平成26年 第4回定例会(11月) 平成26年第4回定例会 墨田区
議会会議録1 期日 平成26年11月26日2 場所 墨田区
議会議事堂3 出席議員(31人) 1番 佐藤 篤君 18番 加納 進君 2番 井上ノエミ君 19番
千野美智子君 3番 しもむら 緑君 20番 あべきみこ君 4番 加藤 拓君 21番 田中 哲君 5番 中沢えみり君 22番
高柳東彦君 6番
福田はるみ君 23番 沖山 仁君 7番 とも宣子君 24番
田中邦友君 8番 高橋正利君 25番 出羽邦夫君 9番 大瀬康介君 26番 坂下 修君 10番 西村孝幸君 27番 西原文隆君 11番 細田一夫君 28番 瀧澤良仁君 12番 はらつとむ君 29番 広田充男君 13番 山本 亨君 30番 かたくら 洋君 14番 樋口敏郎君 31番 鈴木順子君 16番
じんの博義君 32番 西 恭三郎君 17番 お
おこし勝広君4 欠席議員(1人) 15番 林 恒雄君5
出席理事者 区長 山崎 昇君
都市計画部長 直井 亨君 副区長 久保孝之君
都市整備部長 渡辺茂男君 教育長 横山信雄君
総務部参事 吉田 章君
企画経営室長 高野祐次君
危機管理担当部長 浜田将彰君 総務部長 鈴木陽子君
区民活動推進部参事 鹿島田和宏君 区民部長 後藤隆宏君
環境担当部長 青木 剛君
区民活動推進部長 小久保 明君
産業観光部参事 中山 誠君
産業観光部長 小暮眞人君 子ども・
子育て支援担当部長 関口芳正君
福祉保健部長 大滝信一君
保健衛生担当部長 中橋 猛君
立体化推進担当部長 小林 睦君
教育委員会事務局参事 佐久間 之君
会計管理者 相澤邦雄君
監査委員事務局長 島崎 進君
教育委員会事務局次長 石井秀和君6
出席事務局職員 事務局長 栗田 陽君
議事調査主査 熊倉正己君
事務局次長 渡邊久尚君
議事調査主査 大島俊也君
議事調査主査 岐部靖文君 平成26年第4回墨田区
議会定例会議事日程 第1号 平成26年11月26日午後1時 開議第1 報告第2号 平成25年度墨田区
一般会計歳入歳出決算----------+第2 報告第3号 平成25年度墨田区
国民健康保険特別会計歳入歳出決算 |第3 報告第4号 平成25年度墨田区
介護保険特別会計歳入歳出決算 |第4 報告第5号 平成25年度墨田区
後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算 | +
委員会審査報告+-+第5 報告第6号
地方自治法第179条第1項の規定に基づき処分した平成26年度墨田区
一般会計補正予算の報告及び承認について第6 議案第96号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例第7 議案第98号
幼稚園教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例第8 議案第80号 災害に際し応急措置の業務に従事した者等に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例第9 議案第81号 墨田区
いじめ防止対策推進条例第10 議案第82号 すみだ生涯
学習センター条例の一部を改正する条例第11 議案第83号 墨田区
木造建築物防火・
耐震化改修促進助成条例の一部を改正する条例第12 議案第84号 墨田区
女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例第13 議案第85号 墨田区
児童デイサービス施設の
管理運営等に関する条例の一部を改正する条例第14 議案第86号 墨田区保育の実施及び費用徴収に関する条例の一部を改正する条例第15 議案第97号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例第16 議案第76号 平成26年度墨田区
一般会計補正予算第17 議案第77号 平成26年度墨田区
国民健康保険特別会計補正予算第18 議案第78号 平成26年度墨田区
介護保険特別会計補正予算第19 議案第79号 平成26年度墨田区
後期高齢者医療特別会計補正予算第20 議案第87号
吾嬬第二中学校校舎改築に伴う
給排水設備工事請負契約第21 議案第88号 墨田区
家庭センターの
指定管理者の指定について第22 議案第89号 墨田区地区会館の
指定管理者の指定について第23 議案第90号
地域集会所の
指定管理者の指定について第24 議案第91号 すみだ
健康ハウスの
指定管理者の指定について第25 議案第92号 すみだ
ステップハウスおおぞらの
指定管理者の指定について第26 議案第93号
東向島児童館の
指定管理者の指定について第27 議案第94号
立川児童館の
指定管理者の指定について第28 議案第95号
文花子育てひろばの
指定管理者の指定について 午後1時開議
○議長(
田中邦友君) ただいまから平成26年第4回墨田区
議会定例会を開会いたします。 これより本日の会議を開きます。
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○議長(
田中邦友君) まず、
会議録署名員を定めます。 本件は、会議規則第123条の規定に基づき、議長からご指名申し上げます。 12番 はらつとむ君 18番 加納 進君のご両君にお願いいたします。
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○議長(
田中邦友君) 次に、会期についてお諮りいたします。 今次定例会の会期は、本日から12月10日までの15日間といたしたいと思います。 これにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
田中邦友君) ご異議ないものと認めます。 よって、会期は15日間と決定いたしました。
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○議長(
田中邦友君)
事務局次長をして諸般の報告をさせます。 〔
事務局次長報告〕----------------------------------- 26墨総総第856号 平成26年11月19日 墨田区
議会議長 田中邦友様
墨田区長 山崎 昇 平成26年第4回墨田区
議会定例会の招集について(通知) 平成26年11月19日付け墨田区告示第390号をもって
標記定例会を招集したので通知します。 (別紙) 墨田区告示第390号 平成26年第4回墨田区
議会定例会を次により招集する。 平成26年11月19日
墨田区長 山崎 昇 1 期日 平成26年11月26日 2 場所 墨田区
議会議事堂 〔巻末諸報告の
部参照〕----------------------------------- 26墨総総第857号 平成26年11月19日 墨田区
議会議長 田中邦友様
墨田区長 山崎 昇 議案の送付について 平成26年第4回墨田区
議会定例会に提出するため、下記議案を送付します。 〔巻末諸報告の
部参照〕----------------------------------- 26墨総総第865号 平成26年11月25日 墨田区
議会議長 田中邦友様
墨田区長 山崎 昇
地方自治法第179条第1項の規定に基づき処分した予算の報告及び承認について このことについて、下記の報告事件を送付しますから、区議会の承認方お取り計らい願います。 〔巻末諸報告の
部参照〕----------------------------------- 26墨総総第868号 平成26年11月25日 墨田区
議会議長 田中邦友様
墨田区長 山崎 昇 議案の訂正について 平成26年11月19日付け26墨総総第857号により送付した議案第76号平成26年度墨田区
一般会計補正予算について、下記のとおり訂正の上、議案を差し替えたいので、よろしくお取り計らい願います。 〔巻末諸報告の
部参照〕----------------------------------- 26墨総総第870号 平成26年11月25日 墨田区
議会議長 田中邦友様
墨田区長 山崎 昇 議案の送付について 平成26年第4回墨田区
議会定例会に提出するため、下記議案を送付します。 〔巻末諸報告の
部参照〕----------------------------------- 26墨総職第1025号 平成26年10月1日 墨田区
議会議長 田中邦友様
墨田区長 山崎 昇 墨田区
教育委員会委員の任命について(通知) このことについて、下記のとおり任命しましたのでお知らせします。 〔巻末諸報告の
部参照〕----------------------------------- 平成26年10月8日 墨田区
議会議長 田中邦友様 特別区
人事委員会委員長 西野善雄
地方公務員法第8条、第14条及び第26条の規定に基づき、一般職の職員の給与について別紙第1のとおり報告し、別紙第2のとおり勧告します。 また、同法第8条の規定に基づき、
人事制度等について別紙第3のとおり報告します。 〔巻末諸報告の
部参照〕----------------------------------- 26墨総総第850号 平成26年11月19日 墨田区
議会議長 田中邦友様
墨田区長 山崎 昇 訴えの提起、和解及び
損害賠償額の決定に関する区長の専決処分について このことについて、
地方自治法第180条第2項の規定に基づき、別紙のとおり報告します。 〔巻末諸報告の
部参照〕----------------------------------- 26墨監第124号 平成26年10月21日 墨田区
議会議長 田中邦友様 墨田区監査委員 和田義博 同 板橋秀幸 同 坂下 修 平成26年10月
例月出納検査の結果について このことについて、
地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。 〔巻末諸報告の
部参照〕----------------------------------- 26墨監第140号 平成26年11月25日 墨田区
議会議長 田中邦友様 墨田区監査委員 和田義博 同 板橋秀幸 同 坂下 修 平成26年11月
例月出納検査の結果について このことについて、
地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。 〔巻末諸報告の
部参照〕-----------------------------------
○議長(
田中邦友君) 諸般の報告を終わります。
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○議長(
田中邦友君) 次に、去る10月1日付けで本区
教育委員会委員に就任されました雁部隆治君をご紹介申し上げます。雁部隆治君からごあいさつがあります。 〔
教育委員会委員 雁部隆治君登壇〕
◎
教育委員会委員(雁部隆治君) 皆様こんにちは。ただいまご紹介いただきました雁部隆治と申します。貴重なお時間を拝借いたしまして、一言ごあいさつ申し上げます。 去る9月30日に開会されました区議会本会議におきまして、皆様方から再任についてのご同意をいただき、10月1日付けにて
山崎区長から
教育委員会委員の辞令をいただきました。 委員就任から2カ月ほどになりますが、その間、委員会での審議はもちろん、来年度からの
教育委員会制度改革を前に、教育施策について区長さんとの意見交換なども行わせていただきました。改めて、その職責の重さに身が引き締まる思いであります。 さて、今もなお世界中に夢を与え続けているディズニーの創始者、ウォルト・ディズニー氏の格言の一つに「現状維持は退化を意味する」という言葉があります。私もこの新たな制度の運営を担う委員の一人として、
教育委員会の更なる活性化及び教育現場の改革等に力を尽くしてまいる所存でございます。 過去の経験を生かし、
保護者代表の教育委員として、いじめ、不登校への対応はもちろん、学力・体力の向上や教育環境の整備に向けた効果的な対策の推進について、ほかの委員の皆様、そして学校、地域の皆様とも力を合わせて精一杯取り組んでまいりたいと思います。 今後とも区議会の皆様の温かいご支援とお力添えをお願い申し上げ、就任のあいさつとさせていただきます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 ご清聴ありがとうございました。
○議長(
田中邦友君) 以上で、
教育委員会委員のご紹介を終わります。
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○議長(
田中邦友君) これより一般質問に入ります。 通告がありますので、順次発言を許します。 13番・山本亨君 〔13番 山本亨君登壇〕(拍手)
◆13番(山本亨君) 自由民主党の山本亨でございます。 私は会派を代表して、大きく5点にわたり
山崎区長、
横山教育長に質問をいたします。
我が国経済は、
アベノミクス効果に伴う円安進行や株価上昇などを背景に
国内主要企業の業績が極めて好調の一方で、雇用・所得環境の改善は見られるものの、今年4月の消費増税以降、個人消費の低迷からなかなか抜け出せない状況が続いているところであります。このような中で先般、安倍政権は消費税10%への引上げを1年半先送りし、衆議院を解散、来月14日に国民に信を問う総選挙へと大きく政権のかじを切る決断を下しました。 本来であれば、一刻も早く景気回復を軌道に乗せ、社会保障と税の一体改革を前進させ、少子・高齢社会への対応を着実に進めていくことが望まれますが、新たな安定した政権によってこの目標を果たし、国民の期待に応え得る政策の実現を強く希望するものであります。 本区においては、
東京スカイツリー開業3年目に入りながら、
