平成18年 9月
決算特別委員会−10月04日-01号平成18年 9月
決算特別委員会
平成18年10月4日
午前10時00分開会
○海老澤 委員長 ただいまから、
決算特別委員会を開会いたします。
委員並びに理事者の皆様には、お忙しいところ大変お疲れ様でございますがよろしくお願い申し上げます。
それでは、第87号議案、平成17年度大田区
一般会計歳入歳出決算ほか5件を一括して議題といたします。
これより総括質疑に入ります。質疑につきましては、
申し合わせ事項により、各会派の持ち時間を電光表示いたします。
なお、会派の呼称は略称とさせていただきます。
理事者の皆様に申し上げます。質疑時間には答弁も含まれますので、簡潔な答弁をお願いいたします。また、答弁の際には、その都度、自己の職名をはっきりと告げた上で、答弁していただきますようお願いをいたします。
それでは質疑に入ります。
自民、質疑願います。
◆田中〔一〕 委員 おはようございます。田中一吉でございます。
自由民主党大田区議団・区民連合を代表して総括質疑を行います。
平成17年度は、
児童医療制度の創設。浜竹保育園の改築、開園。
小中学校図書館の図書の充実。
産業支援施設の用地取得。
せせらぎ公園、
大森ふるさとの浜辺の整備の継続等、さまざまな区民のための施策展開がなされておりますが、とりあえず総括ということでございますので、17年度決算。そして、区の経営計画、あるいは区政をどのように進めていくのか、そういう観点でお伺いをしていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
我が国の経済は、企業収益の改善を受け、設備投資が緩やかに増加するとともに景気は回復基調を続けております。先行きにつきましても、企業部門の好調さが家計部門に波及し、
国内民間需要に支えられた景気回復が続くという政府の景気判断がなされているところです。そのような中、景気の状況を把握する指標の一つである個人消費はこれまで堅調な歩みを続けているものの、このところ少し鈍化しているとも言われております。経済情勢の先行きの不安感こそ徐々になくなりつつありますが、
景気拡大期間が戦後最長になろうとしつつある現在も、国民はいまひとつ実感がわかないのが現状であります。少し弱まったといわれる消費の勢いが、回復することを切に願うものであります。
さて、既に国においては、総人口が減少に転じ、人口構成も大きく変化してきております。これまでの
ナショナルミニマムを超えた、
ナショナルアベレージの確保を目指してきた政策の転換を迫られ、道州制の導入など制度の再構築についての議論が起きているところであります。大田区においても現時点では、わずかに人口は増加しているものの、人口構成の変化に伴う
少子高齢社会への対応など、
社会保障関連経費の増加や、数多くある公共施設のリニューアルなど、将来にわたる財政事業の増要因が確実に存在します。
一方、支え手となる層の減少を念頭においた行財政運営も不可欠であります。さらに三位一体の改革については、
国庫補助負担金4兆円の削減と、3兆円の税源移譲が実現されることとなりました。しかし、補助金の削減の手法については、補助率の引下げによるものが大半となっており、引き続き国の関与が大きく残るなど、真の地方分権の確立というには克服すべき各種課題が多いものと考えています。
このように、我が国の、我が大田区を取り巻く状況は激変の中にあり、決して将来にわたって予断を許さないものとなっております。そのような背景の中で、さまざまな課題に対応すべく英知を結集し、未来に向かって安心、輝き、潤いのある大田区づくりを進め、区民に希望をもたらすような施策の展開を期待しているところであります。
そこで、本区の平成17年度の決算であります。今回の決算審議に先立って、区の新しい取組みとして大田区の
普通会計決算について速報値がとりまとめられました。普通会計による分析は、
一般会計決算書を補完するもので、財政状況の分析には大変重要なものであります。その点で、今回の速報値の報告は非常にわかりやすく、ポイントが簡潔に分析されており、スムースな決算審議を行うために大変役立つものであり、大いに評価をいたしております。分析作業などにご苦労があろうかと思いますが、来年度以降もぜひ継続してほしいと願うものでございます。
さて、平成17年度
普通会計決算速報にある実際の客観的な数値にあらわれた良好な値を目にしますと、
各種財政指標も着実に改善し、強固な財政基盤を構築しつつあることがわかります。私ども議会も寄与してきた部分もあるわけですが、ここに改めて当事者として事にあたられたこれまでの区長の財政運営に対する手腕を高く評価し、敬意を表するものであります。
そこで伺います。区財政の状況をあらわす代表的な財政指標としての
経常収支比率でありますが、平成13年が82.8%であり年々改善が見られ、17年度は前年度比2.7ポイント改善し、77.2%となり、これまでのたゆまぬ努力が着実に成果として数字にあらわれていますが、言わずもがなとは存じますが、具体的な改善の要因についてどのように考えているのかお伺いをいたします。
◎西野 区長 ただいまの
経常収支比率等、改善の道筋をどのようにつくってきたか。もう十数年来、事務事業、改善事業いろいろな提案を申し上げ、各計画をつくり着実に人件費を減らす、経常経費を減らす。そういう方向をたどってまいりました。何といっても人権費の占める経常経費の割合が非常に高うございますから、そういう点では大きな効果が今、あらわれつつあると。これは、単に今日で止まるわけではなくて、将来に向けても既に計画化しておりまして、平成21年度まで、私どもとしては、自然減を達成できるとこういう方向性を持っております。加えてやはり経済情勢の良好上昇化というものは、歳入面にもあらわれているわけでございます。そういう点で歳出においていかなる抑制を行うか。人件費ばかりではなくて、経常的な経費、その他についても職員の協力を得てできるだけ効率的な使い方をする。
それから、またいま一つは、起債償還などもかなり大きなウエイトを占めておりましたけれども、できるだけ歳入の中でまかなえるような財政収入というものが確保される。そうすると起債も自動的に増やさない、減らしていける方向をたどることができるわけでございまして、これは当然のこととして国債の償還費というのは、かなりのウエイトを占めていたわけでございますけれども、これも下降線を今、たどりつつございます。そういう点では、今の状況は改善の途上ではございますけれども、方向性としては明るいものが見える、このように考えております。
しかし、少子高齢化、ご指摘がございました。福祉部門における負担というものが、これからますます大きくなっていくであろう。このように考えておりますし、社会の構造の変化に伴って生活不安を抱える人々に対する適切な対処というものが求められる、このように思います。そういう中で、より健全な財政運営をしていくということは、やはり正すべき部分は正しながら今後も努力を継続したい、していかなければならない、このように考えております。
