平成30年 9月
決算特別委員会−09月28日-01号平成30年 9月
決算特別委員会
平成30年9月28日
午前10時00分開会
○鈴木 委員長 ただいまから、
決算特別委員会を開会いたします。
第70号議案 平成29年度大田区
一般会計歳入歳出決算ほか3件を一括して議題といたします。
申し合わせ事項により、総括質疑につきましては、各会派の持ち時間のうち、60分以内を原則とし、通知のあった時間を電光表示いたします。
なお、電光表示が0になりましても、各会派の款別質疑の持ち時間を消化し、質疑は継続いたしますのでご了承願います。
また、款別質疑については各会派の持ち時間を、しめくくり総括質疑については20分をそれぞれ限度として行い、残り時間を電光表示いたします。
なお、会派の呼称は略称とさせていただきます。
次に、理事者の皆様に申し上げます。質疑時間には答弁も含まれますので、簡潔な答弁をお願いいたします。答弁の際には、その都度、自己の職名をはっきりと告げた上で、答弁していただきますようお願いいたします。
それでは、総括質疑に入ります。
自民、質疑願います。
◆高山 委員
自由民主党大田区民連合の高山雄一です。会派を代表して、総括質疑を行います。理事者の皆様には、積極的で前向きな答弁をお願いいたします。
9月も残すところ、今日を含めてあと3日となり、だんだんと過ごしやすい気候となってまいりましたが、今年の夏は災害とも言われるくらい、連日記録的な猛暑が続きました。そしてまた、地震や水害などの災害も多数発生しております。6月には近畿地方で最大震度6弱の大阪北部地震が発生し、7月には台風7号と梅雨前線等の影響による西日本豪雨、さらに、今月の9月4日に日本に上陸した台風21号は、関西地方を中心に大きな被害をもたらしました。9月6日には最大震度7を記録した
北海道胆振東部地震も発生いたしました。
災害でお亡くなりになった方々のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被災した方々には、心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興を祈念いたします。
そんな中、いいニュースもありました。8月18日からインドネシアのジャカルタで開催されたアジア大会において、日本選手団は金メダル75個、銀メダル56個、銅メダル74個の合計205個のメダルを獲得し、金メダル6個を獲得した水泳の
池江璃花子選手がMVPにも選出されるなど大活躍でありました。過去最高だった1994年の広島大会の獲得メダル数218個に迫る活躍に、かつて柔道で活躍した山下泰裕団長も、「予想を上回る好成績」と評価しております。2020年の
東京オリンピック・パラリンピックへ向けて、ますます期待が高まっていると感じております。
そして、2019年からの3年間は、2020東京大会だけでなく、2019年には
ラグビーワールドカップ、2021年には
関西ワールドマスターズゲームズと、日本で開催されるスポーツのビッグイベントが続くゴールデンスポーツイヤーズとも言われており、日本が注目される3年間となります。
ちなみに、
ワールドマスターズゲームズとは、おおむね30歳以上のスポーツ愛好家であれば、誰もが参加できる生涯スポーツの
国際総合競技大会であります。
平成26年に
スポーツ健康都市宣言を行っている本区においても、今年はブラジル選手団を事前に受け入れるなど、スポーツの力で次世代に夢とレガシーを残すとともに、健康でいきいきと暮らせるまちづくりへの取り組みに、今後も大いに期待するところであります。
また、これらのビッグイベントには、世界中から多くの人々が集まります。日本の玄関口である羽田空港を擁する自治体として、本区は平成29年3月に、地域の担い手でもある区民とともに、地域力を集結して輝かしい未来に向かって羽ばたきたいという思いを込めて、国際都市おおた宣言を行いました。
今後ますます国際化が進む中で、国際都市おおたの魅力と存在感を広く国内外へ発信していただきたいと期待しています。
こうした中、平成29年度は一般会計で2,618億5,000万円余、前年度比約45億円、1.7%増となる過去最大規模の積極予算を編成されました。その後、社会経済状況の変化や新たな課題への対応などのために、一般会計では5回にわたる補正予算で対応しながら区政が展開されました。
おおた未来プラン10年(後期)の折り返し地点を超えた4年目にあたり、大田区実施計画を策定、さらには、地域特性を踏まえた児童相談所の開設に向けて基本構想・基本計画を策定したこと、複数の公共施設を複合化・多目的化した羽田一丁目、四丁目の複合施設の工事着手や
地域包括ケア体制の構築を推進するため、
地域包括支援センター大森東を
大森東特別出張所施設内に移転する準備を進めたことなど、区政の推進に向けての力強くかつ積極的な取り組みが伺えたところであります。
こうした背景のもと、歳入・歳出決算を総じてみた結果を振り返り、松原区長は、どのような感想をお持ちでしょうか、お聞かせください。
◎松原 区長 平成29年度は、暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる国際都市おおたの実現に向け、未来を拓く子どもたちや若者の成長を支える取り組みなど、四つの重点課題を設定の上、予算編成を行いました。
予算の執行にあたりましては、大田区実施計画に掲げます施策の目標の達成に向けた取り組みや、新たな課題にも速やかに対応することで、着実な行財政運営を推進してまいりました。
歳入につきましては、負担の公平性の観点から収納対策を講じることで、特別区民税の収納率が引き続き改善しております。また、施設使用料などの受益者負担の適正化に基づく公平性の確保などに努めてまいりました。
歳出につきましては、待機児解消対策のさらなる推進や、障がい
者総合サポートセンター、第2期工事でございますが、その着工、全小中学校におけます
ICT環境整備の推進、羽田空港跡地の整備の新たなステップとして
土地区画整理事業が開始されるなど、区政の重要課題に的確に対応してまいりました。
財政運営にあたりましては、区民目線に立った創意工夫により財源を捻出することで、特別区債の発行を抑制し、現在高を約265億円にまで圧縮するなど、後年度の健全な財政状況を確保しつつ、区政の歩みを着実に進めた1年と自負をしております。
