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11月28日-12号

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  1. 新宿区議会 2019-11-28
    11月28日-12号


    取得元: 新宿区議会公式サイト
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    令和 1年 11月 定例会(第4回)        令和元年第4回定例会会議録(第1日)第12号令和元年11月28日(木曜日)出席議員(38名)   1番   木もとひろゆき    2番   時光じゅん子   3番   三沢ひで子      4番   井下田栄一   5番   田中ゆきえ      6番   小野裕次郎   7番   高月まな       8番   藤原たけき   9番   北島としあき    10番   豊島あつし  11番   渡辺清人      12番   大門さちえ  13番   永原たかやす    14番   渡辺みちたか  15番   よだかれん     16番   三雲崇正  17番   久保こうすけ    18番   志田雄一郎  19番   川村のりあき    20番   近藤なつ子  21番   野もとあきとし   22番   中村しんいち  23番   佐原たけし     24番   吉住はるお  25番   池田だいすけ    26番   桑原ようへい  27番   松田みき      28番   伊藤陽平  29番   のづケン      30番   えのき秀隆  31番   鈴木ひろみ     32番   沢田あゆみ  33番   有馬としろう    34番   宮坂俊文  35番   下村治生      36番   おぐら利彦  37番   かわの達男     38番   雨宮武彦---------------------------------------欠席議員(なし)---------------------------------------説明のため出席した者の職氏名  区長       吉住健一    副区長      寺田好孝  副区長      鈴木昭利    総合政策部長   平井光雄  総務部長     針谷弘志    地域振興部長   山田秀之  文化観光産業           菅野秀昭    福祉部長     関原陽子  部長  子ども家庭           橋本 隆    健康部長     髙橋郁美  部長  みどり土木           田中孝光    環境清掃部長   野田 勉  部長  都市計画部長   新井建也    会計管理者    小沢健吾  企画政策課長   大柳雄志    財政課長     遠山竜多                   教育委員会  総務課長     鯨井庸司             酒井敏男                   教育長  教育委員会            選挙管理           村上道明    委員会      木城正雄  事務局次長            事務局長  常勤監査委員   濵田幸二    監査事務局長   下杉正樹---------------------------------------職務のため出席した議会事務局職員  局長       小池勇士    次長       新川金七  議事係長     濵野智子    議事主査     黒木明子                   議会事務局  議事主査     榎本直子             仙崎雄介                   主査  議会事務局           設楽拓也    書記       笠原鉄平  主査  書記       長谷川雅章---------------------------------------  速記士      土田有美---------------------------------------11月28日    議事日程 日程第1 代表質問--------------------------------------- △開会・開議 午前9時59分 ○議長(吉住はるお) ただいまから、令和元年第4回新宿区議会定例会を開会します。 本日の会議を開きます。 会議録署名議員は、  8番 藤原たけき議員  28番 伊藤陽平議員 を指名します。--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。 ◎議会事務局次長(新川金七) 区長から、 1、令和元年第4回新宿区議会定例会の招集について 2、第75号議案など23件の議案の送付について 3、同意第4号など2件の議案の送付について 4、専決処分の報告について 監査委員から、 1、新宿区職員措置請求について(通知) 2、令和元年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(9月分) 特別区人事委員会委員長から、 1、一般職の特別区職員の給与等に関する報告及び勧告について---------------------------------------                           31新総総総第6631号                           令和元年11月19日 新宿区議会議長  吉住はるお様                           新宿区長  吉住健一         令和元年第4回新宿区議会定例会の招集について このことについて、本日裏面写しのとおり告示したので通知します。 (裏面)(写) 新宿区告示第483号 令和元年第4回新宿区議会定例会を11月28日に招集する。  令和元年11月19日                           新宿区長  吉住健一---------------------------------------                           31新総総総第6731号                           令和元年11月20日 新宿区議会議長  吉住はるお様                           新宿区長  吉住健一               議案の送付について 令和元年第4回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。                   記 1 第75号議案 令和元年度新宿区一般会計補正予算(第6号) 2 第76号議案 新宿区職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例 3 第77号議案 新宿区立四谷スポーツスクエア条例 4 第78号議案 新宿区立高齢者在宅サービスセンター条例の一部を改正する条例 5 第79号議案 新宿区家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 6 第80号議案 新宿区特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 7 第81号議案 新宿区リサイクル及び一般廃棄物の処理に関する条例の一部を改正する条例 8 第82号議案 新宿区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例の一部を改正する条例 9 第83号議案 都市計画道路補助第72号線第Ⅰ期区間道路舗装整備工事請負契約の変更について 10 第84号議案 特別区道の路線の認定について 11 第85号議案 公の施設の指定管理者の指定について 12 第86号議案 公の施設の指定管理者の指定について 13 第87号議案 公の施設の指定管理者の指定について 14 第88号議案 公の施設の指定管理者の指定について 15 第89号議案 公の施設の指定管理者の指定について 16 第90号議案 公の施設の指定管理者の指定について 17 第91号議案 公の施設の指定管理者の指定について 18 第92号議案 公の施設の指定管理者の指定について 19 第93号議案 公の施設の指定管理者の指定について 20 第94号議案 公の施設の指定管理者の指定について 21 第95号議案 公の施設の指定管理者の指定について 22 第96号議案 公の施設の指定管理者の指定について 23 第97号議案 公の施設の指定管理者の指定について---------------------------------------                           31新総総総第6775号                           令和元年11月27日 新宿区議会議長  吉住はるお様                           新宿区長  吉住健一               議案の送付について 令和元年第4回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。                   記 1 同意第4号 新宿区教育委員会委員任命の同意について 2 同意第5号 新宿区名誉区民選定の同意について---------------------------------------                           31新総総総第6770号                           令和元年11月14日 新宿区議会議長  吉住はるお様                           新宿区長  吉住健一              専決処分の報告について このことについて、地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条第2項の規定に基づき、別紙のとおり報告します。     〔別紙は省略〕---------------------------------------                            31新監査第5231号                            令和元年11月8日 新宿区議会議長  吉住はるお様                        新宿区監査委員  白井裕子                           同     濵田幸二                           同     國井政利                           同     豊島あつし           新宿区職員措置請求について(通知) 令和元年10月8日付けで提出された新宿区職員措置請求書(収受番号第5202号)に基づく職員措置請求住民監査請求)については、下記の理由により却下することに決定したので通知します。     〔以下は省略〕---------------------------------------                            31新監査第5220号                            令和元年10月24日 新宿区議会議長  吉住はるお様                        新宿区監査委員  白井裕子                           同     濵田幸二                           同     國井政利                           同     豊島あつし     令和元年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(9月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。     〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                             令和元年10月21日 新宿区議会議長  吉住はるお様                    特別区人事委員会委員長  中山弘子 特別区人事委員会は、地方公務員法第8条、第14条及び第26条の規定に基づき、一般職の職員の給与等について別紙第1のとおり報告し、意見を申し出るとともに、別紙第2のとおり勧告する。     〔別紙は省略〕--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) 会期についてお諮りします。 本定例会の会期は、本日から12月9日までの12日間としたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(吉住はるお) 異議なしと認めます。 会期は、本日から12日間と決定しました。--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) これから本日の日程に入ります。 日程第1、代表質問を行います。 質問の通告を受けましたので、順に質問を許します。 最初に、19番川村のりあき議員。     〔19番 川村のりあき議員登壇、拍手〕 ◆19番(川村のりあき) 日本共産党新宿区議会議員団の川村のりあきです。区議会第4回定例会に当たり、会派を代表して質問を行います。 まず、東日本を中心に大規模な浸水被害や土砂崩れを引き起こした台風19号から1カ月半余りがたちました。その爪跡は余りに大きく、被害に遭われた皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。 初めの質問は、風水害対策についてです。 先日、日本共産党新宿区議団は千曲川の決壊で被災した長野市へボランティアに行きました。私自身、1期目の2005年9月4日、妙正寺川の氾濫を経験し、この間、台風や集中豪雨被害の問題については機会を捉え質問をしてきましたが、近年地球温暖化による集中豪雨と台風の猛威はすさまじく、これまでの延長線上ではない取り組みが必要と考え、以下質問します。 まず、事前の対策です。 第1に、ハード面です。 現在、2018年策定の「神田川流域豪雨対策計画(改定)」において降雨規模を75ミリに設定し、30年後に河川整備や下水道整備と家づくり・まちづくり対策、流域対策を合わせ、75ミリ対応を達成するとしていますが、50ミリ対応において神田川の護岸整備率は2016年度末9割、妙正寺川は4割にとどまっています。 そこで区長に伺います。河川や下水道の整備について、都に対し区長のさらに強い働きかけを求めますが、御所見を伺います。 一方、流域対策と家づくり・まちづくり対策は新宿区が果たすべき役割が大きい分野です。神田川流域における流域対策の実績では新宿区は25%を占めますが、2024年度までの目標は5.1万立米、2037年度までの目標は16.2万立米で、さらに取り組みが必要です。 そこで区長に伺います。公共施設では、車道、歩道、公園について余地があると考えられますが、雨水流出抑制対策の目標達成をどのように進められるのか、お聞かせください。 目標達成のためには、とりわけ民間施設の対策が重要です。小規模の民間施設にとって費用負担は軽視できません。新宿区の助成制度は2万円が上限の雨水タンク設置への助成のみですが、神田川流域の多くの区では、40万円を上限に雨水タンクの助成のほかに、浸透ます・トレンチ等への助成制度を設け、実績を上げています。新宿区でも浸透ます・トレンチ等への助成を創設し、雨水タンクへの助成を増額すべきと考えますが、御所見を伺います。 第2にソフト面です。洪水ハザードマップについてホームページ上で公表されていますが、台風19号の後、各特別出張所にハザードマップを求める区民がふえています。浸水予想地域ハザードマップを全戸配布することを改めて求めますが、区長の御所見を伺います。 落合第一地域センターの「区長と話そうしんじゅくトーク」では、「大雨に備えて~水害と土砂災害への対策」と題した所長の説明が、参加者から非常にわかりやすかったと好評でした。 榎町特別出張所管内では、危機管理課の呼びかけで、町会長と防災部長らが避難所を同じくする文京区関口一丁目の方を交え、出水時の対応について会議を行っています。 震災に対しては避難所開設訓練が住民主導で行われていますが、水害への対応は区が避難所を立ち上げることとなっています。 新宿区の水防訓練は現状区内1カ所、年1回ですが、風水害時の避難について避難所ごとの訓練や説明会をすべきと考えますが、区長の御所見を伺います。 「東京マイ・タイムライン」は、都民一般だけではなく、小中高生を主体に据え、風水害に備え、何を備蓄し取り決めておくか、発災時の対応等を時系列に整理し、準備するものです。学校での配布だけではなく作成までの支援が必要です。 中央防災会議がまとめた「平成30年7月豪雨を踏まえた水害・土砂災害からの避難のあり方について(報告)」--以下「報告」--では、住民が「平時より災害リスクや避難行動について把握」することが求められ、行政が責任を果たすこととあります。町会・自治会と協力した「東京マイ・タイムライン」作成、学校教育への支援を行うべきと考えますが、区長の御所見を伺います。 教育委員会にあっては、災害教育の中に位置づけるべきと考えますが、御所見を伺います。 次に、風水害が発生した際の対応です。 私自身も消防団員として出場しましたが、台風19号に際し、泊まりがけを含め355名の職員が対応され、御尽力を評価します。同時に、区民の方から感謝の声とともに改善を図るべきことも寄せられましたので、以下、質問します。 第1に、自主避難所の開設に至った経過と関連する問題です。 他区では、防災気象情報等に基づき警戒レベル3、警戒レベル4の避難勧告を発し、避難所の開設を行った区もあります。 一方で、区民から「学校を避難所として開設してほしかった」との声や、町会の役員から「自主避難所になったという連絡を受けたのはいいのだが、町会員や地域の人に伝達する手段がない」などの声も伺っています。 今回、第一次出動態勢のもとで地域センターを自主避難所とする対応を行ったことについて、詳細な経緯をお聞かせください。 自主避難所、避難所開設を行う際の基準を明確化し、その際の町会や自治会の対応についてマニュアル化すべきと考えますが、御所見を伺います。 第2に、地域センターを自主避難所にした際の問題です。 自主避難所の開設で「安心して夜が過ごせた」などの声と同時に、「毛布や敷物が欲しかった」等々の声も寄せられています。特別出張所ごとに帰宅困難者を想定し、300名分のブランケットやビスケット等は用意されていますが、提供はまちまちの対応でした。要配慮者が多く利用することも踏まえ、避難所に準じた対応をすべきです。自主避難所開設についての検証結果とあわせて、御所見をお聞かせください。 第3に、災害時要援護者と災害時要配慮者への対応についてです。 「報告」に示された高齢者など要配慮者への対応という点では、ケアマネジャーが訪問した例もありましたが、今回、災害時要援護者名簿に基づいた対応はありませんでした。風水害は事前の対応が可能であっただけに残念です。災害時要援護者と災害時要配慮者への情報提供と避難体制づくりにつき、御所見を伺います。 第4に、情報提供のあり方です。 隣接区では、屋外拡声子局やエリアメールで避難などの案内をしており、「新宿区はなぜそういった対応を行わなかったのか」という区民の声がありました。また、「広報車やケーブルテレビでお知らせしてほしかった」とのお声もありました。 こうした判断に至らなかった理由をお聞かせください。 2009年より「新宿区防災気象情報メール」で登録者に配信がされています。配信内容は、地震、気象注意報・警報、降雨量と河川水位、緊急なお知らせ、天気予報、神田川洪水予報、豪雨お知らせメールとなっていますが、今回で言えば、「台風により中止となった行事のお知らせやブルーシートの利用についての情報が欲しかった」との声も寄せられています。 SNSの活用では、若年者や子育て世代に圧倒的に利用されているLINEの活用もすべきです。 そこで区長に伺います。「報告」では、行政の情報発信について非常に重視されており、媒体を広げるとともに、発信体制の強化が求められています。「報告」の観点から区長の御所見を伺います。 最後に、土のうと止水板についてです。 今回、土のうの製作は2,048袋にとどまり、「新宿区で手に入らず、中野区から借りました」などの声もありました。世田谷区などでは、土のうステーションで区民が必要に応じて取りに行ける体制を整えています。 地域防災計画では、東西の土木事務所に区民が取りに行くことになっています。過去の台風では、受け取りやすい場所に配置したこともありましたが、区民が受け取りやすい場所に配置し、それを周知すべきと考えますが、区長の御所見を伺います。 また、止水板については、杉並区、北区では50万円を上限に助成を実施しています。地下室・半地下室などの建物に浸水を防ぐ止水板の助成制度を創設すべきと考えますが、区長の御所見をお聞かせください。 ◎区長(吉住健一) 川村議員の御質問にお答えします。 風水害対策についてのお尋ねです。 初めに、ハード面の対策についてです。 区内の河川護岸については、神田川、妙正寺川で未整備区間がありますが、その代替として神田川の高田馬場分水路、妙正寺川の調節池群が整備されているとともに、下水道についても第二戸山幹線が完成したことから、時間50ミリ降雨への対応がほぼ完了しております。 これらのことから、区内の降雨に対する安全性は相当程度向上していると考えますが、大量の雨が降る頻度が増加している最近の傾向を見ると、水害の危険性について楽観視することはできません。 このため、区といたしましては、今後も河川整備などの一層の促進を都に対して働きかけてまいります。 次に、公共施設における雨水流出抑制対策の目標達成に向けての進め方についてです。 区では、これまで雨水流出抑制対策の一環として、道路の透水性舗装や公園の雨水浸透施設の整備に取り組んできました。今後も実行計画に基づく、毎年2,500平方メートルの透水性舗装を実施するだけでなく、可能な箇所については道路、公園に雨水流出抑制施設を追加整備するなど、目標達成に向けて取り組んでまいります。 次に、新宿区でも浸透ます・トレンチ等への助成を創設し、雨水タンクへの助成を増額すべきとのお尋ねです。 区では、大規模民間施設の新築・改築の際、浸透ます、浸透トレンチ等雨水流出抑制施設の設置をお願いしています。 現時点で浸透ます、浸透トレンチ等に助成を行う考えはありませんが、雨水流出抑制対策の必要性と効果について説明し、対策の実施を促していきます。 また、雨水タンクについては、水資源の有効利用を目的に設置助成をしており、他区での実施状況や設備本体の価格が下がっていることなどから、現時点で助成金の増額を行う考えはありません。 次に、浸水予想地域への洪水ハザードマップの配布についてのお尋ねです。 防災対策で一番大切なことは、発災時に命を守ることです。そのため、区はハザードマップ防災啓発冊子の作成、地域と連携した防災訓練や勉強会、防災区民組織への支援などを行い、区民の防災に対する意識と知識の向上に取り組んでいます。 発生が指摘されている大地震については、建物の規模や構造にかかわらず、大きな揺れに襲われ、建物倒壊や家具類の転倒等により命に危険が及ぶ場合があるため、地域別防災マップを全戸に配布しました。 一方、水害については、浸水想定地域であってもマンション等の中高層階については浸水の危険性が低いことから、必ずしも避難する必要はありません。このため、洪水ハザードマップは、現在、地区町会連合会会議地域防災協議会などの勉強会の場を中心に、活用方法などをわかりやすく説明しながら配布しています。 町会・自治会、民生委員の方々の意見も伺いながら、洪水ハザードマップの効果的な周知方法を検討していきます。 次に、風水害時の避難のための避難所ごとの訓練等の実施についてのお尋ねです。 平成30年7月豪雨を踏まえた国の防災会議の報告では、「自らの命は自らが守る」意識の徹底と住民が主体となった避難訓練などが必要であるとされています。 現在、区では、避難所運営管理協議会が中心となり、地震を想定した訓練を各避難所で毎年実施し、避難所運営体制の充実と区民の防災意識の高揚を図っています。 今回の台風の経験と国の報告等を踏まえ、防災区民組織避難所運営管理協議会と協議しながら、風水害が発生するおそれがある場合の隣近所への声かけや避難などの訓練の実施について検討してまいります。 次に、町会・自治会と協力した「東京マイ・タイムライン」の作成及び学校教育への支援についてのお尋ねです。 区は、都が今年度作成した「東京マイ・タイムライン」を希望される町会等に対して必要部数をお配りするなどし、作成の促進を図っています。 また、教育委員会や学校と連携し、各家庭での作成を依頼しています。 さらに、特別出張所等の窓口に配架し、広く区民へお渡ししています。 今回の台風を受け、区民の水害に対する意識も高まっていることから、改めて、地区町会連合会の会合や地域防災協議会の場において、各町会・自治会へマイ・タイムライン作成の重要性を説明し、作成等の支援を行ってまいります。 「東京マイ・タイムライン」に係る学校教育への支援については、今年度、小学校の社会科学習で、職員が水害対策の講話も行っていますので、今後も教育委員会や学校と緊密に連携し、児童・生徒へのマイ・タイムラインなどを活用した水害対策の学習支援に取り組んでいきます。 次に、地域センターを自主避難所とした経緯についてのお尋ねです。 今回の台風19号は、昭和33年の狩野川台風と同様に非常に強い台風であるとテレビ等で報道されていました。 そのため、区は10月9日水曜日から、気象庁や国土交通省とのホットライン、都との情報連携、日本気象協会の新宿区ピンポイント予測などを分析し、翌10日の水害等連絡会において、区内では河川溢水の危険性は低いと判断し、地域センターを自主避難所として開設することとしました。 御指摘の自主避難所や避難所開設の基準については地域防災計画で定めていますが、新宿区のような都市型水害の発生が懸念される地域では、避難所へ移動する途中で被災することも想定されます。 そのため、避難所を開設し区民に避難を促す基準については、台風の進路や前線の位置、風速や降水量、河川の水位や調節池等の状況などを総合的に勘案して判断していきます。 また、町会・自治会の対応マニュアルについては、現在、防災区民組織に配付している「防災区民組織活動の手引き」をもとに、今後防災区民組織と水害対策に関する意見交換を行い、マニュアルの修正等を検討していきます。 次に、自主避難所開設の検証結果及び所見についてのお尋ねです。 今回10カ所の自主避難所には300名の方が避難され、その中には、要援護者や外国人のほか、区外在住者や住所のない方もいらっしゃいました。 区は、自主避難所の開設に当たり、事前に各自主避難所へ毛布30枚を配備するとともに、必要に応じて、帰宅困難者一時滞在施設として備蓄している飲料水等を提供しました。 自主避難所での対応については、配慮を要する人と一般の人の部屋を分けることや、日赤から提供されているマットの貸し出しなど、避難者のニーズに対して臨機応変に対応し、大きな混乱もなく、避難された方は無事に帰宅されました。 一方、自主避難所に多くの方を受け入れたのは始めてであったこともあり、間仕切りや外国人に対応するための翻訳ツールなどの物品の配備、要援護者への適切な支援、円滑な運営を行うためのマニュアル整備などが課題となりました。 今後も水害から命を守る観点から、これらの課題をしっかりと検証し、自主避難所における避難者の安全・安心の確保に取り組んでまいります。 