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平成30年 9月  決算特別委員会−09月28日-01号

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  1. 大田区議会 2018-09-28
    平成30年 9月  決算特別委員会−09月28日-01号


    取得元: 大田区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-10-03
    平成30年 9月  決算特別委員会−09月28日-01号平成30年 9月  決算特別委員会 平成30年9月28日                午前10時00分開会 ○鈴木 委員長 ただいまから、決算特別委員会を開会いたします。  第70号議案 平成29年度大田区一般会計歳入歳出決算ほか3件を一括して議題といたします。  申し合わせ事項により、総括質疑につきましては、各会派の持ち時間のうち、60分以内を原則とし、通知のあった時間を電光表示いたします。  なお、電光表示が0になりましても、各会派の款別質疑の持ち時間を消化し、質疑は継続いたしますのでご了承願います。  また、款別質疑については各会派の持ち時間を、しめくくり総括質疑については20分をそれぞれ限度として行い、残り時間を電光表示いたします。  なお、会派の呼称は略称とさせていただきます。  次に、理事者の皆様に申し上げます。質疑時間には答弁も含まれますので、簡潔な答弁をお願いいたします。答弁の際には、その都度、自己の職名をはっきりと告げた上で、答弁していただきますようお願いいたします。  それでは、総括質疑に入ります。  自民、質疑願います。 ◆高山 委員 自由民主党大田区民連合の高山雄一です。会派を代表して、総括質疑を行います。理事者の皆様には、積極的で前向きな答弁をお願いいたします。  9月も残すところ、今日を含めてあと3日となり、だんだんと過ごしやすい気候となってまいりましたが、今年の夏は災害とも言われるくらい、連日記録的な猛暑が続きました。そしてまた、地震や水害などの災害も多数発生しております。6月には近畿地方で最大震度6弱の大阪北部地震が発生し、7月には台風7号と梅雨前線等の影響による西日本豪雨、さらに、今月の9月4日に日本に上陸した台風21号は、関西地方を中心に大きな被害をもたらしました。9月6日には最大震度7を記録した北海道胆振東部地震も発生いたしました。  災害でお亡くなりになった方々のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被災した方々には、心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興を祈念いたします。  そんな中、いいニュースもありました。8月18日からインドネシアのジャカルタで開催されたアジア大会において、日本選手団は金メダル75個、銀メダル56個、銅メダル74個の合計205個のメダルを獲得し、金メダル6個を獲得した水泳の池江璃花子選手がMVPにも選出されるなど大活躍でありました。過去最高だった1994年の広島大会の獲得メダル数218個に迫る活躍に、かつて柔道で活躍した山下泰裕団長も、「予想を上回る好成績」と評価しております。2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けて、ますます期待が高まっていると感じております。  そして、2019年からの3年間は、2020東京大会だけでなく、2019年にはラグビーワールドカップ、2021年には関西ワールドマスターズゲームズと、日本で開催されるスポーツのビッグイベントが続くゴールデンスポーツイヤーズとも言われており、日本が注目される3年間となります。  ちなみに、ワールドマスターズゲームズとは、おおむね30歳以上のスポーツ愛好家であれば、誰もが参加できる生涯スポーツの国際総合競技大会であります。  平成26年にスポーツ健康都市宣言を行っている本区においても、今年はブラジル選手団を事前に受け入れるなど、スポーツの力で次世代に夢とレガシーを残すとともに、健康でいきいきと暮らせるまちづくりへの取り組みに、今後も大いに期待するところであります。
     また、これらのビッグイベントには、世界中から多くの人々が集まります。日本の玄関口である羽田空港を擁する自治体として、本区は平成29年3月に、地域の担い手でもある区民とともに、地域力を集結して輝かしい未来に向かって羽ばたきたいという思いを込めて、国際都市おおた宣言を行いました。  今後ますます国際化が進む中で、国際都市おおたの魅力と存在感を広く国内外へ発信していただきたいと期待しています。  こうした中、平成29年度は一般会計で2,618億5,000万円余、前年度比約45億円、1.7%増となる過去最大規模の積極予算を編成されました。その後、社会経済状況の変化や新たな課題への対応などのために、一般会計では5回にわたる補正予算で対応しながら区政が展開されました。  おおた未来プラン10年(後期)の折り返し地点を超えた4年目にあたり、大田区実施計画を策定、さらには、地域特性を踏まえた児童相談所の開設に向けて基本構想・基本計画を策定したこと、複数の公共施設を複合化・多目的化した羽田一丁目、四丁目の複合施設の工事着手や地域包括ケア体制の構築を推進するため、地域包括支援センター大森東大森東特別出張所施設内に移転する準備を進めたことなど、区政の推進に向けての力強くかつ積極的な取り組みが伺えたところであります。  こうした背景のもと、歳入・歳出決算を総じてみた結果を振り返り、松原区長は、どのような感想をお持ちでしょうか、お聞かせください。 ◎松原 区長 平成29年度は、暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる国際都市おおたの実現に向け、未来を拓く子どもたちや若者の成長を支える取り組みなど、四つの重点課題を設定の上、予算編成を行いました。  予算の執行にあたりましては、大田区実施計画に掲げます施策の目標の達成に向けた取り組みや、新たな課題にも速やかに対応することで、着実な行財政運営を推進してまいりました。  歳入につきましては、負担の公平性の観点から収納対策を講じることで、特別区民税の収納率が引き続き改善しております。また、施設使用料などの受益者負担の適正化に基づく公平性の確保などに努めてまいりました。  歳出につきましては、待機児解消対策のさらなる推進や、障がい者総合サポートセンター、第2期工事でございますが、その着工、全小中学校におけますICT環境整備の推進、羽田空港跡地の整備の新たなステップとして土地区画整理事業が開始されるなど、区政の重要課題に的確に対応してまいりました。  財政運営にあたりましては、区民目線に立った創意工夫により財源を捻出することで、特別区債の発行を抑制し、現在高を約265億円にまで圧縮するなど、後年度の健全な財政状況を確保しつつ、区政の歩みを着実に進めた1年と自負をしております。  今後も引き続き、区政課題に果敢に取り組むとともに、健全で持続可能な行財政運営を行ってまいりたいと思います。 ◆高山 委員 健全で持続可能な行財政運営を、引き続きよろしくお願いいたします。  次に、平成29年度決算額等は、先般、会計管理者から説明がありましたとおり、歳入決算額は2,556億5,385万円余、歳出決算額は2,454億5,524万円余、歳入歳出差引額は101億9,861万円余となり、翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支額は96億4,047万円余の黒字であったこと、また、29年度実質収支から28年度実質収支を差し引いた単年度収支は、32億9,323万円で、財政基金の取り崩しなどの実質的赤字要因や、逆に財政基金への積み立てなど、実質的黒字要因を差し引いて算出される実質単年度収支は21億2,454万円となりました。  これらの数字を総務省が定めた基準により、全国の地方公共団体の財政分析ができるよう、普通会計ベースに再構成し分析した数値では、実質収支比率が6.1%、公債費負担比率は2.5%、経常収支比率は83.1%となっており、これらの数値を見る限りでは良好な財政運営がなされているものと感じています。  そこで伺います。こうした各種財政指標から区財政を見たとき、区の財政状況をどのように認識しているのかお答えください。 ◎市野 企画経営部長 まず、実質収支比率につきましては、平成29年度決算は前年度に比べ、特別区税や各種交付金等が増となった結果、実質収支額が増額となり、前年度に対し2.2ポイント増の6.1%となりました。  実質収支比率は、財政規模に応じて収支変動の振れ幅が大きくなることから、平成29年度における区の比率は適正な水準にあるものと認識をしてございます。  次に、公債費負担比率につきましては、平成29年度決算は、公債費総額が減少したことにより、前年度に対し、0.3ポイント減の2.5%となりました。これは、特別区債の着実な償還を行ってきた結果であると認識をしてございます。  次に、経常収支比率につきましては、歳入において納税義務者の増加に伴い、特別区民税が増となった一方で、歳出において待機児童対策経費が大きく伸びたことに伴い扶助費が増となった結果、前年度に対し、2.0ポイント増の83.1%となりました。区では、おおた未来プランにおいて、経常収支比率の目標を80%台の維持と掲げており、現状において適正な範囲内であると考えてございます。  しかしながら、特別区特有の不安定な歳入構造に加え、消費税率改定に伴う景気動向や、国が進める不合理な税制改正に伴う財源への影響など、今後想定される膨大な行政需要を勘案すると、決して予断を許さない状況にございます。  そのような状況を見据えながら、山積する行政課題に引き続き的確かつ柔軟に対応していけるよう、今後も健全で持続可能な財政運営を推進してまいります。 ◆高山 委員 次に、別の視点で決算を見てみます。平成19年6月に公布された地方公共団体の財政の健全化に関する法律では、地方公共団体の財政状況を客観的にあらわす指標である健全化判断比率の公表が定められています。平成29年度決算についても、報告議案の資料で大田区の状況を見てとることができます。  そこで、お伺いいたします。これら、財政健全化判断比率の数字を踏まえて、区の財政状況をどのように評価しているのかお答えください。 ◎市野 企画経営部長 平成29年度決算に係る財政健全化判断比率の4指標におきまして、まず、実質赤字比率は、標準財政規模に対する一般会計等を対象とした実質赤字額の比率であり、平成29年度は黒字となってございます。  次に、連結実質赤字比率は、標準財政規模に対する、一般会計等の実質赤字額に国民健康保険等の公営事業会計の資金不足額の合計を加えた、連結実質赤字額の比率であり、平成29年度は黒字となってございます。  次に、実質公債費比率は、標準財政規模に対する特別区債の元利償還金及び準元利償還金の比率であり、平成29年度は、昨年度のマイナス2.5%からマイナス3.5%と、1.0ポイント減少してございます。これは、特別区債の発行抑制と着実な償還による元利償還金の減が主な要因と考えられます。  なお、早期健全化基準は25.0%以上とされてございますので、健全な状況を維持していると言えます。  次に、将来負担比率につきましては、標準財政規模に対する、特別区債現在高等の将来負担すべき実質的な負債の比率でございますが、将来の負担額はマイナスとなってございます。  以上のことから、各指標とも早期健全化基準を大きく下回っており、区財政は健全な状況を維持していると認識してございます。 ◆高山 委員 次に、財政調整交付金都市計画交付金についてお伺いします。  歳入全体の約65%が一般財源ということで、そのうち、特別区税が約30%弱、財政調整交付金も約30%弱と、その二つで一般財源の約9割弱を占めています。区の重要な基幹財源である財政調整交付金ですが、都区財政調整交付金と言われるように、依存財源でもあります。同じように、財政調整交付金と同様、都から交付される都市計画交付金については、まちづくりにおける貴重な財源となっております。  そこで伺います。財政調整交付金の今後の見込みや制度のあり方についてどのように考えているのか、また、都市計画交付金の制度や交付実態については現状どのようになっているのか、あわせてお答えください。 ◎市野 企画経営部長 まず、都区財政調整制度に関しましては、都区制度をしっかりと支える財源保障制度として適切に運営していくことが重要であると考えてございますが、現状は、必ずしも実態を踏まえたとは言えない課題を抱えているものと考えてございます。  具体的には、各区が安定的な財政運営を行うためにも、可能な限り、算定内容が客観的かつ明確に規定されている普通交付金による対応を図るため、特別交付金の割合を2%に引き下げること、また、特別区が政令の定めにより児童相談所を設置した場合の関連経費について、都区財政調整制度基準財政需要額に算定され、財源保障すべきものであるなど提案してございますが、東京都と協議が調わず、今後も予断を許さない状況にございます。  次に、都市計画交付金に関しては、都市計画税は本来、基礎自治体が行う都市計画事業の財源となりますが、特別区の区域においては、都市計画事業の一部を東京都が大都市事務として実施していることから、都市計画税を東京都が徴収し、都市計画交付金として特別区に交付されてございます。  都市計画税は全ての都市計画事業が充当対象となるのに比べ、都市計画交付金は、対象事業に制限があるなど、都区の事業実態に見合った見直しを図る必要があると認識してございます。  区としましては、このような課題解決に向けた建設的な議論を、特別区全体で連携して進め、都区財政調整制度及び都市計画交付金制度の改善に向け、引き続き尽力してまいります。 ◆高山 委員 引き続きよろしくお願いいたします。  次に、同じく歳入についてということで、ふるさと納税についてお伺いいたします。  ふるさと納税による減収は年々増加しており、平成28年度課税分は7億4,155万円余、29年度分で13億5,771万円余、30年度分では18億8,957万円余となっています。ふるさと納税をめぐり、自治体間で「モノ」による返礼品競争が激化しており、魅力的な返礼品を数多く取りそろえて人気を博している自治体に負けじと、返礼品の拡充や積極的なPRに力を入れる自治体が増えてまいりました。これまでふるさと納税にあまり関心を持たなかった大都市圏の自治体でも、住民税の流出に危機感を覚え、返礼品の充実に取り組む動きが一部に見られるようになりました。  ふるさと納税が急増する中、野田総務大臣が先日、制度を見直す方針を表明しました。過度な返礼品で寄附を集める自治体を制度の対象外とするとのことで、2019年の通常国会に地方税法改正案を提出し、早ければ2019年4月から適用するとのことであります。  そのような中、最近、自治体の取り組みに注目すべき変化が見られます。一つ目は、いわゆる体験型の返礼品であります。これは、テーマパークや温泉施設の入場券、農業体験など、寄附者が寄附先に出かけて、参加して楽しんでもらうというもので、地域の活性化にとってはとても効果的という発想で提供する自治体も増えています。もう一つは、クラウドファンディングとしての取り組みであります。文京区では、生活困窮世帯に食事を届けるこども宅食をふるさと納税の対象事業としたところ、返礼品がないにもかかわらず、昨年度は目標の4倍を超える8,200万円が集まったとのことであります。  そこで伺います。大田区においては、本年の第2回定例会において、(仮称)勝海舟記念館整備事業に係る基金の創設を行い、寄附の募集を実施しているところでありますが、大田区独自のさらなるふるさと納税の取り組みを行うべきだと考えます。区として、今後の展開をどのように考えているのかお答えください。 ◎玉川 総務部長 ふるさと納税は、善意の寄附によりまして、地域の活性化を応援するのが本来の趣旨でございます。区は今般、この趣旨に沿いまして、区民が寄附の使途を選択できるシステムの構築に向けて、庁内検討会を設置いたしました。  区の寄付金情報を集約したホームページの新設やアクセスの簡便化、クレジットカード等を利用した寄附の受入体制の整備など、区民の皆様が寄附をしやすい環境の整備を検討してまいります。 ◆高山 委員 ご検討よろしくお願いします。  冒頭にも申し上げたとおり、松原区長が就任されて以降、区政の推進に向けての力強くかつ積極的な事業展開をされてこられたと改めて認識し、高く評価しているところであります。  そこで、松原区長就任以降、投資的経費と義務的経費の推移と今後の見通しについては、どのような認識をお持ちでしょうか。区財政の硬直化を防ぐための今後の取り組みについてお伺いいたします。 ◎市野 企画経営部長 最初に、投資的経費は、支出の効果が資本形成に向けられ、施設等がストックとして将来に残るものに支出されるもので、その決算額は、10年前の平成19年度決算と比較すると約55億円増の224億円余となってございます。  今後の見通しといたしましては、区では、公共施設の更新費用につきまして、平成28年度から20年間で約3,300億円を見込んでおり、今後、一つの大きな山を迎えます。  こうした状況にあっても、継続的に良質な区民サービスを供給しつつ、公共施設の更新費用の財源を確保するには、特別区債と基金のバランスの取れた活用が重要です。区は、これまで計画的に特別区債の発行抑制と着実な償還を進め、区債の発行余力を蓄えるとともに、公共施設整備資金積立基金を計画的に積み立ててまいりました。これらの活用により、施設更新に要する一般財源への影響を抑えつつ、計画的な公共施設の更新を着実に進めてまいります。  次に、義務的経費ですが、計画的な職員定数の管理や特別区債の償還により、人件費及び公債費は平成19年度決算と比較すると、約160億円の減となっているものの、人口構成の変化への対応等により、扶助費は約351億円の増となり、義務的経費全体では、約190億円増の1,265億円余となってございます。  今後の見通しですが、人件費につきましては、職員定数基本計画に基づき、適正な職員定数管理に努めてまいります。  また、扶助費につきましては、人口構成の変動から、今後も逓増傾向が見込まれることから、介護予防の充実や就労支援等を積極的に進めることで、区民サービスの質の向上を図りつつ、区財政への影響の軽減に努めてまいります。  公債費につきましては、引き続き公共施設の更新等が見込まれることから、特別区債の着実な償還を進めながら、発行余力を蓄えるとともに、基金とのバランスや世代間の公平を踏まえて適切に活用してまいります。  こうした考え方のもと、引き続き安定的で質の高い区民サービスを提供しながら、柔軟で健全な財政運営を推進してまいります。 ◆高山 委員 引き続き、柔軟で健全な財政運営をよろしくお願いいたします。  次に、基金の積み立てについて伺います。  財政基金の残高については、条例の定めるところによって、決算剰余金の2分の1が積み立てられますが、確実に残高を確保されてきている印象を持っています。一方で、今後、財政基金から取り崩して公共施設の改築等に充当することもあるはずだと考えています。今後は、少子高齢化の進行や区民ニーズの多様化・複雑化、地域社会構造の変化などに対応しながら、将来を見据えた取り組みが必要となってくると考えます。  そこでお伺いいたします。将来を見据えて、さらに目的に応じた基金に積み立てすべきだと考えますが、いかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。 ◎市野 企画経営部長 財政基金は、特別区税や特別区交付金などの一般財源の年度間における調整をすることで、健全な財政運営を図る重要な役割を担ってございます。  区は、平成に入ってからの大きな景気変動の経験も踏まえ、区民サービスを安定的に提供するため、計画的に基金を積み立ててまいりました。平成29年度は、前年度決算剰余金のうち、2分の1を大田区財政基金条例に基づき基金へ積み立てをし、基金からの取り崩しを減額いたしました。一方で、将来の公共施設の改築・改修需要に備えた公共施設整備資金積立基金など、計画的に積み立てを行ってございますが、その時々の社会経済状況、予算の執行や区債発行額とのバランスなどといった財政状況を踏まえ、積立額を適宜判断してまいりました。  その結果、平成29年度末における現在高は、前年度末残高に比べて、約41億円増の367億円余となってございます。  今後も引き続き、行政需要を適切に見込み、目的に応じた基金への積み立てなど、適切な予算編成及び執行に努め、区政を取り巻く重要課題に迅速かつ的確に対応できる行財政運営を進めてまいります。 ◆高山 委員 よろしくお願いいたします。  続きまして、施設使用料についてお伺いいたします。19年ぶりに平成29年度から新料金に改定されました。そのような長い期間、施設使用料の改定が行われなかったわけでありますが、ここはやはり、受益者負担の適正化といった観点は非常に重要であり、かつ今回の料金改定は評価するものであります。  お伺いいたします。改定した背景や目的はどうであったのか。また、どのような基準で改定をしたのか、そして今後は定期的に見直しを行うべきだと考えますが、区の見解をお聞かせください。 ◎市野 企画経営部長 公共施設の施設サービスのコストに関する受益者負担の適正化につきましては、施設使用料収入で賄えない分を区民全体で負担することから、施設利用者と施設を利用されていない方との公平性の確保の観点が重要です。  平成10年度の改定以来、消費税率の改定や施設の維持管理経費などに様々な状況の変化が生じており、施設サービスのコストの負担の公平性の確保や施設使用料の基準の明確化、同種別の施設間の料金体系の不均衡の是正が課題となってございました。  このため、施設のサービスコストについて、原価計算をもとに、一定の基準により施設を利用される方に適正な負担をいただけるよう、施設使用料の改定を行いました。  改定の結果、使用料は減額となるもの、据え置き、増額、いずれにもございましたが、改定前と比較して25%を超える変動となる場合は、これを上限とした激変緩和措置を講じてございます。  今後も、施設利用者への影響にも配慮しつつ、受益者負担の原則に基づき、社会経済状況の変化を踏まえ、検討を進めてまいります。 ◆高山 委員 区は、基本構想に掲げる大田区の将来像、地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市おおたの実現に向けて、おおた未来プラン10年のもと、区政のあらゆる分野について取り組みを進めてまいりました。  平成26年3月に策定された未来プラン(後期)は計画期間が平成30年度までとなっており、区は、その折り返し点を迎えたことから、未来プランの成果を確実なものとし、かつ新たな行政需要にも対応することを目的として、平成29年3月に大田区実施計画を策定されています。  この大田区実施計画の策定方針を見ると、各年度の予算編成との連携を図り、年度別の取り組み内容を具体的にわかりやすく示すこと、計画の最適化を図るため、社会経済状況の変化や実績を踏まえた検証・見直しを毎年度行い、その結果を予算と連動させて各事業を着実に推進するとされています。  区政を取り巻く状況は絶えず変化を続けており、区民のニーズや地域の課題も多様化、複雑化する中、区民の生活に最も身近な行政機関として、多種多様な事業において着実な成果を得るためには、時流を見きわめ、的確な目標を定め、日々しっかりと事業の進行を管理しながら、状況の変化などに迅速かつ柔軟に対応していくことが求められるものと考えます。  そこで伺います。平成29年度は大田区実施計画の初年度にあたりますが、予算に裏づけされたものであることが大きな特徴である大田区実施計画を策定したことにより、区の事業の進行管理はどのように変わったのでしょうか。 ◎市野 企画経営部長 大田区実施計画は、おおた未来プラン10年(後期)の実効性を高め、目指す姿の達成をより確かなものにするとともに、未来プラン策定後の社会経済状況の変化や、新たな地域課題にも着実に対応することを目的として、平成29年3月に策定いたしました。  策定にあたりましては、向こう3年間の具体的な取り組みを財政見通しに基づき構築し、取り組み結果について毎年度検証・見直しを行い、その結果を次年度の予算編成と連動させることで、常に計画の最適化を図りながら着実な事業の推進を図ることといたしました。  実施計画におきまして、各年度の取り組み内容を具体的に示すことで、区の主要事業の進行管理におきましても、より明確な目標を設定することにつながってございます。  また、取り組み結果の検証をしっかりと行い、次年度以降の取り組みについて、予算の裏づけを得ながら最適化を図るため、各部局におきまして、これまで以上に精緻な進行管理が行われているものと認識してございます。  引き続き、目指す姿の達成と、区の将来像の実現に向けて、全庁を挙げて的確に事業の進行管理を行いながら、実施計画に掲げる取り組みの着実な推進を図ってまいります。 ◆高山 委員 引き続き着実に推進していただきたいと思います。  次に、公民連携についてお伺いいたします。区は今年6月に、セブン&アイグループの4社と包括連携協定を締結しました。  松原区長から本定例会開会にあたっての発言にもありましたが、この協定に基づいた取り組みとして、セブン−イレブンにおける「野菜を食べよう」キャンペーンや、イトーヨーカドー大森店の社員の方を対象とした認知症サポーター養成講座など、地域課題に向けた取り組みが既に開始されているとのことであります。また、先月には、三菱商事都市開発株式会社と連携協力協定を締結し、同社が大森西に整備中の商業施設、マチノマ大森を活用して地域のさらなる活性化を目指すとのことであります。  これら民間企業と連携した取り組みは、区民サービスの向上に直接つながるものであり、高く評価できるとともに、今後のさらなる効果的な運用に期待するところであります。  今、民間企業においては、CSR、Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任やCSV、Creating Shared Value、共通価値の創造という考え方が重視され、企業としてより積極的に社会に貢献していこうという機運が高まっています。  地域課題の解決について、まずその解決を図るのは行政でありますが、民間企業のアイデア、ノウハウ、資産などを活用して、より重層的に魅力的なまちづくりを進めていくことは、これからの時代においては不可欠と考えます。  セブン&アイグループや三菱商事都市開発との連携は、ソフト面での連携が中心ですが、ハード分野における連携も、もちろん必要となってまいります。例えば、現在進めている東急池上線池上駅の駅ビルに池上図書館を移転する事業や、拠点公園における公民連携推進基礎調査などが挙げられますが、このような公民連携に係る取り組みは今後、ハード・ソフトの両面から、さらに積極的に進めていくべきものと考えます。  区はこれまで、地域力という区政の基本方針のもと、地域における様々な主体の力を区政に活用してまいりました。今後、これをさらに強化、加速していくためには、民間企業に対して、大田区は今後、民間企業との連携を強化していくんだという強いメッセージを発信する必要があると考えます。  そこで、お伺いいたします。公民連携に対する大田区の基本的なスタンスが明らかになることにより、民間企業との連携が一層進むものと考えますが、いかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。 ◎市野 企画経営部長 区はこれまで、基本構想に定められた地域力というキーワードのもと、自治会・町会や団体、NPOなど、地域の皆様と連携・協働をすることにより、様々な地域課題の解決に取り組んでまいりました。あわせまして、区内の大学等の学術機関や他の自治体、公共機関などとの連携も幅広く展開し、地域力の土台をより強固なものにしてまいりました。  区といたしましては、これまで培ってきた、連携・協働に加え、今後、民間企業との連携を強化していくことにより、新たな相乗効果が生まれ、地域力の一層の向上につながっていくものと考えてございます。今後、より幅広い企業との連携を検討していくにあたりましては、区の基本的な考え方、方針を対外的に、より広く発信していくことも必要であると考えてございます。  これらのことも含めまして、引き続き、公民連携のさらなる推進に向けた検討を行ってまいります。 ◆高山 委員 民間企業との連携をさらに強化し、魅力的で暮らしやすいまちづくりを推進していただきたいと期待いたします。  次に、震災対策についてお伺いします。  区は、平成29年度の予算において、熊本地震を踏まえた、より一層の災害対策の充実に努めることとし、震災対策の加速化を打ち出しました。被災された自治体からの教訓をもとに、備蓄体制の充実や支援物資の受け入れなどの課題や災害対策本部における実践的な体制の構築・整備などを掲げています。  山積する震災対策の課題に対して、一度に全ての課題を解決することは困難であると考えます。まずは優先度の高い課題から着手し、継続的に取り組むことが、着実な震災対策の推進となることと考えます。  区は東日本大震災や熊本地震発災時に、発災直後から現地に入り、被災状況と応急復旧活動など直接現地において積極的な視察を実施し、被災された自治体からの教訓をいち早く本区の震災対策にも取り入れており、その成果と今後の震災対策に多くの区民が関心を寄せているところであります。  そこで、お伺いいたします。東日本大震災や熊本地震など、これまでの震災の教訓から学んだ区の震災対策の成果と、今後のさらなる震災対策についての考えをお聞かせください。
