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  1. 大田区議会 2018-09-13
    平成30年 第3回 定例会−09月13日-01号


    取得元: 大田区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-10-03
    平成30年 第3回 定例会−09月13日-01号平成30年 第3回 定例会 平成30年第3回定例会 大田区議会会議録 第10号 9月13日(木曜日)  出席議員(48名)   1 番 田中一吉       2 番 松原秀典       3 番 高瀬三徳   4 番 安藤 充       5 番 岸田哲治       6 番 大森昭彦   7 番 松原茂登樹      8 番 伊藤和弘       9 番 塩野目正樹   10 番 押見隆太       11 番 鈴木隆之       12 番 伊佐治 剛   13 番 深川幹祐       14 番 長野元祐       15 番 渡司 幸   16 番 高山雄一       17 番 松本洋之       18 番 岡元由美   19 番 勝亦 聡       20 番 広川恵美子      21 番 秋成 靖   22 番 玉川英俊       23 番 田村英樹       24 番 大橋武司   25 番 小峰由枝       26 番 椿 真一       27 番 田島和雄   28 番 末安広明       29 番 大竹辰治       30 番 清水菊美   31 番 藤原幸雄       33 番 菅谷郁恵       34 番 黒沼良光   35 番 金子悦子       36 番 福井亮二       37 番 荒尾大介   38 番 山崎勝広       39 番 黒川 仁       41 番 松原 元   42 番 岡 高志       43 番 荻野 稔       44 番 三沢清太郎   45 番 犬伏秀一       46 番 野呂恵子       47 番 奈須利江   48 番 湯本良太郎      49 番 北澤潤子       50 番 馬橋靖世
                   ――――――――――――――――――――  欠  番   32 番  40 番                ――――――――――――――――――――  出席説明員   区長            松原忠義    副区長           川野正博                         企画経営部長   副区長           清水耕次    未来創造研究室長兼務    市野由香里   総務部長          玉川一二    危機管理室長        井上隆義   地域力推進部長       小泉貴一    観光・国際都市部長     木田早苗   スポーツ・文化担当部長   町田達彦    区民部長          浜口和彦   産業経済部長        飯嶋清    福祉部長          今岡正道                         障がい者総合サポートセンター所長   福祉支援担当部長      西山正人                  青木 毅   健康政策部長        今井健太郎   保健所長          西田みちよ   こども家庭部長       水井 靖    まちづくり推進部長     齋藤浩一   都市開発担当部長      青木重樹    空港まちづくり本部長    白鳥信也   都市基盤整備部長      久保輝幸    環境清掃部長        落合邦男   会計管理者         近藤倫生    企画経営部企画課長     山田良司   企画経営部財政課長     梅崎修二    総務部総務課長       中澤 昇   教育長           小黒仁史    教育総務部長        後藤 清   教育総務部教育総務課長   森岡 剛    代表監査委員        河野秀夫   監査事務局長        小貫 勝                ――――――――――――――――――――  出席事務局職員   局長       鴨志田 隆        次長       三上浩史   議事担当係長   矢作研治 議事日程第1号  平成30年9月13日  午後1時開議  第1   第74号議案 平成30年度大田区一般会計補正予算(第3次)   第75号議案 平成30年度大田区国民健康保険事業特別会計補正予算(第1次)   第76号議案 平成30年度大田区後期高齢者医療特別会計補正予算(第1次)   第77号議案 平成30年度大田区介護保険特別会計補正予算(第1次)   第78号議案 大田区手数料条例の一部を改正する条例   第93号議案 大田区営大森西一丁目第2アパート及び大田区立おおもり園耐震補強その他工事請負契約について   第94号議案 大田区立大森第七中学校校舎取壊し工事請負契約について   報告第23号 平成29年度決算に基づく健全化判断比率の状況について   報告第24号 区の義務に属する損害賠償額決定に係る専決処分の報告について   報告第25号 大田区立大森第四小学校校舎ほか1施設改築その他工事(T期)請負契約の専決処分の報告について   報告第26号 大田スタジアム施設改修工事請負契約の専決処分の報告について   報告第28号 仮称大田区羽田四丁目複合施設改築工事請負契約の専決処分の報告について   報告第29号 大田スタジアム施設改修電気設備工事請負契約の専決処分の報告について   報告第30号 仮称大田区立平和島ユースセンター増築及び大規模改修電気設備工事請負契約の専決処分の報告について   報告第31号 仮称大田区羽田四丁目複合施設改築機械設備工事請負契約の専決処分の報告について  第2   報告第27号 仮称大田区立平和島ユースセンター増築及び大規模改修工事請負契約の専決処分の報告について  第3   第79号議案 大田区青少年交流センター条例   第80号議案 大田区コミュニティセンター羽田旭条例の一部を改正する条例   第81号議案 大田区立勝海舟記念館条例   第82号議案 大田スタジアム条例   第95号議案 区の義務に属する損害賠償の額の決定について  第4   第83号議案 大田区立高齢者在宅サービスセンター条例の一部を改正する条例   第84号議案 大田区介護保険条例の一部を改正する条例   第85号議案 大田区立心身障害児通所施設条例の一部を改正する条例   第86号議案 大田区立志茂田福祉センター条例の一部を改正する条例   第87号議案 大田区立上池台障害者福祉会館条例の一部を改正する条例   第88号議案 大田区立障がい者総合サポートセンター条例の一部を改正する条例  第5   第89号議案 大田区被災市街地復興整備条例  第6   第90号議案 大田区立学校設置条例の一部を改正する条例   第91号議案 大田区立図書館設置条例の一部を改正する条例  第7   第92号議案 大田区災害復興本部条例  第8   第70号議案 平成29年度大田区一般会計歳入歳出決算   第71号議案 平成29年度大田区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算   第72号議案 平成29年度大田区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算   第73号議案 平成29年度大田区介護保険特別会計歳入歳出決算  第9   議員提出第11号議案 大田区心身障害者福祉手当条例の一部を改正する条例  第10   議員提出第12号議案 大田区入学祝金支給条例  第11   ICT化先進議会視察に伴う議員の派遣について  第12   30第29号 東急多摩川線踏み切りに関する陳情   30第36号 リニア新幹線の説明会開催と認可に関する陳情   30第37号 リニア中央新幹線に関する陳情  第13   30第35号 効果の無い国の落下物対策で、新飛行ルートを大田区は認めないでほしいと願う陳情               〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜                     午後1時1分開会・開議 ○岸田 議長 ただいまから平成30年第3回大田区議会定例会を開会いたします。  本日の会議を開きます。               〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ○岸田 議長 まず、会議録署名議員を定めます。本件は、会議規則第131条の規定に基づき、本職が指名いたします。11番鈴木隆之議員、41番松原 元議員にお願いいたします。               〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ○岸田 議長 この際、区長から発言の申し出がありますので、これを許します。                     〔松原忠義区長登壇〕 ◎松原 区長 本日、平成30年第3回大田区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様のご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。  今年の東京の夏は、6月中の梅雨明けを伝える観測史上初という報道から始まりました。7月に入ると、西日本を中心に豪雨災害が発生し、200名を超える尊い命が失われ、今もなお、行方不明の方がいらっしゃいます。また、先週4日に西日本に上陸した台風21号では12名の方が犠牲となりました。台風が非常に強い勢力を維持したまま日本に上陸したのは平成5年以来、四半世紀ぶりのことで、タンカーの橋への衝突をはじめ、台風襲来による各地の生々しい爪跡が報道されました。関西国際空港では、滑走路や施設が浸水し、空の玄関口としての機能が完全に失われたことに加え、多くの利用者が空港内に取り残されるという事態が発生をいたしました。さらに、2日後の6日未明には、北海道では記録上初めてとなる最大震度7の地震が発生し、昨日12日現在において、41名の方の死亡が確認されております。これらの災害によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げます。  本区といたしましては、たび重なる災害を我が事として受けとめ、改めて防災対策のさらなる強化の必要性を強く認識しているところでございます。  7月の西日本豪雨における本区の対応でございますが、区は、被災地支援本部を立ち上げ、避難所運営やり災証明関係業務のほか、災害ボランティアセンター支援などのため、特別区長会を通じて要請のあった岡山県倉敷に対して、合計8名の職員を派遣するとともに、土のう袋スタンド大田の輪200個を現地に届けました。また、本庁舎及び18特別出張所の窓口で義援金の募金活動を行い、被災地へ送らせていただきました。この豪雨は、積乱雲が次々と発達して列をなす線状降水帯が広い範囲で何度も発生したことによるもので、異常とも言える降水量の恐ろしさを痛感させられるものでございました。  先月27日の大雨では、区内の一部地域において、床上、床下浸水の被害が発生いたしました。区は大雨の情報を入手次第、速やかに水防指揮本部を立ち上げ、被害情報の収集や被害を受けた方への支援などの対応を行いました。気象庁のデータによりますと、1時間の降水量が50ミリ以上の年間発生回数は全国的に増加しているとのことであり、これから秋が深まる中、さらなる台風の接近や上陸が見込まれます。区民の皆様には、これまでも排水溝の点検や備蓄物品の確保などにご協力をいただいているところでございますが、引き続き、日ごろからの万全の備えをお願いするとともに、区民の皆様の生命と財産をお守りするという自治体の責務をしっかりと果たしてまいります。  震災対策といたしましては、区は6月に発生した大阪府北部を震源とする地震を受け、発災翌日から緊急対応として通学路沿いのブロック塀などの安全点検を行ってまいりました。一部には劣化損傷のあるブロック塀もあり、区はこうした塀の改修を迅速に支援するために、9月1日から新たに助成制度を開始しました。道路に面し、劣化等のあるブロック塀や万年塀などを撤去し、安全なフェンス等を設置する場合に、工事費の一部を助成いたします。あわせて、既に実施している生垣造成の助成や狭あい道路拡幅整備助成につきましても、塀の撤去費の助成額を拡充いたしました。区は現在、被災地における教訓などを踏まえ、防災対策のさらなる充実・強化を図るために、全庁的な緊急総点検を実施しております。今後、総点検の結果を踏まえ、大田区地域防災計画の修正や各部における対策の見直しなど、必要な対応を機を逸することなく進めてまいります。
     また、防犯対策の強化は区民の皆様からのご要望が高い分野であり、安全・安心な生活を確保する上で極めて重要でございます。振り込め詐欺など特殊詐欺の被害の状況につきましては、本年1月から6月末時点の都内での発生件数は2037件で、昨年の同時期と比較して524件、35%の増加となっております。区内の発生件数は71件で、昨年と比較して16件、29%増加しており、被害額は約2億9800万円に上っております。本区における増加率は東京都全体と比較するとやや低いものの、昨年1年間における区内の被害総額である約2億8000万円を半年で既に超えており、特殊詐欺の被害防止は待ったなしの重要課題であります。区は、振り込め詐欺の被害防止に効果の高い自動通話録音機の普及に努めており、これまでに3500機以上を無償貸与しております。これに加え、警察などの関係機関と連携した特殊詐欺緊急対策として、区施設において被害防止の注意を喚起するのぼり旗を設置し、JR蒲田駅東口に大型パネルを掲出するなど、特殊詐欺撲滅のための啓発活動を精力的に推進しております。  このほか、区政の諸点につきましてご報告を申し上げます。  東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開幕まで2年を切りました。本年7月には大会2年前のカウントダウンイベントが行われたほか、大会マスコットの名称発表、オリンピック競技の日程やチケットの価格帯の公表、また、都内での聖火リレーのコース検討が始まるなど、大会をますます身近に感じることができる動きが増えてきております。  区では、7月27日に「ボランティアミーティング」と題し、東京2020大会に向けた区独自のボランティア事業の概要を発表し、今月3日からは観光、スポーツ、国際交流の分野において500名の募集を開始いたしました。ボランティアとして活躍していただく皆様には、大会を契機に本区を訪れていただく方々を歓迎していただくことから、「おおたウエルカムボランティア」と命名いたしました。ブラジル選手団の事前キャンプの運営補助など、オリンピック・パラリンピックに関する活動に加え、本区の観光PRなども行っていただき、大田区のよさをよく知っている区民ならではのおもてなしをお願いしたいと考えております。ボランティアの皆様による区の魅力発信や事前キャンプでの練習支援などを通じ、オリンピック・パラリンピックを盛り上げるだけではなく、区が取り組みを進めているシティプロモーションスポーツ健康都市、国際都市おおたなどの推進にもつなげてまいります。  また、今年は江戸無血開城から150年の年に当たります。慶応4年、江戸城総攻撃に向けて新政府軍を率いた西郷隆盛と、旧幕府方の勝海舟とが行った会談により、江戸のまちを戦火から救うことができました。その後、勝海舟は、江戸城の明け渡しについて話し合うため、新政府軍の本陣がおかれた池上本門寺へ向かう途中、洗足池付近で休息をとり、そのときに見た洗足池周辺の風景を気に入ったと言われております。明治に入り、「洗足軒」という別邸を構え、その近くには生前に墓を建て、今もこの地に眠っています。このたび、条例案を提出させていただきましたが、来年夏には全国初となる(仮称)勝海舟記念館が開館する予定でございます。  NHK大河ドラマ「西郷どん」の放映に伴い、幕末、明治維新に注目が集まっておりますが、区はこの節目の年に西郷隆盛の出身地である鹿児島県のほか、東急電鉄や品川区などと連携し、「どんと来い!幕末・明治プロジェクト」と称した特別企画を先月25日から11月末まで実施しております。勝海舟とゆかりの深い洗足池周辺や池上本門寺周辺の商店街におきまして、両雄にちなんだオリジナルメニュー「勝丼」、「せご丼」が登場し、中には幕末の江戸の味を再現するなど、歴史を味覚でお楽しみいただける内容となっております。そのほか、ゆかりの地などをめぐり、オリジナルグッズがもらえるスタンプラリーやインスタグラムキャンペーン、幕末、明治に活躍した人々の足跡をたどるまち歩きのイベントなどを開催しております。さらに、東急多摩川線、池上線車両内の中づり広告を独占した広報や、区内の銭湯に描かれる勝海舟と西郷隆盛などから、幕末、明治に思いをはせることができる3か月間になるものと期待しております。多くの皆様がご参加され、お楽しみいただきたいと思っております。  次に、健康分野についてでございます。厚生労働省が実施した国民健康・栄養調査の結果によりますと、日本人の1日における野菜摂取量の平均値は約280グラムでございます。生活習慣病予防の観点からは1日350グラムの野菜摂取が推奨されていることから、70グラムが不足していることになります。健康寿命を延伸するためには、運動や社会参加などにより生きがいややりがいを持つことに加え、バランスのとれた食生活を送ることが極めて重要です。区は現在、庁内の関係部局で構成する食育推進検討会を中心として、食生活の改善に向けた取り組みを進めているところでございます。今年度は、セブンアンドアイグループと締結した包括連携協定に基づく取り組みの一つとして、7月1日から14日までの2週間、コンビニエンスストアにおいて野菜摂取を促すポップ広告を掲示するなど、「野菜を食べよう」キャンペーンを展開いたしました。  また、今月は食生活改善普及運動月間でございます。「野菜及び牛乳・乳製品の摂取の増加とバランスの良い食事」という今年度の東京都のテーマに合わせ、関係部局において健康教育を実施いたします。さらに、来月は18日から24日にかけて、JR蒲田駅の駅ビルを会場として食育フェアを開催し、小中学校や保育園などにおける食育の取り組みをわかりやすく展示するなど、食生活の大切さを広く区民の皆様にお伝えしてまいります。食生活は、人が生涯にわたり心身ともに健康に生活するための基本でございます。引き続き、食生活の改善、ひいては健康で豊かな人生につなげていただくための食育を推進してまいります。  本年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立し、望まない受動喫煙の防止対策が強化されました。この法律の成立に先立ち、東京都においては、東京都受動喫煙防止対策条例が成立し、法律よりさらに厳しい規制が設けられました。改正法及び東京都条例の成立を受け、今後は区民や関係事業者の皆様への丁寧な説明など、円滑な施行に向けた対応が必要となってまいります。区といたしましては、私が本部長を務める受動喫煙防止対策推進本部を設置し、全庁を挙げて受動喫煙防止対策に取り組んでおります。7月に開催した第1回推進本部会議におきましては、多岐にわたる課題に適切に対応するため、区庁舎・施設部会、指導部会、環境整備部会、意識啓発部会の四つの部会を設けて検討していくことを確認いたしました。現在、四つの部会におきまして実務的な検討を進めているところでございます。今後、国や東京都の動向を注視しつつ、区としての対応を行ってまいります。  一方、屋外における喫煙につきましては、平成15年に清潔で美しい大田区をつくる条例を改正して、喫煙マナーに関する規定を加え、翌16年にはJR蒲田駅の東口、西口の双方を路上喫煙禁止地区に指定しております。また、この間、地域の団体や区民の皆様と協働でクリーンキャンペーンの実施や、蒲田駅を中心とした啓発指導員の配置などの取り組みを進め、一定の成果を上げてまいりました。  本年7月に発表されたJT日本たばこ産業株式会社による全国調査によれば、我が国の成人の喫煙率は17.9%でございます。今後、室内での喫煙が段階的に制限されてまいりますと、屋外での喫煙が増加することが想定され、受動喫煙防止にも配慮した屋外での喫煙に関する考え方、ルールについてさらなる検討が必要となってまいります。区は先月、学識経験者や地域の代表の方などで構成する環境美化審議会を開催し、公共の場における喫煙ルールや公衆喫煙所整備の考え方などに関する調査、審議をお願いしております。今後、本審議会でまとめていただいたご意見を受動喫煙防止対策推進本部に十分に活用してまいります。検討に当たりましては、喫煙者、非喫煙者相互に配慮した快適な環境づくりを心がけてまいります。  次に、福祉分野についてでございます。来週17日の敬老の日は、多年にわたり社会に尽くしてきた高齢の方を敬愛し、長寿を祝うことを趣旨とするものでございます。区は、今年度末を基準として、88歳の方に区内共通商品券を、また、100歳と108歳、そして区内最高齢の方にお祝い金を贈呈させていただきました。8月1日現在で、100歳の方は区内に155名、内訳は女性が124名、男性31名でございます。108歳の方は女性が1名、区内最高齢は年度内に112歳になられる女性の方が1名いらっしゃいます。また、今年度、区内で100歳以上となる方は384名で、内訳は女性が324名、男性60名でございます。私は先日、新たに100歳を迎える2名の方のお宅を訪問させていただき、お祝いを申し上げてまいりました。お二方とも大変お元気で人生を楽しんでいらっしゃるようでした。お話を伺った私のほうが力をいただいたと感じております。  9月は世界アルツハイマー月間、来週21日は世界アルツハイマーデイでございます。現在、認知症についての正しい知識の普及啓発が世界規模で展開されております。本区も超高齢社会を迎えた中、認知症の方の人数も増加していくことが予想されます。