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  1. 世田谷区議会 2015-03-19
    平成27年  3月 予算特別委員会−03月19日-07号


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    最終取得日: 2023-05-03
    平成27年  3月 予算特別委員会−03月19日-07号平成27年 3月 予算特別委員会 平成二十七年予算特別委員会 予算特別委員会会議録第七号 日 時  平成二十七年三月十九日(木曜日) 場 所  大会議室  出席委員(四十四名) 委員長  和田秀壽 副委員長 福田妙美 副委員長 植田靖子      あべ弘幸      石川征男      上島よしもり      上山なおのり      宍戸のりお      下山芳男      新川勝二      菅沼つとむ      畠山晋一      三井みほこ      山内 彰
         板井 斎      岡本のぶ子      佐藤弘人      高久則男      高橋昭彦      津上仁志      平塚敬二      諸星養一      唐沢としみ      桜井純子      高岡じゅん子      てるや里美      江口じゅん子      桜井 稔      中里光夫      村田義則      風間ゆたか      中塚さちよ      中村公太朗      大庭正明      田中優子      桃野よしふみ      木下泰之      小泉たま子      あべ力也      上川あや      ひうち優子      佐藤美樹      すえおか雅之      青空こうじ  出席事務局職員          議事担当係長 佐々木 崇  出席説明員   副区長           板垣正幸   政策経営部   財政課長  加賀谷 実   教育長           堀 恵子   教育委員会事務局           教育次長  古閑 学           教育総務課長                 工藤郁淳           学務課長  岩元浩一           学校健康推進課長                 吉田宗史           副参事   大澤正文   教育環境推進担当部           部長    杉本 亨           学校適正配置担当課長                 須田将司           施設課長  安間正伸   教育政策部   部長    伊佐茂利           学校職員課長                 秋元勝一           教育指導課長                 齋藤 等           教育相談・特別支援教育課長                 小渕由紀夫           生涯学習・地域・学校連携課長                 林 勝久           中央図書館長                 花房千里           副参事   滝渕正史     ──────────────────── 本日の会議に付した事件  議案第一号   平成二十七年度世田谷区一般会計予算  議案第二号   平成二十七年度世田谷区国民健康保険事業会計予算  議案第三号   平成二十七年度世田谷区後期高齢者医療会計予算  議案第四号   平成二十七年度世田谷区介護保険事業会計予算  議案第五号   平成二十七年度世田谷区中学校給食費会計予算  議案第三十号  平成二十七年度世田谷区一般会計補正予算(第一次) (文教委員会所管分に対する質疑)     ────────────────────     午前十時開議 ○和田秀壽 委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 本日は、文教委員会所管分の予算審査を行います。  なお、質疑に入る前に一言申し上げます。  けさ行われました運営委員会において、委員会での離席が多く見受けられるとの御意見がございました。  運営委員会では、委員会の離席は極力控えると既に確認されておりますので、委員の皆様におかれましては、極力離席はお控えいただきますよう、改めて確認をさせていただきます。  さらに、委員会室内において携帯電話等の使用が見受けられるとの御意見もございました。  運営委員会では、会議中は委員会室内での携帯電話等の使用を禁止することが確認されております。  円滑な委員会運営が行われますよう、いま一度予算特別委員会運営方針を御確認いただき、それらを踏まえて予算審査を行っていただきますようお願い申し上げます。  それでは、質疑に入ります。  無所属・世田谷行革一一〇番、どうぞ。 ◆田中優子 委員 おはようございます。それでは、無所属・世田谷行革一一〇番の質問を始めます。  まず最初に、昨年の決算委員会で私は、東京オリンピックに向けて、世田谷区の子どもたちに夢と可能性を持ってもらいたいと思い、隠れた運動能力を発見することができるスポーツパフォーマンス測定を世田谷区でも実施してはどうかと提案いたしました。これは、私が札幌で開催されたスポーツパフォーマンス測定を視察に行きまして、これはぜひとも世田谷区の子どもたちにも体験してほしいと思ったことがきっかけでした。折しも世田谷区では「才能の芽を育てる体験学習」という特別なプログラムがございます。そこで扱われたらいいだろうというふうに考えたから提案いたしました。  そのときの答弁では、「才能の芽を育てる体験学習」においても、子どもたちがスポーツに親しみ、夢を育み、才能を伸ばす機会をふやしていくことが非常に大切であると考えており、スポーツパフォーマンス測定も含め、できる限り早期の具体化に向けて検討を進めたいということでした。  その後、世田谷区の職員が視察に行ってくださったとのことで、主催者から連絡があったんですけれども、全国各地から、いろいろなところから視察に来ていたけれども、世田谷区の職員の方たちが一番熱心でしたよと大変お褒めの言葉をいただきました。主催者も感心していました。  そして、来年度の予算書ができ上がってきたので、私は「才能の芽を育てる体験学習」のところを探しました。予算書の三六五ページにありましたが、その予算は一千三百万九千円となっています。この中にスポーツパフォーマンス測定の予算がついていると考えてよろしいでしょうか。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 「才能の芽を育てる体験学習」は、区立小中学校の児童生徒を対象とした体験学習でございます。各界の第一線で活躍する方々を講師としてお招きし、ふだんの授業では経験できない内容の講座を開催してございます。  平成二十七年度は特別講座のプログラムといたしまして、委員お話しのような、子どもたちが広くスポーツを楽しむきっかけづくりのための体験講座を予定してございます。 ◆田中優子 委員 世田谷区の「才能の芽を育てる体験学習」というと、トランペッターの日野皓正さんが校長を務めていらっしゃるドリームジャズバンドが非常に有名で、でも、スポーツ関連というのが余りないかなという感じだったと思うんですね。今回、この隠れた運動能力を発見しようという、そういう特殊な体力測定なんですけれども、それが入ると、どちらもそろってバランスがよくなるのかなというふうに思います。  世田谷区には、このような特別な体験プログラムがあって、子どもたちは幸せだなと思いますけれども、ぜひとも来年度中に実施されることを願っています。多くの世田谷の区民の方から主催者のほうにも問い合わせがあったということで、テレビでも報道されたんですけれども、今もなお問い合わせがありますよということでしたので、ぜひ実現されるように願っております。  では次に、エイズ教育について伺います。  国連合同エイズ計画の発表では、二〇一三年の末の時点で、世界のHIV陽性者数というのは三千五百万人、新規でHIV感染者になってしまった人は年間二百十万人で、これは二〇〇一年に比べると三八%減っていて、エイズによる死亡者数というのも年間百五十万人、二〇〇五年に比べると三五%減となっているそうです。このように、世界ではエイズは減ってきているんですけれども、先進国で唯一ふえているのがここ日本だということです。  厚生労働省のエイズ動向委員会は昨年五月に、二〇一三年に新たに報告されたエイズウイルスHIV感染者エイズ発症患者数の確定値を発表していますけれども、それによると、新たに報告されたエイズウイルス感染者数、そしてエイズ発症者の患者数の合計というのは千五百九十件で、二〇〇八年以来五年ぶりに過去最多を更新しています。そのうち感染者は過去二番目に多い千百六件、また、発症して初めて感染していたことがわかったというエイズ患者も、これまでで最多の四百八十四件だったということです。  何より恐ろしいのは、発症するまで自分が感染していることに気づかない。気づいていないから気をつけもしないし、知らないうちに感染をどんどん広めている可能性があるということなんですね。日本は非常にそれが多く、深刻な状況にあるということです。  世田谷区では無料で匿名で受けられるエイズ検診を毎週行っていますけれども、ちょっとでも心配な人はもっと気楽に検診を受けようよという啓発が必要だと実感しています。その検診を受けましょうとなると福祉保健の領域になりますので、きょうは教育委員会に関連することの視点から質問したいと思います。  こちらの冊子なんですけれども、これは東京都幼・小・中・高・心性教育研究会というところが調べている、調査しているものなんですが、「児童・生徒の性に関する調査報告」二〇一四年度版というものです。私、これを取り寄せていろいろ研究してみたんですけれども、この中で気になることがありました。  一つは、エイズについて聞いたことがないという小四から小六の児童が五二%もいるということです。小四と小五に限ると八〇%以上が知らない、聞いたこともないという状況です。二〇〇八年度、同じここがやった調査と比べても、その認知度が大きく減っているということなんです。  もう一つは中学生のほうなんですけれども、エイズは遺伝すると誤解している生徒が全体の三分の一に及ぶんですね。三人に一人が正しい知識を持っていない。中一男子に限ると五一%、半数以上ですが、その生徒たちが誤解しているという結果でした。
     そこで伺いますが、世田谷区の小中学校ではエイズ教育をどのように行っているのか、エイズ患者の推移の認識とあわせてお答えいただきたいと思います。 ◎齋藤 教育指導課長 委員お話しのとおり、主な先進国でHIV感染の新規感染者が横ばいもしくは減少の中で、唯一先進国としてふえている日本においては、さらなる予防や啓発活動の充実が求められているというふうに認識しております。  現在、エイズについての学習は、小学校では六年生の保健学習の病原体と病気の予防に位置づけられておりまして、ここでまずエイズに関する基礎的な知識について学びます。中学校では三年生の保健学習の健康な生活と疾病の予防に位置づけられておりまして、ここでエイズの感染経路と、感染経路を断つことが予防になること、保健所や保健センターがエイズの検査を行い、エイズ予防の啓発をしていることなどを学習いたします。その際、東京都の発行している「エイズ理解・予防に関するパンフレット」に、東京都のHIV感染者やエイズ患者の推移が掲載されておりますので、小中学校においてエイズの実態を知るための教材として活用しているところです。また、道徳教育の中でも、エイズ患者に偏見を持たないなど、人権上の配慮について教えているケースもございます。 ◆田中優子 委員 今答弁の中にありました保健所の保健師や助産師をゲストティーチャーに招いての指導というんですか、そういうケースなんですけれども、保健所のほうに確認しましたら、二十三年度は七回、二十四年度は五回、二十六年度は九回、出張指導を行っているということだったんですが、区立の小中学校の数といったら九十以上ありますよね。それを考えると余りにも少ないのではないかというふうに思いました。  この派遣講座というのは保健所の予算であって、教育委員会は負担しなくていいと聞いているんですが、それはそうでしょうか。 ◎齋藤 教育指導課長 そのように認識しております。 ◆田中優子 委員 そうであればなおさら、もっとこういう専門家に来てもらって、正しい知識を身につけられるように、教育委員会のほうは各学校にもう少し積極的に呼びかけて、紹介もしてやったほうがいいですよというふうにお知らせしたほうがいいと思うんですね。無知や誤解から感染者が広がらないように、将来、子どもたち、今は子どもでも、将来、すぐ若者になり、大人になるという子どもたちですから、エイズ教育というのは、もう少し公立の中でしっかりやっていただきたいと思います。  次に、トゥレット症候群について伺いたいと思います。  初めてトゥレット症候群を議会で取り上げたのは平成二十三年の二月でした。ちょうど四年前になります。トゥレット症候群という発達障害があることを、私もそのとき初めて知ったのですけれども、主な症状は首を振るチックと汚い言葉などを大きな声で言ってしまう音声チックというものです。本人はそんなことはしたくないのに、体が勝手にそうやってしまう、そう動いてしまう。そして、それがとても恥ずかしいことであり、周りの人たちに白い目で見られている、変な目で見られているということが、本人はわかってしまう、自覚するだけにとてもつらい、それがトゥレット症候群の特徴だというふうに聞いています。  その後、平成二十五年の決算委員会でも取り上げましたが、世田谷区においては、冊子で特集を組んだり、図書館でトゥレットの本をそろえたり、また、トゥレット症候群理解のための映画上映会をバックアップしたりと、いろいろ取り組んできてくださっていることには感謝と評価をさせていただきます。  昨年、区民が主体となって開催したその映画上映会ですけれども、会場いっぱいに人が集まって、もう立ち見のような状況で、関心の高さが伝わってきました。  ことしもまた五月十五日から六月十五日のトゥレット症候群啓発月間というのがあるんですね。そのときに、主に今回は幼稚園や学校の先生を対象とした映画上映会を開催したいということで、世田谷区と世田谷区教育委員会が後援となってくれているということですが、それは非常に心強いと思っております。ぜひ上映会に多くの先生方が行ってほしいというふうに願っています。  そのほかに、学校においても、LD、ADHD、アスペルガーに並んで、先生たちが誰でも知っていて理解ができるように、トゥレット症候群を教職員研修に入れていただけないか、その必要があるのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◎齋藤 教育指導課長 現在、通常の学級に在籍する発達障害など配慮を要する児童生徒の理解と指導の充実に向けて、管理職を初め、校内の連絡調整役として指名されている特別支援教育コーディネーター教育相談主任を対象として研修会を実施しているところです。ここでは、そういった専門家や特別支援学校の校長なども講師に招きまして、教職員がトゥレット症候群を含めたさまざまな障害の特性について知識を得るような研修内容にしてございます。  また、実際に各学校において、トゥレット症候群を含めた、そういった支援の必要な児童生徒がいるときには、一人一人の状況に応じた対応をしているために、学校からまた改めて特別支援教育コーディネーターが中心となって、教育相談の相談員ですとかスクールカウンセラーに、さまざまな障害の特性についてアドバイスをもらうようにしております。校内で委員会を開いて配慮を要する児童生徒の理解を深めて、学校全体として適切な指導ができるように検討しているところでございます。  また、先ほどお話しがありました映画のところにつきましては、この五月十五日からのトゥレット症候群の啓発月間のことを校長会で周知するなどして、指導が充実するように、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 ◆田中優子 委員 ぜひトゥレット症候群という名前を研修で普及啓発していただいて、世田谷の先生たちはトゥレットと聞いて、何、それと言う人がいないようにしていただきたいと思います。  それからもう一つ、当事者の保護者の方から聞いたんですけれども、中学から高校受験をするとき、このときは特別措置を受けることが可能だということなんですね。その方は、息子さんがトゥレットの症状がひどくて、普通に受験ができる状態ではなかったということでした。そして、高校側にあらかじめトゥレット症候群という発達障害だということでそのことを知らせ、仮におくれても受験できる措置を申請したそうです。しかし、高校側がそのことを全く理解していなくて、トゥレット自体も知らなくて、その措置の申請を却下してしまったと。却下されたということなんです。  そこで、その保護者の方は東京都教育委員会の委員長に手紙を書いて直訴して、事故や病気等による学力検査上の措置という、東京都のほうで持っている措置を得て、何とか受験することができたと言っていました。  義務教育ではない高校に進学するためには、まず受験に合格しなければなりません。その受験を受けることができなかったら、全くその権利がなくなってしまうわけですね。ぜひこの措置があることを、トゥレットの保護者の方たちにも知ってもらいたい、利用できるように、中学校の先生に指導をお願いしたいというふうにおっしゃっていました。先生が知らなかったら、その受験のチャンスを逃してしまうかもしれないわけですね。学校側が保護者にきちんと伝えられる知識を持ってほしいというふうに私も思います。  その方の息子さんは、その特別措置を利用して、遅刻をしたけれども、別室にて受験をさせてもらえたと。睡眠障害がひどくて、なかなか起きられない、起床できないという日もあるそうで、それをトゥレットに理解のない人たちは、サボっている、怠けているというふうに、学校でもお医者さんにもそう言われてしまって、十年もかかって、やっとトゥレットにたどり着いたという方の体験談ですので、このこともあわせて、ぜひとも指導課長には校長会等々で学校に伝えていただきたいというふうに思います。  それではもう一つ、自殺対策について伺います。  昨日、ちょうど大津市の中学二年生の男子生徒がいじめを受けて自殺した事件をめぐる訴訟で、生徒の両親と大津市の和解が成立したということが報道されていました。和解条項では、教職員が生徒へのいじめを認識し、自殺を予見することが可能だったのに防げなかったことなどについて、学校に防ぐ責任があったとの見解が示され、市が御両親に謝罪したということでした。賠償額は四千百万円相当に及んだというふうに出ていました。  これは画期的な和解内容であると言われていますが、しかし、亡くなった生徒の命は戻ってはきません。周囲がもっと早くいじめに気づく目を持っていれば防げる事件だったという判断が下されたわけですね。同じように、自殺の兆候にも気を配り、気づく能力を身につける必要があるのではないかと思います。  さて、日本の自殺者の数は、ここ数年は三万人というのを切り、二〇一四年は二万五千四百二十七人でした。その前の二〇一三年に比べると一千八百五十六人減っています。特徴としては、自殺の原因の生活苦が一〇・六%減となっているそうです。しかし、学校問題という自殺の原因は〇・八%しか減っていないんですね。一%も減っていないということです。学校問題で悩んだあげく死を選ぶ若者の数は余り減っていないということです。  まず伺いますが、教育委員会では、例えばリストカットなど未遂者については把握しているのでしょうか、お答えください。 ◎齋藤 教育指導課長 現在、学校からのそういった報告はございません。 ◆田中優子 委員 リストカットのような未遂ということになると、個々個別の学校現場では対応しているかもしれませんが、よほど深刻でなければ、教育委員会までは上がってこないのかもしれませんけれども、私は先月、世田谷区自殺対策協議会の主催で行われた自殺対策シンポジウム、題して「大切な人から『死にたい』といわれたら」というシンポジウムに参加いたしました。そのときの資料がこちらになります。「大切な人から『死にたい』といわれたら」、サブタイトルに「自殺予防のためにひとりひとりができること」とあります。  まず、このシンポジウムを主催した自殺対策協議会について説明をお願いします。 ◎齋藤 教育指導課長 世田谷区では、平成二十二年九月に、世田谷区自殺対策協議会設置要綱に基づきまして協議会を設置いたしました。協議会は、自殺が多様かつ複合的な原因及び背景を有するものであることを踏まえて、総合的な自殺対策の推進体制を整備した上で、自殺の予防に関する施策を協議することを目的としております。  協議会には、自殺予防総合対策センター都立中部総合精神保健福祉センターを初め、病院関係や医師会、薬剤師会、警察関係、消防関係、労働基準監督署、弁護士会、あとまた交通事業者、自死遺族の集いの方などでメンバー構成されておりまして、教育指導課長も事務局員として参加しております。 ◆田中優子 委員 教育委員会のほうからも指導課長が入っていらっしゃるということで、よかったと思いますが、その先月のシンポジウムなんですけれども、そこで国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生という方が基調講演をされました。その中でおっしゃっていたのは、防ぎ得なかった自殺の多くは、死にたい気持ちに気づかなかったことによって生じているということでした。そして、その死にたい気持ちに気づく方法は一つしかないというふうにおっしゃっていたんですね。何だろうと私も思ったんですけれども、指導課長、何だと思われますか。 ◎齋藤 教育指導課長 やはり身近な家族なり、学校関係者も入るかもしれませんが、身近な人が日ごろからしっかり話をしたりというような状況にあるかということではないかと推測します。 ◆田中優子 委員 私も同じように、よく見ていることなのかな、そういうふうに思ったんですね。そうしましたら、ちょっと意外だったんですけれども、とにかく自殺について話題にしましょうというんですね。そして、死にたい気持ちに気づくこと自体に自殺抑止効果が出てくるというんですよ。つまり自殺を、最近でこそようやく言葉にしても許されるというか、いいような時代になってきたと思うんですけれども、私たちは本当にタブー視していて、言ってはいけない、触れてはいけない、隠しておかなきゃいけないというようなものが、長い間、自殺という扱いだったと思うんです。ですから、それを変えなきゃいけないというんですね。こういうキーワードといいますかヒントを、ぜひとも学校現場にいらっしゃる教職員の方々に知っていただきたいと思いました。  世田谷区では中学生向けの自殺予防のための冊子を配付したということですけれども、こちらでしょうか。これについてどういうものか、説明をお願いしたいと思います。 ◎齋藤 教育指導課長 そちらは、本年二月に世田谷保健所の健康推進課から中学校一年生向けに自殺予防の小冊子として「一人でなやんでいるあなたへ『SOSを出していいんだよ!』」ということで、全中学校に配付しております。学校では、道徳の時間とか、また、ホームルームの時間に取り上げなどしており、配るときに、困ったことがあったら、いつでも先生、友達、スクールカウンセラーに相談してねというふうな声かけをしながら配付して活用したと聞いております。 ◆田中優子 委員 この「一人でなやんでいるあなたへ『SOSを出していいんだよ!』」というのはすごくかわいくつくられているんですね。中に動物の写真があって、一ページに大きな字で、中学生って結構大変で、みんな悩んでいるんだね。悩んだり、心が疲れてしまったとき、どうしたらいいのかな。こんな気持ちになったり、体の調子が悪くなったらSOSを出そうというように、とてもかわいい写真とともに、中にもう少し詳しくいろいろなアドバイスが載っていますけれども、ぜひこういうものは活用してもらいたいなと思いました。やはり自殺ということを特別扱いにしないで、どんどん口に出し、話題にすることが大事なんだと、ちょっと目からうろこでしたが、そのように思います。  最後に、自死遺族の子どもたちのケアについてはまだなかなか取り組みはないと思うんですけれども、やはり日本は大変な自殺大国といいますか、中高年の男性の自殺が一番多いですね。となると、お父さんが自死をしてしまったという、その子どもがいる可能性があるということを、やはり教職員の方々は胸に置いて、自死遺族のケアまではなかなか行き着かないと思いますけれども、今後、そういう状況を見つけたら、ぜひとも事細かに丁寧に対応していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。 ○和田秀壽 委員長 以上で無所属・世田谷行革一一〇番の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 引き続きまして、無党派・緑、どうぞ。 ◆木下泰之 委員 本会議でも問題にしたわけですけれども、四年前の二〇一一年の三・一一のときの福島の原発事故の後、米軍が調査をしたところ、熊谷市に百十三ベクレル・パー・キログラム、沼田市では三十四ベクレル・パー・キログラムのストロンチウムが降下していた――八十九ですけれども――ということがわかったんですが、この事実は、教育委員会としては把握していたでしょうか。 ◎岩元 学務課長 委員のお話しのあった後、環境保全課のほうから情報提供を受けております。 ◆木下泰之 委員 後から情報提供を受けたということですけれども、インターネット上ではかなり前からこの情報は出ていたと思うんですね。それで、ただ、川場村が土壌調査をやって、そこにプルトニウムやストロンチウムが出てきたと。そのときの問題については、これは福島由来ではないということで処理されてしまったんですが、先ほどのデータと示し合わせたとき、可能性として福島から降ったものというふうには考えられませんか。 ◎岩元 学務課長 委員御指摘の米軍、エネルギー省の国家核安全保障局の調査と、また、川場村が実施した調査の中身については、米国の調査については、私どものほうでは詳細についてはわかりませんけれども、川場村のほうで調査した結果につきましては、財団法人日本分析センターによる土壌調査ということで、これにつきましては、文部科学省の相模原にあります放射能測定法シリーズ、放射性ストロンチウム分析法、またプルトニウム分析法に基づいて実施されたものということで、その結果については福島原発由来のものではないというふうに私どもは認識しているところでございます。 ◆木下泰之 委員 当時はこの米軍のデータ、アメリカの調査についてはオープンにされていなかったんですね。そういった中で、日本政府については八十キロ以上は飛ばないということが前提になっていて、それをもとにして、三・一一由来のものではないというふうに結論づけちゃったわけですよね。こういう新たなデータがわかった以上は、もう一度やり直す必要があるんじゃないですか、どうなんですか。 ◎岩元 学務課長 川場村の実施した調査につきましては、文部科学省の指定に基づいた調査を専門機関でやっておりますので、それは正確性があるものだというふうに認識してございます。 ◆木下泰之 委員 評価の問題として、飛んだか飛ばないかという問題もあるわけですよ。それから、現にそこにプルトニウムやストロンチウムが存在したということ自体が非常に問題です。  それから、沼田市というのは、川場村のすぐ近くなんですよ。私は川場村についてはよく知っているんですよ。それで、そういう近くから出たということについて非常に問題だと思います。  ついでに、なぜよく知っているかということを申し上げておきましょう。私は高校時代、埼玉の寄居町というところで育ちまして、高校は熊谷高校に行っていたわけです。ですから、あの地域はよく知っています。それから、私は山岳部でして、高校にしては珍しく、最初の雪山をやったんですね。それで、高校一年のときに冬に冬山を一週間、上州武尊に入りました。その秋に、実はそういうのは偵察山行というのをやるんですね。それで行きまして、実は日地という日本地理院の地図が間違っていたんですね。そのことによりまして道を外れて帰ってこれなくなっちゃいまして、それで遭難騒ぎになって、捜索隊まで出たということがあります。だから、あの辺の地理はくまなく知っております。  それから、申し上げておきますけれども、そういった意味で、私は川場村についてはこよなく愛しております。少年のころに初めて登った雪山で、非常にきれいな樹氷やエビの花なども見せていただきました。それから、雪庇などという現象も見させていただきました。雪の中で格闘して、またスキーツアーで笠ヶ岳に向かって見えるような、つまり、あそこは登ると日光のほうがよく見えるんですよ。そういった意味で、日光方面から大量のセシウムが降ってきたであろうということはよくわかります。毎年毎年雪が降り積もり、それが解けているにもかかわらず、いまだに汚染状況重点調査地域なわけですよ。いまだにそうです。  去年というか、二十六年度は何人行かれましたか、ちょっと教えてください。 ◎岩元 学務課長 昨年度の児童参加数ですけれども、五千二百六十五人でございます。 ◆木下泰之 委員 行かれなかった方についてはどうなんですか。 ◎岩元 学務課長 放射能を理由に参加されなかった方は二十五人とお聞きしてございます。 ◆木下泰之 委員 その方々も含めて七十二名が休んでいるわけですね。だから、もう少し多かったかもしれないですね。  いずれにせよ、まだこういった形で二十五名、明確に意思を表明して行かれない児童がいるということは、私は世田谷というところはやはりちゃんとしたところだと思います。この対応に対して、今どういうふうにしていますか。去年の卒業式では、例えば川場村のシュプレヒコールがあったりしているんですけれども、対応についてはどうなっていますでしょうか。 ◎岩元 学務課長 卒業式等の対応につきましては、各学校において、それまでの学校行事等を振り返ってさまざまなプログラムが組まれていると認識しておりますので、その中に必要に応じて川場村の事業も入っているものというふうに認識してございます。 ◆木下泰之 委員 私は、教育問題においても、川場村に義務的に行かせるということはやめたほうがいいとずうっと言わせていただきました。それから、なぜこれだけ私ががんの問題にこだわるかといいますと、これも言っておきますけれども、私、政治活動をやる原点というのが、六価クロム事件というのがあったんですね。ちょうど荒川放水路と、それから旧中川の先端に日本化学工業というところがありました。そこで肺がんでばたばた労働者が死ぬ。しかし、それについては全身のがんが問題になったとき、お医者さんたちは量―反応関係で、ほかの臓器のがんを否定したわけですね。そういったことについて争ってきたということがあります。  がんの問題はいろいろ言われておりますけれども、やはり放射能に関しては閾値がないということがございます。そういったことがわかっていながら行かせることは非常に問題だということをずうっと言い続けてきました。来年度も行かせるようですけれども、ぜひやめていただきたい。これは私、ここで言うので最後になりますけれども、ぜひ小学生を守っていただきたい。将来に不安を持った形でそういったところへ行かせるべきではない。また、教育上も非常によろしくない、そのことを申し上げておきます。 ○和田秀壽 委員長 以上で無党派・緑の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 引き続きまして、新風21、どうぞ。 ◆小泉たま子 委員 次大夫堀公園民家園について伺います。  この次大夫堀公園、そして民家園は、世田谷区の大切な財産です。ある専門家の方に伺いましたら、これからも世田谷らしい風景として残っていくのは次大夫堀公園民家園くらいであろうとのことで、区としてもしっかりとした考えを持っていかなければならないと思います。  この民家園ですが、古民家等の復元公開や年中行事などが行われていて、成果も上がっているでしょうが、残念ながら縦割り行政の典型だと思わずにはいられないのです。  さらには、地域からは浮き上がってしまったような存在です。以前、区民の方がお正月などの時期に、にぎわいがあったほうが楽しいでしょう、訪れる人も喜んでくださるに違いないということで、民家園につるしびなを飾ってもらおうとのお話を持ちかけたところ、断られたのです。その理由が、つるしびなは世田谷の文化ではないというものでした。  民家園の担当部門がその古民家が地域に存在していた当時のことを何とか忠実に再現しようとする熱意は買いますが、幾らなんでも世田谷の文化ではないということは、これはどういうことでしょうか。  では、世田谷の文化とは一体何なのですかと疑問に思わずにはいられません。生活というものは日々変化しているものであって、古民家も現役のときにはさまざまな変化に対応していったはずです。もとの持ち主である安藤家も、城田家も、あるときにはクリスマスツリーを飾っていたかもしれません。江戸時代にはクリスマスツリーはなかったと思いますけれども、私がここで申し上げたいのは、古民家であっても現代に存在しており、ある時代の風俗、文化だけをかたくなに守っていたのでは、逆にその存在理由がなくなってしまうと思うのです。  とにかく民家園を訪れる区民の方が少ないのです。時間をつくってでも行ってみようという気持ちが起きないことがとても残念です。さらには地域との連携が感じられません。  このようなことが縦割り行政の典型で、教育委員会が古民家、古民家と思えば思うほど、地域から遠くの存在になってしまう、このように感じられます。魅力的にということで、何か食べ物をと提案して、若干置いてあるようですが、周知ということがなされておらず、ほとんどの人が知らない。お客様もいないようです。  さらには、この古民家を生涯学習の拠点とするというような発想が求められるはずです。大体組織の名称が生涯学習・地域・学校連携課となっているわけですが、それなのに、今、各係がそれぞれ縦割り事業を行っているようにしか見えません。抜本的な見直しが必要と思いますが、教育委員会としては新たな発想をお持ちになっているのかお伺いいたします。 ◎堀 教育長 つるしびなの件は大変残念です。教育ビジョンを本年度からスタートさせておりますが、そのとき申し上げましたが、学校教育のみならず、生涯学習の分野にもウイングを広げていきたいと申し上げております。したがいまして、古民家は大変世田谷らしい風景だと思っております。生きている古民家という形で、毎日いろりに火をたいておりますので、それをベースに、世田谷らしい光景と新しい世田谷のブランドというんでしょうか、それもつくっていきたいなと。大変ボランティアの方々が働いていていただけますので、そういう方々を大切にしていきたいと思っております。  また、オリンピック・パラリンピックがあります。それを視野に入れまして、外国人の方にも世田谷らしい光景、そしてその後、世田谷の魅力の一つになるような取り組みを展開していきたいと思っております。 ◆小泉たま子 委員 今、教育長の決意を拝聴したわけですけれども、実務の責任者の課長のお考えも伺いたかったんですが、とても時間が短いので、次の機会にさせていただきます。  今、民家園の事業について、教育委員会の中での連携した取り組みということを申し上げたのですが、古民家を含めた次大夫堀公園そのものの区全体における位置づけを考え直していくべきと思うのです。  