世田谷区議会 2012-03-07
平成24年 3月 予算特別委員会−03月07日-02号
平成24年 3月 予算特別委員会−03月07日-02号平成24年 3月 予算特別委員会
平成二十四年予算特別委員会
予算特別委員会会議録第二号
日 時 平成二十四年三月七日(水曜日)
場 所 大会議室
出席委員(四十九名)
委員長 菅沼つとむ
副委員長 福田妙美
副委員長 すえおか雅之
あべ弘幸
石川征男
大場やすのぶ
上島よしもり
上山なおのり
小泉たま子
小松大祐
宍戸のりお
下山芳男
新川勝二
三井みほこ
山口ひろひさ
山内 彰
和田秀壽
板井 斎
岡本のぶ子
佐藤弘人
杉田光信
高久則男
高橋昭彦
津上仁志
平塚敬二
諸星養一
植田靖子
唐沢としみ
桜井純子
高岡じゅん子
てるや里美
羽田圭二
江口じゅん子
桜井 稔
里吉ゆみ
中里光夫
村田義則
大庭正明
田中優子
桃野よしふみ
風間ゆたか
佐藤美樹
中塚さちよ
中村公太朗
木下泰之
あべ力也
上川あや
ひうち優子
青空こうじ
出席事務局職員
議事担当係長 井上徳広
出席説明員
区長 保坂展人
副区長 板垣正幸
副区長 秋山由美子
世田谷総合支所 総合支所長 城倉 茂
北沢総合支所 総合支所長 工藤健一
玉川総合支所 総合支所長 堀川能男
砧総合支所 総合支所長 田中 茂
烏山総合支所 総合支所長 河合岳夫
政策経営部 部長 宮崎健二
財政課長 岩本 康
研修調査室 室長 野澤 永
総務部 部長 千葉信哉
総務課長 宮内孝男
庁舎計画担当部 部長(
施設営繕担当部長兼務)
柳澤正孝
危機管理室 室長 内田政夫
財務部 部長 西澤和夫
施設営繕担当部 部長 柳澤正孝
生活文化部 部長 金澤博志
スポーツ振興担当部
部長 菅井芳彦
環境総合対策室 室長 齋藤洋子
産業政策部 部長 杉本 亨
清掃・リサイクル部
部長 板谷雅光
保健福祉部 部長 藤野智子
梅ヶ丘整備担当部
部長 霜村 亮
地域福祉部 部長 堀川雄人
子ども部 部長 萩原賢一
世田谷保健所 所長 西田みちよ
都市整備部 部長 中杉和明
生活拠点整備担当部
部長 春日敏男
みどりとみず政策担当部
部長 吉村靖子
道路整備部 部長 山口浩三
交通政策担当部 部長 渡辺正男
土木事業担当部 部長 吉田 博
会計室 会計管理者 堀 恵子
教育長 若井田正文
教育次長 佐藤健二
教育環境推進担当部
部長 寺林敏彦
教育政策部 部長 古閑 学
選挙管理委員会事務局
局長 松田隆夫
監査事務局 局長 河上二郎
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本日の会議に付した事件
議案第一号 平成二十四年度世田谷区一般会計予算
議案第二号 平成二十四年度世田谷区
国民健康保険事業会計予算
議案第三号 平成二十四年度世田谷区
後期高齢者医療会計予算
議案第四号 平成二十四年度世田谷区
介護保険事業会計予算
議案第五号 平成二十四年度世田谷区
中学校給食費会計予算
(総括説明、総括質疑)
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午前十時開議
○菅沼つとむ 委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
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○菅沼つとむ 委員長 本日から、当委員会に付託されております平成二十四年度予算五件の審査を行うわけでありますが、さきに決定しております運営方針及び審査日程等に基づき委員会を運営してまいりますので、委員並びに理事者の皆さんのご協力をよろしくお願いします。
さて、本日は、まず区長よりあいさつをしていただき、引き続き政策経営部長より総括的な説明を受けた後、各会派の質疑に入ります。
それでは、区長のあいさつをお願いいたします。
◎保坂 区長 おはようございます。
予算特別委員会開会に当たりまして、ごあいさつを申し上げます。
平成二十四年度予算は、私にとって初めての予算編成でありましたが、持続可能性を築く土台づくり予算といたしまして、東日本大震災以降の大変厳しい財政状況、そして他方で行政需要の高まりの中で、持続可能な自治体を目指し、子どもたちの世代に未来を手渡していくためのかけ橋を築くつもりの予算として編成をいたしました。
具体的には、
行政経営改革計画による見直しを初め、委託料、電算経費、営繕経費について検証し、中長期の視点に立った施策の優先順位づけと重点化など、後年度を見越した歳出構造の見直しにより、一層の歳出削減に取り組みました。
二十三年度予算と比較しますと、マイナス予算、緊縮型予算となりますが、子育て支援、福祉の充実、災害対策などについては力を入れたと考えております。
詳細につきましては、この後に政策経営部長より説明させていただきますが、予算特別委員会のご審議の中で、委員の皆様からいただいたご意見、ご提案を踏まえまして、今後の区政運営に取り組んでいきたいと考えております。
長期間にわたる委員会となりますが、ぜひとも論点を共有し、実のある議論を交えながらご審議いただくようお願い申し上げ、ごあいさつといたします。
○菅沼つとむ 委員長 以上で区長のあいさつは終わりました。
次に、政策経営部長より説明をお願いいたします。
◎宮崎 政策経営部長 おはようございます。それでは、私のほうから、平成二十四年度世田谷区各会計予算案五件につきましてご説明申し上げます。なお、予算書及び説明書につきましては、平成二十四年度世田谷区予算・同説明書と平成二十四年度世田谷区予算説明書(別冊)の二分冊となっておりますので、ご確認いただければと存じます。
まず、厚いほうの冊子でございますが、平成二十四年度世田谷区予算・同説明書に基づきまして説明をさせていただきます。
初めに、予算編成の概要についてご説明申し上げます。五一ページをお開きいただけますでしょうか。平成二十四年度の予算編成の基本的考え方でございます。
本年一月に閣議決定されました政府経済見通しによりますと、平成二十三年度の我が国経済は、東日本大震災によります深刻な打撃を受けたものの、その後の復旧・復興努力や累次の補正予算によります復興需要を中心とする政策効果が景気を下支えすることから、景気の緩やかな持ち直しが見込まれております。また、平成二十四年度は、本格的な復興施策の推進によります需要の発現と雇用の創出が見込まれることから、国内総生産の実質成長率や名目成長率はプラスに転じると見込まれております。一方で、海外経済の下振れ懸念や円高の進行、電力供給の制約など先行きリスクも指摘されております。
このような中、平成二十四年度におきます世田谷区の財政見通しは、特別区交付金は前年度比で増額としているものの、特別区税は平成二十二年度税制改正によります増収を上回る区民所得の減により減少する見込みとしております。このため、前年度より大きく抑制しておりますが、基金からの繰り入れと起債の活用により財源を確保せざるを得ない状態が続いております。
一方、区は、災害対策の強化や
保育サービス待機児対策、
再生可能エネルギーの利用促進などの重点施策を積極的に展開するとともに、老朽化する公共施設の改修経費の増加や生活保護費等の
社会保障関連経費の増加、計画的な都市基盤の整備などの財政需要に対応する必要がございます。現在、基本構想、基本計画の策定を進めておりますけれども、当面、税収等が大きく好転することが見込めない中、将来ビジョンを実現する基礎となる財政運営のあり方が大きな課題となっております。区政の新機軸への転換を進めながら、将来の財政需要や景気の変動にも耐え得る強固な財政基盤を確立することが不可欠であります。
これらを踏まえまして、平成二十四年度の当初予算編成に当たりましては、
予算編成基本方針に基づき、
行政経営改革計画等によります見直しを初め、委託料や電算経費、営繕経費について徹底した検証を行っております。また、中長期の視点に立った施策の優先順位づけと重点化を行いまして、後年度を見通した歳出構造の見直しを進め、一層の歳出削減に取り組んだところでございます。
その上で、区民の要望にこたえることと、健全な財政基盤の維持の両立を基本に、安全安心、子育て支援、福祉と保健の充実などの重点課題に取り組むとともに、区民参加を推進し、「子どもが元気に育つ 互いの顔が見える 災害に強いまち」を目指す予算として編成したところでございます。
次に、五二ページをお開きください。歳入予算及び歳出予算の基本的考え方についてご説明申し上げます。
歳入予算につきましては、債権管理の徹底や税外収入の確保など自主財源の一層の確保に努めるとともに、持続可能な財政基盤の確立を目指し、基金や起債の活用を大幅に抑制することを基本といたしております。
歳出予算につきましては、厳しい財政状況の中で区民要望にこたえていくため、中長期の視点に立った施策の優先順位づけと重点化を行いまして、安全安心などの七つの分野に重点的に予算を配分いたしました。また、委託料や電算経費、営繕経費などの徹底した検証などを含めまして、
行政経営改革計画等に基づく見直しによります歳出削減の取り組みを進めるとともに、区民目線に立ち、限られた財源を最大限有効に活用することを基本といたしました。各分野におきます主な重点項目の内容などにつきまして、後ほどご説明申し上げます。
右側の五三ページをごらんください。今後の課題(目標)でございます。景気低迷の長期化によりまして、税収等が大きく好転することが見込めない中、
社会保障関連経費や公共施設整備費などの財政需要は引き続き増加することが見込まれております。こうした状況の中、安全・安心の取り組みを初めとする区の重点施策を着実に推進し、現在策定を進めております新たな基本構想、基本計画に示す将来ビジョンの実現に向け、行政経営改革の取り組みのもと、持続可能で強固な財政基盤の確立に向けまして、十項目の課題、目標を掲げております。
続きまして、五四ページをお開きください。各会計当初予算規模でございます。平成二十四年度の一般会計当初予算は、災害対策関連や子ども関連の経費、生活保護法に基づく保護費、
障害者自立支援給付などの増があるものの、
学校改築関連経費や子どものための手当の減などによりまして、二千四百二十七億四千百万円、前年度比でマイナス二・五%、六十二億三百万円の減となっております。
特別会計でございますが、
国民健康保険事業会計につきましては、保険給付費などの増によりまして、七百九十九億二千百万円、前年度比で四・〇%、三十億九千百万円の増となっております。
後期高齢者医療会計は、
療養給付費負担金などの増によりまして、百八十二億九千三百万円、前年度比で一五・一%、二十三億九千九百万円の増となっております。
介護保険事業会計は、
居宅介護サービス給付費などの増によりまして、五百四億八千六百万円、前年度比で八・九%、四十一億四千三百万円の増となっております。
中学校給食費会計は、共同調理学校数の減によりまして、一億五千四百万円、前年度比でマイナス一三・三%、二千四百万円の減となっております。
これら一般会計、特別会計を合計いたしまして、三千九百十五億九千六百万円、前年度比で〇・九%、三十四億七百万円の増となりました。
続きまして、各会計の概要についてご説明申し上げます。
初めに、一般会計についてご説明申し上げます。五八ページをお開きください。
平成二十四年度当初予算総括といたしまして、平成二十四年度の財政計画をお示ししております。右側、五九ページの第一表、平成二十四年度当初財政計画(一般会計)に基づきまして、
年間収入見込み額について主なところをご説明申し上げます。
一般財源のうち、特別区税の特別区民税は、年少扶養控除の廃止など税制改正に伴います増加を見込む一方で、前年区民所得の減少を踏まえまして、一千八億一千六百万円、前年度比で一・九%の減を見込んでおります。
次の地方譲与税から地方特例交付金につきましては、国や東京都の予算状況や景気の動向、平成二十三年度の交付実績などを踏まえまして、それぞれ一定の増減を見込んでいるところでございます。
特別区交付金は、市町村民税法人分と固定資産税収入の減が見込まれておりますけれども、算定の基礎となります財政需要額の増などによりまして、四百十七億円、前年度比で一一・五%の増を見込んでおります。
繰越金は、平成二十二年度の決算実績を踏まえまして、二十億円、前年度比で三三・三%の減を見込んでおります。
その他の欄は、財政調整基金等からの繰入金の減額などによりまして、四十八億一千二百万円、前年度比で一三・二%の減となっております。
これらによりまして、一般財源の
年間収入見込み額は一千六百六十九億五千百万円、前年度比で〇・二%の増となっております。
特定財源につきましては、まず、国庫支出金が、子どものための手当の制度変更に伴います負担金の減額によりまして、三百三十億九千八百万円、前年度比で八・六%の減を見込んでおります。
都支出金は、都市計画事業の増に伴います都市計画交付金などの増額によりまして、百六十八億六千七百万円、前年度比で四・五%の増を見込んでおります。
特別区債は、新規発行の抑制を図り、(仮称)
池尻複合施設建物取得事業や
小・中学校改築事業、公園用地買収事業などにつきまして、六十三億八千万円、前年度比で三二・八%の減を見込んでおります。
その他の欄でございますが、特定目的積立基金からの繰り入れの抑制などによりまして、二百十四億四千五百万円、前年度比で八・八%の減となっております。
これらにより、特定財源の
年間収入見込み額は七百七十七億九千万円、前年度比で八・九%の減となっております。
以上、一般財源と特定財源を合わせました
年間収入見込み額は二千四百四十七億四千百万円、前年度比で二・九%の減となっております。
なお、当初予算が確定した後に生じます緊急の需要等に備えまして、前年度繰越金二十億円を留保したため、当初の予算計上額は二千四百二十七億四千百万円となっております。
次に、六四、六五ページをお開きください。歳入予算を款別にお示ししたものでございます。
続きまして、六六、六七ページをお開きください。歳出の款別予算額でございます。なお、予算額などにつきましては、百万円未満を四捨五入した概数でご説明をさせていただきます。
六六ページの中ほど、性質別内訳でございますが、下から三段目の合計欄、太字の部分をごらんください。
まず人件費でございますが、給与改定に伴います削減のほか、正規職員及び再任用短時間勤務職員の減や
地方議会議員年金制度の廃止に伴います負担金の減などによりまして、四百七十二億九千二百万円、前年度比で十二億六千万円の減となっております。
行政運営費につきましては、子どものための手当支給経費が減となった一方で、生活保護費や
障害者自立支援給付費、特別会計への繰出金の増などによりまして、一千六百七十億二千八百万円、前年度比で一億四千八百万円の増となっております。
投資的経費でございますが、公園新設や
代田区民センター改築などが増となる一方で、小中学校の改築、増築の大幅な減などによりまして、二百八十四億二千百万円、前年度比で五十億九千百万円の減となりました。
六九ページ以降につきましては、歳入歳出それぞれを款・項・目別にお示ししております。後ほどご確認をお願いできればと存じます。
次に、薄いほうの冊子、平成二十四年度世田谷区予算説明書(別冊)によりまして、重点項目事業等のご説明をさせていただきます。
まず、別冊の六ページをお開きください。こちらに行政経営改革の取り組みについてお示しをしております。これらの取り組みによります見直し(効果)額は、合計で二十九億七千四百万円となっております。なお、詳細は五八ページから六〇ページにお示ししておりますので、後ほどごらんいただければと存じます。
続きまして、二五ページをお開きください。重点項目でございます。なお、項目欄に記載しております資料ナンバーは、八九ページ以降に掲載いたしました
重点項目説明資料の各ページの欄外に表示した資料ナンバーをお示ししておりますので、後ほどご参照いただければと存じます。
それでは(1)の安全・安心についてご説明申し上げます。
1から次のページの6までは災害対策総点検に基づく取り組みでございます。まず、1の災害対策本部機能の強化では、
災害対策本部長室等災対諸室の移転や非常用発電設備、深井戸等の給排水設備の設置などに取り組むとともに、3の
災害用マンホールトイレの整備や、4の災害時地域助け合い活動支援では、避難所の充実や地域防災力の強化に取り組んでまいります。
二六ページをお開きください。5の区民の防災意識向上のための普及啓発では、災害時
区民行動マニュアルの全戸配布や地域の防災士の養成に取り組んでまいります。
6の建築物耐震診断・補強工事では、木造住宅一階部分のみの耐震改修や
耐震シェルター等設置に対します助成を新たに行うなど、耐震機能を高めてまいります。
次に、二八ページをお開きください。(2)の子育て支援についてご説明申し上げます。
1の
保育サービス待機児対策では、七百人程度の定員拡充に向けまして、小規模な認証保育所やグループ型の家庭的保育事業などの新たな手法も取り入れ、保育施設の整備を進めてまいります。
右側二九ページをごらんください。5の病児・病後児保育事業では、定員の拡充を図るとともに、新たな病児保育施設の検討に取り組んでまいります。
7の
子育てステーションの充実では、生後四カ月以上のお子さんを預かるゼロ歳児ほっと
ステイモデル事業を新たに実施し、在宅子育ての支援を充実してまいります。
8の児童虐待防止対策の推進では、乳児期におきます児童虐待対策として、
赤ちゃんショートステイ事業を新たに実施してまいります。
三一ページをお開きください。(3)の福祉・保健の充実についてご説明申し上げます。
1の発達障害者支援では、成人期の発達障害者に対します居場所の提供や就労に向けた支援などに新たに取り組んでまいります。
3の
障害者通所施設整備と4の
障害者グループホーム整備助成では、障害者施設の計画的な整備に引き続き取り組んでまいります。
三二ページをごらんください。7の高齢者見守り施策の推進では、地区高齢者見守りネットワークのモデル実施の拡充や民生委員によりますふれあい訪問の対象者の拡充など、高齢者の見守り施策をさらに推進してまいります。
右側三三ページ、12の母親(両親)学級の充実では、土曜日の開催回数をふやし、母親学級、両親学級の充実を図ります。
続きまして、三四ページ、(4)の環境施策の推進と世田谷みどり33についてご説明申し上げます。
環境施策の推進として、1のエネルギーをたくみに使う
まち世田谷推進プロジェクト二〇一二では、「
世田谷スマートライフ」推進事業や環境啓発イベントを実施し、区民と事業者、区が連携して、省エネルギーや
再生可能エネルギーの利用を促進してまいります。
5の公園・緑地の整備では、世田谷みどり33に向けました取り組みといたしまして、引き続き、(仮称)二子玉川公園などの整備を進めてまいります。
続きまして、三六ページをお開きください。(5)の地域の活性化と文化の発信でございます。
1の若者(就労)支援では、新たに雇用や産業、福祉等の関係機関が連携して、就労機会に恵まれない若者にさまざまな就労機会を創出する取り組みを進めてまいります。
緊急総合経済対策の一環として、2の中小企業への融資制度から、4の
緊急雇用対策事業までは、区民生活の支援や地域経済の活性化に取り組んでまいります。
右側の三七ページをごらんください。7のスポーツ祭東京二〇一三リハーサル大会の開催と本大会の準備では、平成二十五年度に開催されます東京国体に向けまして、
競技別リハーサル大会の開催など、本大会に向けた準備を進めてまいります。
続きまして、三八ページをお開きください。(6)の都市基盤の整備でございます。
1の災害に強い都市基盤の整備では、特に防災の観点に立って必要な都市基盤の整備に取り組んでまいります。
2の
小田急線鉄道跡地利用(上部利用)の促進では、
下北沢駅周辺地区シンポジウム及び区民意見交換会などの実施や、駅前広場整備の基本設計などを行ってまいります。
3の
二子玉川東地区市街地再開発では、公共性、公益性の観点から、改めて行った検討結果を踏まえまして、引き続き生活拠点の整備を進めてまいります。
四〇ページをお開きください。(7)の世田谷区の教育の推進についてご説明申し上げます。
1の「世田谷九年教育」の推進では、土曜補習や朝学習、学習習得確認調査などを実施し、世田谷九年教育の区立小中学校全校での試行に取り組んでまいります。
右側の四一ページをごらんください。7の新学習指導要領実施に向けた取組みでは、中学校での武道の必修化に伴い、生徒の安全の確保と円滑な指導を図るため、各校に武道支援員を配置してまいります。
9の学校の改築では、施設の老朽化等への対応を図るため、新たに二校の基本構想に着手し、計画的に学校の整備に取り組んでまいります。
四二ページをお開きください。これまでご説明申し上げました七つの分野のほか、(8)のその他といたしまして、1につきましては、税外収入確保の取り組みによりまして歳入を見込むものでございます。
2の世田谷区基本構想・基本計画の策定では、基本構想・基本計画の策定に向けた審議会の運営や
区民意見交換会等の実施に係る経費を計上しております。
また、3の区制八十周年記念事業の実施では、区政功労者表彰や記念講演などの記念式典を実施するとともに、多くの区民が集う場を提供するため、周年記念を冠とした各種イベントを実施してまいります。
これらを合わせまして一般会計の重点項目といたしましては、右側の四三ページの欄外にお示ししたとおり、総額七百九十四億三千百万円となっております。
次の四四、四五ページには、四つの特別会計におきます主な項目を掲載しております。各会計の予算額等につきましては、冒頭申し上げたとおりでございます。
なお、厚いほうの冊子、平成二十四年度世田谷区予算・同説明書の四三五ページ以降に、特別会計におきます歳入歳出の事項別明細や款・項・目別の内訳を掲載しておりますので、別冊とあわせまして、後ほどご確認いただければと存じます。
以上をもちまして、平成二十四年度世田谷区各会計予算案五件に関します説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○菅沼つとむ 委員長 以上で政策経営部長の説明は終わりました。
────────────────────
○菅沼つとむ 委員長 ただいまから総括質疑に入ります。
質疑者はネームプレートを質疑者席にお持ちいただくようお願いします。なお、持ち時間の終了五分前には予鈴と質疑者席の緑のランプの点灯でお知らせいたします。さらに一分前には赤のランプの点滅でお知らせいたします。
また、質疑される委員の方はマイクから離れ過ぎないようにお願いします。
続いて、理事者の皆様に申し上げます。答弁は簡潔、明瞭にお答えいただきますよう願います。
また、予算運営委員会において、やむを得ない場合は、理事者が席を離れることを認めると確認されておりますので、無理をなさらないでください。
それでは、総括質疑を始めます。
自由民主党・新風、どうぞ。
◆上島よしもり 委員 それでは、自由民主党・新風の質疑を始めさせていただきたいと思います。
私から、まず、デジタルコンテンツ産業誘致問題について取り上げたいと思います。
今回は区長初めての予算でありますので、本来であれば予算審議中心に当然やっていきたいと思っておりますけれども、冒頭にこの問題を取り上げさせていただくのは非常に残念だと思っております。
四年間、これから区長がどのような区政運営をされるのかということは、これからまた、今回の予算審議を通じてできるだけ明確にお答えいただきたいと思っておりますけれども、そういう質疑を差しおいて、この問題についてからやっていくことの重みというものを、まず区役所全体で受けとめていただきたいなというふうに思います。
それでは、実際その質問に入らせていただきますけれども、今回、第三者機関による検証の報告書が先日示されたわけですが、その中で五つの問題点が指摘されまして、六つの提言がなされております。もちろんこの検証を受けとめてどう対処していくかは区が速やかに示すべきものでありますが、報告書を読み返すほどに驚きを隠せません。
このデジコンの問題については、さきの決算委員会の際に、議会に対する不誠実な情報提供が問題となり、それまで築き上げてきた執行機関と議会の関係が著しく損なわれたことは、極めて残念なことでありました。ないと言っていたはずのものが後から出てくる。しかも、組織ぐるみで隠そうとしていたことが明るみに出たのであります。
そうした経緯を踏まえますと、このたびの検証委員会による報告書を見ますと、特に調査部会報告書には、事業の構想に係る初期段階から事業中止に至るその時々の起点となった対応の問題などが指摘されるなど、これをどう受けとめ、どのように対処、改善していくのか、早急な対応が求められます。
そこで、報告書を通じて浮かび上がってまいりました幾つかの疑問点について、ここで明らかにしていかなければ、我々としても胸のつかえがとれぬばかりか、新たな予算の執行を全面的に任せるというわけにはいかないものであります。
今回の問題は、初期段階からの場面場面での問題すべてが、二子玉川再開発を契機に、世田谷らしい産業を何としても誘致したいという気持ちが前のめりになり過ぎて、冷静かつ客観的な事務処理、危機管理が極めておろそかになっていたことが根底にあるように考えます。不十分な計画、不適切な事務処理、いいかげんな管理体制、それによって引き起こされたことが、報告書から読み取れるわけであります。
そこでまず、事態が大きく動き始めた都の補助申請に関連して伺っていきます。
報告書の六ページには、二十年三月に策定した区の産業ビジョン、産業振興計画では、区に誘致すべき新たな産業について具体的な方針が決められずにいたが、二十一年、東京都創造的都市型産業創出助成事業の存在を知ったことで、映像産業の誘致に踏み切った旨、記載がございます。この補助金申請では、DCInを有力な事業者候補ととらえていることがうかがえるとあります。都に提出された推進計画から、最終的にDCInの名称が削除された事実を踏まえれば、区がそのように認識していたはずであることは明らかと言えます。
つまり、単刀直入に申し上げれば、事の発端は、DCInありきですべてが動き出したことにあるのではないかと考えるわけですが、この点について区の認識を伺います。あわせて、この補助金申請自体、区が持ちかけたのか、あるいは持ちかけられたのか、DCInの前身であるDCCJとのいわゆる交流と書かれている内容も含め、補助申請に至るまでの経緯を明らかにしていただきたいと思います。
◎杉本 産業政策部長 区におきましては、既に平成十七年三月に策定されました基本計画におきまして、区に存在する映画、映像に関する資源を利用しまして、映像コンテンツ産業を誘致することで、区の魅力の創造と活力あるまちづくりを目指すことを示したところでございました。確かに同時期に経団連や経済産業省によるデジタルコンテンツの産業集積への研究活動がございましたけれども、都への補助金申請は区の判断で行ったところでございます。
国や都などの補助制度などを研究する中で関係を有しましたコンソーシアムに対しまして、意見交換をするなど事業スキームを考える際の参考にして、また他区の動向なども勘案しながら、申請を計画したところでございます。
DCCJとの交流でございますけれども、平成十九年に映像産業クラスターを実現するための検討委員会については、合計五回開催されまして、オブザーバーとしまして、国や都の担当者とともに、区からの担当者も参加いたしました。検討としましては、二子玉川地域に映像コンテンツ産業の集積を図ることや、地域施設の活用等が検討された模様でございます。
区としましては、民間事業の動向や技術的な最新の情報を取得することを求めまして、一方で、世田谷区の現状や区の基本計画、産業ビジョン等の説明を求められて情報提供を行ったと聞いております。オブザーバーとして参加するに当たりまして、区の企画部門と、これらの事業を民間主体で行うべきこと、区は産業振興の面から側面的な支援、PRを行うなどの基本姿勢をとることとしたと聞いております。
◆上島よしもり 委員 その補助金交付決定後、推進事業体の公募を行うことになるわけですけれども、公募のありようを見る限り、ここでもDCInありきで進んでいたということが明らかになっていると思います。
報告書の中でも特に問題と言えるのが、このプロポ選定の経緯であります。DCInが必須要件であるはずの決算報告書を提出していないにもかかわらず高得点で評価され、推進事業者に選定されました。なぜDCInは決算報告書を提出できなかったのか。また、部会報告書の一八ページにあるように、なぜ求められるはずの二十一年度分決算書案の提出を区は求めなかったのか。さらに、決算報告書もないのに、なぜ選定委員は七点や五点をつけられたのか。区はどういう介入をされたのか、説明をいただきたいと思います。
◎杉本 産業政策部長 決算報告につきましては、必須書類でございましたけれども、当時DCInは設立後一年を経過しておらず、公募時におきましては決算報告書がなかったため提出されなかったものでございます。以降、補助交付時におきましても、決算報告書を区としまして催告することなく提出を受けずにいたことは、検証委員会のご報告にございますように、事務処理としてまことに適切ではなかったと反省しております。
判定につきましては、調査部会報告書にあるとおり、法人は設置して間もないため、公募時におきまして、決算報告書を提出することができず、ヒアリング時におきましても、事務局から、決算状況について今後の運営に問題ない旨を選定委員会に口頭で説明するなどを行ったものでございます。各委員におきましては、それをもとに独自に各自判断したものと認識しております。
選定当時におきましては、財政基盤や収支よりも、その当時でございますけれども、事業を動かすことの意見や議論に重点が置かれたように思われまして、事業コンセプトや方針などに多く議論が費やされたものと考えております。選定時に、報告書の指摘のとおり、決算状況や収支状況への着目が弱かったものと言わざるを得ないことは認識しておりまして、ご指摘のとおり反省しております。
また、DCInですが、平成二十一年七月に設立されており、当時からデジタル映像コンテンツの誘致集積事業につきましては、具体的なアイデア等について相談していた事実がございました。
◆上島よしもり 委員 済みません、ここは結構大事なところでして、DCInが決算報告書を出せなかった。設立して間もないということはわかりますけれども、こちらの報告書でもあるとおり、ヒアリングの段階で、少なくとも二十一年度の決算報告書を提出いただくことは不可能ではなかったはずだということなんですね。それをそのままであったと。要請をしたということは書いておりますけれども、実際は必ず提出しなさいという姿勢ではなかったというのが、この報告書から読み取れると私は思うんです。
多額のこういった補助金支出を伴う事業者選定ですから、こういう事業者選定は重要なところなわけですけれども、ここのところがしっかりとできていなかったということが問題でありまして、本来であれば、普通に事務をやっていれば、こういったところはだれでもわかるものじゃないですか。そういったことについて、区のあらゆる部署での事業者選定が行われていたり、現在もこれからもするわけですが、本来であれば気がつかなければいけないところを見逃していた。もっと言えば、DCInありきで進んでいるからそこのところを見落としてきた。つじつま合わせにやっているにすぎないということではないかと我々は思うんですが、いかがですか、説明してください。
◎秋山 副区長 今回の事業誘致でございますけれども、世田谷の新たな産業集積を目指して積極的な事業展開を図ろうという世田谷区の産業ビジョンに基づいて、新たな都市型産業の誘致として、平成二十一年十一月に開催された庁議準備会において、それからまた、二十二年の一月に開催された政策会議において、公募などの事業手法の確認を行いまして、事業実施について、区としての政策決定を行う中で実施をしていったという経過がございます。それぞれの庁内会議の中で、事業の目的や効果とか、それから補助制度や事業手法などの事業の具体化について議論はしているところでございますが、気づかなかったという点については、大変反省をしております。
政策決定の結果につきましては、平成二十二年四月に区民生活常任委員会にご報告させていただいておりまして、その後、二十二年六月に事業者の選定結果をご報告させていただいております。
今振り返れば、事業者選定に関しての慎重さを欠いている部分、それから、補助金の支出に当たりましては、二重三重のチェックが必要であり、慎重かつ細部にわたる議論が不足していたということは本当に反省点としてございます。今後設置されます庁内の改革委員会でも、しっかり新しい事業を進める際のチェック機能やコンプライアンス機能などを見直しまして、早急に検討いたしまして、庁内の周知を図っていきたいと考えております。
◆上島よしもり 委員 今、気づかなかったというご答弁でしたけれども、まず、区議会で区政運営について、こういう議会の中で議論しているわけですが、そこには当然大小さまざまな議論があって、その多くは、制度や仕組みについて我々は改善なり提案も含めてその議論をしているわけですが、その前提には、やはり区役所は、区は、決められた手続をしっかりと守ってやっているという信頼というか、基本があってこういう議論ができるわけでありまして、それが守られていない実態が出てくれば、これは区政を揺るがす大変な問題であると我々は思います。
特にこれは、広くはなくとも所管を超えて、いわば区の皆さんは事務処理の職人なわけですから、この辺のところを見過ごすというのは、気づかなかったというのは、私はあってはならないと思います。幹部職員、一般職員も多くの人が目にしているだろう事業運営の中で、この手続が不備でスルーしていたことは正直言って非常にショックです。事業者選定において、一部の審査委員からも、決算書の不備について疑義が出ていたというように報告書にも書いてあります。こういうことを含めますと、これをどう解釈していいのか、議会側として非常に苦しむわけですけれども、その点いかがでしょうか。
◎秋山 副区長 当時においては、初めての産業集積を成功したいという気持ちがとても先走っていたというところがありまして、選定時やその後の確認におきましても、財務体質の慎重な検討にまで至らなかったものだというふうに思っております。事業内容面を重視しておりまして、選定においても事業の内容にばかり目をとられていたり、気をとられていた面があったというふうに思いまして、検証委員会のご指摘のとおり、適切ではない事務作業を進めたことを強く反省しております。事業開始に当たり、もっと丁寧かつ慎重に検討を進めてから事業を開始すべきであったというふうに思っております。反省をしております。
◆上島よしもり 委員 先ほどの答弁に戻ってしまうんですけれども、選定の中で、ヒアリング時において、事務局からは口頭で、決算事業について今後の運営に問題ないという説明が選定委員にあったということだと思うんですけれども、これはそういうふうなことを踏まえて考えますと、やはりDCInありきで物事を進めていたというふうに我々は受けとめざるを得ないというふうに言っておきたいと思います。
加えて、もう一つというか、我々区議会としては、地域のいろんな問題を日ごろ聞いて、またそれを区側に申し上げたり、また場合によっては、個々の事案について区側にいろいろ情報を求めたりしているわけですけれども、この中で、要綱にないから、また条例にそうなっていないから、もしくは手続上それはないからということで、本当に区民の苦しい立場を断ってきている部分も我々はたくさんあるわけです。そういうことを考えますと、本当にこういう手続をきちっとやっていないということが一方であるということは、これは我々としても、区民にどう説明していったらいいのか、区民とどう向き合っていいのかという苦しい思いであります。その点については、今後、区側のほうでも、先ほど副区長から答弁がありましたけれども、対応をしっかりしていただくしかないんですが、本当にショックであるというふうに言っておきたいと思います。
それともう一つ、デジコンの事業の実態なんですが、事実上は二子デジタルへ丸投げしていたと言っても過言ではないと思います。実績のない二子デジタルに全く疑問を持たなかったのでしょうか。DCInの言いなりになって、何の確認もせず、区は都合よく利用されてしまったのではないかというふうに思わざるを得ないのですが、この点について見解を伺います。
◎秋山 副区長 この事業につきまして、まずは民間主導を基本としていく、区は基盤整備に係る側面的な支援を行うということを考えまして、区としては、この事業者に対しまして、月二回以上の進行管理を含めた打ち合わせをDCInの理事らと行っておりまして、補助事業の運営がうまく進むように努めてきたつもりでいますけれども、今振り返るならば、本当に指導力が足りなかったというふうに思っています。
二子デジタルということのお話なんですが、平成二十二年二月二十六日にこの会社は設立をされておりまして、当事業では、DCInの事業の業務委託を受けて事務や施設整備の対応を行っていました。事務機能の強化という意味で立ち上げたというふうに聞いておりまして、区の職員も適時、直接指導に行っていたというふうに聞いております。新しい事業を成功させようというふうに考える余り、疑問を持つというよりかは、成功させようという意気込みを持って指導を進めてきたものだというふうに認識をしております。
実績確認においても、事業計画に基づいて東京都とも確認をしながら行いまして、明らかに補助事業とは認めがたい経費については補助対象外として処理をして、一部の補助金については精算のときに返還を行わせたというところがありますが、結果として事業の進行のチェックや指導が十分ではなかったということでは反省をいたしております。
また、DCInは大学教授などの社会的な信用のある方々の集まりでありまして、大企業からの支援も受けられるというふうに聞いておりましたので、まずはきちんとやってくれるものというふうに信用してしまった一面もあると深く反省をしております。
今後、補助事業の適正な執行や改善につなげる検討会を設置する中で検討して、あわせて、都市型産業の誘致の可能性についても、原点に返って方策を検討してまいりたいというふうに考えております。
◆上島よしもり 委員 もう一つ、平成二十三年三月に「AERA」から記事が出ましたが、それが出たにもかかわらず、報告書の二五ページにあるように、五月二日に一千九百四十万二千円の補助を確定してしまったわけです。全くこの点についても理解に苦しむわけですが、平成二十三年五月十三日の総務省からの調査結果を知って、DCInの説明と大きく食い違っていたわけですが、その時点ですらおかしいと思わなかったのか、それについてはいかがでしょうか。
