令和 1年 定例会議会(6月) 令和元年度定例会6月議会 墨田区議会会議録1 期日 令和元年6月21日2 場所 墨田区議会議事堂3 出席議員(32人) 1番 藤崎こうき君 17番 とも宣子君 2番 山下ひろみ君 18番 高橋正利君 3番 たきざわ正宜君 19番 じんの博義君 4番 坂井ひであき君 20番 大瀬康介君 5番 坂井ユカコ君 21番 あべきみこ君 6番 たかはしのりこ君 22番 としま 剛君 7番 かんだすなお君 23番 福田はるみ君 8番 堀 よしあき君 24番 樋口敏郎君 9番 渋田ちしゅう君 25番 沖山 仁君 10番 井上ノエミ君 26番 田中邦友君 11番 中村あきひろ君 27番 木内 清君 12番 あさの清美君 28番 おおこし勝広君 13番 佐藤 篤君 29番 加納 進君 14番 しもむら 緑君 30番 田中 哲君 15番 加藤 拓君 31番 はらつとむ君 16番 はねだ福代君 32番 高柳東彦君4 欠席議員 なし5 出席理事者 区長 山本 亨君 福祉保健部長 後藤隆宏君 副区長 高野祐次君 子ども・子育て支援部長 岩佐一郎君 教育長 加藤裕之君 都市計画部長 渡辺茂男君 企画経営室長 岸川紀子君 都市整備部長 田中正明君 総務部長 小暮眞人君 企画経営室参事 郡司剛英君 区民部長 石井秀和君
地域力支援部参事 前田恵子君 地域力支援部長 関口芳正君
保健衛生担当部長 伊津野 孝君 産業観光部長 鹿島田和宏君
保健衛生担当次長 高橋宏幸君
保健衛生担当参事 西塚 至君
教育委員会事務局次長 青木 剛君
危機管理担当部長 小久保 明君
教育委員会事務局参事 宮本知幸君 環境担当部長 佐久間 之君
選挙管理委員会事務局長 岩瀬 均君
立体化推進担当部長 宮本知明君
監査委員事務局長 酒井敏春君 会計管理者 中山 誠君6
出席事務局職員 事務局長 浜田将彰君 議事主査 松本光考君 事務局次長 瀬戸正徳君 書記 大胡三沙緒君 議事主査 荒井 栄君 令和元年度墨田区議会定例会6月議会議事日程 第2号 令和元年6月21日午後1時 開議第1 議員提出議案第1号 東京都
後期高齢者医療広域連合議会議員選挙における候補者の推薦について第2 議案第4号 墨田区附属機関の設置に関する条例の一部を改正する条例第3 議案第5号 墨田区総合体育館の管理運営に関する条例の一部を改正する条例第4 議案第6号 墨田区立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例第5 議案第7号 墨田区印鑑条例の一部を改正する条例第6 議案第8号 墨田区特別区税条例等の一部を改正する条例第7 議案第9号 墨田区介護保険条例の一部を改正する条例第8 議案第15号 墨田区子どものための教育・保育給付に係る報告等の違反に対する過料に関する条例の一部を改正する条例第9 議案第16号 墨田区特定教育・保育施設及び
特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第10 議案第17号 墨田区保育所等の利用者負担額を定める条例の一部を改正する条例第11 議案第18号 墨田区立幼稚園の保育料等に関する条例の一部を改正する条例第12 議案第3号 令和元年度墨田区
一般会計補正予算第13 議案第14号 令和元年度墨田区
一般会計補正予算第14 議案第10号
文花子育てひろば新築工事請負契約第15 議案第11号 隅田公園再整備工事(その2)請負契約第16 議案第12号 小梅橋架け替えその他工事請負契約の一部変更について第17 議案第13号 物品の買入れについて 午後1時開議
○議長(田中邦友君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(田中邦友君) まず、会議録署名員を定めます。 本件は、例によって、議長からご指名申し上げます。 3番 たきざわ正宜君 18番 高橋正利君のご両君にお願いいたします。
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○議長(田中邦友君) 事務局次長から諸般の報告をいたします。 〔
事務局次長報告〕----------------------------------- 31墨総総第448号 令和元年6月20日 墨田区議会議長 田中邦友様 墨田区長 山本 亨 議案の送付について 令和元年度墨田区議会定例会6月議会に提出するため、下記議案を送付します。 〔巻末諸報告の
部参照〕----------------------------------- 31墨総総第439号 令和元年6月20日 墨田区議会議長 田中邦友様 墨田区長 山本 亨 地方自治法第221条第3項の法人の
経営状況説明書類の提出について このことについて、地方自治法第243条の3第2項の規定に基づき、下記のとおり提出します。 〔巻末諸報告の
部参照〕----------------------------------- 31墨監第144号 令和元年6月19日 墨田区議会議長 田中邦友様 墨田区監査委員 長谷川昌伸 同 福島優子 同 寺田政弘 同 高橋正利 令和元年6月例月出納検査の結果について このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。 〔巻末諸報告の
部参照〕-----------------------------------
○議長(田中邦友君) 諸般の報告を終わります。
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○議長(田中邦友君) これより一般質問に入ります。 通告がありますので、順次発言願います。 25番・沖山仁君 〔25番 沖山仁君登壇〕(拍手)
◆25番(沖山仁君) 私は、墨田区議会自由民主党の沖山でございます。会派を代表して、まず質問の前に一言申し上げます。 この度は、天皇陛下におかせられましては、御即位になりましたことは、私どもの心からお喜び申し上げるところであります。謹んで慶祝の意を表します。 それでは、質問に入ります。 山本区長は、先の区長選挙におきまして6万6,755票、再度70%を超える得票率で当選されました。区民の皆様からのご期待に沿えるよう、また、区政にいただいた厳しい声にもしっかりと耳を傾け、2期目の区政運営に当たっていただきますようお願いを申し上げる次第でございます。 まず、区長選の所感及び所信表明について伺います。 第1に、区長選を通じた所感について伺います。 山本区長は先日の所信表明における選挙の感想では、4年前と同様、子育て世帯と主要駅周辺での来街者数の増加に加えて、今回は高齢者施策について述べました。改めて言及するに至った理由を、まずお聞かせください。 また、4年前の所信表明では、「商店街の中にはシャッターをおろした個店や空き店舗が見られるなど、地域商業の厳しい実情を実感いたしました。さらには、工場や事業所でも操業していないところが散見され」と発言をしていましたが、その商店が建売住宅に、工場が
ワンルームマンションになっている例が日に日に増えております。選挙期間中、日中の通行人が4年前、8年前に比べてだんだん少なくなっている印象だったと会派の複数の議員より聞いております。人口は27万人を超えたにもかかわらず、日中のまちの活気は戻っていないとの感想を持っていますが、区長の認識はいかがでしょうか。 第2に、区長選の公約と所信表明について伺います。 今回の区長選で山本区長は、「すみだの『夢』
実現~ステージアップ構想~」を公約として掲げました。選挙公報や確認団体の印刷物を拝見すると、4年間の実績についての数字は掲載されていますが、今後については既に予算化されているもの以外の言及が一切ありません。所信表明において、
ステージアップ構想の7つのプログラムについての説明がありましたが、極めて抽象的かつ総括的なもので、具体的な事業については今年度予算の事業以外は示されておりません。 昨年12月の本会議で、我が会派の坂下修議員からの、2期目の選挙に当たっては、より具体的な政策とともに成果目標を示すことを求める質問に対し、山本区長は「区民に分かりやすい客観的指標の目標値を示し、その達成に向けた区政運営を進めていきます。」と、このように答弁をしました。この答弁を聞き、我々としては今回の選挙において明確に評価指標を定めた公約が示されているものと期待していましたが果たされず、今回の所信表明でも言及がないことに対し、意に満たない思いを抱いております。 今後も基本計画の「“夢”
実現プロジェクト」は引き続き推進していくものと理解をしています。「暮らし続けたいまち」「働き続けたいまち」「訪れたいまち」それぞれについて、今期4年間で特に注力する事業について、明確な評価指標とともに示すことを区長に求めるものであります。 また、所信表明の中で、「すみだ型共生社会」という言葉が初めて使われてきました。恐らく第1回定例会での「すみだらしい共に支え合う社会の実現」と同義と思われますが、非常に抽象的な説明にとどまり、具体的な施策の例示等がないため、全くイメージできません。どのような施策のどのような効果により、この「すみだ型共生社会」が実現していくのか、その一端を具体的に提示するよう区長に求めるものであります。 第3に、投票率の低下について伺います。 この度の区長選挙においては、投票率が前回の44.77%から1%減の43.76%と下がってしまいました。いろいろな要素があるため一概には言えませんが、当日有権者数と投票者数の変化から、流入した方々の投票率が非常に低いと推測しております。 投票率の向上については、我々議員も含めて、有権者の皆様方に区政に関心を持っていただけるよう努力をすることが第一ですが、それに加えてさまざまな啓発活動を行っていくことも重要であります。今回の投票率の低下を受け、現在考えている方策があればお聞かせ願います。 昨今のSNSの流行に伴い、投票所内をスマートフォンなどで撮影することを希望する方が一定数存在するという話を聞きました。投票所内の撮影は、本区でも投票管理者の秩序維持の観点からお断りしていますが、機会の多くない投票行為等の写真をSNSに掲載することは、若い世代にとって格好の素材ではないでしょうか。文書図面の頒布に当たらないよう留意する必要がありますが、投票所の建物の別室で撮影可能な模擬投票所を設ける、あるいは設置するなど、SNSの流行を意識した方策を検討することも有効であると考えておりますが、区長の見解を伺います。 この際、開票作業についても併せて伺います。 この度の
区議会議員選挙における開票の確定時間が前回、前々回よりも1時間遅い午前1時45分でありました。また、確定時間が日付をまたぐことが常態化しております。正確な開票作業には一定の時間を要することは理解をしておりますが、深夜勤務の是非や人件費の観点から翌日開票を検討する必要もあるかと思います。区長の所見を伺います。 次に、基本計画の中間見直しについて伺います。 第1に、人口が当初計画よりも早く増加していることについて伺います。 6月1日現在の区内人口は27万3,832人となり、基本計画の中間年を待たずして今年度中に計画人口27万5,000人に達する勢いで、ほぼ計画の倍のペースで増加しています。 毎月の世帯別人口の推移を見ると、世帯増と人口増の数字が近いため、単身者の流入が増えていると言えます。現在でも主に本所地域では、
ワンルームマンション等の賃貸向け物件の建設が進んでおり、今後もこの傾向は続くと考えられますが、基本計画の中間見直しでの計画人口はどの程度修正するのか区長に伺います。 今後の区政運営を展望すると、納税義務者の流入は歓迎する面がある一方で、かつて商店や町工場だったものが区外勤務の給与所得者の住居となると、昼間人口が減少していき、小売店や飲食店の商機が失われ、まちの活気が失われてしまいます。個店や小規模企業は区内の雇用の受け皿として、区内での消費者であるとともに、子どもや高齢者の見守りの機能等を持つ社会インフラの一環であると我々は考えております。 墨田区集合住宅条例の運用等の住宅政策や企業誘致などにより、政策的に昼間人口と夜間人口の適正化を図ることも必要ではないでしょうか。中間見直しに向けての区長の見解を伺うところであります。 第2に、財政推計について伺います。 所信表明で区長が述べていますが、本区では、歳出面においては、
基本計画策定時点よりも待機児童対策や高齢化対策による行政需要が増加する一方で、法人住民税の国税化等の税制改正による減収が発生しており、今後の財政運営への影響が懸念されます。さらには消費税率の引上げにより、地方消費税の精算基準の見直しが行われた場合の影響も念頭に入れる必要があろうかと思います。拡大し続ける歳出に比べ、歳入環境は極めて不安定な状況と言わざるを得ません。 現在、財政白書の作成に向け、区財政の現状分析を行っているところと聞いておりますが、その状況と明らかになってきた課題について区長に伺います。 平成31年度予算までは基本計画の財政収支とおおむね一致していますが、人口の増加や少子高齢化のますますの進行により、後期計画期間では現在見込んでいる以上の扶助費の伸びが生じる可能性があります。また、主要な
