平成30年 6月 定例会(第2回) 平成30年第2回定例会会議録(第1日)第5号平成30年6月12日(火曜日)出席議員(37名) 1番 豊島あつし 2番
木もとひろゆき 3番 三沢ひで子 4番 井下田栄一 5番 小野裕次郎 6番 三雲崇正 7番 佐藤佳一 8番 川村のりあき 9番 北島としあき 10番 野もとあきとし 11番 池田だいすけ 12番 桑原羊平 13番 平間しのぶ 15番 渡辺清人 16番 鈴木ひろみ 17番 久保広介 18番 志田雄一郎 19番 あざみ民栄 20番 阿部早苗 21番 中村しんいち 22番 有馬としろう 23番 下村治生 24番 おぐら利彦 25番 佐原たけし 26番 ひやま真一 27番 吉住はるお 28番 えのき秀隆 29番 のづケン 30番 ふじ川たかし 31番 近藤なつ子 32番 沢田あゆみ 33番 赤羽つや子 34番 宮坂俊文 35番 伊藤陽平 36番 かわの達男 37番 田中のりひで 38番
雨宮武彦---------------------------------------欠席議員(なし
)---------------------------------------説明のため出席した者の職氏名 区長 吉住健一 副区長 寺田好孝 副区長 鈴木昭利 総合政策部長 平井光雄 総務部長 針谷弘志 地域振興部長 加賀美秋彦 文化観光産業 村上道明 福祉部長 中澤良行 部長 子ども家庭 橋本 隆 健康部長 髙橋郁美 部長 みどり土木 田中孝光 環境清掃部長 野田 勉 部長 都市計画部長 新井建也 会計管理者 小沢健吾 企画政策課長 大柳雄志 財政課長 遠山竜多 教育委員会 総務課長 高木信之 酒井敏男 教育長 教育委員会 選挙管理 山田秀之 委員会 木城正雄 事務局次長 事務局長 常勤監査委員 濵田幸二 監査事務局長
菅野秀昭---------------------------------------職務のため出席した
議会事務局職員 局長 小池勇士 次長 下杉正樹 議事係長 濵野智子 議事主査 佐藤公彦 議会事務局 議事主査 黒木明子 榎本直子 主査 議会事務局 仙崎雄介 書記 岡田栄子 主査 書記
笠原鉄平--------------------------------------- 速記士 橋口仁子---------------------------------------6月12日 議事日程 日程第1 代表質問 日程第2 議員の派遣について 日程第3 第51号議案 新宿区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例 日程第4 第60号議案 新宿区
保健衛生事務手数料条例の一部を改正する条例 日程第5 第61号議案 新宿区
旅館業法施行条例の一部を改正する
条例---------------------------------------
△開会・開議 午前10時00分
○議長(佐原たけし) ただいまから、平成30年第2回新宿区議会定例会を開会します。 本日の会議を開きます。
会議録署名議員は、 7番 佐藤佳一議員 28番 えのき秀隆議員 を指名します。
---------------------------------------
○議長(佐原たけし) 本日の会議時間は、議事進行の都合により、あらかじめ延長します。
---------------------------------------
○議長(佐原たけし) 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。
◎
議会事務局次長(下杉正樹) 区長から、 1、平成30年第2回新宿区議会定例会の招集について 2、第50号議案など19件の議案の送付について 3、平成30年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について 4、
地方自治法施行令第146条第2項の規定による平成29年度新宿区
一般会計繰越明許費繰越計算書について 5、専決処分の報告について
教育委員会教育長から、 1、平成30年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について 監査委員から、 1、平成30年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について 2、平成29年度新宿区
歳入歳出例月出納検査の結果について(2月分・3月分・出納整理期間4月分) 3、平成30年度新宿区
歳入歳出例月出納検査の結果について(4月分)
--------------------------------------- 30新総総総第490号 平成30年6月1日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区長 吉住健一 平成30年第2回新宿区議会定例会の招集について このことについて、本日裏面写しのとおり告示したので通知します。 (裏面)(写) 新宿区告示第420号 平成30年第2回新宿区議会定例会を6月12日に招集する。 平成30年6月1日 新宿区長
吉住健一--------------------------------------- 30新総総総第493号 平成30年6月4日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区長 吉住健一 議案の送付について 平成30年第2回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。 記 1 第50号議案 平成30年度新宿区
一般会計補正予算(第3号) 2 第51号議案 新宿区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例 3 第52号議案 新宿区特別区税条例等の一部を改正する条例 4 第53号議案
アメリカ合衆国軍隊の構成員等の所有する軽自動車等に対する
軽自動車税徴収の特例に関する条例の一部を改正する条例 5 第54号議案 新宿区
特別出張所設置条例の一部を改正する条例 6 第55号議案 新宿区
新宿歴史博物館条例の一部を改正する条例 7 第56号議案 新宿区
介護保険条例等の一部を改正する条例 8 第57号議案 新宿区
指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 9 第58号議案 新宿区
家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 10 第59号議案 新宿区
放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 11 第60号議案 新宿区
保健衛生事務手数料条例の一部を改正する条例 12 第61号議案 新宿区
旅館業法施行条例の一部を改正する条例 13 第62号議案 新宿区
保健センター条例の一部を改正する条例 14 第63号議案 新宿区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例 15 第64号議案 新宿区議会議員及び新宿区長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例 16 第65号議案
新宿区立図書館条例の一部を改正する条例 17 第66号議案
新宿区立新宿スポーツセンター空調設備改修その他工事請負契約 18 第67号議案
災害用備蓄物資の買入れについて 19 第68号議案 訴訟上の和解について
--------------------------------------- 30新総総総第39号 平成30年4月2日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区長 吉住健一 平成30年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について(通知) このことについて、平成30年4月1日付け人事異動により、下記のとおり変更しましたので通知いたします。 〔巻末諸報告の
部参照〕--------------------------------------- 30新総総総第559号 平成30年6月5日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区長 吉住健一 平成29年度新宿区
一般会計繰越明許費繰越計算書について(報告) このことについて、
地方自治法施行令第146条第2項の規定に基づき、別紙「平成29年度新宿区
一般会計繰越明許費繰越計算書」を提出します。 〔別紙は
省略〕--------------------------------------- 30新総総総第234号 平成30年4月19日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区長 吉住健一 専決処分の報告について このことについて、地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条第2項の規定に基づき、別紙のとおり報告します。 〔別紙は
省略〕--------------------------------------- 30新教教管第152号 平成30年4月2日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区
教育委員会教育長 酒井敏男 平成30年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について(通知) 平成30年4月1日付けの人事異動に伴い、地方自治法第121条に基づく議会への出席者を下記のとおりとしたので通知します。 〔巻末諸報告の
部参照〕--------------------------------------- 30新監査第2号 平成30年4月2日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区代表監査委員 岩田一喜 平成30年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について(通知) このことについて、平成30年4月1日付け人事異動により下記のとおり変更がありましたので、通知します。 〔巻末諸報告の
部参照〕--------------------------------------- 29新監査第568号 平成30年3月22日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区監査委員 岩田一喜 同 濵田幸二 同 白井裕子 同 有馬としろう 平成29年度新宿区
歳入歳出例月出納検査の結果について(2月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。 〔巻末諸報告の
部参照〕--------------------------------------- 30新監査第94号 平成30年4月20日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区監査委員 岩田一喜 同 濵田幸二 同 白井裕子 同 有馬としろう 平成29年度新宿区
歳入歳出例月出納検査の結果について(3月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。 〔巻末諸報告の
部参照〕--------------------------------------- 30新監査第126号 平成30年5月25日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区監査委員 岩田一喜 同 濵田幸二 同 白井裕子 同 有馬としろう 平成29年度新宿区
歳入歳出例月出納検査の結果について(出納整理期間4月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。 〔巻末諸報告の
部参照〕--------------------------------------- 30新監査第127号 平成30年5月25日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区監査委員 岩田一喜 同 濵田幸二 同 白井裕子 同 有馬としろう 平成30年度新宿区
歳入歳出例月出納検査の結果について(4月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。 〔巻末諸報告の
部参照〕---------------------------------------
○議長(佐原たけし) 会期についてお諮りします。 本定例会の会期は、本日から6月21日までの10日間にしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐原たけし) 異議なしと認めます。 会期は、本日から10日間と決定しました。
---------------------------------------
○議長(佐原たけし) これから本日の日程に入ります。 日程第1、代表質問を行います。 質問の通告を受けましたので、順に質問を許します。 最初に、20番阿部早苗議員。 〔20番
阿部早苗議員登壇、拍手〕
◆20番(阿部早苗) 日本共産党区議団の阿部早苗です。会派を代表して区長と教育委員会に質問をいたします。 最初に、区長の政治姿勢について質問します。 歴史的な米朝首脳会談が、きょう、この時間から行われていると思います。朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和体制の構築に向け、会談が成功することを心から祈念します。 6月4日、財務省は、森友学園の文書改ざん問題の調査の結果、安倍首相の「私や妻が関係したということになれば、総理も国会議員もやめる」という国会答弁後に、佐川前国税庁長官が改ざんの方向性を決定づけたことを認定し、関係者20人の処分を発表しました。国会の国政調査権に対する侵害であり、民主主義への重大な挑戦です。公文書改ざんは、公務員にあるまじき犯罪行為だと考えますが、行政の長としての区長の見解を伺います。
大阪地検特捜部は、不当にも佐川氏を不起訴にしましたが、政治的責任は免れず、昭恵氏や佐川氏ら関係者を国会に証人として喚問し、真相を明らかにすべきです。 一方の加計学園疑惑では、安倍首相と
加計孝太郎理事長が2015年2月に面談したことを示す愛媛県文書が示され、2017年まで知らなかったという首相の答弁がうそだった疑いが濃くなりました。安倍首相と加計側の否定に対して、愛媛県の中村知事は「県の職員をうそつき呼ばわりすることは知事として耐えられない」と憤りました。世論調査では7割以上の人が「首相の説明は信用できない」と答えています。私は、職員に全幅の信頼を置く中村知事の発言は立派であり、地方自治体に対する誹謗は許しがたいと考えます。吉住区長はどのようにお考えですか。 改ざん、隠蔽、捏造、セクハラと悪行の限りを尽くしても政権に居座り、何の責任もとらないどころか、働き方改革法案やカジノ法案など国民意見に耳も貸さずに数の力で暴走する安倍政治をストップさせるため、日本共産党は、ほかの野党や市民の皆さんと協力して戦う決意です。 以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 阿部議員の御質問にお答えします。 区長の政治姿勢についてのお尋ねです。 初めに、公文書改ざんについてです。 森友学園に関する公文書の改ざんについては、決裁を経た公文書が改ざんされており、それを国会に提出したことは極めて不適切な対応であったと言わざるを得ません。 次に、地方自治体に対する誹謗についてのお尋ねです。 国の説明と地方自治体の説明に食い違いがあることについて、首相は国民に対する説明責任を果たすとともに、国会において真相を明らかにしていくものと考えます。私は、これまでも職員とともにさまざまな区政の課題に誠実に取り組んできました。今後も区民の皆様が心豊かに暮らし続けることができるよう、区政運営に取り組んでまいります。
◆20番(阿部早苗) 次に、「民泊新法」と改正旅館業法の施行について質問します。 住宅の空き家や空き部屋を宿泊場所として貸す
住宅宿泊事業法と、新宿区独自のルールを定めた住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例--以下、民泊条例といいます--が6月15日に施行されます。 第1に、改正旅館業法と区の同法施行条例の改正についてです。 改正旅館業法と、今定例会に提案されている新宿区
旅館業法施行条例の一部を改正する条例も、6月15日に同時施行されます。改正法では、無許可の違法業者に対し、区が立ち入り検査ができることや、罰金の上限が3万円から100万円に引き上げられるなど規制が強化される一方、最低客室数の基準を撤廃し、これまでホテルは10室、旅館は5室以上とされていたのが、驚いたことに1室でも旅館・ホテルとして営業できるように大幅に規制緩和されました。 区は、この法改正に伴って同法施行条例を改正し、玄関帳場、いわゆるフロントの必置義務をなくし、宿泊者の確認を行うモニターをチェックする営業従事者をどこかに常駐させ、おおむね10分以内に営業従事者が駆けつける体制を確保すればビデオカメラで
フロント機能代替を可能とする条例改正案を提案しています。旅館業は住居専用地域では営業できませんが、それ以外の地域では区の許可を得れば365日営業できるため、事業者にとっては民泊の年180日よりもメリットがあります。相次ぐ規制緩和が住民生活の安寧を脅かすことは明らかだと考えますが、この旅館業法改正が区民にどのような影響を及ぼすと想定しているのか、また、新宿区を訪れる旅行者、宿泊者の安全を守れると考えているのか、区長の認識、評価を伺います。 この間、新宿区
民泊問題対応検討会議--以下、検討会議と申し上げます--で議論を重ね、昨年12月、民泊条例を制定しました。その直前の12月8日に政府は旅館業法を改正し、ことし1月31日には同法施行令を改正しました。民泊だけでも大変なところに旅館業法にも対応することとなり、職員の皆さんはさぞ御苦労されたことと思います。 6月1日に行われた第7回検討会議で委員の方から「せっかく民泊の条例をつくっても、すり抜けてしまう心配がある」との意見が出され、三浦副会長からは「改正旅館業法は、
住宅宿泊事業法との関係でハードルを下げたが、国でも余り議論されなかったので自治体から再検討を要望すべき余地がある」との発言もありました。まずは規制緩和ありきで地域住民の住環境を守る姿勢が全く見られません。改正旅館業法の問題点について、地方自治体の立場から、今後とも積極的に意見を上げることが必要です。区民の安全で平穏な生活を守る立場から国に再検討を求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
旅館業法施行条例の一部を改正する条例の中身についても質問します。 申請時の添付資料として
マンション管理規約等を添付すること、公衆の見やすい場所にその名称を表示しておくこと、構造設備などは、宿泊者が利用する廊下、階段、昇降機、その他の通路は専用のものとするなど、区独自の規制を改正条例に盛り込んだことは評価できます。 しかし、宿泊者の安全と生活環境を守るために
フロント代替機能の設置場所については改善が必要です。常駐で従事する者がいれば、沖縄のような遠隔地でも設置が認められるとしています。そのため、宿泊場所まで10分以内で駆けつける営業従事者とモニターを監視する営業従事者は別の場所にいてもいいことになります。自然災害などの予期せぬ事態で電源が喪失することを含め、両者が確実に連携できるか不安です。宿泊場所以外に代替設備を置くとしても、両方の従事者の連携が確実になされることを保証するためには新宿区内の同一場所で営業すべきと考えますが、いかがですか。 第2に、民泊の届け出状況と今後の見通しについてです。
住宅宿泊事業法と民泊条例に関する受け付けが3月15日から開始され、これまで事業者等から区への相談は1,062件ありましたが、5月31日現在60件の届け出しかなく、さらに付番されたのはわずか3件で、標識の交付はゼロ件と検討会議で報告されました。区は、2,000件の届け出を想定して今年度予算に計上しています。なぜ届け出件数がこのように少ないのか。検討会議では改正旅館業法との関係で様子見をしているのではとの指摘もありましたが、原因についてどのように分析しているのか、伺います。 また、6月15日まであと3日ですが、15日までに何件の届け出、付番、交付を見込んでいるのか、今後の見通しも含めてお答えください。 第3に、今後の対策と体制強化についてです。 3月4日に放映されたテレビ朝日の「サンデーLIVE!!」では、違法民泊業者がインタビューで、「これだけ民泊が広がっていると、行政もわからないから」と公然と違法民泊を肯定し、届け出の意思がないことを堂々と表明していました。検討会議では、警察の委員から、「相談しても受理されない現状がある。諦めずにもぐりでやる民泊が出てくるのではないか。そうした民泊が犯罪やテロの温床になってしまうのでは」との意見が出たように、放置すれば住環境の悪化だけでなく、事件や事故の不安も増大します。 届け出のない違法物件は、順次仲介サイトの掲載が中止されていきますが、闇サイト等を活用し引き続き営業を続ける可能性があります。区としてやるべきは、既に区民から通報され把握している違法民泊や、今後通報される物件の立ち入り調査などを行い、警察に告発することです。そのための準備、体制は整っているのでしょうか。区民が相談しやすいように、一定期間、違法民泊110番など相談窓口を設置し、ホームページやSNS、区報、ポスターなどで徹底的に周知すべきと思いますが、いかがでしょうか。 また、相談に応じる職員体制の拡充が必要です。民泊対応のため今年度は6人の非常勤職員を配置しましたが、今後の事務量等を考えると十分とは言えません。立ち入り調査ができるのは環境衛生監視員だけですが、害虫対策などほかの対応もあり、現在の15人では不十分です。非常勤職員、環境衛生監視員ともに増員しなければ、今後の区民の要望に対応できません。民泊新法と改正旅館業法の施行後もさまざまな課題や問題の発生が予想されます。健康部の体制として、違法民泊担当の副参事は衛生課長が兼任するのではなく、専任の配置とすべきです。お答えください。
住宅宿泊事業法の実施に伴い、区には多大な事務負担が生じています。さらに、これからは事務費とともに人件費もふえていかざるを得ません。これまで私たち区議団の質問に対して、「事務量に応じた適切な財源配分を国や都に要望していきます」と答弁がありましたが、これまで国や都にどのように要望され、どんな回答がありましたか。少なくとも都区財政調整で算定するよう求めるべきと考えますが、いかがですか。 第4に、民泊条例と改正旅館業法の周知についてです。 民泊についての事業者向け研修は行われましたが、区民向けの説明会はありません。「民泊に関する法律や条例ができたが、どのような内容なのか」、「今営業している民泊はどうなるのか」と、住民の不安が広がっています。ほとんどの区民は、合法民泊に標識が掲示されること、標識がないのは違法民泊だということを知りません。また、改正旅館業法での新たな課題と、違法民泊や無許可の旅館業に対して区が立ち入り調査できることはもっと知られていません。 6月22日から予定されている「区長と話そう~しんじゅくトーク」10カ所のうち5カ所で民泊問題がテーマになっていますが、区民の関心が高いことのあらわれです。本来は地域説明会を全地域センターで行うべきですが、今回、「区長と話そう~しんじゅくトーク」のテーマになっていない地域については地域説明会を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 衛生課は、要望があれば地域に出向いて説明を行っていますが、「ふれあいトーク宅配便」の講座に民泊新法と改正旅館業法についてもメニューに加えてはいかがでしょうか。また、今後、区民からの問い合わせの増加なども十分予想されます。新宿区内の違法民泊は約4,000件とも言われていますから、当然通報もふえるでしょう。区のホームページで民泊を探そうとすると、トップページの「重要なお知らせ」しかなく、「くらしの出来事から探す」や「組織から探す」ではたどり着きません。ホームページでヒットしやすいよう工夫し、バナーをつくるなどしてわかりやすく改善をすべきです。また、区民がホームページ上から違法民泊や無届けの旅館業を通報できるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一) 「民泊新法」と改正旅館業法の施行についてのお尋ねです。 初めに、旅館業法改正が区民に及ぼす影響についてです。 今回の旅館業法の改正で、無許可で宿泊業を営む者に対する報告徴収や立ち入り検査の権限が保健所職員に付与されたことにより、今まで以上に厳格な指導ができるようになります。罰則の上限も引き上げられることから、違法民泊の排除に一定の効果があると考えています。 一方、法改正により、いわゆる民泊が旅館業法の許可施設となることも考えられるため、新宿区
旅館業法施行条例の改正案では、法改正の趣旨を踏まえた上で、
住宅宿泊事業法との均衡を図ることを重視しています。また、構造設備や衛生上の観点から、旅行者や宿泊者の安全を守れる内容としています。 改正旅館業法に基づく課題については、新宿区民泊問題対応検討会議で検討し、必要に応じて国へ要望していきます。 次に、