    ◎井上 危機管理室長 委員お話しのとおり、被災自治体から区の震災対策について学ぶべき点は非常に多いものと考えます。東日本大震災や熊本地震発生後、現地の被災状況と応急復旧活動を視察し、その教訓を区の震災対策に生かしてまいりました。  教訓の一例として、熊本地震では、国が東日本大震災の教訓を受け、要請を待たずに物資等を被災自治体へ供給する、プッシュ型支援を実践しています。しかしながら、受け入れる側の態勢が十分整っておらず、被災自治体が混乱を生じたケースもあると聞いております。  区は、輸送拠点として機能するよう、京浜島備蓄倉庫の増設など整備をしているところでございます。倉庫の管理についても、東松島市が導入したパレットの上に備蓄品を載せるなどの手法を取り入れる予定です。  熊本地震では、長期化した避難所生活において身体の負担軽減に効果のあった敷きマットを新たに備蓄物資として加えました。被災自治体の報告からも、平時から住民の防災意識、あるいは知識をいかに高めていくかが課題とされております。  平成29年度から大田区総合防災訓練では、子育て世代など長時間の参加が難しい方々が参加しやすいように、子ども向けのブースや要配慮者の支援体験などイベント型の内容も取り入れ、防災意識の向上に努めております。  引き続き、これまでの震災対策を強化するとともに、被災自治体から学ぶ教訓を反映し、区の震災対策を加速してまいります。 ◆高山 委員 今後もより一層の対策強化に期待いたします。  特に今年は、全国各地で大きな地震が発生しています。冒頭にも申し上げたとおり、6月には近畿地方で最大震度6弱の大阪北部地震、さらに今月の9月6日には最大震度7を記録した北海道胆振東部地震が発生しました。大阪北部地震では、地震の発生時間がちょうど通勤・通学の時間帯だったこともあり、通学途中の女子児童が倒壊したブロック塀の下敷きになるという悲惨な犠牲者も出てしまいました。  この地震を受け、区では、通学路等の塀の安全点検を実施するとともに、区民向けの総合相談窓口をまちづくり推進部に迅速に立ち上げ、区民の不安解消に取り組んできたところであります。  そこで、伺います。区民目線によりワンストップで相談に応じていただけるというこの相談窓口について、現在までの相談件数や相談内容についてお答えください。 ◎齋藤 まちづくり推進部長 大阪北部地震を受けまして、区では、区民サービス向上の観点から、ブロック塀に関する相談窓口を建築調整課に一本化いたしました。地震後、区民の方から、9月25日までに345件のご相談がありまして、ご自宅や通学路沿いのブロック塀に関する相談や、助成制度に関するお問い合わせがございました。  これを受けて、区では、ご自分でできる塀の安全点検の内容をご紹介するとともに、生垣造成助成や狭あい道路整備事業などを活用した塀の撤去工事などを提案いたしました。ブロック塀の技術的な質問に関しては、塀の高さや控え壁に関する基準等につきまして、現場の状況に応じてご説明するなど、個別に対応させていただきました。  また、相談の中では、老朽化した塀の改修を行いたいが、資金面からの支援策を検討してほしいといった声もいただいてございます。 ◆高山 委員 我が自民党会派としても要望しておりましたが、こうした危険な塀を改修したいという声に応えるためのブロック塀の改修費用を助成する制度を設け、補正予算に反映していただいているところであり、このような区の迅速な対応は高く評価できるものであります。  そこで、質問いたします。ブロック塀等改修工事助成制度を創設し、これとあわせて、生垣造成助成制度と狭あい道路拡幅整備事業の助成額を拡充しましたが、こうした制度設計の趣旨と現在の利用状況をお答えください。 ◎齋藤 まちづくり推進部長 区では、塀の安全性に関する関心が高まっているこの機会を捉えまして、緊急対策による支援策を設けることで大きく改善が見込めますことから、改修費を助成する制度を9月1日より始めました。  今回、塀の撤去費に加え、フェンスを設置する費用も助成する大変有利な制度といたしますことで、短期間で改修につなげることを目指してございます。  また、区民の皆様が塀を撤去した後の活用方法に応じて有利な制度を選択できるように、生垣造成助成と狭あい道路整備事業につきましても、ブロック塀等改修工事助成事業の助成単価と同程度となるよう拡充をいたしました。  9月1日以降、9月25日までに、今回始めた新たな助成事業で3件申請があったほか、狭あい道路整備事業で6件、生垣造成助成事業で2件、ブロック塀の撤去を伴う助成を受け付けました。  また、その他に、ブロック塀の撤去に関しまして、新たな助成事業に関する具体的な相談が約20件、狭あい道路整備事業に関する相談が約15件、生垣造成助成事業に関する相談が4件ございました。 ◆高山 委員 安全性の確認が取れていない塀についての緊急点検の結果が公表されていますが、この中には区立学校などの公共施設も含まれております。通学路沿いのブロック塀は一般の方の所有物もあります。公共施設の塀も、一般の方が所有する塀も分け隔てなく倒壊の危険性があるものは、対策を進める必要があります。  区施設の改修を率先して行い、その上で、区民の方一人ひとりに対しても一緒に安全なまちづくりを進めましょうという取り組みを行うことで、区民の方もより一層改修に協力的になり、安全なまちづくりが進むものと考えます。  そこで、お伺いいたします。公共施設の改修の取り組みと区民の方への積極的な改修の働きかけを組み合わせたブロック塀対策を進めるべきだと考えますが、区の強い決意をお聞かせください。 ◎齋藤 まちづくり推進部長 通学路沿いには区民の方のブロック塀が多数ございまして、委員お話しのように、区施設の改修に対する積極的な姿勢を打ち出すことで、区民の方の協力を引き出すきっかけになると考えてございます。  区では、緊急点検によりまして、法定の高さを超えていた洗足池小学校のブロック塀を早急に改修するなど、安全対策に努めてきました。点検によりまして、劣化等の認められる区施設は86か所ありますが、そのうちの大多数は、隣地境の塀となります。隣地境の塀の改修には、隣地の所有者との協議が不可欠となりますけれども、協議が整い次第、順次改修を進めてまいります。  区施設の塀のうち、近隣との関係からすぐに着手が可能な北嶺町児童公園の塀や中富小学校ほか2校の塀は、既に改修の準備に取りかかっております。  区施設の塀の改修を迅速に進めるとともに、区民の方に対しては、助成制度の紹介にあわせて区の積極的な取り組みをPRし、協力を求めてまいります。  また、助成制度を個別に紹介する中で、塀の適切な維持管理に努める必要性なども訴えかけていくことで、改修に踏み込んでいただけるよう、安全・安心なまちづくりに全身全霊で取り組んでまいります。 ◆高山 委員 力強い答弁、ありがとうございます。個別の現場ではそれぞれ課題がありますが、粘り強く取り組んでいただき、塀の改修を進めていただきたいと思います。  公共施設の対策には改修のための工事費、民間の施設の対策には今回制度化した助成制度に要する経費など、いずれの対策にも予算の確保は不可欠であります。助成金については、今回の補正で対応済みですが、公共施設の工事予算を含めて、ブロック塀等の対策に関する経費は、危機感を持って、必要なタイミングで補正措置を図るなど、取り組みが停滞しないように機動的な対応を要望して、次の質問に移ります。  次に、暮らしを支える福祉政策について質問いたします。  区は、全ての子どもたちの将来がその生まれ育った環境に左右されず、自分の可能性を信じて、未来を切り拓く力を身につけることを目指し、平成29年3月、おおた子どもの生活応援プランを策定いたしました。  本プラン策定後の6月、厚生労働省発表の国民生活基礎調査では、平成27年時点の子どもの相対的貧困率は13.9%と、その3年前と比較して2.4ポイントの改善が見られたものの、子ども7人に1人が相対的貧困状態にあり、依然として厳しい状況であります。子どもの相対的貧困率そのものを低下させるためには、その家庭の所得を上げることが必要とされ、雇用対策として国政レベルでの対策が必要であると考えます。その中で区は、区民に身近な基礎自治体として、親の学び直しを含めた就業支援や女性の再チャレンジ就労支援など、家庭と仕事の両立に向け、家庭が抱える様々な課題に寄り添った支援を展開しています。  こうした取り組みも必要と考えますが、いわゆる、貧困の連鎖につながらないよう、総合的な対策として、子どもの貧困を地域共通の課題として捉え、区民との連携により、全ての子どもたちを社会的に包み込むような社会的包摂を実現することこそが、基礎自治体として区が進めるべき政策と考えます。  子どもを中心とする観点からは、家族や学校、地域との多様な関係性、つながりを結ぶことによってこそ、その実現が図れるものと考えます。  全国的に注目を集めているこども食堂をはじめ、遊び・体験を支援する地域活動や子どもの見守り活動など、地域力を生かし、地域における子育てや居場所づくりなど、区内には様々な地域福祉活動が展開されております。  子どもは、まず個々の家庭において、家族が支え合い育てることを基本としながら、区は、現金給付のみではなく、対人ケアや地域のボランティア活動など、多様な地域活動を支える環境整備に力点を置くべきだと考えます。  そこで、お伺いいたします。プラン策定初年度である平成29年度の取り組み状況とこれからの施策の方向性についてお聞かせください。 ◎西山 福祉支援担当部長 平成29年度はおおた子どもの生活応援プランの計画初年度であり、重点的に取り組むべき31事業を選定し、着実な事業推進に取り組みました。委員お話しのとおり、ひとり親家庭の保護者を対象とした就業支援やJOBOTAでの自立相談支援事業、子育て中の親子が相互に交流し、育児、相談に応じる子育てひろば事業など、様々展開しております。  これら、様々な取り組みを実践する中で、地域活動との協働や部局間連携の必要性を改めて認識するとともに、より具体的な施策の方向性を打ち出すため、二つの調査を実施いたしました。まず、子どもの生活実態調査詳細分析からは、子どもと保護者の基本的な生活習慣の未定着や相談相手の不在が、子どもの貧困に直結する課題と相関関係にあることを把握しました。また、子どもの生活応援プランに関する活動状況等調査からは、区内72団体の地域分布や活動内容、活動上の課題などが明らかになりました。  本年度、平成30年度は、この二つの調査から見えた課題などをもとに、子どもに関する支援団体同士の連携を促進し、課題解決に向けた協議を行う場として、地域とつくる支援の輪プロジェクトに取り組んでおります。  地域では、こども食堂や学習支援など、多様な主体による地域福祉活動が活発に展開されております。今後は、これらの個々の活動と団体間の連携を積極的に進める社会的包摂のより一層の浸透を図るとともに、引き続き庁内の部局間連携により、必要な支援につなげるための環境整備に取り組んでまいります。 ◆高山 委員 一人ひとりが希望を持ち、健やかに安心して暮らすことのできる社会の実現を目指した取り組みを今後も進めていただきたいと期待いたします。  厚生労働省発表の最新の統計資料、被保護者調査では、全国の生活保護受給者数は平成30年3月時点で211万6,800人余りで、対前年同月で2万8,000人余りの減少となっております。また、被保護世帯数は約163万9,700世帯で、対前年同月で約1,800世帯の減少となっております。これを世帯類型別に見ると、65歳以上の高齢者世帯の増加傾向が続き、高齢者世帯を除く世帯は減少しております。高齢者世帯のうち、単身世帯が約9割を占めているという実態もあります。  一方、区の状況を見ると、近年の景気回復や雇用情勢も背景に、平成27年までの微増傾向から、平成28年からは微減に転じ、平成29年度の生活保護費のうち、扶助費の決算額は339億2,039万円余と、前年度と比較し、3億円余の減少となっておりますが、生活保護費に係る経費のおおむね4分の1が区の一般財源によって措置しなければならないことから、区の財政負担は大きなものとなっています。  高齢化の進展は国と区と同様な傾向があり、今後は働くことが難しい高齢者世帯の割合のさらなる増加により、医療扶助費などへの影響が生じた場合には、区の財政負担が増大することも想定されます。  そこで、お伺いいたします。高齢者人口の増加が見込まれる中、低賃金や無年金、低年金が原因で生活に困窮し、生活保護受給に至る方の増加も懸念されます。生活困窮者の自立と尊厳を尊重しながら、どのように支援していく考えなのかお答えください。 ◎西山 福祉支援担当部長 生活保護世帯数は、ここ数年、ほぼ横ばいで推移しておりますが、高齢者世帯の割合は5割を超え、増加傾向にあります。  生活に困窮した方への支援ですが、生活福祉課の窓口には様々な相談が寄せられており、個々のご事情を伺い、必要な方には生活保護制度をご利用いただくなど、丁寧な対応に努めているところでございます。  また、生活保護を受給している方には、健康保持・増進に向けたアドバイスや、稼働能力のある方には様々な就労支援メニューを活用し、自立支援を行っております。  さらに、生活困窮者自立支援法に基づき、大田区生活再建・就労サポートセンターJOBOTAを開設いたしました。JOBOTAでは、生活の困りごとや不安について相談者に寄り添い、自立に向けた個々の支援プランを作成するとともに、家計見直しのアドバイスや住宅確保給付、就労に向けたコミュニケーション訓練など、様々な支援を実施しております。  このように、生活困窮者の支援において、生活保護に陥るおそれのある前段階から、早期にJOBOTAを通じた個別支援にも取り組んでおります。今後も、福祉事務所、JOBOTAの緊密な連携のもと、切れ目のない支援を実施し、生活困窮者の自立支援に努めてまいります。 ◆高山 委員 引き続き、よろしくお願いいたします。  次に、健康づくり施策についてお伺いいたします。  人生100年時代が到来すると言われています。区の基本計画であるおおた未来プラン10年では、その基本目標1を、生涯を健やかに安心していきいきと暮らせるまちとしておりますが、誰もが健康で、いつまでも自分らしく幸せに暮らせるまちづくりはますます重要となっています。  平成27年における区の平均寿命は、男性80.07歳、女性86.7歳、また、今年度100歳を迎える新100歳の合計は155人、男性31人、女性124人となっております。元気な高齢者が増えることは、大変好ましいと考えるものであり、今後も、さらなる健康寿命の延伸を期待するものであります。  健康寿命延伸の重要な鍵を握るのが、生活習慣病予防をはじめとした健康づくりであると考えます。この点で私が注目しているのは、国民健康保険の被保険者を対象に、平成29年度から取り組んでいる健康ポイント事業であります。健康保持増進、疾病予防及び特定健診受診等の生活習慣病予防に取り組む被保険者を対象に、特定健診受診や禁煙への取り組み、各種がん検診、健康づくりイベント参加、そして、日常のウォーキングなどの運動に一定のポイントを付与し、貯まったポイントに応じて、抽せんで区内共通商品券や都内共通入浴券を特典として提供するものであります。本事業については、29年度の実績が392人の参加にとどまったことを受け、今年度は、より参加しやすい方式として、紙の台紙による参加方法に切りかえて取り組んでいると聞いていますが、参加人数を増やすことは大きな課題であると考えます。日常生活の中で歩くことがポイントとなり、そのポイントが貯まると特典がもらえる楽しみがあり、結果として健康づくりにつながるという健康ポイント事業のコンセプトは、一人ひとりの健康づくりに向けたきっかけづくりになるとともに、その活動を一過性のものに終わらせず、継続性のあるものにする上で、非常に有意義であると考えます。継続した運動は、医療費の削減にもつながります。  横浜市では、健康寿命日本一を目指し、日常生活の中で楽しみながら健康づくりができる仕組みとして、横浜ウォーキングポイント事業に取り組んでいます。平成26年11月にスタートし、当初、40歳以上の参加希望の市民に歩数計を無償配布し、その後18歳以上まで対象を拡大し、平成29年度には、目標の30万人の登録を達成しています。370万都市の横浜市で人口の1割弱が健康ポイント事業に参加しているという実績は、全国的に高く評価されているところであります。  そこで、お伺いいたします。本区においても、他自治体の優良事例を参考に、より魅力的な健康ポイント事業とするとともに、国保被保険者以外の区民にも広く拡大し、充実させることが区民の健康づくりに大いに効果があると考えますが、区の見解をお聞かせください。 ◎今井 健康政策部長 健康づくりは区民一人ひとりが主体的に取り組むことが基本ですが、健康への関心が低い層への働きかけや取り組みを継続できるよう支援することが、行政の役割として重要です。  健康ポイント事業は、ウォーキングや各種健康診断の受診など、個人の取り組みの成果がポイントとして見える化されるとともに、商品券や健康グッズなどの特典獲得につながることによって、楽しみながら目標達成と取り組み継続への動機づけにつながる有効な仕組みと考えます。  昨年度から区が始めた国民健康保険被保険者を対象とした健康ポイント事業について、現在、区民部や観光・国際都市部と連携し、さらなる充実に向けて検討しているところです。  今後は、委員お話しの先行事例を参考に、広く区民に利用していただける魅力的な事業となるよう、関係部局と連携して検討してまいります。 ◆高山 委員 広く区民に浸透する取り組みとなることを期待いたします。  続きまして、企業の健康経営についてお伺いいたします。  企業にとって、従業員の健康維持・増進を行うことは、生産性の向上や企業イメージの向上等にもつながる、つまり収益性を高める投資であるとの考えのもと、従業員の健康づくりに取り組む健康経営が注目されています。  国においては、こうした健康経営の取り組みを推進するため、健康経営銘柄の選定や健康経営優良法人の認定を行っています。  近隣の自治体では、横浜市において、横浜健康経営認証制度を創設し、市のホームページ等でのPRや、市の中小企業融資制度での金利優遇等のメリットを用意して、市内企業における健康経営の取り組みを後押ししています。  そこで、お伺いいたします。健康経営に取り組む事業所を認定する制度を設けるなど、区内事業所における健康経営を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◎今井 健康政策部長 働き盛り世代の健康課題については、生活習慣病の予防やがん対策など様々あり、これらの課題を解決するには、個人が主体的に取り組むだけではなく、事業者における対策が重要です。  区内には中小企業が多く、その従業員には区民も相当数いることから、区内の事業所における健康経営を推進することは、働き盛り世代区民の健康増進につながることが期待できます。こうした状況を踏まえ、委員お話しの認定制度を含め、区内事業所における健康経営を促進する仕組みづくりを検討してまいります。 ◆高山 委員 健康経営に取り組む事業所が増えることを期待しております。  すみません、まだ質問を用意していたのですけれども、ちょっと時間がなくなってきましたが、最後、環境清掃費の分担金についてお伺いいたします。  東京二十三区清掃一部事務組合への分担金は、どのような仕組みで算定されているのでしょうか。前年度約23億円から平成29年度決算額が1億円強の増となっております。その辺の推移も含めてお聞かせください。 ◎落合 環境清掃部長 東京二十三区清掃一部事務組合の財源は、東京二十三区清掃一部事務組合規約に基づき、ごみの受入手数料、売電収入などのほか、各区の分担金となっております。  分担金の負担割合は、特別区分担金総額に対し、各区の自区内発生ごみ量に応じて算出されています。区の負担額は、特別区分担金総額の抑制や、区のごみ減量に係る施策の推進により年々減少し、平成28年度に約23億円まで減少しましたが、平成29年度は施設整備等の影響もあり、分担金総額が対前年度比で6.2%増加したため、区の分担金は対前年度比5.5%増の約24億2,000万円となりました。  今後も清掃工場等の延命化や建て替え工事が計画的に実施されることから、特別区分担金総額は増加する傾向にあります。  区といたしましては、循環型社会の構築に向け、普及啓発等を図り、より一層のごみ減量を推進することで、分担金の抑制に努めてまいります。 ◆高山 委員 以上で終了いたします。 ○鈴木 委員長 次に、公明、質疑願います。 ◆松本 委員 区議会公明党の松本洋之でございます。会派を代表いたしまして、平成最後の決算特別委員会での総括質疑を行わせていただきます。理事者の皆様には、明快なご答弁をよろしくお願いを申し上げます。  今、平成最後と申しましたけれども、天皇陛下の退位と、皇太子の即位に伴って元号が改められる改元まであと8か月となり、文書やシステムといった分野で改元を見据えた対応が必要となってまいります。  本区では、改元を見据え、区報や区民向けの文書において、これまで使っていた和暦に加え、必要に応じて西暦を併記する対応を行っているとの報道を目にいたしました。今後様々な書類で元号の表記を改める必要があり、戸籍や住民票、それに健康保険などの申請書に限っても、53種類のうち46種類で書式の変更が必要だということでございます。さらに、住民基本台帳ネットワークなど各種のシステムで、改元に対応する改修が必要と思われます。  また、庁内においても、30年度以降の計画物についても、呼び方のルールを統一化していくことが望ましいと考えます。  区民に混乱を招くことがないよう、スムーズに移行することを望むところでございますけれども、現在の取り組みと課題についてお知らせください。 ◎玉川 総務部長 天皇の退位等に関する皇室典範特例法の施行期日を定める政令が公布されておりまして、今後、平成から新しい元号に改められることになります。  改元にあたりましては、区が現在運用しております各種ネットワークに対します広範なシステム改修が必要ですし、また、文書事務全体に関して遺漏のない適切な対応が欠かせません。  現在、区では、元号が改められることに伴い、今年度以降策定する計画書等におきまして、年の表記を統一化し、区民の皆様に時系列をわかりやすく示していくため、和暦に西暦を併記し表示することとしており、今後も徹底してまいります。  また、公文書におきましては、現時点では平成を用いておりますが、区民の方への配慮が必要と認められる場合は、元号が改めてられていないため、表記を平成のまま用いている旨の注釈を入れております。  住民記録システムなどの各種システムの対応につきましては、現在、改修範囲の規模や作業工程を精査しており、新元号が決まり次第、速やかにシステム改修と検証作業が実施できるように準備を進めております。  元号を改める政令の公布及び施行日等の明確なスケジュールや対応内容は、現時点においては国から示されておりません。区といたしましては、内閣府等の国の機関へ逐次問い合わせを行っているところでございます。  今後も国の動向を注視するとともに、関係部局が連携し、万全な対応を行ってまいります。 ◆松本 委員 さて、決算についてでございますが、平成29年度の経済状況を鑑みますと、政府の経済政策によりまして、企業の稼ぐ力が高まり、企業収益が過去最高水準となる中で、雇用や所得環境が改善して、所得の増加が消費や投資の拡大につながるという経済の好循環が着実に回り始めた年でございました。  労働市場では需給が引き締まりつつあり、人手不足の状況はバブル期並みとなりました。企業は人材の確保に向けた取り組みを迫られる一方で、引き締まりつつある労働需給を反映して賃金は上昇していたものの、その伸びは緩やかなものにとどまり、個人消費も所得や雇用環境の改善度合いに比べて伸びませんでした。  物価については、持続的な物価下落が続くというデフレ状況にはないものの、デフレを脱却し、安定的な物価上昇が見込まれるところまでには至りませんでした。  そのような中、本区の平成29年度の歳入総額は2,556億円余、歳出総額は2,454億円余、収入率は98.03%、執行率は94.12%で、実質的な決算剰余金は約96億円となり、48億2,023万7,000円が財政基金積立金となりました。  基金の運用については、過去何回か指摘をさせていただいておりますけれども、現在の預金、債券ともに低利率の状況のもとでは、監査報告書の中にもありましたとおり、その効果は限定的なものであると考えております。複数の金融機関から詳細な情報収集を行うことで、運用に必要な知見を高め、運用益の向上につなげていっていただければと考えています。  さて、外務省の外郭団体である国際協力機構、略称JICAという団体が発行している債券がございます。ご承知のとおり、JICAは開発途上国の経済社会の開発に協力して、国際社会の健全な発展に寄与することを目的にしております。  日本も、かつてはODAの受入国としてアメリカの援助を受けて、戦後復興を果たしてきたと言われています。そして、日本のODAは、戦後賠償が始まりと言われますが、この開発援助が各国のインフラ整備を促し、社会の発展と安定に寄与してきており、国際社会からの期待が大きいものと思います。  援助にも無償と有償があり、有償は有償資金協力として債券、いわゆる、JICA債を発行して資金を集めています。最近では大手企業などが趣旨に賛同し、国際協力企業のイメージ戦略として積極的に債券を購入する動きもございます。本区も「国際都市おおた」を旗印に安全・安心な共生社会を目指しており、債券購入による協力姿勢は多くの区民から共感を呼ぶものではないかと思います。
     債券の種類は20年償還の長期ものが多いわけでありますが、10年償還のものもあり、財投機関債として位置づけられ、信用は十分にあるため、公金の毀損の心配は非常に小さいものと見込まれており、財政基金等の運用先としても検討する価値があると考えますが、いかがでしょうか。所見をお伺いいたします。 ◎近藤 会計管理者 委員お話のとおり、国際協力機構が発行いたします債券でございますが、いわゆるJICA債、お話のとおり財投機関債でございますので、基金の運用について規定しております、大田区における公金管理運用方針で運用対象としている債券でございます。  購入にあたりましては、この運用方針に基づき、安全性を第一に償還までの期間、それから利回り、購入資金等を考慮しながら総合的に判断しております。  具体的に申し上げれば、10年以内債券で取得価格が額面価格以下のものを原則対象にしております。  委員ご提案のJICA債でございますが、社会課題の解決を目的としたソーシャルボンド、社会貢献債と言われるもので、調達された資金はJICAの有償資金協力事業に充てられ、開発途上地域の経済社会の開発、日本及び国際経済社会の健全な発展のために活用されると聞いております。  一例といたしましては、ベトナムやインドでの安全な飲料水の供給や下水処理整備、インドネシアでの再生可能エネルギー開発ですとか、ケニアでの地熱発電整備などが挙げられます。このような協力事業を通じまして、我が国の中小企業が持つすぐれた技術も貢献していると伺っております。  こうしたJICA債の目的や使途に鑑みれば、観光・多文化共生・産業の強みを生かしました国際都市おおた宣言を行った本区の姿勢とも軌を同じくするものであり、公金運用先としてふさわしいのではないかと考えております。  今後、利回りの点も比較検討しながら、購入機会を探ってまいります。 ◆松本 委員 次に、財政見通しについてお伺いをいたします。  歳入において、ふるさと納税の影響で平成28年度では7億4,000万円、29年度では13億5,772万円、30年度では20億円の減収を見込んでいるとのことでございます。また、特別区交付金が法人住民税の一部国税化の影響を受けたことで45億円減収、消費税10%の段階になりますと、73億円の減収が見込まれているとのことでございます。  これだけでも既に93億円の減収が見込まれている中、さらには消費税10%の段階になりますと、幼児教育の無償化が始まる予定となっていますが、不交付団体である23区にはかなりの影響が出てくると予想されております。  本区として、幼児教育の無償化についてどのような影響があるかお伺いをいたします。 ◎市野 企画経営部長 子育てと仕事の両立や、子育てや教育にかかる費用の負担が重いことが、子育て世代への大きな負担となり、少子化問題の一因ともなってございます。したがって、保育の受け皿拡大を図りつつ、幼児教育への無償化をはじめとする負担軽減措置を講じることは、重要な少子化対策の一つとなってございます。  このため、国は3歳から5歳までの全ての子どもたちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化するという幼児教育無償化の方針を打ち出し、その財源については消費税率10%への引き上げによる財源を活用するとしてございます。  特別区長会の調査によりますと、幼児教育無償化に要する経費の一部を負担することになった場合、特別区全体での負担は300億円を超える規模になると見込まれてございます。  一方で、国が進める不合理な税制改正等による大幅な減収によりまして、消費税率10%段階での特別区の増収額は、約76億円にとどまると見込まれてございます。  このため、認可保育所保育料や私立幼稚園就園奨励費など、幼児教育無償化に要する経費は、既に消費税率10%段階における増収額を大きく上回り、財源にも影響が生じることが想定されています。  区といたしましては、消費税増税と現状のサービスに充てる財源への影響を区民に強いる点から、このような状況は到底受け入れられるものではなく、国の施策により幼児教育無償化を実施するのであれば、国がみずからの責任のもと、全ての財源を確保すべきと考えてございます。  こうした状況を踏まえまして、本年7月には幼児教育無償化に関する要望を特別区長会を通じて総務大臣に提出したところでございます。  今後とも幼児教育の無償化における財源確保につきましては、国が進める不合理な税制改正とあわせて、引き続き、特別区長会を通じて国に対して精力的に要望してまいります。 ◆松本 委員 幼児教育の無償化の影響を含めますと、相当程度の減収が見込まれる中、2020年を目前にして、本区の今後5年間の税収見通しはどのように推測されておられるのか、また、東京オリンピック・パラリンピック後は一般的には景気も落ち込むのではないかと言われていますけれども、その反動に備えた財政見通しについて、どのように考えていらっしゃるのか、お伺いをいたします。 ◎松原 区長 区の今後5年間の税収見通しにつきまして、区では平成28年度からの中長期財政見通しの中で、税制や将来の生産年齢人口をもとに推計した税収の見通しとして、国の試算に合わせた経済が成長するケースにおいては、景気の変動を受けやすい基幹財源である特別区税や地方譲与税等は増加すると予測しております。  一方で、経済成長率をゼロと設定した経済が停滞するケースにおきましては、大幅な税収増は見込めないと試算しているところでございます。  内閣府によりますと、今後、経済成長率が中長期的に実質1%強程度にとどまるケースも試算しており、その場合、平成32年度、2020年度以降の経済成長率は、それまでと比べても低い伸び率になるとされております。  区といたしましては、こうした局面も想定しつつ、いかなる景気状況におきましても、安定的な区民サービスを提供できますように、これまで基金を計画的に積み立てるとともに、特別区債の発行抑制と着実な償還を進めてきたところでございます。  今後はこうした景気の変動や、国における税源偏在是正処置等が懸念される中で、扶助費や投資的経費が増加することに伴い、実質的な蓄えは減少することも想定されますが、引き続き、継続的かつ安定的な区民サービスの提供と基金や区債とのバランスを留意しつつ、健全で持続可能な行財政運営を進めてまいりたいと思います。 ◆松本 委員 少子高齢社会への対応や老朽化した公共施設の更新時期が集中することなど、引き続き多くの圧迫要因を抱えていることから、各年度において、歳出に対し歳入が不足する事態が見込まれております。このような状況のもと、将来にわたって財政の健全性と、状況の変化に対応できる柔軟な財政運営を確保するには、中長期の収支不足の圧縮が非常に重要でございます。予算の執行段階での努力をどのようになされているのか、またあわせて、我が党はこれまでにも、新たな歳入の確保について様々提案をさせていただいてまいりましたけれども、財源確保の工夫、歳入確保に向けた対策の検討、具体的な取り組み状況をお伺いをいたします。 ◎市野 企画経営部長 予算執行段階での努力に関しましては、待機児童対策や超高齢社会への対応、公共施設の更新時期の集中、国が進める地方税の不合理な税源偏在是正措置など、区財政に大きな影響を与える要因を抱えていることから、歳出に対して歳入が不足しないよう、日々の財政運営には常に細心の注意を払ってございます。  具体的には、大田区補助金適正化方針に基づく検証結果を踏まえた補助金の見直しや、スマートワーク宣言に基づく業務の効率化などに努めてまいりました。  今後も区民サービス向上の視点から、常に施策及び事業の成果と課題を検証し、目標達成のため、最小の経費で最大の効果を発揮してまいります。  次に、財源確保の工夫、歳入確保に向けた対策の具体的な取り組みにつきましては、国・都支出金にあっては、待機児童対策に係る補助金を確実に確保するとともに、国や東京都が進める新たな施策の動向についても注視しながら、必要な財源を確保してまいります。  また、広告収入事業につきましては、ホームページのバナー広告とくらしのガイドの広告収入として、平成29年度は約400万円、本庁舎1階の広告つき案内図及び庁舎案内板で180万円余、自動証明写真機につきましては50万円余の歳入がございました。引き続き、様々な角度から歳入確保に向けた検討を進めてまいります。  このほか、平成31年、2019年夏に(仮称)勝海舟記念館を開設する予定でございますが、勝海舟基金を設置し、8月から寄附の募集を始めました。今後はクレジット決済などの導入も予定し、寄附のしやすい環境の整備の整備に取り組んでまいります。 ◆松本 委員 次に、民間企業、各種大学、専門学校とのコラボレーションの可能性についてお伺いをいたします。  人口減少や超高齢社会が現実のものとなりつつあり、行政だけで全ての社会課題の解決を図ることは困難となっている現状の中、区はこれまで個別課題の解決に向けて取り組んできた自治会・町会、団体、NPO、事業者などとの連携、協働の形に加えて、今後は民間企業との包括的な連携、協力を進めることで、そこから生まれる新たな相乗効果を区政に生かしながら、地域を一層活性化させていく必要がございます。  区は、6月にセブン&アイグループ4社と包括連携協定を締結、8月には三菱商事都市開発株式会社との連携、協力協定を締結いたしました。今後の展開を期待するところでございます。  先日、大阪府に官民連携の取り組みについて勉強しに行ってまいりました。大阪府では、平成30年6月27日現在で、33件の企業、大学と包括連携協定等を締結していらっしゃいます。企業、大学から行政と連携したいというニーズがあるものの、連携したいけれども、どこに連絡したらよいかわからないなどの庁内窓口の明確化を求める声や、府庁内からも、施策立案にあたって、企業、大学との連携を積極的に進めたいので、橋渡しなどサポートしてほしいとの声が上がり、企業、大学と行政のマッチングを行う公民連携の専任部門の必要性が増し、平成27年に公民戦略連携デスクが立ち上げられました。現在、民間と庁内担当者等をつなぐワンストップ窓口として、ホスピタリティ、また、スピーディを合い言葉に活動をしておられます。  