今後も引き続き、区政課題に果敢に取り組むとともに、健全で持続可能な行財政運営を行ってまいりたいと思います。
◆高山 委員 健全で持続可能な行財政運営を、引き続きよろしくお願いいたします。
次に、平成29年度決算額等は、先般、会計管理者から説明がありましたとおり、歳入決算額は2,556億5,385万円余、歳出決算額は2,454億5,524万円余、
歳入歳出差引額は101億9,861万円余となり、翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支額は96億4,047万円余の黒字であったこと、また、29年度実質収支から28年度実質収支を差し引いた単年度収支は、32億9,323万円で、財政基金の取り崩しなどの
実質的赤字要因や、逆に財政基金への積み立てなど、
実質的黒字要因を差し引いて算出される実質単年度収支は21億2,454万円となりました。
これらの数字を総務省が定めた基準により、全国の地方公共団体の財政分析ができるよう、
普通会計ベースに再構成し分析した数値では、実質収支比率が6.1%、
公債費負担比率は2.5%、経常収支比率は83.1%となっており、これらの数値を見る限りでは良好な財政運営がなされているものと感じています。
そこで伺います。こうした各種財政指標から区財政を見たとき、区の財政状況をどのように認識しているのかお答えください。
◎市野 企画経営部長 まず、実質収支比率につきましては、平成29年度決算は前年度に比べ、特別区税や各種交付金等が増となった結果、実質収支額が増額となり、前年度に対し2.2ポイント増の6.1%となりました。
実質収支比率は、財政規模に応じて収支変動の振れ幅が大きくなることから、平成29年度における区の比率は適正な水準にあるものと認識をしてございます。
次に、
公債費負担比率につきましては、平成29年度決算は、公債費総額が減少したことにより、前年度に対し、0.3ポイント減の2.5%となりました。これは、特別区債の着実な償還を行ってきた結果であると認識をしてございます。
次に、経常収支比率につきましては、歳入において納税義務者の増加に伴い、特別区民税が増となった一方で、歳出において
待機児童対策経費が大きく伸びたことに伴い扶助費が増となった結果、前年度に対し、2.0ポイント増の83.1%となりました。区では、おおた未来プランにおいて、経常収支比率の目標を80%台の維持と掲げており、現状において適正な範囲内であると考えてございます。
しかしながら、特別区特有の不安定な歳入構造に加え、消費税率改定に伴う景気動向や、国が進める不合理な税制改正に伴う財源への影響など、今後想定される膨大な行政需要を勘案すると、決して予断を許さない状況にございます。
そのような状況を見据えながら、山積する行政課題に引き続き的確かつ柔軟に対応していけるよう、今後も健全で持続可能な財政運営を推進してまいります。
◆高山 委員 次に、別の視点で決算を見てみます。平成19年6月に公布された地方公共団体の財政の健全化に関する法律では、地方公共団体の財政状況を客観的にあらわす指標である
健全化判断比率の公表が定められています。平成29年度決算についても、報告議案の資料で大田区の状況を見てとることができます。
そこで、お伺いいたします。これら、
財政健全化判断比率の数字を踏まえて、区の財政状況をどのように評価しているのかお答えください。
◎市野 企画経営部長 平成29年度決算に係る
財政健全化判断比率の4指標におきまして、まず、実質赤字比率は、標準財政規模に対する一般会計等を対象とした実質赤字額の比率であり、平成29年度は黒字となってございます。
次に、
連結実質赤字比率は、標準財政規模に対する、一般会計等の実質赤字額に
国民健康保険等の公営事業会計の資金不足額の合計を加えた、
連結実質赤字額の比率であり、平成29年度は黒字となってございます。
次に、
実質公債費比率は、標準財政規模に対する特別区債の元利償還金及び準元利償還金の比率であり、平成29年度は、昨年度のマイナス2.5%からマイナス3.5%と、1.0ポイント減少してございます。これは、特別区債の発行抑制と着実な償還による元利償還金の減が主な要因と考えられます。
なお、
早期健全化基準は25.0%以上とされてございますので、健全な状況を維持していると言えます。
次に、将来負担比率につきましては、標準財政規模に対する、特別区債現在高等の将来負担すべき実質的な負債の比率でございますが、将来の負担額はマイナスとなってございます。
以上のことから、各指標とも
早期健全化基準を大きく下回っており、区財政は健全な状況を維持していると認識してございます。
◆高山 委員 次に、
財政調整交付金と
都市計画交付金についてお伺いします。
歳入全体の約65%が一般財源ということで、そのうち、特別区税が約30%弱、
財政調整交付金も約30%弱と、その二つで一般財源の約9割弱を占めています。区の重要な基幹財源である
財政調整交付金ですが、
都区財政調整交付金と言われるように、依存財源でもあります。同じように、
財政調整交付金と同様、都から交付される
都市計画交付金については、まちづくりにおける貴重な財源となっております。
そこで伺います。
財政調整交付金の今後の見込みや制度のあり方についてどのように考えているのか、また、
都市計画交付金の制度や交付実態については現状どのようになっているのか、あわせてお答えください。
◎市野 企画経営部長 まず、
都区財政調整制度に関しましては、都区制度をしっかりと支える財源保障制度として適切に運営していくことが重要であると考えてございますが、現状は、必ずしも実態を踏まえたとは言えない課題を抱えているものと考えてございます。
具体的には、各区が安定的な財政運営を行うためにも、可能な限り、算定内容が客観的かつ明確に規定されている普通交付金による対応を図るため、特別交付金の割合を2%に引き下げること、また、特別区が政令の定めにより児童相談所を設置した場合の関連経費について、
都区財政調整制度の
基準財政需要額に算定され、財源保障すべきものであるなど提案してございますが、東京都と協議が調わず、今後も予断を許さない状況にございます。
次に、
都市計画交付金に関しては、都市計画税は本来、基礎自治体が行う都市計画事業の財源となりますが、特別区の区域においては、都市計画事業の一部を東京都が大都市事務として実施していることから、都市計画税を東京都が徴収し、
