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  1. 台東区議会 2020-12-08
    令和 2年第4回定例会−12月08日-03号


    取得元: 台東区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-13
    令和 2年第4回定例会−12月08日-03号令和 2年第4回定例会 令和2年第4回定例会 東京都台東区議会会議録(第14号) ●12月8日(火)                     (以下敬称略)  ───────────────────────────────────────── 出席議員(32名)      1番  拝 野   健          2番  岡 田 勇一郎      3番  鈴 木   純          4番  中 嶋   恵      5番  田 中 宏 篤          6番  中 澤 史 夫      7番  松 村 智 成          8番  山 口 銀次郎      9番  掛 川 暁 生         10番  中 村 謙治郎     11番  望 月 元 美         12番  石 川 義 弘     13番   森 喜美子         14番  河 井 一 晃     15番  松 尾 伸 子         16番  寺 田   晃     17番  青 鹿 公 男         18番  鈴 木   昇     19番  伊 藤 延 子         20番  村 上 浩一郎     21番  石 塚   猛         22番  和 泉 浩 司     23番  堀 越 秀 生         24番  水 島 道 徳     25番  小 坂 義 久         26番  本 目 さ よ
        27番  早 川 太 郎         28番  秋 間   洋     29番  太 田 雅 久         30番  河 野 純之佐     31番  青 柳 雅 之         32番  小 菅 千保子 欠席議員 な し 欠  員 な し  ───────────────────────────────────────── 出席説明員  区長         服 部 征 夫    副区長        荒 川 聡一郎  教育長        矢 下   薫    技監         藤 岡 啓太郎  企画財政部長     田 中   充    総務部長       野 村 武 治  区民部長       望 月   昇    文化産業観光部長   岡 田 和 平  福祉部長       原 嶋 伸 夫    健康部長       齋 藤 美奈子  台東保健所長     小 竹 桃 子    都市づくり部長    伴   宣 久  会計管理室長     吉 田 美 生    教育委員会      酒 井 ま り                        事務局次長  総務課長       前 田 幹 生  ───────────────────────────────────────── 区議会事務局  事務局長       箱 ア 正 夫    事務局次長      吉 本 由 紀  議事調査係長     松 江 勇 樹    書記         野 口 文 子  書記         諏 訪 ゆかり    書記         大 黒 俊 介  書記         池 田 道 則    書記         佐 藤 大 地  書記         大 金 佐和子  ───────────────────────────────────────── 議事日程 日程第1 議席の変更について 日程第2 一般質問  ─────────────────────────────────────────          午後 1時01分 開議 ○議長(石塚猛 さん) ただいまから、本日の会議を開きます。  あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。  会議録署名議員の指名を行います。  会議録署名議員については、会議規則第136条の規定により、     18番 鈴 木   昇 さん     19番 伊 藤 延 子 さん をご指名いたします。  ────────────────────────────────────────── ○議長(石塚猛 さん) 事務局長に諸般の報告をさせます。  なお、報告については、既に書類をもって送付しておりますので、内容等の朗読は省略いたします。          (箱ア事務局長報告)  ────────────────────────────────────────── △日程第1 ○議長(石塚猛 さん) これより日程に入ります。  日程第1、議席の変更についてを議題といたします。  おはかりいたします。  本件については、会議規則第3条第3項の規定により、本日に限り、議席表のとおり議席を変更いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。          〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(石塚猛 さん) ご異議ないと認めます。よって、本件については、本日に限り、議席表のとおり議席を変更することに決定いたしました。  議事の都合により、暫時休憩いたします。          午後 1時02分 休憩  ──────────────────────────────────────────          午後 1時03分 開議 △日程第2 ○議長(石塚猛 さん) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  日程第2、一般質問を行います。  一般質問の発言通告がありますから、順次これを許可いたします。  11番望月元美さん。          (11番望月元美さん登壇)(拍手) ◆11番(望月元美 さん) 自由民主党の望月元美でございます。  初めに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。そして、治療・療養されている方々にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早いご回復をお祈りいたします。  それでは、質問に入らせていただきます。  まず初めに、今後の区政運営についてお伺いいたします。  全世界に拡大され、現在も猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症は、我が国でも感染拡大が止まらず、第三波が到来してしまいました。連日、全国の新規感染者数が2,000人以上となり、深刻な状況が続いています。この未曽有の事態は人々の心と体の健康への被害だけではなく、日常生活や経済活動にも大きな影響を及ぼしました。本区においても新たな感染者の発生は続いており、当たり前だと思っていた日常の仕事や学校、趣味、旅行、外食など様々な行動が制限され、日々の生活は大きな変化を余儀なくされました。  こうした中で、区は区民の生命と健康を守り抜く、区民の生活や事業者をしっかり支える、新たな日常に対応した区役所への変革の区政運営の3つの柱を掲げ、医療提供体制の確保や事業継続に向けた経営相談の充実や、中小企業の資金繰りの支援、さらに妊婦等応援特別給付金の実施など、区民や事業者に寄り添った様々な対策を進めてきたことは、大変評価しております。  また、コロナ禍において感染リスク等から実施が困難であったり、今後の区の財政に与える影響等を考慮する中で、今年度の事業の見直しも行われました。中止や縮小した事業はもとより、予定どおり実施するとした事業であっても、感染対策が十分にできるのかどうかなどの必要な判断とはいえ、様々な声や事情を加味した上での見直しは非常に難しかったのではないかと推察します。今回の事業の見直しは、緊急時と言える今年度についての実施の可否についての判断であり、令和3年度以降については区民の安全安心な暮らしを守りながら、改めて必要な事業や取組を見定めていく必要があるのではないかと考えます。  しかしながら、区政運営を行う上で、特に財政面での影響はより厳しさを増すことになります。さきの決算特別委員会総括質問で、我が会派の太田委員の質問に対し、区長は、本区の財政は今後大幅な減収局面を迎え、短期的な対応ではこの難局を乗り切ることは困難であり、事業の再構築や優先度に応じた事業の廃止や休止、縮減などの見直しを徹底すると答弁されました。今年度の事業見直し以上にさらに難しい判断を要し、今後の区政運営がより一層厳しくなることは言うまでもありません。  そうした中、服部区長も公務中に接触のあった方が陽性者となったことから、自宅にて執務を行うことになりました。新型コロナウイルス感染症は依然として猛威を振るっているものと実感しています。いまだ終息の兆しが見えないコロナ禍において、今後どのような方針をもって区政運営に臨まれるのでしょうか。また、必要な事業や取組をどのように区民に示していくのでしょうか。区長のご所見をお伺いいたします。  次に、浅草橋駅周辺のまちづくりについてお伺いいたします。  JR浅草橋駅のバリアフリー化につきましては、長年にわたり地域の皆様の強い要望でありましたエレベーターが平成28年3月、JR浅草橋駅西口に設置され、多くの方々に利用されています。一方、江戸通りに面した都営浅草線浅草橋駅との乗換先でもあるJR浅草橋駅東口には階段しかないため、駅利用者からのエレベーター設置を望む声が多く、区長もその必要性を認識され、JR東日本との協議や東口のエレベーター設置の可能性の検討調査の実施など、展開されてきたことは評価しております。平成28年度には現在の駅舎でのエレベーター設置には構造上の問題など、様々な課題があることが調査の結果で明らかになり、この結果を踏まえてバリアフリーの課題を駅周辺のまちづくりと一体的に検討する方向性が打ち出されました。  その考えに基づき、平成30年度に浅草橋駅周辺まちづくり基礎調査を実施し、昨年度はその調査結果を踏まえて住民や事業者などへのアンケートの実施や、追加の調査と検討を行い、まちづくりに関する課題と方向性が整理されました。アンケートの結果を見ますと、やはりエレベーター設置についての要望が多く、まちづくりの方向性として、駅周辺におけるさらなる拠点性の向上が掲げられ、駅におけるさらなるバリアフリー化を推進するほか、駅周辺における生活利便性の高い商業機能の導入など、駅周辺のさらなる活力とにぎわいの拠点形成を図ると示されました。平成28年度の駅のバリアフリー化の検討は、あくまでも区が主体となり行われたものでありますが、本来は鉄道事業者が主体となり、真剣に解決策を検討する必要があるのではないかと考えます。JR浅草橋駅東口のエレベーター設置に向けた解決策を検討するよう、JR東日本へ要請すべきと考えますが、改めて区長のご所見をお伺いいたします。  昨年度のまちづくりの検討結果では、駅のバリアフリー化以外にも、まちづくりの方向性として、まちの回遊性を高めるにぎわいの創出や潤いのある魅力的な生活・住環境の形成、安全・安心に生活・回遊できる防災機能の充実が示され、多角的にまちづくりの検討を進めることとなっています。まちづくりは地域にお住まいの方々や事業者などが主体となり進めることが基本でありますが、これまでこの地区においてはまちづくりを検討する組織体が存在していない状況であります。さきの第3回定例会の委員会の報告では、まちづくりの勉強会を通じて、地元のまちづくりに対する機運醸成を図りながら、まちづくり協議会の設立に向けて進めていくとの説明がありました。  そこで、今後の浅草橋駅周辺のまちづくりの進め方について、区長のご所見をお伺いいたします。  次に、今後の区立幼稚園についてお伺いいたします。  幼稚園は義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児の健やかな成長のための適切な環境を整えて、その心身の発達を助長することを目的とし、現在、本区では私立幼稚園が7園、区立幼稚園が10園設置されています。先般、令和3年度の区立幼稚園園児募集の申込み状況が公表されましたが、そのうち3園については学級編制の基準となる7名を下回る結果となりました。まだ園児募集は継続されているため、最終人数が決定したわけではありませんが、区立幼稚園が置かれる状況が厳しいものだと言わざるを得ません。近年、保護者の働き方の多様化や共働き世帯保育ニーズが増えてきていることや、待機児童解消のために保育園を増設してきたことに加え、昨年から始まりました幼児教育・保育の無償化に伴い、一層保育園を選ぶ保護者が増えているのではないかと推察します。  しかし、その一方で、区が平成31年に取りまとめた台東区次世代育成支援に関するニーズ調査では、就学前児童の保護者に対する平日の教育・保育の事業として、定期的に利用したいと考える事業は何ですかとの質問について、認可保育所、54.4%、認定こども園長時間保育、50.5%に続き、50%の保護者が幼稚園を利用したいとの回答がありました。この結果を見ますと、幼稚園についても保育園やこども園とさほど変わらない利用希望があると読み取れ、保育ニーズが高まっている中でも幼稚園利用を求める保護者が多いのではないでしょうか。  これまで教育長は、区立幼稚園は地域の幼児教育センター的役割を果たしており、私立幼稚園とともに車の両輪として幼児教育を支え、発展に努めてきたと答弁されています。私立、区立を問わず、各幼稚園では個々の幼児の発達段階を踏まえ、十分自己を発揮しながら生活できるよう、教育内容の充実を図り、長年にわたり本区の幼児教育においての重要な役割を果たしてきたことは評価しておりますが、このたびの区立幼稚園入園希望者数の減少については大変危機感を覚え、早急に打開策を講じる必要があるのではないかと考えます。そして、この状況に対応するには保育園と幼稚園が競合するのではなく、それぞれの特色を生かし、保護者の選択肢の幅を広げるという考えに基づいて検討することが非常に重要であると考えます。  これまで就労していない保護者は幼稚園かこども園の短時間保育に、就労している場合は保育園もしくはこども園の長時間保育といった形で選択する傾向がありましたが、例えば学びや遊びなど、現在の幼稚園教育についての充実や、多様化を求める保護者や短時間で働く保護者などで幼稚園教育を受けさせたいが、就労しているために幼稚園を選択できないという保護者も少なからずいるのでないかと考えます。幼稚園が幼稚園教育を充実させ、その魅力をさらに向上させることができれば、多様な保護者のニーズに柔軟に対応し、より多くの方の選択肢となれるのではないでしょうか。幼児教育を取り巻く環境が大きく変化している中、この現状をどう受け止め、今後の区立幼稚園についてどのようにお考えなのか、教育長のご所見をお伺いいたします。  以上をもちまして質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(石塚猛 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。  区長。          (区長服部征夫さん登壇) ◎区長(服部征夫 さん) 望月議員への答弁に先立ち、一言申し上げます。  私が新型コロナウイルス感染症濃厚接触者に該当し、自宅での健康観察に至ったことについて、皆様には大変ご心配をおかけいたしました。また、今定例会の日程についてもご配慮をいただきまして、区議会の皆様にこの場をお借りしまして、深く感謝を申し上げます。  それでは、望月議員のご質問にお答えいたします。  ご質問の第1は、今後の区政運営についてです。  新型コロナウイルス感染症は、いまだ世界中で猛威を振るっています。東京都のモニタリング会議の分析結果では、感染状況最高レベルの感染が拡大していると思われるとしており、強い警戒が必要になっています。感染拡大の波が繰り返しやってくることが危惧されるウィズコロナの時代においては、安全安心な暮らしの確保と、まちの活力を取り戻すための取組との調和を図りながら、区政を推進していくことが重要であり、感染症や社会経済活動の状況に応じて、適切な対策を講じていくという考え方の下、施策を展開していく必要があります。  そのため、今後は区政運営の3つの柱に加えて、まちに活力を取り戻し、持続的な発展につなげるための取組を新たな柱に据えて区政を推進してまいります。また、感染症の影響により先行きが不透明な状況においては、区民の皆様に今後の区政についてしっかりとお伝えし、理解をしていただくことが重要です。区政運営の柱に基づく具体的な取組については、現在、改定作業を進めている行政計画や、令和3年度予算においてお示ししてまいります。  私は、区民の生命と暮らしを守り抜くために、全力で感染症対策に取り組んでいくとともに、ウィズコロナの時代においても基本構想に掲げる将来像の実現に向け、必要な取組を着実に推進し、本区の明るい未来を切り開いてまいります。  ご質問の第2は、浅草橋駅周辺のまちづくりについてです。  