公共施設等整備事業については順調に進んでいると認識をしていますが、一部遅れが見られます。加えて、各種税制改正による影響も発生をし、中間見直しに向けて、改めて財政推計を見直す必要があると考えますが、区長の所見を伺います。 さらに、景気が足踏みをして特別区交付金の伸びが抑えられたり、大幅な税制改正が行われたりするなど、外的な要因で歳入環境の変化が発生する懸念があります。その際は、速やかに財政推計を見直し、事業の取捨選択を行えるよう、準備と情報収集に努めることを期待します。これも区長の所見を伺います。 次に、墨田区役所の構造改革について伺います。 第1に、副区長の定数について伺います。 昨今では少子高齢化等、山積する区政の課題への的確な対応が求められており、庁舎内での事務量の増加や複雑化が進んでいると見受けられます。各事業の適切な進捗管理など、副区長の業務量も増加の一途をたどっていると推察しております。 また、平成29年の地方自治法改正により、令和2年4月より内部統制が法制度化されます。本区でも内部統制に関する方針策定と、
内部統制担当部署の設置や担当者の指名など全庁的な体制整備が義務付けられております。総務省の「地方公共団体における内部統制制度の導入・
実施ガイドライン」では、体制整備及び運用の事務上の責任者を副区長と想定しており、大きな職責が副区長に加えられることになります。 一方で、今回の所信表明を聞く限り、その中で掲げた多様な事業を、区長が言うようにスピード感を持って円滑に進めていくためには、前期以上に対外的な交渉や情報収集が必要になることは明白であります。今後の副区長の職責及び業務量について、区長の認識を伺います。 23区の状況を見ると、実態は別として、条例で副区長の定数を複数にしている区は20区で、直近では昨年江戸川区が条例改正を行っております。近年、複数制を採用した区の区議会議事録を見ますと、いずれも増加する区政の課題に迅速かつ的確に対応するためと説明をされており、練馬区では副区長の増員について答弁で「デメリットはない」と明言をしております。 副区長の定数増により、庁内統治の強化、意思決定の迅速化、対外交渉の強化等、さまざまなメリットが本区でも見込めることが予想されます。基本計画の中間見直しのこのタイミングで、副区長を2名とすることを検討してはいかがでしょうか。区長の見解、考え方を伺います。 第2に、6月1日付けの人事異動について伺います。 今回の人事異動の大きな変更点は、
監査委員事務局長を部長級職員にしたことと、
保健衛生担当次長の創設であります。
監査委員事務局長については、平成29年の法改正に伴い、監査基準に従った監査等の義務付け及び内部統制の制度化により、
内部統制評価報告書の審査等の業務の追加への対応と理解をしております。 一方で、
保健衛生担当次長については、新たな役職の創設であります。これまでは
新保健センター開設準備も行う
保健計画課長事務取扱の参事を置いていましたが、今回の役職新設及び人事異動において、職掌は変わらないまま名前が変更になったように見受けられます。次長の事務取扱部分、医療職と行政職との連絡調整など、今後の人員配置や特筆すべき職務内容及び新設の意義について、区長に説明を求めます。 第3に、
会計年度任用職員について伺います。 地方公務員の臨時・非常勤職員が増加し、地方行政の重要な担い手となっている状況を踏まえ、臨時・非常勤職員の適正な任用・勤務条件を確保するため、平成29年に地方公務員法が改正され、令和2年4月より
会計年度任用職員制度が導入されます。23区では昨年11月に統一基準を決定し、各区で検討、準備することとなっております。 総務省の「
会計年度任用職員制度の導入等に向けた
事務処理マニュアル」によりますと、あくまでも今年春から募集開始のスケジュールですが、平成31年2月議会までに条例、規則等の制定・改正を行う想定であります。6月議会の報告事項にはなっていますが、現時点で本区では条例改正等が行われておらず、
想定スケジュールとの乖離があるように見受けられますが、現在の検討状況及び今後の予定を区長に伺います。 また、現在、臨時・非常勤で働いている方々が
会計年度任用職員に移行する人数と、待遇面の変化による影響額について伺います。併せて、今回の法改正で特別職から一般職になり、
会計年度任用職員となる人数も伺います。 次に、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法及び
改正旅館業法施行後1年が経過した現状について伺います。 施行後の民泊の登録状況、旅館業法における簡易宿所・ホテル等の許可状況をお聞かせください。併せて、エリア別・最寄り駅別における部屋数や床面積等の情報を把握しているのかも伺います。 本区の比較的寛容な受入れ体制も手伝って、住宅街の空き地や古家がいつの間にか宿泊施設になっている事が散見されております。私たちは、こうした無秩序な開発が、将来区民に及ぼす影響を憂慮しております。 今後は区としても、
エリアマネジメントの観点で、宿泊施設の適正配置へ向けた取組を推進すべきと考えますが、区長はどのようにお考えか、見解を伺います。 次に、新学習指導要領の全面実施について伺います。 第1に、学力向上新3か年計画の成果の反映について伺います。 新学習指導要領の全面実施が、小学校は令和2年から、中学校は令和3年から始まります。これまで知能・技能の評価が大きな割合を占めてきましたが、これからは学んだ知識をもとに自分で考え、判断し、実際の社会で役立てていく力が求められる教育へと大きく転換が図られることとなります。教員主導の講義式授業から、生徒自身が参加する「主体的・対話的で深い学び」を取り入れた授業・学習に変わっていきます。 まず、区長が先般所信表明の中で述べられていた「学力向上新3か年計画」の取組の成果をどう評価されているのか具体的に教育長に伺います。その上で、子どもたちの更なる学力向上と定着を目指すための今後の展開、それから
次期学習指導要領も加味し、今年度策定予定の第2次計画にどのように反映されていくのかお伺いします。 第2に、
プログラミング教育への準備について伺います。 小学校では、英語の教科化に加え、
プログラミング教育も必須化となります。現在、隅田小学校にて教員の皆さんを対象にした研究会が定期的に行われていますが、その進捗状況を伺います。また、そこから見えてきた課題をいつまでに洗い出し、実際の授業に生かされる予定になるのでしょうか。教育長に伺います。併せて、墨田区では、既存のどの教科に組み込み、子どもたちの
プログラミング的思考を養っていく計画なのかもお答えください。 さらに、来年4月に開校するi専門職大学が、区内の小学校を対象にし地域貢献の一環として
プログラミング教育での協力の提案をいただいていますが、詳細はこれから詰めていくと仄聞しております。本区としては、受け身ではなく、大学側に事前に明確なビジョンを示し、上手く連携をして、よりよい授業展開を行っていただきたいと考えております。所見を伺います。 最後に、第3に、新学習指導要領における社会とのつながりについて伺います。 新学習指導要領には、小・中ともに初めて前文が入り、「社会に開かれた教育課程」という基本理念が明記されました。また、総則では、キャリア教育が明文化をされ、変化の激しい時代を生きる子どもたちが社会に出たとき、自らの人生を切り拓いていくために求められる資質・能力とは何かを整理して、家庭・地域・企業と学校との関わりを捉え、社会とのつながりを考えた教育課程を編成していく必要があります。教育長の示す方向性を伺います。 加えて、子どもたちが大人になったときを考え、一層地域とどのようにコラボレーションしていくのかを伺いまして、私の代表質問を終わらせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。(拍手) 〔区長 山本亨君登壇〕
◎区長(山本亨君) ただいまの自由民主党、沖山議員のご質問に順次お答えします。 最初のご質問は、選挙の感想の中で、高齢者施策に言及するに至った理由についてです。 社会全体の急速な高齢化の中、本区においても、区総人口に占める高齢者人口の割合が本年4月1日現在、22.4%に達しており、選挙期間中、まちでも高齢者の皆さんを多く見かけました。また、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題や、ひとり暮らし・高齢者のみ世帯の急速な増加により、本区においても地域包括ケアの充実をはじめ、高齢者施策をさらに推進していく必要があるとの認識から、今回の所信表明の中で課題として申し述べたところです。 次に、人口は27万人を超えたにもかかわらず、日中のまちの活気は戻っていないとの感想に対する、私の認識についてです。 商店街における空き店舗の問題や工場等の住宅化等により、職住近接という本区の特徴が失われつつあり、地域で働く人が減少していることや、共働き世帯の増加、少子高齢化の進展により、日中のまちの活気が乏しく感じられるのではないかと受け止めています。 本区の持続的な発展のためには、区内に働く場や学ぶ場を増やして、昼間人口の増につなげていくことが必要であると考えています。そのためにも、産業構造の変化に対応していくため、「産業振興を通したまちづくり」という視点から「働き続けたいまち」を実現させ、「大学のあるまちづくり」も進めながら、更なるまちの活気につなげていきます。 次に、今期4年間で特に注力する事業について、明確な評価指標とともに示すことについてです。 ご指摘のとおり、区民の皆さんが施策の達成状況を客観できるように、具体的な施策を掲げ、数値入りの評価指標を定めることは重要であると認識しています。 今回の私の公約については、4年間の総括をした上で、今後の施策の方向性をお示ししたものです。具体的な指標については、「流入人口」「観光入込客数」「刑法犯認知件数」「住宅の耐震化率」「65歳健康寿命」などの客観的指標の目標値等を検討していますが、今後、基本計画の中間改定作業の中で、前期計画に織り込んだ、数値目標の指標について、分析・検証を行い、注力する施策と併せ評価指標を改めて設定していきます。 次に、「すみだ型共生社会」についての具体的な施策と効果についてです。 福祉施策は、障害者、高齢者、児童など対象ごとに制度が構築され、充実が図られてきました。しかし、現在、区民の世帯構成や生活環境が多様化し、これにより発生する課題も複雑化しています。対象ごとに講じてきた施策について、複合的な視点による解決が求められてきており、公的サービスによる支援に加え、地域での支え合いがますます重要となってきています。 今後は、地域に存在する多様な主体が連携・協働することで、子どもから高齢者まで、障害の有無にかかわらず、だれもが自分らしく安心して暮らし続けることができる地域を創っていく「地域福祉」の考え方が大切であり、その場として「プラットホームづくり」が求められています。 本区には、歴史的に地域福祉の実践活動を熱心に行ってきた社会福祉法人も多数存在し、地域での見守りなどの共助や民生・児童委員やNPO、町会・自治会との連携も行われてきました。「すみだ型共生社会」とは、こうしたさまざまな担い手が地域の課題を見つけ、つながり、行動していく地域づくり・人づくりであると考えます。 本年9月に福祉総合型の施設として開設予定である「ぶんか高齢者支援総合センター」は、地域で支え合う活動、地域包括ケアの拠点となる予定です。このようにさまざまな相談に対応できる体制や支援・サポートのメニューづくり、いきいきと過ごせる居場所づくりが区内全域に広がることにより、「すみだ型共生社会」の実現につなげていきます。 次に、投票率の低下についてです。 まず、投票率向上策についてです。 平成28年度に行われた総務省「18歳選挙権に関する意識調査」では、子どもの頃に親の投票についていったことのある人・ない人の投票参加の比較では、ある人が20ポイント以上高いことが分かりました。子ども連れ投票が子どもの将来の投票につながるという観点から、現在、選挙管理委員会において、「子ども連れ投票」の推奨を検討しているところです。 次に、SNSを意識した方策の検討です。 SNSやスマートフォン、ウェブを介した動画の配信は、若い世代にとって身近なものであり、投票への誘因となることはご指摘のとおりです。そこで、本区でも、ツイッター・フェイスブックの活用や、「選挙啓発ソング」をユーチューブで発信していますが、他の自治体の先行事例を参考に、更なる活用策を検討します。 なお、ご提案の「投票所の建物の別室で撮影可能な模擬投票所の設置」は、投票日当日の実施は管理上の課題もありますので、すみだまつり等でのイベントをはじめ、中学校や高校において、本物の選挙機材を活用した模擬投票・選挙の機会をできる限り増やすとともに、SNS等での映像の発信も検討するよう選挙管理委員会と協議します。 次に、翌日開票の検討についてです。 まず、過日執行された墨田
