また、少子高齢社会への対応や、公共施設の機能更新、区民の暮らしを守る防災対策など、喫緊の重要課題についても着実に成果を挙げております。こうした状況を鑑みますと、平成31年度はまさに正念場であり、重要な局面にあります。このような認識のもと、平成31年度予算案は多様な主体のつながりによる地域課題の解決を支える取り組みや、国際都市おおたの実現に向けてのこれまでの成果を将来につなげる取り組みなどを、優先して取り組む重点課題としており、地域力と国際都市を柱とした将来像の実現を強く意識した予算案を編成いたしました。
◆渡司 委員 これまでの成果を着実なものとするとともに、将来へのかけ橋となる予算としたいという区長の区政への責任感と力強い思いを受け取らせていただきました。地域力と国際都市という、まさに松原区政のキーワードを柱とした新年度予算案に対し、生産的な総括質疑をさせていただきたいと思います。
まず、今回の予算案の歳入における地方譲与税の中に、新たに
森林環境譲与税として2,700万円が計上されています。この
森林環境譲与税が創設される背景について、ご説明ください。
◎市野
企画経営部長 パリ協定の枠組みのもとにおける我が国の
温室効果ガス排出削減目標の達成や、災害防止などを図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、国は平成31年度税制改正の一環として、森林環境税及び
森林環境譲与税を創設することとしてございます。
森林環境譲与税は、国が国内に住所を有する個人に対して、年額1,000円の森林環境税を課し、これを地方に譲与するものでございます。また、森林環境税は目的税として使途が定められ、区市町村の場合、森林整備及びその促進に関する間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の費用に充当することとなってございます。区といたしましても、低炭素社会の実現に向けて、本財源を有効に活用してまいります。
◆渡司 委員
森林環境譲与税の枠組みにおいては、市町村における継続的、かつ安定的な森林整備等の財源に充てるとの方向性が示されておりますが、本区においては現時点ではどのような施策に活用することができるのでしょうか。区の見解をお示しください。
◎市野
企画経営部長 森林環境譲与税の活用につきましては、国が示す使途の内、木材利用の促進として、(仮称)
田園調布せせらぎ公園文化施設整備工事に充当することを現時点では想定をしてございます。また、恒久財源であることから、今後は施設整備における木材の活用のほか、環境教育への活用について研究を進めるとともに、使途に関する国や他自治体の動向についても注視してまいります。
◆渡司 委員 (仮称)
田園調布せせらぎ公園文化施設は、本区にもゆかりの深い、隈研吾氏への設計委託ということで、近代的でありながら木材のあたたかさを際立たせる特徴的な
隈研吾スタイルによる調布地区のシンボル的な施設になることを期待しております。ほかにも森林整備の財源に充てるとの趣旨のもとでの緑化や、木材の活用促進という意味では、大田区における水辺の環境整備としての緑道の整備や木材をふんだんに使用した
ボードウォークやウッドテラスなどにも活用できるのではないかと期待をしております。
私自身も
城南地区水辺活性化議員連盟として、大田・品川両区議会の仲間とともに、水辺のにぎわいの創出に取り組んでいるところでございますが、天王洲周辺のウッドデッキやウッドテラスの整備は圧巻であり、品川区の大きなインバウンドの拠点として魅力あるエリアとなっております。本区においても、水辺護岸の緑化や散策路、拠点整備に関しましても森と海のつながりを意識した取り組みとして、ぜひ
森林環境譲与税の活用を施策として取り組んでいただきたいと要望をいたします。
また、環境学習の観点からも、民間の環境団体等の行っている森林に関する持続可能な開発のための教育、
森林ESDプログラムの活用やSDGsの取り組みの推進に資する環境教育の充実などが考えられ、子どもから大人まで区民の皆さんの環境に関する豊かな学びにもつながっていくことと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
また同じく、今回、
環境性能割交付金5,958万8,000円も新たな歳入として新設をされておりますが、その基本的な仕組みについてお聞きします。
◎市野
企画経営部長 環境性能割交付金の原資となる
自動車税環境性能割は、消費税率10%の引き上げ時点におきまして、従来の
自動車取得税が廃止されることに伴い、創設されるものでございます。
自動車取得税環境性能割は、
自動車取得税の
グリーン化機能を維持・強化するために燃費基準値の達成度に応じて税率を設定し、都道府県が賦課徴収を行います。
環境性能割交付金は、この内、一定割合が区市町村に交付されるものでございます。
環境性能割交付金は使途の定めのない一般財源でございますが、その趣旨を踏まえ、貴重な財源として活用してまいります。
◆渡司 委員
環境性能割交付金は、排ガス性能、燃費性能を向上させる
グリーン化機能の維持・強化を図るという、その創設の趣旨から、
森林環境譲与税とともに
温室効果ガス排出削減、環境意識の向上に資するものであり、日本が環境後進国とならないためにも、
森林環境譲与税、
環境性能割交付金などの活用により、区民の環境学習や温室効果ガスの排出削減の取り組みがより一層進むことを期待し、次の質問に移ります。
次に、本予算案に挙げられている五つの重点課題を中心に質問をいたします。初めに、子育て・教育の充実について、伺います。今回の予算案の重点課題の一番初めに、次代を担う子どもたちの未来を拓く力を育み、切れ目なく応援する取り組みとして、小・中学校の校舎の改築、
区立小・中学校の暑さ対策として31億9,005万円が計上されています。その校舎の改築に関して、今年は29億円余と過去4年間では最も少ない予算となっておりますが、基本構想・基本設計・実施設計など計画着手に関しては9校、工事及び竣工は4校、合計13校と改築を加速していこうという区の姿勢が見られ、高く評価をいたします。東京2020大会までの建築費の高騰や、建築資材、労働力の不足などを鑑みて、基本構想と基本設計を早めに行い、オリパラ後の景気の落ち込みを回避するタイミングで工事に着手しようという意図を感じますが、今後、
長寿命化方針の策定や景気の動向なども踏まえつつ、さらに改築計画のスピードアップに期待をしたいところですが、区の見解をお示しください。
◎後藤
教育総務部長 区立小・中学校は、築40年以上の建物が全体の約8割を占めており、公共施設の中でも特に老朽化が進行しております。現在、教育委員会では年2校、改築校を選定し、来年度分をあわせて、計13校の改築に着手しておりますが、今以上にスピードを上げた施設更新の取り組みが必要と考えております。
教育委員会では、来年度から2か年で学校施設の
長寿命化計画を策定する予定です。長寿命化は、建物配置や校庭の形状が変更できないなど、設計、施工上の制約はありますが、一般的に改築工事に比べ、工期や工事費が縮減できるメリットがございます。また、委員がお話しのように東京2020大会後は、これまでより工事業者の人手不足や資材調達の状況が改善されることが期待されます。今後、学校体育館の暑さ対策やトイレの洋式化の集中的な取り組みが加わることから、区財政や改築時期の平準化の視点を十分踏まえつつ、改築や長寿命化の手法を組み合わせた学校施設の更新に迅速かつ計画的に取り組んでまいります。
◆渡司 委員 学校の改修に関しましては、地域事情、地域課題も様々であり、多くの条件を視野に検討しなくてはならないことから、シンプルに決まり切った手順で進むことではないということは十分に承知をしておりますが、バランスのよい計画的な改築のためにも、全校規模での基本的な
スケジュール管理は必要であると考えます。
長寿命化方針、
長寿命化計画とあわせ、
区立小・中学校の全校規模での
スケジュールづくりを進めていただくことを要望いたします。
また関連ですが、学校施設の整備については、もちろん教育環境の向上が最優先でございますが、全国的にもまだ事例が少ないものの、学校施設と
特別養護老人ホームや
デイサービスセンターなど、地域課題を解決し、住民福祉に寄与する様々な複合化が行われてきております。平成26年に文部科学省が行った、学校施設と他の公共施設との複合化に関する各種調査の結果によりますと、今から3年前の時点でございますが、自治体等の学校設置者のうち、複合化した学校施設を保有する設置者の割合は53.6%と半数以上の自治体で複合化した学校を保有しており、複合化した学校の割合は小学校では43%、中学校でも17.9%の学校が複合化をしているとの報告がございました。その中では、
放課後児童クラブや児童館、保育園などの
児童福祉施設が延べ6,806施設と最も多いものの、
老人デイサービスセンター111件、
特別養護老人ホーム2件、障がい者支援施設11件と、地域課題の解決と児童・生徒が多様な主体と交流することを促進する複合化も行われてきております。本区においても地域課題を解決し、住民福祉の観点からも
都市型軽費老人ホームや
ひとり親家庭向けの子育て住宅、障がい者施設など、これまでの複合化計画においては実施事例がない施設と学校施設の複合化についても検討していただきたいと考えますが、区のお考えをお聞かせください。
◎市野
企画経営部長 学校施設は児童・生徒の学習及び生活の場であり、また地震などの非常災害時には地域の避難所としての役割も担うなど、地域にとって最も身近な公共施設であると認識をしてございます。こうした中、学校施設の整備にあたりましては、良好な教育環境を確保することを前提とした上で、建物の容積率を活用できる場合には複合化についても多角的に検討を進めているところでございます。学校施設を複合化することで、学びの場である学校を中心とした地域力推進の拠点づくりや、様々な地域課題の解決につながるものと考えてございます。今後も地域のまちづくりを見据えた施設の適正配置など、効果的・効率的な
施設マネジメントに取り組むとともに、学校施設の複合化・多機能化による
地域コミュニティの
活動拠点づくりを進めるため、地域の実情やニーズを踏まえた施設機能について検討してまいります。
◆渡司 委員 新しい
学習指導要領では、よりよい学校教育を通じて、よりよい社会を創るという目標を学校と社会が共有し、連携・協働しながら未来の創り手となるために必要な資質・能力を育むための社会に開かれた教育課程の実現を目指すとされております。そのためにも学校単体での運営だけでなく、地域課題を子どもたちの学びと連動させた形での未来の担い手の育成を進めることも重要であると考えます。
学校施設の複合化の際には、お年寄りだけでなく、ひとり親家庭の増加や障がい者福祉などの視点からも、様々な方が地域で支え合って暮らしていくために資する環境整備に果敢に取り組んでいただきますよう、お願いを申し上げます。
次に、学校教育に関して伺います。新
学習指導要領ですが、来年は小学校、再来年は中学校で相次いで全面実施となります。新
学習指導要領では、何を教えるかではなく、何ができるようになるかという観点で育成すべき資質・能力を整理し、何が身についたかを見取っていくことが求められ、大きな視点変更が必要となっているようです。その中で、主体的・対話的で深い学び、いわゆるアクティブラーニングや、カリキュラム・マネジメントなど、新しい取り組みや概念も多く示されており、教育の専門家ではない私でさえも学校現場を今まで以上に支援していかなければならない必要性を強く感じております。新
学習指導要領に対応していくための新年度予算での主な取り組みについて、お聞かせください。
◎後藤
教育総務部長 来年度の
教育関連予算においても、新
学習指導要領への対応や授業支援に関して、引き続き、拡充して重点的に取り組んでまいります。
具体的には、グローバル化に対応した英語教育の充実の一環として、区立中学3年生を対象に、
実用英語技能検定を年1回公費負担で実施いたします。また、電子黒板を小学校の少人数教室に追加整備し、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の一層の推進を図るとともに、児童用のタブレットを活用した
プログラミング教育の取り組みをさらに進めてまいります。このほか、教員の働き方改革として、部活動指導員の拡充や
自動応答機能付電話の整備などにより、教員への支援に努めてまいります。今後とも主体的・対話的で深い学びの視点から、授業改善に向けた支援の充実を図り、新
学習指導要領に確実に対応してまいります。
◆渡司 委員 よろしくお願いいたします。2016年からは、英検では5級から
スピーキングテストが導入されており、英語における読み書きする力、聞く力、話す力の3技能をバランスよく高める、またとない機会でございますが、受験料の面で受けられない子どもたちも見受けられ、今回予算化された区立中学3年生の英検公費実施、1,599万円は、子どもの生活応援の視点からも子どもたちの経験の幅を広げていただける施策であると高く評価をいたします。
先月14日、東京都教育委員会では、2022年度の都立高校入試から
スピーキングテストを導入するということを発表いたしました。今年4月に中学校に入学する子どもたちからでございます。発表では、受験生はヘッドフォンとマイクを使い、
タブレット端末に回答を録音するという方法でテストを実施し、中学3年生の11月末から12月上旬の休日に一人1回限りで、約8万人の子どもたちがテストを受ける見通しであるということでございます。子どもたちの未来を拓く教育予算でございますので、
特別支援教育や新しいカリキュラムに対応するためのハード・ソフトの整備、クーラーやICTなどの環境整備や人的配置も含め、必要なときには必要な予算をしっかりと算定、確保していただきたいと考えますので、よろしくお願いをいたします。
昨年、第4回定例会におきまして、公明党の大橋議員のおおた
