令和 3年 2月 定例会(第1回) 令和3年第1回定例会会議録(第2日)第2号令和3年2月18日(木曜日)出席議員(38名) 1番 木もとひろゆき 2番 時光じゅん子 3番 三沢ひで子 4番 井下田栄一 5番 田中ゆきえ 6番 小野裕次郎 7番 高月まな 8番 藤原たけき 9番 北島としあき 10番 豊島あつし 11番 渡辺清人 12番 大門さちえ 13番 永原たかやす 14番 渡辺みちたか 15番 よだかれん 16番 三雲崇正 17番 久保こうすけ 18番 志田雄一郎 19番 川村のりあき 20番 近藤なつ子 21番 野もとあきとし 22番 中村しんいち 23番 佐原たけし 24番 吉住はるお 25番 池田だいすけ 26番 桑原ようへい 27番 松田みき 28番 伊藤陽平 29番 のづケン 30番 えのき秀隆 31番 鈴木ひろみ 32番 沢田あゆみ 33番 有馬としろう 34番 宮坂俊文 35番 下村治生 36番 おぐら利彦 37番 かわの達男 38番
雨宮武彦---------------------------------------欠席議員(なし
)---------------------------------------説明のため出席した者の職氏名 区長 吉住健一 副区長 寺田好孝 副区長 鈴木昭利 総合政策部長 平井光雄 総務部長 針谷弘志 地域振興部長 山田秀之 文化観光産業 菅野秀昭 福祉部長 関原陽子 部長 子ども家庭 橋本 隆 健康部長 髙橋郁美 部長 みどり土木 田中孝光 環境清掃部長 野田 勉 部長 都市計画部長 森 孝司 会計管理者 小沢健吾 企画政策課長 菊島茂雄 財政課長 遠山竜多 教育委員会 総務課長 鯨井庸司 酒井敏男 教育長 教育委員会 選挙管理 村上道明 委員会 山本誠一 事務局次長 事務局長 常勤監査委員 小池勇士 監査事務局長
下杉正樹---------------------------------------職務のため出席した議会事務局職員 局長 木城正雄 次長 新川金七 議事係長 黒木明子 議事主査 榎本直子 議会事務局 議会事務局 設楽拓也 大場裕介 主査 主査 議会事務局 土肥絵里 書記 笠原鉄平 主査 書記
長谷川雅章--------------------------------------- 速記士 増尾恵子---------------------------------------2月18日 議事日程 日程第1 代表質問 日程第2 第5号議案 令和2年度新宿区
一般会計補正予算(第12号)
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△開議 午前10時00分
○議長(吉住はるお) ただいまから、本日の会議を開きます。 会議録署名議員は、 9番 北島としあき議員 30番 えのき秀隆議員 を指名します。
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○議長(吉住はるお) 本日の会議時間は、議事進行の都合により、あらかじめ延長します。
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○議長(吉住はるお) 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。
◎議会事務局次長(新川金七) 区長から、 1、第29号議案など7件の議案の送付について 監査委員から、 1、定期監査の結果について 2、令和2年度行政監査(単価契約について)の結果について 3、令和2年度
財政援助団体等監査の結果について 4、令和2年度新宿区
歳入歳出例月出納検査の結果について(1月分)
--------------------------------------- 2新総総総第3381号 令和3年2月17日 新宿区議会議長 吉住はるお様 新宿区長 吉住健一 議案の送付について 令和3年第1回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。 記 1 第29号議案 令和3年度新宿区
一般会計補正予算(第1号) 2 第30号議案 令和3年度新宿区
介護保険特別会計補正予算(第1号) 3 第31号議案 新宿区介護保険条例の一部を改正する条例 4 第32号議案 新宿区
指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 5 第33号議案 新宿区
指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに
指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 6 第34号議案 新宿区
指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに
指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 7 第35号議案 新宿区
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する
条例--------------------------------------- 2新監査第304号 令和3年2月15日 新宿区議会議長 吉住はるお様 新宿区監査委員 白井裕子 同 小池勇士 同 國井政利 同 豊島あつし 定期監査の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定に基づき、令和2年度定期監査(後期)の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。 〔以下は
省略〕--------------------------------------- 2新監査第305号 令和3年2月15日 新宿区議会議長 吉住はるお様 新宿区監査委員 白井裕子 同 小池勇士 同 國井政利 同 豊島あつし 令和2年度行政監査(単価契約について)の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定に基づき、令和2年度行政監査の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。 〔以下は
省略〕--------------------------------------- 2新監査第308号 令和3年2月15日 新宿区議会議長 吉住はるお様 新宿区監査委員 白井裕子 同 小池勇士 同 國井政利 同 豊島あつし 令和2年度
財政援助団体等監査の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定により、令和2年度
財政援助団体等監査の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。 〔以下は
省略〕--------------------------------------- 2新監査第315号 令和3年2月15日 新宿区議会議長 吉住はるお様 新宿区監査委員 白井裕子 同 小池勇士 同 國井政利 同 豊島あつし 令和2年度新宿区
歳入歳出例月出納検査の結果について(1月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。 〔巻末諸報告の
部参照〕---------------------------------------
○議長(吉住はるお) これから本日の日程に入ります。 日程第1、代表質問を行います。 質問の通告を受けましたので、順に質問を許します。 最初に、20番近藤なつ子議員。 〔20番
近藤なつ子議員登壇、拍手〕
◆20番(近藤なつ子) 日本共産党区議団の近藤なつ子です。2021年第1回定例会に当たり、会派を代表して質問いたします。 質問に入る前に、去る2月7日、私ども日本共産党区議団の一員として、倒れる直前まで活動していました田中のりひで前区議が永眠いたしました。区長や理事者の皆さん、各議員の皆さんに大変お世話になり、誠にありがとうございました。私どもは、故人の遺志を引き継ぎ、今後も奮闘する決意を表明し、代表質問させていただきます。
新型コロナウイルス感染拡大の第3波は、菅内閣の無為無策と感染防止に逆行するGo
Toキャンペーンへの固執による人災であり、再度の
緊急事態宣言発出とその延長が行われる事態となりました。医療機関や保健所職員などへの負担も第2波とは比べものにならない逼迫状態となりました。そのような中で奮闘してくださっている全ての皆さんに心から感謝申し上げます。 また、
新型コロナウイルス感染により亡くなられた方に心よりお悔やみを申し上げるとともに、闘病中の方にお見舞いを申し上げます。2月13日の深夜、福島県沖で発生した地震で被災された方々にもお見舞い申し上げます。 菅内閣の支持率が下がり続け、不支持が支持を大きく上回っているのは当然です。その要因はコロナ対策だけではありません。国会で感染症法や特別措置法の罰則規定が議論されている最中に、自民党と公明党の国会議員が銀座のクラブをはしごしていただけでなく、うそとごまかしを重ねたことや、菅首相の長男が総務省の官僚を違法接待していた疑惑、さらに東京2020組織委員会の森喜朗前会長による女性蔑視発言と、枚挙にいとまがないとはこのことです。 区民の命と暮らし・営業を守るため、野党連合政権をつくって国民に信頼される政治を取り戻すため、頑張る決意を申し上げて質問に入ります。 最初に、「区政の基本方針説明」と2021年度予算案、第二次実行計画について質問します。 第二次実行計画とその初年度である2021年度予算案は、「最優先事項」として感染防止対策を掲げていますが、具体的にPCR検査等の抜本的拡充が示されることもなく、コロナ禍の下で区民の暮らしと営業を守るための目立った新規事業もなく、大変残念です。 「区政の基本方針説明」で区長が言われたように、「区民の皆様が住み慣れたまちで住み続けられるように、そして未来を担う子どもたちが健やかに成長できるように」するには、検査を徹底して
新型コロナウイルスを制圧するという意気込みや、区民を誰一人取り残さないという責任感を持って取り組むべきです。以下、質問します。 第1は、区民生活の実態についてです。 「区政の基本方針説明」で区長は、経済情勢について「
新型コロナウイルスの影響により、景気は依然として厳しい状況にありますが、感染拡大の防止策を講じる中で、『持ち直しの動き』が続くことが期待されています。」と楽観的な見通しを示しましたが、区民の実感とあまりにもかけ離れています。2度目の
緊急事態宣言発出とその延長で、飲食業界だけでなく、「もう耐え切れない」「持続化給付金の再給付、事業規模に応じた協力金が必要」など、悲痛な声が上がっています。生活困窮者が増え、社会福祉協議会の窓口には2度目の緊急事態宣言以降、また貸付けの相談が急増しています。 区長は、「区民の皆様の暮らしと命を守るため、現場に赴き、現場に向き合いながら」とおっしゃいましたが、どなたからどのような実態を聞かれたのか、「持ち直しの動き」が具体的にあるのか、現在の区民の暮らしと営業の実態についてどう認識し、来年度予算案と第二次実行計画にどう反映したのか伺います。 第2は、今後の財政見通しと財源確保、区民生活の支援についてです。 今後の財政を見通す上で、今年度
新型コロナウイルス対策にどれだけの財政が支出され、来年度どれだけの支出が見込まれるのかが重要です。2020年度補正予算を含めたトータルと2021年度予算について、それぞれ
新型コロナウイルス対策の支出が幾らで、国と都からの財源措置は幾らか、区の単独支出がどれだけあるのかも併せて明示ください。 区長は、来年度予算の厳しさを「2013年度から7年かけて積み上げた132億円の約6割を僅か1年で費やすという厳しい状況」と表現しました。予算ベースで歳入総額が前年度と比較して0.4%、6億円の減で82億円の財政調整基金の繰入れが必要と言いますが、一方で、これまで7年連続黒字で基金残高は576億円まで増やしてきており、まだ余力があると言えます。 区民が危機のときに思い切った財政出動をしなければ、個人事業主、中小零細業者、そこに働く労働者の暮らしが立ち行かなくなります。そうなれば区内の景気回復も税収の復活も見込めないと考えますが、区長の御所見を伺います。 今必要なのは、コロナ禍での区民負担の軽減です。介護保険料について、世田谷区は、来年度予算案で第8期の保険料基準額を引き下げ、全段階で保険料引下げを行いました。新宿区でも引き下げるべきではないでしょうか。
後期高齢者医療制度の本人負担2割引上げも打撃です。本人負担を増やさない新宿独自の負担軽減制度を実施すべきではないでしょうか。国民健康保険料も、この定例会中に値上げがされるとしたら、とんでもないことです。立川市では、コロナ禍の市民生活等への影響を鑑み、2019年度水準で2年連続据置きにしました。国民健康保険料の引下げを求めるものですが、区長の御所見を伺います。 港区は、コロナ禍の下で区民負担を増やさないという観点で、
新型コロナウイルス対応の申請だけではなく、区民や中小企業・個人事業主が申請する様々な
証明書発行手数料等を無料、コンビニでの発行手数料は10円とし、区民生活の負担を軽減するとしています。区長もこういう姿勢で臨むべきではないでしょうか。 第3は、東京2020オリンピック・パラリンピック問題と
オリンピック憲章の実現についてです。 この夏に延期された東京2020オリンピック・パラリンピックは、国内外の感染状況から言っても開催は不可能と思います。開催のために1万人の医療従事者が必要と言われ、一方でワクチン接種にも多くの医療従事者が必要とされている時期です。そうしたことを踏まえて、区長は、この夏、東京2020オリンピック・パラリンピックを開催すべきと思いますか。中止を求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。東京2020オリンピック・パラリンピックが中止または延期されたとしても、
オリンピック憲章を実現していくことは、かけがえのないレガシーとなります。 区として取り組むべきことについて、以下、具体的にお聞きします。 1つ目は、
パートナーシップ・ファミリーシップ制度の創設についてです。 「ジェンダー平等の実現」を制度として示し、性的指向・性自認を理由とした差別の解消を大きく前進させるのが、
パートナーシップ・ファミリーシップ制度です。
パートナーシップ制度は、2月1日時点で全国76自治体に広がり、全国総人口の3分の1以上をカバーするまでになりました。区長は一貫して「国において結論を出すことが必要」であることから
パートナーシップ制度は導入しないと答えてきましたが、国が認めないからこそ、自治体が婚姻と同等の関係を認める、こうした制度を検討するのになぜ国において結論を出すことが必要なのか伺います。 明石市、徳島市などは、
パートナーシップ制度に加えて、親子関係も含めたファミリーシップの届出制度を制定しました。区長は、
ファミリーシップ制度の必要性についてどうお考えですか。区長自身は、同性婚や選択的夫婦別姓をお認めになりますか。新宿区も
パートナーシップ・ファミリーシップ制度を創設するお考えはありませんか。区長の御所見を伺います。 2つ目は、平和への取組です。 私が、「区政の基本方針説明」を聞いて感じた大きな違和感は、核兵器禁止条約が今年1月22日に発効したのに、言及がなかったことです。なぜ触れなかったのですか。新宿区の加盟する平和首長会議は、2020年の総括で、署名・批准国の拡大と核保有国とその同盟国の条約締結に向けて、締約国会議への参加を求める働きかけを始めています。今大事なのは、最も身近な日本政府が条約を批准することです。区長の直接の働きかけと同時に、区が取り組んできた「
ヒバクシャ国際署名」「核兵器禁止条約の早期締結を求める署名」に代え、「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」に区として取り組むべきと考えますが、御所見を伺います。
◎区長(吉住健一) 近藤委員の御質問にお答えします。 「区政の基本方針説明」と2021年度予算案、第二次実行計画についてのお尋ねです。 初めに、区民の生活実態についてです。 私は、区民や団体と直接お話しする機会や
区民意見システム、各部からの報告、繁華街連絡会などを通じて、区民や事業者の皆様の厳しい状況や感染症対策の取組などについて、様々なお話を伺い、
店舗等家賃減額助成や
文化芸術復興支援事業の創設、
おもてなし店舗支援の拡充などへとつなげました。 また、深夜酒類提供飲食店からいただいた御意見も踏まえ、営業時間短縮に関する協力金の充実について、都へ申入れを行っています。 次に、「『持ち直しの動き』が具体的にあるのか」についてですが、1月の
政府月例経済報告では、企業の生産が持ち直しているとしており、現在、取りまとめを行っている第4四半期の中小企業の景況調査では、一部の業種で改善が見られています。しかしながら、依然として全ての業種がマイナスで推移し、特に飲食・宿泊業、地場産業である染色業において大変厳しい状況となっており、さらには、緊急事態宣言が発出されたことから、回復にはいましばらくの時間が必要であると考えています。 また、区民生活においては、緊急小口資金や総合支援資金、住居確保給付金について、現在も多くの申請をいただいている状況です。 このような状況から、区民の暮らしと営業は、依然として厳しい状況にあるものと認識しています。 このため、
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた「区民の命と暮らしを守る対応」「区内産業・地域経済の回復に向けた対応」について、来年度予算案では、区民生活や中小企業への支援、検査体制の強化などについて機動的に対応するとともに、第二次実行計画では医療物資の備蓄や発生状況を想定した訓練の実施などについて計画的に取り組んでいきます。 次に、今後の財政見通しと財源確保、区民生活の支援についてのお尋ねです。 まず、
新型コロナウイルス感染症対策についてですが、令和2年度予算では、補正予算の事業費417億円に対して、国、都支出金は394億円で、区一般財源は23億円となります。また、その他既定経費で8億円措置しています。令和3年度当初予算では、事業費25億円に対して、国、都支出金等は7億円で、区一般財源は18億円となります。 次に、今後の
新型コロナウイルス感染症対策の予算措置については、引き続き、国や都の補助金、寄附金、財政調整基金を活用し、必要に応じて機動的に対応してまいります。 区は、これまでも区民の声を受け止め、予備費充用や補正予算による機動的な対策を講じてきました。今後も、感染症対策とともに区民生活の支援と地域経済の回復に向けた対策に取り組んでいきます。 次に、介護保険料の引下げについてです。 介護保険料は、3か年の
介護保険事業計画期間中のサービス見込量に応じて算定されます。第8期の見込みでは後期高齢者数が増加し、それに伴い要介護認定者数も増加すると想定されます。また、介護報酬も引上げが予定されているため、給付費の増により保険料を下げることは困難な状況です。そのような条件の中で、第1号被保険者の負担軽減のための
介護給付準備基金を最大限投入し、令和3年度からの
介護保険料基準額は6,400円、現在より200円の増額にとどめています。 次に、
後期高齢者医療制度における保険料の新宿区独自の負担軽減制度と国民健康保険料の引下げについてです。
後期高齢者医療制度については、法令により、同一広域連合内は均一の保険料率とすることが定められており、新宿区独自の軽減策は、法制度の趣旨に反することになりますので、実施する考えはありません。 国民健康保険料について、特別区は、統一保険料方式を採用しており、令和3年度の保険料率についても、特別区基準保険料率を適用していきます。 次に、
証明書発行手数料についてです。 区では、
新型コロナウイルス感染症の影響による貸付けや融資あっせん等を受けるに当たり、区民等の負担軽減を図るため、必要となる各種証明書の発行手数料を無料としています。御指摘の
新型コロナウイルス感染症の対応に関連しない発行手数料の無料化や引下げは考えておりません。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックを開催すべきと思うか、中止を求めるべきではないかとのお尋ねです。 東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けては、国、東京都、東京2020組織委員会などで構成する「
東京オリンピック・
パラリンピック競技大会における
新型コロナウイルス感染症対策調整会議」が、昨年12月に中間整理をまとめたところです。この中間整理に示された具体的な対策や今後の工程表に基づき、医療提供体制の確保を含めた大会開催に向けた準備が開催都市である東京都を中心に進められています。 このため、区として大会開催の中止を求めることは考えていません。 次に、
パートナーシップ・ファミリーシップ制度の創設についてのお尋ねです。 パートナーシップについては、婚姻と同等の保障を行うためには、婚姻制度のあり方について十分な議論を踏まえた上で、国において結論を出すことが必要と考えており、これを前提とするファミリーシップを含め、区での創設は考えておりません。 次に、同性婚や選択的夫婦別姓についてです。 婚姻や夫婦の氏については、法に定められているため、区長が認否するものではないと考えています。 次に、平和への取組についてのお尋ねです。 世界の国々が核軍縮のために団結し、核兵器の廃絶に向けて取組を進め、核兵器のない世界をつくっていくことは大変重要です。区が加盟する平和首長会議では、核兵器禁止条約への参加も含め、核兵器の廃絶を進める取組を政府に要請しています。 このことは、本年1月22日に条約が発効する以前より、様々な機会を捉えて述べてきていることから、令和3年度区政の基本方針説明では、主な平和啓発事業について御説明したところです。 また、区は、既に平和首長会議の一員として「
ヒバクシャ国際署名」及び「核兵器禁止条約の早期締結を求める署名」の推進に取り組んでおり、これらに代えて、「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」に取り組む考えはありません。
◆20番(近藤なつ子) 次に、
新型コロナウイルス感染防止対策としての検査の充実とワクチン接種について伺います。
新型コロナウイルスが日本で初めて確認されてから1年1か月が経過しましたが、区民の皆さんの暮らしは、いまだ元に戻るめどが立っていません。私たちは、行政として徹底した対策を講じ、行政と区民が連帯して感染を収束させるため、以下質問いたします。 第1に、
新型コロナウイルス感染第3波の原因についてです。 政府によるGo Toキャンペーンが東京を対象に加えて以降、東京都の感染確認数が12月は8月の4倍となり、医師会などから中止を繰り返し求められていたにもかかわらず、Go Toキャンペーンは12月27日まで続き、1月の感染確認数は8月の8倍まで激増しました。新宿区でも、2月9日の定例記者会見で、区長は、「10月に比べて1月の感染者数は6.5倍に急増し、1日当たり100人を超える日も見られ、入院調整に時間を要するケースが続くなど医療体制の逼迫が生じ」「引き続き警戒が必要な状態」と報告されています。 区長は、第3波がここまで拡大した原因として、新宿区でもGo
Toキャンペーンの影響があったと思われますか。新宿区における第3波がここまで拡大した原因をどのようにお考えなのか伺います。 第2に、新宿区の感染状況等についてです。 まず、区の関連施設を含む区内事業所で感染者が発生した事業所数、感染者数についてお示しください。また、クラスターの件数を医療機関、高齢者施設、子どもの施設、百貨店等業種別にお答えください。こうした情報も区民に随時お知らせし、共有すべきと思いますが、いかがでしょうか。 東京都の1月の死亡者数は259人となりましたが、昨日17日時点で2月の死亡者は297人と過去最多を更新しています。治療できず急変し亡くなる方が全国的に増えています。新宿区は、区内死亡者数を公表していませんが、福祉健康委員会で聞くと、1月13日に11人としていたのが、2月3日には19人になったと聞き、驚きました。約1か月で8人も亡くなったのはなぜなのか、お答えください。 死亡者数を知ることで、区民はこのウイルスの恐ろしさを認識し、楽観論を打ち消すことになります。新宿区も死亡者数を年代別に公表すべきと思いますが、いかがですか。 北区では、週ごとに新規感染者数、入院患者数、宿泊者数、自宅療養者数等を公表しています。昨年の5月頃の感染拡大で保健所での集計等の対応ができなくなったため、帝京大学に依頼し、支援チームをつくり、集計と分析を行ってもらい、議会にも定期的に報告しています。日々変化するデータを迅速に集計し分析することで施策に反映することは、今の時代必須です。新宿でも大学等に協力を仰ぎ、情報処理と感染状況の分析をしっかり行うべきではないでしょうか。さらに、その情報や分析は区民と共有すべきと思いますが、いかがでしょうか。 第3に、無症状感染者の把握についてです。
