港区議会 2024-03-11
令和6年度予算特別委員会−03月11日
令和6年度予算特別委員会−03月11日令和6年度予算特別委員会
令和6年度
予算特別委員会記録(第10号)
令和6年3月11日(月) 午後1時開会
場 所 第3・4委員会室
〇出席委員(34名)
委 員 長 うかい 雅 彦
副委員長 なかね 大 兵 藤 ゆうこ
理 事 三 田 あきら ませ のりよし
白 石 さと美 石 渡 ゆきこ
玉 木 まこと 土 屋 準
委 員 とよ島くにひろ 新 藤 加 菜
森 けいじろう さいき 陽 平
琴 尾 みさと 野 本 たつや
山野井 つよし 小 倉 りえこ
やなざわ 亜紀 鈴 木 たかや
福 島 宏 子 根 本 ゆ う
清 家 あ い 榎 本 あゆみ
丸山 たかのり ゆうき くみこ
二 島 豊 司 風 見 利 男
榎 本 茂 阿 部 浩 子
なかまえ 由紀 七 戸 じゅん
池 田 たけし 池 田 こうじ
清 原 和 幸
〇出席説明員
区長 武 井 雅 昭
副区長 青 木 康 平 副区長 野 澤 靖 弘
教育長 浦 田 幹 男
芝地区総合支所長
街づくり事業担当部長兼務 岩 崎 雄 一
芝地区総合支所副総合支所長
芝地区総合支所管理課長兼務 小野口 敬 一
麻布地区総合支所長
街づくり支援部長兼務 冨 田 慎 二
麻布地区総合支所副総合支所長
麻布地区総合支所管理課長兼務 佐々木 貴 浩
赤坂地区総合支所長
環境リサイクル支援部長兼務 新 宮 弘 章
赤坂地区総合支所副総合支所長
赤坂地区総合支所管理課長兼務 重 富 敦
高輪地区総合支所副総合支所長
高輪地区総合支所管理課長兼務 櫻 庭 靖 之
芝浦港南地区総合支所長
産業・
地域振興支援部長兼務 上 村 隆
芝浦港南地区総合支所副総合支所長
芝浦港南地区総合支所管理課長兼務 金 田 耕治郎
地域振興課長
ウクライナ避難民支援担当課長兼務 木 下 典 子
文化芸術事業連携担当部長
(国際化・
文化芸術担当課長事務取扱) 荒 川 正 行
保健福祉支援部長 山 本 睦 美
保健福祉課長 野 上 宏
みなと保健所長 笠 松 恒 司
生活衛生課長 鈴 木 雅 紀
子ども家庭支援部長 中 島 博 子
児童相談所長 田 崎 みどり
都市計画課長 野 口 孝 彦
環境課長 大 浦 昇
企画経営部長 大 澤 鉄 也
企画課長 西 川 杉 菜
区役所改革担当課長
デジタル改革担当課長兼務 多 田 伸 也
区長室長 小 笹 美由紀 財政課長 山 越 恒 慶
用地・
施設活用担当部長
(用地・
施設活用担当課長事務取扱) 大 森 隆 広
防災危機管理室長 太 田 貴 二
防災課長 鳥 居 誠 之
総務部長 湯 川 康 生
総務課長
伝わる
日本語推進担当課長兼務 若 杉 健 次
会計管理者
(会計室長事務取扱) 西 川 克 介
教育推進部長 長谷川 浩 義
教育長室長 佐 藤 博 史
学校教育部長 吉 野 達 雄
学務課長 鈴 木 健
選挙管理委員会事務局長
(
選挙管理委員会事務局次長事務取扱) 遠 井 基 樹
監査事務局長 山 本 隆 司
監査事務局次長 伊 藤 忠 彦
〇出席事務局職員
区議会事務局長 加 茂 信 行 次長 鈴 木 康 司
ほか
午後 1時00分 開会
○委員長(うかい雅彦君) ただいまから本日の委員会を開会いたします。
本日の署名委員を御指名いたします。清家あい委員、玉木まこと委員にお願いいたします。
傍聴者から撮影・録音の申出がありました。これを許可したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と呼ぶ者あり)
○委員長(うかい雅彦君) それでは、そのようにさせていただきます。
この際、謹んで皆様に申し上げます。本日3月11日は、東日本大震災の発生から13年に当たります。港区議会といたしまして、震災で犠牲になられた方々に対し、哀悼の意を表するとともに、御冥福をお祈りするため、午後2時46分に黙祷を行いたいと存じます。
休憩中の場合は会派控室で、質疑の途中の場合は、質問、答弁の区切りのよいところで委員会を休憩し、自席にて待機していただき、全館放送に基づき黙祷を捧げ、黙祷終了後、委員会を再開しますので、御承知おき願います。
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○委員長(うかい雅彦君) これより総括質問を行います。
初めに、自民党議員団を代表して、ゆうき委員。
○委員(ゆうきくみこ君) 先ほど委員長からもお話がありましたが、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から今日で13年目となります。あの衝撃的な震災後にも、熊本地震、
