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平成30年 12月 定例会-11月28日-02号

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  1. 世田谷区議会 2018-11-28
    平成30年 12月 定例会-11月28日-02号


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    平成30年 12月 定例会-11月28日-02号平成30年 12月 定例会 平成三十年第四回定例会 世田谷区議会会議録第十八号  十一月二十八日(水曜日)  出席議員(五十名) 一番   ゆさ吉宏 二番   加藤たいき 三番   おぎのけんじ 四番   青空こうじ 五番   あべ力也 六番   ひうち優子 七番   上川あや 八番   すがややすこ 九番   山口ひろひさ 十番   阿久津 皇 十一番  安部ひろゆき 十二番  高岡じゅん子 十三番  田中みち子 十四番  三井みほこ 十五番  佐藤美樹
    十六番  小泉たま子 十七番  河村みどり 十八番  津上仁志 十九番  菅沼つとむ 二十番  石川ナオミ 二十一番 河野俊弘 二十二番 石川征男 二十三番 大庭正明 二十四番 田中優子 二十五番 桃野よしふみ 二十六番 そのべせいや 二十七番 福田妙美 二十八番 高久則男 二十九番 山内 彰 三十番  真鍋よしゆき 三十一番 上島よしもり 三十二番 江口じゅん子 三十三番 桜井 稔 三十四番 たかじょう訓子 三十五番 中村公太朗 三十六番 藤井まな 三十七番 岡本のぶ子 三十八番 平塚敬二 三十九番 板井 斎 四十番  和田ひでとし 四十一番 上山なおのり 四十二番 畠山晋一 四十三番 中里光夫 四十四番 村田義則 四十五番 羽田圭二 四十六番 風間ゆたか 四十七番 中塚さちよ 四十八番 諸星養一 四十九番 佐藤弘人 五十番  高橋昭彦  出席事務局職員 局長     本橋安行 次長     井上徳広 庶務係長   星野 功 議事担当係長 水谷 敦 議事担当係長 長谷川桂一 議事担当係長 下村義和 議事担当係長 岡本俊彦 議事担当係長 菊島 進 議事担当係長 末吉謙介 調査係長   佐々木 崇 出席説明員 区長     保坂展人 副区長    宮崎健二 副区長    岡田 篤 世田谷総合支所長        平澤道男 北沢総合支所長        髙木加津子 玉川総合支所長        岩元浩一 砧総合支所長 澤谷 昇 砧総合支所保健福祉センター所長        若林一夫 烏山総合支所長        西澤 滋 政策経営部長 岩本 康 財政制度担当参事        松永 仁 総務部長   中村哲也 庁舎整備担当部長施設営繕担当部長兼務)        松村浩之 財務部長   進藤達夫 生活文化部長 田中文子 地域行政部長 志賀毅一 スポーツ推進部長        内田政夫 環境政策部長 畝目晴彦 経済産業部長 久末佳枝 清掃・リサイクル部長        原田茂実 保健福祉部長 板谷雅光 障害福祉担当部長        松本公平 高齢福祉部長 瓜生律子 子ども・若者部長        澁田景子 保育担当部長 知久孝之 世田谷保健所長        辻 佳織 都市整備政策部長        渡辺正男 道路・交通政策部長        小山英俊 土木部長   五十嵐慎一 豪雨対策推進担当参事        桐山孝義 会計管理者  菊池弘明 教育長    堀 恵子 教育次長   淺野 康 教育政策部長 工藤郁淳 生涯学習部長 花房千里 総務課長   菅井英樹        ──────────────────── 議事日程(平成三十年十一月二十八日(水)午前十時開議)
     第 一 代表質問  第 二 一般質問  第 三 同意第二号 世田谷区教育委員会委員任命の同意        ──────────────────── 本日の会議に付した事件  一、日程第一 代表質問  二、日程第二 一般質問  三、日程第三 委員会付託省略、表決        ────────────────────     午前十時開議 ○三井みほこ 議長 ただいまから本日の会議を開きます。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 直ちに日程に入ります。 △日程第一を上程いたします。  〔井上次長朗読〕  日程第一 代表質問 ○三井みほこ 議長 昨日に引き続き、代表質問を行います。  質問通告に基づき、発言を許します。  無所属・世田谷行革一一〇番・プラスを代表して、二十四番田中優子議員。    〔二十四番田中優子議員登壇〕(拍手) ◆二十四番(田中優子 議員) おはようございます。質問を始める前に一言申し上げます。  特別区長会では、今般、特別区人事委員会勧告による区職員の給与マイナス改定を実施しないこととしました。私どもの会派では、今後の財政状況を考えれば、当然公務員給与のマイナス改定に賛成するつもりでしたが、見送られることとなり、まことに遺憾です。今後が危惧されるということを申し述べておきます。  では、いささか早いですが、本年を締めくくる無所属・世田谷行革一一〇番・プラスの代表質問を始めます。  早いといえば、私たち区議会議員の任期及び区長の任期もあと半年足らずということで、一つの区切りを迎えます。今回はこの四年間を振り返って、今後ますます多様化するであろう世田谷区の行政サービスについて伺ってまいります。  まず、この四年間で世田谷区の行政サービスは多様性に対応し、より複雑化していると言えるでしょう。例えば、少し前なら性的マイノリティーという一くくりの言葉が、現在では、略称ですが、LGBTというように、より個別具体的な言葉に進化しています。  また、ひとり親という言葉を取り上げても、現在ではより細かく、未婚の寡婦、寡夫という言葉が用いられるようになり、現実に近い形で、より正確に行政の守備範囲として捉えることができつつあります。  ここで質問ですが、このように多様性に対応し、より細かく個別具体の行政サービスが求められる中、九十万ともなる住民を抱える世田谷区として、一人の漏れもなく、きめ細やかなサービスの網の目は正しく張りめぐらされているのか、そしてその根拠は何か、議会として信頼に値する担保は何かについて伺います。  最近報告のあった税金の課税誤り事件、また、障害者雇用水増し事件はどうでしょうか。いずれも自分たちで発見したものではありません。よそからの情報によって偶然露見したものであります。それもきのう、きょうの間違いではなく、十数年以上にわたって放置されていた。それこそきっかけがなければ未来永劫わからなかったかもしれないというものなのです。これでは、チコちゃんとともに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と怒りを込めて申し上げたいくらいです。果たして現在の世田谷区の行政で課税事務における対象者の範囲、あるいは福祉領域におけるさまざまな福祉サービスの受け手の対象範囲や適格者の認定に対して間違いはないのでしょうか。  繰り返しになりますが、九十万区民ともなりますと、どの行政サービスにおいても少数者というものが出現する可能性があるわけです。また、年度により対象者が存在したりしなかったりということもあります。そういう点について大丈夫なのかということを伺っているのです。  聞くところによれば、こういう法令や条例改正による作業は、担当者が手作業で関係条例箇所に調査票を回して収集しているとのことですが、今どき、そんなアナクロニズム、時代錯誤でよいのでしょうか。  先月、さいたま市で保育所の入所調整をAI活用で千五百時間の作業を数秒で終了したというニュースが報道されました。それを受けて、ロボティック・プロセス・オートメーション、通称RPAの活躍が期待されています。  また、二〇一六年夏に東京大学医科学研究所がIBMのワトソンという人工知能を使って、特殊な白血病患者の病名をわずか十分ほどで見抜き、その生命を救ったとの報道がありました。この人工知能は何十万という論文を読み込んで学習するAIだそうです。どこまでの技術を使ってとは言いませんが、少なくとも今の技術の時代では、法令や条例等のアップ・ツー・デートの検証をすることぐらいできるのではないでしょうか。知っている人に聞けば、多分原理的にはエクセルでも可能という程度のものだそうです。  思い起こせば、行政における事務上の誤りやミス、しかも長期にわたって放置されていたもの、すなわち、一度ミスをすると二度と点検されないというミスが幾つもあったように思います。果たして今現在、まだ表に出ていない、役所として気づいていないミスが全くないと言えるでしょうか。言えないのであれば、一刻も早くその正しさを裏づけるシステムをつくる必要があると思いますが、伺います。  次に、今月、地方分権の特別委員会に「不合理な税制改正等に対する特別区の主張」なるものが出されました。要は、安倍政権が前々回の総選挙以来、国民の感覚からすると当然ではありますが、消費税増税を先送りし、その穴埋めに東京二十三区の税金を勝手に使っているということです。公務員たる者が使う不合理とは、まさに勝手にという意味にほかなりません。結果として消費税率一〇%となったら、特別区の財源は差し引きマイナスとなることから、世田谷区としては、消費税は増税されるわ、区民サービスは縮減されるわと、目も当てられないことが書かれています。これは事実なのかどうか確認します。  また、そこでは幼児教育無償化に要する経費の一部を自治体が負担することになった場合という前提を置いてありますが、その前提の可能性はどのくらいなのか伺います。  次に、妊婦加算について伺います。  十一月十五日の毎日新聞に解せない妊婦加算という記事が掲載され、以下のように述べられていました。妊娠中の女性が病院や診療所を外来受診した際、今春から請求されるようになった妊婦加算をめぐり、インターネットを中心に少子化対策に逆行などの批判の声が噴出している。厚生労働省は、妊婦の診療には薬の処方など特別な配慮が必要と理解を求めるが、相次ぐ異論を受け、今月から制度の周知に力を入れ始めたとあります。  実際には、窓口で三割負担で初診で二百三十円、再診で百十円のいわゆる追加料金を払うことになります。ことしの四月からのことです。厚労省は妊婦の診療には薬の処方などで特別な配慮が必要と言っていますが、例えばコンタクトレンズの処方のために眼科にかかる場合にも妊婦加算がなされるとなるとどうなのでしょう。そこには薬の処方も特別な配慮も存在しません。少子化が問題とされているのに、妊婦に追加料金を加算するとは何事か、妊婦増税ではないか、妊婦いじめだという批判がネットで拡散されているのも当然ではないかと思います。  まず、私はこの妊婦加算はどういった背景で導入されたのか調べてみました。このように特別な加算があるのは妊婦だけなのでしょうか。医療機関に行ったときにかかる初診料、再診料、外来診療料には時間外、休日、深夜における加算があり、これはどの患者にも一律にかかります。  患者の属性に関する加算としては妊婦加算と六歳未満の乳幼児加算があります。自己負担率を三割とすると、自己負担は通常、初診が八百五十円のところ二百三十円加算され、千八十円となります。再診は二百二十円のところ、百十円加算され、三百三十円となります。深夜の場合、通常初診が二千二百九十円ですが、六百五十円加算され、二千九百三十円に、再診が千四百八十円のところ、五百十円加算されて千九百九十円となります。  妊婦や乳幼児以外でも、例えば認知症患者や多種類の薬を投与している患者には、それに応じた診療報酬が加算される場合もあるようです。  妊婦加算について議論した厚生労働省の中央社会保険医療協議会では、妊婦の外来受診に対しては、一、胎児への影響に留意した医薬品の処方、二、妊婦に頻度が高い合併症や診断の難しい疾患を念頭に置いた診察、三、妊婦のメンタルヘルスケアの充実などに重点が置かれています。それはまさにふだんより充実したサービスが求められていることであり、サービスを受ければ、その分が医療費に反映されてしまうのは仕方のないことであるというもので、理解はできます。  しかしです。ここで私が申し上げたいのは地方自治体の行政サービスのあり方なのです。これらは冒頭から申し上げております法令、条例等に基づいてサービスを受ける人が、あるいはその負担をするべき人が正確に行われているかということにつながってくることでもあります。  世田谷区は子ども・子育て応援都市宣言を保坂区長が掲げている自治体です。だとしたら、その子どもを産み育てようとしている妊婦を大事に考えるのは当然のことではないでしょうか。この今年度から始まった妊婦加算は、まるでそのこととは逆行し、矛盾したものであると感じます。  妊婦にとってみれば、経済的な負担もさることながら、気持ち的にも、私たちは大事にされていない、こんな負担を強いるとは、子どもは要らないのかと感じたとしても無理からぬことではないでしょうか。  また、受診のときの自己負担額が変わることによって受診頻度が変わるということは複数の研究で明らかになっています。今回の負担増でも、医療機関に行かない妊婦や、妊娠していることを隠す人が出てくる可能性があります。これでは本末転倒です。  世田谷区は、子どもと子育てに温かい地域社会を築きますという宣言をしている自治体として、このような制度が始まった時点で、この春の時点で、妊婦加算で自己負担がふえる、それはないだろうと思わなければならなかったのではないでしょうか。  つまり、私が申し上げたいのは、人の気持ちや、あるいは気分というものを察知することが、公務員には必要なのだということです。保坂区長も何にも、何の疑問も持たなかったのでしょうか。  これらの行政サービスには根本に法令や条例等の約束事がある一方、一つの条例に基づく行政事業には気配り、目配り、心配りが絶えず伴うのが人間のやる行政サービスだということです。そこがAIにはできない部分なのではないでしょうか。  私は、この妊婦加算の問題に気づいたとき、六歳未満の乳幼児加算はなぜ問題にならないのだろうと思いました。それは、乳幼児に対しては自治体の医療費助成制度があり、患者の自己負担が実質的に無料となっているからなんですね。世田谷区の場合は先行して、乳幼児だけでなく、中学三年生まで医療費無料としています。  妊婦加算、本来であれば乳幼児医療費助成と同じように国が負担すべき費用であると思いますが、それがすぐに実現できないのであれば、ボトムアップ作戦として、まず地方自治体で始めるべきであると考えます。その際想定される妊婦の数とかかるであろう医療費、そこから試算される世田谷区における妊婦加算の自己負担が総額でどのくらいになるのかお答えください。  妊娠中は、ふだんよりも体調が悪くなったり気にかかったりすることがふえる時期です。そんなときに医療機関に行くのを控えるような要素は取り除くべきではないでしょうか。妊婦加算自体を否定するものではありませんが、自己負担は何とかしてなくすべきであると考えます。  世田谷区は、寡婦、寡夫のみなし適用を先行して実施している例もあります。妊婦加算の自己負担分を世田谷区が負担し、子ども・子育て応援都市に本気で取り組んでいることをあらわすべきではないでしょうか。保坂区長の政治判断を求めます。お答えください。  次に、児童相談所について伺います。  この件につきましては、昨日も他会派から質問がありましたので重複は避けますが、児童相談所の移管、設置のプロセスについて、区民に説明がつくようにしていただきたいと思います。もちろん順調なら問題はありませんが、そうでないときは、すなわち東京都が明確な理由を示さないまま、ただ時間の空費だけを重ねるような場合はということですが、司法の場において理由開示を求める覚悟があるのかどうか、お答えいただきたいと思います。  さて、世田谷区は地方自治法の改正により、東京都の内部団体から脱却して十八年になります。人間でいえば選挙権も持てる時間がたちました。しかし、実際のところ、普通の市、武蔵野市や三鷹市、調布市のような自治権を有してはいません。  では、世田谷区はどうやって行政サービスを向上させていくのか。前回の定例会での一般質問に、保坂区長は政令指定都市のようなものをみんなで考えていきたい旨、答弁されています。  根本にあるのは、自治体の形態がどうであれ、行政サービスの向上という利点が区民に広く受け入れられることにあります。これまでの議会の論調からすれば、自治権の拡充という視野の中には政令指定都市というものがあるのかもしれません。しかし、それだけしかないのかということです。  私たちの会派では、城南ブロックを見据えた大世田谷区構想というのもあるのではないかと考えます。現在の世田谷区は、今から百五十年前の明治維新の後に、ある意味、人工的に集められた村々の集合体から成立しています。さらには、世田谷区には中心市街地がありません。どちらかといえば私鉄沿線の住宅地群として存在しています。  そのことから考えれば、世田谷区における鉄道のあり方は非常に重要です。先ごろの報道によれば、本年九月に東急電鉄が電鉄事業を切り離し分社化すると発表しました。実施は一年後のことですが、東京電鉄が電鉄を分離するとはどういうことか。  実際のところ、現在の東急電鉄は、渋谷ヒカリエ、渋谷マークシティ渋谷ストリーム、さらには来年には渋谷スクランブルスクエアと、不動産ビジネスを手がけている会社というのが適切です。  そこで言われているのが、東急と京王線、小田急線の統合が行われるのではないかという観測です。もちろんこれは今すぐではなく、十年後、二十年後、さらにはそれ以上の時間を視野に入れてのことですが、小田急と京王は、もともと東急から分離した会社ですから、実際問題として、今後の人口動態によれば、三つの私鉄が統合されれば日本最大の私鉄となり、メリットもあるわけです。つまり、人の流れに沿ってまちづくりを考えるという発想のほうが自然ではないかということであります。  時間の関係で、世田谷区と国の財政問題は省きますが、安倍政権の財政規律の無視という政策によって、実は国の財政は大変なことになっています。このことは、先週二十日にまとめられた国の財政制度審議会の提言にも明らかです。そこには、平成の次の世代を悲劇の主人公とし、安倍政権の残したツケに苦しめられることが明言されているのです。国の財政が不安だからこそ、自立した自治体としての世田谷区が求められてくるのです。  その意味から、少なくとも二十三区一体の展開は無理だと思われますから、せめて、いわゆる城南ブロックと言われている地域でアライアンス、同盟というほどではないにしろ、結束する必要があるのではないかと考えます。近隣自治体間連携です。いかがでしょうか。  世田谷区だけでという発想しかなければ、今後大きな発展は望めないでしょう。城南ブロック構想によって、行政サービスの向上を見込める方策はあるのではないかと思います。法的にできないではなく、法を変えていくのも住民ではないでしょうか。  何度も繰り返しになりますが、住民の価値観が変わる、多様性を認め、共生社会を目指す、国の財政破綻の可能性は高い、加えて首都直下地震は必ずいつか来る、少子・高齢化が進んだ後には人口減少が来る、さらに外国人がふえる、これらのことが今待ち構えているのが、平成最後の第四回定例会での現実であります。問題は山積しています。  だからこそ、今のままでいいという発想の転換が求められており、それに気づいた自治体こそが生き残れるというものと考えます。区の見解を伺い、壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 田中議員にお答えをいたします。  妊婦加算について、世田谷区の対応ということで御質問を受けました。  区では、妊産婦の孤立や不安を解消し、妊産婦や子育て家庭を切れ目なく支援するため、妊産婦面接を初めとする各種相談体制の充実や、子育て利用券を配付するなど、妊婦や子育て家庭を支援する世田谷版ネウボラを初めとする子育て支援政策を推進しています。子ども・子育てにより温かな地域社会の創生を、子ども・子育て応援都市として目指しているところであります。  このたび、国が診療報酬改定により新たに設けた妊婦加算に対して大変多くの疑問、そして、議員が紹介されたさまざまな、とりわけ女性の当事者からの声も含めて疑問の声が上がっていることを私も承知しております。  地域の産婦人科医からは、この加算の導入により、これまでリスクを恐れて妊婦の診察を敬遠してきた医師が減ることが期待され、身近な地域で受診できる医療機関がふえることにより、産婦人科医の過度の負担も減じて、本来の診療に専念できるという声も耳にしておりますが、この問題は妊婦加算という当事者負担の形で行うのではなく、診療報酬体系を、いわば全体を変更する中で保障していくという制度設計もあり得るだろうというふうに考えます。  子どもを地域の宝とする子ども・子育て応援都市の首長として、田中議員の今おっしゃった御意見については理解する部分も多くありました。この妊婦加算の導入については、専門家の意見にもあるように、どのようにこれが医師のスキルアップにつながっていくのか具体的に示されていない、また、少子化対策に逆行しないのかなど深い論点がございます。  本件につきましては、国への提言も含め、医療や子育ての現場からの議論を踏まえて対応していくことが必要と考えております。  以上です。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、二点について御答弁申し上げます。  最初に、児童相談所設置に係りまして、都が理由も示さずに開設を認めないような場合についての対応でございます。  区が児童相談所設置市として政令の指定を受けるためには、都と十分に協議を行い、児童相談所設置後も児童福祉行政の円滑な実施が見込まれることを都においても確認していることなどを、国に対しまして示す必要がございます。そのため、区は都に対しまして、来年三月の政令指定の要請書の提出にあわせ、これらを確認の上、児童相談所の設置市として適当であると意見を述べた知事名の文書、いわゆる副申という文書でございますが、これを提出するよう求めております。  これを念頭に置きまして、都と区は協力連携を図りながら、区の計画案の確認作業や広域調整等の協議を進めるとともに、政令の指定に当たりまして課題があれば、一致協力しまして解決を目指すこととしておりますことから、理由を示さずに、都が政令指定要請への協力を拒むことはないものと認識しております。  区といたしましては、都区財政調整に係る協議におきまして、都区で算定対象として確認した経費を算定対象としないような場合、法的な手段で対抗することが可能であると認識しておりますが、こうした対応と同様に、都が理由も示さずに政令指定要請への協力を拒むような場合は、しかるべき対応をとることは当然のことと考え、その旨は都にも伝えております。  いずれにいたしましても、都と区は子どもの最善の利益を目指し、児童相談行政の再構築に取り組むパートナーといたしまして胸襟を開き力を合わせて、区の児童相談所開設に取り組んでまいります。  次に、変革期におけます世田谷区のあり方についてでございます。  区では、今後も人口増に伴う行政需要の増大、多様化が見込まれております。そうした中、現在の都区の仕組みは長期的な視野に立つ都市経営の大きな壁となっており、より一層自治権を拡充し、自治体としての独立性を確立していく必要がございます。  自治体間の連携のお話もございましたけれども、区単独では解決の難しい課題の対応に備えまして、近隣自治体、交流自治体との連携交流を深めることで、双方の住民に利益が生まれる必要がございまして、区では、エネルギー施策、まちづくり、災害対策など多様な分野で連携協力を図るべく、平成二十六年十二月に、川崎市との包括連携協定を締結したところでございます。  一方で、政令指定都市への移行や広域連合など、区の独立性を強める手続につきましては、二十三区の一体性をどう考えるか、独自に法改正を求める立場をとるのかなど、世田谷区という自治体としてのあり方そのものの議論が必要となります。中長期的な展望を持ちまして、こうした課題につきまして、まずは区民に広く御理解いただくとともに、議会の意見を十分踏まえ検討を重ねる必要があると思います。  今般の城南連合という例がございましたけれども、例えば、今般の児童相談所の開設に向けましては、既に城南ブロックで話し合いを行っておりまして、その連携を強める、そういう例がございます。  以上でございます。 ◎中村 総務部長 私からは二点、区は多様性に対応し、きめ細やかなサービスの網の目を正しく張りめぐらしているのか、また、表に出ていないミスがないと言えるか、その正しさを裏づけるシステムをつくる必要があるという御質問に一括して御答弁いたします。  区民のニーズが年々増加、複雑化し、社会の価値観も多様性を帯びている中で、現行の区の事務事業やサービスが法令等に基づき適切に行われ、必要とする区民にしっかりと行き渡っているか、点検することは重要であると認識しております。  現在、区の条例は二百九十四、規則は三百五十八、要綱は千六百七ございます。区の例規類集はデータベースとして管理しており、区の条例等で引用している法令に改正があった場合、条例等規則についてはこのことを通知するシステムがあり、必要に応じ、さらに職員が法令と条例等を点検して、条例等の改正の必要性を検証しています。  しかし、法令改正によらない条例改正の必要性についてはこのシステムではカバーできません。一人一人の職員が従前からの事務処理を踏襲するだけでなく、現行のサービスと区民ニーズとの間にギャップが生じていないか、法令、通達等の解釈が正しく行われているか、事務手続に不備がないか、確認を怠らない姿勢が求められます。  今後は所管課による日々の確認とシステム運用によるダブルチェックが有効に機能するよう、システムのさらなる活用方法の工夫などにより、条例所管課に法令の改正内容等を速やかに伝え、適切に条例等が改正されるよう取り組んでまいります。  以上です。 ◎松永 財政制度担当参事 私からは、不合理な税制改正に対する特別区の主張の試算は事実か及び幼児教育無償化の負担を自治体に求められる可能性について御答弁いたします。  特別区長会が取りまとめた不合理な税制改正等に対する特別区の主張の中で、消費税率一〇%の段階において歳入増と税制改正による減収及び幼児教育無償化の負担をトータルで見ると、結果的にはマイナスになるという試算が示されておりますが、この試算は、幼児教育無償化に係る費用の財源構成を国二分の一、都道府県四分の一、区市町村四分の一と仮定した場合でございます。  現在、国において幼児教育無償化の費用負担について議論が進められており、国の案では、国と地方の負担割合は区長会の試算と同様でございます。本来、消費税増税は、社会保障・税の一体改革として、社会保障の充実及び安定化のために行うものでございます。特別区長会では、国の施策により幼児教育無償化を実施するのであれば、国がみずからの責任のもと、全ての財源を確保すべきとの要望書を、本年七月に総務大臣及び内閣府特命担当大臣に提出したところでございます。  幼児教育無償化に係る費用の負担割合が国の案どおりの場合、この部分においては増収分では賄い切れないという試算になりますが、直ちに不足分のサービスを削減するということではなく、基金の活用など、他の財源の状況や施策の優先順位、予算全体の歳入歳出のバランスの中で判断していくこととなります。  以上でございます。
    ◎辻 世田谷保健所長 私からは、世田谷区における妊婦加算の自己負担総額等につきお答えいたします。  妊婦加算は、周産期医療の充実に向け、国が妊娠の継続や胎児に配慮した診療に対し、今年度の診療報酬改定で点数を一律に加算するように定めたもので、本年四月以降に、妊婦が医療機関で一般外来を受診した場合、お話にあったとおり、三割負担では初診で二百三十円、再診で百十円が増額となってございます。  この妊婦加算の一年当たりの増額分を算定するに当たりましては、昨年度の国民健康保険のレセプトデータをもとに、妊婦が病院で診療を受けた初診及び再診に係るサンプル抽出を行っております。その結果、国保に加入する妊婦の一人当たりの自己負担の増額分は年平均で八百三十五円と見込まれます。また、平成二十九年度以前の過去三年間の妊娠届け出数の平均が約八千八百件となることから、仮に全ての妊婦が国保加入者であるとすると、先ほどの国保の年平均の増額分八百三十五円と全ての妊娠届け出数から妊婦加算の自己負担額を試算した場合、約七百三十五万円の医療費が増額となる計算となります。ただし、妊婦には他組合健保の加入者も多く、さらに増額となる可能性もございます。  さらに妊婦を受け入れる外来医療機関での妊婦の確認方法が明確にされていないことや、加算により妊婦が外来受診を敬遠してしまうのではないかといった危惧があること、また、今後、診療報酬改定において妊婦や子どもを対象としたさまざまな加算が定められた場合の助成制度の可否など、さまざまな課題等があると考えてございます。  以上です。 ◆二十四番(田中優子 議員) 妊婦加算についてですが、制度自体がまだちょっと矛盾があるかなという部分はもちろんあるんですけれども、でも、今の御答弁で、区が加算される自己負担分を助成したとしたら総額、これは国保の場合と想定しているとはいえ、七百三十五万円ということです。それはもう少しふえるとしても何千万とか億になる話ではないですよね。  冒頭で述べました職員給与のマイナス改定を、人事委員会の勧告どおり、それに従ってやっていれば、六億円から七億円の税金が捻出できたということを私どもは確認しております。職員給与は勧告されても減らさない、一千万にも満たない妊婦加算の助成はしないというのは、区民からしたらいかがなものでしょうか。  世田谷版ネウボラもいいんですけれども、妊婦加算というのは新たに出た問題なわけですね、新たに出てきた自己負担の問題。ネウボラをやっているから、それで賄えることじゃないんですよ。  それで、国への提言、それも保坂区長、ぜひやってください。ですが、今負担を強いられている、しかも理不尽な負担ですね。それを強いられている妊婦さんたちをそのストレスから解放するべきではないでしょうか。  もう一度伺います。保坂区長、子ども・子育て応援都市宣言をしているその自治体のトップとして、区長の英断で、世田谷区の妊婦さんには妊婦加算の自己負担はさせないということを打ち出しませんか。(「住民の声」と呼ぶ者あり)住民の声が、生の声が、私が今代弁している声だと思います。いかがでしょうか。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 再質問にお答えをします。  その母子加算部分を区で負担する、あるいはカバー、同じことですが、カバーをするということは、今御提案をいただきました。子育ての応援に逆行するんじゃないかという問題意識も十分共有するところでありますので、これは検討をしたいと思います。  同時に、同じ子育て、あるいは少子化対策を進めていこうということで、明らかにおかしい制度としてこれまで言ってきたのは、国民健康保険料における多子世帯の問題ですね。子どもが二人、三人、四人、五人と掛け算で人頭税式に上がってしまうということについては、これは区長会は大分言いました。その結果、広域化をめぐる保険料のやりとりで、区長会としてこれを言っていこうということになりました。現在は、厚生労働大臣への申し入れ書、要望書などに盛り込んで、区長会として要望しているテーマにもしています。  ですから、この母子加算についても同様の趣旨で、区長会でもこれを問題にしようじゃないかということも、これは考えたいというふうに思います。総じてこのような負担を、全体で少子化対策を言いながら、現場であべこべな現実を強いることを早くに解消できるように努力したいと思います。 ◆二十四番(田中優子 議員) 区長会で足並みをそろえるのを待つ前に、まず、世田谷から保坂区長の英断を求め、質問を終わります。 ○三井みほこ 議長 以上で田中優子議員の質問は終わりました。  これで各会派の代表質問は終了いたしました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、 △日程第二を上程いたします。  〔井上次長朗読〕  日程第二 一般質問 ○三井みほこ 議長 一般質問についての発言時間は一人十分以内といたします。  質問通告に基づき、順次発言を許します。  二十五番桃野よしふみ議員。    〔二十五番桃野よしふみ議員登壇〕(拍手) ◆二十五番(桃野よしふみ 議員) 質問通告に基づき質問します。  ことし四月、財務省事務次官がセクハラ問題で辞任、六月、狛江市長が職員へのたび重なるセクハラを追及され辞任、八月、板橋区の副参事がセクハラで減給五分の一の懲戒処分。昨年のことですが、京都府では女性に性的なLINEメッセージを送った職員が戒告となり、上司が管理責任を問われ譴責という例もあります。  今や世間ではセクハラやパワハラには厳しい姿勢で臨むというのが当然の考え方となっていますが、世田谷区は旧態依然、これを軽く見ているのではないでしょうか。  質問に先立ち、過去三年間の区職員からのセクハラ・パワハラ相談を調べたところ、平成二十七年度十一件、二十八年度十一件、二十九年度二十件の相談が寄せられていました。しかし、その間、区職員がセクハラやパワハラで懲戒処分を受けた例はありません。  そこでまず伺います。過去、区においてセクハラやパワハラで懲戒処分となった職員、もしくは懲戒処分に至らずとも服務監察の対象となった職員はいるのかお答えください。  相談者がセクハラやパワハラの被害を申し出たとしても、社会通念上、セクハラ、パワハラに該当しないと判断される場合もあるかもしれません。しかし、過去三年間で四十二件の相談に対し一件も服務監察すら行われていないとすれば、それは区長ら区幹部の感覚が昨今の社会常識とかけ離れているということではないでしょうか。  私はこうした懸念を持ち、職員からの相談記録に関する文書の開示請求をしました。狛江市など他自治体の例から考えれば、個人情報にかかわる部分を非開示にしつつも、具体的なハラスメント行為の内容はわかる形で文書が開示されると考えたからです。ところが、区は文書を全部非開示としました。黒塗りでなく全部非開示というのは情報隠蔽ではないでしょうか。  ここで、人事課長並びに教育指導課長に事前に事実確認できた例を挙げます。  某世田谷区立の学校でセクハラ事件があり、被害者はショックから長期間出勤できない状態になりました。その際、所管と総務部とで事件の対応について協議があったようですが、総務部は服務監察を行わず、懲戒処分には至らない軽微な事件であるから、所管で対応すべしとし、結果、教育長が懲戒処分を行わないという判断をしたというのです。セクハラ行為があったことは認識しつつも、服務監察すら行わず、所管の判断で懲戒処分にせずと幕を引いてしまうとは、世田谷区がセクハラ、パワハラに甘いという証左ではないでしょうか、見解を伺います。  そもそも軽微な事務的ミスなどではなく、セクハラという非違行為に対して服務監察を行わずに幕を引く仕組みや、平成二十四年二月二十四日の一般質問でも指摘しましたが、懲戒処分の妥当性を判断する分限懲戒審査委員会の委員と懲戒処分の内容を決めるメンバーが全く同じ、処分内容は、保坂展人区長と保坂展人委員長の間で諮問、答申されるといった、いわば茶番劇のような仕組みを改めるべきです。