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平成12年  3月 予算特別委員会-03月22日-07号

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    平成12年  3月 予算特別委員会-03月22日-07号平成12年 3月 予算特別委員会 平成十二年予算特別委員会 予算特別委員会会議録第七号 日 時  平成十二年三月二十二日(水曜日) 場 所  大会議室  出席委員(五十三名) 委員長  荒木義一 副委員長 板井 斎 副委員長 笹尾 淑      石塚一信      五十畑孝司      宇田川国一      大場康宣      川上和彦      木村幸雄      小畑敏雄      宍戸教男      新川勝二      菅沼つとむ      鈴木昌二
         新田勝己      畠山晋一      原田正幸      平山八郎      山口裕久      飯塚和道      市川康憲      岩本澈昌      小口義晴      谷 逸子      中塚 護      長谷川義樹      増田信之      諸星養一      吉本保寿      阿部力也      稲垣まさよし      奥村まき      小野裕次郎      高橋 忍      西村 孝      山口 拓      嘉部広司      岸 武志      桜井 稔      田中美代子      村田義則      田中優子      西崎光子      森川礼子      山木きょう子      唐沢敏美      桜井征夫      羽田圭二      下条忠雄      大庭正明      木下泰之      小泉たま子      上島よしもり  出席事務局職員   主査            小湊芳晴  出席説明員   助役            八頭司達郎   政策経営室    財政課長 庄司 衞   教育長           津吹金一郎   教育委員会事務局            教育次長 武藤 峻            参事   四元秀夫            学校職員課長                 室星計策            施設課長 岡野亮介            生涯学習課長                 藤井栄次            体育担当課長                 寺島 茂            学務課長 幡野 東            保健給食課長                 工藤法夫            中央図書館長                 大森達夫   教育政策担当部            部長   中村 弘            参事   若林謙一郎            教育指導課長                 神取豊夫            教育センター所長                 井上俊策    ────────────────── 本日の会議に付した事件  議案第一号 平成十二年度世田谷区一般会計予算  議案第二号 平成十二年度世田谷区国民健康保険事業会計予算  議案第三号 平成十二年度世田谷区老人保健医療会計予算  議案第四号 平成十二年度世田谷区介護保険事業会計予算  議案第五号 平成十二年度世田谷区中学校給食費会計予算  (文教委員会所管分に対する質疑)    ──────────────────     午前十時開議 ○荒木義一 委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。    ────────────────── ○荒木義一 委員長 本日は、文教委員会所管分の予算審査を行います。  それでは、質疑に入ります。  社会民主党、どうぞ。 ◆羽田圭二 委員 おはようございます。本日、最初の質問をさせていただきます。  私の方から大きく三点にわたって質問をさせていただきます。  ことしは、全国の公立高等学校のPTAの全国大会が東京で開催されます。そういう意味で、教育に対して保護者の関心が非常に高まっている、そのように思います。政府は、教育改革国民会議あるいはこども教育サミットの開催ということで、二十一世紀に向けた教育改革論議がさまざまなところで始まっていると思います。  そこで最初に、二十一世紀に向けた魅力ある学校づくりについて、世田谷区としてのお考えをお聞きしたいと思います。 ◎津吹 教育長 魅力ある学校づくりというお話でございますが、ご承知のとおり、二〇〇二年、平成十四年に新学習指導要領による新教育課程が実施されるわけでありますが、同時に、学校完全週五日制が実施されるということで、今、非常に大きな変革期を迎えているわけであります。この新教育課程の中で最も注目されているのが総合的な学習の時間ということで、従来の授業科目が三割ぐらい縮減されまして、新しい教育への取り組みが学校で自主的というか、ある程度裁量ができるということで、非常に大きな関心を呼んでいるわけであります。そういうことを踏まえて、新しい学校というものを考えていかなきゃならないんじゃないかと思っております。  新しい学校づくりというのは、基本的には各学校がそれぞれ主体的に取り組むというような課題になっていると思いますが、これまでにも国の方からも学校の自主性とか自立性とか、あるいは校長の権限の拡大とか、そういうことが打ち出されているわけでありますけれども、なかなか一律にこうだということは論じられないかなと考えております。ただ、これまでの十五期あるいは十六期の中央教育審議会だとか、教育課程審議会の中であるべき方向が示されているわけです。十五期中央教育審議会では、生きる力などというスローガン、あるいは十六期の中教審だとか教育課程審議会では、心の教育などがうたわれてきているわけですけれども、いずれにしても、子どもたちがみずから学び、みずから考える教育への転換が唱えられているわけであります。  そういう中で二、三挙げさせていただきますと、子どもを一つの物差しではかるのではなくて、多元的あるいは多様な物差しで見て、一人一人のよさや可能性を見出して伸ばす視点を重視する、あるいは子どもにとって伸び伸び過ごせる楽しい場である、さらには、自分の興味、関心のあるものにじっくり取り組めるような場が必要だろうと。それから、わかりやすい授業の展開とか、好ましい人間関係、教師と子どもあるいは子ども同士が信頼されるような、そういう関係をつくって、安心してみずからの力が発揮できるような学校づくりが必要だというようなことが挙げられております。  そういうことを絞りますと、学校は、楽しくて、人間関係の温かい雰囲気を醸し出す居心地のいい場所だ、あるいはわかりやすい授業を通じて基礎、基本をしっかり身につけるところだというようなことに絞れるのではないかと思いますが、そう言ってしまうと、ごく当たり前のことで、どこで何が新しいのかというようなお話が出てくるかもしれませんけれども、こういう当たり前の授業が今まで行われていなかった。そういう反省に立って、現在までそういうようなことが提言されてきたのではないかと思います。  私は、教育の問題は、妙手とか奇手とかそういうものはない、公立の小中学校については、着実に基礎、基本ということを踏まえた指導が肝要ではないかと思います。それには、教師の意識改革というんでしょうか、意識啓発が第一だというふうに考えておりますので、そういうことを踏まえながら、新しい学校づくりに取り組んでいきたいと考えております。 ◆羽田圭二 委員 今お話にありましたように、子どもの自主性だとか、子どもみずから考える力をつけていくことが非常に重要だというふうに私自身思っています。区全体の教育内容については、後ほど改めてまた質問として触れさせていただくんですけれども、その前にもう一つ、学校の改善計画ですね。今回の予算にも幾つか触れられてはおりますが、特に小中学校の老朽化部分だとか、それから、この間、私自身も何回か質問をさせていただいておりますけれども、児童生徒の特に安全面に配慮した学校施設の改善、この点についてお尋ねしておきます。簡単にお願いをしたいと思います。 ◎岡野 施設課長 今の財政事情のため、改築が進まない状況の中で、学校の改修については、子どもの安全に配慮して、大規模改修とか小規模改修の計画を実施してございます。学校は、地域に開かれた学校として、高齢者や障害者にも利用できるよう、学校はもとより、福祉施設として池尻小、梅丘中、桜丘小などの在宅施設も取り入れて、段差の解消や手すり、トイレの整備なども今バリアフリー化を図っているところでございます。あと、大規模改修は、国庫補助対象条件として耐震診断も実施して、安全性を確保してから内部改修を進めてございます。その他には、プール飛び込み台を脱着式にかえたり、プール給水のバルブの改修とか、老朽化した水道管の取りかえとか、校庭の水飲み場の水道管の直結工事など、より安全性を確保するように実施してございます。いずれにしましても、児童生徒の安全確保のため、緊急性、危険性のある施設整備については早急に対応していきたいと考えております。 ◆羽田圭二 委員 ありがとうございました。いずれにしても、子ども中心というか、そして、今お話にもありましたけれども、命と安全を最優先に進めていただきたい、そういうふうに要望しておきたいと思います。
     昨年発表されました教育白書なんですが、これについては各新聞がすぐに社説でさまざまな見解を出しましたが、特に一九八四年の臨教審以降の十五年間の総括が不足しているのではないか、そんなことが指摘されておりました。  そこで、先ほども教育長の方から二十一世紀の教育をこれからはこうしようということで、いろいろ不足する点、今まで足らなかった点について一定考えている、そういうことまで含めてお話があったと思うんですが、これまでの学校運営や教育内容等について、絶えず点検していく姿勢が大切だと私は思っています。それは、この間の教育改革の過程において、幾つか看過できない問題が浮き彫りになっていると思うからです。  例えば、これも昨年の新聞で発表されておりましたが、教員の処分件数の増加、特に児童や生徒に対するわいせつ行為による免職というのが全国で五十四名、過去最高だったという報道がされました。きのう大阪の方で裁判もありましたけれども、これは直接この話とは関係ありません。病気休職者がさらに四千三百五十二名、うち精神疾患は千七百七名ということで、全体の三九・二%を占めていたという数字が出ているわけです。  新聞等でも、教師の大変陰湿ないじめの問題、教師同士のいじめだとか、あるいは教師が子どもをいじめてしまうということも含めて、投書欄等にこの間掲載されておりましたが、同時に、この中で私自身考えたいのは、子どものいじめというのは大人社会の反映だというふうに言われてきたと思います。特に学校における教員同士の人間関係の悪化、上意下達による画一的な指導や教員の責任の重さ、こういうことが大きく左右しているのではないかと思えてならないのです。ですから、文部省の方は、指導力不足だとか不適格教員についてはできるだけ早くやめさせるというような考え方を持っているようですが、そういうレッテルを張って問題が解決できるとは私は思わないわけです。  そしてもう一つ、過去最高だったという数字があるわけです。その数字というのは、高校の中退者の数です。高校の方は、確かに世田谷区の所管ではなく、公立学校でいえば東京都の所管になるわけですが、ただ、この問題で幾つか考えなくてはならないことがあると思います。高校進学率は、世田谷区においてもそうですが、既に九七%と言われておりまして、ほぼ全入に近い状態だと思います。子どもの数は減ったものの、高校を中退した生徒の数は全国で十一万一千三百七十二人という数字が出ておりまして、都は全国でトップと言われております。私自身も数字をもらいましたけれども、多少統計上では中退者の数自体は一定減ってきたということは出ていると思います。ただ、平成十年度の中退者数は五千二百十九名という数字が出ておりまして、これは今申し上げましたように、そのまま世田谷区に当てはまるとは思いませんが、幾つかこの点を考えなくてはならない。  そこで、高校中退者数の増加との関連から、次の質問に入っていきたいと思います。高校中退者数の増加の状況について、区はこの間、どのように把握をしてきたか、そして、中退の主な理由についてぜひ触れていただきたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 高校中退者の数でございますが、今委員ご指摘のとおり、東京都の数にして五千二百十九人ということでございます。この数字につきまして、一校当たりの退学者については二十五・一人、それから生徒に対する割合でいきますと三・六%、いわゆる退学者率でございます。この率につきましては、昨年とも変わっていないという状況にあります。  ご質問のありました退学の理由でございますが、一番大きなものは、高等学校の生活または授業そのものに対する熱意、興味、関心、適応等の不足、それから喪失など、それから、高校へ入学してから生じた原因とするもの、これが最も多くなっております。次に、本人の意思によって積極的な意味で進路変更を希望した生徒が続いております。  およその理由につきましては以上でありますが、区といたしましては、高校に入る前の生徒が思っていたイメージ、それと入学してからのイメージがずれがないように、生徒が確実な夢を実現できるような進路指導ができるように取り組んでおります。 ◆羽田圭二 委員 高校中退者の増加という中で、東京都の方はこの間、改革推進計画あるいはあり方懇等でさまざまな検討がされていまして、それぞれの学校ができるだけみずから改善していこうという取り組みがあったと思います。  そこで、もう一つ質問なんですが、高校中退の増加が、中学校における進路指導だとか学習指導のあり方、この点に大きく影響しているという見方もあるんですが、その辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 まず、中学校における進路指導につきましては、世田谷区におきましては「私たちの進路」という発達段階に応じた進路指導または進路学習ができるような教材を活用しております。  内容につきましては、おおよそ十項目に分類してありますが、まず、自己の進路の計画を立てること、それから、進路選択に必要な態度を培うための自己理解、職業理解ですとか、高等学校とか専門学校の上級学校の理解、職業観、勤労観の形成、適切な進路選択ができるような活動、進路情報の活用、教員と生徒による進路相談、職場体験、学校見学や体験入学などの啓発経験、中学校卒業後も、中退した後、中学校にも引き続き相談できるような継続の指導、それから保護者、地域との連携協力というような形で、できるだけ生徒一人一人に合ったきめ細かな指導ができるように取り組んでおります。  また、学習指導につきましては、中学校においては義務教育ということでございますが、特に選択授業等の拡大をもちまして、生徒が自分に合った学習、それから自分を見詰めることができる学習を進めております。また、指導法につきましてはチームティーチング等を活用しまして、子どもと教員との触れ合いの時間をできるだけ多く持って、きめ細かにできるように対応しております。 ◆羽田圭二 委員 高校三年間というのは、子どもから大人へと成長していく過程の中で極めて重要な期間だと思います。できることなら卒業させたい、これは多くの保護者が考えるところで、ところが、学校の方では、机の前に座りたがらない、字を読むのも書くのも嫌いだ、そういう生徒も含めて、これまでは集団で教育指導を行わざるを得なかったと言われております。しかし、この点では、高校でもマン・ツー・マンや補習授業ということで対応してきたと思いますし、今お話があったように、中学校の段階でもできるだけ子どもみずから進路を決めていく、こういうことをできるだけ保障していくような体制がつくられたと思いますが、その点については今後もぜひそういう方向で取り組んでいただきたいと思います。  あわせて、時間の関係でちょっと省かなければならないと思うんですが、簡単にお答えいただければいいと思います。学習指導の改善という点ですね。今、大体それでお話があったんだと思うんですが、もう少しつけ加える点がありましたら。 ◎神取 教育指導課長 学習指導の改善につきましては、まず、直接授業に携わります教員の意識改革、資質の向上ということが挙げられると思います。また、ただいまお話ししましたチームティーチングですとか選択制の授業、少人数で行える授業、そういったものが挙げられます。また、学校協議会等を活用いたしまして、地域の方々ですとか学校外の人が教室の中に入ってきて授業をするとか、また、生徒が外へ出ていって実体験をするとか、そういう体験学習といったものをふやしております。おおよそ以上のような形で授業の内容の改善方法をとっていきたいと思っております。 ◆羽田圭二 委員 最初に、教育長の方からもお話がありましたけれども、これから学校週五日制ということで、これまでさまざまな取り組みが改善されてきた、今お話があったような内容に置きかえられてきたということなんですが、それが五日制によって後退しないかと。例えば学校行事等だとか、特別授業だとか、言いかえれば生徒と教師の触れ合いということが非常に重要だと思いますが、そういうことが後退しかねない状況にあるのではないかということが言われていますが、その点はどうでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 ただいまの触れ合いの機会でございますが、授業の中では、先ほど申しましたように、できるだけ少人数、きめ細かな活動ができるようにというふうに考えております。また、部活動につきましては、現在世田谷は、中学校のうち、おおよそ八割から九割の生徒が部活動に参加しているということがございます。そういったものをさらに推進していくことによって、生徒がみずからの生き方を考えるというような活動は継続して推進できると考えております。  また、学校行事等につきましては、現在の行事等見直しも行っておりますが、体験学習ですとか生徒みずからが活動できる時間の確保にはできるだけ努めていきたいと考えております。それを後退させるようなことは現在考えておりません。 ◆羽田圭二 委員 ぜひそういう方向でお願いをしたいと思います。特に私は教師と子どもとの触れ合いが非常に重要だということで思ったことが一つあります。  先日、私が卒業した区立中学校の卒業式に出席させていただきました。実はこの中学校は、私の子どもも二人とも卒業した学校なんですが、ことしの卒業式は非常に感動的だったという印象を私自身持ちました。卒業生がお別れの言葉といいますか、送辞、答辞という表現は今使わないようですが、その中で、学校や教職員に対する子どもたちの思いが非常に自然に表現されていました。学年の代表だけが言葉を述べるのではなくて、学級委員が思い思いの学校生活、この間の本当にさまざまな思い出を教職員全員に語りかけるということで、非常に印象的だったんだと思います。最後に、この中学校を卒業して本当によかったということで、みんな泣きながら訴えるわけですけれども、自分の子どもの卒業式を二回とも経験しましたが、それ以上に感動を覚えた卒業式だったわけです。  そういう意味では、形式的な式のあり方を求めるよりも、今までの卒業式で物足りないものは何か、これを子どもと一緒になって問いかける、子どもたちができるだけ自主的に判断をして企画した式だったということを後で聞いているわけです。保護者も生徒も、そうした卒業式に非常に感動したということで、それ以降も、保護者の方からそういう声が学校に寄せられているということも聞きました。  子どもたちの自由な発想と創造性をみずから伸ばす教育ということを考えたときに、この卒業式は非常に大きなヒントを与えたのではないか。こうした子どもたちの自主的な活動をサポートしている先生方の苦労もあったと思うんですが、これからも子どもたちが自主的に考えられる企画というものをぜひ教育委員会の方としても保障していただきたい、そんなふうに思っています。  そして、きょうは最初に三つと言ったんですけれども、三番目のところはちょっと質問ができそうもないので、(「あと三十秒」と呼ぶ者あり)三十秒しかないので省きますが、ことしは、学校協議会についても本格的に全校で実施をしていくという考えがあると思います。この間のさまざまな活動内容を生かした形で、ぜひ発展させていただきたい。それは学校運営や教育内容に直接区民が参加できるということを保障していただくということでお願いします。  以上で終わります。 ○荒木義一 委員長 以上で社会民主党の質疑は終わりました。    ────────────────── ○荒木義一 委員長 引き続きまして、反政党・改革派、どうぞ。 ◆下条忠雄 委員 採択権が区に来たということで、教科書問題がかまびすしい。外では、民族運動をやっている人たちがいろいろ運動をしている。議会でも、自民党筋からかなり教育委員会に攻勢をかけられている、こういうふうに私は見ているんです。教育委員会の方では、どの教科書を選んでも文部省の検定を受けているんだから五十歩百歩だという答弁があったように私は記憶しているんだけれども、歴史の教科書だと思うけれども、何種類ぐらいあって、どこら辺が違うのか。余り時間がないから、端的に答えてください。 ◎神取 教育指導課長 中学校の歴史の教科書につきましては、現在、七社七種類の教科書がございます。違いにつきましては、今委員ご指摘のありましたように、検定を通っておりますので、内容的には学習指導に基づいているということでございますが、表記の仕方ですとか、写真の掲示ですとかといった部分では違いがそれぞれのところに出ているかと思います。 ◆下条忠雄 委員 例えば中国との関係の箇所について、記述がある教科書とない教科書、そういうことはあるんですか。 ◎神取 教育指導課長 すべての教科書の中の部分でどうかということについては、細かくまでは今わかりませんが、記述の内容については当然差異がございます。 ◆下条忠雄 委員 今まで都がやっているときは、どういう手順でやっていたんですか。 ◎神取 教育指導課長 東京都教育委員会が現在の特別区の教科書採択のときには、教科書の選定委員会と調査委員会というようなものをつくりまして、そこで調査研究、選定をするとともに、学校票と言われるものを各学校に出しまして、そこから学校の希望をとって、その希望数によって採択をしていくという実態があります。 ◆下条忠雄 委員 要するに、学校票、学校の意見というのかな、それがそのままその委員会では通ったということですか。 ◎神取 教育指導課長 東京都教育委員会の区部の小中学校の教科書採択においては、そういうふうにやっていたというふうに確認してございます。 ◆下条忠雄 委員 学校には、隠れ政党員も、潜り込むと言っちゃ悪いけれども、そういうことがあるのではないか。とりわけ、そういう声の大きい人の意見がどうしても通っちゃう。私は、これはやっぱり一定程度見直していかなくちゃいけないとは思いますよ。だけれども、まるきり学校の意見を聞かないというのも、これまた私は問題があると思いますよ。そうなると、戦前の国定教科書みたいになっちゃって、すべて上から決めたものでやっちゃうということになっちゃうから。  何か聞くところによると、学校の意見を聞く、聞かないでもって、いろいろな意見があるということなんだけれども、教育委員会としては、そこら辺はどういうふうに考えていますか。 ◎神取 教育指導課長 学校票につきましては、今ご指摘のとおり、さまざまな論議がされておりまして、是非が問われております。世田谷区といたしましては、現在、要綱につきまして検討中でございますが、その中で、学校の意見をどういうふうに取り上げるか。直接教員の意見を聞く方法、それから校長を通じて聞く方法、そういったものも検討しておりますが、学校票を使わないでできるような方法を現在考えているところでございます。 ◆下条忠雄 委員 要するに、学校の多数決ではやらないということですね。票というのは、要するに票の多寡でしょう。そういうことですか。 ◎神取 教育指導課長 今委員が言われましたように、単純な多数決で決めるんじゃなくて、区の責任によって決められるような方法を考えていきたいと考えております。 ◆下条忠雄 委員 私の意見だけれども、白さも白き富士の白雪の立場で物申すと、やはり教育問題については、政党というのはイデオロギー集団ですから、政党があれやれこれやれと言うことは、私はいかがなものかと思う。そういうことになると、戦前の三国同盟だとか、戦後のいろいろな共産主義のソ連、中国、あるいは今、北朝鮮はそうだけれども、東欧諸国みたいな、ああいう一色の世界になっちゃう。これは非常に怖いですね。やはり多色刷り、音声多重、これが今求められていると思いますよ。  だから、教育委員会としては、左右の全体主義はだめだから、皆さんはやっぱり政治的中立性をきちっと堅持して、いろんな意見を聞くことはいいけれども、そういうことでやってもらわなくちゃ困る。これは間違うと非常に大変なことになりますよ。(「今までも間違っていた」と呼ぶ者あり)今までも間違っていたけれども、これからだって、逆の立場で間違う可能性があると思う。  それから、瞬時に情報マネーが世界に飛ぶような状況ですよね。インターネットの時代と言われている。それから、日産の社長だって、外国人がなっているんです。とりわけ今戦争というと、宗教問題、民族の問題、それで戦争が起こっているんですよね。領土をとる、とらないで余り戦争は起こっていない。だから、何か民族主義をあおっているようなのは、私はもう時代錯誤だと思いますね。ですから、中国でいろいろな迷惑をかけたことは、あったことはあったんだったら、それは被害者意識を持たないで、冷静に教えていくという立場がやっぱり必要ではないか。ぜひこれはきちっとやっていただきたい。  それから、教育委員会、今度教育委員がかわるということだけれども、国家公安委員会みたいな、あんなていたらくじゃ困りますよ。こういう権限が来ているんですから、今まで教育委員会の中身は見えてこないけれども、ぜひ教科書問題を契機に責任ある立場をわきまえて、きちっとやっていただきたい。これについて、答弁は時間もあれだから、答弁もなかなか難しいだろうと思うから、この辺でやめておく。 ○荒木義一 委員長 以上で反政党・改革派の質疑は終わりました。    ────────────────── ○荒木義一 委員長 引き続きまして、世田谷行革一一〇番、どうぞ。 ◆大庭正明 委員 所管外なんですけれども、ちょっと冒頭一言触れさせていただきたいんですが、美術館の問題です。きょう、美術館の副理事長──理事長はいらっしゃいませんから、事実上は財団のトップだと思うんですけれども、美術館について総括のところでもいろいろ申し上げたと思います。美術館はかなり深刻な状態になっているということ、それから、美術館の財団のあり方についても、もう早々変わらなくちゃいけないだろうというようなことには来ているので、どうして教育長のところに兼職になっているのかちょっとわからないんですけれども、一つの方法としては、少なくとも教育領域に美術館を位置づけて、世田谷区の教育の一環の施設というような役割も一方では考えられるんじゃないかなということをちょっと一言申し添えたいと思います。  それで、きょうの教育委員会のところなんですけれども、いろいろと学校で教える。義務教育、小学校、中学校の九年間でいろんなことを教えていただくという形なんですけれども、多くの親御さんは、いろんなことをやってください、いろんなふうに教えてください、もっと教育力を上げてくださいというような要望が強いと思うんですね。そうすると、勉学も含めて、最近はやりの流れからいけば、日本人としてやっぱり最低限の必要なものを教えてください、しつけてくださいというようなことなんですけれども、じゃ、それが強くなり過ぎると、しつけが今度は押しつけだと。これは押しつけじゃないかというようなことになってくる。しつけという部分と押しつけという部分が境界的に非常に難しい状態になっているんですね。  教育力を高める。ある程度先生が一生懸命やる。やるとなると、じゃ、これはもう詰め込み教育じゃないか、押しつけじゃないかというようなことも出てくる。また、日本人として文化、伝統を教えようとする。そうすると、これはまた押しつけじゃないかというような議論が出てくるんですね。  それで、いろいろ話が飛ぶんですけれども、例えば義務教育の中でよく子どもが言うのには、何でこんな勉強をしなくちゃいけないの、一体こんな勉強をして何の役に立つんだというのはよく出てきますよね。私自身もみんなも、こんな勉強なんか、朝から晩まで足し算とか宿題ばかりやらされて、一体何の役に立つんだろうなんて思っていたんですけれども、でも、よくよく考えれば、義務教育というのは、要するに、そういうものというのは何のために役に立つかなんていうのはわからないんですよ。それに答えもないはずなんですよ。要するに、人間として最低限必要なもの、国が一応考えた最低限必要なものを勉強するのが義務教育なんだろうと思うんですけれども、これは前々から言っているように、義務教育で例えば小学校六年または中学校三年の九年間を経ても、現実的にいって、最低限のレベルの学力が保障されていないんですよね。だから、塾なんかがはやってしまう。  現状でいくと、こういう意見があるんですよね。もう学校で余り宿題を出さないでください。勉強をさせないでください。うちの方は、塾の勉強で忙しくて、学校の宿題なんかやっている暇はないんですと。つまり、そういう実態なんですよね。しかも、文部省の方でも、昨今では塾を認めるような方向に来ている。だから、そうなってくると、義務教育の本質というのは一体どうなるのか。要するに、押しつけ的な部分を強めると、押しつけだという反発が出る。学力を期待しても、塾の方がはるかにすぐれているので、行ってしまう。そうすると、公教育というのは一体何なのかなというのが一つやっぱり疑問点なんですね。果たしてこういうことでいいのかどうかということです。  それから、もう一つの流れとして、要するにこれはいろんな領域にもよるんですけれども、いろんな言葉が日本人の心の中というか、文化、伝統に根づかないまま、外来の言葉がさもはやりのごとく来ているような感じがするんですね。  僕が一番気になるのは、例えば人権という言葉です。子どもの人権。例えば内心の自由とかという言葉が最近いろいろ出ますよね。明治のとき、要するに開国というか、いわゆる鎖国が解けたと言われているときに、外来文化を導入したときには、やっぱり日本人が日本の国語に直すために相当努力しているんですよね、いろんな日本の文化になじむような形で。その置きかえをしてきた。ですけれども、最近は、外国の言葉を翻訳してすぐ来ている。でも、我々は日本の文化、伝統──どこから文化、伝統というのかわかりませんけれども、文化、伝統の中で暮らしながら生きている。その中でしか考えられないんですよね。そこに外来語を持ってきても、外来の人たちが考えられた文化や概念の言葉ですよね。  いろんな言葉、人権という言葉は結構なんです。いいですよ。いいですけれども、僕に言わせると、人権という概念だけがどんどん広がっているんですよ。それで、輪郭がないんですよ。要するに、形がわからないんですよね。子どもの人権なんて言われて、もうそれで何かわけがわからなくなって、恐れ入っちゃうというような状態になってくる。  その辺も含めて、教育領域は特にこういう言葉が何か山ほど多過ぎる。僕が悪いのかもしれませんけれども、我々の感覚として把握できないんですよね。それがさも教育の現場でどんどん言葉だけが広がっていくような感じがして、もうちょっとシンプルな形になっていかないと、何か言葉にもてあそばれて、自由な発想というか、自由な感覚というか、直観的な人間の判断力というものがどんどん損なわれていくような感じがするんですけれども、その辺も含めてどうですか。  ちょっと言っていることが抽象的かもしれませんけれども、教育領域の話を聞いていると、何か言葉がひとり歩きしているような感じがして、どうしようもないような気がするんですね。人間の個人的な判断力というものをもうちょっと大事にするような教育というのはないのかしらと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◎津吹 教育長 内容の高いお話をいただきまして、答弁もちょっと戸惑うわけでありますけれども、しつけの問題につきましては、人間というのはどうしても一人では暮らせない、人間相互の交流が必要だということでは、成人したときも現在もそうですが、子どものモラルもそうですけれども、お互いに社会的な最低の規範というんでしょうか、お互いが我慢するとか抑制するというような心も必要だと思うんですね。そういう意味で、学校教育において、本来は家庭の教育だと私は思いますけれども、そういう補えない部分を学校でやっているんじゃないかと思います。  それから、言葉の問題も、従来から学習指導要領等によって学校で教えてきたわけでありますけれども、そういうことの反省が今教育改革というような言葉に表現されて、あらわれているのではないか。今後、そういうことを期待して、学校教育の見直しを図っていかなきゃならないんじゃないか、このように思います。 ◆大庭正明 委員 個人の判断力、動物的というか、要するに、個人の人間的な判断力というものを大切にするような教育をもうちょっと大事にしてほしいなと思います。  以上で私の質問を終わります。 ○荒木義一 委員長 以上で世田谷行革一一〇番の質疑は終わりました。    ────────────────── ○荒木義一 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。 ◆木下泰之 委員 パソコンなんですが、最近、秋葉原あたりに行ってみますと、十万円ぐらいでもうちゃんと使えるキットなどがあるわけですね。それから、中古でも四、五万円で何とか手に入るというような時代に入りました。ですから、恐らく今後、学校でも一人一台というのは不可能でない状況になってくると思うんですけれども、そういった状況の中で、この議会でも情報リテラシーという言葉が何回か使われていますが、世田谷区における情報教育の現実と、今後どういうふうに取り組もうとしているのか、そのことについてまずお聞きしたいと思うんです。 ◎神取 教育指導課長 今お話がありましたように、これからの社会につきましては、高度情報通信化社会ということになっていきます。そういう中で、将来、情報をいかに早く、そして正確に収集、選択、活用するかということが重要になってくるかと思います。今お話がありましたように、情報というのは事実をもとに情報提供者が作成したものを受けるわけですが、時として製作者の意図とか公正さを欠いたような内容が付加されることも当然考えられます。  そんな中で、情報を受ける側の受けとめ方についての意識啓発、いわゆる情報リテラシーというのが高まっていると考えております。つまり、メディアの情報を吟味しながら選択して、うのみにするんじゃなくて、自分たちの考えの中で解釈できるということと、それから逆に、自分の意見を発信できるような児童生徒の育成が必要になってくると考えております。  世田谷区においては、そういったものが育つように、発信、受信についてのモラルを発達段階に応じて児童生徒に身につけさせるような、そういうことを進めていきたいと考えております。 ◆木下泰之 委員 情報リテラシーという言葉が非常に使われるようになったり、情報教育でのモラルの必要性みたいなものを語られるようになったというのは、確かにコンピューターによって瞬時にさまざまな情報が入って、それは有害な情報も含めて入るようになったということに対する、例えば教育現場からのある種の恐れみたいなものがあって、これは取り組まなきゃあかんと、そういったところから始まってきているところがあると思うんですよね。  ただ、情報リテラシーというか──リテラシーというのは読み書き能力ですけれども、その前に「情報」がついていますから、つまり、情報に対する、今のマルチメディアに対する理解能力というか、使いこなしといったことを含めて言っているんでしょうが、オーストラリアなんかの例がNHKのテレビで紹介されていましたけれども、実にきめ細かく体系的に情報教育をやっているんですね。つまり、情報をどうやって主体的にとらえるかということについて、例えば映画のシーンとかテレビのシーンとか、そういうことから始まって、見方によってどう違うかとか、そういう形で教育がやられているわけです。  振り返って考えますと、実は情報に対する見方を批判的にとらえなければならないということは昔からあったわけで、とりわけマスコミュニケーションが発達してきて、映像文化なんかが出てきた二十世紀の初頭から、本来はそれに対して注意してこなければいけなかったと思うんですね。戦後教育の始まりで、まず教科書に墨を塗った。まずそこから始まって、子どもは、一つの情報に対する批判的な対応を求められたと思うんですね。まだ情報は現代社会ほど多くはなかったですけれども、そういう対応が迫られた。今は、本当にあふれるばかりの、主体的に処理しなければ、選択していかなければ、もはや本当に使いこなせないほどの情報が入ってきたときに、教育の基礎として情報に対する姿勢、取り組みというものが求められているわけですね。  ですから、どちらかというと、情報リテラシーというと技術的な能力としてとらえられる嫌いがあるんですけれども、もっと情報そのもの、つまり、マスコミュニケーションまで含めて、例えば一つの事件があって、ニュースがある。そのニュースに対していろんな見方があるわけですね。そういったことについて、小学校の低学年のうちから、中学、高校、大学教育まで含めて体系的なシステム等を考えていかなければいけない、そういう時代に入ってきていると思うんです。そういったことについての見方というか、研究というか、そういう取り組みというのがなされているということはありますか。 ◎神取 教育指導課長 ただいまの情報リテラシーの問題につきましては、例えば中学校等におきましては、技術・家庭の中でコンピューターがもたらす社会問題ですとかそういったものの学習、それから健康問題、情報犯罪などの新しい問題等についても触れております。それから、社会科等におきましては、情報犯罪とか情報の本位的な取り扱いの問題について、いわゆるたくさんの情報の中から必要なものをどう選んでとるかというようなことを、生徒自身が主体的に判断できるような時間を持っております。それから、基本的には国語の説明的な文章といったところで論理的な思考をつける中で、自分に必要なもの、または事実として正しい読み取りの仕方、そういったものを行っております。  