区といたしましては、認知症の方とそのご家族を地域で支え、認知症があっても住み慣れた地域で暮らし続けていただけるよう、様々な施策に取り組んでいるところでございます。認知症などによって外出先から帰宅できない、いわゆる行方不明高齢者の早期発見と保護を目的に、昨年9月、区内5警察署と連携し、大田区高齢者見守りメールを開始いたしました。これまでに2件の配信依頼を受け、お二方とも無事に保護されました。協力員の皆様には改めて御礼を申し上げます。  今年度は、この高齢者見守りメールを活用して、行方不明となった高齢者の捜索模擬訓練を実施する予定でございます。また、先ほど申し上げましたセブンアンドアイグループとの包括連携協定に基づき、イトーヨーカドー大森店におきまして、社員の方を対象とした認知症サポーター養成講座を実施するなど、民間企業とも一丸となって地域における見守り強化を進めてまいります。今後も、施策を着実に推進し、ご本人やご家族への支援とともに、認知症理解に向け啓発を図り、認知症の方をみんなで見守る優しい地域づくりを進めてまいります。  本定例会では、平成29年度各会計歳入歳出決算につきまして、ご認定をお願いしております。このほか、本定例会に提出いたしました案件は、補正予算案では、平成30年度一般会計補正予算(第3次)のほか、国民健康保険事業特別会計補正予算(第1次)、後期高齢者医療特別会計補正予算(第1次)、介護保険特別会計補正予算(第1次)の計4件、条例案は15件、その他議案3件、報告議案9件でございます。一般会計補正予算案(第3次)では、ブロック塀などの改修工事助成への対応や、病後児保育事業、羽田空港跡地における産業交流拠点の形成、前年度国・都支出金等返還金など、第2次補正予算編成後に生じた状況の変化に速やかに対応するための予算及び平成29年度決算確定に伴う精算などを行うための予算を計上いたしました。この結果、一般会計の補正規模は18億7000万円余となりました。既定の予算と合わせた補正後の予算額は2964億7000万円余となっております。そのほか、債務負担行為の補正として追加1件をお願いしております。  提出議案につきましては、いずれも後ほど上程の際、順次ご説明をさせていただきます。議員の皆様には、よろしくご審議を賜りますようお願いを申し上げ、招集に当たってのご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)               〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ○岸田 議長 事務局長に諸般の報告をさせます。                     〔鴨志田事務局長朗読〕 1 大田区議会定例会の招集について 2 議案の送付について 3 執行機関の出席について(3件)                ――――――――――――――――――――                                        30総総発第11114号                                        平成30年9月5日   大田区議会議長 岸 田 哲 治  様                                 大田区長  松 原 忠 義                大田区議会定例会の招集について(通知)  平成30年9月5日付け大田区告示第695号により、平成30年第3回大田区議会定例会を下記のとおり招集したので通知します。                         記 1 期    日 平成30年9月13日 2 場    所 大田区議会議場                ――――――――――――――――――――                                        30総総発第11114号                                        平成30年9月5日   大田区議会議長 岸 田 哲 治  様                                 大田区長  松 原 忠 義                     議案の送付について  平成30年第3回大田区議会定例会に付議する次の議案を別紙のとおり送付します。  第70号議案 平成29年度大田区一般会計歳入歳出決算  第71号議案 平成29年度大田区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算  第72号議案 平成29年度大田区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算  第73号議案 平成29年度大田区介護保険特別会計歳入歳出決算  第74号議案 平成30年度大田区一般会計補正予算(第3次)  第75号議案 平成30年度大田区国民健康保険事業特別会計補正予算(第1次)  第76号議案 平成30年度大田区後期高齢者医療特別会計補正予算(第1次)  第77号議案 平成30年度大田区介護保険特別会計補正予算(第1次)  第78号議案 大田区手数料条例の一部を改正する条例  第79号議案 大田区青少年交流センター条例  第80号議案 大田区コミュニティセンター羽田旭条例の一部を改正する条例  第81号議案 大田区立勝海舟記念館条例  第82号議案 大田スタジアム条例  第83号議案 大田区立高齢者在宅サービスセンター条例の一部を改正する条例  第84号議案 大田区介護保険条例の一部を改正する条例  第85号議案 大田区立心身障害児通所施設条例の一部を改正する条例  第86号議案 大田区立志茂田福祉センター条例の一部を改正する条例  第87号議案 大田区立上池台障害者福祉会館条例の一部を改正する条例  第88号議案 大田区立障がい者総合サポートセンター条例の一部を改正する条例  第89号議案 大田区被災市街地復興整備条例  第90号議案 大田区立学校設置条例の一部を改正する条例  第91号議案 大田区立図書館設置条例の一部を改正する条例  第92号議案 大田区災害復興本部条例  第93号議案 大田区営大森西一丁目第2アパート及び大田区立おおもり園耐震補強その他工事請負契約について  第94号議案 大田区立大森第七中学校校舎取壊し工事請負契約について  第95号議案 区の義務に属する損害賠償の額の決定について  報告第23号 平成29年度決算に基づく健全化判断比率の状況について  報告第24号 区の義務に属する損害賠償額決定に係る専決処分の報告について  報告第25号 大田区立大森第四小学校校舎ほか1施設改築その他工事(T期)請負契約の専決処分の報告について  報告第26号 大田スタジアム施設改修工事請負契約の専決処分の報告について  報告第27号 仮称大田区立平和島ユースセンター増築及び大規模改修工事請負契約の専決処分の報告について  報告第28号 仮称大田区羽田四丁目複合施設改築工事請負契約の専決処分の報告について  報告第29号 大田スタジアム施設改修電気設備工事請負契約の専決処分の報告について  報告第30号 仮称大田区立平和島ユースセンター増築及び大規模改修電気設備工事請負契約の専決処分の報告について  報告第31号 仮称大田区羽田四丁目複合施設改築機械設備工事請負契約の専決処分の報告について                ――――――――――――――――――――                                        30総総発第11178号                                        平成30年9月6日   大田区議会議長 岸 田 哲 治  様                                 大田区長  松 原 忠 義                  執行機関の出席について(通知)  平成30年9月5日付け30大議発第10465号により要請のあった平成30年第3回大田区議会定例会における執行機関の出席者を次のとおり通知します。   副区長           川 野 正 博  副区長           清 水 耕 次   企画経営部長   未来創造研究室長兼務     野 由香里  総務部長          玉 川 一 二   危機管理室長        井 上 隆 義  地域力推進部長       小 泉 貴 一   観光・国際都市部長     木 田 早 苗  スポーツ・文化担当部長   町 田 達 彦   区民部長          浜 口 和 彦  産業経済部長        飯 嶋 清    福祉部長          今 岡 正 道  福祉支援担当部長      西 山 正 人   障がい者総合サポートセンター所長                 青 木   毅  健康政策部長        今 井 健太郎   保健所長          西 田 みちよ  こども家庭部長       水 井   靖   まちづくり推進部長     齋 藤 浩 一  都市開発担当部長      青 木 重 樹   空港まちづくり本部長    白 鳥 信 也  都市基盤整備部長      久 保 輝 幸   環境清掃部長        落 合 邦 男  会計管理者         近 藤 倫 生   企画経営部企画課長     山 田 良 司  企画経営部財政課長     梅 崎 修 二   総務部総務課長       中 澤   昇                ――――――――――――――――――――                                        30教教発第11845号                                        平成30年9月6日   大田区議会議長 岸 田 哲 治  様
                             大田区教育委員会教育長  小 黒 仁 史                  執行機関の出席について(通知)  平成30年9月5日付け30大議発第10465号により要請のあった平成30年第3回大田区議会定例会における執行機関の出席者を次のとおり通知します。   教育長           小 黒 仁 史   教育総務部長        後 藤   清   教育総務部教育総務課長   森 岡   剛                ――――――――――――――――――――                                        30大監発第10173号                                        平成30年9月10日   大田区議会議長 岸 田 哲 治  様                            大田区代表監査委員  河 野 秀 夫                  執行機関の出席について(通知)  平成30年9月5日付け30大議発第10465号により要請のあった平成30年第3回大田区議会定例会における執行機関の出席者を次のとおり通知します。   代表監査委員        河 野 秀 夫   監査事務局長        小 貫   勝               〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ○岸田 議長 次に、会期についてお諮りいたします。この定例会の会期は、本日から10月11日までの29日間としたいと思います。これにご異議ありませんか。                   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○岸田 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。               〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ○岸田 議長 質問に入ります。  長野元祐議員、秋成 靖議員、清水菊美議員、犬伏秀一議員、玉川英俊議員、椿 真一議員、黒沼良光議員、大森昭彦議員、松原茂登樹議員、渡司 幸議員、岡 高志議員、松原 元議員、黒川 仁議員から通告がありますので、順次これを許します。  まず、14番長野元祐議員。                  〔14番長野元祐議員登壇〕(拍手) ◆14番(長野元祐 議員) 自由民主党大田区民連合、長野元祐でございます。会派を代表して質問をいたします。  冒頭区長挨拶にもありましたとおり、現在、受動喫煙をめぐる議論は大きな進展を迎えつつあります。健康増進法の改正、東京都条例の制定などを踏まえつつも、区は受動喫煙防止対策推進本部を設置し、区として主体的な検討、準備を進めていく意思が示されました。区民の受動喫煙被害を防ぎ、健康的で快適な生活環境を目指す能動的な取り組みは高く評価されるべきであり、松原区長のリーダーシップに期待を寄せるところであります。  たばこは法律に定められた嗜好品ではありますが、音楽を公共の場で大音量で聞くことが社会的に許容されていないのと同様に、個人の嗜好が他者に迷惑を及ぼすような状況は望ましい生活環境が確保されているとは到底言えません。たばこを吸う権利は否定されないものの、第三者のたばこの煙を吸わされない権利が守られていることが前提となります。欧米諸国では、「屋内禁煙は徹底されているが、屋外での喫煙は容認されている」との主張がありますが、今年に入って、全米で最も屋内禁煙が進んでいるニューヨークでも、歩きたばこに罰金を科す法案が提出されるなど、公共空間については屋内外を問わず受動喫煙を防止していく流れが始まっています。  喫煙の権利確保については、まず公共の福祉に反しない限りで擁護されるべきであって、そのためには屋内、屋外関係なく、望まぬ受動喫煙の可能性をなくしていくことが求められます。喫煙者、非喫煙者の共存は、確実な分離によってしかなされることはなく、この課題解決については区長の力強いリーダーシップが必要となります。冒頭のご挨拶を踏まえ、今後の受動喫煙防止へ向けてのさらなる環境整備について、松原区長の決意を改めてお伺いいたします。  本年3月の予算特別委員会での質疑において、東日本大震災以降、震度6弱以上を記録した地震は23回、5強以上となると実に64回との数字を紹介いたしましたが、この間においても、大阪北部地震、つい先日も震度7を記録した北海道胆振東部地震が発生するなど、震災に対する備えは緊張の度合いを増しています。6月18日に発生した大阪北部地震では、ブロック塀の倒壊により尊い命が犠牲になっています。大田区の地域防災計画では、ブロック塀の倒壊による被害として死者3名を想定していますが、今回の教訓を具体的な防災対策に反映する必要があると考えます。今回の補正予算には、ブロック塀等改修工事助成事業経費が計上されており、この問題に対する対応の迅速さが見てとれます。大田区としてのブロック塀の安全対策についての取り組みをお答えください。  昨年の第3回定例会代表質問において、総合窓口設置を求める我が会派の伊佐治議員の質問に対し、「多岐にわたる行政サービスをワンストップで行う総合窓口の導入などを含め、区の窓口のあり方を検討してまいります」と区長が答弁されています。各種申請に関する受付部署を集約し、ワンストップで対応が完結する総合窓口の設置は、住民サービスを向上させる観点から、導入する自治体も増えてきております。集約する業務の調整や庁舎のレイアウトなどの制約もあり、区民目線での効率的な行政サービス提供のためには解決すべき課題もあると思われますが、昨年の答弁から1年を経て、改めて総合窓口設置に関する検討状況をお伺いいたします。  本年は明治維新150周年に当たり、維新ゆかりの地では、150年前の変革期に活躍した先人たちの偉業に改めて注目が集まっております。歴史上の英雄たちの生涯に学び、その思想に触れることは、現在を生きる私たちに困難に立ち向かう勇気と知恵を与えてくれる貴重な機会であります。その意味でも、我が区が現在進めている勝海舟記念館の建設は、先人に学び、大田区政においても、その精神をたっとび、将来の展望を切り拓くための一つの道しるべになるものと大変期待しております。  江戸無血開城で世に知られる勝海舟は、開国期の日本において、その類いまれなる先見性とスケールの大きさを老中首座であった阿部正弘に見出され、極貧の一旗本に過ぎなかった身でありながら、海軍の創設や国防計画の策定、薩英戦争の調停や長州征伐の始末、咸臨丸での日本人の手による初めての太平洋横断渡航などの偉業を成し遂げました。江戸本所で生まれた勝麟太郎が立身出世をしていく中で、最初の契機になったのは、先にも述べたとおり、安政の改革における老中首座阿部正弘による海防計画の意見登用でした。老中阿部正弘は、薩摩藩のお家騒動の際にも、開明的な君主である島津斉彬の登用に一役を買っており、島津斉彬によって勝海舟のカウンターパートナーとなる西郷隆盛をはじめ、身分にかかわらず明治維新を牽引していく志士たちが表舞台に引き上げられていくことになります。  人材抜擢の妙と並び、老中阿部正弘、薩摩藩主島津斉彬が共通して力を入れていたのが、科学技術と世界に目を向けた先進的な藩校、つまり、公教育機関の充実による人材育成でした。阿部正弘の所領である備後福山藩では、藩校である弘道館を誠之館に改め、身分によらない先進教育を施したほか、後の東京大学につながる洋学所、長崎海軍伝習所などを設立し、身分を問わない高度な公教育を大いに推進しました。島津斉彬も高度な科学技術を研究する集成館を設置、薩摩藩は地政学的な利点もあり、最も科学技術が発達している藩として、維新の推進力としての大きな役割を果たしました。  古代ローマの時代から洋の東西を問わず、公教育には均質化された教育を確保し、学力水準を保つ底上げの一面と、科学技術の向上や変革期においても活躍できる人材を育成し、知的水準を牽引していくエリート育成の二つの役割があります。  大田区の学習効果測定の結果を見ると、平成20年の期待正答率マイナス28.7から10年間でプラス91.0と大きく改善をしています。これは放課後補習教室の実施や理科実験支援員の配置、職員研修の事業改善セミナーにおいて模擬授業形式を取り入れるなど、教育委員会を挙げての努力と、「おおた教育振興プラン2014」などに基づく各種教育施策の成果によって児童・生徒の全体の底上げが図られたものと考えます。  今までの大田区の教育施策の重点が、学力の底上げに主眼を置いてきたことがうかがえますが、一定の成果を見た今日、区の教育施策はさらなる学力の向上と、子どもたちの将来性の伸展に目を向けていく段階に進むべきと考えます。これまでのような勉強を苦手とする子どもへのケアを継続させながらも、これからは勉強に主体的に取り組む意欲のある子どもたちの個性を一層伸張させることに注力することも必要となります。都立高校でも、進学指導重点校なども設けて、公立校でありながら特色を打ち出している例もあれば、23区においても、独自色を強く打ち出している公立小学校も多々見受けられます。従来までのような学習意欲の高い子どもは私立進学校へ通わせればいいというスタンスでは、経済余力の小さい家庭の子どもの学習機会が失われ、伸ばすべき才能を埋没させてしまうことになりかねません。  これは大田区のみならず、これから人的資本の重要性がますます高まっていく日本にとって損失にほかなりません。大田区における先進的取り組み事例である清水窪小学校は、維持存続が危ぶまれている状態から、サイエンススクールの展開によって今や全区からの入学希望者が押し寄せ、受け入れ数拡充のための増築が必要となっている状況です。サイエンスに限定する必要はありませんが、清水窪小学校のような特色ある教育展開を全区的に拡大していくことが、新しい段階に入った大田区の教育施策において重要であると考えます。  ここで、改めまして清水窪小学校におけるサイエンススクールの取り組みの現状と評価、その成果を活用した今後の大田区の公教育の展開について展望をお聞きいたします。  加えて、教育環境の向上を目指す取り組みとして、区立小中学校体育館の空調設置についてお伺いいたします。今年は、東日本の7月の平均気温が1946年の統計開始以来1位となる記録的な酷暑となり、体育の授業や部活動、夏休み期間中の各種行事、プールの使用に至るまで大きな影響が生じました。区内においては、授業中の熱中症による死者が出るような事態に至ってはおりませんが、他自治体の状況等も鑑みるに、屋外、屋内ともに非常に危険な状況に子どもたちが置かれていると判断せざるを得ません。  学校教育における体育の授業は、子どもたちの心身を健全に育成し、運動能力の向上と体力の維持増進を図ることを目的としている義務的カリキュラムの一環です。義務的に使用しなければならない体育館が生命にかかわる非常に危険な状態となっている事態を区が放置することは許されません。近年の気象状況が10年前と全く異なるということは国も認めている事実であり、換気でどうこうできるレベルではないのは誰が見ても明らかであります。学校体育館への空調はもはやぜいたく品ではなく、子どもの安全確保、教育環境の整備として必需品であると考えます。区立小中学校体育館の空調設置について、全校の設置となりますと大変大きな予算措置が必要となりますが、その観点を踏まえ、大田区として松原区長のお考えをお示しください。  開明的な君主であった島津斉彬やペリー来航という未曽有の時代に幕府を取り仕切った阿部正弘、徳川14代将軍家茂が後世英君とたたえられたのは、積極的な英才の登用による難局打開に取り組みながら、並行して次世代の育成を見据え、先進教育に注力したことが要因であったと思います。ぜひとも、松原区長には後世の大田区から日本を背負う逸材を輩出すべく、公教育の向上に取り組んでいただきたいと思います。  ペリー来航に際しての意見書が阿部正弘により取り上げられたことから、勝海舟の幕臣としてのキャリアがスタートしていくわけでありますが、先が見えない変革のときに当たっては、専門性を有し、かつ現実的で時流に即した意見をいかに取り入れていくかが指導者には問われます。