確かに古民家を中心とした次大夫堀公園は一体のものと見えますが、実際には教育委員会と公園管理部門の共同管理のようになっており、それゆえに、何かまた連携がとれず、さらにまた、地域との連携がとれない、こういうことになります。  区は、何でもかんでも連携連携と言われますが、何か責任者がいなくて押しつけ合っているような印象を持ちます。ここには全部をトータルで所管する副区長がいらっしゃるのですから、このように大規模な文化も絡めた施設がうまく機能するような新たな仕組みがないものでしょうか。  折しも、先ほどもお話がありましたように、二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックが開催されるに当たり、世田谷の魅力を世界に向けても存分に発揮していくべきとき、この施設機能はとても大切なものと思います。組織を超えた施設全体の責任者を置き、総合的に対応していくというようなことが必要と思いますけれども、副区長のお考えを伺います。 ◎板垣 副区長 お話しの次大夫堀公園の民家園につきましては、都市計画公園内に整備された社会教育施設ということでございますけれども、そういう点では、公園としても大変特色のある施設となっております。したがいまして、今おっしゃったように魅力ある施設となるように、それは民家園もそうですし、公園にとってもお互いが魅力ある施設となるように、教育所管とも連携をとっていかなければいけないというふうに思っております。  一方、そのために、さらに体制づくりを含めたということでございますが、お話も含めまして、教育委員会の意向も踏まえながら、今後検討していきたいというふうに考えております。 ◆小泉たま子 委員 私はきのう、都市整備で外環道の上部利用について取り上げましたけれども、次大夫堀公園はすぐそのそばにありまして、一体として考えていくべきではないかというふうにも思っています。世田谷の象徴となるはずのこの次大夫堀公園、ぜひとも組織を超えた責任者を置くように要望いたしまして、私の質問を終わります。 ○和田秀壽 委員長 以上で新風21の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 引き続きまして、減税世田谷、どうぞ。 ◆あべ力也 委員 教育長の海外視察についてまた伺ってまいりたいと思いますが、教育の関係の所管の中央の官庁というと文科省ですよね。文科省では各自治体の教育委員会が海外視察に出かけることに関してはどういう見解を持っているんでしょうか。これについては、教育委員会のほうではどうですか。 ◎滝渕 副参事 文部科学省のほうから教育委員会の海外視察について、特にこれということでの御指示というのはいただいていないと認識しております。 ◆あべ力也 委員 たまたま私の大学の先輩が今、文科省の政務官をやっているものですから、この前、この件について伺ってみました。そうしたら回答は、文科省としての正式の見解というのはなかなか答えづらいけれども、常識的に考えて、教育委員会の教育長が教育委員会の幹部を連れて、二年連続で約一千万円近いお金を使って海外視察に行かれるということに関してはあり得ないだろうと申されておりました。(「名前を出しなよ、名前、友達の名前」と呼ぶ者あり)やじはうるさいですよ。やじ(「名前を出して」と呼ぶ者あり)菅沼さん、やじですか。(「いや、聞いているんです」と呼ぶ者あり)お答えする必要ないじゃないですか、あなたに。  二年連続でというのは、ほかの二十三区を見てもないんですよね。しかもこういう形での視察というのはないと。事務局を通じて調べさせていただきましたけれども、大概所管の担当者が一人で行かれているとかなんとかということはあって、施策を展開する上でどうしても必要性があるということで、担当者が現地を見るようなことで行かれているというのはあるんですね。あとは、いわゆる交流事業として、例えば小学生だ、中学生だというのが行かれたときに、ついでにこの事業をちょっと見てくるというようなことでは行われておりますけれども、教育長が何人もの学校長なんかを引き連れて視察しているという例は、二十三区では皆無だということなんですね。  ほかがやっていないから世田谷区がやっちゃいけないというような理屈ではありませんけれども、ただ、私が文科省の政務官に聞いても、その成果なり目的なりというのが明確で、視察をするだけの理由があって、成果をしっかりフィードバックできるというようなことで説明がつくという合理的な理由があるのであれば、それはいいだろうけれども、そうでない場合は極めておかしいんじゃないのということなんですね。  それで、私は何回かに分けて質問してきていますけれども、回答をいただいていることが極めて曖昧なんですね。昨年のオランダの成果についてということでお聞きしましたら、一言ですよ、二十七年度の予算に反映させていただきました。極めて曖昧ですよね。  オランダに行ったときはイエナ教育について視察をされると。イエナプランについて教育の視察をするというのが主題であったはずですけれども、このイエナプランの教育についてはどのように反映されたんですか。 ◎伊佐 教育政策部長 海外の教育視察を実施する際には、さまざまに多くの予算をかけてまいりますので、その成果を十分に施策に反映する必要があるというふうに考えています。  お話しのイエナプランにつきましては、基本的に教育制度そのものがオランダと当然違います。しかしながら、異学年の交流教育という観点で、今後、特別支援教育、障害者差別解消法への対応等に求められます、障害のある方と交流、共同学習をしていく、そういった観点で、来年度、具体的な取り組みを考えていく必要がございますので、そういった中でイエナプランの視察の成果を生かしてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆あべ力也 委員 それは現地に行って海外視察しないと、そういう結論というのは出てこないんですか。私はいろんな区民の方からこの話ももうアンケートをとっていますけれども、今どき、海外に行かなければわからないということはほとんどない。インターネットでほとんど情報もとれるということですから、インターネットの中で、それこそ全部日本語に訳してみれば大体わかるんですよね。その上で解決できないものがあるというのであれば、それは何とか理解しようかなと思えば、一生懸命理解ができるかなと思うんですけれども、全く場当たり的な視察にしか私は見えないんですね。  では、今回、フィンランドに行って、現地に行かなくちゃわからないというものは一体何なんですか。例えばインターネットとかなんとかの中でいろいろ調べてみたんだけれども、教育委員会の中で、どうしてもこれを見なくちゃわからないということは何なんですか。 ◎滝渕 副参事 来年度予定しておりますのはフィンランドでございますが、フィンランドは、OECDが実施しております学力到達度調査における成績などによって、世界一とされる学力ということで注目を集めてまいりましたけれども、そのほかにも、ネウボラに象徴されます育児支援サービスですとか、小学校入学前のプレスクール、一人一人に対するきめ細かい指導を実現している特別支援教育の実施など、視察の観点はさまざまございます。事前にインターネットや書籍などから得られる情報が多いというのは事実でございますが、直接見て、現地でお話を伺うことによって得られることの大きさを、教育委員会では大切にしてまいりたいというふうに考えております。 ◆あべ力也 委員 余り納得のできる御説明じゃありませんので、また引き続き補充でも伺ってまいりたいと思います。 ○和田秀壽 委員長 以上で減税世田谷の質疑は終わりました。     ────────────────────
    ○和田秀壽 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。 ◆上川あや 委員 初めに、文化財保護奨励金について伺います。  区ではこの間、補助金の見直しを進めてきましたが、ほかの区では補助金として扱われ、評価、チェックのもとに置かれてきた同種の事業が世田谷区では報償金の扱いであるために、その見直しを逃れてきたと理解しています。  どういうことかといいますと、世田谷区の文化財保護奨励金支給要綱は基本、制定から三十六年間見直しのされていない制度です。要綱には文化財指定に同意した者に対し奨励金を支給すると定められ、他区のほぼ倍額もの礼金が毎年、漫然と支払われ続けています。単に文化財を持っていてくれてありがとう、ことしもお金を振り込むねという既得権益となっていて、文化財そのものの適正管理を担保する仕組みは何一つ盛り込まれておりません。  他区ではこうはいきません。世田谷区と違い、補助金に切りかえておりますので、条例に基づき厳格に管理がされています。補助金として適切な支出か、申請、審査、報告等のチェックを経て、初めて公金は支出が認められます。適正管理につながる支出か、費用対効果をきちんと見ているんですね。  世田谷区の制度もかくあるべきだと考えています。評価点検のない漫然とした公金の支出は改めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 区は、区民の貴重な財産である文化財の保護、保存及び活用のため必要な措置を講じ、区民の文化的向上を資することを目的に、文化財保護条例を昭和五十二年に制定いたしました。そして、文化財行政の円滑な推進を図るため、昭和五十四年から文化財保護奨励金支給要綱に基づき、文化財の維持管理に対して奨励金を支給しております。  奨励金は、国または地方公共団体の所有もしくは管理する文化財を除いて、指定文化財所有者等に対して支給しております。支給に当たりましては、文化財所有者を直接訪問し、文化財の現況確認を行った後、絵画、彫刻や建造物など文化財の分類によりまして、文化財一件につき三万円から十万円を支給しております。  奨励金のあり方につきましては、二十三区中十五区に同様の制度がございますが、現在、他区の状況を確認した上で検討しているところでございます。  補助金に準じた交付手続など事務的な見直しを急ぐとともに、例えば文化財の区民への公開の有無により差を設けることや、奨励金の交付額などを含め、さらに区民の財産である文化財の保護、普及にふさわしい奨励金のあり方について、引き続き検討してまいります。 ◆上川あや 委員 ぜひ速やかに改善をしてください。  続きまして、梅丘図書館の改築に関して伺います。  昭和四十二年の建築で、長らく老朽化が課題とされてきた同図書館が、いよいよ建てかえのスケジュールに乗ることになりました。来年度に基本構想、二十八年度に基本設計、二十九年度に実施設計となりまして、その後、工事を経て、三十一年度のオープンを目指しているということなんですが、ぜひ検討していただきたいことがあります。  梅丘図書館は、現在でも羽根木公園の一施設という位置づけだそうなんですが、実際には相互の連絡が全くない施設です。図書館の背後は区内に二十六カ所ある急傾斜地崩落危険箇所の崖で隔絶をされておりまして、公道に一旦出なければ相互に連絡できません。この点、次回の設計では、ぜひ背後の公園との一体的な整備を図っていただきたいと考えています。  私からは、おととし秋の決算質疑で、横浜のアメリカ山公園を引き合いに、立体都市公園制度というものを取り上げました。建物の上部を公園の一部として一体的に整備することで緑地面積をふやし、建物内のエレベーターで公園の上部まで直接上がれるようにすることで、高齢者や障害者にも優しい公園設備の設計となっています。  梅丘でもぜひ車椅子を、あの重いものを押して公園を上がらなくても済むように、一体的な整備を図っていただきたいんですけれども、この点、いかがでしょうか。 ◎花房 中央図書館長 梅丘図書館の改築につきましては、区の実施計画を改定いたしましたように、その取り組みを早め、二十七年度、基本構想を策定し、三十一年度末の開設を目指して取り組みを進めてまいります。二十七年度には基本構想策定のための区民参加型のワークショップを実施したいと考えており、第二次図書館ビジョンを具現化する新しい施設として検討を進めてまいります。  お話しのとおり、梅丘図書館は羽根木公園の一角にございますので、その環境に配慮した、魅力ある図書館にしてまいりたいと考えております。基本構想の策定に当たりましては、公園との一体施設とした場合、防犯や管理面での課題もありますが、地域の皆さんと連携協働を図るとともに、ユニバーサルデザインや世田谷らしい都市デザインなどの視点から、関係所管と十分に調整を図りながら取り組んでまいります。 ◆上川あや 委員 検討を期待しています。  続けて、図書館のハンディキャップサービスについて伺います。  区立図書館のホームページでは対面朗読サービスと録音図書サービスが目の不自由な方へのサービスとして案内されています。しかし、これらサービスを必要とする区民は、そもそも視覚障害者に限らないと私は考えています。  ちなみに、岡山県立図書館のホームページを見ますと、録音図書、対面朗読室のサービス提供者には、視覚にハンディキャップのある人に加えて、病気、高齢等で最近文字が読みにくくなった人や、手のしびれ、麻痺、震え等で本のページがめくりにくい人、長時間活字を読むことが困難な人と明記をされております。  また、愛知県田原市の中央図書館の対面朗読サービスの案内も、このサービスを利用できるのは通常の活字による読書が困難な人として、高齢や病気で本が読みにくくなった方や、手のしびれ、麻痺、震え等で本のページがめくりにくい方も御利用いただけます。障害者手帳の有無は問いませんと書かれています。  世田谷区もかくあるべきと私は考えています。ところが、中央図書館に伺うと、世田谷区立の図書館もこうした方々を排除はしていないというんですが、ホームページの案内を見る限り、排除しているようにしか見えませんので、これはぜひ改善していただきたいと考えるんですけれども、いかがでしょう。 ◎花房 中央図書館長 現在、図書館では、体や視覚、聴覚などに障害があり、図書館の利用に不自由のある区民の方へ、対面朗読、録音図書や雑誌、点字図書等の貸し出しを初め、来館できない方には御自宅まで図書などを届けるサービスを実施しております。  お話しのように、岡山県立図書館ではホームページで、例えば手のしびれや麻痺などで本のページがめくりにくい方と記載し、録音図書等のサービスを行っております。  区におきましては、障害者手帳をお持ちでない方に対してもサービスを実施してございますが、今後ともホームページなどの広報につきましても、さらにわかりやすいよう創意工夫をいたしまして、誰もが利用しやすい図書館づくりを目指してまいります。 ◆上川あや 委員 よろしくお願いいたします。  終わります。 ○和田秀壽 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。 ◆ひうち優子 委員 本日はまず、二子玉川駅ライズに四月開設予定の図書館カウンターについて伺ってまいります。  私は、平成二十一年第三回定例会から何度か図書館の適正配置について取り上げてまいりました。図書館の配置についてはエアポケットという考え方があり、そのはざまに当たる地域の方々は図書館不便地域となっていることも事実であり、二子玉川を初めとして、下北沢や三軒茶屋といった駅周辺は図書館不便地域である。何も大きな図書館をつくらなくても、駅のちょっとしたスペースを利用して、ICTを活用して図書の検索、取り寄せ機能と返却ボックスを置けば十分に機能し、図書館不便地域への図書館ターミナルの設置、特に二子玉川への設置について質問してまいりました。  その後検討が進められ、平成二十七年四月下旬に開設予定とのことでありますが、まずは二子玉川の図書館ターミナルの名称が図書館カウンターに変わった理由について伺います。 ◎花房 中央図書館長 図書館カウンターにつきましては、図書館ビジョンに基づき、交通結節点の駅周辺や図書館へのアクセスが不便な地域におきまして、図書資料の予約や貸し出し等を中心にサービスを行う施設でございます。これまで開設準備を進めておりましたが、いよいよ来月二十二日に、区内で初めての図書館カウンター二子玉川がオープンいたします。  また、図書館カウンターという名称につきましては、受付窓口、カウンターが中心の施設機能となりますので、利用者がイメージしやすい名称に変更させていただきました。 ◆ひうち優子 委員 次に、二子玉川の図書館カウンターについて二点詳細を伺ってまいります。  まず、図書館カウンターの意図するところは、駅の近くにあり、仕事帰りに立ち寄ることができる、夜遅くまで開館をしていることであります。何も大きな図書館をつくらなくても、本の貸し出し、返却、取り寄せ機能など簡易な機能を兼ね備えているかわりに、駅の近くにあり、夜遅くまで開館をしていることが重要であります。  そこで、この二子玉川の図書館カウンターの開館時間はどうなっているのか伺います。  そして二点目、図書館カウンターには、二子玉川に初めてお越しいただく方のためなど、観光の観点、また防災の観点から、図書館機能のほかに行政情報を取得できるようになれば利便性が高いと考えます。この二点について見解を伺います。 ◎花房 中央図書館長 図書館カウンターの開設場所は、二子玉川ライズショッピングセンターテラスマーケットの二階で、二子玉川駅から四分程度のところでございます。開館時間は午前九時から午後九時まで、休館日は毎月第三木曜日と年末年始とし、買い物の際や仕事帰りにも気軽に御利用いただけるのではないかと考えております。  また、行政情報につきましては、デジタルサイネージやパンフレット等で行いますが、図書館の事業、障害者施設製品のPRを初め、二子玉川の防災マップや、二子玉川に初めて来られた方などにも配慮した、観光や地域に関する情報提供も積極的に行ってまいります。 ◆ひうち優子 委員 ぜひ区民の皆様が使いやすい図書館カウンターにしていただきたいと思います。  次に、区内の図書館の開館時間延長について伺います。  このテーマは過去何度か取り上げましたが、区民の皆様の声が多いことから、再度取り上げます。  現在、十六の図書館の開館時間は平日十九時まで、休日などは十七時までとなっており、経堂図書館のみ、平日二十一時まで、休日二十時までですが、そのほかの図書館は早く閉まってしまう状況であります。特に働く世代の方々からは、仕事帰りにちょっと立ち寄りたいが、閉まっており、残念。経堂図書館は火曜から土曜までは二十一時までだが、それ以外は十九時なんてとの声をいただきます。  他区の状況はと申しますと、文京区は日曜日以外は二十一時までですし、江戸川区、二十一時三十分、新宿区は四つの図書館で二十一時四十五分、千代田区も二つの図書館で二十二時までとなっております。  今後、世田谷区でも、特にこの働く世代の方々が仕事帰りに立ち寄れるよう、開館時間の延長を検討すべきと考えます。見解を伺います。 ◎花房 中央図書館長 図書館の開館時間の延長につきましては、第二次図書館ビジョンの案でもお示ししましたように、基本方針の一つである専門性と効率性を両立した運営体制の構築の中で、区民の利便性の向上のため、休館日などを検討することとしております。  現在の閉館時間は、中央図書館、地域図書館では午後七時まで、経堂図書館は午後九時までを基本としておりますが、経堂図書館の午後七時以降の利用につきましては、多い日は五百人を超える利用状況でございます。  先ほどお話しのありました図書館カウンター二子玉川につきましても午後九時まで開館いたしますので、こうした駅周辺の図書館の利用動向などについても検証しながら検討を進めてまいります。  今後とも、知と学びと文化の情報拠点を目指しまして、図書館ネットワークの拡充を図るとともに、区民の皆さんにとって身近で便利な、魅力ある図書館運営に取り組んでまいります。 ◆ひうち優子 委員 ぜひよろしくお願いします。  そして次に、区民の方から、中央図書館では節電のためか、照度が足りないような気がするとの御意見をいただきました。特に曇りの日などは読書に適した明るさにしていただきたいと思います。見解を伺います。 ◎花房 中央図書館長 中央図書館では図書館内の明るさを随時検査しておりますが、閲覧席の明るさなどの照度検査におきましては、日本工業規格で示された基準値内の結果が出ております。しかし、中央図書館が地上一階地下一階のフロアにあるため、窓のないところや館内の隅の部分など少し暗い部分もあると思いますので、今後、施設の改修工事などの機会を捉えまして改善を図ってまいりたいと考えております。 ◆ひうち優子 委員 ぜひ図書館ですので、やはり本を読める明るさ、少し明るくという御意見もございましたので、よろしくお願いします。  最後に、世田谷産野菜、「せたがやそだち」を使った学校給食について伺います。  近年、食品安全への関心が高まっており、特に子どもたちの食材には極力国産品を使うようにし、無農薬、また低農薬品のものを使用すべきと考えます。  現在、学校給食には世田谷産野菜、「せたがやそだち」を取り入れているとのことですが、さらにこの「せたがやそだち」を使うようにしていただきたいと思います。見解を伺います。 ◎吉田 学校健康推進課長 学校給食において世田谷産の食材、「せたがやそだち」等を給食に活用し、地産地消を推進しております。  平成二十六年度の調査では全体の四割強の学校が活用しております。児童生徒が実際に給食を食べることで世田谷の野菜を知るよい機会となっており、学校からも積極的に活用したいとのお話も伺っています。  「せたがやそだち」の活用につきましては、JA等から購入する際の量の確保や、学校への搬送が困難であるとの課題もありますが、世田谷のブランドの魅力アップに寄与するためにも積極的に取り入れていきたいと考えております。 ◆ひうち優子 委員 「せたがやそだち」のブランドアップのためにも、ぜひ積極的に取り入れていただきたいと思います。  以上で終わります。 ○和田秀壽 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 引き続きまして、未来あらた世田谷、どうぞ。 ◆佐藤美樹 委員 きょうはまず、教育委員会制度改革について伺っていきます。  今回の制度改革で、教育長に教育委員長の権限と職責を一元化して、それに伴って新教育長の給与を上げるということですけれども、このことを民間企業に置きかえて考えますと、例えば事業部なりグループの役員ポストが一つ減るわけですから、そういうような組織改正の流れですと、一般的には人件費は減るわけです。ただ、その事業部が、例えばその企業の主力商品を扱っているですとか、すごく成果を期待されているというようなケースにおいては、組織刷新のポストを減らすことに連動せずに報酬が上がるということも考えられるのかなと思います。  その意味で、そういうことを考えますと、世田谷において教育は非常に重要な分野ですし、今後、教育委員会、新しい制度の体制となって、より成果を出していくのだなという意味と捉えて、今回、私は給与改正については賛成をしています。  ただ、では、どうやって今後の新しい体制で新教育長による新しい教育委員会がその成果を出していくのか、その成果の見える化というところが非常に重要になってくると考えるわけですけれども、特に区民に向けて成果の見える化というのをどのように図っていくのか、取り組みについて伺いたいと思います。 ◎工藤 教育総務課長 教育委員会制度につきましては、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保しつつ、地方教育行政における責任の明確化、迅速な危機管理体制の構築、首長との連携強化を図るなど、昨年六月に地方教育行政の組織及び運営に関する法律、いわゆる地教行法の一部を改正する法律が公布され、本年四月一日の施行により、新しい教育の仕組みが始まります。  教育委員会の取り組みについての評価検証につきましては、地教行法第二十七条の規定に基づく教育施策の点検評価を平成二十年度から継続して実施しており、これまで教育ビジョンの各取り組み項目の実績や課題、今後の取り組みの方向を明らかにするとともに、学識経験者からも御意見などをいただきながら、教育委員会みずからその取り組みをチェックしてまいりました。  学識経験者からは、どう取り組んだかという評価にとどまらず、取り組みの結果どうであったかといったことについても評価の内容に加えるべきという御意見をいただいておりまして、今後、そうした指摘なども考慮に入れながら取り組みを進めていくことも重要であると考えております。  また、点検評価結果は、報告書として三月に区議会へ報告するとともに、ホームページなどで区民に公表しておりますが、今後に向けましては、より開かれた場で評価結果を一般区民に説明する場を設けることなども有効ではないかと考えております。こうしたことから、教育推進会議のシンポジウムの機会などを活用するなど、成果の見える化につなげてまいります。 ◆佐藤美樹 委員 平成二十年度から教育施策の点検評価というのは実施されてきて、それは自己評価になりますので、学識者も交えていますけれども、これから教育委員会がみずからの評価結果を報告するという一方向ですので、もう一つ、評価結果、教育委員会の取り組みに対して、区民がそれについて参加、意見を言うですとか協働していくというような方向性も、これからの新しい教育委員会制度の中で重要になってくると考えますが、その区民の協働という意味での取り組みは何かあるか、お伺いしたいと思います。 ◎工藤 教育総務課長 教育委員会では、第二次世田谷区教育ビジョンのもと、教育課題を区民と共有し、ともに考え、学校、家庭、地域及び行政が協働して取り組みを推進していく協議の場として世田谷教育推進会議を設置し、本年度は現代的な教育課題として、図書館、体力向上・健康推進、ICTの活用という三つのテーマについてのシンポジウムを実施し、毎回、多くの区民や教職員などに御参加いただきました。  本年度のシンポジウムでは、旗揚げ方式による意向調査や、アンケートによる意見聴取による参加手法も取り入れながら開催してまいりましたが、次年度は、より身近に意見交換ができる区民参加の場として、例えば校長や保護者、地域の学校関係者に加え公募区民も参加し、教育課題を幾つかのテーブルで話し合うようなワークショップの実施なども予定しております。  透明性を高め、区民参加により教育施策の改善を図っていく上で、点検評価によるチェックに加えましてワークショップなどによるアクション、これらを踏まえて施策や予算に反映させたプランと改善後の取り組みのPDCAサイクルを効果的に機能させてまいりたいと考えております。 ◆佐藤美樹 委員 ぜひ新教育長による新しい教育委員会体制になって、区民の方から見てもよくなったなと思えるような取り組みをどんどんやっていっていただきたいと思います。  次に、違うトピックスになるんですけれども、希望丘の複合施設について伺っていきたいと思います。  今回、今構想が終わったところだと思いますが、希望丘の複合施設には保育園等も入りますけれども、青少年の交流センターと、あと不登校、ひきこもりの子たちのほっとスクールも同じ一体施設の中に整備されようとしています。ただ、その一体施設の中にありますけれども、エレベーターも分けて動線は交わらないような、そういった独立性というところを担保するような設計になっていると聞いています。  一方で、先日、川崎市の夢パークという、子どもの居場所のプレーパークとかそういったものが入った複合的な施設になるわけですけれども、そこの方の話を聞きましたら、夢パークの中には、プレーパークとともに、不登校の子たちの通うフリースペースえんという名前になるんですが、それも一体整備されていて、みんなで、お昼だけはどの子も一緒に食べるような運営をしているということでした。  その考え方として、子どもはどの子も特別扱いしない、どの子も同じ子どもは子どもというような、そういう考え方ということなんですけれども、この考え方について、今、希望丘のものとは全然逆というか異なると思いますが、区としてどう考えるか、お考えを聞きたいと思います。 ◎小渕 教育相談・特別支援教育課長 希望丘の複合施設に設置しますほっとスクールにつきましては、今、ほっとスクールの出入りをする動線といたしまして、共用エントランス以外の動線も確保することとしております。児童生徒の中には同世代と会いたくないという児童もおりますので、そういった児童には動線の複数の確保というのが必要だと考えております。また一方で、もうすぐ学校に復帰できそうな児童生徒には人となれていきたいというニーズもございますので、青少年交流センターとの交流の機会も今後設けていきたいと考えております。 ◆佐藤美樹 委員 よろしくお願いいたします。  以上で終わります。 ○和田秀壽 委員長 以上で未来あらた世田谷の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 引き続きまして、立憲の会、どうぞ。 ◆すえおか雅之 委員 二〇一一年に起きた大津市のいじめ・自殺事件で、教育委員会の対応が批判の的となり、教育行政の責任の明確化が政治課題となりました。これにより、教育委員会制度改革が行われました。  この改革で、首長、教育長の権限がこれまで以上に強まりました。そのために、首長、教育長の職務執行に対する議会のチェック機能が、以前と比べ物にならないぐらい重要になってきたと思っています。  そこで、今後の教育行政における議会の役割を再検討する前提として、今回の教育委員会制度改革につき質問します。ちょっと質問の順番は変わります。  Q2にちょっと飛びますが、まず、教育委員長と教育長を一本化した、新教育長の設置について伺います。  現行の教育委員会制度においては、教育委員会が教育長を指揮監督することができたが、制度改革後は教育長は教育委員会の代表者となります。このために、教育委員会が指揮監督することは背理になると思いますが、新教育長は、従来どおり教育委員会が指揮監督できるんでしょうか。仮にできないとすると、誰が新教育長を指揮監督するのでしょうか。仮に教育委員会が新教育長を指揮監督することができないとすると、教育委員会は指揮監督権という重要な職務がなくなるんじゃないでしょうか。 ◎工藤 教育総務課長 新教育長は、執行機関である教育委員会の補助機関ではなく、教育委員会の構成員であり、代表者となりますので、教育委員会による教育長への指揮監督権は新しい法律上は規定されておりませんが、教育委員会は引き続き合議体の執行機関でありますことから、教育長は教育委員会の意思決定に基づき事務をつかさどる立場にあるといったことに変わりはございません。  さらに、改正後におきましても、教育委員会は合議制の執行機関であるため、その意思決定は、教育長及び委員による会議において、出席者の多数決によって決せられるものでありますことから、委員の役割が引き続き重要なものであるといったことについても変わりがないというふうに受けとめております。  また、改正法における委員の側からの教育委員会会議の招集の請求ですとか、教育長に委任した事務の執行状況に関する報告の規定は、委員による教育長の事務執行に対するチェック機能を強化するという観点から設けられたものでございます。  今回の法改正により、指揮監督という規定はなくなったものの、実質的な教育委員によるチェック機能は他の規定により強化されておりまして、教育委員会での合議による意思決定に基づく事務執行や、教育委員の職責の重要性に変更はないものと考えております。