山崎区長の考えていた区の活性化の実現にはまだ時間が必要であり、残念ながら区民が景気回復を実感するまでには至っておらず、商店街や飲食店、
区内中小零細企業等の業績改善にまで結び付いているとは決して言えない厳しい状況が続いております。 そこで、
山崎区長に何点かにわたり質問をいたします。 第1の質問は、平成27年度
予算編成についてであります。 現下の区政が抱える多くの課題や、先に行われました
決算特別委員会における我が会派の提案などを踏まえ、さまざまな観点から予算の編成作業に取り組まれていることと思います。特に平成27年度は現
基本計画の最終年度であり、来年4月からは子ども・
子育て支援新制度や
教育委員会制度改革、そして第6期
介護保険事業計画など、将来の日本を支える社会制度の再構築に向けた大変重要な年であり、我が墨田区は地域を経営し、
地域間競争を生き抜いていくために、真剣に適切に対応して、区民のために万全な準備をしていかなければならないと考えます。 併せて、我が区の財政構造の脆弱性については、将来にわたり安定した区政運営を行っていくためにも早急な立て直しが間違いなく必要であります。
決算特別委員会においても、会派として強く指摘をいたしましたが、特に基金残高が23区の中で最低、極端に少ないことや、財政の硬直化の問題、今後も大きな財政需要が求められる施設整備や
まちづくり等々を控えている状況の中で、いつまでに、どのようにして、どんな目標を達成するのか、
山崎区長の
財政健全化への意気込み、本気度がいま一つ伝わらないように感じましたが、
優先的課題ではないのか、改めて区長の答弁を求めるものです。 景気回復が順調に推移し、歳入環境が改善されることに大きな期待を寄せているところでありますが、現状の分析はどうであるのか、
都区財政調整交付金の財源である
法人住民税の一部国税化による歳入減も
予算編成に当たって大きな不安要素であります。 こうしたことを踏まえ、区長は平成27年度予算をどのような考えに基づいて作成し、さまざまな意味で重要なこの時期にどのような予算として編成されるのでしょうか。来年4月は、区長、
区議会議員の改選であり、骨格予算、本格予算という考え方も含め、
山崎区長の考えを伺います。 また、今回の消費税10%の先送りは、当然ながら
社会保障財源の不足につながることになりますが、本区において予定されている
子育て支援新制度や
高齢者福祉施策等への影響はどのように想定されるのか、区長会での対応なども含め、区長の考えを伺います。 来年度
予算編成で我が会派が注目し、大きな期待を寄せている事業に、来年6月に墨田区にて開催される「第10回
食育推進全国大会」があります。半年後に向けて現在、さまざまな関係機関と準備を進めていると伺っております。 すみだの食育は、「人づくり」「
まちづくり」が一番の基本であり、
食育推進全国大会を是非区を挙げて全力で取り組み、すみだのPRを積極的に全国へ情報発信していただきたいと考えます。おもてなしの心を込めて、このイベントに向けて多くの参加者が協力をし合い、多くの成果を得ていただくことを希望します。 現在の進捗状況とともに、この大会を契機に区として今後どのようなことを展開していきたいと考えているのか。また、食育の視点からも「災害時
食支援ネットワーク」について取り組んでいると伺っておりますが、今後どのような施策展開を考えているのか、区長に伺います。 質問の第2点目は、
次期基本計画の策定についてであります。 先ほども申し上げましたが、来年度は現
基本計画の最終年度、総仕上げの年であります。この
基本計画は、「墨田区基本構想」に掲げられた2025年に向けた
まちづくりの基本理念や、五つの基本目標に沿って描かれた将来の墨田区について、区民、事業者、区が協働という新しい理念で実現するための最上位の総合計画として策定したものであります。 この計画の中では44の主要な
公共施設整備を位置付け、残された2カ年において
鉄道立体化事業や
区民活動センター整備事業、
保健センター整備事業など33の計画が見込まれていると認識しております。 そこで、
山崎区長に伺います。当初予定をしていなかった実施計画の
ローリング版の策定、
計画期間最後の
予算編成という段階において、未着手、再検討、目標未達成の事業も多く見受けられます。現
基本計画の27年度末までにおける進捗の見通しとその検証、評価についてどのように考えるのか。私は、まず
山崎区長ご自身が厳しい目で自己評価をされ、しっかりと総括した上で
次期基本計画の策定に生かしていかなければならないと考えます。 さらに、各政策、各施策の
目標達成状況、事業の成果を十分に検証して、早期に分析結果をまとめることも重要であります。現
基本計画は、行政評価や成果を図る指標の設定を新しく設け、区民の生活や暮らしがどれくらいよくなったのか、意識や行動がどういう状態に変化したのか、最終目標という形で評価することを大きな特徴としています。 区としてどのように数値把握の準備をし、結果の達成度などをどう評価するのか。時として行政は「検証作業が不得意、自己評価が甘く曖昧でないか」と指摘されることもありますが、
山崎区長の考えを伺います。 併せて、現計画は27年度末終了、28年4月から新計画期間になるわけですが、検証、策定、実施のスケジュールについて見解を伺います。 また、10年後の墨田区を創造し、まちのあり方を考えるとき、平成17年に策定された基本構想についても、
社会経済状況や墨田区を取り巻く大きな環境の変化によって一部見直す必要があると私は考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。 この項目の最後の質問に、現在、行政の
基本計画等を議会の議決事件に加えている地方自治体が徐々に増えてきています。その自治体の基本的な計画がどのような方向を目指そうとしているのか等、議会として計画の策定段階から積極的に関わっていくというものですが、
二元代表制という視点から、このような傾向について区長の考えを伺います。 次に、
行財政改革の中で最も重要な課題であります
公共施設マネジメント実行計画について伺います。 本計画は、
公共施設白書で明らかになった課題を踏まえて、多様化する
区民ニーズに的確に対応し、将来にわたり真に必要な
公共サービスを効果的に提供するための必要不可欠な取組と理解をいたします。そのためには施設の適切な維持保全と運営方法の見直し、機能転換や複合化等による有効活用など、これまでの発想を大胆に展開した手法が必要であり、何よりも
スピード感を持った対応が求められます。
決算特別委員会の質疑を踏まえると、維持管理、運営方法の見直しや
施設保有総量の圧縮という面で、区長が言われる財政の
早期健全化に向けて対象施設の追加や後期計画からの前倒しをすることも考えられるのではないでしょうか。 第1次実行計画については、3年間の
折り返し地点を迎えましたが、現在のところ、目に見えた動きや具体的な成果が得られていないように感じます。区長はよく
行財政改革の目玉施策のように答弁されますが、のんびりとやっている時間はないのではないでしょうか。現在の進捗状況と来年度末までの実行の見通しについて答弁を求めます。 さらに、28年度から32年度にかけては第2次実行計画となりますが、この計画と
次期基本計画との関係や、
公共施設整備計画との整合についてはどのように考えているのか。また、同時期に
行財政改革実施計画もスタートしますが、どのような連動になるのか。今後の区政の重要な道筋となると思いますが、区長の見解を伺います。 財源確保策の検討として、受益者負担の適正化や未利用資産の有償貸付や売却等の推進という思い切った方針が打ち出されています。それぞれ今年度が検討段階でありますが、検討の状況と目標金額の設定についての考えを伺います。 第4の質問は、職員の意識向上、勤務環境について伺います。 行政課題が複雑・多様化する中、墨田区が迅速・的確に各種の施策を展開していく上で、ガバナンスの担い手である区職員がその能力を十分発揮し、組織力を発揮して課題解決に向けて取り組むことが不可欠であります。 区政を支える職員の一人ひとりがワークライフバランスを実現し、併せて職務に対する高い使命感や働きがいを持って仕事に取り組むことが、その結果や成果に大きな影響を与えることになります。 現在、職員の皆さんが日々懸命に責任と自信を持って実務に取り組んでいる様子はよく認識をしているところですが、一方で、より高い、より複雑な職務にも興味や関心を寄せて、「いつか自分もやってみたい」という意欲を持つこと、冷静に自己分析をした上でやる気を持つ職員が増えていくように、勤務環境を整備し、意欲啓発を進めていかなければならないと私は思います。 そのような認識の中で、幾つか質問をいたします。 先の特別区人事委員会勧告では、公民較差809円、0.2%を解消するために、行政職給料表(一)を引上げ改定し、期末手当、勤勉手当といった特別給の年間支給月数を0.25カ月引き上げるほか、地域手当の支給割合を2%引き上げる一方で、給料月額を同率程度引き下げるなどの改定が勧告されました。 特別区職員の平均年間給与が約11万8,000円増えて、東京都と特別区がともにプラス改定となるのは、給料が15年ぶり、特別給は7年ぶりと言われている点は、職員の待ち望む勧告であったかと思います。 勧告では、「職務・職責を的確に反映した給与体系確立の取組を急ぎ、勤勉手当制度における成績率の一律拠出割合の見直しや、特別区の職員には現在未整備である分限処分における降給の導入、あるいは懲戒処分を受けた者の昇給に関する見直しのように、勤務成績を職員給与に的確に反映させる方策を講じることが必要である」と述べています。 こうした職員の給与に関する事項は、特別区と特別区人事厚生事務組合が協議を重ねて、統一的に決定されているところですが、職員のモチベーションアップのために、めり張りある信賞必罰の体制づくりの検討が急務と考えます。
山崎区長の率直な考えを伺います。 次に、課長昇任、係長昇任に向けた職員の意欲形成についてであります。 現在、特別区ではさまざまな行政需要が存在する中で、課長職、係長職を目指す職員数が減少し続けており、組織運営上、厳しい状況にあると聞いております。 墨田区では今年度から、係長選考において、本人申込み制で需要数が不足する場合、指名制を導入するそうですが、選考の申込み者が減少する中で知恵を出された制度かと思います。この係長昇任の指名制度は、23区の統一的な制度の中で横並びではなく、墨田区が独自に他区に先立って実施する制度であれば、墨田区が牽引する画期的なことであると思います。 ただ、本質的には職員が上級職への昇任意欲を持って自発的に多くの受験者が選考を申し込み、その中から優秀な職員が選び出されるような組織風土への変革、職員の意欲形成と環境整備が求められます。区長は危機感をお持ちであるのか、現状をどのように改善していかれるのか、考えを伺います。 次に、女性職員の登用についてであります。 このところ、女性職員を課長、係長に登用していくために、職場環境の整備、ワークライフバランスの実現、女性職員への意識啓発の重要性といった大変重要なテーマが取り沙汰されています。 意識啓発の中で、従来、男性職員にとっては比較的多く話題に上りそうな「管理・監督職に関する知識やハウツー事例、受験勉強の仕方」なども女性職員にはなかなか触れる機会が少ないのではないかと推測いたします。上級職をイメージしにくい分だけ、不安を感じることや昇任意欲につながらないことがあると私は思います。女性から手が挙がるのを待つばかりでなく、積極的に情報提供を行うなど、女性の登用に向けた取組を真剣に工夫を凝らして行う必要があると思いますが、こうした仕掛けづくりの現状について区長に伺います。 次に、専門技術にすぐれたスペシャリスト職員の育成についてであります。 現在、区役所には事務職のほかに建築、土木、保健所をはじめ、福祉、教育分野等において活躍するさまざまな技術、専門職員がおり、清掃には技能職の方々が勤務されています。 それぞれの技術の習得には多くの勉強と経験を必要としており、常に自己啓発に努めスキルアップを図ることが重要であります。また、技術の専門性から、他の職種の職員が交代すること、その任につくことも困難であると思います。 そのような限られた人員の中、職員の人事異動による転出は計画的に行えますが、職員の高齢化が進むことにより職場内の年齢的バランスが崩れる状況の出現や、ベテラン管理職や職員が定年退職するような場合に向けて、後任となるスペシャリストの人材を十分に育てておく必要があると考えます。 他の職場も含め、自信と責任を持って働き、同時に区長が安心して仕事を任せられる職員を不足なく育成されることは、区政運営上、大変重要なことであります。こうした職員の次世代引継ぎに関する現状について、
山崎区長の考えを伺います。 次に、30代から40歳前後の職員数の補強についてであります。 バブル崩壊後、しばらく日本経済は深刻なダメージを受け、就職氷河期と呼ばれる時期がありました。これに伴い、現在30代後半の職員数が他の年代と比較して少ないことを
決算特別委員会で我が会派の加藤議員が指摘しましたが、区役所という組織として対応すべきであると思います。年代に関係なく職員体制を堅固なものとし、大量退職や大量採用による偏った状況のまま放置するのではなく、経験者採用を積極的に実施し、人員の薄い年代層に良質な人材を当て込んでいく必要があるのではないでしょうか。 採用の段階で、民間での豊富な経験を有した墨田区で働く意欲にあふれる優秀な職員を積極的に増やしていくことは、職場の活性化も図られるのではないかと考えます。