新型コロナウイルス感染の難しい点は、感染者の約4割が無症状と言われ、区長も以前答弁されたように、その無症状感染者に一定期間感染力があることです。この無症状感染者という「感染源」が市中に放置されたままでは、一旦感染者が減ったように見えても、人の動きが活発になればリバウンドしてしまいます。だからこそ、無症状感染者の把握が極めて重要です。区長は、無症状感染者の把握が重要とお考えでしょうか、伺います。 第4に、医療や介護・障害福祉、保育・教育等のエッセンシャルワーカーに対する定期的なPCR検査の実施についてです。 政府は、「
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を2月2日に変更し、「特定都道府県に対し、感染多数地域における高齢者施設の従事者等の検査の集中的計画を策定し、令和3年3月をめどに実施するとともに、その後も地域の感染状況に応じ定期的に実施するよう求める。」とし、東京都は2月12日までに計画書を提出することになっています。 この計画は、保健所を設置する特別区が策定することとされていますが、都道府県がその区域内全域を対象に策定してもよいとされているため、都が策定しています。一方、既に都の事業で行われている介護・障害福祉従事者へのPCR検査が敬遠される場合の理由として、複数の感染者が判明したときに施設が運営できなくなることを心配する声があります。都は、そのような場を想定し、東京都社会福祉協議会などと協定を締結し、相互支援体制を構築しようとしています。 新宿区として、東京都任せにするのではなく、定期的な検査を推進すべきではないでしょうか。都が作成した計画で、新宿区ではどのように具体化されるのかお示しください。また、区内の相互支援について区がコーディネートすべきと思いますが、いかがでしょうか。 文京区では、高齢者、障害者、子ども施設等で定期、発生時、随時と状況に応じたPCR検査の実施に約4.9億円の予算を計上しています。新宿区では、連日、小・中学校、保育園など、子どもの施設でも発生しています。区として、子どもの施設も含めてエッセンシャルワーカーに対し、民間の力も借りて月1回以上のPCR検査ができるようにすべきです。いかがですか。 第5に、感染者が発生した事業所等への支援についてです。 区は、感染者が出た職場で濃厚接触者に該当しなかった周辺の職員に対し、保健師や産業医とも相談し、幅広くスクリーニング検査を実施しています。区の職員を守り、区民を守るために大事なことです。しかし、このようなスクリーニング検査は、保健所が判断すれば行政検査として濃厚接触者に該当しない周辺の方を検査できるはずですが、なぜ行政検査ではなく職員の福利厚生費で行うのかお答えください。 事業所等では、保健所が濃厚接触者と認定しない周辺の人を自費で検査しているケースもあり、区の職員をスクリーニング検査するのと同じ考え方で感染者が確認された事業所には、濃厚接触者以外の周辺の人で行政検査の対象外とされた人には検査費用を補助してはいかがでしょうか。 第6に、区内で50万人規模の検査をすることについてです。 新宿区は、2月10日時点で10万人当たりの累計感染者数は1,835人という状況から見ても、日本の中の「感染集積地」です。政府の
新型コロナウイルス対策分科会のメンバーからも、「感染集積地」を見定め、集中検査を実施する方向を提起されています。 在勤・在学を含む区民全体を対象に、無症状者50万人規模の希望者にPCR検査が必要と思いますが、区長の御所見を伺います。実施に当たっては、民間や大学などあらゆる資源を活用し、迅速に進めることが必要です。当面、自費で民間検査している区民に対し、検査結果を報告することを条件に補助してはいかがでしょうか。 また、これらを推進するための庁内組織として(仮称)PCR検査推進室と、感染症や情報処理などの専門家を入れた
新型コロナウイルス対策専門家会議を設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。 第7に、ワクチン接種について伺います。 区は、
新型コロナウイルスワクチン接種対策室を設け準備を進めていますが、何より安心安全な接種が混乱なく実施されることが大事です。世論調査では、ワクチン接種を「強く同意する」と答えた人は19%と、世界に比べても低い状況です。国は、コールセンターを設置する予定ですが、区としても、区民の疑問に丁寧に答えながら、同意を基に進めることが必要です。ホームページやSNS、区報なども活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、高齢者、基礎疾患のある方、一般区民それぞれのスケジュール管理やシステム化、医師会等との連携や準備の進捗状況についてもお聞かせください。 また、新宿区の特徴から、外国人の方や住民票のない在住者への接種が課題となります。外国人については、それぞれの言語で対応が必要ですが、準備状況はいかがでしょうか。また、住民票のない在住者が住民票のある自治体まで赴き接種するのは負担とリスクを伴うため、在住者にも接種する方向で対応するのが合理的です。ワクチン費用以外の全ての費用も国が持つよう求め、在住地で接種できるようにすべきです。区長の見解を求めます。 以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一)
新型コロナウイルス感染防止対策としての検査の充実とワクチン接種についてのお尋ねです。 初めに、新宿区における
新型コロナウイルス感染症第3波の原因についてです。 感染者の増加にGo
Toキャンペーンが影響しているかについては、エビデンスがないため、判断できかねます。区において、感染者数が急増したことについては、特にクリスマスや年末年始に日頃会っていない人との会食の機会が多かったことが要因の一つと考えています。 次に、新宿区の
新型コロナウイルス感染症の感染状況等についてのお尋ねです。 1月現在の感染状況についてですが、把握している限りでは、区の関連施設を含む区内事業所で感染者が発生した事業所数は約140件、感染者数は約320名です。また、クラスターの件数は医療機関2件、高齢者施設1件、子どもの施設2件、飲食店1件、その他4件の計10件になります。 1月に死亡者数が多かったことについては、感染者数が急増する中で、重症化のリスクの高い高齢者が多く含まれていたことが主な原因と考えています。 区では、区の基準に基づき、感染事例を区ホームページ等で公表するとともに、感染状況について広報新宿等を通じて周知してまいりました。 なお、年代別の死亡者数等の詳細な発生状況については、広域的な情報として、国、都で周知しているため、区で周知することは考えていません。 区では、これまでも、区のアドバイザーである国立感染症研究所の砂川先生に繁華街での感染状況を分析していただいてきました。その分析結果等について、区内飲食店等の方々には講習会で、区医師会、区内医療機関には「新型インフルエンザ等対策連絡会」等の機会を通じて情報共有を行うとともに、広報新宿においても広く区民に周知しています。 今後も、感染拡大防止のために必要な情報を適切に提供してまいります。 次に、
新型コロナウイルス感染症における無症状感染者の把握についてのお尋ねです。 感染の拡大を防止する上で、患者発生時における周囲の無症状感染者を把握することは重要であると考えています。そのため、医療機関、高齢者・障害者施設などの重症化リスクが高い施設等において患者が発生した場合や、これらの施設以外でもクラスター発生のおそれがある場合には、無症状者を含め、広くPCR検査を行っています。 次に、医療や介護・障害福祉、保育・教育等のエッセンシャルワーカーに対する定期的なPCR検査の実施についてのお尋ねです。 高齢者施設の従事職員等へのPCR検査は、東京都も区も既に取り組んでいるところです。国の方針を受けて、東京都は、高齢者施設に対して令和3年3月末までに検査の実施を徹底する計画を策定しています。東京都は、計画に基づき、新宿区内の特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに対して、都の助成金活用の再勧奨や唾液検体用PCR検査キットを送付することにより、集中的に検査を実施します。 区としては、区のPCR検査事業の実施結果や
新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じて、令和3年4月以降の効果的な支援方法を検討してまいります。 また、区内の事業者相互支援へのコーディネートについては、事業者と情報交換を行うなど、仕組みづくりの検討を進めています。 次に、エッセンシャルワーカーに対し、民間の力も借りて月1回以上PCR検査ができるようにすべきについてです。 区では、エッセンシャルワーカーが従事する福祉施設や保育園等において感染者が一人でも出た場合は、感染予防対策や接触状況、環境等を調査の上、速やかに初期スクリーニング検査を実施するとともに、必要に応じて複数回検査を行うなどにより、感染拡大防止策を適切に行っています。 エッセンシャルワーカーの働く場での感染予防には、日頃からの感染予防策の徹底と適切な健康管理、及び発熱などの症状が出た際の早期の対応が重要であると考えているため、エッセンシャルワーカーに対して、一律に定期的なPCR検査を実施する予定はありません。 次に、感染者が発生した事業所等への支援についてのお尋ねです。 行政検査の対象者は、医師が総合的に判断した結果、
新型コロナウイルス感染症が疑われる方、保健所の調査の結果、濃厚接触者と判断された方になります。また、医療機関、高齢者・障害者施設など、重症化リスクが高い施設等で患者が発生した際や、それ以外の施設においてもクラスター発生のおそれがある場合には、広く行政検査を行っています。 このため、行政検査の対象とならなかった区の職員への検査については、職員の健康管理や職場の安全衛生の観点から、福利厚生費で実施しています。 また、同様の考え方に基づき、事業所等での行政検査の対象者でない方への検査費用の補助については考えていません。 次に、区内で50万人規模の検査をすることについてのお尋ねです。 区では、
新型コロナウイルス感染症対策として、必要な方に対し、行政検査を効果的に実施し、感染拡大防止につなげることが重要と考えています。このため、患者数の急増への対応や繁華街対策を行う中で、区医師会と区内医療機関及び国、都の協力を得て検査体制の充実を図っています。したがって、行政検査の対象でない方への補助や50万人規模の検査をすることについては考えていないため、PCR検査推進室の設置は予定していません。 現在、専門家を委員とした「新型インフルエンザ等対策連絡会」を設置するとともに、国立感染症研究所の砂川先生にアドバイザーとしての御助言をいただいており、コロナ対策専門家会議を設置することは考えていません。 次に、ワクチン接種についてのお尋ねです。 初めに、区ホームページやSNS、広報新宿などの活用についてです。 高齢者をはじめとする区民への接種時期の情報、安全性や効果に関し国から示される情報などを速やかに提供し、安心して接種できるよう、区ホームページやSNS、広報新宿等の様々な媒体を活用し、丁寧にお知らせしてまいります。 次に、高齢者、基礎疾患のある方、一般区民のスケジュール管理とシステム化、区医師会との連携や準備状況についてです。 区では、国が示す
新型コロナウイルスワクチンの接種スケジュールに基づき、実施場所や実施方法等について、区医師会や区内病院と連絡会を開催するとともに、個別に医療機関との調整を行っているところです。 また、接種の予約等のシステム化についても、国のシステム等の内容を踏まえ、対応してまいります。 次に、外国人について、それぞれの言語での対応についてです。 3月に設置する「新宿区
新型コロナウイルスワクチン接種コールセンター」では、英語、中国語、韓国語の3か国語のほか、複数の言語による対応ができるよう準備をしています。 次に、住民票のない居住者への接種についてです。
新型コロナウイルスワクチンの接種は、住民票のある区市町村で行うことを原則としており、やむを得ない事情がある場合の例外的な接種については、国等に支援を求めてまいります。
◆20番(近藤なつ子) 次に、介護従事者への支援と介護保険事業のあり方について伺います。 「区政の基本方針説明」で、区長は、「地域包括ケアシステムの推進」について、地域支えあい活動や「通いの場」の導入など、支え合いの仕組みづくりを示しましたが、コロナ禍で苦境に立たされている介護従事者の声に心を寄せ、ケアサービスを守っていくという姿勢は残念ながら感じられません。 国は、第3次補正予算において、「
新型コロナウイルス緊急包括支援交付金」の増額を計上しましたが、十分に支援が行き渡っているとは言えません。感染拡大の中、極度のストレスを抱え高齢者等に接する介護従事者には、衛生用品の供給や定期的なPCR検査体制、危険手当・慰労金など手厚い支援が急務ではないでしょうか。区として独自施策を示し、介護従事者・事業者を守ることが必要という立場から、以下質問します。 第1に、コロナ禍における介護従事者への支援についてです。 コロナ禍の中で介護従事者は、感染リスクを顧みず頑張っています。新宿介護ユニオンのアンケートによると、「自分がいつ感染するか」「利用者に感染させてしまわないか」とおびえ、「離職したい」という声が目立っています。
新型コロナウイルスの影響で通所事業所は利用者が減少する一方、訪問事業所は仕事が増えていますが、人が足りないので受入れを断っている事例もあります。低賃金による人材不足に加え、募集しても感染状況の深刻な新宿には人が集まりません。ある訪問ヘルパーは、「毎日ハイリスクの高齢者のお宅を何軒も回っている。危険手当が欲しい」と言っています。このまま手を打たなければ、介護従事者がいなくなってしまいます。区は、介護サービスがなければ生きていけない区民をどう守るのですか。直ちに介護従事者を支援する事業を区として行うべきです。 全事業者に一律に給付金を支給する文京区、台東区や、減収のあった事業者にサービス継続支援金を補填する杉並区など、各地で支援が行われています。荒川区は、来年度の予算案で感染者に対応する介護従事者に事業者が特別手当を支給する場合の経費を補助するとしています。感染者が多い新宿区こそ、介護従事者を守るため、区独自の慰労金を給付することを提案しますが、いかがでしょうか。 第2に、介護保険事業のあり方についてです。 介護保険制度が施行され21年になります。改定のたびにサービス削減や区民などの負担増が繰り返され、当初の理念であった「介護の社会化」とは程遠い「保険あって介護なし」の事態が一層深刻になっています。経営難、重労働、低賃金、人手不足で介護従事者が疲弊し切っているところへ、
新型コロナウイルス感染症が直撃しています。コロナ禍で給付削減や負担増を進めてきた介護保険制度のあり方が一層問われています。 要支援者を保険から外し、独自サービスへ移行した総合事業については、コロナ禍でこそ感染防止のため、専門職の介護従事者が手厚い支援をする必要があり、ボランティアや地域見守り事業に頼るあり方は問題です。単価が低く事業者にとっては採算が合わないことも指摘されています。区として、国に対し、総合事業の廃止、保険料・利用料の負担軽減、国庫負担の引上げ、介護報酬引上げなどを強く求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 区独自の介護者リフレッシュ支援事業といった保険外サービスの対象や時間の拡充を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一) 介護従事者への支援と介護保険事業のあり方についてのお尋ねです。 初めに、コロナ禍における介護従事者への支援についてです。 区は、これまでも感染防止のための衛生用品の調達や配布、チェックリストを用いた感染防止対策の助言などを行ってきました。 国において、事業者に対し、
新型コロナウイルス感染症の影響による減収を補う臨時的取扱い等経済支援策や介護従事者への慰労金の支給が行われています。来年度以降の介護報酬改定においても、減収を補う仕組みや介護報酬の引上げがなされております。こうしたことから、区独自の支援事業や慰労金の支給は考えておりません。 次に、介護保険事業のあり方についてのお尋ねです。 介護予防・日常生活支援総合事業は、要支援者等の多様な生活支援のニーズに対応するため、住民主体の支援も含め、多様なサービスを展開しています。区においては、事業開始から間もなく5年が経過しますが、要支援者等を支える事業者や団体の皆様の御意見を踏まえて見直しを行い、現在は制度が定着していると考えています。したがって、区として国に対し、総合事業の廃止を求めることは現時点では考えていません。 介護保険料や介護保険サービスの利用料は、負担能力に応じた仕組みとしております。低所得者層の保険料については、公費を投入した負担軽減を実施しています。また、介護保険施設を利用する際には、居住費及び食費を軽減する制度があります。こうしたことから、国に対して低所得者層のさらなる軽減を求めることは考えていませんが、国庫負担の引上げについては従来から国に要望しているところです。 また、令和3年度以降の介護報酬は、
新型コロナウイルス感染症による影響も踏まえ、引上げとなりました。 次に、介護者リフレッシュ支援事業などの保険外サービスの対象や時間の拡充についてです。 介護者リフレッシュ支援事業の対象者は、既に要介護1以上や認知症の症状のある高齢者となっており、時間についても年間24時間までの利用時間に対し、令和元年度の平均利用実績は1人当たり年間8.2時間であることから、拡充を行うことは考えていません。その他の保険外サービスについても、それぞれの事業ごとに対象や時間は充足されているため、拡充は考えていません。
◆20番(近藤なつ子) 次に、区民のくらし・営業への支援についてです。 第1に、区民の生活支援についてです。 国の「
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」では、対策が長期化する中で生ずる様々な社会課題の一つに「営業自粛による倒産、失業、自殺」への対応を上げ、同時に「特に女性の生活や雇用への影響が深刻なものとなっていることに留意」するとしています。今後も増えることが予想される生活困窮者、とりわけ女性への支援が重要となっています。 以下、具体的に質問します。 1つ目は、住居確保給付金についてです。 練馬区は、家賃が住居確保給付金の上限を上回った方に、上限額と実額家賃との差額の3か月分を上限10万円まで支給しています。また、板橋区は、住居確保給付金受給中に家賃の更新を迎えた場合、更新料を補助しています。家賃の高い新宿区でも、他区の事例を参考に区独自に実額家賃との差額や更新料などを上乗せするなどの支援を充実すべきと考えますが、いかがでしょうか。 2つ目は、女性への相談支援についてです。 生活福祉課に配置されている女性相談員は、現在5人ですが、今年度4月以降も昨年度と比べて相談件数は増えていないとのことです。それは、女性の雇用や生活をめぐる状況が厳しくなっているにもかかわらず、制度に結びついていない状況があり、野村総合研究所の調査は「支援からの孤立」と分析しています。支援につなぎやすくするために、現在、男女共同参画課と生活福祉課にまたがっている区の女性相談窓口を改善し、ワンストップの女性相談窓口を設置すべきではないでしょうか。 また、パートやアルバイトで休業手当を支給されていない方に、休業支援金や就業支援金の紹介や申請のサポートを相談窓口で行えるよう、人員を配置し、きめ細かく対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。 第2に、事業者の支援についてです。 感染拡大による2度目の緊急事態宣言が3月7日まで延長されましたが、持続化給付金は2月15日、家賃支援給付金も同時に終了しました。飲食業関連や緊急事態宣言で影響を受けた事業者への「一時金」の支給は増額されましたが、中小業者の経営を守るためには極めて不十分です。また、「協力金」の支給額は一律のため、事業実態に合わず、無用な分断と対立を生んでいます。 民間信用調査会社が1月6日に発表した倒産情報によると、昨年1年間で飲食業者の倒産は780件で過去最多となり、区内でも新宿区商店街連合会の加盟店4,700軒のうち、4月から7月に廃業したお店が83軒、そのほとんどが飲食店です。さらに8月以降も廃業する件数が増加し、依然として厳しい状況です。事業者へのより一層の支援を求め、以下質問します。 1つ目は、経営難にあえぐ事業者の声や要求を直接聞くことです。 繁華街連絡会では、これまで3回会合や研修会が持たれましたが、会合で意見を言ってもそれらが反映されていません。1月30日に放映されたNHKスペシャル「夜の街で生きる?歌舞伎町試練の冬」で、区長は深夜営業のお店の方やビルのオーナーと会って話を聞いたとのことです。区長は、これまで現場に赴いてどんな意見を聞き、どんな施策にその意見を活かしたのか伺います。また、区長とともに担当部も自ら現場に赴き、事業者の要望等を聞くべきです。いかがでしょうか。 2つ目は、各種支援事業の周知についてです。 特例の商工業緊急資金は、1月末時点で3,381件の申請ですが、既に6か月の据置期間を過ぎた方もいます。本来なら据置期間を延長し、廃業・倒産の状況によっては返済免除にするなどの柔軟な対応をすべきですが、少なくとも東京都や政策金融公庫などの借換え融資などを周知すべきと思いますが、いかがでしょうか。 行政書士による各種支援制度等についての無料相談会が1月から実施されましたが、利用者は1月1件、2月も予約3件とのことです。また、専門家を派遣するビジネスアシスト新宿の利用は、昨年4月1日から1月末で20社36回と少ないのが現状です。この2つの支援制度について、区報以外でも周知を徹底すべきです。 昨年11月に新宿文化センターで行われた繁華街対策連絡会の研修会の周知をするため、区は約1万2,000軒の飲食業店舗に研修案内とともに区の支援事業の案内を郵送したところ、おもてなし支援事業や専門家活用事業の申込みが増えたとのことです。このことは、制度を周知すれば申込みが増えることを示しています。もっと利用してもらうために、改めて郵送等でダイレクトに周知すべきと考えますが、いかがですか。 3つ目は、専門家活用支援事業についてです。 この事業は、来年度も継続され、今年度に使った人もまた使えるとのことですが、一括精算では使いづらいため、数回に分けて精算できるようにし、上限も20万円にして使いやすくしてはいかがでしょうか。 4つ目は、家賃の直接支援と事業継続のための支援助成金についてです。 区の