フロント代替機能の設置場所についてのお尋ねです。 玄関帳場の代替設備の基準は、「緊急時の迅速な対応、宿泊者名簿の正確な記載」、「鍵の適切な受け渡し」、「宿泊者以外の出入りの確認」を可能とするものとされ、これらの機能が備わっていれば、設置場所にかかわらず玄関帳場と同等の対応ができるとされています。 御指摘の、「緊急時に駆けつける者とモニターを確認する者が同一場所で営業すること」を義務づけることは法の趣旨から困難と考えますが、国が定めた基準を実現するため、営業従事者の常駐義務と、10分での駆けつけ要件を条例案で規定することとし、宿泊者や近隣住民の安全を確保していきます。 次に、民泊の届け出状況と今後の見通しについてのお尋ねです。 初めに、届け出件数が少ない理由についてですが、マンションの多くが民泊禁止を決定したことが要因の一つと考えています。6月15日までの見込みについては、現在、システムや窓口での届け出が連日あるため一定数に達すると考えており、書類に不備がないものについては番号の発行や標識の交付を適切に行っていきます。 また、6月15日以降は、住宅宿泊事業のみではなく、改正旅館業法に基づく申請も可能となることから、事前の相談は相当数想定されますが、件数の見通しを立てることは困難です。 次に、今後の対策と体制強化についてのお尋ねです。 初めに、違法民泊の警察への告発に関する体制等についてです。 住宅宿泊事業に関連する業務を円滑に行うため、この4月に衛生課内の組織改正や職員の増員など体制整備を行いました。今回の旅館業法の改正により無許可施設への立ち入り検査等の権限が付与されたため、この権限に基づき罰則の適用も念頭に入れた厳格な対応をしていきます。 区民からの相談窓口としては、国が設置する民泊制度コールセンターが土日・夜間も相談や苦情を受け付けています。区民の身近な相談先として、区においても衛生課に専用電話を設置し、住宅宿泊事業に関連する相談、苦情に対応しています。今後、改正旅館業法の情報等もあわせて、リーフレット、ホームページ等で窓口の周知を図っていきます。 次に、職員の体制についてのお尋ねです。 現在、衛生監視15名で環境衛生全般にかかわる業務を行っており、さらに6名の派遣職員が住宅宿泊事業に関する業務を行っています。現在は法施行前の準備期間であり、さまざまな業務や相談への対応に追われる面がありますが、法が施行され、業務が平準化されれば、現在の人員で対応することが可能であると考えています。 また、衛生課長が民泊問題担当副参事を兼務していることで、より現場の視点からの課題解決につながると考えています。 次に、事務負担に対する財源の国や都への要望についてのお尋ねです。 これまでも事務量に応じた適切な財源配分を国や都に要望してきましたが、平成29年度の都区財政調整の再算定で民泊対応経費の一部が算定されました。しかし、国からの財源措置がまだ示されていないため、今後も引き続き要望していきます。 次に、「民泊条例」と改正旅館業法の周知についてのお尋ねです。 6月22日から行われる「区長と話そう~しんじゅくトーク」は、地域ごとのテーマを中心にさまざまな区政について意見交換を行うものです。改めて「ふれあいトーク宅配便」のメニューに加えることは考えていませんが、今後、区民からの要望に応じて随時説明を行っていきます。 また、ホームページについては、
住宅宿泊事業法と改正旅館業法の施行にあわせて、よりわかりやすい内容に更新していきます。 なお、違法民泊の苦情については、区民意見システムを利用し、ホームページ上から通報が可能です。
◆20番(阿部早苗) 次に、保育園の待機児童対策と学童クラブについて質問します。 区長はこの間、本年4月までに待機児童ゼロを目指すと答弁してきました。しかし、昨年度は認可保育園9所、643名分定員拡大目標に対して6所、474名分しか整備できず、待機児童をゼロにすることができませんでした。 私は、先日、娘さんが第2子を妊娠している方から「保育園に入れるかどうか不安を抱えていることは妊婦の健康によくない。必ず入れるようにしてよ」と強い口調で迫られました。こういう方には、認可園を整備できなかったあれこれの理由は通用せず、結果が全てだと感じました。 ことし4月の待機児童は、昨年より2名少ないといえ、25名がどこの保育所にも入れませんでした。また、隠れ待機児童と呼ばれる、希望した認可保育所に入れなかった等の子どもは、昨年より46名ふえて222名です。改めて、ことし4月に待機児童をゼロにするとの区民との約束を履行できなかったこと、それが区民に大きな不安を与えていることを区長がどのように受けとめているか、伺います。 豊島区は一昨年、105名いた待機児童を昨年ゼロにしたのに続き、ことし4月もゼロと伺いました。豊島区の担当者の話では、賃貸のオフィスビル活用は、工期が短いというメリットはあるものの、避難方向の確保やほかのテナントとの関係など課題があり、ことしは空き駐車場を活用して認可園を整備した件数が多いとのことでした。また、郵政宿舎跡地の活用がこれまで2例あり、都税事務所の建物の一部を借りるなど、あの手この手で保育所をふやしています。 昨年の第1回定例会で区長は、事業者から多くの保育所整備の提案があると余裕の答弁をしていましたが、この1年で事態は様変わりしているのではありませんか。文教子ども家庭委員会では、保育課は必死に物件を探しているが見つからないと聞いています。区長の保育所整備を取り巻く現状認識と、今後の見通しをお聞かせください。 そして、区長は、今年度の区政の基本方針で、賃貸物件等を活用して私立認可保育所7所、455名の定員拡大をすると言っています。賃貸物件等の「等」とは何を指すのかを含め、目標を達成するための具体的対応策をお示しください。私は、保育課任せにせず、区長みずから関係団体に足を運ぶなどして保育所整備の先頭に立つべきと考えますが、いかがですか。 区の保育課は、これまで事業者に開設場所を含めて提案してもらっていたのを改め、区が物件を募集して事業者とのマッチングを図ることとし、5月15日から区のホームページトップに掲載し、同日付け広報しんじゅくにも掲載しました。また、宅建・不動産業等の業界に協力を依頼し、新宿区町会連合会との懇談でも情報提供をお願いすると5月の文教子ども家庭委員会に報告がありました。この呼びかけに、これまでにどのような反響があるのか、実現の見通しについてもお聞かせください。 私たちはこの間、園庭のある保育園で保育の質を保障することや、私立に依存するだけでなく区立保育園を整備することを提起してまいりましたが、区長はこれについては極めて消極的でした。求人状況は売り手市場で、保育人材確保はこれまで以上に厳しいものがあります。昨年の北区の事例でも、区立の保育士募集には多数の応募があります。改めて園庭確保や区立保育園についての区長の考えをお聞きします。 具体的に幾つか提案させていただきます。 マッチング事業で区が必要としているエリアの高田馬場三丁目には郵政宿舎跡地があります。オルト保育園にほぼ隣接しますが、整備を検討してはいかがでしょうか。 また、旧都立市ヶ谷商業高校校舎は、急いで改装を施せば来年4月までには保育所として活用できるのではないでしょうか。定員の2倍の児童が登録している中町学童クラブの過密状態を解決するための新たな学童クラブも併設可能で、一挙両得の物件です。区が募集をかけているエリアではないと言うかもしれませんが、需要は区内全域であると保育課も言っています。市ヶ谷商業を保育や学童に活用することは、地元の理解も得られると考えますが、区長のお考えを伺います。 昨年10月、厚生労働省と国土交通省は、開発事業者に対し大規模マンション建設時に保育施設設置を促す通知を出しました。新宿区は既に大規模マンション建設に際してファミリー向けが100戸以上のマンションには保育所整備を要請しています。目黒区は50戸以上としており、この要請の基準を見直してはどうでしょうか。また、大阪市や台東区は事前協議に関する条例を制定しています。開発業者に周知を徹底するためにも、新宿区も条例化を検討すべきと思いますが、いかがですか。 学童クラブの利用登録状況は、ことしも深刻です。区立27と私立3の合計30クラブ中、25カ所、8割以上で定員をオーバーしています。1.5倍を超えているのが、中町の2倍を筆頭に8所もあるのは一刻も放置できません。4年生以上の待機児は12クラブ、45名に上ります。児童館の専用スペースを少しばかり広げるというような小手先の対策では解決しません。児童館利用児童へのしわ寄せでしかありません。区長は、この現状についてどのように受けとめていますか。 保育所の整備が必要なエリアは、次は学童のニーズが高くなるのは必定です。この際、保育所だけでなく、学童クラブも同一施設内で整備する事業者を募集する必要があると考えますが、区長の見解を伺います。 また、教育委員会と協議してひろばプラスを実施している小学校については、ひろばプラスをやめて学校内学童クラブを整備するとともに、既存の学校内学童クラブで定員オーバーのところは教室をふやすべきと考えますが、いかがですか。 以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一) 保育園の待機児童解消と学童クラブ増設についてのお尋ねです。 初めに、待機児童ゼロの約束を履行できず、区民に不安を与えているとの御指摘についてです。 区では、待機児童解消を区政の重要課題と捉え、待機児童ゼロを目指し、平成27年4月から平成30年3月の3年間で1,802名の保育定員を拡大し、待機児童数は143名減少しました。しかし、平成29年度は新たな保育所の整備が当初の計画どおり進まなかったことに加え、利用申込者数がふえたことにより、平成30年4月の待機児童ゼロを実現することはできませんでした。 今年度、待機児童数が25名いることを踏まえ、保育を必要とする方が安心して保育所を利用できるよう、より的確な保育ニーズの把握に努め、着実に保育所の整備を進めていきます。 次に、保育所整備の現状認識と今後の見通しや具体的対応策等についてです。 賃貸物件を活用した保育所の整備では、保育事業者から整備予定物件も含めた事業計画の提案を受け整備を進めていますが、保育所として要件に適合する物件が少なく、また、所有者が保育所以外の用途への活用に意向を変えられるなど課題があると認識しています。 今後も整備を取り巻く環境に大きな変化はないと見通されますが、事業者の提案に迅速に対応しながら、確実に保育所を開設できるよう整備を推進してまいります。 なお、現在2件の事業提案について協議を進めており、平成31年4月の開設を目指しています。 賃貸物件等の「等」の意味については、公募による賃貸物件を活用した保育所の整備だけでなく、民間事業者による大規模開発に伴う保育所の整備や認証保育所の認可化も含めて整備を進めていくことを示しています。 また、目標達成に向けて保育所の整備をより効果的・効率的に推進するため、今年度から保育所として活用できる物件情報を区が直接募集し、その情報を保育事業者に提供するマッチング事業を開始しました。私自身も、町会・自治会長との懇談会の場や東京都宅地建物取引業協会新宿支部に対して、この事業を紹介し協力をお願いしましたが、今後も機会を捉えて周知に取り組んでまいります。 次に、マッチング事業への反響や実現の見通しについてです。 この事業については、5月15日に周知を開始しました。不動産関係団体はもとより、整備地域に支店を持ち、地域とのつながりが密接な信用金庫に協力をお願いし、資産活用を検討している不動産物件所有者にこの事業を紹介していただいています。これまで事業に関する問い合わせなどが16件あり、そのうち2件について事前協議に向けた確認作業を行っています。開始からまだ1カ月弱ですが、新たな保育所の整備に向けて着実に歩みを進めていると考えています。 次に、園庭の確保や区立保育園の整備についてです。 現在進めている賃貸物件を活用した保育所の整備であっても、代替遊戯場の指定や、屋上やベランダを活用した外気に触れられる環境の整備など、子どもたちが健やかに育つため良好な保育環境を確保するよう、保育事業者に求めています。 区では、区立園の定員拡大や認証保育所の認可化、賃貸物件を活用した保育所の整備、空き保育室型定期利用保育など、さまざまな手法により受け入れ枠の拡大を図ってきました。賃貸物件を活用する保育所整備は保育事業に柔軟に対応できる効果的な手法であると考えています。今後も、この手法を中心に待機児童対策を進めてまいります。 次に、高田馬場三丁目の郵政宿舎跡地の活用についてです。 この土地の所有者は国家公務員共済組合連合会ですが、現在、日本郵政株式会社が賃借人となり管理していることを確認しています。当面は賃貸借契約を継続するとのことであり、直ちに保育所用途への活用はできないものと認識しています。 区では、保育所の整備が可能な公用地等について、今後とも情報収集に努めてまいります。 次に、旧市ヶ谷商業高校の活用についてのお尋ねです。 旧市ヶ谷商業高校の活用については、福祉、防災、教育等に資する場として、特別養護老人ホームなどの高齢者施設、防災広場、牛込第一中学校の老朽化に伴う建てかえ等を具体的な候補案として、現在、詳細な検討を行っているところです。このため、旧市ヶ谷商業高校の校舎を改修し保育や学童を行うことは考えておりません。 次に、大規模マンション建設に対する設置要請基準の見直しと条例化についてです。 「新宿区保育施設の設置に係る要請及び協議に関する要綱」では、都市開発諸制度を活用するものは全て、共同住宅では単身向けを除く住戸が100戸以上のものに保育所の設置要請をすることとしています。また、これらに該当しない計画でも、共同住宅や店舗、飲食店、事務所等の用途に供する賃貸用の建築物であるときは事業者に対し協議を求めることとしています。これにより、100戸に満たない計画についても整備の必要な地域であるときは保育所の設置を求めています。しかし、戸数の少ない物件では建物自体の規模が小さいことから、保育所を設置するために必要なスペースの確保や設置基準を満たせないなど協議に至らない場合もあります。 子ども家庭部と都市計画部の関係各課では、新規開発事業や共同住宅の計画に関する情報を共有しているほか、都市計画部の窓口では建築計画の事前相談等の際に開発事業者にチラシを配布し、保育課に相談に行くよう指導しています。さらに、今年度は連絡会を設置し、新規開発事業や保育所の設置要請を行っている事業の進捗状況、それらの課題などについて情報共有し、連携協力する体制を強化しました。これらを実行することにより、開発事業者への要綱内容の周知は徹底されているため、現時点での条例化は考えておりません。 次に、学童クラブの利用登録状況についてです。 保護者が就労している児童が増加傾向にあることを踏まえ、定員を大きく上回る学童クラブについては、児童館スペースの活用による専用スペースを拡大するともに、小学校内学童クラブについても教育委員会との協議により新たなスペースを確保するなどの対応をしています。一方、児童館を利用する児童に対しては、学童クラブのおやつ時間での行事の実施や、夕方に高学年や中高生優先タイムを設けるなどの対応により利用を確保しています。 次に、保育所と学童クラブを同一施設内で整備する事業者の募集についてです。 旧西戸山第二中学校の跡施設活用では、保育所と学童クラブを整備する事業者を公募しました。このように同一施設内で整備する手法もありますが、保育所整備の事業者公募において認可基準を満たす十分な広さを持った物件を見つけることが難しいとの声もあり、さらに同一施設内での学童クラブ整備を求めて公募することは難しいと認識しています。 次に、ひろばプラスをやめて小学校内学童クラブを整備するべきとのお尋ねです。 ひろばプラスは、学校施設を活用し遊びと学びの支援を行う放課後子どもひろばの特徴を活かしながら、おやつの提供や出欠管理、連絡帳を活用するなど学童クラブで行っている保護機能も付加した事業です。多様化する家庭環境や子どもの成長段階に合わせて選択できる事業と考えており、ひろばプラスをなくすことは考えておりません。 次に、既存の小学校内学童クラブで定員オーバーのところは教室をふやすべきとのお尋ねです。 既に定員を大きく上回っている小学校内学童クラブでは、出席児童のピーク時に特別教室等を確保して対応しています。
◆20番(阿部早苗) 次に、介護保険について質問します。 第1に、特別養護老人ホームに多床室を整備することについてです。 介護保険が始まって以降、新宿区は区内で個室ユニット型特養ホームを整備し、345床までふやしてきました。プライバシー保護の観点から個室ユニット型が必要なのは理解できますが、利用料の負担が重くて低所得者が利用できないことが課題です。個室ユニット型だと要介護5の課税者は月15万円から16万円、年収80万円以下の非課税でも7万円はかかり、国民年金のみの方や生活保護受給者は事実上利用できません。2月末時点の待機者で見ると、個室ユニット型がベッド数の約1.9倍なのに対して多床室は3.3倍で、多くの方が多床室のあきを待っています。 東京都保健福祉局は、去年もことしも施設内定員の3割までという条件つきで多床室にも補助をしています。北区は3つの特養ホームで多床室を整備し、渋谷区、板橋区、町田市、青梅市、足立区、東久留米市も多床室をつくっています。新宿区は、これから市谷薬王寺町の国有地に80床の特別養護老人ホームを整備する方針で、ことし9月に事業者を公募する予定です。多床室を整備する条件で事業者を募集すべきと思いますが、いかがでしょうか。 第2に、介護予防・日常生活支援総合事業--以下、総合事業と申し上げます--についてです。 総合事業の実施から2年が経過し、財政の厳しい自治体が報酬を移行前より引き下げたため、介護大手のニチイ学館が全国で1,400の拠点のうち約340カ所で総合事業の請負をやめたと報じられています。新宿区でも、総合事業開始時に設定した報酬単価が低く、今年度も十分な見直しが行われなかったため、訪問では3分の1に当たる40事業所、通所では16事業所が総合事業から撤退しました。要支援者のプランを担当する高齢者総合相談センターのケアマネジャーは、受け入れてくれる事業者を確保するのに四苦八苦しているそうです。 新宿区は、高齢者総合相談センターや訪問・通所の事業者に実態を聞いているのでしょうか。いるとすれば、どのような状態かお答えください。また、区の現状認識と評価もお答えください。 私たちの再三の指摘で、区は、今年度からようやく総合事業の訪問サービスの報酬単価を見直し、3ランクあったうちの最低単価をなくして2ランクにしました。それでも提供する事業者がこんなに減ったということは、まだ採算がとれないからではありませんか。早急に事業者に現状を聞いて打開策を講じるべきです。区は、総合事業の単価を引き上げるだけの財政力があります。報酬単価を高いほうの額に引き上げて一元化することを求めます。また、精算方法についても月単位に戻すべきです。区長の見解を伺います。 第3に、基本チェックリストについてです。 2016年4月から基本チェックリストの活用が始まり、対象が1年目の604人に対して、2年目は83人に激減しました。2年間で687人が事業対象者になり、約半分の327人が事業を終了しましたが、その中の258人は介護認定を受けています。この事実は、基本チェックリストで高齢者の状態を判断することが困難であり、実態に合わないということではありませんか。区の現状分析と、実施してみての評価をお聞きします。 自治体によっても、高齢者総合相談センターによっても、実績に差があります。このような不公平な制度は即刻廃止するよう、国に意見を言うべきです。そして、新宿区はもうこの制度をやめることを決断すべきだと考えますが、区長の見解を伺います。 第4に、ヘルパー等の自転車駐輪対策についてです。 ヘルパー、訪問看護師、ケアマネジャー等、介護従事者の多くは自転車で移動していますが、訪問先での駐輪場所の確保に苦労しています。駅周辺では警告ステッカーを張られ、マンション管理人には敷地外に出されたりで仕事に支障を来しています。区は、こうした厳しい現実を御存じでしょうか。私ども会派の要望に対して、区は、通行の妨げになる場所に置かないことなどを周知・指導し、介護事業所の自転車であることがわかるよう表示することと回答しています。これは、表示があれば路上でも駐輪オーケーで撤去しないという意味でしょうか。それともノーなのでしょうか。曖昧な回答ですので、明確に御説明ください。 また、マンション管理組合には配慮をお願いしているとの回答ですが、どのようにお願いをし、周知してくださったのか、詳しくお聞かせください。お願いが行き届かず、駐輪させないところもかなりあると聞いていますので、再三にわたり協力依頼すべきと思いますが、いかがですか。 以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一) 介護保険についてのお尋ねです。 初めに、特別養護老人ホームの多床室の整備についてです。 特別養護老人ホームは介護保険制度前から整備してきたものであり、当初はユニットケアの考え方はありませんでした。介護保険制度後に、国は入居者の尊厳を重視したユニットケアの方針を示し、区もこれに基づき、平成13年度以降の整備計画ではユニット型個室での整備を進めてきましたが、現時点では区を経由して申し込む特別養護老人ホームのベッド数の大半は多床室によるものとなっており、ユニット型個室によるものは3割程度にとどまっています。 区としては、個人の生活スタイルの尊重やプライバシーの確保を重視することが大切と考えているため、ユニット型個室の整備を推進していきます。このことから、現在計画している特別養護老人ホームの整備についてもユニット型個室で公募いたします。 次に、介護予防・日常生活支援総合事業についてのお尋ねです。 区では、平成28年4月に開始した総合事業の報酬等を平成30年4月の介護報酬改定と時期を合わせ、一部改定をしたところです。改定に当たっては、平成29年度にサービス事業者との意見交換会を開催し、今後の事業実施のあり方として事業者の効果的なサービス提供を評価してほしいなど、貴重な御意見を多数いただきました。これらの意見や実績等を踏まえ、訪問型サービスにおいては、訪問介護相当サービスのサービス費の設定区分を見直すとともに、報酬単価を一部引き上げました。また、通所型サービスにおいては、通所介護相当サービスに効果的なサービス提供を評価する事業者評価加算を導入しました。 総合事業導入前から介護予防訪問介護及び介護予防通所介護を実施していた事業者は、総合事業開始後もみなし指定事業者として指定されていましたが、平成29年度末の指定終了に伴う更新申請は、訪問介護相当サービス事業者は全体の約7割、通所介護相当サービス事業者は全体の8割以上に達しました。区内事業者に限ると約9割が更新しており、他の自治体と比較しても一般的な傾向にあります。このことからも、報酬改定等に対する事業者の一定の理解を得ることができているものと認識しています。こういった状況の中での現状把握に努め、制度の定着を引き続き目指してまいります。 なお、1回ごとのサービス料の支払いは利用者の負担軽減につながっており、従前のような月額払いに戻すことは現時点では考えていません。 次に、基本チェックリストについてのお尋ねです。 基本チェックリストは、訪問型サービス及び通所型サービスのみ利用する場合に、要介護・要支援認定等を省略して迅速にサービスを利用できるようにするためのものです。高齢者総合相談センターで基本チェックリストを使用する際は、区独自の聞き取りシートも活用し、支援が必要な原因や背景も必ず確認することにより、生活実態なども十分に把握しています。 御指摘のとおり、2年間で327人が事業対象者を終了していますが、身体状態の変化や訪問型サービス、通所型サービス以外のサービスの利用希望が生じ、要介護・要支援認定へ移行した方がいる一方、身体状態の改善によりサービス利用が不要となった方がいたことなど、さまざまな理由によるものです。 高齢者総合相談センターによって基本チェックリスト使用割合が異なることはありますが、いずれも一人ひとりに寄り添った適切な対応の結果と認識しています。今後も、高齢者総合相談センターと情報共有を図りつつ、基本チェックリストは利用者に十分な説明を行った上で使用してまいります。 こうしたことから、現時点では国への基本チェックリスト廃止の働きかけは考えていません。 次に、ヘルパー等の自転車駐輪対策についてのお尋ねです。 ヘルパー等の介護従事者からは、駐輪場所の確保について区に対し直接の御相談はありませんが、区の調査員も駐輪には気を配りながら訪問しており、駐輪に配慮を要することは認識しているところです。 こうしたことを踏まえ、区では、事業者の会合等で駐輪マナーに留意するとともに、サービス事業所名等の表示をすることで周囲に理解を得やすく、問い合わせにも対応しやすいことを説明いたしました。表示があれば撤去されないという意味ではありません。 一方、マンション管理組合に対しては、昨年の秋、区内のマンション管理組合交流会に出向き、案内文を配付し、敷地内の駐輪に御理解いただくようお願いをいたしました。今後も、状況を見ながら必要に応じて対応してまいります。
◆20番(阿部早苗) 次に、教員の勤務環境の改善について質問します。 私たち区議団は、教員の多忙解消策について繰り返し取り上げ、さまざまな提案をしてきました。教育委員会は、私たちの提案を初め各方面からの意見を踏まえ、教員の勤務実態調査を行い、ことし3月、「教員の勤務環境の改善・働き方改革第一次報告書」がまとめられました。報告書は、教員の勤務実態調査で「過労死ライン」と言われている1週間当たりの学校内の実働勤務時間が60時間を超えている教員の割合が40.1%、副校長は77.2%となっている実態を明らかにし、「長時間勤務が恒常化、構造化した教員の働き方の改革は、学校だけの問題とすることなく、教育委員会が果たすべき責務として取り組む」との基本的認識に立ち、3つの基本姿勢と30項目の方策を示しています。 質問の第1は、区長にお聞きします。 昨年11月に開催された総合教育会議では、教員の勤務実態調査について意見交換が行われていますが、教育委員の皆さんからは「タイムレコーダーを設置するのも一つだが、そういう範囲にとどめないで、もっと総体的な改革を」「今後もさらに部活指導の外部リーダーの活用、学校諸事務処理の要員増強などの対応策が必要になってくる」「長時間労働は身体的・精神的な健康に大きく影響を与える」「副校長は、時間外勤務1カ月当たり120時間という状況は考えさせられるものがある」などの発言が相次ぎました。区長自身は、教員の勤務実態をどのように受けとめられましたか。今後、報告書に沿って具体化すべき対策については最優先で予算措置をしなければならないと思いますが、いかがでしょうか。 質問の第2は、さらなる人的配置の強化です。 報告書の「具体的な取り組みの方策」が示した3つの視点のうち「勤務環境の改善に向けた具体的な取組」は、まさに教育委員会の責任としてやらなければならない項目で、とりわけ人的配置については、これまでも学習指導支援員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど、区独自の配置が行われてきたところです。ところが、報告書では人的支援をうたっているものの、現在配置されているスタッフの活用という側面にとどまり、増員については具体性が乏しいと感じます。しかし、今年度に向けての小学校長会の予算要望では区費事務職員の配置が要望されているのですから、少なくとも校長会の要望には早急に応える必要があるのではないでしょうか。 中学校長会から継続要望が出ているスクールソーシャルワーカーについても、より教員の負担軽減になるような運用の見直しを行い、福祉機関との橋渡しにとどまらず、児童・生徒、家庭と直接かかわれるように改善していくことが必要ではないでしょうか。そうなれば、さらなる人員増も必要になってくると考えますが、いかがでしょうか。 質問の第3は、部活動外部指導員の導入を早急に実施することです。 報告書では、区の部活動ガイドラインを6月までに策定するとしていますが、その内容はどのようなものになるのか、お答えください。 学校教育法施行規則の一部改正を受けて、今年度から部活動指導員を導入している自治体が続々とふえています。23区では新たに大田区も教員の長時間労働解消策として、今年度から試合の引率や日常の指導を単独でできる部活動指導員を10校でモデル実施し、来年度全ての学校で実施するとのことです。新宿区でも早急に実施すべきではないでしょうか。 なお、報告書の「教員・教職員組合等の意見」でも述べられていますが、部活動指導員の採用、研修、雇用事務については現場の教員、特に副校長の負担にならないよう、レガスに委託するなどして教育委員会が一元的に行うべきです。必要なら補正予算を組んででも早急に具体化すべきと考えますが、いかがでしょうか。 質問の第4は、教員の人数をふやすことです。 報告書の「教員・教職員組合等の意見」でも、「教員の負担が大きくなっている原因として、学習指導要領の改訂により1人当たりの授業時数がふえていること」が述べられ、「教員の持ち時間数の減、副担任等の複数体制による学級運営や授業指導を行うための教員を増員すべき」と述べられています。これまでも学習指導支援員の配置を行ってきたことは現場でも評価されていますが、少人数学級が実現しないもとでも学習指導支援員を増員すれば少人数指導や教職員の持ち時間の軽減などは実現できるのではないでしょうか。35人学級の全学年実施を国と都に強く要請するとともに、学習支援指導員のさらなる増員を求めるものですが、少なくとも中学校長会が予算要望している学習指導支援員の全校2名配置については直ちに実現すべきではないでしょうか。また、学習指導支援員の確保のためには待遇の改善が必要と考えますが、いかがでしょうか。 以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一) 教員の勤務環境改善についてのお尋ねです。 教員の勤務実態への認識と、今後どのように対策を具体化していくのかについてです。 長時間労働は、教員の働く意欲を低下させ、子どもたちへの指導などに影響を与えるおそれがあるなど、大きな課題であると認識しています。こうした教員の長時間労働の解消に向けては、今後、教育委員会事務局で作成される第二次報告書の内容や、教員の勤務環境の改善・働き方改革プロジェクトチームでの検討結果などを踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えています。
◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 初めに、小学校長会からの事務職員配置の要望への対応についてです。 学校における事務職員の配置については、「教員の勤務環境の改善・働き方改革プロジェクトチーム」のもとに設置した事務事業の見直し部会において検討をしているところです。したがって、現時点では小学校校長会の要望に対応することは考えておりません。 次に、スクールソーシャルワーカーの運用見直しと人員増についてのお尋ねです。 新宿区スクールソーシャルワーカーは、学校と子ども家庭支援センターなど地域の関係機関をつなぎ、子どもや家庭の諸問題を組織的に解決することを目的として配置しています。 原則としてスクールソーシャルワーカーが直接児童・生徒、家庭とかかわることはありませんが、学校と関係機関をつなぐことで、各関係期間がそれぞれの役割に応じた対応を効率的に進めることにつながっています。例えば、不登校などの課題を抱える家庭を訪問する際に、教員と各関係機関との役割を明確にし、子ども家庭支援センターのワーカーと訪問時の対応を分担することで、教員は児童・生徒の対応に注力することができています。 このように、教員の負担軽減の面からもこれまで一定の効果を上げており、今後、第一次報告書に取りまとめた効果的な活用事例の収集や事例紹介を行うことで、さらにその効果を高めていきたいと考えています。そのため、現時点でスクールソーシャルワーカーの運用の見直しや人員の増加は予定しておりません。 次に、区の部活動ガイドラインの内容についてのお尋ねです。 部活動ガイドラインについては、「教員の勤務環境の改善・働き方改革プロジェクトチーム」のもとに設置した「部活動を支える環境の整備に関する検討部会」において検討を進めてきました。このガイドラインは、スポーツ庁のガイドラインや東京都教育委員会の方針を基本に、区立中学校における部活動の教育的意義や成果、小学校における放課後等の課外活動の状況を踏まえつつ、教員の勤務環境の改善・働き方改革の視点から、全ての部活動や課外活動が安全かつ充実したものとなるよう基準を定めるものです。 内容については、「適切な休養日などの設定」、「学校単位で参加する大会などの見直し」、「適切な運営のための体制整備」を初め6つの視点でまとめており、外部指導員や部活動指導員の役割、休養日や活動時間の基準などについて示す方向で検討しています。 今後、6月末までに部会で原案を整理し、プロジェクトチームに報告した後、7月に「教員の勤務環境の改善・働き方改革第二次報告書」の中で取りまとめる予定です。 次に、部活動指導員を早急に実施すべきとのお尋ねです。 部活動指導員の導入については、これまで区立中学校の部活動が顧問教員の取り組みと外部指導員の支援によって実施されてきたことを踏まえた上で、部活動指導員が担う役割や身分、任用等について丁寧に検討を行う必要があると考えています。 スクールスタッフとして、これまで新宿区独自で導入している外部指導員については、技術的な指導や見守りなどを行うことで教員の負担軽減について一定の効果を上げており、平成29年度には約1,300万円の予算措置を行い、延べ8,000時間以上の部活動支援を行ってきました。しかし、教員が顧問をする上で負担に感じている大会引率や部活動の管理運営等については、外部指導員が担うことができないことから、現在検討を行っているガイドラインでは、こうした職務も部活動指導員が担えるよう、その役割や配置に当たっての留意事項なども示す予定です。また、部活動に係る人材の採用などの事務についても、副校長の新たな負担とならないよう、ガイドラインに取りまとめていく予定です。 次に、35人学級の全学年実施を国と都に要請するべきとのお尋ねです。 35人学級などの少人数学級の推進については、これまでも特別区教育長会を通じて国や都に要請しており、引き続き実施してまいります。 次に、学習指導支援員の増員についてです。 学習指導支援員は、全校に1名の配置を原則としており、予算の範囲内で児童・生徒数、学級数の規模や学校の実情に応じて複数名を配置しています。事務事業の見直し部会では、学習指導支援員を含む学校に配置している多岐にわたる職員の事務分掌の見直しを検討していくこととしています。教育委員会では、配置数の見直しに先んじて、まずは学校において適正な事務配分を行い、より効率的な事務執行を行うことで教員の負担軽減を図っていきたいと考えています。 次に、学習指導員確保のための待遇の改善についてです。 学習指導支援については、これまで募集を行う中でも十分な応募者が確保できています。学習指導支援員の待遇は、区全体のルールのもとで定められており、その報酬額は、豊富な行政経験を有する区職員の退職者を任用する区政推進員よりも高い水準で設定しています。そのため、現段階では学習指導支援員のみ特別な待遇改善を考えておりません。
◆20番(阿部早苗) 最後に、新宿の拠点再整備方針と新宿駅のバリアフリー化について質問します。 4月26日、「新宿の拠点再整備方針~新宿グランドターミナルの一体的な再編~」--以下、「方針」と申し上げます--の説明会が行われました。方針には「遠方から視認できる、新宿らしいスカイラインの形成」とあり、説明会では「スカイラインとはどのぐらいの高さか」との質問に、区は「事業主体がどういうものをつくるかによる。都市再生特別措置法でやる可能性もある。西新宿の高層ビル群並みの200メートル規模もあり得る」と答えました。民間がばらばらにやるのではなく、行政がまちづくりをコーディネートする必要があると区は言いますが、民間がやりやすいように区がお膳立てをしているのではありませんか。 都市再生特別措置法による容積率緩和と国家戦略特区による手続の簡略化という手法で、この間、千代田区や港区、品川区では、既存の町並みや商店街、区民の意向を考慮しない再開発が行われています。200メートルを超える駅ビルができれば、買い物や飲食は駅ビルで完結し、東口の商店街や歌舞伎町にまで影響は及びます。このような超高層ビルありきの方針は見直すべきと考えますが、いかがですか。 そして、この方針を実行する事業主体に新宿区がなる必要はなく、当然費用負担もすべきではないと考えます。3月の予算特別委員会で我が党の質問に対し区長は、「一切合切何も出さないということが将来的にずっと続くかというと、そうはなかなかいかないだろうとは思っています」と答弁されましたが、なぜそういかないのか理解できません。 豊島区は、池袋駅の東西を結ぶデッキと、この東西デッキと建てかえ中の西武鉄道池袋ビルを結ぶ南デッキの整備方針を持っています。新しい西武鉄道池袋ビルの屋上にできる南デッキの起点となるスペースは、災害時の一時待機場所等となり、豊島区はこれを「公共貢献」と位置づけ、また、今後整備される南デッキが区道の上空を一部通るなどの理由で、西武鉄道に事業費の一部、約12億円を補助することを決定しました。こうした事例を見ても、事業主体は鉄道事業者でも、自治体が計画を推進すれば費用負担をせざるを得なくなるのです。この事例も踏まえ、改めて同方針を進める主体と区の費用負担の考え方についてお聞かせください。 説明会で特徴的だったのは、障害当事者の方も含め、新宿駅のバリアフリー化を求める意見が多数出たことです。「地下から地上に出る際、民間ビルのエレベーターしかなく、夜間等は使えない。区がエレベーターを設置してほしい」「新宿交通バリアフリー基本構想に基づいた取り組みを進めるべき。喫緊の課題はワンルートで乗りかえできるようにすること」等の要望が出されました。これに対して区は2040年代の構想を説明するだけで、新宿駅の今の困難解消を求める意見への回答にはなっていませんでした。 交通バリアフリー法が2000年に施行され、区は、この法律に基づき「新宿区交通バリアフリー基本構想」を策定し、新宿駅周辺を重点地区に指定しました。基本方針は、乗り継ぎのバリアフリー化、多様で複雑な移動経路対応、面的なバリアフリー化など5つあります。その後13年たちましたが、障害者の皆さんはバリアフリー化が進まない現状を何とかしてほしいと言いたいのではないでしょうか。区長は、基本構想の進捗状態をどのように評価しているのか、伺います。 2006年には交通バリアフリー法とハートビル法を統合したバリアフリー新法が成立し、ことしは東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けてバリアフリー化を促進するためのバリアフリー新法の改正が行われました。世界一の乗降客の新宿駅がいつまでもバリアフリー未完成のままでいいはずがありません。区長は、この点、どうお考えですか。これまでの取り組みと現状、今後の見通しをお聞かせください。 その上で具体的に伺います。 1つ目は、ホームから改札口、改札口から地上に出るために新宿駅に乗り入れている鉄道事業者がエレベーターを設置することです。法改正に見合う完全なバリアフリー化のためのエレベーター設置を区として各鉄道事業者に強く求めるべきではないでしょうか。説明会では、計画段階から障害者など当事者の意見を入れることの提案がありました。私も必要なことと思いますが、区長の見解を伺います。 特に問題なのは東口です。西口と南口は地上までのエレベーターがありますが、東口は駅ビルのルミネエストか民間ビルしかなく、ビルの営業時間外はエレベーターが使えません。ルミネエストはJR東日本のグループ企業であり、エレベーター利用時間延長に協力を求めてしかるべきです。区長からJR東日本とルミネエストに要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。 区は、回遊性確保のためと言って東西自由通路に多額の財政支援をしたのに、JRがみずからの責務であるバリアフリー化を実現しないことは問題です。障害者の移動の自由確保のために区から強く要請すべきです。 2つ目は、ホームドアの設置です。新宿駅に乗り入れている4つの地下鉄のうち3つは完了し、都営新宿線は来年度完了予定です。京王線は今年度完了ですが、小田急線は一部未設置です。最もおくれているのがJRですが、ことし3月に示された計画は、2020年度第2・四半期以降の整備予定駅となっています。第2・四半期は7月から9月であり、駅利用者が通常の数倍になると言われているオリンピックに間に合わないと思われますが、設置完了時期のめどを伺います。もしおくれようなら、区としてはオリンピックまでのホームドア設置をJRと小田急電鉄に要望すべと考えますが、いかがですか。 以上、お答えください。
◎区長(吉住健一) 新宿の拠点再整備方針と新宿駅のバリアフリー化についてのお尋ねです。 初めに、新宿の拠点再整備方針についてです。 新宿の拠点再整備方針は、学識経験者及び国、都、鉄道事業者で構成する「新宿の拠点再整備検討委員会」で検討し、駅直近地区周辺の商店街や町会、まちづくり団体の代表者等で構成する「新宿駅周辺地域まちづくり協議会」と連携して取りまとめたものです。この整備方針は、駅・駅前広場・駅ビルを一体的に再編することで、線路上空を活用した広場空間の創出やユニバーサルデザインを踏まえたわかりやすく利用しやすい駅や駅前広場の整備を進めるものです。この整備により、周辺のまちにつながる、誰にとっても優しい空間を創出していきます。 こうした空間や機能の確保を実現するためには、超高層化など土地の高度利用が必要と捉えています。超高層化に当たっては、景観などについて周辺への影響を考慮していくことが必要であると考えています。 次に、整備方針を進める主体と区の費用負担の考え方についてのお尋ねです。 整備方針の実現に向けては、国、東京都、区や鉄道事業者を初めとする関係事業者が連携して、それぞれの役割を果たしていく必要があります。 駅前広場の整備については、駅ビルや駅を一体的に整備していく方針であり、事業主体は主に東京都及び鉄道事業者であると考えています。 また、区の負担については、こうした事業が都市計画事業を想定していることから、関係事業者の役割や都市計画事業であることを踏まえて、適切に対応してまいります。 次に、新宿駅におけるバリアフリー化についてのお尋ねです。 区では、平成17年に策定した交通バリアフリー基本構想に基づき、新宿駅周辺地区を重点整備地区に位置づけています。地区内では交通バリアフリー特定事業計画を策定し、鉄道駅のエレベーター設置や区道のバリアフリー化など、整備すべき61項目を定めています。平成28年度末で56項目、約9割について整備が完了しています。また、多くの方が利用している新宿駅では、車椅子利用者や視覚障害者などにとってバリアフリー化が望ましい移動経路も定めていることから、引き続き整備を進めていく必要があると考えています。 昨年度は大江戸線新宿西口駅のエレベーターや新宿駅周辺地下通路の視覚障害者用誘導ブロックが、区や事業者などの取り組みにより整備されました。今年度は、京王新線新宿駅でエレベーター整備について検討していきます。こうしたことから、基本構想における新宿駅周辺地区のバリアフリー化は着実に進んでいると捉えています。今後も引き続き残る整備項目の実現や、御指摘のあった5つの基本方針に基づくバリアフリー化を進めていきます。 次に、新宿駅のエレベーター設置についてのお尋ねです。 国は、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を契機として、さらなるバリアフリー化を推進するために「高齢者、障害者の移動等の円滑化の促進に関する法律」の改正を行いました。この改正に伴い、大規模な鉄道駅におけるバリアフリールートの最短経路化や複数化、乗り継ぎルートのバリアフリー化の確保等に努めることが位置づけられました。 区では、新宿駅に乗り入れる鉄道事業者に対して、今回の法改正の趣旨に適合させることを求めていきます。その際には、事業者が障害当事者などから意見を伺い、できる限り反映していくよう働きかけていきます。 次に、新宿駅東口における民間ビルエレベーターの利用時間延長についてのお尋ねです。 平成27年に東京都や関係事業者と連携して新宿ターミナル協議会を設置し、バリアフリーの推進などを盛り込んだ新宿ターミナル基本ルールを取りまとめています。この基本ルールでも、東口の現状は階段のみであるという課題が示されています。区としても、東口周辺はバリアフリー施設が整備されるべきと考えています。 しかし、新たな施設整備には物理的な制約などの課題も多く、既存施設の有効活用を含めた当面のバリアフリー化についても必要と捉えています。このため、区では、新宿ターミナル協議会と連携し、JR東日本等の関係者に対し民間ビルエレベーターの利用時間の延長について働きかけています。 次に、新宿駅のホームドア設置についてのお尋ねです。 区では、駅利用者の安全性の確保のため、全ての駅でホームドアを設置すべきと考えており、これまでも補助制度を設けるなど鉄道各社に働きかけを行い、設置を進めてきたところです。 御指摘のとおり、京王新線新宿駅については今年度に整備が完了する予定です。西武新宿駅についても平成31年度までに整備を完了する予定です。小田急線新宿駅については、混雑の多い急行線ホームについて平成24年度に整備が完了しており、その他のホームについても2022年度までに整備を行う予定とのことです。JR新宿駅山手線については、東西自由通路の使用が開始される2020年7月以降に着手すると聞いています。 御指摘の小田急線、JR山手線については、可能な限り早期に整備を行うよう、各鉄道事業者へ要請してまいります。
◆20番(阿部早苗) 民泊問題等々、お聞きしたいことがいっぱいあるんですけれども、3点だけお伺いしたいと思います。 1つは、お答えが何か正確に正しく、私、ちょっとお答えいただいたのかどうかわからないんですが、私は待機児童をゼロにするとの約束を履行できなかったことについての区長の受けとめをお聞きしたんですが、数字的な説明はなされましたけれども、この質問については正面からお答えいただきたいと思います。 2つ目は、最後のところですけれども、超高層ビルにすることと、新宿駅がやさしい新宿駅になるために超高層ビルが必要だというふうに答弁したと私は理解したんですけれども、そのことの理由が、なぜやさしい新宿駅にするために超高層が必要なのかということはちょっと理解できなかったので、再度説明していただきたいと思います。 それと、東口のエレベーターについてJR東日本に要望しているというお話でしたけれども、感触等々を含めて、実現のめどがもしわかればお聞かせいただきたいと思います。 この3点、お願いいたします。
◎子ども家庭部長(橋本隆) ただいまの保育所待機児童の件についてのお尋ねでございますが、平成29年度につきましては賃貸型物件を中心に整備を進めてきたところでございます。しかしながら、募集がございました案件で保育所として活用可能な物件が少なかった、そのことによりまして当初の計画より整備が進まなかったというところが現状でございます。そのことを顧みまして、今年度は新たに、先ほど御説明をさせていただきましたマッチング事業を創設いたしまして、区のほうも積極的に土地の選定等を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
◎都市計画部長(新井建也) 新宿駅のやさしい空間を創出するということと、超高層ビル化についての関係についての御説明でございます。 整備方針では、先ほども答弁で御説明したように、線路上の空間、またユニバーサルデザインを踏まえたわかりやすい、利用しやすい駅や広場を整備するということであります。そのためには、これまで以上に空間が必要になります。こういった空間を、今まである空間以上に大きな空間を用意するためには、土地の高度利用がどうしても不可欠だというようなことで超高層ビルを考え、想定されるということの御説明ということでございます。 ルミネエストへのエレベーターの働きかけでございますけれども、いずれにしても、新宿ターミナル協議会の中にJR東日本等も含まれてございますので、その中で積極的に働きかけているところでございます。 新宿駅については基本ルールを策定しておりますので、新宿ターミナル協議会の基本ルールの中で進めているところでございますので、明確にJR東日本のほうから返事が来ている状況ではございませんけれども、引き続き働きかけていきたいというふうに考えております。
◆20番(阿部早苗) 再質問に対する答弁、ありがとうございました。まだちょっと十分というふうに私自身は受けとめられませんけれども、特に超高層ビルとやさしい空間づくりの結論と、その目的とするところというものの因果関係や説明が、ちょっと私には率直に言ってよくわかりませんけれども、とりわけ障害のある皆さん方にとっては、2040年に、そうなったときにどういう青写真が出るのかわかりませんけれども、今目の前にあるバリアフリーがこんな状況の中で、幾ら説明されてもちょっと理解できないというのは意見としてはあると思います。 特に私も東口のエレベーターについては、亡くなった友人がしょっちゅうそのことについては悲しんでおりましたので、一日も早くエレベーターが利用可能になるように尽力していただきたいということを御要望申し上げて終わります。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(佐原たけし) 次に、17番久保広介議員。 〔17番 久保広介議員登壇、拍手〕
◆17番(久保広介) 立憲民主党・無所属クラブの久保広介です。平成30年第2回定例会に当たり、会派を代表して区長と教育委員会に質問いたします。どうか誠意ある御答弁をお願いいたします。 まず、保育士の確保について伺います。 毎年、年度が変わると報道などで待機児童問題が大きく取り扱われます。多くの待機児童が出てしまったところ、待機児ゼロを達成したところ、それぞれがニュースとなり、各自治体での保育にまつわるさまざまな問題や課題が指摘され、取り組みが紹介されてきました。新宿区においては、平成30年4月時点で、昨年27名からほぼ横ばいの25名の待機児童が出てしまいました。 現在、待機児童を抱える地域では、新たに保育施設をつくろうとしても保育士が足りないという問題が発生しており、特に23区では深刻化しています。以前に行われた朝日新聞の都内の自治体アンケートでは、「事業所が保育士を集められていない」などとして保育士不足と回答した7区3市の中に新宿区も入っており、確保できた割合が85%とされていました。そうした中、「保育施設の4分の1は保育士が足らず、うち2割弱は職員不足を理由に児童の受け入れを制限している」ことが独立行政法人福祉医療機構の調査でわかりました。同機構では、「保育士確保は今後さらに難しくなる。中長期的に働き続ける体制整備が必要だ」としています。 では、なぜ保育士がふえないのでしょうか。保育士登録している約3万2,000人を対象に都が行った「東京都保育士実態調査」によると、保育士に就業している人の2割が退職を考えており、最も多い理由は「給料が安い」、次いで「仕事量が多い」、「労働時間が長い」と続きます。そうした待遇の問題や結婚などを理由に、年平均8.4%が離職するとのデータもあり、それを見越した上での人材確保が求められることも問題解消をさらに難しくしています。これらのネガティブファクターを国任せにせず、区独自の取り組みで取り除くことができるかが新宿区の待機児問題解消への大きな鍵となるのではないでしょうか。そこで今回は、保育士の処遇改善など、保育士確保のさらなる一手についてお尋ねいたします。 まず、保育士の賃金の問題です。 公立園では公務員に準じた給料となりますが、私立園の給料は国が決める公定価格がベースとなります。そして、これに利用する子どもの数を掛け合わせた額が委託費として園に支払われます。つまり、公費と保護者が払う保育料が私立園の保育士の給料となります。政府は、「保育士の処遇を月額3万円相当上げる」としてきましたが、しかし、現実的には計算どおりになっていないと言われています。なぜなら、実際に働いている保育士数が国の配置基準を上回るケースが多く、配置基準数より実際の職員数が多ければ一人ひとりへの額が下がるのは当たり前です。 また、委託費の使途については園の裁量に任せているのが実態であり、その使途について問題があるとも言われています。2015年度に行われた都内23区にある733カ所の保育園の財務諸表の調査結果では、保育園を経営する株式会社と社会福祉法人などで合計280億円以上の委託費が本来の目的以外に使われていたとされています。中では、委託費の7割から8割に相当する人件費が給与以外に流用されているケースもあったとのことです。 こうした調査結果を受け、保育行政における税金の使途や効果を確かめる動きも出てきています。保育士の処遇改善のために独自に補助金を出す足立区などでは、保育士の賃金台帳を確認するなど対策を講じています。また、千葉県松戸市では、保育士に渡す給与明細に補助分を明記させるなどして確認を促しているとのことです。 ちなみに、平成28年度決算時点での新宿区における私立保育所委託費は27億3,000万円余となっており、私立こども園施設型給付費の5億9,000万円余も加えると、総額で33億3,000万円余となっています。 そこでお聞きします。 「民間のすることなので、ある程度自由に使ってもらう」と園の裁量任せにせず、人件費が給与以外に流用されているケースなどへの対策として、足立区や松戸市のようにチェックする体制づくりが必要と考えます。区は、委託費の使途についてどのようにお考えか、お伺いします。 次に、千代田区では、国・都の制度に上乗せして、区独自で常勤保育従事職員に対して1人月額3万円を処遇改善に係る経費として補助しています。また、杉並区でも、区内で使える商品券5万円分を区内の私立保育園に勤務する保育士に配布しています。こうした保育士等処遇改善加算や支援の方法について、区のお考えをお聞かせください。 また、荒川区では、保育士を目指す区民に入学金などを貸し付け、区内私立保育園で5年間働いた場合には全額返済を免除する制度があります。ほかにも、足立区では、私立保育園で働きながら奨学金を返済している保育士に年10万円を最長3年間補助する全国初の取り組みで保育士の確保に努めています。こうした資格取得や奨学金返済における支援で保育士を確保し、流出を防ぐ取り組みについて、区はどのようにお考えか、お伺いします。 次に、仕事量や労働時間の問題についてです。 「早朝から夜まで勤務が不規則な上、昼の休憩もまともにとれず、家庭に配る便りや各種報告書などは自宅に持ち帰り作成している。保護者に喜ばれる運動会などの行事準備も実質的にサービス残業となっている」と、現場からは悲鳴のような声を聴きます。施設をふやしても、職員不足のしわ寄せから激務でやめていく保育士がふえてしまうといった、まさに現場は保育士が不足する負のスパイラルにはまり込んでしまっていると言わざるを得ません。 そこでお聞きします。 まず、保育士の労働状況を新宿区はどのように把握されているのでしょうか。同様の過重労働が取り上げられている小・中学校の教職員については、先般、アンケート調査なども実施され、状況を把握する取り組みがなされました。現在はヒアリングや通報からの現場調査は行われているようですが、アンケート調査なども取り入れて、さらに就業状況把握に努める必要があるものと考えます。区の御見解を伺います。 また、保育士の負担軽減策として、事務職員や補助職員の拡充のみならず、保育園にもカウンセラーの配置や巡回などをさせて、保護者や保育士のさまざまな相談事に対応させるといった動きが出てきました。こうした保育士の負担軽減策について区はどのようにお考えか、お尋ねします。