都市計画交付金として特別区に交付されてございます。
都市計画税は全ての都市計画事業が充当対象となるのに比べ、
都市計画交付金は、対象事業に制限があるなど、都区の事業実態に見合った見直しを図る必要があると認識してございます。
区としましては、このような課題解決に向けた建設的な議論を、特別区全体で連携して進め、
都区財政調整制度及び
都市計画交付金制度の改善に向け、引き続き尽力してまいります。
◆高山 委員 引き続きよろしくお願いいたします。
次に、同じく歳入についてということで、ふるさと納税についてお伺いいたします。
ふるさと納税による減収は年々増加しており、平成28年度課税分は7億4,155万円余、29年度分で13億5,771万円余、30年度分では18億8,957万円余となっています。ふるさと納税をめぐり、自治体間で「モノ」による返礼品競争が激化しており、魅力的な返礼品を数多く取りそろえて人気を博している自治体に負けじと、返礼品の拡充や積極的なPRに力を入れる自治体が増えてまいりました。これまでふるさと納税にあまり関心を持たなかった大都市圏の自治体でも、住民税の流出に危機感を覚え、返礼品の充実に取り組む動きが一部に見られるようになりました。
ふるさと納税が急増する中、野田総務大臣が先日、制度を見直す方針を表明しました。過度な返礼品で寄附を集める自治体を制度の対象外とするとのことで、2019年の通常国会に
地方税法改正案を提出し、早ければ2019年4月から適用するとのことであります。
そのような中、最近、自治体の取り組みに注目すべき変化が見られます。一つ目は、いわゆる体験型の返礼品であります。これは、テーマパークや温泉施設の入場券、農業体験など、寄附者が寄附先に出かけて、参加して楽しんでもらうというもので、地域の活性化にとってはとても効果的という発想で提供する自治体も増えています。もう一つは、クラウドファンディングとしての取り組みであります。文京区では、生活困窮世帯に食事を届けるこども宅食をふるさと納税の対象事業としたところ、返礼品がないにもかかわらず、昨年度は目標の4倍を超える8,200万円が集まったとのことであります。
そこで伺います。大田区においては、本年の第2回定例会において、(仮称)
勝海舟記念館整備事業に係る基金の創設を行い、寄附の募集を実施しているところでありますが、大田区独自のさらなるふるさと納税の取り組みを行うべきだと考えます。区として、今後の展開をどのように考えているのかお答えください。
◎玉川 総務部長 ふるさと納税は、善意の寄附によりまして、地域の活性化を応援するのが本来の趣旨でございます。区は今般、この趣旨に沿いまして、区民が寄附の使途を選択できるシステムの構築に向けて、庁内検討会を設置いたしました。
区の寄付金情報を集約したホームページの新設やアクセスの簡便化、
クレジットカード等を利用した寄附の受入体制の整備など、区民の皆様が寄附をしやすい環境の整備を検討してまいります。
◆高山 委員 ご検討よろしくお願いします。
冒頭にも申し上げたとおり、松原区長が就任されて以降、区政の推進に向けての力強くかつ積極的な事業展開をされてこられたと改めて認識し、高く評価しているところであります。
そこで、松原区長就任以降、投資的経費と義務的経費の推移と今後の見通しについては、どのような認識をお持ちでしょうか。区財政の硬直化を防ぐための今後の取り組みについてお伺いいたします。
◎市野 企画経営部長 最初に、投資的経費は、支出の効果が資本形成に向けられ、施設等がストックとして将来に残るものに支出されるもので、その決算額は、10年前の平成19年度決算と比較すると約55億円増の224億円余となってございます。
今後の見通しといたしましては、区では、公共施設の更新費用につきまして、平成28年度から20年間で約3,300億円を見込んでおり、今後、一つの大きな山を迎えます。
こうした状況にあっても、継続的に良質な区民サービスを供給しつつ、公共施設の更新費用の財源を確保するには、特別区債と基金のバランスの取れた活用が重要です。区は、これまで計画的に特別区債の発行抑制と着実な償還を進め、区債の発行余力を蓄えるとともに、
公共施設整備資金積立基金を計画的に積み立ててまいりました。これらの活用により、施設更新に要する一般財源への影響を抑えつつ、計画的な公共施設の更新を着実に進めてまいります。
次に、義務的経費ですが、計画的な職員定数の管理や特別区債の償還により、人件費及び公債費は平成19年度決算と比較すると、約160億円の減となっているものの、人口構成の変化への対応等により、扶助費は約351億円の増となり、義務的経費全体では、約190億円増の1,265億円余となってございます。
今後の見通しですが、人件費につきましては、
職員定数基本計画に基づき、適正な職員定数管理に努めてまいります。
また、扶助費につきましては、人口構成の変動から、今後も逓増傾向が見込まれることから、介護予防の充実や就労支援等を積極的に進めることで、区民サービスの質の向上を図りつつ、区財政への影響の軽減に努めてまいります。
公債費につきましては、引き続き公共施設の更新等が見込まれることから、特別区債の着実な償還を進めながら、発行余力を蓄えるとともに、基金とのバランスや世代間の公平を踏まえて適切に活用してまいります。
こうした考え方のもと、引き続き安定的で質の高い区民サービスを提供しながら、柔軟で健全な財政運営を推進してまいります。
◆高山 委員 引き続き、柔軟で健全な財政運営をよろしくお願いいたします。
次に、基金の積み立てについて伺います。
財政基金の残高については、条例の定めるところによって、決算剰余金の2分の1が積み立てられますが、確実に残高を確保されてきている印象を持っています。一方で、今後、財政基金から取り崩して公共施設の改築等に充当することもあるはずだと考えています。今後は、少子高齢化の進行や区民ニーズの多様化・複雑化、地域社会構造の変化などに対応しながら、将来を見据えた取り組みが必要となってくると考えます。
そこでお伺いいたします。将来を見据えて、さらに目的に応じた基金に積み立てすべきだと考えますが、いかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。
◎市野 企画経営部長 財政基金は、特別区税や特別区交付金などの一般財源の年度間における調整をすることで、健全な財政運営を図る重要な役割を担ってございます。