現在、本区におきましては、公民連携については企画課で進められておられますけれども、今後、積極的に公民連携を進めていく上で、専門部署を立ち上げていくお考えはないかお伺いをいたします。 ◎市野 企画経営部長 区が今後、地域力を一層強化していく上で、また地域の課題を解決し、魅力あるまちづくりを進めていく上で、民間企業との連携強化は欠かせないものであると認識をしてございます。  現在、公民連携を所管しているのは企画課でございまして、多くの民間企業から連携した取り組みの提案をいただいているところでございます。民間企業との連携を強化することにより、これまで培ってきた地域力との相乗効果をつくり出していくため、区といたしましては、それらの一つ一つの提案を丁寧にお伺いし、新たな連携の可能性について検討を重ねているところでございます。  公民連携を担当する部署におきましては、大田区の地域課題を理解し、その解決について同じ方向性を共有できる企業を慎重に見きわめると同時に、企業からの提案を行政の役割と照らし合わせ、総合調整の視点から適切な部局につないでいくという橋渡し役が求められると考えてございます。  今後、区が目指すべき公民連携のあり方に関する検討を進める中で、実施体制についてもあわせて検討してまいりたいと考えてございます。 ◆松本 委員 次に、ロボット技術と行政の効率化についてお伺いいたします。  区は昨年、スマートワーク宣言を行い、働き方改革を進めている中、各種IT技術等の活用は、効率的で効果的な行政運営の推進において欠かせないものでございます。  第2回定例会で田中議員も代表質問で触れられておられましたが、RPA、ロボティック・プロセス・オートメーションの略でございますが、マウスのクリックやファイルの選択など、職員がWindows上で行う操作をシナリオとして登録をいたします。そのシナリオを実行することで、コンピューターが自動的に操作をするという仕組みになります。  つくば市では、パソコンのデータ入力など、単純作業を自動で操作するソフトウェアを使って、課税の新規事業者登録や電子申告の印刷、転入通知などに単純な打ち込み作業をRPAがこなし、職員に求められるのは事前準備や事後の確認作業になり、年間約1,400時間分が削減できるとのことでございます。職員のワーク・ライフ・バランス向上のためにも必要な取り組みだと考えます。  もちろん、残業代の削減、単純作業から生産的な仕事に集中できることなど、メリットも大きいと考えます。  区職員の業務にはWindows端末を用いたものが多いと認識をしております。職員の事務作業におけるWindowsの利用状況といいましょうか、利用形態を教えてください。 ◎市野 企画経営部長 現在、区の一般的な事務作業で使用している端末では、Windowsを利用してございます。システムへの転記入力や表計算ソフトでのデータ集約など、庁内の様々な事務で定型的な反復処理をしてございまして、働き方改革を進める上で、職員の負担を減らして業務の効率を進めることが課題の一つと考えております。 ◆松本 委員 そういった課題があるという意味では、職員の業務の効率化を図るために、RPAの導入が有効だと考えます。  導入費用も比較的安価なものと伺っておりますけれども、お考えをお聞かせください。 ◎市野 企画経営部長 働き方改革を進めている中、各種IT技術等の活用は、業務の効率化と職員のワーク・ライフ・バランスの実現に欠かせないものと考えてございます。  区におきましては、確定申告の時期や年度末の転入・転出など、特定の時期に増大する業務がございます。このような時期の大量かつ定型的な作業にかかる時間を削減することは、働き方改革を進めていく上で課題の一つと考えてございます。  ロボットによる業務の自動化、ロボティック・プロセス・オートメーション、いわゆる、RPAは、このような作業時間を削減し、貴重なマンパワーをより高度な判断が求められる業務に振り向けることを可能にするなど、生産性の向上に資する有効な手法の一つと考えてございます。  区といたしましては、引き続き情報収集に努めて、他自治体での事例の分析なども行いつつ、限られた行政資源を効果的・効率的に投入し、関係部局と連携して、本区に適したRPAの導入に向けた検討を進めてまいります。 ◆松本 委員 次に、AIの活用が民間企業に広がる中、地方自治体でも本格導入に向けての動きが活発化しております。  さいたま市では、AIによる保育施設の割り振りを決める実験が行われました。市では、毎年保育施設への入所を希望する子どもたちが8,000人近くに上り、入所できる子どもと、300を超える保育施設への割り振りを決めるのに困難を要していたそうでございます。祖父母が同居しているかどうか、母親の勤務時間、世帯の収入など、様々な条件を突き合わせた上で、きょうだいで同じ施設にしたいとか、通勤経路にある施設がよい、こういった希望も考慮して、入所できる子どもや施設の割り振りを決めなければいけないと、その作業量は膨大で、これまでで30人の職員が50時間かけて行ってきたといいます。  ちなみに、本区では、この作業にどれくらいの時間をかけていらっしゃるか、お伺いをいたします。 ◎水井 こども家庭部長 区内167の保育所等に対して、平成30年4月の入園を希望する申込者数は5,669人でございました。入園決定には、家庭状況に基づく指数や希望する施設、きょうだいの在籍状況など、複雑な条件を組み合わせる必要があり、今回の決定には、職員15人で1人当たり100時間、延べ1,500時間を要しました。  また、保育施設の空き状況に応じて月々の入園申し込みがあり、この決定にも毎月延べ100時間程度を要しております。 ◆松本 委員 ところが、これをAIで行ってみたところ、わずか数秒で終了したそうでございます。結果は、人間が手作業で行った割り振りとほぼ同じだったとのことでございます。  また、大阪市では、作業効率を向上させるために、戸籍関連業務にAIを導入。養子縁組や国際結婚など戸籍に関する事務は、現在、区役所の担当者が、民法や戸籍法などの関係法令を膨大な書籍から個別のケースに合わせて調べ、場合によっては法務省に問い合わせをしておりましたけれども、戸籍に関するこうした審査が必要な申請があった際に、職員が端末にキーワードを入力すると、AIが法律や過去の判断例などから、適切な回答を提示しているそうでございます。  さらに、千葉市は東京大学生産技術研究所との共同研究で、道路の損傷具合を自動的に診断する、My City Reportというシステムの実証実験を行い、インフラ整備にAIを取り入れる動きもございます。  公用車へ取りつけたスマートフォンで道路を自動撮影し、共有サーバーに画像を転送、AIが道路状況を「損傷なし」「損傷はあるが、修繕は不要」「修繕が必要」の三つに分類し、修理の必要性を判断するという仕組みでございます。  それぞれの職員がAIの判断が妥当かどうかチェックした上で、学習用サーバーにデータを蓄積し、システムの精度を高めるといい、職員による目視点検より効率が上がるほか、広い範囲の道路状況を把握できる利点を持つとのことでございます。  バブル期以前に建設され、老朽化した橋や道路などの公共インフラの点検やメンテナンスの問題は、日本中の自治体が頭を悩ます問題であります。AIを利用した新しい点検・管理システムが広く実用化されれば、時間やコストが大幅に短縮されるとのことでございます。  ICTの急速な発展に伴い、ICTスキルについても見直す必要が出てきました。区職員に対して、ICTに関する研修などは行っていらっしゃるのでしょうか。また、新たなテクノロジーに対応するためにも、AIに関する実務研修を行うことが有効だと考えておりますけれども、いかがでしょうか。 ◎玉川 総務部長 ICTやAIの利活用を促進するためには、正しい理解の浸透と、それに対応できる人材の育成が不可欠でございます。  区は、毎年、情報システムの研修やマイナンバー制度研修を実施しております。内部講師及び民間の有識者による講義に加えて、パソコンを使用しての実習やロボットによるデモンストレーションの見学などを行っております。昨年度は、両研修を合わせまして、約100名の職員が受講しております。  また、ICTスキルが無料で受講できますeラーニング講座のシステムを、職員の自己啓発の一つとして提供してございます。  さらに、管理職に向けた研修としまして、セキュリティの意識、そして、個人情報保護意識の向上を図ることを目的に、eラーニングによるセキュリティ研修を行っております。  今後、国のICT戦略及び施策から予測される区への影響・展望に関する講演会の開催も予定しております。  AIを中心としますICTは、目覚ましいスピードで発達しており、こうした新技術の導入、管理、運営には、さらに高度な知識や技術が必要となります。  他の自治体や民間の先進事例を踏まえながら、引き続き、AIの進化や普及による変化に対応できる人材を養成してまいります。 ◆松本 委員 次に、以前、うちの広川議員も取り上げておりましたけれども、区民の皆様の通報手段を拡充するために、専用のアプリケーションFix My Street Japanを利用しまして、スマートフォンなどから撮影した写真や位置情報を添えて、道路の段差、陥没、側溝の破損やガードレールやカーブミラーの破損など、不具合の情報を通報していただくシステムを導入している自治体が増えてきております。  松原区長からは、アプリを使った情報集約のスピード、情報の共有化、協働の視点などから、研究すべき事例と考えます、私は、これからも区民の自主的活動力を促進し、地域力のさらなる向上に努めてまいりますとの答弁をいただいております。  区長の答弁にもあるように、地域力のさらなる向上に向けて、導入の検討をしていただければと考えておりますけれども、ご見解をお示しください。 ◎松原 区長 住民と行政をつなぐ新しいコミュニケーションツールを活用して、区民のニーズをより効果的・効率的に区政運営に生かす仕組みづくりは、地域力の向上や区民協働の観点からも大変重要であると考えております。  委員お話のFix My Streetにつきましては一部の自治体が導入しており、道路の維持管理に活用しております。スマートフォン用のアプリケーションを使い、住民の皆様が直接、道路等の損傷に関する画像と位置情報を投稿し、道路の維持管理に活用する仕組みは、地域力を生かしたまちの課題解決の手段として大変に有効であり、迅速性、効率性、情報共有などの観点からも効果的であると考えております。  導入している自治体の効果等を見きわめつつ、検討を進めてまいります。 ◆松本 委員 近年、情報社会の進展によりまして、区民の皆様から区に対する要望内容もこれまで以上に多種多様化、高度化し、さらには、少子高齢化の進行などの社会環境が大きく変化している中、窓口対応全般において速さや正確さが求められております。  また、これまで以上にプライバシー保護への配慮や区民の権利、利益の擁護、区民一人ひとりの尊厳を尊重した、より親身な対応や行政としての説明責任の重要性が問われております。  各自治体が知恵を絞り、住民の満足度を高め、魅力を向上させる取り組みが行われ、多くの方策を模索しておられます。その一つが窓口サービスの向上についてであります。  かねてから会派として、ワンストップ窓口サービスを提唱させていただいておりますけれども、区としてどのような検討を、また取り組みがなされておられるでしょうか。お伺いいたします。 ◎市野 企画経営部長 窓口サービスは基礎自治体の業務の中でも、住民に最も身近な重要な業務の一つでございます。区はこれまでも窓口をご利用される方々へのサービスの向上のために、事務処理の効率性の向上などに取り組んでまいりました。  近年では、本庁舎内にマイナンバーカード申請専用窓口の開設のほか、同カードによる自動交付機の設置、さらには、大森駅前に全国初となるマイナンバーカードセンターを開所したところでございます。  一方、マイナンバーカード普及啓発の取り組みによりまして、今後、交付率が向上していくことに伴い、従来から続いている窓口サービスのあり方が大きく変わることも想定されてございます。  このような状況の中、区ではこの間、窓口サービスのあり方に関する基礎調査も実施したところでございます。現在、関係部局間におきまして、こうした調査結果などをしっかりと分析、検証しているところでございます。  引き続き、窓口のあり方につきましては検討を重ねてまいります。 ◆松本 委員 福岡県朝倉市というところがあるのですけれども、ここで行った窓口サービスの改革は、ワーキンググループ「窓口サービス向上委員会」を中心に、組織の改編を必要としない、各課の職員が1か所でリレーする方式、職員出張方式というものに取り組み、職員がリレーする際、どこまで時間を短縮できるのかという点について力を入れて行っているそうでございます。コストを最小限に抑えたフロア改修とフロアマネジャーの設置、発券機の設置などで、ワンストップ窓口サービスを実現して、市民にも大変好評であるようでございます。  この窓口サービス向上委員会は、市長の窓口をワンストップにするとの公約により設置されたものでございますが、市長からのメッセージは、「1回座ったら動かなくてもいいように、お金のかからないように職員が考えて動きなさい」、「現行の組織体制で職員数も変えない」ということが職員に伝えられており、それに沿って職員が知恵を絞って考えるという状況になりました。こうした住民起点に立った自治体の努力が、市民との信頼関係を生み出し、公共サービスの質的改善を行う上でも重要な取り組みになると考えます。  高齢者、また妊娠中の方、障がいのある方、各窓口を回ることが困難な方もたくさんいらっしゃいます。そういった方のために、ぜひ区民ファーストの視点で窓口の改革を行っていくべきと考えます。  職員が動く窓口ワンストップサービスの取り組みについて、どのように考えますでしょうか、所見をお伺いいたします。 ◎市野 企画経営部長 区の窓口には、転入・転出の方、ご高齢の方、子育て中の方、障がいのある方など、毎日多くの方々がお越しになり、時期や時間帯によりましては受け付けが集中することがございます。このような状況を踏まえ、区民の方がより一層快適にご利用いただける窓口を目指すことは、区民サービスにおける喫緊の課題の一つとして受けとめてございます。  ワンストップ窓口サービスにつきましては、総合的な窓口機能としての特徴を有するものと認識しており、委員お話の職員が動く窓口ワンストップサービスは、大規模な庁舎改修や組織改正を要しない、まさに創意工夫による手法の一つであると考えてございます。  区といたしましては、今後も引き続き、既存スペースのさらなる有効活用など、様々な角度から窓口の改革に取り組んでまいります。 ◆松本 委員 ワンストップサービスにつきましては、先進的に実施している自治体の調査を行い、本区としてどのようなことを取り入れられることが可能なのかを改めて検討していただき、今後におきましても、現行の体制で親切・丁寧・迅速・確実をモットーに、区民の立場に立った区民サービスの向上を図っていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。  公務員賠償責任保険についてお伺いをいたします。  最近、地方自治体職員の職務に関連して、住民訴訟や一般的な民事訴訟により、職員個人に損害賠償請求訴訟が提起されるケースが増加をしております。他の自治体では、公金の不適切な支出による住民訴訟も起こりましたし、個人情報を誤って開示したことにより、プライバシーを侵害されたとして訴訟提起をされたり、窓口でトラブルとなって、職員個人が名誉毀損で訴えられたといった事例もあると聞いております。  住民訴訟は、基本的には自治体が被告となりますが、行政側が敗訴した場合や、民事訴訟において、首長や職員に直接責任が問われる可能性もあります。このような場合には、幾ら職員と言えども自治体で支援することができないため、自衛手段として賠償責任保険に加入する職員が増えてきたものと考えております。
     このような場合、弁護士費用や賠償金支払いなど、多大な経済的な負担が生じるおそれがあるため、公務員賠償責任保険があります。特に、区民と接する窓口業務に関係する一般職、管理職を中心に、任意で加入されていると聞いております。  把握することは難しいと思いますけれども、本区の職員の実態として、どのような状況なのか、実際に職員自身が賠償請求された事例はあるのかどうか、お知らせください。 ◎玉川 総務部長 区職員の実態でございますが、職員個人が任意で加入することとしていることから、加入者全てを把握できておりませんが、人事課窓口を通して加入している職員数を申し上げますと、本年7月1日現在、1,610人、全体の36.1%になってございます。  実際に職員自身が賠償請求された事例でございますが、保険会社に確認したところでは、大田区においてこの保険が適用された事例はございません。 ◆松本 委員 本来、公務員が国民・住民に対して損害を与えたとき、その公務員は原則として責任を負いません。なぜなら、国家賠償法という法律によって、国や公共団体が責任を負うことになっているからでございます。  民間企業では、この種の保険はあまり聞いたことがございません。職員の皆さんが任意とはいえ、公務員賠償責任保険に自費で加入することは理解しにくい面もございます。  執行機関としては、この保険に関してどのように考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。 ◎玉川 総務部長 公務員賠償責任保険は、行政への関心の高まりを背景にしまして、平成11年に創設された保険制度でございます。  全国的に見ますと、公務員が職務を遂行する中で、個人が損害賠償責任を負う事例が発生しております。  具体的には、住民訴訟で住民側が勝訴した場合におきまして、自治体から職員に損害賠償命令・請求がされる場合、また、国家賠償請求訴訟で自治体が敗訴して、原告に損害を賠償した自治体から職員に対しまして求償権が生じる場合、さらには、職員の行為に対し、相手方から民事訴訟を提起され、訴えが認容された場合が想定されます。  これらの場合に、委員のお話のとおり、職員個人に賠償金や弁護士等の訴訟費用の支払いなど、多大な経済的負担がかかることになります。  こうした場合の備えといたしまして、職員みずからの判断により、公務員賠償責任保険に加入しているものと認識しております。  職員が職務を遂行する中で、結果として区民に損害を与えてしまったりすることが懸念されます。職員は、常に区民の期待や信頼に応える行動規範を守りつつ、課題解決に向けましては、果断に取り組まなければなりません。  そのためには、職員一人ひとりが業務知識を習熟することはもとより、職員が1人で抱え込まず組織で業務を進めていくことが重要です。  このため、管理監督者による業務内容の点検や進捗の管理をはじめ、職員の状況把握と指導育成、さらに、所属を超えた職員相互の連携強化を図ることで、職員が組織的かつ毅然とした態度で適正に業務を遂行できる体制づくりを進めてまいります。  今後も全ての職員が安心して働ける職場環境を築き、質の高い区民サービスの提供に努めてまいります。 ◆松本 委員 こういった賠償責任保険を使うような事態があってはならないとも思っております。適正な事務執行を行うことはもちろん、職員にも住民との対応は誠意を持って行ってもらいたいと考えているところでございます。  しかしながら、公務員の活動を必要以上に萎縮させてしまうことも事実でございます。今後とも職員の皆様がのびのびと仕事ができる環境整備を、どうぞよろしくお願いいたします。  時間もだんだんなくなってきております。そんな中で、少し質問を飛ばしたりなどもしたいと思います。  空き家問題についてお伺いをいたします。  現在、本区の空家対策にはどのような特徴がありますでしょうか。また、今後どのように取り組んでいくお考えがあるのか、お伺いをいたします。 ◎齋藤 まちづくり推進部長 区は昨年度、空家の状況を把握するために、継続して指導・助言を行っている300件余りの空家所有者等に対し、アンケート調査を実施してございます。  この調査結果では、空家所有者の多くは60歳以上の方であること。空家となった理由は、建物所有者が入院や施設入所などによるものが多くなっていることが特徴として判明いたしました。このことから、高齢化の進行によりまして空家が増加し、地域住民の生活に影響を与えることが危惧されてございます。  現在、区では、こうした空家等対策に関する取り組みとして空家の適正管理を継続的に促すとともに、新たな空家を未然に防ぐ観点から、民生委員や高齢福祉、介護関係機関等と連携を進めているところでございます。  また、協定団体である東京日本司法書士会大田支部から提供を受けました相続登記のチラシを、特別出張所や地域包括支援センター等の窓口で配布するとともに、この団体とは空家に関するセミナーの共同開催を予定してございます。  さらに、区報やホームページなどによる相談窓口のPRなど、啓発活動の拡充を行いまして、親族等への周知活動にも努めております。  今後も引き続き、関係機関との連携を図りながら、空家対策に取り組んでまいります。 ◆松本 委員 これからも、相続人がいないですとか、不明な住宅が増えることは十分予想されてきます。  また、戸建てのみならず、区分所有の集合住宅の場合は、築年数がたつと売るに売れないことも想定をされます。そうなると、荒れ屋マンションができることも想定をしておかなければなりません。そういった意味でも、この空家対策は事前の取り組みがやはり必要と考えます。もう一度、すみません、ご答弁をお願いします。 ◎齋藤 まちづくり推進部長 委員まさにご指摘のとおり、マンションなどの集合住宅も、戸建て住宅と同様に、管理不全な空家状態にならないようにするためには、区分所有の本人が自己の所有する住宅の将来を考えておくことが必要でございます。  区は、空家マンションを防ぐため、戸建て住宅の所有者に対する周知活動と同様に、高齢福祉、介護関係機関等に継続的に情報提供をするなど、事前の周知活動を行うとともに、引き続き区報やホームページなどを通しまして、マンション所有者や管理組合などにも、空家総合相談窓口の紹介など、事前に周知する取り組みを行ってまいります。 ◆松本 委員 高齢者のごみ出し支援についてお伺いいたします。  日本の全世帯のうち4分の1が高齢者のみの世帯、8分の1が高齢者の単身世帯で、その割合は年々増加してきております。また、介護保険制度の要介護、要支援認定者は629万人に上り、認定者のいる世帯の50.9%が高齢者のみの世帯、27.4%が単身世帯という状況でございます。  つまり、日常生活に介助や支援が必要な高齢者の約4分の1がひとり暮らし、約4分の1は老老介護の状態にあるわけでございます。  かつての多世代が同居する家族では、若い世代が高齢者の生活を家庭内で支えていましたが、高齢者のみの世帯の増加により、ごみ出しを自分自身でせざるを得ない高齢者が増えてきております。  ごみ出しの日がわからなくなり、ため込んでごみ屋敷問題につながるケースも見受けられます。昔は地域のつながりの中で行われてきた、近隣住民が高齢者のごみ出しや買い物を手伝うなどの相互扶助も、都市部を中心として少なくなってきております。このように高齢者のごみ出しをめぐる課題は、かつて存在した自助や共助が機能しなくなることで顕在化していると言えます。  本区においてごみの戸別訪問収集は、清掃事務所が窓口になって行っており、現在、要介護2以上に認定されている方、それから、身体障害者手帳の1級、そして、2級にそれぞれ認定されている方が対象となっており、近隣の親族などのお手伝いがいただけないという、そういう世帯に対してごみ出しのお手伝いをしているという状況でございます。  昨年度の実績はどのような状況か、また、経年についての状況をお知らせください。 ◎落合 環境清掃部長 戸別収集事業につきましては、福祉部と連携し、高齢者や障がい者への支援事業の一つとして、一定の条件を満たす世帯に対して、ごみを戸別に収集することで、日常生活の負担を軽減し、在宅生活の継続を支援するものです。  平成29年度の収集実績は377件、施設へ入所されたり、転居されたり、理由は様々ですが、平成28年度の405件に比べて若干減少いたしました。本年9月現在では421件となっており、増加傾向にあります。ここ数年における状況につきましては、多少の増減はあるものの、400件前後で推移しております。 ◆松本 委員 本区のある調査によりますと、高齢の方や障がいのある方など、集積所へのごみ出しが困難な方に対して戸別収集を行っていることを知っているかどうか聞いたところ、「知っている」が11.8%、「知らない」が88.2%となっておりました。  この事業は、同時に見守りの機能も発揮しますので、とても重要な役割を持つ事業だと思っております。介護保険の訪問サービスだけでは、なかなか対応し切れません。より周知をしていくことが大事であると考えますが、所見を伺います。 ◎落合 環境清掃部長 戸別収集事業の周知につきましても、福祉部と連携し、区ホームページやくらしのガイド、高齢者保健福祉のハンドブック、障がい者福祉のあらましなど、本事業の対象となる区民に対して、情報が伝わりやすいと考えられる媒体を選び周知に努めております。  委員お話のとおり、本事業は高齢化が進む中で、今まで以上に重要な役割を持つ事業となっていくと考えられることから、本事業の対象以外の区民にも広く知っていただくことで、より確実に対象者に情報が行き渡るように周知を徹底してまいります。 ◆松本 委員 しかしながら、本区はこの事業のためだけに追加的な予算を確保しているわけではございません。既存のリソースで何とか対応しているのが現状でございます。  ただ、サービスの利用者が増え続けていくことが予想される中で、このままのペースで推移すれば、いずれは検討せざるを得なくなるでありましょう。ニーズをどこまで支えていけるのかが課題でございます。  理想的なのは、やはりもっと地域の皆さんに担っていただくことでございます。介護保険の地域支援事業を支えるボランティアも有力な担い手となると言えるでしょう。すぐにお願いするのは難しいと思いますけれども、5年後、あるいは10年後には、より多くの方に担い手となっていただけるようなシステムを構築していくことが必要と考えます。所見を伺います。 ◎落合 環境清掃部長 高齢者、障がい者等へのごみ出し支援については、行政サービスのみならず、区民、NPO、ボランティア、事業者等の多様な主体による支援が必要と認識しております。  例えば、現在、高齢者に関して、地域支援事業における生活支援体制整備事業にて、多様な主体による生活支援活動の取り組み課題の検討や、担い手育成の支援を推進しております。  ごみ出し支援については、担い手の確保とその継続や、収集日の午前8時までにごみを出さなければいけないことへの負担など課題がございます。  引き続き、地域力推進部、福祉部、環境清掃部など関係部局が連携し、大田区社会福祉協議会等の社会福祉関係機関と協力しながら、区民が住みなれた地域で安心して生活を継続できるように、検討を進めてまいります。 ◆松本 委員 これは高齢者世帯に限らずでございますが、具体的な例を申し上げますと、家庭系の粗大ごみは行政にて回収が原則となっておりますけれども、回収条件等が区民のニーズに合わず、対応に時間がかかる、家電はそもそも粗大ごみとしては扱えない、その他扱えない品目もあるなどなど、不満の声をお聞きしております。  現在は民間の廃棄物処理の事業者は、一般家庭の回収は行えないことになっておりますけれども、委託形式をとり、民間事業者に回収させることを検討してみてはと考えますが、いかがでしょうか。  正規許可業者による家庭系粗大ごみ回収の制度整備について、どのような所見をお持ちかお伺いをいたします。 ◎落合 環境清掃部長 特別区におきましては、事業者から排出される一般廃棄物の処理については許可制とし、家庭から排出される一般廃棄物については行政で責任をもって処理することが、23区共通のルールとなっております。  家庭から排出される粗大ごみの処理につきましては、各家庭からの収集・運搬、中継所の処理体制、中継所から中央防波堤粗大ごみ破砕処理施設への運搬能率などを総合的に調整し、効率的に運営しております。  現行の体制におきましても、収集台数を増やすことは可能ですが、それに付随する収集後の搬入先である糀谷及び京浜島中継所での処理できる体制やスペースの問題、中継所から中央防波堤粗大ごみ破砕処理施設への中継車両の無駄のない配車などの課題がございます。  また、粗大ごみは、可燃ごみと異なり、排出時期や場所、排出量の全てにおいて不確定であるために、単に増車するだけでは配車に無駄が生じることになります。そこで区民の利便性の向上を図るために、平成28年度から、日曜日のみであった京浜島中継所における自己持込受入業務を、年末年始を除く毎日受け入れるように体制を整えました。  その結果、受入数は日曜日のみであった平成27年度の1万5,867件から、平成29年度は1万8,573件と着実に伸びております。  収集業務につきましても、より効率的な配車計画を踏まえた上で、区民のニーズに少しでもお応えできるように、今後も引き続き研究してまいります。 ◆松本 委員 4分あります。  お待たせをいたしました。高齢者の肺炎球菌ワクチン関連について質問をいたします。  高齢者の死亡率が高い肺炎予防のために、定期接種制度が平成26年10月から開始をされました。この5年間で65歳以上の全人口をカバーする経過措置を設けまして、対象者は65歳から100歳までの5歳刻みの各年齢になる方で、生涯に1回だけ制度を活用した接種が可能でありました。国としては5年間、毎年同じ年齢の方を対象に実施することで、65歳以上の全員の接種を目指しており、これまで65歳以上全ての対象者に接種の機会が与えられておりましたけれども、今年度で経過措置の最終年度であり、平成31年度以降は対象者が65歳のみになる予定で、66歳以上の方は定期接種の対象から外れることになるわけでございます。  そういう中で、本区のこれまでの高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種事業に関連して、平成26年度から平成29年度の本区の定期接種対象者の接種率を、簡単で結構でございますので教えてください。 ◎西田 保健所長 平成26年度から29年度の平均として、対象者数3万4,258人、接種者数9,970人、接種率29.1%です。  なお、予防接種法に基づき、定期接種化する前に接種されている場合は、区で把握しておりませんので、実際の接種率はもう少し高いものと思われます。 ◆松本 委員 厚生科学審議会の関連の報告書では、65歳の方に高齢者肺炎球菌ワクチンを接種することで、1年当たり5,115億円の医療費削減効果があると試算をされております。大田区にこれを返しますと、約22億5,358万円の医療費の削減効果があると算出されるわけでございますけれども、一度も助成制度を利用したことのない、勘違いとか、打ち忘れたといった方々に対して、そういう意味では、接種できなかった区民のための対策として、救済措置を設けるべきではないかと考えますけれども、本区のお考えをお伺いします。 ◎西田 保健所長 高齢者肺炎球菌ワクチンは、平成26年度から定期予防接種となり、対象者は65歳の方及び60歳から64歳までの心臓、呼吸器等の障害で障害手帳1級をお持ちの方となっております。  平成30年度末で国の経過措置により、65歳以上の5歳刻みの年齢の方にも定期予防接種の対象としておりました。  さらに、71歳以上で定期接種の対象にあたらない年齢の方は、区が独自に任意接種の助成制度を設けております。  これらの措置により、65歳以上の全ての方に郵送にて個別に通知し、接種する機会を設けたことができたために、任意接種の助成制度についても、平成30年度末をもって終了する予定でございます。  まだ、予防接種を受けていない方に対しては、医療機関、介護事業者、民生委員協議会などで周知し、できるだけ多くの方に接種いただけるように、積極的な勧奨に努めてまいります。 ◆松本 委員 その積極的な周知を、ぜひともよろしくお願い申し上げます。  以上で質問を終わります。 ○鈴木 委員長 会議が長時間にわたりましたので、しばらく休憩いたします。                午後 0時02分休憩                午後 1時00分再開 ○鈴木 委員長 ただいまから、決算特別委員会を再開いたします。  それでは、休憩前に引き続き総括質疑を行います。  共産の質疑に入りますが、大竹委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。  共産、質疑願います。 ◆大竹 委員 日本共産党の大竹です。日本共産党を代表して総括質疑を行いますので、よろしくお願いします。  まず、ヒバクシャ国際署名について質問をさせていただきます。  ヒバクシャ国際署名は、全ての国に対して核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶように求める国際署名です。集められたヒバクシャ国際署名は、国連総会に2020年(平成32年)まで毎年提出されます。  さきの本会議で、松原区長も署名して、核兵器のない世界を目指す立場を大田区の内外に表明することを求めましたが、松原区長は、核兵器禁止条約のことについて述べながら、一方、「日本政府は、これまで核兵器のない世界を目指し、核兵器保有国と非核兵器保有国とが合意できる核兵器不拡散条約のもとに、毎年核兵器廃絶決議案を国連総会に提出するなど、実践的な取り組みを着実に進めており、区としては現実に即した取り組みと理解しております」と、このように答えました。  それで、このように日本政府の進めている立場を、現実に即した取り組みで理解していると答弁されています。つまり、このことは、日本政府は核兵器禁止条約に背を向けていますが、その日本政府の立場と同じと理解していいですか。お答えください。 ◎玉川 総務部長 核兵器に関しましては、本会議においても区長が答弁しており、重ねての答弁となります。  日本政府は、核兵器保有国と非核兵器保有国とが合意できる、核兵器不拡散条約のもとに、毎年核兵器廃絶決議案を国連総会に提出するなど、実践的な取り組みを着実に進めております。  区としましては、核兵器のない世界を目指したこうした取り組みに対しまして、現実に即した取り組みであると理解しているところでございます。 ◆大竹 委員 まず、この核兵器禁止条約と、この間、自民党が進めてきている立場というのは、全く相入れない立場です。それで、日本政府が核兵器禁止条約に反対する理由は、核保有国と非核保有国の分断を図って深めるという、こういう立場をとって、そして、その真の理由は、日本がアメリカの核の傘に頼る政策をとっているからなのですね。安倍政権は、アメリカの核抑止力、核の傘が自衛に不可欠だという立場を表明しています。日本は、自衛のためにはアメリカの核兵器の使用や、その威嚇を頼りにしているんです。  こういう立場は、核兵器の使用とその威嚇とともに、それを援助する、奨励、勧誘することも禁止した核兵器禁止条約とは、真っ向からやはり対立するんですね。  ですから、核兵器禁止の署名が始まっているもとで、今の政府に問われているのは、核兵器の非人道性を体験した被爆国として、核兵器の使用を認めるかどうかという根本的な問題、こんな日本政府と同じ立場に立つのではなくて、核兵器禁止条約の立場に立って、ヒバクシャ国際署名に署名することを求めます。改めてお答えください。 ◎玉川 総務部長 平和都市宣言を行った大田区の責務は、区民の皆様とともに平和のとうとさについて考え、次の世代に語り継ぎ、平和な世界を築いていくことであります。  大田区は、この趣旨に沿いまして、平和都市実現のため、基礎自治体として各種事業を着実に進めてまいります。 ◆大竹 委員 この間も、区長も答えておられますが、ヒバクシャ国際署名は1,155市町、これは9月2日現在です。全自治体の64.59%、東京都でも23区中、区部では8区が署名していると、こういう状況ですので、ぜひとも、こういう核兵器禁止条約の立場に、ぜひ立っていただきたい。そのことが、大田区の平和都市宣言にもつながるわけですから、そのことを改めて要望して、次の質問に行きたいと思います。  次なのですが、まず、次は2017年、平成29年度決算についてお聞きをいたします。  2017年度決算では一般会計歳入額2,556億5,385万円余、歳出額は2,454億5,524万円余、歳入歳出差引額は101億9,861万円余となりました。まず、歳入では、公共施設等の使用料の値上げによる区民負担増による収入増があるわけですが、4月から学校給食費、この値上げ、小学校低学年は月300円、高学年、中学生では月350円の値上げとなりました。また、公共施設の使用料は約8割の主要区分が値上げとなりました。さらに9月から保育園保育料で、低所得者対策が行われたものの、園児約6割の値上げとなりました。学童保育料も値上げとなりました。  そういう中で、公共施設使用料、学校給食、保育園保育料・学童保育料等、それぞれ今決算で前年度より収入増についてお答えください。 ◎市野 企画経営部長 前年度の決算額との比較についてのお答え、順次お答えをいたします。  公共施設の使用料、保育園及び学童保育の保育料につきましては、受益者負担の適正化の観点から改定をしたものでございます。公共施設のうち、改定の対象となった施設の使用料につきましては、平成29年度の使用料が2億728万円余で、前年度比2,410万円余の増となってございます。