この問題につきましては、どの部分で完璧とはいきませんので、学校全体の中でそれぞれの部分で重点化してやっていきたいというふうに考えております。 ◆木下泰之 委員 朝から始まってまだ間もないわけなんですけれども、質問の中でも、教科書問題等が出てきております。教科書問題も含めて、情報に対してどういう姿勢をとるか、そのことが今本当に求められていると思うんですね。ですから、本当は事実があって、それに対するいろんな解釈として例えば歴史の教科書なんかいろいろあるわけですよ。ところが、今までの日本の教育というのは、教科書至上主義というのがあって、つまり、教科書に載っているものが事実であるというような虚構の上に立って、それですべてが処理されてきたということがある。しかし、そうではないということはみんな気がついているし、瞬時にいろんな情報がとれる今では、やはりそういうものを批判的に見ていかなければいけないということはあると思うんですね。  例えば最近、コソボの問題で、コソボの爆撃の理由にしたのは、セルビア側がアルバニア系の住民を大量に虐殺したというのがあったわけですけれども、後から、その事実は虚構であったと。虚構に基づいた映像、つまり、違うところで撮った映像を、さも虐殺されたかのように増幅して流して、そして、コソボの爆撃に利用したという状況もあったわけですね。そういったことに対して、批判的な目を持つ子どもたちを育てていく。やはり情報というのは操作されやすいのだということについて気づいていくことが、結局は、教科書問題も含めて必要なことだろうと思いますし、それから、一科目として情報のあり方についてきちっととらえる、そういう科目も必要だと思います。  一方で、バーチャルと現実の乖離というのが出てきていますので、習字とか、絵画とか、ディスカッションとか、そういうような身体を使った教育というものはもっとこれから重要になると思いますので、それとのプログラムの組み合わせということもこれから必要なことだと思いますので、ぜひそういったことを考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 ○荒木義一 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。    ────────────────── ○荒木義一 委員長 引き続きまして、新風21、どうぞ。 ◆小泉たま子 委員 私も先日、ある中学校の卒業式に出席して思ったことがございます。その卒業式では、いわゆる茶髪の生徒が、初めは照れもあったでしょうけれども、ちょっとふざけた様子で式に臨んでいたわけですが、だんだん式が進むにつれてまじめになって、最後は涙、涙ということで、最後の全員合唱の「大地讃頌」では、やはりこれがこの学校に来る最後なんだという思いが非常に私たちにも伝わってくるような、必死で歌をうたっていたという大変感動的なシーンがあったわけです。そこで私が思いましたことは、私たちがこの委員会なり、また議会で論議していることが、どれだけ子どもの役に立っているのだろうかということです。  さて、私はこの希望あふれる児童生徒たちが地域の中で安心して伸び伸びと活動ができ、また、地域の人たちと交流ができて、地域の将来を担う人物に育っていただきたいと心から願っているわけです。そのためには、地域と学校が密接な連携をとっていくことが何としても必要なことです。  このところ、多様な教育のあり方の中で、学区域の撤廃が課題とされております。確かに多様な選択肢を用意するということからは、自由な選択に任せるという考え方もありましょう。しかし、先ほどから申し上げている地域と学校との連携、そして、地域で児童生徒を守り育てるという観点からは、少なくとも小学校では、原則としてその地元の小学校に通っていただくということがぜひとも必要だと私は考えます。  小学校のときの友達、それを接点とした近所づき合い、また、近くということからの交通安全のことなどからも、そのメリットは数え上げることができないくらいです。一方で、もし小学校の子どもたちがばらばらになっていったら、地域がまとまろうとするための大変大きな障害にもなってしまいます。  教育委員会がなすべきことは、地元の小学校を、その地域の保護者が安心して子どもを通わせることができると確信を持てるように、魅力的なものにつくり上げることだと思います。教育委員会としていかがお考えか、まずお伺いいたします。 ◎中村 教育政策担当部長 お話しのとおり、公立学校というのは、私立学校と異なりまして、地域によって立って存立している、そのことが決定的な違いかと思います。その条件を最大限に発揮することが公立学校の役割であり、また、教育委員会の仕事ではないかというふうに思います。  そこで、学校と地域のつながりをどうやって強めていくか、これは今までもさんざん語られてきたことではありますけれども、私は、これから新しい学習指導要領なんかに示されるように、学校教育の方法、そういったものがいろいろと柔軟に対応していいという時代になってきましたので、地域とのつながりを深める学習のあり方をもっと工夫していくべきだろうと思います。一つは、学校が地域に入って、いろんな教育活動を展開することだと思います。もう一つは、地域の方にもっと学校の教育活動の中にも入っていただくということかなと思います。  とりあえず抽象的なことですが、申し上げておきます。 ◆小泉たま子 委員 さて、今もありましたが、地域と学校との連携といっても、ただ言葉だけでは成果が上がらないわけです。学校が地域の核となっている形が地域の中で常に見えることがとても大事で、必要なことです。それも地域の皆さんが努力した結果が、形として学校に反映される工夫というものが考えられないか。こういうことで、私は一つ提案をしたいのです。  学校の窓という窓にプランターをつけて、地域の人たちと花づくりをするということでございます。地域の人たちが学校の中へ入っていくということは、なかなか大変なことです。何かのきっかけがないと、とてもできないことです。また、学校側も地域の方と何か一緒に行おうと思っても、具体的なやり方がわからなくて、結局は話だけで終わりそうな感じがいたします。そこで、地域の象徴である学校に花を飾りましょうということをテーマに、地域で知恵と力を結集し合う。その結果、周りから見ても、それぞれの学校が花で包まれているということになるわけです。
     区は、緑を多くするとよくおっしゃいますけれども、具体的な行動が伴わないように感じられます。地域と学校の連携の象徴として、この花づくりに具体的に取り組まれるように提案をいたしますが、いかがでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 ただいまお話がありましたように、環境問題等と絡めて花を育てるという活動、これは児童生徒にとっても、健全育成の中で非常に重要な部分かと思います。  現在の世田谷区では、多くの学校で花を育てる取り組みは行われております。例えば花見堂小学校等では、花植えや校舎内外の清掃活動、それから富士中学校では、特色ある学校づくりの活動の中で花壇づくりを行っております。また、太子堂小学校では、サクラソウを育てて、卒業式の会場の通路に飾ったりとか、そんな活動をしております。また、菊の苗から育てて、区の菊花展に出展するというような学校、そういったものも行われております。一方で、法務省が進めております「人権の花」運動というのに参加する学校、また、プランター等で花の栽培をしている学校、さまざまございます。  こういったような活動を通しまして、地域との連携、または子どもたちに生命を尊重する心を育てるということは非常に重要なことかと考えております。これから行われます総合的な学習の時間等の活用も踏まえて、地域の方との交流を図りながら、委員のお話のように、児童生徒、保護者とが学校協議会等を中心として地域連携に取り組むということを今後も学校がすることを期待して、支援していきたいと考えております。 ◆小泉たま子 委員 私は、窓辺に花をということで、今は校庭だったと思うんですけれども、皆さんに遠くから見えるような形、トラスト協会とか手法はいろいろとあると思うんですね。それから、今、給食の残飯で土をつくっています。それをまた取り入れるとか、いろんな手法があると思うんですけれども、初めはどこかモデル校でもやりながら、いつかは九十六校の窓という窓に花が咲き乱れるような、そんなことも一つ具体的にやれることではないかということで申し上げました。  次に、二〇〇二年の学校完全週五日制に向けた区の取り組みについてちょっとお伺いするんですが、この五日制の実施は、地域と学校が新たな関係を結び直す大きな機会であると思うんですね。地域との連携を図る、それから、ほかの自治体に先駆けた取り組みを区民に明らかにしていかなければいけないと思うんですが、済みません、時間になりましたけれども、教育長、何か一言ございましたらお願いいたします。 ◎津吹 教育長 学校完全週五日制は、逆に言えば、家庭・地域週二日制になるわけですね。要するに、今、月二回の休日をやって七年ぐらいたつわけですけれども、家庭に返すというか、親の責任を少し求めるということが求められていたわけですが、どうもその変化が余り見られない。そういうことで疑問に感じております。  そういうことで、今後は学校外での学習活動を学校教育とネットワーク化するとか、あるいは学校依存の教育体質を変えて、家庭、地域も、社会もそれぞれ相応の役割を担うような、そういう方策を考えていかなきゃならないんじゃないかと思っております。 ◆小泉たま子 委員 期待いたします。よろしくお願いいたします。  終わります。 ○荒木義一 委員長 以上で新風21の質疑は終わりました。    ────────────────── ○荒木義一 委員長 引き続きまして、自由党、どうぞ。 ◆上島よしもり 委員 先日の一般質問に続きまして、教科書採択についての質問をさせていただきたいと思います。  まず、教科書といいますと、中身を見ますと大変ボリュームがあるものでございますから、年表をちょっと私の方で見てみました。これは、各教科書で年表のとらえ方がかなり違っておりまして、一つの象徴的なものだと思っております。ただ、ちょっと小さくて皆さんに見えません。  先ほど他の委員から、政党もしくは政治がこういう教科書のことを論じるのは大変難しいというお話がありましたが、一点だけ申し上げますと、一九二二年、日本共産党の結成と書いてあります。しかし、自由党がないのは当然なんですが、自民党にしろ、また、ほかの政党の公明党にしろ、大政党が載っていなくて、日本共産党だけ載っている、こういう教科書もあります。これは問題なのかどうなのか、また皆さんでご判断していただきたいと思います。この年表については、とりあえずこれで終了します。  それで、中身についてちょっと私の質問をさせていただきたいと思いますが、この教科書については、学習指導要領に基づいてつくられていると、先日もそのようなご答弁がございましたが、私もそのとおりだと思っております。ただ、学習指導要領にどれだけ合致してつくられているかというのは、各教科書で大変違いがございます。それを一つ例を挙げてお示ししたいと思います。  まず、上の部分だけで結構なんですが、これは明治維新の章のところでございますが、学習指導要領は、明治維新の経緯のあらましを理解させ、新政府の諸改革により近代国家の基礎が整えられたことに気づかせるとともに、人々の生活の大きな変化について考えさせる。これが学習指導要領の明治維新の章の内容についてのあれでございます。これが現在我が区で使われていない某教科書の明治維新の章のトップページでございます。これは、ゆうたとさやかという二人が、これからの近代国家の歩みの中で、鉄道馬車を見て、明治維新になって、日本が随分変わったねというふうな内容の話をしている、こういうトップページなんです。  それが、我が区で使われている教科書ですと、自由民権演説会がイラストとして取り上げられておりまして、演説をしているところを警察官がとめに入っている。そこでまた子どもたちが話している内容は、何で警察官が演説をとめようとしているのか、そういうような内容の言葉が書かれております。  ただ、皆さん、この二つの違いについて、どちらが学習指導要領にきちっと即してつくられているかというのはおわかりかと思います。このトップページというのは、中身を見ればしっかりわかると思うんですが、この章の象徴的な、まさに内容を凝縮したような内容になっております。そういう違いが各教科書にあるというところを見ていただきたいと思います。  もう一つ、これは別のところを取り上げさせていただきたいと思いますが、これは一枚にまとまっておりますので、わかりやすいと思います。ただ、小さいんですけれども、これは歴史を学んだ後の教科書の最後の部分です。この部分については、高度経済成長以降の我が国の動きを世界の動きと関連させてとらえさせ、経済や科学技術の急速な発展と、それに伴う国民の生活の向上や国際社会において我が国の役割が大きくなってきたことについて気づかせる、これが学習指導要領の指導なんです。それで、こちらが我が区で使われているものです。それで、こちらが某教科書のものなんですが、こちらでは「ファシズムの復活は許さない」という題名で、ドイツとかイタリアのナチズムについて紹介しておりまして、そういうような内容になっております。  そして、他の教科書ですと、これは小さくて、ちょっとわからないと思うんですが、最後に子どもたちに質問を投げかけておりまして、これから日本がどのような国になっていくのがいいのかという質問が、このページではないんですが、次のページに載っています。こちらでは、ファシズムについて記載がある最後に、「イタリアやドイツでは、ファシズムの復活をふせぐためにどうしたか、調べてみよう」、これが教科書の最後なんです。こういう大きな違いがあるわけです。  先日の一般質問のご答弁では、文部省の検定を経たものの中から選ぶのであるから、国において十分に検討されているものと理解している。私もそのとおりだと思うんですが、記載されている歴史事実が大きく学習指導要領から逸脱していなければ、かつ実績がある教科書会社であれば、これは検定を通るのでありまして、ただ、それぞれの教科書の表現の仕方や、どの歴史事実を取り上げるかは、まさに七社七様なのであります。  ここで、我が区がどの教書をどのような経緯で選ぶかというのは、大きな意味があると私は思っております。先日のご答弁を少し悪く解釈すれば、先ほど他の委員もおっしゃっておりましたが、どの教科書を選んでも、文部省の検定を通っているから同じである、大丈夫だというふうな、関係ないとも聞こえるような答弁もありましたけれども、改めて検定の際には、学習指導要領に合致しているかどうか照らし合わせて見て、教科書を選んでいただきたいと思うんです。  それで、先日、採択についての要綱をつくっていただくというようなご答弁をいただいたと思うんですが、この要綱の中で学習指導要領をどういうふうに扱うか。選定の基本方針の中に、学習指導要領を基準とした選び方をするというようなことを私は明記していただきたいと思うんですが、それについてはいかがでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 ただいまお話がありました要綱につきましては、現在検討中でございますが、要綱そのものに採択の基準を入れるということは、要綱の趣旨からして不可能かと思います。ですから、選定委員会等を設けたときに、選定委員会の中で選定の基準というものを話し合っていただく。その中に、学習指導要領に基づいているかとか、内容が忠実、公正であるかとか、間違いがないかとか、そういったものを入れるということは可能かと思っております。 ◆上島よしもり 委員 なぜ入れられないか、私はよくわからないんですが、こうやって指導要領と随分違う教科書があるのはわかったと思うんです。私が言っていることは、歴史観とかそういうレベルではなくて、普通の、要は指導要領に沿っているかどうかという話をしておりますので、その辺のところをぜひ文言として入れていただくことを要望いたします。  時間がありませんので、以上で終わります。 ○荒木義一 委員長 以上で自由党の質疑は終わりました。    ────────────────── ○荒木義一 委員長 引き続きまして、自由民主党、どうぞ。 ◆新川勝二 委員 私は、学校自由選択制につきましてまず最初にお聞きしたいと思います。  昨年九月に品川区が大都市では初めて学校自由選択制の実施というものを打ち出しまして、一躍クローズアップされたということはご承知のとおりだと思いますが、その後、日野市や杉並区とか豊島区でも、相次いで導入に向けた検討を始めるという方針を打ち出しております。公立学校の自由選択制度が広がる気配を見せておるわけです。これは、文部省の通学区域の弾力化の方針でありますとか、さきの中教審の答申の中に盛り込まれている内容を具体的に実現しようとするものであると思います。  品川区の制度を実施しましたところ、つい最近の新聞によりますと、入学見込み者千七百九十二名のうち二百三十一名が本来の通学区域以外の小学校へ入学するということでございました。こういう状況というのは、自由選択制の前の昨年と比べますと、どのような変化があったのか、また、どのような特徴が出ているのか、これは他区のことでございますので、わかる範囲で結構でございますので、お答えいただけますでしょうか。 ◎幡野 学務課長 品川区が実施しております学校選択制の現在の状況でございますけれども、従来の通学区域以外の学校を選択した児童の数は、委員おっしゃいましたように、入学予定者千七百九十二人中二百三十一人で、一二・九%になっております。これは、選択制でなかった昨年の学校変更の一〇・六%より二・三ポイント高くなっております。学校別には少し偏りが出ているようでございます。ある大規模の学校では、希望が集中しまして、入学予定者百七人のうち約半数の四十八人が他の学区から入学という学校もございます。逆に、全校児童が約百五十人ぐらいの小規模の学校では、十二人が他の学区へ流れまして、新一年生が十三人になるというような学校もあるということでございます。  品川区教育委員会は、これらの状況について、一部の学校に偏りはあったものの、想定した範囲内であるととらえているということでございます。 ◆新川勝二 委員 品川区の現状というのは大体わかりましたけれども、世田谷区としましては、こういう結果をどういうふうに見て、また、これをどのようにとらえているのか、これもあわせてお答えいただきたいと思います。 ◎幡野 学務課長 今回実施されました品川区の学校選択制は、現行の学区域制度に一石を投じたものであり、個性ある、また、活力ある学校づくりの契機にしようというねらいがあるのではないかと受けとめております。しかし、児童生徒数や学校規模、それから学校間の距離など、学校を取り巻く環境は各自治体によって異なっておりますので、それぞれの自治体の状況に応じた取り組み方があるものと考えております。 ◆新川勝二 委員 わかりました。  昨年の本会議で教育長さんが申しておりましたが、本区では、さまざまな理由があって学校の変更を希望する場合には、保護者の意向を尊重して、指定校変更制度を柔軟に運用していきたいというふうにおっしゃっていました。そういうことの運用をお聞きしたいんですけれども、この四月の小学校入学予定児童数の状況は今どうなっているのか、お答えしていただけますでしょうか。また、さっき品川区のこともお話ししていただきましたけれども、そういう影響というのも多少あるのかなということもあるんですが、いかがでしょうか。 ◎幡野 学務課長 本区では、なるべく保護者の要望にこたえるように、現行制度の中で指定校変更を弾力的に行っております。来年度、通学区域以外の小学校へ入学を予定している児童の数は、現時点で入学予定者四千五百六十人のうち三百六十四人で、これは全体の八・〇%に当たります。前年の平成十一年度が六・四%でございましたので、一・六ポイント増となっております。これらの変更の理由ですけれども、一番多いのは友人関係でございます。そのほか通学距離とか家庭環境などでございます。こういったものは、少子化等の社会状況の変化あるいは保護者のニーズの多様化によるものであろうと思いますけれども、今後も増加傾向にあるものと考えております。  それから、品川区の例がマスコミで多く取り上げられましたので、この辺は気になっていたところですけれども、先ほど申したように、年々増加傾向にあったことを考えますと、品川区の影響は少なからずあったとは思いますが、それほど大きな影響はなかったのではないかと考えております。 ◆新川勝二 委員 学校自由選択制というのは、児童とか保護者が自由に学校を選べるようになるという制度でございますけれども、そういったことについて、先ほどもちょっとお話しになっておりましたが、学校間に偏りが出て、それが進んでくると廃校になってしまう学校が出てくるんじゃないかなということが懸念されるわけでございます。新しい制度を取り入れるということは大変な勇断が必要になってくると思いますけれども、しかしながら、それにも増してまた自由選択制の長所もあると思いますが、そういったことを期待できるのはどんなところなのか。また逆に、問題点や課題点も出てくると私は思いますけれども、その辺のところはいかがでしょうか。 ◎武藤 教育次長 お話しの品川区の学校選択制でございますけれども、委員おっしゃったような経過で品川区が都市部で初めて取り入れるというような経過がございます。  これを進めていく中で、やはり保護者や児童生徒にとっては、自分たちに合った、あるいは希望する学校が選べるとか、それから、発奮して余り魅力のない学校とか、特色のない学校とか、そういうことで非常に競争原理が働くという効果はプラスとしてあるだろうと思います。ただ、片方、余り競争原理が働いてしまいますと、競争だけで学校が極端に偏っちゃうというようなことになりますと、学校の教室だとか教員だとか、そういうものにある程度影響が出てくるというような問題がある。  もう一つは、先ほどある委員からもお話しになりましたけれども、やっぱり学校というのは地域のコミュニティーの核だというようなこともおっしゃられたし、我々もそう考えております。そういうことからいきますと、子どもたちが他の地域に行くということになりますと、学校が地域の中で薄れるとか、あるいは希薄化というようなことで地域の子どもたちを地域で育てるということに多少影響が出てくるかなと、そのようなことが現在言われております。 ◆新川勝二 委員 品川区には品川区のいろんな事情があって、こういうことを導入したというふうに理解してはおるんですけれども、本区としては、今後こういう問題をどういうふうにとらえていくのか、そしてまた、どのような方針で臨んでいくのかということを、大事な話だと思いますので、お答えいただけますでしょうか。 ◎津吹 教育長 品川あるいは日野、その他二、三、今検討しているわけでありますけれども、この学校自由選択制は、児童生徒、保護者にとっては非常に魅力的でしょうし、学校への緊張感というものを与えるということでは、今までもご答弁申し上げましたけれども、一石を投ずるというか、有意義なことじゃないかというふうには私は考えております。  ただ、選択が余り極端に過ぎますと、今まで次長も説明してきましたけれども、いろいろ課題も出てくるということがございます。しかし、各自治体の学校の偏りみたいな実態面も考慮して考えなければいけないかなと思いますが、当面、世田谷の場合は、自由選択制を直ちにとろうというふうには考えておりません。ただ、学務課長からの話もありましたように、現在、学校の指定校変更についてはかなり柔軟に扱っておりますことと、それから地域に根差すということと、少し矛盾する点もあるわけでありますけれども、無理のない、例えば目の前に学校がありながら、道路によって区切られているとか、そういうところは今までの経緯的に調整区域として認めているような経緯もございますので、そういうことを考えながら、弾力的、柔軟な取り扱いをしていきたいと思います。  ただ、現行制度の中で、学校がそれぞれ特色を出すということが非常に求められております。義務教育の場合は、基礎、基本というようなことがテーマになっておりますので、なかなか特色がつくりにくいというような現況もありますけれども、いずれにしても、先ほどもご答弁申し上げましたが、子どもたちが楽しくて伸び伸びと学習ができるような学校づくりは必要だというふうに思いますので、そんなことを踏まえながら、新しい学校づくりに取り組んでいきたいと考えております。 ◆新川勝二 委員 教育長さんにご答弁いただきましたけれども、子どもたちにとっては、行きたい学校に行ってもらうというのが子どもの成長にとっても大変望ましいのかなと私も思っているんですけれども、いじめとか、友人関係とか、家庭の事情とか、そういうことで学校を変更したいという人に対しましては、なるべくその希望をかなえてあげられますように、現在の指定校制度を柔軟に運用していただいて、ひとつご努力をいただきたいと思います。よろしくお願いします。  次に、世田谷区立小・中学校適正配置等審議会答申につきましてご質問させていただきます。  その答申は今一年半たったわけですけれども、学校統廃合ということを視野に入れての答申であるわけですが、それを受けまして、教育委員会の内部では、答申後の対応について検討が進んでいると聞いております。新しい時代に適合した教育改革というのが進められておるわけですけれども、地教行法の五十九条廃止でありますとか、教科書採択、あるいはまた新学習指導要領の改訂というようなこともありますし、学校完全週五日制ということ、そしてまた学級定数の弾力化というような、いろんな教育改革が進んでおるわけでございます。  しかしながら、一方で、少子化がさらに進んでいくと思われます。今後もこのような児童生徒の減少傾向が続くと、学校運営につきましてもいろんなことで支障が出てくるのではないかなと考えられるわけでございます。この適正規模、適正配置の課題にこれからも真剣に取り組んでいくことが必要であるというふうに私は思います。  そこで、お聞きしたいんですが、この適正配置等審議会の答申の眼目というのは、学校の児童数が減ることによって小規模化していくということになると思いますが、そういったことへの対応になると思うわけです。世田谷区におきましては、最近の児童生徒数の動向、あるいはこうした児童生徒数や学級数の変化が特徴的な学校であるとか、あるいはまた地域というのはどこら辺にあるのかお聞きしたいと思いますが、いかがでございましょうか。 ◎幡野 学務課長 児童生徒数の推移でございますけれども、小学校、中学校ともまだ減少を続けております。この傾向は今後も続くのではないかと予想されております。ただ、小学校の児童の減少幅が最近狭く小さくなってきております。ピークのときと比べてみますと、昭和五十四年でしたが、小学校の児童数は約五万九千人おりました。これが現在は約二万八千人に、それから、中学校生徒のピークは昭和六十年でしたけれども、約二万五千人おりました。これが約一万二千人と、いずれもピーク時の半分以下に減少しております。  したがいまして、学校規模も年々小規模化しておりまして、小学校で見てみますと、単学級数──単学級といいますのは、一学年に一学級の学級数が、三年前の平成八年には二十二学級でしたけれども、現在は四十一学級にふえております。それから、中学校を見てみますと、八学級以下の学校、これはある学年が三学級に満たない学校ですけれども、これが同じ三年前の平成八年には四校でしたが、現在九校にと、それぞれ倍増しております。  また、状況を地域で見てみますと、全体的には減少している中で、砧と烏山地域の一部の小学校に若干増加の傾向が見られております。具体的には、砧南小、喜多見小、給田小になりますけれども、これらの学校は増加の状況にございます。これは、地価の下落とか住宅低金利政策等によりまして、住宅の建設がこの地域に増加していることが影響があったものと思われます。 ◆新川勝二 委員 学級数の大変な減少は、子どもたちが少なくなっていくということで端的にあらわれているわけですけれども、学校小規模化への対応ということで、今、学校統廃合ということを視野に入れた動きというのはございますか。 ◎中村 教育政策担当部長 今、学務課長からお話し申し上げましたように、小学校、中学校ともに学校の小規模化が引き続き進んでいるわけなんですが、これは適正配置等審議会の答申の考え方にも触れられております。それに対してどうしていくかということなんですが、小学校については、地域との関係が大変深いということを考えれば、極端に減少した場合、例えば一学年一学級で七、八人しか児童がいないというふうに極端に減少すれば別ですけれども、そうでなければ、地域制が強いということを考慮して、基本的には引き続き当面は維持していくのかなと考えております。それに対して中学校の方は、教科による学習が中心になりますので、どうしてもある程度の学習集団の大きさが必要とされてまいりますので、その学習集団の大きさを維持するために、今後、小規模化が進んでいくとすれば、統廃合のことも視野に入れて考えていかなければいけないと思います。  ただし、問題は、この統廃合の問題というのは、小規模化への対応の一つであって、小規模化への対応策としては、統廃合だけじゃなくて、例えば学区域の見直しですとか、あるいは学校間の共同活動ですとか、そういったことも含めてどういうふうに対策を組んでいくのか、そういったことを考えていかなくちゃいけないんじゃないかなと考えております。 ◆新川勝二 委員 わかりました。  それに関連しまして、もう一つの重要な課題でありますけれども、学級編制ですよね。先日、文部省の協力者会議という会合では、三十人学級は見送ったと。自治体の努力で学級編制の弾力化を図るとの新聞報道があったわけですけれども、こうした動きに対しまして、区の教育委員会としての考え方、また、取り組みというものはどういうふうにお考えでございましょうか。 ◎中村 教育政策担当部長 先ほどの新聞報道の記事の内容だけでは詳しいことはよくわからないんですけれども、恐らく国の財政事情のこともあろうかと思います。そういったことで三十人学級の見送りという観測が出てきたのかなと思うんですが、一般的にいえば、学級定員数は小さい方がいいだろうとは思われるんですけれども、現実にそういう国の財政事情等もあれば、もっと別な方法もいろいろあるんじゃないかと考えております。一律、画一的に三十五人学級なり三十人学級にするということも一つの方法ではあるんですけれども、しかし、現在の学校への教員の配置基準を見直し、あるいは改善してもらうということも、学校現場にとっては大きな効果があろうかと思います。  具体的に、例えば東京都の教育委員会の配置基準というのは、率直に私どもの目から見ますと、今の学校の小規模化に対応した配置基準になっていないんじゃないかなという感じがいたします。そういった配置基準の見直しですとか、改善ですとか、あるいは弾力的な教員配置、例えば今は二学級に対して二人の教員を配置するといった考え方が基本になっているわけなんですが、例えば二学級に対して三人の教員を配置するなんていうことも考えられるわけですし、いろいろな教員配置の方法は考えられると思いますので、そういった具体的な改善策を東京都の教育委員会に今後要望をしていきたいと思います。 ◆新川勝二 委員 わかりました。少子化時代というものを迎えて、他区でも真剣に取り組まざるを得ない状況であるとは思いますけれども、世田谷区としましても、いずれは地域性だとか小規模化ということで取り組む時期も出てくるのではないかなと私も思いますが、区民の納得する対応というものを要望しておきます。  続きまして、もう時間もなくなってきましたけれども、総合的な学習の時間ということにつきましてちょっと聞いていきたいと思います。  先ほども言われたように、現行の三割程度削減して、内容も基礎、基本に絞るということが言われておりました。詰め込み教育から、ゆとりの教育へと転換を目指しているということでございます。また、それに従って、各学校の裁量も大幅に拡大していくということであると思います。小学校三年生以上には、総合的な学習の時間というものが新設されるわけです。  全体のトーンとしては、ゆとりの教育という中では、児童生徒が自発的に考えて、問題を解決する力、体験的な活動を重視していくということでございます。これはこれでもいいと思うんですが、しかし、一方で、保護者の中には教科の三割削減を大変危ぶむところもありまして、基礎学力の低下を招くのではないかという懸念が広がっているというのも事実だと思うんです。  そこで、お尋ねするわけですけれども、区立小中学校では、ことし四月から新学習指導要領への移行措置に入って、新設の総合的な学習の時間の先行実施も可能になってくるわけですけれども、この本格実施に向けまして、どのような基準で行われ、また、今後どのように対応していく予定なのか、繰り返しになりますけれども、ちょっとお聞きしたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 教員の資質向上ということは、直接学校の教育の担い手である教員にとって非常に重要であると考えております。そのために教員の実践力を高めるということは、区としても取り組んでいきたいと思っております。特に今、委員からご指摘がありましたように、総合的な学習の時間につきましては新設されるということで、過去に経験している者がいない状況でございますので、区の中で現在教員が研修できるようなシステムを構築しているということでございます。  具体的に総合的な学習の時間の研修につきまして、現在、地域や学校の特色を生かした活動が展開できるように、学校挙げての研修というもの、また、その共有化というものが必要ではないかと考えております。具体的には、区の教育委員会では、学校全体の取り組みとして研究奨励校、平成十一年度九校、総合的な学習の時間を研究する学校として同じく六校、それから教育課程全体を研究する学校一校というものを指定して取り組んでございます。それ以外に、校内の研究の推進の学校についての援助という形で二十八校、そういったものを含めて、学校全体での取り組みを区の中に広めるという形で、相互に研究活動を交流していきたいと考えております。 ◆新川勝二 委員 先生方の意識改革も必要だと、先ほど課長の方からもありましたし、教員の資質向上ということを図るためにも、研究奨励校、研究課題校の制度を使っての諸問題を解決するために取り組んでいく必要があるだろうと私は思うんですけれども、このためには、予算措置ということが当然出てくると思いますが、その辺についてはいかがでございましょうか。 ◎神取 教育指導課長 当然研究について必要な予算というのはついてまいりますが、それについては現行どおり学校の要望に合わせてつけていきたいということ、もう一方では、研究した成果につきまして、区内に広める分の予算も見ていきたいというふうに考えております。継続して努力していきたいと思っています。 ◆新川勝二 委員 保護者の中には、基礎学力低下とか教師の力量に対する不安というのが当然出ていると思います。こういった不安を一掃するためにも、教育委員会と小中学校が緊密に連携し合って、新学習指導要領の本来の目的である本格実施に向けた十分な教育研究、それから教職員の研修というものを実施していただいて、万全な体制で臨まれることを要望しておきます。  時間がなくなりましたので、私の質問はここで終わりにいたします。 ◆畠山晋一 委員 一般質問においては、ちょっと青年の主張的な感じで声を荒らげて訴えてしまった部分があったんですが、ここの場においては、ゆっくりと皆様のご要望といいますか、こちらの話をゆっくりとさせていただきたいと思っております。  先ほどから歴史の社会教科書の採択権限のことについていろいろ出ておりますが、都の教育委員会からいよいよ各区の教育委員会へ移管されてまいります。我が区においても、小学校の採択の手続を定める要綱の制定作業が進められていると思います。  まず初めに、先ほど上島委員からも、現近代の今までの教科書の選定方法の結果、教科書でどのような表現があったかといった部分のご紹介がありました。私自身は、ちょっとその前にさかのぼった、これが今我が区で使われている日本書籍の歴史教科書でございます。この歴史教科書を読んでちょっと私も驚いたものですから、その点を少し紹介させていただきたいと思います。  まず初めに、平成十年度版の中学校の学習指導要領は、社会と歴史的分野の目標として、我が国の歴史に対する愛情を深め、そして国民としての自覚を育てると、まず挙げていることを冒頭に覚えておいていただきたいと思います。  細かいことになってしまうんですが、奈良時代、これは律令制が強いられて、さまざまな中国との国交も始まった時代ですが、これの終わりのところ、税並びに農民に重たい負担となった部分が多くあったと。つまり、最終的には非常につらい時代であった、これがまずあります。  そうすると、文化のいろいろなお話があるんですが、次に、藤原氏の平安時代に入ってきます。平安時代の終わりのころの話、律令政治に行き詰まった朝廷は、地方の政治を国司に任せ、毎年決まった額の税を納めさせるようにした。国司の方では、農民に税を負担させるようになった結果、その税を勝手に引き上げたり、不正な税を取り立てする国司があらわれ、財産をふやした。しかし、郡司や有力農民の間に不満が高まり、国司のあくどい取り立てを朝廷に訴える者が出た。これもまた、きちんとした政治が成り立った上で、しかし、結局は民衆を虐げて、民衆が立ち上がったというふうにこの時代もまた終わっています。  ここでまた武士の時代に入ってきます。そうすると、いよいよ鎌倉時代等に入ってきますが、ここもまた武士と農民の生活という部分で、この時代も終わりの方に入ってきているんですね。そして、終わりの部分の表現、やがて農民の中には自分たちを苦しめ、生活を脅かす荘園領主や地頭などに対して集団で対抗する動きも見られるようになったと、こういうふうにまた終わっているわけですね。  これを読んで、私もちょっとつらいなと思ってしまいまして、戦国時代にこうやって入っていくわけですけれども、私も小学校時代、実は小学校一年から五年まで海外で過ごしているものですから、歴史というものを学ぶに当たって、日本からいろんな書籍を送ってもらって勉強させていただきました。それは漫画であったとか、いろいろな部分はあったんですけれども、戦国時代というのは非常にロマンといいますか、自分の国を統一しよう、戦っていこうというような感じで、日本の国がまとまっていくような感じの、非常にロマンにあふれるような時代だったと思うんですが、この教科書には、実は戦国大名については三行だけで終わっちゃっているんですね。  たった三行で、戦国大名の中には、全国の支配者となることを目指す者があらわれた。ほかの大名に先駆けてこの道を進み、全国統一を進めたのは織田信長である。