平成31年 2月 定例会(第1回) 平成31年第1回
定例会会議録(第2日)第2号平成31年2月19日(火曜日)出席議員(37名) 1番 豊島あつし 2番
木もとひろゆき 3番 三沢ひで子 4番 井下田栄一 5番 小野裕次郎 6番 三雲崇正 7番 佐藤佳一 8番 川村のりあき 9番 北島としあき 10番 野もとあきとし 11番 池田だいすけ 12番 桑原羊平 13番 平間しのぶ 15番 渡辺清人 16番 鈴木ひろみ 17番 久保広介 18番 志田雄一郎 19番 あざみ民栄 20番 阿部早苗 21番
中村しんいち 22番 有馬としろう 23番 下村治生 24番 おぐら利彦 25番
佐原たけし 26番 ひやま真一 27番 吉住はるお 28番 えのき秀隆 29番 のづケン 30番 ふじ川たかし 31番 近藤なつ子 32番 沢田あゆみ 33番 赤羽つや子 34番 宮坂俊文 35番 伊藤陽平 36番 かわの達男 37番
田中のりひで 38番
雨宮武彦---------------------------------------欠席議員(なし
)---------------------------------------説明のため出席した者の職氏名 区長 吉住健一 副区長 寺田好孝 副区長 鈴木昭利
総合政策部長 平井光雄 総務部長 針谷弘志
地域振興部長 加賀美秋彦
文化観光産業 村上道明 福祉部長 中澤良行 部長 子ども家庭 橋本 隆 健康部長 髙橋郁美 部長 みどり土木 田中孝光
環境清掃部長 野田 勉 部長
都市計画部長 新井建也 会計管理者 小沢健吾
企画政策課長 大柳雄志 財政課長 遠山竜多
教育委員会 総務課長 高木信之 酒井敏男 教育長
教育委員会 選挙管理 山田秀之 委員会 木城正雄 事務局次長 事務局長
常勤監査委員 濵田幸二
監査事務局長 菅野秀昭---------------------------------------職務のため出席した
議会事務局職員 局長 小池勇士 次長 下杉正樹 議事係長 濵野智子 議事主査 佐藤公彦 議会事務局 議事主査 黒木明子 榎本直子 主査 議会事務局 仙崎雄介 書記 笠原鉄平 主査 書記
田丸綾香--------------------------------------- 速記士 河原田小百合---------------------------------------2月19日 議事日程 日程第1
代表質問---------------------------------------
△開議 午前10時00分
○議長(
佐原たけし) ただいまから、本日の会議を開きます。
会議録署名議員は、 19番
あざみ民栄議員 20番
阿部早苗議員 を指名します。
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○議長(
佐原たけし) 本日の会議時間は、議事進行の都合により、あらかじめ延長します。
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○議長(
佐原たけし) 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。
◎
議会事務局次長(下杉正樹) 区長から、 1、第22号議案など5件の議案の送付について 監査委員から、 1、定期監査の結果について 2、平成30年度行政監査(公法上の債権(税及び保険料を除く。)における収入未済について)の結果について 3、平成30年度
財政援助団体等監査の結果について
--------------------------------------- 30新総総総第8152号 平成31年2月18日 新宿区議会議長
佐原たけし様 新宿区長 吉住健一 議案の送付について 平成31年第1回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。 記 1 第22号議案 平成31年度新宿区
一般会計補正予算(第1号) 2 第23号議案 平成31年度新宿区
国民健康保険特別会計補正予算(第1号) 3 第24号議案 平成31年度新宿区
介護保険特別会計補正予算(第1号) 4 第25号議案 平成31年度新宿区
後期高齢者医療特別会計補正予算(第1号) 5 第26号議案 新宿区
国民健康保険条例の一部を改正する
条例--------------------------------------- 30新監査第8022号 平成31年2月15日 新宿区議会議長
佐原たけし様 新宿区監査委員 岩田一喜 同 濵田幸二 同 白井裕子 同 有馬としろう 定期監査の結果について
地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定に基づき、平成30年度定期監査(後期)の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。 〔以下は
省略〕--------------------------------------- 30新監査第8025号 平成31年2月15日 新宿区議会議長
佐原たけし様 新宿区監査委員 岩田一喜 同 濵田幸二 同 白井裕子 同 有馬としろう 平成30年度行政監査(公法上の債権(税及び保険料を除く。)における収入未済について)の結果について
地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定に基づき、平成30年度行政監査の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。 〔以下は
省略〕--------------------------------------- 30新監査第8024号 平成31年2月15日 新宿区議会議長
佐原たけし様 新宿区監査委員 岩田一喜 同 濵田幸二 同 白井裕子 同 有馬としろう 平成30年度
財政援助団体等監査の結果について
地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定により、平成30年度
財政援助団体等監査の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。 〔以下は
省略〕---------------------------------------
○議長(
佐原たけし) これから本日の日程に入ります。 日程第1、代表質問を行います。 質問の通告を受けましたので、順に質問を許します。 最初に、11番池田だいすけ議員。 〔11番 池田だいすけ議員登壇、拍手〕
◆11番(池田だいすけ) 自由民主党・
無所属クラブの池田だいすけでございます。 平成31年第1回新宿区議会定例会に当たり、会派を代表して区長並びに
教育委員会に質問いたします。 本年の1月1日の日本経済新聞の社説の見出しは「不確実性にたじろがず改革進めよ」でありました。新宿区政にも当てはまるのであり、当然、政府にも当てはまります。また、今日の日本の企業にあっても、このような心意気で世界中の企業と渡り合っていると思うところであり、組織をなすところでは、すべからくそのようであるものと思っております。想定外が日常化した今日であるからこそ、「不確実性にたじろがず改革進めよ」が問われるのだと思いました。 以下、質問に入ります。 まず初めに、第18期4年の任期満了を前にして伺います。 私たち新宿区議会議員としての第18期の4年間の任期は、間もなく本年4月30日の平成の終わりとともに同日付でその任期を終えることとなります。この第18期の4年間は、吉住区政の1期目とほぼ重なる時期でありました。成熟期を迎えている日本の新宿区政としましても、早々目新しい事業ばかりとはならない中にありましても、この4年間には、ハード関連の事業としては、建築物等の耐震化助成の拡充、街路灯のLED化、来街者の利便性を高める
新宿フリーWi-Fiの導入、
にぎわい創出のための
新宿中央公園の魅力向上、
区立小中学校体育館等への空調設備の整備など、また、ソフト関連の事業としては、健康づくりや
生活習慣病予防の拡充、
地域包括ケアシステムの構築、
学童クラブ機能付き放課後子どもひろばの実施と拡充、
特別支援教室の全小学校への設置、繁華街の
客引き行為等防止対策の強化、空き家の適正管理の強化、
健康寿命延伸の推進、
児童相談行政を総合的に担うための児童相談所及び一時保護所の整備などの事業が推進されてきました。 これらの事業の多くが、この4年間の我が会派の代表質問や一般質問等で取り上げたテーマであるとともに、会派としても実現に努めてきた事業であります。 このように、第18期の4年間は、吉住区長とともに着実にその実績を重ねることができた4年間と振り返ることができるものと考えており、吉住区長とともに新宿区政推進の両輪の一方として邁進してきたところであります。 その結果として、「共働き子育てしやすい
街ランキング2018」で総合1位、「
地域ブランド調査2018」で全国20位、23区1位、また、東京都調査の「平成29年
国別外国人旅行者行動特性調査」では、訪問した場所で最も多いのが「新宿・大久保」で56%でありました。これらは実績の一部ですが、区政に対する国内外の評価が高いことが実証されたものであり、4年間の実績として誇れるものであります。 総じては、ただいま申し述べたとおりですが、当然のことながら、まだまだ課題が残るものがあるのも事実です。その幾つかは
少子高齢社会にあって、
特別養護老人ホームに係る待機高齢者の問題や保育における待機児童問題などがあると思っておりますが、区長はこのような残る課題については、どのようにお考えでしょうか。 今、世界は目まぐるしい変化の渦中にあり、想定外のことが自然界のみならず
社会経済現象としても起こる中では、今がしっかりとしていることと、そのことが今後とも持続することこそが大事です。すなわち、将来にわたって持続可能であることが極めて大切であり、そのような社会の実現が今のような時代であるからこそ、一層求められているものと思っております。そのための努力を一自治体としての新宿区も追い求める必要があり、想定外が日常化する中では、持続可能であることこそが大事であります。 そのような中にあって、一人の区民として考えるとき、日常生活が特段のこともなく過ぎていくという普通の日常の生活こそが、愛おしく大切なものと感じるきょうこのごろであります。そのような視点を持ちながら質問を続けたいと思っております。 そのような中、また、悲しい事件が起きました。「先生どうにかできませんか」の悲痛な叫びは、教師への投げかけであると同時に、社会への、また地域社会への叫びでもあり、警鐘でもあるのではと思っております。このようなことは、家庭が地域から孤立し、地域社会とのつながりが薄くなる今日の地域社会の危うさを指し示しているように思えてなりません。 そのような時代にあって、地方自治体の役割は、一層増すばかりとなるものであります。すなわち、地域が弱体化する中では、従来の公助の役割を超えて共助の部分にも踏み込む必要性を迫られる場合もあり、とりわけこのような児童相談など社会的弱者に対する事務は充実していく必要があります。 その一方で、従来型の諸証明の発行等のサービスなどにあっては、AIなどに極力委ねる方向で効率化を図るとともに、このような相談業務に人的資源を再配置し、充実していく必要があるものであります。 今後、ますます少子高齢化が進む中では、総体としての人的資源の増大は難しく、既存の人的資源の再配分で賄う必要があり、人が担うべき事務とAIやRPA、ロボティック・プロセス・オートメーションの活用などによることが可能な事務は、極力AI等に移行するなどして、充実すべき業務や新たな業務に伴う必要な人的資源の確保を図るなど、人的資源の最適化を求め、再構築を常に図っていくことが必要かと思っておりますが、いかがでしょうか。 さらには、今日でも毎日のように振り込め詐欺被害のニュースが報じられ、被害が後を絶たないのであります。このことは、社会的弱者と言われる高齢者にとっても、ふだんから身近に気軽に話ができる関係の人が少ないことなどの、今日の地域社会の脆弱性も影響しているように思えるのであります。 警察、行政やテレビなどによる啓発の情報には、一定の限界があるように思えてならないのであります。確かによく言われますように、多くの被害者も「自分だけは大丈夫」と思っていても、いざとなると落ちつきを失って動揺し、振り込め詐欺に引っかかってしまうということも多いのだと思っておりますが、隣近所に日ごろからこのようなことなども気軽に話せる状況があれば、おのずと結果も異なるようにも思えてならないのであります。 このような今日の社会状況を見るとき、このような時代であるからこそ、区民に最も身近な自治体としての新宿区政が持続可能なものでなくてはならないのであり、かつ、真に区民、とりわけ子どもや高齢者といった弱い立場の区民に寄り添った区政として運営されていく必要があるものと思っておりますが、区長のお考えをお聞かせください。 最後に、
牛込保健センター等複合施設に伴う旧
都立市ヶ谷商業高校の活用についてです。
牛込保健センター等複合施設の建てかえについては、我が会派が要望書を区長に提出させていただき、実現に結びつきました。吉住区長の御決断には、大変感謝をするところです。 今回、
牛込保健センター等複合施設の建てかえ時の仮施設として、旧
都立市ヶ谷商業高校を使用するとしています。旧
都立市ヶ谷商業高校の跡地活用については、以前、我が会派は
高齢者福祉施策の充実、防災広場、また繰り返し校舎の建て増しをしたことにより学校生活に不便が生じている牛込第一中学校の老朽化への対応のための活用を要望させていただき、区は福祉、防災、教育等に資する場として、
特別養護老人ホームなどの
高齢者施設、防災広場、牛込第一中学校の老朽化に伴う建てかえ等を具体的な候補案として検討しているとのことでありました。
牛込保健センター等複合施設の建てかえ時の
牛込保健センターや
新宿生活実習所の仮施設としての使用が終了した後、
高齢者施設の建設、防災広場の整備、牛込第一中学校の建てかえ等をどのように進めていくのか、区長のお考えをお聞かせください。
◎区長(吉住健一) 池田議員の御質問にお答えします。 第18期4年の任期を前にしてのお尋ねです。 初めに、引き続き取り組む課題についてです。 御指摘のとおり、
特別養護老人ホームの入所待機と保育所の待機児童の解消については、課題であると認識しています。このため、将来の人口増減や年齢構成の変化などの人口動向を見据えながら、
特別養護老人ホームを初めとした
介護保険サービスの基盤整備や
待機児童解消のための保育所整備に取り組んでまいります。 また、
首都直下地震の切迫性が高まる中、災害に強いまちづくりを推進しなくてはなりません。このため、建築物等の耐震化や
ブロック塀等の安全化対策にスピード感を持って取り組むとともに、地域防災力の強化などを図ってまいります。 さらに、持続的に発展する新宿を創造するためには、商業・業務・文化・居住機能など多様性に富んだ新宿区の都市機能や都市環境を活かしたまちづくりが重要です。このため、まちの回遊性や利便性を向上させる
都市基盤整備や文化・観光・スポーツの振興、魅力ある
商店街づくりや産業振興などに取り組んでいきます。 これらの施策を総合的に推進することで、「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて着実に取り組んでいきます。 次に、AI等の導入と人的資源の最適化、再構築についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、地域社会における行政の果たすべき役割が拡大している中で、必要な人的資源の確保を図るため、AIやRPAなどの活用による行政運営の効率化を進めることが必要であると認識しております。 そのためには、事務事業の業務手順や執行体制を検証し、AIやRPAの活用により事務処理量の削減や時間の短縮効果が見込まれる業務については、これらを導入し、充実すべき業務や新たな業務に職員を振り分けるなど、人的資源の最適化、再構築が必要です。 今後は、効果的・効率的な行財政運営と
行政サービスの向上に向けて、事務事業全体を検証し、事業の実施方法や執行体制の根本的な見直しに取り組んでいきます。こうした中で、AIやRPAの活用についても検討し、業務の効率化とともに人的資源の最適化に取り組んでいきます。 次に、子どもや高齢者に寄り添った区政運営についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、行政機関からの広報やメディアを通じた情報発信だけでは、振り込め詐欺対策やその他の必要な情報を受け取っていただくことに限界があると感じています。いざ困ったときに、隣近所にちょっとしたことでも相談できる相手がいる状態ができる環境が大切だと考えています。 このため、地域の中でお互いの顔が見える関係が築かれ、子どもから高齢者までの多様な世代が交流・連携・協力し合う
地域社会づくりを進めています。具体的には、
地域コミュニティづくりの核である町会・自治会の活性化支援や、多世代が互いに支え合う「地域支え合い活動」推進の拠点を開設し、多様な担い手による活動を支援しています。 また、弱い立場の方に対する取り組みとして、子どもの貧困対策、児童虐待への対応、高齢者や障害者が安心して暮らし続けられる環境の整備、生活困窮者の自立支援を実施しています。 今後も、これらの施策を着実に実施していくことで、子どもや高齢者、障害者など誰もが安心して生活ができるよう、区政運営に取り組んでまいります。 次に、旧
市ヶ谷商業高等学校の活用についてのお尋ねです。 旧
市ヶ谷商業高等学校については、
牛込保健センター等複合施設の建てかえに伴う
牛込保健センター及び
新宿生活実習所の仮施設として、2024年度まで使用します。その後の活用については、現在、福祉、防災、教育等に資する場として、
特別養護老人ホームなどの
高齢者施設の設置や近隣にある保育園の運動会等の行事ができ、災害発生時には一時的に避難できる防災広場の整備、隣接する牛込第一中学校の老朽化に伴う建てかえ等について、具体的に検討を進めているところです。 今後、ことしの夏ごろまでに活用についての方針案をまとめたいと考えており、方針案がまとまり次第、議会を初め地域の方々に説明してまいります。
◆11番(池田だいすけ) 次に、持続可能な区財政の確保についてお伺いします。 最近の国の債務残高を見るとき、いつも気になるのが、誰がこの膨大な債務を払うことになるのかであります。すなわち、今を生きる私たちのための
社会保障関係のサービスを維持するために使われた国債の償還を誰がするのかということです。本来であれば、今を生きる世代が支えるというのが本筋でありますが、現在の状況では、この負担は私たちの子どもや孫の世代にまでの、まだ生まれてもいない世代にまで及ぶ状況にあります。 このような国の債務残高から国の行く末を考えるとき、新宿区政にあっては、決してこのようなことがないようにしたいものだと常々思うところであり、今後とも持続可能な区財政を堅持していきたいものであります。 現在の区財政の状況は、これまでの財政運営における区長の手がたい財政運営のもと、悪化することもなく来ており、今後についても持続的な財政運営を心配するものではありませんが、大都市新宿区の財政は、景気の影響を受けやすい性格を持っているところから、常に
社会経済状況には細心の注意を払っていくことが求められるところであり、怠ってはならないのであります。そのようなところから、常に先を見つめつつ、現下の財政運営に心を砕いていく必要があります。 したがって、収入もさることながら歳出にこそ、より注意を払う必要があるのであり、その点では常に効率的な区政運営を追求する必要があるものと思っております。このことでは、多くの自治体は「減る税収にふえる歳出」でありますが、新宿区の場合は、今現在は「ふえる税収にふえる歳出」となっています。しかも、基金残高の積み増しの状況からは、歳出増を上回る税収増となっているところですが、今日の少子高齢化の進む時代にあっては、新宿区財政も、やがては税収がふえたとしても、それを上回る歳出増ともなり、いつの日にかには、今、多くの自治体が陥っている「減る税収にふえる歳出」の時代を迎えることもなしとはならないものと思っております。 そこで伺いますが、現在の堅調な税収増には、
納税義務者数の増と所得の伸びの2つが大きく寄与しているところですが、この税収増がやがてピークアウトするとしたとき、それはどのような状況下で迎えることとなるのでしょうか、伺います。 このようなことを考えるとき、備えあれば憂いなしで、今から備えるべき財政運営における工夫についてです。現在の財政状況は、今日の
納税義務者数の増や景気の回復基調を背景に、区民税を初めとして好調な歳入状況にありますが、持続可能な区財政のため、不測の事態に備えて今の好調なときにこそ備えるべきと考えますが、そのあたりの認識と備えの工夫の状況と平成31年度予算における具体的な取り組みについて伺います。 備えの一つに基金の積み増しがあるものと思います。基金の積み増しが本来の目的であって、基金の運用は副次的なものなのかもしれませんが、今日の異
次元金融緩和が続く中での公金管理の状況について、歳計現金の場合も含めて伺います。
地方自治法第235条の4(現金及び有価証券の保管)によれば、歳計現金及び基金の資金を安全かつ効率的に管理、運用することは自治体の重要な使命となっていますが、それぞれの運用の実績について、ここ3カ年の状況とリーマンショック前の3カ年の状況との比較、そして平成31年度予算における計上の状況はどのようであるのでしょうか、伺います。 最後になりますが、歳出で最も気がかりなものの一つが特別会計への繰出金であり、法定外の繰出金をいかに少なくするかであります。この額の大きいのが国民健康保険特別会計でありますので、ここでは新宿区の国民健康保険を持続可能な医療保険制度としていくという視点で幾つか伺います。 平成30年度から、国民健康保険制度改革が施行され、都道府県単位化が図られました。この改革の目指すところが、医療費適正化、保険料収納率向上などの保険者機能の強化と事務処理の効率化、標準化により、国民健康保険の財政基盤を確立するにあったところですが、現時点としては、これらの評価について、それぞれどのようであると認識されていて、そのようなもとで、平成31年度の国民健康保険特別会計の予算編成に当たられたのか、まず伺います。 さらには、現実的には持続可能な医療保険制度であるために最も欠かすことのできないことの一つとして、一般会計からの法定外の繰入金を減らし、歳入と歳出の均衡が図られることが不可欠となるものであり、特に、現在のように多額の一般会計からの法定外の繰入金により制度が維持されているという仕組みは、早く本来の姿に戻される必要があるものであります。 そのことは、歳出に見合う歳入を確保することであり、とりわけ適正な保険料収入が欠かせません。このことは、これまでも繰り返し述べておりますように、負担の公平が欠かせないものであり、ほかの社会保険制度の適用を受ける区民の方々にとっては、一般会計の法定外の繰出金というのは、事実上、保険料を二重に支払っているようなものであり、決して納得を得られるものではあり得ないものです。 このような状況にある法定外繰入金でありますが、「骨太の方針2017」で解消を進めるとされたところですが、今後に向けてどのように取り組まれていくのでしょうか、伺います。 また、歳出にあっては、何よりも医療費の適正化が欠かすことができないものでありますが、平成31年度の予算編成ではどのように取り組まれたのか、概括的に伺えればと思います。
◎区長(吉住健一) 持続可能な区財政の確保についてのお尋ねです。 初めに、現在の堅調な税収増は、どのようなときにピークアウトを迎えるかについてです。 平成31年度当初予算においては、納税義務者の増加や景気の回復基調等を踏まえ、対前年度比約18億円増の約431億円と見積もりました。しかしながら、特別区民税収入は景気の影響を受けやすく、平成22年度においては、リーマンショックの影響により対前年度比約30億円減の約340億円と大幅な減となりました。増収基調の転換は、大幅な景気後退による区民総所得金額の減少や人口減等による納税義務者の減少により起こるものと考えています。 次に、持続可能な区財政のための備えについてのお尋ねです。 長期的に見た区政の課題を俯瞰しながら安定した財政運営を確保し、また、緊急の行政需要にも的確に対応するためには、特別区税等の一般財源が好調なときこそ、積極的に基金へ積み立てることが重要と考えています。 基金については、リーマンショック以降の厳しい経済環境の中で、平成21年度から平成26年度の6年度にわたり有効活用を図った結果、基金の総額は平成20年度末の608億円から259億円もの減となりましたが、適切な積み立てがあったことから、安定的で良質な区民サービスの継続的な提供ができたと考えております。 区財政を取り巻く環境は、先行き予断を許さない状況が続き、区の財政構造も扶助費や人件費などの義務的経費が50%以上を占めており、硬直化が進む中、今後もさまざまな行政需要に応えていく必要があります。 こうした状況の中、平成30年度は、
ブロック塀等安全対策などの緊急課題へ基金を一部充当しましたが、年間を通じた事務事業の見直しや不用額の精査など不断の努力を行ってきたことなどにより、基金の取り崩しは当初予算に比べ縮減され、年度末の基金残高は514億円と見込んでいます。 平成31年度予算においては、社会資本等整備基金を本庁舎の設備整備や地域センター計画修繕に、義務教育施設整備等次世代育成環境整備基金を児童相談所一時保護所の建設に充当する予定です。 区は、現在のところ一定の財政対応力を確保しておりますが、基金については、引き続きさらなる確保と効果的な活用に努めてまいります。 次に、公金管理の状況及び運用実績等についてのお尋ねです。 区では、財政調整基金を初め、現在、16の基金を一括し、預金及び債券として運用しています。また、歳計現金等についても、収支予測による支払い準備金に不足がないと判断される場合は、余裕金を定期預金として運用するなど運用収益の確保に努めています。運用に際しては、新宿区公金管理方針に基づき、安全性、流動性を十分確保した上で、運用収益を高めるための効率性にも配慮しています。 運用収益の実績については、高利回りで運用できたリーマンショック前の平成18年度から平成20年度までの3カ年合計は、基金運用分は約7億9,600万円、歳計現金等運用分は約5,800万円でした。その後、金利が低迷し、平成27年度から平成29年度までの3カ年合計は、基金運用分は約9,700万円、歳計現金等運用分は約150万円であり、比較するといずれも大幅な減額となっています。 平成28年度には、公金管理方針を見直し、債券の種別や期間についての運用の幅を広げたことにより、一定の収益を期待でき、さらに運用資金もふえていることから、平成31年度予算案における運用収益は増額して計上しています。 運用環境は引き続き厳しい状況にありますが、今後も安全かつ効率的な公金の保管及び運用に努めてまいります。 次に、国民健康保険制度改革についての現時点での評価と認識についてのお尋ねです。 今回の国民健康保険制度改革は、国による財政支援の拡充により財政基盤を強化するとともに、都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業実施など国保運営に中心的な役割を担い、制度を安定化させるものです。 この中で、区市町村は住民に身近な保険者として、保険料財源の確保や医療費の適正化などに一層積極的に取り組むことによって、持続的な制度運営を進め、被保険者に必要な医療給付を保障するものと考えています。 このような認識のもと、平成31年度は、補正予算により保険料の改定をさせていただき、保険料財源の確保を図ります。また、医療費適正化に向けた効果的・効率的な事業運営を実現するため、糖尿病性腎症等重症化予防事業や残薬調整バック事業などの新規・拡充事業を計上するなど、制度改革の趣旨を着実に実行するための予算と位置づけて編成に臨みました。 次に、法定外繰入金の解消に向けての取り組みについてです。 保険料の収納率の向上策として、これまでも電話催告センターによる早期催告の実施、休日の訪問による納付勧奨や相談窓口の設置などを行ってきましたが、これに加え、外国人被保険者が全被保険者の4分の1を超えるという区の特性を踏まえ、7カ国語に対応した案内や通知を送付し、制度への理解を進めるとともに、保険料の収納を確保していきます。 また、保険料については、国の激変緩和期間である平成30年度から6年をめどに、特別区独自の激変緩和を段階的・計画的に縮小しながら負担の公平化・適正化を図っていきます。 このような対応により、法定外の繰入金の縮減・解消を図っていきます。 次に、医療費適正化の取り組みについてです。 昨年度策定した「新宿区国民健康保険データヘルス計画及び第三期新宿区特定健康診査等実施計画」に基づき、生活習慣病改善に向けた支援の強化、生活習慣病重症化予防及び医療機関への適正受診支援、ジェネリック医薬品の普及に取り組み、被保険者の健康増進、健康寿命の延伸につなげ、医療費の適正化を図ることとしました。 これを受け、平成31年度予算では、新規事業として糖尿病の重症化リスクの高い者に対し合併症を防止するため、医療機関と連携した保健指導を実施する糖尿病性腎症等重症化予防事業や、かかりつけ薬局に飲み残しの薬を持ち込み、処方を調整することで残薬を削減する残薬調整バック事業を計上しました。 今後もこのような取り組みにより、医療費の適正化に努めていきます。
◆11番(池田だいすけ) 次に、保育の質と量の確保について伺います。 昨年12月に厚生労働省から発表された2018年の人口動態統計の年間推計によると、国内で生まれた日本人の赤ちゃんの数は92万1,000人で3年連続で100万人を下回り、この背景に25から39歳の出産適齢期の女性の人口の減少があり、厚労省人口動態・保健社会統計室によれば、「近年は毎年約25万人ペースでこの世代の女性数が落ち込んでいる」ことにあるとされています。 このようなことからは、今後についても、当面、急激な出生数の回復は期待薄と言わざるを得ず、そのような点からも、さらなる出産や子育てをしやすい環境整備の必要性が一段と高まっているものと思われる状況にあります。 また、就業人口の減というところからも、そして女性の社会進出を後押しするためにも、働きに出ることができる環境整備として、待機児童の解消が必要です。 このような社会状況の中、共働き子育て家庭向け情報サイト「日経DUAL」が実施した全国の自治体への調査結果、「共働き子育てしやすい