見解を伺います。  教育所管の隠蔽体質についても伺います。  さきの予算委員会で、我が会派の田中優子議員が、今年度、教育所管でセクハラと認識されている事案があるかないかと聞いたところ、教育次長は一切答えないという態度に終始しました。個別な話ではなく、事案の有無さえ答えないというのは、被害者保護でも何でもなく、単なる答弁拒否であり、甚だしい議会軽視です。区の見解を伺います。  次に、二子玉川小学校の教員が痴漢で逮捕された際の区の対応についてです。  教員は六月三日に逮捕されました。教育長の表現では、路上で押さえられた、事実に間違いないという状況だったそうです。教員が勾留中の六月五日、教育指導課長と校長が相談の上、教員が出勤できない理由は体調不良とすると決め、五日、児童に体調不良と説明。十二日、保護者に、教員が体調不良のため、副校長が担任をかわる旨のプリントを配付したといいます。ちなみに、病気休暇の手続もプリント配付と同日、十二日になされました。児童や保護者は教員の体調を心配し過ごしていたことでしょう。  しかし、教員が学校に来られないのは本質的には処分確定までの謹慎ということではないですか。九月二十五日には東京都教育委員会から懲戒処分が発令され、それが新聞等で報道されると、区は翌二十六日から児童や保護者に対し初めて痴漢で逮捕の事実を伝えていますが、その際に、保護者からもっと早く知らせてもらうこともできたのではないかと声が上がったといいます。  保護者にまで虚偽の説明をして、学校と保護者は信頼関係を築けるのでしょうか。本来であれば、逮捕されたので学校に来られない、拘留が解けても処分が確定するまで出勤させないと正しく説明すべきではなかったのか。もし教員をかばいたい気持ちがあるとしても、逮捕はされたが、起訴されるかどうかはまだわからないとでも説明するべきではなかったのか。  区の今回の一連の対応、児童や保護者に対する虚偽説明について、教育長も是としていたのか。また、今回の対応は間違いだったと考えるか否か、質問します。  次に、ひとり親家庭への支援について伺います。  所得制限以下のひとり親家庭で、十八歳以下の子どもがいる場合、国制度に基づき、児童扶養手当が支給されますが、児童扶養手当には公的年金との併給制限があります。  例えばひとり親家庭の母親に障害があり、障害年金を受給している場合、児童扶養手当が支給されなかったり減額されたりするのです。過去、老齢年金や障害年金が児童扶養手当の併給禁止対象から外された時期もありましたが、再び併給禁止の対象になり、その後、併給禁止から併給制限へと制度が変わりました。現在は公的年金の支給額が児童扶養手当の支給額を下回った場合、その差額が支払われる仕組みになっています。  世田谷区は子ども・子育て応援都市を宣言しています。障害年金は障害のある方を支援するためのお金、児童扶養手当は子育てのためのお金と考えるべきではないでしょうか。  児童扶養手当以外、例えば児童手当、児童育成手当、特別児童扶養手当に併給制限はありません。区は、国に対して併給制限の撤廃を求めるとともに、当面の対応として、児童扶養手当の減額分を区の施策で補填すべきではないでしょうか、区の見解を伺います。  事前に所管に確認したところ、ことし十一月十六日現在、区内で公的年金と児童扶養手当の併給制限を受けている、もしくは制限を受ける可能性のある方は五十二名です。併給制限による減額分の補填は大きな財源を要する施策ではないということもあわせて申し上げておきます。  ひとり親家庭の各種料金の減免制度についても伺います。  児童扶養手当を受給する世帯には、水道料金の免除、都営交通無料乗車券、都営住宅使用料の減免、JR通勤定期乗車券の割引などの制度がありますが、児童扶養手当の受給が条件となれば、例えば母が障害年金を受給し、児童扶養手当の支給対象になっておらず、かつ、母は障害者手帳を取得していないような場合、減免の対象となりません。  これら減免措置は、粗大ごみ処理手数料免除と同様、ひとり親家庭等医療費助成を受けている世帯が対象になるよう、区が東京都など各事業者に積極的に働きかけるべきではないでしょうか。そのほうが遺漏なく困窮世帯を支援するという制度の趣旨にかなうのではないかと考えます。区の見解を伺います。  以上、壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎淺野 教育次長 私からは、大きく二点につきまして御答弁させていただきます。  まず最初に、二子玉川小の教員がわいせつ事件で逮捕された際の児童や保護者に対する説明につきまして、教育長も是としていたのか。さらに、今回の説明につきまして間違いだったか、対応が間違いだったか否かにつきましてです。  お話しのように、区内小学校の教員が逮捕されるという事件を起こしたことは、教育に携わる者として許されないことと考え、教育委員会としても重く受けとめております。本件について、皆様に多大な御心配をおかけし、まことに申しわけございませんでした。  本件につきましては、発生当初の状況が正確に把握できないことに加え、個人情報も関係することであり、また、当該学級の児童に不安がないようにすることを第一優先とし、さらに子どもたちの発達段階等を考慮いたしまして、事件発生当初の伝え方としては、御指摘のような対応をすることが最善であると判断させていただきました。  この件につきましては、教育長及び教育委員会事務局としても承知しております。教員の任免など人事権は東京都教育委員会にあり、処分の確定及び公表まで長い期間を要し、その間、当該の教員が学校に勤務していない状況について詳細な情報をお知らせできませんでした。  教育委員会といたしましては、服務事故や事件につきまして、児童生徒への影響や事案の重大性、周知の緊急性等を総合的に判断し、児童生徒や保護者、地域、議会への適切な情報提供に努めてまいります。  もう一件ですが、さきの決算特別委員会でセクハラ事案についての御答弁につきましてです。  さきの決算特別委員会でセクハラと認定されている案件についてということで御質問をいただきました。そのときにも御答弁させていただきましたが、職員の懲戒処分に係る事案につきましては、一定の公表基準もあり、それに該当しない案件につきましては、職場名等も含め公にさせていただいておりません。この場合ですが、個人が特定されない場合でも、特定の何人かが推測されるような場合も含むと考えてございます。また、セクハラに関しましては、セクハラを受けた者の保護という観点も重要であることから、さきの答弁をさせていただきました。  以上です。 ◎中村 総務部長 私からは、区職員の懲戒処分の仕組みに関連して、三点御答弁いたします。  まず、過去にセクハラ、パワハラで懲戒処分となった職員や服務監察の対象となった事例はあるかという御質問です。  御指摘のとおり、ハラスメントに関する職員相談は、平成二十七年度、二十八年度はそれぞれ十一件、二十九年度は二十件ございました。これらの職員相談の件数は、必ずしもセクシャルハラスメント、パワーハラスメントに該当するものと判断したものではなく、相談者本人の主訴により分類しているものです。  過去には、平成十五年度に職員のセクシャルハラスメントにより分限懲戒審査委員会の答申を経て訓告とした事例が一件あり、この事故以外は服務監察の対象となった事例はございません。  次に、区はセクハラ、パワハラに甘いのではないかという御質問です。  セクシャルハラスメントやパワーハラスメントは個人の尊厳を不当に傷つける許されない行為であるばかりか、職場環境を悪化させることにもつながる問題です。  区ではこれまで、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントに関する基本方針を策定するとともに、職員からの苦情相談窓口を設置し個別の事案に対応しているほか、研修等を継続して行い、ハラスメントの防止や意識の向上に取り組んでまいりました。  ハラスメントに関する苦情相談においては、例えば上司の注意指導により是正を求めるケースや、調査の結果、ハラスメントとまでは言えないケース、また、相談者本人が内密にしておきたいケースなどさまざまなものがあり、相談者のプライバシーの保護に十分留意して、個別の状況を踏まえた対応を行っております。  ハラスメントは、その態様によっては加害職員を懲戒処分の対象としておりますが、軽微なものなどは分限懲戒審査委員会に諮問せず、各所管部長等から口頭注意などの措置を行う場合もございます。  区といたしましては、ハラスメントに対しては厳正に対処するとともに、今後ともハラスメントを防止し、働きやすい職場環境づくりに取り組んでまいります。  続きまして、服務監察を行わない仕組みや、現行の分限懲戒審査委員会の仕組みを改めるべきという御質問です。  区では、職務に関する職員の非行や事故、職員の信用失墜行為等が発生した場合は、総務部が所管部からの事故報告を受け、服務監察を行った上で分限懲戒審査委員会に諮問し、答申を経て、職員への懲戒処分を行うことを原則としております。  一方で、軽易な事務処理ミスなどについては服務監察を行わず、職員への指導監督上の必要に応じて、総務部長や所管部長から文書注意や口頭注意といった措置を行う場合もございます。職員に対する懲戒処分や口頭注意等の措置は組織の規律や秩序の維持を目的として実施するものであり、その目的にかなうよう、事故の程度や態様等を踏まえ、個々の具体的事案に即して対処すべきものと認識しております。  また、御指摘のとおり、分限懲戒審査委員会のメンバーと懲戒処分を決定するメンバーは、いずれも区長、副区長、総務・人事部門の責任者によって構成され、同一となっておりますが、区長から委員会への諮問に当たっては、必要に応じて専門家に意見を聞くなど慎重を期すとともに、委員会の答申は、委員の合議により決定することとしており、区長による処分の判断が恣意的なものとならないよう十分留意した運用を行っているところです。  以上です。 ◎若林 砧総合支所保健福祉センター所長 私からは、ひとり親家庭への支援について、二点御答弁をいたします。  まず、区は国に対して公的年金と児童扶養手当の支給制限の撤廃を求めるとともに、児童扶養手当の減額分を区の施策で補填すべきについてお答えをいたします。  公的年金と児童扶養手当の双方が支給対象の場合、金額の多いほうの制度が優先され、併給制限がございましたが、平成二十六年の法改正により、公的年金等を受給している方でも年金等の額が児童扶養手当の額よりも少ない場合には、その差額分について手当を支給できることになっております。しかしながら、議員お話しのような公的年金も児童扶養手当もそれぞれ満額の併給を可能とするためには法律改正が必要となります。  区といたしましては、国の制度に対しても機会を捉えて意見を上げてまいりますとともに、また、区の独自の支援策等につきましては、今後、国の状況や他自治体の動向なども見ながら、減額分の補填も含めどのような支援の方策があるか、研究してまいりたいと考えてございます。  次に、ひとり親家庭の減免制度についてでございます。  児童扶養手当対象者だけではなく、ひとり親家庭等医療費助成制度を受けている世帯も対象とするよう、区が働きかけるべきということについてお答えをいたします。  ひとり親家庭の減免制度につきましては、現在、水道料金の免除を初め、都営交通無料乗車券の発行、JR定期乗車券の割引などさまざまございます。こうした使用料等の減免制度につきましては、生活困窮者への支援を目的とする制度であるため、障害基礎年金等を受給しているということのみでは生活困窮であることの判断が難しく、所得制限を設けている児童扶養手当制度により判断していると、東京都などからは伺っております。  今後、ひとり親家庭等医療費助成制度を受けている世帯も対象とすることも含め、それぞれの機関の減免制度の趣旨を踏まえながら、機会を捉え、区として意見を上げてまいります。  以上でございます。 ◆二十五番(桃野よしふみ 議員) まず、セクハラ、パワハラの相談ですけれども、昨年度は非常に数が急にどんとふえているわけですよね。過去の例も訓告一件、服務監察はそれ一件ということですから、いわゆる懲戒処分ではないわけですから、こういったことを重ね合わせていくと、世田谷区役所のモラルはしっかり維持されているのかということが心配になるんですけれども、今の体制が服務監察に対して非常に少ないということについて、もう一度それでいいのですかということを聞きます。  あと、淺野教育次長、よく聞いていただきたいんですが、皆さんは執行機関として何をやっているかということをここで質問されるために、それに対して答弁するために、そこに出席要請されて座っているんですよ。だから、聞かれたことについては答弁する義務があるんですね。だから、ちゃんと答えなきゃいけないんですよ。  だから、セクハラ事案、認識しているものがあるかないかと聞かれて、あると答えても、ないと答えても、特定の被害者のプライバシーも侵害しないし、特に特定の加害者何人かが推測されるようなことなんて一切ないじゃないですか。それは、いじめがありますか、ないですかと聞かれて、それは答えられませんと言っているのと一緒ですよ。そんな答弁で、あなた、それは自分の職務を果たしていると思いますか。 ◎中村 総務部長 再質問にお答えいたします。  セクハラ、パワハラの職員相談の件数に対して、処分を含むものが訓告だけで、それでいいのかという御質問です。  職員の非行や事故、セクハラ、パワハラも含めてあった場合には、懲戒処分を含めてどういった処分を行うかは、その態様ですとか被害の大きさ、日ごろの勤務態度を含めた職員固有の事情など、個別の事案ごとに総合的に判断をしているところです。  パワハラ、セクハラにつきましては、これまでも訓告処分とした例と、上司からそれぞれ注意とか指導とかをして個別に対応しているところですけれども、今後ともパワハラ、セクハラに関しては予防的な取り組みを進めるとともに、区がハラスメントに甘いですとか、相談をしても無駄だとか、そうした職場風土を生まないように、個々の事案に即して厳正に対処してまいりたいと考えております。  以上です。 ◎淺野 教育次長 再質問についてお答えいたします。  今御指摘いただいたように、議員からの御質問につきましては真摯に答えるべき義務があると認識しております。  さきの議会――委員会ですけれども――での御答弁につきましての趣旨としましては、先ほど申し上げたとおりです。  以上です。 ○三井みほこ 議長 以上で桃野よしふみ議員の質問は終わりました。
           ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、四番青空こうじ議員。    〔四番青空こうじ議員登壇〕(拍手) ◆四番(青空こうじ 議員) 質問に先立って、地域とのコミュニケーションのすばらしさを感じた取り組みについて御紹介します。  私は、十月二十七日の下高井戸商店街で開催されたしもたか音楽祭に行ってきました。ことしで十七回目を迎える伝統のある音楽祭で、東京芸術大学や日本大学など大学生や、都立松原高校の生徒と地元の赤堤小学校、松沢小学校、松沢中学校の子どもたちの合唱や吹奏楽などを披露し、歴史あるイベントを地域の方々と一緒に盛り上げていました。  また、千歳小学校は、先日の東日本学校吹奏楽大会で金賞を受賞されました。それも三年連続金賞と聞いて、とてもすばらしいことだと思いました。区長さんも学校を訪問して、子どもたちの演奏を聞いたと伺っております。何よりも、子どもたちも先生も、そして地域の保護者の方とともに努力し、全体がうまくいったからこそ、こうした成果があらわれたと思っております。  さらにもう一つ強く感じているのは地域とともに子どもたちを見守ることです。先日の決算特別委員会でもお話ししましたが、私は毎朝、地元町会の先輩方と一緒に下北沢小学校の通学路に立って、子どもたちの見守りを行っています。こうした取り組みを始めたきっかけは、東大原小学校と守山小学校が先に統合して下北沢小学校となり、その後に北沢小学校が統合されたことから、通学路の変更など安全面でのさまざまな配慮が必要となり、スクールバスの運行が開始されたことです。  見守りは私だけではなく、教育委員会の職員も毎日のようにスクールバスの停留所や学校までの通学路に立って声かけをしていました。こうした姿を地元の方は見ていて、北沢五丁目、大原北町会の方々にとっても心強かったのではないかなと思います。  また、こうした中、北沢警察が井の頭通りにとまっているトラックなど路上駐車をなくすよう、標識を新たに九つも設置してくれたことなど、関係する多くの機関が、子どもたちの通学のために動き始めてくれました。  さらに、下北沢小学校の校長先生も通学路を自転車に乗って見守ってくれていました。そして、地域の方や警備員さん、保護者の方にも挨拶をしていて、とてもありがたく思いました。これはなかなかできることではないと思います。  こうした取り組みの中で、子どもたちから毎朝元気のよい挨拶が聞かれるようになりました。暑い日や雨の日など、子どもたちの声は何よりもエネルギーとなっています。日常で顔を合わせたときにも声かけをし合うなど、地域の方や保護者の方々にも広がっています。  私は、九月のスクールバスの運行が終了してからも朝の見守りは続けていますが、振り返ってみて、やってよかったなと思っております。何よりも、地域や行政が一体となって、子どもたちを見守り育てる姿が見られたことは、地域との関係が希薄となっている時代にあって、忘れかけていた地域の結束の大切さを改めて気づかされる機会となり、きっかけは統合やスクールバスではありましたが、国内各地で子どもたちに関するさまざまな痛ましい事件や事故が不安視されている中、子どもたちを見守り育てる、そういう目的のもとに集まり、波紋が広がるように地域の家庭や行政がつながっていったことは、これからも期待される地域とともに子どもたちを育てる価値ある仕組みの一つだと言えると思います。  世田谷区としても、これからさまざまな施策を考えて進めていくと思いますが、何よりも世田谷区を担う子どもたちの健やかな成長のため、安心安全を第一に考えて取り組んでいただくことを要望してまいります。  次に、マイナンバーカードのことについて伺います。  私は、住民票や印鑑証明が必要になると、自宅近くのまちづくりセンターに行って証明書自動交付機を使っています。特に並ぶこともなく、窓口の申請書に記入することもなく、大変便利に感じています。  ところが、先日、この証明書自動交付機を動かすシステムのサポートが終了することから、自動交付機を二〇一九年十二月をもって廃止し、その後はマイナンバーカードによるコンビニエンスストアでの交付を促していくとの報告がありました。これまで自動交付機を導入した自治体はどこも同じ状況であるそうです。  私は一瞬不便になるのかなと考えました。考えてみると、コンビニは区内の至るところにあって、私たちの暮らしにしっかりと根づいています。そこに置いてあるマルチコピー機、キオスク端末と言うそうですが、これを使えば、朝六時半から夜の十一時まで住民票などの証明書が取れるそうです。もちろん土曜日も日曜日も開いています。仕事で時間のとれない方や移動の多い方は、区役所に来ることはなく、コンビニで必要な証明書を入手することができるわけです。  また、区内だけではなく、全国のコンビニエンスストアで取得が可能で、総務省の資料では、全国で何とコンビニが約五万店舗あるそうです。証明書自動交付機がまちづくりセンターなどの施設三十二カ所にしかないことに比べれば、格段に便利になります。  そこで気になることは、マイナンバーカードの普及状況ですが、交付開始以来三年近くたちましたが、実情はどうでしょうか。私はまだ区民の間で広まっていないように思います。私の地元の体操クラブの人たちに、以前、マイナンバーカードを持ったほうがいいでしょうかと聞かれたことがありました。そのときは、私は情報漏えいなどが心配されることもあったので、私はまだまだやめておいたほうがいいですよと言ったことがありました。また、別に今必要じゃないといった声も聞かれます。こういった区民にどうやってマイナンバーカードの申請をしてもらうのか。便利であることはしっかりとPRしていかなければならないと思います。  現在、マイナンバーカードの普及状況は約一五%とのことです。百人中、たった十五人しか持っていないことになります。このマイナンバーカードによるコンビニ交付をふやしていかないと、証明書を発行している窓口がパンクする懸念もあります。区として、今後どのようにマイナンバーカードの交付を促進していくのでしょうか。  マイナンバーカードにつきましては、私自身もまだ持っていませんが、この場にいる区議会議員の人たちの中でどれぐらい持っているのか、これは雰囲気で少ないと思っています。  今後、マイナンバーカードの手続を行う専用の窓口や地域の臨時窓口も開設するそうです。そして顔写真の撮影もしてくれるそうです。これを機会に、我が家の家族も含めて申請しようと思っています。  今後、マイナンバーカードを使って、もっともっと手続が便利になることを願って、壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎志賀 地域行政部長 マイナンバーカードの普及促進について御答弁申し上げます。  お話しにありましたとおり、現在、まちづくりセンターなどに設置しております証明書自動交付機は、来年、二〇一九年十二月をもって廃止し、マイナンバーカードによるコンビニ交付を促進していく方針をお示ししたところでございます。そのためには、多くの方にマイナンバーカードを持ってもらう必要があり、積極的にPRしていく必要があると考えております。  具体的には「区のおしらせ」による周知や、区内施設へのポスター掲示を初め、税に関するキャンペーン等でのチラシ配布、町会回覧も予定しており、さまざまな機会を捉えてPRに取り組んでまいる予定です。  さらに十二月以降、現在自動交付機を利用している方で、まだマイナンバーカードをお持ちでない方に対して、自動交付機の終了とカードを申請できる窓口を御案内する勧奨通知を順次送付し、カードの切りかえを促してまいりたいと考えてございます。  また、十二月からは各総合支所やまちづくりセンター等を会場としてマイナンバーカードの申請の臨時窓口を実施するほか、平成三十一年四月には専用窓口を文化生活情報センター内に再度開設する予定です。これらの窓口では、お話にもございました写真撮影サービスも行うことで、気軽に申請しやすい工夫をしてまいりたいと考えてございます。  区といたしましては、二〇二二年三月までの三年間を交付促進の強化期間と設定し、多様な方策を講じながら、多くの方にマイナンバーカードをお持ちいただけるよう取り組んでまいります。  以上です。 ◆四番(青空こうじ 議員) 三年間あるというんですが、新聞とか広報紙と言うんですが、今、うちの近くでもマンションとかアパートの方はみんな新聞をとっていないわけですね。ぜひ新聞以外にどういうふうな形で普及していくのか、ちょっとお伺いします。 ◎志賀 地域行政部長 再質問にお答えいたします。  ただいま御答弁申し上げましたとおり、自動交付機があるところにポスター掲示等を既に行っております。また、区のさまざまなイベントなどで、各それぞれの所管から御協力いただきましてチラシを配布したりですとか、もちろんホームページ等にも記載してございます。あらゆる機会を捉えて、私どもとしてはPRの強化に努めてまいりたいと考えております。  以上です。 ◆四番(青空こうじ 議員) 区内でいろいろなイベントがあるとき、三軒茶屋のホコテンとか、それとかお祭りとかああいうときに、ぜひどんどんどんどんやっていくようにしていただきたいと思うんですが、そういう点はどうでしょうか。 ◎志賀 地域行政部長 再々質問にお答えいたします。  ただいまお話しいただきました、そういった点も捉えまして、さまざまなイベント、庁内、いろいろ広く呼びかけをさせていただきまして、PRのほう、キャンペーンのほうは張っていきたいと思っております。  以上です。 ○三井みほこ 議長 以上で青空こうじ議員の質問は終わりました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、十九番菅沼つとむ議員。    〔十九番菅沼つとむ議員登壇〕(拍手) ◆十九番(菅沼つとむ 議員) 質問いたします。  第一に、児童相談所開設に向けた検討状況についてお聞きします。  十一月の福祉保健常任委員会で児童相談所の進捗状況が示されました。また、区の政令指定要請に向けた準備が整ったと説明がありました。その内容は、第一に、設置市事務は都から引き継ぎは事前準備完了と言いながら、開催時期は調整中。第二に、福祉施設の確保、広域的整備は、平成三十一年二月に都と区の間で調整して、協議結果を取りまとめる予定。第三に、児童相談センターの宿泊での専門医療、指導については、都にお願いする方向で都と調整中。第四に、都と区の連携体制で効率的な相談ケースの引き継ぎ協議は開催予定。第五に、都職員が世田谷区の児童相談所に派遣は三十一年度末の見込み。第六で、一番大事な都と世田谷区の十分な協議の実施については協議を進めることを確認。  第一にお聞きします。世田谷区は平成三十年十二月に政令指定の判断を行います。世田谷区が児童相談所の準備が整ったと言っている内容は、調整中、取りまとめる予定、都と区の調整中、三十一年度の見込み、協議開始予定、協議を進めることを確認するなど具体的に示していません。来月、十二月に政令指定要請の判断ができるのかお聞きします。  第二に、子どもの命がかかっています。児童相談所を明確に開設するには、一年延ばして慎重に児相を行うべきと思いますが、区の判断を聞きます。  また、児童相談所で大事なのは里親の対策です。里親は預かった子どもを十八歳になるまで預かります。自分の子どもでも十八歳まで育てるのは大変です。里親はさまざまな事情がある子どもたちを十八歳まで自立できる社会人に育てなくてはなりません。また、里親が預かった子どもの手当は一人約十五万円ぐらいです。着るものから食事、全部をやらなくてはなりません。里親の子どもたちの人生がかかっております。世田谷区はどのように区内の里親をふやしていくのかお聞きします。  また、児童相談所の財源についてもお聞きします。二十九年度、都の特別交付金の収入は一部人件費を入れて五十五万八千円です。児童相談所で雇った職員の人件費はほとんどが世田谷区の負担です。また、児童相談所で東京都と世田谷区が七回話し合いをしていますが、財源の特別交付金を普通交付金に変える話はしていません。区の児相の財源に対し御意見をお聞きします。  次に、地域のコミュニティーにおける祭りなど、補助金等についてお聞きします。  藤井まな議員も指摘しています。自治総合センターの補助金は宝くじの補助金で、毎年百億の助成をしています。コミュニティ助成事業は、一般コミュニティ助成事業を初め、地域防災組織の育成、青少年健全育成、共生の地域づくり、地域の芸術環境づくり、活力ある地域づくりなどがあります。  平成二十九年度コミュニティ助成事業では、AEDの整備、印刷機の整備、防犯整備、スタンドパイプの防災整備、お祭り備品の整備、みこしの整備など、コミュニティー活動にかかわる多くの助成をしています。コミュニティ助成事業者に政教分離についてお聞きしたら、神社のものは一切助成しません。しかし、地域の自主的な祭り、みこしなどは地域のものであり、地域のコミュニティー事業ということです。  一般コミュニティ事業では百万から二百五十万の助成があります。窓口は世田谷区です。世田谷区は、区民団体、町会の申請書を全部東京都に送り、東京都は都民から申請を全部一般財団法人自治総合センターに送り、全国からの申請書の中で、自治総合センターが判断して選びます。世田谷区は一円も予算がかかりません。申込団体の助成金の判断は世田谷区はしません。  第一にお聞きします。世田谷区の地域町会・自治会、コミュニティー団体などが一般コミュニティ助成事業に申請書を出しているのかお聞きします。  第二点目、二十九年度、二十三区の中で多くの地域町会・自治会が一般コミュニティ助成金をもらっています。なぜ世田谷区は申請をしないのか、世田谷区の代表である保坂区長に聞きます。  次に、区立小中学校の人工芝化等についてお聞きします。前回、校庭の芝化を始めてから約十三年がたち、検証しているのかお聞きしました。芝のメリット、デメリットの答弁がありました。昆虫や鳥が飛来し季節感を感じさせる環境になり、環境学習に役立ち、けがも少ないとあります。  第一にお聞きします。各学校の周りには木や低木があり、学校の上は壁面緑化、屋上緑化もしています。校庭の芝化だけで昆虫や鳥が飛来し、季節感を感じる環境学習になる学校があるのかお聞きします。  また、芝のデメリットですが、校庭に芝を植えたときには各団体が一生懸命やります。しかし、四、五年たつと、先生もかわり、PTAもかわり、芝の管理はできているのかお聞きします。  また、区は芝の管理において、学校を定期的に回り、要望を聞いて相談しているというふうに答弁しております。学校の芝は、学校職員、PTAの負担になっていないのかお聞きします。  また、目黒区の人工芝化についてもお聞きします。目黒区は、小中学校三十一校のうち、人工芝化は約三分の一の九校です。学校の建てかえや改修のときには補助金を使って人工芝化を進めています。世田谷区は目黒区に行って視察をして、自分の目できちんと見ていただきたいと思います。区の考えをお聞きします。また、世田谷区は人工芝化の検討をしているのかお聞きします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、児童相談所開設につきまして、大きく二点について御答弁申し上げます。  最初に、都との協議状況や開設時期についてでございます。  東京都を初めとする各方面との協議やその他の準備につきましても、二〇二〇年四月の開設に間に合わせることを前提に、政令指定要請などのスケジュールを踏まえながら進めているところでございます。  このように段階的、計画的に協議や準備を進める中、先日の福祉保健常任委員会におきまして御報告申し上げましたとおり、政令指定を受けるための要件、例えば開設可否の判断項目を満たすことができると見込まれる状況となったことから、二〇二〇年四月の開設ができるものと考えております。  現在、都との調整は順調に進んでおりまして、協議中の事項につきましても既に方向性が明確となっていることから、区といたしましては、開設時期を先延ばししなければならない要素はないものと判断しております。  開設に向けましては、児童相談所と子ども家庭支援センターによります一貫したアセスメントに基づく効果的な支援体制を構築するとともに、虐待に至る前の予防型サービスの充実や、社会的養護のさらなる拡充などに取り組んでまいります。  次に、財源問題におきましての財調問題でございます。  児童相談所の運営費を含む、児童相談所の関連経費に関しましては、東京都と特別区の都区財政調整に係る協議の中でその扱いについて協議を行うものとしており、年末から年明けにかけまして実務レベルでの協議等を行い、最終的には、二月上旬に行われます都知事と区長会の代表による都区協議会において結論を得るという流れになっております。  政令の定めによりまして、特別区が児童相談所を設置した場合の関連経費につきましては、都区財調の普通交付金として算定されるべきものであること、児童相談所関連事務が都から区へ移管される役割分担の変更であり、規模に応じまして都区財調の配分割合を変更すべきことを方針としておりまして、この方針のもと、来月より始まる実務レベルでの協議に臨んでまいります。  また、議員お話しございました、昨年度の児童相談所の準備経費につきましては、東京都より特別交付金として法令の規定に基づく都区で合意した算定ルールにのっとって取り扱うべきものとして取り扱われた結果でございまして、特別区といたしましては、当面発生する準備経費につきましては特別交付金で全額算定することを方針として、引き続き協議に臨んでまいります。  以上でございます。 ◎澁田 子ども・若者部長 私からは、区はどのようにして里親をふやすつもりなのかという御質問にお答えいたします。  区は、区内の里親、児童養護施設と協力関係の構築に向けまして意見交換を重ねますとともに、都との児童養護施設や里親の相互利用、相互委託の実施に向けた実務的な協議が進んでおり、開設当初における安定的な運営の受け皿は確保されていると考えております。  しかしながら、区はこれにとどまらず、委員の御指摘にもありましたとおり、里親のさらなる拡充を図ることとしており、そのためには、まずは希望者の掘り起こしを進め、裾野を広げることが重要であると考えております。  現在、都の普及啓発事業への積極的な協力や、区独自での関連団体、区民向けの説明会の開催、シンポジウムへの参加など、地域に密着した里親制度の理解促進の取り組みを進めておりまして、来年度は、さらに力を入れていく予定でございます。  また、里親希望者の掘り起こしや専門里親へのステップアップの促進のためには募集や研修などの業務が重要となることから、これらの業務に精通しました民間事業者との協働の可能性なども検討してまいります。  以上でございます。 ◎田中 生活文化部長 私からは、地域コミュニティ助成事業の活用について御答弁いたします。  超高齢社会の到来を目前に、コミュニティー活動で支え合う地域社会づくりが求められていることから、区は、これまでも町会・自治会を初めとする地域活動団体と連携協力し、地域コミュニティーの活性化を支援してまいりました。  その取り組みの一つとして、住民が自主的に行うコミュニティー活動の促進を図り、地域の連帯感に基づく自治意識を盛り上げることを目指す、一般財団法人自治総合センターの一般コミュニティ助成事業に申請を行ってきたところです。  具体的には、イベント用のテントや餅つき用のボイラーの購入など、汎用性が高く、多くの地域活動団体が利用できる物品について、お尋ねの町会・自治会等の団体からではなく、区が助成を受けて購入、保管し、地域活動団体に貸し出してまいりました。しかし、近年、制度が改正され、自治体が保管管理する物品の申請は対象外となったため、三十年度は申請を行いませんでした。  コミュニティ助成事業は貴重な財源の一つであると認識しておりますが、町会等の団体への助成を行うに当たっては、現在実施している助成制度との整理や、多くの申請が出された場合の順位づけのルールなど検討が必要な点がございます。  今後、総合支所と連携し、活動団体の御意見も伺いながら、使用目的や有効性、申請ルールなど活用方法を検討してまいります。  以上でございます。 ◎淺野 教育次長 私からは、校庭の芝生化に関しまして、大きく三つの質問にお答えさせていただきます。  まず、校庭の芝生化と環境学習についてです。  校庭の芝生は、ヒートアイランド現象の緩和に効果があるとともに、芝生にトンボなどの虫が集まり、鳥が飛来するなど、環境学習や生物の観察等に役立てることが可能です。  例えばですが、区内のある小学校では、一年生の生活の時間で芝生を使って虫探しをしたり、三年生では生き物の単元で芝生に集まる昆虫を観察したりしております。また、その他の事例では、五・六年生が総合の時間の中で校庭の芝生をもとに芝の苗を育て、その苗を使って補植をするなど、各学校においてさまざまな面で環境学習に寄与しております。  続きまして、校庭の芝生化の維持管理と、あと導入後に学校の負担が増すということについて御答弁申し上げます。  校庭の芝生化は、定期的な除草や散水、補植や芝刈りが必要となり、学校だけでは維持管理の負担が大きく、芝生を良好な状態に維持するためには、PTAや地域の方々の継続的な協力が必要となります。そのため、校庭の芝生化を進める際には、学校やPTA、地域の方々と、今後の維持管理方法等を含め、事前に十分に協議を重ねてから導入しております。  現在、芝生を導入しているある小学校では、卒業生の保護者が中心となってわくわく隊と称する組織をつくり、交代で芝刈りや除草を行っていると聞いております。  多くの学校では地域と協働して芝生の管理を行い、芝生を通して地域コミュニティーにも寄与しております。しかしながら、芝生のある学校の中には、PTAや地域の方々の協力が減り、学校の負担がふえているケースもあるとの声も伺っております。  教育委員会では、各学校の意見を十分に聞きながら、今後とも学校への支援、協力の充実に努めてまいります。  続きまして、目黒区の校庭の人工芝化、それから、世田谷区では人工芝の導入を検討しているかという御質問につきまして御答弁させていただきます。  議員からお話しのありました目黒区の校庭の人工芝に関しましては、目黒区立の小中学校三十一校のうち、人工芝の学校が九校ございます。  現在、世田谷区の校庭整備の標準設計仕様書ではクレー舗装や天然芝を基本としておりまして、多くの場合はクレー舗装となっております。人工芝はクレー舗装と比較して防じん性や透水性にすぐれている反面、整備コストが高く、約十年に一回程度定期的な張りかえが必要となることから、世田谷区では採用に当たって慎重に判断しております。  なお、クレー舗装及び天然芝以外で校庭整備をした例といたしましては、全天候型舗装を施した学校が三校ございますが、いずれも標準設計仕様書の改訂前に整備した学校で、主に土ぼこりや水はけの対策として採用した経緯がございます。  人工芝の採用に関しましてはコスト面での課題がございますが、校庭の舗装材の技術も進歩しており、新しい工法等にも注視しながら、採用自治体の視察も含め研究に努めてまいります。