教育振興プランの成果に関する代表質問に際し、小黒教育長からは、平成30年度大田区学力効果測定の期待正答率を超えた児童・生徒の割合は確実に上昇している。また、自己肯定感も着実に高まっており、ほぼ全ての分野において成果指標の目標を達成できており、プランで掲げた施策が着実に実行され、教育の確実な改善、充実が図られているとの力強いご答弁がありました。今後は、平成30年度までのおおた
教育振興プランを礎とし、(仮称)おおた教育ビジョンへと名称も一新し、さらなる教育の充実に取り組んでいただけると伺っております。
そこで、新ビジョンに込められた教育長の思いを、改めてお聞かせください。
◎小黒 教育長 これまでの
教育振興プランの推進により、基礎的、基本的な学力の向上、自己肯定感の醸成など、確かな成果を挙げることができました。新ビジョンでは、これらの施策の推進に加え、さらに未来を見据え、未来社会を創造的に生きる力の育成を図ります。具体的には、国際都市を目指す大田区の子どもたちの
コミュニケーション能力の育成を図ります。国語力、英語力を高め、人との
コミュニケーションを通して新たな考えや価値を生み出していく力を育てます。また、未来社会は
グローバル社会です。価値観の多様化は、地域社会の形成にも影響を与えます。新ビジョンでは、考えの違いや多様性を尊重しながら共通性を見出し、ともに生きる力の育成を図ります。また、区にはすぐれたものづくりの技術があります。これらの区の地域資源を生かすとともに、科学教育の充実を図り、論理的、実証的に考え、新たな知識や技術を生み出す力を育てます。さらに、未来社会における人工知能などの情報先端技術の進展を見据え、
プログラミング教育の充実を図るなど、情報活用能力の育成を図ります。
「未来は、今である」という言葉がございます。新ビジョンは未来を見据えるとともに、現在の
子どもたち一人ひとりの成長や変化にしっかりと目を向け、区の掲げる地域力を生かした総合的な
教育振興基本計画として推進してまいります。
◆渡司 委員 小黒教育長の思いを伺い、
コミュニケーション能力やともに生きる力など、学力テストのみでははかれない力を育むためにも、教育のプロではございませんが、私たち地域の大人としても、子どもたちの未来に責任を持ち、健やかな育ちを支援し、見守っていかなければならないと強く感じております。
OECDが3年ごとに各国の15歳を対象に実施している、生徒の
学習到達度調査PISAの2018年の結果分析等は、まだ公開はされていないようでございますが、前回2015年にPISAと同時に実施された
アンケート調査によりますと、学校では
グループワーク等を学校のコンピューターを使ってどれくらいやっていますかの設問に対して、日本の15歳は、「ほとんどやっていない」が91%と、48か国中最下位。学校以外で一人プレイのゲームをやりますかの質問には、「毎日、またはほぼ毎日やっている」と答えた子は43%と、48か国中トップとなっています。また、デジタル機器で問題が生じたとき、自分で直し始めますかという設問に関しては、「当然直し始める」と答えた子は、日本では12%、1位のオーストラリアでは41%が自分で直し始めると答えており、技術大国日本の、ものづくりの大田区としても少々残念に感じる結果となっておりました。
小黒教育長におかれましては、ぜひ強いリーダーシップを発揮していただき、大田の教育のさらなる充実をお願いいたしまして、次の質問に移ります。
次に、
児童相談所開設に向けた取り組みに関して伺います。先日の高瀬議員、松本議員の代表質問でも触れられておりました、児童相談所の開設準備でございますが、今回の予算案では重点課題には入っておりませんでしたが、本区の子どもたちにとって大変重要な施策であると考え、質問をさせていただきます。
私も昨年、アメリカにおける
児童相談所業務や社会的擁護に関する訪問調査をさせていただきましたが、人材育成もさることながら、緊急一時保護や保護者の疾病などにより一時的に子どもたちをケアできる養育里親の拡充や、
子ども家庭支援プログラムの開発、虐待通告や介入に関するデータベースの整備など、まだまだ進めなければならない課題は山積しております。支援を提供できるNPOなど民間団体の育成や、
社会福祉協議会との連携など、時間もお金も幾らあっても足りないというのが現状であると思います。今後、専門研究機関などとの連携や調査研究も含め、まだまだ議論を深めていく必要があると思いますが、区の見解をお示しください。
◎水井
こども家庭部長 区では、これまで里親の確保のための体験発表会の開催や、
グループワークによる親
支援プログラムの実施に取り組んでまいりました。また、課題を抱える家庭の情報共有のために相談や支援の情報を一元管理する
児童相談システムを
子ども家庭支援センターに導入し、保健、教育、福祉の関係部署との情報共有を推進しているところでございます。しかしながら、児童相談所の開設にあたりましては委員のお話のとおり、一時的に保護を委託できる養育里親の確保とサポート体制の整備や、虐待等で傷ついた子どものケアを行うプログラムの実施など、これまで区が経験したことのない取り組みへの準備が必要となってまいります。
そこで現在、区では児童相談所の実務経験を有する学識経験者や、東京都の児童相談所の協力弁護士、
区内児童養護施設の施設長など、児童相談行政の専門家を招いて
アドバイザー会議を設置し、専門的な意見や助言をいただいているところでございます。
また、
児童養護施設や里親会など、社会的養護を担う関係機関とも意見交換を重ね、
児童相談所開設後の連携やサポート体制について検討をしております。これらの取り組みを生かして、山積する課題を解決し、開設したその日から児童相談所の役割をしっかりと果たしていけるよう、入念な準備に取り組んでまいります。
◆渡司 委員 私が訪問させていただいたアメリカでは、ホットラインからの虐待通告を受ける
通告受理ワーカー、受理したケースが支援型か介入型かを見きわめるアセスメントワーカー、そして支援を組み立てるケースワーカーなどが完全分業制となっており、支援を提供するNPOなどにおいても、トラウマケアの得意なところ、親支援が専門のところ、里親あっせんに取り組んでいるところなど、それぞれの専門性や得意分野に特化して機能しているところが大変印象的でございました。日本においても分業制を進めるのか、それとも従来
どおりケース担当制なのか、まだまだ議論がわかれるところであるとも聞いております。今後、
アドバイザー会議での助言をもとに国の動向や先行自治体の状況等を注視し、焦らず、丁寧に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
次に、健康・福祉の充実、環境対策、安全・安心の確保の中から、健康・福祉の充実に関して質問いたします。さぽーとぴあB棟の学齢期の発達障がい児の支援事業が始まり、新たな取り組みに関して期待する声を多く耳にしております。先日、
国立特別支援教育総合研究所のシンポジウムとセミナーに参加してまいりましたが、アジア諸国においてもインクルーシブ教育システムの構築に関しては、まだまだ道半ばというよりは、まだスタートラインにたっている状況の国も多く、完全統合教育を目指すのか、または、まず取り出しの個別支援を充実するのかなど、方針が定まっていない国がほとんどのようでございました。それでも、マルチ・多様性・多層的をキーワードに、様々な教材や授業のユニバーサルデザイン化に取り組んでいる先進的な取り組みもあり、それらは主に教育部門がリーダーとなって進められておりました。とはいえ、インクルーシブ教育システム構築や、発達障がいへの理解促進などの課題に対しましては、教育現場のみで取り組めるものではなく、発達支援にかかわる福祉分野との協働がなければ実現することは、大変難しいのではないかと考えております。今回、新たに始まるさぽーとぴあB棟における放課後等デイサービス事業や、アウトリーチ型の地域支援事業などを通じて、学齢期の発達支援を学校と連携し、どのように牽引をしていかれるのか、区の見解をお示しください。
◎青木 障がい者総合サポートセンター所長 発達障がいは本人やご家族の個々の思いに寄り添い、学習面と集団行動面の双方の支援を行うとともに、周りの人の正しい理解を促していく必要がございます。また、委員お話しのとおり、関係機関が支援の方向性を一致させ、相互の連携のもと、その役割に応じた支援を適切に果たしていくことも大切と考えます。学校では、主に学習面の支援を、障がい者総合サポートセンター、さぽーとぴあでは、集団行動面に視点を置き、区立小学校サポートルームに通う児童を対象に、医師による診察に基づく専門スタッフによる個別療育や、放課後等デイサービスを行います。教育委員会、学校現場とも密に情報共有を図り、本事業を着実に軌道に乗せることに注力してまいります。
一方、学校や児童館などを専門家がアウトリーチし、スタッフ向けに発達支援に関するアドバイスや研修などを想定した地域支援事業に取り組みます。部局間連携はもとより、あらゆる支援機関との連携を通じて、区全体の支援力の向上を図り、切れ目ない、一貫性のある支援が図れるよう、障がい者総合サポートセンターは、その中核となって発達支援事業を牽引してまいります。
◆渡司 委員 学校現場では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、特別支援員の活用も進んできてはおりますが、さぽーとぴあでの医師による診断や専門的療育などの取り組みが、学校でのサポートルームでの取り組みと互いの機能を補完し合い、福祉、教育双方向からの支援を充実させていっていただきたいと思います。
また、以前からさぽーとぴあで取り組んでいただいている一般相談支援業務も引き続き、ご尽力をいただきながら、支援のさらなる充実を要望いたします。発達支援に関しましては、医療がやるのか、教育がやるのか、福祉がやるのかというせめぎ合いではなく、使えるものは何でも使う、やれることは何でもやるという視点にたって支援を組み立てていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、魅力あるまちづくりに関して質問をいたします。今回は新たに、公民連携による地域課題解決として、店舗等を活用した区政情報の発信や事業者と連携したまちづくりとして、1,115万5,000円の予算計上となっておりますが、その具体的な取り組みについて、お答えください。
◎市野
企画経営部長 店舗等を活用した区政情報の発信につきましては、例えば、コンビニや商業施設といった店舗におきまして、区報などの区政情報を広く発信するためのラックやスタンドなどを設置することを想定してございます。
事業者と連携したまちづくりにつきましては、区内に路線を有する鉄道事業者と連携した事業を想定してございます。今後、東京急行電鉄株式会社と基本協定を締結し、お互いの強みを生かしたまちづくりを連携して行ってまいります。区は、これまでの意見交換を通じて、地域の課題や目標を共有する中で、例えば、池上駅周辺エリアにおけるリノベーションまちづくり事業や、まちづくり人材の育成等に関する取り組みの可能性について、検討してまいりました。来年度は、地域のさらなる魅力向上や、にぎわいの創出に向け、東京急行電鉄が主体となって、地域の方々のまちづくりに関する機運を醸成するための情報発信や人材の発掘・育成、コミュニティの形成等に取り組み、区は協定に基づき、それらを支援していくということを想定してございます。
◆渡司 委員 昨年、健康福祉委員会で視察をさせていただきました松本市では、健康寿命延伸都市の取り組みとして、コンビニの駐車場での簡易健康診断や、健診受診率の低い年齢層をターゲットにした受診促進の声かけなどを行っておりました。今後は区民の要望が多い防災や健康政策においても、公民連携により区民サービスが向上することを期待しております。
そして、本年1月に大田区公民連携基本指針が策定されましたが、この公民連携基本指針は民間委託、指定管理者制度など、これまでの区と民間事業者とのかかわり方においても整合性を持ったものと考えてもよいのでしょうか。
◎市野
企画経営部長 大田区公民連携基本指針は、区が基本構想において民間企業を含む地域の様々な主体と連携・協働するという方向性を示し、これに基づき、これまで多くの主体と連携した取り組みを行ってきたこと、また近年、企業が社会貢献活動を通じて行政とともに地域課題の解決に取り組む機運が高まっていることなどを踏まえ、民間企業等との連携のあり方について、区の基本的な考え方をお示ししたものでございます。
指針では、公民連携の目的や理念、原則など基本的な内容に加え、こうした活動に取り組む企業との連携協定を締結する際のプロセスや連携を推進するための体制整備等について、明確にしてございます。
また指針では、公民連携を大きく二つに分類し、一つは民間企業等が行う地域課題解決に向けた社会貢献活動との連携。もう一つは、公募等の手続による民間企業等との連携としてございます。委員お話しの民間委託、指定管理等につきましては、公募等の手続により進める公民連携であり、指針の中で、これらは法令や区が定める各種規定、ガイドライン等に従うことと明記をしてございます。
◆渡司 委員 昨年、訪問調査で訪れさせていただきましたアメリカでは、NPOなどのような子ども家庭支援の団体や、若者支援を行う民間団体は、国や州から委託を受けて事業を行っておりますが、同時に政策提言を行う役目も担っているというところがほとんどでございました。民間団体が委託事業を実施していく中で、不足している支援や今後必要な施策などを、行政に対してエビデンスを示しながら提言を行うということが事業の実施とパッケージで求められており、非常に対等で建設的な関係であるということに驚きました。今後、公民連携を進めていく上においては、たとえ民間委託や指定管理であっても、上から目線ではなく、ともに課題を解決していく対等なパートナーとして民間の意見にも貪欲に耳を傾け、よりよい関係性を築く初めの一歩としていただきたいと期待をいたします。
次に、重点課題、空港・交通機能向上、観光・産業振興、多文化共生に関して羽田空港アクセス線と新空港線について、伺います。