街ランキング2018」では、対象となった143自治体の中で新宿区が最も子育てがしやすい自治体のトップにあったことは誇りとするところであります。今後とも、質と量の確保を両立させた待機児童対策として進めていただきたいと思っております。 最初に、平成27年度からのこの4年間で、新宿区における子育て環境がどのように変わってきたと区長は認識されているのか伺います。 次に、保育の質の確保の問題です。 ともすれば、新聞等の報道が待機児童の数ばかりを取り沙汰しているように思えて仕方がないのであります。「三つ子の魂百まで」ではありませんが、将来の日本を背負う子どもたちの保育でありますから、質と量の両立こそが必要であります。そして、その質は資格を有していれば、それで質の確保が図られているというものではないと思われますし、その逆にみずから子育ての経験などを有する経験の豊富な人は、質を保有する場合も少なからずあるものと思われます。いずれにあっても、しっかりとした研修制度の実施と内容の充実が欠かせないものでありますが、研修受講後の適切な質の確保はどのようになされているのでしょうか。 次に、数から見た待機児童の解消策についてです。 このことについて、新聞に「東京では定員をふやしても待機児童ゼロは遠い」とし、その理由を次のように掲げています。1、受け皿を広げると転入がふえることもあり、募集増と申し込み増が追いかけっことなっていること。2、足りない1歳児枠、余る5歳児枠と、空きはあるのに待機児童が発生とから、年齢と場所のミスマッチがあること。3、保育所を利用する児童割合がふえているところから、共働き世帯の保育需要が急上昇していることを挙げるところでありますが、新宿区の実情について伺います。 新宿区のここ最近の毎年の状況を見てみますと、前年の待機児童数を上回る新たな定員拡大を図っているところですが、その結果をもってしても、新たな年度を迎えると、その待機児童数が減少してきているとはいえども、なお待機児童が発生する状況が続いています。 この状況を踏まえ、どのように次年度の待機児童対策をされるのか。さらには、平成31年度予算による313名の定員拡大で、新制度の始まった平成27年度の状況と比べて保育の基盤整備率はどのような数字となっているのでしょうか、伺います。 次に、ここ3年間の待機児童問題への対応として、合計約1,800人分の定員の拡大を見たところですが、このことによる3から5歳児の定員拡大分はどのような数字であって、それらの拡大分の「空き保育室型定期利用保育」としての活用状況としては、どのように図られてきているのか伺います。 これまでは、新たな需要が発生して、結果として前年の待機児童数を上回る新たな定員拡大を図っても、また再び待機児童が発生するというイタチごっことも言える状況を呈している中では、当然のことながら、取り得るあらゆる手法を活用されてきていることと思っておりますが、その状況について、確認の意味も含め幾つか伺います。 最初に、地域型保育事業としての保育ルームや保育ママについてです。 現状の待機児童問題の解決のためには、その待機児がゼロから2歳に集中するところから、これらの活用も期待されるところですが、区のデータによれば、保育ルーム等の小規模保育事業所の新設は平成25年度をもって最後となっていますが、この状況はどのようなことによるのでしょうか。 次に、保育ルームや保育ママの利用者の場合には、3歳になるときに、また保育園探しが始まるところから、これらの地域型保育事業が敬遠されると聞くところです。いわゆる「3歳の壁」問題と言われるところのものですが、このような地域型保育事業への対応について伺います。 ゼロから2歳に待機児童問題を抱える中、その一方で、保育ルームには4月1日現在では定員割れも生じているようですが、その活用状況はどのように図られているのでしょうか。 次に、学習院大学の鈴木亘教授は、自著の「経済学者、待機児童ゼロに挑む」や新聞の寄稿に「0歳より1歳の定員増を」と語り、その論点としては、次のようであります。 「保育所の申し込みから逆算して出産スケジュールを考えた。1歳よりゼロ歳のほうが入りやすいからだ。預けたいなら保護者の最適行動はゼロ歳からの保活だが、都内の認可保育所で預かるコストは1人で月40万円かかる。経済学者としては反対だ。保護者が実際に払う保育料は10分の1程度で、残りは公費だ。ゼロ歳児を預かるほど公費負担はふえる。認可保育所はゼロ歳の定員を減らし、1歳を多く預かれるようにしてはどうか。1歳で入りやすくなれば、ゼロ歳のうちは安心して育児休業を取れる。総コストも減らせる」ということであります。 このような点では、既に自治体の中にもゼロ歳を抑え1歳枠をふやせば、保育士の数に対し、より多くの子を受け入れられるところから、豊島区や埼玉県朝霞市などは新規施設で1歳からの受け入れ枠を設定するよう運営事業者に求めていると聞くところであります。 このことは、現在の保育士不足の状況なども考えるとき、認可保育所では保育士1人がゼロ歳を3人まで預かれるが、1歳になると6人にふえることもあり、また、育児休業法による育児休暇が1年、例外的には2年としているところからも、現状を分析しながら今日的な課題への対応と将来の保育行政などをにらむとき、一つの考え方であるとも思われますが、これらのことについての所見と区のこれまでの進め方と今後について伺います。
◎区長(吉住健一) 保育の質と量の確保についてのお尋ねです。 初めに、平成27年度からの4年間で、新宿区における子育て環境がどのように変わったと認識しているかについてです。 区では、平成27年4月から開始された子ども・子育て支援新制度に基づき、新宿区子ども・子育て支援事業計画を策定し、質の高い幼児教育・保育の総合的な提供、保育の量的拡大、地域子ども・子育て支援事業の充実などを計画的に進めてまいりました。 この4年間、特に保育施設の整備による定員の拡大や指導検査等による保育の質の確保、学童クラブや放課後子どもひろば事業の充実などを推し進めることにより、子育てしやすい環境はさらに向上したものと捉えています。 次に、保育の質を確保するための研修の実施と内容の充実、並びに研修受講後の適切な質の確保に向けた取り組みについてのお尋ねです。 待機児童の解消を図るため、保育園等の量を確保することに加え、その質の維持・向上は重要です。 初めに、研修の実施と内容の充実についてです。 各保育園等における保育士の経験年数や抱える課題は、園により異なります。そのため、各園がみずから企画し職員の資質向上や課題解決に向けた取り組みとして、園内研修や公開保育等を実施しています。 また、区の取り組みとしては、これまでの指導検査実績や区民からの御意見なども踏まえ、区内教育・保育施設全体にかかわる障害児研修や食物アレルギーなどの研修の機会を提供しています。 さらに、昨年度10年ぶりに保育所保育指針が改定されたことを受け、改定内容の周知と理解促進を図るための研修を新たに加え、充実を図りました。 今後も引き続き研修を実施することで、より理解が深まるよう支援を進めてまいります。 次に、質の確保につなげるための取り組みです。 研修は、実施するだけでなく、その後の課題の解決や職員の能力向上につながることが重要と考えます。 そのため、区は、毎年各園を回る指導検査や園長会における情報共有、巡回保育相談など、さまざまな機会を通じて研修の成果を確認しています。さらに、必要なときには研修機会の増加など随時研修計画を見直すことも行っています。 今後も保育の量を確保しつつ、質の維持・向上が図られるよう、引き続き各園に必要な支援を行ってまいります。 次に、現状を踏まえて実施する次年度の待機児童対策と整備後の基盤整備率についてです。 区では、就学前人口の推移や保育ニーズを踏まえ、新宿区子ども・子育て支援事業計画を毎年見直し、保育所の整備を進めています。 今年度の見直しにより、平成31年度は、さらなる整備が求められる西北地域を中心に、賃貸物件を活用した保育所の整備を5所行います。加えて、四谷駅前市街地再開発に伴う保育所の整備を行い、計313名の定員拡大を図ります。 さらに、待機児童数が平成30年4月には25名となったことから、地域に点在する保育ニーズに柔軟に対応できるよう、新たに待機児童を対象とした居宅訪問型保育事業を開始します。 このような取り組みにより、平成27年度には45.1%であった保育基盤整備率は、2020年度には57.4%になると予測しています。 次に、過去3年間の定員拡大数に対する3歳児クラスから5歳児の定員拡大数と空き保育室型定期利用保育の活用状況についてです。 過去3年間の保育定員の拡大数1,798名のうち、3歳児から5歳児の拡大数は1,033名でした。また、定員及び保育室に余裕のある開設年次の浅い保育園や新規開設園の保育室を活用した空き保育室型定期利用保育を平成29年度から実施しました。開始当初38名だった定員を平成31年度には72名にまで拡大することで、短時間勤務の方などのニーズに対応していきます。 次に、地域型保育事業としての保育ルームや保育ママについてです。 まず、小規模保育事業所の新設が平成25年度で最後となっていることについてです。 区が小規模保育事業として実施している保育ルームは、保育ママとともに家庭的な雰囲気のもと待機児童の多い低年齢児を対象として保育を行っています。また、必要な面積が小さいことなどから、短期間で整備が可能です。一方で、卒園後も継続して保育を受けられるよう、保育園等の3歳児クラス以降の定員を確保する難しさもあります。 事業者からは、さまざまな相談を受けていますが、3歳児以降の預け先となる連携施設の確保が義務づけられている中、適切な事業計画の提案が新たにはない状況であり、区は引き続き私立保育所の整備を中心に待機児童対策を進めているところです。 次に、保育ルームにおいて生じている定員割れの活用状況についてです。 保育ルームでは、保育園等と同様に定員に空きがある場合に利用できる一時保育を実施しています。平成29年度の実績では、園によっては多い月で延べ40件以上の利用があるなど有効に活用されているものと認識しています。 なお、現在は連携施設の確保が進んでおり、定員の空きは減少傾向にあります。 次に、ゼロ歳児より1歳児の定員をふやすことに対する所見と区の対応についてです。 ゼロ歳児には、保育士の配置基準や施設面においても必要な設備がふえるなど、1歳児に比べ経費がかかることは認識しています。入園の申し込み状況では、ゼロ歳児が一番多い状況が続いていましたが、平成31年4月入園の一次申込者は、1歳児がゼロ歳児を上回りました。これは育児休業を取得する方がふえていることが要因の一つだと推測しています。一方で、育児休業の取得が難しい個人事業主の方などもいるため、年齢別の定員については多様なニーズに対応できる設定にしていくことが必要です。 区では、保育事業者と協議の上、提案物件の状況や地域性を踏まえ、ゼロ歳児の定員を設定するかどうかを決めています。ただし、ゼロ歳児からの園であっても、1歳児からの入園を希望する方のために、ゼロ歳児より1歳児の定員数を多く設定するようにしています。さらに、空き保育室型定期利用保育の対象を1、2歳とすることで、1歳児の利用できる定員枠を確保しています。 平成31年度は、次期新宿区子ども・子育て支援事業計画策定の年となります。昨年11月に実施した新宿区次世代育成支援に関する調査結果を計画に反映させることで、多様な保育ニーズに対応するとともに、着実に
待機児童解消を進めてまいります。
◆11番(池田だいすけ) 次に、いわゆる民泊について伺います。 このたびの民泊の取り扱いについては、住宅宿泊事業法では、住居専用地域においても適用されておりますが、区では区民の安全で平穏な生活環境を守るため、新宿区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例を制定し、「住居専用地域においては、月曜日の正午から金曜日の正午までは、住宅宿泊事業を実施することができない。」としたところですが、この適用は、適切な判断であったと考えるところであり、この地域の民泊事業にあっては、法で定める180日の規制は当然のことながら全く抵触することはあり得ないのでありますが、そのほかの住居専用地域以外の地域での届け出事業者については、既に平成30年6月15日の法施行から8カ月を経てきているところから、6カ月を経過した事業者については、この180日の上限規制に抵触する場合も生じていることと思われますが、このような180日の上限規制の対象事業者の取り締まりなどの事務の流れはどのように行われていて、区民がそのような状態にあることを知ることは可能なのか。また、そのような状況を一般区民が何らかの表示のような形で、可視的にその状況を知り得ることが可能なのかどうかについて、あわせて伺います。 さらには、違法民泊のおそれなどに係る区民からの苦情の問い合わせに対する対応についてですが、違法民泊対策にも力を入れるとして、平成31年度予算には派遣職員を4名増加した10名の予算が計上されていますが、現状とこの予算により期待されることとしてはどのようなことがあるのでしょうか。 住宅宿泊事業法が施行され8カ月が経過しました。この間、国も地方自治体も新たな制度への対応に追われている状況が第8回新宿区民泊問題対応検討会議の内容からも推察されます。国は、規制改革推進会議の意見を受け、各自治体に過度の規制を改めるようにとの通知をしましたが、新宿区の対応には違法や不適切な点がないことが確認されたとのことであり、安心しているところです。そこで、関連して幾つか伺います。 区が制定した新宿区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例についてです。 本条例は、区民の生活環境の悪化の防止を主たる目的とし、法の趣旨を害しない範囲での規定を設けたことに対して、バランスのとれた条例と評価しているところです。条例では、事業者の公表や周辺住民への事前説明を規定しており、また住居専用地域では月曜日の正午から金曜日の正午までは事業が実施できないことを定めています。 これらの規定は、区民の生活環境を守る上で重要と考えますが、実際に条例にのっとった運用を行っている現在、この条例の効果はどのようにあらわれているのでしょうか。あわせて運用上の課題などはあるのでしょうか。 次に、新宿区民泊問題対応検討会議についてです。 新宿区では、法成立前から新宿区民泊問題対応検討会議をいち早く立ち上げ、都市部における民泊の課題について検討し、社会に発信されてきました。検討会議は8回開催されましたが、どの会議も活発な議論が交わされ、民泊に起因する区民生活の課題に対して、委員の方々と区が真剣に取り組んでいる姿がうかがえます。ここで、改めて本検討会議の議論の成果について伺います。 また、12月20日に開催された検討会議では、課題も見えてきました。特に消防法令に関する課題は気になるところでありますが、区の対応をお聞かせください。平成31年度予算には、新宿区民泊問題対応検討会議の運営に係る経費が計上されていませんが、今後の取り組みについてはどのようにお考えなのでしょうか。 次に、警察との連携についてお伺いします。 区民の安全と安心を確保するためには、警察との連携が欠かせません。区では、「住宅宿泊事業の適正な運営を確保するための覚書」を区内4署の警察署と締結していますが、警察との連携の実績についてお伺いします。また、連携することによって、どのような効果が得られたとお考えなのでしょうか。 次に、不法投棄対策について伺います。 住宅宿泊事業法施行に伴い、区では、地域別で最も苦情が多く、今後、住宅宿泊事業がふえてくると想定された北新宿一丁目で夜間パトロールを実施されてきましたが、その成果と今後の不法投棄対策についてのお考えをお聞かせください。 最後になりますが、新宿区の住宅宿泊事業の届け出件数は全国でも3番目であります。また、法が整備したにもかかわらず、違法民泊の苦情も後を絶たない現状から、今後も民泊対策は区の大きな課題の一つと考えますが、最後に民泊に対する区長の考え方をお聞かせください。
◎区長(吉住健一) いわゆる民泊についてのお尋ねです。 初めに、180日の上限規制の取り締まりについてです。 宿泊事業は、年度当たり180日までに制限されており、事業者は2カ月ごとに国のシステムで報告することが法で義務づけられています。宿泊日数の累計状況はシステムで把握が可能で、上限に達しそうな事業者にはメールで警告されます。 区では、上限に達した場合、それ以上の宿泊行為ができないことを事業者宛てに通報し、現地立ち入りによる通告も追います。 なお、依然として宿泊行為を行った場合、改善命令などの法的措置が規定されているほか、国を通じて仲介サイトの掲載の削除要請も行います。 次に、区民が180日に達した状況を知ることが可能かどうかについてです。 観光庁に問い合わせたところ、宿泊日数の状況は、事業上の経営に関する情報に当たり、公開は支障があるとの見解でした。 このため、区からの公表は難しいと考えていますが、区民からの上限に関する疑義や問い合わせがあった場合は、事業者への事情聴取や立入調査を行い、適正な運営を確保するよう指導を行っていきます。 次に、違法民泊の苦情に対する対策の現状と、平成31年度予算で期待されることについてのお尋ねです。 平成30年度は、派遣職員6名で住宅宿泊事業法の制度や届け出方法に関する窓口相談や電話対応を主な業務としており、1月末までの対応件数は1,777件でした。 一方、違法民泊に関する苦情処理は、旅館業法の無許可営業に関する権限行使を伴う取り締まりであるため、区職員で対応していますが、今年度の苦情受け付け件数は1月末時点で506件で、平成29年度の339件を既に上回っています。苦情調査の例として、「報告を求めても連絡がない」、「違法とならないような口実や理由を主張する」など、違法の認定が困難な状況です。 平成31年度については、派遣職員10名の体制で臨んでいきますが、これまでの業務に加え、仲介サイトの不適切な掲載物件の監視事務など、違法民泊対策につながる周辺事務も担うこととしています。 さらに、外国語に対応可能な派遣職員が区職員の調査に同行することで、監視指導の実効性を向上させ、違法民泊の撲滅を図っていきます。 次に、区が制定した条例の効果についてです。 この条例は、過度な規制により届け出をしない違法民泊の潜在化が懸念されることから、事業者が守りやすいルールとし、届け出を促進してきました。その結果、2月8日現在、861件の物件を受理しています。 また、事業者名等を公表することにより、責任の所在が明確になるほか、その物件が届け出をした合法的な住宅宿泊事業なのか、違法な民泊なのかを区民がみずから確認できるようになりました。さらに、事業開始前に事業者が周辺住民に説明をすることは、区民の不安を軽減するとともに、事業者に近隣への配慮を促す効果を発揮しています。 区内の3割程度を占める住居専用地域での実施制限については、このことで事業を断念する者もいることから、良好な住環境を守ることにもつながっており、区において法が適正に運用される環境の整備ができたと考えています。 次に、運用上の課題についてです。 区では、条例を初め事業者が守る事項をわかりやすく説明したルールブックを作成するなど、円滑な事業運営の確保に努めていますが、ごみの不適切な排出や標識の掲示がないなど、ルールを守らない事業者への苦情も寄せられています。また、無届けで事業を行っている違法民泊への苦情は、昨年を上回る件数となっています。 これらの課題は、投資や収益性のみを目的とした事業者等の法を守る意識の低さに起因するものと思われます。今後も違法民泊排除に力を注ぐとともに、住宅宿泊事業者には、法令を遵守し、適正に事業を実施するよう関係機関とも十分に連携した上で、さらなる指導を行っていきます。 次に、新宿区民泊問題対応検討会議についてです。 初めに、成果についてですが、御指摘のとおり、本検討会議は全国に先駆けて立ち上げ、都市型民泊の課題を国や社会に発信してきた結果、多くの事項が法や国のガイドラインに取り入れられました。特に、法第18条に規定された「条例による住宅宿泊事業の実施の制限」については、自治体が地域の特色に応じた条例制定等を行えるように、繰り返し要望してきた結果として評価しています。 これにより、区は条例を制定することとし、検討会議で議論を重ねた結果、条例の基礎となる新宿区ルールを定めることができました。これらの国への提言や新宿区ルールは、検討会議の中で区民が直面している現場の具体的課題を洗い出し、専門家の見解を伺いながら一つ一つ丁寧に検討した成果であり、大きな意義があったものと考えます。 次に、消防法令上の課題についてです。 区では、住宅宿泊事業の届け出前に消防署へ消防設備の事前相談を行い、届け出時に「事前相談記録書」を添付することとしています。また、事業開始後には、「防火対象物使用開始届」を消防署に提出することとなっており、ルールブック等で事業者への周知を行っています。 しかし、第8回の検討会議では、「防火対象物使用開始届」の未提出者が多いことや、木賃アパートの火災の危険性など、防火対策に関する御意見をいただきました。そのため、事業開始後の届け出が出されていない物件等については、消防署と区が合同で立入調査を行う予定で調整を進めています。 次に、今後の取り組みについてですが、現場での指導や個別物件への対応をより円滑に進めるため、警察や消防等の関係機関との情報共有を主とする会議体を設置し、学識経験者の意見もいただける体制を整えていきます。 特に、火災が発生した場合には、周辺住民の生命や財産に大きな影響を与える可能性があるため、消防署と連携して防火対策上の課題の整理を行います。 一方、法の附則には、3年を超えない範囲で見直しをするとあり、国のガイドライン等の改正がされる可能性もあります。こうした国の動きを的確に捉え、国への意見具申等も行っていきます。 次に、警察との連携についてです。 初めに、連携の実績についてですが、現在までに違法民泊の疑いがある施設に対して4回の調査を行いました。そのうち2回は区で必要と判断し警察に依頼したもので、2回は警察からの情報提供によるものです。 その結果、延べ23件のうち、既に撤退した事例も含め14件が改善されました。事業者に接触ができなかったことなどにより、改善されていない9件については、引き続き調査を継続しています。 区と警察の連携を示すことは、今後の抑止力にもつながるため、さらに連携を強化していきます。 次に、不法投棄対策夜間パトロールの成果と今後の対策についてです。 昨年8月31日から北新宿一丁目で夜間パトロールを実施してきましたが、民泊からのごみや粗大ごみ、事業系廃棄物等の排出はありませんでした。 パトロール中に指導したケースのほとんどが深夜から早朝にごみを排出する時間外排出で、ほぼ全てのケースで排出者は指導に従い、持ち帰りに応じました。 北新宿一丁目エリアでのごみの排出に関する苦情は、パトロール実施前に比べ減少したことから、集積所の利用状況は改善したものと認識しています。これは実施に際しての地元への周知や現場での「夜間パトロール実施中」の掲示に加え、警備員による巡回自体が功を奏したものと考えています。 こうした結果を受け、本年2月4日からは、北新宿一丁目エリアに加えて、新たに大久保一丁目・二丁目エリアでもパトロールを実施しています。この夜間パトロールは、平成31年度から現在の隔日から週4日へと巡回日数をふやし、同じ警備員を配置することで集積所の状況を的確に把握していきます。 今後も、夜間パトロールやふれあい指導班の職員による巡回などで不法投棄を見つけた際には、関係部署で連携して速やかに対策を講じていきます。 次に、民泊に対する考え方についてです。 いわゆる民泊、住宅宿泊事業の導入時に語られていた家主と宿泊者の国際交流や、適切な運営による地域経済の活性化を前提としたビジネスプランは、現段階において想定外の状況にあると考えています。区内の届け出住宅の大半は家主不在型で、運営も必ずしも適切に行っている事業者だけではありません。いまだに無届けの違法民泊に関する通報も数多く寄せられているところです。 管理者が不在の宿泊施設は、災害時に適切な避難誘導を行うこともできないであろう上に、旅館業法に基づいて設置された宿泊施設と比較して、防火上の課題も大きいと考えています。 全国的には、住宅宿泊事業法に基づいた届け出が低調となっているようですが、新宿区においては、多くの届け出があり受理しています。 観光庁からは、新宿区を名指しした形で不適切な規制をしているかのような発表がありましたが、新宿区民泊問題対応検討会議でも適切かつ迅速な処理がなされていることを確認することができました。 今後も、区民の安全で平穏な生活環境を守るために、区民の皆様の協力も得ながら、条例を初めとした新宿区ルールを周知や法令遵守を徹底させ、違法な民泊を排除し地域社会に受け入れられる適切な運営が行われるよう取り組んでまいります。
◆11番(池田だいすけ) 次に、新大久保駅と新大久保駅周辺地区のまちづくりについて伺います。 自治体も当然のことながら、持続可能な都市、持続可能な社会の実現を目指すものであり、まちづくりもまた持続可能なものでなければならないものであります。このことでは、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に、気候変動対策や都市など17の国際目標が掲げられているところであります。 新大久保駅といいますと、泥酔した男性がプラットフォームから線路に転落。その男性を救助しようとして線路に飛び降りた日本人のカメラマンと韓国人留学生が、折から進入してきた電車にはねられ3人とも死亡した事故が記憶に新しいところであり、韓国飲食店等が集中する地域の最寄り駅として利用され、知られているところであります。 そのような新大久保駅周辺のまちづくりの状況を見るとき、新大久保駅の環境整備としては、確かに現在の駅舎を含む整備としてのホームドアの設置完了とバリアフリー化としてのエレベーター工事が進められてはいるものの、まだまだ都市インフラとして見れば整備されるべき課題が残されている状況にあり、駅を利用する乗降客にとっての持続可能の視点で見れば、むしろ悪化している現実の面もある状況であります。 その新大久保駅の乗降客数の推移を見てみますと、おおむね伸びてきていて、ここ数年は東京都調査の「平成29年度
国別外国人旅行者行動特性調査」での訪問した場所で最も多いのが「新宿・大久保」で56%であることなどのように、その伸びが高くなっている傾向にあります。 この伸びにも波がありますが、これはこの地域の大久保通り沿いを中心とした店のにぎわいが、やはり大きく影響しているものと思われます。すなわち、平成26年ごろまでは駅の定期外の乗客数は4万から5万人で推移していましたが、平成27年からは毎年2,000人から8,000人の増加となっていて、平成29年では6万人で、定期利用者も含めると推定の一日当たりの総乗降客数は9万6,440人ともなっていて、改札口が1カ所しかない駅のキャパシティーとしては異常な数とも言わざるを得ないものと思えるのであります。 事実、休日の通勤客の利用が少ないと思われる昼間の利用の場合でも、ホームから改札口にたどり着くまでにはスムーズとはいかず、結構時間を要することもあり、改札を出た先はすぐ大久保通りに面するため、広場に相当するものはほとんどなく、あるのは自販機の切符売り場としてのスペースぐらいのものであります。そして、歩道には待ち合わせの人の行列で、歩行者にとってはとても歩きづらい歩道となっています。 このようなことは、しっかりした都市インフラとして整備された駅とインフラ整備された駅周辺環境があるのであれば、これほどまでのことはないものと思います。すなわち、大きくは都市インフラとしての鉄道駅の構内にかかる問題と、都市インフラとしての大久保通りの歩道の狭さが、この問題の根幹にあるように思います。 そして、最も大きな問題は、この駅の改札口が1カ所しかないことに起因し、1日10万人に近い利用者が乗り降りする駅であることと、それに面する道路とのそれぞれの都市インフラが十分に整っていないことにつながるのではないかと思います。それらがいずれも十分でないところから、この駅を取り巻く都市インフラをどう充実するかが、今問われているのだと思います。 そして、現実の問題点としては、この激化する混雑は、私の年代でさえも危険や恐ろしさを感じることもあるのですから、幼い子どもや高齢者、障害を持つ人たちの場合の気持ちはいかほどかと、新大久保駅を利用するたび、またそばを通るたびに思うのであります。 このような状況の中、この地域に住む区民の方々などの中には、このような実情から身の安全を考えて、わざわざ歩いてさらに5分の総武線大久保駅を利用する方々もいらっしゃるという状況にもあるのです。 このような乗降客の危険さえ感じる混雑の激化は、駅構内にとどまらず、大久保通りの歩道の通行にも影響を及ぼし、歩道にはみ出した乗降客関係者が歩道の通行の妨げとなっており、新大久保駅の問題は駅構内の問題にとどまらず、地域のまちづくりにも影響を与える状況にもなっていて、不謹慎な発言となるかもしれませんが、これらの状況は事故が起きないのが不思議とも言える状況といっても過言ではない状況にあります。 最後に、この地区の今後はといいますと、1、72号線の整備の進捗に伴うなどの開発と駅後背地となる路地に1本入れば住宅地も多いところから、今後も人口増が考えられること。2、ロッテ跡地の住宅展示場や大学の進出の予定もあって、この地域の人口増につながると思われること。3、今後も盛り上がる大久保通りのにぎわいなどから、現在のような新大久保駅構内の激化した混雑とそれらに伴う新大久保駅周辺地区の激化した混雑状況は、今後とも続くおそれが強いのであります。 このようなところから、以下、新大久保駅と駅周辺地区のまちづくりについて、幾つか伺ってまいります。 最初に、新大久保駅についてです。 現在も新大久保駅利用者が増加している中、新大久保駅における構内と改札前スペースの激化した混雑状況の取り組みはどのように行われているのでしょうか。また、現在、駅舎の建てかえが進んでいます。この建てかえの中で、エレベーター設置によるバリアフリー化の工事が進められていますが、状況はどのようになっているのでしょうか。 さらには、さきにも述べましたように、問題の根本にあるのはプラットフォームの狭さもありますが、何よりも改札口が1カ所であることにあると思われます。このことでは、大久保駅の場合には2カ所の改札口ということで、新大久保駅のそれに比べてひどい状況ではないことも明らかだと思われます。したがって、2カ所目の改札口の設置こそが、多くの問題の解決につながるものと思いますが、このことに対する区長のお考えと決意について伺いたいと思います。 次に、補助第72号線の完成を契機とした新大久保駅周辺地区のまちづくりについてです。 この補助第72号線の完成は、この地区のまちづくりの起爆剤となるものでありますので、地域の方々ともよく連携していただくとともに、鉄道事業者の西武鉄道やJR東日本も交えて、この地区の課題整理の上、区を挙げて、この地区のまちづくりに取り組んでいただきたいことと、あわせて、先ほど来申し上げていますこの補助第72号線の完成を契機に、混雑している改札前スペースの解決策の糸口を見出していただきたいと願うものでありますが、いかがなのでしょうか、伺います。
◎区長(吉住健一) 新大久保駅と新大久保駅周辺地区のまちづくりについてのお尋ねです。 新大久保駅の構内と改札前スペースでは、乗降客の急激な増加や駅舎の建てかえ工事による通路幅の狭小化などにより混雑し、通行しづらい状況がたびたび発生しています。 このため、JR東日本では、駅員による案内誘導や特に混雑が見られる場合には入場規制を行うなど、安全性の確保に努めています。 御指摘のバリアフリー化に向けたエレベーターについては、区が整備費用に補助を行い、平成31年度末にはエレベーターの供用が開始される予定です。これと同時に、階段に設置されている車椅子用昇降機が撤去され階段幅が広がることで、混雑の緩和につながるものと考えています。 また、JR東日本は、現在進めている駅舎の建てかえにおいて、さらなる混雑緩和対策を検討しているとのことです。区は、ホームや改札前スペースの混雑緩和には、乗降客の分散化が必要と考えていることから、JR東日本に対して、駅舎の建てかえにあわせた新たな改札口の増設を要請してまいります。 次に、新大久保駅周辺地区のまちづくりについてのお尋ねです。 区は、平成29年12月に策定したまちづくり長期計画において、新大久保駅周辺を含む地域を「大久保・百人町エリア」として設定しています。地元の皆様と地域ごとの将来像を共有し、まちの課題解決による生活利便性の向上や、まちの活性化を図ることを目指しています。 新大久保駅周辺地区では、補助第72号線の完成に伴い、街なみとともに人や自動車等の流れが大きく変わることが予想されます。また、改札前スペースと大久保通りの混雑解消や住宅地における防災性の向上などが課題となっています。 区では、こうした状況を踏まえ、今年度、現況調査や課題の抽出などを行っています。来年度以降は、用途地域の見直しなどを視野に入れ、まちづくりの方向性について地域の皆様の御意見を伺いながら検討を進めていきます。その際には、鉄道事業者や大規模未利用地の開発事業者等と連携し、歩行者空間の充実や防災性の向上などに配慮した新たなにぎわい拠点の創出に向け、適切にまちづくりを誘導してまいります。
◆11番(池田だいすけ) 次に、区立学校における持続可能な教育内容を確保するための課題の幾つかについて伺います。
