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令和 2年 3月  総務財政委員会−03月11日-01号
令和 2年 3月  予算特別委員会-03月11日-01号

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  1. 大田区議会 2020-03-11
    令和 2年 3月  予算特別委員会-03月11日-01号


    取得元: 大田区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-10-03
    令和 2年 3月  予算特別委員会-03月11日-01号令和 2年 3月  予算特別委員会 令和2年3月11日                午後1時00分開会 ○渡司 委員長 ただいまから、予算特別委員会を開会いたします。  このたびの新型コロナウイルス感染症拡大を受け、傍聴人が激しくせき込むなどの体調不良の症状が見られた場合、周囲への影響を鑑み、感染症拡大防止の観点から、委員長の判断により傍聴人には退場いただくことをお願いする場合があります。  今般の社会情勢に鑑み、ご理解いただきますとともに、あらかじめご了承願います。  昨日に引き続き、第1号議案 令和2年度大田区一般会計予算歳出の款別審査を行います。  第3款福祉費の審査を続けます。  質疑に入る前に、理事者の皆様に申し上げます。質疑時間には、答弁も含まれますので、簡潔な答弁をお願いいたします。また、答弁の際には、その都度、自己の職名をはっきり告げていただきますよう、お願いいたします。  それでは、立憲、質疑願います。 ◆平野 委員 立憲民主党大田区議団の平野春望でございます。  本日で東日本大震災から9年がたちます。被災された方々とそのご家族の皆様に、改めて心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。  本日は、医療的ケア児発達障害施策について、大きく二つ質問いたします。  先日の小峰委員の質問にもありましたが、令和2年度予算案にある、(仮称)児童発達支援センター田園調布はどのような施設で、目的としているところは何でしょうか。改めてお答えください。 ◎黄木 障害福祉課長 (仮称)児童発達支援センター田園調布は、医療的ケアを含む18歳までの重症心身障がい児を支援するために設置するものです。  当施設では、児童発達支援放課後等デイサービス、保護者への相談支援等を実施するとともに、関係機関と連携し、地域の事業者等へ向けた人材育成に係る研修等を実施し、区全体の支援体制の向上を図ってまいります。 ◆平野 委員 大田区には、現在、保育園に3名、幼稚園に1名、医療的ケアが必要な児童が通っていると聞いておりますが、大田区の全体の人数や必要な医療的ケアの主な内容など、現状をお聞かせください。 ◎黄木 障害福祉課長 大田区医療的ケア児者支援関係機関会議でお示ししてございますが、地域健康課及び地域福祉課におけます相談等により区が把握しております医療的ケア児の人数は、平成31年4月1日時点で71人となってございます。  また、医療的ケアの主な内容といたしましては、自力でたんを排出できず、気管などにたまっているたんを、吸引器等を使用し体外へ排出させる吸引が最も多く、次いで、口から食事をとれなくなった方の胃や腸などにチューブを挿入し栄養剤を注入する、経管栄養になっております。このほか、気管切開、導尿など、様々な専門的支援が必要なお子さんがいらっしゃいます。
    ◆平野 委員 先日、ある勉強会で、医療的ケア児の支援をしている、医療財団法人はるたか会の前田浩利医師の話を聞き、医療的ケア児には二つのタイプがあり、従来の重症心身障がい児の寝たきりの子どももいれば、知的障がいのない動ける子どももいると聞いております。この動ける医療的ケア児が増えており、自分で呼吸器を外すなど、病状が安定してもケアの負担は重いと聞いております。また、動ける医療的ケア児は、現在の障がい児支援では、カバーできないことが多いと聞いております。  そこで、お伺いします。大田区では、こういった子どもたちへの支援について、どうお考えでしょうか。お答えください。 ◎黄木 障害福祉課長 医療的ケア児の支援におきましては、重症心身障がい児だけでなく、歩行可能な医療的ケア児等を含めました対応が必要と考えます。区では、訪問看護師がご自宅に出向く、重症心身障がい児(者)等在宅レスパイト事業について、平成30年度から医療的ケアが必要な18歳未満の障がい児を加え、対象の拡充をいたしました。  国においても、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定では、児童発達支援事業所等において、医療的ケア児を受け入れるための看護職員加配加算の創設等、体制整備が図られたところでございます。  一方で、現在、国の社会保障審議会では、重症心身障がい児には該当せず、幼少期であるために医療的な指示を守れない等、いわゆる動ける医療的ケア児が増えているとの指摘を踏まえ、医療的ケア児の新たな状態像に対応した支援の検討が必要との議論がなされております。  引き続き、国や東京都における検討や施策の動向等につきまして、注視、研究してまいります。 ◆平野 委員 この子どもたちの多くは、医療的ケアを、医療職ではない家族から受けて生活をしています。本人もですが、ご家族の負担も大変なものです。従来の重症心身障がい児はもちろんですが、こういった歩けて話せる動ける医療的ケア児に対する一層の支援を要望して、次の質問に移ります。  次に、わかばの家についてお聞きします。発達支援のポイントとして、早期診断、早期療育が重要とされていますが、学齢期前の相談に乗っている、わかばの家の初回相談は待機が多いと聞いております。わかばの家の西六郷分室ができることのご報告がありましたが、これにより、わかばの家の体制は変わるのでしょうか。また、待機状況は短縮されるのか、お聞かせください。 ◎曽根 障害福祉サービス推進担当課長 こども発達センターわかば家西六郷分室につきましては、令和2年4月に開設する予定です。これにあたり、わかばの家本館、分館、ふれあいはすぬま分室の機能の見直しを行い、療育の一部を新たに開設する西六郷分室に移し、ふれあいはすぬま分室を面談に特化した施設に再編いたします。  西六郷分室では、遊びの感覚を取り入れながらの作業療法的療育や、旧学童保育室の設備を生かし、親子でのミニクッキングでふだんの生活環境の中での療育の機会を学べるような、保護者支援プログラムの充実を図ります。  初回面談までの待機につきましては、様々な工夫を行い、現在、平均2か月に短縮しました。今回の機能再編により、1か月に短縮できるよう取り組んでまいります。 ◆平野 委員 相談体制が充実していくと、早期に療育が受けられることができ、発達障がいの子どもたちにとって適切な支援を受ける機会が増えますので、ぜひよろしくお願いいたします。  川崎の南部療育センターでは、児童発達支援放課後等デイサービスなど障害児通所支援事業を受ける場合、ケースワーカーがついて、その後の障害児支援利用計画案、いわゆるケアプランの作成や民間の療育施設に通い始めてもフォローをしてくれます。  大田区でも、すぐには無理かもしれませんが、わかばの家にケースワーカーを置き、現在の相談支援体制を強化して、ケアプランを保護者の方がご自身で作成するようなセルフプランの解消を、ぜひ目指していただきたいと強く要望したいと思います。  また、川崎の南部療育センターでは、未就学児も就学児も同じケースワーカーが基本的に担当します。区も、わかばの家とさぽーとぴあB棟の学齢期発達障害施設の連携を密にするために、ケースワーカーが未就学児と就学児の情報を集約して、継続した支援体制をつくることはできないでしょうか。区のご見解をお聞かせください。 ◎曽根 障害福祉サービス推進担当課長 現在の学齢期前の児童の発達支援は、こども発達センターわかばの家、学齢期以降の発達障がい児への支援については、障がい者総合サポートセンターにおいて、それぞれ専門性の高い社会福祉法人が運営にあたっております。  令和2年4月1日付けの組織改正により、こども発達センターわかばの家の所管を、障害福祉課から障がい者総合サポートセンターに移すこととし、準備を進めております。これまでも様々な情報連携を図ってまいりましたが、より緊密な連携を図ることができます。  わかばの家で支援を行い、新1年生となる児童、保護者については、4月以降、順次それぞれの状況に応じて、相談や療育など必要な支援が受けられるよう丁寧に引き継ぎ、学齢前から学齢期まで、それぞれに応じた、切れ目のない一貫した支援を行ってまいります。 ◆平野 委員 わかばの家から障がい者総合サポートセンターさぽーとぴあに所管が移られるということで、今までより一層の連携が図られると期待しております。引き続き、保護者の方の不安が解消され、それぞれの児童に適した療育が受けられるような、切れ目のない支援体制になることを要望いたします。  最後に、新型コロナウイルス感染症の影響で、区内の学校が休校となっております。区民の皆様も大変不安な毎日を過ごしていらっしゃるかと思いますが、放課後デイ等に通う発達障がいの子どもたちは変化に弱いために、日々過ごし方が変わり、不安で不安定な日々を過ごしています。そういった子どもや保護者の方に、ぜひ温かいまなざしと優しい言葉がけ、そしてご支援をどうぞよろしくお願いいたします。  以上で、質問を終わります。 ◆小川 委員 立憲民主党大田区議団の小川あずさです。  現在、ひとり親のうち、特に母子家庭の約半分が貧困と言われています。厚労省の行った平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告によりますと、ひとり親のうちの母子家庭となる理由の約80%は離婚であり、離婚した親が離別した相手から養育費を受け取っている世帯は、何とわずかに約24%となっております。母子世帯の年間就労収入が平均約200万円ということから考えましても、養育費の不払いが母子の貧困の一因であることが容易にわかります。  そのような状況の中、大田区では令和元年度より離婚と養育費にかかわる総合相談を実施していますが、その実施状況についてお聞かせください。 ◎大渕 子ども生活応援担当課長 離婚と養育費にかかわる総合相談は、今年度、試行として6月、11月の計2回、区役所本庁舎を会場として実施いたしました。  相談に際しては、離婚問題を主に扱う弁護士により、相談者お一人当たり1時間の無料相談といたしました。各回の定員は12名としておりましたが、区報で周知して間もなく定員に達し、申込者数は、いずれも定員の倍以上に上りました。  実際の相談内容としては、離婚後の生活費に関すること、養育費の請求方法や金額の決め方に関すること、子どもとの面会頻度に関することなどがございました。  また、同時に開催した、大田区生活再建・就労サポートセンターJOBOTAによる子ども生活応援臨時窓口のニーズも高く、より具体的な生活相談に対応することができました。 ◆小川 委員 養育費について取り決めが十分でなかったり、決めたのに養育費を受け取れないなどで、離婚後に経済的に困窮するという実態がありますことから、離婚を踏みとどまるという選択肢も出てくることは、非常に重要なことだと思っています。  離婚に向けて感情で突っ走るのではなく、立ちどまって、考えることにつながるような相談の機会を、区として、今後提供できないものでしょうか。 ◎大渕 子ども生活応援担当課長 今年度、本事業で相談を受けた24名のうち、約9割が離婚前であり、親や友人にも相談していないという段階でのご相談でした。  相談後のアンケートでは、話を聞いてもらって気持ちが楽になった、専門の方の意見を聞けて参考になったなどの感想が寄せられ、一旦冷静に考える機会としても役割が果たせたと捉えております。  離婚は、その家庭の子どもにとって、必ずしも有効な解決策とは限りません。相談者が置かれている状況を丁寧に把握し、法的根拠に基づく助言にとどまらず、生活全般を見渡した上で冷静に考えることを促すため、今後は、生活福祉課に配置している家庭相談員との連携も進めてまいります。 ◆小川 委員 この試行で実施しました今年度の取り組み、これで救われた方が多いように思われます。この取り組みを、今後拡大していくお考えはありますでしょうか。 ◎大渕 子ども生活応援担当課長 今年度試行として実施した2回は、いずれも定員を上回る申し込みがあったことから、このような相談機会のニーズがあることが把握できました。令和2年度は、より多くの相談に対応できるよう回数増を見込んでおります。  また、引き続き、子ども生活応援臨時窓口と同時開催とすることで、離婚後の就労や生活費確保のためのご相談に対応し、区の支援施策を周知してまいります。  なお、開催する曜日に関しましては、相談後のアンケート結果から、平日以外を希望する声が多かったことや、就労している保護者の事情も考慮し、来年度においても土曜日の開催を予定してございます。 ◆小川 委員 どうぞよろしくお願いいたします。  日本では、協議離婚が主流で、養育費の取り決めなく離婚する残念な例が多いと聞いております。養育費が確保できずに生活が困窮するのを防ぐため、兵庫県明石市では、民間保証会社と連携し、養育費を受け取れないひとり親に対し、養育費立てかえ払いをする事業を一昨年から始めました。市が養育費を立てかえ、催促回収を行うもので、大阪市も類似の事業に着手しております。  さらに、令和2年4月1日施行の民事執行法の法改正により、公正証書があれば、養育費を払えるのに払わない相手の財産開示や虚偽陳述への刑罰などが加わり、法的手段をとりやすくなりました。  この流れの中で、今後、大田区におきましても、明石市のような画期的な養育費立てかえパイロット事業に取り組むお考えはありますでしょうか。 ◎大渕 子ども生活応援担当課長 明石市の取り組みは、全国に先駆け、養育費や面会交流に関する手引書の作成や、子どもの気持ちを考える離婚前講座の開催、養育費立てかえパイロット事業など、離婚前後の子どもの養育に関する支援について、段階的な充実が図られております。  また、東京都においては、養育費そのものを助成するものではありませんが、養育費保証契約を結ぶための保証料に関する助成事業について、都民による事業提案制度により、令和2年度新規事業として計上されております。  区は引き続き、離婚と養育費にかかわる総合相談の内容から得られたニーズを勘案し、明石市など先進事例の効果検証や、他自治体の取り組み状況を注視してまいります。 ◆小川 委員 考えていただき、感謝いたします。  最後につけ加えますと、先ほど延べような自治体の援助も法改正の恩恵も、実際には法的効力のある文書が必要です。既に文書なく離婚してしまった方たちには、効力がないのが悔やまれます。  離婚届は区役所に取りに来るのですから、そこへ向かおうとしている人は区役所でチェックできます。来た人が早まって、後で困ることのないよう、届けを取りに来たところで、相談窓口がありますと案内するとか、理想としては、すぐ話を聞いて、対処をいつでもできるようになるとうれしいのですが、人員確保とか難しいとも思いますので、少なくとも養育費などに困らない文書をつくるのを勧めるパンフレットを置くとか、もし、どうしても離婚するなら、公的文書の重要性を、いささかおせっかいと思われるぐらいに伝達しておくなど、区役所内でしていただけるとありがたいなと思います。  もともとは、養育費というのは払わなければならないものなのですが、それを払わないという倫理観、子どもを育てるための費用なのに、それを払わないという倫理観というのも考えものですが、それを考え、そういう人もたくさんいるのですから、相談窓口も、これからせめて月1回とか、回数が本当はもっと増えてほしい、そう思いまして質問を終わります。 ○渡司 委員長 それでは、公明、質疑願います。 ◆広川 委員 大田区議会公明党、広川恵美子でございます。  東日本大震災から9年、ようやくまちの姿を取り戻しつつある中で、昨年の台風19号で大きな被害を受けられた地域もあります。改めて、被災地に心を寄せ、真の復興をお祈りいたします。  それでは、質問に入らせていただきます。  来年の新規事業、人生100年時代における老いじたくの推進について伺います。  この事業では、我が会派の代表質問や、自民党、高瀬委員の総括質疑でも取り上げられていますが、そもそも本区が老いじたくに取り組もうとされたきっかけについて、お聞かせください。 ◎大渕 福祉部副参事〔地域福祉推進担当〕 人生100年時代と言われる今日において、老いと向き合うことは、どなたにとっても必要なこととなってまいります。高齢分野の相談機関において必要な支援を検討していく際、早期に課題を発見し、支援の当事者である方にもご納得いただいた上で支援を進めていくことは、ご自身の意思を反映できるという観点から、大変重要なことと考えます。  また、権利擁護の施策においては、物事を判断する能力が低下していくに従い、ご自身が望む形での支援がどのようなものか、判断が難しくなってまいります。  元気なうちから、お一人おひとりが老後を前向きに捉え、将来の心配事に備えることで、生涯にわたり健やかに安心した生活をお送りいただけると考えます。  区は、ご自身が望む老後を支援する体制づくりに取り組むため、老いじたく推進事業を、令和2年度から取り組むことといたしました。 ◆広川 委員 私ごとですが、熊本で暮らす両親は、私の両親ですからかなり高齢ながらも、おかげさまで元気に暮らしていますが、そうはいっても老いるとはどういうことかと気づかされること、考えさせることも多々あります。老いじたくとは、不安なく暮らすために備えるということであれば、両親世代もさることながら、既に私自身の問題として捉えるべきと感じています。  特に、近年は、親が亡くなった後、空き家となった実家の老朽化に伴う近隣問題や、持ち主不明空き家の処分など、自治体が頭を悩ませている課題もあります。核家族化や少子高齢化が進む現代では、空き家にしない対策のほうが、より求められると感じていましたので、そうした意味でも、老いじたくの事業には期待するところです。  ところで、最近気になるのは、年金を受給している、ひとり暮らしの方の金銭面の相談です。男性の場合は、生活保護基準に近い厚生年金を受給されている方が、現役時代より収入が減っても、生活スタイルを変えられず、借金をしてしまい、返済に窮している方。