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平成28年  3月 予算特別委員会−03月15日-05号

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  1. 世田谷区議会 2016-03-15
    平成28年  3月 予算特別委員会−03月15日-05号


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    平成28年  3月 予算特別委員会−03月15日-05号平成28年 3月 予算特別委員会 平成二十八年予算特別委員会 予算特別委員会会議録第五号 日 時  平成二十八年三月十五日(火曜日) 場 所  大会議室  出席委員(四十八名) 委員長  山内 彰 副委員長 河村みどり 副委員長 たかじょう訓子      安部ひろゆき      石川ナオミ      石川征男      おぎのけんじ      加藤たいき      上山なおのり      河野俊弘      菅沼つとむ      畠山晋一      真鍋よしゆき      三井みほこ
         山口ひろひさ      ゆさ吉宏      和田ひでとし      板井 斎      岡本のぶ子      佐藤弘人      高久則男      高橋昭彦      津上仁志      平塚敬二      福田妙美      諸星養一      風間ゆたか      中塚さちよ      中村公太朗      羽田圭二      藤井まな      江口じゅん子      桜井 稔      中里光夫      大庭正明      そのべせいや      田中優子      桃野よしふみ      阿久津 皇      小泉たま子      佐藤美樹      青空こうじ      あべ力也      高岡じゅん子      田中みち子      上川あや      すがややすこ      ひうち優子  出席事務局職員          議事担当係長 水谷 敦  出席説明員   副区長           宮崎健二   世田谷総合支所 副支所長  渡邊裕司           生活支援課長                 鈴木 勲           保健福祉課長                 箕田裕子           健康づくり課長                 新保 信   北沢総合支所  副支所長  西澤 滋           生活支援課長                 山本恵造           保健福祉課長                 木本義彦           健康づくり課長                 淺見一雄   玉川総合支所  副支所長  直井基次           参事    畠山明美           生活支援課長                 柳澤 純           保健福祉課長                 三羽忠嗣   砧総合支所   副支所長  北川秀雄           生活支援課長                 薄根義信           保健福祉課長                 澁田景子           健康づくり課長                 相馬正信   烏山総合支所  副支所長  池田恒彦           生活支援課長                 大和田俊夫           保健福祉課長                 奈良部晴美           健康づくり課長                 森川雪子   政策経営部   財政課長  加賀谷 実   保健福祉部   部長    金澤弘道           計画調整課長                 久末佳枝           生活福祉担当課長                 安間信雄           指導担当課長                 泉谷憲俊           国保・年金課長                 和田康子           保険料収納課長                 吉田宗史           臨時福祉給付金担当課長(国保・年金課長兼務)                 和田康子   障害福祉担当部 部長    小堀由祈子           障害施策推進課長                 若林一夫           障害者地域生活課長                 竹花 潔   梅ヶ丘拠点整備担当部           部長(保健福祉部長兼務)                 金澤弘道           梅ヶ丘拠点整備担当課長                 須藤剛志   高齢福祉部   部長    田中文子           高齢福祉課長                 瓜生律子           介護保険課長
                    内田潤一           介護予防・地域支援課長                 尾方啓美   子ども・若者部 部長    中村哲也           子ども育成推進課長                 香山桂子           児童課長  小野恭子           保育課長  田中耕太           保育認定・調整課長                 上村 隆           保育計画・整備支援担当課長                 菅井英樹           子ども家庭課長                 百瀬 秀           若者支援担当課長                 片桐 誠   世田谷保健所  所長    辻 佳織           副所長   柳原典子           健康推進課長                 後藤敏朗           感染症対策課長                 長嶺路子           生活保健課長                 亀谷智惠子     ──────────────────── 本日の会議に付した事件  議案第一号 平成二十八年度世田谷区一般会計予算  議案第二号 平成二十八年度世田谷区国民健康保険事業会計予算  議案第三号 平成二十八年度世田谷区後期高齢者医療会計予算  議案第四号 平成二十八年度世田谷区介護保険事業会計予算  議案第五号 平成二十八年度世田谷区中学校給食費会計予算福祉保健委員会所管分に対する質疑)     ────────────────────     午前十時開議 ○山内彰 委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。     ──────────────────── ○山内彰 委員長 本日は、福祉保健委員会所管分の予算審査を行います。  それでは、質疑に入ります。  日本共産党、どうぞ。 ◆江口じゅん子 委員 おはようございます。  まず、保育待機児解消に向けて、課題である近隣との合意形成について伺ってまいります。  今議会において、ことし四月に発表されるであろう待機児の見込みは、ことしより若干下回るのではないかという、そういった区の答弁がございました。  ことし四月、認可保育園の入園申込者数は、前年を二百六十四人上回る過去最大の六千四百三十九人で、一次選考ではおよそ半数の方に内定が出なかったということもあり、二次選考の結果は出そろいつつあると思いますが、依然深刻な事態と認識をしております。  国会でも待機児問題に関して、保育園落ちたなどのネット上の書き込みが大きな話題になっております。その後、国会前に保育園に落ちたのは私だというプラカードを持つ保護者が集まったり、ネット上の保育制度の充実を求める署名が短期間で二万人を超えたなど、いかにこの問題が親たちにとって切実であるかを実感しております。  私どものもとにも、一次選考に落ちてしまってどうしたらいいのか、そういった切実な相談が来ております。親にとって保育園に入れないことは、最悪、仕事をやめなくてはならない事態となり、人生の一大事と言っても過言ではありません。  区はこの間、認可を中心に保育の質と量の確保に全力で取り組んでいることを評価します。しかし、計画どおり整備が進んでいないということは大きな課題と考えます。残念ながら、今年度、三つの認可保育園整備計画において事業者辞退が生じました。さらに計画の遅延もあり、今年度の整備目標の達成は大変厳しい状況と聞いております。  ここで伺いますが、今年度の整備目標数と四月入園可能数の見込み、また、事業者撤退、計画遅延の状況と、区としてその理由は何と把握をしているか、教えていただきたいと思います。 ◎菅井 保育計画・整備支援担当課長 今年度の整備計画数は、平成二十八年四月開設及び五月以降の開設も含めまして二千八十二人分であり、この四月までに新規開設等で千二百五十人分の定員拡大を見込んでおります。  この四月の認可保育園の入園可能数は過去最大の三千二百八十二人となる一方で、委員お話しのとおり、一次申込者数は昨年より二百六十四人増加し、六千四百三十九人となっており、認可保育園入園選考の現時点での見込みにつきましては、二次選考も含めましておよそ三千人の方が内定できない状況にあり、大変申しわけなく思っております。  事業者の保育園整備からの辞退につきましては、これまで三件、当初の計画よりおくれが生じているものは五件ございます。辞退につきましては、地権者の意向により土地賃貸借契約の締結に至らなかったケース、建築資材の高騰などにより事業を進めることが困難になったケースなどがあり、住民との合意形成に苦慮している状況もございました。  また、計画におくれが生じているものにつきましては、主に住民との合意形成に時間を要していることが要因であると認識しております。 ◆江口じゅん子 委員 保育園整備に当たり、近隣との合意形成、この住宅都市世田谷では大きな課題です。ぜひその解決のために、区の積極的な関与を求め、以下伺います。  私は先日、今年度整備辞退をされた、ある事業者の方からお話を伺ってまいりました。こちらは、一年間で六回の近隣との説明会、個別対応を含めればそれ以上の話し合いを行いましたが、調整がつかず、土地所有者である不動産屋がこれ以上は待てないということで、やむなく撤退に至ったということでした。  近隣の方との六回の説明会のやりとりをまとめた資料を見せていただきました。住民の方からは、交通問題、音、子どもの声のみならず、空調設備機器なども含めた音のことや、また、におい、清掃、説明会のあり方、事業者の姿勢などなど四十七項目、実に多岐にわたる御意見、御要望が寄せられていました。  事業者の方も話し合いが進んでいく中で、交通問題に対しては交通誘導員を立てる。自転車スペース、送迎ルートをふやすことで一カ所に集中させない。また、こちらは屋上庭園計画があったので、音に関しては防音壁をつくり、その材質は圧迫感がないように高速道路で使用されている透過性のあるものにする。窓は二重、子どもが園庭に出る時間は、午前は一時間二十分、午後は一時間と制限するなど対策を立て、調整をしてきたということですが、時間がかかり、オーナーが待てず、撤退をしたという次第です。  こちらの事業者は、横浜や都内、区内で認可、認証を運営している実績がありましたが、近隣説明会は世田谷も含めて初めてということでした。第一回の説明会いのビラから、住民の方に、保育園をつくることを前提でビラを書いている、住民無視だと言われ、つまずいてしまった。資料づくり一つにしてもなれていなくて時間がかかってしまった。ここまでこじれるとは思わなかった、このように言っております。  区に対しては、提案型であるが、区には説明会実施に当たり、事前の注意、これまでのノウハウなどを教えてもらえるとよかったと思うと。説明会は、こちらは最後の六回目に区が来たということなんですが、この経緯も、膠着した状態を見かねた町会の方が間に入って区を呼んできたということで、説明会も当初から同席してもらえると助かりますという意見を頂戴しました。  ここで伺いますが、提案型、誘致型において、区の指導、関与の違いを確認します。 ◎菅井 保育計画・整備支援担当課長 提案型による整備の場合は、整備運営事業者みずからが民有地を確保し、保育施設を整備する手法でありますので、近隣住民の方々への説明等を初め、一義的には整備運営事業者の責任において整備に取り組んでいただくことになります。  区は、事業者が円滑に保育施設の整備が進められるよう、町会・自治会等地域への協力依頼や庁内各部署との連携等により、進捗管理も含めまして、状況に応じた支援を行っております。  また、誘致型による整備につきましては、区が公有地等を提供し、事業者を公募する手法でございます。区は、近隣住民の方々に対しまして整備計画を説明し、広く運営事業者を公募した上で、選定された事業者とともに、その後の対応を行っております。 ◆江口じゅん子 委員 誘致型であれば、当初から説明会に区も一緒に入られるということなんですが、提案型は、保育園を運営する事業者がみずから土地や建物を確保して整備するということで、説明会は運営事業者が一義的に、まずはそこが行う、そういったことだったと思います。  この間、住民の方から、別の地域の提案型の保育園計画に対して、近隣住民の会をつくり活動されているということで、お話を伺いました。  こちらも、第一回の説明会から既に一年がたち、現在は住環境協議会が間に入り意見交換会を重ねているとのことで、説明会時点から区が同席してほしかったというふうに伺っております。  また、この間、事業者は、北海道、福島県、鳥取県、長崎県と地方の社福の参入が多く、都市部ならではの世田谷区は特に厳しいかもしれません。近隣との合意形成に対して、区の丁寧な指導が必要とされていると思います。これまでのやり方を発展させ、さらに事業者に丁寧に寄り添う指導を行い、提案型であっても、説明会に区が当初から参加するなど、これまでのやり方を見直す必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ◎菅井 保育計画・整備支援担当課長 先ほど申し上げましたとおり、提案型につきましては、整備運営事業者みずからが民有地の所有者と契約をし、保育施設を整備するものであるため、一義的には事業者がその責任において整備に取り組んでいただくことになりますが、区といたしましても、事業者が事前に近隣の状況を把握することや、町会・自治会や近隣の方々への入り方、あと説明方法、近隣対応等につきまして、事業者が適切に行えるよう、これまで培ったノウハウを活用し、適宜助言指導を行い、事業者と協議の上、必要に応じて説明会に同席するなど、事業者が円滑に保育施設の整備が進められますようフォローしてまいります。  今後とも、進捗管理を徹底し、これまで以上にきめ細かな対応を行ってまいります。 ◆江口じゅん子 委員 よろしくお願いします。  この質問の最後に、私、この質問をつくるに当たって、事業者、株式会社、それから社会福祉法人、保育室等の方々からお話を伺ってまいりました。運営の形態の違いはありますけれども、どちらの事業所の方も、ほかの地域に比べて世田谷区の質にこだわる姿勢を評価する意見ですとか、それから、今年度始まりました宿舎借り上げ支援のおかげで、おかげさまで保育士の応募がたくさん来ている、ありがたいですという声をいただきました。  今後も保育の質を守り、認可を中心とする整備に全力で取り組んでほしいと思いますが、副区長のその点についての見解をお伺いしたいと思います。 ◎宮崎 副区長 今御指摘いただきましたように、さまざまに保育施設の整備をしていく上ではまだまだ困難な状況もございますが、引き続きいろんな多面的な方法をとりまして保育整備を進めたいと思っています。その際に、御指摘いただきました質の確保につきましても全力を挙げていきたいと考えています。  なお、都市におけますこういう保育状況につきましても、引き続き国のほうへも働きかけていきたい、このように考えております。 ◆江口じゅん子 委員 よろしくお願いします。  それでは次に、国民健康保険について二点伺ってまいります。  一点目は、国保料の区独自軽減について、子育て支援、少子化対策という観点で質問します。  まず、子どもの医療費助成制度を行う自治体に対して、国の国民健康保険の国庫負担を減額するペナルティーについて伺います。  これは何かというと、本来なら子どもであっても、乳幼児は二割、小学生以上は大人と同じ三割の窓口負担と定められております。それに対して、世田谷区を含め、現在、全国全ての自治体が、無料、一部負担の違いはありますが、独自に子どもの医療費助成制度を実施しております。そして、国はそうした自治体に国保の国庫負担を減額するペナルティーを科します。  厚生労働省はその理由として、窓口負担を無料にすると患者がふえる、患者がふえると医療費がふえる、医療費がふえると国庫負担がふえる。すると、医療費を無料にした自治体に補助金を多く支給することになり、予算を公平に配分できない。だから、無料化した自治体への補助金を減額している、このように説明しております。いわば医療費がふえるようなことをした自治体へのペナルティー的な意味合いがあるというふうに理解しております。  これに対して地方六団体、つまり全国知事会、全国市長会、全国都道府県議長会全国市議会議長会全国町村会議長会が昨年末、政府との協議の場においてペナルティー廃止の要請を行いました。その際提出された文書には、以下明記されております。読みますね。  子どもの医療費助成などの地方単独事業を実施している市町村に対する国保の国庫負担減額調整措置については、極めて不合理な措置であることから、直ちに廃止すること。また、少子化対策は、我が国における喫緊の国家的課題であることに鑑み、国の責任において子どもの医療費助成制度を創設すること、このように明記されております。  こうした地方六団体などの要請も受けまして、現在、国では子どもの医療費制度に関する検討会を設け、子どもの医療費の自己負担や国庫負担の見直しを議論し、来年の夏まで結論を出すことにしております。  最新の報道、二月二十五日の時事通信では、以下のように報道されているんですね。読みます。  厚生労働省は二十五日、子どもの医療費を独自に助成する市区町村に対し、国保の国庫負担金を減額しているペナルティー的な措置について一部廃止する方向で検討に入った。自治体の財政負担を減らし、子育て支援など人口減少抑制に向けた取り組みを後押しするのが目的。助成の対象が未就学児までなら減額を取りやめる案を軸に調整する、このように報道されております。  それでは、ここで伺いますが、今後、検討会の議論によりこのペナルティーが撤廃された場合、区としての増収額は幾らになるか、伺います。 ◎和田 国保・年金課長 国は、医療費の自己負担分を自治体が助成する施策は医療受診の拡大による医療費の増大を招くという考え方から、独自助成を行っている自治体に対し、自己負担分への助成割合に応じて国民健康保険の国庫負担金を減額しております。  区におきましては、十五歳以下を対象にした子ども医療費助成制度を実施して保険診療の自己負担分を助成しているため、国民健康保険の療養給付費負担金を減額されており、その金額は、平成二十六年度実績で約八千二百万円となっております。 ◆江口じゅん子 委員 今、少子化対策、そして子育て支援ということが、地方六団体の言葉をかりれば、喫緊の国家的課題ということになっております。国としても、そうしたことからこのペナルティーを見直す方向での議論が始まっております。  以上、そうしたことを踏まえて、子育て応援都市を標榜している世田谷区としても、ぜひその観点から国保料の子育て世代の区独自軽減について検討してほしいということで、順次伺います。  この間、我が党は繰り返し、国保加入者は自営業など経済的基盤の薄い方々であり、国保料が毎年値上がりする中、高過ぎる国保料が暮らしを圧迫していることを指摘してまいりました。  来年度の一人当たりの国保料は四千六百四十四円、四・三%の値上げになっております。例えば三十代の夫婦、子どもが一人いる世帯で年収三百万円の給与所得者、ここの国保料の試算では、来年度から年間二十七万九千七百九十二円、給料の一カ月分以上が保険料に取られるということになります。こちらは均等割の減額措置の対象にはなりません。  区の保険料は、世帯人数に応じた均等割額と所得に応じた所得割額で構成されております。来年度の均等割額は一人四万六千二百円、均等割は国保に加入する人数に応じて支払うことになりますので、生れたばかりの赤ちゃんであっても子どもが二人になれば、それだけで九万二千四百円になります。これは子育て世代の本当に大きな負担だと思います。  区も、これまでの我が党の質問でその認識を問われ、そのことはそういうことだということで認めております。  現在、国では、国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議、国保基盤強化協議会というのを行っておりまして、国保の見直しについての議論が行われております。これがその資料なんですけれども、平成二十八年二月、厚労省の国保改革の検討状況などについての報告文書、私も拝見しました。  この中に書いてあるのはどういうことかというと、平成三十年度から毎年約一千七百億円の公費を投入し、公費による財政支援の拡充を図るとしております。その内容というのは、自治体の責めによらない要因による医療費増、負担への対応とあります。自治体の責めによらない要因とは、精神疾患や子どもの被保険者数、被自発的失業者などのことです。これだけ聞くと何のことかわからないと思うんですね。これについて、昨年の毎日新聞が以下のように報道しております。読みます。  二〇一八年度、つまり平成三十年度からの国保広域化にあわせ、子育て支援の一環として、国が子どもの多い世帯の国保料を軽減する方針を固めた。広域化になっても徴収保険料額決定は市町村が行う。政府は市町村に対し、財政支援の一部を子どもの多い世帯の保険料引き下げに充てるよう促す。具体的な軽減措置は、最終的に市町村が決めるが、保険料算定の際に所得割や資産割の比重を高めることなどが想定されている。今後、国保に関する国と地方自治体との協議の場でも議論をする、このように報道されているんです。  この記事だけを読みますと言い過ぎの感というのはあるとは思うんですが、つまり、国も平成三十年度の国保広域化に向けて、子どもの多い自治体に着目した財政支援の拡充を検討しているということ、これは間違いないことだと思います。  既に東京でも東大和市が来年度から子どもの多い世帯の保険料減免を行うと聞いております。仮に同様の制度を世田谷区で導入した場合、何世帯が対象で、幾らの費用がかかるのか伺います。 ◎和田 国保・年金課長 東大和市において、平成二十八年度実施予定の多子世帯への保険料減免制度は、同一世帯に十八歳未満の被保険者が三名以上いる世帯を対象に、三番目以降のお子さんについて保険料のうち均等割保険料を免除するというものです。仮に区において同様な施策を実施いたしますと、約八百世帯、一千万名程度の方が対象となります。このうち、およそ六割弱の世帯は既存の低所得世帯に対する保険料均等割額の軽減対象になると推定されますが、こうしたことも考慮して、東大和市と同様の多子世帯軽減を区が導入した場合の影響額を試算いたしますと、およそ三千万円と推計されます。 ◆江口じゅん子 委員 先ほど来の議論で、国の子ども医療費助成制度のペナルティーが撤廃された場合、区としての増収額は平成二十六年度実績で約八千二百万円、仮に東大和市方式と同様の軽減策であれば、これを原資と考え実施することも可能と考えております。  さらに、先ほど述べたように、国も平成三十年度から広域化にあわせ、子どもの多い世帯の国保料軽減をする方針で、そのための財源措置もとられるということで、こうした国の動向を踏まえ、区として子どもの多い世帯の軽減策の検討、具体的に始めるべきと考えますが、区の考えを伺います。
    ◎和田 国保・年金課長 申しわけございません。先ほど約八百世帯、それから一千名程度の方が対象というのが正しいお答えになります。  それから、今の御質問に関してですが、厚生労働省では昨年、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会を設置し、今後の子ども医療制度に関する検討を行っております。去る二月二十五日に開催された第四回検討会では、これまでの議論の整理案として、自己負担の減免に伴い増加する医療費分は、広く国民全体で賄うのではなく、その自治体の負担で賄うという制度の考え方は適切とする意見と、国として推し進める少子化対策に逆行した施策であり、地方の取り組みに二重の負担を強いるものであるため、減額調整措置を廃止すべきという意見の両論が併記されております。  区といたしましては、今春に取りまとめられる予定の検討会の最終報告や、国保改革に関する今後の国の動向について、引き続き注視してまいります。  多子世帯に対する区独自の軽減策を実施すべきという御提案につきましては、二十三区で統一保険料方式をとっていることや、平成三十年度には国民健康保険の広域化を控えていることから、慎重に検討する必要があるものと考えております。 ◆江口じゅん子 委員 国では、子どもの多い世帯でさまざまな制度を行う、そういった議論が行われておりますので、区もしっかり議論していただきたいと重ねて要望します。  それでは最後に、国保に関する二点目として、国保料のクレジットカード納付について伺ってまいります。  今議会に、平成二十八年度から国保料や住民税などのクレジットカード納付導入検討を行い、二十九年度からスタート予定との考えが示されました。  まず、ここで区の国保料徴収についての基本的考えを確認したいと思います。  生活が苦しく納付ができない、そうした相談が区民からあったとき、窓口で職員の方はどのような指導、対応を行っているのでしょうか、伺います。 ◎吉田 保険料収納課長 国民健康保険料の納付相談に当たりましては、電話や窓口での相談を受ける中で、その方の生活状況等を伺いながら、制度の趣旨や保険料について御説明させていただき、分割納付などの相談に応じております。  また、財産調査等の結果により徴収しないと判断した滞納処分の執行停止も行い、生活再建に配慮した債権管理も進めているところです。  保険料の未納者として一律に扱うのではなく、信頼関係を築きながら丁寧に対応しているところです。 ◆江口じゅん子 委員 この間、区は、クレジットカード納付導入目的に対して、納税者の利便性向上、収納率向上といったことを説明されています。利便性向上については私は否定しません。そういったことはあるだろうと理解をしております。しかし、クレジットカード納付は、これまでの区への納付と異なる大きな違いがあり、区としては導入に当たり一定の対策が必要と考え、以下伺ってまいります。  クレジットカードで国保料を払うというのは、クレジットカード会社が一時的に区民本人にかわり立てかえ払いで納付をし、後に納付者に納付額を会社が請求するということです。クレジットカード会社が区民に請求する方法にはリボ払いのような金利をつけた分割払いもあり、これはまさに借金だと思うんですが、その点の区の認識はいかがですか。 ◎吉田 保険料収納課長 国民健康保険料のクレジットカードによる納付につきましては、地方自治法第二百三十一条の二第六項に定める指定代理納付者制度に基づき、区が指定する指定代理納付者が本人にかわり区へ立てかえ納付を行うこととなります。このため、納付者はクレジットカード会社に対して債務をお支払いいただくこととなります。 ◆江口じゅん子 委員 債務とは、わかりやすく言えば返済しなくてはならない義務、責務のことです。私、クレジット業界の業界団体であり、業界の自主規制機関、一般社団法人日本クレジット協会というものがありまして、そこのホームページを見ました。クレジット利用の心構えとして、消費者に次のように注意喚起をしております。支払い計画を立てるというのがまず書いてありまして、説明では「クレジットは商品やサービスを先取りするシステムです。商品等の代金は必ず後で支払わなければなりません。当たり前のことですが、この基本的なことを軽視していると必ず支払困難に陥ります。利用に先立ち、収入や必要な支出を考えて無理のない支払計画を立ててください」、このように書いてありました。  区の多重債務の相談のホームページではもっとはっきりと、多重債務に陥らないためには安易な借り入れを行わないことが重要です。ローンやクレジットカードの利用も借金ですと書いてあります。区も、そして利用する区民も、そうしたそもそものクレジットカードの性質を認識する必要があります。  さて、クレジットカード納付で国保料を納めるという手続を行った場合、国保料の納付はその時点で収納が終わります。しかし、利用した区民にはカード会社への支払いが残ります。もしカード決済日までにお金の工面ができない、支払えない、そのときどうなるか。これまで区への納付でしたら、先ほど伺ったように、滞納したときは、生活状況を伺いながら説明を行い、分割納付などの相談に乗るですとか、滞納処分の執行停止なども行うとか、生活再建に配慮した債権管理を進める、丁寧に対応する、そういったことでした。  ここで言う滞納処分の執行停止というのは、納付交渉や財産調査などにより支払い能力がないと判断された未納者に対して、法に基づき、行政が徴収しないと判断したことを言います。昨年度の区の滞納処分の執行停止の実績は一千七百四十六件に上ります。  では、ここで伺いますが、クレジットカードで国保料を支払った後、カード決済日までに、区民がその支払いができないとき、先ほど伺った未納者に対する分割納付などの対応は適用されるのでしょうか。 ◎吉田 保険料収納課長 クレジットカードによる納付につきましては、指定代理納付者から区への納付となり、決済が終了した納付額につきましては、後日、カード会社から納付者への請求となります。このため、区に納付いただいた金額をカード決済完了後にさかのぼって、区において改めて分割納付したり、区が徴収しないと判断する滞納処分の執行停止を行うことはできません。 ◆江口じゅん子 委員 今の御答弁のように行うことはできないんですね。従来どおりの区に納付という形でしたら、未納したときなら、先ほど来申し上げているように、分割納付や、または法に基づき、行政が徴収しないと判断する滞納処分の執行停止もあり得たと。しかし、クレジットカード納付においてはその適用はありません。これは区民にとっては本当に大きな違いだと思うんですね。  利便性向上の一方で、場合によっては不利益をこうむる可能性もあると思いますが、この点について、区の認識を伺います。 ◎吉田 保険料収納課長 国民健康保険料の納付方法につきましては、現在、区や金融機関等の窓口、コンビニエンスストア、口座振替等により納付ができます。しかし、口座振替以外の納付方法につきましては、直接金融機関等の窓口に出向く必要があります。クレジットカードによる納付につきましては、既に国においては国民年金保険料を、東京都においては昨年四月より自動車税等十五の税目全てにおいて実施しており、また、二十三区においては、区民税等は六区、国民年金保険料は三区で実施しております。  区においては、世田谷区債権管理重点プランに基づき、区民の利便性向上を図るため、納付機会の拡大として、平成二十九年度より区民税、軽自動車税とあわせ、国民健康保険料のクレジットカードによる納付の実施を予定しているところです。  国民健康保険料の納付に当たりましては口座振替等さまざまな方法があり、どのような方法により納付するかは、納付者自身の選択、判断によるものです。納付機会の拡大を通じて、さらなる区民の利便性の向上に努めてまいりたいと考えております。 ◆江口じゅん子 委員 確かに今の御答弁にあるように、どういう方法で納付するかは、納付者自身の選択や判断だと思います。しかし、先ほど来のやりとりで、クレジットカード納付後、その支払いができないとき、区との関係でしたら受けられていた分割納付などのさまざまな対応は受けられないともうわかっているわけですよね。また、区としても、クレジットカード納付により、区民がその後きちんとカード会社へ支払われていれば問題はないと思います。しかし、区民が経営不振などさまざまな事情で支払いが滞った、払えないという事態が生じたときどうなるか。これまでだったら、窓口に来ていただいて分割納付をしてもらったりですとか、少しずつでも納めてもらえていたわけですが、クレジット納付の場合は、その時点でもう支払い停止になってしまいます。利用する区民、区にとっても注意が必要な制度だと思っております。  では、部長に伺います。クレジットカードで国保料を支払った後、カード決済日までに区民がその支払いができないとき、分割納付などの対応は適用されないという不利益があります。これまで未納者に分納を含めて相談をしてきた区としては、導入に当たり、区民に対して何らかの注意喚起など対策が必要です。また、窓口職員への指導も必要です。支払いに困っているという区民の方がいらっしゃったとき、クレジットカードなら便利ですよというような指導があってはならないと考えますが、あわせて見解を伺います。 ◎金澤 保健福祉部長 クレジットカードでの納付に当たりましては、区民の利便性を向上する面がございますが、一方、委員御指摘にございましたように注意すべき点もございますので、職員に対しましては、利用に伴うリスク等について指導、教育を十分に行ってまいります。  窓口等におきましては、事前に丁寧な説明を行うとともに、支払いが困難になった場合は、早目の納付相談をお願いしたいと考えております。あわせて、これまでと同様に、納付者の生活状況に応じた納付相談により、分割納付や財産調査等の結果により徴収しないと判断した滞納処分の執行停止も行い、生活再建に配慮した債権管理も進めてまいります。  また、平成二十九年度からの開始に向けては、区民への周知、案内を丁寧に行ってまいります。「区のおしらせ」やホームページ、国保のしおりや国保だより、チラシの作成等を行うとともに、電話や窓口においては、こうした資料を活用して、わかりやすく丁寧な御説明をしてまいりたいと考えております。  今後とも区民との信頼関係を築きながら、親切で丁寧な対応を行ってまいります。 ◆江口じゅん子 委員 広報を行うときに、区民にわかりやすくクレジット納付の注意をしていただきたいということを重ねて要望いたしまして、日本共産党の質問を終わります。 ○山内彰 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○山内彰 委員長 引き続きまして、無所属・世田谷行革一一〇番・維新、どうぞ。 ◆桃野よしふみ 委員 F行革、福祉領域の質問を行います。  本日はまず、保育所ではなくて、保健所の業務について質問するつもりなんですけれども、先週あたりから質問の準備も佳境に入ってきまして、保健所の業務についていろいろと調べておりました。例えば、区内の飲食店が食中毒事件を起こしてしまった場合、保健所は営業停止だとか営業禁止といった、いわゆる不利益処分を下して、その内容を公表することになりますけれども、その仕組みについて調べていましたら、そこにどうしても理解できない部分があったんですね。  それは区が定める食品衛生法に基づく世田谷区公表実施要綱というものの中にあったんですけれども、きょうはそのパネルをつくってきました。これがそのパネルなんですけれども、この第一条に「食品衛生法第二十九条の二の規定に基づき、食品衛生上の危害の発生を防止するため、法又は法に基づく処分に違反した者の名称等の公表について必要な事項を定め、食品衛生上の危害の状況を明らかにすることを目的とする」というふうに書いてあります。  これは食品衛生法の第二十九条の二の規定に基づきというふうに書いてありますから、当然この二十九条の二には何が書いてあるのかなというふうに参照しにいくわけですけれども、それがこれです。食品衛生法の第二十九条の二ですから、ここです。ここは「保健所を設置する市及び特別区は、前条第一項の規定により収去した食品、添加物、器具又は容器包装の試験に関する事務を行わせるために、必要な検査施設を設けなければならない」というふうに書いてあるわけです。  私は、これは不利益処分の公表について定めている要綱を読んでいたわけです。これを読んでいるのに、なぜかここで検査施設の設置義務について参照しろというふうに要綱には書いてある。私はこれは何が書いてあるのかよくわからないんですけれども、この要綱はどういう意味なんですか。 ◎亀谷 生活保健課長 今お話しの食品衛生法に基づく世田谷区公表実施要綱についてですが、インターネットで公開されている要綱集で引用している法律の条番号が、今委員お話しのとおり間違っておりました。大変失礼いたしました。 ◆桃野よしふみ 委員 間違っていますという答弁なんですけれども、何でこんなことが起きているのかということですね。以前も要綱がちょっとおかしいじゃないかというのを取り上げたことがありますけれども、何でこんなことが起きたかという原因を究明しないと、再発防止ということにつながっていかないと思いますけれども、これは保健所が間違ったのか、それともそうじゃない誰かがどこかで間違えたのか、これは誰がどこで間違ってこんなことになっているんですか。 ◎亀谷 生活保健課長 条番号の間違いの経緯でございますが、食品衛生法の改正により、要綱中で法を引用している部分について条番号の改正の必要性が生じ、その改正したデータを要綱集に反映させるために、所管課のほうへ改正点を示した資料を添付して依頼いたしました。しかし、法二十九条の二を第六十三条に訂正すべき部分一カ所のみ、所管課が委託した事業者による訂正作業の中で漏れてしまったものでございます。 ◆桃野よしふみ 委員 今の答弁ですと、所管課へ送ったところまでは正しく送ったんだと。その先はわからないということですよね。