◎秋山 副区長 平成二十三年三月七日発行の「AERA」の記事を見て、所管部としては事実確認のためにすぐに総務省に電話連絡をして状況確認を行いましたが、総務省からは調査中ということで、それ以上の確認はできなかった状況です。また、DCInにも急ぎ確認をしましたけれども、そのときには総務省はDCInの主張を認めて、不適切な事務処理を是正することで大きな問題にはならないというふうに言われて、そういうふうに聞いておりました。また、DCInが国に問い合わせても、コンプライアンス室と補助主管課との見解が違うということで、そういった説明も伺っていました。
二十三年度に入っても総務省の動向には適時気をかけていまして、区からの連絡はとっておりました。四月十三日に区の補助事業の実績確認を行った際にも、総務省事業の状況は依然として正式にはわからない状況でございました。実績確認につきましては、事業計画に基づき東京都とも確認しながら行ったもので、明らかに補助事業とは認めがたい経費については補助対象外として処理をして、一部の補助金について減額をして返還させました。本年四月中に、補助金の額を確定して東京都に報告する必要がありましたが、経費などの審査に時間がかかりまして、五月二日に支払いの確定を行いました。
国の動きにもう少し注視をして、また国の事業との関連性に注目をしていれば、もう少し別な動きになったのかもしれないなというふうに今は思っておりまして、そこまでの配慮がなく、本当に申しわけなかったと思っております。
◆上島よしもり 委員 この報告書の中にはいろいろな事象が記載されているわけですけれども、今回の問題は、まず、ありきで組織が突っ走ってしまったこと、またその中で、DCInを全面的に信用して、もっと言い方を変えれば、うのみにして進めてきたというところが問題であったというふうに思います。そういう意味での事業の総監督である産業政策部長の判断は、私は非常に重いと思います。
そういう意味で、ぜひここは、DCInがいかに経済的基盤や事務処理能力が欠如しているのか、私は認識できた場面もあったと思うんですが、気づかなかったんでしょうか、それとも、もう後戻りできなかった状況なのか、状態だったのか、そこが一つ大きくどうしてもひっかかってくるわけですが、産業誘致の立ち上げ、事業者選定にそれぞれかかわった新旧担当部長は、今回の事業を進める中で、みずから行った判断について今どのように感じているのか、また、事業総体としてどう感じているのか、率直なところをお聞かせいただきたいと思います。
◎杉本 産業政策部長 平成二十二年度より、部長としましてこの事業を担当させていただきまして、既に区の方向性が示されたこの事業を推進すべく、また、世田谷の産業の未来を志向できる事業として、私本人も意欲を持って取り組もうとしたことは事実でございます。
この事業が、今までにない、世田谷において画期的な新しい事業でございまして、事業は順調に進めたい、または進んでいると思い込みまして、事業者を疑うことなく、これは言いわけになりますけれども、善意に信じ過ぎた感があったことは今になって反省しております。
ただ、この事業を進めるに当たりまして、将来の成功を夢見て、真に成功を願いまして、その時点時点では適正に職員に対しても進めるよう指導、または判断してきたつもりでおりますけれども、検証委員会のこのご報告をまとめていただいた結果を見ますと、区として多大な問題を露呈したことと認識しております。
このような事態となりまして、検証委員会の報告を受けまして、自分の判断や進め方に、慎重さや丁寧さ、それから公務員としての、先ほど言われたような職員としての意識や適切でない事業の進め方に対しまして、言いわけできないような事態を招いたことは大いに反省しております。ひとえに、部長としての、管理者としての力量のなさを痛感しまして、議会、区民の皆様には大変なご迷惑をかけたとおわび申し上げます。
◎田中 砧総合支所長 当時の産業政策部長として申し上げます。新たな取り組みでございましたが、より幅広い視点から、なおより総合的な判断を下すべきであったかと思っております。できる限りの状況の中で、区として主体的に動いているつもりでございましたが、結果としては、一部の民間事業者の意向を実現しようとするようなことになりまして、非常に残念です。区民、そして次の世代を担う子どもたちに、将来に向けた夢を与えられる可能性があるものと感じておりましたが、結果として、区民、関係者の方、そして議会の皆様に多大なご迷惑をおかけいたしました。仕事は結果がすべてであり、まことに申しわけなく思ってございます。
区としては経験のない新たな取り組みでありまして、こうした専門的分野のエキスパートの皆様の力量と実績を客観的に評価する材料と角度を持ち合わせていなかったことを悔やんでおります。なお、後任のスタッフ、特に職員の諸君を非常に厳しい状況に追い込んでしまったことを反省しております。申しわけありませんでした。
◆上島よしもり 委員 最後に、今回の報告書から、区の事務処理のいいかげんさ、またデジコン関係者のいいかげんさしか浮かんでまいりません。この事件を、この案件を区はどのように処理するつもりなのか、だれがどのように責任をとるつもりでいるのか、また処分も考えているのか、区長に最後お答えいただきたいと思います。
◎保坂 区長 十二月末から時間をかけて、比較的短期の間にこの事実関係を見る調査部会報告書並びに最後に提言も含めた報告書を受け取って、ただいまご指摘のようなさまざまな問題、新たに私も読み返して非常に大きな問題を含んでいると感じております。まず区としては、これを検証委員会、小町谷委員長から受け取ったわけで、これをしっかり受け取って、やはり区としての総括が必要なのではないかと思っています。区としての総括を踏まえて、責任の問題、あるいはそれぞれの個々の職員の責任の問題も含めて、総括を経てしっかり判断をしていきたい。
もう一点は、先ほど秋山副区長からの答弁にもありましたけれども、補助金の制度、あるいはその事務手続や運用に係る点で多々問題を露呈しています。これについては、この点に関する改革委員会を立ち上げて、こういうことを二度と繰り返すことがないように、比較的早い段階でこれをまとめ上げて、また議会へご報告をして、ご議論いただきたいと思います。
◆上島よしもり 委員 次の質問者にかわります。(「もうこれで終わり」と呼ぶ者あり)
◆山口ひろひさ 委員 もうこれで終わりという不規則発言がありましたが、終わりです。
私は、ちょっとデジコンから離れまして、提案を含めていろいろ質問をさせていただきたいと思います。
先月の二十八日ですけれども、熊本前区長の祝賀会がございまして、たしか保坂区長もご出席されていたと思います。偶然というのはあるものだということでごあいさつの中で言われておりましたが、小田急線の沿線でばったり前区長と現区長がお会いしまして、一献を交わされたと。三時間に及んで前区長のいろいろな苦労話を伺ったということをあいさつで述べられておりました。その中で、前区長が現保坂区長に対して、先例にこだわることなく思うようにやりなさい、こういう言葉をいただいたと。
その中で、当初九五%の継続ということをおっしゃっておりましたけれども、今回の本会議の中で、我が会派の政調会長の下山議員が、今回の予算案を見て、九五%ではなくて、これでは九九%の継続だと言っておりましたけれども、我が政調会長をこのように言わしめた区長の判断というのを私は評価させていただきたいと思います。(「評価なんだ」と呼ぶ者あり)私個人ですよ。
私は、都市農業についてまずお伺いしたいと思うんですけれども、世田谷の農業、直売を中心とした野菜ですとか、果実、また花卉を販売しているわけでありますけれども、練馬では練馬大根というのが有名ですけれども、世田谷では大蔵大根というのがやはり有名であります。そのほかにも、今、世田谷のブドウも結構地域の方から喜ばれたり、ブドウの研究会があったり、またこの間ちょっと聞いたんですけれども、イチゴの研究も結構長年されているということであります。
しかしながら、この都市農業というのは人手の不足ということもありますし、後継者の問題もありますけれども、一つ大きなのはやはり相続税の問題というのがありまして、年々世田谷の農業も減少しているというのが現状であるわけです。
先般、我が会派で、世田谷区農業青壮年連絡協議会さんというのがあるんですけれども、こちらのご案内で、区内の農地の視察をさせていただき、その後さまざまな意見交換をさせていただいたんですけれども、やはり農地の方は農地を守るために、大変厳しい税制の問題や後継者の問題、そういう中でいろいろ工夫をしながら守っている努力をされているということが理解されたわけであります。
世田谷の農地、いわゆる都市農地はそうですけれども、単なる食物を生産する土地だけではなくて、今これだけの人口を抱える都市部において、やはり防災のときの貴重な空間、そのスペースとして大きく注目されているわけであります。また、この世田谷というのは二十三区の中でも非常に住環境の整った、土地のレベルとしては非常に高い位置づけがあると私は思うんですけれども、そういうことに関しても、私はこの農地の存在というのは大きな貢献をされているんじゃないかなと考えるわけであります。
そういったさまざまな要素がある農地ですけれども、私は防災のことも考えると、しっかりと保全をしていく努力をしなければならないと思っておりますけれども、区長は、都市農業の振興と保全に関して、基本的にどのような方針を持ってこれから臨まれていくのか、まずお伺いしたいと思います。
◎保坂 区長 私も就任以来、区内の農業協同組合の関係の皆さんと意見交換をしたり、あるいはファーマーズマーケットの上の食堂で、「せたがやそだち」の野菜を使った非常に人気のあるメニューをいただいたり、また、世田谷でもう一回ワインをつくろうということで、大変ご苦労をされて、わずかなワインしかまだできないそうですけれども、これを本格的なものにしたい、そういう意気込みなどを伺ってきました。
ただ、委員おっしゃるように、世田谷区の緑の多くがやはり農地で、その農地は相続によってどうしても損なわれていく。農地は大体広いものですから、これを売却するとほとんどが集合住宅、マンションになりということがずっと傾向としては続いているわけであります。ですから、熊本前区長のみどり33も大変いい着眼点、目標だと思ってこれは継承していますけれども、ただ毎年毎年いろいろな行事をやったり、シンポジウムをやったりというだけでは、今おっしゃった税制の問題というのは変えられないんじゃないかという危機感もございます。
というのは、税制は国で決めます。と同時に、農地に係る税制について、これまで、特に東日本大震災以前は、農家の方は土地持ちだと、マンション経営等をされているということで、そのマンションに住んでいる都市住民とは一定の感覚の違いと、交流がそんなに密じゃないということがあったかと思います。
おっしゃるように、防災ということで考えると、これ以上スペースが全部埋められていったら、いざというときにどうなるんだということと、都市の中で緑と作物を供給している、これを区民の皆さんとともに都市農地を守ろうと。
つまり、マンションにお住まいの方、戸建てに住んでいる方も含めて、農家の方だけがそこで旗を振るのではなく、それをつくり上げるのがすごく大事だと思っておりまして、先般は、杉並区長と私とJA東京中央の三者でそういった共同宣言を出して、やっていこうとスタートをしたわけです。そういった動きをもっともっと強め、それをやはり国政レベルで、都市農地というのは全国一律に扱うなと、特にこの東京における貴重な防災スペース、命の空間だということを働きかけてまいりたいというふうに考えているところです。
◆山口ひろひさ 委員 今、区長から答弁いただいたとおり、この都市農業の特異性というのをやはり訴えていかなくてはいけないと思うんですね。共同宣言というお話もありましたけれども、ただ、これは区がこういう状況だからと国に訴えたとしても、国なんていうのは何のことかしらというぐらいしか扱わないと思うんです。だから、これを連携していくということが、そして声を上げていくことが私は非常に大切だと思います。
以前は、熊本区長のときは、都内三十八自治体が参加しました都市農地保全推進自治体協議会、それから二十三区内に農地を有するいわゆる十区が参加しました都市農地懇談会というんですか、これは一昨年、たしか有楽町のほうで野菜の販売をされて、都市農業のPRに貢献したようなところだったと思いますけれども、こういう農地を守っていくために自治体との連携ということを私は重要に考えていくんですが、今後、どのようにこの辺の連携については進めていくのか、区の見解をお伺いします。
◎杉本 産業政策部長 ご質問のとおり、都市農地の保全の実現につきましては、区はこれまで都内三十八自治体――これは東京都の中の市町村も含めてですが――構成する都市農地保全推進自治体協議会のPR活動や、国に対する要望活動に積極的に取り組んでまいったところでございます。また別に、二十三区内で農地を有する十区につきましては、世田谷区長の呼びかけにより都市農地懇談会を設置しまして、都市の中のまた二十三区特有の課題について検討を進めてきたところでございます。
ご指摘のとおり、平成二十一年度、二十二年度につきましては、二十三区の区民に知っていただくためにPRイベントを開催いたしました。この二年間のイベントを通しましてわかったことは、区民への周知については二十三区というのはまだ広過ぎて、二十三区には四つの農業協同組合があるんですけれども、その地域ごとに活動をして、例えばPR活動、それから理解を促進する動きをしたほうがいいということで、今年度より、農業協同組合単位のイベント開催に移行することになりました。今後とも進めてまいるわけですけれども、十区全体の課題につきましては、今後とも農地懇談会で進めてまいります。
世田谷区では、近隣する杉並区とか目黒区及び区内二つの農業協同組合と連携いたしまして、今後もイベント、それから区民への周知活動を進めてまいります。
◆山口ひろひさ 委員 次に、生産緑地制度と農地保全のための制度に関してちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、この生産緑地制度というのは、農地を守る生命線としてその効果も出ているわけでありますけれども、これに関連するいわゆる固定資産税制度や相続税納税猶予制度、こちらの適用面ではちょっと問題があるような感じがいたします。
例えば農産物を販売する施設ですけれども、これはもう、やはりそこには不可欠な施設であるわけですけれども、農地にこうした販売所を設置すると、また新たに相続税納税猶予制度を適用した場合に、これを一度取り壊さなければならないというようになっているそうであります。営農を考えると、何でわざわざまた取り壊さなければいけないのというふうに思うんですけれども、そういう運用面での問題というのをやはりしっかり考慮していく必要があると私は思います。
それから、生産緑地制度というのは、先ほども申したとおり、農地の確保に大きく寄与しているわけでありますけれども、運用面ではいろいろ改善していかなければならない問題もあると思います。
国のほうで、今、都市計画法の見直しの検討が行われまして、その中でも、また関連して生産緑地制度の見直しの可能性があると言われておりますけれども、生産緑地制度の基本的堅持と運用面での改善は、私はしっかりと国に要望していくべきだと思いますけれども、現レベルでの関係機関との連携による円滑な制度運用を図るべきと考えますけれども、その辺に対しては区はどのような見解をお持ちでしょうか。
◎杉本 産業政策部長 今のご指摘のように、区内農家の生産緑地の指定を条件としますと、固定資産税の軽減措置や相続税の納税猶予の適用を受けることができます。生産緑地制度によって区内農家の農業経営が継続できているという状況もございまして、農家が都市農業を安心して継続していただくためには、大きな役割を果たしていると行政も認識しております。
ご指摘のように、一方で、相続時における相続税の納税猶予が適用できる農地につきましては、日ごろから更地でなければいけないという条件があるそうで、耕作できる平らな農地が条件であることから、相続時に直売所等の建物、それから施設などがあるのはだめだということで、農地関連の施設に使っているときは、相続がおきたときには認められないという面もございます。
区としましては、現行の生産緑地制度は当然堅持するとしまして、農家の立場に立った使いやすい制度にさらにしていただくように、先ほどご説明しました農地のある都内三十八自治体が連携しまして、国や都へ全体的な法律の制度改善を訴えているところでございます。
また、先ほどのご指摘のように、個別の、税務署、それから都税事務所等につきましても、農家との双方に対して区が積極的に働きかけまして、農家が安心して営めるような具体的な制度の円滑な運用に取り組んでいくように働きかけてまいります。
◆山口ひろひさ 委員 今答弁されたことと、やはり区民を応援団にして、区民の民意として国に働きかけていくということも必要だと思いますので、全力で取り組んでいただきたいと思います。
それから、次に二子玉川についてですけれども、二期工事内において、公的なスペースを確保ということで、今検討、交渉に当たっているということですけれども、これは賃料の発生することでありますので、最小の経費で最大の効果というのはやはり行政の基本でありますので、そういったことをしっかりと踏まえながら検討に当たっていただきたいと思います。
その中で、区民交流スペースの中で、障害者の就労雇用という話がありました。私は、非常に障害者の雇用というのは賛成でありますけれども、ただ、場所を考えると、二子玉川は、今ライズができまして訪れる人も非常に多くなりました。そこで、やはり競合する同じような店舗というのもあると思うんです。土日とか多いときになりますと、かなり大勢のお客様が訪れることによりまして、それがちょっと障害者の方には逆に負担になってしまうという心配もするわけでありますけれども、そういったところを十分考慮されているのか、それをお聞かせください。
◎藤野 保健福祉部長 区のほうでは、障害者の雇用に関しまして、障害者就労支援センター「すきっぷ」ですとか「しごとねっと」、それから就労移行支援を行っております事業所と一緒に、就労相談あるいは就労訓練、就労後の職場定着まで一体的な支援体制をつくって就労促進に取り組んでおります。
具体的には、障害者に対しましてコミュニケーション能力、あるいは社会性を身につけるなどの訓練を行いますとともに、企業実習など一般企業等への就労支援も行っております。また、就労後につきましては、雇用先の企業と連携いたしまして、障害者が職場に早くなれるよう、さらに職場に応じた能力の向上が図れるように、センター職員などが定期的に職場訪問なども行いまして、安定した就労生活ができるようにバックアップしております。
このたびの二子玉川東地区におきます地域交流スペースでの喫茶コーナーにおきましても、障害者雇用拡大のよい機会ととらえまして、障害者就労に理解のある事業者の参入を図ってまいりたいと考えておりますし、その事業者とセンター職員などが連携いたしまして、障害者が安定して働き続けられる環境を整えて、ご指摘のようなことがないように、逆にお客様にとっても魅力のあるカフェとなるように、工夫して支援をしていきたいと考えております。
◆山口ひろひさ 委員 ぜひその点においては十分配慮をお願いしたいなと要望しておきます。
今回の再開発の事業で、二子玉川の公園も開設されるわけでありますけれども、日本庭園も整備されるようでありますし、大変魅力的な多摩川とつながる公園になると考えられますけれども、昨年の八月、この公園の基本設計が策定されまして、場所は未定ですけれども、売店をつくる計画があるということであります。
私は、これだけの公園でありますので、来園される方も非常に多くなると思いますし、ちょっとした足を休めるそういうスペースというのも私は必要になってくるんじゃないかなと。逆に、僕はこちらの公園のほうにこういった障害者の雇用スペースというのを設けたほうが、公園のほうではそんなに一遍にお客様が集中することもないだろうと思いますし、そういった面では適しているのではないかなと思います。だから、向こうのビルのほうにつくったとしても、私はこちらの公園のほうにもぜひひとつ検討していただきたいと思いますが、区のご見解はいかがでしょうか。
◎春日
生活拠点整備担当部長 今、委員のほうからお話がございましたように、昨年八月に公園の基本設計を策定してございます。その中に、場所は未定でございますけれども、売店を置く計画がございまして、その運営形態やご提案の障害者雇用の拡充等も含めまして、多角的に検討してまいりたいというふうに考えております。
◆山口ひろひさ 委員 ちょっと話が変わってしまうんですけれども、以前、区民会館で結婚式がたしかできたと思うんですけれども、それはいつごろまでやっていたかわかりますか。――いいです。それはよしとして、私は実はこの二子玉川の公園で結婚式ができるようにしたらいいんじゃないかなと。二期工事のビルの中には、ホテル、宴会場も含まれるわけですよね。私は来園された方も、ちょうど新郎新婦が二人で和やかに結婚式を挙げる。そういう姿を見るとほのぼのとした気分にもなりますし、そのお二人にとっては、全然見ず知らずの方から、来園された方から祝福されるというのは、喜びも倍になると思うんです。
そういう意味においては、ぜひこんなことができればいいんじゃないかなと提案させていただきたいんですけれども、意外な発想をすることによって、今いろいろまちなか観光ということで、世田谷も力を入れておりますけれども、二子玉川も、ビバリーヒルズ、六本木ヒルズ、二子玉川ヒルズということで、世界の三大ヒルズになる可能性も秘められているわけでありますので、ぜひその辺の仲間入りができるように検討していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
◎春日
生活拠点整備担当部長 今、公園での結婚式ということがございましたけれども、現在でも、砧公園にございます世田谷美術館のレストランで結婚式、披露宴等を行っているというふうに聞いてございます。また、岡本民家園では、地元に古くから伝わる婚礼行事を再現するという形で行ったことがございます。
二子玉川公園におきましても、先ほどお話がありましたように、日本庭園やステージのついた広場、あるいはビジターセンター等が整備される予定でございます。こうした施設を活用しまして、三大ヒルズになるかどうかわかりませんけれども、地域の活性化につながる取り組みの一環として、ご提案の行事も含めまして、公園の中で何ができるか今後検討してまいりたいと考えております。
◆山口ひろひさ 委員 この議会の中にも、自転車を専門にする自転車議員、DVの問題を専門にするDV対策に取り組んでいる議員がいらっしゃいますけれども、三・一一以来、結婚願望というのが非常に高まってきたということで、私も自分の経験を生かしながら、婚活議員として今後も頑張っていきたいと思います。
私の質問を終わらせていただきます。
◆小泉たま子 委員 まず、地区割りの問題についてお伺いいたします。
保坂区長、それから区としても、災害対策の面から行政の仕組みをつくり直すと言われていることから、地域の仕組みを、地域、出張所・まちづくりセンターの範囲、町名、そして一時集合所、それから広域避難場所、そして、最終の避難所としてこれは整理したものです。これは総合支所から提供を受けた情報でつくり上げたものでございます。
地域北部避難プロセスと場所のパネルですが、これは北側の範囲の情報ですけれども、これを見るだけでも複雑だなということがおわかりになると思います。特にこの図からは読み取れませんけれども、船橋まちづくりセンター管内は、その中央に環状八号線が通っておりまして、生活圏が分離されて、また、災害時には一体どのようにして広域避難場所までたどり着くかという問題があります。
しかし、問題はこれだけではありません。このように広域避難場所にどのようにしてたどり着くかということが大変なわけです。避難所に向かうためには複雑な経路をたどるということになります。町名だけでなくて、何丁目の何番はどこの避難所に向かうというように、ほとんど複雑な状況になります。
これは区の災害対策部門の整理が悪いということではなくて、これまでの地域、それから地区の成り立ちと社会情勢の変化などがこれほどまでに物事を複雑にさせてしまっているわけです。実際には、これに町会・自治会の範囲が組み合わされて、ますます地域社会が複雑なネットワークとなっております。
これで何が起きるかといいますと、避難所と学区域が異なることから、ある避難所で避難生活を行いながら、子どもは別の避難所である学校に通うという事態が起きる場合があります。例えば、宇奈根の子どもが砧南小学校に通っていても、すぐそばに喜多見小学校があるとそちらに避難するということが起きる。そういうのは世田谷区にたくさんあると思います。
町会・自治会の範囲、出張所・まちづくりセンターの範囲、学区域の範囲などは、これまでのそれぞれの経過や成り立ち、さまざまな要素で違ってきております。しかし、これからの高齢社会を考えたときには、これらの見直しに着手せざるを得ないのではないでしょうか。地域、地区の仕組みをできるだけシンプルにする。それがこれからの責任ある行政の姿勢です。
一般質問において、この地区割りについては基本構想審議会でも検討すると言われましたが、どのようにされるのでしょうか。当事者は本当に日々困っておりますが、外部からはなかなか実態がわからないのではないかと思います。今後、どのように検討されていくか伺います。
◎宮崎 政策経営部長 今お話しの、先般の本会議の中でもございました地区割りの問題でございますけれども、あのときにもご紹介申しましたように、今の地区というのは、出張所の設置条例の中で定義されているということを申し上げたわけです。
平成三年の地域行政発足から現在に至りまして、地区の人口、各種活動団体、地区とのかかわり方、今ご指摘にもございましたが、大きく変わってきております。地域特性に応じたまちづくりということを言ってきている中で、地区の再配置につきましては、現状と課題をまず整理しまして、その中で、地域や地区におきます二十年後の人口動態、これは既に基本構想審議会などでも材料として出していきたいと考えていますけれども、そういうような予測も立てる中で、人口動態の部分についてをまずは検討の素材にしたいというふうに考えております。その後に、順番を追うわけですけれども、住環境が変わってきている、公共交通網も変わってきているというようなことも大きな要素になってくるんじゃないかと思っております。
この二十七の出張所・まちづくりセンターが、今のお話にございましたように、町会・自治会の関係、小学校の区域、中学校の区域、さまざまございます。どの辺のところを中心に地区割りということについてが、今後を見据えたときにいいのか、そういうことも検討素材の中にしていきたい。ただ、当然のことながら、今まで培ってきている部分もあるわけです。したがいまして、そういうことも十分配慮する中で、どのような方法がいいのか、その辺を検討し、またそのことにつきましては、基本構想、基本計画の中でもご議論いただきたいなというふうには思っているところです。
いずれにいたしましても、地域行政のあり方の中で、基本構想審議会の中でも、コミュニティーという部分についてがテーマ設定されておりますので、その辺につきまして、議論と同時に適宜我々のほうの検討素材につきましても、議会のほうにご提示して、ご議論を賜ればと思っております。
◆小泉たま子 委員 十分な検討をお願いいたします。
次に、地域住民運営型公共サービスについて伺います。区長は招集あいさつにおいて、介護福祉や子育てなどの分野は自治体の核心の基本的サービスとされまして、自治体の責務としてサービス提供を持続させていく。また一方、公共的サービスの種類や性格によっては、地域住民運営型公共サービスに仕事を移していくと言われたわけです。
私は、区長の頭の中には、自治体サービスに核心的――新しいという革新ではなくて、物事の中心という意味での核心ということですが――その自治体サービスに核心的、基礎的サービスと周辺的サービスという分野があるようなのですが、これは一体どういうことなのかと思うわけです。
世田谷のこれまでの取り組みは、介護、子育てなど本当に大切な部分も、まずは区民の支えあいということを基本にして、それを育てるようにしてきました。それが核心的サービスと周辺サービスというように分類されると物事がおかしくなるのではないでしょうか。さらには、この地域住民運営型公共サービスなるものを、新たにNPO活動と関連づけようとしています。非常に違和感を感じます。
世田谷区は、これまでに既に地域住民運営型公共サービスを実施してきているのです。住民協議会方式による施設運営や町会に委託している地区会館の運営などです。これらに携わっている区民は、まさに自分たちがやっていることが地域住民運営型公共サービスだと思っております。これらの区民の活動を評価せずに、新たにNPOを中心とした仕組みをつくり出そうとすることは、これまでの区民の努力をないがしろにすることになるのではないでしょうか、区のお考えを伺います。
◎宮崎 政策経営部長 先般、地域住民運営型公共サービスというのを招集あいさつも含めましてご紹介申し上げたわけでございますけれども、今お話しのように、核心部分というのは中心という部分のところの受け取りだと思いますけれども、その際には、いろいろ区政の中で見直しを進めなければならない中で、やはり区としてはきちっと、いわゆる中核部分という表現が正しいでしょうか、そのことについてはきちっとやらなければいけない。その中から、さらに行政サービスが求められている需要の拡大に対しまして、区民の方との協働ですとか、そういう中でも、言ってみれば、公共のサービスという部分の展開を図れないかということでのご提案をしているわけでございます。
今お話しございましたように、今までも区民センター運営協議会とは、まさに住民の方々の部分のご協力をいただいて公共サービスを展開しているわけでございまして、決して新しい話ということだけではございません。ただ、今後拡張していく中では、さまざまに地域で活動されている方々に、いま一歩、半歩ご協力いただきたいというようなご趣旨でこのような表現をとらせていただいたということでございます。ご理解いただければと存じます。
◆小泉たま子 委員 新しいお考えの区民だけではなくて、これまでに地域、地区で支えてこられた多くの区民の姿も頭に入れていただきたいと思います。
次に、高齢者支援を区民生活領域において展開することについてお伺いをいたします。
保坂区長は、福祉文化都市を目指すとされております。招集あいさつの文面からは、福祉文化というものを、福祉の面からとらえておられるようですけれども、私は見方が狭いのではないかと思います。今取り組むべきことは、日々の生活において、高齢者の人間としての尊厳を取り戻すことです。これは、狭い意味での福祉部門ではとても担えないものです。福祉の部門が最も得意とする分野は何か、それを基準に照らして、劣っているもの、足りないものということについてサービスを提供して、その望むべき水準まで引き上げていく、これが福祉部門です。
区長の言われる福祉文化という考えは、福祉の部門ではなくて、大きく言えば、いわば文化の部門で考えるべきことです。これまでお元気高齢者施策を区民生活領域に移管させるべきと質問し、検討するというお答えを福祉部門からいただいておりますが、問題なのは文化部門がこのことをどう考えているかということです。文化部門として、世田谷の福祉文化都市づくりをどのように考えているか、そして、高齢者の日々の生活の尊厳というものを取り戻すことについて、どうお考えになっていらっしゃるのかお伺いをいたします。
◎金澤 生活文化部長 区長が申し上げている福祉文化都市というのは、福祉も文化も尊重してやっていきたいというご趣旨だろうと思いますが、それはともかくとして、私ども、文化というのは、地域に受け継がれてきた歴史、風景、それから私どもすべての人の生活の営みというふうに考えております。
世田谷区では、だれもが安心して暮らし続けられる地域社会を目指して施策を展開しておりますけれども、区民生活領域では、子どもから高齢者まで、年齢の分け隔てなく取り組む事業が数多くございまして、文化事業への参加、それからみずから文化活動される方の、そういった高齢者の方々に対する施策等もやってございます。
委員がおっしゃるように、これまでさまざまな活躍をされてきた高齢者の方々が、尊厳を持ってより豊かに生活できるように、今後も関係各課と連携を強化しながら取り組んでまいりたいと思います。
それから、従前から小泉委員ご提案の元気高齢者施策について、私どものほうへ持ってきたらどうかというご提案については、今検討はさせていただいております。
◆小泉たま子 委員 結果がよくなるように期待をいたします。
次なんですが、その観点から、生涯大学を地域展開、それから地区展開をすべきだと思いますけれども、具体的な検討ができないか、それを伺います。
◎堀川 地域福祉部長 生涯大学につきましては、昭和五十二年に老人大学として設立されたわけでございますが、その際の目的として、学んだものを地域に還元し、コミュニティーづくりに寄与できるようにすることなどが掲げられており、また、設立構想においては、老人みずからが、みずからの生活と文化の向上、地域の発展と連帯に、主体的、積極的に取り組む活動の拠点と位置づけられたわけでございまして、まさに小泉委員からご指摘のような拠点と考えられるものと思っております。
それでまた、当時は六十五歳以上の高齢者人口が五万人を超える程度だったと。それが今や約十六万人となった。そういうような状況の中で、高齢者の方々が地域で活動されることが一層重要になっているという認識をしておるわけでございますが、そのような観点から、今後、今ご指摘の点につきましては研究してまいりたいと考えております。
◆小泉たま子 委員 その答弁はおかしくありませんか。私は、具体的な検討はできませんかと今申し上げたんですね。そうしたら、具体的に検討するではなくて、研究するでもなくて、研究してまいりたい、その次に、さらにこれで終わらないで、と考えてまいりますですから、何をここの中で言われようとするんでしょうか。
私は、わけのわからないこういう答弁が飛び出してくるというのは問題だと思います。私は、区長はそれをどう考えるのか、今質問いたしませんよ。質問いたしませんけれども、これは行政として、わかっているわけですから、本当にこれでいいのかどうかということを、これからはこういうことがないようにしていただきたいと思います。こっちも一生懸命質問しているんですから、中身のない空っぽのことをこの時間をかけて言うというのはいかがなものかと思います。ということを言っておきます。
次、外環の整備について伺います。
外環整備に伴うまちづくりについて、特に東名以南も含めた総合的なまちづくりを進めるべきとの私の一般質問に対して、区長、副区長、本庁の部長、それから総合支所長が答えてくださったわけですけれども、みんなそれぞれ少しずつニュアンスが違いました。このハードのまちづくりだけではなくて、福祉や産業政策にも、この外環道路整備は重要な役割を担うはずですし、世田谷区全体に対する影響、貢献ということもこの整備には意味合いがあるはずです。
改めてここで副区長に、この総合的なプロジェクトに対する区の基本的な姿勢、そして副区長としての決意を伺います。
◎板垣 副区長 東名ジャンクション周辺につきまして、いわゆるジャンクションの予定地のエリア内のところにつきましては、それぞれの宅地だけではなく、商業・工業関係の事業者の方の従事者もいらっしゃいますし、また、農業を営む方々もいらっしゃるわけで、そういう方の協力のもとに事業が進んでいくということになると思います。お話にありましたように、このエリア内では町が大きく変わることになると考えております。
これまで区としましては、東名ジャンクション周辺地区の街づくり方針というのを、周辺の区民の方々の参加のもとに作成してきたところでございます。区としましては、この街づくり方針をさらに具体的なまちづくりへと進めていく必要があると考えておりますので、平成二十四年度の予算にも、ジャンクション周辺のまちづくりの調査委託を計上しているところでございます。
この外環の東名ジャンクションの改変部、今工事が着手されたという部分で、面積でいいますと十二・六ヘクタールという規模になっております。ジャンクション全体として、東名以南側も含めますとさらに大きな面積になるわけですけれども、そういう中で、今後は新たな都市整備方針の改定もございますので、また、国の調査も踏まえながら、土地利用の方向性等を検討しますとともに、まちづくりにつきましては、地域住民だけではなく、農業、商業、工業、さまざまな事業者の方々とも一緒に、総合的にまちづくりを進めていきたいというふうに考えております。
◆小泉たま子 委員 これで私の質問を終わって、下山委員にかわります。
◆下山芳男 委員 それでは、質問を続けさせていただきます。
まず最初に、平成二十四年度予算案について質問させていただきたいと思います。いろいろ質問したいところはあるんですが、お時間も限られますので、まず最初、全体的なことを質問していきたいと思います。まず、この予算案と、この間示されました中期財政見通しを見ますと、やはり世田谷区の今後の区政運営というのは、余り楽観はできない、非常に厳しいものじゃないかというふうに思わざるを得ません。
その中、特に特別区税の収入も、やはり近年ピークである平成二十年から、この年が千百五十七億円、そして今回の二十四年度予算ではマイナス百億円の一千五十七億円ということで非常にやはり減少が続いているということで、また、中期財政見通しを見ると、わずかながら今後上がっていくというような見方もしておりますけれども、現状を見ますとなかなかそれも難しい点もあって、不確定な部分がたくさんあると思います。そういったことで、今後も厳しい見方をしていかなければいけないんじゃないかなというのが私の考えなんです。
そして、今回のこの予算説明書の別冊の二〇ページを見ますと、予算案の歳出(部別)というものの状況が載っているわけですけれども、この中で、政策経費が全体のわずか八%で、人件費が一九・五%、そして経常経費として約七二・五%ということで、経常経費七二・五%をやはりしっかりと見直していくというような姿勢が必要だと思います。
政策経費については、ある意味、これから世田谷区が取り組んでいく一つの大きな課題といいますか、非常に大切なところであるということはよくわかりますし、この点についてはしっかり取り組むべきだと思いますけれども、やはり七二・五%の経常経費をどのように取り組んでいかなければいけないのか。
今回、全体的に見ますと、行政経営改革の取組みということで、この冊子で言うと五八、五九ページで、いわゆる今回の取り組み、特に委託料、それから電算経費、営繕経費の三つの見直し、削減とかで十一億円ということですが、全体で見ても、こういった取り組みで約十二億一千百万円程度ですよね。あとは職員費等の抑制ということで、合計で二十九億七千四百三十五万円程度ということで、その削減額を見ますと、私たちは今一般会計を見ているわけですけれども、介護保険会計であるとか、
