、災害時対応用のホームページ様式に改め、また、サブシステムの活用等で回復するまでに時間を要しました。  台風情報を区民に周知するために防災無線を八回流しましたが、聞こえづらい、聞き取れないなどの御意見を多数いただきました。以前から、自宅内や雨風が強いときに聞こえづらいと指摘されてきたことですが、防災行政無線からの放送についてよりよい伝達方法の検討に入ります。避難準備・高齢者等避難開始(警戒レベル三)、避難勧告(警戒レベル四)、避難指示(緊急)(警戒レベル四)などを発令したときには、携帯電話の緊急速報エリアメールも使いました。一方で、ホームページやSNSを利用することのできない高齢者には、緊急時の情報が届きにくいという情報伝達の課題を残しました。今後は、テレビのdボタンを利用した情報の取得なども広く周知していきます。また、多言語対応の拡充のほか、情報発信のあり方などの課題に早期に取り組みます。  また、十二日朝の本部長室会議で、自主避難者用の避難場所をさらに増設する判断をいたしました。まず、事前に準備していた避難所八カ所を午前十時に開設すると同時に、次々と区民の方の避難が始まる中でさらに数をふやして、避難所の開設準備に取りかかりました。玉川・砧総合支所ともに、学校や民間施設等を避難所とするための調整、準備を続け、避難所の増設をしていきました。ただし、当初の予定を大幅に拡大して避難所を開設したために、避難所に職員の配置が間に合わず、少人数での開設となりました。震災時に想定している地域の町会・自治会等による避難所運営組織による避難所開設ではなく、職員中心の開設になりましたが、一部の避難場所では、来られた区民の皆様の御協力を得て運営したところもあったなど、運営の点で今後に多くの課題を残しました。  台風が通過した直後の十三日には、午前中から無堤防地域、世田谷記念病院、玉堤一丁目、二丁目の浸水被害に遭った地域を回りました。被災家屋の半地下、地下室等の浸水をくみ上げるには、排水ポンプが多数必要となります。長谷部健渋谷区長の御配慮により、排水ポンプ四台と九名の職員を被災地域に派遣していただき、区職員とともに作業に加わっていただきました。浸水した空間が大きな場合には、小さな排水ポンプを多数使うよりも、排水能力の高い排水ポンプ車が有効ですが、区にはありません。こうした設備面での課題もありました。  同じく十三日午前中からは、浸水した家屋の片づけが始まり、多くの災害ごみが路上にまとめて出されていました。相当の量に上るため、災害ごみを回収に当たる臨時体制を組み、清掃・リサイクル部が一丸となって精力的に取り組みました。今回、庁内の応援体制だけではなく、目黒区、品川区、渋谷区の近隣区の応援も受けて回収に当たりました。近隣区の温かい応援に心から感謝をいたします。  また、被災地域に近い玉川野毛町公園の拡張予定地に、早い段階で臨時に粗大ごみ中継所を設営し、小型ダンプ車で現場からピストン輸送を行うとともに、そこから中型プレス車で中央防波堤の処理場に何度も運びました。今回は、こうした中継地として使用可能な場を設けた結果、路上からの撤去作業が進んだことで、災害時に一定のスペースを確保していくことが重要であるということもわかりました。  さらに、清掃・リサイクル部では、浸水で家具を失った被災者のために、エコプラザ用賀粗大ごみリユース家具の無償頒布を二回開催することにしました。被災者の方にお申し込みいただき、御利用をいただいています。  十四日から、世田谷ボランティアセンターでは、災害支援ボランティア活動を開始し、多くの方に登録をいただき、泥出しや荷物の整理を行うなど、多くの区民参加による助け合い活動が広がりました。被災後十月末までに延べ七百七十七名の方々がボランティアで被災現場に入りました。世田谷区社会福祉協議会では、ボランティアの送迎や活動に協力、連携するとともに、家具移動時の子どもの見守りにサポーターを派遣するなど、地区の助け合い活動により、細かいニーズにも応えることができ、その必要性も感じられました。  さらに、台風十九号対応について多くの声が寄せられました。避難所定員と誘導についてです。  避難所は最終的には二十七カ所まで拡大し、避難者はピーク時に五千三百七十六名となりました。成城ホール、駒澤大学玉川キャンパスなどは九百人を超える避難者であふれたところもあり、その他の避難所にも満杯で入ることができず、他の避難所に移動しなければならなかったという声も寄せられました。十七時三十分以降のホームページで閲覧できる避難所開設情報には「収容人数に達しました」とのクレジットを入れましたが、避難所誘導と運営体制については、多くの皆様に御迷惑をおかけしました。  また、避難所開設時から、ペットの受け入れ態勢はありませんとのインフォメーションに、ペット同行避難をなぜ認めないのかという声を大変多くいただきました。区では、動物アレルギーのある方への対応をする必要から、ペットの同行避難については、ケージに入れて別室にて受け入れることとしています。しかし、当初予定し、開設した地区会館などの避難所は、小規模施設が多く、ペットの受け入れは困難と考えました。  これまでの避難所運営マニュアルは、震災を想定したもので、水害を想定し作成していませんでした。地域防災計画ではペットの同行避難の受け入れも掲載されており、避難所開設に際しては、例えば学校であれば用具室などをペット用にするなど、同行避難の受け入れが可能となるよう検討いたします。  区の災害対策の経験の中で、避難所開設により多数避難者が集合したことも初めての経験でございました。昨年の関西国際空港が浸水した台風二十一号で、区内では土砂災害警戒区域等に指定された二カ所の避難所に二名、多摩川の洪水に関する地域五カ所で十六名、直近の本年九月の台風十五号では三カ所で七名と、いずれも少人数の避難者でした。  今回、桁違いに多くなった理由に、直前の台風十五号の被害が大きかったことや、台風の規模が大変大きく、多摩川の水位上昇による危機意識が広がった結果だと思います。  今回、多摩川の洪水に関する避難情報を受けて、一時避難に関しましては、避難地域外の親戚、知人等の家に避難した方も相当いらっしゃいました。風雨が強くなってきてからは、二十四時間安全安心パトロールの車両により、区内は大雨、暴風になっているため、危険な状況で不要不急の外出はしないように呼びかけました。また、災害・防犯情報メールなどにより、屋外の避難が危険な場合は、屋内の高いところで安全を確保するなどの垂直避難の呼びかけも行いました。  今回の教訓を踏まえ、区立学校のみならず、民間企業や大学、高校等の避難所活用についても協定締結により、避難所として協力いただくなどの受け入れ可能な避難所をふやす努力を加速いたします。また、避難所に入れなかった事例もあったことから、今回のような事態で、一体何人の方が避難所に入っていただけるのかシミュレーションを行い、避難所選定の見直しや垂直避難といった避難方法などの検討も急ぎたいと思います。加えて、高齢者、障害者などの避難行動要支援者への対応や福祉避難所のあり方、台風や集中豪雨等による水防体制における職員招集や、避難所の開設、運営実務、避難所情報の可視化等の見直しを進めていきます。  多摩川の溢水と土のうについてです。  多摩川の無堤防地域から溢水による被害の検証作業の中で、階段部分とスロープの二カ所に区、消防署、消防団で土のうを積む作業をしましたが、区で確保しておかなければならない土のうが、各方面からかき集めても三百袋しかなく、必要量に至らず、不足をしていたことが明らかになりました。台風十五号のときには千袋が土のうステーションから出ていきましたが、今回は土のうステーションを巡回、点検するたびにからになっているという状況が続き、計一万五千袋の土のうを供給しました。さらに土のうを作成するため、必要な砂を建材業者から入手することができず、関係機関とも連絡調整を図りましたが、追加の供給ができませんでした。  水防の緊急時に土のうが不足するという事態を繰り返さないために対策を進めるとともに、無堤防地域への早期の堤防建設をするよう、国土交通省京浜河川事務所に十一月七日に要望書を提出いたしました。また、無堤防地域には、現在高さ一・五メートルの緑色の大きな土のうが積まれていますが、兵庫島への通路となっている階段部分、スロープ部分は通行のため、空白になっています。ここに、堤防完成までの間に積み土のう以上に強度のある溢水防止用具を常備する対策の協議を同時に求めています。また、多摩川の水位情報の監視強化、水位上昇による水門の運用の検証を早期に進めます。  多摩川は、国が管理する一級河川です。区は水防管理者として、国とともに水防体制に責任を負っています。今回、多摩川の水位は田園調布(上)水位観測所で、ピーク時に十・八一メートルと計画高水位十・三五メートルを超えました。多摩川上流部における降水量や小河内ダムからの事前放流など、多摩川の水位上昇については流域全体で複合的に取り組む必要があります。既に多摩川流域の自治体の首長による懇談会や関係会議などの意見交換を年に複数回行ってきましたが、今後、流域全体の情報共有と相互連携を深めてまいります。  消毒についてです。  浸水家屋には消毒が必要となります。世田谷保健所では、十月十三日から消毒作業を開始し、これまでに約二百件の消毒作業を行いました。また、玉川総合支所を中心に、各総合支所と世田谷保健所が連携して保健師などによる被災地域への全戸訪問を行い、十七日から二日間で千四十八軒を訪問し、健康状態などの聞き取りや各種相談窓口の御案内をいたしました。  十三日から受け付けを始めた罹災証明書は、十一月六日現在、問い合わせ千五百十一件、床上浸水発行三百七十三件、床下浸水発行四十二件に及び、十七日からは台風十九号被災者相談窓口を各総合支所に設置したほか、一時滞在施設として尾山台地区会館、大蔵第二運動場に場所を確保し、一時入居できる区営・区立住宅も十五戸用意をいたしました。  停電についてです。  今回、多摩川流域の浸水地域を中心に最大で約五千二百世帯で停電が発生し、そのうち一部の地域で長時間の停電が続きました。今後の台風では、接近につれて強い風により、台風十五号で千葉県などで発生したような広範囲で長時間の停電も予想されます。交通量の多い幹線道路も含めまして、区内には信号が平成三十年度、二〇一八年度末で六百八十六基あります。信号の非常用電源の点検や機能強化も課題です。  また、電気で稼働する機具を用いて酸素吸入等を欠かすことができない在宅療養者は、区内で少なくとも百四十名程度とされています。生命維持に直結する停電に対しての備えも必要です。避難所になる体育館への空調設備設置を進めていますが、停電時には、夏は熱中症、冬は寒さ対策が必要です。また、今回も避難情報などの伝達手段として携帯電話が必須となっていることから、多数の携帯電話の一斉充電について検討を急ぎます。  続いて、十月二十五日には、台風二十一号の影響と低気圧の発達、線状降水帯により、千葉県を中心に記録的な大雨を降らせました。移動中の車の中で千葉県、福島県で十三名の方が亡くなっています。お悔やみを申し上げます。  災害対策に万全はありませんが、今回の経験から得た多くの学びを生かして、最優先で対策を進めていきます。天災は忘れたころにやってくるとは、物理学者で随筆家だった寺田寅彦氏の言葉とされていますが、今日の日本列島を襲う災害は、忘れる間もなく頻発するという時代です。現在、課題と今後の対応について取りまとめ、できるところから早急に対応してまいりますが、そうした取り組みの積み重ねを今後の地域防災計画の修正に反映し、今回の経験を踏まえて、さらにバージョンアップする準備にかかります。  ここから区政の動きについて御報告します。  まず、東京二〇二〇大会を契機とした区民や事業者と連携したオール世田谷推進についてです。  十月十日に世田谷おもてなし・交流・参加実行委員会を経済界や観光、町会、NPO等の区内各界の代表の皆様と立ち上げ、その実行委員会の実施していく事業に御理解、御賛同をいただいた区民や事業者の皆様が集まった世田谷おもてなし・交流・参加プロジェクトキックオフ会を実施しました。当日は百五十九団体の皆様が集まり、オール世田谷でおもてなしをする機運の高まりを感じました。私は、実行委員会委員長として、この機運を持続させ、東京二〇二〇大会で訪れる方々に対して心あるおもてなしを成功させ、また、大会後もこうした連携協力が継続することによって、将来も区の財産として残るよう、区民全体の取り組みも進めていきたいと改めて感じたところでございます。  今後、次世代を担う子どもたちが多文化・多様性の社会に生きることができるよう、実行委員会が実施するおもてなしに関するさまざまな事業に区として積極的にかかわり、賛同した区民や事業者の皆様の参画をいただきながら、オール世田谷でしっかりと取り組んでいきます。  次に、ドゥブリング区訪問についてです。  十月二十二日、オーストリア・ウィーン市のドゥブリング区において、世田谷区とドゥブリング区の姉妹都市提携三十五周年を記念する再確認宣言書調印式に、区議会議長や議員団の皆様とともに参加してまいりました。調印式典には、ダニエル・レッシュ区長、ドゥブリング区議会議員に加え、現地在住の日本人合唱団や同時期にウィーンを訪問していた世田谷区小学生派遣団も参加し、盛大なセレモニーが行われました。また、光栄なことに、私自身もドゥブリング区の名誉区民の称号をいただいたところでございます。  今回の訪問では、世田谷区小学生派遣団と現地の子どもたちが交流する様子を視察するとともに、市内の教育施設や都市開発地域の視察など、有意義な訪問となりました。今後も両都市間の歴史ある交流を継続していきたいと思います。  自治体間連携フォーラムについてです。  十月三十日、三十一日には、第五回自治体間連携フォーラムを開催しました。世田谷区のほか、会場となった山形県舟形町を初め、北海道から胆振町村会を代表して厚真町、中川町、群馬県川場村、神奈川県川崎市、新潟県十日町市、長野県豊丘村、沖縄県宮古島市、区内から駒澤大学の計十団体が参加し、災害対策、また今後の可能性として、大学と自治体連携をテーマに活発な議論がされました。  災害対策では、厚真町長から昨年九月の地震被害の報告、開催地の舟形町からは昨年の水害で庁舎地階が水没した報告、また、私は川崎市とともに区の多摩川沿岸の浸水などの被害状況の報告を行い、災害対策の強化について意見を交換いたしました。  ここから、基本計画の分野別計画の主な取り組みについて述べます。  最初に、健康福祉から地域包括ケアの推進についてです。  十月二十八日には第三回目となる地域包括ケア地区展開報告会が開催されました。下馬地区からは、区民参画による地域包括支援の仕組みづくり、新代田地区からは、小学生対象の認知症サポーター養成講座や異世代交流の始動、九品仏地区は、多世代と多機関交流の取り組み、喜多見地区と烏山地区からは、地域の切実な課題である買い物ツアーと移動販売、移動販売に合わせての健康、介護の巡回相談など、地区ならではの取り組み報告がありました。地区それぞれの課題に、地区ならではの連携、工夫を重ねることは、災害時等の対応でも大きな力となります。全二十八地区で展開されている地域包括ケアの地区展開を地域とともに全力で進めます。  高齢者福祉についてです。  介護について理解と認識を深め、介護従事者、利用者、介護する家族を取り巻く地域の支えあいや交流を促進するため、第十二回せたがや介護の日を成城ホールで開催しました。十二月七日には、区内七大学、事業者、区民、行政が一堂に会し、せたがや福祉区民学会第十一回大会が開催され、基調講演、研究・実践活動等、五十五事例の発表が予定されています。また、区では、介護事業者等を構成員とする検討会で、介護人材の確保や定着に関する意見交換を行い、喫緊の課題である介護人材対策をさらに進め、不断の取り組みを続けます。  先導的共生社会ホストタウンについてです。  区では、平成二十九年、二〇一七年十二月に国の共生社会ホストタウンに登録されましたが、より先進的な取り組みを進める観点から、先導的共生社会ホストタウン制度の申請を行った結果、十月十一日付で認定されました。取り組みの一環として、十月二十一日に日本大学文理学部オーバルホールにおいて、車椅子ラグビーの米国代表パラリンピアン四名や日本大学文理学部の学生などの協力のもと、米国におけるバリアフリーなどの現状に関する講演、交流を深める心のバリアフリーシンポジウムが行われ、登壇者それぞれの立場から実践的な提言をしていただき、百三十七名の来場者がともに共生社会の実現への思いを共有いたしました。  今後も、先導的共生社会ホストタウンとして取り組みを継続的かつ効果的に推進し、アメリカ合衆国とのスポーツ、文化による交流の輪を広げ、障害者差別のない共生社会の実現を目指します。  子ども若者・教育から小中学生の海外派遣についてです。  海外を訪れ、その国の歴史や文化に直接触れる経験は、多様性を理解するとともに、国際的な視点で物事を考え、改めて日本のよさに気づくことができる貴重な機会になります。そのため、教育委員会では、これまで、姉妹都市のあるオーストリアやオーストラリア、カナダの三カ国に小中学生を派遣してきました。今年度からは、派遣国を拡大し、新たにフィンランドへの小中学生の派遣を開始いたしました。また、来年、世田谷区がホストタウンとなっているアメリカ合衆国のオレゴン州ポートランド市に中学生を派遣する準備を進めています。  ポートランド市から、十月二十七日にヘッド・ウィラー市長を代表とする訪問団が世田谷区を訪れ、シンポジウムで意見交換するなど、交流を深めています。さらに、台湾への派遣に向け、今後の教育交流のあり方について、教育委員会と生活文化部で改めて検討していきます。子どもたちの豊かな経験へとつながるよう、教育委員会の取り組みを支援してまいります。  次に、暮らし・コミュニティから、環境に関する普及啓発についてです。  未来を担う子どもたちに、環境やエネルギーについて楽しく、正しく学んでいただく大型環境イベント、環境エネルギー・ラボ二〇一九inせたがやを二子玉川で開催しました。初日となった十月十三日は、台風十九号の影響により中止といたしましたが、翌十四日は開催することができ、川崎市や大学、NPO、企業との連携協力のもと、テレビ局による気象予報士体験、親子ソーラーライトづくりなど、さまざまな体験型ワークショップを行いました。千八百名を超えるたくさんの親子が、楽しく、また真剣に環境問題に向き合っていたことが印象的でした。  さきの九月二十三日にニューヨークで開催された国連気候行動サミットにおいて、スウェーデンの十六歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが待ったなしの地球温暖化対策を訴えました。未来を担う子どもたちが持続可能な社会の実現に向け、学ぶきっかけになる非常に有意義な機会となりました。  本庁舎等整備についてです。  本庁舎等整備では、今年度は実施設計作業に着手し、新庁舎の管理方法、窓口・区民サービス機能、環境配慮型の設計与条件を確定し、セキュリティーの考え方や区民交流機能、トイレなどのユニバーサルデザイン、省エネルギー対策など、テーマごとに課題整理を進めており、今後取りまとめに向けて取り組んでまいります。  また、本庁舎等における浸水対策ですが、本計画敷地は、周辺では一番高い標高にあり、流域の雨水流出抑制に寄与するため、対策量の基準であるヘクタール当たり六百立方メートルに対し、千百立方メートルの雨水流出抑制施設を整備する計画としています。  あわせて、敷地内への浸水を防止する万全の対策を改めて確認し、震災のみならず、さまざまな災害に対応できる防災拠点としての本庁舎等の整備を着実に進めていきます。  次に、令和元年度一般会計第三次補正予算について申し上げます。  このたびの補正は、台風十九号による被害からの復旧復興等、喫緊の課題に対応するため、歳入歳出それぞれ八億二千七百万円の補正予算を計上するものであります。  職員の給与改定についてです。  去る十月二十一日に特別区人事委員会より、職員の給料については引き下げ、特別給については引き上げるべき旨の勧告がなされました。また、特別職等の報酬等については、十一月二十二日に世田谷区特別職報酬等審議会より答申をいただきました。これらを受け検討した結果、職員の給料並びに特別職等の報酬の引き下げ、特別給については引き上げを実施する必要があると判断いたしました。そのため、条例改正を行う必要が生じましたので、御提案の準備を進めているところでございます。  最後に、本議会に御提案申し上げます案件は、「世田谷区支所の設置及び組織に関する条例の一部を改正する条例」など議案三十五件、専決二件、諮問一件、同意一件、報告十七件でございます。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御議決賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶といたします。 ○和田ひでとし 議長 以上で区長の挨拶は終わりました。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。
       〔井上次長朗読〕  報告第七十七号 議会の委任による専決処分の報告(世田谷区梅ヶ丘拠点整備事業に係る開発工事及び仮称区複合棟新築工事)外報告十七件 ○和田ひでとし 議長 ただいまの報告のうち、報告第九十四号については、企画総務委員会で提案され、関係機関に要望したものであります。御了承願います。  以上で諸般の報告を終わります。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 これより日程に入ります。 △日程第一を上程いたします。  〔井上次長朗読〕  日程第一 代表質問 ○和田ひでとし 議長 質問通告に基づき、順次発言を許します。  まず、Setagayaあらたを代表して、二番神尾りさ議員。    〔二番神尾りさ議員登壇〕(拍手) ◆二番(神尾りさ 議員) Setagayaあらたを代表し、質問いたします。  私どもSetagayaあらたは、令和新時代を迎え、これまで以上に未来を見据え、地域力の強化とともに、多文化、国際化の取り組みなど、変化の多い時代に必要とされる施策を推進してまいります。  まず冒頭で、世田谷区のために日々職務に励まれる若手職員の皆さんにエールを送ります。変化のスピードが非常に速い昨今、若者世代の感覚や価値観を区政に反映させることは必須となりつつあります。特に情報発信やテクノロジーなどの有効活用、地域における活動への若者世代の参画などにおいて、若手職員の価値観を区の施策に反映させる必要性を感じます。変化に対応し、柔軟に業務に取り組める人材となり、縦割りの既存の枠組みを超えた挑戦を続けてください。若手の意見や価値観が区の施策に反映され、柔軟で開放的な行政になることを期待し、質問に入ります。  まず、三つの施策における区長のリーダーシップについて伺います。  台風十九号の発生から一カ月以上がたちました。現在ももとの生活に戻ることができない区民の方々がいらっしゃいます。被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。  区長は、招集挨拶で今回の台風十九号からの教訓と災害対策について述べられましたが、言いわけや弁解ともとれる時系列での対応の列挙には疑問を感じます。  気候変動に伴って自然災害への備えは必須です。我々日本の国土は自然との共存と闘いを繰り返すという使命を負っており、災害のたびに想定外だったという言いわけを繰り返すわけにはいきません。今区民が知りたいのは、今度同レベルもしくはそれ以上の規模の災害に見舞われた際、一体区は何をしてくれるのか、自分の身をどこまで守らなければならないのかということです。  今回の台風十九号における課題と対策について、区長のリーダーシップという観点で伺います。災害による教訓が記憶から薄れる前に、自助、共助の視点で区民にどのような備えが必要なのか、区長がリーダーシップをとり、強く訴えかける必要性を感じますが、見解を伺います。  次に、児童相談所設立後の展望について区長に伺います。  いよいよ四月の世田谷区児童相談所の開設が近づいてまいりました。現況を見ますと、子どもや家庭への支援や一時保護所の児童への処遇は、当面の危機の回避に精いっぱいであり、子どもが本当に望む利益の実現には至っていないように見受けられます。本来、児童相談所を初め、子ども家庭支援センターや地域の関係機関はそれぞれの役割をしっかりと認識し、課題を抱える保護者を連携して支える必要があります。虐待や貧困の連鎖を断ち切るとともに、問題が重くなる前に予防型の支援を展開すること、また家族再統合に向けての加害者への治療的アプローチなどを一つのパッケージとして視野に入れていく必要性を感じます。  そのために関係機関は、子どもの本当の願いが何であり、何を目指して支援を行うのかといった目的を共有しなければならず、世田谷の児童相談所の設立をそのための一歩とするためには、区長のリーダーシップが欠かせません。対症療法では虐待や暴力の連鎖を断ち切ることができず、子どもの願いを丁寧に聞き取り、代弁するアドボカシー機能の整備や児童虐待、家庭内DVなどの問題に対して、根本的な解決に向けた取り組みが必要となります。  子どもの最善の利益の実現に向けて、子どもが生まれる前からの支援体制及び課題を抱える子どもや家庭への援助、そして多くの子どもが願う家族再統合に向けての治療的アプローチをも含めた総合的な取り組みへの展望を伺います。  区長への最後の質問は、教育への投資についてです。  九月に発表された二〇一六年の結果によると、日本が教育機関に対して行った公的支出の国内総生産に占める割合は、経済協力開発機構、OECD加盟国の中で比較可能な三十五カ国のうち、三年連続で最下位でした。  二〇一五年の国における法改正により、区長と教育長、教育委員会がともに手を携え、教育そのものについての方針を共有できる体制になりました。第二回定例会の代表質問でも触れたとおり、今年度の当区における一般会計予算に占める教育費の割合は八・七%です。この数字を高いと考えるかどうかは、世田谷区が将来的にどのような自治体でありたいかという理想像にもつながります。  当区における最も重要な財産は人ではないでしょうか。少子・高齢化の現状において、二十年後、三十年後の世田谷を支える人材の育成として、教育の重要性を訴えます。  子どもたちの豊かな心と知力を育む教育には、健全な教師の育成と教育そのものへの投資が必要です。教員を育成し、サポートする教育総合センターの開設に向けて、質の高いプログラムの提供が望まれます。全ての児童が豊かに学べる環境づくりのため、ICT教育やキャリア教育などを推進する「せたがや11+」の取り組みも始まります。世田谷の発展を教育への投資抜きに考えることはできず、目に見える予算配分が必要です。世田谷区として将来を見据え、教育にますます力を入れるべきであると考えますが、区長のお考えを伺います。  次に、災害対策について各所管部に伺います。  前述のとおり、今回の台風十九号における対応には多くの課題を残しました。特に災害対策本部、総合支所、まちづくりセンターなど各組織における課題が浮き彫りになりましたが、今後の短期的、長期的な課題について、それぞれどのように取り組んでいくのか伺います。  