教育委員会の役割の一つに教員の教育環境を整備する役割がありますが、現在の学校を取り巻く環境には、社会状況が大きく変化する中で、本来もっと家庭教育として行われるべきものにまで学校に期待されるなど、教員の多忙は極めるところとなっています。そして、さらにはグローバル化社会にあって、社会からも教員に期待されるものもふえ、これまで以上に質と量の内容が求められる中で、その期待に添う教育内容を実践するためにも、また教員自身の健康管理の面からも、教員の勤務状況に関心が持たれるところとなっています。そのような時代の中にあって、文部科学省の中央教育審議会においても働き方改革についての検討が進められ、1月25日に答申が出されたところです。 このような国の動きに先んじて、新宿区では、
教育委員会事務局において、既に平成30年4月に第二次調査としての学校ヒアリング調査を行い、7月に「教員の勤務環境の改善・働き方改革第二次報告書」も出されていますことに敬意を表するところです。 今後は、国や区のこれらの報告書等に基づいて、しっかりと改革を進めて行っていただくことを願うものであります。 そのような中、昨年の暮れの新聞の見出しの「精神疾患で休職の教員4年ぶり増 公立校、昨年度5,000人超 背景に長時間労働か」に目を奪われました。それは、文部科学省の「平成29年度公立学校教職員の人事行政状況調査」に関するものであって、教職員の精神疾患による病気休職者数等についての調査結果でありました。 新聞は、その結果をかいつまんで、「平成29年度に公立小中高校などで精神疾患を理由に休職した教員は平成28年度から186人増の5,077人で4年ぶりに増加したこと、病気休職者7,796人の65.1%が精神疾患、精神疾患を理由に休職した教員が公立学校の全教員(約92万人)に占める割合は平成28年度比0.02ポイント増の0.55%を占めること、そして、この状況を文部科学省の担当者は、教員の多忙と長時間労働が背景にあるのではないかとしている」、と報じられています。 それでは、以下、文部科学省の「人事行政状況調査(概要)」に沿って、幾つか伺います。 最初に、新宿区のこの調査における結果についてです。 文部科学省の調査結果である「精神疾患を理由に休職した教員は平成28年度から186人増の5,077人で4年ぶりに増加したこと」、「精神疾患を理由に休職した教員が公立学校の全教員に占める割合は平成28年度比0.02ポイント増の0.55%を占めること」の2つについて、新宿区はどうであったのでしょうか。そして、この調査部分の新宿区の一般職との比較とその状況をどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。あわせて伺います。 次に、文部科学省の担当者は、この調査結果を「教員の多忙と長時間労働が背景にあるのではないか」と結論づけているようですが、
教育委員会としては、このような背景をどのように捉え、また新宿区での調査結果をどう捉えていらっしゃるのか伺います。 次に、この記事は、現在の教員の置かれている勤務実態を見るように思えるのであります。すなわち、このような休職の根本にあるのは、この文部科学省の「人事行政状況調査」結果の状況に対して、文部科学省の担当者が「教員の多忙と長時間労働が背景にあるのではないか」と話していますように、教員の多忙にこそあるものと思います。短絡過ぎるのかもしれませんが、多忙が長時間労働を引き起こし、その結果として病気休職に至るという図式となっているのではないでしょうか。しかも、精神疾患での休職が過半をはるかに超える65.1%を占めるというのは、このことを如実に物語るものだと思います。 そのように考えるとき、何よりも今必要なことは、教員の多忙の解消であり、そのことが結果として長時間労働の解消に向かうのであると思います。 このような思いに至ることとして、次のようなことをよく聞くところであります。 教員の負担感や悩みとしては、過労死レベルと言われる月80時間を超える残業時間という問題もさることながら、悩みの一番は授業の準備時間の不足であるということのようです。そのことが何よりも精神的な負担となっているように思うのです。そして、そのことでは、教員は授業の実施と授業内容というもののほかにも、テストの採点、校務分掌、部活動の指導などのさまざまな業務を抱えていて、現実のところは、勤務時間内に教材研究の時間を見出すことが難しいという現実があるとも聞きます。したがって、勤務時間を超えた時間で教材研究をし、はたまた自宅に持ち帰って教材研究をせざるを得ない状況とも聞くところです。 そのような状況のところからは、タイムカードの導入などは教員の出退勤時間を客観的に把握するとともに、勤務時間に対する教員の意識改革を図り、効率化を推し進めるところから、形式的には学校における残業を減らすことにつながることとなり、また現在掲げている過労死ラインに相当する1週間当たりの実働勤務時間が60時間を超える教員をゼロにするとした当面の目標の実現には、一定の効果はあるものと思われますが、その一方で、その結果としては自宅への持ち帰りをふやすことともなりかねず、根本的な教員の多忙問題の解決には必ずしもつながるものではないように思います。 しかし、一方では、それなりの効果があるものは、極力導入して、総合的な体制を構築していくという姿勢がここに至っては欠かすことができないというのも事実かと思うところですが、このあたりの考え方について、
教育委員会としての所見を伺います。 そのようなところから、ここはむしろ積極的に本来業務とそれ以外の業務の部分をどう切り離すかにかかっているように思うところです。そのためには、本来業務とのかかわりが薄いものを切り分けることであり、そのような視点からの質の高い教育を保証するための授業準備時間の確保策をどのようにしていくかではないのかと思います。その切り分ける試みが、「教員の勤務環境の改善・働き方改革第二次報告書」の中にも、「教員業務と学校配置職員の事務分掌の見直し」として掲げられていますので、ぜひ実行していただければと思いますとともに、1つ検討していただきたいのが、部活動への地域人材の投入であり、総合型地域スポーツ・文化クラブとの連携です。このことを通じて、地域と学校とが融合したスポーツや文化活動のさらなる充実が期待できると思いますが、いかがでしょうか。 さらに、また一方では、やはり当然のこととなりますが、教員の授業スキルを高める環境整備としての研修体制の充実であり、とりわけ当面の課題としては、新しく導入される小学校の英語の教科化やプログラミング教育への支援ですが、これらの導入が間もないところから、どのように取り組まれていくのか、最後にお伺いします。
◎教育長(酒井敏男) 区立学校における持続可能な教育内容を確保するための課題の幾つかについてのお尋ねです。 初めに、文部科学省の「平成29年度公立学校教職員の人事行政状況調査」に関連した新宿区の状況についてです。 幼稚園の教員を含めた新宿区の公立学校の教員で精神疾患により病気休職となっている者は、平成29年度で7名であり、前年度と同じ教員数となっています。教員全体に占める割合は0.84%で、前年度と比較して0.02ポイントの微減となっています。 新宿区の一般職で精神疾患により病気休職となっている者は、平成29年度は38名で前年度と比較して10名の増となっています。職員全体に占める割合は、平成29年度で1.3%となっています。よって、教員で病気休職となっている者の教員全体に占める割合は、新宿区の一般職と比較して高い数値ではないと認識しています。 教員が精神疾患となる背景については、さまざまなものがあると考えますが、教員の多忙化や長時間労働もその一因であると認識しております。 新宿区においても、学習指導要領の改訂による年間授業時数の増加、子どもたちのさまざまな課題への対応などにより、教員の多忙化や長時間労働の実態が明らかになっています。このような状況を看過できないという認識のもと、「教員の勤務環境の改善・働き方改革」の報告書において、今後の対応策を取りまとめたところです。 次に、教員の長時間労働の解消に向けた総合的な体制の構築についてのお尋ねです。 平成29年度に実施した勤務実態調査からも明らかになったように、教員は授業以外にも授業準備や成績処理、生活指導、部活動や校務分掌など、さまざまな業務に多くの時間を費やしている状況にあります。
教育委員会では、こうした教員の勤務実態を踏まえ、教員の長時間勤務を改善するために、「教員の勤務環境の改善・働き方改革」の報告書の中で、当面の目標を掲げるとともに、「勤務環境の改善に向けた具体的な取組」、「教員の意識改革」、「取組の実効性を担保するしくみづくり」の3つの視点から具体的な取り組みの方策を整理し、各学校、幼稚園ともに総合的に対策に取り組んでいます。 これまでの間、学校の法律相談体制や各校園長のリーダーシップのもと、校内会議を精選し、業務の分担の見直しや平準化、ICTを活用した業務の効率化などを進めるとともに、今年度末を目途に留守番電話の導入や、副校長及び学校事務職員の標準的な職務内容を整理するなど、実践できるものから速やかに実施しています。また、平成31年度には、学校配置職員の見直し等についても取り組む予定です。
教育委員会では、中央教育審議会の答申の趣旨も踏まえつつ、今後も当面の目標に掲げた「1週間当たりの実働勤務時間が60時間を超える教員をゼロにする」ことの早期実現に向けて、
教育委員会と学校が一丸となって、報告書に示した34の具体的な取り組みの方策を着実に推進してまいります。 次に、部活動への地域人材の投入と総合型地域スポーツ・文化クラブとの連携に関するお尋ねです。 部活動については、教育課程外の活動でありながらも、スポーツや文化、科学に親しませることで、学習意欲の向上、責任感、連帯感の涵養などにつながるものであり、学校教育として意味のあるものであると認識しています。 このような位置づけの活動でありつつも、指導経験不足による顧問教員のなり手がないことや、休日の大会等への引率の負担軽減を図るため、
教育委員会では、昨年6月に「新宿区立学校における部活動ガイドライン」を取りまとめ、平成31年度から部活動指導員を導入し、教員の負担軽減につなげていくことを予定しています。 部活動指導に当たっては、これまでも野球やサッカー、茶道など、さまざまな分野で地域スポーツ文化クラブや社会教育団体などで活躍する地域人材を活用してきており、部活動指導員としても活躍を期待しているところです。 こうした活動の実績や新たに導入する部活動指導員の取り組みを検証しつつ、今後も総合型地域スポーツ文化クラブやさまざまな団体との協力関係を深め、区立学校における持続可能な部活動を展開してまいります。 次に、小学校の英語の教科化やプログラミング教育への支援についてのお尋ねです。
教育委員会では、小学校の英語の教科化に向けて、教員自身が外国語によるコミュニケーションの楽しさを味わい、外国語を指導する力を身につけることができるよう、各小学校から2名を東京都の体験型英語学習施設での研修に参加させています。また、各学校には、英語教育アドバイザーを派遣し、それぞれの教員の授業を観察して必要な助言を行っています。 こうした取り組みの結果、教員からは、「英語を苦手と感じる子どもたちの視点で授業を行うことが大切だとわかった」、「ALTとコミュニケーションをとりながら行う授業について、具体的に理解できた」といった声があり、小学校教員の不安感や負担感を軽減する一助となっています。今後、教材の共有や指導の手引の作成なども含めたさまざまな取り組みを進めてまいります。 プログラミング教育については、教育課題研究校でもプログラミングソフトを活用した取り組みを行っており、実践事例を他校に紹介しています。 次年度は、小学校全体にプログラミング教材を導入するに当たって、指導内容や指導方法に関する研修を実施し、教員が安心して新しい教育内容を指導できるよう支援していきます。 以上で答弁を終わります。
◆11番(池田だいすけ) ただいま私からの代表質問に対しまして、区長並びに
教育委員会より大変御丁寧に御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 あさってから予算特別委員会が開催されます。私どもの会派からは4名の先輩議員が委員として臨ませていただくこととなっております。本日触れられなかった部分も多々ございますので、どうかその折にはよろしくお願いしたいと存じます。 以上で自由民主党・
無所属クラブの代表質問を終了させていただきます。 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(
佐原たけし) 次に、9番北島としあき議員。 〔9番 北島としあき議員登壇、拍手〕
◆9番(北島としあき) 新宿区議会公明党の北島としあきです。 平成31年第1回定例会に当たり、会派を代表し、区長並びに
教育委員会に質問いたします。 私としては、今期最後の質問となります。理事者の皆様におかれましては、誠意ある御答弁を何とぞよろしくお願いを申し上げます。 さて、元禄11年(1698年)、宿場町として内藤新宿が開設されてから本年で321年となり、昭和22年(1947年)3月15日、旧四谷、牛込、淀橋の3区が統合し、新宿区として発足してからは、本定例会最終日に72年を迎えます。 そして、現在の新宿区は、世界一のターミナル駅と日本一のバスタ、共働き子育てしやすい
街ランキング全国1位、介護・高齢化対応度調査ランキング全国3位、都庁を初めとする高層ビル数、専修学校・各種学校数、飲食店数、インバウンドの宿泊者数、外国籍の方の在住者数、全てが都内1位となります。そして、来年の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会と、さらには2040年に向けての新宿駅の再開発には、胸が躍ります。先人から321年かけて受け継いできた宿場町新宿区は、現在、世界の人が訪れたいと思う大都市となったことを、私は心から誇りに思います。 しかし、10年後にはインドがGDPで日本を追い抜くとも言われる昨今において、新宿区でさえ、このまま発展し続けられるのか、今後、世界では待ったなしで進む科学技術の急速な発展に対し、10年後を見据えて今こそ次の世代のために新宿区のさらなる基盤整備をすべきであると申し述べて、具体的な質問に入ります。 質問の第1は、区政運営と行政評価について伺います。 「区政課題への柔軟な対応を図りつつ、限られた財源の効果的配分により、持続可能な行財政運営の確立を目指す」として、先日、平成31年度当初予算案が示されました。 平成31年度は、東京2020オリンピック・パラリンピックの準備としては、最終的な段階に入り、気運醸成はもちろん、これを契機に区内のさまざまな環境整備を進めなければなりません。また、高齢者や子育て世代への支援、災害に強い安全なまちづくりも継続して推進していく必要があります。 区政を取り巻く環境は、依然不透明であり、予断を許すものではありませんが、誰もが住みたい、住み続けたいと思える新宿のまちの実現に向けて、以下3点にわたり区政運営と行政評価について伺います。 1点目の質問は、平成30年度の総括についてです。 平成30年度は、新宿区総合計画、また新宿区第一次実行計画の初年度でもあります。総合計画においては、基本構想で掲げるめざすまちの姿「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けた施策の方向性を示し、それを計画的・優先的に推進していく事業をまとめたものとして、第一次実行計画が策定されています。 そこで伺いますが、平成30年度についての総括、特に区長の掲げる5つの基本政策に沿いながら進捗状況や課題など、お聞かせください。 2点目の質問は、行政評価のあり方についてです。 我が会派では、これまでも行政評価のあり方について、さまざまな提案をさせていただき、また、区も評価のあり方はもちろん、評価基準やシートの見直しなど、改善に努めてこられたことを高く評価します。 特に、平成31年度当初予算案や第一次実行計画ローリングを見ると、行政評価と計画策定がしっかり連動していることを感じ取るができる内容になっていると思いました。 そこで伺いますが、行政評価のあり方について、どのようにお考えですか。また、行政評価が平成31年度当初予算案や第一次実行計画ローリングにどのように反映されたのか、お聞かせください。 3点目の質問は、今後の区政運営と行政評価についてです。 今後の区政を取り巻く
社会経済状況は不透明であり、景気の先行きについても慎重に見きわめていく必要があります。このような環境下では、内部評価の質を高めることを第一義とした区の行政評価のあり方は、一層重要度が増すものであると考えますが、一方では、会計データを活用した客観的な指標による評価も、さらに加味していく必要があると考えます。 そこで伺いますが、今後の行政評価について、特に外部評価における個別施策の評価については、来年度はどのように実施するのか。また、会計データを活用していくためには、管理会計の視点を加味していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。区の御所見を伺います。 以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 北島議員の御質問にお答えします。 区政運営と行政評価についてのお尋ねです。 初めに、平成30年度の進捗状況と課題、総括についてです。 平成30年度は、総合計画の初年度であり、5つの基本政策が将来大きな成果をもたらすよう第一次実行計画の各事業に着実に取り組みました。 基本政策の第一「暮らしやすさ1番の新宿」では、誰もが住みなれた地域で自分らしく暮らし続けられるまちづくりを推進するため、健康寿命の延伸に向けた健康ポイント事業の実施や「しんじゅく100トレ」の開発、「ささえーる薬王寺」を拠点とした地域支え合い活動の推進などに取り組みました。 また、
地域コミュニティづくりの核である町会・自治会の加入促進と活性化に向けて、コンサルティング事業を開始しました。 一方、子育て環境の整備については、保育施設の整備と定員拡充を図ってきたものの、待機児童の解消に至っていません。このため、引き続き保育待機児童の解消に向けて取り組んでいきます。 基本政策の第二「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、
首都直下地震の切迫性が高まる中、災害に強いまちづくりを推進するため、建築物等の耐震化に加え、
ブロック塀等の安全化対策に取り組みました。今後も所有者に対する個別のフォローアップ事業などスピード感を持って行ってまいります。 また、災害に強い体制づくりとして、「要配慮者災害用セルフプラン」を広く普及させ、要配慮者への支援をより一層推進していきます。さらに、暮らしやすい安全で安心なまちの実現に向けて、特殊詐欺対策、民泊や空き家等の対策などを強化してまいります。 基本政策の第三「賑わい都市・新宿の創造」では、回遊性と利便性を向上させるための新宿駅周辺地域の整備や、
にぎわい創出のための
新宿中央公園の魅力向上などに取り組みました。また、中小企業等を支援する「新宿ビジネスプランコンテスト」の開催や大学等との連携による商店街支援を行うとともに、漱石山房記念館の開館1周年記念事業を実施しました。 さらに、東京2020オリンピック・パラリンピックの気運醸成のため、777日前イベントや本庁舎を初めとしたラッピングなどに取り組むとともに、新宿区スポーツ施設整備基金を活用した施設の改修工事など、スポーツ環境の整備を行いました。 今後も、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機とした国際観光都市としてのさらなる発展のため、都市基盤の整備や環境に優しいまちづくり、文化・観光・スポーツの振興、魅力ある
商店街づくりや産業振興などを推進していきます。そして、これら3つの基本政策を下支えする「健全な区財政の確立」と「好感度1番の区役所」に取り組んでいます。 以上のことから、平成30年度については、基本構想で掲げるめざすまちの姿「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、5つの基本政策に基づく事業を着実に推進しているものと認識しています。 次に、行政評価のあり方についてです。 行政評価は、事業の達成度、効率性及び成果等の分析と検証を行い、その評価結果を踏まえ事業の見直しを行うとともに、予算編成に反映させることで事業の適切な進行管理を行うものです。 今年度の行政評価を踏まえ、実行計画ローリングを行った結果、事業の拡充や手段改善など内容を変更した事業は55事業となり、平成31年度当初予算案に反映しています。 今後とも、区政運営におけるPDCAサイクルをより一層強化、徹底し、効果的・効率的な区政運営につなげてまいります。 次に、今後の行政評価について、特に外部評価における個別施策の評価は、来年度どのように実施するのかについてです。 外部評価は、区が実施した内部評価結果を踏まえ、施策や事業について、区民の視点に立って分析、検証するものです。 第一次実行計画期間においては、より大きな視点で区政を捉えていただくため、これまでの事業単位での評価に加え、施策単位での評価を行っています。 総合計画の個別施策で示すめざすまちの姿の実現に向けた施策の取り組み状況を、区民の目線から評価していただいています。 評価対象となる個別施策については、外部評価委員会が選定しており、今年度は、「住みなれた地域で暮らし続けられる
地域包括ケアシステムの構築」、「豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備」、「魅力ある商店街の活性化に向けた支援」を対象とし、3つの施策ともおおむね成果を上げていると評価いただきました。平成31年度は、5つの個別施策の外部評価を実施する予定です。 行政評価での会計データの活用については、各事業の評価を行う中で、新公会計システムの行政コスト計算書のデータを用いて、事業コストや費用対効果などを客観的な指標として示すことで、事業の効果や効率性を的確に評価していきます。 こうした取り組みにより、行政評価制度の実効性を高めてまいります。
◆9番(北島としあき) 質問の第2は、平和啓発事業の推進について、区長並びに
教育委員会に伺います。 公明党は、これまで平和の党の旗を高く掲げ、国においては平和外交を主導し、政府間関係の改善等、その役割を果たしてまいりました。全ての国の核兵器廃絶と恒久平和を願い、昭和61年3月15日に平和都市宣言を行った新宿区においても、公明党は平和の党として区の平和施策推進にしっかりと取り組んでいきたいと思います。 1点目の質問は、戦争体験継承DVDの制作についてです。 区は、平和の大切さと戦争や核兵器の恐ろしさを未来へ語り継ぐため、戦争体験や区の戦争被害の概要等を収録したDVDを作成しました。動画の作成については、平成30年予算特別委員会で質問させていただき、新宿ゆかりの人や場所を織り交ぜる等、鑑賞をした子どもたちがより身近に感じることができるような工夫と、新宿区らしいDVDの作成を提案させていただきました。 実際にDVD「未来に語り継ぐ平和へのメッセージ」を見させていただきましたが、特に鎧ガードのくだりなど、当時の状況がより鮮明に伝わる内容で、全体としても飽くことがなく、興味を持って鑑賞できる工夫がなされ、本当にすばらしいDVDが完成したと思います。区は、制作に関してどのように総括されているのか、まずお伺いいたします。 また、平成30年の予算特別委員会では、あわせて区立小中学校への配布と積極的な活用を提案させていただきました。例えば鎧ガードを実際に見学し、DVDをより効果的に活用した平和学習を行っていただきたいと思いますが、DVDの今後の活用については具体的にどのように進めていこうとお考えか、御所見をお聞かせください。 2点目の質問は、東京2020オリンピック・パラリンピックを見据えた平和の取り組みについてです。 いよいよ東京2020大会が翌年に迫っております。オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典ですが、同時に平和の祭典であり、オリンピック憲章にも、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」と記されています。 区は、大会のメーンスタジアムとなる新国立競技場を抱え、多くの国々から観光客を迎えます。また、これまでも多国籍の方々と多文化共生の取り組みを積極的に進めてきました。文化や言語の違いの垣根を越えた相互理解の延長に平和があります。区長は就任に当たっての所信でも、東京2020大会の開催にあわせ、平和の大切さを次の世代に引き継ぐ事業を展開していくとしています。ぜひ多国籍の方々を交えた平和交流や次世代に平和のとうとさを伝えるような取り組みを行っていただきたいと考えますが、区の御所見を伺います。 また、2020年度には、平和都市宣言より35周年の佳節を迎えます。周年行事を行う計画となっていますが、これも東京2020大会開催年度にふさわしい内容としていただきたいと思いますが、あわせて御所見を伺います。 以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 平和啓発事業の推進についてのお尋ねです。 初めに、戦争体験継承DVDの制作についてです。 終戦から74年目を迎える現在、戦争体験者は年々減少していることから、戦争体験の継承が喫緊の課題であると認識し、平成30年11月に戦争体験談等を収録したDVD「未来に語り継ぐ平和へのメッセージ」を作成しました。 DVD作成に当たっては、区民の方の戦争体験や広島・長崎で被爆された方の体験、区の戦争被害の概要などをわかりやすくおさめ、今後、末永く幅広い年代、立場の区民の方々へ戦争体験を継承していくための有効な内容となるよう努めました。 活用については、区立小中学校及び区施設への配布を行うとともに、区政情報センター及び図書館で貸し出しを行っているほか、区ホームページや区役所本庁舎1階のデジタルサイネージでも通年放映しているところです。また、特別出張所における放映も行ってまいります。 今後は、平和マップウォーキングの意見交換の際や、すいとんの会などの平和啓発事業において、DVDに収録されている戦争体験談及び区内の戦争史跡、戦争被害の概要等の内容を活用することで、参加者の心に平和のとうとさがより深く刻まれるよう図っていきます。あわせて、区施設における平和イベントや平和関連施設などにおいても、DVDが活用されるよう働きかけてまいります。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックを見据えた平和の取り組みについてのお尋ねです。 初めに、東京2020オリンピック・パラリンピック開催にあわせ、多国籍の方々を交えた平和交流の取り組みについてです。 現在、区は多国籍の方々との相互理解を図るため、各地域において多文化交流会等を開催し、地域に根差した多文化共生の推進に取り組んでいます。さらに、次年度は東京2020オリンピック・パラリンピックの気運醸成事業として、落合中央公園において「新宿ミニ・ワールドカップ」を開催します。大会では、区内在住の方を中心に6カ国が参加し、フットサルを通した交流を育む予定です。 平和はさまざまな立場の人がお互いに尊重し、思い合う心が礎となることから、今後も多文化交流の取り組みを進めてまいります。 次に、次世代に平和のとうとさを伝えるような取り組みと平和都市宣言35周年事業についてです。 区は、新宿区平和都市宣言に基づいて、さまざまな平和啓発事業を行ってきましたが、特に戦争経験者の体験を次世代に伝えることは、恒久平和を築く礎として非常に重要であると考えています。 このことから、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催にあわせ、中学生を対象として被爆者の方による講演会を開催するなど、平和の大切さを次の世代へ引き継ぐ事業を展開してまいります。 あわせて、親と子の平和派遣や平和派遣報告会など、平和を担う次世代を育成するためのさまざまな啓発事業にも引き続き取り組んでまいります。 また、2021年3月には、新宿区平和都市宣言35周年の記念行事開催を予定しております。世界最大のスポーツと平和の祭典である東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を経ての佳節にふさわしいものとなるよう、今後、内容検討を進めてまいります。
◎教育長(酒井敏男)
教育委員会への御質問にお答えします。 戦争体験継承DVDの活用についてのお尋ねです。 区立小学校では、既にDVD「未来に語り継ぐ平和へのメッセージ」を活用した学習を進めています。例えば富久小学校では第6学年の国語科において、広島の原爆ドームを通して平和の大切さを学ぶ「平和のとりでを築く」の学習の中でDVDを活用し、被爆者の戦争体験について学びました。 また、柏木小学校では、社会科の戦争中の生活の学習の中で、区民の戦争体験に触れ、戦争が遠いところではなく身近な場所で起きていたことに気づき、驚いていました。 さらに、体験の中で語られた鎧ガードに近い淀橋第四小学校の子どもたちからは、「淀橋市場はみんなの命を守ってくれたと思う」、「直接体験者の話を聞いてみたい」などの感想が寄せられており、DVDの活用により子どもたちが戦争の悲惨さや平和のとうとさについて改めて実感することができています。 今後も、このような実践を小中学校の校長会を通して各学校に周知するとともに、戦時中の学習を新年度の1学期に第3学年で計画している中学校においても、小学校での学習を踏まえつつDVDの内容に触れることで、平和の大切さと戦争や核兵器の恐ろしさを未来へ語り継ぐことができるよう働きかけてまいります。
○議長(
佐原たけし) ここで、議事進行の都合により休憩します。
△休憩 午前11時56分
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△再開 午後1時15分
○議長(
佐原たけし) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。