後期高齢者医療会計、そしてもう一つの国民健康保険の特別会計に繰り出すお金だけでも、毎年毎年二十億円、三十億円という金額が増加しているわけで、この二十四年度だとたしか二百二十一億円程度の繰入金というのもあるのを見ると、とてもこのぐらいの見直しでは非常に厳しいものがあると思うんですが、経常経費の削減についての見通し、そういったところをどういうふうにお考えになっているか、まずお聞きしたいと思います。
◎宮崎 政策経営部長 まず、二十四年度の当初予算編成におきましては、先ほど来出ています三つ、委託料、電算経費、営繕経費を中心に見直しを進めさせていただいたところです。
それらをもって中期財政見通しで示していますように、それでも二十五年度以降のマイナス部分が解消されているわけではございません。一方、ご紹介にもございましたように、税収も若干の伸びという部分については示させていただいていますが、それもまた、いろんな変動要素を加えますと、かなりリスクの部分も考えておかなければいけない。
そういう中では、今お話しございました大きく占める経常経費、ここの中に手を入れていかなければいけないということは、もうそのとおりでございまして、そういう意味での内部的ないろいろな事務処理にかかっている経費も含めて、抜本的に見直していかなければいけないと、そんなように思っております。
◆下山芳男 委員 当然だと思うんですけれども。
そして、今回、委託料、電算経費、営繕経費の削減ということが言われているんですけれども、やはりこれは、また来年もそれが下がってくるということは、なかなか項目的に難しいと思うんです。一方で、生活保護費であるとか、また保育の運営費など、必ず増加してくるという確実な経費もあるわけです。区長としても、この経常経費削減については、ここに力点を置く、ここを減らしていくというような明確なものがないと取り組んでいけないと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
◎保坂 区長 おっしゃるように、まだまだ財政の厳しい状態が当面は続くという認識でおります。経常的な経費についての切り込みで三点申し上げた営繕費、電算費、そして委託費の部分については、当初予算の要求段階でもそもそも縮減を図って、それをまたさらに削ったというところもあります。ですから、電算経費については、少なくともどんどん下がっていくということはないかもしれません。ただ、これまでのように、五十億円程度、六十億円近くというレベルからは、やはり使える機械は丁寧に長く使い、そして、世田谷区がそういった大型システムを発注するときに、ベンダー側の一方的ないわゆる営業的なお話に対して、専門性を持ってきちっと打ち返せるような体制をつくり、費用対効果を適正なものにしていこうという工夫は一定程度効果を持つものと思います。
さらに、営繕も、ご案内のように、世田谷区は老朽化を迎えてくる建物が大変多いです。これは従来やってきたように除却して全部建てかえるということができればいいんですけれども、これは到底財政的に間に合わないとすれば、こういうものに対して使えるものは使う――これは大規模改修ということになるんですけれども――ということによって全体のコストを落としていくという工夫はもう少しできると考えております。
委託費についても、区の職員が行えることは、むしろ考える部分、政策立案の部分まで委託するようなことがないように、やはり基本的なところは区の職員でやっていくというところからの抑制を図るということは続けていきたいと思います。
以下そういったことをやった上で、行政経営改革に列挙しています適正な利用者負担のあり方についての検討と議論を踏まえた判断をしていきたいと思います。
◆下山芳男 委員 今その三つのことについてのご説明がありましたけれども、やはりこれからはさらに一つの課題というようなものを出して取り組むべきだと思います。まさに聖域のない改革に取り組んでいただきたいと思います。
そして、その中で、この間も公共施設中長期保全計画大規模施設改修の方向性というのが示されました。また、これからは恐らく小規模のものについても取り組みが示されると思いますけれども、そのほかにも、やはり公共施設の整備方針に基づく取り組みということで、ことしの一月には池尻であるとか、下馬のまちづくりセンターとか、太子堂出張所とか、こういったいろいろな新しい施設もできてきているわけです。
今お話しさせていただいたいわゆる公共施設の維持管理費について聞きたいと思うんですが、現在、年間百八十億円程度かかっているということで、今後こういったことも、古くなると修理であるとか、いろいろな改修工事でさらに費用がかかってくるというふうに思うわけでございます。
先ほど言った合築であるとか複合化ということで、区としてもいろいろ取り組みをされていると思うんですけれども、区民の集会施設とかいったものは、区民にとっても非常に大事なものでありますし、単に利用率とか地理的なことで減らすということは非常に難しいことではあると思うんですけれども、こういった財政状況を踏まえると、基本的な考え方というものをきちっと持って進めていかないといけないと思うんです。そういった面で、区の公共施設に対する考え方というのは、どういうふうにお考えか伺いたいと思います。
◎宮崎 政策経営部長 この間、公共施設整備方針を定めまして、基本的にはまず総量を抑制していくという観点と、その中でも機能的なものは何とか担保するために、複合化、合築を進めてきているところでございます。ご案内のとおり、方針を定めてから、数的にいいますと、複合化、合築が進んだところはまだ限定的だという状況がございます。
そういう中で、さらに老朽化が進行していますので、何とか手を打たなければいけない。先ほど区長のほうからも話がございましたように、一つは下命されています長寿命化をどういう形で図っていくかということが大きなポイントになることと、先ほど来出ています、例えば出張所・まちづくりセンターも老朽化が進んでいます。こういうところも含めて、再配置を含めてどういうふうに観点を絞っていくか。こういうようなことも関連いたしまして、いわゆる財政状況を踏まえる形になりますけれども、より効果的な施設の整備、そういうところを進めていかなければならないと、そのように考えております。
◆下山芳男 委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
それでは次に、保育待機児等含めて質問していきたいと思います。私たちの会派では、保育というのはあくまでも両親、保護者がきちっと自分の子どもを育てていくというのが本当の基本の基本だと思っておりまして、ただし、やはり今世田谷の状況を見ますと、いろいろな資料を見ても共稼ぎをしたいという方もふえていますし、保育に対するニーズというのは非常に高まってきていると思います。ただ、そういった基本をしっかりと守って、私たちも在宅保育への支援とかをいろいろ区のほうにも提案させていただいてきたわけです。
この間、共産党さんの代表質問にありましたように、保育サービスの整備率は二十三区で下から二番目ということで、やはりこういったものについては引き続き取り組んでいかなければいけないと思います。そして、前熊本区長は、東京一子育てしやすい町というふうに目指してきたわけですが、保坂区長も、この考えについては基本的にいかがでしょうか。
◎保坂 区長 まずは、やはり保育園の待機児童について、私も熊本前区長から引き継いだ段階でも、相当数いろいろな場所を探して今までなかったような場所にも整備をした。また、国との交渉もあって比較的広い土地を借りる。こういったことで一生懸命力を入れられていたわけですが、依然として、まだことしの数字は出ていませんけれども、私のところにも保育の必要がどうしてもあるんだけれども、はねられてしまったと、どうしたらいいだろうかという悲鳴にも似たお手紙や区長へのメールなど、続々来ているところです。ですから、これは最優先でやらなければいけない課題だと思っておりまして、秋の段階にも、総力を挙げて受け入れ枠を拡張するようにということで指示はしてきましたけれども、まだ思うように、幾らかは広がったんですが、まだお待ちになっている方の数に比べればまだまだであるということです。
二つありまして、一つは、国からお借りするということについては、これからもう少し拡大をしたいんですが、余りにも賃料が、子育てという用途で使うには高いんですね。これは何とかしてほしいということを交渉しております。したがって、国の遊休地を使った保育所建設と、もう一つは、地域密着型の家庭的保育、これをしっかり基準をクリアして、いわば六、七人のお子さんを三人ぐらいの保育ママさんで見るというようなところを、地域の非常に保育所不足のところにスピーディーに配置していけるように、幾つかの規制があるわけですが、その規制に対するクリアをしていけるように急いでいきたいと思っております。子育てしやすい、東京一だと言われることはもちろん目指しますけれども、まずは一番手前の危機的状況を何とかしたいというふうに思っております。
◆下山芳男 委員 そこで、それに関連して伺いたいんですけれども、一つは教育委員会のほうに伺いたいんですが、区立幼稚園については、私たちの会派も、さんざんこれまでにも長期にわたって用途の見直しというものを提案してきているんですが、やはり平成二十一年からだけでも、うちの山口議員、山内議員、何回も何回も聞いているんですが、一向に具体的なところが見えてこないわけですが、その辺についてお考えが少し進んだようなところはありませんか。
◎佐藤 教育次長 区立幼稚園のあり方につきましては、ご案内のとおり、平成二十二年十二月になりますけれども、五つの用途転換類型を中心に今後の区立幼稚園のあり方についてということを取りまとめております。その中で、今後の方向性として、国の新システムの検討状況を注視しながら、具体的な取り組みを検討していくというふうにさせていただいております。
このたび、本年三月二日になりますけれども、ようやく国の少子化社会対策会議の中で、基本制度が決定されて、今国会に法案として提出されるという運びになりましたので、子ども部とも今現在協議を行っておりますけれども、今後さらに検討調整を進めながら、平成二十四年度に区立幼稚園のあり方にかかわる具体的方針の策定に向け、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
◆下山芳男 委員 ぜひとも言葉だけじゃなくて、実際の具体的な進み方をきちっとやっていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 議事の都合により、ここでしばらく休憩し、再開後、自由民主党・新風の質疑を続行させていただきますので、よろしくお願いします。
ここでしばらく休憩いたします。
午前十一時五十七分休憩
――――――――――――――――――
午後零時五十分再開
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
自由民主党・新風、どうぞ。
◆宍戸のりお 委員 午前に引き続き、自民党・新風の質問をさせていただきます。
まず最初に、区内産業の育成、支援について伺います。
我々は、持続可能な財政基盤の確立のために、区内産業の活性化が必要不可欠であると考えており、産業の育成支援を区政の最重要課題の一つと位置づけて産業振興の推進を充実するよう主張してまいりました。
区長は、本定例会の招集あいさつで、区内産業の育成について一言も触れませんでした。一方被災者支援やエネルギーなど、全国に発信されています。区民の日常生活に直結する区内産業を活性化することが世田谷区をより元気にすることにつながると、いま一度認識を強くして産業政策に取り組んでいただきたいと思います。
そこで、区長は、区内産業の育成支援についてどのように考えているのか具体的に伺います。
◎保坂 区長 おっしゃるように、区内産業は地域を根っこから支えていき、また区民のそれぞれの生活をつくっていくという意味で、自治体にとっても大変大きな安定と広がり、近年は非常に不況の影響を受けていますから、そういったその影響を乗り越えた発展というのは大変大事な課題だというふうに考えています。
区としては、東日本大震災などの大きな変化を踏まえた産業振興を目指していく、平成二十四年度からの二カ年の産業振興計画をまとめたところであります。こういった中で、地産地消という言葉もありますけれども、世田谷区内で働いて、そして世田谷区内で必要なものを買い、そして区内で経済も循環をしていくということが大変望ましいんだろうと思っております。
先日、こういった厳しい時代ですが、ソーシャルビジネスコンテストという催しを三軒茶屋産業プラザでやっておりました。大変大勢の方が、アイデアで、あるいはもう既にやられているという方もいましたけれども、すき間産業といいますか、これまでにないような仕事を考えて、プレゼンテーションをされていました。そういうものが世田谷というところを舞台に、ここのところ申し上げております、例えば空き店舗とか、空き家とか、空き室などのいい形での活用で、世田谷区内の起業もどんどん積極的に動いていってほしいと思っておりますし、農業、命をはぐくむ農地の問題も午前中ありました。そういう意味で、総合的にこの区内産業については大切にしたいと思いますし、区内で厳しい状況の中で仕事をされている皆さんに、きちっと届くきめ細かな応援を考えているところです。
◆宍戸のりお 委員 区長もご存じのように、世田谷区は大きな企業が、大規模な企業はないわけです。中小零細企業が世田谷区の産業を支えていると言っていいと思います。まだまだ厳しい状況が続いております。なお一層の産業の育成に努力をしていただきたいと思います。
次に、スポーツ施設の拡充に向けた取り組みについて伺います。
我が会派は、これまでも八十万区民を有するにふさわしい世田谷区のスポーツ振興について、さまざまな角度から意見、提案を申し上げてまいりました。保坂区長就任後も、世田谷区のリーダーとしてのスポーツへの基本的スタンスや振興に向けた取り組み姿勢など、その考えを求めてまいりましたが、今議会の代表質問では、スポーツ振興の重要性と施設整備への課題認識など、区長の見解を伺いました。今後のスポーツ振興とスポーツ施設の拡充に向けた意欲的な取り組みに期待しているところであります。
そこで、スポーツ振興の土台ともなるスポーツ施設整備の拡充策について伺うわけですが、区はこれまでも大蔵第二運動場の開設、総合運動場の野球場の人工芝化、学校施設への夜間照明の設置など、スポーツ施設の整備などに取り組んでまいりました。しかし、区長の認識のように、現況のスポーツ施設が区民需要に追いつかない現状であったり、スポーツ施設の地域偏在といった課題も多く残しており、今後さらに地域スポーツの展開や機会の充実、スポーツへの新たな役割などを果たしていくためには、さらなる施設の充実、拡充に向けた取り組みが必要不可欠であると考えています。
そこで伺いますが、このたびの世田谷区スポーツ振興計画第三期年次計画案では、スポーツ施設の充実策として、場の整備を全区、地域、地区の区分のもとに体系的に整備を進めるとしておりますが、その内容と意図するところは何なのかお答えをお願いします。
◎菅井
スポーツ振興担当部長 スポーツ振興計画の目標であります生涯スポーツ社会を実現していくためには、区民がいつでもスポーツのできる環境をつくっていくことが不可欠でございます。お話の第三期年次計画では、施設拡充に向けて、施設機能と役割を明確にして、地域バランスに配慮した整備を進めていくこととしております。
具体的には、各種大会の開催ですとか、総合的なスポーツイベントなどに対応した総合運動場や二子玉川緑地運動場などの全区的な施設を初め、地域のスポーツ活動や交流拠点となる尾山台地域体育館などの地域体育施設、さらには、地域住民にとって最も身近な学校や公園、緑道などの地区施設を体系化して、それぞれの機能に応じた管理体系の見直し、施設の改修、拡充を進めていくこととしております。こういった観点から、スポーツ施設の効率的な配置と拡充に取り組んでまいる考えです。
◆宍戸のりお 委員 要は、スポーツ施設の充実のためには、お話の計画がどう具体化され、実行されていくかに尽きると思います。
私どもは、これまでも既存の公共施設の有効活用策や大学や民間と連携した施設利用などの具体的な意見、提案を行ってきたつもりであります。そういった意見、提案がどのように生かされて、その結果、どういった成果が生まれているのかなかなか見えない状況にありますが、進捗があれば、現在の取り組み状況について伺います。
◎菅井
スポーツ振興担当部長 区ではまとまった施設確保が難しい中で、お話のご提案も踏まえまして、既存施設の有効活用ですとか、大学、民間施設などの利活用に向けた取り組みを進めてまいりました。施設の拡充に向けましては、まずは大学施設の利活用として、昨年五月から昭和女子大学との連携によりまして、大学施設の一部を健康体操などのスポーツ団体にけやきネットを通して開放をしております。引き続き、大学、民間と連携した場の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
また、区の主要なスポーツ施設となっております二子玉川緑地運動場につきましては、現在、国との河川整備工事に合わせまして、運動場の出入り口、通路工事を進めておりますが、来年度には駐車場の拡張と野球場、D面の復活の整備をしていきたいというふうに考えております。
さらに、少年サッカー場の再配置ですとか、施設の人工芝化なども順次整備をしていきたいというふうに考えております。加えまして、総合運動場の陸上競技場につきましても、公認競技場仕様として、人工芝の設置が可能となりつつあるという状況にございますので、施設利用の拡大や効率的な施設運営などが期待できることから、人工芝化に向けて取り組んでいくべき課題と考えております。今後とも財政状況を踏まえながら、区民スポーツ施設需要にこたえられるよう、施設の拡充に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。
◆宍戸のりお 委員 厳しい財政状況の中で、今は新たに施設を求めていくことは難しい状況にある中です。答弁にあったような取り組みがとても重要であると思います。ぜひ効率・効果的な活用の視点から整備を進めていただきたいと思います。
また、二子玉川緑地運動場の整備については、三年前にも地元との調整が難航した経緯がありました。地域の方々の理解を得ながら、しっかりと実現に向けて取り組んでいただきたいというふうに言っておきます。
また、総合運動場の陸上競技場の人工芝化の話も今ありました。これまでも野球場の人工芝化の実績もあり、利用者もふえ、使い勝手もよくなったとの声も多く届いておりますし、維持管理費の削減にも効果があったと聞いております。陸上競技場の人工芝化は、陸上競技に限らず、他の競技やイベント等、それこそ利用機会の拡大、既存施設の有効活用策につながる話だと思います。ぜひ実現していただきたいと申し上げておきます。
さらに、意見として申し上げますが、スポーツ施設の拡充に向けては、既存のスポーツ施設の有効活用のほかにも、学校統合後の学校施設であったり、例えば上用賀の衆議院速記者養成所跡地、さらには大原の和田堀給水所改修に伴う上部利用など、区内の活用できる資源に目を見張りながら具体策を検討すべきと考えております。
当然ながら、これら資源の利活用には、区民、福祉、教育、文化、環境とさまざまな利活用が考えられますが、これからの区民の心身ともの健康維持増進や区民生活を豊かにするといった視点からも、スポーツ施設の拡充は必要と考えます。積極的な取り組みを求めておきます。
次に、いわゆる路地状敷地における長屋問題について伺います。
今議会で他会派の質問にもありましたが、私はこの問題を平成二十二年の決算特別委員会で取り上げ、この種の建築物は、建築関係法や条例などをすり抜けた、いわば脱法行為的な建築物であり、区の主要施策である区民の安全安心を守るといった観点からは、決して看過できない問題であり、速やかに何らかの規制が必要ではないかといった指摘をいたしました。その際、区側からは、何らかの規制は必要であると考えており、その規制の強化に向けて取り組みたい旨の答弁がありました。
しかし、その後、規制に向けた具体的な動きが見られなかったことから、私は昨年三月の予算特別委員会において、再度同様の観点から検討結果についてお尋ねしたところであります。その際の区側の答弁も、規制の必要性は認識しつつも、都の安全条例の改正などに向けてしっかり働きかけていくというものでした。
しかし、その後も区側の特に目立った動きは見えず、この間、区内では同様の長屋が四、五件できてしまったと聞いております。その結果、事の重大性にかんがみ、昨年の九月の定例会では、我が会派の三井議員より重ねて問題を指摘したところであります。
そこで、改めてこの問題について伺います。まず、現在区内にはこの種の長屋は何件存在するのか。また、その長屋に苦慮している地域住民に対して区はどのように対応しているのか伺います。
◎板垣 副区長 ちょうど先ほど、ご質問いただいたとき、私は担当で都市整備部長でもありましたもので、私のほうから答弁させていただきますけれども、世田谷区内の路地状敷地の長屋というのがどれくらいあるかということで、実は昨年秋に一回調査をかけております。その際に、平成二十一年四月から二十三年九月まで、いわゆる二年半に建築確認を受けました延べ面積三百平米以上のものということが四十五件あるということでございます。このうち、区に相談を受けた件数が六件ほどございます。
若干ご紹介しますと、その建築の内容としましたら、長屋が九戸から十四戸ぐらいのやはり規模の大きいものでございまして、六件のうち五件はいわゆる重層長屋と言われるつくりになっております。相談の内容としましては、共同住宅はできないのに、何で長屋が建築可能なのか、あるいはごみ置き場の問題ですとか、自転車駐輪場の問題ですとか、プライバシーの問題とか、いわゆるそういうようなことでの相談を受けているという状況でございます。
六件のうち三件は審査請求事件ということにまでなったということでございます。その際の区の対応としましては、各総合支所で、建築相隣関係の窓口がありますので、そこでの相談対応に当たりますとともに、都市整備部のほうでは、現場の立入調査、あるいは募集広告の表示内容の指摘ですとか、建築主へのロフトの使用制限、ロフトというのは、基本的には収納に使うところを居室に使ってはいけないということを改めて周知するというようなことを建築主にお願いするなどを行ってきております。
現在の法令等の中で長屋の規制がないということの中で、区としましてもでき得る限りの対応をこの間してきたということでございます。
◆宍戸のりお 委員 次に、一昨年の問題提起から今日まで区は何をどのように検討したのかを具体的に述べていただきたいと思います。
◎中杉 都市整備部長 路地状敷地に建築する長屋の問題でございますけれども、昨年の区議会でも、今委員おっしゃったように、ご答弁申し上げておりますが、平成二十二年十二月に庁内の関係各課で構成する情報連絡会というものを立ち上げております。その中で情報公開、意見交換を行って、課題の確認と解決に向けての検討を進めるとともに、東京都に対しまして、建築安全条例見直しの検討を要請してきております。また、昨年九月の情報連絡会において、東京都へ改めて文書で要請を行うとともに、考え得る区独自の対応策について、情報連絡会内のワーキンググループにおいて検討を進めることといたしました。
都への要請書につきましては、昨年十月に東京都建築安全条例運用の統一、明確化の作業部会の再開と路地状敷地の長屋に関する規制の検討についての要請書を提出しております。また、考え得る区独自の対応策につきましては、現在、住環境の向上の観点から、住環境条例改正の検討のほかに、ロフト、小屋裏の物置ですけれども、それの基準の明確化の検討を進めているところでございます。
◆宍戸のりお 委員 さらに、そこで、今お話があった検討された具体的な課題をだれがいつまでにどのように解決するつもりでいるのか、明確に答えていただきたいと思います。
◎中杉 都市整備部長 初めに、長屋に多くあるロフト、小屋裏の基準の明確化を図る予定でございます。現在、建築審査課で小屋裏物置の収納の設備、空調設備、採光窓、床仕上げなどの制限を区のホームページで公開しておりますが、小屋裏物置等の取り扱いの見直しを行っております。今年度末には内容を確定いたしまして、三カ月ぐらいの周知期間を設けて実施していく予定でございます。
また、住環境を保全するために住環境条例を改正したいと考えておりまして、現在、建築調整課のほうと各街づくり課の条例担当をメンバーとするワーキンググループにおきまして、住環境条例で対象とする長屋の規模ですとか、具体の整備項目、整備基準について検討を進めているところでございます。予定といたしましては、本年の第三回の定例会の提案を目指しております。
また、中高層建築物等の条例が適用される高さの長屋につきましては、住環境条例の対象とすることで、標識を設置した住民に周知後、確認申請するまでの期間が十五日から三十日が必要になるといった二次的な効果も期待しているところでございます。
◆宍戸のりお 委員 ところで、一月二十三日の東京新聞を見て、正直驚きました。新聞には、「困った旗ざお長屋」との見出しで、世田谷区規制へといった内容の記事が掲載されていました。その中で区長は、区として一歩進んだ対策をとると話し、区条例で通風や採光の確保、周辺への圧迫感の低減を定めるなどして、規模の大きな長屋は建てにくくするといったことが報道されていました。これが事実ならば大きな前進であり、この記事に期待する住民も決して少なくないし、自分たちのこれまでの活動が、一部ではあるが、やっと実を結んだと思うのではないでしょうか。
しかし、この新聞記事を読んで、私は残念に思いました。この間、この長屋問題で再三にわたって区に相談してきた、この長屋問題に苦しんでいる地域住民と一緒に取り組んできた町会・自治会関係者には何の連絡もなく、ましてやこの人たちの苦労についても一言もなく、いきなりの新聞報道では、余りにも気の毒ではないでしょうか。これが区長の言う情報公開であるのでしょうか。私は区民の安全安心や地域のきずなを標榜するなら、もっと丁寧な対応があってしかるべきだと思います。
この報道での区長の発言には、条例改正といった内容が含まれているようですが、もし条例改正を行うならば、しかるべき手続、すなわち議会に対しても事前に課題や解決内容など、きちんと説明すべきであったはずであります。その上で、さまざまな角度から、お互いに真摯に議論し、課題解決の一つである条例改正に着手するのが、議会制民主主義の当然の帰結であるはずであります。
適正な手続やルールを無視して区長が独断で物事を決定してしまうやり方は、今の時代にはそぐわないし、議会軽視にもつながり、到底許されることではないと私は思います。
行政のトップは、自分の得意な分野だけではなく、あらゆる分野にわたってさまざまな意見を聞き、議会にも十分な説明をした上で、課題の解決に向けて議論し合う姿勢が必要であります。
そこで、この記事の内容は、このまま受け取ってよいのか。条例改正をして、本当にこの種の長屋が建てにくくなるのか。もし、ここまで区民に期待させておきながら、実際はこの内容とほど遠いものであったとしたら、それこそ区民や関係者の期待を裏切ることにもなりかねないと思います。事務方のトップである副区長に具体的に伺います
◎板垣 副区長 先ほど都市整備部長が答弁しましたように、現在、ワーキンググループをつくりまして、住環境整備条例の改正に向けて検討を始めたというような状況でございます。住環境整備条例のその主な整備項目といたしましては、いわゆる隣地からの壁面後退がございますけれども、いわゆる現行の基準とのバランスも考慮しなければいけないと思いますし、一方でできるだけ効果のある基準となるように、これまでの建築事例による検証も踏まえまして検討するように指示をしているところでございます。
その他、現条例の中での整備項目には、駐車場や駐輪場の設置、近隣へのプライバシー保護等に関する措置、それから雨水流出抑制などのいわゆる整備すべき共通事項がございますので、これらにつきましては、適用した場合の効果や影響を勘案しながら検討を進めているところでございます。
いずれにしましても、現時点で区がとり得る対策といたしまして、その効果が期待される制限を工夫していきたいというふうに考えております。なお、今後、その内容等についてまとまりましたら、早急に議会にも報告いたしまして、議会からのご意見、さらに区民からの意見もいただきながら、条例改正のほうにつなげていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
◆宍戸のりお 委員 先ほどの答弁で住環境条例の改正、また第三回定例会に向けてという話もありましたので、しっかり取り組んでいただきたいと申し上げておきます。
次に、区制施行八十周年記念事業について伺います。
本年の十月一日は、世田谷区制が施行されてから八十年を迎える記念すべき日であります。戦前、戦後の激動期を切り抜け、先人たちが懸命に今日の日本、今日の世田谷を築き上げてきたことを考えますと、その後を引き継ぐべく我々は、改めてそのご労苦に感謝するとともに、この伝統ある世田谷区をより発展させ、きちっと次の世代に継承していかなければならないと考えております。
ところで、さきの企画総務常任委員会でも報告されたようですが、区はこの記念すべき区制施行八十周年をどのように祝うつもりなのか、その事業の内容について改めて伺います。
◎千葉 総務部長 お話がございましたように、本年十月一日は世田谷区制施行八十周年を迎えます。そこで、この八十周年を区民とともに祝い、そのきずなをより深めるとともに、世田谷区の魅力の再認識、さらには、世田谷区のさらなる発展を期しまして、周年事業を実施することとしております。そのため、庁内に板垣副区長を本部長といたしました推進本部を設置し、現在取り組みを進めております。
現時点での検討状況ですが、まず式典を十月七日に実施いたします。当日は、功労表彰やコンサート、世田谷区内や三月十一日の被災地などの物産展の開催など記念のイベントを予定しております。
また、詳細はこれから詰めたいと思いますけれども、十年前、七十周年記念事業の際に行いました記念植樹も検討いたしております。あわせまして冠事業として、各所管部が平成二十四年度に実施いたします各種事業にもこの八十周年にちなんだ工夫を盛り込むようにしたいと考えております。限られた予算ではございますけれども、今後ともより区民参加ができるような工夫をしながら、実りある周年事業の実施を図ってまいりたいと考えております。
◆宍戸のりお 委員 しっかりしていただきたいと思います。
それでは次に、午前中に積み残したことについて聞きたいと思います。
まず、区長に庁舎問題についてお聞きしたいと思いますが、間もなく三月十一日を迎えるわけですけれども、東日本大震災の折にも庁舎のガラスが百枚近く割れて、かなりの被害があったと思いますが、前区長は庁舎問題、庁舎計画担当部というのを立ち上げて進めようと努力をしてきたと思いますが、この問題は十数年以上前から、大場前々区長のころからもいろいろ課題になっておりましたが、保坂区長は庁舎の建てかえについては、今どういう考えでいらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
◎保坂 区長 現在の世田谷区の庁舎が大変狭隘になっており、また経年数も経過しているということで、区民の皆さんからも、また職員からも建てかえないし大幅な環境改善、これはしなければいけないものだと思っておりますが、財政の安定的な見通しをしっかり見るということをやった上で、この課題、受けとめていきたいというふうに考えております。
◆宍戸のりお 委員 これで自民党・新風の質疑を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で自由民主党・新風の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、公明党、どうぞ。
◆諸星養一 委員 それでは、これから公明党区議団の総括質疑を行います。
私の持ち時間は四十分なんですが、五つのテーマをやりたいと思っていますので、簡潔にと言う私がだらだらしてはいけませんので、質問も簡潔にしたいと思います。
まず、区長にお伺いしたいんですが、福祉文化都市ということで、先ほど小泉委員からも質疑が交わされましたけれども、この福祉文化都市という言葉、私も非常に関心が高いというか、イメージとして、区をあらわすのに大変いいイメージかなというふうに思っております。選挙公約に初めて保坂展人氏として掲げられたわけですけれども、その後、区長になられて、要するに招集あいさつにかなりこの言葉を使われていますね。それに対して議会でも、例えばうちの高久議員が代表質問で、再質問の中で福祉文化都市とは何ぞやという質疑も交わされているわけです。ただ、イメージとしてはあるんですけれども、具体的にこれだということを、まだ私の中で少しすっきりしていない部分があるので、そこを私は質問したいなと思うんです。
区長は、九月の定例会の招集あいさつで、二十一世紀の本格的な少子・高齢社会を前にして、従来の福祉の概念からの大きな転換が図られた。だれもが気兼ねなく支えあい、福祉サービスを充実、更新していくネットワークが実る都市、福祉を中心とするコミュニティーと文化を持つ都市、それが福祉文化都市ですと言われていますね。福祉文化都市を目指して高齢者と障害者が安心して暮らすことのできる町、そして男女が互いに人権を尊重し合いながら能力が発揮できる。
実はこの福祉文化都市というのは、いろんな都市で、基本計画なり、そうした行為の概念として取り上げられておられますよね。私自身の理解ですけれども、今区長がおっしゃったことについて、要するに、今までの福祉の概念というのは、弱者救済という固定化した概念があったことは今までの否めない事実だと思います。しかし、時代が大きく変化し、超高齢社会の到来が、ある意味ではだれもが弱者であり得る。福祉は特別なものではなく、自立した中で、お互いがそれぞれ一個の人間として認め合った上で足りないところを補う。そうしたものを区長は目指していきたいというふうに受け取っているわけですけれども、この点について、まず区長のお考えをお聞きしたいと思います。
◎保坂 区長 福祉文化都市と申し上げるときに、やはりこれだけ加速してきている高齢者の人口、そして震災前、特に地域でコミュニティーが非常に薄くなっているという問題も指摘されました。三月十一日を経て、もう一度この密集した都会で生き延びていくためには、ふだんからの地域コミュニティー、とても大事だという認識は広がっているものと思います。
ただ、これはひとえに防災上のコミュニティーができている町というのは、多分に、ふだん日常的な、例えばある方が元気だったけれども、足を痛めて歩けなくなったとか、そういった日常の中で起きてくるさまざまなアクシデントがございますよね。そういうことに対して、横のコミュニティーの力で知恵を出したり、いい治療法を紹介したり、さまざまな形で支えられるという基盤があって、そこに公的な病院であるとか、区のさまざまな対応だとかが結びついている。
これまでどうしても福祉というと、それぞれの障害の形態に応じて、例えば障害を持っている方のための施設であるとか、あるいは高齢の方のための施設ということで、ジャンルごとに分かれていた感があるんですけれども、地域は丸ごといろんな方がいらっしゃいますので、むしろそこに地域コミュニティーを再考していくことで、例えば地域共生の家とか、ふれあいの家のような世田谷で既に積み上げられているいい例があります。日本でもほとんどないんじゃないかというぐらい豊富なんですね。
ですから、ゼロから何かを考えるというんじゃなくて、既に世田谷にはそういう意味で、大変自発的な住民の活動がある。そこをもっと区として積極的に位置づけて、例えば週に一回オープンというところは、週に三回なり四回ということで日常化できないのかということが重層的に重なっていけば、やはり福祉の力というのは住民力と相まって、大変行政が全部抱えるというのではなくて、地域に一番近いところで成り立つんじゃないだろうかということを福祉文化都市と呼んでいるわけです。
◆諸星養一 委員 今まさに区長が住民力という言葉を使われましたけれども、せたがや自治政策研究所が住民力に関する調査研究ということで、これは優秀賞もいただいているようですけれども、吉原課長からも若干お話しいただきましたけれども、本当にそうした地域で、今区長がおっしゃったような力が、住民、区民の方々がみずから備えていけるんだということ、それを、問題は、私なんかは価値観を共有した上で、それを実践することを通しながらお互いが切磋琢磨していく、いわゆるアウフヘーベンしていくということが実は福祉文化都市なのかなというふうに思っている次第です。
ここで文化を持ってこられた点をもう少し具体的にお聞きしたいなと思うんですが。
◎保坂 区長 文化とは大変広がりがあり、奥行きも深い言葉かと思います。極めて狭く使えば芸術アートというような意味もありますし、例えば江戸文化といえば、江戸時代の庶民の暮らしぶりや価値観であるとか、あるいはもっと突っ込めば人生観とか、死生観に至るまで、さまざまな人の成り立ちそのものトータル、そして人と人との関係のそのものと、その国の文化なんていう場合にはそういう意味合いがあろうかと思います。
福祉文化の文化は、狭い意味での文化ではなくて、後段のかなり広い、人と人とのつき合い方、向き合い方、立ち方、暮らし方というところを福祉というものを基調に町をつくれないだろうかと、そういう町にしていけないだろうかという意味で使わせていただきました。
◆諸星養一 委員 具体的にそれを取り組みとして求めるとしたら、区長はどんなことをやりたいというふうにお考えになっているのか、もしその一端でも聞かせていただければと思いますが。
◎保坂 区長 この福祉文化都市も、地域住民運営型公共サービスもそうなんですが、地域共生の家を拝見しました。また、ふれあいの家であるとか、あるいはミニデイだとか、さまざまな区民の方が自宅のリビングでお集まりになっていたり、あるいは学校のスペースでやられていたり、そこにいらっしゃる皆さんがこれを大変楽しみにしていて、これはやっぱり世田谷区が貴重な財産として持っている、区民参加型、運営型の、もう既に実践があるんだろうと思います。これをより拡大していく。そしてまた今のところは地域共生の家もボランティアでやっていますから、週に一回開きますよというぐらいの、割と無理をしないペースでやられていますよね。
これからNPO法人といっておりますのも、地域の中で子育て支援とか、あるいは介護予防にかかわる活動でもいいですけれども、そういった幾つかの目的を持ったNPOができれば、これは税金を払う際に、私の納税の一部はこの団体ですよというふうにプッシュすることができる制度がやがて近くでき上がってきます。そういう意味では、ボランティアだけではなくて、ソーシャルビジネス的な展開もいわゆる地域事業で、そこで雇用が少しずつ起きてくる。リタイアされた方、あるいは若い人でさまざま仕事で困っている方、意欲はあるんだけれども、働いて活躍できる場がない方などのチャンスになるんじゃなかろうかとも思っております。
