平成15年 第3回定例会(9月)平成十五年 墨田区議会会議録第三回定例会一 期日 平成十五年九月十一日一 場所 墨田区議会議事堂一 出席議員(三十四人) 一番 樋口敏郎君 二番 田中 哲君 三番 堺井裕貴君 四番 木村たけつか君 五番 桜井浩之君 六番 沖山 仁君 七番 田中邦友君 八番 中嶋常夫君 九番 大越勝広君 十番 加納 進君 十一番 千野美智子君 十二番 阿部喜見子君 十三番 江木義昭君 十四番 金澤 修君 十五番 藤崎よしのり君 十六番 出羽邦夫君 十七番 木内 清君 十八番 小池武二君 十九番 坂下 修君 二十番 中沢 進君 二十一番 広田充男君 二十二番 坂岸栄治君 二十三番 高柳東彦君 二十四番 片倉 洋君 二十五番 阿部幸男君 二十六番 松野弘子君 二十七番 中村光雄君 二十八番 西原文隆君 二十九番 瀧澤良仁君 三十番 早川幸一君 三十一番 薗田隆明君 三十二番 槐 勲君 三十三番 西 恭三郎君 三十四番 鈴木順子君一 欠席議員(なし)一 出席理事者 区長 山崎 昇君 助役 田中 進君 収入役 小嶋眞一郎君 教育長 近藤舜二君 総務部長 今牧 茂君 区民部長 永廣 修君 地域振興 部長 宍戸 亮君 福祉保健 部長 坂田静子君 都市計画 部長 渡会順久君 商工担当 部長 小川幸男君 環境担当 部長 深野紀幸君 高齢者福祉 担当部長 藤田 彰君 保健衛生 担当部長 澤 節子君 都市整備 担当部長 河上俊郎君 教育委員会 事務局次長 久保孝之君一
出席行政委員 選挙管理 委員 乙津一行君一
出席事務局職員 事務局長 織田雄二郎君 事務局 次長 吉倉信広君 議事主査 荒木 登君 議事主査 佐久間 之君 議事主査 浜田将彰君 書記 荒井 栄君 一 議事日程(第一号)平成十五年九月十一日 午後一時 開議第一 議案第四十二号 墨田区選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例第二 議案第四十三号 墨田区廃棄物の減量及び処理に関する条例の一部を改正する条例第三 議案第四十四号 墨田区
コミュニティ住宅条例の一部を改正する条例第四 議案第四十五号
墨田区立校外学園条例の一部を改正する条例第五 議案第四十六号
墨田区立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の
公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例第六 議案第四十七号 墨田区
ひとり親家庭等の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例第七 議案第四十八号 墨田区特別保育の実施に関する条例第八 議案第四十九号 墨田区
在宅介護支援センター条例の一部を改正する条例第九 議案第四十一号 平成十五年度墨田区
一般会計補正予算第十 議案第五十号 あお
やぎ保育園改築工事請負契約の一部変更について 午後一時四分開議
○議長(出羽邦夫君) ただいまから、平成十五年第三回墨田区議会定例会を開会いたします。 これより本日の会議を開きます。
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○議長(出羽邦夫君) まず、
会議録署名員を定めます。 本件は、会議規則第百十六条の規定に基づき、議長からご指名申し上げます。 六番 沖山 仁君 二十三番 高柳東彦君のご両君にお願いいたします。
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○議長(出羽邦夫君) 次に、会期についてお諮りいたします。 今次定例会の会期は、本日から九月三十日までの二十日間といたしたいと思います。 これにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(出羽邦夫君) ご異議ないものと認めます。 よって、会期は、二十日間と決定いたしました。
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○議長(出羽邦夫君) 事務局次長をして諸般の報告をさせます。 〔
事務局次長報告〕一
定例会招集通知二
議案送付通知三 訴えの提起、和解及び損害賠償額の決定に関する区長の専決処分について(「議案等の部」参照)四 平成十五年六月・七月
例月出納検査の結果について(「議案等の部」
参照)---------------------------------------十五墨総総第三九八号平成十五年九月四日 墨田区長 山崎 昇墨田区議会議長 出羽邦夫様 平成十五年第三回墨田区議会定例会の招集について(通知) 平成十五年九月四日付け墨田区告示第二百一号をもって標記定例会を招集したので通知します。 (
原本横書き)---------------------------------------(写)墨田区告示第二百一号 平成十五年第三回墨田区議会定例会を次により招集する。 平成十五年九月四日 墨田区長 山崎 昇一 期日 平成十五年九月十一日二 場所 墨田区
議会議事堂---------------------------------------十五墨総総第三九九号平成十五年九月四日 墨田区長 山崎 昇墨田区議会議長 出羽邦夫様 議案の送付について 平成十五年第三回墨田区議会定例会に提出するため、下記議案を送付します。 記一 議案第四十一号 平成十五年度墨田区
一般会計補正予算二 議案第四十二号 墨田区選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例三 議案第四十三号 墨田区廃棄物の減量及び処理に関する条例の一部を改正する条例四 議案第四十四号 墨田区
コミュニティ住宅条例の一部を改正する条例五 議案第四十五号
墨田区立校外学園条例の一部を改正する条例六 議案第四十六号
墨田区立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の
公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例七 議案第四十七号 墨田区
ひとり親家庭等の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例八 議案第四十八号 墨田区特別保育の実施に関する条例九 議案第四十九号 墨田区
在宅介護支援センター条例の一部を改正する条例十 議案第五十号 あお
やぎ保育園改築工事請負契約の一部変更について (
原本横書き)---------------------------------------
○議長(出羽邦夫君) 諸般の報告を終わります。
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○議長(出羽邦夫君) 次に、去る七月一日付で本区
選挙管理委員に就任されました乙津一行君をご紹介申し上げます。 乙津一行君からごあいさつがあります。 〔
選挙管理委員 乙津一行君登壇〕
◎
選挙管理委員(乙津一行君) ただいまご紹介いただきました乙津一行でございます。一言ごあいさつ申し上げさせていただきます。 このたび、私は村瀬前委員の退職に基づき、七月一日をもって
選挙管理委員に就任させていただきました。まことに恐縮に存じ上げます。在任期間が十一月二十九日までという短い期間ではございますが、その間、一生懸命勉強させていただいているところでございます。 また、十一月には衆議院解散・総選挙も予想されているところでございます。改めまして、職責の重大さを痛感しているとともに、微力ながら公平かつ公正な選挙の管理、明るい選挙の実現に向けて最善の努力をいたすところでございます。 皆様におかれましても、何とぞ格別のご協力とご理解を賜りますようお願い申し上げまして、簡単でございますが、就任のごあいさつとさせていただきます。本日は貴重なお時間を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。 本日はありがとうございました。
○議長(出羽邦夫君) 以上で
選挙管理委員のご紹介を終わります。 〔
選挙管理委員 乙津一行君
退場〕---------------------------------------
○議長(出羽邦夫君) これより一般質問に入ります。 通告がありますので、順次発言を許します。 二十八番・西原文隆君 〔二十八番 西原文隆君登壇〕
◆二十八番(西原文隆君) 私は、墨田区
議会自由民主党を代表いたしまして、通告してあります四点について、区長に質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。 最初に、
老人医療受給者証の誤記問題についてお尋ねいたします。 本年六月に開催されました第二回定例会におきましては、八広小学校の増改築校舎が国の基準を上回るトルエンの検出量でありながら、校舎の引渡しを受け、その教室に生徒を入室させていたことが明らかになり、我が会派の代表質問でも厳しく問いただしたところであります。区長からも二度とこのようなことがないようにとの答弁をいただきました。 その後、検出値も基準内に収まり、教室を使えることになったとの報告を受け、安堵したわけですが、今度は
老人医療受給者証のうち五百十七人分が本来、
本人負担割合が二割であるべきところを一割と誤記したまま発行していたことが明らかになりました。 八広小学校のトルエン問題と今回の
老人医療受給者証の誤記問題とは、内容的には違っていても、根本的には両者とも初歩的な単純ミスであり、あってはならないことです。短期間のうちに大きなミスが繰り返されるということは、一体どういうことでしょうか。どこに原因があるのでしょうか。 私は、職場の中においても、また
職員一人ひとりの意識の中にあっても、仕事が惰性に流され、緊張感と責任感が全く欠如しているとしか思えません。また、仕事上でミスを犯しても、八広小学校のトルエン問題で見られるように民間では考えられないような責任者への処分の甘さも一因になっているのではないでしょうか。 この際、事務体制の見直しを行うことはもちろんのこと、直接事務を担当した職員のみならず、区長をはじめとする理事者、幹部職員、そして全職員が原点に立ち返り、区民の奉仕者として今与えられている職責の重要性をしっかりと再認識するところから始めなければなりません。このことを怠れば、必ず今後も同じミスを繰り返すことでしょう。 まず、ミスが連続して起きているこのような事態を区長はどのように受けとめておられるのか、また、どのようにして解決されようとしているのか、お尋ねをいたします。 仄聞するところ、直接的には
コンピュータへの入力ミスとのことですが、私も民間会社に勤務していたときに
コンピュータのプログラミングとオペレーターをしていた経験があります。どんなにすぐれた
コンピュータであっても
コンピュータを使うのは人です。間違って入力すれば間違った答えが出てくるのは至極当然です。 しかし、人間の行うことですから、ミスもありましょう。そのためには、
コンピュータへの正しい入力・操作はもちろんですが、それ以上に大切なことは
チェック体制をしっかりと整えることです。特に新規事業、事業変更がなされたときは、なおさらのことです。
チェック体制はどうなっていたのか、答弁願います。 次に、
本人負担割合を誤記したまま発行された
老人医療受給者証五百十七人分についての対応については、福祉保健部の係長級の職員が、おわびとお知らせの文書を持参の上、全対象者宅をおわびを兼ねて訪問し、正しい受給者証と取り替えていただくようお願いをされたと聞き及んでいますが、その結果どうであったか、ご答弁いただきます。 最後に、今回のミスにより本来老人医療費の二割を負担すべき高齢者の方々のうち一割しか払っていない方々の差額徴収分をどのように処理されようとしているのか、お尋ねいたします。 区では、
受給者証更新月に当たる八月一日以降に診療・治療を受けた高齢者に対しては、差額を病院に払うよう呼びかけているが、更新前の分については時間もたっているし、ミスをしたのは区として、区自ら負担すべきかどうか検討しているとの一部報道がなされております。 この際は、まず
誠心誠意おわびをし、ご理解をいただけるよう最大の努力をすることが肝心であります。高齢者の方々の中には、区の説明を理解し、差額を払っていただける方もあるでしょうし、区のミスだから区自ら負担するといっても、貴重な税金です。区民の間に不公平感が生じないよう慎重に、なおかつ早急に結論が導き出されなければなりません。 区長は、この問題をどのように解決されようと考えておられるか、答弁願います。 次の問題は、特別区における一般廃棄物の中間処理の検討の経過と、区としての今後の対応についてお伺いいたします。 平成十二年に
都区制度改革が実施され、その大きな柱として清掃事業が都から移管されました。私もかねがね区民に最も身近な自治体である特別区が清掃事業を行うことは、より区民に密着した事業を展開できるという観点から清掃事業の移管には大いに期待をしておりました。また、自区内で排出されたごみについては、収集、運搬から処分に至るまでのすべてに責任を負い、自己完結的に処理するという自区内処理の原則は、清掃事業に取り組む基本的姿勢と考え、高く評価してまいりました。このようなことから、
墨田清掃工場建設の際には、議会としても特別委員会を設置して十分議論を尽くし、区民の理解を求めながら協力してきたという経緯があります。 一方、平成六年に都区が合意した協議案には、可燃ごみの焼却については、自区内処理を原則とするが、自区内処理に至るまでの経過的対応として、清掃工場が未整備の区は
工場処理能力に余裕のある隣接区と
委託処理協定を結び処理をする、いわゆる
地域処理方式で行うことが明記されました。 しかし、その後、
ダイオキシン対策の必要性等の理由から、平成十七年度までの間は一部事務組合による共同処理を行うとの方針転換がされ、可燃ごみについては、現在、暫定的に東京二十三区清掃一部事務組合による共同作業が行われているところです。 一昨年より区長会では、
協議案どおり可燃ごみの中間処理を十八年度から地域処理に移行させるに当たり、
地域処理協定と
地域ブロックの設定等につき、鋭意検討されてきたと聞いております。しかし、仄聞するところによりますと、去る七月十六日の区長会総会において、新たな工場建設は必要性がないことと、二十三区は全体の責任として、特別区の区域から出される一般廃棄物の安定的な