    ◆すえおか雅之 委員 では、改正のポイントの次の全ての地方自治体に総合教育会議を設置することについて伺います。  この会議は、協議調整事項として、教育行政の大綱の策定等いろいろと定めています。このために、総合教育会議の意義は、教育行政にとって非常に重要と言えます。議会によるチェックの必要性は大きい。  この点につき、教育制度の改正に際して、議員も総合教育会議の構成員とする案もあったと聞きますが、改正後、この会議に議員自身が参加するということはできるんでしょうか。 ◎工藤 教育総務課長 総合教育会議は、新法により、地方公共団体の長及び教育委員会の二者によって構成されるというふうに規定されております。ただし、総合教育会議で協議を行うに当たって必要があると認められるときは、関係者、または学識経験を有する者から当該協議すべき事項に関して意見を聞くことができる旨も規定されているところでございます。 ◆すえおか雅之 委員 では、最初に戻りますけれども、教育長にもちょっと振りたいと思っていますので、よく聞いておいてください。  教育に関する大綱を首長が策定する点について伺います。  大綱とは教育の目的や施策の根本的な指針を言います。このために、教育行政において非常に重要なものです。この大綱は、総合教育会議において、首長と教育委員会が協議調整を尽くし、首長が策定するとあります。首長と教育委員会が協議調整を尽くしても意見が対立した場合にはどうなるんですか。 ◎工藤 教育総務課長 今回の法改正によりまして、地方公共団体の長、いわゆる首長に教育に関する大綱を策定するといったことの義務づけがされました。首長は教育委員会と協議調整の上、調整がついた事項を大綱に記載した場合、この場合にあっては、首長及び教育委員会の双方に尊重義務がかかることになります。  なお、首長が教育委員会と調整のついていない事項を大綱に記載したとしても、教育委員会は当該事項を尊重する義務を負うものではなく、教育に関する事務の執行権限は引き続き教育委員会が有しておりますので、調整のついていない事項の執行については、教育委員会が判断をするといったことになると理解しております。 ◆すえおか雅之 委員 では、ちょっと教育長に伺いたいんですけれども、首長と教育委員会が調整をして、意見が分かれるとか物別れになるということはあるんでしょうか。 ◎堀 教育長 今回の総合教育会議ではいろいろな課題が提示されておりまして、首長と教育委員の意見が対立するということも想定されています。ただ、その際は、今課長からも話がありましたが、最終的に合議ということがありますので、協議を尽くすという形ですが、最終的には教育委員会が判断するというふうなこともいただいております。 ◆すえおか雅之 委員 二つの意思決定機関が話し合ってまとまらないとかというのは当然あるとは思うんですよね。私は以前、子どもの人権擁護機関について質問したことをまだ根に持っているんですけれども、たしか子ども条例では、擁護委員は、区長と教育委員が委嘱しますとあるんですね。ここで質問したのは擁護委員の任免で、区長と教育委員会の任免権を与えたら、意見が合わなかった場合どうなるんだと質問したら、区の対応としては、区長と教育委員会で十分な調整を経て遅滞なく行われますと、意見が割れることはないんだという答弁だったんですけれども、教育長、これはどう思われますか。 ◎堀 教育長 「せたホッと」につきましては、全国でも珍しく両方で所管する、共管というんでしょうか、そういう形で進めさせていただきまして、いろんな考え方があると思いますが、一つの物事を決めていくときには、最終的には合議して決めていかなくてはいけないと思っておりますので、意見が分かれて事が進むということはあり得ないと思っております。 ◆すえおか雅之 委員 そうすると、最初に聞いた、首長と教育長の調整がつかない場合というのを想定すること自体、矛盾になるんじゃないですか。 ○和田秀壽 委員長 以上で立憲の会の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。 ◆青空こうじ 委員 先日の文教常任委員会で、旧若林中学校に建築する新校舎に移転することになる、若林小学校の跡地活用の素案が教育委員会から報告されました。教育委員会では、この素案をまとめるに当たって、昨年の五月から六回にわたって、若林小学校で夜七時から九時過ぎまで、仕事帰りの地域の方々と跡地活用ミーティングを開いて話し合いを重ねてきました。私もミーティングの様子を毎回参加しましたが、若林地域の方々が歴史ある若林小学校を大切にし、また、若林小学校が移転した跡地についても、何かしら子どもたちの教育のために使ってほしいという気持ちが本当に伝わってきました。  自分もこれまで跡地活用など現場を見てきましたが、今回ほど地域の人たちが前向きな雰囲気で参加されていたことはなかったと思います。本当に毎回参加して、気持ちのいい会に出席して、楽しい跡地活用の会でした。  そこで、教育委員会では、跡地活用ミーティングの話し合いを踏まえ、どのような考えで素案をまとめたのか、これをお伺いします。 ◎滝渕 副参事 教育委員会では、若林小学校の跡地活用方針の素案の策定に当たり、跡地活用の方向性などについて、地域の方々の御意見をいただくため、お話にありましたワークショップ形式の跡地活用検討ミーティングを開催させていただきました。検討ミーティングは、昨年五月から十二月までの計六回実施してまいりましたが、その中で、地域の方々から地域活動を支える施設機能や防災機能の充実などさまざまな御意見をいただき、教育委員会といたしましても、施設の地域開放の検討などを行う考えをお示ししながら、新教育センターなどの教育施設の整備を提案させていただきました。  こうした取り組みの上で、昨年十二月の第六回ミーティングで、この間のミーティングにおける地域の方々のさまざまなアイデアなどが跡地活用検討ミーティングのまとめとして取りまとめられました。  教育委員会では、地域の皆さんと一緒に取りまとめた内容を踏まえ、若林小学校跡地活用方針(素案)を策定いたしました。  なお、この素案につきましては、三月十一日に地域の方々を対象に説明会を開催するとともに、三月十五日から「区のおしらせ」などにより区民意見募集を行い、広く区民の方々に御意見をいただく機会を設けているところでございます。 ◆青空こうじ 委員 ありがとうございます。  跡地活用ミーティングは、話し合いの素材として、教育委員会から新たな教育センターと老朽化したほっとスクール城山の移転先として活用を検討しているとの説明がありました。  今の教育センターは、昭和六十三年四月に弦巻に開設しました。学校の教職員の研修や研究、学校運営への支援、教育相談、就学相談、郷土学習室などの機能があります。同じ建物には、子どもたちが大好きなプラネタリウムもあり、中央図書館もあります。子どもたちからお年寄りまでの教育の拠点として活用されてきました。  今回、この教育センターの機能を若林小学校に移転させることを検討しているとのことですが、今の教育センターにどのような課題があると考えているのでしょうか。また、新たな教育センターにどのような機能を持たせようとイメージされているのか、これもお伺いします。 ◎滝渕 副参事 区立小中学校の教育活動や学校運営の質を高めていくためには、教員の資質、能力の向上が不可欠でございます。教育委員会では、世田谷九年教育の推進やさまざまな教育課題への的確な対応のために、多様な研修を実施するなど、教員の資質向上に取り組んでまいりました。  教員の指導力や資質向上に当たりましては、教育委員会が実施する研修会のほかにも、教員が自主的に集まり研究を行うような、相互に意識や指導力を高め合う機会や、ICTの推進や、学校の事務支援などの学校を支える機能などの充実が欠かせません。  こうした課題への取り組みを考えたときに、現在の教育センターは、研修室などの施設面だけではなく、学校支援や教員の指導力向上に直接働きかけるような施設機能が十分ではないと考えております。  教育委員会では、新教育センターの目的を大きく教員の資質能力の向上のための研修・研究機能と学校教育推進のバックアップセンターとしての機能の二つを考えております。バックアップ機能といたしましては、昨今の子どもや教育を取り巻く社会状況などを踏まえ、幼児教育センター機能や教育相談機能、学校や子ども、保護者に対するさまざまな支援機能、教育に関する交流・情報発信機能などについて、今後検討してまいりたいと考えております。 ◆青空こうじ 委員 教育センターができて二十五年以上たちます。学校の先生に求められる力も変わってきていると理解できます。これから教育委員会で構想を検討していくと思いますが、せっかく新しい教育センターをつくるのであれば、今ある単なる移転ではなく、これからの学校教育をレベルアップさせる、そして、全国から教育関係の視察に来るような先駆的なものを考えてほしいと思います。また、学校は地域コミュニティーの核となる場所でもあって、災害時には避難所にもなる防災の拠点でもあるわけです。地域の声に十分耳を傾けてほしいと思います。  そこで、教育委員会では、今後どのようなスケジュールで新たな教育センターを検討して進めていくのか、これもお伺いします。 ◎滝渕 副参事 教育委員会では、本年四月から専任の担当副参事を配置し、新教育センター整備の推進体制を強化してまいります。また、今後の新教育センター機能の具体的な検討に当たりましても、引き続き学校や関係機関などと連携しながら取り組んでまいります。  今後のスケジュールでございますが、本年七月には跡地活用方針案を取りまとめ、平成二十八年度には施設の基本的な考え方や建物の配置、運営管理などの方向を示す基本構想の策定を予定しております。基本構想に向けたイメージづくりを、平成二十七年度の後半から地域の方々と行う予定でございます。 ◆青空こうじ 委員 跡地活用ミーティングの最後に、地域の方々から区は責任を持って活用してほしいという声がありました。ぜひ区民の皆さんに喜んでいただける活用をすることを要望して、質問を終わります。 ○和田秀壽 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 引き続きまして、自由民主党、どうぞ。 ◆上島よしもり 委員 それでは、自由民主党世田谷区議団の文教領域における質問を始めさせていただきたいと思います。  私からは、世田谷区教育ビジョン、昨年三月につくられました、こちらのほうで十年間の基本的な考え方ということで、一人一人の多様な個性、能力を伸ばし、社会をたくましく生き抜く力を、学校、家庭、地域が連携して育むということで、今、教育委員会としては進めているという中でいろいろ伺っていきたいと思っております。  特に現在の子どもたちの環境を見ておりますと、また、子どもたち一人一人を見ておりますと、社会をたくましく生き抜く力をつけてあげたいなということが、多分大人の皆さん共通の思いだと思っております。  そういう意味で、私どもとしては、子どもの教育に関していろいろ政策を用意しておりますけれども、きょうは、その一端を中心に聞いてまいりたいと思っております。  翻って、子どもたちの立場からしてもそうなんですが、世田谷の魅力というふうに考えたときに、インターネット等でよく見てみますと、やはり緑が多くて良好な住宅地であるということと、教育のレベルが高い、教育の質が高いということが、これはイメージとして捉えられている。これが現在、実際そうなのか、また、過去のものなのか、それはあくまでイメージですので、それぞれがお持ちになられているイメージですので、その詳細はわかりませんけれども、世田谷区がこれからさらに発展していくには、やはりこの公教育の質というのを高めていくのは非常に重要だと私は思っております。  その中で、社会をたくましく生き抜く力の一つに、豊かな知力というふうにこちらに載っております。このビジョンについては、私も個人的にいろいろ異なる考え方を述べさせてもらって、実際、これが本当にいいビジョンかどうかというのは別として、世田谷区の今方向性として認識しておるんですが、この豊かな知力と考えたときに、いろいろな観点があると思うんですが、一番わかりやすいところとしては、学力、そして体力というものがあると思います。  そこで、世田谷区の学力の状況を見てみますと、平成二十六年度の全国学力・学習状況調査結果というものが出ておりまして、世田谷区、東京都、国、そして全国のトップクラスのそれぞれの比較をちょっと見たときに、小学校、中学校、それぞれ都の平均は全て上回っているということでございます。また、国のほうでも全て上回っているということで、やはり世田谷区の学力というのは高いのかなと思われますが、全国トップと比べますと、小学校の国語Aというのだけは上回っているんですが、ほかは全国のトップの、都道府県のレベルからはどうしても負けてしまっているという状況です。  私どもは今回、二〇二〇年の世田谷に向けてという政策の中で、やはり世田谷区は全国トップクラスをしっかりと目指すべきだということを掲げております。そういう中でこの学力のことを考えますと、まず伺ってまいりたいのは、この学力向上の目標設定をどういうふうにされているのか、もしくはそういうものは特段されていないのかどうか、その点、まず御説明いただきたいと思います。 ◎滝渕 副参事 教育委員会では、第二次教育ビジョンの基本方針に、これからの社会を生き抜く力の育成を掲げ、子どもたちに、いかに社会が変わろうとも、みずから課題を見つけ、みずから学び考え、主体的に判断・行動し、よりよく問題を解決する資質や能力を育むというふうにしております。  各学校の学び舎では、質の高い義務教育の実現を目指し、世田谷九年教育の推進とその定着、そして質、内容の向上に取り組む中で、基礎基本となる知識や思考力、判断力、表現力など、主体的に学習に取り組む意欲や態度など、豊かな知力の育成を目指しているところでございます。  世田谷九年教育を推進することで、区独自の基準である世田谷区教育要領に基づく教育活動を通して、子どもたちの学力の確実な定着を図るように取り組んでいるところでございます。 ◆上島よしもり 委員 私はもっと具体的な目標設定をすべきだというふうに思っております。全国学力・学習状況調査のほうでは、国語と算数、これは小学校、中学校は国語と数学ということなんですけれども、これは全教科でやっているのは、東京都レベルでたしかやっていたと思うんですが、やはりそういうものを一つの指標として、私は、世田谷区は東京都の区市町村の中でトップを目指すみたいな、そういう目標設定もあると思うんです。  例えば実際に点数という設定方法もありますし、順位という設定方法もあるんですが、そういったところについてはどのようにお考えでしょうか。 ◎滝渕 副参事 学力の捉え方はさまざまございますので、先ほど申し上げたように、まず、教育委員会といたしましては、子どもたちの基礎的な力を確実につけていくこと、それから、思考力、判断力、表現力など総合的な力をつけていくことなどを中心に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆上島よしもり 委員 今、そういうお答えということは、なかなかそういうのは難しいということなのかわかりませんが、確かに学力というのはいろいろな捉え方というか、この数字だけでは捉えがたいところはあると思います。ただ、全校の目標としてそういうものがあると、やはり一つ励みになると思いますし、せっかくこの共通テストを行っているわけでありますから、やはりそういった取り組みもすべきだというふうに私は思っております。  あと、テスト以外にも、例えば英検であるとか、資格試験ではないですね、何というんでしょうか、ああいういろんなテストもございますので、そういったものに、例えば何人合格したとか、何級を取ったとか、そういった設定の仕方もあると思いますので、いろいろな形で、子どもたちが、また学校が目標を持って学力向上をやっていけるように、ぜひともそういった検討をしていただきたいと思います。  加えて、テストの今の点数のことでいえば、これを上げていくということはどういうことかというと、具体的には優秀な生徒にもっと頑張ってもらうというよりは、どうしても点数の低い子どもに対して丁寧な指導をすることで、その子どもたちの学力を上げていくということが一番大切なことだと私は思っておりまして、そういった点で、加えてそういったことも踏まえて、具体的にどんな方策で学力向上を図っていけるかということについて、今後、何か新しい取り組みはなされないんでしょうか。 ◎滝渕 副参事 学力向上を図っていくために、教育委員会では、第二次教育ビジョンの重点事業であります世田谷九年教育の定着と質の向上のための取り組みの一つといたしまして、全ての中学校におきまして、中学校卒業後の進路実現に向けた実践的な学力を身につけていくために、中学校の三年生全員を対象といたしました朝学習ですとか、三年生の希望者を対象とした土曜講習会などを実施しているところでございます。  朝学習は、朝の時間の十五分程度を活用いたしまして、数学と英語の基礎的、基本的な問題や、高校入試問題などに取り組むものでございます。継続的な取り組みにより、学習習慣の確立とともに、基礎基本となる学力の定着が図られていると、学校から声が寄せられております。  土曜講習会は数学と英語の二講座を設定しておりますが、今年度、習熟度別で基礎コースを四つの中学校で併設いたしました。学校からは、課題に応えた学習ができてよかった、基礎基本を習得することができ自信がついた生徒がふえたということで、来年度は十四校にふやす予定でございます。  教育委員会といたしましては、全ての区立小中学校の一人一人の児童生徒の学力向上に向けて、取り組みをさらに充実させてまいりたいと考えております。 ◆上島よしもり 委員 私どもも、今土曜補習と朝学習については非常に取り組むべきだということを思っております。その運用については、実際の実施については、例えば民間の方のさらなる活用であるとか、また、地域の人材の活用であるとか、そういうことをお願いしたいと思っておりますが、時間がありませんので、次に、学力を上げていく上で、学校図書教育についてちょっと入っていきたいと思うんです。  学校図書教育については、玉川小学校の研究校としての取り組みというのがございました。非常に内容がよかったと思うんですけれども、こちらについて、区の評価はどうなっているのかお教えいただきたいと思います。 ◎滝渕 副参事 委員お話しの玉川小学校では、今年度、世田谷九年教育研究開発校として研究課題を学校図書館とし、読書力の育成や調べ学習へつながる授業方法の改善の研究に取り組んでおります。  教育委員会ではこの研究活動の推進のために、玉川小学校に学校図書館の事務臨時職員を年二百日配置いたしまして、学校図書館の運営を支援してまいりました。玉川小学校からは、運営体制の強化により学校図書館の開館時間がふえたことで、子どもたちが本に触れ合う機会がふえたこと、また、学校図書館を活用した授業計画が立てやすくなるなど、学校図書館の活用がさらに活発になったと聞いております。  その一方で、臨時職員の継続的な確保や、複数の臨時職員の勤務調整などを含めた人事管理上の負担、授業活用の際の打ち合わせや指示などによる負担感もあると聞いているところでございます。  教育委員会では、授業活用のほかにも、ボランティアの方々を中心に始業前や放課後の取り組みに学校図書館が用いられるなど、玉川小学校の取り組みを高く評価しておりますが、現行の人事制度の活用による運営体制の強化にも課題があるというふうに考えているところでございます。 ◆上島よしもり 委員 その中で浮かび上がってきた課題について多少触れられておりましたけれども、課題全体と、また、それに対する今後の取り組みについてはいかがお考えでしょうか。 ◎滝渕 副参事 現在、区立学校の学校図書館の運営は、主に学校図書館法に基づく司書教諭資格を有する教員と学校図書館事務の臨時職員が担っているところでございます。このうち、司書教諭としての教員は学級担任やその他の校務を兼務しているのが現状でございます。また、臨時職員は臨時的な業務を担う目的で配置するという現行制度の枠組みもあり、年間の勤務日数なども限られております。  こうした現状から、児童生徒の利用や、授業を初め教育活動における学校図書館の活用は余り進んでおらず、例えば区立中学校の中には、図書委員の生徒と司書教諭や臨時職員が一緒に活動できるのが昼休みの時間帯だけといった学校が見られるなどの実態がございます。  教育委員会では、改正学校図書館法の施行を踏まえ、図書館司書の資格を有する者の配置などにより学校図書館の運営体制をさらに改善し、児童生徒が本に触れ合う時間や、調べ学習に必要な資料の準備、授業における学校図書館の活用への支援などを行ってまいりたいと考えております。 ◆上島よしもり 委員 学校図書館への司書の配置については、今回の予算で二千二百八十七万円ということで、こちらは実際どのように使われていくかということで、民間委託ということも多少考えていらっしゃると伺っておりますが、こちらについて、現状どれぐらいのところまで検討が進んでいるか、教えてください。 ◎滝渕 副参事 教育委員会といたしましては、現在、民間活用を含め、他自治体の手法なども参考に、学校図書館への図書館司書などの有資格者の配置に向けた具体の検討を行っているところでございます。例えば司書の配置により、日常の授業で使用する本の提供ですとか、学習している内容に関連した図書を集めたコーナーの設置、児童生徒が探しやすい配置の工夫やテーマに沿った本の紹介など、司書資格者などの専門性の高い人材の配置による、教育活動への学校図書館の一層の活用が期待されているところでございます。また、現行制度での課題になっております、学校の事務負担などの軽減にもつながるものと考えております。  さらに、児童生徒が在校する時間には学校図書館があいており、そこに職員がいるという運営体制を整え、小学校における新BOPなどの活動での学校図書館の活用や、放課後や土曜日の児童生徒への学習支援などにも取り組んでまいりたいと考えております。  教育委員会といたしましては、学校図書館への司書などの配置により、学校、家庭、地域などを結びつけ、地域ぐるみで児童生徒の読書活動などを推進していくかなめとしての役割を期待しているところでございます。 ◆上島よしもり 委員 今、民間活用のいい点を述べていただいたんですけれども、逆に配慮すべき点というのもあるのではないかなと思われるんです。  例えば児童生徒との関係、そういったものも、民間の事業者さんが入られるということでどういうふうにやっていくか。また、継続性という意味では、指定管理なのか、やり方はいろいろあると思うんですけれども、例えば民間の方がずっとやるんだったらいいんですが、一年とか三年とかでかわってしまうというと、学校の信頼関係等、せっかく築いたものがどうなってしまうのかなという心配もあると思います。  あと、教員との連携、授業での活用という意味で、民間の方々がそれをどこまでちゃんと理解してやっていただけるのかなという意味で、これから契約をしていく中で、その辺のところは非常にしっかりと詰めていかなくてはいけない部分があるのではないかなと思いますが、そういった配慮すべき点については、現状どのようにお考えでしょうか。 ◎滝渕 副参事 教育委員会では、学校図書館の充実策を検討していく中で、学校図書館の活用状況を調査いたしましたが、各学校では限られた条件の中で学校図書館を利活用してきた経緯もあり、その活用状況は学校によって大きな差がございます。こうした活用実態から、司書などの配置による運営体制へ移行した場合には、まず学校における司書などの活用への理解が大変重要となります。  教育活動の実践の中で、司書とどう連携し、充実した取り組みをどのように具体的に取り組むかなど、具体的な事例などをもとに理解を深めていく取り組みが求められていると考えております。  また、配置される司書におきましても、各学校の教育計画における学校図書館の活用方針ですとか、授業計画などへの十分な理解のもとで活動していくことが必要でございます。  教育委員会といたしましては、円滑な運営体制への移行に向け、この取り組みの趣旨や目的だけでなく具体的な活用方法などについて、各学校の教職員や配置される司書などに理解が十分に深まるように、計画的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆上島よしもり 委員 やはり豊かな知力といったときに、図書館での学習、図書学習が非常に有効だということが、私、今回、この学校図書のことをいろんな方からお話を伺って勉強させていただいて、改めて認識したところなんですね。やはり考える力であるとか、ある意味、本当の意味での学力というものをつけるのも図書であると。また、社会とつながっていく、その糸口になる非常にいい場所でもあるということで、図書の充実、図書教育のしっかりとした取り組みというのが非常に重要であると考えておるんです。  そういう意味では、今御答弁にありましたけれども、学校の授業と図書室との連携、そこが非常に重要になってくるという意味では、やはり教員のほうの意識ももっともっと高めていかなくてはいけないということ。あと、実際、学校の図書の中身、また、これは非常にハードの話になりますけれども、配置ですね。例えばパソコンルームと隣り合わせであったほうがいいとかということも本当は考えなくてはいけないということもあります。  加えて、今、パソコンルームの話をさせてもらいましたが、インターネットで今情報がいろいろとれる時代であります。そういう中で、あした消えるかもわからないようなインターネット上の情報ではなくて、やはり確実な情報、出典としてちゃんと残るような、そういった情報としての図書というものの使い方が、子どものころから身についているのは、私はどちらかというと身についていなかったほうでございますので、子どものころだったら、こうやったらもっとよかったんだなと、今さらながら思っておるんです。子どものころから図書室をうまく使える子どもを育てることが、まさに豊かな知力の子どもたちを育てることだと思っておりますので、その点、慎重にというか、ぜひしっかりと進めていっていただきたいなと思っております。  時間がありませんので、もう一つ、学力を高めていく上で、地域の力をもっと活用すべきだと思っておるんですが、コミュニティースクールというんでしょうか、地域運営学校をもっと広げていく中で、私は子どもたちの教育力を高めていくことができるのではないかということで質問させていただきたいんです。  今回法改正をしていく方向性が示されたということで、こちらの目的と内容について簡単に御説明いただきたいと思います。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 今回の法改正の方向性、目的という部分でございますが、国におかれましては、全自治体の公立学校に地域運営学校、コミュニティースクールを全校設置していくという考えであるようです。その上で、人事に対する意見等々が課題になっているという部分で、その辺の見直しが、今回の法改正の趣旨というふうに伺っております。 ◆上島よしもり 委員 やはり世田谷区でも地域運営学校を全国に先駆けて取り組んできたということで、全国で導入しているのは五%ぐらいですか。そういう中で、非常に先進的だなと思いつつも、私はもっともっと中身を充実させられるだろうというのが本音です。  そういう意味で、これから地域運営学校をさらに深めるという意味では、例えば、先ほどあった土曜補習とか、あと朝学習とか、あと朝の図書館、先ほどの司書のこともありますが、そういったことも充実できる。あと加えて、これは近隣の方の御協力もいただかなくてはいけませんが、やはり校庭を朝から多少使えるように、もうちょっと登校時間を早くできるようにして、地域の方の御協力をいただいて、子どもたちが体力をつけられるように、遊べるような、そういった取り組みもあると思います。  いずれにしても、一番学力も高めていかなきゃいけませんが、生き抜く力を育んでいくという意味では、私は、今の子どもたちは自分の親と学校の先生ぐらいしか大人を知らない子どもが多いということが非常に問題だと思っておりまして、やはりいろんな大人がいて、いろんな大人との接点があるという環境をいかにつくれるかというのが、私は、これからの人材、日本人の人材を育てるという意味で非常に重要だと思っておりまして、そこの点をしっかりと進めていっていただきたいと思いますが、その点、教育長、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎堀 教育長 私ども、平成二十五年に全校にコミュニティースクールを導入させていただきました。その背景には、平成九年から学校協議会を導入していたというものがあったと思っております。今お話しのように、そのころから地域の方々と非常に強い連携があったと。その実績のもとにコミュニティースクール全校展開が実現したと思っております。  学校協議会、地域運営学校、いろいろ役割がまだちょっと定着していないというところもありますので、現在、マネジメントスタンダードの中で、学校の支援はどうあるべきか、地域とともに学校運営するのはどうあるべきかということで見直しを進めておりますので、より一層地域とともにある世田谷の教育を目指していきたいと思っております。 ◆上島よしもり 委員 しっかりと進めていっていただきたいと思います。  以上で自民党の午前中の質疑を終わります。 ○和田秀壽 委員長 議事の都合により、ここでしばらく休憩し、再開後、自由民主党の質疑を続行させていただきますので、よろしくお願いいたします。  それでは、休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩    ──────────────────     午後零時四十五分開議
    ○和田秀壽 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  自由民主党、どうぞ。 ◆三井みほこ 委員 それでは、私からは、いじめ問題、習熟度別の土曜講習会、そして学校給食に関して質問をしていきます。  まず、いじめ問題ですけれども、川崎の事件について報道されている限りのことしかわかりませんが、詳細が明らかになるにつれ、上村君があれだけSOSを出していたのにどうして救えなかったのか。さまざまな事情があったにせよ、彼はまだ中学一年生です。周りの大人が守ってあげなければならない年齢です。  本人も心配していた友人も、周りの大人には結果的には相談しなかった。親に心配をかけたくないという思いや、またプライドもあると思いますので、難しいことだとは思いますが、やはり私たち大人の社会が、残念ながら彼らには信頼されていなかったということだと思います。  子どもたちを取り巻く環境が複雑化しておりますし、LINEのやりとりなど、大人からは交友関係が全く見えません。しかし、親も先生も、もちろん担任の先生だけでなく、さまざまな大人が周りにいるわけですから、やはり小さな変化も見逃さない。子どもたちははっきり言わなくとも何となくほのめかしたりすることもありますので、私たちはそこを感じ取れる力を持たなければならないと思います。  そして、いつでも相談できるという信頼関係を築いていかなければならないと思っています。守れるはずの大切な命を守れなかった今回の事件、私たち大人一人一人が何ができるのか考えていかなければならないと思っています。  そして、今回、文部科学省が全国の小中高生に安全に対する緊急調査をした結果、校外で暴走族や非行グループなどの集団とかかわりを持って、身体に被害が生じるおそれのある生徒が百六十八人、多くは不登校状態とのことです。東京都でも三十六人ということですが、世田谷区の状況はどうなのでしょうか、まずお聞きいたします。 ◎齋藤 教育指導課長 委員お話しの緊急調査の対象となる者は、二月二十七日現在で、学校において七日間以上連続して当人との連絡がとれず、生命または身体に被害が生ずるおそれがあると見込まれる者、また、これに該当する者のほか、学校外での集団とのかかわりの中で生命、身体に被害が生ずるおそれがある者となっておりました。  本区におきましても全区立小中学校に対して調査を実施いたしました結果、この二件に関する該当する者はおりませんでした。ただ、学校からの報告の中には、家庭の事情などにより連絡がとりにくいケースなどもございましたので、改めて七日間以上連続して欠席している家庭等に連絡をとりまして、一人一人の現在の状況について把握したところです。  今後もスクールソーシャルワーカーや児相なども含め関係機関と連携をとりながら適切に対応したいと思います。 ◆三井みほこ 委員 よろしくお願いしたいと思います。  では、続きまして、文部科学省の平成二十五年度の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査というのを見てみますと、世田谷区ではいじめの認知率が二十三区の中で極端に低くなっています。〇・一五%、六百四十人に一人という割合で、挙がっているのはたったの六十二件ですね。小学校四十一件、中学校で二十一件。隣の杉並区は一・九一%、四百六十九件挙がっています。  これだけ違うと、世田谷区ではいじめを正しく認知しているのか、どのようにいじめを捉えているのかというのを疑問に感じます。教育委員会として認識はどうなんでしょうか。 ◎齋藤 教育指導課長 学校では、毎学期に一回実施しているいじめの防止月間に合わせまして、学校生活での悩みを把握し、いじめの疑いがないかを確認するアンケートを実施しております。また、日ごろから一人一人の言葉や表情、態度などにも注意深く目を向けて、小さな変化を見逃さないようにするとともに、子どもからの相談や訴えに耳を傾け、いじめの早期発見、把握に努めているところでございます。  いじめの認知件数につきましては、毎年度末に文部科学省が実施している問題行動調査や東京都の調査などで把握しております。  本区においては、ここ数年、年によって多少の違いがあるという現状でございますが、本年度の中間の調査では若干増加している傾向もございます。  アンケートに書かれた子どもの心配や不安に対しましては、担任や部活の顧問など、子どもが話しやすい教職員が丁寧に聞き取りを行いまして、その解消に努めて、継続的に注意深く見守るようにしております。その結果、友達との行き違いやけんかなど、いじめには至らなかったというケースもあったと聞いております。  また、いじめの情報や兆候をつかんだときには、事実確認を迅速かつ丁寧に行って、今回の調査の報告件数には至らなかったケースも含めて、当該児童生徒への指導や見守り、保護者との連絡を組織的に行い、再発防止を学校全体で徹底しているところです。  一方、実際にはアンケートなどで、自分から教師や保護者に相談することにためらいを持つ児童生徒もいると思いますので、スクールカウンセラーによる全員面接を実施したり、いじめの未然防止や早期発見につながる予防的な取り組みにも力点を置いているところでございます。 ◆三井みほこ 委員 子ども自身がいじめられているというのを認めたくないとか言いづらいということもあると思います。スクールカウンセラーによる全員面接に力を入れているということなので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  続きまして、二十七年度の重点項目を見ると、いじめ防止プログラムを中学校全校で実施となっていますが、今年度実施してみて、成果は出ているのでしょうか。また、小学校で一部試行となっております。中学生と小学生では精神的な発達段階が大分違いますけれども、小学校版のプログラムということで実施するのかお聞きいたします。 ◎齋藤 教育指導課長 委員お話しのいじめ防止プログラムは全体で三段階の構成となっておりまして、今年度は全ての中学校で第二段階まで実施いたしました。第二段階では、例えば生徒を六人程度のグループに分けて、被害者、加害者、傍観者、それぞれの立場になったときに、自分ならどうするか、傍観者にならないためにはどうしたらよいかなど考えて、中学生の発達段階に合わせて意見交換をしていくものでございます。  参加した生徒からは、いじめが起きたら、誰かにとめてもらうのではなくて、自分がやめさせることが大切だと思ったとか、自分の気持ちをきちんと伝えることが必要だと改めて感じたなどの感想が挙げられておりまして、生徒が自主的に活動していじめを防止しようというような心を育てることとか、学校全体の雰囲気をつくっていくことができましたので、いじめ防止の効果はあったと聞いております。  また、小学校版につきましては、中学校版とは中身が違いますが、発達段階も違いますので、その辺の成果につきましては、来年度、また見ていきたいなと思っております。 ◆三井みほこ 委員 では、それについては、また改めて聞かせていただきたいと思います。  続きまして、以前にもネット依存やネットリテラシーに関して質問しておりますけれども、LINEなどのSNSは、子どもたちの人間関係の質も変えていったな、そういう部分もあるのではないかと思っております。  今回の事件もそうですけれども、LINEのやりとりで交友関係も本当に広がっていき、トラブルも深刻化して、ただ、大人からはそのような状況が全く見えない。そういう状況にもかかわらず、小学生でもスマートフォンを持っている、そういう小学生も現実問題います。  基本は家庭でのルールづくりだと思いますが、保護者も含めて、学校現場での指導というのも欠かせないと思いますけれども、具体的にどのように指導していくのかお聞きいたします。 ◎齋藤 教育指導課長 報道などでもありますように、インターネットを介したいじめが大きな問題となっており、これからの社会を生き抜く子どもたちには、インターネット上での他者とのかかわりや情報モラルなどについて適切に指導していくことが大変重要であると認識しております。  教育委員会では、全区立中学校の一年生や希望する保護者を対象としたネットリテラシーの醸成講座を実施しております。これは専門の講師がインターネットやSNSの上手な利用の仕方、注意点などについて講義を行い、ネットリテラシーの育成を図っております。  なお、来年度からは、現状を踏まえまして新たに小学校向けの講座を新設します。また、小学校の保護者を対象にした講座というものも実施しまして、意識啓発を図っていく予定でございます。  そのほか、各小中学校では、保護者が家庭教育学級を行っておりますが、今年度から、教育委員会が設定した共通テーマに基づく取り組みも進められておりまして、そのテーマの一つに、子どものネット依存を挙げております。  子どもたちの発達段階を踏まえた利用の仕方や、インターネット、電子メールにかかわるトラブルについて啓発を図る講座として開催している学校もございます。  これからは、さらに多くの子どもたちがスマートフォンや携帯電話などを所持して利用していくことが考えられますので、教育委員会といたしましては、児童生徒の情報機器を利活用する力を身につける、情報モラル教育の充実を一層推進してまいります。 ◆三井みほこ 委員 では次に、教育支援チームについてお聞きしたいと思います。スクールソーシャルワーカー、学校支援アドバイザーの配置と弁護士の相談ということが新規事業に挙げられておりましたけれども、この教育支援チームが対応するのはどのような場合なのでしょうか、お聞きいたします。 ◎滝渕 副参事 近年の社会情勢の変化ですとか、学校教育をめぐる諸課題の複雑化、高度化に伴いまして、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化をしております。そのような中、児童生徒に対する指導や学級経営などにかかわる学校の対応への不信や、学校と保護者の情報共有の難しさなどから、学校と保護者の関係が深刻になったり、さらに他の機関へつなげる必要が生じたりするなど、学校だけでは解決が難しい事案が発生してきているという現状がございます。  