山崎区長の見解を求めます。 この質問の最後は、保育園の民営化に伴う保育職員の活用についてであります。 所管は、来年度からの子ども・子育て新制度の推進、待機児童対策等々、大変積極的に取り組んでおられ、整備方針の検討も進められております。その中で保育園の民営化、移譲等の議論も進んでいると仄聞しています。 これまでの民営化については、保育職員の退職不補充という前提に基づいて、なるべく職員数に余剰が出ないように配慮しつつ実施しているものと認識していますが、今後、計画的に事業が進んでいく中で、公立保育園の民営化に伴って、それまで働いていた保育職員が過不足なく民間法人の社員に置き換わることは非常に困難であると推測いたします。 区の保育職員は、保育事業に関する豊富な知識と経験を持っており、多くのご家族の相談にも対応し、また近隣地域の方々とも密接なつながりを持つ経験豊かな職員であると私は思います。保育士という職種から、その職務には枠があるわけですが、民営化に伴い増員を必要とする園を支援する要員の配置ばかりでなく、新たな仕事、新たな職場で活躍していただく可能性について、
山崎区長の見解を伺います。 最後に、スポーツと教育というテーマで、
横山教育長に質問いたします。 教育の基本は、知育、徳育、体育の3育であるという考え方があります。知育とは知識を豊かにし知能を高めるための教育、徳育とは人格や道徳心を養い育てる教育、そして体育とは健全な心と体をつくる教育であります。この3育をバランスよく子どもたちに教えながら育んでいくことは大変重要であり、墨田区らしい教育の実践、懸案の学力向上にもつながると私は考えます。 また、現代社会では子どもたちの運動能力、体力の低下が指摘されており、電子端末の普及や時間、空間、仲間の三つの減少により外遊びやスポーツをしなくなったことに起因して、国民の意識の中で人を知識の量で評価しがちであったり、体や精神を鍛え、思いやりの心や規範意識を育てるという体育の重要性を子どもの学力の状況に比べ軽視する傾向が進んだとも指摘されております。 体力は自ら学び、自ら考えるといった「生きる力」を身に付ける上で極めて重要な要素であり、体力の向上は次代を担う子どもたちの心身の健全な発育・発達のため、社会全体で取り組まなければならない大きな課題であると考えます。 本区児童・生徒においては、体力向上傾向にあるという報告もいただきましたが、
横山教育長の考えと、本区の学校教育の中で授業、クラブ活動を通して体育をどのように考え取り入れておられるのかお伺いいたします。また、運動部活動の指導者不足、部の不成立の現象に対する対策について見解を伺います。 墨田区はさまざまなスポーツ教育活動が活発に行われている地域でもあります。 私は自分の経験からも、スポーツ教育は幼少期や中学生にとって非常に大きな役割を果たすと考えています。ライフスキルの育成をはじめ、あいさつの大切さ、用具を大切にする心、決められたルールを守ること、友達と協力すること、時間を守ること、達成感を得ること、さらに忍耐力、責任感、集中力の体得等々、それらが全て人間形成に直結するからであります。 地域や団体の社会教育活動の中で、指導者や保護者が継続して信念を持って指導することにより、礼に始まり礼に終わる習慣づくり、常に指導者や相手を敬う心、元気にあいさつができる子どもたちの育成を図ることは、学校教育の現場にもよい影響を与えることにつながると考えます。 私は、「スポーツ振興法」の目的や施策の方針を本区に適用して、各団体、指導者、子どもたち、保護者の意見を聴取しながら、さまざまな支援を広げていくべきであると思いますが、教育長の見解を伺いたいと思います。 墨田区総合体育館と並び区のスポーツ振興に必要不可欠であるのは、学校跡地の活用策として
基本計画に載せられた自前の陸上競技場整備であると私は考えております。このスポーツ拠点を中心にして、墨田区民の健康の維持、増進を図り、子どもたちの心身の健やかな成長を促していくことは意義があり、大変重要であると思います。 また、併設されるセミナーハウスは、区民のさまざまなニーズに対応できる教育の一環として有効に利用していただける施設として整備されることを大いに期待しております。 鐘ケ淵地域の活性化も含め、念願の施設ではありますが、建設費や維持費、稼働率の確保等の課題もあるように思います。今日までさまざまな検討を重ねてこられましたが、現段階の状況と課題への対応について、
横山教育長に答弁を求め、私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。(拍手) 〔区長 山崎昇君登壇〕
◎区長(山崎昇君) ただいまの自由民主党、山本議員さんからのご質問に順次お答えをいたします。 最初のご質問は、平成27年度
予算編成についてでございます。 まず、
財政健全化に向けた目標達成についてお尋ねがございました。 ご指摘のとおり、子ども・
子育て支援新制度、医療介護制度の見直し、さらには
教育委員会制度の改革など、国のさまざまな制度改革に対して第一線自治体として的確に対応することに加えて、地域経営の視点から、本区の将来の発展を見据えた地域活性化策にも積極果敢に取り組むことは極めて重要であると考えております。 そして、それを裏打ちするために、区財政の健全化を確保しつつ、中長期的な視点に立った財政運営を行う必要があり、まずは、財政基盤強化の目標達成に向けて、
行財政改革に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 また、基金残高につきましては、当面は平成27年度末に、財政調整基金と
公共施設整備基金を合わせて100億円を目標とし、今後につきましては、新たに策定する
基本計画の
公共施設整備計画の財源確保に向けて積極的に積み立てていくことが必要であると考えております。 次に、平成27年度
予算編成の考え方についてでございます。 初めに、歳入環境についての認識でございますが、政府の経済見通しでは、景気は緩やかな回復基調が続いているとされている一方、直近のGDPが2期連続のマイナスとなったことから、今後の景気動向について憂慮しているところでございます。 本区の基幹的な収入である特別区民税と特別区交付金につきましては、今年度予算に計上した歳入額は確保できる見通しですが、来年度につきましては楽観できる状況にはございません。このため、
予算編成に当たりましては、今後の景気動向や
法人住民税の一部国税化などの税制改正の動きについても十分に注視してまいりたいと考えています。 次に、平成27年度予算をどのような予算として編成するのかとのお尋ねでございます。 来年度は、
区議会議員、区長選挙を控えている一方で、現
基本計画の最終年度に当たる年でございます。このため、
基本計画の総仕上げに向けて、三つのリーディングプロジェクトをはじめとする各施策目標の達成に必要な事業について、重点的に予算に計上してまいりたいと考えております。 加えて、子ども・子育て、医療介護、
教育委員会制度の大きな制度改革が行われる年でもございますので、これらに対応する施策につきまして的確に予算化を図る必要がございます。 したがいまして、来年度予算はこうした状況を踏まえつつ、区政が抱えるさまざまな課題解決にいっときの停滞も許されないとの考えのもと、できれば本格予算として編成したいと考えております。 次に、消費税率10%への引上げ先送りによる本区の施策への影響についてでございます。 消費税率引上げが先送りされ、
子育て支援新制度や年金、介護などの
高齢者福祉施策等に係る各施策の充実に必要な財源が賄えないとなりますと、国からの他の財源補填がない限り、施策の一部を先送りするか、あるいは区自ら他の財源を手当てするといった対応が迫られることになります。いずれも容易なことではございません。 もとより、社会保障制度改革は国が進めようとしているものですので、児童、高齢者、障害者などの福祉の各分野において具体的な業務内容や補助基準を示すことや、必要な財源を確保すること等について、区長会を通して来月早々にも国に緊急要望を行う準備を進めているところでございますので、ご理解をお願いいたします。 次に、来年6月に本区で開催予定の
食育推進全国大会についてお尋ねがございました。 今回の全国大会は、本区にとって大変有意義であり、10月に私を本部長とする庁内推進本部を、さらに区民や企業、NPOなどの構成員からなる「すみだ食育goodネット」を中心とする実行委員会準備会を立ち上げ、さまざまな企画案を検討していただいているところでございます。今後、この取組を紹介する専用ホームページなども開設し、大会に向けて積極的にPRしてまいりたいと考えております。 また、本大会を機に食育に関するネットワークを更に拡大し、さまざまな食育活動の展開を進め、すみだらしい食育を通してまちの活性化を図り、教育・福祉分野とも連携した取組を推進したいと考えております。 加えて、「災害時
食支援ネットワーク」についても、平成25年度に災害時
食支援ネットワーク会議を立ち上げ、本年9月には保育園、小・中学校、病院、福祉施設等の関係者を対象に、東日本大震災における食支援の課題を共有し検討する講演会、事例報告会等を開催するなど重点的に進めております。 今後も災害時の食支援体制や他自治体とのネットワークづくりについて検討を進めるとともに、具体的なマニュアルを作成し、災害時に配慮が必要な方々への支援体制の構築を目指していきたいと考えております。 次に、
次期基本計画の策定についてでございます。 まず、現
基本計画の27年度における実施計画事業の進捗見通しとその検証、評価についてのお尋ねがございました。 山本議員さんご指摘のとおり、当初実施計画のローリングは予定しておりませんでしたが、この間のさまざまな社会経済情勢の変化により、やむを得ず事業の繰り延べ等が発生したことにより、26年度から2カ年の実施計画を策定したところでございます。 現在、後期実施計画44事業のうち、25年度までに完了した11事業を除いた33事業につきまして進捗管理をしておりますが、用地確保等の見通しが立っていない保健センター等整備事業など5事業が未着手となっております。今後、都有地の活用も視野に入れ、この5事業の達成に向けた条件整備を行うとともに、その他の事業につきましても、27年度
予算編成の中で可能な限り事業化をしてまいりたいと存じます。 次に、現
基本計画の数値把握の準備の実施と結果の達成度をどのように評価するかとのお尋ねでございます。 前期
基本計画の中間改定の際と同様に、来年度に改めて社会状況調査を実施いたしまして、それと併せて現計画の達成状況の評価を行い、達成が難しい事業についてはその要因等を分析し、
次期基本計画の政策・施策のベンチマークや目標値の設定に活用してまいりたいと存じます。
次期基本計画の策定スケジュールでございますが、
区議会議員、区長選挙もございますので、その後の新体制のもと、速やかに
基本計画の策定方針を定め、計画期間の区の将来像、人口推計、政策・施策とその目標値の設定、主要な
公共施設整備事業や新リーディングプロジェクトを検討した上で、27年度中に素案を策定することになるものと存じます。 また、本区を取り巻く環境の変化を鑑みて、基本構想の一部を見直す必要性についてもお尋ねがございました。 基本構想の期間につきましては、「この間に社会経済情勢や区を取り巻く環境が大きく変化した際に見直す」こととなっております。この間、東京スカイツリーの開業に伴い、本区への人の流れが大きく変化するとともに、都心回帰の動きや子育て施策の推進等により若い世代の人口流入もございます。これらの事象は、これまで基本構想の五つの将来像を実現するための
基本計画を着実に推進したことによるものと認識をしており、現時点においては大幅な見直しの必要性はないものと考えておりますが、今後の
まちづくりの方向性が大きく変貌するということになれば、一部見直しの必要も生じてくるものと考えます。
次期基本計画に関する最後のお尋ねは、
基本計画等についての議会の積極的関与についてでございます。 ご指摘のとおり、
基本計画策定に関し、
二元代表制という観点から、議会の議決事項としている自治体が、県レベルを中心に市町村でも増えております。本区におきましては、
基本計画が区の最上位の計画であることから、これまでも策定方針の段階から、その節目において区民の皆様はもとより、区議会のご意見を伺う機会を設けてまいりました。もちろん
次期基本計画策定の際にも、当然のこととしてそうした対応が求められますが、議決事項とするかどうかにつきましては、新たな議会構成の中で十分ご議論をいただきたいと、そのように考えております。 次に、
公共施設マネジメント実行計画についてお尋ねがございました。 初めに、対象施設の追加や計画の前倒しの考え、第一次
公共施設マネジメント実行計画の現在の進捗状況と見通しについてでございます。 本実行計画では、耐震性がない、又は建物の劣化が進んでいるなど、施設利用者の安全確保の観点から緊急的に対応が必要な施設について、統廃合等を含めた見直しを行うこととしており、その際には既存施設の機能を他の施設に分散することも必要なことから、現在、庁内で横断的な調整を行っております。 また、今後の施設のあり方に合わせた民間活力の活用や、組織体制の整備などについても併せて検討を進めているところでございます。 まずは、平成27年度末を目途に第一次実行計画の着実な実施に向けて、施設利用者の皆さんとも十分な協議・調整を行う必要もございますが、具体的な成果を得るよう、
スピード感を持って積極的に対応してまいりたいと存じます。 次に、第二次
公共施設マネジメント実行計画と
次期基本計画との関係についてでございます。
次期基本計画は、本区の10年後のあるべき姿を見据え、活力に満ちたまちを実現するための各分野にわたる施策をお示しするもので、地域経営を進めるための基本指針となるものでございます。その中で、公共施設マネジメントは、多様化する
区民ニーズに的確に対応し、将来にわたり真に必要な
公共サービスを効果的に区民に提供するための総合的な公共施設の運営計画と位置付けられます。したがって、
基本計画中の