区議会議員選挙では、前回と比較して確定が1時間以上遅れ、議員の皆さんをはじめ、区民の皆さんにご迷惑をおかけしたことを私としても大変遺憾に感じています。来月予定されている参議院議員選挙においては、改めて開票作業の点検や、従事職員への事務マニュアルの徹底など改善を図るよう指示しました。 翌日開票の検討については、選挙の結果を選挙人に対して速やかに知らせる公職選挙法の趣旨を踏まえ、総務省からも可能な限り即日開票を実施する旨の要請を受けています。現在特別区では、8区が区で実施する選挙の翌日開票を実施しており、それぞれのメリット・デメリットを分析した上で、4年後の区議会議員・区長選挙の前までに、議会のご意見も伺いながら選挙管理委員会で決定します。 次に、基本計画の中間見直しについてです。 まず、人口が当初計画よりも早く増加していることについてです。 本区の住民基本台帳人口は、若年層の転入を主な要因として増加しており、2025年の計画人口27万5,000人を前倒しで達成することが確実な状況です。 この計画人口は、平成28年3月の総合戦略策定時に行った将来人口推計を基に設定しましたが、基本計画改定に向けては、推計と実態との乖離の要因分析を行う必要があります。 また、国全体としては、人口減少社会に入り、少子高齢化が一層進展する一方で、若年層を中心とした東京圏への転入超過によって東京一極集中の傾向がさらに進むなど、本区においても人口を取り巻く環境は変化しています。 そこで、改めて将来人口の推計を行い、その結果を踏まえて、計画人口を見直す必要があると考えています。 昼間人口の視点については、ご指摘のとおり、まちの活力を維持・向上させていくために重要な要素であると認識しています。本区における昼夜間人口比率のあり方が将来のまちづくりの重要な要素となることから、基本計画改定の中で総合的に検討していきます。 次に、財政推計についてです。 区財政の可視化を図り、持続可能な財政運営の議論の基礎とするため、現在、財政白書の作成を進めています。その中で、歳入における一般財源の比率が低いことや、民生費の増加傾向を課題として挙げています。これは、この20年間で、本区の基幹的な一般財源である特別区交付金が減少していることや、民生費が約310億円増となり、歳出総額の伸びを上回っていることに起因しています。 現在、これまでの財政状況の分析や課題抽出を踏まえ、他区との比較を行いながら、将来負担の推計を行っています。平成28年度に基本計画を策定した当時の財政推計と今回の推計では、乖離が生じることが想定されることから、今後、白書の分析結果と財政推計、課題への取組を基本計画及び行財政改革実施計画の改定の中で反映させていきます。 また、歳入環境の変化等について引き続き注視していくとともに、景気の悪化等により歳入減が予測される場合には、ご指摘のように改めて財政推計を行い、不要不急の事業の見直しも含めて、事業の取捨選択を行っていきます。 次に、墨田区役所の機構改革についてです。 副区長は、区長を補佐する補助機関であり、本区では現在、条例により定数を1名としています。 ご指摘のとおり、社会情勢が大きく変化する中で、区政における課題は山積しており、内部統制に向けた全庁的な体制整備など、副区長の職責は重く、業務量は大きいものと認識しています。一方、23区における副区長の定数は、各区の事情や行政運営上の考え方により、独自に決めているものと推察されます。私は、区政はスピード感を持って的確に運営されていると認識しており、現時点で、直ちに定数増等の措置が必要であるという考えには至っていません。この4年間、私と一緒に汗をかき、知恵を絞って、区政の課題解決や基本計画に掲げる施策を進め、「すみだの夢実現」に向けて区政を担ってきました。したがって、今後必要と判断した場合に検討することとしますが、当面の間は、現体制により着実な区政進展を図っていきたいと考えています。 次に、6月1日付けの人事異動について、
保健衛生担当次長を新設した意義についてです。 現在、
保健衛生担当部長は、保健所長を兼ねており、専門職としての医師を充てています。今後は、区民の健康づくり施策がますます重要となることから、医師の知見を活用した取組をさらに進めてもらいたいと考えています。 また、保健衛生担当の業務においては、複合施設となる新保健施設の開設準備のほか、受動喫煙対策や周産期母子サポート支援など、全庁横断的に進める事業が増加してきており、組織体制の強化を図るため、事務全体を統括する立場として、新たに事務職の次長を置いたものです。人員配置については、既にこの4月に新保健施設等開設準備担当主査を置いたところですが、開設に向け、今後、適正な配置を検討していきます。 次に、
会計年度任用職員に係る現在の検討状況及び今後の予定についてです。 まず、「
会計年度任用職員制度の導入等に向けた
事務処理マニュアル」における
想定スケジュールとの乖離については、本マニュアルのスケジュールは本年春からの募集開始を前提の例示によるものであり、具体的な実施に向けた準備は順調に進めています。 現在の検討状況については、昨年11月に23区の統一事項が決定し、これを踏まえ、区において、任用方法、勤務条件、報酬水準、各種手当等に係る詳細について検討を進めています。この5月に、特別区人事・厚生事務組合から制度導入に係る条例の参考例が示されましたので、9月議会に条例案を上程する予定であり、その後、規則・要綱等の改廃を経た上で、募集の準備等を行い、来年4月に向けて円滑に移行したいと考えています。 次に、
会計年度任用職員への移行者数についてですが、本年4月1日現在の臨時職員及び非常勤職員約1,300名のうち、一定の能力実証等を経た上で、約1,100名が
会計年度任用職員へ移行するものと想定しています。 影響額については、法改正を踏まえた23区の統一事項により、一定の要件を満たす職員に期末手当が支給されること等に伴い、現時点での想定では約6億円の増となる見込みです。 また、一般職への移行人数ですが、地方公務員法第3条第3項第3号に基づく特別職約650名のうち、学校医、嘱託医等を除いた約450名を見込んでいます。 次に、住宅宿泊事業法及び
改正旅館業法施行後の宿泊施設の状況についてです。 住宅宿泊事業は、昨年6月15日の法施行後に届出件数が急増しましたが、その後は緩やかに伸びながら、本年6月14日現在483件に至っています。23区の中では5番目の件数となっています。 一方、簡易宿所やホテルなどの旅館業許可件数は、昨年4月から増加傾向にあり、本年5月末では、申請中のものを含めると182件となっています。 次に、これらの宿泊施設に関する情報の把握についてです。 旅館業の客室数は、5月末現在4,388室が許可を受けています。質問のエリア別・最寄り駅別の情報については、例えば両国で320室、向島で78室等、部屋数は把握していますが、床面積は法での記録が求められていないため、把握が難しい状況です。 次に、宿泊施設に対する
エリアマネジメントの推進についてです。 旅館業法は、旅館業の健全な発達を図るとともに、利用者へのサービスの提供を促進することなどを目的としています。一方、住宅宿泊事業法ガイドラインでは、生活環境の悪化を防止する観点から、必要があるときは、合理的と認められる限度において、住居専用地域の一部などの一定の条件のもとで例外的に制限することを認めていますが、宿泊施設のエリアごとの適正配置については、法に基づき制限する規定がない状況です。 近隣住民に及ぼす影響に配慮するという観点では、町会への事前説明や施設の内覧などを事業者が積極的に行うように指導を強化します。 以上で、自由民主党、沖山議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。 〔教育長 加藤裕之君登壇〕
◎教育長(加藤裕之君) 自由民主党、沖山議員からのご質問に順次お答えします。 第1の学力向上新3か年計画の成果の反映についてです。 初めに、区長の所信表明にあります「現計画に基づく3年間の取組成果の評価」ですが、この間の墨田区学習状況調査の結果によれば、現計画の策定前と比較して、区の平均正答率が全国の平均正答率を上回る教科数が増加しております。また、学力低位層であるD層及びE層に該当する子どもの割合が継続して減少傾向にあるほか、「読む・書く能力」や「思考力・判断力」の値が伸びています。 このほか、児童・生徒の学習や生活に関する意識調査の結果によると、目標に向けていつもこつこつ学習する児童・生徒の割合も高まっており、これらのことから、教育委員会としては、区内の児童・生徒の学力の状況は、計画の取組により、上昇傾向にあるという評価をしております。 次に、更なる学力向上と定着を目指すための今後の展開と、今年度策定予定の第2次の「学力向上新3か年計画」への反映については、現時点の検討状況をお伝えします。 第2次の計画では、その基本方針として、引き続き学力向上に効果のあった組織的な学力向上の取組の推進や、基礎的、基本的な学習内容の確実な定着を進めていくほか、発展的学習の充実や学習意欲の向上についても展開していきます。 この展開を第2次計画に反映させる方策ですが、
次期学習指導要領において、児童・生徒が確かな学力を身に付けられるようにするために、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善が各校で行われるよう、現在、一つ目として、各学校や個々の教員による学力向上のためのPDCAサイクルを確立していくこと、二つ目として、授業改善に活用できる教材や指導のポイントなどの整備をさらに進めていくこと、三つ目として、児童・生徒の学習意欲を高めるための取組を全校で進めることなどにより、更なる学力向上を目指していきます。 第2の
プログラミング教育への準備についてです。 まず、隅田小学校の校内研究の進捗についてです。 昨年度は、年間指導計画を策定し、どの教科領域、単元で
プログラミング的思考を育むかを整理するとともに、プログラミングを取り入れた授業実践を行いました。 今年度は、よりよい授業のあり方を重点とし、教科領域の狙いに沿って、
プログラミング的思考を育む授業づくりの研究を進めています。 次に、課題洗い出しの時期と実際の授業への生かし方についてです。 昨年度末に、これまでの研究から、児童が
プログラミング教育を通して身に付けていく力について明確にすることが課題として挙がりました。今年度はこの課題を踏まえ、児童に身に付けさせたい力を明確にした上で、さまざまな教科領域において、学習の狙いを基に論理的思考を育む授業の研究を行っております。 本年11月に行う授業公開、実践報告会において、各教科で
プログラミング的思考を育む指導法を示し、来年度から各学校で授業に生かしていくよう、教育委員会として指導・助言していきます。また、来年度以降も各学校で
プログラミング教育を実施していく中で、更なる課題の洗い出しを進め、授業改善につなげていきます。 次に、
プログラミング的思考を養うための計画についてです。 小学校学習指導要領に例示されている、算数科、理科、総合的な学習の時間での学習活動をはじめ、社会科、図画工作科など、他の教科等においても、
プログラミング教育を取り入れた授業を開発します。 各教科領域での
プログラミング教育の狙いや効果を明確にした授業で
プログラミング的思考を養い、社会で活用できる論理的思考力を総合的に育んでいきます。 また、本学習活動を実施するに当たっては、地域や民間企業との連携も計画的に実施するなど、教育資源の効果的な活用を、各学校に働きかけていきます。 最後に、i専門職大学からの
プログラミング教育の提案と連携についてです。 ICTに関わる専門的な教育力を持つi専門職大学から、学校における
プログラミング教育への協力をご提案いただいたことは、小学校で新たに取り組む
プログラミング教育の充実が期待できる、貴重な機会であると捉えております。 教育委員会としては、学習指導要領の趣旨や、これまでの先進的な研究の成果などとともに、学習活動のあり方を明確にして、i専門職大学の持つ指導人材や教育設備等を効果的に活用する方法を検討していくことが重要であると考えております。 今後は企画経営室とともに、効果的な連携の方法について、i専門職大学と協議を進めてまいります。 第3の、新学習指導要領における社会とのつながりについてです。 新学習指導要領に示された内容は、子どもたちが社会に出たとき、自らの人生を切り拓いていくために必要な資質や能力を、学校教育において確実に育てることの重要性を示していると考えております。 学校教育段階で学習内容と社会のつながりを考え、学校外のさまざまな人と関わる活動に取り組むことは、知識や技能の習得だけではなく、それらを活用し、変化に積極的に向き合う力や他者と協力して問題を解決していく力を育て、子どもたちが社会に対して主体的に関わり、社会の中でよりよく生きようとする意欲を高めることにつながります。 各学校において、これまでの研究等の蓄積を十分に生かし、基本的な知識や技能の確実な定着を図るとともに、地域や保護者との連携、地域施設の活用など、外部の人的・物的資源を教育課程に効果的に取り入れながら、教育活動の充実を図ることが、本区の学校教育が目指すべき方向であると考えます。 次に、地域とのコラボレーションについてです。 子どもたちが地域社会に対する愛着を深め、将来その一員としての役割を果たそうとする気持ちを深めていくためには、学校教育や社会教育においても、さまざまな形で地域と関わる機会を設けていくことが重要であると考えております。 学校教育では、引き続き地域学習を推進し、地域で活躍している各方面の人材や、企業の方を講師とした「ゲスト授業」等の学習効果を高める取組のほか、子どもたちの防災対応力の向上など、地域と密接に関わる教育に取り組んでまいります。 また、社会教育では、地域で活動するジュニアリーダーの育成、青少年育成団体への支援など、地域全体で子どもたちを育てていく取組において、地域とのコラボレーションを積極的に進めてまいる考えでございます。 以上で、自由民主党、沖山議員のご質問に対する答弁を終わります。
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○議長(田中邦友君) 17番・とも宣子君 〔17番 とも宣子君登壇〕(拍手)