◆9番(北島としあき) 質問の第3は、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた気運醸成と普及啓発について伺います。 2013年9月、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われた国際オリンピック委員会の総会において、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催都市が東京に決定してから早5年がたちました。 これまで新宿区議会においても、オリンピック・パラリンピックが無事成功することと、世界各国から観戦に来られるお客様への真心のおもてなしができる環境整備や気運醸成について、さまざまな議論が行われてきました。 さらに、メーン会場となる新国立競技場がある、ここ新宿区では、既に多くの外国人観光客等でにぎわっております。そこで、東京2020大会に向けた普及啓発について、以下質問をさせていただきます。 最初の質問は、子どもたちに大会とのかかわりを創出についてお伺いします。 区立小学校、中学校及び特別支援学校の児童及び生徒を対象に、東京2020大会絵画コンクールを実施し、その応募作品を活用して大会が終了するまでの日めくりカレンダーを作成するとのことです。 また、大会関係の装飾による気運醸成の中で、新宿駅周辺やマラソンコース沿道の配電地上器、いわゆるトランスボックスに子どもたちの絵画コンクールの絵を用いてまちの景色を彩る等、児童や生徒たちにとっても大変に魅力的で心のレガシーにもなると思います。ぜひ一人でも多くの児童や生徒たちに応募をしてもらうことが大変に重要であると思います。周知徹底に対しては工夫が必要であると考えますが、区の取り組みをお伺いします。 次に、ボランティア活動の機会の創出についてお伺いします。 中学生以上を対象に気軽に参加できる区独自のボランティア制度を創設し、区主催のイベント等の運営にかかわっていただき、区民のボランティアマインドの醸成を図るとのことですが、対象となる方々はどのように想定をしているのでしょうか。また、大会終了後のレガシーとして、今後のボランティア活動の発展や定着を、区としてはどのように考えているのか、お聞かせください。 次に、スポーツ機会の創出と普及啓発についてお伺いします。 平成31年度に向けて、子どもたちが多様なスポーツを体験する機会の創出及びスポーツ環境の充実を図るとして、江戸川河川敷グラウンドの一部を借り上げます。 我が会派にも野球連盟の皆様やサッカー連盟の皆様から球場をつくってほしい等の要望をこれまで多数受けてきました。今回の事業は、こうしたニーズに応えられるのではと高く評価いたします。2019年度は6月から12月が貸し出し期間になりますが、利用率等を注視しながら、2020年度以降の貸し出しも視野に入れながら取り組むべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。 以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一) 東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた気運醸成と普及啓発についてのお尋ねです。 まず、東京2020大会絵画コンクールに、多くの児童・生徒の皆さんに応募していただくための周知の取り組みについてです。 同コンクールの応募作品を活用した日めくりカレンダーは、2020年1月1日から東京2020パラリンピックの閉会式が行われる9月6日までの250ページで制作し、区立小中特別支援学校の全ての児童・生徒の皆さんにお配りします。あわせて、少なくとも250基の配電地上機器へのラッピングを行うなど、幅広く活用することを通じて子どもたちの記憶や思い出に残るよう取り組んでまいります。 同コンクールの周知については、広報しんじゅくや区公式ホームページへの掲載のほか、区立小中特別支援学校を通じて全員に応募用紙を配布するなど、コンクールの魅力が十分に伝わるよう周知を徹底して行ってまいります。 次に、ボランティア活動機会の創出についてです。 区では、多くの方が参加しやすい独自のボランティア登録制度を創設することにより、ボランティアの楽しさや魅力を実際に感じていただくことを通じ、ボランティアマインドの醸成を図ります。 新たに創設する登録制度の対象は、区内在住、在勤、在学及び区内活動団体の中学生以上の方で、日本語によるコミュニケーションが可能な方を想定しており、障害のある方、外国籍の方も対象としています。 登録した方には、区のさまざまな大会関連事業で経験を積むとともに、ボランティア講座の受講を通じて、ボランティアとしての経験やスキルを身につけてもらいます。大会後には、こうした経験やスキルをレガシーとして活かし、さまざまなボランティア活動や地域活動の担い手として活躍できるよう促してまいります。 次に、江戸川河川敷グラウンドの借り上げについてのお尋ねです。 現在、区内の野球場、多目的広場は、土日祝日の稼働率、抽せん倍率ともに高い状況が続いています。また、区内には中学生が硬式野球をできる場所がないことから、新たな運動場の確保は区としても課題としてきたところです。 江戸川河川敷グラウンドは、区外ではありますが、ぜひ多くの区民の皆様に活用していただきたいと考えていますので、新宿区体育協会等、競技団体の御意見もお聞きしながら丁寧に周知を図ってまいります。また、2020年度以降についても、利用状況、動向などを検証した上で、引き続き区民への貸し出しが行えるよう取り組んでまいります。
◆9番(北島としあき) 質問の第4は、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けたVPD(ワクチンで予防できる疾患)への戦略的な取組みについてです。 1点目の質問は、風疹の感染拡大防止への取組についてです。 新宿区は、昨年、迅速に麻疹、そして風疹対策事業の対象者を当事者の配偶者やパートナーだけでなく同居者に拡大して、対策強化を進めてこられました。 私ども公明党は、国会議員、地方議員が連携して、国を挙げてのさらなる風疹対策の強化を訴えてまいりました。昨年11月には、山口那津男代表が2018年度第2次補正予算に盛り込むよう主張し、各自治体での検査体制強化などの費用として17億円が計上されたほか、2019年度予算案にも前年度比の5倍に当たる12億円が計上されています。 2月7日には、2018年度第2次補正予算も成立。また、2月1日付で厚生労働省が新たな内容が加わった予防接種法の政令改正も行ったと伺っています。 その内容は、39から56歳、1962年4月2日から1979年4月1日生まれの男性は、これまで接種の機会がなく、抗体保有率が79.6%と他の世代に比べ10ポイント以上低い。このため、集中的に予防接種を実施することで、抗体保有率を90%台に引き上げることを目指すものとなっています。ワクチンの効率的な活用へ、対象者は新宿区同様に、まず抗体検査を受け、抗体保有が基準を満たさない場合、予防接種を受けるという流れで、いずれも無料ということです。 受診券を発送する区として、今回の風疹対策の決定打ともいうべき3年間の事業をどのように効果的に実施されるおつもりか、お考えをお聞かせください。また、39歳から56歳の男性は働き盛りの世代でもあり、平日の日中に検査を受けることが難しい人も多いと当然考えますが、厚生労働省もさまざまな機関を活用するよう働きかけを要請しています。夜間・休日の抗体検査、予防接種の実施に向け、区として体制整備を今後どのようにつくるお考えですか。区の御見解をお聞かせください。 2点目の質問は、東京2020大会開催の地元地域である新宿区として、期間中に予想される参加者数や来場者数から、感染症のリスクの高さを今一重、認識や分析する必要があると思います。ワクチン予防可能疾患として、麻疹、風疹、侵襲性髄膜炎菌感染症、インフルエンザ、百日ぜき等、区はそれぞれの感染症リスクについて、どう認識されているのでしょうか。都内のどのエリアよりも開催地域のリスクについて、区民一人ひとりが正しい認識を持つべきと考えます。 東京2020大会開催後も、世界中からの観光客を受け入れ続ける新宿区として、感染症対策のモデル自治体をつくるべきと考えます。区のお考えをお聞かせください。 3点目は、昨年の決算特別委員会で同僚議員が問題提起した骨髄移植等により免疫を喪失された方に対するワクチンの再接種についてです。 具体的な事例として、8歳になるお子様が急性リンパ性白血病を発症したため、骨髄移植を受けました。これまで受けてきた予防接種での抗体が消えるため、ワクチンの再接種が必要になり、費用は全額自己負担で約20万円かかったそうです。そもそもワクチンで防ぐことのできる疾患、VPDと通常言われていますが、ワクチンで防ぐのが原則というのが健康予防事業の柱とも言うべき施策です。予防接種は、社会保障費の全体から見て医療費節減にも大きく貢献している数値が政府からも発表されています。 今回のような事情でお子さんがワクチンの再接種をしなければならなくなると、小児の定期予防接種は種類も大変多く、その中でも一種類でも複数回の接種が必要な予防接種もあります。お子さんの身体的負担もさることながら、保護者の経済的負担から再接種することが困難な御家庭も出てくることは容易に想像できます。区として、こうした事例での接種費用の助成制度を思い切ってつくるべきと考えます。区の御所見をお聞かせください。 以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 東京2020オリンピック・パラリンピックに向けたVPDへの戦略的な取組みについてのお尋ねです。 初めに、風疹の感染拡大防止への取り組みについてです。 御指摘の39歳から56歳の男性を対象にした予防接種は、定期接種として位置づけられ、国が作成した自治体向けのガイドラインに沿って実施されます。 ガイドラインによれば、対象者にはクーポン券が発行され、それを持っていれば居住地以外の自治体でも抗体検査と予防接種が受けられることになります。さらに、対象者の利便性に配慮して、抗体検査については医療機関に限らず、健診の機会も利用して受けられるよう、現在、国による調整が行われています。 また、事業開始当初に受検者が集中し、混乱等が生じることを避けるため、患者の発生が多い若年層から順次クーポン券を送付し、3年間の事業を段階的に実施します。 夜間・休日の抗体検査、予防接種については、夜間や休日も利用できる医療機関を案内するとともに、勤務地近くの他区等でもクーポン券を利用した抗体検査と予防接種が受けられることを周知してまいります。 次に、ワクチンで予防できる感染症のリスクについてです。 感染症については海外からの持ち込み事例もあり、来街者の多い当区では相応のリスクがあると考えています。 御指摘のとおり、予防接種には、麻疹、風疹、百日ぜきなどの定期接種のほかに、侵襲性髄膜炎菌などの任意接種もありますが、リスクを軽減するためには予防接種の勧奨や手洗い等の感染症対策について、正しい知識の普及啓発が重要です。 次に、感染症対策のモデル自治体についてです。 区内には、輸入感染症を含めた感染症の診療を行っている医療機関が多く、感染症の届け出数も多いことから、日常的に緊密な連携をとりながら感染症対策に携わることで、これまでも他自治体の参考となる取り組みを行ってきました。 このような経験を活かして、東京2020オリンピック・パラリンピックなどの大規模イベントにも適切に対応してまいります。 次に、骨髄移植等により免疫を喪失された方に対するワクチンの再接種についてです。 御指摘のとおり、現行の予防接種法では、定期予防接種の対象外となり、接種費用が全額自己負担となるため経済的負担となることから、区として対応すべきと考え、平成31年4月からの助成制度の実施に向け、準備を進めているところです。
◆9番(北島としあき) 質問の第5は、福祉施策について伺います。 まず
介護保険サービスの基盤整備について伺います。 平成31年度以降、国有地を活用し
介護保険サービス施設を整備するとして富久町国有地を活用した
特別養護老人ホーム等の整備、市谷薬王寺町国有地を活用した
特別養護老人ホーム等の整備、払方町国有地を活用した認知症高齢者グループホーム等の整備がうたわれています。 我が会派は、介護を必要とする高齢者の暮らしを支えるためにも、特養老人ホームの整備等、たびたびの議会でお訴えをさせていただいてきたことが結実したものであると高く評価いたします。しかし、一方では、地域包括ケアを推進する小規模多機能型居宅介護施設の地域バランスなど、今後も一層の注力をお願いするものであります。 そこで伺いますが、新宿区高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画でうたっている
介護保険サービス施設の整備について、今後どのようにお考えか、お聞かせください。 次に、障害を理由とする差別の解消の推進について伺います。 平成31年度当初予算案では、障害を理由とする差別の解消の推進として、バリアフリーマップの刷新がうたわれています。バリアフリーマップの作成については、我が会派も平成29年第2回定例会で、障がいのある方だけなく、御高齢の方や子ども連れの方も、東京2020大会を楽しめるようなスマートフォン等でも検索できるよう改善を提案させていただきました。 そこで伺いますが、当初予算でうたわれているバリアフリーマップについては、どのような機能が刷新されるのか。特に我が会派が提案しているオストメイト対応トイレがある施設の検索についてもお聞かせください。また、御高齢の方や子ども連れの方々にも利用いただけるものであると考えますが、いかがでしょうか。御所見を伺います。 最後に、区立障害者福祉施設について伺います。 まずは、先般の常任委員会でも報告された
牛込保健センター等複合施設の建替え方針案について、懸案事項であった新宿区立
新宿生活実習所の建てかえが機能継続として整備対象となりました。 我が会派も利用者の御家族等からお困りの声を伺い、一昨年の夏に同施設を会派として視察させていただいて以降、たびたびの議会や区長への要望書などで
新宿生活実習所の機能拡大や定員拡大、また建てかえの検討などをお訴えさせていただいたことからも、会派の要望が実現したことで大変喜ばしく、御英断いただいた区長を初め、御尽力くださった職員の皆様には深く感謝申し上げます。 具体的には、これからの部分もおありかと思いますが、
新宿生活実習所の建てかえに伴う定員拡充によって、今後の特別支援学校卒業生の進路先確保など、どのような見通しをお持ちでしょうか。また、障がいの重度化・高齢化への対応として、福祉作業所の多機能化や施設の定員拡充及び機能充実、医療的ケアを必要とする方の受け入れ体制強化など、どのようにお考えか、お聞かせください。 以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 福祉施策についてのお尋ねです。 まず
介護保険サービスの基盤整備の考え方についてです。 これまでも区は、
特別養護老人ホーム等については、公有地を積極的に活用し整備を進め、小規模施設では民有地も活用し、区内外のサービス事業者に対し情報提供しながら整備を進めてきました。今後も国や都、地域の関係機関と連携を取り合い、適地での基盤整備に努めていく考えです。 また、介護が必要になっても住みなれた地域で暮らし続けられるようにするためには、通い、訪問、泊まりの複数のサービスを組み合わせ、高齢者の生活全体を支える小規模多機能型居宅介護の充実が重要と認識しています。 小規模多機能型居宅介護は、看護小規模多機能型居宅介護事業所も含め、現在区内に8事業所ありますが、払方町国有地を活用した認知症高齢者グループホーム等の整備とともに、小規模多機能型居宅介護も設置する計画です。あわせて、民有地の活用による整備も図ってまいります。 特定の地区を指定して整備するという仕組みではありませんが、開設希望事業者に地域ニーズを共有してもらいながら調整を図り、新たな事業所の開設に今後一層注力してまいります。 次に、障害を理由とする差別の解消の推進についてのお尋ねです。 現在、新宿区のホームページで公共施設や御利用可能な商業施設等のバリアフリー設備の情報を「新宿らくらくバリアフリーマップ」で提供しています。 東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、区民や新宿のまちを訪れる方がバリアフリー情報を手軽に入手できるようバリアフリーマップを刷新してまいります。 新しいバリアフリーマップでは、オストメイト対応トイレや車椅子専用駐車場、エレベーター等をわかりやすい絵文字であらわしたアイコンから検索できるようにします。また、スマートフォン対応とすることにより、GPS機能を利用し、外出時でも現在地から最寄りのバリアフリー設備を探すことが可能になります。さらに、新国立競技場や区役所など主要な5施設と最寄り駅間を車椅子でも通行可能なバリアフリールートの表示や音声により案内する機能を追加し、英語表記にも対応してまいります。 新たなバリアフリーマップにより、ベビーベッドのあるトイレやエレベーターのある場所が容易に検索できるようになりますので、障害のある方のほか、高齢の方や子ども連れの方にも安心して外出ができるよう御活用いただきたいと考えています。 次に、今後の区立障害者福祉施設についてのお尋ねです。 特別支援学校等卒業生の進路先を確保するため、在籍調査を実施し、区立障害者福祉施設の需要数の中長期的な見通しを立て、施設整備計画に反映させています。また、毎年3月、5月、12月に進路対策連絡会を開催し、卒業生の意向を伺いながら利用施設の調整を図っています。
新宿生活実習所の定員は、建てかえ後の2024年度には現行の50名から65名程度に増員する予定です。また、新宿福祉作業所及び高田馬場福祉作業所では、障害の重度化・高齢化への対応として、平成31年度に多機能化し、生活介護事業の定員を両福祉作業所合わせて40名設けます。 さらに、あゆみの家では、来年度施設改修を行い、2020年度より定員を10名増員するのに加え、看護師の増員や医療連携体制の確保を行い、医療的ケアを必要とする方の受け入れ体制を強化します。 今後も中長期的な見通しのもと、関係機関と連携しながら丁寧に対応してまいります。
◆9番(北島としあき) 質問の第6は、自殺総合対策について伺います。 国は、平成28年に改正された自殺対策基本法において、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現のため、2026年まで自殺死亡率を2015年(平成27年)と比べ30%以上減少させることを自殺対策の目標と定め、新宿区においても2015年(平成27年)25.3を2026年には17.7以下、30%以上の減少を目指しています。 厚生労働省の公開した平成30年度版自殺対策白書を見ると、日本における15歳から39歳の各年代の死因第1位は自殺であり、これは先進国において日本のみであり、その死亡率も他の国に比べて高いものとなっていて、若い世代の自殺が大変深刻な状況であると言えます。 新宿区自殺対策計画(素案)では、統計データから見た新宿における自殺の現状を以下のように分析しています。 1、全国や東京都と比べ、新宿区の自殺死亡率が高い。2、若年層の自殺率が高く、39歳以下が自殺者全体の約4割を占めている。3、新宿区の自殺死亡率は20歳代の女性が高く、全国の約2.6倍となっている。4、心の問題について、気軽に相談できる場所、窓口を知らない人が約6割を占める。5、自殺の要因で、経済・生活問題を理由とする自殺者数は健康問題の次に多い。6、全体の自殺者数のうち、60歳以上は約23%となっている。 このような実態を踏まえて、区は平成31年度からの自殺総合対策の取り組みとして、若年層への支援強化を重要施策としています。 1点目の質問は、相談窓口について伺います。 これまで自殺対策として、国や自治体はさまざまな悩みに対し、窓口相談や電話相談などを行ってきました。しかし、相談は窓口や電話が主流のため、若者は敷居が高いと感じている人が多いという声もあり、自殺防止やいじめに対する相談体制の改善が急がれていました。 区は、自殺予防に向け、若年層への支援強化としてインターネットを活用した相談支援体制として、平成31年度から相談窓口自動案内及びインターネットゲートキーパー事業を始めるとしています。 この相談窓口自動案内は、新宿区内からグーグルで自殺や悩みごとに関する単語を検索した人に適切な広告を表示します。そして、悩みをフローチャート式に選択することで、最適な相談先を案内するという事業です。また、相談窓口自動案内と連動して、自殺リスクの高い人に対して、サイト上から相談員に24時間体制でメール相談を実施するとしています。 これは、今までにない大変画期的な事業であり、若者の相談体制には非常に効果的であると考え、高く評価いたします。先進事例として、北海道札幌市では、SNSを活用した相談窓口、ガールズ相談を実施しています。これは中学生、高校生、大学生またはこれに相当する年齢の女性を対象に、SNSでさまざまな相談を受け、内容も恋愛や学校、また心と体のことなどを寄り添って話をしてくれたことで、安心したとの声が多く寄せられています。そのため、2週間の期間限定で毎回600件前後の相談が寄せられ、昨年は800件を超え大変好評です。 このガールズ相談は、女の子たちはさまざまな悩みを抱えていて、中にはSOSを出せずに、一人で悩んでいる子がいることから、その女の子たちが安心して気持ちを話せる相談窓口をつくりたい、SOSを出せないでいるのなら、こちらから寄り添った支援をすべきと、生まれました。 そして、この相談を利用する子たちが、誰かに悩みを相談していいと気づき、自分を大切に思う気持ちを持つことで、困難に直面した際に周囲とつながり、主体的に生きる力を身につけることができるようサポートをしていきたいとしています。 女の子たちからは、電話、面談で知らない大人に相談することはハードルが高いため、SNSのほうが自分らしく語れる。また、「ガールズ相談」というネーミングのため、何でも相談していいとのことから、ハードルが低い。そして、SNSは電車の中やあいている時間に、場所に縛られることなく相談できることがよいとの声が上がっています。 新宿区では、さきにも述べたように、20歳代の女性の自殺死亡率が全国の2.6倍となっています。女性は、子育ての不安やストレスなどによって、心の不調が生じることもあるため、心の負担を軽減する支援が必要です。 北海道札幌市のガールズ相談のように、学生のうちから困ったことは誰かに相談していい、相談を真剣に聞いてくれる人がいるという体制づくりは大変効果的であり、将来困難に直面した際に周囲とつながりが持ちやすいと考えます。このような観点からも、女性に特化した悩み相談は、女性の自殺予防に効果的であると思います。 そこで、新規事業の相談窓口自動案内の検索キーワードをふやして、悩み分野の選択の中にガールズ相談のような女性専用相談につなげる工夫をされてはいかがでしょうか。区の御所見を伺います。 2点目の質問は、ユースゲートキーパーについて伺います。 自殺対策を推進する上で、自殺対策を支える人材育成は、とても重要です。区では、身近な支え手としてゲートキーパーをふやしてきました。ゲートキーパーは、悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る人です。 平成31年度から、若者自身が身近な相談者になるユースゲートキーパーの育成を実施するとのことです。大学生を対象とした自殺予防教育を行い、悩みを抱えた大学生に対して、大学の先輩や同級生がサポーターとなって支えていく存在となることで、若者の身近な支え手となることを目的としています。 若者同士が支え合える環境をつくることは、若者の自殺を予防することに有効的だと考えます。1年間で500人以上のユースゲートキーパーの人材育成を今後どのようにお考えでしょうか。区の御所見を伺います。 以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 自殺総合対策についてのお尋ねです。 初めに、相談窓口についてです。 区は、全国や東京都と比べ自殺死亡率が高く、特に若者の自殺が多いという特徴から、若年層への支援の強化策として、インターネットを活用した相談窓口の自動案内と、自殺リスクが高い人に対してメールで相談を行うインターネットゲートキーパー事業を開始することとしました。 御指摘のとおり、近年の若者の連絡方法はメールやSNSなどか主流となっており、電話相談に比べて相談しやすい環境を提供することで効果が期待できると考えています。 また、区では、若い女性の自殺死亡率が全国の約2.6倍と高いことから、若い女性が気軽に安心してアクセスでき、女性のさまざまな悩みに応じた相談窓口につながるよう、女性特有の検索ワードやフローについて検討していきます。 次に、ユースゲートキーパーについてです。 この事業は、区内の大学生を対象に大学の授業の一環として、自分をケアする力や悩みや相談に答える力を学ぶことで、若者自身が身近な相談者になるユースゲートキーパーを育成するものです。日ごろから、行政と接点の少ない若者への支援として、大きな効果が期待できる事業と考えています。 現在、この事業に御協力いただけるよう複数の大学と調整を進めており、1年間で500人を超える学生に受講していただける見込みです。 区では、これまで実施してきた自殺対策に加え、これらの事業を実施することで一人でも多くの命を守り、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して、引き続き全庁を挙げて取り組んでいきます。
◆9番(北島としあき) 質問の第7は、新宿区の道路の無電柱化推進について伺います。 新宿区では、主要な区道や駅周辺、公共施設の周辺において、電線類を地下に埋設し電柱を地中化することにより、災害に強いまちづくりを進めるとともに、歩行空間のバリアフリー化や美しい都市景観の創出を図るとして、無電柱化を推進してきました。 これまで特別区道の早大通りや補助第72号線第Ⅱ期区間、さらには三栄通りを整備し、現在は聖母坂通り、補助第72号線第Ⅰ期区間、信濃町駅周辺、甲州街道脇南側区道の無電柱化が事業中であり、来年度は上落中通り、水野原通りの整備推進も計画されています。 しかし、現在の新宿区内の無電柱化状況は、区内全ての道路、国道、都道、区道を対象とした場合には、無電柱化率は約20%で、区道のみを対象にした場合の無電柱化率は約10%であり、今後のさらなる整備推進が望まれます。 1点目の質問は、無電柱化の整備には多額の費用と長期間にわたる工期を必要としますが、区長が掲げる「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」という観点から、どのように捉えておられるのか、お考えをお聞かせください。 2点目の質問は、新宿区無電柱化推進計画についてです。 昨今の大規模地震や大型台風などにおいて、電柱倒壊により道路が閉鎖され緊急車両の通行や復旧活動の支障となる事象が多数発生していることなどから、災害に強いまちづくりを進めていく施策として、このたび無電柱化の推進に関する法律に基づき、無電柱化に関する基本的な考えや具体的な実施計画を取りまとめた新宿区無電柱化推進計画の策定を予定されています。 この推進計画は、無電柱化を計画的かつ効果的に整備していくこととし、2019年度から2028年度の10年間を期間と定め、昨年12月には無電柱化推進計画の素案が示され、本年3月中旬ごろの策定を目指しています。 素案によると、推進計画の基本的な方針として、防災、安全・快適、景観という観点から優先整備路線を定め、無電柱化が求められています路線の中での無電柱化率を、現在の61%から68%への引き上げを目標としています。 また、素案では、無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進するために、必要な事項を定めて取り組んでいくとしていますが、その必要な事項の取り組みについて4点お伺いします。 1点目は、組織体制の強化について、無電柱化を今後さらに推進していくために、内部組織体制の強化を検討するとしています。無電柱化事業を積極的に進めるために、どのような組織体制強化をお考えなのか。 2つ目は、広報・啓発活動として、無電柱化に関する区民の理解と協力が得られるよう、事業内容や整備効果に関するパンフレットの作成により、広く周知していくとしています。無電柱化事業は、工事実施において騒音や振動を伴い、また交通環境などにも影響を及ぼす事業であります。ゆえに、沿道住民等の理解と協力が必要でありますが、どのようなパンフレットを作成し、どのように周知されていくのか。 3つ目は、関係機関との連携強化として、国、東京都と連携した技術検討や電線管理者との整備手法に関する協議、調整を行い、無電柱化を円滑に推進できるよう努めるとしています。無電柱化を円滑に推進する上で、さまざまな関係機関との連携は重要な取り組みであると思いますが、どのように連携され協議、調整を行っていかれるのか。 4つ目は、他事業との調整についてです。 都市計画道路の整備や開発事業等が実施される際には、コスト縮減、工期短縮を図るため、同時に無電柱化が実施されるよう施工時期等の調整を図るとしています。都市計画道路の整備や開発事業などと無電柱化が同時に実施される場合はよいが、都道では都市計画道路区間において事業着手がない場合、その区間だけ無電柱化が大幅におくれる可能性があります。 よって、無電柱化が迅速に推進されるよう、関係機関に積極的に働きかけをすべきと思いますが、お考えをお聞かせください。 3点目の質問は、無電柱化を推進するための財源確保についてです。 区内の無電柱化を推進するためには、多額の財源負担を必要としますが、今回の推進計画の素案によると、その財源確保として、東京都が区市町村の無電柱化推進のために創設した無電柱化チャレンジ支援制度の活用が示されています。この制度は、無電柱化に必要な測量調査、設計費用や埋設物の支障移設補償費及び電線共同溝設置工事に係る事業費の区負担分である22.5%を都が負担するものであります。 また、この制度では、事業主体である区が、平成30年度までに推進計画の策定、またはチャレンジ路線の検討のうち、いずれかの事業に着手し、都の事業認定を受けた場合に活用できる制度としており、適用された場合、事業完了までを都が補助するとしています。 今回の補助制度は、区道の無電柱化を推進する上で、区の財政負担を大きく軽減するものでありますが、無電柱化の推進は長期間にわたる事業であることから、区が積極的に推進していくためにも、このような補助制度を将来にわたって継続していくことを都へ要望していくべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 新宿区の道路の無電柱化推進についてのお尋ねです。 初めに、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」という観点から、無電柱化をどのように捉えているかについてです。 無電柱化を進めることは、大規模地震などの災害時に電柱倒壊による道路の閉塞を防ぎ、ライフラインの安定供給や救急活動の円滑化など、都市防災機能の強化につながります。また、電柱がなくなることにより、車椅子やベビーカーも移動しやすい安全で快適な歩行空間の形成や魅力的な都市空間の創出にも大きく寄与する、極めて重要な施策であると認識しています。 御指摘のとおり、無電柱化には多額の費用と時間を要することから、防災性向上などの整備効果を勘案し、優先的に整備する路線を定め、効果的な無電柱化整備に取り組む必要があると考えております。 次に、新宿区無電柱化推進計画についてのお尋ねです。 まず、無電柱化整備を推進するための組織体制の強化についてです。 無電柱化整備を担当する職員には、技術的知見のほか関連する法令などの専門的な知識や沿道住民への説明能力が求められます。このため、職場内での研修体制の強化を目指し、複数担当制による情報共有やOJTの活用など、無電柱化に熟知した職員を養成し、組織体制の強化につなげてまいります。 また、無電柱化の整備には、沿道住民だけでなく地域の皆様の理解と協力が必要であると考えております。そのため、無電柱化の効果や実例などをわかりやすく解説したパンフレットを作成し、イベント時に区民に配布するなど、広報・啓発に役立てていきます。 次に、関係機関との連携についてです。 無電柱化の整備を円滑に進めるためには、関係機関との連携が重要です。これまで区は、電線管理者が埋設している既存管路の有効活用や沿道の公有地への地上機器設置など、関係機関と連携し事業を進めてきました。 また、今年度から都や電線管理者も参画する技術検討会を立ち上げました。今後、この技術検討会等を活用して、最新の整備手法等を関係機関と情報共有するなど、より一層のコスト縮減や工期短縮に取り組んでまいります。 次に、都道における都市計画道路の無電柱化の取り組みについてです。 東京都では、主に都市計画道路の整備にあわせて無電柱化の整備を行っています。幹線道路の無電柱化は、災害時における救急活動が円滑になるなど、災害に強い、逃げないで済む安全なまちづくりにつながるため、大変重要であると考えております。このため、都市計画道路の事業化にあわせて整備するだけでなく、幹線道路における無電柱化のネットワークが構築されるよう東京都に働きかけてまいります。 次に、無電柱化を推進するための財源確保についてです。 東京都は、平成29年4月に無電柱化チャレンジ支援事業を創設し、区市町村の無電柱化事業を技術面、財政面の双方から支援しています。さらに、平成31年度から、防災に寄与する路線については、区市町村の負担軽減を図る補助制度の拡充が予定されています。 区が無電柱化を積極的に推進するためには、無電柱化事業の財政負担が大きな課題となるため、引き続き東京都に対して、継続的な財政支援を要望してまいります。