貯金を使い果たし、今後の家賃の支払いを心配されている方、体調を崩し、病院通いをするようになって、医療費などが生活費を圧迫している方などです。  また、女性の場合は、ご主人を亡くし、ひとり暮らしをしているところに、昔からの知人が何度もお金の無心に訪れ、繰り返し貸すうちに貯金が底をついてきたが、借用書がないため返してもらえないなどです。しかも、こうした無心に来る人が複数いるという特徴もあります。誤解のないように申し添えますが、それまでは、皆さんきちんと生活をされている方ばかりです。  ところが、そもそもこうした方たちは収入が限られていたり、貯蓄など資産も十分ではないので、一度こうした問題に陥ったら、抜け出すことは大変困難です。しかも賃貸住宅では、家賃が安いところに引っ越そうにも、高齢のため容易ではありません。資産の処分問題とは違いますが、不安なく暮らすため、こうした問題に陥らないような老いじたくの取り組みも必要と考えます。元気なうちから老いじたくについて考えるということですが、どのような層をターゲットにするのか、また、具体的な事業についてもお聞かせください。 ◎大渕 福祉部副参事〔地域福祉推進担当〕 老いじたくを考え始める年齢やきっかけは、その方の家族構成や生活状況により様々であると考えられます。まずは、多くの方に関心を持っていただくための取り組みとして、老いじたくの必要性の気づきとなるパンフレットを作成し、周知・啓発をしてまいります。また、老いにまつわる不安や悩みは多岐にわたることが想定されますので、本庁舎などで実施する定期的な相談会により相談体制を整えながら、どのようなニーズがあるのか把握と分析をしてまいります。  その中で、区の事業では対象が限られるなど、民間サービスの活用が有効な場合には、幅広いニーズに応えるために、民間サービスとの連携によるネットワークづくりに取り組んでまいります。  今後、定期的な相談会を通じてニーズを把握し、年齢や世帯状況などを考慮した重点的取り組みや、サービスの内容を検討してまいります。 ◆広川 委員 老いじたく事業の目的は、人生の総仕上げに向けて、自分自身と自分を取り巻く環境に気づき、備えることにあると考えます。  昨年、議会の欧州訪問調査団の事前勉強会で調査先のスウェーデンエブロス市の高齢者施策を紹介いただきました。国民のほとんどが65歳で定年を迎え、そこから第2の人生が始まると老後を前向きに捉えていること、年金生活者組合などの自主運営団体に所属して、ボランティアなどの地域活動に参加する仕組みがあること、介護などの社会保障にかかる費用は、年金生活でも必要最小限の生活費が手元に残るよう保証されていることなどを伺いました。  もちろん、こうした高福祉社会を支える財源となる税率は、日本の比ではないことは言うまでもありません。しかし、高額の納税をしながらも、なおかつ自分の老後はできる限り自分らしく自立した生活を続けようとされる姿勢には、自己肯定感の高さを感じます。超高齢化社会に突入した日本も、リタイア後の人生をどう充実させていくのか、その上で自分の力ではいかんともしがたい状況になったときには、どのような助けを必要とするのか、まだ対処できるうちに備えるためには、気づきを促すタイミングが重要だと考えます。  例えば、社会保険から国民健康保険に切りかわる、介護保険証を送付するなどのタイミングで個別に周知することは、相談につながる機会を増やすことになると考えますが、こうした働きかけについて、見解をお聞かせください。 ◎大渕 福祉部副参事〔地域福祉推進担当〕 老いじたくは、自分にとって充実した老後とはどのような生活かを考えることから始まります。そのため、様々な機会を捉えて、そのきっかけを提供していくことが求められます。  例えば、大田区いきいきしごとステーションや大田区シルバー人材センターは、就労や社会参加の機会を求める元気な高齢者が集まる場です。定年退職などライフスタイルが変化する時期とも重なることが想定されますので、このような拠点との連携を有効に活用してまいります。  また、毎年本庁舎で実施しているシルバーパスの交付や、地域で開催されている生涯学習の講座・講演会など、高齢者の皆さんが集まる場での周知・啓発にも取り組んでまいります。  さらに、年齢にかかわらず、老いじたくの必要性を感じていただけるよう、手にとっていただきやすいパンフレットの作成や、区のホームページ等を効果的に活用し、重層的な広報に努めてまいります。 ◆広川 委員 手元に届けることで、より気づきを促すことにつながると思いますので、ぜひ検討をお願いいたします。そして、せっかく相談につながっても、解決しなければ意味がありません。老いじたくを支える社会資源の充実も必要です。これからも誰もが迎える老いの不安に、具体的に寄り添っていただくことを要望いたします。  続いて、災害時避難行動要支援者について、お伺いします。障がい者については、我が会派の秋成委員が常々取り上げていますので、今回、私は高齢者を対象として、お伺いします。  昨年の台風19号の後、高齢のご両親を介護をされている方からいただいたお声があります。避難を呼びかける情報が次々届く中、自宅の2階に両親を避難させようと思っても運べないので、警察や消防に電話をしたこと。警察には、対応できないと断られ、救急隊は来てはくれたが、病気などではない方にはさわれないと、申しわけなさそうに帰っていったこと、こんな大変なときに誰も助けてくれないのかというものでした。  大規模災害では、行政の対応には限界があること、そのために被害が想定される風水害の場合は自分で早目に備えていただくことなどをお話ししたところ、後日、介護事業者と相談ができて、安心されたようでした。  このように災害時において、自分の力では避難できない方を支援するため、災害時要支援者名簿の作成が災害対策基本法に定められています。  まず、本区の要支援者名簿登録の対象範囲と対象者数、そして名簿登録者数をお示しください。 ◎大渕 福祉部副参事〔地域福祉推進担当〕 区内には、要介護区分3から5までの65歳以上の方、一定程度の身体障がいのある方及び知的障がいのある方など、災害時に避難することが困難である避難行動要支援者が、令和元年8月末現在、約1万8,000名いらっしゃいます。そのうち、ご本人の同意に基づき避難行動要支援者名簿に掲載されている方は、約8,000名いらっしゃいます。  区では、自治会・町会、民生委員児童委員、警察署、消防署等に、毎年度更新した避難行動要支援者名簿を配布し、平時からの見守り等に活用するようお願いをしてございます。 ◆広川 委員 1万人もの乖離があるということです。登録を望まれない方の状況を把握すること、また登録を促すことも、大きな課題ということだと思います。災害対策基本法を踏まえた内閣府の取り組み指針には、要支援者に対する支援について、かなり詳細に書き込まれています。  しかし、さきの台風19号では、要支援者名簿を預かっている自治会・町会においても、対応はまちまちだったと聞いています。過去の災害を教訓につくられた要支援者名簿です。要支援者が多い本区の場合、地域の方の力を結集して、具体的な支援につなげるために何をなすべきか、早急な検討が求められています。  この取り組み指針には、避難行動要支援者の個別支援計画の策定について、市町村、またはコーディネーターが中心となって、本人とともに策定することとされています。ただ、取り組み指針は法外であることから、誰がどのように作成し、誰が費用負担するのかなど、検討すべきことは多々あろうかと思います。  実は、この個別支援計画策定について、さきの参議院予算委員会で、この取り組み指針に沿った形で先進的に取り組んでいる自治体を参考に、議論がなされています。それは、平常時のケアプランの延長線上に個別支援計画を位置づけるというものです。  兵庫県では、要支援当事者が平常時利用している介護や福祉サービスに加えて、災害リスクをちゃんと理解、認識できているかを確認し、必要な備えができているのか、近くに頼れる身内や知り合いがいるのかを当事者と一緒に確認し、自分でできる備えは自分で、できないところはお願いするということをしっかりと理解してもらった上で、当事者の状況をよく知るケアマネジャー等の福祉専門職が計画を策定します。  さらに、実際に効果的に機能するのか、地域住民等の協力を得て、防災訓練などで検証するところまで行っているそうです。兵庫県では、来年度までに全市町村で実施するそうです。また、こうした動きは、全国に広まりつつあります。  そこで、お伺いいたします。本区の個別支援計画の取り組みの現状をお聞かせください。 ◎大渕 福祉部副参事〔地域福祉推進担当〕 区では、災害時優先的に支援が必要であると考えられる、在宅で人工呼吸器を使用している方を対象に、日常からご本人を支援している訪問看護ステーションに委託し、個別支援計画を作成しております。  本計画においては、医療情報や緊急連絡先に加え、人工呼吸器のバッテリー稼働時間、停電時における電源の確保先及び停電が長引いた場合の対処法などについて、記載いただいております。  なお、既に作成している方については、最新の状況を把握する必要があるため、2年に1回の更新とともに、変更箇所が出た場合には、その都度修正をお願いしております。 ◆広川 委員 大変限定的だということですね。確かに、なかなか進まない実情について、さきの参議院予算委員会の議論では、現状の介護保険制度の中では難しいこと、法的根拠がないことなどが挙げられ、災害対策基本法上に位置づけるべきとの要望が述べられていました。  こうした議論がなされる背景、介護保険法上の課題について、お聞かせください。 ◎小西 介護保険課長 委員からお話のありました介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーですが、介護保険法第69条の2で定義されており、その業務の範囲は要介護者とケアマネジャーが契約を結び、給付に必要なケアプランの作成、関係機関との調整を業務として規定されております。  国で避難行動要支援者の個別支援計画の議論が活発化していることにつきましては、区としても、その内容を承知をしております。  国は、議論の中で、個別支援計画の重要性は認識しつつも、避難行動要支援者の個別支援計画については、介護保険法の中で報酬として評価することは難しいとの見解を出しています。  ただ、要介護認定者の状態は、主治医とケアマネジャーが最も専門的にその状態を把握しており、今後、国が議論の中で個別支援計画の作成の際、ケアマネジャーの役割を法的にどのように位置づけるか、区としても注視していく必要があります。  区としましては、区内で活躍されるケアマネジャーから、たび重なる自然災害の発生の折、要介護認定者がどのような不安の訴えがあったのか、様々な場面で捉えていくことは重要と考えております。  国の議論を踏まえ、ケアマネジャーがその専門性を生かし、現在の制度下で何ができるか、どの範囲で関与可能か、国や都に確認をしながら、区としてもしっかりと詰めていきたいと考えております。
    ◆広川 委員 よろしくお願いいたします。去年の台風ではなかったのですが、大分前の台風の折に、うちの前のアパートに住んでいらっしゃる、介護を受けていらっしゃる方のところに、事業者の方がわざわざ大雨の中迎えに来られているというのを見たことがあります。個別に対応をされている事業者もあるかと思いますので、しっかりとリサーチをしていただければと思います。  現行制度は難しい壁があるということではありますが、しかし法制化を待つことなく、自治体独自での取り組みも始まっています。また、国会でこうした議論がなされ、必要性が認識されていることから、いずれ法制化されることも推察されます。本区においても、何がしかの準備に取り組む必要があると考えます。  そこで、まずは、要支援者であっても、基本は自助、自分でできることは自分でやるという基本を踏まえ、個別支援計画の策定の前段としてのセルフアセスメントを進めてはいかがでしょうか。  兵庫県でも、国立障害者リハビリテーションセンター研究所が作成した、自分でつくる安心防災手帳を使ったセルフアセスメントを行ってから、計画策定に進めています。まずは、自助力を高めるという点で早急に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎大渕 福祉部副参事〔地域福祉推進担当〕 避難行動要支援者をはじめとする要配慮者や、そのご家族が防災に対する意識を高めていただくことは、非常に重要なことであると考えております。  そのために区は、地域の方々と連携し、様々な形で避難行動要支援者にアプローチしております。  具体的には、避難行動要支援者名簿を活用して、要支援者の現状把握や戸別訪問を継続的に行うため、組織内での担当決め、防災知識の啓発、見守り活動など実践的な活用事例を名簿とともに配布しております。  あわせて、障がい者の種別における特性や支援方法なども掲載し、活用に役立てていただいております。実際に、避難行動要支援者名簿を活用するなどして、要支援者に連絡をとり近況を確認するとともに、定期的な会議における情報共有や、要支援者などが集まる場を設け、日ごろからの困りごとについての情報交換を行うなど、地域の方々と要支援者とが、常に顔の見える関係を築いている自治会・町会もございます。  こうした自治会・町会における積極的な活動について、先進事例として紹介することで、区内全域で地域の方々と避難行動要支援者とそのご家族が、防災に関してともに考えていく気運を醸成していきたいと考えております。  それに加えて、区では、各自で医療情報、ご家族や支援者をはじめとする緊急連絡先など、災害時に必要な情報を記載でき、かつ手元に保管できるようなツールを作成し、ホームページに公開するなどを検討してまいります。今後も、避難行動要支援者が災害時の心構えを準備し、地域で安心して暮らし続けるための取り組みを進めてまいります。 ◆広川 委員 よろしくお願いします。地域の方は地域力を生かしてというところであろうかと思いますが、やはり区が、どこが中心になってしっかりと地域の差の出ない、格差の出ない対応ができるのか、こうしたことをしっかりとリーダーシップをとっていくことが重要ではないかと思います。  準備もないまま個別支援計画が法制化されることになれば、本区の1万8,000人を超える要支援者への対応は、膨大な作業量になってしまいます。取り組み指針では、要支援者の全てに同様の支援をする必要はなく、個々の状況に応じた対応を検討する旨が記載をされています。こうした内容を地域の方に具体的にご理解いただく意味からも、まずは要支援者名簿登録者のうち、地震、風水害など災害別の危険度が高い地域からモデルケースを抽出し、検証してみるなど、早目に対策を検討されることを要望いたしまして、質問を終わります。 ◆田村 委員 大田区議会公明党の田村英樹でございます。  障がい者総合サポートセンターさぽーとぴあB棟の短期入所事業について、お伺いしてまいります。  平成31年2月に招集された大田区議会第1回定例会の初日、松原大田区長は、そのご挨拶の中で、平成31年3月に開所する障がい者総合サポートセンターさぽーとぴあB棟を紹介され、「B棟では、これまで障がいのある方、また、ご家族からも多くの要望をいただいた医療的ケアを含む重症心身障がい児・者などを対象とした短期入所事業を、区立施設としては23区で初めて開始いたします。さぽーとぴあが障害分野を含む今後の地域包括ケアシステムの中核の一つとなっていくことも見据えつつ、地域共生社会の実現に向けたスタートをしていきたいと考えております」と述べられております。  B棟の短期入所事業につきましては、区民の皆様からも期待する声が多く寄せられている一方で、障害の状態も複雑になっていることから、医療的ケアの必要な方だけではなく、医療的ケアがない重症心身障がい児・者も取り残されることがないように、この事業の充実を望む声が多いのも現実であります。  23区初として開所から約1年、区と運営事業者との協力のもと、短期入所事業の充実に取り組まれてきたことを高く評価するとともに、今後ますますのレベルアップを期待するところであります。そこで、これまでの利用実績を伺いながら、レベルアップに向けた今後の取り組みを幾つか確認させていただきたいと思います。  令和2年度予算から伺います。事項別明細書の151ページに、障がい者総合サポートセンターの短期入所事業、利用定員10人に2億7,000万円余が計上されております。前年度の平成31年度予算額との比較では、約7.3%、2,146万円余の減額となっております。平成31年度予算では、開所に向けた手探りの中で大分に想定値での予算であったのではないかと推察されます。  障がい者を取り巻く環境整備が問われている中、必要な事業に必要な予算をかけることは大変重要と考えますが、この令和2年度予算設定に至る事業内容について、お伺いいたします。 ◎要 障がい者総合サポートセンター次長 障がいのある方が住みなれた地域で自分らしく暮らせるよう、環境を整えることは大切です。そのためには、障がい者総合サポートセンターの短期入所など、一時的に支援を受けることができる施設の充実が重要であると考えております。  平成31年3月に開始した本事業は、徐々に利用者も増えており、まずは利用者が安心してサービスを受けられるよう、安定的な運営を目指しているところでございます。  委託費の内訳としては、そのほとんどが医師や看護師などの人件費にあたりますが、令和2年度予算では、今年度の状況を踏まえ委託事業者と検討を重ね、利用者が快適に過ごせる環境づくりというところに重点を置き、入浴回数の増やデイルームの充実などを図りました。また、重症心身障がい児・者の方をお預かりする観点から、衛生環境に配慮し、特に消毒液や手袋、マスクなどの感染症対策を充実させました。 ◆田村 委員 私たち大田区議会公明党が毎年夏に行っている各種団体との懇談会では、新たにこの事業開始となった、このさぽーとぴあB棟の短期入所事業に対する期待と切れ目のない支援に対するご意見、ご要望をいただいております。ぜひとも様々な角度から検証を続け、より多くの皆様が安心してサービスが受けられる環境を整備していただきたいと思います。  次に、利用対象者について伺います。利用対象者は、原則6歳以上の重症心身障がい児・者で、またそれに準ずる方として、車椅子などを常に利用し、自力での移動が困難な方や医療的ケアの必要な方などが利用可能と定められています。