先月、JR東日本が羽田空港アクセス線の環境影響評価手続を実施するとの発表をいたしました。この路線が整備されれば、都心と羽田空港とのアクセスが強化されるため、羽田空港利用者の交通利便性の向上が期待されるとのことでございますが、まだ決定もしていない羽田空港の増便を見越したフライング的な判断に少々違和感を覚えます。報道を見ると、今回、環境影響評価を行う羽田空港アクセス線東山手ルートは、羽田空港新駅の次は新橋駅とのことで、区内をただ通過してしまうだけの路線であると感じますが、大田区ではどのようにお考えでしょうか。
◎齋藤 まちづくり推進部長 JR東日本に私どもが確認しましたところ、大田区内に羽田空港新駅以外の駅を整備する予定はないとのことでございました。
また、鉄道事業者が計画してない場所に駅の新設を要望する場合は、請願駅となるため、整備にかかる費用につきましては、要望する地元の自治体が全額負担することが、これまでの慣例となってございます。区としましては、こうしたJR羽田空港アクセス線の動向にかかわらず、来年度から着手をいたします空港臨海部グランドビジョン2030、こちらの改定作業と並行いたしまして、引き続き、臨海部のまちづくりに力を入れてまいります。
◆渡司 委員 大田区が昭和60年から検討を進めている新空港線に関しましても、羽田空港へのアクセス強化の一助となることが想定されるだけでなく、新空港線の整備により、区内の東西方向の移動が便利になるだけでなく、多摩川線と複数路線との相互直通運転が可能となるため、沿線の各駅においては、新たなにぎわいが生まれ、特にJR線、京急線との結節点となる蒲田駅周辺には、これまで以上に人々が集まる拠点となることが予想されます。
新空港線と、先ほどの羽田空港アクセス線は、いずれも平成28年の国の198号答申において、国際競争力の強化に資する路線に位置づけられておりますが、羽田空港アクセス線が先行して着手したことにより、区が進める新空港線は影響を受けるものでしょうか。区の見解をお示しください。
◎齋藤 まちづくり推進部長 今回のJR東日本が発表いたしました環境影響評価手続につきましては、羽田空港アクセス線のうち、東山手ルートとアクセス新線に関するものでございまして、主に東京圏の東側の鉄道ネットワークを充実させるものでございます。
一方、新空港線につきましては、区内の移動利便性を向上させるとともに、渋谷、新宿、池袋といった副都心及び川越、所沢、和光市等の東京圏北西部との鉄道ネットワークを強化するものでございまして、先日、JR東日本が発表した路線とは果たす役割が異なることから、区としては引き続き、新空港線の整備に向けて、取り組んでまいります。
◆渡司 委員 国の答申では、この新空港線と羽田空港アクセス線以外にも8号線や大江戸線延伸等、都内に6路線があり、東京都の平成31年度予算案においても、これら6路線の検討に関する費用が計上されております。本区がほかの5路線とは違い、新空港線を優先的に進めていきたい大きなメリットとは、どこにあるのでしょうか。改めてお聞かせください。
◎齋藤 まちづくり推進部長 新空港線は、羽田空港アクセス線とは異なり、空港へのアクセス強化だけではなく、区内の東西方向の移動利便性を向上させる路線でございます。また、他の路線、例えば、地下鉄8号線、いわゆる有楽町線でございますけども、これは豊洲から住吉間の延伸という鉄道路線を延長させることに主眼が置かれていることに対し、新空港線では沿線まちづくり、これを大きな目的にしてございます。このため、まちづくりと一体的に行うことで地元にメリットを生み出す効果がございまして、これが鉄道新線整備の大きな魅力になっております。
区では、新空港線の整備とあわせまして、蒲田駅及び多摩川線沿線のまちづくりの検討も進めております。
◆渡司 委員 先月22日の都政新報においては、東京都は江東区の地下鉄8号線は年度末に向けて調整を加速しなくてはいけない。新空港線は費用負担割合だけでなく、乗り換えに高低差がある蒲田駅の技術的な課題など、区と相談していくとの記述がございましたが、この都の発言に対して、区はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
◎齋藤 まちづくり推進部長 新空港線は、昭和60年代から検討が進められてきている路線でございます。他の路線と比べても、東京都が発言しているように技術的な課題の詳細について、都区間で協議している状況でございますので、整備に向けた検討熟度は高いと考えております。よって、都区の費用負担割合など、協議が調えば、速やかに整備主体を設立し、事業化に向けて取り組んでまいります。
◆渡司 委員 新空港線は、大田区のまちづくりと一体的に考えていくことで、交通利便性やにぎわいの創出など、相乗効果を生むということがよく理解できました。他の路線とは違う新空港線の大きなメリットは、蒲田駅周辺と多摩川線沿線のまちづくりに大きく貢献する路線であるということですが、ロンドンやシカゴのまちも鉄道、バス、船など、魅力ある交通網が住みやすさとともに大きなまちの魅力となっておりました。大田区を訪れる人々や区民に愛される新空港線の整備と、生まれ変わる蒲田や多摩川線沿線のまちの可能性に、今後も注目してまいりたいと思います。
次に、産業振興について伺います。大田区の魅力の一つに、ものづくり産業が挙げられていることは余りにも有名でございますが、商店街や銭湯の多さ、飲食店の充実ぶりやレコード会社、ブルワリーなど、個性豊かな産業構造を持ち、山の手から下町まで地域特性もバリエーションに富んでおります。その、何でもあるとも言える大田区において、(仮称)大田区産業振興構想を策定する、その背景と狙いについて教えてください。
◎飯嶋 産業経済部長 区では、平成7年3月に大田区産業ビジョンを、平成21年3月には大田区産業振興基本戦略を策定いたしまして、産業振興施策を推進してまいりました。この間、グローバル化が進む中で、産業構造や就業構造など、区内産業を取り巻く環境も大きく変化をしてまいりました。今後、経済のグローバル化や情報通信技術などのさらなる進展に伴う急速な環境変化が予想されます。また、区の産業振興施策においても2020年の羽田空港跡地における新産業創造・発信拠点の整備を契機に、新たなステージに踏み出すところです。
このような状況の中、区内の製造業以外の多様な産業分野にも視野を広げて調査・分析をし、産業のまち大田区が目指す将来像を明らかにすることで、区内産業の集積を維持するとともに、新たな産業分野の成長を促し、持続的な発展を図るため、(仮称)大田区産業振興構想を策定することといたしました。
◆渡司 委員 (仮称)大田区産業振興構想策定について、どのような実態調査、分析をし、構想の策定に至るのか。特に商業やサービス業等に関しては、どのように実態把握、分析を行うのでしょうか。また、工業については大田区ものづくり産業等実態調査もあわせて委託実施される予定のようですが、(仮称)大田区産業振興構想策定と一括して委託をされるのでしょうか。区のお考えをお示しください。
◎飯嶋 産業経済部長 (仮称)大田区産業振興構想策定に向けましては、商業やサービス業を含む区内に立地する全ての事業所について、産業分類別の事業所数や、構成比率などを算出し、大田区の特徴を明らかにした上で、今後の区内産業の将来像を描くために必要となる分野を選択し、さらに詳細なヒアリングなどを通じて、実態把握及び分析を行う予定でございます。加えて、平成29年度に実施をしました、産業基本戦略策定に向けたあり方検討の結果等も踏まえて、検討してまいります。
なお、今年度は先行して、総務省が実施した平成28年経済センサス活動調査結果などを活用し、産業分類別事業所数や、従業者規模別事業所数の推移など、基礎的な情報の整理を進めているところでございます。
また、(仮称)大田区産業振興構想策定と同構想の基礎資料ともなります、大田区ものづくり産業等実態調査の委託につきましては、現在のところ検討中であり、議決をいただけましたら、それぞれの事業目的に合致した業者を選定してまいります。
◆渡司 委員 この(仮称)大田区産業振興構想策定という調査の過程におきましても、事業継承や産業クラスターの形成など、様々な課題やヒントがたくさん掘り起こされることと思います。ぜひ、産業振興の種をまくために、丁寧な調査やヒアリングを通じて、大田区全体をくまなく耕していただき、やがて産業振興の種が芽吹き、花が咲くことをお手伝いする大切な作業であるということをしっかりと自覚をしていただきながら、構想策定に取り組んでいただきますよう、強く要望をいたします。
最後に東京2020大会に向けました、区の取り組みについて伺いたいと思います。大田区としては、東京2020大会を機に、スポーツを通じて健康や文化的楽しみへの意識を高め、障がいへの理解や社会参加を促すことが重要であり、人生の楽しみの創出、健康増進に向けてオリパラを絡めた仕組みづくりがレガシーの創出につながると考えております。
今年度末、おおた健康プラン(第三次)や、大田区地域福祉計画の策定に向けて素案が示され、区内の地域ごとの課題などが明確化されました。それらを踏まえ、区の課題の解決や健康増進に向けて、東京2020オリパラ大会を絡めて施策を推進していくことが必要だと考えております。健康政策4地区間で参加率を競うイベントの実施でありますとか、健康ポイント事業などのインセンティブとして、オリパラ観戦チケットや、グッズや景品を提供するなど、区民の行動につながるとともに、オリンピック・パラリンピックを身近に感じる取り組みの工夫ができないでしょうか、区の考えをお聞かせください。
◎町田 スポーツ・文化担当部長 委員のお話のとおり、東京2020大会を機に、スポーツや文化を通じて人生の楽しみの創出や健康増進、障がいへの理解、社会参加促進のきっかけとしていくことは重要と考えております。区は、東京2020大会にあわせ、区の目指すレガシーを定めております。それは、障がいの有無にかかわらず、誰もが楽しめるスポーツ環境が整えられることや、健康増進の意識が高まること、ボランティアや文化プログラムに取り組むことで、区民の参画意識が高まり、大会後も自主的な活動が活発になることなどです。
また区は、東京オリンピック・パラリンピック推進本部を設置し、各所管部においてもオリンピック・パラリンピックに関連する事業をアクションプログラムと定め、大会が身近に感じられるよう、他分野での事業に取り組んでおります。例えば、スポーツ推進課では、成人が週1回以上運動をするスポーツ実施率の目標値を定めており、平成29年度に41.1%、平成30年度には47.6%と、オリンピック・パラリンピックに向けて徐々に高まってきており、最終的には65%程度とすることを目指しております。
このように、スポーツや文化を通じて健康の増進や障がいへの理解が図られるなど、区の目指すレガシーを実現するために、オリンピック・パラリンピックは強力な推進エンジンとなることから、委員のご提案を参考に関係部局と連携を図り、さらなる取り組みを進めてまいります。
◆渡司 委員 全世界的に取り組まれているスポーツ・チャレンジデーの取り組みですが、毎年5月の最終水曜日に人口の近い自治体同士が、午前0時から午後9時までの間に15分以上継続して運動やスポーツを行った人の参加率を競うスポーツイベントでございます。今年は5月28日に開催される予定です。大田区の友好都市であります秋田県美郷町は、7回目の参加であり、今回は神奈川県湯河原町と対戦を予定しております。長野県の東御市は、6回目の出場であり、対戦相手は青森県の藤崎町と決まりました。国内では、58市46町14村と、東京23区では江戸川区を加えた110自治体の参加が決まっております。対戦相手にスポーツ参加率で敗れた場合は、対戦相手の自治体の旗を庁舎メインポールに1週間掲揚し、健闘をたたえることになっており、ワールドチャレンジデーでは外国の地域との対戦も可能とのことです。ちなみに昨年の美郷町の参加率は67.9%、東御市は63%で、ともに対戦相手に勝利しており、江戸川区では51%で対戦相手である山口県下関市の68.7%に残念ながら敗北を期しました。このような取り組みを東京2020大会と絡め、区民の運動やスポーツへの参加意欲を高めながら、ほかの自治体や外国の都市と親しみのある関係を築いていくということも一つの方法ではないかと考えております。
地域力と国際都市を掲げた大田区は、国際的視野を持ちながら地域の特色や特性を考慮していく、「地球規模で考えながら、地域で活動する」、Think globally,act locallyと言われるグローカル化を目指す都市として、未来へ躍動する事業に取り組んでいただくことをお願いして、私の総括質疑を終わります。
○松原〔茂〕 委員長 次に、公明の質疑に入ります。
岡元委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。
それでは、公明、質疑願います。
◆岡元 委員 大田区議会公明党の岡元由美でございます。会派を代表して、平成31年度予算の総括質疑を行います。
平成31年度予算は、一般会計総額2,818億9,242万円、新規事業などを抑えた骨格予算としながらも、前年度比1.1%増、過去最高額となりました。10月から実施される消費税10%の影響などは反映されていないことから、今後さらに増えると予想されますが、老朽化している公共施設の改修、改築など、計画的に進めるものはもちろん、気候変動による甚大な災害もいつ起こるかわからないことから、緊急な対応など、予想外の歳出が発生することも考えられます。十分な予算査定を行って編成された予算案とは思いますが、執行に際しては、常に削減の可能性を意識して執行していただくよう要望します。
初めに、児童虐待防止について伺います。昨年3月に目黒区で児童虐待によって5歳の女の子が父親に虐待され、死亡した事件は、社会に衝撃を与え、緊急な対策が講じられました。しかし、本年2月14日、千葉県野田市の小学校4年生が、虐待の事実や恐怖を学校に訴えていたにもかかわらず、犠牲になってしまいました。いずれも一時保護され、一時保護が必要な虐待があると認知されながら守ることができなかった、悔やみ切れない事件です。