店舗等家賃減額助成は、1月31日時点で実績は849件、1,641テナントです。1件につき平均2テナント弱と少ないのは、1件で5テナントまでと、小規模のオーナーしか使えず、テナントを多く持つオーナーには負担となり、使いづらいためです。来年度予算案では、減額した家賃の4分の3、上限7万5,000円を区が助成し、1件5テナントまでという上限を撤廃しました。ところが予算額は1億3,500万円で、僅か100件300テナントの想定です。どのような見込みで算出したのでしょうか。ここまで拡充しても、この程度の見込みしか立たないのなら、この制度のほかにテナントに直接支援する制度を創設すべきと考えますが、いかがでしょうか。 事業継続の支援として、文京区では、昨年9月1日から今年2月1日まで、人件費、土地、建物、動産の賃借料等を対象に上限30万円まで支給する事業を行いました。補助対象が広いことが特徴で大変喜ばれているとのことです。 私どもは、今定例会に事業継続のための助成金を支給する、文京区と同様の条例を提案しています。新宿区にこそ、こうした助成金が必要ではありませんか、区長の所見を伺います。 以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一) 区民のくらし・営業への支援についてのお尋ねです。 初めに、住居確保給付金についてです。 住居確保給付金の支給上限額等の支給要件や支給対象については、生活保護の基準等に準じて国が定めています。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の状況を踏まえ、令和2年4月に支給要件が緩和され、離職または廃業した方に加えて、個人の責に帰すべき理由・都合によらない就業機会等の減少により経済的に困窮する方へも給付が可能となるなど、対象が拡大されました。 また、支給期間は、最長で9か月間までだったところ、令和3年1月より令和2年度中に新規の申請をされた方については、最長で12か月間まで可能となりました。 さらに、令和3年2月より、住居確保給付金の支給が終了した方に対し、一定の要件を満たした場合、申請により最長3か月間支給することが可能となりました。 このように、国が制度を改定してきていることから、区独自に実家賃との差額や更新料などを上乗せすることは考えていません。 次に、女性への相談支援についてのお尋ねです。 男女共同参画課では、性別を問わず、自分自身のこと、夫婦のこと、家庭のことなど、様々な悩み事の相談に応じています。生活福祉課では、失業や病気、路上生活、意に反する妊娠や出産、家庭内暴力等の女性が抱える相談に対する支援を行っています。 また、コロナ禍における様々な相談に対しては、他の支援機関とも連携しながら、それぞれの強みを活かした一体的な支援を行っています。そのため、現時点でワンストップの女性相談窓口を設置することは考えておりません。 休業支援金については、コールセンターの御案内を行うなど、支援が必要な方に対して適切な情報提供を行っていきます。 次に、事業者の声や要求を直接伺うことについてのお尋ねです。 私は、新宿区繁華街新型コロナ対策連絡会の開催や、アドバイザーである砂川先生との店舗訪問などを通じて、事業者の皆様からの御意見や御要望、感染症対策の取組について、直接お話を伺い、施策につなげてきました。 具体的な例としては、事業者から、感染症対策に取り組む店舗を区も応援してほしいとの要望を受け、新宿文化センター等で開催した感染症対策講習会の参加店舗に対して受講証を発行し、区ホームページでの公表を行うことで、感染症対策に取り組む店舗を広く発信しています。 新宿社交料理飲食業連合会からは、店舗がより早く感染症対策を行うための補助金の迅速な交付について要望を受け、
おもてなし店舗支援補助金に概算払い制度を追加しました。 また、東京商工会議所新宿支部とは、懇談会において
新型コロナウイルスの感染予防に関する情報や地域経済の状況を共有するとともに、区の支援策に関する要望等もいただきました。 要望では、資金繰りの支援の継続等が挙げられ、商工業緊急資金(特例)等の事業として来年度予算案に取りまとめ、本定例会に上程しているところです。 このように、事業者の声を各所管の職員ととともに直接伺うことで、施策へとつなげています。 次に、特例の商工業緊急資金の据置期間を過ぎた方に対しての、東京都や政策金融公庫が実施する借換え融資の周知についてのお尋ねです。 区では、これまで、商工業緊急資金を含め既存の融資の借換えが中小事業者の資金繰りに有効なものと考え、周知に努めてきました。現在は、中小事業者向けのパンフレット「
新型コロナウイルス対応支援一覧融資制度編」を作成し、区政情報センターでの配布をはじめ、区ホームページに掲載するとともに、新宿商人(しんじゅくあきんど)やメールマガジン等での周知を行っています。 また、国は、各金融機関に対して、既に受けた融資の条件変更等について、事業者の実情に応じて柔軟に対応するよう要請しています。区としましては、据置期間を経過した方へ個別に周知を行うことは考えていませんが、制度融資取扱金融機関を通じて借換えの周知を強化してまいります。 次に、行政書士による無料相談窓口とビジネスアシスト新宿を広報新宿以外でも周知徹底することと、区の支援事業の案内を郵送等でダイレクトに周知することについてです。 事業者向けの行政書士無料相談会は、広報新宿や区ホームページ等で周知するほか、東京商工会議所新宿支部や東京中小企業家同友会新宿支部を通じて、区内企業への周知を行っています。1月から開始した事業であり認知度を高める必要があるため、今後は新宿商人への掲載やビズタウンニュース、メールマガジン等を活用して周知を強化していきます。 また、ビジネスアシスト新宿については、新宿商人12月号で活用事例を紹介するなど、広報新宿以外での周知を行っているところです。 今のところ、再度区の支援事業の案内を郵送等でダイレクトに周知することは考えていませんが、今後も、事業者に対して必要な情報が行き届くよう、関係機関との連携を深めながら周知を進めてまいります。 次に、専門家活用支援事業を数回に分けて精算できるようにし、上限を20万円とすることについてのお尋ねです。 専門家活用支援事業では、事業者の方の負担を軽減するため、事後的に一度にまとめて申請していただいていますが、上限額に満たない金額で本制度の申請を終えている方もいらっしゃるため、再度の申請ができるようにすることが必要になってきていると考えています。このため、既に申請した方を含め、その都度申請ができるか申請方法について検討を進めてまいります。 なお、上限額を20万円にすることは考えておりませんが、本制度が区内事業者にとって、より活用しやすいものとなるよう、引き続き取り組んでまいります。 次に、家賃の直接支援と事業継続のための支援助成金についてのお尋ねです。
店舗等家賃減額助成事業については、令和3年度も店舗等の家賃減額を通じた区内事業者の事業継続を支援し、また、オーナーが家賃減額に応じやすく、より多くのテナント支援につなげることができるよう、店舗等のオーナーの要件を中小企業者まで拡充し、補助率を4分の3に、1物件当たりの助成上限額を7万5,000円にそれぞれ引き上げるとともに、テナント数の上限を撤廃する予定です。予算額については、令和2年度の申請数や1申請当たりのテナント数などの実績を踏まえ、また、実施期間も勘案して算出したものです。 本事業は、コロナ禍において、新たなテナント出店が見込まれにくい状況の中、現在の契約を継続していただくことで、オーナーとテナントの双方の事業継続につながるよう働きかけるものです。今後も、店舗等の家賃減額を通じて区内テナントの事業継続につなげていくことができるよう、引き続き店舗等の家賃を減額したオーナーを支援してまいります。このため、テナントへの直接補助については考えていません。 また、補助対象を広く取り、中小企業者に30万円を支給することについてです。 区としましては、限られた財源の中でどのような方にどのように重点的かつ効果的に配分するべきかを総合的に勘案し、事業継続の支援として、令和3年度は
店舗等家賃減額助成事業や
おもてなし店舗支援の対象や金額を拡充して実施する予定です。このため、中小企業者に30万円の助成金を支給することは考えておりません。
◆20番(近藤なつ子) 次に、公民連携のあり方について質問します。 新宿区では、「効果的・効率的」な行財政運営の業務の推進のためとして、「公民連携」の名の下に、民間委託・民営化、指定管理者制度の導入などが進められてきました。国の進める公共サービスの産業化とも相まって、さらにその対象を広げようとしていますが、この間だけでも新宿スポーツセンターの個人情報流出や指定管理者選定における法令違反の見逃し、新宿中央公園のパークPFI導入時の法令違反、区営駐輪場民営化の不透明な進行、新宿文化センター改修におけるPFIの行き詰まりなど、公民連携については問題が続出しています。このように問題が続出していることについてどのようにお考えか、お答えください。 また、鳴り物入りで開設された「公民連携相談窓口」では、民間提案制度の実施に向けた相談や意見の応募を始めたものの、提案は区の思惑ほど寄せられていないと聞いています。窓口に寄せられた相談や提案の件数とその内容など運営状況をまずお聞きし、以下、具体的に質問します。 第1は、新宿文化センターの改修とPFIについてです。 新宿文化センターの特定天井や空調・給排水・舞台音響等の設備の改修について、改修方法の検討を委託された三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社は、その方法についていわゆる民間資金を導入するPFI方式を優位としましたが、検討に当たり事業者の意見を聴くサウンディングでは、コロナ禍による事業環境の激変により改修事業の収益見通しの暗さを理由に、公共資金調達型と言われるDB方式、DBO方式を主張してPFI方式での参加を表明する事業者が事実上見つかりませんでした。そのため、緊急性の高い特定天井の改修を先行して行い、どの手法を取るか検討はするものの、事実上従来方式で行わざるを得ないことが明らかになりました。 この状況が示しているのは、もうからなければ民間事業者は参入しないということであり、契約が長期になれば、その間に経済状況の変化が起こった場合、収益が悪化すれば中途での撤退も起こり得るということです。現に、全国の自治体でそのような事例が生じています。もし、今回の改修事業が
新型コロナウイルス発生前にPFI方式で始まっていたとしたら、事業が破綻し、多額の区の財政負担が生じたのではないでしょうか。PFI方式の危険性についてどのようにお考えなのかお聞かせください。 PFI方式は、公共サービスを担うにはなじまないことは明らかです。新宿文化センター改修はもちろん、今後、公共サービスにPFI方式の導入はやめるべきと考えますが、いかがでしょうか。 第2に、事業者選定におけるコンプライアンスのあり方についてです。 新宿スポーツセンターの第4期指定管理者選定が行われた際、募集事業者の法令違反を事前に確認できず、議会に提案された議案が撤回され、出し直すという前代未聞の事態が起きました。 区には、指定管理者制度の基本的な考え方を定めた「公の施設に関わる指定管理者制度の活用方針」や「公の施設に係る指定管理者制度の活用方針マニュアル」はありますが、具体的な法令に適合するかの確認の手順は細かく定められておらず、総務区民委員会での質疑では、2021年度に向け確認手順の整備・改善を行う旨の答弁がありました。 しかし、現時点でマニュアルの改定は、「申請受付時には、事業者が公の施設の管理を行うものとしてふさわしくないものに抵触していないことを、書面及び聞き取りにより確認する」との僅か2行が加えられただけです。しかし、書面及び聞き取りならこれまでも行っており、それをチェックすべき担当課のコンプライアンス認識が足りなかったことが問題なのです。適法性の確認については、何をどう確認するか全庁的なマニュアルを作成し、担当課だけに任せるのではなく、弁護士や社会保険労務士など専門家が第三者の目で候補事業者を厳しくチェックする体制の構築をすべきと考えますが、いかがでしょうか。 第3は、透明性の確保についてです。 先日、区営駐輪場民営化について事業者選定の公開プレゼンテーションが行われました。会場が大変狭く、傍聴者は2名に限定され、密な中でのプレゼンテーションでした。しかも公開であるにも関わらず、プレゼンテーションの質疑応答になると、傍聴者は退去を求められ、公開とは到底言えない状況でした。傍聴の人数制限については会場確保の都合だと言いますが、広めの会場にすればよいことで、あらかじめ傍聴者を想定していなかったとすれば問題です。 今回、質疑応答を非公開としたのは事業者の営業ノウハウを保護するためとされていますが、本来、公開プレゼンテーションは質疑応答も含めてプレゼンテーションであり、これまでも指定管理者や委託事業者を選定する公開プレゼンテーションでは全て公開され、利用者が限定的な事業では傍聴者のアンケートも行うという工夫がされる場合もありました。今回のような民設民営化は、指定管理者などとは違い区の関与が及びにくい制度なだけに、より一層透明性が担保されるべきではないでしょうか。お答えください。 プレゼンテーションでは質疑応答も含めて内容が記録されていませんでしたが、選定手続の経過が記録されていなければ、適切な選定だったか否かを後から検証できず、区政のチェックという議会の役割を果たすことも難しいと考えますが、いかがでしょうか。 新宿スポーツセンターにおける個人情報流出事件を機に、立入調査の手順とその記録の公文書化が区全体のルールとして明確化されましたが、事業者の選定においても全庁的なマニュアルを整備し、選定過程を記録し公文書化することが必要と考えますが、いかがでしょうか。 かつて、中山前区長は、区政の透明性を一貫して強調していました。この間の事業者選定などを見ても、行政の透明性という視点が欠けているように思いますが、吉住区長は行政の透明性についてどのような認識をお持ちなのかお答えください。 以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一) 公民連携のあり方についてのお尋ねです。 初めに、公民連携の問題への認識についてです。 公民連携は、「官が公共性を設定」し、「民がそのガバナンスのもとに効率性を追求する」事業であることから、法令遵守や個人情報保護対策を徹底するなど、ガバナンスを強化しながら進めてまいります。 次に、公民連携相談窓口についてです。 現在、令和4年4月からの民間提案制度の実施に向けて、公民連携の相談窓口では、先進自治体における取組や民間企業の意見等を踏まえながら、準備を進めるとともに、全庁的な推進に向けての体制を構築しているところです。 窓口には、これまで民間提案制度の制度設計に関する御意見やICTを活用した事業提案など、10件程度の相談がありました。 次に、新宿文化センターの改修とPFIについてのお尋ねです。 新宿文化センターの改修については、特定天井や空調・給排水・舞台音響等の設備全般の改修に当たり、民間資金等の導入も視野に入れた改修方法等を検討するための調査を実施しました。調査の結果、事業手法の総合評価において改修と運営の一部を一体的に行うPFI方式が優位であり、民間事業者も事業への関心を持っていました。 しかし、調査開始時と異なり、
新型コロナウイルス感染症により区財政が厳しくなる中、設備全般の改修を実施することは、多額の財政負担が必要となり、現時点では困難であることから、特定天井及び安全性に関わる改修項目に限定し、工事を実施することにしました。御指摘の事業が破綻するおそれから判断したものではありません。 また、PFIで事業を実施する場合のリスクについては、設計・施工・維持
管理・運営等の各段階で修繕部分等の瑕疵や運営の中断、技術革新や不可抗力への対応などの様々なものが想定できるため、想定されるリスクをできる限り明確化した上で、具体的かつ明確に協定等で取り決めることで、一定程度回避することが可能であると考えています。 今後のPFIの導入については、施設の規模や特性等を踏まえ、必要に応じてPFIの導入を検討し、サービス水準の向上とコスト削減を推進してまいります。 次に、事業者選定におけるコンプライアンスのあり方についてのお尋ねです。 令和2年第4回定例会における第96号議案の撤回については、応募事業者の資格の確認不足が原因であったことから、区では、申請受付時に書面及び聴き取りにより応募資格を確認するよう、「公の施設に係る指定管理者制度の活用方針マニュアル」を改正し、指定管理者制度検討連絡会議において、その内容を周知しました。 応募資格の確認に当たり、業務に関連する法規に違反していないかなどの疑義が生じた場合は、弁護士等の専門家の意見も参考にしながら対応してまいります。 次に、透明性の確保についてのお尋ねです。 民間事業者を活用した駐輪場の事業者選定審査会については、厳正かつ公平に行う観点から、学識経験者、公認会計士及び町会連合会から推薦された区民に審査委員をお願いしています。こうした外部からの審査委員による、率直な意見交換及び意思決定の中立性が確保されるよう、質疑応答は非公開としましたが、事業者によるプレゼンテーションは公開としました。事業者選定における透明性の確保は重要ですが、公正な審査を確保するために、一定の非公開は必要であると考えます。 また、事業者選定審査会における議事録は作成していませんが、選定過程及び審査方法等については、区のホームページで公開しています。 次に、事業者選定における全庁的なマニュアルを整備し、選定過程を記録し、公文書化することの必要性についてです。 区では、高度な創造性や専門的な技術を必要とする業務について、事業者から企画提案を求め、最も優れた事業者と随意契約するプロポーザル方式について、平成30年9月に新宿区プロポーザル方式による契約に関するガイドラインを策定しました。 このガイドラインは、区が実施するプロポーザル方式における基本的な考え方や留意事項を定めており、ガイドラインを活用することにより、透明性、公平性、競争性を確保しつつ、良好なサービスの調達に努めています。 次に、行政の透明性の認識についてです。 行政の透明性は、公正で効率的な区政運営を実現するとともに、区民の区政への理解と信頼を確保するために、必要不可欠であると認識しています。
◆20番(近藤なつ子) ただいま区長より答弁をいただきました。1つだけ再質問というか確認をしたいのですが、
新型コロナウイルスの感染防止対策の中で、新宿区の感染状況についてお伺いをしました。区の関連施設を含む区内事業所での感染者が発生した事業所数ということで、先ほど区長からは約140件との答弁があったように思うのですが、以前の福祉健康委員会では、987とか1,000に近い事業所数を示しておられたと思います。間違いがないのかどうか、再度質問させていただきます。
◎健康部長(髙橋郁美) 先ほど答弁させていただきましたのは、1月の感染状況でございますので、この数字で間違いございません。
◆20番(近藤なつ子) こちらの質問は、区内の全体のこれまでの感染者数ということで伺ったつもりでした。ちょっとそこがそごがあったというふうに思いますので、この後設置される予定の予算特別委員会、同僚議員も参加する予定でございますので、この質問、また、その他の質問でも、残念ながら区民の実態と区長の認識が大きくかけ離れている部分がやはり答弁を聞いてあるなというふうに実感しました。引き続き、同僚議員が質問もさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 以上で私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(吉住はるお) 次に、6番小野裕次郎議員。 〔6番 小野裕次郎議員登壇、拍手〕
◆6番(小野裕次郎) 立憲民主党・無所属クラブの小野裕次郎です。令和3年第1回定例会に当たり、会派を代表して、区長並びに教育委員会に質問させていただきます。どうか誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が始まってから、約1年が経過しました。この間、国内での感染者数は累計で40万人を超え、このうち約6,500人の方が亡くなられました。都内でも、累計で約10万人の方が感染し、約1,000名の方が亡くなっています。お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、療養中の方々、後遺症に苦しまれている方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、先日の福島・宮城での地震におきまして、被害に遭われた方々のお見舞いも併せて申し上げ、以下、質問に入らせていただきます。 まず、区政の基本方針と令和3年度予算案についてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延して1年、我が国は戦後最大の危機に直面しています。この影響により社会経済活動は大きく停滞し、それに伴い消費が大幅に落ち込み、雇用・所得環境も急激に悪化しました。また、国内外の感染症の動向が内外経済をさらに下振れさせるリスクや、金融・資本市場の変動などを鑑みれば、今後も景気動向は不透明な情勢であり、最大限の注意を払わなければなりません。 本区でも、感染拡大の防止と地域経済活動の両立を目指していますが、現在は2度目の緊急事態宣言が発出されている真っただ中であり、1日当たりでの感染者数は減少傾向にあるというものの、区民の日々の生活や区内中小企業者を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあります。 また、特別区と東京都で協議して決定する都区財政調整制度は、調整税を区と東京都が共有する財源と位置づけ、一定の割合を特別区固有の財源として保障していますが、東京都が主体となり、交付内容に強く関与している現状は、特別区の自主性を大きく妨げるものであります。令和2年度は、その配分割合が0.1%増加はしましたが、令和3年度の本区の算定額は、前年度比9億8,000万円減少し、254億円となりました。 このように、区財政は極めて厳しい状況ではありますが、
新型コロナウイルス感染防止対策をはじめ、高齢者、子育て世代や生活困窮者などへの支援、高度防災都市化に向けた災害に強いまちづくり、老朽化に伴う公共施設の整備などに取り組んでいかなければなりません。質のよい行政サービスを提供し続けるためには、安定的な財政の基盤が必要です。 以下、質問いたします。 1点目に、令和3年度の予算見積りの基本方針の中に「『新たな日常』の要素を加え、事務事業を見直す」とあり、「新たな日常」の対応として、「行政手続については、窓口の混雑緩和を進めるため、手続のオンライン化等に向けた検討を実施します」とありますが、現在、どのような検討が進められているのか、お聞かせください。 また、依命通達には、「『新たな日常』に照らし合わせ、事業のあり方や手法など、あらゆる角度から抜本的に検証し、その費用対効果をしっかりと見極め、事業の統合・再編・廃止を含め検討した上で、予算に反映することが肝要である」と述べられていますが、令和3年度予算にどのように反映しているのか、お聞かせください。 2点目に、財源についてお伺いします。 各自治体では、医療、介護、子育て、防災・減災、雇用の確保など、喫緊の財政需要への対応をはじめ、長期化する感染症防止対策も迫られ、財政は巨額の財源不足が生じ、極めて厳しい状況に陥ることが予想されます。 さきに述べたように、本区においても歳出総額が前年度比37億円増加した一方で、歳入は特別区税や地方消費税交付金などが減少し、財源不足額は82億円となり、財政調整基金の繰入れは前年度から43億円の大幅な増加となりました。 加えて、国の極めて不合理な税制改正により、都市部から税財源が一方的に奪われ、23特別区全体の影響額は2,500億円にも達するということですが、令和3年度の本区の影響額について、どの程度を見込んでいるのか、お聞かせください。 3点目に、戦後最大の危機に直面している状況下で、行政需要は増え、一方、財源は大幅に減少している非常事態の中、何としても早急に貴重な財源を国や東京都から取り戻さなくてはならないということから、2点お聞きします。 これまでも、国に対して、特別区長会から「地方税財源の確保に向けて」という要望書も提出され、本区議会としても同様の意見書を提出していますが、残念ながら状況は好転していません。区長の御見解と区長会等の動きをお聞かせください。 また、都区財政調整制度については、透明性、公平性を高める観点から「特別区交付金割合の2%への復元を実現するよう」、強く主張していただきたいと思いますが、区長の御見解をお聞かせください。
◎区長(吉住健一) 小野議員の御質問にお答えします。 区政の基本方針と令和3年度予算案についてのお尋ねです。 初めに、行政手続のオンライン化等についてです。 区では、「新たな日常」への対応や区民サービスの向上のため、区民が来庁せずに行政手続を完結できるような取組を推進することが重要であると考えており、行政手続のオンライン化を進めているところです。 現在、東京電子自治体共同運営電子申請サービスによる48手続の電子申請が可能となっており、電子申請が可能な手続を順次増やしているところです。 次に、事務事業の見直しの令和3年度予算への反映についてです。 令和3年度予算における事務事業見直しとしては、決算不用額等の精査や定員適正化計画に基づく人件費削減、ホームレス対策及び緑化推進事業における事業統合・再編などで、歳出予算額を3億円削減し、区有財産の有効活用による歳入予算の確保15億円を合わせて、合計18億円の一般財源を確保したものです。 また、健康費において、令和2年度に既定事業でそれぞれ行っていた