組織が時間を重ねるにつれて意見の多様性が失われ、柔軟な取り組みがされづらくなっていくのは、洋の東西を問わず見られることであり、いかに斬新な意見をくみ上げ、取り入れていくことができるかによって、その後に残されるものが正の遺産となるか、負の遺産となるかを分けるものとなります。  徳川家の継嗣問題、開国か攘夷かという非常に困難な政治状況での采配を求められた阿部正弘は、「自分の意見を述べても、もしそれが失言であったら、それを言質に取られて失策とされる」と慎重な言を置きながらも、「それ故に人の言うことをよく聞いて、よきを用い、悪しきを捨てようと心がけている」との言葉を残しています。これは、優柔不断、自身の意見を言わないと批判されながらも、西洋の学問に理解を示し、自身の研さんと時流研究を怠らず、部下を信頼し、意見登用を重んじた正弘の姿勢をよくあらわしたものであり、難局を乗り切るに当たっての重要な資質であると言えます。  大田区においても、若き職員、管理職の先進性のあるアイデア、センスをくみ上げ、形にしていくことで、行政の多様性を確保し、超少子高齢社会を迎える将来への投資につなげていくことが今後求められていきます。どうせ理解されないという諦めを抱いてしまうことは、先進的な視点を持つ若手のモチベーションを下げてしまう一番の要因となります。上の機嫌を伺い、上司が理解できる範囲でのアイデアしか出さなくなる、いわゆるヒラメ社員ばかりになることで滅亡を迎えた組織は枚挙にいとまがありません。「英君であるために必要なのは英才を潰さないことである」との言葉のとおり、活発な意見の登用と施策センスの多様性確保が大田区にとって進展の成否を握るものと考えます。  職員のモチベーションを維持する上で大切なのは、自分の仕事の結果を残す、形を残すということであります。そのためには一定程度の時間が必要であり、腰を据えて取り組める環境を確保することが重要です。人事のローテーションについては、不正の防止や多様な業務に触れさせるなどの利点がある一方で、新しいミッションを立ち上げながら、終了まで一貫して携わることができないなど、弊害も多くあります。理想を言えば、ミッション終了後の反省点の洗い出しと課題抽出を行い、改善した上で、次の段階に挑戦し、軌道に乗せるというところまで立志完遂することが望ましいのですが、現在の二、三年での人事異動では、そのような継続的な取り組みも難しく、特に外部との共同で行う事業などについては、引き継ぎと信頼醸成ができてきて、いざ始める段階で後任者と交代してしまうとの不満の声が聞かれております。適性をしっかりと見極める必要がありますが、ぜひとも、担当した職員が腰を据えて課題に取り組めるよう、人事ローテーションの柔軟な対応を求めますが、お考えをお聞かせください。  勝海舟の目が広く世界へ開かれていたように、大田区は羽田空港という世界への開かれた玄関を抱える自治体として、ほかの自治体にはない地の利を活かす先進的な施策に取り組んできているところであります。国際港として開かれていた長崎や横浜では、先端技術の流入と商取引の活発化により旺盛な先取の気鋭が育まれ、日本の近代化の牽引役として大きな役割を担いました。港は降り立つ人、出で立つ人が交わり、物、情報の交流で大いに商業や工業が活性化をし、発展を遂げていく華麗な舞台でもあります。人々は港の先の世界を見据え、果てなき可能性を求めて旅立ち、あるいは世界から訪れる人々との商取引や異文化に触れるために港に集いました。飛行機の乗降口が必ず左側にあるのも、舶来時代の万国接岸規則に由来するもので、空港の持つ意味は古来からの港そのものであります。国際港を持つに等しいと考えると、羽田空港を擁することの重さ、意義を改めて痛感するところであります。空港周辺の発展を担うということは、一自治体としての意味合いにとどまらず、我が国の文化発信を担うことでもあります。  羽田空港跡地第1ゾーン第一期事業について、この7月に国有地を取得し、2020年のまち開きに向けて、いよいよ事業者に土地の引き渡しがなされ、着工の運びとなることが決まっています。終戦直後の強制収用以来、羽田空港をめぐる歴史は、地域にとって大変厳しい歩みでありましたが、ここに一つの転換点を迎えたものと感慨を感じます。これからは羽田はもちろん、大田区全域、ひいては日本経済のさらなる活性化につなげていっていただきたいと考えます。  この間、跡地の購入に関しては、かねてより一般会計への影響を抑えるために積み立てておいた基金を活用するなど、中長期的な計画に基づいて適切なタイミングでの購入に至ったものと考えます。第一期事業のまちづくりと並び、都市計画公園やほかのエリアを活用し、第1ゾーン全体として、国の内外を問わず老若男女が繰り返し訪れたくなるような活力あふれる魅力的なまちづくりを展開していっていただきたいと思います。現在の跡地整備の状況と今後のスケジュールについて、展望をお示しください。  また、空港を抱える自治体として、その魅力を最大限発揮する上でも、空港機能強化と安全対策については、国、航空事業者と協力して取り組んでいく必要があります。国による機能強化提案は従前より2020年東京大会までに実現すると説明をされてきました。これまでもたびたびオープンハウス型の説明会が開催されてきましたが、その時期が迫りつつあります。大田区に羽田空港が存在することはこの上ない幸運であり、空港との共存共栄を目指していくことは、大田区の価値と可能性を高めていくためにも絶対に必要なことであります。  一方で、現実を見ると、空港機能強化や安全対策について、多くの区民が不安を抱いていることは事実であり、国や空港側からの丁寧な情報提供と相互のコミュニケーションが必要となります。特に、機能強化案に含まれるB滑走路からの西向き離陸については、旧滑走路時代と比べれば改善されているとはいえ、市街地に最も接近する滑走路からの離陸である以上、時間が限定されるとはいえ、周辺地域にお住まいの皆さんが不安に思うのは当然のことであります。この点に関しては十分な説明に加え、具体的な対応を国に求めていくことが空港所在自治体としての責務であると考えます。  さらに、この間、落下物事案もたびたび発生しており、区民の皆さんの不安の声も多く耳にするところであります。区内上空に飛行ルートが設定されている大田区として、落下物対策も区民の安全を守る上で大きな課題であります。国の説明について今後の対応と、B滑走路西向き離陸や落下物対策について空港所在自治体としてどのような姿勢で臨むのか、お答えください。  勝海舟の魅力は江戸無血開城に至る幕末期の活躍にとどまらず、文武両道に通じた堅実勤勉の人という人柄にもあります。漢学や朱子学が主流であった当時の知識階級を先取りし、西洋学問の最先端であった蘭学を自ら志し、修得した希有なる勉学の才能を持っておりました。海舟は後年、蘭学者仲間に宛てた手紙の中で、「我れ18歳の時、万国地図一見、大いに驚嘆す。この世界に生を受けて、わずかに一国に屈す、あに大丈夫の志ならむや、万国を周遊せずんばついに人たる甲斐なからむやと。また思う蟹行文といえども同じく地球内中の人類書きしものなり。あに読むに難からんと志を決して官途に望なく、ただ生あるうちに学術を修行せんとの思い益々かたし」と語っています。齢18にして初めて世界地図を目にし衝撃を受け、蟹行文、つまりカニの歩く文、横文字も同じ人間が使っている言葉である以上、読めないものではないと思い立ち、幕府の官職についていない無役の貧乏旗本の身分にありながらも、語学の重要性を認識し、蘭学を修得した主体性は、我が区の子どもたちにもぜひ知っていただきたいエピソードであります。  妻、民をめとり蘭学修行に打ち込んでいた青年時代、海舟の生活は貧窮を極めており、自宅で細々と蘭学教室を開きながらも、畳といえば破れたものが3枚ばかり、天井といえば、皆、薪としてたいてしまって、板の一枚も残っていなかったというありさまでした。そのような状況の中でも、生活と勉学費に充てるため、借用した登録語数約9万語、全10冊に及ぶ大型の蘭日辞書「ヅーフ・ハルマ」を1年かけて2部筆写し、1部は売却して借り賃と勉学費用に、もう1部は手元に置いて蘭学修得のために活用するなど、貧しい中でも勉学への志を閉ざすことはありませんでした。  無頼漢で放蕩を尽くした海舟の父、小吉も21歳で自宅の座敷牢に閉じ込められた際、父親から「人は学がなくてはならぬから、よく本でも見るがいい」と申し渡され、それまでは字も書けぬ身でありながら読書に励んだ結果、後に「おれほどの馬鹿な者は世の中にあんまり有るまいとおもう」という書き出しで始まる「夢酔独言」を残しています。この「夢酔独言」は、1人の御家人の奔放で無頼な生活ぶりを口語体の文章でいきいきと活写した希有な自伝文学の傑作として後世に伝えられています。ちなみに、小吉の座敷牢生活は3年に及び、後の海舟、勝麟太郎はこのときに生まれています。小吉の自由闊達な著作も、海舟の蘭学への打ち込みも、決して勉学に恵まれた環境で始まったわけでもなければ、生活にも事欠くほど経済的な余裕もない日々の中のことでした。  今日においては、親の経済力が子の学歴を決定づけてしまうという教育格差が問題視されています。これは、進学や学歴という一面では正しい部分もあると思いますが、本質的に重要なのは経済力というよりも親の意識の格差であり、幼少期からの教養、思考力の素地の差という観点については、やはり幼いときから本に触れさせることの重要性は強調されるべきであると考えます。情報通信技術が発達し、インターネットの活用が教育分野でも大きな役割を担うようになった現在でも、読書が持つ文化的、教育的価値は変わることはありません。活字に触れることは柔軟な言語能力の涵養と、深く思惑をめぐらせる想像力の喚起、読解力の蓄積による洞察力、情報を精査し峻別する力を育み、幼少期から青年期における読書の有無は、学力を決定づける重要な要素の一つでもあります。経済力に左右されず、充足した読書環境を区民に提供することは、勉学や知識への主体性に向かう場の提供であり、先にも述べました教育水準の向上にも大きく資するところであります。  自治体の読書施策を担う図書館のあり方には近年大きな変化が見られます。民営化図書館を手放しで礼賛するつもりはありませんが、佐賀県武雄市武雄図書館をはじめ、お隣川崎の中原図書館など、従来の重苦しい静寂な室内で本を読んだり探したりするというイメージとは異なり、明るく快適な環境でリラックスしながら、おのおのが本を読んだり自習をしたりという居心地のよい空間を提供することに重きを置いた図書館が登場し、自治体も図書館を地域の文化度をアピールする施設として発信力を高める工夫も見られています。これは書店でも同様で、電子化などにより書籍の発行量、購買量も低下している状況を打開するために、果敢に自己変革に挑んでいる状況です。区内の書店への支援の必要性もさることながら、やはり行政としては、勝親子の故事を引きながら、大田区の読書文化醸成にも努めていくべきと考えます。  区では、今年4月に「大田区立図書館の今後のあり方について」を作成し、4本の施策体系と、それに伴う個別事業を掲げておりますが、今後、中央図書館である大田図書館を中心に大田区の図書館の機能強化と、大田区の読書文化振興についてどのようにお考えか、現状と展望をお聞かせください。  困窮しながらも古書店に通い勉学を続けていた海舟ですが、ある日、なじみであった洋書を取り扱う古書店で、商用で江戸に来るたびに書物を買い求めていた函館の廻船問屋、渋田利右衛門と知り合います。渋田は海舟の見識を見抜き、「珍しい書物があったら買ってください。読み終えたら私のもとに送ってください」と200両もの大金を勝に預けていきました。後に渋田が紹介してくれた伊勢の醸造業者、竹川竹斎や紀州の醤油業者、濱口梧陵など、海舟の勉学を援助する支援者たちがあらわれます。また、蘭学を通して信濃松代藩で重用されていた佐久間象山とも親交を深め、後に海舟の妹の順を見初め、正妻に迎えています。後に署名などで使うことになる「海舟」という号は、佐久間象山の自宅に掲げられていた「海舟書屋」という額を気に入り、譲り受けたことに始まります。  勉学とは、本質的に孤独なものでありながら、時として人生を切り拓き、運命を変えるような出会いをもたらすこともあります。教育の場は学校にとどまらず、地域が見守りながら、これから世に出る子どもたちが勉学に没頭できる環境を大田区としても推進していっていただきたいと思います。多種多様な興味は多種多様な人脈をもたらします。IT技術が発達し、SNSで全世界の人々と瞬時にしてつながる現在において、子どもたちがつかむ可能性、知り得る世界はまさに無限大であります。世界に目を向け、海外の人々と向き合ったときに真に必要となるのは、読書で得られた教養であり、知見であり、経験であります。大田区の教育行政においては、その礎を確固としたものにするべく育て上げていただくことを期待いたします。  文武両道の武の部分で言えば、海舟はいとこに当たる直心影流師範、男谷信友のもとに通い、師である男谷と並び、天下の三剣豪と評された門下の島田虎之助に剣術を学び、19歳のときに免許皆伝を授かります。海舟の師事した直心影流男谷派は現代剣道のルーツと言われ、それまで素振りと型稽古が主流であった当時の剣術界において、いち早く竹刀による打ち合いを取り入れました。見栄え重視で上段の構えが一般的であったのに対し、実践に即した中段の構えを主眼に置いています。また、後に講武館頭取となった男谷が定めた三尺八寸という竹刀の規定は、日本人の体格改善により成人男子基準が現在の三尺九寸に改められるまで、今日に続く剣道にそのまま取り入れられてきました。  幕末の動乱期においても動じずに事に臨む胆力は、このときの剣術と禅の修行によって培われました。生涯において何度も命を狙われた勝海舟でありましたが、ついに本人は一度も人を斬ることなく人生を終えました。剣道に限らず、武道は人格形成においても非常に有意義なものであります。海舟の生きざま、人となりを語る上で武道の存在を抜くことはできません。大田区は、現代剣道の祖につながる勝海舟にゆかりある自治体として、広く区民や子どもたちの武道への取り組みを後押しし、青少年の健全育成や生涯スポーツとして積極的な支援をお願いしたいと思います。  現在、東京23区中、区営の武道場を持たないのは大田区と江東区だけであり、ほかの全ての区においては、一つないしは複数の武道場を設置しております。ぜひとも、大田区には江東区に先んじて区立武道場の設置を求めるところであります。  現在、剣道の大田区大会など、規模の大きな大会は大森スポーツセンターや総合体育館を利用して開催しておりますが、本来、球技用に設計された体育館はボールがはねるようにつくってあり、また、素足で利用することを想定していないので床が固く、武道特有の踏み込みを行うと足首や膝、股関節などに大きな負担がかかります。ふだんから稽古をしているような現役の選手においても、ふくらはぎの肉離れやアキレス腱の断裂など、重大な事故を起こすばかりか、子どもの身体の育成上にも大変な悪影響が指摘されています。また、武道団体が交流する拠点がないため、関係団体同士の交流が図れず、武道文化の発展を阻害していたり、他区との持ち回りでの大会や審査会などを開催する際にも適切な会場を確保できなかったりといった状況が続いております。  武道場といっても、その活用法は必ずしも武道に限るわけではなく、畳敷きの柔道場はかるたや百人一首などの伝統的文化活動にも利用できますし、板張りの床の道場は日本舞踊などにも活用できます。日本の武道に大いに関心を示す外国人も多く、武道場の整備は伝統文化発信の拠点として、観光や国際交流においても貢献するところが大きいと考えます。ぜひとも、大田区においても区立武道場を整備すべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。  海舟の生い立ちをたどると、決して恵まれた環境であったとは言えず、家庭に関して言えば一貫して苦労が絶えなかったという一面がありました。幼いころは、父、小吉の素行の悪さもあってか祖母との折り合いが悪く、貧しいが故のいさかいなどが絶えず、幼き麟太郎の辟易した様子を後年語っています。  昨今、家庭のあり方が多様化し、子育ての価値観も急速に変化してきたという向きもありますが、父親が外に出て働き、母親が家で家事と子育てに専念するという伝統的価値観として捉えられている家庭像は、日本においてはそう古いものではなく、実際には戦後高度経済成長期、福利厚生が充実した企業勤めの労働形態が主流になってくるまでは、我が国においては夫婦共働きが一般的でした。私たちが伝統的価値観と捉えている家庭像は、せいぜいこの二、三世代の間に定着した極めて新しく特異な家族形態でもあり、継続的で圧倒的な経済成長がもたらした一時的なものであるとの見方もあります。この家族形態を経済成長期のやや美化された光景とオーバーラップしてしまい、それを普遍的至高のものと捉えてしまうと、ポスト経済成長期のこれからの社会を見通すに当たっての本質を見失うことになります。海舟が生きた江戸末期から明治期においても、母親が家事子育てに専念できる環境を保てたのは、裕福な商人や豪農、石高の高い高級武士であって、おおよその家庭は家業を手伝ったり、内職にいそしみ、家計を支えながら同居する祖父母の手を借りて子育てをしていたのであります。  新しい世代転換期を迎え、今や夫婦共働き時代に回帰しつつある今日の保育に係る最大の課題は待機児童解消でありました。この10年ほどで急速に進展した状況の変化に対応すべく、松原区長は積極的に待機児童解消に取り組んでまいりました。その結果、松原区長が就任した平成19年からの10年間で、実に6034名の保育定数拡充を実現いたしました。  最大の課題であった待機児童解消は一定の対策がなされ、大田区の子育て支援施策は次の段階に入りつつあると感じます。「多様化した子育てニーズ」というフレーズを多用しがちではありますが、実際には、大別すれば在宅子育てと保育子育ての二極化であり、今までの主眼であった保育ニーズの充足のめどがつきつつある今、保育、在宅分け隔てない次世代の子育て環境整備が求められています。大田区といたしまして、これまでの社会状況の変化への対応と、これから進む新しい段階での子育て支援施策について、どのような課題意識を持って取り組んでいくのか、お示しください。  10年というのは一つの区切りでもあります。大田区は平成20年10月に作成した大田区基本構想において、区の将来像を「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」と示し、その実現に向けて平成21年3月に「おおた未来プラン10年」を策定し、区政のあらゆる分野に関する施策を網羅して、積極的に取り組みを進めてこられました。この未来プラン10年は、今年度が計画期間の最終年度となっております。平成29年3月には、未来プランの成果を確実なものとするとともに、新たに生じる区政課題にもしっかりと対応するため、大田区実施計画を策定し、未来プランに掲げる目指す姿の実現に向けて、さらなる取り組みの強化を図られているものと考えますが、未来プランの計画期間も残すところ半年余りとなり、そろそろこれまでの取り組みの到達点が見えてきたものと思います。  未来プランは、区の施策を総合的にまとめた基本計画であり、まさに区政の羅針盤とも言うべき存在です。未来プランの取り組みについては、年度ごとに進捗状況を取りまとめ、ホームページで公表されておりますが、区は10年間の取り組み結果の総括としてどのようにお考えでしょうか。これまでの取り組みの達成内容も踏まえ、区の将来像実現に向けて、この10年間でどのような成果を得ることができたのか、目指す姿にどれだけ近づくことができたのか、見込みを踏まえまして、区長のご見解をお伺いいたします。  平成29年度は、「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた」の実現を目指し、一般会計で2618億5000万円余、前年度比約45億円、1.7%増となる過去最大規模の積極予算を編成し、スタートいたしました。保育園待機児童解消の推進や全小中学校のICT環境の整備など、未来を拓く子どもたちや若者の成長を支える取り組みや、全国初の大都市モデルとして、大田区元気シニア・プロジェクトをはじめ、高齢社会が加速度的に進行する中で、全ての区民がいつまでも元気でいきいきと活躍できる取り組みをするなど、積極的に推進してこられた実績は大いに評価するところであります。加えて、区民の安全・安心を確保するための防犯・防災対策や観光・産業振興など、複雑化、高度化する区民のニーズを的確に捉え、様々な重点課題にも積極的に対応されてこられました。  本定例会には、この平成29年度決算の議案が上程され、まさにその結果を我々区議会が審議していくことになります。細かくは決算特別委員会における総括質疑に委ねますが、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づき算定された平成29年度決算における健全化判断比率については、いずれも早期健全化基準を下回っており、財政が健全であると大田区監査委員からの意見書でも認められております。  平成29年度も着実に基金の積み立てを行う一方、特別区債残高は着実に減少しており、今後、特に想定されている社会保障費の増や公共施設の更新経費の増に備えて、着実な財政運営をなされていると高く評価しておりますが、この決算の状況について区長のご所見を伺うとともに、区長就任より10年の節目となる平成29年度決算を中長期的な視点で見た場合、この1年間の持つ意味、位置づけはどのようなものであったか、今後の大田区政から見て、この1年の業績の意義をどのように捉えているのか評価をお聞かせください。  最後に、(仮称)勝海舟記念館についてお伺いいたします。  このたびの質問におきましては、青年期までの人となりまでしか触れることはできませんでしたが、幕臣として世に頭角をあらわした後の海舟は、海軍の創設者としての活躍、咸臨丸による太平洋横断、類いまれなる見識のもとで、薩長をはじめとした維新の志士とともに動乱期を生き抜き、新しい時代においては、旧敵であった明治政府に仕官しつつも、徳川家の忠臣や最良の理解者とともに自負していた西郷隆盛の名誉回復に生涯をささげるなど、波乱万丈な人生を歩んだ偉大なる政治家でありました。  