     保育園保育料につきましては、平成29年度の保育料が28億6,043万円余で、保育定員の拡充に伴う児童数の増加などもあり、前年度比3億1,005万円余の増となってございます。  学童保育料につきましては、平成29年度の保育料が2億6,626万円余で、保育定員の拡充に伴う児童数の増加などもあり、前年度比4,600万円余の増となってございます。  なお、私費会計である学校給食費につきましては、児童・生徒に栄養バランスのとれた安全・安心な給食を今後も安定的に提供するため、金額を改定したものでございます。  平成29年度の学校給食費の収入額は、20億5,091万円余で、児童・生徒数の増や徴収率が上がったことなどもあり、前年度比1億4,436万円余の増となってございます。 ◆大竹 委員 今、話されたように、受益者負担の適正化ということで、その値上げの理由を述べています。公の施設というのは、地方自治法第244条、地方公共団体は住民の福祉を増進する目的をもって、その利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとすると。第244条の3、普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならないということであります。  ですから、使っている人と使っていない人の、この違い、これをなくすためにも、その整備こそが必要だと、私は考えております。そのことを踏まえまして、今、蒲田西地域、実際は、この4月に大田区民センターが閉館したと。それから、これによって教室ですね。それと音楽ホールも使えない。蒲田西特別出張所も6月で閉鎖、移転しましたよね。こういうことでは、ここにあった会議室も使えないという、こういう状況が今あります。  実際、こういうふうに、これは地域的にいったらそうかもわかりませんが、西蒲田地域では、いわゆる利用する公共施設などが非常に制限をされてきてしまっていると。そういうもとで、使用料の値上げ、これを行うということは、全く本末転倒だと思います。  そういう点で、その点についてお答えください。 ◎市野 企画経営部長 公共施設の改築等につきましては、利用者の利便性にも留意しながら、計画的に事業を進めているところでございます。  また、公共施設の使用料の改定につきましては、受益者負担の適正化の観点から、サービスのコストに対する負担の公平性を確保することが重要でございます。施設サービスのコストのうち、施設使用料収入で賄えない分は区民全体で負担することから、施設を利用されていない方との公平性の確保等のために、統一的な施設使用料の算定についての基本的な考え方を整理し、施設使用料を改定いたしました。その結果、改定後の施設使用料は、減額となるもの、据え置きとなるもの、増額となるもの、いずれもございましたが、25%を上限とした激変緩和措置を講じているところでございます。  今後も、施設を利用される方への影響も考慮しつつ、公共施設の更新を着実に進めるとともに、使用料の適正化に向けて継続的に取り組んでまいります。 ◆大竹 委員 そういう部分を含めて、やはり使っている人、使っていない人を含めて、十分に施設が整備されて、区民に使いやすいようにしていくことこそが区の役割だと思います。それと同時に、今言われた激変緩和で25%に抑えている施設もありますと。値上げの部分ですね。それから、原則、これから4年間ごとに見直しを行い、必要に応じて使用料の改定を行う、こういうことも述べているんです。そういう中で、本当にさらなる使用料の値上げを行わないということを、私としては、党区議団としても要望をしておきます。  次に、保育園の保育料の値上げについてです。保育園では、0歳児と1・2歳児の保育経費を比較して、0歳児の保育経費が1・2歳児の倍額かかると。0歳児の保育料を別々にしての値上げ、これは23区では初めてだということなのですが、こういう中で、今年4月の認可保育園の不承諾数は1,665人ですが、そのうち0歳児の不承諾数は何人ですか。お答えください。 ◎水井 こども家庭部長 平成30年4月の0歳の保留数、いわゆる不承諾数は624人でございます。 ◆大竹 委員 それで、保育に欠ける児童を保育する、これは自治体の役割です。児童福祉法第24条があります。ここでも、児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申し込みがあったときは、それらの児童を保育所に置いて保育しなければならない。こういうことで、本来、保育に欠ける児童を保育する役割というのは、自治体なのですよ。  そういう中で、今、まだ待機児数、全体として1,665人がいると。0歳児の待機児もいると、こういうことでは、本当に、まずやるべきことは、保育料の値上げではないのですよ。待機児解消こそが、今必要だと思います。その点についてお答えください。 ◎水井 こども家庭部長 保育料の見直しにつきましては、区議会議員、公募区民を含む検討委員会から、「限られた財源の中、社会的課題に対して、柔軟かつ的確に対応していくためには、定期的に保育料の見直しを検討する必要がある」との報告をいただきました。この報告に基づき、受益と負担の関係性を踏まえ、条例改正案を作成し、議決いただいたものでございます。  一方、保育園待機児童対策は、共働き世帯等への重要な子育て支援であるとともに、人口減少時代にあって、必要な働き手の確保という側面を有する大変重要な施策であると認識しております。  区は、平成29年度から平成31年度までの3年間で、2,100人の保育定員を増加させる当初の計画を前倒しし、昨年度は1,185人の定員増を達成し、今年度も目標に掲げている1,000人の定員増を達成できる見込みでございます。本年4月の待機児童数は、昨年の572人から322人減少して250人となりましたが、今年度の定員増により、さらに減少することが見込まれます。  しかしながら、待機児童が解消に向かう地域がある一方で、山王、大森北、西六郷地域などでは依然として待機児童が多く発生しており、今後は地域ごとの保育ニーズを見きわめながら、これらの地域に重点を置いた対策に取り組んでまいります。 ◆大竹 委員 待機児対策については、一定の評価は、私どもはしております。実際、来年度実施計画では、待機児ゼロを目標に掲げています。未来プラン10年では、今年度、平成30年度がゼロだったのですが、それを先延ばししているということなのですが、実施計画でそういうことを掲げているわけですから、ぜひ、来年度はゼロにするという、そういうところを実現することを、ぜひとも私ども、期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  さらに、小中学校の学校給食です。党区議団が昨年の第2回定例会でも提案をいたしました。学校給食費の無償化、これが全国で広がっているわけですが、その中での今回の値上げということになったわけですが、こういう中で、減額、無償化をぜひ行うことを求めたいのですが、いかがでしょうか。 ◎後藤 教育総務部長 平成30年7月に文部科学省が発表した学校給食費の無償化の調査によりますと、1,740自治体のうち、小中学校ともに無償化を実施している自治体は76でございました。このうち、人口1万人未満の自治体が56でございます。無償化を開始した目的といたしましては、給食費の無償化による定住促進策として実施しているところが多いと認識しております。  なお、区における学校給食費に関する支援は、生活保護及び学校教育法第19条の規定に基づく就学援助事業として、給食費は全額支給されておりますので、保護者の実質的な負担額はございません。  よって、区において学校給食費の無償化を実施する考えはございません。 ◆大竹 委員 憲法第26条では、義務教育を無償とすることとしています。先ほど、今現在76の市町村でやっているということでしたが、実際問題、少しずつ広がっているということを含めてあるので、ぜひ、そういう方向も検討していただきたいと要望しておきます。  それで、次は歳出の問題、不用額についてです。  前年度比45億円余の増ですね。147億円余の不用額が今決算で出ております。本会議でも党区議団は述べましたが、予算について何でもかんでも使えばいいと言っているわけではありません。区の努力により、効率的な執行、あるいは契約落差もあります。  そういう中で、福祉費は前年度比30億円余増の62億円余の不用額となりました。その中、高齢者福祉費、不用額3億円余のうち、要介護高齢者おむつ等支給事業があります。ここでは2,965万円の不用額を出しました。前年度比でも支出済額で1,173万円の減額となり、現物支給でも4,294人、約1,000万円。現金給付では210人、約170万円の減となりましたが、原因は何でしょうか。お答えください。 ◎西山 福祉支援担当部長 紙おむつ等支給事業につきましては、単に紙おむつ等を支給するだけでなく、紙おむつに頼らない生活の質の向上を目指す事業として実施するとともに、尿失禁予防の啓発にも努めております。  現在、地域包括支援センターでの介護予防教室や個別相談、地域福祉課での理学療法士による尿失禁予防教室において、軽度の方に対して一般介護予防事業の各種対象につなげております。また、介護保険認定の更新の機会を捉えまして、おむつの必要性を客観的に精査するため、原則として要介護1・2の方に対して医師の証明書の提出をお願いしているところでございます。  こうした取り組みを継続することによりまして、前年度よりも支給実績が減少したものと考えております。 ◆大竹 委員 ここでは要支援1・2の人たちについては、もう必要ないということで切ってしまっているのですよね。こういうことでは、一律に要支援を支給対象から外していると。こういうこと自体が、一般介護予防につなげるということを言っているのですが、実際、そういう乱暴なやり方だと思います。  ぜひ、必要な人については、要介護、要支援1・2も含めまして、ぜひ、継続して進めていっていただきたいということを要望したいのですが、いかがですか。 ◎西山 福祉支援担当部長 要支援1の方につきましては、激変緩和措置としまして、平成30年3月1日までの一定期間、救済措置を講じてきた経過もございます。また、さきにも触れましたけれども、区では紙おむつに頼らない生活の質の向上に向けた、各種取り組みを推進しているところでございまして、改めて支給対象とする考えはございません。 ◆大竹 委員 ぜひ、必要な人については継続するということで進めていっていただきたいということを要望しておきます。  それから、次、国保特別会計の特定健診について、お伺いいたします。今決算で受診率は何%になりますか。お答えください。 ◎浜口 区民部長 国民健康保険の特定健診の受診率でございますが、平成29年度速報値で35.9%となってございます。 ◆大竹 委員 それで、この特定健診なのですが、これは私も委員会でも述べました。聞きました。この受診率ですね。2018年度までの未来プランと、あとデータヘルス計画がありますが、未来プラン10年の後期のモノサシでは44%、平成30年度がですね。ところが、データヘルス計画では40%となっていると。この違いについて、委員会でいろいろ聞きました。なかなか明快な答弁はなかったのですが、改めて聞きます。どちらが区の目標なのでしょうか。お答えください。 ◎浜口 区民部長 未来プラン10年(後期)において、特定健診受診率の平成30年度目標値は44%としているところでございます。  特定健診受診率の現状ですが、平成26年度の実績は36.5%、27年度は38.0%、28年度は38.0%と横ばい状況となってございます。特定健診受診率の向上のため、従前より、受診期間の延長や、はがきによる受診勧奨を実施してきているところでございます。  平成30年3月に策定した、国民健康保険第2期データヘルス計画の中で表示している暫定目標値の40%は、この間の受診率を勘案し、中間的な目標として併記をしたものでございます。最終的な目標値は、未来プラン10年(後期)と同様に44%としてございます。  なお、国保のレセプトデータを分析しますと、特定健診未受診者のうち6割近くの方が生活習慣病に関連する治療のため通院をしてございます。これを受け、通院されている方々へは、区内の医療機関のご協力をいただき、かかりつけ医の検査データを健診に活用できることをご案内してございます。  引き続き、医療機関等と連携を図りながら、生活習慣病予防に対する周知啓発を行い、受診率向上に努めてまいります。 ◆大竹 委員 明快な答弁をお願いしたいのですが。  このデータヘルス計画なのですが、暫定的な計画だということでは、ちゃんと区のそれぞれの目標の整合性を本当に図っていただきたいと思っております。それぞれが違ってくると、どちらが本当の目標なのかというのはわかりません。  それと特定健診なのですが、実際23区中、平成28年度は下から数えて6番目、18位なのですよ。そういう区の到達点というのですか、受診率は非常に低いというところを念頭に置いて、やはり目標も定めながら、それに進んでいってもらいたいと思います。ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。  そういうのが、区民に身近な事業、不用額をできるだけ出さず、予算をぜひ執行していただきたいということを求めておきます。  次に、区債について質問いたします。区債は世代間の均衡を図ると、今後、老朽化の区施設の整備では、区債の発行によって財源として有効に活用する、こう監査委員の意見書でも述べられています。しかし、近年の区債発行の抑制、これがあります。  OTAシティ・マネジメントレポート(平成27年度)で、住民1人当たりの負債額の平均値は30万円から100万円であるというのが一般的な基準になっているということを言われているのですが、平成28年度は11万円となっていますが、今年度決算では負債額は幾らでしょうか。お答えください。 ◎市野 企画経営部長 平成29年度決算に基づく住民1人当たりの負債額、現在世代の負担比率と将来世代の負担比率につきましては、公会計における統一的な基準による財務書類により導き出される数値でございまして、現在、算定作業を行っているところでございます。  なお、OTAシティ・マネジメントレポートの平成27年度以前の決算におきまして、住民1人当たりの負債額の平均的な値は30万円から100万円であるなどと示しているものにつきましては、総務省方式改訂モデルにより作成した財務書類での値となります。  平成28年度決算からは、総務省の示した統一的な基準による財務書類により作成してございまして、平成27年度以前の値と平成28年度以降の値を一概に比較することは困難であると認識をしてございます。 ◆大竹 委員 いずれにしても、現在世代負担比率というのは、区債発行抑制によってますます増える一方だと。それに加えて、将来世代の負担比率というのは減少していくと。つまり、現在の世代の負担は非常に増えているというのが、今の実情だと思います。  そういうことでは、これから、いわゆる施設整備、老朽化した施設も含めて整備を進めていかなければならないと。施設自体は、これは世代間で利用するということを含めてあるわけですから、そういう中で、やはり現在の世代の負担、これと将来世代の負担の均衡を図っていくというところでは、ぜひとも適正な区債発行、これを求めておきます。  次に、介護保険について質問をさせていただきます。  この介護保険については、皆さんのところに資料として、資料1で出されているわけですが、第1期3,070円、保険料ですね。それが第7期、今年度は7,000円になりました。これは基準額です。介護保険基準額。将来的には8,300円にもなろうということまで予測がされているわけですが、今回、平成29年度決算というのは、第6期事業の最終年度になります。今回の補正で、先日補正予算が出まして、新たに5億円余が介護給付費準備基金に積み立てられました。これで、いわゆる平成29年度の決算時30億円が、大きく増えて42億円になりました。  こういう決算から見ても、介護サービスが結局は使われなかったのか。あるいは、第6期事業が、保険料の設定が高かったのか、こういうことが一応考えられるわけですが、この中で介護サービスでは今決算では歳出で、介護予防サービス等諸費が、前年度比で約7億円も減っています。その中でも給付件数、訪問通所件数が前年度比で55%しか行われていないと。それが、7億円の減となっています。  こんなに減った理由ですが、これについてお答えください。 ◎今岡 福祉部長 平成28年度より開始いたしました大田区介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる新総合事業の開始に伴い、介護予防訪問や介護予防通所等給付サービスの対象者の多くが、順次、新総合事業の訪問型サービス及び通所型サービスの利用に移行いたしました。  この移行期間を経て、平成29年度においては、介護予防サービスは給付費の多くを占める訪問通所サービスの件数や決算額は減少をいたしました。一方、新総合事業における訪問型サービスや通所型サービス等においては、地域支援事業費の介護予防・生活支援サービス費の決算額が約8億6,000万円増額しており、給付費から事業費として支出をしております。  自立支援・重度化防止に向けて、引き続き必要な方にしっかりと行き届くよう、適切なサービスを提供してまいります。 ◆大竹 委員 今定例会でも陳情が出されました。新総合事業について、おおむね1年を期限として卒業となるということから、利用者の不安を招いていると。卒業後の地域の受け皿の整備が不十分であること、あるいは、事業者側の不安として、今後の単価の引き下げや介護保険で給付されている処遇改善加算がないこと等、意見がいろいろ出されています。  事業者から、1年で卒業は疑問だと。卒業後に利用者の状況が、また悪くなるのではないかと。包括によって卒業を強制している。このような中、1年で卒業ではなく、必要なサービスは継続することを求めますが、いかがでしょうか。 ◎今岡 福祉部長 区の新総合事業は、利用者がいつまでも自分らしい生活を送り続けられるように、介護予防の取り組みを支援していくことを目的としています。  利用にあたっては、自立した生活に向けた目標を定めることにより、サービスを提供する側、利用する側が、お互いに合意し、介護予防の取り組みの効果を最大限引き出すことにつながることと考えております。  多様な受け皿づくりということについては、シニアステーション事業に加え、平成30年度からは老人いこいの家全館で元気アップ教室を開講するなど、要支援者を含む介護予防の通いの場の拡充に取り組んでおります。  事業者報酬単価の設定については、処遇改善加算の件も含め、国の定めた利用者負担割合等を勘案し、事業者との協議を重ね、合意形成を得ながら設定したものでございます。区は、区民に新総合事業をわかりやすくお伝えするため、様々な媒体で取り組んでいるほか、地域包括支援センターの個別の相談支援を通じて、利用者に適切に対応しております。  地域包括支援センターを中心とする居宅介護支援事業者に対しても、新総合事業における適切なケアマネジメントの研修を継続的に実施し、対応しております。 ◆大竹 委員 私が言ったように、1年で卒業だと期限を切ってサービスを切ることがないように、ぜひ、必要なサービスは継続して進めるんだという、そういう立場で行うことを求めておきます。  それで、あと、介護保険料との関係で、次は質問したいと思います。  第6期事業は終わりました。それで、第7期事業が始まって、保険料を下げるために第7期事業で、これは予算のときに聞きますと、18億円の基金を入れたということなのですが、これで第6期事業、30億円の全体的な積立基金があったと。なぜ、全額入れなかったのでしょうか、お答えください。 ◎今岡 福祉部長 介護給付費準備基金は、介護保険財政の均衡を保つために設置するものであり、給付実績に応じて必要な保険料収納額が不足する場合には、この基金を活用して対応する必要があります。  さらに、団塊世代全ての高齢者が75歳以上となる2025年の保険料水準を見据えた場合、基金の活用等により急激な保険料の上昇を抑制するためにも、基金の確保が必要です。  引き続き、介護保険事業の健全で安定的な運営と、制度の持続可能性を確保する観点から、介護給付費準備基金の適切な運用に努めてまいります。 ◆大竹 委員 毎回、そのようなことを言って、給付費が足りなくなるんだということを言うのです。これは、第1期から第6期まで、この間行われてきたわけですが、基金残高第1期は18億円、第2期は19億円、第3期は27億円、第4期は15億円、第5期は13億円、第6期が30億円と。先ほど言ったように補正で12億円プラスということになります。  決して、そうは言いつつも、足りなくなったことはありません。ですから、保険料を下げるために本当に必要な基金は繰り入れて、それで避けていただきたい。要望しておきます。  それから、これは予算のときにも言いましたが、一つは保険料設定については、低所得者対策と。それと、もう一つは高所得者に対する負担、応能負担を、これを進めていくということは非常に大事だと思います。  今回、今年度、第7期事業では、10段階以上の保険料については、基準額から割合を上げました。そういう面では評価したいのですが、私も千代田の例を出して、予算のときにも言いましたが、さらなる低所得者対策と応能負担、これを求めておきますので、よろしくお願いをしたいと思います。  次にいきます。公共施設の使用料について、お伺いしたいと思います。  それで、公共施設についてなのですが、公共施設の床面積を10%削減するという計画が出ました。これを、ぜひとも私は、長寿命化計画で公共施設の整備を進めてもらいたいと。10%削減ではなくてですね。  それで、まず、基準をどこに置くかという、こういうことで、この公共施設整備計画について、今後の計画についても、平成21年から30年までの公共施設整備計画、これが一つの基準になっているのですが、この公共施設計画、10年間の平均値、これは95億円と。インフラ整備では、直近5年間の平均23.2億円、これを上げています。  こういう中、今回の計画の基準値というのが、公共施設の10年間で、ちょうど今年で最終年度、平成30年度になるわけですよね。この間の、いろいろと整備の積み上げがあると思うのですが、それぞれ公共施設の整備、インフラ整備に、どれだけの財源を使っているのか、お聞かせください。 ◎市野 企画経営部長 公共施設等の整備に要した平均の金額でございますけれども、平成30年度につきましては、会計年度の途中でございますので、平成21年度から29年度の9年間に要した経費ということで、お答えをさせていただきたいと存じますが、公共施設の整備に係る年平均額は約101億円、道路・橋梁・公園の維持更新に係る年平均額が約24億円となってございます。 ◆大竹 委員 それで、先ほど言ったように、これからの整備計画については、95億円が基準になっているんですよ。今、何か101億円と言っているのですが。そうすると、大分変わってきますよね。  こういう中で、この基準額に基づいて、結局、今回、いろいろと出されている中身があります。この基準額、95億円を基準にして134億円、これから平均かかります、45年間にかかりますと言って、それで、この表があるのですが、資料の2−2というものですが、この134億円、これが基準ですと。それと、この10年間、95億円。今言ったのは101億円だというので、101億円だと、またこれが変わってくると思います。  そういう中で、長寿命化で131億円が、118億円まで下げていこうということを、まず第一段階として出しています。それから、さらに資料の2−3、複合化、これによって、さらにこれを下げていこうと。95億円に近づけようと。さっき言った101億円だと、また違うけどね。そういうことで、これでも足りないと、95億円に。  そうしますと、これを、今度は面積を縮めなくてはだめだということで、そこから出てきたのは2050年までにおおむね1割程度の床面積の削減を図っていきますというのが、今回の適正配置方針であります。  そういうことになっているわけですが、そういう中で、私はぜひとも、この長寿命化を、ぜひ進めていっていただきたいと思います。複合化について、これを進めようということも書いてあるわけですが、複合化にはいろいろ問題があります。まず、複合化というのは、長寿命化に、やはり逆行するものであると。  例えば、志茂田小学校、これも複合化をやりました。そのために区民センターの福祉センター、これをあわせてやりました。これで複合施設になって、大田区民センターの福祉センターは築48年です。志茂田小学校・中学校、築59年ということになりますね。今、中学校をつくっていますよね。入新井第一小学校は築60年で、これに男女平等推進センターこれは築41年、入新井老人いこいの家、築41年ということで、比較的築年数の短い施設も一緒になって複合化してしまおうということで、これまたなっていると、こういう状況。ですから、複合化によって改築が余儀なくされていると、こういう状況があります。  それから、やはり大きな、大型化では、区内業者から仕事づくりにもなっていかないと。それから、公共施設の地域での役割があります。身近な公共施設がなくなっていくということですよね、複合化によって。そのことによって、身近な防災拠点もなくなっていくのだと。だからこそ、地域に公共施設を分散して配置することが本当に望ましいと思います。学校については、やはり学校独自の役割があるということを含めてあるので、そういう部分で、学校は学校でつくっていくと。  こういうことでは、本当にこの複合化、区民の利益に反するのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。お答えください。 ◎市野 企画経営部長 将来を見据えて、安定的かつ計画的に公共施設を適正に配置し、利便性の一層の向上に努め、良質なサービスを提供していくことは重要なことであると認識をしてございます。  大田区公共施設適正配置方針では、効果的・効率的な施設マネジメントによる区民サービスの維持・向上の実現を図るために、地域ごとの将来のまちづくりを見据えた、施設の適正配置の実現や、施設重視から機能重視への転換による施設の集約及び有効活用など、五つの基本的な方針を定めてございます。  また、公共施設は、区民の方に身近にご利用いただく施設でありますので、その機能性や快適性、利便性、アクセス性など、時代の変化に対応し得る様々な視点からの整備が必要になると考えてございます。  区といたしましては、施設の建て替え、長寿命化改修など、様々な手法から最適な手法を選択いたしまして、引き続き、地域の実情にあわせながら、公共施設整備を総合的な判断で進めてまいりたいと考えてございます。  なお、学校施設につきましては、大田区公共施設等総合管理計画に基づきまして、児童・生徒の良好な教育環境の確保を最優先としつつ、子どもたちの学習環境の多様性や、新たな学びにつながる取り組みを進めているところでございます。  引き続き、容積等に余裕がある学校施設につきましては、行政ニーズなどを踏まえ、複合化も視野に入れた有効活用について検討してまいります。 ◆大竹 委員 先ほど言ったように、複合化というのは、地域の施設が複合化されていくわけですから、集約されてね。だから、地域に分散して今まであった施設が一つになってしまうというのが複合化なのですよ。そのことが、いろいろな問題点があるということを指摘しておきます。  それで、長寿命化、今も長寿命化のことを言われました。答弁されました。長寿命化と言いながら、これは、そうなっていない。言葉の上ではそうなっているかもわかりませんが、もっともっと私は長寿命化をやってもらいたいということで、資料の2−4、私ども、川崎市に行って聞いてまいりました。川崎市の長寿命化について、この資料2−4、ここに出されています。