中間処理体制を確保することが確認され、今後の特別区における中間処理のあり方については、平成六年の協議案にとらわれることなく、改めて区長会で検討するという極めて大きな方針転換の決定がされたとのことでございます。 そこで、この結論に至った経過について何点か質問いたします。 まず第一点は、このような重要な方針転換については、区長会で十分な議論がされた上での決定であったかと思われますが、区長の認識をお聞かせいただきたいと思います。 次に、今回の方針転換は、新宿区、中野区、荒川区の三区から区長会に対し、
工場用地取得の方向性を早期に示すよう強い要請があったことが発端だと聞いておりますが、それに対して、各区の考え方はどのようなものであったのか、お聞かせいただきたいと思います。 また、協議案で示された十八年度以降の地域処理への移行の検討の中で、どのようなことが問題として挙げられたのか。さらに、地域処理への移行が困難とされた背景には、近年のごみ量の減少や各区の逼迫した財政状況などの社会情勢の変化の影響があったのかどうなのか、その理由についてお聞かせ願いたい。 さらに、中間処理のあり方については、今後改めて協議するということになっていますが、
地域処理方式が見直されれば、引き続き現在の清掃一部事務組合を存続させ、共同処理を行うという現行の方式が有力となってくると考えられますが、この点についてはどうお考えですか、区長のお考えをお聞かせください。 最後に、工場のない六区については、今後当分の間、工場建設が行われないということになると、工場のある区とない区の間での公平化が大きな問題となると思われます。私は工場のないこれら六区も何らかの形で応分の負担をすべきと考えますが、この点についての区長の見解をお聞かせください。 三番目の質問は、
地下鉄半蔵門線開通後の諸課題についてお尋ねいたします。 本年三月十九日、待望の
地下鉄半蔵門線が開通して、間もなく半年が経過いたします。地下鉄の開通を契機として墨田区の活性化が大きく期待されているところです。新設された錦糸町並びに押上駅周辺だけでなく、区内の東武・京成線の各駅を中心として広い範囲でマンションの建設が進み、また現在もなお建設中のところが多く見受けられます。このことにより、本区の人口増にも大きく寄与していると考えられますし、若年層もふえてきたと聞き及んでいますが、まず人口と年齢層にどのような変化が見られるのか、今後の予測を含めて答弁願います。 次に、開通後に開催されたイベントは、好天にも恵まれ、予想以上の人出でにぎわいました。このイベントは、地下鉄の開通を祝うとともに、商店街並びに地域活性化に結びつけようとの趣旨でした。特に商店街の活性化については、三越あるいは渋谷へ地下鉄が直接乗り入れるという便利さで、果たして区内の商店街はどのようになってしまうのか危惧されていたところでございますが、影響があったのかどうか、お尋ねいたします。 錦糸町駅周辺では、開通以前と比べて人出は多くなっているようですが、他の商店街においては、祝賀イベント後の活性化に向けた取組みが目に見えてこないのは残念でなりません。しかし、最近になって、活性化に向けて勉強会を立ち上げた商店街もあるやに聞いております。活性化は、商店街自らが努力することが原則でありますが、行政の適切なるアドバイスも必要ではないでしょうか。地下鉄開通を商店街の活性化にどのように結びつけていかれるのか、答弁願います。 次に、押上・業平橋駅周辺地区の開発についてです。 押上駅は、
地下鉄半蔵門線の乗り入れにより、鉄道四線が集中する交通結節点となり、人の流れが大きく変化をいたしました。ただし、地下部分での乗換えが主であり、地上部分の商店街への活性化には結びついていないようです。 私も、商店街の会合に出席させていただくたびに、乗換えをされる方の一%の人でもいいから、たまには商店街に足を向けていただけるような魅力のある
商店街づくりに努力してくださいと申し上げておりますが、何といっても押上・業平橋駅周辺地区の活性化の決め手は、六・二ヘクタールに及ぶ
東武鉄道用地をはじめとする広大な土地をいかに開発するかにかかっているといっても過言ではありません。 既に、昨年十月からは開発に向けて地元の方々と数回にわたり勉強会を開催されているようですが、現在どのような状況にあるのか。また、錦糸町の精工舎跡地の開発が進行中であり、さらには東武曳舟駅前開発も決定している中で、どのようにして他地区と競合しない形で開発し、にぎわいを創出しようとされているのか、今後のスケジュールを含めて対応についてお尋ねをいたします。 次に、
東武社宅跡地開発についてであります。
東武社宅跡地の開発については、一・七ヘクタールの跡地全体を一体的な開発として計画し、施工に当たっては、本跡地の半分を地下鉄十一号線
乗り入れ工事推進のため工事ヤードとして使用し、大きく二段階に分けて施工することとなっております。既に、
一期開発計画の住宅・商業及び駐車場施設、さらには敷地周辺の道路の拡幅整備、地下道の駅出入口の移設は完了していますが、地下鉄工事が終了した現在、住宅・商業・業務・文化施設を施設内容とする二期開発計画がどのような予定になっているのか、ご答弁願います。 さて、地下鉄の開通は大変喜ばしいことではありますが、一方では放置自転車が急増し、駅周辺の方々からの苦情が絶えません。特に
自転車整理員の手薄になった昼間は、手の施しようがありません。道路いっぱいに放置された自転車のために車の通行もままならず、万が一のときには大変な事態にもなりかねません。無理して通行した自動車のために、軒先に取りつけた配電盤が何回も壊され、その都度、数万円の修繕費を払っている店もあります。また、駅前に設置されている金融機関の
サービスコーナーも、入口をふさがれて利用できないような状況です。 このような事態が起こることは、地下鉄の導入が決定された時点から予測され、私も本会議あるいは委員会において、
自転車駐車場の設置を要望してまいりましたが、今日まで設置でき得なかったことは、まことに残念であります。しかし、今定例会において
自転車駐車場設置のための補正予算が上程されることになり、関係各位のご努力に心から感謝を申し上げる次第です。 今回設置される
自転車駐車場の開設は平成十六年四月からで、収容台数は千台収容と説明をいただいておりますが、現在設置されている第一・第二及び地下鉄工事のために仮設された北十間川沿いにある
自転車駐車場は廃止になるのでしょうか。 次に、昼間に放置自転車が多いということは、通勤のための月極めの利用者だけでなく、電車を利用しての買い物等の一日利用者も多いのではないかと思われますが、その対策はお考えでしょうか。その他、
自転車整理員の配置、利用料等、運営管理をどのようにされるのか、お尋ねいたします。 また最近、押上駅東側出入口から桜橋通りに抜ける道路において、早朝女性が襲われそうになった事件が何回かあったそうです。幸いにも、ご近所の方の協力によって大事には至らずに済みました。今回予定されている
自転車駐車場設置場所も人の目に触れにくいところが予定されていますので、防犯対策面でも十分な配慮が必要と考えます。 さらには、
自転車駐車場開設までにはまだ半年以上もあります。その間は、
自転車整理員の増員、あるいはキャンペーンをするなどして、しっかりとした
放置自転車対策をお願いいたします。答弁願います。 最後の質問は、防災対策についてであります。 最初に、大震災八十年を節目としたこれまでの防災対策の総括と今後の対策についてお尋ねいたします。 大正十二年九月一日午前十一時五十八分、
関東地方全域にわたって大被害をもたらした関東大震災から、今年は八十年になります。記録によれば関東大地震の震央は相模湾の海底と推測され、北海道より沖縄に至る地域でも人体に感じ、全世界の地震計に記録をとどめた大地震でありました。被害は、東京、神奈川、千葉、埼玉、静岡、山梨、茨城の一府六県に及び、東京、神奈川において特に広大でありました。震災予防調査会の報告によりますと、死者・行方不明者は十四万人余り、家屋全半壊が二十五万戸、焼失四十四万戸余りにも及んでいます。 しかし、地震よりも火災による被害が大きく、横浜では揮発物や重油の炎上により市街から海上まで文字どおり火の海と化し、東京では強風下に四十時間にわたり火災が続き、下町一帯の古い市街を焼失させました。特に、本所被服廠跡では四万の人が焼死したと言われています。 関東大震災で最も被害を受けた本区は、関東大震災並びに平成七年に発生した阪神・淡路大震災を教訓に、人命尊重を基本とする防災対策を最重点課題とし、昭和五十四年三月、墨田区地域防災基本条例の制定をはじめとして、墨田区地域防災計画並びに墨田区震災復興計画策定指針を策定し、■防災意識の高揚、■地域防災の組織化、■防災情報通信網の整備、■防災応急物資等の整備等、積極的に防災対策に取り組んでこられたことを高く評価いたします。 さて、去る九月一日、横網公園で行われた関東大震災並びに都内戦災殉職者秋季慰霊大法要に出席させていただきました。区長さんは追悼の辞の中で、地震災害への備えをより強固にする決意と世界平和に貢献する決意を表明し、同じ惨事が起こらないように不断の努力を重ねることを誓っておられました。私も全く同じ思いです。 しかし一方では、この八十年間のエネルギーはたまり、東京直下の地震はいつ起こっても不思議ではありません。区民の生命と財産を守る防災対策には万全を期しても限りはありません。そこでお尋ねしますが、この八十年間の墨田区の震災対策の総括と今後の展望をお聞かせいただきたいと存じます。 次に、東京都では、東京都震災対策条例に基づき、昭和五十年十一月に第一回を公表して以来、五年おきに地震に関する地域危険度測定調査を行っており、昨年十二月に第五回目の公表がありました。今回の調査は、都内都市計画区域の五千七十三町丁目について、各地域における地震に対する危険性を建物倒壊危険度、火災危険度、避難危険度の面から、一から五までのランクで相対的に評価し、地域の地震に対する危険度を明らかにしたものです。 この調査で明らかになったことは、まず避難危険度においては、区内百四町丁目のうち、平均より危険度が高いのは三町丁目であり、都内全域でも危険度百位以内に入っているのはありませんので、ほぼクリアしているといってもよいのではないでしょうか。 次の火災危険度については、平均より危険度が高いのは十七町丁目で、都内全域では危険度百位以内に入っているのは五町丁目です。私の予想より危険度が低かったことは、長年にわたって不燃化事業に取り組んできた結果、かなり改善されたからではないでしょうか。ただし、京島二・三丁目、押上三丁目、墨田三丁目、東向島一丁目は高い数字を示しており、引き続き積極的に取り組んでいかなければなりません。 最後の建物倒壊危険度については、平均より危険度の高いのは区内五十九町丁目であり、墨田区全体の半数以上に上っております。都内全域でも危険度百位以内に入っているのは二十二町丁目もあります。しかも、都内ワースト一位、二位は墨田区です。 この調査を通して感じたことは、従来は地震発災後の対応に重点が置かれておりましたが、今後は建物倒壊による危険性を十分考慮に入れた新防災体制の構築が必要と考えます。特に、建物の新築や増築をする場合、地質をよく調査し、耐震性の高い建物をつくること、また、既存の建物については耐震診断を行い、必要に応じて補強するなどの対策を講じることが求められています。 区長は、この調査結果をどのように分析されているのか。また、この結果を踏まえてどのような対策を考えておられるか、お尋ねいたします。 最後に、地域の防災意識と防災行動力をどのように向上させるのか、お尋ねいたします。 先日、ある会合に出席させていただいたときのことです。出席されていたのは十町会ほどの町会長さんをはじめ役員さんの方々でした。たまたま防災が話題になり、いざ災害が発生したときに、どのような方法でどこへ避難をするのかという話になりました。しかし、一時集合場所、避難場所、避難所の区別がよくできていなかった方々の多かったのには大変驚くと同時に、果たして災害が発生したときには大丈夫だろうかという心配に駆られました。 どんなにすばらしい施策を持ち合わせていても区民の皆さんに周知徹底されなければ何の意味もありません。区民への周知方法についてどのようなことを考えているのか。また、防災意識を高めるための努力はどのようにしているのか、今後の地域防災行動力を高める方策は考えておられるのでしょうか。以上の点を区長にお尋ねをして、私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。 〔区長 山崎昇君登壇〕
◎区長(山崎昇君) ただいまの自由民主党の西原議員さんのご質問に順次お答えをいたします。 まず、八広小学校のトルエン問題、老人医療証の誤発行と、ミスが連続して起きている事態について、どう受けとめているかということでございますが、このように、あってはならない事態を二度にわたって起こし、区民の皆様に多大なご迷惑をおかけいたしましたことに、改めましておわびを申し上げたいと存じます。 私はかねてから、職務の執行に当たっては政は正なり、区民の信頼なくして行政は成り立たないと全職員に対し、機会あるごとに指示をしてまいったところでございます。それが遵守されず、このような事態が生じたことにつきまして、私としてもまことに遺憾であるとともに、その責任を痛感をしているところでございます。二度とこのような事態が生じることのないよう、改めて全職員に区民の奉仕者としての職責の重要性につきまして注意を喚起したところでございます。 次に、どのように解決するのかとのご質問でございますが、事件発生後、直ちに全庁を挙げ、事務全体についての総点検と
コンピュータにより処理している業務のチェックを指示したところでございます。また、再発防止に向け、助役を長とする事務開発協議会に対し、事務のマネジメントサイクルにおけるさまざまな問題を注視し、緊張感のある職場風土の醸成を前提として、どのようにしたらミスのない事務処理ができるか、また
コンピュータ化するに当たって、どういう点に留意してシステムを構築するかなどといった点から、事務処理のマニュアル化の推進、
チェック体制の整備、組織間のコミュニケーションや情報の共有化の徹底などの改善策について検討を行わせております。速やかに一定の結論を出し、組織を挙げて改善策を実行に移し、二度とこのような事態が生じることのないよう取り組んでいく決意でございますので、ご理解をいただきたいと存じます。 次に、