次に、風水害が発生した際の災害時要援護者と災害時要配慮者への情報提供と避難体制づくりについてです。 区は、発生時に要援護者や要配慮者の安否確認等を実施するため、災害時要援護者名簿と避難行動要支援者名簿を作成しています。 今回の台風19号では、気象庁等の関係機関から詳細な気象情報を早い段階から収集し、河川の溢水や住宅浸水の危険性は低いと判断したことから、名簿登録者への情報提供や安否確認などは行いませんでした。 避難体制づくりについては、近隣住民、防災区民組織や支援団体等と連携し、地域における共助の体制を充実させるとともに、今年度作成した「要配慮者災害用セルフプラン」の様式を配布するなど、自助による防災対策の向上も図ってまいります。 次に、情報提供のあり方についてのお尋ねです。 初めに、屋外拡声子局やエリアメールを使用しなかった理由についてです。 震災時や水害が発生するおそれがあるときは、防災行政無線、公式ホームページやSNS、エリアメール、防災気象情報メール、広報車などを活用して区民へ情報を伝達することとしています。 今回の台風19号は、早い段階から関係機関と連携し、詳細な気象情報を収集した上で公式ホームページへの掲載、町会・自治会長への通知により、注意喚起と自主避難所の開設を区民へ周知いたしました。 エリアメールは、災害・避難情報などを特定のエリアへ一斉配信できるため、有効な情報伝達ツールであると認識しています。 今回、警戒中いつでもエリアメールを発信する準備は行っていましたが、区内においては河川溢水の危険性は低いと判断したため、エリアメールと広報車による広報は実施いたしませんでした。 次に、情報発信媒体を広げることと、発信体制の強化についてです。 平成30年7月豪雨を踏まえた国の中央防災会議の報告では、「多様な伝達手段を組み合わせた情報発信」が不可欠であるとされています。 今後は、既存の情報媒体の確実な運用を実施するとともに、災害時の新たな伝達手段の導入・活用についても防災アプリやLINEなどを導入している他自治体の事例を研究し、命を守るために迅速かつ的確な情報伝達を行ってまいります。 次に、土のうと止水板についてです。 区では、2カ所の工事事務所以外に公園等21カ所に土のうを配置しています。 台風19号の接近に伴い、区民から土のうが欲しいとの問い合わせが大変多くあったことから、改めて土のうの重要性が認識されました。そのため、今後、身近で土のうを受け取れる場所や周知方法などについて検討してまいります。 次に、止水板の助成制度の創設についてです。 止水板などで既存建物の地下室の出入り口に水の浸入を防ぐ措置をとることは、当面の対策として効果があると考えます。区として止水板の設置に対して助成を行うことは考えていませんが、止水板等の設置の効果や方法、留意点などについて情報の提供を行ってまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 「東京マイ・タイムライン」を災害教育に位置づけることについてです。 御承知のように、「東京マイ・タイムライン」は、家庭で話し合ってシートを作成することにより、風水害からの避難に必要な知識を習得しながら適切な避難行動を事前に確認できるようにするものです。 各区立学校では、「東京マイ・タイムライン」を配布する際に、児童・生徒に対して意義を説明するとともに、家族と十分に話し合いながらシートを作成するよう促しています。そのため、学校の災害教育に位置づけて、授業などの中でシートを作成することは考えていません。 各区立学校では、これまでも社会科や保健の学習を中心に、子どもたちが水害などさまざまな自然災害の危険を知り、事前の備えや避難の方法を理解できるようにしています。 さらに、今年度は四谷小学校において危機管理課の職員を招き、自然災害について地震や津波など過去に起きたものを取り上げ、地域で起こる災害を想定し、自分たちができることは何かを考え、議論させる授業も行いました。 今後も、各学校で行われている学習の成果が、各家庭での「東京マイ・タイムライン」の取り組みの充実につながるよう、危機管理課や消防署など関係諸機関との連携を進めてまいります。 ◆19番(川村のりあき) 次に、「新宿区心身障害者福祉手当」を精神障害者にも適用することについて質問します。 精神障害者の方々に障害者福祉手当を支給し、所得保障を充実していくことは待ったなしの課題です。 私たち区議団は10年以上にわたり条例提案などを繰り返し行ってきましたが、当初23区のうち実施しているのは2区だったのが、今年度新たに4区が実施し、12区に広がっています。 そんな中、10月18日に行われた東京都知事と各市区町村長との意見交換で吉住区長が新宿区での実施を示唆したことを受け、私たち日本共産党新宿区議会議員団と立憲民主党・無所属クラブ、社民党新宿区議会議員団、スタートアップ新宿、ちいさき声をすくいあげる会の5会派は早期実現とその対象を精神障害者保健福祉手帳1級のみならず、2級以下も含めることを求め、区長に申し入れを行いました。 今後、新宿区心身障害者福祉手当の改正条例を議会に提出することになると思いますが、区長は手帳の何級を対象に、手当額は幾らで、いつから実施するつもりかお答えください。 ◎区長(吉住健一) 「新宿区心身障害者福祉手当」を精神障害者にも適用することについてのお尋ねです。 精神障害者への心身障害者福祉手当の支給については、区においても情報収集と研究を重ねてきたところです。 障害者への手当などの経済的支援は、本来は国の制度で行われるものと考えています。また、住む地域によって手当の支給対象者や支給額に格差が生じることがないよう、都道府県レベルで手当の支給制度を定める必要があると考えています。 小池東京都知事との意見交換においては、この考え方に基づき、東京都がそのリーダーシップを発揮していただきたいことを要望し、心身障害者福祉手当について身体・知的と同様に精神障害者も含めて都の制度と負担により支給すべきと提案いたしました。 新宿区としては、都が制度化するまでの間、精神障害者への心身障害者福祉手当について独自に支給する場合の対象者、支給額及び実施時期を検討していくとともに、引き続き国及び東京都に対し手当の支給について要望してまいります。 ◆19番(川村のりあき) 次に、新宿スポーツセンターにおける個人情報流出事件について質問します。 新宿区は9月26日、新宿区立新宿スポーツセンターにおいて、「トレーニングルーム登録申込書」が盗難に遭い、1,348枚がなくなっていたこと、その一部が区民のポストに投函されていたことを公表しました。区の施設から利用者・区民の個人情報が流出したという極めて重大な事件です。 申込書は、私も含め複数の会派の複数の区議会議員のポストに投函されました。なくなった申込書のうち522枚は区に戻り、826枚はいまだ不明です。 新宿スポーツセンターは、指定管理者である民間企業3社の共同事業体が運営していますが、投函されたものは指定管理者の封筒にそれぞれ番号が振られ、「個人情報が漏洩・売買されています!」と書かれた紙とともに申込書が入っており、1枚目の申込書には「何枚×単価何円=いくら」と書かれた小さな紙がホチキスどめされ、内部告発と受け取れるような内容でした。 いずれにせよ、個人情報を流出させてしまったという事実がある以上、指定管理者と区の責任は免れられません。 以上、事実経過を述べた上で具体的に質問します。 第1は、今回の事件に対する区の認識についてです。 状況から見て内部告発の可能性も排除せず調査をすべきですが、区は当初から盗難ということを殊さら強調する余り、あたかも区や指定管理者が被害者であるかのような印象ですが、被害者は利用者・区民であり、現時点で個人情報が売買された可能性や犯行が個人によるものか、組織的なものかも含めて区が判断することはできません。 可能性をあらかじめ排除することは真相究明のための調査や真の再発防止策につながらないと思いますが、いかがでしょうか。 また、今回の事件は重大な不祥事であるという認識がおありか、区長の御所見を伺います。 第2に、指定管理業務開始時の問題です。 業務開始に当たっては、区と事業者の間で協定を締結し、個人情報の取り扱いについて「特記事項」の遵守が課せられます。今回、指定管理者は業務開始に当たり区に提出すべき「個人情報取扱責任者」及び「取扱者」の名簿を提出せず、区も提出を求めず、事件発覚まで放置していました。 区は、なぜ名簿の提出を求めなかったのですか。スポーツセンターの指定管理者は2度指定替えがありましたが、3回目の締結時とも名簿の提出をさせていなかったのでしょうか。協定は初めから遵守するつもりがなかったと言われても仕方がない事態ではないでしょうか。お答えください。 第3に、個人情報の管理についてです。 問題の申込書は、業務開始時の2016年4月から2017年度末までのもので、2018年4月からは申込書を廃止しています。 個人情報保護条例の趣旨では、使用しなくなった個人情報は当然区に返還されるべきでした。指定管理者サイドの規定では「指定期間満了まで保管する」となっていたため、区には報告も返還もされませんでした。それは誤りであるという認識に区は立っているのでしょうか。そうであれば、条例の趣旨が明確になるよう、「特記事項」その他の見直しを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 第4に、区が1度も立入調査を行っていなかった問題です。 協定では、個人情報は「施錠できる保管庫に保管する」とされているにもかかわらず、事件発覚後の調査では段ボール箱に入れられた状態で事務室内に置かれ、約1年半も放置されていたことがわかりました。 区は「特記事項」で個人情報の取り扱いについて、年1回以上立入調査を行うべきところ、指定当初から1度も立入調査を行っていなかったため、協定違反の状況を全く把握していませんでした。 区政情報課の資料によれば、ここだけではなく、2016年度は指定管理者が運営している区の施設94のうち28の施設で、2017年度は96のうち28の施設で、2018年度は96のうち17の施設で条例に則した立入調査になっていなかったことが確認されています。なぜ行われなかったのか、区自身のコンプライアンス違反がなぜ放置されてきたのか、今後どう改善していくのかお答えください。 第5に、必要のない個人情報が収集されていた問題です。 利用者に聞いても、個人のカルテがあるわけでもなく、何のために必要だったのかわからないまま、申込書は2018年4月以降廃止されました。それがなくても支障がないということは、そもそも必要のない個人情報を収集していたこととなり、条例違反です。 私どもが決算特別委員会で指摘した、障害者のプール施設無料利用の際、申込書に「障害の種別」という極めてセンシティブな個人情報を必要ないのに書かせていたのも、この11月から廃止となりました。 区は、トレーニングルームの申込書は当初必要だったとの見解ですが、現時点で必要のない個人情報が収集されていたという認識に立っているのか否か、お答えください。立っていないとしたら、これは単に事業者の言い分をうのみにしているのにすぎず、これがまかり通るなら、今後も事業者が必要と言えば、何でもありになってしまうのではないでしょうか。 第6に、指定管理者への措置についてです。 幾つものコンプライアンス違反が明らかになり、情報公開・個人情報保護審議会でも区民委員から、「このような不祥事が発生した場合、民間なら直ちに業務委託の取り消しになる」という厳しい指摘がされたのも当然です。不祥事による指定の取り消し等を想定した条例も制定されています。 区は、条例に基づく指定の取り消しを行うべきではないでしょうか。少なくとも、今後この事業者をプロポーザルや入札に参加させることは適切でないと考えますが、いかがでしょうか。 この事業者は、プライバシーマークを取得していることを売りにしてきましたが、このような不祥事を起こしたにもかかわらず、いまだにホームページのトップページに堂々と表示してあり、激しく違和感を覚えます。区長は、事業者がみずからプライバシーマークを返上すべきと思いませんか。本当に反省しているのなら、少なくともプライバシーマークの使用は自粛してしかるべきと思いますが、区長の見解を伺います。 第7に、再発防止策についてです。 さきの総務区民委員会に今後の対応についての報告があり、さらに詳細が検討されているところだと思います。 今、私が指摘したことも含めて、今回の事件を教訓に協定「特記事項」の改定や、それが確実に実行されるための手続、区のチェック体制も含めて遺漏なきよう点検、見直しを行うべきではないでしょうか。 個人情報保護条例では、指定管理者だけではなく業務委託の場合も規定は同様であり、審議会にも諮られます。業務委託先で扱われる個人情報についても総点検を行い、再発防止策についても適用していくべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上、御答弁お願いします。 ◎区長(吉住健一) 新宿スポーツセンターにおける個人情報流出事件についてのお尋ねです。 初めに、事件に対する区の認識についてです。 今回の新宿スポーツセンターにおける個人情報流出事件については、同センター事務室内において、トレーニングルーム登録申込書を収納していた段ボール箱が管理責任者の許可なく何者かにより開封され、一部が持ち出され、事務室内はもとより館内全体を捜索しても発見できなかったことから、警察署に盗難による被害届を提出したものです。 この事態について、新宿スポーツセンターの管理運営に当たって指定管理者に課している個人情報保護対策が遵守されず、また区としての監督責任を果たし得なかった中で発生し、多くの区民の方々の個人情報を流出させてしまった重大な事故であると認識しています。 また、本件は現在警察による捜査を進めていただいており、区としても十分に連携を行う中で、事実関係の究明と再発防止につなげてまいります。 次に、個人情報取扱責任者等の名簿の提出についてです。 新宿スポーツセンターの指定管理業務開始時に、新宿区個人情報保護条例に準じた指定管理者としての個人情報保護管理規程や個人情報取扱事務フロー図等、個人情報の取り扱いに関する書類を提出させていますが、御指摘の個人情報取扱責任者等の名簿は、これまで提出させていませんでした。個人情報の取り扱いに関する認識が不十分であったと考えています。 次に、使用しなくなった個人情報資料の返還についてです。 新宿スポーツセンターの指定管理者の個人情報保護管理規程では、使用しなくなった個人情報資料については、「業務期間終了後、区に返却する」としていました。しかし、個人情報保護条例においては、不要となった個人情報は速やかに消去することが義務づけられており、指定管理者においても、業務上不要となった個人情報は速やかに区へ返還、または消去する必要があります。 このため、当該資料を速やかに区に返還させました。 現行の「特記事項」には、指定管理終了後における個人情報の返還等について明確に記載があるものの、指定管理期間中に個人情報が不要となった場合における返還等についての明確な記載がないため、個人情報保護条例の規定が明確となるように、「特記事項」へ追記してまいります。 次に、区による立入調査の実施についてです。 新宿スポーツセンターへの立入調査については、施設・設備の管理運営状況、利用者サービス、収支状況、職員の労働環境等の現地確認を実施していましたが、個人情報の取り扱い・保管状況についてはヒアリングのみで、目視による確認は行っていませんでした。 また、御指摘のように、スポーツセンター以外の施設についても、立入調査時の個人情報に係る区の安全対策の確認が不十分であった施設がありました。 現在、施設の所管課は個人情報保護条例に基づき、年1回以上、個人情報保護対策に係る立入調査を行うことになっています。 今回のコンプライアンス違反については、指定管理者及び所管課の個人情報保護対策に関する認識の欠如が大きな要因と考えています。 一方、立入調査の確認方法などが統一されていなかったことも課題として受けとめています。 次に、トレーニングルーム登録申込書の必要性に対する認識についてです。 同申込書は、「トレーニングルーム利用に当たっての注意事項の確認と署名」、「救急搬送等緊急時の連絡先の確認」、「登録カード紛失に伴う再発行の際の本人確認」を目的として運用していたものであり、当時、トレーニングルームの運営に必要であったと区としても認識していました。 2年間、こうした運用を行いましたが、救急搬送や再発行の取り扱い件数も少なく、また注意事項も直接説明することで御理解いただけると指定管理者が判断し、平成30年度から運用を見直したものです。 このような運用実績に基づく事務処理方法の改善は、「事業の実施に当たって個人情報の収集は最小限にとどめる」という基本原則に沿うものであると考えていますが、本件の見直しについては指定管理者の判断のみで行われたものであり、今後、情報公開・個人情報保護審議会で了承を得た範囲で区の承認のもとで実施していくことを徹底してまいります。 次に、指定管理者に対する措置についてです。 本件事故については、現在、警察で捜査していただいており、いまだ全ての申込書が回収できている状況にはありません。 今後の対応については、捜査の進展や被害の状況を見きわめつつ、厳正に対処してまいります。 次に、プライバシーマークについてです。 新宿スポーツセンターの指定管理者である共同事業体を構成する主たる事業者2社においては、それぞれ自社のホームページで本件事故について謝罪と経緯の説明を公表するとともに、プライバシーマークの審査機関に報告を行い、是正のための指導を受けているところです。 区として、プライバシーマークの使用の自粛や返上を求めるものではありませんが、今回の事故を踏まえ、二度とこのような事態を起こさぬよう、厳しく事業者を指導してまいります。 次に、再発防止策についてのお尋ねです。 区では、今回の指定管理者による新宿スポーツセンターでの個人情報の事故を受け、第1に、個人情報保護対策に係る規定等の明確化、第2に、指定管理期間中における事業者から区への報告、第三者による事業評価及び区の立入調査などの各プロセスにおける対策の強化、第3に、個人情報保護対策に係る区の監視体制強化の3つの視点から検討を進めてまいりました。 具体的には、「特記事項」の改正、指定管理者からの月次報告及び区の立入調査時における個人情報保護対策の確認の明確化、第三者が行う事業評価において個人情報保護対策に関する項目を設けるなどに取り組みます。 さらに、所管課が責任を持って個人情報保護対策を行うよう総合政策部に立入調査報告書を提出させ、実施状況を把握するなど、区の個人情報保護対策におけるガバナンスを強化します。 また、業務委託についても、指定管理業務と同様に個人情報保護対策を検討してまいります。 ◆19番(川村のりあき) 次に、ヘイトスピーチ根絶のための対応について質問します。 10月16日、東京都は「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」第12条第1項の規定により、表現活動の概要等の公表を行いました。 本年4月1日の条例全面施行後初の公表で、1件は5月20日、練馬区内の拡声器による街頭宣伝における言動、もう一件は6月16日、台東区内のデモ行進における言動です。 条例第12条第2項に基づく申し出を受け、審査会は、これらの表現は本邦外出身者に対する不当な差別的言動に該当する表現活動と認定し、都がその判断を発表したものです。 練馬区の担当課によれば、5月20日に練馬区内で行われたヘイトスピーチについて区は事前に情報を得ておらず、通行中の区民の方が都に申し出をされたということで今回の公表に至り、今後、ヘイト行為を区が確認した場合は区から東京都に申し出を行うとのことでした。 台東区は、6月16日のヘイトデモについて事前に情報をつかみ、当日は担当課職員が現場を確認し、東京都に申し出を行い、10月27日の千代田区から台東区まで行われたヘイトデモについても都に申し出を行ったそうです。 以下、質問します。 練馬区や台東区では独自の条例や基準はないものの、区内でヘイトスピーチが行われた際、区の施設内でなくても監視、通報、申し出を行う体制をとっています。新宿区も当然ヘイトスピーチの情報収集は行っていると思いますが、4月の都条例全面施行後の区内の状況はどうだったのかお答えください。 私たちの確認では、区が情報収集したヘイトスピーチの可能性のある集会・デモは10月と11月に4件、そのうち区内の情報は1件ですが、ネット上の確認だけでも4月7日、5月26日、6月30日にアルタ前での情報があり、6月30日の主催者は2月3日に新宿中央公園で集会・デモを行った者と同じです。こうした情報も区はノーマークでした。情報収集の体制強化が必要ではないでしょうか。 区の今後の対応を考える上で、過去のヘイトスピーチ事案をどう検証したかが重要です。 決算特別委員会では、2月3日の新宿中央公園を出発したデモについて区としての検証ができておらず、公園内や路上での言動がヘイトスピーチであるか否かも見解が統一されていない状況が確認されました。 その後の検証で、当時ヘイトスピーチが行われていたという認識に立ったのかどうか、今後同様の事案が起こった場合の対応もあわせてお聞きします。 10月から「新宿区の公の施設におけるヘイトスピーチ防止のための利用制限に関する基準」が実施となりましたが、あくまで区の施設が対象で、それ以外については区の権限が及ばないことを理由に公共の場所であっても対応は困難というのがこれまでの見解でした。 しかし、都内で行われたヘイトスピーチについて、各自治体が都へ申し出を行い、都が審査会でヘイトの認定を積み重ねていけば、新宿区が基準をもとに施設の使用制限をするときにも、都で認定されたヘイト行為は区の審査会にかけるまでもなくヘイトとして扱うことができ、認定されたヘイト行為を行った団体や代表者が区の公共施設を使用してヘイトを行えば、それを複数回ヘイト行為を行ったものとみなして対応することが可能ではないでしょうか。 2月3日の集会・デモについても、私たちは公園内でも、路上でもヘイトスピーチを確認しておりますが、今後は公園内で行われなかった場合でも区が東京都に申し出を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 この間の区の情報収集のあり方や区の施設外でのヘイトスピーチに対する姿勢には、残念ながら、本気でヘイトスピーチを根絶しようという意気込みが感じられず、むしろ区の施設以外を対象としない基準をつくったことが、ますます区の施設外で行われるヘイトスピーチに対する関心を薄めたのではないかとさえ感じます。 私たちは、これまでも繰り返しヘイトスピーチ対策の条例化を求めてきましたが、区の姿勢を明確にし、体制を強化するためにも、基準からさらに発展した、区内全域を対象とする条例を制定すべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) ヘイトスピーチ根絶のための対応についてのお尋ねです。 初めに、4月の都条例全面施行後における区内のヘイトスピーチの状況についてです。 新宿区の公の施設におけるヘイトスピーチ防止のための利用制限に関する基準を策定して以降、都内でヘイトスピーチが行われるおそれのあった事例は、10月と11月の4件でした。そのほかにも、御指摘のアルタ前で行われた3件の事例や、途中で中止になった事例についても情報収集を行い、関係部署との情報共有も行っているところです。 今後も引き続き、インターネット等を活用するとともに警察とも連携し、情報収集に努めてまいります。 次に、2月3日に新宿中央公園を出発したデモについて及び今後同様の事案が起こった場合の対応についてのお尋ねです。 2月3日のデモについては、参加者による「本邦外出身者をたたき出せ」という発言や、プラカードの「かえれ本邦外出身者」という記載があったことについてはヘイトスピーチであると考えています。 今後、このようなヘイトスピーチに該当する言動を行うおそれがある団体により公園の占用許可を求められた場合には、引き続きヘイトスピーチ解消法の規定による不当な差別的言動を行わないよう誓約をとった上で公園の占用許可申請を行わせます。 また、区の基準に基づき、学識経験者意見聴取会の意見等を踏まえた上で、憲法上保障された表現の自由及び集会の自由に十分留意しながら、事案ごとに諸事情を総合的に勘案し、関連規定等に当てはめて使用の可否を適切に判断していきます。 次に、都の審査会でヘイト行為の認定が積み重なれば、区の意見聴取会の意見を聞かなくとも施設の使用不許可等ができるのではないかとのお尋ねです。 新宿区の公の施設におけるヘイトスピーチ防止のための利用制限に関する基準に基づく利用制限の適用には、公平性・中立性を確保するとともに、憲法上保障された表現の自由及び集会の自由に十分留意しながら、事案ごとに諸事情を総合的に勘案し、関連規定等に当てはめて適切に判断することが必要です。判断に当たっては、都の審査会の情報も参考にできるものと考えます。 次に、区立公園以外での区内のヘイトスピーチについても区から都に申し出を行うべきではないかとのお尋ねです。 区は、これまでも都との連携及び情報共有を行ってきたところです。都への申し出については、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例第12条第2項の規定に基づき、適切に対応してまいります。 次に、区内全域を対象とする条例を制定すべきとのお尋ねです。 区では、人としての尊厳を傷つけ、差別意識を生じさせるヘイトスピーチを決して許さない姿勢を明確に示すことで本邦外出身者に対する不当な差別的言動の防止につなげるため、新宿区の公の施設におけるヘイトスピーチ防止のための利用制限に関する基準を策定いたしました。 また、自治基本条例を定め、前文に、「互いの持つ多様性を認め合う多文化共生の社会の実現をめざす」ことを掲げるとともに、基本理念の一つとして「人権を尊重し、一人ひとりを大切にする」ことを規定しているところです。 これらのことから、現時点では条例を制定する考えはありません。 ◆19番(川村のりあき) 次に、羽田新飛行ルートについて質問します。 8月30日から小型による飛行検査が始まり、住民から不安の声が広がっています。10月17日から11月18日まで行われた「区長と話そうしんじゅくトーク」では、柏木、大久保、箪笥の各会場で計6人の参加者から、「飛行検査が始まり騒音が気になる。旅客機なら相当な騒音となり不安」などの意見が出ました。 また、私どもが行っている区政アンケートでは、「新飛行ルートについてどう思うか」との問いに「テスト飛行の騒音がすさまじく迷惑している」「事故があったらどうするのか」などの意見が多数寄せられています。 区長は、牛込箪笥地域センターの「区長と話そうしんじゅくトーク」で、「できれば飛んでほしくない」と参加者からの質問に答え、柏木地域センターでは「このルートが永久に続かないように要望している」と言われました。区長御自身が危険と感じているからでしょうか。ならば、しっかり反対の態度を示し、国土交通省に対して中止を求めるべきではないでしょうか。お答えください。 10月29日には公聴会が行われ、私も傍聴しました。公述人55名のうち賛成29名、反対26名でしたが、反対する公述人の多くは飛行ルート下の住民であり、安全や命を守る必要性を強調し、新ルート撤回を訴えました。 一方、賛成する公述人の多くは航空会社や観光業者などで、自社の経済的利益を優先し、増便の必要性を訴えました。 地方自治体が企業などの経済的利益を優先するのか、住民の安全を守る立場に立つのかが問われています。 区長は、公聴会の内容を担当課からお聞きになったでしょうか。経済優先と住民の安全優先のどちらの立場に立つのか、公述内容の受けとめとあわせてお答えください。 