ここで織田信長で、あとはもう織田信長の政治で終わっちゃっている。何か桶狭間の戦いだとか全然そういう話がなくて、非常につらいなという部分が多い教科書なんですけれども、先ほどの上島委員からもこういったことのお話があったかと思いますが、確かに歴史にはさまざまなことがあるわけです。つらいことや楽しいこと、苦しいことやうれしいことがあるわけですから、私もすべて日本がいいことをしたと書き記すべきであるとは申しませんが、この教科書は余りにも公平性を欠いて、これから歴史を学ぼうとする子どもたちに、誤った歴史観を与えてしまうのではないかなと危惧するほど、とても読むに絶えないものに私は感じました。  では、なぜこのような歴史教科書が採択されたのか。それは、現行の選定方法では、教育委員会の実際の権限が空洞化を起こしてしまっている原因に、教育委員会の下部組織を構成するものの中に学校票で教科書が絞り込まれてしまっている現況があるように思えます。教科書採択における教育委員会の権限につきましては、法律にも定められております。また、歴史教科書採択権限が各区の教育委員会に移管されるに当たりまして、平成十一年の十二月十五日に行われた特別区指導室長会における都教育委員会の説明資料の中に、教育委員会の教科書採択権限を侵害しないことと明言されております。  ところが、現行のままでは教育委員会への下部組織からの答申の段階で、教科書がもう数種類に絞られてしまって、教育委員会は、既に選ばれた数種類の教科書の中からしか選択できない状況になっております。本来、教科書に最も権限を持つべき教育委員会が、それ以外の教科書に触れる機会が全くできないわけです。教育委員会は、全教科のことで、多くの職務の中で教科書採択を行うわけですから、教科書一つ一つに目を通すことは事実上不可能ですし、難しいこととは思います。でも、法によって定められた採択権を奪っていいわけではなくて、そういった意味では、下部組織はあくまでもすべての教科書について質的な評価を与えた報告書を提出する、これにとどまるべきであると私自身考えます。そして、教育委員会がその評価をもとに、必要な場合には教科書の実物を手にとって確かめながら、最適と信じる教科書を選択するべきと考えます。  その結果、やはり学校票の全廃をお願いすると同時に、採択に対する今後の区の見解を初めにお伺いさせていただきたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 ただいまお話がありましたように、教科書採択につきましては、来年度から世田谷区の採用するものについては世田谷区の権限ということになります。この採択方法につきましては、現在詰めているところでございますが、今ご指摘がありましたように、都の指導を参考にするほか、区独自でも調査研究をして教科書採択を行うという手順になることになります。  現在、お話にありました全部の教科書ということでございますが、来年度採択する十三年度から使用する教科書につきましては、現在発行されているもの、中学校のものになります。これにつきましては、百三十七冊の教科書の中から二十九冊を選ぶという作業がございますので、全部の教科書をきめ細かく教育委員で見るということは事実上難しいと考えております。そのため、選定委員会等を設けていくわけですけれども、その中で、教科の特色等によりまして必ずしも何冊というふうに絞ることが可能かどうか、そういったものを今検討しているところでございます。  選定委員会の中におきまして、適切な数、推薦できるものを挙げていただくということと、もう一方では、教科書の見本本等が区の方に参りましたときから、教育委員、学校関係者、それから教育委員会の事務局、そういった者が手にして見ることができるような期間を設けていきたいと考えております。そういった中で、教科書採択が区の権限と責任で適切に行えるように工夫していきたいと考えております。 ◆畠山晋一 委員 私の質問の中で、学校票がどうなるんでしょうかといった質問があったわけですが、この点についてお答えをいただきたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 失礼いたしました。学校票につきましては、先ほどもお話ししましたとおり、現在、学校の教員から直接何らかの意見ですとか考えを聞くということは考えておりますが、学校票そのものについて是非が問われておりますので、学校票を使わないような方向で教科書採択ができるように今検討しているということでございます。 ◆畠山晋一 委員 はっきり言って、今、学校票を使わないような方向で検討ということで、ぜひそういうような方向で、教科書自体も、右にぶれたり左にぶれたり、そういったことのないように、できたら真ん中の部分を全体的に──難しいですけれども、そういった意味では、教科書を手にとった先生がしっかりと教えていただかないといけないなというふうに感じている次第でございますので、ぜひそういった部分でのご努力をいただきたいと思います。  次に、一般質問でやらせていただきました国旗と国歌についてなんですが、一般質問に対して、小学校の六十四校は全部国旗も揚げているし、国歌も斉唱している。中学校も三十二校中三十一校が国歌を斉唱していると。残り一校になったわけです。先日、ニュース番組を見ていたところ、随分と一〇〇%に近いところが出てきていますと。東京都はまだまだなかなかそのような現況に至っていないようなんですけれども、そういった意味で、残りあと一校なわけですから、できたら、きれいに三十二校そろうような形でご指導していただきたいと思っているんです。  不思議なのは、好きこのんで歌う国歌、これはオリンピックだとかワールドカップの会場などにおいては、皆さん好きこのんで国歌を歌う。好きこのむというか、国歌斉唱の時間ですよといったところで国歌を歌う。ところが、学校では、押しつけ、強制だということで、これは歌わない。社会、公なわけですけれども、まず家族が公の始まりなわけですが、そこから少しずつ単位を広げていって公になってくるわけですね。そういった意味では、この公の部分で国歌を斉唱しましょうというようなことで訴えているわけですから、好き嫌いで強制、押しつけというような形は、できたら、ない方がいいなと私自身考えているところなんです。
     一つお伺いしたいのが、小学校の音楽の時間に君が代を教えていますよというようなご答弁をいただいたんですけれども、小学校の何年生のときに君が代を教えているのか、教えていただけますか。 ◎神取 教育指導課長 特に何年生ということではなくて、全部の音楽の授業ということになっております。具体的に各学校でどのぐらいの水準をやっているかということは調査はしておりませんが、学習指導要領の中から見るところ、大体八時間から十二時間ぐらいの間の中で、一時間丸々ということではありませんけれども、五曲か六曲、歌の指導の中に入れるということを実際にやっているということが予測されます。 ◆畠山晋一 委員 つまり、今のご答弁によると、小学校において全般的に教えているという、一年生に何時間、二年生に何時間、三年生は四時間、五時間、六時間とか、学年ではそういうふうにまだ細かくはわからないということでよろしいんでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 国歌に限らず、ほかの歌につきましても、例示されているものについて、八時間から十二時間の間で五曲とか六曲という例示の中でやってございます。ですから、一曲ずつについて何時間というような取り決めというか、指導というのはありません。学校の方でそれぞれ子どもたちの実態に合わせてつくるということでございます。 ◆畠山晋一 委員 今、子どもの実態に合わせて教えているというお答えだったんですけれども、子どもが知らないわけですから、それが実態であるのならば、できたら低学年の時期から教える。これは強制とか押しつけじゃなくて、国歌がどういうふうに成り立ったのかということも、子どもたちに低学年のときから教えてほしいというふうに私自身考えておりますので、できましたら、そういったような形の指導を要望いたします。  次は、総合学習のもとに、今度、英語学習が始まるわけですけれども、これは文部省の方からも、小学校から始める英会話学習の総合的支援として、平成十二年度から総合的な学習の時間の実施に踏まえ、小学生が英会話に親しむ学習活動を総合的に支援するといったことで文部省から来ていて、JETプログラム、これは語学指導などを行う外国青年招致事業による外国語指導助手の招致という形で、小学生にも英会話能力に秀でた方から英会話を教えるというようなことが出てきているわけですね。  英会話のことにしても、パソコンのことにしても──英会話なんか特にそうなんですけれども、先ほどお話があったように、義務教育の中でどの程度まで教えるのかといった話があるわけです。まず、英会話を習うに当たって何が大切かといえば、国際理解を目的にしているわけですから、国際理解というものは、そもそも自国の、日本の歴史と文化と伝統などについて、まず日本の子どもたちがその部分の理解を深める。そして、日本の国民としての自覚を持った上で、例えば英語を習うわけです。英語といえば、実は米語と英語というのがあるぐらいなわけで、英国と米国の歴史、文化、伝統などについて理解と関心を高める。  こういう言葉を使うと難しいんですけれども、単純に表現しますと、私自身もさっきも申し上げましたように、小学校時代をアメリカのシアトルで、現地校にも通って、日本語の補習校にも通って、日本語は本当につたない──今もつたないわけですけれども、両方習っていたんですね。それで、もうその生活の中において、まずもって違うわけですよ。  例えばアメフトをやるにしたって、先攻、後攻を決めようといったときに、向こうではコインフリップで、表と裏で決まっちゃうわけですね。ちょっとおかしな表現かもしれませんが、日本の場合は、高校野球にしたって、今抽せんなどの先攻、後攻を決めるのに、じゃんけんで決めているわけです。じゃんけんというのは、あいこがあるわけですよね。このあいこというものの理解が向こうにはないわけですよ。表と裏で決めちゃえばいいじゃないか、グーとチョキとパーなんか要らないじゃないかというような物の考え方でいる国なわけですから、そういった部分での国際理解という意味では、そういうところからきちっと教えていかないと、国際理解にもならないと思うんですね。  今、国際理解、国際理解というような意味で使われる言葉として、国際人という言葉がよく用いられているんですけれども、国際人というのはいないと思うんですよね。地球人というならまだわかるんですよ。または、国際的にたけている人というならわかるんですけれども、国際人というのは実際は地球上にいないはずなんですよね。日本人であるのか、アメリカ人であるのか、イギリス人であるのかという観点から、国際理解に対することを教えていかなければいけないわけですよね。英会話の学習がそういう観点から始まるものなのかどうかということを、まず初めに伺わせていただきたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 ただいまご指摘がありました小学校での英語教育ということにつきましては、新設されました総合的な学習の時間の中の活動内容の一例として、国際理解教育というものの中に位置づけられたということでございます。ですから、このことについて英会話等の実践が可能になったということは言っておりますが、本来、委員ご指摘のとおり、国際理解教育というのは単なる語学教育ということではございません。児童生徒が進んで国際社会に参加できるような視野を広めるとか、国際社会の中で生きていく能力の基礎を身につけるというようなことでございます。ですから、小学校で行う国際理解教育での活動といたしましては、直接外国人に触れるということで、英語だけに限った問題ではないと考えております。  そういう中で、会話中心にやることよりも、むしろ外国の生活や文化、そういったものを体験するとか、それから外国人と触れ合うとか、そういった活動が小学校では主になってくるかと思います。  区の教育委員会としては、こういった活動ができるように、来年度の新規事業として総合的な学習の時間ですとか特別活動なんかで活動できるように、外国人指導員を派遣するという制度を導入する予定で検討しております。 ◆畠山晋一 委員 今のご答弁の中では、子どもが外国に触れるだとか、英語に限らずとおっしゃいましたよね。英語に限らずということは、イタリア語とかフランス語をされるのかどうかということになってくるんですけれども、そういうことじゃなくて、外国の生活に触れることは、国際理解としては至極当然なことであって、まず、外国に触れるに当たって、今申し上げましたように、自分自身の国の伝統と文化、これは非常に難しいことなんですけれども、このことをどのように教えますかというふうにお聞きしたいなと思ったんです。 ◎神取 教育指導課長 ただいま申し上げました中で、外国人と直接触れ合うという体験を通す中で、外国人とともに外国の遊びをするとか、日本の伝統的な遊びをするとか、そういったものも含めて、発達段階に合わせて進めていきたいというふうに考えております。小学校での段階でございますので、まず、なれるところから入るということをしっかりやりたいと思います。 ◆畠山晋一 委員 なれるということで、僕自身も、向こうにいた経験なんですけれども、幼稚園の時期に向こうへ行ったわけですね。それで、日本語しか話せないわけですよ。ところが、向こうの学校にいきなり入れられて、別になれる学校とか、なれない学校とかなくて、子どもだから素直に順応していけるわけですよね。素直に向こうのことも理解するようにできるわけですけれども、僕も、日本のことがわからなくて向こうに触れちゃったわけですから、少し向こう的な教えももらっちゃった部分もあって、こっちに帰ってきて、日本って一体何なんだろうなと思ってしまうところがあったわけですよ。それで、今いろんな勉強をさせていただいたり、いろんな日本の方に触れさせていただいたり、本当に日本っていい国だなと思えるようになったわけですよね。  だから、まず日本人として何であるかということを教えてあげないと。だから、そういった意味で、歴史教科書というのは非常に重要な位置を占めておりまして、どうしようかなと思って、自分自身の質問時間もまだまだあるものですから、少し走らせていただきたいと思っているんですけれども、残っているものとすれば、あとは帰国子女のことについてお聞きしたいなという部分があって、この帰国子女なんですけれども、じゃ、まず聞きます。帰国子女というのは僕はいまだにわからないんですけれども、「帰国」に「子女」と書くんです。僕は男の子だったんですけれども、帰国子男にならないのかなと。帰国子女の意味をまずお伺いしたいんですけれども。 ◎神取 教育指導課長 厳密な国語的な意味からいいますと、子女という言葉の中に息子と娘という意味があるということで、文部省がこの言葉を使っているということでございます。ただ、東京都ですとか世田谷区では、やはり子女というのは今委員ご指摘のようなイメージ、女性というイメージの方が強いということで、現在では東京都とか世田谷区では帰国児童生徒という呼び方に変えて使っております。 ◆畠山晋一 委員 だから、それを教えてあげなきゃわからないわけですから、そういったこともどんどん教えてあげて、帰国子女ということでやってほしいんですけれども、まず、我が区の帰国子女の受け入れ体制は、中学校何校で小学校何校かお伺いします。 ◎幡野 学務課長 現在、世田谷区は帰国子女の受け入れ推進地区に指定されまして、帰国子女の教育に力を入れているわけですけれども、小学校三校、それから中学校二校をセンター校としまして、その地域から学校の開いている土曜日の午後にセンター校に希望者に来ていただきまして、日本語の学習とか日本の生活慣習に早くなれるように教育をしております。 ◆畠山晋一 委員 そこで、言うならば、英語の英会話学習に入る前の段階の、日本人とは何であるかというようなことを教えているというふうに解釈してよろしいでしょうか。 ◎幡野 学務課長 海外から帰国された子どもたちは、約千五百人ぐらいいますけれども、その大方は、現地の日本人学校とか日本語もできるし、ある程度日本の状況は知っていると。また、短期の海外生活については余り支障がないような状況がございます。ただ、東南アジアとか大都市でない外国には日本人学校等がありませんので、日本語が全くわからない子どももおります。それから、全く違って、日本の生活になれないと。ですから、ふだんの学校では、その二つの面にそれぞれ力を入れておりますけれども、特別に補習という形で月に二回程度センター校に通って、日本の学習なり、生活慣習を習っているということでございます。 ◆畠山晋一 委員 そういった意味で、せっかくそうやって帰国子女の段階では、日本人のよさを教えたり、補習したりしているわけですから、その子どもたちは英語ですとか英会話ですとかができるわけですから、先ほど私が言っていた英会話の総合学習の中に導入してくる部分とこの部分を、リンクというんですか、片や現地で育って英語のことをよく知っている、片や日本をよく知って英語の勉強をしたいと思っている、この部分を別々のものと解釈するんじゃなくて、それこそ一緒になってやる。それも、一緒になってやるというのは、せっかく総合学習というわけですから、子どもだけの総合じゃなくて、これは親も地域の方も交えた総合的な学習というふうに解釈していただいた方が広がりが出てくるし、偏ることもないんじゃないかなと私自身考えているんですが、その点に関してお願いします。 ◎神取 教育指導課長 今ご指摘のとおり、子どもたちだけではなくて、地域を交えてという活動につきましては、学校と帰国子女のセンター校等につきましても、実際に子どもたちを通してという形になりますが、行ってございます。  それから、逆の面で言いますと、区としては外国人の指導員を導入ということでやっておりますけれども、学校によっては地域にいらっしゃる方の教育力を活用するという形で、授業、それからまたその他の活動の中でもやっているという状況でございますので、そういったものも見ながら推進を援助していきたいと思っております。 ◆畠山晋一 委員 それは帰国子女の立場からも、ぜひそういった部分での理解を深めるような形でやって──心の部分での痛みというのが帰国子女は非常に多くて、私なんかがすぐに学校になじめた理由とすれば、周りの友達がよかった、なおかつ先生がよかったんですね。  というのは、私は、言うなれば、先生に比べれば日常会話程度の英語はできるわけですね。ところが、先生はそれを認めて、君の方ができるんだから、君が英語のことをやってくれよというふうに認めてくれて、やらせていただいた。文法的に間違っている部分は、先生の方に教えてもらって、うまい教育ができた。  ところが、うちの弟なんかですと、日本に帰ってくるのは小学校二年生のときだったんですが、小学校二年の男の子といえば、みんな半ズボンにトレーニングシャツみたいな感じですよね。ところが、帰ってきたときは長ズボンに長そでのワイシャツ、日本の方にしてみれば格好つけているなというような感じで、石を投げつけられたりだとか、何だ、変な日本人みたいな感じでいじめられたというような、そういった環境に入ってしまった子もいる。こういった面で、先生と生徒の教育環境も違えば、その子どもの育ち方が全然違う。結局、うちの弟は、その後、英語を話すことが非常におっくうになってしまって、英語を話すと変な人に見られるということで、ほとんど英語がしゃべれない状況になってしまった。  そういったような、せっかく両親からいただいた環境で得た特性を、環境でもってなくしてしまったといった経過があるものですから、先生自身も、そして生徒自身も、そういったことに対する教えをしてあげないと、本当の国際理解というものが得られないんじゃないかなと私自身も思いますので、その点をしていただきたいと思っておる次第でございます。(「まだ時間はあるよ」と呼ぶ者あり)  まだ時間があるということなので、(「頑張れ」と呼ぶ者あり)はい、頑張りますけれども、(「無理はするな」と呼ぶ者あり)無理はするなという話も出ていますが、言いたいことを言わせていただくということで、国旗、国歌のことについて戻らせていただければ、先ほど実態調査がまだわからないというような話が出ていました。これは何年生のときに何を教えているというのがわからないということで、この実態調査の報告などというのはいただけるものでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 今後、学校の方に問い合わせて調査いたしまして、その結果につきまして、でき次第お知らせしたいと思っております。 ◆畠山晋一 委員 ぜひその点に関して教えていただければ、低学年のころから教えることが大切であるというふうに私自身も考えておりますので、低学年のころから君が代とは何であるかということをどんどん教えるような形でやっていただきたいと思います。 ◎津吹 教育長 小学校での国歌の教え方は、音楽の教科だけではなくて、学校行事等の特別活動だとか、あるいは社会科でも教えているということを私は聞いております。ただ、どういうふうに具体的に教えているのか。校長先生が朝礼で教えたりというような例も伺っておりますので、音楽の時間だけに限ってということではないと思います。詳細については調査して、またの機会にご報告させていただきたいと思います。 ◆畠山晋一 委員 教育長の方からも、そういって率先して調査をしていただけるということですし、でも、実際は、小泉委員からも非常によかったというような話もあったり、ところが、ほかの委員の話から聞いてみると、一生懸命歌っていたし、非常によかったよという人もいれば、反面、やっぱり来賓の方しか歌っていないし、子どもも座ったまま、教職員も座ったまま、押しつけにおれたちは動じないぞみたいな姿勢でいる方々もいた、そういう学校もある。そういう現況があるわけですから、そういう現況を、強制、押しつけにならないような形で教育委員会から指導をして、一〇〇%になっていくことが将来的な最高の目標になるわけですから、そういう点に関して、そういうことがないような形でぜひ推し進めていただきたいと思っている次第でございます。  大体これで十三分近くになってきましたので、この辺で終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ◆新田勝己 委員 今、国旗、国歌の話が出ておりました。それは押しつけや何やではなくて、日本人と自然という形の中でなぜ受け入れられないのか。自然と受けられるものが、そして日本人というのは何なんだということが一つあると思うんですよね。座っていいんじゃないかという声も聞こえたんですよ。だけれども、日本人だけなんですね。どこの国へ行っても、国旗が掲揚されるとき、国歌が斉唱されるとき、じゃ、日本人だけ座ったりなんかしていいのかなという、国際的な関連からいっても、おかしいかなというまず印象があるわけでございます。座ってもいいんじゃないかという声に関しては、そういう印象を持ったということを述べさせていただきます。  教科書問題にちょっと触れさせていただきます。  日本の教科書だけなんですね、日本軍が侵略したという形しか書かれていない。ソ連が満州へ侵略したというような書かれ方はされていないんです。中国が北朝鮮の方に応援したという形はあっても、北朝鮮が韓国に対しては南進したという形でしか書いていないんですね。この教科書の中にですよ。なぜこういうふうに書き方が違っているのか。これも歴史的からいったら、侵略だったらみんな侵略と書けばいいこと。侵攻だったら侵攻と、日本軍だって侵攻と書くことだってできるわけですよ。それが偏見であるということのあらわしじゃないか。こういう教科書があるということを教育委員会はどう感じ取られているのか、まずお聞きいたします。 ◎中村 教育政策担当部長 歴史教育の目的というのは、授業を通じまして生徒一人一人が歴史的な各時代の特色をとらえるとともに、真実に基づいて物事をとらえ、判断しようとする能力、そういったものを身につけさせる。さらには、ひいては日本の歴史を学んで、これからの将来に生かすといったことがあるわけなんですが、その際、歴史的ないろいろな出来事の指導については、生徒の心身上の発達段階を踏まえて、さまざまな意見のあることを含めて指導する、そういったことで偏ることのない指導をすることが望ましいのではないか、このように考えて行っております。 ◆新田勝己 委員 偏ることがないような指導──指導ということは教師がやるということですね。だから、これは教師の見方、考え方によっては、やっぱり日本軍は侵略した、日本国は侵略した、ソ連の方では侵攻したという形の中だけしか教えられないということになるの。そういう形の受け取り方を我々はしていいわけ。それをまず、そういう感覚的な問題でちょっと聞かせてください。 ◎中村 教育政策担当部長 教科書というのは何かという問題にもなっていくわけなんですが、教科書というのは、基本的には学習指導要領が目標としていること、あるいはねらいとしていること、そういったものを教材の形で提供するものが教科書だろうというふうに思うんですが、学習指導要領のねらいですとか、理念ですとか、そういったものがどういう形で教科書に沿って編集されているか。これは、文部省の方の検定の中で十分吟味されているのではないか、私どもはそのように理解をしているわけなんです。  そういった観点から、世田谷区の教育委員会で教科書を採択する際も、そういった学習指導要領のねらいとしていること、目標としていることがどれだけ生徒たちにとってわかりやすい形、親しみやすい形でつくられているか、そういった観点から採択していくのかなと、基本的にはこのように考えております。 ◆新田勝己 委員 確認だけさせていただきます。学校票はなくすというような形の中で進むということでございました。これからは、教科書の選定に関しては教育委員会が全責任を負うということでよろしいんですね。 ◎中村 教育政策担当部長 当然、教育委員会が責任を持って採択するということになります。 ◆新田勝己 委員 質問を終わります。 ○荒木義一 委員長 議事の都合により、ここでしばらく休憩し、再開後、自由民主党の質疑を続行させていただきますので、よろしくお願いいたします。  それでは、休憩いたします。     午後零時十五分休憩    ──────────────────     午後一時五分開議 ○荒木義一 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  自由民主党、どうぞ。 ◆菅沼つとむ 委員 東深沢中学校の建てかえについてお聞きします。  世田谷行革一一〇番の大庭さんが、この間、鎌田の施設をつくった業者が罰金を取られながらやっている、それから、東深沢中学校の手抜きをしているんじゃないかという問題もありますという質問をしていたので、ちょっと心配になってお聞きしたいと思います。  ご存じのように、東深沢中学校の上には環境共生住宅があります。それで、丘の上にありまして、それからずうっと下ってきて、下に呑川があります。その地域の農家の人に聞きますと、昔、川の周りには当然田んぼがありまして、野菜の洗い場もあったというような場所です。それで、前回の古い体育館の下には、わき水があって、水路があった。その古い体育館の下は、水路で体育館の土台が大分腐ったというようなお話を聞いています。実際にはそういう場所なので、建てるときから建設の方で気を使って、こういうことがありますよということは地域の人たちからお話があったというふうに思います。本当にきちんと学校ができるのか、お聞きしたいと思います。 ◎岡野 施設課長 きちんとつくっているのかというご質問ですが、学校改築に当たって、児童生徒の学習の場にとどまらず、広く区民のための生涯学習の場として機能できる、質、量ともにレベルの高い施設環境が求められていると思います。教育委員会として、税経部とか建設・住宅部と連携して取り組んでおります。現場調査を定例的に実施して、工事の状況の把握に努めているところでございます。  委員ご指摘の呑川という地質等の特殊性を勘案して、工事の施工の信頼性、安全性を確保するため、施工期間を十分とるとともに、適切な工事監理を行っていると聞いております。その結果、コンクリートの仕上がりぐあい等を見ても、これまでの改築工事を行った五校と比較して、遜色ない仕上がりと認識しております。  今後も、校舎棟を予定どおりに本年十月末に竣工させるべく、引き続き関係部署と連携をしながら、先手先手と工事が進行できるよう、品質管理、工程管理を継続していきたいと思っています。また、予算特別委員会での意見等も踏まえ、その後に予定されている体育館棟建設工事──二期工事でございますが──についても十四年二月末の竣工を目指していきたいと思っています。 ◆菅沼つとむ 委員 今までと同じではなくて、できましたら今まで以上にいいものをお願いしたいと思います。  それからもう一点、ちょっと気になったことで、東深沢中学校が建てかえのときは、ご存じのように、東深沢中学校の先生だとか、そこに入る東深沢小学校のPTAだとか、等々力小学校、近隣の住民、世田谷区、それから設計をなさる先生方、そういう人たちを入れて説明会をしながら、勉強会をし、子どもたちのために、地域のために、いかにいいものをつくろうかということを随分長い間検討して、それで何回も相談しながらやっとつくったというふうに思っています。その中で、実際には教育ですから、五十年、六十年の話になりますから、いつの時代にも合った、シンプルで使いやすい、メンテナンスをきちんと考えた学校づくりをしてくださいということで、地域の皆さんも、工事中は多少うるさいと思いますけれども、我慢して将来のことに頑張りますということで、区とのお話し合いが終わったというふうに考えています。  その中で、もちろん、その趣旨を踏まえて、設計変更だとかそういうことは、今そういう状態はないと思いますけれども、その辺の確認をさせていただきたいと思います。 ◎岡野 施設課長 設計変更を考えていないのかという話でございますが、東深沢中学の改築につきましては、委員ご指摘のとおり、学校、保護者、地域団体など幅広い関係者一堂に会して、東深沢中学校改築計画打ち合わせ会を開催して、改築計画の内容について共通の理解を深め、建物の規模とかグラウンドの位置等の取りまとめを行ってきたところでございます。  現在、この改築計画を基本ベースに建設工事を進めておりまして、平成十二年十月には変更なく第一期工事の校舎棟を竣工する予定でございます。 ◆菅沼つとむ 委員 実際には、一回できますと、これからは三十年、四十年という話ではなくて、五十年か六十年は大事に使わなくちゃいけない時代になると思います。そのつもりで担当としてきちんと目を光らせてやっていただきたいというふうにお願いします。  次に、一般質問でもやりましたクラブ活動と部活についてお聞きします。  ご存じのように、平成十二年四月一日から前倒しになってクラブ活動がなくなります。そうしますと、部活にも影響が出てきます。ご存じのように、部活は授業外ですから、先生も生徒もやりたい人だけがやるという話になろうかと思います。  そこで、校長先生が今までのように、先生方に時間外勤務だから頼むということは文部省の方で禁止されているので、それは言えないと思います。きょうも卒業式のお話が出ていたと思いますけれども、私もこの間卒業式に行きましたら、アンケート用紙ができましたから後で読んでくださいといっていただきました。ちょっと読ませていただきます。  みんなの声を聞かせてくださいということで、一年生、二年生、三年生の中学生二百五十二人がそのアンケート用紙に記入しています。それで、部活についてという項目がありまして、部活は運動部ですか文化部ですかということで、百五十九人が運動部、九十人が文化部、無回答が三人。それから、逆に言うと、部活に参加していない理由は何ですかといったら、習い事があるから、先生が来ない、ついサボってしまう、朝練に行けない、先生と先輩が嫌いだ、時間がない、つまらない。これは入らない理由。それからもう一つ、入った理由になりますとどういうことかというと、充実感がある、友達がいる、おもしろい、先輩、先生方が優しい、コーチがいる、ゲームをしたりすることができる、みんなで一つのことをやる、上手になっていくのが楽しいとか、さまざまな問題が出ています。  実際にさっきの午前中の答弁にも、スポーツ関係が七割か八割を占めているというようなお話がありました。それで、これは一校だけの話じゃなくて、大体世田谷はこういうような感じではないかと思います。  実際には中学生に部活がなくなって、部活が授業外になって、私としては必要だと思っています。中学生が好きな、今言ったようなスポーツ部、部活がなくなるような感じになってきますけれども、区としてはどういうお考えを持っているのか、お聞きしたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 ただいまご指摘がありましたように、クラブ活動が来年度から廃止になります。しかし、部活動につきましては、従来から行われていますとおり、同好の者をもって活動するということでございます。  現在、クラブ活動を運営するに当たりましては、部活動に入っている生徒については部活動代替という形で、部活動に入っていることによってクラブ活動も履修しているという形で学校の方ではとらえております。そのうちクラブ活動がなくなるわけですが、現在、部活動に入っている生徒は各学校およそ八割から九割の生徒でございます。あと一割の生徒について、週一回のクラブ活動の時間を確保するという実態がございます。したがいまして、クラブ活動がなくなった後も、必ずしも部活動が衰退するというふうには考えておりません。当然、自由参加ということになりますので、地域で行われておりますスポーツクラブですとか習い事、そういったところに本人の希望で行くということも多少出てくるかと思いますが、部活動につきましては現在と同様の形で進行していくというふうに考えております。  ただ、部活動の現在の状況では、生徒数の減少ということがありますので、それに伴いまして、部の数が多くなればなるほど一チームが少なくなるという問題もあったり、それから、生徒の減少に伴いまして指導する教員の数も減るということもありますので、そういったものにつきまして、合同のクラブを行うとか、それからすぐれた指導者を呼んで学校に集まって合同で部活動をするとか、または外部の指導員を確保する、そういった形で部員の確保と指導者の確保、その両面から今後取り組んでいきたいと考えております。 ◆菅沼つとむ 委員 確かに今言っているように、実際には、今まで部活がありまして、来年からなくなるというようなことはないと思います。だけれども、このまま絶対続くというふうには私は考えていません。当然四、五年たてば、先生方が──要するに善意でやればいいですよ。実際には授業外なんだから、本人がやらないといったら、それまでなんですよ。そんなに長く続くというふうには考えていない。  それで、特に先生方が七割、八割の子どもたちのために一生懸命部活をやろうということでしたら、そういう先生のいる学校は私は大丈夫だと思います。逆にいうと、いや、もう時間外だからみんな帰ろうよというような学校が、三十二校の中に私は段差が出てくると思います。当然その中で、今言ったようなことでしたら、逆にばらつきが出てくるというふうに思いますけれども、その辺のお考えを聞かせていただきたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 ご指摘のとおり、自主的な活動ということでございますが、現在、私どもの方では、部活動についても大事な生徒の教育活動というふうにとらえております。ですから、当然、教員にとって部活動を指導することは本務であるというふうに理解しております。したがいまして、子どもたちが希望する部活動につきましては、可能な限り開いていくような、運営できるような形で援助していきたいと思っております。  当然、子どもの数、それから教員の数にばらつきが出てくるかと思いますが、そういった中でも、子どもが希望する活動ができるように、先ほども申し上げましたように、学校を超えて合同でやるとか、それからほかの学校でやっている活動に参加できるとか、そういう形も検討してやっていきたい。現にそういった活動をやっている子どもも出てきておりますので、いろんな形で子どもたちの活動を援助していきたいというふうに考えております。 ◆菅沼つとむ 委員 お願いということは校長先生から実際にできる話です。だけれども、文部省通達で時間外はやっちゃいけないともう通達が出て、それはいけないんですよ。学校の内部で、子どもたちがいるから何とか考えてくれないかということは言えるわけですけれども、その先というのは言えない。  それから合同の方も、確かに部外者がやっている学校は一校か二校あります。実際には、小学校の場合ですと、土曜、日曜、祭日というのは、お父さん方だとか地域のクラブの人たちがやっているようなことがありますけれども、中学校は、今のところ少ないです。実際に合同にするといったって、学校が終わって、それからほかの学校に行くわけでしょう。そういうことや何かが実際にできるのかというのが問題になろうかと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 現在、ただいまの合同の部活動につきましては、やっている学校、それからこれから進めていくという形で、中学校の体育連盟の方でもその形について検討に入っております。実際には、すべての部活動ではございませんが、種目によっては大会等に合同のチームで参加してもいいというような形も考えられております。ですから、これにつきましては、中学校の体育連盟も含めて、全体的に検討して、今後の部活動のあり方というものを進めているという状況でございます。 ◆菅沼つとむ 委員 言っていることはわからない話ではなくて、中体連の方も、合同でも今度は試合に出られるとか、今までは先生方が遅刻しただけで中体連の大会は門前払いでそれが負けになったとか、そういうのが一応変わったことは事実だと思います。しかし、やっぱり同じ学校の中で子どもたちがやっていくというのが大事。  当然、その中で人数が少なくなる、部活が減らないで子どもたちだけが減っている。逆に、子どもたちが減って、部活が同じように減ればいいんですけれども、実際には、部活だけが同じようにやって、子どもたちが減っているということで、人数の問題も当然出てくる問題だと思います。実際には、文部省の方が決めた話ですから、文部省の法律を守らなくちゃいけないという現場は、私は大変だと思います。しかし、中学校の子どもたちがスポーツをして健全にいくには、やっぱり皆さんの声を文部省の方に言わなかったら、このままだとだめになるのかなという感じはします。  それで、ご存じだと思いますけれども、アメリカも一回やったことがあるんですよ。やっぱりスポーツの方を一回廃止にしたことがあるんです。しかし、また、やっぱりこれはまずいなといって変えているんですよ。それから、今言ったように、現場の皆さんがご苦労していることが、東京都へ行くと、その一部しか伝わらない。国に行ったら、文部省に行ったら、ほとんど現場の意見が伝わっているのかというような感じが私はします。その辺のご意見がありましたら……。なかったらそれでも結構です。 ◎神取 教育指導課長 部活動の声が国には届いていないというご指摘でございますが、私どもでは、そういう形ではないと思っております。具体的には、部活動等についての指導者を集めた主任講習会、文部省、それから東京都における伝達講習会、そういったものも実際に行われております。ですから、そういったところへ世田谷区の教員も参加するということも実態としてあるわけでございますので、そういう中で、部活動の存在というのは都にしろ国にしろ認めて、今後も推進していくというふうに理解しております。 ◆菅沼つとむ 委員 じゃ、今言った推進していくというのはどういうことですか。逆に言うと、二つの学校で生徒が少なくなったから一つの科目をやるということはわかりますよ。だけれども、文部省の方が時間外はいけませんよと言っているんだから、校長先生が現場の人はいけないですよと言っているわけでしょう。だれが推進するの。 ◎神取 教育指導課長 当然、学校の中で行われる教育活動というのは、勤務時間内については、基本的には校長の組むカリキュラムの中に入ってくると考えております。ですから、今のところ、部活動というのは教育課程外という位置づけではありますけれども、教育活動を学校を主体でやるということになれば、当然、校長の権限の中でやるというふうに理解しております。 ◆菅沼つとむ 委員 じゃ、もう一度言いますと、部活動は校長の権限内ということですね。 ◎神取 教育指導課長 学校における教育活動、学校主体のものは、最終的には校長が判断して、責任を持って運営するということでございますので、部活動も同様だというふうに理解しております。 ◆菅沼つとむ 委員 わかりました。それはちょっと調べてきます。またの機会に言いたいと思います。私の調べたのとちょっと違いますので。  それから、きょうの午前中の答弁の中で、部活がなくなる、クラブ活動がなくなるということで、区の答弁の中で、体験学習だとか、そういう問題を大変積極的に実施していきたいというお話がございました。聞くところによりますと、中学校の学校を離れた体験学習の修学旅行、夏の合宿、スキー合宿の予算が減ったというようなお話を聞いています。部活もなくなりながら、午前中では体験学習も要するに積極的にやると言いながら、何で予算が減ったのか。やっぱり言っていることとやっていることがちょっと違うかなと思いますけれども、その辺のご答弁をお願いしたいと思います。 ◎幡野 学務課長 委員言われましたように、体験学習の中の冬のスキー教室、それから修学旅行等、予算が若干減になっております。この減になった理由でございますが、児童生徒数が減になって自然に減になるもの、それからスキーで見ますと、指導員の数の精査によりまして若干減になった部分があります。授業については、従来どおり差しつかえなくできております。これらのスキー教室は、生徒の心身の発達とか協調性あるいは忍耐力をはぐくむ場として重要な教育体験の場所と考えております。  今後、クラブ活動が教育課程から外れることもありますし、部活動の問題もありますので、それらを考慮して、授業の充実と予算の確保に努めていきたいと思っております。 ◆菅沼つとむ 委員 ご存じだと思いますけれども、対外的なあれというのは、体験学習は必ず先生がついていくわけです。その中で、先生の予算がつかないということは、交通費、宿泊料がつかないということは、実際には今までやっていた行事ができないという話なんです。だから、予算が削られて、今言ったように、実際に予算がなくなりましたから、ここでもう終わりですよと。今までずっと何十年もやった話が、予算がないですからこれで終わりなのか。ただ人数の精査だけなのか。最初に言った、要するに体験学習は積極的にやりますと言っておいて予算を切った理由、それのお答えをお願いしたいと思います。 ◎幡野 学務課長 予算につきましては、この授業でなくて、区全体の財政状況からいろいろ厳しい状況にあります。この授業についても予算が減った分でいろいろ工夫はしているんですが、例えば行事への付き添いの先生方の旅費ですけれども、授業としては予算は減っておりますが、学校に分割して配当してある予算を多少やりくりをしてカバーする、そのようないろいろな苦労なり工夫をしながら、授業には支障がないようにしております。 ◆菅沼つとむ 委員 では、授業には支障がないということですね。途中で予算がなくなってから、要するに切るというようなことはないということでよろしいわけですね。 ◎幡野 学務課長 そのとおりでございます。 ◆菅沼つとむ 委員 次に、私立、公立の中学校についてお聞きしたいと思います。  実際に今ご説明したように、公立中学校は平成十四年から週五日制が始まります。それで、四月からはクラブ活動がなくなり、部活もちょっと危なくなるんじゃないかと思います。また一方、私立中学校は週五日制が実際には文部省の方からお願いになりますから、私立の方は五日制にしてもしなくてもいいと思います。クラブ活動も部活もなくならないというふうに思います。もちろん、私立ですから、自分のところでやらないといえばそれまでですけれども、今の状況をそのまま継続すると思います。