公共施設整備計画につきましては、公共施設マネジメントの手法を取り入れた内容になるものと考えます。 現在、国から道路・橋梁等のインフラも含めた公共施設等総合管理計画の策定を要請されておりますので、今後、
次期基本計画の策定を踏まえ、公共施設等総合管理計画、さらには
行財政改革実施計画とも連動した第二次
公共施設マネジメント実行計画とする必要があるものと考えます。 なお、財源確保策につきましては、今後の施設の統廃合等に伴い生じる未利用資産を有効に活用できるよう、民間ノウハウの活用なども含めさまざまな角度から検討をし、次の第二次
公共施設マネジメント実行計画に反映する必要があると考えております。 財源確保の目標金額は定めておりませんが、
公共施設マネジメント実行計画では、施設総量15%の圧縮を目標として掲げておりますので、それに向けて全力で取組を進めてまいりたいと存じます。 次に、職員の意識向上、勤務環境についてのお尋ねがございました。 1点目は、職員のモチベーションアップのために、めり張りのある信賞必罰の体制づくりの検討が急務であるとのご意見についてでございます。 私も、努力をし業績を上げた職員には、それを適正に評価するとともに、職責を十分に果たせていない職員等に対しては厳正に対処することは、公務能率の確保のためにも重要なことであると考えております。 そうしたことから、これまでも勤勉手当への成績率の導入等を実施してきており、職員のモチベーションアップにつながっているものと考えています。 ご指摘の今年度の人事委員会勧告において、「職務・職責を反映した給与体系の確立等」について、今後検討すべき課題が意見として示されました。このような状況において、現下の社会経済情勢も踏まえて、区民の理解を得るためには、私も勤務成績をより一層、給与や処遇面に的確に反映させていく仕組みづくりについて検討していく必要があると考えております。 2点目は、課長昇任、係長昇任に向けた職員の意欲形成についてでございます。 本区においても、課長職、係長職を目指す職員が年々減少しており、私も非常に憂慮しております。中でも職場のプレーイングマネジャーとして組織運営に欠かすことのできない係長職を目指す職員が減少しており、係長ポストを満たすことが困難な状況にあります。 さらに、この傾向は今後数年継続すると予測されるため、今年度より本人による申込み制に加えて指名制を採用することといたしました。豊富な実務経験があり、高い能力を持った優秀な職員を一定数指名し、本人の同意を得て係長職に昇任するものでございます。 しかし、ご指摘のように、本来的には多くの職員が自発的に昇任試験を受験することが望ましいと考えますので、受験意欲の低下の一因と考えられる「係長の職責の負担感」の解消を図るよう、危機感を持って職場内でのフォロー、育成強化等に努めてまいりたいと考えております。 3点目は、女性職員の登用についてでございます。 私も、今以上に女性職員が管理職や係長職といった区の中枢の立場で活躍してくれることを強く期待しております。意識調査によりますと、女性職員は、特に昇任に当たって、職責を全うできるかどうかといった不安感を強く持っている傾向が見られます。これらはご指摘のとおり、管理・監督職に関する情報が不足しているということから、漠然とした不安感を抱いている場合が多くあるのではないかと思われます。 そうしたことから、今年度から実施しております女性職員を対象としたキャリアサポート研修において、先輩係長、管理職からの生の声を伝えるなど、積極的な情報提供に努めることにより、女性職員が将来のキャリア形成や働き方について、より前向きに考えられるきっかけづくりをしているところでございます。 さらに、人事異動に際して、女性職員が若いうちから広くさまざまな分野で活躍できるように配置する工夫をするとともに、係長選考において、職員のライフイベントに応じて昇任を猶予することができるような制度についても検討してみる必要があると考えます。 4点目は、専門技術にすぐれたスペシャリスト職員の育成についてでございます。 近年、区政を取り巻く状況は、
区民ニーズの多様化などにより複雑化、高度化しており、一方で、団塊の世代の職員の大量退職と新規採用職員の急増により、ご指摘のような技術力、ノウハウの継承が課題となっております。そのことから、スペシャリストとしてのキャリアを積むため、中長期的な視野に立った人材育成を図ることが不可欠であると考えます。 まず、新規採用職員の育成については、採用時からその職種の中で異なる分野の職場を計画的に一定期間で異動させ、今以上に多角的な視野を持つ人材育成を図っていく必要があります。また、OJTの充実を図るとともに、ベテラン職員のノウハウの職場内での共有化を図りながら、専門技術向上のための学習風土を醸成していくことが求められます。 いずれにいたしましても、職場の年齢構成や経験年数のバランスがとれた職場環境を整備し、計画的に人材育成を図っていきたいと考えております。 5点目は、30代から40代前後の職員数の補強についてでございます。 職員の採用につきましては、退職者数に応じ、定員適正化を図りながら計画的に行っておりますが、退職者数の少ない時期に採用した30代の職員が、他の年代と比較して少ない状況にあります。そのことから、平成19年度以降、経験者採用を継続的に実施し、職員の年齢バランスの是正に努めるとともに、民間経験を生かした即戦力として活用することにより、組織の活性化を図っているところでございます。 6点目は、保育園の民営化に伴う保育職員の活用についてでございます。 公立保育園の民営化は、保育所整備指針に基づき一昨年から検討しており、民営化の実行段階におきましては、退職者数との兼ね合いで職員数に余剰が生まれないように配慮していく必要がございます。その上で、ご指摘のとおり、新たな仕事、新たな職場で活躍させる可能性につきましては、今後も高まる多様な保育ニーズに応えるため、保育園だけではなく子育て相談、親子の交流の場といった在宅の
子育て支援や虐待などの要保護児童対策、母子相談、ケースワーク等の福祉分野にも活用する必要があると考えております。 私からのご答弁は以上でございます。 〔教育長 横山信雄君登壇〕
◎教育長(横山信雄君) 自由民主党、山本議員さんからのスポーツと教育についてのご質問に順次お答えいたします。 まず、学校教育における体力向上についてのお尋ねがございました。 子どもの体力の低下は、議員ご指摘のとおり、健全な心身の成長のみならず、学力の向上等にも多大な影響があることから、「知・徳・体」をバランスよく育成していくことは極めて重要であり、また、「生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の育成」「健康の保持増進のための実践力の育成」等の学校教育における体育の目標を達成することが重要であると考えております。 墨田区における子どもの体力につきましては、国や東京都と同様に、体力の低下傾向や運動能力、運動習慣の二極化傾向が課題であり、特に「走る」「投げる」などの一部の能力に課題がございましたが、体力向上を主要な教育課題に位置付け、それを受けて各学校が「体力向上プラン」を策定し、対応してまいりました。また、「体力アップキャンペーン」や、各学校の実態に応じて「一校一取組」運動を活用して、マラソンや縄跳びなど、日常的・継続的な運動の取組を充実させた結果、運動習慣の定着や運動能力の向上にも成果が表れてまいりました。 今後も、全ての子どもに運動する楽しさを味わわせるため、安全や健康面に十分留意しつつ、日常の体力向上に資する取組を推進してまいりたいと考えてございます。 また、運動部活動の指導者不足や部の不成立への対策につきましては、中学生の体力向上の観点から大きな課題であると認識しております。 今後も、保護者や地域の皆様、スポーツ関係団体等との連携で専門的な指導ができる外部指導者の発掘等に努め、部活動を通して運動能力を高めることができる環境整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。 次に、スポーツ基本法の目的等を踏まえた各スポーツ団体等からの意見聴取と、それらを反映させた支援の実施についてでございます。 各スポーツ団体や指導者、子どもたち等の意見を聴取し、あるいは意見交換の場を設け、提案された意見や要望をスポーツ施策へと反映させていくことは、区民の生涯スポーツの更なる普及促進という観点からも大変重要であると考えております。 現在、日ごろからの各種団体等との意見交換のほか、各種のスポーツ事業の実施に当たりましては、例えば体育協会加盟団体が集まる区民体育大会・体育祭の調整会議や、スポーツイベントの実行委員会等の場で、参加者の皆さんからご意見やご提案をいただき、大会やイベントの実施内容に反映させていただいているところでございます。 今後ともさまざまな機会を捉え、区民の皆様の意見等を踏まえ、事業を推進してまいります。 次に、陸上競技場等の整備事業の現段階の状況と課題への対応についてでございます。 事業の進捗状況の詳細につきましては、今定例会の常任委員会でご報告をさせていただく予定でございますが、東京都との都有地活用に関する協議の内容や、この間、積み上げた検討結果などを踏まえまして、その整備を進めてまいりたいと考えています。 また、ご指摘のございました建設費や維持費につきましては、今後、基本設計や実施設計の中で経費の縮減を図るとともに、活用可能な国や都の補助金等の確保に努め、維持費を含めトータルコストの圧縮を図ってまいりたいと考えております。 また、稼働率確保の観点からは、陸上競技場としての活用はもとより、陸上トラック内のインフィールド部分やセミナーハウスも最大限活用させていただくことにより、施設の有効活用に努めてまいりたいと考えております。 以上で、山本議員さんへの答弁を終わらせていただきます。
○議長(
田中邦友君) 7番・とも宣子君 〔7番 とも宣子君登壇〕(拍手)
◆7番(とも宣子君) 公明党のとも宣子でございます。会派を代表して、主要5項目について質問いたします。区長の明快かつ前向きなご答弁をお願いいたします。 第1に、平成27年度
予算編成について伺います。 平成25年度普通会計決算によると、形式収支は31億8,664万7,000円、単年度収支は6億8,815万5,000円の黒字に転じ、財政構造の弾力性を計る経常収支比率も前年度92.7%から88.4%となり、4.3ポイント改善されました。 また、財政硬直化の一因とされる公債費比率も前年度6.3%から5.6%となり、前年を0.7ポイント下回り、一部改善されました。 しかし、平成25年度末現在において、財政基盤の指標の一つである基金残高は82億円、区民1人当たり3万2,000円、特別区債残高は282億円、区民1人当たり11万円。これは平成24年度の順位を参考にすると、23区でそれぞれ23番目と21番目となり、他区と比べて極めて脆弱な財政基盤であると言えます。このような状況を考えると、早期に財政構造の改善が必要であると思います。 また、来年27年度は
基本計画最終年度に当たり、三つのリーディングプロジェクトをはじめとして、各施策の目標の達成に積極的に取り組む必要がある一方、財政上、法人実効税率の引下げや特別区交付金の財源である
法人住民税の見直し、消費税率の改定の動向等もあり、予断を許さない状況にあります。そこで、何点か区長に伺います。 来年度は子ども・子育て新制度等がスタートするなど、多くの財政需要が見込まれます。厳しい財政状況を考えると、今後、保育所整備、保育所拡大等に対しての財源の確保は区独自で対応するのではなく、民間に委ねる方向で検討する必要があり、区立の保育所も指定管理への移行だけではなく、民間移譲など新たな手法の導入を検討すべきだと思いますが、区長のご所見を伺います。 また、過日、安倍総理は、消費税率改定を1年半先送りすると表明されました。子育て関連のほか、社会保障制度関連の財源には消費税改定増額分を充当することになっています。改定が先送りになることで、
予算編成に当たりどのような影響が考えられるのか。また、どのように対応されるのか、区長のご所見を伺います。 次に、公共施設マネジメントの運用について伺います。
公共施設マネジメント実行計画によると、区民サービス向上に資するための公共施設の約4割が築後30年超を経過しており、今後一斉に老朽化等による大規模改修や建替えの時期を迎えることになります。その実施には多額の費用がかかり、今ある施設の全てを維持していくことは極めて厳しい状況にあります。 民間活力を活用した施設の運営の拡充、施設の統合、施設の民間移譲、売却等はどのように検討されているのか、どのように推進されるおつもりなのか、区長のご所見を伺います。 また、台東区では学校跡地を新たな管理運営手法のPPP、いわゆる「官民連携による
公共サービスの提供、
公共施設整備の手法」を導入し、活用したと伺いました。 官の立場からは、民間のすぐれた技術、サービスやコスト、リスク負担に依存することにより、伝統的手法、すなわち
公共サービスの直接供給に比べて少ない負担でサービスを調達・供給できるメリットがあり、民間企業には
公共サービスへの参入障壁の緩和により事業開拓の可能性が広がるメリットがあります。このような手法も検討し、導入を考えるべきだと思いますが、区長のご所見を伺います。 平成24年第4回定例会の我が会派の代表質問の中で、東日本大震災の復興費用のための個人住民税均等割の臨時的増額分、毎年約6,000万円、10年間で約6億円の支出に関する質問に対して、区長は、「緊急かつ即効性のある新たな防災施策に充当する」とし、「①一般会計で増税分の使途を明確にする、②本区の地域防災計画の改定内容等を踏まえ新たな事業を構築する、③区議会や区民の皆様に示す」と答弁されております。 これまでスタンドパイプの配布や防災アプリの配信等の予算に充てたと仄聞しておりますが、今後、廃屋(空き家)について、除却のみでも助成するようにしてはどうか。家具転倒防止器具、ガラス飛散防止フィルム対策を福祉施策から本格的な防災自助政策に変更し、大きく推進してはどうか。公共施設、駅、人が集まる場所に災害時はもちろんのこと、通常時は観光等でも利用できる無料Wi-Fiの設置をしてはどうか。また、直接防災対策に充当するだけではなく、民間活力などを生かし、間接的に防災・減災の