帝政全盛のヨーロッパを視察し、立憲君主政を理想とした薩長藩閥と、アメリカ渡航経験から共和政治を理想とした勝海舟の対比、親子鷹に描かれた幼少期の父、小吉との家族愛、西郷と同じく下戸であり、一方では無類の犬好きであった西郷と、幼少期のトラウマから一切の犬が苦手であった海舟とのユーモラスな友情など、語るエピソードには尽きない魅力ある勝海舟でありますが、今まで勝海舟をメインとした記念館は存在しておりませんでした。非常に豪胆でありながら情に厚く、多くの友情に恵まれながらも上司には恵まれなかった幕末の傑物は、今は我が大田区の洗足池池畔に眠っています。  このたびの記念館建設は、120年の時を経て、勝海舟という私たちのまちに眠る幕末の偉人に新たなるエピソードを加えることになります。記念館建設に当たっては、鹿児島といえば西郷隆盛、高知といえば坂本龍馬というように、広く大田区に住む老若男女が郷土の誇りとして、海舟とともに歩んでいくことを実感できるような記念館にしていただきたいと思います。記念館にではなく、勝海舟に郷土の英雄としての愛着を持ってもらうことが大切であり、記念館はそれを象徴する場所とならなくてはなりません。海舟の生き方、考え方を知るだけではなく、触れることで何を得るか、それが大切であります。大田区から勝海舟にならい、努力と精進、幸運をつかむ根気と逆境をはねのける胆力を持った次世代の若者が世に出るような、そんなきっかけとなる記念館の建設を期待し、大田区にとって勝海舟記念館の設立はどのような意味を持つのか、区長のお考えをお伺いいたします。  以上、大田区政を広範にわたりまして、郷土に眠る偉人、勝海舟のエピソードを交えながら質問をいたしました。維新から30年余りが過ぎた明治31年、明治政府に出仕していた勝海舟の尽力により、反目し合いながらも尽くしてきた徳川最後の将軍、慶喜が宮中に参内し、戊辰戦争以来初めて明治天皇と接見し、晴れて逆賊の汚名を晴らします。心残りがなくなったかのように、海舟は翌明治32年の正月、脳溢血に倒れ、77年の生涯を閉じます。  今年度は30年にわたりました平成最後の会計年度であります。30年という歳月は一つの世代が入れ替わり、時代が変遷を迎える時期であります。新しい時代への礎を築き、次の世代へ引き渡すという大きな転換期を迎えつつある今、先人に学び、将来を見据えた千載不朽の区政運営を期待いたしまして、代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○岸田 議長 理事者の答弁を求めます。 ◎松原 区長 長野議員の代表質問に順次お答えをさせていただきます。  まず、受動喫煙防止に向けた環境整備についてのご質問ですが、2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて、外国等からの来訪者も含め、喫煙する方もしない方も相互に配慮し合えるよう、分煙環境を整備することが重要であります。屋外につきましては、区がルールを定める必要があります。このため、屋外の喫煙対策を再検討する必要があると判断し、有識者による環境美化審議会を設置し、精力的な審議をお願いしているところです。11月には、受動喫煙に配慮した屋外での喫煙のルールづくりや公衆喫煙所の整備の考え方、指導啓発の強化のあり方について、中間のまとめとして第一次答申をいただく予定でございます。引き続き、庁内の受動喫煙防止対策推進本部で検討を進めるとともに、第一次答申を踏まえた屋外対策の具体化や、受動喫煙防止の対策全般について全庁を挙げて取り組み、国際都市おおたにふさわしい快適な環境づくりに努めてまいります。  次に、ブロック塀の安全対策に関するご質問ですが、区では大阪北部地震発生後、直ちに区で管理する施設のブロック塀等の緊急点検を実施しました。点検の結果、洗足池小学校では法定の高さを超えるブロック塀があり、7月中旬には取り壊し、安全なフェンスに取りかえました。現在、詳細調査の結果をまとめておりますが、塀に劣化のある場合には、施設名を公表するとともに、順次改修を進めてまいります。  一方、民間のブロック塀に対しましては、相談窓口を一本化し、ワンストップで相談に応じて、区民の皆様の不安の解消に努めてまいりました。塀の改修を進めるには所有者の皆様の意識啓発が欠かせず、7月20日には区報の防災特集号を発行し、ブロック塀の安全点検の方法等をご紹介させていただきました。今回、ブロック塀等の改修費用を助成してほしいという声が多数あり、助成事業を始めました。この助成制度を利用していただくことで、安全なまちづくりが着実に進むと考えており、劣化等が認められる塀の所有者に対し、個別に助成制度をご案内し、利用を促しております。引き続き、区施設や民間施設を問わず、区内のブロック塀等の改修が進むよう、安全なまちづくりに取り組んでまいります。  次に、区の窓口サービスに関するご質問でございますが、区の窓口をご利用いただく皆様の利便性向上を常に図ることは大変重要でございます。区はこれまでも、混雑の解消をはじめ、様々な観点から窓口サービスの向上に努めてまいりました。窓口サービスのあり方につきましては、昨年度においてサービスの向上のための基礎調査を行い、現在、関係部局間で鋭意対策等を検討しておりますが、窓口サービスは基礎自治体として区民の暮らしを支える大切な業務の一つであります。区政全体にかかわる大きな課題であると認識しております。また、議員お話しのとおり、区民目線での効率的な行政サービスを提供するためには、ハード、ソフト面の双方の要素が重要でございます。区といたしましては、引き続き、区民の皆様の窓口ご利用状況を把握し、サービスのさらなる向上と行政事務の効率化を目指し、限りある庁舎のスペースを最大限有効に活用しながら、窓口サービスのあり方について検討を重ねていきます。  次に、学校体育館の空調設置についてのご質問ですが、文科省が3年ごとに実施する調査では、平成29年4月現在の都内の公立小中学校の普通教室及び特別教室の空調化率は99.9%となっています。一方、学校体育館については、東京都においても8.4%という状況です。区においても、小中学校の普通教室や特別教室の空調化について、平成16年から18年にかけて整備し、100%となっていますが、学校体育館については、一部騒音対策上の学校以外では空調化対応は行っておりません。しかし、今年の夏のような「命に危険を及ぼすレベル」の暑さで、様々な学校活動を取りやめるという事態となっており、児童・生徒の健康と安全な教育環境を守るためにも、これまで以上に学校体育館における暑さ対策が必要と考えております。体育館の空調化には、設備費や後年度にわたって多額の維持管理コストがかかるほか、建物の構造上の空調効率などの課題があることから、試験導入した検証結果に加え、他の自治体での取り組み事例を検証し、区の現状に合わせた効率的・効果的な対策を検討し、教育環境のさらなる向上を図ってまいります。  次に、職員の人事ローテーションに関するご質問ですが、職員の事務分担においては、多様な業務に触れ、より全体的、包括的に考える力を養うため、未経験の職務への配置を積極的に行い、おおむね2年から3年で職務分担を変えております。また、このローテーションは、長期間同じ業務に携わることから発生する職務停滞や不正行為の未然防止策にもなっております。一方、複雑、多様化する区政課題の中には、専門性、特殊性が高く、一定の成果を出すまでに長期間を要するものもございます。これらを踏まえ、事業の展開、進捗を見定め、前任者によります補助や引き継ぎの徹底にも取り組みながら、業務が停滞することがないように適切に運用してまいります。  次に、羽田空港跡地第1ゾーン第一期事業についてのご質問でございますが、跡地における土地区画整理事業は当初の予定どおり進んでおります。9月中に施設の整備運営事業者に土地を引き渡し、10月には工事に着手する運びとなっております。第一期事業では、「新産業創造・発信拠点」の形成を目指しており、先端産業といたしましては、区内企業への波及を踏まえ、健康医療分野や先端モビリティ分野、ロボティクス分野に取り組んでまいります。文化産業といたしましては、イベントホールで音楽など、文化発信施設では食文化など、多くの方が楽しみ、交流できるにぎわいのある施設として、2020年のまち開き、2022年の全施設開業に向けて着実に事業を進めてまいります。今後は、第一期事業以外の用地の活用方法について検討してまいります。検討に当たりましては、第1ゾーンにおける事業の全体像を踏まえ、周辺地域における事業との調和を図りつつ、区民の皆さんはもちろん、国内外からのお客様にも繰り返し訪れていただけるような魅力的なまちづくりに取り組んでまいります。  次に、羽田空港の機能強化についてのご質問ですが、国は、オープンハウス型説明会などの手法により、提案内容などの説明を続けるとしております。実施に当たりましては、様々な手法による丁寧な説明の継続を国に対して求めてまいります。B滑走路西向き離陸については、市街地に最も近い滑走路であることを鑑みますと、空港隣接地域にお住まいの方のご心配も理解できるものでございます。その点も踏まえ、区では国に対する2度にわたる要望において、B滑走路西向き離陸についての課題を取り上げ、騒音軽減に向けた具体策の取りまとめ、長距離国際便の離陸制限などを求めてまいりました。こうした区の要望も踏まえ、国において、B滑走路から離陸本数を削減するなどの具体的な対応もなされております。引き続き、地域への騒音影響を軽減するための対応を国に求めてまいります。落下物対策に関しましては、航空事業者に落下物対策の義務づけを規定する法令の改正が行われ、今年度内には国内航空会社及び日本に乗り入れる外国航空会社に運用される運びとなりました。国及び航空会社に対して、現状においても落下物の未然防止策を着実に実行するよう、引き続き求めてまいります。  次に、武道場の整備に関するご質問ですが、現在、弓道や相撲につきましては、専用で使用できる施設を設け、広くご利用いただいております。一方、剣道や柔道等におきましては、総合体育館や大森スポーツセンター、学校の体育館などにおきまして、他のスポーツと併用して使用いただいております。文科省によれば、武道とは日本固有の文化であり、勝敗を競い合う楽しさや喜びを味わうことに加え、国の伝統と文化を理解すること、また、相手を尊重することの大切さを学ぶことができるスポーツとしております。区といたしましても、武道に取り組むことは体力の向上、青少年の健全育成に寄与するとともに、日本の伝統文化でもあり、国際交流を進めていく上でも有効であると捉えております。球技スポーツなどとの施設の併用による子どもたちの身体への影響や、他自治体の整備、利用状況などを勘案し、今後、より多くの区民の皆様が武道に親しむことができるよう、武道場の必要性について鋭意検討を進めてまいります。  次に、子育て支援に関するこれまでの対応と今後の展開についてのご質問ですが、核家族化などにより周囲からの援助が受けられず、悩みながら子育てに取り組まなければならない方々に対応していくことは大変重要でございます。区では、これまで妊婦面接やすこやか赤ちゃん訪問事業、養育支援家庭訪問事業にいち早く取り組んできたほか、子ども家庭支援センターや児童館において子育てひろば事業を展開して、子育て支援をしてまいりました。本年10月からは、産後の母体ケアや育児のサポートを行う産後ケア事業を訪問型と外来型で開始するほか、11月からは、羽田保育園と仲六郷保育園で園の保育士を活用した子育てひろば事業を開始します。また、育児のレスパイトのための一時預かり保育の拡充などについても検討を進め、妊娠、出産から子育てまでの切れ目のない支援を力強く推進してまいります。  「おおた未来プラン10年(後期)」の成果でございますが、私は、平成40年度までを見据えた基本構想において掲げた大田区の将来像を実現するため、平成21年3月に区の基本計画である「おおた未来プラン10年」を策定し、「地域力」と「国際都市」をキーワードに、総合的に区政を推進してまいりました。その後、平成26年3月に改定を行い、「おおた未来プラン10年(後期)」のもと、新たな地域課題の解決にも着実に取り組んでまいりました。この間、待機児童解消に向けた取り組みや、2030年代の都市の将来像を見据え、「大田区都市計画マスタープラン」の具体化を図った「おおた都市づくりビジョン」の策定、一億総活躍社会の実現に向けた元気高齢者の活躍の場づくり、国際都市おおた協会の設立、羽田空港跡地等におけるグローバルなまちづくりなど、幅広い分野において区民の皆様にも身近に成果を実感していただけるような進捗があったと考えております。  一方で、大規模な自然災害の増加や地域コミュニティの希薄化など、未来プラン策定時の想定にはなかった、または想定を超える社会状況も生じてきております。また、新たに生じた課題として、子どもの貧困問題、児童相談所の設置、空き家対策、公共施設の機能更新への対応など、部局横断的、重点的に取り組むものがあります。これらの課題につきましては、平成29年3月に策定した「大田区実施計画」に具体的な取り組み内容を明記し、未来プラン事業と同等に積極的な施策展開を図り、取り組みを加速させております。目指す姿の実現に向け、基本計画である未来プランのもと、「大田区実施計画」を踏まえ、引き続き庁内一丸となった取り組みを一層進めてまいります。  次に、平成29年度決算に関するご質問ですが、私は区長就任以来、目指すべき将来像「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」を掲げ、着実に区政運営を進めてまいりました。平成29年度は、人口構成の変化が一層進む中、中長期的な見通しに立って区政の将来を見据え、これまで以上に持続可能な視点から各種施策を展開した年度でございました。財政指標で見た決算の状況については、経常収支比率は83.1%、実質収支比率は6.1%、公債費負担比率は2.5%となるなど、区財政は引き続き健全であると認識をしております。  具体的な事業で振り返りますと、待機児童対策のさらなる推進、六郷図書館や東調布中学校など更新時期を迎えた公共施設や学校の改築着手、「大田区高齢者見守りメール」の開始、羽田空港跡地整備や新空港線整備に向けた取り組みを進展させるなど、様々な施策を強力に推し進めることができました。さらには、過去の大きな経済不況の経験を踏まえ、基金においては計画的な積み立て、特別区債においては発行抑制と着実な償還を進めてまいりました。これまでになく、人口構成の変化に伴う扶助費の増や公共施設の更新が集中している中で、必要なサービスを提供し、区財政の体力を蓄えることができた1年であったと考えております。引き続き、将来を見据えた財政運営を行っていくためにも、区民目線に立った事業の見直しや再構築を行うなど、内部努力をこれまで以上に徹底してまいります。  議員のお話の中に登場した勝海舟が残した言葉でございますが、「世人は、首を回すことは知っている。回して周囲に何があるか、時勢はどうかを見分けることはできる。だが、もう少し首を上にのばし、前途を見ることを覚えないといけない」というのがあります。これは、もっと世の中のことを見つめて、時代の先へ視野を広げることが大切だという意味だそうでございます。まさに自治体経営のあり方と共通するものであります。私は、自治体のかじ取りを任されている首長として、刻々と変化する環境を敏感に受け止め、最適な施策を通じて引き続き住民福祉の向上に全力を注いでまいります。  次に、勝海舟記念館設立に関する質問ですが、(仮称)勝海舟記念館は、文化財である旧清明文庫を保存活用すること、区にゆかりのある勝海舟の思いを伝えること、この二つを大きな基本方針として整備を進めております。区は、記念館を通じて、大田区ゆかりの偉人である勝海舟がたどってきた足跡や思い、業績を伝えてまいります。勝海舟に対して身近に感じながらも、区民の皆様が深い思いや誇りが持てるような記念館としてまいります。勝海舟は、風光明媚な洗足池に心を打たれ、晩年に「洗足軒」という別邸を設けました。洗足池は四季折々に表情を変え、人々を引きつける魅力があります。洗足池全体の魅力向上を図るとともに、(仮称)勝海舟記念館が地域のランドマークとなり、区を代表する文化施設となるように整備を進めてまいります。私からは以上でございます。 ◎小黒 教育長 今後の大田区の公教育の展開についてのお尋ねでございます。本区においては、清水窪小学校がおおたサイエンススクールとして、また、文部科学省教育課程特例校として先進的な理科教育に取り組んでまいりました。その結果、大田区学習効果測定におきましては、6年生理科の平均点は極めて良好な成績となってございます。この成果は、地域の教育資源を活かした東工大との連携、サイエンスコミュニケーション科の設置による特色ある教育課程の実施によるものであると考えております。教育委員会といたしましては、清水窪小学校の成果を取り入れ、多摩川の自然やものづくり技術の集積地といった区内の各地域の教育資源を活かした特色ある教育課程に基づく学校づくりを推進してまいります。  続いて、今後の図書館行政についてでございますが、4月に策定した「図書館の今後のあり方」で掲げた四つの施策に基づき推進してまいります。例えば、池上図書館では、池上の文化や特色を活かすとともに、駅や駅ビルを利用する利用者のニーズに合わせたサービスとして、ICTの活用による利便性の向上などを検討してまいります。また、現在の大田図書館は、かねてより老朽化とバリアフリー化などの課題を抱えており、企画立案や図書の流通、集積保存といった中央館機能を現在の建物に残すほか、一般区民が利用する図書館部分については、東調布中学校の改築に伴う複合化施設内に新たに設置する予定でございます。こちらにつきましても、生涯を通じての思索と探究を支える図書館機能の充実を図ってまいります。 ○岸田 議長 教育長、所定の時間になりましたので。
     次に、21番秋成 靖議員。                  〔21番秋成 靖議員登壇〕(拍手) ◆21番(秋成靖 議員) 大田区議会公明党の秋成 靖です。会派を代表して質問をさせていただきます。よろしくお願いします。  本年、日本列島は多くの災害に見舞われました。6月18日に発生した大阪北部地震では、小学校のプール沿いのブロック塀が倒れ、登校途中の小学生が下敷きになり亡くなられました。建築基準法施行令の基準を超えていたにもかかわらず、の教育委員会の職員が簡易検査を行い、問題なしと判断していた箇所の倒壊でした。また、6月から7月にかけて発生した平成30年7月豪雨では、西日本を中心に河川の氾濫や堤防の決壊による浸水被害や土砂災害が相次いで発生し、県によっては戦後最悪の風水害被害となり、各地で甚大な被害がもたらされました。そして、9月4日、25年ぶりに非常に強い勢力のまま上陸した台風21号は、気象庁が記録的短時間大雨情報を発表し、関西国際空港では高潮による冠水被害のため空港機能が閉鎖、数千人の利用者が長期にわたり孤立状態に陥りました。続けて、9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、北海道では初めての震度7を記録し、広い範囲での土砂崩れの被害が発生しました。さらには、火力発電所の緊急停止により道内全域がブラックアウトの状態となり、大規模停電に陥りました。断続して発生した大規模災害によりお亡くなりになられた皆様のご冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方々にお見舞いを申し上げるとともに、被災地の一日も早い復旧と復興をお祈り申し上げます。  同時に私たちは、この大田区にも迫り来る大きな災害に対して、これまでの災害から学び、防災・減災の備えを進めていかなくてはなりません。そのような中、大田区において、6月19日より早急に取り組んでいただきました区立学校と区施設のブロック塀等の緊急点検、そして、9月1日から開始いただいたブロック塀等改修工事・助成事業等につきましては、区民の皆様の命を守るための事業として高く評価いたします。  さて、日本総合研究所発表の「2018年8月 日本経済展望」によると、国内企業の傾向として、設備投資の部門では、人材不足の深刻化や生産設備の老朽化を背景に、省電力投資や設備更新への投資が堅調に見られ、加えて、AIや自動運転などの新技術に対応するための研究開発投資が積極化していることからも、景気は回復傾向にあるとしています。こうした設備更新の動きとともに、人件費の拡大への取り組みを進める中、賃金の上昇ペースが高まり、家計、個人ともに消費について、徐々に明るさが出てくる見込みだと発表されています。  こうした国内経済の動向を勘案しつつ、大田区では「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた」の実現を目指し、一般会計2618億5000万円余、前年度比約45億円、1.7%増の過去最大規模となった平成29年度予算を執行してまいりました。大田区の平成29年度は、保育園待機児童解消に向けた対策の強化や、全小中学校のICT環境整備、また、全国初の大都市モデルとした大田区元気シニア・プロジェクトを中心に、高齢者がいきいきと活躍できる環境づくりを推進、また、喫緊の課題である防災・減災に資する施策や、区内産業のさらなる振興策など、多様な課題解決に向けた取り組みを進めてまいりました。さらに、いよいよ具体性を増してきた羽田空港跡地第1ゾーンの開発を契機に、新空港線の整備や、JR蒲田駅・大森駅前整備事業の進捗が見られた年度となりました。  債権管理の適正化に関連して、特別区民税の29年度収入済額は、現年分と滞納繰越分を合わせて685億3521万円、前年度比9億8537万円、1.46%の増となり、対調定収入率は98.25%で、0.65ポイント上昇しました。また、収入未済額については5億9055万円、前年度比6250万円、9.57%減と4年連続で大幅に減少し、対調定収入率は99.15%で、0.11ポイント増となりました。さらに、滞納繰越分の収入未済額は4億4392万円、前年度比3億726円、40.90%と5年連続前年度比20%以上の減少、対調定収入率は54.92%で、5.67ポイント増となりました。このように、現年分と滞納繰越分の対調定収入率が年々改善され、収入未済額が減少していることは、収納対策の強化に取り組まれた結果として高く評価いたします。  初めに、平成29年度決算についてお伺いします。