◆諸星養一 委員 まさに区長が招集あいさつで、地域住民運営型公共サービスと、本当に今おっしゃったとおりであり、これが地域にどう根差していけるかということを、ある意味では区がきちっとフォローしていける、支援していける体制が望ましいのかなというふうにも私どもは思っておりますので、ぜひしっかり取り組みを展開していただきたいなというふうに思っております。
二点目のテーマですけれども、地域行政制度、これも小泉委員もお話をされておりましたけれども、我が党の代表質問でも取り上げさせていただいて、まずは地区の強化ということで、今非常に特別委員会でも検討していると、秋をめどに一定の結論を出していきたいというふうに行政として考えているわけです。こうした、私どもはずっと地区の強化、地区の充実ということで、これは代表でもお話をさせていただきましたけれども、まず一点目として、この地域振興課機能を地区におろすということなんですけれども、もう十カ所でしたか、今あんすこと出張所・まちづくりセンターの合築が進んでいます。さらに二カ所になりますが、見守りネットワークのモデル事業も展開しているということで、福祉の地区展開というのは、非常に進みつつあるのかなというのを実感として感じます。
問題は、ソフトな意味合いにおけるまちづくりをどう地区で展開するのかということが、私どもがこの地域振興課機能を地区におろすべきということの主眼というふうに考えているわけです。その点について、改めて区の見解を伺います。
◎宮崎 政策経営部長 先般の代表質問でも区長からご答弁申し上げておりますけれども、お尋ねの総合支所地域振興課でございますけれども、現在も地域防災、地域振興などの業務に当たっておりまして、各出張所・まちづくりセンターと連携を図って事業を進めさせていただいております。その意味では、今お話がございましたように、特にソフトというようなお話がございまして、より地区の強化策をというふうに受けとめております。
現在の地域振興が各地区での区民活動の支援を担当している中の業務内容も改めて精査しなければいけないと思っております。そういうことを含めまして、全体の地域行政制度のあり方にかかわりますので、その中で、総合支所全体にも及びますけれども、役割等を明確にしていきながら、このご提案につきましても、検討させていただければと思っております。
◆諸星養一 委員 この三層構造、地域行政制度が出発した時点というのは、地区カルテというのが、その地区においていろんな問題に対応するという意味で、これはハードなまちづくりについても、そういうものを想定していたかもしれませんけれども、地区におけるさまざまな問題をどう具体的な解決策を得られるか。それはまさに地区で解決しなければいけないという大命題があると思うんです。そのために、どう地区を強化していけるかということは、我々のテーマでもあります。
その中で、次の質問ですけれども、出張所長、まちづくりセンター長に管理職を置けないのかと。やはり二十七あるセンター、出張所で、人口規模が少ないところで一万五千人です。多いところで五万七千人を超えるという、そうした地区によってさまざま形態はあるわけですけれども、どちらにせよ、小さくても一つの市に匹敵するだけの人口を抱えているわけです。そこに、やっぱりある意味ではリーダーと、そこでいろんな問題に的確に対応するための、いわゆるそれは所長の役割、センター長の役割だと思いますけれども、そこにもう一つ、やっぱり権限というか、人と金をつけるということが、私どもは何より必要なことではないかなというこの点についての見解はいかがですか。
◎保坂 区長 今おっしゃっていただいている、世田谷区は八十八万人で県を六つも超えていると、政令指定都市だってもっと少ないところはたくさんあるという中で、やはり五つの総合支所、それからまちづくりセンター・出張所と、それが地域密着で、私も全部結果として行きましたけれども、やはり住民の皆さんとそれぞれのセンター長、出張所長がよく会う間柄で、また、それだけの人口を抱えているにしては、なかなかそういった人員も十分じゃないところもある。
ですから、今の諸星委員の指摘を受けとめながら、地域のことを地域で解決していけるような、まさに市なのか、町なのか、そういった一番身近な単位でしっかり住民が参加をしていく地域行政制度をどのように配置できるかという中で、その長となる人間の人選についても、今の指摘を受けとめながら考えていきたいと思います。
◆諸星養一 委員 現場における出張所長、センター長のお力ってすごいんですよ。新年会に行くでしょう。まずもって、議員はそっちのけで、ひがんでいるわけじゃないんだけれども、新年会の町会長なり、商店会長の後に大体所長、センター長がまずごあいさつをされるわけですよ。それぐらい地域においては、ある意味では所長、センター長というのは大変信頼を僕はされていると思います。だから、そこにやっぱり一定の権限を与えていただく。それは私はぜひとも検討していただきたい。でき得れば、どこからやるなんて言わないから、考えてください。いかがですか。モデル地域をしっかり設けて、どう。
◎宮崎 政策経営部長 先ほどのご提案でございますけれども、区長が申し上げていますように、今の、先ほども他の会派から出ました、地区の割り方も含めて、私は微妙に関係してくる問題だと思っています。やはり管理職を配置するということになれば、今お話がございましたように、権限を伴っていくということになりますので、当然それが地区の強化につながるというご提案ですので、その辺のところについて、モデルということであれば、どういう方法ができるのかどうかということも含めて、全体でちょっと整理をさせていただいて、検討素材にさせていただけないかと思っております。
◆諸星養一 委員 政経部長はいつも慎重だからしようがないな。
この地行の中の見守りネットワークのさらに進展へ向けてということで質問いたしますが、最近、非常に不幸な事件が起きていますよね。さいたま市では、六十歳代のご夫婦と三十歳代の息子さんの死、さらには四十歳代のお母様と障害を持つ幼児の子が亡くなられた。そういう意味では、本当に不幸なやるせない出来事が起こっているわけですけれども、まさにそうしたことに対して、世田谷区は見守りネットワークということで、今回、昨年から見守りの四つの重点施策ということをしっかり取り組んでこられていますね。
我々が主張している地区の見守りネットワーク、民生委員のふれあい訪問、あんしん見守り事業、さらに高齢者安心コール、さまざまな重層的にこれを展開しているわけですけれども、ここにおいて、これからどうそれを充実させていくんだということについての課題があれば、簡潔にお答え願いたいと思います。
◎堀川 地域福祉部長 今年度は四つの施策を展開させていただいたわけでございますが、今年度展開して見えてきたという点で、課題と申しますと、一つは、民生委員のふれあい訪問なんかで、当初辞退者が私は一割ぐらいかと考えていたんですが、それが二割ぐらいであったというようなことで、ちょっと周知といいますか、PR、あるいは見守りに関するご理解を区民の皆様にいただくというようなことをこれからしていかなければいけないんではないかと。
もう一方、いい面というところでは、やはり地区の見守りネットワークで、いろんな地域の団体の方々が話し合う中で、見守りへの意識が高まって、それは団体間の協力関係などにも展開して、地域のコミュニティーの活性化につながっているというような、そういう点などもいい点だというふうに認識しております。
◆諸星養一 委員 今部長はおっしゃらなかったけれども、ここにも書いてありますけれども、要するに民生委員さんが、自主的に今度は七十五歳以上の見守りをぜひやっていきたいと、これはすごいことですよね。やっぱり地域からそういった声が出てくるということは、先ほども区長が福祉文化都市の中で言いましたけれども、まさに地域の住民力が、世田谷というのは、ある意味では他都市に比べればはるかに強いなということを感じます。
ここで、我が党が再三言っているわけですけれども、見守りネットワーク、今二地区展開をして、来年度は各総合支所に一カ所、三地区ふやすというふうにお話しいただいているんですが、二十七あるわけですよ。二十七分の五じゃ余りにも少ないんではないでしょうかというのが我が党の主張でございます。どうお答えいただけますか。
◎堀川 地域福祉部長 まさに私も全区展開ということで目指していかなくてはいけないと思っております。それで、今年度二つ、それで非常にいい取り組みをしていただけたということ、これをまず来年度は五つの地域でそれぞれ展開して、それの状況、課題等を検証しながら、その後の展開を検討してまいって、二十七カ所できるように目指してまいりたいと考えております。
◆諸星養一 委員 区長に聞いたほうが早いかもしれないね。でも、きょうは聞きません。
では、三つ目のテーマで若者の就労支援ということで、区長はこの就労支援について、本当に力強く重点項目、これは恐らく区長がきっと取り上げたんだなというふうに評価をするわけですけれども、九四ページ、この予算説明の中にも重点項目の中に、就労支援におけるフローチャートということで、就職機会に恵まれない若者、自立できない若者に対してさまざまな就労機会の創出をしていくんだということが描かれています。この中で、現実に今いわゆるサポートステーション、ヤングワーク、そうしたことについて、かなり区としては真剣に取り組んでおられますよね。
例えば一例を挙げれば、若者サポートステーションでは、昨年の四月からことし一月まで、進路決定者数が年間目標の七十を上回る九十五名を数えているというそうした地道な努力を私は評価させていただきたいなと思うんですけれども、そうしたことを通しながら、この重点項目の中で、区として何を目玉にやっていくんだということについて、これは産業政策、福祉部門、それぞれの部長さんからお答えいただければと思います。
◎杉本 産業政策部長 雇用につきまして、まず産業政策のほうからご説明させていただきます。
ご説明がありましたように、区で次代を担う若者が自立して社会に貢献できるように、NPO法人にお願いしまして、平成二十一年六月にせたがや若者サポートステーションを開設しまして、その後、充実を図ってまいったところでございます。
若者就労支援センターにつきましては、サポートステーション機能とヤングワークと両方をあわせ持ちまして、多くの若者が就労を切り口に訪ねてこられますけれども、相談支援を重ねても次のステップにつながらない利用者の方も存在しておりまして、今年度、外部の専門機関とともに検討してまいりました結果、発達障害と思われるケースも少なくないということが判明いたしました。
そこで、来年度に向けて、若者就労支援センターに発達障害などの傾向を把握できる専門員を配置するとともに、領域を超えた連携強化を図りまして、新たに福祉部門で開始いたします居場所就労前支援事業につなげていくなど、双方の連携を図っていきたいと考えているところでございます。今後、さらに福祉や医療、それから就労以降の支援機関や団体との連携等を充実させまして、必要な支援先への誘導も図りながら、若者就労支援の充実を図ってまいりたいと思います。
◎藤野 保健福祉部長 産業政策部と福祉部門の連携ということが、今回の若者サポートステーションでの取り組みの特徴かというふうに思っておりまして、サポートステーションに隣接したスペースに居場所というものを用意させていただきまして、発達障害の特性に合わせる形で、生活習慣ですとか、コミュニケーション能力の向上、あるいはビジネスマナーの習得など、できる限り就労につながっていくようなプログラム、これは新しくつくっていかなければならないものですが、そういうものをつくって試行していきたいというふうに考えております。
プログラムが終了した後は、障害者就労支援センターの利用などということも含めまして、その方にふさわしい働き方を支援していきたいというふうに思っております。
また一方、発達障害の成人期の支援の仕組みというのは、まだまだ確立されていないというような状況もありますので、東京都の補助制度を活用して、もう少し就労に特化しない形で、幅広く居場所的なものから就労未満的なところを取り組んでいきたいというふうに思っております。
ただ、働き方というのはどちらにしても大切ですので、それは第三期障害福祉計画の中にも書かせていただきましたが、新しい働き方を検討するプロジェクト、産業政策部とも連携して進めていきたいというふうに考えております。
◆諸星養一 委員 意欲というのは大変買うわけですけれども、ただ、このフローチャートを見ると、ほとんど国と都の事業なんだよね。要するに区の単独というか、予算というのは、産業振興公社の就労支援、総合窓口の予算、ほかはみんな国であり、都であり、ここのところをやっぱり区がせっかく重点項目として掲げている以上、もっと区としてこうしたいんだということを見えるような財政出動というのも必要じゃないかなと。これは宮崎部長に聞いてもしようがないから、要望しておきますけれども、しっかりその辺のところも考えていただきたいというふうに思います。
一点飛ばしますけれども、そこで、この中に若者就労支援連絡会という会をつくると。庁内関係機関と連携し、若者就労支援に関する調査研究、事例検討を行うと。連絡会をやるんだったら、これはまさにある意味では、私たちがいつも主張している青少年組織の専管事業を立ち上げたほうが早いんじゃないか、そういうふうにも考えますけれども、これは区長にお聞きしたいなと思います。
◎保坂 区長 今回予算編成の過程で、雇用支援系のプロジェクト、それからまた発達障害などを抱えて悩んでいらっしゃる方の成人発達障害支援と、こういう枠組み、またあと障害を持っている方の就労支援という福祉系といわば雇用系であったわけですけれども、これをばらばらにやらないで、一つのテーブルでまずやりましょうと。一応雇用を基軸にしていますけれども、もちろん雇用までいかない、非常にひきこもりで悩んでいらっしゃったり、あるいは燃え尽き症候群で、大変忙しい会社で夜も寝ないで、突然行けなくなる、こういう方も非常に多くて、これは雇用のシンポジウムをやったら、ほとんど生きづらさを抱えているという若者たちは、高学歴であるか、あるいは高校中退であるかは別にして、それぞれのところで本当に結構厳しい目に遭っている。
ですから、委員ご指摘のように、若者就労支援連絡会、こういうものをしっかり、今回さまざまな補助事業をあわせながらのスタートですけれども、主体は、制度じゃなくて若者であると。一人一人が持っているさまざまなテーマを引き出しながら、専管組織発足につなげていける、情熱を込めた取り組みをことしはまず展開してほしいというふうに考えているところです。
◆諸星養一 委員 今本当に心強い区長のお話ですので、それをしっかり事務方がどう生かしていけるか、我々もしっかり見守っていきたいと思います。
次に、四点目ですが、区制八十周年記念事業、これは先ほど宍戸委員からもお話がありました。ちょっと私どもとしては、提案という形で少し区長に見解をというか、お聞かせいただきたいなと。表彰式でいろんな植樹もやると千葉部長からお話しいただきましたね。ジュニアオーケストラやドリームジャズバンドのコンサートなんかも検討されているようですけれども、そういう意味では、世田谷区民に夢、元気をぜひ与えていただきたいなと思うんですけれども、その上で、ちょっと八十にちなんだ行事を考えていいのではないかなと。
私も古い人間ですから、八というのは末広がりなんですよね。数字の八を横にすれば無限に通ずるということで、世田谷の将来、未来にわたって訴えられるような行事ができればいいのかなと思って三点ほど提案をいたします。
その一は、八十歳になられる元気な高齢者の方々にお集まりいただく。行き帰りどうするんだという話もありますので、来ていただいたはいいけれども、帰りにけがされてしまったら困るので、ちょっと気になるところではありますけれども。
その二は、逆に子どもたち、八歳の子どもたち、これは大丈夫だと思うんですけれども、八十人選んで未来を語ってもらうとか、小学校二年生だから未来を語れるかどうかという問題もありますけれども、そうした行事。
その三が、これは具体的な提案になるんですけれども、さっき植樹という話があったんですけれども、これを被災地に植樹をしたらどうか。要するに、もう区長は現場に行かれて、どれほど大変かということを本当にこの一年間如実に感じられたと。常にこれをきちっと世田谷区と被災都市の間をもつんだという強いお気持ちがあるわけです。相手の都市がそんなのいいよと言われたら困るわけですけれども、例えば南三陸なり、南相馬なり、女川なり、そうした都市において、例えば八十本の桜の木を植える。八十というのは記念行事ということです。その木を世田谷区民から寄附を募る。そういう事情を話をして寄附を募る。一本幾ら、それは検討していただきたい。寄附者の名前をつけていいかどうかも、これもいろいろあると思いますけれども。
やっぱり木を植えるということは一年、二年じゃないですね。二十年、三十年、五十年先の世田谷と被災地との交流にきっと私は一つの基本になってくるんじゃないかなということを考えている次第なんですけれども、何かお考えがあれば、区長、お願いします。
◎保坂 区長 たくさんの示唆に富んだご提案をありがとうございます。
区制八十周年記念行事、あるいは八十周年にちなんだ、八十周年記念という冠をつけた区の行事、さまざま行っていく準備が始まっております。ただ、これは私たち行政の側から見て、ある種予定消化的にやるものであってはならないというふうに私は申し上げているところです。区民から見て、これは大変いい企画だと、あるいは自分も行ってみたい、あるいは参加してみたい、そういうさまざまな、この八十周年という区でこれから展開する、予算はわずかですが、それを見て身近に感じていただく。そしてまた、ある種のいい思い出にもしていただくという意味で、八十歳の方に例えば歌っていただくのか、踊っていただくのかわかりませんけれども、あるいは八歳の子どもたちの登場であるとか、あるいは被災地に今度は桜の植樹という形で区民の参加を求めるというあたりは、八十周年を考える意味で大変示唆に富んだお話と受けとめました。
今後とも区民から見て、自分たちが住んでいる世田谷区の価値を再発見していただき、またここには自分の居場所があり、そして仕事も役割もあるというふうに認識していただいて、非常に小さな地域の中でのコミュニティー力という話を前半にしましたけれども、そういったものが連なった大きな世田谷区という催しにしていければと考えております。
◆諸星養一 委員 これはまさに僕は福祉文化都市の一つのあらわれかななんていうふうに思ったりしています。
最後の質問になりますけれども、デジタル映像コンテンツの検証委員会の報告書が出ました。先ほど自民党の上島委員から厳しいご指摘があったわけです。それを聞いていまして、やはり大変大きな問題だと、この事務執行の不適正さ、これに対して区はどう真摯に立ち向かうのかということについては、これはきちっと総括をしてもらわなくてはいけない問題だと。それは最後に区長にお聞きします。
ただ、これは私個人の考えかもしれませんけれども、この当時、産業政策部の前部長からこの構想をお聞きしたときは、この世田谷にこうしたことが、考え得る、これが産業の活性化につながるということは、私は決して否定するものではないです。本当にそういう意味では、その当時、私自身も、今団の中ではそれを聞いた人間は少数になってしまいましたけれども、世田谷のあるべき未来像、将来像を、これを契機に本当に産業が見えてくる、将来像が見えてくるんだということを私は確信しました。(「間違いだ、それ」と呼ぶ者あり)外野が変なことを言っているけれども、それは見解の相違というふうに受けとめます。ただ、その後の事務執行に当たって、これが検証委員会の報告書にあるように、大変厳しい結果になったということは、行政だけではない、賛同した私たち議会人も、きちっとこれは真摯に反省をするべき話だというふうには、それもあわせて考えております。
そうした産業に関して、新しい発想、新しいものをクリエートしていくということについては、ぜひともこれからも、産業政策部だけではなくて、全庁挙げてそうした新しい創造をしていきたい、いってほしいということはぜひともお願いをしていきたい。
もう時間がなくなってしまいましたので、一点だけ。要は今その関係者の方々は何をしているのかなと。相手方、DCInとか、二子デジタルは解散をされたようですけれども、要は血税を使って今その返還についても、この報告書にあるように、これは区民生活委員会でも報告いただいたわけですけれども、返済が全くできない状況になっている。これはやっぱり非常に私はいかがなものかと。
最後の、要するにDCInとの間に、緊急雇用創出事業で委託をされています。それも本当にいいかげんな処理、いいかげんな中で委託金を払ったが、これだって本当は返還要求したっていいぐらいですよ。そうしたことどもについて、今区はどういうことをお考えになっているかということをお聞きしたい。
◎秋山 副区長 緊急雇用の創出事業につきましては、緊急的、一時的に創出するということを目的に、十分の十の補助率で実施した事業なんですけれども、当時、二十二年度には専門人材の発掘とアンケートの実施を行って、二十三年度からネットワークの構築に向けて本格的に取り組んでいく予定ということで行ってきましたけれども、今振り返ってみますと、本当にきちっとした事務処理ができていなかった部分もあったのかなというふうに思っています。
この検討委員会の報告を受けておりますので、区としての総括の作業を進める中で、ここは委託内容などにつきましても、きちっと点検をしていきたいというふうに考えております。
また、今デジコンや二子デジタルの関係者なんですけれども、私自身も会いに行きまして、返還金のこと、それからこれからどうするつもりなのかということも聞きましたが、誠意ある態度といいましょうか、対応は得られていない状況でございます。本当に不誠実な態度だというふうに私自身も感じて帰ってきているというところがありますが、ここまで私どものほうがきちっと気づかずにいたという点については、大変反省をしなくてはならないことだというふうに思っています。
今、先ほど委員のほうからもお話がありましたように、そうは言っても、反省をしながら、もう一つは、今後の都市型産業の誘致ということにつきましては、今後の可能性についてもいま一度本当に原点に戻りながら、専門家の意見を伺いながら、方策は一生懸命検討して、そちらは今後に向けてきちっとやっていきたいというふうに思っています。しっかり検証、改革委員会をつくるということを言っておりますので、改革委員会の中で反省をしながら、補助金の適正な執行をやりながら、反省しつつ、新しい事業にも決して縮まることなくしっかりやっていきたいというふうに思っています。
◆諸星養一 委員 とにかく法的措置も含めて、どう具体的に実効ある取り組みができるかということを改めて検討していただきたい。
最後に、区長にお聞きしたいんですけれども、先ほど上島委員から今後の区の対応の問題ということで総括、そしてそれを踏まえた上の責任と、もう一度補助金事業に関する改革検討会を立ち上げる。とりわけ第一弾のほうの総括、区としての責任ある対応ということがやっぱり一日も早く求められていると思うんです。そういう意味では、やっぱり五月の臨時議会なり、ある一定のめどを区長としてお考えいただきたいなと思っておりますけれども、その点について、最後にお伺いします。
◎保坂 区長 今回の検証委員会の報告書で指摘されている多々ご指摘を受けている点、また私自身も改めて知ったことも多くございますけれども、こういったデジタルコンテンツという極めて専門性の高い、そんなに専門家が多いというわけではない分野で、特化して取り組んだ規模とか、あるいは事業内容というところが、どうしても客観的に検証するだけのゆとり、あるいは力というところの不足を指摘されているわけであります。
この検証委員会報告書を区として受けとめ、一つ一つの事実も確認した上での総括、これを直ちに始めまして、五月をめどに、今臨時会とおっしゃいましたけれども、そのころにしっかりとそのご報告をする、襟を正すというふうにしてまいりたいと思います。
◆諸星養一 委員 きちっと取り組んでいただきたいことを最後に要望し、板井委員にかわります。
◆板井斎 委員 私のほうからも、先ほどの宍戸委員に続いて、路地状の敷地に建設されている長屋について質問いたします。
これまで多くの、この問題について、区長もお耳にいろんな情報が入っているかと思うんですけれども、私なりにその問題を整理すると、路地部分を除く敷地に目いっぱい建設するため、隣地への圧迫感がある。二つ目は、二階建ての物件でも、一、二階ともロフトがあるため、ボリュームが大きくなり、隣地への圧迫感がある。共同住宅ではないので、窓先空地がなく、二方向避難できないため、避難上危険がある。最後は、準耐火建築物であれば、通路のみに面する住戸は三戸を超えることができるが、避難上問題があるのではないか。こういったことが言えると思うんですけれども、区長は車座集会で一歩進んだ対策をとると発言されておりまして、これまでこれについては、各会派、議員からも区長に見解を求めるというお言葉があるけれども、区長の口からまず答えていらっしゃらないと思いますので、できれば区長の見解をお伺いしたいと思います。
◎保坂 区長 この路地状長屋の問題、旗ざお型とも言いますけれども、私も現場を三カ所見せていただきました。とりわけ、これは共同住宅ということでは、建設不可能な土地ではあっても、長屋ということであれば、これはクリアする。その長屋ということであれば、事実上の共同住宅で、高い収益が可能ですよと、そういうセールスもあったという話も聞いております。
世田谷区という良好な住宅街という評価を得ているところで、いまだにこういった路地状の土地というのは多いわけで、これが実態上、共同住宅はつくれないという土地であるにもかかわらず、長屋という、イメージとしては戦争直後の一階の平屋長屋ですね。これは大丈夫と。準耐火とか、こういった条件が加わったことにより、現在の問題になっていると思う。
ですから、一つは、東京都の条例の中で、やはりこういうものが良好な住環境を壊すということで、しっかりその改正を早くしていただくことが、まずは一番、大ごとになろうと思いますけれども、そういったものを促すためにも、世田谷区の住環境条例という中で、しっかりこういったものが建てにくくなる。あるいはこういった路地状長屋というものを周辺の住環境の中で、好ましからざる建築物としてしっかり指摘をする。これは強制力や罰則の問題というのは、実は区の条例の場合は、その上の都の条例の下にありますので、できれば本当は都の条例は区の条例に任すというふうにやってくれれば、他の市のように独自に規定するということもできるわけですが、今のところ都に対する働きかけと、国土交通省、こういう問題が起きているよということをしっかり言っていくこと、そして、区の中で関係所管を中心に実効ある、少なくとも効き目のある区条例の改定案というものを検討させているところです。
◆板井斎 委員 かなり突っ込んでご答弁いただきましたけれども、先ほど東京都に、連絡会は区長が就任する前から既に立ち上がっていたと思うんですけれども、そうしたことを踏まえて、また区長からのきっと指示も加わって、九月、そして十月に東京都のほうに足を運んだということも、先ほど答弁でありました。
それでは、具体的にどのようなことを要望したり、要請したりしているのかお伺いします。
◎中杉 都市整備部長 東京都に対する要請等のお話でございますけれども、東京都のほうは、現在、安全条例全般の運用の統一及び明確化に関する建築行政連絡会の作業部会というのがありまして、その中の一つの議題として長屋に関するものもございますが、その作業部会の再開を検討していただきたいということで、再開の約束はいただいております。
また、今委員おっしゃいましたように、十月に見直し検討の推進について、そういった東京都あての要請文を出したというところでございます。
また、その後、東京都としては、都内の特定行政庁あてに、延べ床面積三百平米以上の長屋の実態調査の依頼をしております。そういった中で、本年一月には東京都とその後の検討状況、取り組みについて意見交換等を行っているところでございます。
◆板井斎 委員 東京都の建築安全条例、路地状に関係するのは三条と四条と五条があるわけですけれども、その路地状の敷地の形態、要するに路地状のさおのところの長さがどのぐらいあるかによって規制がかかっているということと、それから建物の延べ面積に応じてさおのところの幅がどうなっているのかとか、そういうことが書いてあるわけですけれども、この長屋の規定に関しては第五条しかないんです。長屋の主要な出入り口と道路との関係、これは長屋の各戸の主要な出入り口は、道路または通路に通ずる幅員二メートル以上の敷地内の通路に面していなければならないというのが一項なんですけれども、要するにその各戸の前に二メートル通路があれば建てられる。二メートルでいいというふうにも受けとめられるわけですね。ですから、通路の部分が二メートルでどんどん連続して長屋の入り口がある。それによって、さらに重層長屋ということをさっき言われましたけれども、ロフトがあれば、十メートル近い建物が一見四階建てに見えるけれども、二階という形で建っている。そんなことも実際起こっているんです。
先ほどワーキンググループで検討して、住環境条例の適用をする、規制をかけるということのお話がありましたけれども、これは住環境条例の集合住宅の場合は、千五百平米未満の場合は隣地境界線までの距離が五十センチ、〇・五メートルと定められている。こういうようなところがあるわけです。今の住環境条例には、長屋というカテゴリーがないわけです。ですから、長屋というカテゴリーをつくって、そして延べ面積を幾らにして、そして隣地境界線からの距離をどうするのか、これが結局大きな改正の柱だと思うんですけれども、まず確認なんですが、そういうことでいいんですか。確認だけでいいです。
◎中杉 都市整備部長 今のところ、形態制限として隣地からの壁面後退等を考えてございます。
◆板井斎 委員 そうすると、先ほど、要するに壁面後退ということで今お話があったと思うんですけれども、延べ面積、それが千五百なのか、千なのか、五百なのか、それによってあとは隣地境界までの距離をどうするのか。これをうまく組み合わせて規制をかけるしかないというふうになっていくわけですけれども、先ほど、今四十五件東京都に報告した中で、旗ざお状の長屋が、それもしかもほとんどが重層だというお話があったんですけれども、いろんなパターンを考えなければいけないと思うんです。その四十五件のパターンをいろんなパターンで考えたときに、具体的にどのようなことが想定されるのか伺います。
◎中杉 都市整備部長 先ほど申し上げた東京都の調査の延べ面積三百平米以上の路地状敷地の長屋に当てはめて検証ということで考えてみますと、例えば壁面後退を七十五センチにした場合については、先ほど四十五件の長屋があるというお話をさせていただいておりますが、その過半が不適合となるというような状況になると思います。
また、建ぺい率とか、その高さに応じて、例えば壁面後退を一メートルとすることを組み合わせると、四分の三程度が不適合となるというようなケースもございます。現行の基準とのバランスなんかも考えながら、できるだけ効果のある基準となるように検討していきたいと思っております。
◆板井斎 委員 先ほど三定に向けてということ、あと半年ぐらいあるわけで、当然周知期間等も含めてのお話かなというふうに聞いてはいるんですけれども、四十五件中、今のような形でいうと、かなり厳しくすれば既存不適格になるけれども、ただ、二メートルとか、それは通路の部分は二メートルであって、壁面を後退するのは通路以外の角というか、壁面のほうですよね。だから、真っすぐ通路がある長屋であれば、東西と上のほう、こっちの部分が関係してくるということだと思うんです。そうすると、場合によってはぐるっと歩いて回れるというか、そうすると、避難路も確保できるのではないかといった発想からの検討じゃないかなというふうには思うんです。
世田谷区については、目黒区と世田谷区が、こういった地形のところに重層長屋が建っているということは非常に多いというふうには聞いておりますけれども、世田谷区は住居系の用途地域が全用途地域の九一・三%、第一種低層住居専用地域に限ってみても、全面積の半分を超えている。すなわち世田谷区は低層を中心とした住宅都市としての性格が強い。このことから、先ほど区長も言っていたけれども、建築基準法の四十条に基づいて、建築主事を置く市町村が条例を定めたときには、東京都の条例は適用しない旨の適用外規定を設けるとか、あるいは先進的な事例、横浜とか川崎市とかがありますけれども、長屋に対する東京都の建築安全条例よりもかなり細かに規制をかけている。そうしたことをかんがみたときに、また長屋と共同住宅の定義があいまいであったりするわけですけれども、これについて、しっかりと具体的に東京都に働きかけてほしいんですけれども、世田谷区独自のまず条例ができるのかできないのか、そこからお伺いします。
◎中杉 都市整備部長 委員今おっしゃいましたように、適用除外規定の可能性でございますけれども、県と市との関係がそのまま都と特別区に置きかえることはなかなかできないかなというふうには考えております。
適用除外規定を設けるには、いろいろ議論もあろうかというところでございます。
あと、特別区の区域内ですと、延べ面積一万平米以上は東京都が建築確認の事務を行っているというようなこともございまして、法四十条に基づく条例を区で設定するというのはなかなか簡単ではないと考えております。
◆板井斎 委員 そうすると、世田谷区では条例も今のところつくることも厳しいと。唯一できるのは、住環境条例の中で、仕組みをつくっていって、ほかにもあろうかとは思うんですけれども、一番それが多分効果が大きいと思うんですよ。そうすると、やはり東京都に何らか働きかけていかなければいけない。
先ほど九月、十月に東京都に何をしたのかという具体的なお話はなかったんですけれども、意見交換とか情報交換のたぐいじゃないかなというふうには思うんです。具体的に、世田谷区が今言ったような除外規定だとか、あるいは先進的な自治体の例に倣った取り組み、それから共同住宅に近づける長屋の規制を、そうした具体的なことを、やっぱり世田谷区はこれだけ大きな問題、建築審査会にも数多く出されている実態を考えたときに、やっぱりこういう働きかけをしていかなければいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
◎中杉 都市整備部長 先ほどもちょっとお話しさせていただいたんですが、東京都が行っている実態調査の結果として、路地状敷地の大規模長屋の状況が各区、市でさまざまでございまして、都としては、さらに詳細な分析、検討は必要だということでございます。
現在、東京都では安全条例の全般の運用の統一、明確化のための作業を進めてございますけれども、路地状敷地の長屋についてはその一項目だということで、東京都全体の制度として、スキームというか、そういったことを考えるに当たって、さまざまな課題もあって、時間もかかるというところで、区独自で取り組める対策の検討を優先して進めてまいりたいということで考えております。
◆板井斎 委員 ちょっと方向性がトーンダウンしたようなお話ですけれども、中杉部長ももうすぐあれなものですから、最後、世田谷区に置き土産を残すぐらいの勢いで、一緒に区長も、そういうふうにおっしゃって今聞いていたと思うんです。あと一カ月ぐらいは都市整備部長ですので、しっかりと働きかけていただきたいと思っております。
いっぱいあるんですけれども、次に行かせていただきますけれども、次は、瓦れきの受け入れについて質問いたします。
区長はさきの代表質問の中で、積極的に受け入れるんだか、受け入れないんだか、私にとってみればよくわからないような答弁がありましたし、実際に今被災三県で二千二百五十万トン、きょうの新聞だと六・三%までしか処理されていない。私も実際気仙沼とか南三陸、岩沼、山元町に行って災害ボランティア活動をやってきた経験からすると、これは本当に五、六階のビルぐらいに積んであるんですね。そして、白い煙が上がって、いつ火事が起こってもおかしくない。また、その瓦れきを見ると、震災を思い出す、あすへの希望が持てない、そういう意見を私は聞いてまいりました。
そうしたことで、今瓦れきの受け入れが実際にもう始まっているわけですけれども、まず区長に、本会議場の答弁について、賛成なんだか、反対なんだか、積極的なんだか、消極的なんだか、私にはよくわからなかったので、改めて区長の考えを教えていただきたいと思います。
◎保坂 区長 被災地からの瓦れきの受け入れについては賛成です。特別区区長会で、これは宮古の件、そして続いて現在の女川の件と説明をされました。しかし、説明をされたときに申し上げたのは、本来であれば、清掃工場は世田谷にも二つあります。そこで、例えばさまざまな心配も言われています。その心配のうち、政府が正確な発表をしなかったことで、恐らく官の発表は信用できないと、こういった誤解もあろうかと思いますが、まずは最初に、相談、照会があってしかるべきじゃないかと。決めましたよという前に、どうですかということがあってしかるべきでしょうと。それが全くなくて、はい、決まりましたと、やってくださいということであれば、決めた東京都の皆さんが住民の説明の先頭に立ってくださいよと。そして、ご心配の向きがあるわけですから、さまざまな測定などはできるだけ細かくやってくださいという中で、このデータとして、それはおかしいというものが出たら、これは世田谷区の場合、とめるということも一応ありますよと、そういうことで申し上げたということです。基本は受け入れについて賛成をしております。
◆板井斎 委員 広い心でしっかりと、どっちが先に言われたとか、言われていないとかというよりも、これはしっかりと受け入れていただく方向で語っていただきたかったなと思うんですけれども、実際に現地に女川に職員を派遣したり、区長、本当にそういう意味では、今のお言葉のとおり、受け入れという方向を模索したということは、大変評価いたします。
基本的には、現地で手作業で分けて、しっかりとその放射線量も国の基準以上にモニタリングをして、そして再生できない、そうした瓦れき、それを持ってきているわけで、国の基準でいうと、燃やしても八千ベクレルを下回る、そうした値になっているわけです。そうすると、これを世田谷に持ってきて、全体の一〇%にまぜて燃やすわけですから、実際女川町の廃棄物か、世田谷区の廃棄物か、放射線量が高くなった異常値が出たときに、それはわからないわけですよ。そんな中で、具体的にもしくは中止というんだったら、どのようなプロセスで中止をされるおつもりなんですか。