新型コロナウイルス感染症対策を体系的に事業として再編しました。 次に、不合理な税制改正についてのお尋ねです。 初めに、令和3年度影響額についてです。 まず、法人住民税の一部国税化による影響額ですが、新宿区の財政調整交付金実績で算出すると、約44億円の減と見込まれます。また、地方消費税清算基準の見直しにより約25億円、ふるさと納税の影響により約21億円の減を見込んでおり、合計で約90億円の減となります。 次に、不合理な税制改正への区長会等の動きと見解についてです。 不合理な税制改正により、住民税を地方自治体間の財源調整に用いることは、地方税の原則をゆがめるとともに、地方分権の流れに大きく逆行するものです。このため、特別区長会は、「不合理な税制改正等に対する特別区の主張」の中で、特別区は財源に余裕があるかのような誤解があるとして実態を示しながら反論をまとめるとともに、国に対し要望活動を行っています。 私は、地方税の本旨を無視した不合理な税制改正で都市部から税源を奪うのではなく、国の責任において地方自治体の税財源の拡充を図るべきとし、今後も真の分権社会の実現に向け、引き続き、区ホームページや広報新宿への掲載などをはじめとして、地方税財源の拡充を強く主張してまいります。 次に、都区財政調整制度における特別交付金の2%への復元についてです。 特別交付金の現行の割合は、平成19年度の都区協議において、特別区交付金の23区への配分割合が52%から55%へ変更されたのと同時に、2%から5%へと変更されました。区側としては、暫定的な措置として受け入れたことから、この間特別交付金の割合の引下げを主張してまいりましたが、いまだ都との協議は整っていません。 新宿区としては、特別交付金の透明性、公平性を高めるとともに、普通交付金の充実を図ることが重要であると考えており、引き続き東京都に交付金の割合の見直しを強く求めてまいります。
◆6番(小野裕次郎) 続きまして、区内産業・地域経済の回復に向けた対応についてお伺いいたします。 感染拡大は、昨年4月中旬、8月上旬、そして今年1月上旬をそれぞれピークとする波状的な増減を繰り返しており、後になるほどピーク時の新規感染者数が大きい、波が大きい傾向が見られます。現在は、いわゆる第3波と言われる時期にありますが、1月8日からの緊急事態宣言による人の往来や接触を伴う社会経済活動の自粛や制限の効果もあってか、目下のところ日々の新規感染者数は減少傾向にあります。 しかし、今後も次のピークに向かう波がやってくることが十分に予想され、また、期待されたワクチンも幅広く接種するには相当の時間を要するため、いまだ予断を許さない状況と言わざるを得ません。 このようなコロナ禍により、2020年の世界経済は需給両面で第2次大戦後最大の縮小を経験し、日本経済も5%を超えるマイナス成長に陥っています。 総務省の家計調査によれば、昨年4月から9月の勤労者世帯及び無職世帯の実収入は、全ての住民に一律10万円を給付した特別定額給付金の効果もあって増加したものの、10月以降はその効果が失われ、さらに失業率の増加や労働時間の減少などの影響が懸念されています。 また、家計調査の結果、昨年4月から9月にかけての家計の消費支出は、前年比でマイナス10%程度であり、特に外出自粛に伴い、外食、被服及び履物、交通、旅行・宿泊及び交際費が大幅に減少したことが判明しています。これらの支出分野の縮小は、飲食店やホテル・旅館、また百貨店をはじめとする小売店が多く集まり、伝統産業である染色業のある新宿区に特に大きな影響を与えています。 さらに、感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指すものとして、昨年10月から東京都でも始まったGo ToトラベルやGo Toイートなどの需要喚起キャンペーン事業は、いわゆる第3波の深刻化に伴い停止され、さらに緊急事態宣言に伴う飲食店の時短要請や外出の自粛要請により、区内事業者も深刻な打撃を受けている状況です。 このため、新宿区においても、区内の産業・経済の回復に向けた取組が重要であり、その一端は「区政の基本方針説明」や令和3年度予算案にも見てとることができます。この質問では、区の現状認識及び予算案に現れた事業の趣旨などについて伺います。 初めに、区では、四半期ごとに景況調査を実施しており、昨年10月から12月の第4四半期については、現在調査結果をまとめているところと思われます。第4四半期における区全体及び業種別のDI推移や経営上の問題点、また特徴的な動向があればお聞かせください。 あわせて、2020年の通年での区内の産業・経済の状況及び今後の見通しについての区の認識をお聞かせください。 第2に、新宿区令和3年度予算に計上されている事業の幾つかについて伺います。 まず、中小事業者に対して融資資金の利子補給及び信用保証料補助を行う「商工業緊急資金(特例)」については、今年度においても、昨年春の段階で資金需要が急激に高まったため、補正予算を組んで拡充を行いましたが、現時点までの利用件数、執行額及び対予算での執行率をお聞かせください。 また、資金繰りに関しては、国や東京都の施策が充実してきたこともあり、区の事業を利用する事業者は少ないのではないかとの指摘も考えられるところですが、令和3年度予算においても、1,308件分の事業費を計上した趣旨をお聞かせください。 次に、家賃減額を行った店舗等の賃貸人に対して、減額した家賃の一部を助成する「
店舗等家賃減額助成」については、国の家賃支援支給金や東京都家賃等支援給付金と比較したとき、賃借人に直接給付するのではなく、家賃減額を前提として、その一部を賃貸人に給付する仕組みに特徴があります。 昨年、この事業が創設された際には、この特徴的な仕組みのため、利用者が増えないのではないかとの指摘もありましたが、現時点までの利用件数、執行額及び対予算での執行率をお聞かせください。 また、利用者が増えない中にあっても、減額家賃の一部を賃貸人に給付する仕組みを変更しない理由をお聞かせください。 次に、中小事業者が事業計画の策定や各種補助金・給付金を申請する際に専門家の支援を受けた場合の費用を助成する「専門家活用支援事業」は、昨年夏に各会派の要望を受ける形で創設されたものですが、今年度における事業の執行状況について、利用件数、執行額及び対予算での執行率をお聞かせください。 次に、小売、飲食、サービス業を営む中小事業者を対象として、感染拡大防止対策や業態転換を支援する「
おもてなし店舗支援」について、今年度における事業の執行状況について、利用件数、執行額及び対予算での執行率をお聞かせください。 また、来年度はグルメサイトへの登録経費、キャッシュレス決済システム導入経費、オンラインショッピングモールへの出店経費など、これまでの業態を転換し、販売促進を図る取組に対しても支援を拡大することとされています。 しかし、グルメサイトへの登録、新たな決済方法の導入、オンラインショッピングモールへの出店などは、町場の中小事業者にとって技術的、心理的に取組が容易でないことに鑑みると、区が想定するような活用が十分になされない可能性があります。 このため、「
おもてなし店舗支援事業」自体の周知に加え、新たな取組の有効性や方法などを説明し、活用を促す仕掛けづくりが必要となると考えますが、区の御見解をお聞かせください。 第3に、中小事業者の資金繰りについてお尋ねします。 東京商工リサーチによれば、2020年の負債総額1,000万円以上の企業倒産件数は7,773件、前年比7.2%減であり、国や自治体による大規模な資金繰り支援が一定の効果を上げたとされています。しかし、
新型コロナウイルス感染症関連の倒産792件の多くは、新宿区にとって縁の深い飲食業、アパレル産業、宿泊関連業です。 さらに、負債総額1,000万円未満の小規模な企業倒産は、2000年以降で年間最多の630件であり、前年比23%増となっています。東京商工リサーチでは、「もともと過少資本で経営基盤が脆弱な小・零細規模の経営環境はより厳しさを増している。売上げ回復が進まず、新型コロナ支援だけでは資金繰り維持が限界に達しつつあり、負債1,000万円未満の倒産増加を招いている」と分析しています。 個人事業主についても、今後、持続化給付金や家賃支援給付金、感染拡大防止協力金等の効果が切れた事業者から、破産や廃業が増加してくることが予想されます。既に、区内の様々な地域で空き店舗となってしまった飲食店跡が散見される状況です。 このような中、国や自治体による、さらに一歩踏み込んだ事業継続支援策が求められていると考えますが、区の見解をお聞かせください。 また、コロナ禍において一度破産や廃業により撤退した中小事業者が、この新宿において再起を図る機会がなければ、コロナ禍が去った後もまちのにぎわいを取り戻すことはできません。 こうした中小事業者を支援する制度として、現在どのようなものが存在するのか、また、その制度の利用を区としてどのように促進していくおつもりか、区の御見解をお聞かせください。
◎区長(吉住健一) 区内産業・地域経済の回復に向けた対応についてのお尋ねです。 初めに、景況調査の第4四半期における区全体及び業種別のDI推移や経営上の問題点、また特徴的な動向と2020年の通年での区内の産業・経済の状況及び今後の見通しについてです。 現在、第4四半期の景況調査については取りまとめを行っているところですが、業況DIは、前期の全業種マイナス74.3ポイントと比べ、マイナス65.4ポイント、コロナ禍が始まって以来、初めて持ち直しています。業種別では、製造業、印刷・同関連業、情報通信が大きく持ち直し、他のほとんどの業種も改善している一方で、サービス業は低迷しています。 経営上の問題点では、「売上げの停滞・減少」を全体の76.1%の企業が回答しており、全ての業種で最も多くなっています。また、2番目に多い回答は、卸売業、小売業、飲食・宿泊業、サービス業では、「利幅の減少」を挙げており、他の業種では「顧客・ニーズの変化・減少」等を挙げています。 2020年の区の特徴的な動向と、通年での区内の産業・経済の状況としては、
新型コロナウイルスの感染拡大により第1四半期から第3四半期までで連続して悪化しており、第2四半期から回復傾向に入った東京都全体と比較して持ち直しに時間がかかっています。 今後の見通しとしては、現在、緊急事態宣言が発出されており、飲食店等は営業時間の短縮を行っているため、来期も厳しいものになるのではないかと考えており、まちのにぎわいや区内地域経済の回復には、いましばらくの時間が必要と考えています。 次に、「商工業緊急資金(特例)」の現時点までの利用件数、執行額及び対予算での執行率と令和3年度予算へ計上した趣旨についてのお尋ねです。 当緊急資金のあっせん件数は、1月末時点で3,381件であり、利子補給額と保証料補助額を合わせた執行額は、1億8,712万円です。対予算での執行率は、10.7%となっています。 本事業については、今年度の予算の減額補正案と来年度も継続して実施するための予算案を本定例会に上程しています。事業費の計上趣旨については、御指摘のとおり国や東京都も資金繰り支援を行っています。しかし、融資を初めて検討する区内中小企業者等にとって、商工相談を窓口とする区の制度融資は、身近で利用しやすいものとなっています。そのため、本事業を継続して実施する必要があると考え、今年度の実績に基づいて計上いたしました。 次に、
店舗等家賃減額助成事業についてのお尋ねです。
店舗等家賃減額助成事業の1月末現在の実績は、申請件数が913件、助成件数が849件、テナント数が1,641件、執行額が2億3,942万円で、執行率は20.0%です。 本事業は、コロナ禍において、新たなテナント出店が見込まれにくい状況の中、現在の契約を継続していただくことで、オーナーとテナントの双方の事業継続につながるよう働きかけるものであり、これまでも店舗等の家賃を減額したオーナーを支援してきました。 そのため、令和3年度も店舗等の家賃減額を通じた区内事業者の事業継続を支援し、また、オーナーが家賃減額に応じやすく、より多くのテナント支援につなげることができるよう、店舗等のオーナーの要件を中小企業者まで拡充し、補助率を4分の3に、1件当たりの助成上限額を7万5,000円にそれぞれ引き上げるとともに、テナント数の上限を撤廃する予定です。 次に、専門家活用支援事業の今年度の利用件数、執行額及び対予算での執行率についてのお尋ねです。 1月末時点での利用件数は213件であり、執行額は1,361万8,000円です。対予算での執行率は68%となっています。 次に、「
おもてなし店舗支援」事業の今年度の利用件数、執行額及び対予算での執行率と来年度の事業内容の周知、及び活用を促す仕掛けづくりについてのお尋ねです。 1月末時点での本事業の利用件数は611件であり、執行額は2,672万5,000円で、当初の予算に対し5倍強の執行率となっています。 本定例会に予算案を上程させていただいている来年度の本事業の周知や活用を促す取組については、通常のチラシや区ホームページなどでの周知に加え、新宿商人で具体的な事例を掲載し、有効性や補助金の利用方法等を事業者に分かりやすく伝え、活用を促してまいります。 また、技術的、心理的に取組が容易でない中小事業者に対しては、専門家活用支援事業やビジネスアシスト新宿を利用していただくことで、専門家やコンサルティング会社に相談を行いながら、自社の最適な販売促進策の検討を進めることができるため、両制度の周知も併せて行ってまいります。 次に、国や自治体による、さらに一歩踏み込んだ事業継続支援策が求められることについてのお尋ねです。 区内地域経済の回復には、いましばらくの時間が必要ではないかと考えており、国や自治体による事業継続支援策が引き続き行われることは必要であると考えています。 国は、第3次補正予算において、中小事業者に対する資金繰り支援を強化するために、貸付上限額を引き上げ、民間金融機関を通じた実質無利子無担保融資を本年3月まで実施することとしました。また、新たに中小企業の新分野展開や業態転換等の事業再構築を支援するための補助金を創設しました。区としましては、区内事業者がこれらの制度を有効に活用できるよう、関係機関との連携を深めながら広く周知してまいります。 次に、破産や廃業により撤退した中小事業者を支援する制度として、現在どのようなものが存在するのかと、その制度の利用を区としてどのように促進していくかについてです。 廃業した事業者の支援としては、日本政策金融公庫が行う「再チャレンジ支援融資制度」があります。これは、過去に廃業したことにより、再起を図る上で困難な状況に直面している中小事業者に、再チャレンジに必要な資金を融資する制度です。 また、区の商工相談では、中小企業診断士の資格を持つ相談員が、廃業された方の事業再興を含む幅広い経営相談を実施しており、利用可能な制度の御案内も行っているところです。 今後も、廃業等により撤退した事業者が再起を図れるよう、各種事業の周知を進めるとともに、きめ細かな支援を引き続き行ってまいります。
○議長(吉住はるお) ここで、議事進行の都合により休憩します。
△休憩 午前11時59分
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△再開 午後1時15分
○議長(吉住はるお) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。
◆6番(小野裕次郎) 引き続き質問をさせていただきます。 次は、産後うつ対策についてお伺いいたします。 出産後、精神的に不安定になる「産後うつ」の傾向を示す母親が、
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で増えているとの調査結果が出ました。この調査は、筑波大学の松島准教授と助産師らで編成された研究チームが、子育て支援アプリを運営する企業と共同で、出産後1年未満の女性を対象に、産後の心の状態をチェックする「エジンバラ産後うつ病質問票」を用いて行いました。 その結果、産後うつ傾向を示した人の割合が、6月で27%、10月では24%に上ったとのこと。ちなみに世界保健機関(WHO)が公表している、産後にうつ症状を発症するおそれがある割合は1割ほどとしていることからも、このコロナ禍による影響で危険度が高まっていることが十分に分かります。 この調査票には、「子どもが感染したらどうしよう、自分が感染して、子どもにうつしてしまったらどうしようと思うと、不安で仕方がなかった。」と生の声もつづられ、感染を恐れ、スーパーに行く頻度も減り、子育て支援の集まりも中止となり、専門家に育児のアドバイスを受ける機会もなく、育児のストレスが増えて、追い詰められていった様子が手に取るように分かります。 また、コロナ禍により地方にいる親が都会で子育てをする娘の世話をしに行けないケースや、出産時に夫が立ち会えず、面会もままならぬまま状況が続くなど、家族の助けを得られぬまま孤立感を深めていってしまうことも多く見受けられたとのこと。 そうした調査結果を受けて、研究チームは「コロナ禍によって子育てのサポートや人との触れ合いが減ったことなどが感染への恐怖心と相まって、心理的に悪影響を及ぼしている」と指摘しています。 2019年11月、改正母子保健法が成立し、2021年度からは区市町村に産後ケア事業に取り組むことが課せられました。産後ケアには、「宿泊型」「日帰り型」「アウトリーチ型」の3つの支援があり、産後4か月間を「ケアが必要な時期」として定め、厚生労働省では、こうした支援事業を行う自治体に半額の補助をつけています。さらには、出産から時間がたっても心身をケアする必要性やニーズの高まりから、来年度からはケアの対象を産後4か月としていたものを1年間とするなど、支援強化が図られることが決まっています。 区のこれまでの取組では、すくすく赤ちゃん訪問でのスクリーニングにおいて、状況の把握に努められてきたものと思います。「育児支援チェックリスト」「エジンバラ産後うつ病質問票」「赤ちゃんへの気持ち質問票」の3種類のスクリーニングツールを訪問した際に使用し、産婦であるお母さんの産後うつや虐待のリスクを客観的に把握し、必要に応じた支援へとつなげていくとしたものですが、ことコロナ禍では訪問が困難な状況なども想定した上での取組も必要です。 コロナ禍により、感染への不安から外出控えが続いたり、専門家に育児のアドバイスを受ける機会が減ったりしていることで育児のストレスがさらに増え、追い詰められていく女性をそのままにしておくわけにはいきません。行政のサポートをより拡充して、産後うつに悩む人を一人でも減らす努力が必要であり、支援を広めていくことが重要です。 そこで伺います。 ただでさえ大きな問題として取り上げられてきた産後うつへの対策について、コロナ禍の影響でさらに状況が悪化する中、国も支援策強化に乗り出しました。そうしたことも受けて、区では、今後どのような支援強化をお考えか、御見解をお聞かせください。
◎区長(吉住健一) 産後うつの対策についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、コロナ禍においては、外出控えが続き、育児のアドバイスを受ける機会が減ることで、孤立感を深める産婦もいることを認識しております。 区では、これまで妊娠期・出産後・乳幼児期の節目に、保健師等の専門職に相談できる機会を設けることにより、不安やリスクを早期に把握し、継続的な支援を行い、妊婦・産婦の心身の健康の保持増進や産後うつ予防に努めてきました。 今年度から、産後のスクリーニングを開始することで、自覚の有無に関わらず、心理的に不安定な状態にある方をより早期に把握する取組も進めています。 令和3年度からは、慣れない育児への不安や産後うつ等でサポートが必要な産婦に向け、助産師などが24時間体制でケアを行う、宿泊型の産後ケア事業を開始する予定です。 また、新たに設置する子育て世代包括支援センターの機能を活用し、母子保健部門と子育て支援部門が、困り事などを早期に発見し、予防的に関わるために、関係機関と連携しながら必要なサービスを調整し、サポートしていきます。 今後も、妊娠期から子育て期にわたる様々な機会を捉えて、妊婦・産婦の状況を把握し対応することで、産後うつ予防のための支援を充実させてまいります。
◆6番(小野裕次郎) 次に、アルコール依存症対策についてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、自宅で過ごす時間が増え、アルコール依存症となってしまう方や、断酒などによって治療を試みていた方々が元に戻ってしまうケース、または重症化し、深刻な状況に陥るケースが増えてしまっています。 コロナ禍により、2つの危険がもたらされていると、アルコール依存症に詳しい専門医は警鐘を鳴らしています。 1つは、アルコール依存症の手前にいた人が一気に悪くなる危険があるとのこと。在宅ワークにより、夕方ぐらいから酒に手が伸び、自分なりの規制が緩くなって酒の量が増えてしまい、それが習慣化していくケースです。 もう一つは、これまで断酒などに取り組んでいた人が再発し、治療前に戻ってしまうケース、もしくは、さらに酒量が増し、重症化してしまうなど、アルコール依存症と診断されていた人が深刻な状況へと陥る危険性があるとのことです。 また、コロナ禍によって、医療機関での受診控えや自助グループなどのコミュニティが集まりを控えるなど、本人が治療への意識があっても、なかなかうまく改善につながらないといった状況も生まれているようです。 世界保健機関(WHO)でも、こうした事態に危機感を募らせており、コロナ禍によって感じる恐怖や不安、退屈、社会的孤立に対処するために、アルコールや薬物に手を出すことを避けるよう警告を発しています。 厚生労働省の患者調査などによると、WHOの世界戦略を踏まえたアルコールの有害使用対策に関する総合的研究に基づけば、国内でのアルコール依存症の生涯経験者は約100万人いるとされています。しかし、実際に診断を受ける人は5万人ほどにとどまっているとのこと。そうしたことからも、隠れ依存症とされる数は相当数おり、こうした方々が一気に重症化し、医療を圧迫するようなことになれば、コロナ禍によりぎりぎりのラインで持ちこたえている医療現場が崩壊へ加速してしまうことは言うまでもありません。 そこでお聞きします。 これまで、区では、各保健センターで相談を受け付けるなど、アルコール依存症への対策や予防に努められてきたものと思いますが、コロナ禍により支援・拡充を図る、もしくは注意喚起を強める等の取組が必要と考えますが、御所見を伺います。 また、同様のケースから飲酒量が増え、認知症の発症リスクが高くなることも問題となっています。特に、男性高齢者は、ただでさえ外にコミュニティを構築することが苦手な方が多く、ひきこもりがちになるケースが多いとされており、コロナ禍を機にそうした点での悪循環が一層深まっていく可能性があるとのこと。 国内の研究でも、「施設に入所している認知症高齢者の29%は、大量飲酒が原因で認知症を発症したと考えられる」「過去5年以内に大量の飲酒経験のある高齢男性は、認知症のリスクが4.6倍になる」という結果も出ています。 そうした点からも考えますと、コロナ禍により外出を控え、自宅にいらっしゃる高齢者の方々へもリスクを改めて伝え、注意を促していく必要があるものと思います。健康部局のみでの対応にとどまらず、高齢者福祉の所管と連携した取組が求められます。区はどのような御所見をお持ちか、お伺いいたします。
◎区長(吉住健一) アルコール依存症対策についてのお尋ねです。 初めに、アルコール依存症への支援や注意喚起等の取組についてです。 区では、医療機関に加え、自助グループ等のNPOと連携し、アルコール依存症の当事者や家族への支援を行っています。また、令和2年度から依存症専門医による相談を行っています。 御指摘のとおり、保健センターでは、アルコール依存症の方が再飲酒により入院となったという相談等、アルコール問題の相談が増えています。このような状況に対応するため、令和3年度は依存症相談を年2回から4回に拡充し、依存症に関する講演会も感染予防対策を講じた上で、開催する予定です。 さらに、区ホームページや広報新宿で普及啓発を図るとともに、保健センター等でのアルコール依存症のガイドブック配布等により、引き続き注意喚起を行ってまいります。 次に、健康部と福祉部との連携した取組についてのお尋ねです。 コロナ禍における自粛生活により、御指摘のように高齢者においても飲酒量が増え、健康への影響が懸念されます。そこで、地域交流館等において、高齢者の方にコロナ禍での生活上の注意点をお知らせする中で、バランスのよい食事や適量の飲酒を心がけるように周知し、さらに高齢者向け情報紙「ぬくもりだより」でも同様の記事を掲載してまいります。今後も、健康部と福祉部で連携しながら、アルコールがもたらす健康への影響等について普及・啓発してまいります。