◆17番(とも宣子君) 公明党のとも宣子でございます。 質問を始める前に、この度の山形県沖地震で被災された皆様へお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧、復興をお祈り申し上げます。 それでは、会派を代表して、通告してある大綱5点について、山本区長及び加藤教育長に伺います。区民の声をしっかり受け止めていただき、実現に向けた明快なご答弁をお願いいたします。 まず初めに、基本計画中間の見直しに向けた新たな財政規律についてお伺いいたします。 平成28年度に策定した現基本計画も4年目となり、来年度は後期に向けた見直しの時期を迎えます。今年度の予算編成に当たり、区長は、墨田区の財政状況について、起債の発行額や積立てについてそれぞれ目標をクリアしているものの、23区の中では唯一、起債の残高に比べ基金の積立てが少ない厳しい財政状況としっかり向き合いながら、行政運営を進めていく決意を示されていました。 来年度、中間の見直し作業に入りますが、現基本計画の中には、年度ごと・事業ごとの基金の取崩し計画や起債の発行計画については何ら示されておりません。本年9月頃には財政白書が示されると聞いていますが、一時的なものであってはならず、基本計画の見直しに合わせ、年度ごとの財政出動計画を示し、基本計画をしっかり補完するものでなくてはならないと考えます。 そこで、財政白書と基本計画の見直しの整合性について、区長に伺います。 財政の健全化を目指す上で、大切になってくるのが財政状況と予算を伴う政策のバランスだと思います。たとえ一時的に起債が増え、基金が取り崩されても、それがコントロールできる範囲であり、その政策の推進により将来的な歳出削減につながる、又は歳入を確保できる政策であるならば、必要な投資だと思います。大切なのは、そのバランスの見える化を図り、執行機関だけでなく、議会側にも提示することで、財政の健全化がさまざまな視点から議論され、健全化が図られていくことです。そうしたSDGs、持続可能な行財政運営、改革を推進していくことが求められています。 そこで、何点か提案させていただきます。 第1に、事業の統廃合や改善を推進する上で、その基盤となる事業別施策分析シートの早期作成についてです。 荒川区が始めた事業別施策分析シートの早期作成は、会派として平成19年決算特別委員会より12年にわたって主張し続けている懸案です。事業ごとの予算や執行実績、利用実態、課題、議会の指摘事項が網羅されたこのシートは、議員だけではなく、職員の皆様にとっても、事業の実態を適正的確に把握する上で極めて有効な資料になると思います。 行財政改革や事業改善、さらには財政の健全化を推進する上で必要不可欠です。改めて事業別施策分析シートの早期作成及びその時期を明確化するよう区長に求めるものです。 第2に、新規事業や制度改正、さらには施設整備等の提案について、大きな予算が伴うものについては、提案時に財政に与える影響を整理した資料を添付するよう求めるものです。 扶助費や投資的経費がどれだけの割合になるのか、財政の硬直化に与える影響や、今まで示された財政推計にどのような影響を与えるのか等、新たな財政出動が発生するとしても、効果的であるかどうかがしっかり議論できる資料として、一定のルールやフォーマットを作り、提案時に示すべきと考えます。区長のご所見を伺います。 第3に、より開かれた公共施設マネジメントの推進です。 施設総量15%圧縮を目標としてスタートをした第2次実行計画が平成32年度に終了となりますが、公共施設が比較的多い本区にとって、施設の圧縮は財政に直結する重要な課題であり、欠かせないスキームでありますが、その目標達成は難しい状況と仄聞しています。なぜならば、その推進に当たっては、「総論賛成、各論反対」になりがちで、議会や地域住民の理解等、さまざまな壁が立ちはだかります。現在の第2次計画についても、執行機関側では計画実現に向けて努力されてきたと思いますが、目標達成が厳しい現状についてどのように分析されているのでしょうか。まず伺います。 今後、施設総量の圧縮のほかに、使用方法の見直しも再検討する必要もあることから、事業をさらに推進する上で新たな取組が必要だと思います。 そこで提案ですが、区長が現在実施しているタウンミーティング等を使い、もっと広く公共施設マネジメントの考え方、計画について区民に理解していただく取組を推進してはいかがでしょうか。場合によっては議会側も参加し、責任を共有する中で進める必要があると思います。 以前、議員研修で来ていただいた習志野市では、公共施設ごとに「施設カルテ」や財政に与える影響等の分析資料を作成し、住民の皆様と意見交換会や説明会を開催する中で理解をいただき、着実に推進しています。墨田区でも、公共施設マネジメントを推進するために、より開かれた場で大きく推進を図るべきと考えますが、区長のご所見を伺います。 財政規律に関する最後の質問として、ただいまお尋ねをしてきた各種提案を計画的に実施するロードマップの作成、又はバランスのとれた財政運営を確保するために、その基盤となるルールを確立してはいかがでしょうか。必要に応じて条例を制定することも考えられると思います。区長のご所見を伺います。 次に、人と動物との共生社会の実現についてお伺いいたします。 6月12日、犬や猫へのマイクロチップ装着の義務化、動物虐待に対する厳罰化、及び一部の例外を除き、生後56日以下の犬、猫の販売を禁止することなどを柱とする、動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました。背景には、動物虐待や営利を第一目的にするブリーダーや多頭飼育、飼育放棄など多岐にわたる問題があります。 また、地域に目を向けると、飼い主のいない猫に対しTNR(捕獲・手術・地域に戻す)など、不妊・去勢手術を施したのちに地域に戻す活動(いわゆる、地域猫活動)と、無責任な餌やりとの違いが理解されず、地域とトラブルを招くことがあります。 一方で、東京都は、平成30年度、動物の殺処分ゼロを達成したといううれしいニュースもあります。こうした状況を継続するためにも、想定される災害への対応も含め、ペットに関わるさまざまなテーマについて質問いたします。 初めに、飼い主のいない猫対策についてです。 飼い主のいない猫を減らす目的の活動が、地域には野良猫を増やす結果につながると誤解をされている現状があります。そこで、まず町会・自治会をはじめとして、地域に理解していただくための取組です。 そもそも飼い主のいない猫は、ペットとして飼われていた猫や生まれた子猫が無責任に捨てられ、またそれらの飼い主のいない猫が子を産み、結果として増えたものです。また、不妊・去勢手術を行っていない飼い猫が、外飼いされていることで、飼い主のいない猫を増やす一因にもなっているそうです。 つまり、飼い主のいない猫の増加の原因が、地域における不適切飼育にもあるという実態を踏まえ、1、区で作成している地域猫活動のパンフレットを活用し、改めて町会・自治会等、地域への一層の啓発を行うとともに、地域猫活動を行っているボランティアと周囲に配慮しない無責任な餌やりを明確に区別するための腕章などの作成。2、現在実施している、飼い主のいない猫に対する不妊・去勢手術への助成制度に加え、飼い猫への不妊・去勢手術への助成制度、あるいは、ボランティアと一緒になって地域猫問題の解決に取り組む町会・自治会に対し、インセンティブの働く助成制度の創設。3、区内には、地域猫活動とともに保護を行っている団体もあり、譲渡会が開催されていますが、区内の団体は、都の登録団体になっていないことから、東京都動物愛護センターのホームページ「ワンニャンとうきょう」に掲載されていません。ペット防災の質問の際にも、保護された犬や猫の譲渡会の重要性に触れますが、殺処分ゼロにも深く関係することから、区内団体の情報を適宜区のホームページ・広報紙で紹介すること。 以上3点を提案させていただき、区長のご見解をお伺いいたします。 次に、ペットの防災対策についてお伺いいたします。 この問題は、東日本大震災後の平成23年第2会定例会及び平成29年第3回定例会において質問していますが、実効性のある取組が進んでいないと感じることから、改めて伺います。 まず、災害発生時のペットとの避難は、原則として同行避難です。この原則に基づき、ここ数年、避難所運営訓練において、ペットの避難について訓練を実施しているケースもあると聞いていますが、同行避難の意味を理解されていない方が多く、ペットの苦手な方、ペットアレルギーの方がほぼ全ての避難所にいらっしゃることを考えると、避難所にペットを連れていっても体育館には入れない、場合によっては受入れを拒否されるといったことが想定されます。したがって、事前の準備、想定が大事だとして、これまで避難所の運営主体ともなる地域の理解を進めるために、防災活動拠点会議において生活衛生課が参加し、ペット防災に対する啓発を求めていただいていると理解しますが、地域に浸透しているとは思われません。 そこで、同行避難と同伴避難の違いを広く区民に理解してもらうための啓発から始めるべきと考えます。その上で、避難所における同行避難所の確保が可能かどうかの検討、また同伴避難所の設置可能性を検討するべきと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。 平成28年の熊本地震においては、ある獣医師が自らの動物病院を同伴避難所としたことから、多くのペットの受入れが可能となり、混乱はあったものの、安心の拠点として機能したと聞いております。地方都市であるがゆえに広いスペースの確保ができたと理解していますが、区内の動物病院がかかりつけのペット以外に受入れ可能な同伴避難所を設置することは不可能であると思います。 そこで、避難所として想定されていない高校や専門学校、大学など、これまで検討してこなかった場所も視野に、動物応急診療所や同伴避難所の設置場所を検討し、かつ地域防災計画に詳細を掲載することを求めるものです。区長のお考えをお聞きいたします。 大規模災害時には人命が第一であり、したがってペットに関しては、飼い主による自助が基本であることは言うまでもありません。しかし、飼い主がそうした認識を持ち、危機管理ができているかというと、残念ながら非常時に備え準備している飼い主が多いとは思えません。 そこで、飼い主としての最低限の危機管理として、ペット用の避難袋を用意し、5日分程度のフードやリード、ハーネスを用意しておくこと、薬を服用している場合のメモ、キャリーケースに慣れさせておくなど、いざというときの準備をしていくことの重要性を、狂犬病注射の際や獣医師を通じて啓発することを求めます。区長の見解をお聞きいたします。 また、飼い主とはぐれる、飼い主が被災するなど、災害時には想定し得ないことも起こります。現在は逸走動物の保護も飼い主の責任であり、その上で、飼い主が見つからない場合の保護は東京都の役割となります。これでは、区は、逸走動物に関し何の手立ても講じることがないことになります。一定の責務を果たすために、保護・捕獲活動を行っている団体との協定の締結も視野に連携をとり、逸走動物の保護と飼い主不明な場合の譲渡会の支援も行うべきと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。 この質問の最後は、(仮称)人と動物との共生に関する条例、もしくは動物の愛護及び管理に関する条例の制定についてです。 動物の愛護及び管理に関する法律に基づき、東京都は、東京都動物の愛護及び管理に関する条例を制定するとともに、東京都動物愛護管理推進計画を策定していることから、あえて区として条例を策定する必要性を感じない方が多いかもしれません。しかし、法令や計画では、区が東京都の事業に協力することは規定されているものの、区としての主体性を発揮できる規定はありません。 したがって、区として基本理念や基本原則、区の責務を定めること、また、特に災害時に区として必要な措置を講ずるといった条文を盛り込むことは有用だと思われます。 現実には、区の取組に協力していただける東京都獣医師会墨田支部や動物愛護推進委員及び地域猫活動に従事していただいているボランティアの方々のご意見を踏まえ、動物との共生社会実現のための施策を総合的・計画的に進めるために、条例の検討に着手するべきと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。 次に、新たな食品ロス削減への取組について伺います。 先月、公明党が積極的に推進してきた食品ロス対策が、議員立法で「食品ロス削減推進法」として成立しました。その前文には、食品ロスの削減は「国際的にも重要」で、「大量の食品を輸入し、食料の多くを輸入に依存している我が国として、真摯に取り組むべき課題」と記され、国や自治体、食品事業者の責務、消費者の役割などを示し、連携しながら「国民運動」として取り組んでいくことが明記されています。さらに、政府に食品ロス削減推進の基本方針を定めることを義務付け、都道府県と市町村に削減推進計画を策定するよう努力義務を課しており、毎年10月を食品ロス削減月間とする規定も設けています。 日本の食品ロスの数値を見ても、2016年度で643万トン発生しており、この内訳は、事業系が55%、家庭が45%となっており、事業者、家庭それぞれで取組が求められています。こうした中、大手コンビニ各社がポイント還元による食品の実質的な値引き販売や、季節商品の完全予約制による販売への切替え、さらに、ポテトチップスのメーカーは製造工程を見直すなどして賞味期限を3カ月延ばし、流通過程から回収を減らす取組に着手するなど、具体的に動き出しました。墨田区でも、フードドライブの実施や3010運動を推進していますが、推進法が制定されたことを受け、改めて何点かお伺いいたします。 その第1は、食品受入れ態勢としてのフードドライブの更なる充実と、集まった食品を有効に活用していただく機会の創設です。世田谷区では、常時4カ所で受付けをしており、区内の福祉施設や子ども食堂などに提供しているとのことでした。 本区では、今月末の環境フェアや毎年のすみだまつり・こどもまつりなど、イベント時に回収を実施していただき、前年比で微増をしていますが、子ども食堂などを運営している団体から、品目が分かればこれらを活用して開催回数を増やしていくことができるのではとの話がありました。