11月3日、私ども区議団の主催による「羽田新ルートを考えるつどい」には110人の方が参加しました。講師は航空評論家でJALの機長を務めた杉江弘さんです。ボーイング747の飛行時間の世界記録を持ち、政府専用の機長もされ、着陸時の安全基準の考案などもしてこられた第一人者です。 杉江さんは国土交通省の担当責任者に2回ヒアリングし、新飛行ルートは騒音や落下物に加え、2つの大きな問題があると指摘しました。 第1に、羽田に国際線を増便する必要性についてです。 北京、パリ、ミラノ等は都心から離れた空港を運用しており、この30年間、新規で都心に飛行ルートを運用した国はありません。また、成田空港の開港時には、成田は国際線、羽田は国内線とすみ分けがされていましたが、2008年にすみ分けを破り、羽田で近距離国際線の運用を始めました。国土交通省が外国航空会社に羽田に来るように働きかけ、羽田に移行する航空会社が続出しています。 成田は年間発着26万回で、処理能力30万回を下回っており、さらに滑走路を1本ふやし34万回にする計画で、余裕があります。 今回の新ルートは「国がみずから決めたすみ分けを破り、政策のない場当たり的計画」と杉江さんは指摘していますが、区長の御所見をお聞かせください。 第2に、事故の危険性です。 騒音対策として世界標準の降下角3.0度を3.5度へ引き上げるとジェットコースターかのような急角度での操縦となり、接地のための機首上げ操作は高度な技術が求められます。3.0度でも機体の最後尾は地面まで約1メートルしかなく、角度を上げると尻餅事故の危険が高まります。そもそも世界のパイロットは3.5度の降下角を経験したことがありません。 国土交通省は、稚内空港と米国サンディエゴ空港に3.5度の例があると言いますが、稚内空港は東に山があるための設定で航路に住宅は少なく、サンディエゴ空港には大型はほとんど来ず、航路に人口密集地はありません。 しかも、実際は有視界飛行で降下角を下げて進入しています。ローカル空港や大型の来ない空港を例に「羽田でも大丈夫」と主張する国土交通省は本当に危険性を認識しているとは思えません。 また、横田空域を避けるため、平行する2つの経路を旋回する世界初の進入方法はニアミスの可能性もあり、管制官も心配しています。 区長は、パイロットや管制官から見ても危険な3.5度の降下角や平行する進入方法を容認しているのでしょうか、御所見を伺います。 次は、視覚障害者の日常生活への騒音の影響です。 公聴会では、品川区の全盲の方が、「私にとっては音は安全を判断する大切な資源。雨の音さえも安全に歩くのに支障を来すのに」と、飛行機の騒音によって安全な生活が奪われることを訴えました。 また、北新宿在住の視覚障害の方も「かなりの騒音で怖い」と言っています。 現に東京2020パラリンピックのブラインドサッカーの会場は、品川区の飛行ルート近くの大井ふ頭中央海浜公園から江東区青海に変更されました。 視覚障害者の生活への影響についてどのようにお考えでしょうか。こうした声を無視しても新飛行ルートを認めるのでしょうか、お答えください。 最後に、国土交通省は11月18日から来年1月28日まで説明会を首都圏で計60回開き、騒音対策や落下物防止策等について説明をする予定です。区内では12月1日から3日までオープンハウス形式の説明会を新宿駅西口イベント広場で行う予定です。 以前、オープンハウス形式の説明会で質問した、ある方は、国土交通省のアルバイトに「自分はよくわからない」と、誠実な回答がなかったそうです。 品川区は教室型説明会を開催するように区として要求しています。新宿区でも教室型説明会を前回同様、ルート下にある地域センター4カ所で行うべきです。いかがでしょうか。 以上、お答えください。 ◎区長(吉住健一) 羽田新飛行ルートについてのお尋ねです。 初めに、国に対し中止を求めることについてです。 国は、首都圏の国際競争力の強化、訪日外国人旅行者の受け入れ、東京2020オリンピック・パラリンピックの円滑な開催等に向け、令和2年3月29日から区上空を含む新たな飛行ルートの運用を開始するとしています。 区では、羽田空港の機能強化の必要性については理解していますが、騒音対策及び安全対策の徹底と区民に対する丁寧な説明を行った上で、国の事業として国の責任において進めていくべきものと考えております。 そのため、中止を求める考えはありませんが、区民の安全・安心を守るために、引き続き落下物対策などの安全対策・騒音対策の徹底、丁寧な説明や正確な情報提供について国に強く要望してまいります。 次に、国の主催した公聴会についてのお尋ねです。 この「羽田空港の制限表面の変更に関する公聴会」は、建築物等の高さ制限となる制限表面の変更に関して利害関係を有する方から意見をいただく機会として国が開催したものです。 当日の主な公述意見については、担当課から報告を受けています。 公述意見の内容については、区は評価する立場にはないと考えていますが、区民の安全・安心を守る立場から、同時に実施されたパブリックコメントにおいて意見を提出いたしました。 区では、新たに制限表面が設定されることから、国の責任において区民及び事業者への丁寧な説明と十分な情報提供を行うこと、落下物対策などの安全対策・騒音対策の徹底等について強く要望をしたところです。 次に、羽田に国際線を増便する必要性についてのお尋ねです。 国からは、国際線のニーズが高い時間帯について成田空港は既にフル稼働の状態であることや、首都圏の他空港については都心へのアクセスなどの課題があることから、羽田空港の国際線の増便は欠かせないと聞いています。こうしたことを丁寧に説明していくよう国に要望してまいります。 次に、事故の危険性についてのお尋ねです。 新飛行ルートにおける着陸時の降下角や進入方法については、国際民間航空機関が定める国際的な安全基準に則したものであり、安全性に問題はないと国から説明を受けています。 区では、引き続き国の実施する安全対策が着実に履行されるよう注視してまいります。 次に、視覚障害者の日常生活への騒音の影響についてのお尋ねです。 国は、障害の有無にかかわらず、全ての方を対象として騒音対策など環境配慮について十分に行っていると説明をしています。 飛行高度の引き上げや騒音の要素を組み合わせた着陸料の料金体系の再見直し、区内への騒音測定局の設置など、国により一定の騒音対策がなされています。 今後も視覚障害者の方の日常生活に影響を及ぼすことのないよう、騒音対策のさらなる推進について国に対し要望してまいります。 次に、教室型説明会を再度行うべきとのお尋ねです。 教室型説明会の開催については、これまで国に強く要望を続けてまいりました。その結果、本年1月に柏木・角筈地域、5月に落合第一・落合第二地域の4つの地域において、国の主催により開催することができました。 また、国は本年9月の新宿区町会連合会定例理事会において羽田新飛行ルートについて説明を行いました。 理事会では、新飛行ルートの運用に先立ち、航空で新飛行ルートの飛行確認を行う時期に改めて説明をしてほしいとの要望があり、理事会での再度の説明について国と日程調整を行っているところです。 区では、今後、町会など地域からの要望を踏まえ、教室型説明会の開催など、丁寧な説明について国に要望を行ってまいります。 ◆19番(川村のりあき) 答弁いただきまして、ありがとうございます。 前向きな答弁、そうでない答弁ということもありまして、ただ再質問ということはいたしませんので、意見だけ申し上げたいと思います。 まず、精神障害者の方への福祉手当の支給につきましては私もユーチューブで拝見しましたけれども、区長の発言といいますか、英断といいますか、それは非常に評価したいというふうに思います。 この後については昨日申し入れさせていただいたとおりですので、ぜひ当事者の方からの御意見もよく聞いていただいて、いい制度にしていっていただきたいというふうに要望したいと思います。 また、風水害対策につきましては前向きな答弁も多かったんですけれども、特にハザードマップの全戸の配布につきましては、町会や自治会、民生委員の方とも御相談してというふうなお話もありましたけれども、ぜひ要援護者、要配慮者の方の避難の問題も指摘をさせていただきました。ぜひこうした皆さんをどうやって実際に助けていくのか、避難をしていただくのかというところを含めて、ぜひ今後とも早急に検討していっていただきたいと思います。 新飛行ルートの問題、ヘイトスピーチの問題では、今までの御答弁から出るところはなかなかありませんでしたけれども、新飛行ルートの問題は、もう3月29日と日にちも迫っておりますので、私どもも引き続き中止を求めてまいりますけれども、区民の皆さんの安全という立場で、ぜひ新宿区に合った取り組みを進めていただきたいと要望したいと思います。 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(吉住はるお) 次に、16番三雲崇正議員。     〔16番 三雲崇正議員登壇、拍手〕 ◆16番(三雲崇正) 立憲民主党・無所属クラブの三雲崇正です。令和元年第4回定例会に当たり、会派を代表して質問いたします。誠意ある御答弁をお願いいたします。 初めに、外国にルーツを持つ子どもの就学支援について伺います。 総務省がことし7月10日に発表した住民基本台帳に基づく、ことし1月1日時点の人口動態調査によると、日本人の人口は前年よりも約43万人減少し、約1億2,478万人。これに対し、外国籍住民は約17万人増加し、約267万人となったとのことです。特に15歳から64歳のいわゆる生産年齢人口で見ると、日本人は約61万人減少し、約7,423万人となった一方で、外国籍住民は約15万人増加し、約227万人となりました。 人手不足の深刻化を背景とする「特定技能」の新設による在留資格の拡大に見られるように、今後も生産年齢人口における外国籍住民の数はふえ続けるものと思われます。 このことは、少子高齢化が急速に進展する日本社会において外国籍住民が「働き手」としての役割を拡大しつつあることを意味するとともに、こうした外国籍住民が日本国内で養育する子どもたちが、私たち日本人の子どもたちとともに、将来日本社会の担い手となり得ることを意味しています。 裏返して言えば、外国にルーツを持つ子どもたちが日本社会に適応し、居場所を持ち、社会をともにつくるという意識を持つことができるか否かは、この国の将来の安定と社会統合の観点からは非常に重要な問題であり、基礎自治体が担う初等教育・義務教育は、その決定的な第一歩を形成するという意味で重要な役割を負っています。 同時に、初等教育・義務教育は子どもの権利であり、養育する者の義務でもあります。このことは憲法第26条及びこれを受けた教育基本法第5条により「国民」との関係で確認されており、また我が国が締結した経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)第13条並びに児童の権利に関する条約第28条によって、「すべての者」、すなわち「すべての子ども」に対して人権として保障されています。 このため、我が国では主に基礎自治体が運営する公立の義務教育学校において外国籍住民が養育する子どもを無償で受け入れ、日本人児童と同一の教育を受ける機会を保障することとしています。 このように、外国にルーツを持つ子どもに対する教育は、日本社会の持続・発展と子どもの人権保障の双方の観点から見て重要であると同時に、基礎自治体の果たす役割が大きい政策分野です。 新宿区は、ことし5月1日現在、住民の12.5%、4万3,564人が外国籍であり、また義務教育年齢にある子どもの9.7%、1,621人が外国籍です。区立小学校に通う子どもの5.2%、区立中学校に通う子どもの6.3%が外国籍であり、これは都内で最も高い比率とされています。 このことから、外国にルーツを持つ子どもに対する教育は新宿区にとって重要な課題であり、また新宿区の取り組みは全国的にも先行事例として注目されるものと言えます。 このような中、ことし9月27日、文部科学省から衝撃的な調査結果が発表されました。 義務教育年齢にありながら学校に全く通っていない不就学の可能性のある外国籍の子どもが全国で1万9,654人、調査対象となった子ども全体の15.8%にも上ること、またこの新宿区でも約800人の外国籍の子どもたちが不就学状態にある可能性があることが明らかになっています。 以上を踏まえ、以下質問します。 まず、外国にルーツを持つ子どもに対する教育についてどのような意義を持つものと理解しているのか、区の見解を伺います。 その上で、ことし9月27日に文部科学省が公表した調査結果に関し、どのように評価しているのか所見をお聞かせください。 新宿区では平成24年3月に、外国にルーツを持つ子どもの日本語や教科の理解度等の実態や保護者のニーズ、不就学の状況等を把握し、今後の学習支援・生活支援等トータルなサポートを行うための基礎資料を得ることを目的として、外国にルーツを持つ子どもの実態調査報告書を公表しました。 そこでは、アンケート調査に回答した394人のうち不就学児童が2.3%いたことが判明しており、その理由として、「日本語がわからないから」「授業について行けないから」「友達ができないから」というものが挙げられています。 この調査はアンケートによるものであり、有効回収率が29%と低いものであるため、全容の把握としては十分なものではありませんでしたが、回収できなかった児童に関しては、さらに不就学児の割合が高いことも考えられます。 いずれにせよ、平成24年3月時点において、新宿区においてある程度の不就学児童の存在が確認されており、こうした子どもたちの把握とケースに応じた支援のあり方が課題であるとの認識が示されています。 ここで伺いますが、平成24年3月の調査結果の後、ことしの文部科学省による調査までの間、区において外国にルーツを持つ子どもの就学実態の把握がどのように行われてきたのかお聞かせください。 文部科学省が行った調査結果を見ると、同省では、外国籍児童について一般的な就学案内や情報提供を行うだけでなく、住民基本台帳等の情報に基づき学齢簿に準ずる表簿の作成を行い、訪問や電話による個別確認・就学勧奨を行うことが適切であると考えていることがうかがえます。 また、国は「定住外国人の子どもの就学支援事業」として、不就学となっている外国人の子どもを対象に、公立学校や外国人学校等への就学に必要な支援を学校外において実施する自治体を補助する予算措置を講じています。 このような不就学児を個別に把握し就学につなげる取り組みに関する従前の区の対応状況と、今後の方針についてお聞かせください。 ◎区長(吉住健一) 三雲議員の御質問にお答えします。 外国にルーツを持つ子どもの就学支援についてです。 初めに、外国にルーツを持つ子どもに対する教育の意義についてです。 新宿区は、国籍や民族等の異なる人々が互いの文化的違いを認め合い、一人ひとりが地域社会の一員として活躍できる「多文化共生のまち」を目指しています。外国にルーツを持つ子どもたちに対する教育は、子どもたちが社会の一員として自立し、活躍するために必要な知識の習得や文化の理解を深める上で大切なものであると考えています。 平成24年に行った実態調査からも、「日本語の習得が十分ではなく、必要な知識や技能が身につかないことを心配する声」や、「将来の進学に対して不安を感じる声」が寄せられています。 子どもたちが日本での生活に適応し、成長していく上でも、学齢期の子どもが教育を受けられるよう保護者にしっかり勧奨していくことが大切であると考えます。 次に、本年9月27日に文部科学省が公表した調査についてです。 文部科学省の調査結果については、5月1日現在の外国籍の住民基本台帳人口から教育委員会で就学先を把握している外国籍の児童・生徒を差し引いた数をもとに、「不就学の可能性がある子ども」の数として集計したものです。 この集計の中には、住民登録を残したままで出国し、職権により消除している事例や、多文化共生連絡会に参加している外国人コミュニティの方から報告されているエスニックスクールなどに通っている事例も含まれているものと考えます。 区では、外国籍の児童・生徒も対象に含め、平成26年度以降、毎年「居住実態が把握できない児童に関する調査」を行っており安否の確認を実施していますが、就学義務のない外国籍の児童・生徒を正確に把握していくことは困難であり、一定数の不就学状態の児童・生徒がいるものと認識しています。 次に、平成24年の調査以降の就学実態の把握と対応についてです。 区では平成24年3月の調査結果を踏まえ、同年9月に設置した多文化共生まちづくり会議において「外国にルーツを持つ子どもの教育環境の向上について」審議していただき、平成26年8月に答申を受けました。 答申には、教育を受ける機会を逸しないための取り組みとして、情報不足により就学する機会を失うことがないように多言語での就学案内や進路予定先の調査を進めることが示されています。 また、区として、その後の実態の把握は行っていませんが、外国籍児童・生徒及び保護者への就学に対する理解を促進するための対応として、区立小中学校への入学手続等を記載した生活情報冊子である「新宿生活スタートブック」を従来の英語、中国語、韓国語に加え、ベトナム語、ネパール語など対応言語を拡充するとともに、外国語版広報紙やホームページに関連記事を掲載し、不就学の解消につながるよう努めています。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 初めに、外国にルーツを持つ子どもに対する教育の意義についてです。 御指摘のとおり、初等教育・義務教育は全ての子どもに保障されている権利です。そのため、教育委員会では、外国にルーツを持つ子どもたちに対する教育は、子どもたちが社会を生きていく上で必要な知識や技能を身につけ、自立した区民として成長していくために欠かすことができないものであると考えています。 また、外国にルーツを持つ子どもの中には、日本語の習得が十分でなく、日本の生活習慣や文化になれていない状況も見られます。そのため、外国にルーツを持つ子どもへの教育は、当該の子どもが日本の生活習慣や文化になれ、生活に適応していく上で大きな役割を果たしていると考えています。 次に、本年9月27日に文部科学省が公表した調査結果に関する評価についてです。 全国で就学先不明の外国籍児童・生徒が約2万人、新宿区でも約800人が就学先不明となっており、他の自治体と比較しても多い調査結果と認識しています。 これまでも教育委員会では、毎年8月から9月に、翌年度新1年生の学齢に達する児童・生徒のいる世帯に、住民基本台帳の情報をもとに入学案内をお送りしていますが、外国籍児童・生徒のいる世帯には、区立学校への就学案内を日本語以外の7カ国語でお知らせしています。 しかし、この調査結果を受け、今後は外国籍児童・生徒の就学先の把握について、さらに取り組む必要があると考えています。 次に、平成24年以降の外国にルーツを持つ子どもの就学実態の把握に関する取り組みについてのお尋ねです。 教育委員会では、学校案内冊子など就学案内の個別郵送を行う際に、就学予定先のアンケートを同封しており、その回答により就学先の把握に努めています。 また、学齢期相当の年齢で入国または転入した場合には、住民登録を行う際、窓口で区立学校への就学意向を確認し、希望する方には教育委員会での手続を御案内しています。 次に、不就学の把握と就学につなげる取り組みに関する教育委員会の対応についてのお尋ねです。 教育委員会では、これまでも住民基本台帳をもとに外国籍の学齢児童・生徒に対して多言語による就学案内などを個別に行うことで区立学校への就学や就学先の確認を行ってきましたが、就学先不明の外国籍児童・生徒の調査は実施していませんでした。 今後は、文部科学省の調査結果を受け、入学案内とは別に個別郵送による外国籍児童・生徒の就学先調査を行うなど就学先の把握に努めるとともに、国や東京都に対して実態調査の実施や受け入れ体制の充実に関する要望を行うことで、不就学の外国籍児童・生徒の就学につなげてまいります。 ◆16番(三雲崇正) 次に、保育施設や学校における医療的ケア児の受け入れについて質問します。 生活する中で、たんの吸引など医療的ケアを必要とする子どものことを、現在では「医療的ケア児」と呼んでいます。 近年の新生児医療の発達により、都市部を中心にNICU(新生児集中治療室)が増設された結果、超未熟児や先天的な疾病を持つ子どもなど、以前なら出産直後に亡くなっていたケースであっても助かることが多くなってきました。 その結果、医療的ケアを必要とする子ども「医療的ケア児」の数は年々増加傾向にあります。 文部科学省によると、全国の公立小中学校や特別支援学校に計約9,000人が在籍しており、今後もその数はふえていくと予測されています。 新宿養護学校でもPTAなどから出された「医療的ケア児のために非常勤の看護師を1名ふやしてほしい」との要望に応え、1名増員がなされたことから見ると、区も十分に状況を理解されていることと思います。 そうした医療的ケア児に対する扱いについては多くの課題がありますが、保育園や学校に行きたくても行けない子どもたちの通園・通学への道を開き、その願いをかなえていくことは、とりわけ重要だと考えます。 これまで東京都教育委員会は、「人工呼吸器を使う子どもには、保護者の付き添いを求める」として、医療的ケアの実施要綱を定めていました。ここでは、「学校はチューブで栄養を与える経管栄養やたんの吸引が実施できるが、人工呼吸器については作動状況の確認、緊急時の連絡などしかできない」とされており、人工呼吸器を使っている子どもが通園・通学するには保護者の付き添いが必要とされてきました。 しかし、両親が共働きなどで付き添えない場合は保育施設や学校に通うことができず、訪問教育を選択するしか道がない状況です。 ちなみに、東京都教育委員会によると、都立の特別支援学校には人工呼吸器を使う子どもが14人通学している一方、60人を超える子どもが付き添いなどの条件に阻害され、訪問教育を受けているとのことです。 この問題をめぐって、文部科学省は3月に「保護者の付き添いは真に必要と認められる場合に限るよう努めるべき」とする通知を全国の都道府県教育委員会などに出しました。それを受け、東京都教育委員会は来年度から、人工呼吸器を使う子どもが保護者の付き添いなしで学校に通えるようにするために、学校での役割分担などを定めたガイドラインを今年度中にまとめ、実施要綱も改めることとしました。 東京都の藤田教育長からは、「管理体制の整った学校から付き添い日数を徐々に減らすなど、保護者負担を段階的に軽減していく」との発言もあり、医療的ケア児の保育園や学校への受け入れも大きく前進する様子です。 こうした東京都の動きに先立ち、お隣の中野区では、医療的ケア児を令和2年度から一部の区立保育園で受け入れることとしています。受け入れる園は比較的バリアフリー化が進んでいる2園で、集団保育ができ、日々通うことができることが条件となっています。 この2園では、看護師を2名体制とし、たんの吸引、経管栄養、導尿などを行うことができます。令和3年度以降は対象の園を広げ、施設の改修も検討しているとのことです。区内にいる未就学の医療的ケア児のニーズに全力で応えていく姿勢に全国の自治体からも注目が集まっています。 そこでお伺いします。新宿区内には、未就学及び学齢期の医療的ケア児はどれくらいおり、その対応はどのようになされているのか。また、その対応は本人や保護者が希望するものとなっているのか、所見をお聞かせください。 また、今後は東京都からガイドラインが示され、それに沿った形でさまざまな施策の実施がなされていくことになると思いますが、体制をどのように整備していくおつもりか。また、区としても独自のガイドラインを作成するなど、きめ細かい対応をお考えか、方針をお聞かせください。 次に、先行した形で行う中野区のような取り組みを新宿区としてはどのように見ているのか。また、医療的ケア児の受け入れが可能かを調査し、可能な区内施設から順次始めていくことを検討していかなければならないと考えますが、区の見解をお伺いします。 ◎区長(吉住健一) 医療的ケア児の受け入れについてのお尋ねです。 初めに、新宿区内の未就学と学齢期の医療的ケア児の状況についてです。 新宿区内の医療的ケア児の人数は、平成29年10月時点で未就学児が27名、学齢期の子どもは22名と把握しています。 福祉部、子ども家庭部、健康部、教育委員会において緊密に連携し、医療的ケア児とその家族の現状把握に努めるとともに、保護者の希望に合わせたプランを作成して、障害福祉サービス等を適切に提供しています。 また、平成31年1月からは、新宿区医療的ケア児支援関係機関連絡会を定期的に開催し、福祉・保健・医療・教育等の各部門との協議、情報共有を図っています。この連絡会は、医療的ケア児の保護者にもオブザーバーとして参加いただける会議としており、広く御意見を聴取しているところです。 今後も関係機関等と連携し、医療的ケア児の支援に取り組んでまいります。 次に、中野区の取り組みを区としてどのように見ているか、また医療的ケア児の受け入れが可能な区内施設から順次始める検討をすることについてです。 中野区の取り組みは、2カ所の区立保育園で各1名ずつの医療的ケアが必要な児童の保育を令和2年4月から始めるものです。専任の看護師の配置や中野区医師会の協力を得た審査会の設置などの体制がとられる予定とのことで、先進的な取り組みであると認識しています。 現在、区では、医療的ケア児の保育については居宅訪問型保育事業で対応しているところです。 現時点では医療的ケア児の受け入れを保育園で実施していく計画はありませんが、中野区などの先行自治体の取り組みを参考にして、医療的ケア児支援関係機関連絡会での議論を踏まえながら、引き続き医療的ケア児の受け入れについて調査・研究してまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会の御質問にお答えします。 人工呼吸器を使用する子どもが通学するためのガイドラインが作成された後の体制整備及び区のガイドライン作成についてのお尋ねです。 現在、新宿養護学校において医療的ケアを必要とする児童・生徒は、通学籍13名、訪問籍1名の計14名で、そのうち中学部3年に人工呼吸器を使用する生徒が1名訪問籍に在籍しています。 新宿養護学校で実施する医療的ケアについては、新宿区立新宿養護学校医療的ケア実施要綱及び新宿区立新宿養護学校医療的ケア実施要領に基づき、都立の養護学校に準じた対応を行っています。 教育委員会としては、障害のある児童・生徒の自立や社会的参加を目指し、一人ひとりの能力を最大限に伸ばしていくためには、医療的ケアの有無にかかわらず、区立学校で学ぶ機会を整えることが重要であると認識しています。 人工呼吸器を使う児童・生徒の医療的ケアについては生命に直結する対応であることから、保護者の付き添いを不要とするに当たっては、安全な体制整備とともに医師等による慎重な判断が必須であると考えています。 今後、東京都から示されるガイドラインの内容を十分に踏まえた上で、看護師の配置や教員研修のあり方など、実施に向けてはさまざまな課題を検討する必要があると認識しています。 また、区独自のガイドライン作成についても、東京都のガイドラインに基づく実施状況などを丁寧に見きわめることが必要であり、慎重に検討すべきものと考えています。 ◆16番(三雲崇正) 次に、心身障害者福祉手当における精神障害者の取扱いについて質問します。 新宿区の心身障害者福祉手当は昭和47年に条例が制定されましたが、身体障害者及び知的障害者に対しては支給がなされる一方で、精神障害者が支給対象となっておりません。 この点については、以前より区内障害者団体の方々から、「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」と規定する障害者基本法や、「障害を理由とする差別の解消」を推進することとした障害者差別解消法の理念との矛盾を指摘しており、区議会においても各会派から条例提案や予算、政策要望等がなされてきたところです。 