まちづくりが進むよう検討してはどうかと考えますが、区長のご所見を伺います。 第2に、これからの産業支援のあり方についてお伺いいたします。 これまで日本経済を牽引してきた、大規模製造業が潤えば周辺の下請、孫請も共に潤うといったトリクルダウンは過去のこととなりました。大企業と中小企業といった区分けとともに、グローバルマーケット、ローカルマーケットで活動している企業群に分け、ローカルマーケットの中で活動している中小零細業者の回復と集約化及び持続的な成長が日本経済回復への鍵となるとの認識は共有化されつつあります。つまり、地域経済や地方が元気にならなければ日本の再生はないということです。ただし、それは国任せではなく、地方の知恵と創意工夫を前提として、国がそれを応援するという仕組みに変わりつつあります。 そこで、ものづくりのまち・墨田区の現状を俯瞰すると、既に非製造業が事業所数も従業者数もはるかに上回っていることから、従来のものづくり支援型の産業振興策に加え、非製造業、サービス業の生産性の向上と、その結果、従業員の所得アップ、具体的に言えば収益の改善、企業体質の強化、不採算部門からの撤退など経営改善につながる施策が求められますが、ここでは地域経済の新陳代謝という視点に絞り、区長のご見解を伺います。 区内の中小零細企業における深刻な悩みの一つに事業承継の問題ありますが、本区においては、今年度、「地域内事業承継支援事業」がスタートいたしました。ターゲットが絞られ、今後、具体的なマッチングの作業に取り掛かると伺っていますので、会派としても注目しています。 一方、国の調査によると、事業承継時が不採算部門の撤退や新事業の展開を通し、業績の改善に結び付くと伺えることから、国においても本格的に取り組み始めました。 中小企業庁がスタートした創業スクールの受講生を中心に、都道府県単位で立ち上がる予定の創業希望者をプールした「後継者人材バンク」との連携で、事業承継の成功率の向上も見込まれます。まだ先の話ですが、今後、区内事業者の事業承継支援にあっては、こうした国制度の活用を踏まえ、M&Aによる集約化も図るなど、一層の充実を求めるものですが、現時点のこの事業の進捗状況と課題及び今後の拡充について、区長のご見解をお聞かせください。 また、経営からの引退を考えている方にとって、事業承継以上に大きいことは廃業の問題です。既に廃業は後を絶たない状態ですから、今後、事業承継やM&Aとともに廃業の円滑化事業を是非検討していただきたいと思います。 事業承継やM&A、廃業、場合によっては倒産も含め、それぞれ専門家のアドバイスが必要になります。相談もできず、ずるずると結論を先送りにした結果、やめるにやめられず、最悪の結果を招く事例もあります。市場からの撤退、すなわち廃業、倒産も地域経済の新陳代謝においては避けられませんから、相談から専門家の紹介、廃業後の生活資金確保や廃業後の再チャレンジ支援まで、パッケージで支援する制度の創設を求めるものですが、区長のご所見をお伺いいたします。 また、廃業の円滑化は創業支援と一体として行うことで、より大きな効果を発揮いたします。その意味で、今年度、新規事業として立ち上がった「すみだ創業支援ネットワーク」は高く評価するものですが、新陳代謝を促進するために、廃業後の空き室、空き店舗、空き工場の活用について提案をさせていただきます。 現在、ワンモール・ワントライ作戦推進事業や東京都宅地建物取引業協会墨田区支部の協力を得て情報提供を行っていますが、起業・創業希望者がどこにどのような物件があるのか、常に情報を入手できることはとても重要なことと考えます。したがって、「すみだ創業支援ネットワーク」内に空き店舗、空き事務所、空き工場バンクを開設すべきと考えます。区長のご所見をお伺いいたします。 また、小規模な区内事業主、商店は、職住一体が一般的で、店舗や工場を通らなければ生活圏に入れないため、結果として店舗や工場を閉鎖したまま活用されない物件が相当数に上っていると思われます。 そこで、店舗や町工場等への賃貸活用を条件にするなど、要件はしっかりと決めなくてはいけませんが、廃業後の生活資金の確保にもつながるのであれば、良質な物件の供給量を増やすために、生活スペースへの出入り口を新たに設置するなど、廃業後の改修についての融資制度があってもよいのではないかと思います。既存の設備投資資金でも運用上可能とのことですが、インセンティブを働かせるには制度の存在を知らせることが必要であることから、先ほど提案した廃業の円滑化事業に盛り込み、「すみだ創業支援ネットワーク事業」と一体で進めていくべきと考えます。区長のご所見をお伺いいたします。 以上、地域経済の新陳代謝を促す取組について提案させていただきましたが、この質問の最後は、機動力を持ってこれらの事業を実施するに当たって、民間活力を最大限活用すべきであるということです。 先ほど紹介した地域内事業承継支援事業もシンクタンクへの委託事業ですし、すみだ創業支援ネットワークも実働部隊は外部人材です。また、中小企業センターの取引相談や技術相談も専門家の活用、融資についても事業計画の作成はアウトソーシングと、既に多くの業務を外部人材の力に頼っている現状です。
決算特別委員会でも中小企業センターの業務内容や役割が時代に適応できなくなっている部分もあり、今後のあり方について検討するよう求めましたが、産業振興施策丸ごとアウトソーシングを視野に入れ、最善の体制を構築するよう求めるものです。 具体的には、愛知県の岡崎ビジネスサポートセンター、愛称OKa-Bizと富士市産業支援センター、愛称f-Bizが参考になると思います。ともにマスコミからも注目されていますが、OKa-Bizは販路拡張や融資の相談、さらに経営のサポートから起業・創業支援までと、本区の産業観光部のうち観光関連の業務を除く大半を担っている状況です。また、f-Bizは国による企業支援拠点整備のロールモデルともなり、そのノウハウに全国から注目が集まっています。 国や他の機関との連携やすみだのブランド力強化、プロモーション活動及び課題の抽出となるゲートキーパー的な役割は、区として責任を持って行う必要があるかと思いますが、民間の活力を大いに活用することを基本原則とし、機能、役割が分散している現状を集約型に移行していくべきであると考えます。区長のご所見をお伺いいたします。 第3に、スマートフォンを活用した地域の課題発信について伺います。 本年10月、愛知県半田市では、市民が日常生活の中から見つけた道路の陥没など、地域の課題をスマートフォンのアプリを活用して市の担当課に知らせるシステム「マイレポはんだ」の運用を開始しました。市民の方々から幅広く情報提供を受け、問題を共有する試みとして、本年1月から実証実験を行い、このたび本格実施することになりました。 「マイレポはんだ」を利用するには、スマートフォンの無料アプリ「Fix My Street japan」を事前にダウンロードし、ユーザー登録しておきます。その上で、道路の陥没など危険な箇所の写真を撮影すると、GPS機能により自動的に場所の情報が特定され、「道路陥没のため危険」などと短いコメントを書き込むだけで市役所の担当課に送信できる仕組みです。投稿内容は写真で分かるものに限られ、悪臭や振動、騒音などは対象外となります。情報を受け取った市の担当課は、問題の種類に応じて対応を検討し、経過を投稿者に返信します。改善した場合は、改善後の写真も添付しています。 こうした取組は、住民側の利点として、メールなので役所の開庁時間に関係なく24時間連絡可能になった、電話ではうまく伝えられないことも写真なので伝えやすい、問題箇所の住所を調べる必要がなく便利、どこに連絡していいのか分からなかったが窓口が明確になったなどが挙げられます。 一方、行政側の利点として、これまでは道路パトロールや点検を月1回実施してきたが、発見できる件数に限界があり、行政の目の届かない問題箇所を市民から指摘してもらうことできめ細かい対応が可能となった。さらに現地の画像や状況説明などの投稿により、職員が現地に行く前におおよその状況をつかめるため、問題解決への迅速化が図れる。現在の電話対応では所在の把握に時間を要したが、マイレポを利用することで地図が添付され、担当者の負担が軽減されるとのことでした。 実際にカーブミラー設置の要望に対し、担当者からその日のうちに工事を実施する旨の返信をしたところ、「中学生がよく通る道なのでよかった」と、スピード解決に喜びの声が届いたそうです。 こうした一連の流れは、投稿者以外もスマホのアプリやインターネットを通じて見ることができ、市が適切な対応をとったことが明確になり、透明性も高まります。運用に当たり注意すべきことは、投稿内容が誹謗中傷である、プライバシーが侵害される、個人が特定できる、民事係争に関わるなどの場合、投稿を表示しないなどの対策を講じています。また、投稿する際は、匿名ではなく、ニックネーム又は実名で行うルールになっています。 墨田区では現在、メールによる通報も広報広聴担当で受け付けていますが、道路・公園等に関するメールは少なく、そのほとんどが電話によるものです。件数については、昨年度、1,056件、本年10月現在、595件。主な内容は、道路や街路樹への苦情、また公園の樹木や照明、清掃、遊具に関する要望です。 そこで
山崎区長にお伺いいたします。既に防災アプリ等も活用され、来年度は子育てアプリなども開設されます。スマートフォンから、より手軽に区の情報が得られるようになり、ますます利用者の増加が見込まれ、スマートフォンによって区から発信する内容も多彩になると思います。 そこで、区から発信する方向だけでなく、区民から要望等を手軽に発信できる仕組みも考えるべきではないでしょうか。明年、スマートフォン対応が充実するホームページのリニューアル時期に合わせて、(仮称)「マイレポすみだ」を導入すべきと考えます。 また、もう一つのマイレポの活用の仕方として、地域の災害状況を把握するということが考えられます。近年、大型台風やゲリラ豪雨が多発し、墨田区内の多くの場所で雨水がはけないなどの声がありました。本年9月のゲリラ豪雨の際は91件の水害関係の報告があり、そのうち区民からの通報は85件、土のうの要望も含まれていますが、状況によっては区の職員が現地に行き、丁寧に対応していると聞いています。 しかし、人的にも時間的にも限りがあります。問題箇所も多く、また時間がたつと状況も変化してしまい、そのときの現状を把握できなくなります。その点、マイレポは、多くの情報を同時に受け付けることができます。その上、区内のさまざまなところからリアルタイムの映像付きで被害状況が通報されることにより、その蓄積がデータとなります。災害対応の情報源として積極的に収集してもいいのではないでしょうか。そうした墨田区独自の運用も考えるべきではないかと思いますが、区長のご所見を伺います。 第4に、墨田区における産後ケア体制の充実について質問いたします。 母親の胎内で約35億年にわたる生命の進化を凝縮し、誕生する赤ちゃん。その大脳には140億ものニューロンという神経細胞があり、その中のシナプスという情報伝達の網は赤ちゃんがどんな環境でも対応できるように、2歳くらいまでの間に増大し、その後、必要なシナプスが精査され、大人になっていくと言われています。 シナプスが増大する時期にお母さんが笑いかけたり話しかけたり触れ合ったり、豊かな愛情で接することでシナプスが増え、赤ちゃんのその後の人生を豊かにしていくと言われ、心身ともにこの時期の母親へのケアが非常に重要だと言われています。 一方、母体である出産後の女性の体は、ホルモンのバランスの変化から精神的に最も不安定になりやすい時期であり、これまで経験したことがない痛みに耐えた体を十分に休養する必要があります。さらに、これから何年も続く育児を乗り切る親としての強い心を養うときでもあります。 児童精神分析学者のボウルビーは、「出産1カ月は良好な母子の愛着形成の促進時で、親子関係の質が個人の社会的健康を本質的に決定付ける大事な時期である」と述べていますが、この大事な産後1カ月の過ごし方が大きく激変しています。 里帰り出産などで親の手を借りようにも仕事をしている、介護で手いっぱい。さらに高齢出産が増え、その場合は祖父母の高齢化で援助を受けることが難しいという状況です。加えて、産科医不足により出産後四、五日で退院となり、床上げ3週間と言われる休息もとれないまま育児がスタートしてしまいます。昼間は子どもと一緒に横になる時間をとることは難しく、夜間も関係なく3時間おきの授乳で寝不足になり、家事との両立で体を休めるどころではありません。かわいいはずの赤ちゃんの泣き声にいらいらしてしまうこともあるでしょう。 今月は児童虐待防止月間です。厚生労働省によると、虐待死する子どもの約4割はゼロ歳児で最も多く、約1割の母親が産後うつを発症していると言われ、それが第2子以降の出産をためらう一因になる可能性もあるとしています。 過日、厚生労働省の元研究班代表であった東邦大学看護学部教授、福島富士子先生の話を聞く機会がありました。虐待行為の予測因子と報告された中には、産後うつによる子どもへの愛着不全、期待したサポートが得られなかったという不満感が挙げられていました。そして、驚くべきことに、保健師などの訪問回数よりも支援に対する満足度が高いほど虐待的行為の頻度が低いという報告があったことです。出産後、母体である母親が心からの安心を得るということがいかに重要であるかを痛感しました。 先の第3回定例会において、民主クラブのあべ議員より紹介がありました世田谷区の産後ケアセンターも、きっかけは虐待二次予防施策として開始されたと伺いました。 