どのような品目がどのくらい集まっているのか、区のホームページで公表することはできないでしょうか。 さらに、生活困窮者支援として、浅草橋にあるセカンドハーベスト・ジャパンの食品提供案内は年6回実施していますが、提供回数や品目の希望など、フードドライブの更なる見える化を図ることにより、生活困窮者支援の充実が図れると思います。また、こうした場所が区内にあれば、利便性が高まると思われます。そこで、仮に区内に自主的な拠点ができた場合、区としてもそうした拠点の活用を積極的に検討すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。 第2に、食品ロスの削減を食育の一環として捉え、子どもの頃からの取組を推進していただいてはどうかという点です。 昨年10月、環境省が食品ロスポータルサイトを公表しましたが、調査すると「7日でチャレンジ!食品ロスダイアリー」という項目があり、自宅における食品ロスの量が日記形式で分かりやすく捉えることができます。小学生向けにつくられていることから、食育をテーマとした夏休みの自由研究等で利用を推進していただきたいと思いますが、教育長のご所見を伺います。 第3に、今後の取組として、墨田区食育推進計画の定量的な評価の中でうたわれている、食品ロス削減のために何らかの行動をしている区民の割合や、家庭や地域などで協食したいと思う人が協食する割合など、調査追加項目の目標を早めに導き出すべきだと思いますが、区長のご所見を伺います。 第4は、他自治体の取組を参考に、区内の飲食店などにも協力をいただく、食品ロス削減の推進です。 先ほども申し上げた環境省のポータルサイトには、静岡県の「食べきり割」、滋賀県大津市のドギーバッグ使用ガイド作成など、食品ロス削減のためのさまざまな自治体向けの取組が紹介されていました。また、京都市では、お客様が料理の持帰りを望んだ場合、衛生上問題がなければ飲食店が応じることを努力義務とした「しまつのこころ条例」を制定したそうです。「しまつ」とは、関西で「ものを大切にして使い切る」という意味だそうで、食品ロスに取り組む店の認定制度も取り入れているそうです。こうした取組は、飲食店事業者の皆様の協力なしでは叶わないことですが、地域の実情に合った食品ロス削減推進計画を策定する上で、協議会を立ち上げていただき、庁内横断的な取組として臨んでいただきたいと思いますが、区長のご所見を伺います。 次に、低出生体重児のための「リトルベビーハンドブック」についてお伺いいたします。 静岡市の低出生体重児の親でつくる団体「ポコアポコ」の代表を務めている小林さとみさんは、2002年に双子を出産、2人とも体重が1キログラムに満たない低出生体重児でした。母子健康手帳の体重の変化を書き込む発育曲線の目盛りは1キログラムからのスタートで記入することができませんでした。月齢に応じた成長記録も、できたかどうかの「はい」か「いいえ」で記す形式であり、一つも「はい」を付けることができない小林さんは、何カ月もの間、保育器にいる我が子を見つめながら“母親失格”と自身を責め、母子健康手帳を開くのが苦しかったそうです。 「同じ思いで悲しむお母さんを救いたい、子どもの成長を喜べる手帳をつくろう」、小林さんとポコアポコの皆さんがNICUの医師の協力も得て、静岡県の補助事業を活用して作成したのが、低出生体重児のためのリトルベビーハンドブックです。一般の母子健康手帳では記入が困難だった成長記録が工夫して作成されており、先輩ママの体験談を載せた応援メッセージが盛り込まれ、小さな赤ちゃんのパパとママの不安や戸惑いが少しでも軽くなるようにという願いが込められた内容になっています。 現在、こうしたハンドブックが作成、配布されているのは、静岡県と熊本県、本年4月から配布を始めた名古屋市など、一部の地域にとどまっていますが、本区における出生の現状を調べたところ、決して多くはないものの、平成29年の出生総数2,504人の9.5%に当たる237人が2,500グラム未満の低出生体重児であり、うち12人が1,000グラム以上1,500グラム未満の極低出生体重児、10人が1,000グラム未満の超低出生体重児として生まれてきております。こうして生まれてきた赤ちゃんのご両親はどんな思いで母子健康手帳を手にされているのでしょうか。山本区長は、先の所信表明の中で、「安心して子どもを産み育てることができる環境づくりを推進する」と明言されていますが、“誰も置去りにしない”一人の声に寄り添った大事な取組だと考えますが、墨田区版「リトルベビーハンドブック」の作成・配布について、区長のご所見を伺います。 次に、スクールロイヤー制度の本格的運用についてお伺いいたします。 近年、学校を取り巻く環境の変化は著しく、教師と保護者間のトラブルも増加、いじめ、不登校、学校での事故、そして児童虐待事案等のクレーム対応など、過度な保護者の要求が教員のストレスや長時間労働につながっているとの実態が浮彫りになってきています。 虐待事案では、厚生労働省と文部科学省が、本年1月、千葉で起きた女児虐待事件について検証及び再発防止の会議を開き、文科省は、学校現場でのスクールロイヤーの活用案について議論、平成31年3月18日付け文科省通知「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」の中でも、児童・生徒の命と安全を守るため、法的整理を踏まえた役割分担・連携、トラブル発生時の教育委員会の積極的な学校支援、スクールロイヤー等の配置等、児童・生徒を取り巻く問題についての支援体制の構築という内容が盛り込まれています。 最大の焦点は、子どもたちが安心して教育を受けられる環境をつくっていくこと、健全に育ちゆく子どもたちのためにも、本格的な運用をスタートするべきだと思います。そこで、本区のこれまでの取組を拡充し、学校現場での課題を踏まえたスクールロイヤーの活用について提案させていただきます。 第1に、全教員へのアンケートの実施についてです。 先日、区内の教員の方に意見を伺う機会があり、実態についてお聞きしたところ、クレーム対応が増えていること、DVDを購入して対応策を検討している教員もいるなど、さまざまなお話を聞くことができました。まずはトラブルの増加や問題の長期化等、現在教員が抱える課題や法的な見解の必要性について、現場からの意見を取りまとめ、今後の制度に反映させていくべきと考えます。教育長のご見解を伺います。 第2は、弁護士の学校担当制についてです。 現在、本区では、学校からの法律相談として、巡回相談と緊急相談の対応を行っています。巡回相談は、年度の初めに希望があった学校二、三校を選択し、弁護士が訪問するものです。また、緊急相談は、法的判断や対応方針等について相談し、アドバイスを受けるものですが、毎年実績は数件です。 こうした制度が組まれていることに関しては一定の評価をいたしますが、難しい案件が増えているという状況の中、さらに学校が弁護士に相談しやすい体制を整えることが必要なのではないでしょうか。 先日、我が会派の議員が、本年4月からスクールロイヤー制度を導入している江東区に視察調査に行ってまいりました。江東区では、指導室で対応が難しく、訴訟等までこじれていないが法的な確認が必要な課題について、スクールロイヤーに相談、教育分野に特化した弁護士3名が、区立の全幼稚園20園と全小・中学校69校の学校担当制を取り入れています。相談方法も、随時電話やメールでの相談が可能で、トラブルの早期解決による児童・生徒の心的負担の軽減や教員の業務的・心的負担の軽減、客観性や中立性の確保等、導入効果が見込めるとのことでした。 スクールロイヤー制度の導入は、事後処理のためのものではなく、適切な判断により問題を未然に防ぎ、問題発生時の早期に関わることで子どもたちの最善につながる等、問題の解決に大変重要であると思います。学校担当制のメリットとして、継続して相談ができ、学校の様子などの情報共有ができれば、さらに大きな効果につながるのではないでしょうか。 本区としても、学校担当制を取り入れた本格的な運用をスタートするべきであり、少なくとも実態調査も含め、適時に電話やメールでも相談できる体制の充実を求めるものです。教育長のご所見を伺います。 第3の提案は、スクールロイヤーを活用した教員へのセミナーの実施についてです。 深刻化するいじめ問題について、子どもたちに裁判例を示した授業や、いじめが刑罰の対象となり得る可能性等、その実態を正確に教えていく必要があると思います。教育指針やガイドライン等、教育分野に特化した弁護士が、いじめ問題やクレーム対応等、判断が難しい事案に対する課題をセミナーで取り上げることで、問題の未然防止や早期解決につながる取組が推進できるのではないでしょうか。多くの教員が抱える悩みにアドバイスできる双方向型セミナーの開催を要望いたします。 最後に、教育長のご所見をお伺いし、私の代表質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) 〔区長 山本亨君登壇〕
◎区長(山本亨君) ただいまの公明党、とも議員のご質問に順次お答えします。 最初のご質問は、財政白書と基本計画の見直しの整合性についてです。 ご指摘のように、本区において、起債残高に比較し基金の積立額が少ない状況は、行政運営上の課題であると認識しています。現在、行財政改革実施計画に平成32年度末に設定した基金や起債の目標額については、財政調整基金残高100億円と、区債残高350億円以内を前倒しで達成できたところです。しかし、今後の行財政運営を考えた場合、不合理な税制改正や不透明な経済の見通しなど、今後の歳入に与える影響を注視する必要があります。 現在作成を進めている財政白書は、これまでの区の財政状況と課題を分析し、今後の財政収支の見通しをお示しするものです。平成28年度に基本計画を策定した時点での財政推計とは乖離も予想されることから、場合によっては施策の見直しも必要となります。こうした点も踏まえ、今後、基本計画の中間改定では、財政白書における分析状況や財政推計を反映し、整合性を図っていきます。 次に、事業別施策分析シートの作成についてです。 区では、事務事業の見える化と評価の客観性を担保するために、これまでも様式の見直しを行ってきました。 今年度は、議会でのご指摘や、業務改善プロジェクトの庁内PTでの意見も踏まえ、事務事業評価シートに事業の開始からの経緯や議会での質疑、予算構成や決算状況等を加えた分かりやすい内容に改善しましたので、まずはこれを活用していきたいと考えます。 次に、大きな予算が伴うものには、提案時に財政に与える影響を整理した資料を添付することについてです。 現在でも重要な制度改正等については、区財政に与える影響を含め、常任委員会等で報告しているところです。ご提案の、多額の経費を要する事業を実施する前に、区財政に与える影響を分析できる資料の提供については、補助金などの財源の内訳、今後の経費なども含めた試算や事務事業評価シートとの連携を含め、総合的に検討していきます。 次に、施設保有総量の圧縮目標の達成についてです。 平成28年度に策定した墨田区公共施設マネジメント実行計画において設定した削減目標15%となる延べ面積8.6万平方メートルは、区庁舎で換算すると約2棟分、中学校では約12校分となります。大変ハードルの高い目標ではありますが、今ある施設全てを維持し続け、大規模修繕等を行っていくことは、区の財政運営上困難な状況であることも事実です。 施設保有総量については、一時的に増加する場合もありますが、この間、家庭センターや伊豆高原荘をはじめ、計4.8万平方メートルを削減しており、着実に取り組んでいるところです。 今後も、全庁で公共施設マネジメントの考え方を共有し、施設の統合・集約や機能転換、民間活力の活用などにより、区議会の皆様からもご意見をいただきながら、公共施設の再編・整理に取り組んでいきます。 次に、開かれた場で公共施設マネジメントの推進を図ることについてです。 現在、第2次墨田区公共施設マネジメント実行計画をはじめとした各種計画については、区公式ウエブサイトに掲載しており、行政運営における重要性について周知を図っているところです。また、住民意識調査をとおして、公共施設の満足度や利用状況の把握に努めています。さらに、平成30年度から、公共施設マネジメントの観点に立った分析を進めるため、「主要な公共施設に係るコスト計算書」を作成し、施設に係るコストの情報について積極的な開示を行っています。 次期実行計画の策定に当たっては、ご紹介いただいた事例を参考に、さらに区民に分かりやすい形での公表に努めるとともに、タウンミーティングをはじめ、より開かれた場での理解促進についても検討した上で、更なる公共施設マネジメントの推進に取り組んでいきます。 次に、財政運営を確保するためのルールの確立についてです。 地方公共団体は、地方自治法や地方財政法といったさまざまな法律を遵守しながら、財政の健全な運営を行う義務があり、中でも地方財政法においては、決算に伴う積立金の処分や地方債の制限などについて規定されています。また、現在の基本計画では、すみだの夢実現のために行うべき事業や財政推計、基金、区債残高等の目標などを定めているほか、行財政改革実施計画では、経常収支比率や公会計で用いた指標などの目標値を定めて取り組んでいます。 ご提案のあったバランスのとれた財政運営を確保するためのルール等については、首長としての予算の調整権との整理も必要です。条例の制定等によるルール化については、研究が必要と考えますが、基本計画の中間改定に当たっては、指標やルール化の考え方を取り入れていきます。 次に、飼い主のいない猫の対策についてです。 区では、その対策として、パンフレットやチラシ等を使って地域猫活動に関する啓発を実施してきました。