こうした状況に適切かつ迅速に対応するため、教育委員会では、区立学校において発生する、学校だけでは対応が難しい課題や緊急の対応を要する事例につきまして、問題の深刻化の未然防止や早期解決を図ることを目的といたしまして、教育支援チームを設置することといたしました。  この教育支援チームは、学校支援アドバイザーという名称の臨床心理士、スクールソーシャルワーカー、弁護士などを構成員とし、専門的な知見や立場から、学校に対して指導助言を行います。また、必要に応じて保護者や児童生徒に直接対応する場面なども想定しているところでございます。 ◆三井みほこ 委員 川崎の事件でもスクールソーシャルワーカーと学校がつながっていなかったというようなことも耳にしています。学校と連携がきちんととれないと、せっかくやっても機能しないと考えますけれども、具体的にどういうふうに連携をとっていくのかお聞きします。 ◎滝渕 副参事 チームの一員となります臨床心理士は、これまでも教育委員会事務局の一員として、学校へのさまざまな支援を行ってまいりましたが、この教育支援チームは新たに立ち上げる組織でございます。まず、本組織についての学校の理解が重要であり、校長会などを通して、教育支援チームの目的や仕組みなどについて周知徹底してまいります。また、教育支援チーム内において、ケース対応のあり方や情報共有の方法など、年度当初に基本的な事柄につきまして十分な共通理解を図っていくことが必要でございます。  教育支援チームと学校の連携に向けましては、今後の教育支援チームの対応事案などを教員向けの研修会などで取り上げ、教育支援チームに対する理解と活用を進めるとともに、学校の組織的な対応力の向上を図ってまいりたいと考えております。  教育委員会といたしましては、教育支援チームの効果的な活用を通して、児童生徒が安心して過ごせる学校づくりを進めるとともに、保護者や地域の方々との信頼関係を深め、学校、家庭、地域が連携協働し、地域とともに子どもを育てる教育が推進されるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆三井みほこ 委員 新たに立ち上がる組織ということですから、本当に効果的に活用されるように、学校への周知をしっかりしていただきたいと思います。  今回も、連携、連携と今何度も出てきていますけれども、学校と警察の連携がとれていれば救えたのではないかなと悔やまれます。警察を初めさまざまな関係機関がありますけれども、それらの連携強化ということを具体的にはどのように考えていますか、お聞きします。 ◎齋藤 教育指導課長 児童生徒の健全育成に向けて、関係諸機関との連携を深めていくことは大変重要であると認識しております。今年度から開始したいじめ防止の基本方針を踏まえまして、世田谷区いじめ防止等対策連絡会を行っております。そこでは、区内の四警察や世田谷少年センターの方、人権擁護委員や青少年委員の代表の方、児童相談所等の関係機関の方々、「せたホッと」の方々などを委員として委嘱しておりまして、いじめ防止に向けた未然防止、早期発見、早期対応について情報交換の取り組みを進めています。  また、区立学校の生活指導を担当する教員を対象にした研修会で、「せたホッと」の弁護士の方に講師として来ていただいたり、また、それぞれの学校を所管する警察署の方からは、少年係の方々に毎月の生活指導主任の連絡会などに出席いただきまして、管内の状況や、それぞれの取り組みについて情報交換しています。こうした問題は、管理職のみならず、生活指導の主幹教諭など、さまざまな職層の教員と連携強化を図っていくことが大切であると考えております。  教育委員会といたしましては、今後も関係機関との連携を深めて、いじめの未然防止、早期発見、早期対応を初めとした、子どもの健全育成に取り組んでまいります。 ◆三井みほこ 委員 連絡会を行っているということですけれども、日常的にももっと密にやりとりをしていただきたいと思います。  続きまして、先ほど上島委員からも学力、体力について質問がありましたけれども、私からは、重点項目にも挙げられている土曜講習会についてお聞きいたします。  英語や数学などは特に積み重ねの教科ですから、基礎が身についていないと、授業を聞いても理解ができない。ですので、習熟度別に講習を受けるということはとても効果的だと思います。  二十六年度に四校実施して、二十七年度には十校に拡充ということですけれども、まずは今年度の成果についてお聞きいたします。 ◎滝渕 副参事 教育委員会では、平成二十四年度から、中学校卒業後の進路の実現に向けまして実践的な学力の定着を図るために、全ての区立中学校で中学三年生の希望者を対象に、数学、英語の土曜講習会を実施しております。今年度は四つの中学校でより基本的な内容の定着を目指したコースを設定するなど、習熟度に応じた講習を実施しております。  習熟度別クラス編制をした学校からは、学校の授業以外の学習の機会がない生徒にとって、本講習会が定期的に学習を続けていくよい機会となっているなどの報告を受けております。  また、学校によっては基礎コースに生徒の受講希望が多く集まるなど、基礎的、基本的な学習内容を求めていた生徒のニーズに応えることができているものと考えております。  受講した生徒のアンケートでは、進路の実現に向けて土曜講習会を受講してよかったと思うかという設問に対し、約九割の生徒が受講してよかったと肯定的に捉えております。  教育委員会といたしましては、習熟度別の土曜講習会は、生徒の進路の実現に一定の成果のある取り組みであると考えております。 ◆三井みほこ 委員 今、九割が受講してよかったということでしたけれども、それでしたら、ぜひふやして、十四校ということだけではなくて、全校の展開をすべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◎滝渕 副参事 委員お話しのとおり、平成二十七年度からは習熟度別の土曜講習会の試行を現在の四校から十校ふやし、合計十四校で拡充実施する予定でございます。今年度試行した学校からの聞き取りでは、習熟度別の講習会により、生徒の個別の学習状況に対応することができたという成果が寄せられました。  一方、優秀な講師の人材の確保ですとか、発展コースと基礎コースの、それぞれの学習内容のさらなる充実などが課題として挙げられております。  教育委員会といたしましては、土曜講習会が受講する生徒にとりより効果的な講習となるよう、試行校の成果や課題などを検証し、指導体制や実施回数、実施時期、指導内容などについてさらに検討を加えながら、全校での習熟度別クラス編制による土曜講習会の実施を目指してまいりたいと考えております。 ◆三井みほこ 委員 あと、先ほど基礎コースの受講希望者が多いというようなお話もありましたので、中学三年ということだけではなくて、それ以前の内容について、まだ学習内容が定着していなかったというような生徒もきっと多く受講していたんだなと思われるわけですから、例えば中学二年生とか、もっと前倒しで習熟度別講習をもう少し早く始めれば、通常授業においても、より学習効果が上がるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。 ◎滝渕 副参事 確かに学習を苦手としている生徒にとって、土曜講習会のような基礎基本の定着を図る機会や場は大変重要であると認識しております。  土曜講習会を中学二年生など、もっと早い段階からとの御提案ではございますが、早い時期からの基礎基本の定着が必要な生徒にとっては有効な一つの手だてではないかと考えております。一方、中学二年生という時期は、部活動など、学習とは別の活動にも大変熱心に取り組む学年でございまして、土曜日という設定が生徒のニーズに合っているかどうかということにつきましては十分に検討していく必要があると考えております。 ◆三井みほこ 委員 もちろん部活動とか、地域のボランティアとか、家族の時間とか大切ですから、中学二年生は別に土曜日にこだわらなくても、従来の朝学習もやっているという話が午前中に出ておりました。  朝学習においても習熟度別に実施するとか、いろいろ検討できるのではないかと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。 ◎滝渕 副参事 子どもたちに学習の基礎基本をしっかりと定着させていくということは、子どもたちの夢の実現にとって非常に大切であるというふうに認識をしております。朝の時間帯は基本的には読書の時間として活用しているところですが、中学校三年生では週に四回、朝の時間を活用して、全員を対象に、数学と英語の基礎的、基本的な学力の定着を目指した朝学習を実施しております。  また、言葉の力を高めるために、来年度より中学二年生の朝の時間を活用いたしまして、新聞の社説の要約やその感想をまとめるといった朝学習も週に一回実施する予定でございます。  教育委員会といたしましては、基礎基本の定着は、子どもたちの自己実現に向けて大変重要であるというふうに考えております。例えば放課後の活用なども含め基礎基本の定着を図るための方策を、今後も学校とともに検討してまいりたいと考えております。 ◆三井みほこ 委員 課題もいろいろあるかとは思いますけれども、わかるということで学ぶことが楽しくなって、その後の学力も伸びていくと思われますので、検討をしていただければと思います。  最後に、学校給食についてお聞きいたします。  昨年の第四回定例会の本会議でも食の大切さについてさまざま質問をしてきました。食の基本はもちろん家庭ですけれども、小学生、中学生にとっては学校給食もとても大きなウエートを占めていると思います。本会議の場でも申し上げたんですけれども、いじめや非行、暴力が給食を変えたらなくなったという、長野県の大塚先生の取り組みについて以前お話をさせていただきました。  それは、米食、御飯にして、おかずは野菜や魚を中心に、食材は全て地産地消で無農薬や低農薬に変えていった、そういうことなんですけれども、子どもたちの心と体の健康のことを考えると、本当に食べるものは大事です。  米飯を中心とした和食献立は、この大塚先生の取り組みでもわかるように、心と体の健康にはもう欠かすことのできないものですけれども、もちろんそれだけではなくて、お米の本来の味とか、だしのうまみとか、そういうものを給食で体験することができます。もちろん家庭でしっかりやっていかなければいけないんですけれども、なかなか忙しい現代のお母さんたちの状況の中で、給食でその辺を補っていただくと、子どもたちの味覚も育てて、食べることの大切さとか、和食文化を継承する上でも本当によい機会となります。  全国学校給食甲子園というのは御存じでしょうか。食育を推進して地域を活性化させようということで始まったものですけれども、そこで優勝した文京区立の小学校の栄養士の方が「日本一の給食レシピ」というものを出しています。その中で江戸東京野菜を使った優勝メニューも紹介されています。本当に学校の周りはビルばかり、東京にも郷土の食材があることを知ってほしいという思いで、休みの日には畑を回って、農家の協力をみずから取りつけた、そういうことですけれども、世田谷にも地元産の野菜があります。  既に給食にも取り入れているということは存じ上げていますけれども、引き続き副菜に新鮮な地元の野菜を取り入れて、日本の食文化や栄養のバランスということからも、好ましい米飯給食の回数をふやしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎吉田 学校健康推進課長 学校給食におきましては、児童生徒が食事についての正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、望ましい食習慣を養うこと等を目的として、米飯、パン、麺の組み合わせを考慮し、バランスのよい献立作成に努めております。  米飯給食の実施回数につきましては、平成二十六年度平均で、小学校では週に三・二回、中学校では三・一回となっております。米飯は日本型食生活の中心であり、さまざまな副菜と組み合わせることで健康的な食事内容が実現でき、地産地消の推進においても重要な役割を担っていると認識しております。  教育委員会では、平成二十五年度から二十六年度にかけて、農林水産省と協力し、和食の一流シェフと学校で考案した米飯給食メニューを、実際に給食室でシェフとともにつくり、児童に米飯を中心とした和食のよさを伝える講演を行う米飯給食推進事業を京西小学校で、和食推進事業を千歳台小学校と尾山台小学校で実施いたしました。  米飯を中心とする和食献立を取り入れ、白米本来の味やだしの香りを実際の給食で体験することは、児童生徒の味覚を育て、食べることの大切さや和食文化を継承するよい機会となっております。  今後も米飯給食を中心に、四季の食材を生かしたバランスのよい給食提供に努めてまいります。 ◆三井みほこ 委員 旬の食材を使って、季節感のある給食を子どもたちに食べてもらいたいと思っていますけれども、最近、食材費がとても値上がりしておりますが、現在の給食費で質は確保できるのでしょうか。 ◎吉田 学校健康推進課長 区立小中学校における給食費につきましては、学校給食法に基づき、児童または生徒の保護者の負担とし、学校給食で使用される食材の購入に全額を充てております。  平成二十六年四月に消費税率が五%から八%に改定されましたが、区においては、平成二十五年十二月の消費税率の引き上げに伴う区の対応方針に基づき、区が提供するサービス等に係る利用者負担につきましては、区民負担は増税前と基本的に同額といたしました。  一方、二十三区においては半数を超える十四区において改定を行い、改定率は平均三・二%、金額で月額百五十六円の改定を行ったところです。この間、学校においては安価な食材を使う献立を多くし、また、同じ食材でもより安価な部分を使用するなどの工夫を凝らすことで食材の値上がりに対処しておりますが、食用油、調味料など多くの食材の値上がりが続いており、さらに食材納入業者からは、四月に納品される小麦製品、乳製品などの値上げを通告されており、厳しい状況となってきていると認識しております。  児童生徒に対して安全でおいしく質の高い給食を安定的、継続的に提供するため、給食費の扱いについては、今後、政策経営部門と連携調整し検討してまいりたいと考えております。 ◆三井みほこ 委員 既に二十三区中十四区が改定しているということなので、工夫していくにも限度があると思いますので、しっかり検討していっていただきたいと思います。  以上で終わります。 ◆あべ弘幸 委員 それでは引き続き、私たち自民党区議団は、次代を担う子どもたちの将来、一人一人が自立しながらも、お互い助け合える地域社会を実現することを目標としております。  そのためには、やはり教育が何より重要なことは間違いないことではあります。先ほどから午前、午後と、上島委員、三井委員が質問してきておりますが、全国トップクラスの学校教育を目指すことを自民党の政策で提言しておりますので、その観点から、また改めて幾つか質問をしてまいります。  現在、区では義務教育九年間の目標を定めた世田谷区教育要領を定めまして、質の高い教育の実現を目指していると。先ほど述べたとおり、二十七年度の予算案の重点項目で、学習習得確認調査の充実であるとか、イングリッシュタイムの拡充、あるいは中学校での朝学習の拡充であるとか、土曜講習会の習熟度別クラス編制の拡充など、約一億二千万円の予算を計上しております。  既にもう取り組んでいる事柄でもありますので、改めてここで伺いますが、小学校においてもやはり児童の学力アップのために、中学校で行われている朝学習や土曜日の習熟度別クラス編制など、小学生に即した施策で学習の基礎基本を定着すること。特に経済的に学習塾なんかになかなか補習として通えない方もいらっしゃると聞いておりますので、学習支援の目的で実施することも必要だと思っております。区の見解を伺います。 ◎滝渕 副参事 教育委員会では、世田谷区教育ビジョンの重点事業であります世田谷九年教育の定着と質の向上のための取り組みとして、中学校卒業後の進路実現に向けた実践的な学力を身につけるために、朝学習は中学三年生全員を対象として、また、土曜講習会は中学校三年生の希望者を対象として実施しております。土曜講習会につきましては、現在、習熟度別の実施を一部の学校で試行し、さらなる基礎基本の定着を目指しております。  委員御指摘の小学校における学習の基礎基本の定着というのも大変重要であります。今年度から基礎基本の定着を目指した東京ベーシック・ドリルという教材を全ての小学校で活用を始めました。  今後は、学校図書館における放課後の学習支援のあり方などを含め、小学校における基礎基本の定着に向けた取り組みの検討を進めてまいりたいと考えております。  教育委員会といたしましては、全ての区立小中学校の一人一人の児童生徒の学力向上を目指し、取り組みをさらに充実させてまいりたいと考えているところでございます。 ◆あべ弘幸 委員 まさに正規の授業だけではなかなか理解がおくれてしまうという生徒さんもいらっしゃると思います。早期にその補習等で補うことも重要だと思っておりますので、ぜひ充実していただくことを要望いたします。  次に、私、昨年、第一回定例会でICT教育の推進のため、他の自治体が行っているようにタブレット端末を生徒一人一人に普及し、校内でのICT教育を含めて、自宅での復習ですとか補習にも対応すべきというような提案をさせていただきました。その答弁の中で、世田谷区は非常に人口が多いということで、予算上でも困難、あくまで学校内でのパソコン教室での教育にとどめるということでありましたけれども、世田谷区は、全国的にも、東京都においても、平均と比べまして小学校の児童用PCの導入とかLANの整備がおくれているというふうに聞いております。  同じ都内である荒川区では、区民約二十万人の自治体でありますけれども、二十六年度予算は約八億円を計上して、小中学校全校に一人一人のタブレット端末を導入しました。  また、国は、平成三十年度までに一人一人の情報端末による教育の全国的な普及・展開と教育ITシステムの標準化を挙げているんですね。それにもかかわらず、世田谷区教育の情報化推進計画では、計画期間が平成三十五年までに達成するというふうにされております。
     区は、平成二十七年度予算重点項目の教育の情報化推進の中で約十七億円の予算を計上しておりますけれども、荒川区に比べまして一人当たり予算が約半分なんですよ。内容はタブレット端末の普及は各校四十一台にとどまり、非常に対応が遅いと思っているわけであります。よりスピードアップをして普及するべきだと思っているんですが、区の見解はどのように思っていますでしょうか。 ◎工藤 教育総務課長 教育委員会では、第二次世田谷区教育ビジョンのもと、ICT教育推進に係る計画として、世田谷区教育の情報化推進計画を策定し、この中で、今後十年間で一クラス一台の電子黒板を設置することや、児童生徒一人一台の情報端末を配置することなどを目標として掲げております。  その一方で、御質問にもございましたように、国の世界最先端IT国家創造宣言工程表実施スケジュールによりますと、平成三十年度には一人一台の情報端末による教育の全国的な普及展開と教育ITシステムの標準化を実現することとしております。  こうした国の動向に加えまして、ICTを活用した教育が世界的にも各国に広がりつつあること、さらにはデジタル教科書といった補助教材の電子化に、各出版社とも対応しつつある状況なども踏まえまして、小中学校全ての普通の教室にデジタルテレビや実物投影機などを来年度中に整備するよう、当初計画の前倒し実施をしてまいりたいと考えております。  また、御質問の情報端末につきましても、来年度末までに大幅な台数追加を予定しておりまして、小学校の情報端末は現在約二千五百台程度であったものを約五千台程度に倍増させるとともに、中学校につきましても現在の千七百台程度から二千百台に追加整備するために、関連ソフトウエアも含めまして、教育情報化推進の全体約十七億円の予算のうち十一億円を集中投資する予定としております。  今後に向けましては、こうした機材が教育現場で十二分に活用されるよう、研修の充実ですとか、教員のICTスキルの向上、さらには各教科ごとに教材の有効活用の研究なども進めること、また、子どもたちの情報モラル教育の充実などについてもバランスよく取り組んでいく必要があると考えておりますので、御案内の資機材の充実とあわせて着実に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆あべ弘幸 委員 ぜひ国の動向におくれないよう、さらなる前倒しをして進めていただくことを要望します。  改めて、先ほど述べたとおり、経済的な困窮が原因で補習塾、学習塾に行けない児童生徒さんにも、学習支援としてのタブレット端末を配付することは、全体の学習能力の向上という意味でも有益だと思うんですよね。それについてはどのように思っていらっしゃいますか。 ◎滝渕 副参事 御質問のタブレットパソコンの学習支援への活用についてでございます。  教育委員会といたしましては、まずは先進的に研究を進めている学校のタブレットパソコンを含めたICT機器の効果的な実践例をもとに、区内の全小中学校のICTの活用の推進をまず図っていくとともに、タブレットパソコンの授業における効果的な活用方法について推進してまいりたいと考えております。  委員お話しの家庭での活用を視野に入れたタブレットパソコンの活用につきましては、これから始める取り組みの検証結果を踏まえ、今後検討をしてまいりたいと考えております。 ◆あべ弘幸 委員 ぜひよろしくお願いいたします。  それでは次に、本年は中学校の教科書の採択の年でありまして、ICT教育を推進することを本年の重要項目で挙げているわけですよね。四年に一回しかないこの時期に、副読本の取り扱いであるデジタル教科書の完成度を十分に吟味して評価検討することは必要だと思っているわけです。出版社によりましてソフトの完成度というのはかなり差があると聞いておりますので、今回、この時期を逃しますと、次回の採択は国が掲げている教育ITシステム標準化の年、平成三十年度を飛び越しまして、次回は三十一年度を待たなければ新たなる取り組みの対応が難しくなってくるんじゃないかなと思っているんですよね。  来年になって、ITシステムの標準化は、現在の教科書が対応できないので、区が予定している三十五年度標準化の前倒しはできないみたいな理由にならないように、今から先を見越した適切な評価をするべきだと思っているわけですが、区の見解についてはどのように思っていますでしょうか。 ◎齋藤 教育指導課長 教科書採択に当たりましては、児童生徒によりよい教科書を提供するという目的から、世田谷区の地域特性や教育要領などを踏まえた調査研究の観点を定めています。教員が構成する調査研究委員は、各教科書の内容を十分に調べて、教科書採択の資料づくりを行っております。  デジタル教科書につきましては、ICT機器を活用して授業の狙いに即した写真やグラフなどを簡単に提示したり、あるいは教科書に掲載されている文章にアンダーラインを引いて注目させることなどができますので、これからの時代にふさわしい補助教材だというふうに認識しております。児童生徒の学習への興味を高めたり理解を深めたりするための工夫もされており、有効に活用すべきものと認識しております。  教科書採択とデジタル教材の関係でございますが、今回の採択時には、各社とも新しい教科書の採択時には開発中という段階のものが多い状況でございます。今後はデジタル教科書の普及がさらに進むと考えられますので、そうした環境が整った際には、教科書採択の調査研究の一つの観点として、デジタル教科書の状況についても勘案することについて検討してまいりたいと思います。 ◆あべ弘幸 委員 その新しい教科書に遵守したデジタル教科書が完成するのが採択終了後だという御答弁なんですけれども、区としても教科書の出版会社に早期にデジタル教科書の完成を促していただきまして、調査研究委員には可能な限り調査をしていただきまして、教科書採択の資料づくりに取り組んでいただきたいと思っています。  次に、ICT教育を推進するには、教員の指導力の向上のため、教員研修などの教育力の向上や、プログラム開発、ソフト面の投資強化が必要だと思っています。  常任委員会で新教育センターの移設などの報告もありましたけれども、俗に言う箱物に投資する予算があるのであれば、現在ある施設を有効利用しまして、教員の大量退職期に向け、若手教員やITにふなれなベテランの教員の研修に力を注ぐべきじゃないかなと思っているんですが、区はその件に関してどのように思っていますか。 ◎滝渕 副参事 世田谷区の子どもたちに豊かな人間性や豊かな知力、健やかな身体をバランスよく育む世田谷九年教育をさらに推進、充実していくためには、教員の資質、能力の向上が不可欠であり、教員への研修や研究活動が大変重要であると認識しております。ここ数年にわたり、教員の大量退職期を受け、多くの教員を新規に採用しており、毎年百名程度の初任者が各学校に配置されているという状況でございます。このため、一校で複数の初任者を育成しなければならない状況や、若手教員全員を対象とした集合研修における研修効果を高めていくことなどが課題となっております。  このような中、各学校ではベテラン教員が若手教員に対して指導育成を行ったり、若手教員を対象とした自主的な勉強会を実施したりするなどの取り組みの工夫をしながら行っております。集合研修でも少人数のグループでの実践的な演習を実施し、中堅教員がグループごとに講師として指導に当たるなど、実施上の工夫をしているところでございます。  教育委員会では、より質の高い学校教育を推進するための学校経営のモデルとなる世田谷マネジメントスタンダードの整備確立に向けた取り組みを進めておりますが、人材育成につきましてもマネジメントスタンダードの柱の一つとして、若手教員の育成を含めた、よりよい人材育成の手法について検討を進めているところでございます。 ◆あべ弘幸 委員 若林小学校跡地の利用で、新教育センターについては何も答弁を受けられませんでしたけれども、このことについては、またこれから順次協議する機会があると思いますので、次に行きます。  子育て支援の観点から、世田谷区の保育サービスの現状は、待機児童が増加をいたしまして、現在、大きな問題になっているわけですが、以前はそれに伴い、学童保育も不足が懸念されていた時期がありましたが、新BOP事業を立ち上げ対応しているところであります。  平成二十六年の九月に新BOP事業に関する検討委員会からの報告書が提出され、約半年が過ぎました。身近で安全な小学校施設内でのBOP事業と学童クラブを一本化しまして、平成十七年度から区立全小学校六十四校で約十年実施しているわけですが、小学校の児童数が増加するとともに新BOPも大規模化しているので、その点について幾つか質問していきたいと思っています。  やはり子どもの放課後を安心で豊かにするために、新BOP連絡協議会で議論をする必要があるというふうに、先ほど述べた検討委員会の報告書の中に記載されているんですけれども、その後、どのような事柄、具体的に協議内容について、この場で教えていただければと思います。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 新BOP連絡協議会につきましては、六十四の新BOPにそれぞれ設置してございます。新BOP事務局長と所管である児童館長が主体となりまして、毎学期、学期ごとに一回程度開催してございます。主なメンバーとしては、学校長を含め学校関係者、それからPTAであったり、町会であったり、遊び場開放運営委員会や青少年委員の方々というような多数のメンバーで構成されてございます。  新BOP、それぞれで課題はまちまちでございまして、日々の子どもたちの遊びの様子の報告であったり、異学年交流についてなど、いろんな御議論がされているものと聞いております。 ◆あべ弘幸 委員 児童が増加する中で、新BOPの教室だけでは狭くなりまして、改善するには学校との連携が必要というような報告も記載されていました。  現在の対応についてはどのようになっているか、伺います。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 区立小学校の児童数は年々五百人程度ずつふえてございます。それに伴いまして、新BOPを利用する児童数も増加傾向にございます。これまでも学校の理解と協力を得ながら、校庭や体育館、多目的室などを学校と調整しながら活用してまいりました。今後も一層の連携と協力を、校長会を通じてお願いしているところでございます。 ◆あべ弘幸 委員 二十七年度の重要項目で、今回約十七億七千万円計上しているんですね。特に指導員の給与等人件費が主であるというふうに聞いているんですけれども、二十七年度における総人員数と総人件費、三十三年度におきましては最大になるというふうにも聞いております。二十七年度、三十三年度、おのおののについてちょっと教えていただければと思います。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 二十七年度の人件費の予算でございます。まず、事務局長を初め看護師、それから指導員を含めまして非常勤職員が四百五十四人、そのほか、臨時職員でございますプレーイングパートナーの経費を合わせまして、額としましては十六億一千四百万円を計上してございます。また、児童数がマックスとなると推定されております、たしかこちらでのマックスは三十三年度でございますが、こちらのほうでは児童の増加率から算出いたしまして、現在の基準からいたしますと、非常勤の職員数が五百十四人、そのほかに先ほど申し上げた臨時職員、プレーイングパートナーの経費を合わせまして、二十七年度に比べますと約二億六千万円ほどの増加というふうに予想しております。 ◆あべ弘幸 委員 二十七年度の一般会計歳出予算で全体は前年度比四・九%の増加の中で、教育費は約二二・八%と飛び抜けて増額をしているわけなんですね。私、常々言っているんですけれども、常任委員会でもそういった具体のコストというのはやはり常に開示、提示していただくことを要望して、今回、この質問をさせていただきました。  次に、実は私の次女なんですけれども、現在、高校三年生になります。以前は地元の区立の小学校に通っていたということですが、ちょうど区立小学校全六十四校で新BOPの体制が整備された、その平成十七年度、そのとき、ちょうど八歳なんですよ。そのとき、やはり小学校低学年ということで、よく新BOPを利用させていただきました。非常に楽しく遊んでいたという記憶があります。  当時、同じ校庭の中で高学年の児童さんが蹴ったボールがたまたま目に当たってしまって、それが原因で、しばらくの間、視力がかなり低下をしてしまったということで、回復するまでかなりの時間を要したということがありました。親としては、当時、大変心配したことを思い出しているわけなんですが、子どもたちが安全安心に遊ぶこと、また、もう十年たっていますので、いろいろ対策は練ってきているとは思いますけれども、指導する職員などの研修、あるいは情報交換を重ねている中で、特にBOPの事故に対しての事前及び事後についてどのように対応しているのか、改めて区にお伺いします。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 新BOPでの活動中は事故のないよう、職員を配置するなどしまして安全確保に努めておりますが、予想ができないような突発的な事故も起こってしまうことがございます。  各新BOPには、新BOP安全対策マニュアルを配付しまして、万一事故が起こってしまった場合には、そのマニュアルに沿った形で対応するよう指導しております。  例えば児童がけがを起こしてしまった場合につきましては、まずは応急処置を行うということと、また、当学校と連携しまして保健室を活用して処置をするなどして行っております。緊急を要する場合は、ちゅうちょなく救急車を呼ぶような指導もあわせて行っています。  また、ほかの職員におきましては、速やかに保護者、それから学校関係者への連絡、所管である児童館、児童課及び教育委員会への報告、連絡をするように対応しております。また、事故後の対応でございますが、けがをしてしまった児童、その保護者へ十分配慮した対応を行うよう指導しております。 ◆あべ弘幸 委員 起こってしまってからの対応をいろいろやっても、またもとに戻るわけじゃないので、やはり事前に防ぐということ、それについて重視することが非常に重要だと思っておりますので、これからもぜひ頑張っていただきたいと思っております。  最後の質問になりますけれども、他会派からも質問がありました。改めて自民党からも梅丘図書館改築に係る基本構想について伺います。  自民党区議団は、文化の町世田谷としてのさらなる飛躍を目指しておりますが、その上で、区は二十七年度予算重点項目の中で梅丘図書館改築に係る基本構想という欄がありました。梅丘図書館は、弦巻の中央図書館が開館するまでは、まさに世田谷区の中央図書館として整備されて、昭和四十三年に開館して、四十七年の歴史があるということなんですが、当時は、当然ながら最新の設備で、近隣の方々にも利用されていたわけですけれども、老朽化が進み、かなり使い勝手が悪くなっているというのも聞いております。  そういった意味で改築は必要なのかなと思っておりますが、現在の施設の欠点、例えば駅からのアクセス、動線も含めてなんですが、ちょっとわかりづらい、あるいはバリアフリーがなかなか未整備だとか、あそこはちょっと一本道を奥に入っていますので、通りがちょっと暗いんですね。ですから、夕方とか夜になりますと非常に暗くて、その割には街灯もちょっと少ないなというように感じているところであります。また、障害者などが駐車場に車を入れるに当たっても道幅が狭かったりとか、欠点を挙げればたくさんあるわけです。  そこで伺いますけれども、第二次世田谷区立図書館ビジョンの基本方針の中と、開館日、時間のさらなる拡大、また、民間委託を推進していただきたいんですが、かつ羽根木公園に隣接してもおりますし、まさに世田谷の名所となるような、また、地元商店街もあります。近々梅ヶ丘拠点整備も完成する中で、つい最近では補助一五四号も開通しましたし、バス停との絡み。そういった意味では、まさに地域全体を総合的に考慮した梅丘図書館の基本構想にしていただきたいと思っているんですが、区の見解についてはどのように思っていますでしょうか。 ◎花房 中央図書館長 梅丘図書館は、昭和四十三年四月に開館いたしました。床面積は千五百平方メートルで、閲覧席の多い図書館で、利用者も多い状況でございますが、開館から四十七年が経過し、老朽化が進んでおります。改築に当たりましては、二十七年度に基本構想を策定するため、策定委員会を設置するとともに、区民参加型のワークショップを実施し、検討を進めてまいります。  梅丘図書館は、小田急線の梅ヶ丘から徒歩約五分で、羽根木公園の一角にございますので、その環境に配慮し、第二次図書館ビジョンを具現化するコミュニティーの醸成につながるような魅力的な施設を目指して、民間活力導入、開館日等の拡大についても検討を進めてまいります。  また、この地域は基本計画において保健福祉の街づくり重点ゾーンとして、ユニバーサルデザインによるまちづくりを重点的に進める地域としてございまして、図書館へのアクセスも大変大切だと考えております。近隣住民や商店街を初め、現在区が進めている梅ヶ丘拠点整備など、梅ヶ丘のまちづくりを進める担当所管と連携を密にとりながら基本構想を策定してまいりたいと考えております。 ◆あべ弘幸 委員 よりよい基本構想にしていただくことを希望いたしまして、質問を終わります。  山内委員とかわります。 ◆山内彰 委員 それでは、御質問いたします。  愛知県一宮市の市立の中学校の男性の校長先生がホームページ上のブログに、神話に基づく日本建国の由来などに触れながら、自国の誇りを持つように訴える記事を掲載しました。御存じでしょうか。 ◎齋藤 教育指導課長 存じております。 ◆山内彰 委員 原文は、二月十一日は建国記念日ですと。そこで、きょうは日本のルーツ、日本の起源についてお話をしたいと思います。  日本の建国は、今から二千六百七十五年前の紀元前六六〇年二月十一日、初代神武天皇が即位したのが始まりです。  世界一広いお墓、大仙古墳で有名な仁徳天皇が、ある日高台に登って遠くをごらんになりました。すると、人々の家からは食事の準備のために煮炊きする煙が少しも上がっていないことに気がついたのです。仁徳天皇は、民のかまどより煙が立ち上がらないのは、貧しくて炊く物がないからではないか。都がこうだから、地方はなおひどいだろうと仰せられ、三年間、税を免除されました。税を免除したために朝廷の収入はなくなり、宮殿は大いに荒れました。天皇は衣を新調せず、カヤぶき屋根が破れ、雨漏りがして、星の光が屋根のすき間から見えるというありさまでした。  三年がたって、仁徳天皇が同じ高台に出られて遠くをごらんになると、今度は人々の家から煮炊きする煙が盛んに立つのをごらんになり、そのとき、仁徳天皇がこのように言われたということです。「高き屋に のぼりて見れば煙立つ 民のかまどは賑わいにけり」。そして、一緒におられた皇后に、私は豊かになった、喜ばしいことだとおっしゃったということです。皇后はそれを聞いて、陛下は変なことをおっしゃいますね。衣服には穴があき、屋根が破れているのに、どうして豊かになったと言えるのですか。すると、国とは民が根本である。その民が豊かでいるのだから、私も豊かということだと言われ、天皇はさらに三年間、税を取ることをお許しにならず、計六年が経過して、やっと税を課し、宮殿の修理をお許しになりました。すると、人々は命令もされないのに進んで宮殿の修理を始め、瞬く間に立派な宮殿ができ上がったといいます。  この話は神話であり、つくり話であるという説もあります。しかし、こうした神話こそが、その国の国柄を示しているということも言えるのです。  こうした天皇と国民の関係性は、何も仁徳天皇に限ったことではありません。敗戦直後の昭和二十年九月二十七日、第百二十四代昭和天皇はマッカーサーと会見しました。そしてその会見で、昭和天皇はこのようにマッカーサーに話したのです。今回の戦争責任は全て自分にあるのだから、東郷や重光らを罰せず、私を罰してほしい。このままでは罪のない国民に多数の餓死者が出るおそれがあるから、ぜひ食糧援助をお願いしたい。ここに皇室財産の有価証券類をまとめて持参したので、その費用の一部に充ててほしいと述べたのでした。  それまで、天皇陛下が多くの国王のように命乞いに来たのだろうと考えていたマッカーサー元帥は、この言葉を聞いて、やおら立ち上がり、天皇陛下の前に進み、抱きつかんばかりにして陛下の手を握り、私は初めて神のごとき帝王を見たと述べ、陛下のお帰りの際には、マッカーサーみずから出口まで見送りの礼をとったということです。  このように、初代神武天皇以来二千六百七十五年にわたり、我が国は日本型の民主主義が穏やかに定着した、世界で類を見ない国家です。  日本は、さきの太平洋戦争で、建国以来初めて負けました。しかし、だからといって、アメリカから初めて民主主義を与えられたわけではありません。また、革命で日本人同士が殺し合って民主主義をつくったのではありません。古代の昔から、日本という国は、天皇陛下と民が心を一つにして暮らしてきた、穏やかな民主主義精神に富んだ国家であったのです。  私たちは日本や日本人のことを決して卑下する必要はありません。皆さんは、世界一長い歴史とすばらしい伝統を持つこの国に誇りを持ち、世界や世界の人々に貢献できるよう一生懸命勉強してほしいと思いますと書かれているそうです。  この記事を読んで、自分でも改めて考えさせられる文言もありますが、中学社会科の学習指導要領では、「神話・伝承などの学習を通して、当時の人々の信仰やものの見方などに気付かせるよう留意する」と明記されております。校長は、神話を通じ、子どもたちに自分より人のためという古代からの日本人の精神を、自国に誇りを持ってもらいたいと話しているとありました。  私自身はこの校長先生に拍手をしたいのですが、教育委員会として、やっぱりこの歴史、それから神話というものについていろいろな思いがあると思うんですよね。このことについて、この文章も含めていかがお感じでしょうか。 ◎齋藤 教育指導課長 第二次教育ビジョンの教育目標では、育てたい子ども像の一つに、「日本の美しい風土によってはぐくまれ伝えられてきた日本の情操や、文化・伝統を大切にし継承する子ども」を掲げております。  また、学習指導要領では、委員お話しのとおり、中学校社会科で神話・伝承などの学習を通して、当時の人々の信仰やものの見方、考えなどに気づかせるように留意することとされております。小学校学習指導要領社会科においては、「神話・伝承を調べ、国の形成に関する考え方などに関心を持つこと」としております。  実際、授業で取り扱っている教科書では、例えばコラムの中でヤマトタケルの話、小学校のほうではそういうものとか、また、ヤマタノオロチの退治の神話などが掲載されているところでございます。  神話や伝承などに触れるということは、歴史学習に対する児童生徒の興味関心を高めることにはつながることというふうに考えております。 ◆山内彰 委員 現在、世田谷の学校でこういう神話の話とか授業でやっておられるという事例がありましたら、ちょっとここでお話しいただければありがたいのですが。 ◎齋藤 教育指導課長 先ほども少し触れましたが、教科書に実際こういうようなコラムなどを使っているものとか、あるいは社会科の資料集、そういったものに紹介しているものについて、子どもたちがそれを読んだり見て調べるところで、当時の歴史のことについて興味関心を高めるという授業は行っております。 ◆山内彰 委員 具体的にどこでということはなさそうなんですが、教育全体を通してそういうことがなされているということは理解できました。  先ほども、私も、この文章の中で必ずしもそれが正しいとか、これが間違っているとかということではなく、こういう話もあるということで、日本人の心というのかな、そういうものをきちっとやってもらいたいという意味で私はお話ししているのであって、一〇〇%がんがんとやれという意味ではありません。しかし、根強く心の中にはあると私は思っております。  それでは、次に参ります。  次は、たまたま私、富山に視察に行ったときに感じたことなんですが、朝走るのが好きだから、そこら辺をちょっと走るんだけれども、富山というのは、いたち川、それから松川という川が二本あって、神通川につながっているんですよね。その近辺というのは物すごく桜の花が、多分咲いていればきれいだと思うんですけれども、桜がいっぱいあるんです。  それから、立山のほうからの湧水かな、そこらここらにあって、大抵お地蔵さんがあって、そのあたりに湧水があって、走りながら、そこら辺のおじさんにここの水はすごくうまいねと言ったら、当たり前だ、そんなの知らないのかと怒られたんだけれども、地元をすごく大事にしているんですよね。  富山市役所の展望塔というところに、視察に行った人たち、仲間と一緒に上がったときに、子どもたちも一緒に入ってきたんですよ。そのときに、富山城に石像というか銅像が立っているけれども、それはわかるって聞いたら、子どもたちが一斉に前田正甫だよって言ったんですよ。この人は富山藩の二代目藩主で、どちらかというと反魂丹という富山の薬、たまたま江戸城で三春の殿様が腹を壊したかどうか知らないけれども、苦しんでいたときに、彼が持っていて、それを処方したところ、たちどころに治ったというような話もあります。  地元のいろいろな物語、それから偉人とかそういうことを、子どもたちがきちっと把握しているということは物すごくすごいことだと思うんだよね。無論、世田谷区も今、「花燃ゆ」で吉田松陰が注目されていますけれども、(「井伊直弼もいるよ」と呼ぶ者あり)そうね、井伊直弼もいます。そういう観点から、やっぱり子どもたちに知ってもらういい機会だと私は思っているんですよね。前回も同じようなことを言ったんですけれども、とにかくこういう歴史的なこと、教育について、今どう考えているか、お伺いをいたします。 ◎齋藤 教育指導課長 教育基本法では、教育の目標の一つとして、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんで我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」ということが明記されております。  また、学習指導要領では、小学校の社会科で、社会生活についての理解を図り、我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育てること、また中学校でも、我が国の国土と歴史についての理解と愛情を深めるということが示されております。  実際、世田谷区の小学校におきましては、地域の人々の生活の向上に尽くした先人の働きや苦心を考えるという学習で、例えば玉川上水や次大夫堀を取り上げまして、玉川兄弟ですとか小泉次大夫の苦労や工夫、現在の様子などを学習しているところです。  また、全ての区立小学校四年生を対象に、教育センターの郷土資料室で学習する機会を設けております。子どもたちは郷土資料室を訪ねまして、世田谷にかかわりの深い先人や、世田谷に伝わる民話や伝統文化、世田谷に残る史跡など、テーマを決めて学習しているところです。  また、中学校の地理的な分野では、身近な地域の観察、調査などの活動を行っています。生徒は、地域の歴史や発展の様子に関することとか、あるいは地域独特の生活や文化に関することなどをテーマに決めて学習しております。  また、教育委員会が作成している世田谷区の社会科の副読本では、例として烏山の寺町ですとか、玉川地域の古墳、等々力渓谷なども掲載して、生徒が学習する際の参考にしております。  教育委員会といたしましては、今後も郷土の世田谷に対する理解を深めて、地域とともに生きる子どもたちを育むように取り組みを進めてまいります。 ◆山内彰 委員 私、この歌が好きで、前もあるところでやっちゃったんだけれども、「たのしみ」はという初めで、「時」で締めます。「たのしみは鈴屋大人の後に生れその御諭をうくる思ふ時」という歌です。これは独楽吟という詩集の五十二の中に入っていますけれども、やっぱり日本人の気持ちというのがその中にうたい込まれていると思いますので、もしよろしければお貸しいたします。  以上で自民党の質問を終わらせていただきます。 ○和田秀壽 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後一時五十七分休憩    ──────────────────     午後二時十五分開議 ○和田秀壽 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  公明党、どうぞ。 ◆津上仁志 委員 それでは、公明党世田谷区議団の文教委員会所管の質問をさせていただきます。  まず初めに、私のほうからは、ことし八月にオープン予定のせたがや平和資料館を活用した平和教育の実施について伺いたいと思います。  これまでも何度か聞いてきましたけれども、教育委員会のほうからは、今まで実施している定期巡回展を続けていくという報告はあったんですけれども、新たにこの施設をどう活用していくかについては特に示されていません。  改めて、ことし八月に一部オープンするせたがや平和資料館を活用した平和教育の実施についての検討状況はどうなっているのか伺います。 ◎齋藤 教育指導課長 戦争の記憶を風化させずに恒久平和を目指すためには、児童生徒に戦争の悲惨さや平和のとうとさを伝えることが大切でございます。
     教育委員会といたしましては、ことし八月に世田谷公園内に新設される平和資料館を、児童生徒の平和教育に有効に活用してまいりたいと考えております。平和資料館につきましては、公募区民も参加いたしました事業方針の検討委員会の提言を踏まえた事業方針の中に、学校、教育委員会と連携した事業が挙げられております。  児童生徒にかかわる取り組みといたしましては、写真パネルや戦争関連物品等の展示を学校内で見ることができる中学校巡回展の実施や、恒久平和の実現に向けた機運を高める目的で開催する子どもの作文や絵画の作品展の開催、また、学校へ出向き、戦争関連のDVDの視聴や話をする出前講座などがございます。 ◆津上仁志 委員 学校から施設に出向いてというものではなくて、あくまでも施設のほうから資料とかそういったものをお借りしながら活用していくというお考えのようなんですけれども、先日、区民生活領域でもこのことを質問させていただいているんですが、施設管理所管に確認したところ、子どもたちが興味を持って理解できるような工夫と、また、学校勤務経験者を配置して対応するなど、子どもたちに十分配慮した受け入れ体制を整える準備をされているというふうな答弁がありました。  しかし、肝心の教育委員会のほうは、これまでと同じように、巡回展をしながらとか、この施設を活用してということはなかなか難しいと。特にカリキュラム上に時間がないとか、また、生徒たちが行くためのバスをとめるようなスペースがない、そういった理由で活用ができないというふうな旨の答弁が、これまでの定例会の私の質問に対してはあったんですけれども、それでは余りにもこの施設を利用できていない状況ですので、余りにも残念ですので、以前にも提案をさせていただいたんですが、カリキュラム上時間の確保ができないんでしたら、例えば夏休みなどに平和について学ぶことを課題として児童生徒に与えて、平和資料館を訪れて学習するなど、全ての児童生徒が必ずこの施設を利用するような取り組みにすることはできないのでしょうか、見解を伺います。 ◎齋藤 教育指導課長 多くの児童生徒が訪れることを促すために、教育委員会といたしましては、まず、平和資料館の開館につきまして、児童生徒、教職員、保護者等に十分周知をするとともに、例えば、今委員お話しのように、長期休業中に平和資料館を訪れるきっかけをつくるような課題を設定するなど、学校と相談しながら検討してまいりたいと思います。  今後とも、平和資料館の所管となる区長部局と連携を図りながら、平和資料館を活用した平和教育の充実に取り組んでまいります。 ◆津上仁志 委員 ぜひしっかりこの施設を活用して、本当に出向いて、生徒さんが活用できるような、そういった取り組みにしていただきたいと思うんです。  今ですと、今、平和教育については、学校ごとによって取り組み状況が違うということも以前質問したときに伺ったんですけれども、昨年の決算特別委員会でも、広島市の講義中心の取り組みから参加体験型の学習に変更した平和教育プログラムの取り組みを例に挙げて、区でも児童生徒が主体的に取り組めるよう、具体的な指導方法や内容を体系化する必要があると指摘をさせていただきました。  広島市では、平和意識、意欲の希薄化している傾向を改善するため、小中高が連携して取り組めるよう、平和教育プログラムを作成いたしました。  内容を紹介すると、小学校低学年では、国語や道徳の時間を使って、生命ある全てをかけがえのないものとして尊重し、大切にする心情を育む内容で授業を行っている。  小学校高学年になると、国語、社会、道徳の時間を使って被爆体験を聞いたり、広島市の平和の取り組みを学習し、被爆の実相について理解をするとともに、郷土の発展に努めてきた人々に対する尊敬や感謝の念を深めることができる、そういった指導内容にすると。  中学校では、国語科、社会科、特別活動、道徳の時間において、生徒が被爆の実相を初め、国際社会の諸問題について、平和で維持可能な社会を形成するという観点から、教科書やテキストなどを活用して、よりよい社会を築いていくために解決すべき課題を研究し、自分の考えをまとめるなどして、学習を通して世界平和に係る問題について考察することができる指導内容にしている。  こういった形で、小中高さまざま、その年代に応じて、また、今ある授業の中でも数時間、大体年間二、三時間使っているそうなんですが、こういった形で体系的に取り組んでいる状況です。  区としても、これまでの平和教育の学校ごとに異なっている内容を、児童生徒が主体的に平和について考えられる内容とすべきと考えますけれども、見解を伺います。 ◎齋藤 教育指導課長 本区における平和教育の具体的な内容といたしましては、小学校では、例えば太平洋戦争が広がっていった過程ですとか、戦中戦後の国民生活の変化、子どもたちの様子などについて学習しています。  また、中学校でも、軍部の台頭や戦争までの経過、人類全体に惨禍を及ぼしたこと、また、国際社会における軍縮への取り組みや、現在多発する地域紛争、持続可能な社会の実現について学習しているところですが、世田谷区の教育委員会で作成している、全校に配付している社会科の副読本がありますので、そういったところに、戦争のころに子どもたちが疎開したときの写真ですとか家族に宛てた手紙、空襲被爆を受けた世田谷区内の様子なども掲載してございまして、各学校でも取り扱うようにしています。  あと、国語の読み物教材などでも使っておりますので、そうしたことで取り組んでいるところですが、教育委員会といたしましても、この八月に開館する平和資料館の有効活用とともに、他地区でのそういった実践なども参考にしながら、平和教育の充実に取り組んでまいりたいと思います。 ◆津上仁志 委員 より充実した平和教育になるように、今後もしっかりと検討して進めてください。よろしくお願いいたします。  続いて、がん教育について伺っていきます。  文部科学省では、がん対策推進基本計画に基づき、平成二十四年度から五年以内に、学校での健康教育全体の中でがん教育をどのようにしていくのか、検討が今されております。二十六年度は、二十一地域、七十校をがん教育モデル事業実施校として実施し、その結果の分析が今されていると聞いています。さらに二十七年度は、このモデル事業実施地域を中心に地域を絞り実施を行い、二十八年度は教材を活用しての実施を行って、学習指導要領の改訂の検討も二十七年度より開始されます。早ければ二十九年度には教材ができて、全国展開されると聞いております。  区でも昨年、第四回定例会で世田谷区がん対策推進条例が制定され、四月一日より施行され、今後がん対策推進計画が策定されます。これにより、新しい知識の普及や生活習慣の見直しによるがん予防、検診受診率のアップ、患者や家族への相談支援、がん教育の充実など、世田谷区におけるがん対策がより一層進み、がんで亡くなる方を減らし、がんに罹患しても安心して暮らせる世田谷区になることと期待をしております。  二十七年度予算重点項目には、保健体育授業でのがんに関する教育の充実のため、小学校六年生、中学校三年生対象の教材を作成するとありますが、これはもう、これまで我が会派で求めてきたもので、実施ということで非常に評価をしているんですけれども、この教材の中身というのはどういった内容になるんでしょうか、伺います。 ◎滝渕 副参事 教育委員会では、本年四月からの世田谷区がん対策推進条例の施行を踏まえ、がん教育の推進に向け、小中学校の校長、副校長、保健体育科教員、養護教諭で構成する、がんに関する教育の資料作成委員会を設置し、国に先立ち、がんに関する教育の指導資料の作成を進めております。  この指導資料は、小学校六年生と中学校三年生の保健学習における教科書の補助資料として使用し、その内容は、がんに関する正しい知識、がんの実態、早期発見、早期治療、命の大切さについて考える態度、親子で取り組むがん予防などを扱う予定でございます。  指導資料は二種類の作成を予定しております。一つは、子どもと家庭用として、がんやその予防について正しい理解を身につけるための資料、もう一つは、指導者用として、担任や養護教諭、保健体育科教員が教材研究や授業での活用のための全体指導計画、指導案、ワークシートなどの資料というふうに作成してまいりたいと考えております。 ◆津上仁志 委員 では、それらの作成する教材ですけれども、どういったふうに活用していくのか。また、必要に応じては改訂するというんですか、そういった検討なんかも今後行っていくのかどうか伺います。 ◎滝渕 副参事 がんに関する教育の指導資料は、来年度の八月まで、二十七年八月までに作成する予定でございます。九月以降に区立小中学校に配付し、小学校六年生と中学校三年生の保健学習を実施する際の教科書の補助資料として活用してまいります。  その後、二十七年度末までに、指導資料作成委員会において、授業での評価、子どもや保護者の反応や教員の考察などについて検証を行い、子どもや保護者にとってよりわかりやすく、指導者にとってより活用しやすい内容となるように、資料の内容に追加、修正を加えてまいりたいと考えております。  本資料の活用により、子どもたちが生涯を通じてみずからの健康を適切に管理し、改善していく資質や能力を育む教育を推進してまいります。 ◆津上仁志 委員 文部科学省では、さきに述べましたけれども、がん教育モデル実施校を二十六年度より指定して、がん教育の充実を検討しています。このモデル実施校では、がんに関して正しい理解と命の大切さについて考える態度の育成を目的に、予防や検診、共生の重要性について学ぶ、医師やがん経験者など外部講師の協力を得て実施するなどの内容としています。  この結果検証はこれから行われていくということですけれども、医師やがん経験者の方と協力してがん教育を実施した結果、福岡市では、将来積極的に検診を受けようと思うと回答した児童生徒の割合は、がん教育実施前の六四%から実施後は九〇%になり、また、家族とがんについて話し合おうと思うと回答した児童生徒は四九%から八四%となるなど、大きな効果が見られました。  また、授業を受けた子どもたちの約半数が親に検診を受けるよう勧めたいというふうなアンケートの結果もあり、子どもたち自身だけでなく、その保護者への意識啓発にもなり、がん教育が検診促進につながることも明らかになりました。  区においても、先ほど答弁があったとおり、がんに関する教材も作成し、活用しようとしておりますけれども、もう一歩進めて、医師やがん経験者の方と協力して、がん教育から意識啓発、検診促進へとつながるよう、関係機関と連携して検討を進めるべきと考えますが、区の見解を伺います。 ◎滝渕 副参事 委員お話しのように、がんに関する教育の充実につきましては、保健所などの関係諸機関との連携が重要であると認識しております。  現在、区のがん対策推進計画の策定のための世田谷区がん対策検討委員会の予防教育部会においては、国や都、他区の動向や情報などを共有し、がん教育の推進について専門的な視点から意見交換が行われているところでございます。  今後、各学校における実際の指導に当たっては、保健所と連携しながら、がんの専門家である医師をゲストティーチャーとして派遣して出前授業を実施したり、担任や養護教諭とのティームティーチングを行ったりすることを検討してまいりたいと考えております。  教育委員会では、医師などの専門家による指導によって、子どもたちが、がんに対する正しい知識とがん患者に対する配慮、命の大切さなどについて実感を伴う理解や、がんの予防の態度育成につながるよう、保健所などとの関係諸機関との連携を進めてまいりたいと考えております。 ◆津上仁志 委員 国のほうでも、そういった教育ができるような人材の確保といったものも、今後しっかりとやっていくというような厚生労働大臣の国会での答弁もありますので、しっかり区としても、先行する自治体もありますけれども、がん対策推進条例を制定した世田谷区が国の動きを加速させるような、そういったがん教育に関する取り組みも期待をしておりますので、どうかよろしくお願いします。  続いて、性に関する教育について伺いたいと思います。  他会派からもエイズ教育、そういったことについてありましたけれども、今の児童生徒を取り巻く環境は、以前と比べ大きく変化をしております。特にネット社会となり、子どもたちにとって有害なものを含めさまざまな情報があふれ、簡単に目にすることができる、そういった状況となっております。特に携帯電話などの普及など、社会環境の大きな変化に伴い、学校教育においては、児童生徒が生命の大切さを理解できるよう、情報リテラシー能力を培っていくことが肝要と考えます。  そこで、本日は性に関する教育について伺っていきたいと思います。  人間尊重、男女平等の精神に基づく正しい異性観を持ち、望ましい行動をとることができるよう、教育活動全体を通して、性に関する教育に取り組むことも重要ではないでしょうか。  以前、ある大手新聞社系の雑誌で、子どもの成長期に欠かすことのできない性教育。しかし、正確な知識をきちんと教えることができない現状に、現場は悩んでいるというふうな記事を読みました。記事の内容は、ネットの影響もあってか、小中学生たちの性に関する情報や経験はかつてとは比べ物にならない。性犯罪に巻き込まれる可能性もあるし、若い世代での性感染症もふえている。だが、学校での性教育はそんな現実に必ずしも符合しているとは言えない。例えば性感染症の予防策として、教科書にはコンドームという言葉が登場するが、その使用方法は説明されていない。学校で性をどこまで教えるかについては賛否が分かれる。ただ、はるかに過激な性知識を持っている子どもたちが現実にいるだけに、学習指導要領にないので教えないというだけでいいのか悩ましいとありました。  雑誌の記事が全て事実というふうには思いませんけれども、確認の意味でお聞きをしたいと思うんですが、区における性に関する教育はどのような基準で行われているのか伺います。 ◎齋藤 教育指導課長 学校における性に関する教育は、人権尊重や男女平等の精神に基づいて、学習指導要領を踏まえて、子どもたちの発達段階に応じて、保護者の理解も得ながら、保健体育や道徳、特別活動などを中心に、さまざまな教科、領域で行っているところです。  具体的には、小学校においては、保健の学習で四年生が思春期になると次第に大人の体に変わることなどの二次性徴について学習しております。また、六年生では、病気の予防の学習の中で、病原体がもとになって起こる病気としてエイズについて学習しています。また、中学校では、保健体育科の保健分野で、中学三年生は、健康な生活と疾病の予防について、性感染症とその予防方法などについて学習しているところです。  各学校では、性教育の指導計画を作成しまして、それに基づいて、子どもたちの発達段階に応じて適切な内容を系統的、段階的に指導しております。  教育委員会では、子どもたちが性について理解を深めて、自分が直面する性にかかわるさまざまな問題を適切に判断したり、対処したりする力を高めていくことができるように、指導の充実に努めてまいります。 ◆津上仁志 委員 二〇一〇年、区内に住む、当時高校三年生の女子生徒が自宅トイレで出産し、ごみ集積所に赤ん坊を遺棄した事件も発生しました。性教育を充実させることで、望まない妊娠、出産などによる痛ましい事件を防ぐこともできると考えます。  区内の未成年者の性感染症や人工妊娠中絶の件数について保健所に確認しましたが、残念ながら区内での統計はありませんでしたので、厚労省の統計を調べました。  性感染症は、性感染症報告数を見ると、二十一年度と二十五年度との比較では約四百件の増加、四千八百二十件と増加傾向にあり、総数割合でも〇・五%増加して九・五%となっています。  また、人工中絶件数については、平成二十一年度は約二千件減少して一万九千三百五十九件でしたが、総数における割合では約一%増加し一〇・四%に上り、未成年者の性感染症も人工中絶も全体の一割を占めており、少ない数字とは言えないのではないでしょうか。  これらの課題解決のために、既に取り組みを始めている自治体もあります。秋田県では、中絶の実施率が全国平均を大きく上回った二〇〇〇年に高校で、二〇〇四年には中学校でも産婦人科医による性教育講座を始めました。その結果、十代の妊娠中絶率は、二〇〇〇年の一七・七%から、二〇一一年には五・三%にまで減少しました。  この性教育講座では、命の大切さ、性感染症、男女交際、妊娠、出産、避妊、妊娠中絶などについて、学校ごとに実態に即した講演が行われています。また、受け入れる中学校側も、保健体育の授業を中心に講座の内容がより理解できるように準備をし、学んだことが身につくよう工夫しているそうです。このような専門家と学校との連携は、性に関する教育に関しても有効ではないかと考えます。  このような専門家と学校との連携した性に関する教育を世田谷区でも実施してはどうかと考えますが、区の見解を伺います。 ◎齋藤 教育指導課長 委員お話しのとおり、未成年者の性感染症や人工妊娠中絶などの背景として、子どもたちの心身の発育、発達の早期化に加えて、性情報の氾濫や規範意識の低下、性意識の多様化などがあると考えております。  子どもたち自身が、自分自身、あるいは異性をかけがえのない大切な存在として思い、性にかかわる正しい知識を身につけることは重要であると認識しております。  本区おきましても、尾山台中学校や用賀中学校など、今、五校で保健学習の時間に、保健所の保健師と助産師をゲストティーチャーとして招き、性感染症や命の大切さについて学ぶ授業を実施しております。  教育委員会といたしましては、今後も保健所を初め関係諸機関と連携して、子どもたちが異性の尊重、性情報への対処など、性に関する適切な態度や行動の選択ができるよう、各学校での性に関する指導の充実を図ってまいります。 ◆津上仁志 委員 性に関する教育は、エイズなどの感染症、飛び込み出産や人工妊娠中絶を防ぐ効果もあることが、他自治体の取り組み結果でもわかりましたが、それだけではなくて、専門家から健康な妊娠、出産に最適な時期や、そのための食事などの生活習慣の改善などを学ぶことで、命の大切さ、命を育む女性の心と体の大切さ、自分自身を大切にし、他人にも思いやりを持つこと、さらには思春期の健康が生涯の健康、次の世代の健康につながることを、児童生徒が理解できる機会となるのではないでしょうか。  教職員だけでは踏み込んだ教育が行えない現状を変える意味でも、また、より深く自分自身の体を理解し、他者を思いやれる意識の啓発の意味でも、医師や助産師などの専門家との協力を得られるよう、保健所などと連携した取り組みを強く求めますが、教育長の見解を伺います。 ◎堀 教育長 今、性教育についての見解ということですが、先ほどがん教育についてのお話もありました。昨年来、保健所と連携して指導教材についての研究も進めておりますので、今お話しいただきましたように、専門的所感、その知見も活用しながら、子どもたちのための環境をつくっていきたいと思っております。 ◆津上仁志 委員 以上で私からの質問を終わりまして、諸星委員にかわります。 ◆諸星養一 委員 それでは、私のほうからは二つのテーマ、九年教育、それから、いつもお話を質疑させていただいている心の健康について、いいお答えが返ってくるなという期待をしつつ質問させていただきます。  まず、九年教育ですけれども、これは昨年の予算特別委員会の質疑で教育長から、世田谷九年教育の定着と質の向上に関してこのようにおっしゃっておられますよね。公立中学校の魅力、各学校が持っておりますので、それを特化させる、あるいは学び舎としての取り組みをPRする、そういう取り組みが今後必要ではないかというふうにお答えいただきました。  そこで、本年は、具体的に魅力アップに向けて、各学校がどういう取り組みを行われてきたのか、また今後行われようとしているのかということを、少しく事例を挙げて御説明いただきたいと思います。 ◎滝渕 副参事 今年度から開始いたしました世田谷区教育ビジョンでは、施策の柱の一つに、世田谷九年教育で実現する質の高い教育の推進を掲げております。世田谷九年教育が目指す質の高い九年間の義務教育実現のための基本は、区独自の学習スタンダードである世田谷区教育要領に基づいた教育課程の編成とその実践であり、各学校や学び舎では、それぞれの特性に合わせた取り組みを推進しております。  例えば、駒沢中学校を中心とした駒の学び舎では、ICTを効果的に活用した授業を推進するために、小中学校の教員が指導内容や指導方法を検討し合い、お互いの授業力の向上を図ることで、日常の教育活動の充実に取り組んでおります。  また、松沢中学校を中心とした赤松学舎では、児童生徒の深く考え表現する力を育てるために、新聞記事から読み取ったことなどをまとめる学習を、小中学校共通して継続的に行っております。この学習成果の発表の場として、小学校六年生と中学校一年生が集い、グループでお互いの考えを発表する活動を行っており、参加した児童生徒からは、たくさんの人の考えを聞いて、自分にも新しい考えが生まれた、中学生の話し合いの進め方が参考になったといった感想が聞かれました。  教育委員会では、世田谷九年教育の定着と質の高い学校教育の実現を目指し、第二次教育ビジョンに基づき、学校経営などのモデルとなる世田谷マネジメントスタンダードの検討を進めております。各学校、学び舎が、世田谷九年教育の推進に当たり、必ず実施すべきことや実施の方法を明らかにすることなど、全ての学校が活用できるスタンダードとなるように取り組んでいるところでございます。 ◆諸星養一 委員 実は、私の地元の小学校、何校かありますけれども、そのある小学校から毎回文書をいただいているんです。そこのところのある小学校では、当然ほかもやっておられると思うんですけれども、重点目標、数値目標というのを掲げておられるのね。非常に具体的なんですよね。  例えば、よいところを見つける活動を全学級で行い、一カ月で十五人以上、友達のよさを見つけることができる子どもを一〇〇%にするとか、これは一例なんですけれども、そのように、恐らくどんな小中学校でもそうした具体的な重点目標、数値目標を掲げておられるのかなというふうに、実はそれを私も見ていて本当にこうした努力を各学校でされているんだなというふうには思った次第なんですね。  ただ、マネジメントスタンダード、これがどういうものか。きょうは質問しません。質問しませんけれども、これがどういう意味を持つのかなというのは、はっきり言って、私も非常に疑問かなと思っていますので、ここはまた改めて議論したいと思います。  さらに、中一ギャップという問題が今出ているようですね。要するに小一ギャップというのは今までもあったことですけれども、中学校で環境の変化になじめず、不登校やいじめがふえる、そうした中一ギャップということが問題化していると聞いているんですが、当区においては、この問題についてはどういうふうに認識をお持ちか、お伺いをいたします。 ◎滝渕 副参事 報道などでは、小学校から中学校に入学するときに、中学校の生活や学習に戸惑いを感じる、いわゆる中一ギャップが取り上げられております。世田谷九年教育は、そのギャップを少しでも小さくしていく取り組みでございます。  世田谷九年教育の推進の中の基本である世田谷区教育要領では、児童生徒の発達段階に応じた指導などについて示しておりますが、各学校学び舎では、区立中学校に入学した新入生が豊かな中学校生活を送れるよう、小学校から中学校への学習の連続性について配慮しながら教育活動を行っております。  例えば世田谷中学校と近隣の小学校で構成される世田谷杜の学び舎では、児童の配慮を要する事柄につきまして、シートを用いて情報交換などを行っております。このことにより、個々の生徒に適切な支援を中学校入学後の早い段階から行うことができるようになったと聞いております。  教育委員会といたしましては、今後、区立小中学校が一体となった教育活動を推進し、中学校に入学した生徒が不要なギャップを感じることなく充実した学校生活を送ることができるよう、中一ギャップの解消に努めてまいります。 ◆諸星養一 委員 九年教育を二十五年度から全校実施ということで、そうした小学校から中学校へ上がるということに関して、当然ギャップは世田谷ではあるはずがないよというふうに思いたいですね。現実もそうあってほしいと思います。  というのは、先日のマスコミの報道で、政府が小中一貫校の制度化を決定した。十六年度からこれを自治体判断で設置できるというふうに報じられましたよね。去る十七日、現在では特例でしか認めていない小中一貫校を、二〇一六年度からは自治体や民間の学校法人などの判断で設置できるように、学校教育法などの改正案を閣議決定したとあります。  改正案の中身は、九年間の義務教育を一貫して行う義務教育学校を小中学校などと同じ学校として明記。従来の六年・三年制を基本とするが、一方で四年・三年・二年制や五年・四年制を導入したり、中学の内容を小学校段階で先取りして教えたりするなどの教育課程を柔軟に運用できるようにするとしています。  そこで、先ほどの中一ギャップではありませんけれども、世田谷区では独自の九年教育を取り入れています。その九年教育の三つの柱として、従来から御説明いただいておりますけれども、その一つは、新学習指導要領を踏まえ、義務教育九年間で学習する各教科の目標や内容等を定めた世田谷区教育要領を制定している。その二つ目が、近隣の区立小中学校で学び舎を構成、より一体となって、地域の教育力と特色を生かしての学校運営など独自の教育体系を構築していること、これに対しては、私どもは一定の評価をするものですが、ただ、現行の小中学校制度に対しては、生徒の発育が早まっていることに対応しておらず、小学校高学年で学習意欲が落ちるなどの悪影響が指摘されており、先ほどの中一ギャップ問題もある。  そこで、下村文科相は、学校教育制度の多様化、弾力化を推進すると、この一貫校の意義を強調されていますが、世田谷独自の九年教育との関係において、教育長はどのように小中一貫校の制度化決定についてお考えなのかお尋ねしたいと思います。 ◎堀 教育長 今お話にありましたように、閣議決定されて、今国会に法律改正という動きがあると私どもも理解しております。早ければ二〇一六年四月からということで、ただ、私どもは、委員から先ほど御質問がありましたように、世田谷九年教育という形で学び舎を構成し、小中の児童生徒の交流や教職員の交流等も行っております。  したがいまして、今回の小中一貫が中一ギャップの解消とか学力向上という点がありますが、その点については既に着手しているということを考えておりますので、世田谷九年教育の定着、質の向上を今回、第二次教育ビジョンに掲げておりますので、それを着実に進めていきたいということが一つと、そうはいってもいろんな動きがありますので、今後の国の動きを注視していきたいというふうに考えております。  いずれにしても、次期学習指導要領の改訂の動きが、多分ことしの秋口、後半ぐらいから出てくると思いますので、今の小中一貫の動きも踏まえまして、学習指導要領にのっとった次期の対応、英語等の動きとか道徳等もありますので、それも踏まえた対応をしていきたいなというふうに考えております。 ◆諸星養一 委員 せっかく九年教育、世田谷でようやく軌道に乗り始めたというふうに私も思っていますから、それをしっかりと進めていくと。もちろんこの一貫校がどういうことを意味するかということもにらみながらとは思っていますけれども、しっかりと進めていただきたいというふうに思います。  それにつけても、今、教育長、ちょっと英語、これもマスコミでありましたよね、高三の英語力が全く中学にもならないと。中学にはなるか。そうした日本の英語力の厳しさというものを目の当たりにそのニュースでは取り上げておられましたけれども、こういうことも、やっぱり基本は学力ですから、学力があってこそ、公立の小中学校に来ていただくということもありますので、余り不名誉な記録にならないようにしっかりお願いをしたいと思っています。  それでは、続いて心の健康に関することについてお尋ねをいたします。  まず、これも昨年の予算特別委員会の文教所管において、平成二十五年の十二月に実施された児童生徒の心の健康に関する調査がございましたね。それについて質疑をさせていただきました。その際、古閑次長より、これもお答えいただいたんですが、専門機関との連携、ネットワークづくり、さらには事例検討の推進も含めて第二歩の歩みを進めていきたいというふうに、力強く取り組みへの決意を披瀝していただいたわけですけれども、まず、この点についての進捗状況を確認させていただきたいと思います。 ◎吉田 学校健康推進課長 今年度の思春期精神保健対策に関する取り組みにつきましては、昨年度実施いたしました、委員お話しのありました、児童生徒の心の健康に関する調査の結果を踏まえまして、学校に対する事例検討会の拡充及びスクールソーシャルワーカーの活用、外部機関との連携強化等を行ってまいりました。  学校に対する事例検討会につきましては、昨年度の五校より、小学校四校、中学校三校の合計七校に拡充して実施いたしました。また、これまで一名体制であったスクールソーシャルワーカーを、今年度より三名体制に拡充し、学校に対する支援体制を強化したところです。  これまでスクールソーシャルワーカーの事例検討会への参加機会はありませんでしたが、今年度は七校のうち二校に参加し、スクールソーシャルワーカーの立場からの助言を行うことで、学校に対しスクールソーシャルワーカーの業務を普及させるとともに、スクールソーシャルワーカー自身が学校の現状を知るよい機会になったと考えております。  さらに、今年度は区長部局において、若者総合支援センターの開設に伴い、子ども・若者育成支援推進法に基づき、子ども・若者支援地域協議会が発足し、若者支援を目的とする関係機関との情報共有、連携を図るため、思春期青年期精神保健対策推進協議会と二月に合同で会議を行いました。  今後とも関係機関との連携強化、ネットワークづくりに努めてまいります。 ◆諸星養一 委員 ちょっと次長にも聞きたいんですけれども、私としては一歩も二歩も三歩も前進をしてもらいたいというふうに思っている割には、今のお話は随分寂しいなというふうに思ってしまうんですけれども、次長は本当はどう思っていらっしゃるの。 ◎古閑 教育次長 前の答弁で二歩目に踏み出しますというような御答弁をさせていただきました。それから、今課長のほうからお答えしましたように、ある面では関係機関との連携、これがまた一つは拡大した。こころスペースなんかにしてもちょっと回数を多くして、それからあと、関係機関のいろんな形での情報を共有するという部分で、支援ガイドなんかも、これは対策連絡推進協議会、こういう形を通して今進めているところですので、二歩目への踏み出しはできたかなというふうに思っているところです。 ◆諸星養一 委員 余り責めてもね、次に期待するしかないのかなと思いますけれども。  それで、我が党として、高橋幹事長ともどもに、この数年来、もう七、八年になるのかな、心の健康についてさまざまな角度から議論を重ねてまいりました。ただ、その出発点というのは、我々は他市の例に倣って心の健康のアンケートを実施してほしいというのを出発点、これに関してはなかなか教育委員会も頑固で、検討をするといっても、実際は検討していないんでしょう。そういうふうに思いたくなってしまうんだけれども、きょう改めて、それをまた最後にお話をさせてもらうんですが、その前に、コホート調査って、皆さんも余り聞きなれない言葉だと思いますけれども、実は世田谷区も協力して進めていただいているんだよね。  正式には青春期の健康・発達に関する調査、これが世田谷区、三鷹市、調布市の区民の方々の協力をいただいて進められていますね。これは、子どもから大人へと成長する過程で、誰もが思春期や青春期と呼ばれる発達期を通過する。この思春期や青春期には、心身の急激な発達と成長が生じるとともに、親からの心理的独立や多様な人間関係の構築など、社会関係の変化や広がりが発生します。近年、諸外国では多くのお子さんの成長過程を定期的に調査する研究――これをコホート研究と言いますが――が行われ、その結果、青春期の発達や健康を健やかに育むことが、大人になってからの健康や生活の重要な基盤となることが示唆されています。
     その意味では、コホート調査、コホート研究は、人間の成長の一番大事な時期を研究対象とすることから、諸外国では早くから国家的プロジェクトとされています。それは、ようやく我が国においても、しかも我が世田谷区が協力をするという形で、数年前までは考えられなかったことが実現をしており、まさに新しい時代が来たのかなというふうに一種の感慨を覚えるものであります。  それはともかくとして、先ほど申しましたように、私のこの質問の趣旨は、そういう時代が到来しているのに、なぜ心の健康のアンケート調査に区は踏み出そうとしないのか、見解を求めます。 ◎古閑 教育次長 教育委員会では、先ほどもお話がありましたように、平成二十五年十二月、区立小学校を対象にしまして、児童生徒の心の健康に関する調査を実施したわけでございます。学校の現状、また児童生徒の実態を把握する上で大変効果があったと感じておりまして、児童生徒の心の健康に対する、先ほどのお話ではありませんけれども、取り組みを進める第一歩になったというふうには考えております。  また、児童生徒の心の健康のためには、教員の資質の向上や学校の体制の充実、または関係機関とのネットワークによるバックアップ体制等を確立するなど、一つは心の問題を抱えると思われる児童生徒の受けとめ、教育支援チームなども今考えておりますけれども、そういう支援の体制をしっかりと構築することも非常に大事であるというふうに思っています。  今、委員から話がありましたアンケートということにつきましては、昨年、教育委員会で実施いたしました調査を初め、例えば、今お話にありました青年期の発達・健康に関するコホートプロジェクトによるコホート調査、この調査については、平成二十六年十二月末で第一次調査を終了して、現在、その結果について集計中というふうに伺っておりますので、こうした関係機関で実施しております調査結果につきましても有効に活用しまして、一つ、学校職員を対象とした事例検討会、またはその実践的な取り組み、さらには教職員への普及啓発等を通しまして、学校としての対応のスキルの向上を図るとともに、専門機関との連携、ネットワークづくりを進めてまいりたいというふうに思っています。  あわせてでございますけれども、今年度、その思春期青年期精神保健対策推進協議会の取り組みといたしまして、一つ、区立小中学校に対しまして、思春期世代の子ども自身が生きづらさや心の不調を整理でき、相談者等へ自分の悩みを伝える一助となる自分ノートというのを作成しまして、これを学校等で配付しております。  こういうことをしておりまして、今後ですけれども、この活用方法等についてアンケート調査を実施したいというふうには考えております。そういう中で、当然その活用状況も含めまして実態と違ったような課題もまた明らかになると思いますので、そういうことを通しながら取り組み、支援の充実につなげてまいりたいというふうに考えております。 ◆諸星養一 委員 我が党が主張するところのアンケート調査は大分違うかなと思うんですが、ただ、自分ノートを作成し配付するということは、一つ、これもステップアップしたのかなというふうにも思いたいね。そういうふうに思って、次のさらなるステップを期待して、質問者を高橋委員に交代いたします。 ◆高橋昭彦 委員 それでは、公明党の三番手ですけれども、どこから行きましょうかね。  まず、脳脊髄液減少症ということについてお話ししたいと思います。  脳脊髄液減少症というのは、交通事故やスポーツ外傷などの体への衝撃によって脳脊髄液が漏れ続けて、頭痛、目まい、全身の倦怠感、また吐き気、記憶低下など、さまざまな症状に慢性的に苦しめられる病気なんですね。  この脳脊髄液減少症は、学校や日常生活の中で起こった事故がきっかけとなることが多くて、特に子どもの場合は、体育の授業や部活動で起こることが多いというふうに言われます。  発症となる事故が起こった場合は、すぐに横になって安静にすること。また、水分をとることで髄液の漏れが少なくなるとか、漏れの部分が自然に塞がるという医学的な知見も出されているというんですね。  しかし、この脳脊髄液減少症の存在を知らなくて、この病気が発症して重症化して、進学、就職の道が閉ざされてしまった児童生徒学生たちもいるというふうに言います。文科省はこれまで、平成十九年、二十四年の二回、事務連絡を行っていて、二十四年には学校におけるスポーツ外傷等による脳脊髄液減少症への適切な対応についてという事務連絡を出されているんです。  しかし、現場ではまだまだ周知がされていないという現状もあります。まずはこの脳脊髄液減少症という病気が存在すること、外傷後に、特に頭を打ったときには安静にして、頭痛や目まいを訴えた場合、脳脊髄液減少症の可能性があると認識すること、専門につなげることが望ましいなど、病気の早期発見、早期治療、予防を図れるよう、積極的に教職員に周知徹底をすべきなんだというふうに思いますけれども、見解を伺いましょう。 ◎齋藤 教育指導課長 脳脊髄液減少症につきましては、今、委員お話しのありましたように、周知徹底ということで既に通知をしているところでございますが、学校事故が発生した場合には迅速に対応することが重要であると認識しております。その際、教員間の連絡、連携を図ること、あるいは教職員が日ごろから安全に関する知識や技能を身につけておく必要もあるかと考えております。  そのため、教育委員会では、学校で事故が起きた際に、教員がどのように対応すべきかということを示した学校安全対策マニュアルを一人一人に印刷して周知しているところでございます。  また、学校安全マニュアルでは、発生したときに的確な状況判断、措置の判断、応急手当て、それから発生時の連絡、救急車の呼び方、到着までということを図表なども入れてマニュアル化しているところでございます。  実際にこういった脳脊髄液減少症のおそれがある首から上の打撲などの事故が起きたときには、事故発生後、児童生徒の様子を注意深く観察するとともに、必ず医療機関で受診させるように適切な対応ができるように、各校に御通知しているところでございますが、また、校長会でも毎年毎年注意喚起をしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ◆高橋昭彦 委員 この脳脊髄液減少症というのはそんなに多いことではないんだろうというふうに思っていたんですけれども、私が聞いた中でも、世田谷区内でも二つの事例を聞きました。  一人は運動会の組み体操の練習中だったそうですね。組み体操をやるのに倒立して、倒立すると足が上に上がりますよね。それを普通は受けとめるわけですね。だけれども、受けとめられずにそのまま倒れていって、その倒れていったときに頭をぶつけて、それがきっかけとなって発症したという子が一人。  もう一人は、これはもう結構大変なことだったんですけれども、いじめが原因で宙づりにしていたと。前でその子の手を持ち、後ろで足を持ち、二人で宙づりにして、前の腕を持っているほうがとんと手を放すと。そうするとどうなるかというと、後頭部から落ちていくわけですね。床に地面にたたきつけられる。そこから脳脊髄液減少症ということが発症するわけですね。  世田谷区内で起こった事例は二つなんです。まだほかに、頭を打つということは、子どもにとっては結構多くあることですよね。そのときにどう対処するかということが非常に大事なんですね。今お答えがあったとおり、きちっと徹底をすると。その疑いがあった場合はどうするかということをきちっとやるということですけれども、何がきっかけでそうなっていくのか。  後者の例は、結構いじめによってということが、先ほども自民党さんの中でも、三井委員がいじめのことについて話をされていましたから、僕はいじめについては特には聞きませんけれども、やっぱりよく子どもたちの状況を、様子をしっかり見ていくということが非常に大事ですよね。起こったらどうするかという教職員の対応の仕方というのも大事だと思いますよ。  この子の場合は、友達同士で悪ふざけをして、一人が頭を打ったんだろうというぐらいで、学校を帰るまで何もしなかったというふうに言われますし、そのまま帰したら下校途中に目まいがして嘔吐して、なかなか家にたどり着けなくて、親が探してやっと見つけたみたいな。それから病院へ行って、この病気だということになる。確定するまで相当時間がかかる。そこから不登校にもなるというような状況にもなって、何とか学校に復帰するようになったと。復帰するようになるんだけれども、やっぱり常にその症状はあるわけで、常に水分をとらなきゃいけないということもある。  そういったことをやっぱり学校の中で理解してもらわないと、ほかの子どもたちが、何だよ、あの子だけ、いつも飲み物を持っているのとか、何であの子は運動しないのとか、そういうふうになってしまう。また行きづらくなるという、そんなことが起こっているわけで、かもしれないではなくて、これは現実にあったことです。  だから、その後何とか復帰して学校に来られるようになったといっても、まだまだ療養中であるというところを、やっぱり子どもたちにも、教師の側もしっかり配慮しなきゃいけないんじゃないかなと思うんだけれども、そういったところもしっかり徹底してもらいたいと思うんですが、どうですか。 ◎齋藤 教育指導課長 事故発生後の子どもたちのケアということで、先ほど委員のお話もありましたように、治療に必要な状況につきましては、実際水分をとるとか、あるいはほかのことでも特別に治療が必要で薬を飲むとか、いろんなことがあるかと思うんですが、個人のプライバシーのことは配慮しながらも、子どもたちがそういった必要な治療なり、あるいは療法というものがきちんとできるように、学校にはきちんと指導したいと思いますし、今現在、そういうような対応をしていただいていると聞いております。 ◆高橋昭彦 委員 やっぱり教師にしっかり研修会なりなんなり、養護教員も含めてやることが大事だと思いますよ。もう一度。 ◎齋藤 教育指導課長 今、そうしたことについて、実際、毎月校長会で、私もほかの学校の参考になるような学校、事故の事例につきましては、各学校に必ず共有するようにしております。また、今委員お話しのありましたように、養護教諭の研修会ですとか、校長会、副校長会、さまざまな機会がございますので、そうした事故は未然防止というのはもちろんですが、万が一起きてしまったとき、その後の対応につきまして周知徹底したいと思います。 ◆高橋昭彦 委員 事故は起きないことが大事で、その予防も大事なわけだけれども、それとともに、やっぱり早期の対応をきちっと、その後のその子の将来に係るということがあるわけですから、そういう意味で子どもの命を預かっている現場ですから、きちっと危機管理というか、安全教育というか、そういったところをしっかり学校の中でもお願いしたいというふうに思います。  それで、先ほど言いましたその子も一時期不登校になってしまうわけですけれども、昨年より不登校というのは非常に多くなっているという話をしていましたよね。その数を聞きましたら、これはすごくふえているんだよね。中学校でいうと、平成二十五年度は三百二十五人ですか。三百二十五人って、中学校は二十九校だよね。そうすると、大体一校当たり十一人いるということですね。  現実に担任の先生も、また学校も大変だろうなという感じがしますよ。さまざまな原因があってこういう状況になっているんだろうと思うんですけれども、この対応の仕方ということが僕は一つは大事だと思いますね。昨年の暮れ、お父さんから昨年から不登校になってしまったんですという話を聞きました。なかなか学校からの連絡がないし、アプローチがなかなかないと。一カ月ぐらいたったときにポストにメモが入っていましたよと言うんですね。  不登校になってしまった子どもたちに対してのきめ細かな対応というか、初期段階の対応というのが僕は非常に重要じゃないかなと思うんですけれども、ここを変えなきゃいけないのかなという感じもしています。  先ほど、諸星委員が思春期の問題の話をしていたわけですね。このことで、僕は実は諸星さんと一緒に四日市に行って、心の健康という観点から不登校の子どもたちというのも現実に、そこで教えてもらったのは、四日市市内で行っているYESnetというものだった。この議会でも、福祉保健領域だったんですけれども、取り上げたことがありましたが、四年前ですかね。YESnet、四日市なんとかネットワークだよね。(「全然勉強していないじゃない」と呼ぶ者あり)勉強したんだよ。四年前だから、ちょっと名前を忘れたんだよ。  ここのすごいところは、ささがわ通り心・身クリニックという医療機関、そこは精神科医も持っている医療機関。そこと保健所と教育委員会、この三者で毎月一回のネットワーク会議と事例検討会をやっている。一人の子どもに対して一つ一つの事例を検討して、医学的にも、また福祉的も、教育的にもどういうアプローチをしていくことが大事なのかということを検討しながら、その子をきちっと自立させるというか、学校に来られるようにするとか、勉強できるようにするとか、そういうことをしているところなのね。  この取り組みは非常にすごいなと思いながら、その中でも特に感動したのは、その不登校になっている子どもの家に、教育指導課が出向くんですよ。担任がじゃないんですよ。教育指導主事が行って、そこの家に行くと何が原因かというのがよくわかります。家庭の問題だったり、両親の病気だったり、さまざまなところが出てくる、見えてきます。それをどうつなぐかということが大事なんですよ。  教育指導課の指導主事さんにも聞きましたけれども、教育指導主事がその現場へ行くというのは、そこまでやるのはすごいですねと。そこまで何でできるんですかと言ったら、私たちは学校の担任の先生を守ってあげたいんですと。学校の担任の先生は、授業の準備や行事の準備や、そのほかの子どもや保護者の対応や、授業に専念もしてもらいたいし、そういったところで、私たちは学校を守り、先生方も守ってあげたい、そういう思いでやっているんですというふうに言うんですよ。すごいなというふうに思いましたね。  そこへ行って何が原因なのかということを突き詰める、不登校の児童生徒に対してどう向き合っていくのかということが、やっぱり僕は教育委員会の取り組み、そうしろというふうに、四日市のまねをしろということにはならないかもしれないけれども、動く教育委員会というか、現場に動く教育委員会というか、そういったことにしていかないと、さまざまな子どもを取り巻く状況というのはあるわけで、学校任せにするということではなくて、そこをきちっとやれる教育委員会に変わってもらいたいという気がする。変わってもらいたいというか、今は違うとか言わないけれども、そういうふうにできないものかなと思うんですが、いかがですか。 ◎齋藤 教育指導課長 今お話しいただきました四日市の例、同じ指導主事というようなお話ですので、私も学校現場におりましたので、学校と教育委員会の指導主事のあり方についてはいろいろ考えるところもありますし、そうやって学校を支え、子どもたちを支えるのが我々の本務だというのは十分認識しております。  また、不登校につきましても、先ほど委員の話にありましたように、年間三十日以上欠席という児童、中学で三百人以上ということで増加しているのも事実でございます。それに対して、不登校の原因はさまざまですので、今ありましたように、担任が訪問したりということについては、必要な対応は順次しているところなんですが、まだまだそこで十分ではないというのもそのとおりだと思いますので、実際には、教育センターの総合教育相談室ですとか、あとほっとスクールなど、本区の教育委員会の中でさまざまな機関がございます。そこの中でのSSWの家庭訪問などはしているところでございます。  また、学校、家庭というところがかかわりながら支援していくとともに、子どもによっては放課後登校ができるお子さんとか、そういったところでは放課後登校しながら、個に応じた学習支援とか、さまざまできることはたくさんやりたいなというふうに考えているところです。  指導主事の家庭訪問ということも伺いましたので、それについては考えるところがあるんですが、実際、私もことし着任しまして、本区の指導主事の状況などを見て、一生懸命やっているところなんですが、なかなかいろんなところに追われているというのは実情ですが、できるだけ今はできるときには、登庁前にまず学校に行って、例えば授業の様子を我々見に行くということだけではなくて、朝の様子を見るとか、そんなようなこともやろうといって取り組みをしたりとかしています。  また、人数的なことを申しますと、本区の学校数と指導主事の関係でいくと、調べたところ、二十三区中二十二位の配置人数でしたので、そういうところもふやしていきたいというふうにして、来年、統括指導主事もふやして、充実した体制をとっていきたいなというふうに考えております。今後もまた頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。 ◆高橋昭彦 委員 そうなんですよね。教育指導課という非常に重要なセクションが、非常に指導主事が少ない。指導主事の先生方はやっぱり夜遅くまで三階にいますよ。相当仕事をしているんだけれども、オーバーワークなんじゃない。教育長。これはやっぱり東京都の配置の問題なのかな。だから、教育人事権というのは、教育長、本当に真剣になって奪い取ってくるしかないと思いますよ。お願いしますよ。いやいや、いいですよ、まだ質問があるから。  次ですね、配慮の必要な子どもへの学習支援ボランティアというのがあります。小学校において、子どもの授業の理解の手助けをする支援の仕組み、大学生のボランティア派遣の制度というのがあります。少し理解度が低い子どもには今本当に重要な手助けになっている。これは非常に大事な制度になってきているんですけれども、両親がどうしてもみずからできない、そんなときに、そんな家庭の状況の子どもたちも今は多いと思います。  さて、これも現実のことです。この小学校は数名の支援が必要な子どもたちがいると。来年度四月から、ボランティアを含めて支援員が見つからないという状況になっていると。そうしたら、親がみずから退職された教師や大学に連絡して探し回っているというんです。今、この三月、四月を迎えるというのにね。学校もそれは努力しているんでしょう。だけれども、それでもなかなか見つからない。現実に、四月の始業式が始まったらどうするんだという現実問題で、あと何週間という状況になっていて、親がもう必死になっているという状況があるわけですよ。こういう状況をそのまま放っておいていいのかというふうに思いますよ。  例えば、千歳台小学校は、ここは保護者が集まって、学習支援を担っているグループをつくっている、保護者の中でこういうボランティアをつくって何とか対応しているというんです。こういうことも大事だし、必要な事態に、学校任せにするのではなくて即座にできるような対応を、また教育委員会だけれども、教育委員会ができないものなのか、お答え願いたい。 ◎小渕 教育相談・特別支援教育課長 教育委員会では、配慮を要する児童生徒の学校での生活と学習の支援のために、児童生徒が在籍する通常の学級に、学校支援員、非常勤講師、大学生ボランティアの派遣などに取り組んでおります。この中で大学生ボランティアにつきましては、区内十三の大学と協定を結びまして、学校運営の支援や部活動の技術指導などのために、小中学校に派遣しております。  委員お話しの配慮を要する児童生徒の支援に関しましては、今年度は約百二十人の学生を二十五校の区立小中学校に派遣しております。さらに、各学校での地域の方々などによるボランティアの取り組みも進んでおります。  今、委員のお話にあったように、千歳台小学校では、学校の呼びかけに応じた保護者が、少人数授業のときの学習支援や、図工の時間の安全配慮などを担っていらっしゃいます。また、九品仏小学校では、夏季休業中の補習教室に、教員、地域の方、大学生、中学生が入り、児童の学習を支援しております。  教育委員会では来年度、学校支援コーディネーター、地域のボランティア団体などの協力による学校を支援する学校支援地域本部の取り組みをモデル実施いたします。今後とも地域の教育力を生かしながら、学校を一層支援していく取り組みを充実させてまいります。 ◆高橋昭彦 委員 時間がなくなっちゃいましたね。もう一つだけ、情緒学級の中学校の固定化ということを質問しようと思ったんですけれども、しっかり検討してください。  それでは、公明党の文教所管の質問を終わります。 ○和田秀壽 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 引き続きまして、生活者ネットワーク・社会民主党、どうぞ。 ◆植田靖子 委員 それでは、生活者ネットワーク・社会民主党区議団の文教所管の質問を始めます。  初めに、新たに設置する教育支援チームについて伺います。  この教育支援チームは、スクールソーシャルワーカー、臨床心理士、統括指導主事の三人をチームとして教員をサポートするということですが、教育支援チームの目的や内容について伺います。 ◎滝渕 副参事 社会を取り巻く環境の変化や価値観の多様化などから、保護者の児童生徒に対する指導や学級経営などに関する学校の対応への不信など、さらに学校と保護者の情報共有の難しさなどを感じるケースが近年ふえているという状況がございます。そのため、学校と保護者の関係が深刻になったり、他の諸機関につなげる必要が生じたりするケースは少なくございません。  そこで、教育委員会では、区立学校において発生する学校や園だけでは対応が難しい課題、緊急の対応を要するケースの対応に向け、心理や社会福祉、法律などの専門家で構成する教育支援チームを設置する予定でございます。  教育支援チームでは、専門的な立場から、学校に対し指導助言を行い、学校担当指導主事などと連携協力しながら、事態の深刻化の未然防止や早期解決を図るように努めようとしているところでございます。 ◆植田靖子 委員 また、弁護士もチームに加わることがあるということですが、どのような目的と役割があるのでしょうか。 ◎滝渕 副参事 教育支援チームは、臨床心理士、スクールソーシャルワーカー、弁護士などで構成し、それぞれの専門的な分野から、学校への指導助言を行ってまいります。  教育支援チームに弁護士を入れることにより、法律に係る専門的知識に基づき助言をいただき、児童生徒の保護者の相談などが深刻化し、法的な対応に発展することへの未然防止につなげたり、深刻化した案件に対して早期解決を図ったりということを目指しております。  教育委員会では、弁護士がチームに所属することにより、学校だけでは解決が困難な事案や事故に対する対応などについて、問題の長期化を回避し、事態の深刻化を防いだりするという役割を担っていただきたいと考えております。 ◆植田靖子 委員 スクールソーシャルワーカーや臨床心理士はどのように対応していくのかお聞きします。 ◎滝渕 副参事 スクールソーシャルワーカーや臨床心理士は、必要に応じて直接学校に出向くなどして、丁寧に情報収集し、対応のあり方について専門的な視点から検討を行い、学校を支援してまいります。  スクールソーシャルワーカーは、社会福祉などの専門的知識に基づき、課題の深刻化の未然防止や早期解決を目指して、学校が適切に対応できるよう、児童相談所や子ども家庭支援センターなど、福祉にかかわる関係諸機関との連携のあり方などを中心に指導助言を行います。  また、臨床心理士は、臨床心理などの専門的知識に基づき、児童生徒や保護者への対応のあり方などについて、学校に対し指導助言を行います。  ケースによりましては、課題の早期解決に向けて、スクールソーシャルワーカーや臨床心理士が直接保護者や児童生徒にかかわりを持ちながら働きかけていくような場面もあると想定しております。 ◆植田靖子 委員 それでは、次の質問に移りたいと思います。  次に、学校評価について伺います。  学校評価は、学校関係者評価委員会が学校の教育活動をよりよくしていくことを目的に、保護者、地域の方、子どもたちによるアンケート調査を毎年行っているものです。アンケート内容は、学校の教育活動や運営、地域との連携などで構成されています。保護者の中には、毎年アンケートは提出しているが、一体どのように生かされているのかわからないという方がいらっしゃいました。  毎年行うこのアンケートを集計し、まとめるのは大変な労力だと思いますが、まとめたアンケート結果がその後どのように生かされているのか、地域の方々にわかるようにすることが課題です。区の見解を伺います。 ◎滝渕 副参事 学校評価システムは、本区が全国に先駆け平成十六年度から試行を始め、学校教育法の改正を受けて、既に十年以上実施している取り組みでございます。  地域の方々の声を学校経営に生かすという点で定着してまいりましたが、委員お話しのとおり、昨年の予算特別委員会でも御指摘いただいたように、児童生徒や保護者、地域の方々に対して実施する関係者等アンケートの結果分析のあり方や、学校関係者による評価報告と学校の改善方策の決定のタイミングなど、学校評価システムの運用に課題があるという認識をしております。  また、関係者等アンケートにつきましては、本来、学校の教育活動を評価するための一つの資料という位置づけでありますが、学校によっては長年の取り組みの中で、主にアンケートの結果分析が学校関係者評価委員会による学校に対する評価になっているという実態もございました。  また、学校関係者評価委員会による報告書の作成前に、学校の改善方策を検討する学校が見受けられるなど、本来の学校評価のPDCAサイクルに合わない運用をしている学校もあるという課題もございました。  このような学校評価にかかわる諸課題を解決し、学校評価システムが全ての学校において本来の目的である学校改善に向けて機能するよう、そのあり方を明確にする必要があると考えております。 ◆植田靖子 委員 アンケートの項目は、全ての学校で共通に行う評価の項目と、それぞれの学校が独自で設定する評価のアンケートの項目があるということです。項目については、区立小中学校の校長先生と教育委員会事務局で推進委員会を設置して、そこで決めているそうですが、アンケートの項目についても、保護者、地域の方や子どもたちの意見を参考にしてもいいのではないでしょうか。  地域の方々や保護者の中には、項目はどれも抽象的なため無難な回答になってしまう、このような項目で意味があるのかと感じながらアンケートを提出しているという方もいらっしゃいました。学校評価を有効に機能させるためには、教育委員会や学校が地域とともにある学校として、地域の方々と一緒にアンケートの項目をつくるなど、よりよい学校教育を目指す姿勢が必要です。区の見解を伺います。 ◎滝渕 副参事 教育委員会では、現在、校長会と連携し、より質の高い学校教育を推進するための学校経営などのモデルを作成するため、世田谷マネジメントスタンダードの検討を進めておりますが、その中の一つの部会で学校評価を取り上げ、スタンダードとしてまとめているところでございます。  よりよい学校評価となるよう、学校評価の目的や進め方など基本的な事柄を押さえるとともに、学校評価システムの運用モデルを具体的に示し、年間スケジュールや評価の実施方法など、各学校がイメージを持てるように整えているところでございます。  御指摘のアンケートは、児童生徒や保護者、地域の方々に協力をいただいております関係者等アンケートのことでございます。このアンケートは、全国共通の項目のほかに、学校独自の項目もつくっております。独自項目は、学校関係者評価委員会とともにつくられているものでございます。共通アンケート項目につきましては、学校からの意見を受け、見直しを繰り返しているものでございますが、今後もよりよい項目となるように見直しを図ってまいりたいと考えております。  なお、マネジメントスタンダードの運用モデルでは、学校評価のPDCAサイクルだけでなく、関係者等アンケート結果の分析の方法や、自己評価報告書や学校関係者評価委員会報告書などのまとめ方についても具体的に例示をしております。  来年度は、スタンダードに基づいた学校評価の試行が進むよう、学校への説明や指導を行ってまいりたいと考えております。 ◆植田靖子 委員 次に進みたいと思います。  世田谷九年教育について伺います。  平成二十五年度から全区立小中学校で実施され、最近は小学校五・六年生と中学校との交流が以前に比べて盛んになり、子どもたち同士の交流ができ、小学校から中学校へ進学する際、以前に比べて不安もなく、中学校に上がる心の準備が自然にできているということで、新しい環境での学習や生活へ移行がうまくいかなくて不登校などの問題を抱えてしまう、いわゆる中一ギャップへの対策になっているようです。  世田谷九年教育の子どもへの効果について伺います。 ◎滝渕 副参事 世田谷九年教育は、同じ地域にある小中学校が学び舎を構成し、児童生徒の九年間の発達全体を見通しながら、一人一人の児童生徒の将来の自己実現のために、質の高い義務教育を実現しようとする取り組みでございます。  例えば、小学生が中学校生活への見通しを持てるように、中学校において体験授業や部活動体験、生徒会主催の学校説明会など、中学校生活の模擬体験ができるような工夫をしながら体験活動を進めております。  また、小学校の児童会と中学校の生徒会が一体となって交流を深め、小中学生が学校生活に関する意見交換を実施している学び舎もございます。玉川中学校を中心としたなかたまの学び舎では、学び舎の児童生徒の自治活動を進めるために、定期的に子ども会議を開き、挨拶運動の実施の方法などについて話し合いを行っております。  教育委員会では、世田谷九年教育を推進する中で、それぞれの学び舎が特色ある取り組みを工夫することにより、小中学生の交流や小学生の中学校理解が進むことなど、子どもたちにとってプラスの効果が見られるようになっていると捉えております。 ◆植田靖子 委員 保護者からも、小学校六年生の担任の先生が中学校のことをわかっているので、子どもたちにとってもいい影響を感じるという感想をいただいています。小中の先生が合同でチームを組んで協力して小学校で授業を行ったり、中学校の先生が小学校で授業を行うなど、子どもたちばかりでなく、教員にとってもいい刺激となっているようですが、世田谷九年教育の教員への影響はどのようなものか伺います。 ◎滝渕 副参事 世田谷九年教育の推進に当たり、区独自の学力調査である学習習得確認調査を実施しております。  各学校では、その結果の分析を踏まえ、校内の学習確認会議や、学び舎で行う合同学習確認会議を通して、小中学校の教員が具体的な授業改善の方法について検討を進めております。  各学校における指導上の課題を明らかにした上で、解決のための方策を出し合う合同学習確認会議では、小中学校それぞれで見られる課題などについて分析を行い、繰り返し学習させるべき内容やつまずきやすい内容を明確にした上で、指導方法の改善に向けた方策を検討しております。