これに対し、区はこれまで心身障害者福祉手当制度が東京都の区域内の区市町村が一体となって制度の実現を図るために、都が対象者等の基準を都条例により定め、それに基づき区市町村が条例を定めて行っていることを理由に、都条例で対象とされていない精神障害者については、新宿区においても心身障害者福祉手当の支給対象としないとの考えを示してきました。 しかし、新宿区は昭和49年に制定された都条例に先立って昭和47年から心身障害者福祉手当制度を設け、都の制度をリードしてきた経緯があり、都条例が対象としていないことは3障害の間の差異・差別を解消しないことについて必ずしも説得的な理由づけにはなっていないと思われます。 現に、23区のうち12区が精神障害者にも支給対象を拡大し、千代田区のように金額面でも同等の取り扱いを行っている自治体も存在します。 こうした中、ことし10月18日の東京都知事との意見交換において、区長は「本来、国や都道府県がベースとなる制度をつくり、負担をしていただき、ただ、基礎自治体も現場の判断の中で上乗せをしたり拡充をするということは自分たちでやっていく。そういう役割分担が本来の姿ではないか」と述べ、さらに、「新宿区のほうも都の御理解をいただけるまでの当分の間、新宿独自で精神障害者にも福祉手当を出していこうと考えている」と述べられました。 私どもの会派としては、こうした区長の決断と、都に対する筋の通った要望内容について大いに歓迎するものでありますが、同時に早期に金額面での格差を設けることなく、精神障害者に対する心身障害者福祉手当の支給を行っていただきたいと考えます。 また、対象者についても幾つかの区で実施されているような精神障害者保健福祉手帳1級の方だけでなく、2級以下の方も含めていただきたいと要望します。 ここで伺いますが、新宿区として精神障害者に対する心身障害者福祉手当の支給について、具体的にどのような検討をされているのかお聞かせください。 ◎区長(吉住健一) 心身障害者福祉手当における精神障害者の取扱いについてのお尋ねです。 精神障害者への心身障害者福祉手当の支給については、区においても情報収集と研究を重ねてきたところです。 障害者への手当などの経済的支援は、本来は国の制度で行われるものと考えています。また、住む地域によって手当の支給対象者や支給額に格差が生じることがないよう、都道府県レベルで手当の支給制度を定める必要があると考えています。 小池東京都知事との意見交換においては、この考え方に基づき、東京都がそのリーダーシップを発揮していただきたいことを要望し、心身障害者福祉手当について身体・知的と同様に、精神障害者も含めて都の制度と負担により支給すべきと提案いたしました。 新宿区としては、都が制度化するまでの間、精神障害者への心身障害者福祉手当について独自に支給する場合の対象者、支給額及び実施時期を検討していくとともに、引き続き国及び東京都に対し、手当の支給について要望してまいります。 ◆16番(三雲崇正) 次に、水害対策について質問します。 9月8日から9日にかけて関東に上陸した台風15号により、千葉県を中心に、主に強風による被害が多く発生しました。その復旧が進まぬ中、10月12日から13日には台風19号が上陸し、中部・関東・東北地方に大雨による河川の氾濫と強風、土砂災害を引き起こし、数十年来の被害をもたらしました。 新宿区においては幸い死者は出ませんでしたが、床上・床下浸水や倒木、建物の損傷などの被害が出ました。もう少し長い時間雨が降り続ければ、より大きな被害が出た可能性があり、台風による水害対策の必要性を改めて痛感させられました。 首都直下地震の対応と違い、台風の上陸までは時間があるため、対策と対応をしっかりと行えば、区民の生命と財産を守り、被害を最小限にとどめることができます。今回、そのような視点での新宿区の水害対策などについてお伺いします。 まず、避難指示の伝達方法について伺います。 平成31年3月に内閣府より「避難勧告等に関するガイドラインの改定」が示され、その中では警戒レベル3で高齢者は避難、警戒レベル4で全員避難となっています。 今回の台風では、他自治体において避難指示や勧告が出たとのテレビ報道を見るにつけ、浸水危険地域にお住まいの方々は、自分たちにいつ避難指示が出るのかと不安と恐怖の気持ちで過ごしていたと思います。 新宿区が避難指示・勧告を区民に伝える方法としては防災スピーカーや広報車、徒歩での呼びかけなどが考えられます。しかし、一人ひとりに確実に伝えるためには、あらとあらゆる手段を事前に検討することが必要だと考えますが、今後とり得る手段も含めてお答えください。 次に、水害時の避難所開設と避難体制の強化について伺います。 現在の新宿区の水害時の避難体制は、神田川と妙正寺川に氾濫の危険が迫った場合、戸塚特別出張所を除く9の出張所と小中学校など31カ所が避難所に指定されており、区の責任において開設されることになっています。 しかし、注意しなくてはならないのが水害時の避難所が地震発生時と異なる地域があること、そして水害時の避難対象者が地震時の自宅避難が困難な区民だけでなく、対象地域の方全員が避難することになることです。この点を踏まえて、事前の準備と体制づくりを行わなければならないことは言うまでもありません。 避難所が地震発生時と異なる地域があることについては、対象地域の区民への徹底的な周知のみならず、消防などの関係機関との情報共有も災害発生時の的確な避難と混乱防止のために非常に重要なことですが、現在の取り組みと今後の課題をお聞かせください。 また、大地震発生時と異なり、自宅避難が困難な区民だけでなく、対象地域の方全員が避難することから、事前の体制づくりをしっかりと行っておくことが重要です。 現在、避難所に指定されている津久戸小学校の避難対象地域は17町会で、そこに住む区民は11月1日現在、1万2,247人です。大地震時の津久戸小学校の収容想定人数は1,000人ですが、水害時には一時的にその10倍以上の人が殺到する可能性があります。 警戒レベル4の全員避難が発令された場合、このままではパニックが起こることは避けられないと思われます。 そこで、例えば津久戸小学校に避難してきた方で徒歩での移動に支障のない方などは、近くの愛日小学校や牛込第三中学校に移動していただくことなど、2段階の避難を想定して避難体制の仕組みをつくるといった検討の必要があると思いますが、区長の見解をお聞きします。 そして、その体制づくりを整えた後に水害時の避難訓練を行うことにより、地震時との避難所の違いを周知し、また命を守る避難行動を促すことにつながると思いますが、あわせてお答えください。 水害時の帰宅困難者対策について伺います。 11月19日の防災等安全対策特別委員会における台風19号に関する報告の中で、10月12日10時から13日の12時まで、区内10の地域センターを自主避難所として開設し、300名の方が避難されたとのことでした。そして、83名の方が区外と外国の方だったということです。 新宿区に来ている来街者の中には、電車がとまり帰宅できない方や、自分の住む地域に避難指示が出ており新宿区にとどまる人も多いと思います。 今回は、新宿区が開設した自主避難所で帰宅困難者を受け入れましたが、先ほど申し上げたとおり、避難指示が出た際、各出張所は区民の避難所に指定されています。帰宅困難者と区民避難者の避難する場所を早急に整理し、対応を検討するためにも東京都との話し合いが重要だと思いますが、現時点での取り決めと今後の課題をお聞かせください。 被害状況把握のためのSNSの有効利用について伺います。 今回の台風19号の際には、新宿区内の多くの消防団員の方が警戒に当たられました。ある消防団員の方から、「排水溝の詰まりや倒木情報を無線で分団本部に報告し、それを今度は団本部に無線で報告する。そして、対処をどうするのかを今度は団本部から分団本部へ、さらに現場に出ている消防団員へと指示を出しているが、時間がかかり過ぎるため効率が悪い。スマートフォンなどで現場の状況を写真に撮り、住所などを入力し、前もって決めておいたアカウントに送信して指示を仰ぐ方法をとったほうが災害状況の把握も速やかに行え、指示もすぐ出せるため、現場の消防団員の負担も減る」との話がありました。 区としても、災害現場に向かう職員との情報伝達・共有に向けて、このようなシステムづくりをすることにより迅速な対応が可能になると思いますが、区長の見解を伺います。 また、さらに一歩進めてこのような方法をとった消防や警察との情報共有も視野に入れて検討することも有効だと思いますが、あわせてお答えください。 ◎区長(吉住健一) 水害対策についてのお尋ねです。 初めに、避難指示の伝達方法についてです。 区は、震災時や水害が発生するおそれがある場合には、防災行政無線、広報車、公式ホームページやSNS、エリアメール、防災気象情報メールなどを活用して区民へ情報を伝達することとしています。 現在、情報収集の手段としては、インターネットやSNSが主流となってきていますが、区民の中にはこのような機器を利用されていない方もいらっしゃいます。 また、区内においては建物環境や構造上から、防災スピーカーの音声が聞こえない場合も想定されます。 今後、情報伝達の地域の課題等について防災区民組織や民生委員など、地域の皆様と十分に協議するとともに、新たな情報伝達手段の開発等も研究し、災害時に確実に情報を伝達できるよう取り組んでまいります。 次に、水害時の避難所開設と避難体制の強化についてのお尋ねです。 初めに、水害時の避難所と震災時の避難所が異なることの周知についてです。 水害時の避難所と震災時の避難所が異なることについては、地域防災協議会や防災勉強会など、さまざまな機会を捉えて周知しています。 しかしながら、今回の台風では、水害時と震災時の避難所の違いが十分に伝わっていないようなお問い合わせもあったことから、より一層の周知に取り組んでいく必要があると考えています。 今後は、広報新宿や公式ホームページで水害時の避難所を広く周知するとともに、特に浸水想定地域にお住まいの方に対しては、避難所防災訓練などで、その地域の水害時の避難所についてしっかりと周知してまいります。 次に、災害時の的確な避難と混乱防止についてです。 災害発生時の的確な避難と混乱防止のためには、消防・消防団・警察などと緊密に連携することが重要であると考えています。 そのため、区には現在、東京消防庁と警視庁の職員が派遣されており、平常時から派遣職員を中心に消防、警察との連携を深めるとともに、震災時や水害の発生のおそれがある場合には、消防、警察、自衛隊から連絡員が派遣され、迅速に情報共有を図り、災害対応を行っています。 引き続き、消防等の関係機関とは区の災害対策本部訓練への参加を依頼するなどし、連携の強化を図ってまいります。 次に、水害時の避難体制の仕組みづくりと避難訓練の実施についてです。 台風19号では、多くの人が自宅にいると不安であるとの理由で、自主避難所に避難されました。 御指摘のとおり、水害の規模によっては1カ所の避難所で収容できない場合も想定されますが、浸水想定地域であってもマンション等の中高層階は安全な場合がありますので、垂直避難も含め、状況に応じた適切な行動をとっていただくよう、区民への周知啓発を一層推進してまいります。 なお、避難所があふれるような状況になった場合は避難所間で調整するとともに、状況に応じては避難所以外の区施設を開放して対応します。 具体的な移動手段としては、警察や消防の協力を得て職員が安全を確保しながら誘導します。また、要援護者についてはタクシー会社との災害協定に基づき、車両の提供を受けて実施します。 このような2段階避難や協定の実効性を高めるために、今後シミュレーションなども行い、避難体制の充実を図ってまいります。 さらに、平成30年7月豪雨を踏まえた国の防災会議の報告では、「自らの命は自らが守る」意識の徹底と、住民が主体となった避難訓練などが必要であるとされていることから、今後、防災区民組織等と水害対策についての議論を深め、実効性のある避難訓練の実施について検討してまいります。 次に、水害時の帰宅困難者対策に関する東京都との取り決めと今後の課題についてです。 今回の台風19号で自主避難所へ避難された方のうち、50名が区外の方でした。そのうち、江戸川区から来られた方は、居住地全域に避難勧告が発令されたため、新宿区へ避難したとおっしゃっていました。 墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区の江東5区では、荒川や江戸川の氾濫の危険性が高まった場合には、広域避難を実施することとしています。 現在、具体的な避難方法等については江東5区広域避難推進協議会及び都の広域避難の実装に向けたワーキンググループでシミュレーションなどを行い、検討が進められています。 新宿区も本ワーキンググループに参加していますので、水害時の広域避難については今後も都や関係自治体と緊密に連携し、避難所の確保などの水害対策を強化してまいります。 次に、被害状況把握のためのSNSの有効利用についてのお尋ねです。 初めに、災害現場との情報伝達・共有に向けてのシステムづくりについてです。 区の災害態勢における災害現場との情報伝達は、携帯電話と携帯型の防災無線で実施しています。 御指摘のスマートフォン等を活用した情報伝達システムについては、どのように構築していくのかが効果的なのかを先進自治体や都とも確認しながら研究してまいります。 また、消防や警察との情報共有については、現在各署から派遣される連絡員を通して情報共有を図り、応急活動等を実施しています。 関係機関とシステム上で画像等の災害情報を共有することは、迅速な応急活動につながるものと考えています。 スマートフォン等を活用した情報連携のあり方については、消防、警察に確認しながら検討していきます。 ○議長(吉住はるお) ここで、議事進行の都合により休憩します。 △休憩 午前11時57分--------------------------------------- △再開 午後1時15分 ○議長(吉住はるお) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 ◆16番(三雲崇正) 最後に、新宿区の産業振興・経済施策について伺います。 新宿区産業振興基本条例は、前文において、「産業は、私たちの生活と地域社会に密接な関わりを持つものである」とし、産業が提供する財やサービスが私たちの生活上の必要を満たすとともに、その循環が新たな財やサービスを生み出し、地域ににぎわいと豊かさをもたらし、私たちの生活を向上させ、地域社会を発展させてきたとしています。 しかし、最近の「産業と企業等の事業活動に関する調査」では、事業主の高齢化や事業所数の減少傾向が明らかになっており、「新宿区中小企業の景況」でも、情報通信産業などの一部の業種を除いては厳しい業況が続いていることがうかがわれます。 アンケート調査に対する回答の過半数が「売り上げの停滞・減少」を経営上の問題点として挙げ、ほかにも「人手不足」「同業者間の競争の激化」を課題として挙げています。 こうした中、新宿区は平成30年3月、産業振興基本条例に基づく産業振興プランを策定し、「企業・創業者・就業者の増加を軸とした好循環」「来街者の増加を軸とした好循環」「革新と創造に取り組む企業の集積」を基本目標とし、平成30年度からの3カ年の第一次実行計画の「賑わい都市・新宿の創造」の個別施策10、11及び13に掲げられた事業を実施することとしています。 この質問では、まず、これらの事業のうち、産学連携、創業支援、空き店舗問題への取り組み、そして新事業創出について伺います。 まず、産学連携の取り組みについては、「地域資源を活用した事業への助成による商店街の魅力づくり」を目標として、十二社商店親睦会、牛込中央通り商店会、高田馬場宮田商店会、さかえ通り商店会、そして明和会、戸山ハイツ西通り商店会がそれぞれ区内の大学と連携して平成29年度から3カ年計画で取り組んでおり、ことしはその最終年度です。 そこで、本事業においてどのような地域資源をどのように活用した結果として、商店街の魅力向上との関係でどのような効果があったのか、区の評価をお聞かせください。 また、本事業の課題をどのように認識しているのか、及び来年度以降の本事業の取り組み方針についてお聞かせください。 次に、創業支援については、平成30年度からビジネスプランコンテストを実施し、最終審査対象者である起業予定者に対しては、高田馬場創業支援センターにおけるオフィス使用料を最長2年間免除するなどの支援を行っていますが、こうした支援を受けた起業予定者が実際にスタートアップ企業として順調に成長しているのか、その成果をお聞かせください。 また、創業支援センターについては、産業振興プランにおいてシェアオフィス事業と民間のインキュベーションセンターとの連携を進める計画が示されていますが、その取り組み状況と成果、そして創業支援センター利用終了後の事業者の区内定着の実績についてお聞かせください。 あわせて、創業支援センターに関する今後の施策の方針についてもお伺いします。 次に、空き店舗問題への取り組みについては、現状、区のホームページから民間不動産事業者のホームページへリンクを張って物件情報を紹介するだけであり、これ自体は空き店舗問題の効果的な解決にはならないと思われます。 実際に有効性があるのは利子と保証料を全額補助する「空き店舗を使った融資制度」であると思われますが、その利用実績と利用事業者のその後の区内定着状況をお聞かせください。 また、区のホームページを見ると、「空き店舗検索サイト」の中で、「空き店舗を使った融資制度」のタブが設けられていますが、事業者が強い関心を持つ融資制度をもっと前面に押し出し、その中で「融資制度を活用できる物件」という形で空き店舗情報を提供したほうが利用実績につながるのではないかと思われますが、区の所見をお聞かせください。 さらに、この事業と創業支援を組み合わせ、例えば、ビジネスプランコンテストの最終審査対象者に対し、区内の空き店舗を活用した場合には、改装費用や家賃の一部補助などといったさらなる支援を行うことにより、スタートアップ企業の区内定着に資するのではないかと考えますが、区の所見をお聞かせください。 次に、新事業創出の取り組みについては、平成30年度から新製品・新サービスの開発支援助成を行っています。 平成30年度は7件が採択されていますが、製品化やサービス提供の成果はどのようなものであったのか、またその後の取り組みについてお聞かせください。 また、製品化やサービス提供につながった案件について今後どのようにかかわっていくのか、区の方針をお聞かせください。 区内中小事業者の活性化は、これまでお聞きした支援や助成だけでは十分ではなく、実際の売り上げ増加があって初めて実現するものです。 この点、ことし制定された公契約条例では、地域経済の活性化を目的とし、さらに公契約に係る基本方針として第4条第4号において、「区内の事業者が公契約に係る業務を請け負い、又は受託すること及び区民が公契約に係る業務に従事することができる機会を確保するよう努めること」と規定しています。これは、区内調達を求める規定ですが、実際にはどのような措置を講じているのかお聞かせください。 また、入札の際には下請や再委託、資材調達等に関して区内調達比率に関する目標値を設定し、その達成を促すといった措置も可能であると思われますが、区の所見をお聞かせください。 最後に、最近の経済施策に関する区の見解をお尋ねします。 平成27年度の地域飲食券事業では、事業費5,700万円のうち2,700万円、約47%が飲食券発行業務の委託事業費として支払われ、また今年度のプレミアム付商品券事業でも、事業費約8億7,000万円のうち約3億2,500万円、約37%が委託事業費として支払われることとされています。 地域飲食券事業は、区外からの来街者の誘致や個人消費の活性化を目的としたものであり、プレミアム付商品券事業は消費税率の引き上げに伴い、住民税が非課税の方や子育て世帯への影響を緩和するとともに、地域における消費を喚起・下支えすることを目的としたものです。 つまり、いずれも地域経済の活性化を目的とした事業ですが、その事業費の多くが手数料として区内中小事業者とは無関係の委託事業費に流れています。区内の消費活性化という目的との関係で効率的な事業費の活用ができていないと言わざるを得ません。 これは、国の事業設計の際に自治体みずからが発行業務に従事した場合の人件費は事業費として取り扱うことができないとされたため、外部事業者に委託せざるを得ないことによります。新宿区としては、事業を行うか否かを選択可能ではありますが、実際には区民や区内事業者をいわば人質にとられたような形で外部事業者への多額の事業費の支払いを選ばざるを得ない状況です。 また、2万円を先に支払って5,000円分のプレミアムがついた商品券を購入するという仕組みは、低所得者にとって負担が大きいものです。対象者に対して5,000円分の商品券を交付するほうが端的であり、消費税の影響緩和という目的との関係で適切であると思われます。     〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕 このように国の事業設計に問題がある経済振興策が散見される中、生活の現場と密に接する地方自治体として是正を求めるべきではないかと考えます。 これらの事業についての区の認識と、国に対して意見を述べることについてのお考えをお聞かせください。 ◎区長(吉住健一) 新宿区の産業振興・経済施策についてのお尋ねです。 初めに、産学連携の取り組みである「大学等との連携による商店街支援事業」にどのような効果があったのかの評価と本事業の課題、来年度以降の取り組み方針についてです。 区では、平成29年度から「大学等との連携による商店街支援事業」を実施しており、御指摘の4事業は今年度最終年度を迎えます。 事業の効果として、例えば早稲田大学では、学生が開発したスマートフォンアプリを活用し、商店街のお店へ来店するとポイントを取得できるウォークラリーを行い、学生や職員を商店街へ誘導する仕組みを構築しました。 その結果、行動範囲が広がり、新しいお店の利用につながったほか、商店会の皆さんとのコミュニケーションのきっかけづくりにもなっています。 また、他の商店街においても、それぞれの魅力づくりに一定の効果があったと評価しています。 一方で、連携事業の終了後もそのような効果が継続することが重要です。そのため、商店会に対しては持続的な取り組みに向けた支援を行うとともに、大学に対しても協力をお願いしていきます。 今後も新たな連携に向けて大学等と商店会のコーディネートを行っていくとともに、連携が終了する商店会も含め、それぞれの状況に合わせた支援を行い、商店街の魅力のさらなる向上を図っていきます。 次に、創業支援についてのお尋ねです。 ビジネスプランコンテスト最終審査対象者である起業予定者の成果については、対象者6名のうち3名が高田馬場創業支援センターに入所し、3名とも既に起業して、ほぼ順調に事業を拡大しつつあります。 高田馬場創業支援センターと民間インキュベーションセンターとの連携の取り組み状況と成果については、東京信用保証協会との情報交換会やシェアオフィス運営者勉強会への参加など、公的支援機関を含め、ネットワークの構築を図り、利用者へのサービスへつなげているところです。 また、センター利用終了後の区内定着を目指し、区内のシェアオフィスと連携し、お互いの支援情報を利用者に周知するとともに、センター利用終了後の移転先候補となるようにパンフレットの配架や施設の紹介を行っています。 高田馬場創業支援センター利用終了後の区内定着の実績については、昨年度は12名中8名が、今年度はこれまで7名中6名が区内で事業所を開設しました。 今後の高田馬場創業支援センターの施策の方針については、引き続き区内の創業拠点として位置づけ、民間のシェアオフィスの動向等を注視しながら運営してまいります。 次に、空き店舗問題への取り組みについてです。 商店街空き店舗活用資金の利用実績と利用事業者のその後の区内実績については、これまでに23件の実績があり、約8割の方が新宿区で事業を継続しています。この制度がより多く利用されるように、今後も周知に努めてまいります。 次に、融資制度を活用できる物件という形で空き店舗情報を提供することについてです。 区では、空き店舗検索サイトを広く知っていただくため、専用チラシや区ホームページにバナーを設けるなど、さまざまな情報提供による活用促進を図っているところです。今後も、御指摘の内容も含め、必要とする方が必要とする情報を取得できるように検討してまいります。 次に、区内の空き店舗を活用した場合の改装費用や家賃の一部補助など、スタートアップ企業の区内定着に資するさらなる支援を行うことについてです。 区では、高田馬場創業支援センターを中心とした創業支援の中で、同様の補助である東京都中小企業振興公社が実施する創業助成事業を紹介するなど、今後も必要な支援を行うことにより空き店舗の活用を図るとともに、スタートアップ企業の区内定着を図ってまいります。 次に、新事業創出の取り組みである平成30年度の新製品・新サービス開発支援助成の成果とその後の取り組みについてです。 平成30年度に新製品・新サービス支援助成事業に採択した7件については、「冷間燻製」を容易につくることができる燻製の開発やデイサービスで食事・栄養管理が容易にできるアプリの開発、心拍・呼吸・体動を把握するセンサーを活用した高齢者等の安否確認機器の開発、また都市型災害に対応した被害推定情報配信に向けたシステムの開発など多岐にわたっています。 このうち6件については開発・製品化されており、その後、製品の販売やアプリなどのサービスを開始したものもあります。 今後は、補助した製品等についての各事業者の取り組み状況を3年間、毎年度継続して調査し、効果の検証を行ってまいります。 次に、製品化やサービス提供につながった案件について今後どのようにかかわっていくかについてです。 区では、これまで本補助事業の利用事業者に対して、展示会等への出展補助の利用や新宿商談会への参加などの勧奨を行い、販路拡大等への支援を行っています。 また、東京都立産業技術研究センター主催の東京イノベーション発信交流会に事業者を推薦し、事業者の幅広い情報発信につなげています。 引き続き案件に応じた必要な支援を提供するとともに、事業者が取り組む事業をホームページなどに掲載し、広く周知してまいります。 次に、新宿区公契約条例第4条第4号について、実際にはどのような措置を講じているかについてのお尋ねです。 新宿区公契約条例は、公契約の手続及び履行に係る基本的方針等を定め、区民サービスの向上及び地域経済の活性化に寄与することを目的としています。 公共サービス調達に当たっては、指名競争入札参加者指名基準に基づき、工事においては区内に本店または支店、営業所等が所在し、当該営業所等において契約締結の権限を有する者を置いている者、物品の買い入れ等においては区内に本社または主たる営業所を有する者などを他の者に優先して指名することができる扱いとし、区内の事業者を優先して指名しています。 さらに、予定価格130万円以下の小規模工事については、競争入札参加資格審査の申し込みができない区内事業者を対象とした登録制度を設け、各部署が工事を発注する際に活用することで受注機会の拡大を図っています。 次に、入札の際に下請や再委託、資材調達等に関して区内調達比率に関する目標値を設定し、その達成を促すといった措置についてです。 公共サービス調達における入札では、第一義的に競争性、公正性、透明性の向上が原則であり、その上で良好な品質を確保することが求められています。 