◆田中〔一〕 委員 続きまして、歳入決算について伺います。歳入においては、調定に対する収入率は、96.6%と前年度より0.2ポイントの増。予算現額に対する歳入率は、100.1%と0.6ポイント減となりました。具体的には、特別区民税が歳入努力、景気の動向などにより28億1,000万円余の増となりましたが、特別区債の発行を減じたことなどにより歳入総額は、2,127億円余となり前年度に比して26億円余の減となりました。これは、予算現額に対して2億6,000万円余上回っております。17年度の歳入決算における大きな特徴はどのようなところにあるのかお伺いをいたします。
◎須藤
経営管理部長 17年度歳入決算の特徴でございますけれども、まず歳入の基本となる特別区税が4.9%、28億円余の増でございます。これは、平成13年度以来、4年ぶりに増となってございます。また、特別区交付金も市町村民税、法人分が好調な企業収益を反映しまして増収となったため5.5%、31億円余の増。この特別区税と特別区交付金をあわせますと、全体の歳入の6割を占めてございます。
一方、減額となった項目では、国庫支出金で
三位一体改革に伴いまして、
国民健康保険費で6億円余。また、
都市計画道路の事業費で6億円余の減となってございます。特別区債は、先ほど区長の答弁でもございましたように、借入れをしなくても済む部分で、45億円余の減とすることができてございます。要するに、歳入の最も基本となる区税の税収が増える一方、今年度負担につながる特別区債の発行を抑制できたということは大きな収穫で、適正な財政運営につながっていると認識してございます。
◆田中〔一〕 委員 次に、歳出でありますが、歳出においては、執行率は予算現額に対して、96.7%となり0.2ポイント減となりました。契約落差や人件費の減などに加え、事務事業の見直しや効率化の努力の積み重ねがあったからだと考えます。その結果、重要な施策を実施し、高い
行政サービスを展開しながらも69億6,000万円余の残となりました。
そこで、伺います。歳入決算とあわせた結果、実質収支は72億円余となり、前年度に比して10億円余の減となり、また、
実質収支比率は、前年度比0.9ポイント減少し、5.2%となりました。この数字に対する区の財政運営上の評価についてお伺いをいたします。
◎須藤
経営管理部長 実質収支比率は、前年16年度が6.1%でございましたけれども、0.9ポイント減少し、5.2%となってございます。この比率は、実質的な財政収支、両面あり得るわけでして黒字なら剰余金、赤字であれば純損失がそれぞれ全体の占める割合をいうわけでございますけれども、適正水準は概ね3%〜5%の黒字であるとされております。23区全体の
実質収支比率もちょうど大田区と同じ、たまたま同じ5.2%となっておりまして、そうした意味におきましても支出収支額72億円余の黒字、その比率5.2%は、適正水準とこのように考えてございます。
◆田中〔一〕 委員 17年度における特徴の一つとして、16年度まで発行を続けてきた
住民税減税補てん債の発行を借換え債は別にしまして、新たな発行は行わなかったことが挙げられると思います。
一方で、
住民参加型ミニ市場公募債の発行をするなど、
地方債許可制度から協議制への移行を目前に控えたタイミングで、まさに地方分権にふさわしい大田区としての主体的、自立的で柔軟な財政運営のあらわれとして高く評価をしているところであります。
一般に我々の家計でも余裕があるときには、新たな借金をしないことが合理的な行動であるわけですが、区財政という大きな枠組みの中においても基本的には同じことだと考えています。今日までの経営改善の効果と経済状況の好転により、厳しかった財政状況から若干の余裕のできた17年度において、区債の発行抑制を行ったこと。とりわけ、将来にわたって使われる公共施設など、投資的経費のために発行するのではない
減税補てん債を発行しなかったことは、極めて利にかなったものであり、区民にわかりやすい健全な財政運営であったと考えます。どのような考え方で区債の発行を抑制したのか、また、今後の財政運営における区債発行の考え方についてミニ公募債の発行を含めてお伺いをいたします。
◎西野 区長 ただいま、田中委員のご指摘のありましたとおりでございまして、財政的に多少余裕の生じたときをさらに借金を重ねるというようなことをいたす必要はないわけでございまして、それらを有効に財政運営に回すと。将来の借金は少しでも減らした方がいいとこのように運営を今後とも心がけてまいりたい。
それから、区債の発行のあり方でございますが、区民の皆さん方が直接区の債権を持っているんだ。ある意味では、我がふるさとということを感じていただける、そういう思いもありまして、今年度も実は発行しようということを既に準備を進めております。より参加意識の高い方向で感じていただければありがたいと思います。
◆田中〔一〕 委員 私も、このミニ公募債については、やるべきと提言をさせていただきましたので対応していただいてありがとうございます。
続いて、区債の償還について伺います。先ほどの借入れと同様に家計に例えますと、余裕のあるときには住宅ローンの繰上げ償還をするなど借金を減らすことが賢明な行動であると考えます。区財政においても、
区民サービスの一層の向上を図りながらも財源にある程度余裕のあるときこそ将来の負担を少しでも軽減するために、過去に高い利率で発行した区債の繰上げ償還も視野に入れた柔軟でコストに敏感な財政運営を行っていくべきだと考えます。繰上げ償還が困難なものや、約款上の制約からメリットのないものなどもあると聞いておりますが、今後の繰上げ償還の可能性についてどのように考えておられるのかお伺いします。
◎西野 区長 公債がある以上は、金融機関を通してある特定なところだけが持っているわけではなくて、広く世間に流通しているわけでございますから、繰上げ償還というのは約款上も非常に困難な部分もございます。といって現在の金融情勢からすると、利子はたっぷりついていると、だけど今、借換えをすれば2%前後で借りられる。その差が非常に大きいと、5%、6%の差があるわけでございますから、可能性のある部分については繰上げ償還をしたい。軍資金は今、減債基金で持っていますから、可能性のあるところから徐々に取組んでいこうと。これも一つの約束事でございますから、一遍にはできませんけれども、可能性は追求してまいりたいと思います。
◆田中〔一〕 委員 この項の最後に、将来に対する備えとしての基金について伺います。積立て基金ですが、17年度末には、462億円余となりました。
介護給付準備基金については、若干性格が異なると考えておりますが、いづれにしても積立て基金が462億円。
区民サービスを落とすことなく