     実際には、公立の場合は文部省の方からやりなさいという話が、当然それは文部省の法律ですから、それは守らなくちゃいけない。私立の場合は、どちらかというとお願いに近い。要するに、通達はするけれども、完全に守りなさいというところではないと思います。だから、ますます私立と公立の差が開くんじゃないか。また、平成に入って、その前の中学校学習指導要領が変わるたびに、基本的には公立と私立の差が開いているんじゃないかと思います。  午前中でもありましたように、基本的な知識が低下しているというようなお話を聞きましたので、ちょっと何人かの先生に聞いてみました。やっぱり何をやるのでも、基本的な知識が低下してはだめだと。当然、今度は七十時間も減るんですから、もっと心配されるというようなお話をしていました。例えば教科書でも、私立ですと一年から二年までの大概二年間やって、何でやるんだといったら、昔と比べて教科書の中身が易しくなったというので、あと一年間はほかの勉強をするというのが今の私立の現状じゃないかと思います。このままの状況ですと、私立と公立の差が当然開くのじゃないかと思います。  私は、どちらかというと、さっき午前中にもありましたように、地域で育って、小中学校ぐらいは近くの小学校、中学校に行ってほしいと思いますけれども、今のままですと、なかなか難しい話になるのかなと。逆に言うと、差が開かないような方法があったらご答弁をお願いしたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 ご指摘のとおり、授業時間数、それから日数等については公立の場合は減るわけでございますが、その中で、委員のご指摘の基礎的な知識、基礎、基本の部分につきましては、厳選して定着度を重点化するという方向で現在進めております。そういった方向の中で、基礎、基本の定着というものが確保できると考えております。  また、みずから考える力を育成するという形で今回学習指導要領の改訂がなされたわけですので、そういった中で、思考力とか判断力、そういったものもついていくと考えております。最終的な学力が私立、公立で差の出ないように十分配慮していきたいと考えております。 ◆菅沼つとむ 委員 もともと職員を採用するところから、当然クラブ活動、部活に対してその人材をそろえているのだから、同じ体系で闘うのは難しいと思いますけれども、頑張っていただきたいというふうに思います。  それからもう一点、学校の週五日制についてお聞きします。  平成十四年から学校の先生も区の職員も同じ休みになります。今までは、区の職員の場合、三百六十五日のうち出勤が二百四十六日で、夏休みが三日間で、有給が二十日でした。それで、先生の場合は、今までは土曜日の出勤がありましたので、長期休暇ということで夏休みを十一・五日とっていました。しかし、平成十四年から区の職員と同じように、先生方が土曜日も休みになります。実際に十一・五日が休みからなくなります。夏休みも皆さんと同じように多分出勤するんだと思います。  ところで、平成十四年にかけて、これまでとは違う夏休みの使い方を考える時期に来ているんじゃないかと思います。本来なら、校長がやるところだと思うんですけれども、校長先生がいませんので、ご答弁がありましたらお願いしたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 夏季休業中のことにつきましては、ご指摘のとおり、平成十四年度から十一・五日、現在の状況よりも教員の勤務の日数がふえるということがございます。ただ、この時期につきましては、一方では、教員の日ごろできないような研修をするということが教育公務員特例法で義務づけられております。もう一方では、研修ということで、あくまでも教員にとって研修ができるということがございますので、公務が優先するということになります。したがいまして、学校の中でふだん授業のあるときにはやりにくいような長期にわたる教育活動とか、部活動ですとか、そういったものが逆にやりやすくなるということは考えられます。  そういった中で、学校の方で、先ほども申しましたように、校長が教育計画を立てる中で教員に命令をして、そういった活動に参加させる、また従事させるということはできると考えております。 ◆菅沼つとむ 委員 今までは、確かに長期休暇をとりながら、夏休みは四十二、三日あるんですか、それで研修をしながら、それでも自宅で勉強したい人は自宅研修もあった話です。当然、その中で部活もやっていたし、プールやなんかもやっていたというのが事実だと思います。しかし、これが学校週五日制になって、同じ公務員の中で、学校の先生だけがそれでいいのかなという感じは当然出てきます。  その中で、夏休みは自由参加になろうかと思いますけれども、せっかく先生方がみんな出てきているんだから、少しやっぱりスポーツをやったり、ふだんできないようなことも──わざわざ出てきているのに、先生方だってずうっと何もしないでいるというのもおかしな話だし、研修研修といったって、今までもやっていたし、それで、これからは十一・五日も長期休暇がなくなるわけですよ。その辺も踏まえて、本来ならそういうふうなことを考えるのが普通かなと思います。  それを一点聞くことと、それから、先生と同じように、用務員さんと学童擁護員が当然夏休みが同じ形態になってくると思います。その辺も踏まえて、過ごし方とかそういう問題をお聞きします。 ◎室星 学校職員課長 今委員お話しの学童擁護職員、用務職員、これは授業を教えることとはまた違った立場から学校の運営を支え、学童擁護職員ですと通学時の安全確保、それから用務職員ですと学校の施設の維持管理など、さまざまな仕事を行っております。  学校の夏休み期間の仕事について、現在でございますけれども、学童擁護職員は小学校のプール指導が夏休みの前半と後半にそれぞれ十日ほどございます。そのほかに研修もやってございます。それから用務職員につきましては、ふだん児童生徒がいて学校ではできないような教室のワックスがけですとか、校庭に設置してあるブランコとかジャングルジムとかといったもののペンキ塗りとか、こういった維持管理の仕事を計画的に行うようにしているということでございます。また、夏休み期間中は、日常の業務に役立つ技術の習得ということで、タイル張りですとか、クロス張り、あるいはフロアポリッシャーという床を磨く器具の使い方、こういったものの研修を集中的に行ったりしております。  今、お話しのように、学校が完全週五日制に移行した場合でございますけれども、確かに夏休みの期間に土曜日に出勤した分の休みをまとめてとる必要がなくなるわけでございます。したがいまして、今お話し申し上げましたそれぞれの職種ごとに、これまで以上に夏休みの仕事、業務というものを計画的、それからまた緻密に行うこと、また、各種の研修を充実するなどして職員の技能の開発ですとか、さらに向上を図る。そうすることによって、子どもたちが安心して学習ができるような、よりよい教育環境をつくり出す。そういった面で、学校教育の充実ということをしっかりと支援していくことが必要だろうと考えております。 ◆菅沼つとむ 委員 もう一点、夏休みの自由参加のあれができないかと。それは実際にはできるんですか、できないんですか。その辺。 ◎神取 教育指導課長 夏休みに入る前の時点で、現在でも夏期休業中の活動計画というのを各校つくってございます。そういう中で、教員の動静、それとあわせまして部活動をやるとか、それから学習活動をやるとか、そういったことを組んでいるわけでございます。当然、今後夏休みの勤務日がふえるわけですから、そういう中で、対象となる子どもたちを集めての活動というのは増加すると考えてございます。  一方では、この期間にしかできないような長期にわたる講座式の研修会ですとかそういったものも都や区で考えて、集中的に研修を受けさせて、教員の資質向上に努めるという機会もつくれるというふうに考えております。 ◆菅沼つとむ 委員 ありがとうございました。夏休みでも、一応一番のトップは校長先生ですから、きちんと組めばできるというような話で、もう平成十四年がすぐ先に来ています。やっぱりほかの公務員さんが夏休みでも朝から一生懸命働いているわけです。だから、当然、学校の先生も、研修も大事ですけれども、働いて、子どもたちも自由参加でできるようなことを考えていただきたいと思います。  それから、用務員さんは十一・五日も休暇がなくなったということで、一生懸命研修をやっているというお話ですけれども、今までも研修をやっていました。その中で、これ以上研修をして、実際に身にならなかったら何もなりません。実際にその過ごし方も区の方で考えていただきたいと思います。  文部省の方で法律が決まりまして、立場としては大変難しい話だと思いますけれども、子どもたちのために頑張っていただきたいと思います。  私の質問を終わらせていただきます。 ◆宇田川国一 委員 ようやく温かくなってきまして、スポーツをするにはすばらしい季節を迎えてきましたけれども、高校選抜野球大会やプロ野球も近々開幕になります。まさに球春到来といったところですが、スポーツは、野球に限らず、サッカー、柔道など観戦するだけでも夢と感動を与えてくれるすばらしいものとつくづく感じております。  ところで、最近、生涯スポーツという言葉をよく耳にします。生涯スポーツという言葉は、八〇年代の後半から使われるようになりまして、広く浸透しているようですが、生涯にわたって気楽にスポーツ活動を楽しむことではないかと思っております。そのためには、スポーツ活動を継続していく気持ちとともに、日常生活の中で習慣化することが大切ではないかと思います。また、文部省でもそういう文面を作成いたしておりますが、まさに区民一人一人にとって、身近な地域においてスポーツに気軽に親しみ、健康、体力を保持増進し、生涯にわたり明るく豊かな生活を送ることが必要だと思います。そして、それを実現していくためには、施設などの環境整備が必要であります。そのことが生涯スポーツに結びついていくものと考えています。  世田谷では、約七十八万という人口規模がありますが、だれもが地域において生涯スポーツをしていくには、スポーツ活動をするための地域施設が重要な要素となると思います。区民のスポーツ活動の場は、総合的な体育施設や区民センターなどに併設される多目的施設、学校施設などさまざまありますが、その確保はいまだ十分でなく、行政は区民のためにスポーツ活動のための施設整備を積極的に推進する責務があると考えます。  そこで、区民の多様なスポーツ活動を支えるにはさまざまな施設活動を検討すべきと思いますが、またあわせて、今後どのようなスポーツ施設を整備していくのか、お考えをお聞きしたいと思います。 ◎寺島 体育担当課長 スポーツの施設でございますけれども、区民の多様なスポーツ、レクリエーション活動には、その活動の場である施設が必要でございまして、整備充実を図るということが区民の生涯スポーツを支援する上で重要な施策であると認識しております。また、現在、新たな用地確保、施設建設というものは、今日の財政状況の厳しい中にあっては大変困難でございまして、既存施設を最大限に活用することが重要であると考えております。そのため、スポーツ振興財団設立を契機に、総合運動場の施設の無休化とかテニスコートの早朝開放など、利用時間の拡大を図ってきているところでございます。また、地域における活動の拠点として学校施設がございまして、体育館、校庭、テニスコート等、登録団体に開放いたしましてご利用いただいております。  ご存じのとおり、けやきネットの導入によりまして、申し込み方法の簡略化とか空き情報の一元化等、利用の拡大を図ってきておりまして、その効果として登録団体もふえ、区民に広く情報が行き届くようになってきたと認識しております。しかし、その反面、従来から定期的に活動してきた地域団体に影響が出ていることとか個人の利用の場が少ないなどの問題もございまして、八幡山小学校の地域体育館や千歳温水プール体育室など個人利用の場の拡大を図っておりますが、施設が十分整備されているという状況ではございません。  特に学校施設につきましては、区民全体のスポーツ需要を支えるため重要であると思っておりまして、地域住民にとっても貴重なスポーツ活動の拠点であると考えております。そのため、地域体育館、地域体育室については、地域バランスも考慮しながら、昨年十一月に開設した八幡山小学校地域体育館のように、今後の学校改築に合わせて建設の検討を進めていきたいと考えております。  また、温水プールにつきましては、後期実施計画の中で北沢、烏山地域にそれぞれ学校改築に合わせて建設を計画しております。区では、都立高校を制度的に開放するよう都に働きかけておりまして、開放が進んできておる状況でございます。また、区外施設におきましても、希望の団体に紹介をしておるところでございます。引き続きまして、民間施設とか都立高校の開放拡大、また、大学の施設などの区民開放につきまして、関係機関に対して積極的に働きかけてまいりたいと考えております。今後も、地域の方々がより気軽に生涯スポーツということの活動ができるように、施設などを含めて環境整備に向け、努力してまいりたいと思っております。 ◆宇田川国一 委員 身近な地域でスポーツの活動が盛んに行われるような環境が整っていくことはまさにすばらしいことだと思いますが、しかし、スポーツ活動が盛んになることに伴って、けがや事故がふえることも予想されます。スポーツ活動をする人たちが安心して安全に活動できるよう、その対策が重要であり、また、施設管理の面からも、高齢者や障害者を含めたすべての利用者にとって、安全で使いやすい施設のあり方も検討していく必要があると思います。平成十年十月のスポーツ振興審議会の答申でも、安全対策及び事故防止についての提言があったと記憶しておりますが、そこで、区民のスポーツ活動に対する安全対策、事故防止についてどのようなお考えがあるか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎寺島 体育担当課長 区民がスポーツ、レクリエーション活動に取り組む際には、安全対策及び事故防止対策を万全にするということがご指摘のとおり重要でございます。現在、区の施設内や事業等で事故があったときには、賠償責任保険、傷害保険の対象となっておりますけれども、何よりも、まず事故を防止し、不安なくスポーツ活動ができるようにすることが大切だと考えております。そのため、施設管理につきましては、日ごろから設備、備品等の保守点検に心がけているとともに、高齢者や障害者を含むすべての利用者が安全に安心して利用できるよう、利用案内、それから表示等に注意を喚起するなどしまして、事故防止等に配慮しております。また、指導者講習会等を通じまして、指導者に対して安全対策、事故防止に関する知識の習得や情報提供を図っております。  第一期スポーツ審議会におきまして安全対策について審議なされ、参加者の意識などを内容とする答申をいただいております。答申で示されているとおり、事故を防止するためには、第一義的には参加者自身で、やはり参加に当たって自己責任に対する意識づけというのが必要であるとともに、また、みずから健康に気を配ったり、それから、安全確認を習慣化することが大切であると考えております。今後は、事故防止、事故発生時に迅速、的確に対応するため、総合的な安全マニュアルの冊子をつくるなどして、今まで以上にきめ細かな対応をしてまいりたいと考えております。 ◆宇田川国一 委員 次に、今年度の中学校の放課後活動支援事業、いわゆるSTEP事業が七校で試行されました。平成十年の七月に出された青少年問題協議会の提言にもありますように、今の中高生の居場所、すなわち心理的に安定できるとき、安らぎの場が少ないと言われています。このSTEP事業は、中学生の居場所づくりとして、週一回、運営協力員と呼ばれる地域の方々の指導を得て、中学生の自主的、自発的な活動を支援していく教育委員会の事業と聞いておりますが、確かに今の中学生は部活動に熱心に取り組む生徒、あるいは塾に通う生徒以外は、放課後、近隣に居場所がない。すなわち友達と話し合う、あるいは遊べる交流の場がなくなって、自宅に引きこもるか、繁華街に出かけるしかない生徒も多いようです。このような状況の中で、何かと不満やストレスを感じているいらいら型の生徒や、人間関係をつくることに不得手な生徒がふえているようです。  そこで、教育委員会としても少しでも現状を改善できればという願いで始めた事業だと聞いておりますが、その点については私も推進してほしい事業だと思います。しかし、事業の実施内容を見ますと、映画鑑賞とかバンド演奏、寺子屋活動、軽スポーツ、ダベリング等、ユニークな活動のようですが、具体的にどのような活動なのか、どの程度生徒の参加があるか、よく見えません。この点をお聞きしたいと思います。 ◎藤井 生涯学習課長 委員のお話にもございましたように、STEP事業、中学生の放課後活動支援事業につきましては、中学生の居場所づくりの一つといたしまして、昨年六月から実施し、現在、七校で活動しております。  具体的にどのような活動内容なのかというお尋ねでございますけれども、太子堂中学校の映画鑑賞の活動を例にとりますと、当初は親が夢中になった映画という、大人の選定で鑑賞会を行っておりました。その後、学校長と協議の上で、映画選定を文芸部とか図書委員会に任せるといった生徒主導型に変更しましたら、かなりの参加人数もふえて、定着しております。また、この学校では、生徒の希望からニュースポーツも取り入れております。ショートテニスが人気がございまして、文化、スポーツがうまくかみ合った活動となっております。  また、砧中学校では、ダベリング活動というものを行っておりますが、当初、みんなで話そうという居場所づくりが中心でしたけれども、運営協力員の努力もございまして、受験生であります三年生の息抜きの場となったり、学校の催し物、百人一首とかダンスの練習の場となるなど、生徒に多目的に使われております。この学校にはスクールカウンセラーがおられますけれども、スクールカウンセラーからも、いわゆる気になる生徒への声かけの場としても活用、期待されているという声もあります。  また、他校では、バンド演奏、寺子屋活動も同様に、バンド演奏では学校等の発表の場に向けて汗を流しております。寺子屋活動についても、補習活動が中心ですけれども、生徒たちは楽しみながら活動をしております。  次に、STEPの参加状況でございますけれども、昨年六月からことし一月までのこの間に七校で延べ百十九回実施いたしまして、千六百三十一名の参加がございました。平均参加者数は十三・七名でございまして、まだまだ参加者数はふやしていかなければならないと思います。いずれにいたしましても、今後、内容面での充実、参加者数の増に向けて、学校関係者や運営協力員の協力を得ながら、取り組みの一層の強化を図ってまいりたいと考えております。 ◆宇田川国一 委員 今お聞きしますと、学校、生徒にまだ余り浸透していないというお話でございますが、運営協力員についても、もっと広い範囲から適当な方々を探してほしいと思いますが、また、生徒に対して、学校に対しても、また保護者に対しても、もっとPRに力を入れていただきたいと思います。  今後の展開の仕方をお聞きしたいと思いますが、平成十四年度から予定している学校週五日制の実施に伴い、中学生の居場所づくりがさらに求められてくると思います。青少年の健全育成という観点からも、ぜひこの事業を拡充していただきたいと思います。  時間がないので次に進みますが、次に、区の財政が非常に厳しい状況にあります。これまでの学校施設整備、改修関係の投資的経費の予算を振り返ってみますと、平成六年度には百五十億円近い予算がありました。年々減少を続け、平成十二年度の予算は約五十億円にまで落ち込んでいる状況です。このような状況下においても、烏山中学校の改築に伴う基本設計が予算計上されまして、ほっとしているところですが、次の改築についてのお考えはありますか。 ◎岡野 施設課長 平成十二年度から十四年度を計画期間とする後期実施計画では、学校改築指針、学校施設整備計画の見直しと並行して、改築は毎年一校程度、大規模改修については毎年二校程度として計画を進めていくことにしたいと思っています。財政状況から当初の計画との乖離が生じていますが、学校改築、改修を実施する理由として、一つとして、改築時期を延ばすことにしても、いずれ近い将来、改築は避けられないと思います。改築時期が集中してしまうおそれがあるからです。二つ目として、教育環境の質的な向上を図り、新しい教育課題への対応を図る必要性がある。三つ目として、地域に開かれた学習や交流の場として活用を求める、こういう形で進めたいという形です。  烏山中学校以降の改築について、十二年度には次期改築校の選定と基本構想を作成する予定です。選定の基準としては、改築校の選定に当たっては、従来の選定基準にこだわらず、今後の公共施設整備計画との整合性、借地の取り扱い、国庫補助金の財源の確保、獲得等も改めて検討して選定作業を進めたいと思っています。 ◆宇田川国一 委員 学校施設は、子どもにとって学習の場であると同時に、生活の場として快適な環境が求められています。トイレの改修は、まさにその一部の改善であることは評価しているところです。しかし、学校改築がなかなか進展せず、九十六校もある学校施設を現在のまま放置すれば非常に大きな問題になるのではないかと思います。子どもたちにとって危険な場所がふえること、古い汚れた学校施設がふえることは、子どもたちの教育や子どもたちの心に大きな影響を及ぼし、学校のスラム化、ひいては学校が荒れ、学校崩壊の危機に瀕することも懸念されます。学校改築指針、学校施設整備の見通しの視点、スケジュール、学校改築というのは全面的な建てかえの手法でこれまで実施されてきておりますが、全面建てかえにこだわらず、一部分改築等のさまざまな工夫をした改築もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ◎若林 教育委員会事務局参事 学校改築の今後の見通し等につきましては、先ほど施設課長の方から実施計画の中で取り組んでいくというお話を申し上げたかと思いますけれども、こういうこととあわせて、いわゆる部分改築の課題、これも学校施設のあり方で非常に大きな要素になってきております。この一部改築については、財政的な面から現実的な対応ではないかと、こういう考え方も当然あるわけでございますが、委員お話しのように、九十六校ある学校の全体の改築計画ということがもう一つ非常に大きな課題でございますから、その辺の整合性ということを考えると、今後のトータルコストの視点も含めて見て、必要な場合に限って一部改築ということを進めていったらどうか、こういう考え方を持っております。  例えば、区の中でのいろいろな課題の必要性だとか重要なことが起きた場合、例えばこの間お話し申し上げておりますけれども、梅丘中学校におきますプールの建てかえに伴って温水化をして、いわゆる自校方式の給食設備とか在宅サービスセンターを整備していく。それから、池尻小学校での在宅サービスセンターの整備、こういうことがあろうかと思います。それから、学校運営のところでどうしてもこれも対応しなければいけない、こういう事例も出てまいります。いわゆる千歳小学校で、プレハブといいますか、かなりしっかりした建物ですけれども、三階建ての施設建設を予定しております。このようなときに、やや限定する形かと思いますけれども、部分改築にも取り組んでいきたいと考えております。 ◆宇田川国一 委員 財政状況が厳しいとはいえ、この問題は放置できない重要な問題だと思います。改築、大規模改修等の具体的な検討をあらゆる視点、観点から見直しを進めていただき、子どもたちの教育環境整備の目的、意義を十分認識され、財源的な確保に努めながら、教育委員会としても真剣に考えていただきたいことをお願いしておきます。  先日、あるテレビ番組で「少子化と教育」と題した特集が放映されておりました。その中で、学校の空き教室の活用事例として、世田谷区の芦花中学校の新BOPや駒留中学校の保育園への転用例が紹介されました。その放映から、特に空き教室の保育施設への転用は、生徒にふと自分の幼いころを思い出させたり、ともすると忘れかけそうな優しい思いやりの心、思いやりの気持ちを与えさせてくれる、学校教育上にも効果のある教育施策だと感じます。駒留中の空き教室の利用策は、地域に開かれた学校づくりや子どもの健全育成、情操教育、学校活動上からしても、今後、積極的に推進すべき施策ではないかと思いますが、教育委員会のお考えはいかがですか。 ◎若林 教育委員会事務局参事 委員お話しのいわゆる駒留中学校の民間保育園につきましては、区の重要課題の二つをあわせ、ここで解決をしようという試みであったかと思います。一つが、保育待機児ゼロと言われる保育サービスの展開、それからもう一つが余裕教室の活用と、こういう観点かというふうに思います。この取り組みによりまして、いわゆる学校活動に対しても非常に新しい問題提起といいますか、新しい方向が見えてきたのかなと、こういう感もしております。この民間保育園は、通常の余裕教室ですと、夜間とか時間外の活動ですけれども、いわゆる中学校の授業が行われているのと並行して、同じ敷地内で違う用途での活動を行う。これが保育園だろうということで、非常に新しい取り組みだったろうというふうに思っております。  今後の余裕教室の活用ということについても、地域のさまざまな活動の場としてこういうものを用意していくと同時に、こういった余裕教室の活用によって学校も変わっていくようなこと、こういう取り組みもぜひ進めていきたいと考えております。 ◆宇田川国一 委員 平成十四年から完全学校週五日制が実施されますが、今後ますます地域社会と連携する学校づくりや、地域に開かれた特色ある学校づくりが求められてきます。その中で、こうした取り組みが地域の活動に役立ち、何よりもそこに育つ子どもに貢献する施策であるならば、空き教室に限ることなく、区の最大の財産である敷地も含めた学校を積極的、有効的に活用していくべきと思いますが、空き教室に限らず、学校施設の有効活用について、今後の方針はありませんか。 ◎若林 教育委員会事務局参事 まさしく委員おっしゃっていただきましたように、余裕教室に限らず、学校自体がこれから地域に開かれた学校という観点で地域といろいろな面で交わっていく、開いていく、こういうことが大きいんだろうと思います。そういう観点では、余裕教室の有効活用にとどまらず、いろいろな学校施設の改築の中で、いろんな機能を複合化していくことも当然考えていきたいと思いますし、もう一つは、学校施設を大きく改築ですとか改修しなくても、現状の中でもいろいろな形で区民の皆さんの利用を拡大していく、あるいは多目的に利用をしていく、こういう工夫もあるだろうと考えております。  そういう意味では、こういう財政状況の中でこの学校施設の有効活用は非常に大きな方策だと思いますけれども、ただ、改築、改修に限らず、いろいろな方策、考え方も取り入れて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆宇田川国一 委員 駒沢中学校に支えあいルームができましたけれども、調理室もあり、大変すばらしいものと聞いております。どこの学校に行っても空き教室があるような感じがいたし、また、入り口が幾つかありまして、学校を通らなくても出入りできるようなところがございます。地方に行くと、学校と老人施設が複合しているところもありますし、この空き教室を、学校を利用しないで、入り口を別にして、老人、子ども、そして地域の皆さんが使えるようになることはできないものか、一度各学校を調査してみていただけませんでしょうか。 ◎若林 教育委員会事務局参事 余裕教室活用のもう一つの観点といいますのは、いわゆる学校運営のところとどういうふうに整合をとっていくのか、こういう問題があるんだろうと思います。そういう観点で、委員お話しのように、学校の諸活動と、それを今度余裕教室の活用ということで、いらっしゃる区民の皆さんとか、そういうところの切り分けなり、あるいは重なりぐあいということの整合が今後一番課題になるんだと思います。 ○荒木義一 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後二時六分休憩    ──────────────────     午後二時十六分開議 ○荒木義一 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  公明党、どうぞ。 ◆谷逸子 委員 完全学校週五日制のもとでの教育課程の基準である学習指導要領が、平成十四年度から実施されていきます。新学習指導要領によって学校はどう変わっていくのか。このことにつきまして代表質問でご答弁をいただきましたが、再度質問させていただきます。  完全学校週五日制のもとで、子どもたちに各学校が、ゆとりの中でみずから学び、みずから考える生きる力を培うためとありますが、今回の教育課程の改善を図るねらいについて、また、生きる力とは具体的にどういうことなのか、まずお伺いをいたします。 ◎中村 教育政策担当部長 今お話のありました新しい学習指導要領でございますけれども、これは平成十年十二月に告示されたものですが、それ以前に中央教育審議会での討議ですとか、それから教育課程審議会の討議を経まして、内容が固まってきたわけですが、その過程でねらいとされたことは、今の子どもたちが、例えばいじめですとか、不登校ですとか、いわば学校に適応できない子どもたちがふえているのではないか、そういったことが一つです。  それから、好ましい人間関係ができなかったり、社会的な体験が不足していて、人間としての成長の観点から見てどうなんだろうかと、そういう疑問がいろいろ出されてきたこと。それから、それ以前に偏差値による受験競争というものが過熱ぎみなところがあったわけですが、そういったものの反省の上に立って、もう一回子どもたちの教育というのはどういうふうに考えたらいいのか、そういうことで一度基本に立ち返って、子どもたちの教育を考えようと。  そういうことで、一つには、学習の内容に関しては、基礎、基本に絞るかわりに確実に覚えさせようと。それからもう一つは、心の教育というんでしょうか、そういったものをもっと学校の場で重視していくべきなんじゃないかと。そういったことから、今回、例えば生きる力という言葉に象徴されているわけなんですが、そういう人間性をもう少し重視した教育活動を展開していこうと、こういったことが今回の新しい学習指導要領の根本のねらい、目標かというふうに思います。 ◆谷逸子 委員 国際教育到達度評価学会という団体が、平成六年に小中学生を対象に、算数、数学、理科の国際比較調査を実施いたしました。その成績を見ますと、日本の子どもたちは非常に成績がよい。例えば中学二年生の数学と理科を見ますと、まず数学については、シンガポールが一位、韓国が二位、そして日本が三位という非常にすぐれた成績となっております。理科については理科離れが指摘されておりますが、シンガポールが一位、チェコが二位、日本が三位となっています。いずれも参加国四十一カ国のデータでございます。しかし、日本の子どもたちは、応用力という面では十分に身についていないとありました。  また、この調査では、算数、数学、理科の好き嫌いについても調べていますが、それによりますと、算数、数学、理科が好きという子どもの割合が諸外国に比べ少ないという結果が出ています。例えば、小学校の算数について見ると、大好き、好きと答えた子どもの割合は七一%で、二十六カ国中二十五位と大変低いとありました。  さらにもう一つの問題は、日本の子どもたちの授業の理解度です。文部省では、平成十年に授業の理解度の調査をしました。それによりますと、小学校三年生で授業がよくわかる、大体わかるが児童の約七〇%、小学校五年生になると六六%、中学二年生になると四四%、高校になると三七%と徐々に低下しています。このことをよく七五三教育と言われています。子どもが授業を十分に理解していない状況は大変心配なところです。  では、新学習指導要領ではどのように改善をされていくのか。また、子どもたちの応用力が十分でない、そのように言われておりますが、応用力が身についていくためにはどうすればよいか、そのことも区の現状を踏まえてお答えいただきたいと思います。 ◎中村 教育政策担当部長 まず、子どもたちの理解力が低下してきているのではないか、そういったことにどういうふうに対処していこうかということですけれども、まず第一点は、今回の新しい学習指導要領の趣旨にもなっておりますけれども、各教科について基礎、基本に厳選する。そのかわり確実に習得させるということで、例えば、それぞれの教科の学習量等も三割程度減らしているわけなんですが、そういったことで厳選するかわりに確実に身につけさせようと、一つはそういう方向で臨んでいこうということがあると思います。  それからもう一つは、今の子どもたちの興味や関心に応じた授業を展開することが大事なんじゃないか。そういうことで、授業自体の工夫もしていくことが必要ですけれども、例えば、特に中学校等では言えることですが、生徒たちが自分たちで興味や関心のある教科を選んで学習できる仕組みを学校の中につくっていくというふうなことで、生徒たちが自分の興味と関心に応じた学習をしやすくしていこうということが一つだろうというふうに思います。  