入札の際に下請や再委託、資材調達等の区内調達を受注者に要請することはできますが、御指摘のような区内調達比率に関する目標値を設定し、その達成を促す措置をとることは、区内事業者における技術者数や手持ち工事の数、手持ち資材数等にはばらつきがあるため、公契約の受注に支障を来す場合もあるのではないかと考えています。 他自治体の状況等も参考にしながら、新宿区内の調達がより一層促進されるよう研究してまいります。 次に、地域飲食券事業及びプレミアム付商品券事業に対する区の認識と国へ意見を述べることについてのお尋ねです。 地域飲食券事業及びプレミアム付商品券事業は、国の責任において、それぞれの事業による政策目標を果たすために実施されたものです。区は、その事業を適切に実施することにより区民の利益が図られるよう、御指摘の委託事業を実施しています。 これらの事業のあり方については、一定程度課題があることを認識しておりますので、実績報告などの機会を捉え、国へ伝えてまいります。また、引き続き地域の実情に合った経済振興策を要望してまいります。 ◆16番(三雲崇正) 区長及び教育委員会から御丁寧な御答弁をいただきました。 幾つかコメントをさせていただきたいと思っております。 1つ目が外国籍の子どもの教育です。区長と都知事との意見交換をユーチューブで拝見しました。その中で、都立高校の入学について外国籍のお子さんに関して要望をされたことも見ておりまして、大変大事なことをおっしゃっていただいているというふうに思っております。 他方で、外国籍のお子さんの教育については義務教育じゃないんだというお話もあるかと思うんですけれども、やっぱりこれは子どもの権利であって、親の側の権利義務の問題ではないんだろうというふうに私は思っております。 そういった意味では、就学案内を超える個別具体的な就学支援というものをこれから実態把握も踏まえてやっていただきたいというふうに要望いたします。 それから、医療的ケア児への対応についてです。 昨日、区議会の議員研修がありまして、そこでパラリンピックのバスケットボール元日本代表キャプテンの根木さんという方の話を伺いました。その中で、障害というのは障害者の側ではなくて社会の側にあるんだと。要するに、障害者にディスエイブルドという属性があるんじゃなくて、社会の側にバリアがあるんだということをおっしゃっていて、やはり障害のある子どもが社会の中でしっかりと学ぶことができる、また保育されるということが重要だというふうに改めて感じましたので、その環境整備は本当に大事だというふうに思っております。 その意味で、保育園について引き続き研究されるということですけれども、他区の状況も踏まえてしっかりと研究をしていただきたいというふうに思っております。 最後に水害対策なんですけれども、当然自助と共助が第一歩であって、まず行政の支援を受けられる安全な場所に自分で逃げてこられるということが大事だと思うんで、そのときに先ほど「垂直避難」というお言葉がありまして、これはまたそれで混乱を招くのかなという感じがしております。要するに、どこに逃げればいいか、いまだに水害に関しては混乱がある中で「垂直避難」という言葉も出てくると、区民の方々、自分はどうすればいいんだということで混乱することがあると思いますので、そこは情報の周知と避難訓練というのをしっかりしていただきたいということ。 それから、また垂直ということは高層階に住んでいる方の住居に低層階の方であるとか周辺の方が流入するという可能性もあるのかなという感じがするんですが、そうすると、自分の住居に人がやってくるという場面も想定されるわけで、やっぱり混乱が出るのかなというふうに思っております。 そのあたりをうまく整理して、区民の方々に情報提供をしっかりしていただきたいというふうに思います。 以上です。御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手) ○議長(吉住はるお) 次に、30番えのき秀隆議員。     〔30番 えのき秀隆議員登壇、拍手〕 ◆30番(えのき秀隆) 新宿未来の会のえのき秀隆です。代表質問いたします。 まず、この秋以降、台風を初め、豪雨により土砂災害や河川の氾濫などにより日本全国で甚大な被害が生じました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、深い悲しみにある方々に衷心よりお悔やみいたします。 2カ月近くたった現在でもいまだに災害の爪跡が残っており、本格的な冬の到来前に被災者に寄り添った施策が講じられることを望むとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げ、一日でも早くもとの生活に戻れることを祈念いたします。 以上を申し上げ、以下質問に入ります。 まず初めに、区財政と区有施設の在り方について伺います。 我が国の人口は19世紀中盤から急速に増加し、平成20年に1億3,000万人弱とピークに達して以降は減少傾向が続いています。 今後も先進国では類を見ないほど急加速度的に大幅な人口減少を受け入れていくことになります。 これからの経済情勢、自治体を取り巻く地域社会、社会保障制度、国家や地方自治体の財政など全般にわたり人口減少問題が影を落とすことになります。 区においては、新宿区新宿自治創造研究所の人口推計などの研究成果を活用し、政策立案を行ってこられているところであります。 さて、ことし10月に新宿区が発行した財政白書の投資的経費の項目では、区有施設整備について方針が示されています。「新宿区公共施設等総合管理計画」を踏まえ、必要性、緊急性、優先度、経済性などの観点から十分な検討を行い、中長期的な視点に立って計画的に整備を実施していくとのことです。 この4つの観点のうち前者の3つの要素、必要性、緊急性、優先度と残りの経済性は時に相反する概念となります。ともに両立が難しい場合はどちらかを優先させなければなりません。 そこで2点伺います。 1点目は、施設のあり方について伺います。 区長は、今後の新宿区の人口推計をどのように捉え、区有施設のあり方検討を進めていかれようとされているのか、御見解をお聞かせください。 2点目は、個別施設のあり方についてです。 我々が各種議論の場で個々の施設について触れてまいりました。本庁舎新設について、特別出張所の存廃について、区立図書館の今後について、さらに中強羅区民保養所、区民健康村のあり方についてなどです。それぞれのテーマに対してどのような御所見をお持ちかお聞かせください。 次に、災害対策について伺います。 冒頭でも申し述べましたが、この秋は台風や秋雨前線の停滞による被害が日本全国で顕著となりました。国と各自治体が連携しつつ行ってきた河川、下水道の整備、河川流域対策は一定の効果をもたらしたとも言えますが、想定を超える事態が続出し被害が拡大しました。 新宿区においては区長を先頭に、今回の台風並びに大雨に対して危機管理課を中心にした災害対策本部を設置され、これまでは50名から70名体制で行ってきた警戒を約320名の体制に組みかえ、対応されたとのことであります。 特に今回は自主避難所も開設をされたことにより、初めて地域活動班を編成、特別出張所への派遣が行われたと伺っております。 これまで御苦労を重ね研修や災害対策本部訓練を行ってきた成果が遺憾なく発揮され、円滑な自主避難所運営がなされていたとのことであります。危機管理課を初め、区職員の皆さん、関係者の皆様には改めて敬意と感謝を表したいと思います。さらに今後の御活躍を期待しつつ、3点伺います。 第1点目は、災害対策本部について伺います。 災害については、今般の水害だけではなく震災やテロにも対応しなければなりません。地域防災計画では震災、水害を想定し、災害対策本部態勢について定めており、国や都の修正を踏まえて適宜見直しを行っておられるとのことであります。 応急活動体制の強化、訓練や研究会への参加促進、出張所と災害本部の情報共有に関してこれまでの取り組みと今後の課題について御見解をお聞かせください。 第2点目は、避難所運営体制の充実について伺います。 平成10年より自主防災組織を基盤として避難所運営協議会が整備され、訓練などを重ねてこられているとのことであります。言うまでもなく、避難所にはさまざまな区民が訪れることが想定されます。備蓄物資などにもできる限りの配慮が求められます。また、昨今の水害では千葉県を中心に大規模停電が長期間継続するという事態も発生しました。非常用発電設備については、本庁舎と防災センターが72時間で、それ以外の施設はおおむね48時間の対応となっているようです。 備蓄物資や非常用発電設備も状況に合わせた準備が求められると考えます。避難所運営体制の充実に関して、現在の区のお考えをお聞かせください。 第3点目は、災害時の情報伝達について伺います。 進化した情報化社会において災害時の情報伝達に肝要なことは、情報の正確性、迅速性、確実性を確保することです。情報収集と発信については、昨年第4回定例会で質問させていただきました。答弁を踏まえ、質問させていただきます。 情報伝達に関しては、防災行政無線、広報車、インターネット、SNS、Lアラートなどを整備し、定期的な訓練を行われているとのことです。また、昨今多くの国民に活用されているSNSでの発信についても検討段階に入られているとのことでした。 今回の台風では区民への情報伝達方法などの重要性が認識されましたが、この秋の水害などの経験も含め、現在の課題と今後の対応について区のお考えをお聞かせください。 次に、プログラミング教育について伺います。 御案内のとおり、来年からプログラミング教育が区立小学校で始まります。グローバル化、情報化が急速に進む社会において、新しい時代を生き抜くための教育は、日本だけでなく先進国においては当たり前のように推し進められています。特にプログラミング教育に関しては初等教育から導入する国家がふえている傾向があり、国家間の競争力確保という点でも注目をされています。 このような背景もあり、文部科学省主導のもとにプログラミング指導が実施段階へと進もうとしています。 これまで新宿区においては、ICTを活用したプログラミング教育などを全小学校で検討、モデル実施するため、事業費などを確保し、特別教室のICT機器の更新や新学習指導要領に対応したデジタル教材などを活用しつつ、効果的な指導を模索されてきました。中には、実践的な研究も含まれていたことと存じます。 そこで、3点伺います。 第1点目は、プログラミング言語、教材の選定について伺います。 現在、各小学校に導入されているICT機器にインストールされている言語は「ビスケット」「スクラッチ」ということであります。これらの言語は一般的に初期学習に適していると言われています。ただ、このほかにも教育用プログラミング言語は存在しています。また、プログラミング学習においては、教材として基盤、ロボットなどをあわせて活用することで、動きや音と光といったような直感的な動きを理解する学習が可能となります。 言語や教材の選定に関して、これまでの経緯とこれからの方針についてどのようなお考えを持っておられるのかお聞かせください。 第2点目は、ICT機器やソフトの更新についてです。 プログラミング教育の実践のための教育用のパソコン、ネットワーク、周辺機器の整備については更新をいかに効率的に行うかというテーマが存在します。 区立小、中、特別支援学校の特別教室などにおいて全て対応していくということになると、費用も莫大になります。 当然これらの機器は資産として適切な運用と管理を求められることになります。昨今のIT関連機器の変遷のスピードを考えれば、機器の調達から運用、廃棄に至るまでの流れをコントロールしていくことは容易ではありません。無駄な調達にならないように一元管理していくことも肝要かと思います。 学校施設において今後のICT機器、ソフトの更新に関しての御見解をお聞かせください。 第3点目は、教員育成について伺います。 一般的に教員の年齢を考慮すれば、プログラミングの学習を受けていない世代がほとんどと言えます。指導方法や教材の活用方法について十分な準備が必要であることは言うまでもありません。 これまでも、新任、転入の教員向けの研修や令和2年度からのプログラミング教育の実施を踏まえた研修の場を関係者に対して提供されてきたことと存じます。 新しい取り組みを行う際は、しばらくの間、指導方針や実施に関して試行錯誤しながらの運営が予想されます。引き続き人材や教材の強化に関して効率よく体制を整えていく必要があると考えます。これまでの取り組みに対する評価と今後の方針をお聞かせください。お願いいたします。 ◎区長(吉住健一) えのき議員の御質問にお答えします。 区財政と区有施設の在り方についてのお尋ねです。 初めに、区有施設のあり方についてです。 新宿自治創造研究所が作成した2015年国勢調査に基づく新宿区将来人口推計では、2065年の人口は33.6万人で、基準年である2015年と同規模の人口となっています。 しかし、15歳から64歳の生産年齢人口が減少する一方で、65歳以上の人口は増加し、高齢化が進展していく中で社会保障関連経費の増大が見込まれます。 また、現在、約180棟ある区有施設の半数以上が建設後30年以上経過しており、今後老朽化が進むにつれ、施設の維持管理に係る経費の増大も懸念されます。 こうした状況の中、施設からサービスへの発想の転換、効果的・効率的な施設等の管理、必要な施設等の適切な維持を基本方針とする公共施設等総合管理計画に基づき、施設の長寿命化や複合化、廃止などの区有施設マネジメントに取り組んでいるところです。 次に、個別施設のあり方についてのお尋ねです。 区役所本庁舎については、来庁される誰もが利用しやすい施設であることや、多様化、複雑化していく行政需要に対して質の高い区民サービスを提供していく拠点であること、また区民生活の安全と安心を支える防災の拠点となることなど、多岐にわたる機能が求められています。 現在の本庁舎は、免震化工事完了から20年程度は適切な維持管理等を実施しながら使用可能と判断しておりますが、新庁舎の建設には第一分庁舎、第二分庁舎などの分散している庁舎の統合や新庁舎の役割、資金調達の方法などさまざまな課題があることから、長期的な視点に立った慎重かつ広範な検討が必要と認識しております。 今後も区役所本庁舎の機能を最大限発揮できるよう、区民や議会の皆様の御意見を伺いながら検討してまいります。 次に、特別出張所の存廃についてです。 特別出張所は地域におけるミニ区役所として、各種届出書・請求書・申請書等の受け付けや証明書の交付等、150種類を上回る各種窓口サービスを行っており、平成30年度の取り扱い件数は10所で90万件を超えています。とりわけ住民基本台帳事務における住民異動取扱件数は区全体の約4割、各種証明書発行数は約5割を占めています。 また、地域コミュニティの中核としての機能を有し、日ごろから町会・自治会や地区協議会等への支援や地域の安全、まちの美化等への対応を行っています。 さらに、災害時には地域の防災拠点として管内における被災場所の現地調査や各避難所の運営状況の把握、帰宅困難者の一時受け入れ先となる地域センターとの連携等の機能を持たせています。 特別出張所は、こうした総合窓口や地域コミュニティの拠点であると同時に、災害時の地域拠点として重要な役割を担っている施設であると認識しています。 そのため、お尋ねの存廃を含めた特別出張所のあり方については、現況を踏まえるとともに、他自治体の状況把握にも努め、引き続き研究してまいります。 次に、中強羅区民保養所及び区民健康村のあり方についてです。 お尋ねの2施設は、区民の健康増進、余暇活動の充実を図るための施設として運営しており、毎年4万人を超える方に御利用いただいております。 これらの区民保養施設は、公共施設等総合管理計画で、「多様化する区民ニーズに対応する民間のサービス供給が見込まれることから、将来的に区有施設は廃止し、大規模な改修や建てかえの時期に合わせ、民間サービスへ移行すること」としています。 そのため、当面、施設の維持管理や安全対策上の工事を行いつつ、施設機能を維持し、大規模改修や建てかえ時期に合わせて、バウチャー制度や自治体間の相互利用等、引き続き保養所サービスのあり方について研究してまいります。 次に、災害対策についてのお尋ねです。 初めに、災害対策本部についてです。 区は、発災時に区民の生命、財産を守るために、毎年全庁的な災害対策本部訓練を実施し、災害即応力を高めるとともに、災対各部においても自所属の活動業務を踏まえた訓練や研修会を行うなどし、応急活動体制の強化に取り組んでいます。 また、地域本部となる特別出張所については、職員の資機材訓練や災害情報システム操作研修、システムや無線による定期的な情報伝達訓練を行うとともに、地域活動班員についても研修会を行うなどし、災害対策本部との情報連携と地域本部活動の向上を図っています。 今回の台風19号は、幸い区内では人的被害や大きな建物被害は発生しませんでしたが、自主避難所での要配慮者や外国人への対応、交通機関の計画運休を見据えた職員の配備態勢、災対各部活動の一層の充実など、幾つかの課題も確認されましたので、今後、これらの課題等をしっかりと検証し、災害対策本部の体制強化に取り組んでまいります。 次に、避難所運営体制の充実についてのお尋ねです。 区は、震災発生に備え、防災区民組織を中心とした避難所運営管理協議会を各避難所に設置し、毎年勉強会や開設運営訓練を実施し、避難所運営体制の充実を図っています。 また、洪水や浸水等による被害が発生するおそれがあるときには水害態勢をとり、職員による避難所運営を行うこととしています。 震災や水害等による大規模停電時の電力の確保については、重要な課題であると認識しています。 そのため、定期的に東京電力や通信事業者と情報交換を行うとともに、避難所や区備蓄倉庫には食料や生活用品のほか、インバーター式発電を配備しており、来年度はスマートフォン等の充電に有効なマグネシウム式充電器の配備も計画しています。 今後も関係機関と情報の共有化を図り、避難所運営体制の充実を図ってまいります。 次に、災害時の情報伝達についてのお尋ねです。 区は、震災時や水害が発生するおそれがある場合には、防災行政無線、広報車、公式ホームページ、SNS、Lアラート等により区民へ情報を伝達することとしています。 台風19号の際は、早い段階から気象庁や国土交通省とのホットライン、都との情報連携、日本気象協会の新宿区ピンポイント予測などにより区内の詳細な気象情報を収集した上で、公式ホームページへの掲載と町会・自治会長への通知により注意喚起と自主避難所の開設を区民へ周知いたしました。 風雨の強まりを受け、また隣接区のエリアメールを受信した区民からは、「ホームページが開けない」「新宿区は大丈夫だろうか」などの問い合わせ等も多くありました。 引き続き、関係機関からの気象情報を迅速に収集するとともに、公式ホームページについては本年12月にアクセスが急増した場合にも対応できるよう改修し、区民の生命を守るための広報を的確かつ効果的に実施してまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 区立図書館の今後のあり方についてのお尋ねです。 区立図書館は、区民にわかりやすい情報を提供することや、読書を通じて子どもの健やかな成長を応援するなど、区民に優しい知の拠点として重要な施設と認識しています。 一方、区立図書館の多くは老朽化が進み、今後、維持・改修費の増大が見込まれており、現在、中長期修繕計画で長寿命化を図っているところです。 今後は、公共施設等総合管理計画でお示ししているとおり、社会経済状況を見据えて新中央図書館の建設、地域図書館については新たな大規模な改修等の際に、地域社会の知識基盤としての行政需要などを踏まえて、そのあり方及び施設総量を含め、総合的に検討してまいります。 次に、プログラミング教育についてのお尋ねです。 初めに、プログラミング言語や教材の選定の経緯と今後の方針についてです。 プログラミング言語や教材の選定に当たっては、文字が記入されたブロックを組み合わせるビジュアルプログラミング言語とプログラミングにより実機を制御するセンサやLEDを内蔵したロボット教材の比較・検討を行いました。 それぞれに長所・短所がありますが、学習指導要領に示された算数や理科の学習への対応状況、プログラミング的思考の育成に向けて、音楽や図画工作などさまざまな教科・領域で使用できる汎用性の高さ、学年に応じて段階的な指導ができることなどの視点から、教材の絞り込みを行いました。 検討の結果、小学校で求められるプログラミング的思考を効果的に学べる教材として、ビジュアルプログラミング言語を用いた「Switched on Computing(スイッチドオンコンピューティング)」を選定し、本年9月までに全小学校に配備しました。 今後の方針については、まずは今年度導入した教材を教育活動の中で有効に活用していくことが必要であると認識しています。 新学習指導要領では、例えば総合的な学習の時間にプログラミングの体験を取り入れ探求的な学習活動を行うことが示されており、各学校の実態に応じた学習活動を展開する中で教材を効果的に活用し、プログラミング教育の推進を図ってまいります。 次に、ICT機器やソフトウエアの更新についてのお尋ねです。 教育委員会では、平成21年度から教室環境のICT化を進めるため、区立学校の教育用ICT機器の整備に取り組みました。平成29年度から平成30年度にかけては、「子どもの学びを広げる」ことをコンセプトに、タブレット端末の導入や電子黒板機能つきプロジェクター、最新の実物投影への更新を行ったところです。 ICT機器の導入に当たっては、ネットワーク環境を整備した事業者と保守運用も含めて原則5年間のリース契約を締結しており、学校とも調整しながら必要台数を精査し一元管理を行うことで、ソフトウエアのバージョンアップにも対応した効率的な管理を行っています。 今後のICT機器及びソフトウエアの調達・更新については、費用対効果を見定めながら効率的かつ効果的なICT機器等の導入やソフトウエアの更新を行うことで、充実した教育環境の確保を図ってまいります。 次に、教員の育成に関するこれまでの取り組みの評価と今後の方針についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、プログラミング教育を学んだり体験したりしたことのない教員からは、プログラミングの授業を実施することに不安を感じているとの声も寄せられています。 そうした声を踏まえ、教育委員会では、プログラミング教育の実施に向けた準備を円滑に行うため、指導案や指導書、サンプルプログラムが附属したプログラミング教材を今年度全小学校に配備し、操作や指導方法に関する研修を全小学校で実施しました。 また、11月にはプログラミング教育推進校である落合第四小学校で実践報告会を行い、その研究成果を全小学校で共有しました。さらに、プログラミング教育の授業イメージを持って指導に当たることができるよう、愛日小学校で実践した算数の事例を授業モデルとした研修用動画を作成し、全小学校での共有を図ったところです。 こうしたさまざまな取り組みを通して、令和2年度からのプログラミング教育の円滑な実施に向けた教員のスキルや知識の習得が図られたものと評価しています。 今後の教員育成については、教員みずからがプログラミングの楽しさやおもしろさを味わえるような体験をプログラミング教材を用いて行い、各学校内での研修の機会の充実を図っていくことが重要であると認識しています。 あわせて、引き続きICT推進リーダー研修等の実施により、プログラミング教育の中核を担う教員を育成し、各校での実践を通して教員全体の指導力向上に取り組んでいきます。 さらには、プログラミング教育を指導する教員の不安や負担の軽減を図るため、ICT支援員による授業のサポートの充実を図るよう、ICT支援員の学校への派遣回数を増加させていくなど、支援体制の強化に取り組んでまいります。 以上で、答弁を終わります。 ◆30番(えのき秀隆) 区長並びに教育委員会教育長から御答弁をいただきまして、大変御丁寧でわかりやすい御答弁をいただきまして、どうもありがとうございました。 以上で発言を終わります。(拍手) ○議長(吉住はるお) 次に、12番大門さちえ議員。     〔12番 大門さちえ議員登壇、拍手〕     〔「頑張れ」と呼ぶ者あり〕 ◆12番(大門さちえ) 自由民主党新宿区議会議員団の大門さちえでございます。令和元年第4回新宿区議会定例会に当たり、会派を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。 ことしは異常気象によるところの台風や低気圧のもたらした豪雨など、自然災害による大きな被害を日本各地にもたらしました。とりわけ台風15号や19号、そして低気圧による豪雨では東日本の各地に川の氾濫などをもたらし、大きな被害を受けたところであります。 犠牲となられました皆様に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。 そのような中、10月22日には即位礼正殿の儀がとり行われ、引き続く秋晴れのすがすがしい11月10日には、多くの国民が見守る中、天皇皇后両陛下による皇居から赤坂御所までのパレードが行われました。 御即位を心からお祝いするとともに、天皇皇后両陛下のますますの御清祥と令和の時代の末永きことをお祈り申し上げます。 まず最初は、対策から、予防に軸足を置いた減災型の防災まちづくりについてです。 このたびの台風15号、19号やその後の低気圧のもたらした豪雨による災害などを見るにつけ、「対策から予防へ」ということこそが大切なことを改めて確認したことから、「予防」の視点を中心に見てみたいと考えます。 さらに、対策や予防については、ハードのみならず、必ずソフトを組み合わせることが対策や予防をより強固なものとすることを忘れてはならないと思っております。     〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕 昨今の地球温暖化の進行が原因とされる気候変動の影響による台風の巨大化や豪雨災害の激甚化などにより、洪水による大規模水害の発生が続いているところです。 最近の台風の巨大化や豪雨の状況を見ていると、必ずしも新宿区に無縁のこととも言い切れないように思うところであり、ハードとソフトのそれぞれの対策をさらに前に進めていかなくてはならないと改めて感じざるを得ないものと思います。 関東や信越、東北地方では記録的な豪雨となり、大きな災害をもたらした台風19号は、箱根町では降り始めからの総降水量が1,000ミリ超というものでありました。 このような豪雨も今日の気候変動の影響によれば、条件次第ではどの地域においてもあり得ることではないかと思うのです。 新宿区内の河川におけるインフラとして、ハード面から整備されている75ミリの河川対策の整備はとても重要であり、さらに整備を進めていくべきものでありますが、75ミリ対策で絶対ということはないものと理解することも重要であると思います。 このことは、豪雨ではまちがアスファルトなどに覆われることで地面にしみ込まず、一気に冠水する都市型水害を含めて、大規模水害もなしとは言えない今日の気候変動の状況と都市が持つ災害に対する脆弱性というものを区民が正しく認識し、理解できるようにする区の努力も必要と思うのでありますが、現状どのようにされているのでしょうか。 あわせて、このたびの台風19号に伴う豪雨では、箱根町の総降水量が1,000ミリ超など、多くの地域でこれまでにない過去最大級のものとなったところです。 