大田区基本計画「おおた未来プラン10年(後期)」では、プランに掲げる目指す姿の実現度を図るため、目安として「モノサシ指標」が示されております。まず、平成29年度決算に当たり、「モノサシ指標」の分析や未来プランの進捗状況などをもとに、区長の評価をお伺いします。  平成29年度一般会計決算では、歳入総額2556億5385万円、歳出総額2454億5524万円で、歳入歳出差引額は101億9861万円の黒字、翌年度への繰越額を除く実質収支額は96億4047万円となりました。この決算状況から普通会計に置きかえて財政指標を読み取ると、実質収支比率は前年の28年度3.9%から6.1%と2.2ポイントの増となっており、平成27年度と同水準の数値となりました。また、財政構造の弾力性をはかる経常収支比率は83.1%と、前年度の81.1%から2.0ポイント上昇しました。このような実質収支比率及び経常収支比率の状況を鑑み、大田区の財政状況をどのように評価しているか、区長の見解をお伺いします。  次いで、不用額の現状についてお伺いします。平成29年度の不用額は147億6252万円で、前年度比45億1511万円、44.06%の増となっています。不用額が大きな主な款は福祉費、総務費、土木費等であります。しかし、的確な事業運営や不必要となった支出の削減などを考慮すると、不用額が大きいことを一概に問うことは難しいと考えます。区民満足度向上のために限られた財源を有効的に活用するという観点、また今後、大きな財政負担となってくるであろう公共施設整備事業や社会保障費の増加に対する備えとしても、この不用額についてはより一層の改革が必要と考えますが、区長の見解をお伺いします。  大田区実施計画では、大田区財政は現状において健全性を維持しているとしつつも、待機児童対策、超高齢化社会への備え、公共施設の機能更新など、今後想定される膨大な財政需要を勘案すると楽観視はできないと示されております。また、今年のような災害にも匹敵する酷暑の際には、事業の選択と見直しにより確保した財源を区民ニーズに対応するべく、より効果の高い事業へと再分配を検討する必要があると感じます。さらには、各事業に対する集中と選択を詳細にわたり検証することや、積極的な自主財源の確保など、今後の大田区財政の安定に寄与するよう着実に取り組んでいただきたいと要望し、次の質問へと移ります。  次に、体育館における空調の整備についてお伺いします。  近年、異常気象や記録的な猛暑が頻繁に発生し、もはや異常な気象が常態化していると言っても過言ではない状況になっております。埼玉県熊谷では史上最高の41.1度を記録し、東日本で見ても7月の平均気温は平年を2.8度上回り、1964年の統計開始以来、最も高いものとなりました。また、消防庁のデータによりますと、今年4月30日から9月9日までに熱中症で搬送された方の数は9万3199人で、このうち、157人の方がお亡くなりになられております。  本区では、区内小中学校において、平成16年から18年にかけまして、普通教室、特別教室について空調設備の設置が完了しております。しかしながら、体育館においては現在も空調が設置されておりません。全国的に見ても、体育の授業や部活動、集会等で熱中症になる子どもたちが後を絶ちません。本年7月、都内のある高校の体育館で実施された集会の際に、25人の生徒が熱中症の症状を訴え、約10人が搬送される事態も発生し、東京都教育委員会は、エアコンがない体育館では終業式を控え、空調が効く教室などで実施するよう都立高校に通知が出されるといった動きも出てきております。  子どもたちによりよい教育環境を提供することは区の使命でございます。と同時に、区立小中学校の体育館は、災害時には避難所としても機能を果たすものであり、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨災害等でも避難拠点の空調の不備が大きな課題となりました。避難生活は長期間に及ぶことが予想され、もはや空調機がない状況では避難所機能の役割を実質的に果たすことができない状況であるとも言えます。例えば、練馬区では本年、今後10年をかけ、全小中学校の空調設備を設置していく方針が打ち出されております。文京区でもスポット型の空調機が既に全校で整備されたと把握しております。本区でも喫緊の課題として、早急にこの判断を行っていただきたいと強く要望いたします。  そこでお伺いしますが、現在、校舎の建て替え計画が年2校のペースで進められておりますけれども、既に建て替えが行われた東六郷小学校、志茂田中学校では、地中熱を利用する仕組みの空調設備が設置されたと認識しております。そのことからも、一定の空調機器の設置が必要であるとの見解は、区としても既に判断が行われているものと認識しております。今後、建て替えが行われる学校体育館の空調についても、全校で整備がなされるよう仕様書に明記することを要望いたしますが、区長の所見をお聞かせください。  一方で、建て替えの計画がない学校においても、その必要性については同様でございます。今年度、スポット型の空調機が調布大塚小学校、大森第一中学校の2校で試験的に設置されたと認識しております。運用間もない状況でありますが、その効果をどのように評価したのかとともに、今後、既存校においても空調整備を全体的に広げていくべきと考えます。また、体育館で練習をしている部活動においては、大会の記録や活動の成果については入試の結果にも大きく影響してくることからも、今こそ区全体の課題として取り組んでいくことと捉えますが、区長の所見をお聞かせください。  また、規模が大きな施設での空調設備については、様々な様式がある中で、初期投資の問題、断熱性を改善した上での空調効率や発電効率の向上、災害時における電源供給方法なども考慮し、機器をどのように選定していくかも重要な判断が求められます。早期に関係機関と協議し、商品の調達や工期の調整など、適する機器の選定についても方向性が出せるよう、ご検討いただきたいと思います。  あわせて、文化センター等の体育施設においても状況は同様であり、この点についても、会派としても何度も提案させていただいておりますが、この機会に改めて協議を進めていただきたいとの要望を申し添えておきます。  続いて、防災・減災の取り組みについてお伺いします。  平成26年8月豪雨による広島土砂災害、平成29年九州北部豪雨による浸水被害と土砂災害、本年7月の西日本豪雨、9月の台風21号の被害など、大規模な水害や土砂災害が日本各地で起こるたびに、激甚化する気象災害への備えと発災時の対応を待ったなしで進めていく必要性を切に感じます。  昨年10月23日、台風21号の影響で多摩川が増水し、中州に取り残された方々を東京消防庁のヘリコプターで救助する映像がテレビで放映された際にも、多摩川の近辺に住まわれる方から、「川が増水しているが避難する必要はあるのか」、「どこへ避難すればよいのか」というお問い合わせをいただきました。日ごろ、行政が発信する防災情報をいかに浸透させるか、また、緊急で発信する防災・減災情報をわかりやすく伝えることの重要性、そして、行政から情報を受ける私たち区民がそれらを的確に捉え、早め早めの行動からみずからの命をいかに守っていくのかということについて改めて考える機会となりました。  環境防災総合政策研究機構、環境・防災研究所の松尾一郎副所長は、新たな水害多発時代に備え、「タイムライン防災」で命を守ることについて提唱しています。台風の時期に備えた先を見越して早めの対応をとることを促しています。「タイムライン」とは、台風など、あらかじめ予測できる災害に対して、行政や自治会などが、いつ、誰が、何をするかを整理しておく仕組みです。2012年にアメリカを襲ったハリケーンの際、被害を軽減したことで注目され、日本でも多くの自治体がつくるようになりました。国交省も、「タイムラインがあれば、首長が判断に迷うことなく、被害の最小化に有効」とコメントしています。また、住んでいる場所や家族構成、年齢などによって災害対策が異なることから、みずからの行動計画を時系列で定めておく「マイ・タイムライン」をつくる動きも出始めています。  お伺いします。激甚化する気象災害に対し、過去に経験したことがない大雨などに備えるため、大田区における「タイムライン」を活用した防災・減災の取り組みが有効と考えますが、区長の所見をお聞かせください。  愛媛県大洲三善地区では、「わたしの避難行動」として、「災害・避難カード」を作成しながら、私たち大田区でも作成している「防災マップ」の中に、水から避難する場所はどこか、土砂から避難する場所はどこかと、各家庭における災害別に異なる避難場所、避難するルートなどを記入できるようつくられています。さらに、災害時に気にかける人は誰なのか、その人と一緒に避難する際の留意点は何かなど、互いの顔が見える形での共助、近く助ける近助にまで及んでいます。  本年の7月豪雨においては、手書きのハザードマップ「わたしの避難行動、災害・避難カード」を活用した三善地区では、一人の犠牲者も出さなかった地域として報道がされておりました。  お伺いします。行政から防災訓練や区報などを通して日ごろから意識づけいただいている一時集合場所、避難所、避難場所について、区民の皆さんと接する中で、まだまだ浸透していないと感じる場面が多々あります。どのように調べたらよいかもわからない区民の皆様が数多くおられる現在、住所を入力すれば避難する場所が検索することのできるシステム導入による、手書きハザードマップを使った、向こう三軒両隣、顔の見える共助・近助の取り組みをさらに推進することで、災害からの被害を最小限にとめることができると考えます。区長の見解をお聞かせください。  現在、大田区内において、震災に対応するための橋梁工事や道路の拡幅事業に伴う工事を進めていただいております。その際、産業道路の呑川新橋周辺や第一京浜道路の環状8号線周辺などでは、工事の途中であるとはいえ、人や自転車が双方に1人ずつすれ違うのもやっとという状況の歩道が散見されます。東京都東部の江東5区が公表した最大規模の洪水を想定したハザードマップと住民の避難計画では、高速道路を徒歩での避難用で開放するなどの計画も含まれています。地元の自治体と都や国が連携して、それぞれの枠を超えたすばらしい計画であると感じます。  7年前の東日本大震災のときに、国道や都道などの幹線道路は車両の流れがとまり、多くの歩行帰宅者が歩道を埋め尽くしました。その状況を考えると、先に挙げたような狭くなった歩道部分について、混乱を避けるため、大田区は国や東京都とも連携をしながら、区内の同じような細い歩道がどこに点在するかチェックをかけながら対策を講じる必要があると考えます。区長の見解をお伺いします。  続きまして、人権の視点から捉えたLGBTに関連する取り組みについてお伺いします。  オリンピック・パラリンピック東京大会まで約2年となりました。国際オリンピック委員会(IOC)は、オリンピズムの根本原則や規則などを成文化した規約「オリンピック憲章」を定めています。スポーツを通じて、友情、連帯、フェアプレーの精神を培いながら、相互に理解し合うことを目指すオリンピックムーブメントの組織、活動、運用の基準となっており、大会の開催条件を定めるものでもあります。この中の「オリンピズムの根本原則」には、「オリンピック憲章の定める権利及び自由は、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」とあります。  本年5月11日、東京都知事は記者会見の中で、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例の制定に向けた新たな人権課題にも光を当てるとして、1 LGBT等の性的マイノリティを理由とする差別のない東京の実現、2 ヘイトスピーチのない東京の実現の二つを柱とする考え方を明らかにしました。東京2020大会後を見据えて首都東京が条例で宣言することで、ホストシティにふさわしいダイバーシティを実現しようとするものであります。条例議案は、今月開催されている都議会第3回定例会に上程されています。差別解消の推進とともに、啓発及び教育の推進がセットで条例に規定されており、基本計画の策定と市区町村との協力体制についても盛り込まれております。  また、本年、首都圏を中心に多くの自治体へ第2回定例会以降、パートナーシップ制度の導入を求める請願・陳情が提出されています。多様な性を生きる市民に対する偏見や差別を解消し、性的マイノリティを排除しない社会への転換を進めていただきたいという願いからの働きかけと伺います。昨年6月、大田区第2回定例会において、我が会派、勝亦 聡議員が代表質問の中で、自治体として初めて国際都市を宣言した大田区において、LGBTに関連して多様な文化を分かち合い、互いの個性を認め、誰もが活躍できる笑顔あふれるまちにするために、区としての取り組みについて質問しました。その際、区長からは、職員向けの研修を実施していることをご報告いただきながら、今後も差別や偏見なく、個人として尊重される社会の実現に向けた取り組みを進めていく旨、ご答弁いただきました。  また、教育現場での対応として、全国的に心と体の性が異なるトランスジェンダーなど性的少数者に対してのいじめの事例が多いことを通しながら、大田区の学校現場ではどのような配慮を行っているのか、また、LGBTに対して教職員の理解度を深めるための取り組みについて質問した際、教育長からは、引き続き人権教育の中でLGBTに触れていくこと、日ごろから子どもの様子を注意深く見守ることにより、LGBTに起因するものも含めたいじめの未然防止や早期発見、早期解決に取り組んでいく旨、ご答弁いただきました。  お伺いします。昨年のこの質問から1年が経過する中で、教育現場での取り組みはどのように進めていただいておりますでしょうか。  宝塚大学の日高庸晴教授が2年前に全国規模で行った調査の結果、不登校率で見たときに、通常が3%、多い場合には5%の中、LGBT当事者で見た場合、17から57%と高い割合の結果が出ています。この調査では、自傷行為や自殺に対する意識でも高い割合での結果が出ております。学校現場において、LGBTに正面から取り組むことは、不登校対策としてだけではなく、子どもたちの命を守ることにもつながっていきます。  平成27年4月に文部科学省は、全国の教育委員会に対し、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」の中で、「教育委員会等による支援について」として、教職員らによるサポートチームを設置することなどを通知しましたが、私たち大田区の取り組みはどのような状況でしょうか。LGBTに関連して悩む子どもたちの登校しやすい環境づくり、不登校に陥ってしまった子どもたちがもとに戻れるきっかけづくりのため、どのように動いてくださっているのでしょうか。  自分の話を聞いてくれる人がいるだけで、学校の中に自分が安心できる場所があることにつながります。今の自分を認めてくれる誰かが1人いることで、尊い命を粗末に扱うことがなくなるのです。先に伺ったこれまでの教育現場の進捗とともに、これからの展望についてもお聞かせいただけたらと思います。  この夏、多くの社会的立場にある方の発言により、LGBTの認識が社会へと大きく広まりました。7月23日には、札幌や横浜をはじめとする全国指定都市20の市長会がLGBTの取り組み強化の要請を内閣府へ提出しました。世界との玄関口でもある羽田空港を抱え、国際都市をうたう私たち大田区においては、LGBTに関することを重要な人権課題として捉え、区民に向けての周知・啓発を積極的に進めていく段階に入ったと感じます。区長の見解をお伺いします。  さらには、今後、相談体制が整備されたときに、職場や社会生活の中で問題があった際に、「LGBTでお悩みですか。大変ですね。」と心情に寄り添うだけの対応で終わらせないためにも、区としての一定の指標をつくることを要望します。また、人権・男女平等推進課に取り組みを全て任せるのではなく、区全体の課題として、各部署でできること、やるべきことは何かと考えていく必要があると考えます。区の施策によって、一日でも早くLGBTの皆さんがさらに安心して生活できる環境が整うことを願い、次の質問へ移ります。  大田区は、平成27年度から30年度の4か年を計画期間とする「新大田区経営改革推進プラン」を策定し、職員一人ひとりが経営的視点を持ち、行政コストの削減を目的とした量的改革だけではなく、区民ニーズを的確に把握し、サービスの質を向上させる質的改革を推進してまいりました。このプランに基づき、主に行政評価制度の再構築、区政情報発信の充実、補助金制度の見直し、働き方改革への取り組み、外郭団体等のあり方検討の五つについて取り組んでおりますが、この中の働き方改革への取り組み、スマートワークについてお伺いします。  区では、平成29年2月より、スマートワークをキーワードに職員の勤務環境の改善・改革に取り組んできております。そのような中、職員向けの意識調査によれば、スマートワークの意味を知り、平日20時、水曜18時までの退庁を心がけている職員が約9割に上ると伺います。さらには、退庁しやすい雰囲気になったと感じる職員が6割にも上ることは職場環境の大きな改善であると感じられます。しかし、日々の20時退庁や水曜日のノー残業デーを強調することにより、見えないところで時間外勤務をせざるを得ない職員が存在するのではないでしょうか。  「区役所全体で業務改善運動が組織的かつ継続的に展開され、サービス向上につながることを期待する」との監査意見がございましたが、スマートワーク宣言の冒頭にもうたわれた区民サービスの向上、区民満足度の向上へとどのようにつなげることができたのでしょうか。1年を通じてスマートワークに全庁的に取り組んできた実績に対する評価について、区長の見解をお伺いします。  大田区では、平成18年2月の「大田区メンタルヘルス・トータルプラン」、平成24年3月には「心の健康づくり計画」を策定し、メンタルヘルス対策を実施してきました。中でも、メンタルヘルスへの具体的な対応として、1 予防対策の強化、2 早期の発見と対応、3 職場復帰に向けての支援と再発予防の徹底、という中にあって、重要な役割が課せられているメンタルヘルス推進員については数を増やしてほしいという声を伺います。さらには、病欠中の職員がいる職場における共倒れを防ぐ手だてを求める切実な声も寄せられています。  そこでお伺いします。区ではこれまでも様々なメンタルヘルス対策を講じていただいております。その上で、メンタルヘルスに対しての早期からの気づきの啓発や相談体制の充実について、今後どのように取り組まれていかれるのか、区長のお考えをお示し願います。  大田区がスマートワーク宣言を開始してから約1年と半年が経過しました。ワーク・ライフ・バランスの実現を目指しながら、働き方改革の大きな一歩を踏み出したところであると感じます。そのような中で、人事評価制度の見直しや、行政内部での働き方改革のノウハウを活かしながら、区内の一般企業に向けての周知・啓発など、新たな施策の可能性にも及んでいると捉えております。区役所でのスマートワークの課題とこれからの見通しについて、並びに区役所の中での1年半にわたり進めてこられたノウハウを活かしながらの一般企業との連携について区長の見解をお伺いします。  続いて、ユニバーサルな視点での環境整備についてお伺いします。  初めに、蒲田駅前、大森駅前の整備に伴うタクシーの車椅子利用者専用乗り場の整備についてです。現在、大田区は、大森駅周辺地区グランドデザイン、蒲田駅周辺再編プロジェクトに基づき、大森・蒲田両駅駅前広場の再整備を進めていただいているところです。地域の声も反映をしながら、大きく変わっていく駅前のイメージ図を拝見したときに、快適な駅前空間を利用されている区民の皆さんの姿を想像しながら、大田区の未来の姿に大きな期待を寄せるものであります。  東京都は、東京オリンピック・パラリンピック大会の開催に向けて、足腰の悪い高齢者や身体の不自由な方、車椅子利用者など、誰もが利用しやすく環境性能も高いユニバーサルデザインタクシーの普及促進として、平成28年度から予算がつきました。都内でわずか53台であったUDタクシーが、この夏の段階で1200台の申請を超えたところと伺います。さらに、小池都知事からは、2020年までに1万台の普及を目指すと発表があったところです。しかし、このUDタクシーの利用については、必要とする方々が、一般の方たちと乗り場が混在のため、ご自身のひとり前の方に乗られてしまったというお話も伺います。  日本の代表たる観光地、京都駅では、UDタクシー専用乗り場を整備し、必要とする方々が必要なときに快適に乗車できる体制が組まれております。さらに、私たち大田区の羽田空港においても、国際線タクシー乗り場において、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、全ての利用者が利用しやすい環境整備の一環として、UDタクシー、ワゴンタクシーが待機する専用レーンを設置し、入構を促進しています。  お伺いします。現在、大田区内においても、昨年末ぐらいから方々で散見するようになったUDタクシーについて、駅においては必要とする方々が利用しづらい環境であります。UDタクシーの分母が増えていくとはいえ、身体の様々な事由から必要とする方に利用していただくため、区が進めている駅前などの整備の中で、まずは蒲田駅東口の整備計画からUDタクシー専用の乗り場を計画の中に盛り込んでいく必要があると考えますが、区長のお考えをお聞かせください。  続きまして、同じく車椅子に関連して申し上げます。車椅子を利用されている方より、国内や海外へ旅行に行った際、車椅子が故障してしまい、その後、移動手段を失ってしまったため、地元に帰ってくるしかなかったという経験を伺いました。飛行機に載せて故障してしまった際は、空港からそのままUターンということもあり得ること、また、車椅子を使用されている方の多くが同じ経験を少なからずお持ちであることをお聞きしました。国内のある旅行会社では、旅の不安や不便を感じている方々にも旅の感動を味わえる旅行環境を目指すとして、ユニバーサルツーリズムデスクを設け、車椅子の貸し出しを行っているそうですが、これは事前申し込みが必要で、突如の故障への対応は難しいようです。  