いわゆる障害者総合支援法で定める自立支援給付事業の短期入所医療型が主な利用対象となっていると思いますが、おおむね大田区内では何名程度の方が対象となっておられるのか。また、その方々が持つ個々の障がいの程度に寄り添った丁寧な相談対応が必要と考えますが、その状況について、お伺いいたします。 ◎要 障がい者総合サポートセンター次長 利用対象者につきましては、区内において、およそ200名と想定しております。短期入所事業は昨年4月から募集を始め、5月から受け入れを開始しました。利用にあたっては、医師の診察を受けていただき、診察の結果、短期入所施設の利用が可能と判断されれば、登録手続となります。  本事業では、医療的ケアをはじめ、個々の障害の状態を把握し、丁寧な相談対応を行うため、重症心身障がい児対応に精通した常勤の医師による診察を行っているところでございます。  なお、本年2月末の時点で、診察を終え、利用登録を済ませた方は78名となっております。 ◆田村 委員 区内にこうした施設があるということで、例えば施設までの移動方法を見ても、短期入所の利用に対するハードルが下がり、障がいをお持ちの方や、そのご家族の期待も一層大きくなっていくものと思います。  ただ、個々の障害の状態にあわせて事業運営していくためには、それに見合った設備や人員配置基準などを見直していく必要もあるのかと思います。  先日、さぽーとぴあB棟を視察させていただきました。短期入所事業を行うのは2階、3階で、2階には多床室4床、個室2床、クッションフロア材を施したデイルーム、利用者に負担のかからない機械浴室のほか診療室などが配置されており、3階には個室が4床、デイルーム、面談室などがあり、各階にはセキュリティが確保され、真新しく、動線の整った施設状況について、るるご説明をいただきました。  そこで、この施設の利用状況について、お伺いいたします。平成31年3月の開所後、5月の利用登録者数は29名でしたが、翌6月は10名、7月は14名で、令和2年2月までは毎月数人の方が登録されており、先ほどのご答弁において、2月末時点で78名との現状を伺ったところです。  利用者は、この登録の後に大田区と契約を交わし、その後、ご家族の付き添いのもとで、お試しの日帰り利用を体験します。  さて、これまでの短期入所事業の推移は、特定短期、1泊2日、2泊3日、3泊4日の合計で190名を超えていると伺いました。そこで、この短期入所事業について、毎月の利用実績が安定的に推移していると感じておりますけども、これまでの状況を区はどのように分析されているか、お伺いいたします。 ◎要 障がい者総合サポートセンター次長 利用実績についてでございますが、昨年5月、6月の事業開始当初は、利用登録のために必要な医師の診察を受ける方が多い状況でした。その後、徐々に利用者数が増え、夏ごろから1回あたりの宿泊日数が、2泊3日や3泊4日と連泊される方が多くなりました。さらに10月ごろからは、毎月定期的に利用されるような方も何人かいらっしゃるようになるなど、安定的に利用実績が増加しております。  対象者約200名に対して、登録者数78名ということで、約4割の方がいつでも利用可能な登録を済ませており、おおむね順調に利用が進んでいると考えております。今後も実績を積み重ね、さらに利用しやすい施設となるよう、努めてまいります。 ◆田村 委員 さぽーとぴあB棟の短期入所事業は、区内のスポーツ施設や集会室のように、単純にその利用率だけを抽出して、状況を判断することはできません。利用者が多くなれば、その分、安全管理へのリスクも高まりますし、受け入れ体制の拡充も必要となってまいります。しかし、今後の障がい児・者ご自身の高齢化、またその保護者の高齢化を第一に、障がい児・者の増加、重度化など様々な状況の変化に対し、本区としても、障害福祉事業の充実をより一層進めていく必要があると思います。  先日、重度心身障がい児の保護者とお会いした際に、実は、遠方に暮らしているその方のお母さまが危篤との報を受け、帰郷するために、この障がいを持つご子息の短期入所先を探さなくてはならなくなり、何とか北関東にある施設で1週間受け入れていただくことができ、無事、一切を済ますことができたとのお話を伺いました。  そこで伺います。今後、このような親族のことやレスパイトケアなど、緊急対応を要する場面が多くなってくると考えますが、障がい者総合サポートセンターでは、どのような取り組みが必要と考えているか、見解をお伺いいたします。 ◎要 障がい者総合サポートセンター次長 重症心身障がい児・者を日常的に介護しているご家族は、特に介護を行っていらっしゃる方の急病や、ご家族の冠婚葬祭といった緊急時に、短期入所施設がなかなか見つからない状況があると伺っております。そうした状況を踏まえ、身近な地域にある障がい者総合サポートセンターの短期入所事業では、利用者に寄り添ったきめ細やかな対応が必要であると考えております。  そのため緊急時には、前日の午前中までにご連絡をいただければ、受け入れ可能な体制を構築したところです。また、通常は最長3泊4日のところ、緊急時は6泊7日まで延長し、柔軟に対応しております。介護者の高齢化や孤立化が懸念される中、今後も家族介護の負担軽減につなげていけるよう、障がい者団体や利用者の方々の意見を伺いながら、短期入所事業を進めてまいります。 ◆田村 委員 ますますの短期入所事業の充実を期待しております。  最後に、この機能拡充に際し、2点要望させていただきたいと思います。1点目は、マット敷きの部屋についてです。現在、短期入所施設にある10部屋には、全てベッドが設置されておりますけども、ベッドでは転落によるけがの懸念がある障がい児・者のために、マット敷きの部屋の設定を検討していただきたいと要望いたします。  そのためには、ただベッドを部屋の外に出して、マットを敷くだけではなく、壁や窓ガラスへの養生も必要となることや、利用者の動きを観察するモニターなどの設備的な改修のほか、そのための人員配置も必要となるなど多くの課題があると思いますけれども、ぜひ今後の課題としてご検討を願います。  2点目は、現在の利用対象者の枠を広げ、より多くの方がさぽーとぴあB棟の短期入所事業を利用できるように、大田区と運営事業者とで検討を進めていただきたいと要望します。最初に確認しましたとおり、短期入所の利用対象は6歳以上の重症心身障がい児・者で、この障害の、姿勢はほとんど寝たままで自力では起き上がれない子、起き上がれない状態が多い、移動は自力では困難、寝返りも困難、座位での移動、車椅子などとされており、このまま解釈すると、1点目に要望させていただいたマット敷きを希望される方などは対象外となってしまいます。この点につきましても、ご検討のほど、よろしくお願いいたします。  障がい者総合サポートセンターB棟における短期入所事業について、質問、要望をさせていただきました。障がい児・者、そのご家族が安心して大田区で暮らし続けていただくために、今後ますますの大田区福祉施策の充実を願い、質問を終わらせていただきます。 ◆椿 委員 大田区議会公明党の椿真一です。  第3款福祉費について質問をいたします。先日、区内にお住まいのご婦人から「夜、自転車で走行中、車椅子の方とぶつかりそうになりました。車椅子の前後に反射板などあれば、夜道でもわかりやすいと思うのですが」というご相談をいただきました。  幸い衝突せずに済んだそうですが、そもそも車椅子を使用される方は、体に障害があるか、または高齢のため歩行が困難になるなど、移動に困難な方が使用されております。  また、北澤委員も最近まで使用されておりましたが、特に次世代の移動手段、パーソナルモビリティと言われている最近の電動車椅子は、操作性能も向上し、その普及は、今後超高齢化社会とともに伸びていくと言われております。  平成28年の予算特別委員会において、我が会派の田村委員からも、車椅子移動の安全性向上のため、反射板やリフレクターの必要性を訴え、しょうがい者の日の集いなど、様々な機会を通して、必要な啓発を進めていただきたいと訴えておられました。  本区としても、粛々と推進していただいていると思いますが、実は、ときを同じくして、別の方からも、夜道の自転車で車椅子と接触事故を起こしそうになったという方がもう1人。さらに、今度は別の方は、車椅子利用者の方から、自転車とぶつかりそうになり、夜の外出が怖くてできないとのご相談を頂戴しました。  電動車椅子は、多くの場合、障害者総合支援法、あるいは介護保険法に基づくサービスとして利用され、電動車椅子や高齢者の電動カートなどのレンタルが増えてきており、走行中に危険な思いをした方も比例して増えていると聞いております。  質問します。本区内において、車椅子での安全走行のコツやポイントなどの講習会などを検討していただくと、接触事故のリスクを少しでも回避できると考えますが、区の見解をお聞かせください。 ◎黄木 障害福祉課長 障害者総合支援法に基づく電動車椅子の支給となる方につきましては、東京都心身障害者福祉センターでの判定時に、申請者が電動車椅子を使用し、操作ノブ等の基本操作や走行等の移動操作を行い、安全な走行について確認をしてございます。  委員お話しのように、講習会を実施することは、電動車椅子の安全な利用につきまして再確認、再学習のための一つの機会ともなります。今後、他自治体での実施状況やその効果等も踏まえ、関係機関や団体等と協議してまいります。 ◆椿 委員 他機関と協議をしていただくと本当にありがたいと思います。  さらに、協議から検討としていただければと思っております。前向きな答弁、感謝いたします。  さて、反射板やリフレクターの安全対策は、現在使用者ご自身で行うのが原則と伺っておりますが、冒頭に申しましたとおり、その注意喚起はいま一つ行き渡っていないようにも感じております。  質問します。今後、安全面での注意喚起を促すようなチラシなどを作成していただき、車椅子の申請者に対し、本区の窓口や区内の介護用具事業者にも協力を促すことはできないものでしょうか、区の見解をお聞かせください。 ◎黄木 障害福祉課長 移動手段としての車椅子は、小回りがきくものやコンパクトなものなど、電動車椅子につきましても機能が進化してまいりました。また、まち中のバリアフリー化の進展も含め、利用者の行動の範囲は広がっています。  行動の範囲が広がる一方、これまで以上に狭い道路の交差点等での接触などの危険な場面が増えることとなります。また、夜間の外出につきましては、さらに危険性は高まることが想定されます。  車椅子は、道路交通法におきましては、車両ではなく歩行者として扱われますので、歩行者としての交通ルールやマナーを守っていただくとともに、車椅子の安全操作に心がけ、みずからの安全意識を高めていただくことが重要です。  今後、車椅子の支給決定の際や窓口相談の際に、車椅子を安全に利用していただくための案内チラシなど、事業者と連携して作成、配布するなど、注意喚起をさらに進めてまいります。 ◆椿 委員 国産の一般的な婦人用の電動アシストつきの自転車の平均重量は、25キロでございました。そして、電動車椅子の平均重量は30から40キロ、大体35キロぐらいが平均重量となっております。その両者が正面衝突した場合、それは当然、破壊力は増すものでございます。今後、超高齢化社会になっていきますと、高齢者の電動カート、そういったものも普及してくると思います。見過ごすことはできないと考えております。  先日、池上警察署のほうに、区内で車椅子と自転車の接触事故をお伺いしました。そうしますと、0件という、2年ゼロということでございました。しかし、これは車と違って表に出ない、当事者同士で終わっているからというケースも考えられます。そういったことを鑑みますと、やはり区としても、ほかの自治体、区でもなかなか事例を見ないような先駆的な取り組みと私は思っておりますので、事故が起きる前に、起きるかもしれませんけど、そういった重大事故になる前に、本区としてしっかりと取り組んでいただければと期待いたしまして、質問を終了いたします。 ○渡司 委員長 以上で、第3款福祉費の審査を終結いたします。  次に、第4款衛生費の審査に入ります。  理事者の説明を求めます。 ◎梅崎 財政課長 それでは、事項別明細書のほう、170ページをご覧いただきたいと思います。  第4款衛生費です。本年度87億7,500万4,000円で、6億2,485万5,000円の減です。第1項保健衛生費は、款と同額でございます。第1目保健衛生総務費、本年度24億6,095万8,000円で、1億5,652万8,000円の減です。主なものは、大森赤十字病院改築支援で、3億2,131万円の皆減でございます。  続きまして、172ページ、第2目感染症予防費、本年度21億6,384万円で、5億4,178万2,000円の減です。主なものは、1番、予防接種の(1)乳幼児等予防接種で、5億6,457万5,000円の減です。  174ページ、第3目生活習慣病予防費、本年度19億9,524万円で、2,309万4,000円の増です。  176ページ、第4目母子保健費、本年度10億2,558万6,000円で、2,413万2,000円の増でございます。  続きまして、178ページ、第5目公害健康被害補償費、本年度10億4,042万7,000円で、2,294万2,000円の増です。  180ページにまいります。第6目環境衛生費、本年度3,428万9,000円で、299万5,000円の増です。第7目食品衛生費、本年度2,659万3,000円で、53万5,000円の減です。第8目動物愛護費、本年度2,807万1,000円で、82万7,000円の増です。  第1項保健衛生費は、以上です。  第4款保健衛生費の説明は、以上でございます。 ○渡司 委員長 この款には、自民、公明、共産、立憲、フェア民、区民から質疑の通知がありますので、順次これを許します。  それでは、自民、質疑願います。 ◆湯本 委員 本日は、衛生費の中の感染症対策、新型コロナウイルス対策について、お伺いをしたいと思います。  時系列で見ていくと、2019年の1月9日に中国で新型コロナウイルスを特定をされ、2019年、昨年の12月31日に中国からWHOへ原因不明の肺炎の発生の報告がありました。2020年になって1月1日に武漢の海鮮市場が閉鎖をされ、5日には武漢で重症者が7名という状況でありました。そこから感染拡大をずっと今続けており、1月30日時点では、中国では7,711名の感染者、死亡者は170名ということになっております。2月に入ってからは、武漢市からチャーター便で日本人が帰国をしたり、また、クルーズ船のダイアモンドプリンセス号、これが2月4日に清水港への寄港の中止等々があり、国内でも大変な混乱を生んだことは、記憶に新しいところであります。  今日時点で、日本国内のクルーズ船を除く感染者数は583名、イタリアでは1万149人、イランでは8,042人、韓国で7,513人、スペインで1,622名、中国においては8万754名という数字が上がってきております。  これを見ると、日本だけ非常に感染者数が少ないということがわかるわけですが、これを見方によっては、日本は万全の体制を引いていて安心なのだなという見方とともに、日本だけ検査の仕方だとか、その把握の仕方があまりうまくいってない、積極的に行っていないので、この人数が非常に抑えられているのではないのか。人の見方によって、様々な考え方から、わからないことが不安を生んでいる、そういう状況が今の日本社会にあるのだと思います。  そこで、まずお伺いをしたいのですが、コロナウイルス対策の関連で、今大田区がどういった対応を行っているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。大田区における新型コロナへの相談体制はどのような状況か、また、どの程度の相談件数があり、どのような相談が多く寄せられ、また、現場での負担感や苦慮している点、この点を教えていただきたいと思います。 ◎高橋 感染症対策課長 区は、感染症対策課に相談窓口を設置し、主に電話での問い合わせを受け付けています。新型コロナ受診相談窓口として新たな電話番号を設定し、計10回線での対応を行っています。内容によって、保健師、医師、事務にて対応し、1月中旬から3月6日までに1,168件の相談があり、1日平均34件でした。  内容は、熱などの症状が続いている区民の方、疑わしい方を診察された医療機関、また企業などから、もし従業員の感染が判明した場合にどのような対応をすべきか等で、マスコミ報道の内容によっては、翌日ほぼ10回線の電話が常時話し中となることもありました。電話対応以外に疑い事例があった場合、患者からの聞き取り、関係先の調査、あわせて医療機関から回収した検体を直接職員が検査センターへ持ち込みするなど、並行して必要な業務を進めています。  また、感染していない証明が欲しいため検査をしたいという相談もあり、検査は疑わしい症状のある方等が対象のため、そういった説明に時間がかかることはあります。 ◆湯本 委員 34件と聞くと、大したことないのかなと思いますが、1件の電話の対応が長くて、その対応に終始追われているというのが、今の説明の内容であると思います。  なぜ長くなるのかというと、ただ電話で受け答えして終わりではなくて、疑いがある場合は、医療機関にきちんと紹介をして、さらには、その結果がどうなったのかということを把握をして、データの蓄積等々、または東京との連携や国との連携、様々な業務が発生をするのだろうということだと思います。  ただ、そういうご苦労が、区民の皆さんには、なかなか見えない部分があります。今の現場の混乱状況がどういう状況であるかということも、実は、含めて、ある程度情報公開をしていったほうが、役所も頑張っているし、いろいろな人がいろいろなところで頑張っているのだけど、どうにもならない状況がある。こういうことがきちんと人に伝わると、それはただのクレームではなくて、共感につながっていくのかなと思っております。  そこで、この情報公開という観点から、大変マスコミ等でもクローズアップをされておりますが、PCR検査にかかわるトラブル、それから医師の指摘を受けても検査を行わないと判断したケースなどは、大田区でございますか。 ◎高橋 感染症対策課長 2月中旬以降、入院が必要な肺炎事例は、医師が疑いとして保健所に連絡されたものについては、ほとんどPCR検査を実施しています。