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平成30年 3月  予算特別委員会−03月09日-01号

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  1. 大田区議会 2018-03-09
    平成30年 3月  予算特別委員会−03月09日-01号


    取得元: 大田区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-10-03
    平成30年 3月  予算特別委員会−03月09日-01号平成30年 3月  予算特別委員会 平成30年3月9日                午後1時00分開会 ○深川 委員長 ただいまから、予算特別委員会を開会いたします。  昨日に引き続き、第1号議案 平成30年度大田区一般会計予算歳出の款別審査を行います。  第2款、総務費の審査を続けます。  それでは、質疑に入ります。  共産の質疑に入りますが、金子委員の質疑に際しまして、資料の掲示を許可いたしましたので、ご了承願います。  共産、質疑願います。 ◆金子 委員 日本共産党の金子悦子です。私は、総務費のうち、予算事項別明細書91ページの男女共同参画推進事業についてお聞きします。  大田区の男女平等推進事業は、1977年に大田区立婦人会館ができ、92年に大田区立大田女性センターと名称を変更し、2000年に全館の改修工事を行い、大田区立男女平等推進センター、エセナおおたとして開館しました。エセナおおたの名称とシンボルマークは公募で決まりました。2004年から指定管理者制度に移行しましたが、長年大田区はこの男女平等推進事業を取り組んできました。  この2004年から男女共同参画推進事業で行われてきた事業に、女性学講座があります。子育て中の女性を対象に、ジェンダーの視点を養い、地域リーダーとして活躍する人材育成を目的にしています。女性学という研究の概念は、1960年代後半にアメリカで始まったウィメンズスタディの訳語で、心理学、社会学、文学、哲学、史学などの人文・社会科学系の学問が従来いかに男性の視覚で構築された男性学であったかを明らかにし、これらの学問領域を女性の視覚に立って、既成の学問を再構築することを目指しています。  まず、大田区で行われている女性学講座は、講座修了後、区民が記録紙をつくる編集会議に参加するという、大変ユニークな企画であると思いますが、この取り組みの内容をお知らせください。 ◎元木 人権・男女平等推進課長 区内在住の子育て中の女性を対象に、日常的な環境の変化の中で、家事、出産、子育て、仕事などに追われる世代が、自分自身の生き方を考えること、また同様な環境にある方々が個々に抱える問題を共有し、問題解決に向けた学習をする大切さに気づくことを目的として開催しているものです。  心理カウンセラーや大学教授などの専門家を講師として、自身を取り巻く環境と問題への気づきにつながる内容だけでなく、身体的、精神的な健康につながる内容の講義やグループワークを実施しています。 ◆金子 委員 大変すばらしい内容だと思うのです。ところで思うのですが、そういうときに、男性の人たちにもこの講座があるといいのではないかと。男性こそ、こういう機会が少ないのではないかと思います。  この「ココロときめくにじいろレッスン」という記録紙を見ますと、忘れていた男女格差というか、今までに感じた不具合などをありありと自覚させられるわけなのですが、ぜひこの記録紙を職員、区民に周知していただきたいと思いますが、具体的にはどのような手だてがあるでしょうか。 ◎元木 人権・男女平等推進課長 委員お示しの冊子でございますが、編集作業において受講生が講座の内容を振り返り、話し合うことで新たに気づいたことを記録する受講生のためのものであります。  また、配布につきましては、区民に対しての講座の広報や知名度の向上を目的として行っております。配布ですが、区民の方にはエセナおおた、図書館、児童館、出張所、キッズなで配布をしております。
     職員への周知につきましては、配布の目的を踏まえ、検討してまいります。 ◆金子 委員 この男女平等推進プランを見ますと、その中にほかの区の施策と大いに違うと私が思いましたのが、区民に周知をするだけでなく、区の職員にも知らせるという一定の視点があるという。このことは他の事業もぜひこの男女平等推進というものは、区政のいろいろな計画の一番基礎にあるものだと思いますので、ぜひ全部の職員が一度きちんと目を通すということをされると、私は区政が本当に変わってくると思います。  大田の男女共同参画社会とは、誰もが認め合い、安心して暮らせる社会、多様なライフスタイルが実現できる社会、女性の力を発揮できる社会を地域団体、企業、教育機関との連携で進める社会ですとあります。これは、第7期の男女共同参画推進プランでそのように区民にアピールをしているわけですが、この安心して暮らせる社会ということについて、特に女性が犯罪被害に遭いやすいということに注意を払う必要があると思います。  SNSが普及するようになってから、小中学生がスマホなどを媒介して、思わぬ犯罪被害に遭うことが報道されるようになりました。このトラブル防止のために、小中学校にどのような支援をしていますか、お答えください。 ◎元木 人権・男女平等推進課長 各小中学校では、児童・生徒たちがいじめなどのトラブルや犯罪に巻き込まれたり、学習などに悪影響を及ぼしたりしないよう、子ども同士が話し合って、学校SNSルールを定めております。  区では、インターネット上の人権侵犯事案が増加している状況を踏まえ、当該人権課題に係る啓発の一環として、学校及び教育委員会と協力して、各学校ごとに「学校SNSルール啓発パネル」を作成し、校内へ掲出する取り組みを進めております。  また、インターネット上の人権侵害をはじめとした様々な人権課題について学んでいただけるよう、全小学5年生を対象に、人権啓発冊子「大切なこと」を配付しております。  今後も様々な機会を捉え、人権啓発を進めることで、児童・生徒がSNSで犯罪等に巻き込まれることなく、安心して楽しい学校生活を送ることができるよう取り組んでまいります。 ◆金子 委員 では、大学生向けのデートDV講座というものもこの男女平等推進課で行われていますけれども、区内の大学でデートDV講座を行ったら、高校生の時分に被害に遭った例があるということがわかりました。そこで、特に大田区の場合ですから、中学生向けの講座を考える必要があるのではないかと思います。思いがけない、望まない妊娠をする例もあることなので、自分の体についてよく知り、犯罪被害に遭わないようにするため、男女そろって卒業前や夏休み前などの節目のときに、中学校から講師派遣の要請があれば、ぜひ応えていただきたいと思いますが、こういう話を聞いたときに、直ちにいろいろなことがわかるということではないのですけれども、一旦聞いておくと、あれがそうだったのかと理解をするという機会になるそうなので、これはぜひ応えていただきたいと思います。どうでしょうか。 ◎元木 人権・男女平等推進課長 現時点では、直ちに講師派遣を実施する考えはありませんが、今年度については、健康政策部の協力により、一部の中学校で開催される性感染症予防講演会で、デートDVに関する啓発チラシの配布を行います。  今後も関連する部局と連携し、中学生など若年層に対する啓発について、効果的な方策を検討してまいります。 ◆金子 委員 これは、ぜひ全部の学校で実施をしていただきたいと思います。  そこで、2015年に行われた調査ですけれども、日本は男女格差指数ジェンダーギャップ指数が145か国中の101位だったということで、まだまだこれからだという状況です。2016年発行の第7期大田区男女共同参画推進プラン概要版でも、男性、女性2,000人に対して行われたアンケートで、平等になっていると区民が考えるのは教育の場所では66.4%でしたが、職場、政治の場、社会通念や習慣では、平等になっているが20%未満でまだまだ低いです。一方、男性優遇の意見は、70%から80%近くに上り、依然として固定的な性別役割分担式があること、ワーク・ライフ・バランスの実現が一層求められるという結果になっています。  そこで、この7期の計画で女性が活躍する領域の拡大、方針決定の場における女性の登用促進、女性リーダーの育成について、人権・男女平等推進課としては、今後どう支援していかれるでしょうか、お聞きします。 ◎元木 人権・男女平等推進課長 本プランは、男女共同参画社会基本法の規定に基づき策定したもので、平成28年度から32年度までの5年間の計画となっております。  本プランでは、「誰もが認め合い、笑顔がつながるまちおおた」を基本理念に、男女共同参画社会実現に向けた8項目の課題、課題に対する施策、それらを推進していくための事業内容を掲げ、計画期間内に目標を達成することとしています。  今年度は、女性学講座や女性のためのリーダー養成講座などの事業を実施してまいりました。  今後も引き続き、本プランに掲げる目標達成に向け、事業を推進することで、女性の活躍の支援をしてまいりたいと考えております。 ◆金子 委員 その女性の活躍の場を考えるときに、今まで男性学というか、男性の視点でつくられていたものを見直すということも当然なのですが、男性側から自分たちが知らない差別のようなものというのは、言われないと気がつかないというところもあるのではないかと思いますから、男性に働きかけるということも今後はぜひ取り組んでいただきたいと思います。  私は、女性の生きづらさを解決し、活躍の場を保障し、エンパワーメントの機会が多ければ多いほど、男性にとっても生きやすい社会になると思います。災害のときも当然、男性も女性も力を出し合うことです。昨年、2017年6月15日の区報では、このためにわざわざ別の臨時のような区報が出たのですけれども、内閣府のキャッチフレーズが、「男で○、女で○、共同作業で◎」となっていました。  そこで、私はこの女性会館のときからずっとエセナおおたにかかわってきたわけですけれども、このエセナおおた、あれだけの歴史をもって、あの場所に存在をし、区民の理解を得る場所になってきています。小学校の建築後に移転する予定で、既に利用者には説明がされたということですけれども、できれば単館であの場所に建て替えをすることも考えるべきと要望して、質問を終わります。 ○深川 委員長 次に、無印の質疑に入りますが、岡委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可し、タブレット型端末に配信いたしましたので、ご了承願います。  無印、質疑願います。 ◆岡 委員 総務費につきまして、短い時間ではありますが、大田区政の基本構想、その根幹にかかわる部分について質問してまいります。区長はじめ、理事者の皆様の忌たんのないご意見を伺えますと幸いでございます。  まずは、予算(案)概要85ページをご覧いただけますでしょうか。85ページにありますのは、自治会・町会支援の充実というところでございます。これは何だったかと申しますと、大田区自治会連合会に設置された自治会・町会のあり方検討会が自治会・町会の担い手が不足していると中間報告をしたことを受けてのことだと思っています。自治会・町会というものは、自主的に結成する組織なのだから、こうした課題はまさに自主的に解決されるべきだと考えています。  伺います。区役所が自治会・町会に業務としてお願いすることは、具体的に何があるのかお聞かせください。 ◎小泉 地域力推進課長 区から自治会・町会への依頼業務は、回覧による事業広報、交通安全などの街頭啓発、要支援者などの見守り、統計調査員などの推薦、選挙の立ち会い、各種審議会などの委員選出などがございます。各自治会・町会への依頼業務は増加傾向にあり、各自治会・町会の負担となっていることは認識しております。  このため、区は全所属を対象に、区から各自治会・町会の依頼業務について調査を実施しております。自治会・町会はよりよい地域環境をつくるために協力し合い、一体となって地域の生活環境を改善していく上で、重要な役割を担っております。  区は、自治会・町会への各種事業助成会館整備助成、実施するイベント・事業などにおいて、様々な支援を行っております。今後も、地域力で地域課題に取り組む活動や地域自治活動の支援に努めてまいります。 ◆岡 委員 町会の業務負担、そうしたものをなるだけ低減するような形で、区役所も協力していただいたらいいのかなと思っております。ただ、自治会の中で、やはり行政がまちづくりの場面で地元の声を聞くと言いながら、自治会長の声しか聞いていない、そうした場面は結構散見されるわけです。担い手が不足しているはずの自治会・町会だけを区役所がまちづくりの場面で期待するというのはいかがなものかなと考えています。区民の多くに参画してもらえていない。そうした団体が、区のまちづくりについてイニシアティブを持っている、それはおかしなことであると感じています。  昨年12月の寒い夜に、田園調布小学校の体育館に行きました。せせらぎ公園の基本設計の説明会が開催されていました。参加者は77人と後の報告を聞くといらっしゃいまして、自治会・町会関係者の意見と、そうした自治会・町会にあまり参加していない住民の声が様々出て、熱い議論がなされていました。まちづくりは、様々な主体が参加して、十分な情報を得て、知恵を絞り、意見を出すことでよりよいまちがつくられる。私、岡高志は確信しています。  ここにおいて、行政がやるべきことは情報公開である。もう21世紀ですから、情報はウェブに適切にアップすれば、全ての区民が入手可能であると。今、ちょうど田園調布出張所ホームページに、その昨年12月の説明会の様子が、質疑応答の概要も含めてアップされています。皆さんもご覧いただけたらと思いますけれども、そこで田園調布出張所長にお伺いします。  田園調布住民シビックプライドがくすぐられるような新しい公共施設計画をするために、設計を担当している隈研吾建築都市設計事務所のパース図面などを含めて、さらに充実してはいかがでしょうか。お聞かせください。 ◎藤倉 田園調布特別出張所長 (仮称)田園調布せせらぎ公園文化施設は、地域の住民の方々が高い関心を持って、大きな期待を寄せている施設です。  今後も、公園文化施設の検討状況について、地域住民の皆様にわかりやすくお伝えできるように、内容の精査を図り、田園調布特別出張所ホームページの活用を含め、工夫してまいります。 ◆岡 委員 そういったことでございますので、施設整備のご担当であったり、工事のご担当もそうした出張所の姿勢にご協力いただけたらと思っています。そうやって出張所のホームページを充実することが、区民の地域への関心を強める一つのきっかけとなると思っています。それが回り回って、自治会・町会の担い手を増やすことになるのではないかなと考えております。  さて、変わりますけれども、松原区長が10年前に策定した大田区基本構想で大田区のビジョンを示されています。資料配信をいたしましたのは、基本構想のパンフレットの5ページ目のところでございます。2008年10月だから10年ほど前のものでございます。そこに掲げられているのが未来ビジョンとして、「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市おおた」ということであります。この理念、これは今も変わらず、大田区政にあるものであると認識しています。そこで、地域力とは何だろうと思い返すと、ここに定義もしっかりと書いてあります。地域力とは、区民一人ひとりの力を源として、自治会・町会、事業者、団体、NPOなど様々な主体が持っている力、それら相互及び区との連携・協働によって生まれる力を含んだものでありうんぬんと書いてあるところでございます。  しかし、これは大まかに言うと、区民一人ひとりの力を源としつつも、自治会・町会、これを筆頭とした団体の力と行政の連携と読めます。大まかに言えば地域力、いつも区長がおっしゃられているこの言葉というのは自治会・町会、その力であるということなのですよ。でも、まさに今回の予算に書いてあるように、自治会・町会の活力が低下していると表現されているのに、その地域力が区民の暮らしを支えるだなんて本当にやめていただきたいと思うのです。自治会・町会の活力低下に引きずられて、自治会・町会に参画していない、そういう人が72万区民の中で大きな割合を占めていると思うのですけれども、そうした多くの区民の活力をそがないでいただきたいと私は思います。私は、政治家として区民の暮らしを責任を持って支えていきたいと思います。  区長、もしご意見があれば、お聞かせいただきたいと思いますけれども、ないなら続けさせていただきます。  続けますと、ただ、松原区長が掲げられている事業の選択と集中、この経営改革の姿勢、これは私は評価しております。補助金適正化方針に基づき、見直し対象270項目のうち、補助率や終期設定など71項目を見直したと。本会議で我が会派の代表質問にご答弁いただいています。  財政課長に具体的にお伺いしてまいりますけれども、財政関係資料41ページから補助金について一覧表が記載されています。昨日、自民党の伊佐治委員もこの論点について意見されていまして、私も違った角度からものを申してまいりますけれども、今回総務費という款でございますので、総務費に計上された補助金を幾つかピックアップして、補助金適正化の担当課である財政課がどのように見直しを進めてきたのかお伺いしてまいります。  まず、一つ目ですけれども、子ども交歓会、これに対して補助金が出ていますけども、その補助金交付要綱、これは昨年度改正されているのですね。昨年度の改正だから、こうした補助金適正化方針、これが反映された改正なのだと思いますが、どのように要綱が改正されたのか、お聞かせください。 ◎谷口 財政課長 今回、本事業の改正でございますが、改正の中身といたしましては、もともとこの事業は子ども会交歓会という名称でございましたが、実際にはこの交歓会自体は、子ども会に所属していない一般の子どもの参加も広く受け入れる会でございましたため、子ども会交歓会子ども交歓会という形で名称変更をしたものでございます。 ◆岡 委員 そういった意味で、対象が限定された団体だったのをそうではないよということにしたということで、補助金適正化方針、これに基づいた変更ではないのだなと理解いたしました。  あともう1件、ヤングフェスOh!!盛祭への補助金、これもあります。その補助金交付要綱が昨年度初めて制定されています。これはもちろん、補助金適正化方針、これを反映されてのことだと思いますが、いかがでしょうか。 ◎谷口 財政課長 本事業につきましては、青少年がみずからイベントを企画、運営することによって、自立的に課題解決を図る力やコミュニケーション能力の向上を図るとともに、みずからのモチベーションの向上及び自信を育む契機とすることを目的としており、実施主体である大田区青少年委員会に準備及び実施に要する経費を補助するものでございます。  こうした本事業の目的・効果等を踏まえまして、当該補助事業に係る要綱の改正はしておりません。 ◆岡 委員 そういった意味で、なかなかこの1年間で、補助金適正化方針に基づく見直しをした、71項目について補助率や終期設定の見直しを行うとされているのですけど、一応要綱をさらっと目を通したのだけれども、そうした補助金に係る要綱の見直しを発見できなかったのですよ。私の力で発見できなかったのが正直なところなのですけれど、も。そうした意味で、財政課長といろいろとお話を伺っている中、なかなかそれというポイントが見つからない。ちょうどここに全ての事業部の部長がいらっしゃるわけで、ではこの1年間で補助金の見直しをしたという項目はありますか。あれば手を挙げてください。 ◎鴨志田 地域力推進部長 地域力推進部におきまして、各自治会・町会、連合会に交付しております補助金、これにつきましては、今年度交付要綱を見直しまして、改正をしております。 ◆岡 委員 鴨志田部長、ご答弁ありがとうございます。  そういった意味で、今回補助率、終期設定をしたということなのだけど、そういった意味で、自治会・町会に関する補助金の補助率、終期設定の見直し、これはなかなか努力のいった話なのかなと思いますけど、具体的にはどういったことなのか、これは地域力推進課長でしょうか。ご答弁をお願いいたします。 ◎小泉 地域力推進課長 自治会・町会に対する交付金の要綱改正の内容でございますけども、これまでにつきましては、各事業、またそれに係る経費という形で交付をしておりました。これを自治会・町会の役割、また区の役割を要綱上明記をいたしまして、その活動について交付するといった内容に改正をしております。 ◆岡 委員 ちょっと今の、いわゆる事前に発言者を指定しなかったという形なので、本当にご対応ありがとうございます。  ただ、補助金適正化方針、これを平成28年3月につくったのだけど、まだまだそれが具体的に実行されていないなとちょっと感じるところでございますので、引き続き、区長がおっしゃる選択と集中を掲げる、その経営改革の方針に皆さん従っていただいて、大田区の改革に取り組んでいただきたいと思います。 ◆犬伏 委員 たちあがれ・維新・無印の会の犬伏秀一です。  私は、行政にしても国にしても、最大のミッションというのは何だろうと。大田区役所であれ、地方自治体、そして国家であって最大のミッション。それはたった一つだと思うのですね。いろいろなお話をこの予特でもされますけれど、最大の使命というのは、国民もしくは住民の命を守れるか。これがもう最高というか、もうこれしかない。それ以外のことはおまけみたいなものですね。命がなかったら、福祉も必要ないし、命がなかったら、教育も必要ない。やはり、命を守るということが、最終的というか、最高の至上命題であると思っております。  その意味で、大田区役所が住民の命を守る局面というのはどういうときかといったら、やはり今後想定される首都直下型地震であるとか、または近隣におかしな国がおりますけれど、そこから何かぶっ飛ばされたときとか、そういう有事において大田区役所は大田区民の命を守る、そのことができなければ、全く地方自治体としての責務を果たしていない、このように思うわけであります。  その意味で、この大田区役所というのは、区民の命を守る最前線のいわゆる基地であると思います。昨年、陸上自衛隊の陸将補を防災計画担当課長として採用していただきましたけれど、ここにいる皆さんも様々な訓練を通じて、有事の対応を学んでいらっしゃる。訓練をされていらっしゃる。ところが、マンパワーだけではどうにもならないことがあります。それは、基地、拠点がしっかりしていなければ、人が幾ら頑張っても、人力だけではできないことがあります。その意味で、この大田区役所本庁舎、それから出先の出張所というのは、ここが司令部であり、出先の出張所はいわゆる分屯地といいますか、最前線にあたるわけですね。  この大田区役所は有事の場合の拠点となるために必要なユーティリティというものに若干不安があります。私は、東日本大震災のときに、気仙沼市にある施設で、東京都医療救護班の一員として、全国の公立病院から気仙沼市に入ってくるドクターや薬剤師、そして看護師の受け入れを担当したり、また各避難所にドクターを連れていったり、薬を配ったりという、大変有意義な経験をさせていただきましたけれど、その現場で見てきた事実からしますと、この場所にライフラインが途絶して復旧するまで、大体3日ぐらい。3日あると、大体電気・ガス・水道というのは、復旧をしてまいりました。それ以降は、あまりその辺は問題にならない。そういう意味では、3日間ライフラインが途絶したときに、自力でこの本庁舎を司令部として機能しなければならないと思うわけであります。  その意味で、この本庁舎ももうできてから20年たってしまいましたね。20年を越えてしまいました。様々な営繕があると思います。この本庁舎は鹿島から買ったときに、大田区内に長い間工務店を営んでいらっしゃった会社が受けて、様々な改修をされました。そして、そこにいらっしゃったK氏という方がずっとこの営繕を担当されていて、ここの会社のK氏に聞けば、隅々までネズミの穴がどこにあるかまで、全部K氏は知っているという、大変優秀な方でしたが、残念ながら、この会社は破綻をしてしまいまして、今はその都度いろいろな会社にこの営繕を頼んでいらっしゃるようでありますが、この本庁舎の営繕の保守というのは、今はどうなっているのでしょうか。 ◎今井 総務課長 区役所本庁舎は、多くの区民が利用され、災害時における業務継続と災害対策本部としての機能を担う重要な施設であります。  そのため、平成22年に策定した長期修繕計画に基づき、計画的な維持修繕を実施しているところです。また、常駐している委託職員により、24時間常時保守管理にあたるとともに、緊急時の初動体制を確保しています。  緊急に対応が求められる工事につきましては、総務課の庁舎管理担当と施設保全担当が現場を確認し、迅速かつ適切な対応が可能な工事方法や契約方法について協議を行い、工事を実施しております。 ◆犬伏 委員 私は、常々経理管財課長にちゃんと入札をやれと。入札は適正に競争しなければいけないと言っているわけでありますが、緊急対応と通常の契約案件とは若干違うのではないかなと。その意味では、いわゆる赤紙発注と言われている総額130万円以下のものは、すぐさま所属長の判断で業者に発注できるけれど、この赤紙発注の130万円を超えてしまったら、一般的には入札をしなければいけないということになろうかと思うのですけれど、本庁舎のユーティリティというのは非常に重要でして、緊急でありまして、入札などをしている暇がないと思うのですけれど、この赤紙発注の範囲で済まないものは、やはり入札をされているのでしょうか。 ◎今井 総務課長 本庁舎の保守においても、130万円を超える修繕工事及び50万円を超える業務委託については、競争入札による事業者選定を原則としております。  ただし、緊急性や性質、目的などによって、地方自治法施行令の規定に基づき、随意契約で対応する場合もあります。例えば、エレベーター部品交換工事、エスカレーター部品交換工事などがございます。 ◆犬伏 委員 必ずしも、大田区の指名業者が適格な技術力を持っているかどうかというのは、疑問な部分もありまして、以前、本庁舎の非常ドアの電子錠を間抜けな業者がねじを入れてしまったら、そこでショートさせてしまって、1階から11階の電子錠が全部ぶっ壊れてしまって、毎日手動でこのドアを閉めていたという間抜けな事件があったわけでありますけれど。例えば、多摩川の河川敷、前に何かの機会にやりましたけど、この管理委託契約というのは、年間5億5,000万円のお金が業界団体にぼんと払われて、そのかわりこの業界団体は、例えば水防の発令が出ますと、すぐさま自主的に人を集めて、いつでも待機していただいているという。5億5,000万円がいいかどうかという議論はあるわけでありますが、そういう体制を引いている。それから、例えば本庁舎にあるコピー、あれは保守契約を結んでいますから、壊れたらすぐ、リコーなりが飛んできて、すぐ直してくれるという保守契約というものがあります。そういう意味では、この本庁舎に限ってですけれど、有事の拠点を維持するために、この本庁舎の中の保守、管理、何かあったらすぐ来るよと。そのかわり、幾ばくかの保守料というものを業界団体なり、この中のことをよく知っている業者なり、匿名で指名をされて、そして保守料を払って対応する。こういったことが求められるのではないかなと。幾ら耐震補強をしても、ユーティリティがなかったらただの箱ですから、その辺はいかがでしょうか。 ◎今井 総務課長 本庁舎の保守にあたっては、電気設備、空調設備、給排水・衛生設備、消防設備等を熟知した事業者が、計画的、継続的かつ安定的に定期点検を実施する必要があります。  そのため、設備保守業務委託の相手先については、一部の契約を除き、こうした業務の実績を十分に有する事業者の中から、競争入札を経て選定しています。  今後も、事業者選定における公平性、競争性を確保しつつ、有事の際の拠点機能の維持も含め、事故防止、耐用年数の延長等、総合的な観点から、本庁舎の最適な保守・管理に努めてまいります。 ◆犬伏 委員 やはり、思うのですけど、これだけ大きな建物になると、初めてやる業者、そしてずっと知っている業者というのは、差があると思うのですね。そういう意味では、技術力というよりも、知っている業者、もしくは知っている業界団体にやっていただくということが大切なのかなと。  2月3日、土曜日にこの本庁舎は大きな事故がありましたね。エレベーターが全部とまってしまって。ではなく、とまらなくなってしまったのだな。各階にとまらなくなってしまって、それからフロアの電気が全部消えてしまって、防災センターのサイレンはなりっ放し、人を感知するセンサーが働いて、大騒ぎになって、これは本庁舎にいる人は誰も直すことができない。どうしたらいいのだと大騒ぎになったところ、たまたまある業者のおじさんが、もう相当高齢なおじさんが、本庁舎にいて、いや、どこかにいたのかな、呼び出して、事なきを得たということがありましたけれど、これもたまたまそのおじさんが近くにいて、たまたま連絡がついたから何とかなったわけで、あれがたまたま連絡がつかないとなると、1日中エレベーターはどこにもとまらないし、電子錠は閉まらないし、サイレンはなりっ放しだしという。さらに地下で、この間、電気系統では、運転手の呼び出し装置がぶっ壊れてしまって、どうにもならないという事例があって。こういうものを見てみると、やはりちゃんと常に待機していてもらって、お電話1本すぐ来るよという、鍵の110番みたいなところをつくっておいたほうがいいなという気がするわけですね。  続いて、この本庁舎の有事の場合のユーティリティについて伺いますけれど、現在、非常用電源が配給されるのは、5階の区長室のエリア、それから5階の情報用のコンピューター、9階の無線機械室のみに非常用の電源が、いわゆる商業電源が切れてしまったときに行くわけで、それ以外のフロアは全く電気が行かない状態になっていますから、仕事ができない。そういう意味では、この非常用電源のコンセントを各エレベーターホール、1階から、10階はどうでもいいと思うのですけれど、9階まで、非常用電源のコンセントを幾つか用意しておけば、そこからタコ足配線で各フロアに持っていく。電源の許容量がありますけれど、これを設置すべきだと思うのですね。  それから、今、非常時に有効な情報を取る手段として、インターネットの設備が挙げられますけど、これも残念ながら、5階のコンピューターしか、インターネット用のLANの電源が行っていない。これもインターネットの非常用電源をつなぐべきであります。  それから、東日本大震災のとき、私は六郷の出張所を開放した現場に居合わせまして、入ってきたお客さん、区民の方たちは情報がわからない。テレビを見たいと言われて、六郷出張所にテレビを持ってきたのですけれど、ところがテレビのアンテナがつながらない。近所の電気屋に飛び込んで、アンテナケーブルを借りてきて、何とかテレビを見られるようにしたのですけど、情報が見えると安心するのですよね。同様に、インターネット以外にテレビの情報というのは早いですから、各フロアにせめて、各フロアのテレビにも非常用電源を供給すべきだと思うのですけど、いかがでしょうか。 ◎今井 総務課長 非常用電源コンセントですが、委員お話しのように、災害時庁舎内の拠点となる5階の区長室、防災情報処理室や9階の防災無線室に加え、業務継続に対応するため複数階に設置してきております。インターネット設備用電源とテレビの電源は5階の防災情報処理室に設置してある非常用電源とつなげております。  委員お話しの非常用電源を各階につなぐなど、さらなるレベルアップについては、現状においても、本庁舎は災害時において業務継続と災害対策本部としての機能を担う水準を備えていると考えております。その上で、こうした危機管理対策については、技術の進歩や求められる水準の変化なども踏まえて、不断の見直しが必要となってきますので、常に改善強化をしていくことが大切と考えております。 ◆犬伏 委員 まさにおっしゃるとおりでありまして、有事の対策はやり過ぎていないと思うのですよ。こんなにやったけど何も起きなくてよかったねでいいと思うのですね。ここまでやっておけばよかったのに、やってなかったから失敗してしまったなというのは、やはりよくないことでありまして、ぜひ最新の技術を研究されて、有事に備えていただきたいと思います。  最後に、このユーティリティの中でも、電気に次いで重要なのは、水だと思うのですね。この本庁舎の中には、災害対策本部を設置して、消防、警察、自衛官等多くの方が詰めてくると思います。また避難をされる方もいらっしゃると思います。その意味で水が大切。お手洗いの水も、それから飲む水もですね。今、地下に雨水の受水槽と上水道の受水槽があると聞いておりますけれど、この容量というのは、それぞれどれぐらいなのでしょうか。 ◎今井 総務課長 上水槽は約56トン、雨水槽は約240トンの受水設備を地下に設置しております。 ◆犬伏 委員 そうすると、300トン弱ぐらいの受水、水が貯めてあるということです。大体、災害時は先ほど申し上げましたように、3日間自分たちで何とかしなければいけないということですと、1日当たり飲料水として15トン、そうすると45トンぐらい、何とかぎりぎりで上水道が間に合う。それにお手洗いを入れて、何とかぎりぎりかなと。ぎりぎりというのは、ちょっと寂しいですから、たしか上水道の50トンというのは、以前はもう少し、80トンぐらい受水できたものを省エネとか中央監視盤の変更のときに、最大受水量を少し下げたと聞いています。できれば、最大の受水量まで上げて、有事の場合、まだ余っていると、まだ水があるというぐらいにしておくことが肝要かなと。再三申し上げましたが、有事の拠点、やり過ぎということはありません。これでもか、これでもかと。これでも大丈夫だと。例えば、電源にしても、2層、3層でやっていく。水も何層にも分けてセーフティネットをつくっていくということが、先ほど申し上げました区民の命を守るという最大の使命を有事の場合に大田区がその責務を果たせるポイントだと思っておりますので、今後ぜひレベルアップを図っていただきたいとお願いして、質問を終わります。 ○深川 委員長 次に、民進、質疑願います。 ◆松原〔元〕 委員 大田区議会民進党の松原元でございます。本日は、この総務費にて少々お時間をいただき、大田区各会計予算事項別明細書117ページ、総務費、文化国際費の公益財団法人大田区文化振興協会に対する補助金についてお伺いをいたしたいと思います。  既に、大会派の委員の皆様が、昨日、今日の委員会で述べられていることにいささか触れるかと思いますが、ご了承を願います。  皆様ご存じのとおり、大田区では、区の出資割合が50%以上の団体及び継続的に財政援助を行っている団体を外郭団体と定義しており、大田区文化振興協会もこれにあたります。  外郭団体は、区民ニーズが多様化する中で、行政の役割を補完し、区民生活に密着した様々な分野できめ細やかな公的サービスを提供しているわけであり、大田区文化振興協会も大田区民プラザ、大田区民ホール、大田文化の森などの区民が利用する施設の維持管理及び様々な文化に関する式典、催事をとり行っております。  さて、本年度予算では、大田区文化振興協会に対し、運営の補助として1億9,124万9,000円を計上されております。この大まかな内訳をご答弁願います。 ◎上田 文化振興課長 大田区文化振興協会への補助金の内訳は、運営費補助と事業費補助でございます。  まず、運営費補助は、1億406万5,000円を予算計上しており、その主なものは固有職員に対する人件費約8,800万円であり、85%を占めております。残り15%は、協会が使用している電子機器のリース料や保守委託等の事務経費となります。  次に、事業費補助として8,718万4,000円を予算計上しており、大田区文化振興協会の主催事業へ充てられる助成金が約6,700万円、77%を占めます。  残りの約23%は、おおた文化の森運営協議会が実施する事業へ充てられる助成金となります。 ◆松原〔元〕 委員 昨年3月に策定されました「新大田区外郭団体等改革プラン」の検討課題で、外郭団体等の経営の効率化・自立化の推進、外郭団体等が区と連携し、安定した公的サービスを行っていくためには、区への依存を減らし、経費削減、自主事業・収益事業の拡大、給与体系の見直し、補助金の見直しなどにより、さらなる経営の効率化、自立運営に向けた改善を図り、経営力を強化する必要があるとしています。  予算特別委員会でありますので、予算について述べますと、本年はこのプランの推進期間の2年目にあたりますが、平成29年度同予算が1億9,136万9,000円、平成28年度は、1億9,925万9,000円、平成27年度は、1億9,370万8,000円と推移しております。  内訳を見ますと、運営費補助が1億174万8,000円から1億1,183万4,000円、1億619万2,000円、1億406万5,000円。また、事業費補助が、9,196万円から8,742万5,000円、8,517万7,000円、8,718万4,000円と微増、微減となっております。この「新大田区外郭団体等改革プラン」には、区が考える文化施策について、またそのあるべき姿、果たすべき役割、現状、またその現状に対する差異等が記載をされております。  これまで大田区としては、このプランのもと改革を進めておられるとともに、公益財団法人大田区文化振興協会といたしましても、経営の効率化、経費の削減等、様々な改革に取り組まれてきたと考えてはおりますが、大田区文化振興協会に対して、補助金を充てている大田区といたしましては、これまでの取り組みをどのように評価をされていますでしょうか、ご答弁願います。 ◎上田 文化振興課長 区では、「大田区外郭団体改革プラン」に基づき、区と大田区文化振興協会とで運営のあり方を検討してきました。  平成28年度より、大田区文化振興協会は、公益性と収益性という二つの評価軸をもとに各事業を分析し、事業の性格に合わせて補助金を活用していくという新たな方針を打ち出しました。民間のホールであれば、収益性が重視されると思われますが、公益財団法人である大田区文化振興協会は、芸術性の高い事業の開催や区民に見ていただきたい公益性が高い事業では、鑑賞料金を低額または無料に設定するなど、区民の文化の向上という大田区文化振興協会の使命に沿って、補助金を有効に活用し、事業を実施しております。  また、大田区文化振興協会が管理するホールでの自主事業のほか、プロの演奏家が区立中学校に出向き、吹奏楽部の生徒に直接指導するという、青少年向けのアウトリーチプログラムを取り入れるなど、新たな工夫を加え、地域文化の充実を図っております。  大田区文化振興協会は、公益財団法人としての性質から、収益性の高い事業により得た利益については、ほかの公益性の高い事業に振り向けるなど、事業の性格と全体の収支バランスを考慮し、事業の実施に努めており、区は大田区文化振興協会の取り組みを評価しております。  今後とも、区の文化政策に沿って、区内最大の文化の担い手として、区民の文化向上に向けた事業を進めてもらいたいと考えております。