区は、平成に入ってからの大きな景気変動の経験も踏まえ、区民サービスを安定的に提供するため、計画的に基金を積み立ててまいりました。平成29年度は、前年度決算剰余金のうち、2分の1を大田区財政基金条例に基づき基金へ積み立てをし、基金からの取り崩しを減額いたしました。一方で、将来の公共施設の改築・改修需要に備えた
公共施設整備資金積立基金など、計画的に積み立てを行ってございますが、その時々の社会経済状況、予算の執行や区債発行額とのバランスなどといった財政状況を踏まえ、積立額を適宜判断してまいりました。
その結果、平成29年度末における現在高は、前年度末残高に比べて、約41億円増の367億円余となってございます。
今後も引き続き、行政需要を適切に見込み、目的に応じた基金への積み立てなど、適切な予算編成及び執行に努め、区政を取り巻く重要課題に迅速かつ的確に対応できる行財政運営を進めてまいります。
◆高山 委員 よろしくお願いいたします。
続きまして、施設使用料についてお伺いいたします。19年ぶりに平成29年度から新料金に改定されました。そのような長い期間、施設使用料の改定が行われなかったわけでありますが、ここはやはり、受益者負担の適正化といった観点は非常に重要であり、かつ今回の料金改定は評価するものであります。
お伺いいたします。改定した背景や目的はどうであったのか。また、どのような基準で改定をしたのか、そして今後は定期的に見直しを行うべきだと考えますが、区の見解をお聞かせください。
◎市野 企画経営部長 公共施設の施設サービスのコストに関する受益者負担の適正化につきましては、
施設使用料収入で賄えない分を区民全体で負担することから、施設利用者と施設を利用されていない方との公平性の確保の観点が重要です。
平成10年度の改定以来、消費税率の改定や施設の維持管理経費などに様々な状況の変化が生じており、施設サービスのコストの負担の公平性の確保や施設使用料の基準の明確化、同種別の施設間の料金体系の不均衡の是正が課題となってございました。
このため、施設の
サービスコストについて、原価計算をもとに、一定の基準により施設を利用される方に適正な負担をいただけるよう、施設使用料の改定を行いました。
改定の結果、使用料は減額となるもの、据え置き、増額、いずれにもございましたが、改定前と比較して25%を超える変動となる場合は、これを上限とした激変緩和措置を講じてございます。
今後も、施設利用者への影響にも配慮しつつ、受益者負担の原則に基づき、社会経済状況の変化を踏まえ、検討を進めてまいります。
◆高山 委員 区は、基本構想に掲げる大田区の将来像、地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市おおたの実現に向けて、おおた未来プラン10年のもと、区政のあらゆる分野について取り組みを進めてまいりました。
平成26年3月に策定された未来プラン(後期)は計画期間が平成30年度までとなっており、区は、その折り返し点を迎えたことから、未来プランの成果を確実なものとし、かつ新たな行政需要にも対応することを目的として、平成29年3月に大田区実施計画を策定されています。
この大田区実施計画の策定方針を見ると、各年度の予算編成との連携を図り、年度別の取り組み内容を具体的にわかりやすく示すこと、計画の最適化を図るため、社会経済状況の変化や実績を踏まえた検証・見直しを毎年度行い、その結果を予算と連動させて各事業を着実に推進するとされています。
区政を取り巻く状況は絶えず変化を続けており、区民のニーズや地域の課題も多様化、複雑化する中、区民の生活に最も身近な行政機関として、多種多様な事業において着実な成果を得るためには、時流を見きわめ、的確な目標を定め、日々しっかりと事業の進行を管理しながら、状況の変化などに迅速かつ柔軟に対応していくことが求められるものと考えます。
そこで伺います。平成29年度は大田区実施計画の初年度にあたりますが、予算に裏づけされたものであることが大きな特徴である大田区実施計画を策定したことにより、区の事業の進行管理はどのように変わったのでしょうか。
◎市野 企画経営部長 大田区実施計画は、おおた未来プラン10年(後期)の実効性を高め、目指す姿の達成をより確かなものにするとともに、
未来プラン策定後の社会経済状況の変化や、新たな地域課題にも着実に対応することを目的として、平成29年3月に策定いたしました。
策定にあたりましては、向こう3年間の具体的な取り組みを財政見通しに基づき構築し、取り組み結果について毎年度検証・見直しを行い、その結果を次年度の予算編成と連動させることで、常に計画の最適化を図りながら着実な事業の推進を図ることといたしました。
実施計画におきまして、各年度の取り組み内容を具体的に示すことで、区の主要事業の進行管理におきましても、より明確な目標を設定することにつながってございます。
また、取り組み結果の検証をしっかりと行い、次年度以降の取り組みについて、予算の裏づけを得ながら最適化を図るため、各部局におきまして、これまで以上に精緻な進行管理が行われているものと認識してございます。
引き続き、目指す姿の達成と、区の将来像の実現に向けて、全庁を挙げて的確に事業の進行管理を行いながら、実施計画に掲げる取り組みの着実な推進を図ってまいります。
◆高山 委員 引き続き着実に推進していただきたいと思います。
次に、公民連携についてお伺いいたします。区は今年6月に、セブン&アイグループの4社と包括連携協定を締結しました。
松原区長から本定例会開会にあたっての発言にもありましたが、この協定に基づいた取り組みとして、セブン−イレブンにおける「野菜を食べよう」キャンペーンや、イトーヨーカドー大森店の社員の方を対象とした認知症サポーター養成講座など、地域課題に向けた取り組みが既に開始されているとのことであります。また、先月には、三菱商事都市開発株式会社と連携協力協定を締結し、同社が大森西に整備中の商業施設、マチノマ大森を活用して地域のさらなる活性化を目指すとのことであります。
これら民間企業と連携した取り組みは、区民サービスの向上に直接つながるものであり、高く評価できるとともに、今後のさらなる効果的な運用に期待するところであります。