都市型水害という点では、八王子市では下水道の逆流でマンホールから下水が噴き上げたり、川崎市では内水ハザードマップ以外の地域でも浸水したことなどが報じられてきましたが、本年の第2回定例会での我が会派の渡辺みちたか議員の一般質問に答えて、「神田川・環状7号線地下調節池と練馬区にある白子川地下調節池を接続する工事は、1時間75ミリの降雨に対処するために整備するものであり、工事が完了すると、下流域である当区の水害軽減に大きく寄与する」との答弁でありましたが、このたびの台風19号に伴う豪雨では、神田川・環状7号線地下調節池はどのように機能したのでしょうか。 また、今後に向けた異常気象下の豪雨対策としてのこの75ミリ対策の整備の見通しや効果については、どのように考えられているのでしょうか伺います。 さらには、このたびの一連の台風15号、19号や、その後の低気圧がもたらした豪雨災害では、被害状況とともに各地域での「想定をはるかに超えた」避難所の受け入れ体制の問題や情報発信体制などのニュースが話題に上がったところです。 区内においても、テレビなどで報道される大規模災害を見るうちに、区民の方の中には、新宿区においても、すぐにも同様の災害が起こり得るのではないかと大変心配される声が多くありましたが、そのような声に対しては区ではどのような対応をとられたのでしょうか。 また、このような区民の不安な声なども踏まえ、今後の新宿区の水害対策について現時点で見直しや追加などを検討されていらっしゃることなどがあるのでしょうか伺います。 いずれにしましても、いずれこのたびの大規模水害などについては被災自治体を初め、関係機関等から各種の報告等が出されることと思います。また、課題となるようなことについては、被災地の状況を勘案しつつ、積極的に視察などを行うことなども含めて今後の区の災害の予防と防災対策に活かしていただくことをお願いしたいと思います。 次に、このたびの台風19号による千曲川の氾濫では、気象庁のたび重なる注意喚起に加え、自治体の呼びかけにも反応し、早期に避難し、自宅が被災しながらも負傷などを免れた住民が多く、そして中には、「いつもと変わらないくらいの雨」と思ったが、消防の呼びかけや近隣の状況を見て早目の避難を決断したという人も多くいたとのことでありますが、その一方で逃げおくれた住民も出て、改めて避難行動の難しさを突きつけられております。 長野市が作成したハザードマップでは、被害の大きかった市北部で予想される洪水の浸水は最大10メートル以上でした。また、千曲川はこれまで何度も氾濫を繰り返し、市は注意喚起してきたとのことです。しかしながら、大きな被害を出したのです。 ここにあるような「早目の避難の決断」というような報道を見聞きするにつけ、改めてこのたびの災害から気づかされたのが、大規模災害にあっては、住民は発生時点では行政による公助の期待は難しいところから、行政への依存心を払拭して、「自分の命はみずから守る」という自助の気持ちを強く持つことの大切さです。そして、被害を少なくするには、やはり日ごろからの近隣住民との助け合いである共助の取り組みが重要であり、これこそが災害弱者となるような方々の支援にもつながることを再認識したところでもあります。 そこで、ソフトの取り組みとして、このような事例からも、区民の方々に、災害にあっては自分の命はみずから守るという自助の必要性と災害弱者の支援のためにも共助の強化こそが大事であり、その取り組みをきょうからにも改めて区民に呼びかけていくことが大切だと思います。 このような当然の当たり前のことと思われることが大規模災害にあっても最も大きな予防になるものだと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。 あわせて、災害時要援護者名簿を預かっていらっしゃる民生委員の方の中には、このたびの大規模災害の状況を見聞きするとき、自分自身も高齢であるところから、「複数人の名簿を預かっているが、本当に自分に避難支援などができるのか」と心配されている方がいらっしゃいます。 また、要援護者の方の状況によっては、避難所におけるトイレや非常電源の確保などの設備状況の事前把握も必要となるのではなどと、これまたいろいろと心配や戸惑いを感じていらっしゃいましたが、名簿の活用や役割の範囲等を含め、民生委員の方々を対象とした実践的、具体的な研修などの取り組みはどのように行っていらっしゃるのか伺います。 次に、浸水時の避難確保計画の策定についてです。 このたびの一連の台風15号、19号や、その後の低気圧がもたらした豪雨による大水害などで被災を受けた福祉施設についても、この避難確保計画を策定し、定期的に訓練を実施していた施設と、そうでない施設では、避難対応等で大きな違いがあったことがニュースなどでも取り上げられていました。 この避難確保計画は、平成28年8月の台風10号で、岩手県の小本川が氾濫し、沿川の高齢者福祉施設で9名の方が亡くなるという痛ましい被害が発生しましたが、こうした水害を背景に、平成29年6月に水防法と土砂災害防止法が改正され、洪水の浸水想定区域や土砂災害警戒区域内に立地し、かつ、市町村地域防災計画に定められている要配慮者利用施設の所有者、または管理者には避難確保計画の作成と訓練の実施が義務化されたところですが、平成28年3月時点での作成済みは、全国レベルでは2.3%の状況です。義務化された現在での新宿区での58施設中の策定状況はどのぐらいの割合に上がっているのでしょうか。 最後に、今日のようにいろいろな災害が多発する時代に、さきに述べた法律では、限定的に、浸水や土砂災害のおそれのある福祉施設、学校、医療施設などについてのみ避難計画の策定が義務づけられていますが、法律では限定的となっているとしても、一旦災害が発生すると、住民の生命や財産に影響を及ぼすところから、義務づけのないその他の福祉施設にあっても避難計画の策定が望ましいものであり、区としても福祉施設の立ち入りなど、調査権限を持っている事務の範囲の中で策定を誘導するとともに、策定についても積極的に支援を進めていく必要があるものと考えますが、いかがでしょうか。 ◎区長(吉住健一) 大門議員の御質問にお答えします。 対策から、予防に軸足を置いた減災型の防災まちづくりについてのお尋ねです。 初めに、気候変動と都市の脆弱性の区民理解についてです。 区では、激甚化・頻発化する豪雨災害の経験や都市型水害の事例などを踏まえ、区民に大規模水害の危険性を正しく理解してもらうために、本年1月に改正した洪水ハザードマップの防災学習情報を充実させるとともに、地域の防災会議等においてハザードマップの活用と勉強会の実施を呼びかけています。 また、神田川沿いの榎町地区住民と文京区住民による水害対策ワークショップを本年7月に実施したほか、小学校の社会科学習で職員が水害対策の講話を行うなど、あらゆる世代の区民に対し水害対策の重要性を説明しています。 さらに、都が作成した「東京マイ・タイムライン」を区内の児童・生徒に配布するとともに、希望される町会等については必要部数をお配りするなどし、マイ・タイムラインの作成を推進しています。 今後も区民の水害に対する意識と対策が高まるよう、さまざまな機会を捉えて積極的な防災学習の実施と効果的な周知啓発に取り組んでまいります。 次に、台風19号に伴う豪雨では、神田川・環状7号線地下調節池はどのように機能したかについてです。 神田川・環状7号線地下調節池は、神田川流域の洪水対策の一環として、環状7号線の地下に約54万立方メートルを貯留する能力を持った施設です。 今回の台風19号では、河川の増水に伴い都が適切に調節池に流入させ、約9割の貯留量になりました。近年まれに見る大雨にもかかわらず、河川からの越水による被害がなかったことから、調節池が十分な機能を果たしたものと考えています。 次に、75ミリ対策の整備の見通しと効果についてです。 区内の降雨に対する安全性は、相当程度向上しているものと考えますが、大量の雨が降る頻度が増加している最近の傾向を見ますと、水害の危険性について楽観視することはできません。 現在、都は、中野区、杉並区にある神田川・環状7号線地下調節池と練馬区にある白子川地下調節池を接続する工事を令和7年度の稼働に向け進めています。 この地下広域調節池の完成は、下流域である当区の水害軽減に大きく寄与するものと考えます。 区といたしましては、豪雨に対する安全性向上のため、この地下広域調節池の早期完成を都に対して引き続き要望してまいります。 次に、区民の不安な声に対してどのような対応をとったかについてのお尋ねです。 台風15号と低気圧による豪雨の際は、中心気圧がそれほど低くなかったことや、区内の降雨予想は著しく高くなかったこともあり、区民からの問い合わせはほとんどありませんでした。 一方、19号は、昭和33年の狩野川台風と同様の非常に強い台風であるとの予報や、接近に伴う各地の河川氾濫、道路冠水等がテレビなどで頻繁に報道されたことから、区民からは「自宅近くの避難所を開設してほしい」や「新宿区内は浸水などの被害は大丈夫なのか」などの問い合わせや要望が多くありました。 区は、これらの問い合わせ等に対して、御自宅にいることが不安な場合は、周囲の状況等を確認しながら、開設している10カ所の地域センターへ避難されるようお答えしました。 また、区は台風などの発生時には気象庁や国土交通省とのホットライン、都との情報連携、日本気象協会の新宿区ピンポイント予測などにより区内の詳細な気象情報を収集し、態勢や避難所開設等について判断していることや、河川水位をシステムで監視していることなどを丁寧に説明し、区民の不安解消に努めました。 次に、水害対策の見直しや追加についてのお尋ねです。 区は、水害時に区民の生命を守るために、地域防災計画において応急活動態勢や避難勧告等の発令基準を定めており、台風などの発生時には早い段階から関係機関と連携し情報収集などを行い、態勢と区民への周知等を決定することとしています。 今回、特に台風19号については関係機関からの詳細な気象情報等をもとに、態勢や要員、自主避難所の開設、情報伝達の時期や方法等について十分に検討し、対応いたしました。 幸い、区内においては人的被害や大きな建物等の被害は発生しませんでしたが、全国各地では堤防決壊による大規模な浸水や内水氾濫などにより多くの方がお亡くなりになるなどの甚大な被害が発生しました。 今後、台風19号で得た経験と全国各地で発生している豪雨災害等も踏まえ、避難所開設の判断、フェーズに応じた広報と伝達ツール、交通機関の計画運休を見据えた態勢要員の配置、消防・消防団・警察などの関係機関との連携などについて十分に検証し、区の水害対策の充実、強化を図ってまいります。 次に、自助、共助の区民への呼びかけについてのお尋ねです。 平成30年7月豪雨を踏まえた国の防災会議の報告では、行政は、平時よりあらゆる世代の住民を対象に、継続的に防災教育などを実施し、「自らの命は自らが守る」意識の徹底と地域防災リーダーの育成が重要であるとされています。 区では、地域防災協議会や避難所防災訓練、防災イベントなど、さまざまな機会を捉えて自助による防災対策の重要性について理解を促してまいりました。 また、防災区民組織活動の充実を図るために助成金を交付するほか、都が開催する防災リーダー研修会への案内を行うなどし、地域防災力の強化に取り組んでいます。 しかしながら、直接的に災害を体験したことがない場合に、自分の命を守るために何を準備しておくべきか、地域での助け合いのために何を知っておくべきかを平素からイメージしていただくことは難しいと考えております。 そうしたことから、今後も防災区民組織、地域団体、学校を初め、消防・消防団・警察などの防災関係機関とも緊密に連携し、あらゆる世代に対して防災勉強会や訓練を実施し、水害対策を含めた自助、共助の防災対策をより一層推進してまいります。 次に、民生委員を対象とした災害時要援護者名簿の活用や役割の範囲等を含めた実践的、具体的な研修の取り組みについてです。 現在、区は、民生委員に災害時要援護者名簿を配付する際、この名簿の活用方法等について説明を行っています。 また、各民生委員に配付されている新宿区民生委員・児童委員協議会が作成した災害時対応マニュアルでは、名簿の活用方法や御自身、御家族の安全確保、無理のない範囲で行動することなどが示されています。 さらに、今年度区が配付した要配慮者災害用セルフプランの記載内容や、活用方法についても周知しているところです。 一方で、民生委員自身が被災者となることがあるため、災害時の民生委員としての行動に不安をお持ちの方がいらっしゃると考えています。 こうした状況を踏まえ、区としては今後も民生委員に対し、さまざまな機会を捉え、無理のない範囲で行動することや、避難所情報、区の最新の防災対策等を情報提供するとともに、各地区の民生委員・児童委員協議会にも御意見をいただきながら、実践的で具体的な研修を実施してまいります。 次に、浸水時の避難確保計画の策定についてのお尋ねです。 初めに、区内の要配慮者利用施設の避難確保計画の策定状況についてです。 区は、計画策定が義務づけされている施設に対し、計画策定と訓練の実施を要請しています。 現在、区内の58施設のうち41施設が策定しており、割合は70.7%となっています。未策定の施設については、引き続き計画の策定と訓練の実施を働きかけてまいります。 次に、避難計画策定の義務づけがない福祉施設に対する計画策定の誘導と策定の積極的な支援についてです。 御指摘のとおり、災害時に区民の生命と財産を守るためには、計画策定の義務のない施設であっても計画を策定することは重要であると考えています。 そのため、区は立入権限を有する福祉施設に対し、計画策定の意義や重要性を周知啓発するとともに、計画の策定と訓練の実施については積極的に支援してまいります。 ◆12番(大門さちえ) 続きまして、区政の課題と予算の編成について質問させていただきます。 令和2年度の予算は、東京2020オリンピック・パラリンピックに関する事実上の最終予算編成となるものですが、実行計画の年度別計画の令和2年度事業として掲げられている「聖火リレー歓迎イベント」や「東京2020大会パブリックビューイングの開催」については、東京2020大会の感動が区民に記憶に刻まれるものとなるよう多くの区民が参加し、楽しめるイベントとすると同時に、こうしたイベントのステージなどにおいて区内の子どもたちや団体のふだんの活動や取り組みなどの発表の場とするなどの機会づくりとすることなどもあってよいかと思いますが、いかがでしょうか。 いずれにしましても、大会の記憶を残すための区民参加型のイベントにしていただければと願います。 その上で、レガシー創出の集大成とすべく取り組まれる令和2年度の予算編成にはどのように取り組まれているのでしょうか、伺います。 そして、集大成とすべく取り組まれるこれらの令和2年度予定事業を含めて、この大会において、これまでの新宿区の取り組みにより実現できる将来の区民等のために残せる財産となるものや価値のあるレガシーにはどのようなものがあるものと理解すればよろしいのでしょうか。 あわせて、令和2年度の予算では、その軸足を東京2020オリンピック・パラリンピック後に置き、その後を見据えた新宿区の長期的な課題解決に向けての予算ともなることと思うところですが、このような点では、どのように予算編成に臨まれていくのか伺いたいと思います。 次に、私立幼稚園の幼児教育の充実等について、教育委員会に伺います。 10月1日から始まりました幼児教育・保育の無償化について、新宿区でも区立幼稚園14園、区内私立幼稚園全9園で無償化が実施されています。 区立幼稚園では入園料が無料となり、私立幼稚園でも引き続き入園料が所得制限なく最大8万円まで保護者に補助されていますが、子ども・子育て支援新制度に移行した私立幼稚園に通う園児の保護者は入園料補助の対象外とされております。 子ども・子育て支援新制度に移行した幼稚園では基本的に入園料は徴収していませんが、入園時に施設費などを一括徴収しており、保護者負担が発生しております。この実態を踏まえ、新制度移行・未移行にかかわらず、私立幼稚園に通う園児の保護者に対しては、入園時の負担を補助する必要があるものと思いますが、教育委員会の見解を伺います。 次に、ブロック塀等の安全対策等についてです。 区では、平成30年6月に発生した大阪府北部地震による学校施設の事故を受け、私立幼稚園に対し、補正予算でブロック塀等の安全対策補助が実施されたところですが、同時期に自治体や事業者が一斉に改修工事を行ったことなどから、年度内に安全対策を実施できなかった園があります。安全・安心に子どもたちが過ごせる教育環境の確保のために、対策の未実施の私立幼稚園に対する補助を行う必要があるのではないでしょうか。 さらには、教育環境の維持・改善などを目的とした補助に加え、各園の独自性や特色を活かした教育活動に対し新たな支援を講じることで、幼児教育のさらなる充実を実現できると思いますが、教育委員会の見解をお聞かせください。 そして、次には、それらの予算編成を支える歳入ですが、現在のところの日本経済の先行きには厳しさも見込まれるところでもあり、これの影響は当然のことながら区税収入等にも大きく影響するものと思われますが、予算編成に当たって、現在のところでの歳入見通しをどのように見込んで編成作業に臨まれているのか伺います。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックを目前に控えて環境整備が急がれるところですが、この環境整備をハードとソフトの面から幾つか見てみたいと思います。 最初に、ハード面からです。 新宿区は、東京2020オリンピック・パラリンピックのメーン会場となる国立競技場を抱えるところですが、その会場につながる最寄り駅周辺のバリアフリー化は滞りなく進んでいるものと考えます。とりわけ、陸上競技はオリンピック・パラリンピックの花形であり、その会場が国立競技場となるところから、点字ブロックは言うに及ばず、歩車道の段差、横断歩道の信号の音響装置や青信号の秒数の改善など、十分な対応がなされているものと確信するところであります。 このようなことの整備としては、これまでオリンピック・パラリンピックを契機とした特定の駅周辺を中心に、限定的・重点的に進められてきたところですが、今後に向けては超高齢社会に向け、また「観光立国日本」を標榜するとき、地域を限定することなく全ての地域でさらなるバリアフリー化が進められるべきと考えますが、現在の区の取り組みとしてはどのように進められているのでしょうか。 あわせて、社会インフラと言われる公共交通施設や多くの方が利用する建築物等へのエレベーター設置などによるバリアフリー化については、どのように進められているのでしょうか。 また、区においては、現在ユニバーサルデザインまちづくり条例を制定すべくパブリック・コメントを実施、整理中であります。この条例は、これまで実施に際しての基準としてきた東京都福祉のまちづくり条例等をも包含した条例となるとのことでありますが、既存「都市施設」における取り扱いについては、今後どのような方針を持ってバリアフリー化が進められていくと理解すればよろしいのか伺います。 次には、ソフト面からのものであります。 ソフト事業は「心の啓発」と言われておりますように、たとえハード面での物や施設などがバリアフリーに整備されたとしても、サービスを提供する人の心の優しさや思いやりがなければ、真の意味でのバリアフリーとは言えないものであり、ハードの整備とソフト面とがともにそれぞれの成果を上げなくてはならないものと思います。 そのような点からのソフト面からの事業として区が取り組んでいることとしてはどのようなものがあり、また、そのことが区民にどのように伝わっているとお考えなのか伺います。 そのソフト面からの整備の一つに当たるものとして、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機とした障害の状態に応じたコミュニケーションの円滑化のための整備が待たれているものと思います。 国では、批准した国連の障害者権利条約の考え方に合わせ国内法の整備を進め、障害者基本法を改正し、平成23年8月に施行しました。 障害者基本法では、「全て障害者は、可能な限り、手話やその他の意思疎通の手段の選択機会が確保されること」などを旨として、「障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を図らなければならない」としています。 新宿区では、基本計画の中で「障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備」を掲げ、「障害の有無によって分け隔てられることなく、誰もが生涯にわたって社会参加できるように、区民が互いに支援し合う関係づくりを目指す」としています。 さらに、第一次実行計画の事業「障害を理由とする差別の解消の推進」の中で、「障害者の特性に応じたコミュニケーション支援等の推進」を掲げていて、聴覚・視覚障害者を初めとした障害者の意思疎通手段の確保について事業を行っています。 誰もが心を通わせ、住みやすい地域社会をつくるためには、円滑な意思疎通や十分な情報の取得が必要です。そして、地域で安心して生活を送るためには、障害者の意思疎通に係る理解を促進し、意思疎通手段を広く普及していくことが不可欠です。 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のメーン会場となる国立競技場がある新宿区には、世界中から障害のある方も含め、多くの方が訪れることが予想されます。この大会を障害への理解を広く促進していくための大きな契機として、さまざまな障害特性に応じたコミュニケーションの円滑化に向けたさらなる取り組みの推進が必要だと考えますが、区長のお考えをお聞かせください。 ただいま申し述べたように、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機として、さらに障害を持つ方々を具体的に支援していくことが大切となっております。 ここでは、精神障害者への心身障害者福祉手当支給に関する考え方についても伺っておきたいと思います。 現在の心身障害者福祉手当については、都条例に基づいて身体と知的に適用されていて、都区財政調整制度の中で基準財政需要額の算定項目に位置づけられています。 しかしながら、「精神障害者への支援」としては東京都の制度としての対応がなく、現状としては約半数の区において独自の判断のもとに制度化し、独自財源を充当して実施している状況です。 同様に、都条例で適用のない「手帳の持ち主」に対しては、これもまた新宿区を含め横出しをし、独自財源を充当して実施しているところです。 ところが、精神障害者について見ますと、就労支援などの支援を行っているところですが、1級の該当者についてはこのような支援が困難であるところから、何らかの支援が求められてきました。 そこでお伺いしたいのが、精神障害者への心身障害者福祉手当の支給に関してです。 区長は、令和元年10月18日に小池東京都知事と意見交換をされました。 その中で、「障害者がいきいきと暮らし続けられるまちづくり」として、障害者グループホームの整備促進と精神障害者への支援について取り上げておられました。 「障害者グループホームの整備促進については、令和元年度で終了予定となっている補助の延長を求められるとともに、精神障害者への支援としては、現在、身体障害者と知的障害者に対し、都条例に基づいて都内区市町村で支給されている心身障害者福祉手当について精神障害者にも支給すべき」と提案されました。 「この福祉手当は都がリードしてきたものであり、国や都道府県がベースとなる制度をつくり、負担を行うことが本来の役割であることから、どこに住んでも同じ福祉サービスが受けられる基盤の整備を都がすべき」と小池知事に要望されました。 それに対し小池知事は、「所得保障については国の役割であり、都は国において年金制度の改善などにより障害者の所得保障を充実すべきことを要望している」とのお答えでした。 それを受けて区長は、「都と区がともに負担し合うような形でできればと思い、まずは区として都の御理解がいただけるまでの当分の間、新宿区が独自に精神障害者の方にも心身障害者福祉手当を支給していくことを考えている」との御発言もありました。 このことについて区長の考えをお聞かせください。 また、このことでは、今後とも自立支援のサービス基盤を拡充するとともに、就労支援の一層の強化についてもお聞かせください。 次に、福祉に関する考え方についてですが、これまでサービス基盤の整備状況などの推移とともに変遷を重ね、現在では現金給付から現物給付という大きな時代の流れの中にあります。その中で現金給付にばかり頼るのではなく、本来は現物給付としてのサービスを充実することこそが求められているものと考えます。そうした点では、必ずしも「給付をすればよし」ということではなく、国が平成16年3月、精神障害者への理解を深めるための指針「こころのバリアフリー宣言」を出していますように、環境整備に心がけていくことも大変重要な施策であると考えますし、このようなことこそが基礎自治体の役割でもあると考えます。 この「「こころのバリアフリー宣言」~精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すための指針~」では、「精神疾患は、糖尿病や高血圧と同じで誰でもかかる可能性があります」「2人に1人は過去1カ月間にストレスを感じていて、生涯を通じて5人に1人は精神疾患にかかるといわれています」とし、自分の問題として考える必要があるとしています。 このようなことを積極的に区民に啓発していくことも大切かと思いますが、このような点での区の取り組みはどのように行われてきているのか伺います。 次に、テレビ受信障害についてです。 先日、区民の方から、「テレビの「受信障害」対策を実施しています」というチラシがポストに投げ込まれていたが、チラシの内容がどういうことなのかよくわからないし、また自分のところのテレビが対象になるものなのかどうかも、さっぱりわからないということで同僚議員を訪ねてみえられたところです。 そこで、チラシにありましたコールセンターに問い合わせしますと、携帯電話事業者が700メガヘルツ帯の周波数を用いた携帯電話サービスの運用を開始することにより、その電波がテレビ受信アンテナで強く受信されることで、地上波デジタルテレビ放送の映像が乱れたり、映らなくなるなどの受信障害を起こすおそれがあるというものでありました。そのため、影響が出る可能性が特に高い地区において調査を行うためにポスティングが行われているというものでありました。 そして、対策が必要な場合には、一般社団法人700MHz利用推進協会の負担で行うというものです。 その後、そのことでは11月5日には、新宿区町会連合会定例理事会で協会の事務の受託事業者から説明がなされていますが、その際の説明では、電波の発射の予定が11月21日から行われるとのことでしたが、区民からの区への問い合わせ、相談などはあるのでしょうか。 また、このことの一般区民への周知として、協会から広報紙等への掲載依頼などはどのようになっているのでしょうか。 さらには、このことについての消費生活センターの消費者相談への相談状況では、特殊詐欺などの対象にもなるおそれがあるようにも心配するものですが、相談や問い合わせの内容を含め、どのような数字となっているのでしょうか。 いずれにしましても、今日的には特殊詐欺などの心配もされる中でありますので、区の直接的な事業ではありませんが、テレビにかかわるということでは、区民の日常生活にも大いに関係のあることでありますので、区民の安全・安心のためにも区内部の連携を密にしていただいて対応していただければと思います。 ◎区長(吉住健一) 区政の課題と予算の編成についてのお尋ねです。 初めに、東京2020オリンピック・パラリンピックの聖火リレーイベントやパブリックビューイングについてです。 御指摘のとおり、東京2020オリンピック・パラリンピックの感動が区民の皆さんの記憶に刻まれるよう、多くの方に楽しんでいただけるイベントとすることが重要と認識しています。 