     以上です。(「答弁漏れ。一般コミュニティ助成事業の第一問が答えていない」と呼ぶ者あり) ○三井みほこ 議長 答弁漏れはございますでしょうか。 ◎田中 生活文化部長 先ほど御答弁いたしましたとおり、これまでは町会・自治会等の団体ではなく、区が助成を受けてまいりました。  以上でございます。 ◆十九番(菅沼つとむ 議員) 今、地域町会・自治会が一般コミュニティ助成事業に申請を出しているのかって聞いている。その答弁が抜けている。それから、一般コミュニティ助成事業の二十九年度、二十三区で文京、荒川、台東だとか、七百五十万ずつ町会だとか自治会、防災グッズや何かにいっているんですよね。  世田谷区は、法が変わったといったって、これは四十年前から町会・自治会の申請を申し込んでいるんです、全国で。この辺はどういうふうに考えているのか、これが二問目。  三問目は、区の答弁で使用目的を効果的に申請ルールを検討していきますとありますけれども、区は申請書を間違っているか、間違っていないか。その辺のチェックと、複数の案件の場合、一番か二番かつける、この二つぐらいしか区の役割はないんですよ。それなのにどうして判断だとかそういうものをやっていくのか。それから、いつからこの申請書を世田谷区として受けるのか、この三問をお願いします。 ◎田中 生活文化部長 再質問にお答えいたします。  まず、町会・自治会は申請を出しているのかという御質問ですけれども、区が助成を受けて貸し出すという立場に立っておりましたので、申請を呼びかけてございませんから、申請は出てきてございません。  なぜ受けていないのかということですけれども、先ほども申し上げましたように、できるだけ汎用性が高く、多くの地域活動団体に利用していただきたいということで、区が助成を受けて、区が貸し出すという立場をとってまいりましたということでございます。  それから、区はなぜ出さないのかということでございますが、団体に助成を行うに当たりましては、町会・自治会等を初め地域団体にさまざまな今助成制度がございます。それとの整理の関係、また、順位を振るだけですというような御質問もありましたけれども、その順位を振るに当たってのルールづくりなどが必要であると考えておりますので、これらについて、総合支所とも連携しながら検討いたしまして、活用を目指してまいりたいというふうに考えております。できるだけ早期に検討したいと考えております。  以上でございます。 ◆十九番(菅沼つとむ 議員) 本当に四十年間、ほかの自治体は防災だとかそういうものに助成金をいただいているんですよ。何で二十三区の中でも世田谷区はやってこなかったのか。デポでやっているんだというのはわかっていますよ。だけれども、防災グッズだとかああいうのはデポに置くもんじゃなくて、地域に置いてあるものなんです。その辺をこれから早くやっていただきたい。おまけに世田谷区のほうはその助成金の判断をしないわけですから、その辺をきちんとやっていただきたいというふうに思います。  それから、学校の芝生化、答弁で環境学習や何かをやっているというんですけれども、芝生化の中で何校の中で何校やっているのかお聞きします。 ◎淺野 教育次長 具体的には、先ほどの小学校につきましては池尻小の事例とか旭小の事例を紹介させていただきました。ちょっと正確に何校で、現在ですが、区立小中学校、幼稚園で二十七校で、内訳としましては小学校二十三校、中学校二校、幼稚園二園で導入しておりますが、環境学習を正確に何校でやっているというのは、ちょっと手持ちの資料がございませんので、申しわけございません。幾つかの学校でやっているという例を紹介させていただきました。 ○三井みほこ 議長 以上で菅沼つとむ議員の質問は終わりました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、一番ゆさ吉宏議員。    〔一番ゆさ吉宏議員登壇〕(拍手) ◆一番(ゆさ吉宏 議員) ここ二、三日は、まるで浅見光彦のサスペンスドラマにありそうな宮崎・高千穂殺人事件が報じられていますが、先週はゴーンショック一色でした。残念ながらこの陰に隠れていますが、日本の外交で国益を左右する最優先事項の一つが北方領土問題であります。  一九〇五年のポーツマス条約からさらにさかのぼって、日露が正式に国境を確定した最終となるのは、一八五五年の日露修好通商条約であり、以来、北方四島は一度も外国の領土になったことがない、我が国固有の領土であります。一九五一年のサンフランシスコ平和条約で、確かに日本は南樺太と千島列島を放棄しているものの、そこには北方領土は含まれていません。また、この条約にはソ連は参加もしていません。  一方で、国後・択捉はもちろん、色丹島にも数千人のロシア人が移り住み、そして、そこで新しい命も生まれているという現状を考えると、今すぐにどいてくれというわけにはなかなかいかないと思っています。主権はどちらにあるのかという問題もありますが、ぜひこの三年間で解決してほしいし、安倍総理ならできるだろうと思っています。  また、今月初めにはアメリカ中間選挙もありました。トランプ大統領に対する反対派の厳しさが増す中、世論調査で隠れトランプが二年前よりさらに増加しています。もっともアメリカの景気は過去最高、トランプは公約をほとんど全てやってしまった。アメリカという国はもともと分断していたからこそ、トランプ大統領が出てきたと思っています。よくも悪くも世界中が自国第一、リベラルに対する反発が世界中で高まっている。一方、日本にとって北朝鮮の核の脅威が非常に減った。中国ともここ数年で仲よくなってきた。日本にとってはトランプ様々だと思っています。  中間選挙前、トランプ大統領は、いわゆる重点接戦州を回って、上院選、州知事選で見事に勝利をしました。どうやったら二年後に大統領選に再選できるのか。まるで受験勉強のように傾向と対策をしっかり分析して勝利するというやり方というのは大変参考になるなと思いました。  さて、傾向と対策といいますと、今後の自治体経営のあり方について、これから十年もすると、世田谷区の人口が百万人を超えるという将来人口推計の結果が出ておりますが、自治体の持続可能性の視点から、今、多角的かつ時間の経過を意識した検討を行い、確固とした対応策を策定する必要があると思っています。  区は、人口そのものについての将来的な課題をどう捉えているのか。全国的な人口減少が続く一方、世田谷区だけでなく、東京二十三区の多くは人口がふえ続けています。しかし、全国で人口減少が続いていて、いつまでも東京二十三区の人口増加が続くものではないだろう。  このことについて、国レベルではどう認識をしているのか。自治体経営のあり方研究プロジェクトでの議論の進捗状況については、現在、まさに議論の中間地点にあると思います。現時点での状況はどのようになっているのか。  また、あり方研究のこれからの議論について、中間まとめに向け、年度末までにどのように議論を進めていく予定なのか。さらに中間まとめの後、来年度以降の予定や行動はどのようなものか。これらについて、区の見解を伺います。  次に、梅ヶ丘拠点障害者支援施設の機能発揮について伺います。  先日、梅ヶ丘拠点の障害者入所施設の入所者が決定しました。梅ヶ丘障害者入所施設は、地域移行型施設として、そのコンセプトである地域移行機能が発揮されなければ、この施設を必要とする区民の利用が滞り、区が描く障害者が望む地域での暮らしが実現できないことになります。  区は今後、入所を希望する区民に対し、この梅ヶ丘障害者施設が通過型施設としての機能を果たし、順次受け入れを行うことを、改めて明快に示すべきだと思いますが、区の見解を伺います。  一方、地域移行の先には地域生活の継続が必要になります。それに応えるためにも、区は障害者施設整備に係る基本方針の検討を進めていると聞いておりますが、果たして間に合うのか、現在どのような議論をしているのか伺います。  また、梅ヶ丘障害者施設が拠点として、ショートステイや相談支援、訪問型サービスなどを組み合わせるとともに、区内の障害者施設やサービスと連携し、障害者の暮らしを総合的に支えていく必要があるわけですが、梅ヶ丘の機能をいかに発揮させ、真の拠点としていくか、こちらも区の見解を伺います。  最後に、児童相談所の準備状況と二〇二〇年度開設の見通しについて伺います。  平成三十一年三月の政令指定要請の提出を踏まえ、都と区は協力連携を図りながら、区の計画案の確認作業や広域調整等の詳細の協議を進めることを確認したとのことであります。また、施設の相互利用を初めとした広域調整など、児童相談所移管に向け、都との実務的な準備が進んでいると聞いています。  しかしながら、開設に向けた課題が六百二十項目ある中、三百三項目が検討中、または検討予定とされています。課題が数多く残される中、開設準備は果たして間に合うのか。区は平成三十二年四月の開設ができると言っておりますが、そのように見通す理由について、改めて区の見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、児童相談所の開設の準備状況に対します、いわゆる見通しについてでございます。  区では、これまで児童相談行政の基本方針にかかわるものや、設置市事務の担当所管など実務的な検討を進めるために、早期に方向性を確定させる必要があるものなどを優先して検討を進めてまいりました。  今御指摘にございましたまだ残されている検討課題はございますが、その分類といたしましては、マニュアルの策定など、既に方向性が確定しており、事務的な内部調整検討により解決するものや、児童相談所業務を熟知した専門員等の確保により解決するもの、また、都との業務引き継ぎにより必然的に解消されるものなどとなっております。これまでの検討結果を土台といたしまして、残る課題についても順次検討を進めまして、二〇一九年七月までに検討を終了する見込みとしております。  これに加えまして、議員お話しございました政令指定の要請に向けました最大の課題となっておりました都との協力連携について確認することができましたことから、二〇二〇年四月の開設は可能であると考えております。  以上でございます。 ◎岩本 政策経営部長 私からは、自治のあり方研究に関しまして、四点御答弁申し上げます。  初めに、百万人を超えるという推計を踏まえ、世田谷区の将来的な課題をどう捉えるかということでございます。  世田谷区の高齢化率は現在二一%程度ですが、人口構成上、最も大きなボリュームを占める団塊ジュニア世代が二〇四〇年以降高齢期を迎えることにより、高齢者人口は二十五万人、高齢化率は二四%を超え、世田谷区においても、いよいよ超高齢社会の課題が現実化することとなります。  団塊世代が高齢期を迎えている現在の世田谷区の人口ピラミッドは、団塊ジュニア世代を中心に、支える世代の規模のほうが大きい状況にあります。しかし、団塊ジュニア世代が高齢期を迎える二〇四〇年ころは、支える世代である四十代を中心に、その前後の世代の人口規模が縮小することが見込まれ、人口構成のバランスが不安定となる可能性があるものと考えております。  次に、人口問題について、国レベルではどういう認識をしているかということでございます。  国は、自治体戦略二〇四〇構想研究会を設置し、高齢者人口が最大となる二〇四〇年ごろの自治体が抱える課題の整理、自治体の多様性を高める方策などについて、本年七月に報告書をまとめております。その中で、若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏という表題で日本の危機をあらわしております。二〇四〇年ごろにかけて、人口増による人口ボーナスを享受してきた三大都市圏が急激な高齢化局面に突入すること、東京圏は地方圏に比べ、子育ての負担感につながるさまざまな構造的要因から、少子化に歯どめがかからないおそれがあることなどを指摘しているところです。  次に、自治体経営のあり方研究の進捗状況、また、今後の取り組みについて、あわせて御答弁申し上げます。  今後の自治体経営のあり方研究につきましては、新実施計画(後期)でお示ししておりますけれども、世田谷区の将来人口動向を踏まえ、持続可能な自治体経営のあり方について研究、検討を行うため、庁内管理職、若手職員二十六名でPTを立ち上げ、学識経験者のアドバイスも得ながら議論を進めているところです。この間の議論においては、産業テクノロジー、都市インフラ、医療、介護という個別課題とあわせて、住宅都市の新たな魅力、活力の創出、住民自治のあり方、財政、権限のあり方などを議題に議論を行っております。  具体的には、例えば介護予防につながる都市環境のあり方、区民等の主体性発揮の場となるプラットフォームの必要性など、さまざまな課題が挙がっておりますが、今後の自治体経営のあり方の検討を進めるに当たり、住宅都市世田谷として何を大切にし魅力を高めていくか、改めて議論していく必要性があることを確認したところでございます。  今後、これまでの議論を踏まえまして、世田谷区が目指す都市の姿、住宅都市世田谷としてのビジョン、ビジョンを実現するための課題や戦略等について中間まとめを行う予定です。  今年度は、庁内のPTとして取り組んでおりますが、来年度は中間まとめをもとに、学識経験者等の参加を得て検討会を立ち上げ、世田谷区として自治体経営のあるべき方向性と実現に向けた具体的取り組みについてまとめることができるよう検討を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎松本 障害福祉担当部長 私からは、梅ヶ丘拠点の障害者支援施設に関し、三点の御質問にお答えいたします。  まず、入所施設が通過型であることを明快に示すべきとの点でございます。  来年四月に梅ヶ丘拠点の民間施設棟に開設いたします障害者支援施設では、障害者の地域生活移行を目指し、日中の生活介護と一体となった入所サービスにより、自立した生活能力を身につけるための支援を実施いたします。入所者は五十名で、原則三年以内の利用とし、グループホームの確保や在宅生活移行に向け生活リズムを整えるなどのため、さらに時間が必要となる場合には最大二年までの延長を可能とするものでございます。  利用者募集では九十七名の御希望があり、御本人や家族との面談等を行いながら、区との協議の上で、運営法人が既に五十名の入所者を決定しております。入所決定に至らなかった方の中には、他の障害福祉サービスで対応可能な方や長期入所を希望される方がおられた一方で、本施設での支援が必要な方、地域移行の状況を見きわめた上で利用したいとの声も伺っているところでございます。  こうした状況も踏まえまして、入所が決定した方に対しては、利用中に達成する目標や支援内容、利用期間などを施設から丁寧に説明し、確認を行った上で運営するよう、区としても事業者を指導してまいりたいと存じます。あわせまして、地域移行の状況についても公表しまして、施設目的が十分果たせるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、地域移行の受け皿となる障害者施設整備にかかわります方針の検討状況についてでございます。  区では、生活介護やグループホーム等の障害者施設の整備に取り組んでおり、この十月と十一月には宮坂と上北沢に生活介護等の施設を開設しておりますが、特別支援学校の卒業後の利用希望や梅ヶ丘拠点施設からの地域移行等を考えますと、一層の施設整備が必要な状況でございます。  さらには、通所施設やグループホームの量的整備の課題に加え、利用者の高齢化や医療的ケアへの対応などニーズの変化への対応も求められていることから、今後の障害者施設整備等の基本方針策定に向け、本年八月より学識経験者等による検討を進めているところでございます。  この間の検討では、施設利用の状況分析、今後の施設需要数の考え方等について議論をしてまいりましたが、引き続き需要に対する施設整備の方策や介護保険事業への移行支援等についても議論を重ね、来年二月には一定のまとめを行う予定でございます。  その後、障害者施策推進協議会におきまして、さらに御意見を伺いつつ、二〇二一年度からの第六期障害福祉計画に反映してまいりたいと考えておりますが、並行しまして梅ヶ丘拠点の障害者支援施設での対応も踏まえながら、その受け皿となる通所施設やグループホームの整備を急いでまいりたいと考えております。  最後に、梅ヶ丘拠点をどのように真の拠点としていくのかという点についてでございます。  平成二十五年十二月に策定をいたしました梅ヶ丘拠点整備プランにおきましては、先駆的機能と地域サービスをバックアップする、補完する機能の役割を持つ拠点として、障害者の地域生活への移行、継続支援機能を整備することを盛り込んでおり、通過型の施設入所支援を中心に、医療的ケアを行う障害者支援施設として機能発揮を図ることとしております。  本プランに基づき、民間施設棟では、施設入所支援以外にも障害者児短期入所、障害児通所支援、訪問系サービス事業などを実施するほか、基幹相談支援センター、相談支援事業所を併設いたしまして、相談からサービス提供に至る一体的、総合的な施設としてまいります。  医療的ケアなど専門性や個別性の高い支援についても、事業者が運営実績を積み上げつつ、他の事業所や施設と連携を図りまして、支援事例を共有しながら研さんに励み、情報提供や技術支援を行う拠点として、区の障害福祉サービスの充実向上を図る役割を担ってまいります。  現在、事業者は、区や総合福祉センターとの連携のもとで、医療的ケアへの対応の詳細、あるいは地域移行に向けたプログラムの検討、基幹相談支援センターの体制づくりなどを進めております。  開設後は、障害者の暮らしを総合的に支援する拠点機能を果たすよう、区といたしましても、事業者への指導を継続してまいります。  以上でございます。 ◆一番(ゆさ吉宏 議員) 御答弁いただきありがとうございました。  私が前々から申し上げておりますけれども、これからの行政というのは過去に捉われてはいけないんだというふうに私は思っています。  私の父も公務員、元宮崎県庁マンですから、何となくわかるんですけれども、やっぱり一足す一が二になるとは限らないんだ、一足す一が三にも四にもなるような何事も前向きな考えで、これから取り組んでいただきたいということをお願いしまして、私の質問といたします。 ○三井みほこ 議長 以上でゆさ吉宏議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩    ──────────────────     午後零時五十分開議 ○三井みほこ 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  四十三番中里光夫議員    〔四十三番中里光夫議員登壇〕(拍手) ◆四十三番(中里光夫 議員) 質問通告に基づいて質問します。  初めに、公契約条例について質問します。  公契約条例は、公共工事や公共サービスの質を守ることを目的に、世田谷区が発注した仕事を行う民間事業者が労働者の労働条件を確保する仕組みを定めています。  世田谷区の公契約条例の特徴は対象を広くしていることです。五十万円以上の契約を対象にチェックシートの提出を求めています。チェックシートとは、契約時に労働報酬下限額や労働基準法などの法令が守られているかを確認するために、事業者が提出する労働条件確認帳票です。年間約三千件のチェックシートが提出されています。  ところが、提出されたチェックシートを調べてみると、昨年は約七十件、必要な労働条件を満たしていないことを示す記述があったにもかかわらず、事実上放置されている実態がありました。  公契約条例は、提出された帳票に基づき、必要に応じ労働条件の改善に資する措置をとることを、区の責務としています。昨年の議会で、私はこの責務を果たすために提出されたチェックシートの内容を、発注元の所管課に送付することを提案しました。副区長は、所管課が責任を持ってこの件について携わらなければいけない、徹底を図りたいと答弁しました。  今年度のチェックシートについて調べてみますと、五十一件、四十一社で労働条件を満たしていないことを示す記述がありました。昨年同様、就業規則の労基署への届け出や、社会保険の加入、残業時間を労使間で取り決める三六協定、健康診断の実施や衛生管理者の選任などでの不備、労働報酬下限額を下回る賃金が示されているものもありました。  チェックシートと事業者の労働条件を所管課が責任を持って携わる体制は整ったのか、事業者への対応はどのように進んでいるのか伺います。  年間約三千件の契約に対しチェックシートの提出を求めることは、今まで公的機関から労働条件の確認などされたことがない小さな事業所にもチェックが入る機会が生まれたということです。  チェックシートの記述を見ると、基本的な労働法の理解も不十分なのではないかと思われるものも散見されます。こうした事業所に、所管課が責任を持って携わるためには、必要な場合には社労士などの力をかりるにしても、役所の側が労働条件や労働法に対する必要な見識を備えていることが必要です。  労働法などチェックシートの内容を理解するための庁内の勉強会などを行うことを提案します。見解を伺います。  条例の目的を実現するために、区は、区が発注した業務での最低賃金、労働報酬下限額を条例に基づいて定めています。労働報酬下限額は、公共工事では職種ごとの設計労務単価に基づき、その八五%としています。例えば軽作業員は時給千五百四十円、大工は時給二千六百二十四円、溶接工は時給三千百二円などです。しかし、業務委託については職種に関係なく一つの下限額が定められています。現在は時給千二十円です。業務委託においても、職種ごとの専門性を評価した適切な労働条件の向上を目指し、職種別の下限額を設定すべきです。  公契約条例を推進してきた区民や団体の皆さんが主催した公契約シンポジウムでもこの問題が議論されました。既に他自治体で公契約条例や要綱などで業務委託についても、看護師あるいは保育士などの職種別の下限額を設定しているところが出てきています。  業務委託の労働報酬下限額についても職種別の額を設定することを検討すべきです。区の見解を伺います。  業務委託などの労働報酬下限額は、今年度引き上げされず据え置かれました。公契約適正化委員会労働報酬専門部会は、区職員の高卒程度の初任給である時給換算千百二十八円を目標水準としています。昨年に続いて、全国及び東京都の最低賃金の目安額が約三%、金額にすると、昨年二十五円、ことし二十七円引き上げられている、このことを示して、現状より五十円引き上げ、東京都の最低賃金の三年から四年先の額となる千七十円とする意見書を出しました。専門部会はこうした意見書を出しました。  来年度は適正化委員会の意見書を尊重して取り組むことを求めます。区の見解を伺います。
     次に、医療救護所について質問します。  大規模災害が発生したときの医療体制は、主に重傷患者の収容、治療等を行う東京都災害拠点病院、主に中等症者や容体の安定した重傷者の収容、治療を行う東京都災害拠点連携病院、応急処置や後方医療施設への転送順位の決定、軽傷者の対応を行う医療救護所があります。災害拠点病院は、関東中央病院、都立松沢病院、至誠会第二病院の三カ所。災害拠点連携病院は、国立成育医療センター、大脇病院、世田谷下田総合病院の三カ所です。  医療救護所は避難所に指定される小中学校のうち二十カ所が指定されています。松原地区では明大前駅周辺のまちづくりなどでさまざまな勉強会などが熱心に行われてきました。災害時の問題は、住民の大きな関心事です。  こうした中で、松原地区の医療救護所が空白になっている、必要な体制を整備すべきではという声が上がっています。医療救護所を松原地区のような空白地区にも設置すべきです。見解を伺います。  次に、小田急線上部利用について質問します。  小田急線東北沢、下北沢、世田谷代田の鉄道事業も複々線化が完成し、来年三月に鉄道工事は完了する予定です。いよいよ鉄道上部空間の全体も見渡せるようになり、整備がどう進むのか、住民の関心も高まっています。  上部利用については、十年以上にわたる住民の運動で、住民や専門家からのさまざまな提案が繰り返し行われてきました。世田谷区も、上部利用区民アイデアの募集、北沢デザイン会議、駅前広場に関するワークショップなど、住民の意見や提案を設計やデザインに取り入れる取り組みを行ってきました。住民が主体となり、区が支援をする北沢PR戦略会議も進められています。いよいよ下北沢駅周辺の上部利用をどうするのかが問題となってきます。  下北沢駅の新しくできた南西口から西に向かって空中歩道をつくる計画ですが、これについて、北沢PR戦略会議を初めとした場所で議論となっています。住民からアンケートなども実施して、空中歩道をより短い区間にする提案が出されています。住民の案を取り入れ、設計の変更を行うべきと考えます。  下北沢の住民訴訟和解の起点となった福川意見書の柱の一つが鉄道上部の公共的空間としての利用です。上部空間は、区と小田急の担当部分がどこか、ゾーニングが確認されています。  私は、小田急が担当する部分も公共的な空間であり、公共的空間にふさわしい利用や地域住民の声を取り入れたものにするべきだと、これまで繰り返し述べてきました。こうした趣旨から、二年前に、地域住民から要求の強い保育園を整備すべきと求めました。関係者の努力で世田谷代田駅近くの小田急が担当する上部空間に認可保育園が整備されることになりました。  公共空間としての下北沢駅周辺の上部利用に小田急や京王との連携を強め、引き続き住民の声を伝えていくべきです。住民参加で行われるワークショップや北沢PR戦略会議などに小田急や京王の参加と情報の提供を求めるべきです。  下北沢の駅前広場は、都市計画道路補助五四号線の一期工事の間、当面の暫定利用はどう進めるのか、住民の自主的な取り組みをしっかりと支援すべきです。以上三点伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎進藤 財務部長 私からは、公契約条例につきましてお答えをさせていただきます。  初めに、チェックシートに関連いたしまして、事業者への対応の状況と庁内の勉強会につきましてお答えをいたします。  予定価格が五十万円を超える契約については、公契約に従事する労働者の賃金、労働時間、社会保険の加入の有無などについて確認するため、労働条件確認帳票、いわゆるチェックシートを契約時に提出いただいております。  今年度提出いただいたチェックシートは、経理課で確認後、パソコン上で庁内に公開し、所管課でも確認を行っております。また、チェックシートに、適正でない、または該当しないことを示す「いいえ」の記載があるものは、まずは経理課で事業者にその理由を確認し、改善が必要なものは対応をお願いしているところです。  チェックシートでは、時間外労働に関する協定である三六協定の締結の項目や、就業規則の有無、各種社会保険の加入状況等に関する質問をしているため、その内容を確認し、労働条件の改善に向けて事業者に働きかけ等を行うには一定の知識が必要と考えております。  チェックシートの内容を理解するための勉強会の実施につきましては、現在も実施している所管課の契約担当者向けの研修の中で、公契約条例の説明とともに、チェックシートの内容を含めた事務手続等の内容充実を図るなど、職員の理解促進に努めてまいります。  次に、委託の労働報酬下限額についての職種別の額の設定と労働報酬下限額の引き上げにつきまして、あわせてお答えさせていただきます。  工事以外の委託契約等の労働報酬下限額は一くくりにした額で示しておりますが、実際にはさまざまな業務、職種があるため、現状と見合わないという課題があることは、区としても認識しております。  今年度の労働報酬専門部会においても委託契約等における職種別下限額の設定の必要性について議論されており、来年度以降もさらに研究、議論を深めていくこととされております。  区としては、今後、委員会や部会で十分議論が尽くされるよう必要な情報提供に努め、職種区分とその下限額の適切な設定に向けて検討してまいります。  労働報酬下限額につきましては、議員御指摘のとおり、現在、八月三十一日付で来年度の下限額に関する意見書が公契約適正化委員会から提出されております。その中では、委託契約等について、今年度の下限額が据え置かれていたこと、また、東京都の最低賃金の引き上げ状況等も参考に、千二十円から千七十円に改定するという御意見をいただいております。  区としては、来年度の下限額について、今年度据え置いたことを真摯に受けとめつつ、提出された意見の内容を十分に尊重し、区の財政状況、区内の事業者や労働者の環境も踏まえ、事業者や区の予算、契約事務にも支障を来さないよう、できるだけ早い時期に判断してまいります。  以上でございます。 ◎辻 世田谷保健所長 私からは、松原地区等の医療救護所設置についてお答えをいたします。  区では、世田谷区地域防災計画に基づき、発災時には災害拠点病院及び災害拠点連携病院の近接地等に六ケ所の緊急医療救護所を、また、避難所に併設した二十カ所の医療救護所を立ち上げることとしております。  緊急医療救護所では、主に傷病者のトリアージ及び軽傷者に対する応急処置等を行い、重傷者については災害拠点病院が、中等症者や容体の安定した重傷者については災害拠点連携病院が受け入れ、治療を行ってまいります。  一方、避難所に併設された医療救護所は軽傷者に対する応急処置等を行うこととされており、区内の医師会、歯科医師会、薬剤師会及び柔道整復師会の先生方に従事していただくことになっております。そのため、医療救護所をふやす場合には、各関係団体の現状に加え、さらに派遣依頼を行う必要があること。また、そのことで設備の整っている病院や診療所の早急な再開に支障が生じ、かかりつけ医等による的確な医療の提供にも影響が出ることも予想されますので、関係機関との調整が難しい状況でございます。  区におきましては、現在、医療救護所等の備蓄医薬品の見直し等に取り組んでおりますが、発災後の受診が可能な医療機関に関する情報を迅速かつ適切に提供できるよう、情報発信のあり方についても検討を進めてまいります。  以上です。 ◎髙木 北沢総合支所長 小田急線上部の利用につきまして、三点御答弁いたします。  まず、地域の声を取り入れ、公共的空間にすべきという点についてです。  小田急線上部利用につきましては、区はさまざまな区民参加を経て、平成二十五年度に小田急電鉄とともにゾーニング構想を取りまとめ、平成二十七年度には上部利用計画を策定し、この計画をもとに、連続立体交差事業の進捗に合わせて順次、駅間通路や緑地・小広場、駅前広場などの各施設の整備を進めてきております。小田急電鉄におきましても、このゾーニング構想を踏まえまして上部利用施設の検討を行い、順次整備を行ってきております。  このような中、連続立体交差事業は、来年三月の事業完了に向け、工事は大詰めを迎えております。工事完了後には、区と小田急電鉄、それぞれの上部利用施設の整備がさらに加速してまいります。  今後、これまで以上に小田急電鉄と情報交換を密に図り、地域からの声も共有し協力連携して、小田急線上部が区民等の憩いの公共的な空間となるよう施設整備を進めてまいります。  また、京王電鉄が下北沢駅南側の井の頭線の高架下などに整備する施設につきましても、京王電鉄と協力連携して、下北沢駅を中心とした町のにぎわいの連続性などに寄与するまちづくりに取り組んでまいります。  次に、住民参加の場に、小田急電鉄、京王電鉄の参加、情報提供を求めていくという点についてです。  これまで小田急線上部利用等のまちづくりにつきましては、地域の皆様との情報共有や意見交換の場である北沢デザイン会議を開催し取り組んでまいりました。ことし七月に開催いたしました第五回となる会議では、区の上部利用施設の情報とともに、小田急電鉄から、上部利用として整備する予定の大学のサテライトキャンパスや、保育園、自転車等駐車場、商業施設の計画などを説明していただき、地域の皆様と情報共有を図ったところです。  また、京王電鉄からも、下北沢駅南側の京王井の頭線の高架下などに整備する施設につきまして、小田急線上部利用の関連といたしまして、自転車等駐車場や商業施設の計画などを説明していただき、情報共有を図りました。  今後も引き続き北沢デザイン会議などの開催に際しては、小田急電鉄、京王電鉄にも参加と情報提供を求め、地域での情報共有を図り、区民や事業者とともに、小田急線上部やその周辺の町の魅力を高めるまちづくりに取り組んでまいります。  最後に、下北沢駅駅前広場、都市計画道路第五四号の暫定利用についてです。  区では、下北沢駅駅前交通広場を含む世田谷区画街路第一〇号線及び都市計画道路補助第五四号線につきまして、小田急線の連続立体交差事業にあわせて鋭意用地取得に取り組んでいるところです。  用地取得したところの一部は、駅周辺のにぎわい創出の観点から、道路整備を行うまでの間、暫定利用として、地元商店街が地域活性や交流の場として、さまざまなイベントの開催やベンチを設置するとともに花を植えるなど、来街者の休憩場所としても御利用いただいております。  さらにこの場所には、区民主体で小田急線上部利用施設の活用や町の魅力を高める検討を実施しております、北沢PR戦略会議のテーマ別の取り組みの一つとして暫定的に案内所を設置し、地域の方々とともにまちづくりの情報を発信しております。  