今、民間企業においては、CSR、Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任やCSV、Creating Shared Value、共通価値の創造という考え方が重視され、企業としてより積極的に社会に貢献していこうという機運が高まっています。
地域課題の解決について、まずその解決を図るのは行政でありますが、民間企業のアイデア、ノウハウ、資産などを活用して、より重層的に魅力的なまちづくりを進めていくことは、これからの時代においては不可欠と考えます。
セブン&アイグループや三菱商事都市開発との連携は、ソフト面での連携が中心ですが、ハード分野における連携も、もちろん必要となってまいります。例えば、現在進めている東急池上線池上駅の駅ビルに池上図書館を移転する事業や、拠点公園における公民連携推進基礎調査などが挙げられますが、このような公民連携に係る取り組みは今後、ハード・ソフトの両面から、さらに積極的に進めていくべきものと考えます。
区はこれまで、地域力という区政の基本方針のもと、地域における様々な主体の力を区政に活用してまいりました。今後、これをさらに強化、加速していくためには、民間企業に対して、大田区は今後、民間企業との連携を強化していくんだという強いメッセージを発信する必要があると考えます。
そこで、お伺いいたします。公民連携に対する大田区の基本的なスタンスが明らかになることにより、民間企業との連携が一層進むものと考えますが、いかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。
◎市野 企画経営部長 区はこれまで、基本構想に定められた地域力というキーワードのもと、自治会・町会や団体、NPOなど、地域の皆様と連携・協働をすることにより、様々な地域課題の解決に取り組んでまいりました。あわせまして、区内の大学等の学術機関や他の自治体、公共機関などとの連携も幅広く展開し、地域力の土台をより強固なものにしてまいりました。
区といたしましては、これまで培ってきた、連携・協働に加え、今後、民間企業との連携を強化していくことにより、新たな相乗効果が生まれ、地域力の一層の向上につながっていくものと考えてございます。今後、より幅広い企業との連携を検討していくにあたりましては、区の基本的な考え方、方針を対外的に、より広く発信していくことも必要であると考えてございます。
これらのことも含めまして、引き続き、公民連携のさらなる推進に向けた検討を行ってまいります。
◆高山 委員 民間企業との連携をさらに強化し、魅力的で暮らしやすいまちづくりを推進していただきたいと期待いたします。
次に、震災対策についてお伺いします。
区は、平成29年度の予算において、熊本地震を踏まえた、より一層の災害対策の充実に努めることとし、震災対策の加速化を打ち出しました。被災された自治体からの教訓をもとに、備蓄体制の充実や支援物資の受け入れなどの課題や災害対策本部における実践的な体制の構築・整備などを掲げています。
山積する震災対策の課題に対して、一度に全ての課題を解決することは困難であると考えます。まずは優先度の高い課題から着手し、継続的に取り組むことが、着実な震災対策の推進となることと考えます。
区は東日本大震災や熊本地震発災時に、発災直後から現地に入り、被災状況と応急復旧活動など直接現地において積極的な視察を実施し、被災された自治体からの教訓をいち早く本区の震災対策にも取り入れており、その成果と今後の震災対策に多くの区民が関心を寄せているところであります。
そこで、お伺いいたします。東日本大震災や熊本地震など、これまでの震災の教訓から学んだ区の震災対策の成果と、今後のさらなる震災対策についての考えをお聞かせください。
情報を十分に使いこなせる能力、大量の情報の中から必要なものを収集し、分析・活用するための知識や技能のことを情報リテラシーと言うのだそうですが、オープンデータによる行政情報の民間活用を進めるには、行政にもこの情報リテラシーが求められます。
午前中の我が会派の松本委員の総括質疑でも、職員のICT教育に言及されていましたが、オープンデータの今後については、職員の育成や外部人材の登用など、本区の情報リテラシーの向上にも取り組んでいただくことを要望しておきます。
また、教育現場においてもICT教育に取り組まれていますが、その目的はやはり情報リテラシーの取得にあると考えます。
ただし、幼いころからスマホを与えてプログラミングができるようになったからといって、必ずしも情報リテラシーが高いということにはならないと考えます。子どもが小さいころは、豊かな情操を育み、常識ある大人に育てることが親の務めだと考えます。
その上で、まだまだ先の展開となるとは思いますが、大田区のオープンデータがICT教育にも活用されるようになれば、子どもたちにとっても身近な区政に目を向けてもらえるよい機会になるのではないかと期待しています。今後の推進をよろしくお願いいたします。
続いて、防災対策費についてお伺いします。
総務費防災対策費、防災意識の高揚及び防災行動力の向上として、989万2,000円の予算額に対して97.42%の執行率で、963万6,593円となっております。
東日本大震災以降、本区ではいち早く「命を守る3点セット」の全戸配布や防災訓練やマンション向け講座を行うなど、防災意識啓発に向けた事業を行っていると承知しています。
昨今、各地で頻発する記録的豪雨などにより、区民の防災意識は地震に加えて水害にも向いています。こうした状況を踏まえた意識啓発について、昨年度の取り組みについてお聞かせください。
◎伊藤 防災支援担当課長 平成29年度の取り組みといたしましては、防災意識の向上を重点として、大田区総合防災訓練や地域訓練のほか、集合住宅が増え、新たな需要に応えるためのマンション講習会や各地の災害でも話題となっている要配慮者への理解促進のための要配慮者講習会などを実施してまいりました。
防災・減災の基本でもある「自分の命は自分で守る」自助と「自分たちのまちは自分たちで守る」共助の重要性と必要性を繰り返し啓発し、区民一人ひとりの防災力の向上に努めてまいりました。
また、近年の風水害の被害や東京都の高潮被害の想定などを受け、区といたしましても風水害に対する意識啓発の取り組みを強化することとし、今年度5月に、水防災講習会を初めて実施いたしました。
本年も大阪北部地震、西日本豪雨や関西方面に大きな被害をもたらした台風21号、さらには北海道地震が相次いで発生していることもあり、震災、風水害に関して区民の皆様からの問い合わせも多く増えており、関心が高くなっていることを強く認識しております。