まず、浅草橋駅東口のバリアフリー化についてです。  エレベーター設置については、西口の整備が完了しているものの、駅東口は都営浅草線への乗換口であり、多くの方が利用することから整備が望まれています。区は、これまでも地域の要望に応じてバリアフリー化実現に向けてJR東日本に働きかけてまいりました。平成28年度にJR東日本の協力を得て実施した駅東口のバリアフリー検討調査において、土地・建物の複雑な権利関係や、用地取得に伴う負担などの問題が明らかとなり、周辺の民地を含め、現在の駅舎構造の中でエレベーターを設置することは難しいという結論に至っています。  第3回定例会の委員会報告においても、バリアフリーの課題を駅周辺のまちづくりと一体的に検討する方向性を示しておりますが、駅のバリアフリー化鉄道事業者が主体的に検討することが必要であると認識しております。区といたしましては、今後も引き続きJR東日本に対し、駅東口のバリアフリー化実現に向けて要請するとともに、さらなる対応についても検討してまいります。  次に、今後のまちづくりの進め方についてです。  現在、町会長をはじめ、地域の関係者の皆様に対して、昨年度の検討結果をご説明しているところですが、本地域のまちづくりについて関心を持たれている方が多く、今後のまちづくりについても主体的に取り組むことを前向きに検討していただいております。区といたしましては、今後、地域の様々な課題を解決するため、まちの方向性を検討する組織づくりの早期実現に向けて積極的に支援し、その組織の中で地域の皆様が主体となり、議論をしながら、地域のニーズに即したまちづくりを進めてまいります。  その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。 ○議長(石塚猛 さん) 教育長。          (教育長矢下 薫さん登壇) ◎教育長(矢下薫 さん) 望月議員の今後の区立幼稚園についてのご質問にお答えさせていただきます。  本区では、区立幼稚園私立幼稚園が長きにわたり地域に根差した幼児教育を行ってきたことが、今日の幼稚園、保育園、こども園による本区の幼児教育の在り方につながってきたものであると考えております。しかしながら、議員ご指摘のとおり、保護者の働き方の多様化や、共働き世帯の増加による保育ニーズの高まりなど、様々な要因により区立幼稚園応募者数が減少してきている現状につきましては、重く受け止めているところでございます。  本区ではこれまで、学びのキャンパスプランニング事業やお弁当給食を実施するなど、区立幼稚園の魅力の向上を図ってまいりましたが、さらなる対応が求められていると考えております。教育委員会といたしましては、今後、預かり保育など保護者の多様なニーズへの対応を検討し、引き続き幼児教育の発展に努めてまいります。 ○議長(石塚猛 さん) 14番河井一晃さん。
             (14番河井一晃さん登壇)(拍手) ◆14番(河井一晃 さん) たいとうフロンティア河井一晃です。  2020年1月に日本で初めて新型コロナウイルスが確認されてから、間もなく1年になります。この災禍は今もなお猛威を振るい、私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。  先般、区長に我が会派が提出した新型コロナウイルス感染者対策に関する緊急要望書についてご検討いただき、感謝申し上げます。採用していただきましたLINEでの情報発信については、日々の政務活動の参考とさせていただき、区民からも区内の新型コロナウイルス感染の状況を把握することができ、現状を踏まえて予測しながら行動ができるとの評価をしていただいております。今後も区民の暮らしや不安を解消し、政治で解決できることの責任を果たしていくことを誓い、質問させていただきます。  私からの質問は3点でございます。  1つ目の質問は、基金の運用についてです。  令和2年の決算特別委員会の委員になり、決算の内容について慎重審議させていただきました。私はこれまで会社経営や個人事業の仕事を通じて様々な決算を精査し、承認してまいりました。仕事で知り合った様々な投資家の方とも時間を共有し、様々な投資の方法を学ぶ機会を得ることができました。そうして学んだ視点や、社会経験や人生経験を踏まえて、あえてこの場で質問をさせていただきます。  台東区各会計歳入歳出決算書で今後解決していかなければならないと最も強く感じたのが、歳入の基金の運用についてでした。歳入の国庫支出金や特別区交付金などは自治体の努力や運営の効果が届きにくい項目でもあるかと思いますが、その他の使用料や手数料、諸収入などは惜しまぬ努力や知恵を絞り出すことで歳入を増やすことができます。歳入が増えるということは、結果、区民によりよい行政サービスの提供が実現できるということです。  主要施策の成果説明書の歳入の国際交流親善基金から緑化推進基金までの13件の基金の合計額は13億2,603万984円ですが、その運用は預金利息等で、その収入額は285万9,230円です。運用率は僅か0.22%です。2019年に金融庁の金融審議会がまとめた報告書で、定年後、2,000万円の貯蓄が必要となるという問題が報告されました。多くの方が老後は年金と貯蓄で暮らしていくというのならば、2,000万円では足りない、平均寿命よりも長生きしたときや2,000万円も貯蓄できないなどなど、大きな騒動となりました。私は、老後の家計の構造的な問題で、日本人の所有資産が貯蓄で、収入は年金という実情の考え方が分かり、問題の重大さを再認識いたしました。  米国のトリニティ大学で発表された資産の運用方法で、4%ルールというものがあります。生活費の25倍の資産を築き、資産を株式と債券で保有して、資産運用で得た利益の4%を毎年の生活に充てるというものです。22年前の論文ですが、現在でも通用する手法として、米国では個人レベルでも実践されていて、日本でも注目されています。これらの基金が仮に4%で運用されていたならば、約5,300万円の運用益ということになります。差額は5,000万円です。私の個人的な考え方かもしれませんが、5,000万円のサービスが区民に提供できたかもしれない。区の財産を5,000万円増やせたということです。これを複利で考えると、大変大きな金額になります。  また、ここ数年の株式等譲渡所得割交付金の増収が示すように、資金は預金から債券へとシフトしていることがうかがえます。令和元年度は予算現額に対して116%増となっています。資金を投資に回して運用して利益を出している方が増加しているということです。私たちはこのまま目に見える金額の預金残高だけを信じ、預金が減らないことを安心材料に過ごしていくのか。世界の物価は上昇し続けています。物価の上昇は今のお金の価値の目減りという結果になります。今の無施策のリスク回避は大きな損失として、ツケとして未来に返ってくるのではないでしょうか。とても心配です。よく考えなければなりません。  また、これらの基金の中には、法律の改正で必要のなくなった基金や寄附者個人がお亡くなりになった基金も多くあります。これらの基金については、今後の時代の変化や情報技術の発達や天変地異の状況にいち早く対応するために、取崩しや基金使途の幅広い利用を追求していく必要があると考えます。  平成19年には地方分権を進めるために、国税から地方税に税源が移譲されました。住民税は大切な財源ではありますが、いっときの所得税減税を口実に、住民税の大幅な増税に多くの方が困惑していたのをつい先日のように思い出します。その痛みは今でも続いています。当時の三位一体改革では、地方にできることは地方にという方針の下、真の地方の自立と責任を確立するための取組を行っていくということでありました。それならばと私は理解いたしました。  今後の厳しい財政運営が予想される中、真の地方の自立と責任を確立するための土台となる仕組みづくりのために、基金を今後どのように活用して厳しい財政を乗り越えていくのか、区長のご所見をお伺いいたします。  2点目の質問は、消防団の定数充足率の向上についてです。  台東区地域防災計画中間まとめ案の報告を受けて、消防団の活動体制の充実について、消防団の定数充足等の推進の文言が、消防団の定数充足率の向上となりました。何事にも数字にこだわる姿勢はとても重要だと考えます。数字の目標値を設定したということは、消防団の重要性が極めて高いということと理解し、その数字に向かって進むんだという強い意志を感じました。私自身、11年、消防団員として活動してまいりましたが、入団した当時から共通していることは、若者が少ないということです。平成30年の消防白書でも、消防団員数は年々減少しており、平均年齢も上昇しています。  私が所属する分団でも、日々入団促進の活動を展開していますが、定年を迎える方の多い現状に、消防団員の大学生のご子息に平成29年に入団していただいたことを皮切りに、その翌年に友達が入団し、現状では20代の団員が5名となりました。分団として初めて平均年齢が若返りました。彼らは現在、全員学生ですが、非常にポジティブに何事にも純粋に団結して行動しています。可搬ポンプ操法大会でも積極的に選手となり、若者ならではの正確な操作と、命令系統を遵守した行動を行いました。また、応急手当普及員の資格も全員が取得し、現在では我が分団にも地域にも、必要不可欠な存在となっています。台東区地域防災計画の区民と地域の防災力向上にある、自らの生命は自らが守る、自分たちのまちは自分たちで守るという基本理念を理解し、使命を全うする彼らの姿を目にし、私はただただ感謝しかありません。  このように、必要不可欠な若者ですが、入団基準となる18歳以降は就職して会社に入社しても、しばらくは仕事で覚えなくてはならないことが山積みで、仕事が最優先、会社の理解も必要となることかと思います。現在、大学生に関しては、同世代がいないと入団しにくいということも考えられます。若い世代へのアプローチの一つとして、例えば広報たいとうで地域の消防団の活動の紹介、若い世代が僕たち、私たちはこんな活動をしていますと、一緒に地域を守ろうと呼びかけたり、SNSの活用もあるかと思います。区では、充足率向上のための若い世代の消防団への入団促進、特に大学生に今後どのような施策があるか、区長のご所見をお聞かせください。  最後の質問は、町会活性化についてです。  令和元年度に実施した町会活動に関する意識調査が発表され、町会活動の実情が認識でき、様々な対策がなされることと期待していましたが、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、残念ながら台東区でも様々な事業が中止・縮小・延期となりました。町会も同様に、メインイベントの祭礼や納涼大会、ラジオ体操、敬老祭や地区のイベントや行事、防災訓練などのほとんどの事業が開催できませんでした。子供たちには貴重な成長期の1年間、ふるさとの思い出をつくってあげられなかったという切ない思いが地域にはあります。将来、地域を守っていく子供たちに何ができるのか、小さな町会では予算も限られている中、できること、できないこともあるが、何かしてあげたいとか、複数の町会が合同でやればできるイベントなど、何かをしていかなければならないかを話し合っています。  今、地域には地域のイベントが最も必要です。夜は明ける。想いは不滅です。2021年には、失われた2020年のイベントを埋めるために、コロナ禍でもできる取組、ウィズコロナの取組、アフターコロナの取組がありますが、区ではどのように支援し、提案し、取り組んでいくのか、区長のご所見をお聞かせください。  以上で私からの質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(石塚猛 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。  区長。          (区長服部征夫さん登壇) ◎区長(服部征夫 さん) 河井議員のご質問にお答えいたします。  ご質問の第1は、基金の運用についてです。  まず、寄附金を原資とした基金については、長く区政に貢献していきたいという寄附者の意向を踏まえ設置しており、原則、金融機関等での運用益を各基金の目的に沿った事業に活用しています。寄附者の意向がある場合は取崩しを行い、事業に活用していますが、寄附を受領した際の経緯などもあることから、区のみの判断による取崩しには難しい面もあります。  区財政においては、今後、減収に伴う大幅な財源不足を見込んでいますが、財政調整基金や公共施設建設基金など、積立金の活用を目的としている基金を有効に活用してまいります。  次に、基金の運用方法については、安全性の確保を第一としながらも、流動性及び効率性に配慮し、主に定期預金や地方債等の債券で運用を行っています。低金利の長期化により厳しい運用環境が続いていますが、公金運用検討委員会での意見も踏まえ、社会貢献を目的とした債券への投資を新たに行うなど、今後とも基金の効果的な運用を図ってまいります。  ご質問の第2は、消防団の定数充足率の向上についてです。  消防団員の減少や高齢化は、全国的な課題となっています。そのため東京消防庁では、大学生を含む若い世代の加入促進に取り組んでおり、区も防災イベントや訓練などにおいて周知してまいりました。消防団は地域防災力の中核として重要な役割を担っていることから、ご提案も踏まえ、今後も引き続き消防署と連携し、加入促進に取り組んでまいります。  ご質問の第3は、町会の活性化についてです。  緊急事態宣言解除後においても、依然として感染再拡大への警戒が必要な状況の中、町会では事業の中止や縮小など、活動が厳しい状況にあると認識しています。町会は、区政を推進する上で大切なパートナーであり、その活動の活性化は重要な課題です。そのため、本年度は活動を広く周知するためのアドバイザー派遣、マンション居住者と連携した防災訓練及び先進事例を紹介するパネルディスカッションなどの支援事業を予定しておりましたが、感染症拡大の影響により実施できない状況にあります。  今後も地域のさらなる発展のために、感染症の状況等を踏まえながら、町会の活性化に向けた支援を進めてまいります。 ○議長(石塚猛 さん) それでは、ここで10分間休憩いたします。          午後 1時42分 休憩  ──────────────────────────────────────────          午後 1時53分 開議 ○議長(石塚猛 さん) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  15番松尾伸子さん。          (15番松尾伸子さん登壇)(拍手) ◆15番(松尾伸子 さん) 台東区議会公明党の松尾伸子でございます。会派を代表し、大きく3点にわたり質問させていただきます。  初めに、高齢者を中心とした多世代交流について伺います。  超高齢化時代を迎え、独り暮らしの高齢者や高齢世帯の増加により、家にひきこもりがちになり、地域で孤立してしまう方々が増えています。そこで、以前より介護予防の観点から日中、高齢者が気軽に立ち寄ることができ、お茶を飲みながらおしゃべりして楽しく過ごすことのできる居場所づくりを推進していくことが重要だと提案をいたしました。  一方で、年齢を重ねても元気で生きがいを持ち、住み慣れた地域で生き生きと暮らしていきたいと願う高齢者はたくさんいます。そして、コロナ禍であっても身近な場所で近隣の方と接点を持ち、いつでもお互いの様子を確認して助け合い、支え合うことができる、人と人とのつながりの形成は、介護予防を考えていく上で大変重要な生活支援に位置づけられると考えます。  また、出番をつくることが高齢者の生きがいにつながると考えます。現代は核家族が進むにつれ、昔のような多世代間の交流の場がほとんどなくなっています。高齢者は高齢者と、若い世代は若い世代と、それぞれの交流には行き詰まりが生じることもありますが、お互い自由に交流することで、高齢者は若い発想に触発され、若者は高齢者の経験に裏打ちされた知恵に助けられ、新たな価値観が生まれ、支え合いの輪が広がると考えます。  また、少子高齢化に伴い、医療費と介護費の増加が人口減少社会においては次世代の大変な負担となってまいります。若い世代から高齢者まで健康増進に取り組み、健康寿命を少しでも延ばすことがそれらの課題解決につながると考えます。さらに独り暮らしの高齢男性が地域から孤立しやすい傾向にある状況がありますが、ボランティアなどの社会的活動を行うという目的ができることで、人付き合いやご近所付き合いが苦手な方でもほかの人の役に立てるということから参加意欲が高まると考えます。今後、高齢者の社会参加型の活動を進めていく上で、様々なきっかけづくりが大切になってくるのではないでしょうか。  本区においても地域においてボランティアや自主的な活動ができる通いの場づくりに対して支援を実施していただいていることは認識しているところであります。しかしながら、高齢化により参加者の減少などで継続が難しいと不安を感じている団体が半数以上いると聞いています。  湯河原町では、2016年11月から、ゆがわらっことつくる多世代の居場所をオープンしています。ここは空き家をリノベーションし、地域の若者から高齢者まで活動し、多世代交流の居場所として活用されています。また、慶應義塾大学SFC研究所と浜松医科大学、湯河原町による、未病に取り組む多世代共創コミュニティの形成と有効性検証プロジェクトがスタートしています。