今後も引き続きまして地元商店街を初めとする地域の主体的な取り組みを支援しながら、地域の皆様と協働して、暫定利用においても活気あるまちづくりに資する取り組みを進めてまいります。  以上でございます。 ◆四十三番(中里光夫 議員) 下北沢の駅前ですけれども、案内所などは、区も苦労、さまざま工夫して実現をしたということで、今後も引き続き住民の皆さんと進めていただきたいと思います。  再質問ですが、公契約条例、所管課が責任を持って全庁的に取り組もうということで、前回も質問して、今回もそのことを言っているんですが、先ほどの答弁では、文書をパソコン上で配付した、それから担当者の研修を行うということですが、これはしっかりと労働法などのスキルも担当者は身につけていただくということも含めて、所管課が責任を持って取り組むという体制をしっかりつくっていく必要があると思います。そのためにも研修をしっかり行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◎進藤 財務部長 再質問にお答えさせていただきます。  先ほども御答弁させていただきましたけれども、公契約条例の部分につきまして、議員からもお話しありましたように、難しいものについては、社労士の意見等協力もいただきながら対応しなければいけないものもあるというふうに考えております。  まず、区の職員のほうも、契約に係る職員が公契約条例の目的、また、基本的な知識を習得するということが重要というふうに考えておりますので、十分対応を考えてまいりたいというふうに考え、努めてまいります。  以上でございます。 ◆四十三番(中里光夫 議員) チェックについても、「いいえ」があるものを、今、経理課がまず見てということですけれども、その中身について、所管課のほうでしっかりと責任を負える体制をつくることが必要だと思います。その点について再質問します。 ◎進藤 財務部長 チェック体制につきましても、公契約条例のほうが始まりましてまだ年数がたっていないということもございます。まずは経理課のほうで現在は確認をして、事業者との対応もさせていただいているという状況をとっております。  また、これは当然のことながら、この制度が十分行き渡っていく中で、所管課のほうの対応もできるように、そういうふうに改善をしてまいりたいというふうに考えています。  以上でございます。 ○三井みほこ 議長 以上で中里光夫議員の質問は終わりました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、四十五番羽田圭二議員。    〔四十五番羽田圭二議員登壇〕(拍手) ◆四十五番(羽田圭二 議員) 最初に、来年度に向けた区政運営について質問をいたします。  わけても参加と協働による区政運営では成果と課題を明らかにすることが必要と考えております。さまざまな手法によって形成された区民参加は、区民が区政への関心を高める契機となっております。  例えば都営下馬アパート周辺地区地区計画では、一度決定した地区計画を見直す検討が、住民と区の合意のもとで開始されました。ここでは、住宅地区における建物の高さの最高限度のあり方について、三年にわたる七回の懇談会と勉強会で検討が加えられ、当初の二十五メートルの計画を十五メートルまで下げる内容が住民の間でまとまりました。  一方で、住民みずからが決めたことを受けとめ切れずに計画を断念、または施策を中止するという例もありました。また、道路計画では、周辺環境や町並みを大切にする区民意見をどのように反映していくのかという課題は、依然として困難さを抱えています。  改めて区が多様な意見に向き合っていく姿勢が問われていると考えます。政策の実現に向けたプロセスを大切にした区民参加を柱とする区政運営は、区が実際に動いたからこそ新たな課題が見えてきたとも言えます。この間の政策の実現による成果と今後の課題について伺います。  今期の福祉分野での大きな成果は地域包括ケアシステムの地区展開にあります。当初、厚生労働省は高齢者のみのシステムの構築を考えていました。しかし、世田谷区では区民の指摘から、一つの家庭で高齢者、障害者の介護、子や孫の育児、子のひきこもりなど複合的な問題を抱えていることが明らかになり、その改善策が問われた結果として、福祉の総合相談窓口の設置が求められたと思います。  その後、厚生労働省は、意図は別として、福祉の総合相談体制の構築を全国の自治体に求めていますが、区の国に先駆けての取り組み施策が全国の自治体へと広がり、国を動かし、これまでの施策を変える力になっているとも言えます。  また、高齢者のひとり住まい、精神障害者の居場所や中高年のひきこもり支援など、複雑化する課題への対応が今日的に求められているように、新たな課題への対応が見えてきたと言えないでしょうか。来年度の区政運営に向けた区長の決意を伺います。  次に、区民参加によるまちづくりについて質問いたします。  その一つに、東京外かく環状道路の掘進工事下の問題があります。  東京外かく環状道路は、国内ではこれまでにない地下四十メートル以上深い大深度地下を全面的に活用した道路計画であり、外径十六メートルのシールドマシンによって市街化された地域の地下に大断面のトンネルを構築する工事です。それだけに、事前の安全対策を十分に施すとともに、地表面での安全性が損なわれるような事態が発生した場合への万全な対応が求められていました。  しかし、今回明らかになった住民への健康被害の懸念がある酸欠空気の大気中への放出とそれに対する安全対策は、事前に想定されていたかは疑問を残すところであります。  さきの議会においても、喜多見ジャンクション部分から始まった外かく環状道路の掘進工事において酸欠空気の発生が指摘されました。経過や原因、本掘進への対応など、区民への説明が十分でないことから、いまだ区民の不信や不安は払拭されておりません。  そこで、以下三点について質問をいたします。  工事に伴い発生した酸欠空気は大気中に放出されれば問題がないとされていますが、個人宅の地下室や周辺地域の井戸などに発生した場合の危険性が増すことは明らかであり、野川周辺宅の地下室調査など、その対応が問われていなかったでしょうか。この間の区の対応を伺います。  また、今後、シールドマシンによる掘進工事を進めていく際に、酸欠空気が発生したとわかった場合、野川周辺住民への周知を徹底させることを含めて、区が事業者に求めるべき対応が重要だと考えます。区の対応を伺います。  さらに、今般の酸欠空気の発生や、その後の検証内容に関する説明は、いまだ十分に行われているとは思えません。区は説明会の開催を含めて、事業者側に求めるべきと考えます。今後の区の対応を伺います。  次に、防災まちづくりについて、昨今の豪雨被害から、その対策について伺います。  昨今の豪雨、強風による区内各地の被害状況から、豪雨災害対策の徹底が求められてきました。八月二十七日には玉川地域では一時間に百十一ミリという雨量が記録されました。予想を超えた雨量によって、床上浸水、床下浸水、地下室への流入など、多くの被害が出てしまった現実を踏まえた対応が必要と考えます。  二〇一四年に東京都は、豪雨対策基本方針において谷沢川、丸子川流域を対策強化流域に選定しています。既に東京都が進めている分水路や貯留槽の工事推進と計画などがありますが、区の流域対策としての対応が問われていないでしょうか。  雨水を一時的に貯留するための施設として、貯水槽整備に向けた教育施設や公園などの用地確保とともに、東京都への働きかけを強めるべきと考えます。区の対応と見解を伺います。  次に、学校給食費の無償化と教育費の負担軽減について質問いたします。  さきの議会でも、他会派議員も指摘したことの一つに、普遍主義に基づいた学校給食費の無償化に向けた対応があります。現役世代、子育て世代の教育費の負担軽減の課題では、支援を限定する選別主義ではなく、全体を重んずる普遍主義に基づく視点を堅持すべきと考えます。改めて区の見解を伺います。  今回区が示したシミュレーションは、教育費の負担軽減の枠を広げる政策と認識をしています。就学援助認定基準の見直しによって、教育費負担軽減への支援の枠が広がることは事実であります。  また、家庭の教育費負担で最も多い給食費の無償の範囲を広げることは、現役世代、子育て世代、そして中間所得層を含めた支援につながるという見方も可能であると言えます。  学校給食費の無償化に向けて一層の検討と、国、東京都への働きかけを強めるべきと考えます。区の施策に関する今後の展望と対応を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 羽田議員にお答えをいたします。  まず、区民参加を柱とする区政運営及び政策実現との関連についてお尋ねをいただきました。  私は就任以来、参加と協働が住民自治の確立に欠かすことのできない最重要な取り組みであるという考えのもと、小田急線上部利用の検討など住民参加と協働によるまちづくりや、新庁舎の整備に向けた検討に当たりまして、公募区民、あるいは無作為抽出型での希望者からの抽せんなど、幅広い区民の声を区政の全般にわたりお聞きし、また、参加と協働という原則の中で、ともに知恵を練るというスタイルをつくってまいりました。まだまだ区民、事業者、参加と協働という原則を区政の全てに行き渡らせるというところではむらがあるとは思いますが、一定の段階までは進んできたものと考えております。  今後、高齢化が進み、単身世帯が増加したり、地域社会での関係性の希薄化が進む中で、地域で孤立したり支援が受けられない人を一人でも減らしていくという課題も大きなものであります。  二年前、全区で始めた地域包括ケアの地区展開の報告の場で、招集挨拶で示したとおり、三者連携の議論から地区住民の自発的な健康づくりやコミュニティー活動との協働が進んできています。このように区政のさまざまな場面で参加と協働を機軸とした展開を、さらに追求していきたいというふうに考えております。  九十万区民が広く区政に参加し、地域の自治を担う仕組みづくりはまだ道半ばでありますが、刻々と変わる社会状況の変化に機敏に対応していく、最も身近な政府である基礎自治体を目指していきたいと思います。  次に、国に先駆け取り組む施策や、来年度に向けた私の決意ということで御質問いただきました。  私は、区民にとって最も身近な政府である自治体の長として、刻々と変化する区民ニーズに的確に応えるため、リーダーシップと前例に必ずしも捉われない発想を持って、この間の区政が抱える課題に先頭で取り組んでまいりました。  何例か挙げますと、産後ケアセンターの法定化と全国的な拡充に向けて、地方分権改革に関する提案募集方式を活用した国への働きかけを行った結果、これは特別区区長会からの要望という形もとりましたが、法定化までには至っておりませんが、厚生労働省が産後ケアセンターのガイドラインの中に市区町村独自基準型という類型をつくりまして、産後ケアセンター桜新町等の施設が改めて位置づけられることになりました。  また、福祉の相談窓口も国のモデル事業となり、この間、企業主導型保育についても内閣府に改善要望をお届けするなど、積極的に、いわば九十万自治体を代表し、全国のアンテナの役割もする自治体としての政策提言を行ってきております。
     来年度も、区の児童相談所の開設準備や、急速に進展する高齢化社会への対応、災害対策の強化など、解決すべき区政の重要課題が残っています。持続可能な区政運営を基本に、こうした課題に対応するために、より効果的な政策手法や資源配分も工夫していきたいと思っております。  引き続き九十万区民の暮らしを支えるリーダーとして、区議会の皆様と積極的に政策の議論を重ね、世田谷ならではの政策を一層進め、区政が直面する課題に継続して全力で取り組んでいく決意でございます。    〔堀教育長登壇〕 ◎堀 教育長 学校給食費の無償化と教育費の負担軽減について御質問いただきました。御答弁申し上げます。  憲法や教育基本法に定める義務教育の無償や教育の機会均等といった理念は、教育の基本理念であり、普遍的なものとして尊重されるべきものであると考えております。この点につきましては、義務教育教科書無償給与制度の例も挙げさせていただきながら考え方についてお示しさせていただきました。  学校給食費を含めた教育費の無償化につきましては、保護者の負担軽減の観点から、財政状況の面を含めシミュレーションを行っております。財政状況を踏まえ、教育における保護者の負担軽減を図るための検討を重ねて対応してまいります。  以上でございます。 ◎小山 道路・交通政策部長 私からは、外環道につきまして三点、順次御答弁申し上げます。  まず、工事に伴い発生した酸素濃度の低い空気に関してでございます。  外環道の工事に伴い、野川に漏出した気泡の空気の酸素濃度が低く、また、この空気が建物の地下室等へ漏出する可能性について御不安を感じる区民の声は区にも届いており、区では、このような御不安の声についても、事業者に直接出向くなどして伝えております。  事業者からは、漏出した空気量が大気に比べて微量であり、周辺環境に影響がないことを有識者に確認していること、また、空気漏出箇所周辺の地下室等で酸素濃度を念のため測定しており、問題ないことを確認していると聞いておりますが、気泡漏出や地下水流出についてはメカニズムが明確にされていないことから、慎重に見守っているところです。  現在、事業者は工事ヤード内においてシールドマシンの掘進時に使用する材料や掘進時の圧力を調整するなどして、空気の漏出を抑制しながら掘進する方法の検証を行っていると聞いておりますので、この検証結果を踏まえ、適切に対策がとられるものと考えております。  次に、今後、工事を進めていく上で酸素濃度の低い空気が発生したとわかったときの対応についてでございます。  現在、事業者は、掘進時に使用する材料や掘進時の圧力を調整するなど、空気の漏出を抑制しながら掘進する方法について検証していると聞いております。  今後は、検証の結果を踏まえ工事が進められていると聞いておりますが、万が一の際は、事業者が七月に公表したトンネル工事の安全安心確保の取り組みに基づき、事業者が主体となり、住民への情報提供や必要な対応を迅速に行う必要があるものと考えております。  区といたしましては、外環道の工事着手に際し、工事による環境への影響や地元要望への対応などについて、区長より事業者に対し七項目の要望をした経緯もあることから、環境に対する影響、今後の見通しなど、情報提供にきちんと対応するよう要望してまいります。  最後に、これらの住民への説明、周知等についてでございます。  これまで発生した野川河床から気泡の漏出、さらに工事ヤード内における地下水の流出につきましては、区は、事象の発生後、安全の確認や対策検討を速やかに行い、事業地外の掘進を始める前には、周辺を初め区民の方々にわかりやすい説明と情報提供など丁寧な対応を行うよう、事業者に要請をしてきております。  これまで事業者は必要な調査を行い、確認がとれたものから順次ホームページに公開するとともに、本年七月七日に喜多見七丁目常設会場で開催したオープンハウスでも、沿線住民に説明を実施しております。  現在、事業者が工事ヤード内で検証作業を行っていることから、検証の途中経過であっても、できるだけ早い時期に、住民にわかりやすく説明と丁寧な対応を行うよう、先日、改めて区長からも直接事業者に申し入れたところでございます。  以上です。 ◎桐山 豪雨対策推進担当参事 私からは、豪雨対策に関する質問に御答弁申し上げます。  区では、近年頻発している局所的な集中豪雨から区民の生命と財産を守り、水害に強い安全・安心のまち世田谷を目指して、世田谷区豪雨対策基本方針及び世田谷区豪雨対策行動計画を策定し、豪雨対策を推進してまいりました。しかしながら、施設能力を超える豪雨が頻繁に発生しており、河川や下水道で処理し切れない雨水が道路等にあふれ、浸水被害が発生している状況がございます。  このような状況を踏まえまして、東京都では今年度から七十五ミリ相当の降雨にも対応できるようになる谷沢川分水路の整備などに着手、区においても区立小中学校や公園等に大型の雨水貯留浸透施設を設置するなどの流域対策を進めているところでございます。  今後は関係所管と連携し、区の施設の敷地内に周辺道路からの雨水を取り込める貯留施設を設けるなど、総合的な流域対策を検討して取り組んでまいります。  また、東京都に対しましても河川や下水道の早期整備を引き続き粘り強く働きかけるとともに、東京都と連携協力して取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎淺野 教育次長 私からは、学校給食費の無償化と教育費の負担軽減につきまして、今後の展望と対応を問うという御質問についてお答えいたします。  学校給食費の無償化につきましては、この間、区議会からさまざまな御意見をいただき、教育費にかかる保護者の負担軽減施策として、区長からの指示のもと、財政負担の面も含めシミュレーションを行ってきました。そのシミュレーションの状況につきましては、さきの文教常任委員会におきまして御報告したところでございます。  具体的には、就学援助制度を活用することを前提に、その申請率の向上を図るとともに、認定基準を全体的に引き上げる考え方や、これとともに給食費については、例えば東京都の高校授業料無償化におけるものと同等な所得制限を設けて、中間所得層まで支給対象者を広げるとの考え方もお示ししたところでございます。  学校給食費の無償化など教育費の負担軽減施策を継続的に行っていくためには、厳しい財政状況を考慮すると、国や都からの支援は大変重要であると認識しております。仮に都全体での無償化の実施になりましたら、都区の財政負担のあり方や財源確保など、東京都にとっても大きな課題となるものであり、慎重に協議を行う必要があるものと考えます。  いずれにいたしましても、今後とも国や東京都の動向を注視し、保護者負担の軽減に向けて、財政状況の面を踏まえまして具体的に実現できる方法を整理してまいりたいと考えております。  以上です。 ◆四十五番(羽田圭二 議員) 外かく環状道路の事業者の住民への周知という点なんですが、ホームページやオープンハウスで対応しているという説明がございました。区長も事業者に最近申し入れをしたというお話がありますが、この住民への丁寧な説明が求められているということは再三、この間の議会でも言われてきたかと思います。事業者に住民説明会の開催を含めて要望すべきだと考えております。この点は重ねて求めておきたいと思います。  それから、豪雨対策ですが、特に浸水被害の多い地域における教育施設や公園、広場等の活用による雨水貯留浸透施設の設置、これはこの間、世田谷区が打ち出した豪雨対策のこの計画の中にもうたわれているんですが、これについては着実に進めていくということ、引き続き検討も含めて行っていただきたいということを、これも申し上げておきたいと思います。  最後に、教育費の負担軽減における普遍主義なんですが、これにこだわる理由は、再三申し上げておりますが、一つは、子どもへの支援は家庭の経済力に関係なく、あまねく公平に行うべきだという視点。それからもう一つは、低所得者と中間所得者との分断を生み出さないという、そういう政策的な意味もあるということを踏まえた対応を、ぜひ踏まえた今後の対応を求めておきたいと思います。  以上で質問を終わります。 ○三井みほこ 議長 以上で羽田圭二議員の質問は終わりました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、四十八番諸星養一議員。    〔四十八番諸星養一議員登壇〕(拍手) ◆四十八番(諸星養一 議員) 質問通告に従い、初めに、スポーツコミッションの創設についてお尋ねをいたします。  このテーマは昨年の四定でも取り上げましたが、その際紹介しましたさいたまスポーツコミッションに、去る二十日、視察をさせていただきました。二〇一一年に創設されたコミッションですが、まず注目すべきは、このコミッションがさいたま観光国際協会に所属し、さいたま市における新たなスポーツ観光市場の創造に寄与しているという点です。観光国際協会の目的は、観光及びコンベンション事業及び国際交流、国際協力事業の振興を図り、文化向上と多文化共生の社会づくりを目指す中でスポーツコミッションの役割があることに、我々が常々主張していることをさいたま市は既に取り組んでいるなと実感をした次第です。  焦点を絞ります。二〇一三年よりツール・ド・フランスさいたまクリテリウムを誘致した状況をお聞きしました。国際スポーツ連盟機構が七十を超える国と地域から八百団体以上を集め、毎年主催するスポーツ界最大の国際会議、スポーツアコードと呼んでいますが、そのアコードの中で、二〇一二年、カナダで開催をされた際、ツール・ド・フランスを主催するASOが百周年を記念した大会を世界で開催したいとの意向をキャッチし、すぐさま、さいたま市長がそのトップマネジメントで交渉、実現に至ったという経緯があり、その後、毎年そのスポーツアコードにさいたま市として出展をしているとのお話でした。常に世界にアンテナを張りめぐらすという感性はさすがであり、大いに見習うべきであると感じた次第です。  ちなみに、平成二十九年度さいたまスポーツコミッションにかかわるスポーツイベント開催に伴う年間経済効果は約六十八億円と推計されています。全国のスポーツコミッション設置自治体は、ことし十月現在で九十七に及んでおり、都内では大田区が設立したとも聞いています。  さて、昨年もお話をいたしましたが、当区においてはスポーツ振興の中核的役割を担う組織としてスポーツ振興財団の存在があります。先日、決特委で我が党の高橋幹事長から厳しい指摘もありましたが、財団の体質の抜本的改革、これなくしてスポーツの世田谷のさらなる進化はありません。そうした思いをしっかり受けとめ、二〇二〇オリンピック・パラリンピック以後のレガシー醸成のためにも、改めて当区として創造性あふれるスポーツコミッションの創設を求めます。お答えをいただきたい。  次に、都市農業のさらなる進展を目指し、四点お伺いいたします。  去る九月、公明党主催で第二回都市農業懇話会を開催させていただきました。その中でさまざま御意見をいただき、改めて生産緑地を、都市農業をいかに守るか、党としても、今後も継続して懇話会を開催しゆく機会になったかと思っております。いただいた意見を踏まえつつ、質問に入ります。  その一は、生産緑地をいかに守っていくかについてです。当区の生産緑地面積の推移ですが、平成五年、百四十七・八ヘクタールだったものが、平成二十九年には八十七・六四ヘクタールと、残念ながら大幅に減少しております。  そこで特定生産緑地制度ですが、現在の生産緑地の指定告示から三十年を迎える二〇二二年を前にして、指定期限を迎える前に買い取り申し出の開始時期をみずからの意思で十年延長する制度であります。  国交省の資料で、特定生産緑地の指定意向についてのアンケート調査の結果が示されています。対象地域は練馬区、世田谷区の二区で、有効回答四百七十六件の貴重な資料です。それによると、生産緑地に全て指定が六三%、五割以上指定が一五%となっています。さらに五割未満が五%、指定しないが八%、未定が九%となっています。  以上がアンケート調査の結果ですが、生産緑地に指定しないが八%、未定九%の数字には私は大変な危機感を覚えるものであります。特定生産緑地や貸借制度の活用を個々の農家までに浸透していただき、生産緑地を最大限保全することの責務が区には求められます。区のお覚悟をお示しいただきたい。  設問の二です。貸借の円滑化法の制定についてです。この円滑化法は、その運用を誤ることがなければ、後継者問題、ひいては生産緑地の継続に大きな力になると考えます。  そこで、まず一点目、主たる従事者の高齢化に伴い、後継者の問題は大変大きな命題です。まず、この解決に向けての具体的な策をお考えか。  さらに二点目、第三回定例会での我が党の代表質問での岡田副区長の答弁にも、都市農業の安定的な継続を求め、この円滑化法により、みずから耕作の事業を行う意欲ある農業者、農業団体、NPO、民間事業者をどう活用していくのかが問われる、そうお答えになっています。  実は農業従事者の方から大変厳しい意見も頂戴しております。私たち農業に真面目に取り組んでいる者にとって、やむなく、どうしても自営不可能な状況があり、農地を貸す場合はともかく、そういう状況ではないにもかかわらず、ただ貸して賃貸料を取り、その上、納税猶予措置を受けるなど、法の施行には心配な面がある。こうした意見をしっかりと受けとめ、貸借の円滑化法を正しく運用していくためにも、区の役割は大変に重いと考えます。見解を求めます。  都市農業の最後の質問となります。都市緑地法の改正により、都市計画法で定める用途地域に新たに田園住居地域が加わりました。これは農業の利便性と良好な居住環境の併存を図るための規制を盛り込んだ用途地域で、具体的な指定はもちろんまだまだ先のこととなりますが、田園住居地域の指定が当区において都市農業と住居地域をどう調和、融合させゆくのか、大きな政策課題と考えます。お答えをいただきたい。  最後の設問です。私の地元で歩いて三十秒にある弦巻中学校、松丘幼稚園の複合化についてお尋ねいたします。  まず初めに、今回の複合化及び棟別改築を決定した理由についてです。  複合化によって松丘幼稚園の改築では仮設園舎の必要がなく、園経営を継続できるという利点を挙げていますが、現在の園舎は大変環境にすぐれた立地です。その問題をどうクリアするおつもりなのか。あわせて世田谷区公共施設等総合管理計画において、これまでの年二校の全面改築を改め、築年別の棟単位で長寿命化の可否を検討する棟別改築の手法に切りかえるとあります。その方針に沿って、弦巻中については北側校舎を中心に改築となるわけですが、弦巻中には、ほかに体育館棟が五十三年竣工、プール棟が五十八年竣工の二棟があります。時期的に四十年、三十五年が経過しており、これらの改築予定もそう間がないように思われますが、本当にコスト縮減が図られるのか。仮設校舎の抑制を図ると総合管理計画にはありますが、今回は仮設校舎を建てることについても含めて見解を求めます。  次に、松丘幼稚園の認定こども園化と新たな幼児教育の拠点として施設整備する点についてです。  現在、区立幼稚園・認定こども園は九園設立されており、区立幼稚園用途転換等計画に基づき、松丘幼稚園を初め五園について区立認定こども園として、四園を私立認定こども園として整備することになります。幼保連携型の第一号が松丘でしょうが、教育長はこの松丘を幼児教育の先進事例モデルとして構築しようとお考えのようですが、どのような構想を抱かれておられるのか、具体的にお示しいただければと存じます。  なお、松丘認定こども園の対象年については、ゼロ・一・二歳児も対象にとの声もありますが、保育サービス待機児ゼロを三十一年度末までに決着する、その区長の強い意志、それをしっかりと貫いていただく、これを大前提として、三歳児からの受け入れで進めていかれればと考えます。  最後に、平成三十一年度から導入予定の特別支援教室の考え方についてです。  現在、都教育委員会が実施しているモデル事業の実施状況や、導入に向けたガイドラインの内容等を踏まえ、世田谷区立中学校における特別支援教室の導入に向けて取り組むとあり、弦巻中にも一教室を確保するとあります。  この発達障害教育の推進に当たって、区内の全ての小中学校が対象となりますが、発達障害支援教育の取り組みほど、自治体における教育の位置づけを明確に示されるものはないと考えます。  教育の本質が一人の人間の無限の可能性を引き出すものであるならば、まさに障害児者に対する教育、一個の人格として最大現に尊重し、その秘められた豊かな才能を導き出すことが、何にも増して特別支援教育には求められます。  改めて世田谷区における特別支援教育のありようについてお尋ねいたします。  以上、壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、スポーツコミッションについて御答弁申し上げます。  スポーツコミッションは、地方自治体とスポーツ団体や観光産業など民間企業が一体となり、スポーツによる地域の活性化を目的に組織を設立し、区域外から人を呼び込み、地域の活性化につなげる取り組みです。御紹介にございましたさいたまスポーツコミッションのように、スポーツを通じて地域のさまざまな団体が連携し、より魅力のあるまちづくりを行うスポーツコミッションの取り組みは、地域の活性化につながる有益なものであると認識しております。  区では、東京二〇二〇大会の機運醸成を図るとともに、区内の各団体と連携し、スポーツのみならず、観光や文化など、さまざまな分野で地域を盛り上げるため、PTによる検討を行い、レガシー実現プランをまとめたところでございますが、その過程では、スポーツ振興財団を含む外郭団体からもさまざまな意見をいただいております。  今後、本取り組みを実施する中で、スポーツ振興財団の専門性や独自性を生かし、スポーツの世田谷をさらに進めることはもとより、ホストタウン事業を含めた幅広い分野での相乗効果を生み出すための体制づくりは急務であり、まずはその点に注力したいと存じます。  以上です。    〔堀教育長登壇〕 ◎堀 教育長 弦巻中学校・松丘幼稚園の複合化について御質問いただきました。御答弁申し上げます。  質の高い幼児教育により、子どもたちの非認知的能力を育むことが将来の生活に大きな影響を及ぼすといった研究成果が諸外国において示されるなど、乳幼児期の教育に力を入れていくことは、世界の大きな潮流になっております。予測困難な未来の社会に向け、子どもみずからが主体的に創造性を発揮しながら生き抜く力を幼児期から育むことが大変重要です。  私どもはこれまで、国内はもとより、オランダ、フィンランド、イタリアなど世界の特色ある就学前教育を学んできましたが、その成果を世田谷の幼児教育に生かしていきたいと考えております。こうした状況を踏まえ、用途転換後の区立認定こども園は、幼保連携型認定こども園として質の高い幼児教育、保育の総合的な提供や、幼保小の連携や小学校教育との円滑な接続を進めてまいります。  また今後、教育総合センター内に設置予定の乳幼児教育支援センターと連携して、国内外の先進的な取り組み等を実践研究し、その成果を公私立の幼稚園、保育所等に広く発信する役割を持たせることを想定しております。  松丘幼稚園の区立認定こども園化の構想についての御質問をいただきましたが、これから整備する区立認定こども園では、遊びや生活を通して子どもたちがさまざまな経験を積み重ね、興味関心を広げながら、未来を創造するための生きる力の基礎を身につけていくことを目指してまいります。松丘幼稚園でこの考え方を具現化していきたいと考えております。  以上でございます。 ◎久末 経済産業部長 私からは、都市農業に関して、三点御答弁申し上げます。  初めに、生産緑地の保全に関しての制度周知についてでございます。  区内生産緑地の約八〇%が二〇二二年に指定後三十年を迎え、農地の一部が宅地化されるおそれがあること、いわゆる二〇二二年問題ですが、特定生産緑地制度の活用や貸借制度などの利用により保全できる制度が成立いたしました。今後は、この制度を区内生産緑地所有者等に周知し、可能な限り特定生産緑地への移行を選択していただくように努めていかなければなりません。  現在、区においても、まずは特定生産緑地制度を知らなかったという所有者を一人もつくらないという活動を進めております。既に区内各JAにおいても、組合員に対しての説明や個別訪問、ダイレクトメールにより新たな農地制度の周知を図っており、区でもことし九月には、東京都農業会議やJAとの協力のもと説明会を開催するなど、多くの生産緑地所有者に周知してまいりました。  今後、区では、今回説明会に出席されなかった方を中心に、より具体的な方法で個々に説明する等、一人の漏れもなく周知と支援を行うよう準備を進めているところでございます。  次に、後継者問題です。  区では、後継者育成及び技術習得のため、平成三年度から区内で農業に従事している方を講師として三年間学ぶせたがや農業塾を実施しております。現在、区内農業従事者の六割以上が六十歳以上と高齢化が進んでおり、後継者の問題は大きな課題となっております。区内農家の後継者の中には、一旦農業以外の職につくなど、農業から離れている方もおりますが、後継を見据えた就農の際には、せたがや農業塾を経て農業に従事する方も多くいらっしゃいます。  せたがや農業塾では、後継者が農業技術を学ぶだけではなく、先輩農家や仲間同士交流することなどができ、区の農業の魅力向上や、お互いに刺激を受けながら新しい技術を習得することができます。この農業塾をさらに充実させ、後継者が魅力的で就農しやすい環境を構築してまいりたいと考えております。  また、都市農地の貸借の円滑化に関する法律が施行され、新規就農者の参入が期待されていることから、実績が少なくても、せたがや農業塾で学ぶことによりスムーズに参入できるよう、あわせて活用を図ってまいります。  最後に、都市農地貸借円滑化法の運用について御答弁申し上げます。  都市農地の貸借の円滑化に関する法律が施行され、生産緑地が容易に貸し借りできるようになりましたが、一部の農業者からは、生産緑地はみずから営農し、農地を守るべきとした厳しい御意見が強く、区といたしましても、高齢や病気などにより営農が負担になったときや担い手が不足したときに貸借を行うことにより、本来ならば失われる生産緑地が保全できるものと考えております。  生産緑地を貸借するに当たりましては、引き続き都市農業の有する機能を守る必要があることや、貸与する所有者がその生産緑地での農業の業務に一割以上従事しなくてはならないなど、さまざまな制約がございます。こういった計画を事前に提出させ、農業委員会で審査を行い、区長が事業認定を行います。  一方、貸借後も事業認定を受けた者は毎年区長に利用状況を報告することが義務づけられており、また、通常の生産緑地と同様、定期的に農業委員会による実地調査を行うことで、適正に利用されているか、確認を図ってまいります。  今後は、区内生産緑地所有者に対し、農業委員会等と連携して制度の周知に努めていくとともに、区は中間管理的な役割を担って、貸し主と借り主とのマッチングを行っていくことも検討しており、貸借の制度を正しく理解していただき、選択していただけるよう努めてまいります。  以上でございます。 ◎渡辺 都市整備政策部長 私からは、都市農業のさらなる進展の観点から、田園住居地域の指定につきまして御答弁申し上げます。  田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、農地と調和した低層住宅地に係る良好な住環境の保護を目的としまして、都市計画法などの改正によりまして、平成三十年の四月一日に新たに十三番目の用途地域として創設されました。  具体的には、農産物の生産や貯蔵に供する温室、農機具収納の倉庫、農産物販売所や農家レストランなどの立地が可能となる一方、一定規模以上の農地について開発規制を行い、住宅地と農地の両方が調和した良好な居住環境と営農環境を形成する地域を都市計画に位置づけたものでございます。