◎区長(吉住健一) 久保議員の御質問にお答えします。 保育士の確保についてのお尋ねです。 初めに、委託費の使途についての考え方についてです。 国は、平成27年9月に「私立保育所に関する委託費の経理等について」という通知を発出し、保育所において適切な保育を実施するために、委託費について一定の使途範囲を定めています。その中で、給与規程を整備するなど人件費の運用が適正に行われることを基本とし、処遇改善加算については職員の給与に充てるよう、使途を限定しています。加えて、修繕積立等の各種積立資産については事業活動収入の5%までとするとして、必要以上の蓄えを抑制し、人件費や事業費などとして適切に運用することを求めています。 区では、国が発出する通知のとおり委託費が使われているか、例月の支出事務の際に細かく確認するとともに、指導検査の際には税理士も同行し、決算書や賃金台帳等の確認を行っています。また、必要に応じて東京都とも連携を行うなど体制を強化し、取り組みを進めています。 今後も、私立保育所において委託費の使途が適切であるか、引き続き確認と必要に応じた助言等を行っていきます。 次に、区独自の保育士等処遇改善加算についてです。 保育士等の処遇については、今年度も行われた国家公務員給与の人事院勧告に準拠した公定価格の改定のように、全国的な改善が望ましいと考えます。そこで、区は、国に対し、特別区長会などを通じて保育士等の人材の安定確保に取り組むことを求めています。そのため、現時点では区独自の保育士等処遇改善加算を実施する予定はありません。 続いて、保育士の確保と定着に向けた支援についてです。 区では、基準配置職員の確保が難しい状況にある事業者はいないため、区独自に保育士養成校入学金や奨学金返済の支援を行うことは現時点で考えておりません。 区において優先して解決すべき課題は、一部の園で職員の入れ替わりが多く見られる点です。そのため、保育士の定着の一助となるよう宿舎借上げ支援事業を行っています。この宿舎借上げ支援事業については、現在働いている保育士の声を受け、園におけるさらなる定着を支援するために検討した結果、今年度から勤務年数要件の緩和を行い、支援の対象を拡大しました。 今後も国や東京都の補助を活用して歳入を確保するとともに、現場の声に耳を傾け、限られた財源を有効に活用し、保育士の確保や定着に向けた支援を行っていきます。 次に、保育士の労働状況の把握及びアンケートの実施についてです。 保育士が安定して働き続けるために、園の設置・運営者による適切な労働条件や環境の確保は不可欠と考えます。区では、指導検査の際に就業規則や雇用契約の確認なども含めた実態把握を行っています。また、保育士や保護者の方から、「職員配置が少ないのではないか心配である」との御意見があった際には、速やかに現場に職員が行き、基準が満たされていることを確認しています。現時点においては基準違反や過重労働を強いている状況はありません。 今後も、施設がふえる中、区は迅速に対応できる体制を整え、労働環境等に問題があると疑われたときには即座に対応することが最も効果的と考えます。加えて、私立園の第三者サービス評価の受審結果も区で確認していますので、これらにより状況の把握はできていると認識していますので、現時点でアンケート調査実施の予定はありません。 次に、保育士の負担軽減策としてのカウンセラーの配置や巡回についてです。 まず、区立園の保育士に対しては、保育の内容等であれば園長経験者が相談に応じるとともに、健康相談等には産業医が対応する体制も整えています。また、私立園においては各事業者において保育現場をサポートする専門職員の巡回やメンタルサポートの体制を整えており、これらの仕組みが十分に機能するよう、区では必要に応じて支援を行っています。さらに、公私立問わず、園へ学識経験者や心理士の派遣を行う取り組みもしており、効果的に活用されるように周知するとともに、利用を促し、保育士の負担軽減を支援していきます。
◆17番(久保広介) 防災施策について伺います。 2011年3月11日に起こった東日本大震災から7年3カ月がたちました。1万9,630人の死者と2,569人の行方不明者を出した大災害は、私たちだけでなく全世界に大きな衝撃を与えました。今日においても被災地の復興はいまだに終わっておらず、また、残された被災者の方々の心の傷はこれからも続いていくでしょう。そのような中、新宿区に住む私たちは、被災地の方々の苦しみをともに分かち合うことと、あすに来るかもしれない首都直下地震に備え、東日本大震災を教訓に、今できることをしっかりと行っていくことしか、この震災で亡くなられた方への弔いはできないと思っています。 また、一昨年の熊本地震のように、私たちの想定をはるかに超える地震が起きていることも事実です。想定外を想定し、現在できることをスピード感を持って取り組んでいくことが新宿区政に求められているのではないでしょうか。 ことしの4月に私どもの会派で神戸市役所に視察に伺わせていただきました。阪神大震災から23年たった神戸市の防災施策を学び、少しでも新宿区政に役立てたいと思い、以下、質問させていただきます。 神戸市では、平成25年3月に「神戸市災害受援計画」を策定し、阪神・淡路大震災と東日本大震災の2つの震災からの教訓を踏まえ、支援を最大限活かすことを目的に策定された計画です。この計画は、情報処理、指揮命令、現場環境、民間活用の4つの視点から、市みずからの行政機能だけでは対応できない事態に、ほかの自治体や機関など多方面からの支援を最大限活かすことを目的としています。 受援計画は、地域防災計画の下位計画として地域防災計画に定められている業務の進め方を前提に、応援を受ける業務を対象として、それぞれのフローなどを「応援要請」、「応援受入」、「応援終了」という流れを中心に具体的に定め、地域防災計画から独立した計画として策定しました。 具体的な特徴として、1、応援受入本部の設置、2、対象業務の選定、3、指揮命令者・受援担当者の指定の3つを計画に盛り込んだことです。応援受入本部は災害対策本部内に設置され、受け入れを効率的に行うため、応援受入の総合的窓口の機能を持ちます。この窓口では、担当部が不明確な業務についての取り組みや応援自治体・機関の現地支援本部との連絡調整を主な役割とします。このことにより、支援する側の自治体や機関をスムーズに担当部署とつなぐだけでなく、震災直後の情報の混乱や錯綜を防ぐ役割も持ちます。 次に、対象業務の選定は、災害対応業務と経常業務から対象業務を選定し、受援が必要な業務を事前に選定しています。このことは非常に重要であり、職員が受援が必要な業務を事前に理解することにより業務の優先順位が明確化することと、各部署の受援業務が明確化することです。 次に、指揮命令者・受援担当者については、業務ごとに指揮命令者を明確化し、支援を要する業務ごとに、指揮命令者とは別に応援職員などに対する受援担当者を複数名指名しています。これにより業務ごとの指揮命令系統がはっきりし、また、これらを受援シートに落とし込み個票として準備することにより、震災時の職員の一人ひとりの役割や動きを事前にロールプレイングする訓練が容易になったとのことです。 ここでお聞きします。 現在、新宿区においては、他自治体・機関からの支援はどのように受援する体制をとっていますか。特に震災時にはさまざまな支援の依頼があると思いますが、現在はその連絡はどこで受けて、どのように対応することとなっているのか、お聞かせください。 2つ目に、新宿区において多数ある業務の中、このような観点で受援が必要な業務をあらかじめ分類し、訓練などに活用することは重要だと考えますが、見解を伺います。 3つ目に、この神戸市の受援計画は、業務継続計画(BCP)と連動する形でつくられ、震災後、ある程度の期間がたった後は業務継続計画につながっていくものとして整合性を図っています。新宿区においても業務継続計画は策定されておりますが、その中の非常時優先業務には、ほかの自治体・機関からの支援がないとなかなか進められないものもあると思われます。BCPの改定の際には受援という視点での業務の選定も必要かと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。 次に、災害時要援護者についてお伺いします。 平成25年6月の災害対策基本法の一部改正により、地方公共団体は避難行動要支援者名簿の作成が義務づけられ、また、本人の同意がある場合は名簿情報を提供することができることとなりました。4月に訪れた神戸市では、神戸市会議員の提案による条例として平成25年2月に「災害時の要援護者への支援に関する条例」が可決され、4月より施行されました。この条例の特徴は、要援護者の個人情報を地域に提供する際の手続を規定し、また、不同意の意思表示のない方は同意と推定する「みなし同意」を規定している点です。 私たちの新宿区でも、申請方式の「災害時要援護者名簿」の登録者は平成30年6月1日現在2,812人となり、その名簿の提供先も、民生委員だけでなく町会・自治会にも配布されています。しかし、安否確認をするつもりだが、その結果をどこに報告したらよいのかわからず、名簿を受け取った町会・自治会の方も「どこまで責任を持てばよいのか」との声も聞きます。 ここでお聞きします。 65歳以上の高齢者が6万7,544人いる新宿区において、発災直後の安否確認が命を守る上で非常に重要なことだと思いますが、現在の災害時要援護者名簿の登録への取り組みはどのように行っているのか、お答えください。 また、新宿区においては、災害時に対象者の安否確認の結果の取りまとめをどのように行い、また、そのことを名簿の提供者にどのように伝えているのか、お聞かせください。 次に、避難場所について伺います。 避難場所は震災時だけでなく、大規模火災が起こった場合に避難する場所となります。私の住む神楽坂地域は、西側で起こった火災の際には後楽園一帯に避難し、東側から起こった火災の際には早稲田大学周辺や戸山ハイツ一帯に避難することになります。私は新宿区で生まれ育っていますが、これまで避難場所への避難訓練には参加したことがなく、日ごろの生活の中で避難経路などをシミュレーションしているのが現状です。 そこで伺います。 これまで避難場所の訓練は行ったことがあるのか。また、区民への周知はどの程度進んでいると考えているのか。さらには、今後大規模火災を想定した避難場所への避難訓練や避難場所の周知についてどのようにお考えか、お答えください。
◎区長(吉住健一) 防災施策についてのお尋ねです。 初めに、他自治体等からの支援に対する受援体制についてです。 23年前に発生した阪神・淡路大震災以降、震災等で被災した地域に対して官民挙げた全国的な支援が実施され、自治体からも職員の派遣や物資の支援が行われていることから、支援を受ける側の受援体制整備の重要性が指摘されるようになってきました。 現在、区では、伊那市、沼田市、北杜市などと協定を締結し、災害時の相互支援体制を整備しています。また、特別区においては、特別区災害時相互協力及び相互支援に関する協定に基づき、被害が少ない区が連携して支援を行うとともに、都は、被災区と支援団体との総合調整を行うこととなっています。 区内部の受援体制については、地域防災計画において災対総務部が区全体の受援に関する事項を総括し、応援職員や支援物資の受け入れ等の連絡・調整を行います。また、応急医療や応急危険度判定など専門性の高い業務については、災対各部が災対総務部と連携を図りながら、直接支援団体と調整を行うこととしています。 熊本地震では応援受援体制の重要性が再認識されたことから、都は、国の地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドラインを踏まえ、区市町村と連携して平成30年1月に「東京都災害時受援応援計画」を策定しました。現在、本計画に基づく区市町村受援体制ガイドラインの策定が都及び区市町村で構成される検討会で進められていることから、区の受援体制についても本ガイドラインを踏まえ実効性を高めてまいります。 次に、受援が必要な業務の分類と訓練などの活用、受援の視点での業務の選定についてです。 現在、地域防災計画において受援が必要な業務と業務概要、所管部署を明示しています。また、災対各部では事業継続マネジメントに基づき、毎年非常時優先業務を踏まえた研修や訓練を実施し、応急活動マニュアルの見直しを行うとともに、PDCAサイクルによる持続的な改善に取り組んでいます。 受援計画と事業継続計画との連動については、地域防災計画で定める受援調整体制と事業継続計画による非常時優先業務と職員体制を整理しています。現在策定中の区市町村受援体制ガイドラインを踏まえ、事業継続計画との連動や整合性などについても今後検討してまいります。 次に、災害時要援護者名簿についてのお尋ねです。 災害時要援護者名簿の登録については、これまでも特別出張所など区施設等に登録案内と申出書を備えるとともに、町会・自治会、民生委員・児童委員などの協力も得ながら勧奨を進めています。 今後もさまざまな機会を捉えて勧奨に取り組むほか、名簿登録者には家具転倒防止器具の取りつけを無料で行えることを案内するなど、工夫した勧奨にも努めてまいります。 災害時の民生委員・児童委員及び防災区民組織による名簿登録者の安否確認の結果については、各避難所で集約し、必要な支援につなげていきます。今後、名簿を活用した支援の仕組みについて、民生委員・児童委員及び防災区民組織への名簿配布時にフロー図などでわかりやすく示すなど、丁寧に周知してまいります。 次に、避難場所についてのお尋ねです。 避難場所は、大規模震災による延焼火災から身を守るために避難する場所として都が指定し、区が運用することとなっており、現在、区には新宿御苑など12カ所が指定されています。東日本大震災の際は、新宿御苑と新宿中央公園に職員を派遣し、情報提供や文化センター等施設への誘導を行いました。 避難場所を活用した実動訓練については現時点では実施しておりませんが、平成23年度から平成25年度の区政モニターアンケートにおける避難場所、避難所の認知度は各年度7割台となっていることから、一定程度の周知は図られていると考えています。 一方、地域の防災勉強会等においては、一時集合場所、避難所、避難場所の違いについての質問を受けることが多いため、今後も避難所運営管理協議会や地域団体等の防災勉強会など、さまざまな機会を通して安全かつ適切な避難行動について周知してまいります。また、訓練については、防災区民組織の自主訓練や避難所防災訓練の際に消防・消防団とともに連携し、避難場所への避難について実動または図上訓練の実施を呼びかけてまいります。 さらに、これまでの新宿区避難場所地図に加え、来年度、特別出張所地区ごとに避難所や避難場所等をよりわかりやすく記載した地域別防災マップの全戸配布を予定しています。これらのマップなども活用し、区民が発災時に適切な行動をとることができるよう周知啓発を行ってまいります。
○議長(佐原たけし) ここで、議事進行の都合により休憩します。
△休憩 午後0時01分
---------------------------------------
△再開 午後1時20分
○議長(佐原たけし) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。
◆17番(久保広介) 次に、学校における危機管理体制とはしか対策について伺います。 2011年3月11日、東日本大震災に伴う大津波によって、宮城県石巻市の大川小学校では学校周辺にも海水が押し寄せ、児童、教職員計84人が死亡・行方不明となり、助かったのは児童4人と教職員1人だけでした。その後、子どもたちの遺族が石巻市や宮城県を相手取って損害賠償を求める裁判を起こし、ことしの4月26日、仙台高等裁判所が石巻市に対し約14億4,000万円の賠償を命じました。石巻市は、この判決を不服として上告するようですが、多くの子どもの命が奪われた原因について、自治体と住民が最高裁まで争わなければならない事態は大変悲しいものです。学校において子どもたちの命を預かる自治体は、この事件から教訓を引き出し、同様の事態が生じないよう対策を講ずる必要があります。 仙台高裁判決では、学校の設置者である市の教育委員会には、学校保健安全法により子どもたちの安全確保義務があることを前提に、大川小学校は学校ごとの危機管理マニュアル改訂時に具体的な災害状況を想定して避難場所や避難経路を決定すべきであったにもかかわらず、これを怠ったと認定し、さらに市教育委員会も学校のマニュアルを確認し、不備があれば指導する義務を怠ったと認定しています。 新宿区では、震災時に津波が押し寄せる危険はありません。しかし、校舎などの損壊や地震に伴う火災などの場合に備え、「区立学校危機管理マニュアル」において学校が使用できなくなり避難場所等に避難する場合について定めています。これによれば、地震による火災や施設の大規模な損傷などにより学校の安全が確保できないと判断した場合は、学校長は避難場所、あるいはその他二次的な避難場所として学校があらかじめ定めた場所への避難を指示するとされています。ただ、どの経路を通れば安全であるかを勘案して避難経路をあらかじめ定めておくことは規定されていません。 ここで伺います。 仙台高裁判決では、教職員が頻繁に入れかわる小・中学校という組織の実態は当該学校の実情を継続的に蓄積できる体制にはなっておらず、同一の小・中学校について、継続的にその事実を蓄積しやすい立場にあるのはむしろ市教委であると指摘し、そのことを前提に、教育委員会は、学校外に避難しなければならない場合の避難場所及び避難経路について学校ごとのマニュアルの内容を把握・確認し、適切な指導を行う必要があるとしています。教育委員会から各学校にマニュアル作成を任せてあるといった姿勢では不十分ということになりますが、新宿区において、この点の対応はどのようになっているのでしょうか。お聞きします。 また、仙台高裁判決は、災害時に学校に生じる可能性のある状況を想定する際には、学校周辺の地理的環境等に関する地域住民よりはるかに高い水準の知識、経験を持って対策を講じなければならないと指摘しています。この点について、新宿区において考えうる対応策についてお聞かせください。 最後に、今回の仙台高裁判決は、教育委員会と学校長の双方に相当高い注意義務・作為義務があることを示唆しています。現実問題として、そこまでの義務の履行は難しいという印象も受けますが、義務教育制度のもとで多くの子どもたちの命を預かる以上、十分な対応が求められています。新宿区においても、「新宿区立学校危機管理マニュアル」の運用体制について各学校に注意喚起し、また、教育委員会自身において改定などを検討しなければならない部分も出てくるのではないかと思われますが、今後の検討方針についてお聞かせください。 次に、はしか対策についてお聞きします。 ことしに入り、沖縄県ではしかに感染した患者が急増し、ほかの都道府県にも感染例が報告されるといった問題に注目が集まっています。はしかは空気感染する病気であり、ワクチン接種などにより抗体を持つ人には感染しにくい一方で、抗体を持たない人が感染すると重篤な症状に至ることもある恐ろしい病気です。新宿区では、ウエブサイト上で「麻しん(はしか)にご注意ください」という表題のページを設け、区民に対する情報提供及び注意喚起を行い、さらに予防接種の勧奨を行っています。 まず、新宿区において区内のはしか患者の状況についてどのように把握しているのか、お聞かせください。 区内での流行を防止するためには、医師会と連携して対策を講じるとともに、ワクチン接種を希望する人が確実に接種を受けられる体制を確保する必要があります。他方で、報道などによれば、各地の医療機関ではしかワクチンの不足が問題となっているようであり、新宿駅の駅ナカのクリニックの医師がはしかのワクチン供給に問題があると指摘する新聞投書も目にしました。区のホームページにはそのような状況が生じていることを伺わせる記載はありませんが、区内の医療機関におけるはしかワクチンの確保状況について、どのように把握しているのか、お聞かせください。 また、今後ワクチン不足が生じた場合、区民に対して確実にワクチン接種を受けられる医療機関を案内する必要が生じると思われますが、その場合の対応についてどのような方法を検討しているのか、お聞かせください。 学校では、インフルエンザもそうですが、はしかにおいても教師や子どもからほかの教師や子どもに二次感染するといった感染の連鎖が生じ、また、子どもたちから家庭にウイルスが持ち込まれることにより、区民にとっての感染症のハブとなってしまうことが考えられます。感染症の流行を防止するためには、学校における感染予防が重要です。学齢期の子どもたちは、原則としてはしかの予防接種を受けることになっていますが、全員が抗体を持っている保証はありません。そこで、子どもたちのワクチン接種状況を確認し、接種していない子どもへの接種勧奨をどのように行うのか。特に外国の子どもたちが多い新宿区の特性を踏まえた対策が必要と思われますが、教育委員会の対応方針をお聞かせください。 また、仮に学校においてはしかに感染している子どもの存在が確認された場合、二次感染防止と学校運営継続の双方を適切に行うことが必要ですが、教育委員会においてその対応はどのようになるのか。また、子どもたちと接することの多い学童クラブや放課後子どもひろば、図書館や児童館などの指定管理者や委託先の職員へはどのように指導しているのか、あわせてお答えください。
◎区長(吉住健一) 学校における危機管理体制とはしか対策についてのお尋ねです。 初めに、区内の麻しん患者の状況についてです。 区内の医療機関で麻しんと診断された場合、患者発生届が保健所へ提出されます。3月の沖縄県での感染拡大以降、保健所では1例の発生届を受理しています。 御指摘のとおり、麻しんは空気感染をする感染症で、麻しんに対する免疫を十分に持たない人の間で感染が拡大するおそれがあります。しかし、区で届け出を受けた1例を含め、都内で報告されている11例はいずれも散発事例にとどまり、感染拡大は起きていない状況です。 次に、区内の医療機関における麻しんワクチンの確保状況等についてです。 現在、麻しんの予防接種では、主に麻しん・風しん混合ワクチンが使用されています。厚生労働省によると、ワクチンの在庫については不足しない見込みとのことです。 なお、ワクチンが不足しているとの指摘については、一般的には子どもの定期予防接種を優先しているため、大人の希望者に迅速に対応できない状況が生じているためと思われます。ワクチンについては現状では不足しておりませんが、万一不足した場合は、国や都による広域的な調整が行われます。各医療機関におけるワクチンの在庫は日々変化しますので、確実に接種を受けられるところを紹介することは困難ですが、予防接種を実施している医療機関を案内するなど丁寧に対応していきます。 次に、子どもたちと接することの多い学童クラブや放課後子ども広場、児童館等の指定管理者や委託先の職員への指導についてのお尋ねです。 はしかなど感染症に罹患した子どもは、二次感染防止のため利用の自粛を求めています。また、利用中の子どもが感染していることが確認された場合は、別室等を確保し隔離の上、保護者に早目のお迎えを要請するよう指導しています。さらに、免疫を持たない大人を通じた感染拡大を予防するため、職員の罹患歴及び予防接種歴を確認するとともに、感染のおそれのある職員について接種を検討するよう周知を行いました。引き続き適切な対応をとるよう、指定管理者等に対し指導してまいります。
◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 初めに、仙台高裁判決を踏まえ、学校ごとの危機管理マニュアルの内容確認と指導についてのお尋ねです。 多くの児童・教職員が犠牲となった大川小学校を襲った津波による浸水被害については大変悲しいことですが、学校と教育委員会に課せられた安全義務については、今後の最高裁の判断を注視しているところです。 教育委員会では、校長、副校長、生活指導主任及び教育委員会事務局職員で構成する検討委員会を組織して検討を重ね、平成23年4月に全国共通となる現在の「新宿区立学校危機管理マニュアル」を定めました。各学校は、これに組織図や名簿など独自で定める事項を所定の箇所に差し込み、学校ごとのマニュアルを作成しています。 今後は、学校外に避難しなければならない場合の避難経路の設定についてマニュアルに盛り込むとともに、教育委員会で毎年実施している各校における防災の取り組みに関する調査の中で避難経路の設定についても確認していきます。 次に、災害時に学校に生ずる可能性のある状況を想定する際の、区における考えうる対策についてのお尋ねです。 学校外に避難しなければならない場合の避難場所及び避難経路の設定に当たっては、学校周辺の自然的環境や社会的環境について把握・理解し、火災や土砂災害等の被害が発生することを考慮して複数の避難経路を設定することが必要であると考えます。建物が密集する新宿区では、避難経路の選定に当たっては、区が作成するハザードマップに基づき、火災や建物の倒壊のほか、液状化等の可能性を想定するとともに、消防や警察などの関係機関の指導・助言を得た対策を講ずることが必要であると考えます。 次に、危機管理マニュアルの運用についての各学校への注意喚起と、今後の改定などの検討方針についてのお尋ねです。 学校における防災に当たっては、児童・生徒にとって安全な環境を整備し、災害の発生を未然に防ぐための対策を講ずることが必要です。そして、災害の発生時には適切かつ迅速に対処できるよう、危機管理マニュアルに基づく訓練の結果や、マニュアルを運用していく中で得られた課題等を検討し改定することで、より実践的なマニュアルとすることが大切であると考えています。 現在、教育委員会では、校長や危機管理課長、特別出張所長などの関係各課も含めた学校防災連絡会を毎年開催し、講ずべき対策について検討するとともに、必要に応じてマニュアルの検証・見直しを行っており、今後もこうした取り組みを継続してまいります。 次に、子どもたちのワクチン接種状況の確認と、接種していない子どもへの勧奨についてです。 教育委員会では、ことしのはしかの流行を受け、5月の連休前に区立学校を通じて児童・生徒の保護者にはしかの予防接種を勧奨しました。 これまでも区立小学校では、就学前健康診断のときに母子手帳の持参を保護者にお願いし、予防接種状況を確認した上で健診票に記録していることとあわせ、予防接種の勧奨を行っています。しかしながら、外国からの転入などで接種状況が確認できていない児童・生徒がいることから、はしかの危険性や予防接種の効果などを引き続き周知するとともに、外国籍の児童・生徒の保護者向けに多言語の予防接種勧奨のお知らせを作成し配付することにより、予防接種率の向上に取り組んでまいります。 次に、学校ではしかに感染した子どもが発生した場合の対応についてです。 はしかは感染力が強く、免疫を持たない人が同じ部屋にいた場合、90%以上の確率で発症すると考えられています。既に文部科学省からは「学校における麻しん対策ガイドライン」が示されており、はしかの予防、発生時の対応について各学校に周知を行っているところですが、感染者が確認された場合は、学校保健安全法に基づき、保健所や学校医と協議の上、予防接種未接種者の出席停止などの感染拡大防止策を実施します。また、各学校が対応をより迅速に行うために、保健所や医師会学校医会の意見をいただきながら、区立学校における緊急対応手順について現在作成を進めています。 はしかは潜伏期が約10日から12日と長いため、罹患者の発生状況によっては学級閉鎖などにつながる可能性があることから、学校運営継続の観点からも確実な予防手段のある予防接種の勧奨をさらに推進してまいります。 はしかは子どもだけでなく、免疫を持たない大人へ感染が多く確認されていることから、学校関係者だけでなく、子どもが多く利用する図書館の指定管理者に対し、現在実施している注意喚起に加え、施設職員の予防接種歴の確認と未接種者などへの勧奨を行うよう指導してまいります。また、区内の医療機関で感染者が確認された場合には、健康部の指導に沿って施設管理者に適切な情報提供を行うよう指導してまいります。