行政サービスを向上させ、激変する
社会経済状況に的確に対応した区政を展開しつつ、今回の決算においてもある程度の剰余金を生み出してきたわけです。このことは、適正化からおおた
経営改革プランに基づく定数削減等厳しい内部努力なしには決してなし得なかったことであります。わが会派もこれまで
区民サービスの一層の向上と、経営改革の推進について強く要望し、区は、区の形式の中で着実に取組み、たゆまぬ努力をしてきた成果だと高く評価をいたしております。景気の変動による歳入の増減などを考えましても、基金への積立てによる備えは極めて重要なことであります。この点に関しましても、これまでの区の財政運営は懸命で健全であったと、私は評価をいたしておりますが、改めて基金の積立てに対する評価、考え方についてお伺いをいたします。
◎西野 区長 基金にはそれぞれ名称がついておりますので、その名称を、例えば
財政運営基金であるとか、あるいは減債基金であるとか、
公共施設整備基金であるとか、いろいろと初期の目的というものがございます。私どもも計画的に行政を展開するということで既にお示しをしてございますから、それらの担保としてある程度の頭金を整えておくということは当然のことだと考えております。
財政基金につきましては、年度間の財源調整の目的が非常に強うございますので、来年度は例の住民税のまた、10%への還元とかいろいろと制度の交代もございますけども、そのほかの部分で財源が入ってこなくなる。区税は確かに増えるかもしれないけれども、他の財源で国からの交付金が減るということになるとそういうところを埋めなくてはいけない。新しい事業に取組むには、もう既に目白押しでございまして、建物なども経年劣化をしているものも建て直しという時期を数々迎えているものがございます。公共施設の整備基金はそういうところに充てるとこういう段取りでございます。
いずれにしても、減債基金も既にある、借りている公債額に比べれば、今、少し増やした方がいいのかなとは思いますけれども、これは要するに区が目的とする
行政サービス、区民の満足というものとバランスをいかにとりながら基金の方も介入していくか、こういう感覚でこれからも取組んでまいりたいと思います。
◆田中〔一〕 委員 古い話で恐縮なのですが、私、23年と6カ月前に議会に当選をさせていただきました、そのときのスローガンは「大田区の発展と行革をめざして」というものでありました。私は、当選後の昭和58年の第3回定例会において、行革一本に絞った質問をさせていただき、一つは庁内機関の問題、あるいは行革のための諮問機関の設置の問題。学校の機械警備の導入の問題。退職手当、
特殊勤務手当、給与の適正化等の問題、あるいは、
争議行為参加者への制裁処置等を、提言を含めて質問をさせていただきました。
昭和58年当時は、庁内機関としては、
事務改善推進委員会が設置され各部の
庶務担当課長が参画し、組織改正、電算化、情報公開等について検討され、対応をされていたわけですが、その位置づけ、設置目的、機能を正すとともに、部長級を主たる構成員とするより本格的な
庁内機関設置を求めましたところ、当時の天野区長の答弁は、
事務改善推進委員会の内容について述べられた後、より本格的な庁内機関の設置については、従来から協議を持って対処してきたところですので、ご理解をいただきたい。極めて消極的な答弁であったと理解をしますが、実は区は、翌59年の6月
事務事業改善推進本部を立ち上げて当時の筆頭助役、当時の西野助役だと思いますが、本部長として全庁的な改革への取組みを開始し、直ちに
事務事業改善方針を示し、昭和60年1月14日には、
事務事業改善計画第一次、その後も第二次、第三次と改善努力を続け、平成7年度からの
事務事業適正化計画、平成12年度からの大田区
改革推進プラン、平成16年度からは、現在のおおた
経営改革プランへの取組みが、総合的、体系的になされ、そして、その内容と質の問題を含め区民のための強力な取組みが続けられております。職員数で見ますと、私の記憶では、平成2、3年ごろが最も多く6,600人台の後半だったと記憶いたしておりますが、清掃職員411人が、区に移管となっておりますので、本区の時期は別にしてマックスの職員は7,000人を超え、7,100人近くいたということになります。現在の職員定数は、5,081人でありますので、2,000人程度の減を、
区民サービスを向上させる中で成し遂げたことになります。来年の職員定数は、4,000人台となると思います。
起債については、国の施策による
減税補てん債の発行もあり、ピーク時に1,363億円余あったものが、平成18年末には、830億円台までに下がることが予想されますし、基金、預金についても平成18年末には、540億円程度となると、私は予想できると思います。体育館の建替えなどのときには、新たな起債が発行されることになると思いますが、少なくとも現在の起債、借金はあと3年ほどでちゃらになるのではないかと考えています。
まさに、これまでの
経営改善努力の積み重ねによる成果が現れたもので、自治体としての安定した経営基盤が構築されてきたと考えています。特に、職員定数については、
地方公務員法の制約の中で遅々として進まない状況が続き、私の追いかけてきた昭和58年第3回定例会のときも取り上げましたが、
学校警備職員については、私の昭和60年第1回の私の質問に答える形の中で、昭和60年4月2日以降欠員の補充を行わず順次機械警備に移行していくことが表明され、その時点で180名の警備職員がいたわけですが、現在は67名。113名、これは減らすのは当然いいことでこれからも順次減っていくことになるのですが、この間22年かけてやっと113名減らしてきたとこういうことになるわけで、よくここまできたなという思いを禁じ得ません。議会としても役割を果たしてきたと思いますが、当時者として、事にあたられた区長としても大変思いが深いのではないかと思いますが、何か感想でもあればお願いいたします。
◎西野 区長 改めて長いお付合いをしてきたなと感じます。当時、助役をしておりましたが、
企画部長段階から事務改善の問題については取組む、そういう方向でやっておりました。ちょうど助役に就任した年が、退職金の減額交渉の年でございまして、ピークのときには、最高月数で換算しますと、110カ月ぐらいの退職金を出していた時期がございます。今、59カ月、最高でです。そういうことで民間並にほぼ近いそういうことになっておりますが、その間、個々に考えると
労働組合交渉、その他を通して果敢に皆さんに努力をしていただいた。
また、職員の方もそれらについて十二分な理解を示してくれている。社会の動向というものと、公務員の処遇という問題、切っても切れない関係にあるわけでございますので、今後とも大田区民の痛みをともに感じ、また、楽しみをともに楽しむという
区役所づくり、
区職員づくり、そういう方向で取組んでまいる気持ちでございます。