◆6番(小野裕次郎) 次に、35人学級についてお伺いいたします。 公立小学校の1クラスの児童数の上限が40人から35人に引き下げられることになりました。コロナ禍での3密の回避や、これまでのきめ細やかな教育を求める声の高まりなどから、約40年ぶりとなる上限見直しです。 コロナ禍による分散登校で少人数学級を経験し、要望が高まっていたとも聞いていますし、様々な事情から丁寧な指導が必要な子どもが増えていることも大きな理由とのこと。いずれにしても、「学級が増えれば教員の定数も増え、ゆとりができて子どもに向き合う時間も増える」と、児童や保護者、教職員の方々からは喜びの声が上がっています。 とはいえ、国際的に見ると、35人はまだまだ大人数であり、そもそも文部科学大臣は「30人学級を目指す」としていたわけですし、国に先行し独自の少人数学級を導入してきた札幌市などでは、「一人ひとりの学習効果を上げるには、もっと少ないほうがよい」との検証が進んでいることからも、まだ道半ばといったところだと思います。 そこで伺いますが、教育委員会としては、少人数学級についてどのような規模でなされることが最適解とお考えか、御見解をお聞かせください。 このたびの35人学級に向けた動きで、中学校が取り残されたことや教職員の確保について課題があると、有識者からは指摘されています。教職員の確保についてでは、区に人事権がなく、人繰りについて解決を図ることができないことは存じていますが、現場を任されている自治体から、教職員確保の仕掛け、仕組みを進言することは十分に可能であると考えますが、いかがでしょうか。 能力を持ちながら非正規の立場で日々指導に当たっている中堅や若手の職員を正規教員として処遇するなど、教育の質にも十分に配慮した採用などは現場の協力なしには思うようになし得ません。 そこでお聞きしますが、教職員確保への工夫や区として取り得る対策について、都とどのように取組を進めていくおつもりか、御見解を伺います。 また、先行して少人数学級を取り入れた自治体では、「必要な教員数が増えるも、ベテラン教職員が次々と定年を迎え、若手が増えたことにより、教職員の育成が重要となった」との検証結果が論じられ、研修プログラムの充実など教育の質の確保にも知恵が絞られているそうです。併せて伺いますが、35人学級実施に向けた教職員の育成について、教育委員会のお考えをお聞かせください。 続いて、教職員の精神疾患について伺います。 文部科学省の調査では、2019年度に公立小学校に勤務する教職員約41万人のうち、1%を超す4,729人もの先生が精神疾患で休職したり、1か月以上学校を離れたりしており、2018年度ではそうした理由で457人が離職し、過去最多となっています。 業務量の増加による長時間労働、保護者からの過度な要求などが原因とされてきたことから、残業の上限を45時間とする指針が出されるなど改善を図る努力がされてきました。 しかし、現在では、コロナ対応に追われ、それどころではないケースも見受けられ、業務環境の立て直しが必要との声も、現場からは聞かれます。 いずれにしても、35人学級の実施を見据え、教員の確保が課題となる中、業務の削減、外部人材やIT機器の活用などを通じて、一人ひとりが意欲と余裕を持って働ける環境を早急に整える必要があるものと考えます。 特に、こうしたコロナ禍中、イレギュラーな状況が連続し、授業の遅れを取り戻すための過密なカリキュラムの設定、行事の見直しなどに付け加え、消毒など児童・生徒の感染予防や心のケアなど、教職員の負担が増したことで、教育現場ではぎりぎりのところまで来ています。 そこで伺います。教職員のメンタル面のサポートなど、問題の解決に当たり注力すべき点や気配り、目配りを強めるなど、予防にも一層の取組が必要と考えますが、教育委員会のお考えをお聞かせください。
◎教育長(酒井敏男) 35人学級についてのお尋ねです。 初めに、少人数学級について教育委員会が考える適正な規模についてです。 教育委員会では、1学級当たりの児童数の上限が40人から35人に引き下げられることは、教職員が一人ひとりの児童に対してきめ細かな指導を行うことができるなど、児童の学習環境の充実につながるものと捉えています。 少人数になるほど、児童1人当たりに対する指導機会を増やすことができる一方で、対話的な学びや協働的な学びなど、他者と関わりながら進める学習活動については、少人数であることによって実施形態に制限が生じるなどのデメリットもあります。 お尋ねの1学級当たりの適正な規模については、こうした児童数と学習効果との関連など、様々な状況を考慮する必要があるため、適正な人数を示すことは難しいと考えますが、今後導入される35人学級については、その効果を見極め、児童の良好な学習環境の構築に努めてまいります。 次に、教職員の確保についてです。 御指摘のとおり、学校の教職員については、東京都教育委員会が任命権を持ち、教員採用についても適切に実施していると考えているため、採用制度についての進言は特にしておりません。 教職員の人材確保については、区としては、教員を目指す学生で希望する者に対して教育実習の場を提供して育成を図ったり、スクールスタッフなどへの任用により学校での実践の場を経験することで教員への意欲が前向きとなるよう努めています。 今後、35人学級となるに当たり、教員の確保は重要な課題と捉えており、十分な資質を持った教員を量的にも確保するため、東京都教育委員会からの要請があれば、協力していきたいと考えております。 次に、35人学級実施に向けた教職員の育成についてです。 教育委員会は、質の高い学校教育の実現のためには、教員の育成が重要であると受け止めており、これまでも様々な研修の実施により育成を図ってきました。今後の35人学級の実施に伴っては、若手教員を中心として様々な経験年数の教員が増加していきます。若手教員はもちろん、経験のある教員に対する研修も充実させ、学び続ける教員を育成していくことが大切であると考えています。 若手教員には、現時点においても、講義型の研修だけでなく、若手教員が所属校での学習指導や生活指導に活かせる実践的な研修の充実に努めています。例えば、初任者研修の生活指導に関する研修では、ロールプレイングや事例検討を取り入れ、学校で必要な知識や技能、対応力を体験的に学べるよう工夫しています。 また、ミドルリーダーに位置づけられる中堅層の教員については、学習指導の研修において、経験豊かな指導教諭の模範授業や他校の教員の授業を見合い、よりよい指導方法について協議を重ね、所属校での学習指導に活かすなどの取組を行っています。 これらに加えて、各校の教員が校内で学び合うOJTの仕組みを整えており、互いに授業を参観し合い、よりよい指導方法について協議を重ねながら、教員同士が研鑽を積んでいます。 今後も、教員の経験年数に応じた研修プログラムの充実に努め、教員一人ひとりの学び続ける姿勢を支えてまいります。 次に、コロナ禍における教職員のサポートや精神疾患の予防のための取組についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、
新型コロナウイルス感染症対策に伴って、学校や園では、消毒作業や学校行事の見直しをはじめとする教育課程の変更など様々な対応が生じており、慣れない状況に不安やストレスを感じている教職員も多くいると考えられます。 教職員のメンタル面のサポートについては、各校において管理職が中心となり、不安を感じている教職員に目を配り、気になる教職員に言葉をかけるなど、学校全体で教職員のメンタルサポートを進めています。教育委員会では、学校に指導主事や学校支援アドバイザーを派遣し、学校の教職員の状況を確認し、必要に応じて助言をしています。 ストレスを抱えている教職員に対しては、産業医による巡視健康相談を実施しています。産業医による巡視健康相談については、
新型コロナウイルス感染症対策に伴い、産業医が直接学校を訪問して面談を行うことが困難であるため、現在はリモートによる面談を実施しています。リモートによる面談を取り入れたことで、前年同期間と比較し、令和2年度は面談件数は約15%増加しました。 教員の勤務環境の改善については、教員の長時間労働の実態を踏まえて、出張を伴う会議の縮減や調査・アンケートの精査、学校の事務効率化、学習指導支援員や副校長を補佐する職員の配置などを進め、教員の負担軽減に引き続き努めてまいります。 今後も、教職員のメンタルサポートに関する取組の充実に努め、教職員のストレス軽減や心の健康づくりにつなげてまいります。 以上で答弁を終わります。
◆6番(小野裕次郎) 御答弁ありがとうございました。
店舗等家賃減額助成について、減額家賃の一部を賃貸人に寄附する仕組みを変更しないのかというふうに質問したところ、明確なお答えをいただけなかったように思いますが、細かいところは我が会派からも予算特別委員会で、志田議員また久保議員が出ますので、そちらに任せることといたします。 また、ワクチン接種についても、一般質問で田中議員が我が会派を代表して質問するということになっておりますので、こちらでは控えましたが、そういったもろもろコロナ禍によって様々な影響が出る、また財政は厳しいということであろうかと思いますので、議会も言うところは言うということもしっかりとやりながら、皆さんを支えていきたいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 以上で質問を終了します。ありがとうございました。(拍手)
○議長(吉住はるお) 次に、31番鈴木ひろみ議員。 〔31番 鈴木ひろみ議員登壇、拍手〕
◆31番(鈴木ひろみ) 新宿未来の会の鈴木ひろみです。令和3年第1回新宿区議会定例会に当たり、会派を代表して代表質問を行いたいと思います。誠意ある御答弁をお願いいたします。 2020年は
新型コロナウイルスの対策に翻弄された年となりました。依然続く
新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、療養中の方々にお見舞いを申し上げます。そして、長期化するコロナ禍において、日々奔走されている医療従事者の方々の御尽力に改めて感謝を申し上げます。 これまでの
新型コロナウイルス感染症の経緯を振り返ってみると、昨年の1月、中国武漢で原因不明の肺炎が確認され、その後、原因が新型のコロナウイルスであったことが判明しました。月末にWHOが「国際的な緊急事態」を宣言したところにまで遡ります。後にパンデミックと認定されるまで一定の時間を要しましたが、今もなお世界中で猛威を振るっています。 我が国においては、本年1月7日、東京、埼玉、神奈川、千葉の1都3県を対象に、2度目の緊急事態宣言が発令され、14日からは、さらに栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡も対象となりました。2月2日には、栃木を除き、宣言の1か月延長が決定し、今もなお続いています。 1日の感染者数は減少傾向にあるとはいえ、一人ひとりが感染しない、させないという意識で日常生活を送らねばならないといった状況に変わりはありません。
新型コロナウイルス感染症の影響は多岐にわたります。人々の生活のあり方も大きな変化を強いられました。対応の長期化により、精神的、経済的不安が社会秩序にも影響を及ぼし、多くの不安が社会を覆っています。人間の英知は危機状況の際に真価を発揮すると言われます。 新宿未来の会は、知恵を出し、共に新しい日常をつくるために邁進することを申し上げ、以下、質問に入らせていただきます。 まずは、これまで経済的な支援策にとどまらず、区民の不安に対し、区長を先頭に臨機応変に対応をされてきたことに感謝申し上げます。区民がより安心して暮らせるよう、さらに踏み込んだ手だてを講じていただくことを期待いたします。 冒頭に来年度予算について伺います。 策定に当たり、これまでに実施してきた
新型コロナウイルス感染症対策に関連する施策をどのような視点で見直しを行い、今後、幅広く区民の支援につながるようブラッシュアップされてきたのか、また、必要な支援を必要なところに的確かつ迅速に届けるためにどのように工夫をされていくおつもりか、幾つかの具体例とその対応について御教示ください。 えたいの知れない不気味なウイルスという印象の強かった発生当初と比較すると、
新型コロナウイルスの実態は明らかになりつつあります。手洗いや消毒による予防効果、感染拡大プロセスにとどまらず、重篤化を抑えるための治療薬研究なども進められています。 今月12日には、ファイザー社開発のワクチンが厚生労働省より承認を受け、いよいよ我が国でも実用化されることとなりました。多くの人がワクチンを接種することにより、集団免疫を獲得し、感染症の拡大を防止すると同時に、医療負担を軽減させる効果が期待されます。しかし、一方では、ワクチン全般に対する不安の声も聞かれます。供給量、接種方法、接種時期などの情報不足が原因と思われます。 新宿区では、ワクチン接種に関する業務を処理する組織を立ち上げ、区民が安心して接種できるよう正確な情報提供に努めています。ワクチン接種は強制ではなく任意であるため、区民の希望を十分に尊重することとしています。また、多くの医療機関及び医療従事者の協力を得る必要があるのは言うまでもありません。接種手続、医療機関や集団接種会場との連携、接種会場の混乱回避などに工夫が求められます。 新型コロナワクチン接種は全国規模でなされる事業であり、区を挙げて取り組む必要があると考えますが、どのような体制で臨もうとしているか、御所見を伺います。 ワクチン接種についての大まかなスケジュールとして、当初、国は、2月から医療従事者への最初の接種を行い、高齢者への接種は3月下旬からとしていました。しかし、先日、河野大臣は4月1日以降と発言されました。接種時期はいつになるのかと区民は不安な状況に置かれています。区民への周知や相談への対応はどのように行う予定でしょうか。 新型コロナワクチン接種の効果と安全性について、どのような情報があるのか、また、それらへの対応についてどのように考えられているのか伺います。 厚生労働省では、「地域事情が異なるため、集団接種と個別接種のバランスはそれぞれの自治体で考えてもらうのが前提」としています。東京都練馬区は、身近な診療所での個別接種を中心とすることを示しています。接種体制は、医師会に所属する医療機関の協力を得た個別接種、それを補完する区内病院や公共施設等の特設会場での集団接種が考えられます。それぞれの割合をどのようにお考えか伺います。 ワクチン接種までのスケジュールと同時に、実際に自身が接種をする場合の当日の流れを知りたいという要望が日増しに増えています。例えば「自分でワクチン接種の予約を取らなければいけないのか」「アナフィラキシーショックなど症状が不安だが、待合はあるのか」「待合の場所は密にならないのか」など、様々なお声が寄せられています。接種までと接種後の流れについて、現状のお考えをお聞かせください。 集団接種について伺います。 報道等では、3社のワクチンが候補として挙げられていますが、保存可能期間が短いことも指摘されています。時間的制約のある中、効率的な接種が行われることが望まれます。集団接種をどのように進めていかれるのか、御教示ください。 次に、接種会場となる接種医療機関の確保について、また、医療機関以外においても候補地として挙がっている施設について御教示ください。 ワクチンの接種に当たり、待機スペース、接種の動線、ワクチン保存用冷凍庫、運搬、医師や看護師の確保状況についても御教示ください。 特に、看護師確保に関しては、新宿区のみならず、全国で一斉にワクチン接種が開始されることも考慮すると、自治体間での確保競争ということにもなりかねません。本区の状況や確保に向けて工夫などがあれば御教示ください。 職場接種について伺います。 12月に行われた「
新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保について」の自治体説明会において、「平時の定期接種と同様に、各地域で住民向けの接種体制を構築することから、住民票所在地の市町村で接種を受けることを原則とする。」とされていました。しかし、2月2日の記者会見で、田村厚生労働大臣は、基本は住民票のある地域での対応とした上で、厚生労働省が検討している職場での
新型コロナウイルスワクチンの集団接種について「うまく両立できるかどうか検討が必要」と強調し、今後、調整を進めるとされています。 確かに、平日に職場で接種できれば効率的ではありますが、一方で昼間人口と夜間人口に差のある本区のような自治体は、より多くのワクチンの確保や人員確保などの課題も生じることが懸念されます。職場でのワクチン接種に関して、現在どのような議論がなされているのか御教示ください。 以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一) 鈴木議員の御質問にお答えします。
新型コロナウイルス感染症ワクチン接種についてのお尋ねです。 初めに、
新型コロナウイルス感染症対策に関連する施策についてです。 区では、
新型コロナウイルス感染対策として、「区民の命と暮らしを守る対応」「区内産業・地域経済の回復に向けた対応」に重点的に取り組んでいます。 令和3年度の予算案では、令和2年度に補正予算の編成等で取り組んだ新型コロナ対策の実績を踏まえ、各事業を継続、拡充し、計上しています。 具体的には、区直営の検査センターや発熱等電話相談センターの運営、クラスター対応としての機動的な検査の実施など、感染拡大防止対策を継続して実施していきます。 また、特別区民税の徴収猶予や国民健康保険等の保険料の減免について引き続き実施し、区民生活を支援していきます。 さらに、
店舗等家賃減額助成及び
おもてなし店舗支援の対象と助成額を拡充するとともに、専門家活用支援事業を実施するなど、中小企業者への支援に取り組んでいきます。 また、文化芸術施設に対し、配信用動画の撮影に要する経費等を補助することで、新宿の文化芸術の復興を支援していきます。 ワクチン接種体制の整備など、時々刻々と変化する
新型コロナウイルスの状況への対応については、今後も補正予算の編成等により、機動的に対応していきます。 区が取り組む各種支援事業については、広報新宿や区ホームページのほか、区公式ツイッター、フェイスブックなどで広く周知するとともに、国民健康保険等の保険料通知と併せた御案内や、商店会連合会等の関係団体を通じた周知等により、必要な方へ的確かつ迅速に情報を届けることができるよう、積極的に取り組んでいきます。 次に、区はどのような体制で接種に臨むのかについてのお尋ねです。
新型コロナウイルスワクチン接種については、30万人以上の区民に対し、2回ずつ、短期間に実施することから、全庁挙げて取り組む必要があると考え、管理職6名を含む27名からなる
新型コロナウイルスワクチン接種対策室を1月12日に発足させました。 現在、医療機関との調整や接種会場の確保、相談体制の整備などの準備を進めています。 今後、接種開始時には、接種会場への職員配置など、さらなる人員体制の強化を図り、円滑かつ迅速な接種ができるよう体制づくりに努めてまいります。 次に、区民への周知や相談への対応とワクチン接種の有効性や安全性に関する情報と対応についてです。 高齢者をはじめとする区民への接種時期等については、今後、国から具体的に示されることとなっています。また、
新型コロナウイルスワクチンは、海外での治験を経た上で安全性を確認されたものとして、諸外国で接種が始まっており、今後、国内において治験を踏まえたワクチン接種の有効性や安全性について示される予定です。 これらの情報については、広報新宿や区ホームページ等の様々な媒体を活用し、丁寧かつ迅速に発信してまいります。 また、3月に設置する「新宿区
新型コロナウイルスワクチン接種コールセンター」をはじめ、国や都が設置する相談窓口を案内するなど、区民に安心して接種していただけるよう相談体制の充実に努めてまいります。 次に、区における集団接種と個別接種の割合をどのように考えるかについてです。 ワクチンの接種方法について、現在、集団接種を地域センターや元気館等の区施設及び区内病院で、個別接種を区内の診療所等で実施することを考えています。 現時点では、区における集団接種と個別接種の割合をお示しすることはできませんが、今後、国から示されるワクチンの種類、供給時期、供給量などを踏まえ、区医師会や区内医療機関と協議しながら、集団及び個別接種の体制を整えてまいります。 次に、ワクチン接種までと接種後の流れについてです。 ワクチン接種までの流れについては、3月中をめどに区から対象となる区民に対し、高齢者の方から順次接種券と予診票を送付します。ワクチンの接種会場やスケジュールが決定後に、区ホームページ等での案内のほか、集団接種については「新宿区
新型コロナウイルスワクチン接種コールセンター」、個別接種は区内医療機関に予約をしていただくことを想定しています。 接種後の流れについては、ワクチン接種による副反応として、接種箇所の痛みや倦怠感が生じるほか、まれにアナフィラキシーを起こすことがあると言われています。この場合、迅速な対応が重要であることから、集団接種の会場に、接種後の待機スペースとして、できるだけ広い場所を確保することにより、密にならないよう配慮するとともに、副反応に対処する医療職や器材等を配置することを想定しています。 また、個別接種についても、近隣の基幹病院と連携できるよう、調整しています。 次に、集団接種をどのように進めるのかについてのお尋ねです。 現在、区医師会や区内医療機関と協議しながら、国から示されているワクチンの種類、供給量などの情報を踏まえ、接種会場とする区内病院及び区施設の選定、待機スペースや接種の動線の確保、保存用冷凍庫の配置、運搬方法などを検討し、集団接種の体制を整えているところです。 また、医師や看護師の確保についても、区医師会や区内病院と連絡会を開催し、情報共有するとともに、医療機関と個別に協議を進めているところです。 次に、職場でのワクチン接種に関して現在どのような議論があるかについてのお尋ねです。 職場でのワクチン接種に関して国で議論がされていることについては認識しています。現在、住民票のある区市町村でワクチン接種を行うことを前提として接種体制の準備を進めているところです。 一方で、職場でのワクチン接種については、昼間人口の多い都市部の課題であることから、国の検討状況等を注視し、国や都に必要な支援を求め、区民への円滑かつ迅速なワクチン接種に支障を来さないよう対応してまいります。
◆31番(鈴木ひろみ) ただいま区長から非常に丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。 この後に行われます予算特別委員会のほうで、今の答弁を踏まえましてもろもろ議論をさせていただければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。 これで私の代表質問は終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(吉住はるお) 次に、23番佐原たけし議員。 〔23番 佐原たけし議員登壇、拍手〕
◆23番(佐原たけし) 自由民主党新宿区議会議員団の佐原たけしでございます。令和3年第1回新宿区議会定例会に当たり、会派を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。 初めに、
新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたします。また、感染された方々には謹んでお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い御快復を心よりお祈り申し上げます。 そして、感染拡大防止に向け、日夜奮闘されている医療従事者の方々はじめ、感染リスクの高い仕事への従事者の方々に敬意と感謝を申し上げます。 また、13日に起きました、福島県沖を震源としました福島・宮城地震で被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。 以上を申し上げ、質問に入ります。 前の質問者と重複するところがあるかもしれませんが、私の視点から質問いたしますので、御答弁よろしくお願いいたします。 まず、
新型コロナウイルス感染の再拡大による緊急事態宣言再発出下の対策の現状と今後について伺います。 今、社会経済的に先が見通せない状況下にあって、私たち自由民主党新宿区議会議員団は、34万5,000人区民の命と安全・安心、そして生活を守ることを第一に、まずは何よりも
新型コロナウイルス感染拡大防止を最優先に、区民の日常生活と地域経済活動の回復に全力を挙げて取り組んでいかねばならないと考えております。このような今日の状況下であると考えますが、区長はどのような思いの下に令和3年度予算を編成されたのか伺います。 次に、日夜、
新型コロナウイルス感染拡大防止に献身的に取り組まれています保健所の取組体制の現状と今後について伺います。
新型コロナウイルス感染の再拡大が続く中、現在、深刻になってきている問題として、感染者の入院調整に手間取るなど、保健所の限られた人的資源の割り振りが厳しくなっていて、他自治体の中には、
新型コロナウイルスの感染経路や濃厚接触者を追跡する「積極的疫学調査」を縮小するなど、その扱いが取りざたされているなど、業務の維持が困難になってきているとも聞き及びます。そうしたところから、現時点における新宿区の