◆17番(久保広介) 住宅施策について伺います。 私は、これまで、この新宿区に「いつまでも住み続けたいと思われるまちにしたい」そして、「住み続けられるまちにしたい」という思いで議員活動を続けてまいりました。住宅施策は、これからの新宿区をどのようなまちにしていくのか、また、住み続けられるまちをつくっていく上での大変重要な施策であることは言うまでもありません。 時代背景や人口構成などにより住宅施策も大きく変わります。だからこそ、今の新宿区の人口構成、時代背景を踏まえた定住化施策をしっかりとつくり上げていくことが重要です。そして、20年後、50年後の新宿区をどのようにするのかを思い描き、今から施策を進めていく必要があります。吉住区長は将来の新宿区の姿をどのように思い描いているのか、そして、そのためにどのような住宅施策を展開していかれるおつもりなのか、お聞きします。 これまでの新宿区の住宅施策を振り返ってみると、「区営住宅」や「区民住宅」を確保し、また「民間賃貸住宅家賃助成事業」などを行ってきました。平成10年度から始まった「民間賃貸住宅家賃助成事業」は、当時の新宿区として若い人に新宿区に定住してもらいたいということから学生単身者向けの枠を設け、また、子どもがふえ、部屋数を確保するため区外への転居を考えざるを得ない家庭向けにはファミリー世帯向けの枠を設定して行ってきました。しかし、その原資となる「定住化基金」が平成31年度の半ばに底をつくと聞いております。20年にわたり行ってきたこの事業の定住化率はどうだったのか、また、この事業の総括をどのようにされているのか、お聞きします。 平成30年4月1日現在の新宿区の人口は約34万3,000人で、そのうち65歳以上の高齢者が6万7,544人であり、全体の19.7%となっています。そのうちの40.8%に当たる2万7,563人がひとり暮らしとなっており、私たちの住む新宿区はひとり暮らしの高齢者が非常に多いことがわかります。また、配偶者が亡くなり年金収入が減り、現在の住まいに住み続けることが困難になる方も多くいらっしゃいます。そして、住みなれた新宿を離れることにより、かかりつけ医がかわったり、今まで携わってきた地域コミュニティを失ってしまうことも考えられ、その方のこれまでの人生や今後の希望も奪ってしまうことになりかねません。新宿区に住み続けたいと思う方がいつまでも住み続けることができるように手を差し伸べることが、今の新宿区政に求められているのではないでしょうか。 平成29年度の高齢者総合相談センターの相談件数は5万4,072件で、そのうち909件が住宅相談であり、センターの職員の方の話では、ここ数年住宅に関する相談がふえてきているとのことでした。また、新宿区住宅マスタープランでは、少子高齢化対策の必要性を挙げて、高齢者の居住の安定と子育て世代への対応を課題としています。さらには、今後地域包括ケアシステムを構築する上で住居の確保と安定が必要不可欠であることは言うまでもありません。 ここでお聞きします。 現在の高齢者の住宅事情をどのように把握しているのか。そして、今後の高齢者へ向けた住宅施策をどのように行っていくつもりなのか、お聞きします。 これからの高齢者の住宅相談は、多様化する高齢者の生活実態に合わせ、介護施設だけでなくサービスつき高齢者向け住宅のような居宅サービス施設も相談の対象になると思われます。さらには、配偶者の死亡などにより賃貸住宅への住みかえなどの相談もふえてくることでしょう。このような相談の多くは、地域で中心となる高齢者総合相談センターに寄せられることが想定されます。 ここでお聞きします。 現在、高齢者総合相談センターにおいて高齢者個人の状況に応じた住まいのアドバイスをどのように行っているのか、お聞きします。 今後、より区民に寄り添った相談を受けるには、高齢者総合相談センターの職員の住宅相談のスキルも向上していかなければなりません。それだけでなく、区内において高齢者受け入れ可能な住宅情報をセンターの職員に提供していく体制づくりが必要ではないでしょうか。そのためには、例えば現在協力をいただいている宅地建物取引業協会のサイトを活用し、住宅課で整理をした情報を高齢者総合相談センターのパソコンでも見られるようにするなど、住宅課との連携の強化が不可欠だと考えますが、いかがでしょうか。 最後に、居住支援協議会についてお聞きします。 国において「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」、いわゆる住宅セーフティネット法の改正が平成29年10月に行われました。この法律は、公的賃貸住宅供給の促進及び民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関し必要な施策を講じることを目的とし、今回の改定では具体的な制度に関する規定などが盛り込まれました。現在、23区では、7区が独自で「居住支援協議会」を設置し、さまざまな取り組みを行っています。この改正により、新宿区として「居住支援協議会の設置の検討」など考えていることがあればお聞かせください。 以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一) 住宅施策についてのお尋ねです。 初めに、将来の新宿の姿と住宅施策についてです。 新宿区は、商業・業務・文化・居住等、多様な機能が集積する都市です。また、国内外のさまざまな人が住み、働き、学び、集う、懐の深いまちです。新宿区に愛着と誇りを持ち、誰もが住みたい、住み続けたいと思えるような、発展し続ける新しい新宿のまちを創造していきたいと考えています。 こうした新しい新宿のまちを実現するために、子ども、障害者、高齢者、外国人等に優しい暮らしづくりや、安全で安心な住まいづくり、地域コミュニティが形成された魅力ある住環境づくりなど、誰もが心豊かに暮らすことができる住宅施策を進めてまいります。 次に、民間賃貸住宅家賃助成事業についてのお尋ねです。 この事業は、急激な人口減少への対策として、居住者の家賃の一部を助成することで定住化の促進を図るために開始した制度です。この事業の定住化率については、助成期間終了後、引き続き10年間以上居住した世帯がファミリー世帯で165世帯、55%、単身者世帯で35世帯、15%でした。ファミリー世帯については、時間の経過とともに緩やかに転出しているものの、半数を超えた世帯が定住しています。また、単身者世帯については、学生、勤労単身者世帯の高い流動性から見て、15%が定住していることから一定の効果があったものと考えています。 次に、現在の高齢者の住宅事情と今後の住宅施策についてのお尋ねです。 平成27年の国勢調査によると、区内に住む高齢者の単身世帯は約2万2,000世帯で、そのうち約4割の約8,000世帯が民間賃貸住宅に住んでいます。高齢者等に対する住宅相談では、建替えに伴う立ち退き要求や、高齢者であることを理由に入居を断ること、建物がバリアフリーに対応していないことなどの御相談を受けています。 高齢者等が安心して民間賃貸住宅に住み続けられるよう、区は、建替えに伴う転居費助成や家賃等債務保証料助成、住替え先の紹介を行っています。また、介護の支援が必要と認められる方へは手すりの取りつけなど住宅改修費用助成を実施しています。今年度からは家賃等債務保証料助成の保証会社をふやすとともに、住宅相談の実施日数を拡大しています。 今後は、こうした事業をより多くの高齢者に利用していただけるよう周知啓発を行ってまいります。 次に、高齢者総合相談センターが受けている住宅に関する相談についてのお尋ねです。 高齢者総合相談センターが住まいに関する相談を受けた際は、不動産取引に関する資格を持っていないこともあり直接的な相談業務は行っていませんが、住宅課が実施している専門の相談員による住宅相談につなげたり、不動産業者を案内するなどの対応をしています。また、必要に応じてサービスつき高齢者向け住宅や養護老人ホーム等の説明も行うなど、個人の状況に応じてきめ細かな対応を図っているところです。 今後は、住宅・建築・福祉に携わる関係団体と区の意見交換の場である「新宿区高齢者等の住まい安定確保連絡会」などを活用し、これまで以上に福祉部門と住宅部門の連携を強化してまいります。 次に、居住支援協議会についてのお尋ねです。 高齢者を初めとする住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を支援することは大変重要と認識しています。区では、住宅確保要配慮者への支援策として、地域で活動する不動産業団体と連携した住宅相談や家賃等債務保証料助成事業等を実施するとともに、住宅・建築・福祉に携わる関係団体と区の意見交換の場として「新宿区高齢者等の住まい安定確保連絡会」を設立し、居住の安定化に取り組んでいます。 御指摘の居住支援協議会については、既に東京都は設置しています。区は、今年度から東京都居住支援協議会にオブザーバーとして参加し、区の位置づけや役割など、設置することの必要性について検討してまいります。
◆17番(久保広介) 区長並びに教育委員会から丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございました。 1点だけちょっと気になったのが、避難場所の周知といいますか、区民の方の認識が7割程度だと。それが私は少ないなと感じたんですね、困るなと。やはり7割、先ほどの区長の答弁だと7割も確認しているというふうに私はとれたものですから、やはりそれは7割では、私は命を守る区政としては、やはりもっと100%をもちろん目指してやってもらいたいし、避難場所は火災の際に逃げる場所でありますが、東京都と一緒に、やはりその趣旨も含めてやっていただきたいということ、これは意見を申し上げて質問を終わらせていただきたいと思います。 以上で私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(佐原たけし) 次に、30番ふじ川たかし議員。 〔30番 ふじ川たかし議員登壇、拍手〕
◆30番(ふじ川たかし) 新宿区民の会のふじ川たかしでございます。 私は、平成30年第2回定例会に当たり、新宿区民の会を代表して代表質問いたしますので、どうぞ誠意ある御答弁をお願いいたします。 アメリカのトランプ大統領は、今、この瞬間にシンガポールにおいて、北朝鮮の金正恩委員長との世紀の会談を行っております。会談では北朝鮮の非核化が焦点ですが、非核化の程度、範囲や行程については、アメリカと北朝鮮とのギャップが大きく、会談も一度では終わらないということは、しばらく継続するという可能性が高く、決裂して武力行使に至るという可能性は非常に低くなりました。これも、ことしの2月から3月に開催されました平昌オリンピック・パラリンピックでホストとなった韓国の文在寅大統領の渾身の仲介が功を奏したのではないかと思います。 アメリカのトランプ大統領は、5月8日、欧米とイランが締結しました「核合意」から離脱し、単独で対イラン経済制裁を再開すると表明し、早速実行に移しました。これは、昨年末にイスラエルのアメリカ大使館をエルサレムに移転したことと密接に関連しており、中東におけるイランの地位、経済力を下げることに腐心しております。また、トランプ大統領は、国際貿易の赤字の解消に関し、TPPへの参加を破棄すると言ってみたり、参加見直しの検討をすると言ってみたりした後、中国、日本、カナダ、EUを狙い撃ちし、品目別--これは知財とか自動車とか鉄鋼等なんですが--に高課税を課すことを決定した結果、中国、カナダとはWTOを介して係争になっております。 先週の6月8日から9日、カナダで開催されました日米欧主要7カ国、いわゆるG7サミットでは、アメリカの輸入規制の高姿勢に対し、アメリカを除く6カ国が一致団結して反発したものの、最終的には妥協に至り、首脳宣言を採択し表明したものの、トランプ大統領は帰りがけに--早退したんですけれどもツイッターで首脳宣言を否定して現在に至っております。 イタリアでは3月に総選挙が行われ、まるで全盛期の「維新の会」のようなポピュリズム政党の「五つ星運動」が大躍進し、第一党になった中道右派連合--今は同盟というふうに名前を変えておりますが--との連立協議に入りましたが、3カ月たってもいまだ組閣できず、再度総選挙の可能性もうわさされております。 マレーシアでは、5月9日に連邦議会下院、これは定数222人の総選挙が行われ、マハティール元首相、現在92歳が率いる野党連合・希望連盟が過半数の113議席を獲得し、1957年の独立以来、60年以上政権を担っていた与党連合・国民戦線に勝利し、マハティール氏が再度首相に返り咲きました。 さて、日本国内経済に目を向けてみますと、昨年のトランプ大統領の勝利以来、アメリカのダウ平均株価が好調で、ことしの1月26日に最高値である2万6,616ドルと史上最高値をつけた後、長期金利上昇問題や国際貿易への不平等関税等により、現在は2万5,000ドル前後で推移しております。これに引きずられるように、日経平均も1月23日にバブル崩壊後の最高値である2万4,129円をつけた後、乱高下を繰り返し、現在2万2,000円台で推移しております。 日本のことしの1月から3月の第1・四半期のGDP統計は、物価変動の影響を除いた実質で前期比マイナス0.2%、通年前期比でマイナス0.6%となり、9四半期ぶりにマイナス成長となり、総額は約533兆円となりました。個人の実質手取り収入は過去と比較して減っているとの新聞報道が散見されます。ことし10月からはたばこ税が増税され、来年以降も1月から国際観光旅客税、これはいわゆる出国税と言っていますが、1人1,000円、10月から消費税が2%、これは8%から10%に増税される予定でありますし、森林環境税も1人年1,000円が増税される見込みであり、消費は年々弱くなっております。 日銀は、4月27日の金融政策決定会合で異次元緩和に関し、短期の政策金利をマイナス0.1%、長期金利である10年ものの国債金利をゼロ%にイールドカーブ・コントロールし、ETFと不動産投資信託(J-REIT)の資産買い入れをそれぞれ6兆円、900億円、CP、社債についてはそれぞれ約2.2兆円、約3.2兆円で金融市場の調整を続けることになりました。 また、安倍政権は、4月8日に任期満了を迎えた日銀の黒田東彦総裁の続投に際し、副総裁に早稲田大学卒・政治経済学術院教授の若田部昌澄氏を起用しました。若田部氏はリフレ派でならしており、アメリカ、EUでは既に異次元緩和からの脱出を着々と進めてきているのに対し、日本ではそれに対する処方箋がなく、このまま進むと、あと数年でハイパーインフレの可能性がより高くなってきました。 私が4年間でやり遂げたいと考えている政策目標は「ジュク4点セット」を含め7項目あります。アメリカのトランプ大統領は「America First」をキャッチフレーズとし、小池東京都知事は「都民First」を標榜されておりますので、私としては「ジュクミンFirst」を今後キャッチフレーズとさせていただきたいと思います。 それでは、質問に入らせていただきます。 「東京2020オリンピックでのマラソン支援」について伺います。 5月31日に東京2020オリンピックのマラソンコースが決定したとの報道がありました。これは、現在いまだ建設中の新国立競技場をスタート・ゴール地点とし、まず外苑西通りを北上し、富久クロスが建っている富久西交差点を右折し、靖国通りを東進し、曙橋、市ヶ谷、飯田橋--ここまでが新宿区管内でございます--を経由して浅草寺、銀座、東京タワーをそれぞれ折り返し、皇居を経由して帰ってくるコースです。まるでこれは観光コースです。 私は、議員に当選して以来、「東京マラソン」を2回、新宿ハーフマラソンを3回走ってきました。これは新宿区内をランナー目線でチェックするためでございます。総務区民委員のときは、委員会のたびにランナー目線で感じたことを委員会の席上発表させていただいておりました。 さて、東京2020オリンピックのマラソン支援に対し、東京都はボランティアを募っており、8万人とも9万人とも言われておりますが、外国人観光客への対応を多言語対応とする計画がありますが、新宿区としてマラソンを盛り上げるために準備してきたこと、これからさらに充実させていくことについて御答弁をお願いいたします。
◎区長(吉住健一) ふじ川議員の御質問にお答えいたします。 「東京2020オリンピックでのマラソン支援」についてのお尋ねです。 区では、これまで、昨年10月に開催した東京2020オリンピック・パラリンピック開催1,000日前記念イベントや、先日開催した777日前記念イベントにおいて、箱根駅伝大会で3回の優勝の立役者となった島村清孝選手を講師に招き、走り方教室を実施するなど、マラソンを含めたさまざまな競技への関心が高まるよう気運醸成を図ってまいりました。今後も、マラソン競技のスタート・ゴールとなる新国立競技場を地元に持つ自治体として、さらなる気運醸成に取り組んでまいります。 あわせて、区内のマラソンコース沿道周辺の公園トイレ及び公衆トイレについて、多機能トイレや洋式トイレに改修するとともに、マラソンコース周辺区道への遮熱性舗装を実施するなど、マラソン競技を観戦する区民や来街者の利便性、快適性の向上に取り組んでまいります。
◆30番(ふじ川たかし) 次に、東京都の平成30年度予算から、東京都と当区との共通の取り組みを促すという観点から幾つか質問いたします。 次の質問は、「観光都市戦略」についてお伺いいたします。 東京都は、「東京2020オリンピック・パラリンピック」で外国人旅行客数を1,500万人と計画しており、その大部分が新宿・大久保かいわいを訪れると予想されております。ホテル、旅館が全く足りなくなることが予想されている中、日本滞在中のイメージをアップさせるためにも、「お・も・て・な・し」の精神で、訪日してこられた外国人旅行客の方に日本のよい伝統文化を満喫していただくことが大事だと考えております。その中でも東京都は〔都市戦略3〕に示すとおり、日本の心と東京の魅力の発信で新宿や銀座、浅草ほか全10カ所を重点整備エリアとし、エンターテインメントを広げていく施策を講じております。 そこで質問です。 当区では、東京都のオフィシャル観光サイト「GO TOKYO」のようにナイトライフ探求を積極的に発信していますか。また、〔都市戦略3〕では、大規模に集客するためにはある程度器も大きくしなければならず、MICE誘致--このMICEとは、企業等の会議・ミーティングのM、企業の行う研修旅行、インセンティブトラベルのI、国際機関・団体、学会等が行う国際会議、コンベンションのC、展示会、見本市、イベント、これはエキシビジョンとかイベントの頭文字のE、これをとって、多くの集客交流が見込めるビジネスイベントなどの総称でございます--これを誘致するのが大事だと考えております。 このMICEにカジノ--これは現在国会の法案をやっているところで、今、そのトータルのIRで面積比率3%と言われております--を加えましたIR整備法--IRとはインテグレーテッドリゾートの略です--は、本国会で成立する可能性が高いですが、当面日本国内で3カ所と言われており、今のところ東京は手を挙げておりません。しかし、当区は、京王プラザホテル等を初めとしファイブスターホテルも多く、歌舞伎町という繁華街も有し、MICE誘致やIR誘致に非常に適していると考えますが、区長の御意見をお伺いいたします。
◎区長(吉住健一) 「観光都市戦略」についてのお尋ねです。 初めに、ナイトライフ探求を積極的に発信しているかについてです。 区では、新宿を訪れた方々に新宿のまちを楽しんでいただけるよう、新宿観光振興協会と連携して情報発信等に取り組んでいます。協会では、昨年から新宿中央公園で「水と緑のイブニングバー」や「Shinjuku Share Lounge」等と連携して野外上映会の開催を行っています。また、協会のホームページやSNSにより四季に応じて夜を楽しめる観光スポットやイルミネーションなどを紹介するとともに、「新宿plus」では区内各エリアの夜の顔を紹介する「Night watch」の連載もしているところです。 今後も、新宿のまちの夜を十分に楽しんでもらえるよう、協会と連携し情報発信に努めてまいります。 次に、MICE誘致とIR誘致についてです。 新宿駅の西口地域には超高層ビルなどの高度な業務機能や大規模ホテルが集積しており、日ごろから企業や各種団体等の会議、展示会、イベントなどのビジネス交流が行われていることから、MICEとしての機能を有しているものと考えています。今後は、新宿駅を中心とした総合的なまちづくりの中でMICE機能の拡充が期待されています。 一方、カジノ施設を併設する統合型リゾート施設であるIRについては、区は、これまで場外車券売場等を設置することについて、その都度地元の方々とともに反対の姿勢を示してきたことから、IRの誘致は考えておりません。
◆30番(ふじ川たかし) 次は、「受動喫煙防止」における区の取り組みについてお伺いいたします。 日本では、一時期、「地方分権」や「道州制」が注目を集めた時期がありましたが、いつの間にか下火になっております。日本の国益と都道府県の地元の利益をはかりにかけて議論になっている典型的な例としては、沖縄の在日米軍の普天間基地から辺野古基地への移転問題がございますが、このミニバージョンとして、受動喫煙に対する国がつくる法律と、都道府県がつくる条例が位置づけられます。つまり、国が決めた改正健康増進法案を上回る基準で東京都受動喫煙防止条例で規制するということです。大きな違いは、条例では従業員に着目し、従業員、これはオーナーの親族を除く従業員が働いている場所では禁煙にするというものです。 近年、オリンピック・パラリンピック開催都市では屋内完全禁煙が標準となっておりますが、東京2020大会においては全面的な禁煙が難しいものと考えております。これは、喫煙に関しては、当区を含む各自治体は路上喫煙を取り締まってきた経緯があり、ここで屋内完全禁煙にしてしまうと喫煙者の権利を侵害することにもつながりかねないからでございます。 私は、日本の技術的な優位性を考え、たとえ屋内であっても、隣でたばこを吸っていても全く不快に感じない空調設備を開発可能だと思っておりますし、もしそれが実現すれば、オリンピックを観戦に来日される外国人旅行客に大いに感銘を与えることだと思いますが、いかんせん時間がありませんし、実施するとしても半導体製造のクリーンルーム並みのコストがかかり現実的ではありません。 当区において、まず屋内の受動喫煙防止条例の新宿バージョンを制定する意向がありますでしょうか。東京都条例が成立した暁には、誰が主体となってその条例の順守をさせるのでしょうか。東京都条例には罰則規定がありますので、例えば保健所の職員、あるいは嘱託職員が巡回するのでしょうか。御答弁をお願いします。
◎区長(吉住健一) 「受動喫煙防止」における区の取り組みについてのお尋ねです。 区は、望ましい受動喫煙を防止し、たばこを吸う方も吸わない方も心地よく過ごせる環境づくりが大切であると考え、条例により路上喫煙を禁止し、分煙と喫煙のルールとマナーを徹底してきました。また、屋内における受動喫煙防止対策として、飲食店などの事業者に対する禁煙・分煙表示の普及啓発や子どもの受動喫煙防止リーフレットの配布など、受動喫煙による健康影響防止に取り組んできました。 お尋ねの「新宿版受動喫煙防止条例」の制定についてですが、今般の改正健康増進法案及び東京都受動喫煙防止条例案が成立すると、屋内原則禁煙が実施されることになるため、さらに規制を上乗せするような区独自条例を制定する予定はありません。 都条例を順守させる主体についてですが、条例案によると知事となっており、立ち入り検査や違反した者への罰則などが規定されています。また、その業務については、保健所設置区市への権限移譲が想定されるため、区は、都と連携しながら取り組んでいくことになります。 具体的な実務のあり方について詳細は示されていませんが、取り締まりや巡回に要する人員への経費などが発生した場合は、その財源確保が課題となります。今後も、望まない受動喫煙を防止する法や都条例の趣旨に基づき、受動喫煙防止対策に取り組んでまいります。
◆30番(ふじ川たかし) 次に、「保育支援」についてお伺いいたします。 東京都は、平成30年度予算でダイバーシティの実現に向けた取り組みの中で、待機児童対策として1,576億円と、前年度に比較して195億円増額をいたしました。この政策の中で注目をしているのがベビーシッターの利用支援の仕組みです。 この保育支援については、私も以前から出生率が2.0になったフランスの制度を紹介して導入を推奨してまいりました。フランスでは、保育ママ制度で10万人の児童をカバーしておりますが、当区では、せっかく保育ママ制度を導入したものの、保育ママ--厳密には家庭福祉員といいます--に認定される方が2人と非常に少なく、待機児童解消には力不足です。当区で、この保育ママ制度をもっと活用できるようにてこ入れする計画はありますでしょうか。 東京都のベビーシッター利用支援事業では、利用条件が、「保育認定を受けたにもかかわらず保育サービスを利用できずに、療育する乳幼児が待機児童となっている保護者、またはゼロ歳児で、保育認定を受けず、育児休業を1年間取得した後復職する保護者が、入所決定するまでの間、認可外のベビーシッターを利用する場合の利用料の一部を助成する」となっております。 就労により保育を必要としている方は、フルタイムで復職する場合に限らず、週3回のみ働く、午後だけ働くなどさまざまでございます。当区では、この東京都の制度の補助金を利用して多様な保育ニーズに対応する計画はありますでしょうか。また、東京都では「とうきょうチルミル」という名前を創設し、保育グランパ、グランマをふやすための包括補助を新規に創設しました。当区のこれに対する取り組みを御答弁お願いいたします。 以上、よろしくお願いいたします。