高松では、多世代交流ガイドブックを作成して、多世代交流活動のポイントや子供と交流をしながら活動している居場所の事例を載せて、その一助としています。  コロナ禍のその先を見据えて、このような高齢者が元気で生きがいを持ち、住み慣れた地域で生き生きと生活していくために、高齢者の出番をつくり、多世代との交流ができる居場所の推進や生きがいの創出が必要であると考えます。また、多世代交流により、児童・生徒の孤立を防ぎ、健全な成長を促すことができ、地域で育てるを実践的に可能にできると考えます。台東区においては現在、様々な高齢者向けの事業を行っておりますが、今後は高齢者だけでなく、多世代の方も参加できるように取り組む必要があると考えますが、いかがでしょうか。区長のご所見をお伺いいたします。  次に、SOGIについてお伺いいたします。  誰もが自分らしく自分の人生を生きることができる社会の実現を目指して、台東区では平成12年3月に男女平等推進行動計画を策定し、LGBTなどについて相談体制や理解の促進に努めていますが、引き続きこれからも積極的に推進し、周知する必要があると考えます。本年11月1日からユーチューブにて、「性の多様性と人権〜SOGIの視点から多様性を学ぶ〜」をテーマに動画配信をスタートしていただいており、私も拝見し、とても勉強になりました。株式会社アウト・ジャパン代表取締役、屋成和昭さんと当事者の方を招いて、分かりやすくお話をしていただいています。ぜひ今後もこのような形で周知に努めていただければと思います。  昨今の日本において、性的少数者として用いられるLGBTという概念は、社会に浸透しつつある中で、そこではくくりきれない方々の存在が明らかになりました。当事者に伺うと、どうしてそうなのと聞かれても、自分でも説明ができないのですとおっしゃいます。はっきりと定義づけできない曖昧模糊とした状態であるということです。明らかな違和感を抱えつつも、自分の性別が分からない方、決められたくない方などのクエスチョンなどを加えたLGBTQ+と表現されるなど、概念が様々に広がりを見せています。  そういう意味では、LGBTという表現が終わりを迎え、考え方を変える段階に来ているようです。それが異性愛の人を含めて全ての人が持っている属性を表すSOGIという概念です。既に国連の正式文書では、LGBTではなくSOGIが用いられており、日本も賛同国に入っているとのことです。SOGIとは、性的指向、セクシュアルオリエンテーションと性自認、ジェンダーアイデンティティーの頭文字を取ったもので、LGBTが誰を好きになるかということを指すのに対して、SOGIは自分自身をどういう性か認識し、どんな性別の人を好きになるかということを指します。つまり、SOGIには私たち人間全員が含まれているという考え方です。  ですから、それぞれのSOGIに対して理解をする努力をし、お互いに尊重し合う姿勢が大事になってくると思うのです。このSOGIに対する差別を撤廃する動きが日本でも始まっています。あらゆるSOGIを差別しない、されないという考えを持つことが重要であると考えます。気づかないうちに人を傷つけないためにも、この概念を理解して、誰もが置き去りにされない、お互いに様々な考え方を認め合う社会の実現が肝要です。  もう一つには、現在、パートナーシップ制度が渋谷区と世田谷区でそれぞれ2015年から始まり、本年11月5日に5年を迎えるとのことです。この制度は、この間にも全国60以上の自治体で実施され、広がりを見せています。現行法制度の下では法的効果はないものの、証明書などが交付され、婚姻関係に準じたパートナー間の相互に協力し合い、共同生活を継続できるものとしています。ここで、改めてパートナーシップ制度の導入も検討していただけるよう要望いたします。  以前の一般質問でも引用させていただきましたが、改めて駐日カナダ大使のイアン・バーニー氏の言葉をお借りしますと、平等の権利、多様性、インクルージョンの尊さを皆様と共感できることを、駐日カナダ大使としてうれしく思っています。LGBTのコミュニティにとって重要なこれらの価値観は、カナダのアイデンティティーでもあります。どこまでもその人がその人らしく生きられるよう、よりよい共生社会の形成と、全ての人の平等のためにこれからも皆様と力を合わせていきたいと思っておりますと、日本に向けてメッセージを送られています。  今、LGBTからSOGIへ、各自治体がしっかりとした認識を示していくときが来たのだと思います。本来この問題を語る際は、教育現場へ目を向けていかなければなりません。当事者にとっては、自分が感じている違和感を子供時代から長い間、胸に抱え込み、自分に自信が持てないでいることが多く、LGBTの子供は40人クラスの中で3人はいると言われ、トランスジェンダーの約6割が、自分自身を否定し、苦しみの中で自死を考えたことがあると言われています。性自認の時期も様々で、いつ自覚が芽生えるか、その人それぞれであり、それがゆえに教育現場でも実は悩み苦しんでいる児童や生徒が存在することを考えますと、学校で子供に寄り添う先生が正しい知識を持つことが大変重要であると考えます。全ての区民がお互いの多様性を尊重し合い、全ての人がその個性を生かして、自分らしく生活できる、誰も置き去りにしない共生社会になるよう配慮していただきたいと切に願います。  そこで、今後は今まで以上にSOGIの視点での理解周知が進むように、本区においても本来、人間が持っている多様性も対応できるダイバーシティの推進が求められると考えます。その中で、SOGIに配慮した相談体制の整備や、その周知が必要だと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。そして、区民サービス相談体制の要である職員の皆様に対する人権研修をさらに拡大、充実させ、意識改革を加速的に進めてはどうでしょうか。ご所見を伺います。また、公園や区有施設内のトイレもオールジェンダーに配慮する考え方を取り入れていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。ご所見をお伺いいたします。  3点目に、学校トイレの役割について伺います。  初めに、学校トイレの感染症対策についてお伺いいたします。  文部科学省では、2020年度補正予算が成立し、感染症対策の観点から、学校再開に向けた支援策を決定し、学校における感染症対策事業に137億円、学校等衛生環境改善に106億円の予算を提示しています。内閣府の避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインでは、既に設置のトイレの洋式化を推奨しています。国土交通省では、バリアフリー基準適合義務の対象施設に新たに公立小・中学校を追加することとなり、心のバリアフリー推進とも相まって、学校施設を利用する地域住民のための多機能トイレや車椅子トイレの整備などにも充てられるということです。  このコロナ禍において、学校トイレの感染症対策については、大変重要な取組であると考えます。トイレの問題点として、常に清潔に保つ清掃が欠かせないことであります。そして、狭い空間であり、不特定多数が使用することで感染リスクが高いということです。トイレで最も多い感染症はノロウイルスで、排せつ物や嘔吐物より感染します。コロナ禍においてもリスクは高く、学校トイレの洋式化をさらに進める必要があると考えます。  学校のトイレ研究会の調査によりますと、洋式トイレは清掃しやすく、感染リスクが少ないということが立証されており、洋式に比べ、和式のトイレは排せつ物が広範囲に飛び散り、床から近く、菌の増殖が著しい状況です。あわせて、トイレの床の乾式化は最も重要です。清掃の方法も、水を流すより乾いた環境のほうが感染リスクを下げることとなっております。また、手や指の衛生には自動水栓が最適です。TOTO総合研究所の2012年の調査によりますと、ぬれている水栓の蛇口から菌が多く検出されるという結果が出ていることからも明らかです。感染源にならないための予防策として、インフラ改善と清掃、消毒などのソフト面の対策が大変重要になると考えます。  石川県かほくでは、市内小・中学校のトイレの全洋式化を進めています。全洋式化を進めることが、一般家庭では洋式が当たり前であること、災害時には小学校が避難所の拠点になることが最大の理由だということです。特に年配者の来校が多いことにも配慮しているということです。トイレのデザインでは、トイレ内でのコミュニケーションを図ることが目的で、アイランド型手洗いカウンターを設置したり、小便器の配置に曲線を取り入れたりして楽しさを演出する様々な配慮が盛り込まれ、児童がトイレに行きやすい空間を実現しているということです。感染症対策のため、トイレの入り口は扉がない、ドアレスにしてあり、形もクランクして、プライバシーにも配慮しています。手洗いは非接触の自動水栓とのことです。  前国立感染症研究所感染症疫学センター室長の木村博一先生も、安心して利用できる衛生的空間づくりのポイントとして、触らない、増やさない、自己防御、ドアをなくす、非接触の手洗い、菌の拡大を抑制の6つが上げられています。台東区においては、現在、小・中学校のトイレの洋式化は82.5%まで進んでいますので、感染症対策の一環としてさらに全校の洋式化を加速的に進めてはいかがでしょうか。教育長のご所見をお伺いいたします。  次に、災害時の避難所におけるトイレの使用の取決めについて伺います。  台東区において、災害時の避難所になる学校におけるトイレの洋式化は82.5%である。その中、総計1,126か所中、校舎のトイレは901か所、実際に避難所となる体育館のトイレは29か所、その中で4か所は和式トイレです。災害の際、学校は高齢者や障害者、様々な方が避難してくる場所でありますので、トイレの全洋式化やだれでもトイレへの転換など、検討していくことは大変重要であると考えます。  愛知県豊川では、各校1か所、だれでもトイレの設置を実施しているということです。現在、全国でも学校におけるだれでもトイレの設置率は大変低く、台東区でも先進的に取り組んではいかがでしょうか。下水道破損で汚水を流せないときのためのビニール袋式で、汚臭をカットできるタイプの便袋の備蓄もしていただいていますが、実際に使用済みの便袋の回収や、ごみ収集が来るまでの保管場所の問題など、既に設置のトイレが機能しなくなったときの想定を具体的で実践的なものとして対策する必要があります。  また、仮設トイレの貸出業者との提携も有効であると考えます。仮設トイレの事業者の主な備蓄拠点は静岡県に集中していると聞きますが、いざ発災時、現場に届くのはどのくらいになるのか、道路状況などで遅延する可能性もあり、課題もありますが、避難者の知見から、避難所で一番困ったことの第1位はトイレで、トイレの数が少ないということでした。既に設置のトイレに合わせ、簡易式のトイレの備蓄もさらに充実すべきと考えます。トイレ事情は完璧にしてし過ぎることはないと思います。  そこで、区長にお伺いします。学校が避難所として機能している間は、校舎のトイレも使えると思いますが、時間の経過とともに授業が再開されると、トイレ使用が制限されることが予測されます。教育現場の場である学校のトイレの災害時の使用についての取決めが必要であると考えますが、いかがでしょうか。区長のご所見をお伺いいたします。  最後に、オールジェンダートイレについて伺います。  先ほどSOGIについての質問で触れましたが、学童期において性別違和感がある児童・生徒がトイレを我慢してしまい、それゆえ膀胱炎になってしまうという事例が起こっています。また、誰もいないときに行くため、授業に参加できていない、授業に集中できないという問題も起こっています。また、配慮が必要な児童・生徒にとっても、パニックになったときにクールダウンの役割を果たせる場所となり得るのもトイレになります。今後、学校の大規模改修などの折に、みんなのトイレの環境づくりの考え方は必要であると考えます。トイレに行くことが苦にならず、安心安全に使えるみんなのトイレの考え方を踏襲した計画を進めてはいかがでしょうか。  また、人目から男女どちらのトイレに入るか分からないように、前室のあるトイレの設置や、保健室の目の前にあるトイレの設置など、性別に違和感を抱えた児童・生徒に対する配慮はとても重要なことだと考えます。SOGIの観点から、性別違和の児童・生徒などに配慮したオールジェンダートイレの設置について、積極的に推進してはいかがでしょうか。教育長のご所見をお伺いいたします。  以上で質問を終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(石塚猛 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。  区長。          (区長服部征夫さん登壇) ◎区長(服部征夫 さん) 松尾議員のご質問にお答えいたします。  ご質問の第1は、高齢者を中心とした多世代交流についてです。  高齢者が健康で自立した生活を営み、地域の一員として様々な世代と交流し、知識や経験を生かして生きがいを持って生活することは重要です。区では、高齢者の社会参加の促進や、地域交流の支援を高齢者保健福祉計画の施策として位置づけ、地域活動参加への支援や介護予防事業等により推進してまいりました。松尾議員ご提案の多世代交流については、高齢者だけでなく、幅広い年齢層の方が共に参加し、交流できるような取組を通いの場や認知症カフェなどにおいて実施してまいります。  ご質問の第2は、SOGIについてです。  まず、相談体制の整備と周知についてです。  私も松尾議員と同様、多様性を尊重し合い、誰もが自分らしく生きる社会を実現することは重要であると認識しています。区では、性的指向・性自認に関する悩みや不安を抱える方の相談窓口として、こころと生きかたなんでも相談のカウンセリング体制の見直しを行い、昨年度からSOGIの視点を組み入れた体制といたしました。また、「性の多様性と人権」と題した講座を11月から区公式ユーチューブにて動画で配信し、理解の促進を広く図っているところです。  今後も相談事業の周知をより一層行うとともに、周囲の方への理解も促進されるよう、動画配信もはじめ、今年度作成した人権ハンドブック等を活用し、鋭意啓発に努めてまいります。  次に、職員への人権研修の充実についてです。  現在、性的指向・性自認については、定期的に実施する研修において、新たな人権課題として取り上げています。特に若手職員対象の研修では、多様な性への意識が持てるよう、当事者の方を講師に招いています。引き続き人権研修による職員育成を図るとともに、今後、職員向けのガイドラインを作成するなど、さらなる理解の促進に努めてまいります。  次に、オールジェンダーに配慮した区有施設のトイレについてです。  トイレは性的指向・性自認を理由として生じる社会的な困難の一つであり、悩みを抱える方の大きなストレスにつながるものと認識しています。多様な性に配慮した区有施設のトイレの整備については、民間施設や他自治体の先進的な取組を注視し、研究してまいります。  ご質問の第3は、災害時の避難所におけるトイレ使用の取決めについてです。  災害発生後、避難所が開設された状況で、学校の授業が再開した場合、トイレ等、施設の使用方法について調整が必要になると私も認識しています。避難所としての学校の使用方法については、体育館や教室の配置、想定避難者数等により異なるため、各避難所の特性に合わせる必要があります。避難所設置が長期化した場合でも、教育活動と避難生活がともに円滑に行われるよう、今後、避難所運営委員会と協議してまいります。  その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。 ○議長(石塚猛 さん) 教育長。          (教育長矢下 薫さん登壇) ◎教育長(矢下薫 さん) 松尾議員の学校トイレの役割についてのご質問にお答えさせていただきます。  まず、学校トイレの感染症対策についてでございます。  現在、教育委員会では、生活様式の変化や衛生管理の観点から、トイレの洋式化や床の乾式化等を計画的に進めているところでございます。中でも議員ご指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症により、トイレの環境衛生面の向上はこれまで以上に重要になっていると認識しております。  そのため、児童・生徒の感染症対策として、緊急的に小・中学校のトイレ内の手洗い水栓を自動化いたしました。教育委員会といたしましては、児童・生徒が安心して学び、生活できる教育環境を確保するため、引き続き、学校施設のトイレの洋式化に取り組んでまいります。  次に、オールジェンダートイレについてでございます。