中には、発熱のみで検査を依頼される事例もあり、発熱を症状とする病気は様々であるため、医療機関において、症状に応じてインフルエンザ簡易検査や血液検査などをしていただいた上で、再度、連絡をお願いしています。 ◆湯本 委員 そうすると、しかるべき情報や状況がきちんと把握をできたときには検査を行っていると。明らかにそうではない場合については、説明をしてお断りというか、これは検査の対象ではありませんよという説明をされているということだと理解をいたしました。  これも恐らくマスコミ等で言われていると、検査を全く受け付けてくれなくて、大変ひどい対応だという声が非常に多く聞かれましたが、こうやって現場の話を聞いていると、理由があって、そういう対応をされているということが確認をすることができました。  そこで、もう1点お伺いをしたいのですが、仮に大田区で感染が確認をされた方がいた場合の、その情報を、どのようにこの感染をされた方が、大田区のどの辺で何をされていた方なのかであったり、または、その方がどこで何をされたときに感染をしている状況で、どこで何をしていたのか等々、いろいろな情報の出し方をされている自治体がありますが、大田区で感染を確認された場合の情報の出し方、対応をお伺いします。 ◎高橋 感染症対策課長 現在、東京都が示している公表の考え方に基づき、患者の年代、性別、行動歴等を公表しており、区は追加で公表はしておりません。患者が発生した場合は、保健所が患者の行動歴等を感染症法に基づいて調査し、必要に応じて、家族、勤務先や友人等に健康観察を依頼することとなります。 ◆湯本 委員 必要に応じてということなのだと思いますが、今、世の中が騒然としている状況がありますので、この情報の出し方については、どのような出し方がいいのかということに対しての工夫というものを、自治体によっての温度差みたいなものを、率直に私は感じているところであります。  東京都の新型コロナウイルスの感染症対策本部の資料によると、感染者の行動歴をプライバシーに配慮して公表する考え方として、国においては、詳しい行動歴を公表していないが、都は都民の不安を少しでも解消するため、感染者のプライバシーの保護に十分配慮をしつつ、関係者等の同意を得た上で、風評被害が生じない範囲で公表内容を見直すとしております。  現行の公表内容である、年代、性別、都道府県名などの居住地、症状、経過、武漢市や中国への渡航歴などの行動歴から、新たに原則として公表する内容として、利用空港など、または入国の経路、滞在場所と滞在日数、そして必要に応じて公表する内容として、移動手段を公表するとしております。個人のプライバシーと公益性の両面を考え、どのような情報の出し方をすべきかという判断が求められる局面であると思います。あまりにも断片すぎる情報を出すと、これはいたずらに不安をあおるだけという結果を生むケースもあります。  ある程度、具体性を持った情報は、区民に公益に資する行動をとっていただくきっかけにもなると考えます。PCR検査の件や、区内の感染者の有無など、現況情報の出し方、大田区の相談窓口の対応を不満に思う現状も、なぜこのような対応をとっているのかの説明をしっかりと行っていくことが、区民の共感や納得、理解にかわり、この一連の状況下での行政の行動の理解者へと変わっていくことも考えられるわけであります。
     とにかく大変だ、皆さん、だから協力してください。非協力的な人は非常識な方です、わかっている者がわかっていればいいのだから、口を挟まないでほしい、現場は大変なのだから余計な手間をとらせないでほしいといった感じで受け取られてしまうと、共感や理解は生まれないと考えます。言うならば、情報の提供までが感染症対応の必要な仕事量と捉えるべきだと、私は考えます。なので、情報提供はわかりやすく、積極的かつ的確に行うことを求めたいと考えます。  北海道や千葉市、神奈川県と東京都の対応を比較をすると、情報の出し方に具体性の違いを私は感じます。大田区は、東京都と同じ考え方で情報の公表のあり方を考えるとしておりますが、現在の東京都と大田区の情報の公表のあり方に対してどのように考えるのか、お伺いをいたします。 ◎高橋 感染症対策課長 各自治体において、患者情報の公表の基準が様々であることは承知しています。現状では、東京都の公表の考え方に基づき対応しております。新型コロナウイルス感染症は、飛沫感染、接触感染であるため、調査により濃厚接触者を特定できた場合は、それ以上の情報公開は不要と考えますが、今後、状況に応じて区として公表する事例も出てくると考えられます。 ◆湯本 委員 今後は、区としても対応を考えていく局面もあるということを想定はしてくださっているのだろうということで、理解をさせていただきます。  区長、ここは多分、区長のリーダーシップが極めて重要になるのだと思います。状況によって、どういう情報の出し方をすることが、結果として区民に安心感を与えるか、または区民の皆さんからの協力を得られるかということが、まさにその判断によって局面が分かれるところも出てくると思います。ぜひ、その際に区長のリーダーシップに期待を寄せさせていただきたいと思います。  また、PCR検査についてお伺いをしたいと思いますが、検査の保険適用によって、区内の状況はどのように変わると想定をしているのか。患者、医療機関、行政の視点から、想定をお伺いをしたいと思います。 ◎高橋 感染症対策課長 現時点では、帰国者・接触者外来を設置している医療機関等で保険適用の検査ができることとなっています。PCR検査が拡大されると検査実施数が増え、患者数が増加することが考えられます。  また、指定感染症であるため、症状にかかわらず、PCR検査で陽性となった場合は、感染症法に基づく入院となります。しかし、軽症のまま治る患者も多いこと、早期に診断しても有効な治療法がないことを勘案すると、医療機関のキャパシティがある中で重症者の治療を優先することを考え、今後は軽症者の入院についてのあり方を検討する必要があると考えます。  また、感染者数の多くなっている地域の実情に応じて対応することが重要であり、東京都の方針を確認しながら対応してまいります。 ◆湯本 委員 恐らく、先ほど、冒頭に日本では583名の感染者が出ている。対してイタリアではもう1万人を超えているし、韓国でも7,500名を超えている。PCR検査の実施件数が増えると、患者の数が増えていくと。そうなると、今引いているシフトで対応ができるのかということや、それから情報の出し方、情報をどう出すかというところまで感染症対策の必要な仕事であるとするならば、今の体制で十分なのかといったところも考えていかなければいけない局面が来ると思います。  柔軟に、そしてやはりこの問題は後手後手に回ることなく、積極的に先回りして、こういうことが想定できるから、それに対応できる準備をしっかりと整えていきます、こういう大田区の行政手腕の発揮のしどころだなと思っております。協力をさせていただくところは、しっかりと協力をさせていただいて、一致団結をして、この局面を乗り越えていくことができるように、期待を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。 ◆伊佐治 委員 自由民主党大田区民連合の伊佐治でございます。  昨日の質問では、特に総務費のところで、我が会派の長野委員、深川委員から大変厳しいご意見を申し上げさせていただきましたが、そう思っている議員は2人だけではなく、たくさん私はいると思っているところであります。正直なところを申し上げれば、きっとどうせ賛成してくれるだろう、議員の意見なんて小言でいいだろうなんてことを思っている方も、もしかしたらいらっしゃるのかもしれないと思います。  私は、9年間、この区議会で活動をさせていただいておりますが、この3期目、まさにそうしたことをたくさん感じる、この1年であったと思っております。これが長期政権のおごり、そして緩みでないことを私は願いながら、本日は質問をさせていただきたいと思います。  衛生費での今回のテーマは、大田区の令和2年度予算概要案付属資料であります、予算編成過程の公表について、質問をさせていただきたいと思います。  まず、大田区長、副区長、そして企画経営部長は、私が平成30年第2回定例会一般質問で、受動喫煙への根本的な対策として禁煙支援制度をつくるべきと考えますが、いかがでしょうかと質問したことは、ご記憶にございますか。 ◎松下 健康づくり課長 そのように質問されたことは、存じております。 ◆伊佐治 委員 それでは、大田区長、副区長、そして企画経営部長、私の質問に対して、健康政策部長が、「議員お話しの禁煙支援制度について、先行して取り組んでいる自治体の例や、専門的な知見も踏まえ、この6月に新たに立ち上げた、大田区受動喫煙防止対策推進本部の中で検討してまいります」と答弁をしたことは、ご記憶にございますか。 ◎松下 健康づくり課長 そのように答弁したことは、認識しております。 ◆伊佐治 委員 ご記憶にあったということで、よかったです。答弁された方は違うのですけど、それは区長の声としていただいたところでありますが、何度も質問をしていますと、結構、理事者の方に、そんな質問しましたかとか、そういう思いで言われることもありまして、改めて確認をさせていただいたところであります。  さきの質問の中で答弁の中にありましたとおり、大田区受動喫煙防止対策推進本部の中で検討するということでございましたが、どのような検討がなされたのか、お答えをください。 ◎松下 健康づくり課長 禁煙外来治療費助成を含めた禁煙支援対策については、効果的な手法を先行自治体などの例を参考に、健康政策部で検討いたしました。その検討内容を、令和元年8月に実施した大田区受動喫煙防止対策推進本部にて報告をいたしました。  具体的な予算については、予算編成の中で決めていくことといたしました。 ◆伊佐治 委員 それでは、皆さんには、ここで予算編成過程の公表、138ページをご覧をいただきたいと思います。令和2年度の予算編成にあたり、健康政策部は受動喫煙防止対策として、3,897万円余の予算要求を行いました。企画経営部長査定後の健康政策部としての再度の要求額は、同じく3,897万円。要は企画経営部での部長の査定を受けた後、同じ金額を改めて提出をしたということになります。  これは企画経営部長の意見を反映させた上で、もともとの要求額を示したと考えることができるのですが、企画経営部長は、この企画経営部長査定におきまして、どのような判断をなされたのか、お答えをください。 ◎梅崎 財政課長 企画経営部長査定の段階では、受動喫煙防止対策の予算要求があったうち、緊急性、必要性、費用対効果などの確認ができたものについて、予算化するという判断をしてございます。  具体的に申しますと、禁煙外来治療費助成のほか、禁煙支援や健康に関する相談業務委託などの経費につきましては、必要性、費用対効果の確認がとれておりません。 ◆伊佐治 委員 今の答弁では、具体的な判断がどんなことであったのかということは、知ることはできませんが、特段、減額のことは示さなかったと判断をすることもできるわけであります。  予算編成過程の公表の中では、事業の内容などを検討し、予算の総合調整を行い、令和2年度予算案として計上した金額を記載する部分であります、この区長査定予算(案)の部分では、1,971万円余の減額予算となっております。企画経営部長査定後、予算編成のどの時点で、誰により減額をされたのか、お答えをください。 ◎梅崎 財政課長 企画経営部長査定後に、改めて健康政策部から予算要求がございました。この要求に対しまして、区長査定を行った結果、減額査定となったものでございます。 ◆伊佐治 委員 ということは、区長、副区長が減額を判断されたということになるわけであります。先ほどの考え方では、法改正等により、禁煙への意識は高いが、禁煙希望者に対して、さらに公費を投入する必要性は低いと書かれています。健康政策部から禁煙外来治療費助成に対する予算要求は、令和2年度が初めてでしょうか。 ◎梅崎 財政課長 平成28年度予算での要求が初めてでございます。平成29年度予算では、要求はございませんでしたが、平成30年度予算、令和元年度予算の要求がございました。 ◆伊佐治 委員 今のご答弁だと、これまで3度の要求を行ったということでありまして、令和2年度が4度目の要求となるわけであります。副区長、区長が公費を投入する可能性が低いと言っているのに、健康政策部は公費を投入すべきだと、そういった意見を出しているわけでありまして、この矛盾をどう考えていくのか、私は必要だと思います。  例えば、隣の品川区では、2018年度から2019年度へ、この同じ事業の予算を1.6倍に増額、中野区では2019年度から2021年度までの3年間試行的に実施、港区では私的な空間における子どの受動喫煙防止対策をさらに進めていく重要性から、平成30年から実施、北区では、平成26年度から実施、利用者も増加傾向にあります。  各自治体は、公費投入をする必要性が低いのに、公費投入をしている、誤った施策を実施しているという認識でよろしいでしょうか。 ◎梅崎 財政課長 各区の受動喫煙防止対策の考え方に基づきまして、禁煙外来治療費助成は、その一つとして取り組みを進めているものと理解をしてございます。 ◆伊佐治 委員 模範解答のような答弁をいただきまして、ありがとうございます。  今年4月から、大田区では、新たに大田区屋外喫煙における喫煙マナー等に関する条例が施行されます。この条例につきましては、私自身も、前期のときに、様々な方々からご批判をいただきながらも、何とかこれを形にしたいということで動いてまいりました。本当に形にしてくださった大田区の皆さんには、大変感謝をしているところであります。まさに今、国においても法改正、そして東京都においても、この2020年、条例が完全施行されるという中、そして大田区は4月1日から新しい条例をスタートする、これこそまさに禁煙に対する意識が、大きく今上昇している時期ではないかと、私は思います。だからこそ、今、新しい施策を導入すべきだと、私は考えているわけであります。  改めて、禁煙治療費助成を導入すべきと考えますが、この点につきましては、企画経営部と、そして健康政策部、それぞれのご意見をいただきたいと思います。 ◎梅崎 財政課長 禁煙治療費助成は、治療終了者へ助成金を支給するものとなってございまして、報奨金的な要素が強いことや、助成金を支給された方が、再び喫煙者になった場合の対応などに課題があるものと考えてございます。  これらの課題に対する具体的な解決策に加え、国や東京都の動向、各区の実績、喫煙率の状況なども踏まえまして、総合的に判断すべきものと考えてございます。 ◎松下 健康づくり課長 禁煙外来助成を含めました様々な施策について、組み合わせて実施することが有効と考えております。令和3年度予算編成の中で、改めて課題のほうを整理していきたいと考えております。 ◆伊佐治 委員 健康政策部としては、複合的な施策として、まだまだやる気はあるという、そうした答弁でありますが、やはり企画経営部からの答弁を聞いておりますと、多分大田区はもうやらないだろうなと、私の中では認識をしています。残念ながら、これが現実でありますから、私としては、大田区のこの施策に期待をするのではなく、国や東京都が前向きにこうした新たな助成制度をつくっていただくことを期待をしたいと思います。  最後に、話を変えまして、予算事項別明細書179ページの母子健康診査について、1問だけお聞きをさせていただきたいと思います。  昨年6月、令和元年第2回定例会で、3歳児健診における眼科検査において、屈折検査機器を導入することを求めてまいりました。これは3歳児健診によって、目の異常が見過ごされ、斜視や弱視などが将来的に悪化をした場合、ただ見えづらいということではなく、将来的なハンディキャップを負う可能性があるということで、求めてきたものであります。  検査機器は1台約120万円、大田区としては、子どもが落ちついて検査できる場所、スタッフなどの検査環境の確保、当日検査できなかった場合の検査機会の提供、現行の健診の流れに沿った新しい屈折検査機器を用いた健診ラインを置き込むための調整など、検討すべき課題が多くあり、こうしたことを含め、導入の可能性を検討していくということでありました。  来年度の予算書を見る限りでは、屈折検査の専用機器を導入する予算は、どこにも見当たりません。その後の検討結果について、お示しをください。 ◎星 大森地域健康課長 3歳児健診における屈折検査専用機器の導入に関し、特別区保健所長会が、昨年、各区の実施状況の調査及び導入に関する課題の整理を行いました。その内容は、導入区において、弱視発見率向上という効果が認められること、一方、課題として、実務経験を積んだ視能訓練士の確保が難しいこと、あかりを落とした、健診の部屋とは別の検査場所の確保が必要なこと、それから健診時間の短縮、そのほかに日本においての判断基準値がまだ定まっておらず、海外の判断基準を用いているため、精度が不十分であることの課題が挙げられております。  区といたしましては、先行導入区の視察を行い、課題の整理や具体的な検証を進めております。今後も引き続き、屈折検査機器の導入の可能性について検討してまいります。 ◆伊佐治 委員 実際に動いてくださっていることは、大変ありがたいなと思うのですが、正直なところ、遅いなと感じているところもあります。先ほどの禁煙治療助成制度もそうでありますが、たった数百万円でできる事業です。今お話しをした屈折検査機器だって1台120万円ですから、4庁舎に入れるのに幾らかかるのでしょうか。それすら予算に上げることができないのに、何で大規模な公共事業にはどんどんお金を使うことができるのか、私には全く理解ができません。  一つ事例を挙げさせていただきたいのですけど、私は別に大きな事業を批判しているわけではなくて、例えば来年度の大田区の予算では、1億9,000万円余の新空港線の予算が入っています。私は大賛成なのです。新空港線。これは何でかと言いますと、私が数年前、雑色の駅頭で演説活動をしていたときに、車椅子の男性が私のところに近づいてきて、新空港線の話をされたのです。その方は何でそんな話をしたかと言いますと、雑色駅のバス停というのは狭くて、要は車椅子の人はおりられないのです。結局、次のバス停に行って、おりなければいけない。では、私も何とかできないかと思って地域を見て、いろいろ話を聞いたところ、各建物がセットバックしてくれないと、要はバス停を広げることもできない、そうした状況がありました。その方にとっては、新空港線ができることによって、要は蒲田までの新しい足を得ることができる。