     区内の農地につきましては、これまで都市整備方針において農のある風景を保全育成するとし、都市の貴重な資源として保全に努めてきたところでございます。田園住居地域につきましては、住宅と農地が共存し、将来にわたって良好な居住環境と営農環境の維持が求められる地域において指定するものでございまして、営農者などの意見も伺うなど、指定による効果を見きわめた上で進める必要があるものと考えてございます。  区といたしましては、今後、東京都が予定しております用途地域指定基準の策定動向を注視するとともに、引き続き住宅地と農地が調和した環境の保全につきまして、関係所管としっかり連携しまして取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。 ◎淺野 教育次長 私からは、弦巻中学校・松丘幼稚園の複合化につきまして、棟別改築及び複合化の理由、また、仮設校舎の抑制等につきまして御質問いただきましたので、御答弁させていただきます。  世田谷区公共施設等総合管理計画では、財政の健全化を保ちつつ、公共施設を適切に管理、保全、更新していくため、今後の学校改築については全面改築から棟別改築に改め、また、近隣施設との複合化も推進することとしております。  このたびの弦巻中学校の改築につきましては、この計画に基づきまして、築年数が比較的古い昭和三十三年から三十六年に竣工した北側の教室棟を中心に改築し、比較的新しい体育館棟、プール棟は引き続き活用の上で、松丘幼稚園との複合化を図るものとして整備方針を策定いたしました。これにより、改築に係る総事業費の削減を図るとともに、幼稚園は仮設園舎を建設することなく、認定こども園化に合わせ、新園舎に移転することが可能となります。  また、松丘幼稚園の教育環境を整えることは大変重要と考えております。今後、学識経験者や建築デザインの専門家等を交えて、幼児教育・保育のあり方の検討を進め、その結果を基本構想、基本設計に反映していきたいと考えております。  また、仮設校舎の抑制につきましては、今後、基本構想や基本設計を進める時点で十分に検討してまいりますが、仮設校舎の建設に当たっては、今後改築を行わない特別教室等を極力活用することや、各教室の規格をシンプルなものとすることにより良好な教育環境を確保しながら、仮設校舎建設を可能な限り抑制してまいります。  以上でございます。 ◎工藤 教育政策部長 私からは、特別支援教育のあり方について御答弁をさせていただきます。  教育委員会では、障害者の権利条約の批准や、障害者差別解消法などを初めとする国内法の整備など、特別支援教育を取り巻く環境の変化に対応するため、第二次教育ビジョンの重点事業に特別支援教育を位置づけ、その推進に向けて取り組んでまいりました。  御質問いただきました発達障害などの子どもたちは、通常学級のような大きな集団の中において自分の力を発揮しにくいなど、さまざまな悩みを抱えていることが数多くございます。連続性のある学びの場の整備や個の状況に応じた特別な支援が必要であることから、特別支援教室の取り組みを来年度から弦巻中学校も含めまして拡充してまいります。  発達障害の子どもたちを含め、障害の有無にかかわらず、相互の人格と個性を尊重し合う共生社会を実現していくためには、障害のある子どもたちの自立に向け可能性を最大限に伸ばすことを目的とした、特別支援教育の果たすべき役割は大変重要であると認識しております。  ことし三月には特別支援教育推進計画の第二期を策定し、推進体制や指導の充実、障害者理解教育の推進など具体的かつ計画的に進めているところでございます。生きづらさを抱えた障害のある子どもたちが多様な個性を発揮し、希望を持って学校生活を送れるよう、今後も教育委員会と学校が一丸となって取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆四十八番(諸星養一 議員) スポーツコミッションに関してですが、副区長から体制づくりが急務であるという御答弁をいただいたわけですが、そのいつまでにやるか、これが一番私は大事だと思うんですよ。二〇二〇に向けてどう進めていくかということについて、改めて副区長、もし御答弁があればと思います。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 再質問に御答弁申し上げます。  まず、私どもが今取り組んでいます機運醸成の中身についてのものは、先ほど申しましたように各団体にも協力をいただいてつくり上げたものでございますが、まだまだ十分ではないという認識を持っております。また、先ほどの御質問の中に、スポーツコミッションの持つ意義の中で、スポーツだけではなくて、観光や産業、そういうところにまで寄与する。例えば経済効果も非常に多額に上っているという状況は把握しております。  その中で、先ほども、今御質問の中にありました東京二〇二〇まであと一年と三カ月ぐらいの中で何とか組み立てていかなきゃいけない。言ってみれば、二〇二〇本番の四月にはもう既に稼働し始めているというふうに考えております。また、その前の年の一年前からも既に動きが出てくるという認識に立っておりますので、そういう意味では、新しい仕組みをつくるというよりは、今、既存の部分の中でどこまでが活用できるかというところに焦点を絞らせていただきたい、そのような気持ちでございます。  とはいえ、先ほど来御答弁申しましたホストタウン事業、ここについては既にスポーツだけではなくて、全体に幅広く活動ができるというふうに踏まえておりますので、その辺のところも使いながら何とか体制づくりをしたい、そのように考えております。  以上です。 ○三井みほこ 議長 以上で諸星養一議員の質問は終わりました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、六番ひうち優子議員。    〔六番ひうち優子議員登壇〕(拍手) ◆六番(ひうち優子 議員) 本日は、まず駐輪場の整備について伺います。  十一月一日から駒沢大学駅前に待望の二つ目の駐輪場が整備をされました。垂直二段式約四百台、そのうち大型百台ですが、このテーマは以前から議会で取り上げ質問し、ようやく整備をされ、ありがたいと感じているところであります。  駐輪場の整備については、駒沢大学駅以外にも、桜新町駅の放置自転車の保管所の一部転用、二子玉川駅駐輪場の増設、下北沢駅、千歳船橋駅への駐輪場整備を質問いたしました。本日はまず、その進捗状況について、それぞれについて伺います。  また、新たな駐輪場の整備、増設により、利用率がどのぐらい下がると見込んでいるのか、駐輪場不足がどのぐらい改善する見込みかについても、区の見解をお伺いいたします。  次に、まだ整備が進んでいないが利用率が多い駅、三軒茶屋駅、用賀駅などへの駐輪場対策について伺います。  以前から利用率が一〇〇%を超えている駅について、地下式立体駐輪場の整備も含め、工夫した駐輪場の整備の必要性を訴えてまいりました。  先日、用賀にお住まいの方から、上用賀方面の駐輪場が少ない、一年以上待っているとの声をいただきました。田中橋の駐輪場にはあきがあるとのことですが、同じ駅でも場所によって利用率にばらつきがあることも事実です。  そこで、用賀駅周辺の駐輪場の数、利用率と今後の対策について、区の見解をお伺いいたします。  次に、駐輪場の防犯対策について伺います。  区民の方から次のような御意見をいただきました。烏山の駐輪場で自転車を盗まれた。自転車自体は出てきたが、放置自転車になって返ってきた。問い合わせをすると、盗難届が出ていないと放置自転車扱いになり、三千円払わなければならないと言われた。駐輪場は場所貸しなので、事故、窃盗などについて一切責任を負わないというのはわかるが、何かしら盗難対策をとってほしいというものです。  今後、駐輪場で自転車が盗難に遭った際には、まずは警察に盗難届を出すことの周知、そして全ての駐輪場への防犯カメラの設置を求めます。区の見解をお伺いいたします。  次に、高齢者の方の活用について伺います。  私はこれまで、高齢者の方の豊かな知識や経験を地域の教育に生かす取り組みについて質問してまいりました。世田谷区の六十五歳以上の高齢者人口は約十八万、そのうち介護認定を受けていない方は約八〇%に上ります。この高齢者の皆様の豊かな知識や経験をおかりして地域の教育に生かすことは、次の世代に伝えるという意味でも必要であると考えます。  私の存じ上げている方にも、以前大学で教鞭をとっていた方、企業の第一線で活躍してこられた方、スポーツの指導に当たってこられた方、法律家など、豊かな知識や経験をお持ちで、生涯現役として何らかの形で地域に貢献をしたいというお考えの方が多くいらっしゃいます。非常にありがたいことであり、このような力を生かさない手はないと思います。  しかし、一方で、貢献したいのだけれども、どこに言えばよいのかわからないという声があり、せっかくの豊かな知識と経験を生かし切れていない現状です。例えばプログラミングや英語分野など、ニーズは時代とともに変化をします。どのような分野で人が足りていないのか、ニーズを把握してマッチングする必要があると考えます。学校で先生の役割をそのまま担うのは免許の関係もあり難しいが、先生の役割を補うような立場であれば十分可能と考えます。前回からの進捗状況も含め、見解をお伺いいたします。  次に、高齢者の方のための作品発表の場の確保について伺います。  以前、区民の方から次のような御意見をいただきました。趣味の作品をつくるのも楽しみだが、発表して、人に見てもらうことも同じぐらい楽しみ、生きがいを感じる。しかし、発表の場は少ない現状がある。区民会館や出張所など公共の施設でもっと発表のスペースを提供してほしいとの御意見です。その後、高齢者の方が生き生きと活躍していただくために、ニーズに応え、発表の場をふやしてほしいとの質問をいたしました。その後の進捗状況についてお伺いをいたします。  次に、新公会計制度の導入について伺います。  今年度から新公会計制度が開始をされました。期首BSの整備について、前回の私の質問への答弁では、十月中にセットアップ作業は完了し、十一月中にホームページでも公開するとのことでした。まず、個別会計の期首BSの公開について、ホームページへの公開も含めて進捗状況をお伺いいたします。  また、行政の見える化を進めるためには、連結財務諸表の作成が大切でありますので、連結期首BSの整備こそ大切であります。連結期首BSの資産、負債、純資産についての答弁を求めます。また、連結も含めた期首BSの公開のめどについてもお伺いをいたします。  次に、世田谷の農業振興について、GAP補助制度の普及について伺います。  このテーマは、昨年、一昨年の特別委員会で取り上げました。GAPとは農業生産工程管理という意味で、農業において食品安全、環境保全、労働安全などの持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組みのことです。そして、その認証は個別の農家、団体が自主的に導入する仕組みとなっております。GAPに認証されますと、農産物としての安全性について信頼が高まることが期待をされ、農林水産省や東京都も取得について推奨をしております。  ただ、グローバルGAPの取得には二百五十万円から三百万円程度の費用が必要である。毎年の更新審査も五十万円から百万円程度かかるなど、多額の費用を要します。一方、日本版の規格であるJGAPの取得についても、グローバルGAPに比べれば安価ではありますが、それでもやはり認証の取得、維持には大きな出費が生じます。しかし、世田谷産野菜「せたがやそだち」の普及を図る立場から、世田谷区内の農家の皆様にもグローバルGAPやJGAPなどの認証をぜひとも取得していただきたいと思いまして、取得のための支援を求める質問を以前にいたしました。その際の答弁では情報収集に努めるとのことでした。  区内農家の認証取得がなかなか進まないのは、このような費用面の影響もあると思われます。世田谷区の農産品の競争率を強化し、より一層の信頼を得るためには、区は区内の農家の方にGAP取得について補助や支援を行うべきと考えます。区の見解をお伺いいたします。  次に、実効的な防災教育について伺います。  このテーマも以前に質問をいたしました。他自治体、例えばさいたま市や北区、あきる野市などでは、大学の研究者と連携をし、休憩時間や給食、清掃、登下校時などのさまざまな状況の中で、清掃時は椅子が机の上に上がっているので、机の下に潜るのは危険、では、給食の時間やクラブ活動中だったらどうかなど、それぞれの場面で子どもたちにどのように行動をしたら安全かを考えさせ、実際に緊急地震速報を活用した効果的な避難訓練を行っており、予告なしの抜き打ち訓練や学校生活の中で十分程度のショート訓練も行っています。以前に、これらの自治体の例を取り上げ、従来の一斉指導型の避難訓練ではなく、実効的な防災教育の必要性について質問をいたしました。  これからの防災教育で必要なことは、子どもたちが誰かの指示を待たずとも、一人一人が自分の判断で危機回避の行動をとれるようになることであります。そのためには定期的な避難訓練と、例えば朝礼や給食、掃除の時間など、日常の中で防災指導、訓練を行い、緊急時の対応能力を育むことが必要です。  以前の答弁では、芦花小中学校で行っている生徒が児童を引率しての下校訓練、また、太子堂中学校で地域の防災訓練に生徒が参加をし、D型ポンプやスタンドパイプの操作訓練などを行っているとのことでした。  改めて、現在の区の取り組み状況と、そして今後どのように取り組んでいこうとしているのか、実効的な防災教育について考えをお伺いいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎五十嵐 土木部長 私からは、駐輪場について、三点の質問にお答えいたします。  まず、駒沢大学駅などの進捗状況、利用率等改善の見込みについてです。  御指摘の五駅周辺の駐輪場の整備につきましては、昨年度より増設あるいは新設の工事を順次行ってまいりました。その結果、増設では、桜新町駐輪場で約二百六十台、二子玉川西で約五百五十台、新設では、駒沢第二で約四百台、下北沢東で約百台、千歳船橋西で約四十台が新たに収容可能となりました。  今回の整備により、例えば二子玉川西では日ぎめの利用率が約一三五%から約九五%に下がるなど、五駅の既存駐輪場の利用率は下がるものと予測しております。下北沢駅周辺を除く四駅では、駐輪場の収容台数が乗り入れ台数を上回ったことから、おおむね駐輪場不足につきましては解消されたものと考えております。  次に、用賀駅周辺の今後の駐輪場対策についてです。  用賀駅周辺には、区立三カ所、民間二カ所、合計五カ所の駐輪場があり、約三千三百台を収容することができます。利用率につきましては総じて九五%以上ですが、十月に実施した実態調査では実駐車台数が約三千五十台と、全体としては充足しております。しかしながら、定期利用につきましては、駅直近の用賀西駐輪場では利用枠のあきが出ない状況ですが、田中橋近くの用賀駐輪場には若干の余裕があることから、定期申し込みを受け付けております。駅近くの駐輪場は人気が高い一方、新たな駐輪場用地を確保することが難しいことから、民営自転車等駐車場育成助成金制度をPRし、官民連携のもと、駐輪場対策に取り組んでまいります。  最後に、駐輪場の防犯対策についてです。  区では犯罪の予防を目的として、現在、五十四カ所中四十二カ所の駐輪場に百十七台の防犯カメラを設置しております。これまでに、自転車の盗難があった場合には、警察へ速やかに被害届を出すよう御案内しております。捜査に当たりましては、警察からの文書による照会に基づき画像データを提供しております。被害の多くは鍵のかけ忘れがあることから、啓発ポスターなどを場内に掲示し、盗難への注意喚起をしてまいります。さらに防犯カメラは、駐輪場内の安全管理のみならず、犯罪の抑止効果もあることから、今後、防犯カメラを設置していない駐輪場につきましても計画的に整備してまいります。  以上です。 ◎花房 生涯学習部長 私からは、高齢者の方々の力を地域の教育に生かす取り組みについて御答弁申し上げます。  教育委員会では、第二次世田谷区教育ビジョンに基づき、リーディング事業として、地域の教育力を生かした学校の支援に取り組んでいるところでございます。  現在、学校では、さまざまな分野で活躍された高齢者など地域の方々に、ゲストティーチャーとして授業での講師や、部活動支援員として中学生の部活動の指導を行うなど、さまざまな教育活動に御協力をいただいております。また、各学校に配置する学校支援コーディネーターを通じて、夏休みのワークショップや書道教室、お琴の体験、農家の見学、昔遊びなどの講師として、専門的な知識や豊富な経験を持つ高齢者にボランティアとしてかかわっていただいているところでございます。二〇二一年に開設予定の教育総合センターの機能の一つとして地域連携を位置づけております。教育にかかわる地域人材の確保、活用につきましては、学校教育と地域人材を結びつけていくことなど、実効性のある取り組みを検討してまいりたいと考えております。  今後も、人生百年時代に、より一層高齢者の方々が生き生きと活躍できる機会や仕組みづくりに取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎田中 生活文化部長 私からは、高齢者の方のための作品発表の場の確保について御答弁いたします。  高齢者の皆様が制作した手芸、工芸等の作品発表の機会の提供は、日ごろの制作活動の励みになるとともに、展示会場での高齢者相互の親睦や、高齢者と地域社会との交流にもつながり、大変有意義なことと認識しております。  作品発表の機会の例といたしましては、毎年十月にいきいきせたがや文化祭を開催しており、今年度は約千五百人の方の約二千百点の作品が展示されました。また、ひだまり友遊会館では、毎年、敬老行事で作品展を開催するほか、平成二十七年度からは二階ロビーで書道の展示を始めるなど、発表の場の充実を図るとともに、区役所第二庁舎ロビーでのシルバー工芸教室の作品展示や、各地域の区民センター、地区会館のミニ文化祭等も開催されています。  今後も引き続き高齢者の作品発表の機会を広く区民へ周知し、作品の成果を発表する場の提供に努めてまいります。  以上でございます。 ◎菊池 会計管理者 私からは、新公会計制度導入に関する、期首BSの公開等についてお答えいたします。  まず、期首BS、いわゆる区の会計別の貸借対照表につきましては、平成二十九年度決算数値等の確認やセットアップが完了したため、十一月二十日に区のホームページで公開したところでございます。  一方、十二の外郭団体と五つの一部事務組合などを連結の対象として作成いたします連結財務諸表の期首BSでございますが、こちらも平成二十九年度決算数値をもとに作成いたします。その総資産額は一兆八千十五億円、総負債額は千二百二億円、資産と負債の差額である正味資産、いわゆる純資産は一兆六千八百十二億円となってございます。これらの連結団体を加えました資産額あるいは負債額の状況につきましては、現在、世田谷区の財政状況の冊子でお示ししております連結バランスシートに準じた形式で、十二月中にはホームページで公開する予定でおります。  来年度は、これらの資産や負債のデータを基礎としまして、三十年度決算を反映した各会計別財務諸表や連結財務諸表を適正に作成し、適宜公表してまいります。  以上でございます。 ◎久末 経済産業部長 私からは、世田谷の農業振興について、GAP取得の際の補助と支援について御答弁申し上げます。  GAP認証の取得状況は、現在のところ、国内認証であるJGAP、国際認証であるグローバルGAPがございますが、世田谷区内の農家では取得の実績がございません。認証取得が進まない理由といたしましては、取得費用が高額であることのほか、輸出や市場出荷農家向けの認証であるため、直販の割合が九〇%を超える区内農家の販売形態としては取得してもメリットが少ないことなどが要因であると認識しております。  昨年、東京都では、東京二〇二〇大会を控え、農産物の安全性や信用度をさらに高めるため、東京が有する特性や強みを生かした持続可能な農業生産を目指す東京都GAP制度が始まりました。この制度は、国のGAP制度に準拠した東京都版のGAPで、原則無償で取得することができるようになっており、取得しやすくなっております。  区といたしましては、こうした情報を正確に周知し、認証取得に意欲的な農家に対しましては、まずはこの制度を御案内するなど、必要な支援に努めてまいります。  以上でございます。 ◎工藤 教育政策部長 私からは、防災教育について御答弁申し上げます。  各学校では、近年、災害による被害の拡大など、生命に危険が及ぶケースも増加していることから、災害の状況などを踏まえ、毎年、訓練の内容や方法の工夫、改善を図っております。  例えば地震発生時の想定として、授業中だけではなく、子どもたちが自由に過ごす休み時間や登校直後、放送機器が使えないとき、管理職が不在のときといったさまざまな場面を想定し、非常時に際して、子どもたちや教員がみずからどのように行動すべきかを考えることができるよう取り組んでおります。また、過去に起きた災害の様子や応急処置の方法などについて、写真資料などが掲載されている安全教育の教材などを活用した学習を通して、子どもが学校外や家庭にいるときでも、どのような行動をすればよいのかを考えたり身につけたりできるようにしています。  教育委員会といたしましては、今後も各学校がより実効的な訓練を実施できるよう、すぐれた実践を紹介したり、学校を指導したりして、防災教育の充実が図られるよう、引き続き取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆六番(ひうち優子 議員) 御答弁いただきましてありがとうございました。  駐輪場の整備については、四駅では利用率が一〇〇%以下に下がって駐輪場不足が解消されたということで、ありがとうございました。三軒茶屋ですとか利用率が一〇〇%を超えている駅については、引き続きよろしくお願いします。  あと、駐輪場の防犯カメラについても、今、防犯カメラは本当に有効だと考えておりますので、計画的に整備をしていただきたいと思います。  それから、高齢者の方の活用で、二〇二一年に開設予定の教育総合センターの機能の一つとして地域連携を位置づけているということですので、どうぞよろしくお願いいたします。  以上で質問を終わります。 ○三井みほこ 議長 以上でひうち優子議員の質問は終わりました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、二十六番そのべせいや議員。    〔二十六番そのべせいや議員登壇〕(拍手) ◆二十六番(そのべせいや 議員) 初めに、ベビーテックについて質問いたします。
     これまで効率性という言葉が忌諱されてきた子ども・子育て領域においても、昨今では仕事との両立も課題となる中で、手づくり、手書きの温かみや手間をかけることこそが愛情であるという根強い価値観も、世代が進むにつれ徐々に薄れ、テクノロジー、電子機器を活用して負担を軽減し、心身ともにゆとりある状態で、より子ども本人と向き合う時間を創出しようとする考え方があらわれ始めました。  この流れは一般的にベビーテックという言葉で総称され、これまでは欧米を中心に進んできましたが、最近になり、国内でも子育てとテクノロジーを合わせ、子育Techという言葉を提唱するベンチャー企業群もあらわれています。  子育てにおける電子機器というと、以前であればテレビやビデオによる子守り、また、現在ではスマホ育児の危険性についての指摘は多くあり、ベビーテックとこれらが混同されることもありますが、子どもと接することそのものを機械に代替させる、つまり機械に子守りをさせるのではなく、機械を使って周辺業務の負担軽減を行うのがベビーテックの考え方です。現時点では、主に目視でわからない体温や呼吸の変化を数値化したり、それらを含む記録を紙からアプリへ切りかえることで、利便性の向上が図られています。  一方、区が事業として直接子どもとかかわる保育分野においても、これまではアナログな業務手法が続いてきましたが、テクノロジーにより、単純作業を省略する、人の手を代替するなど、負担の軽減が可能となってきました。直接子どもの発達、成長とかかわらない反復業務や事務作業についてはICT機器を活用し、負担感の軽減、保育従事者が子どもと手厚くかかわれる状態になっていくことは歓迎すべきことと考えますが、保育施設でのテクノロジー活用の推進について、区の見解を伺います。  国全体では、厚生労働省により、二〇一五年度補正予算、二〇一六年度に保育所等におけるICT化促進事業が実施をされ、また、東京都でも二〇一七年度、一八年度に、保育所等におけるICT化推進事業が実施をされ、日常保育の記録、保護者とのコミュニケーション、出退勤等の事務作業について利便性が上がったようです。また、東京都では、あわせて昨年九月に発表した待機児童解消に向けた追加対策の一環として、昨年度からベビーセンサー・監視モニター導入で、午睡チェック、お昼寝のチェックをサポートする事業も実施をしています。  この間、行政として補助金がつくことで、まずシステム導入へのハードルは下がったと考えますが、世田谷区での活用状況についてあわせて伺います。  続いて、先日起きた企業主導型保育所の休園を題材として、認可外保育施設を安心して利用できるよう、区がサポートできることについて伺います。  今回の休園の一番の特異性は突発的であったこと、また、区が直接関与できない保育施設であったことだと考えています。従来の保育施設の休園、閉園については、事前に保護者へ連絡があり、時間的な猶予を設け、転園先のめどが立つよう、最後まで責任のある対応がなされてきました。私自身も保育園の閉園にかかわった経験がありますが、その園では、近隣の各種保育施設へ問い合わせを行い、幾つかの選択肢を保護者へ提示、転園先が確保された上で、差額分の保育料は閉園する保育園側で負担をすることで、保護者の方には御理解をいただく形となり、閉園には相当なエネルギーを要したのを実際に目の当たりにしてきました。  そして、企業主導型保育所という形態であるため、指導監査権限は国の指定する児童育成協会、また、認可外保育施設を管轄する東京都にあることで、問題をつかんだとしても、世田谷区として直接関与できませんでした。事業者へも保護者へも直接的な支援が難しい中、どのような対応がとられたか、まず改めて確認します。  これまで、私自身も企業主導型保育所を活用すべきであるという立場で発言を続けてきましたが、一部ではあるものの、最低限の託児さえも難しい施設があったのも現実であり、児童育成協会の監査に期待できない今、事業者に何を言われようと、区が関与していくしか、最低限の保育を担保する方法はないと考えます。権限はなくとも見ていること、一方で困ったときには区として認可外保育施設についても支援をする意思があることを、しっかりと事業者へ伝える努力もすべきです。  そもそも児童福祉法二十四条一項には、市町村は子どもに保育の必要性が認められる場合には、保育所、つまり認可保育施設において保育をしなければならないと規定されているにもかかわらず、待機児童はあふれ、その責務を果たせていない世田谷区においては、認可外保育施設が世田谷区の果たすべき役割を補完している存在といえ、認可外保育施設を排除するよりも、いかに区と一緒に伴走してもらえるかを考えるべきです。  しかし、これまでも、企業主導型保育所に限らず、区として予算を出していない認可外保育所について、口を出しても金は出さない世田谷区の言うことは聞く耳を持たれなかったことと思います。その上で区が目指すべきは、児童相談所設置に伴う設置市事務として認可外保育施設への指導監査権限を獲得、行使することではないでしょうか。  認可外保育施設も安心して利用できるよう、保育の質にこだわる世田谷区であるならば、一部の認可保育施設という権利を手にした人たちの環境のみを手厚く扱うのではなく、これまで置き去りになってきた認可外保育施設の質の担保について、さまざまな方法で責任を持って取り組むべきであると考えますが、施設種別の分け隔てなく支援をしていくことについて見解を伺います。  最後に、教育費無償化の前にやるべきことがあるという観点で、調達改革、また、それらによって負担軽減をすることについて伺います。  先日の世田谷区議会文教常任委員会でも、世帯収入による就学援助の拡大及び給食材料費の無償化枠創設のシミュレーションが示されました。その際にも、給食材料費の公費負担を拡大する前に調達等工夫をし、少しでも現状の各家庭への負担及び公費負担の総額を抑える工夫ができないのかという点について確認をしたところ、現状でも相見積もりをとる場合もあるとの答弁でしたが、あくまでも世田谷区は各校の判断で材料は個別に購入をし、従来どおり調達の一元化等の抜本的な変更については実施をしないとのことでした。  ここで、直近の給食材料費の推移を見ると、二〇一三年度と二〇一六年度に値上げが行われていますが、注目されるべきは、中学校における自校方式と調理場方式の別による一食当たりの材料費の差額についてです。自校方式では、改定前単価が三百十五円、改定後単価が三百三十七円であったのに対して、調理場方式では、改定前単価が二百九十三円、改定後単価は三百十三円となりました。調理場方式の改定後単価のほうが自校方式の改定前単価よりも二円安いことを考えると、区が示してきた円安の進行、需給の逼迫、消費税率の上昇に起因する食材費の高騰と言われている七%分は、単なる値上げではなく、別の方法で解消が可能であると考えられます。調理場方式のほうが栄養価の低い計算、もしくは質の劣る材料を選んでいる結果として安いのであれば、これは問題ですが、計算や品質に根本的な差がないのであれば、従来の個別購入方式から共同購入方式へ調達方法を変更することによってコストを削ることこそが、全ての児童生徒、また保護者にとっての最初の負担軽減となるのではないでしょうか。  全ての児童生徒、保護者の負担軽減よりも、従来の慣習を重要視し、コストの縮減、調達改革に取り組まないまま無償化が実施されれば、将来的にはたとえ業者の言い値で材料費が年々つり上がっても、全て税金で賄われるのであれば反対する人もおらず、業者の価格つり上げに対して、区の支出増は将来にわたって続くこととなります。そして、特定の業者へ垂れ流される本来必要ない支出を負担するのは、今後、無償化となった給食を提供される子どもたちの世代です。  今後、給食材料費の無償化を検討するのであれば、外部からのチェックが甘くなる前に、調達についての見直しが今必要であると考えますが、区の見解を伺います。  また、給食材料費に限らず、学校で使用されている学用品、備品、事務用品等の調達についても同じく各校で仕様が異ならない汎用性の高い物品については、各校が個別に購入するのではなく、区で一括の購入、もしくは価格の安いインターネット通販等も利用をし、支出の縮減に取り組むべきであると考えますが、現在の取り組み、今後の考え方について伺います。  壇上からは以上で終わります。(拍手) ◎知久 保育担当部長 私からは、保育関連の御質問に、順次お答えいたします。  まず一つ目、保育施設におけるベビーテックの活用状況と今後の推進についてでございます。  安全な保育、保育士の業務負担軽減及び保護者への利便性等の観点から、ベビーテック、保育業務のICT化は非常に有効な手段であると認識しております。区では平成二十八年、二十九年度、私立認可保育園に対し、園児台帳と連動した保育計画などの書類作成業務などを行うためのシステム導入に必要な費用を補助する事業を実施し、八十六施設が導入したところです。導入した施設からは、保育計画及び保育日誌の作成や、延長保育の時間管理を初め集計処理について、各段に効率化が図られたとの報告を伺っております。また、お話にもございました、平成二十九年度からは保育所における午睡中の安全対策を一層強化するために、ベビーセンサー等の機器の導入を促進するための事業も開始したところです。  一方、区立保育園におきましても、情報化事業計画に基づき、私立園と同様の書類作成、園児の登園、降園に関する管理、健康管理といった業務へのICT化導入に向けた検討に今年度より着手しました。  今後も、ICT化に加え、業務の効率化につながる取り組み、工夫については積極的に取り入れ、さらなる保育の質の確保、向上に努めてまいります。  次に、企業主導型保育所の休園に伴う区の対応についてです。  今般、区内二カ所の企業主導型保育施設では、保育士の大量退職に伴い、利用者に影響が生じたことから、施設の利用者に対して区内保育施設利用の御案内などを行ったところでございます。具体的には、二園の運営事業者から保護者に事情を説明する際、区からの資料として、認証保育所、認可外保育施設、定期利用保育に関する資料と認可保育園の申込書を配付してもらい、その後、区民からのお問い合わせに対応してまいりました。  十一月一日現在で区民二十四名が在園しておりましたが、区においては十二名の方から相談があり、御自身で探された方を含め、九名の方が他の施設に移行されております。また、混乱のおさまるまでの間、毎朝、職員が現地に赴き、児童育成協会と東京都と連携しながら、職員配置や園児及び保育の状況等を確認してまいりました。  今後、同様の事態を発生させないため、区は国に対し、企業主導型保育事業の改善に向けた申し入れを実施したところです。こうした状況を受け、国におきましては、保育の質や事業の継続性等を検証する有識者会議を設置することとなったため、区としても、今後の国の検討状況等について注視してまいります。  最後に、認可外保育施設の質の担保について、区は責任を持って取り組むべきだということについてお答えいたします。  今後、児童相談所の移管に伴い、区が認可外保育施設の指導を行うことから、東京都が企業主導型保育所も含めた認可外保育施設に立入調査及び巡回指導を行う際には積極的に同行するなど、施設の保育環境、保育内容、運営体制などの実態把握とともに、東京都の指導検査業務等のノウハウの蓄積に努めております。  一方、国においては、来年十月からの幼児教育・保育の無償化の実施に向けまして、都道府県等による指導に加え、区市町村による企業主導型保育も含めた認可外保育施設への関与についても検討が行われております。  区としましては、いずれの時期に権限が付与されましても、認可、認可外、全ての保育施設に対する指導、支援に対応できるよう、体制も含め検討を進めてまいります。  いずれにしましても、区が策定した保育の質ガイドラインが区内全ての保育施設を対象としているように、認可、認可外を問わず、全ての保育施設で子どもの最善の利益をたっとび、子どもを中心とした保育が実現できるよう取り組んでまいります。  以上です。 ◎淺野 教育次長 私からは、学校給食の食材に関すること、それから、学校の物品の調達に関することにつきまして御質問いただきましたので、御答弁をあわせてさせていただきます。  教育委員会では地域とともに子どもを育てる教育を目指しており、学校給食は、児童生徒の健康の保持増進を図るとともに、食育や郷土愛を育むなど、生きた教材として活用されており、大変重要な役割を担っております。  お話しの給食の食材調達におけるスケールメリットにつきまして、平成二十七年十一月の文教常任委員会での御答弁の中で、今回の給食費の公会計化に当たり、スケールメリットということも大事なことではありますが、世田谷としては、各校の栄養士による学校の状況に合わせた献立作成を基本とし、個性を尊重していきたい、また、地域の商店や農業の方々の御協力もあって給食の提供ができており、そういう点を大切にしていきたい、そういった旨の考え方も述べさせていただいております。  