そこで、改めて伺います。大田区が児童相談所を開設すると決定した理由をお知らせください。
◎水井
こども家庭部長 区は、区民に最も身近な基礎的自治体である強みを生かすことで、問題を抱える家庭の早期発見と自立に向けた支援を切れ目なく行うことができるとの認識から、児童福祉法改正の機会を捉えて、児童相談所を設置することといたしました。
現在においても、子どもの虐待死事件が相次いで発生しており、事件の検証結果においては、いずれも関係機関の間での情報共有や、引き継ぎ時の認識の違いなどが防止に至らなかった要因の一つとして指摘されております。区が子どもたちを守り、育てるためには、関係機関の情報共有を深めるとともに、可能な限り一元的な組織において対応することが重要です。本区の児童相談所の基本構想、基本計画では、従来の児童相談所と一時保護所の機能に加え、
子ども家庭支援センターの相談機能をあわせ持つ、(仮称)大田区子ども家庭総合支援センターとして整備する計画としており、この要請に応えるものでございます。
◆岡元 委員 一時保護から先の
児童福祉施設への入所措置、里親委託や特別養子縁組などの対応が児童相談所、それ以前の通報や相談への対応、潜在化している被虐待児の発見は、
子ども家庭支援センターの役割だと思いますが、大田区が児童相談所を開設し、一貫した支援ができるまでの期間に、それぞれの仕組みのすき間に埋もれてしまう子どもがいてはならないと大変に危惧しています。
昨年、こども文教委員会で視察させていただいた金沢市は、中核市として、横須賀市とともに平成18年に児童相談所を開設しましたが、一時保護所は3年後に開設しています。
児童相談所開設には、先日の我が党の代表質問でも指摘したとおり、東京都との協議など十分な準備が必要です。しかし、慎重であることと、たった今、助けを求めている大田区の子どもたちが存在する現実を、どのように判断していくのかは非常に難しいことです。
建物の建設や配置職員の人数は確保できても、専門的なスキルが重要で、実務の中で身につくものが多いと思います。
子ども家庭支援センターは、子育て支援の役割も担い、児童相談所としての深刻な相談、対応とは異なるものです。現在、品川児童相談所に移行している虐待案件が増え続け、昨年の事件によって東京都が職員を増員しても不足であるのが実情です。だからこそ、本区も
児童相談所開設を予定しているわけですが、早くて3年後の開設予定である今、でき得る限りの対策としては、
子ども家庭支援センターの人材拡充だと考えます。現在、5名の職員が派遣研修中で、庁内報に掲載されたお二人の記事を拝見しました。昨年の代表質問でも要望させていただきましたが、福祉職でない職員の資格取得への取り組みは、いかがでしょうか。
◎水井
こども家庭部長 現在、区の職員の資格取得を支援する取り組みとしては、社会福祉士や精神保健福祉士の資格取得を目指す講座の受講料や、受験料を補助する制度がございます。今年度から児童相談所の実務経験のある学識経験者を講師とした、児童相談所の実情や職場としての魅力を伝える研修を開催し、児童相談所勤務希望者の発掘に努める取り組みを始めております。これらの機会を生かしまして、資格取得についての勧奨を強化してまいりたいと存じます。
◆岡元 委員 児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策に基づく新たなルールが設定され、本年2月28日付で国から通知されました。そのルールのトップには、学校等、児童相談所、市町村、警察の責務を示し、それぞれの責務を最大限果たし、連携を進めることとしています。
本区においても、2月15日、区内5警察署との協力協定が結ばれました。潜在している被虐待児の発見のために、現在どのような連携、取り組みがなされていますでしょうか、伺います。
◎水井
こども家庭部長 虐待を受けている子どもを救い出すためには、区民からの通報や関係各機関との連携により、虐待を受けている子どもを探し出して支援することが何よりも重要でございます。今年度からは、子どもの変化に気づきやすい保育園や幼稚園に
子ども家庭支援センター職員が出向き、保育士等に虐待を発見するための着眼点や通報マニュアルの内容を説明して、早期発見に向けたさらなる協力を要請いたしました。今後は、児童館や学校においても協力要請を強化するなど、より多くの関係者や区民にプライバシーの尊重を前提としつつ、児童虐待の発見に協力していただける体制づくりを推進してまいります。
◆岡元 委員 虐待のサイン、例えば、あざや衣服の汚れ、虫歯など、子どもの変化に早期に気づくために、保育士、または学校の教員の方々に注視していただく情報を提供し、虐待の可能性を発見していただくよう要望します。
泣き叫ぶ目の前の子どもを前に、自分自身も眠れない日々が続いて、頼れる人や相談先がないとき、誰にでも加害者になる可能性があると思います。特に、自分自身が怒鳴られたり、叩かれたり、あるいは無視されて育った親は、それをしつけと思い込み、同様の虐待を繰り返すケースが少なくないといわれています。
公明党としても、児童への体罰禁止を法律に明記することを含めた緊急提言を政府に提出しました。体罰はしつけではないとの意識啓発や、子どもの体や心を傷つけない子育ての方法論の普及にも取り組む必要があります。虐待が起こってからの対応は当然ですが、児童虐待死の約6割は0歳児であることから、特に乳幼児虐待を予防することが重要であり、虐待の芽を摘むとの観点から考えれば、産婦に対する産後ケアは非常に重要です。本区は、昨年10月からアウトリーチ型の産後ケアがスタートしました。5か月経過したところですが、利用者や助産師の方の声を含め、実績をお知らせください。
◎西田 保健所長 アウトリーチ型と言われる訪問型及び外来型の産後ケア事業の申請件数は、本年2月末日現在121件で、承認件数も同様です。申請件数につきましては、当初の見込みどおりで推移しております。実際の利用件数は、まだ確定しておりません。実際に産後ケアに従事している助産師から、産婦に母乳や育児についてのアドバイスをすることにより、産後の身体的な疲労や育児不安の軽減に効果があったと報告を受けております。利用者の声の把握については、今後検討してまいります。
◆岡元 委員 来年度は、デイサービス型の産後ケアに約334万円が予算計上されています。こちらは7月から利用開始予定とのことですが、アウトリーチ型、デイサービス型、それぞれの予定人数をお知らせください。
◎西田 保健所長 平成31年度予算案で、産後ケア事業の利用人数としてアウトリーチ型である訪問型及び外来型で400人、新規となるデイサービス型では48人をそれぞれ予定しております。利用予定人数は、他区における同様事業の実績等を勘案して算定しております。
◆岡元 委員 妊娠から子育てまでの切れ目ない継続的支援、安心して子どもを産み、育てられる環境づくりが虐待の予防につながります。初めての育児で悩み、産後のサポートを必要とする母親に寄り添って、対話・サポートすることで、母親が孤独な育児から解放され、すこやかに子育てできるよう、子どもではなく、出産した母親の心と体のケアが必要です。本区のすこやか赤ちゃん訪問や、アウトリーチ型産後ケアを担ってくださる助産師の方々は、大田区の産後ケアを推進するために勉強会を重ねていらっしゃいます。私も参加させていただいており、先日は産後ステイを実施されている新百合ヶ丘総合病院の師長のお話を伺いました。その際、産後ドゥーラの方とお会いし、大田区で産後ドゥーラ推進のために取り組まれているお話も伺いました。
以前にも紹介をさせていただきましたが、産後ドゥーラとは、産後間もない母親に寄り添い、子育てが軌道に乗るまでの期間、日常生活を支える専門家です。産後の女性宅を訪問し、産後の体に負担の少ない料理やお掃除などの家事や育児など、母親が体を休め、安心して赤ちゃんのお世話に専念できる環境をつくるお手伝いをします。
産後ドゥーラを養成する一般社団法人ドゥーラ協会の養成講座を修了された方は、本年2月28日現在で393名、大田区でも11名の方が産後ドゥーラとして活躍されています。
産後ドゥーラの利用料金は、おおむね3,000円ですが、品川区では平成28年から、産後6か月までの利用に対し、1時間につき1,000円で、最大20時間利用できます。せっかく区内に産後ドゥーラがいらっしゃるのに、大田区の妊産婦には利用しにくい環境です。ぜひ助成制度を導入していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
◎西田 保健所長 委員お話のとおり、産後間もない母親の身体的、心理的サポートを行うことは孤立や産後うつを防止するためにも重要です。このため区は、原則生後4か月未満の乳児のいる全ての家庭を助産師、または保健師が訪問し、育児相談や産後うつスクリーニングを行うとともに、今年度から助産師による産後ケアに取り組んでいるところです。ヘルパーや母子専門の支援員による、産後間もない子育て家庭に対する家事支援については、他自治体の状況等も踏まえ、こども家庭部と、その支援のあり方を研究してまいります。
◆岡元 委員 ぜひ前向きに、よろしくお願いいたします。
次に、きずなメールについて伺います。本年7月から登録者の対象を就学前までに拡大する予定ですが、現在のきずなメールの効果や登録者の満足度に対する評価、また対象者拡大の目的と登録者数の目標について、お知らせください。
◎今井 健康政策部長 きずなメールの効果、登録者の満足度を評価するため、毎年、年度末に
アンケート調査を実施しております。昨年度末の集計結果では、よかった、とてもよかったをあわせると、妊娠期で92%、子育て期で96%と評価をいただいております。
対象者拡大の目的につきましては、現在は妊娠から出産を経て、乳幼児健診終了となる3歳までが登録対象ですが、就学前まで拡大することで幼稚園、保育園から小学校入学前まで切れ目なく情報を提供し、安心して子育てができる環境づくりを一層強化することを目的としております。
また今後、配信年齢対象の拡大に伴い、現在の人数に加えて、対象年齢がおよそ倍増することから、6,000人程度を見込んでおります。
◆岡元 委員 きずなメールは、きずなメール・プロジェクトに委託して実施していますが、きずなメール・プロジェクトによる配信をしている自治体の多くは、登録者を増やすために登録者のアンケート結果や実際に配信されるメールの内容がわかるようにホームページ上に掲載しています。タブレットをご覧ください。こちらは文京区の例ですが、登録者満足度や配信メールの事例のチラシがコメントつきで紹介されています。その次が本区のものですけれども、本区は登録方法はあるものの、メールの内容は実際に登録しなければわかりません。妊娠届け出時に妊婦に配布される案内も、このタブレットのとおり事務的で、本当に味気なく、残念です。登録者を増やし、満足度を上げるためにホームページの掲載方法に工夫が必要と考えますが、いかがでしょうか。
◎今井 健康政策部長 委員お話しのとおり、より多くの方に利用登録をしていただくため、ホームページの掲載方法につきましては、親しみやすく興味を引く内容となるよう工夫してまいります。
◆岡元 委員 せっかく妊娠届け出時に、このグリーンのものを渡しても、その先、ホームページにいってもほぼ同じ情報しかありませんので、誘導して、登録者を増やすのであれば、努力をお願いします。
私は対象者ではありませんが、きずなメール推進のためにLINE版に登録しています。出産前から生後100日までは毎朝配信されます。ところが、このメールが長くて、スマートフォンを開くと配信解除の案内や配信に関する問い合わせ先などがずらっと並び、本来知りたい情報にたどり着くまでに何度も画面をスクロールしなければなりません。これもタブレットにあるとおりですが、毎日、ほぼ最初に開いた部分が、この状態で出てきます。「詳しくはこちらをご覧ください」と誘導しながら、同じ問い合わせ先がメールにも配信されています。例えば、配信解除の案内は月に1回にするなど、読み手側にたった配慮や工夫が望まれますが、いかがでしょうか。
◎今井 健康政策部長 きずなメールの配信内容に応じた定期配信のペースの見直しや、スマートフォンの画面でも見やすい画面構成などへの改善などにつきましても、利用者視点に立って使いやすさ、わかりやすさに配慮をした工夫をしてまいります。
◆岡元 委員 内容はとてもすばらしいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
既に6歳の誕生日まで配信している鹿児島県鹿屋市は、今年度できずなメールを終了し、母子健康手帳アプリに変更するそうです。母子健康手帳アプリは、妊娠週数にあわせたおすすめレシピや、母子健康手帳に記載されている子どもの予防接種記録や、母親の健診記録など、全てデジタル化し、クラウドに保存、グラフ化でき、成長に関する日々の気づきなども残せるものです。風疹の質問で田島議員が指摘しましたように、幼いころの記憶は本人も家族も曖昧な場合が少なくありません。予防接種や乳児健診の記録を正確に残せることは、生涯にわたって有効なことです。今後、母子健康手帳アプリについて、検討されてはいかがでしょうか。伺います。
◎今井 健康政策部長 今年度、母子健康手帳アプリの導入についても検討しましたが、きずなメールと重複する部分もあり、役割分担の整理と効果的な情報発信の仕組みの構築の課題などもあり、まずは現行のきずなメールの配信対象年齢の拡大を行うことといたしました。今後、きずなメールの実績等を検証するとともに、母子健康手帳アプリを導入している自治体の例も参考にしながら、課題を整理し、検討してまいります。
◆岡元 委員 よろしくお願いいたします。