所管課が間違ったのか、事業者がたった一カ所だけ間違ったみたいな、余り大きな問題じゃないでしょうみたいなニュアンスも含んでいるように聞こえて、私はよくないと思いますけれども、担当課へ送って、その後は何で間違ったか、よくわからないということであれば、もうこれは原因究明とも言えないわけですよ。場合によっては、事業者が間違ったんじゃないか、それで事業者に厳重注意だみたいな話で終わってしまう可能性もあるわけですし、これは何で誰がどういうふうに間違ったのか、これはしっかりと原因究明をしていただかないと、また同じことが起きると思いますから、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。  それで、この間違っているということなんですけれども、以前もこういうことを取り上げたというふうに申し上げましたが、これがさきの決算委員会で使ったパネルなんですね。これは字がちっちゃいですけれども、別に字は読んでいただかなくていいんです。ここも十四条第四項第四号と書いてあるのに、四号なんてないじゃないか、こんなのは全然意味がわからないでしょうということで取り上げたわけです。  そのときは、これは文教所管ですけれども、課長はこう答えています。ミスが重なり、また誤りを発見することもできなかった、申しわけありません。今後引き締めて見直していきたいと思います。また、この要綱以外の部分についても、改めて目を通して確認していきたいと思います。本当に申しわけございませんでしたというふうに、その決算委員会の中で説明されているんですね。  私からは、私にこんな要綱集を全部調べてくれと言われても無理だから、皆さんがちゃんとやってくださいよ、役所の皆さんが自分たちで総点検をして再発防止に努めてくださいというふうに申し上げました。その際には、別途ですけれども、法規係のある区政情報課長とも直接話をしまして、そのとき、課長は再発防止を徹底する旨おっしゃっていた。でも、またこういうのがあるわけですよね。これは何もやっていないんじゃないかというふうに思うんですけれども、昨年の決算特別委員会以降、何かこういう作業はされたんですか、保健所長。 ◎辻 世田谷保健所長 再発防止のためには、今後、インターネットのデータに反映された後にも誤りがないかどうかの確認を徹底してまいりたいと思っております。御迷惑をおかけいたしました。申しわけございません。 ◆桃野よしふみ 委員 再発防止をすると言っていたんですから、何か具体的にやったんですかと聞いているんですよ。 ◎辻 世田谷保健所長 具体的には、こちらのほうできちっとその条番号の改正についてのお伝えをいたしまして、所管課のほうにお願いするという形で、それ以上のことについては、そちらのほうにお任せという形にしております。 ◆桃野よしふみ 委員 正しく伝えたから、もうそれでいいんだじゃなくて、正しく伝えても、こうやって間違っていて、間違っているでしょうというのを前回やったわけですよ。このときだって、皆さん、判こをばんばん押して、ちゃんと手続的にはやられていたけれども、こういうことが起きていますから、ちゃんと確認しないと、要綱がめちゃくちゃだったら仕事にならないでしょうと言ったわけですよ。  だから、きちっと所管課に送ったとかじゃなくて、これは私が見つけるのなんて多分氷山の一角ですよ。だから、きちっとやってもらわないと絶対まだあるというふうに考えるのが妥当なんですから、しっかりやってくださいということです。  条例、規則、要綱、要領というのは、私が言うまでもなく、役所の皆さんの仕事の基本じゃないですか。これが明らかに間違ったまま何年も誰も気づかない。これは何年もですよ、年単位で間違っているんですから、それはもういかがなものかということですから、しっかりと正しい運用に努めていただきたいということです。もうこれはこれ以上言いませんので、再発防止をきちっとやってくださいということです。  きょう、本来聞きたかったのは、飲食店に対する不利益処分の公表についてです。  世田谷区内の例えばAという飲食店が食中毒事故を起こしてしまうということがあって、これは食品衛生法に違反する行為だよということになると、保健所は、先ほど申し上げましたけれども、そのA飲食店に対して営業停止だとか営業禁止というような措置を講じることができます。あわせて保健所はその不利益処分の内容、例えばどこどこの町にあるAというお店が食中毒を起こしたので、五日間の営業停止にしましたというような情報を公表することになっていますけれども、まず、この公表の目的、何のために公表するのかということと、そして現在、この公表というのはどのような方法でされているのかということについて教えてください。 ◎亀谷 生活保健課長 公表の目的は、公表することにより食品衛生上の危害の状況を明らかにするよう努めるものとすると、食品衛生法第六十三条に規定されております。食品衛生上の危害の発生を防止するため、保健所等行政が区民の健康の保護に関する行政情報を積極的に公開するためのものです。  公表方法は、食品衛生法に基づく世田谷区公表実施要綱で定めており、世田谷区のホームページでの掲載となっております。 ◆桃野よしふみ 委員 保健所はホームページで公表するということでしたけれども、一方、飲食店自身については、みずから公表する義務はないんですよね。例えばある飲食店が食中毒を起こして五日間の営業停止という処分を受けたと。その場合、保健所はインターネットでその内容を公表するということになりますけれども、お店自体は、例えば都合により臨時休業いたしますとか、そういう張り紙をして五日間休むということであっても、これは何ら問題はないというような理解でよろしいんですか、確認します。 ◎亀谷 生活保健課長 食品衛生に関する違反を行った場合、行政が公表すること及び項目等は食品衛生法等に規定がありますが、飲食店がみずから食中毒の発生を発表する義務及びその内容等につきましては現在は規定がございません。 ◆桃野よしふみ 委員 先ほど申し上げましたように、お店自体は食中毒を起こしたということを公表せずに単に休んでも、それはそれで別にルール違反ではないというようなことでした。実際にそういう例も少なくないようなんですね。例えば大手のレストランチェーンなんかは、社会的な責任を感じてということでしょうけれども、みずから公表する例がほとんどのようですが、そうでないところは公表しないところが多いというのが実態のようです。  先ほど、この公表の目的は広く情報、危害の状況を明らかにするでしたか、そういうような危害の状況を明らかにするよう努めているというような答弁でしたけれども、この目的を鑑みて、広く情報を区民に周知するという意味でも、この公表のやり方というのは改善の余地があるのではないかなと思いますが、区の見解を伺います。 ◎亀谷 生活保健課長 保健所から飲食店に発表を促すように指導することは、一度営業停止という行政処分を受けている中で、再度行政処分と同等ととられるような指導を行うことに該当するとも考えられます。また、当要綱は行政情報の開示を努力義務と規定している法にも基づいておりますことから、飲食店に休業の理由を明記するよう求めることに対しては慎重な対応が必要であると考えております。 ◆桃野よしふみ 委員 とはいえ、保健所のサイト、世田谷区のサイトの保健所のページというのは余り多くの人が見ているサイトとも思えませんので、例えば区のホームページで公表するということになっているのであれば、そのトップページに上げるとか、しっかりとその情報を区民の皆さんに知っていただくということでやっていらっしゃるんでしょうから、まだまだ私は改善の余地はあるんじゃないかなというふうに思います。  本日は、この問題については指摘にとどめておきますけれども、ぜひ考慮をいただきたいというふうに思います。  次に、今度は保育園なんですけれども、保育所なんですが、世田谷区内にある認証保育園のある事例についてと区の対応について伺います。  世田谷区のある認証保育園で、事業者から保護者に対して四月から保育料を値上げするという話があったそうです。これは二月十九日、もう四月から値上げということですから、説明会から一カ月半を切ったタイミングでもう値上げをするという内容なんですけれども、二月十九日に事業者から保護者への説明会があって、園児一人当たり一律二万円の値上げだという内容だったそうです。リードタイムもほとんどありませんし、大幅な値上げですから、保護者の立場からすれば、事業者に足元を見られているんじゃないかというふうに思われてもいたし方ない例だと思います。  私もこれはちょっとひどい話だなというふうに思いまして、保育料の値上げに関するルールがどうなっているのかということで調べてみましたら、東京都認証保育所事業実施細目というところに書いてありました。保育料の変更については、市区町村の意見書をつけて都に変更届を出しなさいというふうにそこに書いてありました。あわせて、なお、保育料の変更に当たっては、変更内容や変更理由などについて、利用者に対し変更しようとする日以前、相当期間の余裕を持って十分説明を行うとともに、周知することともありました。当然ここに書いてあった市区町村の意見書についてという内容については、区の要綱にも定めがありました。  今回のような事例については、都の事業実施細目、区の要綱を照らし合わせると、これは保護者を守る立場から見ても、区から事業者に適切な指導が必要なのではないかというふうに思いますけれども、区の見解を伺います。 ◎上村 保育認定・調整課長 認証保育所が保育料だとか利用定員、それから施設長の変更、こういった重要な事項を東京都に届ける必要があるわけですけれども、その届け出の際には提出書類の中に、今委員お話しがありましたように、区市町村の意見書が必要となっておりまして、区としましては、変更の理由等を事業者から聴取した上で、変更内容が適切なものかどうかを判断して、東京都に意見を上げることになっております。  また、特に保育料の変更に当たりましては、今お話しにありましたように、東京都の事業の実施細目の中で、変更の内容、あるいは変更の理由等について、利用者に対して変更しようとする日以前、相当期間の余裕を持って十分説明を行うとともに、周知することとなっております。  お話しの事例でございますけれども、東京都が定めた上限額がございまして、これは三歳未満の場合だと月額八万円、三歳以上の場合は七万七千円を超えないこととなっておりますので、その上限の範囲内ではございますが、本年度、認証保育所さんに対しましては、新制度において公定価格が示されておりますので、それを参考に、事業の運営費の補助単価を大幅に引き上げております。  こういったことだとか、今お話しがありましたように二月の中旬ということで、周知期間を含めて、保護者に対して説明が十分ではないと判断いたしまして、区といたしましては、東京都に対しまして保育料の引き上げを是とする意見を上げるのは非常に難しいという旨を事業者にお伝えして、指導してきたところでございます。  区といたしましても、引き続き事業者に対しまして運営状況を区が確認しながら、適切な対応を求めてまいりたいと考えております。 ◆桃野よしふみ 委員 これは保護者の方からお話を伺ったんですけれども、事業者は保護者説明会で、言いにくいことだから、ついつい保護者様への通達が遅くなったとか、四月から一律二万円が厳しければ、四月から九月まで一律約一万円増額、十月からは一律約二万円増額、二万円が納得いかないのなら、この半年で転園を考えられるのもいたし方ないなどということを言っているそうです。  今回の事例は、リードタイムから考えても、転園というのは非常に困難なタイミングで大幅値上げを一方的に通知するというやり方ですから、先ほど申し上げましたように、利用者の足元を見ているのではないかというふうにもとられかねない行為です。適切に対応をお願いしたいというふうに思います。  続きまして、給付型奨学金について聞いてまいります。これは本会議でも聞いてまいりました。関連の条例については可決されていますけれども、細かい制度設計についてはまだこれからでしょうから、少しでもよい施策にしてもらいたいという思いで質問してまいります。  この児童養護施設等の退所者等に対する奨学金については、政府の支援策が東京都を通じて実施されるという中、何で世田谷区が別途税金を投じて、趣旨としてはまるで同じ政策に税金を投入する必要があるのか。現状分析もなく、単に目立つ、新聞の見出しになる、区長のスタンドプレーで税金を投入することはやってはいけないという趣旨で取り上げてきました。  そこでまず、都の施策との違いに視点を当てて、再度伺います。  奨学金について、自立支援のためには都の施策、つまり無利子で貸与すると。学校を無事卒業して就職して、五年間継続就労すれば返還免除、これでは不十分で、あくまで給付型、学校をやめても別にいいです、就労しなくても別に構いません、それは条件ではありません、無条件でお金を上げます、給付しますというやり方でないと自立につながらないという認識なのかどうか、これを再度確認させてください。 ◎片桐 若者支援担当課長 都の貸付事業は、児童養護施設の退所者等に対し、住居費及び生活費として最大で月十万円程度の額を、進学する場合は修学年限にわたって貸し付けるもので、返還が免除される要件としましては、卒業後一年以内に就業することに加え、五年間継続して就業することとなっております。  退所者等がこの都の貸付事業を活用して進学する際は、修学期間を含めまして、長い場合には向こう十年にわたる生活を展望する必要があり、進学を選択すること自体に慎重にならざるを得ない若者もいると考えております。  現に児童養護施設の退所者につきましては、就業一年以内に約四割、三年以内に約七割がやめている現状から、五年間の就業継続は全ての退所者等がクリアできるものとは考えてございません。  ただし、都の貸与型と区の学費を支援する給付型事業は支援内容が異なるため、支援対象者一人一人がその状況に応じて、どちらかを活用し、あるいは併用するなど、学業と生活を両立するための選択の幅が広がったものと考えております。 ◆桃野よしふみ 委員 今の答弁ですと、児童養護施設の退所者のうち、多くの子どもがすぐに仕事をやめてしまう。だから、やめてしまっても借金が残らないように給付型にするんだという理屈ですよね。それが本当に自立支援なんですかということをずっと申し上げているわけです。途中でやめないようにサポートする、また、就労継続に導いていけるような仕組みをつくっていくのが自立支援だというふうに思います。だから、政府や都は就労継続に対して返還免除というインセンティブをつけているんですよ。だから、区の施策は逆にその仕組みを横から邪魔しに行っているんじゃないかとすら思えてしまうんですけれども、これは区民の税金の使い方としていかがなものかと思いますが、今私が言ったような視点を含めて見ても、これは本当に自立支援につながるんですか。 ◎片桐 若者支援担当課長 このたびの支援事業は、親の虐待等により心に大きな喪失感を抱え、経済的にも精神的にも本来頼ることができる親を頼れない中で、自立を余儀なくされる児童養護施設等を退所した若者が未来に向けたスタートラインに立つことができるよう、社会全体で支える仕組みを構築し、支援を図っていくものでございます。  国のほうの統計でも進学率の低さというものが明らかになっておるんですけれども、こういった判断材料の一つにした上で、経済面、精神面、家庭環境など複合的要因の中で、進学率の低いという部分を区の中でも検討してまいりました。  区内に二つある養護施設の施設長にお話を伺いましたけれども、育ってきた環境などから学習習慣が身につかず、十分な学力を有していない者もいる一方で、経済的な理由から大学や専門学校への進学を諦めている子どももおり、一定程度の経済的な支援があれば、退所後の選択の幅が広がり、進学を希望する者の後押しになる。さらに、現在、進学しても七割が中退してしまうという現状がありますが、経済的支援により、卒業まで学業と生活を両立することが支援できるとのことから、今回の給付型奨学金が必要と判断したものでございます。 ◆桃野よしふみ 委員 対象を児童養護施設退所者等に絞り込んだことについて、今の答弁の中にも含まれておりましたし、本会議で伺ったときも、そういった答弁でしたけれども、生活保護世帯とひとり親家庭と比べても、さらに進学率が低いからと言っています。  児童養護施設退所者等の進学率が低いのは、これは奨学金の制度の問題とするのはどういう根拠からかというのも聞いてきました。一般質問でも、自席からの再質問で私は聞いたんですけれども、そのときの答弁をそのまま読むと、私は、児童養護施設退所者等の進学率が低いのを奨学金の制度の問題とするのはどういう根拠からですかというふうに聞いたんですけれども、その答弁が、最も困難な若者を分析する中で、やはり児童養護施設の退所者等が、親の支援も受けられない、経済的にも、環境的にも最も困難な若者だということで、そこにターゲットを絞りました。それと、国の指標の一つでもあります大学の進学率にも着目して、今回その選択を後押しするということで、給付型奨学金を施策化したという経緯ですという答弁があったんですね。これは全くかみ合っていないんですよ。きちっと現状分析をしないと、本当に必要なところに必要なお金が行かないんじゃないですかという趣旨でずっと申し上げてきました。  進学率が低いから給付型奨学金なんだということについて、まだ明確に根拠を示していただけていないというふうに思います。こんな甘い分析で税金を使っていいんですかということなんです。  先ほどの答弁の中でもありましたか、その施設の方からヒアリングしたことも分析の要因になっているというような答弁がありました。そもそも児童養護施設で暮らす子どもたちというのは、当然さまざま恵まれない環境で育った子どもたちはたくさんいるでしょう。学習習慣がそもそも身についていないとか、高校卒業後、さらに進学をするようなところまでまだ学力が到達していないとか、もしくは価値観として、早く自分でお金を稼いで自立したいというふうに考えているとか、さまざまな理由があるんだろうなというのは、これは容易に想像がつくわけです。  それで中には、当然進学したいけれども、経済的な不安があるという方もいらっしゃるでしょう。だから、そういう方については政府や都の施策があるじゃないですかということを言っているわけです。それがないなら、それは区の考え方もあるでしょう。それがあるのに、何で区がそこにダブって税金施策を投下するのか。そこは都の施策に任せて、例えば大学進学を望む方よりも、恐らく人数としてはもっとたくさんいらっしゃるであろう高校卒業程度までのしっかりとした学力をまだ身につけていない状態で社会に出ていかざるを得ない子どもたち、これはもっとたくさんいると思うんですよ。  さらに、常に児童養護施設というのはもう飽和状態で、なかなか新しい子どもたちを受け入れることができないと。二十まで措置延長も可能だということになっているけれども、入れなきゃいけない子どもがどんどん出てくるから、措置延長だってままならないはずなんですよ。二十二歳まで措置延長だといったって、そんなことより、もっと幼い子どもで施設に入れてあげなきゃいけない子どもがいるから、そんなことだってなかなかできない。  こういったところに直面していて、ほかにたくさん問題があるのに、都が用意した施策にさらにお金を区がつぎ込んでいくというのは、これは優先順位として甚だおかしいと私は思いますよ。これも区長のスタンドプレーでやっているんじゃないかと私はずっと申し上げてきましたけれども、木を見て森を見ずとは、まさにこのことだというふうに思いますよ。この児童養護施設の問題とか虐待の問題というのを全体として捉えたら、これはわざわざ区がやることじゃないですよということをずっと申し上げているわけです。  これはもうずっと言ってきましたけれども、少しずつ皆さんの中で受けとめていただいて、制度設計をよりよいものにしていただくしかありませんので、これ以上は申し上げませんので、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。  最後に、もう一点お伺いします。  総括質疑の際に、我々の会派の大庭幹事長が取り上げましたけれども、区長が社民党の国会議員だった際の秘書であって、区長の後援会の事務局長でもある四十代半ばの男性が、世田谷区の社会福祉協議会に新しく設置された日常生活支援センター長というポストで採用されたということだそうです。社協の事務局長は、今の区長の区長室長で定年を迎えて、その後、社協の事務局長に就任した方です。区長、元区長室長のよしみで情実採用が行われたともとられかねないのではないかなというふうに思います。  これは公募でこの方を採用したということですけれども、どうやって公募をしたのかということも含めて、これは情実人事じゃない、情実採用じゃないんだということなんでしたら、その点も含めてお答えください。 ◎宮崎 副区長 まず、公募の件ですけれども、これにつきましては、十二月二日から十八日の期間で募集を行っております。社会福祉協議会の件でございます。それらのことを通じて、今般の採用ということに至っておりますので、当然対象となった方の資質等も見た上での判断ということで、公正適正に実施されたものというふうに認識しております。
    ◆桃野よしふみ 委員 公募ですけれども、これは一つのポストに対する公募ですが、応募者は何人いらっしゃったんですか。 ◎安間 生活福祉担当課長 社会福祉協議会に確認をしたところ、問い合わせは二件あったんですが、実際の応募は一件だと、そういうふうに聞いてございます。 ◆桃野よしふみ 委員 一件、一人が応募してきて、一人が採用されたということです。さらに、このセンター長というポストは、四月からの採用で、月に十六日勤務、月給三十三万円で雇われるというものだったんですけれども、ことしの一月から三月までの期間、この四月の正式採用の前の期間についても急遽、同じ人物が社協で三カ月間雇用されることになったそうです。これも含めて何か特段優遇されているようにも見えてしまうのではないかなというふうに思います。  本日は時間がありませんし、社協の方もいらっしゃいませんので、問題提起にとどめておきますけれども、しっかりとこの問題についても向き合っていただきたいと思います。 ○山内彰 委員長 以上で無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○山内彰 委員長 引き続きまして、せたがや希望の会、どうぞ。 ◆佐藤美樹 委員 本日は、福祉領域ということで、私からは世田谷版のネウボラの政策について伺ってまいります。  ネウボラの政策の中で幾つか取り組みがあるんですけれども、その中の妊娠期の面接、妊婦さんに対して面接を行うというこの件について、まず伺いたいと思います。  この妊娠期の面接については、妊婦さんに五カ所の総合支所に来ていただいて、そこでネウボラチームと言われる、母子保健コーディネーターさんとか保健師の方たちで組成するネウボラチームが面接をするということになっているそうです。  改めてここで伺うんですが、妊婦の妊娠期の面接の目的というのはどういうもので設定しているんでしょうか。 ◎後藤 健康推進課長 妊娠期におきましては、ホルモンバランスの変化による体調の変化に加えまして、出産や子育てに対する不安が現実的になるに従って、精神的に不安定になる場合もございます。そうした不安や不安定な精神状態が産後鬱や児童虐待の原因になると言われております。  妊娠期面接につきましては、妊娠期の体調経過に関する疑問や不安の軽減と、将来の育児の支援の情報を得るということを目的に行います。同時に、面接者がこれから支援者となって、必要があれば継続的に支援できるという関係を機縁できること、また、関係機関とのつながりを持てることということを周知してまいります。あわせて、気になる妊婦の早期支援に結びつけるようなことも目的としております。 ◆佐藤美樹 委員 早期のうちに妊娠期の不安やいろんな悩みを軽減できるようなことですとか、あと行政につながっていただくこと、顔と顔の見える関係をつくっておくことというところが目的なんだと思うんですけれども、この五支所で行うということは、支所は土日はやっていませんので、平日昼間の面接についても、平日のいわゆる九時〜五時の時間帯で開催するということでよろしいでしょうか、一応確認なんですけれども。 ◎後藤 健康推進課長 妊娠期面接は、総合支所にネウボラチームを置きまして、そちらで面接をするということになっておりますので、平日の時間帯に、基本的には予約制で面接をするというふうに考えております。 ◆佐藤美樹 委員 そうしますと、最近、妊娠されている方も産休ぎりぎりまで働いている方も多いですので、休みをとってこの面接に行かなければいけないというような仕組みですと、なかなか行けないと思いますし、また、不安を抱えていたり悩みを抱えていたり、本来行政のサポートが早い段階で届いたほうがいいケースほど、そういった方ほど、事行政の窓口というのに足がなかなか向きにくいというところもあると思いますので、この妊婦さんの側に来てもらうというようなその進め方、五支所に来てもらうという形だと、本来設定している目的に対してなかなか思うように進んでいかないんじゃないかなというふうに思います。  また、その際に、子育て利用券、一万円の利用券を配付されるということで、この利用券の目的については、あらかじめ私がお尋ねしたら、妊娠期から使える地域のサービスを提示して、そのことで妊婦さんや子育て家庭が地域の人とつながりながら子育てできるように、そういうふうに持っていくための、それが利用券の目的ですということを伺っているんですが、地域の人とつながりながら子育てできるようにするためのきっかけづくりということであれば、やっぱり妊娠された方全員に配付でもいいと思います。面接した人だけがこれを配られるというような、そこの合理性というのはちょっと理解できないかなというところなんですが、これは妊娠届を出された方全員に配付するというような、そういった設計にはできないんでしょうか。 ◎後藤 健康推進課長 子育て利用券につきましては、保健師等の専門職が支所での面接の中で妊婦の個別ニーズを確認しながらプランシートを作成し、その方に適するサービスや地域資源、活動団体の案内などをしながら地域での利用を促していくために、面接時に配付することとしております。 ◆佐藤美樹 委員 繰り返しになるんですけれども、本来面接に来たほうがいい人もなかなか来れない。あと、五支所だと平日昼間なので、そもそもそのタイミングで休んでいるというか、時間がある人じゃないと来れないというところと、かつ、その利用券も面接をしないと受け取れないという今の設計ですと、設定している目的としてはすごくいい目的だと思っているんですが、それに見合った進め方になっていないので、これは今妊娠届が九千件出てきて、そのうちの五千ぐらいを利用券、面接の件数としても見込んでいるということですが、今の進め方だと、ここまでもいかないんじゃないかなというふうに思います。  やはり妊娠届を出されてきたところのファーストタッチと言われる部分で何かしら妊婦さんの情報、いろんな抱えているものについてもキャッチできるような、そういう仕組みを考えていただきたいということを申し上げまして、私からの質問を終わりにし、小泉委員に交代したいと思います。 ◆小泉たま子 委員 児童館について伺いますが、このたび提出された地域包括ケアの地区展開とまちづくりセンターの充実についての中に「児童館に係る本庁や総合支所の関わりについて、見直しの検討に着手する」という言葉があります。このお役所言葉は一体何を言っているのかわかりません。全く意味不明です。その前には「今後、児童館が地域・地区の子ども・子育ての中核として、また地域包括ケアを推進していくネットワークの一員として、青少年地区委員会や町会・自治会をはじめとした、地域・地区の活動団体等と連携を強化し、地域社会全体で、子どもの成長を見守る社会の構築の実現に向けた取組みを強化していく」とされています。  であるならば、当然児童館の総合支所への移管を検討すべきなのです。前の子ども部長も答えられたのですが、子ども・若者部長においても、もちろん児童館の支所への移管については検討されていくということでよろしいのですね、確認です。 ◎中村 子ども・若者部長 お話しの検討につきましては、今後の児童館に求められる役割を明確にした上で、本庁及び総合支所における分担を整理し、結論を出してまいりたいと考えております。 ◆小泉たま子 委員 それでは全くお答えになっていないのです。児童館だけでなく、あんしんすこやかセンターの所管についても総合支所へ移管し、地域の責任者である支所長の権限のもとに置くべきだと考えます。  さて、今回、区が二十八年度当初予算を参加と協働で社会的包摂を進める予算と名づけられたことから、議会においてもこの社会的包摂がさまざま議論となりました。  一方で、今回、議会に提案された奨学基金条例については賛成をいたしましたが、この間の論議、そして、予算としての社会的包摂なるものの概念から、改めて私の考えを申し述べ、区の基本的考えをただすことといたします。  区は、新たな概念として社会的包摂をうたわれます。これは高度成長以降、雇用や地域的つながりから脱落することを社会的排除と捉え、その排除に対応する取り組みとして社会的包摂という言い方が注目を浴びてきたように思います。  さらに区は、今回、このような考えをもとに、児童養護施設退所者等に対する奨学基金を創設するとされたわけです。この一連の流れに大いに違和感を感じます。私は考え方の基本に、それぞれの個人の自立を考えます。支援、援助の手を差し伸べるに当たっても、どのようにその個人が自立できるかということが基本と思います。  社会が健全に運営されていくためにはセーフティーネットが必要不可欠です。資本主義社会においても弱肉強食が全てではなく、自由社会の中でどのようにセーフティーネットを整備していくかということが課題であったわけです。社会的包摂なる言葉がないときでもセーフティーネットは存在したのです。  その基本となるものは、御存じの生活保護ということになります。これは所得の再分配と言うべきもので、税で賄われます。しかし、これはあくまでも事後的救済の仕組みであり、一般の国ではその上に社会保険というセーフティーネットを持ちます。健康保険、雇用保険、年金などであり、これは保険料という形で個人個人が負担する仕組みで、事前的対応です。さらに、社会の発展、成熟とともに、雇用をセーフティーネットとして捉えて、社会全体の仕組みとしての雇用を位置づけてきているのです。  社会的包摂なるものを新たな概念として打ち出す前に、これまでどのような仕組みが組み立てられてきたか、その問題点は何か、既存の仕組みを改善することで解決できるものはないのかなど、行政として十分な検討が必要なはずです。それがなされていないのです。  区が言われるように、子どもの将来がその生れ育った環境に左右されることがないよう、子どもの貧困対策に総合的に取り組むことは重要です。しかし、区が言われる子どもの貧困という言い方には強い違和感を感じます。  東南アジアの国に行くと、その貧困さはとても想像を超えます。親がいない子どもたちも多い。しかし、その子どもたちの目はきらきら輝いていました。新聞売りを小さな子どもたちが路上で一生懸命やっていました。車の掃除を一生懸命やっていました。貧しくても何か元気さが満ちあふれているのです。  また、区は、社会的養護が必要な子どもは、虐待を受けた過去を持つことなどから、心に大きな喪失感を抱えたまま、親の支援を受けられずに、施設を退所した直後から一人で自立することを余儀なくされる。これらを総合的に捉え、退所者等が同じスタートラインに立つための支援が重要と言われます。確かに重要なことです。  区はこのことを解決するために奨学金の仕組みを制度化しました。しかし、私は非常に疑問です。スタートラインが違うのならば、それは大きな問題です。世の中にさまざま不平等なことがありますが、人生の最初の段階でハンデがあるならば、みずからの力でそれを克服することは難しいこととも思え、それを是正していくことは大切なことと思います。  この手段として適当である仕組みは、やはり本来の福祉政策であるべきです。なぜならば奨学金制度というものは、あくまでも学びたい意欲に応えるものであるはずです。区の施策はそのことを混同しています。ですから、それぞれの施策が思いつきのようになり、ばらまきとも思われるのです。  貧困の連鎖と言われます。でも、貧しい家庭の子どもが貧困に陥るという単純なものではなく、現場のケースワーカーの方のお話として、貧困という現象の連鎖というよりも、働かないことの連鎖であるということなのだそうです。親が働かない、働くのを見たことがない、その子どもがみずから働き出そうとは思わないということです。当然のことと思います。周りの誰かが人生に意欲を持つような姿勢を見せなければ、本人みずから意欲を持つようなことにもならないでしょう。  お話によれば、今回は意欲のある対象者に支給するとされます。虐待を受け、心に大きな喪失感を抱えている子ども、大きな問題です。そのような子どもがどうやって意欲を持てるようになるか、それこそが問題のはずです。意欲を持てない、人を信ずることができない子どもたちにどのように対応していくのか、少なくともそれは給付型奨学金制度ではないと思います。  人生においては最小限のことを知っていかなければなりません。それを知らなければ、誰かが教えてあげなければなりません。生きていく上でお金というものは大切なものなのですよ。決して粗末にしてはいけません。簡単に貸したり借りたりしてはいけませんよ。それにどうしてもお金を借りなければならなくなったら、きちんと返すのですよ。信頼感をつくり上げていくことが大切なのですよ。十円でも借りたものは返す。そのことの積み重ねが、信じることの大切さを感じ取ることができ、社会の中でしっかりと生きていく力になるのです。安易な給付型奨学金の導入は、そのことを壊そうとしているのではないでしょうか。  給付型奨学金も、それは役割はあると思います。昔、田舎のほうでは、優秀だけれどもお金がない家の子どもを、みんなの援助で東京の大学に送り出したという話があります。まさに給付型奨学金です。別に見返りは求めなかったでしょうし、送り出された子どもの中にはプレッシャーで挫折した子どももいたでしょうが、多くの子どもは、その村のみんなの期待に応えようと頑張り、何らかの成果を上げていた、そのようなことがあったはずです。  今でもインターネットで調べれば、本当に多くの民間の返済不要の給付型奨学金の仕組みがあります。もちろんこの奨学金を得るためには、本人の努力が必要でしょうが、それは当たり前のことです。ですから、スタートラインをそろえるための仕組みとしては、給付型奨学金制度はどの観点から見ても適切とは思えません。  さらに問題があります。学歴が全てであるような印象を植えつけるのは、これはいかがなものでしょうか。学歴を押しつけようとしているのではないでしょうか。それよりも、例えば区役所で働いてもらう、いろんな世代の人とつき合う、働いてお金をもらってちゃんと税金を払う、このようなことをすることこそが生きる意欲を引き出すこととなるのです。  仕事の基本は何を目的とするかです。一番の問題は何を解決するかということなのです。勉強に対して意欲を持っている子ども、学びたい意欲を持っている子どもは、何のかんのと言っても成績がよいはずです。意欲はあるけれども学力はない、でも、大学に行きたいということだと、一体大学で何を学ぶのだということになります。そんなに勉強が好きな子どもは多くはないはずですし、施設に入所するに当たり、さまざまな困難な課題を抱えた子どもたちにとって必要なことは、まさに温かく迎える、この社会で他人と信頼関係を築きながらしっかりと毎日生活していく、それが生きる喜びにつながる、このようなことを身を持って体験してもらうことのはずです。  このような基本的考えなしに、学歴を得るために奨学金制度をつくるようでは、本末転倒も甚だしいというか、なお事態を悪化させるだけになってしまう、このことがわかっておられるのでしょうか。  今回の区の仕組みは余りにもつけ焼き刃、ばらばらです。意欲を持った子どもをどうするかではなく、どうやったら意欲を持てるようになるか、人を信じることができるか、人様から信じてもらえる人間になるかが課題のはずだからです。  さらに、子どもたちに新しい価値観を提示することこそが必要です。大学に行けば解決するというようなことは指導すべきではありません。解決はしないのです。  今回の事業については、全く効果が見込めない以上に悪影響が出てくると思いますが、いかがでしょうか、お考えを伺います。 ◎中村 子ども・若者部長 今、委員からのお話をいただいた中で、子どもたちの自立というテーマが大きいところだと受けとめました。子どもたちを自立につなげていくためには、その成長過程で生きる力を育むということが重要であると考えています。子どもたちが生きる力を育むためには、委員からもお話がありましたが、多くの人と出会ったり、多様な経験をする中で、本来、子どもたちが持っているその力を発揮して、自分らしい生き方を見つけ出していくことが必要だと思います。行政はそのための場や機会を提供すること、それと、子どもの環境に応じたセーフティーネットも含めて必要な支援を用意する役割があると考えております。  一方で、生まれ育った環境や置かれた状況から、そうした機会や場にも恵まれなくて、スタートラインに立てないばかりか、セーフティーネットとしての児童養護施設に措置されている子どもたちがいます。  区の取り組みとしては、セーフティーネットが必要となる事前の取り組みとして、虐待防止の取り組みを強化するとともに、東京都など関係機関とも連携して、児童養護施設で暮らす子どもたちを地域全体で支えることで自立に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。  区が来年度から実施します退所者等の居場所支援、これは入所中の子どもたちも対象として実施する予定です。今後、これまでも区内の児童養護施設の子どもたちを支援していただいている地域の大学ですとか、民生児童委員、NPO団体の方々とも連携、協力しながら居場所支援を進めて、その子どもたちの多世代交流を進め、社会性を養ったりして、また、給付型の奨学金だけでなく住宅支援も組み合わせて、入所中から退所後まで視野に入れて、生きる力を育んで自立した未来を切り開いていくことができる環境を整えてまいりたいと考えます。  