◎板谷 清掃・リサイクル部長 今委員からお話がありましたように、現地での放射能の測定とかはしっかりされていますので、基本的には女川町からの災害廃棄物が原因で都内の清掃工場で焼却処理した場合に、異常な数値が出ることはないものと考えています。
一方、災害廃棄物を受け入れていることで、区内の放射線量がふえるのではないかという区民の方々からの声も多く寄せられていることから、区民の皆様のご理解を深めていただくため、区では独自に清掃工場周辺の住宅地内にある公園等で空間放射線量の測定を行うことといたしました。この測定により、もしも通常とは異なる高い数値が検出された場合に、それが清掃工場での焼却によるものなのかを含め、清掃工場を管理する二十三区清掃一部事務組合と協議をしてまいります。
◆板井斎 委員 区長会で確認されたということで、区長会としての受け入れだから、区長は受け入れたと。それは被災地の支援ということが根底にあっての話だということを今伺いましたけれども、仮に一区長としてこれをとめろと言ってとめられるものなんですか。
◎板谷 清掃・リサイクル部長 清掃工場の管理運営は、東京二十三区清掃一部事務組合であります。そのことから、区では清掃工場での焼却を停止するといった権限はございません。一方、世田谷、千歳両清掃工場の操業に関しましては、一部事務組合と区との間でそれぞれ操業に関する協定書を締結しております。この協定で、地域住民の健康で安全かつ快適な生活を守るという共通の責務に基づき、公害防止対策、地域環境の整備を図るとしております。
今回の受け入れに当たりましても異常な数値等が検出された場合は、協定に基づき清掃一部事務組合に申し入れを行ってまいります。
なお、今回の災害廃棄物受け入れに当たり、一部事務組合は清掃工場での焼却において異常な数値が検出された場合は、これまでと同様に、当該清掃工場の焼却中止と原因究明を速やかに行うこととしており、原因が特定されるまでの間、当該清掃工場への災害廃棄物受け入れを一時中断するとしております。
また、二十三区内の清掃工場では、昨年の試験焼却を含め、現在までの百回以上の測定の結果、排ガスからは一度も放射性物質が検出されたことがなく、安全に処理ができております。
◆板井斎 委員 今百回以上の検査の中では幸いというか出ていないということは、先ほどその一つ前の質問では、女川町からの災害廃棄物が原因で異常な数値が検出されるものとしては考えていないと、そういうお話がありました。ならば、今瓦れきの処理が広域処理になっておりますから、大変受け入れに関して、いろいろな方々の思いがあって、ゼロリスクというか、ほとんどそれを求めている住民の方が多くて、またそうした方のご了解なり、説明なりしていただかないと、なかなか前に進まないということが非常にあって、国も大臣を筆頭に広域処理についてはそういった情報公開とか、ちゃんとした数値も含めて公表しながら、前に進んでいかなければいけないと思うんです。
そこで、区長にお願いというか、大田区で実際受け入れが始まっておりまして、そのデータも公表されていくものだと思っておりますし、また世田谷区でも、今後いつのことかわかりませんけれども、受け入れが始まると。
ちなみに女川町出身の俳優の中村雅俊さんが今このキャンペーンのCMに出ていて、皆さんにご理解をということでやっていらっしゃいますけれども、私はぜひ区長に世田谷でやって、それがデータの公表も含めて、まだちょっと早いかもしれませんけれども、実際安全だと、これはしっかりとやっていくべきだと、こういうことをしっかりと区長が先頭になって表明していく。社民党の福島みずほさんといえば基地問題、沖縄問題ということでぱっと来ますけれども、保坂区長は原発問題、その区長が先頭に立ってやれば、これは本当にインパクトがあるんじゃないかなと。私は、そういう意味で、ぜひ区長の力をかりながらこれは前に進めていかなければいけないというふうに思っているんですけれども、そうしたことのご決意があるのかどうか、改めてお伺いします。
◎保坂 区長 原発事故によって、大変風向きによってさまざま飛散をしたわけです。私も宮城県生まれですけれども、宮城県にも、岩手県にも一部は行っている。ただ、もちろん世田谷区にも来ていますから、そういう意味では、例えば岩手県の木を京都で燃やす。放射能が出るからということで中止になった県とか、さらには、名古屋で花火をやると、ところが、福島の花火だから、やっぱりだめだとか、こういった根拠が非常にはっきりしないもので、どんどんそういう形での忌避が広がっていくというのは非常にまずいだろうと思っています。
女川の瓦れき受け入れについて、区長会で唯一条件をつけたのも、そういう形での世論や、あるいは非常にこれに敏感になっている方が多いので、少なくとも世田谷区長としては二重、三重に注文をつけますよ。データの開示、説明会もどんどんやってくださいということをしっかり言うことで、いわばご心配の皆さんについても、こういうチェックがちゃんと行われるんだということで、きちっとその評価をしてもらえるという役割を果たした面もあろうかと思います。
ですから、今後、被災地に山積する瓦れきの問題について、この世田谷区での、もちろんモニタリングをきちっとやっていくということとあわせてですが、取り組みをしっかり内外に表明していくということについてはやっていきたいと思います。
◆板井斎 委員 よろしくお願いいたします。
次に、PPSの問題についてお伺いします。
原発は今五十四基あるんですけれども、あと二カ月するとすべてがとまってしまう。その結果、火力頼みということで、老朽化による故障が今多発して、何日か前もやっぱり火力発電所が停止したという新聞記事もありましたけれども、原発ゼロのままでこの夏を迎えると、全国で九%、依存の高い関電管内では二〇%電力不足が見込まれていると言われております。
この原発のことがあって、火力発電がもうフル稼働で、要するに今電気の割合は、原発が動いていたころについては火力が五〇%だったのが、今七〇%を超えていると。そういうことで、この電力会社の燃料費が年三兆円以上もふえて、世田谷区内もそうですけれども、産業界等も含めて、大変大きな今後の経営に対する課題が突きつけられていると思っております。
また、それと同時に、この電気の卸取引所の価格もすごく上がっておりまして、今一番安かったころの三倍になっている。そういう中で、今回PPSということなんですけれども、PPSもさきの経産省でしたか、入札が不調に終わって、今までずっとPPSのエネルギーを使っていたことが、もう入札にも至らなかったと。今回世田谷区は入札が成立して、四千四百万円削減というふうになったけれども、一方では、最終的にはCO2削減に逆行しているのではないかという批判もありますし、それと同時に、来年度はこのまま契約が続くのかという保証もない。そうした中で、余り喜んでもいられないだろうと思うんですけれども、区長の見解についてお伺いしておきます。
◎保坂 区長 決してPPSの導入ができたということでもろ手を挙げて喜んでいるというわけではありません。これは第一歩にすぎなくて、やはり委員ご指摘の化石燃料に頼った発電で一時しのぐという状態になっています。原発もほとんどとまっていますから。であれば、化石燃料の中でも比較的CO2などの負荷が少ない天然ガスなどを使ってつないでいくということも大事だと思います。
まずは、全くそういう意味では、環境への負荷が少ない
再生可能エネルギー、自然エネルギーですが、これは非常にこれまでの政策のだめさもあって伸びていないわけですね。そういう意味では、国内で二十五兆円を輸入で日本は使っているわけです。それが
再生可能エネルギーに二割、三割置きかわっていけば、相当数の雇用も生まれ、経済も動いていく。そういう意味では、このPPSを起点として、今度は
再生可能エネルギーがまとまって発電をするというものについて、例えば次の、今後どういう供給実態になっていくかに注目しなければいけませんけれども、そこについて、例えば
再生可能エネルギーを使っている比率という条件をかけるとかいうことも区として工夫ができるだろうと思いますし、最終的には一般家庭の電源も携帯電話を選ぶように選べるという中で、やはり化石燃料依存ということがあるから原発へではなくて、やっぱり
再生可能エネルギーの比率を上げるという方向で努力をしていきたいと思います。
◆板井斎 委員 方向性については、決して否定するものではなくて、ただ、やっぱりPPSについては、先ほど言ったように、いろんな制約が、発送電の問題とか、割り増し料金の問題だとか、なかなか環境面に左右されているという部分と、それから今まで余熱というか、余力でやっていたところがありますので、それを今フルに活用していて、これ以上ふやすとなるとやっぱり投資をしていかなければいけない。
そうしたさまざまな、PPSが今後伸びていくためには、区長が言ったように、そうした電力自由化に向けての先鞭を切っているということについては評価するんですけれども、ただ、区長は脱原発、別にこだわっているわけじゃないんですけれども、それを掲げて私は当選したと考えれば、当然、PPSを見ると、自然再生エネルギーに比重を置いている電力会社もたくさんあるんです。多少こっちに来るまで時間がかかるかもしれませんけれども、それでも多分割安だというふうに聞いておりますから、そうしたものを、多少高くても、四千四百万円にならなくてもそれを使うのが本当の、この後再生エネルギーのこともやろうと思っていたんですけれども、これは正しいんじゃないかと私は思うんです。それについてお伺いしておきます。
◎保坂 区長 おっしゃるとおりで、PPSの中で、今回はそういう形になっていませんけれども、今回一歩ですから、次への展開で委員のおっしゃるように、自然エネルギーの比率をしっかり見ていく。一般の世田谷区民の方にも、なるべく早い段階でそういったものに接続をしていただけるような制度を要望していくということをやりたいと思います。
◆板井斎 委員 以上で公明党の総括の質疑を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後二時四十分休憩
――――――――――――――――――
午後三時十分開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
生活者ネットワーク・社会民主党、どうぞ。
◆羽田圭二 委員 それでは、生活者ネットワーク・社会民主党世田谷区議団の質疑を始めさせていただきます。
最初に、区長の区政運営に対する姿勢について伺っておきたいと思います。
今、特に情報公開、住民参加のあり方、その質が問われていると思います。この間、特に区民への情報提供のあり方と、そして住民参加の新たな手法、このことが問われてきたわけですけれども、最初に、区長としてこの間、大分日がたちましたけれども、区政運営の感想をお聞きしておきたいと思います。特に情報公開、区民参加の現状に対する感想をまず最初にお聞きしておきたいと思います。
◎保坂 区長 まず、区民からの参加の回路をつくるということで、これは二十七カ所の車座集会ということで、特にテーマを定めないでやりました。一会場ずつ大体平均二十人ぐらい、多いと二十二、三人の方からお話を聞く中で、やはりさまざまな困り事から、あるいは提案に至るまでたくさんの意見をいただきました。こういった中で、八十八万自治体というのは非常に大きな規模ですので、できるだけ細かく網の目を張っていくということが必要なんでしょうけれども、やはり地域行政制度、先ほども出ていましたけれども、まちづくりセンターや出張所というところの機能はこれから本当に大切だなという感想を持ちましたし、また情報公開についても、その問題が、あるいはプランが全部でき上がってからの感想を求められるような情報公開ではなくて、最初のプランニングの段階、あるいはプランが必要かどうかという段階からぜひそういう場をつくってくれという意見がそれぞれの場でも出ました。ですから、情報公開の、そういう意味で、特に地域の住民共通の関心がある地域施設だとか、そういうことについては、今後プランニングの段階からの公開ということを心がけていきたいというふうに思っています。
最終的には、以後二十年の区のビジョンを描く基本構想が始まっていますので、ここに若い方も含めてたくさんの区民に参加をしていただく。そういう意味では参加というのは大変重要になる期間に入ってきていると考えています。
◆羽田圭二 委員 私も車座集会に参加された方から感想を伺ったんですけれども、今までは余りそういう場には行かなかった方も今回は参加をして、なおかつ意見も述べられるということに非常に感動はしていました。なおかつ、これからこういう場をぜひ今後も保障してほしいというご意見をいただいています。
あわせて、行財政経営改革の関連なんですが、これはパブリックコメントをこの間実施しています。財源と社会保障関係費、これが今後さらに増額する、増額せざるを得ない。そういう意味では、持続可能性を明らかにするという、今後極めて丁寧な対応が私は必要だと思っております。
その意味では、今区長のほうからもお話がありましたけれども、政策形成過程におけるかなり早い段階で住民の皆さんから意見を伺うということが非常に重要だということなんですが、どうしても住民の皆さんから意見を伺うということは時間がかかるし、それから、なかなか区長の見解がはっきりしないみたいなこともこの間議会では言われているんですが、そうは言っても、その中で住民の意思決定をどう保障していくのかということが私は問われていると思うんですね。この点についての見解をお願いしたいと思います。
◎宮崎 政策経営部長 昨年の十月ですが、行政経営改革の素案をお示しして、具体的にどのような事業が見直しの対象としているかを示して、パブリックコメントにより多くのご意見をちょうだいしたところでございます。今お話しのように、この政策形成過程、今回の計画で申し上げますと、策定過程においての区の置かれている現状、将来見通しなどを区民の方にお示しした中で、ご意見、ご提案をいただいたわけでございますけれども、今般それに対しましての区の考え方をお伝えすべく、広く区民の方にそれをまた知ってもらうということで、ホームページ等にもアップをさせていただいております。その意味では、今お話しのように、今後とも組み立てていく過程の部分について、どのタイミングでその辺をお示しして、ご意見を聞いていくか。当然この途中過程の中で、議会にもご提示してご議論いただいているわけでございますが、そういった取り組みを着実に進めたいと思っております。
◆羽田圭二 委員 ぜひその過程の中で、批判的な意見、あるいは対立する意見、そういうものにもしっかりと向き合っていく姿勢が私は大事だと思っているんです。
それで、対立する意見と向き合うことで、先ほども申し上げましたけれども、確かに決定までに時間がかかる。しかし、その過程での議論が非常に大切であって、区民が少しでもまちづくりだとか、あるいは区の具体のこれからの課題だとか、そういうことについてかかわっていけるという場をつくるということが私は求められていると思っているんですね。ですから、その点はぜひ今後も力を入れていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。
世田谷区における情報公開制度と住民参加というのは、かなりそれなりの歴史はあると思うんです。例えば区の情報公開条例が平成十三年三月に制定をされているし、それから、現在持っている基本構想、この基本構想の基本理念の中には、区民自治の確立が明記をされておりまして、さまざまな分野で区民参加を拡充するということがうたわれているわけです。
そこで、この制度が各領域でどのように生かされてきたのか。例えば福祉や環境などで世田谷区全体にかかわる議論、このことにできるだけ住民を交えて行っていくだとか、そういうことも取り組まれてきたかと思いますが、福祉分野でいえば、例えばこの間出されてまいりました第三期の障害者福祉計画、ここにおいて住民参加がどう生かされてきたのか、この点についてまずお聞きしておきたいと思います。
◎藤野 保健福祉部長 第三期の障害福祉計画の策定に当たりましては、障害者の親の会などとも昨年度より忌憚のない意見交換を重ねることで、課題や解決の方向性について、共通の理解、認識を得られるようになってきたと感じております。同様、昨年度から実施しております都合四回の障害者施策シンポジウムも含めまして、この間の意見交換によって、例えば医療的ケアですとか相談支援体制のあり方、あるいは障害者の見守りといった新たな取り組みを計画に反映させることができたと思っております。
この間の障害者団体等の意見交換の積み重ねによりまして、障害者施策推進協議会という組織があるわけですけれども、ここでの議論というのは、以前はどちらかといいますと、要求、要望の形が多かったんですが、本年度計画をご議論いただく際には、前向きなご意見、提案がふえたようにも感じております。こういった動きをできるだけ膨らませていきたいと思いまして、来年度、推進協議会におきましてはテーマ別の課題を設定することで、より実効性のある障害者施策について協議できないか、正副の会長にもご相談させていただいております。
一方で、住民参加と申しましても、この間はどちらかというと障害者関係のところの方にお問いかけをしてきたというようなところもございますので、今後は広く区民の方からのご意見をいただいて、特に障害理解の促進ですとか、障害者を支える地域づくりの議論が深められればというふうに思っております。
◆羽田圭二 委員 その点では、国のほうは、この間も障害者の当事者を審議会に入れて議論をするとか、そういうことも行われていましたから、区としてもこの間の取り組みがそのまま福祉計画、特に家族の方や、あるいは実際の障害者一人一人の状況をしっかり見詰めていくということにもつながっていくかと思います。その点は、しっかりこれからも進めていただきたいと思います。
もう一つは、再開発や道路整備、それから、その意味では都市計画関連ということになるんですが、住民の間に対立する意見もありまして調整に時間がかかる。しかし、先ほども言いましたけれども、対立する意見にもしっかり耳を傾けて、そこに区が調整をしていく必要性も出てきているわけであります。その意味では、これまでのような課題提起についても、通り一辺倒な提案ではなかなか住民の理解が得られない、そういうこともありますし、その意味では、今後さらに改善する必要が出てきていると思っています。
例えば京王線の連続立体交差の関連事業なんですが、この点ではどのような住民参加の手法がとられてきたのか、この点についてお聞きをしておきたいと思います。
◎渡辺 交通政策担当部長 ご指摘のとおり、都市計画関係の調整には、立場の違う方々がさまざまなご意見をお持ちになっております。そういう中で取りまとめを行っていくため、計画の策定にも時間がかかるということが多うございます。そういう中で、これまで粘り強く丁寧に対応することで事業の推進に取り組んできたところでございます。
今お話しの京王線連続立体事業を契機としたまちづくりの取り組みでございますけれども、現在、明大前と千歳烏山の両駅の駅前広場の都市計画案、こちらのほうを取りまとめてきております。その策定に当たりまして、区長より、より丁寧な対応と、地域の皆さんのご意見を踏まえ、よりよい案とするようにとの指示を受けまして、昨年の九月から十一月に実施をしました地区懇談会や意見交換会、こういった中で、皆さん方からいただいた意見を参考に、町全体で緑化や駅での待ち合わせやイベント機能などを負担し、規模の見直しができないかなど新しい視点を取り入れた見直し検討を行ってきております。対立する意見の中からも、取り入れられる部分を探しながら、今般、都市計画の案としてまとめてきたという状況でございます。
区といたしましては、計画などについてはよりわかりやすく説明するとともに、さまざまな立場の方々のご意見にもできるだけ耳を傾けまして、今後も引き続き地元の皆様のご理解とご協力が得られるよう、なお一層努力し、京王線関係のまちづくり関係に取り組んでまいりたいと考えております。
◆羽田圭二 委員 その点では、都市整備関係でいうと非常に困難さもあるかと思うんです。しかし、今答弁にありましたように、たとえ対立する意見があっても、しっかりそこに耳を傾けながら調整していただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。
次に、デジタルコンテンツの検証委員会の報告が出されて、午前中からその質疑も繰り返されていると思いますが、我が会派としても、この点について幾つか質問をしておきたいと思います。
この点では、最初に情報提供のあり方なんですが、この検証委員会の報告書について、既にホームページで公開をされているということについては評価したいと思います。ただ問題は、ここの調査部会に提出された資料、資料30とか40とか、たしか60ぐらいまであったかと思いますが、この資料については、私はすべて公開すべきではないかというふうに思うんですが、この点は、区はどのように今考えているのかを最初にお聞きしておきたいと思います。
◎秋山 副区長 今、検証委員会の報告書の中で、資料ナンバーを振ってあったものにつきましては、ナンバー66までなんですけれども、現在すべて区のホームページに公表をしてございます。ただ、そのほかの資料につきましては、今回の検証を実効性のあるものとするためにも、検証に当たり用いた資料などにつきましては、区の説明責任の観点からも一定の非開示事由に当たるものを除き、今後、区のホームページで公表させていただきたいというふうに今考えているところです。
◆羽田圭二 委員 一つ一つ見ていくということも必要なんでしょうけれども、それはぜひ実現をしていただきたいと思います。
それで、議論は再発防止に向けてという話、そういうことで、これまでのチェック機能だとか指導力が足りなかったとか、それは言われているんですが、そもそも何でそういうふうになったのかということなんですね。つまり、チェック機能も指導力も足りなかったということなんですが、何かの結果によってそれが生み出されたのではないかというのが私どもの見解です。
そこで、先ほど以来出ていますけれども、最初からDCInという、それが選定過程の中でそれありきという状況にあったこと、それから必須提出書類と言われていた決算書が未提出だったこと、それにもかかわらず申請が受理をされたこと、そして補助金規則にも反する選定過程における選定ヒアリングが実施をされて、財務状況に対する評価点が中間あるいはそれ以上だった。これは自民党からも指摘されておりました。言いかえれば、特定の団体に選定するための意図的な行為があったのではないかということです。
これは何か強力な働きかけがなかったら、なかなかそういう方向には行かないと私は思うんです。それで、区がここまで特定の団体に固執をし、二子に映像産業を誘致しようとするよほどのメリットか何かがあったのか、それとも補助金申請時点で、二子という名前が出てきたわけでありますけれども、そういう条件が整っていたという判断をされていたのか、そして、映像産業が、これは午前中でも随分言われていましたけれども、映像産業が新たな区の産業として位置づけていけるというふうに判断をしていたその根拠はどこにあったのかということです。この点についてお答えをいただきたいと思います。
◎秋山 副区長 二子玉川に映像産業を誘致するメリットということでございますが、産業誘致のメリットとしては、新たな産業が誘致、集積をすることによって、既存産業への波及効果など、区内産業の振興や地域の活性化を進める起爆剤としての効果を見据えたものだというふうに聞いております。二子玉川は、区内の広域生活拠点として位置づけられておりまして、国道二四六などの主要道路や鉄道が都心部と直結、隣接した利便性の高さがあるという事業者にとっても魅力的な立地条件だというふうに考えておりました。
また、映像産業につきましては、地域特性の地域資源として、一九三〇年代に創立をした日本を代表する映画作品を数多く生み出している東宝撮影所を初め、古くから映像関係施設もあります。区内には映像制作会社も集まっている状況もありまして、文化施設が多いことや、また産業特性として情報通信業のインターネット付随サービス業や映像、音声、文字情報制作事業などの増加があることなどからも、まずは映像関連産業について分野設定を行ったものだということでございます。
さらに、分野選定の視点としましては、今後の成長が期待される分野であるとともに、中小零細企業が参加できること、産業としてのすそ野が広いこと、世田谷の地域特性に合っていること、人材活用、育成が図られること、区民にわかりやすく夢を与えられるものというようなことを考えて二子玉川を想定したものだというふうに聞いております。
◆羽田圭二 委員 要するに動き出した背景みたいなことを聞きたいわけです。
部会報告書の五ページに、NPO法人映像産業振興機構が二子玉川再開発に関連して産業誘致を検討していることを踏まえて、平成十七年三月に世田谷区基本計画に組み込まれたと、そのようにあるわけです。
問題は、それ以前の経過について具体的に説明すべきだというふうに私は思うんです。そもそも二子に映像産業を持ってくることについて、国や経団連、それから業界などからの働きかけがあったのではないかというふうに思うんですが、それはいかがですか。
◎杉本 産業政策部長 平成十六年の秋に、経団連の担当者の方から区に対して、世田谷スタジオ・オフィス構想なるものが示されたと聞いております。その内容は都立玉川高校の跡地に映像コンテンツ作品の制作のためのスタジオ、録音スタジオや作品上映のための小規模劇場、それから職能者や起業家たちなどが入居できるようなオフィスをつくり、区が今後整備する都市計画公園と国有地である多摩川河川敷でロケができるようにするものということでありました。
検証委員会調査部会の報告書四ページに、NPO法人映像産業振興機構の発足とDCCJの同機構への関与にもありますとおり、平成十六年十二月に経団連の後援のもと、映像コンテンツ関連企業を主体に、政府によります継続的支援のもと、映像コンテンツ産業に関する教育支援、作品の制作支援、内外の市場開拓などの諸事情を通じまして、日本の映像コンテンツ産業の振興を図るための組織としまして、平成十七年五月に特定非営利活動法人映像産業振興機構が発足したと聞いております。
国を挙げての映像産業振興の中で、具体的に二子玉川地域、玉川高校跡地の想定がされていたことから、これを受けて、区は平成十七年三月、基本計画に二子玉川地区への映像コンテンツ産業の誘導を書き込んだものでございますが、玉川高校跡地は都の所有であり、また具体的な進展がなかったことから、世田谷スタジオ・オフィス構想は立ち消えとなったと聞いております。平成十七年度以降は、DCCJが二子玉川地区を中心としたコンテンツ産業クラスター構想として、二子玉川地区での展開を想定することとなったものと思います。
◆羽田圭二 委員 要するに、国や経済界、それから企業ですよね。業界というふうに言っていいのでしょうか。そこに区がうまく誘導されていったというか、乗っけられた、そのような構図になったのかなということなんですね。ただ、それにしても産業政策や生活文化部がこの事業を進めるという判断がされて、途中で言われていた書類の不備だとか事務手続の不備を見抜くことができなかった。区への新たな産業誘致という大きな事業について、所管部だけにお任せするということがあるのかどうかということです。それから、庁内で事業に対する疑問が投げかけられなかったのか。そして、補助金支出までの過程なんですが、当然、政経部だとか財務部がかかわるのではないかと思うんですが、そこでも疑問が生じなかったのかということです。
そういうふうに考えますと、区組織としてのあり方が極めて問われていると考えるんですけれども、ここはいかがですか。
◎秋山 副区長 今回の事業者誘致は、世田谷の新たな産業集積を目指して積極的な事業展開を図ろうということで、世田谷区産業ビジョンに基づく新たな都市型産業の誘致として、平成二十一年十一月に開催された準備会においてご議論をいただきました。このときに、政経部なども含めて一緒にご議論をいただいておりますが、新しい産業の集積を目指すという思いから、主に事業の目的や効果に加えて、補助制度や公募などの事業手法などの事業の具体化についての議論を行ったということでございます。その後、政策決定を受けまして、平成二十二年四月と二十二年六月には、区民生活常任委員会にご報告をさせていただきました。
今振り返れば、補助金の支出までの過程の中では、二重三重のチェックが必要であり、慎重かつ細部にわたる議論が不足していたということは反省点です。今後設置されます改革委員会でも、二度とこうしたことを起こさないように、補助金の適正な執行や改善などを早急に検討し、庁内の周知を図ってまいりたいと考えております。
◆羽田圭二 委員 嫌な言い方なんですけれども、チェック機能が働かなかったとか、指導力が不足をしていた、足らなかったということが大きな原因である、そのこと自体は私も否定はしません。ただ、心配するのは、区の組織の中で足の引っ張り合いとか、あるいはお手並み拝見みたいな事態に至っていたということはなかったのかということです。それから、もう一方は、組織を挙げて成功する事例だということで、全体がそれに走っていたという状況に至っていたのか。
いずれにしても、これから考える場合に、情報公開と対等な議論が庁内の中でしっかり行われる必要があると思います。その意味では、事務手続や選定過程の不備があったわけですが、そこで、先ほど質問して少しそれなりに見えてきたのは、区がたとえ事業者に誘導されるということがあったとしても、その手続を踏んだということがあった以上は、しかるべき判断を下す、言いかえれば、責任は一定問う必要があるのではないか。これは、区長は先ほど、区として総括を踏まえて判断をしたいというふうに答弁されていますから、そのことは受けとめながら、その判断は一定の時期にしていただきたいと思います。
再発防止の問題は、最初に触れた情報公開、住民参加の徹底のいかんにあると我々は考えています。今回の問題は、区とNPO、そして事業者、区民等が協働によって実現すべき内容でもあったわけです。その内容自体は、実際には残念ながらそうはなっていなかった。検証委員会が言う再発防止への仕組みとともに、区民参加の発展の過程のうちに派生した課題として、情報公開、区民参加の徹底に向けて、より高度なあり方を検討すべきであると私は考えるんですが、区の今後の対応を伺っておきます。
◎秋山 副区長 今回の補助事業につきましては、高度な専門的知識が必要で、先進性を有する分野という特殊性もありますが、事業を進める経過の中で、事務の丁寧さや慎重さ、適切さを欠く対応があり、検証委員会の報告は真摯に受けとめてまいります。一方、今お話にございましたように、地域ではさまざまな活動団体やNPOが活発に活動を続けております。こうした活動を積極的に支援するためにも、徹底した情報公開が必要だと考えています。区民の自主的な活動を伸ばしていくことが行政の重要な役割であると思っています。
こうした中で、区長より、今後の区の補助事業の適正な執行や改善につなげるために、庁内に改革委員会を設置するよう指示がありましたので、早急に検討を行ってまいります。また、さまざまな方々のご意見を多面的に伺うことの重要性を今回の事態でも身にしみて感じておりますので、今後とも情報を公開し、地域で活動するさまざまな団体やNPOなどの支援、区民との協働には力を入れていきたいと考えております。
◆羽田圭二 委員 最後に意見を申し上げておきますが、住民参加には、政策形成や計画の初期段階からの提案への参画、それにとどまらず、実際の運営主体に事業者やNPO、区民が参加をして行政と協働で進める事業があると思います。今回の事業は区とNPO、事業者、区民等が協働によって実現すべき内容として提案はされましたが、内実は政策形成過程から、情報公開も住民参加も全く不十分のままに進められたと思います。また、協働の概念には、NPO、事業者、区民、行政が対等、平等の関係で事業展開を進めるという考え方があるわけですが、ここからも逸脱をしていたと思います。
しかし、だからといって、デジコン事業の問題を通じて、市民との協働そのものが否定されることではないと。今回の問題を通じて、市民との協働を進めるために、今答弁にもありましたが、より情報公開、住民参加の徹底を求めておきたいと思います。なお、区長から、先ほど以来、区として検証委員会の報告を受けて総括するということを言っていますので、これについては、ぜひしっかりとした総括をしていただきたいと思います。
私の質問は以上で終わり、桜井(純)委員にかわります。
◆桜井純子 委員 私からは、まず、平成二十四年度の予算を会派としてちょっと分析してみて、他会派からもいろいろな指摘が出ているんですが、その中で、実はより特徴的なのではないか、保坂区政にはという点について、少し質問をしたいと思います。
まず、私たちが平成二十四年度の予算を点検するに当たって、ワークショップというものをやってみました。ここがいいよねという伸ばしていきたい点というのを幾つか出し合いながら話し合いをしたんですが、その中で、地味なんだけれども、実はすごく芽が出ているなというふうに感じたものが、まず子どもの権利擁護の仕組みづくりをしていくということ、なかなか拡充がなされなかったドメスティック・バイオレンスの相談事業が上乗せになっていたということ、成人期の発達障害者支援というのも、「げんき」ができるときからずっと求めてきたものなんですが、なかなかそれが実現できなかったものが今回取り組まれるということで、それぞれが人権を守る視点で必ず必要だよねというものが上乗せされてきた、伸ばされてきたというところが特徴的だなと思っています。
もう一つ、来年度からは人権の専門所管、これも長年求めてきたものですけれども、その設置がなされるということも大きな特徴だと思っています。
まず初めに、この人権所管を専門所管として設置することに関して、区長のお考えをお聞きしたいと思います。
◎保坂 区長 従来から述べておりますように、人権というのは人間の尊厳にかかわる本当に大きな問題だし、また、一人一人の人生に宿っている他にかえることができない存在を最大限互いに尊重するということで、守り育て上げていくものと考えています。
特に、差別ということがあります。いわれのない攻撃、あるいは排除ということで発言を封じられたり、あるいは抗議することもできない。こういうことがなく、その人らしく楽しく生きていける、あるいは不当なそういった排除に遭ったときには、異議申し立てを社会がキャッチできる、そういう姿を目指していきたいというふうに考えているところです。
この人権がもしない社会というのを考えると、不条理な中傷、暴力であっても、ただ耐えるかまた逃げるしかない。子どもたちのいじめをめぐる問題などはそういう状況が多々ございました。したがって、子どものためのそういった人権保障ということも進めていきたいと思います。
また、多数者によって、マイノリティー、少ない人に対する差別が正当化されてしまうと、これは構造が固定化されて異議申し立てができません。そうやって、ある一握りの、少数だからといって、その人たちの個性を抑圧したり、あるいは封じ込めるという社会は、多数者にも結局はその不自由さや、ある種の暗黒社会的なものに転じてしまうおそれがあるということもありまして、区の中で人権というものをしっかり正面に据えて、常に踏んだ側が感じ得ない踏まれた側の痛みというものの側に立って仕事をしていく、あるいは耳をそばだてていく、こういう役割を今回つくろうとしているわけです。
◆桜井純子 委員 ありがとうございました。まさにおっしゃったように、多数者にとっても、結局はマイノリティーの方々を封じ込めていく社会というのは、実は暮らしづらい社会だというふうに私も同じように思います。多数者だと思っている人も、いついろいろな状況で自分自身の立つ位置が変わるかわからないということを考えると、社会全体が何が起きても、私はよく言うんですけれども、セーフティーネットがあって、何があっても社会からこぼれ落ちないようなものをつくっていきたいと思いますし、それはやっぱり心の中にあるものというのが一番人を助けるものだと思っていますので、人権の所管ができたことというのは、私たち会派は本当に大歓迎をしております。
この人権の所管なんですけれども、区からの説明では、今後の人権施策を総合的に推進するために生活文化部に置くということで、人権・男女共同参画担当課というふうになるわけですけれども、私、ぜひこの所管をつくるに当たっては、幾つか必要な人権施策として、例えば犯罪被害者支援の取り組みというのは一応この世田谷区にはあるんですが、それは生活文化部の市民活動推進課に置かれているということがあって、そういうものも、男女課のほうに人権ができるときに一緒に寄せていただきたいと思っていますし、そのできた経緯も、私が質問したときに前も言いましたけれども、政経部の中にやっとできたものがあちこちに行ってしまうということがありましたので、それを配慮していただきたいということと、あと、今人権の所管、所掌するというのか、連絡会というのが各課が集まってあると思いますが、これはぜひ発展的に継続していただきたいと思っていますので、そのこともお伝えしたいと思います。
これから生活文化部が持っていくと思いますけれども、今後どのような取り組みをしていきたいというふうに思っているのかということをお聞きしたいと思います。
◎千葉 総務部長 区におきましては、人権をめぐる多種多様な問題に対応するために、現在お話しありましたように、総務部の区政情報課が、人権施策にかかわる総合的な推進及び調整に関することを担当して、個々の具体的な人権施策につきましては、各担当所管において実施をするという体制をとっております。
お話にありましたように、平成二十四年四月一日付組織改正におきまして、今後の人権施策をさらに総合的に推進するため、より区民生活に身近な組織であります生活文化部におきまして、人権施策の取りまとめを所掌することとして、その専管組織を設置することとしております。
具体的に申し上げますと、男女共同参画担当課を区における人権施策の取りまとめ所管とし、その名称を人権・男女共同参画担当課に改称するものでございます。また、お話もございましたけれども、あわせまして、犯罪被害者等の支援等に関することも、同課の所掌とする予定でございます。男女共同参画担当課は、これまで男女共同参画に関する施策への取り組みやドメスティック・バイオレンスへの対応など、人権擁護の視点での施策実施に実績がございますので、これらの経験や実績を生かして、人権施策に取り組んでいくことにより、区におきます人権擁護の取り組みを一層充実させていくことができるものと考えております。
◆桜井純子 委員 今本当は生活文化部に聞いたつもりだったんですが、時間がないので。本当はもっと具体的な話を聞きたかったのであれなんですが、どこかでやりたいと思います。