災害発生時には、「自分だけは大丈夫」という思い込み、いわゆる正常性のバイアスに陥ることなく、区民の皆様みずからが「命を守る行動」をとっていただくことが重要であると考えております。引き続き、区民の皆様の防災意識向上に取り組んでまいります。
◆広川 委員 防災意識の高揚は、継続的に行うとともに、子どものころから醸成していくことが、いざというときの大きな力となることは、「釜石の奇跡」と言われた岩手県釜石市の防災教育に象徴されます。
また、防災教育は、教育機関だけに委ねるのではなく、家庭や地域で培われていくことも大切です。葛飾区では、防災学習用アプリ「天サイ!まなぶくん」を開発、配信しています。このアプリは、スマートフォンやタブレット端末のカメラから取り込んだ映像に、洪水ハザードマップで表示している浸水のイメージ映像を重ねて表示することで、子どもにも浸水のイメージが理解できるように工夫されています。
三重県尾張旭市の災害対策室では、市のPTA協議会と連携し、家庭で親子で防災意識を培うツールとして、子ども防災手帳を作成しています。参考までにタブレットに配信させていただきましたので、ご参照いただければと思います。
この防災子ども手帳は、災害の知識や備えをイラストを多用し、クイズを折りまぜながら、わかりやすく学べるようになっています。小学校低学年用と高学年用に分けて理解力に合わせた構成となっています。
本区でも、子ども向けの防災教育の学習ツールを作成してはいかがでしょうか。所見をお聞かせください。
◎伊藤 防災支援担当課長 小学校や幼稚園、保育園のときから防災について学び、興味を持ってもらうことは、将来の地域の防災力の担い手の育成につながるとともに、その親御さんたちも巻き込み、地域の防災訓練への参加促進につながるものと考えております。
また、家庭内での防災教育として東京都が作成した「東京くらし防災」などを活用していくことは、地域の防災リーダーとしての活躍につながっていくものと考えております。
自然災害はいつ発生するかわかりません。子どもが保護者と必ず一緒に行動しているとは限らず、1人でいるときなどに被災することも考えられます。
そのときに自分の命を守る行動をとれるよう、発達段階に応じた防災教育を平時から行い、自然災害に対する正しい知識と理解を身につけることは重要なことであると認識しております。
今後は、若年層の防災教育の取り組みの一つとして、小学生低学年もわかりやすい学習ツールを作成し、子どもたちが多く参加するイベントや小学校で実施している区役所の見学時に配布するなど、若年層への防災意識の向上に努めるとともに、その保護者にも働きかけるツールとして活用してまいります。
◆広川 委員 防災教育は、いざというときに自分で生き延びる力を養うことです。それは生命、命は最も大切なものという根源的な価値観を子どもたちに伝えることだと思います。
災害は恐ろしいものと忌み嫌うのではなく、子どもたちが興味を持って、みずから学べるような工夫をしていただくことを要望し、質問を終わります。
○鈴木 委員長 次に、共産の質疑に入りますが、黒沼委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。
共産、質疑願います。
◆黒沼 委員 同和問題でお聞きします。
政府は、2002年の同和対策特別措置法の終結は、「33年間16兆円を使い初期の目的を達成した。部落内外の人口の移動、内外の格差などの是正が進み、進学や教育の面でもほぼ解決している。これ以上、誰が同和地区出身者などということは特定できなくなっている。もうこれ以上特別対策をすることは、かえって部落問題の最終的な解決の障害になる。だからもうやめましょう」ということで終え、「以後は一般行政で対応する」としたのです。以来、部落差別の解消は進みこそすれ、差別が増えている事実はありません。
大田区の相談件数はタブレットをご覧ください。2013年、144件、2017年、118件と減少傾向は同じです。しかも、これらの相談ごとは件数のみです。法務局の人権担当課に、大田区から同和にかかわる問い合わせはありましたかと問い合わせたところ、ホームページに掲載してあるとおりですとの回答でした。ホームページを見る限り、大田区民からの問い合わせは確認できませんでした。大田区の相談件数と部落差別との因果関係は、結局明らかではありません。
ところが、2016年、議員立法として、部落差別解消推進法が成立しました。新たな差別をつくらないための附帯決議を確認しておきます。区には部落差別の解消に関する施策の実施に資するための部落差別の実態にかかわる調査を実施するにあたっては、当該調査により、新たな差別を生むことのないように留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよう慎重に検討することとあります。
9月19日の総務財政委員会資料の人権に関する意識調査の同和項目は、この新法に基づくものであれば、行政が個人の内心の自由に踏み込むことになりかねません。
新法に関係のない調査であることを確認します。お答えください。
◎元木 人権・男女平等推進課長 先般、9月19日に開催されました総務財政委員会で、本年10月に実施予定の人権に関する意識調査の実施について報告したところでございます。
本調査ですが、平成13年から始まり、直近では平成25年に実施しております。そのような実績を踏まえた上での区民の人権に関する意識調査であり、今後の人権啓発事業の基礎資料とすることを目的としております。
調査票の回答ですが、任意で区民の方にご協力いただくものです。さらに、無記名であることから、個人の内心の自由を侵害するものではありません。
◆黒沼 委員 従前と同じものであり、新法とは無関係であるものと確認させていただきました。
憲法上の理念は、部落問題だけではなく、全ての人権問題に共通する理念です。この理念から直接的に、特に部落差別に関する法制定に結びつける根拠はありません。なぜ特別扱いになったかというと、部落民以外は全て差別者との解放同盟等の糾弾闘争の横行などであることが明らかになっています。それらに基づく自己反省がないままに今後も進められれば、その不合理は明らかです。
そこでお聞きします。大田区の相談ごとは、明らかに部落差別との因果関係があると明らかにできていますか、お答えください。