今回の被害は同じ世田谷区内でも、地域、地区によって被害状況に大きく差が出ました。区民の生活に密着する各地区における災害への対応や役割も大きかったように見受けられます。情報集約、伝達、また災害ごみなどの問題においては、その地区の実情に即した対応が求められるまちづくりセンターは、今回どのように機能したのでしょうか。課題を含め、まちづくりセンターの担うべき役割について伺います。  次に、来年度待機児童数の見込みと対策について伺います。  当区における昨年度の待機児童数四百七十名を受け、区では来年度に向けて保育の定員数を拡大し、待機児ゼロとなるように取り組みを続けています。一方で国による保育無償化の流れを受け、保育希望者数の増加も予想されます。今週末には今年度の保育園の入園申し込み締め切りを迎えますが、令和二年四月の待機児童数ゼロを目標とした取り組みについて、ハード面、ソフト面両方での現状での見込みを伺います。  一方で、現代の子育て世代の働き方は多様であり、多様な保育のあり方の一つの選択肢として幼稚園の預かり保育拡大の可能性についてお聞きします。  働く保護者の中には、幼稚園の預かり保育が拡大すれば、働き方を工夫して仕事を続けられる方もおります。平成三十一年四月時点での預かり保育実施対象となる幼稚園などの数は、私立、公立を含めて六十六園あると認識しています。区がそれらの園に働きかけることで、子どもを幼稚園に通わせながらも働き続けることができる保護者の数がふえ、必然的に待機児童の数が減少するのではないかと考えますが、区の見解を伺います。  次に、就学児を見守るネットワークについて伺います。  未就学児においては、おでかけひろばなど地域の子育て支援拠点や利用者支援事業など、子ども家庭支援センターにつながるようなネットワークがあるのに対し、就学後は新BOPと子ども家庭支援センターの連携も弱く、情報が共有されにくい現状にあります。新BOPとつながりの強い児童館が核となることで、現在ブラックボックスとなりがちな学齢期の見守り機能が強化されていくことを期待しますが、区の見解を伺います。  次に、地域行政制度について伺います。  当区における本庁、総合支所、出張所とまちづくりセンターという三層構造の構図は他区にはない世田谷ならではの特徴であり、災害時などにおける個別の対応や福祉的機能の強化に役立つ仕組みが必要とされます。地域行政は、行政内部、組織の問題ではなく、地域社会の変化に対応するものであると考えます。当区における地域行政改革において、まず地域行政そのものは何のためにあるのか伺います。  災害時には、各地域、地区において行政に求められるサービスの優先順位も異なります。また、昨今の児童・幼児虐待における転入者の情報共有の課題なども生じています。いずれにおいても、行政がみずからできる取り組みではなく、地域、地区の住民が自分事として自主的に取り組まなければならない問題であると感じます。  このことから、地域行政の改革検討に当たっては、まず地区レベルでの行政のあり方と区民との協働のあり方を検討し、その後にそれを支える総合支所の仕組み、さらにそれが区全体として機能的に働く、動く、本庁の仕組みを考えるべきであると思いますが、区の見解を伺います。  区民に最も身近な行政単位である地区において、区民に利用されるまちづくりセンターを中心とし、地域の人が運営する区民センター、地区会館などの区民活動機能、そして児童館などの子育て機能がどのように連携をとり、機能的に役割を果たせるかということについて、区の考えを伺います。  また、区民センター未設置地域における今後の整備方針と、当面の方策としての北沢タウンホール、成城ホール、玉川区民会館ホールの運営における運営協議会方式の導入についての検討はどのようにされているか伺います。  次に、新庁舎について伺います。  平成二十八年十二月に策定された世田谷区本庁舎等整備基本構想には、整備の基本方針の一番目に、区民自治と協働、交流の拠点としての庁舎としての機能が掲げられています。新庁舎については、地域内分権と住民自治を確立するとともに、全区的な区民自治と協働、交流の拠点として、単なる行政サービスの提供にとどまらず、幅広い区民が触れ合い、交流することのできる場として整備することが期待されています。  決して利便性が高いとは言えない立地でありながら、区民にわざわざ訪れてもらえる新庁舎を目指すためには、既に計画されている区民交流スペースやグリーンインフラを活用した屋上の緑化、そして魅力的なレストランなども含め、整備方法のほか、運営方法にも工夫が必要であると感じます。実施設計に並行して、それらの検討をどのように進めていくのか伺います。  最後に、東京二〇二〇大会について伺います。  来年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。世田谷区では、馬事公苑で馬術競技が行われるほか、大蔵運動場、大蔵第二運動場でアメリカ合衆国選手団がキャンプを行います。先週末には、総合運動場陸上競技場オープニングイベントも行われ、来年の大会に向けた準備も佳境に入りました。  そこでまず、馬術競技が行われる馬事公苑前のけやき広場について伺います。けやき広場を馬事公苑の玄関口と捉え、区内、区外からの訪問者に誇れる広場にすべきであると考えます。来年の東京二〇二〇大会を前に、区としてこの広場をどのように整備していくのか伺います。  次に、アメリカ合衆国選手団のキャンプ地となる大蔵運動場、大蔵第二運動場について伺います。  アメリカ選手団の使用後は、さまざまな設備も整うため、これらの施設において区のスポーツ施策を推進する絶好の機会であると思われます。一方で、大蔵運動場、大蔵第二運動場には、一体的な活用に向けた整備も計画されています。  そこで伺います。  一点目に、現在検討を進めているとされる大蔵運動場、大蔵第二運動場の計画についてお聞かせください。  二点目に、将来的な展望について伺います。大会終了後には、アメリカ選手団のキャンプで得た経験を生かし、全国や海外からも選手が出場する規模のスポーツ大会を誘致することはできないでしょうか。先導的共生社会ホストタウンとして、障害者スポーツを推進する当区では、障害者スポーツ全国大会の実施なども望ましいと考えますが、見解を伺います。  次に、おもてなしプロジェクトについて伺います。  先般立ち上がった世田谷おもてなし・交流・参加プロジェクトは、区、事業者及び区民がオール世田谷となれる千載一遇の機会であると考えます。プロジェクトの実施に当たり、心を一つにする、一堂に会することを具体的にどのように進めていくお考えでしょうか。  また、オリンピック・パラリンピックのもともとの目的である平和な世界の実現に向けて、実行委員会が実施する事業に平和の要素を含める必要があると考えますが、若者の参画も含め、どのような事業を実施されるのか伺います。  最後に、ホストタウン及び共生社会ホストタウンについて伺います。  世田谷区は、アメリカ合衆国のホストタウンとして登録されており、また共生社会の取り組みを進める自治体として、共生社会ホストタウン、そして先導的共生社会ホストタウンにも認定されています。今年度の区民意識調査によると、ホストタウン、共生社会ホストタウンの認知度は余り高くありませんでした。認知度の向上は、縦割りの弊害をなくしたオール世田谷の取り組みの強化や、さまざまな世代、文化の壁を超えた共生社会への理解を深めることにもつながります。  きょう、この議場におけるホストタウン認知度は限りなく一〇〇%に近い数字であると思われますが、一歩この庁舎を出ると二〇%以下にまで落ち込みます。 この認知度の差を埋めるのは理事者を含む区の職員であり、私たち議員を含む区民であると考えます。  ホストタウン、共生社会ホストタウン認知度の数値目標とはいかなるものでしょうか。また、東京二〇二〇大会後にも、これまでの取り組みを継続強化させるため、今ある機運の高まりを利用してホストタウン認知度を向上させるための取り組みについても伺います。  一方、全国では十七の自治体がアメリカ合衆国のホストタウンに登録されており、世田谷区はその一つです。多文化理解や国際理解を深めるために、ホストタウンをきっかけとした自治体間のつながりを強化させ、連携を通して区民、市民の意識を総合的に高める必要性を感じます。例えば米国ホストタウンの各自治体におけるイベントに他自治体からの参加を促し、草の根レベルでの区民、市民の交流を促したり、自治体の枠を超えた子どもたちの交流などで国際理解を深めたりする機会の創出などさまざまな可能性が考えられます。  区が考える米国ホストタウンの自治体間連携事業についてお示しください。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 神尾議員にお答えをいたします。  まず、台風十九号、災害対策についてでございます。  今般の台風十九号は、世田谷区史上、被災した台風災害としては大変未曽有の経験となり、招集挨拶で述べたとおり、さまざまな課題、教訓を残しております。私自身も災害対策本部長として、本部運営や指揮命令などをみずから振り返りながら問題点を取りまとめ、早急に必要な対応を指示してきたところでございます。  本定例会において、被災された区民の皆様への見舞金の件数増、土のうステーション設置場所の増、区民利用施設の復旧工事費など、最優先でとるべき対策にかかわる経費の補正予算を審議いただくよう早急に準備をしてまいります。  現在、災害復興本部において被災された区民の皆様への支援など、一刻も早い復旧復興対策に取り組むとともに、今後も起こり得る風水害に備え、災害対策本部体制における災対各部の取り組みについて検証を行ってまいります。  招集挨拶に記した検討課題に議会からのそれぞれの御指摘も踏まえまして、災害対策を根本的に見直し、しっかりと対応を進めてまいりたいと思います。  次に、児童相談所についてでございます。  予防型の児童相談行政の実現については、関係機関がチーム世田谷として機能し、一貫した方針のもと、連携して丁寧に子どもと家庭のサポートに当たる体制づくりが不可欠であり、こうしたことを踏まえ、区は児童相談所の設置を初めとする一連の児童相談行政の再構築に取り組むものでございます。  議員、御指摘のとおり、計画どおりに一連の取り組みを機能させ、さらに維持発展させていくためにも、児童相談行政を担う適切な人材配置と職員育成に努めるとともに、私自身も責任を持って、児童相談所と関係する児童福祉・子育て支援のネットワークが有効に機能するように区の力を結集してまいります。  また、お話しになった子どもがみずからの意思を表明すること、これを援助する代理者としてのアドボカシー機能など、先行例はまだ乏しい取り組みについても大変必要なものだと考え、意欲的に取り組んでまいります。  また、児童虐待は家族の問題として大変奥が深く、DVを初めとする家庭内暴力と深い関連があります。家族が抱える問題の根本的な解決を目指すためには、加害者に対する効果的な治療アプローチなど、いまだ確立されていない分野の調査研究にも積極的に取り組み、子どもの利益を最優先で守り、子どもの発達、成長を支援する児童福祉の基盤を強くしてまいります。  最後に、教育についてです。  未来を担う子どもたちへの教育投資という点では、子どもたちの持つ個性を生かしながら、潜在能力を引き出し、変化する時代と向き合うために最新、最良のプログラムで教育ができるように、限られた予算の中においても工夫を凝らし、さまざまな取り組みを行ってきたところです。  とりわけ教育費については、学校改築や体育館への空調設置・耐震補強工事など財政負担が増加する中でも、全校にタブレットを配置するなどICT化の推進や、特別支援教室の全校設置、さらには教育総合センターの整備など、教育の質を向上させるために予算の確保に努めてきたところであります。  教育費については、学校改築などの投資的経費にも影響されますが、今後の改築、修繕には全力で知恵を凝らして合理的節減に努め、今後も教育委員会と連携し、これからの時代を生きる子どもたちにとって、最善な教育環境を整え、世田谷の教育を推し進めることができるための予算を確保してまいります。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、来年度待機児童数の見込みと対策についてでございます。  今年度の保育定員の拡大につきましては一千三百八十七人を計画目標としておりましたけれども、現時点で八百九十七人分の定員増の見込みとなっており、結果、待機児童ゼロを達成できる見込みが、計画策定段階に比べまして厳しくなってきているとの認識に立っております。  一方で、令和二年四月の新規開設では、認可保育園十三カ所のうち、優先度の高い世田谷・北沢地域におきまして十カ所、また、待機児童の多いゼロから二歳の低年齢児を対象とした保育施設につきましても八カ所を整備するなど、効果的な保育施設整備を進めてきております。  また、懸案でありました育児休業の延長を希望される方の入園選考に関しましては、この十月から利用調整に際しまして、保育の必要性が低い方として選考を行うよう改善するとともに、定期利用保育の拡大実施につきましても前倒しで検討を開始するなど、来年四月の待機児童解消に向けて取り組んでいるところでございます。  御指摘の幼稚園の預かり保育につきましては、ことし四月の待機児童数から差し引いており、待機児童対策に寄与していると考えております。  区といたしましては、子育て家庭へのニーズに沿いました多様な保育の推進という視点からも、私立幼稚園等の個別の実態をお聞きしまして、丁寧な協議を進めながら、預かり保育の拡充にも努めまして、保育待機児童解消に全力で取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎工藤 危機管理室長 私からは、二点について御答弁いたします。  まず、台風第十九号に伴います課題と対応についてでございます。  台風第十九号の対応を踏まえまして、早急に取り組むべき課題として、情報発信のあり方、避難所開設、運営体制などがあったことから、今後は大型台風の接近に備えるため、災対地域本部、拠点隊を含めた災害対策本部の人員配置などの体制強化を図る必要があると考えております。また、検討の上、早急に取り組む課題は、避難所開設、運営体制、風水害被害による事後対応の課題などがございますが、その中でも、例えば水害時の避難所の拡充を図る上では、地域の人材、民間施設等の連携も必要となることから、総合支所と連携し、丁寧に着実に進めてまいります。  区といたしましては、今後も起こり得る風水害に備えるため、引き続き検証作業を進めておりますが、今後、検証作業で挙がった課題と対応策を整理してまとめ、区の地域防災力の向上に努めてまいります。  次に、災害時のまちづくりセンターの役割についてです。  地域防災計画において、各まちづくりセンターは、災対地域本部の中の拠点隊として活動することとなっており、来庁者、施設利用者、被災者の救護、また避難誘導、被害状況の調査及び情報収集、避難所の支援などの役割がございます。  御指摘のとおり、台風第十九号の対応状況としましては、主に玉川・砧地域に多くの被害地域がございましたので、その被害状況に応じて、総合支所間での応援体制を組んで、地区の住民からの罹災証明を初めとするさまざまな問い合わせ対応などを行っております。  地区の住民にとってより身近なまちづくりセンターは、災害時の情報発信の拠点としての期待は大きいと認識しておりますので、住民の生活に直結したきめ細やかな情報収集や発信のあり方について、総合支所、まちづくりセンターと検討し、地区の災害対応力の向上に努めてまいります。  以上です。 ◎澁田 子ども・若者部長 私からは、児童館の学齢期の見守り機能の強化についてお答えいたします。
     児童館は、区立児童相談所の開設により、地域の子ども家庭支援センターとの連携のもと、地区の子どもや子育て家庭にとって最も身近な相談支援や見守りの拠点としてその機能を果たしていくことが求められます。  児童館は、乳幼児の親子から就学前後の児童が訪れ、さらに中高生の集いの場でもあることから、子どもたちのライフステージの変化に応じ、継続してかかわっていくことができる施設でございます。特に新BOPは児童館の職員が配置されておりまして、児童館と緊密な連携体制をとっていることから、支援が必要な学童に関する情報を迅速に把握、共有し、対応しております。  児童館はこうした特徴を生かしながら、就学後は小学校や新BOP、そして中学、高校、青少年交流センターなどと連携して、ライフステージ間の情報のつなぎ役を担うとともに、見守り機能の強化も図ってまいります。  以上でございます。 ◎清水 地域行政部長 私からは、地域行政制度について順次御答弁いたします。  初めに、地域行政は何のためにあるかについてです。  政令指定都市に匹敵する人口を抱える自治体として、地域住民に密着した総合的サービス、地域の実態に即したまちづくり、区政への住民参加の促進を図り、真の住民自治を確立するため、四十年前に検討を始め、二十八年間地域行政を実践してまいりました。  四十年前の地域社会の状況から多くの変化はあるものの、地域の課題は地域で積極的な方策を立て、解決していくこと、そのためには、なるべく本庁機能を地域へ移管し、地域の実態に合ったサービスを住民の身近なところで提供するとともに、住民に最も身近な行政拠点において日常的に住民の意思を把握し、区民参加の場づくりや地域活動の支援を充実させるといった地域行政の取り組みは、地域社会の変化に対応したまちづくりの基本としてこれからは一層大切にしていかなければならないと考えております。  次に、仕組みについてです。  子どもや高齢者の見守りや防災の取り組みのほか、災害時の近所の方への声かけやともに避難する行動など、身近なコミュニティーがその土台となって支えあいが生まれるものということを先日の台風十九号の状況から改めて認識したところでございます。  地区においては、コミュニティーの力を高めることが重要であり、町会・自治会など地区の活動団体が手がける事業への区民参加を促し、あるいは地域人材の確保や多様な活動間の橋渡しの支援など、まちづくりセンターが地区コーディネーターとしてその役割を十分に発揮することができるよう、地域行政の検討において議論を深めてまいります。  総合支所においては、そのような地区課題を共有することはもちろんですが、地域の社会的資源をつなぐ場合や、本庁所管との連携のもとに取り組む必要があるものなど、広域的、専門的支援が向上するよう、本庁所管との関係において、その企画調整機能や事業権限のあり方などについて検討してまいります。  次に、機能的役割についてです。  地域コミュニティーの希薄化や地域の担い手の高齢化が進む一方で、子どもの人口増加という状況にあって、地域施設で行われている個々の活動をつなぎ、世代間の人材交流を深めることが、地区のコミュニティーの促進につながると考えております。  まちづくりセンターは、町会・自治会を中心とした自主事業のほか、多様化する区民の自主活動や児童館、子育て団体など地域活動の実態を把握するとともに、コミュニティリーダーや社会福祉協議会、青少年地区委員会など、地域人材と連携し、つなぎ、新たに町を支える活動に結びつける取り組みが求められます。  まちづくりセンターがこのような地区コーディネーターの役割を十分に発揮することができるよう、地域活動に関する情報収集や情報発信、新たな活動に対する支援機能を高めるための具体的な方策など、地域行政の庁内検討において議論を深め、実現に向けて取り組んでまいります。  最後に、区民センターについてです。  これから地域行政の検討を進めていく上で、地域のことは地域で解決する、このための活力あるコミュニティーづくりが論点になるものと考えており、参加と協働の観点から、地域人材や施設などの地域資源の活用について議論することを想定しております。  世田谷区公共施設等総合管理計画では、現在のところ区民センターの新規設置の計画はありませんが、区民の自主的な活動や施設運営の重要性は認識しており、地区住民による区民センターにおけるより充実した区民主体、主導のさまざまな活動を目指して、その有効活用を含めた運用のあり方も視野に入れ、可能性を探ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎松村 庁舎整備担当部長 私からは、本庁舎等整備におきまして、区民の自治と協働の交流の拠点の整備についてお答えいたします。  本庁舎等整備におきましては、区民利用を想定する新たな施設として、東棟一階に約六百平方メートルの区民交流スペース、二階のリングテラスに沿って五つの区民交流室を計画しています。これらの施設は、お話にありましたとおり、本庁舎に整備する意義を踏まえた検討が求められます。この間、区民活動をされている方々などからいただいた意見も踏まえまして、設計におきましては、区民交流スペースについては、多様な活動形態を想定したオープンスペースとし、移動パーテーションや什器類を収納できる倉庫や電源類の設置場所などを計画しております。  また、屋上につきましても緑化を施し、区民が憩える空間とする計画でございますが、いずれも、より多くの区民の皆様に御利用いただき、親しまれる施設となるよう、今後、区民意見を伺いながら、レストラン事業者の選定なども含めまして、管理運営のあり方について検討を進めてまいります。 ◎内田 スポーツ推進部長 私からは、二点御答弁いたします。  最初に、けやき広場の活用についてです。  東京二〇二〇大会の馬術競技が馬事公苑で開催されます。馬事公苑の玄関口となるけやき広場には、競技観戦を楽しみに待つ多くの方々が訪れると認識をしております。東京二〇二〇組織委員会からは、けやき広場を馬術競技会場への入場を待つ観客の滞留スペースとして活用したいとの話を伺っておりますけれども、具体的にどういう使い方をするかにつきましては確定しておりません。  一方、区道であるこのけやき広場の樹木を管理する所管部では、緑の創出を図るため、けやきの根元部を植栽する整備に向けた検討を進めております。こうした植栽は、区内外から馬術競技を観戦に訪れる方々に対するおもてなしにつながるものと考えております。  区といたしましては、大会期間中、組織委員会がけやき広場を使用する場合、けやき広場の植栽を生かしながら、オリンピック・パラリンピックの祝祭の雰囲気が盛り上がる装飾となるように、組織委員会と協議を進めてまいります。  次に、アメリカ選手団キャンプ後の大蔵運動場の活用についてでございます。  大蔵運動場と大蔵第二運動場につきましては、上用賀公園拡張用地の施設の規模、機能等も踏まえ、十年後の完成を目標に、大蔵と第二を一体的、合理的に活用することを念頭に、基本構想の策定などを行う予定としております。そうした中、来年七月から八月のアメリカ選手団のキャンプに向け、大蔵第二の休憩所や宿泊室の洋室化などの整備を行う予定であります。  キャンプ実施後の大蔵運動場、大蔵第二運動場につきましては、キャンプで得た経験やノウハウを生かしながら、全国レベルのスポーツ大会や障害者スポーツ大会などの実施につきましても検討してまいりたいと考えております。  今後、区民の皆様がトップレベルの競技を間近で見たり、体験することで、その後のスポーツ振興につながり、施設が多くの区民の方々に御利用いただけるよう、検討を進めてまいります。  以上です。 ◎小澤 交流推進担当部長 私からは、三点についてお答えいたします。  まず、おもてなし・交流・参加プロジェクトについてです。  区は、十月に世田谷おもてなし・交流・参加プロジェクトを立ち上げ、また産業界や観光、区民の代表などを構成員とした世田谷おもてなし・交流・参加実行委員会が設立されました。同日に多くの区民や事業者が集まったキックオフ会を開催し、世田谷を盛り上げる区民の熱い思いを二〇二〇大会開催に向けて、おもてなしとして心を込めて広めていき、次世代を担う子どもたちへの応援につなげていくという実行委員会の設立趣旨や事業に御賛同いただいたところです。  実行委員会からは、おもてなしパレードや世田谷の灯リレーなど、区が一体となり進める事業が示されました。事業のコンセプトには、平和の要素や若者の参画も盛り込まれており、特に次世代を担う若者の発想力やパワーなしでは実現できない事業であると考えております。  現在これらの事業内容や予算、関係団体との調整等について、実行委員会の事務局である世田谷区産業振興公社と検討調整を進めているところです。事業の実施主体は実行委員会になりますが、区は関係所管部の連携協力を得ながら、しっかり事業の具体化にかかわり、世田谷区産業振興公社とともに、東京二〇二〇大会が開催される令和二年度当初からオール世田谷が感じられるように取り組んでまいります。  次に、ホストタウンの認知度についてです。  区は、アメリカ合衆国のホストタウンとして登録され、ホストタウン・共生社会ホストタウン共通ロゴを作成し、認知度向上に向けて努めてまいりました。  今年度の区民意識調査において、ホストタウンの認知度は一八・七%と決して高いとは言えず、特に十代、二十代の認知度が低い結果となりました。東京二〇二〇大会以降も区はアメリカのホストタウンであり、大会後も、次代を担う子どもたちとともに多様性を尊重し、互いに支えあう共生社会を目指すためにも、半数近くの区民の認知が必要であると考えております。  認知度向上に向けた取り組みといたしましては、世田谷おもてなし・交流・参加プロジェクト賛同者を初め、団体や個人等の協力を得て、アメリカ合衆国のホストタウンであることの情報発信を強化し、事業者のチラシや商品等への積極的な活用を促してまいります。  また、発信力のある若い世代が利用するSNS等への活用や、ベンチャー企業や米国企業との連携なども、これまでかかわりが少なかった方々と一緒に取り組みを進めることを検討してまいります。  最後に、ホストタウン自治体との交流についてお答えいたします。  全国のホストタウン登録自治体は十月三十一日時点で三百九十二件となっています。多くの自治体がスポーツ選手の事前キャンプ地であることを契機に、ホストタウンとして草の根的な住民との交流事業を実施しており、このような取り組みを広めることが共生のまち世田谷の実現に向けて必要であると認識しております。  米国のホストタウンは、区を含めて全国に十七自治体あります。区が米国のホストタウンであるほかの自治体と連携することにより、その自治体が実施するイベントを紹介することが場の提供となり、アメリカ関係者や住民同士の交流の機会がふえることにつながります。また交流する上で、住民同士が事業に主体的に参加し、つながることで、国際理解や多様性の理解を深め、市民交流の輪が広がります。多世代がかかわることで、子ども同士の交流も生まれてくることが期待できます。  まず、近隣の米国ホストタウン自治体と事業実施等についての考え方や方針を調整し、具体的な事業実施を目指してまいります。  以上でございます。 ◆二番(神尾りさ 議員) 三点再質問いたします。  まず一点目に、児童相談所設立後の展望について、区長に御答弁いただきました。