こうしたことも踏まえまして、給食費の公会計導入前に給食用物資納入事業者登録制度を設けて、安全安心、確実な納入という観点から、区内、区外を問わず、登録した約百三十事業者から各校が必要な物資を発注しております。  また、区立小中学校で使用する物品の購入についてですが、各学校に配当した予算をもとに、各学校で年間執行計画を作成し、計画的に行っているところです。  なお、各学校で共通して使用する児童生徒用の机や椅子、給食用の食器などは必要数を調査し、教育委員会で一括して入札することによりスケールメリットを生かした効率的な執行に努めており、今後とも必要に応じ、一括購入などの手法により、効率的、効果的な予算執行に努めてまいります。  以上でございます。 ◆二十六番(そのべせいや 議員) 先ほど、地域の商店、農業の方々の御協力もあり給食が提供できており、そういう点を大切にしていきたいという答弁でしたけれども、全ての児童生徒、保護者の負担軽減よりも従来の慣習、これを重視して、負担感への不満というものは税金を使えば解消ができる、そういう世田谷区の姿勢、明らかに問題があると考えています。このタイミングで、どうかもう少し透明性があるものにしていただければと思います。  また、区内産業云々言うのであれば、大手インターネット通販の楽天市場も区内事業者ですので、そういった事業者もしっかりと使ってください。  あと、保育施設のICT化については、結局導入したものの使い方が煩雑で、通常業務と重複をして、かえって仕事がふえた、結局使われなくなったという事例も報告がありますので、導入された私立園のサポートであるとか、また、今後区立園で導入する際には、十分と機能、価格を精査した上で進めてください。  ベビーセンサーについては、科学的には新生児無呼吸症候群を予防する因果関係が証明されていなくて、機械に全幅の信頼を寄せるというのは、これは難しいのが現状ですけれども、それでも人間の目ですぐに感知することが難しい変化を機械で知り得ることは安全性の担保にはつながると考えます。認可外保育施設のほうが人手不足が深刻なので、ぜひ両方やってください。 ○三井みほこ 議長 以上でそのべせいや議員の質問は終わりました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、九番山口ひろひさ議員。    〔九番山口ひろひさ議員登壇〕(拍手) ◆九番(山口ひろひさ 議員) 順次質問してまいります。  人の成長において、生まれてから最初の三年間ほど急成長の時期はありません。脳の発達に関係するニューロンという神経細胞の働きが一歳でピークを迎え、放っておかれた子どもは、一歳までに母親から愛情深く育てられた子どもよりも大脳新皮質の厚さが薄く、コミュニケーション能力が低いとも、乳幼児期に十分な愛情を与えられなかった子どもは、相手の感情を読み取ったり、自分の意思を伝えるための言語能力が余り育たなかったとの研究報告もあります。個性のかなめとなる人格形成や言語能力も、この生後三年間でほぼ形成され、三歳までに脳の八〇%は完成すると言われています。  基本的な生命欲求を満たす、お尻が濡れて気持ちが悪いや抱きしめてほしい、おなかがすいた等、触れ合いと遊び、また、家族以外の多くの子どもや大人と触れ合う機会をふやすことが大切なことだそうです。親になれば、自分の子どもに深い愛情を持って育てていくことは当たり前のことであります。  しかし、その置かれた環境によって、その愛情を与えることができない親、その愛情を受けることがかなわない子どももいるのが現実であります。最悪には虐待という状況にも。小さいころに虐待を受けて育った親は、子どもに対し虐待を繰り返してしまうという虐待連鎖の報告もあります。また、いじめの問題や不登校、ひきこもり、犯罪、非行、青少年を取り巻く重い課題もあります。  区も、子ども・若者部を立ち上げ、福祉所管として課題の解消に向けて取り組んでいるところでありますが、三つ子の魂百まで、愛情の受け方によって成人に至る人間形成に大きな関係があるのであれば、そう言われていることを具現化させることが、将来に向けての虐待や、青少年、若者に対する諸課題解消の糧になるのではないかと思いますし、産後鬱、児童養護施設や里親家庭でも虐待との報道も耳にする中で、世田谷版ネウボラやさまざまな子育て支援施策のさらなる拡大、充実に力を注ぐべきと考えます。  児相の移管に向けて、虐待ゼロの意気込みと同じく、世田谷区では愛情を受けられない乳幼児はいないという環境を行政施策においてつくることが大切であり、将来の区のよき社会環境につながるものであると思いますが、区の見解をお伺いいたします。  続きまして、区民会館の改修整備方針案についてお伺いいたします。  一部保存改修を提案した佐藤設計が設計者に選定され、さまざまな議論、検討を経て、このたびの区の考え方が示されました。改修保存される区民会館の耐震性能をⅡ類からⅠ類に向上させ、楽屋部分を新築して区民ホールにつけ足す。経費は改築と比較して約八割程度の費用で済む。想定している工期二十カ月以内で整備を完了することができる等とのことであります。  この間、我が会派の私と同じ思いを持つ議員からも定例会、特別委員会等の中で質疑が出されておりましたが、改築と比較して八割程度の費用で済む、一見、安く済んでいいんじゃないのと思う方もいらっしゃると思いますが、その耐用年数は三十年から三十五年で、その後の対応はそのときの劣化状況を見て判断し検討するという説明でありました。  もしも区民会館を改築するのであれば、耐用年数六十年から七十年、そして、改築する全体の庁舎と同じレベルでのランニングコスト経費、改修改築についても一つとして考えていけばいいわけです。一部保存改修対応をすることは、将来、また一部分でコストのかかる複雑な場面が発生することになるわけであります。三十五年後の状況を判断してのことを考慮すれば、決して安く済むと私は理解できません。  また、区民会館利用者に不便をかける、工期期間が短くて済むというメリットも示されていますが、今という短いスパンで見ればそうかもしれません。しかし、保存改修することにより三十年、三十五年後の長いスパンで見れば、状況によっては、またそこで区民利用者に不便をかける事態が発生することも考えられるわけであります。  莫大な税金を要する事業、区民に将来にわたり長く利用してもらう施設、最小の経費で最大の効果の観点からも示された案を鑑みれば、区民会館についても全面改築すべきではないかと私は判断いたします。  何を言っているんだ、費用だけの問題ではなく、前川建築の文化財産価値があるんだとの声も無論、もちろん承知しております。他の自治体での前川建築の保存も会派視察で勉強させていただきました。果たして現在の本庁舎が本当に残すべき貴重な文化財産なのか。もし、そしてそれを実現するのであれば、さきの決算特別委員会の中で我が会派の真鍋議員が質問したとおり、いっそのこと全面改修にしたらどうですかという発想にもなるわけであります。  私は残念ながら建築の専門知識もありませんし、また、文化財についての見識も浅いのでしょう。ですが、相対的に考えて、ホールの一部だけを残して、本当に多くの区民がよくやったと喜んでもらえることなのか。三十五年後、状況を見て検討するこの一部保存が残すべき価値あるものなのか疑問であります。  私の知り合いにも建築に携わる方や大学で建築を学び、前川建築についても関心を持ち、地方に足を運び見てきている友人もおります。本庁舎のことを聞いてみると、前川建築は価値あるものと認めますが、この世田谷の本庁舎に関してはその使命は終わっているのではないか。また、友人は世田谷の庁舎も見に来たことがあるけれども、世田谷のは残さなくてもいいんじゃないのと言っていました。私のおつき合いをさせていただいている方々に話題を提供しても、保存すべきだよという意見は正直一度も聞いたことがありません。したがいまして、私は区民のベターな選択として、区民会館も全面改築すべきとの持論を主張いたします。  いやいや、そんなことをしたらまた基本構想に戻り、最初からのスタートになってしまうんですよとの説明もありました。果たしてそう決めつけてよいのでしょうか。そこまで戻らなくても済む知恵や状況が発生する可能性もあると思います。  女子の駅伝大会で四つんばいになってたすきをつないだという感動的なニュースがありました。しかし、将来の選手生命を考えたらやめるべきではなかったのか、確かにたすきをつなぐことは大切なことであるが、その状況によってはやめさせる勇気が最も必要だったのでは、感動だけでは済まされないとの意見もありました。  今回の案については、基本構想、設計者の選択、その後の経過の過程で、もう時間がないからこのままいくしかないよではなく、改築に変える勇気、変えさせる勇気も必要だと私は思います。  と言っていますが、私が小学生低学年のころ、当時人気絶頂の錦野旦が「空に太陽がある限り」という歌を歌っていました。保坂区長が世田谷区長である限り、この私の主張はだめだこりゃなんだろうなという気持ちがいっぱいですが、答弁を求めます。  最後に、レガシーとしてのポートランドの中学生の交流について伺います。  以前よりまちづくりの観点からポートランドについては質疑等でも触れられていました。区長は何度か足を運ばれており、私も質問の中で、私もポートランドへ連れていってとお願いしたことを思い出します。オレゴン州ポートランドってどんなところですかと、アメリカを知る方に尋ねてみると、皆さんが、治安もよく、大都市とは違ったいい町ですよと答えられます。日本でいうと吉祥寺みたいな感じですかと返すと、いやいや、スケールが違い過ぎますとも言われました。  我が会派の菅沼議員からもありましたが、ポートランドは日本の既に複数の自治体と姉妹都市提携をしており、姉妹都市交流をするには、その実績もあり、決して悪いところではないと思います。しかし、議会側も新たな姉妹都市交流については議連をつくり、幾つかの国の都市を訪問し、その成果として台湾、フィンランドとの交流が始まろうとしております。  そんな中で事前情報の説明もなく、レガシーとしてポートランドとの姉妹都市交流ですと言われても、はあとのいきなり感は否めません。ましてや、二〇二〇オリンピック・パラリンピックのアメリカチーム、ホストタウンのレガシーとしてであります。まだ大会が開催されていないのに、何でポートランドがレガシーなのかな。本来であれば、アメリカチームの選手や関係者が世田谷をホストタウンとして過ごし、大会を終え、その経過の中で生まれたきずなや交流を通じて都市選定をすべきものではないかなと思います。  もし、今大会の中で世田谷区が会場となる馬術競技でアメリカの選手が好成績をおさめ、その選手が世田谷の皆さんによくしていただきました、そのおかげでいい成績をおさめました、世田谷大好き、サンキュー、ありがとうなんてコメントをしてくれたら、区民も大喜びですし、その選手の生まれ育った町が治安もよくすてきな町で候補地となり、姉妹都市として交流できたら、世田谷とアメリカチームとの友情のあかしから生まれたオリパラを通じての大義もつくられ、本当の歴史が語り継がれていくわけであります。  レガシーとするならば、大会経過からつくられるべきものであり、始まってもいないのに、はい、ポートランドですよ的なものはないんじゃないかなと思います。  狭い日本、そんなに急いでどこへ行くという交通標語が昔ありましたが、何でそんなに急ぐのかなという気がしてなりません。オリパラ大会終了までのその経過の中で自然と生まれたこと、それを残し受け継ぐことが本来のレガシーの姿だと思いますが、区の見解をお聞きし、以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、世田谷区民会館の改修整備案について御答弁申し上げます。  本庁舎等整備につきましては、平成二十八年度に策定しました本庁舎等整備基本構想で、それまでの議会や区民の方との議論を踏まえ、改築、一部保存の方針や配置計画等は示さず、本庁舎等整備における基本的な方針や必要な機能、規模、工期等の設計要件を示し、求められる機能、規模の確保と、最も合理的な事業計画が可能であれば、現庁舎等の活用も考慮するといたしました。その後、この基本構想をもとに、設計者選定プロポーザルを実施し、具体的な建物の配置や形状等については設計者に提案を求め、その結果、区民会館ホールの保存再生を提案した設計者が最優秀者となりました。  区として、設計者からの提案は、基本構想におけるさまざまな課題に対する最適解と受けとめ、この考え方をもとに基本設計を進めてまいりました。  世田谷区民会館の整備につきましても、この提案の考え方を尊重しつつ、これまでの議会での議論、区民説明会等での区民意見等を踏まえ、基本構想、基本設計方針で定めた区の設計要件の実現性の検証を行い、世田谷区民会館整備方針案として、ホール部分の保存改修、楽屋の改築により構造体Ⅰ類相当の耐震性能を確保しつつ、基本構想に示した機能に加え、さらなる区民会館機能の向上を図るとともに、躯体の長寿命化を図る案をお示ししたところです。これにより、区民会館は、文化・芸術の魅力を発信し、交流・協働の拠点として、区民の皆さんに安心して御利用いただけるものと考えております。  区といたしましては、この間の検証、検討の結果、今回の世田谷区民会館整備方針案でお示しした改修案は、基本構想、基本設計方針でお示しした区の設計要件に合致するとともに、さらなる機能向上が図られたことから、ここに至るまでの経過を尊重すべきことを重視し、当該案で設計を進め、遅滞なく本庁舎整備に取り組んでいく所存でございます。  以上でございます。 ◎澁田 子ども・若者部長 私からは、全ての子どもたちがさまざまな環境の中にあっても愛情が受けられるよう取り組むべきという御質問にお答えいたします。  乳幼児期に家庭的な愛情を十分に受けて育つことは、子どもが心身ともに健やかに育つためには非常に重要なことと認識しております。子どもと養育者の間の情緒的な結びつきがある愛着に関するさまざまな研究でも、年齢に応じた養育者とのかかわりにより、愛着を形成することができると言われています。  しかし、核家族化の進展や地域とのつながりの希薄化等により、子育て家庭が孤立し、育児不安や負担感が高まるなど、厳しい環境に置かれている子育て家庭が存在しており、こうした家庭に継続したかかわりを持ち、養育環境を改善していく働きかけが重要でございます。  区は、全ての子育て家庭が孤立することなく、喜びと楽しさを実感しながら子育てできる環境の整備に取り組んでおります。これまで、地域のさまざまな人材や機関と連携しながら、世田谷版ネウボラでは、妊娠期から子育て家庭にかかわり、地域で親子が交流できるおでかけひろばや利用者支援事業を拡充しまして、子育て支援の充実に力を入れてまいりました。  来年度は第二期子ども計画後期計画の検討を予定しております。身近な地域で子育てを支えられた経験が次の世代への支援につながるなど、地域で支えあい、循環する仕組みの充実について検討を進め、子育て家庭が孤立することなく、大切な乳幼児期から地域で安心して養育できる環境の整備に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎淺野 教育次長 私からは、ポートランドとの交流につきまして御答弁申し上げます。  ポートランドの交流については、姉妹都市交流ということではなく、区が東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会におけるアメリカ合衆国のホストタウンであることを契機とした教育交流として考えております。そのため、オリンピック・パラリンピックの感動を胸に、東京二〇二〇大会の年からアメリカ合衆国の生徒と交流を開始することは、子どもたちにとってかけがえのない体験となるとともに、将来へも継続する貴重なレガシーとなるものと考えたところです。  そのためには、一定の準備期間が必要なことから、本年十二月に実地調査を行い、引き続き内容を検討するとともに、進捗状況について随時、議会に報告させていただきたいと考えております。  教育委員会といたしましては、子どもたちにとってよりよい交流が実現するよう、計画的に進めてまいります。  以上です。 ◆九番(山口ひろひさ 議員) 乳幼児対策に関しては、ぜひ全力で取り組んでいただきたいと思います。  それと、区民会館の答弁は想定どおりこっぱみじんだなという感じがしますけれども、四つんばいにでもなって、平成最後の質疑もありますので、その辺は、また私は主張していきたいなと思います。  それで、ポートランドに関してなんですけれども、レガシーというのは、やっぱり遺産、あと後世に残していく、いわゆる評価されるべき業績といいますか、そういうことだと思うんですけれども、まだ実際に大会が終わっていないのに、前倒しのレガシーというのはどういうことなのかなというのがちょっと僕は理解できないんですけれども、その辺をちょっと説明してもらいたいんですけれども。 ◎淺野 教育次長 再質問に御答弁申し上げます。  東京二〇二〇大会に向けて、アメリカ合衆国のホストタウンであることから、アメリカ合衆国の都市との交流が実現すれば、子どもたちへのかけがえのないレガシーとして次世代に伝えることができると考えたものです。  また、その交流自体も特色あるものとし、継続していくことができれば、アメリカ合衆国のホストタウンとしてのレガシーとしてまたとないものと考えてございます。
     さらに具体的な交流自体ですが、これを東京二〇二〇大会の年から開催することにより、より子どもたちの心に残るものと考えております。そういったことから、今回の計画について検討しておるところです。  以上です。 ◆九番(山口ひろひさ 議員) ポートランドは悪くないんですけれども、これは持っていき方、この過程が絶対うまくないので、また平成最後の質疑でやらせていただきたいと思います。 ○三井みほこ 議長 以上で山口ひろひさ議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後二時五十八分休憩    ──────────────────     午後三時二十分開議 ○三井みほこ 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 一般質問を続けます。  三番おぎのけんじ議員。    〔三番おぎのけんじ議員登壇〕(拍手) ◆三番(おぎのけんじ 議員) きのうの我が会派の代表質問でも触れていたように、今後の区財政の見通しは決して明るくはありません。ふるさと納税など、区長もおっしゃるところの税源収奪のダメージに加え、児童相談所移管に伴う財源的裏づけ、学校等の耐震再診断結果に伴う財政支出、幼児教育無償化における自治体の財政負担など、今後の不確定要素は一つや二つではありません。そうでなくとも、本庁舎整備、国有地跡地の整備等、多額の財政負担を伴う事業を控えている今だからこそ、行財政改革を加速させるべきだと考えますが、区長招集挨拶では一言も触れられておりませんでした。SDGsよろしく、持続可能な財政基盤の構築にも傾注していただきたく思います。  松下幸之助の言葉に、まず汗を出せ。汗の中から知恵を出せ。それができない者は去れという言葉があります。これ自体、大変刺激的な言葉でありますが、私がITベンチャーで働いていたころ、誰のアレンジか、金がないなら知恵を出せ。知恵がないなら汗をかけという言葉に変わり、業界内でよく流通していました。まさにベンチャーにおいては、知恵を振り絞り、汗もかかなければ、競争に勝つことも、資金を調達することも、会社をスケールさせることもままなりません。ないない尽くしの中で何を優先し、何を捨てるかという、毎日が取捨選択の連続だったことを思い出します。  昨年公開され、ことしの夏から大ヒットとなった映画「カメラを止めるな!」の制作費はわずか三百万円、たった二館からのスタートだったこの作品が、今では国内外の数々の映画賞を受賞し、観客動員は約二百万人、興行収入は約三十億円にも到達したそうであります。私自身、大変おもしろく鑑賞した者の一人でありますが、まさにお金がない中で、スタッフ全員が一丸となり、知恵も出し、汗もかき、成し遂げられた快挙なのであろうと思います。  幸いなことに来年度以降、区の特別区税収入は微増トレンドが続くとの見立てがなされています。しかし、お金があれば知恵を出さなくていいということではありません。先行き不透明な財政運営が強いられる中にあって、わずかな税収増に財政規律がこれ以上緩むことがないよう、改めて強く要望するものであります。  加えて職員の皆さんには、区に長年横たわる課題に対して、さらに知恵を振り絞り、組み合わせ、ブレークスルーしてほしい、そのような思いを込め、以下、質問してまいります。  まず、買い物弱者対策について伺います。  ことしの六月に発表された農林水産省の最新調査によれば、店舗まで五百メートル以上、かつ自動車利用が困難な六十五歳以上の高齢者を買い物弱者とした推計値は、二〇一五年時点で八百二十四万六千人、これは十年前の二一・六%増とのことであります。そして内訳は、地方圏が四百四十七万人、東京、大阪、名古屋の三大都市圏が三百七十七万六千人であり、東京圏の伸びは十年前の実に五九・三%増と、地方より大都市圏での増加が顕著であることが読み取れます。  この問題は世田谷においても例外ではないということで、私を含め、多くの議員が取り上げてきたテーマでありますが、残念ながら、今なお進捗の気配が全くありません。そして、なぜスタックしているのかを私なりに分析するに、そもそも職員と議員とで課題認識に温度差があること、また、それらしき取り組みがさまざまな所管で行われているものの、主たる所管が明確になっていないがゆえ、誰かが各取り組み結果を総括し、買い物弱者対策としてプランニングをする段階がいつまでたっても訪れないということなのだろうと思っています。  かねてよりこの問題は、福祉的・産業的観点や、各種の交通事情、用途地域など複合的な問題が絡み合ったテーマであり、一体的な課題解決を図るべきと申し上げてきました。現状、区では社協主導によるお買い物ツアーが幾つかの地域で実施をされています。また、砧地域におけるコミュニティーバス導入実験、大規模公園での移動販売車の実験も予定されています。そうした区内での取り組みを買い物弱者対策の視点で総括し、他自治体の事例を研究し、ちなみに、農林水産省のサイトには事細かに事例が掲載されていますが、大局的観点からこの問題を捉え直してほしいと、改めて強く要望するものであります。区の見解を伺います。  次に、新BOP事業の今後について伺います。  昨年の第四回定例会でも取り上げましたが、あれから一年、私が課題として指摘した点に対する目に見える進捗があったのかなかったのか、見えないところでの検討がどの程度なされたのかという観点でお聞きします。  まず、スペースの問題についてお聞きします。条例上、学童クラブは一人当たり一・六五平米以上の確保が定められていますが、いまだ基準を満たしていないところが九校あります。そして、運営上望ましい規模とされている四十人程度の学校は一校もありません。昨年も指摘した大規模化はさらに加速し、約半分の三十一校が百人以上となっています。職員配置も含め、学童、ひいては新BOPを運営するに当たっての質を担保するガイドラインからどんどんどんどん外れていっているという事実がありながら、何ら手が打たれず、保育園におけるそれとは全く見解、対応が異なることも含め、大きな違和感を覚えるわけであります。  また、数字を眺めるのと実際の現場を見るのとでは全く印象が異なるはずであります。私も実際に見聞を重ね、どうにかしたいという思いから質問を重ねているわけですが、特に雨の日、夏場、特にことしは熱中症予防のため、外遊びができない日がかなりありました。そのときの新BOP室の様子を見れば、いかに子どもたちが、劣悪とは言えないまでも、決して快適とは言えない環境で過ごしているかがよくおわかりになるはずです。それでも、スタッフの創意工夫により、どうにかこうにか成り立っている部分も大きいわけですが、いつまでも現場にしわを寄せ続けていれば、近い将来限界が来ることは明白であります。  よもや、理事者の方々も現場を見ていないことはないと思いますが、この新BOPのスペース問題及びそれがもたらす質の劣化に対し、現状、区として定量的、定性的にどのような課題認識を持たれているのか、まずお聞きします。  私が最も危惧しているのは、新BOP事業がハード、ソフト両面でぎりぎりの状態で運営されることで、子どもたちの安心安全に影響が出るということであります。新BOPの時間延長をモデル実施することがこの事業における最優先かつ喫緊の課題なのか、私はよくわかりませんが、その前に、もっと構造的かつ根本的な問題を解決する道筋を今つけることのほうが先決ではないかと考えます。仮にハードの拡充が無理なんだとすれば、定員を設けないというこの制度設計自体を見直すということも選択肢の一つになり得ると考えます。  そうした幾つかの方向性を見出し検討を重ねることが、今、この事業においてやらなければならない最重要事項であると考えますが、区の見解を伺います。  次に、熱中症対策について伺います。  先日示された今夏の熱中症発生状況の報告に大きな衝撃を受けました。区内における救急搬送者数は昨年から二・七倍の三百七十五名、死亡者数は昨年のゼロから五名となってしまいました。これ以上の被害拡大を抑え縮小に向かうよう、さらなる対策強化を求め、何点か質問いたします。  まず、搬送者の約四割を占める七十歳以上の高齢者に対しては、各地域においてこれまで以上のきめ細やかな対策と予防周知の工夫が求められると考えますが、今後の区の強化策について見解を伺います。  また、七月十七日に愛知県豊田市で小学一年生の男子児童が熱中症で亡くなりました。この事故を受け、八月に文科省は夏休み期間の延長を検討するよう、各教育委員会に通知を出しました。中には千葉市のように、エアコン設置までの緊急対策として、市立小中学校の夏休み期間を現在の四十二日以内から四十八日以内に延長することを決定した自治体もあります。この通達に対し、世田谷区教委内ではどんな議論がなされ、いかなる判断をされたのかお聞きします。  また、体育の授業、夏休み中の屋外プールによる水泳の実施、新BOPにおける外遊び、校庭開放など、子どもの屋外活動は多岐にわたります。豊田市の死亡事故の翌日に、区教委から各学校に熱中症事故防止に対するレターが配付されたことを評価いたしますが、来年度以降、その内容をさらに厳格運用することを提案いたします。  既に他の自治体でも環境省が発表する暑さ指数WBGTに基づいた運用を定めている事例があります。特にWBGTにおいて、運動は原則禁止とされる三十一度以上、激しい運動は中止とされる二十八から三十一度の場合におけるルールについてしっかりと決めておくべきと考えますが、区の見解を伺います。  加えて、現状、小学生は夏場、学校に水筒を持参することはできますが、中身が水かお茶に限定されているところが多いようです。熱中症に最も効果的な飲み物については諸説あるようですが、スポーツドリンクを御希望される親御さんも一定数いらっしゃいます。持参可能な飲料としてスポーツドリンクも含められないか、あわせて伺います。  最後に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックへ向けての対策を伺います。  大会組織委員会がマラソンのスタート時間を午前七時から五時半、もしくは六時スタートへ変更する方向で調整に入るとの報道がありましたが、当区において馬術競技が行われる馬事公苑とその周辺における対策として、現時点でどんなことが検討されているのか伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、東京二〇二〇大会におきます熱中症対策について御答弁申し上げます。  東京二〇二〇大会では、オリンピックの開催時期が七月二十四日から八月九日、パラリンピックは八月二十五日から九月六日とされており、競技者や観客を初めとする多くの方々が気温の高い時期に集中することが予想されております。また、海外からの旅行者の増加も予想されますが、その中でも日本より気候条件が涼しい地域からの渡航者につきましては、この環境になれていないことから、熱中症を発症するリスクが高いと考えられます。  区におきましても、国内外から訪れる観光客に対しまして、リーフレットやチラシなどを日本語だけでなく、英語、中国語、ハングルなど数カ国語で用意し、熱中症の予防ポイントや熱中症予防、お休み処の紹介などをお知らせするなど、二年後に控えた東京二〇二〇大会に向けて準備を進めてまいります。  なお、お話しございました馬術競技の会場となる馬事公苑周辺の対策等ですが、馬事公苑を囲む沿道を遮熱性舗装に整備してまいります。また、馬事公苑最寄りの五駅から馬事公苑までのルート上で御活躍いただくボランティアや徒歩で訪れる観客の皆様に対しましても、一時的にお休みできる場所、または空間の確保を東京都と調整しているところでございます。さらに補完すべき部分が生じた際は、東京都や組織委員会からの情報を収集しながら、区としてハード、ソフトの両面から庁内調整を図り、対応してまいります。  以上でございます。 ◎花房 生涯学習部長 私からは、新BOPのスペースの課題につきまして御答弁申し上げます。  新BOP事業における活動スペースの問題は、環八周辺の人口の急激な増加や近年の社会情勢の変化に伴う、働く保護者の増加による児童数の増加等が原因であり、喫緊の課題であると認識をしております。その一方で、環七周辺の地域におきましては、児童数の関係から比較的余裕を持って学校施設を活用するなど、世田谷区内におきましても格差が生じている状況もございます。  このような状況を踏まえまして、教育委員会では狭隘を解消するため、学校と連携をして、校庭や体育館、特別教室や学校図書館、ランチルームを有効に活用するなど、児童の安全に配慮しながら活動スペースを確保し運営を行うなどの対応をしてございます。  また、児童の利用が多い午後二時から四時ごろまでの時間帯には専用ルームで集中して活動をせずに、校庭や体育館で体を使った遊びを取り入れるなど、児童の参加状況に合わせてプログラム活動の工夫を行っているところでございます。  新BOPは、子どもたちが豊かに成長するための大切な場所でございまして、今後も関係所管、学校と連携しながら、新BOPの環境整備に努めてまいります。  以上でございます。 ◎澁田 子ども・若者部長 私からは、新BOPの事業運営の課題を解決するための見直しについて御答弁いたします。  新BOP事業では、これまで多種多様なニーズへの対応として、学童クラブについて定員を設けないことや、要配慮児童の学年延長、職員の質の向上に向けた研修実施等の対応を図ってまいりましたが、依然として児童数増に伴う人員や活動スペースの確保の難しさ等の課題があることは認識しております。  新BOPは、学童クラブとBOP利用の子どもたちがともに過ごし、異学年が交流を図り、豊かに成長する貴重な場であり、保護者、学校、地域と連携しながら、担い手やプログラムの一層の充実にも努めております。  現在、課題の解決に向け、他区や近隣自治体の運営手法を調査するなど、今後の方策について検討しているところでございます。  区といたしましては、安全安心はもとより、全ての子どもの健やかな成長と自立の支援を大切にして事業を運営しております。今後、学童クラブの運営時間延長、モデル事業の検証で把握いたしました状況や課題等を切り口の一つといたしまして、場や人材確保など、子どもにとってよりよい新BOPの事業運営について、モデル事業の検証とあわせまして、区の考え方をお示ししてまいります。  以上でございます。 ◎岩元 玉川総合支所長 私からは、買い物弱者対策について御答弁申し上げます。  総合支所においては、この間、地域包括ケアの地区展開の取り組みの一つとして、地区アセスメントを、まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者が連携協力して作成し、地区の状況と課題を把握するとともに、課題解決に向け取り組みを進めているところでございます。こうした中で、地区の固有の地形や交通環境などの状況から、買い物弱者対策は取り組むべき大きな課題としている地区がございます。  また、議員の御質問にもございましたけれども、区では砧地区をモデルとした公共交通不便地域対策や公園への移動販売車の誘致に関する社会実験などを進めており、これらの取り組みを地域特性に合わせて展開し、町会・自治会、商店街、福祉関係事業者などの方々の協力をいただきながら、買い物弱者対策を進める必要性を認識しております。  そのため、玉川地域では最寄りの商店街まで路線バスが運行しておらず、坂道の多い、上野毛地区において地区の関係者をメンバーとする検討会を開催しており、現在、福祉事業者が所有する車両の空き時間を活用した商店街への移送サービスの来年度実施に向け、事業者と調整しているところでございます。  総合支所には、区民生活、保健福祉、都市整備領域の各課があり、これらが一体となり、事業所管部との連携を図りながら、領域をまたがる課題である買い物弱者対策の解決に向け、総合支所が主体となって取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎辻 世田谷保健所長 私からは、熱中症対策に関し、高齢者への対策の充実についてお答えいたします。  近年は、関東地方でも六月中旬に高温注意情報が発表されるなど、梅雨明け前にもかかわらず、熱中症による救急搬送が増加していることから、区におきましては、今年度も六月十五日から熱中症予防の対策に取り組んでまいりました。  本年六月から九月末の気象状況を見ると、最高気温が三十五度以上の猛暑日が十二日、最低気温が二十五度を下回らない熱帯夜も四十二日、さらに梅雨明けも六月二十九日ごろと、例年になく暑い日が多い夏でございました。  そのため、議員お話しのように、本年は救急搬送者数が昨年の約二・七倍にふえ、その約四割を七十歳以上の高齢者の方々が占めるという状況でございました。また、本当に残念なことですが、ことしは熱中症により五名の方がお亡くなりになりました。この五名のうち四名の方が七十歳代から八十歳代の高齢者の方々で、いずれも屋内で発見されるという、近年と同様の傾向でございました。  こうした状況から、来年度に向けましては、特に屋内で発生する高齢者の熱中症に対する対策の強化を図る必要があると認識をしております。リーフレットやチラシに猛暑日における留意点や、クーラーの利用、また、その温度設定についてわかりやすく記載するほか、高齢者の方々へ熱中症予防について説明する機会をふやすなど、より一層の対応策を検討し、実施してまいります。  以上です。 ◎工藤 教育政策部長 私からは、小中学校での熱中症対策について三点、順次御答弁申し上げます。  まず初めに、文部科学省からの夏休み期間延長の通達に対し、区ではどんな議論がなされ、いかなる判断を下したのかという御質問です。  ことしのような酷暑の中での教育活動につきましては、子どもたちの生命、健康における安全安心を確保することが何よりも優先されると認識しておりまして、文部科学省からの夏季休業日の期間延長の通達につきましても同様の趣旨によるものと考えております。  