また、支援を受けていた退所者たちが成長したときに、またその地域に、今度は支援する立場になって行くような好循環の仕組みも、地域の中で継続的につくっていきたいと考えております。 ◆小泉たま子 委員 先ほど申し上げましたけれども、その子どもたちが自立していくために、例えば区役所で働いてもらうとか、いろんな人とつき合ってもらうとか、働いてお金をもらってきちっと税金を払う、そのようなことをきちっとやることを具体的にやっぱり考えていくべきだと思うんですね。どうやったら意欲を持てるようになるか、人を信じることができるか、人様から信じてもらえる人間になるか、私は非常に重要だと思いますので、このことを再度申し上げて、私の質問を終わります。 ○山内彰 委員長 以上でせたがや希望の会の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○山内彰 委員長 引き続きまして、無所属・減税せたがや無所属連合、どうぞ。 ◆青空こうじ 委員 きょうは、薬物乱用についてお伺いします。  昨年の十一月二十日、青少年補導連絡会の勉強会で、荒川区の三河島にある日本ダルク、薬物依存症の人たちのリハビリセンターに行ってきました。元薬物の経験者の男性ばかり十人がいました。十人にちょっと話を聞いたところ、もしこの目の前に薬物があったらどうしますかと聞いたら、約八割の方がやると言っていました。本当ですね、やっぱりそれぐらいすごい魅力があるんでしょうね、薬物は。  依存症というのは、薬物のとりこになった人たちのことであって、依存症から回復した仲間が集まる場所でもあって、覚醒剤や大麻、シンナーといった、気持ちがよくなったり、幻覚を見たり、精神に作用する物質を使用する薬物依存症を発症する可能性があるそうです。  薬物依存症にかかった人たちの多くは、病気であるにもかかわらず、周囲からは人格を問題として非難される。誰にも相談できずに病気が悪化していきます。しかし、薬物依存症は適切な治療や対処法によって回復する病気であります。  たまたま今回、テレビ、そしていろいろマスコミの中でも問題になっています清原さんのことをちょっと私は話したいと思うんですが、平成二十六年の一月十九日、東京発の山形行きに乗りました。そのときに、うちなんかは団体だったもので、上野駅から乗っかったんです。山形新幹線のグリーン車というのは席もちょっと少ないんです。小ぢんまりとしたグリーン車なんですが、そこに、うちが上野から乗っかっていったら、テーブルの上にお弁当から、お菓子から、お酒が入ったのとかいっぱい置いてあって、下にも何かごみごみしていて、グリーン車の四つの席を一人で牛耳っている人がいました。それも四つ、土足のまんま、靴のまんま、足を席に置いてやっている方がいました。時々マネジャーが来て、いろいろな話を聞いていると、ちょうど山形のほうのパチンコ屋さんのお仕事だったらしいんです。  本当に今回薬物の中では、清原さんは四十八歳ですが、(七百九十七字取り消し)  今回、まず一問目に聞きたいのは、薬物乱用の恐ろしさについて、青少年に正しく周知していくことが必要です。保健所ではどのような取り組みをしているのかお伺いします。 ◎柳原 世田谷保健所副所長 麻薬、覚醒剤や危険ドラッグは、興味本位で一度でも使用すると、さらに使いたい気持ちが強くなり、依存症になると完全に治ることは難しくなります。こうした危険ドラッグなど薬物の恐ろしさや危険性について、若い世代を中心に啓発していくことが重要であると考えております。  区では、これまでも薬物に対し正しい知識を養うため、区内の中学校を対象に、薬物乱用防止ポスター、標語の募集を行っております。最優秀賞となりました作品は、のぼりやリーフレットの表紙など薬物乱用防止キャンペーンの物品に掲載し、広く区民に周知啓発を図っております。  現在、小中学校で行います薬物乱用防止教室ですが、保健所ではその際の参考となるよう、昨年度、中学生向けのリーフレットを作成いたしました。現在、小学生向けのリーフレットの作成をする予定でございます。危険ドラッグなど薬物は全てだめ、絶対ということを繰り返し啓発してまいります。 ◆青空こうじ 委員 薬物に手を染めてしまったために苦しんでいる区民もいると思います。依存症相談については、区はどのように対応していくのか、区民にどのように寄り添っていくのかお伺いします。 ◎淺見 北沢総合支所健康づくり課長 薬物依存を初め、お酒、ギャンブル等の依存症相談については、各地域の健康づくり課の地区担当保健師が電話や来所等により随時受け付けております。相談では、問題を整理し、解決の方向性をともに考えていきますが、必要に応じて、世田谷と烏山の二カ所で実施している専門医による予約制の依存症相談につなげたり、また、病院や自助グループ、自立訓練施設等、委員のお話にもありましたような専門機関等の利用を勧めていきます。しかし、当事者がやめたいと思わないと、これら専門機関等につながらないため、支援には長い時間を要することが多いのが現状です。  また、依存症の相談は、依存の問題でお困りの御家族等からの相談がほとんどですので、御家族向けの事業として、当該対象者への対応の仕方などについての講義とグループワーク等を実施する、家族講座・教室を世田谷と烏山の二カ所で実施しているところです。  今後とも、当事者、御家族等に寄り添う立場から相談を受け、さまざまな関係機関と連携しながら薬物乱用防止に努めてまいります。 ◆青空こうじ 委員 (七十三字取り消し)本当に薬物は絶対やめたほうがいいと思います。  本当に今回も清原さんが問題になっていますけれども、あの方、以前に薬物のキャンペーンをやったことがあるんですよね。キャッチコピーが、あのころはちょうど西武ライオンズでした。覚醒剤を打たずにホームランを打とう。結果はどちらも打ってしまった。 ◆あべ力也 委員 それでは、質問してまいりますが、世田谷区の認可保育園におけるゼロ歳児の入園選考に係る取り扱いについてということで質問したいと思います。  世田谷区の保育の選考とか保育の提供というのは、四月一日から翌年の三月三十一日までが一年間のスパンということになっていますけれども、この三百六十五日、ことしはうるう年だから三百六十六日になりますけれども、入園選考で生れた月、日にちによって不公平な取り扱いを受ける子どもがいるという認識は世田谷区はございますか。 ◎上村 保育認定・調整課長 認可保育園等への入園申し込みにつきましては、期限を決めて、区としてルールをつくりまして、区民の皆様方に申し込みをいただいているわけなんですけれども、二月十日までが二次選考の期限ということになっておりますので、それ以降、二月、三月に生れた方は、四月一日の入園申し込みについては事実上できない状況になってございます。 ◆あべ力也 委員 今回、実は区民の方から御相談をいただいて、同じ子どもを持つ親として、世田谷区の認可保育園に応募したいんだけれども、子どもが生れるちょうどその予定というのが二次選考が終わってしまった日から三月三十一日までの間、いわゆる選考してもらえない間に生れるんだということなんですね。そうすると、これは四月一日以降も臨時の応募とかできるけれども、選考に当たっては極めて不利な状況になる。例えば一年間待たなくちゃならないことになるということなんですね。  ですから、子どもが人としての人格を認められるのは、生きて生れて、初めて人としての権利ということになるんでしょうけれども、実際、親御さんが妊娠をされて生れる予定の日付というのがもう既に大体わかっているわけですから、それに向けて選考をあらかじめ受けるというような権利が行使できない実態に関しては、この親御さんが御相談をされているように、三百六十五日同じように生れたわけだけれども、日にちによって大変大きな差別があるんじゃないかと。  この問題については、世田谷区の認可保育園の入園選考のまさに差別、現況を是正していくような考え方をぜひしていただきたいということなんですが、その点については、世田谷区はどういうふうな考えをお持ちでしょうか。 ◎上村 保育認定・調整課長 保育園も小学校に合わせまして、小学校に間断なく接続する必要があるということで、一つは年度単位にクラス編制をして保育を行っているというのがございます。それと、ゼロ歳児保育ということになりますけれども、生後間もないお子さんを安全にお預かりする必要がございますので、お預かりできる月齢は各認可保育園で定めておりまして、早いところでも生後二カ月、そのほかは五カ月ないしは六カ月過ぎてからお預かりできるという状況がございます。  また、皆さん御承知のように、四月の入園に向けましては大量の申し込みが毎年ございまして、これを公平公正に事務処理を行う必要があるということから、現状の待機児童の状況から照らしますと、申し込みの期限を一旦区切って選考せざるを得ないということは御理解を賜りたいと考えております。 ◆あべ力也 委員 選考事項は、生れた子ども自身のことではなくて、両親の収入や保育を提供する環境であって、その子どもが生れる前から存在する条件で技術的に選考の対象にできるはずですので、この点については、これは世田谷区の政治的判断になるんだと思いますけれども、あらかじめ出生の予定と実際がかみ合って、初めてその効果が生じることになるんだと思いますが、その選考されない期間というのが今生じているということをしっかり是正していただきたいと思います。  今課長がお答えになった内容では、区民の皆さんが納得できるかどうか甚だ疑問なんですが、実際にこの期間に該当する子どもさんというのはどれぐらいの数が出生されているんですか。 ◎上村 保育認定・調整課長 ことしの四月の入園申し込み、保育を必要とする方なんですけれども、受け入れ可能数が八百八十七名に対しまして、約二倍の千六百九十五名の方が申し込まれてきておりますので、出生されて保育を必要とされる方はこれの六分の一ぐらいの数ではないかなと思います。 ◆あべ力也 委員 今お答えいただいたのは、その選考されない間に生れる子どもの数ということですか。 ◎上村 保育認定・調整課長 その生れる方で、保育園に入園申し込みをされてくる方の予測でございます。 ◆あべ力也 委員 いずれにしても、生れたときからその生れた月や日によって制度的に差別を受けるというのは、親の側からすれば極めて不合理だと思いますよ。しっかり是正していただきたいということを申し入れしておきたいと思います。  この点については、また補充で区長に伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○山内彰 委員長 以上で無所属・減税せたがや無所属連合の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午前十一時四十五分休憩    ──────────────────     午後零時三十五分開議 ○山内彰 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  生活者ネットワーク、どうぞ。 ◆田中みち子 委員 生活者ネットワークの福祉保健所管の質問をいたします。  最初に、一昨年から取り組んでいる地域包括ケアの子どもへの対応について質問します。  昨年の決算特別委員会において児童虐待を防止するための支援体制の整備を求めた日に、奇しくも新聞で報道されていました。それによると、二〇一四年、児童虐待で死亡した子どもの数が六十九人、児童相談所が対応した児童虐待の件数は過去最多で約九万件、それに対して虐待の対応に当たる児童福祉司は少ないのが現状です。例えば虐待件数が七・六倍と急激な増加に対して、児童福祉司は十五年間で二倍程度にしかふえていません。  また、先週、三月九日の新聞でも、急増する児童虐待に対応するため、厚労省が二十三区による児童相談所の設置を促す方針を決めましたが、児童虐待防止法が施行した二〇〇〇年度から二〇一四年度では五倍に急増し、虐待に対応する専門的な人材の育成に課題があると結ばれていました。  世田谷区では十四歳までの子どもの数は、二十七年一月一日現在で十万一千人になり、十年で一万四千人ふえています。区内で受けた新規の児童虐待件数も、二十五年度は五百九十三件、二十六年度は六百三十四件とふえ続けています。虐待が頻発する状況に対応できるよう、子育ての不安や負担感を軽減し、地域で気軽に交流や相談ができる環境づくりや、地域で子どもを守るという意識を啓発するなど、さまざまな対策が求められます。  世田谷版地域包括ケアは、高齢者だけでなく、障害者、生活困窮者、生きづらさを抱えた若者、子育て家庭など対象を広げています。二十八年度の地域包括ケアの全区展開に先立ち、二十六年度からモデル事業を実施している砧地域の状況から伺います。
     地域で子どもの見守りや健全育成を担うのは、民生委員・児童委員、主任児童委員、青少年地区委員などがありますが、区民にはなかなかそれぞれの担う役割の違いがわからないのですが、具体的な役割について伺います。 ◎薄根 砧総合支所生活支援課長 民生委員は、児童福祉法により、児童委員を兼ねることとされております。民生委員・児童委員の方には、生活や福祉に関する身近な相談や、行政や専門機関への橋渡し役を担っていただいております。加えて、子ども家庭支援センターの依頼により、支援の必要な子どもや家庭の地域での見守りを行っていただいております。  主任児童委員は、民生委員・児童委員から選ばれまして、子どもや子育てに関する支援を専門に担当し、要保護児童支援協議会のメンバーとして、行政とともに地域の子育てに携わっていただいております。  また、青少年地区委員は、地区単位で選任され、子どもたちの参加と協働による地域活動を通じた青少年の健全育成の役割を担っていただいております。 ◆田中みち子 委員 そうしますと、主任児童委員以外のつながりは十分でしょうか。虐待の要因である経済的困難や、DV、育児疲れなど精神的に不安定な状態や、経済的、家庭環境など、多様な悩みや相談を一心に受けて抱え込んでしまっている方もいると伺っています。  また、家庭環境もわかっていますので、第一回定例でも質問に取り上げました、介護と育児の両方を担うダブルケアや介護と家事を担うヤングケアラーという、家族介護者への過剰な負担に気づいている場合もあると思います。それぞれの委員の役割の違いを理解し、顔の見える関係をつくり、虐待につながってしまうような深刻な事態になる前に、情報を多く持つ委員と気軽に相談できる関係を築くことが求められます。見解を伺います。 ◎薄根 砧総合支所生活支援課長 子ども家庭支援センター職員と民生委員・児童委員の方とは個別ケースの見守り等を通して顔の見える関係ができていると考えておりますが、家族介護や経済的問題など複合する課題を速やかに把握するためには、各委員の皆様との連携が今まで以上に大切であると考えております。  今後も、各委員の皆様が安心して活動いただけますよう、各地区の民生委員児童委員協議会への子ども家庭支援センター職員の参加や、相談いただいた場合のバックアップを通して相互の関係を深めてまいります。  また、砧総合支所では、地域団体のきずなの強化を目指すご近所フォーラムや、ウォーキングイベントである歩きぬたなどのイベントに、多くの区民の皆様とともに所内各課の職員が参画しております。このような機会を通じて、各委員との顔の見える関係づくりに取り組んでまいります。 ◆田中みち子 委員 世田谷の虐待の特徴は、身体的な虐待よりも過干渉による虐待が多いと、東京都世田谷児童相談所で伺ったのですが、そうとなれば見つけることは難しいです。しかし、過干渉の場合は、図書館や児童館から自宅に帰りたがらないことでわかることがあります。公園で子どもの異変に気づいても、どこにつなげていいのかわからないといった声をたくさん聞きます。  このように、地域でおかしいと気づいたときにしっかりつなげる体制が必要です。このような事案に対して、区はどのように把握されて対応するのか伺います。 ◎薄根 砧総合支所生活支援課長 図書館や公園等の施設で気になる児童等がいたときの連絡は、児童虐待やネグレクトの早期の発見や対応する上で重要でございます。つきましては、こうした施設との連携を進め、また、区民の皆様からの子ども家庭支援センター、児童館、あんしんすこやかセンター等の身近な窓口への速やかな通報の周知にも取り組んでまいります。そして、虐待が疑われる情報を私どもの子ども家庭支援センターが受け取りましたときの対応でございますが、その場合は、当課と健康づくり課とで緊急支援会議を開催し、状況把握及び初期対応の方針を決定いたします。  開催件数でございますが、昨年度は一年間で四十二件ございましたが、本年度は現時点で百十二件と大幅に増加しております。このうち百七件が、次に申し上げます支援会議の対象となっております。  なお、あんしんすこやかセンターからの相談事例は二件ございました。  子どもの現状確認の結果、継続的支援が必要となった世帯には、支援会議を開催し、ケースワーカー、保健師等とで支援対象世帯の状況把握と支援方針の決定を行います。当課の今年度二月末での支援会議対象児童数は二百六十三名でございます。 ◆田中みち子 委員 虐待が疑われる子どもを発見した場合に、それぞれの施設との連携をしっかり進めていく必要があります。あんしんすこやかセンターに寄せられた相談件数のうち、子ども家庭支援センターへつながったのは二件とのことでしたが、子どもに関しても身近な相談窓口としての周知が図られますと相談件数はふえてきます。初期対応するあんしんすこやかセンターの職員への虐待のサインを見逃さないような研修を充実させていただくことを要望します。  また、二十六年度一年間で虐待の情報が三倍近く増加しています。通報のあった百十二件のうち百七件が支援会議へ、そして現在も二百六十三件が継続して支援が必要となっているということで、深刻な問題を抱える家庭が多いことがわかりました。  今回の地域包括ケアは、高齢者から子どもまで多様な福祉的な課題を把握して共有し、地区で顔の見える関係を築き、解決することが目的です。  砧のモデル地区では、地域包括ケアのかなめが副支所長と伺いました。地域包括ケアの地区展開の砧地区モデル事業は、子どもを見守るという視点でどのように推進してきたのでしょうか、見解を伺います。 ◎北川 砧総合支所副支所長 総合支所の副支所長は、生活支援課、保健福祉課、健康づくり課の保健福祉三課を含め、所内全ての課を所管しております。このため、支所の重要課題として各課協力して取り組むべき事業等については、副支所長が各課の協力体制を築き、調整を図りながら進めております。  平成二十六年十月から始まりました地域包括ケア地区展開の砧地区のモデル事業においても、保健福祉課を事務局として、本所と砧総合支所から成る砧地区モデル事業検討会や支所内の砧総合支所保健福祉三課コア会議を立ち上げ、支所内各課の協力により相談支援マニュアルの作成や研修を実施するとともに、保健福祉三課の職員が三者連携会議へも参加して、まちづくりセンターやあんしんすこやかセンター等へのバックアップなどを行ってまいりました。  特に子どもに関する相談については、あんしんすこやかセンター職員が妊娠届け出時の面接を実施したほか、障害のあるお子様に関する相談なども寄せられるようになり、さらに砧まちづくりセンターが開催する地区情報連絡会の中に設けられた見守り部会には、子どもから高齢者までを対象とした地区課題の共有や検討が行われ、総合支所からも職員が参加して支援してまいりました。 ◆田中みち子 委員 世田谷版地域包括ケアを進めていく中で、支援を必要とする人を早期に発見し、解決につなげていくには、表面的な相談対応で終わることなく、必ず解決につなげることが重要です。区職員の意識改革を図り、実効性のある地域包括ケアにしていかなければなりません。見解を伺います。 ◎北川 砧総合支所副支所長 職員の意識改革として、総合支所で取り組んだことの一つとして、砧地域タウンミーティングが挙げられます。これは、平成二十六年十月から始まりました砧地区のモデル事業に時期を合わせ、同年十二月、高齢者、障害のある方、子ども、若者を地域で見守り支えあうをテーマに、砧総合支所長と意見交換することを目的に開催いたしました。このタウンミーティングの企画から運営まで、砧総合支所各課の若手職員によるプロジェクトチームにより行いました。  また、砧地域の特徴として、平成二十二年度より砧地域ご近所フォーラムを開催しております。これは、地域住民、医療従事者、福祉関係者、介護関係者、行政等がさまざまな特徴ある取り組み発表と意見交換を行い、顔の見える関係づくりを進めることを目的としております。このご近所フォーラムにおきましても、実行委員会事務局、当日の運営に、支所内各課の職員が参加し協力しております。  さらに、高齢者、障害のある方、子どもの見守り活動をしている町会・自治会、NPO法人等の活動実態を調査するため、世田谷区内だけでなく、江戸川区や横浜市に若手職員を視察に連れていき、支援する人、される人と直接触れ合い、生の声を聞かせました。  このように、仕事に主体的にかかわらせ、現場で直接人と触れ合い、みずから考えさせることにより、職員の意識改革が図られ、地域包括ケア推進の実効性確保につながると考えます。 ◆田中みち子 委員 これまで砧のモデル事業について伺ってきましたが、ことしの七月からは地域包括ケアの全区展開がいよいよ始まります。平成二十七年実施の国勢調査の速報では九十万を超えた区民の世田谷区ではどの地域においてもケアが届くように、五つの総合支所が一丸となって取り組んでいかなければなりません。  最後に、副区長の見解を伺います。 ◎宮崎 副区長 この間、砧モデルを初めといたしまして、各地域に一カ所ずつ、モデルを実施しております。平成二十八年七月には二十七地区での本番を迎えるわけでございます。そういう意味では、今回、子どもの関係をテーマに、地域包括ケアの関係と、御質問いただきましたけれども、この総合支所とあんしんすこやかセンターとの間の部分をもっと緊密にしていきまして、例えば、今御指摘のありました子育て支援、こういうことについても寄与していきたいと考えております。  いずれにいたしましても、まずはこのスタートを安定的に切りまして、その上でさまざまに課題が出てくると思います。その課題もかなり広範囲にわたると思っていますので、それらの部分についても一つ一つ積み重ねを加えまして、先ほど申しました円滑に安定的に運営していきたい、このように考えております。 ◆田中みち子 委員 今副区長におっしゃっていただきましたように、砧ではモデル地区として始まって、高齢者から子どもまでということで、皆さん、実際に顔の見える関係ができているなというふうに私はちょっと感じました。ただ、それがほかの地域で果たしてできるのかというのは、その地域によって、なかなかその関係、顔の見える関係ができていないところもあると伺ったりしておりますので、それが本当に実効性のあるものとなっていくように、これが世田谷区の全国のモデルとなるような地域包括ケアというものができることを期待して、生活者ネットワークの質問を終わります。 ○山内彰 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。     ──────────────────── ○山内彰 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。 ◆上川あや 委員 区の事業における同性パートナーの取り扱いについて伺います。  さきの総括質疑でも同性パートナーシップを取り上げました。世田谷と渋谷の同性カップルを認める事務の開始以降、携帯電話会社各社の家族割適用の拡大、生命保険会社各社の同性パートナーへの死亡保険金支払いの適用等、企業のサービスがこの間大きく改善したことを御紹介しました。  同性カップルの処遇の改善は、企業の内部に向けても進んでおります。ソニーが二月から同性のパートナーを持つ社員に慶弔や育児、介護休暇、結婚祝い金などの福利厚生を認め、パナソニックでも四月から同性同士でも結婚に相当する関係と認め、福利厚生を平等にしていく方針を固め、大きく報じられました。さらに、先日のNHKニュースではNTTにも同様の動きがあることが報じられています。  さて、世田谷区はどうかといいますと、職員の処遇に対してのみ改善が見られます。区役所職員で構成される世田谷区職員互助会と区立小中学校教職員で構成される世田谷区教職員互助会がともに同性をパートナーとする職員に福利厚生を認めていく方針を固めまして、その手始めに結婚祝い金相当額を給付することといたしました。いずれもうれしい変化ではありますが、職員間の平等を保障する以上に、区民の平等をいかに保障していくのかということが重要だと考えます。残念なことに、この点、区が改善をしたことはまだ何一つないんですね。  現在、世田谷区、渋谷区に続けて、伊賀市、宝塚市、那覇市の三市が世田谷区に倣った宣誓の制度開始の準備を進めています。いずれも受領証の発行とあわせて、市が運営する病院での同性カップルの扱いを改善するとしています。同性カップルも家族に含め、手術の同意書にサインができたり、病状説明が受けられるようにするということです。  一方、世田谷区も、治療は行わないものの、区立の医療機関を持っています。世田谷区保健センターです。そこでは四つのがん検診を初め、各種の精密検査を実施しておりますが、結果報告での家族に同性パートナーが入るかどうか不明のままです。  ある保険会社の調査では、がんの告知を受けるとき、七七・八%もの方が家族の同席を望みました。区は、区内の二つの医師会を通じて、区内の医療機関に対しても同性カップルの受け入れを要請しております。区立の保健センターでもその受け入れを率先垂範していただかなければおかしいと考えます。同センターのがん検診についてお伺いいたします。 ◎後藤 健康推進課長 世田谷区保健センターでは、現在実施しているがん検診につきましては、胃がん検診、乳がん検診、大腸がん検診と、地域の医療機関で実施した子宮がん検診の細胞検体の検査を行っております。  これらのうち、胃がん検診と大腸がん検診につきましては、結果を郵送で受診者の方に御連絡し、要精密検査の方は医療機関での受診を勧奨しております。また、子宮がん細胞診検査につきましては、検診を行った指定医療機関に結果を通知しております。さらに乳がん検診のうち、マンモグラフィー単独の検診につきましては、結果を視触診実施の医療機関に通知し、医療機関から検診結果を御本人に伝えております。ただし、乳がん検診を視触診とマンモグラフィー同時に保健センターで受診した方につきましては、要精密検査となった方の場合に、結果を医師から直接お伝えしており、その際、受診者本人の希望があれば、家族等に同席をいただくこととしております。過去には、ひとり暮らしの方の御希望により、御友人に同席していただいたという事例もございます。  委員からお話のございました同性パートナーの対応につきましては、現在、明文化したルールはございませんけれども、戸籍上の家族に限ることなく、受診者御本人の意思を尊重して対応してまいりたいというふうに考えております。 ◆上川あや 委員 保健センターで始まりましたがん相談の御案内を見ましても、その対象者をがんで療養中の本人とその御家族としています。従来どの事業においても家族として扱われることはなく、時に差別を受けることさえあった同性カップルの方々にとっては、自分たちが家族に含まれているとは全く感じられません。利用をためらわせる表記だと考えます。  医師会にも同性カップルの受け入れを要望した世田谷区なのですから、みずからも受け入れる姿勢があるとはっきりわかる表記としていただければと考えます。区の見解を伺います。 ◎後藤 健康推進課長 区では、さまざまな悩みや不安を抱えながら在宅で療養されているがん患者やその家族からの相談に応じる身近な窓口として、保健センターにがん相談コーナーを設置しております。御相談を利用される方の要件でございますけれども、区の要綱ではがんに罹患した区民及びその家族等と規定しております。実際の運用に当たりましては、療養中の御本人あるいは御家族等のどちらかが区民である場合に相談をお受けしており、御本人以外では、これまでは同居、別居を問わず、夫や妻、親、子どもに当たる方からの御相談をお受けしております。  区は、がん対策推進条例において、区民ががんに罹患した場合に、さまざまな苦痛及び不安の軽減に努めることとしており、区の施策を通して、区民ががんになっても自分らしい生活を継続することができるよう支援することが重要であると考えております。  今後は、御指摘の事業の案内表記を改善するとともに、患者本人が同性パートナー同席での対面相談を希望される場合には、そのような形で御相談をお受けしてまいりたいと考えております。  また、同性パートナー等患者をサポートしていただける方からの相談につきましても、患者との関係を確認し、プライバシーの保護に十分配慮するなどした上でお受けしてまいりたいというふうに考えております。 ◆上川あや 委員 よろしくお願いいたします。  最後に、そのほかの相談事業、支援事業についてです。  もう求められていることはおわかりになるだろうと考えます。区のホームページを開きますと、福祉保健の領域を中心に、御家族を対象者に明記した相談事業、支援対策がさまざま出てまいります。しかし、通常、家族として扱われず、時に差別を受けることもあった同性カップルの方が相談するにはハードルが高いと考えます。全体としての改善を求めますが、いかがでしょう。 ◎久末 計画調整課長 区では、本所や総合支所のさまざまな窓口で福祉に関する相談をお受けしております。家族でなければ相談を受けられないというものはないと認識しておりますが、その結果をお返しするには、法的制約がある場合や、同一世帯の方という制限がある場合は個人情報として取り扱うことになりますので、難しくなることがあるかと思います。  相談等を受けるに当たりましては、職員も同性パートナーは家族と同様であるという認識を持っていると思っておりますが、今後も徹底するよう努めてまいります。  また、同性パートナーの方も家族同様、区の窓口で相談ができるということを、広報やホームページの記載を工夫してお伝えしてまいります。 ◆上川あや 委員 しっかりお願いいたします。  終わります。 ○山内彰 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○山内彰 委員長 引き続きまして、せたがやすこやかプロジェクト、どうぞ。 ◆すがややすこ 委員 私からは、世田谷の保育待機児の課題について質問していきたいと思っています。  まず、世田谷区でいろいろな手を打っているとは思うんですけれども、なかなか保育園の待機児童がなくならないと。先日、区長が御答弁されていたのによると、待機児童数が去年は千百八十二人で、それをことしは若干下回るかもしれないが、依然として大変厳しい状況であるということでした。  世田谷区の就学前の児童数というのがここ数年、毎年千人ずつ増加しているというふうに聞いておりますけれども、結局、増加している原因の一つに大規模マンション建設が挙げられると思うんですね。特に環八周辺地域で多いんですよ。先日もちょっとそのマンション建設説明会に行ってきたんですが、そこもやっぱり戸数が四百戸ということで、それだけ大きいマンションができてしまうと、保育園も足りなくなるし、学校の教室数も足りなくなってしまうというのが、今の環八周辺の現状なんですね。  そこで、世田谷でもマンション建設の際に何かできないかということで、この間、マンション建設事業者さんと話をしていたんですが、私はそこで初めて知ったんですけれども、江東区とか、あっちの台東区とか、中央区のほうではマンション建設の際に協力金を求めるということで、割と厳しい要綱とかがあるんですよ、制度があるんです。  世田谷でもやればいいのにと思っていろいろ調べてみたら、一応世田谷区では住環境条例の一部改正のときに保育所設置の協力要請に関する要綱に基づく事前協議制度の見直しを行ったということで、以前、他会派の質問でもあったんですけれども、結局、それを行っていて、世田谷区ではそれが適切であると考えておりますという答弁なんです。  ただ、やっぱり世田谷でも協議をしても結果が余り出ていないようですので、江東区とか台東区とかと同じように協力金を求めていくということが必要かと思いますけれども、世田谷区の見解をお聞かせください。 ◎菅井 保育計画・整備支援担当課長 今お話しのありましたように、大規模マンションの建設により、その地域の保育需要が高まることを踏まえまして、区では平成二十五年十二月に住環境条例を改正し、一定規模以上のマンション建築に当たりまして、建築主に対して保育所等設置の協議を義務づけております。これまで十四件の協議が終了いたしまして、そのうち二件について保育施設を併設することとなっております。  区といたしましては、ますます保育需要が高まっていく中で、あらゆる手法を駆使して、保育所整備、そして保育定員増を図っていかなければならないものと認識しております。  こういった大規模なマンション建設が計画される前の、より早い段階からの取り組みを現在開始したところでございます。具体的には、区の窓口において大規模土地取引の届け出があった際に、住環境条例に基づく保育所等設置協議の御案内や土地建物の保育園としての活用を募集するチラシなどで、保育施設の整備につなげるよう周知を行っております。  お話しのありました保育施設の設置の義務化や他自治体で行われている建物の規模に応じた一定の協力金を求める仕組みなどを参考にいたしまして、また、現状の取り組みによる整備実績の状況等を踏まえながら、より効果的な整備促進策について、関係所管の協力を得ながら検討してまいりたいと思います。 ◆すがややすこ 委員 ぜひその協力金ということに対しても検討していただきたいと思います。これは保育園も学校施設も同じなんですが、学校は所管外ですので、また別の日に質問いたします。  それから続いて、世田谷区のファミリーサポートセンター事業について質問したいと思います。  私はこのファミリーサポートセンター事業というのが結構大好きなんですけれども、もう一度概要を言うと、子育てのサポートを受けたい方と援助協力が可能な方の支えあいによる活動なんですね。料金とかはもう当事者同士で支払っていただくというシステムで、今年度から世田谷区の事業、ファミリーサポートセンター事業として、社協のもともとのふれあい保育から、新たに世田谷区が行っているということで、これまでも援助会員さんの不足というのがすごくやっぱり課題となってきたんですね。  世田谷区としてファミリーサポートセンター事業をやってきて、援助会員をふやすために、これまでどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。 ◎百瀬 子ども家庭課長 このファミリーサポートセンター事業を必要とする利用者が増加傾向にある中では、援助会員の確保は重要なことと認識しております。  本事業につきましては、委員お話しのように、今年度から区の事業として開始したところでありますが、援助会員をふやすためのこの間の取り組みといたしまして、区報でございますとか、また、子育てメッセの場でのチラシの配布による募集のほか、新たに育じい育ばあ講座を先月開催したところです。地域の子育てや見守りに関心のある六十代の方を中心に、定員以上の参加がございました。また、この講座をきっかけに、援助会員となるための研修について応募された方もいらっしゃったところです。引き続きこうした取り組みを進め、援助会員の確保に努めてまいりたい。 ◆すがややすこ 委員 援助会員さんをふやす努力をいろいろされていると思うんですけれども、援助会員さんは実際にふえているのかということ。それから、要は、援助会員さんがいらっしゃったとしても、その援助会員と利用会員がうまく時間とか条件とかが合わないと、お互い利用してできるはずなのにできない、なかなか利用しづらい制度となってしまうと思うんですね。  その辺について、世田谷区はどのように考えているかということを教えてください。 ◎百瀬 子ども家庭課長 援助会員の人数でございますが、このファミリーサポートセンター事業を開始しました平成二十七年、昨年七月の時点では、援助会員の数は六百六十一人でございましたが、本年一月現在では六百九十一人と、三十名増加しているところです。  また、うまくマッチングがいかないといったことも、これまでの課題としてあったところです。マッチングの状況についてどうかといったようなことで、利用件数の増加といったところで比較してみますと、本年一月現在の利用件数でございますが、二千五十九件というふうになっております。これは前年度の一月にして一・六倍、七百九十六件の増というふうになっております。 ○山内彰 委員長 以上でせたがやすこやかプロジェクトの質疑は終わりました。     ──────────────────── ○山内彰 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。 ◆ひうち優子 委員 本日は、幼稚園の預かり保育の拡充について、おととし、また昨年に引き続き進捗状況を伺ってまいります。  現在、多様な働き方がふえている中で、例えば週三から週四のパートタイムの方や自営業の方などの場合、フルタイムでなくても子どもを預けたいが、選択肢が限られており、フルタイムの認可保育園を希望せざるを得ない状況が続いております。よって、依然として待機児童がふえ続けていることとなります。  今後の保育はフルタイム型から多様なニーズに対応した保育サービスの提供が必要であり、その保育の一つとして、幼稚園の預かり保育の拡充が効果的で、待機児解消にもつながると考えます。  昨年の決算委員会で質問した際の答弁では、保育園並みのフルタイム型の幼稚園の預かり保育を実施しているのは、幼稚園五園、認定こども園二園の合計七園とのことで、当時からふえていませんでした。  今後は、フルタイム就労を含め、多様な就労形態を選択する子育て家庭を支援するために、預かり保育の拡充に向けて私立幼稚園関係などと協議を進めていくとのことでしたが、二十八年度からふえるのか、進捗状況を伺います。 ◎香山 子ども育成推進課長 現在、区内の私立幼稚園で保育園と同様の保育時間を前提とした預かり保育を実施している園が、幼稚園五園、認定こども園二園、合計七園あり、これらの園はフルタイムで就労する御家庭の保育ニーズに対応するものとなっております。  今般、これまでの保育園と同様の保育時間を前提とした区独自の預かり保育の補助制度に加えまして、保育時間や夏季や冬季などの休園中の開設日数の要件を緩和した制度を構築いたしました。このことにより、例えば週三から週四のパートタイムの方や自営の方が幼稚園を利用して働きたいといった方のニーズに応えることができるようになります。  四月からは、この制度を活用して預かり保育を実施する園が一園ふえます。これにより、私立幼稚園等の預かり保育は、区独自の預かり保育を実施する私立幼稚園が六園、認定こども園が三園、国の補助制度を活用し実施する新設の認定こども園が一園の合計十園となり、これまでよりもさらにふえることになります。 ◆ひうち優子 委員 三園ふえるということで、とてもありがたいことだと思います。  次に、国の子ども・子育て支援新制度において、幼稚園型の一時預かり事業について、職員の配置基準、また教育時間の幼稚園教諭とは別に、預かり保育の専任職員の配置が求められていることなど課題があるとのことでした。  国の制度の活用を含め、区は今後、私立幼稚園の預かり保育をどのように拡充していくのか、見解を伺います。 ◎香山 子ども育成推進課長 国の補助制度による預かり保育事業は、職員の配置基準や東京都による私学助成の対象外となるなどの課題があり、多くの私立幼稚園においては実施が難しい状況になっております。  区といたしましては、国事業について、多くの私立幼稚園が活用できる仕組みに改善するように、国に働きかけてまいります。  また、先ほど御答弁いたしました区独自の預かり保育事業については、幼稚園の保護者の多様なニーズに応えるように見直しを行いました。  今後、実施園の協力をいただきながら実施状況を検証し、預かり保育事業のさらなる拡充について、区立幼稚園等に働きかけてまいりたいと思います。