子どもの最善の利益の実現のために、家族再統合に向けての治療的アプローチを含める必要性を区は認識されています。国レベルでの研究も行われていると聞いておりますが、並行して区独自に情報や意見交換の場を設ける必要があると考えます。担当所管のお考えを伺います。  二点目に、幼稚園の預かり保育の拡大が待機児童対策に寄与している旨の御答弁をいただきました。働く保護者にとっては、より多くの選択肢の中で、子どもの教育、保育について考え、選ぶことができる社会が望まれます。多様な保育の推進という面で、今後、幼稚園の預かり保育の拡大に向けて、区としてどのような働きかけをしていくのか、担当所管に伺います。  三点目に、ホストタウン、共生社会ホストタウンについて御答弁いただいた半数近くの区民の認知を目指すために、宮崎副区長に伺います。  東京二〇二〇大会の開幕が間近に迫っている中、ホストタウン、共生社会ホストタウンの周知も佳境にさしかかりつつあります。共生の町世田谷というレガシーを見据えて取り組むに当たり、きょう取り上げたいずれの施策も単独所管でなし遂げることはできず、他の所管部や機関と連携することで成果を上げられるのではないでしょうか。庁内だけではなく、外部も含め、認知度の向上に向けて各所管部がさまざまな取り組みを進めていくために、ホストタウン、共生社会ホストタウンの周知をどのように進めていくのか、副区長のお考えをお聞かせください。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 ホストタウンの周知に係りまして再質問いただきました。御答弁申し上げます。  区は、アメリカ合衆国のホストタウンとしてさまざまな事業を実施しておりますが、職員にはその取り組みが、大会後に何がレガシーとなるのかを念頭に入れて進めるよう指示してまいりました。  大会終了後もホストタウンを継続し、レガシーを次世代につなげるためにも、認知度を高めることは必要であり、東京二〇二〇大会開催まで限られた時間の中で進めるためには、庁内のみならず、区民、事業者を初め多くの方々の御理解と御協力が不可欠であり、区民、事業者、団体によりますおもてなし・交流・参加実行委員会を立ち上げ、多くの方に賛同をいただいたところでございます。  これからオール世田谷として事業推進を加速させ、またホストタウンの趣旨を多くの区民から御理解いただくことによりまして、世田谷区がオリパラ競技会場、アメリカ選手団の事前キャンプ地となってよかったと実感できるよう努めてまいります。  以上でございます。 ◎澁田 児童相談所開設準備担当部長 それでは、再質問にお答えいたします。家族再統合に向けての治療的アプローチについてでございます。  加害者に対する治療的なアプローチにつきましては、現時点では国レベルでの研究段階でございまして、児童相談所の援助活動に取り入れるにはまだ多くの課題がございます。しかしながら、区はこの間の児童相談行政の再構築に向けました検討、準備を進める中で、最新の研究に取り組む学識経験者との協力関係を構築するとともに、現場での実践を重ねてきました多くの人材を配置しておりまして、こうした知見を結集し、まずは課題の把握や現状の分析を行い、さらに世界各国の取り組みなどの情報収集や意見交換を実施しまして、調査研究にも着手してまいりたいと考えております。  区の児童相談所開設後は、子どもの生命の安全の確保に最優先に取り組むこととなりますが、これと同時に、子どもの真の願いをしっかりと受けとめ、その最善の利益を追求する姿勢を区の方針として貫いていく覚悟でございます。  以上でございます。 ◎知久 保育担当部長 私からは、幼稚園の預かり保育について再質問についてお答えいたします。  現在、保育園の預かり時間に準ずる私立幼稚園の預かり保育が十二の園で、私立幼稚園独自の時間などを短縮した預かり保育が二十八の園と私立幼稚園の約七割で預かり保育を実施しております。預かり保育の実施に向け、ことしの夏に私立幼稚園を対象とした預かり保育事業実施に関する調査を実施したところ、複数の園から預かり保育の実施を検討したいとの御回答をいただき、個別に相談を受けているところです。  また、ことし十月から始まった幼児教育の無償化に伴い、幼稚園では、教育時間に加え、保育の必要性の認定を受けることで、預かり保育に対する補助が支給されることから、預かり保育に対する保護者のニーズが高まることが予想されます。  区としましては、保護者の多様なニーズを踏まえるとともに、私立幼稚園の個別の実態をお伺いし、保育待機児童の解消と私立幼稚園の魅力向上に向け、丁寧に協議を進めながら、預かり保育の拡大を図ってまいります。  以上です。 ◆二番(神尾りさ 議員) 以上でSetagayaあらたの代表質問を終わります。 ○和田ひでとし 議長 以上で神尾りさ議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後二時二十一分休憩    ──────────────────     午後二時四十五分開議 ○和田ひでとし 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 代表質問を続けます。  自由民主党を代表して、三十七番阿久津皇議員。    〔三十七番阿久津皇議員登壇〕(拍手) ◆三十七番(阿久津皇 議員) 自由民主党世田谷区議団を代表して、通告に基づき質問してまいります。  区長並びに区政に携わる我々区議会議員に課せられている使命とは何でしょうか。それは、持続可能な自治体運営の実現だと考えます。  昭和七年に世田谷区が誕生した当初の人口は十七万三千人、それが今や九十一万人を超える都市として発展することができたのも、将来の世田谷区政の繁栄を願った先人たちの知恵や決断、そして努力のたまものであり、今を生きる我々にはその意思を後世に引き継ぐ責任があります。  区の人口は、二〇二〇年代後半には百万人を超える見込みであり、多様化し、ふえ続ける区民ニーズへの対応を名目とした大盤振る舞いの放漫財政を続けていますが、その先にある人口減少社会、世界でも類を見ない超高齢化社会に対応した、五十年後、百年後を見据えた自治体経営が求められます。  自分たちのことは自分たちで解決する、地域のことは地域で、地区のことは地区で解決するという自助自立の理念のもと、行政の役割は、自分たちでは解決できないこと、行政が行ったほうが効率的であることに限るという考え方がないと超高齢化社会、そして人口減少社会は生き抜けません。これからの世田谷を担う子どもたちのため、五十年後、百年後先の世田谷を見据えた持続可能な自治体経営が必要であるといった観点から順次質問してまいります。  まずは、今後の財政運営についてです。  ことしも余すところ一カ月余りとなり、区においては、来年度の予算編成作業が佳境に入る時期であります。急速な高齢化に伴う社会保障費の増や保育待機児童対策など、社会情勢の変化に伴い、一定程度の民生費の増大はいたし方ないと考えますが、保坂区長就任以来、世田谷区の民生費は増大する一方で、額、割合ともに突出してふえ続けています。  老朽化が進む公共施設の更新経費に加えて、ふるさと納税による大幅な減収など、区財政を取り巻く情勢は年々厳しさを増しています。このような状況下においては、短期的、ミクロ的な課題ばかりに目を奪われがちになってしまいます。  保育待機児童の解消や学校体育館への空調設備の設置など喫緊の課題への対応は重要でありますが、余り近視眼的にならずに、都市基盤整備や災害対策の強化など、将来への投資とも言える中長期的な課題の解決に向けた布石を打っていくことも必要です。  これらの施策にもバランスよく予算を配分することが持続可能な自治体経営の実現につながると考えます。見解を伺います。  また、区では、区民への説明責任の充実、透明性の一層の確保を図るため、新公会計制度を昨年度から導入しました。新公会計制度による事業評価と行政経営改革に果敢に取り組み、より重要な政策課題へと予算と人材を集中投下する必要性も指摘をしておきます。  続いて、人口減少社会を見据えた区政運営について聞いてまいります。  区の人口推計によると、総人口は二〇四二年には百九万人に達する見込みでありますが、国全体に目を向けると、人口減少が進行しており、いずれは世田谷区も人口が減少する局面に対峙せざるを得ません。数年前に民間研究機関が発表した消滅可能都市の一つに豊島区が挙げられたことは記憶に新しいところであり、都市部といえども、体力のある今のうちから戦略を練っておく必要があります。  最近では、現役世代が未来人となって将来を考えるフューチャーデザインの手法を用いて、長期計画の策定に取り組む自治体があると聞いています。ワークショップに参加した住民は、当初、保育の無償化といった現役世代としての意見が多かったものの、回を重ねるうちに、将来世代の財政負担をふやしかねない意見や要望は減り、今住みやすいといった観点だけではなく、町を今後どのように持続していくべきかを考えるようになったということです。  そこで、保坂区長にお聞きします。将来にわたって安定的な自治体運営を継続するために、今なすべきことは何であると考えているのか、またいずれやってくる人口減少という重みのある課題から目を背けることなく、解決に向けた行動を起こすべきと考えますが、見解を伺います。  次に、都市基盤整備について伺います。  我が会派は、都市基盤の整備、中でも他区と比べて脆弱である道路網の整備には全力で取り組むよう、これまでも強く要望してまいりました。それもひとえに、日常では幅員が狭い生活道路への車両流入の抑制、また、災害時においては、延焼遮断帯や緊急物資輸送道、そういった機能をあわせ持つなど、将来世代にわたっての安心安全のまちづくりには欠かせない社会資本であるからです。  先人たちの並々ならぬ努力の結果、現在における区道の総延長はおよそ千百キロメートルに達しておりますが、地区幹線道路の整備率は四割にも満たず、都市計画道路の整備率はいまだ約五割と、二十三区の中でも三番目に低い状態にあります。この不名誉な数字を克服すべく、道路整備事業を着実に進める必要があります。  都市計画道路の整備方針、第四次事業化計画においては、補助五四号線の第Ⅱ期、第Ⅲ期工事が優先整備路線から外されました。また、区内で整備がおくれている南北交通の重要路線である補助一五四号線においても、優先整備路線の中で、特に早期整備が望ましい路線として、平成二十六年二月から取り組んでいますが、いまだ完成していません。  道路はつながってこそ機能を発揮します。来年度の予算編成に当たっては、着実に道路整備事業を進めるため、事業化された路線は一日も早い完成を目指すとともに、今後の新規事業化にも動き出していただきたいと考えます。見解を伺います。  続いて、道路、橋梁の維持、更新についてです。
     道路を初め公共施設の整備を進めれば、当然のことながら、将来にわたって良好な状態で維持し続けなければなりません。国内を見渡すと、高度経済成長期に集中的に整備された社会資本ストックが適切な改修がなされぬまま、いまだ多く存在しており、平成二十四年の笹子トンネルにおける天井板崩落事故後に、国土交通省でまとめられた提言では、最後の警告として、次のように強く訴えています。  今や危機のレベルは危険水域に達している。ある日突然橋が落ち、犠牲者が発生し、経済社会が大きな打撃を受ける、そのような事態はいつ起こっても不思議ではない。橋やトンネルも今すぐには壊れないかもといった感覚はないだろうか。地方公共団体の長や行政もまさか自分の任期中はという感覚はないだろうか。しかし、私たちは東日本大震災を経験したではないか。千年に一度だろうが、可能性のあることは必ず起こると。この提言がなされてから五年以上が経過しています。  この間、区では、舗装更新計画や橋梁長寿命化修繕計画を策定しましたが、計画どおりに進められているのか現状を伺います。  また、橋梁を初めとする土木施設の更新には、職員の高い専門知識が求められます。いわゆる団塊の世代である技術職員が大量に定年退職し、再任用、再雇用期間も終了する時期になりますが、職員間における専門技術の継承は進んでいるのか、あわせて答弁を求めます。  次に、持続可能なまちづくりと公共施設の適正配置といった観点から聞いてまいります。  まず、旧池尻中学校の跡地活用についてです。  旧池尻中学校跡地は、インキュベーション施設としてものづくり学校が三期十五年にわたって事業を展開してきました。廃校活用の先進事例としては一定の成果があったと評価しますが、テナントの硬直化が見られ、新規創業の促進や産業振興の観点では物足りないと言わざるを得ません。区の施設を活用した事業としては、より多くの事業者に機会を提供すべきであり、今後は本来の目的である創業支援に注力すると同時に、体育館や校庭も一体として活用し、より幅広い展開が期待できる事業を誘致すべきと考えます。  また、ものづくり学校で創業し、ある程度成長した事業者が、より広いオフィススペースを求めても、区内には適地がなく、都心部に引っ越さざるを得ないといった現状も見られます。  区として、インキュベーション事業に本気で取り組むのであれば、金融機関や中小企業診断士との連携に加えて、企業を誘致できるまちづくりも同時に進めていく必要があります。  区では、インキュベーション事業を通じてどのような産業を区に根づかせたいのか、また、校舎の耐用期間が過ぎた後の跡地活用のビジョンも示すべきと考えますが、見解を伺います。  次は、三軒茶屋の再開発についてです。  区内屈指の商業地域における大規模開発となる三軒茶屋二丁目地区の再開発においては、南北の一体化によるにぎわいの創出や災害対策と同時に、産業振興の観点からの企業の誘致、区内に不足する大規模集会施設や宿泊施設の誘致を積極的に進める必要があります。また、近隣には昭和女子大学、テンプル大学のジャパンキャンパス、日大三軒茶屋キャンパスに加えて、東大駒場キャンパスや筑波大学附属駒場高校といった国内最高レベルの学校施設もあり、学術的な観点からの地域振興も考えられます。  渋谷までわずか三キロメートルという立地に加えて、二子玉川や港北ニュータウンへと続く商業地としての特性を生かし、IT産業やクリエーティブ産業など、さまざまな産業の企業を誘致可能なハード・ソフト両面での魅力的なまちづくりの可能性を秘めています。  町のにぎわいや災害対策に主眼を置きつつ、企業誘致に加えて、世田谷に観光客を誘致できるホテルや、区内に不足する大規模集会施設など、文化的発展や経済効果も見込める再開発を誘導すべきと考えますが、見解を伺います。  また、玉川高校跡地に関しても、広域生活・文化拠点である二子玉川にふさわしい、多世代が交流し、町のにぎわいをさらに創出する公共施設用地として大きな可能性があり、積極的に活用する必要があると考えます。  文化芸術の拠点として、スポーツや医療の拠点として、池尻後のインキュベーション施設の拠点としてさまざまな可能性がある中、三軒茶屋や下北沢といった他の生活・文化拠点とのバランスや連携も考慮した上で、区民ニーズを最大限実現化する土地の活用方法について見解を伺います。  これらの事業では、池尻、三軒茶屋、二子玉川を点ではなく線として捉えるとともに、世田谷区全体を俯瞰して、将来を見据えた適正な公共施設の配置が求められることを指摘しておきます。  次は、地域行政制度についてです。  区は、地域行政の推進を将来にわたり持続可能なものにするとの考えに基づき、地域行政に関する条例の制定に向け検討を始めました。しかしながら、区長がどのように地域行政制度を進めようとしているのか、これまでさまざまな機会を通じて聞いてまいりましたが、明確な答弁がありません。今ほどの区長招集挨拶においても、地域行政制度については一言も触れられておりませんでした。  今年度各地区で行われている車座集会においては、地域行政制度を主題としましたが、区としてのビジョンを示さないまま区民に議論を求めるのは無責任であり、実際に既に開催された車座集会を見てみても、地域行政制度に関する区民の意見は皆無であります。本来であれば、区が指針を示した上で区民に議論をしていただくべきであり、何のための車座集会なのかわかりません。  この十二月からは地域行政検討委員会を設置し、条例化の意義や内容について、外部委員も含めて具体的な議論が始まります。こちらも委員会に丸投げで区の主体性が感じられませんが、地域行政に関して議論するのであれば、現場の職員も含め、地域、地区の自立についてしっかりと議論し、指針を示すよう要望いたします。  例えばまちづくりセンターの所長は地区の課題をいち早く受けとめ、総合支所と連携し、課題解決を図るいわば地区の経営者となるべきであります。二十八地区には二十八地区それぞれの地域特性や課題があり、各地区が競い合って、よりよい地区経営が行われるのが本来であると考えます。  また、各総合支所においても、権限と財源を持った政策経営部のような機能を持たせ、地域、地区の課題を独自に解決できる仕組みを構築すべきであります。しかしながら、地域行政制度が始まって二十八年たった今でも、十分な権限や財源は持たされていません。  一方で、本庁機能は年々肥大化しています。そのあらわれが巨大な本庁舎整備であり、地域行政を推進するのであれば、本庁機能はスリム化し、その分地域、地区に人材を投入すべきと考えます。  区は、地域内分権を進めるだけでなく、地域、地区の人材を活用して、地域力、地区力を高めるべく、地域行政制度を改善していくべきと考えますが、見解を伺います。  次は、産業政策についてです。  我が国においては、人口減少社会を迎え、生産年齢人口の減少、市場の縮小、若年層の人材不足、財政の硬直化といった環境下で国の経済は低成長を続けています。持続可能な地域経済を実現するには、区内産業を育成、充実、強化することで、区内の需要を区内で供給し、区内の資金を区外に流出させず、区外からも資金を獲得できるような強い地域経済の確立が不可欠です。  地域経済の強化においては、さまざまな産業での地産地消の推進、プレミアム付区内共通商品券のような地域マネーの流通、子育て利用券等のバウチャーの活用など、区内で経済を循環させ、自立させる地域循環経済の手法が有効であると考えます。  その結果として、現在約三〇%程度と二十三区でも低い水準にある区内従業率が向上し、職住近接者の増加やワークライフバランスの改善、また子育てや介護の当事者の雇用促進、さらには成人男性の昼間人口の増加に伴う地域コミュニティーの強化など、さまざまな波及効果が期待できます。  特に地域マネーについては、普及の進む電子マネーの活用によって行政コストを削減するだけではなく、ポイントを活用した行政や地域の活性化に役立つさまざまな施策が期待できます。  岐阜県飛騨市では、楽天エディと提携して、飛騨市ファンクラブの会員を募り、利用金額の一部を市と利用者に還元するなど、ふるさと納税に頼らない地域貢献や環境促進を確立しています。  また、北海道苫小牧市では、イオングループのWAONと提携し、公共施設を利用するとポイントが加算されるシステムの構築によって地域の活性化を実現しています。市議会の傍聴にもポイントを還元し、傍聴者数を倍増したとのことです。  地域循環経済、特に電子地域マネーの活用による地域活性化について、区の見解を伺います。  次に、農地の保全について伺います。  皆さん、御承知のとおり、四十年前には三百ヘクタール以上あった区内の農地は、今や百ヘクタールを切り、区の面積に対してわずか一・六%の割合といった状況です。災害時には延焼遅延帯、また緊急避難帯として機能する農地を今区からこれ以上減らしていいはずがありません。  区内における生産緑地の約八割が、あと三年で指定後三十年を迎えるいわゆる二〇二二年問題が間近に迫っている今こそ、特定生産緑地制度のみならず、農業従事者を初め多くの区民の理解を得た上で、都市農地の貸借の円滑化に関する法律による貸借制度を積極的に活用し、区民農園の拡充を図るなど、良好な農地の保全に向けた取り組みに注力すべきと考えますが、見解を伺います。  次は、災害対策について順次質問してまいります。  まず、今般の台風十五号、十九号で罹災された区民の方々にお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い生活再建ができるよう、区としても全力で取り組むことを強く要望いたします。  台風十九号の到来から一カ月半が経過した今、区では台風十九号に関する対応についてどのように総括しているのか伺います。  今般の災害ではさまざまな課題が浮かび上がりました。被害が出た地域、地区の区民の声を集めた上で、区民の不安をいかに払拭するかが肝要です。一つ一つの課題を詳細に整理し、各所管にまたがる内容について検証と対応策を議会にも提示すべきと考えますが、見解を伺います。  また、我が会派が提出した要望の中で、災害時における区民への適時的確な情報伝達の確立、避難所運営方法の早期見直しの二点については、区長より早急に取り組む旨の発言を得ていますが、その後、改善に向けてどのような取り組みを行っているのか、具体的な答弁を求めます。  また、台風十九号により玉川一、三丁目、野毛二丁目、玉堤一、二丁目を初めとした地域では、これまでに経験したことのない大規模な浸水被害がもたらされました。二子玉川上流地区の無堤防地区に関しては、住民参加の協議機関により、おおむね規格堤防基準を満たした整備の方向性が決まったと聞いておりますが、今般の浸水被害を鑑み、事業者である国に対して、より強く整備促進を要請することを求めます。区の見解を伺います。  二子玉川駅下流地区に関しては、平成二十六年に堤防が整備されましたが、本来の計画より一・五メートル低いいわゆる暫定堤防であり、今般の台風十九号の際も越水までおよそ一メートルまで迫ったということでありました。  駅上流の未堤防区間が規格を満たす堤防が整備されるのであれば、駅下流の暫定堤防に関しても、本来の計画高さへの整備に遅滞なく取り組む必要があると考えます。あわせて見解を求めます。  二子玉川地域に関しては、上流、下流の全区間、連続して基準に適合した堤防整備が完成しない限り、旧堤防が残され、町が分断された状況が残るだけでなく、二子玉川地域の懸案である多摩堤通り、都市計画道路補助一二五号線の整備に至らない状況にあります。水害への備え、交通渋滞の緩和、町のさらなるにぎわいの創出といった観点からも、迅速な堤防整備を求めるものであります。  また、多摩川の河川敷に堆積した土砂を排出しない限り、河川敷の運動場の活用はままなりません。今般の補正予算にて区の単費で一部施設の復旧に対して三億円余りの支出が提案されました。これについては遅滞なく進めるべきと考えますが、全体の復旧にはさらに七億円余り必要であるとのことであります。この全体の復旧に関しては、国の管理する河川であることも鑑み、国と連携して一刻も早い復旧を望むものであり、国への協力を要請するよう強く求めておきます。  続いて、災害時協力協定について伺います。  区においては、台風や地震など災害時の対策に備えて、ほかの自治体や防災関係機関、民間協力団体等と災害時協力協定を締結しており、実際に台風十九号による復旧作業の支援に、渋谷区や目黒区、大田区などから職員派遣を受けたところです。また、首都直下型地震のような大規模災害にかかわらず、風水害も含めた大きな災害が発生した場合には、道路を覆う障害物の除去や倒壊建物からの救助・救出作業において、地元の建設業者や造園業者の協力は欠かせません。  そこでお聞きします。大規模災害時に備えてさまざまな団体と災害時協力協定が結ばれておりますが、今般の台風十九号ではどのように機能したのか。また、災害時に迅速に協力体制を整えてもらうためには、締結団体等と日ごろから顔と顔の見える関係づくりを構築しておくことが重要であると考えますが、見解を伺います。  次は、教育政策について順次質問してまいります。  教育現場出身である教育長には、区独自の教員育成や、全国に先駆けた教育カリキュラムの導入など、積極的な教育施策が期待されますが、就任から半年たった今でも具体的な施策内容が見えてきません。教育総合センターの完成を待たずしても、独自教育の推進に向けて手腕を発揮していただきたいと考えますが、教育長の意気込みを伺います。  次に、道徳教育の推進についてお聞きします。  小学校では平成三十年度から、中学校では平成三十一年度から道徳が教科化されました。教育基本法第一条の教育の目的として設定された人格の完成のためには、道徳教育の充実が必要であることは言うまでもありません。  公共心の低下が言われる今日の社会において、よりよい社会を構築し、参加と協働による持続可能な世田谷区とするためにも、子どもたちには自助自立の精神を涵養するとともに、規範意識を高め、公共心を育んでいく必要があります。道徳教育の一環として、自由や権利を享受する一方で、社会の一員として、地域社会に貢献する責任や義務があるということを認識させる必要があると考えます。見解を伺います。  続いて、近現代史の教育の充実についてです。  中学校の歴史の授業では、近現代史に割く時間が少ないと指摘されています。近現代史の教育が不足すると過去の歴史から今日の社会、そして未来へと縦糸がつながらず、先人への感謝や子や孫の世代によりよい社会を引き継いでいくという、現役世代としての責任感が生まれません。  今日、我々が生きている豊かで平和な社会は当たり前に与えられたものではなく、先人たちが命をかけて築き上げてきたものであり、また我々はよりよい社会を次世代に引き継いでいく責任があるということを子どもたちに伝えるためにも、近現代史教育を充実させるべきと考えます。見解を伺います。  また、近現代史や公民の授業に際して、一部教員が独自教材を用い、政治的に偏った内容の教育が行われているとの声も聞こえてきます。教育委員会としてどのように点検、指導しているか、あわせて伺います。  また、国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた国民を育成するためには、全ての基本となる土台をしっかりと築かなくてはなりません。社会教育やキャリア教育、ICT教育も必要ではありますが、全ての基本となる人間力を強化する上で、いわゆる読み、書き、そろばんと言われる基礎学力の向上が肝要であると考えます。また同時に、体力が伴わないと家庭や社会を背負う気力や活力も生まれません。基礎学力及び基礎体力の向上こそが公教育の一丁目一番地であり、力を入れるべきと考えます。教育長の見解を伺います。  次は、福祉政策に関し、まず児童相談所の移管について伺います。  子どもたちのとうとい命を守るため、どんなに小さな虐待のサインも見逃すことなく、やるべきことは全てやる、そういった精神で庁内はもちろんのこと、警察との全件共有に加えて、医療機関、小学校、中学校、幼稚園、保育園、児童館等々、全ての関係機関と情報を共有するとともに、協力体制を構築しなければならないということを、我が会派はあらゆる機会を通じて指摘をしてきました。  区では、遅滞なく児童相談所開設の準備を進めていると理解しておりますが、先般になり、児童相談所所長の採用を行うなど、急な対応もあって不安に感じる部分もあります。いよいよ来年四月から児童相談所が開設されますが、現在においての進捗を伺うとともに、現在における課題について伺います。  