◆田中〔一〕 委員 これからの将来を見据えた効率的で質の高い、健全な行財政運営を心がけていっていただきたいと存じます。
ただいまは、平成17年度
歳入歳出決算について伺ってきましたが、次にどういう形で効率的な行政を展開し、質の高い
行政サービスを区民の方に提供していくのか。いわば本区の経営計画について伺います。
進む
少子高齢社会は、労働人口の減少など国全体の活力にまでかかわる課題であり、人口構成をピラミッド型から逆ピラミッド型に社会構造を変え、年金制度などに影響を与え、社会的負担における世代間の公正などの問題も生じさせています。経済も低成長、
安定成長経済の様相を呈しており、持続可能な成長が話題となっています。安定した安心のできる生活を実現していくため
後期高齢者医療制度の創設、
生活保護制度の見直しなど社会福祉、社会保障などさまざまな制度の再構築が進められています。住民の負担も定率減税の廃止と、それに伴う
国民健康保険料や、介護保険料への影響、医療費の
自己負担割合の見直しなど制度を維持し、サービスを担保するためとはいえ負担は増加をしています。このような中で、以前にも増して区政をどのように運営、経営をしていくのか。区とそして、私ども議会の責任は重大であります。
国が平成16年に示した
集中改革プランで、地方自治体に対し事務事業の再編、整理。
指定管理者制度の活用を含む民間委託等の推進。定員管理の適正化として、退職数及び採用者数の見込み、平成22年4月1日における定員目標の明示。給料表の運用、退職手当、
特殊勤務手当等の諸手当の総点検をはじめとする給与の適正化。第三セクターの見直し。経費節減等の財政効果などを求めています。本年4月から一般的には、
市場化テストといわれている、
公共サービス改革法、
官民競争入札制度が施行されています。
市場化テストは民でできるものは民への考え方のもとに、行政に競争原理を導入して、より効率的な業務運営を目指すものといわれております。足立区では、現にこの法の施行を受けて全国で始めて住民票などを交付する窓口業務を
人材派遣会社に委託する方針を決めたとの報道がなされています。
本区では、既に経営改革として平成7年からは適正化計画、平成12年からはおおた
改革推進プラン、16年からはおおた
経営改革推進プランに取組んでおり、事務事業の見直し、事務委託の推進、職員定数の適正化など大きな成果を上げていると考えています。効率的に財政運営を協力に進めている本区においては、
市場化テストについてどのように考え、どのように対応しているのか。大田区は、国に言われなくてもみずから積極的に取組んできたと理解をいたしておりますが、どのように対応されているのかお伺いをします。
また、前段申し上げた集中プランで示された各項目についての取組み、成果なども概括的にお知らせいただければと思います。
◎西野 区長 個々でご指摘いただいた問題については、各部課長にお答えいただくとして、基本姿勢の問題でございますが、やはり区民の方のプライバシーにかかわる問題とか、公的にどうしてもやらなければいけない公権力の行使、あるいは個人的な影響が強い、こういう問題については、民の方にすぐに投げ出すと、やっていただいて結構ですよとそのようには考えておりません。やはり最終的に、所属の再配分効果なども含めて区の行うべき行政の役割というものはきちんと抑えていきたい、このように思います。
したがって、福祉の問題など取り上げたときに、民でできることと、公の立場で初めて権力的な関与をしていきます。権力的という言い方はちょっと語弊があるかもしれませんけど、よりよいサービスを提供するためにはどうするか、そういうことは役所の責任として展開すべきだと考えております。
したがいまして、すべてを民に移すと、このような考え方には立たず、区役所の本来的な役割というものはきちんと押さえながら分担をしていきたい、分担をすべきだと。住民票の問題についても今、提案がされましたけれども、ちょっと疑義があるという意見が既に出ております。私は、やはりすべて丸投げで民間が住民票を出していいとそこまでは踏み込むつもりはございません。
◎須藤
経営管理部長 私からは、質問の後段の
集中改革プランで6項目が示されてございまして、大田区での取組みや成果を順次ご説明を申し上げたいと思います。まず、第一に民間委託等の推進でございますけれども、これは平成16年以降、指定管理者の導入後84施設で、また、保育園の民営化を6園、土木事務所と公園管理事務所で6カ所委託を実施してございます。来年度においては地域図書館14館に
指定管理者制度を導入するほか、先にお示ししました土木事務所、公園管理事務所なども平成20年度までに業務委託を完了化してまいりたいと考えてございます。
2点目は、退職、採用数の見込みでございまして、この具体的な対象につきましては、これまで毎年大体70名〜80名ぐらいの退職が続いておりましたけれども、2007年度問題というまさに平成19年度以降から、これが2倍〜2.5倍ぐらいの170人前後に増えまして、それ以降ずっと高原状態が続くということが見込まれております。採用数は、これまでの退職不補充などで、過去十数年は20人前後でございましたけれども、今後の組織の規模など考え必要最小限を採用してまいりたいと考えております。
3点目は、平成22年4月における定員目標の明示ということがございました。これは、4,447人を現在では目標としてございます。
4点目は、給与の適正化ということで、今回17年の人事委員会勧告を踏まえまして四分割給料表ですとかあるいは給与格付制度の全廃。あるいは、再任用、再雇用の勤務条件を抜本的に見直しまして、18年度給与では前年比、約35%の減となっております。また、特勤手当につきましても大幅な見直しを図ってございます。
5点目ですけども、第三セクターの見直し。これは、15年3月末までに公園緑地公社、振興公社、それから、16年3月に大田区福祉公社を解散してまいりました。引き続き第三セクターの補助金の見直し、派遣の縮小なども努めてまいります。
最後に経費削減の財政効果でございますけれども、平成7年の適正化計画以来、これまでの経費累積削減効果額は、778億円となってございます。
◆田中〔一〕 委員 今、区長から基本的なスタンスについて、お話、ご意見を伺いました。私、それでいいと思いますし、正しい対応だと考えておりますが、
公共サービス改革法では、住民票など窓口業務受渡し等に限定をしてできるという見解があるそうでございまして、総務省あたりでは、若干これに疑義があるいうことで、足立区は呼び出しを受けているようでございますが、いずれにしても、私は窓口業務等を含めてまだまだ民間でやっても適切ではないかと思われる部分も大田区政の中には、まだ多々あろうかと思いますので、聖域なくそういう方途について検討を、今後ともしていっていただければありがたいと思います。