    ◆松原〔元〕 委員 評価をされているとのことでございました。文化振興というのは、予算を減らせばいいというものでもないと思いますので、本当にこれからも適正に行っていただければと思っております。  地元を回っておりますと、スポーツに関する事柄と同様に、この文化振興についても様々なお話をいただく機会がございます。この場は予算特別委員会でございますので、本日は補助などの内容に対して伺いましたが、別の機会において他区の取り組み等もご紹介等ができればと思っております。  今後も大田区が文化振興に努めていただくことを願いまして、私の質問を終えさせていただきます。 ◆山崎 委員 大田区は、平成14年4月に「大田区行政情報化ビジョン」を作成し、大田区の情報化に計画的に取り組んでおります。  今日は、情報化について伺ってまいりますが、今この計画に基づいて、効率的で総合的な行財政運営、質の高い区民サービスの提供、区民との協働によるまちづくりを目指してきたわけでありますが、その取り組みは全国に先駆けまして、庁内システムにEA概念、こうしたものを導入して、業務ステップの見直しとシステム統合を行うなど、自治体の中でも大変先進的でありました。  とはいえ、この計画作成から既に16年が経過しようとしております。情報通信技術の進化はとどまることを知りません。昨今は、スマートフォンやタブレット端末などを利用したモバイル通信の拡大、クラウドコンピューティングの発達は大変に驚くばかりであります。  一方で、脅威も大変増大をしておりまして、ホームページ改ざんや標的型攻撃など、インターネットに関する脅威が多様化する中で、今様々な情報セキュリティが必要となってきております。  「大田区行政情報化ビジョン」は、自治体の先頭を走ってきた大田区の情報化計画でありますが、ただそれは同時に作成時期が23区の中でも最も古い計画ということでもあります。目まぐるしく進化を遂げております情報通信技術に対応して、数年おきに計画の改定を行っている自治体も少なくありません。新しい計画ほど、地域情報化、ICTをうまく利用して、地域課題の解決に活用していく、そのことに力点を置く傾向が見受けられるわけであります。  伺います。大田区は、新たな情報化推進計画、あるいは大田区行政情報化ビジョンの改定を行う予定はないのか伺います。 ◎秋山 情報システム課長 情報通信技術の進展に適切に対応し、さらなる区民サービス向上と行政事務の効率化を図るためには、新たな情報化推進計画の策定が検討課題と認識しております。  具体的には、マイナンバー制度における他自治体との情報連携、スマートワーク宣言に基づく働き方改革、法律で初めて、AI、IoT、クラウド・コンピューティング・サービスを定義した官民データ活用推進基本法の施行等を踏まえまして、より安全で強度なセキュリティ対策を施した情報基盤やシステムを整備することに向けて、他自治体や企業の取り組み動向も含めて情報収集してまいります。 ◆山崎 委員 今のご答弁で、新たな情報化推進計画の策定については、検討課題ということでございましたが、今、国もどんどん情報化への取り組みを加速させておりますし、この課題は、本当に全庁的な課題であると思います。可能な限り、早く計画を策定してもらいたいと思います。  ただ、大田区は計画は古いわけではありますが、依然として情報化については熱心に取り組んでいると思います。この委員会でもそうですけども、理事者の皆さんのタブレットが並ぶ景色も大分私も見なれてまいりましたが、この職員のタブレット配付にあたりましては、配付とあわせてネットワーク環境の見直しを行って、これによって場所を選ばず、インターネット接続ができる環境づくりによる職員の業務効率化と強固なセキュリティ確保を両立させたと聞いております。  改めて、導入の効果について伺いたいと思います。 ◎秋山 情報システム課長 タブレット導入及びネットワーク環境の見直しを行ったことによりまして、インターネットによる情報のスピーディな入手や外部とのメールの迅速なやりとりが可能となりました。  また、ウェブ会議システムを活用した遠隔手話通訳サービスや、部課長会等におけるペーパーレス会議の実現など、区民サービス向上と業務の効率化が実現したと認識しております。 ◆山崎 委員 この情報化時代にインターネットにアクセスできるパソコンが限られた時代というのは、それは大変不便だったのではないかなと思います。一方で、この日本年金機構をはじめとしまして、大手企業においてもこの情報漏えい、個人情報の漏えいが頻発しているわけであります。  タブレットのアクセスは庁内ネットワークと分離された広域ネットワークサービスを介しているとのことでございますが、セキュリティ確保に注力した設計になっていると思いますが、業務効率化とともに強固なセキュリティ確保に力を入れていっていただきたいと思います。  本当に、世の中情報化でどんどん便利になってきておりますが、大田区の情報化を進める中では、当然多額の財政負担が伴うわけであります。  システムの統合など、これまで進めてきた情報化推進の取り組みによって、以前よりも下がる傾向があるとは聞いておりますが、システムの運用・改修、そのコストには大変に大きな費用がかかっております。  30年度予算でも情報システム運営費など、企画経営部の電子計算費の項目だけでも、25億9,800万円余が計上をされております。住民基本台帳、税、国民健康保険等の情報処理を行う、いわゆる基幹系システムはもちろんでありますが、保健福祉、子育て、教育、防災、環境、産業振興、区民協働、今や区民サービス提供のための様々なシステムが稼働しております。私も事項別明細書を順に数えてまいりましたが、本当にたくさんありますよね。  現在、区役所にどれだけのシステムが存在しているのでしょうか。そして、その運用管理経費等にどれだけお金がかかっているのか、お聞かせください。 ◎秋山 情報システム課長 現在、合計で140を超えるシステムが稼働しておるところでございます。内訳といたしましては、マイナンバー等を扱う区民情報系システムが32システム、全庁共通で利用する内部情報系システムが22システム、各課で導入する業務システムが80システム、ほかにLGWAN等外部機関と接続するためのシステムが8システムでございます。  運営経費につきましては、平成28年度の決算額ベースで約34億円となっております。 ◆山崎 委員 28年度決算で、経常収支率が上昇したということでしたが、歳出面においては保育の運営経費、これが上がっていますけども、それとともにこの情報システムの運営費が増加したことが挙げられていたように記憶しております。  区政運営に本当に欠かせない必要な経費だと思うわけでありますが、自治体、あるいは今は民間も問わずですけれども、情報システムの企画、調達及び運用・管理につきましては、技術の進歩が著しいこと、またシステムがブラックボックス化しているケースが多いことなどから、職員だけではどうしても専門知識が不足をして、業者の薦めるままにシステムを導入したりだとか、特定ベンダーの技術あるいは提案に依存してしまう。そんな中で、必要以上にコストが大きくなってしまう、そんなケースが少なからず存在していると言われております。  庁内において、140を超えるシステムが存在をし、運用・管理だけでも大変大きな費用がかかっているわけであります。  伺います。区は、情報システムの企画、調達及び運用・管理につきまして、その透明性、公平性を確保していくために、また効率化及び適正化を図るために、どのような取り組みをされているのかお聞かせください。 ◎秋山 情報システム課長 区は、庁内の職員が情報システムの企画・調達・運用・管理等を行う際の手順を標準化するため、「情報ガバナンス確立のためのガイドライン」を定めております。  システム構築を行う際には、システムの概要や開発体制、プロジェクト計画等を具体化した提案要求依頼書を複数の事業者に提示し、プロポーザル方式による提案を公正かつ明確な基準のもと評価しております。  また、初期費用のみならず、導入から5年間程度の保守運用費用を含めたトータルコストを見積もらせて比較評価することで、効率的で公正なシステム調達を図っております。 ◆山崎 委員 様々な努力をされていることはわかりました。そもそもこの情報システムの場合、物理的なものとは違いまして、なかなか複雑さと高度さというものがわかりにくい。建物でも車でもそうですけども、大きくて複雑なものは、小さくて単純なものよりも価格は高いだろうと、大体見当もつくわけでありますが、情報システムの場合は、やはりその辺がわかりにくいわけでありまして、逆に、だからこの価値をもしかしたら過小に捉えているのかもしれないとも思います。  情報システムの調達・運用におきまして、外部人材によるITアドバイザーを常勤で登用し、コストの削減や庁内体制の再構築など、具体的な成果を上げていらっしゃる自治体の事例を目にしております。  大田区におきましても、ICTに関する専門的視点から必要な助言、指導、提案等の支援を行う人材を外部から登用することを検討されないでしょうか。所見を伺います。 ◎秋山 情報システム課長 区では、これまでも必要に応じて外部コンサルタントの専門的知見を活用し、情報システム整備基本方針を策定するなど、外部人材の有効活用を図ってまいりました。今後も、情報通信技術の進展等を踏まえ、ICT業務環境等に関する調査・研究などにおいて、外部人材によるITアドバイザー等を活用したいと考えております。 ◆山崎 委員 ぜひ、よい人材が活躍していただけるようになればいいなと思います。さて話は変わりますが、個人のスマートフォンの保有率。2011年に14.6%であったものが、2016年、ちょっと前ですけども、56.8%で5年間で4倍に上昇しているそうです。今はさらに伸びていると思いますが。このスマートフォンなどの普及によって、本当に多種多様な、様々なサービス、コンテンツが提供されるようになっています。  ただ一方で、インターネットの普及期と同じように、使いこなせる人と使いこなせない人、この間に新たな情報格差を生み出す要因となることが心配をされております。  昨年から、ドコモバイクシェアと協定を締結、試行実施をされている大田区コミュニティサイクル、六郷地域におきましても、地域力推進センターや文化センターにポートがあり、大変格好いい赤い自転車がたくさんとまっているわけでありますが、4月からは大田区も広域相互利用に参入することとなり、観光振興、回遊性の向上、公共交通の補完など、事業効果にさらに期待がされております。  このコミュニティサイクル、区民からも「利用がしたいがどうしたらいいのか」と結構私も聞かれるのですけども、まず登録の仕方でパソコンあるいは携帯から登録だと言うとひるんでしまう人が少なくないわけであります。  1日乗車券が全国のセブンイレブンの店頭に設置されたマルチコピー機を使って購入もできるのですが、マルチコピー機も結構抵抗がある人が多くて、とりあえずそちらを案内しておりますが、こうした経験からも情報格差の発生を未然に防ぎまして、区民が誰でもICTを有効的に活用できるよう、取り組む必要性を感じております。  伺います。ICTを活用した区の情報提供等が新たな格差を生むといったようなことがないように、情報リテラシーの向上につながる取り組みをしっかりと拡充していただきたいと思います。区の考え方をお聞かせいただきたいと思います。 ◎秋山 情報システム課長 情報通信技術の進展が早い状況におきまして、利用者の誰もが情報機器を活用したサービスを公平に受けるためには、情報通信技術の成果を十分に享受できるような配慮が必要だと認識しております。  情報機器を活用したサービスを実施する場合は、ヘルプデスク等において操作手順の丁寧でわかりやすい説明を実施するなど、区民サービスの公平な実現に努めてまいります。 ◆山崎 委員 このコミュニティサイクルは私も登録しましたけど、本当にできる人には、簡単で使いやすい、いいものだと思っています。広く皆さんが使えるようになっていただきたいと思いますが、シニア向けのスマートフォンもぜひ講習会や勉強会、これは各携帯電話会社や民間レベルでやはり行われているわけでありますが、今、健康、見守りをはじめとして、高齢者を取り巻く様々な問題の解決、あるいは生活の利便性の向上の取り組みを進める中で、スマートフォンが大きな力になると期待されております。スマホを公共のインフラと位置づけまして、取り組みを始める自治体も増えてまいりました。区民がスマートフォンをはじめとして誰でもICTを有効的に活用できるよう、区に一層の取り組みをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。 ○深川 委員長 次に、フェア民、質疑願います。 ◆奈須 委員 フェアな民主主義奈須利江です。市場経済競争で価格が下がり、サービスが向上すると言われてきた民営化ですが、必ずしも価格が下がっているわけではありません。今日は、中でも株式会社に委ねた民営化について、その効果などを考えていきたいと思います。  民営化というと、みんなの民というわけですけれども、公がやっていたことを営利企業に任せるということですから、パブリックに対してプライベートで公と私、私の「私」を使って私営化とか、営利化とかというのがふさわしいのではないかなと感じます。海外では営利化といったりしていますが、日本では官より民間という意味で使われてきたのでしょうか。民営化という言葉が一般的になっています。  民営化といえば、公で行っていた事業を市場経済で委ねるということで、だから経済競争で価格が下がり、サービスが向上するという言い方がされてきたわけです。市場経済競争はリスクをとり、そのかわりにそこから得られる利益が自分のものにできる自己責任の世界です。  ところが、そもそも日本の民営化は、海外の民営化のように、水道や鉄道、郵便や通信など、地域独占事業も子育て、介護などの民営化もいずれも公が行っていた事業に手厚い補助金を出して運営させる方式で、ほぼリスクなく営利活動を行えます。  海外で民営化すると、事業者は利益を大きくするため、インフラ整備を怠ってコストを下げたり、料金を上げて売り上げを大きくしようとしますが、日本の民営化の場合、インフラ整備は例えば保育園で16分の15という手厚い補助金で整備できます。リニアモーターカーが低利で3兆円もの財政投融資を受けたり、蒲蒲線の補助金の協議が長引いていることでもわかるように、民といっても官と同じように、インフラ投資への補助金も厚く、運営費も公定価格で定められていて、売り上げも確保できるのが日本の民営化です。そもそも委託費や協定金額で売り上げが確保される仕組みですから、市場経済競争で価格が下がることもありません。言ってみれば、現場で公務員が運営していたところに、株式会社などが入るようなものというわけです。  これまで大田区が民営化で価格が下がったと言っているものは、わずかに認可保育園と特別養護老人ホームと高齢者在宅サービスセンターですが、認可保育園は国の補助金が入り、大田区の一般会計予算の総額が増えたと言っているにすぎず、国の補助金も大田区の一般財源も私たち区民が負担している税金です。それより縮減した一般財源を何に使っていたのかが気になるところです。  平成30年度予算の福祉費や扶助費の割合は、昨年度に比べて減っています。縮減して、国でも都でもできる土木建設に使っているのでは意味がありません。大田区は、社会保障の責任主体なのです。価格は下がらない、競争はない、だから競争ではサービスはよくならない、しかも現場で働く人の低賃金が問題になっている。これが、今の大田区の民営化の現実です。その上、できた保育園は区立だと区民の財産ですが、株式会社が保育園をつくると、土地や建物は株主の資産になります。本当に民営化をして効果はあったのでしょうか。  大田区のアウトソーシング指針には、民でできることは民でと書いています。そこで伺います。民でできないこととは何でしょうか。 ◎堀江 経営改革担当課長 区民ニーズが多様化する中、さらなる区民サービスの向上を図っていくために、区では大田区アウトソーシング指針に基づきまして、民間にできることは民間に委ねることを基本に、多様な主体で区民ニーズに応える仕組みとして、民営化を含めたアウトソーシング手法を導入してございます。  民間にできることは、民間に委ねるべきでございますが、その一方で、アウトソーシングの導入の検討にあたり、留意すべき事務事業もございます。  公共サービスには、法定受託事務など法令の規定により、区が直接実施しなければならないものがございます。このことは、公益に与える影響や、その公平性に鑑み、公務員の全体の奉仕者としての位置づけや、服務規律の適用などから、公務員としての身分を有するものがこれを行うべきものとされているところでございます。  また、税の賦課の決定業務や許認可業務などの公権力の行使にあたるものも、区が直接実施すべきものと考えてございます。  加えまして、政策の企画立案、調整・決定、予算の調整、条例案の作成、補助金の交付先の決定、不服申し立ての審査など、区がみずから判断する必要があるものもアウトソーシングに適しないものでございます。  なお、こうした業務につきましても、その中心となる行為の前後に位置する準備行為や事実行為につきましては、ほかの業務から切り分けることにより、アウトソーシングの活用を検討することは可能でございます。  一般的には、定型的・機械的な業務につきましては、アウトソーシングに適している一方で、業務の実施にあたりまして、裁量の余地の要素を相当程度含む業務につきましては、アウトソーシングの導入にあたり、慎重な検討が求められるものと考えているところでございます。  なお、アウトソーシングの導入後におきましても、国などの動向に十分に留意をいたしまして、法令等の改正の際には速やかに対応できるよう、情報の収集に努めてまいります。 ◆奈須 委員 アウトソーシングの趣旨に書いてあることなのですけれども、そこにも書いてあるように、今ご答弁にもあったのですが、業務を切り分ければ、法定受託事務であっても、税の賦課や許認可であっても、政策立案でも、部分的に委託をすることができてしまうわけですね。  ですから、政策立案でシンクタンクに何千万円もかけてお願いしてみたりとか、生活保護の相談や窓口業務みたいなものがどんどん委託されたりということがあるので、細分化して、委託すれば委託するほど公がやるところがどんどん小さくなって、私などは、最後に残るのは選挙で選ばれる区長と議会と教育委員ぐらいしか残らないのではないかなと思うような。