続いて、介護予防に資する口腔ケアについてです。  口腔の健康は全身の健康につながると言われる今日、歯周病と糖尿病の関係や歯周病菌がアルツハイマー病の誘発と症状悪化に影響することなど、さまざまな根拠が示され、口腔ケアは疾病の予防だけでなく、認知症の予防効果も大きいと言われています。また、残存歯数や義歯の使用の有無がそしゃくに大きく影響することからも、認知症の発症や姿勢保持困難による転倒のリスクに大きく関係しています。  政府の骨太の方針にも歯科口腔医療の充実が一昨年から三年連続で盛り込まれ、生涯を通じた歯科健診の充実や口腔ケアによるフレイル対策が注目されています。区においては、口腔機能向上プログラムや歯科公衆衛生事業などを展開していますが、区民の健康寿命の延伸、また医療費削減の観点からも、口腔ケアの重要性のさらなる啓発が求められます。  そこで、現在行われている成人歯科健診やすこやか歯科健診等の充実や受診年齢の見直し、受診率向上に努めることが要支援や要介護状態を未然に防ぎ、介護度の悪化をおくらせ、また介護状態の改善にもつながるものと考えます。見解を伺います。  次は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会におけるレガシーの創出について伺ってまいります。  記憶に新しいラグビーワールドカップでは、ウェールズと北九州市の関係性がクローズアップされました。もともとは北九州市立大学とウェールズのカーディフ大学との交換留学制度から始まった交流が、市や国を巻き込んだ交流へと発展し、ワールドカップ期間中は町が深紅に染まるほどの熱狂に包まれたということです。  また、世田谷区の交流都市である新潟県の十日町市においても、二〇〇二年のサッカー日韓ワールドカップの際に、子どもたちに夢を与えたいと公認キャンプ地に立候補し、クロアチアのキャンプ地となってから深い関係が築かれています。キャンプの行われたピッチをクロアチアピッチと命名し、クロアチアカップサッカーフェスティバルを開催するなど、毎年のようにクロアチア大使館関係者の出席のもと、交流を深めてきているとのことです。  また、昨年のサッカーワールドカップロシア大会に出場したクロアチア代表には、十日町市の小学生が千羽鶴を送り、決勝の日には、市民ホールで行われたパブリックビューイングに市長を初め、大勢の住民が集まって応援したとのことで、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会においても、クロアチアのホストタウンとして登録をされています。  世田谷区もアメリカ選手団のキャンプ地として、これを一過性のものに終わらせることなく、アメリカ大使館の協力も得ながら、スポーツに限らず、文化芸術の分野においても継続した関係性を築いていくべきと考えますが、見解を伺います。  また、東京二〇二〇大会を契機に、多くの区民が馬術に興味を持てるよう、さらなるPRが必要であるとも考えます。区内には以前、野毛に乗馬クラブが存在しており、区内の大学にも馬場が存在しておりました。また、上馬、下馬、駒沢、駒繋など、馬に関連する地名が多くあり、馬事公苑の存在も含めて、馬と縁の深い自治体でもあります。また、ことし十月には下北沢のイベントで流鏑馬のデモンストレーションが行われ、台風十九号の影響もあり、延期されましたが、二子玉川でも流鏑馬の競技会が企画されるなど、区における馬との触れ合いの機会も少しずつ醸成されています。  JRA馬事公苑の協力を仰ぎながら、世界的な馬術大会の開催や馬術クラブの誘致など、区民が馬と親しむ機会を創出し、馬術競技というレガシーを後世に伝え、世田谷の文化として育てていくべきと考えますが、見解を伺います。  最後に、公共交通不便地域対策についてお聞きします。  高齢化がますます進展する状況下において、我が会派は、介護予防施策の充実こそ、区が重点的に展開すべき施策であると認識しております。御高齢の方々が可能な限り自分の力で外出し、さまざまな人と触れ合い、体を動かすことは介護予防にもつながります。安全で歩きやすい道路環境を整備することはもちろん、公共交通不便地域を解消することが何よりも必要です。  また、区では、この間、誰もが快適に安全安心な移動ができる世田谷を交通まちづくり基本計画の理念とし、南北交通の強化等に取り組んでまいりました。特にこれまで導入したコミュニティバスの本格運行に関しては、区や事業者、そして地元の方々など多くの関係者が並々ならぬ努力をした結果の産物として理解しており、評価するものであります。  しかし、区はこれまでの方針から百八十度方向転換し、コミュニティバスの運行経費の赤字を公費で補填する方策を打ち立て、その内容を何の前触れもなく先日の委員会に報告しました。事業手法もさることながら、区民の代表で構成されている議会の意見を聞かずに物事を決定する区の姿勢に我々は唖然とさせられました。  公共交通不便地域の指定について、これまでの単純な距離だけの指定ではなく、我が会派が主張してきた高齢者人口、坂道などの地理的条件、公共施設や医療施設、商業施設といった区民が利用する場所からの距離など、さまざまな条件を加味して検討地域を設定したことは評価いたします。しかしながら、区の示した事業案では、際限なく税金が投入されることになるのではないか、地域住民で構成される協議会は十分に機能するのか、狭い道路を運行することの安全性や車椅子の方の利用など、さまざまな問題が懸念されます。  AIやICTを活用したスマートモビリティーの実用化が進む中、他自治体で導入されているような先進事例は十分に検討したのか、安易に税金を投入する方向に転換した理由は何なのか、また事業実施の条件である収支率四〇%の根拠とあわせて伺います。  また、運行に当たっては、クラウドファンディングやふるさと納税制度の活用、ラッピングやネーミングライツを活用したスポンサーの確保、地域の地元企業や大規模マンション等の協力や協賛金の募集など、さまざまな手法を活用して収入を確保すると同時に、運営会社の選定や運行の最適化を図ることで、経費を最大限削減する努力を怠ってはなりません。これらの作業を行うこととなる協議会の運営は、住民による任意団体では難しいと考えます。その組織力を担保し、継続して事業を続けられる体制とする必要があると考えますが、見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 阿久津議員にお答えをいたします。  財政運営に長期的な視点をという指摘でございます。  超高齢社会や人口減少社会の到来を見据え、今なすべきことは、将来にわたって持続可能で自立した自治体運営を目指し、中長期的な視点に立った戦略的な取り組みを進めていくことだと考えています。  世代間の負担を平準化するための計画的なハード整備や起債の活用はもとより、限られた資源で増大する行政需要に対応する方策として、民間や地域の多様な主体との連携による課題解決の仕組みへの転換を進めていくなど、自治体運営のあり方にかかわる大きなテーマでありまして、庁内挙げて検討と実現を図ってまいります。  人口問題の将来に係る大きな変動要因は、日本社会に外国人がどれだけの割合で入ってくるかどうかで大きく左右されてまいります。昨年、入管法が改正されましたが、新たな資格で入ってきた外国人は極めて少ないと聞いています。多様性を互いに認め合うダイバーシティーへと変化することも重要な視点であります。  安定的な自治体運営の実現には、真の基礎自治体として必要な権限の獲得や活発な区民参加、自治も欠かせません。課税自主権を初めとした自治権拡充の検討を加速させるとともに、区民主体の参加と協働による地域づくりに向け、地域行政制度のバージョンアップにも取り組み、自立した自治体の形をつくり上げていきます。  次に、台風十九号の課題と検証でございます。  台風十九号に伴う災害対策本部態勢での対応、取り組みを教訓として生かし、今後も起こり得る風水害に備えていくために、現在、検証作業と新たな災害対策の体制構築を進めるよう指示しているところであります。  中でも早急に取り組む課題として、防災行政無線を補完するための情報伝達手段のあり方について、ホームページ、ツイッター、メール、エフエム世田谷の同時発信等、情報発信のあり方、堤防未整備地区早期対応の国への申し入れ、土のうステーションの増設などを挙げ、また検討の上、早期に取り組む課題として、私立学校、民間企業などと協定を見据えた水害時の避難所の拡充や、ペット同行避難等も含めた避難所開設、運営体制、多摩川の水位情報の監視強化、水位上昇による水門、樋門、樋管の運用の検証等を経て行う水防活動体制、災害時ごみ受け入れ体制や罹災証明発行体制、また健康調査等の風水害被害による事後対応の課題を抽出いたしました。また、今年度の補正予算や令和二年度の予算でしっかり対応するよう指示しております。  今後、検証作業で挙がった課題と対応策を整理し、議会や区民からの意見も踏まえて、水防計画、来年度修正予定の地域防災計画に反映をしてまいります。  続いて、堤防の強化についてでございます。  二子玉川地区など多摩川沿いの地区においては、区民の安全を確保する上で、堤防整備は必要不可欠のことであると認識をしておりまして、これまでも私はさまざまな機会を通して、二子玉川の無堤防箇所における堤防の早期整備を国に要望してまいりました。その一つとして、昨年度は多摩川沿いの十七自治体で構成する多摩川整備促進協議会会長として、国に対する要望活動の中で、二子玉川など無堤防箇所の解消を国土交通省関東地方整備局に働きかけてまいりました。さらに、台風十九号では、多摩川の水位が大幅に上昇し、二子玉川の無堤防地区に浸水被害が生じたことを重く受けとめ、一刻も早く堤防を整備するよう、また、既に完成している暫定堤防についても、当初計画高までの改修整備を推進するよう、今月七日、国土交通省関東地方整備局、石原局長宛ての要望書を京浜河川事務所長に手渡したところでございます。  無堤防箇所については既に実施設計に入っているということなので、引き続きの早期着工、完成を求めてまいります。また、それまでの間の緊急応急止水対策も求めていきます。また、暫定堤防についても、国に早期改修整備を要請するとともに、工事が始まるまでの間の応急対策も指示しているところです。  今後、国が事業に着手し、地元に説明に入る際、しっかり連携し、取り組んでまいります。  以上です。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、まず予算編成の関係でございます。  近年、民生費が増加しているとのお話がございましたが、高齢化の進展のほか、保育待機児対策によります保育定員の拡大を進めた結果、規模が大きくなっておりますが、私立保育園の整備を中心に行うことで特定財源を確保するとともに、行政経営改革とあわせて、区財政、特に一般財源、自主財源への影響を最小限に抑えてきたものと思っております。
     保育待機児対策など、喫緊の課題への対処だけではなくて、都市基盤整備を含めました災害対策など中長期的課題を見据えた施策展開の重要性は十分に認識しております。特に今般の台風十九号を教訓にいたしました災害対策は早急に取り組むべき課題であり、今後の対応についての検討を急ぎ、今般の補正予算とあわせまして、令和二年度予算におきましても、追加の対策を整理しているところでございます。  今後の区財政の見通しは、ふるさと納税によります大幅な減収に加えまして、東京二〇二〇大会以降の景気後退の懸念など大変厳しいものと考えております。来年度の予算編成に当たりましては、引き続き、行政経営改革を徹底するとともに、施策の優先順位を見きわめて、限りある財源をバランスよく配分し、将来に向けました自治体運営の持続可能性の維持を念頭に進めてまいります。  続きまして、旧都立玉川高校跡地の件でございます。  旧都立玉川高校跡地は、都有地ではありますが、区内で貴重な大規模用地であり、その土地利用が二子玉川駅周辺地区に与える影響は大きいものと考えております。  区といたしましては、当該跡地に対しまして、公共需要は大きいと考えておりまして、三軒茶屋、下北沢と並ぶ広域生活・文化拠点としての二子玉川駅周辺地区の魅力向上やにぎわいの創出、人生百年時代を見据えた多世代交流、健康増進を図るための拠点など、全区的な視点に立ち、保健福祉施設や子ども関連施設、集会施設、スポーツ施設、近隣施設の老朽化対応など、あらゆる角度で検討を行っているところでございます。  引き続き、議会の御議論をいただきまして、跡地活用に向けました区の基本的な考え方を本年度中にまとめ、東京都に要望してまいりたいと考えております。  以上でございます。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、まず旧池尻中学校の跡地活用につきまして、校舎耐用年数経過後のビジョンも含めまして御答弁申し上げます。  世田谷ものづくり学校は、創業支援の取り組みを行っておりますが、これまで創業支援ブース退去後、区内で事業を営む者は全体の四割程度となっております。創業支援の取り組みとしては、創業する方の全体数を引き上げるのはもちろんのこと、多くの方が区内で事業を継続してもらえる取り組みを強化することが課題であると認識しております。  今後のあり方につきましては、創業前から創業後まで総合的な支援を行う体制の構築、より多くのソーシャルビジネスやスタートアップ等の創業者の場、大小さまざまな企業と連携できる創業支援の形や場の提供、ITなど新たな技術を活用したビジネス展開の支援のほか、子どもの学びにつながる事業など、幅広く新たな事業の展開を構想していきたいと考えております。  今後、有識者や事業者などさまざまな分野の方々と意見交換を行い、これまでの世田谷ものづくり学校としての枠を超え、起業、創業や未来を担う人づくりを中心に、新たな事業展開を図るために、旧池尻中学校の跡地活用につきまして、校庭、体育館を含め、基本コンセプトを策定してまいります。  また、三軒茶屋周辺のまちづくりや将来の社会状況の変化に対応できるよう、運営方法や事業期間につきましても、サウンディング調査などを通し、民間事業者から提案もいただきながら工夫してまいります。  当該建物を築六十五年まで活用する場合、あと二十年ほど活用可能であり、その後の方針については、現段階では未定でございます。今後新たな事業展開を行う中で、区全体の行政需要を見据えながら、活用方法について検討してまいります。  次に、交通不便地域対策について二点御答弁申し上げます。  まず、税を投入する方向に転換した理由についてでございます。  今回の制度につきましては、路線バスや小型バスが通れるような道路がなく、採算上バス事業者の事業参入が困難な公共交通不便地域において、ワゴン車を活用し、福祉的な移動サービスの対象外である区民、特に高齢者をメーンターゲットに地域の足を確保し、移動環境の改善を図ろうとするものでございます。  この間、砧地域におきまして、三年間にわたり、狭隘な道路が多い区内で活用可能な他自治体の先進事例を調査するほか、送迎バスの運行事業者へのヒアリング等、連携の可能性を探ってきたところですが、利用者の安全面や利便性低下の懸念から、連携は厳しいことが明らかとなり、定時・定路線のワゴン車を活用した本取り組みに実現可能性があると判断したところでございます。  一方で、ワゴン車両は乗車定員が少なく、昨今の運転手不足に伴う経費増等も踏まえると、運賃収入のみで事業成立は困難であり、協賛金等の運賃外収入での補填も地域性に左右され、限界があることもわかってまいりました。こうした検討も踏まえ、限りある財源も考慮し、対策する地域を設定した上で、公費負担を伴う支援を行うことを検討する旨御報告させていただいた次第でございます。  まずは、砧地域の実証運行に向けた調整を図るとともに、区議会の御議論もいただきながら、経費削減はもちろん、運賃外収入の確保等、地域の皆さんの積極的な取り組みにより、安易な公費負担とならぬよう取り組みを進めてまいりたい、このように考えているところでございます。  次に、収支率四〇%の根拠、また協議会の負担について御答弁申し上げます。  区は、砧モデル地区における運行ルート案等に基づき、運行等の経費を算出し、需要予測調査に基づく運賃収入に企業等への聞き取りや他自治体事例等を参考とした運賃外収入を含め、予想される収支を算出いたしました。また、ワゴン車タイプで同様の取り組みを行っている自治体の事例では、基準を定めていない自治体もあり、収入を運行経費で除した収入率で基準を定めている事例におきましても、事業採算が厳しい状況を踏まえ、四〇%程度としている状況がございます。  こうした他自治体の事例と砧モデル地区における収支シミュレーション等を踏まえ、継続的な運行の実現と地域での取り組みを促進させるため、収支率の基準として四〇%を設定いたしました。  また、今回の取り組みにおきましては、地域の課題を最もよく知る協議会の方々が主体となって、地域の困り事を解決していただくことを前提としております。本事業の成功のためには、地域の盛り上がりは欠かせず、地域の方々については、さまざまな取り組みを進めていただき、区はその取り組みの支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。  専門性の高い取り組みも必要となりますので、メンバー構成や規約等、協議会のあり方を初めとした基準や検討に当たっての課題解決の視点等を示したマニュアルを作成するなど、議会の御意見もいただきながら、地域の方々が支障なく取り組めるよう、区として支援してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。    〔渡部教育長登壇〕 ◎渡部 教育長 私からは、二点について御答弁申し上げます。  一点目は、世田谷区独自の教育施策についてでございます。  子どもたちを取り巻く環境が大きく変化する中で、世田谷の教育も大きく変えていかなければならないと考えております。その変革の考え方として、新たに「せたがや11+」という考え方をお示ししたところです。「せたがや11+」とは、従来の世田谷九年教育の成果を継承しつつ、小中学校の教育に乳幼児教育や生涯学習をつなげる縦軸と、学校を社会や地域とつなげる横軸をベースとしたもので、教育をより広い視野から捉えて進めるものです。  「せたがや11+」の具体的な取り組みの一つが、教育の質の転換です。教室の中で受動的な形で行われる教育を、子どもがみずから課題を発見し、今までの体験や経験を生かし、考え、解決へとつなげていく教育や、学校で学んでいることが、将来の自分や社会にどうつながるかをイメージしながら学ぶ教育に変革していきたいと考えています。同時に、子どもたちが多様な学びの選択肢の中で、みずからの居場所や自身の可能性と出会うことへとつなげる、誰一人置き去りにしない教育の実現にも取り組んでまいります。  この「せたがや11+」を実現するためには、これを支える人材の育成が重要です。新たに整備を進めている教育総合センターでは、教員が意欲的に学べるような機能を整備し、また、悩みを抱えた教員をサポートし、子どもに向き合うことの喜びを再確認することができる環境の整備に取り組んでまいります。  現在、教育総合センターの完成を待たず、先進的な自治体への教員派遣などを実施し、新しい学び方の検討に着手しております。子どもたちの学びを支える未来の人材育成の土台づくりに着実に取り組んでまいります。  二点目は、基礎学力、体力の育成についてでございます。  世田谷区の新たな教育の形として「せたがや11+」を示させていただきましたが、この原点は子どもたちの基礎的な学力や体力の向上だと考えております。  「せたがや11+」でこれからの子どもに求められる力は、課題をみずから発見し、深く考え、多様な選択肢の中から自分で解決策を見出す力です。この力を培うためには、方程式や漢字、英単語などを覚えることを重視した学びを変革し、さまざまな体験を通して、生活と結びついた生きた知識を身につける教育へと転換していかなければなりません。  また、世田谷区の子どもたちの体力は多くの項目で全国平均を下回っています。この体力を向上させていくためには、大学などの力もかりながら、科学的な分析と子どもが興味を持って自発的に取り組む効果的なプログラムを導入していかなければならないと考えております。  世田谷区の教育を変革し、子どもたちが将来の社会を生き抜くための基礎的な学力と体力を培う取り組みを進めてまいります。  以上でございます。 ◎五十嵐 道路・交通政策部長 私からは、道路整備についてお答えいたします。  区では、東日本大震災を契機に、防災、減災を基軸に区政全般を見直すとともに、平成二十六年三月には、災害に強く安全な都市を目指したせたがや道づくりプランを策定いたしました。現在、駅前交通広場を含む二十四区間で都市計画道路及び主要生活道路の整備を鋭意推進しているところでございます。  また、平成二十八年三月に都区協働で策定いたしました東京における都市計画道路の整備方針第四次事業化計画におきまして、区施行の優先整備路線として九区間、三・七キロを選定しました。このうち、特に早期整備が望ましいと位置づけた三区間の中で、都市計画道路補助第二一七号線の上祖師谷四丁目付近の区間では、本年七月に新たに事業認可を取得し、同じく補助第二一六号線の大蔵六丁目付近におきましても、間もなく新規事業認可申請の予定となっております。  一方、下北沢駅付近の補助第五四号線、明大前駅松原付近の補助第一五四号線につきましては、まずは現在事業中の各駅付近の区間の事業進捗が重要と考え、注力しているところでございます。  区といたしましては、世田谷区全体の道路ネットワークの計画的な整備に向けて、引き続き必要な予算措置と効率的な事業執行に努め、事業中路線の早期整備完成に取り組むとともに、財政状況や道路整備の進捗などを見きわめ、事業着手の優先度を検証しながら、着実に新規の事業化を図ってまいります。  以上です。 ◎関根 土木部長 私からは、二点お答えいたします。  まずは、道路、橋梁の維持更新についてです。  社会インフラの老朽化が大きな社会問題となる中で、区におきましても、延長千九十四キロメートルに及ぶ区道や百六十ある道路橋梁の適切な維持更新が大きな課題となっております。このため、区では、平成二十六年三月に世田谷区橋梁長寿命化修繕計画を、平成三十年三月に世田谷区舗装更新計画を策定し、道路橋梁及び舗装について計画的かつ効率的な予防保全型の維持更新に取り組んできたところです。  計画策定以降、昨年度までの実績といたしましては、橋梁はかけかえが二橋、補修が二十六橋で、道路の舗装は約六万平方メートルを更新しております。舗装につきましては、おおむね計画どおりに進んでいる一方で、橋梁は近年の建設業の人手不足を背景とした労務単価の上昇や、塗装剥離工事の安全対策義務化による施工単価の大幅な上昇などの影響を受け、計画と実績に乖離が生じております。そうした状況もあり、今年度に橋梁のかけかえや補修を一連で担当する係を部内に新設し、体制を強化するとともに、現在、橋梁長寿命化修繕計画の改定に向けた検討を進めております。  次に、ベテラン職員からの技術継承についてです。  橋梁や道路を適切に維持管理する上で、将来に向け業務を担っていく若手技術職員の技術力確保が課題となっております。若手職員の技術力向上には、ベテラン職員からの技術継承が欠かせないため、ベテラン職員によるOJTのほか、再任用職員や技術専門嘱託員を講師とした計画的な研修会の開催などにより、蓄積された技術やノウハウがベテラン職員が退職しても途絶えることなく、しっかりと若手職員に伝わっていくよう努めております。  区といたしましては、道路舗装や橋梁の健全性を確保するため、今後も引き続き、ベテラン職員からの技術の継承などを進めるとともに、新工法、新材料の研究や必要な財源の確保にも努めながら、道路施設の効率的かつ効果的な維持保全に努めてまいります。  以上です。 ◎畝目 都市整備政策部長 私からは、三軒茶屋二丁目地区再開発について御答弁を申し上げます。  三軒茶屋駅周辺地区は、世田谷区の東の玄関口として渋谷に近接した交通結節点であることを生かし、文化、観光の発信地であるキャロットタワーや、商業、サービス、業務、文化などの機能が充実した広域生活・文化拠点として、区の基本計画等に位置づけてございます。区では、本年三月、まちの将来像とまちづくりの方向性を示した三軒茶屋駅周辺まちづくり基本方針を策定し、現在、まちづくりの基本計画の検討として、地区区民や商店街、事業者など多くの参加をいただきながら取り組んでいるところでございます。議員お話しの三軒茶屋は、近隣に教育施設も多く、秋には昭和女子大キャンパス内にテンプル大学が開校し、多くの外国人も行き交い、また、近隣拠点の再開発による業務機能ニーズの高まり、新しい働き方や文化、観光、グローバル対応など、その立地特性を生かしながら、さらなる発展が見込めるポテンシャルを持っており、基本方針においても、新たなまちの魅力を生み出し、持続可能な都市を目指すことを掲げてございます。  区といたしましては、広域生活・文化拠点にふさわしいにぎわいと活気に満ちた魅力があり、防災性が高く、三軒茶屋に期待されるさまざまな観点を踏まえたまちづくりに取り組むとともに、引き続き市街地再開発準備組合の取り組みを支援してまいります。  以上でございます。 ◎清水 地域行政部長 私からは、地域行政制度について御答弁いたします。  車座集会のお話がございました。地域行政の歩みや三層構造による行政運営などを区民と共有し、参加者からは、地区のグランドデザインを区民とともにつくるべき、若い世代、子育て世代が区政について語ることができる機会をふやしてほしいといった御意見や、身近な生活課題についてもお話をいただいており、今後の地域行政の検討に生かしてまいります。  このような地域で暮らす方の声をまちづくりに生かすため、地域の課題は地域で解決する機能や権限の強化を図るとともに、町会・自治会を初め、地域活動に取り組む団体や個人のネットワークを生かした参加と協働を地区で進める必要があります。  総合支所においては、政策立案や調整機能の強化とともに、事業を執行する上での権限の範囲など、地域経営の視点に立った見直しを図る必要があります。  また、まちづくりは人材であると言われますが、例えば児童館、PTA、おやじの会との活動をつなぎ、リタイア世代が地域に目が向く機会を捉えるなど、地域活動への参加をまちづくりセンターが支援し、地区コーディネーターの役割を十分に発揮することが重要であると認識しています。  地域の担い手の確保や継承を支援し、地域人材を生かしたまちづくりの促進に向け、まちづくりセンターや総合支所の権限や機能、役割を捉え直してまいります。  以上でございます。 ◎田中 経済産業部長 私からは、二点御答弁いたします。  まず、地域経済活性化についてです。  産業ビジョンでは職住近接を視野に入れた柔軟な働き方の整備や、区民生活の質を向上させる社会をつくり上げていくことを必要な視点とし、区内の就業環境の向上、起業・創業の活性化などにつなげる地域の経済循環を目指しています。  