こうした現状に対し、国は昨年、少子化危機突破のための緊急対策で産後ケアセンターの整備方針を打ち出し、今年度、予算を確保してモデル事業を実施しています。産後ケアセンターとは、複数の助産師が常駐し、産院を退院した女性が再び入院し、1週間ほど休養したり育児指導を受けたりする産後入院ができる施設のことです。また、国のモデル事業では、①原則7日間以内の母子ショートステイ、②日中の母子デイケア、そして③に日中の訪問という産後ケア事業を試行するとあります。 これまで、本区でも妊娠・出産期から産後まで切れ目ない支援を行っていることは高く評価しており、育児不安等の軽減、解消による産後うつの予防、ひいては児童虐待の未然防止や早期発見につながっていると考えております。しかし、私の認識では、既存事業だけではカバーし切れない出産直後の母体に重きを置く支援が更なる課題ではないかと、改めて感じております。そこで、母子ショートステイ及びデイケアを核とした産後ケア事業の拡充を図るべきと考えますが、区長のご所見を伺います。 加えて、本区では保健センターの統合移転など、施設再編の重要な時期を迎えております。その意味で、母子保健事業を行う保健センターの整備と併せて産後ケアセンターの機能を有する施設にすべきと要望いたしますが、区長のご所見を伺います。 さらに、現在、母子のサポート事業は育児支援と家事援助が別々の事業となっており、ともすると支援を受けにくい体制となっています。そこでご紹介するのが、アメリカ発「ドゥーラ」と呼ばれる民間の専門職です。日本においても既に養成機関が置かれ、その活動が評価されつつあります。家事だけのヘルパーとは違い、子育ての知識を身に付けた家庭支援員として、上の子のサポートや夫が育児参加できるように導きます。こうした新たな人材の養成も必要と考えますが、区長のご所見を伺います。 第5にひきこもり対策についてお伺いいたします。 ひきこもりとは、病名や診断名ではなく、不登校や就労の失敗をきっかけに何年もの間、自宅に閉じこもり続ける青少年の状態像を指す言葉です。 平成12年度に設置された厚生労働省の「地域精神保健活動のあり方に関する研究班」によると、「社会的ひきこもり」とは、「6カ月以上自宅にひきこもって社会参加しない状態が持続しており、分裂病などの精神病ではないと考えられるもの。ただし、社会参加しない状態とは、学校や仕事に行かない、又は就いていないことを表す」と定義されています。事例の多くは、ほとんど外出もせずに何年にもわたって自室に閉じこもり続け、しばしば昼夜逆転した不規則な生活を送ります。長期化に伴い、さまざまな精神症状が二次的に生じてくることがあると言われています。 こうしたひきこもり対策に取り組み、成功したのが秋田県藤里町です。NHKクローズアップ現代にも取り上げられたこの町は、人口3,800人の小さな町で、若者の多くは町から出ていき、65歳以上の高齢者が人口の4割を超えています。その藤里町がひきこもりの問題に気付いたきっかけは、高齢者の介護予防に当たっていた介護福祉士がお年寄りから受けた相談でした。 「家に引きこもっている若者がたくさんいるから調べてほしい」、この一言に、一体誰がどこに閉じこもっているのか、地域福祉を担う社会福祉協議会が町に埋もれる人たちを探し始めました。自治会や民生委員、PTAなどのネットワークを活用し、広く情報を集め、リストを作成しました。すると、予想以上に多くの人が家に引きこもっていることが分かりました。その数100人以上。3,800人の小さな町に住む現役世代のおよそ10人に1人という驚くべき数字でした。 どんな悩みを抱えているのか、全戸への訪問調査に乗り出します。カウンセリングから始めるつもりでした。しかし、悩みを聞くどころか、なかなか会うこともできません。個別訪問を続けた結果、この町にひきこもりの方が113人いることが明らかになりました。 こうした方々をどうすれば外に連れ出すことができるのか。まず考えたのは、楽しい場所をつくることでした。卓球やカラオケ大会などを企画すれば外へ出てくるかもしれない。ところが、会場に姿を現す人はほとんどいませんでした。訪問しても会ってもらえず、悩みを聞き出すこともできない。外に連れ出すことにも失敗、活動は行き詰まりました。 そんなある日、担当者の考えを大きく変える出来事が起こりました。社会福祉協議会の採用試験に21歳のひきこもりの若者が突然現れたのです。学校になじめず、高校1年で中退し、そのまま引きこもっていた人でした。驚いた担当者は、面接で本人の思いを聞きました。意外にも、「自分は働きたい」と訴えました。それまでカウンセリングを第一に考えていた担当者にとって予想外の訴えでした。彼らは働く場を求めている。そう確信し、働くきっかけをつくろうと方針を変えました。 そこで注目したのは、失業者のための支援事業です。「ホームヘルパー2級などの研修が受けられ、資格を取ることができます」。祈るような思いで、このチラシを引きこもっている全ての家に投函して回りました。当日、研修会場を見て、担当者は目を見張りました。引きこもっていた方々が次々と姿を現したのです。働くきっかけを求めて資格を取ろうと家から出てきたのです。中には10年以上引きこもっていた人もいました。考え方を根本的に改めざるを得ませんでした。彼らは弱い人ではない。多くは働く場所がないために家に引きこもらざるを得なかった方々であり、チャンスがあればよみがえることができる。 そこで、町役場の協力を得て就労支援施設を開設しました。昼は食事どころとして営業し、自家製の手打ちそばやうどんを食べることができます。ここで働き始めたのは8人、賃金は1時間110円から550円。本格的に働くまでの準備期間に当たる、いわゆる「中間的就労」の働き方です。 また、新しい取組も始まりました。買い物が不便な地域に住む高齢者への支援として、外出が難しい高齢者に自宅まで配達します。感謝されることで自分が必要な存在であることを実感し、自信を取り戻し始めました。この秋からは、商店街も支援の輪に加わりました。町にどんな仕事があるのか、写真店をはじめ葬祭店や酒店などの店主から仕事についての講義を受けます。こうして藤里町では、引きこもっていた113人のうち50人以上が家を出て、そのうち36人が既に働き始めています。 藤里町社会福祉協議会事務局長は言います。「どんどん変わるんですよね。自分で自分の可能性に気付いていなかったと思うし、どこかでリベンジしたい、活躍の場が欲しいと思いながらチャンスを待っていた人たち。そのチャンスは永久に来ないだろうなって9割9分諦めながらも、そういうチャンスをどこかで待っていた人たちなのではないか」と。 昨今、国も都もひきこもり対策に乗り出してきましたが、身近な自治体が一番影響を受けていると思います。ひきこもりの人をそのまま放置すれば、生活保護の予備軍になる可能性が大きいからです。また、本人の悩み、苦しみに加え、それ以上に親も悩み苦しんでいると思います。秋田県藤里町も、介護を受けている親からの相談がきっかけでした。私たちの周りでも耳にする話です。 そこで、墨田区においてもひきこもりの実態を把握すべきと考えます。介護事業者、町会・自治会、民生委員、包括支援センター等から情報を集約することで本区のひきこもりの実態が分かると思います。また、本区ではいまだ担当部署が明確ではありません。厚生課、保護課、保健センター等が考えられますが、区長はどこの部署をお考えですか。 昨年から始まった生活保護者のボランティア活動を運営している事業者の職員は、ひきこもり支援員の資格を取得していると伺いました。こうした支援員の協力を得て、悩んでいるご家族の相談会の開催も考えられるのではないでしょうか。ご家族の相談に耳を傾け、ひきこもりの原因を探り、ご協力を得ながらひきこもり支援員につなげていくことが解決の糸口になると思います。時間のかかる問題でもあり、早急に対策を講ずるべきと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) 〔区長 山崎昇君登壇〕
◎区長(山崎昇君) ただいまの公明党、とも議員さんからのご質問に順次お答えをいたします。 最初のお尋ねは、保育所の整備拡大等に対する財源確保や区立保育所の民間移譲などの新たな手法の導入についてでございます。 認可保育所等の施設整備は、今年度実施するものを含め、墨田区子ども・子育て会議で検討している平成27年度から31年度までの5カ年については、区立保育所の改築以外は民間施設を誘致し、国や都の施設整備助成制度を活用して財源を確保することとしております。 また、区立認可保育所のあり方につきましては、増加、多様化する保育ニーズに的確に対応するとともに、厳しい財政状況下にあっても継続的、安定的に保育サービスを提供していくことが求められており、これを踏まえて、本定例会の福祉保健委員会で今後の保育所等の整備に関する基本的な考え方をお示ししたいと考えておりますので、この中でご提案のありました施設の民間移譲の手法も取り入れていくことといたしております。 次に、消費税率改定の先送りによる
予算編成への影響とその対応についてでございます。 ご指摘のとおり、消費税率引上げに伴う地方消費税収入は、その使途が医療、介護をはじめ少子化に対処するための施策など社会保障に要する経費に充てられるものとされております。 先ほど自由民主党、山本議員さんからのご質問にもお答えしたとおり、本区でも平成27年度予算におきまして、子ども・
子育て支援制度の円滑な導入に向けた幼児教育、保育、
子育て支援策の総合的な推進をはじめとする社会保障制度関連の各種施策を着実に実施していく必要があります。 しかし、消費税率引上げが先送りとなり、これに必要な財源が賄えないとなりますと、国からの他の財源の補填がない限り、施策の一部を先送りするか、あるいは区自ら他の財源を手当てするといった対応が迫られることになります。しかし、いずれも容易なことではございません。 いずれにいたしましても、現段階におきましては明確な対応策をお示しすることはできませんが、現在、必要な財源確保等について区長会を通して国へ緊急要望を近々に行う準備を進めているところであり、今後の国の動向を十分に注視いたしまして、本区の福祉施策への影響をできるだけ少なくするように対応してまいりたい、そのように考えております。 次に、公共施設マネジメントの運用についてでございます。 ご質問にもございましたとおり、区が所有する公共施設の約4割が築後30年を経過しており、今後、一斉に老朽化等による大規模改修や建替えの時期を迎えることになります。限られた財源の中では、今ある施設を全て維持し、大規模改修等を行うことは極めて困難であることから、
公共施設マネジメント実行計画を策定し、施設の維持管理、運営方法の見直しや保有総量の圧縮など、計画的に推進をしていくこととしております。 この計画では、民間活力の活用を検討する施設や統廃合・複合化により効率的なサービス提供を図る施設など、今後の施設のあり方に合わせた検討を進めておりまして、公共施設マネジメントを
スピード感を持って効率的・効果的に推進していくことが必要と考えております。 とも議員さんご指摘の台東区の旧福井中学校を事例として挙げられました公民連携、いわゆるPPP手法につきましては、まだ研究段階にあるところですが、資産の規模や場所によって活用のメリット、デメリットがそれぞれあると仄聞をしております。しかしながら、このような民間のノウハウを活用することにより、区民満足度の向上や区の財政負担の軽減を図ることができるとすれば、今後、こういった手法を是非検討させていただいて、未利用資産の活用をしてまいりたい、そのように思っております。 次に、震災復興を目的とした個人住民税臨時増税分の防災対策への活用についてのお尋ねでございます。 本区においては、平成26年度からの10年間で約6億円と見込まれる増収分につきまして、平成25年度から前倒しでスタンドパイプの全町会・自治会への配布を行ったほか、本年度は防災マップの全戸配布、防災マップアプリの配信や防災行政無線のデジタル化の推進など、地域防災計画の大幅な修正を踏まえまして、新たな防災対策に活用してきたところでございます。 防災・減災対策は、区民、事業者、防災関係機関及び区の連携のもと、各主体が持てる能力を発揮し、自助・共助・公助の役割分担により推進していくことが望ましいと考えます。 とも議員さんからいただきました防災・減災の
まちづくりの推進に向けたさまざまなご提案につきましても、防災・減災対策の基本姿勢である自助・共助の取組を重視しながら、次年度以降の