    ◆ひうち優子 委員 幼稚園の預かり保育の拡充のために努力していただきますよう、よろしくお願いします。  次に、前回の決算委員会に引き続き、学童クラブの延長について質問してまいります。  以前、北沢地区にお住まいの小学生と中学生を持つお母様から、現在、学童クラブは特別な例外ケースを除いて小一から小三が対象となっているが、しかし、渋谷区のように小学校六年生まで延長してほしい。BOPだと十七時まで、冬は十六時半までとなっており、十八時十五分までいられる学童クラブが小学校六年生まであればありがたいとの御意見をいただきました。  平成二十七年度にスタートした子ども・子育て支援新制度において、児童福祉法改正により、学童クラブの対象範囲は改正前のおおむね十歳未満から小学校に就学している児童となりました。これを受け、他自治体、渋谷区や杉並区などでは、小学校三年生から六年生に対象範囲を拡大している自治体もあります。  前回の質問では、今後、女性の社会進出を後押しする立場から、学童クラブを小学校六年生まで延長していただきたいと申し上げました。その後の進捗状況について見解を伺います。 ◎小野 児童課長 区では、学童クラブを基本的には三年生までの利用とし、四年生からはBOPなどの遊び場も活用しながら、放課後の児童健全育成に取り組んでいるところでございます。これは学童クラブで生活面の自立に向けた支援を行い、四年生からは行動力もつき、自分のことは自分でできるようになるので、見守りながら必要に応じた支援をすることが、子どもの成長に大切との考えによるものです。  一方、四年生になってもしばらくは、時間の管理、一人で過ごすことの不安がある子どももおります。今年度、こうした子どもたちについては緩やかな支援として、保護者の御意見や要望も伺い、夏休み終了までを目標に、BOPでの支援を継続することといたしました。  この緩やかな支援の進捗状況ですが、昨年の三月、学童クラブ利用を終了する三年生、八百十七名のうち不安をお持ちの保護者三百十九名と面談を行い、例えば、まだ春休みに家で一人で過ごせない場合、お弁当を持参し、BOPで過ごす。また、時間管理が難しい場合、家に帰る時間を伝え送り出すなどの支援を行いました。この取り組みを通し、子どもたちは徐々に自立し、夏休み終了とともに、全ての子どもの緩やかな支援を終了しました。現在、子どもたちは自信を持ち、BOPや児童館などを利用しながら放課後を楽しんでおります。  区としては、学童クラブと放課後の子どもの遊び場、BOPを一体的に運営する新BOPの特徴を生かし、今後も学童クラブにおける支援に加え、一人一人の子どもの成長に合わせたBOPでの緩やかな支援により主体性を育みながら、職員、保護者、地域、学校とともに、子どもたちを見守り、健やかな成長を支援してまいります。 ◆ひうち優子 委員 以上で質問を終わります。 ○山内彰 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○山内彰 委員長 引き続きまして、自由民主党、どうぞ。 ◆河野俊弘 委員 自由民主党の福祉保健領域の質疑を始めます。  私からはまず、妊娠期からの切れ目のない支援、世田谷版のネウボラについて何点かお伺いいたします。  全国的に少子・高齢化が進展している中、区の子どもの数は毎年増加をしていて、就学前の児童を持つ子育て家庭のその中で約三分の二が祖父母との同居、近居をしていない、核家族化というのが進んでいます。  そこで、最初に伺いたいんですけれども、このような状況の中で、区内全数を対象としている妊娠期面接について、実際に世田谷版ネウボラの開始後、受け入れが可能なのかどうか、あわせて今回の相談支援について、総合支所でなくては受けられない、行かなくてはいけないといった理由についてお伺いします。 ◎後藤 健康推進課長 妊娠期面接は、各総合支所健康づくり課に置くネウボラチームが担当して実施してまいります。妊娠届を出張所等に提出された方につきましては、待ち時間をなく、しっかりと時間をとって対応させていただくため、原則として予約制とする予定です。  平成二十八年度につきましては、年度途中からの開始でもあるため、おおむね五千件を見込んでおりますが、各総合支所二名ずつ配置予定の母子保健コーディネーターを中心に個別面接を実施してまいります。二名体制ではございますが、受け入れは可能な件数と考えております。  面接に来られない方に対しましても、これまでどおり妊娠届の内容やアンケート等からの把握から電話連絡をさせていただいたり、可能な場合には面接につなげていくよう御案内をしてまいりますが、日中の連絡がとれない場合等も想定しまして、医療機関での出張面接や母親学級等の参加時の同時面接などの手法も検討してまいりたいと考えております。  総合支所にお越しいただくことにしましたのは、母子保健の専門的相談から育児の相談まで支援する機能を持つ場所として御紹介することも目的の一つになります。医療的な課題や心配事などにも対応できる専門職員を配置し、これからの育児、母子保健事業を御利用いただく場所として、支援の受け皿になることも御案内してまいります。地域の相談窓口とも連携し、不安や課題を小さなうちから対応していける体制をつくりたいというふうに考えております。 ◆河野俊弘 委員 やはり妊娠期の不安だったり、育児に関する不安というのは非常にデリケートなことであります。妊娠期においては、例えば産婦人科での健診が終わった後、次の健診までの期間で何か不安なことがあった場合に、最初にやはりインターネットで調べることが多いということも聞きます。ただ、インターネット上で出ている情報というのはもう幾多にも広がっていて、その情報からますます不安な状況に置かれていってしまうことも多いと聞いています。実際に今、身近で相談ができて、頼れる人がいないといった状況で、インターネットの情報は必要な情報にたどり着くことが難しく、子育ての不安だったり負担感というのが増している。そして、初めての子育ての家庭に関しては、こういったことがやはり多いと思います。不安感や孤立感が生れる背景にはこういったことがあると私は思います。  例えば産婦人科に電話をして直接聞きづらいと思っていることもあると思うんですね。今回、世田谷版のネウボラというのを行う上で、母子保健のコーディネーターというのを新しく配置しますけれども、そういった方がより身近な存在であったり、それで、母子以外にも家族全体の心身の健康をサポートできるような相談体制になることを私は要望したいと思います。  先ほどの御答弁の中にもありましたが、今回の世田谷版ネウボラで、新しく各総合支所に二名ずつ配置するその母子保健コーディネーターについて、今回、新たな人材の配置ということになりますが、この母子保健コーディネーターに区として求める役割、そして支援体制の強化にどのようにしてつながるのか、区の見解をお聞かせください。 ◎後藤 健康推進課長 母子保健コーディネーターは、助産師、保健師、看護師の資格を有する母子保健専門職として、これまで支援が薄いとされた妊娠期の支援に特化した役割を担ってまいります。妊娠期から子育て期における相談事業や地域との連携が充実することにより、多くの方に寄り添う支援が可能になり、支援体制の強化が図れるものと考えております。また、地域の相談窓口や医療機関等への巡回などにより、ネットワークの強化にもつながるものと考えております。  母子保健コーディネーターの配置により妊娠期における相談支援体制の充実を図ることで、妊娠期から切れ目なく寄り添いながら、子育て家庭をサポートしてまいりたいというふうに考えております。 ◆河野俊弘 委員 この母子保健コーディネーターの要件というのが、助産師、保健師、看護師のいずれかの資格を有する者ということですが、その中でも助産師、保健師の方が望ましいという見解も以前伺いました。  実際に助産師の資格というのは、御存じかもしれないですけれども、看護師の資格を取得してから一年以上の養成期間を経て取得できる資格であります。助産師の資格を持った看護師というのは、看護師としての業務も許されるとともに、助産行為というのも可能でありますから、産婦人科などでは看護師自体も人材不足であるため、双方の人材を求める病院としては、助産師資格を持った看護師は非常に貴重な人材であると言えると私は思います。  そこで伺いたいと思います。母子保健コーディネーターがいる各総合支所に実際行かなければ、妊娠期の面接、そしてその際に配付する子育て利用券というものも受け取ることができないということですが、この妊娠期面接や子育て利用券の配付について、例えば民間の産婦人科など、母子保健コーディネーターの要件を満たす助産師が常勤している医療機関とも連携して実施することが必要であり、そういったことができないかどうか、区の見解をお聞かせください。 ◎後藤 健康推進課長 妊娠期から子育て家庭を支える切れ目のない支援検討委員会でも、区内にある多くの医療機関を地域資源としてネットワークを充実して活用すべきとの御意見をいただきました。  区としましても、医療機関との連携は重要であると認識しておりまして、さまざまな連携の手法を検討しております。  委員からお話しのありました産婦人科などの医療機関での面接につきましては、総合支所で行う妊娠期面接に来ることが難しい妊婦さんでも健診の機会に同じ場所で面接を受けられるのであれば利便性もよいということから、妊婦さんが区とつながる機会をふやすためにも、母子保健コーディネーターを段階的に強化した上で、医療機関への出張面接などの方法を具体的に検討していきたいというふうに考えております。  現状では産婦人科など医療機関から総合支所に、不安や負担を抱えたり、支援の必要があると思われる妊婦さんについて情報の提供をいただき、適切な支援につなげている事例もございます。地域資源である医療機関との連携につきましては、世田谷版ネウボラの構築を進めることで一層強化してまいりたいというふうに考えております。 ◆河野俊弘 委員 御答弁の中に、医療機関への出張面接も視野にということでしたが、既にその医療機関には必要な母子保健コーディネーターの要件を満たす人材がいるという状態でありますから、面接する内容だったりというものを医療機関と共有していくことで、両者の連携につながって、対象者が五千人近くいるということで、やはりこれは業務の負担の軽減にもつながることと考えて、効率化にもつながるのではないかということを考えています。  医療機関で世田谷版ネウボラを行うこの妊娠期面接が可能になり、その中で医療機関から子育て利用券の存在というものを通知してもらえたならば、今回ネウボラを行うに当たって、その世代というのはやっぱり総合支所を知らない方が多いということもあったので、総合支所に行ってもらうこともこの中に含まれているのかなと僕は思っているんですね。  その総合支所に行ってもらうことのある意味、一つのツールとして、今回、子育て利用券というのを医療機関側で通知してもらえれば、受け取り数の向上とともに、総合支所の活性化というのにもつながるのではないかと私は考えております。世田谷番のネウボラの構築を進めるに当たって、医療機関の連携というのも多々申し上げましたが、これからもさらに強めていくよう要望いたします。お願いいたします。  次に、子育て利用券の中身についてですが、ちょっと確認します。先に実施している杉並区で今回やっていますが、その違いというのを具体的に教えていただけますでしょうか。 ◎後藤 健康推進課長 杉並区の利用券につきましては、杉並子育て応援券という名称で、一時保育、子育て相談など、出産後の子育て支援サービス等に利用できる券を出産後に無償、または有償で発行することで、就学前のお子さんがいる家庭の子育てを応援していくということでございます。  一方、世田谷の子育て利用券につきましては、託児や母乳育児相談など、出産後における子育て支援サービスだけではなく、マタニティーヨガやセルフケア講座など、妊娠期における産前のサービスも利用できるように、妊娠期面接の際に無償で配付いたします。  また、区内には子育て支援活動を行っている団体も数多くございますので、サービス提供事業者の参加について積極的に声をかけて、身近な地域で産前産後のサービスを受けることができるように考えてまいりたいというふうに考えております。  育児の孤立化から生じる妊産婦、子育て家庭の不安を軽減するためにも、子育て利用券を通じてさまざまな人や地域とつながりながら、安心して子育てを行っていくきっかけづくりになるように取り組んでまいりたいと考えております。  なお、杉並区におきましても、来年度、二十八年度からはこの応援券を妊娠中から活用できる、産前サービスも利用できるように見直しをするというふうに伺っております。 ◆河野俊弘 委員 今回の杉並の場合は、今までは産後のみということで、今回妊娠中もやるということでしたが、実際に具体的にどういったサービスがあるのかというのを自分なりに調べてみたんですけれども、杉並区の場合は、インフルエンザの予防接種であったりとか、子どもの歯科健診、その子どもの歯へのふっ素の塗布など、そういった部分が人気であるということを聞いています。  世田谷区の今回の子育て利用券についても、今後の利用状況とかを見ていかなければいけないと思うんですけれども、子育て世帯のニーズを聞く体制というのもつくっていただきたいと思っています。その上で区内の事業者に広く呼びかけていただくように要望いたします。  次に、妊娠期から切れ目のない支援の中で、その一体的に構築する上で、かねてより議論されている児童相談所の移管問題について伺います。  今通常国会において児童福祉法の改正案を目指す専門委員会が設置されて、今回、特別区においても児童相談所が設置できるように提言をされていると聞いています。今後、移管に向けた都との検討状況について、現在の進捗をお聞かせください。 ◎百瀬 子ども家庭課長 児童相談所の移管に関しましては、平成二十五年の十一月に一区一カ所、さらには児童福祉司等の増員などとした二十三区としての移管モデルを作成したところです。児童虐待相談件数が年々増加する中では、現在の都の児童福祉司等の配置状況や一時保護所の定員については全国平均からも不足の状況にあること、また、児童相談所と子ども家庭支援センターと見立てが異なって、児童相談所への送致の判断、一時保護、または退所措置の食い違いなどの課題、問題点、こうしたものを掲げ、東京都に提示したところです。  これに対し都側からは、人材確保策や一時保護所の運用などで具体性に欠けるといった御指摘があり、二十三区でさらなる具体化検討を進め、今年度は都区間の検討会により、移管モデルの議論を深める上で浮上してくる個々の課題について、互いの議論を交わしているところです。  また、副区長会としても、昨年六月ですが、都知事に対し職員の派遣などに積極的に協力、その過程で特別区への移管を準備していく旨の申し入れも行ってきたところです。  児童相談所の設置に向けては、引き続き二十三区間での連携を密にして、都との協議などの作業を進めてまいりたいと思います。  一方、今委員からもお話しがあったように、現在、国でも今通常国会への児童福祉法改正案の提出を目指し、有識者を交えた専門委員会により議論が進められ、その中では、特別区も児童相談所が設置できるよう法改正することが提言されているところです。  こうした国の法改正に向けた動向等をも確認しながら、区として必要な対応を図ってまいります。 ◆河野俊弘 委員 児童相談所、児相の設置については、やはり特別区全体でやっていかなければいけない問題だと私も認識しています。世田谷区のみならず、全体で広域に進めなければいけない問題であるということで、今回の児童相談所の移管について、国の動向ももちろんそうですけれども、まずは方針が出た後、東京都の方針を踏まえながら、協議については慎重に進めていただきたく要望いたします。  次に行きます。四月中旬より事業が始まるグリーフサポート事業について何点かお伺いしたいと思います。  グリーフサポートの事業について、そもそも世田谷区として実施すべき事業であるかというのは、私にとってちょっと疑問が残っている点が何点かあります。  生きていく上で死別というのは必ず訪れることで、それにはさまざまな事柄があると思います。そこのことに関しては、行政がどの程度、そしてどこまでかかわっていくのか、相談の窓口として、当事者の支援にどう結びついていくのか、人間誰しも感情の浮き沈みというのはあり、その中で頼るべきものは、友人であったり、ある特定の、これは宗教に頼る人というのもいるかもしれません。さまざまだと思います。  今回のこの事業の応募要件の中に、政治、宗教、または営利目的としないこととありますが、この宗教的な内容に近づいていってしまうことも懸念される中、その中でも、例えば政治的な部分でいえば、世田谷区イコール区長でありますから、区長がこういうことに関心を持ってやっていますよというアピールになるような気もします。  以上の懸念される部分について、世田谷区の見解はいかがでしょうか。 ◎後藤 健康推進課長 親族や友人等、大切な人が亡くなったとき、深い悲しみが長い時間癒えず、さらに自責の念や後悔、怒り、不安など、さまざまな不安定な感情を抱え、誰にも相談できず孤立し、場合によっては医療的な支援が必要になる場合もございます。  心の健康に関する事業は感情に関することにも触れる部分が多く、相談支援の半数は、家族の中の感情の行き違いであったり、抑え切れない感情の発露であったりするものでございます。  また、今日では学術的な研究も進みまして、悲しみを乗り越えて通常の生活に戻っていく過程でグリーフケアを行うことは有効な手段であるということもわかってまいりました。  さらに国では、平成二十八年四月から施行される改正自殺対策基本法におきまして、各区市町村に自殺対策計画の策定を求めており、基本法に規定されております自殺または自殺未遂者の親族に対する心理的影響への支援としまして、今後、区の計画策定の際には、本事業を盛り込んでいきたいというふうに考えております。  以上により、区といたしましては、本事業の必要性の認識に立って事業を進めてまいりたいと考えているものでございます。区がグリーフに係る初期相談窓口の開設や普及啓発事業を行うことによって、グリーフを抱えた方が潜在し、支援が必要であることを広く周知いたしまして、区民が安心して相談できる環境を提供してまいりたいというふうに考えております。 ◆河野俊弘 委員 今回の相談機関というので、今、もともと既にある相談機関で、例えば生きづらさを抱えた若者に対する支援として行っているメルクマールせたがやというのもありますけれども、その中での相談で、原因が喪失体験によるものというものもあり、今回のグリーフサポートケアと実際何が違うのか、明確な位置づけをしなければ、やはり区民を混乱させてしまうことになるということにもつながってしまうかと私は懸念しているところもあります。  保坂区長以後、こういった相談機関というのは何かふえているような気が私はしているんですけれども、今事業と今までの事業とどのような違いがあるのか、その点をちょっとお聞かせいただきたい、お願いします。 ◎後藤 健康推進課長 グリーフサポート事業での相談事業でございますが、死別や離別等により大きな悲嘆を抱えている方を対象としており、相談内容としましては、自死遺族やがんによる遺族などの相談の中に必然的に組み込まれていることも多く、これまではその原因別の自主的な活動が受け皿となっておりました。  しかし、グリーフに特化した相談は、これまでどのような窓口でも話すことができなかった体験や気持ちにしっかりと向き合い、自分で語ることが尊重される中で回復していくための支援が中心となっております。そのため、グリーフの過程、関係機関や仲間の存在を熟知して、寄り添う支援ができる体制を維持していくことが必要というふうに考えております。  お話しのように、若者支援等の生きづらさへの相談支援でも、もともとの原因が喪失体験にある方もいらっしゃるかもしれませんけれども、現状では、今の生きづらさに焦点を当てた支援を希望していることを重視しまして対応してまいります。必要があれば、次の課題であるグリーフへの取り組みにつなげることも想定しております。  さまざまな糸口から相談につながった区民に対しまして必要に応じて連携した対応を行うことで、より適切な支援に結びつけることができるというふうに私どもは考えております。 ◆河野俊弘 委員 そもそもこのグリーフサポートに対する認知度というのがやはりまだまだ低いと私は思っています。対象者も限定されているように思いますし、実際に費用対効果という部分での見解はどうでしょうか。また、事業の今後の評価法についてもどのようにしていくのかお聞きします。 ◎後藤 健康推進課長 グリーフという言葉自体がまだ一般的に使われているものではなく、区民のグリーフに対する認知が低いことは認識してございます。地域には、グリーフを抱え、つらく誰にも相談できずに苦しんでいる人がいることを、まず広く一般区民の方に知っていただくことが必要だというふうに考えております。まずはグリーフの正しい理解が幅広く区民や支援者に浸透し、グリーフを抱えている方が一人でも多く必要とする支援につながることが、この事業の効果だと考えております。  しかし、相談事業における相談件数や普及啓発事業におけるパンフレットの配布数、グリーフの理解促進のための講座の参加数という数値だけではなく、どのような相談内容でどのようにつながったのか、また、講座の参加者の声なども含めて事業の評価をしてまいりたいというふうに考えております。  事業の評価につきましては、外部委員の方にも入っていただいた連絡会を開催し、グリーフに係る情報の共有、相談ニーズの把握や事業の進捗状況の確認を行い、相談事業や普及啓発事業についての評価をしていきたいと考えております。また、本事業は新実施計画事業でも位置づけておりますので、毎年度、進捗状況の把握と評価を行ってまいりたいというふうに考えております。 ◆河野俊弘 委員 今回、広く知ってもらうということも事業の評価につながる部分として、やるのであれば、各地域、実際町会との連携体制というのも必要だと私は思っています。  昨年三月からグリーフケアモデルの事業をスタートしているグリーフサポートせたがやに関しては太子堂に事務所があるということですが、実際に地元の町会長の方のお話を聞くと、一度か二度チラシが入った程度ということで、実際余りかかわりはないということでした。  今回、本格実施をする上で、地元地域との相互の協力体制というのも、こういった自治体との連携というのがあることで支援体制を構築していくのも必要じゃないかと私は思っています。地域自治体が行う行事等々にも積極的に参加してもらうように呼びかけるよう要望しておきます。  最後に、グリーフサポートについての内容で最後ですが、スケジュールというのがちょっと気になっていまして、三月一日に委員会の報告があり、公募が始まって、三月内に選定され、きょうが実は締め切りだと聞いています。そして、四月の中旬には事業スタートということで、非常にタイトなスケジュールなんですけれども、公募状況はいかがでしょうか。 ◎後藤 健康推進課長 選定のスケジュールにつきましては、二月の福祉保健常任委員会で御報告をさせていただいた際にさまざまな御意見をいただきまして、その御意見を踏まえ、事業者選定要件の見直しを行いました。そのためタイトな日程となりましたけれども、公募の基準を満たす最低限の期間を設けまして、三月中の選定とする計画といたしました。  グリーフケアモデル事業として、平成二十五年十二月から実施してまいりましたこの相談事業でございます。区民の相談の場の提供を継続することで、なかなか一歩が踏み出せないでいる相談希望者への支援をすることができると考えまして、四月中の事業開始ができることを要件とさせていただきました。具体的な実施日程につきましては、選定された事業者と協議をし、詳細を詰めてまいりたいというふうに考えております。  お尋ねの応募状況につきましては、本日の五時までを応募期限とさせていただいております。きのうまでの応募状況でございますけれども、既に応募が一件、それから問い合わせのお電話をいただいたのが三件でございます。 ◆河野俊弘 委員 一件ということで、既に決まっているんじゃないかというような感じもするんですが、今後、そのグリーフケアを行う中で、精神的なダメージからさまざまな支援が必要であると思います。重い状態の方もいれば、軽い状態の方もいるし、やはり重い状態の方に関しては、もう実際に医療的なケアというのがなければいけない方も多いと思います。先ほどの地域連携も含めて、今後、区から積極的な提案というのを持ちかけていただくように要望します。  最後になりますが、私のほうからも待機児童対策について一点だけ確認したいと思います。  二十七年度から、今回の二十八年度予算についての実際の取り組みの違いというのをちょっと確認したいと思います。待機児童数は昨年よりも比べて若干下回るのみということでしたが、改めて今年度の取り組みについて伺います。 ◎菅井 保育計画・整備支援担当課長 平成二十八年度におきましても、区民ニーズの高い認可保育園の新設を中心に、小規模保育事業や認証保育所の整備も進め、保育総定員の拡大に努めてまいります。  来年度につきましては、新たに駅周辺にある建物を活用して、低年齢児を対象とした認可保育園の分園を整備し、三歳以降の高年齢児になった際には、園庭も含めた保育環境に恵まれた認可保育園に送迎する送迎保育を実施することや、その分園に対する新たな賃料補助を実施いたします。さらに、新たな待機児対策といたしまして、無認可保育施設の利用者に対する保育料補助、また、私立幼稚園における預かり保育の拡充などさまざまな手段を駆使して、保育を必要とする方々の切実な声に精いっぱい応えられるように取り組んでまいります。 ◆河野俊弘 委員 現在の子ども計画において五カ年の計画ということですが、およそ二万人まで定員の拡大というのを計画している中で、しかしながら、今回の未就学児の人口というのは、世田谷区はどんどんふえ続け、三十年にピークを迎えるという推計でしたが、現在、既にその実数を超えてしまっているという状態です。  このような保育ニーズがますます高まっていく状況もある中、区は来年度、この三十一年度までの整備計画を見直すというのも聞いています。ただ、まずそういった推計をしっかりと行うことが重要だと思います。  近隣住民との合意形成という部分で時間を要するケースもありますが、今後、やはり計画の部分などはしっかりと見直して、今後もスピード感を持った保育施設の取り組みを私からも強く要望させていただいて、質疑を終わります。  安部委員にかわります。 ◆安部ひろゆき 委員 それでは、私のほうからは児童養護施設退所者等の奨学基金について、他会派からも午前のほうでいろいろ質問がございました。我が会派は、三月四日の本会議におきまして、議案に賛成し、可決はしたんですけれども、三月一日の常任委員会での議案の審査に際しては非常に多くの問題を指摘したところでございます。  例えば寄附金で運営を賄うことの担保が不確実なことや、また、国において一定の条件履行による返済免除する貸付型奨学金を創設される、今回の区の給付型給付金との整合性はどうなんだと。また、児童養護施設退所者の支援という観点からも、国や東京都の施策も考慮して、区が足りない面を補完するという考えもあります。今回は広域での対応が考慮されるべきものじゃないかということで、今回の施策については基礎的な自治体の範囲を超えているものがあると。  しかし、対象者、この基金に対してはもう既に周知をしているというふうに聞いております。四月からその奨学金をまさに当てにして生活設計を組んでいる退所者がいることを考えますと、我が会派にとっては本当に苦渋の思いでございますが、今回は議案に賛成したところであります。  そこで伺いますけれども、区は国や都との施策の状況も把握して十分検討を行ってきたんでしょうか。改めてこれまでの検討の経過というのを教えていただければと思います。 ◎片桐 若者支援担当課長 区では、子どもの貧困対策を検討する中で、特に児童養護施設を退所した若者たちが最も過酷な状況に置かれており、平等なスタートラインに立つための支援策の一つとして、給付型奨学金の検討を進めることといたしました。  この間、議会に対しましては、昨年九月三日の福祉保健常任委員会での児童養護施設退所者等に対する住宅支援の実施の報告にあわせまして、給付型奨学金制度を検討していることを報告、また、第三回定例会本会議で二十八年度に向けて学費支援を検討すること、決算特別委員会で基金の設置を検討することについての答弁、十一月及び十二月の福祉保健常任委員会で基金条例の素案及び案の報告、第四回定例会及び本年第一回定例会で、本会議代表・一般質問での基金を活用した給付型奨学金制度の実施内容についての複数の会派からの質問等の対応経過となっております。  一方で国や都の状況につきましては、昨年十二月に国が都道府県を実施主体とした児童養護施設退所者への自立支援資金貸付金制度を補正予算に計上。区は年明けの一月に東京都に内容を確認し、検討。その結果、東京都の制度は家賃や生活費を対象とした貸付制度となっており、区が実施する学費を対象とした給付型奨学金とは異なること。また、東京都の制度が返済免除の条件としている五年間の就業継続につきましては、退所者等の就労実態を踏まえると、全ての退所者等がクリアできる条件ではないこと、同じスタートラインに立つための支援には、退所者等が一人一人の状況に応じて都区の制度を選択し、または併用するべきものと判断し、今回、基金条例案を提案させていただくものでございます。 ◆安部ひろゆき 委員 昨年の十一月、十二月の素案の報告、また、二月にも議案に対する協議をしましたけれども、それまでに国や都道府県の貸付制度については、私は余り詳しく説明を聞いた記憶がないんですね。しかも、第一回定例会までに、私たちに国や都の動向というのを説明していただければ、今回の議決についてはより慎重にもっと協議できたんじゃないかなと思っているんです。その点については大変残念に感じているところであります。  我が会派としても、今後この基金運用を十分に注視していく所存ですが、区におかれましても、今回の給付型奨学金の実施状況は十分に効果を検証していただきまして、国や他の自治体の動向もあるとは思いますけれども、改善、見直しが必要であるというふうに思いますが、今後、区はどのように考えているんでしょうか。 ◎片桐 若者支援担当課長 今回の給付型奨学金につきましては新たな取り組みであり、今後、寄附の状況はもとより、退所者等の大学や専門学校への進学率などの実施状況を把握し、本事業の効果について検証し、適時議会にも御報告をさせていただきます。  なお、三月十日には国の社会保障審議会の専門委員会の報告案が示されましたが、そこでは、不適切な養育を受けた子どもや家庭基盤が脆弱な子どもに対する対象年齢を二十未満とすべきこと。里親などの措置を受けていた児童について、その子の自立した生活につなげるため、二十二歳の年度末まで必要な支援を受けることができるようにする仕組みを整備する必要があることなどが提言されております。また、特別区でも児童相談所を設置できる規定とする必要があるとの提言も含まれております。児童相談所の設置につきましては、その役割として里親や児童養護施設に関する事務も担っているところでございます。