ですから、これはどう運用するかということがとても重要なのではないかなと思います。  そうした意味では、民にできるかできないかだと、民にできないことはないわけなのですが、何を官が担うのか、何を担ってきたのか、ここを忘れてはならないと思うのですね。  官が行ってきたのは、公務員が全体の奉仕者として位置づけられているからです。だからこそ、公務員には服務の宣誓があるのではないでしょうか。皆さんもしましたね。例えば、大田区は、昭和26年10月16日に制定された職員の服務の宣誓に関する条例で、「私は、ここに、主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重し、かつ、擁護することを固く誓います。私は、地方自治の本旨を体するとともに、公務を民主的かつ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、全体の奉仕者として、誠実かつ公正に職務を執行することを固く誓います。」と。こう皆さんはお誓いになり、今こうして公務員としてお勤めになられているわけで。ここに、教育委員会ですと、地方自治の後ろに「教育」ということが入るわけですね。  株式会社は株主利益最優先、株式会社の社員は株主の利益を最大化するために働きます。区の仕事を担う株式会社の社員は、区の仕事を担うことで、自分の勤めている株主利益を最大化するために働くわけです。株主利益を最大化しないで働くと、大企業の役員の皆さんがよくおっしゃっていることなのですけれども、例えば法人税減税、「私個人としては下げてもいいと思っているけれども、株主訴訟が怖いのだ」という発言をなさる方もいるそうです。今や日本の株式会社の体系というのは、株主利益を最優先にしなければ、場合によっては、株主訴訟もあるかもしれないという状況になっているわけですね。  そして、株式会社に、大田区の住民福祉・社会保障を担わせると、税金の一部が株主の資産になったり、配当に使われたりします。私は、その分無駄なコストがかかる効率の悪い税金の使い方だなと思うわけです。  長い間株式会社を公共、特に社会保障分野にさせなかったことには意味があります。非営利法人、社会福祉法人、学校法人、医療法人に、日本の社会保障・教育・医療を担わせてきたのも、剰余金の分配や持ち分の分配や残余財産の分配を禁じているからなのですね。  また、個人資産形成には補助金を出してはならないというのも、大切な原則だったと思いますが、株式会社が建設する保育園に、16分の15もの補助金を出すということが日常化しているのが現状です。こういう中で、株式会社に社会保障を担わせるなら、やはり何がメリットなのか。明確なメリットが必要なのではないかなと思います。  そこで伺います。大田区は、社会保障分野に株式会社の参入が許されたのが2000年です。それまで、株式会社は社会保障に参入できませんでした。どうしてできなくて、どうしてできるようになったのでしょうか。  また、大田区は、なぜ社会保障分野に株式会社の参入を許しているのでしょうか。国が決めたからですか。 ◎堀江 経営改革担当課長 委員お話のとおり、平成12年(2000年)になりますが、社会保障などの公共サービス分野におきまして、民間参入の拡大などの規制緩和が行われました。  規制緩和以前は、公共サービス分野におきましては、行政が直接、住民に対してサービス提供をすることが一般的でございました。  しかし、民間の多様なサービス産業が発展してきている中で、公共サービスの提供につきましても、民間事業者に委ねていくことで、今まで以上に、多様なニーズに対応したサービスを提供することが可能になってきた背景もございました。  また、政府におきましても、行政改革委員会を設置いたしまして、行政が時代の変化に十分に対応することなく拡大を続けてきたとの問題意識のもとで、行政の活動領域やその関与のあり方につきましても議論が重ねられてきたところでございます。  こうした議論を経まして、平成8年、政府の行政改革委員会が、「行政関与のあり方に関する基準」を示しまして、民間でできることは民間に委ねる、国民本位の効率的な行政を実現するなどの考え方のもとで、民間の参入が認められていなかった公共サービス分野につきましても、多様な民間の導入を可能とする規制緩和が行われたところでございます。  社会保障分野における一例でございますが、保育所につきましては、保育所を設置しやすくし、地方公共団体が、保育所入所待機児童の解消等の課題に柔軟に対応できるようにする観点から、平成12年に、保育所設置に係る主体の制限撤廃が行われますとともに、公立保育所の運営の委託先に係る制限につきましても、同様に撤廃されたところでございます。  続いて、いただきましたご質問でございますが、株式会社の参入を許しているのかという点でございます。区といたしましては、アウトソーシングの担い手として、株式会社等の民間事業者、社会福祉法人、一般または公益の社団法人・財団法人、NPO法人などの多様な主体を考えており、それぞれの団体がその強みを生かして区民ニーズに応える仕組みづくりを行うことが、区民サービスの向上につながるものと考えてございます。  したがいまして、株式会社につきましても、アウトソーシングの担い手の一つとしては考えておりますが、選定にあたりましては、例えばプロポーザル方式により公募をして、厳正なる審査を行うなど、実施主体の妥当性につきましてはしっかりと検証を行った上で、その参入について適切に判断していく必要があるものと考えているところでございます。 ◆奈須 委員 ぜひ、この特徴を見きわめていただきたいと。そういう意味では、株式会社を参入させたことの効果の検証ということが、非常に重要になってくると思います。  これまで株式会社を参入させた、特に保育の分野においての効果というのは、非常に抽象的な言葉でしか語られてきていないわけですね。  しかも、多様なニーズに対して対応するといった国の考え方はありますが、では必要な需要もきちんと、株式会社を参入させたことによって、私たちは受けられているのかと言えば、最低限の必要な需要でさえ満たされていない現状になっているわけです。  しかも、大田区で民営化、民間委託が始まったときには、多様な運営主体の中から選べると大田区は言いました。ところが、私たちは選べるどころか、認可保育園に入ることもできずに困っていらっしゃる区民の方もたくさんいらっしゃる状況です。  こうした状況の中で、私たちは本当に株式会社を入れてしまってよかったのかということは、考えていかなければいけないのではないかなと考えております。民営化が始まりまして既に10年がたっているわけですから、抽象的な説明だけではなく、具体的な検証というものを求めたいと思います。  民営化の保育園の問題というのは、コストが下がらない、サービスが向上しない、株主配当や個人資産形成につながるだけでなく、給付している公定価格相当が保育士には支払われないという問題があります。  そこで伺います。認可保育園に処遇改善費用や家賃補助、大田区独自の手当を支給しているのはなぜでしょうか。 ◎間 保育サービス推進担当課長 とりわけ大都市圏では、保育ニーズが保育所整備計画を上回るという状況がございまして、さらなる保育所の増設が必要であると。あわせまして、保育士の確保が大きな課題となってございます。  保育士不足には、長時間労働や子どもの命を預かる重責などに対して、給与等が見合っていない処遇上の問題が背景にはございます。  厚生労働省の平成27年度賃金構造基本統計調査から、保育士の給与水準は、全産業の平均よりも月およそ10万円低いという新聞報道もございます。このようなことから、この間、国・東京都におきまして様々な処遇改善策が講じられ、平成24年度からの5年間で約10%以上の給与改善が図られております。  また、国の制度である保育従事者宿舎借り上げ支援事業の制度につきましては、今年度、東京都がその対象者の勤務年数の制限を撤廃するなどの拡充をしてございます。  区は、このような国や東京都による保育士処遇改善策を最大限活用するとともに、今年度から新たに、経験年数に関係なく、保育士個人に直接支給する保育士応援手当を実施しております。この制度では、区内の保育施設に6か月以上継続勤務していることを支給要件とすることで、保育士の定着を図るとともに、地域に住む潜在保育士の掘り起こし等、新たな人材確保にもつながると考えてございます。  こうした国・都の施策と区独自の補助制度の組み合わせた処遇改善によりまして、引き続き、保育士の確保、定着支援を図り、保護者が安心できる保育環境の整備に努めてまいりたいと考えてございます。 ◆奈須 委員 今のご答弁ですと、保育士のお給料が少ないから、それに対してちゃんと人材を確保するために、家賃であったり、給料の手当の部分を上乗せして払いましょうということだと思うのですが。公定価格では、保育士の賃金というのは、たしか年間の正規の職員でも454万円が最低だったと。それに相当する金額が、公定価格の中に盛り込まれた形で給付をされている。  しかも、東京というのは地域の加算があって、地方などに比べると20%割り増しになっているわけですね、保育士の人件費の算定は。というのはなぜかというと、やはり土地が高くて、暮らしていくにも家賃も高いからという部分も含めて、処遇に影響させなくてはいけないということで、公定価格はきちんと算定がされているわけなのですが、算定されていないから払うのですか。それとも、算定しているのがわかっていてお支払いになっているのでしょうか。もう一度お伺いいたします。 ◎間 保育サービス推進担当課長 公定価格を算定させていることは存じ上げておりまして、それに区独自の補助の上乗せをしておるというところでございます。 ◆奈須 委員 民営化や民間委託先の従業員の給与というのは、今の答弁でもわかると思うのですけれども、委託費や公定価格では、公務員に準拠するような形で給与は算定されているのです。算定されていて、事業所にも支払われている。何が問題かと言ったら、支払って、受け取っている事業者のほうでそれを賃金に回していないから問題だと、私は考えるわけなのですが。そこで伺いたいわけなのですけれども、保育士の低賃金というものの、犠牲があった上での民営化とは考えないでしょうか。 ◎堀江 経営改革担当課長 民営化した事業につきましては、福祉サービス第三者評価、モニタリング、法人監査、指導検査などにより、区が民間事業者の事業の実施状況や経営状況等を把握いたしまして、必要な指導、助言を行っております。民間事業者によるサービスの質の確保や、公共サービスの提供に従事する従業員の適正な労働条件の確保に努めているところでございます。  したがいまして、民営化した事業におきましては、安定したサービスの提供を確保しており、住民福祉の向上に寄与しているものと考えているところでございます。 ◆奈須 委員 先日の一般質問のところでも、同じご答弁がありました。こういう労働条件の確保に向けて、適正な指導とか助言をしていくのだよということなのですけれども、これは、指導をしてきたのでしょうか。どう指導をしてきたのですか。書面で、文書で、どう行ってきていますか。それともやってきていないけれども、これからやるのでしょうか。 ◎白根 保育サービス課長 保育の質の確保や処遇の面におきましては、指導・検査や巡回支援、それから拠点園における連携推進によりまして、確認、それからサポートを行いまして、保育の実施者としての責任を果たしております。
    ◆奈須 委員 違いますよ、この間の答弁で、民間事業者に指導・助言などを行うとともに、保育士の処遇改善などにも取り組んでいると書いてあるので、指導・助言というのは、過去に既にやっているのか、これからやるのかということを聞いているのですけれども、どうなのですか。 ◎白根 保育サービス課長 これまでもやっておりますし、これからも引き続きやってまいります。 ◆奈須 委員 文書で、きちんと指導・助言しているということでよろしいのでしょうか。 ◎白根 保育サービス課長 当然指導・検査の中では、口頭のみならず、文書でも指導しております。その改善も見られてございます。 ◆奈須 委員 そうなると、税金できちんと給与分が支払われている事業者がいるにもかかわらず、その事業者が真面目にちゃんと払わなくて、保育士の低賃金が問題だからといって、大田区が独自に手当を出しているとなると、きちんとその事業者が受け取っているものを払っていないのに、新たな手当を払っている分は、場合によっては監査請求にも値するのではないかなと思ったりするのですが、そのあたりはどうなのですか。事業者が払っていないのに、区が払っていいのでしょうかね、税金の使い方として。 ◎白根 保育サービス課長 払われているという確認はさせていただいておりますし、そのようなことのないように指導・検査をしております。 ◆奈須 委員 454万円が最低でも相当で払われているのだったら、手当を給付する必要はないのですよ。さっきの答弁の中で、全国の賃金の平均が低いから、独自に家賃補助も手当もやっていると言っているのに、払われているという答弁は矛盾していないですか。 ◎白根 保育サービス課長 応援手当の目的というのは、処遇改善的な面もございますけれども、直接その口座に払われることによって、実感していただくという目的もございます。 ◆奈須 委員 いっぱい矛盾はあるのですけれども、切りがないので。そうなったら、指導する意味もないのではないかなと思うわけなのですけれども。  手当や処遇改善費用のための支給ではなくて、受け取った補助金分を保育士に支払わせるということが、大田区の役割だと思いますよ。補助金を支給して、処遇改善費用も支払い、保育士には全額支払われず、配当や内部留保や資産所得に流れるのは、株式会社が全体の奉仕者ではなく、株主の利益を最優先にしているからではないでしょうか。  そこで伺います。大田区の認可保育園の運営経費は、区立と民立でかかっている税負担がほぼ同じで、民営化園だと保育士が低賃金になります。他の民営化や民間委託も同じ構図だと思います。それでも株式会社による民営化園を選ぶのは、どうしてなのでしょうか。 ◎白根 保育サービス課長 区は、区立保育園を移管する形で民営化を行い、保育環境の継承と維持、延長保育など、新たなサービスの充実、創意工夫による経営の効率化、こうしたことを目的に、平成19年度から計画的に進めてまいりました。  これまでに民営化した区立保育園は、平成30年4月1日に移管いたします、大森南保育園と相生保育園を含めますと、合計17施設でございます。これを運営法人別で見ますと、社会福祉法人が15施設、学校法人が1施設、そして株式会社が1施設となってございます。  また、事業者についてでございますけれども、東京都内及び埼玉県、千葉県、神奈川県といった大都市圏で運営実績のある法人に対しまして、公募のプロポーザルを実施しております。その上で、財務の審査、保育園事業の運営実績、保育士の確保や人材育成など、様々な観点から厳正な審査を行っており、決定をしております。 ◆奈須 委員 保育園は、繰り返しになりますけれども、コストは下がらない、サービスはよくならない、競争では。そもそも競争がない、その上現場の保育士は低賃金。ところが今の答弁の中でも見られるように、経営の効率化というわけですね。どこが効率化されているの。大田区の公務員の皆さんの、職員が楽をするための効率化だったらだめなのですよ。あるいは民間の事業者が経営の効率化で賃金を下げて、そこから株主配当を取るようなことではだめだと思います。  そうではない効率化というのは何なのかということをもっと突き詰めて考えていかないと、この公の分野、特に社会保障分野に株式会社を参入させたということの影響は、私は本当に大きくなって大変なことになると思っています、本当に。ここのところを国に言われたから、確かに皆さんはご苦労をする気持ちはわかります。すごく皆さんの気持ちの中では、公務員のマインドというのは、私なんかよりもずっときちんとたたき込まれているので、この私がにわか勉強でこんなところで言うのはお恥ずかしいぐらいですけれども。でもやはり、具体的な施策の中で実現をしていかないと、今の世代の働いている人たちや、私たちの子どもの世代やまたその先の世代のことを考える。あるいは税金の使い方ということを考えると、私は本当に恐ろしい気持ちになります。  こういった、言ってみれば、国が構造改革とか行政改革とかという中で進めてきてしまったことに、大田区が財源的にも、あるいは施策的にも縛られる形の中で、どうしても選択できないような方向に誘導されているようになっているのもわかりますけれども、これを続けていることで、私は、一つすごくおかしいことが起きていると思うのですよ。  それが、一番最初の質問なのですが、民でできることは民でということで進めていますと言っていたら、今や民でできることを官でやるようになっていますよ。例えば、レンタサイクルの問題。いろいろなところであると思います。イベントが行われたりだとか、あるいは民間事業者が開発すればいいのではないかというものまで含めて、民がやればいいのに、官が関与することまで出てきているわけです。民でやることは民でと言っていながら、民と官のすみ分けがぐちゃぐちゃになっている状況というのは、何で営利企業に参入を許したのか、公共サービスとは一体何なのか、公務労働とは何なのかということをもう一度考えていかないと。それこそ、答弁の中にもありましたけれども、ニーズが多様化しているから、多様化しているニーズに全部応えていたら、市場経済と同じになりますよ。簡単に参入できてもうかるものだったら、リスクをとっていただいて、民間企業がやればいいと思うのですね。民でできることも、官がやるようになってしまったのはどうしてなのでしょうか。 ◎堀江 経営改革担当課長 区は、限られた財源を有効に活用しまして、区民サービスのさらなる向上を図ることといたしております。民間にできることは民間に委ねることを基本に、多様な主体との連携を図っているところでございます。 ◆奈須 委員 限られた財源で民間にお願いするとどうなるか。民間は、民間のマーケットの中から資金調達をします。ということは、コストの高い資金を調達し、その利息分まで含めて、私たちが税金で払うということです。  これは本当は、PFIのところでやろうと思っていたのですけれども、いわゆる区債のところでね。全部同じです。投資のところが同じことですよね。民間の資金を活用することによってできると言いますけれども、その分でどれだけコストが高くなっているのか。  加えて言えば、民営化をすれば、経営内容は不透明になりますから、一体幾らの利益率で民間の事業者が区の事業を担っているのか、大田区は、少なくとも私たちに出していませんし、多分皆さんもおわかりになっていないのではないかなと思います。説明は受けているかもしれないけれども、現実には幾らになっているのか、出ていないわけですよ。  先日もフランスのパリ市の元副市長が水道を再公営化したときに、元の事業についての利益率、大体7%ぐらいと事業者に言われていたけれども、ふたをあけてみたら、どうも15%から20%ぐらい取っていたのではないかと思われると言っていました。  このように、経営もよくわからない、区民の税金は一部の人たちの利益や資産に流れてしまう、その上現場の人たちは低賃金という民営化のあり方については、考えるべきだと思います。  