     現在、教育委員会では、大規模改修工事や改築の際に整備しているだれでもトイレを活用しながら、性的指向・性自認の悩みを抱えている児童・生徒に配慮をしているところでございます。教育委員会といたしましては、人権教育の一環として、性別に違和感を抱えた児童・生徒への偏見や差別の意識を持つことがないよう指導を進めるとともに、施設整備の中で、オールジェンダートイレについて研究し、性的指向・性自認に関する児童・生徒の悩みに寄り添いながら対応してまいります。 ○議長(石塚猛 さん) 7番松村智成さん。          (7番松村智成さん登壇)(拍手) ◆7番(松村智成 さん) つなぐプロジェクトの松村智成です。  今回は、区長に大きく2点と、教育長に大きく1点質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  1点目は、浅草地区のまちづくりについてお聞きいたします。  区内には、谷中、上野など多数のまちづくり協議会があり、大きな成果を上げております。その中でも特に浅草地区のまちづくりについては、私自身、地元でもあり、大いに期待しております。コロナ禍の影響で行政経営が多大な影響を受けていることは十分に認識しておりますが、町なかの状況はさらに深刻です。上野地区には文化施設が多数集積していて、都内でもトップクラスとなる乗降客数を誇るターミナル駅を擁する商業地域であり、マイクロツーリズムの受皿としても成り立っており、それに比べて、国際観光都市としての色合いがより濃い地区である浅草の経済的なダメージは相当深刻であります。  近年、浅草はインバウンドや修学旅行などをメインターゲットとした観光施策を展開し、スカイツリーの開業や東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が決まるなどの波及効果もあり、多くの来街者に訪れていただき、大変なにぎわいでした。しかし、そんなさなか、この新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こってしまい、海外からの旅行者や修学旅行の人たちはいなくなり、飲食店やお土産を扱うお店も大打撃を受け、多数の店舗がシャッターを下ろさざるを得ない状況となってしまっています。  私はかつての元気な浅草の復活を願いながら、私自身も努力を重ねていく所存ではありますが、行政側からも様々な取組についてご尽力を賜りたいと思います。観光都市という特別なまちである浅草においては、市街地を形成、構成する、いわゆるハード面の都市づくりと、多くの観光客を受け入れるためのソフト面の観光政策の両面の取組を一体的に進めていくことがまちのにぎわいづくりを図るために重要であります。本地区のハード面の整備は、まちづくりビジョンを新たに策定して進めることになると思いますが、観光都市として復活させるためにはソフト面の観光振興に係る施策も同時に展開することが必要と考えますが、今後のまちづくりの進め方について、区長の所見を伺います。  また、私の地元である花川戸地区について、平成19年6月に策定された浅草地域まちづくり総合ビジョンの中で整備方針が示されておりますが、現行のビジョンで積み残された課題となってしまっているように思っております。花川戸という地域は町内に東武線の始発である浅草駅や、日本で最初にできた東京メトロ銀座線の始発である浅草駅、昨年リニューアルした浅草保健相談センター、台東区民会館、そして台東区立浅草小学校、履物問屋街、そして隅田公園などがある地域です。隅田川に面し、東京で初めて川沿いにカフェテラスを設置し、東京スカイツリーを眺めながら一息つけるのもこの地域になります。  また、花川戸といえば助六を連想される方も多くいるかと思います。助六は歌舞伎の演目の一つの通称であり、江戸の古典歌舞伎を代表する演目の一つでございます。地元では、隅田公園沿いの区道を助六夢通りと命名し、日頃から花川戸の名前と同様、助六の名前も大切にしております。浅草といえば浅草寺があり、雷門や仲見世がメディアに取り上げられがちではありますが、花川戸こそ旧町名のまま現存する数少ないまちで、浅草の中でもマイクロツーリズムの受皿となり得る、十分魅力的で潜在能力を持った地域であると考えております。  台東区の中でも昨今、マイクロツーリズムの受皿となっている地域の一つに、御徒町から蔵前にかけての地域がございます。この地域は古くから職人が多く、装飾品やファッション雑貨、玩具などの産業が盛んでありましたが、区が台東デザイナーズビレッジをつくり、その卒業生などの新しいクリエーターが共存することで、新しいものづくりの形が生まれ、モノマチなどのイベントの成功から、回遊などで多くの集客をもたらしました。  現行のビジョンでは、花川戸地域の再整備に向けて交通結節点の再整備という項目の中で、交通機関との交通結節機能の再構築を誘導し、利便性と安全性を高めた交通拠点の整備を推進、また都市計画手法を活用して効率的な土地利用を誘導、そして馬道通り、雷門通り、江戸通り、つくばエクスプレス、大江戸線との交通流動、隅田川への歩行動線の在り方について検討などなど記載がありますが、残念ながらそれらのハード面での課題について、手つかずで残されております。  ソフト面では、本地区が先ほど述べたとおり、浅草の歴史を継承する重要な地区でございますが、そういった文化が生かされず、また周辺地域の産業も衰退してきており、かつての地区全体にあった活気が減少している感が見られます。近年では、隅田公園沿いに開放感あふれたお店ができ始め、町なかでもこれまでには見られなかった雰囲気のお店もでき始めております。潜在的な魅力はまだまだあると信じて疑わない、この花川戸、新たなビジョンとしてもしっかりと位置づけて、ハード面とソフト面の課題に対する取組を着実に実施していっていただきたいと思いますが、区長の所見を伺います。  続きまして、2点目の質問になります。大規模建築物の公共貢献について伺います。  国の制度変更や法律改正、個人の価値観の多様化などにより、行政に求められるものが時代により変化しており、それら多様なニーズに対応するための施設整備を行政だけの力で行っていくことは、大変難しい時代となっています。その課題の一つの方法として、民間にもその一助となっていただくための大規模建築物の公共貢献があるのではないかと思っております。新たに建設される大規模な建築物は、その周辺環境への影響が大きく、そのため地域への公共貢献も求められます。その公共貢献の在り方は、そのときの社会情勢や地域の状況に応じたものであり、各自治体において大規模建築物の建設時に要請される内容も様々であります。  一般的に公共貢献とは、初期は従来の規制緩和手法で用いられた広場、道路などのハード面の取組が中心でありましたが、近年では防災、環境、景観などの社会的要請の高まりに対応した取組が増加しており、さらに地域貢献施設のようにソフト面の取組を重視するものも増加しております。  他区の事例で申し上げますと、渋谷区では、渋谷区安全・安心なまちづくりのための大規模建築物に関する条例が平成27年9月に施行し、延べ床面積が1万平方メートルを超える大規模建築物に対して、周辺地域に対する貢献として、公共の用に供する施設の設置等を定め、各施設の所管に事前相談を行い、公共貢献計画を提出することとなっております。平成30年12月には条例を一部改正し、帰宅困難者対策、喫煙施設の設置、公共用自転車等駐車場の設置の対象となる建築物の見直しを行い、中でも喫煙施設の設置というところで健康に配慮したまちづくりの推進を図っています。  台東区においては、平成3年に東京都台東区大規模建築物建築指導要綱を制定し、敷地面積が300平方メートル以上の建築物に対して渋谷区同様、公共貢献に寄与する事項の設置について定める仕組みがあり、駐輪場の設置や空地の確保、雨水や省エネ対策では、防火水槽、防災用備蓄庫の設置などについての努力義務を定めていますが、要綱の目的が、職と住の調和が取れた市街地の整備と定住促進となっており、この要綱は平成20年と24年に一部改正がなされたものの、目的の変更や追加などの変更はなされず現在に至っているため、新たな地域課題に対応するための公共貢献を求められていない状況となっております。  例えば平成27年からスタートした子ども・子育て支援新制度に対応するため、待機児童対策としての保育施設整備については大規模マンション等の建設における保育所等の整備に係る事前届出等に関する条例を制定することで、保育所等整備の協議を義務づける対応をしています。また、先般、国では改正健康増進法が、都では東京都受動喫煙防止条例の施行により、喫煙環境の規制が進み、施設内における喫煙が大幅に制限されることとなりました。我が区では、受動喫煙を防ぐため、公衆喫煙所の設置を鋭意進めておりますが、多くの喫煙者の需要を満たせていない状況となっており、結果として子供も通行する路上で喫煙する人や、近隣の時間貸し駐車場や他人の土地で喫煙する人も見受けられ、屋外での喫煙が増えているように感じられます。  今後も区が主体的に整備を進めていかなくてはなりませんが、行政だけの努力には、設置場所の課題など限界があり、民間施設の活用策も検討するべき段階に至っているのではないかと思っております。例えばオフィスビルにおいては、そこで働く方々の喫煙場所を設ける必要があると思います。住居を除く一定規模以上の建築物を造る際には、喫煙施設の設置も協力いただく検討も進めていくべきではないかと考えます。さらには、平成23年に発生した東日本大震災では、帰宅困難者への対策が不十分であり、一時滞在施設の指定も進めていますが、十分な確保には至っておりません。また、昨今の台風や集中豪雨などによる風水害への対応も今以上に充実させていかなくてはならないと考えます。  そのほかにも地球温暖化対策への機運の高まりや、成人病への関心などにより自転車を積極的に利用する方も増え、インバウンド対応や、近々では新型コロナウイルス感染症の対策としても自転車の利用が増加していて、公共用自転車等駐車場やシェアサイクルスポットの整備にもニーズが高まっていると思われます。こういった問題は行政だけでは解決できない事案であり、民間の協力が欠かせないでしょう。  現行の要綱が制定された平成3年時と比べ、この30年間で台東区の人口も約3万5,000人増加し、20万人を超えていて、今後も現行の人口推計によれば30年は増加し続けることとなっています。また、働き方や価値観も大きく変わったことにより、個々の区民のパーソナリティーも大きく変化しています。さらには国の制度も変わっていますし、自然災害への備えも充実させていかなければなりません。時代の変化によって行政に求められるものも変化している中、大規模建築物に対して求める公共貢献の在り方について見直す時期に来ていると考えますが、区長の所見を伺います。  最後、3点目、教育長に伺います。教育現場における新型コロナウイルス感染症対策に関わる迅速な情報提供についてです。  全国的に新型コロナウイルスの感染者数の増加が見受けられ、学校におけるクラスターの発生もニュースなどで見聞きするようになりました。本区の各学校では、台東区立学校園版感染症予防ガイドラインに基づいて、感染症対策に取り組んでいただけているところではありますが、区内の学校における新型コロナウイルス感染者も増えてきており、私の元には不安を抱える保護者の方からご連絡を多数いただくようになりました。  その原因の一つには、正しい情報が迅速に学校現場や保護者に届いていないことが上げられます。例えば新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、感染症予防ガイドラインに基づいて学校園での対応が実施されておりますが、大幅な変更を行った8月31日の修正版、第3版は、その改正がいつの間にかされていて、例えばPTAの役員の方でも知らない、そんな状況でした。そして、11月11日にも修正版、第4版が発表され、その改定されたガイドラインでは、行事の在り方などが改定され、子供たちが授業でできることも増えております。当初は区のホームページや学校のホームページでその情報が掲載されているだけであったため、保護者の元に正確な情報が迅速に届かなかったことから、感染者数も増えているのに、ガイドラインの中で規制を緩めるという形に変更されている。あえてそれを隠しているのではないかという、学校や教育委員会に不信感を持った保護者もおられたようです。  ホームページで掲載後、数日を経過してから小学校では、メーリングリスト機能であるツイタもんで変更についてのお知らせを送付したようですが、学校ごとに内容の温度差もあったようです。せっかくのガイドラインも学校現場や保護者などが正確に、そしてタイムリーに理解していなければ、感染拡大防止の効果を低下させ、また不安感を増大させることにもつながりかねません。  また、学校で感染者が発生した場合の対応についても、誰が濃厚接触者なのかの定義について、企業向けには台東区のホームページに記載されておりますが、保護者向けには記載がありません。学校向けにも、例えば濃厚接触とは、15分以上マスクなしで1メートル以内で会話をした、同じペットボトルで回し飲みをした、給食を向かい合って1メートル以内で食べたなどの分かりやすい例が必要だと思っています。もちろん保健所と相談して、濃厚接触者の判定をしていることは分かりますが、判定の材料となると思われる先生の話だけでは分からないこともあるはずで、保護者などに濃厚接触者の基準を伝えることで、子供から話を聞いた保護者からの連絡が来ることもあり得ます。新型コロナウイルス感染症対策についての情報をできるだけ、できる限り分かりやすく正確に、そしてタイムリーに保護者や子供たちに伝えていくことは、新たな感染者を防ぐことにもつながります。  学校が提案する行事に対し、教育委員会が全面的に支援していただきたいと、以前、決算特別委員会総括質問においてお聞きしましたが、少し前の知識のまま行事を行うような状態が見受けられた場合には、もっと積極的な指導や関与があってもよいかと思います。保護者に対する区や学校の感染症対策の進捗状況や、区役所からの情報、そして今後の取組予定の情報などの迅速な周知は絶対に必要であります。日々、変化する情報を各学校や保護者へ正確に伝えるためには、これまでの保護者自ら能動的に情報を取りに行く、いわゆるプル型から、保護者の能動的なアクションに関わらず、情報提供を行うプッシュ型に変えることで、情報弱者は大幅に減少するでしょう。このコロナ禍においては正しい最新情報こそ命であり、子供がいるご家庭と共に、この国難を乗り越えるすべとして、情報弱者をつくらないという考え方が教育委員会として必要だと思われます。新型コロナウイルス感染症対策に関わる情報については、保護者などに対して正確で、迅速かつ積極的に提供すべきと考えますが、教育長の所見を伺います。  続きまして、先ほど述べました人権に関する質問です。  全国的に新型コロナウイルス感染者数の増加が見られ、ここ最近では連日のように区内小・中学校園で児童・生徒、また教員などの新型コロナウイルス感染症の陽性が複数確認されております。文部科学省の新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン内の感染者等に対する偏見や差別への対応の中で、感染者、濃厚接触者とその家族、この感染症の対策や治療に当たる医療従事者や、社会機能の維持に当たる方とその家族等に対する偏見や差別につながるような行為は断じて許されないものであり、新型コロナウイルス感染症に関する適切な知識を基に、発達段階に応じた指導を行うことなどを通じ、このような偏見や差別が生じないようにすると書かれております。  これまで区は、人権尊重の精神に関する教育目標や基本方針を平成9年3月に制定し、さらに人権尊重教育推進校も決め、これまで積極的に人権問題について取り組んできた実績がございます。そこは高く評価しており、これからもぜひ続けていっていただきたいと考えております。さらに感染者等への偏見や差別を持たせない教育も早急に取り組むべきと考えますが、教育長の所見を伺います。  以上につきましての3点、ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(石塚猛 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。  区長。          (区長服部征夫さん登壇) ◎区長(服部征夫 さん) 松村議員のご質問にお答えいたします。  ご質問の第1は、浅草地区のまちづくりについてです。  まず、今後のまちづくりの進め方についてです。  浅草地区は、日本を代表する国際観光拠点として、今後ますます発展させていくことが必要であると認識しています。そのため、都市づくりと観光振興の両方の視点から、未来を見据えた施策を打ち出し、実行していくことが重要と考えています。この考えに基づき、新たなまちづくりビジョンにおいては、交通結節機能の強化、防災機能の充実など、都市づくりの課題の解決を図るとともに、本地区に求められる新たな時代に即した観光施策についても検討を行い、これらを位置づけてまいります。  私は、都市づくりと観光振興の施策を一体的に展開させることで、国内外から多くの方々が訪れ、安心して快適に、観光に満足いただける国際観光拠点を実現するように、まちづくりを鋭意進めてまいります。  次に、花川戸地区の再整備についてです。  本地区におけるまちづくりにおいては、鉄道駅を含めた都市基盤及び都市機能の在り方や、隅田川の水辺の景観を生かした街並み整備などが引き続き検討すべきハード面の課題であると認識しています。また、本地区における歴史や伝統を継承した文化や産業は重要な資源であり、それらを活用し、より一層のにぎわいをもたらすソフト面の施策が必要であると考えています。