予算編成の中で優先順位を付けて検討させていただきたい、そのように思っておりますので、ご理解をお願いいたします。 次に、産業支援のあり方について、何点かご質問がございました。 まず、地域内事業承継支援事業の進捗状況と今後の予定についてでございます。 昨年度実施いたしました産業活力再生基礎調査の結果では、「後継者がなく廃業を検討している」と回答した事業者が約550社にも上っており、すみだのものづくり産業を維持、発展させていくためには、技術や人材などの「ものづくりの資産」を区内で承継することが急務となっていることから、地域内事業承継支援事業を実施してきているところでございます。 現在、廃業を検討している事業者等のヒアリング結果を踏まえて、支援策やマッチング計画の策定作業を進めており、今後、その計画に基づき区内での円滑な事業承継を推進していく考えでございます。 この事業承継の推進に当たりましては、ご指摘のとおり、国や都などの他の公的機関の制度を活用していくことも必要と考えております。このため、支援事業者の実情に即した的確な支援が可能となるよう、現在、事業承継協力支援機関連絡会議を設置し、他の公的機関などとの連携を図っているところでございます。 なお、本事業の課題につきましては、事業者等のヒアリング結果から、後継者がいないということが最も大きな課題というふうになっており、第三者承継等について今後も拡充をしていきたいと考えております。 次に、廃業や再チャレンジに対する支援制度の創設についてでございます。 地域内事業承継支援事業では、ものづくりの資産を区内で承継していくことを目的として実施しているところですが、廃業せざるを得ない事業者もあることから、廃業に関する相談や他の公的機関等の専門家派遣の実施につきましても行っているところでございます。 したがいまして、専門のコンサルタントをはじめ、すみだ中小企業センターの通常の相談業務や巡回相談の中で、廃業から再チャレンジに向けた切れ目のない支援に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、すみだ創業支援ネットワークに関して、幾つかのご提案がございました。 このすみだ創業支援ネットワークは、創業支援に取り組む姿勢を内外に示し、地域を挙げて創業を支える体制を構築してまいりたいと考え、本区独自の創業支援計画を策定し、本年6月に国の認定を受けてスタートしたものでございます。 さらに先般、商店街における空き店舗等を活用した創業やコミュニティビジネスへの支援、創業を支えるサポート体制を充実させる関連事業者をネットワークに加えた変更計画を国に提出し、再認定を受けたところでございます。 ご提案の「空き店舗、空き事務所、空き工場バンク」につきましては、産業の新陳代謝を進める上でも、また関係支援機関が情報を共有する仕組みとしても大変重要であると認識しておりますので、具体化に向けて検討してまいりたいと存じます。 また、空き工場、空き店舗等の改修支援融資につきましては、ご指摘のとおり、既存の融資制度でも十分対応可能でございますので、周知PRを徹底してまいりたいと考えます。 次に、これらの事業の実施に関連して、民間活力を最大限に活用すべきとのご指摘がございました。 本区は、これまで「ものづくりのまち すみだ」の維持発展のため、全国に先駆けて中小企業振興基本条例を制定し、産業振興会議を設置、すみだ産業会館や中小企業センター等の先進的な産業振興施設を整備し、さまざまな施策を展開してまいりました。 しかしながら、この間に我が国を取り巻く社会経済情勢はめまぐるしく変化し、産業の空洞化も加速度的に進展いたしました。その結果、中小零細企業を多く抱える本区の産業構造も大きく影響を受け、これまでの施策の主体や施設のあり方も大きく見直さなければならない時期に来ていると感じております。 先の
決算特別委員会の中でもご答弁申し上げましたが、現在、産業振興会議の中で、これらの産業振興施設のあり方やその役割についての議論をしていただいているところでございます。 したがいまして、ご紹介いただきました岡崎市や富士市の事例も参考にさせていただきながら、産業振興会議の答申を待って検討させていただきたい、そのように思いますのでご理解のほどよろしくお願いを申し上げます。 次に、スマートフォンを活用した地域課題解決についてのご提案がありました。 スマートフォンなどの情報通信を使用して、住民の方々が地域の課題を解決する取組は、ご紹介のありました半田市をはじめ、千葉市などさまざまな自治体で行われていることは承知をいたしております。 本区では、電子メール、広聴はがき、来訪、電話、ファクス等さまざまな手法により、区民の皆さんからお寄せいただいた区政に関するご意見、ご要望等について、おのおのの所管にその対応を求め、通報した方にお知らせをしております。 ご提案をいただいた点につきましては、課題解決に向けた迅速な対応が可能となる、処理経過の透明性が高まるなどの効果がありますが、ICTツールを活用して地域と行政が協働して課題を解決する分かりやすい仕組みの構築や職員の情報処理能力の向上等の課題もあります。 したがいまして、スマートフォンを活用した地域の課題発信、「(仮称)マイレポすみだ」の構築につきましては、従来の対応の仕組みと併せて、来年度に予定をしておりますホームページのリニューアルの中で「マイレポはんだ」も参考に、どんなことができるか検討させていただきたいと存じます。 また、スマートフォンを活用した区民の皆様からの情報提供の運用につきましては、ご提案のあった災害対応だけでなく、観光面においての活用など、効果的な運用方法等についても併せて検討させていただきたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。 次に、産後ケア体制の充実についてのご質問でございます。 初めに、母子ショートステイやデイケアを核とした産後ケアの充実を図るべきとのお尋ねですが、児童虐待や産後の孤立防止策の一環として、世田谷区や横浜市では産後ケアセンター事業を展開し、一定の料金をご負担いただいた上で、ご希望される方へのサービスを提供していると聞いております。有用なサービスと認識しておりますが、本区では産後の母子の支援として、家庭訪問による産後ケアに力を入れることが、より多くの方の産後の支援につながると考え、赤ちゃん訪問事業を実施しております。 来年度からは、これまで希望されるご家庭のみに実施してきた訪問を、希望の有無にかかわらず全戸訪問としたいと考えております。これにより産後うつの早期発見や育児支援を行うとともに、産後の状態を把握するための調査票の使用などにより、育児支援や虐待防止の実効性を高めてまいりたいと存じます。 次に、保健センターの整備の際には、ご提案のあった産後ケアセンターも含め、どのような機能を併せ持つことが望ましいのか、区民や関係機関の声をお聞きしながら検討してみたいと存じます。 最後に、子育ての知識を身に付けた家庭支援員を育成し、家事や育児を支える人材育成を強化するべきとのお尋ねでございます。 まず、母子のサポート事業において、育児支援と家事支援が別々の事業になっているとのご指摘がございました。 現在、家事支援については民間会社にヘルパー派遣を委託して実施しておりますが、育児支援については人材確保が難しいこともあり実施に至っておりません。そこで育児支援については、子育てサポーター養成講座を受講されたサポーターさんが、それぞれのご家庭を訪問する方法で実施をしてきましたが、今年度からは出産直後からこの制度を利用できることとし、産後の母親の心身の回復に役立てていただくことにしたところでございます。 とも議員さんご指摘のとおり、家事や育児を支える人的支援を拡充させることは重要であり、今後はこの子育てサポーターの養成講座の中で、家事支援や育児支援を一体的に実施できるような人材の育成に努め、産後の母子のサポート事業を充実させてまいりたいと考えております。 次に、ひきこもりについてのご質問でございます。 ひきこもりは、ご本人はもとより、ご家庭などにとりましても大変負担が大きく、社会全体でも極めて重い問題であると私も認識をしております。特に青少年、若者は、健全に成長し、少子・高齢化が更に進行していく社会の中での貴重な次世代の担い手として貢献することが求められております。 ひきこもりの原因には就労面や精神衛生面等、多岐にわたりますことから、現在、担当部署を一元的に特定し、一つの部署で全てに対応することは大変難しい状況にございます。したがいまして、それぞれのケース、原因に最も適切に対応することのできる専門的なノウハウを持った所管がまず当たることが有効と考え、その上で、関係各所管が連携を持ってこの問題に対処することとしております。 具体的には、まず保健センターにご相談をいただくことが多かろうとは存じますが、その内容によりましては、例えば雇用に関することであれば生活経済課といった担当部署にご案内するなど、それぞれ相談者の内容に応じて最も適切な対応をさせていただいているところでございます。 各自治体でもいろいろ模索している状況にありますように、本区といたしましても、ご紹介の事例や国、他の自治体での取組につきましても十分研究するとともに、いずれにいたしましても、ひきこもり対策は区のみでできることではなく、地域社会全体で対応することが極めて重要と、そのように考えておりますので、今後、更によい体制や対策、方法を検討したいと考えておりますので、ご理解のほどお願いをいたします。 私からのご答弁は以上でございます。
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○議長(
田中邦友君) 議事の都合により、暫時休憩いたします。 午後2時55分休憩
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○議長(
田中邦友君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 一般質問を続けます。 30番・かたくら洋君 〔30番 かたくら洋君登壇〕(拍手)
◆30番(かたくら洋君) 私は、日本共産党区議団を代表して、
山崎区長並びに
横山教育長に質問します。 質問の第1は、来年度の
予算編成についてです。 まず、
予算編成に当たっての基本的考え方について伺います。 我が党は、区民の方々のご意見・ご要望をお聞きするため、定期的に区民アンケートを実施していますが、今年は9月に行いました。 この区民アンケートで現在の暮らしについて聞いたところ、「よくなった」が3.2%、「苦しくなった」が68.6%に及んでいます。その理由として挙げられたのが、第1に消費税など税金の負担増、第2に物価の上昇、第3に年金収入の減少となっています。 また、墨田区政に力を入れてほしいことの問いには、「国保料や後期高齢者医療保険料の値下げ」が46.9%と最も多く、「特養ホームの増設」45.9%、「介護保険料・利用料の軽減」40.5%と続いています。 さらに区民アンケートには深刻な声がたくさん寄せられています。「親の介護やハンディのある息子の今後にも不安を感じながらの毎日を送っています。せめて福祉の面で充実した墨田区であってほしい」、「少ない年金でやっと暮らしています。これ以上、年金が下がらないようにと祈るばかりです」、「介護がとうとう老老介護となり、私自身もくも膜下出血で倒れてしまいました。若い者に迷惑をかけたくないので老夫婦2人で注意しながら頑張っている毎日です」、「税金や保険料が高くて追い回され、時々夢にまで見て夜中に起きてしまいます」など、生活の不安を訴え、暮らしを応援する政治を切実に求めています。 区長は、このような区民の暮らしの実態をどのように捉え、どう認識しているのか、何を重点に据えて
予算編成を行うのか、見解をお伺いします。 次に、北斎美術館建設の中止など区政運営の転換を図ることについてです。 今定例会に提案されている補正予算案の中に、北斎美術館の開設準備経費の追加として1億5,000万円が計上されていますが、これは北斎美術館の目玉になるような葛飾北斎の肉筆画を購入しようとするものです。しかし、1億5,000万円あれば、高過ぎる国保料を1人当たり2,000円引き下げることができます。これまでも繰り返し指摘してきましたが、北斎美術館は建設費だけでなく、管理運営費や資料の購入費などを含めれば100億円を超える税金を注ぎ込むことになります。これは区財政を圧迫し、他の区民施策に影響を与えることは明らかです。北斎美術館は着工したとはいえ、まだ土壌汚染の処理などを行っており、建物本体の工事はこれからです。今からでも建設を中止するよう、改めて求めるものです。 先に紹介した区民アンケートでは、北斎美術館の建設について、「今からでも建設を中止すべき」が68.6%に上っています。これまでも北斎美術館の建設については、区民アンケートで何度も区民の意見を聞いてきましたが、建設反対は50%ぐらいで推移してきました。それが建設予算が可決され、工事契約が締結されたにもかかわらず、「中止すべき」との区民の声が圧倒的多数になっていることを重く受け止めるべきです。区民生活が一層深刻になっている中で、税金は箱物ではなく暮らしのために使ってほしいという願いが更に強まっていることを示しているのではないでしょうか。 来年度の
予算編成に当たっては、箱物や大型開発優先の区政から区民の暮らし第一の区政への転換を図り、国保料や介護保険料の値下げなど、区民負担の軽減、貧困対策や福祉・教育の充実、防災対策や中小商工業者への支援策などを抜本的に拡充することを強く求めて、区長の見解を問うものです。 次に、
予算編成の具体的内容について伺います。 初めに、国保料、後期高齢者医療保険料、介護保険料の引下げと制度改悪への対応についてです。 国保料は毎年値上げされ、「高過ぎて払えない」との悲鳴が上がっています。しかもここ数年、国が進める広域化に合わせるため、所得割の算定方法の変更による値上げ、一般財源でみていた高額療養費を保険料に上乗せするなどで、重い負担が押し付けられています。 このような中で、差し押さえが急増し、平成22年度の36件から25年度には345件と9.6倍にもなっています。来年度の国保料をこれ以上引き上げることは絶対に認められません。国の支出金を大幅に増やすよう強く働きかけるとともに、一般会計からの繰入金を増額して保険料を引き下げるよう、区長会でも強く主張すべきです。これらが実現しないときには、区独自に負担軽減策を講じるべきです。 また、差し押さえについては、先の