さっきおっしゃっていたように、確かにニーズは多様化し、民間でやるといいお仕事をしていただけるものも、もちろんあると思います。でも、そことの切り分けをきちんとしていかないと、本当に大変なことになると思うのですが。  最後に一言あれば、どうぞ。なければ、私がこのまま続けますが。 ◎堀江 経営改革担当課長 繰り返しになりますが、区は限られた財源を有効に活用いたしまして、多様な主体と連携をすることにより、区民ニーズにしっかりと応えてまいりたいと考えているところでございます。 ◆奈須 委員 民間の資金と言いましたけれども、区債を発行すれば、低利で認可保育園の整備はできました。この間大田区は、大田区の土地も建物もあったにもかかわらず、大森のLuzでは民間の何かにぎわいのために使ったりと。使えない土地はなかったわけですよね。そういうことをもう一回検証した上で、改めて考え直していただきたいと思います。 ○深川 委員長 次に、改革、質疑願います。 ◆湯本 委員 白熱した議論の後でございますので、引き続き、私も気合いを入れて質問に立ちたいと思っております。闘う改革の会の湯本でございます。  東日本大震災から7年間がたちました。ちょうど震災が起こったときに、この議場におられた方もたくさんいて、私もその一人でありましたが。この間防災訓練がこの議場でありまして、まさにあのときの情景というか、光景が本当に頭の中にフラッシュバックするたびに、防災対策というのは非常に重要だなということを身にしみて感じているところであります。今日は、防災についてお伺いをしていきたいと思います。  学校防災活動拠点という、今、防災活動を地域の中で、行政が指導しながら、地域の皆さんと一緒に学校を防災活動拠点にする様々な取り組みが行われており、私も町会の会員の一人としてこの活動に参加をしております。  今までの防災訓練と違うのは、何というのですかね、でき上がったところに区民の皆さんが来てもらって、参加をしてもらう。要は指導するのは行政側であったり、または町会の一部の方という形ではなくて、例えば、こういう被害が起こるということを想定した場合、今のこの状況で何ができるのかということを、みんなが実際に動いて、防災訓練の中で対応しながら、最後に何が足りなかったのか、もっとこういう改善点がある、こういう環境が整えばいいという話し合いをしている状況が学校防災活動拠点にあり、私はこの活動に参加をしていて、非常に有意義な会議だな。今までの防災訓練よりも大分、何というのでしょうかね、みんなも実感がこもって、お客様ではなくて、プレーヤーの一人として防災活動に参加をしているという部分が、非常に評価ができるなと思います。  この議論をしていると必ず出てくるのが、これだけの被害想定をしているのに、こんなぜい弱な環境で対応できるのですかという声がたくさん出てきます。例えば、出てきたのは、実際に負傷する人、火災に巻き込まれる人、瓦れきの下敷きになってしまう人たちの救出にあたらなければいけない。救出にあたることがいいかどうかは別にして、集まった皆さんの議論の中ではそういう会話になって、そのときにスコップが4本しかない、これで大丈夫なのかという話があり、大丈夫ではないのだからスコップを用意しようよ。ではスコップは何本あったらいいの、スコップは最低でも2、30本は欲しいよねという議論になってくるのですね。2、30本のスコップは、確かにその方からすれば命を守る大切な防災対策だから、より充実した環境を整える。これは、みんなにとって大事なことなのだから、そこは予算をしっかりつけてでもやるべきだろう、という市民感覚の方が非常に多いのですが、そうは言っても、スコップはすぐにそろえられないよね、明日来てしまったらどうする。または、例えばスコップを買えたとしても、それをどこに保管するの。ここにいる人たちが、今集まっているメンバーがいるけれども、実際来られなくなってしまうかもしれないよね。  様々な議論の中で感じたことは、足らないものがあったら、防災なのだから、これはしっかりと準備をして、充実した環境をすぐにでも整えなければいけない。そのために予算を惜しむべきではないのではないのという、青天井の議論になってしまっている。ここに、行政の立場も理解する、区議会議員をしている私が町会員として参加をしているのですが、それを見ていて、これは行政が立てていこうとしている計画と市民感覚とのギャップがあるなと思いました。  そこで、今日お伺いをしたいのですが、区民の皆さん、参加をしている防災に対して意識のある、ない方でもいいのですけれども、この方々に対して、一体どの程度の被害想定をして、今防災対策の準備にあたっているのか。この部分について、まずお伺いをしたいと思います。 ◎甲斐 防災計画担当課長 区の地域防災計画は、平成24年4月に、東京都防災会議が発表した首都直下地震などによる被害想定を前提としております。  この被害想定によると、区の大部分で震度6強の揺れが想定され、最も厳しい状況では、死者約1,000人、負傷者約1万人、建物被害約4万3,000棟に及ぶ甚大な被害が、区内全域で発生する可能性があります。  この結果、避難所生活者は約23万7,000人となり、ライフラインも大きな被害を受けることから、長期の避難生活を余儀なくされることが想定されています。 ◆湯本 委員 被害想定というのがどの程度のものなのかを具体的にわかりやすく、これは多くの方が共有をしていかなければいけないのだろうと思うのですね。これに向けて準備をしているけれども、すぐに100%の環境が整うわけではなくて、限られた予算と、さらには時間、またはその環境を整えるために様々な機材を調達しても、それを保管する場所といったものを順次計画的に環境をつくっていかなければいけない。ただ、災害というのはいつやってくるかわからないから、明日来るかもしれないし、10年後かもしれない、30年後かもしれない。その状況の中で、防災計画というのは練られて、環境を整えていっているのだということを多くの方々に理解していただきながら、様々なことを防災対策の中で、官民一体となって練り上げていく必要はあるのだろうと思います。  行政のイメージとして、最近減災という言い方をするようなのですけれども、ダメージをなるべく減らすという感覚で防災計画をつくっていく、または防災対策の運用をしていくというイメージがあるのですが、なかなか減災といわれると、住民の皆さんは、災害に対してなるべく被害を少なくするのだなというイメージはわくと思うのですが。それが実際どういうことなのかといったことが、具体的な防災活動の中だったり、または防災訓練の中で感じとることというのが、私は今は困難な状況があるのかなと思っております。  大切なことは、例えばスコップ4本の話があったのですけれども、4本で何ができるのだという話がありました。だけれども、逆を言えば、スコップ4本で何ができるのかなという考え方で、今我々ができることというのは何なのかという視点に立って物事の議論をして、どういうことができるかという話をしませんかという議論に切りかえていったら、非常に生産的な話になったのですね。  その手前にあった議論というのは、あれが足らない、これが足らない、足らないものは結構出てきましたよ。毛布が足らない、スコップは足らない、発電機は足らない、トランシーバーはもっと必要、燃料をもっとよこせ、ストーブも足らない、これだけではないと思う。これは私の言っている活動拠点の一例ですから、大田区全域を合わせたら、多分こんなものではないと思うのですね、いろいろ出てくると思うのですが。これを全部そろえていたら、多分予算なんかはなくってしまいますし、これをそろえるための時間も必要だと思うのです。  こういう足らない状況のリクエストのオンパレードに、どうしてもなりがちなところなのだけれども、そうではなくて、今ある環境の中で何ができるかな。もっと言うと、スコップが足らないのだったら、このまちにスコップはないのですか、この近所にスコップを持っている人はいないのですか。何かがあって災害があったときに、必要なときはスコップを貸してくれるような防災協定をまさに活動拠点と地域で結べば、スコップをわざわざ買っておく必要も、保管する必要もないかもしれない。これは全てのことに言えるのだろうと思うのですけれども。それこそまさに、知恵だとか工夫だと思っているのですね。  ここで伺いたいのは、こういう感覚の違いについて行政はどう考えているのか、この点についてお伺いをいたします。 ◎甲斐 防災計画担当課長 区の防災に対する考え方は、自助・共助・公助の連携により地域力を結集して防災力を向上させ、大規模な災害に立ち向かうというものです。  中でも、共助につきましては、自分たちのまちは自分たちで守るという理念に基づいて、これまで防災市民組織の結成や学校防災活動の拠点化に取り組んでまいりました。  他方、共助を充実するための取り組みが進展する反面で、これらの活動の中核となっている自治会・町会の皆様の負担感が大きくなってきた実態があります。このようなことが、委員お話の認識の相違等につながっているものと考えております。しかしながら、共助の役割は大変重要であり、到底公助で代替することはできないというのが、大規模災害の教訓です。  地域の皆様の実情を踏まえ、負担感が大きくならない範囲で、共助への取り組みを進めることが重要であると考えます。 ◆湯本 委員 多分こういうことを地域でもお話をされていると思うのですけれども、多分、あまりにも難し過ぎて、何を言っているのか理解ができないと思うのですね。もうちょっと、これから防災対策を論じていくというか、これはまさに役所がつくればいいというものではなくて、市民レベルで理解をしてもらわないと困ることなのですね。  実際に起こったときに、役所が全てできるわけではなくて、市民の皆さんが困窮した状況をみんなで乗り越えていかなければいけない状況が、これは東日本大震災でも起こっておりますから、そういう状況が来たときに乗り超えていくために、一歩踏み込んで、100%の防災計画というのはあり得ないのですよと。近づけるための努力はするけれども、それはあり得ない。  万が一起こってしまったら、その不満を言ったところで、それは何の解決にもつながらないから、今ある環境で何ができるか、このことを考えられるような防災訓練だとか、防災対策を市民レベルでみんなでつくっていきましょうよというところにもう少し踏み込んで、わかりやすくメッセージを、行政としても発信をしていく必要があるのだろうなと思っております。  さっき防災については、ある程度予算を多少高く見積もっても、支出する必要があるのだという議論がありました。必要な部分というのは、私もそういう感覚を持つべきだろうと思います。  しかしながら、青天井で何でもできるのではないという感覚も、一方で持っておく必要があると思います。行政としては、引き続き、安全な環境や安心できる地域をつくっていくために、計画的に防災環境を整えっていっていただきたいですが、今ある現状の中で何ができるのか、この視点を市民の皆さん、区民の皆さんに、こういう視点を持っていただける取り組みを、大田区のほうから、行政のほうからも強くわかりやすく発信していただくことを要望して、質問を終わらせていただきます。 ○深川 委員長 次に、無所属の質疑に入りますが、馬橋委員の質疑に際しまして資料の掲示を許可いたしましたので、ご了承願います。  無所属、質疑願います。 ◆馬橋 委員 無所属の馬橋でございます。よろしくお願いいたします  まず冒頭でございますが、あさっての3月11日は東日本大震災から丸7年ということで、改めてお亡くなりになられた方にご冥福をお祈りするとともに、被災された方にお見舞いを申し上げたいと思います。  今、湯本委員から防災のお話もありまして、その前に犬伏委員からは防災というか、本庁舎の件についてのお話がありましたが、冒頭にお話をさせていただきたいなということが一つ出てきまして。  先日、うちの自治会で防災士の方を講師に迎えて、被災時の調理実習というか、クッキングの練習をさせてもらいました。そのときにお話になったことがすごく印象的だったのですが、ちょうど今、国の中央防災会議のほうでも出ているそうなのですが、東京湾の首都直下型地震とか、東京湾の北部沖地震とかが起きた場合、東京電力の火力発電所が東京湾沿岸に13基あって、残りの二つが茨城県沖、もう一つが福島県にあるそうなのですが。15基のうち12基はほとんどだめになるのではないかということで、今まで3日間といわれていたものが、もしかしたら1週間、2週間、3週間と電気が使えないような時期もあるのではないかといわれているというお話がありました。その中で、施設改修とか、それから逃げなくていい防災のまちづくりというものに関しても、しっかり考え直さなければいけないなと思わせていただいたのですが、今日は、ちょうど自治会の中でいただいたご意見を、本当に原点に立ち返って、区民の方々からの貴重なご意見ということで、気づいた問題点について、質問を通してご提案をさせていただきたいと思います。  ちなみに、防災とは今回全く関係がないのですが、地元の地域の洗足区民センターというものがありまして、結論から言うと、そこの区民センターのトイレを改修してほしいという要望がまずあって、それから見にいってきました。その件について、ご質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、私自身もよくわかっていなかった部分が、すごく恥ずかしいところがあるのですが、老人いこいの家と、それから区民センターの高齢者施設をあわせて、通称というか、愛称でゆうゆうくらぶと今呼んでいます、大田区では。ゆうゆうくらぶについては、区内に24施設あるのですが、そのうちの7施設が区民センターの高齢者施設で、残りの17施設が老人いこいの家であります。  そのうちのほとんど、多くの施設で築30年以上を経過しております。非常に老朽化が進んできておりまして、地域の方がご利用される際に一番、私が今回自治会の方々から聞いてきたのと同様に、そういった生の声は、現場で管理運営をされていらっしゃる方々がたくさん聞いているのではないかなと思っています。  特に具体の施設の改善箇所とか内容とかといったものを把握した上で、予算の要望が上がってきていると思うのですが、実際に、予算案として、こうした議会の付議に至ることというのは非常に理解をしている上でなのですが、こうした声に十分耳を傾けて、まず適切に対応していただくようにお願いをしたいと思います。  その中で、今申し上げたように、ちょっとわかりづらいなと思ったのが、老人いこいの家と区民センターの高齢者施設がどちらも通称はゆうゆうくらぶなのですが、所管が地域力推進部と福祉部で分かれていまして、予算のつき方や使い方が全然違うなと思いました。  また、老人いこいの家は単一で予算立てされているのに対して、区民センターは施設全体で施設運営の予算が計上されているために、緊急性の低い高齢者施設へは、なかなか予算が回ってきていないのではないかなと感じています。  例えば、この間教えていただいたのですが、矢口の区民センターなどに関しては、昨年度はプールの改修などがあって、非常に高額の改修費用がかかったと聞いていますが、その分高齢者施設へは少し渋い配分になっているのかなと感じています。  特に区民センターのゆうゆうくらぶでは、予算特別委員会の資料4番、ご興味がある方は見ていただきたいと思うのですが、事務事業実績関係資料の15ページに載っています区民センターの利用実績というのがあって、これは29年度の利用実績で、区民センターは13万4,812人。13万5,000人に迫ってきているということで、去年が13万168人なのですね。4,000人以上増えているということで、パーセントで言うと約4%近く増えている。これが何を意味するかというと、やはりニーズが高まってきているのだと思います。今後も、そのニーズはどんどんと高まっていくのではないかなと感じています。  そこでまず伺いたいのですが、平成30年度予算では、福祉部では、ゆうゆうくらぶの老人いこいの家を中心に地域の憩いの場づくりを進め、介護予防の拠点拡充を図るとして、6,807万8,000円の予算を計上しています。  同じゆうゆうくらぶなのですが、ゆうゆうくらぶを併設する区民センターでは、高齢者の介護予防の取り組みなどは特に上がってきていないのですが、この点についてはどのようなお考えでしょうか。 ◎小泉 地域力推進課長 区民センターは、集会室や体育室などの利用に関する事業とともに、高齢者及び老人クラブに対する教養の向上、レクリエーションなどの場の提供並びに高齢者の健康の増進に関する事業を行う施設として、高齢者の方々が、囲碁将棋やサークル活動、健康体操など、様々な活動でご利用をいただいております。  ここ数年は、区民センター主催で、高齢者向けの健康増進事業を増やして、新規利用者の開拓にも取り組んでおり、今後も、老人いこいの家のゆうゆうくらぶと同様、高齢者の心身の健康増進を図ってまいります。 ◆馬橋 委員 ぜひお願いしたいと思いまして、今ご答弁にも、同様にというお言葉もありましたが、ぜひ福祉部とも連携をして、サービスについては、一貫したサービス向上をぜひ推進していただきたいなと思います。  今申し上げさせていただいた福祉部のほうの拠点づくりなのですけれども、中身を見ると、例えば、午前中に介護予防を実施するとか、通いの場を提供するとか、あとは、一番目立つのは、広間の畳をフローリングに整備をするということで、2,824万3,000円余が計上されています。  資料の掲示をお願いしたのは、先日、洗足区民センターに行って、所長に施設の中を一緒に回って見せていただいたのですけれども、例えばお手洗いが、すみません、本当はタブレットに配信をしたかったのですが、すっかり忘れておりまして、紙での掲示で申しわけありません。これは男性用の2階のお手洗いです。具体的な個別の施設を出して申しわけないのですが、2階に大きな広場があって、54畳の畳敷きの広場があります。ここで地域の高齢者クラブの方々が集まりをやったりするのですが、これが2階の廊下なのですけれども、非常にしみがついていたりとか、かすれて床の部分がはげてきていたりとか。  あとは、お手洗いを撮ったところなのですけれども、私なんかが中に入ってみると、体が大きいもので、しゃがむと背中が後ろについてしまうという。ご高齢の方の中には、体が大きい方も小さい方もいらっしゃると思いますが、非常に高齢の方の中には足が悪くてしゃがむのが辛くて、和式のトイレが使えないとかといった方もいらっしゃいます。非常に切実だなと、私は感じました。  特に区民センターに関して言うと、どうしても、修繕に関しては緊急性があるかどうかといったものが、まず念頭に出てくるのだということは理解はしておるのですが、やはりお手洗いというのは、人間が生きていく上で非常に大切な設備だと思います。お手洗い以外にも、廊下とか、畳敷きなども見ていただきましたが、ぜひ考えていただきたいなと思っています。  特に具体的な声で言うと、お手洗いが使えないとか、狭くて中になかなかうまく入れないとか、足が痛くてしゃがめないとかで。畳に関しても、畳がかすれて、座ったり立ったりすると、私は畳であんまり長く生活をしたことがないのでわからないのですが、畳の草が舞って、喉に入って喉が痛いとか、そういった声も地域の方からは聞いています。  