老人医療受給者証誤記問題の概要とその対応策について何点かお尋ねがありました。 まず、
コンピュータの
チェック体制についてでございます。 今回の受給者証発行システムの構築に当たっては、負担割合の判定基準が正しく設定されているかテストを行い、特に二割証対象者は、全件テストデータを出力して、税務データと突合を行って確認をいたしております。 しかしながら、今回の問題の原因は、システム設計の際に、自己負担割合の判定基準を誤って解釈して設定してしまったことにあります。具体的には、事業収入等では必要経費控除前の額で判定しなければならないところを、思い込みで必要経費控除後の額で判定するシステムを構築したため、負担割合区分を誤ったものでございます。これは、国の通知をきちんと確認するという基本的な仕事の手順を遵守しなかったことと、管理・監督の立場にある者が担当職員からの報告内容について精査をしなかったこと等がその原因と考えております。 今後は、仕事の手順についてのチェックリスト等を作成し、また大幅な制度変更時には、課長を構成員とするシステム検討会を設置する等、再発防止に全力を挙げて取り組むとともに、私も含めた関係職員の責任についても厳正に対応したいと考えております。 次に、対象者への戸別訪問の結果についてのお尋ねでございますが、八月十五日から八月二十二日までに全四百世帯の訪問を終了いたしました。その際、対象者の方々におわびの上、ご説明を申し上げましたところ、初回訪問では、六世帯を除いて正しい受給者証との交換に応じていただきました。その後、六世帯の方々も老人医療担当から再度ご説明をし、全対象者の方々に二割証との差し替えを行わせていただきました。 その上で、これまでの差額分の取扱いをどうするかということになります。ご指摘のとおり、この差額分については、区の事務処理ミスではございますが、老人保健法にのっとり、本来ご負担をいただくべき金額であることも事実でございます。区民の皆様に多大なご迷惑をおかけして大変心苦しくは存じますが、皆様のご理解を得ながら、他の被保険者との公平性の観点から、原則返還をお願いしてまいりたいと考えております。 なお、返還に当たっては、分割納付の相談に応じる等、きめ細やかな対応とともに、区民の皆様のご理解をいただけるよう誠心誠意かつ最大限の努力をしてまいりたいと思いますので、ご理解をいただきますようお願いを申し上げます。 次に、特別区における一般廃棄物の中間処理について何点かお尋ねがありました。 まず一点目は、七月十六日の区長会総会で行われた特別区における一般廃棄物の中間処理の方針決定についてのご質問でございます。 私はこれまで、区内から排出された一般廃棄物に関しては、自区内処理の原則のもと、区民や議会の皆様のご理解をいただきながら
墨田清掃工場建設への協力や清掃事業の区移管の推進を行ってまいりました。したがって、今回の方針の変更については、私自身としても疑念の残るところもございます。しかし、この方針変更がごみ量の減少や各区の危機的な財政状況、中間処理をめぐる環境問題等を総合的に勘案した結果、当面の現実的対応としてやむを得ないのではないかと受けとめているところでございます。 二点目は、新宿、中野、荒川の三区からの
工場用地取得に関する各区の考え方についてのご質問でございます。 平成十三年八月に新宿区、中野区から、翌年三月には荒川区から、清掃一部事務組合に対し
工場用地取得に関する要望書が出されましたが、ごみ減量の推移や各区の財政状況等も踏まえ、区長会で種々議論をいたしましたが、その時点ではなかなか結論が出せないという状況でございました。その後統一地方選挙で区長会メンバーも新しい構成になったことから、改めて本年六月に区長会に対し三区連名で用地取得に関する要望書が提出されました。区長会でも、これ以上結論を先送りすることは適当ではないとの判断のもと、先ほど申し上げましたさまざまな視点から検討を行い、現実的な対応として今回の方針転換に至ったという経緯でございます。 三点目に、地域処理への移行の検討の中でどのようなことが問題となったのか、また困難とされた背景についてのご質問がございました。 協議案に基づく自区内処理の実現までの
地域処理方式の実施が困難な理由として、特別区のごみ量が大きく減少し、今新たな清掃工場の必要がないことや区財政を取り巻く環境が極めて厳しい状況にある等の社会情勢の変化の中、区民の理解を得ることが難しいということがございました。また、そのほかにも新たな工場の建設が、ごみ減量という状況の中で国庫補助対象として認められるかどうかが非常に問題となったわけでございます。そういうことがハードルとして挙げられました。 四点目に、今後の中間処理のあり方についてのご質問がございました。 今後の特別区における中間処理のあり方につきましては、協議案にある地域処理にとらわれることなく、改めて区長会で協議することが決定されましたが、
地域処理方式を見直すとなりますと、西原議員さんご指摘のとおり、現在の共同処理方式を継続させることが最も有力となります。しかしながら、仮に現在の清掃一部事務組合が存続するといたしましても、私は運営の透明性の確保や組織のスリム化、効率化等を図ることが不可欠であると考えております。 最後に、清掃工場のない区は何らかの形で応分の負担をすべきというご質問でございました。 私も清掃工場のない区は、ある区に対しリサイクル施設の設置やその他何らかの清掃事業における責任分担を行うことにより応分の負担をすべきと考えております。また今回、当面工場建設の必要性はないという結論になりましたが、それは、その区に永久に工場を建てないということではなくて、将来ごみが増加した際や既存の工場を建て替える際に、どこに工場を整備するかということについては、二十三区全体としての再検討が必要であり、区長会の協議の中でも当然議題に上がってくるものと思われます。さらに、財政上の調整についても、どういったことが可能か、今後十分検討する必要があると考えているところでございます。 次に、
地下鉄半蔵門線開通後に関する幾つかのご質問にお答えいたします。 墨田区全体の人口は、平成十二年に四十年ぶりに増加に転じて以来、着実な増加が見られております。これは地価の下落により都心回帰の現象がここのところ顕著となり、これにあわせて区内でも分譲マンション等の建設がふえていることによるものと思われます。若年層の増加につきましては、平成十五年と平成十年を比較いたしますと、最も顕著な増加が見られるのは三十歳代でございまして、単純に比較いたしますと六千七百人の増加が見られます。この詳しい分析はいたしておりませんが、その要因の一つとして、比較的購入しやすい価格帯の分譲マンションの増加が若年層の転入に結びついているのではないかと考えております。 今後の予測でございますが、我が国の人口は二〇〇六年をピークに減少するとの推計もございますので、人口の増加には一定の歯どめがかかるかと考えられますが、私としては、住んでよく、働いてみたいまちづくりを積極的に推進することで若年層の増につなげてまいりたいと考えております。 次に、
地下鉄半蔵門線開通による地元商店街への影響についてでございます。 押上や業平橋周辺の商店会長さんなどからのお話によりますと、地下鉄が開通してから大変多くの乗換客が駅を利用しているようですが、これらの方々のほとんどが地上にまで足を伸ばして商店街を利用するまでには至っていないのが現状であると聞いております。 そこで、地下鉄開通を商店街の活性化にどのように結びつけていくかでございますが、私は、この半蔵門線の乗降客を単に区内を通過するだけの客には絶対にしてはならないと考え、この乗降客も含め、区外から多くの買物客を呼び寄せることを目的に商店街PR支援事業を今年度から新しく実施したところでございます。 本年七月に、区内各域と都バスの車内に商店街等が行うイベントや売出しを紹介したポスターによる宣伝を行いました。商店街の方々から新たな事業を企画したい、商店街にやる気を起こさせる等々の積極的なご意見もいただきましたので、歳末セール期間である本年十二月もこのようなPRを実施してまいりたいと存じます。 また、区といたしましても、職員が直接商店街に出向きまして勉強会等に参加し、活性化のためのお手伝いをさせていただいているところでございます。具体的には、押上・業平橋地区の六商店街で地域の資源を生かして商店街中心のまち起こし事業を検討するために押上・業平のまちを考える会を立ち上げるなど活性化へ向けた取組みが見られているところでございます。今後においても商業振興事業を活用しながら、さらに地域商店街を支援してまいりたいと存じます。 次に、押上・業平橋駅周辺地区の開発について何点かご質問がございました。 一点目は、押上・業平橋駅周辺地区の開発に向けた現在の状況についてでございます。 当地区の整備につきましては、地区整備計画案の中で、地区の鉄道南側において土地区画整理事業を活用し、駅前広場、道路、公園の整備を図り、さらに地区計画等を導入しながら、駅前にふさわしい質の高い都市景観の形成や秩序ある土地利用の実現を誘導・推進することとしております。 この計画案の実現を目指して、これまでも開発に向けた基本的な方向につきまして地区内の権利者と協議を進めてまいりました。そういった中で昨年十月から押上一丁目十一番街区の地権者の方々ともまちづくり勉強会を通して開発への合意形成を図ってきたところでございますが、現時点でおおむねのご理解をいただいていると存じております。 一方、地区内の大規模地権者とは十四年七月に設立した再開発推進協議会におきまして、まちづくりの合意形成を図っており、地区整備に向けた基本的な方向について一定の理解をいただいております。次のステップとして、再開発推進協議会及びまちづくり勉強会をまちづくり協議会に統合して、地区整備に向けた具体的な作業を進めることを予定しておりますが、大規模地権者である生コン二社の移転問題が社内的にいまだに解決されないため、次に進むことができない状況にございます。 しかしながら、地権者の方々のまちづくりの機運を察しますと、なるべく早い段階に具体化することが望まれますので、区としても都市基盤整備公団の協力を得ながら積極的に問題解決に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 二点目は、当地区の開発を他地区と競合しない形でのにぎわいの創出と、スケジュールを含めた今後の対応についてでございます。 当地区の周辺においては、京成曳舟駅周辺では大型商業施設と住宅系を中心とした再開発が具体的に進められており、また錦糸町の精工舎跡地におきましては、業務・商業・住宅の複合開発が既に着手されております。当地区における民間の開発計画は、鉄道四線の結節点である利便性としての立地条件を十分生かすとともに、曳舟駅周辺地区や錦糸町駅周辺地区等の大規模開発に導入される施設を十分踏まえた上で当地区の独自性を主張した地下鉄利用者が好んで訪れるような施設誘致が地域の活性化につながることになります。 そのスケジュールでございますが、まちづくり協議会が発足した後、開発計画の内容を検討することになりますので、その中で区としてはにぎわいを創出する開発が実現できるよう民間事業者を誘導してまいりたいと存じます。過日の半蔵門線開通式で、東武・京成電鉄のトップと直接お話をする機会がありましたので、早期実現に向けての協力要請もいたしたところでございます。 三点目は、
東武社宅跡地の第二期開発の予定についてでございます。 第二期開発につきましては、東武鉄道としてこれまで半蔵門線との乗り入れ工事が完了した後、速やかに着工する旨の報告を受けておりましたが、現時点で具体的な計画案の提示はございません。しかし、東武鉄道としては早期に社宅跡地の有効利用を図る考え方から鋭意検討中のようであり、近いうちに開発計画案をまとめ、区に提示したいとの報告を受けております。 区といたしましては、第二期開発の計画内容を見た上で、住宅・商業・業務・文化というこれまでの土地利用計画を実現できるように適切に誘導してまいりたいと考えております。 次に、押上駅周辺の
放置自転車対策について、数点にわたって質問がございました。 まず、放置自転車解消のための
自転車駐車場が京成本社の西側の東武鉄道所有地の中に整備できる見通しが立ち、今回の補正予算でその整備計画をお願いしているところでございます。 質問の第一点でございます
自転車駐車場の設置に伴い、既設の駐車場はどうなるかということでございますが、第一駐車場は新しい駐車場の出入口となるため、廃止を予定いたしております。第三駐車場は、第二期
東武社宅跡地開発の関連から借地期限が今年度末というふうになっております関係から廃止ということになります。また、北十間川沿いの南口臨時駐車場につきましては、当初、地下鉄の開通に合わせ廃止を予定しておりましたが、地下鉄開通に伴う押上駅全体の駐輪需要並びに新しく設置する駐車場の利用状況の推移等をいましばらく見ることとし、来年度中にその存廃を検討したいと考えております。 次に第二点目の一日利用についてのご質問でございますが、新しく設置する
自転車駐車場は通勤・通学のための定期利用者で満杯となることが予想され、当日利用者のためのスペースを確保することが困難かと考えられますので、今回は見合わせをさせていただいております。今後、利用状況を見た上で改めて検討させていただきたいと存じます。 次に、第三点目の
自転車整理員、利用料等、運営管理についてのご質問でございますが、
自転車整理員につきましては、現在、駅周辺に数名を配置しておりますが、新しい
自転車駐車場は平場における独立した形態の駐車場であることを考慮し、開設後、混乱等の生じることのないよう、場内担当の
自転車整理員を配置する考えでございます。次に、利用料等の運営管理については、新しい
自転車駐車場は当該年度につき登録手数料二千円を納付していただく第一種特定
自転車駐車場としての設置運営を考えております。 次に、第四点目の防犯対策と開設までの
放置自転車対策についてのご質問に一括してお答えをいたします。 開設までの
放置自転車対策は、今回の補正でもお願いをいたしておりますが、緊急地域雇用創出特別補助事業を活用し、駅周辺における
自転車整理員の増強を図る中で対応してまいりたいと考えております。また、開設後は錦糸町駅周辺で実施してきましたような放置自転車追放キャンペーンを地元町会、京成電鉄、営団などの鉄道関係者、警察等で構成する
放置自転車対策協議会を結成していただき、区も一体となって