◎元木 人権・男女平等推進課長 区における相談事業ですが、その内容については、歴史的、社会的な背景に起因した同和問題に関連するものでございます。また、根深い差別意識に基づく事案も多くございます。
したがって、部落差別との因果関係を有しているものと認識をしております。
◆黒沼 委員 今の答弁の根拠はありません。もしそう言うならば、根拠をお示しください。根拠なしにそれだと言っても区民は信じません。
(「脅されると怖いからが根拠だよ」と呼ぶ者あり)
◆黒沼 委員 そういうことですね。
歴史的に起因したという言い方は、ならば、この数字の数だけで根拠はないではないですか。もし、そうであるのならば、結婚の、部落出身の関係からあったと事案を挙げて証明すべきです。
法務局の担当者もこうなのですよ。事件が起きての相談ならばわかりますが、自分の意識調査、思想調査にかかわることは憲法違反にもなりかねません。今の答弁さえも変えていただくことを要望しておきます。
最後に、これまで長く続いてきた同和相談ですが、相談ごとと部落差別との因果関係は、今のように、具体的には明らかにできませんでした。ならば、政府の終結宣言のときの見解のとおり、続ければ続けるほどかえって弊害になります。一般行政で対応するとしたとおりにすべきです。なぜ政府の見解と同じ立場に立たないのでしょうか。最後にお答えください。
◎元木 人権・男女平等推進課長 部落差別の問題は、日本社会において歴史的、社会的に形成された人々の意識に起因する根深い差別が、今なお、様々な形であらわれてくる重大な人権問題と捉えております。
残念ながら、差別がなくならない現状がございます。
区では、部落差別解消推進法の趣旨を踏まえ、国、東京都、周辺自治体と連携して、部落差別の解消のための施策を推進するとともに、今後も部落差別に悩み、苦しんでいらっしゃる方への相談事業として継続してまいります。
◆黒沼 委員 今の答弁は、附帯決議にも反する答弁であります。しかも、終結宣言としたことにも反する発言です。なぜ法を重視しないのか、もう一度検討して、政府の方針どおり、法律に基づいて大田区の行政が進められるよう提案し、終わらせていただきます。
○鈴木 委員長 次に、民主、質疑願います。
◆黒川 委員 ありがとうございます。皆さんの目から魂が抜けていますけれども。
おおた国民民主党の黒川仁と申します。総務費について、大田の観光にぎわい創出事業とそれに関連して地域力応援基金助成事業と自治会・町会の役割について質問いたします。
大田の観光にぎわい創出事業自体は、非常に思い切った、すばらしい事業であると思います。しかし、区民の自主性に委ねる以上は、区民の側にも説明責任がありますし、行政の側も効果をしっかり検証していく必要があります。
交付金交付要綱の第1条には、地域が主体となって大田の観光資源を生かし、新たな地域のにぎわいを創出する事業を支援し、区への来訪者誘致の促進及び地域の活性化を図ることを目的とするとあります。第3条に交付が申請できる者の規定がありますが、第1条のように「地域」を主語とすると、非常に抽象的でわかりづらいです。そして、区への来訪者誘致の促進というからには、区外からの来訪者、インバウンドがどの程度であったかをアンケートを義務化するなり、確認する必要があります。
そこで質問いたします。まず、昨年の実績と成果、課題を質問いたします。
◎吉川 観光課長 昨年度は、18団体に交付決定を行いまして、各団体それぞれが身近に存在する観光資源を活用いたしまして、にぎわいを創出する事業を実施いただきました。地域ぐるみでの一体感の醸成と、地域が自発的にまちのにぎわいを創出するきっかけづくりになったと考えてございます。
課題といたしましては、交付決定が年度途中になりまして、年度当初からの事業開始を予定している団体が本補助制度の活用が難しいとのご意見も伺ってございます。これまでの実績等の状況を踏まえまして、できる限り年度始めの時期に交付決定ができるように工夫してまいりたいと考えてございます。
◆黒川 委員 にぎわいを創出することはできているようですが、交付要綱の目的にもあるように、区外からの来訪者を増やさなければなりません。そして交付の額が大きいだけに、事務手続自体のスピードアップと交付を早目にする必要も感じております。
特別委員会でも質問しましたが、事前・事後のチェックの仕方についてお伺いいたします。
◎吉川 観光課長 補助金の審査は、一次審査として書類審査、二次審査として外部委員を含む審査員によるプレゼンテーション審査会を実施してございます。審査は、地域が主体となって大田の観光資源を生かし、新たな地域のにぎわいを創出する事業を支援し、区への来訪者誘致の促進及び地域の活性化を図るという補助金の目的に沿って適切な形で実施できるかを主点といたしまして、総合的に補助事業としてふさわしいかを審査しております。
交付決定後におきましても、事業内容の変更や進捗状況の確認を行い、事業完了後には実績報告書に基づき、事業実績及び成果の確認を厳格に行ってございます。万が一、不正や違反があった場合は補助金の返還を命ずることとなってございます。
◆黒川 委員 非常に厳格であるという話ですけれども、書類の手続が非常に煩雑だという話も聞いておりますけれども、やはり交付要綱第16条の実績報告も大切でありますけれども、第25条にありますような、検査及び事業の効果の報告が非常に大切であると考えております。
第25条の事業実施後の検査と報告を厳格に求めて、しっかりとチェックをしていただきたいと思いますが、区の見解を伺います。
◎吉川 観光課長 要綱第16条に定める実績報告に基づき、要綱に定める様式、書類のほか、添付資料として準備から実施・効果検証までに係る会計書類の写し及び実施状況の写真、報告書の提出を義務づけております。
今後も引き続き、適正な補助金の執行管理に努めてまいります。
◆黒川 委員 何度も申し上げますけれども、この事業は、区への来訪者誘致を期待するものでありますので、区民の区民による区民のためのイベントであって、ないと思いますけれども、厳格なチェックを強く要望いたします。
次に、地域力応援基金助成事業について質問いたします。
この事業は公益性、社会貢献、非営利の事業を対象としておりますが、まず、これもこれまでの実績、成果について質問いたします。