     いずれにいたしましても、こうした国における検討状況を注視していくとともに、まずは今回の給付型奨学金について寄附の御協力の裾野を広げ、基金の持続可能な運営に留意し、一人でも多くの退所者等が未来を切り開いていくことができるよう支援してまいりたいと考えております。 ◆安部ひろゆき 委員 区の先駆的な事業として、単に全国的に先駆けて発信することを目指すような説明に至ることなく、いずれにしても寄附で賄うと言いますけれども、少なくとも最初の運営費は予算がかかるわけです。  今現在、区は庁舎改築など、基礎的自治体として非常に喫緊に区民の生命と財産を守るような重要政策、課題があるわけですから、逆にそういったほうにしっかりと果たしてもらうことを要望します。  次に、がん対策についてなんですけれども、世田谷区のがん対策推進計画の中で、がん教育の推進を行っていくというふうに記載されてあります。文部科学省は、もう既に平成二十四年に新しい学習指導要領の中で、二十六年度にはがんの教育総合支援事業により、既に小学校、中学校に教材資料として小冊子などで準備や、今現場で対応しているというふうに聞いているんですね。  区におきましては、二十七年度、福祉保健においては世田谷区がん推進条例が施行されまして、二十八年度になってがん推進計画が施行されるわけでありますけれども、福祉保健所管が求めているがん教育、もう既に教育委員会で準備をしている内容といろいろな面で若干差異があると思うんですが、福祉保健所管が求めているものはどのようなものなのか、この場でお答えいただければと思います。 ◎後藤 健康推進課長 がんは二人に一人がかかる国民病でありまして、正しい知識を学ぶことは、国民の教養として重要であるというふうに考えております。がんを通して病気予防の概念、早期発見や検診の大切さ、病気の基本や克服といった保健の基本的な教養を学ぶことはふさわしい題材であるというふうに考えております。  区では現在、区立中学校一年生を対象に「がん検診のススメ」という小冊子を配付し、家族でがんについて話し合うきっかけづくりというふうにしております。今後は、さらなる内容の充実が必要と考えております。  今後は、学校教育と連携を強化しまして、児童生徒ががんに関する正しい知識を身につけ、がんを自分の身近に起こり得ることと捉え、がん予防や、がん患者や家族への理解を促進するとともに、将来のがん発生を減少させることができるような取り組みにしてまいりたいというふうに考えております。 ◆安部ひろゆき 委員 今の答弁のとおり、教育委員会でもう既にがん教育の取り組みを行っているわけで、多少の視点ですとか解釈が異なる点はあると思うんですけれども、これからいろいろな面で協議、連携を行っていくものだと思いますが、少し時間が短くなってきたので、先へ飛ばします。  日本癌学会の提唱というのがあるんですね。その中で、日本対がん協会というのが設立されているんですけれども、その協会では、既にがん教育教材の作成であるとか配付、また、専門医等の講師派遣、研修会などを行っているというふうに聞いています。  がん教育を今後行っていくに当たって、現場の教職員のみで対応するのはちょっと不安があるんですね。福祉保健の所管としても、専門医等の活用であるとか、また熟練した講師などの人材は必要と考えていると思うんですけれども、その学校の行事というのは非常に過密でタイトになっているわけでもありまして、ぜひこれからも福祉保健所管におきましても密に連携をとっていただきたいと思っているんですが、これから区としてはどのような方法で進めていくおつもりですか。 ◎後藤 健康推進課長 学校においてがん教育を充実するためには、委員お話しのように、外部の人材を活用することが重要となってまいります。区内にはがん患者の集まりや、活発に活動しているがん患者支援団体等がございます。区のがん対策推進委員会にも、がん経験者の方に御参加いただいているところでございます。  また、これらの団体の中には、専門知識を持った医師と連携して啓発活動を行っている団体もございます。保健所といたしましては、これらの方の協力を得て、学校におけるがん教育を支援していくとともに、がん対策推進委員会においても、がん教育の取り組み状況を報告し、意見を伺いながら、関係機関や教育委員会と密に連携を図り、学校におけるがん教育にかかわってまいりたいと考えております。  なお、がん教育の実施に当たりましては、学校の過度な負担とならないよう配慮が必要と考えておりますので、教育委員会とも連携をとり、調整してまいりたいと考えております。 ◆安部ひろゆき 委員 次は、今回、このがん検診に対して低所得者対策として、住民税非課税世帯の自己負担金の無料化を開始するというふうにあるんですけれども、平成二十三年ですか、受益者負担の考えから、たしか検診事業の自己負担金というのが導入されて現在に至っているんだと。私も医療人としてその施策についてはちょっと思うことがあるんですけれども、区は平成二十七年より胃がん検診、また、本年より全てのがん検診についても導入するというふうになったわけですが、その経緯というのはいかがなものなんでしょうか。 ◎後藤 健康推進課長 がんは、我が国において、先ほども申し上げました、二人に一人がかかる病気と言われておりまして、世田谷区におきましても区民の死因の第一位、死亡者数の約三割を占める重篤な疾病でございますが、早期に発見、治療することで治癒が可能な病気でもあります。早期発見のためには検診の定期的な受診が必要不可欠であると考えておりまして、現在、七種類のがん検診を行っております。  このように、がん検診は区民の生命や健康を守るために大変重要なものでございますので、経済的な理由で受診機会が損なわれることがあってはならないという考えに基づきまして、検診制度を安定的に運営するという基本的な考え方を維持しつつ、低所得者対策を導入したものでございます。 ◆安部ひろゆき 委員 まさに早期に検診を受けさせる、経済的な理由で受診機会が損なわれることのないようにという意味で、一部ではありますが、二十三年度から比べますと大きく方向転換をしているわけでありますけれども、それをまさにがん対策推進条例という大きな条例が出た中で、今回、このように決まったというふうに私は理解しているところです。  一つ、それに附帯して、健康増進法により施行している特定健診、長寿健診、区民健診なんですけれども、同じく住民税非課税世帯にも自己負担金を無料化にするというふうに聞いているんですが、さっき言った、国のがん対策推進基本計画が発展した区のがん推進条例の履行とちょっと趣旨が異なるのかなと私は自分で感じているところなんですけれども、今回の区の低所得者対策はどのような考えから行ってきたのか、それについてもお答えいただけますか。 ◎和田 国保・年金課長 特定健診、長寿健診につきましては、高齢者の医療の確保に関する法律において、被保険者の特定健診を行うことが保険者の役割とされており、区といたしましても、世田谷区国保の保険者として特定健診を実施し、東京都後期高齢者医療広域連合より委託を受けて長寿健診を実施しております。  特定健診等の低所得者対策につきましては、経済的な理由により健診の受診機会が失われるべきではないという考えに基づき実施するもので、システム改修の必要がございましたので、胃がん検診より一年おくれましたが、平成二十八年度より実施いたします。 ◆安部ひろゆき 委員 そういった意味では、まさに区民の健康と命を守ること、今一応問題になっている健康寿命の延伸というのもよく言われていますけれども、やはり全て早期発見、早期治療、最終的には、それがひいては国民の総医療費を削減するというふうな観点なのかな。それにおいては、やっぱり受診率を向上することが必須だと思います。  今回、自民党としても、健康増進法の理念より他の検診についても同じ趣旨として、拡充も必要だと考えているんですが、この件については、区はいかがお考えでしょうか。 ◎後藤 健康推進課長 健康増進法では、区市町村が積極的に推進するよう努めなければならないとされている事業としまして、がん検診のほか、歯周疾患検診、骨粗鬆症検診、肝炎ウイルス検診等が挙げられております。住民税非課税世帯の自己負担無料化の拡大につきましては、システム改修や事業運営経費が増加する等の課題もあり、区の重点的取り組みを求められているがんを含む生活習慣病の予防を主眼に、対象とする検診を決定させていただいたところでございます。  御指摘の件につきましては、今後、無料化した場合の影響等を精査するなど検討を行ってまいりたいというふうに考えております。 ◆安部ひろゆき 委員 検診と医療費削減の因果関係というのはなかなかわかりにくいというか、データ化できない、非常に難しいところなんですけれども、今回の施策で受診率がより向上することによって、医療費の削減効果というのがまさに検証できるような、今回、区のほうでも国保の行っているデータヘルス計画、いろんな面で医療、福祉について検討をしているわけです。そういった意味で、そういったデータとして反映できるようなことができれば、最終的にはより効率的な医療政策に役立てられるものなのかなというふうに私は感じているところであります。  次に、項目は変わりますが、地域包括ケアシステムです。一般質問でも私は質問させてもらったんですけれども、税と社会保障の一体改革をやっている中で地域包括ケアシステムの構築というのが生れているんだよと。そういった意味では、地区の連携、今回、区でも地区連携医というのがありましたけれども、地区での実際の医療連携というのが重要なんじゃないかなと私は感じているところであります。  区内における医療機関はかなりの数に上ります。例えば医科では八百七十六件、そのうち病院が二十五件、診療所も八百五十一件、歯科診療所が七百五十五件、薬局が三百六十九件あるというふうに聞いているんですけれども、毎年、閉院だったりとか開院も多くあるわけです。区民の方々は医療連携という観点から、医療関係者は常に交流があって、面識を持っていると思われるかもしれませんけれども、実際、これだけ数がありますと、同業の中でもお話ししたこともない、お会いしたこともないという先生がほとんどです。  そういった中で、地区のあんしんすこやかセンターの方々や訪問看護ステーションの関係者、私は全く、ほとんど知りません。一部の方だけです。そういった状況で、本当に地区での医療連携なんかできるのかな、まさに顔の見える関係を構築できるのか、ちょっと疑問なんですね。  検索にはいろんなツールがあります。情報を得るにはいろいろありますけれども、例えば保健所が管理している住所ごとの編集をした医療機関名簿、これは閲覧しかできません。または東京都の医療情報センターひまわりというのがあるんですが、あるいは医師会等のホームページ、電話帳ですか、そういったもので調べることはできますが、いずれにしても、そういった情報というのはインターネットの関係でないとなかなか詳しく見ることができない。まして地区全体でというわけにはいかなくて、一件一件チェックしていくという段階で、なかなか使いにくいんだというのが私の実感です。  私が自院でよく利用するのは、これは民間でつくったやつなんですけれども、「医療ガイドマップ」という冊子があるんですよ、これは随分前なんですけれども、二〇〇七年につくったやつ、地区ごとに一覧が全部出ているんです。非常に使いやすくて、今でも私は医療機関の身として使っているのが現実です。  そういった意味で、私みたいに医療関係者ばかりではなくて、やはりインターネットを常日ごろ見ていない方、老若男女を含めてわかりやすい情報提供の手段として、今回、二十七地区ごとに地域包括ケアシステムを構築するわけですから、保健所管轄の世田谷区の医療機関名簿も地区ごとに編集するとか、あるいは今回医療関係者、また保健センター等も含めて協力していただきまして、区民が使いやすい名簿資料というのを利用者に周知、配布することが、まさに医療連携という意味では重要なんじゃないかなと思っているんですけれども、その件に関してはいかがお考えですか。 ◎亀谷 生活保健課長 区内の医療機関の方々には、法に基づいて開設や変更及び休廃止等の際には、必要事項の届け出を世田谷保健所に提出していただいております。  委員お話しの地区別の医療機関情報の管理に関しましては、地域包括ケアシステムの趣旨からも必要な情報であると認識しておりますが、現行システムの変更が必要なことや周知の方法等の課題もありますので、今後、多方面から検討してまいりたいと考えております。 ◆安部ひろゆき 委員 簡潔な答弁をありがとうございます。  先ほど、河野委員も母子保健コーディネーターの話で言っていましたけれども、情報の整備というのがこれから非常に重要なんです。それをぜひ区としてもお考えいただきたいなと私は思っています。  次に、健康せたがやプラン中間報告について、このたび提出された中間報告で、健康に無関心な方であるとか、生活習慣病の方は三十歳から始まるんだよとか、そういった方々は地域の方々とのつながりが余りないんですよとか、先ほど言った健康寿命がなかなか思うように延びないとか、いろんな評価がされているわけです。  私も一応保育園と中学校で毎年、これから虫歯の健診に行くようになります。ちっちゃい子どもは本当に実感として虫歯を探すのが難しいぐらい少なくなっています。でも、やはりだんだん年齢が上に行くに従って、中学生ともなると少しずつ虫歯がふえていって、日常の診療の中でも、二十代、三十代の方がかなり大きな虫歯をつくって多発して来院すると、非常に閉口することも多々あるんです。まさに健康せたがやプランの後期として、健康への働きかけ、地域団体、事業者等との連携、啓発など、今後進めていくと思いますけれども、二十歳から四十歳までの健診機会の脆弱性というのもあると思うんですよね。  例えば区民健診、昨年、二千四十七名だけの受診にとどまっているというふうに聞いています。また、本来区民健診が受けられる人口がどの程度いるのかという、そこら辺のリサーチもできていない。また、歯科健診についても、そこら辺については残念ながら欠落していると思っているんです。  区において、これから健康せたがやプランを今まで以上に周知するとともに、健診機会を拡充することが必要なのではないかなというふうに思っているんですが、その件に関して、区はどのようにお考えですか。 ◎柳原 世田谷保健所副所長 委員お話しのとおり、健康せたがやプラン(第二次)の中間評価では、次のようにプラン全体像の評価をしております。  健康への意識も高く、主体的に健康づくりを実践している人も多くいる一方で、意識があっても実践につながらない人や健康に関心のない区民も相当数いる。区民の死因の六割を占める生活習慣病では、三十歳代からの医療費が高く、性別や年代では気をつける病気や症状に特徴がある。地域の人と人とのつながりでは希薄な面があるが、趣味やテーマなどでつながり、活動している区民は多くいる。区民の平均寿命は延びているが、六十五歳健康寿命は横ばいであるなどでございます。  これらのことから、自分の健康に関心を持つ人をさらにふやしていくこと、健診や保健指導の必要性、周知等も含め、特に働き盛りの若い世代への働きかけは重要であると考えております。  平成二十九年度からの健康せたがやプラン(第二次)後期計画の改定に向けまして、区民みずからが健康にしっかり向き合い、区民一人一人のライフステージに応じた健康づくりを支援していけるよう、地域で活動する団体や事業者など関係機関と連携し取り組んでまいります。 ◆安部ひろゆき 委員 それでは、私の最後の質問になります。緊急医療救護所、今回、新たな提案がありますが、昨年の特別委員会でも質問したんですけれども、その後、直近で十二月三日にも三回目の部会が開催されたというふうに聞いています。多くの関係機関の方々と協議を行って、設置や運営、医薬品の管理などを行っているというふうに聞いていますけれども、今回の緊急医療救護所の配置状況を見ると、木密地域である北沢周辺地区というのが非常に手薄なんですよね。当然災害時は徒歩で移動するしかないんですけれども、徒歩で緊急医療救護所へ行くのは、事実大変困難じゃないかなと。それについて、現在、区はどのようになっているか、教えていただけますか。 ◎柳原 世田谷保健所副所長 緊急医療救護所を設置いたします災害拠点病院、災害拠点連携病院の場所につきましては、委員御指摘のとおり、地域的に偏在していると認識しております。  区といたしましては、現在、各病院と協議して緊急医療救護所の設置を着実に進めていくとともに、東京都地域防災計画に明記されております災害支援病院の役割の明確化、また、搬送手段等につきましても総合的に検討してまいりたいと考えております。 ◆安部ひろゆき 委員 北沢地域の方、区民の方が安心できるよう、早期に対策を練っていただきたいと思っております。  自民党の前半の質問はこれで終わります。 ○山内彰 委員長 議事の都合により、ここでしばらく休憩し、再開後、自由民主党の質疑を続行させていただきますので、よろしくお願いいたします。  それでは、休憩いたします。     午後二時十六分休憩    ──────────────────     午後二時四十五分開議 ○山内彰 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  自由民主党、どうぞ。 ◆石川征男 委員 休憩の後の自民党の福祉領域の質問を始めさせていただきます。  昨年十月の国勢調査で世田谷区の人口は九十万三百九十一人と、九十万台の大台に乗りました。また、区長の記者会見で、二〇四〇年には二十三区で初めて百万人を超えると公表いたしました。世田谷区の人口はますますふえていく傾向です。  これに反し、国は人口減少、少子・高齢化、貧困、格差などの諸課題に対し、全ての人が活躍できるチャンスを創出するため、政策を総動員して取り組み、一億総活躍社会の実現を目指しております。一億総活躍社会の実現に向けた三本の矢の一つ、介護離職ゼロのためには、地域包括ケアシステムの構築に向け、必要な介護サービスの確保を図るとともに、働く環境改善、家族支援を行うこと、介護のために離職する状況を防ぎ、働き続けられる社会の実現が必要です。第三の矢、安心につながる社会保障、介護離職ゼロを目指して、総務省の平成二十四年の調査によると、十万人の離職者のうち六万人がやむを得ず離職したとのことです。そのためには、施設サービスだけでなく、在宅サービスの充実や介護サービスを支える介護人材の確保が不可欠です。  人口がふえていくことは喜ばしいことですが、これにつれて高齢者人口の伸び率が問題かと思われます。二〇二五年には団塊の世代の人たちが後期高齢者に入ります。二〇二五年問題として以前から問題視されておりました。本日は、世田谷区の二〇二五年に向けた高齢者施策について伺ってまいりたいと思います。  二〇二五年問題とは、皆様も御存じかと思いますが、一応お話しさせていただきます。団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者になる年です。四人に一人が七十五歳という超高齢社会が到来します。医療、介護、福祉サービスへの需要が高まり、社会保障財政のバランスが崩れるとも指摘されております。世田谷区の総人口が二十八年一月現在で八十八万三千二百八十九人、そのうち六十五歳以上の高齢者人口は十七万七千五百三十七人、七十五歳以上の後期高齢者は八万八千五百九十七人とお聞きしておりますが、平成二十七年十月一日付の国勢調査で九十万三百九十一人と発表がありましたが、それは住民票が移っていない方々、特に学生さんではないかと思っております。  次に、二〇二五年の高齢者、後期高齢者の予想数は、高齢者十八万二千八百二人、後期高齢者十万四千五十一人と聞いておりますが、両数値とも非常に少ない数値ではないかと思います。高齢者十八万二千八百二人は、平成二十八年一月一日の人口十七万七千五百三十七人より五千二百六十五人の増加です。率にして二・九%増です。十年間ですので、一年間にすればコンマ以下の数字です。また、後期高齢者数の人数十万四千五十一人は、平成二十八年一月一日の人口八万八千五百九十七人より一万五千四百五十四人の増加です。率にして一七・四%増です。十年間ですので、一年間にすれば一・七四%です。非常に低い数値です。このような低い数値で二〇二五年問題と言えるのか、疑問でなりません。  私の推測では、二〇二五年の後期高齢者は十一万六千二百三十九人、ことしより二万七千六百四十二人増加を見込んでいます。率にして三一%です。三一%の数字の根拠は、平成十九年の後期高齢者の人数と平成二十八年一月の後期高齢者の増加の割合で示しております。あるいはまた、平成十九年の五十五歳から五十九歳の人たちが五万六千七百三十七人いて、それが十年後になると平成二十八年には四万九千八百七十三人、率にして一二%少なくなっている。これを実は五十五歳で一二%低いものを掛けていくと、六十五歳は四万三千八百八十八人で、平成二十八年の三万二千百七十四人より一万一千七百四十一人多い、こんなふうな計算をしております。  私は六年前に、世田谷区で高齢者がますますふえていくから、縁組している群馬県の川場村に特養を整備してはと提案してまいりましたが、二、三年後に杉並区が静岡県と地域連携をしたり、昨年は豊島区が秩父市と提携をしております。そこで伺います。区はCCRCに対してどのように認識し、取り組んでいくのか、お伺いします。 ◎瓜生 高齢福祉課長 日本版CCRC構想は、東京圏の高齢者がみずからの希望に応じて地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療、介護が必要なときには継続的なケアを受けることができる地域づくりを目指すものです。  区では、住みなれた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現に向け、住まいを初め、医療、介護予防、介護、生活支援サービスが身近なところで利用できるよう、区民、事業者等と連携協力して協働して、地域包括ケアシステムの構築を目指しております。また、今年度実施しました世田谷区の区民意識調査におきまして、定住性については、区に住みたいと思うと回答した方がほぼ八割で、中でも女性の七十歳以上の方では九割近くと高くなっております。  一方、自治体間の交流や連携は、区民の豊かな暮らしの実現や地方と都市の相互の発展に大きな可能性を持つため、お元気な方を含む高齢者施策全体の中で、本人や家族の意向の尊重を最優先にしながら、柔軟な発想を持ち、幅広く検討してまいりたいと存じます。 ◆石川征男 委員 日本版CCRC構想はまだはっきりわかりませんけれども、二〇四〇年には、世田谷区では人口が百万人に達するとのこと。団塊ジュニアが高齢者の仲間入りをする年代です。平成十九年に私が当選した当時、都立梅ヶ丘病院跡地をいかに活用するか、活発に議論されておりました。いまだ完成に至っておりません。大型施設を整備するには大変な時間がかかります。ぜひとも研究していただきますようお願いしておきます。  介護離職ゼロのためには、地域包括ケアシステムの構築に向け、必要な介護サービスの確保を図るとともに、働く環境改善、家族支援を行うこと、介護のために離職する状況を防ぎ、働き続けられる社会の実現が必要です。そのためには、施設サービスだけでなく、在宅サービスの充実や介護サービスを支える介護人材の確保が不可欠です。現在、区内には特別養護老人ホームが十九カ所、千四百五十二人、介護老人保健施設が八カ所、七百五十六人、特定施設入居者生活介護、いわゆる有料老人ホームが六十三カ所、三千九百九十人、認知症高齢者グループホームが三十九カ所、七百四十七人、小規模多機能型居宅介護は八カ所、都市型軽費老人ホームが五カ所、九十人整備されていると聞いておりますが、それでは、二〇二五年には施設の整備状況はいかがになっているかお聞かせください。特に特養についてお聞かせください。 ◎瓜生 高齢福祉課長 御指摘のとおり、二〇二五年に向け、今後さらに要介護高齢者や認知症高齢者、ひとり暮らし高齢者がふえていく中、特別養護老人ホーム等の施設整備も大変重要になると認識しております。第六期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画では、特養は二〇二五年までに区内の地域ごとに一カ所以上、認知症高齢者グループホームと地域密着型特養はいずれかが日常生活圏域に一カ所以上、小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護もいずれかを日常生活圏域に一カ所以上整備するとお示ししております。  特養につきましては、二〇二五年までに千人分の整備を目指し、今後三年間で国有地三カ所、都有地一カ所、区有地二カ所、合計六施設、約三百八十人分が整備されるほか、国有地活用について国で審査中のものが新たに三カ所ございます。さらに、大規模団地建てかえにあわせ整備できるよう要望しており、区内での千人の特養整備の見込みが立ってきております。 ◆石川征男 委員 今、特養のことをお聞きしましたが、全体を通じて千人ということですが、それで足りるのか、そしてまた、特養はどことどこをつくるのか、お聞かせください。 ◎瓜生 高齢福祉課長 特別養護老人ホームの入所に当たりましては、特養と区で作成しました世田谷区特別養護老人ホーム入所指針に基づき、ポイントの高い方から入所できるように、各施設の入所判定会議で入所者を決定しております。区では、二〇二五年の高齢者人口や要介護高齢者数を予測し、要介護度、介護期間、介護者等の状況、行動・心理状況の四項目のポイントの入所指針を踏まえ、入所希望者の意向、既存施設の入所可能数等を勘案しまして千人分と見込んだものでございます。  特養につきましては、この三年間で深沢一丁目、船橋六丁目、成城三丁目、上北沢一丁目、下馬二丁目の二カ所におきまして整備予定でございまして、約三百八十人分が整備される予定でございます。また、計画的に特養や認知症グループホーム等の整備誘導に努めるほか、訪問介護や短期入所生活介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの地域密着型サービスの充実も図り、誰もが住みなれた地域に住み続けられるよう取り組んでまいります。 ◆石川征男 委員 施設整備にも取り組んでいくことがわかりましたが、介護離職ゼロを目指すためには在宅サービスの充実も不可欠です。施設サービス、在宅サービスを充実させるためには、そこに働く介護人材の確保が不可欠です。現在も介護人材不足が課題と言われているが、今後、施設整備を進めて在宅サービスを充実していく中で、人材確保は喫緊の課題と考えます。  そこで伺います。介護人材の確保は大丈夫なのか、区の見解を伺います。 ◎瓜生 高齢福祉課長 都内における介護サービスの有効求人倍率は、平成二十八年一月時点で四・二一倍となっております。また、介護サービス事業系のハローワークの区内の求人は、訪問介護やグループホーム、有料老人ホームなど二百件を超え、また、訪問看護など看護師の求人も六十件を超えるなど、事業所から多くの求人が寄せられており、厳しい状況にあると認識しております。  介護離職ゼロを目指し、在宅及び施設サービスを充実していくためには、介護人材の確保は大変重要と考えております。都の介護職員の需給推計では、平成三十七年度に約三万六千人の介護職員が不足すると見込んでおります。区では、介護人材確保の取り組みとして、福祉の仕事説明などの入門講座のほか、区内介護施設等のバス見学会、ハローワーク等と連携した就職面接会や相談会などを実施しております。また、介護人材の養成、確保を目的とした介護職員初任者研修の受講料助成や潜在看護師の就労支援として講演会や研修、職場体験などを実施しております。  一方、都では、介護福祉士や訪問介護員の資格をお持ちの離職中の方に対する再就職支援事業や、介護業務への就労を希望する離職者等に対する介護施設での雇用と資格取得支援を行うトライアル雇用事業を行っております。また、介護福祉士の養成施設に在学中の方に対する修学資金の貸付制度など、さまざまな取り組みを実施しております。従来からの区独自の取り組みに加えまして、都の制度も十分に活用しながら人材確保に取り組んでまいります。 ◆石川征男 委員 今話題になっている老齢破産の本を読ませていただきました。今、大変多くの高齢者が破産をしている状況でございます。一つの例といたしまして、昭和三十年代に集団就職で地方から上京し、いろいろなお店等に就職いたしました。そして、六十歳、六十五歳で定年になって、やれやれと思って少々のお金をためておりました老人、今、七十八歳、八十歳になってきております。少々ためたお金一千万円を、実は毎月十万円ずつおろして生活費に充てていたというようなことがたくさんその本に載っておりまして、NHKのプロジェクトXでも非常に話題になったところでございます。  そのようなことを思うと、果たして世田谷区の二十七年のときの福祉サービスでひとり暮らしの高齢者の世帯がどうなっているのかお聞きしたいと思います。例えばひとり暮らし高齢者が四千四百七十二人、高齢者のみ世帯の方は一千八百三十二人と聞いております。今後も高齢化が進展していく中で、ひとり暮らし高齢者はふえていくと予想されます。区内では毎年、誰にもみとられずに亡くなっていくいわゆる孤独死と言われる方が五十人は発生しています。そのような中、安心して住みなれた家で暮らし続けるためには、見守りの充実を図ることが大変重要と考えております。  そこで質問いたします。区の見守りの取り組みをお聞かせください。 ◎瓜生 高齢福祉課長 高齢化が進展する中、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯の方がふえていることから、区では、地域住民や関係団体等による地区見守りネットワークやあんしん見守り事業、民生委員ふれあい訪問、高齢者安心コールなどの高齢者を見守る施策を推進し、安心安全に暮らせる地域づくりに取り組んでおります。また、ごみの戸別収集や配食サービスなどに加えまして、支援が必要な高齢者等を早期に把握し、適切な対応を図るため、世田谷新聞販売同業者組合、東京都水道局、東京ガス、東京都住宅供給公社、都市再生機構などの住宅、生活協同組合の五団体、公衆浴場組合と高齢者の見守り協定を結んでおります。協定を通しまして、事業者からも地域の気になる情報が寄せられており、事業者による安否確認も進んできていると認識しております。  また、協定締結団体に参加いただき、高齢者見守り協定連絡協議会を開催し、安否確認や緊急時対応などの情報共有を行い、連携及び協力体制の強化を図っているところでございます。見守りの取り組みをさらに進めるため、配達などで地域の状況を把握し、異変に気づきやすい宅配事業者等と新たに協定締結をこれから行ってまいりたいと考えております。地域住民や事業者、関係団体等、見守りの取り組みを通しまして、誰もが住みなれた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域づくりに取り組んでまいります。 ◆石川征男 委員 住みなれた地域で住み続けられることは大変望ましいことと思いますが、都市部に人口が集中する中、日本創成会議で示された日本版CCRCなども研究して、高齢者施策をしっかりやっていただきたいと思います。特に日本版CCRCについてちょっとお話をしてみたいと思います。  CCRCとは、高齢者が健康なうちに入居し、必要に応じて介護や医療のサービスを受けながら、人生最後のときまでを過ごせる生活共同体のこと。一九七〇年から米国で急増し、全米に約二千カ所が設置されている。CCRCとは、コンティニューイング・ケア・リタイアメント・コミュニティーの略で、日本語で、継続的なケアを提供する高齢者向けコミュニティーという意味だそうです。  それで、私は、二〇四〇年の百万人体制が来る世田谷にぜひともこのような施設を、実は川場と思っていましたが、どちらかというとちょっと遠いので、この世田谷の近くで土地の安いところを見つけて、(「狛江」と呼ぶ者あり)そのような声もかかっておりますが、これから二十五年の研究を重ねて、ぜひ百万人のときには高齢者が安心して、世田谷に住んでよかった、そのような――皆さん、ちょっと聞いてください。五十年か、元気のうちは世田谷です。それで、少々高齢者になってしまったなと思う意識のあるうちにそちらのほうへ移住していただくような形をとってもらう、そのような社会を目指して、世田谷区もしっかりとやっていただきたいと思うんです。  実は、前からお話ししているように、川場村のことは六年前にお話しして、杉並区とか、あるいは豊島区もそのような方向で研究をしているところでございます。世田谷区でも、ぜひとも立派な施設というよりも住みやすい施設をつくっていただけるようしっかりとやっていただいて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。それでは、同じ石川委員にかわります。 ◆石川ナオミ 委員 それでは引き続きまして、今度は石川ナオミが質疑をしてまいります。  先日、私が担当いたしました企画総務領域の質疑で、行政経営改革――行革のことについて、税外収入の確保について取り上げました。この福祉保健領域でも、行政改革として区が取り組んでいます債権管理の適正化と収納率の向上について伺ってまいります。この債権管理、それから適正化、収納率というちょっと小難しい言葉が並んでおりますけれども、わかりやすく申し上げますと、私たち区民が支払う国民健康保険料ですとか特別区民税といったものを例えば滞納してしまった場合、行政側から速やかに支払ってくださいというような督促が来ますけれども、そうしたことをすることによって滞納の未然防止などを図り、収納率を上げていこうというものです。これは昨日の読売新聞の一面に大きく掲載をされておりました。ですから、債権管理の適正化というのは、今やもう行政が取り組むこと、当たり前に取り組んでいかなくてはいけないというようなことと言っても過言ではないと思います。  そこで、本題に入ります前に、まずこちらをごらんいただきましょう。皆様には見えないかもしれませんけれども、世田谷区の財政状況の資料に収入未済の推移が掲載されていますので、抜粋をいたしました。この資料によりますと、特別区民税は平成二十五年度から平成二十六年度にかけては縮減しているんです。一方、こちらの国民健康保険料は、平成二十二年度からこの平成二十六年度までほぼ横ばいというようなことがこのグラフからも読み取れます。つまり、この五年間横ばいということですから、滞納者がいても、もしかするとそこに対しての対策をとっていなかったのではないかなというようなこともうかがえます。  そこで、適正な債権管理を行うためには、区の職員の人員体制も大きくかかわってまいります。まず、この人員体制について着目をします。世田谷区債権管理重点プランの進捗状況によりますと、平成二十六年度の特別区民税の未納者はおよそ四万九千人ということでしたが、さて、国民健康保険料の未納者は何人でしょうか。答弁を求めます。 ◎吉田 保険料収納課長 国民健康保険料の未納者数ですが、約四万三千人となっております。 ◆石川ナオミ 委員 特別区民税は四万九千人で、そして国民健康保険料が四万三千人ということでしたよね。それほど大きな違いはないというようなことです。一方で、特別区民税と国民健康保険料に関しましては、直接徴収部門に携わる正規職員の職員定数は納税課が三十六人ということでしたけれども、保険料収納課は何人なんでしょうか。 ◎吉田 保険料収納課長 保険料収納課は十四人です。 ◆石川ナオミ 委員 十四人ということですね。そうしますと、国民健康保険料の収納課は、納税課に比べて人数が少ないというようなことですよね。その少ない人数で対応していらっしゃるというようなことでしょうか。当然ながら、職員の人数が多ければ、ここに問題になっています、横ばいになっています収納率が余り上がっていないということなんですけれども、収納率が上がってくるということでしょうか。いかがでしょう。 ◎吉田 保険料収納課長 なかなかお答えが難しいところではあるんですけれども、徴収部門はマンパワーがどうしても必要な仕事となりますので、仮に人がふえてくればということになりますけれども、そうした場合については効果があらわれるのではないかというふうには思われます。 ◆石川ナオミ 委員 この収納率の向上に関しましては、人員体制にも課題がもしかしたらあるかと思います。本日は保健福祉領域ですので、区の人員体制については改めて別の機会に行います。ここでは課題提起にとどめておきます。  こうした実態状況を踏まえまして、債権管理の適正化と収納率の向上は、今後も持続可能な税制運営を行っていく上で重要な課題だと言えるのではないでしょうか。そこで、国民健康保険料について、今年度の収納・債権管理に関して具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか。答弁を求めます。
    ◎吉田 保険料収納課長 国民健康保険料の債権管理に関しましては、現年度徴収の強化として、今年度より督促状をこれまでの二カ月に一回から毎月発付に変更し、早期の未納防止に努めました。また、執行体制の見直しとして、未納者に対して財産調査を強化するため、課内の執行体制を見直し、昨年七月に徴収部門に専門の財産調査チームを設置いたしました。さらに、個別催告の実施強化として、未納者に対する年四回の一斉催告のほかに、納付相談がない、または分割不履行等、一定期間納付がない未納者に対し、昨年八月から現年度より過年度分の個別催告を実施しております。一方で、未納者の債務が整理されれば生活再建を図ることもでき、今後の未納を予防することにもつながるため重要なことと考えております。こうした戦略的な取り組みにより収納額と収納率の向上に努めているところです。 ◆石川ナオミ 委員 戦略的に行ってきたというようなところでしょうか。  では、もう一度パネルをごらんいただきましょう。ずっと横ばいでしたこの平成二十六年度までなんですけれども、二十七年度はさて、どうだったでしょうかというようなことなんですが、どのような影響、効果があったでしょうか。今年度はいかがでしょう。答弁を求めます。 ◎吉田 保険料収納課長 平成二十八年二月末現在ですが、昨年度の同時期と比較しまして、現年度の収納率は一・二%の増加、滞納繰越分は〇・四%の増加、合計の収納率は〇・九%の増加となっております。また、委員がお示しされたそのパネルですけれども、収入未済額ですけれども、現年度分は四億七千九百万円の削減、滞納繰越分は四千百万円の削減、合計で五億二千万円の削減となっております。これらの効果によりまして、東京都よりインセンティブとして今年度五千五百万円の交付金が、仮に今年度と同じ条件とした場合ですが、来年度は六千八百万円増加の一億二千三百万円の交付金が得られるものと見込んでおります。 ◆石川ナオミ 委員 その収入未済額なんですが、五億二千万円と大幅な削減になっているということなんですね。一方で、支払いの困難な方には、財政状況等を踏まえまして徴収を免除するなど適切な見きわめ、判断をしていくことも重要ではないでしょうか。このあたりの状況はどのようになっているでしょうか。あわせて伺います。 ◎吉田 保険料収納課長 財産調査等により徴収しないと判断した額、滞納処分の執行停止額ですけれども、昨年度の一億五千二百万円に対しまして、二・八倍の四億二千四百万円となっており、生活再建に配慮した再建管理も進めているところです。 ◆石川ナオミ 委員 一方的に払ってくださいというふうに取り立てをするのではなくて、生活再建についても考慮しながら収納率の向上に努めているということなんですね。  また、収納率を上げるという点では、収納しやすい、払いやすいという環境整備も必要になってくるのではないでしょうか。ということで、国民健康保険料は、平成二十九年度からクレジットカードでの納付が可能ということになります。このクレジットカードにつきましては、私が再三取り上げておりますのでまたかと思われるかもしれませんけれども、このクレジットカードの納付が可能になりますと、どのようなことが期待できるでしょうか。本日は専門所管の立場から御答弁を願います。 ◎吉田 保険料収納課長 クレジットカードでの納付により期待できる効果につきましては、区民の利便性の向上と債権管理事務の効率化につながるものと考えております。まず、区民の利便性向上としましては、自宅等にいながらパソコン、スマートフォンから二十四時間納付が可能となります。また、現在、コンビニエンスストアでは三十万円以下の納付ですが、三十万円以上の納付が可能となります。  次に、債権管理事務の効率化としましては、期限内の納付が増加し、納付期限後二十日以内に発送しなければならない督促状の送付が減少すること、納付の利便性が向上することで収納率の向上が見込めること、クレジットカードでの納付の場合は、区が指定する指定代理納付者が本人にかわり区に納付するため、債権管理義務の効率化につながること、納付した情報を電子データで取得するため業務の効率化が図れることなどの効果があると考えております。 ◆石川ナオミ 委員 お支払いいただきやすい環境整備をしていくことも大切だということも言えるかと思います。また、この収入未済の推移からも、今年度はかなりがくっと下がってくるということがありますので、やはりこうした五億円前後の効果額が出ているということは、職員の皆様の御努力もあったのではないかなというふうにも思われます。行革という視点からも効果が出ていますし、十分に貢献をしているということですから、引き続き職員の皆さんには一丸となって取り組んでいただけたらなというふうに思います。さらに収入未済額を減らすようにお願いをしたいというふうに思います。  それでは次に、いよいよ来月四月一日から施行されます障害者差別解消法について伺います。先月の東京新聞に掲載されました内容で、障害者差別解消法施行に伴い、国からは障害者差別解消支援地域協議会の設置を求めたのですが、全国千八百の自治体でほとんど準備が進んでおらず、そうした中で、世田谷区ではほかの自治体に比べて進んでいる、世田谷が先駆的に出ている、いろいろと活動しているというような記事が出ておりました。  そこでまず、障害者差別解消支援地域協議会、これはどういった会で、また今後、差別解消法においてどのような位置づけになるのか伺います。 ◎若林 障害施策推進課長 四月に施行されます障害者差別解消法では、第十七条で、国と地方公共団体の機関が地域における障害者差別に関する相談等について情報を共有し、障害者差別を解消するための取り組みを効果的かつ円滑に行うネットワークとして障害者差別解消支援地域協議会を組織できることとされております。なお、設置に当たりましては、必ずしも新たに設置するのではなく、既存の障害者施策に関する会議体を活用して差し支えないことなどが示されております。  