決算特別委員会でも指摘しましたが、総務省通知にも明記されているように、滞納者の生活実態をきちんと把握し、生活に支障が及ばないように対応すべきです。区長の明確な答弁を求めるものです。 また、後期高齢者医療保険料の負担も高齢者にとって過酷なものになっています。「何で90歳になって保険料を払わなくてはならないのか、差し押さえの心配をしなければならないのか」との声はまさに悲劇です。 ところが、厚労省は所得の低い人などを対象にした保険料軽減の特別措置を段階的に廃止する方針を決めたと言われています。この特例措置がなくなると、夫の年金収入150万円の夫婦世帯の場合、月1,120円から2,240円へ2倍の保険料になります。このような制度改悪には厳しく反対すべきです。さらに、区としても保険料の負担軽減策を検討し、実施するよう強く求めて、区長の見解を伺います。 次に、介護保険料の引下げについてです。 介護保険は来年度から第6期の事業計画に入り、保険料も改定されます。まず、保険料の見込みはどうなっているのか、試算をお示しいただきたいと思います。 介護保険料について、我が党は区の一般財源を投入して引き下げるよう繰り返し求めてきました。ところが、区長は、「保険料の引下げに一般財源は使わないように」との国の方針があるとして拒否してきました。現在、国は公費の投入により低所得者の介護保険料を軽減することを検討していると言われます。今こそ一般財源を注ぎ込んででも保険料を引き下げるべきです。 今期の介護保険料については、積立基金の繰入れと高額所得者の負担を増やすことで急激な上昇を抑えようとしましたが、それでも墨田区の値上げ率は23区で2番目に高いものになりました。来期については、国や都の財政投入を大幅に増やすとともに、区としても一般財源からの投入を行い、保険料を引き下げることが絶対に必要です。区長はどのように対応されるのか、答弁を求めます。 さらに、制度改悪の区民への影響とその対応についてです。 6月の通常国会で成立を強行した医療介護総合法に基づいて、来年度から介護保険の仕組みの改悪とサービスの削減が行われようとしています。 第1に、区内で3,017人おられる要支援1、要支援2の人は介護保険制度から排除されるという問題です。訪問介護と通所介護については、平成29年4月までに現行の保険給付の対象から外して各自治体が行う総合事業に移行することになります。第3回定例会で区長は、「サービス低下につながらないよう対応してまいりたい」と答弁されましたが、国がサービス単価の上限を示すことになっており、低下させないためには、区独自の上乗せが必要になると考えます。区長はどのように対応されるのか、答弁を求めます。 第2に、要介護3以上の人しか特別養護老人ホームに入れなくなるという問題です。現在、特養ホームの入所者の約2割は要介護1か2の人たちです。今入っている人たちは引き続きいられるとしても、特養ホームを希望している人たちで少なくとも2割の方々が入所できなくなります。さらに、老健施設などを含めて6人部屋など、多床室の居住費を一定の所得がある人から徴収する、光熱水費を増額することも検討されています。これでは、お金がない高齢者は介護施設から締め出されることになります。このような改悪、負担増には反対すべきと考えますが、区長の見解をお聞きします。 第3に、介護報酬を6%削減する検討がされている問題です。 これは、介護保険の土台を破壊させかねないものです。以前、2%台の引下げが繰り返され、介護事業者や労働者が苦境に追い込まれ、介護崩壊という事態を生み出したことを想起すべきです。このような介護保険の改悪はやめるよう、国に強く迫るべきです。区長の見解をお伺いします。 次に、貧困対策についてです。 まず、区内の貧困の実態把握、とりわけ子どもの貧困の実態を調査して対策を図ることです。このことは、我が党が何度も提起してきましたが、これまできちんとした貧困率や実態の調査をしていません。 今日、子どもの6人に1人が貧困状態と言われ、昨年の国会で子どもの貧困対策法が全会一致で成立しました。スクールソーシャルワーカーの増員など、ある程度の対策は具体化したものの、児童扶養手当の拡充や給付型奨学金の導入は見送られるなど、十分な対応が図られていません。 国連は、子どもの経験する貧困は子どもの権利条約に明記されている「全ての権利の否定」と強く警告しています。子どもの貧困対策には地方自治体が最も関心を持つべきであり、区としてきちんと調査を行い、早急に対策に取り組むことが求められます。区長の見解を伺います。 第2に、生活相談室を設置し、全庁的対応を構築する問題です。 区長は、「来年4月に施行される生活困窮者自立支援法に合わせてモデル事業実施自治体の事例調査や情報収集を行い、相談支援事業等の準備を行う」と答弁してきました。しかし、この生活困窮者自立支援法は本来、生活保護を受けられる人を支援事業に誘導し、「中間的就労」の名で最低賃金も保障されない就労訓練事業などを行おうとするものです。この枠組みの中では、生活困窮者の真の解決は図られないと思います。 生活保護の申請窓口と一緒にするのではなく、生活に困った人が気軽に相談できる窓口を開設し、区の組織全体で情報を共有し、弁護士や司法書士、ワーカーなどの専門家も配置して、困り事の解決、生活再建のための仕事の紹介・確保まで、相談者が真に自立できるようになるまで援助することが必要です。区としてどのように対応するのか、答弁を求めます。 第3に、多様な住宅のセーフティネットをつくることです。 高齢者や障害者、ひとり親家庭や低所得者など、住宅に困っている人たちのためには、区内の空き家を活用した公的な住宅の提供がどうしても必要です。また、ぎりぎりのところで生活している人たちにとっては、民間住宅の2年に一度の更新時の敷金や礼金の負担ができず困っているという相談が多数寄せられます。このような人たちへの家賃助成の創設も求められます。住宅施策を貧困対策の一つの柱に据え、位置付けを抜本的に高めて取り組むよう要求し、区長の見解を問うものです。 次に、保育の新システムの具体化についてです。 保育の新システムも来年度から実施されます。国の財政措置がいまだに示されないなど、まさにどたばたの実施で、さまざまな混乱も予想されます。 この保育の新システムは、国と自治体の保育に対する責任を後退させ、株式会社の参入を促進し、保育を営利化、産業化していこうとするものです。ところが、区長は、これを高く評価するとして、事業計画の策定や条例化などを進めてきましたが、まず、このような姿勢を改めることを求めます。 先にも述べたように、子どもの貧困問題は過去最悪の事態で、6人に1人が貧困状態となっています。このような中で、地域の子育てにとって保育所と保育士の役割が更に重要になっています。公的責任で認可保育所を増設し、どの子も安心して保育を受けられる環境をつくっていくことが必要です。 保育士の専門性の発揮もますます求められています。保育士の処遇を改善し、正規で有資格の保育士の配置を保障すべきです。それを怠り、保育士不足を理由に安上がりな労働力として
子育て支援員に肩代わりさせるという保育士の専門性を否定するようなことはやめるべきです。 来年度の具体化に当たっては、保育料などの負担増を行わないこと、保育サービスを低下させないことを基本にすべきですが、区長の見解を問うものです。 次に、大学の誘致問題です。 区長は、大学誘致について、「大学が決定した場合には旧校舎の解体を行うとともに、大学を核とした
まちづくりの方針を策定する」としています。しかし、区内に大学がないからという理由だけで数年間に及ぶ誘致活動が行われ、議会にも区民にも具体的な説明がされない中で、決まりそうだといってはだめになるの繰り返しです。大学は、2018年問題、すなわち少子・高齢化のもとで大学の倒産、廃校が続出すると言われる中で、経営陣がちゅうちょしていることは当然です。今後の交渉の中では、区の財政的支援など、条件譲歩に追い込まれることも考えられます。 大学誘致の予定地である旧西吾嬬小学校と旧曳舟中学校の跡地は、統合新校の場所を決める際に、区内にまとまった土地がないからと区の政策判断で生み出されたものであり、区民のために活用したいと説明されてきた経緯があります。しかも、先の
決算特別委員会では、中小企業センターまで明け渡すような答弁がありました。このような大学誘致はきっぱり断念し、緑と防災の広場の整備など、地震対策や区民の憩いの場所として活用するよう強く要求するものです。区長の答弁を求めます。 質問の第2は、
教育委員会制度問題についてです。 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律が6月に公布され、来年4月から施行されることになっています。この法律は、国や首長による教育内容への介入を可能とするものであり、これは日本の教育にとって極めて重大な問題です。 もともと
教育委員会は、戦後の1948年、選挙で選ばれた教育委員たちが、その自治体の教育のあり方を決めるという民主的な制度として発足したものです。これは戦前の中央集権型の教育行政を改め、教育の自主性を守るために教育行政を首長から独立させたものです。 しかし、その後、公選制は廃止され、
教育委員会の形骸化が進みました。その背景には、歴代の政権が国などの方針を学校現場に押し付けるため、
教育委員会事務局にその役割を負わせ、
教育委員会の自主性を奪ってきたという問題があります。その結果、教育行政の中に閉鎖的で官僚的な対応も広がりました。それでもなお、
教育委員会には首長からの独立性が残されています。今回の法改正の狙いは、この
教育委員会の最後のとりでともいうべき首長からの独立性を取り上げようとするものです。その一つの表れが、異常な競争主義を教育に持ち込もうとするものです。第一次安倍内閣が始めた全国学力テストは、点数が全てという風潮を全国に広げました。しかし、まだ全国的に各学校の成績を公表させ、競争させるところまでには至っていません。 さらに、侵略戦争を美化するような愛国心教育の押し付けです。 このような教育への政治的な支配を許さないためにも、
教育委員会が教育の自由、自主性を守るという本来の役割を果たすことが重要です。全国的には、保護者や学校現場の意見をよく聞き、教育施策に生かすなどの活動に取り組んでいる
教育委員会や事務局もあります。そうした本来の役割の発揮を多くの国民が期待しているのです。 今回の
教育委員会制度の改悪について、教育長はどのように受け止めているのか、見解を問うものです。 次に、具体的な対応についてです。 我が党は、
教育委員会の改革の基本方向として、第1に、教育委員の方々が保護者、子どもたち、教職員、住民の不満や要求をつかみ、自治体の教育施策をチェックし改善させること。第2に、会議の公開、教育委員の待遇改善や支援、教育への見識や専門性を持つ人物の確保など、
教育委員会の役割が実際に果たせる体制をつくること。第3に、政治的介入から教育の自由と自主性を守ること。第4に、憲法と子どもの権利条約の立場に立った行政を行うことなどが大切と考えます。教育長はどのように取り組んでいくのか、答弁を求めます。 質問の最後は、区長の政治姿勢についてです。 今定例会は、解散・総選挙と並行して開催されています。今回の解散について、「なぜ今解散なのか、わけが分からない」「大義がない」などと言われていますが、消費税の大増税、原発再稼働、沖縄への米軍基地の押し付けと海外で戦争する国づくりなど、国民の願いとかけ離れた政治が行き詰まった結果ではないでしょうか。 区長は、アベノミクスを高く評価し、消費税増税を容認する立場を一貫して表明してきました。アベノミクスは、異常な金融緩和で国内に出回る資金を増やせば、株高で大企業のもうけが増え、労働者の賃金が上がり、消費も増えると宣伝してきました。しかし、実際には株高で大企業の含み資産や大資産家の所得が増えるだけで、労働者の賃金は挙がらず、円安で物価が値上がりして、実質収入が目減りした分だけ所費が落ち込み、GDP(国民総生産)は2期連続でマイナスとなりました。これはまさに増税不況ともいうべきものです。 区内でも、「消費税が8%になって食事を1日2回に削っている、10%になったらやっていけない」、「子どもの将来のために少しばかりの定期預金を30年近く積み立ててきたが泣く泣く解約した」などの声が聞かれ、まさに区民生活を直撃しています。とりわけ中小零細企業者は、長引く不況の影響で売上げは激減、廃業を考えざるを得ないと、区内のあちこちに「長きにわたってご愛顧ありがとうございました」など、閉店の貼り紙が見られます。 消費税の再増税に反対する国民の声はますます大きくなり、どの世論調査でも反対が7割に及んでいます。日経の調査では、賛成23%、反対70%で、9月末の調査より賛成は5ポイント低下し、反対は4ポイント上昇しています。 このような国民世論に追い詰められた結果、安倍首相は来年10月からの消費税10%を先送りせざるを得なくなりましたが、一方で、2017年4月には10%再増税を確実に実施するとも明言しています。 我が党は、大企業優遇のアベノミクスをやめ、家計に軸足を移し、国民の所得を増やす政策に切り替えること、消費税増税をやめ、大きな利益を上げている大企業や大資産家に適切な課税を行うこと、無駄な大型公共事業や軍事費などを削減すること、300兆円にも上る内部留保を社会に還元させ景気を回復させることを提案しています。 区長は、このような状況のもとでもまだアベノミクスを評価されるのか、消費税増税に賛成をされるのか、見解を問うものです。 また、集団的自衛権の行使容認の問題についても、第3回定例会で区長は、「今後、具体的な法律改正が行われるので、しっかり国会において議論がされ、国民に対して分かりやすい説明がなされることを期待する」と容認する答弁を行いました。 集団的自衛権の行使容認とは、日本が攻撃されなくてもアメリカなどと一緒に戦争ができるようにすることです。区長は、このことをどう認識されているのか。 来年は東京大空襲から70周年の節目の年です。戦争だけは二度としてはいけないというのが圧倒的多くの区民の願いです。「また戦争への道に逆戻りか」「アメリカの戦争に伴う交戦に巻き込まれたら迷惑千万」など、区民から不安の声も聞かれます。あの東京大空襲で一夜にして6万4,500人余の犠牲者を出した墨田区民にとって、二度と惨禍を繰り返さないことは切実な願いです。また、国民の願いでもあります。 区長が集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を求め、海外で戦争する国づくりにきっぱりと反対するよう改めて要求し、代表質問を終わります。(拍手) 〔区長 山崎昇君登壇〕