高温多湿が懸念される気象条件下での体育、保健体育の授業や校外学習、部活動、外遊びなどの実施に際しては、気温、暑さ指数、活動場所の状況、子どもの実態などを総合的に捉えて、実施の可否を学校現場が適切な判断をすること、それを教育委員会が支援することが重要であると考えております。こうしたことと夏季休業の期間延長に伴う授業日設定の難しさをあわせて検討し、夏季休業の期間延長は難しいと判断いたしました。  教育委員会といたしましては、より安全安心に教育活動を展開できるよう、基本的な考え方を示したり、判断の参考になる情報提供をしたりするなど、適切に校長会などで周知徹底するとともに、並行しまして区立小中学校体育館への空調設備の設置等、教育環境の整備を進めてまいります。  続きまして、二点目、ルールをしっかり決めておくべきという御質問です。  本年度は記録的な暑さが続きましたことから、教育委員会としまして、安全な教育活動の実施について適宜注意喚起をいたしました。また、八月上旬には改めて、室内外を問わず、活動場所が気温三十五度、あるいは暑さ指数三十一度以上の場合、原則運動を中止する基準を各学校に周知し、再確認をいたしました。幸い熱中症による重篤な症状になる子どもは出ませんでした。  活動実施の判断につきましては、施設の空調の有無や通気性等の活動場所の環境の違い、活動する子どもの年齢や体力などの幅や個人差に加えまして、当日までの活動や練習の積み重ねなどのさまざまな実態を考慮する必要がございます。  教育委員会としましては、気温や暑さ指数の数値基準を周知徹底した上で、活動する場や子どもたちの状態などを十分把握している各学校の管理職が責任を持って総合的に判断できるよう支援をするとともに、本年度の酷暑の中での教育活動について、熱中症対策を含めた実施状況を検証し、校長会と連携して対応してまいります。  続きまして三点目、熱中症に効果的な飲み物についてはという御質問です。  お話しいただきました水筒の中身の指定につきましては、各学校が実態に即して行っておりまして、水かお茶としている学校が多いと把握しております。また、中学校は部活動もあって、スポーツドリンクを許可している学校が多い状況でございます。  熱中症予防には水分と同様に塩分の補給も重要とされ、スポーツドリンクについては、校長会等で適しているとする考えと、糖分が多く、飲み過ぎは栄養面で課題があるとする見方もあり、議論となったと聞いております。  教育委員会としましては、継続的に校長会などとも連携し、熱中症対策と健康全体面もあわせまして検討し、適切な情報提供に努めてまいります。  以上でございます。 ◆三番(おぎのけんじ 議員) 新BOPの件ですね、今後の事業の方向性を打ち出すという作業がなぜ遅々として進まないのか、私は不思議でなりません。  学童クラブの延長モデル事業の検証と並行して検討を進めるとありましたけれども、私は検討する材料って、もう既に出そろっていると思うんですね。人口推計もあるし、今今の、さっき私が申し上げた面積の問題だとか、職員の配置の問題だとかありますし、他の自治体の事例も出そろっているわけでして、それをそしゃくして世田谷区の課題解決に導いていくのが行政手法だと思いますけれども、今の検討スピードは遅過ぎると、副区長、思いませんか、伺います。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 再質問にお答えします。  まずはスピード感がないんじゃないかということについては、ある意味、反省しなければいけない点かと思います。  この新BOPの関係につきましては、当初、BOPという時代から新BOPに移行しているわけでございますが、この学校施設を活用するというときに、さまざまな条件が出されております。その中で、先日の代表の中で学校のスペースの活用ということについてもお触れになられたと思いますけれども、やはり私たちのほうがこの新BOPをスタートするときに、ここまでの規模の数になってくるかということが読み切れていたかどうかということも反省点としてあります。その中で、現状の中で、やはり人員と活動スペースの両面の部分について解決していかなければいけないということで、先ほど、それぞれの所管部長から御答弁申し上げたわけでございますが、人員のほうにつきましては、この延長問題の関係の部分におきまして、やはりその人員の補充とこの延長問題というのはセットで解決していかなければいけないというふうに思っております。  一方で、それを満たしたとしても、今度は子どもたちの活動スペースの問題が残っておりますので、そこは私どものほうからも学校のほうに改めて協力依頼をするなどして、活動スペースを極力確保していくということをやっていかないと、また、その使い方によっては普通教室のほうをどうしていくのかという問題も触れていかないと、なかなかスペースの確保はできていない。特にエリアによっては西側のほうについてはなかなかスペースがとれていないという状況がございますので、それらのところも十分留意して進めていきたい、そのように考えております。  以上です。 ◆三番(おぎのけんじ 議員) 現場の方は大変疲弊していると思いますので、ぜひ検討スピードを一段、二段上げてください。お願いします。 ○三井みほこ 議長 以上でおぎのけんじ議員の質問は終わりました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、七番上川あや議員。    〔七番上川あや議員登壇〕(拍手) ◆七番(上川あや 議員) 初めに、公文書管理改革について伺います。  区が昨年九月の定例会で公文書管理条例の検討を表明したことを歓迎いたします。私は、保坂区長が就任後初の定例会招集挨拶の中で取り組みたいことの第一に情報公開の徹底を掲げて以降、情報公開の徹底と公文書管理改革は車の両輪であり、区が公文書管理改革に一向に取り組まない姿勢は全くおかしいと問い続けてまいりました。
     今回、国による公文書の改ざんや隠蔽、不当な廃棄が次々明らかになる中で、区もようやく重い腰を上げた格好ですが、条例化するのであれば先進的な内容となるよう求め、質問いたします。  まず、要望の第一は第三者機関の設置です。  昨年十月の総務省の調査によれば、全国の都道府県市区町村のうち、公文書管理に関する条例を制定していた自治体は二十一ですが、このうち文書破棄の可否を審議する第三者機関の有無を確認すると、あるとした自治体は毎日新聞によれば四つだけでした。国では保存するべき公文書の廃棄が繰り返し問題化していますが、第三者機関のチェックがないことが恣意的判断を可能としています。本区の条例では、区から独立した第三者機関のチェックを制度化するよう求めます。区の見解を問います。  第二に、専門人材の登用と配置が重要です。  専門知識のない職員によるずさんな誤廃棄は各地の自治体で明らかになっています。千葉県文書館でも一昨年、第二次大戦の関係文書の誤廃棄が発覚し、複数の職員が処分を受けています。その一因として指摘をされたのが専門職員の不在です。同文書館に在籍する専門職員は当時、たったの一名で、廃棄リストを作成した判定会議にも専門知識を持つ者はおりませんでした。同文書館では遅まきながら職員研修を開始し、第三者に意見を求める仕組みの導入を検討し始めたといいますが、当区の条例検討では当初から、アーキビズム等を学んだ専門人材の登用を想定するべきです。その独立した配置も重要と考えますが、いかがでしょうか、見解を問います。  第三に、廃棄予定の公文書の事前公開を求めます。  昨年末、歴史学者らで構成する自治体アーカイブス研究会が四十七都道府県に廃棄予定の文書をネット公開しているかどうかを問うたところ、行っているとした自治体は四県だけでした。本区にも同様の仕組みはないと確認をしておりますが、区民のあずかり知らぬ間に廃棄される状況は改められるべきです。区の見解を問います。  第四に、国による公文書の改ざん、隠蔽、不当な廃棄が次々明らかになる中で、悪質な改ざん等の行為に懲戒処分の設定を求める声は高まっております。当区でもぜひ検討を求めますが、いかがでしょうか。  この質問の最後に、個人メモという隠れみのを許さない公文書の定義づけと、その中では幹部職員等のメール保存のルール化も検討されるよう求めます。区の見解を問います。  次に、区と区教委の障害者雇用率算定の妥当性について伺います。  私の課題認識の中核は、世田谷区教委を含め、何と二十三区全ての区教委が障害者雇用促進法上の雇用義務、障害者雇用率の算定、報告をこれまで全く行ってこなかった、この事務は不適切ではなかったか、それが許される明確な根拠など何一つないではないかというものです。  全国一律に実施をされている障害者雇用促進法上、都道府県等の教育委員会は二・四%の法定雇用率を守らなければなりません。この対象外となるためには、対象職員数が四十二人以下の小規模機関であるか、市長部局で一括算定することが許される厚労大臣の特例認定というものを受けなければなりません。  ところが、区と区教委に確認したところ、本区がこの特例認定を厚労大臣に申請したことはないと言います。つまり、法定雇用率を区と区教委で合算処理するための大前提、厚労大臣による特例認定はいまだ得られていない。にもかかわらず、区はみずからに都合よく区教委の職員をその法定雇用率に算入、報告し続け、区教委もまた、独自に障害者雇用を進める義務を怠り、法定雇用率の算定報告を行ってきたのではないか。以上の課題認識のもと、何点か伺います。  まず、今回、世田谷区教委が独自に法定雇用率を算定するべき事業所であるのかどうか。都内の企業、公的機関等の雇用率の状況を毎年調査、公表している東京労働局に私より直接伺うと、驚くべき返答が返されました。あろうことか、わからないというのです。聞けば、同労働局には他の都内の自治体からも同様の問い合わせがあるそうで、同労働局でも答えに窮し、本省に問い合わせをしておりますが、返答が得られないままだといいます。  そこでまず、区の基本認識から問います。  前出の状況から、世田谷区教委は法定雇用率を独自に算定し守るべき事業所のままなのではないですか。また、区は現状のような合算をいつから行い、その妥当性の根拠は何であるのか説明を求めます。  次に、区と区教委と合算する当区の雇用率算定は誤りというべきではないかの回答と、当区同様、他の二十二区も同様の処理をしているものと想像するが、いかがでしょうか、報告を求めます。  第三に、区と区教委、それぞれ単体で障害者雇用率を算出した場合の具体的数値、分母と分子、障害者雇用率について提示を求めます。  この質問の最後に、従来の算定手法が誤りだった場合、どう事務を改めるのか、区と区教委それぞれの考えを問います。  次に、色覚障害に対応したチョークの導入を求め、伺います。  先天的に色の見え方が異なる色覚障害は、日本では男性の五%、二十人に一人、女性でも〇・二%に見られるとされ、決して珍しくはありません。文科省は教職員向けに色覚に関する指導の資料を作成配付しており、色覚の違いに配慮した学習指導を求めております。  学校健診での色覚検査は、平成十五年度以降、必須項目から削除されましたが、色覚の違いで生じる学習面の困難に配慮して、色覚検査を選択制として復活させる学校もふえています。  こうした中、色覚障害や視力の弱い児童生徒でも色が識別しやすい色覚チョークの導入が一部の学校で進められております。色覚チョークは発色もよく、障害を持つ人にも色の違いがはっきりわかる上、通常のチョークとの価格差もほぼないということです。障害者の当事者の立場からさまざまな製品の検証を行い、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構の認証商品も出ており、千葉県松戸市教委でも本年四月、全校での導入に踏み切りました。尼崎市教委でも本年度、市内の小学校で試験導入したところ、色覚障害の疑いのある子は色の違いがわかりやすく、ない子からも見やすいと好評で、来年度からの全校導入を決めたといいます。  世田谷区の学校にも色覚に差異のある子どもは決して少なくないはずで、その導入を求めますが、いかがでしょうか、区教委の見解を問います。  大項目の最後に、区の旅館業法施行細則について伺います。  国が六月十五日に施行した旅館業衛生等管理要領では新たに、性的指向、性自認を理由に宿泊を拒否することなく、適切に行われることの一文が挿入されました。同性カップルやトランスジェンダーへの宿泊拒否は従来も旅館業法違反ではありましたが、国は今回明示的に書き込むことで、改めて周知を図ることとしました。  旅館業法が定める宿泊者名簿の記載項目は、本来、氏名、住所、職業、その他事項の四点であり、性別は必須項目ではありません。現に千葉県の同法施行細則でも性別の記載は求めておらず、困ってもおりません。ところが、本区の同法施行細則は性別記載を求め続けております。  性同一性障害学会の報告では、性別への違和感を覚え受診した人のうち、手術を受け性別変更した人は二割にすぎないというデータがあります。多くのトランスジェンダーがその性自認及び実生活上の性別と戸籍の性別とのそごに差別を恐れております。区が記載を迫る性別は、果たして戸籍上の性別なのか確認を求めます。その上で、同法施行細則で性別記載を求め続けていることの削除を求めますが、いかがでしょうか、区の見解を問います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎中村 総務部長 私からはまず、公文書管理手法の改革について、五点お答えいたします。  初めに、公文書の廃棄の可否を審議する第三者機関の設置と廃棄予定の公文書の事前公開の二点についてです。  公文書の保存を適正に行うことは、区民の知る権利を保障し、区民の信頼に応えるために、区が必ず守らなければならないものです。文書廃棄の可否を審議する第三者機関を設置している相模原市では、運用開始の平成二十六年度から二十九年度までの四年間の間に、保存期間三年以上の廃棄対象の文書三万二千六百六十四件を審議し、四百四十一件の文書を永久保存にすべきとの判断をしたと報じられています。第三者機関の存在は、文書の誤廃棄や保存年限による画一的な廃棄をチェックする手段として有効であるものと認識をしております。  また、現在、区では、区が記録作成した行政情報の目録として、前年度の文書のフォルダ管理表をホームページ上で公表しておりますが、そのフォルダの中に保存されている個別の文書の件名や廃棄年度に関する情報については明らかにされていません。廃棄予定の文書をインターネットで公開することは、区の文書廃棄に関する事務の透明性を確保し、区民の信頼に応える開かれた区政の実現のために重要であると認識しております。  これら第三者機関の設置と廃棄文書の事前公開につきましては、先進事例を参考にした上で、世田谷区情報公開・個人情報保護審議会の意見を聞き、区の実情に応じた仕組みづくりを検討してまいります。  次に、アーキビズム等を学んだ専門人材の登用についてです。  御指摘のございましたアーキビズム等を学んだ専門人材はアーキビストと呼ばれ、高度な専門性と倫理観を持って、歴史資料として重要な公文書及びその他の歴史資料の収集保存、利用の職務を行い、公文書館において重要な役割を担う人材であると認識をしております。ことし九月に公表された関東弁護士会連合会のアンケート調査によると、公文書館、または公文書館的機能がある自治体で回答のあった百五十三自治体のうち、アーキビストを採用している自治体はわずか十七自治体にとどまり、人材の確保や育成が課題となっております。  区としては、今後公文書館機能を検討する中で、その専門性が発揮できる環境を具体化してまいります。  次に、悪質な改ざん等の声に対する懲戒処分についてです。  ことし九月に国の人事院は、決裁文書の改ざんなど悪質な事案については、免職を含む重い処分が行われることを各府省に通知をしたところです。  区におきましても、国の動向を踏まえ、悪質な改ざん等の声に対しましては、職員の服務規律違反や信用失墜行為などについて標準的な処分を定めた懲戒処分の指針の中で明記していくよう検討を進めてまいります。  次に、個人メモという隠れみのを許さない公文書の定義と、メール保存のルール化についてです。  個人メモやメールに関しましては、当初は職員個人の備忘録や連絡調整のために作成されたものであっても、会議の資料等として組織内で利用、共有されたものであれば公文書として位置づけ、適正に取り扱わなくてはならないと考えます。  今後、具体的な基準や保存等の取り扱いルールにつきましては、公文書の定義の明確化を含め、世田谷区情報公開・個人情報保護審議会の意見を聞いて具体的に検討してまいります。  次に、区と区教育委員会の障害者雇用率算定についての御質問にお答えします。  まず、区教委は法定雇用率を独自に算定し、守るべき事業所ではないのか、区は現状のような算定をいつから行い、その妥当性は何であったのか、従来の区教委と合算した区の雇用率算定手法は誤りではないのか、また、他の二十二区の状況について、一括してお答えいたします。  世田谷区の教育委員会に勤務する職員は、幼稚園教諭や図書館嘱託員などの区教育委員会で採用している職員を除き、ほとんどが区長部局で採用され、人事異動の中で教育委員会に配置されていることから、国への障害者雇用率の報告に当たっては、少なくとも現在データが残っています平成十四年度以降は区長部局と区教育委員会を合わせて算定しており、この取り扱いについて、これまで国から特段の指摘はございません。他の二十二区についても全て本区と同様の取り扱いをしているところです。  都内の市においては、市と市教育委員会それぞれで雇用率を報告している場合と、国から承認を受けて、市と市教育委員会を合わせて報告している例があります。  現在、区長部局と区教育委員会を別々に報告することの適否や、別々に報告する場合、区教育委員会の算定対象とする職員の範囲などをどのように取り扱うことが妥当であるのか、国に照会し、その回答を待っているところです。  次に、区と区教育委員会をそれぞれ単体で障害者雇用率を算出した場合の障害者雇用率と、従来の算定手法が誤りだった場合、その対応についてをお答えいたします。  区長部局と区教育委員会でそれぞれ障害者雇用率を算定した場合の数値については、現在、国に照会しています区教育委員会の算定対象とする職員の範囲などによって異なります。区長部局で採用され、人事異動で区教育委員会に配置されている職員を含め、区教育委員会に勤務する全ての職員を計上した場合は、区教育委員会の分母に当たる基礎となる職員数は千六十九人、分子に当たります障害者数は十九人となり、障害者雇用率は一・七八%となります。この場合の区長部局の数値は、基礎となる職員数は五千八十一人、障害者数は九十五・五人、障害者雇用率は一・八八%になります。また、幼稚園教諭や図書館嘱託員など、区教育委員会で採用している職員のみを計上した場合は、区教育委員会の基礎となる職員数は三百九十四・五人、障害者数は二人となり、障害者雇用率は〇・五一%となります。この場合の区の数値は、基礎となる職員数は五千六百八十八・五人、障害者数は百十二・五人、障害者雇用率は一・九八%になります。これはいずれも、平成三十年六月一日現在の数値になります。  区といたしましては、障害者雇用率は国が全国自治体を対象に統一的に実施している調査であることから、今後、国の回答があり、何らかの対応が必要となった場合は、その事務手続に従い、適切な算定を行っていく考えです。  以上です。 ◎淺野 教育次長 私からは、障害者雇用率算定の従来の算定方法が誤りだった場合、どう事務を改めるか、区教委としての考え方という御質問について御答弁申し上げます。  教育委員会といたしましても、障害者雇用率は国が全国自治体を対象に統一的に実施している調査であることから、今後、国の見解をもとに、改めて手続や報告が必要になった場合は、庁内で連携をとりながら適切に対応してまいります。  以上です。 ◎工藤 教育政策部長 私からは、色覚チョークの導入について御答弁申し上げます。  色覚チョークなどを使用した指導は、色の見え方や感じ方に困難を感じている児童生徒にとって黒板の文字などが識別しやすくなり、全ての児童生徒の学習を保障するという観点からも重要でございます。各学校においては白と黄色のチョークを主体的に使うとともに、アンダーラインや文字囲みをつけるなど色以外の情報も加えながら、視覚的にも指導内容がわかりやすくなるよう配慮しております。  現在、お話にございました色覚チョークなどユニバーサルデザインに対応したチョークについては、区立小中学校の一部の学校で導入をしており、学校からは、黒板の文字が見やすくなっている、子どもたちの集中力が高まったなどの声も聞いております。  教育委員会といたしましては、見やすい黒板の文字などの工夫とともに、色覚チョークなどユニバーサルデザインに対応したチョークの使用は多様性を尊重した良好な学習環境の整備に有用であることから、その効果や必要性を校長会などを通して周知し、各学校における指導の工夫、改善を図ってまいります。  以上でございます。 ◎辻 世田谷保健所長 私からは、区の旅館業法施行細則につき二点、まず、区から記載をお願いする性別についてお答えをいたします。  旅館業法の事務は、従前は東京都旅館業法施行条例に基づき行われており、同法施行細則により宿泊者名簿に性別の記載が義務づけられていました。しかしながら、平成二十四年には地方分権改革推進計画に基づき、世田谷区旅館業法施行条例及び同法施行細則を制定することとなり、当該条例案等を庁内で検討する中で、感染症や犯罪等発生の際に宿泊者の把握に必要と判断し、宿泊者名簿には性別等を記載することといたしました。そのため、性別につきましては、戸籍上の性の記載を想定しております。  次に、区の旅館業法施行細則を性別不問に改めるようにとの御質問です。  区では、多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例を定め、性別等にかかわらず、多様性を認め合う地域社会の実現を目指しております。  消防や警察を管轄する東京都においてもLGBTへの配慮を含めた人権尊重の理念の実現を目指すための条例が本年十月に制定され、性別の記載に係る都条例・規則等の全庁的な調査、検討が行われる可能性があると聞いております。  こうした動向も踏まえ、関係機関とも調整しながら、宿泊者名簿の項目の見直しを検討してまいります。  私からは以上です。 ◆七番(上川あや 議員) 法定雇用率について、区教委に改めて問います。  まず一点目、区と区教委は合算処理する特例認定を厚労大臣から得ていない、この点は間違いないでしょうか。  二点目の確認です。特別区のみが大臣の特例認定を得ないままで、合算処理できる明確な根拠もまた存在はしないと認識をしていますが、この認識に誤りはないでしょうか。  三点目に、だとすれば、区教委は依然として独自に法定雇用率を算定する法的義務を担う事業所ではないのでしょうか。その可能性があるのかどうか、明確にお答えください。 ◎淺野 教育次長 三点につきましてお答え申し上げます。  まず、区と区教委は合算処理する特例認定を厚労大臣から得ていない、これが間違いないかということです。  障害者雇用促進法に基づく特例認定につきましては、合算する公的機関が連名で厚生労働省へ申請するものですが、教育委員会といたしましては、これまで申請したことはございません。  もう一点ですが、特別区のみが特例認定を得ない、でも、区長部局と合算処理できる明確な根拠もまた存在しない、これが間違いないかという御質問です。このことにつきましては、特例認定を得ないで、区長部局と合算処理することが妥当であるか否かという明確な根拠はありませんことから、現在、区長部局と連携して、東京労働局へ確認をしているところでございます。  もう一点ですが、その場合、区教委は依然、独自の法定雇用率を算定するべき事業所ではないのか、また、その可能性があるのかないのかということです。こちらにつきましては、教育委員会が独自に法定雇用率を算定する事業所である可能性といたしましては、現時点では残されていると考えてございます。国からの見解が示され、算定の考え方を改める必要が生じた場合は、庁内で連携をとり、適切に対応してまいります。  教育委員会といたしましても、障害者雇用促進法の趣旨を踏まえまして、障害のある方が働きやすい環境づくりに努めてまいります。  以上です。 ◆七番(上川あや 議員) 区も区教委もお答えの中でおっしゃっていましたけれども、この障害者雇用率の算定というものは全国一律の制度なんですね。一律の制度から、東京二十三区、世田谷区を含めて同じ手続を踏んでいないまま合算処理しているというのは明らかにおかしいです。で、これは厚労省の本省にも尋ねました。尋ねたんですが、返答を返してこない。その線引きがわからない。東京労働局にも二週間尋ねています。区と区教委からも四回にわたって尋ねていますが、東京労働局は回答を返しておりません。 ○三井みほこ 議長 以上で上川あや議員の質問は終わりました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、二十一番河野俊弘議員。    〔二十一番河野俊弘議員登壇〕(拍手) ◆二十一番(河野俊弘 議員) 質問通告に基づき、順次質問いたします。  初めに、三軒茶屋駅周辺のまちづくりについて伺います。  三軒茶屋地区再開発を進めていく中でかなめとも言える三軒茶屋二丁目地区、いわゆる三軒茶屋の三角地帯について、今期、議会のさまざまな場面で取り上げ、質問してまいりました。そして現在、まちづくり基本方針の策定を進めていく中で、区は素案を取りまとめ、あす、三茶しゃれなあどホールにて説明会も開催することとしております。  しかしながら、ここまでに区は三軒茶屋地区市街地再開発基本構想の策定から三十七年の時を経ており、地域住民の願いであるこの再開発を一刻も早く進めていかなければなりません。地区に住み、働き続けている区民の生命と財産を守るため、行政として支援し、ともに築き上げていくべきであります。そのために、三軒茶屋の町の魅力をさらに創出し、世田谷の東の玄関口として必要な要素を、これからさらに区民に対し明確にビジョンを打ち出していかなければなりません。  区がこれまで示している三軒茶屋地区のビジョンは、再開発事業によって建設されたキャロットタワーが本区の文化や観光の発信地となっており、渋谷副都心に近接し、道路・交通の集散する拠点であることを生かし、商業・サービス、業務、文化などの機能が充実した、親しみやすく庶民的な雰囲気を持つ拠点とされています。  しかし、私は、再開発が三軒茶屋の発展の原点ではなく、これまで伝えられ、地元住民によって育まれてきた三軒茶屋文化とも言うべきものがその底流にあって、再開発はそのあらわれであると思います。  これまで伝統と歴史ある三軒茶屋を築いてこられた区民の思いを次世代に継承し、これから未来の世田谷を支える若者や産業界が三軒茶屋の活力をさらに引き出し、このことを踏まえ、次世代へ伝えていくべきであります。  大都市世田谷として当然あるべき千人単位の規模で、区内に区民が一堂に会することができるような大型施設はもちろん、シネマコンプレックス、コンサートホールなど、区民がわくわくするような施設を取り入れたり、既成概念にとらわれない、地上、地下、空中等で南北を自由に行き来することができる通行空間の創出、地下についても単なる通行空間だけではなく、サブナードや、今までにない地下街の形成など、今の若い世代が明確なビジョンを持って活動することができるよう、区としてバックアップし、この再開発のまちづくりが三軒茶屋の南北をつなぐかけ橋となるとともに、三軒茶屋のさまざまな活動の世代交流をつなぐかけ橋となるべきと考えますが、区の見解を伺います。  この再開発は、三軒茶屋の三つのかけ橋の役割を担っていると思っています。一つは、日本の高度成長を支える大動脈の整備により分断された町の再生としての南北のかけ橋、さらに、三軒茶屋を支える区民の世代間交流を支えるかけ橋、そして、古きよき世田谷と未来の世田谷をつなぐかけ橋です。  広域生活・文化拠点として位置づけ、三軒茶屋地区が古きよき世田谷と未来の世田谷をつなぐかけ橋の役割を果たすためには、どれだけ多くの方々が一堂に会することができるかが重要であります。九十万を超えた大都市世田谷にふさわしい集会、交流、懇談の場を整備し、従来の規模を超えた整備については、今まで区として余り経験のないホテル誘致等、官民連携の視点からさまざまなノウハウを他区からも取り入れ、進めていくことも非常に重要であります。さらには、それが新たに広域生活・文化拠点として位置づけられた三軒茶屋の役割ではないかと考えます。  今までにない本来あるべき大都市としての機能を持たせることができる最後のチャンスなのです。そのためにも、三軒茶屋駅周辺の町が一体となり、大きなにぎわいを創出するために、南北を自由に行き来できることが必要であると再三申し述べてまいりました。  私も生まれたときからずっとなれ親しみ、身近な町であります。この再開発をとめることなく、着実に進めるべきであると、改めて申し上げておきます。  次に、区立小中学校における夜間照明の設置推進について伺います。  現在、区立小中学校において、総合型地域スポーツクラブや文化クラブなどさまざまな機会を通じて、多くの子どもたちや大人たちがスポーツを通じて地域のきずなを深めています。その種目は多岐にわたり、校庭では夜間まで子どもと大人の時間を分けて活動しています。その活動の支えとなっているのが校庭の照明であります。  しかし、現状はスポーツ利用可能な夜間照明を設置している区立学校は小学校一校、中学校六校と少ない状況であります。地域における総合型地域スポーツ・文化クラブの活動はもちろん、災害時に避難所にもなる学校校庭照明においては一定の照度が必要であると考えます。特に現在、夜間にもスポーツ利用目的として開放している校庭については、球技等ができる照度、具体的には、野球の場合、二百から三百ルクス、サッカーの場合には百五十から二百ルクスを確保するべきであると考えます。もちろん設置するに当たっては周辺住民の理解が不可欠であります。現在の照明はLEDが採用されており、照明の角度が狭く、近隣への配慮も十分に可能であることもつけ加えておきます。  そこで伺いますが、各校、現在どのような基準で設置をしているか。そして、今後、高齢者の利用も多くなることを想定し、スポーツ利用可能な校庭照明については、競技中の事故防止や、子どもたちの安心安全なスポーツの場の確保、運動レベルの向上にも寄与すると考えますが、区の見解をお聞かせください。  最後に、AEDの普及促進について伺います。