そういったことを通じて理解力を高める。知識の量が確実に身についていれば、逆に応用力も身についていくわけですから、そういった点で基礎、基本に絞るとともに、それを自分の身に確実に身につけるということだと思います。そのために、児童生徒たちが自分自身で学ぶ、あるいは自分自身で考える、そういう力を育成することを、教育活動を通じて重視していくということで考えております。  具体的には、例えば総合的な学習の時間という時間があるわけですけれども、こういったところでは、例えば教科書をそのまま使った授業じゃなくて、あるテーマを設定して、各教科に共通するようなテーマを子どもたちに勉強してもらうという形で、子どもたちが自分の頭で考える力を身につけていこうと、そういうことをねらいにしております。  その総合的な学習の時間では、例えば体験学習をやって、自分たちで学んでいく、そういったことが一つです。それからもう一つは、例えばインターネットを使って自分の目でいろいろな情報を調べてみる。あるいは、チームティーチング等もクラスの子どもたちの状況に合わせた授業をやっていけるということで、子どもたちが自分で学び、考える力を少しでもつけさせようということの方法として、チームティーチングなんかもあろうかと思います。そういったことを通じて、基礎、基本を確実に身につけさせるとともに、それが同時に応用力になる、このような考え方でこれからの学校教育というものを進めていきたいと考えております。 ◆谷逸子 委員 学校週五日制は、平成四年九月から月一回、平成七年四月から月二回実施されてきました。趣旨としては、学校、家庭、地域社会が一体となってそれぞれの教育機能を発揮していくとあります。  また、十四年度から毎週土曜日がお休みになる完全学校週五日制が実施されていくわけですが、現在よくこういうのを耳にするんですけれども、第二、第四土曜日がお休みで、今でさえも何をしたらいいか迷っている。何か取り組みがあるのでしょうか。また、週末に学校に自然体験や生活体験をさせようと思うが、どこに何があるのかわからないというような声をよく耳にいたします。区としては、どのように周知をされていくのでしょうか。また、文部省では、子どもたちの体験学習の場や機会の充実のために全国子どもプランを実施とありますが、この件についてもお伺いいたします。 ◎神取 教育指導課長 現在、今委員ご指摘のとおり、学校週五日制につきましては、家庭、地域に返すということが前提で行っております。それぞれ児童生徒たちが家庭や地域において自分たちの興味、関心のあるもの、そういったものを実施するということが基本線になろうかと思います。そういう中で、区におきましても、子どもたちの自然体験ですとか、それから活動の場ができるように、例えば図書館に行くとか、地域の中で友達同士で遊ぶとか、地域のスポーツ活動に参加する。また、先ほどからありましたような、ふだん集中してできないものについて部活動等を土曜日に行うとか、そういった活動も予想されるかと思います。  特に、土曜、日曜日が連続してお休みになるということでございますので、当然どちらかの日に部活動の試合ですとか、そういったものを計画するというようなこともできると思います。さまざまな面で子どもたちの活動の範囲が広がるというふうに考えておりますので、そういったものについて整備をしながら、子どもたちの活動の場を広げて、体験学習、そういったものが自分たちの興味、関心に基づいてできるようにしていきたいというふうに考えております。 ◆谷逸子 委員 全国子どもプランの実施については……。 ◎中村 教育政策担当部長 ご承知のとおり、学校週五日制の完全実施に向けて、それまでの間、地域で子どもたちを受け入れるいろいろな活動を文部省が三カ年計画で設定しているわけですが、たしかかなりの数の事業が想定されて予定されております。  例えばその中で、二十四時間電話相談等もそういった活動の一つに入っているわけなんですが、ご承知のとおり、世田谷区では世田谷ボランティア協会が中心になって、せたがやチャイルドラインという二十四時間の電話相談をこれまで二回ほど試しにやってきているのですが、今までは試しということで二週間程度の期間だったのですが、今年度からもう少し期間を伸ばしてやっていこうという計画でおります。そういったことも全国子どもプランの考え方に沿ってやっていきたい、こういうふうに考えております。 ◆谷逸子 委員 先ほど他の会派からも質問がございましたけれども、再度、小学生の英語教育についてお伺いいたします。  平成十二年度より新学習指導要領の移行措置によりまして小学校での英会話学習が可能になりますが、文部省では、地域社会で土日などの休日を利用して小学生の英語学習を推進するための調査研究会を発足いたしました。中学や高校で教えている外国人の外国語指導助手や、地域の英会話教室の講師などの人材を活用して、公民館とか地区会館とか学校の空き教室などを利用しながら、聞く、話すを基本とした教室を開く計画があります。調査研究会では、指導内容なり指導方針の参考となる指針を四月下旬と言っておりますけれども、文部省では、小学校の授業だけでなく、地域社会でも土日や夏休みなどを利用して、子どもたちの外国語学習を推進させようと研究会を発足させました。小学校四年生から六年生の一地域、約三千人と言っております。モデル的に英語教室を開く予定とありますが、当区としてはどうお考えになられているか、この件についてお伺いいたします。 ◎藤井 生涯学習課長 ただいま委員お話しのように、小学校では、総合的な学習の時間において英語教育が実施できるようになっております。また、国際化の進展の中で、親や子どもの英語教育に対する関心が高まっていることも承知しております。そのような中で始まります文部省のモデル事業でありますから、区といたしましても大きな関心を持っております。  こうした中で、区といたしましては、今後、モデル事業の展開の状況を踏まえまして、当区での特色ある学校づくりの予算の活用も含め、実現に向けて取り組んでいく所存でございます。 ◆谷逸子 委員 総合的な学習の時間を使って、小学校でも国際理解に関する学習の一環として外国語会話を教えることになります。小学校で外国語、特に英語を教えることの意義、ねらいは何なのでしょうか。また、それは中学校の英語教育とどう違うのでしょうか、お伺いいたします。 ◎神取 教育指導課長 小学校での英語教育につきましては、文部省の方で総合的な学習の時間の中において英会話なども実施できるようになるというような説明があったかと思います。これにつきましては、小学校における英語教育ということについて、単なる語学の教育、学習活動ということではなく、いわゆる国際理解教育の一環として、外国人に親近感を持つような経験をすること、それから模範となるようなネイティブな外国語を聞くことができる、外国の文化等を紹介することができるというようなことが主なメリットとして考えられます。  世田谷区教育委員会といたしましては、小学校にも外国人の教育指導員、ALTを導入して、総合的な学習の時間、または特別活動等で児童が直接外国語に触れたり、外国人と触れ合ったりするような、文化になれ親しむという体験活動を推進するために予算を計上いたしました。来年度からの新規事業でありますので、この事業につきましては、学校とともに研究を進めながら推進していきたいというふうに思っております。 ◆谷逸子 委員 ヨーロッパでも英語教育が盛んで、スペインやイタリアでも八歳から、また、オランダやロシア、スウェーデンでは十歳から始まっております。お隣の韓国でも八歳からだと伺っておりますけれども、日本でもいよいよ英語の早期教育が始まります。英語教育が実施されていくのに、これから小学校では大変かなと思うんですけれども、英語教育を行うに当たって、教育委員会の果たす役割とは何なのでしょうか、お伺いいたします。 ◎神取 教育指導課長 英語につきましては、現在、国際的な活動の中におきまして、例えばコンピューターのインターネットとか、そういったものにつきましても、ほとんど英語を使っての活動ということで、日本の国の中にもかなり入ってきて、共通語化しているという実態がございます。そういう中で、子どもたちが英語になれ親しむということは非常に大事な部分であるというふうに考えております。  また一方で、国際理解教育ということになりますと、英語に限らずいろいろな言葉を身につけたり、いろいろな人と話すことによって外国人と文化交流をしたり、それから心の通うような活動ができるような自己表現ができる、そういった活動が必要になってくると思います。教育委員会といたしましては、国際感覚を身につける、そういった意味での基礎、基本を培うという役割を果たしたいというふうに思っております。 ◆谷逸子 委員 次に、次代を担う児童生徒が国際社会の中で主体的に生きることができる資質や能力を育成することは、今後ますます重要になっていくと思います。英語を第二公用語にという提案があり、広く話題を呼んでおりますが、この件についてお伺いいたします。
    ◎神取 教育指導課長 今ご指摘の件につきましては、首相の私的懇談会であります「21世紀日本の構想」という懇談会の中で、将来、英語を第二公用語とすることに議論を促したということかと思います。この件につきましては、現在、世田谷区教育委員会といたしましては、英語を第二公用語という形で学校教育に位置づけるということは考えておりませんが、国際化への対応という形で、世田谷区教育委員会の教育目標でも重要な課題として位置づけてございます。  先ほど申しましたように、コンピューター等、またインターネット、ホームページ等に英語で書かれているというものが非常に多くなってまいりましたので、英語の共通化というものがますますこれからも広がってくることが予想されます。こういった社会の中で、児童生徒が進んで国際社会に参加して、国際的な視野を広め、国際社会に生きていくことができる能力や態度の基礎を身につけるために、新たな時代に対応した学校教育としての英語教育も必要かと思っております。  一方、中学校におきましては、新しい学習指導要領では、外国語が必修教科ということになりまして、また英語を履修することを原則とするというふうになっております。ただ、そういった中で、これまでの反省から、文法や英単語を中心にした学習から、話したり聞いたりすることを重点に置いた日常生活に活用できる英語教育、そういったものに転換を図る必要があるというふうに考えております。  世田谷区教育委員会では、昭和六十年度から区立の中学校にALTの導入を開始し、六十二年度からは区内全部の中学校に拡大してまいりました。今後もこの制度の充実を図りまして、学校における英語教育の指導体制の充実を図っていきたいというふうに考えております。 ◆谷逸子 委員 ありがとうございました。  次に、子ども読書年についてお伺いいたします。  本年五月五日、我が国では初の子ども専門の総合図書館、国際子ども図書館が東京上野公園にオープンいたします。昨年八月の国会で、二〇〇〇年を子ども読書年にすると決定いたしました。今改めて二〇〇〇年を子ども読書年にするのは大変意義のあることだと思います。まず最初に、この件についてお伺いいたします。 ◎神取 教育指導課長 ただいまご指摘がありましたように、昨年八月に国会において、本年を子ども読書年として、国を挙げて子どもたちの読書活動を支援する施策を集中的かつ総合的に講ずるという決議が採択されました。これは、子どもたちの活字離れを食いとめて、本に親しむ子どもに育ってほしいという願いのあらわれであるというふうに考えております。  マスコミ等では、子どもの読書離れが指摘されておりますが、このことについては、年齢が上がるほどその傾向が強くなっていると言われております。しかし、今年度の学校読書調査によりますと、小学校での一カ月の平均読書量は七・六冊という形で、過去最高を示しております。そういった中で、読書離れを食いとめ、それに向けて国の施策が大いに役立つというふうに考えています。  区内におきましても、青少年読書感想文コンクール等に参加、四百二十七編の作品が寄せられたり、それから小学校の研究会の図書館部で読書感想文の「ともしび」というのをつくっておりますし、国語部では「さくぶん」というものを作成して、読書への興味、関心を位置づけております。そういった中で、読書感想文のコンクール等で入選する作品も出ております。この活動等を踏まえまして、よい本に多く触れて、豊かな人間性をはぐくむというような活動が一層推進されるように、教育委員会といたしましても、一層これらの活動に協力していきたいというふうに考えております。そういった意味で、学校図書館の整備のための一校当たりの予算を全国に大幅に上回ってつけたり、図書館のアルバイトの職員を増加したりという形で引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆谷逸子 委員 今お話がありましたけれども、子どもたちの本離れが進んでおります。活字にかわってテレビやファミコン、パソコン、ビデオ、CDなどのAV関連メディアの急速な浸透で、受験戦争や塾通いによる時間的制約もあり、子どもを取り巻く社会環境の変化が、本と接する機会を少なくさせているのでしょうか。子どもたちの本離れは年長になるほど深刻化し、それが青少年の無気力、倫理観の喪失、暴力的傾向を助長している一因となっていると専門家も指摘をされております。当区でのこれまでの学校図書館、地域図書館での利用度、また成果についてお伺いをいたします。 ◎大森 中央図書館長 図書館における子どもの読書量についてご説明申し上げます。  ご質問の図書館における子どもの読書量につきましては、昨年度の児童登録者及び児童図書の貸出実績から算出した数字をもってお答えとさせていただきます。  まず、図書館の利用登録者でございますが、全体で三十万八百二十七名で、そのうち小学六年生までを児童登録者としておりますが、登録者は二万八千四百二十三名、全体で九%に当たっております。なお、中学生以上につきましては、一般登録者として取り扱わさせていただいております。  次に、児童図書資料の年間貸出冊数は九十六万四千三百五十五冊でございます。これを単純に先ほど申し上げました児童登録者で割りますと、年間一人当たり三十四冊読んでいただいていることになります。 ◆谷逸子 委員 一方、暴力的内容や性表現が目立つ子ども向け漫画、街角の自販機で売られているポルノ雑誌、子どもも目にする新聞広告や電車の中づり広告にも過激な性表現などを平然と並べる商業主義一辺倒の一部週刊誌などがはんらんしております。健全育成を阻害する悪書のはんらんは目に余るものがあります。その意味から、私たち大人が活字の世界にも善と悪の二つがあることを見きわめた上で、社会全体で子どもたちが良書に接する機会をふやし、逆に悪書からは子どもたちを守っていく運動が、二十一世紀を目前にして今こそ大事なときであります。  我が党では、こうした目的意識に立って、良書に触れることによって生きる勇気や正義へのあこがれをわき立たせ、人間への優しさをはぐくむ機会を子どもたちにたくさん与えてあげたいとの思いから、「子供読書運動」プロジェクトチームを設置いたしました。そして、各種団体と協力、提携をとりながら、子どもたちが良書に親しむ機会を拡大する運動を進めております。  その具体的運動として、学校や家庭、地域での読み聞かせ運動や朗読会の推進が挙げられております。子どもたちを対象とした絵本や児童本の読み聞かせは、今、大きく注目をされております。幼い子どもは一人では本に出会えません。幼児期からの家庭での読み聞かせが重要です。親が子どものために時間を使い、ともに楽しみを共有できる幸せなひとときだとも思いますし、また、他者への思いやりや他者への痛みへの想像力をはぐくむことにもつながります。親と子、教師と児童との心のすき間を埋め、心温かなコミュニケーションに役立ち、今、読み聞かせをカリキュラムに取り入れる幼稚園や小学校での朗読開催もふえているそうですが、当区ではどのように推進をされているのでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 ただいまの児童への読み聞かせの活動でございますが、区内におきましては、読書活動といたしまして、朝の読書タイム、また朝のお話し会というような形で読書運動をやっている学校がございます。それからまた、地域の方々が学校の中に入ってきて、読み聞かせの会、そういったものを活動している学校もございます。それから、図書館整備という形に重点を置いて、子どもたちが使いやすい調べ学習ができたりとか、図書を読んだりというような形の活動、そういったものをやっております。  また、PTA、保護者等の方々によってチームを組んで、子どもたちへの読み聞かせというような活動をやっております。そういうような学校が主には小学校になりますが、それぞれ学校の事情、子どもたちの状態に合わせて活動しているという状況でございます。こういった活動につきましても、学校の特色、それから地域や保護者との連携という形によってできておりますので、こういったものを支援して、より有効な活動にしていきたいというふうに考えております。 ◆谷逸子 委員 では、中学校、小学校六十四校でございますけれども、読み聞かせや朗読会等を当区では何校実施しているのでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 全体の一斉の調査ということではやっておりませんが、私どもが今つかんでいる活動の中では、朝の読書活動、お話し会というような形でやっている小学校が四校ございます。それから、図書館整備に重点を置いている学校は三校、ボランティア活動として絵本の読み聞かせ等、地域の方々の活動をしている学校が四校ございます。そのほかに、数としてつかんでおりませんが、保護者の方が入ってくる学校、入ってきて読み聞かせをする学校、そういったものもあるというふうに聞いてございます。 ◆谷逸子 委員 実施している学校では、どのような効果が出ているのでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 これらの活動の中で、まず子どもたちが本について興味、関心が非常に高まるということ、それからもう一点は、親しみが持てるということ、それが子どもたちにとっての利点として挙がっております。それからもう一方では、保護者ですとか、地域の方々が入ってきて行う活動ですので、地域の方との交流ができるということ。また、教員と事前に打ち合わせをしたり、準備をするということの中で学校が開かれていくという形もございます。それぞれ教員と児童と、それからまた協力者との間の立場によっての利点があるというふうに考えております。 ◆谷逸子 委員 埼玉県の白岡町立南中学校では、毎朝八時二十五分から十分間、朝の朗読が実施されているようです。埼玉県では、八百三十五校ある小学校のうち三百五十二校、四百二十二校ある中学校のうち百二校で朝の読書が行われています。朝の読書では、漫画、雑誌以外の好きな本を児童生徒が自由に持ち寄り、先生とともに十分間だけ黙読する。感想文などは一切書かない。朝の読書を始めてから一年が経過した段階で、生徒にアンケート調査をしたそうです。本を読むことが大好きになった、少し好きになった、八九%。一カ月に読む本が一冊程度ふえた、二冊以上ふえた、七一%の生徒がふえたと回答しております。また、書店に行く回数がふえた、六一%など、読書に対する姿勢の変化が明らかになってきているそうです。  この時間帯を朝の清掃の時間帯に充てていたが、朝の読書に切りかえてからは遅刻が激減し、その後の授業にスムーズに入れるようになり、学びやとしてもよい雰囲気になった。また、好きな本を選ぶ過程で、生徒の自主性、主体性をはぐくみ、本の登場人物や情景を通して想像力、思考力を養うことができるなどの効果が上がっているそうです。なかなか一人では読めないかなと、今活字離れでございますので、そのように思いますけれども、ぜひ朝の読書運動等を取り入れられたらいいなと要望して、お願いをしたいと思います。  次に、学校トイレについてお伺いいたします。  先日、改修トイレを何校か見せていただきました。まず明るい。また、タイルの中に木材が使われておりまして、とても温かみがあって、ぬくもりが伝わってくるなと、そういう感じがしましたし、仕切りの壁が厚いし、便器も広くてゆったりとしている。また、女子のトイレは大きな姿見がついておりまして、今までとは全く違うトイレだなと。また、ワークショップで皆さんがいろいろと要望されて、みんなでつくったトイレなんだなと、そういう感をすごく深くいたしました。  教育委員会では、学校のトイレ改修を重点事業として取り組んでおられますが、これは当区の財政状況が厳しくなり、学校改築や大規模改修がままならぬ状況で、子どもたちの教育環境を少しでも充実させようとの意図のもとに発想されたのではないでしょうか。これまで学校のトイレは、暗い、臭い、汚いの三Kトイレと呼ばれ、いじめや冷やかしなどの温床にもなってきております。その点で、私はこの施策を大いに評価しております。  今回のトイレ改修では、子どもたちにトイレの出前教室やアンケート調査、ワークショップなどを実施して行われたと聞いておりますが、その結果、昨年秋には改修工事が終わった学校の新しいトイレは各種のマスコミにも取り上げられるなど、大変すばらしいものとなりました。九十六校のトイレ改修の現状と今後の工事計画の予定、また、何年をめどに改修していくのでしょうか、まずお伺いいたします。 ◎岡野 施設課長 トイレは、委員ご指摘のほかに、健康的、精神的な少なからず影響があると言われていることや、学校やPTAから強い要望がございました。平成十年度より検討委員会を設置して、重点事業としてトイレから学校づくりという視点で整備していくことにしました。小中学校のトイレ整備については、今までの学校の大規模改修や部分改修の中でトイレの改修を進めてきましたが、トイレ全系統整備を完了している学校は、改築五校を含めて二十二校になっています。また、残り七十四校のうち改修済みの系統数は百九となってございます。トイレ改修は十一年度から五カ年として、小中学校に最低一系統は整備されたトイレを設置していきたいと考えております。  十一年度は既に十一校改修し、十二年度についても十四校を予定してございます。計画はこの五年間で四十二校、四十九系統を改修していきたいと予定しています。 ◆谷逸子 委員 確かにハード面はよくなりました。では、ソフト面ではどうでしょうか。つまり、教育的な側面はどのように考慮されているのかということです。私は、トイレ改修はハード面だけでは終わらないと考えます。ただ施設をきれいにすればよいということではないと思います。  そこで、お伺いいたします。これからのトイレ改修の進め方ですが、今後も子どもたちの声を反映させて改修していくのでしょうか。子どもたちにトイレの出前教室やアンケート調査、ワークショップなどを実施して改修する方法は大変よい方法だと思います。今後も同じように進めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◎岡野 施設課長 改修計画の実施に当たっては、ご指摘のように、子どもたちの声を続けて取り入れていきたいと思っています。これは、学校は子どもたちにとって学びの場であると同時に生活の場でもある。より楽しい学校生活を過ごしてもらえるようにするためでございます。モデル校を指定したのは、子どもたちの声を生かすためのさまざまな試みをするためでございます。  この中で、トイレ出前教室を実施して、排せつの大切さを知ってもらったり、ワークショップによって、子どもたちにはこんなトイレがあったらいいなと思えるものを考える機会も設けました。また、具体的な意見を聞くためにアンケート調査を実施しました。今後は、これらの結果を踏まえて、明るく清潔な、みんなが親しみの持てるトイレをつくっていきたいと思っています。  このたびのモデル校の改修では、男子からは小便器の間隔を広げたことで、隣からのぞかれなくなったとか、女子からは、姿見を設けたことで、順番待ちの間に髪や洋服を直すなどの声を聞いてございます。いずれにしても、従来より広範に行うためには、趣旨を生かしつつ、学校の実情を踏まえて手法を模索していきたいと考えております。 ◆谷逸子 委員 さて、教育委員会では、十年度からトイレ改修検討委員会を設け、またモデル校を三校指定するなどして、子どもたちを初め教職員、保護者も巻き込んで自分たちの学校づくりという意識を醸成しながら、トイレ改修に取り組んでこられました。トイレの色や形の選択、また子どもたちの意見を取り入れるなど、設計段階から子どもたちがかかわることでトイレに親しみを持ってもらうなど研究し、また発表する機会や場として、これから始まる総合的な学習の時間のテーマとして取り上げたらどうかということです。自分たちがつくったものであれば大切にしますし、また、トイレがきっかけで自分たちの学校全体の環境美化にも関心が広がりますので、教育効果も高いと考えますが、いかがでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 従来の排せつと食ということは、人間の生きる上で最も基本の部分であるということでございまして、それについては、これまでも学校の中では、保健指導、特に養護教諭等が中心になって、排せつの重要性について指導を進めてまいりました。こういった中で、学校のトイレについて、排せつ行為をすることが恥ずかしいですとか、汚いというようなイメージがありましたが、その意識を変えるという形で行ってきたというふうに思われます。  先ほどもありましたように、今回モデル校となった小学校では、トイレについての意識を深めるための学習として、自分たちが色や形、それからトイレ改修の要望等を出してまいりました。こうした自分たちのトイレを考える過程、みずから課題を持ち、みずから学び、みずから考え、主体的に判断して、よりよく問題を解決しようという活動につきましては、これは総合的な学習の時間につながる取り組みであるというふうに考えております。特に、総合的な学習の中で扱う課題の例示としまして、健康という問題があります。みずからの健康の保持、増進にとって、食と排せつというものは非常に重要なものであるというふうに考えております。また、自分たちがアイデアを出し合ってつくったトイレを大事に使うということから、環境美化、環境保護へもつながると考えております。  教育委員会といたしましては、総合的な学習の時間で扱う内容がより豊かになるように、事例紹介、資料提供などを含めて指導助言に当たっていきますが、これらの中にも取り入れていきたいというふうに考えております。 ◆谷逸子 委員 新しいトイレをつくるときだけ子どもたちを参加させるのではなく、これからの維持管理にも子どもたちが参加できないかと考えますし、また、維持管理に経費が余りかかり過ぎるトイレでも困ると思います。この点を要望して、私の質問を終わらせていただきます。 ◆飯塚和道 委員 初めに、教育問題について何点かお伺いします。  世界に例のない速さで少子・高齢化が進む日本が、二十一世紀にも活力ある社会を維持するためには、一日も早い経済の再生が不可欠であることは言うまでもありません。しかし、より根本的には、教育によって有為な人材をはぐくんでいく以外に、日本の将来を磐石にする道はないのではないでしょうか。本来、教育の目的は、一人一人が個性豊かに自分の人生の価値を創造するための能力や人格をはぐくむことにあります。  しかし、これまでの我が国の教育は、戦前は近代国家として欧米列強に対抗するため、戦後は豊かな産業国家として欧米に追いつくために、ともに国家や企業に必要な人材を育成する手段として用いられてきました。その中心が、国家による強い統制のもとで、画一的な知識を教授することを重視する学校教育です。その結果、学校は今日の豊かな日本を築く上で大きく貢献してきたことは事実でございます。しかし、弊害もまた大きく、とりわけ幼少期からの過度の偏差値による選別は、子どもたちの心と体をむしばみ、人と人とのきずなを断ち切り、生きる目的を見失わせております。改めて一人の人間の幸福を追求することが教育の目的であり、一人一人の中にある無限の可能性を開きあらわすことが教育の基本であることを確認する必要があると考えております。区の教育に取り組む基本的な考え方をまずお伺いいたします。 ◎津吹 教育長 新しい世紀に向けて、教育改革をどう取り組んでいくのかというようなお話かと思いますが、これまでにもいろいろ議論をされてまいりました。  まず、全体的には国の分権とか規制緩和、具体的には、教育の関係では地教行法の五十九条の廃止による問題、あるいは学校の自主権とか校長権限の拡大、民間人の校長登用とか、自由学区制とか、いろいろそういうことが取りざたされておりますし、また、中教審あるいは新教育課程でテーマとなっております、生きる力とか、心の教育等を踏まえた新学習指導要領、いわゆる新教育課程の実施、さらには明治の学区制以来初めてという学校完全週五日制、そういう実施を見据えて、やはり従来からの教育のあり方の反省に立った新しい学校教育というものを模索していかなきゃならないのではないかというふうに思っております。  そういうことで、これまでにもお話がありました子どもたちが居心地のいい場所になるような学校だとか、あるいは授業がわかるような学校、そういうような学校づくりを目指したものを具体的に取り組んでいかなければならないんではないか、このように思っております。 ◆飯塚和道 委員 これは、増田委員も代表質問で教育改革について質問されておりますけれども、やはり日本を再生する一番のかぎは教育改革にかかっていると考えております。  石原知事も東京から率先して教育問題に取り組んでいくと。スローガンとして「心の東京革命」を掲げて、次代を担う子どもに対して親と大人が責任を持って、正義感とか倫理観、思いやりの心をはぐくみ、また、人が生きていく上で必然のいわゆる心得を伝えていく、このように東京都は定義されまして、そういう意味では、当区におきましても、これが世田谷の教育改革だと、いわゆる世田谷の教育改革のプランというんですか、ビジョンというか、その辺のスローガンを何か区としては考えておられるでしょうか。 ◎津吹 教育長 現在のところは具体的なスローガンというのはございませんけれども、私は、これまでにもお話ししてまいりましたけれども、義務教育はあくまでも基礎体力、基礎的な知識の習得だというふうに考えております。  現在は、知識力の時代だというふうに言われております。ご承知のとおり、インターネット等で高いレベルの、また膨大な量の情報というんでしょうか、知識が容易に手に入るというか、知られる時代になってまいりました。そういう意味から、もうこれからはお金の力とか権力ではなくて、そういう知識をいかに有用に活用していく時代なのかということが言われているわけでありますが、そういう中でも、自分がそういう知識をいかにうまく活用するか、そういうことが求められてくるのではないかというふうに思います。  高度情報化とか国際化とかと言われている中で、子どもたちがそういう社会にどう生きていくかということが問題なのでありますけれども、そういう高いレベル、あるいは膨大な量の知識をいかに自分なりに活用するかということが求められるというようなことが言われております。それには、当然学習による知識だとかが必要なわけでありますけれども、自分自身で体験した経験、そういうものから勘とかコツとか、そういうものが重視されてくるのではないかというふうに思います。  そういうことで、私は体験学習など、例えば兵庫県でやっておりますトライやる・ウイークみたいな、ああいう取り組みを世田谷でも実践していきたい、このように考えてはおります。特にスローガンとして考えているわけではありませんけれども、そういう基礎、基本を踏まえた義務教育の進展というんでしょうか、取り組みを図っていきたい、このように思っております。 ◆飯塚和道 委員 教育長が自分自身の体験を通してという兵庫県の話、私もこの兵庫県のお話はちょっと聞いたんですけれども、内容は、いわゆる兵庫県に全中学校で三百五十校ございますけれども、二年生を対象に一週間の職場体験を行う、いわゆるトライやる・ウイークというんですね。これはユニークな教育プログラムで、全国的にも注目を集めています。  この内容は、中学生が自分の進路や好みに応じて商店とか工場などに出向いて、いわゆる職業を通じて社会の実体験をする。このキーワードというのは、やはり一週間体験するというのが大事だというんです。最初の一日、二日は声が小さいとか、遅刻するとか、商店とか経営者からかなりクレームがついたらしいんですね。しかし、三日目、四日目になると、いらっしゃいませとか、そういう元気な声が出始めると。接客が非常に上手になってきて、そして五日目あたりから、なかなかやるんじゃないかという評価に変わるというんです。そういう意味で、最低でも一週間体験させるのが望ましいと分析されているわけですけれども、宮城県でも十二年度から、冒険学習というんですか、冒険体験を全県的にやると。また、私はボランティアも非常に大事だと思うんです。  それから、読売新聞に、先ほど出てきました駒留中学校の件が載っていました。こういう内容です。運動会で「中学校を会場に、本園と合同で初の運動会を開き、ボランティア参加した中学生と園児が初めて本格的に交流した」と。「これまで、同じ学び舎の下、共有する玄関であいさつを交わしたり、一部の生徒が分園に遊びに行ったりすることはあったが、『園児が新しい環境に慣れるまで』という配慮から、本格的な交流の場はなかった。今回、分園が初めて運動会を行うことになり、ボランティアとして交流しようと、同中が生徒たちに呼びかけ、男女約四十人が集まった」と。「運動会当日、生徒たちは会場の設営をしたり、かけっこのゴールのテープ係などの裏方や、保母たちの目の届かない所で園児が危険なことをしないように見守ったりした」。その中で中学二年の北川健太郎君は、競技に参加していない間、テントの中で待っている子どもたちのお守りをしたり、子どもたちとすっかり仲良しになった。小さな弟や妹ができたみたいでとても楽しい。先生に言われて最初は嫌だったけれども、参加して本当によかった。また、校長先生も、小さな子どもたちが身近にいることで、優しい心がはぐくまれ、そしてその効果を実感した。来月には家庭科の保育実習を分園で行う。また、来年からは運動会で園児と一緒に参加すると。こういうように読売新聞に、「かわいい弟妹できた!」という題で載っていました。やはり、自分の体験、またボランティアを通しながら、我が党も一貫して体験学習というのは今まで何度も主張してまいりましたけれども、この辺について区のお考えについて、もう一歩お伺いしたいと思います。 ◎中村 教育政策担当部長 お話しのとおり、駒留中の事例からもよくわかりますように、実際に子どもたちが体験して学ぶことというのは、一生残る人間形成の礎だと思います。そういったことで、教育委員会としても、体験学習の場をもっともっと充実できるようにしていきたいと思いますが、各学校の状況を調べますと、それぞれ各学校とも結構いろいろな活動をやっていることも、また反面確かなんですね。なかなか皆さんに全部の学校の状況をご紹介する機会がなくて、意外とその状況が知られていないというところは私どもとして反省はしているんですが、各学校とも意外といろいろな体験学習をやっております。  しかし、体験学習の意義を考えますと、今後さらにそういう機会を充実できるようにしなければいけないというふうに思っておりますけれども、具体的な方法として、一つは、これまでも再三お話が出ておりましたように、来年度から総合的な学習の時間というのがとれるわけなんですが、これは決まった教科書はありませんし、テーマもありません。授業時間も弾力的に使ってやれるというふうなことが可能になってきますので、こういう体験学習等には非常に運用のしやすい授業時間ではないかと思いますので、一つは、こういったことを全校で実施できる環境を教育委員会として整えていきたいと思っております。また、それに伴って必要な費用があれば、特色ある学校づくり予算、これは今年度から各一校三十万円を目安に実施しているわけなんですが、こういったところで各学校の企画に合わせて必要な費用を賄えるようにしていきたいと思っております。  また、できれば学校協議会等で地域と学校が協力してそういう体験学習の活動ができないかどうか、そういったことを学校協議会の場でぜひ検討してもらえるとありがたいなというふうに思っております。 ◆飯塚和道 委員 ぜひこれらの事業を積極的に取り組んでいただきたいことを要望いたします。  次に、文部省の学校基本調査によりますと、年間三十日以上欠席したいわゆる不登校の小中学生が全国で十三万人を突破したと、このような報告をされております。いじめ、不登校、学級崩壊等の問題が深刻化するばかりでございますけれども、数字にはなかなかあらわれない点もあると思いますけれども、区の現況についてはどのようになっているでしょうか。 ◎中村 教育政策担当部長 いじめについては、ここ三年ぐらい全体として件数が減ってきておりますので、いじめへの取り組みがそれなりに功を奏してきているのではないかなというふうには思っております。その反面、不登校については、児童生徒数の全体数が減っているにもかかわらず、不登校の児童生徒数は逆にふえておりまして、これについては、教育委員会としても改めて取り組みを強めていかなくてはいけないんじゃないかというふうに思います。  全体として申し上げられることは、やはり学校に適応できない子どもたちがふえてきているのではないか、一言でそういうことが言えるかと思います。これについては、当然、集団生活の場である、あるいは学習の場である学校に適応できるように、子どもたち自身、あるいは家庭の協力も得なくてはいけませんけれども、また、学校、教育委員会の側も、子どもたちのそうした状況に対して適切に対応できる努力をしていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思います。学校に適応できない子どもたちの状況というのは、今日、複雑な社会状況を反映して、非常にその要因が多様です。したがいまして、子どもたち一人一人に対する対応も画一的なものではなくて、多様な対応ができる工夫を学校、教育委員会がしていかなくてはいけないんじゃないかと、基本的にはそんなふうに考えております。 ◆飯塚和道 委員 区は今日まで他区に先駆けて、ほっとスクール城山、メンタルフレンド、スクールカウンセラー、メンタルアドバイザー等、教育相談事業に積極的に取り組んできたわけですけれども、教育委員会は、これらの事業についてどのように評価をしているのか、その辺が具体的にわかれば教えていただきたいと思います。 ◎井上 教育センター所長 教育相談事業につきましては、スクールカウンセラー派遣事業につきましては、現在、区の独自事業、それから文部省、東京都の委託事業と合わせまして十六校に派遣してございまして、その相談件数としましては、ことし二月末現在で六千九十件、一校当たり三百八十件ほどの相談が出てございます。  その内容としましては、児童生徒からの相談が全体の六割を占めまして、内容的には友人関係や学校関係が主になってございます。また、メンタルアドバイザー、心の教室相談員につきましては、文部省から委託によりますスクールカウンセラーが派遣されていない中学校二十四校に派遣してございまして、その相談件数は三千九百六十一件、一校当たり百六十五件となってございまして、生徒からの相談が七割強というところでございます。  スクールカウンセラーとは違いまして、特に深刻な相談というよりは、よき相談相手、聞き手というふうな傾向が強くなってございます。また、メンタルフレンドにつきましては、不登校で家に閉じこもりがちな児童生徒の家庭に派遣する問題などございまして、派遣数の合計で五件ということになってございます。ほっとスクールにつきましては、二月末現在で四十五人の通所者がございまして、十人ほど学校復帰をしてございます。また、中学三年生が十三人のうち、二月末までに九人の進学が決まりまして、残り四人が進学等に向けて努力してございます。  こうした実績といいますか、成果が上がっておるわけですが、こうした事業を通じて具体的に、例えばいじめですとか不登校の数が減ったというのは現状では出ておりませんけれども、例えばスクールカウンセラーが学校にいることで、子どもたちにとりましては、抱えている不安や悩みを先生に話せないけれども、スクールカウンセラーには相談でき、不安や悩みを解消、軽減できた。あるいは保護者にとりましては、子どもをどのように理解してつき合っていけばよいか、助言してくれる専門家がいることで安心感を持つことができた。教師にとりましては、児童生徒の指導や理解に悩んでいるときに、身近にいるスクールカウンセラーからその場で助言を得られることで、時間的にも心にゆとりを持てるようになった。こうした声を多くいただいておりまして、こうした成果をさらに高めるよう、いじめ、不登校の実態把握に努めまして、事業の見直し、充実を図りながら、より効果的な事業運営を図っていきたいと思ってございます。 ◆飯塚和道 委員 実施計画案によりますと、スクールカウンセラー、十二年度が中学校十、十三年度十八校、十四年度二十六校と拡大するということであれなんですけれども、私は、やはり効果を生む、いわゆる簡単に言えば相談しやすい、こういう雰囲気も大事だと思うんです。それから、ある学校へ行くと、教室をただ仕切って、テーブル一つといす一つと、何か取り調べ室みたいなところもあれば、カーテンをやって、写真をやったり、花を生けたり、本当に家庭的な雰囲気の中で相談すると、やはり先生も、また生徒も非常に行きやすいと。そういう意味で、同じ効果を上げるのであれば、相談室と書いてありますけれども、やはりその辺のきめ細かいというんですか、そういう工夫も私は大事じゃないかと思うんです。  それと、今言ったように、これだけのほっとスクールからさまざまな教育事業をやっているわけですけれども、この辺がやはりばらばらでは……。ある程度情報の一体的な運営も僕は大事だと思うんですけれども、その辺は何か考えておられますか。 ◎井上 教育センター所長 いじめ、不登校にかかわる事業につきましては、これまでスクールカウンセラーやメンタルフレンドの派遣事業等をやってございましたが、これらの事業がやはり単独で行われないように、連携ですとか調整というのをやってございまして、例えばスクールカウンセラーにつきましては、週一回スクールカウンセラー会議を行いまして、この中でスクールカウンセラーから学校の相談状況ですとか、その対応についてスーパーバイザーから聞き取りまして、スーパーバイザーによる助言や指導というのをやってございます。  また、メンタルアドバイザーにつきましては、各学期ごとに連絡会を設けまして、メンタルアドバイザー参加によります、学校における相談状況ですとか、あるいは生徒や保護者への相談の周知方法ですとか、そういったものを意見交換しながら、連絡あるいは調整というふうにやってございます。  また、ほっとスクールにおきましては、教育相談員やあるいは小中学校の校長の代表が参加しまして、ほっとスクール運営委員会を開きまして、その中で学校との連携等をとってございます。そうした連携を行いまして、より一体的な運営、またより効果的な事業運営を進めている現状でございます。 ◆飯塚和道 委員 ぜひまた取り組んでいただきたいと思います。  次に、余裕教室の有効活用についてお伺いしたいと思います。  区はこれまで、平成八年度に制定されました余裕教室活用指針に基づき、防災倉庫、BOP室、さらに従来の発想を超えた新たな余裕教室の有効活用例として、今議会でも駒留中学校の民間保育園の分園が何回か取り上げられました。先日は、TBSの「ニュースの森」でも報道されておりました。我が党としても、中学校の教育へのよい影響を含めて、この施策の先進性を高く評価しております。  ところで、駒留中学校にはもう一つの余裕教室の有効活用の事例があります。同じ校舎棟一階の介護研修室です。介護保険に伴う福祉人材の育成の重要性は理解できるところでありますけれども、駒留中学校の介護研修室もそうした取り組みの一環だと認識しております。施策の具体的内容は福祉保健領域に属するとは思いますが、余裕教室の新たな取り組みでもあることから、その内容について教育委員会としてわかる範囲で伺ってまいりたいと思います。この駒留中学校の介護研修室については、どのような使われ方をしているのか、まずお伺いいたします。 ◎若林 教育委員会事務局参事 今委員お話しの駒留中学の介護研修室でございますが、経緯も含めてお話をさせていただきたいと思います。  その前に、まずこの施設の場所でございますが、いろいろ今回もお話が出ております民間保育園に使っている空き教室と同じ校舎棟の一階にございます。もともとこの駒留中で一階のワンフロアすべてが基本的には余裕教室という形であったわけでございますけれども、いろいろな利用を重ねている中で、民間保育園の部分がまず用途が決まっていた。次に、お話の介護研修室の部分が新しい展開として出てきた、こういう経過でございます。  こういう使い方については、まず庁内で、この駒留中の空き教室を、いわゆる世田谷区における保健福祉人材対策について区民活動グループの育成及び保健福祉サービス提供団体の行う人材育成を支援するため、研修の場として活用する、こういうことが決定してございます。これを受けまして、教育財産ということだったものですから、これを所管しておった教育委員会の方から在宅サービス部、こういう保健福祉人材の育成事業を担当する所管でございます。こちらの在宅サービス部の方に施設の管理を任せる、いわゆる使用承認、こういう手続を踏んでございます。当然この施設は、こういうように教育財産の転用になるものですから、いわゆる文部省からの承認の手続も必要になってまいります。文部省としても、余裕教室の活用については、こういう福祉目的等もかなり推進しているようでございますので、このことについては都を経由して承認をいただいております。こういうことが前提としてあって、在宅サービス部の事業の一環として、こういった福祉人材の研修に使っているということでございます。  具体に使うに当たっては、教育委員会、学校、在宅サービス部、三者がかかわって、使用に当たってのいわゆる取り決め事項、こういうものをつくっております。これは、例えば使う場所だとか、責任の所在だとか、利用の中身とか、期間だとか、通常出てくる施設利用に当たっての基本的ルール、こういうことを定めてございます。  こういう経過の中で、私どもが現在の利用について伺っている範囲で申し上げさせていただきますと、当初の福祉人材育成のための研修の場ということで、主に土曜日を中心に利用をいただいている、こういうふうに伺っております。 ◆飯塚和道 委員 これは十二月の区のおしらせ「せたがや」にこのように載っているんです。ホームヘルパー二級養成講座百三十時間、一月十五日から三月十九日の土、日曜、駒留中学校研修室、七万八千円、実習費、テキスト代を含むと。生活協同組合、東京高齢協世田谷がこの申し込み先になっているわけです。先着四十名ということで、これはざっと計算しますと三百万円に上るわけでございますけれども、この講習をやっているいわゆる民間企業団体というのは、都内に約七十社あると言われております。ふれあい公社なんかはテキスト代だけで八千円ですから、これは比較になりませんけれども、民間の企業、百三十時間、ヘルパー二級、この時間を調べますと、ほぼ約八万円なんです。ビルを借りたり、自社ビルもありますけれども、ところが学校の施設は無料ですよね。この無料の施設で七万八千円、これはやはりいささか高額ではないか、このように思うわけです。  今後も同様のケースが想定されます。今後、区民や活動団体が使う施設の利用を促進するためには、やはり利用に当たってガイドライン的なものを整備していく必要があるんじゃないかと、このように考えるわけですけれども、その辺の見解についてお伺いします。 ◎若林 教育委員会事務局参事 まず、この施設の利用につきましては、先ほど経過をお話し申し上げましたが、まず具体の運営については、在宅サービス部の方が主体として行っておる、こういう現状になっているかと思います。  そういう中で、委員お話しの具体の利用の中身でございますが、詳細については教育委員会としては十分把握していないところがございます。例えば、こういう中で、学校施設を含めた公共施設の利用ということが、これからいろいろな形態が出てくるでしょうし、そういう中で本当に利用の形が広がっていくと思います。そのような形で施設の有効活用ということが第一だというふうには存じておりますけれども、委員お話しのようなところも含めて、これから関係所管で利用の取り決めということはしておるにしても、さらに整理をしたガイドライン的なもの、こういうことも検討していきたいというように思っております。 ◆飯塚和道 委員 教育委員会ですので、これ以上はあれなんですけれども、ぜひその辺の今後のことを考えまして、一定の基準、ガイドライン的なものをぜひ早急に作成していただきたいと、これは強く要望いたします。  次に、学校給食について何点かお伺いします。  四月より用賀調理場の配膳業務及び調理業務が民間に委託されますが、株式会社東洋食品を選定されたと伺っておりますけれども、多数ある対象者の中で東洋食品を選定された、どのような理由からかお伺いいたします。 ◎工藤 保健給食課長 用賀調理場の調理業務の委託業者の選定につきましては、昨年十一月に教育委員会と学校長代表などによります学校給食調理業務委託業者選定委員会を設けまして、さらに調理場長、栄養士などをメンバーといたします調査部会を設けまして、詳細な調査を加えながら選定作業を実施してまいりました。  選定に当たりましては、まず会社規模や千食以上の学校給食の受託実績があることなどの選定基準を定めまして、この基準に合致した九社から学校給食に対する基本的な考え方、また衛生管理体制、それから社員教育体制、さらに用賀調理場の受託に当たりまして、調理実施体制などにつきまして提案書を出していただきまして、さらにヒアリングを実施いたしました。そうした作業の中から、九社から三社に絞り込みを行いました。さらに三社に対しましてヒアリングを重ねまして、慎重に選定作業を進めました結果、株式会社東洋食品を選定したものでございます。  なお、株式会社東洋食品につきましては、会社全体の売り上げに占める学校給食の割合が五割以上と非常に高く、調理場九施設、それから自校調理方式校につきましても七十校以上の受託実績がございます。大量調理の受託実績が豊富であること、さらには衛生管理面におきましても、本社に衛生管理室を設けまして、この中に保健所の食品衛生監視員OBを配置いたしまして、学校施設等を巡回させ、さらにその調理室内の衛生管理状況の把握と現場の衛生指導を実施しているということで、非常に衛生面でも力を入れているという部分がございます。さらに、調理実施体制に無理のない体制を提案している。それから、価格的にも非常に手ごろな価格である。そういった点が高く評価されまして選定されたものでございまして、私どもとしても信頼できる業者であるというふうに考えております。 ◆飯塚和道 委員 初めての民間委託ということですので、万全の体制で、支障がないように取り組んでいただきたいことをお願いします。  区の計画では、十四年度には小学校の業務委託の計画的推進と示されておりますが、この中学校の民間委託もこれからスタートするわけですから、中学校での業務委託をしっかり検証し、慎重に対応を図っていただきたいと思いますけれども、区の見解をお伺いします。 ◎工藤 保健給食課長 学校給食の調理業務委託につきましては、この四月からまず用賀調理場の方に導入を予定してございます。また、本年十二月には、改築が完了いたします東深沢中学校につきましても、自校調理方式への転換を図りながら、委託によって調理業務を実施してまいる予定になってございます。さらに、来年の四月からは、太子堂調理場並びに自校調理方式で実施しております弦巻中学校、希望丘中学校、それから喜多見中学校、さらには新星中学校の二部という中学校四校の調理業務についても委託していく計画になってございます。今後の調理業務の委託導入につきましては、退職者不補充の基本方針のもと、退職者数等を勘案しながら計画的に進めていく予定になってございます。  小学校への導入につきましては、平成十四年度以降に導入する予定になっておりますが、導入に当たりましては、東深沢中学校を初めといたします自校調理方式中学校の委託後の給食実施状況につきまして、学校や保護者の意見も伺いながら十分に検証した上で進めてまいりたいというふうに考えてございます。あわせまして、検証結果の情報提供や委託中学校での試食会を開催するなどの方法を通じまして、保護者の皆さんのご理解をいただくことにも努めながら、円滑に導入を図ってまいりたいと考えております。 ◆飯塚和道 委員 区によってはなかなか民間委託の効果が上がっていないと、そういう指摘をする声もありますので、ぜひ慎重に検討していただきたいことを要望いたします。  あと、小学校の学校給食設備を有効に活用するということが大事だと思うんです。高齢者の配食サービスの拠点として利用を図っていただきたいと考えますけれども、この点はいかがでしょうか。 ◎武藤 教育次長 学校給食施設を利用した配食サービスというものにつきましては、以前も担当課の方と話し合いをした経過はございます。ただ、もともと学校の給食施設はそういうことを想定してつくっていなかったという経過もございますし、人的な問題とか、あるいはスペースの使い勝手等について、担当部の方となかなか話し合いがつかないで今日に至っているというような経過がございます。
     そこで、我々も先ほども申し上げておりますように、学校施設はできるだけ地域の生涯学習だとか、いろいろに転用したいという考え方もございますので、現在、梅丘中学校は、来年度から温水プールだとか、在宅サービスセンターだとか、給食室を新築したりということで計画をしておりますので、その中に配食サービスができるようなそういう計画を、もちろんこれは担当が施設サービス部になりますので、そこと十分協議をしながらモデル的に実施をしたいというように考えております。その結果によって、既存の小学校あるいは中学校でも実施できればというふうに考えております。今後そのような形で進めていきたいと考えております。 ◆飯塚和道 委員 仮に六十校で一日二十食やると、千二百食の配食サービスができるわけです。そういう意味では、すばらしい学校の給食設備の財産を活用すべきだと思うんです。そういう意味で、関連所管とさらに連携を深めながら推進していただきたいと思います。  また、もう一つは、やはり災害時の場合は学校が避難所になると想定されるわけですけれども、阪神・淡路大震災の教訓を生かすためにも、都市ガスの供給が仮にストップした際に、LPガスを用いて給食設備を稼働できる取り組みを推進してはと思いますけれども、お考えをお伺いいたします。 ◎工藤 保健給食課長 世田谷区の防災計画では、学校が避難所として、また自校調理方式の学校給食施設につきましては、炊き出し用の施設として位置づけられております。しかし、今委員の方からお話がありましたように、給食室にありますガス回転がまなどにつきましては、都市ガス専用という形の中で、災害時にはストップしてしまうという状況がございます。  そこで、教育委員会では、ことしからプロパンガスを都市ガス専用器具にも使用できる移動式ガス発生装置というものを五校設置してございます。平成十二年度につきましても五校設置をしてまいりたいというふうに考えております。今後もすべての学校にこういった移動式ガス発生装置の整備をいたしまして、対応してまいりたいと考えております。 ◆飯塚和道 委員 以上で終わります。ありがとうございました。 ○荒木義一 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。    ────────────────── ○荒木義一 委員長 引き続きまして、民主党・無所属クラブ、どうぞ。 ◆稲垣まさよし 委員 まず最初に、教育相談について質問させていただきます。  先ほどの公明党の飯塚委員のご質問の中で、教育相談の効果が上がっているという答弁がありました。その中で、私はスクールカウンセラーについて若干質問させていただきます。  スクールカウンセラーが活動調査研究から制度化されようとしております。これは、現在全国的に大変深刻な問題となっている学級崩壊の問題を解決、防止するためのより有用な手段になると考えられます。そして、今起きている中央集権から地方分権への大きな流れの中で、とても重要な位置を占めていると考えます。学校等の教育の現場で使用する教科書の地方自治体による選択の自由といった問題に直接関係してくる、また大変に重要な事柄でもあります。  実際問題として、最近の新聞社の調べによりますと、八割以上の中学生が、生活の中で一番好きな時間は睡眠の時間であると言われております。私も睡眠の時間は好きなんですけれども、何らかのストレスを抱えていると結果が出ております。  凶悪犯罪の低年齢化が社会的な大きな問題になっている現在、スクールカウンセラーによる生徒たちへの心のケアが最も急がれていると考えます。スクールカウンセラーには的確なカウンセリングが必要なため、専門の知識を持つ臨床心理士を中心として採用されていくことになるでしょう。しかし、例えば日本全国にある中学校に一人ずつのスクールカウンセラーを派遣しようとすると、一万五千人のスクールカウンセラーが必要となり、大変な数の臨床心理士が必要となります。解決策として、各大学において、平成十二年度より臨床心理学科、学部が設置されていきますが、これは残念ながら即効的な解決方法ではなく、これからの数年間はスクールカウンセラーの絶対的な不足が予想されます。現在、世田谷区では、このようなスクールカウンセラーの採用についてどのように考えているのか、お聞かせください。 ◎井上 教育センター所長 スクールカウンセラーにつきましては、現在、文部省や東京都の活用調査研究事業、それから区の独自事業としてスクールカウンセラー派遣事業を実施しておりまして、現在では小中十六校にスクールカウンセラーを派遣しております。  スクールカウンセラーの制度化につきましては、まだ内容的に明らかになっておりませんので、内容が明確になり次第、スクールカウンセラーの配置、採用につきまして検討に入りたいというふうに思ってございます。 ◆稲垣まさよし 委員 内容的にこれから制度化される予定もあり得るということなんですけれども、仮に制度化されるようになれば、スクールカウンセラーの制度を採用されるとしたら、どのくらいの人数をこの世田谷区では採用しようと考えておられますか。 ◎井上 教育センター所長 採用予定数というお話ですけれども、まだ制度化が具体的に明らかにならないと何とも申し上げられない点がございますけれども、スクールカウンセラーの人材確保を最重点に挙げながら、そのスクールカウンセラー事業についての充実を図っていきたいというふうに思ってございます。 ◆稲垣まさよし 委員 例えば、スクールカウンセラーというのは、学校の先生は今、夏休み等があると思いますけれども、スクールカウンセラーも仕事の性格上、夏休みや冬休みといった一般の教員の方々が休みのときとか、そういう仕事が若干少なくなる時期もあると思います。例えば不登校児に対する自宅での集中的なケアとか、そういったものがいろいろあると思います。休みのときもあると思いますが、過酷な労働条件の中で、一人のスクールカウンセラーが担当できる生徒の数には限度があると思うんですが、この点も考慮して世田谷区の方はこれから採用していこうとお考えになっているのでしょうか。 ◎井上 教育センター所長 現在、区で単独で派遣しておりますスクールカウンセラーにつきましては、一人一校、週三回の配置で行ってございますけれども、学校全体の児童生徒の理解を深めるためには、この程度の派遣が必要であろうというふうに思ってございます。なお、文部省や東京都の活用調査研究委託事業におきましては、週一回、あるいは週二回の勤務になってございます。  それでは、一人のスクールカウンセラーで担当できる生徒の数がどれくらいなのかにつきましては、派遣される学校の児童生徒の状況ですとか、あるいは教員のカウンセリング能力の程度ですとか、あるいは教育相談機能の達成度といいますか、そういった状況の中で変わってくるものということで、一概に何人というふうなことは決められないものと考えてございます。しかし、現実には、本区におきましても二、三校かけ持ちでやっているという者もおりますので、一人のスクールカウンセラーで二校程度は担当できるものというふうに考えてございます。 ◆稲垣まさよし 委員 例えば、今、スクールカウンセラー、世田谷区の場合、世田谷区スクールカウンセラー派遣事業、そしてまた、文部省のスクールカウンセラー活用調査研究委託事業、そして東京都のスクールカウンセラー配置事業とありますけれども、現在、スクールカウンセラーは、その扱いが一般の教員の方々と違って非常勤扱いとなっていますよね。これは、アルバイトというか、そういったような感覚になってしまうと思いますが、今後、スクールカウンセラーの社会的地位が、今の段階ですと大変あやふやなものと考えております。その辺については世田谷区ではどのように考えているか、お聞かせください。 ◎井上 教育センター所長 世田谷区で独自にやってございますスクールカウンセラーの派遣事業にかかわるスクールカウンセラーにつきましては、委員ご指摘のとおり非常勤職員でございますけれども、基本的には、非常勤職員でありましても正規の職員と同様というふうに考えてございます。 ◆稲垣まさよし 委員 そして、今現在の世田谷区の状況ですと、非常勤という立場のため、スクールカウンセラーの給与体系といいますと、月額平均二十四万円前後とお聞きしております。これは、スクールカウンセラーの仕事の内容から見ると、確かに週三回八時間とかそういう形なんですが、いろんな仕事、子どもたちを見る、取り囲む立場から考えますと、給与額から見ると大変に少ないんじゃないかと考えます。これは、スクールカウンセラーの生活が、これからもっとこういった子どもたちを何とかしてあげたいと思っている状況を考えると、今後若干検討の余地があるんじゃないかということをお聞きしたいんです。 ◎井上 教育センター所長 スクールカウンセラーにつきましては、高度に専門的な知識、経験を必要とする職でございますので、その報酬につきましては、世田谷区の類似の非常勤職員とほぼ同額となってございます。今後、この報酬につきましては、職務内容と比べ適正であるかどうか、他の区市町村等の実態も見ながら、必要に応じて見直しを図っていきたいと思ってございます。 ◆稲垣まさよし 委員 今お話がありましたけれども、答弁の中で、今現在の世田谷区の財政は危機的状況であると私も認識しております。このために、スクールカウンセラーに対して使う予算が大変に厳しいものなのかなというふうに私も理解しますが、これは言い方が悪いかもしれませんけれども、例えば、学童擁護員の問題が決算等でさまざま取り上げられておりますけれども、その方々の職員体制はちょっと違ってきますけれども、予算なんかを見ると、そういう専門知識を持っているスクールカウンセラーの方に少しはお金を使ってみたらどうかなということを私は考えるんですが、その辺はどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。 ◎井上 教育センター所長 区で財政が引き続き厳しい状況の中で、適正かつ合理的な行政を実現していくために、先般、世田谷区行財政改善推進計画を定めました。教育委員会といたしましても、この計画に沿いまして、事務事業を精査し、その必要性や効果、緊急性を判断しながらスクールカウンセラー事業の充実に努めていきたいと思ってございます。 ◆稲垣まさよし 委員 スクールカウンセラーも特にその実力というか、常に維持していかなければならないと考えるんですけれども、そのためには研修などを定期的に行っていかなければならない、そういうふうに思いますけれども、世田谷区では、今後そういった今現在の数名いらっしゃるカウンセラーに対しての研修等というのはどのようにお考えになっているか、ちょっとお聞かせください。 ◎井上 教育センター所長 スクールカウンセラーにつきましては、毎週一回、スクールカウンセラー全員参加のスクールカウンセラー会議を教育センターで開いてございまして、学校での児童の状況や相談等への対応につきまして、スーパーバイザーが助言を行い、より適正な対応、資質の向上を目指してございます。  また、これとは別に年一、二回の研修会を実施いたしまして、各学校における教育相談の情報の共有化や資質の向上に努めてございます。今後、スクールカウンセラーの資質の向上になお一層努めてまいりたいと思ってございます。 ◆稲垣まさよし 委員 スクールカウンセラーに対して、その仕事の性質上、絶対的な評価基準を設けて評価することは不可能であると私は考えているんですけれども、だからこそ、どこまでがカウンセリングとして認められて、どこからが認められないかケース・バイ・ケースでチェックすることのできる機関が必要と考えますけれども、その辺のチェックするような、そういうのはスーパーバイザーに託すということで考えてもよろしいのでしょうか。 ◎井上 教育センター所長 委員ご指摘のように、スクールカウンセラーの助言、指導が適切であるかどうかにつきましては、先ほど申しましたスクールカウンセラー会議におきまして、スーパーバイザーからの助言、指導によりまして、その判断が適切であるかどうかということを協議調整してございます。また、さまざまな相談のケースにつきまして、検討会などの開催をいたしまして、スクールカウンセラー同士で相互に意見交換をするなど適切な判断ができるように努めてございます。 ◆稲垣まさよし 委員 わかりました。次に、メンタルフレンドについても若干お聞きしたいと思います。  世田谷区では、ほかの区に先駆けてメンタルフレンドというのを、今、駒沢大学だとか、日大、昭和女子大の生徒さんを活用してというか、アルバイトみたいな形でやられていると思うんですけれども、今後、学生じゃなくて、私、この間、岐阜の方にちょっと行ってきたんですけれども、岐阜なんかは、ほほえみ相談員という形で、教員免許を取られて、ただ年齢的には二十代前半ですか、そういった方がメンタルフレンドみたいな形で不登校児に対応しているんです。そういった中で、今後世田谷区としては、学生以外の方にも少しずつ頼るとか、拡大を図ろうと考えていらっしゃるか、ちょっとお聞きしたいんです。 ◎井上 教育センター所長 現在、メンタルフレンドの登録者数は二十一名でございます。その内容としましては、区内の大学の心理学を専攻している学生を中心に集めてございまして、今までもやはり区内の大学の心理学を持っている学科に対しまして、採用についての応募をお願いしているところでございます。  今後、そういった教員の免許を取得されている方もメンタルフレンド等に登録されるような形で、その方向で検討していきたいというふうに思ってございます。 ◆稲垣まさよし 委員 今年度の予算額を見ますと、約二億三千万円、教育相談についておりますけれども、この辺はこれからの不登校だとか、そういった形で、子どもが少ないということも考えられますので、ぜひそういうところにもっと力を入れていただきたいなということを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。  次に、学校の空き教室問題について、先ほども質問があったように、私の方も質問をさせていただきたいと思います。  現在、世田谷区内の小中学校には、生徒数の減少によって使われていない空き教室が幾つもあると思いますが、このような空き教室を寝かせていると言うのも失礼かもしれないんですけれども、全く使っていないといったものがあると思いますが、ほかの関係所管が有効利用を考えるような、そういう連絡体制というのはどのようになっているか教えてください。 ◎若林 教育委員会事務局参事 いわゆる学校の余裕教室でございますが、基本的には区民共通の貴重な公共施設といいますか、財産だろうという考え方を持っております。そういう観点で、庁内に余裕教室活用推進委員会、こういうものを設けてございます。これは、教育委員会だけではなくて、区長部局も含めて横断的にこういう貴重な公共施設である余裕教室の活用の基本方針ですとか計画、この辺を整理していこうという体制をとっております。 ◆稲垣まさよし 委員 例えば、特に小中学校というと、地域の方々にしてみれば、そこに住んでいる人だったら、どこに小学校があって、中学校があるというのが一番わかりやすいところだと考えておるんですが、そういった中で、これからの高齢化社会に対応して、例えばふれあい・いきいきサロン的な、所管は違うと思うんですが、そういったものを考えられているかどうか、ちょっとお聞きしたいんです。 ◎若林 教育委員会事務局参事 委員お話しのふれあい・いきいきサロンですか、こういう介護保険等が適用される中で、寝たきり予防といいますか、いわゆる元気なお年寄りが今後地域で、より生き生きと活動していくことができるためのいろいろな場が必要であると、こういう仕組みの一つだと思います。  現在、学校施設を活用した事例といたしましては、深沢小学校のBOP室を兼用しているものが一つ、それから駒沢中学校でも同様のものがございます。こういう施設はありますけれども、今後とにかくこのような活動のためのさまざまな施設については、関係所管と相談しながら、ぜひ充実をしていきたいと考えております。 ◆稲垣まさよし 委員 それと、今度の組織改正によって、市民団体、NPO団体の窓口が一本化されると。そういった中で、地域に根づいた関係、NPO団体等に対して、そういった、あいている教室を有効に使えるという手だてはないものかなと考えているんですが、その辺についてお聞かせください。 ◎若林 教育委員会事務局参事 まず、余裕教室のような教育財産を学校教育以外の目的で使うということについては、いろいろな縛りとか、約束を外していく必要があるだろうと思います。それと同時に、基本的な計画を立てるということの中で、先ほどの余裕教室活用推進委員会ということがあります。それから、こういう施設の新しい活用について、文部省あたりの基本的な考え方というところがございます。それから、区の中でのいわゆる財産管理という問題でいきますと、こういった教育財産を管理し、違う目的に転用していくための基準とか、こういうものがございます。  そういうような規定をいろいろ総合的に見たときに、委員のお話のあった部分は、いわゆる市民活動団体の活動の拠点といいますか、事務所といいますか、そういったものを学校施設の中で空き教室を使って設けられないかというお尋ねと解釈をさせていただきますと、正直なところ、なかなかそのハードルは高いのかな、課題が大きいのかなというふうには存じております。  そういうことがございますから、先ほど来の利用の事例で申し上げておりますように、まず教育委員会の方から、こういうさまざまな区民への活動をサポート、支援をしている庁内の関係所管、そこに一たん施設運営ということをゆだねる、こういう方法論も一つとっております。そこの中で受けた、例えば先ほどの在宅サービス部でございますけれども、そういうところがいろいろな団体活動、地域の区民間の活動を活性化するためのいろいろな仕組みを組み合わせている、これが現状なんだろうと思います。  それから、やや話が長くなりますけれども、もう一つ、こういう団体も含めて区民の皆さんから大変ご要望いただいているのは、身近なところでの会議室とか集会室、こういうものがあるのであろうと思います。この辺は、現在、けやきネットでいろいろ施設の貸し出しをしておりますけれども、今後とも余裕教室の活用の方策として、地域の皆さんが気軽にご利用いただけるいわゆる開放型の会議室、こういうものも学校内に用意をしていきたい。これについては、学校の方ともいろいろ利用のルールづくりとか、こういうことも含めて相談をしてまいりたいと思っております。 ◆稲垣まさよし 委員 いろいろな面でハードルが高いというご説明がありましたけれども、確かに区民活動をサポートする、そういったような形でできるだけ空き教室をうまく利用できるような状況をつくっていただけたらなと要望させていただきます。  また、新聞ですけれども、いろんな新聞に空き教室の利用というのがいろいろ載っていると思うんですけれども、そういった中で、さまざまなユニークなアイデア、例えば町田市なんかは、昔の農家を再現して授業に役立てるとか、そういったユニークな活動方法が載っていたりするのも見ました。そういったことも、ぜひこれからの子どもたちに、いろいろな教育の現場の中で有効な利用を考えていただければと要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。  一般質問でも私、質問させていただきましたが、BOPだとか新BOPの中に、ハンディキャップを背負った方々、子どもたちが入りたいというお話を何度か聞いております。そういった中で、現在、BOP、新BOPなどに入っている子どもたちというのは大体何人ぐらいいるか、ちょっとお聞かせ願いたいのですが。 ◎若林 教育委員会事務局参事 委員お尋ねの子どもたちの数ということについては、なかなか実態も含めて困難な部分がございますが、世田谷の小学校でいわゆる心身障害学級のある学校というのが十五校ございますが、その学校のすべてにBOPが入っております。ここの学校でのいわゆる障害児のBOPへの参加でございますが、それぞれ学校、保護者、BOPのスタッフ等、いろいろ話し合いをさせていただいた上で、参加回数だとか、それに伴うスタッフの配置とか、そういうことを一つ一つ相談させていただきながら、BOPの方に参加をいただいている、これが一つの状況としてあろうかと思います。 ◆稲垣まさよし 委員 例えば、障害、ハンディキャップを背負っている子どもたちが、これから新BOPが始まるにつれて希望する子どもがふえる可能性もありますよね。そういったときに、ハンディを背負っている子どもたちが、今の段階ではなかなか入りにくい状況があると思うんですが、そういった拡充といいますか、そういった子どもが入れるような条件を整えることが可能かどうか、ちょっとお聞きしたいんです。 ◎若林 教育委員会事務局参事 新BOPにつきましては、十一年度から四校スタートさせておりますし、この十二年四月から十三校新たに加わります。そういう中で、先ほど十五校ほどの心身障害学級がある学校でBOPをやっておると申し上げましたけれども、その半分くらいについて新BOPをスタートさせていただきます。この新BOPの中で、四月からのスタートに向けた準備会を、保護者、地域の皆さんにも参加をいただいて進めておりますが、こういう中で、委員お話しのご要望、課題もいただいております。  私どもの方でとりあえずお答えをさせていただいているのは、四月からのスタートに当たっては、現在のBOPなり、学童クラブなりで受けとめさせていただいている体制からまずスタートをさせていただいて、そこから順次、これは財政的な負担とか人的な負担等もございますし、施設の問題もありますから、一歩一歩課題を解決しながら充実させていただきたい。ただ、こういう問題は非常に横断的といいますか、広がりの大きい課題なものですから、これは以前、議会でもご答弁させていただいたことがあるかと思いますけれども、いわゆるノーマライゼーション理念の実現ということの中で、横断的といいますか、いろんな領域を超えた形での取り組みもぜひ検討していく必要があるだろうかと、こういう認識をしております。 ◆稲垣まさよし 委員 確かにいろんな問題があると思うんですけれども、健常者とハンディキャップを持った子どもたちとの交流をすることによって、新しい教育のあり方というものが見つけられるかもしれないということがあると思います。そういったことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 ◆山口拓 委員 続きまして、質問に入らせていただきます。  今日の我が国は、急速な高齢化の進展等の大きな社会変化の中にあり、個人の生活においても、生活の利便性に伴う運動の機会の減少やストレス要因の増加等の傾向が見られます。児童生徒の薬物乱用、性の逸脱行動等の問題も深刻さを増している状況であります。このような状況の中で、文部省も言っているとおり、人々が心身ともに健康的で活力ある生活を送るために、学校における体育、スポーツの振興、競技スポーツの振興、健康教育の推進等の施策の一層の充実を図らなくてはいけないところに来ていると思います。  区民のだれもが生涯の各時期にわたって、それぞれ体力、年齢に応じてどこでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を築くことが、明るく豊かで、生きがいのある生活を営む上で極めて重要なものであります。このために、スポーツ施設の整備充実、スポーツ指導者の養成確保、各種スポーツ事業を推進し、諸条件の整備について、世田谷区においてもこの振興について積極的に進めてきているところです。その先駆けとして、八幡山小学校の地域体育館を使ってスポーツ教室の開催を始めたわけですが、その実績と申しましょうか、その後どのようになっているのか、お教えをいただきたいと思います。 ◎寺島 体育担当課長 八幡山小学校の改築に伴いまして、第二体育館を建設し、昨年十一月に八幡山小学校地域体育館を建設したところでございます。