そのため、聖火リレーイベントやパブリックビューイング等のイベントにおいては、競技を実際に体験する機会やオリンピアン・パラリンピアンと触れ合える機会を関係団体や大会パートナー企業と連携して創出するほか、出演者やイベントボランティアが主体的に参加し、活躍できる場を設けてまいります。 特に子どもたちや区民団体が演奏やダンスなどのステージパフォーマンスの出演者として参加することは、発表に向けた練習など仲間と一緒に協力する過程も踏めて記憶に強く残る経験となることから、ステージ発表を交えた区民参加型のイベントづくりを進めてまいります。 次に、レガシー創出の集大成としての予算編成にどのように取り組むかについてです。 令和2年度は、本年度開始した東京2020オリンピック・パラリンピック区民参画事業助成の最終年度として、大会後を見据えたレガシー創出につながる地域の自主的な取り組みを積極的に支援してまいります。 さらに、本年度からさまざまなイベントで活躍している「新宿2020サポーター」には、現在中学生からシニアの方まで287名が登録していますが、大会後にも引き続き地域活動の担い手として活躍していただけるよう促すなど、それぞれの事業が大会後のレガシー創出につながる予算編成に取り組んでまいります。 次に、区の取り組みにより実現できる令和2年度の事業も含めた将来の区民等に残せる財産や価値あるレガシーについてです。 区では、東京2020オリンピック・パラリンピックをきっかけとして、多くの区民の皆様に大会の感動や記憶を残してほしいと考えています。 こうした忘れ得ぬ感動や記憶は、ハード・ソフトの両面で一人ひとりの人生を豊かにしたり、地域のきずなを深めたり、次世代に受け継がれたりすることで価値あるレガシーとなると思います。 このため、区では平成27年度予算から2020年とその後を見据えて取り組む事業を東京2020オリンピック・パラリンピック関連事業に位置づけ、令和元年度においてはハード面・ソフト面合わせて53事業を実施しています。 多目的トイレの整備、施設のバリアフリー化やフリーWi-Fiを初めとしたハード面の整備はもとより、ボッチャや障害者スポーツ等の体験イベント、和を伝えるプログラムの実施等を通じて、スポーツ、文化、健康、国際交流、障害理解といったソフト面においても価値あるレガシーが残る取り組みをしています。 これらの取り組みにより、将来の区民に残せる財産やレガシーについて、区民の皆様と共有していきたいと考えています。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピック後を見据えた予算編成についてです。 我が国経済は、月例経済報告の基調判断で、「景気は、輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復している」とされており、今後についても通商問題を含め、海外経済の動向等に十分注視しなければなりません。また、国による不合理な税制改正やふるさと納税による特別区民税の減収などの影響も懸念され、区財政を取り巻く社会経済情勢は依然として先行き不透明で予断を許さない状況にあります。 御指摘のとおり、東京2020オリンピック・パラリンピック後を見据え、持続的に発展する新宿のまちの実現に向けて、高齢者や子育て世帯への支援など、誰もが安心して住み続けられる環境の整備、災害に強い安全で安心なまちの実現、魅力あふれるにぎわい都市の創造と地域の特性を活かしたまちづくりを初め、区政が直面する課題への財源の確保、加えて施設の改築需要などの将来に対する備えもあわせて講じていかなければなりません。 こうしたことから、令和2年度予算編成に当たっては、限られた財源の重点的、効果的な配分、全ての事務事業の見直しや徹底した歳出削減とともに、一層の歳入確保を基本に作業を進めているところです。 次に、歳入見通しについてですが、歳入で最も大きな割合を占める特別区税の動向、法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直しなどの影響を踏まえ、編成作業を進めているところです。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックを控えたバリアフリー整備のハード面についてのお尋ねです。 区は、これまで国立競技場の最寄り駅である信濃町駅周辺や新宿区交通バリアフリー基本構想で定めた新宿駅周辺と高田馬場駅周辺の重点整備地区においてバリアフリー化を進めてきました。また、区内各所にある道路や公共交通施設である鉄道駅、建築物などについても、それぞれのバリアフリー化を進めてきました。 道路のバリアフリー化では、信濃町駅周辺の道路において歩道の拡幅整備や視覚障害者誘導用ブロックの整備などを進めています。高田馬場駅周辺では、駅前のさかえ通りにおける視覚障害者誘導用ブロックの整備などを行いました。また、区内各所で行う道路の新設や改修時には、歩道の段差解消や勾配の緩和など、さまざまなバリアフリー化を行っています。 鉄道駅のバリアフリー化では、エレベーターの整備費用に対して補助などを行うことで、本年度中に区内全駅での出入り口からホームまでのバリアフリールートの整備が完了する見込みです。 また、多くの方が利用する建築物については、バリアフリー法に基づき、建てかえの機会を捉えてエレベーターやスロープなどの移動円滑化のための対策が施されるよう指導、啓発し、バリアフリー化を促進しています。 こうした取り組みにより一定のバリアフリー化が進んでいるところですが、御指摘のとおり高齢化の進展や観光に伴う来街者への対応なども踏まえ、区内全域で面的なバリアフリー化を進めることが重要であると考えています。 このため、建築物や道路等の連続性を確保した面的なバリアフリー化を促進するため、区内の主要な施設全てを対象に、(仮称)新宿区バリアフリー促進方針の策定を進めているところです。この方針の策定により、バリアフリー化の一層の推進を図っていきます。 次に、(仮称)新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例における既存「都市施設」の取り扱いについてのお尋ねです。 区は、建築物や道路、公園など全ての都市施設についてバリアフリー化も含むユニバーサルデザインに配慮した整備を推進するため、条例の策定に取り組んでいます。 条例では、全ての都市施設について「整備基準」に適合するよう努めるとともに、不特定もしくは多数の人、及び高齢者等が利用する特定都市施設は守るべき基準である「遵守事項」に適合することを定めていきたいと考えています。 整備基準及び遵守事項は東京都福祉のまちづくり条例をもとに、学識経験者や区民等で構成する新宿区ユニバーサルデザイン推進会議やパブリック・コメントでの意見等を踏まえて定めていきます。 御指摘の既存都市施設については、日常の維持管理において整備基準への適合に努めるとともに、改修を行う際には改修部分が遵守事項に適合することを定めていきます。 こうした都市施設の維持管理、改修や新設等により、ユニバーサルデザインに配慮した整備が進んでいくものと考えています。 今後、都市施設のユニバーサルデザインに配慮した維持管理、改修や新設等を進めるため、整備基準をわかりやすく示した「施設整備マニュアル」を作成して、普及啓発に取り組んでまいります。 次に、バリアフリー整備のソフト面についてのお尋ねです。 ソフト面からのバリアフリーの整備に当たっては、より多くの区民が障害について理解を深めることが重要と認識しています。 新宿区障害者計画では「こころのバリアフリーの促進」を目標に掲げ、第一次実行計画に「障害を理由とする差別の解消の推進」を位置づけ、計画的に事業を実施しています。 具体的には、毎年12月の障害者週間に、新宿駅西口広場イベントコーナーで開催する障害者福祉施設共同バザール・障害者作品展の開催や区独自で作成した映像を新宿駅周辺の街頭ビジョンで放映し、区民のみならず新宿駅周辺を利用する多くの人に対する障害理解の促進を図っています。 また、区のホームページで公開している「新宿らくらくバリアフリーマップ」を刷新します。区有施設や公園、商業施設などにおける多目的トイレやエレベーターなどのバリアフリー設備の情報をスマートフォンから取得できるようになるほか、各設備を絵文字であらわしたピクトグラムや英語対応により、障害のある方を初め、高齢の方、子ども連れの方及び国内外から訪れる方々の情報取得の利便性を高めてまいります。 なお、計画事業の進捗状況については、区民意識調査による障害者差別解消法の認知度を指標としており、平成29年度の44.7%から平成30年度に51.7%となり、7ポイント上昇しました。 今後も障害理解を促進し、地域共生社会の実現に向け取り組んでまいります。 次に、障害の状態に応じたコミュニケーションの円滑化のための整備についてのお尋ねです。 障害者がみずからの意思を相手に伝え、相手の意思を正確に受け取ることは、自立した日常生活を送るために重要なことと考えています。 御指摘のとおり、障害者基本法では、「全ての障害者は、可能な限り、手話やその他の意思疎通や情報の取得等の手段の選択の機会等が図られること」とされています。 区は、聴覚障害者へ手話通訳者や要約筆記者の派遣を初めとする意思疎通支援事業を推進しています。 視覚障害者へは区のホームページを音声により読み上げできるよう対応しており、さらに希望する方には点字版や声の広報を配布しております。 今後、区民や事業者と協調し合いながら、障害の状態に応じたコミュニケーションの円滑化をさらに推進することが必要です。 手話言語を初めとした障害者の多様な意思疎通の促進に関する基本的な考え方を定める条例を東京2020オリンピック・パラリンピック開催を契機として検討してまいります。 次に、精神障害者への心身障害者福祉手当支給と就労などの支援についてのお尋ねです。 精神障害者への心身障害者福祉手当の支給については、区においても情報収集と研究を重ねてきたところです。 障害者への手当などの経済的支援は、本来は国の制度で行われるものと考えています。また、住む地域によって手当の支給対象者や支給額に格差が生じることがないよう、都道府県レベルで手当の支給制度を定める必要があると考えています。 小池東京都知事との意見交換においては、この考え方に基づき、東京都がそのリーダーシップを発揮していただきたいことを要望し、心身障害者福祉手当について身体・知的と同様に精神障害者も含めて都の制度と負担により支給すべきと提案いたしました。 新宿区としては、都が制度化するまでの間、精神障害者への心身障害者福祉手当について独自に支給することを検討していくとともに、引き続き国及び東京都に対し、手当の支給について要望してまいります。 また、区では精神障害者の地域での自立生活を支援するため、精神障害支援事業所への運営助成等サービス基盤の充実を図り、平成27年度に障害者生活支援センターを開設し、宿泊型自立訓練等を実施しています。さらに、障害者総合支援法に基づく家事援助や介護などの介護給付事業にあわせ、就労移行支援や就労定着支援などのサービス利用を促しています。 今後とも障害者生活支援センターの生活訓練に一層注力して、生活基盤の確立や就労に向けた準備など、精神障害者を地域で支えられるよう取り組んでまいります。 次に、精神障害への理解を深めるための普及啓発についてです。 心のバリアフリーのためには、こころの健康について正しく理解し、本人が心の不調を自覚することや周囲の人が早目に気づいて声かけするなど、地域社会全体で精神障害を受け入れていくことが必要であると考えます。 このため、区では精神保健講演会の開催や病気の基礎知識と相談先等が掲載されたパンフレットなどの配布により普及啓発を図っています。 今後も、こうした取り組みにより精神障害への理解を深めるよう努めてまいります。 次に、テレビ受信障害についてのお尋ねです。 このテレビ受信障害は、テレビの地上デジタル放送への移行によって利用が可能になった電波帯である700メガヘルツ帯を携帯電話事業者が新たに利用することに伴い、テレビ受信の買いかえをしたものの、地上アナログテレビ放送で利用していた旧型ブースターを継続して使用している家庭等において、テレビの視聴に影響が出る可能性があるというものです。 区では、平成30年8月に一般社団法人700MHz利用推進協会から、区内におけるテレビ受信障害対策などの情報提供を受け、総務課や広報周知を担当する区政情報課、区民の方と接する機会の多い地域コミュニティ課、消費生活就労支援課などの関係部署が所管する業務において、関連する団体などへテレビ受信障害対策の周知や相談対応などの対策事業へ協力してまいりました。 令和元年11月5日に新宿区町会連合会定例理事会において同協会からテレビ受信障害対策の説明がありましたが、その後、区政情報課では受信障害対策に関して区民の方からの区への御相談やお問い合わせは特に受けていません。 また、区民等への周知については、同協会から広報新宿等への掲載の依頼を受け、広報新宿12月5日号に記事を掲載するほか、ホームページ、SNSでもお知らせしていきます。 次に、新宿消費生活センターに寄せられた御相談やお問い合わせはこれまでに8件あり、その内容は「「テレビの受信障害が起こる可能性がある」と書かれたチラシが入っていたが本当か」「業者が来訪する予定だが、自宅を見せて大丈夫か」などでした。 消費生活センターでは、こうした御相談やお問い合わせに対し、消費生活相談員が状況を詳しくお伺いし、特殊詐欺や悪質商法ではないことを確認した上で、今回のテレビ受信障害の対策についても相談者にわかりやすく御説明しています。 今後も区民生活に影響が生じることのないよう、一般社団法人700MHz利用推進協会が進めるテレビ受信障害の対策事業に庁内の関係部署と連携を図り協力してまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 私立幼稚園の幼児教育の充実等についてのお尋ねです。 初めに、私立幼稚園入園時の保護者負担への補助についてです。 御指摘のとおり、子ども・子育て支援新制度に移行した私立幼稚園に対して支給される「施設型給付費」に入園料に相当する費用が含まれていることから、新制度に移行した私立幼稚園の園児の保護者は入園料補助の対象外としています。 しかし、新制度に移行した私立幼稚園であっても、各園独自の教育費用が施設型給付費で賄い切れない場合には、保護者負担を求めることが可能です。 区内の新制度に移行した私立幼稚園でも、施設費など入園時に保護者負担が生じている実態を踏まえ、来年度の入園時期に向けて新制度に移行した私立幼稚園園児の保護者負担の軽減を図るため、入園料補助制度の見直しを検討してまいります。 次に、ブロック塀等の安全対策未実施の私立幼稚園に対する補助についてです。 平成30年度に実施した区内私立幼稚園のブロック塀等安全対策補助は、幼児教育環境の安全確保を早期に実施する必要があることから、補助率を10分の10とし、単年度事業として実施いたしました。 しかし、御指摘のとおりブロック塀等の工事が集中したことなどから、安全対策が実施できなかった園があります。 区内幼稚園における幼児教育環境の安全確保はとても重要なことであることから、安全対策未実施の私立幼稚園に対する補助については、実施に向けて検討を進めてまいります。 次に、教育環境の維持・改善などを目的とした補助及び各園の独自性の特色を活かした教育活動に対する新たな支援の実施についてです。 幼児教育・保育の無償化の実施により保護者の選択肢が広がることで、今後はさらに各幼稚園の教育内容の充実や特色ある教育の実施が重要となるものと考えています。 教育委員会では、区内の私立幼稚園に対して現在実施している健康管理助成や安全安心助成など教育環境の維持・改善に対する補助を引き続き実施するとともに、区内私立幼稚園の展開する特色ある幼児教育をさらに推進するための支援について検討を進めます。 ○議長(吉住はるお) ここで、議事進行の都合により休憩します。 △休憩 午後3時09分--------------------------------------- △再開 午後3時25分 ○議長(吉住はるお) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 ◆12番(大門さちえ) 次は、令和の時代の日本の最大課題となる少子高齢化における高齢者像と認知症についてお伺いしたいと思います。 これまでの高齢者の扱いとしては、ややもすると社会的課題としての側面から議論されがちで、高齢者は対策を講じなければならない対象、支えられるべき対象、ひいては社会の問題として、どちらかといえば暗いイメージ、マイナスのイメージで語られてきたように思われます。 しかし、人生100年時代の今後は、人生の3分の1近くを高齢期として過ごすのですから、長寿社会を明るいイメージで楽しいものに変えていく必要があります。少なくとも考え方として、長生きは人類がこれまで追い求め続けてきた大きな目標でありますので、すばらしいもの、楽しいものと前向きに議論されるべきものと考えます。 今そのような長寿であることがプラスであるとして組み込まれた仕組みづくりが求められているものと思います。 このようなことでは、既に民間では健康に対する地道な努力に報いる「健康増進型保険」という医療保険として注目を集めており、定期的な健康診断や専門家の保健指導を受け、かつ適度な運動をしていれば保険料は安くなるとのことであります。 長寿が心から喜ばれ、御本人にとっても長寿で健康であることで得をした感じを実感できる社会づくりが求められているのは間違いないものと思いますが、このようなことについて区長の御所見をお聞かせください。 ただいま申し述べてきましたように、これから超高齢社会に向かう令和の時代にあっては、「高齢者のための対策」という高齢者を特別視することなく、「多世代・多種多様な人が活躍できるコミュニティ施策」を実現していく中で、高齢者も地域社会、地域コミュニティの一員として活躍できるような高齢者像としていくべきものと考えますが、このあたりについても区長の御所見をお聞かせください。 今、人生100年時代と言われ、現役を退いてからの時間が人生の3分の1近くを占める時代では、地域で生活する期間がこれまで以上に長くなる時代を迎える中、これまで以上にコミュニティの重要性が高まるとともに、コミュニティそれ自体もそれぞれの地域の特性を踏まえた地域社会づくりとなることが求められるところとなり、均質化からの脱却が求められてくるものと思われます。 そうした中にあって、当然のことながら、地域の実情に応じた地域の課題解決につながるサービスの提供が求められてきます。すなわち、そのことはこれまでの行政のサービス提供がハードとしての施設提供を中心としたものであり、どちらかといえば同じ機能の施設を均質的に配置するといった感じのサービス提供でありましたが、今後の多様化の時代においては、地域の住民とよくコミュニケーションをとりながら、地域事情に即した地域課題解決につながるハードとソフトのサービス内容が求められていくものと思われます。 今後の少子高齢化におけるサービス提供のあり方をこのように捉えますが、区長のお考えをお聞かせください。 次には、認知症についてです。 高齢期にあっては、現在ではほとんどの高齢者が遅かれ早かれ、大なり小なり認知症の問題と共生していくことが避けられない現実に直面することとなります。 このことでは、高齢化が最も進んでいる日本が最も課題として受けとめているところですが、先日の10月19日からの2日間、岡山市で開かれていた20カ国・地域(G20)保健大臣会合では、「高齢者に優しく、認知症の人と共生する環境を促進する」といった共同宣言を採択して閉幕し、その宣言には「認知症のリスク低減や早期発見、健康に年を重ねるための研究開発を促進する」と、予防の重要性を強調されました。そして、「偏見をなくすことや支える家族や介護者への支援、介護の質向上に向け各国が行動計画を策定することの必要性」が盛り込まれたところであります。 そして、議長を務めた加藤勝信厚生労働大臣は記者会見で、「高齢化の進行度は各国で異なるが、大きな課題だということが明らかになった。認知症の人が尊厳と希望を持って生きられるよう対策を進める必要がある」と強調しております。 また、政府においても、日本が長寿社会を実現した結果、認知症の有病率が世界で最も高い先進国となって、誰もがなり得る認知症の「共生と予防」を柱に、「認知症の発症をおくらせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら、「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進」という基本的考え方のもとに、認知症施策推進大綱を関係閣僚会議で決定しているところであります。 経済協力開発機構、OECDによれば、2017年の認知症有病率比較では日本が2.33%で最も高いとのことであり、また警察庁によると、認知症で行方不明後に死亡が確認された人は2018年までの5年間で3割ふえ、508人。そして、介護・看病疲れで起きた殺人事件は31件、自殺した介護者は230人に上るとしています。 このような数字は、2040年に向けて今後さらに進行する少子高齢社会にあっては、数字がふえこそすれ、少なくなることはないものと思われるとき、今後の日本の少子高齢社会に少なからず不安を抱くものですが、区長はこのような数字などについてどのような所見をお持ちなのでしょうか伺います。 また、政府の推進大綱における基本的な考え方に基づいた本区の施策推進をどのように進めていかれるのか、あわせて伺います。 このような現実の数字も日本が長寿社会を実現した結果、認知症の有病率が世界で最も高い先進国となった今日の日本の偽らざる実像なのでありましょう。 しかし、だからといって長寿社会が否定されるのではなく、そのような懸念に至るものを解決していくことが何よりも大事となってくるものであり、そのような解決の先頭に立つのが基礎自治体の役割であると思いますし、また生活の場における認知症の人を支えるべき地域社会の共生のありようが問われているのだと思っております。 そのような中にあって、基礎自治体としての新宿区は予防施策にさらに心がける必要があり、区民である各個々人も予防に心がけるとともに、認知症の人たちの生活の場ともなる地域社会においては、共生の地域社会づくりに努める必要があります。 そうした今後の地域社会では、課題山積の中で認知症者を含む住民同士、お互いに寄り添い、支え合って、毎日を送っていく必要があると思うのですが、このあたりの区長の御所見をお聞かせいただければと思います。 それについて、具体的に区や地域社会が解決していくべき事柄でありますが、これらのことにつきましては、次のように考えたいと思います。 区がやるべきものとして、大きくハード面とソフト面からの整備に分けられるものと思います。 ハード面としては認知症高齢者のための支援施設の整備などがあり、これにはおのずと限界も生じることから、より力を入れるべきはソフト面の整備であります。成年後見制度や認知症予防につながる高齢者の健康づくりなどの事業の充実強化こそが重要であると考えます。 と同時に、2040年代に向けての取り組みとしては、区やNPOなどの支援を受けながら、できるだけ地域の中で解決していける力をつけられるよう、地域コミュニティの活性化が図られていくことこそが最も大切であり、そのことをどう区が区民や地域に伝え、地域が動いていけるかが鍵であるように思います。このことは決して目新しいものがあるわけではなく、今も、今後も変わることはないものと思います。 このような捉え方に対する区長の御見解と今後の区における具体的な取り組みについて伺います。 以上、答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 令和の時代の日本の最大課題となる少子高齢化における高齢者像と認知症についてのお尋ねです。 初めに、長寿が心から喜ばれ、長寿で、健康であることで得をした感じを実感できる社会づくりについてです。 健康長寿は、高齢になってもいきいきと自分らしく生活できるという大きな価値をもたらすものです。今後も健康寿命の延伸に向け区民とともに取り組み、誰もが自分らしく暮らせる豊かな地域社会づくりが必要と考えます。 次に、地域コミュニティの中で高齢者が活躍できる状況にしていくべきとのお尋ねです。 御指摘のとおり、地域コミュニティ活動の担い手として、高齢者の方々がさまざまな世代の方とともにいきいきと活躍することが高齢者自身の心身の健康だけでなく、地域コミュニティの活性化に欠かせないものと考えています。 現在も地域コミュニティの核である町会・自治会には多くの高齢者の皆様に担い手として参加していただき、地域の防犯パトロール、見守り活動など安全・安心なまちづくり活動や盆踊り、お祭りなど多世代が交流できるイベントなど、さまざまな場面で御活躍いただいています。 区は、こうした各地域それぞれの取り組みに地域コミュニティ事業助成制度で事業支援するとともに、令和元年度新宿区協働推進基金助成事業では、一般事業助成において「コミュニティカフェ」や「家族食堂」など多世代が交流し、地域の中で相互に支え合う機会を提供する事業を採択、実施するなど、地域コミュニティ活性化の支援を行っています。 また、より多くの高齢者の皆様に地域活動の担い手になっていただくために、薬王寺地域ささえあい館を拠点に担い手養成を実施しています。さらに、地域で高齢者を支える活動を行う団体に対し、高齢者福祉活動基金助成制度で事業支援を行っています。 これらの取り組みを通じて、多くの高齢者が地域活動や多世代交流に参加し、着実に地域とのつながりを深めていきます。 今後も、区は高齢者の皆様が地域の中でコミュニティ活動の担い手としてさまざまな世代の人々とともに活躍できるよう、積極的に支援してまいります。 次に、少子高齢化の時代におけるサービス提供のあり方についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、人生100年時代を迎える中、地域コミュニティの重要性はますます高まっていると認識しています。また、高齢者が住みなれた地域で安心して生活し続けるためには地域による高齢者の見守りが重要であり、地域の担い手となる人材を育成し、地域の実情に合わせて活躍できる環境を整えていくことが求められています。 こうした中、区では世代にかかわらず、地域住民が助け合い、支え合う「地域支え合い活動」を推進しており、その拠点として薬王寺地域ささえあい館を開設しました。館では、高齢者自身も支える側として地域で活躍できるよう多数の講座を開催し、地域活動の担い手の育成を進めています。 また、館では、地域で活動する方々と地域課題を共有するため、高齢者等支援団体との情報交換会や地域との懇談会を開催しています。 今年度は、「地域活動に参加する男性が少ない」という意見を踏まえ、男性が地域活動へ参加する契機とすることを目的として、男性を対象とした「ダンディーエクササイズ」を開催しました。この講座の修了者が11月に高齢者等支援団体を立ち上げ、館で新たな活動を始めています。 これから少子高齢化が一層進展することが見込まれる中、地域支え合い活動を区内全域に広げていくことが重要であると考えます。今後は、館での取り組みの成果を踏まえ、地域交流館やシニア活動館における地域支え合い活動の展開を検討してまいります。 次に、認知症有病率の高さや認知症で行方不明後に死亡が確認された方、介護疲れによる殺人事件や自殺者の数についてのお尋ねです。 我が国の認知症有病率が世界的に見て高いことについては高齢化率の高さを反映しているものと思われ、今後も高齢化の進行とともに認知症の人は増加していくことが見込まれます。 