区では、障害者差別解消支援地域協議会の役割として、国が提示しています複数の機関等によって紛争の防止や解決を図る事案や関係機関等が対応した相談事例の共有等を行うために、障害当事者の方々を初め、弁護士や医師、相談支援事業者などで構成される既存の自立支援協議会に障害者差別解消の機能を付加する形で、四月に障害者差別解消支援地域協議会を設置することとしております。区といたしましては、障害者差別解消法の実効性を高めるために、障害者差別解消支援地域協議会とともに、地域における実情を踏まえた主体的で実効性のある取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。 ◆石川ナオミ 委員 この障害者差別解消法がより実効性の高いものになるような、法の手足になるというようなことなんですね。ですから、この障害者差別解消法と協議会が両輪となっていかなければうまく進んでいかないといったところでしょうか。  さて、この障害者差別解消法に向けましては、区ではガイドブックの作成をしているということですが、どのような点に今回注力をしたのでしょうか、伺います。 ◎若林 障害施策推進課長 四月の障害者差別解消法の施行に向けまして、区では、三月末を目途に障害を理由とする差別の解消を推進するため、区の基本的な考え方を定めました基本方針と、職員が適切に対応するための職員対応要領を策定しております。職員それぞれが障害者と接する際には障害特性に応じた対応が求められることから、当事者団体の方々の御協力をいただき、例えば知的障害の特性として、考えたり、理解したり、読んだり、書いたりする等の知的な機能に発達のおくれが生じることから、対応としては質問や説明は簡潔な文章でわかりやすい言葉を選んで行うなど、その特性の概要や具体的な対応の例をまとめて職員向けのガイドブックとして作成を進めております。なお、策定後には区のホームページ等で公表をしてまいります。なお、策定中ではございますけれども、この間の施行前の職員研修でガイドブック案等を活用し、合理的配慮の提供の考え方などについて研修を行っております。  一方、障害者差別解消法第四条では、国民の責務として、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならないとされていることから、区民に対してはこれまで以上に障害理解の促進を図るとともに、障害者差別解消法の趣旨を理解できるよう、さまざまな機会を通じて働きかけてまいります。  こうしたことを踏まえ、区では、法律が施行される四月一日前後を集中的な周知期間と位置づけまして、三月二十八日の直前講演会や区役所庁舎外壁への横断幕の掲出、四月一日当日の記念セレモニーなど、広く区民の皆様に対して障害者差別のない町世田谷に向けて普及啓発活動を進めてまいります。 ◆石川ナオミ 委員 今、私の胸元にもこの黄色のリボンをつけておりますけれども、これも職員の皆さんが結構つけていらっしゃいますよね。これも障害者差別解消法を皆さんに知っていただくというような意味合いでも、キャンペーンとしても広く皆さんにこれからも知っていただけたらというふうに思っております。  啓発活動ということにおいては、今後、非常に力を入れていかなくてはいけないかというふうに思います。私もこのガイドブックを実際に拝見いたしました。実際に障害をお持ちの方の特性ですとか、どのようにそのときに対応したらいいのか、望ましい対応なのかということなどが具体的に示されていて、非常によくできているなというふうに拝見いたしました。このガイドブックは、区民の皆様にもホームページ等でごらんいただけるということでした。実は、私の知り合いでも視覚障害の方がいらっしゃいますが、その視覚障害の方から、このガイドブックの音声版をつくっていただきたいというような声もありましたし、また今後も、区が提供する文書等も積極的に音声ガイドをつけて出していただきたいというような御要望もありました。こういった声についてはどのように対応されますか。 ◎若林 障害施策推進課長 区の職員向けガイドブックにつきましては、三月末の完成後は区のホームページに全文を公表することとしており、職員だけではなく、どなたでも閲覧していただけるように考えております。これまでも、区民に対する情報提供については、区のホームページにテキストデータで掲載することによって、視覚障害者の方でもパソコンの読み上げソフトを御利用いただくことにより音声による情報提供が可能となり、情報アクセシビリティーの向上を図ってまいりました。今後はさらに、音声や点字による視覚障害者への情報提供を初め、漢字にルビを振ったりかみ砕いた表現を用いるなどのわかりやすい版の作成など、障害当事者の御意見を伺いながら、それぞれの障害特性に配慮した情報提供を進めてまいります。 ◆石川ナオミ 委員 今後も障害をお持ちの方の声をどんどんと取り入れていただけたらなというふうに思います。  さて、障害者差別解消法では、合理的配慮の提供が義務づけられ、職員の皆さんの適切な対応力ということが高く求められてまいります。今後の具体的な取り組みについて伺います。 ◎若林 障害施策推進課長 昨年七月に実施をいたしました内閣府のアドバイザー派遣制度を活用した研修を初めといたしまして、これまでに合計三回の研修を実施してございます。学識経験者や弁護士などの専門家を初め、視覚、聴覚、精神などの障害当事者の方を講師にお招きして、差別と感じる事例の解説や望ましい合理的配慮の例などについて、直接具体的に学ぶ機会を設けております。これまでに約千人の職員や指定管理施設の職員等が受講しております。また、二十八年度以降につきましては、新規採用職員研修を初め、実務担当者向けの研修や管理職研修など、障害者差別解消法とともに、障害理解に関する研修などを実施いたします。  しかしながら、集合研修だけでは受講人数に限りもあることから、私どもの部長会や庶務担当課長会などの職員周知の場を活用するとともに、先ほどお話をいたしました職員向けのガイドブックなどを活用した各職場での職員研修など、あらゆる機会を捉えた研修や障害者差別解消法の趣旨を繰り返し周知徹底してまいりたいと考えてございます。 ◆石川ナオミ 委員 研修を重ねて、これまでも恐らく職員の皆さんは研修を続けてこられたというふうに思います。さあそこで、せっかくですので課長に、ガイドブックから、これは何かというところを伺ってみたいと思います。しっかりとこのガイドブックを御理解いただいているということでしょうから、隅から隅までごらんいただいていると思いますので、それでは、きっととても簡単な問題だと思います。さて、こちらのマークですが、こちらのマークは何のマークでしょうか。これもこのガイドブックの中に出ておりますけれども、突然質問しておりますが、お答えいただけますでしょうか。 ◎若林 障害施策推進課長 そちらのマークはチョウチョウのマークになっておりますが、聴覚障害者の方が運転をする場合につけていただくマークになってございます。 ◆石川ナオミ 委員 こうしたマークなども、私たちは目にするようで意外とこの意味がわからないというようなこともありますが、こうしたことを広く皆さんに知っていただくためにどのように取り組んでいけばいいというふうに考えていらっしゃいますでしょうか、伺います。 ◎若林 障害施策推進課長 マークというのは非常に象徴的な意味を持っておりますし、また、それによって助けられる方もたくさんいらっしゃるというところでございますので、区の職員としては、やはり知らないということではいけないと思いますので、このたびつくりますガイドブックの冒頭のページに、今おっしゃっていただいているように、十種類ほどのマークを掲載させていただいております。それでまず、そういったことをよく認識するとともに、私どもはもともと「障害者のしおり」というものも作成しまして、そちらにも掲載をさせていただいておりますので、日常的な場面でそういったものをよく認識し、また、支援の必要な方というのを常に意識しながら仕事をしていくというところで、改めてそういったものとして活用させていただければというふうに思いますし、また、支援がどういった意味があるのかというところは象徴的な意味ではありますので、お一人お一人にきちっとお話を聞いて、その方に必要な支援をきちっと差し上げるというようなことが必要になってくるかと思います。 ◆石川ナオミ 委員 しっかり御答弁ありがとうございます。そうですね。皆さんにしっかりと認識をしていただくということも必要になってくるかと思います。  先ほど、これから職員の皆さんも研修を重ねていくということのお話がありました。実は、私もこれまで職員の研修の講師を務めさせていただくことなどもございました。そうしたときに感じたことは、ちょっと手前みそになりますけれども、やはり研修をしたとなると、知ったということで知識だけが先行してしまって、それで満足をしてしまうというようなケースが出てまいります。知っているということとできるということは違います。ですから、こうした立派なガイドブックがありますが、単なる知識の習得だけではなくて、しっかりと実践をしていただいてこそ初めてこうしたガイドブックが生きてくるということだと思います。ぜひこれからも、皆さん、意識改革と、そして障害をお持ちの方々に本当に心から寄り添った対応をしていただきたいという要望を上げておきます。  それでは最後に、介護職員の介護職の定着について伺ってまいります。  先ほど、石川征男委員から、介護職の人材確保という角度から質疑をいたしましたので、私はさらにその延長といたしまして、介護職員として長くお勤めいただくために、区としてはどういう施策を打っていくのかということについて伺います。  介護職員不足が懸念される中、先ほど石川征男委員からもありましたが、東京都の介護職員は平成二十九年度にはおよそ一万五千人、そして、団塊の世代が後期高齢者となる平成三十七年度にはおよそ三万六千人の不足が見込まれているんです。また、介護従事者のうち、正規職員の離職率一五・六%。全産業の平均の正規職員の離職率が一一・六%ですから、介護職の方々の離職率が高いという数字が出ております。  そこで、伺ってまいります。介護職の定着ということにおきましては、キャリアデザインなど将来につながるサポートが必要なのではないかと考えますが、区としての見解を伺います。 ◎瓜生 高齢福祉課長 介護の仕事は、高齢社会が進展していく中、重要な業種の一つで、高い専門性のもと、高齢者の尊厳を維持し、自立支援を支えていく仕事で、ますます需要は増大していくと言われております。介護職員の処遇改善の仕組みは、介護職員処遇改善加算やサービス提供体制加算の導入などにより条件整備は図られてきております。介護職員に対しキャリアパスを示すことにより昇給や昇格の仕組みが明確になり、職員がみずからの安心、安定した生活を具体的にイメージするとともに、将来に向かって介護の仕事に対する誇りとやりがいを見出すことにつながると考えております。  介護職員のキャリアアップには資格取得が必要となるため、区では、資格取得に向け、職員を研修等に参加させるための研修費助成事業や受験対策講座を実施しております。また、介護事業者にとっても、スキルの高い介護職員の確保と職場定着により介護サービスの質が向上し、事業者の利用者満足度や利用率の向上につながってまいります。一方、都では、今年度から国の介護プロフェッショナルキャリア段位制度を活用し、キャリアパスの導入を実施した介護事業者に対しキャリアパス導入経費助成事業を始めております。キャリアパスの取り組みは事業所の管理者の考え方によることから、福祉人材育成・研修センターで実施している管理者等を対象としました運営管理職員研修や指導的職員研修等の中で、事業者がキャリアアップの仕組みを構築できるよう働きかけてまいります。 ◆石川ナオミ 委員 キャリアアップをしていくということにおいては、やはり介護職の方々のモチベーションにもつながります。また、周りの皆さんも、このような人になりたいというような、こんなふうに働きたいというような、そうしたロールモデルの方がいらっしゃることによっても、やはり介護職の定着ということの一つにもなっていくのかもしれません。  私の友人にも介護職に携わっている女性が数名おります。その女性が言うには、やりがいがあるよということ、そして実はすごく魅力のある仕事なんだよということをおっしゃっていました。そうした介護職の魅力、どちらかというとネガティブな情報が流れやすいというこの世の中で、介護職の魅力を伝えていくということも必要になってくるのではないでしょうか。さて、区としてどのような取り組みを考えているでしょうか、答弁を求めます。 ◎瓜生 高齢福祉課長 介護の仕事は賃金が低く、仕事がきついなどのイメージが先行し、事業者は従事者確保に苦慮しているところですが、介護従事者が介護の仕事を選んだ理由は、働きがいがあるというものが五四%、仕事の満足度としてはやりがいがあるというのが五三・六%と、多くの職員は仕事にやりがいと誇りを持って働いていると言われております。介護は、人が人を支える仕事で、利用者と直接的に相対し、知識に裏打ちされた適切なサービスの提供により利用者の自立性が向上し、利用者、家族から感謝され、認められるという日々の実践により専門性が向上していきます。  区内の特別養護老人ホームでも、自立支援プログラムを実行し、日中おむつゼロを達成している施設が数カ所あり、アクティブ福祉in東京で優秀賞を受賞するなど、適切なケアで入所者の自立性が向上し、取り組みが評価されることで職員のモチベーションが上がっております。そのような取り組みを広く知ってもらうため、職能団体の研修会や発表会、法人の広報紙や地域の方をお招きしたお祭りでも取り組みの紹介を行っております。また、区内福祉系六大学の参加のもと、区民、事業者、行政が参加するせたがや福祉区民学会でも日ごろの実践活動の発表が行われております。  区といたしましても、事業者が質の高いサービスを提供できるよう専門性向上の研修を実施するとともに、介護事業の社会的評価の向上に向け、区民の関心を高め、介護職員が専門職として誇りとやりがいを持って働き続けられる環境整備の支援に努めてまいります。 ◆石川ナオミ 委員 本当に介護職の環境整備というところにもしっかりと力を入れていかなければいけないと思います。あとは、この介護職のすばらしさに光を当てて、これもしっかりと伝えていくということもしていかなければいけないのではないでしょうか。  このように、定着支援につきましては、労働環境の改善ということで、先ほども少しお話がございましたが、必須であるというふうに私も考えます。さて、今後の区の支援及び取り組みについて伺います。 ◎瓜生 高齢福祉課長 介護従事者の離職原因は必ずしも賃金、休暇などの待遇や業務内容だけでなく、職場で十分な人材育成がなされないことや労働環境が改善されないことなどが挙げられております。従事者が安心して働き、質の高いサービスを提供するためには、従事者が働くことに誇りとやりがいを持ち、長く働き続けたいと思う労働環境を整えることが大変重要と考えております。そのため区では、福祉人材育成・研修センターで従事者一人一人がその能力を最大限発揮できるよう、専門性向上に向けた研修を実施するとともに、処遇改善につながる資格の取得の支援や運営管理職員や指導すべき職員向けの研修を実施しているところでございます。また、従事者が一人で悩むことなく安心して仕事が行えるよう、心理カウンセラーや社会保険労務士など専門職による心の相談や仕事の悩み相談事業を行っております。また、産業振興公社でも同様のメンタルケア相談のほか、社会保険労務士による労働条件や労働管理に関する窓口相談や訪問相談を行っております。  このたび国は、介護離職ゼロに向けた緊急対策といたしまして、介護従事者の負担軽減に資する介護ロボット等導入促進事業の補正予算を組み、事業者募集を行いました。区内事業者からも多く応募いただいておりまして、現在、国において審査中でございます。今後ともこうした事業等も積極的に活用し、従事者が働きやすい労働環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆石川ナオミ 委員 この労働環境を整備していくこと、また、賃金の水準を上げていくということももちろんなんですけれども、やはりこうした地道な取り組みをしていかなければいけないだろうというふうに思われます。  実は、先日、私は世田谷で唯一の福祉系の専門学校に訪問をしてまいりました。そこで校長先生ともお話をいたしましたけれども、今、実は介護を目指すという若者もどんどん減ってきていると。今年度といいますか来年度になりますか、二十八年度の入学生の人数が若干減ってきているということが現状にあるということをおっしゃっておりました。  ですので、やっぱり若い世代の方にもこうした介護のすばらしさとか介護のやりがいというようなことをどんどん醸成していって、そして、それはもしかすると行政がもっともっと力を入れて伝えていくということも必要になってくるのではないかなというふうに思います。ですから、区と都と国というこの連携をとりながら、また、行政がしっかりと地域のこうした学校ですとか地域の施設の声をしっかりと受けとめて、今何が必要なのか、何をしていかなければいけないのかといったところを受けとめながら、いろんな問題にもしっかりと目を向けていただきたいというふうに思います。  この介護職の人材確保と定着ということは、私も今後着目をしていきたいと思いますので、また別の機会に質問をいたします。  以上で自由民主党の質疑を終了いたします。ありがとうございました。 ○山内彰 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○山内彰 委員長 引き続きまして、公明党、どうぞ。 ◆河村みどり 委員 公明党の福祉保健所管についての質問を始めます。  私からは、認知症の在宅支援について質問をさせていただきます。  国の推計では、認知症の高齢者数は二〇二五年に七百万人を超え、六十五歳以上の高齢者の五人に一人の割合に達する見込みです。世田谷区でも毎年千人ずつ増加している状況ということで、自分自身が、あるいは家族が、また、身近な誰もが罹患する可能性がいつでもある、そんな時代を迎えました。我が党では、この大介護時代に備え、地域の中で支えあう温かな社会の構築のため、認知症の政策をこれまでも議会で質問してまいりました。  私も、約八年間認知症を患った父の介護に携わってきました。行方がわからなくなったこともたびたびあり、世田谷区から国立市など遠距離を歩き続け、その都度タクシーで帰宅、パトカーにお世話になったこともありました。認知症の症状が進んでくると、自宅にいながらも家に帰ると言い、寒い冬の日に何時間も自宅の周りを一緒に歩いたり、トイレや睡眠障害などのために夜間も父の寝室で休み、最終的にはいっときも目が離せず、昼も夜も行動をともにする状態となりました。父の認知症は、私に親孝行の時間をつくってくれたこととともに、一方で、認知症の在宅生活の大きな課題を残してくれました。そんな経験から、孤立しやすい認知症の在宅での介護には地域社会での支えが家族にとって何より重要だと実感しています。  まず初めに、認知症の家族に対しての支援について何点か質問します。  休日や夜間、かかりつけ医やケアマネジャーに連絡がとれないときなど、介護での困り事や孤立感からの不安を抱えている方も多いと思います。認知症の行動・心理症状である攻撃的な行動や徘回など、じっとしていられない不穏な症状は昼夜を問いません。警察に電話するほどではないけれども、相談できるところがあれば、聞いてもらえる場所があればどれほど助かることか。区の認知症在宅生活サポートセンター構想の検討委員でもある上野秀樹医師も以前、認知症の人の家族に自分の携帯電話番号を伝えて、何か変化があればすぐに電話をしてくださいと対処したところ、その家族の安心が本人にも伝わり、症状が落ちついたというのです。結果的にほとんど電話もかかってこなかったそうですが、いざというときに相談できるところがあるというだけで安心なものです。  区の安心コールが高齢者の困り事の相談を二十四時間三百六十五日受け付けてくれると聞きました。認知症の高齢者を抱える家族の相談も可能でしょうか、その利用条件を教えてください。また、今までどんな相談が寄せられて、何件ぐらいの実績があるのか伺えますか。 ◎瓜生 高齢福祉課長 高齢者安心コールは、二十四時間三百六十五日、高齢者御本人だけでなく、御家族、御近所の方々から日常生活の困り事などの高齢者の電話相談を受けております。電話は、深夜帯では多少少なくなりますが、二十四時間、どの時間帯でも寄せられております。相談員は、保健福祉の相談に幅広く対応できるよう、看護師や介護支援専門員などの資格を持つ専門職を配置しております。  電話相談の内容は、認知症の方の対応方法や、家族から出かけたまま御家族が帰ってこないなどの相談、体調不良なのでどうしたらよいかという相談や、介護や医療の相談、区のサービスの利用の仕方などの問い合わせなど多岐にわたっております。相談者の多くは、話をすることで安心されたり、アドバイスにより了解が得られ、対応が終了する場合も多い状況でございます。相談内容によって、緊急性がある場合は救急車を呼ぶように勧めたり、また、コールセンターから利用者宅を訪問する場合などがございます。また、サービス導入など対応が必要な場合は、あんしんすこやかセンターあるいは保健福祉課につなぎ、適切な対応に努めております。  電話相談実績は、平成二十八年二月末現在、年間約三千百件でございます。また、安心コールでは、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯で希望する方に月一回、週一回あるいは週二回、利用者宅へ電話訪問と簡単な作業を登録ボランティアが行う訪問援助サービスも行っております。電話訪問は現在約二百九十人の方が登録しており、訪問援助サービスは二十七年度は現在まで約七十件の依頼がございました。 ◆河村みどり 委員 この安心コール、高齢者本人からだけでなく、また、家族や御近所からの相談もオーケーということで、大変ありがたい事業だと思います。しかし、まだまだ認知度は低いのではないでしょうか。もっと工夫をして、このサービスを必要とされている家族の方々にも情報が届くようPRすべきだと考えますが、いかがでしょうか。 ◎瓜生 高齢福祉課長 安心コールは、二十四時間三百六十五日対応することで孤独感や不安を取り除き、安心した毎日を送るために大変有効なサービスと私どもも認識しております。事業を知っていただくために、シルバー情報や「区のおしらせ」への掲載、世田谷線駅へのポスターの掲示、出張所・まちづくりセンターやあんしんすこやかセンターでのチラシの配布などにより周知しております。また、民生委員のふれあい訪問などで民生委員より御案内したり、区民の方が参加されます講演会などでPRに努めております。しかしながら、安心コールの利用はまだまだ少ない状況のため、地域の方々を含め、必要な方が利用できるよう、機会あるごとに周知に努めるとともに、家族会や介護者の会などでのチラシの配布や区の掲示板にポスターを掲示するなど周知に努め、安心コールを活用して安心した毎日が送られるよう取り組んでまいりたいと思います。 ◆河村みどり 委員 どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。  来年度の認知症在宅支援について、新規、また拡大事業が示されましたが、家族への支援についての今後の取り組みを教えてください。 ◎尾方 介護予防・地域支援課長 認知症の方が住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、御家族への支援は大変重要かつ不可欠であると認識しております。そこで、認知症の御本人や御家族が孤立することなく、気軽に出かけることができ、医療、介護の専門職に相談したり、地域の方々と交流ができるよう、今年度から認知症カフェの開設支援事業を開始いたしました。今年度は八団体からの応募があり、全てに補助を決定したほか、区内ではこれらを含む十六団体が月に一回程度、認知症カフェを運営しています。来年度も引き続き認知症カフェの開設補助を行ってまいります。  また、認知症の方を介護されている御家族からは、介護保険のサービスの利用などにより身体的な負担は解消できるが、心理的な負担や将来への不安は続くとの御意見も伺っております。このため、来年度は、将来的な見通しも含めた介護サービスの利用方法を学んだり、御家族自身の介護ストレスの緩和も行うようなストレスケアのための講座なども実施してまいります。さらに、現在、総合支所を会場として医師による物忘れチェック相談会を実施し、御家族からの御相談もお受けしておりますが、これを拡充いたしまして、地域包括ケアの地区展開にあわせて、あんしんすこやかセンターを会場とした物忘れチェック相談会を来年度二カ所で試行し、身近な地区で認知症の相談などができる体制づくりも進めてまいります。  このほか、自分や家族が認知症になったときにどのような医療や介護サービスを受けられるかなどをイメージしやすいよう、情報を整理した認知症ケアパスのパンフレットを作成し、来年度からあんしんすこやかセンターの窓口などで配布する予定でおります。 ◆河村みどり 委員 ありがとうございます。さまざまな角度から家族へのサポートが本当にふえてきているということは大変に喜ばしいことだなと、そのように思っております。また、認知症になっても在宅生活を可能にする要素というのは、居場所づくりでもあると思います。いつでも認知症の人が立ち寄れる場の整備が必要だと思います。  この認知症カフェは、本人や家族にとって、相談もでき、地域の方々とも交流ができる大変有効な場だと思います。けれども、月に一回程度の単発の場と伺いました。高齢者の外出となるとトイレや休憩場所も必要です。例えば病院の通院時や散歩の外出などでも、日常的に気兼ねなく休憩ができ、そして気軽に話も聞いてくれる、そんな場所が必要だと思っております。  ことし二月から特別養護老人ホームや有料老人ホームなどにお休み処を設けられたと伺いましたが、それはどのような形態のものでしょうか。 ◎瓜生 高齢福祉課長 認知症の方を初め、高齢者が住みなれた地域で安心して住み続けられるためには、身近なところで気軽に立ち寄り、交流ができる場の確保も重要と考えており、本年二月より特別養護老人ホームや有料老人ホームの協力を得まして、高齢者身近なお休み処を設置いたしました。施設には介護福祉士、ヘルパーや看護師などの有資格者がいるため、高齢者が外出時のトイレや休憩にお休み処を御利用いただいた際には、高齢者の方へ必要に応じて高齢者向けサービス等のパンフレットの提供や相談先を紹介するなどの対応をしております。  先日、高齢者の方が、雷が鳴った際にお休み処ののぼり旗を見つけて施設に駆け込まれ、職員と話をすることで落ちつき、御自宅に戻られたということもございました。また、施設職員ものぼり旗の設置により地域の中にある施設という意識をさらに持つようになっていると聞いております。現在三十二カ所に設置しておりますが、今後も気軽に立ち寄れるよう、他の高齢者施設にも御協力をいただき、身近なところにお休み処をふやすとともに、協力施設の御意見を伺いながら充実に努めてまいります。 ◆河村みどり 委員 このような介護施設等で認知症にもうなれていらっしゃる方々がいるところに立ち寄れるということは、家族にとってとても心強いことだと思います。そして、先月に取り組みが始まったばかりで、このような場所があることは区民の方々にきっとほとんど知らされていないと思います。必要な方々に速やかにお伝えすべきと思いますが、これもどのように周知をされるのでしょうか。 ◎瓜生 高齢福祉課長 地域の高齢者の方々に高齢者身近なお休み処を知っていただき、活用していただくことが重要と認識しております。現在、協力施設にはお休み処ののぼり旗を設置するほか、チラシを作成し、あんしんすこやかセンターや保健福祉課にて配布、また、区のホームページなどで本事業の周知を図っております。民生委員児童委員協議会におきまして本事業の説明をし、地域の高齢者の方々へ利用を紹介していただくよう御案内をいたします。また、砧地域ご近所フォーラムにおいて周知するなど、地域のイベントなどさまざまな機会を通してPRしてまいります。さらに、「区のおしらせ」四月一日号への掲載を初め、ツイッターやメールマガジン四月一日号などの配信や、熱中症予防の涼風マップに通年利用いただけるお休み処として掲載する準備を進めております。引き続き、高齢者の方々に御利用いただけるよう周知に努めてまいります。 ◆河村みどり 委員 高齢者の皆様は本当に喜ばれるんじゃないかなと、そのように思っています。そのお休み処は、どうぞ御自由に休憩してくださいというだけでなくて、本人や家族の心の休憩もできることを私としては期待しております。ぜひ今後もさらに広げていただきたいことを要望いたします。  次に、地域の見守りについて質問いたします。  先日、愛知県大府市で認知症の介護中の男性が列車にはねられて死亡した事故をめぐっての裁判で、介護する家族には、監督義務者に当たらず賠償責任はないと最高裁の判決が出ました。この裁判では、認知症社会を迎え、社会全体が介護の実態を理解していく大きなきっかけとなったのではないかと思います。二〇一四年に全国で行方不明の届けが出された認知症の人は一万七百八十三人、うち昨年六月時点で百六十八人は行方不明のままで、もう社会問題化となっています。大府市のような本当に悲しい事故で賠償問題が起きないように、早急に対策を講じなければならないときに来ていると思います。  また、住民側でも、隣近所のつき合いも希薄になっている現代だからこそ、高齢者の方々がお元気なうちに日ごろから地域に触れておくことで自分の存在を地域の方々に知っていただくことも大事なことであり、たとえ認知症になったとしても、外に出て住みなれた地域とかかわっていくことも大切です。また、認知症サポーター養成講座などで幅広い世代に認知症の理解を深めてもらい、認知症の人への声かけを学ぶことで、地域の見守りの目もふえてきます。  区としては、現在四つの高齢者見守りと幾つかの事業者とも協定を結び、地域で高齢者の見守りを行っていますが、ことしから社会福祉協議会では、はいかいSOSネットワークを開始いたしました。民生児童委員などの発見協力者に行方不明になった認知症高齢者の特徴や写真の情報がメールで届き、日常の生活の中で気にかけ、発見に協力していただくものです。いざというときに大変に有効な事業だと思います。この形だけでなく、実効性のある取り組みになっていくことが重要だと思います。まずはこの一年間、注視させていただきたいと思っておりますが、徘回は命の危険が伴うため、家族はわらをもすがる思いで、一刻も早く見つけ出したいと願っています。だからこそ、このはいかいSOSネットワークの取り組みを区の見守りの事業としっかりリンクさせ、協力者の裾野を広げ、徘回している人をより多くの目でいち早く見つけていく取り組みが重要と考えます。区の見解をお聞かせください。 ◎尾方 介護予防・地域支援課長 区では、認知症の方を含む高齢者を見守り、安心安全な地域での生活を支援するため、民生委員さんのふれあい訪問やあんしんすこやかセンターによる見守りなど四つの見守りを進めるとともに、配食などの各種サービスによる見守りや事業者による見守りなどを進めております。また、区では、関係機関が一堂に会して高齢者の見守り施策の推進を図るため高齢者見守り推進委員会を開催し、それぞれの取り組みの共有や施策の進め方についての検討などを行っております。  先ごろ社会福祉協議会が開始した取り組みについては、区としても期待しているところです。高齢者見守り推進委員会には社会福祉協議会も参加しておりますので、委員会の場も活用して、それぞれの取り組みを相互に共有する中で、自宅などへ帰れなくなった認知症などの高齢者ができるだけ早く安全に自宅等へ帰ることができるよう、社会福祉協議会のはいかいSOSネットワークの取り組みとも連携してまいりたいと考えております。 ◆河村みどり 委員 ありがとうございます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。  最後に、昨年の決算特別委員会で諸星委員より、継続して在宅生活を送る上で課題となっている行動心理症状の予防や改善が重要との質問がありました。攻撃的な行動、徘回、睡眠障害、妄想、幻覚などの認知症の行動心理症状に対するケアプログラムが来年度からスタートする東京都の事業として、世田谷もその一つのフィールドとして進められ、平成三十年の第七期東京都高齢者保健福祉計画に盛り込まれる予定と聞いています。この認知症の人の地域生活を支援するケアプログラム推進事業を認知症在宅生活サポートセンター開設にあわせて反映させていくべきと要望いたしますが、区の見解をお伺いいたします。 ◎尾方 介護予防・地域支援課長 認知症の人の在宅生活が中断される最大の要因は、強い興奮や妄想、幻覚などの行動・心理症状であると考えられており、認知症の方への適切な対応は地域生活を支援する上で大変重要であると認識しております。  東京都では、認知症の人の行動心理症状の発生や悪化を予防する目的として、スウェーデンで行われている行動心理症状ケアプログラムの事業を参考に、世田谷区を含む三つの区市をモデル地域として、認知症の人の地域生活を支援するケアプログラム推進事業を平成二十八年度から二年間行う予定です。この事業は、介護や看護などケアに携わる職員が行動心理症状を正しく理解し、質の高いケアなどを学び、実践することを通して成功事例を集積し、それらをもとに研修教材を開発し、普及させ、認知症の人の地域生活を支援していくものです。  区としては、訪問看護ステーションなど、実践する介護事業所などを紹介するとともに、モデル事業の結果について共有し、認知症在宅生活サポートセンターの五つの機能のうち、人材育成機能に生かしながら、認知症の人ができる限り住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう取り組んでまいります。 ◆河村みどり 委員 ありがとうございます。引き続き認知症の在宅支援の推進をまたよろしくお願いいたします。  以上で私からの質問を終わらせていただきます。  引き続き、津上委員に交代いたします。 ◆津上仁志 委員 河村副委員長に引き続いて、質問を続けてまいります。  我が会派が徹底して求めてきた世田谷区がん対策推進条例が昨年四月に施行され、がん対策推進条例に基づく取り組みが重点項目として来年度予算にも盛り込まれました。先ほど、自民党の安部委員も触れておりましたけれども、私からもがん教育についてまず伺っていきたいと思います。  今年度、教育委員会では、国に先駆けて、小学六年生、中学三年生に対するがん教育のため、児童生徒用、教員用の資料を作成し、実施結果、内容の検証も行い、さらなるがん教育の充実を図っていくとしております。私は、基礎知識となる保健体育等の授業内容の充実だけでなく、医師など医療関係者やがん経験者から、がんを通して命の大切さを学べるような取り組みもがん教育として行うべきと昨年の予算特別委員会でも提案をいたしました。  来年度予算では、保健所が中学校におけるがんに関する講演を行うことが盛り込まれておりますが、まず、実施内容について伺います。 ◎後藤 健康推進課長 がんの原因の多くが喫煙や飲酒、食事、運動などの生活習慣にかかわるものということが明らかになってきており、がんは正しい生活習慣を身につけることによってある程度予防できる病気であるということがわかってきております。そして、正しい生活習慣を身につけるためには、子どものころからの教育が重要であるというふうに言われております。また、一人一人ががんを身近な病気と捉え、主体的に行動することができるよう働きかけることが、がんになっても自分らしく暮らせる地域社会の実現には必要であるというふうに考えております。