また、地域猫活動の解決に取り組む町会・自治会に対しては、他地域での具体的な対応事例や不妊・去勢手術等助成事業を紹介しながら、自主活動が円滑に進むよう支援しています。 次に、地域でのボランティア活動の明確化を目的とした腕章などの作成についてです。 地域猫活動の推進は、地域の方々との合意が前提となりますが、区内ボランティアの方々にさまざまなご意見があるため、現状では腕章の導入は難しい状況です。今後、地域の方やボランティアの方との意見交換を行い、無責任な餌やりを減らす方策について検討していきます。 次に、助成制度の拡充についてです。 現行の助成制度は、生活環境の保全と動物愛護思想のバランスをとりながら、区民の自主的な地域猫活動を支援しているものです。捕獲し、手術して、地域に戻すという野良猫減数対策が必要との考え方が広まったことから、区内では町会・自治会がこの活動を進める動きも見られます。 今後、この実態を踏まえ、東京都獣医師会墨田支部やボランティアの方々のご意見等を伺いながら、地域猫活動を前提とした助成制度のあり方を検討していきます。 次に、保護団体の活動の紹介についてです。 区内ボランティアの方が保護した猫を譲渡する際に、譲渡希望者との面接や譲渡先の受入れ調査も行っています。これまでボランティアの方々からの依頼を受け、区が実施するイベント等の会場で、保護されている猫の写真を公開して、譲渡を希望する方とのマッチングを行った実績があります。ご提案を踏まえ、保護ボランティアと譲渡希望者のマッチングに関する情報を、区ホームページなどで紹介していきます。 次に、ペットの防災対策についてです。 まず、ペットを伴う避難に係る区民への啓発についてです。 区では、地域防災計画において、ペットの逃走による危険防止、動物愛護等の観点から、同行避難の考え方を明記しています。また、他の避難者のアレルギー発症防止等の観点から、避難所運営マニュアルにおいて、「避難所の居住スペースには、原則としてペットの持込みを禁止すること」や、「ペットは敷地内の屋外にスペースを設け、管理すること」等を定めています。ペットを伴う避難について正しい理解がより進むように、こうしたルールについて、区ホームページ等の活用や総合防災訓練、地域防災活動拠点会議等の機会を捉え、引き続き区民への啓発を進めます。 なお、他の避難者の同意と、発災後の時間の経過に伴う収容スペースの確保状況により、避難所内での同伴避難が可能となる場合も想定されることから、避難所における同伴避難の考え方については、避難所運営マニュアルの改定を含め、検討していきます。 次に、新たな同伴避難所等の設置場所の検討についてです。 ご指摘のとおり、区内において同伴避難所としての収容能力を有する動物病院の確保は、困難な状況です。新たに高校や大学等に同伴避難所等を設置することについては、ペットの適正管理や被災者の心のケア等の観点から意義はあると考えますが、関係者の意見を聞く必要もありますので、検討課題とさせていただきます。 次に、ペット防災対策の飼い主への啓発についてです。 同行避難とともに、日ごろから災害時に備えペット用のフード等を備蓄しておくことが大切ですので、獣医師会のご協力を得て作成したリーフレット等を活用して、飼い主等に対し、さまざまな機会を捉え普及啓発をしていきます。 次に、逸走動物の対策についてです。 逸走動物や飼い主不明となったペットの保護については、都の役割になりますが、平時からの獣医師会や動物の保護団体との連携は必要であることから、ご指摘の譲渡会の支援や協定の締結については、都と連携し研究していきます。 次に、(仮称)人と動物との共生に関する条例、もしくは動物の愛護と管理に関する条例の制定についてです。 ご指摘のとおり、法及び都条例は、人と動物の共生社会の実現を目的としていて、この目的達成のため、区では、獣医師会やボランティア等との関係団体と連携し、普及啓発活動を推進しています。 動物との共生社会には、「動物の命も人間同様に尊厳を守る」という「愛護」と、「人の生命・身体・財産への侵害防止」という「管理」の二つの考え方があり、個人でそれぞれ違うことから、区全体の総意に基づく必要があると考えます。 条例を制定する場合も、区内の実情を踏まえながら愛護と管理のバランスを取りつつ、区民共通の理解を得る必要があることから、ご提案の趣旨を踏まえ、まずは関係団体のご意見を伺っていきます。 次に、フードドライブの充実についてです。 フードドライブ事業は、イベント回収の回数を増やすなど充実を図りながら、現在、不要となった食品を賞味期限内で再利用の実績があるNPO法人に無償供与しています。ご指摘の回収内容の公表に関しては、時間的制約の中で確実に取り扱う必要があることから、その都度ホームページに公表することは、運用上課題があると考えます。 今後、これまでの取組に加えて、支援を必要とする子ども食堂の運営団体等に対し、直接、回収品目の情報提供を定期的に行うなど、有効活用に向けた対応を充実させていきます。 次に、区内においてフードドライブを活用した新たなフードバンク拠点が創設された場合についてですが、現在のNPO法人の活用によって、既に広域的な調達配分が機能していることから、引き続きこれを生かしていきますが、ご指摘のような場合にはどのような連携が可能か検討していきます。 次に、墨田区食育推進計画で定量的な評価をする項目の目標を設定することについてです。 本計画では、「食品ロス削減のために何らかの行動をしている区民の割合」及び「家庭や地域などで協食したいと思う人が協食する割合」を、調査が必要な「調査追加項目」として挙げていることから、できるだけ早く現状値を調査し、その上で速やかに目標値の検討を行い、次期の墨田区食育推進計画に反映していきます。 次に、食品ロス削減に係る庁内横断的な取組についてです。 本区では、食品ロス削減に向けて、フードドライブによる普及啓発のほか、「食べ切り推奨店」の登録事業を通じ、取り組んでいます。 今後、さらに庁内連携を図りつつ、区内事業者や各種団体にも協力を求めて、食べ切り推奨店の拡充等を図っていくとともに、ご提案の趣旨を踏まえ、食品ロス削減の取組の充実を検討していきます。 また、来年度策定予定の墨田区一般廃棄物処理基本計画の中で、食品ロス削減につながる取組についての検討を進めていきたいと考えています。 次に、低出生体重児のための「リトルベビーハンドブック」の作成についてです。 現在配布している母子健康手帳は、通常の妊娠期間で生まれた乳幼児の発達の目安を記録するようになっており、妊娠期間が短く生まれた低出生体重児には対応できていません。このため、ご指摘のように、発達が遅れがちな低出生体重児の保護者にとっては、不安や戸惑いが生じてしまうこともあります。保護者の悩みが少しでも軽くなるように、静岡県や名古屋市などの先進事例を参考に、区内のサポート情報も入れて、低出生体重児の成長記録を月齢ごとに記入し、成長を見守ることができる墨田区版「リトルベビーハンドブック」を作成して、必要な方に配布していきます。 以上で、公明党、とも議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。 〔教育長 加藤裕之君登壇〕
◎教育長(加藤裕之君) 公明党、とも議員からのご質問に順次お答えします。 まず、食品ロスの削減を食育の一環として捉えた子どもたちの取組推進と、食品ロスダイアリーの利用についてです。 学校では、食育と関連付け、社会科、家庭科、給食指導などの機会に食品ロスの削減に向けた指導を行っています。 ご紹介いただいた食品ロスダイアリーは、小学生にも分かりやすく作られており、学校での指導を踏まえ、食品ロスとその削減に関心を持った児童が、家庭での調べ学習として取り組むのに適した教材と考えます。夏休みの課題等の一例として、学校に周知し、食品ロスの削減に向けた学習の充実に活用していきます。 次に、スクールロイヤー制度についてです。 まず、全教員へのアンケートの実施についてです。 従来、教育委員会では、学校として対応に苦慮している事例については報告を受け、助言や対応の支援を行っており、外部対応の難しさなどが教員の負担増加の一因となっていることと認識しております。このような課題の解決を図るためには、現状を把握し、意見を聴取していくことが必要であると考えますので、教員へのアンケート等、方法を検討して現状や意見を把握してまいります。 次に、弁護士の学校担当制についてです。 現在、区教育委員会の法律相談事業では、希望校に対する巡回相談と、困難事例が発生した際の緊急相談を行っており、これまで申請のあった学校については、全て対応ができております。 ただいまご提案のありました、弁護士の学校担当制度は、学校からの相談が容易になることで、問題事例の予防や早期解決、学校や関係者の心理的負担の軽減等の効果が期待できると考えます。 一方で、いじめや学校事故などの学校問題においては、法律的な判断だけで解決が図られるものではなく、丁寧な話合いと理解が重要であると考えます。 以上のことから、ご提案の内容を含めた弁護士による法律相談に加え、法律面以外での支援を必要とする事案への対応など、より多面的なサポートを行える体制を整備する必要もあると考えますので、既にスクールロイヤー制度を導入している他自治体の取組、また、先ほどアンケートによって実態を把握したり意見聴取した情報を活用して、効率的な体制の充実を検討してまいります。 最後に、スクールロイヤーを活用した教員へのセミナーについてです。 教員が一定の法知識や困難事例への対応方法を専門家から学ぶ機会を設けることは、自信を持って指導を行うために有意義なことであると考えます。 これまでも、管理職対象に弁護士を講師とした研修を実施した事例はありますが、今後、教員が抱える悩みにアドバイスができる弁護士を講師とした研修を実施していく必要性は高まっていくと考えますので、計画的に実施してまいります。 以上で、公明党、とも議員のご質問に対する答弁を終わります。
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○議長(田中邦友君) 議事の都合により、暫時休憩いたします。 午後2時55分休憩
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○議長(田中邦友君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 一般質問を続けます。 32番・高柳東彦君 〔32番 高柳東彦君登壇〕(拍手)
◆32番(高柳東彦君) 私は日本共産党墨田区議団を代表して、山本区長並びに加藤教育長に質問をいたします。 質問の第1は、区長が13日に行った所信表明演説についてです。 我が党は、今後の区政運営を考える場合、政治・経済や社会の動向を踏まえ、区民生活のリアルな実態から出発して、区政の課題及び区政の役割を明らかにすることが重要だと考えます。ところが、区長の所信表明では、このような視点からの発言がほとんど見られませんでした。そこで、政治・経済や社会の動向、区民生活の実態などに対する、区長の見解について改めてお伺いします。 まず、いま国政を揺るがせている年金問題です。 年金暮らしの夫婦の平均収入と支出の差が月5万5,000円あり、30年間で2,000万円不足するため蓄えが必要などとした、金融庁の報告書が大問題になっています。「100年安心などと言って保険料を値上げしておきながらひどい話だ」、「100万円も貯金できないのに、2,000万円なんてとても無理だ」など国民の怒りが広がっています。 安倍政権は、「政府の方針と違う」などと打消しに必死ですが、報告書の受取りを拒否しても、年金が不足するという現実は変わりません。 しかも、このままマクロ経済スライドが続けば、現在41歳の人が65歳になったときには、さらに1,600万円給付が下がり、合計3,600万円の不足分が生まれると指摘されています。マクロ経済スライドとは、毎年行う年金額の改定の際、指標となる物価の上昇より年金額の引上げを低く抑え、実質的に削減する仕組みです。安倍政権では7年間で2度発動され、物価は5.3%上昇したにも関わらず、年金額は0.8%のマイナスで、実質6.1%も削減されています。 さらに問題なのは、老齢基礎年金、つまり国民年金の削減幅のほうが、上乗せ部分の老齢厚生年金よりもかなり大きいため、低賃金の人ほど年金額がより大きく目減りしてしまうことです。 我が党は、マクロ経済スライドを廃止して「減らない年金」にしていくこと、同時に、低年金者に対し、直ちに月5,000円、年6万円の底上げを行うことを提案しています。財源については後で触れます。 小規模事業者が多い本区においては、国民年金だけで生活されている方も多く、事態は深刻だと考えますが、区長は、年金生活者の生活実態についてどう認識されているのか、経済的支援や生活支援の必要性についてどう考えているのか、見解を問うものです。 次に、ひきこもり対策についてです。 川崎市の路上で、スクールバスを待っていた小学生ら20人が死傷する痛ましい事件が起きました。50代の容疑者がひきこもり傾向にあったと伝えられたことから、ひきこもりをどうにかしろなどという乱暴な声も出ています。誰であっても、暴力、まして殺人などは絶対に許すことはできません。しかし、この事件により、さまざまな事情を抱えてひきこもり状態にある人や家族がますます追い詰められているのではないでしようか。 内閣府の調べでは、中高年のひきこもりは60万人余りに上り、若年層を上回ったとしています。80代の親が50代の子を養う「8050問題」も深刻です。SOSも出せず、社会から孤立していく人たちを自己責任だと置去りにすることはできません。 