ぜひ改善をお願いしたいと思うのですが、まず一つ、最近ではどのような修繕を行ったか、また、必要な修繕に関してどのようなお考えを持っていらっしゃるか、ご意見をお願いいたします。 ◎牧井 雪谷特別出張所長 今年度は、2階図書室系統空調機修理工事、大広間空調機ドレン配管改修工事、第一・第二和室空調機リモコン修理、第二集会室照明器具安定器交換、1階ロビー壁面改修工事、2階廊下サッシクレセント交換、追炊き熱交換器交換、給湯器取替工事、軒天井補修工事、体育室照明器具安定器交換工事等を行っています。  洗足区民センターは、昭和44年に建築され、老朽化への対策が必要になっています。大田区公共施設等総合管理計画にも示されているように、洗足区民センターは更新の検討を要する施設とされています。そのため、施設の使用の安全性にかかわるなど、緊急性の高い工事を優先して対応しているところです。 ◆馬橋 委員 今おっしゃっていただいたように、この施設も40年近く使ってきているということで、ぜひ考えていただきたいのですが。  伺った中で、30万円までの小破修繕に関しては、施設のほうで責任を持ってやれる。その上に関しては、120万円までは地域の出張所の管轄になって、大きなものに関しては地域力推進部のほうの管轄になると伺いました。  高齢者にとって、大きな楽しみの一つは、この間も私、雪谷の福徳クラブという高齢者クラブがあるのですが、そこの会長にもお話を伺ったのですが、一つの楽しみとしては、習い事をしていて、習ったものを誰かに見せたいとか、あとは一緒にやっている方たちと共有をしたい、共感をしたいということが生きがいの一つになっていると伺いました。  そういう中で、特に、さらに言うと、区も、これからフレイル予防とか、プレシニアの地域参画とかといったところに力を入れていこうという中で、区民センターの高齢者施設に関しては、非常に重要な拠点になると思っています。  先ほど述べたように、ニーズ自体もどんどん高まっているということでありますので、ぜひ緊急性を、もしかしたら要さないかもしれないけれども、やはり高齢者の方々を含め、地域の方々の区民サービス・区民ニーズの満足度の向上に向けて、取り組みを進めていただきたいと最後に要望させていただいて、終わりたいと思います。 ○深川 委員長 会議が長時間にわたりましたので、しばらく休憩いたします。                午後3時05分休憩                午後3時30分再開 ○玉川 副委員長 ただいまから、予算特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、第2款、総務費の質疑を続けます。  自民の質疑に入りますが、岸田委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可し、タブレット型端末に配信いたしましたので、ご了承願います。  自民、質疑願います。 ◆岸田 委員 事項別明細書の123ページ、総務費、観光国際費、文化施設建設費、(仮称)勝海舟記念館の整備について、お伺いいたします。  やっと、(仮称)勝海舟記念館の増築及び改修の工事が始まりました。大分長い時間を待たされましたが、地域の方々は大変楽しみにしております。勝海舟のお墓の周りも、そろそろ整備が完了すると思います。いろいろご尽力をいただきまして、ありがとうございます。この進捗と内容について、今わかっている範囲でお知らせしていただきたいと思います。 ◎五ノ井 観光・国際都市部副参事〔文化計画・施設担当〕 (仮称)勝海舟記念館は、昨年12月に建築工事の契約をいたしまして、本年1月に着工しております。現在は、国登録有形文化財である既存棟について調査のもと改修に入り、増築棟側では傾斜地の造成に入ったところでございます。  また、記念館内部の展示什器などを製作する展示制作委託につきましても、現在プロポーザルを進めており、3月下旬には業者と委託契約を締結する予定でございます。  建物、内部を含め、工事が順調に運ぶよう、関係部局と連携を図り進めてまいります。 ◆岸田 委員 しっかり、遅れないようにやっていただきたいと思います。  以前、私の質問でのお答えで、(仮称)勝海舟記念館の開館に向けて、今年、平成30年は、江戸無血開城150年。そして明治維新から150年。これを機会に、(仮称)勝海舟記念館の機運の醸成を図るイベント等を考えています。さらに、来年、平成31年は、勝海舟没後120年にあたります。盛大に行う取り組みを考えている、そして区独自での開催のみならず、東京都への呼びかけ、勝海舟を縁につながる他自治体との連携を図るなど、記念館の開館に向けて、様々な方法で大いに機運を盛り上げたいと考えています、とのお答えだったと思います。
     まず、どのように機運醸成を図っていくのか、どんなことを考えていくのかお伺いしたいと思います。 ◎五ノ井 観光・国際都市部副参事〔文化計画・施設担当〕 機運醸成についてでございますが、まずは3月24日、土曜日に、まいせん散歩と称しまして、馬込、池上、洗足池のウォーキングイベントを開催し、18特別出張所にございます地域情報紙の編集委員の皆様にご参加をいただき、(仮称)勝海舟記念館を記事にしてもらうことで、全区に情報発信をしてまいります。  また、本年は江戸無血開城150年にあたる年でございますので、他自治体との連携や勝海舟の業績や人となりをテーマとするシンポジウムを、翌平成31年は、勝海舟没後120年にあたることを受けまして、開館を盛り上げるイベントの開催を検討してまいります。  そのほか、パネル展の実施や、工事現場を囲っているパネルを活用して、完成後のパースや勝海舟に関する資料などを掲載するなど、区民の皆様に向けた機運醸成を積極的に図ってまいりたいと考えております。 ◆岸田 委員 一生懸命やっていただきたいと思いますけれども。  今も蒲田駅の3階の東西通路で、大田区の伝統工芸の展示とともに、勝海舟の展示もされています。ただ、私もそれが展示してあるということがわからなくて、たまたま通ったら、展示してあるということで、もうちょっと、PRが足りないのではないかなという感じがします。  3月二十何日でしたか、やるというのが、それも私まだわかりません。わからなかったというか、自分が情報を収集しなかったのがいけないのかもしれないけれども、ただ、なかなか皆さんにお知らせするのが少し弱いのではないかなという感じがします。一生懸命やっていただきたいと思いますし。今年が明治維新150年ということで、いろいろな自治体がいろいろな行事を多分やっていると思います。新聞なんかでも時々見かけるのですけれども、大田区があまり、全国紙なんかであまり出てこないような気がするのですね。  そして、来年4月30日は天皇陛下の退位、そして5月1日が新天皇陛下の即位が行われますし、来年の9月には、アジアで初のラグビーのワールドカップがあります。そして次の年、2020年東京オリンピック・パラリンピックという大きな行事がいっぱい、めじろ押しにこれからどんどん出てきますので、その中で、勝海舟記念館を宣伝していくのには、本当に一生懸命やらないと、ほかの大きな行事にどんどん埋没されてしまって、皆さんに、伝わり方が少し弱くなってくるのではないかなという感じがしますので、一生懸命頑張ってやっていただきたいと思います。  次に、皆さんのタブレットに資料を配信させていただきました。見ていただきたいと思います。単なる小汚い家だととられると何ですけれども、今晩から明日が戦災で多くの方々が亡くなりましたけれども、大田区の場合は、5月ですけれども。私の家も5月に空襲でやられて、燃えてしまったのですけれども。これ、あの辺の家というのは、大体こんなようなつくりのおうちだったのだろうと思います。  これは、千束軒といって、勝海舟が別邸を千束の池のふちに建てた。千束の池のふちではなくて、今の大森六中の敷地に建てたということの家でございます。勝海舟が千束の地に別邸を建てたというのが明治25年で、1891年、勝海舟が68歳のときに、今の大森六中の敷地を約2,000坪買って、そしてそこに別邸を建てました。死ぬまでの約7年間を別邸で、ずっといたわけではないらしいのですけれども、赤坂の氷川からこちらのほうに来て、どういう理由で来たかはわかりませんけれども、時々来ていたことになっているみたいでございます。  その中で、なぜこの地域にわざわざ別邸を建てたのか。それも68歳。もう本当にあと残りわずかだなというときに建てたのかというと、やはり、この江戸城無血開城の西郷隆盛との折衝の中で、たまたまこの千束のこの池の地域を通って九死に一生を得たという話が伺っております。  その中で、やはり、そこでひょっとしたら自分は死んでいたかもしれないということで、そこにお墓を死ぬ前につくって、ここに埋めてくれということで、勝海舟がお墓をつくって家を建てて、そして、ここに時々来ていたということが言われております。まず、勝海舟記念館をつくって、お墓もあって、千束軒があるととてもいいのではないかなという感じがするのです。ぜひ、千束軒をつくっていただきたいと思いますけれども、どのようにお考えなのかをお伺いいたします。 ◎五ノ井 観光・国際都市部副参事〔文化計画・施設担当〕 既に(仮称)勝海舟記念館の隣地を購入しておりますが、来年度はその土地の活用について、基本設計作成の予算要求をさせていただいております。  千束軒を復元したいというご要望は地域からもお聞きをしております。現在、大森第六中学校の地に建てられた千束軒は、わらぶき屋根・農家風の建物であったとの記録がございまして、戦後、火事により焼失したとのことでございます。  当該土地に建物を建てるとすれば、都市公園法や建築基準法など、各法令で遵守すべきことが定められております。次年度、関係部局と隣地の計画をつくってまいりますので、その中でご提案の点につきましても検討してまいりたいと思っております。 ◆岸田 委員 ぜひ、前向きに検討していただきたいと思います。  多くの方が並んでいる写真があると思います、千束軒の前に。前列の真ん中の方が渋沢栄一だそうです。  それで、この写真はいつ撮ったのだかはわからないのですけれども、この清明文庫がつくられたのが昭和8年で、渋沢栄一がお亡くなりになったのが昭和6年ですので、この清明文庫ができる前に、渋沢栄一が半分ぐらいのお金を寄附されて清明文庫をつくっていただいたということですので、ぜひ千束軒があるといいなと。大田区の価値がさらに深まると思うので、よろしくお願いいたします。 ◆松原〔秀〕 委員 事項別明細書は119ページ、博物館管理運営費について、特に馬込文士村の常設展示場の開設と関連して質問させていただきます。  先月2月に、作家の石牟礼道子氏が亡くなりました。その代表作である、水俣病を取り上げた「苦海浄土」は、その当時の時代を反映したすばらしい作品でした。独特の語り言葉で漁民の魂の叫びを生き生きと叙述し、ある意味で、政府の水俣病患者救済対策に大きな影響を与えた作品と言えます。  かつて馬込文士村に在住した作家たちの中にも、そのように時代に多大な影響を与えた作家が大勢いたと思われます。  一方、17、8年前に函館市文学館を訪れたことがあります。すばらしい展示を行っておりました。その当時の企画展では、各時代の文学論争をわかりやすく展示してあり、その中に、小林多喜二の蟹工船のプロレタリア文学の話もあったり、保田与重郎の日本浪漫派の「近代の超克」論争の話もあったりしました。素人目にもかなり質が高い企画展であったと印象を受けております。  馬込文士村の作家や芸術家たちも、文化的・歴史的にも貴重な遺産をただばらばらに展示するのではなく、文学史上の系譜や功績や、その時代に与えた影響などを的確に整理して、きちんと展示するべきであると感じた次第でございます。  そこで幾つか質問をさせていただきます。  まず、馬込文士村に在住した作家や芸術家の人数及び大田区で保存している作品の数、現在、どこにどのような形で保存されているのか、また、どのような形で区民や区外の方に展示されているのかお伺いいたします。 ◎上田 文化振興課長 馬込文士村と言われている馬込、山王地区周辺に住んでいた作家や芸術家の人数ですが、数か月住んでいた方なども含めると、明治時代の終わりから戦前までに150名ほどになります。  次に、区で保存している作品や資料でございますが、図書、書簡、原稿、色紙、短冊、絵画など約5,000点、文士の作品が掲載された雑誌が約1,200点ございます。これらの資料の保存と保管ですが、主に郷土博物館内の収蔵庫で保管・管理を行っております。  展示につきましては、郷土博物館3階の馬込文士村コーナーを中心に、山王会館の馬込文士村資料展示室のほか、龍子記念館などの区立の各記念館でも作品を展示しております。 ◆松原〔秀〕 委員 かなりの作家がいて、そして、かなりのそういった作品が大田区に収蔵されているとわかりました。やはり、これを眠らせておくのは非常にもったいないと思うのですね。やはり、何らかのもっと活用をすべきだと思います。  次に、馬込文士村関連の施設として、今お話のありました郷土博物館、山王会館の中にある馬込文士村資料展示室、山王草堂記念館、尾崎士郎記念館、龍子記念館などがありますが、それらの施設の年間の来館者数はどのぐらいですか、お尋ねいたします。 ◎上田 文化振興課長 平成28年度の年間の来場者数ですが、郷土博物館は2万2,900人、龍子記念館は9,567人、熊谷恒子記念館は4,198人、山王草堂記念館は5,219人、山王会館の馬込文士村資料展示室は1,796人となっています。  なお、尾崎士郎記念館は常駐の職員がいないため、来館者数はカウントをしておりません。 ◆松原〔秀〕 委員 かなりの数の方が来館していることはわかりました。やはり、観光の面からも、さらに活用するべきだと考えます。ただ、山王会館はやはり坂なので、少し人数が少なくなっているのかなという印象を受けました。  最後の質問になりますが、来年度、郷土博物館では、リニューアルに向けた予算を計上し、基本構想・基本計画を策定すると聞いております。そこで、郷土博物館のリニューアルにあわせて、馬込文士村をはじめとする常設展示についても、抜本的に見直しを図ってはどうでしょうか。展示の見せ方もしっかりと検討していただきたいと考えますが、ご見解をお伺いいたします。 ◎上田 文化振興課長 郷土博物館は来年度40周年を迎え、設備の更新が必要な時期に来ております。来年度は、郷土博物館のリニューアルに向けた基本構想・基本計画の策定に向けた予算を計上しております。  郷土博物館は、区に関連する人文科学系の資料を中心に収集・整理・保存し、調査研究に努め、区民の文化及び学術の発展に寄与するため、常設展示を充実させ、特別展示を開催するほか、体験学習会等の事業を実施してまいりました。郷土博物館40周年という節目に基本構想を策定する中で、郷土博物館のハード面だけではなく、馬込文士村などの常設展示や特別展示並びにその展示方法などを含め、郷土博物館のあり方全体の検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆松原〔秀〕 委員 ぜひ、すばらしい模様がえをお願いしたいと思います。  とにかく、郷土博物館を含めて大田区の貴重な文化的、歴史的な遺産である馬込文士村の常時展示場の開設と、それから、やはり人を引きつけるような、そうしたさらに充実した展示方法の改善を要望いたしまして、私の質問を終わります。 ○玉川 副委員長 次に、公明、質疑願います。 ◆田村 委員 大田区議会公明党の田村英樹でございます。よろしくお願いいたします。  東京都は2月15日、地震発生時における危険度測定調査の結果を発表しました。この調査では、地震の際の建物倒壊危険度と火災危険度に加え、避難や消火活動のための道路幅など、火災時の活動困難度を加味した総合危険度について、都内の市街化区域5,177地区で調査を行い、それぞれの危険度を5段階で相対評価したものであります。  総合危険度ランキングの上位には、荒川区や足立区、北区、江東区など、荒川や墨田川沿いの地区が多く見られ、これは地震による揺れが大きくなりやすい地盤である上、古い木造家屋が密集している地域のため、ほかの地区に比べて危険度が高い傾向にあるようです。  このランキングにおいて大田区の状況を見てみると、全5,177地区中9位に羽田六丁目、14位に羽田三丁目、22位に西蒲田四丁目、35位に仲六郷二丁目、以下、南蒲田三丁目、西蒲田五丁目、西六郷二丁目、西蒲田三丁目、西蒲田一丁目、西六郷一丁目となり、上位100位中に10地区が表記をされていました。  この報道がなされた1週間後、私はこの羽田六丁目地区でまち歩きをしてみました。鴎稲荷神社から藤崎稲荷神社、さらに、白魚稲荷神社を目印に歩みを進めていく中、ところどころで改築・改装中の家屋が複数見られた反面、やはり木造家屋が密集している地域であるほか、狭かったり、くの字に折れ曲がっていたり、2項道路の整備途中のため、かぎ型で道路幅が保たれていない路地が多く存しており、総合危険度が高いという調査結果を多少なりとも理解をしたところであります。  この羽田地区では、現在、災害に強いまちの構築に向けて、羽田地区まちづくりルールである地区計画の検討を進めているほか、昨年は不燃化相談窓口を開設し、不燃化特区制度の活用や重点整備路線事業などの相談対応を行っていると認識をしております。  大田区におかれましては、引き続き、区内の防火・防災力強化に向けた取り組みを進めていただきたいと思います。  さて、先日の公明党、勝亦議員の代表質問において、地震による被害を最小限にとどめるための見解についての質問に対し、松原区長は、「区は、マンション防災などの各種防災講習会や防災講話をはじめ、区報においても、日常生活でできる自助の取り組みを特集するなど、事前の予防策について啓発に取り組んでいる」とご答弁をされました。  様々な被害想定に対し、日ごろから最大限の準備をしていくことは大変重要と考えます。そういった観点から、地域防災に関連して備蓄食品の管理、市民組織との連携、感震ブレーカーの現状について順次お伺いをさせていただきます。  初めに、大田区における災害備蓄品の管理について伺います。事項別明細書103ページに、非常食糧の備蓄に5,340万6,000円が計上されていますが、これは平成29年度比1,146万7,000円の減額となっております。  振り返って各年度の当初予算での比較になりますが、平成24年以降、この備蓄品の購入予算は増額傾向にありました。しかし、平成28年度の7,643万1,000円をピークに減額傾向となっております。この傾向には様々な状況が反映されているものと思います。例えば、備蓄倉庫の容量がいっぱいになってきているのか、他方、人口当たりの備蓄計画が低いのか、いずれにしても、備蓄食品が一種の飽和状態にあるのではないかと推察します。  そこで、まず、現在、区が管理している備蓄食品の現状並びに賞味期限を迎え、入れかえの対象となる備蓄食品の状況についてお伺いします。 ◎落合 防災危機管理課長 区は、平成24年の東京都による首都直下地震の被害想定の見直しに伴い、避難所避難者総定数が大きく増加したことに対応するため、計画的に食糧及び毛布を購入し、平成28年度に備蓄を完了しました。  