なおかつ鉄道網であれば、完全にバリアフリーにしてくれるということを感じて、ぜひとも新空港線の整備を進めていただきたいということを、私にお話をしてきたわけであります。  ぜひ、私は大規模な事業であっても、区民のためであったら、どんどん進めていただきたいと思います。そのかわり、やはりこうした小さな予算であっても、区民の皆さんにとっては大事な事業もあるわけでありますから、ぜひとも目立つ事業ばかりに力を注ぐのではなく、ぜひともこうした場で訴えた一つ一つの政策の実現に向け、本気で取り組んでいただきたいと思います。以上で、質問を終わります。 ○渡司 委員長 次に、公明、質疑願います。 ◆田島 委員 大田区議会公明党の田島和雄でございます。  衛生費のうち、事項別明細書175ページのがん検診について、お伺いいたします。  令和2年度予算案の概要を拝見いたしますと、がん対策の強化として、今まで検診を受診したことのない検診無関心層をターゲットに啓発活動を行い、検診受診へ行動するきっかけをつくりますとしております。  そこで、伺います。区が考える検診無関心層とは、具体的にどのような区民を指しているのか。また、啓発活動の具体的な取り組みと、その狙いについて、お示しください。 ◎関 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 検診無関心層とは、健康づくりに対して関心の低い、いわゆる健康無関心層に加えて、健康に関心を持ちながらも自覚症状がないから検診を後回しにして受けないなど、検診の重要性や必要性について適切に理解できていないことから、各種検診を受診するまでの行動に至らないような住民層であると考えています。  こうした検診無関心層に対しては、はねぴょん健康ポイントを活用して健康づくりのきっかけづくりを提供し、連動してへルスリテラシー講演会の開催などを予定しています。講演会では、自治体が行うがん検診の意味や、検診のメリットやデメリットなどを伝え、健康面で適切な意思決定と行動がとれるような支援をしてまいります。  各種事業を関連づけて実施することで、区民の行動変容を促し、がん検診受診率向上と区民の健康寿命延伸を目指してまいります。 ◆田島 委員 がん検診の受診率向上については、私は平成29年第3回定例会の一般質問において、大手新聞社のがん検診に関するアンケート調査結果をもとに、何点か提案を織りまぜながら質問をさせていただきました。そのアンケート調査では、がん検診を受ける際に最も改善してほしい点は何ですかとの問いに、複数部位の検診が1度にできるようにしてほしい、費用負担を軽くしてほしい、検診の有効性を明確にしてほしいとの回答が上位を占めました。  アンケート結果を引いて提案した、がん検診受診率向上策の一つが、がん検診のお知らせリーフレットの改善です。本区が作成し、対象者に郵送しているリーフレットは、50ページにわたって、がん検診ごとの自己負担額、検診内容、検診期間、対象者、受診方法、実施医療機関などがかなり詳細に記載されているために、正直なところ、なかなか読む気が起きないのが率直な感想であることを述べ、世田谷区や国立がん研究センター内の社会と健康研究センターが作成した資材の例を引きながら、的を絞り、区民の心に響くリーフレットへの改善を求めました。  その質問に対して、当時の区の答弁は、対象者が一歩踏み出すような心に響く効果的なリーフレットへの改善など、がん検診の受診率の向上に向けて、引き続き取り組んでまいりますというものでした。  お伺いします。がん検診リーフレットの改善に関して、その後の本区の取り組みについて、お知らせください。 ◎関 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 令和元年度のがん検診のご案内は、大森地区、調布地区、蒲田地区、糀谷・羽田地区のがん検診受診率の比較や部位別がんによる死亡率のデータを掲載し、約43万人の区民に個別発送をしております。並行して、厚生労働省も推奨し、受診率向上が認められた、ナッジ理論を活用した、新しい受診勧奨用のリーフレットを作成しました。  ナッジ理論とは、行動経済学や行動心理学に基づいた理論で、例えば、本当は5,000円かかる検診が自己負担500円で受けられますと費用負担軽減を強調することで、検診受診に人の行動を誘発する手法です。  リーフレットの配布につきましては、医師会、生命保険会社や郵便局などの協力を得て、広く区民への周知に努めております。令和2年度のがん検診のご案内は、現在B6サイズからA4サイズに拡大し、カラー版を予定しております。  内容につきましても、見やすさを重視するだけでなく、区民の適切な健康づくり活動につながるための情報提供として、自治体の行うがん検診の意味や検診のメリットやデメリットについて掲載するページを設け、また、キラリ☆健康おおたや、はねぴょん健康ポイントの説明とPRページも加え、作成の準備を進めております。 ◆田島 委員 リーフレットの改善を進めていらっしゃるということで、ありがとうございます。  また、一般質問では、複数部位の検診を求めるとともに、対象者が受診するのをただ待つのではなく、自治体の側から受診を促す例として、受診者が2倍に増えた山形県酒田市の、大腸がん検査キット送付事業も紹介いたしました。  それまでの本区のがん検診の取り組みは、全体への働きかけの面が強く、限界も垣間見えると考えての当時の提案でしたが、新年度、令和2年度においては、がん検診受診率向上のために、どう異なるアプローチをしていくのか、本区の見解をお伺いいたします。 ◎関 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 令和2年度の新たな取り組みとして、まずは、ナッジ理論を活用し、今年は無料だから検診に行こうと行動してもらえるよう、単年度に限って大腸がん検診を無料で実施する予定です。  次に、スポーツをきっかけにがん予防について考える機会としてもらうため、福祉部と連携し、数百人が集まる地域力応援基金助成事業の助成交付団体が主催するユニバーサルスポーツのイベントで、普及啓発とともに参加者に会場で大腸がん検診が受けられるような企画を準備しております。  また、確実な受診率向上を狙って、女性区民から好評をいただいている乳がんと子宮頸がんの集団検診に、大腸がん検診を加えることを予定しています。これにより、三つの部位のがん検診が同日で受診できるようになります。  さらには、はねぴょん健康ポイントや、おおた健康経営事業所認定・表彰事業とともに連携し、がん検診受診のタイムリーな情報発信などに努めてまいります。  今後も、がん検診受診の重要性や必要性について、様々な機会を捉えて発信し、引き続き、自治会・町会や区内事業者など連携しながら、効果的な周知・啓発に取り組んでまいります。 ◆田島 委員 新年度の取り組み、期待しております。  今のご答弁で触れられた、ナッジ理論のナッジとは、肘で軽く突くという意味で、力ずくではなく、小さなきっかけを与えて、それとなくよい方向へと人々の行動を促すデザイン、制度、仕組みを指します。2017年に行動経済学を専門とするセイラー教授が、このナッジ理論でノーベル経済学賞を受賞したことで、実社会の様々なシーンでの利用が始まっております。  本区は、そうしたナッジ理論をはじめとした様々な手法を駆使して、区民の健康維持の手助けを展開していただきたいと要望いたします。  また、女性の集団検診に大腸がん検診を加えるとのことですが、がん腫瘍部位別死亡数年次推移を見ると、直近10年間の女性のがん死亡者数第1位は大腸がんであることから、女性をターゲットとした大腸がん検診実施を高く評価いたします。  そして、大腸がん検診の検診料金を1年間限定で無料とするということですが、私も期間限定には弱いことが多くありますけれども、期間限定でお得になることにより、行動を促す心理効果は、スノッブ効果と言われまして、検診を受けようと一歩踏み出す一つのきっかけとして有効であると考えます。あくまでも期間限定で行うからこそ、効果が期待できるものであり、恒常的に無料としてしまっては、受診のきっかけづくりの効果が逓減してしまうと考えます。  はねぴょん健康ポイント事業との連携など、きっかけをつくった後に、区民が継続的にがん検診を受診していただける仕組みづくりを要望いたします。  平成29年第3回定例会の一般質問では、八王子市のソーシャル・インパクト・ボンドを活用した、大腸がん検診受診率向上事業も紹介いたしました。  八王子市は、それまでソーシャルマーケティング手法を活用した受診勧奨資材の開発や、前年度健康診査を受けた市民への便潜血検査キット配布事業により、受診率向上と継続受診者の確保に成果を上げた一方で、受診意欲が低い未受診者に、それ以上の税金を使っての介入は難しい状況でした。この課題を解決するべく、官民連携により、これまでと異なるアプローチ、受診率向上策を図ろうと、成果報酬型官民連携モデル事業を開始しました。これがソーシャル・インパクト・ボンド、SIBと呼ばれ、行政が抱える社会的課題に対して、民間事業者がノウハウや資金を活用して事業を行い、行政は、その事業成果に応じて成果報酬を支払い、社会的課題の解決を図る、公民連携の一つの手法です。  報酬の支払いの基準となる成果指標を検診受診率、精密検査受診率、早期がん発見者数の3項目とし、基準となる年度の受診率などからどれだけ向上したかによって、支払う報酬は変化し、大きな変化がなかったり、悪化した場合は、報酬の支払いがありません。  受託した民間事業者は、これまでと異なるアプローチとして、大腸がん検診受診率が特に低い層を対象に、AIを活用したオーダーメイドの受診勧奨を行いました。この事業により、2017年度の大腸がん検診受診率は26.8%となり、2015年度、2年前の実績値の9%、事業の最大目標値として設定した19%を大きく上回る結果となりました。  八王子市は、成果報酬型官民連携事業を行った意義として、①大腸がんの早期発見、早期治療による市民の健康増進、②受診率の向上でどれだけの医療費適正化効果があるかをアウトカム(結果)として可視化、つまり事業の結果ではなく、成果が可視化されること、③医療費の適正化、④医療費の適正化で削減された医療費を異なる事業に展開、⑤初期投資が不要で成果が基準目標に達しない場合は支払いがなく行政のリスクが低い、⑥先駆的な取り組みとしてシティプロモーションに寄与を挙げております。  八王子市のほかにも、神戸市が糖尿病性腎症の患者で、特に人工透析に移るリスクが高い市民を対象として、保健指導等による生活習慣の改善を通して、ステージの進行や人工透析への移行を予防する事業に成果連動型支払いを導入した結果、対象者105人全員が保健指導プログラムを修了し、修了率の目標80%を上回る100%を達成したほか、食事、運動、セルフモニタリング、服薬の4分野における生活習慣改善率が目標75%に対して、95%を達成しております。 ○渡司 委員長 審査の途中ですが、事務局は時計の計測をとめてください。  本日、3月11日は9年前、東日本大震災が発災した日です。発災時刻の午後2時46分にあわせて、犠牲となられた方々のご冥福をお祈りし、1分間の黙とうをささげたいと思います。  皆様、ご起立をお願いいたします。  黙とう。  (黙とう) ○渡司 委員長 黙とうを終わります。  皆様、ご着席願います。  ご協力、ありがとうございました。  それでは、審査を続けます。事務局は、時間計測再開の準備をしてください。 ◆田島 委員 ただいまは、東日本大震災からちょうど9年ということで、黙とうをさせていただきましたけれども、3月1日現在、死者1万9,729人、行方不明者2,559人。2月10日現在、いまだ4万7,737人の方が避難しておられます。犠牲者の皆様に心から哀悼の意をあらわすとともに、1日も早い復興を心からお祈りを申し上げます。  それでは、質問を続けさせていただきます。  そのほか、福岡県福岡市の適正服薬推進事業、福岡市など7自治体における認知症予防事業、大阪府豊中市のICTを活用した禁煙事業、福岡県大牟田市の要支援・要介護者自立支援・重度化防止業務など、多くの自治体が成果報酬型官民連携事業、ソーシャル・インパクト・ボンド、SIBの特徴、メリットを生かして導入しております。
     その一方で、SIBの負の側面として、イノベーション促進効果の低さ、事業者の自由度の低さ、取引コストの高さ、成果連動の弊害、社会的サービスの変質などを指摘する意見もあります。  これまでのところ、SIBはヘルスケア分野での活用が主流を占めているように、活用が期待できる分野、できない分野があるようですが、様々な分野で本区が抱える諸課題の解決を図るために、SIBをはじめとした様々な公民連携の手法を研究し、さらに活用を図るべきと考えます。ソーシャル・インパクト・ボンド、SIBについて、これまでの検討の経過や今後について、本区の所見をお示しください。 ◎鈴木 企画調整担当課長 ソーシャル・インパクト・ボンドにつきましては、行政が抱える課題を民間資金を活用して解決に取り組む、公民連携の新しい手法と認識しております。また、成果報酬型としてのこの手法は、課題解決における行政コストの縮減が期待できると捉えております。  区は、平成31年1月に、大田区公民連携基本指針を策定し、様々な企業と対話を重ねるとともに、公民連携の様々な手法の活用を検討するため、先進的に取り組む自治体の事例などについて調査を進めております。  今後も、複雑化、多様化する地域課題の解決に向けて、国や他自治体の動向にも注視しながら、ソーシャル・インパクト・ボンドをはじめとした様々な公民連携手法の活用について研究してまいります。 ◆田島 委員 区民の健康増進とクオリティー・オブ・ライフ、生活の質の向上のために、本区のさらなる施策の充実を求めて、質問を終わります。 ◆秋成 委員 地域猫対策について、お聞きします。大田区では、昨年6月、大田区地域猫対策講演会を開催いただきました。会場の生活センターは満席で、飼い主のいない猫に関しての関心や問題意識が高いことを伺える講演会だったと思います。  その後、大田区は、地域力を活用した、まちの猫問題の解決に向けて、飼い主のいない猫対策モデル地域事業を開始いただきました。希望が出された自治会・町会とのやりとりや、また、モデル地区に選定された地域の支援内容について、お示しをください。 ◎三井 衛生課長 これまでに10か所の自治会・町会などから、モデル地域事業についてご相談をいただきました。相談をいただいた地域には職員が赴き、猫にかかわる被害状況を把握するとともに、地域の実情に応じて、具体的な助言を行ってまいりました。  令和元年度は、二つの自治会・町会を、飼い主のいない猫対策モデル地域事業に認定をいたしました。地域住民への周知文の作成や保護ゲージの貸し出しなど、地域に寄り添った支援を行ってまいります。 ◆秋成 委員 平成27年9月の決算特別委員会の質疑で私は、犬と猫の問題に触れながら、地域猫ボランティアをされている方への支援について質問と要望をしました。その後、荻野委員も繰り返し取り上げていただきましたけれども、この飼い主のいない猫に関しましては、今回認定いただいた一つの町会も含めてのことですが、餌やりやにおいの被害など、地域から非常に多くの相談が、この議場にいる議員にも数多く寄せられていると思います。  この地域で取り組む猫対策のモデル事業の取り組みを、どのように検証し、今後いかに区全体へと広げていただけるか、これからの予定をお示しください。 ◎三井 衛生課長 モデル地域の代表者、獣医師会、動物愛護推進員が出席する、大田区飼い主のいない猫対策事業推進連絡会を定期的に開催し、モデル地域の実績報告を含め、今後の事業展開について検証を行ってまいります。  また、地域猫対策を広めるために、獣医師会などの関連機関とも調整をし、講演会の開催や、より詳しい啓発資材の作成をするなど、さらなる普及啓発に努めてまいります。 ◆秋成 委員 この地域猫のことで活動をされている方からお話を伺いますと、その地域の猫に名前をつけながら、個人情報ならぬ個猫情報となるために、資料としては掲示ができませんけれども、顔や模様、またそれを覚えながら、関係をつくり、去勢に向けての準備を整えていただいているようです。その猫ボランティアの皆さんからは、活動をされている中で考え方や活動の仕方に違いがあるなど、大変にご苦労をされていると伺います。行政は、その皆さんの間に入り調整いただくのですから、非常に難しい業務であろうと思います。  しかし、この飼い主のいない猫の問題は、悩まれる地域の皆さんにとっては、体調を崩されたり、近隣トラブルに及んだり、引っ越しを検討される事例もあると、深刻な状況であると伺います。その中で、この地域力を活用した新しい取り組みに、大きな期待を寄せる区民の方は数多くおられると思います。モデル地区からの成功事例が、広く区内に浸透し、改善に至っていくよう期待をします。  また、個々の猫ボランティアたちが活動しやすくなるような、一定の基準のもとでの後押しも、ご検討いただきますよう要望し、質問を終わります。 ○渡司 委員長 会議が長時間にわたりましたので、しばらく休憩いたします。                午後2時54分休憩                午後3時20分再開 ○渡司 委員長 ただいまから、予算特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、第4款衛生費の審査を続けます。  共産の質疑に入ります。荒尾委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。 ◆荒尾 委員 日本共産党大田区議団の荒尾大介です。  がん検診について質問いたします。先ほど、田島委員も質疑を行いましたので、詳しい説明もされたので、なるべくかぶらないように質問をしたいと思います。よろしくお願いします。  予算概要42ページ、がん対策の強化及び新たな検診の導入、新規事業として掲載をされています。予算額1億7,763万1,000円となっています。人生100年時代を見据え、QOLの確保につながる検診の充実を図るとあるように、区民が健康で文化的な生活を送られるように、区が健康づくりを推進していくということは、大変重要だと思っております。  この中で大腸がん検診を2020年度は無料で実施をするということになりました。大腸がん検診を無償とした理由については、先日の我が会派の清水菊美委員の総括質疑の最後のほうで質問を行いました。