     さらに、課題の解決に向けて合同で授業研究を実施し、共通の目的を持って、小中学校の教員が互いに授業を見合ったり、意見交換することを通して、小中学校それぞれのよさを学んだり、自分の指導に取り入れたりしております。  児童生徒の学習における課題を明確にして、その対策を学び舎において協議、実践するという過程の中で、学校からは、教員が自分の指導を見直す大きなきっかけとなったという声を聞いております。 ◆植田靖子 委員 子どもにも教員にもそれぞれよい影響があるようです。今後、さらに公教育の魅力アップを進めるためにどのような取り組みをしていくのか、地域とともに取り組むことが重要ですが、区の見解を伺います。 ◎滝渕 副参事 現在、教育委員会では、小中学校の教員が連携し、義務教育九年間で身につけるべき力の定着や質の高い学校教育の推進のための学校経営のモデル等を作成するための世田谷マネジメントスタンダードでの検討を進めております。  昨年、教育委員会では、昇任一年目の主任教諭を対象にアンケートを実施いたしましたが、その中で、世田谷九年教育の意義を強く感じつつ、目的を明確化した授業研究や会議運営など、さらなる改善を期待する声が寄せられております。  また、委員お話しのように、地域とともに子どもを育てることを標榜する区立学校では、今後も地域の方々の教育力をおかりするなど、多くの地域の方々に支えられながら、子どもたちを育む学校づくりを推進してまいりたいと考えております。  教育委員会といたしましては、マネジメントスタンダードを踏まえた世田谷九年教育の取り組みを通し、各学校や学び舎が地域や保護者の高い期待に応え、一人一人の子どもたちの自己実現を図ることにつながる教育活動が実践できるよう、これからも学校や学び舎に対して強く働きかけてまいります。 ◆植田靖子 委員 この取り組みの中で、中学校を中心とした学び舎が形成されていますが、小学校によっては複数の学び舎に所属しています。複数の学び舎に所属する小学校の子どもたちは、それぞれどのように中学校や小学校と交流を深めているのかお聞きします。 ◎滝渕 副参事 通学区域の関係で複数の学び舎に所属している小学校は六十四校中十四校ございます。  複数の学び舎に所属している小学校の多くは、それぞれ学び舎との関係性を大切にしつつも、地域の状況や二つの中学校に係る学区域の広さ、子どもたちの進路など、さまざまな状況を勘案し、交流する学び舎にウエートをかけて取り組んでいるところでございます。  例えば等々力小学校では、東深沢中学校を中心としたみしまの森学舎と尾山台中学校を中心とした翠と渓の学び舎の両方に属しておりますが、みしまの森学舎のほうにウエートをかけているところでございます。  しかしながら、例えば砧小学校のように、砧中学校を中心とした砧の学び舎と砧南中学校を中心とした自立の学び舎のどちらにも同じようにまたがっており、どちらかにウエートをかけることが難しいという学校もございます。そのような学校では、交流する内容を選びながら、児童に負担がかからないように工夫して取り組んでいるところでございます。 ◆植田靖子 委員 これで私の質問を終わり、てるや委員にかわります。 ◆てるや里美 委員 まず初めに、シチズンシップ教育について伺います。  十八歳から選挙権が持てるように、公職選挙法の改正案が現在提出されています。成立すれば、早ければ来年夏の参院選から適用されます。  二〇一四年十二月の衆院選で、年代別では最年少の二十から二十四歳投票率が二九・七%と最低でした。政治そのものに関心がないだけでなく、政治の仕組みや政治参加の意義などについて理解がない人がふえています。これは中高生に対する政治教育に原因があると分析されています。新たに有権者となる若年層の政治への参加意識を高めるために対策が必要です。  以前、シチズンシップ教育について質問しました。シチズンシップ教育とは、国や地域社会の課題解決に主体的に参加するための必要な能力を身につけ、自立した市民に育つための教育です。日本の公民教育では、政治や経済の仕組みを学習するにとどまるのに対し、シチズンシップ教育は、社会の問題を解決するために、情報の入手方法や手段の選択、他者との合意形成、相手を説得する方法など、より実践的な社会参加、政治参加を学習します。内閣府の平成二十六年度版子ども・若者白書でも、シチズンシップ教育を推進することが必要としています。  政治への関心を高め、政治的判断を下す力をつける政治教育や、地域が抱える具体的な課題解決に、実践的な学習を学校と地域が連携して行うシチズンシップ教育に積極的に取り組むべきです。見解を伺います。 ◎齋藤 教育指導課長 子どもたちが政治や選挙に対する興味関心を高める教育を進めるとともに、みずからが地域社会の課題解決に向け、主体的に参画しようとする態度や能力を育成する教育は重要であると考えております。  現在、政治に関するものでは、小学校では小学校六年生の社会科で、身近な生活にも地方公共団体や国の政治の働きが反映していること、また、国や地方公共団体の代表者を選出するためには、選挙権を正しく行使することが大切だということについて学習しています。中学校では社会科の公民で、民主政治の仕組みや政党の役割などを学習するとともに、選挙についても、主権を持つ国民の意思を政治に反映させる方法であり、議会制民主主義を支えるものであるということなどを学んでおります。  また、生徒の自主的な取り組みとしましては、例えば喜多見中学校では、生徒会の生徒の発案で、プルタブを回収して、近くの福祉施設に車椅子を贈ろうというような取り組みなどもしておりまして、それは学び舎の小学校でも取り組んでいるというような自主的な活動も幾つかございます。  また、生徒会サミットとして定期的に集まって、各学校がいろいろと自分たちの問題について取り組んでいる。それを中学校同士で話し合って、それを広めていこうというような活動もしているところでございます。  選挙そのものにつきましては、区の選挙管理委員会事務局の協力のもと、模擬選挙や選挙に関するクイズ、そして参加型の内容も織りまぜた出前授業などを通して、選挙への関心を高める取り組みを行っているところでございます。参加した生徒は、自分たちが選挙に行って意見を反映させて、よりよい政治にしてもらいたいとか、将来自分も投票に行こうと思ったなどの感想が聞かれています。  教育委員会といたしましては、今後とも関係部署との連携を図りながら、児童生徒の政治に対する興味関心を高める取り組みを進めるとともに、社会の一員として社会に積極的にかかわりを持つような姿勢、態度を育てる力を身につけられるように取り組んでまいります。 ◆てるや里美 委員 オランダでは、学校教育の中で時間をかけて早期から育んでいくことが必要と、小学校からシチズンシップ教育を義務化し、世界や国内の時事を真剣に、小学生から議論しています。基本構想、基本計画に市民自治を掲げている世田谷区において、全ての子どもが力をつけられるよう、積極的な取り組みを求めます。  次に、労働教育についてです。  ブラック企業だけでなく、最近ではブラックバイトの存在も問題になっています。市民団体ブラック企業対策プロジェクトの調査によると、アルバイト経験のある大学生約二千五百人のうち約七割が、学生アルバイトに正社員並みの義務やノルマを課す、学業に支障を来すほどの働き方を強いられる、納得いかない理由で首にされる、またはやめさせてもらえない、残業代未払いなど、不当な扱いに直面したことがあるとしています。アルバイトでも労働契約法、労働基準法などの労働法規が適用され、一定の権利で守られていることを知らないために、働き続けて体を壊したり、どこにも相談せず泣き寝入りしているケースも少なくありません。  生活者ネットワークが行った若者の働き方に関するアンケート調査でも、学校における実際に役立つ基礎的な労働教育の必要性が浮き彫りにされました。中学校を卒業して、アルバイトをしたり、夜間学校に通いながら働く子どももふえている中、中学校卒業前に労働教育を自分に降りかかる問題として学ぶことが必要です。また、労働法違反に直面した場合、どこに相談すればよいのか、具体的な相談場所の周知なども必要です。見解を伺います。 ◎齋藤 教育指導課長 現行の学習指導要領の中学校の公民の分野では、社会生活における職業の意義と役割及び雇用と労働条件の改善について、勤労の権利、義務、労働組合の意義、労働基準法の精神について関連づけて考えさせると示されておりますので、各中学校では、雇用問題、労働条件の向上、労働者の権利などについても学習しています。  また、キャリア教育の一環として、さまざまな職業で働く方を学校に招いて、その職業についたきっかけ、やりがいなどを子どもたちに話していただき、子ども自身が将来つきたい職業に、また、今後の進路選択といったこと、自分のこれからの生き方について考えたり意見交換しているというところを取り組んでいる学校が多いところでございます。  また、確かに中学校を卒業した生徒の中には就職する者や高校に通いながらアルバイトを始めている者などもございますので、仕事上の問題ですとか就職に関する相談窓口、世田谷区では世田谷若者総合支援センターや三茶おしごとカフェなど、世田谷区の身近な施設を紹介していくということが、みずからの雇用や待遇について考えたり、勤労を身近なものとして感じたりすることにつながるというふうに考えております。  教育委員会としては、各学校が進めるキャリア教育の充実を図るとともに、産業政策部など関係所管とも連携を図りながら、子どもたちが社会の一員として、これからの社会を生き抜く力を育成できるように取り組みを進めてまいります。 ◆てるや里美 委員 バイトの収入がなければ学生生活を送ることが困難な学生がふえている中、働くところがあるならと諦めてしまっている若者もいるのが現状です。雇用者と労働者は対等であることを理解し、労働者の権利を行使する力を養う生きた教育を求めます。  第一回定例会一般質問において、中学卒業後に進路が決まっていない、また、進路が決まらないまま高校を中退した子どもへの支援について質問しました。早期に適切な対応をしないとニート状態に陥りやすく、年齢を重ねるとともに抜け出しにくくなるという実態があります。世田谷区において、若者支援や生活困窮者支援、発達障害者への支援、また、地域包括ケアシステムの展開など、さまざまな新しい取り組みが始まっています。特に高校中退については予防が大切であり、早期に支援に結びつくためには、地域につながりのある中学生のうちに、地域にどのような支援や施設があるのか、困ったときはどうすればよいのか、具体的に知っておくことが必要です。見解を伺います。 ◎齋藤 教育指導課長 これからの社会を生き抜く子どもたちが、社会保障の制度とか国民福祉の制度、社会保障の仕組みを理解することは大変重要だと考えております。  教育委員会では、子どもたちが社会とかかわりを持ち生きていくために、先ほど言いましたようにキャリア教育などを推進しておりますが、ここでは、人間関係や社会を形成する力、課題に対応する力、論理的な思考力、みずから主体的に判断する力などを育んで、みずからの役割、将来の生き方、働き方について考えることができるように取り組んでいます。  委員お話しの社会保障制度等につきましては、中学校社会科の公民の分野で社会保険、社会福祉、公的扶助などについて学習しております。また、教育委員会が作成し、区立中学生に配付している社会科の副読本にも、世田谷区の事例などについて紹介、掲載しております。  また、世田谷区の施設ということでは、世田谷若者総合支援センターのサポートシステムについて、また、メルクマールせたがや、ヤングワークせたがやなど、区内の若者をサポートする機能や施設などを学校に紹介するなど、周知啓発を図ってまいります。 ◆てるや里美 委員 次に、世田谷区学校支援地域本部について伺います。  世田谷区では、地域とともに子どもを育てる教育の推進を目指し、平成九年度に全校に学校協議会を設置し、その後、平成十七年度から保護者や地域の方々の力を学校運営に生かす地域運営学校に取り組み、昨年度、区立小中学校全校が指定されました。この地域運営学校の取り組みは、子どもたちの育ちや学校を支援するだけでなく、活動を通じて地域の課題解決や地域のつながりを強化し、地域コミュニティーの活性化にもつながる重要な取り組みです。  しかし、地域運営学校となって、本来は学校を支える仕組みのはずが、校長や副校長の負担がふえている、一方、保護者や地域の人たちは地域運営学校の意味を知らない、関心がないなどの課題も指摘されています。  区は、地域での学校の教育活動を支える体制づくりのために、来年度から世田谷区学校支援地域本部をモデル実施するとしています。こうした課題の解決が期待されます。学校支援地域本部を導入する目的と、学校や地域に理解を進めるためにどのように取り組むのか伺います。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 平成二十五年度に地域運営学校全校指定を機に、学校協議会との関係や学校を支えるボランティア団体等のあり方や位置づけを整理すべき時期に来ていることから、地域で学校を支える体制づくりを一層進めるために、小中学校の校長先生等を委員として検討を重ねてまいりました。  この検討を踏まえまして、授業の補助等必要な教育活動を、学校支援コーディネーターが学校とボランティア団体と調整し、学校の教育活動を支援する学校支援地域本部の仕組みを、平成二十七年度から小学校五校、中学校二校でモデル実施することとしました。この仕組みは、新たに組織を設置することではなく、既存の学校を支援するボランティアやコーディネーターを学校支援地域本部の仕組みに位置づけるというものでございます。この仕組みに位置づけることによりまして、現在、ボランティア等との調整を学校が担っている負担を軽減させることができると考えております。  また、モデル実施に当たりましては、学校支援地域本部検証委員会を設置してまいりまして、委員会の中で課題や問題点を明らかにしてまいります。  また、今年度から検討を進めてまいりましたマネジメントスタンダードの地域運営部会の中でスタンダードの方向性をお示しし、地域の皆様にさらに地域運営学校への御理解をいただきながら一層の充実を図り、これらの取り組みによりまして、地域とともに子どもを育てる教育の推進を図るとともに、地域の活性化が広がるよう、さらに取り組んでまいります。 ◆てるや里美 委員 これまで学校協議会や地域運営委員会の方が子どもたちのためにさまざまな活動をしている中、学校支援地域本部が導入されることに戸惑う方も多いかと思います。地域の特性を生かし、活動が活性化するよう丁寧に進めていくことを要望します。  今回の新しい取り組みで核となるのは学校支援コーディネーターです。学校とボランティア団体のパイプ役となり、今後調整はコーディネーターが行います。さらに、学習支援だけでなく、学校の教育活動全体に活動が広がります。活動がスムーズに行われるためには、区のバックアップ機能やコーディネーター同士の情報交換の場の設置、人材バンクなど、コーディネーターの質の向上や充実のための対策が必要です。見解を伺います。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 現在の学校支援コーディネーターは、小中学校九十三校のうち五十校に配置しておりまして、学校の学習活動に特化して、ボランティア等との調整を行っております。  平成二十七年度からの学校支援地域本部のモデル実施に当たりまして、現行の学校支援コーディネーターを、学習活動だけではなく教育活動全体に必要な、ボランティア団体との連絡調整を行う役割に移行させてまいります。移行に当たりましては、学校支援コーディネーターの質の向上、充実が重要であると考えております。そのため、研修の実施やコーディネーター間の情報交換会の開催が必要であると認識しております。  また、コーディネーターの人材バンクにつきましても、どのように設置していくべきかなど、モデル実施の状況を見ながら、学校支援地域本部検証委員会の中で検討してまいります。 ◆てるや里美 委員 地域運営学校が企画したものを実施するのは、地域支援本部の学校支援ボランティアとなります。活動を充実していくためには、地域の豊かな資源を活用していくことが必要です。中野区や調布市などではボランティアをふやすために、区がホームページなどで区民や団体を募集し、登録簿を作成し、コーディネーターが活用できるようにしています。仕事を退職したので、自分の経験を生かし、地域の子どもたちのために何かしたいが、どのようにしたらよいかわからないという方もいらっしゃいます。そのためにも、区がこうした人材バンク的機能に取り組むなど、区民がボランティアに参画しやすい体制をつくることが必要です。さらに大学との連携を進めていくことも必要です。見解を伺います。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 各小中学校では、保護者や地域の方々に御協力をいただきながら、図書の読み聞かせや花壇の整備などさまざまなボランティア活動が行われております。  ボランティア団体等をふやす取り組みといたしましては、現在、各小中学校におきましては、ホームページでの情報掲載、それから保護者に御案内を配付するなど、さまざまな方法で行っております。区全体におけるボランティア団体をふやす取り組みにつきましては、大学等教育機関との連携事業も鑑みながら、また、委員お話しの点につきましても、学校支援地域本部検証委員会におきまして、モデル実施の状況を踏まえながら検証してまいります。 ◆てるや里美 委員 福岡県春日市では、生徒指導上の課題を地域と共有し、解決に向けて協働し活動しています。特に地域パトロールの取り組みにより、二十一年度に補導件数が千件以上あったのが、二十二年度以降、二十から三十件に激減しています。また、先日の会派の代表質問で、大阪市大空小学校の取り組みを紹介しました。地域に開かれた学校として、地域の住民や学生のボランティア、保護者の支援も積極的に受け入れ、多くの大人たちで見守れる体制をつくることで、不登校ゼロ、障害のある子も同じ教室で一緒に学ぶインクルーシブ教育を実現しています。世田谷区でも地域運営学校の取り組みの中で、こうした子どもを中心とした学校づくり、地域づくりを進めていくことを要望し、次の質問に移ります。  次に、放射能対策について伺います。  まず、給食の放射性物質測定についてです。区は、今年度より一食丸ごと検査の回数を減らし、十一月より一学期ごとに二品目の食材単品検査を始めました。来年度より四品目にふやすとのことですが、意味のある検査にしていくために、これまで何度も申し上げてきましたが、何を選ぶかが重要です。摂取量の多い食材と旬の食材から二品目ずつ選ぶとのことですが、子どもたちの安全を守るために、何を基準に品目を選ぶのか伺います。 ◎吉田 学校健康推進課長 学校給食の放射性物質検査につきましては、児童生徒の摂取量の多い食材として、平成二十四年四月より牛乳を開始し、今委員からお話がありましたが、平成二十六年十一月よりお米と食材を開始いたしました。  食材につきましては、今年度は、二学期はジャガイモとリンゴ、三学期はコマツナとミカン等のかんきつ類を実施し、いずれも放射性物質の検出はありませんでした。  単品検査の実施に当たり、区長を本部長とする世田谷区放射線等対策本部の決定によりまして、食材の選定方法につきましては、給食において摂取量の多い食材と旬の食材としております。  平成二十七年度の単品検査の品目につきましては、引き続き学校給食の献立から児童生徒の摂取量の多い食材と旬の食材の中から学期ごとに選定してまいりますが、検査回数と種類をふやし、より多くの品目を実施する予定でおります。  丸ごと給食や、牛乳、米の単品検査とあわせて食材の放射性物質検査を行っていくことで、学校給食の安全確保に努めてまいります。 ◆てるや里美 委員 摂取量だけで、放射性物質が検出の疑いがあるかという配慮はないという回答ですけれども、私たち会派は、これまで食材単品検査において、放射性物質の移行係数が高い食材を選ぶことを求めてきました。区のホームページに、給食の放射性物質検査の目的は、さらなる安心を提供するため、区民等の声に対応するためと掲げています。  区民は、放射性物質が検出されるような食材が使われていないのか、不安なために検査を求めているのです。そうした区民の声に応えるためにも、四品目の中で一品目でも懸念される食材を選んで測定するべきです。さらに、これまで給食に使用する前に食材を検査することを求めてきました。月単位で納入される食材など、可能なものは積極的に検査することを求めます。  目黒区では、ホットスポットが見つかったために、二〇一一年十一月から、全ての小中学校や保育園、公園などの雨どい付近、側溝など、高い放射線量が検出されることが懸念される箇所について測定を行っています。小中学校については学校が、多いところでは二十カ所の線量測定を毎日、または最低でも二週間に一回測定しています。  昨年十二月に、世田谷区内児童館で、区民の通報により、区の基準を超える〇・三一九マイクロシーベルト・パー・アワーの放射線量が測定され、区が線量低減措置を実施しました。時間がたつほど放射性物質が濃縮し、ホットスポットが学校や幼稚園など、子どもたちが生活する場所である可能性があります。世田谷区内のホットスポットの可能性についてどのように考えるのか、小中学校などでの放射線量測定の実施について伺います。 ◎安間 施設課長 東日本大震災に伴う原発事故をきっかけとして、放射線による区民の健康、生活へ及ぼす課題に全庁挙げて取り組むための組織として、区では区長を本部長とする放射線等対策本部を設置しました。その中で世田谷区としての放射線に対する方針を策定し、その方針に基づき、学校、保育施設、公園等について線量測定し、ホームページ等で公表を行いました。  その後は、区の若林公園内に設置された線量測定器で定点観測し公表しており、また、一定量を超える放射線量を測定したとの区民から情報提供があった場合には測定を行い、公表をしております。  教育委員会では、区の方針にのっとり、平成二十三年に、区立幼稚園、小中学校全ての空間放射線量の測定を行い、その結果を公表してまいりました。その後、この方針に基づき、区民の高い放射線量等との通報に対し測定や線量低減措置を行ってまいりました。また、こうした測定結果について、区のホームページ上で公表しております。ちなみに、学校の測定の件数は、平成二十三年度は十二件、二十四年度は一件、二十五年度、二十六年度はゼロ件でした。  今後とも、区の手順に則して適切に対応してまいります。御指摘のありました今後の調査のあり方等につきましても、放射線等対策本部に諮りながら、担当所管と連携して参考としてまいります。 ◆てるや里美 委員 区民の通報がないからといって、ホットスポットがないとは限りません。特に幼稚園の子どもは地面に座り、土にまみれて遊ぶのです。現在、持ち歩くだけでホットスポットが瞬時に発見できるホットスポットファインダーなど新しい機器も開発されています。今回のホットスポットの発見を機に、学校などの放射線量測定を改めて求めます。  川場村移動教室についてです。これまで、放射線量測定、食事の放射性物質測定、情報提供、欠席の子どもへの対応などについて求めてきました。情報提供や欠席の扱いなどが徹底されていないという声をいただいています。今後の対応について伺います。 ◎岩元 学務課長 空間放射線量の測定等については継続して実施させていただきます。  最後にありました出席の取り扱い、また、参加しなかった子どもへの配慮につきましては、四月に教員の人事異動もあることから、改めて四月の校長会におきまして、学校経営の責任者である校長への指導徹底に取り組んでまいりたいと考えてございます。 ◆てるや里美 委員 福島原子力発電所から放射性物質が放出され、汚染水の問題も解決していない中、子どもたちを放射線被曝から守るために、子どもたちの安全と命を守るために積極的な対策を求めます。  以上で生活者ネットワーク・社会民主党世田谷区議団の質問を終わります。 ○和田秀壽 委員長 以上で生活者ネットワーク・社会民主党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後四時七分休憩    ──────────────────     午後四時四十分開議 ○和田秀壽 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  日本共産党、どうぞ。 ◆中里光夫 委員 それでは、日本共産党の文教分野の質問を始めます。  最初に、学級編制、少人数学級について質問をしたいと思います。  学級編制、一クラスの人数を少なくする、小さくすることで、一人一人の子どもに目が行き届く、そして教育の充実が図られると、日本共産党は三十五人学級の全面実施を今求めています。そして、将来的には三十人以下学級を目指すことを求めています。  現在、四十人学級を三十人学級にと、少人数学級を求める運動が全国で広がってきました。国は自治体の裁量で少人数のクラス編制ができるようにして、今では全国全ての都道府県で何らかの措置がとられるようになりました。私たち区議団も、震災の前ですが、先進的に進めていた福島県を視察して、その効果についていろいろお話も伺ってきました。そこでは、学力の向上であるとか、不登校が減っただとか、そういった数字があらわれていました。区議会でもこの問題を繰り返し取り上げてまいりました。  そして、二〇一一年の三月に国会で全会一致で義務教育標準法が改正されて、小学校一年生が四十人学級から三十五人学級になりました。その法の附則では小学校二年生以降も順次改定を検討、実施すると定められています。そして、翌年の二〇一二年には二年生の三十五人学級の予算措置がされました。そしてその後、三年生、四年生、五年生と三十五人学級が進むはずだったんですが、安倍政権となってとまってしまいました。  財務省が二〇一五年度の予算を策定していく過程の中で、四十人学級に戻せといった主張も飛び出してまいりました。しかし、国民の世論の広がりの前に、この要求は採用されませんでした。さきの二月二十三日の衆議院の予算委員会で、我が党の議員の質問に対して、下村文部科学大臣は、学校を取り巻く環境が複雑になる中、教員が子どもの指導に専念できる環境が重要だ。四十人学級に戻せというのは、文部科学省の考えや教員など現場、保護者の声に相入れないと答弁をしています。そして安倍首相も、全会一致の重みもかみしめながら、一年生、二年生で三十五人以下学級を実現した。さらに三十五人以下学級の実現に向けて努力をしていきたいという答弁がありました。重要な変化だというふうに私たちは見ております。  この学級編制の問題、改めて伺いますけれども、都や区の制度も含めて現在どういうふうになっているか、まず確認したいと思います。 ◎岩元 学務課長 三十五人学級の取り組みについてでございますけれども、今委員のほうからもお話がございましたが、国におきましては、平成二十三年度に公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律を改正いたしまして、小学校第一学年の三十五人学級を、また、平成二十四年度に教員の加配、お話しもありましたけれども、小学校第二学年の三十五人学級を実施しているところでございます。  今お話しのありましたとおり、法律の中では順次段階的にというところもございますけれども、平成二十五年度の国の予算編成の中におきまして、今後の少人数学級の推進については、他の施策と効果検証を十分行う中で、教職員定数のあり方全般について検討を続け、国、地方の財政状況を勘案して必要な措置を講ずるということについて、文部科学省と財務省の間で合意がされており、その後の動向が不透明になっているという状況にございます。  また、東京都におきましては、都独自の施策として行っていた中一ギャップ対応の教員加配を継続する形で、中学校第一学年につきまして三十五人以下学級に足りる教員加配の措置を実施するため、東京都公立小学校、中学校及び中等教育学校前期課程の学級編制基準を改正いたしまして、平成二十五年度から実施し、二十六年度も継続しているという状況にございます。 ◆中里光夫 委員 一年生、二年生が国の制度と加配、それから、東京都の制度で中一を三十五人学級にしているという話ですね。この少人数学級を求めるというのは本当に全国的な大きな声で、この財務省の主張も押し戻していったわけですけれども、諸外国では少人数学級はもう当たり前だというふうにも聞いています。  教育長、オランダに視察に行ったそうですが、オランダの状況などを教えていただけますでしょうか。 ◎堀 教育長 幾つか学校を見てまいりましたが、二つ特徴的なことがありました。一つは、イエナプランのところでは非常に少人数で、異学年でやっておりますが、あれは何人ぐらいでしょうか。三十人もいないところの異学年でやっているのが一つ。あともう一つは、公立の私どもの小中学校のようなところで、そこはやはり三十人強の講義形式のような形で、イエナのほうはぐるっと囲んでいるような対話方式というんでしょうか、そういう二種類の形を見てきました。人数もそれぞれ違っておりました。 ◆中里光夫 委員 現地のそういった様子を見て、いろいろお話も伺ったんじゃないかと思いますけれども、少人数で実施している教育について、教育長、何かあれば。 ◎堀 教育長 お話しのように、国や都の考え方により三十五人学級がなされておりました。一方で、発達障害等々どこもふえておりますので、一定程度少ないほうが、先生方の、教師の対応はいいなと。教員のほうも、本当に学校は、昔というと変ですけれども、私たちが教育を受けたところとは、子どもたちも教員も地域も変わってきていますので、できるだけ一人一人の子どもに目が行くような環境はつくっていきたいなと思っております。 ◆中里光夫 委員 少人数で一人一人に目が行き届くという、そういうのをつくっていきたいというお話でした。ぜひそれを進めていただきたいんですが、文部科学大臣が答弁の中で、現場や保護者の声でというお話をしていましたけれども、全国PTA協議会だとか、教職員組合だとか、校長会、また全国知事会なども少人数学級の実現を国に対して要望しています。世田谷区からも国に対し少人数学級を広げるよう要請すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◎岩元 学務課長 三十五人学級の取り組みについては、先ほど御答弁させていただいたとおりですけれども、いわゆる義務標準法という法律が改正され、平成二十三年の四月二十二日付で都の学級編制基準も、小学校一年生については四十人から三十五人に改正されているという状況です。