時間がないので次に行きますが、今人権のことを質問したわけですけれども、その中でも、なかなか施策が立ってこなかった若者に対する政策というのも、今回就労支援を中心にということですけれども、施策がまとめて示されて、新しいものも幾つか取り組まれることになったこともすごく発展的なことだと私は思っています。生まれたときから、若者、青年期に至って成人していく、その後も、高齢者になるまでずっと連続性のある政策が立っていかなくてはいけないんですが、なかなか思春期から若者の政策というのがなっていなくて、私たちの会派からも、ぜひ若者の政策というのをしっかりと立てていっていただきたいということを再三再四質問の中でも申し上げてきたところです。
その中から幾つか今後の区の取り組みについてお聞きしたいんですが、まず繰り返し質問もしてきていますが、居場所の問題です。中高生の世代、思春期の子どもたちにとって、どこを居場所にするかというのは実はすごく大きな問題ですよね。コンビニの前でたむろしていると通報されてしまったり、公園で一緒にいろいろな話をしていても通報されてしまったり、どこに行ったらいいのかということだったり、自分自身が例えば興味のあるバンド活動をしたいと思っても、お金が、スタジオ代って結構かかるんですね。そういうことがあったり、ダンスの練習する場所がないとか、自己表現、自己実現に向けたステップを踏むのも結構大変な状況にあります。
そんな中で、数年前にも私たち会派からも質問した調布にあります青少年センターCAPSというところが、バンドができるスタジオもあり、ダンスのできるスタジオもあり、あとは洋裁です。洋服をつくったりとか、革工芸とか、いろんな工芸ができるようなクラフトスペースもあったり、あとミニバスケットができるスペースもあったり、そういう場所が西調布にあります。そういうようなところを、やっぱり世田谷区は大きいですので、各地域にもつくっていっていただきたいなというふうに思っています。
この間、いろいろ質問もしてきて、他会派からも意見が出ていたと思うんですが、今後の展開で、世田谷区がどのようにしていこうと考えているのか、そのことをまずお尋ねします。
◎萩原 子ども部長 中高生世代にとりまして、さまざまな体験や交流を通じて主体的に活動できる場所を確保することは、自立への成長過程の中で重要なことと認識しております。これまで中高生世代の居場所対策としましては、児童館を中心として、例えばティーンエイジカーニバルなどさまざまな事業を行ってまいりましたけれども、施設面などにおいて、自由な活動が十分できないというような課題もございました。
お話にありました調布市の施設は、私も見学をさせていただきました。このような専用施設を整備することは中高生世代の活動場所として理想的であると考えますが、一方で、中高生世代同士だけでなく、多世代が交流できる場というのも中高生の成長を支援する点において意義があることと考えます。
いずれにしましても、新たな施設を整備していくには、財源や場所などさまざまな課題がございますが、青少年施設を所管する部署とも連携し、引き続き中高生世代の声に耳を傾けながら、視野を広げ、居場所対策に取り組んでまいりたいと考えております。
◆桜井純子 委員 例えば学校の統廃合で学校が一つ宙に浮いたということがあれば、そこには体育館もありますし、音楽室もありますし、いろんな施設がありますので、そういったところも視野に入ってくるのではないかと思っています。そういう検討の仕方もあるということを提案させていただきます。
本当は幾つか居場所でも質問をしたかったんですが、この思春期においてのもう一つの問題は、私は何度か質問しているんですが、虐待を受け続けている子どもをどうするかということです。
これは何度も私からも申し上げているのであれですけれども、問題行動と言われるいわゆる非行というものですね。その裏側には子どもたちが抱えているさまざまな困難というものがあって、虐待がすごく大きくかかわっているということはいろいろな調査でもわかってきていることです。思春期を迎えた子どもたちのさまざまな行動の裏側を思っていく、その裏側にあるものを発見していくということがすごく重要だと思うんですが、この間、思春期の虐待対応について取り組みを進めていくべきだということを再三質問してきたんですが、現時点ではどのように取り組みが進んでいるのかお聞きいたします。
◎萩原 子ども部長 思春期の虐待は、その多くが幼少期に端を発しております。人格形成が行われる中で、人間関係等にさまざまな影響を受けて、親子間の問題だけではなく、思春期においては、学校における人間関係、あるいは学校生活の継続、卒業後の進路選択等さまざまな困難を抱える例が見られ、また非行傾向となる場合も見受けられます。
区は、各総合支所の子ども家庭支援センターが中心となって虐待の対応をしておりますが、幅広いネットワークでの早期発見と、個別ケア会議等による関係機関が協働した対応が欠かせません。また、全区的な要保護児童支援協議会を積極的に活用しまして、学校や児童館、健康づくり課、児童相談所、警視庁少年センターなど、各関係機関等とのネットワークを強化しまして、地域での重層的な支援を行っております。
さらに、区では、ご相談いただいた際には、個別ケア会議のほか、必要に応じて学習や対人関係のとり方への支援を行う学生ボランティア派遣事業あるいは教育相談室、健康づくり課のこころの健康相談、若者サポートステーションへつなぐなど、継続的、総合的な支援も図っているところでございます。今後も、児童虐待に関する関係諸機関とのネットワークである要保護児童支援協議会をより一層活用しまして、子どもの支援に努めてまいります。
◆桜井純子 委員 区の認識として、思春期の虐待は非行傾向となる場合があるというその認識をまず持つことが大事だと思いますので、そこからどうしたらいいかということをいろいろな場面で考えて、実行に移せるものをどんどん実行に移していっていただきたいと思います。
この件に関しては、思春期ということもありまして、教育委員会の役割というのも重要だということもお伝えしてきました。要素を幾つか言いますと、まず思春期の虐待対応に対して、非行というものではなくてその裏側を知ろうというふうに主体的にかかわっていくこと、また虐待の中にあってPTSDとかいろいろな症状が出てくる子どもたちに対して、学校医に児童精神科医を配置してフォローしていく体制をつくっていくこと、そしてまた、子どもたちが自立していくためには、所管を超えた、子ども部とか、産業政策とかさまざまなところがつながっていかなくてはいけないと思いますが、所管を超えた虐待対応というものをしていこうと決心することが大事だと思います。
一つ提案です。子ども部が策定した初期対応マニュアルを使った出前型研修というのがあるんですが、それも教育委員会が主体的に取り組むべきだと思いますけれども、その件に関してはいかがでしょうか。
◎古閑 教育政策部長 子ども部が作成した資料につきましても各学校に配付しておりますけれども、それにつきまして研修会などを活用しまして、今後具体的に対応を進めるよう各校にも働きかけてまいりたいというふうに思っています。
◆桜井純子 委員 子ども部はそれに協力するという体制はありますね。
◎萩原 子ども部長 協力してまいります。
◆桜井純子 委員 ありがとうございます。
生活者ネットワーク・社会民主党の質問を終わります。ありがとうございました。
○菅沼つとむ 委員長 以上で生活者ネットワーク・社会民主党の質疑は終わりました。
────────────────────
○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、日本共産党、どうぞ。
◆中里光夫 委員 それでは、私のほうからは、区長が就任以来、情報公開と区民参加、これを繰り返し強調してきました。きょうはこの情報公開と区民参加についての質問をしたいと思います。
私からは、区民参加についての質問をいたします。 二月二十八日の都市整備委員会で、京王線明大前駅と千歳烏山駅の駅前広場の都市計画案が示されました。この計画は、京王線の連続立体交差化・複々線化事業に合わせて区が進めているもので、平成二十二年の十二月に区がつくった素案が発表されました。素案では、どちらの駅も鉄道と交差する南北の都市計画道路、大きい道路の立体化とあわせて整備をする。そして、その道路と鉄道との交通結節点、つまりバスターミナルをつくるための駅前広場として計画をされています。
明大前では素案の説明会で、明大前は東西南北四方それぞれ歩いて七分程度のところに次の駅もある。京王線だけでなく井の頭線や世田谷線へのアクセスもいい。東西方向だけではなく南北方向の交通も発達している。明大前は便利な場所であり、バス路線やバスロータリーの必要性はない。それから、洪水ハザードマップで浸水の危険性が指摘されているすぐそばの斜面地に大きな駅前広場ができると大雨のときに心配だ。それから、一五四号線は、既存の道路のない住宅密集地に通る大きな道路だ。環七の抜け道となり、大量の通過交通も発生し町が分断される。住環境も破壊される。こうした意見が相次ぎました。
区は、素案のときにもこうして出てきた住民の声というのをどのように認識しているでしょうか。
◎渡辺 交通政策担当部長 今委員がおっしゃいましたように、一昨年になりますけれども、十二月に都市計画素案という形で区のほうから提案をさせていただきまして、説明会等でご説明をさせていただいたという状況でございます。そういった状況の中で、さまざまなご意見をちょうだいしているということは十分私どもも認識をしている状況でございまして、そういう中におきまして、今回の京王線連続立体交差事業を契機とした駅周辺街づくりにつきましては、鉄道とあわせて、特に明大前、千歳烏山につきましては大変多くの乗降客がいらっしゃるということからも、こういった駅に駅前広場を設けまして、いわゆる交通結節機能あるいは防災的な機能も確保するということから大変重要だということでございまして、提案をさせていただいているという状況でございます。ですから、そういった中でご意見等もいただいているというところも十分認識をしているという状況でございます。
◆中里光夫 委員 いろいろ住民の意見があるのは認識をしているけれども、必要だから提案しているということなんでしょうね。
この計画案について、両駅それぞれ駅周辺街づくり協議会がつくられて、まちづくりについて住民による議論が続けられてきました。明大前の駅周辺地区街づくり協議会が街づくり計画の原案を区に提出しました。二月十四日に区長に直接手渡したというふうに伺っておりますけれども、区はこの原案についてどのように扱うんでしょうか。
◎渡辺 交通政策担当部長 今委員からお話がありましたように、明大前の協議会の皆様方は、五年にわたる活動の中で今回地区街づくり計画の原案という形で、区長のほうに、たしか二月十四日に直接お持ちいただき、お渡しいただきました。私ども区としては、そういった皆様方のご苦労していただいたもの、その原案を踏まえまして、この中身を今後、都市整備方針等に照らして整理をさせていただき、区ができるもの、また東京都等に伝えていくもの、あるいは地元でやってもらうもの、そういった中で整理をさせていただき、街づくり条例による地区街づくり計画として、区として今後策定をしていきたいと、そのように考えております。
◆中里光夫 委員 出てきたものをできるもの、できないもの、都に上げるものと整理をしていくというようなお話ですけれども、今回問題になっている駅広について、協議会の原案では、駅前広場については洪水ハザードの危険がある場所に大きな広場ができることが懸念されているということで、整備するならば大規模な雨水貯水槽が必要だろう、このような雨水の流れなども非常に危険だと、そうしたことも指摘しながら、協議会は鉄道敷地を利用した最小限の小さな広場を提案しています。具体的に、この提案について区はどのように受けとめているのでしょうか。
◎渡辺 交通政策担当部長 明大前の協議会のほうからは、先ほども申し上げましたように提案がされているということで、駅前広場につきましても、その提案書の中で記載がございます。今委員のお話にあったようなところでございますけれども、世田谷区としましては、明大前駅につきましては約八万三千人ほどの乗降客がいるということでございまして、区の地域生活拠点という拠点でもございます。また、道路整備方針等におきましても、一五四号線を優先的に整備するということで示されておりますけれども、そういう中で、その拠点に見合う規模の駅前広場というものを提案させていただいたというふうに思っております。
◆中里光夫 委員 その一五四号線ですけれども、これについても、この原案の中では、松原小のすぐ隣を通ると。地域を分断し、通学路の安全性とか地域の問題があるということで、道路を地下にしてふたをかけてほしい。それから、この道路が甲州街道と接続しているところが右折ができなくて機能として非常におかしいので、きちんとした交差点の整備をする。そうしたことをやらない限り、この計画は廃止をしてほしいと、こんな記述もあるんです。これについてはどのように考えていますか。
◎山口 道路整備部長 一五四号線は、環七の西側にあります。世田谷区で一番不足していると言われているのは南北交通の道路です。それは防災面でも必要であろうし、今後バス路線としても使えるという意味を持っております。現在、梅丘のところまでほぼ来ておりまして、明大前までその道路ができますと、京王線と小田急線と世田谷線、それから東急の田園都市線、それから大井町線と、すべての鉄道を連続的に結ぶことができる南北交通にとって非常に利便性の高い道路で、ここにバスを走らせるという可能性は非常に大きな意味を持っているというふうに思っております。
また、安全性の問題が出ましたけれども、もちろんこの道路は歩道がつきますので、歩車道分離されていない道路よりは安全性は高いと思います。
◆中里光夫 委員 説明会で住民がいろいろ意見を言って、そういう意見も認識しているとしながらも、結局、今回また街づくり協議会からも、できることできないことを整理すると言っていますけれども、このまちづくりの中で大変重要な位置を占める、鉄道の方式については今言いませんでしたけれども、鉄道の方式や駅前広場や都市計画道路、こういう問題について、街づくり協議会は五年間にわたる協議と言っていましたけれども、話し合いを重ねて、まとめてこういう原案を出している。それに対して、今の区の答弁は、結局最初の素案と同じものを出している。最初の素案とほとんど同じ計画ですよね。そこを確認したいと思います。
◎渡辺 交通政策担当部長 今後、地区街づくり計画という形で区が策定をしていきますけれども、この地区街づくり計画につきましては、身近な地区の課題を解決するために定める地区の計画でございます。こういった地区の街づくり計画を定めるということを目的に、今回原案を協議会のほうから出していただいたということで、活動の一つの目的になっている部分でもございます。
そういう中で、この都市施設としての駅前広場につきましては、公共性を持つ計画として、広域的な観点から定めていくというものでございまして、そういった性格から、行政の責任において、都市計画として基本的に策定をするという立場でございます。
この間、駅前広場の都市計画を定めるに際しては、地区懇談会や意見交換会などによる住民参加を取り入れながら、区長のご指示をいただきながら、そういった中でご意見をいただき、区と地域の皆様との意見交換会を重ねまして、地域住民の声を幅広く聞く中で、今般取りまとめをしてきたというところでございます。今後もご意見等をいただきながら、都市計画としてご議論をいただきたいというふうに思っております。
◆中里光夫 委員 今やりとりしましたように、住民がいろんな場面でいろんな声を上げ、五年にわたる話し合いでこんな立派な提案書までつくって出してきている。しかし、区は結局、素案どおりのものを出して、住民の声というのは計画には全く反映されていない。結局、こうしたものは区長自身がこれまで批判してきた聞き置く区政というものと同じじゃないでしょうか。これが区民参加の計画なのか、区長の認識を伺います。
◎保坂 区長 今言われた二月の中旬に明大前の街づくり協議会の青色の報告書と、もう一つ附属の資料とあわせて説明をいただきました。今言われた点のほかにも、和田堀給水所の早期の災害時の際の有効活用と、大変多岐にわたってよく議論されたものであったと思います。
今ご指摘の、そういった案が実際上区の案に反映されるプロセスがないではないかという指摘だと思いますが、今後、関係所管とも詰めて、やはりまちづくり、あるいは重要な五年かかった作業について、区として受けとめて、実行する部分について、その可能性なり、さらに住民参加、決定過程への参加ということだと思いますので、もう一度点検をしたいと思います。
◆中里光夫 委員 これを二月十四日に区長に手渡した街づくり協議会の人たちは、今回の都市計画の手続に四月から入るという話を聞いて大変驚いています。自分たちの提案が全く無視されたものが手続に入ってしまう。こんなことは到底納得できない、これが住民の声であります。これは烏山も同じです。こうした住民の議論を踏みにじるやり方は、私は断じて許せません。手続に入るなということを強く求めて、私からの質問を終わります。
それでは、村田委員にかわります。
◆村田義則 委員 私からは、朝から問題になっていますデジタルコンテンツの検証委員会報告について、区の認識について伺いたいと思います。時間が大分経過しまして、大きく三つのことで伺いたいと思っておりますが、途中で終わるかもわかりません。
まず第一に、区長はこの報告書の提言を受けとめ、補助事業の適正な執行や改善を図るため、庁内の検討会を設置するよう指示したと区民生活委員会で副区長が報告しております。本日は、また区長自身から、区としての総括をしっかりやりたいという旨の発言がありました。各部長からは反省の弁ばかりが語られますが、しっかり総括すると、私はここが大事だと思います。
まず、検証委員会報告で示された各問題点についての区の認識について伺っておきたいと思っております。
検証委員会は、全体として今回の補助事業の問題について、推進事業体としてDCInの選定手続における区の対応は不適切であったと指摘しております。区は、この不適切であったという認識は一致しているんですか。
◎秋山 副区長 DCInに対して不適切だということは、この検証委員会の報告書はしっかり受けとめております。
◆村田義則 委員 受けとめるかどうかじゃなくて、世田谷区としてこの手続は不適切だったという認識かということを聞いているわけです。区の認識を聞いているわけです。
◎秋山 副区長 今、一部分は不適切なものがあったと思いまして、それにつきましては総括の中でどの部分がどういうふうに不適切だったかということをしっかり検証してまいりたいというふうに思っております。
◆村田義則 委員 そうすると、検証委員会の報告について、区として、そうだなというところもあるし、そうじゃない、誤解だというところもあるということですか。つまり、検証委員会の報告全部を区として受け入れたわけではないということですね。
◎秋山 副区長 その点も含めまして、しっかり総括の中で検証したいというふうに思っております。
◆村田義則 委員 では、話はすぐそれてしまうんですが、例えばどういうところがありますか。今副区長がそういうふうに答弁した理由の一つ。ここは納得できないというのは、例えばどこですか。
◎秋山 副区長 納得できないということではなく、事実関係が、もう少し私どものほうで調査をさせていただかないと、これがどうだったかということについて、まだ本当にそうです、違いますということが言えないという意味でございます。
◆村田義則 委員 そこは、私も一緒に実施調査に加わりたいと思っておりますので。例えばどこですか、あなたが今言った、ここは実施調査として私たちの認識と違うというふうに思っているところは。例えばでいいですから。
◎秋山 副区長 今ページを開いてどこということではなく、全体をもう少しきちっと総括させてくださいというふうに思っております。
◆村田義則 委員 わかりました。そうすると、この検証委員会の報告を受けて、世田谷区として今回の総括についてはきちっとした、例えば文書なりなんなりを出すということですね。区としてここが問題だったとか、そういうことは明らかにするということですね。確認したいと思います。
◎秋山 副区長 総括はしていかなくてはならないと思っていますので、そこのところは事実とかそういうことに関してもきちっとしていきたいというふうに思っております。
◆村田義則 委員 そういうことなんでしょうね。
それで、具体的な問題について、じゃ、どこが区としては受け入れているのかというのを少し、何点か一応伺っておきたいと思います。
報告書では、DCInの選定は既定路線となってしまった感があるという指摘をしています。その理由として、産学連携デジタル映像コンソーシアムが作成した計画書を活用し、一部はその内容を転載したと、そういう区の計画をつくって、それを公募の基本的な内容にしたとか、あるいは東京都の補助事業のための協議文書に対して、その補助事業を受けるのはDCInだということも書いて東京都に出したと、こういった点を指摘して、既定路線だったんじゃないかと言っているんですが、この点は区は認めますか。
◎杉本 産業政策部長 東京都の補助金を申請する際に、デジタルコンテンツの世田谷推進計画その他等で使ったという事実につきましては、事実だと思います。
◆村田義則 委員 そうじゃなくて、DCInの選定は既定路線となってしまった感があると報告書には書いてありますが、この指摘を区は認めるかということを聞いているんです。
◎秋山 副区長 きちっと後で総括をしますが、今考えていますのは、当時は、東京都に対して出すときには、一番最初はDCInの名前を入れて出して、それでそのときには、東京都からだれもこういう事業に対していないと困るということがありまして、事務レベルでやったというようなことを聞いています。その後、プロポーザルが必要だということで、プロポーザルをやるからにはこのDCInにはこだわらないということで名前を消したというようなことを聞いておりますので、そういうことについても、もう少し深く総括をしていかなくてはならないというふうに考えております。
◆村田義則 委員 そうすると、副区長は既定路線だったという指摘については、区としては意見があるということですね。
◎秋山 副区長 いえ、今ここで意見があるとか申し上げずに、総括の中できちっと言っていきたいというふうに思っています。
◆村田義則 委員 どうせ何回も読んだんだろうと思うけれども、何回も読んだ上でこれは認めるという発言はできないということですね。それはわかりました。
第二に、決算報告書を提出していなかったことに対して、区はそれでも申請を受理していると。それから、財務状況についての客観的な資料を確認した事実もないのにこの団体を選んでしまったということについて、DCInに対し特別の配慮をしたと疑われても仕方がないのではないかと、マスコミでもみんなこういう見出しが飛んでおりますが、特別の配慮をしたと疑われても仕方がないという指摘に対して、これはお認めになりますか。
◎秋山 副区長 決算書がない書類を受理しているということに関して、それにつきましては、DCInがまだ設立から一年たっていないということを踏まえて、決算書がないものだというふうに理解をしていたと聞いておりますが、これは補助金を出すときにはきちっと決算をしなくてはならないということに関しては、私は違反をしているんだろうというふうに思っておりますが、そこは不適切な対応だったというふうに思っております。
◆村田義則 委員 もう一回よく聞いてください。特別の配慮をしたと疑われても仕方がないという指摘に対して、それは受け入れるんですか。それとも、それはそうじゃないと言いたいということですか。
◎秋山 副区長 済みません。今ここで特別な配慮だったかどうかということについても、総括でちゃんとやりたいと思います。
◆村田義則 委員 次に、今度の報告書では、DCInの財務状況は補助事業を行うにふさわしいものではなかったと言っておりますけれども、この点について、区は補助事業を行うにふさわしいものではなかったという認識でいいんですか。公募のときはふさわしいと思っていたから選定したというふうに前に答弁しているんですが。
◎秋山 副区長 当時は、決算報告書もない中でやっておりまして、事業のほうにばかり目が行っていて、財務状況を見ていないというような状況がありましたので、当時はふさわしかった、ふさわしくなかったかということについてのことは認識はなかったのではないかと思っていますが、今にして振り返れば、この事業を推進するには厳しい状況であったというふうに思っております。
◆村田義則 委員 私は十二月の区議会の一般質問で、この問題を質問通告を出して、時間がなくてできなかったんですが、やりとりをしていまして、そのときのやりとりの質問のメモで、DCInの実績、財務状況についてどのような評価だったのかと私は聞いたんですね。区のほうから回ってきたメモは、財務状況としては、団体における財務状況や自己負担部分の調達方法、補助事業の収支計画などにより、事業運営に支障のない財務状況であると当時の選定委員会では確認したところでありますと、事実を言っているんですね。この選定委員会に当時の副区長も入っていたのね。あなたじゃないけれどもね。というふうに言っていて、この認識が変わったわけね。選定委員会はふさわしいと、問題ないと言っていたけれども、今は問題があったという認識に変わったということね。
◎秋山 副区長 検証委員会の中では、担当のほうから問題がないというふうに言われたという文章も出てきておりますので、これは事実であるというふうに思っております。
◆村田義則 委員 担当から言われたら、選定委員会がそうだったとなるんだったら、選定委員会の意味がないじゃないですか。まあ、いいです。
等々五つの点をこの報告書は指摘しています。今二つやりましたけれども、三つ目は、実績報告書の審査は適正だったか、四つ目に、総務省の交付金事業にかかわる報道から補助事業の廃止までの対応は適切だったのか、補助事業と緊急雇用創出事業との関係は適切か、これを指摘しているんですね。これに対して、区としては、ちゃんとした区の回答を区民に示す責任があると思いますが、それはいいですね、確認しますよ。
◎秋山 副区長 きちっと出していかなくてはならないものだと思っています。
◆村田義則 委員 そうすると、大体わかりましたが、今回の検証委員会の報告書はあくまでも検証委員会の報告書であって、区の認識とは違うということですね。これも確認しておきます。
◎秋山 副区長 認識が違うというふうには言い切れないというふうに思っております。
◆村田義則 委員 では、もう少し正確に言うと、一致しているところもあるし、一致していないところもあるということですね。
◎秋山 副区長 一致しているところが多いだろうというふうには思っておりますが。
◆村田義則 委員 いずれにしても、区としてちゃんとした総括を、区長が先ほど言いましたけれども、ここが大事だと言いましたが、それをきちっとやって、文書で一刻も早く議会のほうに出していただきたいし、区民に示していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
二つ目は時間がないから飛ばして、三つ目に、情報公開の問題について伺います。
私たちは、本件に関するすべての資料を情報公開請求しております。区によって開示されたホームページに載っている六十六までのあれは全部持っております。開示された文書からだけでは検証委員会が指摘する区の不適正な対応を裏づけることはできません。その原因は、裏づけとなる決定的な文書が非開示となっているからなんです。つまり、現状の区の情報公開制度だけでは今回の問題の全容は把握できないんです。
これについて二つだけ具体的に伺っておきます。一つは、ディジタル・コンテンツシティFUTAKOという文書があります。報告書によれば、この文書は、ディジタル・コンテンツ・インスティテュートを中核としたデジタルコンテンツシティを二子玉川につくることを提案したとか、具体的に映像関連企業の産業雇用創出を提案しているだとか、等々あります。世田谷区は、このディジタル・コンテンツシティFUTAKOという文書をもとにして、デジタルコンテンツシティ世田谷という区の計画案を作成したというふうに言っております。
実はこのディジタル・コンテンツシティFUTAKOという文書が、情報公開から非公開文書として外れております。これはなぜ外れているのか伺います。
◎秋山 副区長 情報公開の文書につきましては、今なぜというご質問だったんですけれども、今66までホームページで公開をしていまして、そのことも含めまして、その他の資料につきましては、委員がお話がありましたように、今回の検証を実効性のあるものとするためにも、検証に当たって用いた資料につきましては、区の説明責任という観点からも、一定の非開示事由に当たるものを除きまして今後ホームページに公表させていただきたいというふうに考えておりますので、その作業に入りたいと思っております。
◆村田義則 委員 私はそんなこと何も言っていないんです。そんなことを今質問しているんじゃないんです。それはそれで後でやります。さっき羽田さんもやりましたから、それでいいんです。そうじゃなくて、これは文書の存在を区は認めていたが、区民にはこれは見せられませんという決定を下したわけです。その決定の理由を聞いているんです。開示しないという決定の理由を。
◎秋山 副区長 今理由を、多分非開示事由に当たるものがあったのかというふうには想像しておりますが、しっかり答えられずに申しわけありません。
◆村田義則 委員 産業政策部長は、このディジタル・コンテンツシティFUTAKOという文書の存在は知っていますよね。どういう文書かわかったら、覚えていたら説明してください。
◎杉本 産業政策部長 今すぐ思い出せと言われてもすぐ出てこないんですが、情報公開の非開示の、先ほどの話に戻りますけれども、決定につきましては、第一次判断をして、それから総務部のほうで判断をしていくわけですけれども、そのときの一つの資料だと思っております。
◆村田義則 委員 私は、これは、かなりきょうの質問についてこういうことを聞きますよということを言ったつもりなんですが、答えられないんですかね。この非開示の理由は、このディジタル・コンテンツシティFUTAKOという文書は、DCInが公募のときに申請書類と一緒に添付した文書だから、提案文書だから。つまり、五社応募してきましたよね。そのうちの一つであるDCInの提案文書だから、提案文書は全部非開示ですということで非開示になっているんです。それでいいですか。わかりますか。わかりますよね。総務部長、わかるよね。あなたのところの対応だからね。――いいです。言う、答える。
◎千葉 総務部長 個別の話というより、私のほうは一般論になりますけれども、今回の検証委員会とこの調査部会の委員というのは、区の職員と、それから外部委員で基本的に構成されています。それで、外部委員につきましては、当初非開示、開示の問題もあるし、守秘義務の問題もございますので、区の非常勤の職員として身分を有して、区の職員として検証に当たっていただいたという経緯がございます。したがいまして、今ご指摘の具体的な資料は私は持ち合わせておりませんけれども、一応一定の非開示事由に当たるものが確かにございます。その余のものはできるだけ公開するということで、これまでそれぞれの経過の中でホームページで公表させていただいたということでご理解賜りたいと思います。
◆村田義則 委員 つまり今の答弁は、非開示事由があるからこれは出せなかったんだという答弁なんですね。それは、今までの流れから言えば、私はそれは理解します。
ただ、この文書は実はもう一つ別の角度があるんです。つまり、DCInが公募のときに提案文書として出してきたという性格がある一方で、私はさっき読み上げましたけれども、世田谷区がデジタルコンテンツシティ世田谷というものを平成二十一年十一月に作成をしているんですね。この検証委員会の報告書によると、F課長とH係長が、このディジタル・コンテンツシティFUTAKOという文書を活用し、一部それを丸々転載して、デジタルコンテンツシティ世田谷というものをつくったというふうに書いてあるんです。
つまりどういうことかというと、平成二十一年のその時点では、このディジタル・コンテンツシティFUTAKOというのは世田谷区の文書なんです。区が既に持っている文書なんです。それを私どもは情報公開請求したんだけれども、それが開示されていないんです。開示されていないのは、これは理由がはっきりしているんです。どこかの部長が捨ててしまったからです、なくなってしまったからなんです。私は、これは極めて重要だと思うんですね。本当に捨ててしまったのか、なくしてしまったのか。世田谷区がデジタルコンテンツシティ世田谷という、世田谷区の計画をつくるときの種文書ですよ。全く同じようなものを転用してつくったんだから、この種文書があったらまずいと思って破棄してしまったんじゃないですかと疑われても仕方がないということを、私は問題として申し上げたいと思う。
このデジタルコンテンツシティ世田谷は、もともとそういう文書なんだから、非開示の理由には私は当たらないと思うので、直ちに再検討して開示していただきたいと思いますが、いかがですか。検討してください。
◎秋山 副区長 先ほど申し上げましたように、非開示の事由に当たるものを除き、今後区のホームページでの検討に入りたいというふうに考えておりますので、その中で検討させていただきたいと思っております。
◎保坂 区長 情報公開の中で、区がこの案件の中で非開示とした今のご指摘の文書、これは組織内で情報をシェアした文書、あるいはそれに準じるものであれば、基本的に私は出すべきだというふうに考えています。
◆村田義則 委員 一刻も早く出してください。
それで、例えば一番最初の検証委員会が言ったDCInの提案を、そのまま世田谷区が丸のみしてしまって、それで公募の条件にしてしまったんだよというふうに事実上言っているわけですから、それを証明するための大事な文書です、これは実は。それを、だからあえて出ていないというのは、私は疑われても仕方がないと再度言っておきます。
それからもう一つ、決算文書、これは非公開だと。これも非開示の理由があります。もう総務部長には聞きませんけれども、情報公開条例に基づいて一応非開示の理由になっています。しかし、非開示の仕方にもいろいろあるんですね。全部黒塗りで出してもらえればわかったんです。つまり、五つの会社が応募してきたわけです。そのうち四つの会社は決算書もちゃんと出してきたんです。DCInは決算報告書は出してこなかった。全部黒塗りで出してくれれば、どこの団体が決算書がなくて通ってしまったのかがわかるわけです。ところが、非開示理由は、決算文書なども含めてこれらは全部非開示だからと、どういう文書があったかということも含めて、全く情報なしに、これは全部一括非開示ですよといって開示決定文書がこちらに来ただけなんですね。
ですから、もっと一つ一つそちらが気を使って、それこそちゃんと事実がわかるように、五社が応募してきて、そのうち四社が決算報告書を出したが、一社は出してこなかった。これはそもそも公募の要項にも違反をしているんだということを示す証拠なんですよ。その証拠を私たちはまだ持っていないんです。これはちゃんと五つのやつを黒塗りでいいですから出してくださいよ。そうすると、私どもは、少なくともDCInがこの決算報告書を出さなかったという証拠を持つことができるんです。私の言っていることわかるでしょう。それはちょっとお答えください。
◎秋山 副区長 先ほどもお話しさせていただきましたように、今回の検証に当たりまして用いた資料につきましては、区の説明責任の観点からも、今の視点も入れながら、一定の非開示事由に当たるものを除いて、今後区のホームページに公開をさせていただきたいというふうに、その作業に入りたいというふうに思っております。
◆村田義則 委員 それで、最後は、今副区長が答弁した中身に戻るわけですけれども、私が今言ったのは、非開示事由に当たっても、開示の仕方によって、ちゃんと開示すべきものだし、すぐできますよということを言ったわけです。私たちがいただいている六十六の資料以外に、検証委員会が、先ほど総務部長が答弁したみたいに、特別の権利を与えて全部情報を出しました。それについては、開示できるものできないものを精査してもらって、全部一刻も早く私どものところにも出していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
最後に少し読み上げますが、調査部会は、これら――これらというのは六十六の文書以外です。報告書にはこう書いてあります。これらの資料を入手したことでようやく客観的事実の調査検証ができるようになった。本来、これらの関連資料は調査部会が指摘するまでもなく区から提供されるべきものであろう。資料の入手時期が一月下旬から二月上旬になったというのは、調査の実施に多大な支障を与えた。当初検証委員会に提出された資料は、私たちが開示請求によって入手した文書と同一であり――これは私の話ね――これだけでは事実の検証ができないということを調査委員会も認めているわけです。
私は最後に、世田谷区の情報公開条例と、そしてこの条例に基づくさまざまな実際の運用、これをやはり区民の皆さんがしっかりと世田谷区で何が行われているのか。あるいは今回で言えば、こういう補助金について一千万円近くがこのまま返ってこない。こんな事態を起こした原因は何なのか、区民の皆さん、納税者の皆さんがちゃんと納得できて、こんなことは二度と起こらないということがちゃんとわかるような、そういうチェックの仕組みをつくるというのが情報公開の大きな役割だと思うんです。
ですから、今までどおりの情報公開のやり方を続けているだけではだめだというのが今回の教訓だと思うんですが、区長の見解を伺います。
◎保坂 区長 まさにその点も含めて、今回の検証委員会報告書、あるいは調査部会の報告書を受けての総括の中で、しっかりご指摘にこたえ得る回答を出していきたいと思います。
◆村田義則 委員 それで、私たちが今、情報公開請求で受け取っている文書だけでは今回の事件の全容は明らかにできません。ですから、私どもとしては、議会に調査特別委員会なりを設置して、ちゃんとした議会としての調査を行うということを各会派の皆さんにも提案して、質問を終わりたいと思います。
○菅沼つとむ 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。
────────────────────
○菅沼つとむ 委員長 ここでしばらく休憩いたします。
午後四時三十七分休憩
――――――――――――――――――
午後四時五十五分開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
みんなの党・世田谷行革一一〇番、どうぞ。
◆すえおか雅之 委員 池尻問題における区長の行政の管理責任について問いたいと思います。
前回の決算委員会等におきまして池尻の問題、この財産評価委員会が諮問を拒む、こういうことが新聞の記事に載りました。そこで質問し、この規則の改正の必要性を取り上げました。現在の条例や規則には解釈に不明な点が多いので、規則について改正すべきではないかと質問しました。これに対し、区長は公有財産管理規則、その他の部分の改正及び財産評価委員会のメンバーのやり直し、この二点について指示をいたしました。そして、その指示に従って、区の対応が出てきたのが、ここにあります世田谷区財産評価委員会の運営に関する事務取扱要領です。