ひきこもりの青年たちの支援に取り組むNPO法人「文化学習協同ネットワーク」代表理事の佐藤洋作さんは、支援策について次のように話しています。 「誰にでも、立ち止まることや、思うようにいかず、ひきこもることはあります。長引かせないことが大事です。当事者の苦悩に対する理解が欠けたところで、なされる激励や助言では『誰も分かってくれない』と、かえって長期化していきます。当事者自身が自分の課題と向き合い、困難を乗り越え、自分の役割を発揮していくということがないと、本当の支援になりません。『居場所』やフリースペースは、支援者に出会い、同じ状況を経験してきた同世代に出会う場所です。悩んでいるのは自分だけじゃないと知り、愚痴を言ったり、一緒に遊んだり、アルバイトに出かけたり、外につながる拠点です。もっと地域にあってよいと思います。ひきこもる原因はいじめ、就職などさまざまです。だから、社会に出ていくためのプログラムも多様にあるべきです。ひきこもりを脱するには、まず親が支援機関と出会うこと、それを子どもに伝えることです。ひきこもる人が社会に出ることを支える人たちが手を結び、当事者自身も参加して、地域を再生していくことが必要です。」 このような提言も参考にして、区として支援策を構築することが求められます。まず、区内のひきこもりの実態把握に努め、全庁的に対策を検討すべきと考えますが、区長の見解をお伺いします。 また、児童虐待の根絶と、子どもの貧困問題の解決も大きな社会問題となっており、墨田区にとっても引き続き重要な課題ですが、所信表明では特に言及されませんでした。これらの問題に対する区長の認識を問うとともに、積極的に取り組むよう求めるものです。 次に、10月からの消費税率10%の中止についてです。 区長は、所信表明演説で、消費税増税について「税率の引上げに伴う対応を、着実に準備を進めていく」と述べました。しかし、「こんな経済情勢で増税を強行していいのか」という声が、日々高まっています。 前回の消費税8%への増税を契機に、実質家計消費は年25万円も落ち込み、労働者の実質賃金も年10万円低下しました。内閣府が発表した景気動向指数が6年2カ月ぶりに「悪化」となるなど、政府自身も景気悪化を認めざるを得なくなっています。 これまで3回にわたり消費税の導入と増税が行われましたが、いずれも景気が上向きのときでした。1989年の3%はバブル経済のさなかであり、1997年の5%も、2014年の8%も、政府の景気判断は「回復」でした。それでも、消費税増税は深刻な消費不況を招きました。 墨田区の商店数と工場数も、消費税が導入された1989年以降、急激に減ってきており、特に中小小規模企業に大きな打撃となっていることは明らかです。キラキラ橘商店街の方も、「この店は借りているので、家賃を払うとほとんど利益が出ない。消費税が10%になったらやめざるを得ない」と語っています。 さらに、アメリカと中国の貿易戦争も深刻化しており、世界経済の減速が警告されています。このような景気後退の局面で、5兆円もの大増税をかぶせるのは無謀としか言えません。 区長は、我が党の質問に対して、消費税増税が「区民や区内企業に少なからぬ影響を与える」ことは認めながら、「社会保障などの重要な財源」だとして、増税を容認してきました。 しかし、消費税収は社会保障の財源になるどころか、法人税などの減税の穴埋めに使われてしまったのが実態です。過去30年の消費税収は372兆円になりますが、同じ時期に、法人税は290兆円、所得税と住民税が267兆円、合わせて消費税収を大きく上回る557兆円も減っています。 安倍首相の側近と言われる自民党の萩生田幹事長代行は、7月1日に発表される日銀短観が示す景況感次第で「増税の延期もあり得る」と述べました。この発言は、7月以降でも消費税増税の中止は可能なことを示しています。 区長は、10月の消費税増税が区民の暮らしと営業、日本経済に与える深刻な影響について、どのように認識しているのか、明確な答弁を求めます。 今、求められているのは、家計を応援する政策と、格差と貧困を是正する政策です。我が党は、消費税増税を中止するとともに、暮らしに希望が持てる三つの経済政策を提案しています。 第1に、最低賃金の引上げや、介護や保育労働者の賃金引上げ、長時間労働の規制、非正規労働者の正社員化で、8時間働けば普通に暮らせる社会にしていくこと。第2に、国保料や介護保険料の大幅値下げ、年金の底上げ、生活保護の削減中止など、暮らしを支える社会保障に転換すること。第3に、大学などの授業料値下げ、月3万円の給付型奨学金の創設、学校給食費の無償化、保育園待機児童の解消など、お金の心配なく、学び、子育てができる社会をつくることです。 これらの提案を全て実行するために必要な財源は7.5兆円です。この財源は、消費税に頼らなくても、富裕層と大企業に応分の負担を求めることで確保できます。現在、中小企業の法人税負担率は18%ですが、大企業にはさまざまな優遇税制があり10%しか負担していません。大企業に、中小企業並みの負担を求めれば4兆円の財源がつくれます。 富裕層を優遇する証券税制の見直しと、最高税率の引上げで3.1兆円の財源となります。米軍への「思いやり予算」や、辺野古への米軍基地の建設費など、国民の税金を使う必要のない予算を削れば、0.4兆円の財源を生み出せます。さらに、これらの経済的な提案は家計を直接温めるものばかりであり、経済の活性化にも大きな効果が期待できます。 区としても、消費税増税の中止を強く求めるとともに、暮らしを応援する経済政策への転換を図るよう国に要請すべきと考えますが、区長の見解を問うものです。 次に、行財政改革の抜本的な見直しについてです。 区長は所信表明でも、「これまで以上に不断の行財政改革を推進していく必要がある」と強調し、「行政として担うべき業務の選択と集中を進め、持続可能な財政基盤の確立と効率的な行政システムの構築を進める」、業務改善プロジェクトにより、AI(人工知能)・RPA(ソフトウエア型ロボット)などの導入や、全庁共通業務の簡素・効率化に取り組んでいく」と表明しました。これは、安倍政権が進めている自治体戦略2040構想と軌を一にしたものです。昨年7月、総務省は、自治体戦略2040構想の第二次報告を出しました。その内容は、20年後に人口の減少と高齢人口がピークになるとして、2040年を目標に据えて、逆算方式で「スマート」な自治体をつくるというものです。具体的には、AIやロボットの活用、自治体行政の標準化・共通化で、従来の半分の職員で運営できる仕組みにしていく。自治体の役割を、住民サービスを提供する当事者から、地域団体やNPOなどを活用するための場の提供、つまりプラットホームの提供にとどめるなど、自治体の役割を大きく変質させ、公共サービスの産業化を一層推進するものとなっています。 これに対し、全国市長会会長からは「地方創生に頑張ろうとしている努力に水を差すもの」、全国町村会会長からは「上からの押付けでなく、選択可能な制度や仕組みが準備され、自治体が自ら選択・実行できることが重要」など、2040構想について懸念や批判の声が上がっています。 このような自治体戦略2040構想について、区長が積極的に推進していこうとするのであれば重大だと考えますが、どのように対応されるのか、見解をお伺いします。 本来の行財政改革とは、区民の目から見て、行政の無駄を削り、区民サービスの向上を図るものです。ところが、この間、進めてきた公共施設マネジメント実行計画は、中小企業センターの廃止や地域集会所の統廃合など、多くの区民施設を廃止・統合するとともに、「受益者負担の適正化」の名で施設使用料などを値上げするものです。しかも区は、この公共施設マネジメントを盾にして、地域のコミュニティ施設や高齢者施設の整備など、切実な要望に応えようとしてきませんでした。 一方で、人口が急増しているもとで、新たな公共施設の必要性も出てきています。我が党が昨年実施した区民アンケートでも、「公共施設は充実すべき」が43.1%に上り、「公共施設の削減はやむを得ない」は21.6%です。 区立保育園などの民営化も、福祉施設の職員の確保が難しくなってきており、職員の処遇改善が大きな社会問題となっている中で、人件費の削減が最大の目的である民営化をさらに拡大しようとする区の姿勢が厳しく問われます。このような行財政改革は、抜本的に見直すことを要求し、区長の見解を問うものです。 質問の第2は、国民健康保険料の引下げについてです。 高過ぎて払い切れないと重い負担となっている国保料を、今年も区は値上げしました。その通知を13日に発送しましたが、昨日までに1,213件の問合せがあったと聞いています。 そのほとんどが、「なぜ、保険料がこんなに高いのか」「昨年よりも高いのはどうしてか」など、苦情や抗議です。区長はこれらの声をどのように受け止めているのか、まずお伺いします。 厚生労働省の2017年度国民健康保険実態調査報告によると、自治体国保に加入する1世帯当たりの平均所得は、10年前と比べ2割近く減っている一方で、平均保険料は、2割も高くなっています。また、保険料負担率では、自治体国保の10.5%に対し、協会けんぽが7.5%、組合健保が5.8%と、自治体国保の保険料負担の重さが浮彫りになっています。 このように国保制度には構造的矛盾がある中で、このまま高い保険料を押し付けることは絶対に許せません。特に、子どもの均等割の減額など、多子世帯への負担軽減を講じることが必要です。23区の国保料の所得割額は、2011年度までは住民税額が基礎になっていましたが、ただし書き所得に変えたため、扶養控除などが適用されなくなり、多子世帯の保険料が跳ね上がりました。そもそも、子どもが1人増えると年5万2,200円も保険料が高くなってしまう仕組みが、まともな社会保障制度と言えるのでしようか。 区長は、子どもの均等割額の軽減が必要なことは認めながら、「区長会として、国に要望している」との対応にとどまっています。国に強く要望し、その実現を働きかけていくことは重要ですが、なかなか国が改善しようとしない中で、どう対応したらよいのか、区長会としても真剣に検討すべきです。 この問題については、我が党は23区のほとんどで取り上げていますが、ある区では「多子世帯の均等割については、区長会で研究している」と答弁しています。山本区長は区長会の幹事に就任したそうですが、子どもの均等割の減額など、多子世帯の国保料の負担軽減の実現に向け、積極的に行動することを改めて要求し、見解を問うものです。 質問の第3は、教育費の負担軽減についてです。 この問題では、憲法に定める義務教育無償化の実現と、子どもの貧困対策の中心課題として、さまざまな提案を行ってきましたが、今期についてもこだわっていきたいと思います。 就学援助の入学準備金については、支給時期を7月から2月末へ、資金が必要な時期に前倒しで支給されるようになり、その支給額も今年度から増額されました。しかし、昨年10月、生活保護世帯の入学準備金は、小学校で4万600円から6万3,100円に、中学校で4万7,400円から7万9,500円へと、さらに拡充されました。これに合わせて、都区財政調整制度の単価も引き上げられる見込みだと聞いています。 23区では、少なくとも7区が今年春の支給分から引き上げています。墨田区としても、今年度分から改善すべきと考えますが、教育長の見解をお伺いします。 次に、学校給食費の無償化に向けた取組についてです。 学校給食費への助成を求める我が党の質問に対して、教育長は、「学校給食法第11条で、食材料費などの費用は保護者負担とされているので、現行が適当である」との答弁を繰り返しています。この学校給食法第11条の解釈について、昭和29年の文部事務次官通達で、「地方公共団体等が、給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図ではない」と明確にされています。 今、格差と貧困が広がっているもとで、学校給食費の無償化又は助成を行う自治体が急速に広がっています。給食費は年額4万5,000円から6万円と、保護者が学校に納める納付金の中でも高額な部類です。 栄養バランスのとれた温かくおいしい給食を、家庭の経済状況にかかわらず、全ての子どもに提供することは、子どもたちの健やかな成長にとって、とても大切です。子育て支援や少子化対策としても重要です。墨田区としても、学校給食費の無償化に踏み出すべきですが、その第一歩として就学援助の拡充を提案します。 世田谷区では、就学援助の対象を生活保護基準の1.24倍から、1.4倍に改善するとともに、給食費については生保基準の2.06倍まで引き上げました。世田谷区によると、生保基準の1.4倍は、国の高校授業料無償化モデルに相当する基準、また生活保護基準の2.06倍は、東京都の高校授業料無償化モデルに相当する基準とされています。その結果、世田谷区では、給食費は約4割の家庭で無料になったと言われています。 本区としても、給食費については、就学援助基準を生保基準の2倍程度に拡充して、給食費の無償化を進めていくべきと考えますが、教育長の見解を問うものです。 質問の第4は、保育園等の園外活動の安全対策についてです。 歩道で信号待ちなどをしていた歩行者が、突然突っ込んできた自動車にはねられ死傷する悲惨な事故がなくなりません。この問題について、私は2012年の6月議会でも取り上げ、車優先から歩行者優先へと転換を図るとともに、運転手のマナーや自覚を高めること、交通安全教育の推進、車道と歩道の色分けによるソフト分離やガードレールの整備など道路の安全対策、通学路の安全性の総点検と緊急対策などを提案しました。この間、区はどのような取組をしてきたのか、まず説明を求めます。 