     二〇〇四年に一般区民による除細動が解禁されて以来、日本ではAEDの設置台数は急速にふえていきました。しかしながら、倒れる瞬間を目撃した心停止の中でも約半数は心肺蘇生を受けておらず、さらに、AEDによる電気ショックが行われたのは全体の四・五%という数字で、十分とは言えません。  AEDの電気ショックが有効とされるのは心室細動や無脈性心室頻拍と言われるもので、電気ショックがこれらの症状を一度リセットして、その後、正常な心臓の動きが再開されます。心室細動や無脈性心室頻拍以外の心停止の場合には、残念ながら電気ショックは効果がありません。しかし、該当する心停止かどうかを判断するためには、AEDを使用して心電図分析をしなければなりません。そのため、心停止が疑われる全てのケースでAEDは使用されるべきなのです。また、電気ショックが有効でない場合でも、AEDの心電図データが治療に役立つ場合もあります。心肺蘇生やAEDは決して特別なことではなく、全ての区民が知っておくべきことです。  そこで私から、非常に有効であると考え提案する、新潟市のにいがた救命サポーター制度を御紹介します。にいがた救命サポーター制度は、協力いただける事業所のAED設置場所を消防指令管制センターに登録し、一刻も早くAEDが使用できる環境をつくり、一人でも多くの命を助けようとする取り組みです。  具体的には、心停止が疑われる一一九番通報時に、管制センターの指導で通報現場近くの登録事業所へ連絡が入り、現場にAEDを届けてもらう、または借りに来た人にAEDを貸し出ししてもらい、救急隊が到着する前に、一刻も早く電気ショックを行ってもらうものです。  こうした制度により、ハード面の整備が進むことはもちろん、日常において区民一人一人の救命に対する意識が高まることがすばらしいことです。少しの知識と勇気で大切な命が救われるかもしれないということ、命を救えなかったとしても、そのときそばにいた方々が声をかけ、胸骨圧迫を行い、AEDを使おうと試みることで救われる家族もいます。  心肺蘇生、AEDの普及活動を通じて、突然の心停止の現場で行動を起こしてもらうためには、知識、技術やデータ以上に、勇気、気持ちが大切なんだということを区民に、そしてこの九十万人自治体として広く区民に啓発していかなければなりません。一人でも多く救われるべき命を救うため、ソフト面として全体の状況を一元的に見ていくことも必要なのではないでしょうか。そのために必要な人員も確保すべきと考えます。  以上の点を踏まえて四点伺います。  一つ目は、AEDの区内設置状況と、その状況について十分と考えているのか、区の見解をお聞かせください。  二点目は、区内に設置してあるAEDの場所をよりわかりやすくし、区民にわかりやすく周知すべきと考えます。区の見解を伺います。  三点目として、新潟市の救命サポーター制度は、AEDを活用した人命救助として非常に有効なシステムであります。区においても同様の取り組みを関係機関に働きかけてみてはどうかと考えますが、区の見解をお聞かせください。  最後に四点目、AEDの設置、運用については、世田谷保健所及び設置する施設管理所管がそれぞれ行っていますが、一元化して全体の状況を把握し、有効的に設置を進め、区民に対して危機管理意識の醸成を図るべきではないかと考えます。  区の見解を伺いまして、以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎渡辺 都市整備政策部長 私からは、三軒茶屋駅周辺のまちづくりにつきまして御答弁申し上げます。  議員からもお話にございましたように、三軒茶屋駅周辺地区は、区の基本計画及び都市整備方針におきまして広域生活・文化拠点として位置づけ、文化の発信地であるキャロットタワーや、渋谷との近接性、道路・交通の集散した拠点であることを生かし、商業・サービス、業務、文化などの機能が充実した拠点づくりを目指しているところです。  現在、区では庁内検討委員会、有識者検討委員会などを経まして、三軒茶屋駅周辺地区のまちづくりビジョンと、まちづくりの方向性として、町の魅力の継承や交通結節機能の強化、人を呼び込む新たな魅力の形成などを掲げたまちづくり基本方針の素案を取りまとめ、関係団体との意見交換会や区民意見募集などを実施してきております。あす、まちづくり基本方針素案の説明会を実施することとしてございます。  区といたしましては、本基本方針の取りまとめを進め、策定のもと、これを踏まえまして、地域コミュニティーの継承、都市基盤の強化、産業や観光の振興など、区の東の玄関口として広域生活・文化拠点にふさわしいまちづくりに、庁内連携により再開発準備組合を支援しつつ、積極的に取り組んでまいります。  議員御指摘の広域生活・文化拠点である三軒茶屋の都市機能につきましては、官民連携や次の時代を担う世代の視点も踏まえまして、今後、鋭意検討してまいります。  以上です。 ◎淺野 教育次長 私からは、区立小中学校の夜間照明につきまして御答弁申し上げます。  世田谷区の小中学校の校庭の照明につきましては、下校時の安全対策などの保安用として最低限度の明るさを確保することを目的に、四百ワット相当の照明機器を四基から六基程度、各学校に設置しております。また、これに加えまして、夜間の校庭の地域開放として、五地域それぞれに球技などのスポーツ利用が可能な夜間照明を設けている学校がございます。  教育委員会では、各学校を拠点に総合型地域スポーツ・文化クラブの取り組みを進めており、幅広い世代の人々が安心してスポーツに取り組める環境を整備していく必要がありますが、夜間のスポーツ活動の促進のための校庭への照明の追加につきましては、近隣の方々に御理解いただくことも不可欠と考えております。このため、照明の新たな設置につきましては、今後とも近隣の方々や施設の利用者を含め、多くの地域の皆様の御意見も踏まえながら適切に対応してまいります。  以上です。 ◎辻 世田谷保健所長 私からは、AEDについて四点。まず、AEDの区内の設置状況についてお答えします。  AEDにつきましては、本区では平成十八年度から配備しており、本年十一月現在で一般貸し出し用二台を含め、区内公共施設三百二十九カ所に四百二十二台を設置しております。また、一般財団法人日本救急医療財団への登録状況を確認したところ、当財団に登録されている医療機関や、駅、商店街等の民間施設の設置分を合わせますと、区内にはおおむね千二百台余りが設置されております。  AEDの設置につきましては、平成二十五年九月に発出された厚生労働省通知において、AEDのさらなる普及拡大に当たっては、単に設置数をふやすだけでなく、AEDの適正配置に関するガイドラインを参考として効果的かつ効率的な設置拡大を進めていくよう示されております。  ガイドラインでは設置場所について、心停止の発生頻度が高くなる人が集まる場所や、リスクのあるイベントなどへの設置が望ましいとしており、比較的規模の大きい公共施設や学校、駅、スポーツ関連施設や高齢者施設等を奨励しております。また、AEDを心停止してからすぐに処置を行えば蘇生率が高くなることから、五分以内に除細動が可能な配置が重要であり、そのためには現場から片道一分以内の密度で配置されるよう考慮すべきとしております。  区におきましては、国から示されたガイドラインを参考とし、効果的かつ効率的な設置に向けて、適切なAEDの配置を検討してまいります。  次に、区内に設置してあるAEDの場所をわかりやすく周知すべきとの御質問です。  区の施設に設置したAEDの場所につきましては、現在、区のホームページに所在地の住所一覧を掲載し、電子地図「せたがやiMap」でも確認することができます。また、世田谷区へ転入された方にもAEDの配置先があらかじめ確認することができるよう、転入手続の際にお渡しする「せたがや便利帳」に掲載した地図にもAEDの表示をしております。  御指摘いただきましたように、AEDの設置場所は人命にかかわる情報ですので、こうした媒体を目にする機会のない方々も含め、より多くの区民の方によりわかりやすく、積極的に周知していく必要がございます。  今後、区の関係所管や関係機関とも連携を図り、さまざまな研修会や講演会の際に、AEDの役割やその効果、AEDを設置した区施設の場所などが記載された資料を配付するなど、多くの方々に確実にお伝えできる効果的な周知方法を検討してまいります。  続きまして、新潟市の救命サポーター制度と同様の取り組みをという御質問です。  新潟市のにいがた救命サポーターは、AEDを設置している事業所と市民が協力して心肺停止に陥った人を救命するというもので、新潟市消防局が実施要綱を定め取り組んでいる制度です。  議員のお話の中にもありましたように、具体的には、まず御協力いただける事業所にAED設置場所などの情報を消防指令管制センターに登録していただきます。心停止が疑われる一一九番の通報時には、当該センターの指導で、通報場所近くの登録事業所からAEDを届けていただく、または借りに来た人にAEDを貸し出していただき、一刻も早くAEDが使用できる環境をつくるという取り組みです。  新潟市ではこの制度を運用して一年の間に、心肺停止の方に協力事業所のAEDが使用された事案が八件あり、そのうち五名に電気ショックが実施され、五名全員が自立した生活を送れるまで回復されたということです。  一方、世田谷区において同様の仕組みを構築するには、一一九番通報を受け、消防車や救急車などの出動指令等を出す災害救急情報センターの所管である東京消防庁の御協力が必須であることから、まずは機会を捉えて、東京都にもこの仕組みについて御案内し、御意見等を伺ってまいりたいと考えております。  最後に、AEDを一元管理し、設置を進めるべきとの御質問です。  AEDは、突然心停止となって倒れた人の心臓の状態を判断し、心室細動を起こしている場合に、心臓に電気ショックを与えて正常な動きを取り戻す医療機器であり、適切な管理が行われなければ、生命や健康に重大な影響を与えることから、区ではAEDの配置に関する考え方を定め、平成十七年より、職員等が常駐している不特定多数の方が利用する施設へ設置を進めてまいりました。  AEDの設置については、当初は世田谷保健所で普及拡大に取り組んでおりましたが、平成十八年には教育委員会により、全ての区立小中学校、幼稚園等への配置等が行われ、また、保育園につきましては、平成二十五年度に当時の子ども部が設置したり、新たに開設した公共施設には当該施設管理者が備えるなど、各施設管理者が利用者の安全安心の確保に向けて設置を推進しております。  また、経済産業部では、AED設置等に係る費用の一部を助成して、商店街におけるAEDの普及促進に取り組むなど、各所管でそれぞれの役割を担いながら合理的に維持管理及び普及促進を行っているため、現在の仕組みから一元管理へと変えていくことにつきましては難しい状況であると考えてございます。  しかしながら、区立施設等におけるAEDの設置状況につきましては、世田谷保健所が情報の集約を行っていることから、今後のAEDの普及促進に向けては、民間施設も含めた区内のAEDの分布等を調査した上で、関係所管と連携して検討してまいります。  以上です。 ◆二十一番(河野俊弘 議員) AEDのことなんですけれども、新潟市の制度は非常にいい制度だと私は思っておりまして、ぜひ東京都のほうにも進言していただきたいと思います。  その中で、やはり先日、世田谷区内のマップでどこに設置してあるかというのが配られたポスティングがあったんですけれども、民間の事業所に関しては載っていないんですよね。だから、そういう部分は世田谷区として一元的に管理というか、場所だけでも皆さんのほうに知らせていただきたいと思います。  あと、学校の照明についてなんですけれども、ぜひとも、今後、移転とか改築とか、そういった学校はたくさんありますので、そういったときにも継続してやっていただくように要望しておきます。  あと、区長に一点だけ再質問させてください。  世田谷の玄関口ということで、代表でも御答弁いただいて、区民全体、あるいは区外からも利用するというような御認識だということでしたが、そのためには、やっぱり都市機能というのは僕は重要だと思うんですよね。区長の認識、それは私は最後のチャンスだということも伝えておきます。お願いします。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 再質問にお答えします。  先日、きのうですか、代表質問に対してお答えをしましたように、やはり三軒茶屋というのは世田谷区の、他の地域から見ても、あるいは最初に世田谷にやってくる人から見ても玄関。また、在住する区民にとっても交通結節点ですから、やはり誰もが親しみ、通過し、またそこで過ごすと、そういう特性があります。ですから、もちろん地元の長い要望だとか、エリアの方、三軒茶屋近くの皆さんの意見は重要ですが、ただそれだけではなくて、世田谷区全体の今後の将来へのデザイン、都市デザインの点で大変重要な時期を迎えているというふうに考えています。 ○三井みほこ 議長 以上で河野俊弘議員の質問は終わりました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、三十二番江口じゅん子議員。    〔三十二番江口じゅん子議員登壇〕(拍手) ◆三十二番(江口じゅん子 議員) 質問通告に従い質問します。  まず、保育について二点伺います。  一点目は、企業主導型保育所についてです。  国は子ども・子育て支援法を改定し、平成二十八年四月からこれまでの待機児童解消の柱は認可保育所整備としてきた政策を転換、企業主導型保育事業もその受け皿としました。  私はこれまで議会で、急増する企業主導型保育所について、保育の質に不安があり、児相移管を待つことなく保育の質を守る支援を求めてきました。  区の十一月十九日の内閣府への要望書では、区内で休園や経営困難な園が続出、さらに今年度、企業主導型保育事業に不採択となった事業所による閉園など、相談が寄せられているとあります。私もある事業者から、企業主導型保育事業の申請が通ると見越して保育所を開園したが、不採択となって事業継続が難しいなどお話を伺いました。これまで区が保護者、保育関係者と積み上げてきた保育の質を守り向上させる保育行政が、国の制度により根本から揺るがされる非常事態と考えます。  状況と認可外・企業主導型保育所の突然の休園、閉園の事態への区の対応を伺います。  区の今般の内閣府への要望書では、企業主導型保育事業が全国の待機児童対策に寄与しているなどとしています。突然の閉園、休園、事業継続困難が相次ぎ、現に子どもたちの行き場がなくなる事態が生じています。そうした子どもたちへの対応は、結局、区が対応せざるを得ません。なぜ区として待機児童対策に寄与と評価をできるのでしょうか。  企業主導型保育所の制度そのものに欠陥があり、区として制度改善を求めるのは当然です。同時に、質にこだわり、認可を中心とした保育所整備で待機児減少を実現している当区の姿勢、取り組みこそ、待機児解消の道であり、子どもたちの命と成長が守られることを国にきちんと意見すべきです。区の見解を伺います。  私は今般大きな問題となった、こどもの杜保育園の元保護者からお話を伺いました。休園の前日に突然園から、あす以降の園の運営について、退職者もおり、スタッフ不足の状況が当面続くと思われ、利用調整をお願いいたしたくなどの紙が配られ、不安でいっぱいになった、認可選考に落ち、あきがある保育所に入らざるを得なかった、こういったことでした。いまだに約五百人の待機児がおり、区として早急な待機児解消が必要であり、今後の整備とその方針について確認をします。  保育についての二点目は、区立保育園の今後のあり方案についてです。  案では、平成二十四年の再整備方針における区立保育園の役割を見直し、未来に向けた区立保育園のあり方として、区立保育園は子どもの育ちのセーフティーネットとしての役割を行政の責任のもと担い、全ての子どもたちの安全と健やかな育ちを保障すると規定しています。  具体的には、一、保育の質の維持向上、二、支援が必要な子どもや家庭へのサポート、三、在宅子育て家庭への支援と方向性を定めています。区として子どもの命と育ちに対する責任を明確にし、行政として果たすべき役割を明確にした重要な方向性と評価します。  区では、前述した企業主導型保育のような多様な運営主体によるさまざまな保育事業の参入があり、不安定な保育運営や、また、保育現場での虐待など、質に関する問題も顕在化しています。保育の質や子どもの命と育ちに責任を負う、区の直営施設である区立園だからこそ、経験豊かな職員が長年蓄積、継承してきた専門性と人材を生かしたセーフティーネットとしての役割を果たすことができます。  この実現のためには、今後も区としての独自努力が必要です。現状、区立園は待機児対策のため、約四百人の定員以上の子どもを受け入れ、また、施設は狭く老朽化しており、人的・物的環境の余裕はありません。今般の方向性実現のためには、区立園の強化こそが必要です。区の見解を伺います。  次に、介護職の確保、処遇改善に関して、二点伺います。  一点目は、特養ホーム一千人分計画に見合う介護職確保、処遇改善策についてです。  区議団は、さきの議会で区内特養ホームで働く介護職百五十二名の実態調査アンケートを示し、区としての確保、処遇改善策を求めました。決算特別委員会で区長は、事業者、区と知恵を絞って、総力を挙げて介護人材確保、その評価、そして待遇の改善に取り組んでいきたいと積極的答弁をされています。新年度予算でしっかり取り組むことを強く求め、区の見解を伺います。  二点目は、介護現場での外国人労働者、留学生受け入れに関してです。  我が党は介護職確保について、まず、国内人材の確保とその処遇改善強化が必要と考えます。一方で、労働力の流出入は国際的傾向であり、受け入れに関しては、日本人と同一の労働条件や人権保護が必要であり、国民的議論と理解は不可欠と考えます。  昨日、衆議院で外国人労働者受け入れ拡大のための出入国管理法改定案の強行採決が行われました。国会審議で外国人技能実習生の深刻な人権侵害や低賃金などの劣悪な労働条件が明らかになりながら、その改善策もなく、さらに政府提出データの集計ミスなど、審議の前提が崩れています。世論調査でも、今国会での法案成立の必要はないが圧倒的多数です。  まず、法成立ありきの強行採決に抗議します。入管法改定についての区長の見解を伺います。  区内では、より質の高い外国人介護人材の確保、育成、定着を進めるため、世田谷区社会福祉事業団などによるコンソーシアム設立の動きがあります。先日、その発起人を務める方々からお話を伺ってきました。介護福祉士を目指す外国人留学生受け入れを進め、生活面含め全般的支援、環境整備を行い、育成、定着を図りたいとのことです。外国人留学生受け入れに対する認識及びこのような団体などと連携し、国際部門などとも横断的に取り組み、準備を行うことが必要と考え、区の見解を伺います。  次に、東玉川一・二丁目のリニア中央新幹線計画について伺います。  この計画はJR東海が事業者で、品川~名古屋間の沿線七都県の地下を横断する、総事業費約九兆円の巨大事業です。東玉川一・二丁目では地下四十メートル以深の大深度地下を走る計画です。外環道の大深度トンネルの掘進では、地上部への地下水流出、酸素欠乏の気泡が出現、地表部に影響はないとしている大深度地下利用の前提が崩れる重大事態が生じ、現在も対策のめどは立っていません。住民説明も不十分なままです。新たな大深度地下使用のリニア事業に、住民から不安の声が聞かれています。  区は、大深度地下使用の認可前に開催された、国交省主催の大深度地下使用協議会において、関係自治体の意見が求められていたにもかかわらず、意見表出をしませんでした。一方、沿線の川崎市や大田区からは、区民の安全安心な生活を保障することが第一であるため、環境配慮や、沿線住民、地権者に対し適切な対応を求めています。  区長は、外環道事業では国へ、住民への丁寧な情報提供など七項目の要望事項を提出しています。リニア事業に対しても、区として同様の対応を求めます。  この間、東玉川の住民の方々から国へ、住民への丁寧な周知、情報提供、環境影響低減への対策などを求める意見を届けてほしい旨の区長宛て要望書が提出されています。区として、事業者、国へ、これら意見を伝えることを求めます。  また、区は、区民、議会へのよりわかりやすい情報提供のため、リニアの表記を求めます。  最後に、交通不便地域解消に向けて、砧地域での早期のモデル運行実現を求め、伺います。  二つに絞られた運行ルート案に対し、具体的な協議が進められています。課題の大きさは認識していますが、高齢社会を迎える地域でのワゴン型のミニバス実現に期待は高まっています。地域とともに生み、大きく育てるため、私も地元超党派議員の一人として協働してまいります。  進捗状況と、来年度の早期モデル運行を求め、区の見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 江口議員にお答えします。  入管法改正についての私の見解はということでございます。  ただいま国会において審議されている入管法の改正案ですが、昨日、衆議院法務委員会並びに本会議で異例のスピード採決が行われました。参議院に法案は回付されているものの、来年四月に新たな在留資格として特定技能を創設し、単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大するものとして、この動向については格段注視をしているところであります。  私自身も十数年前から、現在の外国人技能実習生、当時は実習生・研修生制度と言っておりましたが、非常に劣悪な環境でパスポートを取り上げられて働いている訴えを聞いて、大変心を揺さぶられましたし、現状、ほとんどそれが変わっていないということも、今般、報道等で伝えられております。私も心を痛めている者の一人であります。外国人も、人としての尊厳、人権が保障されてこそ、持続可能な外国人の受け入れの政策になろうかと思います。  一方、暮らしの現場で外国人住民と向き合うのは自治体であります。ことしの四月には区の外国人人口は初めて二万人台を超え、現在並びに将来においてもさらなる増加が見込まれることから、国籍、民族等を問わず、誰もが暮らしやすい多文化共生社会を形成することは、区における喫緊の課題だと考えています。  現在、区では、四月に施行しました世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例に基づいて、(仮称)世田谷区多文化共生プランの策定に向け検討、議論を進めているところです。  引き続き世田谷区が目指す外国人にとっても暮らしやすい地域社会の実現に向けて、区在住の外国人当事者の皆様の意見もお聞きしまして、働く方の人権保障や労働環境のあり方にも目を配りながら、区、区民、事業者で一体になってこの取り組みを進めていきたいと考えています。 ◎知久 保育担当部長 私からは、保育関連の御質問に順次お答えしてまいります。  一つ目、区内企業主導型保育所の状況と区の対応についてお答えいたします。  園の運営が危ぶまれる企業主導型保育所では、園に勤務する職員や利用者からの相談をきっかけに、区は指導権限のある東京都や児童育成協会による施設への巡回指導や立入調査に同行し、実態を確認してまいりました。  区は、利用している児童及び保護者への影響を最優先に考え、各園の事業の継続が図られるよう、児童育成協会に働きかけるとともに、必要に応じ現地に赴くなどし、利用者の登園状況や保育の質の確保等について実態の把握に努めてきました。  お話しの企業主導型が不採択となった認可外保育施設につきましても、保護者から区への相談を受け、東京都と施設に赴き、代表者から話を伺い、事業継続の見通しや今後の保護者への対応等について協議を行ってきたところです。
     今後も同様なケースが生じた際には、児童育成協会や東京都と連携し、速やかに実態を把握し、適切なタイミングで利用者に対し、区内の保育施設等を御案内してまいります。  さらに、経営が安定するまでの間は、関係機関と協力しながら、園児及び保育の状況等を確認していくなど、子どもの健やかな成長を支援してまいります。  次に、認可を中心とした保育所整備が待機児解消の道であること、子どもたちの命と成長が守られるよう、国に意見すべきについてお答えいたします。  区内の企業主導型保育所では、今年度に入ってから、開園後すぐに休園、または経営が困難となる保育所が発生し、区民生活への多大な影響は見過ごすことができない状況が続いております。  国は二〇二〇年度までに、現在約六万人の企業主導型保育所の定員を倍増することを計画していることから、区は、今後の整備に当たり、区の意見を最大限に尊重すること、保育の質及び事業の継続性の観点から審査方法を見直すことなどを、先般、内閣府に強く要望してきたところでございます。こうした状況を受け、国は有識者会議を設置し、課題を検証することを決めたことから、今後、国の検証状況について注視してまいります。  区としましては、認可保育園の整備を中心に、待機児童の解消を目指すとともに、さらに拡大が予定されている企業主導型保育所を含む認可、認可外全ての保育施設において保育の質が確保され、子どもの最善の利益を第一に考えた保育が実施されるよう取り組んでまいります。  次に、待機児童解消に向けて、今後の施設整備と方針についてお答えいたします。  区ではこれまで、保育の質と量の確保を両輪とし、認可保育園を中心に保育施設の整備を進めてまいりましたが、御指摘のとおり、いまだ約五百人の待機児童がいることから、低年齢児対象の保育施設整備と待機児童の地域偏在解消を進め、目標としている二〇二〇年四月の待機児童解消に向けて全力で取り組んでいるところです。  一方、二〇二〇年度以降についても新たな待機児童を生じさせないために一定程度の施設整備が必要であると分析していることから、八百名程度の保育定員枠を拡大する見通しを立て、保育施設整備の準備を進めているところです。  今後は、今年度のニーズ調査結果をもとに策定する、次期子ども・子育て支援事業計画において、女性就業率の増加や幼児教育無償化などの影響も踏まえて、改めて二〇二〇年度以降の保育定員の確保数を定めていく予定です。待機児童解消が停滞しないよう、手を緩めることなく、引き続き認可保育園を中心とした保育施設の整備に取り組んでまいります。  最後に、区立保育園の今後のあり方案、方針の実現には、区立園の強化が必要であり、丁寧に進めていくよう求めるについてお答えいたします。  企業主導型保育所への対応、児童相談所移管を見据えた課題等に対応していくため、区立保育園の今後のあり方案では、区立保育園が中心となって、保育の質の維持向上や、災害時や緊急時におけるセーフティーネットの役割を果たすことを定め、それを実現していくために、地域から地区ごとのよりきめ細やかな保育施策を展開することとしております。  保育の質の維持向上の取り組みとしては、区立保育園が私立認可保育園や認可外保育施設等と日々の交流を図りながら、企業主導型保育所を含めた区内全ての保育施設からの保育等に関する相談を受ける体制を今後整備するなど、支援体制の強化を図ることとしております。  また、災害時や緊急時への取り組みとしては、緊急保育の拡充や、例えば緊急時や不測の事態などにより、私立保育施設での保育の実践が難しくなった場合など、区立保育園による支援体制を、児童相談所の移管も見据え、順次整備することとしております。  今後も区立保育園がさまざまな保育施設と連携協力を図り、全ての子どもの安全と健やかな育ちを保障するため、保育の質の維持向上、公的なセーフティーネットなど、果たすべき役割を議会や保育の現場などの意見も踏まえ整理し、あり方の実現に向けて丁寧に対応してまいります。  以上です。 ◎瓜生 高齢福祉部長 私からは、介護職の確保、処遇改善について、二点御答弁いたします。  まず、新年度予算での取り組みについてです。  高齢社会の進展による介護サービスの需要の増加に伴い、介護人材不足はますます拡大し、喫緊の課題と認識しております。区ではこれまで、介護職員のキャリアアップに関する研修費助成や就職相談面接会などに加え、十月に介護ロボット・ICT機器の導入支援事業や、介護職員宿舎借り上げ支援事業を開始したところです。  国は、二〇一九年十月の消費税率の引き上げに伴う介護報酬改定に加え、介護以外の職員にも配分可能な、さらなる処遇改善を行うとしており、介護現場の環境の整備とともに、介護人材の確保と定着に向けた効果を期待しております。  事業者がこの新たな処遇改善を取得できるよう、区では国や都の情報収集に努め、事業者に周知していくとともに、来年度に向けては、事業者の声をしっかりお聞きし、さらなる支援策の検討など、働きやすい環境づくりに向け全力で取り組んでまいります。  次に、外国人介護職について、国際部門との連携についてです。  平成二十九年九月に新たに創設された在留資格「介護」を活用した介護人材対策として、留学生の日本語学習から国家資格取得、就業までをトータルに支援し、区内事業所へ普及定着を図るため、区内福祉専門学校と介護事業者がコンソーシアム設立に向け準備を進めております。また、都は来年度の予算要求概要で外国人人材を円滑に受け入れられるよう、介護事業者の指導担当者向けの研修や、事業者が給付する奨学金に対する経費助成などが新たに示されております。  区内特養ホームでも外国人介護職が活躍しており、区といたしましても、外国人は人材確保策の一つであると認識しておりますので、国や都の新たな事業の情報収集に努め、区内事業者に周知してまいります。  また、外国人を受け入れている法人やコンソーシアム設立の団体とも意見交換を進めるとともに、言葉や文化、生活習慣の違いなどで外国人の方が孤立することのないよう、関係所管と連携し、暮らしやすい環境づくりに取り組んでまいります。  さらに、福祉人材育成・研修センターでの心理カウンセラーや社会保険労務士による心や仕事の相談のさらなる周知のほか、事業者が労働基準法等関係法令を遵守し、適正な労働環境を確保できるよう、労働基準監督署の協力を得て、集団指導等の機会を捉えまして周知するなど、働きやすい環境づくりに全力で取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎小山 道路・交通政策部長 私からは、中央新幹線計画と交通不便地域対策につきまして、順次御答弁申し上げます。  まず、中央新幹線計画についてですが、区として事業者、国へ住民の声を伝えることを求めるという点についてでございます。  中央新幹線品川~名古屋間建設工事に係る大深度地下使用に関しまして、これまでJR東海は、自社のホームページを初め、事業区域に係る方々へ直接訪問及びポスティングなどをし、地元住民の方々へは説明会の開催や町会回覧などで事業周知を行ってきております。  十月十七日には大深度地下の公共的使用に関する特別措置法による使用の認可が国土交通大臣より告示されました。その後、一部地元住民の方から、事業について周知が不足しており、JR東海に対して住民への説明を働きかけるよう、区に対して要望書が出されたことから、先般、JR東海に対しまして、これまでの経過等の説明を求め、今後も地元住民へ丁寧な説明をするよう要望したところでございます。  今後、JR東海は、工事の内容やスケジュールなどについて、地元住民の方々へお知らせをし、シールド工事の進捗状況もホームページ等で公表することを予定しており、工事の安全、環境の保全、地域との連携を十分重視していくことを表明しております。  区といたしましては、今後も事業の進捗状況を注視しつつ、関係自治体とも連携し、必要に応じ、認可権者である国とも情報共有を図ってまいります。  次に、広報の際に、中央新幹線というだけではちょっとわかりづらい表記なので、リニアも明記すべきというお尋ねについてでございます。  中央新幹線とは、全国新幹線鉄道整備法に基づいて計画された新幹線鉄道の名称で、リニアとは超電導磁気浮上型方式を指しまして、整備計画において定められた走行方式でございます。  区ではこれまで、法令所管である国土交通省と同じく中央新幹線という名称で、区報を初め、ホームページなどで広報を行ってまいりました。一方、事業者であるJR東海や関係自治体のホームページ等においては、走行方式の表記を組み合わせましたリニア中央新幹線を使用している事例もございます。区といたしましては、区民の方々によりわかりやすい広報となるよう、御指摘の点も含め検討してまいります。  次に、交通不便地域解消に向けた、砧地域での早期モデル運行の実現についてでございます。  これまで交通不便地域への対策として、区では、地元勉強会での意見交換や、モデル地区内の三千人の方を対象にした需要調査アンケートを行うなど、さまざまな手法で地域のニーズを確認してまいりました。  実証運行に当たっては、交通管理者との協議や、関係者で構成する地域公共交通会議での合意、さらに道路運送法上の手続など、さまざまな調整が必要です。特にモデル地区内は狭隘な道路が多く、また、通学路に指定されている道路も多いことから、交通管理者と現地実査等を行い、安全対策等の調整を進めてきたところでございます。  今後は、地先の方々の御理解を得た上でのバス停の設置や、既存バス停の活用によるバス事業者との調整、また、時間調整が必要な駐車スペースの確保など課題は少なくありませんが、区といたしましては、これらの課題を一つ一つクリアし、実証運行の早期実現に向けて着実に進めてまいります。  以上です。 ◆三十二番(江口じゅん子 議員) リニアについて、東玉川住民の方の要望書を受け、区がJR東海にその声を伝えたことは大変重要な対応だと思っております。しかし、要望書では国へ住民の声を届けてもらいたいということで、区としてそれは必要なことと思っています。  答弁では、必要に応じて認可権者の国と情報共有を図るとありますが、それはいつになるのでしょうか、伺います。 ◎小山 道路・交通政策部長 前回、協議会等におきましては、認可に関しての法令上の制限があるやなしやというような意見等が求められた次第でございます。  今後は、実際に事業を行うに当たって、直接事業を行う事業者に対しまして、先般もいろいろ説明も求めるとともに要望等もしたところでございます。今後も、同様の姿勢で事業者等にも諮るとともに、国に対してもそのような地元の意見等のお話をしていきたいと思います。  以上です。 ◆三十二番(江口じゅん子 議員) しっかり伝えてください。終わります。 ○三井みほこ 議長 以上で江口じゅん子議員の質問は終わりました。  これで本日の一般質問は終了いたします。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 次に、 △日程第三を上程いたします。  〔井上次長朗読〕  日程第三 同意第二号 世田谷区教育委員会委員任命の同意 ○三井みほこ 議長 本件に関し、提案理由の説明を求めます。保坂区長。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 ただいま上程になりました同意第二号「世田谷区教育委員会委員任命の同意」について御説明いたします。  本件は、世田谷区教育委員会委員のうち、井上健委員の任期が平成三十年十一月二十八日をもって満了となるため、その後任として、亀田徹さんを委員に任命いたしたく、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第二項の規定に基づき御提案を申し上げる次第でございます。  亀田徹さんは、これまで文部科学省初となる学校教育に係る専門的、技術的な指導・助言を行う視学官や、国立教育政策研究所の総括研究官等を歴任されるなど、我が国の教育政策の向上に貢献されてこられました。  このような教育に関する豊富な知識と経験に加え、すぐれた識見と誠実な人柄は、教育委員として任命するにふさわしいと考え、任命の同意を求める次第でございます。何とぞ御同意賜りますようお願い申し上げます。 ○三井みほこ 議長 以上で提案理由の説明は終わりました。  ここで、委員会付託の省略についてお諮りいたします。  本件は、会議規則第三十八条第三項の規定により、委員会付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○三井みほこ 議長 御異議なしと認めます。よって本件は委員会付託を省略することに決定いたしました。  これより採決に入ります。採決は起立によって行います。  お諮りいたします。  本件を同意と決定することに賛成の方の起立を求めます。    〔賛成者起立〕 ○三井みほこ 議長 起立全員と認めます。よって同意第二号は同意と決定いたしました。  ただいまの同意に伴い、新旧教育委員から挨拶があります。 ◎井上 旧教育委員 井上でございます。在任中は温かい御支援を賜りまして、まことにありがとうございました。本日、任期を終えてほっとしております。  振り返りますと、私が委員に就任した四年前、ちょうど地方教育行政法の改正をめぐってさまざまな議論がなされている時期でございました。特に、教育委員会制度が形骸化している、責任の所在が曖昧で迅速な対応ができていないというような批判は、新制度での教育委員の一人として、また、大学で教育学を専攻している者として常に私の胸の中にありました。  未熟で、できることは限られておりましたが、教育委員会の定例会や区長が主催する総合教育会議、あるいは教育委員会事務局や学校関係者の皆さんと御一緒できるあらゆる機会において率直に意見を交換し、時に熱い議論を闘わせながら、世田谷区の教育のよさや課題、将来像などをともに考え、施策として具体化していくことができましたのは、大変やりがいのある、また幸せなことでございました。  私が申し上げるまでもなく、教育委員会制度の意義は、教育の政治的中立性と継続性、安定性を確保し、また、専門家だけでなく、広く地域住民の意向を踏まえていくことにあります。時代や社会の大きなうねりの中で学校も教育も大きな変革を余儀なくされていますが、そうであればこそ、公教育に求められるものをさまざまな立場から多角的に熟慮し、公教育に求められるものを着実に進めていくことが必要だと感じております。  議会の皆様におかれましては、教育行政に対してこれまで以上の御支援と御指導をお願い申し上げるとともに、私も別の立場から微力ながら何か貢献できればと考えております。  改めて深く感謝を申し上げ、簡単ではございますが、私の退任の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ◎亀田 新教育委員 亀田徹でございます。  ただいま保坂区長の御推挙により、世田谷区教育委員会委員の任命について御同意いただきまして、まことにありがとうございます。熱く御礼申し上げます。  私は、これまで文部科学省において、教職員定数、あるいは不登校などの生徒指導、大学改革等を担当し、また、民間のシンクタンクでは学校経営をテーマに実践的な研究活動を推進してまいりました。現在は、障害のあるお子さんへの支援や、障害のある方の就労支援などを行う会社で仕事をしております。  これまでさまざまな立場で仕事をしてまいりましたが、一貫して子どもが安心して楽しく学べる場をつくるという問題意識のもと、自分がどこで何をすればよいかを考えながら、教育や福祉の分野での課題解決に取り組んでまいりました。これまでの経験を生かしまして、微力ながら、世田谷のお子さん、保護者の方々のため努力をしてまいります。  皆様方におかれましては、御指導くださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。  まことにありがとうございました。(拍手) ○三井みほこ 議長 以上で挨拶は終わりました。        ──────────────────── ○三井みほこ 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。  なお、明二十九日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四分散会...