2014年度から検診自己負担の導入、翌2015年度に受診者上限を撤廃して、大幅に増加をしたものの、2016年度からはやや減少傾向に転じたことから、喫緊の課題として取り組むためとの保健所長の答弁がありました。  そこで、お聞きします。大腸がん検診を2014年度から自己負担としましたが、自己負担導入前、直近の5年間と、導入後の受診者数と受診率を教えてください。 ◎関 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 がん検診の自己負担は、平成26年度から導入しました。自己負担導入前後の大腸がん検診における受診者数と、東京都が自治体間の人口規模や年齢構成などの違いを調整し、比較可能にした受診率は、次のとおりとなります。  自己負担導入前の平成25年度は受診者数2万6,464人、受診率は10.2%で、導入後の26年度は受診者数2万9,277人で2,813人増、受診率も11.2%に向上し、受診者数の上限を撤廃しました27年度は受診者数3万9,514人、受診率15.8%で、さらに数値は向上しています。  その後、平成28年度は受診者数3万5,163人で受診率13.9%、29年度は受診者数3万3,870人で受診率13.3%、30年度は受診者数3万2,832人で受診率は12.7%と減少傾向ではありますが、25年度のがん検診無料時よりは受診者数、受診率ともに高い状況です。 ◆荒尾 委員 受診者数が減少した理由、ここ数年は減少しているとのご答弁がありましたが、原因、理由はいろいろあると思います。自己負担導入時には、国の大腸がん検診無料クーポンとかの事業もありましたので、そうしたこともなくなったというのも多少は影響しているかなと受けとめました。  今回、単年度、2020年度は大腸がん検診を無償化するということですが、先ほどの田島委員の質疑でも取り上げられました、ナッジ理論を使って、これを実施するという説明がありました。清水委員の総括質疑でも、保健所長がナッジ理論を活用していますと説明をされております。資料として厚労省が発行したハンドブックを掲載していますので、先ほどの田島委員が大変丁寧な説明をされたので、あえて私からは、ナッジ理論については触れません。配付している資料等も確認していただいて、ご理解をいただければと思っております。簡単に言えば、きっかけをつくったり、あと促したりするという考えですので、この考えは一定程度有効だと私自身も考えるところであります。  以前、自己負担を導入した際に大田区は、その理由として自己負担を導入することで区民の健康への関心が高まる。意識が高まるなどと説明をしておりますけれども、その結果、区民の健康への関心は高まったかどうかという認識はあるのかどうか、お答えください。 ◎関 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 区民のがん予防に対する意識、関心を高め、主体的に取り組むことを推進するため、各種がん検診などにかかわる委託費用の一部を受診者である区民にご負担いただくことにいたしました。自己負担導入にあたっては、生活保護受給者及び中国残留邦人等支援給付受給中などの方は、自己負担免除としております。また、自己負担導入翌年には、がん検診を希望する方に制限なく受診の機会を提供するため、各種がん検診の受診者数上限を撤廃しています。  その結果、確実に受診者数が増えたことから、関心は高まったと認識しております。  しかし、がん検診受診率の目指す目標値は達成途中であることから、現在おおた健康プラン第三次が進める、キラリ☆健康おおたのスローガンを普及し、はねぴょん健康ポイントの事業推進などにより、さらなる受診率の向上に努めております。 ◆荒尾 委員 区が思っている予測した結果とは至らなかったという、この受診率からみても、それほど区民の意識に影響はなかったと認識をしております。  このがん検診、年度限りの無償化ですけれども、この中で概要版ですが、42ページ、検診無関心層への啓発活動とあります。その下に大腸がん検診自己負担金無料化とありますが、この検診無関心層という言い方をしているのは、どういった理由からなのでしょうか。 ◎関 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 おおた健康プラン第三次の策定にあたって、平成29年度、無作為抽出の20歳以上の区民4,000人にアンケート調査を行い、約1,700人から回答をいただき、健康に関する様々な状況が見えてまいりました。  がん検診に関しましては、検診を受けなかった理由についての質問項目で、最も多かったのは、何となく受けていない、次に自覚症状がないからや、忙しいから、必要と思わないからという回答が確認できました。  こうしたことから、健康づくりに関しての関心が低い、いわゆる健康無関心層や、健康に関心を持ちながらも自覚症状がないから検診を受けないなど、検診の重要性や必要性を適切に理解できていないため、検診を受診するまでの行動に至らない住民を「検診無関心層」といたしました。 ◆荒尾 委員 先ほどの答弁の中で、健康に関心はあるけれども自覚症状がないから受けないという方も無関心層に含むという言い方をしていましたけれども、受診しない理由は本当に様々あると思います。先ほどもご答弁にありましたとおり、忙しい、経済的、時間的余裕がない。お金を払ってまで受けようと思わない。受診したら悪い結果が出るだろうからちゅうちょするとか、あと本当に全く関心がない人、様々あると思います。  そうした、今いろいろとご答弁いただきましたけれども、検診を受ける人への行動を促す、それがナッジ理論というので厚労省は推進していますけれども、そうしたアプローチも必要ですが、それ以外に社会的な側面からのアプローチというのも必要になると思います。健康を決定づける要因は、遺伝子や生活環境などの生物学的要因だけではなく、社会や家族環境、友人とのつながりなどの個人の社会的、経済的要因、国の政策や職場コミュニティの豊かさを含む、環境としての社会要因があるとされています。これを健康の社会的決定要因と呼んでいます。この視点は大変重要だと私は考えております。ぜひ、この視点から健康政策、がん検診も含めて、この視点にたった対策が必要だと思います。その上で、がん検診の無償化、がん検診そのものが私は無償でするべきだと思っています。  区民の健康や命を守る、その立場にたった大田区として、単年度の無償化だけではなく、この無償化を継続して実施することを求めます。お答えください。 ◎関 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 がん検診等の無償化は考えておりません。今後も区民の皆様のご理解を得ながら、受診環境の整備に努め、受診率の向上を目指してまいります。 ◆荒尾 委員 これまでもいろいろと対策をとってきて、受診率が思ったように伸びていないというデータの結果もありますので、ぜひ、これまでのやり方の延長線上ではなく、より根本的な区民の健康を守り支える施策を、これは健康政策部だけでやるものではなくて、全庁的に対応していただきたいということを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。 ○渡司 委員長 次に、立憲、質疑願います。 ◆平野 委員 本日2回目の登壇となりました。立憲民主党大田区議団の平野春望でございます。  ひきこもりの支援関連について、質問をさせていただきます。これまでも多くの会派の議員から質問があり、昨年の第3回定例会でも私も質問させていただいたひきこもり支援について、来年度の予算に予算計上されたことを区としても年々高年齢化、長期化、増加するひきこもり問題に取り組む姿勢を見せていただいているということを高く評価しております。  さて、ひきこもり・生きづらさ茶話処in大田、通称茶話処の開催数が増えて、内容も充実すると聞いておりますが、どのように変わるのでしょうか。お聞かせください。 ◎松下 健康づくり課長 ひきこもり・生きづらさ茶話処in大田は、ひきこもり相談の入り口支援として位置づけており、ひきこもり本人、家族、支援者、関係者を問わずで集まり、対話を通じた出会いから、孤立の解消や当事者と支援者の関係づくりを目的にして開催しております。  今年度は感染症拡大防止のため中止した回を含めて、4回実施予定でした。令和2年度につきましては、回数を拡大し、年6回を予定しております。また、民間支援事業所のさらなるネットワークやノウハウを活用して、内容を充実させるため、運営を業務委託する予定です。  委託後も健康政策部の保健師は、スタッフとして引き続きかかわり、必要に応じた個別相談支援や関係機関同士の連携も含めたネットワークの維持、構築に力を入れてまいります。 ◆平野 委員 茶話処の開催回数が6回と増えてうれしい反面、昨年の第3回定例会で私から月に1回の開催を求めておりましたので、気の早い話ですが、来年度の様子を見ながら、ぜひ開催の回数を増やしていただきたいと思います。  さて、ひきこもり支援には地域の方や様々な団体のご協力が必要です。品川の社会福祉協議会では、秋田の藤里町にひきこもり本人が泊まりがけで行くプログラムの提供があったり、岡山県の総社市では、市と社会福祉協議会が一緒になって2015年からひきこもり問題に取り組んでおり、2017年度から市から委託を受けた社会福祉協議会がひきこもり支援センター「ワンタッチ」を運営しています。  大田区社会福祉協議会の方も茶話処へ参加しているとは聞いておりますが、そのほかに大田地域家族会である、「もふもふの扉」というグループで、月に1回定例会を開催されていたり、新たな試みとして地域力応援基金助成事業には、区民活動団体の新たな取り組みを期待するチャレンジプラス助成があります。  令和2年度に実施する内容として、区は縁を結ぶひきこもり支援事業として募集をして、その結果、生きづらさ・ひきこもり支援の地域ネットワーク構築事業として1事業の応募があり、その内容は2月9日に実施されたNPO・区民活動フォーラムの場でプレゼンテーションがなされたと聞いております。ひきこもり当事者に地域の居場所を提供し、ひきこもり当事者と社会の接点を様々な場所に展開するとともに、応援者の集いを支援する体制づくりを進めるというものでした。これを提案したおおた社会福祉士会には期待をしております。  そこでお聞きをします。区は、対話を中心とした相談支援の窓口として茶話処を実施していますが、この参加者の次のステップや居場所としての活用として、これらの団体との連携も重要かと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。 ◎松下 健康づくり課長 ひきこもりに陥る原因やきっかけは多様ですが、その一因として社会的孤立があると考えております。  ひきこもりを地域社会全体の課題と捉えて、身近な地域で安心して過ごせる居場所運営などに、NPOなどの区民活動団体をはじめ、社会福祉法人や民間事業所などが取り組み、生きづらさがあっても社会から孤立しない仕組みや、地域づくりを進めることは大変重要です。  区では、令和2年度、地域力応援基金助成事業のチャレンジプラス助成のテーマといたしまして、縁を結ぶひきこもり支援事業を募集し、区民活動団体と地域家族会などが連携し、ひきこもり当事者の居場所づくりを進めることになりました。  今後も各団体と連携を推進し、地域の課題の共有や、当事者に寄り添った支援を実施してまいります。 ◆平野 委員 ぜひ引き続き、関係団体と連携を強めていっていただければと思います。  次に、ひきこもりの問題に対する施策を検討する基礎資料として、ひきこもりの実態調査をすると聞いていますが、どのような調査でしょうか。 ◎松下 健康づくり課長 ひきこもりの方への支援を検討するにあたり、今年度は要支援家庭等対策委員会を通して、生活福祉課やJOBOTAの職員に対して、把握しているひきこもりの方についての支援状況など、アンケート調査を実施いたしました。現在、集計を進めているところです。  来年度につきましては、15歳から64歳の区民に対して、無作為抽出による5,000件の標本調査を実施する予定です。 ◆平野 委員 5,000件の無作為抽出調査というと結構な数という気がしますが、これはやはり回収率が悪いのかとも思います。このような調査、回答の回収率が悪いというお話も聞いていますが、回収率を上げるためにはどのような工夫をされているのでしょうか。 ◎松下 健康づくり課長 回答のハードルが低く、ご協力いただきやすい選択回答式の質問用紙にしていきます。また、郵送での回答を基本に、ファクスやインターネットを経由した回答など、在宅のままでもご協力いただける方法を検討するなど、工夫をしてまいります。 ◆平野 委員 今回の実態調査が、今後の区のひきこもり支援に生かされ、現在のひきこもり相談に行っていない方が様々な支援につながることを期待しております。  数年ひきこもっている方がひきこもりから抜け出すためには、いきなり就労することは難しく、もちろん就労することだけがゴールではありませんが、まずは社会とつながるために外に出るため、家以外の居場所が必要です。そして、その後はボランティア、中間就労が大事だと聞いております。大田区でいえば、社会福祉協議会のボランティアセンターで行っている無償、有償ボランティア、その次にはワーカーズコープやJOBOTA、その次にはハローワークや大田いきいきしごとステーションなど段階を経て、就労の段階を上げていくのが重要だと考えます。人によっては間にJOBOTAが行っている就労準備支援なども必要になるでしょう。そして、ひきこもり支援のためには広範囲のニーズを視野に置くことが重要であり、医療、保健、福祉、労働、経済、地域社会等への横断的な視点をもった体制整備が必要であると考えます。そのためには、以前も提案させていただき、繰り返しになりますが、関係部局の連携を強めるとともに、相談窓口の一本化を進め、ワンストップで切れ目のない支援につなげることが重要であると考えますが、区のご見解をお聞かせください。 ◎松下 健康づくり課長 ひきこもりは、年齢、きっかけ、就労経験の有無など、背景がその方によって違い、必要とする支援が様々です。医療、介護、生活困窮などが複合的に絡み合う場合も多く、それぞれの支援に専門知識を必要とする場合も少なくありません。支援の質を高めるには、各関係部局の連携がよりよく機能することが重要です。健康政策部と福祉部の意見交換会では、ひきこもりについて継続的に取り上げ、情報共有や相談を受けた部署が関係部署に引き継ぐ方法などの意見交換を行っております。  また、要支援家庭等対策委員会における調査実施にあたっての調整、チャレンジプラス助成に関する地域力推進部との取り組みなど、福祉、保健以外の分野、都のひきこもりに関する支援等について、連携の幅を広げているところです。今後も引き続き、相談支援体制の充実や連携強化に取り組んでまいります。 ◆平野 委員 すぐには難しいかもしれませんが、引き続き、関係部局の連携強化と相談窓口の一本化を強く要望させていただきます。  最後に、神奈川県大和市は、2019年10月から、「ひきこもり」を「こもりびと」に変えて、相談件数が増えたという話があります。大田区でも、そういった温かみのある呼称やネーミングを考えたり、募集をするのもよいかもしれません。本日は時間がないので質問はいたしませんが、そういった提案をさせていただいて、以上で質問を終わります。 ◆小川 委員 立憲民主党大田区議団の小川あずさです。  本日は、不妊治療について、女性ならでは視点でよろしくお願いいたします。  今をさかのぼりますこと30年近く前、私の世代が子どもを産んだころですが、不妊治療は既に行われており、私の友人には実は不妊治療で授かった方が何人もいました。体力的、精神的、経済的に大変なようでしたが、結局授かったことによる喜びのほうが大きく、一緒に子育てを楽しんだものでした。  現在は、結婚年齢の上昇とともに、妊娠、出産年齢が上昇しており、平成28年の時点で第1子出産平均年齢は、なんと30.7歳となっております。こうした出産年齢の上昇と医療技術が進歩したことに伴い、不妊治療を受ける方が増加しております。  不妊治療は身体的にも精神的にも負担ですが、さらに負担なのが費用です。保険適用外で、人工授精で1回1万から2万円、体外受精で1回20万円から60万円にもなるそうです。1回で成功すればよいのですが、そうでなければさらに費用はかかります。それだけでなく、治療のための検査や薬剤なども、その都度その都度かかり、トータルで非常に高額となっております。  そこで、東京都では、平成29年から一般不妊治療、平成30年度から特定不妊治療の助成を行っていますが、それに準じて、今年度、大田区でも特定不妊治療費助成の予算が新規で4,383万6,000円がつく予定になっております。この助成の内容について、教えてください。 ◎松下 健康づくり課長 医療保険適用外の特定不妊治療は、非常に高額であるため、東京都特定不妊治療費助成事業の助成該当者を対象に、特定不妊治療の六つの治療のステージに応じて、治療費の一部を助成いたします。  ステージは、妊娠の確認ができた方から治療が中段になった方まで、ステージAからステージFに分かれています。治療ステージにより、5万円、または2万5,000円を上限として助成をいたします。 ◆小川 委員 子どもを望む夫婦にとっては大変心強い助成で、評価いたします。  大田区で子どもが欲しいのにできないなと悩み始めたとき、不妊治療について簡単に説明している冊子や相談窓口の設置などございますでしょうか。 ◎松下 健康づくり課長 現在、区は東京都特定不妊治療費助成事業のご案内という冊子で東京都の助成制度の概要や対象、助成額などを周知しております。また東京都は、不妊ホットラインを設置いたしまして、不妊治療を受けた経験者による相談を行っております。  区は、この冊子や相談窓口を紹介するとともに、区の事業内容を説明するためのチラシの中で、わかりやすい不妊治療の説明に努めてまいります。 ◆小川 委員 そのようなことで、いよいよ不妊治療をしてみようかと次の段階に進んだとき、現在、東京都には約190人余りの不妊治療専門医がいます。そして、技術もかなり進歩していると聞いております。しかし、不妊治療をしていない病院もあり、もし一人で行くとしたら大変不安なものがあります。  大田区にもすばらしい病院がたくさんありますが、大田区と、その近隣の不妊治療を扱う病院など、幾つかを紹介してくれたり、専門家を呼んで相談会や勉強会など、不安がなく不妊治療に導くようなお考えはありますでしょうか。 ◎松下 健康づくり課長 区では、不妊治療の受診を検討している方のために、事業案内のチラシや区のホームページで不妊治療を扱う医療機関について、情報提供をしてまいります。  また、事業を実施していく中で、不妊治療の専門医などの講演会や相談会について、医療機関や他の自治体の実施状況を見ながら、適切に対応してまいります。 ◆小川 委員 先ほど触れましたように、不妊治療は大変高額のため、夫婦でその費用を工面するために働いている女性が多いと聞きますが、治療に対する職場での理解も問題です。当事者の方からのアンケートによりますと、不妊治療ってそんなに何回も病院に行くのと大声で聞かれたり、不妊治療は任意の治療であり病気ではないと言われて休職できなかったり、治療のため仕事の調整を何度もお願いするのが心苦しかったなど、悲痛な体験談が聞こえ、傷つきながら、中にはそれで治療を断念する方もいるということで、いかに周りの方々の理解が大切かがわかります。必要なのは男女問わず、周りの理解です。  一般に広く理解してもらうために、区として何か周知の対策で考えてくださることがあれば教えてください。 ◎松下 健康づくり課長 区報や区のホームページで、不妊治療についてのわかりやすい広報について、研究を重ねてまいりたいと考えております。 ◆小川 委員 どうぞよろしくお願いいたします。  東京都の助成も、妻の年齢が現在は43歳に上限を決めているものですが、医学は進歩しておりますし、健康状態にはかなりの個人差があると思われます。年齢の上限も撤廃してほしい。もっと金額も助成してくれれば、そのような声が当事者たちからも聞こえており、私もそう思います。  本当は不妊治療を保険適用としてくれれば一番ありがたいのです。ドイツやフランスでは、不妊は病気だとして保険適用なのです。そのため、治療のためにゆっくりと有休を取れたり、会社で公言できたりするわけです。日本は医学は発達しているというのに、その捉え方が遅れていると言わざるを得ません。子どもを望む夫婦に経済的なことで諦めてというのは酷です。せめて経済的に支援してほしい。少子化に歯どめをかけるのであれば、大切な政策だと思いませんか。近々、国のほうで保険適用になればと、そうなることを信じて、そうなるまで頑張って、これからも訴えていきたいと思います。  これで質問を終わります。 ○渡司 委員長 次に、フェア民、質疑願います。 ◆奈須 委員 フェアな民主主義、奈須利江です。