このたび、羽田空港へ足を運び、第1・第2ターミナルの複数の航空会社の相談サポート窓口のスタッフ及び日本空港ビルデング株式会社のエアポート・コンシェルジュの方から状況を聞いてまいりました。現状では、航空機運搬時の故障について、場合によっては免責の対象にもなり得るけれども、航空会社が貸し出す車椅子は空港敷地内のみの使用で、空港の外で使うことはできないとのことでした。楽しみにしていた旅はそこで中断せざるを得ない状況となってしまいます。  これまで述べたことから、肢体不自由の方などの車椅子を利用される皆さんの足としての機能確保のため、大田区のものづくりの技術を活かしながらの修理の対応について、東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて検討が始められないでしょうか。  エアポート・コンシェルジュの方による空港内に設けられた修理ブースへのご案内、または修理対応ができる区内の町工場へのご案内などを考えます。修理に時間を要する場合や修理が困難な場合もあるかと思いますので、車椅子事業者との連携も視野に入れながら、各航空会社、日本空港ビルデング株式会社、そして国土交通省とも協議をしながら、可能性についての検討をお願いいたします。  パラリンピック大会では、車椅子を使用する選手や観光客が海外から数多く来られます。その皆さんをお迎えするおもてなしの視点と、世界に対しての大田区のものづくり技術の発信、さらには羽田空港のゲートウェイとしての機能強化にもつながる取り組みとして、前向きなご検討について要望をし、次の質問へ移ります。  最後に、区内の子どもたちの食の安全という観点からの質問です。  大田区において、児童館を中心として行われてきた学童保育は、平成27年度より放課後ひろばとして多くの小学校にて事業を開始しております。放課後ひろばの学童保育では、児童に対しておやつが提供されておりますが、現状では、区と委託事業者との間でどのような取り決めが交わされているのでしょうか。  保育園では専用の厨房を持ち、おやつについても調理を行って提供する場合もあることから、厳格な基準があると聞いています。放課後ひろばの学童保育においては、市販のおやつを提供していることから、保育園とは条件が異なっていると捉えますが、提供するお菓子の賞味期限の管理や提供の際の手順、食器の管理などについて、衛生面での配慮が安全なおやつの提供に不可欠であると考えます。  そこでお伺いします。大田区から放課後ひろばの事業運営を受託した事業者が、限られた委託費の中で何を切り詰めるかとなったときに、子どもたちの身体に入るおやつなどの食物や飲料などにしわ寄せが及ぶことのないよう、衛生上問題のある状態の食器や容器などで子どもたちへの食物や飲料が提供されることがないよう、厳格な基準や取り決めが必要であると感じます。区長の見解をお伺いいたします。  以上で、区議会公明党の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○岸田 議長 理事者の答弁を求めます。 ◎松原 区長 秋成議員の代表質問に順次お答えしてまいりたいと思います。  まず、「おおた未来プラン10年(後期)」の評価に関するご質問でございますが、平成29年3月に、未来プランの実効性をより高めることを目的として策定しました「大田区実施計画」のもと、平成29年度はより一層効果的・効率的な施策の推進を図ったところでございます。毎年度実施しております未来プランの進捗状況判定において、平成29年度につきましては、全386の取り組みのうち、計画どおり、または計画を上回る進捗があった取り組みが約97%を占めております。平成29年度の決算ベースでの未来プラン事業費につきましては約577億6000万円で、前期、後期を通じて最多となっております。  施策の進捗に関する評価につきましては、まず、一つの目安であるモノサシ指標を見ますと、未来プラン(後期)策定時と29年度末時点の実績数値を比較した場合、約4分の3の数値が上昇、改善しております。また、モノサシ指標の全85の目標数値のうち、3分の1強に当たる30の数値が29年度末時点で目標に達しております。このうち、自治会・町会における要配慮者支援組織の設置率、学校防災活動拠点校整備数、街頭防犯カメラ整備数など五つの指標の数値が平成29年度中に新たに目標を達成しました。地域との連携はこれらの取り組みの原動力であり、区政の推進力である地域力が確実に向上しているものと考えております。未来プラン全体の評価といたしましては、目指す姿の実現に向けて着実に取り組みが進んでいるものと考えます。今年度も未来プランのもと、さらなる取り組みの強化を図り、成果を確実なものとしてまいります。  次に、実質収支比率及び経常収支比率の状況を踏まえた財政状況の評価に関するご質問でございますが、まず、実質収支比率につきましては、平成29年度決算は、前年度に比べ待機児童対策等により扶助費が増となったものの、特別区税や各種交付金、都支出金が増となった結果、実質収支額が増額し、実質収支比率は前年度に対して2.2ポイント増の6.1%となりました。実質収支比率は、一般的には3から5%が適正範囲と言われておりますが、財政規模に応じて収支変動の振れ幅が大きくなることから、平成29年度における区の比率は適正な水準にあるものと認識をしております。  次に、経常収支比率につきましては、歳入において、納税義務者の増加に伴い特別区民税が増となった一方で、歳出において、待機児童対策経費が大きく伸びたことに伴い扶助費が増となった結果、経常収支比率は、前年度に対して2.0ポイント増の83.1%となりました。区では、おおた未来プランにおいて、経常収支比率の目標を「80%台の維持」と掲げており、現状においては適正な範囲内であると考えております。中長期的な将来を見据えますと、待機児童対策や超高齢化社会への備え、公共施設の更新など対応すべき行政課題が山積をしております。こうした諸課題にも的確かつ柔軟に対応していけるように、今後も健全な財政運営を推進してまいります。  次に、不用額についてのご質問でございますが、各年度の歳入歳出予算につきましては、国や他団体の状況、社会経済状況等を考慮し、区民福祉の向上のために、最小の経費で最大の効果を上げるよう適切に見積もりをしたうえで、予算編成をしているところです。平成29年度予算では、四つの重点課題を設定し、特に優先的に予算を配分し、各種事業を推進してまいりました。また、年度途中においても、状況の変化に速やかに対応するため補正予算を計上し、災害復旧対応や待機児童対策など、区政を取り巻く諸課題に積極的に取り組んでまいりました。  一方で、生活保護費につきましては、約17億円の不用額が発生するなど、既定予算の確定後の見込みが困難な事業も存在すると考えております。そのほかにも、各事業における執行努力の結果により減となったものや、契約差金などにより不用額が一定程度発生するものと認識しております。今回の決算を踏まえ、財政部門と各部局における情報共有を密にして、不用額の実態把握に努めるとともに、年度途中における決算見込みの分析を深化させながら、将来の行政需要に備え、基金への積み増しをするなど、今後も適切な執行管理に努めてまいりたいと思います。  次に、学校体育館の空調整備に関するご質問でございますが、今年は梅雨明けが平年より22日早く、特に7月中旬以降は記録的な高温が続く酷暑となりました。地球温暖化の影響や都市部におけるヒートアイランド現象などによる近年の夏の暑さは、昔、我々が子どもだったころとは質の異なる暑さで、今後も続くものと思われます。  議員お話しのように、学校体育館は、体育の授業や部活動、学校行事のほかに、災害時の避難所として位置づけられており、特に近年の台風の大型化やゲリラ豪雨による水害の危険度が増す中で、夏場における避難所機能の強化の観点でも、これまで以上に学校体育館の暑さ対策が必要であると考えております。今回、東六郷小学校と志茂田中学校の改築校において、外気より夏場は低く、冬場は高い地熱を利用した空調設備を試験的に導入するほか、改築計画が予定されていない調布大塚小学校と大森第一中学校には、冷気を大型のファンで噴き出すスポット型の空調設備を設置いたしました。体育館の空調化には、設置費や維持管理コストのほか、建物の構造上の空調効率などの課題があります。これらを踏まえ、試験導入した効果を改築校、既存校に分けて検証するとともに、検証結果に基づいた整備の考え方を整理して、改築や増築の際の標準仕様に反映するよう検討してまいります。  次に、タイムライン防災についてのご質問でございますが、国は、台風等に伴う大規模な洪水や高潮による被害を最小化することを目的として、平成28年に災害発生前に関係機関がとるべき行動を時系列であらわした防災行動計画「タイムライン」の策定・活用指針を示しました。台風や津波などの災害発生までに時間を要する進行型災害には「タイムライン」の活用は特に有効であると言われております。  区では、国の動向に注視し、平成26年に国土交通省京浜河川事務所と連携し、超大型台風や集中豪雨、雷・竜巻災害発生時における区の水防態勢及び区民の情報収集や避難行動などを時系列に取りまとめたタイムラインを策定しております。区民一人ひとりの身体の状況や居住環境、家族構成の違いにより、避難を開始すべき時期や避難経路、避難方法などには違いがあるものと認識をしております。このことから、区民が実情に合わせた個別のタイムラインを作成し、災害発生前にとる行動を準備しておくことは、被害を最小限にするためにも重要なことと考えております。今後、「タイムライン」を減災・防災のツールの一つとして活用できるよう取り組んでまいります。  次に、防災情報発信についてのご質問ですが、区では、区主催の総合防災訓練、自治会・町会が主体となる地域の防災訓練、学校防災活動拠点の訓練を通じて、地域力を活かした共助の推進に取り組んでおります。災害時、地域にお住まいの方が避難場所や避難所などにつきまして、わかりやすいように自治会・町会を単位として指定しております。このため、防災地図などは、自治会・町会別に避難先の情報を掲載しております。また、ホームページには、住所を入力することにより、周辺の防災情報を案内する仕組みがございます。しかしながら、避難所などに情報が限られ、システムの利便性を向上させることが必要と考えております。  避難場所などの防災情報を日ごろから確認していただくことは、防災対策上重要なことでございます。家族はもとより、近所にお住まいの方たちが地域の防災情報を共有し、お互いに助け合って避難行動を起こしていただくことは、避難行動要支援者対策などの課題を解決するための一助となるものと考えております。引き続き、地域力を活かした災害に強いまちづくりを進めてまいります。  次に、国道や都道における有事の際の歩行帰宅者の経路確保についてのご質問でございますが、区も、都市計画道路の整備や橋梁の耐震性の向上など、安全で安心して暮らせるまちづくりを進めているところであります。歩行帰宅者の経路を確保することが大変重要です。区が実施している関係工事では、工事における作業範囲を極力最小限にとどめ、災害に備えた緊急連絡体制の確立と応急資機材の準備も行っております。そのうえで災害発生時には、直ちに工事を中止し、道路が安全に通行できますように道路復旧作業を行うこととしております。  議員お話しの国や東京都が実施する工事箇所における同様の箇所の把握につきましては、これまでも相互に工事箇所の情報を共有しているところでございます。災害発生時という観点も加えて、なお一層の情報共有と現地の状況把握に努め、適切な情報提供により、歩行帰宅者が安全に通行できるよう、経路の確保を図ってまいります。  次に、LGBTに関する区民向けの周知、啓発を積極的に進めていくことの必要性についてのご質問ですが、LGBTに関する周知、啓発を進めていくことは、人権尊重社会の実現に向け重要です。区はこれまで、区民向けにLGBTを含めた人権啓発用冊子の配布、男女共同参画のための情報誌でLGBTを特集するなど、周知、啓発に取り組んでまいりました。これらに加え、区内事業者の依頼により、LGBTを含む人権に関する理解のための講習会を実施しているところでございます。また、11月に発行します大田区報人権特集号では、区民の皆様の理解促進を目指し、LGBTをテーマとして取り上げる予定でございます。今後も一層の周知、啓発を図ってまいります。  次に、スマートワークの実績に対する評価に関するご質問ですが、区はスマートワーク宣言以降、区民サービスのさらなる向上と職員のワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、「意識改革」、「業務の効率化」、「事務事業の見直し」を着実に推進してまいりました。昨年度は、職層に応じたマネジメント研修やスマートワーク通信の発行など、職員の意識改革に重点的に取り組み、スマートワークの考え方が全庁的に浸透してきているものと評価をしております。また、業務の効率化や事務事業の見直しにも取り組み、本区における働き方改革は、確かな一歩を踏み出したと考えております。引き続き、職員一人ひとりの意識改革に加え、生産性向上に向けた取り組みを進め、より質の高い行政サービスの提供を目指してまいります。  次に、職員のメンタルヘルス対策に関するご質問ですが、迅速、的確に区民サービスを提供するためには、業務に携わる職員自身が心身ともに健康であることが不可欠です。区は、まず予防対策として、管理監督者を含む職員を対象に、みずからのストレス予防のための「セルフケア」と、周囲の職員の不調に気づくためのポイント等の研修を実施しております。また、早期の発見と対応策として、産業保健スタッフによる健康相談や産業医と管理監督者との面談を実施し助言・指導を行うほか、必要に応じて医療機関の案内をしております。そして、職場復帰の支援としては、産業医により復帰訓練プランを作成するとともに、復帰後の定期的なフォロー面接などを実施しています。精神的な不調は、一度発生すると改善までに長期化することや再発の可能性が高いことから、身体的な不調と同様、早期発見、早期対応が求められます。今後も引き続きメンタルヘルス対策に取り組み、職員が健康で働きやすい職場環境整備に努めてまいります。  次に、スマートワークの課題と見通し及び企業に向けた取り組みに関するご質問ですが、本区のスマートワーク宣言は、区民サービスを向上することと、職員のワーク・ライフ・バランスを確保することの双方を目指すものです。これを両立させるためには、高度な経営判断が求められてくるものと考えております。このように働き方改革を経営問題として捉えると、行政と民間企業のいずれにも共通する課題や解決策があるものと認識をしております。  区といたしましては、先進的な取り組みを行っている他の自治体や民間企業の方と意見交換を行うなど、庁内での取り組み推進のほかに情報収集にも努め、本区の取り組みについてもご紹介させていただいております。少子高齢化が進行するとともに、個人のライフスタイルや価値観が多様化、複雑化する中、働き方改革は我が国全体の重要な課題です。引き続き、庁内における取り組みの推進とあわせ、民間企業の皆様などとも連携しながら働き方改革を実現していきます。  次に、UDタクシー専用の乗り場に関するご質問ですが、区は大田区交通政策基本計画を平成30年3月に策定しました。その中で、UDタクシーの導入支援やUDタクシーを含むタクシー乗降場を整理することとしております。現在、議員お話しのとおり、東京オリンピック・パラリンピックに向けて都内のUDタクシーの台数は着実に増えており、タクシー業界でも今後は積極的にUDタクシーの導入をしていくとのことでございます。  このような状況の中、蒲田駅や大森駅をはじめとする区の主要な駅前広場等の整備に当たっては、全ての利用者が安全、安心、快適にタクシーを利用できる環境への対応を含め、限られた空間の中で交通結節点機能を高めていく必要があります。今後は、駅前広場が適切な利用環境となりますように、先進事例などを参考にするとともに、タクシー事業者などと連携しながら総合的な視点で検討をしてまいります。  次に、放課後ひろばの学童保育で提供しているおやつについてのご質問ですが、区では、委託事業者に領収書を提出させて単価を確認しているほか、提供した内容について報告をさせ、おやつの質が維持されるよう配慮しております。また、衛生管理については、おやつの提供や行事としての調理を行う場合の注意点について指導を行っているほか、児童館の館長経験者による確認業務を、抜き打ちも含め年間600回以上実施しており、その中で食品の保管、提供についてもチェックを行い、必要に応じて改善指導を行っております。現在、これらの取り組みに加えて衛生管理についてのマニュアルの作成や担当者向けの研修などを検討しております。安全なおやつの提供に向けて、さらに厳格に対応するよう、指導を徹底してまいりたいと思います。私からは以上でございます。 ◎小黒 教育長 不登校対策を含めたLGBTに関する取り組みについてのご質問でございます。  LGBTに限らず、人権が尊重され、相互に共存し、豊かな社会を実現するためには、人権尊重の精神を涵養することが不可欠でございます。文部科学省の調査によりますと、性同一性障害の児童・生徒の約6割は、他の児童・生徒や保護者にそのことを隠しているとのことです。このことから、本区では、日ごろから子どもたちの様子を注意深く見守るとともに、不登校の兆候がある場合など、個々の心情や事情に配慮しながら、各校の生活指導部などにサポートチームを設け、組織的な対応に努めております。  また、LGBTに関するこの1年間の取り組みにつきましては、7月に学術講演会や12月の人権教育研修会において、具体的な事例をもとに、教職員が対応の仕方などの理解を深めております。児童・生徒に対しましては、12月の人権週間に「人権に関する学習資料」を配布し、性同一性障害者について取り上げて、啓発に努めてまいりました。今後も、LGBTを含めた様々な人権にかかわる偏見や差別意識の解消を図り、全ての児童・生徒が、健やかな学校生活を送ることができるよう努めてまいります。 ○岸田 議長 会議が長くなりましたので、おおむね20分程度休憩といたします。                      午後3時29分休憩                ――――――――――――――――――――                      午後3時55分開議 ○岸田 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、会議時間を延長しておきます。  質問を続けます。30番清水菊美議員。                  〔30番清水菊美議員登壇〕(拍手) ◆30番(清水菊美 議員) 日本共産党区議団を代表いたしまして、代表質問を行います。  日本列島は次々大きな災害に見舞われています。西日本豪雨被害がおさまらない中、9月4日から5日、台風21号の直撃を受け、大阪府、滋賀県、愛知県をはじめ26都道府県で被害を受け、関西国際空港は高潮被害によって浸水し、全ての機能が停止し閉鎖されました。さらに9月6日には、北海道の胆振東部を震源とする地震があり、厚真町では震度7の北海道史上最大の揺れを観測し、死者41人、全道停電と断水となり、農漁業をはじめ全ての産業に著しい影響を与えています。被害に遭われた全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げ、国が復興に全力を挙げることを求めます。  まず初めに、日本共産党区議団は、区内25万世帯「大田区政アンケート」をお願いしました。現在、3500通を超える返信が届いています。来年度予算要望、政策に活かしてまいります。本日の代表質問でも参考にしております。