新たなビジョンの下で、これらのハードとソフトの両面に対し、効果的かつ実効性のある施策を展開し、より魅力のあるまちの実現を図ってまいります。  ご質問の第2は、大規模建築物の公共貢献についてです。  区では、台東区定住まちづくりに関する基本条例に基づく台東区大規模建築物建築指導要綱により、一定規模の敷地面積の建築物について、駐輪場や空地の確保、住宅の附置を義務づけるなど、良好な市街地の整備促進並びに定住人口の確保及び増大に向けて必要な措置を講じています。  しかし、平成3年、今からおよそ30年前になりますか、この基本条例を制定後、社会情勢が変化し、区の人口が増加するとともに、様々な課題が発生していることも認識しています。このため、指導要綱は住宅マスタープランの改定に合わせ、見直してまいります。さらに松村議員ご提案の公共貢献の在り方についても、この中で検討してまいります。  その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。 ○議長(石塚猛 さん) 教育長。          (教育長矢下 薫さん登壇) ◎教育長(矢下薫 さん) 松村議員の教育現場における新型コロナウイルス感染症対策に関わる迅速な情報提供についてのご質問にお答えさせていただきます。  まず、保護者等への情報発信についてでございます。  台東区立学校園版感染症予防ガイドライン第4版や、本ガイドラインに基づく感染症対策を講じた教育活動等につきましては、台東区ホームページだけではなく、各学校園のホームページ、登下校時の通知メールシステム等を活用して周知を図っているところでございます。  今後は情報を迅速に提供するだけではなく、各学校園のホームページのレイアウト等を工夫して、分かりやすく情報を提供し、保護者等の不安解消に努めるよう、各学校園に対して指導してまいります。  次に、感染者等に対する偏見や差別を防止するための教育についてでございます。  これまでも各学校園におきましては、台東区教育委員会が作成した人権教育資料や特別の教科道徳で活用できる読み物教材等を活用し、発達段階に応じた人権教育を推進してまいりました。さらにコロナ禍においては感染症予防ガイドライン等も活用して人権教育を推進しているところでございます。  教育委員会といたしましては、今後も子供たちが自分事として正しく人権尊重の理念を理解し、感染者等に対して偏見や差別意識を持つことなく行動することができるよう、各学校園における人権教育のさらなる充実に努めてまいります。 ○議長(石塚猛 さん) 28番秋間洋さん。          (28番秋間 洋さん登壇)(拍手) ◆28番(秋間洋 さん) 日本共産党の秋間洋です。  新型コロナウイルスから区民の命を守り、この危機を乗り越えるために質問いたします。  第1は、急速な感染拡大からどう区民を守り抜くかです。  菅首相がマスク会食、小池都知事は5つの小を呼びかけました。政治指導者が国民に箸の上げ下げしか発言できない無為無策は、いつまで続くのでしょうか。政治がやるべきことは、自助努力の号令ではありません。日本共産党は、第1に、科学的見地に基づく検査、保護、追跡の戦略的拡充、第2に、医療機関への抜本的な財政支援、第3に、万全な休業補償をと繰り返し政府に提言しています。感染を広げない安心と同時に経済を動かす、ただ一つの道であります。  我が区議団も新型コロナウイルス感染発覚の直後から民間検査機関を活用したPCR検査の拡充、発熱外来の整備、医療・介護従事者への社会的検査など、何度も区に求め、議会で取り上げてきました。台東区は、第一波の痛苦の教訓を生かし、他区に先駆けて検体採取センターを設置、ここに来て社会的検査に踏み出す動きが出てきたようであります。大いに歓迎するとともに、この社会的検査の対象を広く行うことを求めます。  台東区は、今、爆発的な感染拡大の中、救えるのに救えない区民を一人も出さない、その体制が整っていると言えるでしょうか。台東区の感染拡大防止策は第一波のときから、感染者を追跡して拡大を防ぐ、いわゆる点と線の対策であります。しかし、現局面は、症状がない方からの感染拡大、面的拡大が多くを占めており、従来の方針の延長では拡大を食い止めることはできません。無症状の感染者からの感染を最大限抑えなければなりません。1つ、感染急増地域の全員検査、2つ、医療・介護・福祉・教育関係者への社会的検査、この2つを中心にした戦略的なPCR検査方針が必要であります。  もう一つ大事なことは、区民が感染を防ぐため的確な行動ができるような情報公開、これを拡充することであります。台東区は感染情報をホームページで公開しています。毎週データを更新していますが、かかりつけ医等への相談数、そこから民間検査機関に回った検査数が反映されていません。この間の検査や相談は、かかりつけ医経由がかなり多くなっているはずであります。ですから、ここに来て、都から報告される感染者数はどんどん増えているのに、相談検査数は減るという逆転現象が現れています。基本的な数値で区の情報と実態との乖離が日を追って広がっていては間違った認識を区民に与えます。また、少なくとも感染者の年代別内訳、感染経路の有無、感染者の療養場所、重症者や死者数などの情報は収集し、公開すべきであります。  区長は、区内の感染状況を掌握し、分析して、感染防止の方針を打ち出そうという姿勢が弱いのではないでしょうか。区長、症状のない感染者からの感染を防ぐための検査戦略を区民に示してください。また、区民が的確な行動ができるような情報公開へ、まずかかりつけ医等を経由する相談と検査の件数を公開してください。それぞれ答弁を求めます。  感染拡大を防ぐには、無症状者への検査拡大と同時に、迅速な追跡と適切な保護が欠かせません。このウイルスを封じ込めるためには、排出量が多いとされる感染してから発症する前後、発症初期の対応が決定的であります。春先の教訓を踏まえれば、保健所がかかりつけ医と連携し、迅速で的確な追跡・保護につなげることが要です。感染してから発症するまで、感染してから陽性判明までの調査、濃厚接触者の判定と追跡、陽性者が感染を広げないようにするための追跡・保護など、保健所の業務は極めて重大であります。  区長、保健所の感染経路等の追跡調査のための人員体制は整っているのでしょうか。万全な調査ができるよう、大幅に増員すべきではありませんか、お答えください。  第2は、コロナ危機を乗り越える区政の在り方についてです。  新型コロナウイルス感染症が浮き彫りにした社会のもろさは、世界でも、日本でも、企業利益のために効率ばかりを追求し、社会保障をはじめ公的なサービスを切り捨て、自己責任を押しつける新自由主義がもたらしたものです。日本では、医療費亡国論の大号令の下、医者や看護師、病院のベッドを削減し続け、感染症対策予算や保健所を減らし続けた政策の果てが今、新型コロナウイルス感染症による医療崩壊寸前の状況をつくり出しているのであります。  ところが、そんな中で、新しい日常、ウィズコロナという名の下、コロナ危機に乗じ、コロナ後の社会を新自由主義、自己責任中心の社会に逆戻りさせる動きが進んでいます。ウィズコロナがマスク、消毒、手洗い、三密を避ける生活習慣の定着という意味なら理解できますが、そうではありません。政府内に中小企業の新陳代謝を促すため、持続化給付金と家賃支援給付金を終了すべきだとか、そんな主張が広がり、テレワークの拡大を入り口に、成果型労働時間管理や裁量労働制など、労働条件の改悪の動きが強まっています。75歳以上の医療費窓口2割負担も、どさくさ紛れに導入しようとしているのであります。金銭による解雇の自由化、地方銀行や信用金庫の統合推進などなど、政府は新自由主義的政策をウィズコロナというオブラートに包んで、一気に進めようとしています。  台東区は、感染予防に取り組む事業者を支援する「#たいとう愛」新しい日常全力応援事業をスタート、区長は決算特別委員会で、ウィズコロナの時代に対応した真に必要な事業を推進すると表明しました。私は聞いていて、それが専ら自己責任を求めるものなのか、地方自治の使命である住民福祉・公助を基本にするものなのかが分かりませんでした。国の今の流れを見ると、大変不安であります。  区長、ウィズコロナの時代に対応した真に必要な事業とは何ですか。区長の所見を求めます。  コロナ禍は、貧困、雇用、高齢者・障害者の健康など様々な困難をもたらしています。区内を歩き、年内で店を閉める、後継者にバトンタッチするのを断念したという声をどれだけ聞いたでしょうか。今日は子供と女性の問題に絞り質問します。  まず、コロナ禍がもたらしている子供の困難の解消についてです。  国立成育医療研究センターは、新型コロナウイルス感染症のことを考えると嫌だとの子供の回答が春より増え、子供が引き続き強いストレスを抱えていると発表しました。我が区議団は、この半月、子供の保護者、教職員らから聞き取りを重ねてきました。保護者40人からのアンケートでは、生活リズムの乱れ、45%、スマホ・ゲームによる視力低下、50%、学校からの課題をこなせない、20%、再開してからの授業についていけない、32%と、学力の格差や心身の健康に大きな影を落としています。6月からの5か月で5回もテストが行われ、子供が結果を見せなくなった、ゲームを注意して怒りっぽくなっている自分が嫌になる、子供がいつどこで感染してしまうのか、幾ら自粛や予防をしても不安と照らし合わせながら生活しており、本当に疲れるなど、保護者の影響も軽視できません。  先月末、区内市民団体が行ったコロナ禍の教育という学習懇談会では、現役教師から、学力格差が広がった、転ぶこと、骨折が多くなった、外に出るのが怖いという子供、不登校が増えたなどの声が出されました。教育長は第2回定例会で、伊藤延子区議の質問に、担任や養護教諭のきめ細かな健康観察、複数の教職員による児童・生徒の状況把握によりスクールカウンセラーに迅速につなげる、心のケアを含めた教育相談機能の充実に努めると答えました。教育長、分散登校、そして短い夏休みから2学期開始、感染防止の学校生活などの新しい環境変化が子供にどんな影響を与えていると認識していますか。所見を求めます。  さらに困難なのは、環境の変化に対応する力の弱い発達障害児であります。マスクをわざと引きちぎる、キレやすくなった、すぐ手が出るようになった、一斉休校後、友達の輪に入れなくなった、この間、私が聞いた発達障害児の保護者の声です。コロナ禍の学校生活は、計画どおりに進まないとパニックになってしまう発達障害の子供たちにとっては厳しい環境だと思います。手厚いケアが必要です。教育長、特別支援教育支援員は現在、保護者や学校現場からの要望に応えるだけの配置がなされているのでしょうか。少なくともコロナ禍の中では大幅に増員すべきと考えますが、所見を求めます。  子供たちのストレスの根源は、一斉休校による学習の遅れ、それを取り戻すための詰め込み授業や塾通い、友達と過ごせる時間、教師や親に自分の思いを伝える時間、これらの喪失にあるのではないでしょうか。今、学校・家庭・社会が子供たちの声にしっかり耳を傾ける時間を十分に取ることが極めて重要であります。それを大本から保障するのは少人数学級です。文部科学省はようやく少人数学級の優位性を認め、来年度予算への事項要求を行うようであります。  しかし、学校生活でのソーシャルディスタンスの実現を緩和しても、少人数学級は遠い将来の話ではなく、すぐに実現しなければならない課題であります。日本共産党区議団は、一貫して少人数学級の実施を求めてきました。しかし、区教育委員会は、義務標準法や都の学級編制基準、財政的負担などを理由にして少人数学級はできないとし、チームティーチングなど少人数指導で学力向上を進めるとしてきました。一定の規模を維持するためには少人数学級には問題があるとまで、今の財務省のように、少人数学級を否定することさえあったのであります。  しかし、一斉休校明け、6月、三密を避けるための分散登校で、児童・生徒、教員ともにクラスが半分になる体験をし、現場教員から、子供との距離がぐっと近くなったとの声が教育委員会に上がってきたとの報告がありました。私たちの聞き取りでも、児童・生徒は先生が自分の話をよく聞いてくれるようになったという声が寄せられています。少人数クラスのゆとりが教員と子供の関係を改善させることは明白であります。  教育長、少人数学級についての認識はこれまでどおりなのでしょうか。優位性についての認識はないのでしょうか。所見を求めます。  最後の質問は、コロナ禍で広がるジェンダーギャップについてです。  女性の自殺者について警察庁は、この7月以降、前年同期より大幅に増え続け、10月は82%、40代の女性では何と倍以上に増えたと発表しました。背景には、経済的困難、若年女性の望まない妊娠、中絶の困難などなどがあります。新型コロナウイルス感染症で真っ先に仕事を奪われているのは女性の非正規雇用労働者であります。8月は非正規雇用の就業者数が前年より120万人減りましたが、その7割、84万人が女性でした。  それに輪をかけているのが女性労働の社会的、経済的地位の低さです。介護や育児などのケアは女性が担うものという日本社会にこびりつく性的役割分業の発想が新型コロナウイルス感染症でさらに女性を窮地に立たせています。全国一斉休校や保育園への登園自粛、感染を恐れてのデイサービスの利用控えは、まず女性労働者を襲いました。仕事に出られず、減収や雇い止めとなる一方で、介護・育児の負担がずっしりとのしかかりました。家庭に押しとどめられる暮らしは家庭内暴力を増やしました。台東区のDV相談、はばたき21相談室への4月から10月の相談件数は、昨年は88件でしたが、今年は307件、爆発的、3.5倍増えているのであります。  区長、コロナ禍で区内女性の人権にどういう変化が起きていると認識していますか。コロナ禍でのジェンダーギャップの拡大について調査し、はばたきプラン21推進会議で取り上げ、相談体制の強化など、対策を拡充する考えはありませんか。あわせて所見を求めます。  コロナ禍でジェンダーギャップが拡大する中、区民福祉にとって極めて重要なのがDVや貧困などの女性相談をはじめ、児童虐待、児童発達支援、精神保健、障害福祉など、切実な区民の相談に対応する職員の役割であります。中でも今、1年契約で働く非常勤職員の女性会計年度任用職員に光を当てる必要があると考えます。台東区の職員は、その3割が非常勤の会計年度任用職員です。うち77%が女性です。会計年度任用職員に占める女性の比率は、子ども家庭支援センター、95%、松が谷福祉会館、88%、保育士、98%、保健所は100%であります。彼女たちは相談など、直接区民相手の仕事に携わっています。まさに女性の会計年度任用職員が安定するかどうかは、区民福祉の水準に直結する重大な問題であります。特にDVや虐待相談、児童発達支援、障害福祉、そして保育などは区民との信頼が決定的であり、継続性、蓄積が欠かせません。しかも彼女たち自身、自らジェンダーギャップが広がる中で頑張って働いているのであります。  区は、今年度からの男女平等推進行動計画で、区政全てにジェンダーの視点を据えています。彼女たちの声と知恵は、その面でも貴重ではないでしょうか。ところが、地方公務員法の改定により、今まで事実上更新できた非常勤職員が、今年度から一会計年度の雇用が原則の会計年度任用職員になりました。不安定な働き方になったことは、継続性や信頼が必要な区民福祉そのものの質を低下させることにつながりかねません。  区長はさきの決算特別委員会で、我が党、鈴木昇区議が、会計年度任用職員の有期雇用をやめるべきではないかと質問したところ、任期についてはその年度ごとに必要性を判断するものであり、一会計年度内の任用、こう答弁しました。しかし、区の非常勤職員の33%は5年以上の継続した任用であります。区長が言う年度ごとに判断というのは、実態に即していないではありませんか。全日本自治体労働組合が8月に行った全国調査では、任用期間に上限を設けないとの回答が事務労働でも二十七、八%あったのであります。決算特別委員会での区長の見解は、会計年度任用職員にとって、あなたの仕事は定着してもらうことを基本にはしていない仕事だという表明に聞こえます。これではいい人材が残る意欲をなくしてしまいます。  区長、女性会計年度任用職員が区民の人権や生命に直接関わる仕事にふさわしい処遇を受けていると言えるでしょうか。彼女たちが果たしている区政の中での役割についての認識をお示しください。また、5年継続の人も、初年度の人も、全く同じ給料という現在の制度を改め、勤続年数に応じた昇給、いわゆる経験加算を導入し、貴重な人材を確保すべきではないでしょうか。答弁を求め、私の質問を終わります。 ○議長(石塚猛 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。  区長。          (区長服部征夫さん登壇) ◎区長(服部征夫 さん) 秋間議員のご質問にお答えいたします。  ご質問の第1は、新型コロナウイルス感染拡大から区民を守ることについてです。  まず、感染拡大防止対策と情報公開についてです。  感染拡大を防止するためには、一人一人が対策を徹底するとともに、必要な方には速やかに検査を受けていただくことが重要です。区ではこれまで感染が疑われる方が必要な検査を速やかに受けられるよう、相談体制を整備し、検査体制を拡充してまいりました。また、学校や高齢者施設などにおいては、濃厚接触者に該当する方だけでなく、幅広く検査を受けていただくことで感染拡大の防止に努めてまいりました。  さらに、区民が適切な対策を取るために必要な情報を周知するとともに、感染状況なども適宜公開してまいりました。かかりつけ医への相談件数などの把握は、医療機関の負担となることから困難であると考えていますが、情報の表記方法については分かりやすくなるよう工夫してまいります。  次に、保健所の人員体制についてです。  区では、感染経路などの特定や感染拡大の防止を図るため、陽性者の行動を調査する積極的疫学調査に取り組み、そのための人員については状況に応じ、配置してまいりました。また、感染拡大に伴い急増する保健所業務に対応するため、職員の異動や兼務発令、会計年度任用職員の採用などにより、人員体制を充実してまいりました。今後も業務量の増加や新たな業務の発生に応じて、必要な体制を確保してまいります。引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向け、全力で取り組んでまいります。