     川崎市では長寿命化が行わなければ、今後20年間平均で年423億円かかりますと。これを、まず第1期としまして、大規模な施設について、まずは取り組んでみようということで試算したと。そうしますと、20年間平均で398億円、423億円に対して94%になりましたと。6%削減されたと。  さらに、今度は全ての公共施設について長寿命化しようということで試算されたのが、一番下の図です。20年間平均で255億円、全体として423億円の6割になってしまったと。こうやって、実際やっていると。川崎市ではこういうことですから、人口も減らないのに施設の削減なんて考えておりませんというのが担当者の声でありました。  それで、大田区でも、長寿命化について、小中学校について、この適正配置方針では書かれています。約68%が可能施設としてあると。やはり、限られた施設でも長寿命化があると。それと、あと具体的な学校名も書いておりません。今、私が知っている範囲では、現在の長寿命化をやるのは蒲田西特別出張所ということになっているのですがね。こういう中で、長寿命化すれば床面積10%削減はしなくてもいい。逆に、長寿命化によって施設整備費を下げて、公共施設を確保すると。ぜひ、そのようにやっていただきたいと考えるわけですが、いかがでしょうか。 ◎市野 企画経営部長 公共施設の整備にあたりましては、バリアフリー対応や利用状況に応じた適切な機能の配置、また、利便性の一層の向上や地域課題の解決、さらには管理・運営面における経済性や効率性などを総合的に判断しながら整備手法を決定しているところでございます。  こうした中、改築ではなく長寿命化工事を行った場合、各施設によりまして施工時の状況や、その後の使用状況及び立地環境が様々であることから、耐用年数は異なってまいります。  このような様々な検討の結果、現在は旧蒲田西特別出張所庁舎のほかに、田園調布富士見会館におきまして、長寿命化計画に向けて取り組んでいるところでございます。  区といたしましては、今後も、大田区公共施設等総合管理計画に基づき、地域の実情なども踏まえつつ、公共施設の適正配置を進め、将来を見据えた持続可能な公共施設の整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。 ◆大竹 委員 長寿命化をやっていると言いながら、西蒲田特別出張所と田園調布富士見会館だという話になって、具体的な名称になると、こういう形になってくるわけですよ。  本当に、そういう部分では、この長寿命化を進めると。やはり、そのためには体制ですね。資料2−5で、その川崎市の体制について書かれて、私も聞いてきて、やはりそれを進めるためには、その体制はやはり必要なのだと。  長寿命化推進担当というのを置いています。これは、あくまでも、まちづくり局施設整備部というところの部なのですが、ここで担当課長、長寿命化という形でね。やはり、専門職がやっているんですね。建築、電気、機械。これでは、一応17名ですかね。この体制をとって、専門職がこれを担って。それで、日夜、長寿命化、これを検討しているという、こういう状況があります。  やはり、それを進めていくためには体制の整備が必要なのですよ。大田区ではどうかと聞きたいところなのですが、ぜひ、体制整備、これを、ぜひ進めていっていただきたいということなのですが、つくるべきだと考えますか。いかがでしょうか。 ◎市野 企画経営部長 公共施設は、劣化度の状態、公共施設の配置状況、さらには地域の課題などによりまして、様々な環境の中にあることから、その整備手法は総合的に判断されるべきもので、特定の手法のみを用いて対応するという考え方は適切ではないものと考えます。  こうした中、本区における公共施設の整備につきましては、改築や長寿命化など、施設ごとの状況に応じた検討を、企画経営部施設整備課が庁内調整を行いながら、丁寧に進めているところでございます。  また、整備を進めるにあたりましては、大田区公共施設等総合管理計画に基づき、複合化や集約化などについても検討し、効果的・効率的な施設マネジメントによる区民サービスの維持・向上の実現に向けて取り組んでございます。  引き続き、様々な角度から区民の利便性の一層の向上に資する公共施設の適正配置を進め、将来を見据えた持続可能な公共施設の整備に取り組んでまいります。 ◆大竹 委員 様々な検討を進めるためにも、やはりその体制を組まない限りは、様々な検討はできないわけですよ。そういう面でも、この専門職による長寿命化推進担当という形の部署をつくって、積極的にこれを進めていくことが、持続的な区政につながっていくのではないかと思っておりますので、ぜひ、その検討をお願いしたいと要望しておきます。  次に、時間もあれですので、体育館の冷暖房化、これについて質問をさせていただきたいと思います。  それで、今回、定例会で各会派からも体育館の冷暖房化について質問がありました。それに対して区長は、今年の夏は命の危険を及ぼすレベルの暑さであるということを言いながら、今後、これらの導入効果の検証に加えて、その他の仕様についても、後年度の維持管理コストや空調効率の観点で検証し、区の実情にあった対策を検討してまいりますと、前向きに答えているわけですが。  まず、この今回、試験的に導入している志茂田中学校の地熱、それから調布大塚小学校と、大森第一中学校でスポット型、一応、皆さんのところに、資料3−1でスポットバズーカというのが入れられております。それぞれ入れられているわけですが、それぞれの設置にかかった費用、幾らであったのか。また、ランニングコストは幾らだったのか。さらに、国の補助金はあったのか。このことについて、お答えください ◎後藤 教育総務部長 改築工事で導入した志茂田中学校の地熱方式の設置費については、約1,500万円。スポット型につきましては、リースで導入しておりまして、設置、撤去及び保守点検費込みの2022年度までの5年間の総額となりますが、調布大塚小学校は約1,700万円、大森第一中学校は約2,000万円となっております。  ランニングコストは、導入検討時の電気料の試算では、地熱方式では一月当たり約6万円、スポット型では、調布大塚小学校が一月当たり約8万円、大森第一中学校が約11万円となっております。  また、設置に対する国の補助制度でありますが、地熱方式の志茂田中学校は、改築時にあわせて設置したため、補助率2分の1の改築負担金の対象となっております。一方、スポット型は、今回はリースで設置したため、補助対象外となっております。 ◆大竹 委員 一応試験的に入れていると。他区の状況も、いろいろ私も調べてみました。教育委員会でもいろいろと調べていると思います。もし、調査していたならば、その調査の内容についてお知らせいただきたいのですが。あまり長くなくて、短く、ちょっとお答えください。 ◎後藤 教育総務部長 他区の状況でありますが、学校体育館の空調化は都心部の区を中心に整備が進んでおります。  中央区では小学校16校、中学校4校、全校でガス方式による空調機を設置しております。台東区では、小学校19校、中学校7校のうち小学校2校を残しまして、ガス方式で空調機を設置しております。この中央区と台東区につきましては、多くの学校体育館が、独立した建物ではなく教室棟に設置されている、いわゆる重層型の体育館となっております。  また、文京区では、小学校20校、中学校10校の全校で、スポット型の空調機を設置しております。こちらにつきましては、体育館の改築、または大規模改修までのリースと聞いております。 ◆大竹 委員 私も、台東区を一応調査しました。それについては、資料の3−2に出ています。ガスで、先ほど今、部長が言われましたとおり、26校のうち24校の小中学校でつけているということで、これはガスによるものです。  これを見てわかりますとおり、バスケットボールがぶつかっても大丈夫なようになっているということで、ガスの冷暖房機導入に、1校当たり1,600万円から2,500万円かかると。使用頻度によって違うわけですが、耐用年数は15年以上と。それから、ランニングコストは、年間約30万円ぐらいだろうと。プラス5万円の保守点検費だと。工期は1.5か月から2か月。国庫補助は、設置型ですから7分の2で、約1,600万円の事業費だったところで300万円の補助が出たそうです。それで、あと、断熱していないと厳しいのではということでは、しなくても効果があると。だけど、したほうが効果が大きいということでした。  リースという声もあったのだけど、設置費用とランニングコストを合わせて検討して工事としたと。何よりも、夏もそうだけれども、冬も非常に喜ばれているという、そういうことも話されていました。  こういうことで、コストの面から、電気ですと一定の容量がなければ、変電設備の変更が要るということも聞いております。ですから、やはり、ガスがやはりいいのではないのかなと思ってはおりますが、コストの面からも、設置でぜひ考えていただきたいと思いますが、どうでしょうか。お答えください。 ◎後藤 教育総務部長 体育館の空調化、特に暑さ対策にあたっては、初期の設置費や後年度の維持管理費などのコスト面での検討のほか、既存の学校体育館の屋根や壁などの材質や構造による空調効率を踏まえた対応が必要と考えており、同じ手法や同じ機器といった一律の対応は難しいと考えております。  今後、具体的な検討にあたりましては、設置に伴う国や東京都の補助金活用を十分踏まえた上、改築校や、現時点で改築が予定されていない既存校のそれぞれの状況に合わせ、スポット型も含めた効率的で効果的な対応策を検討してまいります。  なお、スポット型についても、リースではなく購入・設置する場合は、補助の対象となります。 ◆大竹 委員 都議会でも、一昨日、公立小中学校に、先行して補助金を出すということが報道されていますので、ぜひ、それを使って進めていっていただきたい、このことを要望して終わります。 ○鈴木 委員長 次に、無印、質疑願います。 ◆三沢 委員 たちあがれ・維新・無印の会の三沢清太郎です。ありがとうございます。会派を代表して総括質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  冒頭、今年も、様々な大規模災害が各地で発生し多くのとうとい命が奪われました。ここに哀悼の意を表するとともに、今も避難所生活を余儀なくされております方々が、一日も早く平穏な日常生活に戻れるよう深く祈念をいたします。また、台風24号が強い勢力で近づいております。あす、あさっては大田区内でも様々なイベントがございます。私の子どもの運動会もございます。また、そういったものも含めて、大きな被害が起きないことを祈っております。  防災・減災対策については、後ほど改めて質問させていただくことといたしまして、平成29年度の決算についてお伺いをいたします。  平成29年度の決算は、一般会計歳入総額2,556億5,385万円余、歳出総額2,454億5,524万円余、歳入歳出差引額は101億9,861万円余の黒字となりました。  まず最初にお聞きしたいのが、一般会計の決算では、平成25年度から平成27年度まで3年続いていた100億円以上の歳入歳出差額がありましたが、昨年、平成28年度は70億円と改善をされておりました。しかし平成29年度、再び100億円以上の差額が発生した、その理由を教えていただけますでしょうか。 ◎市野 企画経営部長 各年度の歳入・歳出予算につきましては、国や他団体の状況、社会経済状況等を考慮し、区民福祉の向上のために、最小の経費で最大の効果を上げるよう適切に見積もりをした上で、予算編成をしているところでございます。  平成29年度予算では、四つの重点課題を設定し、特に優先的に予算を配分し、各種事業を推進してまいりました。また、年度途中におきましても、状況の変化に速やかに対応するため、補正予算を計上し、災害復旧対応や待機児童対策など、区政を取り巻く諸課題に積極的に取り組んでまいりました。  一方で、生活保護費につきましては、約17億円の不用額が発生するなど、既定予算の確定後の見込みが困難な事業も存在すると考えてございます。そのほかにも、各事業における執行努力の結果により減となったものや、契約差金などにより不用額が一定程度発生するものと認識をしてございます。  今回の決算を踏まえ、財政部門と各部局における情報共有を密にし、不用額の実態把握に努めるとともに、年度途中における決算見込みの分析を深化させながら、将来の行政需要に備え、基金への積み立てをするなど、今後も適切な執行管理に努めてまいります。 ◆三沢 委員 自治体会計は予算段階で歳入と歳出は同額であり、赤字も黒字もありません。自治体会計が黒字になっても納税者へ税金が還元されたり安くなったり、区施設の利用料が値下げされたりするようなことはありません。予算の段階で決めたことは極力計画に基づき執行するほうがよいという側面もあることを指摘させていただきます。  内容を見てまいりますと、景気回復の影響や人口増もあり、特別区税は昨年度に引き続き税収増となりましたが、特別区交付金は昨年度と比べて減少となりました。  この特別区交付金が減少に転じた理由を教えていただけますでしょうか。 ◎市野 企画経営部長 特別区交付金は、都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡化を図り、特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保することを目的とし、特別区が等しくその行うべき事務を遂行できるよう、法に基づき、区に交付されるものでございます。財源につきましては、都税として徴収する調整三税に一定の割合を乗じて得た額が、23区全体への交付金の総額となります。  特別区交付金のうち、普通交付金は、特別区ごとに基準財政需要額、基準財政収入額を算定し、基準財政需要額が基準財政収入額を超える特別区に対して、その超える額が交付されるものでございます。  特別交付金は、普通交付金の額の算定期日後に生じた災害等のための特別の財政需要があり、または財政収入の減少があること、その他、特別の事情があると認められる特別区に対し、当該事情を考慮して交付されるものでございます。  普通交付金は、平成28年度に比べて約34億円の減額、特別交付金は、平成28年度に比べて約12億円の増額となり、その結果、特別区交付金の決算額は約22億円の減額となりました。これは、基準財政需要額において、投資的経費が減額となったことによるものでございます。  投資的経費が減額となった主な理由といたしましては、平成28年度に限り、公共施設の老朽化に対応するため、施設の改築・改修経費の算定改善として、臨時的改築工事費が追加算定されたことによるものでございます。 ◆三沢 委員 次に歳出に目を向けますと、福祉費と教育費の支出が年々増え続け、全体における構成比率がどんどん高まってきております。  待機児童解消に向けた認可保育所等の整備や、高齢者対策、障がい者対策など行政需要の拡大は大きく、今後ますます肥大化していくことが予想されます。  その中でも、福祉費は肥大化の一途をたどっております。構成比率も年々高まっていることから、このまま推移をすれば、人口減少に転じた際に財政をさらに圧迫することは火を見るよりも明らかです。  この点につきまして本区として今後の推移と対策についてどのようにお考えかお聞かせいただけますでしょうか。 ◎市野 企画経営部長 区におきましては、社会経済状況や人口構成の変化等により、中長期的に見れば、保育園の運営など子育て関係の経費や、介護サービスなど高齢福祉関係の経費を中心とした福祉費の増加が、今後の財政運営上の課題の一つと捉えてございます。  これらの対応にあたりましては、区民生活の課題解決に向けた施策を着実に進めつつ、財政負担を軽減する視点が重要です。  区はこれまで、生活保護受給者を対象として、ハローワーク大森との連携や、就労専門相談員による個別支援など、就労支援プログラムをはじめとした様々な取り組みを進めてまいりました。  また、生活保護に至る前の段階の自立支援として、生活再建・就労サポートセンターJOBOTAにおいて自立相談支援事業・就労準備支援事業などを実施し、生活困窮者を対象とした各種支援を行ってまいりました。  さらに、広く区民生活の質の向上を図りつつ、持続可能な介護及び医療制度の確保に資するための取り組みとして、大田区元気シニア・プロジェクトをはじめとした、元気高齢者対策や国保データヘルス計画を推進してまいりました。  平成29年度は、引き続き、おおた子どもの生活応援プランに基づく子どもの学習支援事業など、「すべの子どもたちの将来が、その生まれ育った環境に左右されず、自分の可能性を信じて未来を切り拓く力を身につけられる社会の実現」を目指す取り組みも強化しているところでございます。  こうした取り組みを通して、今後も引き続き、区民生活のより一層の向上と健全な財政運営の両立に努めてまいります。 ◆三沢 委員 社会福祉費、障害福祉費、高齢福祉費、児童福祉費、生活保護費、どれをとっても喫緊の行政課題に対応する費用です。そう簡単に削れるものではございません。  そうなると、ほかに歳出抑制への取り組みと新たな歳入を確保する必要がございます。まず、歳出を抑えることについて考えたいと思います。  歳出を抑える上で、公共施設の維持管理経費の削減を着実に実施していくことは、有効な手段であると考えます。中でも、学校施設は本区公共施設に占める延べ床面積の割合が5割近くを占め、老朽化も著しいことから、計画的な建て替えが進められてはおりますが、今一歩踏み込んだ対策ができるのではないかと考えております。それが、学校プールの民間プール利用への転換です。  ご存じの方も多いかと思いますが、この取り組みは既に千葉県佐倉市で実施されているものです。きっかけは、東日本大震災後に従来以上の節電が必要となり、佐倉市は様々な施設の電力使用状況などを調べたところ、学校プールの消費電力量が多いことが判明したそうです。調査によれば、小学校では6月と7月、中学校では6月、7月、8月の電力消費量が、生徒がいない夏休み期間を含むにもかかわらず、ほかの月より多く、その原因はプールの循環ろ過ポンプを24時間連続運転していたためだと、突きとめたそうです。この意外なデータの発見が、本当に全ての学校にプールは必要かを考え直すきっかけにつながったそうです。  民間プールを利用することによって生まれるメリットは様々ございます。学校の教師に加え、民間プールの指導員も水泳指導にあたるため、泳力がついたと児童や保護者に好評なこと。保護者からは、予定が天候に左右されないことや我が子の盗撮などの心配がないこと。学校関係者からは、安全管理面での教員の負担が軽減されること。水質や水温、衛生管理などの面で安定した環境で授業ができること。民間プール側からすれば、利用客が少ない平日昼の時間帯にサービスを提供できることなどが挙げられます。さらには、運動場が狭い学校では、プール跡地を新たに小さな運動場としてミニバスケなど利用できるようにしたことも児童に好評だそうです。  そして、肝心かなめの維持費についてですが、佐倉市内34校にある小中学校のプールを全て撤廃すると、従来どおりにプールを維持管理し、老朽化すればつくりかえる場合と比べて、30年間のライフサイクルコストは、現状維持の場合の31億1,000万円に対して17億5,000万円となり、13億6,000万円、約44%削減できる試算が出たそうです。  授業のコマ割りを見直したり、生徒が全員乗れるバスの手配したりなど、考慮すべき点は多々ありますが、佐倉市も全ての小中学校のプールをなくすことは現実的ではないことは十分に理解をしており、試算どおりのコスト削減効果が生まれるとまでは考えていないそうです。しかし、公民連携の新しい手法として、本区も検討する価値はあると考えております。  この案に関しまして、本区の見解をお聞かせいただけますでしょうか。 ◎後藤 教育総務部長 区立小中学校では、6月から9月にかけて、1学級当たり10時間程度、体育の授業で水泳指導を実施しているほか、夏休み期間中も、夏季特別指導や部活動でプールを利用しております。そのため、夏の期間は、一定の水質を保つため、連続した循環ろ過が必要となります。  ご提案の民間プールの活用ですが、施設活用面や教員の負担軽減などのメリットの一方、導入にあたっては課題があると考えております。ご紹介された佐倉市には、8月に関係部局と佐倉市立根郷中学校を視察し、その際、民間プールの活用に関しても、佐倉市教育委員会の方からお話を聞かせていただきました。佐倉市での民間スイミングスクールの活用は、小学校23校、中学校11校あるうち、平成25年度、26年度に小学校で各1校ずつ、計2校で開始されております。その後、中学校での活用は行わないとの方針となり、当初のコスト効果が期待できないなどの理由から、現在まで導入校は増えておりません。  また、佐倉市では民間プールへのバス移動は片道20分程度で、90分の指導プログラムに前後10分程度の着がえの時間を設け行われておりますが、本区におきましては、全校展開を想定した場合、学校数も多く、交通量が少なく道幅も広い佐倉市とは異なり、移動時間や各学校のカリキュラムの編成などが大きな課題になると考えております。  いずれにいたしましても、区立小中学校のプールにつきましては、限られた学校敷地の有効活用や学校用途に限定されている稼働率の低さ、維持管理コストや教員の負担など、様々な管理運営上の課題があると考えております。  今後も、区の現状にあった効率的な学校プールのあり方を研究してまいります。 ◆三沢 委員 今、お話いただいた2校という話は聞かせていただいておりました。できない理由って、挙げることは幾らでもできると思うのですけれども、やはり近接している学校で、例えば、小中学校が近接している地域とかもございます。そんなところで、プールの共同利用であったりとか、いろいろな観点から模索することはできるかと思いますので、一概にだめだと決めつけることなく、いろいろな観点から検討いただければと思います。よろしくお願いします。  次に、歳出抑制をスマートワークの観点から考えたいと思います。  松原区長は、平成29年2月1日、区民サービスのさらなる向上と、職員のワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、大田区スマートワーク宣言を行いました。時間を常に意識し、業務の効率化と事務事業の見直しを行うことで、より効率的で効果的な仕事につなげ、ひいては区民満足度の向上を図ることを目的としており、自治体で初めて積極的に働き方改革に取り組まれた松原区長のリーダーシップには、深く敬意を表します。  しかし、働き方改革に終わりはありません。常に時代に合わせてブラッシュアップをしていく必要がございます。昨今は、アクティビティー・ベースド・ワーキング(ABW)という概念がオフィス環境に取り入られるようになってきました。ABWは固定席を設けないので、フリーアドレスと似ているとも言われております。働く人々が、オフィスに限らず、自由に場所を選択して働けるようにすることで、よりクリエイティブな成果を促す仕組みがABWです。  例えば、1人で集中して企画書を作成したいときは、静かな個室で作業する。企画案を上司に見せて意見を仰ぎたいようなときは、ファミレス風のソファテーブルで話し込む。同僚と雑談したり、情報交換したりしながら仕事をするときは、チームが集まったテーブルで仕事をする。昼食の後のぼーっとしやすい時間や気分転換が必要なときは、スタンディングデスクのあるエリアで立って仕事をする。静か過ぎず、ちょっと刺激のあるところで仕事がしたければ、オフィス内のカフエカウンターでコーヒーを飲みながら仕事をする。こんなふうに、集中スペース、協業エリア、チームで働くワークテーブルと、多彩な環境が整備されフレキシブルに選べるのがABWオフィスです。  本区の仕事に目を転じてみると、どうでしょうか。打ち合わせや外出時以外は、基本的に決められた自席で仕事をする従来型のデスクワーク環境が続いていると言えます。そのこと自体は決して悪いことではありません。しかし、一人ひとりの仕事内容に目を向けてみると、昔と今ではかなり趣が異なってきているのではないでしょうか。昔は定型的な単純作業の仕事量が多かったと思いますが、今は企画や調整のような仕事の割合が増えてきているのではないでしょうか。  私がサラリーマン時代に勤めていた会社では、1990年代の後半からABWに近いワークスタイルを取り入れていました。その当時はiWorkやフレキシブルオフィスとも言われたりしました。社員はICチップが埋め込まれた社員証カードを携帯し、オフィスの入退室やシンクライアント端末やプリンター複合機のアクセスに社員証カードを利用しました。社員証カードが一枚あれば、どのシンクライアントでも直前の作業環境から仕事を継続できることから、電車移動して別オフィスに移動しても、海外本社に移動しても、直前の作業環境を継続できるようになりました。  1人で企画書作成をするための個室ブース、部署横断的にブレイン・スウォーミングをするためのスタンディングミーティングスペース、商談用のミーティングスペース、コーヒーやドーナッツを楽しみながら雑談するためのコーナー等々がオフィス内に整備され、どこもが自分の作業環境でした。  この作業環境を実現することで、ワーク・ライフ・バランスに劇的な変化をもたらすだけでなく、年間約3億円の電気代を節減し、約80億円の不動産関連経費を抑え、ペーパーレスにも寄与することができました。  私は、このABWという概念を本区でも取り入れることが、大田区のスマートワークをさらに加速推進し、業務効率を高めるのみならず、不動産関連経費や電気代を抑制することにもつながると考えております。約20年前で今述べたような環境が整備できたのですから、今日では、ハードウエアベースでもソフトウェアベースでも、相当にきめの細かい本区の作業環境に適したABW環境を導入できるはずです。  ちょうど茨城県では、都道府県レベルで初めて、これまで紙文書で占められていた県庁の決裁事務の電子決裁率がほぼ100%に達したことを発表しました。電子決裁のメリットは、文書ファイルの検索・再利用が容易となる、ペーパーレス化で書棚スペースを削減できる、出張先など庁外でも決裁作業ができるため在宅勤務を進められる、文書保管後の書きかえができなくなり改ざんを防げる、などが挙げられます。  公務員特有の文書主義という大きな壁があるかと思いますが、茨城県のような新しいIT技術もABWに取り入れることで、抜本的なスマートワーク改革は実現できると考えております。  特に、自治体初のスマートワーク宣言を高らかにされた松原区長の高いご見識と行動力があれば、区長としてのレガシーを創造し、後世に残すことができる大切な事業となり得るはずです。  本区の見解を、お聞かせいただけますでしょうか。 ◎市野 企画経営部長 職員が働きやすい環境を整備し、生産性を向上していくことは、働き方改革を実現する上で重要な要素であると考えてございます。  特に、ICT業務環境につきましては、職員の働き方の基盤となるものであり、新たな技術が次々と開発される高度情報化社会においては、いかにその有効性を見きわめ、効果的に活用していけるかが肝要であると認識してございます。  一方で、各部署が求める業務環境も多種多様であることから、環境の大幅な変更・改善にあたりましては、実際に業務を行っている職員の声も踏まえた上で、課題を整理し、解決するための手段を全体最適の視点から判断していくことが求められてまいります。  委員お話しのアクティビティー・ベースド・ワーキング、いわゆるABWにつきましては、いつ、どの場所で仕事をするのが最も効率的か、働く人が自分で決めることができるものであると認識をしてございます。  先進的な仕組みを導入している民間企業や他の自治体における成果などについても調査し、参考としながら、引き続き区民サービスのさらなる向上と職員のワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、働き方改革に取り組んでまいります。 ◆三沢 委員 スマートワークは、単にハード面を整えればすぐにできるというものではありません。働く方々、一人ひとりの意識改革が必要となります。  超少子高齢化社会を迎えている我が国において、各自治体は継続的な発展を遂げ続けるために、必死になってみずからの存在価値を高めようとしている昨今、大田区が未来を生きる子どもたちにも選んでもらえるまちづくりを実践していく一つの手段として、このABWも検討の俎上に載せていただくことを期待し、次の質問に移らせていただきます。  次に歳入を確保する観点から質問させていただきます。  私は、平成30年度第1回定例会の場におきまして、京浜港の国際コンテナ戦略港湾機能のさらなる強化、臨海部のアクセス強化、統合型リゾート(IR)誘致、蒲田駅前建物のボリュームアップの必要性について訴えをさせていただきました。  今回は、そのときから比べるとグッとスケールの小さな話にはなるのですが、バナーフラッグ設置について質問をさせていただきます。