全国各地における地域通貨による経済活性化の取り組みとしては、一九九〇年代後半から二〇〇〇年代前半にかけてさまざまな地域通貨が生み出され、北海道栗山地域のクリンや東京の高田馬場地域のアトム通貨などの事例があります。  近年では、ICカードやQRコードを利用した電子地域通貨に変わり、二十年前の紙媒体から電子化への転換が進んでいます。地域通貨の実施に当たっては、発行や換金、セキュリティーなどのコストなど、課題があると考えます。  区内においては、昨年九月より下北沢エリアでシモキタコインが発行され、駅周辺の約百店舗で利用できるなど、地域活性化につながる取り組みが始まっています。区としては、このような事例も参考に、地域内循環の高い魅力あるまちづくりを推進し、強い地域経済が確立できるまちとなるよう、その仕組みについて検討してまいります。  続いて、農地保全についてです。  区においては、特定生産緑地制度や都市農地貸借円滑化法など新たな農地制度の周知を図るため、JAと協力して、生産緑地所有者等を対象に、昨年の九月より説明会を開催し、出席されなかった方へも戸別訪問を行うなど制度の周知に努めています。生産緑地は、農業者の高齢化などにより営農が困難になったときに、貸借の制度を活用することで新たな担い手を創出できるものと考えており、区内の生産緑地所有者等を対象に意向調査を行っています。今後は、この調査結果をもとに、農地所有者と借り主とのマッチングを行う中間管理的な仕組みの構築等を検討し、農業者が安心して貸借できる体制をつくるなど、特定生産緑地制度の活用による営農の継続を支援し、農地の保全を図ってまいります。  私からは以上です。 ◎工藤 危機管理室長 私からは、二点について御答弁いたします。  まず、台風十九号におけます課題の検証についてでございます。  区民への的確な情報伝達と避難所運営の早期見直しという重要な課題は、さらに細かく分類し、該当の担当部ごとに検証を進めております。区民への的確な情報伝達につきましては、例えば危機管理室では、防災行政無線の聞き取りづらさに対しまして、ホームページやツイッター、災害・防犯情報メールやテレビデータ放送等、情報伝達手段の特性を踏まえた同内容同時発信の検証を進めており、また、政策経営部におきましては、区のホームページのアクセス集中に対応できるよう、緊急時サブシステムのサーバー容量の増強や、エフエム世田谷による災害情報発信の強化等、具体的に取り組みを進めております。  避難所運営の早期見直しにつきましては、危機管理室と総合支所で、避難所の拡充を含めた避難所施設のあり方、開設のタイミング、運営体制等を検証しております。  さまざまな課題は、問題をできるだけ深く掘り下げて、原因を見きわめて整理し、手法ありきではなく、より効果的な対応策として導き出せるよう検証作業に取り組んでおります。  次に、災害時協力協定でございます。  災害時協力協定は風水害も対象であり、台風第十九号の際には、自治体間の協定に基づき、災害ごみへの対応として、品川、目黒、渋谷の三区から二日間、延べ十名の職員を派遣、排水の対応としましては渋谷区から九名の職員と排水ポンプ四台の支援をいただいております。また、区内大学の協定としましては、駒澤大学から玉川キャンパス校舎を避難所として提供していただいております。  災害時協力協定は、現在約三百十を数え、そのうち三分の一が町会・自治会等の避難行動要支援者の支援に係るもの、また三分の一が予備避難所など施設提供、その他が自治体や役務、サービス、物資の提供にかかわるものとなっており、いずれも風水害における要請も対象となっております。  協定は毎年、災対各部におきまして所掌する協定先と区相互の連絡先の確認に加えまして、継続して検証、見直しを進めており、また、必要に応じて協定先と具体的な運用などにつきまして協議や実働的な訓練を実施しております。  今後につきましては、風水害への対応における協定の要請もより具体的に想定した検証、見直しに取り組んでまいります。  以上です。 ◎池田 教育政策部長 二点御答弁申し上げます。  まず、道徳教育についてです。  社会の一員として地域社会に貢献しようとする意欲や公共心、公徳心を子どもたちに醸成することは大変重要であると認識しております。区立小中学校において特別の教科道徳では、社会参画や公共の精神について、資料をもとに考え、議論する授業を展開しており、社会科の授業では、政治や地方自治についての意義や内容について調べ、考えを深めております。また、特別活動や総合的な学習の時間の中で、実際に地域の方々とかかわったり話をしたりすることにより、社会のよりよいあり方について考えるとともに、自他の権利を大切にし、市民としての義務を果たしていこうとする意欲や態度を養っております。  今後、将来の自分の姿や社会とのかかわりをイメージさせるキャリア教育との関連も図りながら、子どもたちの公共心や公徳心を育み、地域社会に貢献する意識を高める教育を一層充実してまいります。  次に、近現代教育についてでございます。  新しい中学校学習指導要領の社会編では、近現代に関する学習の定着状況が低い傾向にあることを課題として指摘するとともに、これからの時代に求められる資質、能力として、自国の動向とグローバルな動向を横断的、相互的に捉えて、現代的な諸課題を歴史的に考察する力などを掲げております。  教育委員会といたしましては、我が国の近現代の特色について客観的かつ公正な資料に基づいて、多面的、多角的に考察したり、多様な意見から自分なりの判断を行わせたりすることを通じて、現代的な課題について解決する意欲や能力を子どもたちに育成するよう、教員の研修を行っているところでございます。  また、政治的に偏った教育が行われることがないよう、教育基本法の理念を基盤として、客観的な事実に基づいた学習指導を行うよう引き続き指導してまいります。  以上でございます。 ◎澁田 児童相談所開設準備担当部長 私からは、児童相談所の開設の進捗と当面する課題についてお答えいたします。  区は、児童相談所開設に向け、相談ケースの引き継ぎを開始し、安定的な運用を図るための工夫として、年内にさらなる組織体制の強化を図るとともに、警察や医療を初めとする関係機関との連携体制の構築に向け調整協議などを滞りなく進めております。  今後の大きな課題といたしましては、都区財政調整に係る協議がございまして、区が児童相談所設置市としての政令指定を受けたことを踏まえ、関連経費に係る基準財政需要額の算定など具体的な提案を示し、今年度の協議に当たってまいります。  また、相談ケースの引き継ぎを通じ多職種が連携し効果的に機能するチームづくりを進める必要がございますが、そのために職員の全員参加による手引書づくりや積極的な議論を通じ、一丸となって確実に子どもの生命と安全を守る体制づくりに取り組んでおります。いずれの課題や取り組みも、丁寧に機会を捉えまして、区議会を初め関係機関や区民の御理解を得られるよう努めてまいりますので、皆様の御支援を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。 ◎辻 世田谷保健所長 私からは、介護予防に資する口腔ケアについてお答えいたします。  かむことが全身の健康や認知症予防に資すると言われ、区でも世田谷区、玉川両歯科医師会と協力し、歯周病予防を目的とする成人歯科健診を法定の四十歳から七十歳の十歳刻みの対象に加え、区独自で四十五、五十五、六十五歳も対象として実施しております。また同様に、八十歳で二十本以上の歯を保つ八〇二〇運動や、六十五歳以上の区民を対象とした口腔機能向上プログラム、お口の元気アップ教室を実施しております。さらに、平成二十八年度には、口腔ケアが必要と判断する六十五歳から七十五歳未満及び七十五歳以上の区民全員を対象に、歯科医とあんしんすこやかセンター等が連携し実施する、すこやか歯科健診を開始いたしました。平成三十年度には、すこやか歯科健診のチラシを七十五歳以上の区民全員に送付する長寿健診の保険料通知に同封した結果、受診者が前年度に比べ二百人以上ふえたため、今年度からは長寿健診の案内に同封しております。
     今後、成人歯科健診につきましても、通知やチラシの内容、配付先等を見直し、より多くの区民への周知に努めるなど、ライフステージに応じた口と歯の健康づくりの充実に取り組むとともに、区民の健康寿命のより一層の延伸に向け、高齢者の口腔機能の低下などオーラルフレイルの予防も視野に、保健、歯科医療と介護との連携を強化してまいります。以上です。 ◎小澤 交流推進担当部長 私からは、アメリカ合衆国との継続的な関係づくりについてお答えします。  区は、東京二〇二〇大会後もアメリカ合衆国のホストタウン、共生社会ホストタウンとして継続することから、スポーツ選手を初めとしたアメリカ関係者と区民との交流を推進していくことは、多文化・多様性の理解を進め、交流の輪を広げるためにも大変重要であると認識しています。本年五月にスポーツ推進部がUSOPCを訪問した際に、区はアメリカ大使館とも連携し、区内のイベントを通じて相互交流を行うことを提案しました。USOPCからは、二〇二〇年以降もアメリカ選手の派遣ができるよう競技団体へ働きかけるとの回答をいただき、関係を継続していくことを確認しているところです。二〇二〇年以降の具体的な交流事業として、区民、特に子どもたちの交流を軸に、来日時期や参加可能なイベントなどを調整し、継続的に交流できるよう、また、ホストタウン、共生社会ホストタウンの認知が向上する取り組みとなるように進めてまいります。  以上でございます。 ◎内田 スポーツ推進部長 私からは、馬術競技につきまして御答弁申し上げます。  東京二〇二〇大会馬術競技会場となりますJRA馬事公苑は、馬術競技大会やホースショーなどが開催され、また、区民まつり会場として区民の皆様に親しまれております。現在、全面改修工事により休苑しておりますけれども、区は東京二〇二〇大会に向け、馬術競技の普及啓発を一層図るため、JRAと共催し、区立学校にて児童と馬が触れ合える「馬!ふれあい出張授業」や機運醸成イベントに、馬術競技選手のトークショーなどを行ってまいりました。さらに、馬術競技をPRするパンフレットやDVDを作成するなど、区民の馬術に対する関心を高める取り組みも進めております。  御指摘の世界的な馬術大会の開催や馬術クラブ誘致は、区民が馬術に関心を持ち、馬に接する機会がふえるものと認識をしておりまして、専門的な知識や経験のある馬術関係者との連携、協力が不可欠であると考えております。区といたしましては、まずJRA、日本中央競馬会と意見交換を行い、今後も「馬!ふれあい出張授業」の事業継続を働きかけるとともに、オリンピック・パラリンピックの馬術競技をどのような形でレガシーとして残せるか、JRAだけでなく組織委員会とも協議を進めてまいります。  以上です。 ◆三十七番(阿久津皇 議員) 三点ほど再質問させていただきます。  まず、将来的に人口減少社会を迎えるに当たって、区の持続可能な経営というものに対してどのように取り組むのかといったことに対して、区長が、外国人労働者の問題に触れられました。ここではダイバーシティーへと変化することも重要な視点ですということですので、その外国人労働者の受け入れというものも視野に入れているということと考えますけれども、これは我々としても外国人労働者の受け入れというものは避けられないと考えておりまして、国会においては入管法の改正ということに、与党が中心になって行われたわけですけれども、それに対しては、企業や社会の受け入れ体制が整っていないということが指摘されているということでした。区長もそのようにダイバーシティーへと変化することが重要な視点だとおっしゃる以上、区において今どのような点が足りていないのか、それを改善するためにはどのようなことが必要なのかということを考えているのか伺います。  また、労働人口の減少に対して一足飛びに外国人労働者と行くのは、ちょっと突飛な発想なのかなと思っていて、国でも今後、百四十万人程度労働者が不足するということに対して、五年間で三十五万人の外国人労働者を受け入れていくということですけれども、外国人労働者は、日本人の国内での労働者のあくまで補完的な要素であって、まず一義的に取り組まなければいけないのは、女性であったり高齢者の雇用の促進だと考えるのですね。そういった意味で必要になってくるものが、区内における産業政策だと思います。  先ほど質問の中でも取り上げましたけれども、池尻の雇用、新規創業の事業ですとか、あるいは三軒茶屋における再開発といったところで、さまざまな新しい産業を生み出して、活力ある経済社会をつくっていくことが、新しい産業を生み出して、さらに新しい人材を生み出していくといったことにつながると思っておりまして、区長のものづくり学校や三軒茶屋に関連した経済政策、産業政策についてどのように考えているか、お伺いいたします。  それから、口腔ケアについてですけれども、こちらは五年置きに行われておりますが、その予算が三千六百万円に対して、ほぼほぼ使い切られていて、これ以上はなかなかふやすことが難しいのかなというところもありますが、最大限健康寿命を延ばして、さらに医療費の削減も見据えて、今五年置きにされていますが、これが果たして最適なのか、あるいは今、受診者数は減っていますが、これをどの程度までふやしていくことが必要なのか、それもエビデンスに基づいて検討すべきと思いますが、その辺についてどのように考えているかお伺いします。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 阿久津議員の再質問にお答えいたします。  外国人の今後の日本社会に対する、どのくらい入ってくるかという問題です。現在は二万三千人の外国人人口がおります。これまで窓口、広報における多言語対応等には努めてきましたが、課題は、例えば、なれない日本での暮らしをサポートする生活相談、国際理解の促進、地域における差別偏見の解消など多々ございます。  外国人労働力に関しては、日本では、若い時期に一定の期間働いていただいて、またそのもとの国に戻っていただくという外国人実習生・研修生制度などが長年続いてきました。今も資格要件によって家族を形成する権利などを認めている段階もある、そのない段階もあるということなのですが、これは国の制度における大きな制度設計になってくると思います。  現状でも、あんしんすこやかセンターなどで、アジア出身の、もう高齢になった外国人、日本語が余り話せない女性の抱えている健康問題などに地域で取り組んだなどの報告もありまして、現に起きている生活支援においては、なかなか行き届かないというか、まだまだ区の福祉行政などとも接点が少ないという課題があろうかと思います。そういったことにしっかり取り組んでいく中でダイバーシティーへの道を開いていきたいと思いますし、来年四月には、せたがや文化財団に、これは仮称でございますが、国際事業部を設置していく予定でありまして、地域社会における国際交流や訪問に限らず、在住外国人を対象とする取り組みも加速させていきたいと思っております。  二〇二〇年東京大会が迫っております。誰もが自分らしく暮らすことができるような多様性を認め合い、人権を尊重する多文化共生のまちを目指して推進してまいりたいと思います。  次に、産業政策についてのお尋ねです。私はこの基本構想を議論し策定した、この中から、一貫して地域の産業を育成して、おっしゃるところの職住接近環境を整えていくことが大変重要であるという認識のもと、厚生労働省の東京労働局とたびたびと交渉しまして、現在年間四万人が利用するハローワーク機能を持っている三茶おしごとカフェを開設してまいりました。まさに職住接近、地域内雇用の創出というところに動機があったわけでございます。  商業、工業、農業に加えて建設業や情報通信業など、区内の多種多様な産業や区の特性、地域資源を効果的に生かしたまちづくり、経済産業活動が潤滑に進んでいく取り組みを推進していきたいと考えております。  先ほど副区長から答弁がありました池尻のものづくり学校につきましては、創業前から創業後の総合的な支援を行う体制や、ソーシャルビジネスなどの創業の場に加え、さまざまな企業と連携したビジネスの展開への支援、また、子どもの学びにつながる事業など、幅広く新たな事業の展開を考えていきたいと思います。  今ある技術や産業形態、事業形態にこだわらず、クリエーティブで時代の先端を切り開くチームの形成や人づくりの拠点を期待するところであります。  三軒茶屋周辺の再開発課題においても、新しいものづくり学校とともに、働く場所としてのこのエリアの魅力を高めるとともに、活気あるまちづくりにつながるよう取り組んでいきたいと思います。  まず、さまざまな多くの関心が広がっておりますこのまちをどのように発展させていくのかという幅広い意見を聞きながら、二十年、三十年、五十年という単位の将来設計のもとに、このまちの発展を支援してまいりたいと思います。 ◎辻 世田谷保健所長 再質問にお答えいたします。  口腔ケアは、歯と口の健康の維持向上に加え、フレイル、いわゆる加齢による虚弱予防や認知症予防など、全身の健康にもつながることから、さまざまな研究が行われております。引き続き、お話しいただきましたように、国や専門機関等の研究等によるエビデンスを踏まえながら、介護予防の所管並びに世田谷区、玉川両歯科医師会と連携を図り、適宜高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施等について協議してまいります。  以上です。 ◆三十七番(阿久津皇 議員) 以上で質問を終わります。 ○和田ひでとし 議長 以上で阿久津皇議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後四時十二分休憩    ──────────────────     午後四時二十五分開議 ○和田ひでとし 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 代表質問を続けます。  公明党を代表して、三十一番平塚敬二議員。    〔三十一番平塚敬二議員登壇〕(拍手) ◆三十一番(平塚敬二 議員) 初めに、このたびの台風十五号、十九号、二十一号により被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに、犠牲になられた方々に謹んで哀悼の意を表します。  今般の激甚化、頻発化する大規模自然災害への対策については後段で触れますが、そもそもこうした異常気象とも言える発生の起因は、地球温暖化だと指摘されています。二〇一五年九月の国連サミットで採択された持続可能な開発目標、SDGsにおいて、二〇三〇年までの十五年間で達成するために掲げた十七のグローバル目標、その十三には、気候変動に具体的な対策をとあります。いわゆる気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じることにおいて、世田谷区としても具体的な対策を講じていくことが、未来を担う子どもたちに安心して暮らすことのできる社会を残すことであり、それはまさに我々大人の責任であると考えます。  生涯にわたって改革の火を人々に灯し続け、藩政だけではなく人々の意識をも改革した上杉鷹山の名言に、なせば成る、なさねば成らぬ何事も、成らぬは人のなさぬなりけりとあります。我が党として区政運営が将来にわたり、よりよい方向に改革される責任を果たしていくことを宣言し、公明党世田谷区議団を代表して質問並びに提案をしてまいります。  初めに、地域防災計画における水害対策の不備について伺います。  今般の台風十九号発生における甚大な被害は、私たちへ大きな課題を突きつけました。特に大規模震災を想定している現在の地域防災計画では、水害対策を想定したタイムラインが策定されていなかったがゆえに、改めて検証し、計画における不備を見直さざるを得ません。そうした観点から具体的に五点伺ってまいります。  第一に、水門を閉める際の区民や他機関への情報提供と連携についてです。  今回の水害の特徴は、多摩川に注ぐ排水水門を閉めたことが大きな影響をもたらしました。区は多摩川の水かさが増し、危険水量に達したため、多摩川に排水する水門を次々と閉鎖したことにより、行き場を失った雨水が低地、くぼ地に流入し、野毛地域においては一メートルを超える浸水被害が発生しました。  その一方、さらに下流にある等々力水門では、閉鎖することができなかったことから、玉堤地域では河川からの逆流が生じて被害を拡大させたのでは、加えて逆流した水流が大田区側に流れた可能性があるとの双方についての指摘がありました。  さらに、午後七時過ぎから行われた水門の閉鎖についての情報が地域住民へ周知されておらず、世田谷区の対応について疑問視する声が上がっていることも事実です。  まずはこれらの事象に対して客観的な事実を明らかにする必要があるのではないでしょうか。既に多摩川流域の狛江市、調布市、大田区では、住民説明会を開催しており、多くの区民の方々からも区に説明を求める声が届いています。まずは専門家を入れ、早急に検証を行うとともに、説明責任を果たす義務があると考えますが、区長の見解を求めます。  また、水門を閉めた後の被害を想定していたにもかかわらず、これまで排水機場の設備や排水ポンプの設置がされなかったことは、区の浸水被害への危機意識が足りなかった証左ではないのでしょうか。今後は浸水対策を関係機関に強く求め、早期対策を講じるべきです。区の見解を求めます。  さらに、水位が上昇してきた十二日午後九時三十分に、自衛隊の要請を世田谷区から東京都に要請したと伺っておりますが、自衛隊が等々力に到着したのが約二時間後の午後十一時五十五分です。水門閉鎖を行う本区は、閉鎖後の内水氾濫を予測することが可能であったことにより、自衛隊への救助要請をタイムリーに打診することができたのではないでしょうか。完全にタイミングを逸したと言わざるを得ません。人命救助に最大に生かされる自衛隊の災害要請のタイミングを明確化すべきです。区の見解を求めます。  第二に、自主避難所の事前告知と運営体制の整備についてです。  今回の台風の接近を踏まえ、区は十二日の午前十時より自主避難所を開設しておりますが、その場所は、日ごろ区民が避難所運営訓練等でなれ親しんでいる小中学校でなかったため、避難指示が出て区民が向かったにもかかわらず、小中学校の門扉は閉ざされており、大変な混乱を来しました。今後は、日ごろからなれ親しんでいる指定避難所である小中学校を自主避難所として併用するなど、風雨の激しい中、避難所を探しながらの移動は、かえって危険が高まります。風水害時の運営体制のあり方も再考すべきと考えますが、区の見解を求めます。  第三に、エリア情報に関しての提供方法についてです。  台風による風雨の影響もあり、室内での防災無線は聞き取れず、さらに防災無線電話応答サービスも混線でつながらず、区のホームページはサーバーのキャパシティーオーバーにより、ほぼ情報伝達機能が不全に陥り、リアルタイムな災害情報が区民に届かない現実がありました。  さらには、我が会派が開設の必要性を訴え実現したコミュニティー・エフエム・ラジオ、エフエム世田谷は、世田谷区の地域情報を伝える重要な役割を担っているにもかかわらず、このたびの台風十九号では、その機能が全く活用されませんでした。  災害時における情報伝達は、正確かつ迅速さが最も重要となります。区民へ各避難所の状況などのエリア情報を発信し、伝わることが命を守ることへとつながるのです。災害時において区民にリアルタイムで地域の災害情報の提供ができるよう、エフエム世田谷の運用方針を抜本的に見直すべきと考えます。区の見解を求めます。  さらに、高齢者等の情報弱者対策については、緊急情報防災ラジオの活用が有効だと考えます。この防災ラジオは、電源が入っていないときでもJアラートから発信される地震、津波、気象情報等の緊急情報をキャッチします。また、他局の放送を聞いていても割り込んで放送するラジオです。災害時には停電も予想されますので有効です。世田谷区においても高齢者等の情報弱者対策として、防災ラジオの無償貸与などを検討すべきです。区の見解を求めます。  第四に、内水氾濫ハザードマップの作成についてです。  今回の浸水被害は、川の越水による被害だけではなく、水門の閉鎖や逆流により行き場を失った雨水が低地、くぼ地に流入した内水氾濫であったことが大きな特徴でありました。当然ハザードマップには想定されていなかった地域でも、大きな内水氾濫による浸水被害が出ました。  また、自宅から避難所に移動する途中の道路が冠水し、行く手を阻まれ、取り残された区民もおりました。今回の台風で冠水した場所を盛り込み、避難時に安全な経路の選択を可能とする内水氾濫ハザードマップを早急に作成すべきと考えますが、区の見解を求めます。  第五に、区民のマイ・タイムライン作成支援についてです。  重度の障害者を持つ御家族から、今回の避難所運営や区の対応は、命の危機にさらされる事態であったと、お叱りの言葉をいただきました。これまで我が党は、災害時避難行動要支援者を念頭に置きながら、水害時の垂直避難先の確保を求めてきましたが、災害時協力協定を結んでいる特定有料老人ホームや特養などに協力を依頼すべきです。特に災害時避難行動要支援者の方は、自力でのマイ・タイムライン作成は不可能です。区として作成支援の必要性とあわせて、区の見解を求めます。  次に、地球温暖化対策の具体的な取り組みについてお伺いします。  冒頭に述べました持続可能な開発目標、SDGsに対する関心が高まっています。こうした認知の広がりの背景には、その取り組みの一環としてSDGs達成に資するすぐれた取り組みを行っている企業や団体を表彰するジャパンSDGsアワードや、自治体の取り組みを促すSDGs未来都市などが功を奏した一方で、昨今における異常気象、温暖化現象による豪雨被害などが国内でも頻発し、環境問題と人々との実感がミートしていることもあると考えられます。  しかし、まだまだ理解や実践は十分とは言えず、SDGsのゴールとして定められた二〇三〇年までに十七のグローバル目標が達成できるのか考えざるを得ません。そこで、今回は特に重要な二つの観点から地球温暖化対策の具体的な取り組みについて伺います。  一点目に、食品ロス削減への取り組みについてです。  全国の一般廃棄物に係るごみ処理経費は約二兆円に上っており、一人当たり年間一万五千円程度の経費がかかっていることになっています。農林水産省の平成二十八年度推計値によると、日本の食品ロスは年間で約六百四十三万トンで、うち事業系が約三百五十二万トンを占めており、特に水分を多く含む食品の廃棄物は、その処理に負荷をかけるため、抑制すべき課題として懸念されています。  消費者庁による平成三十年度における食品ロス削減の取り組み内容では、住民・消費者への啓発が最も多く、次いで子どもへの啓発・教育、飲食店での啓発促進、災害用備蓄食料の有効活用、フードバンク活動と連携の順番になっていますが、本区として大学の学食や病院などへ食品ロス削減推進の具体的な取り組みを広げていくべきではないでしょうか、区の認識を伺います。  二点目に、紙おむつのリサイクルについてです。  さきの決算委員会においても取り上げましたが、事業系ごみ削減への大きな効果が期待されているのが紙おむつのリサイクルです。