備蓄品につきましては、大田区総合防災力強化検討委員会の報告を受け、プライベートテントや照明など備蓄物品の充実を図り、学校防災活動拠点化事業による物品追加整備、紙おむつなど、古くなった備蓄物品の更新を計画的に進めてまいりました。  食糧につきましては、クラッカー、アルファ化米、梅粥、野菜シチュー、粉ミルクを避難所避難者用食糧として備蓄しています。  このほか、粉ミルク及び福祉避難所用の飲料水として保存水を備蓄しています。  備蓄食糧の入れかえにつきましては、これまで食品の廃棄ロス対策を兼ねて、賞味期限の1年前に入れかえを行い、年間を通じて計画的に地域の防災訓練や行事等で区民の皆様に配布、ご試食いただき、防災意識の啓発に役立てています。  現状では、こうした取り組みにより備蓄食糧のほとんどを廃棄することなく消費していただいておりますが、訓練用に払い出しを行ったが消費し切れなかった分など、ごく一部を廃棄しております。 ◆田村 委員 国内でも、この賞味期限を迎える備蓄食品の取扱いについて新たな検討を開始している自治体があります。  新聞報道によると、兵庫県西宮市では、このたび更新時期を迎えた保存用クラッカーのうち、一部2,500缶、5,000食分を、福祉施設などに無償で食品を提供する活動を行っているNPO法人フードバンク関西に寄贈したとのこと。同市では、これまで賞味期限の1年前を迎え、入れかえられた備蓄食品の有効活用について、防災教育の教材として小学校で配布してきたほか、地域の防災訓練での試食などを行ってきたようで、この点については本区も同じであります。私も、地域の防災訓練や講話などに参加した際に、保存用クラッカーをいただいたりしますが、一方で、小分けになっていないアルファ化米や野菜シチューなど、なかなか消費できない備蓄食品については、廃棄処分の対象にならざるを得ないのかと思います。  東京都は、昨年の12月、「防災と一緒に考えよう、備蓄食品のもったいない」と題し、都の帰宅困難者向けの備蓄食品、乾パン約13万食を都内2か所で無料配布をいたしました。このイベントは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品ロス削減の取り組みの一環として、都民に対し防災備蓄の重要性や食べ物の大切さを意識づけることも大切なテーマであったようであります。  実は、私も江東区で行われたこの会場へ視察に行こうと思っていたのですけれども、あまりにも人気があって、すぐ配布数に達してしまい、残念ながら行くことができませんでした。このイベントは、その後も本年1月、2月と開催をされたようであります。  こうした他自治体や東京都の取り組みを鑑み、大田区においても、特別出張所などの公共施設のほか、フードバンクや支援施設への配付など、入れかえ時期を迎える備蓄食品の有効活用についての検討も必要ではないかと考えますが、区の見解を伺います。 ◎落合 防災危機管理課長 区は、これまで乾パンを日常的に食されているクラッカーに切りかえるなど、食品の廃棄ロスがないよう取り組んでまいりました。  また、昨年度からは、学校備蓄倉庫に備蓄しているアルファ化米の半数1,000食分を、調理せずにすぐに食べられる小分けのレトルトパックの「きのこごはん」と「カレーライス」への入れかえを計画的に始めております。  今後、東日本大震災後の被害想定見直しに伴う買い増し分を含めて入れかえが始まってまいります。  委員お話のとおり、小分けになっていないアルファ化米が余ることが懸念されているところであります。  来年度からは、環境清掃部を中心として、食品ロスの削減を目指し、区内で発生する未利用食品を、民間と民間等とのマッチングにより、区内で活用する取り組みも始めてまいります。  福祉部など関係部局と連携し、フードバンクや支援施設等での活用も含め、備蓄食糧が無駄なく活用できるよう、さらに検討を進めてまいります。 ◆田村 委員 一般的に家庭における食品の備蓄は、ローリングストック法が提唱されています。日常的に防災を意識しつつ、備蓄品を無駄にしないローリングストック法は、家庭で消費する食材を少し多めに購入し、賞味期限が近いものから消費、その消費した分を追加していくという備蓄法ですが、こういった考え方を基本にして、本区においても無駄を極力抑えて、より有効的な備蓄食品の活用について検討くださいますようお願いをいたします。  次に、市民組織との連携について伺います。  昨年の決算特別委員会において、公明党、小峰委員は、大森三丁目連合町会で組織されている市民救護隊を紹介しながら、地域の防火・防災には地域力の結集が重要であることを訴えました。  また、去る3月3日に行われた平成29年度防災市民組織市民消火隊感謝状贈呈式では、東京消防庁主催「第14回地域の防火・防災功労賞」で最優秀賞を受賞された嶺町北町会が取り組む防災訓練や要配慮者の避難支援の様子、また、道塚自治会が行っている学校防災拠点訓練や地域に根差した防災啓発の様子について、活動報告がなされたとお聞きしました。  こうした地域ごとの取り組みや、特に今後の地域防災力の向上につながる事例の共有は重要であると考えます。  そこで、こうした活動事例について、現在、区ではどのような形で広報をしておりますでしょうか。 ◎内川 防災支援担当課長 地域におきます取り組みや、地域の防災力向上につながる事例の区民の皆様との共有は重要であると認識しております。そこで、区は地域での防災活動の活性化を図ることを目的といたしまして、区ホームページに自治会・町会での様々な取り組みを、地域の防災活動事例集として掲載し、広く紹介しております。  毎年3月には、防災市民組織等感謝状贈呈式とあわせまして、防災講習会を実施しております。この講習会の中では、区民の防災意識の向上や防災市民組織の防災力向上のため、先進的な取り組みを実施している自治会・町会から、地域での活動事例を発表していただいております。  なお、防災講習会での発表内容につきましては、区ホームページの地域の防災活動事例集の中で紹介しているところでございます。 ◆田村 委員 また、年度ごとに、こうした地域活動を冊子にまとめて、町会、自治会、市民団体等への配付も有効的ではないかと考えますけども、区の見解を伺います。 ◎内川 防災支援担当課長 地域活動の事例集の作成及び配布につきましては、各地域の新たな取り組みや地域防災力の向上につながる事例を踏まえまして、さらに充実を図ることは重要と考えております。  東京消防庁のホームページでは、地域の防火防災功労賞を、また東京都のホームページでは、東京防災隣組を地域の防災活動の参考としていただけるよう、事例を広く紹介しております。  今後、これらの活動事例につきましては、区ホームページから区民が広く閲覧できるよう検討してまいります。また、区内の地域の防災活動事例集につきましても、区ホームページで、より閲覧しやすいよう対応をしてまいります。 ◆田村 委員 先日、自衛消防隊について消防署の出張署長にお話を伺いました。この自衛消防隊は、消防法の規定に基づき設置等が義務づけられており、各事業所が自分のところは自分で守るという基本理念のもと、火災、地震その他災害が発生した場合に、消防隊が到着するまでの間、消火設備、避難設備等を活用して、迅速・的確に人命の保護と災害の拡大防止の措置をとることを目的としています。  大田区では、昨年の9月、区内の4消防署の管轄内にある自衛消防隊の操法大会が開催されました。その出場隊数は、大森署29隊、田園調布署21隊、蒲田署26隊、矢口署22隊と伺いました。  日中、地域内に事業所の組織として編成された自衛消防隊があるということは、地域防災を考えるにあたり、その連携は非常に有効的であると考えるところです。  消防署の出張署長に、この事業所内の自衛消防隊と地域との連携についての活動事例について伺うと、先に紹介した嶺町北町会が受賞した「地域の防火防災功労賞」で、前回第13回の受賞事例集の中にあるカルビー株式会社東日本事業本部の取り組みを紹介してくださいました。  上野駅近くの台東区東上野六丁目に事務所を構える同社は、万が一災害が発生した場合には、地域住民の一員として地域防災の担い手にとの認識に立ち、地元町会との災害時応援協定を締結し、消防資機材の相互提供や消火・救助活動の協働体制を構築、さらに、全従業員96名への救命講習の受講推進や、地元の小学校で開催された浅草消防署防災救急フェアにおいても、積極的に防災啓発に取り組むなど、幅の広い地域貢献活動が記されておりました。  大田区のホームページにも地域の防災活動事例集が紹介されており、その中に、事業所も参加した防災訓練との項目で、事業所と地域が一体となった防災訓練の実施に向けた取り組みの紹介とともに、「相互協力に関する協定書(標準文案)」が添付されております。この相互協定により、備蓄品の共有や施設内スペースの開放などのほか、地域内で発生した火災の消火活動や水害等の災害時においても、応援要請が可能となる内容であります。  大田区としても、今後、事業所内の自衛消防隊と地域との連携を積極的に進めていただきたいと考えますけれども、見解をお伺いいたします。 ◎内川 防災支援担当課長 東京都震災対策条例では、事業所の基本的責務といたしまして、周辺地域における震災を最小限にとどめるため、周辺住民等との連携及び協力に努めなければならないと規定しております。また、東京消防庁では、地域の自主防災体制を強化するため、自主防災組織と事業所間の支援及び協力について助言すると聞いております。  区では、事業所における災害への対策や、地域との協力体制の確立を目的として、事業所向けの防災パンフレットを作成し、区ホームページに公開しているところです。パンフレットの中では、地域における顔の見える関係の構築や、防災資源の把握により被害を最小限に抑えられること、また、みずからの事業所も守ることにつながることを、事例とあわせまして紹介するなど、地域との連携を推奨しております。  引き続き、様々な機会を捉えまして、事業所と自治会・町会との災害時における相互協力の重要性を周知し、連携の推進に取り組んでまいります。 ◆田村 委員 次に、大田区における感震ブレーカーの動向についてお伺いします。  感震ブレーカーについては、これまで議会質問で何度か取り上げさせていただきました。特に平成26年第3回定例会での一般質問で、「区民への啓発活動・周知を進めていくとともに、今後、例えば、家庭用消火器や住宅用火災警報器と同様にあっせん販売に取り組むべき」との質疑に対し、「区民の皆様がさほど負担感なく設置できるよう、最適な製品を検討し、あっせん販売に取り入れるよう、大田区商店街連合会、大田区防災設備協力会に強く働きかけてまいります」とのご答弁をいただいたとおり、大田区商店街連合会取扱いの防災用品あっせん品目に組み入れていただいたことに感謝をしております。  初めに、この大田区商店街連合会の防災用品あっせん販売における感震ブレーカーシリーズの販売状況についてお伺いします。 ◎落合 防災危機管理課長 区は、大田区商店街連合会の協力を得て、防災用品のあっせんを行っております。  平成27年1月から、あっせん品目に簡易型感震ブレーカーを取り入れ、昨年からはコンセントタイプの感震ブレーカーも加えております。  防災用品のあっせんにつきましては、年2回自治会・町会への回覧や防災週間での展示、防災講話や防災訓練等における防災用品あっせんのご案内パンフレットの配布により、周知しているところでございます。  これまでの実績は、平成29年12月までの3年間で、166台、うちコンセントタイプ4台を購入いただいております。 ◆田村 委員 先ほど紹介した消防署の出張署長に、この感震ブレーカーについての消防の取り組みを伺ってみました。消防庁では、住宅の建築確認に伴う消防同意のときにおいて、感震安全装置つきの配線器具の使用に努めるよう火災予防通知書をもって申請者に通知しているほか、地震発災時における身の安全への備えとして、広く都民に啓発している「地震に対する10の備え」では、火災発生の早期発見と防止対策として、感震ブレーカーや感震コンセントなどの防災機器の設置を推奨し、地震発生時の出火防止対策に取り組んでいるとのことでした。  また、様々な自治体でも、この感震ブレーカーの導入に向けた動きが加速し始めており、都内では荒川区が、区内に居住の高齢者世帯や障がい者とお住まいの世帯を対象に、感震ブレーカーなどの防災グッズを無料配布する事業予算として、当初予算案に2,170万円を計上しました。報道によると、同区は区内3,000世帯に対し、照明が消えたときのために自動点灯ライトとのセットで無料配布を進め、さらに、希望者宅に担当者が訪問し無料で設置するとのことでありました。
     また、北区では、昨年、十条仲原や志茂地区など、東京都の木密地域不燃化10年プロジェクトによる不燃化推進特定整備地区、いわゆる不燃化特区の指定対象地区の約1万世帯のうち、希望する2,500世帯への無料配布を開始しております。  こうした状況を見るにつけ、本区においても、特に不燃化特区の指定を受けた大森中地区や羽田二・三・六丁目地区、特定整備路線の補助29号線沿道地区をモデル地区として、アンケート調査等を行いながら、大規模地震発災時における通電火災抑止に資する取り組みを進めていくことも大切かと思います。  大田区では、この感震ブレーカーについてホームページ上に、「感震ブレーカーは通電火災を未然に防ぐために有効な手段とされています。また、木造住宅密集地域には特に有効とされています」と、その有効性を表記するほか、内閣府・消防庁・経済産業省作成のパンフレットや、平成26年10月に行われた大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会での感震ブレーカー等の模擬実験の模様を紹介、また、防災週間や地域での防災訓練などを通して、広く区民に啓発してくださっていることに、心強く感じております。  そこで、改めて大田区が捉える、感震ブレーカーの普及に関する見解などについてお伺いします。これについては幅広い視点になると思いますので、時間が長くても結構ですので、しっかりと答えていただければと思います。 ◎落合 防災危機管理課長 区は、平成28年8月からホームページで、感震ブレーカーについての普及啓発のお知らせ及び普及啓発チラシを公開し、感震ブレーカーについて広く周知を図っております。  感震ブレーカーは、地震の揺れで自動的にブレーカーを落とすものです。設置にあたっては、枕元に懐中電灯をご用意いただくなど、電気が遮断されることへの事前準備が必要なこと、また、復電火災を起こさないためには、ブレーカーをオンにする前に家の中を片づけるなど、復旧手順を十分ご理解いただくことが重要であると考えています。  なお、東京電力では、平成27年9月の茨城県常総市における鬼怒川の堤防決壊による水災害を契機に、非常災害時における電力復旧手順の見直しを行っております。具体的には、被害を受けた送電設備の応急的な復旧工事を実施する前、各ご家庭の設備と停電した配電線を、引き込み線もしくはメーターで電気的に切り離し、復旧工事実施後、初めに停電中の配電線への送電を行い、その後、各ご家庭を戸別訪問し、家庭内の設備が漏電していないことを確認した上で接続・通電を行い、不在の場合は送電を保留することにしたとのことです。  これとは別に、官公庁の拠点、病院、避難所等につきましては、可能な限り個別に現地の状況を確認し、安全を確保しながら早期の送電再開に努めるとしております。  こうした復旧時の安全性を重視した事業者の取り組みで、熊本地震では、復電火災がゼロであったと報告されており、震災時の復電火災の発生については低くなってきていると思われます。  しかしながら、災害発生直後に通電している状態で家庭内の配線等が損傷した場合には、火災が発生する可能性も考えられます。  感震ブレーカーの特性を正しくご理解いただき、各ご家庭のライフスタイル、ご事情に合った感震ブレーカーをお選びいただくよう、引き続き適切な普及啓発に努めてまいります。 ◆田村 委員 内閣府防災担当が事務局となっている大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会がまとめた報告書の冒頭では、「感震ブレーカー等の普及に向けた取り組みは、阪神・淡路大震災から20年を経た現在においても、いまだ緒に就いたばかりといえ、検討会においては、普及に向けた様々な課題、特に住宅密集市街地等における面的な普及方策等については、さらなる検討が望まれる旨等の指摘もなされているところである。改めて、地震火災は、多くの人や建物が集積していると都市部や市街地ほど、その危険性が高くなる。一方で、地震がいつ発生するかを予測することは困難であったとしても、地震に伴って発生する可能性のある火災は、適切な対応を行えば、相当程度その被害を軽減することができる種類の二次的な被害であるとも考えられる」などと書いてあるのですけれども、こういった前提に立ち、感震ブレーカー等の設置について、検討・検証が重ねられていく中で、広く国民の知るところとなることに期待をするとしてあります。  感震ブレーカーの導入が防災の一丁目一番地ではありませんが、地域防災に対して、今できることの一つの手段として、本区においてもさらに検討を進めていただきたいと思います。  以上、地域防災に関連して、備蓄品の管理、市民組織との連携、感震ブレーカーの現状について質問をさせていただきました。大田区におかれましては、引き続き、区民の安心・安全な暮らしを守るための事業の推進をお願い申し上げて、質問を終わります。 ○玉川 副委員長 次に、自民、質疑願います。 ◆田中 委員 事項別明細書114ページからの観光国際費に関連して、国際観光施策全般について質問いたします。また関連して、他の費目にもかかわることもお聞きいたしますが、よろしくお願いを申し上げます。  17日間にわたる平昌冬季オリンピックが終わりました。厳しい寒さの中ではありましたが、日本選手も、冬季では過去最多となるメダルを獲得するなど、国民に感動と希望を与えていただいたオリンピックになったと思います。  マスコミでは、その運営についていろいろな記事が書かれておりましたが、選手一人ひとりが国を代表し、誇りを持ち、精いっぱい活躍された姿はすばらしいものでありました。  冬の平昌に引き続き、いよいよ2年後、2020年7月には、夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催が待っております。ぜひとも成功に導いていきたいものであります。2020東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、観光振興にも国を挙げて取り組んでいくものと存じます。  さて、そうした中で、昨年の訪日外国人は2,868万人余と一昨年を460万人余上回り、今年に入ってからも1月の訪日外国人は過去最高の250万人余となっております。こうしたインバウンドの飛躍的な拡大は、食や流通、文化、観光産業など、あらゆる産業にプラスの効果をもたらすものであります。  国も2020東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、観光振興には力を入れております。  