◎区長(吉住健一) 「保育支援」についてのお尋ねです。 初めに、保育ママをもっと活用できるようにてこ入れする計画があるかどうかについてです。 区では、認可保育所の整備を中心に待機児童対策を進めていますが、家庭的保育、いわゆる保育ママは、家庭的な雰囲気のもとできめ細かな保育が行われるというよさがあり、多様な保育の選択肢の一つであるということから、引き続き支援を行っていきます。また、基準を満たす適切な事業者から相談があれば応じていきます。 次に、東京都のベビーシッター利用支援事業の補助金を利用して多様な保育ニーズに対応する計画があるかについてです。 ベビーシッター利用支援事業については、その概要の説明はありましたが、詳細はなお未定の部分があります。そのため、具体的な検討は行っていませんが、保育の質の確保などの課題はあると考えています。 区では、パートタイム勤務等の短時間就労の保護者が利用しやすい定期利用保育事業を実施しており、現時点では、こうした事業を活用して多様な保育ニーズに対応していく考えです。 次に、東京都補助金「とうきょうチルミル」の新規創設に対する区の取り組みについてです。 「とうきょうチルミル」は、ファミリー・サポート・センターで子育てを援助する提供会員に対し、児童虐待防止など子育てに関する24時間以上の研修の受講を要件として報酬増額を図り、提供会員の質と量を確保するものです。 区のファミリーサポート事業は、平成12年4月に地域の中での子育て支援と児童福祉の向上を目的として開始しました。事業は、新宿区社会福祉協議会に委託し、子育ての援助を受けたい利用会員と、子育ての援助を行いたい提供会員との支え合いの活動として実施しています。現在、区の提供会員講習会では、都の基準を上回る25時間の講習を実施し、提供会員の質を十分に確保していますので、現在のファミリーサポート事業として運営をしていきます。
◆30番(ふじ川たかし) 区長におかれましては、御丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございました。 これにて私の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
○議長(佐原たけし) 次に、23番下村治生議員。 〔23番 下村治生議員登壇、拍手〕
◆23番(下村治生) 自由民主党・無所属クラブの下村治生です。平成30年第2回新宿区議会定例会に当たり、会派を代表して区長並びに教育委員会に質問いたします。どうぞ誠意ある御答弁をお願いいたします。 質問の第1項目は、吉住区政のこの4年間と今後の区政運営についてです。 吉住区長は、4年前の平成26年11月の新宿区長選挙において初当選され、本年11月には1期目の任期を終えられることになっておりますが、私たち議員の場合がそうですが、きっと区長という職も、1期4年間は長いようでありながら、実は短いものであったのではと思っております。御自分で、よくやってきたと自負される部分も数多くおありと思いますが、その一方で、もう少し時間があればと思われることも多かった、この4年間ではなかったかと思います。そこで、以下伺ってまいります。 私たちの会派では、吉住区政のこの1期目は、さきの区長選挙で「継承と発展」を掲げられましたとおり、これまでの区政を継承しつつさらに発展させ、かつ進化させられたと認識しております。すなわち、防災都市づくりに始まり、健康寿命を意識した健康づくりや子育て支援施策などに至るまで、全体として施策の底上げが進み、とりわけ大きく変わったのが高度防災都市化を目指した防災都市づくりを中心としたハードのまちづくりにあると思います。新宿区政はこの4年間で大きく進展したことを認識するものです。このような認識は、私たちが区民の方々から伺う声も同様であります。その4年間の実績の幾つかを、私たち会派は次のように捉えています。 「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、第1に、建築物の耐震化を促進する、利用しやすい助成制度となるよう、対象や要件の見直しや、木造住宅密集地域の解消に向けた不燃化特区や、新たな防火規制、防火街区整備事業などの取り組みでありました。第2に、新宿区危険ドラッグその他の危険薬物撲滅条例の制定や、民泊問題における新宿区ルールの提案による
住宅宿泊事業法への反映などでありました。 また「賑わい都市・新宿の創造」では、新宿駅周辺地域の回遊性と利便性の向上、より魅力的で賑わいのあるまちづくりを推進するための取り組みとして、1つ目が新宿駅周辺地域まちづくりガイドラインなどの指針の策定と、駅前広場や東西自由通路、新宿通りのモール化、靖国通りの地下通路延伸などであり、2つ目には、平成31年度までの約4,500基の街路灯のLED化事業などが挙げられます。 さらには、「生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸に向けた取組みの充実」では、健康寿命の延伸を図るため、区民が健康づくりに取り組みやすい環境整備としてのウォーキングの推進などが特徴的であったと捉えております。 これらは区長の思いと一致しているのでしょうか。そして、このほかの事業で、この4年間で区長の思いを実現したものの幾つかを紹介いただければと思います。 さらに、その一方で、この4年間では十分やり切れなかった、やり残したとお考えのものもあると思います。どのような課題や事業が挙げられるのでしょうか。伺います。 その上で、区長御自身として、この4年間をどのように総括されているのかについても伺えればと思います。 質問の第2は、区長の今後の区政運営に対する思いについて伺います。 今任期はまだ1期目であり、任期の終盤の昨年12月には、区政に対する区長の思いを託した今後10年間の新宿区総合計画を策定されたばかりです。区長の今後の区政に対する思いにはひとしおのものがおありかと思います。その点では、さらにやりがいを感じておられるかと思います。 今後の4年間には、2019年10月からの消費税増税や、東京2020オリンピック・パラリンピックを挟むなど、社会経済的にも大きな動きも予想され、その状況等は必ずしも視界良好とはいかないと思います。そのような状況のもと、私たちの会派では、今後の4年間の区政運営を引き続き吉住区長の強力なリーダーシップのもとでかじ取りを行ってほしいと願うものであります。このような思いは、大半の区民の方々の願いでもあると思います。区長の思いをお聞かせください。 さらに、今後の4年間の区政運営の中で実現していきたいことにはどのようなものがあるのでしょうか。また、今後の新宿のまちづくりについてのグランドデザインなどについてはどのように描いていらっしゃるのか、伺います。 この項目の最後に、当面の区政運営について区長に伺います。 その第1は、今定例会に上程されています新宿区
旅館業法施行条例の一部を改正する条例についてです。 昼夜を問わず大勢の外国人旅行客が新宿区を訪れていますが、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、ますますその数は増加すると思われます。このインバウンド効果で地域経済の発展も期待できるところです。一方で、いわゆる民泊による区民の生活環境への悪影響も懸念されます。 そのような中、6月15日にはいよいよ
住宅宿泊事業法が施行されます。新宿区では、法成立前から都市部における民泊の課題について積極的に検討を進め、法成立後にいち早く関係条例を制定し、先進的な取り組みを行ってきました。その新宿区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例は、区民の生活環境の悪化防止を主たる目的とし、法の趣旨を損なわない範囲での規定を設けたことでバランスのとれた条例と評価しているところです。 このような中、6月15日から改正旅館業法が施行され、客室の最低数の撤廃や玄関帳場の代替設備の規定が新たに追加されるなど規制が緩和され、ICTが発達した現在における新たなスタイルのホテルや旅館ができるようになり、このような点では改正は大幅なものであると認識するところです。 この改正で、客室数が1室で、玄関帳場の代替設備で対応する場合には、いわゆる民泊が旅館業法の許可施設として営業可能となります。区民にとっては、近隣の宿泊施設が住宅宿泊事業によるものなのか、旅館業なのか、はたまた違法な民泊なのか、判断をするのは容易ではありません。このような点については、区としてどのように対応されるのでしょうか。 次に、このたびの条例改正案で留意された点とその理由、そして
住宅宿泊事業法との比較において留意された点とその理由について、それぞれ伺います。 このたびの旅館業法改正では、無許可営業に対しての罰則等が強化され、保健所職員による無許可施設への立ち入り権限が付与され、罰金の上限も3万円から100万円に引き上げられています。このことにより違法な民泊がなくなっていくことを期待したいところですが、法で規定されても、必ずしも直ちに効果が発揮されるとは思われません。区職員の現場での対応が大事かと考えますが、どのように対応されるのでしょうか。 また、違法民泊の取り締まりは区の対応だけではおのずと限界があると思いますが、国との連携はどのようにされていくのでしょうか。お伺いします。 次に、公園の利活用について質問いたします。 近年、公園を利用してさまざまなイベントが行われ、特に盆踊り大会や餅つきのような恒例の地域イベントは良好なコミュニティの育成に資するばかりでなく、周辺企業との交流を深め、地域活性化にとても役立っています。この反面、公園という場所を借りて行っているだけで、まちのにぎわいや地域の交流とは直接結びつかない公園の利用もあります。このような例の一つとして、デモの集合場所としての公園の利用が挙げられます。この場合、デモの行進による騒音や周辺の交通混雑などで近隣の住民や商店などから苦情が寄せられるケースもあると思います。 そこで、区長に3点伺います。 質問の第1は、公園を出発点とするデモについては、どのような基準、考えで使用許可を行っているのでしょうか。お聞かせください。 質問の第2は、公園がデモの集合場所に使われると、近隣の住民を中心に利用者が公園を使えなくなるとともに、騒音等で迷惑します。公園でデモが行われることに対する地元の反応はいかがでしょうか。いつでも、誰でもが自由に集い、遊び、憩えるのが公園本来の姿だと思います。 質問の第3は、住宅や商店が密集する地域の公園でデモの集合場所のような独占的で、時には周囲に恐怖心を与える状態になる行為をすることについて、今後規制していくお考えはないのでしょうか。 次に、麻しん・はしかの感染防止について、以下3点伺います。 ことし3月、沖縄県で麻しんの報告数が急増し、また沖縄県以外の都道府県からも麻しんが報告されて、大型連休での感染拡大が心配されましたが、大事に至らずに済んだようです。 質問の第1は、日本は麻しんの排除国で、日本では過去の病気だと思われがちでしたが、なぜこのような状況が起こっているのでしょうか。 質問の第2は、日本では麻しんの予防接種が定期接種として実施されていて、麻しんは予防接種で防げると聞きますが、なぜこのような感染拡大が起こってしまうのでしょうか。確か、このたびの麻しん感染の拡大は、ことし3月に台湾から沖縄に旅行で来た患者からのものと聞いておりますが、世界全体としては麻しんによる年間の死者数は10万人近くに達するそうです。今日のように大勢の訪日外国人などが訪れる日本では、海外からウイルスが入ってくるリスクは増大していると思います。したがって、今後の東京2020オリンピック・パラリンピックを控えて、区として対策の強化を図る必要があるものと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。 質問の第3は、対策の強化の一つの方策として、区民一人ひとりがこのような状況を理解し、危機感を持ち、例えば海外旅行の予定があり、過去の予防接種の状況が不明の場合には、念の為抗体検査を受け、予防接種の必要性を確認するなど、みずから予防策を講じることも、とても大切であります。区として、さらに区民への丁寧な啓発活動にも心がけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎区長(吉住健一) 下村議員の御質問にお答えします。 区政のこの4年間と今後の区政運営についてのお尋ねです。 初めに、4年間の実績についてです。 私は、平成26年11月の区長就任から5つの基本政策を掲げ、施策を重点化して推進してまいりました。御質問にありました健康寿命の延伸を図るウォーキングの推進、建築物の耐震化と不燃化、危険ドラッグの撲滅、民泊問題への対応などの事業については、5つの基本政策のうち「暮らしやすさ1番の新宿」「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」「賑わい都市・新宿の創造」に基づき実施してきました。 このほかの取り組みとしては、「暮らしやすさ1番の新宿」では、高齢者総合相談センターの機能強化などによる地域包括ケアシステムの推進、地域支え合い活動の拠点としての薬王寺地域ささえあい館の整備、新宿区子ども未来基金の創設などに取り組みました。 「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、大災害時の復旧・復興のための動脈とも言える特定緊急輸送道路沿道の耐震化促進、道路の無電柱化、マンション防災対策などに取り組むとともに、客引き行為防止や空き家対策などにも取り組みました。 「賑わい都市・新宿の創造」では、エンターテインメントシティ歌舞伎町のまちづくり、回遊性向上のための自転車シェアリング、来街者の利便性を高める新宿フリーWi-Fiの導入、文化・歴史の発展拠点となる漱石山房記念館の整備などに取り組みました。そして、「健全な区財政の確立」と「好感度1番の区役所」により、これらの基本政策を下支えしました。 一方、積み残した課題としては、保育待機児童の解消が挙げられます。この4年間、保育施設を整備し、定員拡充を図ってきたものの、待機児童の解消には至りませんでした。このため、引き続き保育待機児童の解消に向けて取り組んでまいります。 また、方向性を示し、今後の実現に向けて取り組んでいる事業としては、健康寿命の延伸に向けた健康ポイント事業の実施や、しんじゅく100歳トレーニングの開発と普及、児童相談行政を総合的に担うための児童相談所及び一時保護所の整備、新宿駅を拠点とした周辺地域との一体的なまちづくり、賑わい創出のための新宿中央公園の魅力向上、しんじゅく逸品の普及や魅力あるスポットなど多彩な観光資源の発信による新宿ブランドの創出、区内大学等の専門性と人材を活かした商店街の魅力づくりなどが挙げられます。 私は、こうした取り組みを通して基本構想で示すめざすまちの姿「『新宿力』で創造するやすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けた施策が着実に推進できたものと認識しています。 次に、今後の4年間についてのお尋ねです。 私が区長に就任してから3年と7カ月が過ぎようとしています。この間、私は、議会の皆様に御協力、御支援をいただくとともに、区民、事業者と信頼関係を築きながらさまざまな施策を推進することができました。 私は、今後もこうした信頼関係のもと、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催や、少子高齢化の急速な進展、切迫性が高まる首都直下地震への対応など、区政が直面する課題に対して区民に最も身近な基礎自治体の長として引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 そして、今後の4年間では、健康寿命の延伸に向けた誰もが気軽に参加できる健康づくりや、多世代による地域の支え合い活動の推進、安心して子育てのできる環境の整備、災害に強いまちづくりや安全で安心なまちづくり、新宿の産業振興と国際観光都市としての魅力の向上など、総合計画に掲げる施策の実現に向けて努めてまいります。 次に、新宿区のグランドデザインについてです。 新宿区は、商業・業務・文化・居住機能が集積する都市です。また、国内外の多様な人々が住み、働き、学び、集う懐の深いまちです。私は、このような新宿区の強みを最大限に活かし、「現場・現実を重視した柔軟かつ総合性の高い区政」と、「将来を見据えた政策の優先順位を明確にした区政」の2つの基本姿勢に基づき、新宿区に愛着と誇りを持ち、誰もが住みたい、住み続けたいと思える、持続的に発展し続ける新しい新宿のまちを創造してまいります。 次に、
旅館業法施行条例についてのお尋ねです。 初めに、宿泊施設が住宅宿泊事業か旅館業か、違法民泊かの判別についてです。 今回の法改正により、御指摘のとおり、いわゆる民泊が旅館業法の許可施設となることも考えられます。そのため、新宿区
旅館業法施行条例の改正案では住宅宿泊事業と旅館業法の均衡を保つことを重視しています。
住宅宿泊事業法では届け出住宅に対して標識の設置が義務づけられていますが、旅館業法ではその規定はありません。区では、旅館業法上の許可施設に対しても、名称を公衆の見やすい場所へ表示することを条例で義務づけることとしました。今後は、住宅宿泊事業の施設及び旅館業の許可施設については、必ず名称等の表示がされることになり、違法な民泊との区別が可能になります。 次に、条例改正で留意した点と、その理由についてのお尋ねです。 条例改正案では、営業従事者の常駐義務や緊急時の駆けつけ要件を規定し、宿泊者や近隣住民の安全の確保を図っていきます。 なお、区では、従来より簡易宿所においても玄関帳場を必置としていましたが、今後は旅館・ホテル営業と同様の取り扱いとします。また、同じ建物に旅館以外の用途の施設が存在する場合は、施設の清掃やごみの排出等で共用部分を利用することが考えられます。そのため、エレベーター、廊下等の共用部分の使用については原則専用とすることを規定し、適切な衛生環境の確保を図っていきます。 次に、
住宅宿泊事業法との比較において条例改正で留意した点と、その理由についてのお尋ねです。 初めに、
住宅宿泊事業法では、届け出の際に
マンション管理規約等で禁止されていない旨の書類の添付が必要な点に対応し、改正条例案では、旅館業法の許可申請時にも旅館業が営める旨の書類の添付を求めます。また、
住宅宿泊事業法では標識の設置が義務づけられていることに対応し、旅館業においても名称の表示を義務づけることとしました。 なお、住宅宿泊事業者は公表することを条例で規定しましたが、旅館業法の許可施設は事業者情報として従来より公表していますので、従前のとおり公表していきます。これらの取り組みにより周辺住民の平穏な生活環境を守っていきます。 次に、違法なヤミ民泊の取り締まりについてのお尋ねです。 今までは、違法な民泊の苦情については事業者等に任意で調査に協力を依頼し、指導を行っていましたが、今後は報告徴収や立ち入り検査を行う権限が付与されましたので、権限に基づき厳格に対応していくことが可能となります。これにより、罰則の適用も念頭に入れた対応をしていきます。 また、違法な民泊の情報を得るためには区民からの通報等の協力も必要であるため、リーフレット等の配布により住宅宿泊事業の制度を周知し、違法なものについては通報してもらうように働きかけていきます。 次に、国等との連携についてです。
住宅宿泊事業法では、新たに住宅宿泊事業仲介業者を規定し、国に登録することとなりました。仲介業者は違法な物件を掲載することが法で禁止されており、観光庁が指導監督することとなっています。違法な民泊が判明した場合、必要に応じて国へ情報提供をしていきます。また、区では、警察との連携強化が重要と考え、区内の4警察署と覚書を交わしました。このような取り組みにより、国等の関係機関と連携し、違法な闇民泊の排除に向け適切に対応していきます。 次に、公園の利活用についてのお尋ねです。 初めに、公園を出発地とするデモの使用許可に関する基準・考え方についてです。 御指摘のとおり、公園は、いつでも、誰でも、自由に利用できる憩いや交流の場であることが本来の姿です。このため、本来の使用目的ではないデモの出発地としての使用については、一定の基準を設け許可しています。 現在、デモの出発地としての使用できる公園は、面積が1,000平方メートル以上で、園内に100平方メートル以上の広場があるなどの基準を設け、柏木公園、花園西公園、西戸山公園及び新宿中央公園の4公園を指定しています。また、許可に当たっては、公園の立地や広場面積に応じて収容可能な人数の範囲内とするとともに、一般の公園利用者に配慮して使用時間は原則30分を限度としています。 次に、公園でデモが行われることに対する地元の反応についてです。 使用される公園周辺の町会や商店会からは、車両や歩行者の往来の制約や、拡声器等による騒音などで迷惑しているため、デモの利用を制限してほしいとの要望を受けており、地域のさまざまな方からも同様な声が寄せられています。 次に、今後、デモ集合場所のような周辺環境に影響がある利用を制限していく考えについてです。 御指摘のとおり、公園は地域の良好なコミュニティの育成や活性化を進める上で非常に重要な施設であり、その役割はますます高まってきています。今後、それぞれの公園が置かれた周辺環境や地域からの声も踏まえ、デモの出発地として使用できる公園の基準の見直しを検討してまいります。 麻しんの感染防止についてのお尋ねです。 初めに、麻しんの排除国であるにもかかわらず、沖縄県などで麻しんが急増している理由についてです。 日本は、平成27年に「麻しん排除状態」にあると認定されていますが、それ以降も例年150例程度の発生が報告されています。これらは日本の土着株とされていた型のウイルスではなく、海外からの麻しんウイルスの侵入をきっかけに国内で感染が起こっていると考えられています。 次に、麻しんの予防接種を定期接種として実施しているにもかかわらず感染拡大が起こっている理由についてのお尋ねです。 麻しんを確実に予防するためには、1歳以上で2回の予防接種が必要です。区は、麻しんの予防接種を昭和53年から定期接種として開始しましたが、当時は1回接種で、平成18年に2回接種となりました。20歳代から40歳代は1回接種の人が多いため、それ以外の年代と比べて麻しんに対する免疫を十分に持っていない人が多く、感染拡大が起こってしまうと考えられています。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた区としての麻しん対策の強化についてのお尋ねです。 区では、2回の麻しん・風しん混合ワクチンの定期接種のほかに、18歳以下の未接種者についても全額助成を行っています。今後、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、来日する外国人が増加し、リスクが増すことが想定されます。そのため、免疫を十分に持っていないと思われる20歳代から40歳代への効果的な対策について、今後検討をしていきます。 次に、麻しんの予防策に関する区民への周知についてのお尋ねです。 区は、これまでポスター、ホームページ等で定期予防接種や18歳以下の未接種者への接種勧奨を行うとともに、海外に行かれる方に向けて厚生労働省のホームページを紹介し、感染予防に関する注意喚起をしてきました。今回の沖縄県での海外からの持ち込み事例を発端にした麻しんの発生を受け、海外の流行地域に行かれる方で予防接種歴や罹患歴がない方、不明な方は抗体検査を受け、必要に応じて予防接種を受けるよう、区報などを通じて周知していきます。
○議長(佐原たけし) ここで、議事進行の都合により休憩します。
△休憩 午後2時46分
---------------------------------------
△再開 午後3時10分
○議長(佐原たけし) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。