◆9番(北島としあき) 質問の第8は、幼児教育無償化について、区長並びに
教育委員会に伺います。 幼児・高等教育の無償化は、公明党が2006年に発表した「少子社会トータルプラン」をもとに、長年訴えてきた政策であり、与党公明党の推進によるものです。今後、無償化による人を育てる未来への投資を着実に進めていく必要があります。日本の国内総生産GDPに占める教育への公的支出の割合は、経済協力開発機構(OECD)の加盟国の中で最低のレベルです。 また、日本は幼児教育や大学教育で家計負担の割合が各国より高く、家計における教育費負担の重さは、少子化の一因にもなっています。2015年の国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」では、理想の子ども数を持たない理由(複数回答)について、30歳未満では76.5%、30から34歳は81.1%が「子育てや教育にお金がかかり過ぎるから」と回答しています。 また、内閣府政策統括官が行った平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」では、どのようなことがあれば、あなたはもっと子どもが欲しいと思うと思いますかとの質問に対し(複数回答)、将来の教育費に対する補助が68.6%、幼稚園・保育所などの費用の補助が59.4%となっています。また、こうした教育費負担が教育格差につながらないようにすることも大事なテーマの一つです。 そのためにも、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げによる増税分を活用し、幼児教育や高等教育の無償化、私立高校授業料の実質無償化の「3つの無償化」を前進させる必要があります。その取り組みの意義は、日本の将来を支える上でも大きいものがあります。 2019年2月12日に閣議決定された子ども・子育て支援法の改正案では、幼保無償化について3歳から5歳までの全ての子ども及びゼロ歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもについての幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化し、認可外保育施設などは、上限つき補助の対象としています。高等教育については、大学や短期大学、専門学校に通う住民税非課税世帯の学生を対象に、支援を段階的に行うとしています。具体的には、2020年度から授業料や入学金を減免し、返済不要の給付型奨学金を拡充するとしています。 東京都が先行実施している私立高校授業料の実質無償化については、年収590万円未満の世帯を対象に全国平均額を上限として全国的に実施される予定です。 そこで、幼児教育の無償化について2点伺います。 1点目は、ことしの10月から予定される幼児教育無償化の実施について、国や東京都に大きな動きがありますが、新宿区はこの点をどう受けとめておられるのか、区長並びに
教育委員会にお伺いします。 2点目は、新宿区独自の幼児教育費の補助についてです。 東京都は、平成31年度予算案で、国が10月から実施予定の幼児教育無償化の対象を都独自に拡大します。具体的には、子どもが2人以上いる住民税課税世帯のゼロ歳から2歳児を無償の対象に加え、第1子の年齢にかかわらず、第2子が半額、第3子以降が無償となるように補助する予算案を提示しています。これまで新宿区においても、区独自の幼児教育負担軽減策を実施しておられる経緯があり、このことは我が会派も日ごろから高く評価しています。 今後、新宿区は10月から無償化実施に伴い、区独自の取り組みを展開し、子育てしやすい新宿のまちづくりをさらに一歩前進させていくべきと考えます。区長並びに
教育委員会の御所見を伺います。 以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 幼児教育無償化についてのお尋ねです。 最初に、ことしの10月から予定される幼児教育無償化の実施に対する国や都の動きを区はどう受けとめているかについてです。 幼児教育は、生涯にわたる人間形成の基礎を培う普遍的かつ重要な役割を担っており、全ての子どもが質の高い幼児教育を受けられる環境を整えることが重要です。 10月から予定される幼児教育無償化は、これまでの段階的な取り組みをさらに推し進めるものであり、こうした環境整備がより一層進むものと考えています。 次に、区独自の幼児教育費の補助についてです。 このたびの幼児教育無償化においては、通園送迎費や食材料費など、保護者から実費で徴収する費用は対象とならない方針が示されています。現状では、食材料費について、1号から3号認定までの支給認定区分によって、負担方法が異なっているという課題があります。 また、東京都が独自に拡大して実施する予定の多子世帯負担軽減事業について、具体的な内容はまだ明らかではありませんが、公設民営も含めた区立園は対象外となるとのことで、その場合には区の負担が発生します。 区は、これらの状況を踏まえながら、待機児童対策や保育の質の向上、自宅で子育てをしている家庭への支援など、さまざまな側面からの子育て支援策をどのように講じていくことが最も効果的であるのか検討してまいります。
◎教育長(酒井敏男)
教育委員会への御質問にお答えします。 初めに、幼児教育無償化実施に向けての国や東京都の動きをどう受けとめているかとのお尋ねです。 2月12日に閣議決定された子ども・子育て支援法改正案では、幼稚園は月2万5,700円の保育料を上限に無償化を実施し、必要な費用について国が2分の1、都、区がそれぞれ4分の1の負担を行うこととしています。 また、東京都は平成31年度予算案で、私立幼稚園などに対し、都内平均保育料と国基準額との差額を補助する制度など独自の取り組みを提案しており、子育て世帯の負担軽減が一層進み、全ての子どもが質の高い幼児教育を受けられる環境整備が前進するものと認識しています。 次に、10月からの無償化実施に伴う区独自の取り組みについてのお尋ねです。 子ども・子育て支援法改正案では、費用負担の割合が明示されましたが、現段階で補助対象経費の考え方など詳細が示されていないことや、公立幼稚園の無償化が国や都の補助対象外となっていることなど、区の財政負担についてはいまだ明確化されていません。 区では、幼児教育無償化の趣旨を踏まえて、10月実施に向けた準備を着実に進めるとともに、具体の取り組みについては区長部局とともに密に連携し、検討を進めてまいります。
◆9番(北島としあき) 質問の第9は、AI社会を生き抜く子どもたちの為の「学びの在り方の変革」について、
教育委員会に伺います。 さて、これから私たちが体験することになる時代は、産業革命以来となる300年ぶりの激動の時代と言われています。このようなことから、今後さらに加速度を増して進むグローバル化とAI社会の到来に向け、政府が推進する新たな未来社会のコンセプトが、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く人類史上5番目の新しい社会、Society5.0です。そして、このSociety5.0は、新しい価値やサービスが次々と創出され、人々に豊かさをもたらすと提唱しています。 そこで、文部科学省は2018年6月、学校や学びのあり方など今後講ずべき取り組みを検討するため、有識者から成る懇談会と課長級職員を中心とした省内タスクフォースの2つの会議の議論を踏まえ、「Society5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~」を発表しました。 また、その報告書の中では、こうした社会の変化に対応する上で、我が国の課題と解決策について、このように指摘しています。 AI等と共存していく社会の中で「人間の強み」を発揮し、AI等を使いこなしていくためには「文章や情報を正確に読み解き対話する力」や「科学的に思考・吟味し活用する力」、「価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探究心」が共通して求められるとし、このような力を育むためには、学校がこれまでの一斉一律の授業のみならず、個人の進度や能力等に応じた学びの場となること、同一学年集団の学習に加えて、異年齢・異学年集団での協働学習が拡大していくことなど、「学びの在り方の変革」を打ち出しました。 そこで、1点目の質問は、「学びの在り方の変革」について伺います。 新宿区は、平成29年9月から、区立小中学校のパソコン、電子黒板機能つきプロジェクター、実物投影機を最新の機器に更新しました。また、その際うたわれた活用事例としては、習熟度別学習として、児童・生徒がタブレットパソコンを一人一台利用し、個別の進捗に応じたデジタル教材を使っての学習としました。最新のハードが整ってから約1年半、また学習指導要領の改訂の準備や学校の働き方改革34項目も進める中で、私は新宿の教育が激動の時代に入ると、期待が膨らんでおります。 そして、文部科学省も「学びの在り方の変革」の具体策として、医療で用いるカルテのような、個人個人の学習の内容を蓄積していく「スタディ・ログ」から見えてくる、自分自身に合った学びとして「学びのポートフォリオ」を活用し、学力の定着を促進するとしていますが、現在、区立学校で使用するICT機器でもこのような試みができるのであれば、ICT教育の効果測定も含め、企業等の応援も受けながら今できることから進めていくべきと考えますが、見解をお聞かせください。 2点目の質問は、ICT教育の見える化について伺います。 新宿区では、区立小学校から区立中学校に進学する際、約4割の生徒が私立校等に進学しています。私立学校に進学した生徒の中には、小学校で学習をリードしてきた生徒も多くいると考えます。これらの生徒が公立中学校に進学しないことで、新学習指導要領の根幹となる主体的・対話的で深い学びに必要となる生徒の知見の多様性が失われると考えるからです。 そこで提案ですが、新宿の子どもたちに、目指すべき学習の目標が明確になるよう、小学校から中学校までのICT教育のロードマップ、スキルマップの作成をすべきと考えます。また、小学校の高学年になったら、中学の授業を見学する機会をつくり、先輩たちがICT機器を活用し魅力的な授業をしているところを体験してもらうような試みをすべきと考えますが、見解をお聞かせください。 3点目の質問は、学校長のマネジメント強化について伺います。 「学びの在り方の変革」は、科学技術の急速な発展に対応するためのもので、スピード感がかなめとなります。 それには、学校における最高責任者であり権限を持っている学校長が、既成概念をやめ、子どもたちのためなら周囲の御批判も甘んじて受けるという強い決意とともに、
教育委員会の強固なバックアップが必要となります。 実際に教員の勤務環境の改善・働き方改革でも、校園長が経営責任者として業務改善に取り組む仕組みの導入とうたわれています。そこで提案ですが、新宿区にも御縁のある、現在麹町中学校の校長である工藤校長は、学校の当たり前を変える取り組みを進めていると聞いています。こうした学校もある中で、民間企業や学校の経営者を招聘し、これまでの学校経営を大きく踏み出すような校園長の研修を行い、学校長のマネジメント力の強化を図るべきと考えますが、見解をお聞かせください。 以上、御答弁願います。
◎教育長(酒井敏男) AI社会を生き抜く子どもたちの為の「学びの在り方の変革」についてのお尋ねです。 初めに、Society5.0を踏まえた「学びのポートフォリオ」と今後のICT活用についてです。 現在、区立学校で利用しているデジタル学習教材は、御指摘のようなAI機能を持つものではありませんが、児童・生徒のドリル教材の進捗を記録、管理できるなど、習熟度に応じた学習を支援するものとなっています。 Society5.0を踏まえた今後のICTの活用については、創意工夫ある教育活動として、数校で試験的な導入が始まっているところですが、
教育委員会としては、今後の学びのあり方を大きく変えるものであり、タブレットPCを活用した放課後の自学自習環境の提供など、できるところから着実に取り組んでいく必要があると考えています。 引き続き情報収集に努めるとともに、さまざまな企業などと連携しながら、ICT教育の効果測定の手法も含めて研究と実践を進めてまいります。 次に、ICT教育の見える化についてのお尋ねです。 新学習指導要領では、情報活用能力が学習の基礎となる資質・能力の一つと位置づけられ、教育課題研究校の四谷小学校では、学年ごとに児童に身につけさせたい情報活用能力を整理する取り組みを行っています。 各学校では、学校段階ごとに、小学校では文字の入力やインターネットの閲覧などの基本的な操作を身につけることを、そして中学校では情報の収集や比較、発信などコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用できることを目標とした指導を行っています。 今後、小学校から中学校までのICT教育のロードマップ、スキルマップとして、国が検討を進めている新たな手引も踏まえながら、義務教育の9年間を見通した情報活用能力を見える化し、子どもたちが見通しを持って学べる取り組みを進めていきます。 小学校高学年における中学校の授業見学についてですが、区内の小中学校では、既に小中連携の取り組みの一つとして、児童が中学校生活への不安を解消し期待感を高められるよう、中学校の授業見学や施設見学などを行っています。 今後は、生徒自身がICTを活用して学ぶ姿から中学校の魅力が伝わる機会を積極的につくり、引き続き授業見学の取り組みを進めてまいります。 次に、学校長のマネジメント強化についてのお尋ねです。
教育委員会では、年間2回の校園長研修会を開催し、これまでも私立学校の経営コンサルティングを行う企業の担当者や学識経験者を招聘し、民間企業や公私立学校の先進的な事例とともに、学校評価を活用したマネジメントの視点について研修を実施しています。 研修後は、会議の時間確保のために校長メルマガを発行して、経営方針を教員へ周知したり、仕事の優先順位のつけ方についてOJTを企画するなどの取り組みが行われています。また、学校教育目標について、社会の中でその意義を問い直し、教職員とともに新たな目標をつくろうとする取り組みや、地域を担う人材の育成に向け、地域の特色を活かした学校独自の教科を設定するなどの意欲的な取り組みも出てきています。 今後も引き続き、校長が学校内外に広く知見を求め、慣例にとらわれず学校の改革に取り組むことができるよう、研修内容を工夫するなどして学校を支援してまいります。 以上で答弁を終わります。
◆9番(北島としあき) 私ども公明党の代表質問に対し、大変丁寧な答弁をいただきましてまことにありがとうございました。 以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
佐原たけし) 次に、37番
田中のりひで議員。 〔37番
田中のりひで議員登壇、拍手〕
◆37番(
田中のりひで) 日本共産党区議団の
田中のりひでです。 私は、2019年第1回定例会に当たり、会派を代表して質問いたします。 厚生労働省の毎月勤労統計の不正は、雇用保険や労災保険などで延べ2,000万人、567億円もの被害を出すとともに、政策判断にかかわる問題として政府予算案審議の前提を揺るがす重大事態です。政府統計に対する国民の信用は根底から破壊されており、徹底的な真相解明は最優先課題です。 また、消費税率10%引き上げをめぐっては、2014年の税率8%への増税を機に家計消費も国内総生産も大きく落ち込んでおり、この状況で5兆円もの大増税を強行すれば、日本経済に破滅的影響を及ぼすのは明らかです。 昨年12月まで安倍内閣の官房参与を務めていた藤井聡京都大学大学院教授は「10%消費税が日本経済を破壊する」、「消費税増税は凍結、消費税減税こそが最大の景気対策。法人税の引き上げこそ、最も検討すべき対策」と述べています。低所得者ほど負担の重いのが消費税であり、消費税を上げれば上げるほど消費にブレーキがかかり、デフレは進むと指摘しています。さらに、統計不正で「賃金は上昇している」という政府の認識は虚構だったことは明らかであるにもかかわらず、あくまで増税に固執する姿勢は異常です。道理のかけらもない消費税10%増税は中止し、富裕層と大企業への優遇税制をただす道に進むことを求めて質問に入ります。 最初に、区長の基本方針説明について質問します。 区長は、区財政について、「一定の財政対応力を確保している」としながら、「区財政を取り巻く環境は依然として不透明であり予断を許さない」と言い、その理由の一つとして、「消費税率の引き上げなどによる財政構造の変化」を挙げています。区財政が好調にもかかわらず、消費税の引き上げが原因で財政運営が不透明になるおそれがあるのであれば、その不安を払拭するために、消費税の10%増税の中止を求めるべきです。区内中小業者や商店、区民生活を守る立場からも国に中止を要求すべきと思いますが、いかがですか。 区長は、基本方針説明の中で「誰もが安心して住み続けられる新宿」を標榜し、「総合計画と第一次実行計画2年目の年に、社会経済情勢や行政需要の変化などに適確に対応し、実行計画に掲げる各事業の着実な推進する」として、基本政策の第一に掲げる「暮らしやすさ1番の新宿」では、「区民の皆様が心豊かにいきいきと暮らすことができるよう、一人ひとりが尊重され、誰もが自分らしく生きることができる地域社会の実現を目指す」としていますが、この基本方針説明からは、誰もが自分らしく生きることができる地域社会の内容は伝わってきません。以下、質問します。 第1は、区民生活の実態についてです。 2018年度新宿区区民意識調査では、区政への要望として、高齢者福祉の充実が32.6%で最も高い一方、低所得者への支援も11.9%で第5位であり、2011年以降連続して第5位になっています。また、50歳以上に低所得者への支援を望む声が多くなっています。こうした声に応えて、来年度の予算案では、低所得者対策としてどのような施策が行われるのか、お答えください。 また、意識調査で4年から5年以降は心配になると思うことに、医療や介護にかかる費用が大きな負担になると答えた方が52.6%になっています。また、10歳代、20歳代では、暮らしに十分な収入が確保できないことが今心配である27.5%、2年から3年後に心配になる13.4%と合わせると40.9%です。こうした結果は、区民の現在と将来への生活不安を如実にあらわしており、こうした区民の生活実態に寄り添う施策を来年度予算でも示すべきと考えますが、いかがですか。例えば学生及び勤労単身者向け民間賃貸家賃助成の拡充など、若者を支援することを検討してはいかがですか。区長の御所見をお聞かせください。 第2に、オリンピック憲章にうたわれている、あらゆる差別の撤廃、とりわけ人種差別の撤廃を具現化することについてです。 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例は、よりよい未来のために人権尊重の理念が実現した都市であり続けることは、都民全ての願いであるとしています。 東京都は、このような認識のもと、誰もが認め合う共生社会を実現し、多様性を尊重する都市をつくり上げるとともに、さまざまな人権に関する不当な差別を許さないことを改めてここに明らかにするとしています。 東京都は、条例第11条に規定する公の施設の利用制限に関する基準について、2月10日までパブリック・コメントを実施し、4月1日から全面実施となります。 これまで、一部の国や民族、あるいは特定の国籍の外国人を排斥する差別的言動が新宿区内でも行われ、区民生活に深刻な影響を与えています。ことしに入り、1月13日には、民間の屋内会議室を集合場所として使った小滝橋通り等でのヘイトスピーチデモが行われ、2月3日には、
新宿中央公園を出発地として、ヘイトスピーチデモが行われました。新宿区でも、ヘイトスピーチ対策の実効ある条例の制定こそ必要と考えますが、区施設の利用制限に関する基準の整備スケジュールもあわせて区長の御所見をお聞かせください。 第3に、子どもの権利条例制定についてです。 千葉県野田市での事件を受け、政府は児童相談所が保護していない虐待児童についての調査を指示しました。区長は、この間の一連の事態について、どのような認識をお持ちですか。そして、児童相談所の開設に向けて現状と課題についてお聞かせください。また、新宿区自治基本条例の先進性として、子どもの意見表明権が挙げられます。今回の野田市の事件も、学校のアンケートに父親の暴力を訴え、一旦は保護されました。しかし、大人が守り切れなかったことが今回の悲劇になりました。子どもの権利を尊重し社会全体で子どもを守るために、子どもの権利条例を策定すべきと思いますが、いかがですか。 第4に、国民健康保険料の負担軽減についてです。 区民意識調査にあるように、医療や介護への経済的負担への不安が多くあります。新宿区では、昨年6月の当初賦課額で18歳未満の全ての子どもを対象に7割軽減などの影響を考慮すると、18歳未満被保険者は6,072人で2億4,367万2,900円になります。全国知事会が要望し、4年前に政府が検討を約束した国保料の子どもの均等割の廃止を行うよう国に要望すべきと思いますが、いかがですか。 また、区として多子世帯対策として3人目以上の子を免除するのは1,318万3,500円あれば可能です。区民生活を守る立場から実施することを求めるものですが、お答えください。 第5は、熱中症対策です。 区内小中学校の体育館や武道場に2020年度までにエアコンを設置することは評価するものですが、同時に個々の区民に対する支援も必要ではないでしょうか。 昨夏の酷暑の中で250人を超える区民が救急搬送され、7人の方が熱中症で亡くなりました。荒川区では、昨年3名の方が熱中症で亡くなり、最初に亡くなった方はクーラーがなかったそうです。議会などから緊急の要望も受け、冷房機の設置の補助制度を創設しました。荒川区によると、この制度実施後は亡くなった方はいないということです。こういった他区の事例も参考に、冷房機の設置補助をすべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上、御答弁お願いします。
◎区長(吉住健一) 田中議員の御質問にお答えします。 区長の基本方針説明についてのお尋ねです。 初めに、消費税率の引き上げについてです。 少子高齢化の急速な進展や国、地方とも厳しい財政状況のもとで、国民が安心し希望が持てる社会保障の実現が求められています。こうした中、持続的な社会保障制度を構築し、その安定財源を確保する観点から、段階的に消費税率を引き上げることは必要であると考えています。 しかし、消費税率の引き上げは、地域経済に対して影響を与えることが懸念されるため、低所得者に対する支援や経済状況に応じた中小企業への配慮が必要であると考えています。 次に、区民の生活実態についてのお尋ねです。 区では、生活保護受給者の自立に向けた支援を初め、平成27年度から生活困窮者自立支援法施行に基づき、生活支援相談窓口を設置し、区民からの相談に丁寧に対応してきたところです。 来年度も経済的にお困りの方の相談窓口をワンストップ化するとともに、引き続き自立相談支援、住居確保給付金の支給等の各種事業を実施してまいります。 今後も生活保護受給者や生活困窮者、そして生活に苦労する若者の方々にも自立に向けた支援を総合的に実施することにより、区民の要望に的確に応えてまいります。 次に、オリンピック憲章にうたわれているあらゆる差別の撤廃、とりわけ人種差別の撤廃を具現化することについてのお尋ねです。 御指摘のとおり、都が制定した東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例に基づいて定めることとされている、公の施設の利用制限の基準について、このたびパブリック・コメントが実施されたところであり、この結果も踏まえて、4月1日からの施行に向けた検討が進められているものと認識しております。 区としましては、現時点では条例化の考えはありませんが、都における公の施設の利用制限の基準や運用方法、また基準を定める過程における検討状況などが明らかにされていく中で、区における基準づくりについて速やかに検討してまいります。 次に、千葉県野田市の児童虐待事件についてのお尋ねです。 子どものSOSを周囲の大人が受けとめて、幼い命を守ることができなかった今回の事件に関しては、本当に痛ましく感じているところです。子どもの訴えを受けた一時保護により、一旦は安全を確保できたにもかかわらず、再び家庭に戻し、保護者からのさらなる虐待を受けて死に至るまでの児童相談所や自治体のかかわりについて、今後検証が行われる予定です。 区では、現時点で確認できるさまざまな問題点に留意し、引き続き学校等と子ども家庭支援センターが連携を密にし、児童相談所や警察と協力して、子どもの命を守ることを最優先に対応してまいります。 次に、児童相談所の開設に向けた現状と課題についてのお尋ねです。 区では、
児童相談行政を一元的かつ総合的に実施するため、2021年の児童相談所開設を目指し、都や近隣市の児童相談所へ派遣研修を実施して、職員の育成に取り組んでいます。また、必要なときに子どもの安全を確保するための一時保護所についても整備を進めています。 現在、平成30年12月18日付で国が策定した「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」に基づき、児童相談所職員の配置人員の見直しと育成計画の再検討を行っています。 今後、平成31年2月8日付の「『児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策』の更なる徹底・強化について」に基づき、児童相談所で求められる専門性と体制を強化してまいります。 次に、子どもの権利条例の制定についてです。 子どもの権利については、新宿区自治基本条例において、子どもは、社会の一員として自らの意見を表明する権利を有するとともに、健やかに育つ環境を保障されることと規定しています。また、新宿区基本計画においても、子どもの権利や人権についての理解を深める取り組みを進めることを施策の方向性に掲げています。 さらに、新宿区次世代育成支援計画では、4つの基本的な視点の1番目に「子どもの権利を大切にし、子どもの幸せを第一に考える視点」を掲げ、子どもの権利をさまざまな角度から守り、推進することとしています。 このように、区では子どもの権利が保障される取り組みを各施策を通して引き続き行っていくことから、子どもの権利条例を制定する考えはありません。 次に、国民健康保険料の負担軽減についてです。 初めに、国民健康保険料の子どもの均等割廃止を国に要望すべきとのお尋ねです。 御質問では、政府が子どもの均等割廃止の検討を約束したとのことですが、平成27年2月12日の国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議における議論の取りまとめにおいて、国は地方から提案のあった子どもにかかわる均等割保険料の軽減措置の導入等について、現行制度の趣旨や国保財政に与える影響等を考慮しながら、引き続き議論をしていくとしており、廃止について検討を約束したという認識にはありません。 国民健康保険は、負担能力に応じた応能割とともに、受益に応じた応益割との適切なバランスにより、被保険者全体で制度を支えることとなっています。したがって、子どもにかかる均等割の廃止を国に求めることは考えていません。 次に、3人目以降の子どもの均等割を免除することについてです。 多子世帯への支援については、国民がひとしく受けるべき支援であると考えており、特別区長会から国に対し、国の責任において財政措置を講じるよう要望しています。そのため、区単独で実施することは考えていません。 次に、熱中症対策についてのお尋ねです。 年々暑さが厳しさを増し、熱中症により救急搬送される方も急増している実態を踏まえ、区では熱中症対策をさらに強化していく必要があると考えています。特に熱中症被害が深刻な高齢者の場合、エアコンがあっても使用されていなかったり、適切な温度設定ができていないケースが多いという実態を踏まえ、適切に使用できていない方に対しては、エアコン等の使用を一層促すなど、個別に丁寧な対応を粘り強く続けてまいります。また、訪問活動を行う職員が熱中症に対する正しい知識を得るための研修を新たに実施するなど、普及啓発に努めてまいります。 これまでも新宿区社会福祉協議会においては、低所得者の方を対象に生活福祉資金や応急小口資金など、エアコン購入費用にも活用できる貸し付けを行っておりますが、このような制度の周知を十分に行いながら、引き続きエアコン設置に向けた支援を続けてまいります。そのため、冷房機の設置補助を実施することは考えておりません。
◆37番(
田中のりひで) 次に、
牛込保健センター等複合施設の建替え方針案についてです。 2月6日、各常任委員会に「
牛込保健センター等複合施設の建替え方針案について」の報告がありました。
牛込保健センター等の前面にある環状3号線、いわゆる外苑東通りの拡幅と、それに伴う北側区道の形状変更により生じる同複合施設それぞれへの影響を検討した結果、区は建てかえする方針案を示し、今後、関係者や地域住民に説明した上で最終的な方針を決定するというものでした。 建てかえにより利便性が向上することが期待されます。敷地面積や現在の容積率との関係で、最大で現状の1.5倍の容量にできるとの想定ですが、今後の課題も含めて解決できるだけの大幅な拡充は見受けられません。すぐ裏が住宅地であることや高さ制限を求める周辺住民の要望を考慮すると、区長の言う施設の機能拡充とはどのようなことなのでしょうか、お聞かせください。 生活実習所が2階と4階にあるという不便さが解消されることは、とてもうれしいことです。しかし、定員については65名の計画ですが、建てかえ完了時である5年半後の2024年9月の時点で、その定員で充分なのかという問題が残ります。現在でも定員50名に対し52名が通所し、今後あゆみの家や福祉作業所で生活介護をふやすとはいえ、生活実習所に入所が見込まれる特別支援学校の卒業生と転入者を合わせると、5年後には65名の定員に達する可能性があります。もともと生活実習所は、旧養護学校跡を利用し暫定施設としての活用から始まりました。 今回の建てかえでは、潰してしまった陶芸室の復活や不十分な職員休憩室など、必要な空間を確保するのは当然ですが、定員そのものが65名では遠くない将来にまた足りなくなることは目に見えています。今回の建てかえと同時に、第2生活実習所の計画を検討すべきと考えますが、区長の御所見を伺います。 今から将来を見据えた対策をとらなければ、関係者の不安を払拭することはできません。5年後、10年後の生活介護施設の利用見込みと区の整備計画についてお示しください。 この際、生活実習所と
牛込保健センターの仮施設として5年半後まで活用が決まった旧市ヶ谷商業のその後の活用についても伺います。 この間、愛日小学校建てかえの仮校舎としても活用してきた旧市ヶ谷商業については、隣接する牛込第一中学校の老朽化に伴う建てかえのための活用が期待されていました。今回の対応で牛込一中の建てかえはなくなってしまったのではないかとの心配も出てきています。旧市ヶ谷商業のその後の活用について、お示しください。少なくとも生活実習所の仮移転について、地域に説明する際には、旧市ヶ谷商業の最終的な活用方針についても説明すべきと考えますが、区長の御所見をお聞かせください。
◎区長(吉住健一)
牛込保健センター等複合施設の建替え方針案についてのお尋ねです。 初めに、機能拡充についてです。
牛込保健センター等複合施設の建てかえに当たっては、生活介護事業を必要とする利用者がふえていることから、