放置自転車対策に取り組んでまいりたいと考えております。 防犯対策についても大変憂慮しているところでございますが、施設整備面における照明灯の照度や配置の工夫、または場内整理を担当する
自転車整理員の防犯面への活用など万全を期してまいりたいと考えております。 とりわけ地域の防犯対策には、先ほどもお話し申し上げましたとおり、
放置自転車対策協議会などの地元の皆様の連携が最も重要でございますので、私はこうした地域力の強化・支援をしていく中で犯罪等の発生抑制に結びつけてまいりたいと考えております。そうした折には、ぜひともご協力を賜りますようお願いを申し上げます。 最後の防災問題についてお答えをいたします。 まず、大震災後八十年を節目としたこれまでの防災対策の総括と今後の対策についてのお尋ねでございます。 墨田区は、過去の大震災や戦災などによって壊滅的な被害を受けましたことから、区民の生命と財産を守る防災対策を区政の最重要課題に掲げて、逃げないで済む、燃えないまちづくりに積極的に取り組んでまいりました。その結果、全国に先駆けての不燃化促進事業の実施や防災活動拠点会議の育成・充実、雨水を利用した初期消火活動用の貯水槽など、自助・共助・公助による地域防災力の向上に一定の成果を挙げることができたと考えております。 しかし、阪神・淡路大震災の死者の九割が家屋や家屋内の家具の倒壊による圧死であったことや、本区の不燃化率も大幅に向上したことなどから、今後は燃えないまちづくりから、壊れない・燃えないまちづくりにグレードアップを図っていくことが必要であると考えております。このため、今後新たな防災対策としての耐震化の促進、備蓄のあり方や正確な情報の把握を中心に新しい防災まちづくりを構築するための調査・研究を行うこととし、既に庁内に学識経験者も含めた研究会を立ち上げる準備をしているところでございます。この研究をもとに、本区における今後の新しい防災対策を再構築してまいりたいと考えております。 また、大震災時の復興期における対策につきましては、東京都において本年三月に東京都震災復興マニュアルが全面改定され、また東京都震災対策条例の改正も予定されることから、復興期における新たな取組みが求められることとなっております。 区におきましても、既に平成十一年三月に墨田区震災復興計画策定指針を策定し、復興期における対応を明らかにしてきたところでございますが、これら東京都の動向等を踏まえつつ、災害復興条例の制定及び災害復興マニュアルの策定を予定し、現在その検討を行っているところでございます。このため、今後は復興期における対策も従来の防災対策とあわせて積極的に進めていきたい、そのように考えております。 次に、東京都が行った第五回の危険度調査の分析と対策についてのお尋ねでございます。 今回の調査は、前回の調査に比べ人的危険度や消防力、液状化問題が調査項目として触れられておりません。各回の調査ごとに主な基礎データや危険量の測定方法が異なっておりまして、ランクも相対評価であることなど、前回調査と必ずしも単純には比較できませんが、総合危険度の最も高いランクが墨田区は前回に比べ十二町丁目から四町丁目に減少しており、特に京島三丁目はワーストワンから六十五位に下がり、その他の残り三町丁目も六十五位以下となっております。このことは、区民の皆さんと区が協働して防災対策を積極的に進めてきた成果があらわれているものと考えております。 また、個別の危険度調査の評価のほかに、今回から建物倒壊危険度、火災危険度、避難危険度の組合わせで危険度特性評価という地域の危険性をわかりやすく指標化しております。 この中で、墨田区としては危険度特性評価が比較的低いのが四十二町丁目あり、区内全域の四〇・四%を占め、避難危険度は比較的低いが、建物倒壊、火災危険度が高く、注意を要するまちが十六町丁目あり、全体の一五・四%、建物倒壊、火災危険度は低いが避難危険度が高いのが二町丁目あり、全体の一・九%となっております。 このような結果を先ほども申し上げました庁内に設置しました研究会で詳細にわたり分析し、防災対策の再構築に反映してまいりたいと考えております。 三点目としては、地域防災意識と防災行動力をどのように向上させるかのお尋ねでございます。 現在、小学校を単位として区内三十か所に拠点会議が設置されております。この拠点会議のモデル事業として、平成十二年度から実施をいたしております災害弱者サポート隊事業の推進もあわせて行い拠点会議自体の活性化を図り、自助・共助・公助の役割を明確にしつつ、地域防災行動力の向上に努めているところでございます。 また、今回の補正予算で地域がつくる防災マップ事業を実施する予定としております。防災会議や構成員の町会・自治会の協力をいただきながら、区域ごとに消火器、一時集合場所、防災倉庫等の防災関連施設を表示した防災マップを作成するものでございます。これを町会・自治会が行う図上訓練や住民への防災関連施設のPRとして活用することといたしております。 また、東京都の延焼シミュレーションの活用や区のお知らせ、総合防災訓練、防災フェア、地元とのイベント、地域の防災訓練等々、あらゆる機会に防災対策のPRを行い、防災意識の向上に努めてまいりたいと存じます。 以上でご答弁を終わらせていただきます。
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○議長(出羽邦夫君) 二十一番・広田充男君 〔二十一番 広田充男君登壇〕
◆二十一番(広田充男君) 私は、墨田区公明党を代表しまして、先に通告してあります大綱五点について、区長並びに教育長に質問いたします。明快な答弁をよろしくお願いいたします。 なお、先の西原議員と重複する質問もありますが、我が党の視点で質問しますので、区長よろしくお願いいたします。 まず初めに、我が区でこのところ続けて発生している行政上のミス等についてお伺いいたします。 六月の前定例会でさまざまな議論があった八広小学校問題。増改築工事に使われたトルエンが高濃度のまま残留し、子供たちにシックハウス症候群の病状が出たという問題であります。そもそも八広小学校は、木下川、五吾、更正の三つの小学校を統合するため、地元住民や保護者の間にさまざまな意見がある中、行政があえて住民を説得して統合に至ったという経緯があるわけです。したがって、そのための増改築工事に当たっては、細心の注意を払って十分なチェックをしていくということが当然だったと思います。ところが、結果はどうであったか。工事に当たった営繕課サイドの検査も、引き渡しを受けた教育委員会の確認もおざなりで、ずさんなものだったと思います。一体、検査は何のためにやるのか。こうした事態を防ぐためにあるのではないでしょうか。幾重にも区のミスが重なったことからこうした事態になったわけであり、区の行政組織はどうなってしまったのかと言わざるを得ません。 また今般、老人医療証の問題も発覚しました。これは本来、自己負担が二割の人に対し一割負担でよいという医療証を送ってしまったという問題です。しかも、十か月もの間、だれも気づかなかった。国からの通達を見落としてと言われておりますが、どうしてそういうことが起きるのか。そもそも老人医療制度は、老人保健法に基づく国の制度であって、その運営については国の通達によって行われるわけであり、これを見落とすということが理解できません。 また、一割負担の医療証については、本人から申請があったときに交付する、このことが原則なのに、時間がなかったこともあってか、いわば一方的に区から送付したわけです。区が勝手に送ってきて、また今度は間違っていたので取替えに来るということ自体、区民の側から見ると大変わかりにくく、理解しがたい状況ではないかと思います。 これらの点を考えますと、私は職員の間に事なかれ主義やなれ合い感覚が蔓延しているのではないかと懸念を禁じ得ません。区民に迷惑をかける事態が連続して起きるということの本当の原因はどこにあるのか、改めて徹底的に究明し、行政組織の立て直しを図っていく必要があると考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。 次に、行財政改革並びに行政経費の削減について、提案を含め質問いたします。 経済専門の週刊誌「週刊ダイヤモンド」の八月二十三日号で、地方自治体の財政破綻度ランキングが掲載され、墨田区は東京全体で八王子市、狛江市に次いでワーストスリーでありました。二十三区の中では第一位にランキングされていました。まさに財政状況の悪さが天下に公表されたわけであります。 先般、マスコミに百貨店の丸井が大規模な経営改革、人事制度の見直しを十月一日からスタートすると報道されていました。現在、丸井の正社員は六千五百人ですが、そのうち七百人は割増退職金を受け取って九月末で退職し、残る五千八百人のうち、丸井に残れるのは管理部門の三百人のみ、それ以外の九五%の五千五百人の社員は退職金を受け取って一旦、丸井をやめ、十月から十一社ある子会社の社員になるということです。給料体系も成果主義を導入し、基本給プラス成果給という形に一変させる。また、成果主義の導入によって退職金制度も廃止するなど、社員にとって大変厳しい新体制がスタートすることになります。 しかし、現在の丸井の業績は順調で、二年連続の増収増益を続けており、今期一月の決算でも売上高五千五百八十九億円で前期比一・三%増、経常利益は三百三十九億円で同二・七%増になっている優良企業であります。 丸井の例はあくまでも一例ですが、利益を出している民間企業でさえ、このような血のにじむような努力をしている実態と比較すると、公務員は恵まれている環境に甘えているのではないかと世間は厳しく見ております。先に述べた連続する不祥事の根っこはここにあるのではないかと思われます。 したがって、役所改革、職員改革が一番の行政改革であると考えますので、人事制度のさらなる見直しや業績主義の強化などを踏まえ、責任と権限の明確化を進め、大胆で具体的な改革の道筋と期限を明確にするよう強く求めるものであります。この点について、区長のご所見をお伺いいたします。 次に、公明党が国会や都議会で既に指摘してきたことでありますが、職員の定期代の支給についての問題であります。現行の一か月単位での支給を六か月単位の支給に変更すると割引が適用され、国家公務員で年間七十五億円、東京都の職員で二十八億円、墨田区の職員で三千二百万円、すべての自治体で実施すると国全体で百七十五億円も削減されることが試算で明らかになりました。 国家公務員については、先に発表された人事院の勧告で明年四月から実施が決定されました。これを受けて東京都、墨田区でも明年四月からの実施に向け検討していると伺っておりますが、厳しい財政状況を考えれば、四月からというのではなく、前倒しをして実施すべきであります。 民間企業であれば、来月からでも実現しようと努力するのが当たり前です。二十三区で足並みをそろえて実施しますという理由では、区民の納得は得られません。我が区だけでも他区に先駆けて実施するよう強く求めます。区長のご所見をお伺いいたします。 次に、退職時名誉昇給制度についてお聞きいたします。 一部マスコミで指摘され発覚いたしましたが、在職十五年以上の者には二段階、十五年未満の者には一段階、退職金の計算上の基礎になる基本給を退職時に自動的に昇給させることによって、結果として退職金を上乗せする、このようなシステムは労使間のなれ合いと批判されて当然であります。民間企業でも長年勤め功労のあった方に、その功労に報いる制度を採用している例はありますが、一律全員にという競争原理の働かない時代錯誤の現行の制度は、悪弊以外の何物でもないと思います。 いつからこのような制度を採用してきたのか。昨年度の場合、退職金の上乗せ額は幾らになるのかお聞きいたします。このような制度は、速やかに見直し、区民の理解を得られるよう改善をすべきであります。区長のご所見をお伺いいたします。 次に、これもたびたびマスコミで取り上げられるようになりましたが、区長の退職金についてであります。 庶民感覚からかけ離れた金額に痛切な批判が加えられております。この先ますます世論も加熱してくると思います。現下の区の財政状況、区民感情、時代背景を勘案し、区長はこの退職金の見直し問題に対してどう認識し、改善をなされるのか。前定例会でも議論がありましたが、改めてご所見をお伺いいたします。 今、区内の中小・零細企業は、現在の不況下でピンチをチャンスにととらえ、弱肉強食の厳しい現実を必死に乗り越えようと努力しております。区の行政組織としても、区民の皆さんの厳しい目にさらされている今こそチャンスととらえ、住民参加型の自治体を確立するため、透明度とコストパフォーマンスの高い行政運営を行うよう、行政評価制度の充実と公開、できるだけ多くの施策について、コミュニティ懇談会やパブリックコメントを通して区民の理解と納得が得られるシステムづくりなどの構築へ向けての努力をするべきであります。この点について区長のご所見をお伺いいたします。 次に、私は、二十二万区民の生命と財産を守るために我が区でも(仮称)「安全・安心まちづくり条例」の制定を検討してはどうかと提案するものであります。 昨今、日本全国で考えられないような異常かつ凶悪な犯罪事件が日常茶飯事に起こっている様子がテレビ・新聞等マスコミで連日報道されています。今、日本の国の治安そのものが大きく悪化しているといっても過言ではないと思います。 殺人事件をはじめ強盗、放火、ピッキング、ひったくりなど、今、都会でも場所によっては、夜一人で安心してまちを歩けないと言われているほど、日本は少し前までのニューヨークなど治安の悪い外国と同じになってしまうのではと危惧されております。 東京都は、世界都市・東京の安全の確保のため治安対策担当の副知事を任命し、先日の第二回定例都議会の最終本会議で安全・安心まちづくり条例を可決し、十月一日の施行を目指して準備を進めています。また、二十三区の各区でも条例もしくはそれに準ずるものを検討していると仄聞しております。墨田区でも昨今、殺人事件や空き巣やひったくり、放火による火災をはじめ、犯罪の凶悪化が顕著になってきていると警察も指摘しています。言うまでもなく、安全な生活は市民社会の基本でありますし、また今、区民が一番関心を持ち、かつ望んでいることと思います。 これら区民生活を脅かすさまざまな多発する犯罪は、複合的な要素が絡み合って起きており、その対策は警察だけに任せていれば事足りるという考え方は通用しなくなっていると私は思います。だからこそ、これからは一番地域、住民に身近な行政である区役所が警察、消防、住民団体などと連携を強化して、犯罪に強い、そして犯罪を起こさせないまち・墨田づくりに総合力を発揮していくべきであります。 