循環型モデルの構築を目指しているN社は、本年十月十七日に使用済み紙おむつを原料に新しい紙おむつを製造するリサイクル技術が完成したと発表しました。パルプと水分を吸収する高分子ポリマーの両方を新品と同等の品質に再生し、繰り返し使用でき、二〇二一年度以降に世界初の紙おむつリサイクルの事業化を目指しています。  環境省は、今年度中にリサイクルを促すガイドラインを発表する予定と聞いています。区として事業系ごみ削減と新たなリサイクル事業化へ具体的な検討体制に入るべきです。近接区や東京都との連携を図り、官民連携協定へとリーダーシップを発揮すべきと考えますが、区の認識を伺います。  次に、持続可能な財政基盤の構築について伺います。  今般、本区では新公会計制度を導入し、平成三十年度の決算認定から反映されるようになりました。これによって、今まで見えなかった減価償却費、退職引当金などのコスト情報、また資産、負債といったストック情報の把握も可能となり、例えばイベントに参加した区民一人当たりのコスト、施設利用者の一人当たりのコストの算出も明確になりました。  いち早く新公会計制度を導入した町田市では、市民への説明責任を果たすための手法として、公共施設のコストを示す概要版を作成し、例えば図書館業務においては一人当たり、一冊当たりのコストを市民に示しておりました。  新公会計制度の導入は、このようなコスト分析を公共施設や事業などについて、直営や一部業務委託、さらには指定管理者と分けてセグメント分析を行い、事業や運営形態など、どのような手法が有効かつ効率的であるのかを見定めることが目的となります。  現在、本区では九百近い施設を保有管理しております。今後、老朽化した施設を更新していくための財政負担は年平均で六百億円を超えると見込まれており、長寿命化、多機能化、集約化などの手法を活用し、施設需要や必要性を見きわめていくことが重要になるものと考えます。  公共施設利用状況の総点検を実施し、稼働率の低い公共施設を抽出するなど、新公会計制度の導入を契機とし、施設利用のあり方を抜本的に検証すべきと考えますが、区の見解を求めます。  また、同様に保育園、児童館についても、民営化を進める上から、費用対効果、来館者数の推移などのセグメント分析での検証を行っていくべきです。見解を求めます。  次に、認知症施策推進条例について伺います。  我が党では、これまで認知症施策については、二〇二五年大介護時代に備える柱として、介護負担の軽減やケア体制、見守りなど多くの提案を行ってきました。昨年には安心の高齢社会の鍵を握る認知症の施策を総合的に推進するため、認知症については他の施策から取り出した単独の条例を制定すべきと提案したのに対して、区は検討委員会を立ち上げ、本格的な策定に着手したことは一定の評価をしています。  また、先日の常任委員会では、区からスケジュールや考え方について報告がありました。基本的な理念案では、自分らしく生きていける希望を持ち、意思と権利が守られ、安心して生活を営める地域をつくる、全ての区民が認知症を我がことと捉え、共生社会の実現を目指すとあり、この考え方についても評価しております。しかし、条例制定に向けて実効性のある推進条例とするためには、さらなる取り組みが必要です。そこで四点質問いたします。  一点目は、条例と計画の策定についてです。  認知症の条例で本区の目指すまちづくり、地域づくりを指し示し、施策の成果や地域づくりの進捗状況を明確にするために、条例に基づく具体的な認知症施策推進計画を策定すべきです。区の見解を求めます。  二点目に、区民の理解促進と本人の意思決定支援についてです。  地域での認知症に対する理解を深める学習機会の充実を進めるべきです。地区ごと、町会ごと、さらに小さな単位で展開することが重要と考えます。また、地域で見守る認知症SOSネットワークを具現化し、認知症になっても自分らしく、よりよい暮らしができるための意思決定の備えを進めるべきであります。見解を求めます。  三点目に、認知症在宅生活サポートセンターの充実についてです。  梅丘の世田谷区立保健医療福祉総合プラザ内に開設する認知症在宅生活サポートセンターは、ケアマネジャーやあんしんすこやかセンターのバックアップ機能が主な事業と言われていますが、加えて認知症の御本人や家族からの相談に適切に対応できる体制を整えるべきと考えます。また、認知症の地域づくりや認知症意思決定の備え支援をきめ細かく推進する人材の育成を担うべきであります。区の見解を求めます。  四点目は、BPSD、認知症行動心理症状ケアプログラムの推進です。  東京都のモデル事業として世田谷区が先駆的に展開してきた認知症ケアプログラムの推進体制を明確にすべきと考えます。区の見解を求めます。  次に、健康寿命の延伸に向けたフレイル予防についてです。  我が党がこれまでも他自治体の取り組みなどを紹介しながら推進を訴えてまいりましたフレイル予防について、国はいよいよ来年度からフレイル健診の実施を発表しました。世田谷区においても本格的に実施体制を整えていくときではないでしょうか。  そこで、認知症とも関係深いフレイル健診の受け皿として、区民の身近な地区拠点である二十八地区のまちづくりセンターの活動フロアを活用し、週一回でも気軽に立ち寄れるフレイル予防体操教室等を推進してはいかがでしょうか。見解を求めます。  次に、高齢者の住宅確保策について伺います。  現在、区における六十五歳以上の高齢者人口は約十八万四千人、二〇二五年には約十九万五千人になると予測されています。また、六十五歳以上高齢者の三割に当たる方が単身世帯となっており、年齢が上がるにつれてその割合は増加し、八十五歳以上では半数以上の方が単身世帯となっています。今後の高齢化の進展とともに、高齢者にとって確保しにくくなる住まいについては深刻さが増しています。区の積極的な居住支援策の構築が急務です。そこで三点伺います。  一点目に、我が党は、オーナーが単身高齢者の入居について拒む理由として、万が一死亡したときの発見がおくれた場合、事故物件になるおそれや、原状回復費用などの問題があり、この不安解消のために福祉的サービスを充実させること、さらに、実効性ある居住支援協議会の取り組みを再三求めてまいりました。しかし、いまだに住宅部門、福祉部門の連携不足により、居住支援に結びついておりません。  例えば、福岡市の居住支援協議会では、さまざまな福祉的サービスをメニュー化し、社会福祉協議会がコーディネート役となり、相談に訪れた市民の情報を整理して、市内四十七社ある登録事業者につなぎ、具体的な支援をしています。世田谷区においても居住支援協議会の実効性ある運用を求めます。区の見解を求めます。  二点目に、さらに居住支援協議会で普及に努めている民間の見守りサービスは、オーナーの不安解消に有効と考えます。今後普及させるために、初期登録費用の補助制度は考えられないでしょうか、区の見解を求めます。
     三点目に、高齢者の住まいの確保策について、民間賃貸住宅の確保とともに、公的住宅についても推進を図るべきです。例えば都営住宅の区営住宅への移管によるシルバーピアの増設、都営、区営住宅の建てかえ時における余剰地への高齢者専用住宅の確保、東京都住宅供給公社への働きかけなど取り組みを行うべきです。現在、区は世田谷区第四次住宅整備方針の策定に向けた検討を進めていますが、公的住宅を活用する整備計画を明記し、高齢者の住まいの確保に向けた取り組みを推進すべきと考えます。区の見解を求めます。  次に、がん相談窓口の機能について伺います。  公益財団法人日本対がん協会が実施した、がんと診断されたときからの相談支援事業、平成二十七年度報告書の、がん相談普及啓発に関するニーズ調査には、治療開始前など、できるだけ早期に患者や家族の相談先の選択肢になるための周知、どのような相談も受け入れ、その後、必要な機関につなげる役割を担うことなど、がん相談を充実させるヒントが示されています。  一方、区は来年開設される世田谷区立保健医療福祉総合プラザ内へ、がん相談窓口の設置に向けて、この報告書をどう活用したのでしょうか。いまだに具体的な体制が整っていません。そこで四点質問します。  一点目に、総合プラザ内での窓口開設については、区民が健診などに訪れた際にも目に触れ、周知が進み、相談にも訪れやすい常設での専用窓口の設置とともに、総合プラザ開設と同時期の来年四月にスタートすべきではないでしょうか、現状での区の考えをお伺いします。  二点目に、治療を続けながら働く方へのサポートを進めるためにも、がん相談窓口に社会保険労務士と協力し、両立支援コーディネーター配置をすべきと考えますが、区の見解を求めます。  三点目に、近年のがん治療は入院期間が短くなり、通院しながら治療を続けることが多くなっており、高齢などの理由で通院が大変な方や、在宅で緩和ケアを受診したい方が、御自宅での受診をしたくても、がん治療拠点病院や東京都がん診療連携拠点病院には、その情報はほとんどなく、がん治療に関する区内の情報を丁寧に提供できる仕組みが求められています。現在の世田谷区在宅療養資源マップに、がん治療などの情報を記載し、相談窓口機能の充実を図るべきです。区の見解を求めます。  四点目に、本区において、がんに罹患された方の生活の質を保つために、がん対策を進めるには医療と介護などの福祉サービスとの連携は不可欠であり、がん相談窓口においては生活支援制度や福祉サービス等の情報提供が求められます。区の見解を求めます。  次に、児童相談所の設置に向けた取り組みについて伺います。  いよいよ児童相談所設置まで五カ月となりました。さまざまな課題がある家庭の中で窮状を抱える子どもたちを見つけ出し、安心で安全な場所での暮らしをどう提供できるか、迅速かつ適切な支援へのつなぎが児童相談所行政に求められています。これまで東京都の児童相談所では、児童福祉司一人が担当するケースが百件を超え、一つ一つの事例に丁寧にかかわることはできず、対応のおくれが指摘されています。  困難かつ複雑な環境下に置かれた子どもたちの身に寄り添いながら生活の環境を整えるために、児童相談所の職員のスキルが求められ、その向上には経験年数の長さも重要になってきます。そこで二点お聞きします。  一点目は、今後単独で児童相談所を運営する本区として、スーパーバイズできる職員の養成は不可欠であり、民間団体との人事交流なども視野に入れるなど長期的視野に立った人材育成のプログラムなどが必要と考えます。区の見解を求めます。  二点目には、これまで児童相談所に寄せられた相談の中には、虐待、ネグレクトによって危機的な状況に陥った子どもたちを過酷な環境から救い出し、その後、一定の期間を経て家庭復帰したにもかかわらず、再度の保護、入所が必要となる場合があり、親子分離した家庭がより深刻なネグレクトや虐待の状態であることが多いと言われています。  先日、会派で東京法務少年支援センターを視察し、地域援助業務として心理士などの専門職の方が出前授業、講演、研修等に積極的に取り組まれていると伺いました。今後、本区として当センターと連携を図り、児童相談所預かりとなった子どもやその家庭を含め、適切な支援を講じることができるよう職員のスキルの向上が求められます。区の見解を求めます。  最後に、不登校児童への学習機会の確保について伺います。  本区における小中学校の長期欠席の状況は、平成三十年度の学校基本調査によりますと、不登校と確認された人数は、小学校で三百十名、中学校で五百十五名となっております。国では教育機会確保法が成立し、平成二十九年三月には文部科学省から基本指針が示され、不登校はどの児童生徒にも起こり得るものとして捉え、学校復帰のみを目標とせず、児童生徒の将来の社会的な自立を目指すこととしています。  本区では、昨年三月に世田谷区不登校対策アクションプランを作成し、さまざまな支援体制を整え、多様で適切な教育機会の確保として、区内三カ所目となる、ほっとスクール希望丘を民間委託によりオープンして、学習機会の確保に向けて取り組んでいることは評価いたします。  しかし、三つのほっとスクールに通う児童生徒の数は約百五十名に上っており、その子どもたちの多くは自宅にいるのです。現在、中学校ではインターネットを活用したeラーニングの取り組みが始まり、予習、復習に活用されていることから、不登校生徒の学習機会の確保においても有効であり、取り組みが始まっているとお聞きしました。  今後は小学生の児童に対して学習機会の確保のためにeラーニングを活用することを提案いたします。小学生のいる御家庭においてもパソコンやスマートフォンは普及しており、多くの児童が使用しています。区として学習メニューを検討して学習機会の確保に努めるべきです。区の見解を求めます。  以上で壇上よりの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 平塚議員にお答えをいたします。  地域防災計画における水害対策の不備について御指摘がございました。  今回の台風十九号を受け、風水害時のタイムラインの策定については既に全庁に指示したところでございます。さらに、野毛地区、玉堤地区において広範囲で浸水被害が発生したことから、浸水被害がどのようにして起きたのか、原因究明や今後の対応策を検討していくために、学識経験者や関係機関の専門知識を有する職員を含む検証委員会を取り急ぎ設置するように既に指示し、検証の作業を準備させているところでございます。  多摩川の水位上昇を原因といたしました浸水対策について、これまでも国に対して堤防の設置強化、暫定堤防のかさ上げ、無堤防区間対策なども要望しており、また、東京都に対しましては下水道雨水幹線の水門に排水ポンプの設置を要望してきております。  今回の台風十九号において治水上のさまざまな課題が明らかになったことから、今般、国土交通省関東地方整備局長に対して要望書を手渡したところでありますが、引き続き国及び東京都に対して、これまで以上に強く働きかけ、浸水対策、水害対策をしっかり進めてまいります。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、五点について御答弁申し上げます。  最初に、新公会計制度を活用した公共施設の利用状況についてでございます。  今後、区の人口の増加が推計されている中で、老朽化が進む施設を維持していくためには、改修や改築の経費抑制はもとより、既存の公共施設のさらなる有効活用が不可欠と考えております。この間、公共施設等総合管理計画の見直しの中で、区民利用施設の利用状況の点検を行ったところでございます。  今後、利用率が低くなっている理由などについて、地域や利用者の声を把握しながら丁寧に分析してまいります。その上で、緊急性の高い施設需要や、地域の新たな施設需要を踏まえた複合化や用途転換など、新公会計制度を活用したフルコスト分析を行い、個別の施設について見直しの方向性を示してまいりたいと考えております。こうした取り組みを通じまして、多くの区民が地域資産を効果的に活用できる公共サービスの観点に立って追求してまいります。  続きまして、認知症施策推進条例の関連で四点お答え申し上げます。  最初に、条例に基づく認知症施策推進計画の策定についてでございます。  区では、認知症になっても自分らしく生きていける希望を持ち、意思と権利が守られ、安心して生活を営める地域づくり、また、参加と協働による共生社会の実現を目指し、条例の検討を重ねているところでございます。  一方、本年六月に認知症基本法案が衆議院に提出され、現在審議中でございますけれども、その中で特別区を含む市町村は、実情に即した認知症施策推進計画を策定するよう努めなければならないと定められております。今後、国の動向を注視するとともに、既存の区の計画との整合性等も勘案しながら、条例制定に向けました検討の中で認知症施策の総合的かつ着実な進展を図るための計画のあり方について丁寧に議論してまいります。  次に、意思決定の備え支援についてでございます。  認知症は、誰もがなる可能性があることから、自身のこととして判断能力があるうちに、認知症になってからの希望する暮らし等について書き記しておく意思決定に備える支援は重要と認識しております。区では、あんしんすこやかセンター等で配布しておりますあんしんガイドブックの中で私の覚え書きのページを設け、私の想い・願い等について書き記し、家族や親しい人に伝えることができるよう取り組んでおります。あんしんガイドブックは、区ホームページへ掲載しているとともに、講演会や認知症サポーター養成講座等で配布し、普及に努めております。  条例検討では、認知症当事者が希望を持ち、安心して自分らしく暮らすことができるよう、認知症当事者の尊厳を守るという視点を重視しながら、認知症になっても自分らしく、よりよい暮らしができる意思決定に備える支援等、権利擁護に関する課題を含め、具体的に検討してまいります。  続きまして、認知症在宅生活サポートセンターと人材育成についてでございます。  区では、令和二年四月に認知症在宅生活サポートセンターを開設し、区の認知症施策の拠点として在宅支援サポート、家族支援、普及啓発、技術支援、人材育成等の五つの機能を総合的に推進してまいります。センターでは、この機能に基づきまして、あんしんすこやかセンターの後方支援だけではなく、認知症当事者や御家族、介護事業者からの相談を受け、支援してまいります。また、今後もあんしんすこやかセンターや介護事業者等の認知ケアに携わる職員への人材育成にも力を入れてまいります。  今後、条例制定に向けました検討の中で、認知症意思決定の備え支援を推進する人材育成について検討を進め、認知症在宅生活サポートセンターが認知症当事者を支える中核機関となるよう準備を進めてまいります。  最後に、認知症の関係でございます。認知症ケアプログラムの推進体制についてでございます。  区では、平成二十八年度から認知症の人の行動心理症状の発生や悪化を予防することを目的とした東京都のモデル事業、認知症の人の地域生活を支援するケアプログラム推進事業を、他の自治体に先駆け実施してまいりました。その結果、行動心理症状の出現回数の減少や、重度の症状が軽度になるなどの成果が見られ、認知症の方の生活を支える上で有効なプログラムであると認識しております。  このため、平成三十年度よりケアプログラムを実施するための研修を、認知症ケアに携わる全介護事業所を対象として年二回開催しております。引き続き居宅介護支援事業者連絡会へ出向きまして参加を呼びかけるなど普及啓発を進めるとともに、令和二年四月開設の認知症在宅生活サポートセンターにおきましても、本ケアプログラムを活用した介護事業所への相談等の支援を行い、認知症ケアへの対応力向上に努めてまいります。  以上でございます。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、高齢者の住宅確保施策につきまして、福岡市のような居住支援協議会の運用について御答弁申し上げます。  福岡市における住まいサポートふくおか事業は、社会福祉協議会が相談窓口となり、住みかえでお困りの六十五歳以上の方を対象に、民間支援団体が提供する見守りや緊急時の駆けつけ、死亡後の家財処分など、さまざまなプランの作成や提案を専門相談員が行うとともに、協力不動産店や支援団体との必要な調整を行い、物件情報の提供へつなげております。  一方、世田谷区における居住支援協議会では、お部屋探しサポート事業と連携し、六十歳以上の方、障害者、ひとり親世帯、外国人、LGBTの方々を対象に、相談者が不動産店を回って賃貸住宅を探すのではなく、居住支援協議会の協力不動産店が、相談窓口において相談者との対話により希望する条件をお聞きしながらお部屋を探し、区内の賃貸住宅の空き室情報の提供を行うとともに、死亡後の遺品整理などの保険の紹介を行ってございます。  福岡市の例のように、専門相談員が入居後の生活支援サービスをコーディネートするサービスを加えることで協力不動産店と連携して賃貸住宅を探すことは、高齢者の入居支援としての効果も期待されることから、居住支援協議会を中心に支援体制づくりについて鋭意検討を行ってまいります。  以上です。 ◎工藤 危機管理室長 私からは、四点について御答弁いたします。  まず、自衛隊派遣要請についてです。  台風第十九号におけます自衛隊派遣要請は、区災害対策本部に派遣された玉川消防署の連絡員から、玉堤の浸水地域の状況報告に基づき、区災害対策本部に緊急支援要請がありました。そのため、区災害対策本部で自衛隊派遣要請を決定し、都に派遣要請を行っております。また、派遣要請後は迅速に活動していただくよう、区災害対策本部に派遣されております自衛隊連絡員を通しまして、自衛隊練馬駐屯地と連絡をとり、事前調整を行っております。  現在は、区では毎年度、自衛隊、警察、消防、ライフライン企業と関係機関訓練を行っておりますが、今回の台風第十九号における各機関の活動を共有し、関係機関の連携について改めて確認をいたします。さらに、今回の確認を踏まえ、自衛隊を含む関係機関との連携を深め、さらなる情報共有を図ってまいります。  次に、避難所の運営についてです。  区はこれまで、風水害の避難所として、区が風水害における避難勧告等の避難情報発令の対象災害と定めております多摩川の氾濫、野川、仙川の氾濫、土砂災害の避難所を指定しており、避難情報発令時には指定した避難所を開設しておりました。  しかし、今回の台風第十九号においては、台風の勢力等の気象情報や交通機関の運行中止の情報等を総合的に判断し、早目に避難していただけるよう、対象も区全域に広げまして、地区会館、区民会館の会議室等を開設し、避難者数、収容状況等を踏まえ、順次、区立小中学校を含め、開設避難所をふやしております。  今回の台風第十九号の検証においても、水害時の避難所の開設、運営体制につきましては重要な課題として捉えており、検証作業を通して水害時の避難所の開設、運営体制について検討してまいります。  次に、内水氾濫ハザードマップについてでございます。  現在区で作成している洪水ハザードマップは、多摩川版と全区版に分けて作成し、一枚の紙にまとめて配布しております。多摩川版の浸水想定区域は国土交通省京浜河川事務所が作成、公表したものを掲載しており、全区版の浸水予想区域は、都が作成、公表したものを掲載しております。  都の浸水予想区域図は、対象中小河川流域ごとに河川の氾濫と言われる内水氾濫である下水道等の浸水をあわせて表示したものですが、このたび平成二十七年度の水防法の改正を受けまして、対象降雨を、想定し得る最大規模の降雨を用いてシミュレーションをし、改定したため、来年度、洪水ハザードマップを更新いたします。  今回の台風第十九号の検証を踏まえまして、水害時の避難の仕方、水害時に開設する避難所に誤解が生じないように記載するなど、区民にとってわかりやすいハザードマップを作成してまいります。  また、各家庭で日ごろの備えとして活用いただくよう、地域の防災事業等で内容の理解促進につながるよう、総合支所と連携し取り組んでまいります。  最後です。防災ラジオについてでございます。  ラジオ放送による災害時の情報伝達は、誰もが簡単に情報を聞くことができる手段であり、高齢者等の情報弱者に対しましても有効であると認識しております。今回の台風第十九号の検証におきましても、コミュニティー・エフエム・ラジオ放送を行うエフエム世田谷からの災害情報発信の強化を課題として位置づけしております。  区といたしましては、今回の検証作業の中で、議員御紹介の防災ラジオについては、既に導入している自治体も多々あることから、どの手法が世田谷区にふさわしいのか、エフエム世田谷をどのように活用できるのか、政策経営部と連携し、検証し、対応策について検討してまいります。  以上です。 ◎中村 政策経営部長 二点御答弁いたします。  まず、エフエム世田谷についてです。  台風十九号に際して、エフエム世田谷では、スタジオにアナウンサーを初め放送スタッフを常駐させ、大雨警報発表以降、警報解除後の夕方までの三十七時間にわたり、平均して十七分ごとに警報発令や避難所開設など緊急情報を放送しましたが、刻一刻と変化する地域の被害や避難所の状況などのエリア情報を区民にリアルタイムに発信することについて、今後に課題を残したものと考えています。  今回のことを教訓として、災害時において一定の警戒レベルに達した以降は、災害情報のみを繰り返し放送すること、本庁はもとより、支所やまちづくりセンターなどの現場とエフエム世田谷との連携をより密にし、風水害が想定されるエリアの情報をリアルタイムに発信することなどについて具体的な協定づくりを進めています。今後ともエフエム世田谷を十分活用し、地域の安全と安心を支える情報を提供できるよう取り組んでまいります。  次に、保育園、児童館などのセグメント分析についてです。  行政の取り組みを評価する検討材料の一つとして、類似の民間事業のコストとの比較分析を行うことは必要であると認識しており、この間、区立保育園、新BOP、図書館についてフルコスト分析を行ってまいりました。  この中で保育園の運営費に関して、私立保育園は国や都の財源が充当されるのに対し、区立保育園はそれがなく、区の負担が大きくなっていることなど、財源構成等を明らかにしています。  今後、区立保育園については、医療的ケア児の受け入れなど公的な子どもの育ちのセーフティーネットの役割を担う地区ごとの拠点として、効率的かつ効果的な手法で、施設の老朽化への対応が必要となりますが、施策単位の評価分析をさらに進めることで、再整備時を捉えた私立保育園への転換を含め、再整備計画を取りまとめることができると考えております。  児童館につきましては、現在進めていますあり方検討と並行して事業評価を行い、御指摘の民間活用や整備の方向性など区の考え方を明らかにし、令和二年四月にスタートします子ども計画後期計画に反映させてまいります。  以上です。 ◎板谷 保健福祉部長 二点お答えをいたします。  初めに、マイ・タイムライン作成支援についてです。  このたびの台風を踏まえると、水害からの避難に必要な知識を正しく理解し、みずからに合った避難行動をとれることが大切です。その点から、東京都が示す東京マイ・タイムラインは、日ごろより水害からの避難を考えるためのツールとして大変有効な手段と改めて認識をしたところです。  中でも、みずから避難の行動をすることが困難な方や、避難行動に時間を要する方など、特に支援を要する避難行動要支援者は、マイ・タイムラインの作成は有効と考えますが、みずから作成することが困難である方もいるものと思われます。こうしたことから、今後区の水害におけるタイムラインの作成を見据え、避難行動要支援者への支援についても、関係所管と協議の上、他自治体の取り組みなども参考に、福祉事業者、協力団体などとの意見交換を行いながら適切な支援を検討してまいります。  次に、がん治療に関する情報提供についてです。  区では、あんしんすこやかセンターの在宅療養相談窓口で、緩和ケアや緊急対応が充実している在宅支援診療所等の情報を提供できるよう、職員に対し医療面のスキルアップを図る研修を実施しております。また、各医療機関で実施可能な治療、処置等の詳細な最新情報は、都の医療機関案内サービスひまわりに掲載をされており、区のホームページや在宅療養相談窓口で御案内をしているところです。在宅療養資源マップの更新に当たりましても、がん患者にとって必要な各種関連情報も掲載するなど、医療関係者などの御意見もいただきながら工夫を進めてまいります。  以上です。 ◎原田 清掃・リサイクル部長 私からは、二点お答えをいたします。  まず、食品ロス削減への取り組みについてです。  食品ロス削減は、廃棄物の減量や食品の生産、輸送などに係るCO2の排出抑制、広くは世界の飢餓の克服など、さまざまな問題の解決につながるものと認識しております。区ではこの間、各総合支所でのフードドライブ常設窓口の開設や、区イベントでのフードドライブの実施を含めた啓発など、食品ロス削減への取り組みを進めてまいりましたが、さらなる取り組みに向けて、ことし十月一日に施行された食品ロスの削減の推進に関する法律に基づき、食品ロス削減推進計画を策定する予定でございます。  食品ロス削減推進計画の策定に当たっては、区民や大学、病院などの事業者からアイデアを募るワークショップの実施などを通じて、食品ロスの削減に向けて広く連携協働できる施策を盛り込みたいと考えております。これらの取り組みを通じて、引き続き先進自治体と言われるように、食品ロスの削減を推進してまいります。  次に、紙おむつのリサイクルについてです。  区では、これまでも、ごみ減量化のために、不燃ごみに含まれる金属類の資源化や、粗大ごみとして出される羽毛布団の資源化など、費用対効果を勘案しながらさまざまなリサイクルに取り組んでいるところです。紙おむつにつきましては、社会の高齢化に伴い、使い捨て紙おむつのごみ量が増大しており、処理方法が大きな問題になっていることから、環境省がリサイクルのガイドラインの策定に向けて有識者による検討を進めております。  議員御指摘の企業のリサイクル技術につきましては、鹿児島県志布志市で来年六月ごろから一年間の実証実験を行った後、事業として本格化されると聞いております。  また、区と交流のある新潟県十日町市では、使用済み紙おむつをペレット化して、バイオマスボイラーで熱利用する実証事業が今年度スタートしました。今後、これらの実証実験を通じて紙おむつのリサイクルを進めるための事業化手順やコスト等が具体化していくことから、引き続き関係事業者や他自治体と相談してまいります。  以上でございます。 ◎長岡 高齢福祉部長 私からは、認知症施策推進条例について二点、フレイル予防について一点お答えいたします。  まず、認知症に対する理解についてです。  区では、認知症の正しい理解の普及啓発として、講演会、認知症サポーター養成講座及び認知症サポーターステップアップ講座を実施しております。講演会及び認知症サポーターステップアップ講座につきましては、区全域を単位とし、認知症サポーター養成講座につきましては地区ごとや町会・自治会、事業所や学校のクラスごと、サロン等の小単位で御要望に応じ実施しております。今後もこうした地区ごとの小さな単位で普及啓発の学習機会をふやし、区民の認知症に関する理解促進の充実に努めてまいります。  次に、認知症SOSネットワークの具現化についてです。  区では、地域での見守りに包括的に取り組んでおり、そのうちの一つとして、認知症の方の安全を守るため、高齢者見守りステッカー事業を実施し、早期発見、早期対応に努めておるところでございます。また、世田谷区社会福祉協議会が実施しているせたがやはいかいSOSネットワークの事業と連携し、地域の見守りに努めております。  先日、深沢地区では、まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者が連携し、ボランティアとともにせたがやはいかいSOSネットワークの声かけ模擬訓練を行うなど、実践的な訓練を実施しております。今後も社会福祉協議会のSOSネットワークと連携協力を強化し、深沢地区のような実践的な取り組みが各地区で展開できるよう働きかけてまいります。