管理運営はスポーツ振興財団に委託しておりまして、スポーツ教室ということで開催しておりまして、また日曜日につきましては、団体にご利用いただいているという状況でございます。  そのプログラムですけれども、健康体操やキッズダンスなどの体操、ダンス系、それから剣道、合気道などの武道系、それから卓球、ショートテニスなどの球技系など、全部で十五種目行っております。だれでも気軽に参加していただくということから、事前申し込み制ではなくて、施設で直接利用券を購入して参加できる方法をとっております。個人でもいつでも好きなプログラムに参加できるという内容になっております。  利用状況でございますけれども、開設当初は千百人程度でございましたけれども、本年二月には千五百人ということでふえてきております。そういうことでご利用いただいているという状況でございます。  また、年齢層で見ますと、幼児から高齢者まで幅広い方というふうになっておりまして、幾つか例を申し上げますと、健康体操はやはり五十、六十代の女性が中心でございまして、毎回大体三十五名前後。それからショートテニスは小中学生が多く、毎回十五名前後。キッズダンスは小学二、三年生が多く、十から十五名。合気道につきましては、小学生やその父親で毎回十名程度というふうになっております。 ◆山口拓 委員 ありがとうございました。  千五百人の利用人数、そして二歳以上のお子様から高齢者までと、非常に幅広いところで活用されているということでありましたが、この表を見ておりますと、内容が卓球から空手から、なぎなたとか健康体操とか、いろんな分野においてあるわけなんですが、一応各利用人数、利用予定定員というのが定められているわけですが、この定員というのは足りている状況なのか、また、あいている状況なのか教えていただければと思います。 ◎寺島 体育担当課長 やはりそれぞれ教室によって違いが見られるんですけれども、例えば、中でもそれぞれ参加率というのがあるんですけれども、各教室によって参加率が違っているということでございます。特に、ショートテニスなんかは非常に人気がありまして、定員を上回っている状況でございます。今ご指摘にありましたようななぎなたとかは、まだ非常に参加率が悪いというような状況でございます。 ◆山口拓 委員 今お話にあったとおり、多分そうではないかなと思っていたところもあるんですが、生涯学習という観点からも、平成十四年から完全実施になるお話もたびたび出ていました小中学校の週五日制になったときの土日の有効活用、また、スポーツを通じて新しい教育のところで期待が膨らむのですが、今のスポーツの種目ということで考えれば、今後もし区民の皆さんから希望があった場合、来年から実施する場合に、この教科を入れかえたりとか、スポーツの内容を入れかえるということはあり得るのでしょうか。 ◎寺島 体育担当課長 このプログラムにつきましても、現時点では仮のものという形で、今後利用定員とか人員等、参加状況を見ながら再度プログラムについても見直していきたいというふうに考えております。 ◆山口拓 委員 多分そのお言葉を聞くと、ほかの区民の皆様も、それだったら僕も参加してみたい、私も参加してみたいという方が今後ふえてくると思うんです。今後の区としての他の体育館、運動場、または区内の体育施設を活用したスポーツ教室をどのように展開していくのか、区民の皆さんにぜひお教えをいただきたいと思います。 ◎寺島 体育担当課長 八幡山小学校の地域体育館では、尾山台地域体育館を参考にスポーツ教室ということを主体に運営しておりまして、開設後四カ月を経過した時点でございまして、プログラムなどを含めまして、現時点では評価できる段階ではないというふうに思っておりますけれども、参加者からはこういう方式が非常に喜ばれているというふうに聞いております。しかし、先ほど申しましたように、参加者が少ない教室もございますので、地域特性や区民ニーズにこたえたプログラム開発や区民への周知方法などをより検討して、多くの方に参加してもらうよう一層努力してまいりたいと思っております。  また、区民が気軽にスポーツ活動に参加できる機会とか場は重要でございまして、特に子どもたちの体力が低下しているという状況でございまして、さまざまな事業展開をしていくことがスポーツ振興を図る上で重要な課題であるというふうに認識しております。そのためにも、地域バランスにも配慮しながら、今後の学校改築に合わせて、また地域体育館建設の検討を進めてまいります。また、さらに、現在学校の体育館については九十六校すべてを開放して利用していただいているんですけれども、学校の施設につきましても、利用形態など有効利用を図れるように考えてまいりたいと思っております。 ◆山口拓 委員 これまでの経過とこれからの状況を見て、中身の改善、またいいところはとっていただいて、今後区内のたくさんの施設に展開をしていただくことを希望いたしまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。  二〇〇一年度から実現を予定されていたいわゆる三十人学級が、文部省の協力者会議の方で見送りとなりました。本日もたびたび質問で出ておりましたが、理由として、教職員の配置、国の財政状況の悪化から、現状で一律三十人にすると、国も地方も大変な財源負担が生じる。ホームルームの単位を小さくするより、教科、科目ごとの学習集団、単位を弾力化する方が効果的であると。また、非常勤講師をふやせば学習集団を小さくすることが可能ということで、標準の人数を三十から三十五人にすることは見送りにし、一方で、地方自治体が自前の財源を使って独自に少人数学級を進めることは支持をするということで方針を打ち出したわけであります。この少人数化していく、少子化によって自動的になっているというところもあると思うんですが、この方向にある中で、少人数学級をやらないということであれば、新学習指導要領にある単位式だとか、教科選択型という形で今後中学校等が展開をしていく可能性というのはあるんでしょうか、お教えをいただきたいと思います。 ◎中村 教育政策担当部長 教員配置については、これまでもお話し申し上げておりますように、東京都の教育委員会で教員の配置基準を設けておりまして、それに従って教員が配置されるわけなんですが、その際、現行の制度では、選択科目履修のために特別の措置というのはされてはいないんです。例外的にされる場合もあることはあるんですが、今後そういう形で標準的な教員配置の基準をもう少し弾力的に運用することで、そういう選択履修の科目に必要な教員を増員して配置することは可能かなというふうに思うんです。そういったことがぜひ改善されるように期待をしております。 ◆山口拓 委員 単位式とか教科選択型ということで、専任の教師の方がお見えになられて、専門の授業をとることができるようになるという幅の広がりができていくという面ではすごくいいと思うんですが、例えば習熟度別だとか、学習集団単位ということで今後選択をしていくような形ができていくと、平等性だとか均等性ということで非常に不公正な部分が出てくるといけないので、その辺は十分に注意をしていただきたいなというのがあったものですから、質問をさせていただきました。  今後、都道府県の裁量で常勤の教師をふやしたり、非常勤講師の活用の配置は工夫を通じて事実上少人数学級の実現をそういう形で見直していくということになったのですが、区の自己採用で常任の教員をふやすことはできないわけですから、権限の移譲ということを含めて教育改革をしていかなくてはいけないと思いますので、どうか声を大にして訴えていただきたいと思っております。  質問を次に行かせていただきます。  午前中も質問があったんですが、総合的な学習の時間、これについて質問をさせていただきたいと思っているのですが、総合的な学習の時間とは、国際化や情報化を初めとして、社会の変化に主体的に対応できる資質や能力を育成するために、教科書等の枠を超えた横断的、総合的な学習をより円滑に実施するということで設けられた大変貴重な時間だと私は思っているんです。この中で大きな項目として、国際理解教育──国際化への対応ですね。福祉健康教育──心の教育、ボランティア教育。情報教育──情報社会への対応。環境教育──環境問題への対応。生きる力と創意ある教育などに実に幅広く多岐にわたっているわけなんですが、この大変意義のある総合的な学習の時間というのは、どのくらい時間割に盛り込まれていくのか、お教えをいただきたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 総合的な学習の時間については、おおよそ小学校の三年生から行われるわけでございますけれども、概算いたしまして週三時間程度の位置づけという形になろうかと思います。 ◆山口拓 委員 これだけ内容がかなり充実をするし、要求されるものが非常に大きくなってくるわけです。週三時間ということなんですが、各教科等の領域を超えた横断的、総合的な時間であって、すべてが必要であり、また重要な項目だと思うんです。各学校に裁量を与えて、その授業の内容やカリキュラムの編成も組んでいくということなんですが、各学校でそれぞれをやるということになってくると、当然各学校のバランスというものが必要になってくると思うんです。今後そういった指導体制というのでしょうか、バランスはどのようにとられていくのか、何か工夫がありましたらお教えをいただきたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 今ご指摘のとおり、総合的な学習の時間につきましては、文部省の方から内容について一律に示すということはございません。したがいまして、学校の創意工夫と責任のもとで実践していくわけでございますけれども、バランスをとるとか、実際の教育効果、そういったものを維持するために、今現在、区の中の奨励校ですとか課題校、それから校内研究の推進校、そういったところで研究しているもの、それをまず区が共有化するという形をとっております。  一方で、総合的な学習の時間の実践事例集、そういったものを私ども教育委員会の方で作成いたしまして、全教員に配付してございます。そういった活動の中から、どういったものが学校の実態、地域の実態、子どもの実態に一番合っているかということを見ながら、お互いに情報を共有しながら進めていきたいというふうに考えております。 ◆山口拓 委員 研究奨励校だとか課題校が既に決定をして研究が進められているところだと思うんですが、例えば中学校で言えば、問題解決能力の育成、みずから学び考える力を養うという点から考えていくと、例えば学校で学んだことを学校同士で発表し合うような交換交流学習みたいなものがあっても非常にいいと思うんです。ほかの学校ではどういうことを総合的な学習の時間でやっているのか、また、自分のところでは実践でこういうことをやっているんだよというものを相互に子ども同士が話をする場があると、社会における自分たちの場所というのがわかってくるんじゃないかなというので非常にいいと思うんです。  先日、新聞で拝見をしたのですが、北沢中学校で六十四人の生徒さんが職場体験学習をしたというのを拝見いたしました。社会を経験し、仕組みやシステムを地元の商店の役割や存在価値を感じたり、非行防止、自分の将来の方向性を見出したりと、生き方を考えるという点から考えても非常にメリットが多い取り組みだなと感じました。ほかにも、このように総合的な学習の時間の先駆けのような学習というのは、何か取り組みとしてあるのでしょうか、お教えをいただきたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 総合的な学習の時間につきまして、ただいまの北沢中学校の例が挙がりましたけれども、地域によっては小学校の四年生ぐらいでも職場体験といいましょうか、地域の商店街に参加して、小学生ですからお手伝い程度という形にはなろうかと思うんですけれども、そういう体験をしている学校もございます。  それから、例えば地域の高齢者と一緒にゲートボールをするとか、そういった交流を図っている学校、それから公共施設等へ行ってボランティア活動をする、そういう活動で実際の取り組みをやっている学校もございます。また、地域の自然ですとか施設を研究して、パソコンを使ったりとか、模造紙を使ったり、発表をして交換し合うとか、そういう活動もございます。先ほど申しましたように、とにかく内容が確定しておりませんので、それぞれ研究を進めながら、よりよいものにしていくということで行っております。 ◆山口拓 委員 今お話もあったんですが、今後なんですけれども、クラス単位ということだけではなくて、学年ということで一斉に取り組みをしていくことを考えていただきたいと思っております。学年担任の先生方の特技や得意分野を生かしていただいて、TTを取り入れるなど、生徒の課題意識や学習意欲にこたえていただきたいと思いますし、教師の先生方に限らず、地域の方々やお医者さん、農家の方、あらゆる技術者の方々など、専門の先生方に教師の補佐役として授業に参加をしていただくのがいいと考えております。まだまだこれから評価をどのように出していくのかなどさまざまな問題があると思うんですが、学校のカラーが出せる、特色のある学校づくりのかなめとなると思っておりますので、期待をいたしております。よろしくお願いいたします。  今、総合的な学習の中で情報教育についてお話をしたんですが、この中から一つ質問をさせていただきたいと思います。  今定例会の区長の招集あいさつの中にも、児童生徒の情報社会に対応する能力をはぐくむため、小中学校でインターネット等を活用した教育活動を計画的に進めていくと方向を打ち出したわけですが、予算を見ても、二八七ページをごらんいただくとわかると思うんですが、三億七千九百六十三万二千円の──昨年が四千六百万円程度でしたから、大幅アップの予算がつけられたわけであります。  ここで一つ質問なんですが、教育ネットワークの整備、小中学校全校のインターネット設備以外でコンピューターにかけていく予算というのはどこかで組まれているのでしょうか、お教えをいただきたいと思います。 ◎幡野 学務課長 情報教育関連で、この二八七ページの約三億八千万円のほかに、小中学校のそれぞれ運営費の中にパソコン用の消耗品、それからソフトが、一校当たり小学校で二十四万円、計で約千五百万円になります。それから、中学校につきましては、一校百二十六万円、約四千万円になりますが、これが含まれております。そのほかに学校の校務用パソコンのリース料ですけれども、小学校で約八百五十万円、それから中学校で約七百万円、これが別に学校運営費の方に予算計上されております。 ◆山口拓 委員 この数字を見てもわかるんですが、区として今後の力の入れようというのが物すごく感じられるわけなんですが、教育ネットワークの整備、小中学校全校のインターネット接続を目標とされていって、平成十二年の学習指導要領の改訂で、中学校では技術・家庭科において情報とコンピューターを必修として平成十四年から実施されるわけです。また、教育用のコンピューターの整備については、地方交付税が国としても措置をして与えるというようなこともあって、今後国を挙げてのインターネット事業、情報教育の事業になっていくと思うんです。  コンピューターに対するとらえ方がこの数年で飛躍的に変わってきたわけなんですが、区として、教育とコンピューターの関係のとらえ方についてどのようにお考えかをお聞かせいただきたいと思います。 ◎神取 教育指導課長 ただいまご指摘がございましたように、現在の、これからの時代も含めまして、情報化や国際化など社会の変化が激しく、今後もますますコンピューター等、情報機器が日常生活の中に入ってくるということが予想されます。そしてまた、いながらにして世界じゅうの情報がとれるようになるという時代でございます。こうした社会の中に主体的に対応して、たくましく生きていく子どもたちを育成するために、コンピューター等を活用して情報を適切に判断したり、処理したりする能力、こういったことを身につけることが学校教育の中でも必要になってくるというふうに考えております。  おおむね義務教育の中では、小学校においては、これから総合的な学習の時間や各教科の学習を通しまして、コンピューターの特性を生かして学ぶ楽しさを味わわせたりする学習を展開して、学習効果を高めるということと、自然な形でコンピューターになれ、理解につなげるということが期待されます。  中学校におきましては、コンピューターを思考の道具としてとらえまして、コンピューターの持つシミュレーションや情報収集、情報検索等、各種機能を各教科の学習に取り入れるとともに、それらを通してコンピューターに対する知識や理解を深めて、例えば技術・家庭で電子メールの利用ですとか、インターネットの活用、情報モラルの習得、それから情報を適切に活用する基礎的な能力を育てるというようなことが学校教育の中で必要かと思われております。  具体的に小学校、中学校で、それぞれ小学校における総合的な学習の時間、そういったところでコンピューター操作を活用して、地域社会の調べ学習を行ったり、中学校ではインターネットを活用して世界各地の情報を検索して、グループ研究に使うとかということを行っております。いずれにしろ、コンピューターにつきましては学習の道具であるということでございますので、活用の仕方や工夫、そういったことによって子どもたちの表現活動、知的活動を充実させるということ、それと、人と人との結びつき、それから学習空間を広げたり、時代が求める新たな学びを生み出すということが期待できると思います。  各学校においてコンピューターを利用することで、いわゆるどのような子どもの育成を目指すのかということを考えて、共通認識のもとに情報教育を充実していくということが学校の指導の中で必要かと思っております。そういった視点で、今後コンピューターを活用しての学習を深めていくということで進めていきたいというふうに考えております。
    ◆山口拓 委員 コンピューターのとらえ方という点で考えると、非常にいろいろなお話を聞けたわけですが、確かに便利便利というわけですし、インターネットという言葉が、この予算書を見ても、教育指導要領を見てもたくさん出てくるわけですが、インターネットとかメールというのは、僕に言わせると、あくまで趣味の範囲内のものだと思うんです。子どもがコンピューターになれ親しむとか、使い方を覚えるとかということで考えれば、それは多分一回、二回使えば覚えると思いますし、恐らく学校で教える範囲内なのかなと。例えば、じゃ、世の中にはんらんをしているから携帯電話の使い方を教えるのか、必要であるから電話の使い方を教えるのかというのと同じことだと思うんです。  何を言いたいかというと、あくまで図書と同じような扱いにしていく必要があるんじゃないかと思うんです。例えば、インターネットで、先ほども情報モラルの習得ということもありましたけれども、インターネットには確かに見なくていいものもたくさんあるんです。だけれども、あければ絶対に見れるんです。だれだって見れるし、皆さんも経験があると思うんですが、非常にそういうものが多くて、あともう一点は、この中でも多分コンピューターに対する嫌悪感がある方はたくさんいると思うんですが、使える人には物すごく便利なものなんですけれども、使えない人にすると、これほど苦痛の産物はないんです。僕もやっとの思いで覚えたわけなんですけれども、苦痛の産物なんですね、済みません。  使い方次第で幾らでも便利にも使えるし、やり方次第でどうにでもなるものだと思うんですが、本当に学校でプログラムから教えていくものなのか、道具として活用していくものなのか、共通の哲学を先生方で持って取り組んでいかないと、本当にこの先取り組んでいく上でコンピューターの教育というものが変わっていってしまうと思うんですが、その辺の共通の哲学というのは何か持っていくんでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 先ほども申しました中に、あくまでもコンピューターにつきましては、教育の学習の道具という形で、一つの学習の手段としては大いに活用できる。それから、そこから子どもたちが興味、関心を持って学習に取り組むということでは期待できる部分が多々あると思います。また、コンピューターそのものを詳しく学習したり、プログラミングしたりするという活動については、高等学校以上に、また選択に分かれて、自己選択のもとにより、専門的に学びたい生徒が学ぶという形も考えられます。  したがいまして、コンピューターだけを教育の中で教え込むということではなくて、いかに活用して人と人との触れ合いですとか、それから人間性を高めるかということが学校教育の中の哲学であるというふうに考えております。 ◆山口拓 委員 想像がつく弊害として、どうしてもコンピューターに向かいがちになってしまう子どもの問題だとか、社会で出ているモラルの問題であるとか、さまざまな問題が想像がつくわけですが、そういった問題が今後学校のコンピューターを通して発生することがないように、抑制をしていっていただきたいと思います。  また、もう一点質問なんですが、予算はたくさん計上されていて、新しいコンピューターを購入されるのか、リースされるのかわからないんですが、今後、世田谷区内にある多くの企業や大学、研究所などで機種の入れかえが激しいところ、そういうところからもし提供があるとすれば、中古を取り入れて活用していくという気持ちはあるでしょうか。 ◎中村 教育政策担当部長 そういったことは時々新聞報道等で見かけるんですが、現実には、今のところそういった話が来ておりませんので、私どもとしてもそういう報道をどういうふうに受けとめていいのか、ちょっと戸惑っているところはありますけれども、なかなか機種の入れかえというのは、新しい時代の流れに応じた性能を持つ必要がありますので、仮に中古品を受け入れるかどうかを検討する場合には、十分その辺を考慮する必要が出てくるだろうなと、そういう気持ちはいたします。 ◆山口拓 委員 中身の問題で言えば、幾らでもバージョンアップなんてそんなに大変なことじゃないと思いますし、買うことを考えれば幾らでもできると思うし、子どもが使うということで考えれば、やっぱり壊すことだって当然あって当たり前だと思うし、いろんな可能性を考えて、常に新しい機種ということで考えたって、メモリをふやしたり、OSをかえればいいことなんですから、対応よくやっていただければなと思います。  以上で質問を終わります。 ○荒木義一 委員長 以上で民主党・無所属クラブの質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後四時三十分休憩    ──────────────────     午後五時開議 ○荒木義一 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  日本共産党、どうぞ。 ◆桜井稔 委員 まず、二十一世紀に生きる子どもたちへの教育はということで、最初に教育長に伺います。  教育基本法の第一条に、「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」ということが書かれております。教育というのは、人間の精神を含んだ人格全体の形成にかかわる極めてデリケートで複雑な文化の営みだと思います。だから、教育的な働きかけ一つ一つに細心の注意が払われなければならないと思いますが、二十一世紀に生きる子どもたちの教育ということで、教育長、大きな観点からありますでしょうか。 ◎津吹 教育長 お話しのとおり、教育の場は、人間の人格形成を指導するという重要な時期でもあります。それと、子どもたちは非常にやわらかな感性というのでしょうか、そういう時期でもございますので、公平、公正で、あるいは正義といったようなものを指導する際には、慎重にというか、そういう思想を持って指導に当たらなければいけないというふうに思っております。  また、二十一世紀ということでありますけれども、先ほどからもお話ししておりますが、私は、義務教育の課程はあくまでも基礎、基本ということに中心を置いて指導すべきものだというふうに思っております。そして、午前中にもお話し申し上げましたけれども、人間として生存するには、やはり一人ではなかなか生活できないということでございますので、ある面で社会的なルールというのでしょうか、そういうことを培っていかなければならない、そういうことを踏まえて指導していく。これだといった決め手というものはなかなかないというふうに思いますので、誠実に着実に指導要領に従った指導を行っていかざるを得ないかなと、このように思っております。 ◆桜井稔 委員 教育基本法の中でも真理と正義を愛すると言われていますように、今、人格形成の問題、そういうときに、まずここで伺いたいのは、子どもたちに歴史の真実を教えるということにつきまして入っていきたいと思います。  歴史教科書の問題について伺いたいと思います。  まず、特にこの歴史教科書の中で論争になっていると申しますか、南京大虐殺の問題、特にこれは中国で、民間人も含めて二十万人が虐殺されたものでありまして、極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判で決着がついております。  幾つか紹介します。この東京裁判での証言ですが、人々は川の堤の上に点呼を受けるために行くように言われ、川の堤防の上に男女が整列していると、トラックが機関銃を据えてやってきた。トラックの中の日本兵は人民に向け発砲した。十五人ないし二十人の兵士が各トラックに乗っていた。また、軍刀を持った日本軍将校が一人ずつ各トラックに乗っていた。私は発砲された人々のところから約四十フィート離れた炊事場にいました。この惨劇は一時間ほど続いた。私が見ている間に機関銃で撃ち殺された人々は一万人はあったと思う。証言であります。  もう一つ。日本軍入城後、まさに退却しようとする国軍(中国軍)及び難民の男女、年寄り、子どもも含め合計五万七千人を幕府山付近の村に閉じ込め、飲食を断絶された。凍死、餓死して死亡する者が大変多かった。一九三七年十二月十六日の夜間に、生き残った者は鉄線で二人を一つに縛り、四列に並ばせ機銃でことごとくこれを掃射し、さらにまた銃剣で乱刺し、最後には石油をかけてこれを焼いた。焼却後の死骸は皆、揚子江の中へ投げ入れられた。  最後、一九四八年十一月十一日に、極東国際軍事裁判の判決ということの中の一部ですけれども、後日の見積もりによれば、日本軍が占領してから最初の六週間に、南京とその周辺で殺害された一般人と捕虜の総数は二十万人以上であったことが示されている。これらの見積もりが誇張でないことは、埋葬隊とその他の団体の埋葬した死骸が十五万五千人に及んだ事実によって証明されている。これらの団体はまた、死骸の大多数が後ろ手に縛られていたことを報じている。これらの数字は、日本軍によって死体を焼き捨てられたり、揚子江に投げ込まれたり、また、その他の方法で処分された人々を計算に入れていないのであるということであります。  民間人も含めた大量の虐殺を行った日本軍のこの蛮行ですが、このことに目をふさいではならないと思います。こういう南京大虐殺の問題など、真実を教えることが大切と思いますが、その辺の考えはどうでしょうか。 ◎中村 教育政策担当部長 先ほども答弁を少し申し上げたところがございますけれども、歴史教育の目的というのは、授業を通じて生徒一人一人が歴史的な各時代の特色をとらえて、真実に基づいて物事をとらえ、判断しようとする能力を身につけると。また、日本の歴史を学ぶことによって、これから自分が日本の社会にどういうことを貢献していけるのか、そういうことを考えさせるというのが終局的な目的かと思いますけれども、そういう歴史教育を行うに際しては、生徒の心身的な発達段階を踏まえて、その上でさまざまな意見があることを含めて指導することが大事かなというふうに思います。  公正で偏ることのない指導という観点から歴史教育を行う必要があろうかと思いますけれども、その際、学習指導要領の趣旨、そういったものを十分に踏まえて、国民として必要な最低限の基礎、基本を身につけるための知識を生徒たちに伝えるんだ、そういう観点から授業に当たっての指導に臨む必要がある、このように考えております。 ◆桜井稔 委員 中国人は、今なおこのことは忘れていません。本当に日本人が、こういう事実があった、こういうことがあったということをやはりつかんでいく、この歴史の真実をつかむということが大変大切でありますので、このことは真実を教える、そういう教育をお願いいたします。  そのことと関連しまして、次に、教科書採択問題について移ります。  日本の侵略戦争の事実や南京大虐殺や、また従軍慰安婦の問題など、旧日本軍の残虐行為、また戦争犯罪を教科書に記述するのは自虐史観という考えのもとに、新しい歴史教科書をつくる主張運動があります。その方々は、新しい歴史教科書として、二〇〇〇年四月に文部省検定に申請を行い、検定を通して新しい中学の歴史教科書にするというふうにしております。そして、二〇〇一年七月、その教科書採択のときに、この歴史教科書が採択されるために、今、各地で現行の教科書採択制度の変更を求めるということも主張しております。  その方々の一人は、雑誌でこういうふうに述べております。かつては日教組、そして今日は出版労連、歴史教育者協議会などの影響力が現場教師の頭を支配しているために、自虐史観の教科書が採択され、ふえ続けてきた。教科書から自虐史観そのものを排除できるシステムがある。それが教科書採択である。自虐史観の教科書を採択しなければ、結果的に自虐史観は教科書から追放されることになると雑誌で述べております。今の歴史教科書を自虐史観としてその教科書を採択させない、その採択のシステムそのものを変えるとしております。  ここで伺いますけれども、今の教科書採択制度の変更がこういう主張に左右されてはならないと思いますが、その点はいかがでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 ただいまの偏った一部の意見に左右されないようにというご指摘かと思いますが、私どもで教科書採択につきまして変更というよりも、新たに世田谷区のやり方というものを現在考えているところでございます。それにつきましては、文部省、東京都からの指導ですとか、そういったものについて教科書の調査研究を十分に行った上で採択をするようにということで、公正の確保ということを言われております。それと、現在二十七市の中で行われております教科書採択のやり方等につきましても参考にさせていただきながら、教育委員会として、公正で責任が持てる教科書採択をしていきたいというふうに考えております。したがいまして、これから変更ということじゃなくて、新たに世田谷区に合った採択の方法は何かという形で検討していきたいというふうに思います。 ◆桜井稔 委員 ぜひ責任ある取り組みをお願いします。そして、そもそもの教科書採択制度のあり方、そのことについて聞いていきたいと思っております。  学校教育では、資料のプリントや副読本などを多数使用しますが、教科書は学校教育の教材の主たるものであります。ですから、教科書がどうあるべきかということとともに、学校教育の内容はどうあるべきかということも一体であると思っております。ですから、まず最初に、学校教育の内容、学校教育課程をつくる、その基準ということについてから伺ってまいります。  そちらからも資料でいただきました東京都公立小学校教育課程編成基準資料というやつです。この中を見ますと、「教育課程の編成及び実施」の「教育課程の編成者」というところを読みますと、「学校は、法にかかげる教育目標を達成するために」──これは先ほど言った教育基本法などだと思うんですが、「適正な教育課程を編成するものとする」と。また、「各学校においては、法令及びこの章」──これは学習指導要領です──「以下に示すところに従い、児童の人間として調和のとれた育成を目指し、地域や学校の実態及び児童の心身の発達段階や特性を十分考慮して、適切な教育課程を編成するものとする」ということであります。先ほど言ったのと同じであります。  この編成の中にもう一つ、「各学校において編成するということは、学校の長である校長の責任において編成するということである。学校は組織体であるから、教育課程の編成は責任者である校長を中心にして全教師の協力の下に行わなければならない。そのためには、全教師が教育課程についての共通理解をもつとともに、研究を重ね、積極的に教育課程の編成に当たることが大切である」ということであります。  そのほかに、「教育課程編成の原則」の中では、「児童の実態把握」とか、「学校、地域の実態把握」ということも考慮するということも書かれておりますし、もう一つ、「学校教育の目標」ということで、「次の観点から検討を加え、具体的、実践的なものとなるようにすることが大切である」ということの中に六つのことが書かれているんですが、一つ目は、法の教育の目的、学習指導要領に示された教科というものであるということと、そして二つ目が、教育委員会の方針に従っているということ。三つ目が、先ほど言いましたように、児童の発達段階や地域の実態というものに即したもの。四つ目が、校長を中心とした全教師の考えを反映した主体的な取り組みのもの。五つ目が、継続的な指導ということや、六つ目が評価の問題です。  ここに書かれているのは、簡単に言えば、各学校の 教育課程の編成と授業をどうつくっていくかという内容は、一つは、児童や学校、地域の実態を把握するということと、二つ目が、校長を中心にして全教師の考えを反映し、全教師の調査研究、参加のもとと。ちょっと順番が変わりましたが、学習指導要領の教科に沿うということでありますが、この中身で、今後、世田谷区は教育課程編成の区移管が行われます。この考え方は貫いていくのかどうか。もちろん基準の資料ですが、そういうことではいかがでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 今委員がご指摘のとおり、学校における教育課程というのは、校長の責任のもとに、学校教育の目的ですとか目標、これを達成するために教育課程に関する法令に従いまして、各教科、道徳、特別活動、来年度からは総合的な学習の時間、こういったものについて、教育内容を児童生徒の発達段階に応じて授業時数との関連において総合的に組織した教育計画であります。  この学校教育というものは、公の性格を持ちますので、一面では全国一定の水準を保つということで、そういった教育の機会を国民に保障する必要があります。教育課程の編成に当たっては、先ほども申しましたとおり、法令及び学習指導要領の定めに従うということになってまいります。  平成十二年度から区教育委員会が行う教育課程の受理ということになりますが、受理というのは、学校が届け出たものを単に到達したということではなく、各学校の校長が表示した行為、要するに校長が作成した教育課程、これが教育委員会として有効な行為であると認める行政上の行為であります。  したがいまして、受理する際の配慮事項というのは、先ほども議員が概略をおっしゃったように、おおよそ都や区の教育目標を踏まえているかとか、学校の教育目標や指導の重点が児童生徒の実態に応じて地域のことを考慮しているかどうか。それから、時代や社会の発展に即しているか。それから、公立の学校としての基盤に立ち、特色ある学校経営が行えるように創意工夫されているか。また、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間の授業時数の配当が児童生徒の個性を生かした能力の伸長を図れるよう配慮されているか、また調和が保たれているかということ。それから学校行事の計画に当たって、年間授業時数を十分確保した上で精選し、児童生徒に行事への参加の喜びや成就感を得られるように工夫されているか。そういったものがおおよそ挙げられるかと思います。  世田谷区の教育委員会といたしましては、区の特色や学校の特色、そういったものを出しながら、児童生徒の個性の伸長を図れるように学校を指導していくという方針でありますので、現在東京都でやっております編成の資料等を踏まえて示していきたいというふうに考えております。 ◆桜井稔 委員 教育の内容はそういう方向だと思うんですが、この教育課程を編成するプロセスというか主体の問題について、先ほども言いましたように、校長が責任を持つということでありますが、この中身によりますと、全教師の調査、研究、参加ということがなければならないという中身なんですが、その辺はそれで間違いないですね。 ◎神取 教育指導課長 学校というのはやはり組織体でございますので、校長の指揮監督のもとに、全部の教員が組織的に教育課程の編成についても調査研究、または意見を述べて、その中で校長が判断して教育課程を編成するということになります。 ◆桜井稔 委員 そのとおりだと思うんです。教師が主体的な取り組みによって現場で子どもたちに教えるということが基本でありますから、やっぱり全教師の調査、参加、協力というのは当然だと思うんです。  そのことを前提にしまして、先ほど言いました教科書の問題ですけれども、先ほど学校教育の教材の中心が教科書であると言いましたが、教科書の採択のあり方そのものも、この各学校の教育課程編成の考え方が反映されているということについて言いたいと思います。  教科書採択制度の流れは、もうご存じのように、戦前の国定教科書の反省から、まず初めは、戦後すぐは各学校ごとの自由な採択制度から行われました。その後、一九六三年で義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律というのができてから、今の教科書の採択制度になりました。これはご存じのように、文部省の検定を受けた教科書という問題や採択権が各学校から教育委員会に移った。そして、四年ごとに検定、採択を周期的に繰り返すということであります。  この教科書採択制度の最近の流れなんですけれども、九七年九月十一日に文部省通知というのが出ております。ちょっと紹介します。「公立小中学校における教科書採択については、行政改革委員会『規制緩和の推進に関する意見』においても、別添のとおりに提言されています」「各都道府県教育委員会においては、上記調査結果を参考の上、行政改革委員会の意見の趣旨を踏まえ、地域の実情に応じ、教科用図書採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善など教科書採択の在り方の改善に」努力されたいと。その後に、市町村の教育委員会にも指導されるようにということが文部省通知であります。  先ほど言いました、その中で紹介されている行政改革委員会の内容ということはどういうのかというと、これは九七年三月二十八日に出ているんですが、こういう内容であります。「学校教育の多様化、個性化の要請の中で、学習指導要領の大綱化により、学校や教師の創意工夫による多様な教育課程の編成が可能となっている。