そのために、我が区も(仮称)「安全・安心まちづくり条例」、もしくはそれに準ずるものを制定して対応すべきであると考えますが、区長のご所見をお聞きいたします。 もう一点は、この条例に関連し、区の行政組織の中に(仮称)「危機管理室」を設置すべきであるということであります。 先に述べましたように、日本の治安は世界最高という、いわば安全神話が崩壊しつつあるという現実の中で、区民の生活、安全の確保という命題に対して、迅速で的確な対応ができる体制を平時から設置しておく必要があると考えます。したがって、従来の防災課を発展的に拡充して、自然災害対策だけではなく、区内で起こるさまざまな事件や事故に関して一元的に情報を把握し、各部課で対応し切れない事態が生じたときなどは、全庁的な調整機能を持つ危機管理専門の組織を設置して、速やかな対策を講じるべきであると考えます。二十三区の中でも世田谷区、新宿区、杉並区、足立区などは、既に危機管理室を設置して警察・消防との連携体制づくりや庁内の危機管理マニュアルづくりに取り組んでおります。 ともかく小学校内での多数の児童の殺傷事件や新型肺炎など、これまで予想もできなかった事件や問題が多発するという時代状況の中で、二十二万区民の生活をいかに守り、安全で安心なまち墨田を構築していくかが近々の課題であると思うのであります。区長のご所見をお伺いいたします。 次に、子育て支援についてお伺いいたします。 我が党は、これまで本会議、委員会で数多くの子育て支援策を提案、質問させていただき、会派でもさまざま検討してまいりました。昨年六月本会議で私は、定員割れの保育園での一日保育サービスや出産時などの緊急一時保育の対応について質問させていただきました。 今定例会で墨田区特別保育の実施に関する条例が提案されております。区立保育園でも十一月から緊急一時保育が実施され、さらに来年度から、あおやぎ保育園でこれらの保育が実施される運びとなりました。区長の英断を高く評価いたします。 国では、七月の国会で次世代育成支援対策推進法が成立し、本年度から五年間の子育て支援の行動計画をつくることが各自治体に義務づけられたのであります。国の少子化政策では、働く母親支援から家庭で子育てをする専業主婦世帯にも支援の手を差し伸べる方針を示しております。 先ごろ、我が党の女性局が地域の声を聞く活動を行いました。それによると、核家族化や多様な生活様式の変化に対応する、すべての子育て家族への支援の願いが数多く聞かれました。日ごろ保育園に子供を入れない若いお母さんたちから「結婚式や法事のとき、子供を預かってほしい」「上の子の授業参観や親の看病に行くとき」など、一時的に子供を見てほしいなどの要望はさまざまでした。 今後、ますます自治体の果たすべき子育て支援策も幅広いものを求められていくと思います。来年度のあおやぎ保育園でこれら一時保育が実施されますが、こうした要望は潜在的に数多くあると思います。区長はどうこれらを受けとめ、対応を考えておられるのか、お伺いいたします。 二点目は、子育て相談センターについてお伺いします。 現在、南部にあるすみだ子育て相談センターは大変好評で、子育ての悩みをお持ちのお母さん方にとって子育て相談の窓口は大変重要です。子育ての悩みの相談やお互いの情報交換の場となり、母親の孤立化を防ぐことができると思います。 本年十月に文花地区に二か所目を開所いたしますが、今後、相談センターの増設を考えておられるのか。我が党は、地域のバランス、利便性などを考慮して、区内にあと二か所ぐらい設置することが必要と考えております。しかし、財政上から考えると、当面、保育園や児童館の一部を転用し、子育て相談センターの機能を暫定的に設置してはどうかと思います。区長は、この点についてどのようなお考えがあるのかお聞きいたします。 三点目は、保育園のおじいちゃん先生の導入についてお伺いいたします。 私ども会派では八月に新潟県上越市の子育て支援の現場を視察してまいりました。この市は、子育てをするなら上越市と自負するほど、子育てに対する支援策が徹底されていました。その中で、特におじいちゃん先生の配置が全保育園に実施されています。このおじいちゃん先生という制度は、五十五歳から六十五歳までの男性の保育補助士のことです。保育の資格も必要なく、週五日間、九時から四時まで、午前中は主に子供たちと遊び、午後は園の修繕などに携わっておられます。 核家族の中で、おじいちゃんに接する機会も少ない子供たちにとって精神的に大きな影響を与えると考えられますし、世代を超えて心の交流ができるいい面があります。また、女性ばかりの保育園にあって男性が一人いるということは、保母さんたちには、何かあったとき、防犯上からも大変心強いと評判でありました。 上越市では、この制度の当初の財源は、緊急地域雇用創出特別補助事業を有効に使うなど工夫をしていたそうであります。墨田区においても、人格の選定という考慮しなくてはならない点もありますが、高齢者の雇用対策の面からも、ぜひこのおじいちゃん先生制度を導入すべきと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。 次に、高次脳機能障害に関する問題についてお伺いいたします。 この問題については、三年前の平成十二年第二回定例会本会議で、我が党の坂岸議員が質問しましたが、同障害者を抱える家族の皆さんからの切実な訴えがあり、再度質問をさせていただきます。 今年七月、同障害者を抱えるある家族の方々のお話を伺いました。それは、平成八年の正月休みを利用して、ご主人が一人で千葉の浦安に住む親戚を訪ねたときの出来事でありました。見晴らしのよい道路を横断中、突然、猛スピードで走ってきたバイクにはねられ、救急車で大学病院に搬送、そのまま集中治療室へ運ばれました。医師の説明では、頭蓋骨骨折、脳挫傷、肺挫傷、大腿骨骨折で意識不明の重体とのこと。しかし、そうした最悪の事態の中でしたが、ご主人はそれこそ死のふちからよみがえり、奇跡の生還を遂げられたのであります。今では自力で歩けるようにまでなりました。 ところが退院後、ご主人の様子が以前とは違い、住みなれた我が家に戻ったはずなのに、トイレやおふろの場所がわからない、住所や年齢を尋ねても答えられない、さらにドックフードを食べ物と間違えて食べてしまうといった状況が続きました。そのようなご主人の姿を見て、奥さんはショックを受け涙が出て仕方がなかったと語っておりました。 幾つかの病院で検査を受けても要領を得ない。ご主人のこのような後遺症があるということが医師たちの間では余り認識されていなかったのであります。すなわち、このご主人の障害が高次脳機能障害だったのです。 この障害で一番厄介なところは、外見からは障害の中身がわからないという点であります。見た目は健康な人と何ら変わりはないのに、突然、記憶障害や人格変化などの病状があらわれるので、知らない人は当人に偏見を抱いてしまうのであります。 東京都は昨年度、高次脳機能障害への理解を深めてもらおうと一般向けパンフレット及び医療機関向けの診断・リハビリテーションなどに関するマニュアルを独自に作成、配布したほか、都内三十九か所の医療機関で同障害者のリハビリテーションを実施するなど着実に対応しているようであります。 一方、国の方は、平成十三年度から三か年で全国の先進自治体の支援事例などを調査・集約し、適切な支援のあり方を検討する支援モデル事業をスタートさせました。その中間報告が国立身体障害者リハビリテーションセンターによって、今年の五月にまとめられたと伺っております。 その中間報告によると、高次脳機能障害の診断基準案と標準的訓練プログラム(リハビリテーション案)、個々の障害にどのような支援が必要なのかを明らかにするための支援ニーズ判定票案が提示されており、さらに国民の啓発や就業に向けての対応など今後の検討課題も提示されております。 高次脳機能障害の問題点は、日常生活において大きな障害があるにもかかわらず、外見は障害のない人とほとんど変わらないため、障害に対する社会の理解が全くといっていいほど得られていない点であります。 そこでお尋ねいたします。 第一に、適切なリハビリテーションや治療の研究体制の強化の上から、まず医療、とりわけ福祉、保健関係者及び障害者を抱える家族も対象に、脳の障害と向き合うという共通認識を高めるために、専門的な知識を持った講師を招き、高次脳機能障害の講習会を開くべきと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。 第二に、前回の坂岸質問に対して区長は現行の障害者福祉では特に定めがないため、福祉の谷間にある問題であると言われておりました。まさしくそのとおりで、障害の定義がしっかりと定まっていないために、現状では医療・保健・福祉の面で支援体制が不十分な状態にあります。困ったときの助けになる窓口の設置や、特に脳外傷の障害者を対象として、ショートステイやデイサービス、ヘルパーの派遣などの利用ができるよう早急に考えるべきと思いますが、区長のご所見をお伺いします。 第三に、高次脳機能障害者の中には、軽作業に従事できるまでに回復されている人もおります。しかし、我が区において、これらの人を受け入れる施設及び作業所は皆無であります。隣の江東区には一か所あると聞いております。我が区でも、高次脳機能障害者が利用できる福祉作業所の確保、あるいは新たな施設を考えるべきと思いますが、区長のご所見をお伺いいたします。 最後は、特別支援教育について質問いたします。 文部科学省は本年三月に「今後の特別支援教育のあり方について」を発表し、これに基づいて、東京都でも「中間のまとめ」を発表しました。これによると、今まで重度障害や重複障害で養護学校に通っていた児童生徒は、自分の居住する地域の小中学校を地域指定校としてそこに副籍を置き、また今までの固定の心身障害学級に通っていた児童生徒は、小中学校の通常学級に籍を置き、新たに設置される特別支援教室で、LD児やADHD児を含め個々の障害状況に合わせた特別支援教育を受けることになります。 しかし、今までの心身障害者学級から特別支援教室への移行により、固定学級がなくなることを不安視する保護者の声が多く寄せられ、そのような中、校内委員会や専門家チームの設置、巡回相談等による学校及び地域における教育推進体制の整備を目指す特別支援教育推進体制モデル事業の推進地域に墨田区が指定され、七月から八月にかけてさまざまな取組みを実施してきていると伺っております。 そこで、教育長に質問いたします。 モデル事業を実施したこの二か月余りの中で私たちのところにも、予想したとおり、お子さんを固定の心身障害学級に通わせている保護者の方より特別支援教育に対する不安の声が多く寄せられております。そうした保護者の中には、今までどおりの固定式の心身障害者学級の継続を求めている方もおります。特別支援教育の目的が一人ひとりの教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行うためと掲げられている以上、そうした声も教育的ニーズの一つであり、柔軟に対応していく必要があると思いますが、教育長のご所見をお伺いいたします。 また、モデル地域として指定された墨田区として、実施より約二か月経過したわけでありますが、現在までどのような問題点が挙がっているのか、それを踏まえて特別支援教育の本来の目的に沿った形にするために教員、保護者、児童生徒それぞれの立場から問題点を整理する必要があると思います。墨田区として、どのように東京都に要望・提案していくのか、お聞きいたします。 また、一人ひとりの教育ニーズに応じた適切な教育的支援を実現していくには、コーディネーターや授業補助を行う学生スタッフの配置など、今まで以上に予算がかかると推察します。墨田区がこの事業を実施する場合、新たにどのぐらいの予算が必要になるのか、そうした財政措置はどうなるのか、国や東京都からの支援金などが考えられるのか、お聞きいたします。 近年、ノーマライゼーションが進展する中、心身障害者の人が教育や仕事など、極めて当たり前に社会生活が送れる仕組みをつくっていくことは、待ったなしの課題であると認識しております。 社会福祉法人プロップ・ステーションを立ち上げた竹中ナミさんは、その著書の中で障害者のことを「チャレンジド」と呼び、「チャレンジドは四つ葉のクローバー。四つ葉のクローバーというのは自然界の中では異端児ですけど、それを幸せのシンボルと思って、一生懸命探して大事にするのは、人間の想像力のたまもの。『標準から外れているから悪い』とは思わないで『これはラッキー』という文化を作った。障害者も同じ」と述べております。 チャレンジドとは、障害を持っている人をあらわすアメリカの言葉で、神から挑戦という使命や課題、チャンスを与えられた人々という意味であります。 墨田区が心身障害者教育のモデル地域として指定されたことは、すばらしいことであり、ここでの実績・検証結果が東京や全国の模範となっていけるよう、その施策運営の哲学にこのチャレンジドの発想を取り入れ、心身障害者学級とか特別支援教育といったマイナス思考的な呼称ではなく、チャレンジド教育といった考え方や呼称を取り入れるべきであります。区長、教育長のご所見をお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。 ご清聴大変ありがとうございました。 〔区長 山崎昇君登壇〕
◎区長(山崎昇君) ただいまの公明党の広田議員さんのご質問に順次お答えをいたします。 まず、区民の皆様にご迷惑をかける事態が連続して起きるということの真の原因を究明し、行政組織の立て直しを図っていく必要があるのではないかというご指摘をいただきました。この点につきましては、先ほどの自由民主党の西原議員さんのご答弁と重なる部分もあるかとは存じますが、改めて私の考え方を述べさせていただきたいと存じます。 広田議員さんご指摘のとおり、八広小学校のトルエン問題、老人医療証の誤発行と、あってはならないミスにより区民の皆様に多大なご迷惑をおかけする事態が生じたことにつきましては、単なる職員のミスにとどまらず、組織としての情報の共有化の不備や
チェック体制、さらには職員の行政のプロとしての自覚不足などにも問題があったと考えざるを得ません。今回の事態により、失われた区民からの信頼を回復するには、それぞれ適切な事後対策を講じることはもとより、今後再びこうした過ちを起こさないための全庁を挙げた取組みが不可欠であると考えております。 そのため、改めて全職員に行政のプロとしての自覚を促すとともに、現在行っている事務の執行につきまして総点検をするとともに、