     ご質問の第2は、コロナ危機を乗り越える区政の在り方についてです。  区はこれまで区政運営の3つの柱に基づき、区内の医療提供体制の強化支援、区民生活と区内事業者への支援、区役所業務の改革などに取り組んでまいりました。今後は3つの柱に加え、まちに活力を取り戻し、持続的な発展につなげるための取組を新たな柱に据えて区政を進めてまいります。引き続きウィズコロナの時代に対応した区民福祉の向上のために必要な施策を展開し、基本構想に掲げる将来像の実現に向けた取組を着実に推進してまいります。  ご質問の第4は、コロナ禍で広がるジェンダーギャップについてです。  まず、格差拡大についての認識と対策についてです。新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴い、生活不安やストレスを一つの要因として、DVに関する女性からの相談が増加しており、家庭や仕事における女性の生活環境に影響が及んでいるものと認識しています。区では、区内4警察署と開催している配偶者暴力対策連携会議などにおいて、コロナ禍におけるDV被害の実態把握に努めるとともに、必要な連携体制を構築しています。引き続き、ジェンダーギャップの解消に向け、学識経験者をはじめ様々な関係者で構成するはばたきプラン21推進会議において協議を重ねていくとともに、講座の開催や動画をより一層活用し、意識啓発に鋭意努めてまいります。  次に、会計年度任用職員の役割についてです。性別にかかわらず、全ての職員が区民サービスを提供する上で重要な役割を担っており、区にとって必要な人材であると認識しています。  次に、報酬の経験加算についてです。会計年度任用職員の報酬は、その業務を確実に遂行できる人材を確保する観点から、職務の種類ごとに見合った額を設定しています。経験加算の導入につきましては、引き続き、社会状況や各区の動向を注視してまいります。  その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。 ○議長(石塚猛 さん) 教育長。          (教育長矢下 薫さん登壇) ◎教育長(矢下薫 さん) 秋間議員のコロナ禍で広がる子供の困難の解消についてのご質問にお答えさせていただきます。  まず、コロナ禍による子供への影響についてでございます。新型コロナウイルス感染症により、子供たちを取り巻く環境は大きく変化しております。これまでと同じ生活を送ることが難しく、人との関わりや体験的な活動に制約が生じている状況下で、ストレスや不安を感じている子供たちがいることを認識しております。そのため、各学校においては、スクールカウンセラー等と連携し、きめ細かな健康観察により子供たちの状況把握に努め、面談を実施するなど、ストレスや不安を感じている子供たちの心のケアをする取組を充実させております。また、様々な制約がある中においても、行事や集会活動など、子供同士が関わりを持ち、絆を感じることができる活動については、教育的意義を大切にしながら、これまでの実施方法を見直し、感染症対策を講じた上で進めているところでございます。教育委員会といたしましては、今後も、ストレスや不安感を抱える子供たちに寄り添いながら教育活動が実施できるよう、各学校に働きかけてまいります。  次に、発達障害児への支援についてでございます。支援を要する子供たちを対象にした特別支援教育支援員につきましては、これまでも子供の実態、関係機関を含めた支援状況、保護者の意向等を踏まえた学校からの申請に基づき、教育委員会として配置をしているところでございます。現在、教育支援館におきましては、幼稚園、保育園、こども園及び小・中学校に200人を超える支援員を配置し、子供たちの支援に努めているところでございます。教育委員会といたしましては、コロナ禍にあっても、引き続き、学校、家庭、関係機関と連携し、子供一人一人の発達に応じた適切な支援につながるよう、支援員の配置に努めてまいります。  次に、少人数学級の認識についてでございます。コロナ禍において実施した分散登校などにより、学校現場からは、一人一人をじっくり見ることができたなどの意見をはじめ、様々な声を聞いております。本区では引き続き都の基準に基づいた学級編制を実施してまいりますが、国の検討状況につきましては注視してまいります。また、今後も、台東区立学校園版感染症予防ガイドラインに沿って感染症予防に努めるとともに、子供たちの心のケアについても、教員やスクールカウンセラー、関係機関等と連携協力して取り組むことで、学級編制にかかわらず、児童・生徒が教育活動を適切に行えるように対応してまいります。 ○議長(石塚猛 さん) それでは、ここで10分間休憩いたします。          午後 3時18分 休憩  ──────────────────────────────────────────          午後 3時29分 開議 ○議長(石塚猛 さん) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  10番中村謙治郎さん。          (10番中村謙治郎さん登壇)(拍手) ◆10番(中村謙治郎 さん) 都民ファーストの会の中村謙治郎です。  令和2年第4回定例会において、今回は、目まぐるしい進歩を続ける情報技術による環境の変化を鑑みて、大きく2点、一般質問をさせていただきます。  まずは、SNS等を活用した区からの情報発信の強化について伺います。  昨今のコロナ禍による社会環境の変化により、情報入手の手段は大きく変化してきていると感じています。多くの区内イベントや町内行事が中止となり、人との接触機会が減らされる中で、様々な情報が届きづらくなっていることは言うまでもありません。ここ数年、通信環境の進歩により、区民のSNS利用者も著しく増加しており、台東区もこれまで多種多様なSNS媒体を通じて区民に情報を届けてきました。本年7月には台東区の公式LINEが新たに開設され、現在は新型コロナウイルス感染症関連や防災・防犯情報、区内のイベントの情報などを日々配信しています。ほかにもメールマガジンやツイッター、フェイスブックやインスタグラムなどで情報発信を行っていますが、開設から僅か5か月しか経過していないLINEの登録者数は11月末時点で既に4,300人と、順調な増加傾向にあります。ホームページのような、区民が自らアクセスし、情報を取得しに来るプル型の情報発信に比べ、タイムリーに必要な情報を届けることができるプッシュ型のLINEは区民の皆様にも大変好評をいただいております。  今では日本国内で推定8,600万人が登録していると言われるLINEは、東京都はじめ各自治体、病院のオンライン診療や多くの公共機関でも情報提供手段として幅広く採用されており、新型コロナウイルス感染症関連では厚生労働省による全国調査でも活用されたように、ソーシャルメディアとして高い信頼を得ています。今後も、先行きが不透明な新型コロナウイルス感染症関連の情報やより多くの区民の皆様に有益な情報を届けるためにも、現在、日本国内で最もユーザー数の多いプッシュ型のLINEはさらに積極的に推進していくべきと考えます。現在は、区ホームページや広報たいとうなどで公式LINEの案内をしていますが、ほかにも庁舎窓口や区民館、その他区有施設などでも区民の方々へLINE登録のご案内をするのと同時に、登録の仕方が分からない方がいらっしゃれば、その場で職員の方が登録方法を支援していくことも必要ではないかと考えます。  さらに、プッシュ型のSNSは、多様な意見を広く収集する手段として有効であるという事例も挙げられています。ある自治体では、LINEを活用してパブリックコメントを募集したことで、日頃はそういったことに参加経験がない方からの多数のご意見が集まり、区政や地域コミュニティに対する関心が高まり、活性化につながったとのことです。  また、今後は、SNSで情報を発信する際、セグメント配信を活用していくことも重要だと考えます。ユーザーにとって興味がある情報ごとにセグメント分けすることで、ニーズに合わせた配信を行うことができ、反応率の向上も期待ができます。様々な情報を提供したく、一斉配信を続けた場合、中にはあまり興味がない情報まで受信されてしまうため、簡単にブロックや登録削除をされてしまうことが懸念されます。そうしたことを防ぐためにも、情報ごとにセグメント分けをし、狙ったユーザーへピンポイントに有益な情報を届けることができるのがセグメント配信の長所であります。こうした考え方も、今後、SNSを活用していく上で欠かせない視点です。このように、プッシュ型SNSの長所もうまく活用していけば、区民に有益な情報や安心安全を届けるだけでなく、住民参画の促進にもつながることが期待できます。  そこで、今後、SNSのさらなる活用も含めた情報発信の強化をしていくべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。  次に、ネットリテラシーについて伺います。  内閣府が毎年実施している青少年のインターネット利用環境実態調査結果では、何らかの機器でインターネットを利用していると回答した小学生が、平成26年度は53%に対して、令和元年度は86%に急上昇、中学生は平成26年度が79%に対して、令和元年度は95%と、その利用率は年々上昇傾向にあります。また、本年4月、国が新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策として、GIGAスクール構想の加速による学びの保障を示し、令和5年度末としていた計画が前倒しされました。それに伴い、本区も学びを止めない学校教育を確立するため、小・中学校1人1台端末を本年度中に整備するとの報告がありました。ICT教育が急速に今後加速することは大いに期待をしています。  そこで、今後ますます重要になってくるのは、子供たちがインターネットを理解し、正しく使用するためのネットリテラシー教育です。子供たちがインターネットのうその情報に惑わされたり、間違った認識から思わぬトラブルに巻き込まれたりするケースは今後も少なくないはずです。だからこそ、ネットの情報に振り回されるのでなく、自分の意思で情報を取捨選択し、使いこなす能力が必要です。  そんな中、本区の小・中学校でのネットリテラシーを学ぶカリキュラムについては、文部科学省が平成18年に情報モラル指導モデルカリキュラムを示しており、小・中学校でも、これを参考にしながら、各校が実施するセーフティ教室で情報モラルについての教育を計画的に進めていると聞いております。GIGAスクールの実現によって整備していく学習環境においてはネットリテラシーが現在にも増して重要であり、さらにもう一歩踏み込んだ教育の充実が必要であると感じます。  そして、同時に必要なことは、保護者によるペアレンタルコントロールの取組です。今後は子供たちが独りでインターネットを利用する機会がさらに増える中で、可能な限りは保護者が隣に付き添って、インターネットの使用を見守ることが理想だとは思います。しかし、共働きなどで保護者が付き添えない場合には、パソコンやタブレットの機能を使って不適切なサイトの閲覧制限や利用時間の制限もかけることが可能となるペアレンタルコントロール機能を利用することも必要だと考えます。昨今は、家庭で使用するパソコンやタブレット、また、ゲーム機などの多様な機器でもインターネットに接続できるのは当たり前で、動画などの閲覧も低年齢化してきています。SNSトラブルや危険なアプリ、また、インターネットの長時間利用を防ぐためのルールを設定することは非常に重要です。このように、ネットリテラシーは子供に対する教育だけでなく、保護者に対しても理解と協力を求めていかなければならない課題だと感じています。現代社会で生きていく以上、インターネットに触れる機会は今後も増えていくのは明らかです。だからこそ、子育て世代の親へもネットリテラシーの重要性を十分理解してもらう必要があるのではないでしょうか。  そこで、区としては、今後急速に進むICT社会において、小学校低学年からでもネットリテラシーについての理解ができるような工夫を凝らした指導と保護者に対しても協力を求めるためにどのような取組をされていくのか、教育長の所見を伺います。  以上で、私からの質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(石塚猛 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。  区長。          (区長服部征夫さん登壇) ◎区長(服部征夫 さん) 中村議員のご質問にお答えいたします。  ご質問の第1は、情報発信の強化についてです。  区では、より多くの区民の皆様に情報を届けるため、LINE、ツイッター、メールマガジン等、様々なSNSなどの媒体により情報発信を行っています。私は、区民の皆様に即時に正しく情報をお伝えすることが重要であり、そのためには様々なSNSなどを組み合わせて発信することが有効であると考えています。今年度開始したLINEについては、区公式ホームページとリンクさせることや必要な情報のみを受信できるようにするなど機能を充実させることで、より多くの方に登録していただくようにしてまいります。さらに、ホームページの中で、特にお知らせしたい情報をニュースアプリ「SmartNews」に掲載するなど、区の情報発信媒体以外のツールとの連携も進めてまいります。中村議員からのご提案のように、今後も多くの方に情報を届けるために、より効果的・効率的な手法による情報発信に取り組んでまいります。  その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。 ○議長(石塚猛 さん) 教育長。          (教育長矢下 薫さん登壇) ◎教育長(矢下薫 さん) 中村議員のネットリテラシーについてのご質問にお答えさせていただきます。  児童・生徒へのネットリテラシーに関する指導につきましては、その必要性を鑑み、これまでも様々な対策を講じてまいりました。各学校では、児童・生徒の情報活用能力を高め、ネット被害から子供たちを守るために、セーフティ教室や総合的な学習の時間等で継続的に指導してきております。また、教育委員会におきましても、携帯電話・スマートフォンのルールを作成し、児童・生徒及び保護者への指導と啓発を行っているところでございます。  携帯電話・スマートフォンのルールにつきましては、近年、児童・生徒が家庭において、携帯電話やスマートフォンだけではなく、保護者のタブレット端末やゲーム機などからもインターネットに触れる機会が増えていることから、低学年の児童やその保護者など、より発達段階等に応じたルールとなるよう見直しを行ってまいります。また、改訂するルールを基に、保護者へのさらなる啓発にも取り組んでまいります。 ○議長(石塚猛 さん) 3番鈴木純さん。          (3番鈴木 純さん登壇)(拍手) ◆3番(鈴木純 さん) 台東区議会自由民主党の鈴木純でございます。  本日は、服部区長に大きく3点、質問をさせていただきます。  初めに、水害時における広域避難について伺わせていただきます。  2019年の台風19号上陸から1年がたちました。東日本に深刻な被害をもたらした巨大台風は、自治体をまたいだ広域避難を現実の課題として浮かび上がらせました。災害発生が不確実な段階で多数の住民をどこにどうやって移動させるのか、従来の枠組みを超えた制度づくりが必要となっています。  台風19号が関東を北上した昨年10月13日未明、埼玉県加須の県道では、避難所へ向かう車の列が約10キロにわたって続き、利根川の水位上昇を受け、は浸水想定区域に住む約3万人に初めて広域避難を呼びかけ、約9,500人が一斉に市内外の避難所に向かいました。結果的に水害は、幸い、起きませんでしたが、が後日実施したアンケート調査では、避難した4人に1人は避難所到着までに2時間以上かかり、渋滞を理由に避難を諦めたケースもあったそうです。は、2020年5月にまとめた報告書で、幹線道路に車が集中しないよう、住んでいる地区ごとに避難経路を細かく設定し、7月以降、計46回にわたって住民説明会を開くなど、次への備えを急ぎました。  荒川の氾濫においては、本区への想定被害として、区内の低地部のほとんどで浸水が想定されており、最大で5メートルの浸水が想定されています。