民間活力の導入の方法は、種々多様でありますが、それぞれの事業目的や効果、サービス内容により業務委託がいいのか、指定管理者がいいのか、場合によっては区から手を離して民営化をすることが結果として
区民サービスの向上につながるものもあるわけであります。このように業務委託、指定管理者、PFI等さまざまな手法がある中で、私は公共施設の目的に合わせて選択のあり方を考えるのは、適切な経営改革の手法ではないかと思いますが、どのようにお考えかお伺いします。
◎須藤
経営管理部長 私どもご指摘のとおり、公の施設の周囲はさまざまな目的、また運用形態にございます。その手法の目的にあった選択をしていくということが適切だろうと考えてございます。現に、例えば学校の給食調理では業務委託をしてございますし、また、
指定管理者制度に移行した公の施設もございます。PFIなど新しい手法につきましては、主に料金収入ですとか、市場金利の動向などに大きく左右されるということがございますので、その辺のことをかね合わせて、適切な選択をしてまいりたいと考えてございます。
◆田中〔一〕 委員 次に、区民との協働の視点から、旧大森第六小学校の施設活用において、こらぼ大森が誕生し、地域やNPOとの協働を実施しています。平成16年度から着手をし、本年で3年が経過しようとしています。スタートまでもいろいろと地域と区が話し合いを進め、新しい取組みが実現をしています。17年までは、中間NPOが、そして本年度からは地域NPOが業務委託を受けています。こらぼ大森のこれまでの運営の状況について区はどのように評価しているのか。また、地域のNPOも細かいところでは、問題なしとしないとの声もありますが、それらも踏まえて地域のNPOにどのような運営を期待しているのか、今後の協働のあり方も含めてお考えを伺います。
◎高橋 区民生活部長 こらぼ大森についてのお尋ねでございますけれども、ただいまご指摘がございましたように、こらぼ大森の開設に際しましては、地域の皆さん方とともに検討を進めてきたわけでございます。
その際、大きな目的として掲げましたのは、施設の運営について地域の方々に中心になって行っていただこうということを大きな目標として掲げてきたわけでございますが、現在では協働支援施設、区民利用施設、子ども交流センター、シルバー人材センターと大きくわけまして4種類の複合施設として運営をしているわけでございます。この間、ただいまのご指摘にもございましたように、当初は中間NPOといわれる団体に経営、施設の受付業務などを委託しておりましたけれども、今年度からは地域の方々が中心になりました元々の運営協議会を母体としたNPO法人が設立されまして、その法人に施設の自主運営を目指して、今、運営のお願いをしているところでございまして、そうした意味合いから申し上げますと、ほぼ、当初、目指した方向性に沿って動いてきているのかなという認識を持っているところでございます。
今後の問題でございますけれども、地域のNPOに対しまして大田区との協働事業を実施していただくとともに、受付などの業務、それから、地域とのつながりを活かしながら施設の利用促進を図っていただきたい。また、来館者に対しまして、区民活動情報を提供することなどによりまして利用者のサービスを行い、区民活動を支援することをお願いしたいと考えております。
今後とも、こらぼ大森を活動の拠点としまして、さまざまな形での連携、協働が進められることを期待しておりますし、私どもとしても必要な支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
◆田中〔一〕 委員 先ほど、須藤部長の答弁の中でも、ちょっと触れられておりましたが、団塊の世代の大量退職が予想されて、職員の年齢構成も激変していくわけですが、それらにどういうふうに対応していくのか。2007年問題と言われておりますが、堺屋太一の1976年の小説「団塊の世代」によって登場した言葉でありますが、この大量退職時代に対応するために民間の企業では、例えば成績優秀な営業担当、コンピューター技術者など退職していく職員の技術や知恵をいかに組織内に残して顧客へのサービスレベルを下げずに充実させていくか、さまざまな方策が検討されていると聞いています。また、東京都教育委員会も団塊の世代の大量退職対策として、来年度から定年退職を迎えた小学校の校長や副校長ら管理職を再任用して、常勤で雇用し教育行政のレベル確保につなげたいとしています。
この傾向は、区の職員についても同様であると考えられます。もっとも区の職員の多くは、国の法改正もあって退職後も再任用されることから、その間に次の世代の職員に知識、経験やノウハウを伝えていってほしいと思います。私は、各年の退職者数を勘案しながら計画的、戦略的な組織構築を目指していくべきだと思いますが、どのようにお考えかお伺いします。
◎須藤
経営管理部長 ご指摘のとおり団塊世代の退職、2007年問題の言葉どおりですが平成19年度以降、退職者数が増えていくと。事務職について見ますと、今後10年間で現在1,860名おりますけれども、このうちの770名、4割程度が10年間で退職を迎えるという状況になってございます。
そこで、もちろん先ほど先生がおっしゃられた再任用再考の制度の中で、業務の適切な継承を確実に図っていくという点もございますし、もう一つは、やはり長期的には、少数精鋭を目指した組織、定数の普段の見直しを図っていたずらな組織の肥大化を防ぐ。2点目は、中長期的な展望に基づく適正規模の採用を行っていく。3点目は、ここ10年、採用数を絞ってございますので、この20代が30歳代、40歳代にいったときには、非常にその部分が細くなってくるということがございますので、今、23区全体の検討課題にしてございますけれども、30歳代、40歳代の中途採用の制度を、検討していこうと、このようなことを考えてございます。
◆田中〔一〕 委員 ちょっと本来と外れるのですが、団塊の世代にどのように地域活動に参加していただけるかという問題であります。大田区や議会にこのことに権限があるわけではございませんが、多くの方に明るく元気な大田区づくりに参加してもらえたらと思います。
区は自治会や町会、民生委員の方など多くの区民とともに地域社会づくりに取組んできました。しかし、地域社会に無関心な人々も増えており、コミュニティの崩壊が危惧されています。これからは、戦後の貧しい時代から高度経済成長期、バブル崩壊から安定成長とさまざまな体験をされた皆さんにも、地域社会、地域福祉の担い手として、協働の主体者として、また、大田区のパートナーとして社会活動に参加していただくことを期待しています。そのためには、大田区を活用して呼びかけを行うことなども一つの手だてとしては考えられるのではないでしょうか。
全国の自治体の中には、団塊の世代を呼び込もうとする動きも盛んになってきています。背景は異なりますが、島根県では、県知事名で約2万人の県出身者に帰郷を呼びかける手紙を送ったとのニュースにも接しました。また、北海道でも、移住促進活動が盛んに行われています。