次に、胃がんリスク検診についてお伺いします。ピロリ菌の除菌が胃がんの発症予防に有効であるかどうかは、まだ明らかではないものの、ピロリ菌の感染が胃がんのリスクであることは科学的に証明されています。こうした観点から、大田区議会公明党は、これまで一貫して、胃がん検診にピロリ菌検査の導入を求めてまいりました。昨年の第4回定例会で我が党の末安議員から、胃がんリスク検診の導入を要望したところ、保健所長から、今後、胃がんリスク検査の実施について関係機関と協議していくとの答弁をいただきました。
我が会派は、成人に対するピロリ菌検査の実施を求める立場ですが、最近では中学生に対するピロリ菌検査を実施する自治体が増えてきています。横須賀市は、来年度から中学2年生を対象にピロリ菌検査を公費負担で実施する方針と聞いています。しかし、中学生への検査実施については、無症状の子どもへの検査と除菌は、欧米の指針では推奨されていないことから、検査に否定的な学会もあります。このように中学生へのピロリ菌検査について、様々な見解がある中で、区として慎重な対応が求められることは十分に理解できます。そこで伺います。成人へのピロリ菌検査を導入してはいかがでしょうか、区長の所見を伺います。
◎松原 区長 委員お話しのとおり、中学生に対するピロリ菌検査につきましては、肯定的でない意見など様々ある中で、現時点では行政として実施することは困難であると考えます。一方で、区民の死亡原因の第1位はがんであり、全体の約3分の1を占めております。区内では、ここ数年、年間約200人の方が胃がんで亡くなられております。がんで死亡する区民を減らすことは、区政の重要課題であります。委員ご提案の、成人に対するピロリ菌検査につきましては、20歳になる方に検査を実施することとし、成人のつどいのご案内と時期をあわせて、検査のご案内をしてまいります。ピロリ菌検査の受診を大人の責任として、自分の健康は自分で守る自覚を促すきっかけにしたいと考えております。同時に、喫煙・飲酒のリスクの理解と行動を啓発することなどもできる、大変意義のあることと思います。今後、20歳になる方へのピロリ菌検査の実施に向けて、医師会と協議するなど、検討をしてまいります。
◆岡元 委員 長い間、要望してまいりましたが、成人のつどいへの案内と一緒に通知をしてくださるということでございますので、来年で実施していただければと思います。
もう一つ、若い世代の健康へのアプローチとして、ワンコイン健診を推進している自治体があります。生活習慣病の予防として若い世代が健康に関心を持ち、みずからの健康づくりに取り組んでもらうことを目的に実施している、東京都北区でお話を伺ってきました。北区では、地域のイベントにあわせて、血液検査による糖尿病予防コースと、骨密度や血管年齢、肺年齢などを検査する、からだ年齢判定コースを実施しています。甘いものがやめられない、朝食を抜くことが多い、運動する時間がないという20歳から40歳代を対象に、健診機会の少ない方に自分の体を知ってもらい、早いうちから健康への取り組みを促すものです。
また、足立区では25歳・35歳・39歳・43歳を対象に、自宅でできる簡易検査を実施してきましたが、特に検査を受診された43歳の方は、男性100%、女性90%に、いずれかの問題ありとの結果が出て、その方々は特定健診を受診されているそうで、来年度から18歳から39歳に拡大の予定とのことです。
本区では39歳以下基本健診を推奨したいとのことですが、受診者が増えない要因の一つは、受診できる時間帯や曜日に医療機関が開いていないことです。高熱やひどい痛みがあれば、仕事を休んでも医療機関を受診しますが、若者層には健診のために休暇をとる余裕や意識がないと考えられます。39歳以下基本健診を推奨するなら、時間帯や曜日などで健診環境の整備について、医師会への働きかけをお願いします。
また、受診勧奨のためには、自分の体を知ってもらうことが大事です。本区で実施してきた、受診勧奨の取り組みをお知らせください。
◎西田 保健所長 若いころから自分の健康状態を知り、健康づくりに励むことは、大変重要と考えております。39歳以下基本健康診査の受診環境の充実につきましては、今後、区としても検討し、医師会にも働きかけてまいります。
また、昨年新たに、おおたスポーツ健康フェスタ、大田総合体育館会場で血管年齢や肺年齢などの各種測定を無料で行ったところ、参加者から数値の改善をするための健康相談を受けるなどと、おおむね好評でございました。
◆岡元 委員 血管年齢と肺年齢の二つの項目ということですが、検査項目が少なくても受診者に喜んでいただいたのであれば、ぜひ北区のように内容をさらに充実させて、例えばOTAフェスタ、一番区民の方が集まられるOTAフェスタですとか、人通りの多いグランデュオの連絡通路などで実施してはいかがでしょうか。
◎西田 保健所長 今後も、観光・国際都市部をはじめ他部局と連携し、委員お話しのOTAふれあいフェスタなど、大勢の方が集まるイベントの場で各種測定機器を活用するなど、工夫しながら健康状態の気づきを促す事業を実施することで、若い世代を含む多くの区民の健診受診を促進してまいります。
◆岡元 委員 受診していないために異常があることを認識していないだけで、異常があるとわかれば、自発的に39歳以下基本健診を受診してくれるということだと思います。そのきっかけとなる、簡易検査の実施を望みます。
先ほども申し上げましたが、39歳以下、20歳から40歳代の方が集まるところということが非常に大事でございますし、いつでも、そのときに来たい、検査してみようかなと思ったときに検査ができる、これが重要だと思いますので、今後、引き続き駅近、主要駅の近くのワンコイン健診を推進していきたいと考えております。
来年度予算では、新生児の聴覚検査費用の公費負担が計上されました。発音が正しくできていない、できない、構音障がいや吃音などの言語発達障がいのための療育、訓練が効果的な年齢は何歳ぐらいでしょうか、お伺いします。
◎西田 保健所長 聴覚に問題のある場合は、新生児期に聴覚検査を行い、その聴力に応じて言葉を覚えていく1歳前までに補聴器を用いて、言葉を学習する療育を開始できれば、その子どもの生来の力を生かした言語力が身につきます。
また、聴力に問題のない構音障がいは、生まれつきの口蓋裂や舌の機能が悪いなど原因が様々であり、年齢に応じて訓練をしていきます。吃音も、心理的サポート等を成長に応じて行う必要があり、何歳までと一概に言えないことがございます。
◆岡元 委員 他区から転入された方が、大田区のホームページを探しても、「ことば」や「きこえ」についての情報が見つからないとのことでした。私が、ことばと検索してみますと、さぽーとぴあの大人の相談窓口の案内となります。ことばやきこえに発達のおくれがあるとわかった就学前の幼児が、本区で受けられる支援があればお知らせください。
◎西田 保健所長 本区におけることばやきこえに発達のおくれがあるとわかった就学前の幼児への支援機関としては、きこえとことばの乳幼児教育相談を運営する、東京都立大塚ろう学校城南分教室が東六郷にあります。
また、保健所の地域健康課でも相談を受け、専門機関につなぐことは現在も行っておりますので、今後は、わかりやすくご案内いたします。
◆岡元 委員 本区では、就学前の幼児への公的な療育、また訓練支援はないとのことですが、ホームページ、先ほどからホームページを繰り返して申しわけありませんが、せめて地域健康課が相談を受けているということが、その保護者の方がホームページを開いたときにわかるような、そんな丁寧なご案内にしていただきたいと思います。
現在、本区では、入新井第一小学校、北糀谷小学校、志茂田小学校、東調布第三小学校の四つの小学校と御園中学校で、ことばやきこえ教室が設置されていますが、区が把握されている療育、訓練が必要な児童数と、それぞれに通級されている児童の人数をお知らせください。
また、ことばやきこえに発達のおくれのある児童に対する通級の拡大が必要と考えますが、本区の見解を伺います。
◎後藤
教育総務部長 本年2月末現在、ことばの教室は、入新井第一小学校に22人、北糀谷小学校に32人、志茂田小学校に40人、東調布第三小学校に29人が通級しております。また、きこえの教室は、入新井第一小学校に12人、北糀谷小学校に8人、御園中学校に5人が通級しております。
なお、ことばの教室には、本年2月末で25人が入級をお待ちいただいている状況でございます。そのため、来年度に向けて、東調布第三小学校と入新井第一小学校に1学級ずつ増設する予定でございます。
一方、きこえの教室につきましては、全員の受け入れができており、施設的にも余裕はございます。
今後とも、必要な支援が確実に実施できるよう、特別支援学級の設置を進めてまいります。
◆岡元 委員 他区にいらっしゃって、大田区に来たら、ことばとか、きこえの支援が十分でないと、このように言われるのはとても残念なことでございますので、よろしくお願いします。
先ほど、通級のクラスを2クラス増やしていただくということで、これでカバーできればと思いますが、今後も増える可能性もありますので、引き続き検討をよろしくお願いいたします。
支援を必要とする子どもたちが、適時適切な支援が受けられるような環境整備に努めていただくよう、要望します。
次に、幼児教育無償化について伺います。
国は、今年の10月から幼児教育を無償化するとしています。具体的には、認可保育園では3歳から5歳が無償、0歳から2歳は非課税世帯が無償。第1子の年齢にかかわらず、第2子の保育料が半額、第3子は無償になります。これまで、大田区も第1子が就学前の場合、第2子を6割減免、また第3子を無償としてきましたが、今回の、東京都が第1子の年齢にかかわらずとすることは、大きな対象拡大になるものと考えます。
幼稚園は、東京都の上乗せ支援で、月額2万7,500円まで無償となりますが、大田区の大半の幼稚園は、この額を上回っているため、超えた部分については自己負担となります。ところで、保育園の保育料無償化については、大田区の負担もありますが、区にはどのような影響があると考えられますか、お伺いします。
◎水井
こども家庭部長 国は、幼児教育無償化の実施に要する経費について、来年度分については、全額国費による負担とするとしておりますが、平成32年、2020年度以降は、認可保育園、小規模保育所、事業所内保育所については、0歳から2歳までの子どもの住民税非課税世帯と、3歳から5歳までの子どもの全世帯の保育料相当額について、区立については全額、私立については、その4分の1の額が、新たに区の負担となります。
また、認証保育所等の認可外保育施設において、保育の必要性が認定された3歳から5歳までの子どもたちの利用料について、3万7,000円を上限額として無償化が行われることから、この経費の4分の1が新たに区の負担となるほか、一時預かり事業、病児保育事業及びファミリーサポートセンター事業を組み合わせて利用した場合も、上限額の範囲内で無償化されるため、その4分の1の額が、新たに区の負担となってまいります。
◆岡元 委員 今回の幼児教育無償化は保育料のみでございますが、保育園の給食費の負担について、現状をお知らせください。
◎水井
こども家庭部長 本区におきましては、現在、国が実費徴収の対象としている3歳児から5歳児までの主食費、これについては徴収を行っておりません。全て給食費については、徴収を行っていないという状況でございます。
◆岡元 委員 3歳から5歳の保育料が無償化となる一方で、7,500円、主食費が3,000円、副食費が4,500円ということですが、この7,500円の給食費が一律負担となれば、これまで保育料が7,500円以下だった世帯は、かえって負担が増えることになってしまい、それを超える世帯でも、所得の低い世帯ほど無償化の実感が乏しい結果となってしまいます。これは、保護者の負担軽減のための幼児教育無償化の目的から逸脱するものです。地方消費税の増額はあるものの、保育料の区負担分に加え、給食費まで負担することは、区にとって大きな財政負担となることは理解しておりますが、ぜひ保育園の給食費を区が負担していただくよう要望しますが、いかがでしょうか。
◎水井
こども家庭部長 国は、生活保護世帯やひとり親世帯等について、副食費の免除を継続するとともに、年収360万円未満相当の世帯及び第3子以降を新たに免除対象に加えるとしておりますが、現行の保育料を継続して制度に沿った運用を行った場合には、保護者の負担は、保育料所得階層C2では現在と同額、所得階層AからC1までは負担が増えることとなります。
幼児教育の無償化につきましては、詳細について明らかになっていない点も多くありますが、国・都の動向を注視しながら、保育所等におきましても保護者の負担に配慮した制度となるよう、現在検討を進めているところでございます
◆岡元 委員 詳細なことはこれからということだと思いますけれども、せっかくの幼児教育無償化でございますので、前向きに進めていただければと思います。
ところで、来年度、本区は全ての小・中学校の体育館に大型冷風機を設置し、緊急の暑さ対策を講じる予定ですが、同時に小学校4校で冷房化が先行実施するとのことで、整備される学校は決まっていますでしょうか。決まっているのであれば、お知らせください。
◎後藤
教育総務部長 新年度、先行して整備を予定している学校は、大森第一小学校、入新井第四小学枝、池雪小学校、中萩中小学校の4校でございます。地域のバランスや冷房効果が期待できる鉄筋コンクリート造の重層体育館であること、工事中3か月程度、体育館が使用できないため、学校行事との調整が整った学校を選定しております。
◆岡元 委員 東京都の財政支援制度の補助制度では、空調化に伴う機器の設置経費のほか、受変電設備の改修も対象になっています。来年度、本区で整備する冷房化工事はガス式と、先日お答えがありましたけれども、東京都のこの補助制度を活用して、電気式で整備するお考えはありますでしょうか。
また、東京都のこの補助制度を活用するには、整備計画を提出しなければならないと伺っていますが、計画書提出のスケジュール感をお聞かせください。
◎後藤
教育総務部長 先行して整備する小学校4校につきましては、夏までに確実に設置するため、工程管理がしやすいガス方式での整備といたしました。今回のガス方式での整備に対しても、東京都の財政支援制度は適用される予定ですが、今後は、施設の状況に応じまして、電気方式もあわせて検討してまいります。