コンピュータ処理をしている業務のシステムチェックを行うこととしております。 また、再発防止に向けた改善策につきましては、事務開発協議会に対し、事務のマニュアル化の推進、事務処理の
チェック体制の整備、組織間のコミュニケーションや情報の共有化の徹底などの改善策について検討を行わせております。速やかに一定の結論を出しまして、改善策を全庁的に徹底させ、二度とこのような事態が生じることのないよう取り組んでまいりますので、ご理解のほどよろしくお願いを申し上げます。 次に、役所改革、職員改革についてのお尋ねがございました。 本区においても、従来から職員の資質や能力等を評定した上で昇任や異動に反映させてきたところでございます。しかし、社会経済状況の変化や厳しい財政状況のもとにおいて、行財政改革の重要な柱として人材の有効活用を図ることが緊急の課題となっており、より一層、厳正な新たな人事制度が必要と考えております。ご指摘にもありましたような組織に事なかれ主義やなれ合い感覚などはあってはならないことであり、行政のプロとして常に緊張感に満ちあふれた組織でなければ、区民の皆さんの信頼にこたえることはできません。そういった組織づくりに全力で取り組んでまいりたいと存じます。 現在、公務員制度改革につきましては、国の公務員制度改革大綱に基づき法制化作業が進められているところでございますが、地方公務員制度につきましても同時並行的に検討が進められておりますので、これに合わせ、ただいまご指摘のありましたこと等を肝に銘じて、能力・業績を重視した人事管理の確立を早急に図ってまいりたいと考えております。 次に、職員の通勤定期代の支給についてのお尋ねがございました。 これまで通勤手当の運賃等相当額は、国に準じて規則で一か月の定期券の価格と定め、それに基づいて支給をしてきたところでございます。しかし、本年八月に国の人事院勧告において、国家公務員における通勤手当の支給方法について六か月単位の支給に改めるとの勧告がなされ、今後、特別区におきましても人事委員会勧告で同様の見直しの勧告が想定されるところでございます。 本区だけでも他区に先駆けて通勤手当の見直しを実施するべきであるとのご意見でございますが、現在、通勤手当につきましては、支給方法も含め、特別区共通基準の一つとなっていることから、見直しに当たっては二十三区の統一交渉により改善を図ることとなります。そこで、本区で直ちに実施することは困難な面もございますが、早期に改善できるよう、区長会において努力をさせていただきたいと存じますので、ご理解のほどお願いを申し上げます。 次に、退職時名誉昇給制度についてのお尋ねがございました。 この制度は、東京都において戦後から始められた制度でございまして、特別区における現行の基準は、特別区人事委員会の承認を得て昭和五十三年四月から実施しております。昨年度は退職者九十三名のうち七十三名が名誉昇給基準に該当し、退職金の上乗せ額は一人平均約三十七万円で、合計約二千七百万円でございました。 また、退職時名誉昇給制度を速やかに見直し、区民の理解が得られるよう改善すべきとのご意見をいただきました。名誉昇給制度の趣旨を改めて問い直してみますと、それは、命を賭して職務を遂行した職員や行政効率の向上に資した功績顕著な職員に対して報いることがその本来の目的でございます。このようなことから、少なくとも多年の勤務実績のみを功績とした制度の運用は、ご指摘のとおり区民の方々の理解が得られないものと受けとめております。現在、現行基準の見直しを検討させておりますので、早期に取りまとめ、改善を図らせていただきたいと考えております。 次に、私の退職金の件についてのお尋ねでございますが、第二回定例会におきましても申し上げましたように、私は徹底した行財政改革に取り組む中で、区民の方々にさまざまなご負担をお願いすることから、私も区民の方々と痛みを分かち合うという趣旨で、退職金の減額ではなくて、毎月の給与を削減するという方法で対応させていただいてまいりました。 しかし、特別職の退職金の額が庶民感覚から見てどうかとのご意見につきましては、やはり真摯に受けとめる必要があると存じております。したがいまして、近々、一般職の退職手当の見直しも行うこととなっておりますので、それに合わせて特別職の退職金につきましても、報酬等審議会のご意見もお聞きして適切な対応を図らせていただきたい、そのように考えております。 続いて、住民参加型の区政確立に向けて、区民の理解と納得の得られる区政のシステムづくりへのお尋ねがございました。 まず、広田議員さんからもお話がございましたが、行政評価制度は、行政活動によって区民生活の向上にどのような成果があったか、成果重視の評価を行うことにより、行政サービスの質を向上させることができるとともに、職員に経営意識や改革意識を促すことができる有効な手段であると、私も認識をいたしているところでございます。 そこで、行財政改革課題に行政評価制度の拡充を位置づけ、毎年、予算編成時に事務事業の評価を行い、政策形成に反映しているところでございます。今後も制度に改善を加え、将来的には施策や事務事業について、目標や成果を数値化することにより、区民の皆さんにもわかりやすい形でお示しすることにより、行政の結果責任を果たし、区民の皆さんに理解と納得の得られる区政へ転換を図ってまいりたいと考えているところでございます。 また、これまでも情報公開条例の制定やパブリックコメントの実施など、信頼される区政推進のため行財政運営の透明化に努めてきたところでございますが、今後も住民自治の拡充に向けて、区民の皆さんに積極的に区政へ参加していただくために、区民参画条例やまちづくり条例の制定など、区民参加のルールづくりを行い、住民参加型の区政をさらに構築していきたいと考えているところでございます。 次に、安全・安心なまちづくりを目指して、安全・安心まちづくり条例の制定を検討してはどうかとのご提案でございます。 ご指摘のとおり、東京都は治安対策担当の副知事を任命し、緊急治安対策本部のもと、安全・安心まちづくり条例を十月一日に施行することとしております。この背景には、最近の都内における犯罪件数の増加と犯罪内容の極めて悪質かつ凶悪化傾向があります。このことから、東京都としても、これらの犯罪の防止と治安対策の強化を急務な課題として打ち出したものでございます。 一方、このような犯罪は、墨田区におきましても例外ではなく、ひったくりなどをはじめ、空き巣などによる侵入犯罪、そして粗暴犯罪、凶悪犯罪、さらには放火と見られる火災など、今年一月から七月まで三千八百件を超える犯罪が発生をしております。この発生件数は、昨年同期に比較して六百件の増であり、極めて憂慮すべき状況にあります。 そこで、これら犯罪の抑止に結びつく一方策といたしまして、警察官の増員も大きな効果となり得ることから、今年三月に、私の名前で警視総監あてに要請書を提出したところでございます。その結果、本年四月から本所・向島両警察署で十四名の警察官が増員となり、若干の改善が図られたところでございます。しかし、広田議員さんご指摘のとおり、ひとり警察や行政のみで治安が守られるわけではありません。区民一人ひとりや地域ぐるみでの協力と行政機関との協働が重要でございます。 区といたしましては、区内で最も犯罪件数の多い錦糸町駅周辺の安全確保のため、江東橋地区の防犯カメラの設置助成や、すみだやさしいまち宣言の事業として、地元の町会・商店会と共催した八広フェスティバルでも警察や各種団体の協力を得て防犯意識の高揚に努めてきたところでございます。 都市化の進展により地域の連帯感が希薄化しつつあるとは言われますけれども、幸い当区には自分たちのまちは自分たちで守るという下町の連帯意識がいまだに根強く残っております。今後とも警察・消防をはじめ地元のさまざまな団体に働きかけ、区民と一体となって安全で安心なまちづくりの推進を図ってまいる所存でございます。したがいまして、ご提案のありました区の安全・安心まちづくり条例の制定、もしくはこれに準ずるものにつきましては、今後の推移を見ながら検討させていただきたいと存じます。 次に、危機管理についてのお尋ねがございました。 私たちが日常生活をしていく上で、常に危機やリスクと隣り合わせの状態にありますけれども、区の仕事も例外ではございません。ご指摘のとおり、ここに来て危機管理が大きな課題となってきております。危機管理とは、危機が起きてしまってからではなく、危機の芽を早期に発見して、その芽を摘み取ってしまう、すなわち予防策を立てることも極めて重要であると言われております。同時に、組織にとっての危機とは何かということを職員全員が共通の認識として持っていることも大変重要な危機管理でございます。 これまでも本区においては、各職場で想定される危機事象については、それぞれ一定の経験則に応じて職場ごとに対応してきたところでありますが、体系的な危機管理計画としては、墨田区地域防災計画と墨田区健康危機管理対策を策定しているところでございます。 しかし、昨今の思いもよらない事件・事故の発生を見ますと、改めて全庁的な取組みとして区民の生命、財産や区の組織の名誉存続に重大な被害や影響が生じ、または生じるおそれのある人為的な事故・事件について墨田区版の危機管理計画と危機管理マニュアルを策定し、対応したいと考え、今検討を指示しているところでございます。ご提案の専管組織の設置についても危機管理計画の策定の段階で十分に検討させていただきたいと考えております。 いずれにいたしましても、危機は未然に防止することが肝要でございますけれども、万全の対策をしていたにせよ、事件・事故または不祥事は発生するときは発生をいたします。その際のスピーディーで、かつ適切な対応策、今後の再発防止策、さらには関係機関との連携等についても危機管理計画の中で具体的に検討させていただきたいと考えております。 次に、子育て支援策についてのご質問がございました。 初めに、一時保育についてでございますが、お尋ねのとおり急速な少子化の進行に伴い、次世代の育成支援という国や自治体の責務が一層重要になっていることから、このたび次世代育成支援対策推進法が成立したところでございます。 区でも来年度、この法律に基づく行動計画を策定する予定でございますが、これに先んじて、とり得る施策は早期に実施したいと考えております。したがいまして、本定例会で特別保育の実施に関する条例をご提案いたしまして、一時保育や休日保育などを行うことといたしました。家庭での保育を一時的にサポートする施策として、今後もこうした多様な保育の展開が求められているものと考えておりますので、あおやぎ保育園での実績などを踏まえながら、さらなる拡充に努めてまいりたいと考えております。 第二点目は、子育て相談センターについて、今後増設を考えているかとのお尋ねでございます。 文花地区に現在開設準備をしております文花子育て相談センターは、東武跡地の本格利用までの五年間の暫定設置ということで考えておりますが、横網のすみだ子育て相談センターとあわせ、当面はこの南北二か所でおおむね需要に対応できるのではないかと考えております。 しかし、広田議員さんのご指摘のとおり、利便性等を考慮しますと、すべての地域を網羅することにはなりませんので、児童館、コミュニティ会館等において実施しております乳幼児のための事業、専門相談員による巡回相談あるいは保育園全園で実施しております子育て相談事業を今後より一層充実してまいりたいと考えております。 三点目は、おじいちゃん先生制度の導入についてのお尋ねでございます。 ご指摘のように、上越市ではこの制度が核家族化の中での世代間交流が高齢者の雇用を創出、さらには男性の女性職場への進出等をねらいとして実施されたものと聞いております。 現在、区では日常の保育の一環として、高齢者の方々とのふれあい給食や子供たちが高齢者施設の訪問を行うなどの交流を行っております。また、男性ということでは、公私立あわせて十六名の男性保育士が子供たちの保育に当たっております。 おじいちゃん先生の制度は、人生経験豊かな人材が子供たちの遊び相手としてかかわりを持ち、子供の成長によい影響を与え、さらに男性の力が円滑な保育園の運営に資することも考えられます。しかしながら、導入に当たっては身分や雇用形態のあり方、保育の援助者としての適性、資質などについても十分検討しなければならない点もございます。したがって、単に雇用対策の視点からではなく、高齢者対策と子育て支援策を統合した意義ある施策としてとらえ、上越市の例も十分調査させていただきたいと存じますので、ご理解をお願いいたします。 次に、高次脳機能障害について何点かお尋ねがありました。 具体的な症例のご紹介にありましたように、高次脳機能障害は、病気や事故などさまざまな原因で脳が部分的に損傷を受けたために言語、思考、記憶、行為、学習、注意等の知的機能に障害が起きた状態で、外見上障害がわからないことから周囲の人の理解が得られず、時に偏見を抱かれることもあります。今までの社会は、目に見える障害に対しては理解を得やすいのですが、目に見えない障害には、残念ながら周囲の方々の理解が得られている状況とは言えません。東京都の実態調査によりますと、区内には五十人程度の障害をお持ちの方がいらっしゃるということが類推できます。 ご指摘の国立身体障害者リハビリテーションセンターの中間報告でも今後の検討課題として普及・啓発の必要性が挙げられているところでございます。当区でもリハビリテーション病院との連携のもと、本年二月に地域リハビリテーションに従事するスタッフを対象に高次脳機能障害の事例研究会と講習会を行ったところでございます。今後も医療機関等との連携とともに、周囲に理解されにくい、この障害について認識と理解が深められるよう、ご提案のあった講習会等の開催も検討させていただきたいと考えております。 続いて、相談窓口の設置やショートステイ、デイサービスなどの利用についてでございます。 相談窓口については、現在も東京都では東京都心身障害者福祉センターで、本区では本所と向島の両保健センターやすみだ福祉保健センター、障害者福祉課で対応しているところでございます。今後高次脳機能障害について、窓口で相談に応じる職員の知識を深め、的確な相談ができるようにしてまいりたいと考えております。 また、デイサービスについては、リハビリ訓練のため、すみだ福祉保健センターに既に通所されている方がいると聞いております。ショートステイやホームヘルパー派遣については、介護保険制度及び障害者支援費制度では高齢者や障害者を対象とした制度のため、適用が難しいこともございますので、高次脳機能障害者の実態把握に努め、可能な施策を研究させていただきたいと考えております。 最後に、軽作業ができるまでに回復された方が通える作業所についてでございます。 ご指摘の作業所については、江東区にある「ゆめ工房」という民間の共同作業所で高次脳機能障害の利用者を受け入れていると聞いております。また、墨田区においても民間の共同作業所を利用している高次脳機能障害の方がいると聞いております。 しかし現状では、高次脳機能障害の方が利用できる施設や作業所が大変限られている状況でございますので、障害の特性を理解されているご家族の皆様方による作業所運営というようなことも含めて、今後の障害者施策等の計画の中で可能な施策を検討させていただきたいと考えておりますので、ご理解をお願いいたします。 私からの答弁は以上でございます。 〔教育長 近藤舜二君登壇〕