新型コロナウイルス対応の体制の現状について伺います。 次に、令和3年度における保健所の業務処理体制についてです。 令和3年度予算概要(案)によりますと、保健所機能強化として、①発熱等電話相談センターの運営、②積極的疫学調査及びクラスターの対応、③夜間の相談診療体制、④区民への普及啓発が掲げられていますが、これらに係る具体的な業務の強化内容と、併せて、これら強化に係る人的な側面から見た強化という点ではどのように体制強化が図られていくのでしょうか。 業務の専門性の強化や業務量の増加に応じた人員体制の強化という点では、保健師等の専門職では正規職員での確保が難しいところもあり、また、平時に戻ったときのことを考慮すると、その取扱いに難しいところもあるかと思いますが、いずれにしても業務の効率化も図るとともに、外部人材の強化と外部人材の活用による強化の2つがあるものと思いますが、これらの事柄について、どのような考えの下に、どのように体制強化が図られていくものなのか、現在との比較を含めて伺います。 さらに、今日の緊急事態宣言の再発出とその延長という状況からしますと、予算編成作業時点では、現在の
新型コロナウイルス感染拡大状況はさらに深刻化していると認識しますが、このような点での予算編成作業時との状況の変化への対応としては、この間と今年度末までをどのように対処され、今後の対処をどのようにされていくのか伺います。 次に、早期の実現が待たれる
新型コロナウイルスワクチンの接種体制についてです。 このことは、区のみでできるものではなく、医師会等との連携が不可欠であります。すなわち、区の役割は接種の環境づくりであり、実際の接種の現場では、医師会等の医療機関を中心に、区が一体となって実施していくことになるものと考えます。 このことについては、現在、国が示しているワクチン接種の方針では、実施には市区町村が当たり、接種を実施する医師や看護師を確保するための医療機関との契約や、集団接種のための会場の確保、住民への接種券の配布などの実務を担い、接種券を受け取った住民は事前に予約し、近くの接種会場や医療機関で接種を受けるという流れとなるようであります。 そして、最優先の接種対象は医師や看護師、宿泊療養施設職員などの医療従事者で、2月下旬から順次接種を始め、4月に入って高齢者に、その後、基礎疾患を持つ64歳以下の者、そして高齢者施設職員を優先的にワクチンを接種するとのことであります。 そうした中にあって、新宿区では、1月12日付で「
新型コロナウイルスワクチン接種対策室」を設置されておりますが、個別接種と集団接種などのことも含め、どのようなスキームで接種作業を進めていくのか、その概要と先ほどの接種対象者の概数についても併せて伺います。 また、接種対象者を考えるとき、新宿区の特性として、10万円の給付事務でも明らかになりましたが、住所を有しない居住者が多いということであります。ワクチン接種は自分のためであるとともに、地域社会のためにも必要なものであるところから、数多くの区民に接種されることが望ましいところですが、このような居住はしても住所を有しない方々の接種が大きな課題となるものと考えますが、この点では接種に向けてどのように取り組まれていくのでしょうか、お聞きします。 次に、組織については、主として兼務による体制ということでは大変なことでありますが、まさに緊急事態宣言下にあっての対応ということでは致し方もないものと思いますが、健康部本体の組織体制自体のやりくりも厳しい状態にあるところから、十分にその辺りも考慮した対処としていただければと思いますが、現在のところと新年度における体制とその後の業務量の増加等に応じた体制づくり等の見通しについて伺います。 さらには、これらに直接関わることとなる区民との関係に関して伺います。 混乱なく、早期に、分かりやすく、丁寧で、正確な情報提供と適切な接種ができるような体制づくりをお願いしたいと思いますが、そのような点では、区民の問合せに応じるコールセンターの設置なども必要になるものと思いますが、どのような体制をもって区民への情報提供等を行われるのか伺います。 また、一般の区民への接種開始に際しては、いろいろな情報が錯綜する中にあって、ぜひ区としての接種に関する考え方などを含め、区報等を活用して、適時・適切な区民への情報提供をお願いしたいと思います。 あわせて、接種状況を管理するシステムについてですが、国では一元管理のシステム化を検討するようですが、この新システムは接種証明書の発行にも活用され、出張や旅行、イベントの参加などで接種証明が求められる場合も増える見込みの中、接種を受けた会場や、後日にネット経由などで接種証明を取得できるようにするとの方針であります。この辺りについては、現在どのような準備をされているのか伺います。 次に、緊急事態宣言下で、ワクチンの接種を心待ちにする区民の置かれている厳しい生活に関して幾つか伺います。
新型コロナウイルス感染症に関わる外出自粛の生活も2年目に入り、「自粛疲れ」「自粛慣れ」が言われる中、外出自粛が必ずしも十分に機能していない一方で、私が知る独り暮らしの高齢者の方々の中には、外出抑制などによる自粛疲れから「コロナうつ」症状の発症に見舞われる例が少なからずあります。 このようなことに、徳島大学のオンライン調査では、「
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2020年春の緊急事態宣言の期間中、18%の人が治療の必要な『うつ状態』にあり、48%がストレスを感じていた」という結果が出されております。 この調査に見られるように、外出抑制の中で、人との交流が極端に減ることなどにより、孤独さが増し、うつの症状が見られる状況ともなり、深夜にもかかわらず電話で知人を呼び起こしたり、また自ら救急車を呼んだりと、その症状は良くなる状況には程遠いと言わざるを得ないような高齢者が少なくありませんが、地域におけるこのような状況を区ではどのように把握され、対処されるのか伺います。
◎区長(吉住健一) 佐原議員の御質問にお答えします。
新型コロナウイルス感染の再拡大による緊急事態宣言再発出下の対策の現状と今後についてのお尋ねです。 初めに、どのような思いの下に令和3年度予算を編成したのかについてです。
新型コロナウイルス感染症について、現在、緊急事態宣言が発出されている中、我が国経済への影響が懸念され、区財政を取り巻く環境はますます不透明感を増しています。感染症の収束が見通せない中での財政運営は困難を極めると言わざるを得ません。 こうした中、「新たな日常」の構築への取組として、感染症拡大防止対策を最優先事項とするとともに、高齢者や子育て世代への支援など誰もが安心して住み続けられる環境の整備、災害に強い安全で安心なまちの実現、魅力あふれる賑わい都市の創造と地域の特性を活かしたまちづくりに取り組まなければなりません。 このため、令和3年度予算については、その基本方針を「不透明な財政環境の中、『新たな日常』を基軸とする第二次実行計画を始動させ、現下の区政課題の解決に向け挑戦する予算」と位置づけ、編成しました。 次に、現時点における区の
新型コロナウイルス感染症対応の体制の現状についてのお尋ねです。 区では「
新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、全庁的な応援体制を構築し、対応に当たっています。 特に、保健予防課には全庁からの応援職員を配置するほか、都からの応援職員の配置、会計年度任用職員、派遣職員の活用を行い、体制を強化することで積極的疫学調査を縮小することなく対応してまいりました。 また、入院調整についても、病床が逼迫する中で、都の入院調整に加えて、区内医療機関と緊密に連携することで、最善を尽くすよう努めているところです。 次に、令和3年度における保健所強化としての具体的な業務の強化内容と人的な体制強化についてです。 区では、これまで発熱等電話相談センターの運営、積極的疫学調査及びクラスター対応、区民への情報提供を行い、感染拡大の防止に努めてまいりました。 12月から区医師会と連携して開始した夜間医療相談事業を令和3年度も継続して実施し、自宅療養者への相談体制を強化してまいります。 また、1月より実施している「ハイリスク対策チーム」等による初期スクリーニング検査の機動力を確保するため、人員体制を強化して実施します。 業務の専門性の強化や業務量の増加に応じた人員体制の強化という点では、令和3年度から保健予防課の定数を保健師と事務職、合わせて10名程度を増員する予定です。また、引き続き会計年度任用職員、派遣職員の活用により保健師等の専門職を確保し、体制を強化するとともに、業務委託等で事業の効率化を図ってまいります。 次に、
新型コロナウイルス感染症の感染状況の変化への予算上の対応についてです。 区では、これまで予算の流用に加えて予備費の充用を行うなど、令和2年度予算編成の時点では想定されなかった感染の拡大に、柔軟に対応してまいりました。 また、長期化が見込まれたことから、8月臨時会で医療費公費負担、9月定例会で患者移送費やPCR検査センターの運営経費等について予算の補正を行い、体制の強化に努めてまいりました。 さらに、本定例会において、医療従事者等へのワクチン接種に係る経費について上程しているところです。 令和3年度当初予算案の計上に当たっては、検査体制の充実など感染防止対策の経費を算定しました。今後、4月以降に必要なワクチン接種等の経費について、補正予算を編成するとともに、状況の変化に柔軟に対応し体制の強化を図ってまいります。 次に、早期の実施が待たれる
新型コロナウイルスワクチンの接種体制についてのお尋ねです。 初めに、個別接種及び集団接種など、どのようなスキームで接種作業を進めるのかについてです。 現在、集団接種については地域センターや元気館等の区施設及び区内病院で、個別接種については区内の診療所等で実施することを考えています。 今後、国から示されるワクチンの種類、供給時期、供給量等を踏まえ、区医師会や区内医療機関と協議しながら、集団及び個別接種の体制を整え、円滑かつ迅速な接種ができるよう準備を進めてまいります。 次に、接種対象者の概数についてですが、医療従事者等は約1万人、高齢者は約6万8,000人、基礎疾患がある64歳以下の方は約2万人となっています。高齢者施設職員については、現在国において対象や時期について検討されており、国の方針が示され次第、的確に対応してまいります。 次に、住所を有していない方へのワクチン接種についてです。 区内には、居住していても住所を有していない方が相当数いることは認識しており、どのように接種に向けて取り組むかは課題であると考えます。 さらに、事業所ごとの接種も認める方向で調整されていますが、昼間人口と夜間人口の差が大きい都市部においては、ワクチンの供給量や会場運営、接種管理等を区のみで実施可能なのか、検討する必要があります。 現段階で、国は、住所地での接種を原則としつつ、やむを得ない事情がある場合は、申請等を行うことで接種をできるように調整しており、区としては国や都の適切な支援を求めてまいります。 次に、現在の体制、新年度における体制、業務量の増加等に応じた体制づくり等の見通しについてです。
新型コロナウイルスワクチン接種については、30万人以上の区民に対し、2回ずつ、短期間に実施することから、全庁挙げて取り組む必要があると考え、管理職6名を含む27名からなる
新型コロナウイルスワクチン接種対策室を1月12日に発足させました。 また、新年度における体制や業務量の増加等に応じた体制づくりについては、今後、高齢者をはじめとする区民等への接種が始まることから、接種会場への職員配置や業務委託など、円滑かつ迅速な接種ができるよう、さらなる体制の強化を図ってまいります。 次に、区民への周知や相談への対応と、区としての接種に関する考え方などを含めた区民のへの情報提供等についてです。 高齢者をはじめとする区民への接種時期等については、今後、国から具体的に示されることとなっています。 ワクチン接種の目的や重要性、国から示される効果と副反応などの情報,区が実施する接種に関するスケジュール等については、広報新宿や区ホームページ等の様々な媒体を活用し、丁寧かつ迅速に発信してまいります。 また、3月に設置する「新宿区
新型コロナウイルスワクチン接種コールセンター」において、区民からの相談に丁寧に対応するとともに、安心して接種していただけるよう、正確な情報提供に努めてまいります。 次に、接種状況を管理する新システムに関して、現在どのような準備をしているかについてです。 この新システムについては、現在、国において、高齢者等へのワクチン接種の開始時期に間に合うよう、検討・開発を進めています。 今後、国から示される接種証明の発行など具体的な内容を踏まえ、既存の予防接種台帳システム等との連携や接種会場での運用などについて検討してまいります。 次に、「コロナうつ」の地域における状況の把握と対処についてのお尋ねです。 緊急事態宣言下での自粛生活によるストレス増大や受診控え、運動不足等による影響が懸念されています。保健センターや高齢者総合相談センターでの相談が急増している状況にはありませんが、介護サービスの利用や外出への不安を訴える声は寄せられています。 区では、「コロナもフレイルも遠ざける健康、新習慣」と題したリーフレットを配布するほか、広報新宿、情報紙「ぬくもりだより」、区ホームページに、こころの健康状態のセルフチェックやストレス対処法及び相談先の案内などを掲載しています。また、個別の相談事例については、必要に応じて関係機関につなぐなど、丁寧に対応しています。 今後も関係機関との連携を強化するなど、高齢者をはじめ、「コロナうつ」への対応に努めてまいります。
◆23番(佐原たけし) 次に、変革の起点としてのポストコロナを睨んだ今後の区政運営についてお伺いします。 「予算の概要」の予算編成の背景の位置づけにもあるとおり、「
新型コロナウイルス感染症収束まで長引く可能性」と「景気回復は先行き不透明」という今日であります。しかし、今のまま、たたずんでもいられません。すなわち、コロナ後という一歩先をにらんだ今後の区政を考えるとき、基本構想に掲げる「暮らしやすさ1番の新宿」の実現に向け、34万5,000人区民の視点に立った政策の実現に全力を挙げる必要があります。 コロナを契機に、今、時代は大きな変革の転換点に達し、このときにあって、進めるべきは、ポストコロナを見据えた行政分野のデジタル化としてのキャッシュレス決済など、デジタルトランスフォーメーション、以下、DXと言います、の推進によるさらなる窓口手続のオンライン化の推進などと同時に、地域経済の回復のための中小企業におけるDXの推進による販売力や生産性の向上などの支援を強化することであり、喫緊の課題となるものであります。 区を挙げての一丸となっての取組が必要となっているものと考えます。このことについて、以下、幾つか伺います。 最初に、行政分野のデジタル化としてのDXの推進についてです。 この間の本会議等でも申し上げておりますが、
新型コロナウイルス禍では、ITシステムやデータを活用したサービスやビジネスモデルを変革する取組である日本のDXの遅れが浮き彫りになりました。 これらの事例としては、民間では押印処理等のために出勤を余儀なくされたり、また、行政にあっても、2020年の1人一律10万円の給付事務では、オンライン申請のデータと受給権者リストの自動照合ができず、手作業による照合に追われる自治体が相次ぎ、欧米各国に比べて給付金支給に要する日数がかかり過ぎたことなどから、国では、本年9月にもデジタル庁を設置し、ITシステムの予算の一元管理により、行政の効率化や利便性の向上を目指すとしております。 そうした中、国では、令和2年12月に「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を出しており、その中で、単なる新技術の導入ではなく、制度や政策、組織の在り方等をそれに合わせて変革していく、言わば社会全体のDXが「新たな日常」の原動力となるとしており、いよいよ行政の本気度と先進性が試される状況となっており、区にあってもコロナ禍後の区政の推進の方向として、このようなことが求められるものと思いますが、どのように取り組んでいくのか伺います。 次に、テレワークについてです。 現状のテレワークと言えば、
新型コロナウイルスの感染対策の意味合いが色濃いとも思われますが、コロナを契機に今時代は大きな変革の転換点にあり、少なくとも民間企業にあっては、働き方の新しいスタンダードとして定着しつつあると言える状況にあります。このような状況から、今後の社会経済状況を考えるとき、自治体にあっても、事務処理の真ん中にテレワークを置き、その在り方を論ずるとともに、むしろ、今こそ議論を実行に移すべきときであると思います。 そうした中にあって、区においても既に試行をされていますが、試行の中でどのような導入のメリットとデメリットを確認され、課題になるのはどのようなものがあったのでしょうか。 また、それらのことから、区行政におけるテレワークの意義をどのように捉え、どのように進めていこうとしているか伺います。 そうした中、「DX時代はデジタルネイティブに任せる」とも言われますが、その一方、デジタルネイティブ以外の世代をいかに底上げし、活用するかが問われてくると思います。 こうしたところから、テレワークをはじめとしたICTを活用する業務にあっては、とりわけICTに関する職員の「学習」機会の確保が欠かせないものであります。とかく、日本の事業所や自治体におけるこれまでの「学習」機会づくりの多くは若年層向けとなりがちでありましたが、新しい時代にふさわしい技術を身につけていくということでは、今後はむしろ中高年にこそ重点を置いたものにしない限り、新しい技術への対応や事務改革は進まず、中高年者がボトルネックになりかねないと思われますが、そうした点では、今は組織改革のときでありますが、このような職員のICT人材育成という点ではどのように進められるのでしょうか。 次に、中小企業のDXの推進による生産性向上の支援の強化についてです。 区内中小企業においても、また、コロナ後の新しい地域経済社会の実現にとっても、新宿の強みを活かしたイノベーションによる社会改革が必要となります。 国においては、デジタルとグリーンという2つの領域が今後の日本経済の牽引役となるとされていますが、新宿においても、個人、企業、行政などがデータを活かして、新しい価値を生み出す基盤整備づくりが求められるところであると同時に、2050年の「カーボンニュートラル」の目標に向け、無理のない形であらゆる可能性を追求する必要があるものであります。 最初に、中小企業のDX推進に係る支援についてですが、このような支援においても、中小企業と一緒に汗をかきながらの伴走型の支援を期待するものでありますが、区の掲げる「中小企業新事業創出支援」事業では、このDXについてはどのように位置づけ、どのように伴走型支援をしようとしているのでしょうか、伺います。 また、中小企業支援策ということで、併せてここで伺います。 今年度、コロナ禍において新たに様々な中小企業支援策を講じていただき、事業者の方々から評判もよく、高く評価するものでありますが、これまでの実績を踏まえて、令和3年度に向けて事業内容の拡充や、より利用しやすい制度としていくことも欠かせないと考えます。 具体的には、当初の想定より申請件数が少なかった
店舗等家賃減額助成制度の対象拡大や店舗数の制限の見直しを令和3年度から行うとのことですが、どのような考え方によるものなのでしょうか。 また、国や東京都が中小企業支援策を次々と実施する中で、専門家活用支援事業については、現在はまとめて1回の申請となりますが、その都度の申請ができれば、より利用しやすいという声も聞くところであります。区としてはどのようにお考えなのか伺います。 次に、コロナ禍は世界を大きな混乱に陥れたが、思わぬ副産物もあったと言われます。その一つが、大幅な温暖化ガスの排出量の減少であるとされています。 しかしながら、経済活動の急激な収縮に頼った排出削減は、経済の回復とともに後戻りしかねないとも言われますが、今、世界では、コロナ禍を契機として、各国に気候変動への対応に大きくかじを切る動きがあり、日本においても菅首相は、「2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロ」の目標を掲げています。 こうした取組の一つに、グリーンリカバリーがあり、
新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退への対策で、環境を重視した投資などを通して経済を浮上させようとする手法で、気候変動への対応や生物多様性の維持といった課題への解決に重点的に資金を投じ、そこから雇用や業績の拡大で成果を引き出すとしております。 このような中にあって、区では、第二次実行計画において「地球温暖化対策の推進」の中で「カーボン・オフセット事業」などの先進的かつ具体的に区が自ら積極的に取り組み、事業推進を図っています。コロナ禍を受けて、今、日本政府や世界の国々では、2050年までの脱炭素化に向けた取組を加速化しております。 このようなことでは、地方自治体にあっても130自治体が加盟する「ゼロカーボン市区町村協議会」も既に発足し、活動しております。 こうした動きの中にあって、ゼロカーボンの実現には社会やライフスタイルの転換が求められるところでありますが、区の今後の取組としてはどのように推進していこうとしているのでしょうか。 また、同様の視点での事業としての計画事業に「道路の環境対策」に「小型蛍光灯のLED化」などがありますが、区における「LED化」事業の拡大についてはどのようなお考えを持っているのか伺います。 また、このようなグリーンリカバリーなどの取組として、民間企業の中には自らは行わないが、推進する企業を支援する取組があります。その一つに「ESG投資」があり、SDGsが様々な取組の「ゴール」に当たるものですが、企業活動の「プロセス」に着目した「ESG」という概念で、Environment、環境、Social、社会、Governance、組織統治の頭文字を表していて、ESGを意識して日々の企業活動を行っていくことで企業のサステナビリティが向上し、将来的にSDGsの目標達成の実現にも貢献することができ、そのための資金調達手段の一つとして期待されるのが「ESG投資」であります。 この多くは企業が中心ですが、中には自治体で行うところもあります。さらには、新しく二酸化炭素「排出ゼロ」を目的とした投資があります。これも自らが行う場合と、「排出ゼロ」の企業を投資先として支援する場合とがあり、民間の機関投資家として国内最大規模の日本生命保険相互会社では、社債と株式の投資先について、2050年に全体でCO2排出量がゼロになるようにするため、投資先企業に排出削減の取組を促し、対応が不十分な場合は売却を検討するとのことであります。 このような取組を2021年度から順次開始し、2030年度には投資先全体のCO2を26%減らすとのことで、現在の政府の目標に合わせており、目標が上積みされれば目標を引き上げるとしています。 時代はこのように大きく動いておりますが、区においても無理のないところで進める必要もあるかと思いますが、このようなESG投資や二酸化炭素排出ゼロを目的とした区の取組について、区長の御所見を伺います。 この項の最後に、今年に延期されました東京2020オリンピック・パラリンピックへの区の取組についてです。 このことで、令和3年度予算にも、打切り再計上をされた事業も含めて、数多くの事業が計上されておりますが、私たち自由民主党新宿区議会議員団は、この東京大会開催を実現し成功させることにより、東日本大震災から復興を成し遂げた日本の姿とコロナに負けない安全・安心な日本の魅力を世界へと発信する機会として、また、最新の技術や取組を発信し、日本や新宿区の経済の活性化につなげたいと思うのであります。 このことでは、
新型コロナウイルス感染状況の関係もありますが、IOCのバッハ会長が「大会はトンネルの終わりの光となる」と力を込めるように、何としても東京2020オリンピック・パラリンピックの気運を盛り上げていきたいと考えていますが、改めて区長の大会に向けた思いと区の令和3年度の取組についてお聞きいたします。