また、認知症の人が行方不明後に死亡が確認されることについては、帰る家がわからなくなる御本人の心細さや家族の御心痛は察するに余りあります。 介護疲れによる殺人や自殺といった悲惨な事件も未然に防がなくてはならないと考えます。気になることや悩みができた際の身近な相談先として高齢者総合相談センターが設置されていることを積極的に周知するとともに、地域で認知症の方を支える体制づくりに一層力を入れて取り組む必要があると考えています。 次に、認知症施策推進大綱に基づいた区の施策推進についてのお尋ねです。 認知症施策推進大綱では、普及啓発、予防、介護者への支援など施策の基本となる5つの柱が示されています。それらの施策の全ては認知症の人の視点に立って、認知症の人やその家族の意見を踏まえて推進することが基本であると強調されています。 認知症に対して否定的なイメージを持つ方が多く、認知症の正しい知識を普及し、不安を取り除いていくためには、いきいきと活動している認知症御本人からの発信を支援し、イメージの改善を図ることが重要です。 今年度実施した認知症講演会では、認知症とともに希望を持って生活している姿や声を伝えるため、区内で暮らす認知症御本人に御講演いただきました。 また、「高齢者の保健と福祉に関する調査」において、認知症御本人への聞き取り調査を実施しました。 今後は、普及啓発として認知症御本人から聞き取りした御意見を認知症サポーター養成講座の内容に加えるなど、区民に対し多様な機会で発信していきます。 認知症予防の支援としては、新宿区医師会の認知症サポート医の協力のもと、高齢者総合相談センターの医療・介護・福祉の専門職で構成する認知症初期集中支援チームによる支援を認知症の早い段階から行っています。また、認知症・もの忘れ相談により早期受診・早期診断につなげています。 介護者への支援としては、現在介護を行っている方に限らず、広く区民に認知症を正しく理解していただくために、講演会や介護者家族に向けた学習会を実施しています。今後も介護者が認知症の人へ適切に対応できるように支援していきます。 次に、認知症の人を含む住民同士の支え合いについてのお尋ねです。 認知症の「予防」については、「認知症になるのをおくらせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という視点が重要です。 また、「共生」については、「認知症の人が尊厳と希望を持って認知症とともに生きる」「認知症があってもなくても同じ社会でともに生きる」という視点が大切です。 この「予防」と「共生」を実現していくためには、認知症の予防や適切な対応についての正しい知識を持った地域の担い手を育成していくことが必要です。 そのため、区では認知症サポーター養成講座を受講し、区内での活動を希望した区民の方などに認知症サポーター活動登録者として御協力をいただいています。 この方々には、地域活動の情報提供や認知症の知識をより深めるための講座、認知症の人にどのように声かけを行うかの訓練を行っています。 また、地域のイベントや認知症講演会における普及啓発や認知症介護者家族会の運営などで活躍していただいています。 今後も認知症サポーター活動登録者による地域活動を支援するとともに、認知症予防に関する知識の普及に努め、地域における支え合いを広げていきます。 次に、認知症高齢者への事業の充実強化と地域コミュニティの活性化に向けた支援についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、成年後見制度や認知症予防につながる高齢者の健康づくりなどの事業を充実強化していくことは大変重要であると認識しています。 また、高齢化がさらに進展する2040年を見据え、地域が地域の中で課題を解決していく力をつけていくことも大切なことであると考えています。 成年後見制度は区長申し立ての制度を活用し、認知症の人の財産や身上保護の支援を行っています。今後は、市民後見人へのバックアップ体制の強化を図っていきます。 また、地域で身近な相談を担う民生委員にも定期的に認知症サポーター養成講座に参加していただき、最新の認知症の知識を学ぶ機会をふやしていきます。 高齢者の健康づくりについては、薬王寺地域ささえあい館を拠点として活動する高齢者等支援団体や「新宿いきいき体操」「しんじゅく100トレ」などを実践する団体、住民主体のサロンなどの「通いの場」を活用して認知症予防につなげていきます。 さらに、地域コミュニティの核である町会・自治会から地域の声を聞くことも重要です。また、地域には高齢者の見守りや居場所づくりに取り組む多くの登録NPO団体があり、これまでも6団体が新宿区協働推進基金助成制度等を活用し、高齢者の健康づくりや地域での生活を支援する事業を行ってきています。 このような取り組みにより、認知症になっても住みなれた地域で暮らし続けていける地域づくりを推進していきます。 ◆12番(大門さちえ) では、続きまして、働き方改革の視点から見た事務改革についてお伺いさせていただきます。 今働き方改革が叫ばれる中、その議論の一つに残業をいかに減らすかがあり、そこでは上限規制などが中心に語られていますが、事務の効率化を図ることにより働き方改革につなげていく必要があるものと思っております。 このような視点では、事務につきものの紙、ペーパーをいかに減らすかであります。このことは、国においては国会改革の一つとして、「国会議員に配る紙の印刷物を減らすペーパーレス化の対象を拡大するために、衆議院は質問主意書とその答弁書をペーパーレス化するための衆議院規則を改正した」との報道がありましたところですが、新宿区におけるペーパーレス化の取り組みはどのように進めてこられているのでしょうか。また、今後に向けてはどのように取り組んでいかれるのでしょうか。 新宿区の財務会計では、電子化によるペーパーレス化が進んでいるところかと思いますが、事務効率などの点ではどのように評価されていますでしょうか。 次に、区では定期的に文書整理をされていますが、それらの処理量の経年変化をどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。そして、その経年変化によるのはどのような要因が最も大きいとお考えなのか伺います。 また、そのような視点での事務改革にはどのように取り組まれているのでしょうか。 このようなことでは、民間企業の中では経営会議などにおける会議ではペーパーレス化の方針のもと、紙の資料配付を一切取りやめてタブレット端末によることとしている企業の取り組みが報じられています。このことでは、省資源のみならず資料づくりや事後の処理が不要になるなど、その効果ははかり知れないものがあるのですが、このような形での事務改革にはどのように取り組まれているのでしょうか。 次に、事務室内に目を転じ、これをカウンターの外から区民目線の住民サービスという視点で見てみますと、事務室内の動線がもっとシンプルでよいのではないかというように感じることが多いです。 住民サービスの窓口などでは、コピー機やプリンターの数と配置などに工夫の余地があるようにも思いますが、区民の方々の声などにはどのようなものがあるのでしょうか。 ことし5月にデジタルファースト法が成立し、本年度から順次施行されているところであります。行政手続やサービスが一貫してデジタルで完結し、1度提出した情報が再提出を不要とする「ワンスオンリー」などが進む中では、事務処理の効率化の中で今後ボトルネックになってくるのが行政側の事務処理体制にかかってくるものと思われます。今後このような点での体制整備が欠かせないと考えるところですが、区長の御所見をお聞かせいただければと思います。 次に、区では事務処理に当たって多くの事務に情報システムを導入されておりますので、セキュリティを中心に幾つか伺いたいと思います。 区役所では税金や年金、保険などの部署で区民等に係る多くの個人情報を扱っていますが、それらを扱う職員のPC周りのセキュリティはどのようになっていますでしょうか。 例えば、企業では会社にとって機密性の高い情報にアクセスできるのは特定の社員のみで、他の社員が後ろからモニターをのぞき見したり、担当者の離席中にモニターを眺めたりできないように、中でも特に機密性の高い情報については別室にしたり、パーティションで仕切ったりして、その別室やパーティションの扉にロックをかけ、特定の社員しか入室できないように工夫をしています。 さらには、情報システムの活用状況についても幾つか伺っておきたいと思います。 区民の方からよく聞かれますのが、ホームページ等で知りたい情報を検索しても、なかなか目的の情報にたどり着けず時間がかかってしまうことが多いというお話です。 このことでは、自治体によってはAIを駆使した試みなども行われているようですが、こうした情報や資料の保存先がすぐわかるような工夫を何か行っていらっしゃるのでしょうか。 最後に、働き方に関連して、民間企業では働き方の多様性が進んでいますが、区ではさまざまな事情により通勤が難しくなった職員が在宅でできるリモートワークの取り組みはされているのでしょうか。 以上、答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 働き方改革の視点から見た事務改革についてのお尋ねです。 初めに、ペーパーレス化による事務の効率化についてです。 御指摘のとおり、平成16年度から財務会計を初め文書管理システム・庶務事務システムを導入したことにより、平成30年度で約6万件の支出命令書を初め、文書の電子化を進めてきました。 こうしたシステムの導入により、各部署にまたがる決裁等のやりとりがシステム上で完了できるようになり、事務効率に大きく寄与しています。 また、区の情報化の方針等を定める情報化戦略本部会議において、今年度から試行的に紙の資料を配付せずに端末を利用した会議を実施しており、こうした取り組みを全庁的に広げてまいります。 一方で、文書の取扱量については、紙での申請が必要な臨時福祉給付金やプレミアム付商品券への対応など、新たな行政サービスにも対応する必要があったことから、保管や廃棄量も含めて増加している状況です。 区では、来年度から区民サービスの向上及び働き方改革への対応として、窓口サービスや業務の見直しに向けた取り組みを進めていきます。 こうした中で効果的・効率的な事務処理体制の構築を図るとともに、ペーパーレス化やコピー機、プリンターの数や配置、ワンスオンリーなどのデジタルファースト法への対応についても検討してまいります。 次に、個人情報を取り扱うパソコン等の情報セキュリティ対策についてのお尋ねです。 住民情報や税情報などの個人情報等の利用に当たっては、情報セキュリティ規則を初めとする各種規程を定め、個人情報の利用目的に応じて取り扱えるパソコンや職員を限定するとともに、ID・パスワードと生体情報等を利用した多要素認証によって情報へのアクセス制御を実施しています。 また、パソコンの設置場所や画面の向きへの配慮、のぞき見防止フィルムの活用や離席時の画面ロックなど、さまざまな対策を講じています。 さらに、個人情報等の情報資産を保存しているサーバー機器については、厳格な入退室管理が施された機密性の高い場所に設置するなど、区民の財産やプライバシー等の保護に万全を期しています。 次に、ホームページ等における情報や資料を探しやすくする工夫についてです。 区ホームページは現在約2万1,000ページあり、手続の情報やイベント情報など多種多様な行政情報を掲載しています。 区では、ことしの3月からホームページ内をより検索しやすく、必要な情報にたどり着けるようにするため、検索キーワードの振れ幅をある程度認める曖昧検索機能を導入しました。また、検索結果画面で特定のページをより上位に表示する優先表示設定も行っています。 このほか、手続や届け出窓口等をカテゴリー・項目別にわかりやすく分類している「くらしのガイド」のデータを活用して、必要な情報を容易に見つけることができるWebサイトを1月から開始します。 チャットボット等、AIを活用した情報提供については、今後のAI技術の進歩や他自治体における導入事例等を踏まえて検討していきます。 次に、区職員のリモートワークの取り組みについてのお尋ねです。 区では、窓口職場や直接処遇職場など職員が直接対応する業務が多く、現在リモートワークの導入を行っていないところです。 しかし、情報通信技術が急速に発展する中、ICTの活用により、電子申請や電子交付、キャッシュレスによる公共料金の支払いなど、区民が窓口に来庁しなくても手続が完了できる分野が拡大しています。 この流れは、自治体業務のさまざまな分野において区民サービスの改善とともに、リモートワークで実現可能な業務領域の拡大など、職員の働き方のさらなる改革にもつながる可能性を持っています。 今後とも、こうした視点を踏まえて区役所全体の事務改革の取り組みを進めてまいります。 ◆12番(大門さちえ) 続きまして、世界保健機関(WHO)で国際疾病に認定され、精神疾患と位置づけられたゲーム障害について質問させていただきます。 インターネットの普及により人々の生活は変わりました。特にスマホという小さい機器を一人ひとりが常に携帯するようになってから、その効果は顕著に感じます。 例えば、娯楽の少ない地方に住んでいても、スマホさえあれば動画によりすぐ映画が見られますし、ゲームもできますし、ネットショッピングで首都圏にしか店舗のないようなブランド物もクリック一つで手に入ります。 ネットは従来あった地域格差や所得による情報格差をなくしつつあるものと感じます。教育に活用できれば、親の所得などによる教育格差も縮む傾向になると期待されているものでもあります。 しかし、その一方で、よく効く薬に副作用があるように、ネットにも残念なことが起きてしまっているのも事実です。 その残念なことの一つにゲーム障害があります。このことについて厚生労働省が昨日、ゲーム障害に関する初の実態調査結果を発表しており、テレビや新聞に大きく取り上げられております。 ゲーム障害も依存という状態そのものはインターネット依存と大差がないようにも受け取られるかもしれませんが、このたび国際疾病としてギャンブル依存症などと同じ精神疾患と位置づけられたものでありますから、おのずとその取り扱い、対応は異なるべきものであります。 区としても、また教育委員会としても、区民や児童・生徒に対して疾病であることの認識を持ってもらう、そのような啓発と予防、そして対策を行っていく必要があるという立場から、以下質問を続けてまいります。 これまでもインターネット依存の問題としてはいろいろと取り上げられてきておりました。この問題は、パソコンや携帯電話のインターネットのサービスを長時間使い続け、なかなかやめられず、健康や生活に支障が出ている状態を指したものであり、悪化すると食事をとらなくなり、栄養失調になることもあったようです。しかし、これまでは世界保健機関、WHOの国際疾病分類にはなく、病気とは定まっていなかったのですが、今日のスマートフォンなどの普及で、生活に支障が出るほどオンラインゲームなどに没頭するゲーム障害が世界各国で問題化する中、世界保健機関は本年5月25日、オンラインゲームなどのやり過ぎで日常生活に支障を来す疾病として、「ゲーム障害」を国際疾病として正式に認定し、スマートフォンなどの普及でゲーム依存の問題が深刻化し、健康を害する懸念が強まっているところから、ギャンブル依存症などと同じ精神疾患と位置づけられましたところです。 世界保健機関によると、ゲーム障害としては、1、ゲームの時間や頻度をみずから制御できない、2、ゲームを最優先する、3、問題が起きているのに続けるなどの状態が12カ月以上続き、社会生活に重大な支障が出る場合に診断される可能性があるとしております。 このように疾病に認定されたことから、今後に向けては、対策から予防に力を入れていく必要があると同時に、これまで以上に啓発にも力を入れていく必要があります。 厚生労働省の研究班が平成30年8月31日に発表した調査結果では、国内の中高生の7人のうち1人、約14%、推計約93万人にネット依存が疑われるとの結果が出たとのことでありますが、この論でまいりますと、ことしの住民基本台帳人口の年齢別から推計する新宿区の該当者数は1,400人を超えることになり、区立中学校の在籍生徒数からは370人を超える推計値になるところですが、このような数字を教育委員会としてはどのように受けとめられているのでしょうか。 また、このような状況にある中では、このような対象となる児童・生徒も下校すると地域に戻るところであり、その点では地域社会における問題ともなり、課題ともなります。 そうしたところから、区としてはこのような問題についての地域社会に対する現在の取り組みはどのようであり、疾病に認定された今後の取り組みをどのようにされていくのでしょうか。そして、区立学校における児童・生徒に対するそれぞれの取り組みについても伺いますとともに、本来このような問題は、一義的には家庭教育の範疇の問題であろうというのが私の認識ではありますが、学校として、このような問題に対しての家庭との連携という点ではどのように取り組まれているのでしょうか、あわせて伺います。 次に、国内でいち早くインターネット依存症の専門外来を立ち上げ、最先端の治療を行う国立病院機構久里浜医療センターの樋口院長が取材に答えておられる記事によりますと、「インターネット依存専門外来の患者の7割が未成年で、平均年齢は18.5歳から19歳。家族が心配して連れてくるケースがほとんどで、男性8対女性1です。大半がゲーム依存で、女性に多いSNS依存はまれです。一般にゲーム依存は昼夜逆転する、食事をとらないなど、生活が乱れるので異常行動と認められやすい。SNS依存では、見た目にはあらわれにくい」と述べられております。 ここにありますように、未成年者が圧倒的に多くを占めるとのことでありますが、残りの3割が成人となりますと、ゲーム依存の症状が出て昼夜逆転することともなりますと、社会生活もままならない状況となるものと思われます。 このような成人を含めた方々の相談先の一つが保健所であると思われますが、相談の現状と今後の取り組みについて、そして厚生労働省ではゲーム障害に対応できる医療人材の育成に乗り出すとのことでありますが、このような人材にかかわる点での取り組みについてもあわせて伺えればと思います。 さらには、久里浜医療センターの樋口院長が取材の「とりわけ10代の子どもたちに問題を感じる点は」に答えて、「大人になれば代替となるものを経験しているので逃れる方法がありますが、10代でゲーム依存になってしまった人は、人生で初めて出会った喜びがゲームとなると、代替を見つけるのが難しい。ゲーム依存から回復するには、ゲームが生活で1番という状況から、ほかの1番が見つかり、ゲームが2番目以降になればいいのです。しかし、短い人生で1番にかわり得るものが見つけることができないと、幾らゲームを断とうとしても難しいのです。ゲームのおもしろさに加えて、仲間とゲームをしていると、そこで自己承認欲求が満たされ、抜け出すのが難しい状況があります」と述べられています。 そして、「依存症というのは、始める年齢が早ければ早いほどリスクが高いのです。法的に始められる年齢は、アルコールはたち、パチンコ18歳、ゲームはゼロ歳です。スマホやゲーム企業はコントロールのきかない思春期の子どもたちをどこまでも逃がしませんから、何らかのアクセス制限は必要でしょう」とも述べられているのであります。 このようなお答えの中で最も気になるのが、「ゲームはゼロ歳です」の言葉です。 今の子どもたちの場合には、赤ちゃんのときからゲームでスマホになじむ機会もあって、小学校入学時には既にゲームになじんでいる場合もあるところから、対応が遅過ぎる場合も少なくないものと思われます。 このことでは、世界保健機関は「ゲームの画面などを見るのは2歳未満では推奨できない」とし、「2歳以上でも1日1時間未満にとどめるべき」とする指針を出しています。 このような点では、家庭の役割がとても大きいものと思います。そのようなところから、家庭における取り組みが重要となっているものと思いますが、こうした点での取り組みについてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。 以上、答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 世界保健機関(WHO)で国際疾病に認定され、精神疾患と位置づけられたゲーム障害についてのお尋ねです。 初めに、ゲーム障害の問題について、地域社会に対する現在の取り組みと今後の対応についてです。 区では、保健センターでゲーム障害を含む依存症への悩みを抱える方や家族からの相談を受けています。 また、男女共同参画推進センターでは、地域活動団体と連携し、子どもとSNSとのかかわり方について公開講座を実施しています。 さらに、保護者向けにインターネットやスマートフォンの安全・安心な利用についての講座を実施している子ども家庭支援センターもあります。 加えて、青少年育成委員会委員を対象とした研修会において、「インターネットと子ども達」をテーマに、子どものインターネット利用に関する現状や注意点を学ぶ機会を設けています。その中では、保護者が子どものインターネットの使い方に注意を払うことと家庭内のルールをつくることの重要性を伝えています。 今後は、ゲーム障害が疾病に認定されたことも踏まえ、このような地域に向けた研修、講座などの機会を活用して、より予防に力を入れた普及啓発に努めてまいります。 次に、ゲーム障害の相談の現状と今後の取り組みについてです。 平成30年度の保健センターでの依存症相談件数は延べ1,011件で、そのうちゲーム障害に関する相談は数件程度となっています。コミュニケーションのとり方や生活リズムについてなど、家族からの相談がほとんどです。相談を受けた保健師は、必要に応じて保健センターが実施する専門医による精神保健相談や医療機関への受診勧奨を行っています。 今後も個人の状況に合わせて、きめ細やかな支援を継続していきます。 次に、ゲーム障害に対応できる人材の育成についてです。 区では、東京都が主催する精神保健福祉研修への参加や、所内での事例検討等を通じてスキルの向上を図っており、今後もさまざまな機会を捉えて保健師等の人材育成に努めていきます。 次に、ゲーム障害に対する家庭における取り組みについてです。 御指摘のとおり、ゲーム障害の予防には、乳幼児期からの家庭での取り組みが大変重要であると考えます。 今年度は、保健センターにおいてゼロ歳から3歳児の保護者を対象に、「スマホが及ぼす子どもの育ちへの影響」をテーマとした育児講演会を行いました。今後も精神保健講演会などさまざまな機会を捉え、子育て世代への普及啓発を図ってまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会の御質問にお答えします。 初めに、厚生労働省の調査結果に基づくネット依存の推計値に対する認識についてです。 平成30年度に公表された厚生労働省研究班の調査結果によると、インターネットの過剰使用の状況として、意図した時間より長い時間使用したり、使用を待ち望んだり、使用時間を減らすことに失敗したといった実態がうかがえます。 推計値からは、多くの生徒が日常生活に支障を来す状態に至るおそれがあることとなり、子どもの健全育成の観点から大変深刻な問題であると受けとめています。 区立学校の児童・生徒を対象に毎年実施しているアンケート調査の結果によると、携帯電話やスマートフォンを所持している児童・生徒のうち、小学生の約7%、中学生の約25%が平日1日3時間程度携帯電話等を使用していることから、御指摘の厚生労働省による調査をもとにしたネット依存が疑われる生徒数の推計値は、区立学校の実態から現実的な数値であると捉えています。 このため、携帯電話などの長時間使用が依存状態に陥り、健康を害することのないよう、日ごろから適切な利用を促すことでネット依存の防止に向けた取り組みを強化していく必要があると考えています。 次に、学校におけるネット依存に対する取り組みについてのお尋ねです。 小中学校では、情報社会におけるインターネットの有用性とともに、その弊害についての理解を深めるため、生活習慣上の問題やネット依存、ゲーム障害の予防など実例を交えながら、外部講師による授業を実施しています。 また、各中学校の生徒会活動においても、生徒が中心となって学校ごとのルールを作成し、健全な利用を呼びかける取り組みが行われているなど、生徒が主体的に考える取り組みを促しています。 さらに、西新宿小学校では、生活委員会が中心となり、各学級で考えたSNSルールを全校朝会で発表するなど、小学校での取り組みも行われているところです。 今後、今年度実施した児童・生徒に対するアンケート結果がまとまり次第、児童・生徒のインターネットなどの利用実態を全小中学校で共有し、専門人材の派遣などを通して各校でのさらなる取り組みの強化につなげてまいります。 次に、家庭との連携についてのお尋ねです。 子どものネット依存の問題については、学校と家庭とが連携を図りながら取り組んでいくことが重要であると認識しています。 今年度は、小学校4校で「親子情報モラル教室」を開催するほか、各学校で開催する「セーフティ教室」の中で保護者を対象とした「ネット安全教室」を実施するなど、家庭に対する意識啓発を行うことで、子どもの健全な生活環境を学校と家庭が連携して確保するよう取り組んでいます。 今後も、文部科学省から発行された依存症予防のための指導参考資料や国内外での研究や対策などの取り組みの動向を引き続き注視しながら、子どもがネット依存に陥らないための取り組みを家庭との連携を図りながら推進してまいります。 次に、就学前の家庭に対する取り組みについてのお尋ねです。 教育委員会では、保護者が家庭教育について考える一助とするために、「家庭教育ワークシート子育てのかたち◯▲□」を作成し、区内の区立・私立の幼稚園、保育園、子ども園の4歳児の保護者に配布しています。「遊びで育つ子どもの力」をテーマに、4歳から6歳までの子どもたちの発達と保護者のかかわりについてまとめた内容となっており、スマートフォンやテレビゲームでは体験できない遊びの魅力を紹介することで、幼児期に必要な生きる力の基礎を育む遊びの大切さへの理解を保護者に促しています。 今後は、就学前の保護者に対する情報発信手段である家庭教育ワークシートを活用して、ゲーム障害に関する情報や注意喚起を盛り込むことで、幼少期からのゲーム障害の未然防止に向けた保護者に対する情報発信を強化してまいります。 そのほか、教育委員会が公私立の各幼稚園のPTAと共催で開催する「家庭教育講座」などの機会を活用して、ゲーム障害をテーマとした研修を保護者へ提供できるよう、今後、各PTAと調整の上、理解啓発に向けた効果的な取り組みも進めてまいります。 以上で答弁を終わります。 ◆12番(大門さちえ) さきの質問者の質問とかぶるところもありましたが、最後まで丁寧に答弁していただきまして、本当にどうもありがとうございました。 60分にわたる、以上、私の長い質問、これで終了させていただきたいと思います。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(吉住はるお) 本日の代表質問は終了しました。--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) 以上で本日の日程は終わりました。 次の会議は11月29日午前10時に開きます。ここに御出席の皆様には改めて通知しませんので、御了承願います。 本日はこれで散会します。 △散会 午後4時17分                  議長    吉住はるお                  議員    藤原たけき                  議員    伊藤陽平...