また、浸水継続時間は2週間以上とされており、このことが避難行動をより一層難しくさせているところです。そのため、荒川氾濫については区議会でも様々な議論がなされており、記憶に新しいところでは、本年10月の第3回定例会、決算特別委員会でも、早川議員からは、避難施設の確保に向けた、国や東京都への働きがけや、寺田議員からは、姉妹友好都市などとの連携の可能性について質疑がなされたところです。  仮に氾濫が発生した場合、報道などでもよく紹介される江東5区と言われる墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区のほか、板橋区、北区、荒川区、中央区、千代田区などにも被害が及ぶ広域的な災害になります。特に江東5区の大部分は、満潮位より低いゼロメートル地帯となっていて、最悪の場合、深いところで約10メートルの浸水が本区と同様の2週間以上続くと見込まれています。江東5区が2018年に策定した計画では、区外への避難を呼びかける対象住民は最大250万人に上る見込みとなっているそうです。  そこで、区長に伺わせていただきます。広域的な災害に関しましては、国や東京都の動きを踏まえて動いていく必要があることは十分に承知しております。一方で、避難先の確保を早急に進めていく必要があることは間違いありません。服部区長も、荒川氾濫時における避難誘導の方策や避難場所、広域避難について、都や国が主導的に動き、具体的な検討を進めていくことや水害時に活用する都立施設の開設・運営など荒川氾濫等大規模水害への対応について、都知事へ直接要望をしていただきました。その中で、都知事は、荒川氾濫時等の大規模水害の対応は国が中心ですと発言されています。都も中心のはずなのですが、その認識は非常に残念でなりません。荒川氾濫時は、23区の東側の低地部においてはほとんどの区で浸水すると予想されていますが、23区の西側については、武蔵野台地の上部は浸水しない区域がほとんどです。中小河川や土砂災害のリスクを考慮する必要はありますが、荒川氾濫の浸水区域外にある区と協議し、避難場所の確保に向けて、本区としても取り組むべきと考えます。区長のご所見を伺います。  次の質問に移ります。  不妊について伺わせていただきます。2点伺います。  1点目は、不妊に関する知識の普及啓発について質問させていただきます。  日本産科婦人科学会によると、不妊とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間、妊娠しないものをいい、一般に通常の夫婦生活を送っていれば、結婚して半年で7割程度、1年で9割程度が妊娠すると言われ、この一定期間について1年というのが一般的であると定義しています。1年で9割程度が妊娠すると今、発言しましたが、裏を返せば、約10組に1組が不妊カップルということになります。近年では、晩婚化が進んでいることやキャリア形成志向などにより妊娠を考える年齢が上昇しており、不妊の割合はもっと高いのではないかとも言われ、また、女性だけではなく、男性においても加齢により妊娠が起こりにくくなることが知られており、治療が遅れることで効果が下がってしまうことを考えると、男性・女性ともに早めに検査や治療を行ったほうがいいと考えられています。  従来では不妊の定義は2年というのが一般的でしたが、1年というのが一般的と変更されました。これは、海外の諸機関では不妊の定義を1年としていることや不妊症の定義の変更によってより早期に適切な不妊治療を受けることにつながると期待されたためです。また、年齢によるものばかりではなく、女性に月経不順や無月経期間が続く、排卵に問題がある場合や子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患の合併により妊娠しにくくなることが分かっており、男性も小児期におたふく風邪などで睾丸炎を起こした既往やヘルニアの手術を受けた場合など、精子をつくる力が低下していることがあります。このような場合にも不妊かもしれないと考え、早めに検査や治療を行ったほうがよいと考えられます。  現在、なかなか妊娠しないカップルは約10組に1組と言われていますが、2015年の国立社会保障・人口問題研究所によると、日本では不妊を心配したことのある夫婦は3組に1組を超え、子供のいない夫婦は55.2%に上り、不妊を心配したことがある、または現在心配している夫婦の割合は35%であり、前回の調査31.1%より増加したということです。実際に不妊の検査や治療を受けたことがある、または現在受けている夫婦は全体で18.2%、子供のいない夫婦で28.2%となっており、結婚生活15年から19年の夫婦の29.3%が不妊を心配した経験があり、15.6%が検査や治療の経験があるそうです。不妊の検査や治療経験のある夫婦の割合は上昇傾向にあります。  一般的に最も女性が妊娠しやすい年齢は二十歳前後とされていますが、30代半ば頃から年齢が上がるにつれて様々なリスクが相対的に高くなるとともに、妊娠・出産に至る確率が低くなっていることが指摘されています。少し前の2010年の調査では、第1子出生時の母の平均年齢は29.9歳となっており、そこからさらに30年前に遡り、1980年には26.4歳であったことを考慮すると、子供を持ちたいと思いつつ、なかなか妊娠しないカップルの割合は上昇しているものと思われます。実際、不妊治療の中でも、体外受精などの生殖補助医療を受けるカップルは毎年著しく増加し、悩んでいるカップルは年々増え続けています。  生殖補助医療を受けることによって経済的負担もさることながら、悩みの中には、仕事との両立の難しさから退職という決断をする女性が少なくないことも、不妊治療の大きな問題です。2017年に厚生労働省が行った調査によると、仕事をしながら不妊治療を経験した女性のうち、仕事との両立が困難なことから退職した人は16%、不妊治療をしている女性の約5人に1人が退職を余儀なくされているという実態が明らかになりました。  なぜ辞めてしまうのか、第1の理由として、不妊治療の特性上、通院のスケジュールを立てづらいことが上げられます。不妊治療は、月経周期をベースに、卵子の成長を細やかにチェックしながら進められます。卵子の育ち具合は毎月異なり、突発的に診察が必要となることも珍しくありません。さらに、スケジュール調整の苦労に、取引先や同僚に迷惑をかける心苦しさ、そしていつまで治療が続くか分からない不安、そうしたものに耐えかねて退職するケースがほとんどだそうです。不妊治療を受けたからといって妊娠が約束されているわけではありませんし、不妊治療をしていること自体を周囲に話したくない、知られたくないという方が大半のようです。また、当人が実際に不妊であるかもしれないということで検査や治療を受けることに劣等感や罪悪感を持つ人も多いことも、不妊は人に話しづらいことかもしれません。ここ数年では、芸能人で不妊治療をして子供を授かったと公表している方を何人も見受けられますが、不妊に関して正しい知識を持っていないのか、不妊への偏見を持つ人がいることで、心ない言葉を浴びせられるなど、つらい思いをして子供を授かったにもかかわらず、さらにつらい思いをしているように感じます。  私は、先月、結婚して丸5年がたちました。結婚する以前は、結婚したら子供がすぐにできるだろうと考えておりました。しかし、1年経過してもできず、病院に行ったところ、私たちは不妊と言い渡されました。私のかみさんのおなかに命が宿るまでに結婚して2年半かかりましたが、不妊と言い渡された1年半の間、外に出るたびに、子供できたかと聞かれました。もちろんその方が悪気がないことは分かっていますが、外に出るのがつらい時期があったことをよく覚えています。ただ、不妊だからといって決して病気ではありませんし、治療の内容、当人の金銭的、そして精神的な負担を踏まえた部分も知らないことが多いゆえに、偏見が起きてしまっている要因の一つだと考えます。不妊で悩んでいる方を少しでも減らすため、本区においても、不妊にお悩みをお持ちの有無を問わず、全ての方に妊娠、不妊に関する正しい知識の普及啓発、情報発信に取り組むべきだと考えます。区長のご所見を伺います。  続いて、台東区独自の特定不妊治療費助成制度の維持について質問させていただきます。  菅政権の発足後、総理肝煎りの政策として不妊治療への保険適用の拡大が議論されていることが報じられています。助成金制度についても、所得制限の撤廃が検討されるなど、不妊治療の費用負担の改善に向けて大きくかじが切られたことは間違いありません。ただ、不妊治療のハードルは費用面だけではなく、先ほども申し上げましたが、治療と仕事をどう両立するかも多くの不妊治療当事者にとっての共通の課題だと認識しています。不妊治療は、比較的新しい医療分野で、検査や治療法の研究も日々進んでいます。そして、先進的な治療までを保険適用にするのは難しいと言われていました。歯科医療のように、保険診療と自由診療を組み合わせた混合診療が認められればよいのですが、それがかなわず、万が一、現状の高いレベルの不妊治療が受けられないなどということになってしまった場合、患者にとって最も肝腎な妊娠・出産が遠のくという自体にもつながりかねません。不妊治療が目指すゴールは子供を望む夫婦が一日も早く我が子を胸に抱けること、そのサポートのために経済的支援としての保険適用ならどんな制度が必要なのか、ゴールを見誤らずに議論してほしいと願います。  不妊でお悩みの方が、まず、病院に行きますと、初めに健康保険が適用される検査や治療を中心に行うのが一般的です。治療には3つのステップがあり、最初のタイミング療法で必要な費用は1件当たり数千円から1万円程度、それほど高額な治療費にはなりません。ただ、不妊治療のステップを上げて、人工授精や体外受精などの治療法を始めると、健康保険が適用されないために高額になっていきます。人工授精なら1回数万円ほどですが、体外受精になると1回で50万円以上かかることもあり、しかも、成功しなければ何度も繰り返すことになり、総額で数百万円以上かける人も多く、一番悩まれている部分ではないでしょうか。不妊治療では、高額になる治療法を長く続けるほど家計の負担は大きくなり、さらに精神的な負担や身体的な負担も大きくなります。  そこで伺わせていただきます。現在、体外受精や顕微授精などの特定不妊治療については国の助成制度があり、初回利用時には最高30万円の助成金を受け取ることができます。平成27年度からは助成の対象が広がり、男性不妊治療も助成対象となりました。年齢制限は理解できるものの、所得制限が設けられており、夫婦で730万円未満が助成対象となっております。東京都では、昨年4月から905万円未満に上限を上げて上乗せしていただいておりますが、子供が生まれて、育てていくのにもお金がかかります。国は出生率1.8人を目指すと目標を定めていますが、所得制限があるのが以前から疑問を持っておりましたし、最大6回という上限も適切なのかどうなのか考えてみました。本区においては、東京都特定不妊治療費助成事業の承認を受けていれば1回につき最大5万円の上乗せで助成をするなど、23区で助成制度を設けていない区もある中で、評価しています。先ほども触れましたが、国は所得制限の撤廃を目指している中、早ければ来年から拡大される可能性があります。そうなると、実施主体を任されている東京都も撤廃という流れになることが予測されます。コロナ禍において税収が減少することは承知しておりますが、しかし、これからも不妊治療を受けるカップルが増えると予想されることを踏まえ、不妊治療でお悩みの方の負担を少しでも軽くするために、この台東区独自の特定不妊治療費助成制度の維持、将来的にはさらなる充実を求めたいと思います。区長のお考えをお聞かせください。  最後の質問に入ります。  3点目は、子供の居場所づくりについて伺わせていただきます。  貧困は子供に深刻な影響を与えます。親が貧困に陥ると、子供にその影響が及ぶことは言うまでもありません。特に食は、健康な体をつくり出すのに欠かせないという一方で、貧困のために十分な食事が与えられない子供もいます。そこで、子供の貧困解決の一環として知られるようになったのが子供食堂です。たくさんの地域で子供食堂として活動する目的は、現在の社会背景に照らした事情が大きいとされています。2010年以降、マスメディアなどを通して、子供の貧困が取り上げられる機会が増えました。日本では、2000年代から母子家庭や非正規雇用の親を持つ子供が増え始めており、相対的な貧困によって食の問題が何かと話題になったことで注目を集めました。その中心は、主に金銭的な理由や家庭の事情で子供がネグレクトに遭ったり、独りでご飯を食べる、あるいは給食以外ほとんど食事が取れない子供が存在するなど、実に様々な食の貧困事情が散見されます。  食の相対的貧困を解決することを目的に、地域の大人や非営利の団体が運営している子供食堂、食の相対的貧困とは、例えばある家庭では家族そろって栄養のしっかりした食事を取っている一方で、ある貧困家庭の子供は給食以外にインスタントや総菜弁当などで3食、満足な食事を取れていないことです。食事はできていますが、その内容を比較しますと、貧困に相当するケースが相対的貧困となります。相対的貧困には、家庭ごとにその度合いが異なり、ほとんど食事が与えられないケースや独りで食事をしていたり、栄養の少ない食品ばかり取っているケースなどです。日本で暮らす子供が理想とすべき食生活を送れていないのであれば、栄養があり、バランスの取れた食事を与えることが必要です。そういった子供が直面する食の貧困や家庭の事情を少しでも緩和できるように、地域に根差した子供食堂が運営されています。  2012年から始まった子供食堂が現在では全国で3,700か所以上になり、急速に広がりを見せています。また、2019年には、大手コンビニが国内の店舗約2,000店のイートインで子供食堂を開いていくことを発表して、話題となりました。このように、子供食堂の存在が広く認知されるにつれて、活動や目的に共感する人が増え、これからますます子供食堂が広まっていくことが予想されます。本区においても、平成29年度から子供育成活動支援事業を立ち上げ、親の就労や家庭事情により孤立しがちな子供やその家族の支援を目的とした学習支援、食事提供などの地域活動を担う団体に対し経費の一部の支援を行っていて、現在、区内で5か所、4団体が支援補助団体として活動されています。  先日、地元の先輩を介して、大阪で子供食堂を運営されている団体を紹介され、ご相談をいただきました。お話を伺う中で、大きく2つの課題をご相談いただきました。1つ目は、共通して悩んでいる課題は、子供食堂に来てほしい子供に来てもらうことが難しいということです。貧困や孤食を防ぐことを目的として始まった子供食堂ですが、本当にそれを必要としている子供が子供食堂の開催の情報を知らない、保護者が利用することにオーケーを出さない、ほかの利用者に遠慮して利用できないといった理由で利用できていないというものです。2つ目は、子供食堂を開催するには調理可能な場所、子供の食事スペースの確保、子供が通える場所かどうか、イメージなどの問題から場所の提供を断られるなどの問題を解決していかなければなりません。子供食堂を開催するのに適した場所を確保するのが難しいという問題に悩む運営者も多くいると認識しています。  そこで区長に伺わせていただきます。1点目の子供食堂に来てほしい子供が来れないというのは早期に解決することはなかなか難しいかもしれません。しかし、2つ目の場所の提供に関しては、偏在などの課題もある中で、工夫次第では区有施設の活用については十分に可能性があるのではないでしょうか。区有施設では、飲食が主な会合では貸出しができないと規定されていますが、お弁当を提供されている団体もあり、学習支援とのセットで行えば貸出しが可能ではないでしょうか。第3回定例会の青鹿議員の一般質問で、子供食堂を実施している団体への活動支援について補助対象の見直しなどを検討すると区長が答弁されていますが、子供の居場所を増やすために区有施設を活用した支援も検討するべきだと考えます。服部区長のご所見を伺わせていただきます。  以上で、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(石塚猛 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。  区長。          (区長服部征夫さん登壇) ◎区長(服部征夫 さん) 鈴木純議員のご質問にお答えいたします。  ご質問の第1は、水害時における広域避難についてです。  荒川氾濫時に区内では2週間以上浸水が継続すると見込まれるため、区民の避難先を確保することは重要であると私も認識しています。ご指摘のように、避難先の確保については、区市町村間、都道府県間の調整、協議が不可欠です。各区単独では浸水想定区域外の区と協議を進めることが難しいため、国と東京都が事務局を務め、本区も参加している首都圏における大規模水害広域避難検討会において検討を進めているところです。区といたしましては、具体的な広域避難方法が確立されるよう、引き続き、本検討会において検討を進めるとともに、姉妹友好都市などとの連携の可能性についても各自治体と協議してまいります。  ご質問の第2は、不妊についてです。  まず、知識の普及啓発についてです。