新宿生活実習所の定員の拡大を図るほか、弁天町保育園において多様な特別保育等を行うため、一時保育、定期利用保育専用の保育室を新たに設置いたします。 また、各施設が構造的に区切られていないことや専用のエレベーターがないなどの施設面の課題への対応も行っていきます。 次に、今後の生活介護施設の利用見込みと整備計画についてのお尋ねです。 生活介護施設の利用見込みについては、特別支援学校の在籍調査を実施し、区立障害者福祉施設の需要数の中長期的な見通しを立て、施設整備計画に反映させています。また、毎年3月、5月、12月に進路対策連絡会を開催し、卒業生の意向を伺いながら利用施設の調整を図っています。 施設整備計画については、新宿福祉作業所及び高田馬場福祉作業所では、障害の重度化・高齢化への対応として、平成31年度に多機能化し、生活介護事業の定員を両福祉作業所合わせて40名設けます。また、あゆみの家では、来年度施設改修を行い、2020年度より定員を10名増員する計画です。さらに、
新宿生活実習所の定員は、建てかえ後の2024年度には、現行の50名から65名程度に増員する予定です。 学齢期の児童は発達段階にあるため、特別支援学校卒業時の進路を早期に確定することはできませんが、これらの計画により将来の利用見込みにも対応していけるものと考えており、現時点で第2生活実習所の予定はありません。今後も中長期的な見通しを持ちながら適切に対応してまいります。 次に、旧
市ヶ谷商業高等学校の活用についてのお尋ねです。 旧
市ヶ谷商業高等学校については、
牛込保健センター等複合施設の建てかえに伴う
牛込保健センター及び
新宿生活実習所の仮施設として、2024年度まで使用します。 その後の活用については、現在、福祉、防災、教育等に資する場として、
特別養護老人ホームなどの
高齢者施設、防災広場、牛込第一中学校の老朽化に伴う建てかえ等を具体的な候補案として検討を進めており、今後、方針案がまとまり次第公表し、地域の方々に説明いたします。
◆37番(
田中のりひで) 次に、「民泊」について質問いたします。 新宿区民泊問題対応検討会議の第8回会議が、昨年12月20日に行われ、11月末現在、新宿区の民泊の届け出は855件、受理751件で、苦情は378件に上り、既に昨年度の339件を上回りふえ続けていることが報告されました。 その後の国の発表でも、1月11日現在、新宿区の届け出件数は938件で、大阪市の1,722件、札幌市1,571件に次いで全国で3番目に多い自治体となっています。世帯数比では、大阪市と札幌市がともに625軒に1軒に対して、新宿区は238軒に1軒と、全国で一番密度が高くなっており、それだけに近隣とのトラブルが発生しやすくなっています。 また、検討会議では、昨年11月22日、観光庁が行った住宅宿泊事業の届出に係る実態調査結果等の公表のプレスリリースで、新宿区が任意の現地調査を実施している自治体として公表されたことについての報告と区の考え方が示され、学識経験者や消防、警察など専門の立場から、各委員が現場の実態や課題について報告されました。検討会議で出された意見も踏まえて、以下質問します。 第1に、観光庁のプレスリリースと通知についてです。 観光庁は、実態調査公表のプレスリリースで、新宿区が任意の現地調査を実施しているとした上で、通知では、「一部の自治体において、行政手続法や住宅宿泊事業法の趣旨に照らして不適切である運用等が行われている」などとして、150の自治体に通知を発出しました。通知発出に至る背景には、規制改革推進会議が昨年6月26日に行った会議で、エアビーアンドビージャパンなどの業者が新宿区などさまざまな自治体の例を引き合いに、自治体独自のルールや手続を批判し、徹底した簡略化を求めていることがあります。 その議論を受けて同年7月24日、民泊サービスについての意見を発表し、自治体によって取り扱いが異なることが混乱を招いているなどとして、規制緩和を促進するよう国に圧力をかけたのです。 新宿区の検討会議では、学識経験者の委員が、違法な民泊をこれまで放置してきて、それに合わせて法律をつくったことが問題だと指摘されましたが、新宿区が行っているような事前の現地調査や事業者との相談こそが、住民の安心・安全を担保するために必要な対応であり、区は観光庁の今回の通知に対し抗議をすべきと考えますが、いかがでしょうか。 区民の住環境を守る立場から、規制を強化することこそ必要であり、実態にそぐわない今回の観光庁の通知に対し、実態を重ねて伝えるとともに、規制改革推進会議の意見に対しても正面から批判し、手続等の簡素化による緩和ではなく、住環境を守る立場からの規制を強化するよう国に意見を上げるべきです。御所見を伺います。 第2に、住居専用地域の届け出されている民泊における違反の実態についてです。 寄せられた苦情の中で、住居専用地域にもかかわらず禁止期間に宿泊者を泊めている実態や、北新宿三丁目では、火曜日である大みそかに住居専用地域にもかかわらず宿泊者を泊めていたことが明らかとなり、警察が出動する事態も起こっています。 実効ある措置を講じなければ改善はされません。条例施行後、これまでに住居専用地域における条例違反に係る苦情は何件あるのか。また、違反をなくすための今後の対策をどのようにお考えか、お聞かせください。特に住居専用地域では、まず営業日の遵守など条例に基づいて営業しているかのチェックが必要です。定期的な巡回パトロール実施、違法民泊の調査の際に巡回するなど、区としてしっかりとしたチェック体制を構築すべきと考えますが、区長の御所見を伺います。 第3に、届け出されている民泊の防火対策についてです。 第8回民泊問題検討会議で消防署や学識の委員の方から、民泊の防火対策について発言がありました。新宿消防署から、民泊営業前に事前に相談に来られた件数の半分しか消防法令に基づく届け出がされておらず、困惑しているとの発言がありました。民泊届け出の際、消防署への届け出がされているか否か、区は把握していません。区と消防署が連携し情報共有することで、消防法令上の届け出を促すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、消防法令に基づく届け出を受理要件とするべきと考えますが、いかがでしょうか。もし、それが法令上できないのであれば、国に法改正を求めるべきです。いかがでしょうか。 学識の委員からは、建物の構造が木造で、特に密集地域にある場合は、万が一、火災のときには延焼の危険があるため、構造についても掌握する必要性があるとの指摘がありました。建物の構造についても耐火構造となっていることを届け出の要件にすべきと考えますが、いかがでしょうか。これについても、要件を課すことが法令違反となるなら、国に対して法改正を求めるべきです。区長の御所見を伺います。 第4は、違法民泊の対策強化についてです。 現状の対策は、住民からの通報待ちで根本的解決になっておらず、実態さえつかめていません。違法民泊に関しては、特に国外に拠点を持つ仲介業者が介在していることは明らかであり、国に対し違法民泊の国際的規制を強く要請すべきです。いかがでしょうか。 大阪市では、2018年2月、大阪市西成区の違法民泊施設で遺体が発見される殺人事件が起き、同年6月には、大阪市内で届け出された民泊をアジトにしていた特殊詐欺グループが摘発され、3人が逮捕される事件が起きました。こうした事件もあり、大阪市は昨年4月に市長をトップとした違法民泊撲滅チームを設置、6月には環境衛生監視員と警察官OBから成る違法民泊指導実働部隊を68人で発足させ、法令遵守を促し適法民泊へ誘導するとともに、違法民泊の徹底排除に取り組み、これまで昨年6月から12月まで3,332件の立入検査を行い、2,534件を適法な民泊の届け出に誘導するか、やめさせるなどして解決しています。 新宿区では、違法民泊と思われる378の苦情件数に対し、警察と連携した立入検査は23件です。警察と連携し、違法民泊対策を徹底して行うべきと考えますが、御所見をお聞かせください。 第5は、民泊問題対策の人員の補充と体制についてです。 来年度予算案で、派遣職員を現行の6人から10人にふやす方針が示されたことは評価するものですが、2カ月ごとに提出される民泊の報告書をまとめることもままならず、苦情件数の増加、届け出民泊の増加を鑑みると、とても派遣職員の4名増だけで対応し切れるとは思えません。やはり専門的知識と権限を持った環境衛生監視員をさらに増員すべきと考えますが、いかがでしょうか。 最後に、民泊問題対応検討会議についてです。 検討会議は、昨年12月20日の第8回会議を最後に終了となりました。当初の目的が達成したことと、委員の2年の委嘱期間に達したからとの理由ですが、学識の委員からは、国の法律も3年で見直しをすることになっており、そこに向けて意見を上げていく必要があるとの意見が出されていました。民泊の届け出がふえ、苦情もふえている現状を踏まえ、学識経験者、消防、警察も含めた会議体を継続すべきと考えますが、いかがでしょうか。区長の御所見を伺います。
◎区長(吉住健一) 「民泊」についてのお尋ねです。 初めに、観光庁のプレスリリースと通知についてです。 観光庁のプレスリリースは、新宿区を含む複数の自治体名が公表され、行政手続法や住宅宿泊事業法の趣旨に照らして、不適切な運用等を行っていると誤解を与える表現となっていました。また、通知については、規制改革推進会議における議論に基づいたものであり、関係する自治体全てに発出されたと認識しています。 区では、既に第8回の検討会議の席上において、誤解を招きかねないと遺憾の意を表明し、区の取り組みに違法性はないという認識を示していますので、改めての抗議をする考えはありません。区としては、引き続き区民の安全を守るために適切に処理をしてまいります。 次に、さらなる規制強化についてですが、過度の規制強化により届け出をしない違法民泊の潜在化が懸念されるため、現時点では国に意見を上げることは考えていません。 次に、住居専用地域に届け出されている民泊における違反の実態とチェック体制についてです。 住居専用地域で平日に営業しているとの苦情は延べ25件ありました。また、区では、事業者が2カ月ごとに提出する定期報告において、住居専用地域の実績を確認しており、平日に実績が入力されているものが6件ありました。これらには重複しているものもあるため、実質21施設について、事業者への確認や現場調査を行い、平日の宿泊が確認できた16施設については是正指導を行いました。残りは平日の宿泊事実が確認できなかったもの等となっています。 また、現在、届け出住宅に対して標識の設置状況の一斉調査を行っており、特に住居専用地域では、標識の設置状況の確認とあわせて、平日に宿泊を行っていないことのチェックも実施することとしています。 定期的な巡回パトロールを実施する考えはありませんが、このような形で違反をなくすための取り組みを継続していきます。 次に、届け出されている民泊の防火対策についてです。 第8回の検討会議では、「防火対象物使用開始届」の未提出者が多いことや、木賃アパートの火災の危険性など、防火対策に関する御意見をいただきました。 これを受け、事業開始後の届け出が出されていない物件等については、消防署と区が合同で立入調査を行う予定で調整を進めています。 消防法令に基づく届け出を受理要件にすることや、建物が耐火構造になっていることを届け出要件にすることは、法令違反となるためできませんが、火災は周辺住民の生命や財産に大きな影響を与える可能性があるため、消防署と連携して防火対策上の課題の整理を行います。 また、法の附則には、3年を超えない範囲で見直しをするとあり、改正がされる可能性もあります。こうした国の動きを捉え、学識経験者等の意見も伺いながら国への意見具申等も行っていきます。 次に、違法民泊の対策強化についてです。 住宅宿泊仲介業者への指導は、国の責務であるため、これまでも国に対して国内外にかかわらず適正な指導をするよう要望してきました。今後も、引き続き機会を捉えて要望してまいります。 次に、警察との連携です。 1月末時点での苦情件数は506件となっていますが、区ではその全てに立入調査を行い、状況によっては複数回の調査を行っています。そのうち、悪質なケース等で警察と同行調査を行った件数は23件となっています。 区と警察の連携を示すことは今後の抑止力にもつながるため、さらに連携を強化していきます。 次に、民泊問題対策の人員の補充と体制についてです。 現在では、法施行前後の混乱はなくなったものの、届け出は増加しており、相談や苦情も依然として多く、違法民泊への対応強化や届け出受理後の住宅宿泊事業者への監視指導等を強化する必要があると考えています。そのため、平成31年度は区職員を1名増員する予定です。 今後も現状を的確に分析し、区職員が注力すべき業務と委託事業者を活用できる業務とを明確にした上で、適正な体制の整備を図っていきます。 次に、民泊問題対応検討会議についてです。 平成28年10月に設置した本検討会議は、新宿区ルールの作成と今後の方向性の確認を行い、当初の目的を達成したため、今年度をもって終了する予定です。 今後は、現場での指導や個別物件への対応をより円滑に進めるため、警察や消防等の関係機関との情報共有を主とする会議体を設置し、学識経験者の意見もいただける体制を整えていきます。
○議長(
佐原たけし) ここで、議事進行の都合により休憩します。
△休憩 午後3時05分
---------------------------------------
△再開 午後3時20分
○議長(
佐原たけし) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。
◆37番(
田中のりひで) 次に、介護保険料・利用料の個別減額について質問します。 都営住宅に住んでいる80代のひとり暮らしの知人は、年金収入が年60万円未満です。家賃が減額されて安いので、100万円に満たない貯蓄を少しずつ取り崩して、どうにかやりくりしています。最近、足腰が不自由になり歩くのもつらくなっているので、介護サービスの利用を勧めていますが、大丈夫と断られます。医療、介護保険料の負担で目いっぱいで、利用料の支払いができないためだと思われます。 今年度の区民意識調査で、生活における心配事に対する回答では、医療や介護にかかる費用が大きな負担になることが74.7%でトップです。昨年は73.6%で2番目でしたが、ことしは割合もふえて1番になっています。この区民の不安に応えることが「暮らしやすさ1番の新宿」にすることだと考え、以下質問します。 第1に、保険料の区独自の個別減額についてです。 2018年度の第7期介護保険料基準額は、年間7万4,400円であり、介護保険制度が始まった2000年度の3万8,484円のほぼ2倍の負担です。年金収入が減り続ける中、低所得者の負担は限界に達しており、ついに第6期から公費投入による低所得者の保険料軽減が初めて法制化されました。 追加議案によると、来年度はさらに階層をふやし軽減額も増額され、これまでの区独自の保険料率引き下げと相まって、最も減額される第1段階については、2019年度は基準額の32.6%、2020年度はさらに25%に下がる予定で、低所得者の保険料軽減について評価するものです。 しかし、こうした減額をしてもなお保険料の支払いが困難な方もいます。新宿区介護保険条例第20条第1項には、災害・死亡や長期入院、失業等を原因とする、いわゆる法定減免の規定があり、第3項には、それ以外に特別の理由により納付困難と認める場合は、規則で定めるところにより減免できるとの規定があります。しかし、区の介護保険に関する説明では、第3項に該当する減免制度が見当たらず、その制度を利用している方も存じ上げません。第3項は、実際に適用されている生きた制度なのかどうか、お聞きします。 23区の中には、申請に基づき個別に減免する制度を実施している区があります。これらの区では、恒常的な低所得世帯の救済策として、住民税が非課税で、住民税課税者に扶養されていない、介護保険料の滞納がない、生活保護を受けていない、ほかに運用資産がないこと等を条件に、世帯人数ごとの収入や預貯金の基準を定めて減額しています。 例えば足立区では、2人世帯で年収200万円以下、預貯金400万円以下であれば、第3段階、第2段階の方を1段階下の保険料に減額するなどの軽減が行われ、昨年度は665人利用し、介護保険会計で約769万円が賄われています。杉並区も類似の制度があり、昨年度331人が利用し、同様に約600万円かかっています。 新宿区でも個別減額について定めている介護保険条例第20条第3項の規定を実施するための規則の改正を行い、既に国でも一般財源の投入で保険料を下げているのですから、一般財源を活用し個別減額制度を実施すべきと考えますが、区長の答弁を求めます。 第2に、利用料の個別減額についてです。 介護保険料は年金から否応なく天引きされ、普通徴収の方は差し押さえ等により支払いが求められますが、サービスを利用する際は本人負担分をやりくりしなくてはなりません。要介護度に基づく限度額まで利用する人もいるでしょうが、支払える限度までしかサービスを利用できない方が多いことを区長は把握していますか。把握しているとすれば、この現実をどのように受けとめておられるのか、お聞かせください。 介護サービスの利用者負担軽減については、新宿区も社会福祉法人等による利用者負担の軽減措置制度はありますが、それ以外の区独自の軽減制度がありません。23区には、新宿区も行っている利用者負担軽減措置の4分の1減額に、さらに区が独自に上乗せして2分の1まで減額する等の対策を講じている区があります。 杉並区は、利用者負担10%を5%に、渋谷区は3%に個別に軽減しています。杉並区の昨年度の軽減対象者は延べ1,359人で、約660万円で賄えたそうです。新宿で実施できない金額ではありません。新宿区でも一般財源を活用し、居宅サービスの利用料を個別に減額する制度をつくるべきです。区長の御所見をお聞かせください。
◎区長(吉住健一) 介護保険料・利用料の個別減額についてのお尋ねです。 初めに、保険料の個別減額についてです。 条例第20条第3項に定める特別の理由により納付困難と認められる場合は、条例施行規則において、介護給付等を受けられない刑事施設等に収監されている方と規定しており、毎年度数名の方が免除になっています。 これまで区では、負担能力に応じたきめ細かい保険料段階を設定し、低所得者層に配慮してきました。また、国は本年10月の消費税率10%の導入に伴い、その財源を活用し、低所得者層の保険料負担の割合を引き下げ、軽減強化を実施します。これを受け、区は引き続き国の標準割合をさらに下回る負担割合の設定を行います。こうしたことから、一定の軽減が図られており、規則を改正して新たに区独自の個別減免制度を実施する考えはありません。 次に、利用料の個別減額についてのお尋ねです。 平成28年度に実施した新宿区高齢者の保健と福祉に関する調査の要支援・要介護認定者調査において、負担が重く、費用が高くならないようにサービスの利用量を調整していると回答した人が3.9%いらっしゃったことは認識しております。 区では、介護保険制度開始当初より一般財源も活用した低所得者に対する利用料、食費及び施設の居住費の4分の1を軽減する事業を実施してまいりました。また、区独自の通所介護等食費助成事業を平成17年度から開始し、平成28年度には総合事業の相当サービスにも拡充しております。さらに、ひと月のサービス利用料が限度額を超えた場合に、所得に応じた高額介護サービス費を支給しています。これらの制度を広く周知し、介護が必要な方が安心してサービスを利用できるよう、今後も取り組んでまいります。 こうしたことから、一般財源を活用したさらなる利用料を個別に減額する制度をつくる考えはありません。
◆37番(
田中のりひで) 次に、保育園・学童クラブ・35人以下学級等について、区長と
教育委員会に質問します。 第1に、保育園の待機児童対策についてです。 ことし4月入所希望の保育園、子ども園、地域型保育事業の第一次募集の結果発表があす2月20日の予定です。ことしは不承諾通知がどの程度になるか、お答えください。また、予定では去年4月に達成するはずだった待機児童ゼロをことし4月には達成できるのか否か見通しをお聞かせください。ことしも達成できないのであれば、いつまでにゼロにするのか、明確にお答えを願います。 認可保育所整備については、今年度7所の予算に対して5所にとどまりました。基本方針説明で、区長は本年4月には325名の定員を拡大しますとだけ述べていますが、455名の定員拡大予定に対して7割程度しか整備できなかったのです。昨年度に続き2年連続で大幅に目標が未達成に終わった要因をどのように分析し、今後の教訓として活かすのか伺います。 よろい保育園が本年4月に閉園となることが年度途中で決まり、60名分の定員を受け入れるためには、もう一カ所整備が必要だったはずですが、当初の目標にもほど遠い結果でした。区長は、この結果をどのように受けとめているのか、お答えください。 2019年度予算では、四谷駅前の再開発に伴う私立園1所30名に加え、5所283名の整備を予定しています。この5所は、賃貸物件を活用して整備するとのことですが、ビルイン方式なのか、土地活用なのか等、詳しく御説明ください。区議会文教子ども家庭委員会の質疑では、ビルイン方式の物件はなかなか出てこないと、担当はたびたび答えています。来年も同じ問答を繰り返したくありませんので、確実に整備可能な方法をお示しください。 また、昨年度から実施したマッチング事業の実績と評価についてもお答えください。11月の文教子ども家庭委員会の質疑では、マッチング事業で土地の物件で協議している案件があるとのことでした。賃貸の土地活用で整備が可能であれば、二、三年かかる計画でもその方向を積極的に探るべきです。土地であれば、園庭の確保もしやすくなります。民有地だけでなく公有地も視野に入れて土地を確保し、私立だけでなく区立も含めて確実に整備すべきと考えますが、区長の見解を伺います。 第2に、学童クラブについてです。 1つ目は、学童クラブの定員オーバー状態解消についてです。 超過密状態にあった中町学童クラブを細工町に移転して、定員を100名に拡大したことや、利用申請書を区のホームページからダウンロードできるようにしたことは、ここ数年停滞していた区の学童クラブ施策がようやく前進したものと評価します。しかし、定員オーバーは何も中町に限ったことではありません。 昨年4月は、定員オーバークラブが25カ所もあり、うち利用登録者が定員の1.5倍を超えたところが8カ所ありました。ことし4月からの利用受け付けは、昨年12月21日で締め切られていますが、定員オーバー何カ所で、そのうち1.5倍以上は何カ所くらい発生するのか、現時点での見通しをお聞かせください。 第4回定例会では、定員拡充に関する我が会派の質問に対して、民間マンションを含めて実施場所を検討するとの答弁があり、期待しましたが、来年度予算では、ひろばプラスを1カ所ふやすだけでした。 また、来年度の利用予測や次世代育成支援に関する調査結果を見て、子ども・子育て支援事業計画に示すとも答弁しましたが、同計画は来年4月改定であり、それまでは対策を講じないのでしょうか。都政新報によれば、千代田区は学童クラブ予算を拡充し、2020年度に私立学童クラブを2カ所新設し、常勤職員の家賃補助を創設する等、積極的な対策を講じて学童の待機児ゼロを堅持するとのことです。新宿区も、せめて定員オーバー問題に着手すべきではありませんか。いつになったらオーバー状態解消の方針を示すのか、明確な期限を示してください。 また、今後、保育園を民有地、公有地などに整備するのであれば、ぜひ学童クラブと一体で整備することを念頭に置いて物件を探すべきと考えますが、いかがですか。 2つ目は、学童クラブの職員配置基準についてです。 安倍政権は、昨年12月、学童保育の運営に関し、現在は全国一律に1カ所2人以上の職員配置を義務づけている基準を、自治体の判断で1人に変更することも可能になるように地方分権改革の対応方針を閣議決定し、今通常国会に児童福祉法改定案を提出する予定です。そうなれば、区市町村の判断で引き下げが可能な参酌基準となり、自治体間の格差が拡大し、子どもの安全と保育の質の低下は避けられません。区長は、政府の職員配置基準の引き下げ方針についてどのような認識を持っているのか伺います。 2015年に厚生労働省は1教室原則2人以上の職員を配置し、うち1人は都道府県の講習を受けた放課後児童支援員とすることを従うべき基準と定めました。全国学童保育連絡協議会は、従うべき基準の堅持を求めています。区も国に対して従うべき基準維持を要望すべきと考えますが、いかがですか。また、万一、国が基準を緩和しても、区はこれまでの基準を引き下げるべきではないと考えますが、区長の見解を求めます。 第3に、35人以下学級の実現と教室の確保についてです。 2011年の法改正により、小学校1年生で35人以下学級が実現し、翌年度に財政措置により小学校2年生まで拡大しましたが、以降、今日まで3年生以上への拡充は見送られてきました。いじめや不登校、発達障害への対応など手厚い対応を必要とする子どもたちがふえ、教員の長時間労働が社会問題になっており、少人数学級は学校関係者が一致して求めています。 国が消極的な姿勢をとるもとでも、独自に少人数学級を拡大する自治体が全国に広がっています。秋田県と山梨県が、小学校から中学校の9学年全てを少人数学級にして以降、新潟県、福井県、滋賀県と拡大し、佐賀県が来年度実施を表明しています。 区内の小学校では、2年生までは1クラス19人だったのが、3年生になって突如37人と約2倍になるところもあり、児童にとっても教員にとっても突然の変化に戸惑い、ストレスになるのではないでしょうか。
教育委員会は、こうしたケースはいたし方がないものと受けとめているのか、それとも早急に全学年で35人学級にすべきだと考えているのか、区
教育委員会としての認識を伺うとともに、国や東京都に対して全学年での早期実施を求めるべきと考えますが、いかがですか。 区内の子どもの数は増加をしており、昨年1月1日現在、6歳が1,930人ですが、5歳以下は2,000人を超え、ゼロ歳児は2,644人です。今は保育園の待機児童対策に直面していますが、この子どもたちが小学校に入学するときに教室が足りるのか危惧します。全学年での少人数学級編制も視野に入れて、区として教室確保の長期的見通しを持つ必要があると考えますが、区はどのようなお考えか、お示しください。 以上、答弁をお願いします。
◎区長(吉住健一) 保育園・学童クラブ・35人以下学級等についてのお尋ねです。 初めに、保育園の待機児童対策についてです。 平成31年4月入園の第一次申し込みに対して、2月20日に発送する不承諾通知数は404通の予定です。これは、昨年度と比較して22通の減となっています。 次に、待機児童ゼロの達成見込みと時期についてです。 平成31年4月入園の一次申込者数は1,962名で、昨年の一次申込者数2,104名を下回りました。入園内定後に辞退される方が一定数いることなどから、現状で待機児童ゼロが達成できるか判断することは困難です。また、区では、国の定義に従って待機児童数を把握しているため、認証保育所や企業主導型事業所内保育所に入所している児童の把握や育児休業中の方に復職の意思があるかなどを確認する必要があることから、待機児童数が判明するのは4月下旬ごろになる見込みです。 次に、目標が未達成に終わった要因と今後の対応、結果をどう受けとめているかについてです。 区では、待機児童ゼロを目指し、昨年5月に開設したほっぺるランド上落合を初め、平成31年4月に5所を開設、認証保育所から認可保育所に移行することなどにより、437名の定員を拡大しました。しかし、賃貸物件を活用した保育所の整備では、2所で物件が見つからず予定数には満たない結果となりました。 この要因は、提案を受けた場所が適地ではなかったことや単年度での整備を条件としていたため、既存の建物を解体して建て直す必要があるなど、整備に時間がかかる提案は採用できなかったことだと考えます。 このため、今までの手順を見直し、現在は事業者決定と整備年度を分けた2カ年にわたる整備にも対応しています。これにより、早い段階で解体工事や建物の整備工事に入ることができるようになるだけでなく、入園を希望する方に早く開園を周知することができるようになります。 今回の結果を受け、今後も新たな課題に柔軟かつ機動的に対応していきます。 次に、保育施設の整備の方策についてです。 平成31年度整備する5所について、現在のところ物件の種類は決まっていません。賃貸物件を活用した保育所の整備では、既存の建物内を改修する方法と、新たに土地所有者が建物を建てて借り受ける方法があります。いずれの方法であっても、保育所を設置できる基準に適合していることが求められるため、確実に整備ができるかは個々の提案内容を精査した上で判断することとなります。 今年度開始したマッチング事業では、19の保育事業者が登録し、5件の物件情報が寄せられ、うち1件は4月に開設する「(仮称)キッズガーデン新宿西落合」です。東京都宅地建物取引業協会新宿区支部に協力を依頼し、物件の少ない西北地域で整備につなげることができたことは、一つの成果だと考えています。現在、さらに1件で協議を進めているところです。 公有地についても、引き続き情報収集を行い、適地であれば活用を検討していきますが、今後も賃貸物件を活用した私立認可保育所の整備を中心に進めていきます。このほかにも、空き保育室型定期利用保育の定員拡大や、待機児童を対象とした居宅訪問型保育事業を開始するなど、さまざまな手法を用いながら
待機児童解消に取り組んでまいります。 次に、学童クラブについてのお尋ねです。 平成31年4月からの定期利用受け付け状況は、昨年12月21日時点で定員オーバーは20カ所、そのうち定員の1.5倍以上は4カ所となっています。 学童クラブの定員は、学童クラブ室の面積により設定していますが、登録者数が定員を大きく上回る学童クラブについては、児童館スペースの活用による専用スペースの拡大や
教育委員会との協議により小学校内に新たなスペースを確保するなどの対応をしているところです。 今後の定員拡充については、各学童クラブの来年度の利用予測や昨年11月に実施した次世代育成支援に関する調査の結果を踏まえ、子ども・子育て支援事業計画に示して対応してまいります。また、保育園と学童クラブの一体的整備については、具体の提案があれば検討してまいります。 次に、学童クラブの職員配置基準についてのお尋ねです。 平成30年12月25日に閣議決定された「平成30年の地方からの提案等に関する対応方針」は、地方からの提案を受けて、地方公共団体への事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直し等を推進するものであると認識しております。 学童クラブの職員配置基準については、複数の地方自治体から提案がなされており、また、地方分権改革有識者会議の議論を踏まえた決定でもありますので、区として国に対し、従うべき基準の維持を要望する考えはありません。 区は、国が基準を定める以前から学童クラブの児童指導業務委託に当たり、職員配置の水準を定めており、当時の水準は現在条例に定めている基準と同様のものです。したがって、区においては現在の基準を引き下げる予定はありません。
◎教育長(酒井敏男)
教育委員会の御質問にお答えします。 初めに、現行制度における進級時の学級人数の増加についての認識と、国や東京都への全学年35人学級早期実現の要望についてのお尋ねです。 全学年35人学級の実現については、これまでも全国市長会や特別区教育長会を通じて、国や東京都に要望していますが、1学級の児童・生徒数や教職員の定数は、法律や東京都により基準が定められており、新宿区のみで対応はできません。 そのため、
教育委員会では、区費講師を初め、特別支援教育推進員などを配置することで、子どもたちの個々の課題に向き合い、質の高い教育を提供するための支援を行っています。 全学年35人学級の実現に向けて、引き続き国や東京都に要望していきます。 次に、全学年での少人数学級編制を視野に入れた教室確保の長期的見通しについてです。 現行制度下の教室数確保については、新宿自治創造研究所が公表した新宿区将来人口推計をもとに、学区域の児童・生徒数を予測し、今後3年間に必要な教室数は確保しています。 また、