◎武藤 区民協働担当課長 地域力応援基金助成は、区民活動団体を支援するとともに協働を推進する施策の一環として、「おおた未来プラン10年」の計画事業に位置づけ、平成21年から取り組んでまいりました。
この間、設立後間もない団体に向けたスタートアップ助成は127件、事業の拡大・拡充を目指す団体に向けたステップアップ助成は107件、区政課題として区が提示するテーマへの提案的事業に対する支援となるジャンプアップ助成は13件と、様々な分野の団体に活動していただいております。
この助成金を活用した事業には、区の委託事業として継続している「みどりの縁側」事業などや、区内だけの事業展開にとどまらず、今では全国の自治体に広がった「高齢者見守りキーホルダー」事業などの取り組みもありました。
◆黒川 委員 今の関連なのですけれども、過去3年のうちで観光やにぎわいに関する事業は、どのようなものがあり、これによって、どのような効果が生まれたのでしょうか。詳細を教えてください。
◎武藤 区民協働担当課長 地域力応援基金助成事業は、「まちづくり又は、観光の推進を図る活動」など、11分野の社会貢献活動に助成しております。
平成27年から平成29年に実施した77事業のうち、「まちづくり又は、観光の推進を図る活動」の内容は7事業ありました。
この中で観光やにぎわいに関する事業は、馬込の月見まつりや多摩川七福神「縁日」の開催による地縁づくりなどの事業があり、日本の伝統文化に親しむ機会の創出、有形・無形の地域資源を活用した地域の活性化に取り組んでいただきました。
◆黒川 委員 本当に地域の活性化がメインとなっているわけですけれども、いろいろな団体から声があるように、助成後の活動や活動内容などを踏まえた支援が必要であると考えますが、その支援体制について、区の見解を伺います。
◎武藤 区民協働担当課長 本助成事業終了後、団体は、事業を継続するための資金面や事業を広く区民に周知する広報面の課題を抱えております。そのため、区内で活躍している団体からスキルや経験を学び、団体間の交流を深める団体活動ステップアップ講座などを開催しております。
さらに地域協働協力員や区民活動支援施設のコーディネーターが、地域での事業の広がりや事業効果を高めるため、団体の相談を受け、他団体との連携などをサポートしてきました。自主的団体活動を支援するとともに、区民の社会参加を促し、区民活動の一層の活性化に尽力してまいります。
◆黒川 委員 私の知り合いでもコーディネーターになった方がいて、その方がコーディネーターになったらいいよということで、徐々に広がりを見せているコーディネーターも非常にいい取り組みだと思いますので、ぜひとも続けていただきたいと思います。
最後なのですけれども、これまでの課題を踏まえた、平成31年度以降の助成事業の方向性について質問いたします。
◎武藤 区民協働担当課長 本助成事業は、未来プランの計画上、10年経過後、検証することとしております。
このため、昨年度から大田区区民協働推進会議において、委員の皆様の意見を賜りながら検証作業に取り組んできました。同会議では、区民活動団体への支援及び区民協働推進の観点から継続すべきとのご意見をいただいており、そのような意見を踏まえながら、来年度以降の事業の検討を進めてまいります。
今後も、区民や区民活動団体、事業者などの連携、協働を深め、区民活動の一層の推進、地域力の向上につなげてまいります。
◆黒川 委員 こちらの事業のほうは、ホップ、ステップ、ジャンプと、スタート、ステップ、ジャンプと、区民の方々の小さな活動にも光を当てるすばらしい事業、こちらもすばらしい事業であります。
その一方で、先ほどの観光にぎわい創出事業はハイジャンプ、ハイジャンプ、ハイジャンプと。かつての原田選手の最後のハイジャンプを3回連続で飛ばせて、4年目に舟木選手の助けなしで、沙羅ちゃんのように飛べるようになるかという、非常にわかりづらいたとえですけれども、一抹の不安を覚えるわけであります。でも、私は大きな期待をしているわけでありますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
最後に、観光にぎわい創出事業と関連として、町会・自治会について質問いたします。
27年2月発行の「大田区自治会・町会ハンドブック」を見る限り、自治会・町会に観光にぎわい創出の記述はございません。
改めて自治会・町会の基本的な役割について、そして、観光にぎわい創出に対する自治会・町会のスタンスについて、地域力推進課の見解を伺います。
◎近藤 地域力推進課長 自治会・町会は、地域の力を結集し、住みやすい地域づくりの核となる重要な役割を担っております。行政や様々な団体と協力関係を築きながら、個人や行政だけでは解決の困難な地域課題の解決に取り組んでいただいております。
活動は、防災、防犯、福祉など、幅広い分野で身近な公共的活動を担うとともに、コミュニケーションづくりや地域の歴史や伝統を継承する活動など、多岐にわたっています。
自治会・町会は任意の団体であり、それぞれの創意工夫の中で活動しております。新たな地域のにぎわいを創出することも、地域課題の解決の一つにつながると考えています。
◆黒川 委員 自治会・町会が地域のにぎわいを創出することは当然であると思います。
私の住む池上に町会神輿がないせいかもしれませんが、そもそも自治会・町会の役割は、1人でも多くの人をつなげて、住みやすい地域にしていくことであり、観光に走る前に、私はやることがあると思っております。
最後なのですけれども、地域の活性化と観光は分けて考える必要がある、そういうときもあると思います。行政が数年間後押しをして、本気でひとり立ちをさせるならば、現在の営利性の位置づけを考え直さなければなりません。
大田区は、様々なイベントを支援しておりますけれども、将来のひとり立ちをイメージできる事業はほとんど、ほとんどとは言いませんけれども、あまり感じられません。
そのイメージができた事業の一つが川崎市と連携した舟運事業であります。川崎の工場夜景と羽田の飛行機の腹を船から見るわけですが、これは私が2年前の交通臨海部の委員長のときに、浦瀬課長が非常に頑張っておられた事業でありまして、非常に将来性を感じております。お金を落としても参加したいと思わせなければ、将来的にひとり立ちできないと感じておりますので、そのようなイベントに対する支援も力を入れていただきたいと申し上げて、質問を終わります。
○鈴木 委員長 次に、ネット、質疑願います。