大田区も今後、地域に戻ってくる、まだまだ元気でさまざまな社会体験を積み、技術、知識を持つ団塊の世代の方々を、地域の担い手としてどのように地域社会に参加、あるいはかかわっていただけるのか、あるいはいただきたいのか、何かお考えがあればお伺いをいたします。
◎高橋 区民生活部長 いわゆる団塊の世代といわれる方々でございますけれども、一般的には社会参加意識が非常に高いと言われているわけでございます。そうした方々につきましては、ただいまのご質問にもございましたように、長年の仕事を通じた経験、あるいは知識、ノウハウを活かしていただきまして、各種のボランティア活動への参加。あるいは自治会、町会等の活動を通しての地域活動、さらには、それらの活動の調整等、できれば地域におけるコーディネーターという役割も果たしていただければ大変ありがたいと考えているところでございます。
ただ、ご指摘の中にございました、区報により呼びかけたらどうかというようなご提案もございましたけれども、今のところ特に団塊の世代に焦点をあてたそういった広報活動というのは考えておりませんけれども、ご承知のとおり区報、その他の手法を使いまして、私どもとしてはさまざまな活動の分野、事業等にご参加いただくように呼びかけを常日頃行っているところでございますので、そういった中で一人でも多くの方々が、そういう活動にご参加していただけることを今後とも期待してまいりたいと思っております。
◆田中〔一〕 委員 次に、本区の各種計画について伺います。
本区は、平成13年に21世紀初頭の区政の基本方針となる、長期基本計画おおおたプラン2015を策定し、「安心、輝き、潤いのまちづくり」を掲げてから6年がたとうとしています。この間、ある意味では毎度ではありますが、直近では、平成16年3月に、施策を着実に実現するための3カ年実施計画を定めるとともに、その前年、平成15年9月には、緊急課題に取組むため、産業、子育て、教育、雇用、四分野における緊急な課題に取組むために、平成15年度から18年度を計画期間とするおおたはばたきプログラムをスタートさせました。
このはばたきプログラムは、現実施計画の策定を翌年に控えていたわけですが、当時まさに緊急に対応しなければならない課題について、時期を失することがないよう実施計画策定に先駆けて、四分野の施策に取組んだものと理解いたしております。
実施計画には、はばたきプログラムに掲げられた事業の多くが改めて取り上げられています。これは、両計画の連携を考慮したものであり、先の産業、子育て、教育、雇用の各分野の施策を重点的に進める上で、効果的なことであり、重要なことであると思います。
さて、現在の区政運営における中心的な計画である3カ年実施計画並びにおおたはばたきプログラムがいずれも今年度、その計画期間の最終年度を迎えています。そこで計画期間終了まで半年となった現時点における、この両計画の全体の進捗状況はどのようになっているのか、あわせてそのことをどのように評価しているのか。また、次の計画について検討、精査が行われていると存じますが、そのあたりがどのようになっているのかお伺いをいたします。
◎須藤
経営管理部長 まず、16年度から18年度の実施計画事業につきましては、最終年度を迎えておりまして、現状では計画した75事業のうち71事業95%につきましては、ほぼ当初の計画内容を達成しつつあると考えてございます。はばたきプログラムにつきましても、現状では42事業中40事業。これも95%ですけども、成果を上げているものととらえております。残りの1件につきましても、全力で取組み、安心、輝き、潤いのまち実現と、区民満足度の向上に努めてまいりたいと考えております。
次の計画のことでございますけれども、おおおたプラン2015の方向性を受けまして、現在次の3カ年、19年度から21年度の実施計画、候補事業選定作業を進めてございます。長期基本計画策定後、3クール目となる次期実施計画でございまして、これまでの実績を踏まえるとともに社会環境の変化、あるいは区民ニーズを的確にとらえて、各分野におきますニーズを的確に、重点的に、修正すべき事項を明らかにして、限られた財源を的確に配分するという視点で検討、精査を進めております。
◆田中〔一〕 委員
歳入歳出決算、あるいは区政の各計画、あるいは進め方等について質問させていただきましたが、これは本来とは外れるのですが、大事な問題だと思いますので、この総括の中で取り上げさせていただきます。
去る9月21日、東京地裁においてまか不思議な判決が言い渡されました。その内容は、東京都教育委員会が、入学式や卒業式で、教職員が国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するよう通達したのに対し、都立学校の教職員ら401人が、東京都と都の教育委員会を相手取り通達に従う義務のない確認や、損害賠償を求めた訴訟の判決であります。裁判長は、通達や都教育委員会の指導は、思想、良心の自由を保障した憲法に違反するとの違憲判断を示し、教職員に起立や国歌斉唱の義務はなく、処分もできないとする判決を言い渡した裁判であります。私たちもびっくりしましたが、私は言い渡された原告団の方が、私たち以上にびっくりしたのではないかと思います。
私は、一期、二期のときによく国旗、国歌の問題、卒業式や入学式等の儀式のあり方の問題を何度となく質問をしましたが、それは議員にならせていただいて、地域の小学校で目の当たりにした卒業式のあり方に驚き、少しでも式にふさわしい儀式にしないと、私ども大田区の子どもたちはまともに育っていかないのではないかと感じたからであります。
本区の教育委員会も長年にわたり子どもたちのため正常な形式、内容が伴う儀式がなされるよう努力を続け、学習指導要領の明確化もあり、本区内の小中学校の卒業式、入学式は概ね儀式にふさわしい内容で挙行されております。ごく一部の偏狭な集団に、子どもや日本の将来をめちゃくちゃにされてはかないません。判決では、式前での国歌、国旗掲揚、国歌斉唱は有意義なものである。生徒らに国旗、国歌に対する正しい認識を持たせ、尊重する態度を育てることは重要と言っておりますが、こうした教師たちの由々しき点で、尊重する態度が育まれるとは思いません。もちろん思想、良心の自由は、憲法で保障され、一人の国民としてはどのような考え方を持とうが自由でありますが、彼らは公務員であります。教師は、指導要領などに定められたルールはきちっと守らなければならないし、その行動は、一定の制約を受けることは当然のことであります。