     大田区が誇る施設の一つに、大田区総合体育館がございます。地元プロバスケットボールチームの試合に始まり、ボクシングの世界タイトルマッチやプロレスの興行が行われる、日本のスポーツシーンになくてはならない存在となっております。体育館は建て替えによって、どの観客席からも試合がとても見やすくなり好評となっております。私もバスケットボールや格闘技の試合でいつも楽しませてもらっている1人です。  しかし、体育館から一歩外に出てみるとどうでしょうか。何の試合が行われているのかを伝える媒体がとても少なく、体育館内の熱気が外部にまで伝わっているとは、とても言えない状況となっております。  そこで提案をさせていただきたいのが、バナーフラッグ設置についてです。  大田区総合体育館に向かう主な交通手段は、京急蒲田駅と梅屋敷駅からの徒歩となります。そして両方の駅ともに、大田区総合体育館にたどり着くためには、国道15号を使います。この区間に街路灯フラッグを設置することができれば、周囲への認知度が上がり、地域との連帯感が生まれることでしょう。さらに、街路灯フラッグを近隣商店街にまで展開すれば、商店街の活性化も期待できます。フラッグ広告を出すスポンサーにとってみても、地域密着の推進、低コストでの告知、短期間での集客などが期待できます。  あわせて、大田区総合体育館の屋上スペースもバナーフラッグ設置に有効活用できるのではないかと考えております。国道15号を走る車からは体育館の屋上はほとんど見えないかもしれませんが、京浜急行線の乗客の視界にはしっかりと入ります。  これら、バナーフラッグ設置によって大田区には広告収入が入ります。スポンサーにとっても、商店街をはじめとする大田区民にとっても、三方よしのスキームができると考えておりますが、本区の見解はいかがでしょうか。 ◎木田 観光・国際都市部長 区内施設を活用した競技大会やイベントの告知にあたり、バナーフラッグ等を区立施設に掲出することは、新たな収入を生み出し、サービスの向上につながるとともに、地域振興、産業振興に有益であるものと考えております。  大田区総合体育館におきましては、入場料等を徴収しますイベントなどにおいて、正面掲出板に有料にて屋外横断幕を設置できることとしております。  委員お話しの屋上へのフラッグ設置につきましては、東京都屋外広告物条例や大田区行政財産使用条例などの関係法令を踏まえて、さらなる情報発信に向け検討してまいります。  国道15号線沿線の街路灯に直接フラッグを掲出することは、国の管理物であること、また、形状がフラッグ掲出対応になっていないなどの点から、現時点では難しいと聞いております。  平成28年に、映画「シン・ゴジラ」とのコラボ企画として、蒲田東口商店街の装飾灯へフラッグを掲出しまして、それが、地方からの誘客を呼び、地域や商店街のにぎわいにつながりました。  今後も、歳入の確保及び地域活性化の観点から、イベント等の実施に伴うPR・周知について各部連携をしまして、工夫を重ねてまいります。 ◆三沢 委員 様々な規制があるのは承知しましたが、大田区は国家戦略特別区域として定められております。さかさ川通りが国家戦略道路占有事業として、大田区関連の特定事業に認定されたように、国道15号の一部区間も、特定事業として認定してもらえるよう、国に働きかけるのは有意義なことと思います。  大阪では、メインストリートの御堂筋が目覚ましい変化を遂げております。その中のささいな一つではありますが、大阪マラソンの際、美しいイチョウ並木の御堂筋をランナーが快走する脇で、街路灯フラッグが立ち並んでいるのがとても印象的でした。御堂筋も、国道15号と同じく都心を走る国道です。御堂筋でできて国道15号では絶対できないということはないと思っております。ぜひ、できない理由を並べるのではなく、どうしたらできるようになるのかを一緒に考えていければと思っております。よろしくお願いいたします。  さて、次に防災・減災対策についてお伺いをいたします。  私は先日、岡山県倉敷市真備町に足を運び、西日本豪雨災害の復興に尽力をされております奉仕団体から、いろいろと状況を教えていただきました。その中で印象に残っている一つが、災害の発生原因についてです。  真備町は今年7月の豪雨により、近くを流れる小田川が100メートルにわたって決壊し、真備地区の27%に及ぶ、約1,200ヘクタールにわたって浸水する甚大な被害を受け、死者は51人にも上りました。  この小田川というのは高梁川に合流をするのですが、流れの速い本流の高梁川が増水のため、勾配が緩くて流れの遅い小田川の水が高梁川に流れにくくなり水位が上昇、高梁川の水が逆流をして、小田川の堤防が耐え切れなくなり決壊した可能性が指摘されております。この現象はバックウオーター現象と呼ばれるものですが、さらに小田川は勾配が緩いだけでなく、日ごろから草木が鬱蒼と生い茂り、大雨の際には川の流れが滞りやすく、付近の住民は以前から氾濫の危険性を感じていたということでした。  この話を聞いたときに、私は多摩川と海老取川の関係を思い出さずにはいられませんでした。ご存じのとおり、多摩川は本流で海老取川は支流です。そして海老取川の勾配はほぼないに等しく、呑川や多摩川からの汚泥が溜まりやすくなっております。大田区のハザードマップを見ると羽田地域は過去に浸水被害があり、多摩川の氾濫が懸念をされております。しかし、羽田地域は、多摩川だけでなく海老取川の氾濫にも気をつけなくてはならないことを、今回の真備町の災害が教えてくれています。  そこで大切になってくるのが、海老取川のしゅんせつ工事と洪水時に川の流れをせきとめる可能性のある違法係留船の排除です。本区は、これらの取り組みについて、どのように実施してきておりますでしょうか。また、このほかに羽田地域及び羽田空港の浸水被害を防ぐためにどのような取り組みをされておりますでしょうか。 ◎久保 都市基盤整備部長 海老取川につきましては、東京都が管理しており、平成18年度及び19年度に暫定係留施設が整備されました。平成20年度には、船舶の放置を禁止する重点適正化区域に指定し、指導や警告が強化されたことにより、不法係留船は解消されております。また、しゅんせつ工事につきまして、平成27年度に実施しているところでございます。  羽田地域の取り組みについては、伊勢湾台風級の高潮に対応できるよう防潮堤が築造されており、耐震対策などの整備も進められているところでございます。羽田空港においては、東京都が跡地第1ゾーンのまちづくりに合わせた防潮堤や河川環境の整備に関する計画策定に向け、事務手続を行っていると聞いているところでございます。  また、多摩川では、国土交通省による高潮堤防整備が進められております。  区は、出水期前に防災関係機関や災害時協定団体と、風水害連絡会議や合同水防訓練を実施いたしまして情報共有を行うとともに、緊密な連携体制を構築しております。  引き続き、国や東京都などと連携を強化いたしまして、浸水被害の防止に努めてまいります。 ◆三沢 委員 羽田地域の方々がこれからも安心・安全に住み続けることのできるように最善の対応をよろしくお願いいたします。  最後に、発災時の酷暑対策についてお聞きいたします。  今年の夏、日本は気象庁が災害と認識するほど、ひどい暑さに見舞われました。ちょうど酷暑と同じ時期に、先ほど触れさせていただきました岡山県倉敷市真備町をはじめとした西日本は豪雨災害に遭い、避難者は酷暑の中、大変難儀な生活を余儀なくされました。  もし、あの豪雨が西日本だけでなく東日本を襲っていたとしたらどうでしょうか。大田区は羽田や六郷地域だけにとどまらず甚大な浸水被害を受けたかもしれません。その場合、避難者は学校体育館に避難することになりますが、大田区では残念ながらほとんどの学校体育館に空調は備えつけられておりません。  乳幼児や年配者や障がいをお持ちの方など要配慮者には酷暑の中、湿度が高く、風がなく、冷房機器不使用の体育館で過ごさなければならないということは死に直結すると言っても過言ではありません。現在、学校体育館への空調機器設置の論議が本区でもされておりますが、要配慮者のためにどのような結末を見るのか悠長に待っている時間はありません。  そこで検討いただきたいのが、スーパーマーケットの涼しい売り場を要配慮者に開放してもらうことを大田区との間で協定を結ぶことです。  今年の夏は欧州全土でも記録的な猛暑となりました。フィンランドも例外ではなく猛暑が襲いましたが、例年は空調機器は必要がないため、ほとんどのアパートが空調機器のない状況で暑さをしのぐしかありませんでした。  そんなとき、フィンランドの首都ヘルシンキにあるスーパーマーケットが店内の涼しい場所を、顧客100人に開放しました。客は自分で寝袋やマットレスを持ち込んで快適に一晩を過ごしたそうです。  この仕組みを大田区にも取り入れることができれば、たとえ空調機器のない学校体育館に避難を要する災害が発生したとしても、要配慮者を優先して空調の効いたスーパーマーケットに夜間だけでもお泊まりいただくことによって、熱中症等による二次災害の危険を少しでも減らすことが期待できます。  スーパーマーケット側にとっても顧客との信頼関係を築くことができるので決して悪い話ではないと思いますが、本区の見解はいかがでしょうか。 ◎井上 危機管理室長 西日本豪雨の被災地につきましては、発災2週間後に私自身も現地に赴きました。  避難所となっていました岡山県倉敷市真備地区の小学校の体育館では、国のプッシュ型支援により、酷暑対策として10台以上のエアコンが設置されておりました。  一方、高齢者や乳幼児のいるご家庭には体育館ではなく教室を使うなどの配慮がなされておりました。  区におきましても、学校避難所の避難場所は体育館を中心としておりますが、高齢者や乳幼児のいるご家庭には、冷暖房が完備されている教室も避難スペースとして活用することとしています。  さらに、高齢者や障がい者、乳幼児など学校避難所での生活が難しい方を受け入れるため、都立特別支援学校や社会福祉施設等と協定を結び、福祉避難所も確保しております。  避難所が停電するような大規模な災害が発生した場合、酷暑対策として区内のスーパーマーケットなどの大型店舗が要配慮者に優先して店舗を開放するという内容の区との協定締結をとのご提案でございますが、避難所の運営に支障が出るような災害時には、店舗自体にも相当の被害が想定されます。  また、要配慮者対策をこうした店舗で行う場合、高齢や障がいのある方など、身体の状態や障がいの状況に合わせた環境づくりや建物の早期安全確認を必要とするなど様々な課題が想定されます。  委員のご提案につきましては、避難者対策の研究材料としてまいります。 ◆三沢 委員 様々な観点から要配慮者への配慮をよろしくお願いいたします。  以上で終わります。 ○鈴木 委員長 以上で、総括質疑を終結いたします。  会議が長時間にわたりましたので、しばらく休憩いたします。                午後 2時34分休憩                午後 3時00分再開 ○鈴木 委員長 ただいまから、決算特別委員会を再開いたします。  第70号議案 平成29年度大田区一般会計歳入歳出決算の審査を行います。  質疑は、さきに決定いたしました申し合わせ事項に基づき、会派ごとに通知に従い、歳入については一括で、歳出については各款単位で行い、各会派の残り時間を電光表示いたします。  また、質疑は、各款単位で、適宜、会派間で交代しながら進めてまいりたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。  理事者の皆様に申し上げます。質疑時間には、答弁も含まれますので、簡潔・明瞭な答弁をお願いいたします。  また、答弁の際には、その都度、自己の職名をはっきり告げていただきますよう、お願いいたします。  それでは、歳入の審査に入ります。歳入には、無印から通知がありますので、これを許します。  それでは、無印の質疑に入りますが、岡委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。  無印、質疑願います。 ◆岡 委員 歳入の款で質問させていただきます。  まず、皆さんに資料を見ていただきたいのは、財政関係資料の31枚目をご覧いただきたい。いつも我々の総括質疑でも、昨年度の決算100億円余りましたということを指摘させていただいております。でも、ただ100億円余った、それだけではないのですよということを申し上げたい。  繰入金のところを見ていただくと、当初予算から5次補正までに40億円近く減額の補正をかけてきています。区債も当初予算から5次補正まで41億円削減しています。こうやって年間の補正予算を通じて歳入を抑えてきても、なお、決算で100億円余ったというのが大田区の昨年の決算の現状である。  当初予算と歳出決算との比較では、164億円余ったということができます。赤字にならなくてよかった、健全財政いいねと言われがちだけれども、納税者たる区民のために財政支出を区長は約束されていたのに、164億円も実行されなかった。それは極めて遺憾だと思います。  我々納税者の代表としてこの場に立っておりますので、大きな責任感を感じているところでございますが、細かく聞いてまいります。  お金が余った、その内訳をもう少し細かく見るために、財政関係資料の37枚目をご覧いただくのですけれども、これで義務的経費、経常的経費、投資的経費、政策的経費と区分されておるのですけれども、当初予算に対して決算ベースでどういった状況だったのかと申し上げると、予算のところもあわせて見ないとわからないのですけれども、義務的経費のところで84億円余ったと。投資的経費で52億円余ったと。合わせて136億円がここで余ったというところです。  さて、質問でございます。こうした当初予算が執行できなかったことが歳出減少につながっています。具体的な歳出の減少要因をどう捉えるのか、お聞かせください。 ◎梅崎 財政課長 先般、本会議においてご決定賜りました平成30年度一般会計(第3次)補正予算でございますが、剰余金を繰越金に反映したものの、平成30年度予算における財政基金からの繰入額は現在も93億9,000万円余となってございます。  今後も平成30年度予算の全体を見据え、将来の公共施設の改築・改修ラッシュに備え、公共施設整備資金の積立基金への積み立てを検討するなど、社会経済状況、また財政状況や基金、区債とのバランス等を踏まえた財政運営をすべきと考えております。 ◆岡 委員 さっきの補正予算で48億円は基金積立ということで、残りのほうは今年度の予算のほうに繰り越しということで計上する。予算というのは単年度主義の原則がある。だから、本当は使わなければいけなかったのだけれども、繰り越したということだから、こうしたものを積極的に使っていくという努力が必要なのではないかなと思っているのです。  今回、特に投資的経費のところで、せっかく予算で増やしてもらったのだけれども、投資的経費のところで52億円余らせているわけです。不用額として8.2%、投資的経費が余っている。義務的経費は最後まで確定しにくいのかなという部分はあるのだけれども、投資的経費は早い段階、例えば、入札が終わった段階で、これぐらい不用額が発生するよねとか、そうしたことが見えてくると思うのです。もう、今、9月ですから、この段階で、例えば、今年度において歳出がこれぐらい少なくなるのではないかということが読み取れてくると思うのです。  その上で新しい事業を検討して歳出をつくり出す。そうしたことをもっと財政課としてしっかりと全庁に働きかけていく努力が必要だと思うのですけれども、いかがでしょうか。 ◎梅崎 財政課長 今回、実質収支は約96億円ございました。これについては、今般説明しているとおり、条例の規定に基づき2分の1を財政基金に積み立てているところでございます。  そういった中で、今回、繰越金を増額補正しているところでございますが、ブロック塀等の改修工事助成など喫緊の課題に迅速に対応するため、補正予算の財源として活用したものでございます。  また、現在、新たな施策、事業展開のご質問がございましたけれども、平成31年度予算を編成している段階でございまして、予算編成作業を通じて、これについては精査していくことが原則という形で認識しております。  こうした認識を踏まえて、繰越金については平成30年度一般会計予算の全体の財源として社会経済状況の変化を捉え、財政状況や、基金・区債等のバランスを踏まえ、活用していくべきだと考えております。 ◆岡 委員 今のご答弁の中で、例えばブロック塀の改修に補正予算を組んで700数十万円だったかなと思います。これは確かに区民の皆さんが求めているもので、計上していただいたのは大変すばらしいと思うのですけれども、ただ、やはり48億円余って繰り越されているという金額からしたら、全然足りないということを指摘させていただきます。  タブレットで配信しました私の資料を見ていただきたいのですけれども、ここにあるのは昨年度の数字として文部科学省が公表しているものなのですけれども、学校における教育の情報化の実態などに関する調査結果ということで、大田区でも昨年度において小中学校に電子黒板を普通教室に全部設置しましたというのが大きな成果だと思います。まさに教育行政が子どもたちのために積極的に対応していただいたなと思って感謝するところでございます。そうやって余ったお金があれば、子どもたち、次の世代のためにしっかりと投資していくべきではないかと考えています。  ただ、そういった意味で、電子黒板は100%設置したのだけれども、右の棒グラフで示しているのは、教育用コンピューター1台当たりの児童・生徒数ということで、これも昨年度、結構増やしていただいたのだけれども、昨年度増やしたという部分は水色の棒グラフで示されているのですけれども、文部科学省が示す目標値は3クラスに1クラス分程度の設置には、まだ満たないという状況なので、こうしたところもさらに教育行政のほうで1段踏み込んでやっていただきたいと思うのです。  特に教育の支出は、昨今、子どもの貧困とか、格差が次の世代に連鎖していくということがあるのですけれども、最近、私ごとなのですけれども、うちの小学校1年生の娘にアイフォンにプログラミングアプリみたいなものを入れて渡したら、結構、子どもでもスクラッチと言うのですが、簡単にいろいろなプログラミングを入れていって。プログラミングというのは、ばかにしたものではなくて、いろいろな論理性をそこから学べるから、結構、うちの子はどんどん成長していくのではないかと思うわけです。  親が教育に熱心だと、そうやって子どももいろいろな物を与えられて成長していけるのだけれども、そうではない子どももいるから、公教育の中で物を与えていくというのは、しっかりやっていいのではないかなと思うのです。  だから、また、財政課長に伺いますけれども、それだけ多大な繰越金があるという中で、例えば、提案として、そういったことにお金をかけていくというのは、どのように思われますでしょうか。 ◎梅崎 財政課長 繰り返しとなりますが、現在、平成31年度予算を編成している段階でございまして、新たな施策や事業については、予算編成作業を通じて精査していくことが原則であると認識してございます。 ◆岡 委員 鋭意検討していただきたいと思います。  歳出のところは、一旦戻りまして、歳入を増やす努力、これはしっかり取り組んでいただきたい、引き続き取り組んでいただきたいと思うのです。  今回取り上げるのは、地方譲与税の中に航空機燃料譲与税があります。大田区における決算額は約10億円ということです。航空機燃料譲与税法に基づき国内航空に従事する航空機に係る着陸料の収入源に応じて配分されるものです。  国全体の歳入での航空機燃料税は昨年度520億円です。航空機燃料譲与税法によれば、航空機燃料税の9分の2、そして、その5分の4が関係区市町村に配分されるのです。だから、総額520億のうち約90億円が空港関連自治体に配分されるのですよと。  我々の大田区というのは、国内最大の羽田空港を擁するわけで、たけど、そんな大田区に総額90億円のうち10億円しか配分されていないというのは少な過ぎると感じます。  詳細について、私は総務省の自治税務局に問い合わせたのですけれども、大田区に立地する羽田空港の着陸料の収入のシェアは全国の31%ありますと。ならば、さっき言った90億円あるということですから、27億円ぐらいもらえてもいいのではないかと思うのです。だから、今の10億円という収入に対してプラス17億円がそこで発生します。それが10億円に切り下げられるロジックは総務省令で決めているのですけれども、それは空港の収入総額だったり、空港の管理・立地、そして騒音地域の世帯数といった調査を行った結果、大田区の配分シェアは、本来の31%から8%に大幅にダウンしてしまうのですと。ほかの日本の主要空港である新千歳とか、成田、大阪、福岡は、本来の着陸料シェアからシェアが少し増えるぐらいなのです。何が言いたいかというと、羽田空港における航空機燃料譲与税がただ地方に配分された結果、こうなってしまうのですよと。  こうした総務省の姿勢に強く抗議するべきだと思うのですが、いかがでしょうか。 ◎梅崎 財政課長 航空機燃料譲与税は、委員からお話がございましたように、航空機燃料税の収入額の9分の2に相当する額が空港関連市町村及び空港関連都道府県に譲与されているものでございます。そのうち5分の1が都道府県に、5分の4が市区町村に譲与されてございます。  市区町村への譲与額は、2分の1を着陸料割、また残りの2分の1を世帯数割で、総務省令で定める基準により案分し算定しております。そういった中で、空港の管理形態や騒音、障害の程度など諸事情を酌量して、様々な補正が加えられているということでございます。  そういったことで限られた財源という観点から、政令に基づき空港が立地する自治体に配分されているものでございまして、慎重に対応すべきものと考えております。 ◆岡 委員 慎重に対応するという意味がわからないのですが、改めてお聞きしますけれども、本来31%配分されてもいいものがそうやって調整された結果、東京だけ、大田区だけ負けてしまって8%までシェアを失っていると。これはしっかり抗議していただきたいと思うのです。  今、品川の区長選挙で話題なのが、羽田空港の飛行機の航路変更があると。それで品川はすごい影響を受けるらしいということは、大田区としても多少影響があるわけだから、大田区としてシェアを、さっき言った航空機の騒音が特に著しい地域にもっと配分割合を高めていけるという規定があるので、もう少し大田区のシェアを、取り分を増やしてくださいということはしっかり申し上げていただきたいなと思います。  より、さらに、そこの収入を増やしていく、歳入を増やしていくということについてご意見をいただけますでしょうか。 ◎梅崎 財政課長 先ほども答弁させていただきましたとおり、こちらについては限られた財源を政令に基づき空港が立地する自治体に配分するものであると考えておりますので、慎重に対応すべきものと考えております。 ◆岡 委員 慎重に対応することの意味が全くわからないので、しっかりと抗議して、歳入を増やすということに取り組んでいただきたいと思います。  とはいえ、ただ、大田区は、さっき言ったように、今年も100億円余ったと。そして当初予算からしたら164億円も余ったという状態です。それでさらに、航空機燃料譲与税を増やす努力をして、さらにさらにお金を余らせて、一体どうするのだということになると思うのです。  ただ、今、大田区の特別区民税が700億円ぐらいですから、それで160億円もそこに余っているのであれば、これはとり得る手段として、さっき言った子どもの教育のためにもっとお金を使っていただきたいというのはあるけれども、それでもこの金額は使い切れないなと思うのです。そうすると、税収自体を区民にお返しするということも考えなければいけないと思う。つまり、区民税を700億円いただいているのを2割とか、1割でもいいと思うのです。70億円とか、140億円、減税するということも考えなければいけないと思うのですが、そのあたりについてご見解をお伺いいたします。 ◎梅崎 財政課長 繰り返しとなりますが、現在、平成31年度予算を編成している段階でございまして、そういった新たな施策の展開、また事業については、予算編成作業を通じて精査していくことが原則であると認識しております。 ◆岡 委員 減税したらどうかというのは、別に予算編成作業とは違うような気はするのです。ただ、やはり自治体財政というのは、ある意味、町会の会員が会費を払っている。今年のサービスを充実させるために会費を払っているのだということはあるので、お金がただただ余っているという状態を放置しておくわけにはいかないと思うので、減税というものもしっかりと考えていただきたいと意見を申し上げます。
    ○鈴木 委員長 以上で歳入の審査を終結いたします。  歳出の審査に入ります。  まず、第1款議会費の審査を行います。この款には、質疑の通知がありませんので、第1款議会費の審査を終結いたします。  次に、第2款総務費の審査を行います。この款には、自民、公明、共産、民主、ネット、無所属から通知がありますので、順次これを許します。  それでは、自民、質疑、願います。 ◆大森 委員 大変久しぶりの款別質疑でございまして、今日は総務費ということで、これから、大田区がたくさんの公共施設を抱えているということで、特に先ほどもいろいろな同僚委員からの質疑もございました学校施設ですとか、それから、スポーツ施設ですとか、そういった施設を設けていくときの区の姿勢について質問をさせていただこうと思います。体育館の今日に至る状況を事例に、お話ししていきたいと思いますので、理事者の皆様には、積極的な答弁をいただけるようにお願いしたいなと思います。  大田区総合体育館も、早いもので平成24年6月に竣工してからもう6年がたちます。それ以来、区民の方たち、体育協会を中心に多くのスポーツ大会ですとか、またはバレーボールの愛好者である区内の複数のバレーボールの団体がございますが、ママさんバレーを筆頭にいろいろとございます。そういった団体が多く利用され、また、先日はバトントワラーの東京都大会が体育館で実施されておりまして、若い子たちが大勢国道15号線を京急蒲田、そして梅屋敷から歩いて体育館のほうに向かっていました。非常に整列して、横に広がるのではなくて、見事だなと思いましたけれども、2列に整列して、きちっと乱さないで歩いているのです。えらいなと思いまして、本当に統率されている姿をこの目で見たところであります。  そういった中で、大森のスポーツセンターがもう20年以上たつかなと思いますけれども、当時、私も社会体育のほうで非常勤でいろいろと活動し、また、体育協会のバスケットボールのほうで活動していたということで、竣工当時からあそこのアリーナを利用していたのですけれども、非常に床が従来のアリーナの床と違いましてやわらかい。床に腰をおろしていますと、振動が伝わってくるのです。区民大会をやっていたときに、電光表示があるのですけれども、その電光表示をオフィシャルのところにコントロールボックスを置いておいて、そこでスイッチ操作をするのですが、得点ですとか掲示を全部そこでやっているのです。振動を受けて、電光表示がぱたっと全部消えてしまうのです。その弾むことにびっくりしてしまいまして、何度も何度も職員を呼んで復旧してもらうようにやっていただいたのを記憶しているのですが、20年以上たつスポーツセンターの床については、もう行かなくなって、使わなくなって大分なりますけれども、それでも、10年以上、私は使っていましたが、特に目地のところが傷んで、そして、不具合が生じたという記憶はないのです。  ところが最近の大田区体育館の新しい近代的な施工の中で多分整えたのだろうなと思うのですけれども、床の寄せ木の目地のところがささくれて、そして危険な状態になるということがありまして、小学校の体育館でも床がささくれて、子どもたちが、例えば、プールのときですとか体操のときに素足になると、ささくれたものが刺さって非常に危ないということで、今年は東蒲小学校、蒲田小学校は、夏休み中に床を補修するために工事に入っていただいたのです。だから、やわらかいからどうなのかということもあるのですけれども、あれだけぴたっとついているものが、ゆがみながらささくれる現象を起こすのかなというところが、非常に私にとっても意外だなと思ったところでして、これだけ多くの方たちが大田区体育館を活用し、そして、また、先ほどの三沢委員のお話ではないですけれども、プロのスポーツもVリーグですとか、バスケのアースフレンズのBリーグの試合ですとか、大学の試合ですとか、活発に使われている体育館、そしてプロレス、ボクシング、365日、大みそかまでやっているわけですから。昔の大田区体育館は、公営管理だったので、御用納めから御用始めの間はクローズだったのです。やっていなかったのです。だから、28日をもって営業停止で、29日から1月の3日まで、1週間は年末年始は体育館を使っていなかったのですけれども、今は民間に管理を委ねている中では、大みそかの12時過ぎまで片づけています。それだけ民間の方たちは一生懸命利用頻度を上げるために稼働させているのだなと思うわけであります。  そうした中、大田区総合体育館が、この間、いろいろなスポーツ、トップレベルの大会なども多く開催されて、稼働率が高いアリーナの床の負担が相当あるのかなと思うのですけれども、聞くところでは、他の自治体では床のささくれが原因でバレーボールの選手がおなかのところに刺さって大けがをしたという事例があります。  そういったことを踏まえますと、この6年たった総合体育館は、よく保守をやっていただいているようなのですが、安全の観点からの床の補修は、やはり確認してしっかりやらないといけないと思うのですけれども、現状はどうなっていますか。教えてください。 ◎鈴木 スポーツ推進課長 平成29年5月にスポーツ庁から「床板の剥離による負傷事故の防止」に関する通知が出されるなど、体育館の安全管理は大変重要であると認識しております。  委員お話のとおり、総合体育館では、トップレベルの大会や区民スポーツ大会の会場などとして活用するほか、一般利用を含め年間の稼働率は90%を超えております。そのため、総合体育館におきましても床板の一部に剥離などが発生しております。  そこで、月1回の休館日を利用しまして、床の一斉点検と補修を行うほか、利用者から指摘を受けた際の応急補修をしてアリーナの安全を確保しているところでございます。  引き続き指定管理者としっかりと連携しながら、区民の皆様が安全・安心にスポーツを楽しむことができるよう施設の適正な管理に努めてまいります。 ◆大森 委員 よろしくお願いしたいなと思います。  多くのお客さんを呼べるスポーツがある中で、体育館は大入り満員になっていることがよくあります。Vリーグなどは、外にまで出てしまうぐらい人があふれんばかりにファンの方が集まっていると。先日のバトンのときも大変多くの人たちが集まって、やはり体育館が満杯になっているのですけれども。私もバスケの応援は時間がある限りはいつも体育館のほうに足を運んでいるところなのですが、見ていますと、これは前にもこの議場で指摘したことなのですけれども、サブアリーナとメインアリーナの間が通路状になっていて、上に屋根がつながっていて雨がかからないようになっているところに面して、アリーナの出入り口が2か所あるわけです。そのうちの1か所、梅屋敷公園側のほうが主になのですが、出入りの活用をしないで、当日券のチケットの売り場として活用されていることが非常に多いです。それはチケット売り場がないわけですから、それを言ったときに、木で箱をつくりまして、それで臨時のチケット売り場のボックスを外に置いたところが見受けられましたけれども、最近、またそれも使っていないので、また、もとに戻っているのです。  そうなると、入り口は二つあるのですが、一つしか使っていないということでありますので、大会が始まるときは順繰りにチケットのもぎりをやって、中に入っていってもらう。何とかそれで少しずつ列が消化されていくのですけれども、終わったときは一気に出入り口のところに押し寄せていくわけです。ですから、1階のアリーナのほうのぐるっと回っている通路がありますが、その通路から、下のほうの1階部分の固定席ですけれども、そちらにおりて観戦しているということをやっていますと、上に上がって出口まで行くのに、階段を上がって行けないのです。通路にいる人たちは出ていくのに時間がかかってしまうから、椅子に座っている人は椅子から立っても、階段も動きがないので、いっぱいになるということなのです。  ですから、1か所に出入り口が集中してしまうときの観客の方たちの動線が非常に問題で、中にいると、非常に大変な状況になっているということが、恐らく経験していただけるのではないかなと思うのです。災害の話も先ほど質問の中でも出ていましたけれども、万が一、そういったことが起こったら、絶対的にパニックになると思います。  アリーナのところから公園のほうに出ていくようになってはいるのですけれども、そこは大体主催者が選手たちが使うスペースとして使わせないのです。臨時の職員か何かを雇って、そこは立入禁止の状態で、全部上に上げてしまうということをやりますから、これがまた、動線が非常に1か所に集中するということで不具合が生じているということで、私は、パニックを起こすことにならなければいいなという危険性についても非常に心配しているところなのですけれども、こういったことについては、今、指定管理でもって、住友エスフォルタが中心で、NTT、もうJTBはいませんから、2社でもってやっていると思いますけれども、そういったところを踏まえまして、イベントの主催者と館のほうの管理の中で円滑な退出について支障があると思いますので、何か策を講ずるべきではないかと。主催する人と貸す側とのやりとりで「こういうタイミングになったときには、そこを開放してください」といったことをやるようにして、事故を起こさないように、そして速やかに外に流れ出ていただくように、滞留者を中に残さない、できるだけスムーズな流れで退出してもらうようにやるべきだなと、私は考えるのですけれども、いかがでしょうか。 ◎鈴木 スポーツ推進課長 大会を行う場合、事前に主催者と指定管理者との間で打ち合わせを行い、イベント参加者の入・退場等の動線について確認をしております。  また、出口は、原則として3か所ですけれども、4,000人規模の人数が退場して滞留が予想される場合は、時間差をもって退場させることでありますとか、裏口の非常扉も追加で開放するなど、柔軟な対応について区から指定管理者に指示を出しているところでございます。  委員のお話にありました退場時に動線が集中するということにつきましては、大会の主催者に適宜・適切に指示を出すことを改めて指定管理者に徹底させ、円滑な退出を講じてまいります。 ◆大森 委員 事故が起こる前に何とか最善の策を講じて、せっかくある出入り口が使われていないということについては、ぜひとも改善していただくようにお願いしておきたいと思います。  体育館の施設が中だけではなくて、屋根部分にいろいろとくつろいでいただくようなスペースを設けていただきました。できた当時、我々も内覧で屋上を上がって、そして屋根の散策路を確認して、今までになかった環境だったので、結構なものをつくってくれたなと当時は思ったのですけれども、窓を開けると目の前に体育館があるものですから、毎日見ていると、ほぼほぼ人が上がっている様子がなくて、歩いている人を見たことがないのです。せっかく無償でというか、区民の方の健康増進といいますか、歩いていただいて、それでくつろいでいただくということを本当に願ってつくっていただいたと思うのですけれども、何かあまり認識していただいていないのかなと思うのと、幅が1人で通行するにはいいのですけれども、2人並んでは幅がなくて歩けない。我々がまち中で見ていると、手押し車といいますか、そういうものにつかまりながら散歩している方の横にご家族が一緒に付き添って歩いたりとか、または、そういうものを使わなくとも、ゆったりと歩いたりとか、手を引いてもらって歩いていたりとか、2人で歩いていらっしゃるご家族を目にすることが結構多いのです。声をかけながら、いろいろな世間話をしながら楽しくゆっくりと歩いている方たちが利用しようと思っても、その幅では利用できないということもあって、なかなか利用したいと思ってもらえるような環境のつくりにないということが、できた当初はそういうふうに思わなかったのですけれども、6年もたって、全然使っているようにも見えないような、たまたまイベントとかがあって、体育館に来た人はわかって、直接、館の中でスポーツとかをやっていない中で、時間が余っている中での空き時間の中で上に上がって歩くとかということは、ひょっとしたらあるかもしれませんけれども、区民の方たちがわざわざ散策路を利用したがために開放日に来て、上に上がっているという様子はほとんど見たことがなくて、「いい散策路をつくってくれましたね」というお褒めの言葉を頂戴したこともないのです。