     これらの取り組みを効果的に進めるために、子どものころからがんについて学び、考える機会を持つことが重要であると考えまして、教育委員会と保健所が協働して、がん患者や家族等による講演会を今年度、モデル的に一校実施しまして、来年度、二十八年度からは区立中学五校に拡大して取り組んでまいるというふうに予定してございます。 ◆津上仁志 委員 来年度五校実施の予定ということなんですけれども、検証した上でになるとは思うんですが、私としては、ぜひ中学校全校で実施できるように取り組んでいただきたいというふうに思いますが、区の見解を伺います。 ◎後藤 健康推進課長 区立小中学校でのがん教育につきましては、講演会のほか、今年度、区が独自に採用した教材を活用した授業等、幾つかの手法を組み合わせて実施することで、児童生徒ががんに関する正しい知識を身につけ、がんを自分の身近に起こることと捉え、主体的に行動できるようにすることが肝要というふうに考えております。また、がん患者等による講演を最も効果的なものとするためには、がんに関する事前の学習や事後の振り返りも不可欠でありますが、実施に当たっては、がん教育を行う学校に過度な負担とならないよう配慮することが必要であるというふうに考えております。  限られた授業時間を活用してがん教育を進めるためには、どのような内容で実施することが最も効果が期待できるか、講演者、教員、児童生徒の意見を聞くとともに、各学校の特徴等も考慮する必要があると考えております。今後、実施校の拡充につきましては、教育委員会とも協議しながら検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆津上仁志 委員 実施に当たっては教育委員会と協議しながら今後検討していくということなんですけれども、教育委員会と協議しても、教育委員会に任せちゃうと、やっぱりカリキュラムの問題、そういったことで学校マターというんですか、校長の要望に応えて保健所に要請が来て、それで実施するという体制になりかねないかなというふうに思います。ぜひ、教育委員会ではなくて、この事業は保健所がやる事業ですので、保健所が中心となりながら、講師の確保や内容について、学校の要望に応えられるような体制をしっかりと整えるなどマネジメントをして取り組んでいく必要があるのではないかなというふうに思うんですけれども、そのあたりはどのようにお考えですか。 ◎後藤 健康推進課長 お話しのように、講演の効果を最大限に発揮するためには、教育委員会と保健所との連携が重要と考えております。講演の内容につきましては、保健所が中心となって、中学校での学習状況を勘案しつつ、地域で活動している患者団体や医療機関等との情報交換を行いながら、中学生に適した講演内容や講師をマネジメントして学校側に提案していくことを予定しております。また、講演を実施する時期や実施校の選定等につきましては、教育委員会が中心となって取りまとめを行うこととしております。また、実施後につきましては、教職員や生徒、講演者の感想等を参考に、今後の講演内容に生かしていく予定でございます。 ◆津上仁志 委員 ぜひ全校実施を目指して来年度、取り組んでいただきたいなと思いますので、しつこく要望しておきます。  次に、がん相談コーナーについて伺っていきたいと思います。  がん相談コーナーは、がん対策推進条例の施行に先駆けて平成二十六年十月にスタートしました。がん診療連携拠点病院、がん相談支援センターがない本区においてその必要性を訴えてきましたので、設置については非常に評価をしておりました。しかし、二十六年度は第二・第四土曜日九時から十二時、午前中だけ、しかも予約制という相談体制であったため、区民が利用しやすいよう改善、拡充を求め、今年度より毎週木曜日の午前中に電話相談を開始しました。やはり、曜日や時間が指定されているため覚えづらく、相談したいときに問い合わせができる機会を制限してしまっている、そのために利用者は伸びないんじゃないかなと危惧をしておりましたが、これまでの実績はどういうふうに推移しておりますか。 ◎後藤 健康推進課長 区は、がん患者やその家族ががんの苦痛や不安を和らげ、必要な支援を受けながら自分らしい生活を継続することができるよう、お話しのように、平成二十六年十月から区立保健センターに委託をして、がん相談コーナーを開設いたしました。初年度は月二回、看護師等による対面相談を実施しておりましたが、平成二十七年四月からは月四回、看護師、また、がん体験者によるピアの電話相談を開始し、柔軟な相談ができる体制整備を図ってきたところです。  相談の実績でございますけれども、対面相談は、平成二十六年度が二十一件、平成二十七年度は二月までで十九件でございます。昨年度と比べて相談件数が伸びていない状況でございます。電話相談につきましては十六件ということで、件数が当初の見込みを下回っており、制度の周知が課題であるというふうに考えているところです。 ◆津上仁志 委員 周知に問題が、課題があるというふうに考えているということなんですけれども、それだけじゃないなと私は思っています。この実施体制、実施状況を見ると、本当にこの事業は必要かどうか、そういった議論にもなりかねないことと思いますので、しっかりとこれを拡充していくように取り組んでいただきたい。実施体制の抜本的な改革が必要なんじゃないかなというふうに思っています。  昨年十二月、会派で京都府がん総合相談支援センターというところを視察させていただきました。京都府も、がん診療連携拠点病院にそれぞれがん相談支援センターを設置しておりますが、ここのがん総合相談支援センターでは、平成二十五年八月に、病院に相談しにくい医療従事者への不満やセカンドオピニオンの希望、不安など、心の問題や経済的な問題、また生活問題など、がん診療連携拠点病院にあるがん相談支援センターでは十分に対応できていない、そういった状況を改善するために、病院の中ではなくて、世田谷区と同じように町の中に整備をされました。  人口も予算規模も京都府と世田谷区ですので大きく違いますので単純な比較はできませんけれども、人口でいくと、京都府は二百六十万人、世田谷区の約三倍になります。実施体制は、一名の事務職員と看護師二名、保健師が二名、それとピアカウンセラー――がん験者の方です――が三名、この方たちがシフトを組んで三名が常勤をしている。平日の九時から十六時までの体制で行っております。予算規模なんですけれども、予算は二千六百七十万円、世田谷区の予算を聞くと、がん相談コーナーは二百二十三万円ですので、約十二倍の予算規模になっています。  京都府がん総合相談支援センターは、センター長、事務担当職員は京都府健康福祉部健康対策課に置き、センター運営業務は公募で選定された委託事業者が担うという、そういった相談体制をとっています。開設初年度、二十五年度ですけれども、このときは四百二十三件、相談がありました。二十一件の世田谷区の約二十倍です。開設二年目は千四百十件、相談がありました。世田谷区は三十五件でしたので、世田谷区の四十倍に上ります。  この活動をお聞きして、視察をさせていただいて、京都府は本気でやる気だなというふうに率直に感じました。相談の内容、相談手法、相談される方は電話で相談される方が九割で圧倒的に多くて、そこから対面相談につなげているというふうな体制で行っているそうです。  区では、来年度は周知の方法を改善するということなんですけれども、まず、初年度の結果を受けて、今年度どのような工夫をしたのか伺います。また、来年度予算は今年度と同様だというふうにお聞きしましたけれども、同じ取り組みではやはり改善できませんので、どういうふうに改善していくつもりなのか、そこを伺いたいと思います。 ◎後藤 健康推進課長 これまでの周知でございますけれども、保健センターと区が協働して進めてまいりました。平成二十六年度は、保健センターにポスターを掲示するとともに、健康教室や講演会等でチラシを配布いたしました。区の取り組みとしましては、「区のおしらせ」への掲載を初め、民生委員、あんしんすこやかセンター、医師会や歯科医師会等関係機関へのチラシの配布、また、掲示板へのポスター掲示やホームページへの掲載でございます。これらに加えまして、今年度は、保健センターでは、健康情報誌「げんき人」への掲載、保健センターまつりでのPR等を行っていただきました。区では、「区のおしらせ せたがや」の一面への掲載、薬剤師会への情報提供、それからハーフマラソンを初めとした区の事業、また、民間企業主催のイベントでのチラシの配布、ツイッターを使っての情報発信等、取り組みを拡充いたしました。  来年度以降につきましては、今年度の取り組みを継続するとともに、現在配布しているA4サイズのチラシでございますけれども、こちらのほうは持ち帰りにくいとの御指摘もいただいておりますので、サイズや内容の見直しを予定してございます。また、近隣のがん診療を行っている病院への情報提供の強化に加えまして、新たな周知先の拡充にも努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆津上仁志 委員 できる限りの周知の努力をして、改善していただきたいと思います。  京都府では、気軽に相談できるようフリーダイヤルとして匿名での相談を可としています。そのために皆さんほとんどが電話で問い合わせしてくるという状況です。また、周知方法も、ポスター、チラシに加え、先ほど、大きさを工夫していくということでしたけれども、京都府は名刺大の小さい持ち帰りやすいものを薬局とか医療機関、またコンビニ、あと金融機関、こういったところに設置して案内をしてもらっているそうです。また、ほかの自治体になりますけれども、福岡市などほかの自治体では、図書館が拠点病院と連携してがん情報を学び、病気や治療方法を知るために来館した市民に対して、相談支援センター、こういったものの案内をしている、さまざまがんに関するサービスを提供している、こういう取り組みも進んでいるようです。早急にこういったほかの自治体の取り組みなんかも参考にしながら、改善をしていただきたいというふうに思います。  また、東京都のがん罹患者数は、東京都福祉保健局によると、平成二十三年度で約二万七千三百人となっており、区内にも多くのがん患者の方がいらっしゃることが想像できます。利用者数がふえない――京都も約三万人のがん患者さんがいらっしゃるということで、このような取り組みをしたというふうにおっしゃっていましたけれども、京都でこれだけの利用したいという方がいらっしゃるということは、区内にもまだたくさんいらっしゃるはずなんです。ですから、周知方法の改善も当然していかなければならないんですけれども、区民ニーズに応えられていない今の体制をしっかりと改善していく必要があるんじゃないかなというふうに思います。木曜日の午前中でないと電話できない、そういった状況じゃなくて、開庁日時に合わせた実施体制となるような検討もしていくべきというふうに考えるんですけれども、区の見解を伺います。 ◎後藤 健康推進課長 京都府では、平成二十三年度から国が都道府県ごとに設置を進めている地域統括相談支援センターの機能を取り入れて、がん総合相談支援センターでがんに関するさまざまな分野の相談をワンストップで提供しているというふうに聞いております。一方、東京都におきましては、都内にはがん診療連携拠点病院が数多くあることから、地域統括相談支援センターの設置はされておりません。そういった意味で、保健センターは拠点病院のない世田谷区におけるがん相談の中核を担う組織であるというふうに考えておりまして、区としましても相談体制の充実は必要と認識しております。  今後は、保健センターがこれまで培ってきた専門性の一層の活用や相談員の確保、研修やバックアップ体制の整備等、課題へ対応するなどして、相談の拡充に向けて検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆津上仁志 委員 しっかり拡充を図っていただきたい。また、相談体制、今、明言していただけませんでしたけれども、開庁時間に合わせた実施体制の改善もしっかり検討していただきたいなというふうに思います。  きょう、新聞にがん哲学外来というふうな記事が出ていて、順天堂大学の樋野興夫教授が書かれている「いい覚悟で生きる」という著書があるんですけれども、これを紹介しているものだったんですが、がん相談コーナーにもつながるかなと思い、そういった記事があったのでちょっと紹介させていただきたいと思います。がん患者やその家族を対話を通して支援するがん哲学外来が注目を集めている。この外来で処方されるのは、薬ではなく言葉だ。大病を宣告された人の衝撃は想像を絶する。ありきたりの言葉では不安や恐怖を拭えない。担当医は全神経を集中させて相手の話を聞き、みずからの存在をかける思いで希望の言葉を送る。それを繰り返すうちに多くの患者が自分にしかない使命や役割に目覚め、他者の幸福に関心を抱き始めるという。こういうふうな記事だったんですけれども、この取り組みの本気度というんですか、全神経を集中させて相手の話を聞き、みずからの存在をかける思いで希望の言葉を送る、こういうふうな対応というんですか、姿勢がやはり相談事業、がん相談だけじゃないですけれども、さまざま区でやっている相談事業においては必要な姿勢ではないかなというふうに思うんです。  京都府のがん総合相談支援センターの方もおっしゃっていましたけれども、一番最初に質問されたことに答えるだけじゃなくて、その質問の奥にどういったものが隠されているのか、どういったことを悩まれているのか、そこまで酌み取る覚悟というんですか、そういう思いで相談に、電話でも対面でも受け答えしていますということで、ただ単なる情報提供の場じゃないということなんです。ですから、そういう意味でも、しっかりと対話というものに重きを置いた、今みたいな木曜日にしか電話できませんとかそういう体制じゃなくて、しっかりとそういった区民ニーズに応えられるような相談窓口に改善できるように強く要望しておきます。  では、次の質問に行きますけれども、またがんに関することなんですが、次に、がん情報の提供について伺っていきたいと思います。  がんに罹患した場合、さまざまな情報が必要になります。その必要な情報が一元化され、かつ信頼できる機関から提供されることは、患者や家族にとって非常に大きな安心となります。末期がんの場合、介護保険が利用できることを知らず、また、病院からも勧められなかったため、働く世代の末期がん患者の約六割が介護保険の申請をしなかったという新聞報道がありました。このような医療機関からは提供されないことのある情報、セカンドオピニオンの手続方法、就労に関する情報、介護の手続のこと、がん治療ができる医療機関が自宅そばにあるかなど、きめ細やかな情報を一元化してがん対策を積極的に進める本区が発信すること、これは必要じゃないかなというふうに思うんですけれども、区の見解を伺います。 ◎後藤 健康推進課長 がん情報の提供につきましては、区はこれまで、がん検診や予防に関する普及啓発をチラシやホームページ、検診の機会を通じて行ってきた形が主でございました。また、がん患者や家族に対する支援としましては、がん治療の専門医師やがん経験者を講師に迎え、治療方法や生活面での支援等をテーマに年二回、がん講演会を開催してきたところでございます。  区といたしましては、がんを治療しながら生活をしている区民が保健福祉や介護保険のサービス、患者団体や就労に関する相談窓口等の情報を知って活用することで、自分らしい生活を継続する一助になるというふうに考え、これまでがん検診・相談や生活習慣病予防等にかかわり、専門的な知識を蓄積している保健センターに、今後はポータルサイトの運営等、がん情報発信の拠点機能を整備する予定でございます。  国立がん研究センターからは、信頼できる関係機関との連携を強化するとともに、対象者が必要とする情報をアクセスしやすい方法で提供するように助言をいただいております。これらのことを踏まえ、情報収集、発信機能の内容も今後検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆津上仁志 委員 ポータルサイトを検討されていくということですので、使える情報をしっかり集めていただきたいなというふうに思います。  そしてその一方で、ポータルサイトですからインターネット等で情報発信すると思うんですけれども、情報弱者と言われる方々、障害をお持ちの方とか特に高齢者の方、そういった方々への情報提供方法も検討していただきたいなと思うんです。また京都府の話で申しわけないんですが、京都府がん情報ガイド――小冊子ですね――こういったものをつくって提供されているんですが、この中には医療に関すること、どういう治療ができる、化学療法ができる病院はここですよとか、緩和ケアができる病院はここですよというような情報も入っていますし、また、どういった手続で介護の手続ができますよとか、あと仕事に関すること、ここでお仕事の相談を受けていますよというような内容とかさまざまな、がんと診断されたときに必要となるようなものを一冊にこうやってまとめて、しかもこれは毎年中身をしっかりと新しいものに更新して提供している、こういった取り組みも行っているんです。京都府全体のお話なので六〇ページにわたる大変太い冊子にはなっています。世田谷区でつくった場合はぺらぺらになるかもしれないんですけれども、こういうものもありますので、ポータルサイトだけじゃなくて、こういう冊子の作成なんかもぜひ検討していただきたいなというふうに思います。これは要望しておきます。  次に、障害者の工賃向上への取り組みについて伺っていきたいと思います。  一般就労の困難な方が自立していくには、就労継続支援B型事業などで工賃水準が向上することが重要であり、区としてもしっかりと取り組んでいく必要があります。区では、特定非営利団体に平成十四年度から委託をして、作業仲介事業として企業などへの働きかけで販路拡大など、そういった仲介を行っています。また、はっぴぃハンドメイドカタログを作成したり、フェリーチェや図書館カウンターなどでも販売を行っています。一定の成果は出ているようなんですが、周知が不十分であります。  ある区内事業者の方から、福祉作業所へ仕事の発注をしたかったんですけれども、まちづくりセンターに聞いてもわからず、総合支所に相談しても回答がもらえずということで、結局、発注するのを諦めたというふうなお話を伺いました。福祉作業所で自分が発注したい作業ができるかどうかなど、区民にはわからなくても、区民相談の窓口となっているまちづくりセンターや総合支所、こういったところでは対応できて当然だというふうに思っていたんですが、それができていない。これは一部だったのかもしれませんが、非常に残念だなというふうに感じました。現状、福祉作業所などの受注体制は、例えばこのように区民の方から問い合わせがあった場合、どのような体制で発注されているのか、そういったことを伺いたいと思います。 ◎竹花 障害者地域生活課長 区内には多数の障害者就労支援施設があり、多種多様な活動を行い、独自に製品の販売や作業の受注先開拓などを行っております。しかしながら、各施設単独では販路拡大などの活動に限界があるため、平成二十六年度からは、委託事業者が従来の作業仲介事業に加え、区内施設の経営ネットワークを支援する取り組みを拡充し、共同受注も行っております。その中で、企業に頼みにくい小規模のものから、大量の作業等については委託の事業者が複数の施設に分割して発注するなど、受注拡大を図っております。 ◆津上仁志 委員 どこが窓口になるんですか。 ◎竹花 障害者地域生活課長 まず、各施設も窓口になりますし、施設の経営ネットワーク、いわゆる世田谷セレ部と名づけております共同受注窓口となっている経営ネットワークの事務局のほうでも受け付けをしております。 ◆津上仁志 委員 区民の方が頼みたいな、お仕事をお願いしたいなと思ったときは、世田谷セレ部、仲介事業者のほうに御連絡するか、もしくは福祉作業所のほうに直接連絡するかどちらかということでよろしいですか。 ◎竹花 障害者地域生活課長 そのとおりでございます。 ◆津上仁志 委員 窓口の案内がポイントになってくるんだなと思います。先ほどちょっと紹介したんですけれども、その方のすぐそばにまちづくりセンターがあったものですから、まず初めにそこに相談に行かれたみたいなんですけれども、結局わからずです。それを受けた上で今度、総合支所に相談したけれども、そこでもわからなかったということもありますので、まずは庁内での情報の共有のあり方です。ここをしっかりと改善していただきたいなというふうに思います。特に区内事業者と取り組みを行っている産業政策部、こちらと連携して区内事業者に周知するなどの取り組みが非常に重要なのではないかなというふうに思うんですけれども、区の考えはいかがでしょうか。 ◎竹花 障害者地域生活課長 区では、障害者の雇用促進の取り組みとして、企業への障害理解の啓発と雇用促進を目的に、区産業団体、特別支援学校、ハローワークから成る世田谷区障害者雇用促進協議会を平成十五年に設立し、企業等への研修やフォーラムなどに取り組んでまいりました。このように、障害者の雇用促進に対しては、産業政策部としてこれまでも連携して取り組んでおりますので、障害者施設への作業の発注などにつきましても産業政策部と連携し、これまで以上に区内事業者へのPRなどを検討してまいります。 ◆津上仁志 委員 今後もしっかりやっていくということですけれども、先ほどの御指摘をしていただいた事業者の方から、実は目黒の取り組みを伺った――結局この方は目黒にお願いしたみたいなんですけれども、目黒では、区が窓口になっているんです。目黒区と世田谷区では大きさが全然違う、数も違うと思うんですけれども、製品カタログとあわせて、各作業所の紹介と作業できる内容を記載しためぐろわーきんぐぶっくというものを作成しているんです。きょう持ってこようと思ったのが手元になくて、目黒でいただいたんですけれども、済みません。そういったワーキングブックというものがあるんですけれども、こういうものを作成して、区民とか事業者への周知に取り組んでいるようです。  本区でも、施設のある地域住民、事業者への周知を進めるためにも、現在ぺらぺらのリーフレット一枚なものですから、そういったものを改善するような必要があるのではないかなと思いますけれども、見解を伺います。 ◎竹花 障害者地域生活課長 平成二十六年から、従来の作業仲介業に加え、区内障害者施設の経営ネットワークを支援する取り組みを拡充し、その際に作業発注のリーフレットを作成しております。来年度はそのリーフレットの改訂を予定しておりますので、他区の例も参考にしながら、区内障害者施設の経営ネットワーク、世田谷セレ部の紹介と、作業発注を促進する、よりわかりやすいリーフレットを作成し、広く配布するとともに、庁内におきましても周知に努めてまいりたいと考えております。 ◆津上仁志 委員 しっかりやっていただきたいと思います。  この事業なんですけれども、平成十四年から同じ事業者への委託となっているようなんです。毎年成果は上げているというふうに区からは伺っているんですけれども、少なくとも、先ほど言ったとおり、区民の方とか事業者の方への周知という部分ではまだまだ改善すべき点があったのではないかなというふうに思います。それがごく一部ならいいんですけれども、そういうものも知らずに、福祉作業所に発注できるというようなことも知らないで別のところに発注している、そういった事業者さんもたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思います。ですから、今、成果は上がっているかもしれないですけれども、今のこの取り組みが本当に十分なのかどうか、これ以上どういった改善ができるのか、そういった事業検証もしっかり行った上で委託を続ける、委託をすべきというふうに考えるんですけれども、区の見解を伺います。 ◎竹花 障害者地域生活課長 作業所等経営ネットワーク支援事業につきましては、委託先に四半期ごとの報告書を提出させ、成果の確認及び検証を行っており、必要に応じて受注拡大などについて指導をしております。本事業を開始してから毎年の受注額は増加傾向にあります。また、平成二十五年度からは、障害者就労継続支援B型事業所などへの経営コンサルタント派遣事業を開始し、区内の就労継続支援B型事業所だけではなくて、作業所等経営ネットワーク支援事業に対しましてもコンサルタントを派遣し、さらなる事業の充実についてさまざまな提案をいただいており、改善等に努めております。  今回いただきましたPRの充実などの御意見については、事業所とともに効果等を検証し、改善を図るとともに、次年度の委託契約に反映してまいりたいと考えております。 ◆津上仁志 委員 障害者の方の自立のために工賃アップにしっかり取り組んでいただきたいことを要望して、公明党の前半の質問を終わります。 ○山内彰 委員長 議事の都合により、ここでしばらく休憩し、再開後、公明党の質疑を続行させていただきますので、よろしくお願いいたします。  それでは休憩いたします。     午後四時四十分休憩    ──────────────────     午後四時五十五分開議 ○山内彰 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  公明党、どうぞ。 ◆福田妙美 委員 引き続き公明党の質問をさせていただきます。  本日も、区民生活所管でも質問をさせていただきました災害時要援護者支援について伺っていきたいと思います。区民生活所管で質問はしましたけれども、この事業の主な所管は実は保健福祉部だということで、本日はここのところを具体的に伺っていきたいと思います。  区民生活所管でもこのパネルを使ってこの事業の説明はさせていただきましたが、もう一度確認をしていきたいと思っております。世田谷区で行っている災害時要援護者支援事業のフロー図なんですけれども、まず世田谷区の場合は、町会・自治会と区の協定がまず一番ということで、ここからスタートしています。その協定が組まれた町会にお住まいの、世田谷区が示した条件の災害時要援護者の方で名簿掲載に同意された方の名簿がこの町会に戻ってきます。そして、この名簿を見ながら、この地域にはどんな方がいらっしゃるのかということを確認し、その中で地域で日ごろからの助け合い活動をして、いざというときに災害時には安否確認、避難行動というのをしていくというものなんですけれども、実はこの町会・自治会との協定がなかなか進まないということが一番大きな課題になっておりまして、全体の約四割までしか協定が進んでいないという現実があります。協定が組まれていないところに関しては、この要援護者の方々は実際にはどのように避難、また安否確認をしてもらえるのかというのが具体的になっていないというのが課題だと思っております。  それで本日は、要援護者を支援する人たちをどういうふうに具体的にふやしていけるか、またつなげていけるかという角度から質問をしていきたいと思っております。  なぜこの要援護者支援について今回また質問するのかといいますと、二十五年度の法改正がされたということで、三・一一のときの被害が一番多かったのが、やはり介護レベルの高い方、そして障害一級などの方々だということもありまして、災害時に一番被害を受けて死亡率も高かったということであります。世田谷区におきましては、先ほども申し上げました、約四割の町会しか協定を組んでいませんので、そうなりますと、要援護者の方が八千四百三十三名いらっしゃいまして、全体としては約三割の人がこの名簿が渡されて町会で協定を組んでいらっしゃるので、支援を受けられる体制の中には入っておりますが、残り約七割の人の安否確認等が具体的に進まないということです。この要援護者と言われている方々なんですけれども、世田谷区の条件ですと、要介護四、五、要介護三のひとり暮らし、もしくは高齢者世帯という方々が約七割以上を占めているという現状があります。  そこで質問していきたいんですけれども、区は、安否確認の体制を拡充して、世田谷区介護サービスネットワークという、災害時における被災要介護者等への援助に関する協定というのを結んでいますけれども、どれだけの団体によってネットワークが構築され、災害時にどのような協力体制ができているのかをお聞かせください。 ◎久末 計画調整課長 区は、平成十九年三月に世田谷区介護サービスネットワーク――介護事業者の連絡会なんですけれども――こちらと災害時における被災要介護者等への援助に関する協定というのを締結しております。この協定では、大災害が発生した場合には、介護サービスネットワークに加入する事業者は区内の居宅サービス利用者の安否確認と区への報告に協力すること、避難所への訪問サービスの提供に協力することになっております。介護サービスネットワークには、二十八年一月現在、三百五十六事業者が加入しております。また、区では、介護サービスネットワークの協力のもと、平成二十三年十月からワーキンググループを立ち上げて安否確認等の検討や図上演習等に取り組んでおります。 ◆福田妙美 委員 今御説明をいただきましたが、三百五十六事業者ということなんですけれども、実際には一人の人が複数使われている場合もありますので、この名簿に記載されている方が、誰がどういうふうに支援をしてくれるのかということが具体的に見えてこないところもあります。そうなりますと、どれぐらいの方がこのネットワークの中で支援をしてもらえて、そうでない方はどれぐらいいるのかという数的なものをしっかり把握していかないと、実際のところ、この支援体制も今、区も少しずつ動こうとしてはいらっしゃいますが、構築をしていく上では、実は数の把握も重要かというふうに考えております。  今、区では、このネットワーク以外のところで支援者をふやしていこうとされていますが、この災害時要援護者支援の担い手となる方々の確保というのが今重要かと考えます。地区展開と連携すべきだというふうに考えますが、区の見解をお聞かせください。 ◎久末 計画調整課長 区では、災害時に自力で避難することが困難な要介護高齢者や障害者の安否確認や避難支援を迅速に行うため、町会・自治会や民生委員・児童委員と連携し、災害時要援護者支援事業に取り組んでまいりました。お話にもありましたように、町会・自治会との協定締結状況は、百九十五団体中八十六団体で全体の約四四%にとどまっており、昨年実施したアンケートでは、町会・自治会さんのほうからは、役員の高齢化や活動の担い手不足が困り事の上位を占めておりました。活動の担い手の確保につきましては、現在、地域包括ケアの地区展開を通じて、区民の見守り活動や地域活動に参加する人材の発掘に取り組んでいるところで、今後は、災害時の安否確認等にも新たな担い手として参加、協働していただくための具体的な方策を計画改定の中で検討してまいりたいと考えております。 ◆福田妙美 委員 御答弁の中にもありましたが、人材の発掘はしていこうというふうに取り組んではいらっしゃいますけれども、実際に要援護者になっていらっしゃる方々とのマッチングというんでしょうか、そこが最後までできていかないと、この事業が功をなさないというふうに思いますので、この先をしっかりとお願いしたいと思います。  この事業は実際には何がポイントかといいますと、支援をしていただかなきゃいけない要援護者の方々が、まず安否確認をしてもらって、情報が入手できないような障害を持った方、すぐに逃げられないような寝たきりの方、そういった方々を、やはり健康な体の人たちと違いますので、情報が入りにくかったり逃げられない、そういう状況の中、まず安否確認をしていくということになります。その情報を今度は収集していって、さらに被害が大きい場合には二次避難所への避難移動ということも出てきます。そういった最後のところまでつないでいくのがこの事業の大切なところだというふうに思いますが、この中で一番大切なのが、まず正しい情報の区からの提供と、そして状況を把握した――実際にはこの地域の方々とか事業者の方が安否確認を行っていきますけれども、この情報を正確に収集していくということが災害時に非常に重要になると思います。また時間も足りない、そういった状況でもありますし、また電話回線とか、さまざまなものがもしかしたら切断されてしまうかもしれない。そういう中でしっかりと情報収集を行うというところの構築をしっかりと行っていただきたいと思いますが、区は現在どのようにその体制を構築されているかお聞かせください。 ◎久末 計画調整課長 現在、区では、災害発生時には災対地域本部の避難支援班――総合支所の保健福祉課になりますけれども――こちらが災害時要援護者の安否確認等を行うことになっており、協定を締結している町会・自治会からの報告のほか、拠点隊、出張所・まちづくりセンターによる避難所の巡回、それから、先ほど申し上げました介護事業者等からの報告に基づいて安否確認情報を集約することとなっております。一方で、この保健福祉課は、安否確認のほかにも避難所対策や二次避難所対策も担っており、区が安否確認情報を迅速に集約する方法や体制を構築することが課題となっております。  このような状況を踏まえ、現在検討を進めている計画改定の中では、災害時要援護者の安否確認情報の集約や整理を専門的に行う部隊を新たに設置し、従事する職員については、今年度より本庁から総合支所保健福祉課に参集している職員を活用することを今検討しているところです。 ◆福田妙美 委員 体制を構築していくということですけれども、実際の現場で本当にこれが機能するかというところまでしっかりと見て検討していただきたいと思います。  最後に、先日の一般質問の際にも、また区民生活でも少しお話をしたんですが、中野区では、避難行動要支援者の全対象者に対して、まずは区の職員と、また委託事業者で訪問をして、支援者の選定をしながら個別の避難支援計画を立てていくということを行っているとお話をいたしました。ぜひこのことを進めていってほしいということも提案をしてまいりましたが、なぜこのことを申し上げるかといいますと、先ほどお話しした世田谷区の場合は協定から入るということで、どうしても町会さんに任せているという現状で、町会さんにとっては大変に負担になっている現実もあり、実際に、世田谷区では個別支援カードと申しますが、その作成は約六百人にとどまっているということです。もしくは、何かほかの形でも支援のルートができているかもしれませんが、やはり実際のところは具体的なものがなければ混乱をしてしまうのではないかというふうに思っております。ですので、中野区のように、このような形で全対象者に対して支援選定までも進めていくということが一番理想ではありますけれども、地域によっては自治体からの依頼で、訪問介護計画書の中に利用者の避難支援を記載して、本人とか家族、地域の支援者、福祉事業者で話し合って役割分担を決めている事例もあります。  いつ来るかわからない災害でありますので、避難が困難な方の災害からの被害を軽減する実効性のある支援対策を講じていくべきと考えております。そのためにも、区と町会の締結前提ではなく、避難行動要支援者の全対象者の支援体制を整えることを優先とした日ごろからの地域との見守りと助け合い活動も普及しながら、この個別支援カードの作成を進めていくべきと考えます。災害時要援護者支援のため、協定締結にかかわらず、個別避難支援計画の具体的な作成をすべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。 ◎久末 計画調整課長 個別支援カードは、災害時要援護者一人一人について緊急連絡先や服薬状況、福祉サービス提供者、主治医等の情報を記載したもので、災害時に円滑かつ迅速に避難支援等を実施する際に有効であるとされております。区では、現在は町会・自治会との協定の中の災害時要援護者支援事業で個別支援カードという名称で様式を作成するとともに、災害時要援護者支援の進め方という冊子や区のホームページに掲載し、町会・自治会を中心に作成していただく取り組みを進めてまいりました。  なお、個別支援カードの作成状況は、昨年十月に実施したアンケートでは、作成しているのは二十六町会・自治会にとどまっておりますが、一方で、地域では、災害時や緊急時に備えて同様の内容を記載した命のバトン等の取り組みも行われております。個別支援カードの作成の拡充は、災害時要援護者への支援を実効性のあるものにするために重要な課題として認識しております。委員から今御紹介のありました中野区の事例やケアマネ等の連携も参考に、計画改定の中で個別支援カードの作成を広げるための方策を検討してまいります。 ◆福田妙美 委員 ぜひとも具体的に進めていただきたいとお願いして、次の質問に入ります。  続きまして、潜在看護師の復職ということについて伺っていきたいと思います。  今後の高齢化進展に対応し、地域包括ケアシステムの構築を通じ、地域で必要な医療の確保が急務であります。今回、地域の医療を支える看護師の確保という角度から伺ってまいりますが、急速に進む超高齢化社会、在院日数の短縮で病院内での完結型から地域完結型へと変わり、医療と介護を地域でというふうにシフトしていきました。医療依存度が高い高齢者の在宅生活を支えるキーパーソンが訪問看護師です。訪問看護師は、高齢者のみならず、赤ちゃんからお年寄りまで、年齢にかかわりなく地域医療を支えてくれます。  厚生労働省が発表した第七次看護職員の需給見通しに関する検討会報告書でも、平成二十三年に対する平成二十七年度の看護師の需要は全体で約七%の伸びに対し、訪問看護ステーションの看護師の需要が二〇%近い伸び率となっています。より多くの看護師の需要が見込まれるのは訪問看護関係であることが一番明らかであります。医療現場における看護師不足は深刻な状態にありますが、厚生労働省の発表では、働く看護師百五十万人に対して、潜在看護師が七十一万人、潜在看護師の復職支援と訪問看護師へのマッチングが重要な課題となっております。  ここで伺いますが、地域包括ケアシステムの構築に当たり、高齢者、障害者、子育てに地域での医療確保が求められています。二〇二五年の大介護時代を前に、訪問看護師の需要把握をしながら、ともに医療の質と数の確保策を確実に進めていくべきですが、区はどう捉えているか、見解をお聞かせください。 ◎久末 計画調整課長 現在、区内の訪問看護ステーションに従事されている看護師は約三百五十人いらっしゃいますが、平成二十四年秋に訪問看護ステーションの看護師等の状況についてアンケートをとった際、ほとんどの事業所で看護師等は不足しているとの回答がございました。また、第六期の高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画によりますと、平成二十六年度に訪問看護を利用された高齢者は約三千九百人で、十年後の平成三十七年度には約五千五百人になると推計され、訪問看護のニーズはさらに増加することが予想されます。一方、平成二十三年の東京都の調査によりますと、潜在看護師は都内で約五万人いると言われており、区といたしましては、この方たちへの復職を支援し、訪問看護の担い手として力を発揮していただきたいと考えております。 ◆福田妙美 委員 今、区としてははっきりとした数字は多分出してはいませんけれども、今現在三百五十人の訪問看護ステーションで働いている看護師さんがいらっしゃってということで、将来はこの需要は伸びるということですので、確実にこの三百五十人以上いないと十年後の地域包括の安定が見込まれないということだと思います。  具体的にそういった観点からなんですけれども、訪問看護師さんは地域の訪問看護ステーションに所属をして、利用者の自宅に出向き、ケアをしていきます。資格としては医療機関で働く看護師と同じではありますが、医師の指示書に基づいて病状を観察して医療処置をするほか、ケアマネジャー、ヘルパーなどと連携をして、介護予防やリハビリ、在宅でのみとりの支援なども手がけます。医師と利用者をつなぐ重要な役割もあり、幅広い知識やスキルも求められます。新たな在宅看護を学ぶ必要性が出てきたという現状です。  訪問看護師を地域で育てることが各自治体の責務とも言えます。この看護師の存在が地域包括ケアシステムの構築には欠かせませんが、現在、東京都の指定を受け、モデルケースで社会福祉事業団による訪問看護師職員の研修等を行っているというふうに伺いましたが、区としてこの訪問看護師育成はどのようになっているのでしょうか。また、講座などの参加状況と就職状況もわかればお聞かせください。 ◎久末 計画調整課長 東京都では、平成二十五年度から、地域の訪問看護師の人材育成や確保促進のため、地域の訪問看護ステーションで働く看護師向けの講座や、病院看護師と訪問看護師の交流研修、訪問看護の体験研修等を行う教育ステーションを都内で九カ所指定しております。