◎教育長(近藤舜二君) 広田議員さんの特別支援教育についてのご質問にお答えいたします。 まず初めに、この制度の趣旨は、障害のある児童生徒が新設される特別支援教室で一人ひとりの障害の程度に応じて教育を受けようとするものでありまして、これまでの心身障害教育のように、担当する一部の専門教員による教育に限らず、すべての教員が障害について理解し、さまざまな関係機関との連携を含めて、学校と地域とが一体となって支援していくというものでございます。 現在、国や都でさまざまな検討がなされているところですが、墨田区教育委員会では文部科学省の特別支援教育推進体制モデル事業の指定を受け、他区に先駆けて新たな取組みを始めておりますことはご指摘のとおりでございます。 これまでの心身障害教育から新たな特別支援教育への転換によって心身障害学級がなくなり、固定式の学級で安心して学習できる環境が保障されなくなるのではないかといった不安の声が保護者の方々から寄せられているということでございますが、児童生徒や保護者の方々のニーズに応じて、従来の心身障害学級と同様の対応も可能であり、その子の状態に応じた柔軟な対応をすべきものと考えております。今後とも、国や都の動向を踏まえつつ、特別支援教室の設置や指導形態について検討してまいりたいと考えます。 次に、本年度の墨田区の取組みでございますが、本区が受けたモデル事業のテーマは、特別支援教育をより有効に進めるための校内体制の整備ということであります。 現在、校内委員会の設置と特別支援教育コーディネーターの養成、これを二本の柱として取り組んでいるところでございます。既に、八月までに本事業に係る研修会を校長及びコーディネーターの役割を果たす教員を対象に開催いたしました。また、九月からは大学や教育研究所等の心理学の専門家を派遣する巡回相談を始めることとしてございます。 各学校のすべての教員が特別支援教育の内容、趣旨を理解し、校内体制を確立して厳格に実施し、また保護者を含め関係者の理解を深めていくためには、なお時間を要するわけでありまして、目的に沿った事業の実施に向けて、さらなる取組みを進める必要があるものと考えております。 また、本事業にかかる予算については、平成十五・十六年度は文部科学省から、主として巡回相談のための専門家並びに学生スタッフ派遣のための予算措置として、年額約九十八万五千円が措置されております。二年間のモデル事業終了後の予算措置につきましては、今後検討していく予定としております。 最後に、お話にありましたチャレンジドの考え方につきましては、本区においてもぜひ参考とさせていただきつつ、特別支援教育推進体制モデル事業の的確な実施を通して、望ましい特別支援教育の実現を目指して一層努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
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○議長(出羽邦夫君) 議事の都合により、暫時休憩いたします。 午後三時五分休憩
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○副議長(坂岸栄治君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。 一般質問を続けます。 三十三番・西恭三郎君 〔三十三番 西恭三郎君登壇〕
◆三十三番(西恭三郎君) 私は、日本共産党区議団を代表して、震災対策、区内産業振興対策及び国の三位一体の改革など、小泉改革と暮らしの問題、並びに東京都の第二次財政再建プランなどについて、区長に質問をいたします。 質問の第一は、震災対策についてであります。 今年は、関東大震災八十周年、阪神淡路地震八周年の年に当たります。墨田区は、あの関東大震災で甚大な被害を受けました。それだけに本区は、東大の故川角博士の地震が周期で起こるとする六十九年周期説などに基づいて、さまざまな対策を講じてきました。 昭和四十二年、革新都政が最初に打ち出した、火災から命を守る避難広場としての拠点構想は、緊急避難的な避難場所の確保として下町六拠点構想であり、本区では白鬚東地区が完成し二十年が経過をいたしました。 この避難広場としての拠点構想は大きな意義を持ちました。同時に、この構想は防災対策としての緊急避難であり、最終的には「逃げないで済む、安全なまちづくり」でありました。本区が昭和五十四年、全国に先駆けて実施した個別建替えへの不燃化助成の制度は、画期的施策でもありました。燃えないまちづくり、逃げないで済む防災対策として大きな成果だと考えています。また、雨水利用による初期消火活動の貯水槽などの構築は、区民の防災意識の高揚、都の大規模拠点づくりと相まって、本区の多面的震災対策の成果だと実感をしています。さらに、区民による大規模で系統的な避難訓練などは、防災意識の向上に大きな成果を挙げていると思います。 しかし一方で、子供たちが多くの時間を過ごし、第一次避難場所に指定されている学校をはじめ、公共施設の耐震化、また、個人の住宅の耐震化も遅れており、さらに震災に遭った場合の生活再建などの対策もまだ不十分であります。 今、宮城地震の発生など区民からもこの間の報道を聞きながら「地震が来たら墨田はもうだめだね。電柱は安全なのか、家屋の倒壊は」とか「どこが一番危ないのか、安全対策はどうしたらいいのか、抜本的な対策がなぜ進まないのか」など、震災対策の強化を求める声が一層高まっています。また、新聞やテレビなどマスコミも「地震活動期に入った日本列島」と報じる中、大地震に対する本格的な備えが国や自治体の緊急・焦眉の課題となっているのであります。このような中で、本区の防災対策の現状における到達点と今後の課題、区長の基本姿勢について伺いたいと思います。 まず、被害想定についてであります。 東京都は、五年に一度、地域別被害想定を発表してきましたが、被害想定の内容・基準がその都度違うことから、私たちにとって被害想定の比較がなかなか困難となっています。都の調査でも本区の被害想定は、いまだ甚大な被害が想定され、平成五年の被害想定でも二十三区中第一位にランクをされていました。 その後、調査方法の変更によって、当時と比較・検討することは直接できませんが、区長は、本区の被害想定を具体的、項目別にどのような認識をされているのか。もちろん、地震の発生時刻、風向きなど、推定困難なものもあることは承知していますが、一定の想定のもとで火災発生数、家屋倒壊数など、人的被害、さらに
インフラ関係の被害状況など、個別被害状況を区としてどのように推計しているのか、まず伺いたいと思います。 例えば平成三年の都の被害推計では、木造家屋、墨田区内五万三百二十五棟のうち倒壊数を三千八百九十棟と見ています。しかし家屋などの不燃化率は、昭和六十一年、四七・二%だったものが、平成十三年、六一・九%にまで向上しています。この変化から倒壊数などの変化を区としてどう見ているのか、安全率はどう変化しているのか、具体的、個別的、数値的に示していただきたいと思います。 上水道も機能支障率を平成三年では一四%と見ています。都市ガス一〇〇%、電力四七%が支障するとなっていました。その後、都市ガスなども耐震性に切り替えられてきたと思いますが、どう変化しているのか、さらに、上水道の耐震化も一定進んでいると思いますが、その数値などについても示していただきたいと思います。 問題は、都の被害想定は広域的な立場から対策を進めるための机の上のシミュレーションにすぎず、余りにも大ざっぱであり、区民が自分たちが避難する道路の確保、安全性などについて知ることができません。そこで、基礎的自治体としては、地域の目線できめ細かな被害想定が必要であろうと考えます。区が倒壊家屋の想定、危険地域や改善対策など、職員などの目視による再点検が今求められているのではないでしょうか。区長の見解を問うものであります。 次に、不燃化対策の強化についてであります。 これまでの不燃化率の向上など一定の安全対策が進捗したとしても、先に述べたように墨田区の被害想定はいまだ甚大なものとなっています。とりわけ北部地域の不燃化率、本所地域の液状化問題など、遅れているのが現状であります。 まず、都が指定する避難広場の近隣の不燃化率についてですが、両国地域が八〇%、錦糸地域が七三%なのに対して、文花団地の近隣不燃化率は六三%と低くなっています。この目標値は、いずれの避難地域の周辺でも七〇%としているわけであります。不燃化率の低い地域への対策の強化が求められていると思いますが、区長の見解と対策について伺いたいと思います。 同時に墨田四、五丁目地域は、これまで区画整理事業を前提とした区の方針によって不燃化助成が平成十年十月に廃止されました。これは、区画整理をやりやすくするための政策的な矛盾をなくすことが前提でありました。しかし、区画整理事業は、区の思惑と違って地元の反対で政策的転換が余儀なくされました。同地域の不燃化率の現状は、過日の災害対策特別委員会で報告がありましたように「二三%から三六%」でしかありません。他の地域と比べて著しく不燃化率が停滞したと思われます。防災団地への避難路としての位置づけ、街路整備の地域や鉄道の高架地域、これからやろうとしている問題ですけれども、これらは別途事業化の検討を視野に入れながらも、一定の基準に基づいてその他の木造密集地域への不燃化助成を復活することが求められていると思いますが、区長の見解を伺いたいと思います。 さらに区は、防災区画を設定し、地域別の不燃化率などを示しています。個別地域の到達点に対する区長の評価と今後の課題、そして先ほども強調しましたが、職員の目視による安全対策など、問題点の解明などが必要だと思いますが、改めて答弁を求めたいと思います。 また、来月から北部地域にも準耐火の建築規制がかかります。このことにより一定の耐火構造が促進されるとしても、六割から八割への建ぺい率の緩和による密集率の拡大も心配されるところであります。例えば、平成十年から十四年度における墨田四、五丁目の建替えは百六棟と聞き、この建替え率は他の地域と比較して多くはないと思うのですが、不燃化の助成はされてないので、不燃化率がどうなのかも心配されるわけであります。 このように不燃化率も遅れている中で、東京都が白鬚防災団地の散水設備の廃止を打ち出したことはまことに重大であり、区議会災害対策特別委員会としても、区長名でも都に意見書を提出したことは大いに意義があることであり、区民の避難、安全にとってかけがえのないものと言えると思います。 区長が提出された意見書にあるように、防災拠点構想は、私も前述したように、江東防災拠点構想に基づく中心的なセンターの役割を担うものであります。周辺地域の不燃化事体、都も促進する責任があるはずであり、都の財政的な見地や周辺不燃化率の向上などの理由で散水設備を廃止するという問題は、現状を直視すれば都の言い分は当たらないものと言えると思います。 さらに、あの防災団地の地下の貯水槽も消防水利としての活用を図ることや火の粉対策、拠点内に消防署員の宿舎の建設も当初から計画をされていたものが、高校の分校のことで建設が遅れています。区長が意見書に基づいて住民の意思を代表し、これらの基本的な考え方と現状について都と積極的に折衝する決意を改めて伺っておきたいと思います。 次に、公共施設や住宅などの耐震強化についてであります。 阪神・淡路大震災では、死者の九割が、先ほども紹介があったように、建物の倒壊による圧死、窒息死で、地震発生から十五分以内の死者が九二%と言われています。このことからも公共施設や住宅の耐震強化が特に重要なことがわかります。 そこで第一に、学校など一時避難場所の耐震強化の到達点についての現状についてご説明をいただきたいと思います。第二に、公共施設の耐震性の到達点について、第三に避難路、部局では避難路と言わないで主要道路と言っているようでありますけれども、安全性、耐震性についてであります。とりわけ避難路を確保する点で防災区画との関係、現状について説明をいただきたいと思います。 さらに家屋や電柱が倒れることによる二次被害や道路の封鎖は避難活動と救急・救済活動にとって重大な影響を及ぼすと考えます。聞くところによると、電柱そのものの倒壊は耐震性の強化によって相当改善されていると言われますが、トランスの落下など、特に区内には工場があるわけで、その近くにはトランスが設置されている、こういうことから付随的な問題も多く心配されるわけであります。 九九年七月十一日の区のお知らせで、一区民の方から「震災時に電柱が倒れて被害が大きくなるのでは。電柱の地中化を進めるべきでは」との問いに、区長は「地中化は難工事で多額の費用もかかる。可能な限り進めてまいりたい」と一般論だけ述べておられます。本区では、北斎通りや馬車道通りなどで地中化が実現していますが、それ以外のところでは一向に進捗していないのが現状であります。 過日、消防関係者から聞いた話では「電柱の乱立と電線のネット状態が消防車や救急車の大きな障害になる」とのことであります。「住民の避難も容易でなくなります。都や区が防災対策として実施目標を立て、毎年計画的に主要道路だけでも電線の地下埋設化を実施することが大事」との指摘を受けました。区長は、電柱の地下埋設化をどのように認識し、対策を持っておられるのか伺いたいと思います。 次に、通信対策についてであります。 私たちは、七月に常任委員会で宮城地震の状況について現地を視察してまいりました。その際大きな問題として通信施設がパンクした状況について、市町村や県としてもその対策会議を早速立ち上げ研究していると言われました。資料もいただいてまいりましたが、有線電話や携帯電話がすべて麻痺し公の通信施設も麻痺したと言われます。その対策が緊急・焦眉の課題と伺いました。 