◎区長(吉住健一) 変革の起点としてのポストコロナを睨んだ今後の区政運営についてのお尋ねです。 初めに、行政分野のデジタル化としてのデジタルトランスフォーメーションの推進についてです。 区では、区民サービスの向上や「新たな日常」への対応を図るため、ICTを活用したデジタル化を推進しており、区民が来庁せずに行政手続を行えるよう、申請手続等のオンライン化の強化に取り組んでいます。また、戸籍住民課窓口での手数料等の交通系電子マネー決済や特別区民税・都民税、軽自動車税、国民健康保険料、介護保険料のスマートフォンアプリを活用した電子マネー決済の導入に向けた準備も進めています。さらに、RPAなどによる業務の効率化にも取り組んでいるところです。 デジタル社会の構築に向けて、こうした取組を着実に実施し、利便性の向上や行政の効率化を図ってまいります。 次に、今後の社会経済状況を踏まえた自治体におけるテレワークの導入の考え方についてのお尋ねです。 テレワークの導入は、多様で柔軟な働き方ができるため、職員のワーク・ライフ・バランスの向上につながるものと考えています。また、自然災害やパンデミックの発生時に庁舎での業務が制限される場合、場所を選ばずに業務を行うことができ、事業の継続性を確保できるなど、区政運営にとって大きなメリットがあると考えています。 一方で、保育園や清掃業務など、テレワークになじまない業務があるほか、情報セキュリティや適正な労務管理の確保等、実施に向けての課題もあります。こうした課題については、新宿区も参加する特別区長会調査研究機構のテレワーク研究会において検討が進められています。 御指摘のとおり、区では、区のネットワークにつながるテレワーク専用端末を使った在宅勤務の試行を行っています。 この在宅勤務の試行では、庁内とほぼ同様に、電子メールや予定表の確認、資料の作成などの事務処理が自宅でも行えることが確認できた反面、決裁処理やオンラインによる打合せは十分ではありませんでした。また、1日の勤務時間や、勤務時間と休憩時間との区切りが曖昧になってしまうなどの課題も確認できたところです。 テレワークの実施については、試行を継続し、その効果を検証する中で、テレワーク研究会の検討結果なども参考にしながら、社会経済状況に即した新しい働き方の確立に向け取り組んでまいります。 次に、職員のICT人材育成の進め方についてです。 現在、区では、総務省やJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)が実施するeラーニングによる研修の受講を勧奨するなど、システム開発や情報セキュリティに関する周知啓発及び研修等を全職員に対して実施しており、職員のICTリテラシーの向上に努めています。 しかしながら、御指摘のとおり、これまでICTに関する研修等に参加する職員は、比較的若年層が多く、中高年の職員参加はごく一部にとどまっていました。 今後は、デジタルネイティブ世代だけではなく、中高年層を対象にした研修を企画するなど、幅広い年代層の職員を対象にしたICT人材育成に努めてまいります。 次に、中小企業新事業創出支援事業において、デジタルトランスフォーメーションをどのように位置づけ、どのように伴走型支援をしようとしているかについてのお尋ねです。 区では、産業振興プランの基本目標に「革新と創造に取り組む企業の集積と持続的に発展する産業システムの形成」を掲げ、デジタルトランスフォーメーションへの対応を含めた「ICTを活用した事業展開支援」を施策の一つとしています。 今年度の中小企業新事業創出支援事業においては、コロナ禍における働き方の変化へICTを活用し対応していくことをテーマに、新宿ビジネス交流会事業をオンライン形式で実施する予定です。また、新製品・新サービス開発支援助成事業においては、ICT技術を用いたスマート農業支援サービス事業等の開発への補助を採択しました。 伴走型支援については、ビジネスアシスト新宿事業において、ICTを活用した業務改善やウェブマーケティングを得意分野とする指導員が事業所を訪問し、ICT導入に関する相談やアドバイス等を行っています。 今後も、区内企業がICT等のデジタル技術を取り入れ、デジタルトランスフォーメーションの推進による生産性の向上が実現できるよう、支援を行ってまいります。 次に、
店舗等家賃減額助成事業の拡充についてです。
店舗等家賃減額助成事業は、コロナ禍において新たなテナント出店が見込まれにくい状況の中、現在の契約を継続していただくことで、オーナーとテナントの双方の事業継続につながるよう働きかけるものであり、これまでも店舗等の家賃を減額したオーナーを支援してきました。 そのため、令和3年度も店舗等の家賃減額を通じた区内事業者の事業継続を支援し、またオーナーが家賃減額に応じやすく、より多くのテナント支援につなげることができるよう、店舗等のオーナーの要件を中小企業者まで拡充し、補助率を4分の3に、1物件当たりの助成上限額を7万5,000円にそれぞれ引き上げるとともに、テナント数の上限を撤廃する予定です。 次に、専門家活用支援事業をまとめて1回の申請ではなく、その都度の申請とすることについてです。 御指摘のとおり、専門家活用支援事業は、補助金等の申請を専門家に依頼した際の経費を補助するもので、上限額10万円までの範囲で複数の補助金等に利用することができます。 この補助金の申請については、申請される方の負担を軽くするため、通常の補助申請で必要とされる事業計画の策定や事業実績報告を省き、事後的に領収書等必要書類全てをまとめて申請していただく方法としています。 一方で、上限額に満たない金額で本補助金の申請を年度途中で終えられた事業者もいらっしゃいます。しかし、その後、国や東京都は新しい補助制度を実施しており、本補助金の申請ができない場合が生じてきました。今後もコロナ禍が続く中、そのような場合でも上限額まで御利用いただけるようにするとともに、より一層使いやすい制度とする必要があると考えています。 このため、既に申請した方を含め、その都度申請ができるか、申請方法について検討を進めてまいります。 次に、CO2排出削減に向けた区の今後の取組とLED化事業の拡大についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、「グリーンリカバリー」の取組が進んでおり、我が国でも「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、様々な施策を打ち出しています。 こうした中、区においても、CO2排出量の一層の削減に向け、区有施設における「省エネを目的としたLED化」と「環境に配慮した電力調達」を第二次実行計画に位置づけたところです。 区は、街路灯のLED化について、平成23年度から計画的に進め、毎年600基を超える改修に取り組んでいます。また、新たに区有施設において「省エネを目的としたLED化」を実施します。 令和3年度に環境学習情報センターにおいてLED化を実施するとともに、その効果について検証を行ってまいります。 また、「環境に配慮した電力調達」についても、令和3年度に新宿清掃事務所において導入します。 これらの取組については、令和4年度に「区有施設におけるCO2排出量削減に向けた基本方針」を策定する中で区有施設へ広げ、CO2排出量の一層の削減に努めていきたいと考えています。 次に、ESG投資やCO2「排出ゼロ」を目的とした区の取組についてです。 御指摘のとおり、ESG投資は、気候変動のリスクが高まる中、世界的に注目されており、国内でも投資の際に環境への取組を重視する動きがあることは認識しています。区としても、こうした動向については、今後、注視してまいります。 また、国は、「2050年温室効果ガス排出実質ゼロ」の達成に向け、2030年度までの削減目標の見直しを予定しています。 区としても、CO2「排出ゼロ」を目的とした取組を進めていくに当たっては、「2030年度までに2013年度比24%削減」という現行の目標の見直しと、さらなる対策に向けた検討を進めていくべきであると認識しています。 区では、今後も、自らが率先してさらなる温暖化対策、脱炭素社会への取組を進めていくことで、区民・事業者のCO2排出削減を一層促進させてまいります。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた思いと、令和3年度の区の取組についてのお尋ねです。 東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けては、大会の感動が区民の皆さんの生涯の記憶に残り、次世代に引き継がれていくものとなるよう、東京2020組織委員会が示す
新型コロナウイルス感染症に関するガイドライン等に沿って十分な対策を行い、大会開催を盛り上げるための取組を進めていきたいと考えています。 まず、大会開催に先立って行われるオリンピック聖火リレーについては、新宿区がオリンピック開会日当日にアンカーの役割を果たします。また、パラリンピック聖火リレーは、新宿区の「平和の灯」から採火を行った後、東京都での集火式を経て当区からスタートします。あわせて、区内の障害者福祉施設で聖火の展示も行います。 さらに、大会期間中には、コミュニティライブサイトを開催し、区民の皆様にもステージでパフォーマンスを披露していただくことを予定しており、その運営については、新宿区独自のボランティアである「新宿2020サポーター」の皆様にも御協力いただきます。 4年に一度の祭典に向けて鍛錬してきたアスリートたちが、自らの競技人生の中での最高のパフォーマンスを発揮する姿は、勝敗を問わず、人々に感動を与えるものと思います。私の記憶の中では、モスクワ五輪を日本がボイコットせざるを得なかった際に、選手自身や応援する国民の期待がはかなくついえていった場面が思い出されます。そのような場面は可能な限り避けられるように、感染防止対策を徹底していくことが大会実現につながるものと考えています。 東京2020オリンピック・パラリンピック招致の際には、東日本大震災からの復興した姿を世界中から応援をしてくださった皆様にお見せするということを大義に訴えていました。世界各国が
新型コロナウイルスの影響を受けている中、感染拡大を抑えて大会開催を実現することができれば、世界への恩返しの一助にもなるという認識を持ちながら、区としてもしっかり準備を進めてまいります。
○議長(吉住はるお) ここで、議事進行の都合により休憩します。
△休憩 午後2時56分
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△再開 午後3時15分
○議長(吉住はるお) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。
◆23番(佐原たけし) 次に、区財政についてお伺いします。 今、日本経済の状況はと言えば、
新型コロナウイルスが引き起こす混乱の中で、半導体や自動車など製造業が急回復し、過熱感すら漂う一方、旅行や外食などサービス業は冷え込みから抜け出せず、物価は強弱が入り交じり、インフレとデフレの両方の懸念が併存する景気の「デカップリング」とも言える状況が起きていると言われる状況にあります。 先ほども、
新型コロナウイルス感染拡大防止に関連して伺っておりますが、本議会に提出されております
新型コロナウイルスの感染状況にあっては、いつ時点の状況をもって令和3年度予算編成に臨まれていると理解すればよいのか。また、そうしたところから、その時点以降に大きな変化や、国や東京都の令和2年度に係る追加補正などにより事業環境などに変化があった場合には、本区の令和2年度予算や令和3年度予算における追加補正とかということもあるものなのかどうか、併せて伺います。 さらには、コロナ対応の区独自事業にあって、令和2年度をもって打切りとなる事業と令和3年度に引き継ぐ事業、そして令和3年度に新規事業として予算化されるそれぞれについて、その取扱いに至る考え方について概要を伺います。 次に、実行計画における財政収支見通しについて伺います。 この3か年の期間を超えた「2025年問題」とも言われる2025年頃の予測としては、大きなところでの収支見通しをどのように見ておられるのか伺います。 また、その時点頃における財政調整基金の残高見通しについてはどのようにあるか伺います。 いずれにいたしましても、当分の間にあっては、コロナ禍によって歳出は膨らみ、歳入は減少する時代を迎えるのであり、他の状況に大きな変化がないとすれば、このギャップを埋めるのには、基金や起債などによることが大きくなるものと考えますが、いかがでしょうか。 そうしたところでは、もはや「あれも、これも」ということではなく、「あれか、これか」いやむしろ何かを新しく事業化するには、「何かを見直す、削る」中でしか実現できない時代を迎えるのかと思いますが、このようなことではどのようなお考えをお持ちか伺います。 ちまたで言う、「築城3年、落城3日」の言葉ではありませんが、お金をためるのには時間がかかり、困難を伴うものですが、一方で、その蓄えと言えば、財布を緩めば瞬く間に減ってなくなることにもつながるのであり、転げ落ちる状況に似るものであります。 次に、特別区民税収入についてです。 現在の日本経済は、デフレ圧力がじわりと強まっていると同時に、政府は、個人消費の基調判断を「持ち直しの動きに足踏みが見られる」に引き下げておりますように、一時的な要素もあるとはいえ、個人消費も落ちていて、現に地方消費税交付金について、区にあっては令和2年度に続き令和3年度においても減収を見込まれています。 このような中にあって、国等とでは税収の客体の違いもあることから、コロナ等の経済状況等への影響が同様になるとは思わないものの、国においては、2020年度当初予算における税収見通しである63.5兆円が、第3次補正後には55.1兆円と、13.2%減にまで下方修正されていることや、東京都においては、企業収益悪化を受けて、2020年度の都税収入は、当初予算から1,900億円減という状況になっていますが、これらの影響には大きく企業の収益悪化によるものということでは、基礎自治体が法人税や所得税とは異なり、翌年度課税となる住民税を主体とするところから、新宿区においては、今議会に提出されている令和2年度の最終補正予算における特別区民税に見るように、5億円余の追加計上となりましたが、令和3年度においては大きく影響を受け、特別区民税は前年度当初に比べ15億円減となりました。 ここにおいて、令和2年度における特別区税の大きな減収と令和3年度予算における特別区民税の減収状況をどのように捉え、分析されているのか。そしてその対応としてはどのように措置を取られているのか。また、このような令和3年度に与える状況が今後における収入見込みにどのような影響を及ぼすこととなるのか、現時点でのお考えを伺います。 あわせて、このことでは、コロナによる税収減の一方で、歳出におけるコロナ関連費用の増等から、将来をにらんだ財政運営上の必要から、それへの対応として一定程度の起債の発行や特定目的基金の活用による工夫を試みているものと思いますが、どのような考え方の下に、どのように活用し、編成されたものか、その概要を伺います。
◎区長(吉住健一) 区財政についてのお尋ねです。 初めに、いつ時点の
新型コロナウイルス感染状況で、令和3年度予算編成に臨んでいるかについてです。 令和3年度予算については、令和2年9月の予算の依命通達に基づき編成を開始しました。感染症収束が見通せず、区民生活や区内地域経済に及ぼす影響が非常に大きい中で、
新型コロナウイルス対策の事業実績等を総合的に勘案し、適時適切な感染症対策となるよう編成作業を行いました。 今回の非常事態宣言下における感染拡大への状況への対応や、その後の国・都の補正予算の区事業への反映については、予算流用をはじめ、補正予算編成等により、スピード感をもって対応していきます。 次に、
新型コロナウイルス対応の区独自事業についてです。 令和3年度予算は、「新たな日常」を基軸として、
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を最優先事項として位置づけ、編成し、その総額は25億円となっています。 「新たな日常」への対応経費としては、感染防止対策として、検査体制の充実や保健所機能の充実、感染リスク低減のため消毒液購入やオンライン配信等60を超える事業に13億円、また、経済対策経費として、融資資金の貸付けや
店舗等家賃減額助成、
文化芸術復興支援事業など12事業に9億円。さらに区民生活支援経費として、住居確保給付金や高齢者緊急ショートステイ事業等7事業に3億円を計上しています。これらは補正予算で開始したものを含め、おおむね継続事業となります。新規事業としては、感染症の影響により生活環境が一変し、生活保護の受給に至った方などの心身面の支援として、精神科カウンセリング受診料補助があります。 一方、
新型コロナウイルス感染症感染者への見舞いや新生児子育て応援臨時給付金などは、その施策の必要性や状況の変化等を総合的に勘案し、令和2年度で終了させていただきます。 次に、2025年頃の財政収支見通しと財政調整基金の残高についてのお尋ねです。 現在、財政収支見通しとして、第二次実行計画期間中の令和3年度から令和5年度(2023年度)までを策定しています。 財政調整基金については、令和2年度は、
新型コロナウイルス感染症対策への対応などを機動的に行い、12号補正予算までで、年度内の繰入額は103億円となります。こうした機動的な財政運営が可能となったのは、これまで培った財政対応力によるものと考えています。 今回、財政収支見通しを作成する過程において、令和5年度末の財政調整基金の残高が100億円を下回り、令和6年度当初から機動的な財政運営は困難な状況が想定されました。このため、令和2年度補正予算において、減収補填のための特別区債である調整債を32億円起債することとしました。この結果、令和5年度末の財政調整基金残高見込みは133億円となりました。 団塊の世代が後期高齢者となる2025年においては、社会保障関連経費の増大が想定され、予断を許さないものと考えています。
新型コロナウイルス感染症の収束が見通せず、景気回復が不透明な中にあって、今後しばらくは区税等の一般財源に大きな伸びが期待できない一方で、区民生活を支え、必要な施策を着実に展開していくためには、安定した財政基盤を確保することが必要です。 コロナ禍によって、歳出が膨らみ、歳入が減少する時代においては、御指摘のとおり、世代間の公平性や後年度負担にも十分配慮し、基金と起債を組み合わせて効果的に活用するとともに、これまで以上にスクラップアンドビルドによる事業構築をさらに進めることで、限られた財源の効果的な配分と適正な予算の執行に努めてまいります。 次に、特別区税についてのお尋ねです。 令和2年度の特別区民税は、当初課税時点で納税義務者数、1人当たり所得とも前年度比増となり、実際の収入額も前年同時期を上回っていることなどから、当初予算と比べて5億2,000万円増と見込んでいます。一方で、特別区たばこ税は約7億7,000万円の減となっており、特別区税全体では約2億9,000万円減の約490億円と見込んでいます。 このように、令和2年度の減収については、特別区たばこ税の減が大きく影響しており、これは令和2年10月に税率の引上げがあったものの、
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で来街者が減少したことから、区内でのたばこ売上げ本数が減ったためと考えています。 令和3年度の特別区民税は、
新型コロナウイルス感染症拡大の影響や、GDPや毎月勤労統計の給与及び雇用者数の減少傾向を踏まえ、納税義務者数及び1人当たり所得の減を見込み、令和2年度補正後と比べ、約20億円減の430億円と見積もりました。 令和4年度及び令和5年度は、
新型コロナウイルス感染症の影響がどのような状況か不透明ではありますが、蔓延防止対策の効果が現れ、経済の回復につながる動きが期待されることから、それぞれ前年度比約10億円の増収と見込んでいます。 次に、区の収入における減収要因とその対応についてです。 令和2年度の現時点における最終補正予算では、特別区税以外の一般財源収入では、当初予算と比べて、地方消費税交付金が景気悪化に伴って15億円の減、特別区交付金が調整税等の減などにより9億円の減となっています。 また、令和3年度当初予算では、特別区税以外の一般財源収入では、前年度と比べて、地方消費税交付金が景気悪化に伴って11億円の減、特別区交付金が調整税等の減などにより10億円の減となり、その他の一般財源についても厳しい経済状況の影響を受けて軒並み減収となっています。 こうしたことから、財政調整基金繰入金は前年度と比べて43億円の増となりました。 このため、財源対策として、世代間の公平性や後年度負担にも十分配慮を行い、区債については適債事業を選定し、10億円の起債を発行するとともに、減債基金繰入金は25億円、社会資本等整備基金繰入金は17億円、義務教育施設整備等次世代育成環境整備基金繰入金は11億円など、特定目的基金も可能な限り活用することとしました。
◆23番(佐原たけし) 次に、コロナ禍における首都直下地震等の防災対策について伺います。 本年は、阪神・淡路大震災から26年、東日本大震災から10年に当たります。そして、コロナ禍の2年目であります。今は、
新型コロナウイルスの感染拡大防止が最優先課題ではありますが、その一方で、近年の想定外とも言える気候変動等に伴う自然災害の状況を見るとき、これまで以上に首都直下地震などの自然災害の対応にも備えていく必要があります。いや、いまだに
新型コロナウイルスの収束が見通せない中にあるからこそ、首都直下地震等をはじめとする自然災害の発生など起こってしまったら、それこそさらなる大事に至るのであり、コロナ禍における防災対策の手を緩めることがあってはならず、むしろ現在のようなコロナ禍にあるからこそ、またコロナ禍という有事が平時にもつながりつつある今日にあっては、これまでの首都直下地震などの自然災害への防災対策以上の最重要課題として、強力に推進していく必要があるものと考えます。 このことでは、今日の防災対策では、自然災害が100年に一度、1,000年に一度といった被害の発生状況にある中では、ハードによる防災対策のみでは解決が難しいところから、災害の発生を前提とした被害の最小化を目指す、いわゆる減災対策の重要性が言われるところであり、そうしたソフト面から地域防災力の向上という点で、地域住民の活動や行動による防災対策に目が向けられるところであります。 そうしたソフトの防災対策は、コロナ禍にあって令和2年度は区の多くのイベントや講座・講習会などがソーシャルディスタンスなど3密を避けるという中で、延期や中止に追い込まれたように、防災訓練や災害訓練においても中止などになりました。 このことから、実行計画に掲げる「災害に強い体制づくり」における「多様な主体との連携による多世代への防災意識の普及啓発」や「マンション防災対策の充実」の「マンション防災講話等の実施」事業等においては、事業進捗が困難であったところかと思いますが、当面、コロナ禍が続くと考える中にあって、これからの事業や区主催の防災イベント、住民による防災訓練等にあっては、どのように進めていこうとされているのか。あわせて、コロナ禍における危機管理としての防災対策のあり方についての区長の御所見を伺います。 次に、令和3年度に繰り延べられた「新宿区地域防災計画」の修正について伺います。 前回の修正から3年がたちますが、この間の地震では、震度6弱以上のものとして、大阪北部地震や北海道胆振東部地震、熊本地震、また、ごく直近では、先週の13日の福島県沖を震源とした福島・宮城地震などの発生があり、震度5強以下では、全国各地で発生しております。 また、近年の異常気象にあって、台風や風水害における自然災害は、最近だけでも、令和元年の台風15号では、特に関東地方において猛烈な風が吹き、7都県で最大93万4,900戸の停電の発生と、8都県における約7万6,700戸の住家が全半壊等の被害を受け、同年の台風19号による長野市の千曲川の氾濫による水害被害、そして2年の熊本県人吉市の水害など、甚大な被害を広範囲にわたってもたらしているのであります。 このような状況などの中から、各種の知見などが蓄積されてきていると思われますが、そうしたところを含め、「新宿区地域防災計画」の修正に盛り込まれる事項としてはどのようなものを想定されているのか伺います。 また、直接的には計画の範疇ではないかもしれませんが、2019年10月の台風19号による千曲川の氾濫による水害被害では、災害の最もひどかった地域は、もともと長野市内でも最も地盤の低い土地であることを多くの地域住民も十分に承知し、しかも市では1,000年に一度の豪雨を想定したハザードマップも作成し、住民に配布されていても、氾濫による水害での避難者は50%以下であったとのことでありました。いろいろな知識・情報等はあるものの、そのことが必ずしも行動には移らない、行動変容につながらない実態と問題が指摘されています。 このようなことのないように、区の取組や町会・自治会の自主防災組織による防災勉強会や、防災訓練での繰り返しの取組も必要かと考えますが、いかがでしょうか。 また、このような実態があることについても、「新宿区地域防災計画」の第2編震災対策計画など修正に際して取り上げていただければと考えますが、いかがでしょうか。 さきにも述べましたように、コロナ禍によって、社会の多くの場面でリアルとネットのそれぞれの存在意義が語られ、現実にはオンラインによる活動の状況などが紹介されるなど、必ずしもリアルだけでなく、ネットでの役割なども一定程度の意義が確認され、認められた状況ともなっている折から、とりわけ住民が関わる事業などにあっては、ネットの活用の意義が十分に考えられるところから、活用の実績を重ねるとともに、防災におけるネットの活用について、地域防災計画にも掲げることができるのではないかと思うが、いかがでしょうか。 次に、現時点における最優先課題は、