     第二学年以上につきましては、先ほどのお話にもありましたけれども、標準法の附則の中で学級編制基準の順次改定に向けた必要な措置を講ずることとされておりまして、改正の時期については不透明な状況にあるというところです。  こうした状況の中で、特別区の教育長会におきましては、平成二十七年度の東京都教育関係予算等の策定に関する要望の中で、義務教育の充実及び義務教育施設の整備を東京都に要望しているものでございます。この中におきまして、小学校第一学年と同様に、第二学年以降、段階的に三十五人学級となるよう、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、いわゆる義務標準法の国に対して要望されたいという旨の要望をしているところでございます。  また、小学校第二学年、中学校第一学年につきましても、標準法の改正にかかわらず、東京都の公立学校の学級編制基準を改正することにつきましても、あわせて都に要望させていただいているところでございます。 ◆中里光夫 委員 二十三区の教育長会でも要望されていると、順次引き上げていくべきだというところで、本当にみんな一致してこれを求めているということだと思います。  そこで質問なんですが、国が三十五人学級の制度を法改正する前から、世田谷区は一・二年生の加配を区独自に行っていました。国が三十五人学級を実施したときにそれをやめちゃったんですが、「はばたけ!小学1年生」、そういうのをやっていたんですが、ぜひこれを順次広げていくべきだという考えがあるわけですから、まだ実施されていない三年生、四年生で区の独自加配をやってはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。 ◎齋藤 教育指導課長 今、確かな学力の定着向上に向けてきめ細やかな指導を行っていくためには、少人数による指導が有効だというふうに考えておりまして、東京都教育委員会でも、東京都の方式で少人数習熟度別ガイドラインというのを策定しまして、小学校及び中学校について、習熟の程度に応じた少人数の学習集団を編制して、個に応じた指導を行うための加配教員、また非常勤講師を配置するというようなことを行っております。  各学校の指導体制の充実に向けて取り組みを進めているところですが、世田谷区では、現在都のほうでは、小学校六十四校全校に一人ずつ、算数で少人数指導ができるように加配教員が配置されております。これは主に三年生以上で実施しているところです。また、中学校では、数学や英語で少人数指導ができるように、四十四人配置されているところでございます。  また、区独自の世田谷区の取り組みとしましては、小中学校ともにこの東京都の加配措置の整備に加えまして、個に応じた指導の充実に向けて必要な教科あるいは学年に対して少人数指導やチームティーチングが実施できるように、区費講師を配置しているところでございます。  教育委員会としては、今後とも子どもの発達段階、学校の現状を踏まえながら、きめ細かい指導の充実に向けて取り組んでまいりたいと思います。 ◆中里光夫 委員 東京都も区も加配を頑張っているということですね。以前やっていた「はばたけ」は、三十五人学級クラス編制の人数を視野に入れながら加配を行っていたわけで、やはりそういった少人数教育推進ということで、さらに世田谷区の加配も国の制度を先取りする形で、区で実施できるようにぜひ検討していただきたいと強く要望いたします。  それでは次に、区立図書館の質問に移りたいと思います。  区立図書館、公立図書館としていろいろな企画などで頑張っているということで、子ども読書リーダー講座というのを行っていると伺いました。どのような取り組みか、答弁をお願いします。 ◎花房 中央図書館長 子ども読書リーダー、子どもの司書でございますけれども、小学生の五年生を対象に子ども読書リーダーを養成する講座を行っております。二日間行っておりますけれども、子どもみずからが読書活動の中心になって、学校や地域の読書活動を推進することを目的に行っております。 ◆中里光夫 委員 どのような成果があったでしょうか。 ◎花房 中央図書館長 修了生たちは、地域の図書館に参りまして、おはなし会とかポスターの作成とか、積極的に参加をしております。 ◆中里光夫 委員 子ども読書リーダー、子ども司書なんていうふうにも書いてありましたけれども、私もいろいろ見てみましたら、全国でこうした取り組みもやられているようですね。その中に世田谷のもしっかり書いてありました。  子どもに本の専門家になろうなんて言って、子どもみずからがいろいろおはなし会をやってみたり、そういった取り組みを行うと。これは地域図書館単館での取り組みというより、区立図書館全体で取り組んで、それから、学校とも協力しながら進めていったと思うんですけれども、それの連携の話はいかがですか。 ◎花房 中央図書館長 この取り組みにつきましては、事前に校長会等でお知らせをしまして、子どもたちにぜひ参加していただきたいということをお願いしまして進めてございます。 ◆中里光夫 委員 公立図書館ならではのいい取り組みだというふうに思います。図書館というと、ただ本を借りるだけということではなくて、いろんな取り組みも行われていると。地域で活動している団体といろいろ協働しながら、おはなし会を開いたり、イベントを開いたり、それから団体に対して団体貸し出しという形で本を貸し出して、いろんな何とか文庫というようなものが地域の中にたくさんあったり、当然学校との連携で学校の授業に必要なものを地域図書館から貸し出すだとか、いろいろそういう取り組みが行われてきていると思います。  こうした直営でさまざまな図書館の取り組みというのが、これまでずっと積み上げられてきたんだというふうに思うんですが、これについては何か見解はありますか。 ◎花房 中央図書館長 地域とのつながり、学校との連携は非常に大事だと思っておりまして、これまで培ってきたものを生かすように、日々努めているところでございます。 ◆中里光夫 委員 そこで、区立図書館を民営化するという話が出てきたので、これについて少し質問したいと思うんですが、一般質問でも取り上げましたけれども、何のための民営化なのかというところが少し議論が混沌としていると。例えばブックカフェみたいな話で、そこでにぎわいをつくるんだという議論もありましたけれども、そういうものをやろうと考えているんですか。 ◎花房 中央図書館長 それは、これからどういうふうに図書館をつくっていくかという検討の結果にはなりますけれども、今、図書の貸出数が年々少しずつ減少してございます。私ども、多くの方に利用していただくためにはどうしたらいいかということを考えました。  それで、貸出冊数をふやしたり、広報を強化したり取り組んでいるところなんですけれども、第二次図書館ビジョン策定に当たりまして、図書館利用のアンケート調査をとらせていただきました。その結果を見ますと、日々来館されている方たちは資料の充実を望まれていると。余り来館されたことがない方のニーズはカフェやくつろげる場所をふやしてほしいというお声が多かったのですね。それで、本当に図書館に対するニーズが多様化しているなというふうに感じたところでございます。 ◆中里光夫 委員 例えばカフェをつくるなんていう話だと、別に民営化しなくても直営のままで、例えば障害者雇用の喫茶店を併設するなりなんなりと、いろいろやり方はあると思うんですね。そこで、なぜ民営化なのかということもあると思うんです。  それから、一般質問でも取り上げた、ビデオレンタルの会社が指定管理者をやっているところの話ですけれども、そこでは、自治体がビデオレンタルのところとカフェと図書館の建物を新しく整備し直して、そこに入ったと。そこで図書カードが、ビデオレンタルのカード、Tポイントカードと共通だという話もあるんですね。そういうカードの使い方なんかを考えているんですか。 ◎花房 中央図書館長 昨年度、私も武雄市立図書館を視察してまいりました。武雄市立図書館では、図書館を利用する際には、普通の図書館カード、またはTカードが必要になり、Tカードをお持ちの方で自動貸出機を利用された方にはTポイントがつくというような仕組みだと聞いてございます。また、図書館の利用の個人情報などは返したときに消えるということでございます。  お話しのこういう新たな取り組みにつきましては、今後、区立の図書館運営に民間活力を導入する際に行う予定の公募による事業者選定の中で、応募事業者の中からそのような御提案があった場合に、事業者選定委員会の中で審査して、総合的に判断していくものと考えてございます。 ◆中里光夫 委員 提案があったら考えるということですけれども、このTポイントカードを使うことについてはいろんな意見が世間の中にもあるわけですね。例えば、私がこの間ずっと言ってきたのは、民営化で一番心配なのが個人情報の問題だと。図書の貸出履歴というのは非常にセンシティブな、個人の思想、信条にもかかわる情報だと。そういったものはちゃんと守っていかなきゃいけないというような話で、Tポイントカードで、返したときに消えるということですけれども、一回記録されるということですよね。  それから、Tポイントカードを使うということが、例えばビデオ屋さんであるとか、いろんな営業に対してポイントがつくということですから、インセンティブというのが公共図書館としていいんだろうかというような議論もあるわけですね。提案があったら検討するんですか。 ◎花房 中央図書館長 公募の際にそういうお話があったときには、総合的に審査をして判断していくことになるかと思っております。 ◆中里光夫 委員 民間の知恵が必要だというようなことを何度も言っていますけれども、貸出数をふやすための知恵が欲しいということなんですか。 ◎花房 中央図書館長 先ほどのちょっと繰り返しになりますけれども、やはり多くの方に利用していただくための手法を考えてございます。そのためには開館時間の延長も必要になるというふうに考えてございまして、これまで以上に図書館サービスの質の向上を図るために、民間の新たな発想や柔軟な取り組みを取り入れていきたいというふうに考えてございます。 ◆中里光夫 委員 開館時間を延ばしたいということがあるようですけれども、開館時間を延ばすのに、これは直営のままではできない話なんですか。 ◎花房 中央図書館長 体制を組めばできないことはないとは思っておりますけれども、全体の費用対効果等を検討していかなければならないかと思っております。 ◆中里光夫 委員 要は、委託して安上がりにしたいということですか。 ◎花房 中央図書館長 効率性と効果の高い取り組みはしなければいけないと思っておりますのと同時に、やはり区民の方がサービスを受けられるわけで、やっぱり質の高い、これからも持続可能な図書館運営を目指していきたいと考えております。 ◆中里光夫 委員 民間の知恵をいろいろ活用したいというお話もありましたが、資料をいただきましたけれども、既にいろんな自治体で民間委託は進んでいると。それぞれ知恵を出しているんじゃないかということなんですかね。そういうのを調査して、有効な手法を自分たちでやっていこうとか、そういうことは考えないんですか。 ◎花房 中央図書館長 日々いろいろなところにアンテナを伸ばして、いろいろな情報を集めて努力している最中でございます。 ◆中里光夫 委員 民間が何かいいアイデアを出してくれるだろう。だから、とにかく民営化だと。しかも安く上がるんだということで、私は最初、公立図書館としてさまざま地域の団体やいろんな機関と連携をとりながらいろんな取り組みをしてきた、積み上げてきたと言いますけれども、こういうのが大丈夫なのかなと心配になります。指定管理者で丸ごと委託企業に任せるというところで、そういった連携だとか、その中で世田谷の図書館全体でレベルを上げていくさまざまな研究や取り組みなどができるんでしょうか。 ◎花房 中央図書館長 みずからのそういう研究は深めていっていますと同時に、民間活力導入の際にも、さらに新たな発想や柔軟な取り組みを取り入れて、事業を充実したものにしたいと考えております。 ◆中里光夫 委員 一般質問でも言いましたけれども、最低賃金ぎりぎりの安い賃金で、一年間の契約社員とかそういう働き方というのが多数なわけですね。例えばどこかの委託したところでは、レファレンスはできないので、レファレンスについては別の直営の図書館に回すなんていう図書館もあるようですよね。そういうことではだめだと私は思うんです。ワーキングプアを新たに生み出すことになるんじゃないかというふうに一般質問で私は聞きましたけれども、それについてどう思いますか。 ◎花房 中央図書館長 指定管理者制度は、区におきましてももう十年の経過がございまして、着実に進んでいると思います。公契約条例も、これから最低賃金とか、世田谷区としての対応が出てくると思いますので、そういうものを適用させながら取り組んでまいりたいと考えております。 ◆中里光夫 委員 直営で利用者をふやす努力であるとか、やはり地域の中でこれまでいろいろ積み上げてきたものをさらに発展させていく、そういう努力をぜひしていただきたいと強く要望して、次の質問に行きます。  次は、学校図書館のほうです。  一般質問の答弁で、学校図書館に学校司書を配置するんだ、こういう答弁だったということでよろしいでしょうか。 ◎滝渕 副参事 そのように御答弁させていただいたというふうに認識しております。 ◆中里光夫 委員 そうしたら、学校司書というのはどういう仕事なのか、区教委はどう考えているんですか。 ◎滝渕 副参事 平成二十六年六月二十日に公布されました学校図書館法の一部を改正する法律におきまして、「学校には、司書教諭のほか、学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため、専ら学校図書館の職務に従事する職員を置くよう努めなければならない」と示されております。  また、留意事項には、学校司書については、その資質、能力の向上に努めることが必要であり、その専門性などが一層発揮できるよう、学校司書が継続的、安定的に職務に従事できる環境への配慮が重要であると示されております。  教育委員会といたしましては、司書を専ら学校図書館の職務に従事する者と位置づけ、具体的な職務としては、児童生徒の学校図書館利用の支援や、授業で使用する資料提供、学校図書館を活用した学習支援、放課後や土曜日を含めた児童生徒の読書や学習支援への対応、蔵書管理や図書の展示に関する業務などを考えております。  教育委員会では、児童生徒の教育活動の充実のために、学校図書館の利活用が図られるよう、学校司書の資質、能力の向上や、継続的、安定的に職務に従事できる環境などを整えてまいりたいと考えております。 ◆中里光夫 委員 私、学校司書といいますと、これも前の質問で言いましたけれども、何年か前に教育委員会が主催した教育フォーラムで、山形県鶴岡市の五十嵐さんという方が来て講演なさったのをすごく印象深く覚えているんです。テレビでもドキュメンタリーで紹介されたということで、その映像も流れて、学校の図書館カウンターに、子どもたちが朝殺到している、そういう姿なんですね。  その方がお話ししている中で、ビフォーアフターという言葉がたくさん出てきて、これも印象深かったんですけれども、自分が学校司書に任命されて、学校に赴任していったと。そこはやはり人がいなかった図書館なので、資料も整理されていないし、非常に使いづらい、使われていない、そういうところだったと。それを学校と協力しながらレイアウトも全部変えて、資料の並べ方もきっちり整理して、資料の検索のやつなんかも全部やりながらこう変わりましたと。  それから、子どもたちに対してこういうサポートをするとか、授業に対してこういうサポートをする。こういう欲しい資料があったらすぐ届けるだとか、独自のおはなし会をやるだとか、いろんなことをやりながら、子どもたちの様子も変わって、学校全体が変わっていったんだと、そんなお話が大変印象深かったんです。  ほかにも学校司書の問題で、ふやせという運動をやっている方たちの資料を私は見つけたんですけれども、例えば子どもからこういうレファレンスが来るというんですね。サンタクロースの住所はどこかとか、ハムスターや熱帯魚の飼い方はどうかとか、モンシロチョウの雄と雌の見分け方は、こういうのに答えていくんだと。それから、教職員からは、オタマジャクシはえら呼吸か肺呼吸かだとか、細菌とウイルスの違いだとか、授業の中でこういうのを教えていくのに適した資料であるとかわかりやすい資料はどうか、こういうリクエストが来るというんですね。  学校司書というのは非常に創造的、クリエーティブな仕事だし、学校のレイアウトを変えたりとかそういう大がかりな話まで含めると、本当に教職員集団と一体となって取り組んでいかないと、なかなかいい仕事はできないと思うんですね。こういう仕事を業務委託でできるのかというのが私は心配なんです。どうですか。 ◎滝渕 副参事 委員お話しのとおり、例えば民間等への委託によって配置される職員がどのような形で業務をしていくかというところについての御質問だったと思います。  例えば、これは他地区の例ではございますけれども、委託する予定の事業者に示す仕様などの中に、例えば学校と司書の月二回程度の打ち合わせを義務づけるですとか、業務内容などの確認を行うようにしているようでございます。  また、事業者に対して、打ち合わせには学校に配置する司書のほかに、司書を統括する立場の職員も必ず参加させ、打ち合わせが円滑に進むように、そのようにしているという話も聞いております。  また、日常的に生じる突発的な業務などにつきましては、例えば学校が司書に伝えた内容を、司書が事業者に確認するなどして、改めて事業者と打ち合わせをした上で仕事をしていくなどというようなさまざまな工夫が考えられると思いますので、十分に業務をすることができると思います。 ◆中里光夫 委員 法改正を進めた国会の議連は、学校長の指揮下にないとそこがうまくいかない。だから、委託は学校司書とは言わないんだと、そういう見解です。 ○和田秀壽 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 引き続きまして、世田谷民主党、どうぞ。 ◆風間ゆたか 委員 世田谷民主党の質疑を始めます。  まず、学校の通学路の安全管理ということに関して、これまでも文教常任委員会でかなり意見を言ってきましたけれども、昨日、都市整備領域でもちょっと話を出しましたので、改めて確認です。  教育委員会事務局の方が一緒に通学路の安全点検に同行されていて、私も三校ほど一緒に見回りましたけれども、教育委員会の方は非常に熱心にされていたので、すごく心強く思いました。一方で、道路管理者とか警察の対応は人によってまちまちというところから、やる気のなさそうな人もいたので、これは問題だなということを文教常任委員会でも言いましたけれども、その教育委員会の方からお話を聞いていても、やっぱり教育委員会側に予算が余りないんだと。道路は都市整備領域の予算でしょうけれども、サインを出すだったりとかは、かつては学校教育の領域でも結構やってきたけれども、予算が余りないという話を聞きました。  これはきのうの話だと、教育委員会と連携してやるということを、都市整備ではほかの会派の答弁で何度も言っていましたけれども、やっぱり教育委員会がもう少し踏み込んで、子どもの安全管理というのを一生懸命やっていく必要があると思いますので、この予算というのは、来年度はきちんととっているんですか。 ◎吉田 学校健康推進課長 教育委員会で持っている予算としましては、通学路を示す例えば「文」マークの設置ですとか、一部過去につけた通学路パトロール中というような標示マークの更新費用ですとか、あとはPTAの方が入っているボランティア保険ですとか、そういった予算のほうについては計上させていただいております。 ◆風間ゆたか 委員 予算をとっていることに関してはきちんと使っていってくださいということを改めて要望するとともに、昨年の夏のときに女の子がズボンをおろされたという話をきっかけに、警察とのやりとりで情報発信が遅かったことの問題を指摘しました。  子どもの殺害予告メールの件で、他会派からこの前お話がありましたけれども、大田区の教育委員会は、警察の判断とか何とかは関係なしに、世田谷区よりも早く情報発信したわけですよね。これは教育委員会として、やっぱり子どもを守るのは第一義的には保護者であるという観点に基づけば、保護者としては自衛ですよね。自衛を促進するためにも迅速に情報発信をするべきだったと私も思います。  今回、教育委員会も各学校に情報配信するのが区内の国立、私立よりも遅かったということに関しては非常に残念なことだと思いますけれども、今後、この情報提供ということに関しては、ほかの会派も言っていましたように、極力保護者と一緒になって予防していくという観点が必要だと思いますが、教育委員会の見解はどうでしょうか。 ◎古閑 教育次長 子どもの安全に対する情報提供は、今委員からもお話がありましたけれども、いろんな不審者問題も含めまして、今年度から、そこのところは非常に緊張感を持って迅速な対応をしなきゃいけないということで、教育委員会としては思っているところです。  その上で、危機管理室も含めまして、いろんな連携の仕組みも含めましていろいろ相談させていただきながら、今、迅速かつ正確に情報発信できるような仕組みを進めようといろいろ相談させていただいて、進めようという体制は今進めているところでございます。 ◆風間ゆたか 委員 守ってくれるわけではないので、予告メールとかがあって、警察が全員の子どもたちの命を警備してくれるわけではないですから、やっぱり自衛が必要だと思います。自衛のためには情報共有を迅速化するということが重要だと思いますので、警察の顔色をうかがうようなことではなくて、あくまでも子どもの安全を優先した判断をこれから教育委員会にとってもらうように、改めて要望しておきます。  続いて、学校の教員の指導力の強化という観点から、これまでも何度か質問させていただきましたけれども、学校の教育現場、私は前々から自分でも教壇に立ってきているところですし、学校の先生たちの授業の様子なんかは今でも時折見に行きます。その意味では、現場を見ておくことというのは重要なことだと思いますので、教育委員会としても常に現場を見てもらうということを重視してもらいたいと思っています。  見ていて、実際感じることはありますから、問題だなと思うこと、評価できることはやっぱりあります。その中でも、保護者から相談をもらっているのは、やっぱり教員の指導力にばらつきがあるということですね。これはもちろん人がやることですから、ばらつきがあるのは仕方ないことですけれども、最低限、子どもたちにとって悪影響になるような指導ではまずいと思うわけです。中には、話、相談を受けているところですと、今は五分以上立たせっ放しにしておいたら体罰だという一つの判断基準があったりしますけれども、そういったことがまだ行われているというような話を聞いたりするわけですね。  こういった問題に対して、教育委員会としてはどのように対処しているのか教えてください。 ◎齋藤 教育指導課長 今委員御指摘のように、各学級の実際授業をするのは教員ですので、教員の指導力というのは我々も最大限取り組んでいるところです。  まずは、一つは若手教員ということで、初任者はたくさんいますし、まだ二年目、三年目もたくさんいます。そうした者につきましては、教育委員会が主催する研修会のほかに、各学校で、実際には先輩の先生から指導を受けるというようなものを計画的にやるOJTの取り組みなどもしてございますし、また、いろんな学校でいろんな工夫を今していますので、例えばマネジメントスタンダードでも人材育成部会というのをつくりまして、そこで参考となるような事例を各学校に示しているというようなこともやってございます。  また、今、校長会のほうでも、それについては課題を感じておりますので、実際に学級の荒れを未然に防ぐためには、校長先生たちも毎日のように巡回しているんですけれども、そのときに兆候を発見するために、気づいたらどのように対応するかということを、各学校で情報共有しながら早期発見して、早期対応するような取り組みを始めているところでございます。 ◆風間ゆたか 委員 若手の教員の指導力不足はもうずっと言われてきたことですし、教育委員会としても力を入れているなというのは、最近見ていても感じるところなんですね。やっぱり若い教員が一生懸命やっている姿も見えますし、能力が高い教員もいるということを感じています。  私が問題視しているのは、十年選手ぐらいからもうやり方が固まってきてしまって、ある意味では子どもたちは、まだそうは言っても、小学生が特に問題だと思っていますけれども、力で抑え込むような指導をしているのを指導力があると勘違いしている教員がやっぱりいるわけですよね。ある意味、子どもがおびえているというか、言うことを聞かなければずっと立たされてしまうだったりとか、そうでなくても、ちらほら言葉の暴力に近いんじゃないかなと、世の中一般で言えばパワハラに近いような高圧的な話し方とかをしている教員の姿が散見されますけれども、そういった先生方に対して、校長さんがきちんと指導しているのかといえば、これも校長さんの力量によると思うんですよ。  これは教育委員会指導課として、指導主事の先生ですら、もしかしたら年齢が同じぐらいだと言いづらいとかいうこともあるかもしれませんが、指導課としてはどのような対処をしているんでしょうか。 ◎齋藤 教育指導課長 今お話しのように、ベテランの教員に対する指導ということももちろん大事だと思っております。先ほど言いましたように、校長はほぼ毎日のようにそれぞれの授業を見ていますので、それぞれの持ち味、この先生はこういうところが得意、あるいはこの辺が苦手というのは十分つかんでいるとは思うんですが、ただ、第三者として、また指導主事が専門家として、校長先生と違った視点でアドバイスするというのは大変大切なことだと考えております。  先ほども少し別のところで出ましたが、できるだけ指導主事は回るということとともに、指導主事には統括指導主事、あるいは指導課長、副参事、経験がもう少しある者もおりますので、学校の状況を聞いたときには必要なアドバイスをできるように、指導主事もミーティングを毎週やっておりまして、各学校がこういう状況のときはこんなようなアドバイスをしようとか、あるいはそこを共有しながら、実際に統括指導主事が回って指導するとか、そういった回数を今ふやすように努力しているところでございます。 ◆風間ゆたか 委員 それぞれに何年目であっても、教員の指導力向上というのは、それぞれの教員にとっても重要なテーマだと思いますので、やっぱり教える側も謙虚な立場で学んでいく先生たちがふえていくように指導をお願いします。  続いて、学校の運営問題についてちょっとお話を伺いたいと思っています。  八年前、議員になったときから、学校運営の形に関しては私もいろいろ質疑をしてきました。コミュニティースクールが導入される前から、私も政府の取り組み等に関心を示していましたから、そのコミュニティースクール、世田谷では地域運営学校と言っていますけれども、そのいい点と問題点ということを私なりに指摘してきたところでもあります。  それと、地域というキーワードとPTAというキーワードがどうしても関係してきますけれども、さらに新しい形として地域本部という形もあるという質問も、次長が担当課長だったときに聞いたことがあります。だけれども、さっき、ほかの会派への答弁で、学校支援地域本部が来年度からスタートしますという話があって、これは文教常任委員会では報告をされていないわけですよね。だから、私は提案してきましたけれども、初めて来年度から本格的に始まるということをさっき聞いたわけですけれども、これがもし特定会派にそういう情報が入っているんだとしたら大変残念なことだなと思うんですよね。これは文教常任委員会で何で報告がなかったんでしょうか。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 学校支援地域本部、先ほど他会派のほうで答弁させていただきました。こちらは、地域運営学校全校指定を機に、いろんな課題の整理という部分で、平成二十五年度、二十六年度と、小中学校の校長先生等々をメンバーに検討を開始していました。それで、この二月、最終の検討会がございまして、一応報告書としてまとまりました。  先ほど、委員は本格実施とおっしゃいましたけれども、モデルを二十七年度から実施させていただいて、そのモデル実施の検証を踏まえて本格的に導入していくということを考えております。  もう一点が、まさに地域運営学校と密接に関係する部分がございまして、こちらの検討も、さらなる充実という部分で言うと、マネジメントスタンダードというところと密接に関係しています。そちらの検討の状況とのリンクというか進捗状況等の中で、二月二十七日に文教常任委員会がありましたけれども、そちらには間に合わなかったということで、、文教常任委員会の報告はしていなかったということでございます。 ◆風間ゆたか 委員 いずれにしても、情報提供がほかの会派にあって、うちの会派にはなかったわけですよ。そのこと自体は問題だと。前の教育長のときにはそんなことが結構ありましたから、私は結構問題として言ってきましたけれども、堀教育長になって、そういうことが極力ないようにということを指導しているという答弁もありましたし、実際に情報提供が早かったり丁寧だったりしたと思っていたので、今回のことは本当に残念です。こういうことがないようにしてもらいたいなと思います。  地域運営学校の問題については、全校で導入されたと言いながら、そもそものコミュニティースクールをこの国で導入しようと思ったところの背景だったりとか、実際運営委員をやっている人たちはほとんど知らないんじゃないかと。どういう趣旨で地域運営学校というものが成り立ってきたのかということですね。  本来はもう少し学識経験者だったりとか、学校教育とか、それこそ学校のマネジメントに関して知見のある人が少なくとも複数入っているということが理想ですけれども、あくまでも地域に寄り過ぎていて、PTA経験者であったり、そういう地域の人たちの声が大き過ぎて、後から入ってきた校長さんがやりづらそうにしているという話を多方面から聞くわけですが、こういったことに関して、地域運営学校の問題点、課題というのを、教育委員会としてどう捉えているんでしょうか。 ◎林 生涯学習・地域・学校連携課長 まず、世田谷区における地域とともにという部分で言いますと、平成九年、学校協議会からスタートいたしました。その後、法改正等々で地域運営学校というふうに進化させていただきまして、二十五年度に全校指定という形になりました。  この評価としましては、まず、地域の方々が学校に関心をお持ちいただいたという部分で、それは全ての学校で評価が上がっていると思っております。また、地域性もございますし、あと、地域運営学校の導入の時期というのもずれがございまして、そこの部分がまだまだ全体的なレベルアップというのは今後も必要だというふうに思っています。  そういう意味で言うと、地域とともに学校を支え、さらに学校をよくしていくという部分では、引き続き地域の方々のお力をいただきながら、地域運営学校の充実を図ってまいりたいと思っております。
    ◆風間ゆたか 委員 学校は誰のためのものかといえば、地域のためのものではないと私は考えています。地域よりも、そこで学ぶ子どもたちのためのものだと思っていますから、その子どもたちの学びということに関して責任を負っているのは校長さんだと、これは共通の理解だと思いますから、校長さんが地域に余り伺い過ぎて、本来必要なことができないような窮屈な思いをしながら学校運営をしていくということは、このコミュニティースクールの趣旨とはちょっとずれてきてしまうと思いますから、そのあたりは、地域運営学校の本来の趣旨が通るようにきちんと指導していってもらうことを要望しまして、中村委員と交代いたします。 ◆中村公太朗 委員 図書館についてなんですけれども、この間の十一月から貸出冊数等変更があって、大分一度に借りる方が多くて、毎度毎度返しながらもう一度借りていくということが大変だから変わったんだろうなと聞いたら、絵本を結構頻繁に借りる若い世帯が多いからというところが結構取り上げられて、今回の変更になる背景の一つとしてあったんだというお話を聞きました。  子どもたち、今、いろんな図書館で読み聞かせだったりとか、指導というかそういうイベントをやったりとか、紙芝居とかもやったりしていると思います。とにかく今、保育待機児の問題を見てもわかるように、共働き世帯がどんどんふえていく中で、もちろん働かなければいけないのでしようがないと思いますが、子どもと親のコミュニケーションを小さいときからとっていくというのは非常に重要なことなんだろうなと思います。  そういった意味でいえば、この絵本というところをもっと区民に活用してもらいたいなと思っているんですけれども、現状、この間の絵本の蔵書数の変遷とか、予算の変遷とか、その辺を伺います。 ◎花房 中央図書館長 児童書の蔵書数でございますけれども、蔵書数は約四十九万冊でございます。それで、特に大幅にふえたりはしてございませんで、ここずっと四十九万冊で来てございます。購入費は大体三千五百万円前後というところで来ておりまして、今回冊数拡大に伴いまして、二十六年度予算は三百万円増額いたしました。 ◆中村公太朗 委員 三百万円予算をふやしたということですけれども、全図書館で割り振るんでしょうから、数十万単位になってくるんだろうなと思いますが、蔵書数は今四十九万冊ですから、全体で二百万冊ぐらいだったと思うんですよね。だから、四分の一ぐらいが多いのか少ないのかというところはあると思うんですけれども、それだけ需要があるということでしょうから、特に使う方というのは、絵本はそんなに何度も読むものでもないですから、ましてや小さな子どもは頻繁に毎晩ねだる子も多いでしょうし、多くの絵本を読めば、そこからまた発想が変わったりとか、小さいときの感受性も豊かになってくるような気もするので、ぜひふやしていったらいいなと思います。  予算に関してもふえていったらいいなと思いますけれども、同様の仕組みで、家庭で買って、やっぱり不要というか、何度も読んでしまった絵本とかもあると思うので、そういうのを例えば図書館で引き受けるような仕組みというのは、今現状どういう進捗というか運営をされているのかしら。 ◎花房 中央図書館長 絵本の寄贈がございます。今年度は全館で約一千八百点ございました。 ◆中村公太朗 委員 千八百点あって、もちろん古くなって処分をしたり、御自由にお持ちくださいという絵本もあると聞いていますけれども、購入するもの、そして寄附をいただいていくもの、合わせてでいいと思いますが、やはりどんどんと絵本をそろえていくことというのは充実をしていっていただきたいなと思います。世田谷の図書館の一つの特色としてでも、世田谷の図書館に行けば絵本は充実しているんだよと。より子育てがしやすいというか、そういう意味での子育て世帯にメリットが出るような魅力の一つとして確立をしていっていただきたいなというふうに思います。  もう一つは、毎回言っていますけれども、教育予算全体のパイの話です。予算概要にも、今回は教育費が三割、四割増額されたと書いてありました。大きな建築系というか耐震系のものも入っていたと思いますが、一方で細かく中を見て、子どもたちの教育にかけるカリキュラム費というのを三割、四割増額されたということだと思うんです。  毎回言っていますが、私立に魅力を感じて行ってしまう中高所得者も世田谷に多い中で、やはりセーフティーネットだけになってしまったら、区立の学校というのは魅力がなくなってしまうんだろうなというふうにも思うし、そこに通う子どもたちも、私立に憧れているんだけれども、区立に行かざるを得なかった的なマインドを持ちながら育っていくというのは少し違うんだろうなと思うので、ぜひ学校としての魅力をもっと持っていただきたいなと思う。  そのためには、学校独自の特色を引き出してあげたりとか、そういうふうにチャレンジをする機会とか予算とかというのをしっかりと確保していくことが必要だと思うんですけれども、学校のこうした予算の増減についてはどんな状況でしょうか。 ◎齋藤 教育指導課長 各学校のそういった創意工夫ある特色あるカリキュラムを実施できるようにするために、教育委員会は特色ある学校推進事業費というのを予算計上しておりまして、現在のところは、学校規模にもよるんですが、一校当たり三十三万円から四十八万円を計上しております。  また、そのほかに、学校のさらに上乗せとして、各学校の意欲的な取り組みを推進するための特別授業枠予算というのを設けておりまして、そこで申請された計画を査定して配当して、そうして実施しているという教育活動もございます。 ◆中村公太朗 委員 ことし、教育予算が三割、四割上がった中で、その予算自体は上がっていますか、上がっていませんか。 ◎齋藤 教育指導課長 この事業につきましてはほぼ同額でございます。 ◆中村公太朗 委員 ぜひそこの比率を上げていただきますように申し上げまして終わります。 ○和田秀壽 委員長 以上で世田谷民主党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○和田秀壽 委員長 以上をもちまして本日の質疑は全て終了いたしました。  本日の委員会はこれにて散会いたします。     午後五時三十六分散会...