不妊で悩む方々を減らすためには、正しい知識を広く啓発する取組が重要であると認識しています。現在、成人式においてリーフレットを配布するとともに、区公式ホームページにおいて、正しい知識の周知に努めています。また、女性のための健康相談事業では、不妊に悩む方の相談も受けております。都では、妊娠に関する基礎知識や不妊・不育についての解説、また、助成金制度などの情報を一元化した妊娠支援ポータルサイトを開設しています。今後も、健康相談による個別対応に加え、区公式ホームページの内容を充実するなど、正しい知識の普及に取り組んでまいります。  次に、特定不妊治療費助成制度についてです。都は国の所得制限を緩和しており、区では、都の承認を受けた対象者に対し、独自の上乗せ助成を実施しています。現在、国は、所得制限の撤廃など、助成制度の拡充について検討を進めています。今後も、国や都の検討状況を注視し、特定不妊治療費の経済的な負担の軽減を図ってまいります。  ご質問の第3は、子供の居場所づくりについてです。  子供の貧困対策において、地域での居場所や食の確保が有効であることは私も認識しています。区では、親の就労や家庭事情などにより孤立しがちな子供や保護者が地域とのつながりを深めるための活動として学習支援及び食事の提供を実施する団体を支援しています。また、現在、子供の居場所を増やすため、食事の提供のみを実施する団体の活動も支援できるよう、補助要件の見直しを進めているところです。さらに、実施場所の確保に苦慮している団体があることも承知しておりますので、鈴木純議員ご提案の区有施設を利用した活動への支援についても、調理室を備えた施設の活用など検討してまいります。 ○議長(石塚猛 さん) 30番河野純之佐さん。          (30番河野純之佐さん登壇)(拍手) ◆30番(河野純之佐 さん) たいとうフロンティアの河野純之佐です。  令和2年台東区議会第4回定例会において、会派を代表して一般質問をいたします。今回は大きく3つのテーマの質問において、提案を10点させていただきます。服部区長におかれましては、ぜひ明快な答弁をお願い申し上げます。  新型コロナウイルス感染症の区内陽性者数は900名を超え、残念ながら、新型コロナウイルス感染症関連で亡くなられた方は約40名ほどだと報告があります。改めてご冥福とお見舞いを申し上げたいと思います。  そして、新型コロナウイルス感染症発生以後、区民の命や健康を守るため、医療や介護現場の最前線でご尽力いただいている皆様に、深く敬意と感謝を申し上げます。  今まで我々区議会も、政党、会派の域を超え、区民の皆様の生活を守るため、行政と強い協力と連携をし、様々な支援策や対応策をさせていただきました。これからも新型コロナウイルス感染症の終息を願い、区民の皆様の生活の安定のために行動することを誓い、質問に入ります。  初めの質問は、南部地域におけるまちづくりに関する諸課題についてです。  本区の人口も20万3,000人になり、人口動態を調べると、この10年間での地区別の比較では、住民が最も多く住む地域は浅草寿地区になり、隣接する浅草橋地区と合わせた南部地域の人口が著しく増加しております。正式な区分けはありませんが、南部地域は、春日通り、清州橋通り、隅田川、神田川に囲まれたエリアになり、公共交通機関が4路線、そして駅も6駅あり、利便性が高く、近年は中高層マンションも多く、新しい住民も流入し、まちの様子や雰囲気が変わり、活気があるまちになっております。しかし、人口増や活性化が図られている一方、まだ改善するべきまちづくりの諸課題があり、今回は解決に向けての提案をいたします。  まず、耐震化の促進への取組ですが、都市計画マスタープランの南部地域のまちづくり方針には、防災性の向上が示されています。首都直下型地震の発生が刻一刻迫る中、過去の地震災害の調査では、多くの被害者は建物の圧死によるものが大半を占めております。鳥越、小島地区等には、木造の老朽建物も存在しており、災害時に生命のリスクがある建物の安全化を図ることが重要であります。耐震改修工事の助成制度においては、これらの地区を重点地区に定め、助成金額の拡充を図ってまいりましたが、その実績は芳しくないのが現状です。その要因の一つに、建物所有者の意識を変えることが重要であり、通常の助成制度のパンフレットの配布などだけでは所有者から耐震化への決断は得られません。特に高齢の所有者には十分なコミュニケーションを図ることが大切であり、耐震化が進む自治体では、担当所管の職員が1軒1軒の戸別訪問をするなど丁寧な対応を行っております。
     そこで、耐震化の促進にはより一層の積極的な支援策や新たな取組が必要だと思いますが、区長の所見をお伺いいたします。  次は、蔵前駅のバリアフリー化についてです。蔵前には、都営地下鉄の大江戸線と浅草線の2つの駅が存在します。しかし、乗換えは、一度地上に出て、長距離を歩く必要があり、非常に不便だと利用者からの声があります。また、浅草線には、ホームドアの設置がなく、乗降客の転落などの安全性に欠けております。  そこで、これらの課題の認識について、そして課題解決に向け東京都への働きかけなど、今後の本区の取組について所見をお伺いいたします。  さらには、歩行者に優しい取組についてですが、浅草橋駅周辺のまちづくりの検討結果には、歩行者空間の整備や回遊性向上が方向性として示されております。特に駅周辺の区道は狭いため、歩行者、自転車、自動車の通行は安全性の確保が非常に難しい状況です。安全なまちづくりとさらなる回遊性向上のために、歩行者優先の視点に立ち、歩行者空間の確保を推進するべきと考えます。  そこで、駅周辺の区道で時限的に歩行者天国や車両規制などを行い、回遊性の向上を図ったらいかがでしょうか。  そして、江戸通り、蔵前橋通りなど、電線地中化した道路には配電設備の地上機器が歩道上に設置されております。その機器を積極的に活用し、地域マップや災害時などの案内表示をするなど、歩行者に分かりやすいまちづくりの取組について所見をお伺いいたします。  最後は、河川を生かす対応についてです。南部地域には、隅田川と神田川の貴重な資源が存在します。この資源を生かしたまちづくりを展開することは極めて重要だと思っております。隅田川テラスの水辺空間は、開放感もあり、多くの人々が安らぎ、楽しむ空間として魅力が増し、利用者が年々増え、さらなる回遊性が求められます。今後も、テラスへ人を回遊させるためには町なかとテラスへのアクセス強化をする階段を設置するなど、東京都との連携を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、水辺空間の展望はよく、景観形成を図ることは重要であります。今後、川沿いには高層のホテルなどの商業施設の建設も予想され、建物による川への視界の妨げが懸念されます。また、LED照明を使用した屋外広告物による光の害、光害トラブルも発生し、景観形成の悪化が危惧されます。  そこで、景観形成を図るため、屋外広告物の一定の制限や規制をするべきと考えますが、区長の所見を伺います。  質問の2点目は、大規模用地の活用についてです。  まず、旧上野忍岡高校跡地の活用ですが、その用地の概要は、敷地面積3,676平方メートル、約1,100坪、土地の形状は長方形の土地で、周囲4方向が区道に囲まれ、建蔽率80%、容積率500%の建築条件がされております。最寄りの駅は日比谷線入谷駅から徒歩5分以内、台東区のほぼ中心地に位置する極めて好条件がそろった大規模用地であります。建築設計上、一般的には6階から7階建て、延べ床面積は約1万5,000平米の立派な施設が十分に建てられます。この場所に松が谷福祉会館と子供・若者支援施設が建築されることは理解しますが、現在、北上野保育室が敷地内で開園しているので、工事着工のときには保育園児や関係者の安全対策、工事による影響が生じないよう、対策をしっかり講じることを要望いたします。  大規模用地は、全区民の貴重な財産であり、本区全体の発展、貢献など最大限の有効活用になることが極めて重要だと思っています。そして、今後60年から70年間の長い期間の活用、そして将来の区政運営への貢献や効果を視野に入れ、行政需要を満たすとともに、近隣地域のまちづくりと連動する活用も重要だと考えます。過去に行った用地の進め方ですが、旧福井中学校跡地の活用構想案は地域の産業や経済の活性化に資する施設にする、清川2丁目用地では福祉の分野に資する施設を民間活用として運営するなど、全体像をしっかり示すことが極めて重要だと考えます。現状では、北上野保育室の暫定活用後の土地活用案は未定です。跡地全体の方向性を福祉分野の拠点地とするのか、地域のまちづくりに連動させた複合の施設にするのか、行政だけの施設なのか、官民連携の活用なのか、跡地全体が本区や地域にもたらす活用効果が全く見えてきません。  そこで、北上野保育室閉園後の活用案も含め、この用地の全体の方向性を明確に示し、取り組むべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。  ほかにも大規模用地の活用は旧竜泉中学校跡地での計画が進んでおります。この旧竜泉中学校跡地と旧上野忍岡高校跡地、この2つの総工費は大変多額になるため、台東区財政の負担は大きく、今後の区政運営を左右する重大な案件です。コロナ禍が長引くことも考えられ、今後の厳しい財政状況を鑑みれば、財政的効果を図る利活用も視野に入れる必要があると考えられます。大規模用地の利活用は、行政のみで活用を進めるにも限界があり、民間と連携し、公共施設と民間施設を合築させて、一体的に整備を行う事例も多くあります。区長は、施設建設の実施時期の見直しなどの発言もされました。今後、大規模用地についてどのように取り組んでいくのか、区長の所見を伺います。  コロナ禍により区政運営を取り巻く環境は大きく変化しております。大規模用地については、平成23年に活用構想を作成しましたが、今後の区政運営を着実に進めるためにも見直しをするべきと考えますが、所見を伺います。  第3問目の質問は、音楽文化に親しむ環境づくりについてです。  芸術文化の都市を標榜する台東区だからこそ、そして音楽文化に理解がある服部区長だからこそ、音楽をより自由に、より身近に広める機会として、ストリートピアノを提案いたします。近年、街角や駅、空港などにある、誰でも自由に演奏することができるストリートピアノ、世界中で注目を集めております。東京では、都庁の展望室に著名なデザイナー監修のストリートピアノが設置されており、私が訪れたときにも、ピアノ演奏を通して、演奏者と観客が声を掛け合う姿も見られ、人と人との交流やにぎわいの場をこのストリートピアノが演出しております。このムーブメントは、東京のみならず、全国各地で広がり、特に神戸では、幼稚園で不要になったピアノをにぎわいの創出の一環として設置したところ、子供から年配までストリートピアノを弾く人が集まり、評判もよく、今や市内には二十数か所に設置され、音楽を楽しめる環境が整っております。  本区では、芸術文化の振興には積極的な取組がされ、旧東京音楽学校奏楽堂も有しており、音楽家や芸大生のコンサート開催、また、台東第九公演など音楽文化行政に対し、区民から高い評価を得ております。そして、本区の小・中学校では、音楽活動に熱心な学校も多く、ストリートピアノの設置により将来の音楽家を育成する場にもなると考えられます。設置可能な場所として、区内には上野駅構内、上野地下通路などもありますが、庁舎のアートギャラリー、生涯学習センターミレニアムホールなど区有施設から設置されたらいかがでしょうか。音楽に親しみ、楽しめる公共空間を区民に提供し、感性を豊かに、心に潤いを与えるストリートピアノを設置し、さらなる文化振興を図る取組について、区長の所見をお伺いいたします。  以上で、一般質問を終了します。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(石塚猛 さん) ただいまの質問に対する答弁を求めます。  区長。          (区長服部征夫さん登壇) ◎区長(服部征夫 さん) 河野議員のご質問にお答えいたします。  ご質問の第1は、南部地区のまちづくりについてです。  まず、耐震化の促進への取組についてです。区では、首都直下地震による被害の軽減を目指し、区民の生命と財産を保護するため、耐震改修促進計画に基づき、建築物の耐震化を推進しています。耐震化の助成については、谷中や浅草北部など東京都防災都市づくり推進計画で防災性を高める必要があると定めた地域や建物倒壊危険度の高い地域を平成20年度に重点地域と位置づけ、助成内容を拡充し、さらに平成28年度には助成額を増額するなどして建築物の耐震化を促進してきました。今後は、河野議員ご指摘の鳥越や小島を含む重点地域を中心に、戸別訪問などにより改めて所有者の耐震化への意識を高め、個々の課題を把握し、きめ細かく対応してまいります。  次に、蔵前駅のバリアフリーについてです。ご指摘の2つの駅間の乗換えについては、一度地上に出る必要があり、不便であると認識しています。東京都交通局は、平成30年度に策定した経営計画において連絡通路の新設に向けた検討を進めると示しており、現在、課題の整理などを行っています。また、都営浅草線のホームドアについては、沿線の各駅に順次整備を進めており、蔵前駅を含め、令和5年度までに東京都交通局が管理する全ての駅への整備が完了すると聞いております。これらの課題に対して、乗換えの利便性向上やバリアフリー化の実現に向けた取組を早期に進めていただく必要があると考えており、改めて東京都に働きかけをしてまいります。  次に、歩行者への対応についてです。河野議員ご提案の車両規制については、歩行者が快適に回遊できる一方で、交通管理者との協議や荷さばきをする事業者の協力など様々な課題があることから、実現の可能性について研究してまいります。また、地上機器を活用した観光案内表示については、全国各地で行われている取組を参考にしながら、既存の観光案内板との配置や役割などを踏まえて検討してまいります。  次に、川を生かしたまちづくりについてです。河野議員ご提案の階段の設置については、現状において隅田川沿いの公共用地がないことから、民有地における総合設計制度などを活用した建築計画の際に設置を誘導するなど、水辺空間へのアクセス強化に留意した取組を進めてまいります。また、ご指摘の川沿いにおける屋外広告物の規制については、平成29年度に策定した台東区屋外広告物景観ガイドラインに基づき、許可申請に伴う事前協議の際に、重点的に景観誘導を図っています。この取組を継続することで、より良好な景観形成が図られるものと考えています。  私は、南部地域において、様々な課題への取組を進めながら、地域の特色を生かしたまちづくりを推進し、まちの魅力を一層高めてまいります。  ご質問の第2は、大規模用地の活用についてです。  まず、旧上野忍岡高校跡地全体の活用の方向性についてです。第3回定例会でご報告したとおり、敷地西側は北上野保育室として令和7年3月まで活用し、東側は松が谷福祉会館の機能を中心に、子供と若者の相談や発達障害児への支援等を強化するための新たな施設として活用いたします。北上野保育室閉園後の活用については、敷地東側に整備する新施設を踏まえ、敷地全体として有効に活用できるよう検討してまいります。  次に、大規模用地における民間活用についてです。効率的な施設の整備・運営を図る上で、民間の持つ資金や技術的能力を活用することも有効な手法であると考えています。今後も、個別に具体的な整備計画を策定していく中で、民間活力の導入も含めて検討してまいります。  次に、大規模用地の活用構想の見直しについてです。河野議員ご指摘のとおり、大規模用地の活用構想が策定から9年経過し、検討対象とした学校跡地等はその大半を本格活用や暫定活用しています。今後は、特別養護老人ホームの再編等に伴い、新たな施設活用の検討を進めていく必要があります。このため、財政状況や行政需要等を踏まえ、活用構想の在り方を整理しつつ、大規模用地の有効な活用が図られるよう取り組んでまいります。  ご質問の第3は、音楽文化に親しむ環境づくりについてです。  音楽には、感動や喜び、癒やしをもたらし、心を豊かにする力があります。そのため、区では、台東区長賞の受賞者による記念演奏会や家族で参加できるコンサートなどを開催するとともに、台東第九公演や台東区ジュニアオーケストラなどの活動を支援しています。いわゆるストリートピアノは、音楽をより身近に感じ、音楽を通じて交流、にぎわいを生み出すことが期待されています。しかしながら、ピアノの確保や周辺環境への影響、運営方法など様々な課題があるため、河野議員のご提案については他自治体などの事例を研究してまいります。今後も、新型コロナウイルス感染症の状況などを考慮しながら、区民をはじめ多くの皆様が音楽に親しめる環境づくりに努めてまいります。 ○議長(石塚猛 さん) 以上で、一般質問は終了いたしました。  ────────────────────────────────────────── ○議長(石塚猛 さん) これをもって本日の会議を閉じ、散会いたします。          午後 4時37分 散会                 議長    石  塚     猛                 議員    鈴  木     昇                 議員    伊  藤  延  子...