したがって都教育委員会が行った処分は当然のことであり、東京地裁がいうようにいかなる処分も行えないことになれば教育現場は、ごく一部の偏狭な教師たちにより混乱させられる恐れがあります。当然のこととして東京都は、今回の不当判決に対し控訴するわけですが、先月29日に控訴したと聞いておりますが、上級審における判決はだれが考えても、今日までの東京都の考え方に沿うものとなることは明らかであります。安倍晋三総理は、公教育の改正を憲法改正と並ぶ大きな目標に掲げております。私も同様に考えています。区内の学校長、とりわけ大田区教育委員会は、公教育が成り立たなくなるような今回の東京地裁の不当判決に惑わされることなく、今日までと同様にき然とした対応、指導を続けてほしいと思いますが、教育長のお考えを伺います。
◎細島 教育長 国旗、国歌にかかわる過去の裁判例といたしましては、2005年の福岡地裁判決、そして2004年の東京高裁判決があります。また、行政通達にかかわる裁判といたしましては、ちょっと古いですが、1976年の学力調査事件の最高裁の判決がございます。これらの判例がございますが、それらに対しましてこのたびの東京地裁の判決は、全く異なる展開を示しておりまして、私自身も大変驚いているところでございます。予想もしていなかった判決でございますが、大田区教育委員会といたしましては、今までどおり適正に対応、指導してまいる所存でございます。
○海老澤 委員長 次に公明、質疑願います。
◆荒川 委員 大田区議会公明党を代表いたしまして、私、荒川善夫が総括質疑をさせていただきます。
平成17年度決算概要を拝見しますと、景気動向の回復基調、歳入は順調な伸びを見せております。歳出面におきましても、新規事業並びにレベルアップ事業を順調に執行されておりまして、成果を上げられていると感じられます。
普通会計決算の財政資料を拝見いたしましても、標準財政規模に対する実質収支の割合で、通常3%〜5%が望ましいと言われておりますけれども、ここ数年来上昇しておりましたけれども、本決算におきましては、
実質収支比率は5.2%に下がりまして、公債費比率、
経常収支比率も前年度を下回りましたので、健全財政を回復しつつあるという評価をさせていただいております。そこで、大田区の事業を執行する上で、理事者並びに職員の皆様は、区民からの信頼を確保しつつ財政運営の健全性そして、透明性、効率性の確保を望むものであります。
しかし、最近のマスコミ報道によりますと、福岡市職員の飲酒運転による市民、子ども3人を巻き込む悲惨な死亡事故。そして、岐阜県におきましても、岐阜県職員の裏金問題は、4,421人に及びます処分。実に、職員の6割に及ぶと聞いたときに、ここにいらっしゃる中で、二人に一人は間違いなく裏金問題に加担していたとこうなるわけでありますけれども、まさか大田区の職員はそのようなことはない、大丈夫であろうと思いますけれども、大丈夫かなと、こう思った区民もたくさんいるかと思うのです。このように公務員モラルが欠落し、社会問題となっているとき、李下の冠の例えのように大いに襟を正していただきたいと思いますが、これらの事件をとらえまして、どのように全庁的に手を打たれたのか、まず、最初に区長にお尋ねいたしたいと思います。
◎西野 区長 二つの問題を挙げながら、大田区における対応はいかにと。飲酒運転問題については、私どもの区はいち早く、昨年2月に飲酒運転については、免職をもって臨むという内規を定めております。したがいまして、今、盛んに免職にするという記事が載っていますけれども、私どもは1年ぐらい前に既にその問題には取組んで規則化いたしております。
第2点の裏金問題でございますが、正直言いまして大田区にも、それに近い事例が30年ぐらい前にございました。全国紙の1ページを飾ったことがございます。その当時、私は財政担当でございまして、それらの収拾問題についていろいろと奔走させていただき、そしてこのようなことが二度と起こらないようにということで、当時の助役の名前をとった七尾委員会というのをつくり、その事務局を担当して不正を防止するとこういう体制をとっております。常時、正さなければならない、このような考え方で今日も望んでおりまして、おかげさまで、私が区長に就任して以来このような不正事件、刑事事件というものは発生していない。これは、少なくとも職員の大いなる自覚のもとに事が行われていることだと私は信じております。
◆荒川 委員 大田区ではそのようなことは決してないとこういう区長のお話でございますが、例えばこういう事例があったときに、一般的に当然会議で招集して、やはりこういうことがないようにという各セクションごとでそういうことは行っていらっしゃるのだろうと思います。区長が議会事務局長をやられたときを私は存じ上げないのですけれども、今まであまり会議をやっているのを、議会事務局で見たことないのです。大久保局長おいでになってからよく会議をやっていらっしゃる。そういうちゃんとした人もいるのだなと、議会事務局の局長をやる人で。そんなことは常日頃感じておりまして、時々、石田部長のセクションへ行くと、会議をやっていらっしゃる。そういうふうにも長に立つ人、人によってしっかりしている、だめだという事例があるのだろうと思いますが、こんなとき例えば区長通達だとか、助役通達だとか、そんなことできちんと改めてそういうことがないようにという訓示に近い状況の会議なんかはやることがあるのでしょうか。
◎須藤
経営管理部長 その件につきましては、早速9月の部課長会で、全員の部課長を集めまして、助役から飲酒運転の防止など職員のモラル維持向上に対して直接指示、お話をしてございます。それから、区長みずからが、庁内報、これは全職員に配る庁内報でございますけれども、飲酒運転を、防止を呼びかける記事を掲げて、これは5日に配信する予定でございますけれども、直接全職員に対してその呼びかけをしてございます。
◆荒川 委員 大田区では、平成17年度から外部監査が実施されました。制度そのものは、過去の地方自治体の不祥事を受けまして、監査の重要性が再認識をされ、第三者が地方自治体の行財政をチェックする仕組みとして、地方自治法が改正され、平成10年に導入されたものでございますけれども、自治法の規定では、都道府県、政令指定都市、中核市においては、外部監査制度の導入が義務づけられております。大田区を含めた他の地方公共団体には、義務づけはございません。導入する、しないは各自治体の判断ということになるわけでありますけれども、大田区は、平成14年度から3年間にわたりまして行政経営診断を行ってまいりました。
行政経営診断は、行政評価制度の一環として、区が執行する事務事業のうち、その事業の有効性、効率性などを検証するため外部の専門的立場から事業の検証を行い、改善策の提言を求めるものと説明を受けてまいりました。決算概要説明書によりますと、外部監査委託料は、840万円となっております。過去3年間の行政経営診断にかかった経費等と比較いたしましても、そんなに増額されてはおりません。行政経営診断と外部監査とでは、当然差異があってもしかるべきと考えますけれども、なぜ外部監査制度の導入に踏み切られたのか。また、行政経営診断に対する評価とあわせて所見をお聞かせいただきたいと思います。
◎須藤