今年度、新たに社会福祉事業団の訪問看護ステーションけやきが指定されました。このステーションでは、昨年九月より受託し、訪問看護師向けの講座に百三十五名、訪問看護師が病院で実習する交流研修に六名、小児や精神等の専門分野の訪問看護を体験する研修に四十三名が参加いたしました。また、潜在看護師の職場体験研修に一名が参加しておりますが、就職状況につきましては把握できていないと聞いております。  また、区では、潜在看護師等を対象に訪問看護師への就業支援として、動機づけの講演会、実務的な講座、訪問看護ステーションの見学や同行訪問等を行う職場体験研修を実施しております。参加状況と就職状況につきましては、講演会が三十九名、講座が三十六名、職場体験研修には十一名が参加し、五名が就業につながったことを把握しております。 ◆福田妙美 委員 離職をしている看護師さんというのは、大体経験が十年未満というのが多いそうです。そうなりますと、命を預かる看護の仕事にもう一度復職するというのは非常に自信が持てないというのが実際のところであると言われています。在宅医療を担う訪問看護師を育てる取り組みが各自治体でも進んでおりまして、訪問看護に必要な幅広い知識を教えようと自治体が看護系大学と組んで養成コースを開設したり、また、民間企業と連携して訪問看護師の育成もしております。  今後、梅ヶ丘が在宅支援の拠点となりますが、九十万人の人口規模の我が区は、区独自の訪問看護養成の体制を構築していくべきです。また、育児中の人も講座を受けやすい身近な五つの総合支所単位での講座開催も復帰を検討するチャンスともなります。区の見解をお聞かせください。 ◎久末 計画調整課長 潜在看護師の復職支援につきましては、東京都では都内病院を会場として復職に必要な講義や実技などの研修を実施することで復職支援を行っております。また、看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づき、看護師等の就職相談や研修を行う東京都のナースプラザでは、再就業研修や訪問看護師育成研修を実施しております。区で行う潜在看護師等を対象とした訪問看護師への就業支援としては、先ほど答弁で申し上げました講演会、講座、職場体験を実施し、講演会と講座の際は一時保育を行い、子育て中の方の参加も支援しております。受講後のアンケートでは、より具体的な看護技術、実技の体系立った研修を実施してほしいとの要望がございます。今後は御指摘の点や区の講座等への要望を考慮し、現在の講座や体験研修について内容や会場設定を検討し、より効果的で参加しやすい取り組みとなるようにしたいと考えております。 ◆福田妙美 委員 ぜひともお願いしたいのは、先ほどの答弁の中で復職につながったのが五名というふうな数字もありまして、これよりももう少し多いのかもしれませんが、具体的に今後の十年後のことを考えると、この質と、また数が世田谷区の中で確保できる講座が必要というのを本当に真剣に考えていかないと、多分間に合わなくなってしまうかなというふうに思っております。  区内には看護師がボランティアの活動をするNPO法人があります。これは、ボランティアナースとしての活動を通じて復職への自信を養っていくということもされています。今まで一連の質問をしてまいりましたけれども、最終的には復職につながるかどうかが勝負だと私は思っております。復職を考える潜在看護師さんが行くのは主にハローワークということです。日本看護協会が運営するナースセンターと渋谷のハローワークの連携でモデルケースとして始まったそうですけれども、このマッチングというのが非常に狙いで、要は看護の専門であるナースセンターと仕事を紹介するハローワークということで、このところの連携によって復職に非常につながっていくということをされています。世田谷区にもハローワークが三軒茶屋に入っておりますけれども、医療の世界から離れた不安をカバーするためにも、看護師の助言をもらいながら復職につなげる、こういったマッチングをしっかりと行って、離職率も下げることができるのではないかというふうに思います。  マッチングを行うことが地域包括ケアシステムの成功の鍵を握っているとも考えます。区もさまざまな手法を講じているようですけれども、このマッチングの手法を検討して、より一層需要と供給のバランスを保っていくため、ハローワークとの連携強化をすべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。 ◎久末 計画調整課長 区の潜在看護師の復職支援を実施している福祉人材育成・研修センターでは、復職を希望している方から訪問看護の求人の問い合わせを受ける場合があると聞いており、マッチングの課題があると認識しております。現在、潜在看護師への講演会、講座では、現役の訪問看護師が訪問看護の仕事に関する不安や疑問に答える機会を設けていたり、また、ステーションの一覧や事業所の案内チラシを置き、情報提供を行っております。区といたしましては、ハローワークと連携している三軒茶屋の就労支援センターがあることから、福祉人材育成・研修センターと就労支援センターの連携も視野に入れ、地域医療に必要な訪問看護師の確保を進めていきたいと考えております。 ◆福田妙美 委員 離職をする一つに子育てということが一番問題で、保育園入園ができないという課題をいただいています。こういった環境整備も必要と考えますが、区の見解をお聞かせください。 ◎上村 保育認定・調整課長 認可保育園の入園者を決めます利用調整に当たりましては、これまで区としてはポイント制をやっておりまして、利用基準だとか調整基準、それから同点の場合の優先順位を定めておりますけれども、こうした中には、保護者の特定の職業を優先させるという扱いにはなってございません。  そうした中でも、今般国からは、国の加速化プランを全国の整備目標として、従来四十万人だったんですけれども、これを十万人上積みするという目標が決められておりますが、そうした中で潜在保育士の職場復帰の阻害要因として、保育園が利用できずに待機児童となる場合があるということに着目いたしまして、保育園やこども園で働く保育士、幼稚園教諭、保育教諭の子どもの優先利用を検討、運用するようにという通知が今般届いております。区としては、国のこうした通知を踏まえるとともに、区においても新年度には新たに障害児等の保育事業の担い手として看護師も想定しておりますので、今後、区議会や子ども・子育て会議の御意見を伺いながら、待機児童の解消の観点から検討してまいりたいと考えております。 ◆福田妙美 委員 よろしくお願いいたします。
     最後に意見だけですけれども、児童養護施設退所者等奨学基金ですけれども、これはしっかりと寄附を募って安定した基金の運営を図っていただくことを要望して、私からの質問を終了させていただきます。 ○山内彰 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○山内彰 委員長 引き続きまして、世田谷民主党・社民党、どうぞ。 ◆風間ゆたか 委員 世田谷民主党・社民党の福祉領域の質疑を始めますけれども、私が民主党を名乗る質疑はきょうが最後かもしれないという状況でして、自分で選択した政党の名前がなくなっていくというのは大変寂しいもので、次に質問するときは民進党とか名乗っているかもしれませんけれども、きょうは民主党としてしっかりと質問を進めていきたいと思います。  まず、保育園の待機児童問題については国会でもかなり激しい議論がなされているところであります。政府も緊急対策を検討しているということですけれども、世田谷区はもう何年も緊急対策を含めて全国に先駆けた取り組みも幾つかやってきていると思います。誰かが入れて誰かが入れないという状況がずっと続いていますから、私もこれまで、指数のあり方だとか選考のあり方とかに対しての問題提起をしてきましたけれども、それを幾らいじったところで、やっぱり入れない人がいるという状況を何とかしなければならないというのは共通の立場だと思うんです。  となったときに、根本的な問題は何なのかというところを待機児童解消の三つの壁ということで、以前本会議でも意見をしましたけれども、まず一つ目の壁となってくるのが土地の問題です。保育園の整備用地を確保するのにどうしていくかという問題に関しては、まだまだちょっと、大きい土地が、公有地が出てきたときに、思い切ってこれを全部保育園にしようという意気込みがないんじゃないかなと思うんです。半分は別のものにして半分は保育園にというのはありましたけれども、ようやくオープンした弦巻の保育園は、二つの保育園を一つの敷地で分けて使うという一つの事例になったと思います。そこですらやっぱりすぐに埋まってしまったということを考えると、今後大きな土地が出てきたときに、思い切って幾つかの保育園をそこに集中して建てる、計画するというようなことは、待機児童の多いエリアに関しては有効な策かなと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◎中村 子ども・若者部長 お話のありました弦巻五丁目の世田谷いちい保育園につきましては、東京国税局の弦巻寮跡地である三千平米を超える国有地を活用して、同一法人により百二十九名定員の認可保育園を二つ整備し、合わせて二百五十八名の定員を確保したというものです。北ウイングを昨年十一月に開園して、南ウイングを本年四月に開園する予定で、入園を御希望される方も非常に多いという状況です。  今お話がありましたとおり、保育待機児解消に向けた取り組みという観点からすれば、大規模な土地を活用して、できる限り大規模な保育園を整備するということが有効だと考えております。しかし、子どもの健やかな育ちを重視して、きめ細やかに保育してほしいという保護者の願いに応えるためには、一つの園でお預かりする人数に限界があると考えているところでもあります。そのため、弦巻の本整備計では、思い切って一つの大きな土地に二つの認可保育園を整備する方針をとることで、保育の質を担保しながら量の拡大を図ることといたしました。  一方、本整備計画のようなかなり大規模な建築を伴う施設整備となる場合は、建築関連法令にのっとった手続を経る必要があることなどで、スピード感を持った施設整備にはなじみにくいといった課題もございます。ただ、今後も大規模な土地を確保した場合には、保育の質の確保を前提としまして、大規模な保育園の整備も視野に入れながら、より効果的に保育待機児童の解消を図ることができるよう鋭意取り組んでまいりたいと考えております。 ◆風間ゆたか 委員 部長が早々に答弁をするということで意気込みを感じるところですけれども、ぜひ進めていってもらえればなと思います。  二つ目の壁となるのが、今度は、近隣住民の理解を得るということだと以前も申し上げましたけれども、今回、保育園の待機児童の多いエリアは幾つかあると思いますけれども、中でも認証すらもなくて本当に入れるところがないということで困っている方々が多いなと感じているのが奥沢エリアなわけです。奥沢エリアといえば、周辺が他区に囲まれているようなこともあって、認可保育園も少ないという状況から預け先が確保できないエリアと。そこに、地名で言うと東玉川と玉川田園調布はいまだに認可保育園がないという状況ですから、今計画が進められているという状況かと思いますが、一方で近隣の住民の反対が激しく、待機児童の保護者の方々からは待ち望む声が届く一方で一向に進んでいかないということを私も耳にしていますし、その件に関して半年前ここで、私のところにもかなり厳しいメールが来たという話も紹介したと思うんです。  ただ、いろいろと地域の方々の話を聞いていると、東玉川の案件に関しては、反対運動の中心になっているのが元自民党の国会議員であるとかそんな話が聞こえてきますし、玉川田園調布のほうで当初反対運動の中心になっていた方は名の通った会社の社長さんであるとかというようなことが聞こえてきています。社会的な立場のある方々がこういった大きな社会問題になっていることに関して理解を示してもらえないということが本当なのであれば、これは大変残念なことですけれども、そういう方にこそ区の職員、幹部がみずから対話をもって理解を求めていくといったような取り組みも必要じゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◎菅井 保育計画・整備支援担当課長 区はこれまでも、他の整備地におきましても説明会以外の場で、必要に応じまして近隣の皆様に対し戸別訪問などをして御意見の聞き取りや対策についての説明をさせていただいておりました。お話しのように、東玉川や玉川田園調布におきまして、早期に円滑な合意形成を図っていくためにも、近隣住民の中でも特に中心的な方々に対しましては、今後、より足しげく訪問するなどし、これまで以上に積極的かつ粘り強い説明を重ねまして理解を得る必要があると考えております。 ◆風間ゆたか 委員 本当に保育園を整備する土地を確保するのすら難しいエリアかと思いますし、ことし、あのエリアで入れなかったと相談を受けることもしばしばありましたので、ぜひこの二つの計画に関しては粘り強く、一刻も早く前に進めていくように要望します。  三つ目の壁となるのが、保育士の確保ということになります。私たち民主党の国会議員も議場で、潜在保育士がなぜ復帰をしないかということに関しては、給料の問題等を持ち出して、そこの予算確保をせよということを要求しておりますけれども、その意味で世田谷区は、先ほども話が上がりましたように、住宅の補助等をいち早く取り入れたという意味では先駆的な取り組みをしてきたということだと思います。ことしから始まった取り組みですけれども、現在の進捗状況はどのようになっているでしょうか。 ◎田中 保育課長 今年度の予算の中でいただいた部分、それから補正で追加で新たにいただいた部分がございまして、現在、百名程度の方がこの制度を利用しているところです。 ◆風間ゆたか 委員 百名もの保育士がこの制度によって確保できたんだとすれば、大変な成果だと思いますし、来年以降も新たな保育園ができるということを考えれば、やっぱり世田谷区は保育士を確保するということにおいて一歩リードしていると言えるのでないかと思います。  一方で、これは認可保育園での取り組みだったことから、保育室等にも広げるというような話もありましたけれども、世田谷区には認可外の保育施設もかなりたくさんあって、これは自主努力で保育士の採用なんかを頑張っているということも耳にしています。一生懸命ネットとかで広告を出しても、世田谷区が保育士採用にかなりお金をかけてやってしまっているので、認可外の世田谷区内の保育施設が、保育士採用にさらに厳しい状況になっているという話も耳にします。一方で、世田谷区は来年から、認可外でも基準を満たした施設を利用する待機児童の方に対しては補助を出すという決断をされているのだとすると、認可外は保育士を確保できなくてもいいということではないと思うんです。世田谷区でも、その対象になる認可外の保育施設であれば、保育士確保の支援という枠組みに入れるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◎田中 保育課長 世田谷区の担当区域であるハローワーク渋谷の平成二十八年一月の保育士の有効求人倍率が一七・六六ということで、保育士の確保は依然として大変厳しい状況であるということは認識しております。区といたしましては新年度から、一定の要件を満たす無認可保育施設の利用者を対象とした保育料補助を開始することもあり、それら無認可保育施設の保育士確保への支援とともに、新制度への移行を促すことも待機児対策として必要なことだというふうに認識しております。今月の二十九日に無認可保育施設に対して利用者補助制度の実施についての説明会を開催する予定でございます。その際、保育人材情報サイト、せたがやHoiku Workの活用意向を確認するとともに、新制度への移行に向けた制度の説明を実施してまいります。 ◆風間ゆたか 委員 進めてもらって、世田谷区の保育ということにおいては、認可を希望される方は多いですけれども、認可に入れなかった方々の受け皿もしっかりと保育の質を保っていかなければならないと思いますから、そのあたりの観点から進めていただければと思います。  次に、世田谷の子育て支援領域についての質問をさせていただきます。世田谷区は、私たち世代も、私も保育園児の保護者としていられるのがあと十二日程度になってしまったので大変寂しい思いをしているところですけれども、我々よりも少し若い世代、これから子どもを産もう、産み育てようという世代の人たちと話をしていると、なぜ世田谷を選んだかという話になるわけです。保育園に入れるのは相当ハードルが高いということは覚悟の上で世田谷区に転入してくる人もいるし、もともと独身時代から世田谷に住んでいて、保育園に入れるのは大変だけれども、そのままやっぱり世田谷で子育てしたいという話をしてくれる若い世代がいるわけです。これは何かなと考えたときに、みどりが多くて、公園が多くて、子どもを育てる環境としてはすぐれている。さらに、子育て支援ということに関しては、保育園に入れるのは大変かもしれないけれども、子どもを育てる環境という意味では非常に恵まれているから判断したなんていう話を聞くと、私もうれしい気持ちになってきますけれども、私自身もそれは実感しているところです。  一方、世田谷区の子育て支援の何が充実しているのかということを、生活しているとなかなか理解しにくい、実感しにくいというものも一方ではありますけれども、こうやって行政に近いところにいる人たちからすれば、世田谷の子育て支援というのは、民間、市民活動団体が一生懸命であるとかいう話をよく耳にするわけです。これは世田谷区の子育て支援に関する市民活動団体の動きが世田谷区の子育て支援の一助になっていると思うわけですけれども、その認識は担当としてはあるんでしょうか。 ◎百瀬 子ども家庭課長 子育て環境を取り巻く社会状況の変化でございますとか区民ニーズに基づきまして、区内にはこれまでも子どもの年齢に応じたさまざまな子育て支援策を施策化してきているものと認識しております。区民ニーズでございますとか子育て課題が多様化する一方、行政が直接かかわれる方というのは限られてくると思っております。その中で、子育て家庭が今目の前で抱えている困り事でございますとか支援が行き届いていないこと、子育て家庭にとってあったらいいなと思うことなどに敏感に反応し、寄り添いながら支援していただいているのが区民の活動団体であるというふうに認識しており、まさに両輪で子ども・子育て家庭を支えているものと認識しております。 ◆風間ゆたか 委員 まさに市民活動団体の方々、子育て支援をしている活動団体の方々から話を伺うと、自分たちは子育てをある程度経験してきたことだから若い人たちの支えになればということでやっている方々も多いし、そういったノウハウを持っているから多くの人たちに知ってもらいたいということで活動している人たちも大変に多い。毎年一回開催されている世田谷子育てメッセには毎年多くの方々が集まりますし、活動団体も年々ふえていると認識をしているところです。まさに活動団体と行政は車の両輪ではないかなと感じるところです。  今回、世田谷版ネウボラがスタートするということにおいても、このネウボラ自体も、もちろん行政主導ですけれども、活動団体と両輪で回していくべきなのではないかなという観点から、本会議、一般質問でも指摘をしたところです。子ども・若者部の領域で言えば、市民活動団体との連携が割とうまくいき始めているという感覚はありますけれども、市民活動団体の方々と話をしていても、この世田谷版ネウボラがスタートするということ自体を余り知らなかったりとか、または母子保健領域では、まだまだ市民活動団体との連携がなかなかできていないというような状況なのではないかなと感じているところです。  特に母親学級などでは、これから初めてお母さんになろうというプレママが保健師さんたちから話を聞くということも貴重な機会かもしれませんけれども、実際の地域の先輩ママたちから地域の情報を聞いたりだとか、コミュニケーションがある、コミュニティーの中に入っていける、そんな雰囲気づくりをしていくのも一方では必要ではないかなと感じているところでもありますけれども、母子保健領域ではこういった市民活動団体との連携の必要性みたいなものは感じていないのか、見解をお聞かせください。 ◎後藤 健康推進課長 母親学級の中では、妊娠期からの出会いを促すために、妊娠期から参加できる事業の御案内などを行っておりますけれども、これまでは児童館などの区の事業が中心となっておりまして、地域の活動団体など、これから育児を支援してもらえる資源に関する情報は少ないのが現状でした。今年度より、利用者支援事業として子育ての困り事にも対応する地域子育て支援コーディネーターの活動が始まりまして、母親学級の中で地域の子育て支援団体の活動状況などの御案内をする時間をとるようにしております。  今後、母子保健コーディネーターの活動の中にも地域とのネットワークをつくるという活動もございます。また、今後の地域での子育て支援団体との連携も含めて、母親学級のプログラムなども見直しに取り組んでいきたいというふうに考えております。 ◆風間ゆたか 委員 まさに世田谷版ネウボラ、本物のネウボラとは大分物は違うと思いますけれども、ただ、妊娠期から就学前までの期間を一貫して行政がサポートしていくという姿勢をあらわす意味ではいいネーミングだと思いますし、これが世田谷区の特徴として市民活動団体と両輪でずっと回していくんだということをもう少しメッセージ性を加えていったらいいかなと思いますので、この点を注視していきますので、所管はまたがると思いますけれども、連携してうまく進めていってもらえればなと思います。  藤井委員とかわります。 ◆藤井まな 委員 三月十一日で震災から五年ということで、その震災から何を教訓として考えていくのかなというのは本当に大事であるということは、先日の質疑でも、またきょうの質疑でもさまざまな方がおっしゃられていたお話です。その中でも、もちろん忘れてはいけないという気持ちも大事ですし、もっとより細かな具体的な政策というものも教訓としてしっかりと打ち立てていかなければいけないと私は常々強く思っております。  先日、私は狛江市に視察に行ってきたんですけれども、狛江市で取り組んでいる視覚障害者、聴覚障害者の方が災害時に着ていただくベストを開発したというので見てきました。具体的には、東日本大震災のときに白杖、視覚障害者が使っているやつですけれども、そういったものを持っていても、多くの人たちが避難をしているときにはなかなか有効に使えなかったであるとか、あとは実際に視覚障害者の方が普通の健常者の方と一緒に逃げるときに、皆さん混乱していますから、視覚障害者がそこにいるというふうに意識して避難をしないわけですから、なかなか気づいてもらえなくて、周囲の方と多く接触をして、避難するときにうまく避難できなくて恐怖を感じたというお話がありました。  もちろん狛江の方たちも当然そういったお話を聞いたであろうということで、私も狛江が新しく取り組んでいるというベストを実際に見てまいりました。このベスト、上が視覚障害者の方用のベストで、下が聴覚障害者の方用のベストなんですけれども、実際、私は着させていただいて、どういう機能があるのかなという説明も聞いてまいりました。もちろん実際に目立たなければいけないということで、耳が不自由であるとか目が不自由であるとかと書いてあるのはもちろんのこと、着ている私が手に持っているのが、東京都が考え出したヘルプマークが入った、これは実は小さなホワイトボードなんです。実際にここで聴覚障害者の方がコミュニケーションをとれるように小さなホワイトボードを持っていたり、あと、ちょっとわかりづらいですけれども、ここに笛があったりして、いざ、私がここにいるよというのを示すために笛がこのベストにつけられたり、また、ここの胸に入っているのがヘルプカードというカードで、どういった障害があるかということを書いてあるのはもちろんのこと、実際に現場で水害とかもありますよね。水にぬれても大丈夫だよ、水にぬれても書くことができたり、しわくちゃにならなかったりという素材が使われているというお話でした。  この取り組み、ほかにどこでやっているのかなと調べてみたら、静岡県であるとか、また江戸川区であるとか、そういったところで取り入れられているというお話を聞くことができました。  四月一日から障害者差別解消法というものが施行されますけれども、この中に合理的配慮という言葉が出てまいります。災害時にある種、視覚障害者の方であるとか聴覚障害者の方に対しての行政がやるべき合理的配慮の一部ではないかなというふうに、私はこれを見て感じました。こういう災害時に視覚障害者や聴覚障害者の方が避難をするときに、周りの方が気づいてあげられる、そういったことの政策を今紹介させていただいたんですけれども、こういった政策の事例に対して世田谷区はどのようにお考えでしょうか。 ◎若林 障害施策推進課長 区では、災害時の対応につきまして、区民の生命、安全を守るため、これまでも障害者を含む要援護者について、担当所管で対応を想定し、準備を進めてきております。一例といたしまして、聴覚障害者への発災時の情報伝達に備えて、この庁舎内には緊急地震速報用の回転灯を設置したり、また、災害時やぐあいが悪くなったときに、今お話がありましたが、周囲の人に支援してほしい内容を知らせるためのヘルプカードを作成し、希望者に配付するなど、災害時にも活用できるよう周知を図っております。  委員お話しの狛江市の視覚障害者と聴覚障害者のための災害時用ベストにつきましては、一目で必要な支援の内容がわかるようになっております。区といたしましては、障害者差別解消法の趣旨を踏まえまして、災害時においても合理的配慮の提供を適切に行い、必要な資源につなげられるように、他の自治体の事例なども参考に、今後、障害当事者の意見を伺うとともに、関係所管課と連携して研究してまいりたいと考えてございます。 ◆藤井まな 委員 今、答弁の中に、障害当事者の方の意見を伺うという話がありました。これは本当に大事な重要な点だと思います。  ちなみに、耳が不自由な方が青色のベストで、目が不自由な方が黄色いベストなんですけれども、これは、実は視覚障害者の方のベストが先にできたんです。この次に同じ色で聴覚障害者の人のベストをつくろうとしたら、実は聴覚障害者の人たちが、そこまで、こんな蛍光色でやらないでくれ、ただ、目立ちたいけれども、私たちは耳が不自由なだけで視覚障害者じゃないんだ、それは区別してほしいという声があって、色は視覚障害者の人はこういう蛍光カラーで、聴覚障害者の方はこういう青い抑えた、目立つんだけれども抑えた色になっているというふうになったそうです。やっぱり当事者の方たちの声を聞くというのは本当に大事だなと思います。  このベストをつくるときに、狛江市では、実際に障害者の方、あとは市の職員、それと実際に障害者の方をお手伝いしたりサポートしたりするボランティアの方の会議体、集合体をつくって、その話を聞きながらこういったものをつくっていったそうでございます。ぜひとも、今の答弁だと研究してまいりますという話だったので、すぐにできるという感じではなかったので、まずはこういった当事者の方たちに話を聞く、そういったことをまず進めてもらいたいと思います。そういった会議体をつくることに対してはいかがでしょうか。 ◎若林 障害施策推進課長 私どもでは、例えば障害者施策推進協議会という会議体を持っておりまして、各種の障害種別の当事者の方、また御家族の方が入っている会議体がございます。また、自立支援協議会という相談支援事業者等も含めたさまざまな障害にかかわりのある方々のいらっしゃる会議体がございますので、そういった既存の会議体がいろいろとございますので、それの中で今の災害時の支援をどういうふうにしていくのかというようなところも含めて、具体的な検討といいますか、研究をさせていただければというふうに思ってございます。 ◆藤井まな 委員 次に、実際に災害が起こったときに、いざというときに地域の人たちもこういったことを認識していただかなければいけないと思うんです。地域でさまざまな防災訓練が行われていると思います。その防災訓練にやっぱり当事者の方たちに参加していただく、また、当事者の方たちをサポートしているボランティアの方たちに参加をしていただく、こういったことが私は必要なんじゃないかなと思います。もちろん全ての防災訓練に参加することはなかなかできないと思いますけれども、地域の区の職員の方が防災訓練に参加しているという事例もたくさんあると思います。そういった地域の防災訓練のときに、例えば職員の方がかかわっているのであれば、障害者の役をやっていただいて、実際にそういった人がいるんだということを認識してもらってシミュレーションするということも大切だと思うんです。  先日、目黒区では視覚障害者の方の防災訓練を行って、強い光を当てて避難を誘導するというふうな具体的な防災訓練をやっているという新聞記事もありました。こういった障害者の方たちを巻き込んだ形、あるいはまた、職員の方がシミュレーションしていく形の防災訓練が必要だと思いますけれども、区はどのようにお考えでしょうか。 ◎若林 障害施策推進課長 障害者差別解消法の考え方といたしましては、障害当事者の方やその御家族などの参加とともに、意見を聞くことが何より重要であると考えてございますので、そのために必要な合理的配慮の提供が常に求められると考えてございます。防災訓練につきましては、地区や地域単位でさまざまな形で実施されているところでございます。昨年十一月には、防災訓練ではございませんが、玉川地域で障害者の防災を考えるシンポジウムが行われ、聴覚障害や車椅子を利用する障害当事者の方が御参加され、自助、共助などについて活発に議論されたというふうに聞いてございます。  委員御指摘のように、障害当事者が防災訓練などに参加することによって、避難所の通路の広さや食事の配付の方法など、必要となる合理的配慮についても個別性が高いことから、さまざまな気づきがあるものと思われます。今後、障害者差別解消法の趣旨を踏まえまして、障害者の災害時対応を初め、さまざまな場において障害当事者の参画を積極的に促すよう、関係所管と連携して進めてまいりたいと考えてございます。 ◆藤井まな 委員 この災害時対策、しっかりと行っていただきたいと思います。  次に、総括でもお話をさせていただきました医療的ケアが必要な子どもたち、政策の名称は居宅訪問型保育と重症心身障害児施設等の連携という政策のイメージでございますけれども、前回質問をしたときには、今週の十八日が事業者の選定の公募の締め切りでございますけれども、前回質問したときは手を挙げている事業者はいなかったという答弁がありましたけれども、現在はどうでしょう、手を挙げている事業者はいましたでしょうか。 ◎竹花 障害者地域生活課長 これまで三件ほどの問い合わせはございましたが、本日現在、応募としてはまだない状況でございます。 ◆藤井まな 委員 十八日まであと三日間ですので、ちょっと心配になってまいりますけれども、十月にスタートするという仮定で質問をしていきたいと思います。  この施設が十月にスタートするとすると、先ほど言ったとおり、居宅訪問型の保育と重症心身障害者施設の連携という形でスタートをすると思います。朝の八時から十時までは居宅訪問型の保育を行って、十時から十五時までは重症心身障害者施設、そして十五時から十八時までは居宅訪問型保育。これは区のほうでも一般的に公開している話でございますから、もう広まっているとは思いますけれども、ここで問題となってくるのは、八時から十時までは居宅訪問型、十時から十五時までが施設ということは、居宅訪問から施設に移動をしていかなければいけないということだと思います。  仮に開設するとしたら、宮坂三丁目に開設をするということになっていると思いますけれども、この宮坂三丁目に行くときに、世田谷区は広いですから、当然奥沢の方もいらっしゃるし、北烏山の方もいらっしゃるし、宮坂三丁目から離れている方も多くいらっしゃると思うんです。この送迎という問題に対してまだまだどうなっていくのかなということが明確になっていないように私は感じます。もちろんそこら辺のところは事業者のほうともしっかりと打ち合わせをして行っていくことだと思いますけれども、この送迎の方法に関して区はどのように捉えているか、お伺いをさせていただきます。 ◎竹花 障害者地域生活課長 施設への送迎方法でございますが、まず、障害が重いと判定された重症心身障害児の方の施設への送迎につきましては、制度上、事業者の送迎車で行うこととなります。居宅訪問型保育を利用するという場合は、居宅訪問型保育の保育者が自宅から送迎車が来る場所への送り迎えや、場合によっては送迎車に一緒に乗るなどで送迎にかかわってまいります。重症心身障害児ではないという子どもさんについては、施設事業者の送迎はありませんので、居宅訪問型保育の保育者が利用者の御自宅から施設へ徒歩や公共交通機関などにより送迎を行うこととなります。 ◆藤井まな 委員 その送迎の手段がそれぞれ違うということなんですけれども、違うことになることが想定されるんですけれども、もちろん利用者さんが近くに偏っていればそういうことはないのかもしれないですが、そうなってくると、利用者さんの負担というものも変わってくるのかなと思うんです。利用者さんの負担はどうなっていくと考えていらっしゃいますか。 ◎田中 保育課長 負担についての御質問なんですけれども、送迎という限った部分での負担なんですけれども、児童発達支援事業については児童発達支援事業の費用の中でいくんですが、居宅訪問型保育事業を利用しながら児童発達支援事業所を使う、要するに居宅訪問型保育の保育者が送っていくという場合、その交通実費等については保護者の負担という形になります。ただ、居宅訪問型保育の事業者が交通費等の実費の支払いを求める際、あらかじめ当該金額の使途及び額並びに支払いを求める理由について書面によって明らかにし、利用者に対して説明を行い、同意を得なければならない旨を区の条例において定めているところです。 ◆藤井まな 委員 この交通費の問題というところも、事業者さんが決まることを前提で今お話をさせていただいていますけれども、同じ世田谷区の中で利用される方に対して余り差が出るような形にはならないほうが私は理想じゃないかなと思います。もちろん、事業者さんとの話し合いで決まることもあると思いますので、そこら辺は施設の利用者さんに対してある程度公平な制度というものをできる限り考えていただきたいなということをとりあえず要望させていただきたいと思います。  また、先ほど他会派や風間幹事長からもいろいろと話がありました。保育園の指数の考え方というのもこれまで何度もこの区議会でもいろいろと議論になってきているところでございます。一つ、障害を持っている方を優先的にポイントを高くしてくれみたいなことを私は心の中で思っているんですが、それがいきなりどうこう通るとは、今の制度上もそんなことは簡単にはならないとはもちろんわかっているんですけれども、そういったことがまだ議論になっていない面も多くあると思うんです。指数というものは何が適切かというのをもう一度議論しなければいけない時期に来ていると思いますし、例えば、子ども・子育て会議ですか、そういったところでも、私はそういった指数の問題は話し合いを持っていただきたいなと個人的には思っています。  ただ、その中に、仮に障害者の当事者の方がいらっしゃるかといえば、現時点ではそういった当事者の方は入っていらっしゃらないという現状があります。ぜひとも、まずはそういう議論を起こしてほしい。点数を変えてほしいということを言うのは簡単なので、そういうことじゃなくて、問題提起として、こういったものを議論していただきたいですし、世田谷区の子ども・子育て会議の場でもこういったことを議題としてぜひとも取り上げて議論をしていただきたいと思いますけれども、世田谷区はいかがですか。 ◎上村 保育認定・調整課長 お話しのように、御家族の中に重度の障害があるお子さんがいらっしゃるような事例の場合なんですけれども、現在の基準でも、施設とか病院への送り迎えといいますか、付き添いの時間数に応じましてポイントを行ったり、あるいは兄弟がいらっしゃる場合だと兄弟点が加点、それから、申し込みされるお子さんに障害があるために通所施設や病院に通うことによって保護者が就労の制限を受けている場合には十点を加点するとか、そういった仕組みはつくっております。こうした指数のあり方につきましては、いずれにいたしましても、保育の必要性の度合いをはかるものでございますので、家庭状況等を的確に反映する必要があると考えておりますが、特定の事由を優先すれば他の事由の方は不利になる、そういった関係性もありまして、区のほうにもさまざまな相反するような御意見も頂戴しているところでございます。  今後、引き続き基準のあり方につきましては、区議会を初め、今お話がありました子ども・子育て会議、これも一月に課題を提示しておりますけれども、そういったことの御意見を踏まえながら慎重に検討してまいりたいと考えております。 ◆藤井まな 委員 もう時間がないので最後になるんですけれども、障害者差別解消法の最大の問題点というのは、合理的配慮とは何かというところだと思うんです。これに違反した方は罰があるとしても、合理的配慮というものが具体的には決まっていないわけで、この合理的な配慮というものを世田谷区の中で積み重ねて、ある種、慣習法のように独特の、視覚障害だけじゃない、聴覚障害だけじゃない、とにかくいろんな障害があって、それを積み重ねることによって世田谷区の中の合理的配慮というものがつくられると思います。ぜひともそういったことを世田谷区独自に明文化していただきたいということを要望しまして、質問を終わらせていただきます。 ○山内彰 委員長 以上で世田谷民主党・社民党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○山内彰 委員長 以上をもちまして本日の質疑は全て終了いたしました。  本日の委員会はこれにて散会をいたします。     午後六時二分散会...