教育委員会では、2020年度までに学校施設の個別施設計画策定を予定しており、少人数学級編制を視野に入れた教室確保についても、あわせて検討してまいります。
◆37番(
田中のりひで) 最後に、区民が住み続けられる住宅施策についてです。 第1に、住宅施策の位置づけについてです。 区長は、区政の基本方針説明で、基本政策の第一に「暮らしやすさ1番の新宿」を掲げ、住みなれた地域で暮らし続けられる
地域包括ケアシステム推進や、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境整備と言い、「おわりに」では、「誰もが住みたい、住み続けたいと思える、新宿のまちの実現に向けて、全力で取り組んでまいります。」と決意を述べています。 しかし、住み暮らし続けるために必要不可欠な住宅政策が見当たりません。住み続けるための住宅政策はどこに位置づけられるのでしょうか。区長の御所見を伺います。 第2に、住宅確保要配慮者の入居促進対策についてです。 改正住宅セーフティネット法により、高齢者、低額所得者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない新たなセーフティネット制度が始まりました。しかし、現実には、重篤な病気になった場合や事故、孤独死等が起こった場合を考えて、住宅確保要配慮者を入居させない大家さんも多く、私どもにも多くの相談が寄せられます。 昨年末、老朽アパートを取り壊すので立ち退くように求められた方から、区の生活保護のワーカーに、霞ヶ浦の近くの施設に移るようにと言われたが、知り合いもなく不安で夜も眠れないという相談が同僚議員に寄せられました。 この方は、70代と高齢の上、脳血管系の病気で半身不随となり、車椅子を使用しており、転居先を見つけることが容易ではありませんでした。何とか理解のあるオーナーが見つかって近所に転居し、「知人が引き続き身の回りの世話に来てくれる。これから生きる張り合いが出た」と言っています。住みなれた地域に住み続けることが、その方にとってどれだけ大事なことなのかと実感させる事例です。 お隣の中野区は、不動産所有者の懸念を払拭する制度を1月から導入しました。それが単身高齢者等の住宅確保支援制度である「中野区あんしんすまいパック」です。内容は、区と協定を結んだ民間事業者が入居者の安否を確認し、入居者が死亡した場合の葬儀費用、家財の片づけや原状回復等にかかった費用として、合計100万円までを補償するものです。初回登録料1万6,200円を区が全額負担し、その後の毎月の支払い分1,944円は入居者が負担します。入居者には週2回安否確認の電話がかかり、その結果は指定連絡先にメールで送られる仕組みです。入居者の体調不良などが早目にわかるため、事故への対応や孤独死の回避ができます。 サービス提供事業者の担当にお話を伺ったところ、新聞報道の後、問い合わせが相次ぎ、神奈川県の自治体や江東区でも来年度から取り組むそうです。「中野区あんしんすまいパック」は、仲介した不動産屋さんにもインセンティブがあるとのことで、事業者は不動産屋を訪問して制度の活用を勧めているそうです。 新宿区にも、公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターが実施する「安心居住制度」の見守りサービス等に助成する類似の制度がありましたが、2017年度までで廃止されました。区は、その廃止した要因をどう分析し、廃止後どのように検討してきているのか、お聞かせください。この際、見直しを行い、中野区のような制度を新宿区でも導入すべきと考えますが、区長の御所見を伺います。 第3に、居住支援協議会についてです。 2017年施行の改正住宅セーフティネット法は、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録制度、登録住宅の改修や入居者への経済的支援、住宅確保要配慮者に対する居住支援の3つの柱から成り立っています。地方公共団体、不動産関係団体、居住支援団体等が連携して住宅確保要配慮者の居住を支援する居住支援協議会について、日本共産党区議団は、新宿区でも早期に設置するよう何度も求めてきました。 新宿区は、東京都の居住支援協議会に昨年6月からオブザーバー参加していますが、区の協議会立ち上げには至っていません。2017年の第4回定例会で、区長は「家賃低廉化の補助の費用負担のあり方とともに、居住支援協議会や供給促進計画を含めた住宅確保要配慮者の円滑な入居に向けた制度のあり方を検討してまいります。」と答弁しましたが、あれから2年たちます。この間の検討状況についてお聞かせください。 一方、登録住宅の確保は現在、東京都の所管する事業で遅々として進んでいないのが現状です。やはり新宿区が居住支援協議会を立ち上げ、登録住宅をふやしていくべきと考えますが、区長の御所見を伺います。 第4に、区立住宅についてです。 1点目は、区営住宅についてです。 区民が安心して住み続けたいと考えた場合、第一に選択肢となるのが区営住宅であることは、その申し込み状況からも見てとれます。2016年5月は31戸の募集に対して申し込みが1,126人で39.5倍、11月は41.8倍、2017年5月は43.6倍、11月は43.8倍、2018年5月は55.4倍、11月は66.6倍と募集のたびに倍率が上がっています。 区内では老朽アパートの建てかえが進み、生活保護受給者、低所得者が入居できる物件を探すのに非常に苦労します。新宿に住み続けたい区民にとって、都営・区営住宅は頼みの綱です。区営住宅の増設を求めるとともに、都に対して都営住宅の移管を求めるべきと考えますが、御所見を伺います。 2点目は、特定住宅についてです。 特定住宅は、設置後20年を経過した区民住宅の用途を廃止し、引き続き15年の期間に限り中堅所得者層の子育て世帯を支援することを目的に設置した区立住宅制度です。これが余りにも空き室が多く、私どもは税金の無駄遣いだと指摘をしてきました。 区は、入居促進策として、区の負担で内見用照明器具の設置、入居時のエアコン、ウォシュレット設置を行っていますが、成約に至ったのは1件と聞いています。また、家賃を引き下げる旨を区ホームページでお知らせしたところ、内見がふえたとのことですが、現在の空き室数と引き下げで予想される入居予想世帯数をお示しください。引き下げで入居がふえるのであれば、これまでの家賃が高過ぎたということだと思います。現行入居者の家賃も引き下げて、同じ家賃設定にすべきと考えますが、いかがですか。 特定住宅のオーナーへの一括借り上げ賃借料の支払いで、2014年度からでも空き室に対して3億円以上が支払われています。昨年1月発表された住宅マスタープランでは、低所得者層向けの区営住宅の供給のあり方とあわせて検討するとしましたが、無駄遣いの引き延ばしはきっぱりやめて、住居確保要配慮者向けの区営住宅として有効活用する決断を一刻も早くすべきです。特に所有型特定住宅については、区が決断すればすぐに対応可能です。区長の御所見を伺います。 以上、御答弁をお願いします。
◎区長(吉住健一) 区民が住み続けられる住宅施策についてのお尋ねです。 初めに、住宅施策の位置づけについてです。 住まいは、区民が生活を営む上での基盤であることから、区民が安心して住み続けられる住環境の整備が極めて重要だと認識しています。 このため、平成31年度予算案では、基本政策の第一の「暮らしやすさ1番の新宿」として、タワーマンションにおける地域コミュニティの活性化支援などに取り組むとともに、高齢者や子育て世代など住宅確保に配慮を要する人々が、それぞれのニーズに応じて住宅を確保できるよう住宅相談や民間賃貸住宅家賃助成、区営住宅の管理運営に取り組むなど、さまざまな施策を行っていきます。 また、基本政策の第二の「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」として、良好な生活環境を実現するため多くの区民が暮らすマンションの適正な維持管理及び再生への支援やマンション防災対策の充実などの施策を行っていきます。 こうした取り組みを通じ、誰もが住みたい、住み続けたいと思える新宿のまちの実現に向けて、全力で取り組んでまいります。 次に、住宅確保要配慮者の入居促進対策についてのお尋ねです。 区は、高齢者や障害者などに対する入居促進策として、住みかえ相談とともに住みかえ居住継続支援や家賃等債務保証料助成を実施しています。 御指摘の緊急通報装置等利用料助成制度は、65歳以上で慢性疾患のある高齢者や重度身体障害者や難病のある方を対象とする類似の制度があったことや、利用料の2分の1を区が助成しても、なお自己負担が2万円以上と高額であったことから実績が上がらなかったため、平成29年度で終了しました。 制度終了にあわせて、平成30年度からは賃貸住宅の大家の不安を解消することで、高齢者や障害者などの入居を促進していくため、全ての保証会社で区の助成を利用できるよう改めました。 中野区の制度については、利用者の費用負担やその効果などについて研究してまいります。 次に、居住支援協議会についてのお尋ねです。 居住支援協議会は、供給促進計画に沿って高齢者などの住宅確保要配慮者が登録住宅などの民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう支援する団体です。 御指摘のとおり、区は昨年6月から都の居住支援協議会にオブザーバーとして参加し、情報収集を行うとともに、区の居住支援協議会が取り組むことや供給促進計画に盛り込む内容などについて検討をしています。 都の登録住宅の実績については、供給促進計画を策定した平成30年3月以降の登録住宅数が供給計画の目標3万戸に対して約300戸で、その利用率は約50%でした。 こうした状況を踏まえて、区としては、都の居住支援協議会の取り組み状況を注視しながら、居住支援協議会の設置を含めた住宅確保要配慮者の円滑な入居に向けた制度のあり方を引き続き検討してまいります。 次に、区立住宅についてのお尋ねです。 区営住宅については、世帯数に対する割合や総戸数が特別区の中でも上位にあります。計画的な修繕やニーズに合った改善等により住宅の長寿命化を図ることで、今あるストックを有効活用してまいります。そのため、区営住宅を増設することや都営住宅の移管を求めることは考えていません。 次に、特定住宅についてです。 特定住宅については、平成30年12月から、これまでの使用資格要件の緩和などの入居促進策に加えて、定期使用許可に係る使用料を1割引き下げています。使用料の引き下げ以降、7件の入居決定があり、平成30年4月から通算すると20件の入居が決定しています。また、入居予想世帯数については、区外からの入居も認めていることから把握することが困難ですが、現在も15件程度が申請されており、今後の入居の増加を予想しています。一方で、新たな空き住戸が生じたことから、平成31年2月15日現在の空き住戸数は63戸です。 御指摘の現行入居者の使用料について、定期使用許可の入居者は新規入居者と同様に1割引き下げておりますが、普通使用許可の入居者は使用料の引き下げを考えていません。 また、特定住宅については、所有型と借り上げ型とも中堅所得層の子育て世帯の支援を目的としていることから、引き続き空き住戸の解消に向けて入居を促進してまいります。そのため、御指摘の住宅確保要配慮者向けの区営住宅として活用することは考えていません。
◆37番(
田中のりひで) 区長並びに
教育委員会の皆さんに御答弁いただき、ありがとうございました。 あさってから開催される予算特別委員会に、私はちょっと残念ながら出席できないことになっておりますので、同僚4議員が出席させていただいて、また事細かに御質問させていただきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
佐原たけし) 次に、6番三雲崇正議員。 〔6番 三雲崇正議員登壇、拍手〕
◆6番(三雲崇正) 立憲民主党・
無所属クラブの三雲崇正です。 平成31年第1回定例会に当たり、会派を代表して質問いたします。誠意ある御答弁をお願いいたします。 本定例会に当たり、区長から平成31年度の区政の基本方針説明がなされました。ここでは、区政の基本方針について、特に「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」と「賑わい都市・新宿の創造」に関連して幾つか御質問いたします。 まず、中高層住宅における防災対策についてお聞きします。 区政の基本方針説明において、区長は、中高層マンションの自主防災組織の結成促進のための助成制度を創設すると述べられました。 新宿区がマンションの自主防災組織の結成を促進する背景には、区民の8割がマンション等の集合住宅に居住する一方で、そこでの自主的な防災対策が進んでいないとの問題意識があります。 区は今年度、マンション防災対策ガイドラインを策定し、また、「マンション防災はじめの一歩」によって、自主防災組織結成のための手順を含む防災対策を周知し、さらにマンション防災アドバイザー派遣といった取り組みも行ってきましたが、今回、新たに防災用資機材の助成に踏み切ったものです。 他方で、区内のマンションが分譲、賃貸合わせて約4,400棟あるのに対し、来年度予算案では10の組織に対して200万円を助成することとされており、対象数が少ないとの声も予想されます。 助成の対象となる組織数を決定するに当たり、どのようなことを検討したのか。例えば助成対象が10組織であっても、それ以上の数の自主防災組織が結成されると見込んでいるのか等。また、再来年度以降における助成制度の継続についてどのようにお考えか、お聞かせください。 また、一昨年度実施されたマンション実態調査では、分譲マンション居住者の高齢化が進行していることが課題として挙げられています。さらに、日ごろのマンション管理運営で困っていることとして、高齢化と並んで役員等のなり手不足や管理組合活動に無関心な居住者の増加といった課題も浮き彫りになっています。 日常の管理不全すら課題となりつつある分譲マンションにおいて、災害に備えた自主防災組織の結成及び運営を促進することは非常にハードルが高いと思われますが、今後どのように進めていくお考えか、お聞かせください。 居住者の独居、高齢化が特に進む中高層住宅として、新宿区内には高齢化率が50%を超える都営戸山ハイツアパートがあります。通常の中高層住宅にもまして自主防災組織の運営が困難であると思われる一方で、通常の中高層マンションにもまして発災時に支援を要する区民が多く居住しています。都営戸山ハイツアパートにおけるマンション防災の課題について、区長の御所見をお聞かせください。 都営戸山ハイツアパートの住民構成は、東京都の入居基準等の住宅政策によって決定されており、独居、高齢化という課題についても東京都の住宅政策により人為的に形成されてきた側面があります。住民自身の自助、共助による防災対策が難しくなる中、今後は地元の自治体である新宿区が、より積極的に支援していくべき場面が出てくることが予想されますが、都営住宅の設置者である東京都も、新宿区とともに住民の支援を行うべきと考えます。 この点、例えば戸山ハイツアパートの建物の一部を防災対策を行う都または区の職員の住宅や防災拠点として提供したり、防災機材や支援に要する費用の助成を行うなどの支援につき、東京都との間で協議を行うことも考えられますが、区長の御所見をお聞かせください。 続いて、地域の特性を活かしたまちづくりについて質問いたします。 区長の基本方針説明では、信濃町駅周辺、高田馬場駅周辺、また飯田橋駅周辺及び神楽坂地区について言及されています。 これらのうち、まず高田馬場駅周辺のまちづくりについて伺います。 高田馬場駅は、毎日93万人以上の乗降客数がある駅ですが、戸山口改札周辺の狭さ、駅舎の老朽化やホーム幅員の狭さ、駅前広場周辺にバス、タクシーや乗りかえ客等の歩行者が集中することによる混雑といった問題を抱えており、さらに駅周辺のビルの更新期が近づいている中、エリア全体で一体としての再開発、まちづくりが必要であるとされてきました。 このような中で、平成28年3月に高田馬場駅周辺地区まちづくり協議会が設立され、また同年9月には東口の地権者が主体となって高田馬場駅東口再開発協議会が設立されました。 このまちづくり協議会は、昨年12月に高田馬場駅周辺地区まちづくり構想案を区長に提出し、東口再開発協議会は今年度中の再開発構想素案の策定を目指して活動を行っています。 まちづくり協議会によるまちづくり構想案では、駅舎、駅前広場のあり方について、駅舎改造による十分なホーム幅員の確保、戸山口再整備による明るくゆとりあるサブエントランスの創出、地下広場の整備による乗りかえ動線の多様化、新改札口と東西デッキの設置、十分な広さの駅前広場の確保、歩車分離による安全な「人のための広場」の創出といった方向性が示されており、これらが実現した暁には、高田馬場駅周辺が大きくさま変わりするものと思われます。 他方で、こうした方向性を実現するためには、東口再開発協議会の再開発構想案とのすり合わせ、また独自の都市計画を定めている西武鉄道を含む鉄道事業者や東京都との連携が不可欠です。 そこで伺います。新宿区は、これまで景観・まちづくり課がまちづくり協議会に対し、また、防災都市づくり課が東口再開発協議会に対し、それぞれ各種の支援や連携、調整を行ってきており、相互の情報連携も行われてきましたが、まちづくり協議会によるまちづくり構想案と東口再開発協議会による再開発構想案との整合性については、どのように確保していくお考えでしょうか。 次に、鉄道事業者や東京都との連携については、既にまちづくり協議会や東口再開発協議会での検討内容について、情報共有を行っているものと思いますが、鉄道事業者や東京都からはどのような反応を得ているのでしょうか。 また、まちづくり協議会によるまちづくり構想案、東口再開発協議会による検討内容のいずれについても、直接の対象とする区域外の施設や建物等のあり方に関するものが含まれており、それらの利害関係者を巻き込んだ、より広い範囲での都市計画の検討が必要となってきますが、それはどのようなタイミング、手順で進められるのでしょうか。 最後に、バスの乗降スペースを含む交通広場については、まちづくり協議会によるまちづくり構想案、東口再開発協議会による検討内容のいずれにおいても、現在の戸塚第二小学校の1階部分に配置する考え方が複数の案のうちの一つとして示されており、まちづくり構想案においては、戸塚第二小学校の将来的な活用の方向性について検討する必要があるとされています。 新宿区では、区立小中学校の個別施設計画について、2020年度までの策定を目指して取り組んでいることから、このときまでに方向性が示されるものと思いますが、どのような点を考慮して交通広場と戸塚第二小学校の関係を整理するおつもりか、お聞かせください。 次に、飯田橋と神楽坂のまちづくりについて伺います。 飯田橋駅は、一日に41万6,000人が利用する区内で3番目に大きな駅です。現在、JR飯田橋駅はホームの移設工事が行われており、2020オリンピック・パラリンピック大会までには、市ヶ谷側へ200メートル移動し完成する予定です。また、ほかに地下鉄4線が乗り入れており、千代田区、文京区へ訪れる人や観光地神楽坂に訪れる人の玄関口になります。 新宿区では、平成29年4月に飯田橋東口周辺地区まちづくり協議会を設置し、これまでに7回の協議会を開催する中で、テーマ別に3つの分科会を設け、地域住民と将来目指すまちづくりの議論を進めてきました。平成30年11月には、まちづくり構想案の中間まとめを行いました。 飯田橋東口周辺地区まちづくり協議会は、対象の地区が広く、住環境や用途がそれぞれの地域で異なるため、住民の目指すまちの将来像も多様です。大きな構想がまとまった後は、それぞれの地域に応じた議論が必要になると思いますが、今後の進め方についてどのようにお考えか、お聞きします。 飯田橋東口には、災害時には緊急輸送道路となる外堀通りと目白通りが交差する五差路があり、まちづくりを考えていく上で重要な課題です。また、この五差路は文京区と千代田区との境にあり、新宿区だけでは対応できず、これまで開発が進められなかった経緯があります。 この課題に対応するため、平成22年に新宿区、文京区、千代田区と東京都で飯田橋駅周辺基盤整備連絡調整会議を立ち上げ協議をしてきましたが、最後の開催が平成27年の1月であり、話し合いがとまってしまっている状況です。今後、飯田橋駅東口周辺のまちづくりを進めていく上で、近隣区や東京都との協議は必要不可欠なこととなると思いますが、飯田橋駅周辺基盤整備連絡調整会議と飯田橋東口周辺地区まちづくりとの位置づけの認識と、調整会議の今後の進め方についてお聞きします。 神楽坂は、昔ながらのまち並みと風情があり、また、これまでの地域の方々の努力によって、今や多くの外国人や来街者が訪れる観光地となりました。来年のオリンピック・パラリンピック東京大会が近づくにつれ、より多くの来街者が見込まれます。 まちづくりとしては、平成16年に神楽坂まちづくり興隆会が発足し、主に神楽坂通りと早稲田通り周辺のまちづくりに取り組んできました。しかし、都市計画道路である放射第25号線(大久保通り)の工事が認可され、現在は売却済みの土地が更地化され、そのまま残されている状態です。 このままでは、まちの景観を損なうだけでなく、今後の神楽坂地区のまちづくりに大きな影響があります。町の方からも、外苑東通りのように工事が進まず、このままになってしまうのではないかと不安の声が多く上がっていますが、東京都との連携及び町の方への情報提供を丁寧に行うことが、住民の不安を和らげ、今後まちづくりを進めていく上で大切なことだと思います。区長の御見解をお聞かせください。 最後にお聞きします。 これまでの間、飯田橋駅周辺や神楽坂のまちづくりだけでなく、新宿区内の多くのまちづくりの会は、新宿区とともに長い年月をかけて議論を進めてまいりました。地域特性や住環境など、それぞれの地域におけるまちづくりが基本であり、最も重要なことです。しかし、一方で、隣り合った町でもある近隣自治体との動線、観光地としての人の動線や東京都との連携などについては、もっと広い範囲で考えていかなければ、問題や課題の解決に取り組めないケースもあるかと思います。 区の持つ大きなビジョンを、それぞれの新宿区内に多くあるまちづくりの会とどのように連携し、これからの新宿区のまちづくりを進めていくおつもりなのか、お聞きします。
◎区長(吉住健一) 三雲議員の御質問にお答えします。 区政の基本方針についてのお尋ねです。 初めに、マンション自主防災組織の助成対象組織数をどのように検討したかについてです。 災害時に効果的な防災活動を実施するためには、母体となる管理組合や自治会が日ごろから組織的な活動をしていることが重要であることから、まず長年住み続けられると想定される分譲マンションを対象に、自主防災組織の結成を働きかけることとしました。 また、平成28年度に行ったマンション実態調査において、自主的な防災活動を行っているマンションが少数であったこと、さらに現在、217組織ある防災区民組織のうち、マンションの管理組合等を母体とする防災区民組織は18組織であることなどの結成の実績を踏まえるとともに、結成当初のマンション自主防災組織に寄り添い、きめ細かく進めるため、当面、年間10組織に対して助成を行うこととしました。 次に、再来年度以降における助成制度の継続についてです。 区において、集合住宅における防災対策の強化を図ることは重要であることから、申請や相談の状況などを踏まえ、効果的かつ利用しやすい制度となるよう見直しを行いながら継続してまいります。 次に、自主防災組織の結成及び運営をどのように進めていくかについてのお尋ねです。 災害時に助け合うためには日ごろからの交流が大切であり、また一方で、多くの人が関心を持つ防災をきっかけとすることで、マンション住民が交流する場を提供できるものと考えます。 マンション防災勉強会やマンション管理組合交流会、地域防災協議会などさまざまな機会を通じて、マンションにおける共助の体制の構築や地域との顔の見える関係づくりを進めてまいります。さらに、防災の活動における組織化の重要性などについて、効果的な周知を実施し、自主防災組織の結成促進に取り組み、地域防災力の向上に努めてまいります。 次に、都営戸山ハイツアパートにおける防災の課題と住民の支援について、東京都と協議を行うことについてのお尋ねです。 都営戸山ハイツアパートは建設から約50年を迎え、居住者も高齢化していることから、災害時における組織的な防災活動のマンパワー不足が課題となっています。区は、これまでも各号棟での防災勉強会や自主防災訓練の支援などを行ってまいりましたが、今後はこれらの取り組みに加え、都との連携を強化して、ハード、ソフト両面から戸山ハイツアパートの防災対策の支援について検討することが重要であると考えています。 現在、都営住宅を所管する都住宅経営部においては、都営住宅敷地内に防災倉庫の設置を認める制度や建てかえ時には住民や地元自治体の要望等も踏まえ、防災機能などを付置して建設計画を行っていることを確認しています。 御指摘の都営住宅への都、区職員の入居については、現行の制度では困難ですが、防災活動拠点の整備や防災倉庫の設置などについて、今後も都との協議を一層深めるとともに、戸山ハイツ各地区の防災担当者との意見交換なども実施し、戸山ハイツアパートの防災対策の充実を図ってまいります。 次に、地域の特性を活かしたまちづくりについてのお尋ねです。 初めに、高田馬場駅周辺におけるまちづくり構想案と再開発構想素案の整合性の確保についてです。 駅の東側区域では、地元の方々を主体とした高田馬場駅周辺地区まちづくり協議会が、昨年12月にまちづくり構想案を取りまとめました。 一方で、駅前広場周辺の権利者を主体とした高田馬場駅東口再開発協議会では、まちづくり構想案の方向性に沿いながら、現在、市街地再開発事業を前提に、区域や基本的な施設計画などを示す再開発構想素案の検討を進めています。 区は、まちづくり構想案と再開発構想素案相互の整合性を確保するため、再開発協議会に技術的支援を行っているUR都市機構と連携しながら、コーディネーターとしての役割を果たしてまいります。 次に、まちづくりの検討内容に対する鉄道事業者や東京都からの反応についてのお尋ねです。 駅の東口区域におけるまちづくり協議会や再開発協議会の検討内容については、区から鉄道事業者や東京都に対して、これまで定期的に情報を提供してきました。まちづくりの検討で挙げられているホームの安全確保や混雑緩和など、高田馬場駅の課題に対応していくためには、鉄道事業者との連携が不可欠です。こうした課題の共有や情報交換を行う中で、鉄道事業者や地権者としての立場から意見をいただいています。また、東京都からは、広域的なまちづくりの観点を踏まえ、具体的な取り組みを進めるためのアドバイスや意見をいただいています。 今後も、引き続き鉄道事業者や東京都との情報共有に努め、意見交換を行いながら、まちの将来像の実現に向けて連携を図ってまいります。 次に、より広い範囲での都市計画の検討の進め方及び交通広場と戸塚第二小学校との関係についてのお尋ねです。 高田馬場駅周辺では、これまで地元を中心としたまちづくり協議会や再開発協議会と連携し、駅の東側区域を対象に検討してきました。その中で、区域外である駅舎や交通広場に対する課題及び戸塚第二小学校の活用に関する御意見を多数いただいています。 地元主体のまちづくりなどの都市計画の検討を進める際には、区域内の方々に理解していただくため十分な説明が必要となります。これは検討する区域を拡大する場合も同様であり、区域内の総意を得た上で、都市計画の手続を進めることが重要です。 交通広場や戸塚第二小学校との関係については、まちの安全性やにぎわいなどを考慮しながら整理してまいります。 次に、飯田橋と神楽坂のまちづくりについてのお尋ねです。 初めに、飯田橋駅東口周辺地区におけるまちづくり構想を取りまとめた後の進め方についてです。 まちづくり協議会では、まちの現況を把握するためのまち歩きを行うとともに、「駅と周辺分科会」、「幹線道路沿道分科会」、「住環境分科会」といったテーマごとに分かれて意見交換を行いました。 「駅と周辺分科会」では、飯田橋駅東口の周辺を対象に再開発等を活用した駅東口周辺の再整備や歩行者、交通動線などについての話し合いが行われました。今後は、こうしたまちの課題の解消に向けて、再開発等の民間開発を適切に誘導していきます。 「幹線道路沿道分科会」では、放射第25号線や大久保通り等の沿道を対象に、統一感のあるまち並み形成や歩行者が安全に道路を横断できる環境づくりなどについて話し合いが行われました。今後は、放射第25号線沿道において、まち並み形成のためのルールづくりに取り組んでいきます。 また、「住環境分科会」では、協議会の区域全体を対象に、生活道路や暮らしやすさについて話し合いが行われました。今後は、歴史を活かした安全・安心のまちづくりを目標とした地元主体の活動を支援してまいります。 こうした取り組みにより、ことし3月策定予定のまちづくり構想に掲げるまちの将来像の実現を図ってまいります。 次に、飯田橋駅東口の五差路に係る飯田橋駅周辺基盤整備連絡調整会議についてのお尋ねです。 この調整会議は、東京都及び新宿区、千代田区、文京区のまちづくりを所管する部署で構成され、飯田橋駅東口地域における各区のまちづくりの取り組みや、道路、駅前広場、鉄道施設などの都市基盤施設を整備するため、情報交換や課題の整理などを行っています。 一方、飯田橋駅東口周辺地区まちづくり協議会では、まちづくり構想案に五差路が抱えるバリアフリーや老朽化などの課題を上げ、課題解決に向けて民間開発を適切に誘導していくと位置づけています。 飯田橋駅東口周辺地域においては、現在、各区において、まちづくりの動きがあることから、国土交通省や東京都、近隣3区のまちづくりを所管する部署が定期的に集まり、再開発の状況やまちづくりの課題の情報共有を行っています。 今後は、飯田橋駅東口の周辺における民間開発の進展に応じて、調整会議などを活用し、民間開発と連携しながら都市基盤施設の整備を検討してまいります。 次に、放射第25号線、大久保通りの工事についてのお尋ねです。 神楽坂周辺における放射第25号線の整備は、東京都が平成25年11月事業に着手し、現在、整備に向けた用地取得を進めている段階で、用地取得率は約14%です。 整備が進められている大久保通りの沿道には、売却済みの道路用地が更地化されたままの場所も見受けられ、景観を損なうことやごみの放置などが心配されています。 これまでも、区では道路整備にかかわるさまざまな課題について東京都と協議してきました。今後は、地元住民の意思を聞きながら、景観などにも配慮した道路用地の管理を行うよう改めて東京都に申し入れるとともに、工事に関する情報提供や予定等についても丁寧な説明を行うよう要請してまいります。 次に、まちづくりの会とどのように連携し、これからのまちづくりを進めていくのかについてのお尋ねです。 区は、平成29年12月に「目指す都市の骨格」や「地域別まちづくり方針」などを示した「都市マスタープラン」と重点的な取り組みや各まちづくり主体の役割を示す「まちづくり戦略」とを合わせた「まちづくり長期計画」を策定しました。この「まちづくり長期計画」を、御指摘のまちづくりビジョンとして地域住民主体の「まちづくりの会」と連携し、まちの将来像の実現や課題の解決に向けて、まちづくり構想や地区計画などの策定を進めています。 今後も、引き続き地域住民との協働を図りながら、地域特性を活かしたきめ細かなまちづくりに取り組んでまいります。