先月8日、滋賀県大津市の県道交差点で信号待ちをしていた保育園児と保育士の列に車が突っ込み、園児2人が死亡、1人が重体、保育士を含む13人が重軽傷を負うという痛ましい事故が発生しました。4月には、豊島区で横断歩道を渡っていた母子らが暴走した車にはねられ10人が死傷した事故、神戸市で市営バスが横断歩道を渡っていた歩行者をはね8人を死傷させた事故などが発生しています。いずれの事故も歩行者側に落ち度はなく、普通に歩いていて命を奪われるという理不尽なものです。 日本では交通事故の死者数は減ってきているものの、歩行中の人の死亡率は35%で、ドイツ15.3%、フランス16.1%、イギリス24.9%と比べ極めて高いのが実態です。1960年代から急激に自動車が普及し、自動車のための道路整備・まちづくりが優先されたことが背景にあります。 長年かけて歩行者と自動車との“すみ分け”を進めてきた欧州諸国との政策の違いを指摘する研究者もいます。「車優先」を根本的に見直し、人間を優先した優しい道路・交通政策への転換が重要になっています。 保育園等においては、園外での遊びは子どもの発達にとって大切な活動であり、園外活動での安全確保は極めて重要です。大津市の事故を受け、国土交通省と警察庁は安全確保に向けた道路の点検を実施するとしていますが、その内容は、過去5年間で子どもが当事者となった重大事故の発生した交差点と同様の道路交通環境にある場所の点検や対策にとどまっています。 保育現場の意見を踏まえた、より抜本的な対策が求められていますが、本区においては、いまだに動きが見えてきません。墨田区は、認可保育園や幼稚園、認定こども園や認証保育所、小規模保育などがさまざまな場所に設置され、かつ交通量が非常に多い地域です。認可保育園など就学前の子どもが通う施設から危険な箇所を出してもらい、関係者や警察、地域の協力もいただき、合同点検を早急に実施すべきです。 その上で、子どもたちが安全に園外活動を行えるようにするため、ガードレールなどの設置や信号機等の新設、歩車分離、歩道の確保、スクールゾーンと同様の交通規制を行う「(仮称)キッズゾーン」の指定などの対策が必要です。さらに、安全対策のために必要な予算措置を、補正予算を含めて実施すること、園外活動における安全確保に必要な保育士等の増配置を行うことです。 この問題では、今月4日に緊急申入れも行いましたが、区長はどのように対応されるのか答弁を求めます。 2012年4月、京都府亀岡市で集団登校中の小学生らの列に車が突っ込み、10人が死傷した事故の後、全国の通学路の危険箇所を緊急点検し、一定の改善を図る取組が行われ、本区でも実施されました。通学路については、その後も定期的に点検整備が行われていると聞いていますが、最近起きている事故の教訓も踏まえ、改めて通学路を中心とした総点検と対策が求められています。その際、学校付近の道路の速度規制の厳格化、車道の規制と歩道の確保、道路にでこぼこを付けて自動車の速度を落とさせるバンプ(こぶ)の設置など、子どもたちが安心して歩けるような道路整備を検討すべきと考えます。 教育長の積極的な取組と明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。 〔区長 山本亨君登壇〕
◎区長(山本亨君) ただいまの日本共産党、高柳議員のご質問に順次お答えします。 最初のご質問は、私の所信表明や年金生活者の生活実態等についてです。 中小零細企業が多く集積する本区においては、景気悪化の影響を受けやすいことから、その状況を注視する必要があることは、私も所信表明で申し述べたところです。区民生活の実態把握は重要であり、困っている方には、さまざまな相談窓口に丁寧につなぐ必要があると考えています。 国民年金制度をはじめとする公的年金制度は、高齢者の基本的な生活を支えるものとして区民生活に不可欠な存在と認識しています。 公的年金は基本的には、現役世代が負担している保険料で高齢者世代を支える世代間扶養の仕組みで運用されており、急速な少子高齢化が進展する中で、給付と負担のバランスを維持することは、持続可能で安心できる年金制度を支える上で重要であると認識しています。現在の制度設計は必要なものと考えていますが、年金生活者を含め生活に不安を抱える方や、保険料に対する相談については、丁寧に応じていくよう指示していきたいと考えます。今後とも、経済動向等を踏まえた年金制度設計がなされていくものと思われますが、国民年金制度の充実や向上を図る観点から、引き続き国等の動向を注視していきます。 次に、ひきこもりや児童虐待への認識と対応についてです。 ひきこもりの状態にある人への対応については、向島・本所両保健センターをひきこもりサポートネット相談窓口と位置付けており、相談とアウトリーチ支援を実施するとともに、昨年の墨田区子ども若者計画を策定する際に、実態調査も実施し、その把握に努めてきたところです。 また、関係部署、民生・児童委員等から寄せられた情報を集約し、ひきこもりの状態にある人の支援に努めているところです。加えて、今年度開始する「若者の居場所づくり支援事業」では、NPO法人等と連携し、自宅以外の居場所の提供を進めていきます。 全庁的な対策としては、昨年度策定した墨田区自殺対策計画に基づき、自殺対策を「生きることの包括的な支援」として、庁内ネットワーク会議の中でその対策についても検討していきます。 今後も、福祉、子育て、教育等各部署が緊密に連携し、ひきこもりの状態にある方や家族の困り事を把握し、個々の状況に寄り添ったきめ細かい支援を進めていきます。 また、児童虐待や子どもの貧困への取組は重要であると考えており、特に虐待について、私の所信表明において述べましたが、妊娠期からの切れ目のない支援と併せ、対応の強化を図り、早期発見、未然防止等に努めていきます。 次に、消費税率10%への引上げの中止についてです。 消費税の引上げによる増収分は、少子化対策や社会保障に対する安定的な財源の確保と財政健全化に資するものであり、幼児教育無償化や介護保険料の負担軽減等、社会保障の充実等に充てられる予定です。 また、臨時・特別の措置として、プレミアム付商品券の発行なども予定しており、経済の回復基調に影響を及ぼさないように取り組むこととなっていますが、景気の動向や区民生活の状況については、引き続き注視していきます。 これらのことから、私としては、消費税率引上げの中止等について国に要請する考えはありませんが、中小零細企業や低所得者層への十分な配慮等について、必要に応じ、区長会等を通じて要望していきたいと考えています。 次に、自治体戦略2040構想への対応についてです。 国は、昨年7月「自治体戦略2040構想第2次報告」をまとめました。この中では、来るべき少子高齢化、人口減少社会への移行を見据え、今後の行政サービスを維持するために、行政内部の事務の更なる標準化・共通化を進め、官民連携したスマート自治体への転換が必要であるとしています。自治体がプラットホーム・ビルダーとして、官民連携の場づくりを積極的に推進する必要があるとしています。 本区が現在進めている行財政改革は、その実施計画において、「選択と集中」による行政運営や民間活力の活用等を規定しており、今後ともこのような視点を持って進めることは、国のこうした動きとも沿うものと考えています。今後の行政サービスのあり方や仕組みを、持続可能で新しい時代に即した形に変えていく、行財政改革の取組を着実に推進していきます。 次に、行財政改革の抜本的な見直しについてです。 基本計画に掲げる施策を着実に実施し、区民福祉の向上を図っていくためには、安定的な財政基盤を確立し、効果的・効率的な行財政運営を進めていくことが重要です。 そのためには、行財政改革実施計画や第2次公共施設マネジメント実行計画により、事務事業の見直しや業務の民間委託、区施設への指定管理者制度の導入を進めるとともに、現在、約300ある公共施設を、長期的・経営的な視点を持って、計画的なマネジメントに取り組んでいく必要があります。 今後も区民ニーズの把握に努めながら、必要に応じて施設の再編・整理を進めるほか、施設利用における適切な受益者負担の見直し等に取り組んでいきます。 なお、現在の行財政改革実施計画は、平成32年度までの計画期間となっており、現計画における課題や今年度策定する財政白書等を踏まえ、次期計画の策定作業を進めていきます。 次に、国民健康保険料の引下げについてです。 本年度の国民健康保険料については、6月13日に納入通知書をお送りし、その後、さまざまなお問合せがありましたが、保険料の引上げについては、加入者の高齢化とともに1人当たりの医療費が増加する中、一定の負担が必要であることを丁寧に説明し、ご理解をいただいているところです。持続可能な国民健康保険制度を運営していくためには、被保険者の方々に一定の負担をお願いせざるを得ないものと認識しています。 次に、区長会での多子世帯への負担軽減の対応状況についてです。 特別区長会としては、国に対し多子世帯への負担軽減として、子どもに係る均等割保険料の軽減措置をはじめとした制度の見直しを要望しているところです。 こうした中、本年2月7日の参議院予算委員会で、安倍首相が「子どもの均等割保険料の今後のあり方は、財政支援の効果や国保財政に与える影響などを考慮しながら、厚労省を中心に国保制度に関する国と地方の協議の場で引き続き議論していきたい」と答弁しています。今後とも、特別区長会を通じて、全国知事会や市長会とも連携し、働きかけを行っていきます。 最後に、保育園等の園外活動の安全対策についてです。 まず、この間の区の取組についてですが、区立の幼稚園、保育園、小・中学校を対象に、交通安全指導員等による交通安全に関する教室・講座などを開催してきました。私立保育園等についても、園長会等を通じて、交通安全に関する情報提供並びに啓発を行ってきました。さらに、すみだまつり・こどもまつりでは、自転車シミュレーター体験を実施するなど、交通安全の啓発活動に取り組んできたところです。 また、小学校のPTA、警察、区の3者によるスクールゾーン連絡会を開催し、交通安全プログラムに基づき、合同点検を実施しました。そこで対策が必要な箇所には、ガードレールの設置やグリーン標示による歩車道分離等の安全性の確保に取り組んできました。 次に、保育園等の園外活動の安全対策についてです。 滋賀県大津市の事故を受け、公立・私立を問わず、全施設に対して、散歩や園外活動等の移動経路の安全性や職員体制等について再確認を行うよう徹底を図りました。 また、警視庁からの危険箇所の把握と点検を趣旨とした、「子どもを交通事故から守るための緊急的な取組」要請に合わせ、対象となる保育・教育施設の一覧等を警察署に情報提供しました。さらに、各施設が危険箇所を把握し警察署に報告した内容については、区も情報を共有していきます。 今後は、キッズゾーンに係る国の動向も注視しながら、警察署と連携して、区の所管部門及び保育園等とも合同点検を実施し、危険箇所については、ハード・ソフト両面から必要な対策を図っていきます。 次に、園外活動における保育士等の増配置についてです。 園外活動を行う場合は、保育所保育指針等に基づき、安全確保対策を講じることとされています。これには職員配置も含まれており、現時点で既に各施設で適切な職員配置がなされていると認識していますので、現状の配置の中で更なる安全確保に努めていきます。 以上で、日本共産党、高柳議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。 〔教育長 加藤裕之君登壇〕
◎教育長(加藤裕之君) 日本共産党、高柳議員からのご質問に順次お答えします。 教育費の負担軽減について、就学援助における入学準備金の額の引上げについてです。 従来、本区の入学準備金の額は、都区財政調整制度の積算単価及び他区の状況等を勘案しながら設定しています。本年4月の小・中学校入学者の支給時期は、2月に繰り上げて、かつ、増額して実施しました。 今後、積算単価に変更があった場合には、その後、入学準備金の額として設定、支給することを検討したいと考えております。 次に、学校給食費の無償化の取組として、就学援助基準を生活保護基準の2倍程度に拡充することについてです。 就学援助基準の設定については、自治体の判断となっており、多くの区で1.2倍の援助基準を設定していることから、現在の基準が妥当であると考えておりますが、今後とも国や都、他区市の動向を注視していきます。 次に、保育園等の園外活動の安全対策についてです。 通学路については、平成29年度から毎年、教育委員会、小学校、道路管理者、PTA、警察と連携して、危険箇所等を合同で点検しております。 また、最近起きている事故の教訓も踏まえ、区立幼稚園・小学校で実施している交通安全教室の中で、特にガードレールなどがない歩道においても、道路側ではなく、反対側を歩き、自動車に注意を払うよう指導しております。 自動車の速度を落とす方法等については、対象箇所によりさまざまな方法もあるので、道路管理者とともに警察や地元の意見を聞きながら、子どもたちの安全性の向上に向けた検討を進めていきます。 今後は、昨年度の通学路の緊急合同点検の結果を踏まえて、学校、警察等の関係者と連携しつつ、連絡を密にして情報共有をすることにより、子どもたちの安全確保のための対策を推進してまいります。 以上で、日本共産党、高柳議員のご質問に対する答弁を終わります。
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◆14番(しもむら緑君) この際、議事進行の動議を提出いたします。 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。 お諮り願います。
◆5番(坂井ユカコ君) ただいまのしもむら議員の動議に賛成いたします。