それでは、質問します。
まず、総務部が発行する文書事務の取扱、一〇一ページに、条例で規則により定める旨が規定されている事項については、要綱等で定めても法的効果が生ずるものではありません。改めて条例や規則を制定する必要がありますとあります。すなわち、条例で規則により定める旨が規定されている事項については要領を制定できないということです。この点につき、総務部長に確認いたします。間違いないでしょうか。
◎千葉 総務部長 今のご質問で、条例があって、それから規則、ただ、規則についても、行政の中身というのは、例えば規則以外にも具体的に定めるべきものがある場合については、一定の内部のものを定めて、ただ、それが規則に反するとか、条例に反するということであってはいけませんけれども、基本的には細かい、例えば事務要領が必要であったりという場合については、一般論として申し上げると、そういうものを定めていくことは可能ではないかと思います。
◆すえおか雅之 委員 これは文書事務取扱に反するご意見をおっしゃるということですか。
◎千葉 総務部長 ちょっと私は質問を誤解しているのかもしれません。私が申し上げたのは、例えば条例があって規則がある。それで、その規則そのものが、例えば一定のものを要求しているような、認めているような場合については、それ以下の規定等を作成することができるのではないかという一般論で申し上げたんですが。
◆すえおか雅之 委員 わかりました。要は議会が条例で区長に規則でつくれと言った場合には、規則でつくらなければいけないということです。
それで、今回条例の九条で、この条例の施行について必要な事項は区長が定める、こう規定し、これを受けた世田谷区財産条例委員会施行規則においては、この規則は、条例に基づき世田谷区財産評価委員会の運営に関し規則で区長に求めなさいと言っています。しかし、今回出てきたのは、部長がつくった要領です。こういうことができるんでしょうか。
◎西澤 財務部長 今の委員のご質問にお答えいたします。
まず要領のほうでございますけれども、この世田谷区財産評価委員会の運営に関する事務取扱要領につきましては、これを定めているものにつきましては、世田谷区の公有財産管理規則、具体的に申し上げますと、その中の第四十条、この四十条を運営するために、この規則を運営するために取扱要領を今回定めたものでありまして、今委員のご指摘された別条例でございます世田谷区財産評価委員会条例の施行規則に基づくものではございません。世田谷区公有財産管理規則第四十条を本則にのっとった形で運用するために本要領を定めた次第でございます。
◆すえおか雅之 委員 条例が、財産評価委員会の運営に対しては区長が規則で設けろと書いてあるのに、どうして部長が勝手に要領で定めることができるんですか。
◎西澤 財務部長 先ほど申し上げました公有財産管理規則、これにつきまして申し上げます。
公有財産管理規則の第四十条にはこのように書かれております。財産の買い入れ等に係る予定の価格等の決定に際しては、世田谷区財産評価委員会の議を経なければならない。ただしということで、その後除外規定を設けてございます。
今般、池尻の複合施設の財産評価委員会をめぐりまして、いわゆる評価になじまないというふうな答申が出ましたので、区長のほうから、いわゆる公有財産管理規則、これを改正ないし見直せというような指示がございました。そこで、公有財産管理規則の当該規則四十条の中で、いわゆる財産評価委員会の議を経なければならないということで、ただし書きの規定のただし書きで、除外規定と今回するのかどうかということを検討したわけですが、やはり本則にのっとって四十条で規定されているように、財産評価委員会の議を経るようにできるようにしようと、そのためにこの四十条の運用のために本要領をつくったということでございます。
◆すえおか雅之 委員 この点については、水かけ論になるみたいなので、この辺でやめます。
では、質問時間が来ましたので、桃野委員にかわります。
◆桃野よしふみ 委員 まず私からは、区長の情報公開の姿勢について伺います。
デジタルコンテンツ誘致集積支援事業の検証結果にも出てきます。区長とDCInの理事の面談時の記録、区はかたくなにないと存在を否定し、情報開示請求に対してもこの文書は出てきませんでした。後にその文書の存在が明らかになり、区長は、昨年十月十八日の決算特別委員会で文書の扱いに非常に不適切なことが相次いだと暗に文書隠しを戒める答弁をしています。しかるに、私が文書が開示されなかったことに対して不服申し立てをしたところ、出てきた区長の主張はこちらです。ここに保坂区長の名前が書いています。区長から出てきた文書で、ここに、あの文書は私的な備忘録だと。課、組織内でも共有扱いしていない。開示すべき行政情報に当たらないと判断したというふうに書いてあります。
なぜ情報公開をうたい、文書隠し戒める答弁をした区長からこういう主張が出てくるのでしょうか。先ほど他会派からの質問に対して、共有されている文書、またはそれに準ずる文書は基本的に公開するべきだというように区長はおっしゃいました。区長はいまだあの会話録は行政文書ではないと主張されるのでしょうか。ご質問いたします。
◎保坂 区長 私もその存在を知らなかった会議録なるものがあって、そういったものがあるやなしやの話がありましたけれども、結果としてあった以上は、その扱いをめぐって区側の説明の二転三転ということもあり、また、その文書の内容からして非常に重大だということから、直ちにこれは全議員の皆さんに配付をすべき文書であるという扱いをさせていただきました。
ここの文書は、過去の世田谷区の取り扱いの考え方を記したものと思われますが、先ほど答弁を私からもしたように、このデジコン問題、一連の情報公開請求への対応の仕方や、あるいは議会での判断をいただいたり、議論をいただく際の基本的な材料提供について、やはり不十分だったというふうに思っています。ですから、今後はあのような文書は情報公開の対象だと私は考えています。
◆桃野よしふみ 委員 今後はというふうにおっしゃいましたけれども、この問題、ずっと私もやらせていただいていますが、大きな問題になって公開されなかったと。そして私がそれに対して不服申し立てをしたという流れはありますから、それに対して区側の言い分として、これは保坂区長の名前で出ています。保坂区長の名前であれは行政文書ではないというようなことが出ているわけですから、こういったことに関しては、早急に態度を改めて、今おっしゃっていただいたように、これは行政文書だというふうに判断されているんでしたら、こんなことなきよう対応をお願いしたいというふうに思います。
あともう一点お伺いいたします。
こちらに共有扱いしていないというふうな表現があります。十月七日の決算委員会の後、秋山副区長が我々の控え室にいらっしゃいまして、この文書を私は見ていますというふうにおっしゃいました。恐らく副区長、あの書類はお持ちだと思うんですが、やはりこれは組織を通じて共有されている文書だと思うんです。それに対してここに共有扱いされていないと書いてあるんですが、この共有扱いされていないとはどういう意味なんでしょう。教えてください。
◎千葉 総務部長 今具体的にお話がございましたけれども、ご案内かと思うんですけれども、開示請求の対象となる行政情報というのは、一定の考え方がございまして、区の職員が職務上作成して、または取得した文書等で、区の職員が組織的に用いるもの、そして区が保有しているものという一応の定義がございます。それで、今区長の答弁もございましたけれども、当時具体の判断としては、メモということで、これに当たらないという判断を一応当初の段階ではしたものというふうに理解をいたしております。
◆桃野よしふみ 委員 情報公開の問題については、他の会派からもずっと質問が出ていますし、引き続き我々もやっていきたいと思います。
もう一点お伺いいたします。
さきの一般質問でも取り上げましたが、区役所の一般職員の運転手つきの車、八台用意されていて、実際に区の職員は、電車で五分の距離や徒歩十分の距離を運転手つきの車で移動しています。運転手の稼働時間は平均三時間とちょっとであったにもかかわらず、正規職員運転手のモデル年収は六百七十万円だと。これでは、日々一生懸命働き、税金を納めている区民は納得しないというふうに思います。
私も質問してから多くの区民の方にそんなことをやっていたのかと、許せぬという意見をたくさんいただきました。区長はこういった区民の感覚、私は区民の感覚からしてそうだなと思うんですが、この感覚に対して、区長の感覚ではいかが思われるかご答弁をお願いいたします。
◎保坂 区長 区役所が所有する公用車がきちっと使われて、稼働してしっかりと役に立つということが必要だというふうに考えております。
◆桃野よしふみ 委員 さまざまなテーマをお話しさせていただきますので、私からは以上にいたしまして、大庭委員にかわります。
◆大庭正明 委員 何やら解散総選挙も近いと言われておりますので、ちょっといろいろ思い出したこともありますので、質問したいと思います。
ここに掲げたものは、二〇〇九年八月七日の読売新聞の記事です。ちょうど政権交代のあの総選挙の直前のころです。記事によりますと、衆議院選の十八日の公示を前に、本人と書かれたたすきを使う立候補予定者がふえている。公職選挙法では、実名の入ったたすきを使えるのは公示日以降とここに書いてあります。最近では、この手の本人とか当人とかをよく見かけるわけですが、記事のタイトルにあるとおり、こういうのは公選法のすきをつく奇策ということであります。
そこでまず、選挙管理委員会に確認したいのですが、選挙の告示前に自分の名前入りのたすきをして街頭で演説することは、違法であることは当然ですが、その場合の罰則や当選の効力について伺います。
◎松田
選挙管理委員会事務局長 選挙前の政治活動につきましては、いわゆる選挙運動にわたらない限り、基本的には演説会の開催やビラの頒布など自由に行うことができます。一方、政治活動におきましても、立候補予定者の氏名が記載された文書類の掲示につきましては、一部の例外を除いて規制の対象になっております。氏名入りの文書類の掲示として例外的に認められているものは、立候補予定者などの事務所ごとに掲示される立て札、看板のたぐい、またベニヤ板などで裏打ちされていない一定のポスター、さらに政治活動のための演説会などの会場において開催中使用される掲示物に限られております。
選挙の告示前に氏名入りのたすきなどを街頭演説で使用することにつきましては、演説会における使用とは異なるものであり、法定外の文書掲示として、公職選挙法の規定に抵触するおそれがございます。
また、法定外の文書掲示につきましては、二年以下の禁錮または五十万円以下の罰金の罰則規定があり、こうした罰則の適用を受けますと、五年間の公民権停止などになるおそれもございます。また、当選人がその選挙に関して同様に罰則の適用を受けますと、当選の無効となる規定もございます。
◆大庭正明 委員 当たり前のことですが、今選管の答えでは、選挙の告示前に氏名入りのたすきを街頭演説で使用することは、公職選挙法の規定に抵触するおそれがある。判断は警察なんでしょうけれども、それにしてもこの場合の適用罰則が、二年以下の禁錮または五十万円以下の罰金ということであり、さらに立候補予定者が、その選挙に関してこれらの罰則の適用を受けると当選が無効になる。法律上はそうなっているということなんですね。
これはあくまでも、最終的には警察や検察が判断することでしょうけれども、当選無効となるぐらいですから、決して小さなことではないと思います。やはり世田谷区議会としても襟を正さないといけないんじゃないかと私は考えております。議会で幾らいいことを言っても、有権者を欺くような選挙違反をして当選していては何をか言わんやであり、そういうことを放置しておれば、そのうち選挙というものが何でもありということになり、やったもん勝ちということになり、めちゃくちゃになって民主主義が機能しなくなるというふうに私は思います。
世田谷区議会としては、私どもの会派は、前期から立候補者の経歴が正しいかどうかチェックする仕組みをつくるべきだとか、また、いわゆる事前ポスターの自粛というものを、これは議研のテーマになるかもしれませんけれども、主張してまいりました。
区長は(「張っているのいるじゃねえかよ」と呼ぶ者あり)ご存じないかもしれませんけれども……(「何言っているんだよ」と呼ぶ者あり)
○菅沼つとむ 委員長 ご静粛にお願いします。
◆大庭正明 委員 過去に……(「会派と言ったろう、今」と呼ぶ者あり)
○菅沼つとむ 委員長 ご静粛にお願いします。(「会派の中で張っているのいるじゃねえかよ」と呼ぶ者あり)
◆大庭正明 委員 過去にこの世田谷区議会で(「何言っているんだ」と呼ぶ者あり)経歴を偽って当選した議員が(「うそ言うなよ、うそ」と呼ぶ者あり)おりまして、いわゆる議会の自浄能力で辞職に追い込んだことがありました。(「何言っているんだよ。事前ポスターを張っているだろう」と呼ぶ者あり)やはり有権者が知らないことをいいことに、やっちゃいけないことはやっぱりやっちゃいけないだろう(「うそ言うなよ」と呼ぶ者あり)というふうに思っております。(「うそ言うなよ、うそ」と呼ぶ者あり)
○菅沼つとむ 委員長 ご静粛にお願いします。
◆大庭正明 委員 ところで、このたすきというのは、今申し上げているたすきというのは、実際問題としては、選挙に詳しい人でも……(「会派の中で張っているやついるだろう。訂正しろよ」と呼ぶ者あり)不規則発言はやめなさいよ、あなた。(「うそ言っているからだよ」「静粛にお願いします」と呼ぶ者あり)
○菅沼つとむ 委員長 どうぞ。
◆大庭正明 委員 無礼な発言だと思いますよ、委員長、今の発言は。無礼な発言。(「会派の中でと言ったろう」と呼ぶ者あり)
○菅沼つとむ 委員長 ご静粛にお願いします。
◆大庭正明 委員 いけないのか何だか(「事前ポスターを張っているのいるだろう、会派の中で」と呼ぶ者あり)たすきというのは、わかりづらいんですけれども、議員とか政治家というのは、大体たすきがつきものというイメージがありますし、ましてやそういう人が堂々と違反をしているなどとは思わないわけです。しかも、それを目にするのは、朝の通勤の途中とかで忙しいわけです。たとえこれが違反だと思っても、直接その本人に向かって言うのもためらう場合もあるだろうし、多くの場合、その本人はマイクを握って演説をしているわけであって、そういうものを妨害するようになってはまずいなと、演説が終わるのを待っている時間もないということで、多くの方が見過ごしてしまっているということがあるだろうと思うんです。
そこで、ここから具体的な話に移っていきたいと思います。
これは、昨年の三月から四月にかけてのカレンダーです。私たちが現在ここで発言する権利を与えるに至った選挙が行われたときのカレンダーであります。先ほどの話を具体的に、自分の名前のたすきをかけてよい時期と選挙違反になる時期とを申し上げますと、まず赤い丸をつけた十日というのは都知事選の投票日で、二十四日というのは我々の区議・区長選挙の投票日でした。
ご案内のとおり、まず都知事選の選挙の日、十日までというのは、これは事実上、政治活動が一切できません。ですから、四月に限れば、四月十一日から十六日まで、これまでが自由に街頭演説が、選挙活動ではなくて政治活動としてやれるわけです。逆に言えば、この十一日から十六日までの間というのはたすきをしてはいけないわけです。たすきをすると、先ほどの関連からいくと選挙違反になるということなんです。
それで、このカレンダーは、例えばこの三十日というのは、木下議員が言う二子玉川の誓いというのがあって、それからこの六日というのは、区長の出馬表明があった時期なんです。
それで、私がこれから質問を申し上げたいのは、区長に質問したいんですけれども、実は私のところに耳を疑うような情報提供がありました。というのは、区長がこの十一日から十六日までの間にたすきをかけて政治活動をしていたという情報が私のほうに寄せられました。
これで、まずお聞きしたいんですけれども、それは事実でしょうか。区長にお聞きします。
◎保坂 区長 この一週間の間、確かに街頭演説等をしましたが、そのときにたすきをかけていたかいないかということについて、写真等で確かめてみましたが、私が持っている写真はしていない写真でした。ですから、いろいろちょっと記憶ですから、確実にそれはしていないと、全部ないというふうには言えないです。その辺記憶はあいまいです。
◆大庭正明 委員 私もこういう形の質問をするときに、やはりそういう伝聞系だけでは確かめようがありませんと、そういう不確かな情報というのは、確たるものがなければ、これは議会という公の場で取り上げることはできませんということは、この問題に限らず、うのみにするようなことではなくて、いろんな問題があった場合は、裏づけとなるものがなければ質問もできませんよということを申し上げておりました。そうしたら、区長の記憶を確かにするような情報が寄せられております。
これをごらんください。これは、区長にご記憶を正しくしてほしいんですけれども、例の四月十一日の早朝、七時半、これはツイッターでも、四月十一日の早朝は、経堂で、駅前で演説をしますというふうなツイッターが、区長、残っていますから、恐らく四月十一日というのは区長はここでやられたんだと思うんです。このとき、これはもうたすきをしてやっているわけです。ここは経堂駅という駅が入っております。それから、これがたすきかどうかということについては、正面から撮った写真があります。
これが正面から撮った写真です。恐らく区長とかなり親しい方が撮られたような写真ではないかと。黒塗りの部分は、民間というか、ほかの方ですから、関係ないので、黒塗りをやっていますけれども、要するにこの二枚の写真があって、これはたすきをかけているんですけれども、記憶を思い出されませんか。
◎保坂 区長 その写真を見たときに、それは何日という記憶まではありませんけれども、今おっしゃった経堂駅前というところで、そのときの写真なんだろうと思います。
◆大庭正明 委員 では、選挙違反をしていたということはお認めになるんですね。
◎保坂 区長 その時点で明確に公職選挙法に違反しているかどうかという認識はありませんでした。
◆大庭正明 委員 たすきをすることが選挙法違反になるという認識はなかったんですか。
◎保坂 区長 明確にはありませんでした。
◆大庭正明 委員 これは参考のために、一応本人のご了解を得て、これは日付が入っていないじゃないかというふうな方がいらっしゃるので、そういうふうに疑問を持たれると思うので、確たる根拠となるものをもう一つだけ例示しておきます。そうしないと、後で虚偽だとかなんとかと言われるのは嫌ですからね。
これが、本人のご了解をいただいて、議員のブログなんです。このブログは五月一日のブログなんです。そこに書いてあるのは、選挙戦直前の四月十五日、下高井戸駅前で京王線高架の都市計画案見直しをともに訴える保坂展人区長候補予定者(当時)と書いてあるんです。四月十五日です。金曜日です。この形で相変わらずたすきをしているわけです。
これは木下議員の一応許可を得た上で出しておりますので、もちろんこれは日付がどうだと、そこまではわかりませんけれども、ここまでの証拠というか、堂々と載っているわけですから、区長は選挙違反を、じゃ、今までずっとたすきをしていたんですか。三回にわたって国政選挙に出られて、当選しているわけですよね。それ以外でも選挙をやっているわけですよね。ということは、今の発言でいくと、ずっと認識がなかったということは、選挙戦の前からたすきをかけていたということなんですか。
◎保坂 区長 いわゆる選挙期間前は政治活動だということは、委員おっしゃっているとおりです。その政治活動の中で、先ほど選管の説明にありましたけれども、政治活動の中でも、一定の会場内でなければ違反というふうに指摘できるという話でしたが、その政治活動の範囲の中であり得るという認識だったと思います。
◆大庭正明 委員 選管を取り扱うというか、選管の事務局とか、そういうところの任命権者というのが区長なわけですよ。そういう人事権もある中で、やはり過去に常習的にやっていたんじゃないかと疑わせるような発言があって、しかも選挙というのは、これは有権者にとって最大の区民参加のチャンスなんですよ。機会なんですよ。ですから、この選挙を、そういう有権者をたばかるというか、やってはいけないことを堂々とやってしまうような人が区民参加をうたうというのはいかがなものかと。
我々、きょう急ぎの時間の中で三名が立って質問したのは、区長のおやりになっていることと言っていることというのが違うじゃないかと、全然違うじゃないかということを申し上げたいということなんですよ。
区長は、この選挙違反について今まで認識がなかったと、ここでさっきの選管事務局長の答弁があって、自分がしていたという記憶が戻って、自分が選挙違反をしていたという認識に至ったと思うんですけれども、そのことについて、区民、有権者に何か申し開きというか、そういうのはあるんですか。
というのは、実は区長は、今回の区長選ではやはり知名度においては一頭抜きん出たと僕は思うんですよ。テレビにも出られているわけですしねの中で、区長の選挙で次点の方と得票差というのが五千票ぐらいなんです。それで、区長の得票が六%ぐらい下がれば逆転していたかもしれない。
私はあくまでも次点の人が当選すればいいとはつゆほどにも思いません。むしろ保坂さんのほうがよかったんじゃないかというふうに思いますけれども、選挙の公正さを疑われるようなことを区長となろうとする人がするのは、僕はどうかと思うんです。こういう事実を区民の方は知らないと思います。イメージからいくと、保坂さんがそんなことをするはずがないというふうに思っているかもしれません。でも、実際は調べてみると、こういうことを選挙の一週間前に堂々とやっていたわけですよ。そのことのその得票、選挙に対する影響力というのは、僕は今回の選挙の結果が僅差だということを考えると、非常に大きいものがあったんじゃないかなというふうに思うんです。その辺の責任についてはどういうふうに思われますか。
◎保坂 区長 今委員からご指摘いただいた選挙前の政治活動の中で、そういった不適切なたすきをかけていたということに対しては重く受けとめ、また、今区長として、選挙管理委員会も含めて公正な選挙をつかさどっていく、そういう立場からは大変申しわけなかったと思います。以後、戒めとしたいと思います。
◆大庭正明 委員 これは、片方で謝って済む問題ではない部分もあったり、または刑事告発とか、これは選管のほうにも事前に確認したら、街頭でこういうのを見かけたらどうすればいいんですかと言ったら、警察にすぐ通報してくださいと。選管に言われても、権限は警察とか検察にあるので、すぐ通報してくださいというようなことだったので、これは先ほど言ったように、決して軽い問題ではないし、区長が区長として誕生する出自に関する問題なんです。僕はほかの候補者で知りませんけれども、全部見たわけじゃありませんけれども、区長候補者で区長になられた方で、こういうような違反をして当選したというのは、僕は余り記憶がないというか、見た覚えがないというか、そういう感じなんですけれども、この点については、やはり隠された部分があると思うんですよ。
まだまだ区民の方というのは、保坂区政の実態と、それから区長の言っていることのずれ、きょう他会派の質問も全部聞いていましたけれども、やはり区長の発言と実際の行政のずれというものが今回の最大の一つのテーマになっていたんじゃないかなということを申し上げて、とにかくこの選挙違反については、今後やはり重大に重く受けとめなくてはいけないんじゃないかと。議会としても、この問題については真摯に取り組まなくてはいけないんじゃないかなというふうに申し上げて、私の質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上でみんなの党・世田谷行革一一〇番の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、世田谷民主党、どうぞ。
◆風間ゆたか 委員 世田谷民主党の総括質疑を始めます。
予算委員会ですので、予算絡みのことを伺っていきたいと思いますが、その前に、保坂区長が就任して、今ほかの会派から厳しい指摘があったかと思いますけれども、私どもとしては、福祉の拡充ですとか、子どもに対する対策等が今回の予算にも大分反映されている。私自身も幼い子どもを育てる親の立場としても、ぜひそういったところを進めて、安心できる世田谷区政運営を行っていってもらいたいなと思う一方で、五年前に子どものショートステイで死亡の事故が発生し、四年前の補充質疑で私はその問題を取り上げました。
保坂区長がまだ国会議員をされていたころなのかもしれませんが、当時二歳の女の子が母子家庭で、お母さんが夜勤に出るという状況から、やむを得ず、世田谷区に相談をして、こういった預け先があるということが紹介されてそこに預けていたと。その間にお子さんが亡くなってしまった。二歳の女の子だったということです。これに対して区は、ここで、その当時の区長や担当部長に確認をしても、責任がないかのような、結局謝罪もないままの対応だったことは大変に残念なことであります。
それが前回の委員会報告で損害賠償請求に係る調停の成立についてということで報告されました。あれからもう四年がたっています。
確認なんですけれども、この調停事項の中では、区が調停の席上で遺憾の意をあらわすといったことが書いてあったり、区は子どもを夜間保護する世田谷区児童短期保護事業において、同様の事件の発生を防止する努力することを約束するというふうに入っています。当然のことだと思います。
まず一つは、この遺族、お母さんの願いとしては、こういったこと、ほかの親御さんで悲しむようなことは絶対なくしてほしいというようなことでしたので、この調停をするにおいても、ずっとこういったことは要望していたと。弁護士同士の話し合いの中でも、こういったことを調停の中に入れてくれというようなことを要求していたようですけれども、世田谷区の弁護士はそんなことも入れるんですかというような対応だったそうです。当然のことだと思うんですが、区の代理人たる弁護士がそういう発言をしているということが、悲しみをより一層深くさせているということは、皆さんも想像できることだと思います。
まず一つお伺いするのは、ショートステイにおいて再発防止のために具体的にどんな取り組みを行っているのかをちょっとお聞かせください。
◎萩原 子ども部長 委員ご指摘のとおり、このたび調停が成立したわけでございます。区ではこの間、再発防止のための事務改善、施設における運用マニュアルの整備、あるいは事業者との定期的な連絡会を通じた情報、課題の共有などに取り組んでまいりました。今後とも安心安全でこの事業が実施できるよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。
◆風間ゆたか 委員 私は、具体的にはどんな再発防止策をとったのかということを聞いているんですけれども、具体的に今どうなっているんでしょうか。
◎萩原 子ども部長 施設で、現在、そのショートステイの受け付けをするときに、例えば説明内容の統一、それからパンフレットへの処遇内容を明記いたしまして、利用していただく方にもその事業の内容をよく知っていただくということ。それから、子どもさんに関する情報の確実な提供ということで、区としてもお子さんに関する情報を施設側にも丁寧にお伝えするということ。それから、マニュアルの改善ということで、例えば年齢ごとの安全配慮面での記載ですとか、それから、現在受け入れていただいている施設におかれましては、その施設にいる方とショートステイを利用される方を分けまして、専用のスペースも確保していただいております。それから、先ほど申し上げましたように、施設と区の連絡会を定期的に行いまして、常にそういった情報の交換をしていると、このような改善をしているところでございます。
◆風間ゆたか 委員 幼い子どもが、この当時は寝る前にグミをたくさん食べて、それが詰まっていたという話もありましたけれども、そういったことを防ぐための徹底がなされているかということがやっぱり関心事なわけですね。マニュアルを改善してもそれが守られているかどうかということが重要ですけれども、それが今はきちんと守られていると自信を持って区は言える状況でしょうか。
◎萩原 子ども部長 事故の再発防止に向けて全力で取り組んでいるというふうに私どもも認識しております。
◆風間ゆたか 委員 やはり親元を離れて、幼い子どもが一人で別の場所で寝泊まりするということに関してはいろんなリスクが生じると思いますので、二度と起こらないように、担当部署としては取り組んでもらえればと思います。
もう一方で、遺族の感情面で、もともと区に相談をして、区が紹介したところに預けていて、子どもが亡くなってしまったということに対して一言も謝罪がなかったということに対して腑に落ちていない、納得いっていないということがいまだに続いているという状況です。調停が成立したからよしということなんでしょうか。区民で、区に相談をして、預けた子どもが亡くなった。それに対して謝罪が一言もない。この遺憾の意をあらわすというのが謝罪に当たるのかどうか、それが遺族には伝わっていないということなわけですね。
こういう状況ですけれども、区長は、当時は区長ではなかったわけですけれども、こういった幼い子どもが亡くなっているということに対して、また、遺族はいまだに深い悲しみに包まれているという状況、これを少しでも払拭していくために、区がもう少し何かできることがあるんじゃないかと私は思うんですけれども、区長はこのあたりどうお考えでしょう。
◎保坂 区長 平成十九年七月二十七日に起きた二歳五カ月のお子さんが翌日の朝亡くなっていたと。この事件について、警察等も相当時間をかけて調べ、書類送検の後に、刑事処分的には不起訴になったと。ただ、そのお子さんを失われた親御さんの悲しみに対して、区として調停に至ったという中で、遺憾の意ということが大変申しわけなかったという意味を込めてのものだと私は思います。しかし、その親御さんのほうがどういうふうに受け取られているのかも、しっかりもう一回確かめて、こういった形で児童養護施設を使ってショートステイということで始まってきた事業、全体の社会的な意味と意義は、虐待防止等でもあろうかと思いますけれども、幼い命を結果として死亡させてしまったことが起きたということについて、調停は成立しましたが、区としては弔意と、そしてこういうことを繰り返さないために、以前とは違う、これだけのチェックや取り組みをしていますよということを親御さんのほうにもお伝えをしていきたいと思います。
◆風間ゆたか 委員 恐らくこの映像か何かの形で、今の保坂区長の話をお母さんも聞いていると思うんです。私も二歳の娘がいますけれども、本当に想像しただけでも悲しいことですし、再発防止はもちろんのことですけれども、もう調停で、当時、四年前に私が質問したときには、裁判を恐れて、踏み込んだ発言も何も理事者の方々もしていませんでしたけれども、遺族の方たちにやっぱり一刻も早く精神的にも立ち直っていただきたいと思いますので、また機会がありましたら、そういったことを直接伝えていただければなと要望しておきます。
続きまして、世田谷区の中長期ビジョンということで、代表質問でも少々質問をしましたけれども、今回基本構想審議会の委員ということで、私も議会を代表して参加させていただいております。これから二十年のことを考えた構想をつくっていくということは大変に重要なことでありますし、もともと我々議員は、もちろん区民の代弁者として、これからの区をどういうふうにしていくかということを常に考えている立場から、いつも以上に力を入れて私も参加をさせていただいているところです。前回、今部会に分かれてやっている中で、専門の委員の方からも、二元代表制の中で、なぜ区長から諮問される委員選出に議員がいるんだと、違和感があるというような発言もあったりしました。
保坂区長が就任されて、かなりさまざまな分野のユニークな意見を持った専門家の方々も来ているので、意見はそれなりに活発になっていると思いますけれども、この議員、議会からの委員を出すということに関して、保坂区長はどのような考えで議会側に要請があったんでしょうか。
◎保坂 区長 基本構想というのは、自治体の憲法とも言われる、世田谷区政というものがどんな原理原則にのっとって行われていくのか大変重要なビジョンだと思います。そしてまた、これは十七年という随分前にその作業があって、久しぶりにもう一回そういった未来を形づくる議論が始まった中に、区民の代表である区議会議員の皆さんに参加していただくことは必要だというふうに考えます。
また、一方で区民からの六十八人の方が希望されて、応募をされたわけです。その中で選出された方、あるいは各団体の方の区民委員としての発言も、私が出たのは一回目だけでしたけれども、大変活発にご意見を出していただいているということで、大変活発な意見が三つの分科会で始まっていると聞いておりますので、そこの議論と区議会での節目節目での報告なり、あるいは意見交換というものが有機的に、議員の委員の方が出ていることによってスムーズになるのかなというふうに考えているところです。
◆風間ゆたか 委員 さまざまな意見が出るのは大変結構なことですが、やっぱり専門家の先生方は専門的な領域でそれぞれの発言をされていて、これがどうまとまっていくのかなということに対して想像できないというような発言もあったりしたわけです。我々議員は、日々こうして議会活動していく中でもそうですし、区に対してこうあるべきだということは、当然将来のことも考えて提言、提案をしているわけであります。最終的には、審議会に諮問して、区長が提案をしてくるという流れになるとは思うんですけれども、当然我々議会側からこれまでさまざまな区民の代弁として発せられている発言を重く受けとめていただいて提案をしてくるものだと思っています。
一方では、区民の皆さんからは、今度シンポジウムとかもあると思うんですけれども、さまざまな年齢性差を問わず意見を拾っていくということに関しては、車座集会でもやはりまだ拾えていない層があるんではないかと私も思いますし、そういったもっともっと幅広い意見を聞いた上で、区長にはこれから二十年のことを提案してきてもらいたいなと思っているわけです。
例えば無作為抽出のアンケートも結構ですけれども、これから一年間の中で、構想ビジョンをつくっていくということにおいて、さまざまな年齢、または区民から意見を聞いていくようなことも私は必要ではないかなと思うわけですけれども、今の予定以外に、そういった場を設けていくようなことというのは区長は考えていないんでしょうか。
◎保坂 区長 委員からご指摘のあるように、こういった基本構想審議会を傍聴されたり、あるいはシンポジウムに来られたりする方というのは、主に「区のおしらせ」を読んで来られる方が数としては多いように思うんです。ただ、それは新聞で折り込まれていますので、今若い世代で新聞をとっていない方も非常に多くなっている。インターネットでも確かに掲示されていますけれども、たくさんの情報があるので、選択的にそこから、特に強い関心がない限りはぴんとこないということもあるかもしれない。という意味で、無作為抽出で一千人の方にお声がけをして、この中で反応してくださる方にお集まりをいただいて、そのワークショップ、あるいは意見をいろんな形で出してもらうような工夫をするということも一つのやり方だろうと思いますし、また、次世代の主人公である子どもたち、小学生、中学生、あるいは高校生、こういう世代が二十年後の地域、世田谷区というものをつくろうよという中で意見を、ちょっとかなり工夫も必要だと思いますが、これはぜひ実現をしたいことの一つであります。
また、テーマ別車座集会というのも、確かにいろんなテーマが区政にあります。ですが、この基本構想審議会の議論と並走しながら、なるべく多くの方に意見を出してもらったり、あるいはそのビジョンを固めていく方向に資するように、基本構想審議会は審議会として独自に独立した議論をしていますけれども、区長としてもそういった議論を見ながら、並走しながら、そういったテーマ別の問題、例えば子育て、保育であるとか、介護、福祉など、区民にとって関心のある問題について取り組んでいきたいと思います。
◆風間ゆたか 委員 今後二十年間のことを考えたときに、財政的に決して見通しとして明るいわけではないと思うんです。それはほかの会派からもお話がありましたけれども、楽観的な見通し、シナリオだけでは、そのとおりいくとは思いませんので、やはりそういったことを考えると、これからはその選択をしていかざるを得ないような状況になってくると思います。区民からの意見を聞いていく、議会の声を反映させていくということも、かなりさまざまな要望があるとは思いますけれども、私たちとしては優先順位を決めていくということも今後は必要なことだと思っていますので、ぜひとも区長がどう考えているかということに関しても、折々発信していってもらえればなと、これは要望しておきます。
続きまして、放射能問題、これまた代表質問で質問をしましたが、区内の学校で土壌調査をしたところ、ストロンチウムが出たということに関して、区長は早急に対処するというような再質問での答弁があり、所管の方からもさまざまなアクションがあるように聞いていますけれども、具体的にはこの一、二週間の間でどのような対処、対策をとったのか教えてください。
◎保坂 区長 委員からご提供いただいた土壌中の放射性物質の結果について、まず関係する所管に検討を現在指示しているところです。土壌中の放射性物質につきましては、現在のところ、国が安全基準を示していないということもあり、安全性の観点を区が独自に評価していくということが難しいのではないかとも考えております。
参考となる調査データ等を収集するなど、これからの検討素材としていきたいと思います。その上で、関係所管からの報告をもとに、再調査の是非について判断をしていこうと考えています。
◆風間ゆたか 委員 今年度は、給食の測定機器の購入、また来年度の新しい予算でその人件費などの予算が見られまして、こういった取り組みは評価をしておるところです。こういった放射能に対する対策をやっていくとなると、その土壌のことに関して予算がついていないので、どうなのかというような不安、疑問も私はあったわけですけれども、確認していくと、今までの確保している土壌なら、学校での整備費ですとか、そういったもので対処していける範囲であるというふうにも聞いております。
いずれにしても、この機器の購入と人件費だけでも二千万円超のお金がかかってきてしまっていることを考えますと、東京電力に対しての賠償請求というのが、先日も相模原市が発表がありましたけれども、近隣で川崎市、横浜市、首都圏でも幾つかの自治体でもされているということですが、区長はこのあたりをしていく考えはないんでしょうか。