     山王小学校の隣で部屋数2室のホテルの営業計画が進んでいます。旅館業法の規制緩和で、1室でも、フロントがなくても旅館業が可能になっているため、学校に隣接する約30坪の敷地にホテル建設が可能になっているのです。地域住民が持つ、よりによってなぜ小学校から0メートルの土地にホテルなのか、児童の安全・安心、人権は守られるのかという疑問も、この規制緩和が原因です。  学校をのぞかれるのではないか、盗撮されるのではないか、感染症源になるのではないか、声をかけられる、連れ込まれる、連れ去られるなど、不適切な接触があるのではないかなど、清純な教育環境が著しく害されることを心配した同窓会長、PTA有志、近隣住民、自治会、町会などがホテル事業者に説明を求め、説明会が開催されました。  業者は、目隠しをつけたり、窓ガラスを曇りガラスに変えることで住民の不安を取り除こうとしていますが、窓を開けることは可能で、問題の解決にはならず、住民は納得していません。  新聞、テレビの取材も多く、既に朝日新聞、東京新聞が記事として取り上げています。大田区に提出した署名は2,704筆になり、今も多くの署名が集まっています。  旅館業法は、ホテルからおおむね100メートル以内に教育施設がある場合、教育委員会の意見を聞くことになっているため、同窓会長、PTA有志、近隣住民、自治会・町会が連名で教育委員会にホテル営業に反対する請願を出しています。3月2日の教育委員会臨時会では、傍聴定員16名の倍以上の約40名の希望者が集まったため、抽せんになるほどでした。教育委員会が開かれたのは、区民の請願では久しぶりだったと思います。  開催された教育委員会では、次のような意見が出されました。旅館業法にある小学校の100メートル以内で営業できるということと、小学校とホテルの距離が隣接、つまりその距離が0メートルというのは全く別の次元で話されるべき話。これまでの環境と全く異なる環境になり、不特定の宿泊所から緑陰子ども会や運動会、夏の相撲大会などの撮影が行われれば、肖像権の侵害問題も起こり、また教育が萎縮するおそれが出る。清純な環境が害されるおそれがあるなど、基本的にホテルの営業は問題という意見だったそうです。地域住民の声と教育委員会の声とは、ほぼ同じだったということです。  教育委員会を傍聴した住民からは、教育委員会が開催され、山王小隣のホテル営業についての教育委員の意見を聞けてよかったとの声が挙がっています。規制緩和で小学校の真隣でホテル営業でき得るようになるのは、本当に問題だと思います。  さて、ホテル営業の許可はこれからですが、今回の山王小学校に隣接するホテル営業の許可申請にかかわる手続きで、幾つかの問題が明らかになっています。一つが、大田区の事前相談はしっかり行われているのかという問題です。許可申請の前に事業者は、敷地から10メートル以内の近隣への周知が必要です。事業者はポスティングしたと言っていますが、対象区域には説明を受けていない方がいるだけでなく、敷地に接する小学校へは説明していなかったため、大田区から指導を受けて初めてチラシを小学校のポストに投函しています。小学校までの距離も0メートルのところ、50メートルと申請書に記載していました。事業者の勉強不足もあると思いますが、大田区の事前相談は十分だったと言えるでしょうか。  もう一つが教育委員会の意見です。事業者は2018年12月に大田区に相談に来ていますが、大田区が教育委員会の意見を聞いたのは2019年10月になってからです。このタイミングだと、相談で大丈夫と思って借金をして土地を買い、建物を建て始めたら教育委員会が反対したので許可がおりなかったということもあり得ます。  今回の山王小学校に隣接する敷地でホテル営業の許可申請を出した業者は、大田区に旅館業の相談をする前に、この土地を購入していますので、必ずしも旅館営業にこだわっていないかもしれませんが、普通ならあてにしていた事業の許可が教育委員会の反対でおりなかったなどということがあれば、大損害でしょう。  今回、私はホテルから100メートル以内に学校などがあった場合の、旅館業の許可にかかわる過去の教育委員会の意見を情報公開請求しました。意見は、教育総務部か学校長が出していて、全てホテルを認める意見で、教育委員会の意見はありませんでした。住民の代表である教育委員会の意見ではなく、区長部局の意見で旅館業の許可がおりているのです。大田区に相談に行っているのに、許可申請書に誤りがあるのは教育委員会の意見いかんにかかわらず、区長部局が許可を前提に事務を進めているからではないでしょうか。教育委員会の意見ではなく、教育総務部の意見だと、子どもの環境を考えて意見を申し述べるべきところ、教育総務部が区長に忖度すること、保健所長に忖度することはないでしょうか。調査したところ、教育委員会が反対すれば許可はおろせないといった自治体もありました。  そこで伺います。今回の山王小学校に隣接するホテルの営業計画と、それに反対する住民の運動から、旅館業の許可にかかわる大田区の事務、相談、教育委員会への意見を聞く時期などを含め、改善すべきことはありませんか。 ◎三井 生活衛生課長 旅館の申請手続きは、旅館業法に基づいて行われます。今回、事前相談では事業者に許可を行う際の審査基準や、近隣住民への事前周知を指導するとともに、学校等の教育機関に清純な施設環境が著しく害されるおそれがないか照会をし、その結果によっては許可判断に影響することを説明しております。  また、申請した後ですけれども、申請書や提出書類の審査を行い、不備や誤りがあれば、変更届の提出を求め、最終的には完成した施設を検査し、申請内容と一致すること、法令による構造基準に適合していることなどを確認した上で、許可について決裁を行います。  また、近隣区民の方が心配されていることについては、その払拭に向けた指導を事業者に対して行っているところでございます。  今回の事案では、一連の申請手続きが完了した後に検証を行います。 ◆奈須 委員 先ほども申したのですけれども、2018年の12月に事業者が相談に来ていると、私がこのことについての、どのような申請をしているか、相談を行っているかということについての公開請求をした書類を見たのが、昨年の12月です。相談から1年たっていても改善されていないという現状は、きちんと重く見ていただきたいと思います。  そこで伺います。例えば、一般論なのですけれども、学校に隣接する所有者から売却の意向があった場合、大田区は子どもたちの教育環境を守り、改善するために学校の隣接地を購入するということは考えられますか。 ◎河原田 施設整備課長 一般的に学校に隣接する土地の所有者が、学校用地としての購入を区に対して要望いただいた場合、地形や学校設備機能としての必要性について検討いたします。その上で、教育環境の向上につながるものと判断した場合には、適正価格で購入させていただくことも選択の一つとしてあり得ると考えています。 ◆奈須 委員 今、コロナウイルスの問題は私たちの暮らしに影響を及ぼしているわけですけれども、政府の専門家会議のメンバーが、新型コロナウイルスはインフルエンザのように暖かくなると消えるウイルスではなく、対応が数か月から半年、年を越えて続くかもしれないという、こういうニュースも出ているのです。長期化するかもしれないと。ぜひ今後の状況なども見ながら、今後の判断に期待したいと思います。  今回の問題で、中央区では、営業施設内に従業者を常駐させる条例をつくって、ホテルとその周辺の安全や環境を守っています。大田区も、ぜひ検討していただくよう要望して、質問を終わります。 ○渡司 委員長 次に、区民、質疑願います。 ◆荻野 委員 区民の荻野稔です。  インターネット広告を活用した自殺対策として、23区では足立区が率先して開始したインターネットゲートキーパーの運用が大田区では昨年8月から始まりました。私も区議会で導入を呼びかけていましたので、今年度に実現したことをうれしく思います。自殺対策基本法の改正において、国において若年層の自殺者の減少が課題になっていましたが、非対面型の相談事業である本事業は、今回のようなコロナウイルス騒動の際も利用できること、若年層の相談需要にも合致しており、ライフスタイルの多様化の中で、これから重要性がより増していくと考えます。  まず、今年度の実績、特徴について伺います。 ◎佐々木 健康医療政策課長 昨年8月から開始したインターネットを活用した自殺防止相談事業は、区内で、死にたい、自殺方法等、自殺に関連するキーワードを検索した人のスマートフォン等の端末に相談を促す広告が表示され、その広告をクリックし、相談を希望した人に臨床心理士等がメール等で相談を受け、必要に応じて医療機関等への同行や、家庭訪問を実施するものでございます。  昨年8月から今年の1月までの6か月間で、自殺に関連するキーワードが検索され、相談を促す広告が表示された回数は8万4,891回で、月平均で1万4,000回を超えております。広告がクリックされた回数は6か月間で4,800回、月平均800回になります。そして、相談をされた人は6か月間で77人、月平均13人弱で、そのうち10代、20代は6か月間で45人と全体の6割弱を占めております。  比較的若い方は、従来の電話、面接等の相談にはつながりにくい傾向がありますが、親和性の高いICTを活用した点に本事業の特徴があり、実際にJOBOTA等の関係機関につなぐなど、相談支援に実績を上げております。 ◆荻野 委員 SNSやチャット等の利用も、こういった相談では効果的だと思っております。チャットや通信アプリ、SNSなどは種類も多く、利用者も様々います。大田区はインターネットゲートキーパーを、この事業を行うにあたり、相談者が希望する場合は指定するアプリなどのアカウントを取得して対応にあたっていると聞きます。ありがたいことです。  そこで今、おっしゃった広告の検索ワードについて質問をします。長期休みの際の児童虐待や、休み明けの子どもの自殺リスク、今回の消費税の増税や、コロナウイルス感染症の影響における経済情勢の悪化、災害時など医療機関職員や行政職員などが過度な負担や不当な扱いなどにより、ストレスに苛まれ、自殺リスクの増大が予想される場合などに際しては、例えば失業、破産、雇いどめ、派遣切りなどの項目を広告の検索ワードに追加し、社会情勢の変化に対応した柔軟性ある対応をするべきではないでしょうか。見解を伺います。 ◎佐々木 健康医療政策課長 検索キーワードは、月単位での変更が可能であり、社会情勢の変化に応じ、例えば、職場といじめという二つの用語を組み合わせることで、自殺リスクの高いハラスメント関係のキーワードを追加することも可能であり、引き続き、社会情勢の変化に柔軟かつ機敏に対応してまいります。 ◆荻野 委員 続いて、自死遺族の支援事業について伺います。自死遺族の集いについて、大田区も今年度から予算がつき、事業がスタートしました。とても喜ばしく思います。  この自死遺族支援事業は、大田区では本年度は2回の実施がされました。来年度はどのように実施をしていくのでしょうか。特にデリケートな話題にもなりますから、同じ自治体の中での遺族の集いには参加しづらい方もいるかと思います。近隣区とも連携し、在住、在勤に限らず参加できる仕組みが必要ではないでしょうか。見解を伺います。 ◎佐々木 健康医療政策課長 自死遺族支援事業としては、身近な人を自死で亡くした方々が、ありのままの胸の内を語り合い、聴き合い、支え合うことを目的に今年度から、わかちあいの会の開催を始めました。今年度は2回実施し、参加者からは思いを共有できたなどの感想をいただいております。令和2年度予算案には、開催回数を6回に増やす内容で計上しております。  また、委員お話しのとおり、同じ自治体のわかちあいの会には参加しづらいとの声も伺っていることから、既に品川区と連携し、お互いにお住まいの地域に関係なく参加できることとしており、来年度は大田区は奇数月、品川区は偶数月にそれぞれ実施することで、自死遺族の方にとって参加しやすい環境づくりを進めてまいります。 ◆荻野 委員 最後に、経済対策について伺います。区内外にとどまらず、今回の新型コロナウイルス騒動感染症騒動は、経済にも大きく影を落とし、世界経済にまでも影響を与えています。昨年秋の消費増税や、台風19号なども重なった中で、年が明けてこの騒動です。影響は計り知れません。  私は以前、本会議で経営者の自殺について質問し、区から平成22年から26年の自殺者数718人のうち、45人が自営業、家族従事者でしたと回答がありました。これは決して少ない数ではありません。  経営者の方、また個人事業主、フリーランスの方の心身の健康についても注意が必要です。今回は年度末も重なり、雇いどめや就職活動において苦しい環境になるのではないかと想像もできます。大田区として自殺対策という点から今までも培ってきた相談支援ノウハウ、また国や都の支援策を生かし、全庁的に今回の経済悪化に対して取り組んでいく必要があるかと考えますが、見解を伺います。 ◎佐々木 健康医療政策課長 自殺は、その多くが心身の病気や生活困窮など、複合的な要因から追い込まれた末の死であることから、庁内の全部局が連携した取り組みが重要と認識をしております。この認識のもと、昨年おおた健康プラン第三次で掲げた自殺対策の推進に向けた庁内体制の強化を実現するため、従来の課長級からなる大田区自殺対策庁内連絡会議に加え、区長をトップとし、部長級からなる大田区自殺対策戦略本部を設置し、庁内横断的な協議、検討を行うことを確認したところでございます。今回の新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い、事業活動が影響を受け、経済的な困難に直面する場合には産業経済部、福祉部等の関係部局と連携を密にして、国や東京都の施策も活用しながら効果的な支援につなげてまいります。 ◆荻野 委員 ぜひとも、今後もしっかりと進めていただきたいと要望して、質問を終えます。 ○渡司 委員長 以上で第4款衛生費の審査を終結いたします。  次に、第5款産業経済費の審査に入ります。理事者の説明を求めます。 ◎梅崎 財政課長 それでは、改めまして事項別明細書、182ページをご覧いただきたいと思います。  第5款産業経済費です。本年度56億3,199万円で、9億1,589万円の増です。第1項産業経済費は款と同額でございます。  第1目産業経済総務費、本年度4億6,187万1,000円で、9,825万1,000円の増です。  第2目産業振興費、本年度31億9,956万9,000円で、4億1,882万8,000円の増です。主なものは6番、羽田空港跡地における産業交流拠点の形成で、4億7,008万2,000円の増です。  184ページにまいります。第3目産業施設費、本年度19億7,055万円で、3億9,881万1,000円の増です。主なものは1番、工業集積の維持、発展に向けた支援の187ページ、(2)産業支援施設その他の維持管理費で1億1,598万4,000円の増。2番、産業プラザ維持管理費で、2億9,016万8,000円の増です。  第1項産業経済費は以上です。第5款産業経済費の説明は以上でございます。 ○渡司 委員長 この款には、自民、公明、共産、令和から質疑の通知がありますので、順次これを許します。  それでは、自民、質疑願います。 ◆岸田 委員 私は、182ページ、海外取引の拡大と海外市場の展開、そして産業情報の収集、提供、ものづくり人材の育成、確保について、ご質問させていただきます。  昨年10月に大田区議会の区政政策調査団の一員として、アジア方面、ベトナム、タイ両国を訪問させていただきました。両国とも東南アジアの経済発展を牽引する立場の、大変活気のある国でございまして、本当に有意義な視察をさせていただいたと思います。  