◆23番(下村治生) 次に、分譲マンションの課題について質問いたします。 最近、マンションの老朽化に伴うさまざまな課題やリスクについて新聞などで指摘されています。東京新聞の平成29年12月21日の記事を見ますと、「1970年代から急増した東京都内の分譲マンションで建物の老朽化や住民の高齢化が進んでいる。将来、管理組合が機能不全に陥り、空き住戸がふえてスラム化する懸念もある。本年7月から施行される良質で適切なマンション管理を条例で定めた東京都板橋区のケースは、ペナルティを伴う内容だ」というものです。ペナルティとは、勧告・指導にも従わない場合はマンション名を公表するというものです。 新宿区でも、これまで平成16年度、平成21年度、そして平成28年度のマンション実態調査、また平成24年の自治創造研究所における「集合住宅」の研究などがあります。そこで、最新版の平成28年度の新宿区マンション実態調査報告書により新宿区の状況を見たいと思います。 平成25年の数字ですが、新宿区の住宅総数は19万4,970戸で、そのうち16万7,380戸が共同住宅です。分譲だけではない、賃貸も公営住宅も含む数字ですが、住宅総数の実に86%近くを占めています。さらに古いデータですが、自治創造研究所レポート「集合住宅WG報告(1)」平成22年第3号によれば、新宿区の分譲マンション戸数の推移を建築年次別で見ると、マンション建設のブーム等により2つの山があるM字型の形状となっていることがわかります。1976年からほぼ10年間の第1の山のピークは、今から40年前の1978年の3,116戸、第2の山は22年前の1996年から10年間、ピークは第1のピークより低く、2003年の2,120戸となっています。 さて、以下では、賃貸マンションと公営住宅を除く、いわゆる分譲マンションについて議論を進めたいと思います。なぜなら、賃貸や公営住宅は、管理、長期修繕や合意形成に関する課題が分譲住宅に比べ少ないからです。 そこで、改めて今回の実態調査報告書を見てみると、この調査がこれまで行ってきた実態調査とは少し異なる視点で作成されていることがわかります。すなわち、従来の2回の調査は、分譲マンションのみの実態がどのようになっているかに重点を置いていましたが、今回は別冊の「課題分析編」を追加し、今ある分譲・賃貸マンションの課題は何なのか、そして、今後新宿区としてその課題にどう対応していくのかを示し、それらを本年1月の「第4次新宿区住宅マスタープラン」に組み込んでいる点です。また、分譲だけでなく、平成25年度の東京都の調査も踏まえ、またデータも利用し、より施策志向となっています。住宅施策の企画立案を前提としての調査であり、この点は大いに評価できると思います。 調査報告書の項目を見てみますと、1、管理組合はあるのか、2、適正管理が行われているのか、3、積立金は十分あるか、4、長期修繕計画はあるか、5、新宿区のマンション支援策を、例えば相談事業などを知っているかなどです。そこで、この調査結果を受けて作成した平成30年の第4次住宅マスタープランの中にあるマンション施策について見てみたいと思います。 分譲マンションに関する記述を抜き出してみますと、次のようです。冒頭、「第3次の平成20年に比べ、住宅施策をめぐる環境は変化しています。(中略)、経年により老朽化した住宅や更新期を迎えた住宅がふえる中で、適正に維持管理されていないマンションが増加傾向にあります。これらの住宅の適正な管理の普及も重要な課題です」とあります。さらに、「適正に維持管理されていないマンションが老朽化するにつれて、空き家が増加し、防災上・防犯上の危険性や、衛生環境・都市景観の悪化等、周辺の住環境に与える影響も大きくなります」とあります。より課題の重要性が強調されて、第3次のそれよりも一歩も二歩も踏み込んでいることを率直に感じます。 ちなみに、10年前の住宅マスタープランには、管理の適正化と再生の促進、具体的には管理組合への支援、分譲マンションの管理状態等の把握という記述でした。実態調査でも明らかになった最近の管理不全のマンションは、新宿区では余り顕在化していないようにも感じますが、一方で、管理不全になっても短期的には表面化しない場合もあります。マンション管理適正化法に基づき設立された公益財団法人マンション管理センターによると、昨年度に受けた8,000件超の相談のうち、築31年から40年のマンションが最多の24%を占めたそうです。 そこで、質問の第1は、管理不全が予想されるマンションについてです。 さきの築年次別マンション戸数のM字の左の山の部分が大きな課題を抱えていることがわかります。管理不全になる前に、この対応を区分所有者にアドバイスすることは将来の限界マンションをつくらないために重要です。まずは届出制を設け、管理不全を起こし始めているマンションを特定することが重要ではないでしょうか。今回の実態調査報告書を踏まえ、区長はどのようにお考えでしょうか。御所見を伺います。 次に、質問の第2は、マスタープランには触れられていませんが、分譲マンションにおける今日的課題について考えてみたいと思います。 まず思い浮かぶのは民泊ですが、民泊については、先ほど国の法的整備の動きにあわせて質問をし、答弁もいただきました。また、同僚の桑原議員が今定例会でも一般質問する予定ですので、ここではいたしません。また、これまでも耐震化や防犯上の課題はさまざま議論されてきました。今回は相続という、民泊と同様にハードとは直接結びつかない問題について考えてみたいと思います。 分譲マンションの場合、外見上、所有者が亡くなったかどうかわからないケースがあります。通常、分譲マンションに経済的価値があれば、相続の後、所有権の移転登記が行われる可能性が高く、所有権はスムーズに移転します。しかし、たとえ経済的価値があっても相続そのもので遺産分割の合意が得られないと、合意が得られるまで、例えば裁判が終了するまで長く放置される可能性があります。これにより、管理費の支払いもその間滞ってしまう可能性があります。適正なマンション管理は行われていても、相続の問題は居住者の高齢化とともに発生します。これは、適正な管理の問題に直接かかわる課題ではありませんが、いわゆる一戸建て住宅での相続による空き家問題と同様、相続による管理費の不払いは今後大きくなる可能性があります。区長の御所見を伺います。 質問の第3は、マンション管理条例の制定についてです。 冒頭の板橋区を初め、先駆的に取り組んできた豊島区、墨田区など、マンション管理条例を制定して限界マンションの発生を未然に防ぐ姿勢を示しています。我々自民党・無所属クラブも、昨年度、豊島区と墨田区に視察に訪れ、制定の経緯や制定後の取り組みなどを聞いてまいりました。限界マンションの発生を防ぐという、この条例の最終目標は、中長期的な観点が必要なので、まだわからない部分もありますが、豊島区での条例制定後の報告書によれば、分譲マンションの管理規約や、管理組合など条例で定めた項目を区に届け出たマンションが当初の予想を超えてあったということです。一方で、小規模で老朽化したマンション、すなわち限界マンションとなる可能性のあるグループで問題が発生しそうなマンションを洗い出す一歩になったとも思われます。今、それらのマンションに出向き、いろいろな相談業務を進めているようです。 また、条例制定により分譲マンションの課題を専門的に多面的に捉え、包括的に扱う分譲マンション担当係のような組織を住宅課に新設することにより、より細かい限界マンション予備軍のデータ作成、分析や声かけを区が行うことも可能になるのではないかと思われます。このためのコストがどの程度かかるのか、視察の際、直接教えていただいたところによると、それぞれ2名程度の正規職員とその人件費が必要になるものの、多くは配置換えなどで対応し、出前しての相談事業等は費用もそれほどではないようです。 一方で、これまでマンション課を設置しなかったために、分譲マンションと地域コミュニティとのつながりがなかなかつかめないという課題もあったとお聞きしました。この課題については、住宅マスタープランにも「地域コミュニティづくりとしての住宅まちづくり」との項目で触れられています。この課題は、新宿区が以前から取り組んできた古くて新しい問題です。住宅総数の86%を占める集合住宅に暮らす新宿区民がどのように地域コミュニティを維持し、発展させていくことができるのか、これまでも町会や自治会などがさまざまな形で取り組んできましたが、単身者が多いなど、なかなか進まないのが現状です。 防災の視点がマンション住民へのアプローチに有効と考え、多くの町会がこれに取り組んでいます。一方で、新宿区では大規模ばかりでなく、中規模マンションでも一つの自治会として認めてきました。これはマンション内にもコミュニティをつくろうという考えに基づいています。一定の成果は上がってきたと思います。他区のようにコミュニティ条項を入れ、区としての姿勢を示すべきだと思います。 もう一つ、コミュニティに関してマンション管理条例を制定する理由は、行政側にもそれなりに対応を整える必要があるのではないかという点です。 マンション担当係を設置して、地域コミュニティ課とより連携を図り、ハード面とソフト面からこの課題に取り組むべきと思います。条例制定が先か、実態調査をもとにした対応が先か、判断が難しいところではありますが、ぜひ新宿区らしいマンション管理条例を制定することを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。区長の御所見をお伺いします。
◎区長(吉住健一) 分譲マンションの課題についてのお尋ねです。 初めに、管理不全が予想されるマンションについてです。 平成28年度に行ったマンション実態調査による調査票の回収率の低さから、マンション管理への関心の低さが伺えました。マンションの良好な住環境を長く保つためには、建物の維持管理に居住者等が関心を持っていただくことが大切です。管理不全を起こすと、そのマンションだけでなく周囲の住環境の悪化につながるおそれがあります。そのため、御指摘のとおり、管理不全になる前に適正な管理を行えるようにアドバイスすることが重要だと認識しています。 こうした適正な管理への関心を高めるため、本年度は区のマンションにかかわる各種施策をまとめた一覧表を作成し、マンション実態調査での調査票の未回収先も含めて郵送先が判明している約1,600棟のマンション管理組合に対して郵送しました。また、郵送先が不明な約600棟については、平成30年度から2カ年でマンションの各住戸に対してポスティングを実施しています。 御指摘の届け出制度については、現在、東京都で届け出制度を含めた管理不全の予防や改善に向けた取り組みを検討していることから、東京都の動向や調査票の回収率が低かった実情などを踏まえて検討してまいります。 次に、分譲マンションにおける相続による管理費の不払いについてのお尋ねです。 平成28年度に実施したマンション実態調査では、3カ月以上管理費を滞納している住戸があるマンションは約28%ありました。マンション居住者の相続等による管理費の不払いがふえた場合は、管理費が不足し、適正なマンションの維持・管理が困難になる場合も想定されます。こうした管理費不払いの相談については、マンション管理組合等に配布している「新宿区のマンション施策一覧」にあるマンション管理相談で対応してまいります。 次に、マンション管理条例の制定についてのお尋ねです。 御指摘のように、板橋区などの3区ではマンション居住者の町会・自治会への加入促進等のコミュニティ条項を定めています。マンション居住者の町会・自治会への加入は、地域コミュニティ活性化のために重要であると認識しています。このため、地域振興部では、マンション入居者を対象に町会・自治会活動を案内する冊子「地縁いきいき」と、町会長・自治会長を紹介するパンフレット「顔のわかる町会長・自治会長」を配布しています。また、都市計画部では、新築マンションについて入居者が近隣との良好な関係を築くよう、事業者に対して町会長・自治会長へ連絡するよう案内するとともに、入居者に対しては新宿区の「マンション施策一覧」を配布するなど、庁内関係部署で連携を図っています。 御指摘のマンション管理条例については、現在、東京都で地域コミュニティを含めた管理不全の予防や改善に向けた取り組みを検討していることから、東京都の動向や組織体制のあり方を踏まえて検討してまいります。
◆23番(下村治生) 次に、エリアマネジメントについて質問いたします。 エリアマネジメントとは、特定のエリアを単位に民間が主体となってまちづくりや地域経営を積極的に行おうという取り組みと定義されています。この言葉が有名になったのは、1994年から2001年までニューヨーク市のジュリアーニ市長が取り組んだ治安改善施策で、BIDと呼ばれる組織をエリアマネジメントとして立ち上げ、これによりさまざまな環境改善がニューヨーク市で実践・実証されてからです。 アメリカや諸外国では、固定資産税の徴収に合わせて地方公共団体がBIDの費用相当分を徴収し、それぞれのBIDの会計につけかえることにより、それぞれのBIDの財政的な基盤がつくりやすい環境となっています。この財政力を活かして、BIDは治安、環境美化、長期的な魅力あふれるまちづくりなどを展開しています。日本でも、石原都知事時代にBIDはニューヨーク市の治安対策や、割れ窓理論とともに紹介されました。 そして今、四半世紀近い時を経て、日本でも幾つかの都市の中心部や繁華街から住宅地でも同じような取り組みが行われています。例えば北は札幌から東京、名古屋、大阪、南は博多などです。ただ、日本では公共空間を使用した場合の施設使用料や公共空間での広告による収入、会員による会費や寄附などが主な収入源となっており、収入のパイプが細いのが課題です。大阪市を除けば、海外のような地元自治体の補助金から独立した財政的仕組みをなかなか確立できていません。 しかし、エリアマネジメントの動きが、この10年で大きなうねりとなり、日本でも法制化への動きが加速してきました。平成20年には国土交通省によるエリアマネジメントの推進マニュアルが作成され、各地にエリアマネジメントをつくるきっかけとなりました。平成28年7月には全国エリアマネジメントネットワークという民間組織連絡会が立ち上がり、全国各地それぞれの組織が情報交換をできるようになりました。 一方、国でも、平成28年4月には地方創生の一環で、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が中心となって、これまでの諸外国を含めたエリアマネジメント活動の実績を分析し、その効果と課題を明らかにしました。今後の我が国におけるエリアマネジメントのあり方を同年6月に「日本版BIDを含むエリアマネジメントの推進方策検討会(中間とりまとめ)」という形で発表しました。その検討会の中で特に課題となった、運営資金を支える広告収入、公共空間を活用した収益事業や会費・寄附などによる方法を検討し、エリアマネジメントの推進のために、本年2月には新たな法的整備に向けた地域再生エリアマネジメント負担金制度の創設を検討していることが明らかになりました。 さて、以上のような経過の中で、新宿区の取り組みも先駆的に行われてきました。平成17年、歌舞伎町ルネッサンスの取り組みが始まり、平成20年には歌舞伎町タウン・マネージメントが発足しました。公共空間を活用しての新宿三丁目のモア4番街でのオープンカフェの社会実験も平成17年に始まり、現在は社会実験ではなく、全国第1号の都市再生特別措置法によるオープンカフェ事業、「モア4カフェ」として再スタートしています。 そこで、質問の第1は、この2つのエリアマネジメントの手法、歌舞伎町のまちづくり、新宿三丁目を中心としたモア4番街のまちづくりに対して果たしてきた役割は大きなものがあったと思います。例えば安心安全なまちづくりの成果指標として、歌舞伎町の発災発生率の推移を警視庁資料により見てみますと、平成21年には刑法犯認知件数が1,961件、平成29年には946件と、歌舞伎町の犯罪認知件数は平成21年と比べ48%と半分以下に減少しています。新宿区全体でも平成21年と平成29年では6割に減少していますが、歌舞伎町の数字はこれを大きく上回っています。これは、エリアマネジメントの活動とともに地元商店会や町会による客引きパトロールの強化、客引き条例の制定、罰則のための体制などさまざまな要因が絡んでいますが、安心安全のまちづくりの成果指標の一つであると思います。 一方で、シネシティ広場、大久保公園、そして公共空間を活用してのイベント開催によるイベント参加者数は、平成25年度では29万1,414人でしたが、平成27年には東宝ビルの完成によりセントラルロードのレッドカーペット事業の開催などによる増もあって40万5,904人となり、直近の平成29年では62万8,771人と伸びています。モア4番街でもホームレスの減少、放置自転車の整理、そして憩いの空間づくりによる活性化の成果が上がっています。 そこで質問の第1は、これまで10年間の評価について、歌舞伎町タウン・マネージメントとモア4番街の取り組みについて、区長のお考えをお聞かせください。 質問の第2は、歌舞伎町タウン・マネージメントの財政的基盤についてお伺いいたします。 歌舞伎町タウン・マネージメントの年次報告書の財務内容を見ると、大久保公園やシネシティ広場でのイベント主催者からの参加料収入は、平成28年のシネシティ広場の改修、完成により順調に伸びてきました。一方で、ビルの壁面や商店街路灯を利用したフラッグ掲出による広告収入はかなり変動しています。新宿区からの補助金決算額は、公共空間の活用による自主財源の進捗に合わせ、徐々にではありますが、平成20年度の年間2,630万円から平成29年度の2,190万円に減少してきています。しかし、委託事業を除いたエリアマネジメントの目標である自主財源のみによる運営は、その安定性、継続性の両面から見て、いまだ困難であると思われます。 先ほどのエリアマネジメントの経緯で述べました財政基盤の確立が一番重要な問題であると思います。まちづくりには中長期的な視点と粘り強い活動が欠かせません。さきに見たように、内閣府による法制化の動きは、これらの新宿区の先進的なエリアマネジメントの取り組みと、その継続性にとってどのような意義があるのでしょうか。 質問の第3は、このような区内での先行事例を踏まえ、エリアマネジメントの手法を、近い将来、他の新宿駅周辺地区に導入する可能性が高いと思われます。新宿駅周辺地区まちづくりガイドラインでは、エリアマネジメントによる管理運営が明記されています。区長の新宿駅周辺地域におけるエリアマネジメントについてのお考えをお聞かせください。
◎区長(吉住健一) エリアマネジメントについてのお尋ねです。 初めに、歌舞伎町タウン・マネージメントの10年間の取り組みと評価についてです。 この間、歌舞伎町タウン・マネージメントが中心となって、地域や関係機関との連携のもと、クリーン作戦プロジェクト、地域活性化プロジェクト及びまちづくりプロジェクトに取り組んできました。その結果、区政モニターアンケートでは、平成20年度と平成29年度を比較すると「文化の発信が盛んになった」の項目は9%から25%に、「賑わいのあるまちになった」の項目は19.9%から30.7%にそれぞれ増加しており、「誰もが安心して楽しめるエンターテインメントシティ歌舞伎町」の実現に向けた取り組みが着実に進められているものと評価しています。 次に、モア4番街については、平成17年9月から7年間にわたり道路上でのオープンカフェの社会実験を実施してきました。この間、区は、地元と力を合わせ、賑わいの創出や良好な景観形成を誘導するため、国や都へ制度の改正を働きかけてきました。その結果、平成24年11月には都市再生特別措置法に基づき、公道上に全国初となる常設のオープンカフェを開設することができました。現在もオープンカフェが大勢の方に利用されていることは、関係者の熱意のたまものだと考えております。こうした取り組みにより、この10年余りでモア4番街は、ごみの不法投棄や放置自転車が大幅に減少し、まちに新たな活力と賑わいが創出されたと評価しています。 次に、歌舞伎町タウン・マネージメントの財政基盤とエリアマネジメントの新たな法制化についてのお尋ねです。 同団体は、地域活性化事業の拡充による収入の増により、補助金の額は減少しているものの、自主財源のみによる運営には至っておりません。一方、地域再生エリアマネジメント負担金制度は、受益者たる事業者から負担金を徴収することにより公平性、収益性が高まるものと認識しています。歌舞伎町においては、地権者の把握が困難なこと、負担金をどのように付加するかなど課題もありますが、自主財源の確保に向けて新宿駅周辺のエリアマネジメントの動向も注視しながら、導入の可能性について検討してまいります。 次に、新宿駅周辺におけるエリアマネジメントについてのお尋ねです。 御指摘の歌舞伎町や新宿駅東口とともに、西口などの各地区では民間事業者等が主体となったエリアマネジメント組織が道路空間を活用したイベントなどのさまざまな活動を行っています。この地域は更新期を迎えたビルが多く、再開発や建替えに合わせたまちの機能更新の検討が活発に行われています。特に新宿駅直近地区では、駅ビルや駅前広場等の一体的な整備が計画されています。 再開発等を契機に、周辺の地権者や民間事業者等と連携した公共空間と民有地の一体的な管理、運営等のエリアマネジメントが自立して行われるように誘導することで、まちの魅力の向上を図っていきます。
◆23番(下村治生) 次に、障害者施策について質問いたします。 これまで新宿区では、障害者施策については、吉住区長も議会も障害者団体とのさまざまな場での意見交換を通じて、一歩一歩着実にその歩みを進めてきたと思います。そのような中、ことしは新宿区障害者計画、第1期新宿区障害児福祉計画・第5期新宿区障害福祉計画の初年度に当たる重要な年です。また、2年後の東京2020オリンピック・パラリンピックに向けてさまざまな取り組みが進められています。 「東京2020オリンピック・パラリンピックの成功の鍵はパラリンピックを成功させるかにかかっている」とオリンピック関係者から聞いたことがあります。そこで、まずは東京2020オリンピック・パラリンピックをそれぞれ773日後、805日後に控え、既に事業として進んでいる交通バリアフリーの進捗状況について質問いたします。 国土交通省では、バリアフリー法が施行され10年を経過したこと、さらに同法にかかわる社会環境の変化が大きいことを踏まえ、全国のバリアフリー水準の底上げを目指し、「バリアフリー法及び関連施設のあり方に関する検討会」が平成29年に開催されました。また、新宿区でも本年2月に新宿駅東口エリアでバリアフリー状況調査を行っています。そうした中、さまざまな施設があり、なかなか全体をまとめての完成度をパーセンテージであらわすことは難しいとは思いますが、現状での新宿区のバリアフリー化の進捗状況はどの程度と考えたらよろしいのでしょうか。何を目標値とするかという困難さもありますので、数値でなくても印象でも結構です。 さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック以降のバリアフリーの方向性についてもお聞きします。 もう一つ、この絶好の機会に、従来から言われてきた「こころのバリアフリー」の取り組みを推進するべきと思います。ここ数年、線路での視覚障害者の転落死亡事故が相次ぎました。この痛ましい事故をきっかけに、「こころのバリアフリー」が社会の注目を集めるところとなり、ホーム柵の設置が大変重要であるわけですが、同時に、白杖を持った視覚障害者に、ホームばかりでなく横断歩道でも一声かける運動が盛んになりました。ちょっとした声かけが障害者を危険から守るのです。パラリンピックの開催を機に、今からこのような推進活動を行うことが、ひいてはパラリンピックの成功に大切であるとは思いますけれども、いかがでしょうか。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックを迎えるに当たり、障害者スポーツについて質問いたします。 新宿区でもさまざまな障害者スポーツの紹介や実技に取り組んでいます。中でもブラインドサッカーは、元オリンピック代表の釜本選手のお姉様が代表を務められ、新宿区内の小学校でも子どもたちが授業で体験したと聞いています。先々週の2日にはコズミックスポーツセンターで、小学生を含む参加者によるブラインドサッカーの体験イベントが行われました。また、アテネ2004パラリンピックのマラソンランナーの伴走者による「共に世界へ」と題する講演会も開催されました。 また、ボッチャというパラリンピック競技も、新宿区を初め多くの自治体が障害者スポーツとして取り組んでいます。ボッチャは、新宿区のコミュニティスポーツ大会などでも、健常者と一緒に気軽に楽しめる、しかし奥の深い障害者スポーツとして紹介されています。 これらのスポーツを中心に、障害者スポーツの紹介、体験イベントを行って、健常者にとっても障害者にとってもスポーツイベントでの交流を通じて、お互いが相手の立場に立って行動することを通じて、先ほどの「こころのバリアフリー」も進むのではないでしょうか。区長のお考えをお聞かせください。 質問の第3は、障害者の防災対策についてです。 今回、障害者計画を作成するに当たって生活実態調査が平成28年度に行われました。この調査の中で、身体障害者が日常生活で困っていることの第1位は「将来への不安」で43%、第2位が「災害時の避難」で37%でした。これまでも、要援護者リストの作成、その対応は、障害者ばかりでなく高齢者も災害時援護者として捉え、新宿区は施策を展開してきました。 一方、障害者は、それぞれ障害の場所や種類によってさまざまな対応、介助が必要になります。これまでも発災直後の対応は、「自分の身は自分で守る」ことを前提として、福祉避難所の設置などで一定の前進は見られました。さらに、要配慮者防災マニュアル「いざ大震災にそなえて」という平成30年度改訂版もできました。 そこで質問いたします。 まずは要援護者リストの充実です。先ほどの調査によれば、回答者の7%しか登録されていません。以前にも申し上げましたが、手挙げ方式から一歩踏み出して、個人情報や本人・家族の同意の問題がありますが充実を図るべきです。また、同じく安否確認の問題ですが、対象は、平成29年4月現在ですが、障害者手帳を持つ身体では1万1,163人、全体では1万5,432人です。障害者団体連合会が音頭をとって、いざというときに備えておく防災訓練をすることが大切です。 既に訓練が行われていると伺っていますが、訓練は繰り返し行うことで、いざというときに冷静な対応ができるものです。また、訓練をしてわかることも多いと思います。訓練後の意見交換を通して改善を加えながら、これを繰り返しながら、より災害時に近い状態を想定した訓練を行うことが大切ではないでしょうか。 さらに、障害者の問題は、社会全体の高齢化が進むに従い高齢者の問題にもなってきます。この点も区長のお考えをお聞きします。 最後は高齢者の就労支援について質問いたします。 障害者が地域の中で生きがいを持って暮らすこと、これが障害者施策の目標であることは言うまでもありません。さまざまな障害を持つ方が職能訓練を受けて社会へ巣立っています。 一方で、その職域を脅かされている職種もあります。視覚障害者の職域に関する、いわゆる「あ・は・き」法の問題です。瘉しブームと言われたときは、リラクゼーションという名前でまちのあちこちでマッサージの看板を見かけました。以前、この問題を取り上げたことがありますが、事態はより深刻です。ストレッチと称して盛んに宣伝している店舗を最近多く見かけるようになりました。このような事態に新宿だけで対応することは困難なところですが、一方で、マッサージや鍼灸の国家資格を取って営業している視覚障害者の方々にとっては死活問題です。新宿区では視覚障害者のための就労支援として、障害者福祉センターでのマッサージ訓練事業と高齢者施設での高齢者マッサージサービス事業を行ってきました。 そこで質問します。 他区でも同様の事業を行っていると聞いておりますが、これらの事業の意義について改めてお伺いいたします。
◎区長(吉住健一) 障害者施策についてのお尋ねです。 新宿区の交通バリアフリーについてです。 区では、平成17年に策定した交通バリアフリー基本構想に基づき、新宿駅周辺地区と高田馬場駅周辺地区を重点整備地区に位置づけました。各地区では、交通バリアフリー特定事業計画を策定し、鉄道駅のエレベーター設置や区道のバリアフリー化等を進めてきました。 新宿駅周辺地区においては、整備すべき61項目を定め、平成28年度末で56項目、約9割について整備が完了しています。また、高田馬場駅周辺地区においては整備すべき23項目を定め、平成28年度末で20項目、約9割弱について整備が完了しています。これら2つの地区以外においては、駅施設のエレベーターやホームドアの設置への補助制度を設けてバリアフリー化を促進してきたところです。 今後は、東京2020オリンピック・パラリンピック以降に向け、残された整備項目について引き続き取り組んでまいります。また、基本構想では、駅の乗り換え経路のバリアフリー化や、多層化し複雑な移動経路の改善、駅施設や駅前空間の整備など、それぞれの地区の特性を踏まえた基本方針を定めています。この基本方針に基づき、引き続きバリアフリー化を進めてまいります。 また、ソフト面におけるバリアフリーの取り組みについては、障害者計画の個別目標に「こころのバリアフリーの促進」を掲げ、基本施策に障害理解の促進を位置づけています。第一次実行計画では、パラリンピック開催を好機と捉え、「障害を理由とする差別の解消の推進」事業で毎年12月に新宿駅西口広場イベントコーナーで開催する障害者福祉施設共同バザール・障害者作品展を、より多くの団体が参加できるように会場の規模を大幅に拡充し、ステージイベントの内容を充実して実施します。また、障害理解の促進を図るための映像を製作し、人通りの多い新宿駅周辺の街頭ビジョンで放映していきます。製作した映像は、区の広報枠以外にも3分程度の映像が放映できるよう、事業者と調整を行っているところです。さらに、全国共通の記号となったヘルプマークやヘルプカードの普及啓発を引き続き行い、障害者への声かけなどが円滑に行われるよう取り組んでいきます。 今後も、障害の理解啓発を一層推進しながら、障害理解の促進を図っていきます。 次に、障害者スポーツについてです。 東京2020オリンピック・パラリンピック開催は、障害者スポーツの発展とともに障害者理解を深め、障害のある方に適切な配慮ができる「こころのバリアフリー」を進める大切な機会であると認識しています。区では、平成29年度から区内全ての小・中・特別支援学校で障害者スポーツ体験を実施し、障害者理解教育の充実に力を入れているところです。また、地域においても、御指摘のような障害者スポーツを通じた交流を行うことによって相互理解が生まれ、「こころのバリアフリー」に一歩近づくことができると考えています。 区は、今後とも地域の方々と連携しながら、障害のあるなしにかかわらず、誰もが個性と能力を発揮できる共生社会の実現を目指して、スポーツを通じた障害者理解の機会拡大に努めてまいります。 次に、障害者の防災対策についてのお尋ねです。 障害者の災害時要援護者名簿の充実についてです。 御指摘のとおり、障害者生活実態調査では、障害者の登録は約7%となっています。これまでも区施設等に登録案内と申出書を備え周知しておりますが、今後も障害者団体との懇談会など、さまざまな機会を活用し、名簿登録の意義や災害時の基本的な行動などの説明を丁寧に行いながら勧奨に努めてまいります。 こうした災害時要援護者名簿の勧奨に加え、災害時において在宅、あるいは避難所で生活を継続するために必要な事項等を記載する要配慮者のセルフプランのひな型を作成・公開し普及することにより、災害時要援護者の支援の強化を図っていきます。また、災害時における障害者の安否確認のため、防災訓練を繰り返すことが重要であり、これまでも福祉避難所となる障害者福祉センターなどの福祉施設において障害者の支援を想定した訓練を継続しているところです。 今後は、障害者を初め高齢者など要配慮者の安否確認の実効性を高めるとともに、福祉避難所運営マニュアルについて障害者向け施設と高齢者向け施設ごとに新たに策定するなど、災害時における要配慮者への応急体制の強化に努めてまいります。 次に、障害者の就労支援についてのお尋ねです。 区では、視覚障害者の就労支援としてシニア活動館や地域交流館等の高齢者施設において「新宿区鍼灸按マッサージ指圧師会」に委託し、マッサージサービスの提供を実施するほか、障害者福祉センターでは視覚障害者通所訓練事業として有資格者によるマッサージサービス等の提供を行うなど、視覚障害者の就労による社会参加を支援しています。 御指摘のとおり、視覚障害者の職域としてのあん摩マッサージ指圧師を取り巻く就労環境は、リラクゼーションを行う店舗の増加により厳しさを増しているところです。このため、都立盲学校の生徒の卒業後の進路として一般企業への就労希望も増加しており、社会福祉法人日本盲人職能開発センターや東京視覚障害者生活支援センターが行う就労移行支援事業では、事務職として就職ができるよう、画面読み上げソフトの利用によるパソコン操作の訓練が行われています。また、あん摩マッサージ指圧師等の資格を取得してヘルスキーパーと呼ばれる企業内理療師として企業に就職するなど、視覚障害者の職域は広がりつつあります。 今後も、引き続き情報提供を行いながら障害者の就労を支援していきます。