◎保坂 区長 当然福島第一原発事故によって放出された放射性物質、それが原因でさまざまな事柄が起こっているわけですので、かかった費用、それから区としての体制を強化せざるを得ない、これからもっとそういう意味で強化が必要だと思っていますので、なるべく早い時期にいわゆる損害賠償ということはやりたいと考えております。
◆風間ゆたか 委員 区も財政豊かな状況ではありませんから、ぜひその辺は進めてください。
また、学校、保育園の対応ということに関しては、代表質問でも要望しましたとおり、子どもの健康ということを第一に考えて、できることを速やかに取り組んでいくことを要望しまして、中村委員と交代いたします。
◆中村公太朗 委員 まずは毎年恒例、この時期になりましたので、天下りの問題についてお伺いをしていきたいと思います。
区役所からの答弁ですと、行った先で高額の退職金が出るわけではないので、天下りではないということですから、退職職員の関連団体等への再就職についてというふうな認識なんだろうなと思っています。いずれにしても、これだけの不景気の中で、世間一般では考えられないほど、望めば次の再就職があてがわれるという、特に幹部職員等にはそれ相応のポストと給与というところで保障されていくということは、やはり税金が入っている団体ですから、区民にとってはなかなか理解が得られない問題なんだろうなということで、これまでも取り上げさせていただいております。
改めて保坂区長にかわられて、初めてのこのテーマですから、過去の数字を言わせていただきますと、昨年度、二十三年三月においての退職者は十四名で、そのうちの十一名が外郭団体か、もしくは区の内部に再就職をされている。その前年が十四分の九、その前年が十一分の十、ほとんどの方が外郭団体、もしくは区の内部に自動的に、望んで再就職をされていくということになっています。
これまでの議論でも、このシステムというのが、大体年末ぐらいになると、各団体から区のほうに、こういうポストがあきますので、だれかいい人がいませんかと要望が来て、人事のほうで調整をしながら、最終的には区長がゴーサインを出して、マッチングをして、あっせんしていくということになっています。
今度四月に退職をされる方の数字でいきますと、九名の幹部職員の方が退職をされて、そのうちの七名が外郭団体と区の再就職が決定をしたというふうに聞いておりますから、九分の七ということですと、また変わらないほど高確率なんだろうなという認識を持っております。
これまでの前熊本区政のときにも声を上げていましたし、その中で大した答弁もなかったので、無力感を覚えておりましたけれども、区長にかわられて、今回この幹部職員の退職先、再就職先ということの作業には一応携われたというシステム上の流れになっておりますけれども、どのような視点でこの問題に携わったのかということを、これまでと違う視点でご自身の考えがあったら教えていただきたいと思います。
◎保坂 区長 これまでこの議論の中で、いわゆる国家公務員のキャリアの皆さんの天下り、あるいは渡りというようなものと、世田谷区の場合の外郭団体への再就職というのは違うんだということを区の側は説明していたかと思います。私は、今回は世田谷区が抱えている行政需要というのは非常に大きくなっている中で、例えば地域の福祉力をつくること一つとってみても、もっともっと外郭団体の力も出していただいて、いわばそこに座っているために、どなたかにそこに行ってもらうということは極力なく、いわば仕事をそれぞれの分野で行える人ということで考えたつもりです。
それと、外郭団体そのもののあり方の整理の問題もまだまだ課題はあると思います。他方で、区の職員がこれから大量に退職をしていく、来年も大量に幹部クラスが退職するわけですけれども、そういった中で、定年の延長などの話もこれから徐々にやってくるわけです。そういう意味では、区民から見て、やはり何か疑念とか、おかしいぞということがないような形での再就職の状態というのを考えていくつもりです。
◆中村公太朗 委員 問題意識をお持ちで、今回再就職をやられたということは認識をしましたけれども、やはりこれまでこれも取り上げてきましたが、必要な人材を適材適所にということで外郭団体に送り込むということもこれまでの答弁であったんですが、実態を見てみると、毎年その方々は一年ごとに別のポストに異動されていっているという実態が明確なんですよね。
世田谷文学館副館長なんていうのはまさに最たるもので、十六年度、十八年度、十九年度、二十年度、二十一年度、二十二年度と毎年かわられていますし、新樹苑の園長さんなんていうのも、三年連続かわられたりとか、時系列を追ってみると、一人の方が毎年毎年いろんな別々のポストに一年ごとにかわれている。これでは、区長が意識されているような、もしくはこれまでの答弁にあったような人材という意味での活躍の場というものもなくて、ただ単に持ち回りをしているだけじゃないかと疑わしき部分もあります。
ぜひそういった観点で、今回の九分の七というのを区長がご自身で決定をされたという決定権者ですので、その先は民間の外郭団体の好き勝手ということではなくて、今おっしゃっていただいた視点で厳しく見守っていただきたいなというふうに思います。
それから、エネルギーコストの削減について一つ提案なんですけれども、まずお伺いをいたします。
電力のPPSはこの間、大分取り上げられてきましたが、一般的に光熱水費というと、あとガスと水道がありますが、区庁舎、もしくはそういう施設等のガス、水道の削減等に対しての取り組みというのは行われているんでしょうか。
◎千葉 総務部長 PPSのほかにも、区としてさまざまな努力はされているという認識をいたしております。具体に、特にガスの問題で申し上げますと、一つの例でございますけれども、料金メニューというのは、おおむねガスの場合、一年間の契約となっておりまして、更新時に東京ガスが提示する直近一年間の使用実績、これをもとにいたしまして、それをシミュレーションを確認して、翌年度に最適な料金プランを選択しているというような努力をしております。
◆中村公太朗 委員 区内には多くの学校施設もありますが、時間がないので、イエスかノーで答えていただきたいんです。学校も同じような形で見直しを行っているということでよろしいんでしょうか。
◎寺林
教育環境推進担当部長 ご指摘のとおり、同じように時期的に安くなる、そういった契約手法を踏まえて工夫しております。
◆中村公太朗 委員 区長、ここから聞いてくださいね。今回第一庁舎、第二庁舎、第三庁舎、それと小中学校二校ずつのガスの年間使用量と使用金額のデータをいただいて、民間のコンサル会社にお願いをして、削減できるかどうか聞いてみました。学校、大きいんですが、この四校は無作為抽出の四校ですが、この四校で年間百七十万円削れるという数字が出ました。区役所庁舎、第一庁舎、第二庁舎、第三庁舎においても、第二庁舎が一番大きいんですけれども、削れるだろうと。これも百七十万円ぐらいで、数字が出ました。大体一〇%前後のガスの削減ができると。
要は、現状世田谷区の庁舎に関しては、ほとんど一般契約とか、夏期のときだけ多くなるから安くなるよみたいな契約なんですけれども、これら五項目ぐらいの実際のデータをもとに業務契約というのを結べるんです。そうすると、今以上に全然経費が削減できるわけです。学校は四校で百七十万円ですから、全部で百校ですからね。こうしたことをこれまでできなかったのは仕方ないのかもしれませんけれども、こういうことを民間を使って削減していくということこそが、まさに民間活用なんだろうなと思いますが、取り組みをされるかどうか、区長、いかがですか。
◎保坂 区長 PPSを導入する際に、昨年からいろいろ研究しました。今委員ご指摘のガス、契約を変えることによって明らかに削減ができる。安定供給もオーケーであれば、早速検討したいと思います。
◆中村公太朗 委員 では、各所管にすぐ指示をしていただきたいなと思います。
以上で終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で世田谷民主党の質疑は終わりました。
────────────────────
○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。
◆木下泰之 委員 先ほどたすきの話がありましたけれども、あれはブログを使うからいいかと。何に使うかわからずに最後に聞かれまして、それで、それはしようがないだろうと言ったんですが、それをもって許可したという話は、これは私の人格にかかわることです。私はそういう卑怯なことはしません。言っておきます。
それで、問題は、選挙のときに、高架反対ということについては一緒に演説もしたし、京王線については、やっぱり高架ではなくて地下がいいという認識を区長は持っていたと思うんですが、いかがですか。
◎保坂 区長 京王線の連続立体交差事業に対して、特に木下委員を介して、高架ではなく地下へという方が大変多くいたと、もう一回きちっとそこは考えるべきだというふうに発言もしたと思います。
◆木下泰之 委員 下北沢の問題も、前から高架で計画をしようという動きがあって、高架と地下の比較をしたときに、地下のほうが高架よりも一・六倍かかるというのが世田谷区の報告書で出たということもあります。それが、結果的には地下になって、地上の緑道等も含めてつくろうということになって、それに区長は意欲を燃やしておられるわけだけれども、京王線についても、やはり私は地下がいいと思うんですね。
それで、連立事業調査報告書の大事な高架、地下の比較のデータがいまだに出ていないにもかかわらず、高架を前提とした駅前広場、明大前と、それから千歳烏山の駅について、そういうふうにやって、それで今度四月の中から都市計画案の説明会に入る。これは私はやはり撤回してもらいたいと思うんですけれども、区長、いかがですか。
◎板垣 副区長 情報開示につきましては、区長のほうからも指示をいただいておりまして、今までもこの間、私や所管も含めまして、東京都にも申し出を行ってきているところでございます。京王線連続立体交差事業の事業主体としましては、東京都が事業主体であるわけで、その情報開示の判断を行うのは東京都が判断しているわけでございますので、なお引き続き、情報開示について東京都には求めているところでございます。
◆木下泰之 委員 区長は、去年のその説明会についてゴーサインを出されたわけですけれども、側道の都市計画権者は区長なわけですよ。あわせて、今度の駅前広場もそうですね。高架を前提にするかどうかということについては、まさに区長の判断によるんじゃないですか。だから、区長としてはどういうふうに判断されているんですか。
◎保坂 区長 京王線の連続立体交差事業については、とにかくあかずの踏切の解消をしてほしいという声もあります。一方で、住民の参加、そして意見の反映ということも、極力実現をしなければと考えてはいます。ただ、全体の事業の中で、少なくとも現在都市計画案ということですけれども、この計画案についても、地域の方々にもしっかり、案として固まる前の段階でも開示をして議論いただくというふうに指示をしているところです。
◆木下泰之 委員 もう既に都市計画案の説明会をやろうというんですよ。都市計画素案とほとんど変わらない。しかも高架を前提に、駅舎側に移した形の案を示すということになるわけです。しかも明大前の街づくり協議会は地下化を前提としたプランを示している。つまりそれが出た段階で都市計画案については待つべきなんじゃないですか。延期してください。いかがですか。
◎板垣 副区長 これまで区長から指示をいただきまして、この間、千歳烏山、明大前も含めてずっと地域の方と意見交換もしてきました。そういう中でよりいい案がないかということで、この間、ずっとかなり回を重ねて地域住民とも一緒に考えてきたところでございます。千歳烏山におきましては、その中で素案の修正もさせていただきまして、そういう中で今回案の提案をさせていただいているところでございます。
◆木下泰之 委員 大変なことですよ。大型公共事業の見直しというのが区長のスローガンの一つなわけですよ。
それで、連立事業というのは、世田谷最大の公共事業ですよ。その問題は、これはただ単に高架だけじゃない。交差道路が七本も都市計画道路がつくられようとしているわけですよ。その一つ一つについてやっぱり見直していくということを考えれば、高架でこのまま進めていいというわけではない。
それについて、区長に聞いても答えないんだったらいいです。区長、答えてくださいよ。どうなんですか。
◎保坂 区長 もちろん、その京王線の連続立体交差事業の中で、高架に対する反対の声がたくさんあるというのは知っています。ただ、一方で、いわゆるあかずの踏切の解消ということで、地元の大変強い要望もあるという中で、例えば烏山の駅前広場についても、大変広過ぎるじゃないかと、大き過ぎるじゃないかという声もありました。その大き過ぎるものをいかに小さくするかという努力はしたつもりです。それについて、案として決定する前に地域の皆さんに示して、しっかり議論をいただきたいというふうに申し上げています。
◆木下泰之 委員 東京都も、四月の中から始まっちゃうわけですよね。それを撤回してくださいということを聞きますか。区長、それについては、ちゃんと住民と会って、撤回も含めて検討しますか。どうですか。
◎板垣 副区長 近々また地元にも説明させていただきます。
◆木下泰之 委員 これはとんでもないですよ。先ほどたすきの話があったけれども、そういうことじゃないよ。区民に対する公約をあなたは裏切ったんだよ。これは民主党が公約を裏切って、今政治が信用されなくなっている。そういった中で、あなたもそのことをやるんですか。どうなんですか。ちゃんと答えてくださいよ。
◎保坂 区長 民主主義のプロセスの中で議会とも、そして近隣の住民ともよく話し合って……。
○菅沼つとむ 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、減税世田谷、どうぞ。
◆あべ力也 委員 穏やかに質問してまいりたいと思いますけれども、まず、私は会派名が減税世田谷と名乗っているものですから、減税についてちょっと聞いてまいりたいと思います。
減税で有名なのは、名古屋市がやっていたり、名古屋の場合には減税の条例案が可決をしたというようなことでして、また一方、杉並区は今まで減税基金というのを積み立てていたんですけれども、当面の課題に向けて、減税の基金はやめて、それを取り崩して、直近の課題に使っていくんだというような区長の判断があるということで、減税という考え方にも、今いろんな考え方があって、それを取り巻く環境もいろいろ変わってきていると思うんです。
国のほうは今増税増税だということで一辺倒ということで、大変私としては分が悪いんですが、ただ、行財政改革をやっていく中でのその果実を減税という形で還元をしていくという考え方も、一つの選択肢として考えていくべきではないかというのが私の立場でありまして、この問題について、区長はどういうふうにお考えなのか伺いたいと思います。
◎保坂 区長 昨年の三月に東日本大震災が起きて、あれだけの方が被災されて、現在まだ仮設住宅にいるわけですね。そういう意味では、この時期に、いわゆる国政上のテーマが増税一本やりになっているということは、非常に健全な形ではないと。ここは本当に日本の総力を使って被災地復興、そしてまた経済的にも立ち直るきっかけをつかむ時期であって、もちろんその消費税率のアップというのはどこかで判断しなければいけない課題だとは思いますけれども、去年からの増税一本やりの話は非常に違和感を感じます。
そして、世田谷区という自治体として、例えば減税自治体的な構想を目指すかどうかということですけれども、今回の予算編成でもかなり四苦八苦しながら、義務的経費以外で、じゃ、何ができるのかということで、大変苦労してやっております。そこのところを、要するに区民負担を今回もさまざまな保険料の値上げとかで、一人一人の所得階層によりますけれども、大きな負担をかけてしまっているわけですけれども、そういう意味では、できるだけ増税というふうにならないようにするというのが、今のところ私の精いっぱいのところで、減税までちょっと踏み切るのは難しいというふうに考えています。
◆あべ力也 委員 区長が申されるように、確かに区の財政の問題であったり、長期的な計画であったりということがありますから、減税を瞬時に実現をしていくというのは難しいでしょうけれども、そういうことも区の財政が好転をしたりした場合に、世田谷区として、減税ということも選択肢の中に考えていくという必要性は私はあるんじゃないかなと。特に税金というのは、唯一強制権があって、公に認められている略奪行為だということですから、言葉は悪いですけれども、これは学者も言っていますので、それをどういうふうに住民に理解してもらって、行政サービスを展開していくかという中の選択肢には、私はやっぱり減税ということも視野に考えていっていただきたいというふうに、これは要望しておきます。
次に、庁舎問題、自民党さんのほうからもちょっと出ましたけれども、世田谷の区議会は、前期は庁舎問題の特別委員会等も設置をして、庁舎の建てかえ等についてずっと検討してきたという実績がございます。それで、今般、保坂区長になられて、今まで庁舎問題に関する部が設置をしていたんですが、それが今度なくなると。組織改正もされて、今まで庁舎というものに対して大変関心が高かったんですけれども、ちょっと追いやられるというようなことなのかなというふうに、残念に思っているんです。
やっぱり震災以降、庁舎の機能の充実であったり、震災に対応した庁舎をいかに確保するのかということは、各行政の課題になっていて、それで、豊島区なんかはイニシャルコストがかからない建て方で庁舎をつくりましょうというようなこと。今まであった庁舎の敷地を貸したり、または、新庁舎の上に定借つきのマンションを分譲したりというようなさまざまな工夫をしながら区民ニーズにこたえていくということをやるということであります。
世田谷区も庁舎を建てかえるということによって、地域経済の活性化にはすごく寄与するのではないかと私は思っておりまして、今まで検討をしてきたのでありますから、ぜひ継続をしていただいて、庁舎問題、どうやったら建てられるのだということをぜひ考えていただきたいと思うんですが、この点については区長はどういうふうにお考えでしょうか。
◎保坂 区長 先ほども、午前中もお答えしましたけれども、庁舎の現状は決していいものではない。大変狭隘化していますし、職員のワークスペースとしても本当に狭い。また、継ぎはぎであちこち広がっているということで、訪ねてこられる区民も不便であると思います。ただ、現在、地域財政見通しでも申し上げているとおり、まだまだ厳しい時期は続くということで、やはり基金の確保、あるいは起債の抑制などを慎重に行っていこうと。一方では福祉、さまざまなニーズも上がってくるという中でのかじ取りで、今この時期には庁舎のことを課題にしながら、もちろん忘れずに、財政の好転を待って、再び待機したいと、このテーマについては考えています。
◆あべ力也 委員 もちろん財政上の問題がありますから、庁舎の建てかえに関してはいろいろちゅうちょされる部分もあるんでしょうけれども、いろんな手法を検討して、ぜひ保坂区政の中で、いわゆる設計の計画とか、実施計画とかそういうところまで持っていけるように、ぜひやっていただきたいというふうに要望しておきます。
それと、国家公務員の給与に関する、削減に関する法律が通りまして、これが地方公務員の給与にも影響を与えるということで、この問題についても質問したかったんですけれども、時間がありませんので、補充のほうで伺ってまいりたいと思います。
以上で終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で減税世田谷の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。
◆上川あや 委員 本日の私の質疑では、次代を担う子どもたちに平和の大切さをいかに伝えていくべきかという観点から質問をしてまいります。
私の初当選の年、平成十五年秋の決算質疑で、区内でもその数が少なくなりつつあった被爆者の方々、また戦争体験者の方々の声を次の世代に残していく責任が我々にはあると。その手段の一つとして、体験者の実際の声を積極的に映像として残してはどうかということを伺いました。当時の教育センター所長からは、委員がおっしゃいましたとおり、被爆者の体験を語る模様をビデオで映像に残す方法なども検討できるのではないかというご答弁をいただいたんですが、その後一切動きはありません。その一年半後、平成十七年、春の質疑で改めて状況を伺ったところ、当時の教育政策担当課長から、この件につきましては、今後、区長部局とも十分に相談してまいりたいとのご答弁がありました。しかし、これも全く進展はございませんでした。
平成二十一年、区の平和映画祭に、初めて戦時下の暮らしを聞く会という語り部の方のお話を伺う機会が挿入されると文教委員会で報告を受けましたので、ならば、ぜひその語りの様子を映像としてこれからの世代に残していくべきということを私から強く申し上げ、その結果、初めて語り部の映像化が実現はしたんですが、この映像化も私からあえてまた質疑をするまで、区の念頭には全くなかったと伺っています。なぜここまで区の対応は鈍いのかと私は思うんです。
区としては、戦争体験者の区民の記録が紙の資料に残れば十分で、区民の肉声は残す必要がないという考え方なんでしょうか、伺わせてください。
◎宮崎 政策経営部長 今委員からお話のとおり、平和映画祭のほうでは、二十一年度から語り部事業を実施いたしまして、ご示唆いただきまして、二十二年度からその様子を映像として保存をさせていただきました。
お話しいただいていますように、戦争体験者が減少している状況を踏まえますと、引き続き語り部事業を所管する教育委員会と連携しながら、さまざまな平和事業の取り組みをする中で、平和イベントのお話、インタビュー形式によるお話等、さまざまな手法の工夫によりまして、語り部の方々の声を後世に残すということが必要であると考えております。
◆上川あや 委員 お隣の調布市や東京都内、特別区の葛飾区などでも、このところ地域に残る戦争体験者や被爆者の声を映像に残し生かしていく取り組みを強めています。葛飾区では、映像資料の作成に継続的に取り組むだけではなく、区の図書センターやすべての中学校にDVDを配置するなど、その活用も徹底されていると感じました。世田谷区もこうした取り組みを強めていくべきだと考えています。
七年前の質疑では、区内に残っている傷痍軍人会、傷ついた軍人の方々の会も会員数が三十五人に減り、その当時で年に四、五人が毎年亡くなっているというお話を紹介して、区もその検討を急いでいただきたいということを申し上げたんですが、その傷痍軍人会も既に四年前もう解散をしております。年に一回イベントの様子を悠長に撮っているといういとまはもうないと私は考えています。この点、区長のご見解をお伺いしたいと思います。
◎保坂 区長 おっしゃるように、戦争体験者の方、また、広島、長崎で被爆をされた方、大変高齢化が進んでおります。沖縄の平和資料館に行って、何人かの方に聞いたことがあるんですが、あそこには大変過酷な民間人を巻き込んだ戦闘がありまして、その戦争体験を全部テープに吹き込んで、それをヘッドホンで来館者の方がずっと聞く、それらを子どもたちの平和教育に使っているという姿を見ました。
映像でというお話で、しかもそれを一年に一回ずつやっていても、もうやがて間に合わなくなるんじゃないかというのはおっしゃるとおりだと思います。さまざまな、軍人として戦地に赴いた方、特攻隊員だった方、あるいは東京大空襲、そういった経験がある方、世田谷でもそういった空襲の中で亡くなった人たちもいると聞いておりますので、映像というのを、余りどこかのプロダクションを使って、外注してと考えないで、職員がちゃんとビデオカメラで、三脚さえあれば撮れますので、そういうことを残していきたいというふうに指示をしたいと思います。
◆上川あや 委員 同じ思いを共有していただいているようで、意を強くしました。よろしくお願いします。
続いて、区内に残っている歴史遺産の活用について伺いたいと思います。
まずは、パネルをご用意いたしましたので、ごらんいただきたいと思います。これは世田谷代田駅に近い環七と北沢川緑道の交差するところに円乗院というお寺がありますが、その境内に立ち枯れているコウヤマキという樹種の木です。これがその画像なんですが、これは昭和二十年五月二十五日に、世田谷区を含む山の手一帯を襲った山の手空襲で一帯が焼け落ちた際、立ち枯れて残ったもので、戦後もお寺さんが手をかけて大切に守ってきたものだそうです。いわゆる昨今で言うところの戦争遺跡の一つということです。足元の植え込みには、戦争の痛ましさを忘れぬために保存しましたと書かれています。
毎年三月十日、東京大空襲、下町を襲った空襲の日に、区役所で黙祷を捧げて、区民にもその黙祷を呼びかけているという取り組み、大切なことだということは承知をしているんですが、我々世田谷区の区民が襲われたこの山の手空襲、五月二十五日は毎年素通りというのも私はどうかと思っているんです。やっぱり私たちがそれをどうやって残していくのかという自覚を持つべきだと思います。
また、こうした地域に残る資産、全く活用されておりません。目の前に北沢川緑道があるんですから、こういったこともしっかり活用していくことを考えていただきたいと思いますし、皆さん、アイデアがあるんじゃないかと思うので、区長からもご見解をお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。
◎保坂 区長 今回初めて空襲で立ち枯れた木がいまだに立って、現代彫刻のようにも見えますけれども、そういう形で今あるということを改めて知りましたし、これが空襲で焼けた木なんだということを子どもたちにも知ってもらう。そういう意味では、世田谷公園にもいろいろな平和を記念する展示物なり、木がありますけれども、そういったことを紹介することも含めて、力を入れていきたいというふうに思います。子どもたちに伝えるべきことだと感じます。
◆上川あや 委員 ありがとうございます。
世田谷区には、私が調べたところ、ほかにもいろいろございまして、例えば三軒茶屋には旧日本軍の木造兵舎が今も残っています。これは戦後、大陸から引き揚げた方を収容した兵営住宅としても使われたものだそうで、今も残っています。また、三宿にあるヤマト運輸の三宿営業所の建物、これも旧日本軍の馬のまぐさを入れていた倉庫ということで、軍用倉庫だったんだそうです。こういったことも念頭に入れて、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 本日は、デジタルサイネージ、パソコン、スマートフォンなどを組み合わせた情報共有型デジタルサイネージの活用について伺います。
最近、デジタルサイネージシステムを活用し、例えば公共施設やイベント、医療機関の情報などの地域情報をリアルタイムに幅広く発信し、その情報を共有することで、観光や防災に役立てている自治体がふえております。ここで、世田谷区では現在、区役所などでデジタルサイネージを利用して情報発信しておりますが、個々の大画面ごとに個別に情報を発信しなければならず、相互間の連携はできていないとのことです。
ここでまず、区の現状について伺います。
◎宮崎 政策経営部長 今お話がございましたデジタルサイネージ、広告媒体ですけれども、区におきましても、税外収入確保の一環といたしまして、今月から第一庁舎、第三庁舎及び区内七出張所に広告事業者によります映像ディスプレーを設置させていただきまして、広告料収入を得るとともに、区の事業や施設に関する情報を流しまして、来庁者への情報提供としてデジタルサイネージの活用を始めたところでございます。
今話ししてございましたように、現在の装置ですけれども、設置場所におきます課題、コスト面から、ネットワーク化することが難しい状況でありまして、情報を即時で更新することができず、二週間に一度程度、事業者が各設置場所に映像データが入ったUSBメモリーを持って回り、情報を更新している状況でございます。
◆ひうち優子 委員 区では、それぞれが個々に情報を発信しなければいけないとのことですが、他自治体では、駅や市役所などの町なかの大画面のタッチパネルだけではなく、パソコンや携帯のスマートフォンによって地域内、地域外、どこからでも、だれでも情報を同時に、そしてお互いに共有でき、また管理者が携帯やパソコンで簡単に情報の更新ができるので、リアルタイムの情報が文字、映像、動画でも入手できるシステムを導入しております。
と申しますのは、既に各自治体や商店街では、インターネットで地域情報を発信しておりますが、サイトの運営自体が各自治体や商店街であり、お互いの情報を共有できませんでした。これは基盤がウエブサイトであり、しかもそれぞれのサイトが異なるデータベースやシステムを利用しているため、極めて効率が悪く、情報も更新されないまま古くなっているのが現状です。
ここで、伊東市では、遊びナビという形で、平成二十二年から市内十カ所に設置されたタッチパネル式のデジタルサイネージとパソコン、スマートフォンを利用し、市役所だけではなく、駅や商店街、市内の店舗とも連携し、例えば市内のイベント情報や医療機関、市内施設の混雑状況、駐車場の空き情報などの情報を提供しており、行政、民間企業、商店街などを巻き込んだ新しい形の情報ツールになっております。
地域内、地域外、どこからでも、だれでもリアルタイムに、しかも同時に情報が得られるので、観光情報はもちろん、災害時にも活用できるとのことであります。また、ツイッターやフェイスブック、ユーチューブやユーストリームなども利用でき、利用者同士の交流もできるのです。
このほかにも、横浜市や岐阜県恵那市では、災害時の緊急情報として活用しており、地域ごとの防災情報レポーターがリアルタイム情報を提供し、共有化する基盤整備を行っておりますし、そのほかにも、病院などの医療情報を共有化するなど、医療、介護、福祉の分野でも幅広く利用されております。また、コスト面では、各企業からの広告収入と区の補助事業で賄っている状況です。
このように、行政、商店街、民間、広告代理店が一体となり、町の活性化に寄与でき、また災害時には最新の情報が提供できることから、今後はこのような情報共有型デジタルサイネージの技術の活用が有効と考えますが、いかがでしょうか。区の見解を伺います。
◎宮崎 政策経営部長 お話がございましたように、特に災害時などの情報提供のありようといたしましては、そのような即時の対応ができるということがやはり必要だろうと思っております。今後、技術革新の動向なども踏まえながら、それらの活用方法について研究させていただければと存じます。
◆ひうち優子 委員 デジタルサイネージの分野は日々進化しており、動きが早いので、動きを注視しつつ、活用できる技術は活用していただきたいと思います。
次に、障害児家庭への見守り事業について伺います。
先日、立川市のマンションで死後二カ月の母親と知的障害のある息子の遺体が見つかった問題は記憶に新しいところでありますが、多くの自治体では、孤独死対策の見守り事業は高齢者が中心で、障害児家庭はほとんど想定していない現状があります。就学前の療育サービスを受けていたり、重度の障害の訪問看護などを受けている場合には異変に気づくことができるが、今回のケースでは、幼児が幼稚園や保育園などに通わず、このことが盲点となったとの指摘もあります。
世田谷区でも障害児家庭への見守りは現在行っていないとのことですが、中野区では、高齢者や障害者の見守りで先駆的な取り組みをしており、情報管理を徹底した上で、昨年十一月から名簿の提供を始めておりますし、今後、立川市では母子家庭や障害のある子どもを抱える家庭などを対象に、地域から孤立していないかの情報共有をする体制づくりを検討することを決めました。
ここで、今後、世田谷区でも障害児の見守りを実施するなど、地域から孤立していないかの情報を共有する体制づくりが必要と考えますが、区の見解を伺います。
◎藤野 保健福祉部長 行政、直接ではございませんが、地区社会福祉協議会の活動の中では、子どもから高齢者、障害者まで幅広く見守りのネットワークづくりに取り組んでいるところもございます。また、一部区の子育てサロンですとか、広場ですとかでも、そこをご利用いただく方にとっては一つの見守り機能にもなっているというふうに思います。
このたびつくっております第三期の計画におきましては、障害児とその家族を支援するということを新しく取り組んでおりますので、その中で、今お話しの情報共有、相談支援、その他見守り等について協議、取り組みを進めていきたいというふうに思っております。
◆ひうち優子 委員 ぜひ見守りを必要とする障害児についての情報共有、また安否確認などについて検討していただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。
◆青空こうじ 委員 世田谷区内でもいまだ大きな社会問題となっています振り込め詐欺について質問してまいります。
詐欺の中にもいろいろな詐欺があります。融資保証金詐欺、架空請求詐欺、還付金詐欺、皆さんおなじみのオレオレ詐欺もありますが、私は二月の初めに北沢警察に電話してから、警察に行ってお話を聞いてまいりました。管内の犯罪の発生状況はどうなっているのか聞きました。昨年とことしになってから、代田地区で若い男性のタクシー強盗が三件相次いで発生しています。テレビのニュースでもやっていましたが、いまだに捕まっていません。この付近には特にワンルームマンションが多いので、犯人はこの地域の人ではないかなと言っていましたが、まだ未解決なので、はっきりしたことは言えないと言っておりました。
けさのニュースでも、上北沢のほうでスタイリストの四十五歳の人間が二十七歳の若い男に、けんかなのか何かわからないで、結局は殺されたという事件もありました。
肝心の振り込め詐欺なんですが、ことしに入って北沢管内では一月と二月に二件発生しています。これは、一件目のほうが、ある会社の社債購入を勧められ、購入したところ、インサイダー取引があるとおどされて、合計一千三百万円のお金を振り込んだ事件がありました。もう一つの事件が、女を妊娠させ、おろす費用と慰謝料がということで百万円。この二件とも何と女性の被害者です。
振り込め詐欺は、人の弱みにつけ込むことや主に高齢者がねらわれるなど、極めて悪質な犯罪です。犯罪にかからないために、北沢警察でもこういうのをやっております。見たと思うんですが、管内振り込め詐欺を防ぐ三つの方法です。息子や孫のふりをして携帯の番号が変わったとかかってきても、必ず本人の番号をかけて正しく確認すること。二つ目が、警察や銀行を名乗る人が来ても、通帳、カードは絶対に渡さない。そして三つ目が、いつも留守番電話にして設定しておけば安心というアドバイスもございました。
私は、昨年の予算特別委員会でもこの問題を取り上げて、区の取り組みについて質問してまいりました。都内の中でも世田谷区は件数が多いとのことでしたが、その後、一年たち、件数は減ってきているという報道がテレビでやっておりましたが、昨年中における区内の振り込め詐欺の発生状況について、まず初めにお伺いします。
◎内田 危機管理室長 二十三年におきます区内の振り込め詐欺の件数は八十二件です。二十二年が百三十五件ですので、約四割減少しているということです。
振り込め詐欺の種類につきましては、二十三年はすべてオレオレ詐欺ということになります。被害の金額につきましては、二十三年は合計で約一億五千六百万円、その前年が約一億八千万円でしたけれども、一件当たりの被害の金額はふえております。これは詐欺の手口が送金額に制限のあるATMを利用いたしました振り込め型から、直接現金ですとか、通帳ですとか、キャッシュカードを受け取る手渡し型にふえている、これが理由ではないかというふうに警察からは聞いております。
◆青空こうじ 委員 件数が約四割減ったということは大変いいことだと思います。一方で被害金額はそれほど減っていないということですが、どのようにこれは理解すればいいのでしょうか。区では、この間、安全安心パトロールや「犯罪ゼロの日」に合わせた防犯啓発活動を実施してきたことはわかりますが、こういった事業に効果を上げてきていると考えたいところですが、区ではどのような考えになっているのでしょうか。これまでの事業の検証も含め、区の認識をお伺いします。
◎内田 危機管理室長 これまで区で世田谷区内「犯罪ゼロの日」を定めまして、区民の方のご協力をいただきまして、それ以外に「区のおしらせ」、情報のメール、二十四時間安全安心パトロール、そして区民による自主的なパトロールを行っていただきまして、さまざまな防犯啓発を行っております。また、区内警察署とも連携をいたしまして、こうした粘り強い活動というのが、総体といたしまして二十三年の被害件数は減少しているものと認識をしております。
また、振り込め詐欺の被害者は女性が多く、特に高齢の方が多いということがございますので、そういう方々への振り込め詐欺の手口ですとか、具体的な防止策、中高年を対象といたしました情報誌「GAYAGAYA」への掲載、消費生活センターとの連携などを通じまして、被害件数の減少に努めてまいります。
◆青空こうじ 委員 先ほども二件とも女性の方で、六十歳以上いっていましたから、結構ひっかかるんですね、本当に。
私ごとですが、先月ですが、私の家に知り合いの元テレビ局のディレクターから電話があって、私がある私立学校の役員を務めていたことから、学校の卒業名簿を貸してくれないかという依頼がありました。私は、名簿には住所や電話番号、そして個人情報が載っているので、私からは貸すことができないときっぱり断りました。残念ながら、詐欺グループはさまざまな名簿を手に入れ、犯罪に悪用していると想像されていますが、先ほどの電話をいただいたディレクターは、もちろん犯罪に利用しようと思ったわけではなく、ほかの場合でも、名簿をやりとりする当事者は不正を働こうなんて考えは持っていないと考えますが、何かの事情で名簿が一たん当事者の手を離れてしまうと、単なる名簿でも恐ろしい凶器にもなることと思います。
不正の目的による名簿の流通をやめるといったことも振り込め詐欺を防ぐことにもつながると私は思います。区として何らかの方策を考えられないかと、これはお伺いしたいんですが、いかがなものでしょうか。
◎内田 危機管理室長 お話のとおり、何らかの名簿あるいは電話帳等を利用していくのが振り込め詐欺の手口でございます。学校の卒業アルバムには、今現在電話番号ですとか、住所は記載されているものは少ないというふうに聞いておりますけれども、さまざまな団体がいらっしゃいますので、関係所管と連携をして注意喚起に努めてまいります。
◆青空こうじ 委員 町会でも今町会の名簿がつくれなくて大変困っています。つくってこれを町会でやるというと、なかなかつくれないもので、こういうことがなるべく悪用されないことを願って、きょうの質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 以上をもちまして本日の質疑はすべて終了いたしました。
本日の委員会はこれにて散会いたします。
午後六時四十分散会...