◆6番(三雲崇正) 続いて、平成31年度予算について質問いたします。 まず、予算編成方針では、区の財政構造について、経常収支比率が平成29年度決算で80.9%と依然として高水準であり、弾力性があるとは言えないとされています。経常収支比率は、一般的に70%から80%の範囲が適正であるとされていますが、最近では、高度経済成長期を過ぎて高齢化が進んでいる我が国においては、投資的経費の財政需要が大きく縮小し、その反面で社会保障給付が増大しており、その結果、経常収支比率が上昇するのは、むしろ当然であるといった見解も見られます。 新宿区においては、その財政構造の特性を踏まえ、どの程度の経常収支比率が適正であるとの御認識でしょうか。区長の御所見をお聞きします。 次に、平成31年度は第一次実行計画のローリングに伴い、計画事業の予算額が約52億円増加し、その財源としては特別区税の増収のほか、財政調整基金の繰り入れを予定しています。財政調整基金を含む基金総額については、今年度まで積み増しを続け、今年度末には514億円に達する見込みですが、来年度末には20億円が減少して494億円となる見込みです。 予算編成方針においては、「我が国の経済情勢を見ると、通商問題の動向が世界経済に与える影響や金融資本市場の変動の影響等、引き続き今後の動向に留意する必要がある」とされ、また、「消費税増税による財政構造の変化、ふるさと納税による特別区民税の減収、法人住民税の一部国税化の拡大などが区財政に大きな影響を与える懸念」があるとされていますが、このように先行きが不透明な中、経済動向を見きわめる前に財政調整基金の取り崩しに踏み切ってでも計画事業の拡充に踏み切る背景にはどのような考えがあるのか、お尋ねします。また、区債残高と基金残高のバランスについて、どこに最適解があるとの認識でしょうか。区長の御所見をお聞きします。 最後に、都区財政調整協議についてお尋ねします。 都区財政調整協議においては、特別交付金の割合の引き下げ、減収補填対策、都市計画交付金の割合や児童相談所関連経費について、従来から都区間の見解の対立が続いています。 このうち、児童相談所関連経費については、平成31年度の都区財政調整協議においても、区側から関連経費を基準財政需要額に算定して都区間の配分割合を変更すること、準備経費を特別交付金により全額算定することを提案したものの、具体的な進展は見られていないようです。 この間の都区間の協議の状況について、区長の御所見をお聞かせください。 区においては、都区間の協議が進行しない中でも、児童相談所設置に向けた準備が進行し、毎年関連経費が増大しています。今年度は児童相談所一時保護所の設計等委託に約2,264万円を投じ、来年度は児童相談所一時保護所の整備に約2億9,060万円を投じる予定です。このうち1億7,700万円は特別区債によって賄われます。 こうした準備経費は、過年度分を含めて全額特別交付金に算定すべきものですが、区が都の役割を引き受けることについて、都の側は「一部の区がその自主的な意向に基づき進めている」との見解を変えなければ、開設後は運営経費も交付金によって賄われない可能性があります。 このような都区財政調整制度が都と区の権限と責任に対応して運用されない事態が発生する可能性について、区長の御所見をお聞かせください。また、今後の協議において、より一層区の立場を明確に主張すべきと考えますが、どのような対応をお考えか、お聞かせください。
◎区長(吉住健一) 平成31年度予算についてのお尋ねです。 初めに、経常収支比率についてです。 経常収支比率は、人件費、扶助費、公債費といった義務的経費や物件費など毎年度決まって支出される経常的経費に、区税や特別区交付金など毎年度入ってくる経常的な収入のうち、その使途が限定されずに使える経常一般財源がどの程度充当されているかによって財政構造の弾力性を測定しようとする指標です。 経常収支比率が低ければ、その自治体の財政構造には弾力性があり、それだけ政策的な課題に柔軟に対応できることになります。一方、経常収支比率が高くなると、財政面での機動的な対応に支障が生じることとなります。 現在、直近の経常収支比率は、平成29年度決算における80.9%であり、この数値は一般的な適正水準と言われている70から80%を超えており、区の財政構造が硬直化していることを示しておりますが、この適正範囲内を目指してまいります。 将来にわたり持続可能な弾力性のある行財政運営を確保していくためには、職員一人ひとりがこれまで以上にコスト意識を高め、徹底した事業見直しと経費の削減、より一層の財源確保など歳入歳出両面からの取り組みが必要と考えております。 次に、財政調整基金の取り崩しと計画事業の拡充についてのお尋ねです。 区は、めざすまちの姿「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、総合計画に示す5つの基本政策が、将来大きな成果をもたらすよう、社会経済情勢や行政需要の変化などに的確に対応するため、実行計画のローリングを行い、その際に不足する財源として、財政調整基金を初めとした基金を有効に活用しています。 次に、区債残高と基金残高のバランスについてです。 自治体の財政の健全化を図る指標のうち、区債残高と基金残高のバランスを評価するものとして、将来負担比率があります。本区は、これまでも将来負担額よりも区債償還等に充用できる財源が大きいため健全であるとの数値となっており、今後もこの状態を維持していくことが大切であると認識しています。 次に、都区財政調整協議における児童相談所関連経費についてです。 特別区は、平成31年度都区財政調整協議で、児童相談所に係る事務が政令指定により特別区の事務となることから、当然に基準財政需要額に算定した上で配分割合の変更をすべきこと、また準備経費については児童相談所の設置時期によって、各区の算定額に不公平が生じないようにするため、当面の間、特別交付金で全額算定すべきことを繰り返し主張しました。 協議の中で、役割分担の変更については、特別区が政令指定を受け、児童福祉法に基づき児童相談所を開設した場合、当該区の区域においては、関連事務が法的に都から区へ権限が移ることについては都区の認識が一致したものの、都側は「特別区がひとしくその行うべき事務」であるかどうかについて慎重に検討する必要がある、配分割合変更の有無について議論できる段階ではない、また特別交付金については、現行ルールにのっとり取り扱うとして、都区の見解は一致しませんでした。 児童相談所の設置については、既に都と設置希望区との間で設置に向けた調整が進んでおり、引き続き特別区は一丸となって都区財政調整制度における基準財政需要額への算定及び都区間の配分割合の変更、準備経費の取り扱いについて都との協議に臨んでまいります。
◆6番(三雲崇正) 続いて、小学生の保育・教育について質問いたします。 まず、小学生の放課後の居場所について伺います。 新宿区においては、人口の都心回帰現象を背景として就学前人口が増加し続けており、この傾向は平成31年度も変わらない見通しとされています。同時に、新宿区においては、若い家庭は共働き世帯が多く、認可保育所等の申込者数が平成21年度と比較して約2倍に増加したため、区でも定員の確保に努め、待機児童数も改善を見せてきたところです。 他方、保育所等に通う子どもたちが小学校に進学した後も、放課後の保育の必要性がなくなることはなく、共働き世帯にとって、いわゆる「小1の壁」問題が存在します。このため、小学校に通う児童の放課後の居場所、特に学童クラブの充実は、保育所の充実と同様に注力すべき課題です。 平成30年8月1日現在のデータで見ると、新宿区では区立学童クラブの在籍数が平成28年の1,480名から平成30年の1,661名へ約180名増加した一方で、定員は平成28年の1,345名から平成30年の1,365名へと20名分しか拡充されておらず、需要と供給のギャップが拡大しています。 区立学童クラブ27所のうち在籍数が定員を超えるものは22所、このうち平日の出席見込み数が定員を超えるものが12所あります。特に、中町学童クラブ、早稲田南学童クラブ、落合第四小学校内学童クラブ、上落合学童クラブ、西新宿学童クラブ等は、在籍数が定員を大きく上回り、また月曜から土曜までの出席見込み数も定員を超えているため、早急に定員を拡大するなどの対応が必要です。 まず、このような在籍数が定員を大きく上回る学童クラブの運営状況について、区としてどのように認識されているのかお聞かせください。 次に、来年度は次世代育成支援計画(第三期)の最終年度であり、第四期(5年間)の計画を策定する年度に当たります。地域や施設ごとの保育需要を見積もり、需要を満たすための方策を示す必要がありますが、昨年11月に実施した次世代育成支援に関する調査の結果を踏まえ、現時点での御所見をお聞かせください。 特に、区長は、昨年の区政の基本方針説明において、「定員を大きく上回る学童クラブについては、児童館スペースの活用等による専用スペースの拡大を進めていきます。」と述べられました。中町学童クラブについては、細工町学童クラブとして再整備することにより、定員100名への拡大が実現しましたが、ほかの先ほど述べた定員オーバーの学童クラブについては、どのような対応を検討しているのか、お聞かせください。 また、区では近年、「ひろばプラス」によって学童クラブの需要を吸収する方針を示しています。学童クラブ等の「学童保育」と「ひろばプラス」の大きな相違は、保育士等の専門資格を有する職員の配置にありますが、政府は来年度から、職員の配置や資格の基準を事実上廃止する方向であるとされています。 国の基準が廃止された場合、「ひろばプラス」も制度的には「学童保育」に位置づけることが可能になりますが、新宿区においては第四期の次世代育成支援計画の中で、「ひろばプラス」をどのように位置づけるおつもりか、お聞かせください。 最後に、学校休業期間中の学童クラブでの昼食提供について質問します。 学童クラブを利用する保護者の方々とお話をすると、休業期間中の昼食提供に対して強い要望があることがわかります。現在、学童クラブでは、休業期間中の昼食提供を行っておらず、原則として保護者がお弁当を持たせることで昼食を賄っている状況です。場所によっては、保護者会で仕出し弁当の手配を行っている学童クラブもありますが、学童クラブ自体はそのやりとりに一切関与しない運用が行われているようです。 毎朝お弁当をつくって持たせることは、保護者の愛情のあらわれであるかもしれませんが、その負担を軽減する選択肢を用意することも検討すべきと思われます。また、保護者会による仕出し弁当の手配についても、担当する保護者の注文や集金手続の負担が大きく、さらにそもそも保護者会が存在しない学童クラブもあります。 現在、23区内では、お隣の千代田区及び中野区、また板橋区、葛飾区の学童クラブにおいて、学校休業期間中の昼食提供を行っています。衛生管理やアレルギー対応といった問題があることはわかりますが、実際に実施している区があることから解決可能な問題であるとも思われます。 新宿区において、学校休業期間中の昼食提供を検討することができないか、区の所見をお聞かせください。 次に、小学校における英語教科化の準備状況及び課題についてお聞きします。 2020年度から施行される次期教育指導要領では、小学校5、6年生で英語が教科化されることとされており、来年度はその準備のための最終年度です。 区では、教員側の資質・能力向上のための方策として、英語教育推進リーダーに対する効果的な指導方法の研修や、さらに英語教育推進リーダーによる英語教育担当者に対する研修を進めてきました。 まず、こうした取り組みがどのような成果を上げ、また課題を明らかにしたのか、また、その成果や課題を来年度以降、全小学校の教員にどのように展開していくのかについて、現状と展望をお聞かせください。 また、新宿区では、平成28年度から小学生を対象とした英語キャンプを実施しています。これは2020年の東京オリンピック・パラリンピックを契機として、異文化理解や英語でのコミュニケーション能力の基礎を養うことを目的としていますが、そこで得られた知見は小学校における英語の指導方法に活かすことも可能だと思われます。 英語キャンプを通じて、英語の指導方法に関する有意義な知見を得られたのかどうか、また、それを小学校における英語教育に今後どのように活用する方針か、お聞かせください。 また、英語キャンプという事業は、小学生にとっては生きた英語に集中的に触れる機会であり、英語習得の上で非常に有意義なものと思われます。2020年のオリンピック・パラリンピック終了後の事業の方針についてお聞かせください。 次に、外国籍の児童・生徒の支援についてお聞きします。 新宿区の大きな特徴は、多様な国籍の外国人が居住し、多文化共生のまちづくりを推進していることです。外国籍住民の多くは、新宿区に住所を持ち、あるいは仕事をしているだけではなく、日本人住民と同様に区内で子育てを行っています。多くの児童・生徒が新宿区立の小中学校で学んでいます。 区では、外国籍の児童・生徒の支援策として、日本語初期指導、学習指導員の派遣、進学支援、保護者向け通知文書等の翻訳事例作成等の事業を行っていますが、こうしたサポート事業の効果について、どのように把握されているのか、お聞かせください。 私が小学生の親として見てきたところ、外国籍の児童に対する支援は充実してきている一方で、学校と外国籍保護者との間の連絡やPTA活動等における外国籍保護者と日本人保護者とのコミュニケーションには、まだ課題が残るように思われます。 特に日常頻繁に発出される連絡文書等は、その都度それぞれの保護者の国の言語に翻訳することは困難であり、また全ての文書を漢字にルビを振って作成することも手間がかかります。結果として、漢字仮名まじりの文章の読解になれていない保護者と教員の間のコミュニケーションが学校の負担となったり、外国籍保護者のPTA活動等への参加の障害となっているのではないでしょうか。この点に関する
教育委員会の御所見を伺います。 最近では、グーグル翻訳を初めとするインターネット翻訳サービスの精度が向上し、連絡文書等を受け取った保護者がこうしたサービスを利用することができれば、記載内容を理解することがより容易になると思われます。しかし、連絡文書等は紙に印刷されて配布され、こうした翻訳サービスの利用に適していません。 学校やPTA活動等における連絡文書等を、電子的に配布、もしくは送信し、または閲覧可能にすることができれば、コミュニケーションの問題の解決に資すると思われますが、こうした電子的連絡手段の整備について、
教育委員会の御所見を伺います。
◎区長(吉住健一) 小学生の保育・教育についてのお尋ねです。 初めに、小学生の放課後の居場所についてです。 学童クラブの定員は、学童クラブ室の面積により設定していますが、登録者数が定員を大きく上回る学童クラブについては、児童館スペースの活用による専用スペースの拡大や
教育委員会との協議により、小学校内に新たなスペースを確保するなどの対応をしているところです。現在、新年度の登録見込みを踏まえ、それぞれの学童クラブの状況により検討しています。 今後、定員拡充については、各学童クラブの来年度の利用予測や昨年11月に実施した次世代育成支援に関する調査の結果を踏まえ、子ども・子育て支援事業計画に示して対応してまいります。 また、学童クラブ機能つき放課後子どもひろば「ひろばプラス」は、待機児童がいる学童クラブの近隣小学校で実施し、総合的に小学生の放課後の居場所づくりを推進しております。国が学童クラブの職員配置基準を見直した場合も、区では、学童クラブの職員配置をひろばプラスと同様にする予定はありません。 子どもの成長段階や各御家庭の状況に合わせて利用していただいていると捉えていますので、次期次世代育成支援計画においても、放課後の居場所の一つとして位置づけていきたいと考えております。 学校休業期間中の学童クラブでの昼食については、衛生管理やアレルギー対応といった課題があることから、検討しておりません。
◎教育長(酒井敏男)
教育委員会への御質問にお答えします。 初めに、小学校の英語教科化へ向けた研修の成果と課題、今後の展開と展望についてのお尋ねです。
教育委員会では、各小学校の英語教育担当教員を対象に、東京都が実施した外国語(英語)科教員等の海外派遣研修を受講した英語教育推進リーダーが中心となって、主体的に楽しみながら学習できるアクティビティーやデジタル教材の音声や動画などを授業に効果的に利用できる研修を実施しています。 また、こうした研修とあわせて各小学校から2名を東京都の体験型英語学習施設での研修に参加させるほか、各小学校に英語教育アドバイザーを派遣し、それぞれの教員の授業を観察して必要な助言を行っています。研修を受講した教員からは、「児童の関心の引き出し方やさまざまな場面に応じた指導方法について、理論的な説明を受け納得し、子どもの気持ちになって実践的な研修を受けることができ、みずからの授業に活かすことができる」などの声が得られることから、一定の成果を上げたと認識しています。 一方、研修を受講した後、その成果を各小学校に持ち帰り、他の教員に適切に伝えることに不安を感じている教員もおり、このことが課題であると認識しています。 こうした今年度の取り組みを踏まえ、平成31年度には研修の未受講者や東京都の体験型英語学習施設に参加できなかった教員を対象に、英語教育推進リーダーによる研修や東京都の体験型英語学習施設で行う研修に参加させ、教員の抱える不安感や負担感を払拭していきたいと考えています。 より多くの教員にこれらの研修に参加させるとともに、英語教育アドバイザーの派遣、ALTによる校内研修の充実やデジタル教材を効果的に活用することで、子どもたちが積極的にコミュニケーションを図り、子どもたちにとって楽しいと思える授業が各小学校で実施できるよう努めてまいります。 次に、英語キャンプについてのお尋ねです。 英語キャンプから得られた指導方法に関する知見についてですが、参加者アンケートやヒアリング調査からは、「自信がついた」、「英語力が上がった」、「この経験を東京オリンピック・パラリンピック大会に活かしていきたい」、「さまざまな活動に積極的になった」など、児童・生徒の短期間の成長や気持ちの変化がうかがわれます。 このことから、ネイティブ講師による、日本人から見るとオーバーアクションとも言える積極的なコミュニケーションが、非日常的な場を演出し、児童・生徒に成功体験を提供できているものと考えています。 また、現在の参加者は、英語教室に通った経験があるなど英語に高い関心を持つ児童であり、このような児童の外国語科の授業での活躍の場の工夫が、満足度が高く、楽しい授業につながるのではないかと考えています。 こうした知見の今後の活用については、研修や学習発表会などを通して学校全体で共有し、児童の英語学習に対する意欲向上と教員の指導力の向上に努め、英語教育の推進につなげていきたいと考えています。 次に、オリンピック・パラリンピック終了後の事業の方針についてですが、生きた英語に集中的に触れ、異文化理解やコミュニケーション力を高める機会の提供を、引き続き継続していく必要があると考えています。そのため、これまでの事業の検証とあわせて、英語の教科化による学習内容の増加も考慮しながら、第一次実行計画以降も持続可能な施策として展開できるよう、検討を進めてまいります。 次に、外国籍の児童・生徒の支援に関する効果についてのお尋ねです。 日本語初期指導では、外国等から編入や転入した幼稚園児、小中学生を対象に50時間から70時間の母国語による日本語の初期指導を行い、日常生活に必要な日本語の定着や学校、園生活への適応を支援しています。 指導の実施後は、遊びや食事、登下校などのさまざまな生活場面で日本語によるコミュニケーションに広がりが見られ、対象児童・生徒などの在校、園等からは、円滑な学校、園生活を送ることができているなどの声をいただいているところです。 また、日本語学習支援では、原則として日本語初期指導を終えた小中学生を対象に、地域ボランティアによる日本語での教科指導や日本語学習を行っており、保護者からは子どもの学習習慣の定着が見られるなどの声があり、確かな学力の向上を図ることができていると考えています。 さらに、外国籍の中学生に対する進学支援では、外国から転・編入し、日常会話はできても学年相当の学習言語が不足し、学習活動の参加に支障を来している中学3年生に対し、母国語の学習習熟度に応じた5教科の学習指導と進学支援を行っています。 本事業は、平成28年度より開始しましたが、平成28年度、平成29年度ともに本人の意思や学力、日本語の
習得状況などを踏まえて、生徒が希望した学校への進学率は100%となっています。 保護者向け通知文書等の翻訳については、各幼稚園、小学校、中学校が作成する「学校・園だより」等の家庭への連絡文書を、英語、スペイン語、タイ語、韓国語、中国語、タガログ語等へ翻訳しています。本事業の文書翻訳件数は年々上昇し、平成26年度には320件だった実績が、平成29年度には1,526件と4年間で5倍近く伸びており、
教育委員会といたしましても、これらの支援事業が児童・生徒等及び保護者にとって大変重要な役割を果たしていると認識しています。 次に、日本語の読解に不慣れな外国籍保護者とのコミュニケーションの負担とPTA活動等への参加の障害についてのお尋ねです。 保護者とのコミュニケーションの負担やPTA活動への参加の障害をなくすために、各幼稚園、小学校、中学校では、
教育委員会の支援のもと、さきに述べた多言語の「学校・園だより」などの発行を行っています。 また、PTA活動等への参加の障害をなくすため、漢字へのルビ振りや同国人の会員の協力による翻訳、メールによる翻訳サービスの利用を促すなど、各PTAではそれぞれに参加促進の工夫を行っているところです。 学校における連絡文書等の電子的な配布については、各学校のホームページ内にIDとパスワードを設定したページを作成し、セキュリティに留意しつつ、紙で配布した連絡文書などを電子データでも保護者に公開することができるようになっていますが、必ずしも活用していない状況です。今後、各学校において、より効果的にこの機能を活用できるよう、ICT支援員等による支援に積極的に取り組んでまいります。 また、現在、小学校PTA連合会の取り組みとして、文書だけでなくチラシなどもメールで配信しており、各PTAでもメール以外にSNSを活用したアプリケーションなどを利用した電子的な連絡を実践しています。
教育委員会では、こうした電子的な連絡手段を利用する際の個人情報保護やセキュリティなどの問題に関して、専門家を派遣し支援を行っているところであり、今後もPTAからの要望に応じて電子的な連絡手段を利用した情報発信や伝達が進むよう協力してまいります。
◆6番(三雲崇正) 最後の質問は、区民の区政参加・自治についてお尋ねします。 本年度は、自治基本条例の4年ごとの検証が行われる年度であり、今月2日及び3日の2日間をかけて区民検証会議が開催されました。基本理念において、「区民が主役の自治の実現」をうたう条例において、区民参加の検証がなされることは大変重要なことです。 まず、この区民検証会議において、どのような議論がなされたのか、また、検証結果としてどのような結論が得られたのかについてお伺いします。 この自治基本条例においては、
地方自治法上の自治体住民の参政権に加え、第7章の住民投票や第8章の地域自治という制度を設け、区民の区政参加及び自治を促進する方針を明らかにしています。 このうち住民投票については、第17条第1項が「区は、区民の生活及び区政に重大な影響を有する事項について直接住民の意思を問うための投票制度を設ける。」と規定しています。この条項では、「設けるものとする」といった立法者の意図や方針を明らかにしたにすぎない文言や、「設けることができる」といった後の立法者に裁量を与える文言を用いずに、端的に「設ける」という文言を用いていることから、文理上、別途の立法措置を講ずることなく、この条項自体によって新宿区の住民投票制度は既に創設されていると言わざるを得ません。 その一方で、同条第2項に規定される「投票権を有する者」及び第18条第1項第1号に規定される「住民投票を実施するよう請求」できる者について、別途条例が制定されていないため、既に存在している住民投票制度が実施できない状態にあります。 このことから、自治基本条例第17条は、法制執務の観点から見たとき、欠陥を抱えた条文であると言わざるを得ません。 まず、第17条第1項の「設ける」という文言により、新宿区の住民投票条例制度は既に創設されているのではないでしょうか。区の見解を伺います。 第17条第1項が「設ける」との文言で住民投票制度を創設した以上、その実施に必要な事項を定める条例については、これを制定しないという選択を行うことはできず、必要な立法手当てを行わなければなりません。 この点、区は、必要な立法手当ての内容について、条例の施行から約8年が経過しようという現在に至っても、課題の整理ができていないとの立場をとり続けています。このことは第25条が「区長は、4年を超えない期間ごとに、この条例及び関連する諸制度について、区民及び議会とともに検証を行い、この条例の趣旨を踏まえて、必要な措置を講ずるものとする。」と規定していることに照らすと問題があります。同条では、「区長」が主語とされており、このことから区長部局がイニシアチブをとって条例の実施状況について検証を行い、必要な措置を講ずる義務を負っているからです。 同条の規定に照らし、区長は住民投票制度の実施に当たっての課題に関する整理状況を明らかにし、区民及び議会の議論に供し、あるいは区民及び議会とともに課題の検討を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。区長の御所見を伺います。 次に、地域自治組織について伺います。 第21条第3項の地域自治組織については、区民の間には地区協議会がそれに該当するとの理解が根強くあるようですが、これまでの議会質疑等を通じ、地区協議会は地域自治組織として設置されたものではないということが明らかになっています。同条項は、あくまでも「地域自治組織を置くことができる」と規定するのみであり、設置しない選択肢も許容していることから、それ自体に問題はありません。 他方、既存の町会・自治会や地区協議会が存在する中で、これらとは異なる地域自治組織を設置する意義や既存の組織を地域自治組織として改めて位置づける意義については、区民の間でも意見の分かれるところだと思われます。 この点についても、第25条に基づく検証として、区民及び議会とともに議論すべきと考えますが、いかがでしょうか。区長の御所見を伺います。 なお、第25条が属する第11章は「条例の見直し等」とされており、また第25条の小見出しも「条例の見直し等」とされています。検証の結果として、条例の規定が新宿区の実態にそぐわない場合、特に条例で「設置する」と規定され、創設された住民投票制度が実現困難である場合には、さきに述べたような欠陥を放置することなく、条例を改正して住民投票制度をどう取り扱うのかについても議論すべきとも思われます。この点、区長の御所見を伺います。
◎区長(吉住健一) 区民の区政参加・自治についてのお尋ねです。 初めに、新宿区自治基本条例に関する区民検証会議についてです。 自治基本条例の検証については、条例施行後4年目となる平成26年度に、学識経験者と団体推薦や公募区民から成る検証会議を設置し、区政運営の制度や仕組みが条例の趣旨に則して運用されているかどうかの検証を行いました。 今回は、区政情報を知ることや区政参加などの「区民の権利」及び地域活動への参加などの「区民の責務」について検証することとし、区民討議会形式で広く御意見をいただきました。また、住民投票及び地域自治組織についての御意見もいただいたところです。 検証会議では、「区政運営に関する情報を知る権利」について、区政や暮らしに関してより広く発信することや、迅速な情報発信、インターネットの活用促進による情報提供が進む中で、SNS等を利用しない人への情報格差をなくすことが重要などの御意見がありました。 一方、自分たちから積極的に区政情報を知ろうとすることが大切であるとの御意見もありました。「区政に参加する権利」としては、参加を促進するための周知や工夫が重要であることなどの御意見がありました。 また、区民の責務について、まずは自分たちの意識を高めていくこと、自分にできる身近な地域活動や交流に参加していくことの重要性など、さまざまな意見をいただきました。 今回の検証では、自治基本条例のことを初めて聞くという参加者が大多数である中、会議終了後のアンケートでは、8割以上の方から条例に対する関心や理解が「深まった」、あるいは「どちらかといえば深まった」と回答をいただきました。 今後、いただいた御意見、御提案を庁内で共有し、自治基本条例の趣旨に則した効果的な区政情報の提供や区民の区政参加の促進を初め、各施策、事業に反映してまいります。 次に、住民投票についてです。 自治基本条例では、「区は、住民の生活及び区政に重大な影響を有する事項について直接住民の意思を問うための投票制度を設ける。」と規定しています。また、住民投票の実施に当たっては、実施に関して必要な事項を、別に条例で定めると規定しています。 しかしながら、住民投票の実施については、投票の対象とすべき事項、選挙で選ばれた長や議会の権限との関係、投票結果の拘束力のあり方など、地方自治制度との関係において検討すべき多くの論点があるほか、外国人の住民投票への参加についても議論があります。 今回の検証会議においては、「住民投票ができる権利があるなら使いたい」、「意見を表明する場は欲しい」、「ポイントを絞って民意が問える」、「住民投票が行われることで初めて関心を持つことが大事」などの意見がありました。 一方、「住民投票を実施する重大な事項があるのか」、「結果の責任は誰が持つのか」、「民意を問う仕組みはある」、「区長や区議会の権限が優先すべき」、「拘束力がないのであればアンケートでもよい」、「住民投票にお金をかけるなら別のことに使ってほしい」などの問題点が挙げられました。 また、実施する際の課題として、「拘束力を持たせるべき」、「結果の扱いは次回の選挙の判断材料にすればよい」、「投票者は日本国民に限るべき」、「外国人の参加がなぜ問題となるのか」など、多岐にわたる多くの御意見がありました。 このため、引き続きこれらの課題の整理を行うとともに、区民や議会の意見を十分に聞きながら、慎重に検討していくことが必要であると考えています。 次に、地域自治組織についてです。 地域の区分や地域自治組織に必要な事項を定めるに当たっては、地域の区分の規模や既存のさまざまな団体が活動している中で、どのような組織が適切なのか等について整理が必要です。 今回の検証会議では、既存の町会・自治会の活用についての御意見が多く、「町会・自治会活動の周知が必要」、「誰もが町会・自治会に参加できる開かれた環境づくり」、「若い方や転入された方の加入促進による組織と活動の活性化が必要」などの御意見があり、これを踏まえた検討が必要です。 住民投票及び地域自治組織については、自治基本条例の基本理念に基づき、区民、議会、区の三者が議論の土台となる共通認識を築いて、引き続き慎重に検討を進めることが必要であると考えます。
◆6番(三雲崇正) 区長及び
教育委員会より御答弁いただきまして、ありがとうございました。 最後の住民投票条例については、制度はあるけれども実施ができないという状況について、区の側が課題をもう既にいろいろ整理をされてきていて、また、区民の方からさまざまな御意見をいただいているということがよくわかりました。そういった状況については、広く共有をして、議会も含めてしっかりと議論ができればというふうに考えております。 今回の代表質問で聞くことができなかったさまざま区の事業であるとか、また予算については、同僚議員のほうが参加する予算特別委員会のほうでしっかりと議論していただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
佐原たけし) 本日の代表質問は終了しました。
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○議長(
佐原たけし) 以上で本日の日程は終わりました。 次の会議は2月20日午前10時に開きます。ここに御出席の皆様には改めて通知しませんので、御了承願います。 本日はこれで散会します。
△散会 午後5時11分 議長
佐原たけし 議員 あざみ民栄 議員 阿部早苗...