     次に、フレイル予防についてです。  区では、月二回、区内二十八地区のまちづくりセンターの活動フロアにおいて、はつらつ介護予防講座を実施しており、フレイル予防に関する講話のほか、今年度から重りを使う世田谷いきいき体操を取り入れ、内容の充実を図ったところです。また、世田谷いきいき体操の自主活動の立ち上げを支援し、地域に住民主体の通いの場をふやすための取り組みも進めております。  本年十月には、国の高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインが改定され、後期高齢者健診で新たな質問票を活用し、介護予防事業につなげることなどが示されました。これを受け、区では令和二年度から、後期高齢者健診においてフレイル状態を把握する、この新たな質問票を導入する予定です。今後も、フレイル状態にある方が確実に介護予防に取り組めるよう、身近な場所での介護予防事業の周知や通いの場づくりをさらに推進してまいります。  以上です。 ◎畝目 都市整備政策部長 私からは、二点御答弁申し上げます。  初めに、見守りサービスに関する補助制度についてです。  居住支援協議会では、単身高齢者等の入居に際して、オーナーの不安を解消するため、電話による安否確認と遺品整理などがセットとなった保証サービスの普及に努めており、この見守りサービスに加入された利用者がお亡くなりになった際には、原状回復や遺品整理などの費用といたしまして約九十万円が支給され、オーナーの持ち出しがなく有効であったと聞いてございまして、世田谷区内におきましても、八十七歳の方の入居が成約してございます。  区といたしましては、単身高齢者や障害者などの入居支援として有効なサービスと認識しており、居住支援協議会主催のセミナーにおきまして、区内不動産団体等にサービス内容の説明や代理店登録をお願いするとともに、福祉所管とも連携し、多くの方にサービスを知っていただくため周知に努めているところでございます。  また、議員お話しの登録初回費用の補助につきましては、区といたしましても入居者の初期費用の負担軽減となり、サービスの利用を促進させていく効果は非常に高いものと考えてございます。現在、実施に向け鋭意検討を進めているところでございます。  次に、高齢者の住まい確保に向けた取り組みについてです。  区ではこれまで、公的住宅における高齢者の住まいといたしまして、区営住宅や区立住宅、また、世田谷トラストまちづくりで管理する高齢者向けのせたがやの家、福祉型住宅等を供給してまいりました。新たな区営住宅といたしましては、都営住宅移管時に建てかえを行い、平成三十年に竣工した豪徳寺アパート二号棟に単身高齢者住宅十四戸を確保し、令和二年度開設予定の一号棟では二十六戸を整備する予定となってございます。  区といたしましては、こうした都営住宅の移管につきましては、引き続き区営住宅等の全体ストックの更新時期や長寿命化等の計画を考慮し、都営住宅移管受入基準に基づき受け入れを進めるとともに、高齢者等住宅確保要配慮者の居住支援の取り組みについて、現在進めてございます第四次住宅整備方針の改定において、有識者等で構成する住宅委員会での御議論をいただきながら検討を行ってまいります。  以上でございます。 ◎辻 世田谷保健所長 私からは、がん相談について三点、まず、常設の専用窓口の開設についてお答えします。  保健センターのがん相談窓口では、これまで、がん患者や御家族等の不安などを傾聴し、必要な専門医療機関や区外の緩和ケア病床に加え、区内の在宅療養資源や福祉サービス等の情報を提供する役割などを担ってまいりました。また、現在、保健医療福祉総合プラザへ移転する保健センターを、がん患者や家族等を支える中核的機能の拠点と位置づけ、がん相談の質の向上やニーズ等の把握に努めつつ、利便性の向上に向けた窓口開設時間拡充の準備を進めております。  加えて、誰にでもわかりやすい、がん情報の発信の機能の構築や、がん患者とその御家族が安心して集える居場所づくりとしての、がんサロンの実施など、段階的に具体化するための検討を進めております。  区としても、御指摘の区民へがん情報等を案内し、相談等につなげる常設窓口の設置は重要と認識し、検討を進めております。来年度当初は、現状の相談窓口の拡充に加え、がん情報を提供できる常設窓口の開設に向け準備してまいります。  次に、がん治療と就労の両立支援コーディネーターの配置についてです。  医療技術の進歩により、治療と就労を両立するがん患者は増加する一方で、治療を続けながら働くための制度や職場の理解が不足するなど、課題が多いことも区は認識しております。そのため、区は平成二十八年度から東京都社会保険労務士会世田谷支部と連携し、がん相談窓口で、がん患者等の就労相談を開始いたしました。現在年間四回の就労相談を実施し、こちらは引き続き継続してまいります。  また、社会保険労務士会や東京商工会議所世田谷支部等で構成し、区内事業者等の健康づくりなどを議論する世田谷区地域・職域連携推進連絡会を通じ、がんの就労相談を積極的に区民、区内事業者等へ周知してまいります。委員御指摘の両立支援コーディネーターの配置につきましては、国のガイドラインや他自治体の事例等を参考に、世田谷区地域・職域連携推進連絡会の御意見などもお聞きしながら、今後の支援のあり方等を検証してまいります。  最後に、がん患者等への生活支援制度や福祉サービスの提供についてです。  現在、保健センターのがん相談窓口では、相談者の御要望に応じ、医療情報に加え、区の窓口の一つとして、区内の在宅療養資源や福祉サービス等の情報を提供しております。また、平成三十年四月にあんしんすこやかセンターに開設した在宅療養相談窓口では、がんに関する相談も寄せられ、がん相談と地域の介護サービスとの連携の重要性を改めて認識したところです。  そのため、あんしんすこやかセンター等の地域の社会資源との連携強化に加え、平成三十年度に関係団体等と設置した世田谷区がん患者等支援ネットワーク会議を通じ、今後も、がん患者のニーズや必要な情報等の把握に努めてまいります。さらに、これら状況等を踏まえ、がんの専門相談員への定期的な研修によるがん相談の質の向上や、がん関連の最新情報の獲得に努めつつ、相談窓口において相談者とその御家族が必要とする情報や助言等を確実に提供してまいります。  以上です。 ◎澁田 児童相談所開設準備担当部長 児童相談所の開設に向け、長期的視野に立った人材育成プログラムについてお答えいたします。  区は、児童相談所に配属された職員の専門性を高め、支援が必要な親子との信頼関係を築き、業務を遂行できるようノウハウの蓄積や事例検討などを組み合わせました人材育成プログラムを策定し、職員育成を進めることとしております。  また、児童相談所と子ども家庭支援センターや児童館、保育園を初めとする子ども家庭支援の現場と人材を循環させることで、区全体のソーシャルワーク機能のスキルアップを図ってまいります。これらの現場の経験は、いずれスーパーバイザーとして後進の教育や指導、ケースの進行管理等を担う際に役立つことを踏まえ、横断的、長期的な視点による職員配置を行ってまいります。  さらには、お話にございました民間団体との交流につきましても、多様な視点を取り入れていく上で有効な手段であると考えますので、今後検討してまいります。  多くの福祉現場を持つ基礎的自治体の強みを生かしたジョブローテーションを確立するとともに、関係機関との協力連携関係に基づきました長期的かつ多角的な視点からの質の高い人材育成に取り組んでまいります。  以上です。 ◎澁田 子ども・若者部長 東京法務少年支援センターとの連携を図った職員のスキルの向上についてお答えいたします。  東京法務少年支援センターは、少年鑑別所法に基づき設置されました少年等の鑑別業務を行う法務省管轄の専門機関であり、問題行動を起こしている家庭等の援助を積極的に行っております。非行の背景には、親による深刻な虐待などがございまして、家庭復帰や親子の再統合には親への支援が重要でございます。  これまでも、子ども家庭支援センターは、関係機関と連携しまして、このような家庭への支援にも取り組んできております。今後、区の児童相談所の児童福祉司とともに、子ども家庭支援センターが専門的な知識やノウハウを身につけまして、より一層の支援ができるよう、専門機関と連携して、研修をさらに充実させ、取り組んでまいります。子どもの最善の利益の視点に立ちまして、子どもが家庭や地域の中で安心し、暮らしていくことができるよう努めてまいります。  以上でございます。 ◎池田 教育政策部長 eラーニングについて御答弁させていただきます。  eラーニングについては、この七月から全ての区立中学校で運用を開始しており、授業での活用や家庭学習としての活用とともに、苦手な問題の学び直しができるなど、生徒一人一人の課題に合った学習を提供することで、不登校の生徒にも学習の習慣化や目標を持った取り組みの充実等に効果が見られております。  一方、小学校への拡大に当たっては、経費や通信環境の整備などの課題もあることから、まずは不登校対策アクションプランに基づき、ほっとスクールでの活用を検証してまいります。教育委員会といたしましては、こうした成果を踏まえ、小学校への拡大について今後検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◆三十一番(平塚敬二 議員) それぞれ御答弁いただきました。その上で三点再質問させていただきたいと思います。  初めに、区長にお聞きします。既に多摩川流域の狛江市、調布市、大田区では住民説明会を開催しております。世田谷区としては、いつ、この住民説明会を開催されるおつもりか伺います。  二点目は、がん相談窓口の開設ですが、総合プラザ開設と同時期の来年四月にスタートされるのか、明確にお答えください。  三点目は、フレイル予防についてです。国がフレイル健診の実施をするためにはフレイルサポーターが必要です。このフレイルサポーターの養成をどのように進めるのか、区の見解を伺います。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私から、台風に関する説明会について再質問にお答えいたします。  先ほど区長から御説明申し上げたとおり、浸水被害の原因究明、あるいは今後の対応策等を検討するために、学識経験者や関係機関の職員を含む検証委員会を設置し、検証作業を進める準備をしております。この検証作業につきましては一定の時間をいただかなければならないものと考えております。  一方、現在、罹災証明のために現地調査を行っているところですが、こうした中、支援策についての御相談もあることから、被災された方々に対する災害見舞金等の支援策についての御説明の機会が必要と考えております。その日程等につきましては、改めて議会に御報告させていただきたいと思います。  以上でございます。 ◎辻 世田谷保健所長 がんの相談窓口の再質問にお答えいたします。  まずは、四月に新保健センターに、がんに関する最新情報や区の支援サービス等を紹介できる窓口を常設するとともに、がん相談等を希望する区民の予約受け付けなど来訪者への対応を図るように準備を進めてまいります。  さらに、がんの専門相談の常設窓口の開設は、人材確保などの課題があり、難しいと考えますものの、来年度内のでき得る限り早い時期に、がんに関する相談を受け、御要望に応じ必要な情報の提供や専門病院等の紹介、専門相談の案内と予約などができる常設窓口の開設に取り組んでまいります。  以上です。 ◎長岡 高齢福祉部長 フレイル予防について、フレイルサポーターの養成についてお答えいたします。  区では、区民同士がお互いにサポートし合いながらフレイル予防に取り組めるよう、地域デイサービスや世田谷いきいき体操グループで活動している方を中心に、区民同士で実施するフレイルチェックなど住民主体のフレイル予防の推進に取り組んでおります。  ことしの七月には、世田谷いきいき体操グループ等を対象とした体力測定の講習会を実施し、三十名ほどの方に御参加いただきました。また、十一月初旬には講習会を受講した方が中心となり、住民の手による体力測定会を実施したところでございます。  今後も引き続き、地域で活動する区民の皆様や保健センター等の関係機関と連携を図りながら、世田谷らしいフレイル予防の取り組みを推進してまいります。  以上です。 ◆三十一番(平塚敬二 議員) 御答弁いただきましたけれども、この今回の台風被害に関しまして、ほかの地域は既に住民説明会をしっかりと行っているんですよね。住民の声を聞いているという現実があります。先日も新聞報道でありましたけれども、世田谷が悪いんだみたいな報道がありまして、私もそれは納得いかない話ですから、ぜひとも住民の話を聞いていただけるといった機会をつくっていただきたいと思います。そしてまた、そのことによりまして皆さんに納得していただいて、そこからまた新たなスタートがあると思いますので、ぜひとも早期の開催を求めまして、公明党世田谷区議団を代表しての質問を終わります。 ○和田ひでとし 議長 以上で平塚敬二議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 次に、世田谷立憲民主党社民党を代表して、四十五番中塚さちよ議員。    〔四十五番中塚さちよ議員登壇〕(拍手) ◆四十五番(中塚さちよ 議員) 世田谷立憲民主党社民党区議団を代表し、順次質問いたします。  最初に、台風十九号を教訓とした災害対策についてお尋ねします。  広報や避難所の課題についてです。  十月に上陸した台風十九号は、本区でも想定外の被害をもたらしました。多摩川、野川近辺など水害が予想される地域に避難勧告、避難指示が出される中、収容人数を上回る多くの区民が避難所に避難し、入り切れない人が出ました。また、避難所の場所が水害を想定されておらず、高齢者などが向かうには遠い場所であったり、橋を渡らなければならず、増水時に危険な場所にあるなどの問題も、私どもでは、かねてより指摘をしてまいりました。  区は、避難所が定員に達したため、大蔵総合運動場を開放するなどの対策を行いましたが、高齢者や障害のある方、小さな子ども連れの方などは、指定された避難所からさらに次の避難所に移動するのは困難です。最初から住民全員分の避難所スペースはなく、支援物資にも限りがある中で、ホームページやSNSで、避難所で対応する人の優先順位を明確にし、受け入れ状況をリアルタイムにアナウンスするといった対策が必要ではないでしょうか。  また、今回の災害に当たり、災害協定を結んでいないにもかかわらず自主的に会議室を開放してくれた企業や、災害協定の範囲外の場所も避難スペースに開放してくれた大学もあったとのことです。区では今後、避難所をふやす予定と聞いていますが、これらを教訓に、災害協定のさらなる見直しや協定先の確保を検討すべきと考えます。区の見解を伺います。  風水害の特徴を踏まえた対策について質問いたします。  今回の災害は、多摩川の増水により雨水処理能力を超えて水が市街地にあふれ出てしまう内水氾濫という特徴がありました。今後は首都直下型地震への備えのみならず、風水害などの特徴を踏まえた災害への備えが必要です。一級河川である多摩川の改修は国の仕事となっていますが、被害が集中した下流域の河川改修計画は、これまでどおりでよいのでしょうか。国土交通省に対し計画そのものの見直しを、区から国に対し申し入れていくべきだと考えます。あわせて未堤防地域の堤防整備、堤防のかさ上げや、環境に配慮しつつ川の流水能力を向上させる河道掘削などを行うよう要望していただきたいと思います。答弁を求めます。  ボランティアによる支援体制の構築についてお尋ねします。  区には、災害時のボランティアを集めて派遣している世田谷ボランティア協会があり、東日本豪雨などで汚泥のかき出しなどの活動をした経験豊富なボランティアが多数登録しています。私もこの活動に参加したことがありますが、区内在住の方も多くいらっしゃいました。近くの区民であれば、こうした災害時にすぐに駆けつけられるため心強いものです。区が被災した場合も、ボランティアの支援活動がしっかり機能することが求められますが、世田谷区と世田谷ボランティア協会とでは、今回どのような連携を行い、活動が展開されたのでしょうか。  二番目に、公共施設の整備と管理のあり方についてお尋ねします。  区では、平成十七年四月以来、公共施設整備の基本方針として公共施設整備方針を策定し、厳しい財政状況の中、施設の複合化や借り上げ施設の返還等により効率的な施設整備を行うとともに、指定管理者の導入や民営化により区民サービスの向上と効果的な施設の維持管理に取り組んできました。  そうした中、都立玉川高校の跡地は、今年度までの暫定利用となっておりましたが、保育や介護など公共ニーズを満たす施設整備が期待できる、得がたい場所と考えます。来年度以降も、土地取得も視野に入れ、区で活用できるよう都に対し引き続き要望していくべきと考えます。区の見解を伺います。  また、指定管理者制度は導入以来十五年が経過しています。公共施設の管理運営を行う事業者を原則公募とすることで、民間の手法を生かした柔軟なサービス提供や管理運営経費の削減による自治体の負担軽減などのメリットがあると考えられてきましたが、現状を見ると、公募の内容が、民間事業者にとって事業収入を得られるメリットに乏しい内容であったり、制度開始以来、特別の事情により一度も公募が行われていない施設もあるなどの課題が明らかになっています。  区では今般、指定管理者制度の運用指針の見直しを行う予定とのことですが、こうした課題が改善なく続いているのは問題です。公募が行えない施設は、指定管理者制度の対象とすることが適切なのかどうかを再検証し、直営や委託など他の運営方法を検討するなど、他自治体の例も参考に検証を行うべきと考えます。区の見解を伺います。  次に、世田谷区公契約条例の今後についてお尋ねします。  アベノミクスによる成長戦略が打ち出されてから七年がたちましたが、国民の実質賃金は上がっておらず、景気回復の実感に乏しい状況が続いています。厚生労働省の統計データ偽装問題や、デフレから脱却し切れない中での消費増税による景気停滞など、現政権での経済政策には限界が見え始めています。  公共事業を担う建設業界などの強い要望を受けて区が制定した公契約条例は、労働条件の改善による雇用の安定や地域経済の活性化にも役立つものと考えます。人手不足が続く建設関連はもとより、保育士や福祉施設で働く調理師なども賃金が低く、待遇改善が急務となっています。公契約条例における職種別、業種別賃金体系の早期設定を求めます。  また、労働報酬下限額が公共工事の工事費の積算に用いられる設計労務単価の八五%というのは、他の自治体と比べて明らかに見劣りしているため、上げていくべきと考えます。区としては今後どう取り組む予定でしょうか、答弁を求めます。  次に、国際交流の充実、強化について質問いたします。  旅行者などを一般住宅に有料で宿泊させる民泊を全国解禁する住宅宿泊事業法の施行に合わせて、本区では昨年、住環境を重視する観点から、特に住居専用地域での民泊の営業日数などを制限する条例を制定しています。  そのような中、先般、区議会に提出されたイベント民泊の実施を求める陳情が採択されましたが、民泊の営業日数の増加に関しては継続審査となりました。我が会派が慎重な判断をした根拠には、家主居住型の民泊に関しては、訪日外国人の日本文化体験や、日本人との交流が期待できる一方で、家主不在型の民泊は、そうした効果が見込めないことや、聞き方に課題はあったものの、区民アンケートで民泊が近くにできることに対し不安を持つ区民が多く、住環境を重視する砧地域では民泊が一カ所もないなど、訪日外国人の滞在に対する区民理解がまだ十分ではないと思われる現状があります。  本区では、民泊に対しては、他自治体よりも厳しい制限を設けている一方で、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例を制定し、多文化共生のまちづくり、地域の国際化を推進する立場にもあります。家主不在型の民泊には引き続き一定の制限を設けて良好な住環境を維持すると同時に、区が積極的に地域社会全体の国際理解を進めていかなくてはなりません。  区では二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けた、まちなか観光事業の一つとして、外国人向けホームパーティー事業の企画実施などに取り組む予定ですが、これは一端にすぎません。先駆的にホームステイやイベントを通した交流に取り組んでいる民泊事業者のネットワークや学生ボランティアなどを中心に、区民主体の草の根の交流をさらに広げて、多文化への理解を地域社会に広く根づかせることを期待します。区は今後どう施策展開していくのか、答弁を求めます。  議会としても、小中学生の相互交流を通した異文化理解を進めることを目的に、議員連盟を発足し、新たな交流自治体の発掘を行い、小中学生の派遣交流の拡充につなげたところです。フィンランド、台湾、ポートランドなどとの交流をさらに拡充していけるよう、区のほうでも推進すべきと考えます。見解を伺います。  次に、超高齢多死社会の課題解決に向けてお尋ねいたします。  希望に沿った終末期ケアを受けられる仕組みづくりについて。  高齢化が進展した我が国は、人口減少、少産多死社会を迎えています。単独世帯の増加や離婚、離散などで家族関係が複雑化している中で、最後まで自分らしい人生を送るための準備や、そこに向けて人生の総括を行う、いわゆる終活について、高齢者を中心に関心が高まっています。  国では、もしものときに個々人の人生の終末期における意思決定が担保されるよう、みずからが望む人生の最終段階における医療、ケアについて前もって考え、医療・ケアチーム等と繰り返し話し合い、共有するアドバンス・ケア・プランニング、ACPの取り組みを推奨し、医療・介護現場でも取り入れられ始めています。  区内でも医療機関、介護事業者、区民などにさらなる普及啓発を進めるとともに、実際に自分の意思が伝えられない状況に陥った場合に実効性を発揮できるよう、区は仕組みづくりに着手すべきと考えます。答弁を求めます。  また、介護従事者の待遇改善についても質問いたします。  質の高い介護を実現していくためにも、介護人材の待遇改善は欠かせない課題です。経験十年以上の介護士の給料を月額八万円アップするとして話題になった特定処遇改善加算が本年十月よりスタートしていますが、区内での取得状況はいかがでしょうか。  私も介護現場で仕事をしておりますが、十月からこの加算を設定した事業所は、大手の法人が運営する事業所がほとんどで、区内に多い小規模事業者では取得できていない状況との実感があります。調査でも、小規模な事業所では取得している割合が低いとの結果が出ているようです。  小規模事業者であっても、多くの事業所で既に職員のキャリアパスを定めるなどの取り組みが実施され、これまでの処遇改善加算を取得していることから、書類を整え申請すれば、特定処遇改善加算を取得できる条件が整っている事業所も少なくないと考えられます。区内の事業所の実態把握を行い、小規模事業所も加算を取得し、職員の待遇改善が行えるようバックアップするよう求めます。区の見解を伺います。  次に、子どもの安心安全を守る環境づくりについて、児童相談所移管にかかわる取り組みについてお尋ねします。  本区で児童相談所を開設するに当たり、我が会派では北九州市の児童相談所視察を行ってまいりました。北九州市では、これまで非行への取り組みを行ってきた経験から、警察との連携が密であり、児童相談所の職員は学校長など現場の先生方が務めるなど、児相、学校、教育委員会、警察が縦割りではなく、一丸となって取り組んでいる特徴がありました。警察や教員の人事権がない本区では、北九州市のやり方をそのまま取り入れるというわけにはいきませんが、子どもにかかわるさまざまな機関が漏れなく連携することが重要と考えます。  まずは学校、警察、医療機関や子どもにかかわるあらゆる機関が参加し、児童相談所を中心とした会議を行い、皆が一歩踏み込んだ支援が行える体制を構築すべきと考えます。区の見解を伺います。  また、里親制度の現状と今後の取り組みについてもお尋ねします。  児童相談所を開設するに伴い、保護した子どもたちの行き場の確保が不可欠となります。現在も、虐待だけではなく、養育困難な家庭がふえている中、一時保護所は常にほぼ満員であり、すぐに受け入れられないという状況にあります。施設だけではなく、子どもたちが家庭的な環境で過ごすことのできる居場所を提供してくださる里親をふやすことも、区が責任を持って行っていかなくてはなりません。