また、東京都へ提出する整備計画に関する正式な通知は、まだ来ておりませんが、今後、早急に補助制度の設定期間である3か年での整備計画を策定し、提出する予定でございます。なお、区立学校は、館山さざなみ学校を含め
小・中合わせ88校あり、補助制度が設定される3年間で、全ての学校の整備は難しい状況にございます。今後、区の整備状況を見ながら、東京都に対しても、時機を見て補助期間の延長を要請してまいります。
◆岡元 委員 現時点で学校との調整が整った小学校が4校との認識ですが、今後、行事日程など調整が整って、しかも年度内の工事完了が可能となる学校につきましては、補正予算を組んででも整備していくべきと考えますが、区の見解をお伺いします。
◎後藤
教育総務部長 来年度は、緊急的な暑さ対策を行うほか、災害時の避難所となる学校体育館の冷房設備を小学校4校で先行して整備いたしますが、教育環境の公平性の観点からも、できるだけ早く全校に整備することが必要であると考えております。
委員お話しのとおり、今後、先行して整備する学校以外にも、施設の状況を精査するとともに、運動会や部活動など、学校行事との調整が整った学校につきましては、年度内に1校でも多く追加整備できるよう、順次、取り組んでまいります。
◆岡元 委員 よろしくお願いします。東京都も頑張って基金とかやっておりますけれども、大田区の今回の大型冷風機につきましては、残念ながら対象外ということだと思いますので、この小学校4校の冷房のほか、調整を少しでも早く整えていただいて、後半部分でも少しでも、1校でも多く冷房化が進むように、よろしくお願いいたします。
次に、空き家対策について伺います。平成25年の統計調査によりますと、空家の総数は6万1,790戸で、そのうち賃貸用の住宅や売却用の住宅に含まれていない空家は5,360戸あります。このうち、建物の管理不全や老朽化の進行によって、区民などから区へ寄せられた情報をもとに、区が把握している空家情報は、約660戸と聞いております。
大田区では、平成25年4月1日に、大田区空き家の適正管理に関する条例を施行し、本条例に基づき、都内で初めて行政代執行を行うなど、全国でも先進的に空家対策に取り組んできています。しかし、高齢化の進行などにより、家族間のトラブルや相続手続の困難さ、また空家の除去費用など、立ちはだかる課題が多く、そのまま放置され、倒壊のおそれや保安上や景観の問題など、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。
区では、空家対策の啓発事業や相談業務の拡充、区報での周知などを通して、区民に空家対策の協力を進めてきていますが、安心・安全に生活できる環境を整えるためには、空家の所有者や相続人に建物の適正管理を、より一層働きかける必要があると考えます。
そこで伺います。区は、福祉部や他部局との連携を図りながら、空家対策に取り組んでいますが、これまでの取り組みと成果について、お知らせください。
◎齋藤 まちづくり推進部長 区では、委員お話しのとおり、国のほうの法律の制定、それから大田区空き家の適正管理に関する条例の施行といったようなものを踏まえまして、平成28年7月に大田区空家等対策計画を策定いたしまして、空家総合相談窓口の設置であるとか、組織体制を含めて空家対策の強化に取り組んでございます。
この間、委員お話しのとおり、区民から区に寄せられた空家情報、こちらのほうは約600件ございました。いただいた空家情報につきましては、関係部局との連携のもとに、全て現地調査を行っております。また、空家所有者の確認や相続人等関係者の調査も行いまして、空家総合相談窓口への誘導や、空家総合相談会への参加打診等、管理不全の空き家関係者の方に助言や指導、こちらのほうを継続的に行うなど、改善を働きかけてまいりました。
こうした継続的な働きかけは、これまで大きな成果をあらわしてございまして、平成31年1月31日現在、区に寄せられた約600件の空家情報のうち、建物の建て替えや売却、あるいは繁茂した樹木のせん定など、約190件の建物等の改善が図られたことを確認してございます。
また、区が指定した特定空家3件、こちらはかなり状態の悪い空家でございますけども、これが3件ございます。これのうち2件の空家の解体が完了いたしまして、残る1件も対応に着手しているところでございます。
◆岡元 委員 平成30年第4回定例会における、我が党の大橋議員の代表質問に対し、松原区長は、空家の所有者に対して、建物の除去を促す誘導効果のある助成制度の創設が必要であるとの見解を述べられました。その区長の方針どおり、来年度予算に空家でも活用できる木造住宅除却助成が計上されたことを、高く評価いたします。
そこで伺います。空家の所有者などに対する木造住宅除却助成の周知方法や働きかけを含め、今後の空家対策の取り組みについての見解をお伺いします。
◎齋藤 まちづくり推進部長 平成29年度に行いました、空家等の状況に関する
アンケート調査では、対象空家の約77%が、昭和56年以前に建築されました旧耐震基準の建物でございました。その建物の所有者の回答を分析しましたところ、解体であるとか、修繕のできない、こちらの主な理由といたしまして、それらの費用の捻出が困難であることが判明いたしております。この調査結果を踏まえて、空家所有者の方には、引き続き、空家総合相談窓口での相談や、助言・指導を継続してございます。
また、委員お話しの木造住宅除却助成制度、こちらのほうを来年度予算に見積もりをし、編成をさせていただいたところでございますけれども、従来は、建物を除却をし、建て替えないと助成が出なかったわけでございますけれども、空家所有者の方等のご事情に応じて、除却しただけでも助成が出るように、制度をさらに利用しやすいように変えてございます。この木造住宅除却助成制度と、それからブロック塀等改修工事助成事業、こちらのほうを本委員会で、まさに予算ご審議中でございますけれども、これらの予算を議決いただけたなら、こうした制度を空家所有者等に直接周知をし、管理状況の悪い建物解体などに踏み出せるよう支援してまいりたいと考えてございます。
また、新たな管理不全な空家の発生を未然に防ぐ観点から、民生委員や高齢福祉、介護関係機関等との連携をさらに深めるとともに、自治会・町会への啓発活動の強化や、司法書士会など協定団体との共催によるセミナー開催などによりまして、区民に向けた空家対策の周知活動にも一層努めてまいります。
また、空家所有者は、大半が高齢の方ということがわかっておりますので、こうした方が入院や施設入所で空家になるといったようなケースが多いといったところから、福祉施策と密接に関係していると考えてございます。このため、福祉部局と情報を共有し、空家を予防する観点から、施策づくりをさらに進めていきたいと考えてございます。
◆岡元 委員 区が、努力をいろいろされて空家が減っていることは、皆さんもご存じのことと思いますが、それでもまだまだ地域を回っておりますと、管理不全の空家がありまして、近隣の方がご迷惑をこうむっているのも事実でございます。
木造住宅除却助成につきましては、私の実家のほうで固定資産税の封筒の中に、案内の中に、この木造住宅除却助成の案内とかが入っていました。こんなことも、うまく、直接、危険な方には直接周知をされると思いますけれども、周知方法をいろいろ工夫をしていただいて、少しでも早く対応ができるように、よろしくお願いいたします。
次に、居住支援協議会について伺います。
平成29年度から、「生活支援付すまい確保事業」が始まり、住宅探しにお困りの高齢者の支援が充実されました。高齢者にとって、不動産屋に同行して物件探しを支援してもらえることは、非常に心強いと聞いております。契約に結びついた事例も増えつつあると聞いていますが、これまでの実績と今後の課題について伺います。
◎齋藤 まちづくり推進部長 事業の実績につきましては、平成29年度は6月から実施をしまして、申込件数が42件、契約件数が8件でございます。また、平成30年度が、現時点で申込件数が58件、契約件数は15件でございます。
この事業では、住宅探しのお手伝いだけではなく、入居後の見守りサービスも事業に含まれておりまして、入居者に対して週1回の電話連絡と月1回の訪問を行ってございます。今後、対象者が増え続けた場合、見守りサービスをどのように実施していくかが、課題の一つと考えてございます。
◆岡元 委員 申込者が増えるのは、周知をしていただくということと、成約については、高齢者それぞれの要望もありますので、難しいことかとは思いますけれども、少しでも寄り添っていただいて、成約に結びつけていただければと思います。
さて、本年1月25日に、大田区が主催します居住支援協議会の制度説明会が本庁舎2階で開催され、国土交通省の担当者から説明がありました。会場には不動産事業者をはじめ100名以上が集まり、満室の状態でした。今後、高齢者など住宅にお困りの方たちの支援を行うにあたっては、不動産事業者や区民団体の理解と協力が欠かせません。引き続き、周知を図っていただきたいと思います。
我が党は、一昨年から居住支援協議会を発足して、住宅確保要配慮者への支援を充実するよう要望してまいりましたが、来年度中に設立の予定との昨年の答弁のとおり、ようやく設立準備会が発足しました。
改めてお伺いしますが、居住支援協議会の設立の時期と今後の事業展開について、お知らせください。
◎齋藤 まちづくり推進部長 委員お話しのとおり、1月25日の日に国土交通省の担当者をお呼びしまして、居住支援協議会に関する講演を行いました。その同じ日に、居住支援協議会の準備会を立ち上げまして、区内の福祉団体、それから不動産団体の皆様方にお集まりいただきまして、居住支援協議会設立に向けた意思の確認と、これからの事業展開を確認をさせていただきました。
これらを経まして、実際の居住支援協議会の設立は、8月ごろとなる見込みでございます。平成31年度は、引き続き、高齢者等住宅確保支援事業や生活支援付すまい確保事業を実施いたしまして、住宅確保要配慮者の支援を行うとともに、居住支援協議会での協議を踏まえて、事業の見直し、充実を図ってまいります。
具体的には、住宅確保要配慮者のうち多数を占める高齢者世帯への支援といたしまして、既に行っている住宅探しの支援のほか、各所属で実施している保証会社との契約、生活の見守り、緊急通報装置の設置などの事業を、利用者にとって使いやすい制度にまとめていく検討を行い、家主の不安を取り除いて、入居可能な住宅を増やしてまいります。
また、障がい者世帯、ひとり親世帯、生活保護世帯、外国人世帯及び低所得者世帯につきましても、高齢者世帯に続き、検討を行ってまいります。なお、検討した項目のうち、可能なものは平成31年度から順次実施する方向で、居住支援協議会で協議してまいります。
◆岡元 委員 今後、居住支援協議会の設立により、様々な事業が展開されることを期待しますが、その場合、相談先が複数の部署にわかれていると、わかりにくく不便であると考えます。相談窓口は一本化して、ワンストップでの対応を行っていただきたいと考えますが、どのようにお考えでしょうか。
◎齋藤 まちづくり推進部長 他の自治体で既に発足した居住支援協議会におきましても、相談窓口は一つで、ワンストップの対応を行っているところが多いと聞いております。今後、庁内検討会と居住支援協議会での検討を踏まえまして、相談者の方の身になって、気持ちに寄り添ってといった部分もございますけれども、そういった方々にふさわしい事業になるように、また的確にご案内ができるよう、受付窓口の一本化を目指してまいります。
◆岡元 委員 よろしくお願いいたします。
以上、民間賃貸住宅についてお伺いしましたが、最後に、区営住宅について質問いたします。
区営住宅の風呂釜と浴槽は、大田区では平成23年度以前は入居者が設置し、24年度以降は区が設置しています。しかも入居者が設置した風呂釜と浴槽が壊れた場合は、入居者の負担で交換することになっており、交換にはかなりの額が必要です。区営住宅の入居者は高齢化が進み、年金生活や被保護世帯の方も多く、費用負担は大変に困難です。
かねてから要望してまいりましたが、入居者が設置した風呂釜が壊れた場合、今後は区が交換するようにしていただけないでしょうか、お伺いします。
◎齋藤 まちづくり推進部長 以前からご要望をいただいているところでございますが、若干ちょっと経過をご説明いたします。
区営住宅につきましては、平成23年度以前の入居者の方、こちらについては風呂釜、浴槽の設置・修繕は自己負担、つまり入居されている方のご負担でつけていただくということになってございました。平成24年度以降の入居者につきましては、風呂釜、浴槽の設置・修繕は区の負担といったようなことで、変わってございます。これは都営住宅の扱いが変わったため、区もこれに準拠したといった、こういった経緯がございます。
これらを受けまして、委員お話しのとおり、入居者の設置した風呂釜や浴槽の修理と交換は、現在、入居者のご負担となっておりまして、全て交換した場合、30万円近くの出費となりまして、入居者のご負担が大きいと考えてございます。
このため、東京都や他の自治体の対応も調査し、入居者のご負担を軽減するよう配慮するなど、どのような対応が可能か、今後検討してまいりたいと考えてございます。
◆岡元 委員 ぜひ、大家が大田区になりますので、大田区で費用負担をしていただけるように、よろしくお願いいたします。
これまでの成果を着実なものとするとともに、将来へのかけ橋となる予算と位置づけられた平成31年度予算でございますが、高齢者やひとり親家庭など社会的弱者の方々に寄り添う大田区、若者が住み続けたいと思える希望ある大田区となることを期待して、質問を終わります。
○松原〔茂〕 委員長 会議が長時間にわたりましたので、しばらく休憩いたします。
午前11時54分休憩
午後 1時00分再開
○松原〔茂〕 委員長 ただいまから、
予算特別委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、総括質疑を行います。
それでは、共産、質疑願います。