本区におきましては、24時間国際拠点空港である羽田空港を有しており、年間の乗降客数も昨年は過去最大の8,000万人を超えるなど、年々増加をいたしております。  こうしたオリンピックや羽田空港のポテンシャルを生かした、地域経済の活性化にどのように結びつけていくのか、その一つの取り組みとして、観光振興は重要な鍵を握っているものと考えます。  日本を訪れる外国人は、圧倒的にアジア圏が多いわけでありますが、一般的に長期休暇をとると言われている欧米からの訪日もオリンピックでは期待されております。特に、2020東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、訪日外国人の数は増加するものと思われます。  ちなみに、少し古いデータではありますが、2012年の外国人の入り込み客数は、東京が日本で一番多く、日本全体の51%強の429万人であり、日本の約3倍の外国人旅客数がある中国の訪問率1位の上海と同じ水準とのことであります。  また、大田区の人口は、本年1月1日現在、およそ72万3,000人で、そのうちおよそ2万3,000人が外国人であります。インバウンドの増加とともに、大田区に住まわれる外国人の方も増加しており、こうした国際化、グローバル化に対応したまちづくりが求められていると思います。そのためにはユニバーサルに対応したまちづくりや、多文化共生、そして、国際交流などに向けた取り組みが欠かせません。  大田区では、昨年12月に国際都市おおた協会を設立し、国際交流や多文化共生に向けた検討を始められたものと存じます。そこで、国際都市おおた協会では、今後どのような考えに基づき施策を実行していくのか、基本的な考えをお聞かせいただきたいと存じます。 ◎高野 国際都市・多文化共生推進課長 委員のお話しのとおり、今後、訪日外国人や在住外国人は増え、国際化が進んでいくことを想定しております。このような状況の中、増加する訪日外国人や区内在住外国人も、地域の一員として、日本人、外国人の区別なく地域で活躍できて、安心・安全なまちづくりが必要と考えます。  国際都市おおたを実現していくためには、これまでの行政が中心となって展開してきた国際交流や多文化共生だけでなく、区民が主体となった、より柔軟できめ細かい活動が求められており、地域の力を結集して対応していかなければならないと思っております。  そこで、国際都市おおた協会は、地域課題解決のためのコーディネートをする組織として、多様な背景、経験、視点を有する外国人区民をはじめ、国際交流ボランティアや団体など、いわゆる多文化パワーをつなげて、様々な分野との連携・協働を進めてまいります。  このような考えに基づき、国際都市おおた協会では、外国人に対するコミュニケーション支援や生活支援などの多文化共生に関する事業、姉妹・友好都市等との国際交流の推進に関する事業のほか、海外駐在経験のある国際交流ボランティアや留学経験のある日本人学生、留学生など、グローバル人材の発掘・育成事業、そして、国際協力専門機関と連携した協力事業などを展開してまいります。 ◆田中 委員 政府が考える地方創生においては、観光はインバウンド事業の取り組みなどによって、交流人口の拡大につながり、地域を活性化させる原動力になり得ると捉えていると思います。  国際都市づくりと観光振興は、互いにクロスオーバーする部分も多いかと存じます。今後、国際都市おおた協会で考える施策と観光施策とをどのようにすみ分け、また連携して取り組んでいくのか、まだよく見えないところがございます。  そこで伺います。国際都市おおた協会の考える取り組みと観光で考える取り組みの連携について、どのようにお考えかお伺いをいたします。 ◎高野 国際都市・多文化共生推進課長 平成29年3月に行いました国際都市おおた宣言の中で、訪れる人をおもてなしの気持ちで迎える観光の魅力を高めると表現しております。  また、おおた未来プラン10年(後期)の目指す姿に、新たな来訪者の誘致と、大田区ならではのおもてなしの展開を図ることで、海外や区外からより多くの来訪者が訪れ、区内を回遊することで、区の知る人ぞ知る魅力を楽しんでいると掲げております。  このことを実現するために、来訪者の受け入れ環境の整備事業や観光によるまちづくりの支援事業、公式観光サイトやフェイスブックの運営、にぎわい創出事業の補助、インバウンドやMICE誘致などがございます。区観光施策としては、これらの事業を引き続き実施していくとともに、観光施策にかかる計画・方針と調査・研究などにも取り組んでまいりたいと思っております。  国際都市施策についてでございますが、区が目指す国際都市おおたは、単なる海外との交流にとどまらず、観光をはじめ、多文化共生、産業など、地域力を生かして推進することで、地域と一体になって魅力を高めて、それが大田区らしい国際都市の取り組みにつながっていくものと考えております。  来月4月に開設する国際都市おおた協会は、国際交流団体やボランティア、留学生などの人的なネットワークを生かして、地域の力を有機的に結びつけるコーディネーターの役割を果たします。観光や産業など、様々な分野の関係機関・部局と横断的に連携・協働することにより、魅力ある地域の国際化につなげていきたいと思っております。  今後、国際都市おおた協会が目的に掲げている多文化共生、国際交流及び国際協力の活動支援や国際人材の育成において、観光施策、国際都市施策、それぞれの役割を果たし相乗効果をもたらすように、創意工夫をして取り組んでまいりたいと思っております。 ◆田中 委員 いずれにしても、国際都市・多文化共生社会の実現に向けて、しっかりと取り組んでいただきますように、お願いをしておきたいと存じます。  大田区における観光資源を考えますと、羽田空港は世界的にも有名でありますが、それ以外については、すばらしい歴史・文化・自然などの魅力がありながら、あまり知られておりません。まずは、区民に大田区の持つ観光資源のすばらしさを知っていただくことが重要であり、そのことが結果としてインバウンドの誘致にもつながると考えています。もちろん、そのために区もパンフレットの作成やイベントを実施するなど、ご努力をされていることは理解をしているつもりでございます。  その中で、観光などの地域イベントについて伺います。観光イベントに何を期待しているのか。まずは、経済的な効果があります。観光客の消費行動や経済波及効果により、地域経済が活性化すること。また、社会的効果として、知名度アップ等のPR効果が期待できるほか、地域の歴史・文化との交流、伝統文化の継承、そして、そこに参加いただいた地域や商店街の皆さんなど、地域住民のプライドや一体感の醸成など、地域力アップにつながるものであります。  一般にイベントによる効果はほかにもあると思いますが、たくさんのイベントをやればいいということではなくて、また、単発で開催するのではなく、地域でのイベント等と相乗効果が得られるような一体連携による開催などで、ボランティアなどの参加しやすい環境をつくることも大切だと考えています。  実施したイベントについて、実際の集客や売り上げなどにどのぐらいの効果があったのか、それぞれ一つ一つ評価することは難しいと考えておりますが、同時に効果が簡単に把握できないがために、本当は効果がないのにやめられない、続けることが結果として職員や地域の負担だけが増えてしまう、そのようにならないように、イベントのあり方についてしっかりとご検討をいただきたいと存じます。  ここでは、観光イベントに特化をいたしますが、観光イベントの目的、イベントのあり方、その継続等について、どのようにお考えかお伺いをいたします。 ◎中村 観光課長 観光所管のイベントは、おおた観光の「魅力の創出」と「魅力の発信」という、主に二つの目的で実施しています。  まず、「魅力の創出」にかかるイベントは、29年度に創設した大田の観光にぎわい創出事業補助により実施されました。  事業目的は、地域が主体となっておおたの観光資源を生かし、新たなにぎわいを創出する事業を支援することです。  実施者の主体的な取り組みにより運営され、区が直接実施するイベントとは異なる仕組みになっており、補助対象経費や補助率を規定しているため、経費の一部を実施者がみずから調達しなければならず、継続実施の場合、補助率の低減や制度の終期を定めて、評価・見直しする仕組みになっております。  委員お話のように、数値による評価が難しい面もありますが、実施者のご尽力や情熱はもとより、多くの区民の皆様からの共感も評価ではないかと思います。それにより協賛金や寄附、人的支援などをにぎわいとともに引き出し、自主財源が確保され継続できるものと考えます。  一方、「魅力の発信」にかかるイベントは、国際都市おおたフェスティバルin「空の日」羽田がございます。この実施体制は実行委員会です。庁内各所管の連携・協力の状況もあり、その点で委員のお話のとおり、皆様のご負担により実施できるイベントであると考えます。  開催目的は、国際都市おおたの魅力を国内外に向けて広く発信することです。  羽田空港に隣接する会場で、国内のみならず海外からの参画を得て実施できるのは、大田区だからこそであり、大田区にしかできないことだと考えます。  このイベントの成果・効果は、空と世界につながるまちの魅力を体感したり、羽田への思いの共有など、数字にあらわせないものがございます。これらを踏まえ創意工夫を結集し、経費の精査に努めてまいりますので、国際都市おおたを象徴する一つのイベントとして、引き続き実施させていただきたいと考えております。 ◆田中 委員 いずれにしても、施策の意図するところが最大限生きるように、しっかりと対応をしていただきたいと存じます。  観光政策にしっかりと取り組むことが、地域経済の活性化に結びつく要素の一つであると考えております。そのためには商業やまちづくりとの連携、文化・歴史・自然などの資源の有効活用など、観光振興に向け、必要なアイテムをいかに活用していくかが重要であります。  その一つが民泊であります。増え続ける外客に対して、その受け皿の一つとしての民泊については、大田区は特区民泊を平成28年1月に開始して、ホテル・旅館に加えて、安心・安全な宿泊施設とすべく努力を続け、今日に至っていると考えます。  特区民泊を開始して2か年が過ぎましたが、この間の導入実績とその評価について、どのようにお考えかお伺いしたいと存じます。 ◎吉川 健康政策部副参事〔宿泊事業担当〕 特区民泊は制度を開始以来、確実に増加し、51認定、275居室、定員875名となっております。制度開始以降、大きなトラブルも発生していないことから、大田区の条例を参考にし、他自治体へ特区民泊が拡大しております。このことから、全国に先駆けて特区民泊に取り組んできたパイオニアとして、全国の自治体をリードする責務を果たしてきたと評価してございます。 ◆田中 委員 今、お話いただいたとおり、全国に先駆けて大田区は特区民泊に取り組んだわけでありまして、後に続く各自治体にとっても大きく貢献をしたのではないかと思いますし、これから特区民泊を大田区の民泊の柱として、しっかり区民の安心・安全に留意をしてというよりも、最大限そこをベースに今後とも進めていただきたいと思います。  いよいよ特区民泊に加え、本年6月15日からは住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が施行されます。大田区では、大田区住宅宿泊事業法施行条例をさきの第4回定例会で議決し、法の目的である宿泊事業の適正な運営の確保と、国内外からの観光旅客に対する需要への的確な対応を進める体制づくりに取り組んでいただいております。加えて、規則、ガイドラインも定め、適切な指導体制を整えるべく、努力も続けてございます。  一方、民泊新法は届け出制度となっており、特区民泊の厳格な審査を得た許可制とは大きく異なるわけであります。そこで心配されるのは、届け出という制度によって違法民泊が安易に合法となり、特区民泊で取り組んできた安心・安全といった宿泊の質が後退してしまうのではないかとの懸念であります。  この間特区民泊のような安心・安全を維持するためにも、収益重視で近隣への悪影響を及ぼしかねない違法民泊に対する指導を強化すべきと提案をさせていただいてまいりましたが、補正予算で早速、違法民泊の調査費を計上していただき、その実態について調査を開始していただきました。  また、現在審議中の平成30年度予算案にも、違法民泊委託調査費を計上されておりますことを高く評価をいたしております。  現在、調査されている違法民泊の状況について、また、今年度の調査を踏まえて、新年度の調査はどのような内容で行うことを予定しているのか、お知らせいただければと存じます。  また、あわせて、違法民泊に対する指導状況について、どのようになっているかお聞かせいただきたいと存じます。 ◎吉川 健康政策部副参事〔宿泊事業担当〕 違法民泊委託調査は、調査会社と委託契約を結び、昨年末から調査を開始しました。調査は、民泊仲介サイト上に掲載されている、旅館業法や特区民泊の許可を取得していない民泊施設のデータの収集と現地調査をあわせて行い、所在地を特定する作業を進めてございます。  調査結果については、委託調査の納期である3月末以後に取りまとめて、速やかに概要を公表いたします。  平成30年度に予定している調査では、平成29年度の調査結果による所在地特定を踏まえ、不動産登記簿の確認及び宿泊者に対する聞き取り調査を実施いたします。この調査結果をもとに違法民泊実施事業者を特定し、旅館業法に基づく指導を実施してまいります。  また、現状の違法民泊に対する指導は、区民等からの通報や情報提供をもとに、区職員が現場の確認を行い、旅館業法に基づく指導を実施してございます。特区民泊開始後、これまで29件に対して指導を実施し、25件について営業をとめさせました。引き続き適切な指導を重ねてまいります。 ◆田中 委員 住宅宿泊事業法の眼目は、住宅施設としての容量の確保というのもありますが、1番ではありませんが、その違法民泊をあぶり出して、違法民泊を許さない。処罰規定も入っているかと思いますが、そういうことですので、ぜひ、現在の大田区の違法民泊の状況についてしっかりと把握をして、その上で、しっかりした対応をとっていく、こういうことが大事だと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  さて、いよいよ3月15日の住宅宿泊事業法の届け出開始に向けて、現在、その準備にいとまがない時期だと思います。特区民泊に続いて、新たな民泊制度が加わることになり、なかなかこの間の制度について、ご理解をいただくことは厳しいものと推察をいたしております。いかに区民の皆さんに制度に関するご理解をいただき、状況によってはご協力をいただく必要があるわけですから、制度の周知については、しっかりと取り組む必要があると存じます。  区民の皆さんに民泊制度についてご理解をいただくことが、安全・安心の民泊につながっていくことになり、最も重要であると考えますが、その周知などについて、区はどのようにお考えかお伺いをいたします。 ◎吉川 健康政策部副参事〔宿泊事業担当〕 委員お話のとおり、民泊制度について区民の皆様にご理解をいただくことは、最も重要な事項でございます。特区民泊と住宅宿泊事業法に基づく民泊、それぞれの制度の特徴や相違点を区ホームページや区報へ掲載しているほか、本年2月からは、各特別出張所において実施されている地区自治会・町会長会議に出席し、説明をさせていただいてございます。並立する二つの民泊制度が区民の皆様方の混乱や誤解を招くことがないよう、今後も周知、説明に努めてまいります。 ◆田中 委員 先月、大阪市の民泊で痛ましい事件がありました。新聞報道によると、今回の事件は、特区民泊の認定や旅館業法の許可を受けていない違法民泊で発生したとのことであります。このような違法民泊は、宿泊者名簿の備えつけやパスポート等による身元確認が不要で、トラブル発生が全国で問題になっているとのことであります。  大田区の特区民泊は、ガイドライン等で安全・安心の確保を徹底していると思いますが、トラブルを防止するために、どのような規制などを行っているのか、お伺いをいたします。 ◎吉川 健康政策部副参事〔宿泊事業担当〕 特区民泊ガイドラインでは、トラブルを防止するために事業者に対して、事業実施前に書面を用いて近隣住民への周知を行うこと、緊急事態発生時に迅速な対応を行える体制を備えること、氏名や住所などを記載した滞在者名簿と顔写真入り身分証明書を用いて本人確認を行うこと、滞在者名簿を3年間保管すること、警察等との連携を行うことなど、様々なトラブルを防止する項目を規定してございます。 ◆田中 委員 今後とも、ガイドライン、あるいは規則等でしっかり対応をしていっていただきたいと思います。  大田区議会は、全国に先駆けて、さきの平成29年第4回定例会で、大田区住宅宿泊事業法施行条例を制定し、また、最低滞在期間を7日から3日に短縮した大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例を改正いたしました。安全・安心の民泊を推進するためには、規則やガイドラインの整備は非常に重要であると考えています。  より実効性のある規制にしていくために、法令に加えて、大田区独自の安全・安心の項目が設けられていると思いますが、その狙いはどのようなものかお伺いをいたします。 ◎吉川 健康政策部副参事〔宿泊事業担当〕 特区民泊が大きなトラブルもなく順調に進んでいる要因として、区独自の項目を設けた規則やガイドラインが、効果的に機能しているためでございます。特区民泊においては、近隣住民と滞在者の双方にとって安全・安心な施設となるよう、緊急時対応体制を整えることや消防法令への適合などの項目を設けてございます。また、住宅宿泊事業法に基づく民泊におきましても、区が進める安全・安心な民泊制度である特区民泊制度と同様の安全性を確保すべく、新たに同様の項目を設けた規則及びガイドラインを定めてございます。 ◆田中 委員 大田区の特区民泊開始後2年が経過し、この間大きなトラブルも発生していないとお聞きしています。今後とも、大田区民泊のモットーである、安全・安心の民泊を推進していくために、大田区の今後の民泊のあり方についてどのようにお考えか、また、地域経済の活性化にどのように結びつけていかれるお考えかお伺いをいたします。 ◎吉川 健康政策部副参事〔宿泊事業担当〕 3月15日から住宅宿泊事業法に基づく届け出が開始されるところでございますが、近隣住民にとっても、安全・安心な特区民泊を区の民泊施策のスタンダードと位置づけ、安全・安心な民泊を推進してまいります。  また、外国人観光客のみならず、海外にお住まいの親族の来日など、多様化する宿泊ニーズに対応する宿泊環境を整備することで、さらなる外国人来訪者等の受け皿となり、地域経済の活性化、観光・国際都市の推進に結びつけてまいります。 ◆田中 委員 今後とも、区民の安全・安心の確保を推進していただくことを念頭にしっかりと取り組んでいただくことを要望して、質問を終わります。 ○玉川 副委員長 本日は、この程度をもって、予算特別委員会を閉会いたします。                午後4時47分閉会...