     福岡市では、NPO法人と連携し、民間の視点を生かした広報等による里親開拓に成果が上がっているとのことです。子どもたちがこれまでと同じ学校に通うことができるよう、各地域に里親の確保を目指すなど、福岡市では一歩進んだ取り組みを行っていることに大変感銘を受けました。区内の里親制度の現状を見ると、国の掲げた目標にはほど遠いのではないでしょうか。今後の取り組みをどう考えているか、見解を伺います。  次に、交通まちづくりの進め方について質問します。  区では、鉄道・バス路線の整備が進んでいない交通不便地域の解消に向けて、従来より交通事業者と連携協力し、新規バス路線を開設するなどの取り組みを行ってきました。  しかし、今般、公共交通対策等特別委員会に示された案では、砧地域での実験を皮切りに十地域におけるコミュニティーバスの導入、運行に区の補助金を支出するとのことです。これは余りに性急な提案で、熊本区政以来の区の方針を覆すものであり、我が会派としては容認しがたいと考えております。区はどういう考えで方針転換を行うのでしょうか。  現在、区では、誰もが安全で快適に移動できる交通体系や交通サービスの確立を目指す世田谷区交通まちづくり基本計画の中間見直し作業を行っているところです。買い物や通院など日常の外出に支障がある高齢者、障害者にとって、移動手段の確保は重要な課題と認識しておりますが、インターネットでの買い物や宅配サービスが充実し、訪問診療などの在宅医療も進展している中で、ニーズに対し性急にバスを走らせて解決するのがベストな方法なのかも疑問です。  また、これまでも区では地域包括ケアの取り組みの中で、乗り合いバスによる買い物難民支援などを行ってきた実績もあります。そうした福祉部門の取り組みなども実態把握、分析しているのでしょうか。世田谷区地域公共交通会議で議論されてきたようですが、委員の構成を見ても、福祉部門との連携や住民参加が不十分です。こうした法定の会議だけではなく、超高齢社会における多様な交通課題の解決に向け、もっと有意義な議論を深められる仕組みづくりを求めます。区の見解を伺います。  最後に、平和教育の推進について質問いたします。  我が国に三十八年ぶりにローマ教皇が来日し、一昨日の十一月二十四日には被爆地の広島、長崎などを訪れました。今回の来日のきっかけになったとも言われているのは、原爆投下後の長崎で撮影された「焼き場に立つ少年」という一枚の写真です。  教皇は二〇一七年末に「戦争がもたらすもの」とのメッセージを添えて、この写真を印刷したカードを教会関係者に配布し、このような写真は、千の言葉よりも多くを語る、だから分かち合いたいと思ったと述べたとのことです。  さて、我が会派では先般、リニューアルした広島平和記念資料館を訪問してまいりました。核兵器により多くの人々が命を奪われ、生き残った人たちが被爆の後遺症や差別や偏見に苦しむさまがまざまざと写し出された写真、絵画、遺品などの展示を閲覧するとともに、子どもたちに平和のとうとさをどのように伝えていくか、資料館副館長と意見交換を行いました。  我が会派としては、被爆国である我が国が核兵器禁止条約になぜ署名、批准しないのか甚だ遺憾であり、令和元年五月の臨時会で提出した「日本政府に核兵器禁止条約の署名と批准を求める意見書」が世田谷区議会で全会一致とならず否決されたことは、改めて残念でなりません。  今の政治家たちが実現できない核兵器の廃絶に向け、これから国際社会に対し声を上げ、行動できる若い世代を育てていく取り組みを、区は積極的に推進していくことが求められます。  例えば小平市、東大和市、東村山市などでは、平和学習の一環として、小中学生を広島市に派遣しています。まずはこうした他自治体の例も参考にした取り組みの実施や、身近なところでは区内の戦跡や東京大空襲などの戦争体験者から話を聞くなど、子どもたちが戦争の恐ろしさや平和について体験できる機会を充実するよう求めます。  また、広島平和記念資料館の展示物は、戦争の悲惨さ、平和の大切さを知る上で、他にかえがたい貴重な資料です。世田谷区の平和資料館をさらに充実するとともに、より多くの子どもたちが戦争について体験学習できるよう、広島平和記念資料館の展示を、例えば世田谷美術館に誘致し、定期的に企画展を行うなどの取り組みができないでしょうか、区の見解を求めます。  以上で壇上よりの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 中塚議員にお答えをいたします。  台風十九号の際の避難所のあり方、また、情報伝達についてお尋ねがございました。  今回の台風十九号におきましては、まずは自主避難所八カ所開設を準備いたしました。当初開設した避難所に次々と区民の方が避難に来られる中で、避難所の収容状況や、また避難情報を発令する過程で、さらに避難所増設をする、最終的には計二十七カ所の避難所を学校や民間施設なども含めて進めてきたところであります。  一方、その中で、収容人員がいっぱいで、その避難所に入ることができなかったり、また、他の避難所に移動しなければならないなどの声も多く寄せられました。避難所運営及び情報提供にかかわる体制は今後の大きな検討課題と考えています。  そして、引き続き風水害時の高齢者や障害者等の避難行動要支援者に対する対応や、福祉避難所のあり方を関係所管と確認、再調整していくとともに、災害対策本部と地域本部が避難所の状況を正確に把握できるよう緊密に連携してまいります。  あわせて、区民に対しエフエム世田谷ホームページ、ツイッターなども活用して、避難所における対応状況、キャパシティー、今後の開設予定などをタイミングよく、かつ漏れなく伝達する方法を検討してまいります。  また、こういった中で果たして避難所の位置、開設運営体制が適切だったのかも検証し、水位上昇に伴う避難勧奨や避難勧告、指示などと関連づけをした避難所の開設予定をあらかじめ取り決めるなど、水害避難所対策を進めてまいります。  次に、世田谷区公契約条例についての現在の課題についてお尋ねがございます。公契約条例に基づく働く方、労働者の最低賃金である労働報酬下限額が引き上げられていくことは、区から事業を委託した事業者のもとで働く労働者の賃金水準が上昇するとともに、区で働く非正規雇用の職員の皆さんの待遇も改善し、これらに伴って正規労働者の賃金の上昇、さらには地域経済への波及が期待されるところであります。  昨今の区内事業者の経営環境につきましては、福祉分野及び建設業を中心に、人材不足が著しく大きな問題となっており、公契約を履行する上でも、それぞれの業務に見合った職種別の労働報酬について急ぐべき検討課題であると認識しております。  現在、今年度で三期目となる公契約適正化委員会に対し、工事以外の公契約における職種別の労働報酬のあり方について諮問を行い、審議をしていただいています。来年度末には答申をいただく予定となっておりまして、この答申内容を十分に踏まえ、職種別の労働報酬下限額の設定について鋭意検討してまいります。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、旧玉川高校跡地についてでございます。  旧都立玉川高校跡地につきましては、区といたしましては、公共需要は大きいと考えておりまして、広域生活・文化拠点としてのにぎわいの創出、人生百年時代を見据えた多世代交流、健康増進を図るための拠点など、全区的な視点に加えまして、地域地区の施設需要も踏まえて検討を行っているところであり、本年度中に跡地活用に向けました区の基本的な考え方をまとめ、東京都に要望してまいりたいと考えております。  なお、敷地面積が約二万三千平米と広大であることから、跡地の取得、賃借の選択につきましては慎重な検討が必要だと考えております。  現時点では東京都の意向を踏まえていくことが必要となりますけれども、この費用対効果、諸条件等も勘案いたしまして、議会での御議論をいただきながら総合的に判断してまいりたいと考えております。  以上でございます。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、二点御答弁申し上げます。  まず、多摩川河川整備計画における下流域の計画見直しについてでございます。  二子玉川の無堤防箇所における一刻も早い堤防整備や、暫定堤防の当初計画の高さまでの改修整備等につきましては、今月七日に区長から直接要望書を国に対して提出したところでございます。  この間、京浜河川事務所とは密に連絡をとっておりますが、台風第十九号の降雨による多摩川の水位上昇の要因については、国において調査分析中であり、今般の洪水では、現在の河川整備計画を上回る水量が流れたことから、まずは今回と同様な水量を計画高水位以下で流せるように河道掘削等を検討する旨、また、河川整備計画の見直しについては、調査結果を踏まえてその対応を考えていきたいとの話を聞いております。  今後とも国の動向を注視するとともに、多摩川の治水安全度の向上に向けて、多摩川沿川の自治体とも連携を図りながら国に働きかけてまいります。  次に、コミュニティーバス路線開設について、経費補助について御答弁申し上げます。  区は、これまでコミュニティーバスを十路線導入してまいりましたが、小型バス以上の車両の活用が可能な路線については、バス事業者による自主運行が基本であると考えており、今後もコミュニティーバス運行に関する経費補助は行わない形での導入検討を進めていくこととしております。  一方、今回御報告した新たな制度は、小型バスが通行できるような道路もなく、事業採算上バス事業者の事業参入が困難な公共交通不便地域において、福祉的支援を受けていない高齢者の方々を主な利用者層とした定時定路線のワゴン車を活用した新たな公共交通となります。ワゴンタイプでの乗り合い運送事業は乗車定員が少なく、運賃収入のみでの事業成立が困難であることから、今回新たに公費負担を伴う制度を検討したところですが、まずは砧地域における実証運行の実現に向けた準備を着実に進めるとともに、さらなる経費削減はもとより、地域との連携により運賃外収入確保に取り組み、安易な公費負担とならないよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎工藤 危機管理室長 私からは、避難所の拡充について御答弁いたします。  今回の台風第十九号の検証におきましても、水害時の避難所の開設、運営体制につきましては重要な課題として捉えております。今後、検証作業を通しまして議員御指摘のように民間施設が自主的に避難スペース等を開放していただいたケースがあったことは認識しておりますので、水害時の避難所の開設、運営体制につきまして、民間施設の拡充も含め検討してまいります。  以上です。 ◎板谷 保健福祉部長 私からは、二点お答えします。  初めに、台風十九号におけるボランティア活動についてです。  今回、区と世田谷ボランティア協会との災害時におけるボランティア活動等に関する協定に基づき、発災直後の十三日に区が協力の要請を行い、ボランティア協会が被災状況の確認や被災者要望を伺いました。被害が玉川地域に集中しており、翌十四日にボランティア協会と玉川総合支所や関係機関が協議し、二子玉川まちづくりセンターの活動フロアの一部に活動拠点を設置いたしました。ボランティア活動の経験ある区民の方などには個別に協力を依頼するとともに、広く一般ボランティアの受け入れと派遣を行いました。  その後、十九日からは活動拠点を玉川ボランティアビューローに移設し、十一月十七日現在、延べ九百三十三人のボランティアを派遣し、そのうち区民の方は、区内大学の学生ボランティアを含め約半数でございました。  次に、ACP、アドバンス・ケア・プランニングの普及啓発について御答弁いたします。  もしものときのために前もって自分が望む医療やケアについて信頼する人たちと話し合い、共有するACPの取り組みについて周知理解を深めるよう、区では区民向けのシンポジウムや各地区でのミニ講座を初め、医療職、介護職が参加する各種研修等を実施してございます。  一人一人が自分の望む医療や終末期の過ごし方について主体的に考え、選択できるよう、医療、介護の受け手と担い手の双方に向け、来年度、最終段階の医療等について記載をしたガイドブックの作成を予定しております。  作成に当たりましては、医療連携推進協議会で医療・介護関係者から御意見をいただき、ACPの普及啓発の効果が上がるよう、構成内容や活用方法の検討も進め、医療や介護現場などさまざまな場面でのACPの実施機会の増加を目指してまいります。以上です。 ◎中村 政策経営部長 私からは、指定管理者制度について御答弁いたします。  このたび案を策定しました指定管理者制度のガイドラインでは、事業者の競争性を確保する観点から、改めて公募の原則を明記しておりますが、他自治体では、指定管理者の自主事業など裁量を広く認めることで住民サービスの拡大や物品の寄贈など施設への還元につながるとともに、事業者の収益を高めている事例もございます。  今後、施設の設置目的を損なうことのないよう配慮しながら、例えば自主事業の裁量の範囲を広げる募集条件にするなど、施設所管とともに見直しをしていきたいと考えております。  また、特別の事情により公募によらない指定を継続している施設については、改めて公募が可能か、非公募が適切な場合は民営化や委託、直営など、ほかにふさわしい運営方法がないか、他自治体の例も参考に、最適な運営方法を継続的に検証してまいります。  以上です。 ◎進藤 財務部長 私からは、公契約条例の労働報酬下限額についてお答え申し上げます。  工事請負契約の労働報酬下限額は、東京都の公共工事設計労務単価の八五%以上としており、この率は平成二十八年度に初めて設定して以降変更しておりません。毎年公契約適正化委員会の労働報酬専門部会より出される労働報酬下限額の意見書においても同様となっております。  このことについて、平成二十八年度以降、基礎となる設計労務単価が国策により毎年上昇し、実質的な労働報酬下限額が増額となっており、まずは公契約条例の実効性確保に力点を置くべきとの意見をいただいております。区としてもこの意見を踏まえ、下限額の率は据え置き、実効性の確保に向けて引き続き事業所の実態調査や現場への周知徹底などに努めてまいります。労働報酬下限額につきましては、今後も専門部会の意見を尊重し、区として決定してまいります。  以上でございます。 ◎松本 生活文化部長 私からは、二点についてお答えをいたします。  まず、多文化共生施策についてでございます。  区は、本年三月に策定した世田谷区多文化共生プランの理念を広く区民へ普及啓発するため、異文化交流の機会としての国際メッセの開催や、区民と在住外国人の意見交換会の実施、町会・自治会による多文化理解研修での説明などに取り組んでおります。また、来年四月には、せたがや文化財団に(仮称)国際事業部を設置いたしますが、多文化共生や国際交流等に関する情報の発信、提供を行うとともに、国際交流や外国人支援を行う活動団体などが集うプラットホームの役割も担ってまいりたいと考えております。今後、区とせたがや文化財団が密接に連携し、こうした取り組みを充実させながら区民一人一人の国際理解を進め、誰もが暮らしやすい多文化共生社会の実現に取り組んでまいります。  続きまして、平和施策についてでございます。  世田谷区立平和資料館は、本年三月のリニューアルに合わせ、新たに広島平和記念資料館より提供された写真や資料等を展示する広島原爆コーナーのほか、長崎原爆資料館、沖縄県から提供された写真や資料等を展示する長崎原爆、沖縄戦の各コーナーを設置し、充実を図ったところでございます。  児童生徒に向けた取り組みとしては、区立中学校での巡回展に加え、川崎市平和館との間で、中学生が施設を相互に見学する交流事業を行っているほか、夏休み期間中には、社会科や歴史の授業に合わせた資料提供を行い、児童生徒の学習支援を行っております。  平和資料館の充実に向けては、広島平和記念資料館を初め他自治体にある平和資料施設との連携を深めてまいりたいと考えております。また、子どもたちの体験学習機会の拡充については、利便性や施設目的も踏まえ、平和資料館外での企画展の方策について検討してまいりたいと存じます。  以上でございます。 ◎池田 教育政策部長 私から二点御答弁申し上げます。  まず、小中学生の海外派遣についてでございます。  小中学生の海外派遣については、今年度から新たにフィンランドへの派遣を開始し、派遣した子どもたちからは、非常に有意義な体験であったとの報告を聞いております。来年度についてはアメリカ合衆国オレゴン州ポートランド市への中学生派遣を予定しており、今年度は学校長などによる現地確認を行うなど準備を進めているところです。  また、台湾・高雄市との教育交流についても、令和二年度の現地確認、令和三年度からの派遣を行いたいというスケジュール感のもと、情報収集や調整検討を進めております。  今後の教育交流のあり方については、区長部局とも連携し、年度内を目安に改めて整理させていただくことを予定しておりますが、さまざまな準備や検討については着実に進めさせていただきたいと考えております。  続きまして、平和教育についてでございます。  学校では、広島、長崎への原爆投下や、その被害の大きさなどについて歴史分野の中で学習するなど、平和を学ぶ取り組みを進めております。また、平和資料館職員による出前授業や平和資料館の所蔵する写真や資料を学校展示する巡回展示の見学などを通じて、子どもたちは戦時下の世田谷の様子などを学んでいるところです。  また、学校の中には、修学旅行で広島を訪れ、原爆ドームや平和記念資料館を見学し学びを深めている学校や、ゲストティーチャーとして戦争体験者を招き、直接体験談を聞く活動を行っている学校もございます。  教育委員会といたしましては、校長会等を通じて各校の取り組みや他自治体の取り組みを紹介するとともに、戦争体験者の話を映像として所蔵している平和資料館の利用を夏休みの機会などを捉えて案内していくなど、子どもたちが戦争の恐ろしさや平和について体験を通じてより深く学ぶ機会を広げるよう取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎長岡 高齢福祉部長 私からは、介護従事者の処遇改善についてお答えいたします。  区内事業所における介護職員特定処遇改善加算についてですが、区に指定権限がある地域密着型サービスは、十一月十五日現在、休止中の事業所を除く二百二十九事業所のうち五六・八%から、また、東京都に指定権限があるその他のサービスにつきましては、十一月一日現在、おおむね六割程度の事業所から加算取得の届け出がされております。  福祉医療機構が実施した当加算に関するアンケート調査では、収益規模が小さい法人は取得しないとの回答割合が高い結果が出ております。当加算の要件は、従来の処遇改善加算を取得していることに加え、複数の職場環境要件等が必要となっておりますが、従来の加算は既に九割程度の事業所が取得していることから、区といたしましては事業者団体である世田谷区介護サービスネットワークを通じた当加算取得に向けた具体的な内容の周知に努めるなど、より多くの事業所が取得できるよう支援してまいります。  以上です。 ◎澁田 子ども・若者部長 児童相談所移管にかかわる取り組みについてお答えいたします。  世田谷区では、児童福祉法に基づき、要保護児童支援協議会を設置し、全区協議会では、児童相談所を初めとして校長会、警察、医師会、私立幼稚園の協会の代表等の関係機関や団体の代表者に参加していただいておりまして、全区的な課題や情報共有をしております。  また、支所ごとに設置されました地域協議会における個別の要保護児童等への支援の検討に当たりましては、当該児童の生活にかかわる私立学校や医療機関などの関係機関にも働きかけまして、この協議会に参加をいただいております。  引き続き個別の事例検討に当たりましては、その子どもに対する支援や見守りができる関係機関に御参加をいただきまして、子どもの最善の利益を確実に守るために協力して取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎澁田 児童相談所開設準備担当部長 区内の里親の現状と今後の取り組みについてお答えいたします。  本年四月における区内の養育里親の登録数は三十七家庭ございまして、うち十九家庭でお子さんの養育委託が行われております。また、特別養子縁組を御希望される家庭の登録数は二十家庭となっております。  拡充に向けましては、啓発、リクルート業務や研修業務を一元的に外部委託し、民間の戦略的な情報発信や効果的な里親の育成体制を整備するとともに、専任で支援に当たります児童福祉司の配置や児童養護施設等と連携した支援に取り組んでまいります。  開設二年を目途に、実績を踏まえまして計画の見直しを図るとともに、お話にございましたとおり、各地域に里親家庭が登録されるなど、さらなる展開を目指しまして、温かな家庭養育の推進に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎五十嵐 道路・交通政策部長 私からは、公共交通不便地域対策における福祉部門との連携や住民参加についてお答えいたします。  公共交通不便地域対策につきましては、地域包括ケアにおける買い物ツアーなどの買い物支援の状況等とあわせて検討を進めてまいりました。また、世田谷区地域公共交通会議を設置し、区民の方にも御参加いただき、砧モデル地区を主な議題として、さまざまな御意見をいただいてきたところです。  今回、ワゴン車などを活用した新たなコミュニティー交通導入に向けた検討を進める旨の御報告をいたしましたが、福祉的な移動サービスの対象外の高齢者に対する支援として、買い物ツアーや移動販売も重要な方策の一つになると考えております。  当部が進める移動環境整備とあわせ、買い物支援については、各総合支所が中心となって地域のニーズを丁寧に酌み取り、経済産業部などとの連携により進めることとしておりますが、今後も住民参加のもと、適宜御意見をいただきながら、多様な交通課題の解決に向け連携して取り組んでまいります。  以上です。 ◆四十五番(中塚さちよ 議員) 答弁ありがとうございました。特に区長、また岡田副区長から災害対策に関しまして非常にいろいろな取り組みについて御答弁いただきましたので、しっかりやっていっていただければと思います。
     中でも、先ほど他会派からもありましたけれども、水害に関しまして、ぜひ地元説明会をしっかりやっていっていただきたいということは我が会派からも重ねて要望させていただきます。  それから、介護職員特定処遇改善加算に関しましては、もう私自身ずっと思っていることとして、今の政権になってから介護事業所の吸収合併が非常に多くて、その中で大手の事業所と、あるいは中小の事業所との格差がすごく開いてきていると感じています。そうした中では今回の特定処遇改善加算も、やはり小規模事業所ではなかなか加算がとれていないということは、小規模事業所は地域密着というのですか、地元で雇用し、地域で働いている方が多く、地域への税収効果も高いですので、ぜひこれはきめ細かく、紙一枚回して周知というのではなく、相談支援にかかわっていっていただければと要望させていただきます。  また、バスの件ですけれども、このワゴンバスに関して、これも他会派からも厳しい質疑があったかと思うのですが、目的はともかくとしてプロセスが非常に不明瞭だと感じています。性急でありましたし、住民参加も不十分です。そうした中で砧でのモデルを、実験を一カ所やって、そしてもう十カ所やることが前提で実験をやるというのはちょっとおかしいのではないかと思うのですけれども、その辺をもう一度御答弁、どういう考えなのか御教示いただけますでしょうか。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 再質問にお答えいたします。  今回のコミュニティーバス路線についての公共交通不便地域対策ですけれども、先ほども申し上げましたように福祉的な移動サービスの対象外である区民の方、特に高齢者をメーンターゲットに移動環境の改善を図るという政策目的のために考えているものでございます。御質問にもありましたけれども、この政策目的を実現するためには、買い物ツアーだとか移動販売といった方策もありますが、定時定路線で運行する、それも狭い道路を、小型バスや路線バスが通れないようなところを通すということでスキームをつくろうといたしますと、現在、今回御報告させていただいたようなスキームをせざるを得ないということで御提案させていただいたところでございます。  いずれにしましても、これから議会の御議論をいただきながら検討を進めていきたいと思います。  以上でございます。 ◆四十五番(中塚さちよ 議員) しつこくて申しわけないのですけれども、普通は一カ所実験をやるのであれば、その結果を見て、それから十カ所というか、ほかの箇所をどうするかということを考えることが普通のプロセスではないかということなのですが、なぜいきなり十カ所をもうやる前提なのでしょうか。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 再々質問にお答えいたします。  十カ所やることを前提にということではなくて、今回、砧地域でのモデル的な運行をぜひ実現させたい、その際に、実際に、では、どこまで、際限なく広げることはできないだろうということで、十地域をアッパーとして指定をしたというのが私どもの考え方でございます。いずれにしても御議論をこれからお願いしたいと思います。  以上です。 ○和田ひでとし 議長 以上で中塚さちよ議員の質問は終わりました。  これで本日の代表質問は終了いたします。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。  なお、明二十七日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十九分散会...