しかし、教育課程の多様化の効果を実際に子どもに及ぼしていくためには、主たる教材である教科書が教科書検定制度の一層の透明化等により実際に多様化することに加え、各学校において教科書が選択できることが必要と考える」が、現在はこの共同採択制度がとられていますと書いてある。この共同採択制度の中身が行われる理由ということで、これは、その「採択地区内の教員による教科書の共同研究や教員研修を可能にするとともに、多くの教員による調査研究に基づく綿密な採択や教科書の迅速かつ確実な供給などの面で利点がある」ということであります。  あともう一つは、「現在においても、私立の小中学校においては、各学校の教育課程に合わせて学校単位で採択が行われている。公立学校においても学校単位で自らの教育課程に合わせて教科書を採択する意義をより重視すべきであり、将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく」、そして法的整備も含めて検討していくべきであるということであります。  これが最近の九七年の文部省通知の考え方であります。ここに書かれているのは、将来は学校単位の教育課程に合わせた教科書採択。今の共同採択制度の中では、いい利点としては、多くの教員による教科書の調査研究がありますということであります。  これは先ほども言いました教育課程の編成、学校での教育課程をどうつくるかということでの校長を中心とした全教師の調査、研究、参加ということとも一致しているんです、この採択制度の考え方、方向が。これは、こういう現場の教師の意向が尊重されるということが教科書採択では求められるということと思いますが、この意義を区はどうとらえているでしょうか、伺います。 ◎神取 教育指導課長 教科書採択に際しましては、教育委員会の責任と権限のもとにできるようにということで、その調査研究におきましても、仮称ではありますけれども、選定委員会ですとか調査委員会、そういったものを設けるということも考えられます。現在、それについては要綱の整理に入っているわけでございますが、そういう中で、学校の教員の意見、それから学校の校長の意見、そういったものも十分に聞けるような、そういう制度をつくっていきたいというふうに考えております。したがいまして、一部のものだけではなく、専門家としての教職員の意見等も取り入れるという方向は今後取り入れていきたいと考えております。 ◆桜井稔 委員 教員が主体的に教育に参加していくということの基本で、教科書採択でも調査研究の意見を反映させるという仕組みを、ぜひ世田谷区の教科書採択制度でも考えていただきたいということを述べておきます。  次の問題に移ります。  次に、子どもの権利保障の一つの試みとして思っているんですが、区が出しました中学生教育委員会の報告、これは、私自身は子どもの意見表明の一つとして大変評価しております。  昨年の七月に行われたものであります。この中に感想が書かれているんですけれども、終わってみての感想で、とても楽しく、これからも続けてほしいというのが多数であります。学校でも先生方とこうした会が開ければよいと思う。そうすれば、先生と生徒の連帯感が増し、学校がもっとよくなると思う。学校でもやって、生徒と先生の距離を縮めてほしいと思ったと。教育長の感想が書いてありますが、私の大きな財産となりましたということが書かれております。  内容についてたくさん書かれております。学校の校則、不登校、いじめ、給食、学校施設、親の問題、授業と先生の問題についてというふうに書いていますが、紹介したいのはこの授業と先生についてですけれども、授業について、授業中男子がうるさい。後でおまえらむかつくんだよと言われるのがわかっているので、女子も注意をしない。先生が注意しても聞かず、声が通らなくなるので、先生は前の席の人たちだけを相手に授業をしている、何とかしてほしいという率直な声であります。男子は、女の先生だと無視状態で授業にならないときも時々ある。どうしたらいいのか、ほかの学校の人に聞いてみたい。授業がつまらなくて、わかりにくい。授業はみんなに理解してもらえるような授業であってほしいと。  先生についてということでは、先生と生徒が話し合う場をふやしたら、もっと学校は楽しくなるし、先生が嫌だという人も減ってくると思う。先生とは信頼し合える関係を築きたいし、何でも悩みを話すことのできる先生がふえてくればいいなと思っている。また、みんながわからないのにどんどん授業を進めてしまい、文句を言うと怒る先生がいると。それで、ここで教育長が出てくるんですけれども、教育長が先生に対する要望などを校長先生や教頭先生に言ってみたらどうかと言ったけれども、校長先生や教頭先生はもちろん話したこともないし、名前も覚えてもらっていないと思うから、遠くの人って感じで親しみなんかわかなくて、相談なんかできる雰囲気ではないと思うと。率直な中学生の意見がたくさん書かれております。  まず一つは、教育長が言った、私の大きな財産となりましたというのはどういうものかということと同時に、この意見表明の中身、内容は、来年度にどう生かすのか。そして、これを一過性にしないためにどうすればいいのか、その辺を伺いたいと思います。 ◎津吹 教育長 まず初めに、この中学生教育委員会を来年度実施するかどうかというところからお答えしたいと思いますが、このそっくりそのままをやろうかどうか、それは今検討中でありますが、中学生の意見を聞くこういう会は何らかの形で実施したいというふうに思っております。  それから、私も感想を書かせていただきましたけれども、この中学生委員会を開きまして、中学生の意見を聞いて、自分もそういうことをかつて経験した時期でもございましたので、今の中学生は何というんでしょうか、相手を少し気遣ってというんでしょうか、いろいろなことを言うと相手に迷惑をかけるからという意味で、無関心を装うというふうなことを言われていましたけれども、決してそうじゃなくて、非常に友人とか他人を真剣に気遣っているということを改めて実感いたしまして、非常に心強く思ったわけでございます。  そういうことで、子どもたちは一見無愛想でありますけれども、非常に根は純で素朴で、かわいい子どもたちなんだということを再認識して、我々大人たちは、中学生をそういう目で見て指導しなければいけないんではないかなというふうに改めて実感した次第であります。 ◆桜井稔 委員 ぜひこれは一過性に終わらせないで、引き続き何らかの意見を聞くということを実施したいと言っていましたが、やっていただきたいと思います。  私もこれを読んで一番感じているのは、生徒も先生も信頼し合える関係を求めている。それで、学校を何とかよくしたいという声が本当ににじみ出てきます。それを読んで私自身が思ったのは、やっぱりそのためには生徒も先生もゆっくり話し合う時間、ゆとりがないとならないなということを率直に感じました。  ここで提案なんですけれども、教員をふやす、子どもたちにきめ細かく対応できるようにすることが今どうしても必要だというふうに思いました。この間の教員の状況を見ますと、年々減ってきております。平成五年から見ても、小学校で百十九人、一般教諭が減って、中学でも百七人であります。そのぐらい教員が減っています。その一方で、区はこの間、チームティーチングなどの非常勤講師の派遣の努力をしております。聞くところによりますと、来年度も全部の学校でこれをするということであります。これは十一年度から行った取り組みでありますが、まず、このチームティーチングに対するメリット、デメリットを簡単にお願いします。 ◎神取 教育指導課長 簡単にということでございますので、概略だけつかんでお話しいたします。  チームティーチングにつきましては、行った結果、児童生徒が主体的に学習に取り組むようになったということ、それから、理解が進んだり、学習のつまずきが早い段階で解消できるというようなことがあります。それから、教師一人一人が生徒に目が行き届くような教育活動ができる。それから、学習と生徒指導両面で適切な対応が可能になった。それから、教員間の協力により、指導能力の向上、お互いに研修し合う場にもなったということがメリットとして言われてございます。  デメリットとしましては、チームを組むわけですので、教員側の方に事前の準備ですとか調整の時間、そういったものが新たにふえてきたというあたりがデメリットといえば言えると思います。おおむねそういったことで、子どもたちにとっては効果的な学習活動の場になっているというふうに理解しております。 ◆桜井稔 委員 まだこれは来年も九十六校で、各校一校の非常勤講師なわけですね。これも週十二時間ということであります。聞きますと、授業以外の取り組みには参加できる余裕が全くないということでありまして、今、このチームティーチング、先生をふやすのが一番いいんですが、それができない中でのこういう努力でありますから、チームティーチングを大幅にふやすということや、チームティーチングの派遣時間を大幅にふやすということはできないものでしょうか、この辺はどうでしょうか。 ◎神取 教育指導課長 現在行っていますチームティーチングにつきましては、配置の仕方ですとか、そういったものを工夫して、まずは全校に配置するということを考えております。  なお、その後の増加のことにつきましては、学級編制ですとか、都や国の教員の配置計画、そういったものを見る中で、世田谷区としてできるものを判断していきたいと思っております。ご指摘のとおり、区で独自に教員ですとか、常勤講師は雇えないということで、区としてできるだけのことをやっているという状況でございます。 ◆桜井稔 委員 ぜひチームティーチング自身の拡充ということをお願いしたいと思います。  この施策をするためにも、やはり教育委員会の予算そのものを大幅に引き上げるということはどうしても必要であります。調べてみましたら、九四年、平成六年から九八年、平成十年ですね。今決算が出ているのはこれですが、これだけを見ても、実は教育委員会の予算が大幅に削減されております。一般会計がこの間、平成六年から十年の間に三十億一千二百十八万円ふえているんです。教育委員会の予算はこの間、三十七億二千百三十五万円減っているんです。全体が三十億円ふえている中で、逆に教育予算だけは三十七億円減っているという大変な減り方であります。これ自身を見ても、ぜひ最初に言いました子どもたちの人格全体の形成にかかわる大変大事な文化的な営みという位置づけでもありますし、大場区長自身は文化の予算に惜しみなくつけるということでありますが、教育こそ文化そのものでありますので、この予算の獲得に大いに奮闘してほしいと思いますが、その決意はいかがでしょうか。 ◎津吹 教育長 教育委員会としては大変ありがたいお話でございまして、心強く思っておりますが、平成六年から減っているという理由は、学校の改築が少しおくれているものですから、多分そういう投資的経費が落ち込んでいるのではないかというふうに思っております。学校の運営費等については、児童生徒数が減っておりますけれども、予算的にはそれほど落ちてはいない。学校の運営については支障は来していないというふうに私は理解しております。 ◆桜井稔 委員 今言いましたように、子どもたちが減っているということでありまして、実は一般教員が減らされてきているわけであります。先ほど言いましたように百人以上減らされているわけであります。こういう中で、チームティーチングをつける努力をしています。チームティーチング自身も来年度は六千七百万円程度であります。これを大幅に拡充するということで、ぜひ予算獲得のために頑張っていただきたいということを言っておきます。  次に、子どもたちの権利を保障するという問題について、日の丸、君が代について伺います。  昨年から国会でこの議論がされておりまして、世論は二分しております。国旗・国歌法の成立後、文部省は各委員会へ通知を出しまして、学校における国旗、国歌の指導で児童生徒の内心の自由は尊重するということを言っておりますが、一方で、実施率の低い教育委員会を個別指導して引き上げております。ですから、ことしの卒業式を見ますと、日の丸を掲げ、君が代斉唱を式次第に加えた学校が大変ふえてきております。  しかし一方で、例えば都立戸山高校では、司会者が君が代斉唱は強制しませんということを求めるということをしたり、川崎市内の高校では、開会に先立ち国歌を斉唱します、ご賛同される方はご起立の上、唱和してくださいというふうに配慮しております。また、これも神奈川ですが、湘南地区の高校では、歌いたくなければ、マナーとして起立だけでもしてほしい。それも嫌なら着席したままでよい。ここの校長は、国会で議論になった歌わない自由、内心の自由も意識しましたということを言っております。  今大事なのは、こういう子どもたちへの君が代斉唱は思想信条の自由、内心の自由を侵すものでありまして、学校での日の丸、君が代の歴史や歌詞を学ぶということはありますが、君が代を歌うか歌わないかは一人一人の自由の選択にすべきことであります。今、日の丸、君が代について国民的な議論が起こっているときに、配慮ある態度として、川崎市のように国歌を斉唱します、ご賛同される方はご起立の上、唱和くださいということに最低でもすべきではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。 ◎中村 教育政策担当部長 この国旗や国歌の扱いに関しましては、学習指導要領では、入学式や卒業式などで国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導するものとすると、こういうふうなことで表記をされているわけなんですが、このことは、決して児童生徒の内心まで立ち入って強制する趣旨のものではないと、このように理解をいたしております。あくまでも教育指導上の課題である、このようにとらえております。  では、このあくまでも教育指導上の課題であるというのはどういう意味かと申し上げますと、こういう教育活動を通じて、子どもたちに国際社会に生きる日本人としての自覚を養う、あるいは国旗や国歌に対する正しい認識とそれを尊重する態度を育てる。まとめて言えば、国民として必要な基礎的、基本的な素養や態度を身につける、こういう観点から行うものでありまして、そういう意味において、あくまでも教育指導上の課題であって、児童生徒の内心まで立ち入って強制する趣旨のものではない、このように理解をしております。ただ、教育現場のことでございますから、あくまでも教育的な配慮に基づいて行われる必要がございますので、子どもたちが自然な気持ちで国旗や国歌に対する敬意を持つことができるように指導していくことが大切かなと、このように考えております。 ◆桜井稔 委員 昨年の国会の議論の中で、こういうことが明らかになってまいりました。君が代の意味は、天皇の国の意味ということが政府の考えであります。そして、小渕首相自身も、君が代が戦前の大日本帝国憲法の精神でつくられたという答弁もされております。この君が代自身が一つの国家観、世界観に基づいております。このことが今、日の丸、君が代の歴史や歌詞を教える、こういう考え方があったということを教えるのは大事ですが、これを教えることと押しつけることは全く違うことでありますので、内心の自由を侵すようなことをしないでいただきたいということを言いまして、私の質問を終わります。 ○荒木義一 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。    ────────────────── ○荒木義一 委員長 引き続きまして、生活者ネットワーク、どうぞ。 ◆山木きょう子 委員 最後の質問の時間になりました。皆様お疲れだと思いますけれども、もうしばらくですので、よろしくお願いいたします。ほかの会派から体験学習の話がたくさん出ていましたが、私も少しそれに関連した質問をさせていただきます。  先日の一般質問で、緑の大切さ、土に触れる体験学習の教育的効果について質問いたしましたが、みどりの基本計画の中でも、「学校のみどりからみどりの学校へ」が柱の一つになっております。年頭の対談でも、区長はみどりの学校について、校庭を緑化することではなく、緑の生涯学習の拠点たるべきだとおっしゃっています。そして、緑は五感そのものを情操豊かにしてくれるもの、いろいろな自然体験ができて初めて子どもにとってはみどりの学校になり、豊かな感性がはぐくまれます。  そこで伺いますが、みどりの学校づくりに対して、教育長はどのようなイメージを持っていらっしゃるのか、お聞かせください。 ◎津吹 教育長 みどりの学校づくりについての見解ということでございますが、子どもたちが一日の多くの時間を生活する学校が、緑あふれている環境にあるということは大変望ましいことであるというふうに考えております。学校をさまざまな木々の緑や美しい草花で包み込むことは、お話にもありましたけれども、子どもの心や体の成長、発達において極めて大切な環境づくりであるというふうに思いますとともに、学校が地域社会の拠点となる施設として、区民の方々にとっても大変喜ばれる存在となるものと考えております。
     みどりの学校づくりには、教育委員会が主導的に学校施設等の整備を進めたり、緑化事業を行うということも必要なんですけれども、子どもたちがみずから植物を育てて慈しみ、それらを守り続けていくという態度の形成も非常に意義深いことであるのではないか、このように思っております。そういう意味で、今多くの学校で花を育てる取り組みが行われておりますし、それぞれの学校が児童生徒の興味、関心に応じて草花を中心とした特色ある教育活動を行っているところも多くあるというふうに思っております。 ◆山木きょう子 委員 みどりの学校については、昨年六月議会で生活者ネットワークが代表質問で伺っております。それは、みどりの基本計画の中で、学校の植栽地を二〇一〇年までに三ヘクタールふやすという、目標達成のための区の具体的取り組みについてでした。その後の進捗状況について伺います。 ◎津吹 教育長 区の三〇%緑被率の達成目標ということは伺っておりましたけれども、今現在どこまでいっているのか、資料がございませんのでお答えできませんけれども、非常に身近な環境を大切にして、豊かな心だとか思いやりにつながるということについては異論のないところでもございますし、特色ある学校づくりの予算なども活用して、都会の学校ということで場所が非常に限られているところで、学校緑化等については非常に工夫しなければならない面がたくさんあるかというふうに思います。  しかし、この前の議会等でもお話がありましたように、マイツリーというのですか、自分の木が学校の成長とともに木も成長するというような、そういう植栽とか、あるいは学年の木とか、記念になるような植樹だとか、そういうことを推進して、学校の緑化あるいは子どもたちのそういう環境づくりの思想普及のために推進していきたい、このように思っております。 ◆山木きょう子 委員 子どもたちにとって本当の意味での心の教育になると思いますので、これからもよろしくお願いいたします。  緑の世田谷は、農村のよさと都市の豊かさが重なった田園都市のイメージと農大の進士先生もおっしゃっていますが、環七の周辺では緑も少なく、畑を目にすることもありません。先日の答弁でも、学校で農業体験を実施しているところは小学校六十四校中三十二校、また中学校では三十二校中たった七校でした。限られたスペースの中で校内に花壇や菜園をつくる工夫をしているところもありますが、命の糧である食べ物を育てる農業体験は、多くの教育的効果があるということを申し上げました。  この農業体験を修学旅行で実践しているところがありました。先日、池尻中学校の卒業式に出席しましたときに、修学旅行での体験農業の思い出を、卒業生がお別れの言葉の中で感動的に話していました。ここの学校では、例年の京都、奈良にかわって、十一年度は岩手県の衣川村に行ったそうです。五人ずつのグループに分かれ、農家にホームステイして、田植え、草取り、耕運機を動かすなどの体験をいたしました。ほとんどの子どもたちが初めての農作業で、食べ物の大切さ、農家の方との触れ合いなど、心に残る印象深い修学旅行だったそうです。  後で校長先生にこのことについて伺いましたが、この計画は中学校一年生のときから担任の先生方が準備をして、校庭にある小さな菜園でトウモロコシづくりの練習もしたそうです。子どもたちと一緒に計画を積み上げる、こうしたことを実行したことで見事に成功したことだと思います。費用も四万五千円と例年より大分安く抑えることができました。この修学旅行をほかの中学校にも紹介したところ、十二年度は一校実施するところがあるそうです。学校現場から自主的に土に触れ、農業の大切さを実感する修学旅行を実践した学校があり、とてもうれしく思いました。  そして、ここで修学旅行のあり方についてですけれども、こうした体験学習を取り入れるなど見直していくべきではないでしょうか。この点についてのお考えを伺います。 ◎幡野 学務課長 中学校の修学旅行は、教育課程の特別活動として位置づけられておりまして、各学校がそれぞれ行き先や行動内容など独自に計画して実施しております。  今、池尻中学校の農業体験の例のお話がございましたけれども、多くの学校が従来から京都、奈良方面で実施している中で、非常に特色のある有意義なものではないかと思っております。最近は、京都、奈良に固執しないで、東北の山村や広島での平和教育などを取り入れている学校も、少しずつではありますけれども、ふえてきております。教育委員会といたしましても、生徒にとって貴重な体験ができ、義務教育最後の思い出に残る行事になるよう、校長会などを通して情報を提供しながら検討していただくようにしていきたいと思っております。 ◆山木きょう子 委員 修学旅行については、これまでも生活者ネットワークの質問で取り上げてきました。そのときに幾つかの問題点があったと思いますが、行き先がほとんど京都、奈良と同じところになっている。また、旅行にかかる費用が高額になっていること、そして一番気にかかるのが、修学旅行を取り扱う業者が大手二社に偏っているということです。そして、その手数料も十数%とられているということでしたが、その後どのように改善されたのか伺います。 ◎幡野 学務課長 お話にございますように、以前から修学旅行については費用がかかり過ぎる、あるいは旅行業者が固定している、また、行き先が工夫できないか等のいろいろな声があり、意見も出されておりました。これにつきましては、そういうことを踏まえまして、校長会などを通してこれらに配慮するよう重ねてお願いをしてまいりました。特に、家庭の過重な負担にならないように、費用については複数の業者による見積もりをして、適正な料金で契約をすることや、計画的な積み立てや分割での徴収をするように指導してきました。また、場所につきましては、生徒の意見あるいは保護者の意見等を尊重しながら決定するように指導してまいりました。  その結果、十一年度は平均の費用が若干低くなっております。具体的に申し上げますと、十年度に六万五千七百九十円が一人当たりの平均でしたが、今年度は六万二千百四十一円と三千六百円ほど低くなっております。また、徴収方法につきましては、各学校が柔軟に対応しておりますけれども、業者につきましては、修学旅行の時期が全国的に集中すること、あるいは宿泊場所の確保、こういう面からどうしても大手の業者に頼らざるを得ない状況にございます。今後も生徒や保護者の意見を聞きながら、意義のある修学旅行になるよう学校に働きかけていきたいと思っております。 ◆山木きょう子 委員 なかなか業者についてはまだまだ改善されていないようですけれども、ぜひこれからも各学校の体験などを、それぞれに特色のある企画をしながら、偏ることがないように、ぜひ体験農業的な修学旅行も進めていってほしいと思います。  では次に、子どもの権利について質問いたします。  午前中に他会派から子どもの人権について言葉がひとり歩きしているという意見がありましたが、子どもの権利条約は、一九八九年、国連で批准され、十年経過した今、日本は二十項目にわたって是正を求められています。その理由として、日本の子どもたちは恵まれ、甘やかされているといった大方の概念があり、子どもを一個の人格として認めない昔ながらの子育て観、子ども観が日本には根強くあり、日本で子どもの権利条約を批准しながら、認識が進まないのが現状です。権利を主張することは責任も伴うことであり、どのようなことが子どもの人権を尊重することになるのか、大人も子どもも考え、議論することが重要だと思います。子どもの権利についての周知は、学校においてまず校長先生及び教職員の意識啓発が必要だと思いますが、どのように行われているのか伺います。 ◎神取 教育指導課長 児童の権利条約に関する学校の職員への啓発活動ということでございますが、児童の権利条約が平成六年四月に批准されて、五月から効力を発揮したわけでございますが、東京都教育委員会からは、平成六年十一月に全都のすべての教員に対して、児童の権利条約の全文の翻訳と関係資料を配付しております。  世田谷区におきましては、平成七年度以降、教員の研修事業の中で、校長研修、教頭研修、教務主任研修、生活指導主任研修、初任者研修など、あらゆる機会をとらえて本条約の趣旨と学校教育における課題等について理解、啓発を図っております。また、各学校におきましては、職員会議や職員朝会等で資料を配付し、検討したり、社会科の授業の中や学級活動の中で学習ができるような研究活動も現在行っております。 ◆山木きょう子 委員 先生方の認識がとても重要だと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。  そして、物質的には一見豊かに見えますが、全国的に不登校児童は十二万人を超え、虐待によって命を落としてしまう子どもたちの報道も後を絶ちません。すべての子どもは幸せに暮らす権利があり、保障されるべきです。しかし、子ども自身もまだ権利意識がなく、生活者ネットワークのアンケート調査でも、子どもの権利条約を知っていますかという問いに対して、全体の四七%の子どもが知らないという答えでした。また、大人でも内容まで知っているは二六%でした。子どもに対しての人権教育を積極的に行うことが必要だと思いますが、現在の実施状況について伺います。 ◎神取 教育指導課長 これまで児童生徒につきまして、児童の権利条約の啓発と普及という形で、世田谷区におきましては平成八年四月の段階でパンフレットをつくりまして、小学校の高学年用、中学年用という形で配付してまいりました。その際の趣旨が、学級活動の時間に学級全体で読み合う、そのことによって疑問点等の感想を話し合う。子どもと大人の権利と責任について考え合うというようなことと、それから関連する教科の学習において、この条約の趣旨や具体的な内容に触れて、人権尊重の精神の一層の育成を図るということでございます。  また、学校行事や委員会活動におきましては、この条約の趣旨や内容を踏まえて、教職員と児童生徒、児童生徒同士の相互の人間関係を築き上げるということを考えております。また、保護者やPTA活動においても、パンフレットの趣旨の内容について理解を求めてまいりました。東京都教育委員会では、平成八年八月に児童の権利条約を小学校四年生以上にパンフレットを配付したり、そういった活動もしております。  現在、各学校では、社会科や学級活動の時間に実践しておりますが、趣旨といたしましては、先ほど述べましたような児童の権利条約に合った人権教育というものをやっております。現在、直接この権利条約そのものを取り上げている学校というのは、本年度につきましては、六年生の社会科ですとか、学級活動等で行われて、おおよそ八校ほどやってございます。 ◆山木きょう子 委員 子どもの権利については、子ども及び大人双方の理解が必要です。現在そうしたプログラムを実施しているところがあります。ここでCAPについて少し紹介させていただきます。CAPとは、チャイルド・アソールド・プリベンションの略で、子ども自身があらゆる暴力から自分を守るためにはどうしたらよいのかを学ぶプログラムです。子どもに対する虐待や誘拐が深刻なアメリカで、二十二年前に発生した小学生のレイプ事件がきっかけとなり、作成されました。  内容は、まず三人のスタッフが子どもに安心、自信、自由の三つの大切な権利について説明をします。この生きるための基本的な三つの権利を守るためどんな方法があるのか、寸劇にして教えます。嫌というノー、逃げるゴー、人に相談するテル、子どもでも対処できるやり方を体験します。具体的に叫び声の出し方や、つかまれたら、すねをけるなどの練習もします。ここまでは子どもワークショップで行います。  また、大人に対しては別に学習会を行い、そして虐待に対しての正しい知識、子どもの権利について考え、実際に子どもが被害に遭ったときに力づける方法、子どもの話を聞く大人の態度の大切さを学びます。子どもと大人それぞれがこのプログラムを受けることが重要です。  日本では五年前に取り組まれるようになり、現在百のグループが活動中です。全国各地に広まっています。大阪の河内長野市というところでは、七つの中学校の授業に取り入れたそうです。都内でも大田区、北区、練馬区と広がっています。また、葛飾区では十六の小学校の授業で実施し、十一年度、青少年育成事業経費として百六十万四千円を予算化しています。教育委員会、学校職員の研修などでも実施されています。  人間には小さいときからそれぞれ大切な権利があり、お互いの権利を大事にしながら生きていきます。大人は子どもたちを保護するだけでなく、一緒に考え、相談に乗り、お互いの権利を守りながら子どもをはぐくむことを、このCAPはわかりやすく教えています。  世田谷でも松沢小学校が家庭教育学級の中で取り組んだところ、参加者の親ほとんどが、子どもたちにもぜひ学ばせたいと希望して、授業の中で子どもたちに実施したそうです。結果のアンケートを見せていただきましたが、子どもの感想では、百五十五名中百五十三名がおもしろかった、百五十名がためになったと答えていました。また、親の感想は、百三十名中百二十七名がクラスで実施されてよかったという結果でした。  そこで質問ですが、このCAPを学校でぜひ取り入れていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。 ◎神取 教育指導課長 児童生徒の暴力から逃れる方法ということですが、今委員ご指摘のとおり、具体的な方法というものを身につけることが非常に重要になってまいります。従来、学校教育の中では、学級活動ですとか道徳、そういった中で人権ですとか権利、それからまた、被害に遭わないようにするための方策というものも指導はしてまいりました。  今ご指摘ありましたCAPという暴力防止プログラムにつきましては、世田谷区におきましては、現在私どもでつかんでいる状況の中では、三十三校の学校で実際に家庭教育学級や地域社会等の連携の中で取り入れております。現在、こうしたものを学校が自主的に取り入れて発展しているという状況でございますので、こういった活動を今後も教育委員会としても支援してまいりまして、子どもたちを暴力から守るための指導方法、そういったものを積極的に進めていきたいというふうに思っております。 ◆山木きょう子 委員 今、三十三校で取り入れているということでしたが、これはとてもわかりやすく、子どもにとって今必要なことだと思いますので、また授業の中でも取り入れることをぜひお考えいただきたいと思います。  そして、子どもがみずから身を守るということから、次に、学校の安全確保について質問いたします。  これからは学校施設の地域開放として、校庭、体育館、格技室、余裕教室の利用などの試みがなされ、それとともにさまざまな人の出入りがふえてきます。開かれた学校として地域に活用され、とても望ましい形だと思います。学校開放を進めていくことと一緒に、安全性についても配慮すべきだと思います。例えば、入り口の見える位置に主事さんがいてくれるだけで随分と安心できると思います。そして一番大事なのは、地域性を高めて、不審な人がいたら地域で阻止できるような状況をつくることが求められることですが、現在この対策として何かお考えでしょうか。 ◎中村 教育政策担当部長 お話しのように、学校の施設だけじゃなくて、学校運営も開かれたものにしていこうと、そういう活動を続けている最中に、昨年、京都で起きた事件は何か裏目に出たような事件でございまして、大変残念な出来事だったというふうに思っております。  お話しのとおり、開かれた学校づくりと安全管理を両立させるということは、ある意味では大変難しいことかなというふうには思うんですけれども、反面、例えば地域や保護者の方々がしょっちゅう学校に出入りしていただくときに、ちょっと目を配っていただくことで、逆にたくさんの方が学校を訪れてくださることが事件の未然防止なり、抑止力につながるんじゃないかというふうに思うんです。ですから、開かれた学校づくりと安全管理というのは、学校と住民の方々の協力がかぎになるんじゃないかというふうに思っております。  このようなことから、事件後、ことしの一月になってからですが、各学校に幼児、児童、生徒の安全確保及び学校の安全管理についての点検項目というものを配りまして、そこで学校で取り組むことのできる項目として例示を相当数挙げまして、学校でどの程度取り組んでいるか、また、それ以外にどんなことに取り組んでいるか、そういった調査票を配りまして、各学校に点検をしてもらいました。その際、学校だけではなくて、PTAの方にもそれをお配りいたしまして協力をしていただいたんですが、PTAの方々には、今、子ども一一〇番ですとか、あるいはPTAパトロール、こういったことで注意をしてくださっているということも含めて、相当数細かいことまで気を配っていただいているという回答が参りまして、大変心強く思っております。  そういう学校とPTAが協力して子どもたちを注意して見守っていくという行動を、さらに地域に広げていければなというふうに思うんです。そういった点で、学校協議会のような場でぜひこういう活動を紹介して、協力をしていってもらうように今後していきたい、このように考えております。 ◆山木きょう子 委員 やはり地域力をつけるということがとても重要なことになってくると思います。今、学校協議会の話が出ましたけれども、そういう意味では、この学校協議会をもっともっと充実させていくべきだと思いますが、学校協議会について一つ質問させていただきます。  ことしの一月二十二日に「フォーラム二〇〇〇学校協議会」が開催され、三年間にわたる学校協議会の取り組みの交流が行われました。小中学校の連携、子ども協議会、サバイバルキャンプなどの発表がありました。フォーラムの準備、進行には教頭先生方がチームを組み、大きな力を発揮されたようですが、今までこうした例はなく、ほかの自治体からもかなり評価されたそうです。子どもとともに開かれた地域社会を築く取り組みとして、今後の充実に向けて、また効率のよい進め方について区の展望があればお聞かせください。 ◎神取 教育指導課長 今お話がありましたように、学校協議会につきましては、「フォーラム二〇〇〇」の中におきまして、各地域での活動状況についての報告をし合い、その方法ですとか、活動内容についての協力を図ったということでございます。  また一方では、フォーラムの中でも報告がありましたけれども、学校評議員制度の設置というものを考えていく学校、そういったものもございます。また、学校協議会を通じまして、いわゆるオープンスクール・デーとかオープンスクール・ウイークとかいうことで、地域へ開放するというような取り組みも行われておりますし、地域の人材を授業の中に生かすというようなそれぞれの地域に合った活動が行われております。そういったものを共有化してお互いに発展させていくために、教育委員会の方では、各学校の協議会からの報告をいただきまして、それを分析して学校へ戻していくということをしていきたいというふうに考えております。また、学校同士もお互いに連絡をとり合って進めていければと思っております。  「フォーラム二〇〇〇」につきましては、三宿、太子堂地区を中心に始まった活動でありますけれども、そこに本年度はさらに二十二校の学校が活動に参加してきたというふうに発展もしております。そういった中でとられていく学校協議会のいろいろなノウハウを持ち寄っていただきまして、さらに区全体で広がっていくというふうに考えております。 ◆山木きょう子 委員 地域で子どもを育てていくということをまさにこの学校協議会はこれからやっていくことだと思いますので、さらなる充実をまた求めたいと思います。  そして、最後になりましたが、先ほどほかの会派から出ましたけれども、中学生教育委員会が開催されて、私もその子どもたちの意見を読ませていただきました。本当に素直な意見がたくさん出ていました。これについては、出た意見をどのような教育の場に反映させたのか、お聞かせください。 ◎四元 教育委員会事務局参事 ご指摘のとおり、中学生教育委員会を開催した真の成果ということになりますと、今後の教育委員会を含めました大人たちが、中学生の意見をどのように受けとめて、どのように生かしていくかということにかかっているというふうに考えております。  教育委員会では、既に学校トイレの改修だとか、STEP事業などにおきまして、ワークショップ形式とか、あるいはアンケートの実施などによりまして、生徒たちの意見を取り入れながら事業展開を図っているところでございます。また、中学生教育委員会で英会話を重視した授業をしてほしい、あるいはパソコンを活用した授業をしてほしいというような要望も出されております。これらの課題につきましても、ご答弁申し上げておりますけれども、教育委員会といたしましても、来年度から実施を予定している地域教育ネットワークによる情報教育の充実だとか、外国人による英語教育の充実によって対応していきたいというふうに考えております。今後も教育活動のさまざまな場面におきまして、こうした生徒たちの意見を聞く機会をつくって、彼らの声にできる限りこたえていけるように努めてまいりたいと考えております。 ◆山木きょう子 委員 ぜひ子どもたちが主体的にできるように、子どもの意見を取り入れながら、子どもたちの意見を尊重して、また中学生教育委員会はさらに続けていってほしいということを私から要望いたします。  最後に、子ども主体の学習、そして今度始まります総合的な学習の時間を使って、子どもの権利の教育、環境教育など、そうしたことをしっかりと学校で身につけ、そして子どもたちが意欲を持ち、健康に育つことを私から願って、質問を終わらせていただきます。 ○荒木義一 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。    ────────────────── ○荒木義一 委員長 以上をもちまして本日の質疑はすべて終了いたしました。  本日の委員会はこれにて散会いたします。     午後六時十五分散会...