経営管理部長 行政経営診断も、また、このたび昨年から始めた外部監査も同じく公認会計士という専門家を活用するという点では、同様でございますけれども、ご案内のように地方自治法に基づきまして外部監査人は、いわゆるみなし公務員とされる。また、監査委員との連携が法律上求められる。あるいは、議会への報告義務などが、こうしたことからより厳格な制度として定められております。より一層の効果が期待できるものとして外部監査を導入してございます。
平成17年度の包括外部監査におきましても、さまざまなご指摘、改善についての意見をいただきました。引き続き区政の改善に向けて努力してまいりたいと考えてございます。
◆荒川 委員 平成17年度、外部監査のテーマでは、補助金の財務事務執行状況と、財政の援助団体の管理運営、この二点でございましたけれども、テーマをこの二点に絞り込んで詳細にわたって調査をされていますので、結果報告書はかなり厳しい意見が述べられておりまして、改善措置を迫られております。
その報告書によりますと、例えば整理番号6。ここには大田区職員文化会等助成金が示されておりますけれども、これは自治体の福利厚生事業であるわけでありますが、大阪市の職員厚遇問題と同様の事案でございますので、看過できないことといたしましての是正措置と受け止められるわけであります。
それに対しまして大田区は、平成18年度より職員、退職者会への助成は廃止をされました。
先日、委員会で配付されました監査の結果に対する措置状況をちょうだいいたしましたが、報告されていない整理番号、ナンバー1、ナンバー2、ナンバー4、ナンバー7、ナンバー8、ナンバー11、ナンバー14、ナンバー22、ナンバー24、ナンバー36、ナンバー39、ナンバー40、ナンバー41、ナンバー42、ナンバー43、ナンバー44、ナンバー45、ナンバー49など、今後どのように是正され、私どもに報告していただけるのか、そのスケジュールをお聞かせいただければと思います。
◎須藤
経営管理部長 前段の職員退職者会の助成金でございますが、これは文化会の予算措置で行っているものでございまして、これは早速今年度から廃止ということでさせていただいておりまして、条例の規定はございません。
それから、後段の監査結果報告書における整理番号のうち、これらの外部監査のご指摘はいわば二段階ございまして、直ちに是正すべきというものと、それから、行ったところ直ちに是正すべきというものではなくて、実務上再度よく十分吟味した方がいいのではないかという意見を付せられたものでございまして、ご指摘のいろいろ整理番号を挙げていただいたものは、後段の十分な研究を今後行った方がよいのではないかとこういう部分でございます。これらの意見につきましては、今後各部の事業執行にあたりまして十分に参考し、改善すべきものは改善し、必要に応じては議会に報告してまいりたいと考えてございます。
◆荒川 委員 昨年の末から今年にかけても数多くの法改正がございまして、その法改正を私ども大田区行政にとって、それを活用していくと極めて大田区民に、
区民サービスの提供ができると考えられるものが散見できるわけでありますけれども、例えば東京都という視点においては、国土形成計画法が昨年の12月末に改正されました。そのほかに住生活基本法。これも東京都レベルで活用していくならば、公営住宅の供給の目標だとか、そんなことを立てていけばよろしいわけでありますが、道路運送法は10月1日、今月に改正実施、施行されたわけであります。また、建築物の耐震改修の促進に関する法律は、本年1月26日に施行されました。また、中心市街地の活性化に関する法律は、8月22日に施行されました。また、高齢者、障害者等の移動等の円滑化促進に関する法律につきましては、6月21日から6カ月以内ということで施行されるとなっております。
先ほど申し上げましたように、大田区でこれらの改正法を受けまして対応するならばと考えますけれども、その視点で順次お伺いしてまいります。道路運送法の改正は、福祉有償運送についてうたわれておりまして、そのことについてお伺いをいたします。
過疎化や少子高齢化が進行する中、要介護者や障害者等の移動制約者の移動を確保するためバス、タクシー事業者による運送サービスを補完するものといたしまして、福祉有償運送がスタートをいたしております。この福祉有償運送は、NPO団体等が高齢者や障害者等公共交通機関を使用いたしまして、移動することが困難な人々を対象にいたしまして、通院ですとか通所、レジャー等の目的に有償で行う送迎サービスでございます。利用対象者は、要介護者や要支援者と身体障害者など単独での移動が困難な方と、単独では公共交通機関の利用が困難な方を対象といたしております。この有償運送を利用する場合には、事前に登録されまして、予約して利用ができるようになっております。この利用料金は概ねタクシー料金の半額程度と聞いております。よく身体障害者の方から電車やバスは乗り降りしにくい。気軽に利用できる移動手段が少ないなどとの声をちょうだいしております。また、高齢者の方からは、最寄りのバス停や駅まで遠いとか、バスや電車の乗り降りが一人では困難。低床バスになったけれども、バスの停車位置がバス停において、歩道から離れた場所に運転手に止められると非常に乗りにくくなる。既に乗っている人たちに大変迷惑をかけてしまうというような声をちょうだいいたしておりますが、有償運送がもう既に実施をされておりまして、介護が必要な方や障害をお持ちの方にとって大変心強いと思うわけでございますが、大田区では、大田区全域を福祉有償運送特区といたしまして、本年度からこの福祉有償運送をNPO等が実施しております。区内で有償運送をする場合、どのような手続をすればよろしいのでしょうか、お尋ねをいたします。
◎金澤 保健福祉部長 福祉有償運送でございますけれども、事務手続的には、NPO等が区内で福祉運送を実施する場合には、区が主催する福祉有償運送運営協議会の中で、福祉運送の必要性、輸送するサービスの範囲、輸送の対価等についての合意を得るという手続を踏みまして、これらの合意が得られた場合において、実施団体が東京都運輸支局長に登録の申請を行うという形でもって事務は進めてございます。なお、法改正前からこの事務については行われたところでございます。
◆荒川 委員 今、部長から法改正以前からこの事業が実施されているということでございますけれども、大田区において実施されております団体数、数はどの程度ございますでしょうか。
◎金澤 保健福祉部長 10月現在でございますけれども、東京運輸支局長から許可を得て福祉有償運送を、実施をしている団体は、現在7団体でございます。
◆荒川 委員 それで、7団体ではそれぞれといいますか、全体でも結構ですから利用者数をお聞かせいただければと思います。
◎金澤 保健福祉部長 福祉有償運送を利用する場合には、利用者の方は各団体にそれぞれ登録して会員となるという形をとる必要がございます。現在、許可を受けてございます7団体の登録されている合計は、766名ということでございます。