◆藤原 委員 日本共産党の藤原です。
総括質疑を行います。新年度予算に関して質問をします。
新年度予算については、一般会計2,818億9,000万円余、前年度比31億円、1.1%の伸びの予算となっております。一定の区民の要求も反映されている部分もあり、党区議団は、代表質問でそれに対して評価をいたしました。
日本共産党大田区議団は、昨年11月に、2019年度予算編成に関する要望書を松原区長に提出し、保育園待機児0、特養ホーム待機者0、75歳以上の窓口医療費0の三つの0をはじめ、防災、区民の命、暮らし、営業を守る立場からの重点予算に切りかえることも、あわせて提案をしましたが、新年度予算から見えてくるものは、羽田空港跡地開発や跡地周辺の活用、先端企業関連や駅前開発に重点が色濃く反映した予算になっていることが見受けられましたので、いくつかの点について質問していきたいと思います。正確な答弁をお願いいたします。
今年10月から導入しようとしている消費増税について、お聞きします。安倍内閣、自公政権は、10月から消費税10%に引き上げると繰り返し述べており、暮らし、子育て、中小企業、高齢者などへの、これ以上の負担増はやめてほしいと求めても、アベノミクスの効果もあり、国民の暮らしに影響はしないと強行する構えです。
消費税10%アップに、松原区長は、本会議の質問でも、反対しないことがわかりました。もし10%になったら、中小企業のまち大田区にとって、大きな負担増によって被害が各業界や地域から出てくると思いますが、それでも区長は消費税増税に反対しないのですか、お聞きします。
◎市野
企画経営部長 消費税の、この税率引き上げによる増収分につきましては、幼児教育・保育の無償化や、保育の受け皿拡大、保育士の処遇改善といった待機児童の解消に向けた施策のほか、介護人材の処遇改善や低所得高齢者の介護保険料の負担軽減、年金生活者支援給付金の支給など、全世代型の社会保障制度を構築するための財源となります。安定した社会保障制度は、少子高齢化の克服及び区民の皆様の安心した暮らしにつながるものであるとともに、持続可能な社会の実現に寄与するものであると考えてございます。
◆藤原 委員 社会保障や子育て、そういう分野に使われると言いますけれども、消費税は全ての国民に負担を求める、特にお金をたくさんいただいている方と、全く生活が苦しい方と、全く同じ割合で消費税はとられるのです。だから、そこに大きな問題が生まれるのです。
昨年の世田谷区議会では、区長が、党区議団の、消費税増税の中小企業の影響について、質したことに対して、区長は、中小・零細企業の経営や国民生活に、さらなる打撃を与える消費増税は進めるべきではないと答弁をしております。また、消費税増税関連の収支を計算するとマイナスになる、こういうことを述べております。これが本来の行政トップがとるべき立場ではないでしょうか。増税が区政を圧迫することは、全く間違いありません。
1989年12月24日に国会で消費税法案が決まり、翌年4月から3%の消費税が、買い物をするたびに、子どもから高齢者まで3%の負担になりました。平成30年間、消費税も同じ30年間、最初は3%、次に5%、その次に8%、税額が次々と上っていき、その都度その都度に、どのようなことが区内では起きたでしょうか。消費税が引き上げられてから、バブル崩壊が始まり、1992年ごろからは大田区は音を立てて中小企業、町工場の倒産が始まり、1992年ごろには区内に9,300社あった町工場が、ついには7,000社、5,000社、2014年の全数調査では3,400社にまで減少し、その流れは続いております。
この現象は、景気を悪化させた一つである、消費税増税によるものです。工場倒産、廃業だけでなく、町工場とそこに働く人々が毎年減少していく中で、商店も廃業、転業、閉店の繰り返し。新しく開店するお店は、直営コンビニ店やマッサージ店などで、商店街がにぎわう個店が消えていっております。これらが、平成30年間に起きた実態です。大田区は何もしないでよいのですか、お答えください。
◎飯嶋 産業経済部長 区では、産業集積の維持・発展、事業承継支援、創業支援、産業クラスターの形成等による中小企業の生産性向上など、地域産業力の向上に努めておりますほか、商店街の活性化に向けましては、既存のふれあい商店街事業に加え、エリアサポーター事業、若手商人ネットワーク事業等にも取り組み、商店の転廃業を抑えるために、既存の個店に対しましては、専門家による相談や、国や都、区の様々な制度を活用していただく案内を行うなど、区内の中小企業、商店に寄り添った対応を行っております。
また、コンビニエンスストアやサービス業店の経営者の中には、商店街の要職に就任されている方も多数おられると聞いておりますので、商店街の活性化に多大なる貢献をいただいていると考えております。引き続き、区といたしまして、商店街振興に努めてまいります。
◆藤原 委員 松原区長は、定例会の中で「景気は緩やかに回復していることから」と述べられていますが、それは政府が国民をだましての統計調査等の数字などを引用してという話ですが、実際に多くの区民の実感として、景気回復は感じられていないとのことを、私たちは多く聞き、松原区長や行政の部課長の皆さんが、区内を回り、声も聞き、景気は緩やかに回復していると思われているのでしょうか、お答えください。
◎市野
企画経営部長 内閣府が先月発表いたしました、月例経済報告におきましては、我が国経済の基調判断は「景気は緩やかに回復している」とされ、個人消費の持ち直しや設備投資の増加、雇用情勢の着実な改善などが挙げられてございます。
また、財務省関東財務局が本年1月に公表いたしました、東京都の経済情勢報告におきましても、総括判断として「都内経済は、回復している。」とされ、個人消費や産業活動、雇用情勢等において「回復しつつある」などの判断が示されているところでございます。
区といたしましては、区民の皆様から直接お話を伺うことに加えまして、国や東京都などが実施いたします各種統計調査及び、区が実施する世論調査や実態調査などで把握いたしました客観的なデータを調査・分析することなどにより、多角的かつ総合的な検討を行い、区内の状況の正確な把握に努めているところでございます。
◆藤原 委員 もしそのように景気が緩やかに回復しているのであれば、区内の町工場はもっと元気に、商店ももっと元気に営業していると思います。後で、またそれも質問しますけども。
私たちが毎日食べている食品の食品メーカーは、消費増税前に上げておこうということで、1、2月に相次いで、コカ・コーラとか、味の素とかが1月から値上げすると、2月も12社が値上げを発表しました。私が大好きな、赤いきつねとか、緑のたぬき、これも約5%の値上げをするというのです。多分、皆さんはご承知ですよね、そういうことを。
そこで、政府や与党の皆さんからは、低所得者対策として、軽減税率などを実施するから、弱者には負担をかけないと言っていますが、軽減とか複数税率などしても、消費税10%はかかるのです。その対策も、9か月で終わります。商店街や、商店で買い物する場合に、商店も計算などで困ることになり、国が決めたのは、混乱必至です。商店会や商店からよく話を聞き、国や都にも意見を上げるべきです。
これだけ多くの国民が増税に反対しているにもかかわらず、10%の消費増税がされ、所得の少ない方、母子家庭、年金、零細な業者や高齢者の暮らしに影響した場合には、大田区独自の対策、条例等も含めて援助する、そういうものを制定する考えはございますか。
◎飯嶋 産業経済部長 今の委員のほうからお話ございました消費増税の関係でございますが、区におきましては、軽減税率、キャッシュレス化を伴うポイント還元等の準備を進めていただく上で、大田区商店街連合会等と連携をいたしまして、税務署をお招きをして説明会を実施してもらうなど、鋭意周知に努めているところでございます。
商店会等と対話をする中では、国のキャッシュレス・消費者還元事業や、レジ・システム補助金について、活用を図ることで金銭管理の手間が省けて、生産性向上が見込めるなどの意見も頂戴をしているところでございます。
今後も、様々な機会を通じまして、商店街等との対話をする中で、丁寧に対応してまいりたいと思っております。
◎市野
企画経営部長 国は、消費税の引き上げによる経済への影響の平準化に向け、中小小売業等に関する消費者へのポイント還元や、低所得者、子育て世帯向けプレミアム付き商品券の発行、すまい給付金や次世代住宅ポイント制度による住宅購入者などへの支援、防災・減災、国土強靭化対策などの各種施策を講じることとしてございます。
区といたしましては、これらの国の動きや消費税引き上げ後の景気動向について注視しながら、引き続き、区民の皆様の暮らしを第一に考えた区政運営を行ってまいります。
◆藤原 委員 いろいろ対策をとるのであれば、増税しなくてもよろしいのではないですか。消費税8%から10%にしないで、本当に下げていくことも含めて考える。では、理事者の皆さんに聞きますけども、今、新聞紙に載っている、この混乱、間違いないというのは、例えばどじょうはお店で買うと8%、食べに行った場合には10%、これどこが違うのですか、もしわかりますか、こういうこと。
今、まちの中では、肉の問題でも、たたきとか、そういう種類によって8%が10%になる場合があるのです。そこまで皆さんは勉強されて、区民から相談があった場合には、対応しているかということをお聞きしたいのです。よく丁寧な説明をすると言いますけども、では、そういうことを商店街から聞かれた場合に、即答えられるということに、やはりなってもらいたいと思うのです。先ほどの答弁がありましたけども、私は、改めて、こんな無駄な、そして国民を困らせる消費増税は絶対やってはならない、このように思っております。
次に、質問は変わりますけども、質問ではなくて要望ですけども。会計年度任用職員問題で、自治体で働く臨時・非常勤職員が増大する中で、国が改正地方公務員法、地方自治法の改正に伴って、今区内で働いている臨時・非常勤職員の中で、どうなるのか心配されている皆さんはたくさんいます。新たに設けられた、会計年度任用職員という非正規身分を、法改正で臨時・非常勤職員の雇用に安定、処遇改善を求めています。
大田区は、児童館や保育園などで多くの非常勤職員が働いており、雇用の安定、働きやすい労働条件など、非常勤職員が働きやすく環境改善が図られることを願っていますが、法改正によって、より向上することを強く要望しておきます。
次に、松原区長は、在任3期12年としていましたが、昨年の第4回定例会で与党議員の質問で、4選出馬をする決意を語られました。区長は、やり残しといった跡地再開発事業、新空港線事業、
中央防波堤埋立地、蒲田・大森駅前再開発事業などが、やり残した課題と思いましたが、これらの事業はどれも財政負担が大きく、区民の理解と区民の生活、福祉関連の充実、子どもや教育、中小企業対策などの遅れを優先するべきだと思いますが、いかがでしょう。
また、おおた未来プラン10年を2009年から取り組み、計画が完了したものもあれば、まだまだというものもあります。特に区民の切実な要望があり、待機児ゼロにする認可保育園建設や、待機者も多い
特別養護老人ホーム建設も、民間が手を挙げるのを待っているだけでは、待機者ゼロにはなりません。特別に力を入れて取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。
◎市野
企画経営部長 さきの平成30年第4回定例会の中において、松原区長が答弁し、ご説明させていただいているところでございますが、改めて申し上げます。
平成19年4月の区長就任以来、これまでの区政の流れをとめず、大田区の未来へのチャンスを確実なものにしなければならない、まさに正念場にある重要課題として、羽田空港跡地のまちづくりのほか、新空港線の整備、
中央防波堤埋立地の帰属問題などがあること、加えて少子高齢社会への対応や、公共施設の機能更新及び区民の暮らしを守る防災対策など喫緊の重要課題があること。これらを踏まえ、次の世代にしっかりと引き継げる地域社会をつくることを挙げてございます。
こうした点を、さきの定例会で、ご説明させていただいているところでございます。
◆藤原 委員 次に、東西連絡線整備調査から約30年以上たつ、最近は、「新」をつけておりますけども、昔の蒲蒲線、それから空港線、こうした問題について、当初はJR蒲田駅から京浜急行蒲田駅まで約800メートルをつなぐことでしたが、松原区長になって、蒲蒲線ではなく、羽田空港から渋谷、池袋はもとより、所沢、和光市へも新空港線1本で行くことができると、実現させようと着々と基金も積み増し、58億円になりました。進まない新空港線に毎年ため込むというゆとりがあるなら、保育料や学校給食代、施設利用料の値上げをしないでほしいとも言っている方がいます。
計画では、自治体、大田区、東京都や、民間鉄道会社が第三セクター方式で行うと言っていますが、その具体化がほとんど議会にも区民にも報告がなく、あと何年で具体化できるのですか、お聞きします。
◎齋藤 まちづくり推進部長 新空港線は、都市鉄道等利便増進法という法律に基づきまして進めることを想定してございまして、整備を行うのは、整備主体である公的第三セクターでございます。現在、都区間で費用負担等の合意形成に向けた話し合いを進めておりまして、合意形成が図られた後、速やかに整備主体が設立できるよう、引き続き取り組んでまいります。
◆藤原 委員 そこが闇なのです。明確に何年後とか、いつからとか、そういうことが一向に聞こえてこない。安倍首相がよく使う、道半ば、これを言っていれば、何十年でもアベノミクスみたいに景気回復したかといったら、道半ばだと、それを繰り返す。空港線も、それと同じなのですか、道半ばなのですか、今。
◎齋藤 まちづくり推進部長 合意形成の協議の途中でございます。
◆藤原 委員 改めて、この計画が今緊急にやる必要がないことは、明らかになりました。2016年4月7日、国土交通省の交通政策審議会の東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する