     さて、安倍首相が国難としていた北朝鮮問題は、区長も第2回定例議会開会挨拶において朝鮮半島の情勢が大きく動いていることに注目していると述べておられましたが、さらに情勢は大きく動き、韓国大統領府は6日、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長による3度目の首脳会談が18日から20日、平壌で開くと発表しました。朝鮮半島の平和定着、完全な非核化をともに進めると強調しています。  日本国憲法と同じ戦争の反省を踏まえつくられた国連は、核兵器保有国の思惑を崩し、昨年7月、核兵器禁止条約を誕生させ、戦争違法化の徹底とともに、対話による平和が世界の流れであることを明らかにしています。しかし、唯一の被爆国の安倍首相は、世界の流れに背を向けています。今、高齢になった被爆者は、まさに命をかけて核兵器のない世界を目指し奮闘し、被爆者が訴える核兵器国際署名への署名を全国知事・自治体首長に呼びかけています。9月12日現在1155、都道府県では20、都内23区では8、都内市町村では14と、首長の署名が日に日に増えています。この流れの中、今こそ松原区長は決断し、被爆者が訴える核兵器国際署名に署名し、核兵器のない世界を目指す立場を大田区内外に表明することを求めます。お答えください。  安倍首相は、臨時国会に憲法9条改憲を提出しようとしています。日本共産党区政アンケート中間集計では、9条改憲について区民の声は、憲法改憲に賛成15%、反対59%、どちらとも言えない19.4%でした。戦争だけは嫌などなどの意見が添えられていました。大田区は、「大田区は平和憲法を擁護し核兵器のない平和都市であることを宣言する」と、1984年8月15日、高らかに宣言をしています。  昨年、悪天候により実施できなかった分も含めて盛大に行われた今年の8月15日平和の花火の祭典において、区長は挨拶で、平和の尊さ、恒久平和を述べられています。区長は大田区平和都市宣言のとおり、平和憲法を擁護する立場に立たれているはずです。憲法9条改憲ノーの松原区長の決意を伺います。お答えください。  米軍CV22型オスプレイについて、外務省、防衛省は、10月から横田基地へ5機配備について、米国防長の許可に基づき、米側から8月16日に通報があった、配備後の訓練については予断をもって答えられないとしています。横須賀、木更津に近く、空港を抱える大田区でも区内上空をオスプレイが飛行するおそれがあるのではという不安が出ています。7月全国知事会が日米地位協定の抜本的見直しを求める提言で、航空法の厳格適用を求めています。区民の不安に応え、区長もその立場に立つことを要望します。  次に、2017年、平成29年度決算について質問します。  日本共産党が行った区民アンケートから、区民の暮らしの実態が見えました。消費税8%増税後、暮らしと営業への影響は、よくなったは1.7%、苦しくなったは51.3%、変わらないは39.8%でした。そして、10代、20代、30代の回答も多く、働き方について、低賃金や厳しい労働条件について何とかしてほしいという声もありました。また、税金が高い、どこに使われているかなどの意見もありました。このような区民の実態から、決算はどうだったか、税金が区民の幸せのために使われたのかについて伺います。  2017年度決算では、一般会計の歳入額2556億5385万円余、歳出額2445億5524万円余、歳入歳出差引額は101億9861万円余でした。区の言う黒字は101億円余ですけれども、この問題を考えなくてはいけないと思います。これが区民の負担増による収入増だったということです。まず、決算では前年に比べて公共施設使用料が約8割の使用区分で値上げとなって、負担増となっています。公共施設について区民からは、使用料が高い、壁や椅子のカバーなどがぼろぼろ、マイク等の音響が悪い、社交ダンスができる施設が少ない、予約がとりにくい、半年、1年先でないと予約がとれないなどの苦情が寄せられています。公共施設でやるべきことは値上げではなく、施設整備と増設だったのです。  この負担増が受益者負担を理由に進められたことは、区民から税金を預かり公共の仕事をする自治体として大きな間違いです。さらに区は、公共施設の複合化、集約化を進め、床面積で1割の削減計画を進めようとしています。高齢化が進む中、老人いこいの家や文化センターなど身近な公共施設の整備こそが求められています。川崎では、長寿命化に施策を転換したほうがコスト削減できるとして公共施設整備計画を進めています。区は今後の人口動静について、人口減でなく当面は微増と発表しました。公共施設整備計画の見直し検討を要望します。  また、4月から学校給食費の値上げで、予算段階で総額1億4000万円、保護者負担増となりました。学校給食の問題では、8月8日、新聞報道等で、品川に本社を置く学校食材会社由起食品が冷蔵保存用に設定された賞味期限が切れた冷凍保存の鶏肉を3年以上前から都内小中学校に1キロ300円で仕入れたものを1キロ700円で売っていた。大田区内の小学校数校も利用していたことが明らかになりました。このような食品を子どもたちが給食で食べていたのかと思うと、品質的には問題ないとのことですが、大変大きな衝撃でした。現場では、給食費が増えても足りず、より安いものをと、どれほどの苦労をしているのでしょうか。その実態は、区はわかっていたのでしょうか。給食費を値上げしながら、このような事態になっていることは大問題です。子どもの貧困対策、食育の充実、大田区の児童・生徒の心身の発達の保障、何より子育て世帯が望む経済的支援につながるために、今、区がやるべきことは、給食費の値上げではありません。保護者負担増を増やすことではありません。学校給食費の無償化です。  さらに区は、9月から保育園保育料を値上げし、保育園に子どもを預けて働くことを受益とし、ゼロ歳児保育は費用がかかるからと、23区初の別建てとし、低所得世帯対策はしたものの、園児約6割が値上げとなり、歳入は3億円余増としました。学童保育料も値上げで、4200万円歳入増となりました。  さらに歳入の問題では、国保、住民税の徴収強化を努力して改善され、増収になったとしていますが、負担の公平性と言いながら、あまりにもひどい区民への徴収強化の実態を紹介します。  Aさん、前々年、土地を処分して区民税の本税滞納分を納めました。しかしAさんは昨年、体を壊し、残りの本税分、滞納分を分納でと交渉したところ、職員は売掛金を差し押さえてしまいました。Bさん、脳梗塞で倒れ、仕事ができなくなったところを住民税の滞納で、売掛金と年金合わせて22万円のうち、18万円を区は差し押さえ、Bさんは生活できなくなってしまいました。Aさん、Bさんの例はほんの一部です。このような徴収強化により、生活も営業も脅かされている区民がいるという実態があります。  これらのことから、決算を見てまいります。決算で101億円余の歳入歳出差引額から見て、消費税8%増の影響で冷え切った区民の暮らしと営業に追い打ちをかけた公共施設の使用料の値上げ等は必要なかったのではないか。お答え願います。  次に、歳出では147億6252万円、前年度に比べ45億1511万円増の不用額を出しました。不用額については、何でも予算を使えばいいと言っているわけではありません。効率的執行や契約落差などがありますが、増額が著しく、財源を有効に活用する視点から、できるだけ縮減をと監査委員も指摘しています。不用額の最高は福祉費で62億円余でした。特に区民にとって切実な福祉などに多額な不用額を出したことは問題です。  衛生費の不用額について伺います。衛生費の不用額は6億7872万9311円で、主な内容は、健康診査3億3637万円余、予防接種1億5243万円余などでした。基本健康診査、39歳以下区民健康診査、各種がん検診ともに予定の人数に及びませんでした。受診率を上げるために、特に若年層への受診意識の向上、受診しやすさのために、現在の7月から始まるのを5月から前倒しにする、受診券を忘れた場合でも受診できる対応の整備をする、医療機関の支援として日曜健診の実施ができるよう医師の費用の支援をする、がん検診については、健診とともに受診できる前立腺がん検診等の奨励をする、一部負担金の減額の検討など、各種医療機関から声が上がっていたと思います。執行のための努力が求められていたのではないでしょうか。  9月3日、報道されましたが、大田区の3医師会は、認知症と間違われたりする隠れているてんかんの患者を見つけ出し、うまく治療に乗せていきたいと、認知症検診にてんかんのチェック項目を加え、無料で行っていただいております。医療機関との十分な連携はさらに強化することを求めます。  限られた財源の中で衛生費の不用額は区民の命、健康にかかわる問題として、執行率を100%にする努力が必要でした。  区民に約束した事業は着実に進めることです。そのためには、生活習慣病の予防のための健康診査、がん検診事業は、受診者を増やす手だてを考えるべきで、日曜・祝日受診のための委託料の増額で、区民の命、健康を守る施策の充実を求めます。お答えください。  区債については、この間、発行の抑制が行われてきました。今決算では、当初44億円区債発行が、補正によって20分の1の2億3200万円余となり、このことは、例えば今後何十年も使用する施設などの整備のために使う税金を現役世代に負担増としたことになります。世代間の均衡の観点からも、必要な起債は行うべきことを強く求めます。このことは、監査委員の報告書でも触れられています。  日本共産党区議団は、2017年1定において、2017年度予算について見直しを求め、組み替え提案をし、新空港線10億円の積み立てについては減額を求めましたが、2017年決算では新空港線積立金10億円を積み立て、財政基金は過去最高649億円余、公共施設整備積立金は補正で41億円余を年度途中で積み立て367億円余となり、その結果、積立金1329億円余となりました。それらをもとに、大規模プロジェクトを進めています。  大規模プロジェクトの一つの新空港線計画は、前年比の倍の10億円の積み立てで40億円とし、整備主体の設立の目的で1億8000万円計上し、第三セクターの設立に進むことを決定しました。日本共産党区議団は、全国の第三セクター鉄道事業運営会社63社のうち、経常赤字は半数の35社、利益剰余金が累積赤字も40社と6割、とりわけ初期投資の負担などから8社が100億円以上の累積赤字と、第三セクターの破綻が明確になっていることを示し、反対しています。  新空港線の整備主体の設立は東急との出資比率が決まらないからと実現せず、今予算で執行率ゼロ%でした。本来なら次年度は見直しされるはずが、区長は2018年度予算で再度1億8000万円の同額予算を計上しています。地方自治体が鉄道事業にかかわり、多額の税金を投入すべきではなく、第三セクターの出資は破綻への道です。新空港線は素通りになる予定の多摩川線沿線区民からも、本当に必要なのかの声が上がっています。新空港線計画について、区政アンケートでは、賛成24.2%、反対33.1%、どちらとも言えないが35.7%でした。区は大規模プロジェクトとして新空港線計画を進め、整備主体第三セクターに大田区がかかわるのは見直すべきです。お答えください。  もう一つの区の進める大規模プロジェクトは、羽田空港跡地開発です。2017年2月、国家戦略地域に指定され、URに土地区画整理事業を任せ、事業者を公募し鹿島建設を中心とする羽田みらい開発株式会社に事業を任せることが決定しました。5.9ヘクタールの土地の購入については、モリカケ問題で国有地売却が暗礁に乗り上げ、2017年度内に実現しませんでしたが、羽田空港跡地開発は、決算年度に大きく動いたことになります。そして2018年6月、区民の税金165億円で土地を購入することが決定し、羽田みらい開発株式会社に50年定期借地で土地を貸し付けて、跡地開発事業を任せる計画が進んでいます。  羽田空港跡地は区民の財産であり、東京都の約束では、東京都が取得し、区が使用することとなっていたはずです。松原区長が2008年、東京都が購入しない場合は大田区が購入するとした経過があります。さらに区長は、区内中小企業のためと羽田みらい開発株式会社の建物内4000平米を1平米6000円で借りるとして、産業経済部の職員も税金も羽田空港跡地計画に多くを回し、2022年開始に期待する施策を進めています。  区内製造業の存亡の危機の対策にはならず、廃業倒産をとめることはできません。区内の製造業、ものづくりの実態は、仕事量が少ない、単価が親会社の言いなりで低く抑えられたまま。下請法も駆け込み寺も下請企業を支えることにはつながっていません。さらに海外に工場が移転し、技術も流出しているなど、ものづくりの空洞化が進む中、グローバル化、新しいビジネスモデル、マッチングで生き残れるのは数十社程度です。  産業経済費が決算では32億3113万円余、構成比はわずか1.3%です。これは観光国際費47億9095万円余より少ない額で、さらに不用額が1割の3億円余となっています。その少ない中で、羽田空港跡地における産業交流拠点の形成は1億5415万円、IoTなどを活用した取引環境の整備、空港跡地関連業務委託費で100%の執行率となっています。  区の大規模プロジェクトの羽田空港跡地計画は、現在の区内中小企業支援とならず、区内3000社の製造業、中小企業を支える今すべきことに重点を置くことを求めます。お答えください。  決算から見る大田区の子育て支援についてです。  党区議団は、昨年第1回定例議会において、認可保育園待機児問題解決のために認可保育園20園増の提案をしました。20か所など机上の空論、無責任などの批判がありましたが、区は決算年度で私立認可保育園21園を増やし、定員1185名増とした区の努力は評価するところです。しかし、園庭、プールがないなど、命を守り、豊かな保育を保障するハード面の課題、保育士、看護師、栄養士等の職員不足問題、また耐震補強や園舎の老朽化など支援問題がさらに大きな課題となっています。  決算年度に開設された私立認可保育園21園は、100%全て株式会社です。株式会社においては、委託費の中から株主配当分等が引かれることになり、社会福祉法人等と比べ人件費を抑える可能性が心配されています。保育園の人件費率は8から7割と言われている中、6から5割程度の人件費が株式会社で問題となっています。世田谷区では保育の質ガイドラインを作成し、保育の質を担保するために、運営事業者を決定するとき、児童福祉の理念・公共性・公益性を持ち、社会的使命を担っている事業者であること、運営に当たっては安定性・継続性が担保されていること、職員の雇用については、雇用条件、就業規則等が明確で、職員が安定して働き続けることができる給与水準、休暇制度、休憩時間等が整備され、安定的に就業し、生涯を通じて専門性を向上できるよう、期限の定めのない雇用形態で安定が図られるとなっています。  大田区において、区立保育園の民間委託時のガイドラインのみでなく、区内で認可保育園を開設する事業者に対する基準が必要です。そうでなければ、他区は厳しいが大田区ならになりかねず、保育の質が低下するおそれ、働く保育労働者の待遇が低下するおそれがあります。大田区保育の質ガイドラインの作成は、区立、私立認可保育園に入園を希望する区民のみならず、全ての区民にとって大きな安心につながります。  決算から区は21か所の認可保育園を増やし、2020年度待機児ゼロを目指しています。質の問題に応えるために大田区保育の質ガイドラインの作成を提案します。お答えください。  次に、60年以上、千束地域において子育てを支援してきた洗心保育園が今廃園の危機に立っているという状況について質問します。千束地域は待機児解消の重点地域であり、特にゼロ歳児はこの地域は3園しかなく、洗心保育園はそのうちの一つです。7月に突然、来年度18名のゼロ歳児の募集をしない、5年後には廃園にという発表があり、現在保育を受けている区民だけでなく、次年度入園を希望している区民や地域に大きな不安が広がっています。区はこの問題を5年以上前から関係者から相談を受けていたのに、真摯に対応してきたのかが問われています。運営事業者の法人内の問題とせず、大田区の保育を守る役割を果たす立場で最大の努力をすべきです。  洗心保育園存続のために区職員を派遣し支援するなど、ありとあらゆる手段を講じて存続に力を尽くすことです。お答えください。  次に、公の仕事について質問します。  自治会連合会からの平成31年度要望に、自治会・町会の役員等の担い手不足に伴い、募金活動等における今後のアウトラインを検討することがありました。このことは、役員不足のために今後の活動については範囲を限定してほしいという切実なものです。地域力という名のもとに、国勢調査、一般介護予防事業、認知症の高齢者の支援、災害時の要援護者の対応についてなどなど、様々な公の区の仕事を自治会・町会にお願いしていることに対して矛盾が広がっているということです。また、区施設の清掃の現場では予算が減らされ、働いている人はかわらないが委託会社がかわり、そのたびに働く時間や賃金が減らされ、汚れていると思うところだけすればいいという指示になっているとのことです。  区は保育園、高齢者、障害者施設、図書館等々で民間委託、指定管理等を進めてきていますが、働く職員の賃金と処遇は低く抑えられ、人手不足が続き、人の入れかわりが激しいの心配の声が上がっています。他区では虐待、パワハラ等の大問題も出ています。  私立保育園の保育士等の不足は大きな問題となり、決算でも明らかになりましたが、保育士手当、住宅支援を実施せざるを得ない状況となりました。それでも人手不足は深刻で、人材派遣会社に求人を頼むのに高額な負担をしています。しかし、2019年度区正規保育士を10名採用に当たり、約6倍の59名の申し込みがあったとのことです。一昨年の正規保育士募集では、30名のところ5倍の150名の方の申し込みがありました。区立なら保育士不足は心配ないということです。区立保育園の民間委託は立ちどまって検証する時期ではないでしょうか。  区が進める官から民へによって、官製ワーキングプアと呼ばれる労働者が増加しています。公とは何かの立場に立ち、委託費の見直しも含め公共施設で働く人々の賃金、労働条件の改善に努力することです。お答えください。  以上で決算の質問は終わります。  次に、誰もが必要に応じて安心して生活できるための介護保険制度の実現について質問します。  おおた高齢者施策推進プランの「大田区のめざす地域包括ケアシステムの深化・推進〜自立支援」が重度化防止につながるのか、今まさに問われています。中でも重点事業として新規事業、介護予防・生活支援サービス事業による自立支援は、要支援の認定を受けている方々に自立を目指して計画を立て、1年で介護保険から自立する、簡単に言えば、要支援の方々を介護保険から外すということです。脳梗塞等の後遺症、長年の持病の悪化等で要支援に認定された多くの高齢者は、現状を維持することだけでも大変なことだと言われています。それを支えてきたのが介護保険だったはずです。自立計画の事例を紹介いたします。  要支援1のAさんは、今までヘルパーさんに買い物を頼んでいましたが、自立目標として、週1回バスで1停留所先のスーパーに行き、ヘルパーさんと落ち合い、一緒に買い物をする。買い物が終わるとAさんはバスで帰り、ヘルパーさんはAさんのアパートまで買い物したものを届ける。1年たち目標が到達できたら自立となり、Aさんは介護保険でヘルパーさんを頼めなくなります。なぜこんなことになるのかと、Aさんは理解できていません。ヘルパーさんがいなければ、重い荷物を持って帰ることはできないと今から不安に思っています。  自立に向けたプランは、利用者が理解し、納得したプランとなっているのか、強要があるかないかが問われています。国の介護保険制度のもと、終了の基準は一律に適用される心配があります。今までのサービスが必要なら自費で、10割負担で、払えない高齢者は区が進めようとしている絆サービスや様々なボランティア、地域力という隣近所の支え合いでやろうとしています。専門性、継続性から、介護保険で受けていたサービスのかわりにはなりません。今まで介護保険制度の中で1週間に1時間でも生活介護を受けて何とか暮らしていた。通所施設に行っておしゃべりができて暮らしていた。それらの高齢者が自立と言われて誰も支援が入らなくなったら、重度化は免れません。  介護事業者の実態も深刻です。大田社保協が区内全介護事業者に行ったアンケートでは、多くの介護事業者から、報酬が激減、続けられない、介護の仕事をする人がいない、たび重なる制度の改変に振り回されている、削減先にありきの変更だという意見があふれています。今後、廃業する小規模事業者が増える可能性があります。区長はこのような事態を招いた国の介護保険制度の改悪はやめるべきと国に強く求めるべきです。そして、介護保険事業の責任として、区のすべきことは、自立とされた高齢者を区が責任を持って把握し、重度化を防止するために一般介護予防事業を進める地域包括支援センターの強化と箇所数を増やすことです。お答えください。  自立とならざるを得なくなった高齢者の見守り等の対応の一つに、地域の重要な資源として活動しているNPOの力も借りることを提案します。区内には高齢者の居場所づくり、食事支援、体操など高齢者の生活を支えている多くのNPOが活動されています。崇高なボランティア精神、大変な苦労の中で運営されており、職員やボランティアの高齢化、後継者を育てたいが、生業となるだけの経済的な問題、活動拠点の家賃など様々な課題を抱えています。  区は、「大田区のめざす地域包括システムの深化・推進〜重度化防止に向けて」の計画の中でも、NPOを重要な柱としています。持続的な活動を支えるために、公共施設等内への活動拠点の提供や家賃補助等の活動支援が必要です。高齢者の自立や介護予防等の活動を支援し、高齢者を支えるためにも地域に根差して活動しているNPOへの支援をすることを求めます。お答えください。  次に、経済最優先の羽田空港機能拡充計画は見直し、区民の安全と快適な生活環境を確保することについて質問します。  区長は、今までこの質問に対して、空港との共存共栄の立場で、落下物ゼロの十分な安全対策など丁寧な説明を国に要望していると答弁していますが、経済最優先と区民の安全と快適な生活環境の確保とどちらをとるのかが、2020年をあと1年半後に控えた今、問われています。  現状の羽田空港は、旅客数も貨物も増加し、発着回数1日当たり1220回、4本の滑走路は井桁状で、常にハザードエリア、危険なエリアがあり、着陸やり直し、ゴーアラウンドは、気象によるものだけでなく人的要因も約3割を超え、年間400回、危険と隣り合わせというのが現在の羽田空港で、管制の労働者の実態も深刻です。飛行機事故は離発着時に多いといわれ、羽田空港周辺住民が事故に巻き込まれる可能性もあるということです。落下物についても、大阪、熊本で甚大な事故が発生しました。国土交通大臣も落下物ゼロを目指すとしており、ゼロにはできないということは明らかになっています。  機能拡充に伴う新飛行経路計画では、京浜島275社、城南島167社、大田区の中小企業の多くが集中している地域上空を、南風時午後4時から7時まで1時間に90便の飛行機が地上50メートル以下で、A・C滑走路に着陸するということになります。京浜島においては、昭和63年7月、新A滑走路の供用が開始され、地上40から50メートルの超低空で航空機が飛行し、工場の従業員は騒音、恐怖等で耐えがたい状況となり、11月、運輸大臣等に行政訴訟を起こしました。その訴訟の中で当時の運輸大臣は、新C滑走路が供用された段階では、原則として京浜島上空は飛行しないとしたことから、行政訴訟は取り下げをされたという歴史があります。しかし、新飛行経路は裁判を取り下げた歴史的経緯を無視した計画です。経験した方々の裏切られた、何の説明もないの怒りの思いは当然です。精密機械への影響もはかり知れません。働いている人たちの身体的、精神的影響も甚大で、従業員の確保にも、工場としての財産価値にもマイナスになりかねません。  第2回大田区景観まちづくり賞を京浜島工業団地が受賞されました。全社挙げて環境美化運動活動の取り組みが評価されています。このような中、新飛行経路により、騒音、振動、大気汚染などの環境が大きく変わり、大田区製造業の重要な地域が危険にさらされてしまうことについて、区長はどのように考えますか。安全対策を国に求めるだけでは済まされないことです。お答えください。  国は、訪日外国人旅行者の受け入れ、国際競争力の強化等、羽田空港の機能強化は不可欠、最重要と、国民に理解が得られるよう説明、それもオープンハウス型の取り組みを進めています。国土交通大臣は、理解が得られるように努力すると国会で答弁を続けていますが、それはまだ理解されていないことを認めているということです。