新型コロナウイルス対策でありますが、明日にも来るかもしれない、いつ来てもおかしくない首都直下地震等についても、その対策の手を緩めるわけにはいかないものであり、とりわけ第二次実行計画に掲げられているいずれの事業についても、着実にその実績を積み重ねる必要があります。このような事業の一つである「建築物等の耐震性強化」「木造住宅密集地域の防災性強化」事業等は、木造密集地域を抱える新宿区としては、最も手を緩めることがあってはならない事業の一つであります。 このことで、過日の新聞記事の見出しに、「木造住宅密集地域の解消進まず、大阪府、全国の6割集中・阪神大震災26年」がありましたが、この木造住宅密集地域の解消事業については、国土交通省が2012年に「著しく危険な密集市街地」が全国17都府県の41市区町に計5,745ヘクタールあると公表し、2020年度までにおおむねゼロにする目標を掲げ、燃えにくい住宅への建て替えの促進のほか、公園や道路の整備などが対策の柱となるとしていたものであります。 このような木造密集地域の解消の壁になっているのが、複雑な権利関係と言われるところですが、新宿区のこの間の取り組み状況と、いまだ残る事業と、その課題などについて伺いますとともに、この事業について、第一次実行計画の実績はどのようで、そのことをどのように分析・評価し、第二次実行計画の策定につなげているのか伺います。 さらには、ここにあって気がかりなのは、特定緊急輸送道路沿道建築物などをはじめとして建築物等耐震化支援事業にあっては、新規の補助事業を立ち上げるなど、新しい試みがなされていますが、相対的には事業予算規模の縮小傾向が見てとれますのは、今日のコロナ禍における社会経済状況などを反映したものと思われますが、このような事業では、そのような状況にあっても、極力、その事業規模が維持、拡大されることが望ましいと思いますが、どのような状況があるのか伺います。 次に、新規事業として予算計上されている「新宿区耐震改修促進計画の改定」ですが、今年度末改定予定の東京都の耐震促進計画と整合させつつ、区長が常々この間掲げておられる「新宿の高度防災都市化」にふさわしい新宿の特性や独自性をも併せ持った計画づくりを期待するものですが、いかがでしょうか。
◎区長(吉住健一) コロナ禍における首都直下地震等の防災対策についてのお尋ねです。 初めに、「災害に強い体制づくり」に関する各種事業と防災訓練の今後の進め方についてです。 首都直下地震の切迫性が指摘される中、発災時に区民の生命・財産を守るためには、地域、事業者、防災関係機関などが密接に連携し、ハード・ソフトの両面から防災対策を強化させることが重要であると考えています。 現状では、
新型コロナウイルスの感染拡大により、地域においては多数の参加者による防災訓練や防災勉強会等の実施は困難な状況であることから、自助・共助の防災行動力が向上する手法等を一層工夫する必要があります。 このため、区では、今後の感染拡大状況を注視しながら、防災訓練や防災勉強会等について感染症対策を徹底させた上、短時間・少人数で実施回数を増やすなど、工夫を凝らした訓練等を企画提案して、区民の防災意識の啓発と共助の体制づくりを推進していきます。 また、大学教授による防災講話や各避難所に配備する災害用トイレなど防災資機材の解説動画、さらには消防との連携による消火器や応急手当方法の解説動画等をYouTube「新宿区チャンネル」等を活用し、年度内をめどに動画配信して、区民の防災知識の向上を図ります。 今後は、対面による少数短時間での防災訓練や防災勉強会等と、対面によらず、時と場所を選ばず、繰り返し学ぶことができるオンラインでの訓練などを積極的に実施し、災害に強い体制づくりを推進してまいります。 次に、コロナ禍における危機管理としての防災対策のあり方についてです。 現在、区では、発生の切迫性が指摘されている首都直下地震や、近年、激甚化・頻発化する豪雨災害を踏まえ、複合型災害も想定した上で、区民や事業者、関係機関と緊密に連携し、ハード・ソフト両面から防災対策を推進しています。 こうした中、コロナ禍において大規模災害が発生したときに、被災された方々がコロナウイルス感染症に罹患し、生命の危険にさらされないよう、感染症対策には万全を期して応急活動等を行っていく必要があります。 特に、避難所での過密状態を避けるために、広報新宿や区ホームページ等で、分散避難について説明し、災害時の避難のあり方について周知しています。 また、避難所での3密を避けるためには、被災者の受入先の拡大を図ることが重要なことから、区内の宿泊施設等との避難者受入れに関する協定締結を進めているところです。 さらに、避難所の感染症対策ガイドラインを作成し、各避難所運営管理協議会委員へ配布するとともに、現在、ガイドラインの実効性を高めるための図上訓練等の実施について、各協議会と調整を進めています。あわせて、マスク、手指消毒液、防護服などの感染予防用品を各避難所に配備いたしました。 これらの対策に加え、罹災証明書などの生活再建に係る業務についても、電子申請など、できるだけ接触のない手続方法を検討してまいります。 今後は、これまでの地震や豪雨などの自然災害に加えて、感染症対策を踏まえた防災対策を推進し、区民の健康・生命・財産をしっかりと守ってまいります。 次に、「新宿区地域防災計画」の修正についてのお尋ねです。 令和3年度に行う「新宿区地域防災計画」の修正については、関係法令の改正をはじめ、東京都地域防災計画の震災編や水害編等の修正の反映や、土砂災害警戒区域等の指定に関することなどについて修正してまいります。 特に、近年、激甚化・頻発化する豪雨災害については、国の中央防災会議ワーキンググループの「2019年の台風19号を踏まえた水害・土砂災害からの避難のあり方について」の報告でも、命を守る最善の行動を取るためには、洪水ハザードマップの理解促進と水害に関する防災勉強会や防災訓練が重要であると指摘されています。 区においても、台風19号の経験を踏まえ、令和2年度第1回区政モニターアンケートで水害対策について調査を行ったところ、約7割が洪水ハザードマップを所有・閲覧されています。 また、神田川流域の榎町地区では、隣接する文京区民と共同で水害対策ワークショップを開催して、各自がマイ・タイムライン作成を行い、水害のおそれがある場合の行動や地域での連携について学習をしています。 今後は、この取組を各地域に広げていき、区民一人ひとりが水害時に命を守る行動が取れるよう、意識啓発を行ってまいります。 また、コロナ禍においては3密を避けることが重要となることから、従来の避難所での体験型に加え、発電機などの防災資機材や消火器・スタンドパイプの操作、応急手当方法等の動画をオンラインで配信し、区民等が時間や場所を選ばず手軽に防災の知識や技術を学べる仕組みを構築していきます。 このような取組を令和3年度の地域防災計画に反映させ、コロナ禍における防災対策の充実・強化を図ってまいります。 次に、木造住宅密集地域の防災性強化についてのお尋ねです。 区は、都の防災都市づくり推進計画における木造住宅密集地域や地域危険度の高い地区等を区の木造住宅密集地域に位置づけ、逃げないですむ安全なまちづくり実現のため、木造住宅密集地域の解消を図っているところです。 第一次実行計画期間中では、建て替えを促進する緩和型地区計画の決定を2地区、新たな防火規制の導入を3地区、木造住宅の不燃化建て替え助成を38件行ってきました。また、若葉・須賀町地区では、補助事業による共同化を推進してきました。さらに、西新宿区五丁目中央南地区市街地再開発事業や西新宿区五丁目北地区防災街区整備事業等による面的な整備を進めてきました。 緩和型地区計画や新たな防火規制、不燃化建て替え助成により、赤城周辺地区などでは、今後、建て替えが進むことで、防災性の改善が期待されます。 若葉・須賀町地区では、平成4年度の事業開始からこれまでに、共同住宅が9棟完成し、そのうち4棟は補助事業を活用しています。現在、次の共同化に向け、合意形成を図っているところですが、合意形成に時間を要することから、個別建て替えによる建物更新の推進策についても、地元とともに検討しています。 西新宿五丁目地区では、市街地再開発事業等により、木造住宅密集地域の指標である不燃領域率等の改善が進んでいます。しかし、市街地再発事業等の区域外においては、いまだ木造住宅が密集しています。そのため、不燃化推進特定整備事業を継続し、建て替え促進を図るとともに、地元によるまちづくりが行えるよう支援していきます。 第二次実行計画では、こうした取組をより積極的に進めることで、木造住宅密集地域解消の早期実現を目指していきます。 次に、建築物等耐震化支援事業の状況についてです。 首都直下地震の切迫性が高まる中、これまで以上にスピード感を持って耐震化を進めていく必要があります。そのためには、建物所有者等が耐震化の必要性を認識し、耐震改修を行うことが重要であると考えています。 本年度も、耐震改修工事費等助成の面積単価の引上げなど、助成を拡充するとともに、助成制度の周知と利用促進を図り、耐震化に取り組んできましたが、コロナ禍により、合意形成の機会や工事を延期し、助成に至らない事例も多く見られました。 来年度予算の状況については、これまで拡充した助成制度の利用促進を図るため、合意形成が難しい非木造建築物への普及啓発として、個別訪問によるフォローアップを新たに計上するとともに、助成件数を実績値に基づいて精査しています。 引き続き、所有者等に対し啓発や合意形成支援を行っていくとともに、助成件数が想定より上回る場合、臨機応変に予算上の措置を図り、耐震化の促進に取り組んでいきます。 次に、耐震改修促進計画の改定についてのお尋ねです。 新宿区耐震改修促進計画では、住宅、特定建築物及び緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について具体的な数値目標を掲げ、その達成に向け様々な区独自の施策を行ってきました。 例えば、緊急輸送道路沿道については、商業ビルや共同住宅が多く立地しているという区の特性を踏まえ、他区に先駆け、建築物の占有者加算を開始しました。 来年度改定する区の耐震改修促進計画では、占有者加算を含めた各種助成制度のさらなる利用促進を図るため、狙いを絞った啓発を検討していきます。 こうした区の特性を踏まえた独自の施策を耐震改修促進計画に盛り込み、「新宿の高度防災都市化」の実現に向け、耐震化を促進していきます。
◆23番(佐原たけし) 次に、教育環境の整備と充実についてお伺いいたします。 文部科学省のGIGAスクール構想の前倒しを受け、教育委員会では児童・生徒1人1台の学習用端末や高速ネットワーク環境などについて、今年度内に整備を進めていただいているものと思いますが、GIGAスクール構想の実現には、ハード面が整備されれば足りるというものではなく、①デジタル教材の整備や活用、②学校のICT化の推進に向けた事務局職員の体制整備が同時に確保されなくてはならず、加えて③教員の指導力の向上も欠かせないものであります。今、再び緊急事態宣言が発令され、期間が延長されている中、令和3年度に向けて早急な対応が求められるところですが、GIGAスクール構想の下、これらのことに対して教育委員会としてはどのようなスケジュールで進められているのか、お伺いします。 さらには、GIGAスクール構想の実現に向けて、教育委員会や新宿区総合教育会議ではどのような議論がなされたのでしょうか、伺います。 次に、児童・生徒の生活環境が大きく変化する中、令和2年3月に公表された文部科学省の学校保健統計調査によれば、2019年までの約20年間で、裸眼視力が1.0未満の小学生が約3割増え、また、0.3未満の小学生はほぼ倍増するなど、特に児童の近視が急速に進んでいるとのことであります。 GIGAスクール構想の実現に向けて、健康面への対策が必要であると考えますが、このことに対して教育委員会としてどのような工夫をなされているのでしょうか。 また、学校での指導や御家庭での協力が求められるものですが、どのようになされているのでしょうか、伺います。 次に、コロナ禍における不登校児童・生徒の対応状況について伺います。 ニュースでは、コロナ禍にあって、感染を警戒して、学校に行きにくくなっている児童・生徒や、子どもを学校に行かせるのをためらっている保護者もあり、不登校が発生していると見聞きするところであります。 新宿区では、これまでも教育委員会において「不登校児童・生徒への支援」として、不登校児童・生徒の減少及び不登校を未然に防ぐための取組を推進されてきているところですが、コロナ禍の前後における不登校の実情をどのように把握されて、どのような対応を取られているのでしょうか、伺います。 また、コロナ禍の児童・生徒の不登校問題には、学校のみならず、家庭や地域と連携して対応していくことが大切であると考えますが、こうした視点ではどのように取り組まれているのでしょうか。 さらには、子どもたちが在宅で過ごすことに関連して、文部科学省の調査では、小・中・高等学校や特別支援学校で感染が確認された6,159人のうち、54%に当たる3,341人が家庭内感染であったと発表していますが、こと新宿区立学校の現場においては、学校や教育委員会の的確な対応により、実際は明らかに学校現場で
新型コロナウイルスに感染したという例はなく、児童・生徒の感染のほとんどが、感染した家族等の濃厚接触者であったことによる感染であります。 こうしたことから、新宿区立学校における実態や令和2年1月から10月8日までの感染経路が把握できたゼロ歳から19歳までの423人の感染者のうち、78%に当たる329人が家庭内で感染しているとした、日本小児科学会の調査結果を、児童・生徒や保護者などによく説明するとともに、登下校の際の感染予防の注意点について、改めて理解を促していくことが大切であると考えますが、どのように取り組まれているのでしょうか。 次に、交通安全の取組について伺います。 4月には新学期を迎え、小学校には新1年生が入学してくることになりますが、警察庁の17年の分析では、歩行中の死者数を年齢別に見ると、人口当たりでは、小学校に入学したばかりの7歳が全年齢の平均の3倍以上と突出して多く「魔の7歳」とも言われています。 新1年生が安全に登下校できるよう、学校での交通安全教育や通学路の安全確保にどのように取り組まれているのか伺います。
◎区長(吉住健一) 教育環境の整備と充実についてのお尋ねです。 GIGAスクール構想の実現に向けて新宿区総合教育会議でどのような議論がなされたのかについてです。 令和2年11月の総合教育会議では、タブレット端末環境を最大限活用して成果を得ていくためには、学校現場の教職員の意識改革や専門的な知見の活用、また、これを支える教育委員会事務局の体制整備が重要であることなどについて、意見交換をしました。 私も、タブレット端末の1人1台環境、新しい時代に対応した授業改革、学校改革に期待しており、新宿区版GIGAスクール構想の実現に向けて、引き続き教育委員会との連携を図ってまいります。
◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 初めに、GIGAスクール構想についてのお尋ねです。 教育委員会では、国のGIGAスクール構想に基づき、子どもたちを誰一人取り残すことのない個別最適化された学びや協働学習による深い学びを実現するため、今年度内に1人1台のタブレット端末や高速ネットワーク通信環境などの整備を行っています。 御指摘のとおり、GIGAスクール構想を実現し、子どもたちの資質・能力を高めるためには、デジタル教材の整備や活用、ICT化の推進に向けた事務局職員の体制整備、教員の指導力の向上といったソフト面を充実していくことが重要であると認識しています。 デジタル教材の整備や活用については、1人1台端末で、AIを搭載し、児童・生徒の学習定着度状況に合わせて出題されるデジタルドリルや自分の考えを学級全体に共有する機能を持つ協働学習ツールの利用が可能となるよう整備しています。こうしたデジタル教材を授業で活用することにより、児童・生徒の習熟度に応じた学習や、学級全員の考えを共有しながら協働的に学び合う学習を進めていきます。 また、事務局職員の体制整備については、ICTを活用した授業改革を推進するため、学校の情報化を専任する担当チームを教育指導課内に設置します。この専任チームが各学校を適宜訪問して各校のICT活用状況を確認・把握し、指導・助言を行いながら、全校でICTの効果的な活用が図れるよう学校との連携を密に取り組んでまいります。 さらに、教員の指導力向上については、GIGAスクール構想の趣旨を教員が理解し、タブレット端末の操作をはじめ、効果的な指導における活用方法を学ぶことのできる研修を充実させていきます。現在、教員用の研修用動画の配信を開始しており、今後、コンテンツの充実を図っていく予定です。あわせて、教員が作成した教材をオンラインにより全校で共有・検証し、活用を進めることで、児童・生徒の理解を高める指導につなげ、誰一人取り残すことのない授業改革を実践してまいります。 次に、GIGAスクール構想の実現に向けて、教育委員会でどのような議論がなされたのかについてです。 教育委員会では、新宿区版GIGAスクール構想の実現に向けて、まずは今年度末までに1人1台タブレット端末の配備を完了できるよう、システム構築事業者と十分に連携していくことの必要性を確認しました。また、1人1台タブレット端末のICT環境を最大限に活かし、各学校において教員が積極的に授業改革を図っていくことや、それを支援し、推進していくために教育委員会事務局の体制を確保していくことの重要性について、各教育委員から御意見をいただいたところです。 今後も、教育委員会等における議論を通じて、子どもたちにとってよりよい学習環境の構築を図ってまいります。 次に、GIGAスクール構想の実現による児童・生徒の目の健康に関する取組についてのお尋ねです。 教育委員会としては、1人1台タブレット端末のICT環境の実現により、タブレット端末が文房具と同じように学習に欠かせなくなることから、健康面における児童・生徒の目への影響について、十分配慮していく必要があると認識しています。 文部科学省が作成した手引には、画面が見えにくいと目の疲労が増し、学習に支障を来すおそれがあることや、画面を集中して見続けると、まばたきの回数が減少し、ドライアイになりやすくなることなど、目の健康面への影響が示されています。 そのため、保護フィルムの装着や、ディスプレイの光を暖色系に変更できる機能のあるタブレット端末を整備することで、液晶画面のLEDから出ているブルーライトを軽減できるよう対策を講じています。 また、発表や調査、観察など多様な活動を授業で行うことで、タブレット端末を長時間集中して見続けることがないようにするとともに、児童・生徒への指導に当たっては、子どもたちが自分で画面の角度や明るさを調整できるよう、タブレット端末の操作に関する指導を行ってまいります。 家庭の協力については、これまでも「しんじゅくの教育」やリーフレットを通じて、ICT機器を使用する際の配慮事項を情報提供してきたところですが、今後もリーフレットの配付やPTA研修など様々な機会を捉え、家庭と連携しながら子どもたちの健康の維持に取り組んでまいります。 次に、コロナ禍の前後における不登校の実情把握とその対応についてのお尋ねです。 教育委員会では、
新型コロナウイルス感染症を警戒して今年度6月の登校開始時から欠席を続けている児童については、文部科学省の通知を基に欠席日数として計上しないこととしています。 しかし、欠席が長期化することで今後不登校になる可能性や登校復帰後の学校生活に不安を抱えることも考えられます。 各校では、定期的に家庭と連絡を取り、担任等か家庭訪問を通して学習教材を提供するなど学習保障を行うことや、学校の様子を学校通信などを通して情報提供することで、児童・生徒の学習状況や健康状態を把握しています。 また、地域との連携については、家庭が孤立しないよう民生・児童委員などの協力を得ながら、家庭を支援することも行っています。 今後も、児童・生徒の状況に応じて適切な支援ができるよう、不登校支援の取組を推進していきます。 次に、家庭内感染についての日本小児科学会の調査結果の保護者などへの説明についてです。 御指摘のとおり、児童・生徒の感染経路の多くが家庭内感染です。新宿区立学校でも、感染した児童・生徒の約90%が家庭内感染という状況です。 児童・生徒の
新型コロナウイルス感染症の感染経路の多くが家庭内感染であることや、家庭内での感染予防については、新宿区立学校における実態とともに、文部科学省の調査結果やマニュアルに基づき、これまでも一斉メールや通知などにより保護者へ周知を図ってまいりました。また、児童・生徒へは学校へおいて日常的に手洗い、マスクの着用、密集・密接・密閉の回避などの具体的な感染対策を指導しています。 登下校時の感染予防の注意点の理解促進については、密集や密接を避けること、会話を控えることなどを日々児童・生徒に対し指導するとともに、各御家庭には登校する前に検温の実施、マスクの着用などとともに、同居する家族に風邪症状が見られた場合には登校を控えることをお願いしているところです。 次に、新1年生の登下校時の安全確保にどのように取り組んでいるかについてのお尋ねです。 各小学校では、危険を予測し回避する能力と、他者や社会の安全に貢献できる児童の育成を目指し、春と秋の交通安全週間や学期末に合わせて、交通安全教育を行っています。 特に、小学校1年生には、道路における様々な危険や交通ルールの理解とともに、安全な歩行の仕方や交差点、横断歩道の渡り方などについて、発達段階に合わせた指導を行っています。 また、区では、「新宿区通学路交通安全プログラム」に基づき、警察や道路管理者などとともに、定期的な交通安全総点検に取り組み、対応が必要な箇所にガードパイプやポストコーンの設置、カラー舗装などの対策を講じています。 さらに、教育委員会では、児童が安心して登下校できるよう、通学路に児童への声かけや見守りを行う学童擁護員を1校当たり2名を基本に、必要に応じて人数を増員して配置しています。 今後も、帰りの会などで担任等による日常的な交通安全指導を充実させ、児童の交通安全に関する意識を高めるとともに、通学路点検と対策を継続的に実施し、新1年生の登下校の安全確保に努めてまいります。 以上で答弁を終わります。
◆23番(佐原たけし) ただいまは、区長並びに教育委員会から、大変前向きな御答弁をいただき、ありがとうございます。この後は、22日から開催されます予算特別委員会において、同僚議員からもう少し深掘りした質問が出るかと思いますので、よろしくお願いいたします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(吉住はるお) 本日の代表質問は終了しました。
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○議長(吉住はるお) 次に、日程第2を議題とします。 〔次長議題朗読〕 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
△第5号議案 令和2年度新宿区
一般会計補正予算(第12号) 〔巻末予算案の部参照〕 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(吉住はるお) 提出者の説明を求めます。 〔吉住健一区長登壇〕
◎区長(吉住健一) ただいま上程されました第5号議案 令和2年度新宿区
一般会計補正予算(第12号)について、御説明いたします。 今回、歳入歳出予算を補正する額は、それぞれ8,856万7,000円です。 歳出予算から述べますと、健康費において、
新型コロナウイルス感染症対策に要する経費8,856万7,000円を計上するものです。 この財源としては、国庫支出金等を充当するものです。 これを補正前の予算額と合わせますと、歳入歳出予算の総額は、それぞれ2,002億4,346万2,000円となります。 次に、繰越明許費の補正について、御説明いたします。 健康費において、
新型コロナウイルス感染症対策に要する経費8,856万7,000円を事業の年度内完了が困難なため、翌年度に繰り越すものです。 以上、御審議の上、御賛同いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
○議長(吉住はるお) 説明は終わりました。 ただいま議題となっています第5号議案は、お手元に配付しました議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託します。 〔巻末議案付託表の
部参照〕---------------------------------------
○議長(吉住はるお) 以上で本日の日程は終わりました。 次の会議は2月19日午前10時に開きます。ここに御出席の皆様には改めて通知しませんので、御了承願います。 本日はこれで散会します。
△散会 午後4時17分 議長 吉住はるお 議員 北島としあき 議員 えのき秀隆...