小委員会で示された、新空港線など高い評価がされたと新聞報道もあり、松原区長は、当時、矢口渡から京浜蒲田まで事業計画の検討は進んでおり、事業化に向けて、関係地方公共団体・鉄道事業者等において、費用の負担のあり方等について合意形成を進めるべきという高い評価をいただきましたと、新聞紙上でコメントを発表されてから、もう3年もたつのです。費用負担や工事着工などを区民と議会に示せないで、東京都の動きもわかりませんが、16年4月の答申案に、松原区長は喜び過ぎたのではないでしょうか。そうではありませんか。
◎齋藤 まちづくり推進部長 平成28年4月に、国の答申第198号で新空港線が費用負担のあり方等について合意形成を進めるべきと示された後、区は関係者間で協議を進めてまいりました。
そして、平成29年3月に概算事業費1,260億円、累積資金収支黒字転換年が31年、費用便益比1.5を算出してございます。また、東京都は平成30年度の当初予算において、新空港線を含む6路線にかかる事業などの財源として、東京都鉄道新線建設等準備基金を新たに創設をしております。このように東京都においても国の答申を踏まえて、着実に進めております。
現在は、都区の費用負担割合等について協議を進めてございまして、協議が調い次第、お示しをいたします。これからも国の答申第198号におきまして、進めるべきと高い評価を受けた新空港線の早期整備に向けて、着実に進めてまいります。
◆藤原 委員 着実に進めているといっても、お金の出どころも明らかでなくて、これは本当に区民から見たら、いつまでこういう無駄なことをやっているのだと思われると思います。これまでの計画案では、1,260億円もの多額建設費で、大田区が700億円なのか900億円なのか、幾らかかるかわからないと言われている、こういうことです。新空港線には、多額の税金投入が避けられません。しかし、大田区は、区民要望には、大田区は財政が大変だと要望には渋り、これから区は学校をはじめ公共施設の建て替えなどで財政不足などを予想した場合に、基金と負債の推計、経済停滞ケースで見ると、2025か26年ごろまでに1,300億円余が必要と報告されています。新空港線に使う財源は、どこから出るのでしょうか。花咲かじいさんでもいれば別ですけれども、やはりこのままいけば、区財政が破綻することは、避けられません。
そこでJR東日本は、羽田空港と東京駅をつなぐ路線を発表し、2022年ごろから着工し、約8年ぐらいで竣工したい、こういうことを新聞紙上で発表されております。こうした状況では、新空港線で考えられていた乗客数、採算性、皆さんがよく使う費用対効果で考えれば、JR東日本の計画に太刀打ちできるのですか、お伺いします。
◎齋藤 まちづくり推進部長 今回JR東日本が公表した東山手ルートは、主に東京圏の東側の鉄道ネットワークを充実させるものでございます。一方、新空港線は区内の移動利便性を向上させるとともに、渋谷、新宿、池袋といった副都心及び川越、所沢、和光市等の東京圏の北西部との鉄道ネットワークを強化するものでございまして、役割が違うと考えてございます。
また、これまでの検討の中で、JR羽田空港アクセス線の影響も踏まえて新空港線の検討を鋭意行ってございますので、問題はないと考えております。
◆藤原 委員 新宿や池袋からお客さんが来ると、大田区民はこれを使うのですか、では。私は、大田区民にとって、あまり利用できない、例えば多摩川線というのですか、蒲田から多摩川まで、また京浜急行蒲田から羽田空港まで、ほとんどとまらないではないですか。私の住んでいる糀谷駅も、この計画ではとまらない。では、沿線住民が利用できないではないですか、どうですか。
◎齋藤 まちづくり推進部長 新空港線の停車駅の計画につきましては、整備主体が設立した後、整備主体が決めていくものでございますので、現段階では決まっておりませんが、大田区民が広く利用できると、私どもは捉えております。
◆藤原 委員 それでは、私の使っている糀谷や大鳥居や穴守稲荷はとまるということですね。
◎齋藤 まちづくり推進部長 個々の駅がとまる、とまらないということを申し上げているわけではなくて、ある意味で、大田区民が幅広く利用できるという部分においては、新空港線は効果があると申し上げております。
◆藤原 委員 幅広く使わない。池袋やそういう方は、空港へ行くのに乗るかもわかりません。しかし、私たち区民を考えたら利便性がないと、そう言わざるを得ません。そういう意味で、やはりこれはやめて、30年以上もこの計画が前に進まない、そこに様々な費用が使われている、もうこれはやめて、日本共産党大田区議団が前から言っているように、JR蒲田と京浜急行蒲田駅間の800メートルの専用バスだとか、動く歩道とか、もっともっと安くできる、そして東西をつなぐ、そういう方向に検討していいと私は思っているのですけど、検討してはみませんか。
◎齋藤 まちづくり推進部長 JR蒲田から京急蒲田間の800メートル、これにつきましては、鉄軌道、つまり鉄道で接続されていないため、区内東西交通の移動利便性に課題がございました。昭和60年代から今日まで、この東西交通の移動利便性のため検討はしてきております。ただ、先ほど申し上げたように、鉄軌道で接続されてないといったようなことでございますので、区民の利便性というところは、なかなか上がってこないと考えてございます。
国の答申第198号におきましても、矢口渡から京急蒲田までの先行整備により、蒲田駅と京急蒲田駅間のミッシングリンクを解消し、早期の事業効果の発現が可能と意義が示されてございます。したがいまして、引き続き、新空港線の早期整備に向けて取り組んでまいります。
◆藤原 委員 次に、産業経済関連の予算が重点課題の五つに入っておりませんのは、重点から外したわけは何か。大田区の方針は選択と集中で、区内中小企業対策よりも、羽田跡地第一ゾーンに、国際競争力ができる先端企業を集積させ、最先端の開発や研究を行うと、区内中小企業対策はこれくらいでとのことでしょうか。
新年度予算案2,818億円余、この予算で一般会計は前年度比、先ほども述べました、この多くは、羽田跡地やオリンピック・パラリンピック、蒲田・大森駅開発などに使われる、そこが太い柱になっております。中小企業のものづくり産業への大田区の予算の拡充をし、日本の産業を支えてきた大田区の宝を守るべきではないでしょうか。区内中小企業が加工する技術ものづくりは、日本の宝と言われ、商店街はまちの祭りや防災での主役と言われ、大田区でもこれらの支援をし、行政と中小企業が両輪の役割を発揮してきました、そうではないでしょうか。
新年度の予算編成にあたっても、五つの重要課題には産業経済の言葉もなく、問題です。農業県では農業政策、また漁業のまちでは水産の政策や予算がないのと同じです。予算編成の中心は、松原区長や副区長が取り組んでいるので、お聞きします。
◎市野
企画経営部長 区は、「まちの魅力と産業が世界に向けて輝く都市」を、おおた未来プラン10年の基本目標の一つに掲げ、工業分野では技術革新・経営革新の支援や取引の拡大、海外市場の展開、産業情報の提供、ネットワーク形成の支援、商業分野ではにぎわい・つながりの創出など、様々な施策を着実に推進してまいりました。
これまでの取り組みを将来につなげるために、平成31年度予算編成にあたりましては、産業分野については、五つの重点課題のうち経済のグローバル化を踏まえ、主に「国際都市おおたの実現に向けてのこれまでの成果を、将来につなげる取り組み」として予算を配分してございます。
具体的には、大田区産業を取り巻く環境の変化を踏まえ、産業のまち大田区の将来像を明らかにし、産業施策の方向性と具体的な施策を示す、(仮称)大田区産業振興構想策定に着手するほか、世界と地域をつなぐ新産業創造・発信拠点としての、羽田空港跡地における成長戦略拠点の形成や、スタートアップものづくり企業の連携創出実証実験験といった多面的な取り組み、ネットワークをつないでイノベーションを創出する産業クラスター形成、さらに商業分野では、交通事業者との公民連携で商店街のにぎわいを支援する、交通事業者連携事業などの予算を計上してございます。
以上のとおり、商業、ものづくりの重要性を認識し、予算編成することで、産業経済費には47億1,610万円、前年度比4億9,000万円余、11.6%の増額となる予算を計上してございます。
◆藤原 委員 前年度比約5億円余の増額を計上されたと。しかし、実際に産業経済部の担当職員は、少しでも予算も増やし、事業を拡大しようと頑張っておりますけども、新年度予算、この概要を見ますと、南六郷の創業支援施設の整備とか、(仮称)インダストリアルパーク羽田の、こういうものしかないではないですか。今言っているのは、世界をつなぐとか、ネットワークと言っておりますけれども、それは力のある、そういう企業だけに光をあてて、本当に一人、二人で頑張っている町工場や中小企業に光をあててないではないですか、そこが問題なのです。
私は、改めて、予算を要望した、次の問題も含めて話します。
2月に小惑星リュウグウへの初着陸が成功したとのニュースには、本当に、あっぱれをあげたいという、日本の技術力の高さ、また生かした取り組みを評価したいと思っております。誇れる技術に感動しました。
また、大田区では、冬季オリンピックに活躍されました下町ボブスレーや、そういうものをつくれる力もあります。しかし、その一方で、一昨年、昨年は、日本のトップメーカーのねつ造や検査のでたらめさがありまして、三菱マテリアル、スバル、日立化成、三菱電機、日産自動車など、品質検査の不正が発覚しました。区内ものづくり工場等を訪問すると、我が社では考えられない、親企業から100分の1とか、1,000分の1とか精度を求められて納品しているのに、一番の大きな大もとのメーカーが不正検査をして出荷するなんて、これでは日本の製品が世界の信頼を失い、回り回って、私たち中小企業の仕事にも影響が出ないか、そのつけはいつも私たちなのですと怒りを語っておりました。これは、大田区工連の幹部の方も話しております。
大田区産業経済部で実施・計画されている産業の実態調査は、中小企業の全数調査と聞いておりますけれども、これは何を調査し、対策を立てる調査ですか。
◎飯嶋 産業経済部長 平成26年度に実施をいたしました、大田区ものづくり産業等実態調査から5年が経過をいたしまして、最新のものづくり産業等の実態を把握する必要があるため、大田区ものづくり産業等実態調査を実施をすることとなりました。
大田区ものづくり産業等実態調査では、区内に立地をします全ての製造業を対象といたしまして、区内ものづくり企業等の取引構造の変化や、ものづくりを取り巻く産業の進展、人材育成、事業承継など、区内ものづくり産業の最新の実態を把握していく予定でございます。
また、大田区ものづくり産業等実態調査の結果につきましては、工業振興施策に反映させるとともに、(仮称)大田区産業振興構想の基礎的資料として活用してまいりたいと考えております。
なお、(仮称)大田区産業振興構想を策定するにあたりましては、製造業以外の業種についても実態を把握する必要があるため、区内の多様な産業分野にも視野を広げまして、今後の区内産業の将来像を描くために必要となる調査、分析を行ってまいります。
◆藤原 委員 2014年に全数調査を行いました、これはすばらしいことです。しかし、その内容が議会でも報告をされ、改善点がたくさん述べられている、最後のページに載っておりますけれども。そういうものを、この間、大田区産業経済部や大田区全体で、どのように具体化されたか、わかりましたらお知らせください。
◎飯嶋 産業経済部長 先ほどの質問と若干重複をする部分でございますが、平成26年度に実施をいたしました、大田区ものづくり産業等実態調査から5年を経過をいたしまして、最新ものづくり産業等の実態を把握する必要があるため、今回この大田区ものづくり産業等実態調査を実施するものでございます。
前回の調査では、区内への立地意向を重点に調査をいたしました。次期の大田区ものづくり産業等実態調査では、区内に立地する全ての製造業を対象といたしまして、区内ものづくり企業等の取引ごとの変化や、ものづくりを取り巻く産業の進展、人材育成、事業承継など、区内ものづくり産業の最新の実態を把握していく予定でございます。
それも、また前回の調査から、今回の調査に生かしていきたいと考えております。
◆藤原 委員 私は、この全数調査は大いにやってもらいたいのですけども、逆に言えば、羽田空港跡地のこの新産業、こういう分野に大田区でどのぐらい先端産業への参加ができるかということを調べるのかなと私は思ったので、これは私の思い過ごしかどうかわかりませんけども。本当に、一人二人の工場関係者も含めて、くまなく調査をして、それをきちんと区民と議会に明らかにしてほしいと思っております。
一部では仕事は回っているが、全体として仕事量も減り、これから海外での問題で、中国経済の発展にかげりがあるとか、イギリスからホンダの撤退とか、今東南アジアを含めても、かつてのように東南アジアで仕事をやってもらえればよろしいという時代ではなくなりました。改めて、大田区の地域のものづくりの実態を、区長や部長に、直接そういう会社に区長や部長が直接訪問していただきたいと、これは東糀谷の工場経営者ですけども、またそういう工場経営者を対象にした懇談会等もやっていただきたいという要望がありました。ぜひ、こういう要望には応えてもらいたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
大田区の工業調査では、2016年工業統計調査を見ますと、従業員4人以上の工場で、2014年と比べて11.3%、159社が減少し、現在1,254の工場。従業員数でも8.1%、1,744人が減少し、現在4人以上の会社で働いている従業員は、広い広いこの大田区でも1万9,752人で、2016年の調査ですから、それから約4年たっておりますので、工場も働く人も減っていると思います。
日本共産党大田区議団は、工場調査、商店街調査、建設や運輸、サービス業などの全数調査をすることを強く要望しておきます。そこで、党議員団が、前に予算編成にあたって要望を提案していることについて述べます。