理解されない場合はどうするのかについて、正確に答えていません。  区民アンケートでは、羽田空港の離発着便数が増えて都心上空を飛行する計画をご存じですかで、知っているは61.8%、知らないは30.1%、増便計画についてどう思いますかでは、賛成19.6%、反対33.1%、どちらとも言えない35.7%でした。区議会へも新飛行計画を含んだ羽田空港機能拡充計画を見直すよう国に求めてほしいなどなどの趣旨のいくつもの陳情が提出されています。特別区議会議長会も国土交通省に新ルート懸念解消を求めています。隣の品川区では、区長選挙が30日投票で行われていますが、新飛行経路が大争点となっています。羽田空港機能拡充計画について区民の理解は得られていないと考え、区長は国に対して丁寧な説明を求めるから、区民の理解が得られていないので進めるべきではないという立場に立つべきです。お答えください。  最後の問題は、大阪北部地震、西日本豪雨災害等を教訓に緊急の防災対策の必要性についてです。日本共産党区議団は、この間、この問題で区長への緊急要望を続けてきました。  まず、危険な崖対策について伺います。この間の水害、ゲリラ豪雨と呼ばれる災害は、想定をはるかに超えた事態となっています。区民から、災害時に各地で発生する崖崩れを見るたび、我が家の隣の崖は大丈夫か、崖側の部屋の家族に被害が出るのではと不安だという声が届いています。危険な崖対策は、崖の所有者の問題、資産価値の問題だけではありません。  東京都が指定した土砂災害警戒区域96件、特別警戒区域59件という区内の実際にある危険な崖の存在から見ても、今決算では都市整備費、崖対策実施はわずか3件で、あまりにも少ないと思わざるを得ません。対策の強化が必要です。  危険な崖の改修、改善が進むためには、崖対策は改修工事の助成額を増額することが必要です。そのために、基準を見直すことです。また、地権者が複数であったり、困難であったりする場合は、大田区が調整役の役割を果たし、周辺住民の安心・安全の責任を果たすことです。お答えください。  大阪北部地震で、小学校4年生の女児が毎日通っていた小学校のブロック塀で命を奪われた悲痛な事故が起こりました。ブロック塀対策については、国、東京都の補助が進み、区もブロック塀改修工事助成事業を発表し、ブロック塀の撤去とその後のフェンス等設置に最大24万円の助成、工事業者は区内業者として事業を進めたことは高く評価しております。今後も区民や業者の状況を踏まえ、施策の充実を要望します。また公共施設の改修、特に学校残りあと1校については緊急に対応を求めます。  今年の暑さについてですが、異常でした。一つの災害と言われています。連日35度を超え、夜になっても30度を下回らない日が続きました。区内で熱中症と見られる救急搬送は、東京消防庁の発表で、7月221台、対前年比141台増、8月126台、対前年比62台増でした。この暑さは命にかかわる事態として、連日、クーラーの利用がテレビ等で呼びかけられました。クーラーはぜいたく、体に悪いと我慢した高齢者に対して、特に重要でした。しかし、区内にもクーラーがない、買えない世帯があることも事実です。  荒川区では5万円、300世帯、1500万円の予算で高齢者、障害者、子育て世帯のクーラー等の設置助成を実施しています。区も区報等を使って、熱中症対策としてクーラー等の利用を広報してきております。その点からも、高齢者、障害者、子育て世帯にクーラー等の設置の助成を荒川区の例を参考に実施することです。お答えください。  生活保護世帯については、国は4月1日から受給開始となった生活保護世帯には、クーラーを家具什器として設置助成することを決定しました。4月以前に生活保護を受給しているクーラーのない世帯には認めようとしていません。そのことにより、命の危険にさらされている実態が区内にはあります。担当のケースワーカーはつかんでいるはずです。4月以前に生活保護を受給している世帯にもクーラーの設置、修理を支援すべきと国に制度の改善を求めることを要望します。  次に、小中学校の冷暖房設備についてです。大田区は今までの努力で小中学校の教室のクーラーの設置はほぼ完了していますが、体育館の問題です。  本日の代表質問の全ての会派で取り上げられておりますように、現在、冷暖房は体育館になく、扇風機等しかありません。体育の授業や部活動、始業式や終業式をはじめ、様々な行事に体育館が使われますが、児童・生徒の安全のために冷暖房が必要となっています。また、小中学校の体育館は災害時に避難所として運営されることになっています。  この間、日本国中で災害地域の避難所となっている体育館では、2次被害も発生しています。災害時、避難された区民の命を守るためにも、一刻も早い設置が必要となっています。区内小中学校の全ての体育館に冷暖房の設置の計画をつくり、一刻も早く全校に設置を急ぐことです。お答えください。  以上で質問を終わります。ご答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) ○岸田 議長 理事者の答弁を求めます。 ◎松原 区長 清水議員の代表質問に順次お答えをさせていただきます。  まず、「ヒバクシャ国際署名」に関するご質問でございますが、「ヒバクシャ国際署名」は、全ての国に対して、核兵器を禁止し、廃絶する条約を結ぶよう求める国際署名運動でございます。集められた「ヒバクシャ国際署名」は、国連総会に平成32年(2020年)まで毎年提出されるとのことです。国連において、そのもととなります一切の核兵器の使用、保有を禁じる「核兵器禁止条約」が平成29年7月、採択され、本年9月4日現在、同条約に批准した国は15か国となっております。  一方、日本政府は、これまで核兵器のない世界を目指し、核兵器保有国と非核兵器保有国とが合意できる「核兵器不拡散条約」のもとに、毎年「核兵器廃絶決議案」を国連総会に提出するなど、実践的な取り組みを着実に進めており、区といたしましては、現実に即した取り組みと理解をしております。平和都市宣言を行った大田区の責務は、区民の皆様とともに、平和の尊さについて考え、次の世代に語り継ぎ、平和な世界を築いていくことであります。大田区は、この趣旨に沿って平和都市実現のため、基礎自治体として各種事業を着実に進めてまいります。  次に、平和都市宣言を行い、平和憲法を擁護する立場での憲法9条改憲についてのご質問ですが、昭和59年8月15日、区は、世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い「平和都市宣言」をいたしました。平和都市宣言におきましては、「平和という人類共通の願いを込めて大田区は平和憲法を擁護し核兵器のない平和都市であることを宣言する」と、憲法擁護についてうたっております。  戦後生まれの大田区民が人口の8割を超える中、私たちは歴史の教訓を深く胸に刻み、未来へ継承する責任があります。私は、区民の皆様一人ひとりが平和について考え、平和の尊さを確かめ合い、平和への思いを一つにすることが大切であると思っております。区は、基礎自治体として平和関連事業に取り組むことこそが果たすべき重要な責務であると考え、平和都市実現に向けて着実に歩みを進めてまいります。  次に、公共施設の使用料などに関するご質問でございますが、受益者負担の適正化は、サービスのコストに対する負担の公平性を確保する観点から重要でございます。平成29年度に施行しました公共施設の使用料の見直しにつきましては、平成10年度に施行して以来の改定となります。前回の改定以来、消費税率や施設の維持管理経費などに様々な状況の変化が生じ、施設サービスのコストへの反映が必要になっておりました。また、施設サービスのコストのうち、施設使用料収入で賄えない分は区民全体で負担することから、施設を利用されていない方との公平性の確保や施設使用料の基準の明確化、同種別の施設間の料金体系の不均衡の是正が課題となっておりました。こうした状況を踏まえて、統一的な施設使用料の算定についての基本的な考え方を整理し、施設使用料を改定しました。その結果、改定後の施設使用料は減額となるもの、据え置きとなるもの、増額となるもの、いずれもございましたが、施設を利用される方への影響を考慮して、25%を上限とした激変緩和措置を講じているところでございます。  保育園、学童保育の保育料につきましては、平成18年度以来の改定であり、見直しに当たっては、「公平性」、「受益と負担の関係性」、「少子化対策」、「子どもの貧困対策」、「保育の質の確保」の五つの視点から検討を重ね、平成29年度に改定いたしました。今後も社会経済状況の変化を踏まえて、使用料の適正化に向けて継続的に取り組んでまいります。  次に、健康診査やがん検診の日曜・祝日受診についてのご質問ですが、がん検診を含む区の各種検診は実施医療機関の通常診療の中で行われており、多くの医療機関では土曜日の受診も可能となっております。また、特定健診、長寿健診などは日曜・祝日も受診できる医療機関があり、区ホームページに掲載するとともに、一覧表として受診票に同封して対象者にご案内しているところです。さらに、子宮頸がん検診と乳がん検診を同時受診できる集団検診は、土日を中心に今年度は32日実施する予定です。  区は、これまでがん検診を含む各種検診の実施につきましては、順次実施期間を延長し、主要な5がんについては期間中であれば人数の制限なく受診できるように、受診環境を整備してまいりました。今後も受診者のニーズと医療機関の事情を勘案し、医師会等の関係団体と十分に調整しながら受診環境の一層の向上に努めてまいりますが、現時点では、日曜祝日の検診受診のための委託料増額は考えておりません。  次に、新空港線の整備主体設立についてのご質問でございます。新空港線は、蒲田駅と京急蒲田駅間のわずか800メートルをつなぐことにより、区内の東西方向の移動が格段に便利になるほか、区内沿線のまちづくりへ寄与するなど、区民の暮らし、安全・安心や区内の地域活性化に大きく貢献する事業であります。  また、羽田空港と渋谷、新宿、池袋などの副都心や、川越、所沢、和光などの埼玉方面へのアクセスが強化されるなど東京圏全体の鉄道ネットワークの強化に寄与するとともに、今後発生が予想される首都直下地震の際の重要な代替路線となり得ることから、国際都市東京には必要不可欠な路線であります。昨年度からは、関係者間で費用負担割合などの協議を進めており、現在も合意形成を図るための重要な局面が続いております。引き続き、新空港線の実現に向けて、一日も早く整備主体が設立できるように取り組みを進めてまいります。  区内中小企業を支える今すべきことに重点を置くべきとのご質問でございますが、中小企業支援として今すべきことは、羽田空港跡地での効果をより多くの区内中小企業が得るための仕組みづくりに取り組むことであります。その一つひとつである「IoTを活用した仲間回しによる中小企業の生産性向上プロジェクト」は、大田区のものづくりを高度化し、区内企業の受注拡大を目指しております。大田区には約3500の中小製造業が立地し、ひとつの工場は小規模でも、ものづくり集積で見ると、切削、メッキ、熱処理などあらゆる加工技術の専門家がそろい、どんなものでも短期間に高精度、高品質に製作できることが強みになっております。  この強みを活かしたものが「仲間回し」であり、「仲間回し」に工程管理システムなどのIoT技術を導入すれば、多数の区内企業が効率的に情報を共有し、ユニットや完成品の製作をまとめて請け負う付加価値の高いビジネスへの転換が可能となります。羽田空港跡地での新産業創造に向けた動きを区内産業につなぐためにも、現に中小企業が参画しているこのプロジェクトを含め、引き続き区内のものづくり産業支援の拡充に努めてまいります。  次に、保育の質の向上のためのガイドラインの作成についてのご質問ですが、保育園待機児童対策の推進により、保育園の増設が進む中で保育の質の向上を図っていくことは大変重要でございます。区は、平成25年3月に「こころを育てる大田区の保育、保育士の配慮」と題した保育内容についての詳細な手引を作成しております。この手引では、保育の基本方針、保育目標を定めているほか、「健康」、「人間関係」、「環境」、「言葉・表現」の各領域について、園児の発達段階を考慮した年齢ごとの保育の具体的な手法について事例を挙げながら詳細に解説しております。私立保育園等の開設時には、この冊子の内容を基本に事業者への説明会を開催し、保育の質の確保に万全を期しているところでございます。現在、子ども・子育て支援制度に合わせた内容の見直しに取り組んでおり、改定が終了次第、冊子を配布することはもちろんのこと、ホームページでの公開や既設園も含めた説明会の開催など、内容の周知徹底を図ってまいります。  次に、洗心保育園に関するご質問でございますが、先般、区内にある私立の洗心保育園が、園舎の老朽化等から園舎の建てかえを含めた今後の保育園運営について抜本的な見直しをする必要があるため、来年度のゼロ歳児の募集を行わないことを発表いたしました。区といたしましても、保育園待機児童対策を積極的に推進しているところであり、また、洗心保育園が長年にわたり地域の皆様に親しまれてきたことからも、大変残念に思っております。洗心保育園には、以前より建てかえについての国、都及び区の補助制度のご案内や、運営継続についての様々な提案をさせていただいておりますが、それらを踏まえたうえで、今回、ゼロ歳児の募集停止を決断されたものと受け止めております。なお、経営再建を目的として区職員を派遣する考えはありませんが、引き続き区として可能な限りの支援をしてまいります。  次に、公共施設で働く人々の賃金、労働条件の改善に関するご質問ですが、区民ニーズが多様化する中、「民間にできることは民間に委ねる」ことを基本に、行政、事業者、NPO団体などの様々な主体がそれぞれの強みを活かして、さらなる区民サービスの向上を図ることは極めて重要であります。区としましては、民間委託などの外部化を行う場合には、受託事業者に労働関係諸法令を遵守させるとともに、従事者の適正な労働条件を確保するよう指導を行っております。また、民営化した事業につきましても、福祉サービス第三者評価、法人監査などの結果に基づき、必要な助言、指導を行い、従業員の適正な労働条件の確保に努めています。引き続き、その徹底を図ってまいります。  次に、地域包括支援センターについてのご質問ですが、区は、介護保険法に基づき、特別出張所の管轄区域ごとに設定した日常生活圏域の人口規模に応じて地域包括支援センターを適正に配置しております。また、区は地域包括支援センターの第三者評価の結果に基づき業務改善に取り組むなど、質的向上を目指し、機能強化を図っております。高齢者の自立支援については、地域包括支援センターが行う介護予防ケアマネジメントにおいて、高齢者の状態に応じ、相談から課題分析、プラン作成、評価まで効果的・効率的に区が関与する仕組みを構築しております。区は、介護保険制度の理念を踏まえ、今後も自立支援や重度化防止に適切に取り組み、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。  次に、大田区介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる新総合事業におけるNPO等の地域資源の活用についてのご質問でございますが、NPO団体の様々な活動は、介護予防・生活支援の貴重な受け皿の一つと捉えております。現在、多くのNPO団体が大田区社会福祉協議会の「ふれあい・いきいきサロン事業」による助成などを受けて、健康体操や転倒予防体操、認知症予防体操などの活動をしております。また、NPO団体だけではなく、自治会・町会や民生委員児童委員協議会、社会福祉法人をはじめとした多様な活動主体が地域の高齢者を支える取り組みを進めています。  こうした介護予防に資する地域団体の活動に高齢者一人ひとりの参加を促し、健康を維持する活動の継続性を図ることは区の重要な役割です。区は、その中心的な役割を果たす地域包括支援センターと協働し、地域ごとの特色ある活動をまとめたリーフレットやマップを作成するなど、高齢者、その家族に地域資源をわかりやすくご案内するよう努めています。区としては、高齢者が様々な活動主体による多様な生活支援サービスを受け、健康で自分らしい暮らしを続けることができるよう、今後も取り組んでまいります。  次に、羽田空港の機能強化についてのご質問でございますが、現状の滑走路運用においても、左旋回や北風時の西行きルート、ゴーアラウンドなど、区内上空を航空機が通過する場合がございます。これらの運用等に伴う騒音影響はもちろんのこと、航空機や空港そのものの安全対策につきましても、ご指摘を待つまでもなく、極めて重要なことであると考えております。国や関係機関、航空会社において、日々の安全対策に万全を期すことにより事故が未然に防止され、空港内や空港隣接地域はもちろんのこと、広く区内における安全・安心が確保されていくものと考えます。区では、そのような観点から、国、航空会社など関係機関に対し、航空機の安全等に関する適時の情報提供とともに、落下物をはじめとする安全対策の強化並びにトラブルの未然防止に向けた対策の推進をこれまでも要請してまいりました。引き続き、機能強化提案にかかわらず、航空機の運航による騒音及び安全の問題に関しては最優先で取り組むよう求めてまいります。  次に、機能強化提案についての区民の理解についてのご質問でございますが、先ほども申し上げたところでございますが、羽田空港の滑走路運用により、現況においても、航空機による区民生活への影響が生じております。区では、様々な機会を捉えて、これら現行課題への対応を国や航空会社に要請してまいりました。このような事実を踏まえ、区は羽田空港の機能強化提案を重大なものと受け止め、広く区民の皆様に正確な情報を知っていただきたいと考え、国に対して丁寧な説明の実施を求めてまいりました。  国は、現在までオープンハウス型の説明会を大田区はもちろんのこと、東京、神奈川、埼玉の関係自治体において開催しております。区内では、平成27年7月の第1フェーズ以降、延べ8会場で18日間にわたり開催され、来場者は合計で1510名となっております。このほかにも、羽田空港国内線第1ターミナルにおける情報発信拠点や、特設電話窓口の設置等を通じて、広く地域住民や関係自治体に情報提供を進めております。  繰り返しにはなりますが、区といたしましては、機能強化提案について区民の皆さんにしっかりとご理解いただくことが何より重要であると考えております。国に対して、様々な手法を活用したより丁寧な情報提供を求めてまいります。  次に、崖対策に関する質問ですが、区内には、土砂災害のおそれがあるとされる土砂災害警戒区域が96か所指定されております。土砂災害防止法では、高さ5メートル以上かつ傾斜30度以上の崖が指定要件となっております。こうした規模の大きな崖を整備するには多額の費用が必要になるため、助成制度の上限額を、これまでの一律300万円から、規模に応じて最大600万円となるよう、既に平成29年度に大幅に基準を見直しております。  この制度は、23区の中でも大変有利な助成額であります。また、区では、これまでに区内にある2メートル以上の崖の実態調査を行っております。調査の結果、状態が悪いとされる崖の所有者に対しては、毎年、拡充した助成制度の紹介とともに、改善のお願いをしております。所有者から相談を受けた場合には個別訪問を行い、改修方法の相談にも応じているほか、相隣関係に課題のある方には弁護士相談の窓口紹介もしております。引き続き、拡充した助成制度の積極的な普及啓発を行うとともに、相談に丁寧に対応してまいりたいと思います。  次に、高齢者などに対する猛暑対策に関するご質問ですが、荒川区での緊急的な取り組みにつきましては、承知をしております。区としては、例年にない暑さへの注意を広く区民に呼びかけ、熱中症予防の必要性を啓発してまいりました。このような状況においては、特に配慮を要する高齢者などの支援を行うことが重要であり、自治会・町会、民生委員、事業者などと協力して飲料水の提供などの対策を講じてまいりました。  さらに、区の呼びかけにより施設のお祭りや地域団体のイベントでは、工夫を凝らし、安全に実施することができました。今後も地域と協力し合い、高齢者などの安全・安心なまちづくりを推進してまいります。荒川区を含めた他自治体の熱中症対策については、実例を注視し、課題を整理してまいります。私からは以上でございます。 ◎小黒 教育長 区内小中学校全ての体育館での冷暖房の設置についてのご質問でございますが、教育委員会では、体育の授業や部活動における熱中症対策として、31度で厳重警戒を、35度を超える場合には原則中止の指導を、また、気温と水温を足して65度以上の場合はプールの授業を中止するよう指導に努めてまいります。  また、体育館内には、体育や部活動などの際の熱中症予防策として、熱中症の危険度を計測する室温計を設置し、希望する学校には送風機または冷風機等を配備いたしました。今年の夏の「命に危険を及ぼすレベル」の暑さに対して、夏の避難場所としての機能を考慮し、暑さ対策が必要であるというふうに考えております。  今回、改築校2校で地熱を利用した空調設備を、改築予定のない既存校2校でスポット型の空調機を体育館に試験的に導入しております。今後、これらの導入効果の検証に加え、その他の手法についても、後年度の維持管理コストや空調効率の観点で検証し、区の実情に合った対策を検討してまいります。               〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ○岸田 議長 本日はこれをもって質問を打ち切り延会とし、明9月14日午前10時から会議を開き、質問を続行したいと思います。これにご異議ありませんか。
                      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○岸田 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。  ただいまご着席の方々には改めて通知はいたしませんので、そのようにご了承願います。  本日はこれをもって延会といたします。                     午後4時57分延会...