◆23番(下村治生) 次に、大久保地域の課題について質問いたします。 このところ、いわゆる韓流ブームがまた大久保地域を中心に巻き起こっています。新大久保駅を中心に、土曜日、日曜日に限らず平日までも人通りが絶えません。新大久保駅の乗降客数は、公式の数字ではありませんが、1日平均10万人を超えたと言われています。従来のピークと言われたころで8万人ですから、2割以上の増加です。正確な数字は出ていませんが、確かに実感としても新大久保駅ではホームにも改札口にも人があふれています。 新大久保駅は、2020年春開設を目指してバリアフリー工事と駅舎改築を進めており、ホームは中央部分が狭くなっており、また改札口の出口も一部塀で囲われています。このような中、第3次韓流ブームが起こっているのです。ブームの原因は諸説いろいろあるでしょうが、第1次は「冬のソナタ」、第2次は「K-POPS」、そして今回は「食」にあると言われています。昨年、甘辛いソースに鶏とチーズを絡めた料理、チーズタッカルビというメニューが登場するや、それまで厚切りの豚肉を鉄板に乗せて焼くサムギョプサルが人気でしたが、これを大きく超えるブームになっています。さらに、このところ、チーズの入った韓国式アメリカンドッグ、ハットグが人気です。 さて、このような商店街のにぎわいがわき起こっている中、幾つかの課題も出てきています。 まず第1に交通の課題で、歩道者に人があふれ、混雑を避けて車道を歩く人が見られることです。これには、店頭で食べ物、先ほどのアメリカンドッグ等の食べ物を販売しているお店がふえ、そのお店の前に行列ができ、狭い歩道をふさいでしまうことも一つの原因です。店によっては自前の警備員を配置して、お客様に整列していただくよう努めていますが、歩道が広くない大久保通りではすれ違ったり追い越したりがなかなかできません。どのように歩行者の安全を守るか、特に住民にとっても来街者にとっても大事な課題となっています。 そこで、質問の第1は、まず商店会として、警備員を配置するよう行列のできる各店舗への要請を行っているようですが、これを交通管理者である警察、道路管理者である東京都及び区からもお願いしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。区長のお考えをお聞かせください。 質問の第2は、同じ韓流ブームによる課題ですが、東西に伸びる大久保通りと、江戸時代からの南北の細街路を持つ、この地域の特性として、いわゆるイケメン通りを中心に幾つかの南北の細街路で、表の大久保通りだけではなく混雑が広がっていることです。 どこの繁華街でもそうですが、訪れるお客さん、とりわけ観光で訪れる人たちの「歩き食べ」する際に出る、要らなくなった包装紙や紙の食器、アメリカンドッグの串等のごみは大きな問題です。狭い大久保通りや南北の細街路に専用のごみ箱を置く余裕はありませんし、本来、各店舗で工夫をするべき問題です。一部の店では持ち帰り用ごみ袋を配布して、周辺の道路や関係のない住民のごみ箱に入れていかないようにお願いしているようですが、一日中人であふれる土曜日、日曜日には、その効果も限定的です。もっと新大久保駅の改札口の前などで、改札を出てきた観光客に対して持ち帰り袋を配布したりすることも一案です。 本来は、お客様の出すごみは自分で持ち帰る、飲食物を販売したところに処理をお願いするというのが商店会での基本だと思います。このような状況を新宿区ではどう捉え、ひどいところではごみの持ち帰りを強くお願いする立て看板などを設置してはいかがでしょうか。また、何か対策を講ずることはできないのでしょうか。区長にお尋ねいたします。 個々の商店とお客様との問題ではありますが、直接的には個々の店舗が近隣の環境美化に努めなければいけませんし、間接的に新宿区も住民の生活環境を守らなければいけないという責務もあります。そこで、新宿区が間に入って地元商店会と韓国人商店組織に対して対応を求めること、区で間接的に協力できることはこれに努めるというのは難しいでしょうか。 質問の第3は、トイレの新設です。一部の物販店でもトイレを開放しているようですが、トイレはどんな繁華街でも観光地でも、その確保は大きな問題です。トイレは、以前から商店会、町会としての要望も高かったものです。西大久保公園に災害用も兼ねたトイレが来年度設置されるプランが発表され、地域の町会や商店会の方々から歓迎の声が上がっています。 そこで質問ですが、今回新設されるトイレの規模や設置場所などについては決定したのでしょうか。また、現在あるボックス型のトイレは撤去されるのでしょうか。区長に現在の進捗状況をお尋ねします。
◎区長(吉住健一) 大久保地域の課題についてのお尋ねです。 初めに、大久保通りの歩行者の安全確保についてです。 大久保通りは、沿道に数多くの飲食店や物販店があり、多くの来街者でにぎわっていますが、店舗の前に行列ができることなどにより歩行者の通行に支障が生じる状況が見受けられます。このため、区は、交通管理者である新宿警察署、道路管理者である東京都第三建設事務所と連携し、行列ができる店舗に対して警備員などを配置することを今後お願いしていきたいと考えています。また、ガードパイプ等に通行マナーを啓発する掲示板を設置するなど、大久保通りの安全な歩行環境づくりに取り組んでまいります。 次に、大久保地域の観光客によるごみの問題についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、大久保地域は多くの来街者で賑わう一方で、ごみなどの問題により地域の皆様や来街者にとっても看過できない状況となっており、早期に対応すべき課題であると認識しています。新宿を代表する観光スポットとして持続的に賑わいを創出していくためには、これらの問題に対して、各店舗にみずから販売した品に起因するごみ処理対策などの啓発、来街者へのポイ捨て禁止やごみの持ち帰り等の周知など、まちの美化を進め、何度も訪れたくなる環境をつくることが大切と考えています。 今後は、庁内関係部署の横断的な連携のもと、地元商店会など地域の皆様とも協働し、店舗への働きかけや来街者へのマナー周知用のチラシ配布、ステッカーの掲出のほか、看板の設置なども検討してまいります。 また、エリア全体で問題に取り組むために、在日外国人が経営する店舗の協力も必要であると考えます。近年、大久保地域では、韓国に加えネパールやベトナム等の商店が増加している実態を踏まえ、昨年9月から新大久保商店街振興組合と区が連携し、韓国、ネパール及びベトナムの商店を交えた事業者交流会を4回開催してきました。こうしたネットワークを活用しながら、地元商店会、韓国人商店組織と連携して在日外国人が経営する店舗に対しても積極的に働きかけを行い、ごみを初めとした生活環境の問題の解決に向け早急に取り組んでまいります。 次に、西大久保公園におけるトイレの新設についてです。 区では、大久保地域における来訪者の増加を踏まえ、新宿を訪れる方々の利便性、快適性の向上を図るため、西大久保公園に新たなトイレを設置することとしました。現在、設計委託において必要な事前調査を行っており、来年度に工事を行う予定です。新たなトイレは男女別トイレと多機能トイレを備えた施設とする予定であり、規模及び設置場所については既存施設の配置や公園の利用状況などを調査の上、今後検討を進めていきます。 また、現在設置しているボックス型の公園トイレについては、夜間閉鎖をしている当該公園においても終日利用できる施設となっていることから、新たに設置するトイレの運用方法も踏まえながら、引き続き使用していくことを検討してまいります。
◆23番(下村治生) 質問の最後に、グローバル化時代における教育について教育委員会に質問いたします。 今、子どもたちを取り巻く状況環境は、我が国を取り巻く情勢の変化に大きく影響を受けております。その我が国の変化は、外にはグローバル化社会によってコミュニケーション能力、論理的な思考力、そして幅広い教養などが要請されるところとなっています。一方、内には、少子高齢化の時代にあって一人ひとりの能力を高めていくことが要請されています。このようなグローバル化や少子高齢化の社会は、モデルのない極めて不確実性の高い社会です。このような社会状況を乗り越えていくことが必要なところから、教育への期待がさらに大きくなるとともに、そのことは当然義務教育への期待ともなっております。 このような中、現在の日本の子どもたちは、OECDの生徒の学習到達度調査の中の学力調査の結果などによると、学力は世界でもトップレベルではありますが、その一方で低いのが、自分の存在に自信を持つという自己肯定感などで、平成26年版「子ども・若者白書」の「今を生きる若者の意識~国際比較から見えてくるもの~」の中で、内閣府の実施した先進7カ国の調査結果が報告されています。 また、同様なものとして、独立行政法人国立青少年教育振興機構が行った最近の国際比較調査でも、「自分が価値ある人間と思う」が44.9%と、日本の高校生の自己肯定感は過去に比べて改善はしたものの、依然として調査国の中では最も低いものであって、自己を肯定的に捉えている若者の割合が低く、自分に誇りを持っている者の割合も低く、この点では今後さらにグローバル化が進む時代に非常に心配であります。 このような時代に必要とされるのが、モデルのない極めて不確実性の高い時代を生き抜いていく力としての「自立心」であり、新学習指導要領で「生きる力の習得」が掲げられていますが、一人で生活していく「生活力」、すなわち人としての基本的な能力であると思います。そのような力は、社会人になってから身につけるものではなく、乳幼児期の家庭教育を初めとして、幼児教育、義務教育、高等教育を通して身につけていくものです。 折しも9年ぶりに学習指導要領も改訂され、その主たるものに主体的・対話的で深い学び、いわゆるアクティブラーニングが2020年度に小学校、2021年度に中学校で導入されることとなっています。これは極めて今日の時代にかなった改訂であると思います。今後ますますグローバル化が進む中で早急に取り組むべきことの一つが自己肯定感の醸成であり、自立心や生活力の育成など人間力を構成するものであります。しかし、このような力の育成は乳幼児期からも行われるものであり、極めて家庭教育による部分が大きいと思われ、その多くを家庭の教育力に待つところですが、近年、その家庭力の低下が心配される状況にあります。 そこで、質問の第1は、「自己肯定感」の醸成における「学校教育」と「家庭教育」のそれぞれの役割と、そのことにおける「家庭教育」に対する支援としてはどのように取り組んでいるのか。また、今後に向けてはどのように進められていくのでしょうか。お尋ねいたします。 質問の第2は、このような教育を取り巻く環境の中、教育委員会では本年2月、「新宿区教育ビジョン」を定められましたので、関連して質問いたします。 さきの教育ビジョンの策定から9年が経過する中での今回の策定でありますが、これまでの9年間の取り組みの成果をどのように評価され、残る課題などについてはどのように捉えておられるのでしょうか。また、それらの上に立って、このたびの「新宿区教育ビジョン」の策定では、これからの10年間を通して目指すべき教育の姿をどのように描かれ、推進されていくのでしょうか。また、その中のどの点に新宿区としての特徴を見ることができるのでしょうか。お伺いいたします。 質問の第3は、幼児期教育の大切さについてです。 国の第3期教育振興基本計画には、「幼児の発育に関しては、社会状況の変化等による幼児の生活体験の不足等から、基本的な技能等が十分に身に付いていないという課題が指摘されている。また、近年、国際的な研究成果などから幼児教育の重要性への認識が高まっている」とありますが、新宿区教育委員会としては、どのように幼児教育を進めていかれるのでしょうか。お尋ねいたします。 また、さきにも述べましたように、今日の日本の状況からすると、自己肯定感や自立心、生活力などの育成が大きな課題であると思うのですが、これらは乳幼児期から育成されるべきものであるところから、幼児教育がとても大事だと思うのですが、新宿区教育委員会としては幼児期の「育てたい子ども像」をどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。お伺いいたします。 質問の第4は、教育ビジョンの施策10「学校環境の整備・充実」についてです。 「現状と課題」に、「区立小・中学校は、平成18年度末まで昭和30年代以前に建設された施設が全体の6割を占めていましたが、学校の適正配置により平成19年度に1校、平成20年度に2校、平成23年度に1校の統合新校が開校したことから、平成29年度では約5割と改善しています。阪神・淡路大震災を契機に、平成19年度までに新宿区は全区立学校の耐震補強工事を完了しました。供用開始から30年以上経過した施設の割合は、延べ床面積ベースでは小学校で84%と老朽化度は非常に高くなっており、今後は施設の長寿命化のための予防保全や、公共施設等総合管理計画等に基づく将来的な施設整備に向けた検討が必要です」とあります。将来的な施設整備に向けた検討とは、具体的にどのように進めていかれるのでしょうか。お伺いいたします。
◎教育長(酒井敏男) グローバル化の時代における教育についてのお尋ねです。 初めに、自己肯定感の醸成における「学校教育」と「家庭教育」のそれぞれの役割及び家庭教育に対する支援の状況と今後の進め方についてです。 自己肯定感は、「自立心」や「生活力」といった生きる力を育むとともに、将来にわたって主体的に学んでいくための基盤となるものと認識しています。自己肯定感を醸成するため、家庭教育は、保護者や周囲の大人との愛着を形成したり、情緒の安定を図ることで人間関係の形成やコミュニケーションの素地を育む重要な役割を果たしています。こうした家庭教育で育まれた自己肯定感を土台に、学校教育では異年齢交流や学校行事の中で自己の役割を果たしたり、社会・地域とかかわる学習を通して自分のよさに気づき、社会性を身につけたりすることにより児童・生徒の自己肯定感を高めています。 家庭教育に対する支援としては、全区立小学校で入学前プログラムを実施する際、保護者としての意識を再確認するワークショップを行うとともに、親子関係のあり方から子どもの自己肯定感を育成する家庭教育ワークシートを作成し、4歳児から中学生までを対象として区内の保育園、幼稚園、区立学校を通して保護者に配布しています。また、子どもの成長に合わせて地域とのかかわりを通した保護者の成長も求められていることから、PTAと「家庭教育講座」を共催したり、小学校PTA連合会と協働で「親力養成事業」や「地域との協働事業」を開催し、保護者同士の学びによる家庭教育の支援を進めているところです。 今後も、さまざまな家庭のあり方に応じた多様な形態での家庭教育事業を進めるとともに、保護者が学校行事や家族行事などに参加しやすくなるよう、休暇の承認などに配慮することを企業に呼びかけるなど、家庭の教育力の充実への支援に取り組んでいます。 次に、これまでの教育ビジョンにおける取り組みの成果の評価と、残る課題についてです。 教育委員会では、平成21年3月に第1期教育ビジョンを策定し、教育ビジョンに掲げる3つの柱のもと、具体的には地域協働学校の全小・中学校での指定や、学校のICT環境の充実、いじめ・不登校等の防止に向けた体制整備、まなびの教育の開設を初めとした特別支援教育の充実などの取り組みを着実に実施してまいりました。こうした取り組みが、子ども一人ひとりの生きる力を育む質の高い学校教育の実現や、子どもがいきいき学ぶ教育環境の実現につながるものと評価しています。 今後の課題としては、新たな教育ビジョンのもと、新学習指導要領への対応とともに、中学校での特別支援教室の開設など特別支援教育のさらなる充実や、子どもたちの読書活動や自学自習の場としての学校図書館の充実とともに、教員の勤務環境の改善・働き方改革の実現にも取り組んでいく必要があります。 次に、教育ビジョンにおける目指すべき教育の姿とその推進、また新宿区としての特徴となる点についてのお尋ねです。 新たな教育ビジョンでは、「子ども一人ひとりの『生きる力』をはぐくむ質の高い学校教育の実現」「新宿のまちに学び、家庭や地域とともにすすめる教育の実現」「時代の変化に対応した、子どもがいきいき学ぶ教育環境の実現」の3つの柱を新宿区の目指す教育として引き続き掲げています。そして、その実現のため、「確かな学力の向上」や「豊かな心と健やかな体づくり」を初めとした10の施策と78の個別事業を着実に取り組んでいくことで、教育ビジョンを推進していきます。 新宿区の特徴としては、全小・中学校で展開している地域協働学校を基軸とした教育活動や、タブレットパソコン等の最新のICT機器の効果的に活用した教育のほか、特別区の中でも先駆けて対策をまとめた教員の勤務環境の改善・働き方改革の取り組みなどが挙げられます。 次に、どのように幼児教育を進めていくかについてのお尋ねです。 幼児期は、将来にわたる人格形成の基礎が培われる重要な時期であり、子どものその後の成長や学び、社会とのかかわりに大きく影響を与えます。子どもたちが自分の力で行おうとしたり、やり遂げた満足感を味わったりする経験を積ませることで育まれた自立心などをその後の成長につなげていくためには、就学前教育にかかわる全ての保育者が共通理解のもと保育を行うことが重要です。 そのため、教育委員会では子ども家庭部と連携し、合同研修や交流保育を通して就学前教育に携わる幼稚園教諭や保育士の保育の質を高めています。今後は、夏季集中研修会等で幼児教育と小学校教育との接続をテーマとした研修を行い、子どもの発達や学びの連続性を重視した教育を進めていきます。 次に、幼児期の「育てたい子ども像」をどのように捉えているかについてのお尋ねです。 教育委員会では、幼稚園教育要領等で示されているとおり、豊かな体験を通じて、感じたり、気づいたり、わかったりできるようになったりする「知識及び技能の基礎」、そして気づいたことやできるようになったことなどを使い、考えたり、試したり、工夫したり、表現したりする「思考力、判断力、表現力等の基礎」、心情、意欲、態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとする「学びに向かう力、人間性等」といった資質・能力が育まれた姿を「育てたい子ども像」として捉えています。 幼児期は、一人ひとりの成長に個人差があり、発達の姿は必ずしも一様ではありません。就学前教育にかかわる全ての保育者が幼児理解を深め、遊びを通した総合的な指導の中で、これらの資質・能力を一体的に育んでいくことが重要だと考えています。 次に、教育ビジョンの施策10「学校環境の整備・充実」で取り組む「将来的な施設整備に向けた検討」の具体的な進め方についてです。 教育委員会では、事務局内に設置した小・中学校施設のあり方について検討するプロジェクトチームで既存学校施設の個別施設計画策定に向けて議論を進めています。昨年度は検討会を3回実施し、平成32年度の個別施策策定計画に向けて各年次における作業内容の方向性を固めました。本年度は、各学校施設の立地、接道状況、建築可能規模や中長期修繕計画に基づく修繕の実施状況などをまとめるとともに、学区域ごとに児童・生徒数予測を行い、各校の適正規模についての検証をいたします。本年度の分析が終了後、平成32年度策定に向けた個別施策の修繕等方針案を検討していきます。 以上で答弁を終わります。
◆23番(下村治生) ただいまは、区長並びに教育委員会より丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございます。 吉住区長におかれましては、まだ任期中ではありますけれども、今回、次の2期目に向けての4年間の熱い思いをお聞きすることができました。我々自民党・無所属クラブは、これまでと同様に区政の政策立案や執行状況については吉住区長と切磋琢磨しながら、区民のための新しい新宿をつくるため全力で取り組んでまいります。吉住区長、2期目に向けて頑張りましょう。 以上で代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(佐原たけし) 以上で本日の代表質問は終了しました。
---------------------------------------
○議長(佐原たけし) 次に、日程第2を議題とします。 〔次長議題朗読〕 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
△議員の派遣について ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(佐原たけし) お諮りします。 本件については、お手元に配付しました文書のとおり、議員の派遣をしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐原たけし) 異議なしと認めます。 本件は、配付文書のとおり、議員の派遣をすることに決定しました。
--------------------------------------- 議員の派遣について 地方自治法第100条第13項及び新宿区議会会議規則第120条の規定により、下記のとおり議員を派遣する。 記 1 沖縄県、広島市及び長崎市主催の平和祈念事業 (1)派遣目的 「新宿区平和都市宣言」の趣旨を実現するため、沖縄県、広島市及び長崎市主催の平和祈念事業へ参加する。 (2)派遣場所 ① 沖縄県糸満市 ② 広島県広島市 ③ 長崎県長崎市 (3)派遣期間 ① 平成30年6月22日から6月24日 ② 平成30年8月5日から8月6日 ③ 平成30年8月8日から8月9日 (4)派遣議員 ① 各会派から派遣される4人以内の議員 ② 各会派から派遣される3人以内の議員 ③ 各会派から派遣される3人以内の議員
---------------------------------------
○議長(佐原たけし) 次に、日程第3から日程第5までを一括議題とします。 〔次長議題朗読〕 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
△第51号議案 新宿区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
△第60号議案 新宿区
保健衛生事務手数料条例の一部を改正する条例
△第61号議案 新宿区
旅館業法施行条例の一部を改正する条例 〔巻末議案の部参照〕 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(佐原たけし) 提出者の説明を求めます。 〔吉住健一区長登壇〕
◎区長(吉住健一) ただいま一括して上程されました第51号議案、第60号議案及び第61号議案について御説明いたします。 まず、第51号議案の新宿区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例ですが、本案は、旅館業法の一部を改正する法律の施行に伴い規定を整備するものです。 次に、第60号議案の新宿区
保健衛生事務手数料条例の一部を改正する条例ですが、本案は、旅館業法の一部を改正する法律の施行に伴い規定を整備するものです。 次に、第61号議案の新宿区
旅館業法施行条例の一部を改正する条例ですが、本案は、旅館業法の一部を改正する法律の施行等に伴い、宿泊者の衛生に必要な措置の基準、旅館業の施設の構造設備の基準等を改めるものです。 以上、御審議の上、御賛同いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
○議長(佐原たけし) 説明は終わりました。 ただいま一括議題となっています第51号議案、第60号議案及び第61号議案は、お手元に配付しました議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託します。 〔巻末議案付託表の部参照〕
○議長(佐原たけし) なお、第51号議案につきましては、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、あらかじめ特別区人事委員会の意見を聴取したところ、異議がないとの回答を得ておりますので、報告します。
--------------------------------------- 30特人委給第44号 平成30年6月11日 新宿区議会議長 佐原たけし様 特別区人事委員会委員長 中山弘子 「職員に関する条例」に対する意見聴取について(回答) 平成30年6月4日付30新議議第53号で意見聴取のあった下記条例案については、異議ありません。 記 第51号議案 新宿区職員の給与に関する条例の一部を改正する
条例---------------------------------------
○議長(佐原たけし) 以上で本日の日程は終わりました。 次の会議は6月13日午前10時に開きます。ここに御出席の皆様には改めて通知しませんので、御了承願います。 本日はこれで散会します。
△散会 午後4時26分 議長 佐原たけし 議員 佐藤佳一 議員 えのき秀隆...