本区では、町会会館などに無線が設置されていますが、その程度で混乱する住民に現状を正確に伝えることは困難と考えられます。また、区の防災無線も最近の高層建築物の建築によって、ほとんど聞き取れないのが現状ではないでしょうか。区として、区民の通信確保についてどのような検討がなされているのか伺いたいと思います。 防災問題の最後に、非常に多岐にわたり想像を絶するような甚大な被害も予想されるもとで区民をどのように守れるのか、その抜本的な対策と施策の検討を専門的に行うことが重要だと考えています。 先ほど、区長からも答弁がありましたけれども、墨田区には、幸い地震の専門家、白鬚防災拠点を含む拠点構想や不燃化助成制度を発案した専門家も参画していただいています。区として学者・研究者等を含めた「(仮称)防災対策専門委員会」を設置し、区の防災対策の現状と課題について研究・提言を求める委員会の設置を提案したいと考えますが、区長の見解を伺うものであります。 また、震災に備える事前・事後の対策と対応についてです。これまでややもすると、事後対策だけで強調されていましたが、とりわけ事前対策についてわかりやすいPRが求められていると思います。どのような方策を検討されているのか、ご説明をいただきたいと思います。六月定例会の委員会で私の質問に助役から「秋までにはまとめたい」、こういう答弁もありましたので、改めて伺っておきたいと思います。 質問の第二は、区内産業と地域経済の振興について、一定の提案も含めて伺いたいと思います。 長期の不況は、区内業者に深刻な暮らし破壊と経営に大きな困難をもたらしています。長期不況がリストラ、失業、倒産、廃業はじめ凶悪犯罪の増大、犯罪の低年齢化、ホームレス、自殺などさまざまな社会問題を引き起こしてもいます。しかも、自殺が全国で五年連続三万人にも及び、そのうち八千人が経済的理由からと報告されています。経済不況は、区税収入の減少、国保加入者の増大と滞納数の拡大など、区政にとっても放置できない問題であり、これまでにも増した施策の発展が求められています。 区はこの間、各種融資の拡大、ビジネスオフィスの提供による新規産業の創業などとともに、産学官の提携による新製品の開発や、まちづくりへの協働など、多面的な活動も注目を集めてきました。しかし経済不況は、事業所数や工場数の減少に歯どめをかけるに至っていません。 今、全国の多くの自治体が地域経済の疲弊から独自の施策の展開を模索しています。それらの教訓は、第一に地産・地消を合言葉に、地域で生産されたものを地域で消費する。顔の見える商品開発と環境重視の商品の生産、消費者の要求をつかみ、消費者の要求を原点にする生産者が行政の支援とともに知恵と工夫を発揮して販売を伸ばしている経験が語られています。 不況とはいえ、本区でもものづくりのまちとして多くの日常生活必需品が生産され、流通されています。石原・本所地域などで生産される衣料品が区内のスーパーなどで販売されているケースも少なくありません。しかし、よほど注意しないと消費者が墨田区の生産品であることを認識できないことも多くあります。区は、このような流通の実態をつかんでいるかどうか。 先にも述べたように、不況のもとで地産・地消をどのように支援するか。もちろん、墨田の場合は地産・地消だけでは解決しない問題でありますけれども、今、全国の教訓にも学びながら、墨田ブランドの販売を区として支援する対策について研究・検討されているかどうかであります。圧倒的生産者や消費者などと区行政との対話が中小企業センター以外ほとんど行われていないのではないかと思います。しかも、中小企業センターの利用者は金属加工業者が中心であり、靴下など衣料品やニット関係は本来、国際ファッションセンターがその機能を有しなければならないはずですが、地域の業者からの期待の声は余り聞かれません。 本区でも、現在区内生産品のPRのホームページに百社近くが入っているようですが、地産・地消の見地から見るとお寒い限りであります。区として、販路拡張にさまざまな宣伝・広告をはじめ消費者との懇談や消費者に対しても地産商品の地消の意義も含めた宣伝を行うなどの対策が求められていると思います。区として墨田区内での生産品の販路拡大に墨田ブランドとして、大いに販路の拡大を図る必要があると考えるものであります。 地産・地消の拡大に行政の関与がどのようにしたらできるのか。それは、原点に戻った中小企業対策、業者や消費者とともに語らい、振興策を練り上げる行政の真摯な姿が今ほど求められているときはないと実感します。区長の決意とともに、区内生産品を多くの個店、販売店に紹介する運動、対策をつくり上げることではないでしょうか。区長の見解を問いたいと思います。 次に、融資の問題です。 二月十日から国は、平成十年度実施した安定化資金を含めて借換え融資を実施しています。これは、長期の不況のもと後ろ向き資金や、これまでのすべての融資を一本化する、セーフティネットとしての特別融資が実施されたものであります。この融資の特徴は、毎月の返済額を一本化することで返済額を大きく減額することができる。業者の借入金の返済に対する負担を軽減することで経営の安定と長期的経営の展望を開こうとするものであります。同時に、積み増し融資で資金需要を拡大することもできるのであります。この借換え融資は、十年以内の返済であり、借り受けたところでは、事業継続の展望も大きく出てきていると言われます。 しかし、問題は五年先までの経営計画の策定など、厳しい条件があるとも言われています。しかし、国会における大臣答弁(膨大な議論がされていますので全文の紹介はできませんが)は、地方自治体に対しても通達を出し、「制度が有効に機能するよう借換え融資の創設の意義を踏まえて申込者に過重の負担とならないよう指導しなさい」、こういうことが通達の趣旨であります。国会論戦の中身でもあります。 墨田区のあっせんで借換え融資を実行した数は、今回融資が八月半ばまでで六百四十二件、これがあっせん数であります。ところが、平成十年から十二年度の前回借りた人の数は一万二千六百七十四件ですから、今回は圧倒的にあっせん利用者数が少ないことがわかるわけであります。 先ほど言いましたように、今度の融資が前回の安定化資金の返済期限がきて、もちろん返した人もいらっしゃいますけれども、これを継続、延長、そして再借換えという形でやるわけですから、安定化資金の借換えも含む政府の対策であり、圧倒的に少ない問題は、もちろん保証協会の審査もなかなか厳しく、実行できなかった人も多いと言われていますが、加えて、区のあっせんの際の区の姿勢、区が計画書の内容のチェックを厳しくしているという意見も聞かれます。それであきらめた人も多いと言われています。 区は、この融資に対する認識、対応をどう見ているのか。私は、この制度を自治体が大いに活用し、自治体も業者も大変成果を上げている全国各地の実践の報告を多くこの夏見てきました。本区としても申込みがあった数だけ見て、漫然とあっせんを行うだけでなく、実態をつかみ銀行や保証協会に強力に働きかけ、国会答弁も活用しながら区内業者の存続と経営の強化を支援することが求められていると思います。 加えて、この政府資金が多く利用され、活用されることによって、区の融資枠、単独で行っている融資の枠など、ここが逆に広がることができるわけでありますから、二重の成果を上げることができると考えます。こういう時代ですから、区として国などの各種融資問題についても業者が活用可能となるための積極的な研究、PRなどに努めることが求められています。区長のこの融資問題での認識と対応について答弁を求めたいと思います。 質問の第三は、国の三位一体の改革など小泉改革と暮らしの問題についてであります。 先にも指摘しましたが、小泉内閣のもとで暮らしはますます深刻になっています。ところが、小泉内閣は、国民や地方自治体に一層の負担増を押しつけようとしています。今、大きな問題になっているのが三位一体の改革や消費税増税、年金改悪であります。 三位一体の改革には多くの首長、議会から批判の声が上がっています。本来、地方公共団体は、地域における行政を主体的に、かつ総合的に担うことが求められ、介護保険制度の実施を初め、少子・高齢化に対応した地域福祉の施策や社会生活基盤の整備、拡充など、地方における財政需要は今後もますます増大することが予想され、地方税財源の拡充・強化を図ることが急務となっています。 ところが、政府の三位一体の改革は、国庫負担金等整理合理化方針に基づいて、地方交付金の四兆円削減を柱に、地方への大幅な財政支出を削減しようとしています。政府は、保育や教育費の一般財源化など、国庫負担の地方への支出の削減を図ることを主眼とし、平成十六年度予算に反映させるとの方針であります。 本区議会でも、三位一体の改革が地方への税源移譲を伴わない削減ありきは認められないとして、国への意見書も提出してきたところであります。国庫負担金の八割がご承知のように福祉と教育関係費であることからも、国庫負担金の削減は地方自治と住民生活の根幹を揺るがす重大なものであります。政府の三位一体なる改革を到底認めることはできないと考えます。 さらに、教育費や保育の超過負担など、これまでにも増した地方への財源の切捨てが実施されたとすれば、来年度、区の予算編成にどのような影響があると考えているのか、区長の見解を求めたいと思います。 また、消費税増税が政府や与党、財界などから盛んに叫ばれています。消費税は高齢者福祉の財源にするなどといって導入されましたが、事実は全く違うことが今や明白になっています。例えば、消費税が導入されて以後の十年間、この間の消費税額の総額は、国の歳入で百三十六兆円であります。一方、同じ期間の法人税の減税分が百三十一兆円となっています。これ一つとっても、国民から多大な収奪を行って大企業などの減税の財源に使われたことは明らかではないですか。 さらに、消費税増税を主張する人たちは、ヨーロッパでは二けた税率が当たり前などと言っていますが、ヨーロッパでは食料品はゼロ税率、医療品、生活必需品も軽減税率が適用されており、税率は高くても国民の負担は日本と同じ程度になっているのであります。その証拠は、国税に占める消費税の割合が日本でもヨーロッパでも、日本は四%、地方に行くと一%ですから四%ですが、ところが国家財政に占める割合は四%としても二二%なんです。ヨーロッパも国家財政に占める割合は二五%といっても二二%なんです。まさに日本は一律課税の、こういう悪税となっているわけであります。 また、年金についても、五日、二〇〇四年の年金改革に向けた厚生労働大臣試案が発表されました。厚生年金の保険料負担を年収の二〇%まで引き上げる。国民年金の保険料も現行の月一万三千三百円から一万八千円台まで引き上げるとしています。一方、給付水準は、経済状況や少子化の進行などに応じて、給付を自動的に削減する仕組みの導入も打ち出しました。 今必要なのは、年金不安を駆り立てる負担増や給付減ではなく、どうやったら年金への信頼を取り戻せるかであります。例えば、基礎年金への国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げる課題でありますけれども、財源が議論の焦点ですが、大型公共事業などのむだを削り、社会保障を主役とする予算に今こそ転換することが年金の安定化の実現を可能にするものであります。 日本共産党は、小泉内閣の国民に負担増を押しつける路線は、暮らしを脅かすとともに不況をますます深刻にするとして、このような負担増に反対し、暮らしを応援する政治に切り替えることを繰り返し求めてまいりました。消費税増税や年金改悪などの国民にさらなる負担増を押しつけようとする小泉改革について、地方財政への影響などを含めて、区長はどのような認識を持っているのか、見解を伺っておきたいと思います。 質問の最後は、東京都の第二次財政再建推進プランについてであります。 二期目を迎えた石原都政は、この十月にも第二次財政再建推進プランを策定し、来年度予算から都民施策のさらなる切捨てを進めようとしています。実際に、六月に発表された「道半ばにある財政再建」は、私学助成や区市町村補助などを名指しをし、都の補助金七百三十三事業すべてを見直すことを示唆するものとなっています。中でも、福祉ではシルバーパスや私立保育園などの民間社会福祉施設への補助金をはじめ、肺機能障害者の酸素ボンベ購入費など、都の財政負担が極めて少ない少額の補助も対象に挙げています。 この方向は、老人医療費助成や老人福祉手当などの切捨てを進めた現行の第一次財政再建推進プランでは手をつけられなかった見直しを総ざらいしようというものにほかなりません。さらに都は、水道料金などの値上げを検討しており、白鬚防災団地の散水設備の廃止も、この財政再建策の一環だと言われています。このようなプランが実行されれば、都民生活への影響、区財政への影響ははかり知れないものであります。区長は、この第二次財政再建プランが区民生活と区財政に与える影響について、どう見ているのか答弁を求めたいと思います。 また、都区財政調整にも影響が出るのではないかと言われています。現在、都内の市町村で行っている補助事業、補助金の打切りも打ち出していますが、これまでもそうであったように、市町村への補助金打切りを理由に同様の事業が基準財政支出額から除外され、財政調整交付金の算定に連動される危険があるからであります。 さらに、許すことができないというか、とんでもない問題は、都市計画交付金であります。これまで補助金の中に入れて見直し対象に含めているのであります。区長会でも問題にしているようでありますけれども、都市計画交付金は本来、区市町村税であり、もちろん財調の三税以外のものであります。都の補助金でないことは明白ではないでしょうか。この交付割合については、毎年、都と区の間でもちろん激しいやりとりが行われており、これを一方的に都の補助金に区分して見直し対象にするなどは到底認めることはできないと思います。 その一方で石原都政は、超高層ビルと大型幹線道路中心の都市再生を強力に進めようとしており、投資的経費は見直し対象にもしていません。これは、住民の福祉の増進を使命とした地方自治体の役割を投げ捨てるものとして、多くの都民、区民、団体から第二次財政再建推進プランの中止・見直しを求める声が今広がっています。区長会としても一定の意見は述べているようですけれども、山崎区長が都の第二次財政再建推進プランに反対の立場を表明され、都にプラン策定を中止するよう働きかけることを強く求めたいと思います。 区長の明確な答弁を求め、日本共産党を代表しての質問を終わりたいと思います。 ご清聴ありがとうございました。 〔区長 山崎昇君登壇〕