だから、それだけ認識されていないというところがあるのかなと。  前に、私がここで質問でちょっと申し上げたのは、上を有料でやっているのか、無料でやっているのかということを聞きながら、無料であるのであれば、「上を利用していただいて結構ですよ」という公開しているという表示を見えやすいところにしてくださいということで、それは今は入り口のところに表示はしてくれているのですけれども、やはりそれを目にしても、あまり気づかないといったところもあって。  いずれにしても、今の状況の中ではもったいないなと思うのですけれども、より多くの方が利用していただけるように何か改善策があるといいなと思うのですけれども、そこら辺でいい方策等がもし考えられるのであれば、お聞かせ願いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◎鈴木 スポーツ推進課長 屋上は、休館日やイベントが開催される日を除きまして、毎日開放しており、近隣の幼稚園や保育園の子どもたちの散歩の場として活用いただいております。また、指定管理者の自主事業として屋上散策路を活用したノルディックウォーキングなども行っております。  しかしながら、屋上に散策路があることがあまり知られておらず、多くの区民の皆様に利用していただくには至っていないのが現状でございます。まずは、より多くの区民の皆様に訪れていただけるよう、総合体育館の利用の手引きであるとかホームページなどへ掲載し、屋上散策路について広く周知するとともに、先ほどの散策路の幅の問題解決を含め、さらなる活用方法についても検討してまいりたいと思っております。 ◆大森 委員 今回の質問の中では、私の思いといいますか、イメージが、一つの大きな構造物をつくるときに基本設計をやり、またその説明を議会側のほうにする、その後、実施設計をしていくといった流れで今日まで本区はやってきたと思いますけれども、我々は議論の中で説明を受けて、そして見せられた資料でいろいろと議論はするところでありましたが、では、実際に大田区体育館を使われるそれぞれの競技団体ですとか、競技者とかにとって、果たして近代的で使いやすいような、今のルールにのっとった使い方ができるような施設になっているのかというと、さすがに我々も細かなところまでは気がつかないわけです。  設計ですとか、そういったことについて、やはりもう少し考えられないかなということが、今日の質問の重きを置いていたところなものですから、事例を申し上げながら4問目に行きたいと思います。  事例としては、同僚議員の方もご存じだと思いますが、メインアリーナとサブアリーナがあります。サブアリーナのほうは屋根部分に重量がかからないので、梅屋敷公園に昔からあった弓道場がもうなくなることがわかっていたので、弓道場をどこに移設するのか、またはサブアリーナの上に乗せてもらいたいという話を従来からしていたものですが、それがうまく設計に乗せてもらって、今、サブアリーナの上に弓道場が乗っています。そこまではよかったのですけれども、弓道場の、弓道は当然のことながら弓を射るわけですから、体格の、我々小さい者より、今の人たちは大きいですから、180センチも190センチもある人たちが弓道をやっている人たちにたくさんいるわけです。そういう長身の人が弓を持ってこうやってやるというと、弓が天井にあたるわけです。自分の高さではないですから、弓を構えるのであって。それで、当時、できてすぐ指摘したことが、弓を射るところの前がシャッターがおりるようになっているのですけれども、シャッターボックスが天井より下がっていたのです、こんなふうに。これは弓があたりますねということになって、弓道の関係者の方たちから大変クレームがついて、天井より下がっているものは一つも平和の森についてもいないのです。前の梅屋敷にもありませんでした。新しくつくったものがシャッターボックスが下に下がっていたと。これはだめなので、シャッターボックスは、でき上がってから天井の中に改修工事をしてもらって入れてもらったという経緯があります。  それから審判席をつくっていただいているわけですが、向こうに的があって、どういうふうに飛んでいって的にあたったのかというのを審判が見るのですけれども、ここに柱を立ててしまったのです。だから、視界の中に柱が入ってしまって、これはどうにも邪魔で、審判として、そこは障害物になるということで、それも取っ払ってもらったということです。  それから、矢を射ったら矢をとりに行かないといけない。矢をとりに行くところを通路上と矢が通るところと、それから右側に観覧者が見られるように、そこにフローリングでやってきれいになっているのですけれども、矢が入ってこないようにガラスを張っていたのです。そうしたら、素人がやると、ここから向こうの壁まで狙ったところに矢が飛んでいくということはなかなか難しくて、目の前に落ちってしまったりとか、とんでもない方向に飛んでいったりと、私もスポーツまつりのときにやってみて経験があるのですけれども、そうしたら、びゅんと曲がって、ガラスのほうに行って、今日までにガラスを何枚も割っているのです。ガラスをわざわざそこに使ってしまうという材料の仕様が非常に不具合があって、大きいものですから、1枚が結構高いのです。  そういうことがあったりとか、的があるのですけれども、的場の仕上げが、弓道場に行ってみるとわかりますが、きれいに砂で仕上がっているのです。平なのです。ところが、できたときにかたくなっていて、それででこでこなのです。土がもろに見えてしまっているのです。矢を飛ばしてみたら矢が刺さらないで、ぽとっと落ちてしまうという、しゃれにならない的場になっていたということで、それも、だからすぐに直して改善してもらったということなのです。  これは設計の中でやってしまっているから、だから、当時の教育委員会ですとか、区の施設管理の担当部局では、そういうものを整備しても何とも思わなかったということになると思うのですけれども、実際には内容がそういうふうになっていたということになるわけです。  それから、あと、我々同僚たちが、でき上がったときに内覧に行ったときに、外から入りました。通路がぐるっとさっき言ったようにあります。通路の上の2階の観覧席の前が何もないのです。上がったら、そのまま飛びおりれば、下の通路におりられるようになっていたのです。それは私ですとか、また、公明党の当時の清波議員ですとかが指摘をして、これはこのままで手すりも何もなくていいのですかと言ったら、後から手すりをつけたというのが今の透明のものなのです。  そういったことで、結局、設計をするときに、設計そのものを区の職員がちゃんと内容を読んで、これが本当につくりたかった施設なのかというところをちゃんと理解して受けないと、1回できてしまったものを受けると、また、その後の工事は追加工事でお金を使うではないですか。非常に非効率です。それを私は言いたいのであって、それはそういうことのないように、利用者目線に沿って区が施設整備をしていくことが大事なのではないかなと思うわけです。その意識をどこまで持っていただいているのかというのは、体育館を事例として申し上げましたけれども、情報の共有をしっかり部局間でも持ちながら、そしてチェックをしながら、よりよい品質のものをつくっていただきたいと願うところなのですが、そもそもの設計に対する考え方、また、人材を同じく育成していかないとできないことだろうと思いますので、施設整備に対する考えをお聞かせ願いたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎宮本 施設保全課長 委員お話のとおり、区の公共施設の整備においては、その施設が区民サービスの維持向上に資するものとするため、設計段階から利用者の目線で検討を進めることが重要であると考えております。  区では、施設の設計にあたり、その施設の目的に応じた基本構想・基本計画を策定し、基本計画がまとまった段階で施設の利用者や近隣にお住まいの皆様を対象とした説明会を開催するなど、関係者の方のご意見を伺いながら基本設計を進めております。  実施設計の段階では、区民と区の協働によるユニバーサルデザイン合同点検を実施し、誰もが安全で快適に利用できるような施設づくりに努めております。  また、利用者の満足度や機能・性能などを高めるバリューエンジニアリングの考え方に基づき、実際に維持管理する部局と技術職職員による会議体を設けて、設計費用や維持管理費用の最適化を徹底するなど、精査を行っております。  こうした取り組みの効果をさらに向上させていくために、区は設計・工事を担当する技術職職員が施設の目的をより深く理解し、区民の皆様の声を設計に生かすとともに、工事関係者に対して設計の趣旨を的確に伝える技術を高めていくことが重要であると考えております。  今後、OJTによる若手職員の育成など、専門性と調整能力を兼ね備えた人材育成をこれまで以上に推進するとともに、既存施設の検証などを通じて施設の品質に対する職員の目を養い、利用実態に応じた的確な設計により、安全性、快適性、利便性に配慮したしつらえを実現していくことで、さらに質の高い公共施設の整備を目指してまいります。 ◆大森 委員 縦割り行政から横断的に部局間で議論を実施していただきながら、よりよい施設、品質の高いものをつくっていただいて、再整備しなくても寿命が長くなるような施設をつくっていくべきであると私は思いますので、検討方よろしくお願いしておきたいなと思います。これは要望しておきます。  最後に、附帯設備的に利用されております梅屋敷公園について、ちょっと聞いておきたいと思いますので、お答えください。  京急も110周年を迎えるということで駅名を見直しているということでありますが、梅屋敷の駅から梅屋敷という名称に至る梅屋敷公園も、これが道路の拡幅でほぼなくなってしまうぐらいの勢いで半分以下に、奥行きがろくすっぽ残らない状態になってしまうわけです。史跡的に非常に由緒ある公園かなと私は思っていますが、今後の梅屋敷公園の、しっかり形をもって、梅屋敷の名称を商店街も使っているわけですから、残していく旨の計画であるとか考えをお聞きします。 ◎保下 都市基盤管理課長 聖跡蒲田梅屋敷公園は、その名称にもあるとおり、歴史的に由緒のある史跡の残る公園として認識してございます。江戸後期から昭和初期にかけ、歴史を名を連ねた多くの著名人の方々が梅屋敷を訪れ、この地の梅のすばらしさを体感したと記録されております。  今後、国道の拡幅により公園面積が減少しますが、国道拡幅を契機として、広重が描いた梅林、江戸情緒が感じられる梅屋敷を再現したモダンな和風庭園への再整備を図り、梅屋敷の名を後世に伝えていきたいと考えております。 ◆大森 委員 よろしくお願いします。終わります。 ○鈴木 委員長 次に、公明、質疑願います。 ◆岡元 委員 大田区議会公明党の岡元由美でございます。  防災対策費の非常食糧の備蓄についてお伺いいたします。  平成29年度決算額は約5,749万円で、クラッカー、アルファ化米、レトルト食品、野菜シチュー、梅干しなどを備蓄しています。これらの備蓄食糧のうち賞味期限の近い備蓄食糧の有効活用についてお伺いしてまいります。  クラッカーやアルファ化米は地域の防災訓練のときに参加者に配布されています。最近は野菜シチューを防災訓練でつくって試食する町会・自治会もあります。食べやすい味で参加者から好評ですが、試食ですから、使用するのは2、3缶程度です。大田区地域防災計画によれば、小中学校の備蓄量は1,080食分ですが、備蓄量から考えると残りの野菜シチューはどのように活用されていますでしょうか、お伺いいたします。 ◎長沼 防災危機管理課長 備蓄しております野菜シチューは1缶20食分で、お持ち帰りをいただきますには量が多過ぎ、また重いことから、訓練に参加いただきました方々にお渡しはしておりません。  炊き出し訓練で使用する以外は、防災イベント等での試食体験を行ってまいりました。なお、賞味期限切れとなったものにつきましては、廃棄処理をしております。 ◆岡元 委員 アルファ化米も訓練時間内に食べられる状態にするには、水では時間がかかるためお湯を沸かして使用しますが、カセットコンロで水からお湯を沸かすのも大変なので、小さなビニール袋に1食分ずつ入れて配布するところも少なくありません。その先、参加者宅で食べられているかは不明です。  備蓄食糧を廃棄しないだけではなく、防災意識の向上などのために野菜シチューやアルファ化米を防災の日の学校給食で児童・生徒に試食させる取り組みも必要ではないでしょうか。子どもたちへの防災教育にも生かせると考えますが、いかがでしょうか。 ◎長沼 防災危機管理課長 委員お話のとおり、区といたしましても、防災意識の啓発は、大人ばかりではなく小中学校の児童や生徒など、若い世代から実施することが重要と考えております。  学校の備蓄食糧を調理し、食するなど、被災の疑似体験を通して若年層への防災意識を啓発することは、防災への理解を深めることとなります。  さらに、災害時の炊き出し活動を児童・生徒が手伝うことが可能となるなど、共助の推進にもつながります。  実施にあたりましては、学校給食の時間のみならず総合的な学習の時間や行事の中で食するなど、その対応については柔軟に考えて、備蓄食糧の有効活用と防災教育の推進について、教育委員会事務局をはじめ関係部局と連携し検討してまいります。 ◆岡元 委員 野菜シチューは、サバイバルフーズで賞味期限が25年ですが、大田区では賞味期限を10年に設定しているそうです。今年の夏のように、命の危険が及ぶ暑さ、猛暑が続く状態は常温と言われる気温を超えていますので、大田区が10年を賞味期限とすることは賢明な判断と考えます。  それでも平成28年度1万6,740食、平成29年度は3万2、400食の備蓄を行い、平成29年3月現在の区の備蓄量9万1,044食の半分はこの2年間で交換していることから、賞味期限に近いものも発生するはずですので、廃棄処分がなされないよう活用をよろしくお願いいたします。  次に、乳児用の粉ミルクについてお伺いいたします。  ドラッグストアで販売されている粉ミルクの賞味期限を確認しましたら、短いもので半年、長いもので1年半先のものが陳列されていました。  大田区が備蓄している乳児用粉ミルクの賞味期限はどのぐらいでしょうか。また、賞味期限の近い粉ミルクはどのように活用されているのかお知らせください。 ◎長沼 防災危機管理課長 大田区が備蓄しております乳児用粉ミルクの賞味期限は1年6か月でございます。  このため、毎年入れ替えを行っておりまして、賞味期限までに残り約半年間の粉ミルクを保育サービス課に提供し、区立保育園等で活用をしていただいております。 ◆岡元 委員 備蓄の食糧を廃棄することがないよう活用することは、食品ロスや廃棄費用の削減の観点からも大事なことだと考えます。  また、災害時にストレス等で一時的に母乳が出なくなることもあり、災害時の授乳について心配する区民の方が少なくありませんが、区立保育園等で活用しても余剰となる賞味期限の近い粉ミルクを試飲したり、希望者に配布したりする機会があるとよいと思いますが、どのような取り組みを行っていますでしょうか。お伺いします。 ◎長沼 防災危機管理課長 これまでの対応といたしましては、地域健康課で乳幼児の定期健診を実施する際に、区で備蓄している粉ミルクであることと期限切れが近いことを説明の上、必要な方にお持ち帰りいただいたり、子ども家庭支援センターで同様に説明の上、防災ポケットガイドとともに必要な方へお渡しをしております。  今後も様々な機会を生かしまして、備蓄ミルクの有効活用と区民への普及啓発に努めてまいります。 ◆岡元 委員 本年3月に発刊された女性の視点からの防災ハンドブック「東京くらし防災」でも紹介されている乳児用液体ミルクは、常温で保存ができ、ふたを開けて吸い口を装着すれば、すぐに飲めるのが特徴で、夜間や外出時の授乳が手軽になるだけではなく、水や燃料が確保できない災害時に使用できることが大きな利点とされています。東日本大震災や熊本地震では被災地に輸入の液体ミルクが届けられ、好評を博しました。  本年8月8日、厚生労働省は、乳児用液体ミルクの安全基準を定める改正省令を公布・施行しました。これにより、国内での乳児用液体ミルクの製造、販売が可能となり、今後、メーカーが製造の専用ラインをつくり、安全性の調査や厚生労働省の承認を受けて製造されていきます。市場に流通するには一定程度の期間がかかると言われていますが、海外からの輸入に頼っていた乳児用液体ミルクが国内で製造されることになったことに期待をいたします。  これに先立ち、東京都はイオン株式会社と災害時に乳児用液体ミルクを海外メーカーから緊急に調達するための協定を締結しました。東京都は、早速7月の豪雨災害で被災した岡山県倉敷市と愛媛県に対し乳児用液体ミルクを提供しました。  本区においても、これまでの調整粉ミルクにかえて、乳児用液体ミルクを備蓄してはいかがでしょうか、お伺いいたします。 ◎長沼 防災危機管理課長 液体ミルクはお湯を使ったり、粉を溶かす必要がなく、災害発生直後からすぐ使うことができるため、有効と考えております。ただし、現時点では外国産の製品しかなく、賞味期限も5か月と短いため、調達や備蓄は課題もございます。  平成30年8月に省令等の改正により、国内での製造・販売が可能となったこともありまして、今後の動向等を踏まえながら、その活用について検討をしてまいります。 ◆岡元 委員 世界保健機関と国連食糧農業機関が共同作成した乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインでは、哺乳と調乳に使用された全ての器具を、次の使用前までに徹底的に洗浄及び滅菌することの重要性を示しています。具体的には、哺乳瓶を使用した場合は残った粉ミルクを全て確実に除去し、洗浄した後は安全な水で十分にすすぐとしています。しかし、災害時に洗浄用の十分な水やお湯を確保することは困難です。  価格的には現在の粉ミルクより高額になりますが、調整に必要な粉ミルク用保存水やお湯を沸かすためのガスボンベも不要になりますので、トータル的なコスト、実用性から、ぜひ前向きな検討をお願いします。そして、来年度予算で、またこの部分を購入も進められると思いますが、ぜひ検討をしていただきたいと思います。 ○鈴木 委員長 次に、広川委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。 ◆広川 委員 大田区議会公明党の広川恵美子でございます。総務費の中で2項目質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  まず、区の情報発信についてお伺いいたします。  平成29年度決算では、広聴広報費全体で支出済額2億5,413万7,378円とあります。区政情報を広く区民に周知することは、区の大事な業務の一つであり、本区でも区報、ホームページ、ツイッター、デジタルサイネージなど、様々なツールでその努力を続けておられます。  また、我々議員も、区の情報発信について要望させていただくことが多々あります。かく言う私も、子育て応援メール、きずなメールを提案し、実施いただいています。  余談ですが、昨年5人目のお子さんを妊娠したという知人にきずなメールをお知らせしたところ「5人目でも忘れていたことがあったので助かりました」と言っていただき、うれしい思いがいたしました。改めて実施いただいたことに感謝いたします。  ところで、様々なアプリの導入の要望とともに、業者からの売り込みも枚挙にいとまがないことが午前中の総括質疑のご答弁の中にもありました。膨大な行政情報の中から必要な人に必要な情報だけを広報することは至難のわざです。だからといって、全ての要望に応え得る情報発信策を区が導入することには、財政の面からも困難があると言えます。  一方、行政が保持する様々な情報が効果的に活用できるようになれば、施策効果を上げることにつながるとして、国は平成28年に、官民データ活用推進基本法を制定し、国及び地方公共団体が平成32年度までにオープンデータに取り組むことを義務づけるとともに、推進のための支援策として、地域情報化アドバイザー派遣制度、ICT人材派遣制度を創設し、地方に対してICT人材の支援も行っています。  こうした動きを受けて、本区としても、平成32年度を待たずにオープンデータの利活用に取り組んでいただく時期が来ているのではないかと考えます。  そこでお伺いいたします。オープンデータを実施している地方自治体としては、かつては福井県鯖江市や佐賀県が先行している印象でしたが、23区での実施状況はいかがでしょうか。また、オープンデータの活用をうたっている自治体でも、その内容は千差万別ではないかと思いますが、活用状況についてもお示しください。 ◎山田 企画課長 平成30年9月26日現在、自前のホームページにオープンデータ情報を掲載している区は16区となってございます。またこのうち、東京都で管理をしているオープンデータのカタログサイトには、6区の情報が掲載されております。  活用状況でございますが、公開されている内容は、各区様々となってございまして、例えば、公共施設の情報やごみの収集に関する情報、統計情報、観光情報などとなっております。 ◆広川 委員 こうした先行自治体の状況から、整理すべき課題も見えてきているのではないでしょうか。  そこで、本区として、平成32年度までのオープンデータの利活用のめどについてお聞かせください。 ◎山田 企画課長 オープンデータは、行政が保有するデータを企業や地域の方々などが有効活用することで、官民協働の推進、経済の活性化、行政の透明性や信頼性の向上などにつながることが期待をされております。  本区としましても、このような趣旨を踏まえ、東京オリンピック・パラリンピック、さらにはその先を見据え、ホームページで公開をしております統計情報などをオープンデータに適したファイル形式に整理していくなど、今後もオープンデータ活用に向けた取り組みを進めてまいります。  なお、オープンデータは、組み合わせによりましては個人を特定し得る情報となってしまう可能性もございますので、個人情報の取扱いには関係部局と連携をしながら、十分に配慮してまいりたいと考えてございます。 ◆広川 委員 粛々と進めていただいていると受けとめていいかと思います。
     情報を十分に使いこなせる能力、大量の情報の中から必要なものを収集し、分析・活用するための知識や技能のことを情報リテラシーと言うのだそうですが、オープンデータによる行政情報の民間活用を進めるには、行政にもこの情報リテラシーが求められます。  午前中の我が会派の松本委員の総括質疑でも、職員のICT教育に言及されていましたが、オープンデータの今後については、職員の育成や外部人材の登用など、本区の情報リテラシーの向上にも取り組んでいただくことを要望しておきます。  また、教育現場においてもICT教育に取り組まれていますが、その目的はやはり情報リテラシーの取得にあると考えます。  ただし、幼いころからスマホを与えてプログラミングができるようになったからといって、必ずしも情報リテラシーが高いということにはならないと考えます。子どもが小さいころは、豊かな情操を育み、常識ある大人に育てることが親の務めだと考えます。  その上で、まだまだ先の展開となるとは思いますが、大田区のオープンデータがICT教育にも活用されるようになれば、子どもたちにとっても身近な区政に目を向けてもらえるよい機会になるのではないかと期待しています。今後の推進をよろしくお願いいたします。  続いて、防災対策費についてお伺いします。  総務費防災対策費、防災意識の高揚及び防災行動力の向上として、989万2,000円の予算額に対して97.42%の執行率で、963万6,593円となっております。  東日本大震災以降、本区ではいち早く「命を守る3点セット」の全戸配布や防災訓練やマンション向け講座を行うなど、防災意識啓発に向けた事業を行っていると承知しています。  昨今、各地で頻発する記録的豪雨などにより、区民の防災意識は地震に加えて水害にも向いています。こうした状況を踏まえた意識啓発について、昨年度の取り組みについてお聞かせください。 ◎伊藤 防災支援担当課長 平成29年度の取り組みといたしましては、防災意識の向上を重点として、大田区総合防災訓練や地域訓練のほか、集合住宅が増え、新たな需要に応えるためのマンション講習会や各地の災害でも話題となっている要配慮者への理解促進のための要配慮者講習会などを実施してまいりました。  防災・減災の基本でもある「自分の命は自分で守る」自助と「自分たちのまちは自分たちで守る」共助の重要性と必要性を繰り返し啓発し、区民一人ひとりの防災力の向上に努めてまいりました。  また、近年の風水害の被害や東京都の高潮被害の想定などを受け、区といたしましても風水害に対する意識啓発の取り組みを強化することとし、今年度5月に、水防災講習会を初めて実施いたしました。  本年も大阪北部地震、西日本豪雨や関西方面に大きな被害をもたらした台風21号、さらには北海道地震が相次いで発生していることもあり、震災、風水害に関して区民の皆様からの問い合わせも多く増えており、関心が高くなっていることを強く認識しております。  災害発生時には、「自分だけは大丈夫」という思い込み、いわゆる正常性のバイアスに陥ることなく、区民の皆様みずからが「命を守る行動」をとっていただくことが重要であると考えております。引き続き、区民の皆様の防災意識向上に取り組んでまいります。 ◆広川 委員 防災意識の高揚は、継続的に行うとともに、子どものころから醸成していくことが、いざというときの大きな力となることは、「釜石の奇跡」と言われた岩手県釜石市の防災教育に象徴されます。  また、防災教育は、教育機関だけに委ねるのではなく、家庭や地域で培われていくことも大切です。葛飾区では、防災学習用アプリ「天サイ!まなぶくん」を開発、配信しています。このアプリは、スマートフォンやタブレット端末のカメラから取り込んだ映像に、洪水ハザードマップで表示している浸水のイメージ映像を重ねて表示することで、子どもにも浸水のイメージが理解できるように工夫されています。  三重県尾張旭市の災害対策室では、市のPTA協議会と連携し、家庭で親子で防災意識を培うツールとして、子ども防災手帳を作成しています。参考までにタブレットに配信させていただきましたので、ご参照いただければと思います。  この防災子ども手帳は、災害の知識や備えをイラストを多用し、クイズを折りまぜながら、わかりやすく学べるようになっています。小学校低学年用と高学年用に分けて理解力に合わせた構成となっています。  本区でも、子ども向けの防災教育の学習ツールを作成してはいかがでしょうか。所見をお聞かせください。 ◎伊藤 防災支援担当課長 小学校や幼稚園、保育園のときから防災について学び、興味を持ってもらうことは、将来の地域の防災力の担い手の育成につながるとともに、その親御さんたちも巻き込み、地域の防災訓練への参加促進につながるものと考えております。  また、家庭内での防災教育として東京都が作成した「東京くらし防災」などを活用していくことは、地域の防災リーダーとしての活躍につながっていくものと考えております。  自然災害はいつ発生するかわかりません。子どもが保護者と必ず一緒に行動しているとは限らず、1人でいるときなどに被災することも考えられます。  そのときに自分の命を守る行動をとれるよう、発達段階に応じた防災教育を平時から行い、自然災害に対する正しい知識と理解を身につけることは重要なことであると認識しております。  今後は、若年層の防災教育の取り組みの一つとして、小学生低学年もわかりやすい学習ツールを作成し、子どもたちが多く参加するイベントや小学校で実施している区役所の見学時に配布するなど、若年層への防災意識の向上に努めるとともに、その保護者にも働きかけるツールとして活用してまいります。 ◆広川 委員 防災教育は、いざというときに自分で生き延びる力を養うことです。それは生命、命は最も大切なものという根源的な価値観を子どもたちに伝えることだと思います。  災害は恐ろしいものと忌み嫌うのではなく、子どもたちが興味を持って、みずから学べるような工夫をしていただくことを要望し、質問を終わります。 ○鈴木 委員長 次に、共産の質疑に入りますが、黒沼委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。  共産、質疑願います。 ◆黒沼 委員 同和問題でお聞きします。  政府は、2002年の同和対策特別措置法の終結は、「33年間16兆円を使い初期の目的を達成した。部落内外の人口の移動、内外の格差などの是正が進み、進学や教育の面でもほぼ解決している。これ以上、誰が同和地区出身者などということは特定できなくなっている。もうこれ以上特別対策をすることは、かえって部落問題の最終的な解決の障害になる。だからもうやめましょう」ということで終え、「以後は一般行政で対応する」としたのです。以来、部落差別の解消は進みこそすれ、差別が増えている事実はありません。  大田区の相談件数はタブレットをご覧ください。2013年、144件、2017年、118件と減少傾向は同じです。しかも、これらの相談ごとは件数のみです。法務局の人権担当課に、大田区から同和にかかわる問い合わせはありましたかと問い合わせたところ、ホームページに掲載してあるとおりですとの回答でした。ホームページを見る限り、大田区民からの問い合わせは確認できませんでした。大田区の相談件数と部落差別との因果関係は、結局明らかではありません。  ところが、2016年、議員立法として、部落差別解消推進法が成立しました。新たな差別をつくらないための附帯決議を確認しておきます。区には部落差別の解消に関する施策の実施に資するための部落差別の実態にかかわる調査を実施するにあたっては、当該調査により、新たな差別を生むことのないように留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよう慎重に検討することとあります。  9月19日の総務財政委員会資料の人権に関する意識調査の同和項目は、この新法に基づくものであれば、行政が個人の内心の自由に踏み込むことになりかねません。  新法に関係のない調査であることを確認します。お答えください。 ◎元木 人権・男女平等推進課長 先般、9月19日に開催されました総務財政委員会で、本年10月に実施予定の人権に関する意識調査の実施について報告したところでございます。  本調査ですが、平成13年から始まり、直近では平成25年に実施しております。そのような実績を踏まえた上での区民の人権に関する意識調査であり、今後の人権啓発事業の基礎資料とすることを目的としております。  調査票の回答ですが、任意で区民の方にご協力いただくものです。さらに、無記名であることから、個人の内心の自由を侵害するものではありません。 ◆黒沼 委員 従前と同じものであり、新法とは無関係であるものと確認させていただきました。  憲法上の理念は、部落問題だけではなく、全ての人権問題に共通する理念です。この理念から直接的に、特に部落差別に関する法制定に結びつける根拠はありません。なぜ特別扱いになったかというと、部落民以外は全て差別者との解放同盟等の糾弾闘争の横行などであることが明らかになっています。それらに基づく自己反省がないままに今後も進められれば、その不合理は明らかです。  そこでお聞きします。大田区の相談ごとは、明らかに部落差別との因果関係があると明らかにできていますか、お答えください。 ◎元木 人権・男女平等推進課長 区における相談事業ですが、その内容については、歴史的、社会的な背景に起因した同和問題に関連するものでございます。また、根深い差別意識に基づく事案も多くございます。  したがって、部落差別との因果関係を有しているものと認識をしております。 ◆黒沼 委員 今の答弁の根拠はありません。もしそう言うならば、根拠をお示しください。根拠なしにそれだと言っても区民は信じません。  (「脅されると怖いからが根拠だよ」と呼ぶ者あり) ◆黒沼 委員 そういうことですね。  歴史的に起因したという言い方は、ならば、この数字の数だけで根拠はないではないですか。もし、そうであるのならば、結婚の、部落出身の関係からあったと事案を挙げて証明すべきです。  法務局の担当者もこうなのですよ。事件が起きての相談ならばわかりますが、自分の意識調査、思想調査にかかわることは憲法違反にもなりかねません。今の答弁さえも変えていただくことを要望しておきます。  最後に、これまで長く続いてきた同和相談ですが、相談ごとと部落差別との因果関係は、今のように、具体的には明らかにできませんでした。ならば、政府の終結宣言のときの見解のとおり、続ければ続けるほどかえって弊害になります。一般行政で対応するとしたとおりにすべきです。なぜ政府の見解と同じ立場に立たないのでしょうか。最後にお答えください。 ◎元木 人権・男女平等推進課長 部落差別の問題は、日本社会において歴史的、社会的に形成された人々の意識に起因する根深い差別が、今なお、様々な形であらわれてくる重大な人権問題と捉えております。  残念ながら、差別がなくならない現状がございます。  区では、部落差別解消推進法の趣旨を踏まえ、国、東京都、周辺自治体と連携して、部落差別の解消のための施策を推進するとともに、今後も部落差別に悩み、苦しんでいらっしゃる方への相談事業として継続してまいります。 ◆黒沼 委員 今の答弁は、附帯決議にも反する答弁であります。しかも、終結宣言としたことにも反する発言です。なぜ法を重視しないのか、もう一度検討して、政府の方針どおり、法律に基づいて大田区の行政が進められるよう提案し、終わらせていただきます。 ○鈴木 委員長 次に、民主、質疑願います。 ◆黒川 委員 ありがとうございます。皆さんの目から魂が抜けていますけれども。  おおた国民民主党の黒川仁と申します。総務費について、大田の観光にぎわい創出事業とそれに関連して地域力応援基金助成事業と自治会・町会の役割について質問いたします。  大田の観光にぎわい創出事業自体は、非常に思い切った、すばらしい事業であると思います。しかし、区民の自主性に委ねる以上は、区民の側にも説明責任がありますし、行政の側も効果をしっかり検証していく必要があります。  交付金交付要綱の第1条には、地域が主体となって大田の観光資源を生かし、新たな地域のにぎわいを創出する事業を支援し、区への来訪者誘致の促進及び地域の活性化を図ることを目的とするとあります。第3条に交付が申請できる者の規定がありますが、第1条のように「地域」を主語とすると、非常に抽象的でわかりづらいです。そして、区への来訪者誘致の促進というからには、区外からの来訪者、インバウンドがどの程度であったかをアンケートを義務化するなり、確認する必要があります。  そこで質問いたします。まず、昨年の実績と成果、課題を質問いたします。 ◎吉川 観光課長 昨年度は、18団体に交付決定を行いまして、各団体それぞれが身近に存在する観光資源を活用いたしまして、にぎわいを創出する事業を実施いただきました。地域ぐるみでの一体感の醸成と、地域が自発的にまちのにぎわいを創出するきっかけづくりになったと考えてございます。  課題といたしましては、交付決定が年度途中になりまして、年度当初からの事業開始を予定している団体が本補助制度の活用が難しいとのご意見も伺ってございます。これまでの実績等の状況を踏まえまして、できる限り年度始めの時期に交付決定ができるように工夫してまいりたいと考えてございます。 ◆黒川 委員 にぎわいを創出することはできているようですが、交付要綱の目的にもあるように、区外からの来訪者を増やさなければなりません。そして交付の額が大きいだけに、事務手続自体のスピードアップと交付を早目にする必要も感じております。  特別委員会でも質問しましたが、事前・事後のチェックの仕方についてお伺いいたします。 ◎吉川 観光課長 補助金の審査は、一次審査として書類審査、二次審査として外部委員を含む審査員によるプレゼンテーション審査会を実施してございます。審査は、地域が主体となって大田の観光資源を生かし、新たな地域のにぎわいを創出する事業を支援し、区への来訪者誘致の促進及び地域の活性化を図るという補助金の目的に沿って適切な形で実施できるかを主点といたしまして、総合的に補助事業としてふさわしいかを審査しております。  交付決定後におきましても、事業内容の変更や進捗状況の確認を行い、事業完了後には実績報告書に基づき、事業実績及び成果の確認を厳格に行ってございます。万が一、不正や違反があった場合は補助金の返還を命ずることとなってございます。 ◆黒川 委員 非常に厳格であるという話ですけれども、書類の手続が非常に煩雑だという話も聞いておりますけれども、やはり交付要綱第16条の実績報告も大切でありますけれども、第25条にありますような、検査及び事業の効果の報告が非常に大切であると考えております。  第25条の事業実施後の検査と報告を厳格に求めて、しっかりとチェックをしていただきたいと思いますが、区の見解を伺います。 ◎吉川 観光課長 要綱第16条に定める実績報告に基づき、要綱に定める様式、書類のほか、添付資料として準備から実施・効果検証までに係る会計書類の写し及び実施状況の写真、報告書の提出を義務づけております。  今後も引き続き、適正な補助金の執行管理に努めてまいります。 ◆黒川 委員 何度も申し上げますけれども、この事業は、区への来訪者誘致を期待するものでありますので、区民の区民による区民のためのイベントであって、ないと思いますけれども、厳格なチェックを強く要望いたします。  次に、地域力応援基金助成事業について質問いたします。  この事業は公益性、社会貢献、非営利の事業を対象としておりますが、まず、これもこれまでの実績、成果について質問いたします。 ◎武藤 区民協働担当課長 地域力応援基金助成は、区民活動団体を支援するとともに協働を推進する施策の一環として、「おおた未来プラン10年」の計画事業に位置づけ、平成21年から取り組んでまいりました。  この間、設立後間もない団体に向けたスタートアップ助成は127件、事業の拡大・拡充を目指す団体に向けたステップアップ助成は107件、区政課題として区が提示するテーマへの提案的事業に対する支援となるジャンプアップ助成は13件と、様々な分野の団体に活動していただいております。  この助成金を活用した事業には、区の委託事業として継続している「みどりの縁側」事業などや、区内だけの事業展開にとどまらず、今では全国の自治体に広がった「高齢者見守りキーホルダー」事業などの取り組みもありました。 ◆黒川 委員 今の関連なのですけれども、過去3年のうちで観光やにぎわいに関する事業は、どのようなものがあり、これによって、どのような効果が生まれたのでしょうか。詳細を教えてください。 ◎武藤 区民協働担当課長 地域力応援基金助成事業は、「まちづくり又は、観光の推進を図る活動」など、11分野の社会貢献活動に助成しております。  平成27年から平成29年に実施した77事業のうち、「まちづくり又は、観光の推進を図る活動」の内容は7事業ありました。  この中で観光やにぎわいに関する事業は、馬込の月見まつりや多摩川七福神「縁日」の開催による地縁づくりなどの事業があり、日本の伝統文化に親しむ機会の創出、有形・無形の地域資源を活用した地域の活性化に取り組んでいただきました。 ◆黒川 委員 本当に地域の活性化がメインとなっているわけですけれども、いろいろな団体から声があるように、助成後の活動や活動内容などを踏まえた支援が必要であると考えますが、その支援体制について、区の見解を伺います。 ◎武藤 区民協働担当課長 本助成事業終了後、団体は、事業を継続するための資金面や事業を広く区民に周知する広報面の課題を抱えております。そのため、区内で活躍している団体からスキルや経験を学び、団体間の交流を深める団体活動ステップアップ講座などを開催しております。  さらに地域協働協力員や区民活動支援施設のコーディネーターが、地域での事業の広がりや事業効果を高めるため、団体の相談を受け、他団体との連携などをサポートしてきました。自主的団体活動を支援するとともに、区民の社会参加を促し、区民活動の一層の活性化に尽力してまいります。 ◆黒川 委員 私の知り合いでもコーディネーターになった方がいて、その方がコーディネーターになったらいいよということで、徐々に広がりを見せているコーディネーターも非常にいい取り組みだと思いますので、ぜひとも続けていただきたいと思います。  最後なのですけれども、これまでの課題を踏まえた、平成31年度以降の助成事業の方向性について質問いたします。 ◎武藤 区民協働担当課長 本助成事業は、未来プランの計画上、10年経過後、検証することとしております。  このため、昨年度から大田区区民協働推進会議において、委員の皆様の意見を賜りながら検証作業に取り組んできました。同会議では、区民活動団体への支援及び区民協働推進の観点から継続すべきとのご意見をいただいており、そのような意見を踏まえながら、来年度以降の事業の検討を進めてまいります。  今後も、区民や区民活動団体、事業者などの連携、協働を深め、区民活動の一層の推進、地域力の向上につなげてまいります。 ◆黒川 委員 こちらの事業のほうは、ホップ、ステップ、ジャンプと、スタート、ステップ、ジャンプと、区民の方々の小さな活動にも光を当てるすばらしい事業、こちらもすばらしい事業であります。  その一方で、先ほどの観光にぎわい創出事業はハイジャンプ、ハイジャンプ、ハイジャンプと。かつての原田選手の最後のハイジャンプを3回連続で飛ばせて、4年目に舟木選手の助けなしで、沙羅ちゃんのように飛べるようになるかという、非常にわかりづらいたとえですけれども、一抹の不安を覚えるわけであります。でも、私は大きな期待をしているわけでありますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。  最後に、観光にぎわい創出事業と関連として、町会・自治会について質問いたします。  27年2月発行の「大田区自治会・町会ハンドブック」を見る限り、自治会・町会に観光にぎわい創出の記述はございません。  改めて自治会・町会の基本的な役割について、そして、観光にぎわい創出に対する自治会・町会のスタンスについて、地域力推進課の見解を伺います。 ◎近藤 地域力推進課長 自治会・町会は、地域の力を結集し、住みやすい地域づくりの核となる重要な役割を担っております。行政や様々な団体と協力関係を築きながら、個人や行政だけでは解決の困難な地域課題の解決に取り組んでいただいております。  活動は、防災、防犯、福祉など、幅広い分野で身近な公共的活動を担うとともに、コミュニケーションづくりや地域の歴史や伝統を継承する活動など、多岐にわたっています。  自治会・町会は任意の団体であり、それぞれの創意工夫の中で活動しております。新たな地域のにぎわいを創出することも、地域課題の解決の一つにつながると考えています。 ◆黒川 委員 自治会・町会が地域のにぎわいを創出することは当然であると思います。  私の住む池上に町会神輿がないせいかもしれませんが、そもそも自治会・町会の役割は、1人でも多くの人をつなげて、住みやすい地域にしていくことであり、観光に走る前に、私はやることがあると思っております。  最後なのですけれども、地域の活性化と観光は分けて考える必要がある、そういうときもあると思います。行政が数年間後押しをして、本気でひとり立ちをさせるならば、現在の営利性の位置づけを考え直さなければなりません。  大田区は、様々なイベントを支援しておりますけれども、将来のひとり立ちをイメージできる事業はほとんど、ほとんどとは言いませんけれども、あまり感じられません。  そのイメージができた事業の一つが川崎市と連携した舟運事業であります。川崎の工場夜景と羽田の飛行機の腹を船から見るわけですが、これは私が2年前の交通臨海部の委員長のときに、浦瀬課長が非常に頑張っておられた事業でありまして、非常に将来性を感じております。お金を落としても参加したいと思わせなければ、将来的にひとり立ちできないと感じておりますので、そのようなイベントに対する支援も力を入れていただきたいと申し上げて、質問を終わります。 ○鈴木 委員長 次に、ネット、質疑願います。
    ◆北澤 委員 大田・生活者ネットワーク、北澤潤子です。  子どもの人権擁護について質問させていただきたいと思います。  世界人権宣言第1条で、すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等であるとうたわれるように、私たちは、一人ひとりがお互いの存在、違いを認め合いながら、幸せな社会・家庭生活を送る権利があります。おおた未来プラン10年(後期)には、区はこの権利を守り、誰もが安心した生活をおくるための支援を継続していくことが求められていますとつないでいます。また、大田子育てすくすくプランでは、全ての子どもが尊重され、子ども自身の育つ力が発揮されると述べられております。しかし、子ども家庭支援センターの報告によると、平成29年の虐待相談の件数は952件で過去最高、前年より200件近くも増えており、子どもに対する人権侵害は大変深刻です。区民とともに生命、人権を尊重する大田区でありたいと考えます。  大田区の子どもに対する人権教育や人権擁護についてお聞きします。人権・男女平等推進課では、子どもに向けての人権啓発パンフレットを配布していますが、その目的はどういうものですか。その効果をどう検証しましたか。 ◎元木 人権・男女平等推進課長 現在、区では、区立小学校に通う5年生の児童全員に対し人権啓発冊子「大切なこと」を配布しております。この啓発冊子ですが、いじめやインターネット、SNSで発生する人権問題などを、項目ごとにわかりやすくまとめたものです。さらに、児童がいじめなどの人権問題で困ったときの相談先も掲載しています。今年度は6月に配布を行ったところです。  本冊子を児童に読んでいただくことで、様々な人権の問題について理解を深めてもらうことを目的としております。また、人権意識のかん養に寄与しているものと認識しております。学校からは冊子が活用されているものと聞いております。 ◆北澤 委員 子どもが人権意識を持つことは大変重要なことだと思いますが、ぜひ目標を掲げて、具体的な効果の検証にも取り組んでいただきたいと思います。  自分には誰にも犯すことのできない人権があり、それは尊重されるべきという考え方を小さいころからしっかり持つことは大事です。人権意識は主体性や自己肯定感、自分への自信、有用感にもつながり、困ったときにはSOSを出して自分を守る力にも通じるものだと考えます。ですから、パンフレットは、子どもたちにわかりやすい表現をさらに研究していく必要があると考えます。  さて、いじめです。いじめは不登校やその後のひきこもりとも密接な関係があり、心に大きな傷を残す人権侵害です。大田区のいじめ認知件数は教育委員会に問い合わせましたが、数は出すことができないということでしたが、増えているということは確かだということでした。文部科学省の平成27年の調査によっても、いじめの認知件数は過去最高で増加傾向が続いています。ちなみに大田区の平成28年度の不登校生徒・児童は、小学校・中学校合わせて519人で、これも増加傾向です。  お聞きします。人権・男女平等推進課は、いじめについてどのような問題意識を持ち、どのような対策をとりましたか。 ◎元木 人権・男女平等推進課長 いじめは、重大な人権問題と捉えております。また、絶対に許さないという姿勢で取り組んでいるところです。  今後の対策としては、先ほどお答えしました人権啓発冊子「大切なこと」の小学校5年生への配布を継続してまいります。また、区立小・中学校の児童・生徒の人権意識を高めるため、人権意識を啓発・推進するポスターや標語などの作品を募集するとともに、人権意識のかん養を目的に、区立小・中学校人権啓発作品展を開催しました。  今後もこれらの施策を教育委員会と連携しながら実施していくことで、いじめは、重大な人権侵害であり、絶対に許されないということを普及啓発してまいります。 ◆北澤 委員 普及啓発は大変大切ですが、なかなか減らないという状況に対して、もっと踏み込んだ分析や対策も検討していただきたいと思います。  先日、世田谷で聞いた話なのですけれども、やはりなかなかいじめがなくならないということで、子どもたちに意識調査をしたところ、いじめられるほうも悪いという結果が出て、これはまずいと思って弁護士会に頼んで、子どもの人権についての授業を学校でしてくれたそうなのです。そうしましたら、すごく具体的ないじめの実態の事例を子どもたちに聞かせたら、子どもたちがそれでとてもやはり驚いて、自分の体験的なイメージとしてわいたらしくて、いじめられるほうも悪いと考える子どもがいなくなったそうなのです。やはり体験的な、イメージがわくような人権教育ということをしていくことも必要なのではないかと思うので、ぜひ、教育委員会とも連携して取り組んでいただきたいなと思っております。  次に、中学生・高校生の世代の人権擁護についてお聞きします。  母子家庭で17歳と18歳の息子さんのことです。母親は精神を病んでいることもあり、全く家事ができず、学校生活に必要なお金もくれません。息子たちは、それぞれバイトして買ってきたお弁当を食べ、寝るためだけに家に帰っています。窮状を聞いた私が子ども家庭支援センターに問い合わせると、虐待なら児相経由で一時保護所に措置されるとのこと。確かに虐待ではありますけれども、ネグレクトなのです。しかし、2人とも学校生活があるので、一時保護所には行きたくないということなのです。18歳のほうは対象外でした。  残念ながら、このケースの場合、大田区には相談に応じることができる窓口がないということがわかりました。そして、救済の道も見出せませんでした。16歳、17歳、18歳ぐらいの子どもたちの人権擁護に関するサポート体制がないことに気づかされました。  豊島区の中高生専門の児童館を視察した折、多くの中高生が集い、卓球やバンド活動やダンスやバスケットなどに興じるにぎやかな居場所になっており、職員とも話しやすい人間関係がつくられていました。そういう中で、深刻な相談も時々あるそうです。  例えば、ある高校生は、特殊詐欺の受け子をやらされているが、出頭したほうがいいだろうか、自分が出頭することで暴力団からの報復があるかもしれない、どうすればいいのだろうと、その高校生は、恐怖の中から助けを求めてきたそうです。その児童館には月に2回、子どもの人権問題に熱心に取り組む弁護士が来ており、職員だけでは手に負えない問題にも対応してくれて、とにかく子どもの絶対的な味方になり、寄り添い、守るという姿勢で子どもに対応するそうです。また、バイト先での搾取、ブラックバイトのことなど、様々たくさんの問題が持ち込まれるそうです。複雑な問題を抱えた中高生の場合は、保護だけでは済まないことがあることがわかります。  世田谷区では、区長部局と教育委員会が一体となって子どもの権利侵害に取り組む子どもの人権擁護機関、せたがやホッと子どもサポートを開設しています。弁護士などの子どもサポート委員とそれを補佐する社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士などのチームで電話、メール、面接で相談を受けています。児童福祉法では18歳未満の子どもが対象ですが、ここは高校に行っている18歳、19歳も対象にしています。相談で最も多いのは対人関係の悩み、次いでいじめ、その次が学校・教職員の対応、家庭の悩みと続くそうです。子どもの立場に立って、実際の解決にまで踏み込む子どもオンブズマン制度です。  いじめの事例をたくさん紹介して子どもたちの意識改革が見られたということも聞いたのですけれども、相談事業をやる中で、課題が見えてくると、個々への対応と同時に学校との連携で課題解決を模索していくとのことでした。相談事業からのフィードバックが現場を改革していくという好循環を生み出しているわけです。  さて、平成29年度の警視庁の統計によると、大田区管内で深夜徘徊により補導された少年は1,455人、そのうち女子は347名です。犯罪で検挙された少年は121人、最も多いのは窃盗108人、詐欺も13人なので、もしかしたら受け子にさせられた高校生がいるかもしれません。東京都全体のことではありますが、小学生の補導が全体の20%を占めており、年々問題は低年齢化しているということでした。  深夜徘徊は、家庭での虐待など、家に居場所がないという問題をはらんでいるかもしれませんし、犯罪に巻き込まれるおそれもあるので、看過できない問題であり、未成年の子どもたちをどう守るかは大田区の未来にかかわる大切な問題です。高校中退者へのサポート体制も今後の課題です。  大田区においては、特に青少年に対する相談・サポート体制への取り組みが足りないことが認識できたわけですが、社会的包摂、人権尊重の理念のもとに、人権侵害にかかわる実態把握と、対策や救済の道筋をつくる必要があると考えます。単に対処療法的なことではなく、何が問題なのかを十分検証して、問題の社会化、子どもの権利実現の鍵を見出すことが求められます。様々な事例への受け皿の整備や予防的観点からのファミリーソーシャルワークの展開、教育と福祉の融合など、まだまだ課題があると考えますが、制度にはやはり魂が必要です。  世田谷区には世田谷こども条例、こども文教委員会が視察した長野県には長野県子ども支援条例があります。  お聞きします。大田区は、今、子どもの権利擁護のための児童相談所をつくる準備をしています。同時に子どもの最善の利益を目指し、実効性のある様々な施策展開の土台となる意志を明確にして、庁内一丸となって進むことが必要ではないでしょうか。区長部局、人権・男女平等推進課がリーダーシップをとって、こども家庭部と教育委員会と手をたずさえて、子どもの人権にかかわる条例づくりに取り組むことを求めますが、いかがですか。 ◎元木 人権・男女平等推進課長 子どもの人権や自由の尊重等を目的とした児童の権利に関する条約が平成元年、国連総会にて採択されました。日本では、平成6年に批准したところです。この条約の理念に基づいて、都内の一部の自治体において、子どもの権利に関する条例が制定され、施行されていることは承知しているところです。  子どもの人権にかかわる条例制定についてですが、子どもの人権の課題だけでなく、教育、子育てなど様々な課題を整理していく必要があると考えております。  ご提案の趣旨につきましては、ご意見として受けとめさせていただきます。 ◆北澤 委員 大田区の子どもたちが自分の力を十分発揮して世界を切り開いていくことができるように、大田区からもエネルギーをもらえるように、いつも応援しているよというメッセージにもなる条例の制定を期待いたします。 ○鈴木 委員長 次に、無所属、質疑願います。 ◆馬橋 委員 ラストバッターでございます。お疲れとは存じますが、よろしくお願いいたします。  私ごとなのですが、平成23年に議会に入れていただいてから、7年中6年間、特別委員会は観光関係の特別委員会に所属をさせておりまして、今年は初めて交通臨海部活性化特別委員会に入れていただいたのですが、非常に勉強させていただいております。  その中で、今まで、私は前職が観光産業におりましたので、観光についての質問・質疑についてはライフワークのように続けさせていただいておりました。その中で、今日は決算特別委員会ということで機会をいただきましたので、事項別明細でいうと152、153ページの観光国際費の観光振興費の中の京急の品川駅構内の観光情報コーナーの運営についてということで、この点について4点ほど伺わせていただいて終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。  この間、大田区といいますか、自治体がそもそも観光施策をやっていくことの難しさみたいなものを私自身も痛感をしてきまして、本当に自治体が観光を続けていくことが、そもそもそれが是なのか否なのかといった議論も、この間、あったように思っています。  ただ、そんな中で大田区としては、松原区長を中心に、おおた未来プラン10年、その中の後期の中で今年度が最終的な集大成の年になっておりますが、トピックスの中でも、これは前回も言ったのですが、外国人等受入環境の整備の充実とか、あとは柱の政策の中で、健康、福祉、医療、それから安全・安心や子育て、教育と並んで文化、観光ということで、大田区としてこれまで観光に非常に力を入れてきているなという印象は受けております。  ただ、その中でも、今回は決算ですけれども、決算の額で言うと、観光振興費においては2億1,078万3,000円ということで、本年度の決算額2,454億5,524万620円、これの中の割合でいくと0.08%ということで、柱の政策としては、非常にこの間のお金のかけ方としては心もとないなという印象を受けています。  そこで、まず、1点目を伺いますが、観光振興費について、掘り下げていくとキリがありませんので、過去5年間の予算額、予算現額の推移と、それから、この間、増額をした、もしくは新設をした、そういった予算についてのこれまでの区の取り組み、それから、実績について教えていただければと思います。 ◎吉川 観光課長 観光振興費の平成26年度から平成30年度までの予算は、平成26年度約1億300万円、平成27年度約1億3,400万円、平成28年度約1億9,600万円、平成29年度約2億1,000万円でございます、平成30年度につきましては2億1,300万円の予算をつけていただいてございます。  この間、平成27年12月には、大田区観光情報センターを京急蒲田駅直結の商業施設内に開設するとともに、大田区公式観光サイト、公衆無線LAN、OTA CITYFREE Wi−Fiの整備を行ってまいりました。  さらに、平成28年度には、訪日前外国人に対して大田区の認知度を高め、来訪の動機づけを目的とした観光PR動画を作成いたしまして、現在、プロモーションを継続させていただいてございます。また、本年度におきましては、江戸無血開城150年を記念いたしまして、鹿児島県、東急電鉄等の協賛を得て、「どんと来い!幕末・明治プロジェクト」を現在実施してございます。  今後も、区内企業、関係機関等と連携いたしまして、区内の誘客につながる観光施策を進めてまいります。 ◆馬橋 委員 ぜひ、新しい取り組みも含めて観光については、性質的に言うと、トライアンドエラーというか、よくあるのが、自治体でもたまにニュースになったりしていますけれども、いわゆる炎上商法みたいなやり方を、なかなか自治体にそぐわないような手法も時には有効になってしまったりするのが観光施策だと思っていまして、なかなかこれは難しいところであろうなと思いながらも、私の個人的な意見としては、正攻法で、ぜひ、観光は進めていただきたいと思っています。  二つ目、先ほど申し上げた京急線の品川駅構内の大田区の観光情報コーナーについてなのですが、これは経緯としては、京急のほうから大田区に対してのサジェスチョンがあったというお話を聞いた記憶がありますが、決算概要説明書の153ページに、数字で言うと、パンフレットの配布枚数も書いていただいていて、決算額が198万5円ということで、委員も見ていただいている方はわかるかもしれないのですが、その1行上には羽田空港の観光情報コーナーの運営が書いてあって、こちらにはパンフレットの配布枚数と金額も書いてあります。羽田空港の観光情報コーナーはすごくいい場所に置いていただいて、とても情報発信力は高いかなと思っておったのですが、この数字を見てみると、京急の品川駅構内は2万2,046部、今年の1月末で終わっているので、2、3月の2か月は多分この数字に入っていないのだと思うのです。羽田空港のほうは対して1万7,125部ということで、この数字を見ると、非常にコスパが高かったのだなと思いました。品川駅の駅のホームの中にコーナーがありましたので、単純にパンフレットとかの情報発信力だけではなくて、そこに存在をしていることで大田区をアピールするといった効果もあったように私自身は感じておるのですが、まず、二つ目、品川駅の大田区の観光情報コーナーについて、閉鎖に至った経緯と、それから、これまでの観光情報コーナーでの取り組み、それから、また効果や実績の検証についてご意見を伺わせていただければと思います。 ◎吉川 観光課長 京急線品川駅構内の大田区観光情報コーナーは、コーナーの運営を委託しておりました京急観光株式会社の店舗事業と外販事業が、京急電鉄株式会社から株式会社日本旅行に事業譲渡されることに伴いまして、平成30年1月31日に終了させていただきました。  この間、平成25年5月の開始以来、京急品川駅の利用者に対しまして、パンフレット等の配布を通じまして、大田区の観光PRを実施するとともに、コーナー内におきまして、観光PR動画を放映するなど、区内への誘客促進に向けた効果的な取り組みを行うことができたと考えてございます。 ◆馬橋 委員 大田区が様々な情報発信を行っていく上で、非常に有益だったのではないかなと私は思っています。  これは3点目なのですが、京急の品川駅構内で配っていたパンフレットの枚数は2万2,046部、同じページに大田区の観光紹介用のパンフレットの発行ということで、19種、12万200部と書いてあるのですが、これが全てではないと思うのですけれども、単純計算すると約5分の1、品川の駅構内で配っていた計算になっています。  伺いたいのが、品川駅の構内の観光情報コーナーが閉鎖したことによって情報発信力とともに、単純なものではないと思うのですが、京急の品川駅から京急の蒲田駅の間、今、蒲蒲線の整備促進とか、それから、また、京急とJRの蒲田の面的な開発といったものが進んでいく中で、品川と蒲田の動線的な部分が非常に薄れてくるのではないかなと危惧をしています。  こういった部分にかわる新たな情報発信拠点の形成などは、今、お考えになっていらっしゃるのでしょうか。 ◎吉川 観光課長 平成27年に開始いたしました大田区公式観光サイト及びフェイスブック等によって、広く情報を発信することが可能となりまして、コーナーでの情報発信効果を上回ってございます。大田区公式観光サイトの平成29年度年間延べページビュー数は約460万件、フェイスブックのリーチ数は、107万5,000件ございます。多くの皆様にご覧いただいた結果だと思っております。  また、東京都庁にある東京観光情報センター、日本橋のふるさと情報コーナー等にパンフレットを設置いただいてございまして、区外での観光PRを引き続き実施し、区内への誘客促進を図っております。情報発信拠点につきましては、必要性を含め研究してまいります。 ◆馬橋 委員 今、ホームページでの情報発信とかというのもありましたが、それはそれだと思っています。例えば、SNSもこの間始めていただきましたし、観光だけのホームページもつくっていただきましたし、そういった情報発信はもちろんやっていただくべきだと思うのですが、この間、観光課のほうから委員会でのご答弁の中では、この観光情報コーナーの存在意義についてもこれまで説明をいただいて、私自身も理解をしてきたところでありますので、それとは別に、紙媒体で、インターネットを通して検索をかけなくても、目についたところにそういったものがあるという強みもあると思いますので、この点については、引き続き研究、それから、また積極的に検討を続けていただきたいと思っています。  最後、4点目なのですが、先ほど来、申し上げておりますとおり、今、京急電鉄はおもしろい取り組みをいろいろやっていて、一時、京急蒲田の駅も「京急かぁまたたたた−っ駅」になっていたりとか、あとは産業道路駅、駅名を今、一般公募していたりとか、いろいろとおもしろい取り組みを始めようとしているようなきらいがあります。  大田区の中にある中心拠点として、常に蒲田、大森が挙げられるわけなのですけれども、そういった中で京急蒲田の駅を擁する京急電鉄とは、今後も様々な部分で事業連携を行っていくことが重要ではないかと考えています。  観光情報コーナーを今日は例に挙げさせていただきましたが、こういった部分にとらわれず、大田区と協働していただけるような働きかけが今後も必要だと考えますが、いかがでしょうか。 ◎吉川 観光課長 1点、さっきの私の答弁の中で数字のほうを誤って答弁させていただきました。大田区公式観光サイトのページビュー数は46万件でございます。申しわけございません。  ただいまの質問に対しましてですが、昨年実施された「京急温泉・銭湯めぐり〜餃子編〜」スタンプラリーや、現在行われている「京急×おおたスイーツキャンペーン」のスタンプラリーイベントでは、引換会場として大田区観光情報センターを提供するなど、イベントを通じた相互協力をしてございます。また、現在策定中の大田区観光振興プラン策定委員会をはじめとする各種協議会の構成員として、大田区の観光施策に関しご助言をいただいてございます。今後も引き続き連携してまいります。 ◆馬橋 委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。  ホームページへのページビュー数に関しては、私もこの数字を見ていたので、あれと思ったのですけれども、この質問は通告していませんが、質問というか、ホームページとかインターネットに関して言うと、観光はいろいろとやり方があると思っていて、例えば有名な俳優とかに蒲田の餃子はおいしいとかといってブログに書いてもらうとか、そういうものでページビュー数は一気にどんとはね上がったりもするので、新しいそういったやり方もいろいろと取り入れながら、大田区の観光をさらに盛り上げていただくようにお願いをさせていただいて、終わりたいと思います。よろしくお願いします。 ○鈴木 委員長 本日は、この程度をもって、決算特別委員会を閉会いたします。                午後 4時56分閉会...