その中で、東南アジアとの関係はいろいろな部門で日本との関係が良好な関係になっておりますし、特にタイは1960年代後半、昭和30年代後半から日本の企業が家電だったり自動車、そしてエレクトロニクス関係の企業が進出しておりますし、大田区の中小企業もそれにつれて2006年、平成18年にバンコク郊外のアマタナコン工業団地にオオタテクノパークが開設されまして、数社が今も入っております。そのような大変良好な関係になっているところでございますし、ベトナムもベトナム戦争が1975年に終わりまして、それから解放、改革政策に乗って1990年、平成元年あたりから日本の企業も進出するようになり、今タイ、ベトナム、とても経済が発展してきて、これが東南アジア各地、ラオスだったりミャンマーだったりカンボジアだったり、さらにこれから広がってくる、大変重要な地域になってくると思います。その中で大田区の産業関係がさらに強いつながりが出てくるのではないかと思います。  その中で、今回日本の人口の減少が進んでおりますし、労働人口が大変不足しているということの中で、医療や介護、そして福祉分野、農業、建築など、全産業で人口不足が懸念されております。厚生労働省の外国人雇用の届け出人数数によりますと、2018年、平成30年10月末の外国人労働者数は約146万人で、前年度比約18万人増、14.2%という増だそうです。国別の労働者数によりますと、中国が38万人、全体の約26.6%、ベトナムが31万人で21.7%、その次、フィリピンが16万人で11%ということらしいです。伸び率はベトナムが31.9%、32%、インドネシアが21%、約22%、ネパールが18%ということでございます。  国のほうといたしましては、2025年までに今の外国人、さらに50万人ぐらい増やしていきたいという計画でありますけれども、50万人で足りないのではないかという、そのようなことを言われております。製造分野におきまして、優秀な人材をどう確保していくというのが、やはりこれからの問題だと思います。  そのものづくり企業につきまして、ベトナムのバリアブンタウ省にあるバリアブンタウテクノロジー技術学校を訪問してまいりました。1998年に設立されたこの学校は、ベトナム国内の約1,000校ある職業訓練校の中でトップレベルの教育水準を誇り、機械、電気電子、IT、食品製造など、様々な分野において優秀な人材を多数育てて、今日のベトナムの経済における裾野産業の担い手となる人材の育成に力を入れております。日本をはじめとする世界各国の専門機関との連携をしながら、生徒を海外に派遣したり、技術や教育面での協力関係を構築しているとのことでございますし、大田区内の都立六郷工科高校とも交流がありまして、毎年双方の生徒が行き交うという関係がございます。技術面とか、生活面における指導によって、日本企業にも就職できる教育環境が整備されておりますし、今までに約300人ぐらいの生徒が40社の日本企業で働いているということでございます。その数は、今後ますます増えるのではないかと思われます。  1月28日に産業プラザでベトナムセミナーというのが行われました。43人ほどの方が参加されたと聞いております。団長でありました松原秀典議員も参加されていましたし、関心の高さが伺えます。その中で、日本の製造業に外国人の人材をどう活用していくかというのが、これから重要な問題だと私は思っております。  お伺いしたいと思います。今年度、区としてはものづくり産業等の実態調査を実施しておりますが、様々な項目について区内のものづくり産業の現状を調査し、まとめているものと思われますが、区内のものづくり企業における外国人人材の雇用に対する興味と関心についての調査はしているのか。そして、もうしているとすれば、どのような手順でしているのかを、まずお伺いしたいと思います。そして、もし集計ができているようでしたら、どのような感覚なのか教えていただきたいと思います。 ◎堀江 工業振興担当課長 今年度、実施をしております、ものづくり産業等実態調査におきましては、区内ものづくり企業に対するアンケート調査の中で、委員お話しの外国人人材の雇用に関する企業の興味・関心について問う項目を設けております。具体的には、人材確保対策として今後、新たな人材の採用を強化しようと考える企業への設問におきまして、採用を強化したいと考える人材の選択肢の一つに外国人の項目を設けております。この調査により、将来的に外国人の採用を考えている企業の割合が、ある程度見えてくるものと考えます。区としましては、ここから得られた結果を今後、具体的な政策を検討する際の参考としてまいります。  また、本調査においてはアンケート調査に加え、ヒアリングによる調査も実施をしております。ヒアリング調査の中では、既に外国人人材を活用している区内ものづくり中小企業の事例を収集することもできました。ヒアリング調査によって得られた、こうした事例につきましても政策を立案していく過程において、大変貴重なリソースになるものと考えます。  調査の結果につきましては現在、最終の取りまとめ中であり、年度末には作業が完了する見込みです。今後、ヒアリング調査の結果で得た事例のご紹介も含め、取りまとまり次第、お知らせをしてまいります。 ◆岸田 委員 今、私も約11年前に、2007年にオオタ・テクノ・パークに行かせていただきました。当時はまだできたばかりということで、工業団地の一番奥にオオタ・テクノ・パークがありまして、周りは何もなかったのですけど、今回行かせていただいて全然様子が変わってしまいました。約10年で周りがいっぱい工場ができてきて、あれ、全然違うなという印象だったのですけれども、その中である方にたまたまオオタ・テクノ・パークのことをお話しして、随分あんなところに行く企業がいるよねといったら、その社長がそこに進出していた社長なので、あとの話にちょっと詰まったのですけれども、やはりそれはその社長がいうのには、海外に出たいと思っていたときに、たまたま大田区のほうから、こういうところはどうですかというお話をいただいたということで、そのきっかけでテクノ・パークに出させていただいたということを言っていました。  ただ、今のテクノ・パーク、アマタのところもやはりちょっと管理費が高いので、会社をもう少し広げたいということで今、ラオスのほうに会社をつくったということを言っていました。やはりいろいろな情報を出していただいたり、なかなか中小企業って、いろいろな情報を集めるというのは多分なかなか難しいのだろうと思います。区のほうから、行政とかいろいろなほうからの情報をいただいて、それを判断するのはもちろん会社ですので、そういう判断材料をぜひともいろいろ出していただきたいと思いますし、今回の調査も多くの方が見られるようにしていただきたいと思います。  今回のこの調査の結果なのですけれども、前回も概要版と本編ということで出していただいたのですけれども、今回も同じような形で出していただくのか、多くの方に見ていただくような取り組みを、ぜひお願いしたいと思いますけど、どのような感じで出すのかをお願いいたします。 ◎堀江 工業振興担当課長 今年度実施をしております調査につきましては、前回と同様、概要版と本編による報告を予定しております。概要版につきましては、単に調査結果の概要ではなく、先ほども出ましたヒアリング調査によって得られた企業の具体的な事例も掲載をし、読み手の方にご興味をもって読んでいただけるよう、工夫をしてまいります。  事例といたしましては、取引関係、人材、企業間連携などの切り口を考えており、先駆的な取り組みを行っている区内ものづくり企業を紹介していく予定です。  こうした事例を、より多くの方にご覧いただくことで、他の区内企業の皆様のご参考にしていただくとともに、区内ものづくり企業の先進性を区内外にアピールをしてまいります。  なお、本編につきましては前回と同様に調査全般をまとめた内容にする予定でございます。 ◆岸田 委員 本当に先ほども言ったように、悪い情報もいい情報も出していただきながら判断ができるような体制を、ぜひ取っていただきたいと思います。  大田区外なのですけども、今モンゴル人を自社に入れていこうという取り組みをやっているところもありますし、多分中小企業は相当人材不足で困っているということがありますので、ぜひともいろいろな手を使いながら、海外に進出する企業もそうですし、海外から人材を取り込んでいこうという企業に対しても、ぜひサポートしていただきながら。本来でしたら、海外から来る人たちに対する区のサポートがお金の面でできればいいなと思っているのですけれども、これも調査の結果が、企業がどういう悩みとか、どういう要望があるかというのがこれから出てくると思いますし、それを活用しながら区内産業、区内の工業がさらにさらに発展するように、ぜひともご努力をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。 ○渡司 委員長 次に、公明、質疑願います。 ◆末安 委員 大田区議会公明党の末安広明でございます。  いよいよまち開きが間近に迫ってまいりました、羽田空港跡地第1ゾーン「羽田イノベーションシティ」における区施策活用スペースについて、伺ってまいります。  言うまでもなく、この整備事業は、その規模からも、立地から見ても、これからの本区の将来にとって重要な場所になります。中でも施設全体の入り口に位置する区施策活用スペースについては、このエリアの顔ともなり、また区内産業への波及効果を生み出していく拠点となることが求められております。是が非でも成功させなければいけない場所であり、そうした視点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。  この区施策活用スペースにつきましては、大きくはテナントゾーンと交流空間ゾーンの二つのゾーンが設置されると認識しております。  初めに、現在テナントゾーンとして位置づけられた17区画について申し込みが行われている最中と伺っておりますが、これまでの状況はどのようになっていますでしょうか。 ◎臼井 産業交流担当課長 昨年9月から公募を行い、10法人からの申し込みがありました。その後、財務状況などを中心とした書類審査を行い、8法人を入居予定者として選定し、現在は入居予定者に対して、入居条件や入居後の事業活動計画などについてのヒアリングを行っております。 ◆末安 委員 まだまだ少ない気はしますが、引き続き、ご尽力いただきたいと思います。  次に、この場所に入ってもらいたい企業として最も求められる条件の一つは、区内産業との親和性、いわゆる区内産業への波及効果をどれだけ生み出せるのかという点にあると思います。この点について、現在集まっている企業などの傾向性や、その期待値についてご見解をお示しください。また、昨年の決算特別委員会の総括質疑でも、我が会派の田村委員が触れておりますが、区内産業とのマッチングについて、産業振興協会が参画し、実施していく旨の答弁がございましたが、具体的にどのように進めていくおつもりなのか、お聞かせください。 ◎臼井 産業交流担当課長 入居予定者として選定した8法人は、区内と区外の双方から申し込まれており、その業種についても製造業だけではなく、非製造業の法人もございます。  入居予定者の皆様には、区内企業へ部品等の加工案件を発注するだけではなく、共同事業などにより設計や企画開発など、より付加価値の高い案件にかかわる機会を多くご提供いただくことを期待しております。  また区内企業とのマッチングですが、こちらは産業振興協会の主たる業務であり、多くの実績がございます。そのため、現在は産業プラザのみで行っている産業振興協会の業務を、区施策活用スペースにおいても機動的に行えるよう、産業振興協会として窓口を設け、迅速かつ丁寧なマッチングを実現したいと考えております。 ◆末安 委員 よろしくお願いします。今後、この場所に集まってくる企業にとって、どのような化学反応が起き、経済的効果をもたらすのか、大きく期待されるところであります。例えば、ショッピングモールなどでは定期的に入居店舗の入れかえを行うことで、常に相乗効果によって施設全体の価値を高め、集客につなげております。今回のこの場所は、あくまで企業支援的な施設ではなく、新たな価値を生み出し、区内産業への波及効果につなげることが強く求められております。しかしながら場合によっては、当初のコンセプトどおりにいかないケースや、その企業としては順調であっても、区内産業への波及効果を生み出せないケースも起こり得ると思います。結果、この場所の目的から外れてしまうことも懸念されます。  そこで伺いますが、そうした課題に対しても策を講じておくべきと以前に質問で触れさせていただきましたが、この場所を活性化させていく上で、今回どのような契約形態や仕組みを検討したのか、お聞かせください。 ◎臼井 産業交流担当課長 本件に関する賃貸借については、定期建物賃貸借契約による、最長で5年の貸し付けを予定しております。契約期間終了後は、通常の賃貸借契約のように更新することにはならず、貸し主、借り主のどちらかが再度の入居を希望する場合は、双方が誠意をもって協議をして、新規契約を締結することになります。残念ながら地域への貢献が見られない場合には、こうした機会を捉えて新たな入居者の方を選定させていただき、入居者の地域貢献度が常に高い状態となるように努めてまいります。  また、入居後は定期的に各法人の地域貢献度の取り組み状況を確認し、必要に応じて区内企業の紹介や、区の共同事業支援策などをご案内させていただくなどのサポートを行い、入居者による波及効果が生まれるような仕組みを構築してまいります。 ◆末安 委員 これまでの説明や資料から、羽田空港の真横という立地特性、また大規模な開発で新たな取り組みが実施されようとしている場所であり、多くの企業が集まってくるといったイメージは伝わっておりますが、現在までに申し込みがあった企業の数からしますと、まだまだそのコンセプトがぼやけてしまっているのではないかと感じます。都内でも渋谷区や品川区がスタートアップ企業を集める施策に積極的な活動を行っており、こうしたエリアとも差別化していくことが求められます。もっと話題を呼ぶ具体的なメリットを仕掛けることや、さらには何かに特化した魅力をつくることも必要ではないかと感じます。この場所のメリットやコンセプトについて、現在の発信手法と課題があるとすれば、どのような点か、お聞かせいただきたいと思います。 ◎臼井 産業交流担当課長 委員お話しのとおり、現在都心を中心にスタートアップ企業を積極的に呼び込む動きがございますが、羽田イノベーションシティにおける区施策活用スペースのメリットは、何といっても世界有数の国際空港に隣接していることと、国内有数のものづくり企業が集積する地に位置していることであるため、この強みを最大限にアピールし、魅力として発信すべきと考えております。  課題は、このメリットを国内外へまだ十分に伝え切れていないことです。海外の公的支援機関や研究機関への積極的な広報に加え、豊富なコンテンツの効果的な発信方法について、専門家の意見なども活用しながら、引き続き、戦略的な発信に力を入れて取り組んでまいります。 ◆末安 委員 ぜひ注目を集めるためにも、プロモーションには力を入れてもらいたいと思います。この場所の魅力をより高めていく上で、専門家の活用があると思います。区と産業振興協会で様々な準備を進めてきていただいたことは理解しておりますが、例えば、世界や地方にこの場所の取り組みを発信し、具体的につないでいくことや、参加した企業の交流を促し、その中からイノベーションを生み出すための取り組みをいかに仕掛けるか、さらにはこの場所の全体バランスを俯瞰して価値を高めていくこと。また、投資を呼び込むような仕掛けづくりなどなど、それぞれの場面場面で専門家の存在が重要になると考えます。  そこで伺いますが、もっと様々な視点で積極的に専門家を活用していくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。 ◎臼井 産業交流担当課長 委員お話しのとおり、産業振興協会においては、これまでの事業を通じて国内外の様々な機関や大学等とのネットワークを有しておりますが、この場所のメリットを最大限生かしていくためには、さらに多様な人や組織を巻き込むことが重要であると認識しております。そのため、区及び協会では、現在魅力向上が期待できる様々な専門機関や個人に接触し、この場所の特色や区のものづくりの強みなどをご説明して、興味関心を持っていただくような働きかけを行っております。  今後、こうした方々との連携関係を構築するとともに、この場所から話題性の高いプロジェクトが生まれる仕掛けを行う専門家などの招へいも視野に入れて、準備作業を加速させてまいります。 ◆末安 委員 よろしくお願いいたします。  次に、交流ゾーンについて伺います。全体の4,000平米というスペースの中で、そのうちの約3割が交流ゾーンにあてられるとされております。ここをどのように生かしていけるかに、区施策活用スペースの成否がかかっているとも言えます。また、テナントゾーンの17の企業だけの交流場所というのでは、あまりに広がりが少ないと感じます。  そこで伺いますが、もっと多くの様々な分野の企業にこの場所に集まってもらい、交流を生み出していくことこそ、イノベーションが起きる可能性が高まるのではないでしょうか。また、スタートアップの企業で大きなスペースは借りられなくとも、すばらしいアイデアを形にしたいという先も多くあります。こうした小さな規模の企業が集まれる仕掛けづくりも、交流スペースを活用し、行っていくことが重要と考えますが、いかがでしょうか。 ◎臼井 産業交流担当課長 区としても、テナントゾーンの入居者にとどまらず、企業や大学、研究機関などを交流空間ゾーンへ呼び込むことが重要であると認識しております。そのため、交流空間ゾーンには国内外から多様な企業や研究者が集い、受発注や研究開発を促進させるためのスペースなどを確保することを予定しております。  ほかにも、スタートアップ企業に関しては、産業振興協会が実施しているスタートアップ支援事業の実施場所として活用することも検討しています。  これらの取り組みにより、交流空間ゾーンでの連携を推進し、連携によって生み出された成果を発信することで、区内企業に波及効果をもたらす企業などを呼び込めるよう努めてまいります。 ◆末安 委員 足し算ではなく掛け算でイノベーションが起きる場所として、その可能性を十分に生かしていただきたいと期待を述べ、質問を終わらせていただきます。
    ○渡司 委員長 本日は、この程度をもって予算特別委員会を閉会いたします。                午後4時37分閉会...