北海道胆振東部地震、そして、今年1月に発生した能登半島地震など、そのほかにも小規模な地震や土砂崩れなど、日本の立地上、常に様々な災害と私たちは隣り合わせです。突然のお別れの悲しみに胸が痛むとともに、亡くなられた皆様の御冥福を心からお祈り申し上げます。
私たちの価値観というものは、住む場所や環境、人生のフェーズによって様々です。自分の命がいつ終止符を打たれるのかも、大半の人は考えずに日常を暮らしています。お金と物、人材に恵まれ、あふれていると言われている港区ですが、だからこそ困難に直面している人もたくさんいます。
私たち自民党議員団は、多様化する価値観の中で、日々の安全と安心を、そして、そこから生まれるみんなの幸せな生活を提供できるための仕組みづくりに精いっぱい力を注ぎ、その思いを込めて、総括質問に入ります。
最初は、基金についてです。
基金の積極的な活用についてです。
代表質問で我が会派の幹事長である小倉りえこの基金活用に関する質問に対して、実に力強い答弁をいただきました。内容は、港区基本計画の後期3年に当たる令和6年度から令和8年度の財政計画では、各種基金を設置目的に応じて積極的に活用し、財政調整基金と合わせて3年間で総額565億円を活用すること、また、予期せぬ事態が発生した場合には、あらゆる危機から区民の暮らしや生命を守り、迅速に対応するため、基金をちゅうちょなく活用するとのことです。
会派としても基金、すなわち、区の貯金をただためるだけでなく、実効性のある施策に積極的に投入されていくことが明確になり、とても心強く感じております。当然、今後の特別区民税収入などの財政状況によって、基金からの繰入額や、基金への積立額には変動があると思いますが、今後も必要な施策に積極的に基金を活用するなど、新たな行政需要に対応していただきたいと考えますが、区長のお考えを伺います。
次は、基金の確実な運用についてです。
基金に関しての予算特別委員会での私からの質問、気になっていた、今までの区が積極的な運営についての検討をしたことがあるのか、また、状況や確実な運用に対する区の考え方をお尋ねしたときには、これもまた会計管理者から丁寧な御答弁をいただきました。港区の2,000億円という巨額な基金残高に関する関心の高まりから、基金運用に対してもっと積極運用ができるのではないか、眠らせているのはもったいないなどと、様々な御意見を区民の方からいただくことも多くなっていたので、表には出ていないものの、区の調査内容や比較検討した上での最終的な区の考え方に至るまでの内容を再確認でき、理解を深めることができました。
基礎自治体において、公のお金である基金運用は、僅かなリスクも命取りになる可能性があるかもしれないと感じつつ、堅実な運用にとどめているのだと理解した上で区長に伺います。このような制約の中でも、積極的な運用方法について検討を進めていただきたいと思いますが、区長のお考えを伺います。
次は、請求書のオンライン申請について伺います。
三田あきら委員の総務費での、押印を省略するなどとして請求書のオンライン化を進めるべきとの質問に対し、会計室長からは、令和6年度会計の途中から導入できるように準備を進めるとの前向きな御答弁をいただきました。これは大変画期的な話で、区民や事業者の利便性が飛躍的に進むと思います。
会計室に教えていただいたところ、令和4年度は約6万2,000件の処理件数だったということで、これはかなりの量だと思いました。当面は、請求書の押印省略の場合は、マイナンバーカードを持つ個人か
商業登録電子証明書を持つ法人がオンライン申請を行う場合に限られるとのことでしたが、それ以外のケースについても、
オンライン申請実現の方法を検討していくということでしたので、この恩恵にあずかる人が相当いらっしゃるのではないかと、大いに期待しております。
そこで伺います。誤った会計処理を行ってしまうようでは困りますが、区民や事業者の利便性を大きく上げるこの取組は、ぜひ早期に進めていただきたいと思います。区長のお考えを伺います。
次は、区有施設における活用可能床の整備の方向性について伺います。
現在、区有施設の整備における課題として、国産木材の使用量やZEB化に対しての基準を定めて、脱炭素化に向けて様々な取組を積極的に推進している中、区は、今後も安全・安心な区有施設の継続性を確保するためには、財政負担の軽減等と盤石な財政基盤の堅持に努めることが必要と考えます。
二島委員の総務費の質問で明らかになりました、活用可能床である札の辻スクエアでの今のオーケーストアの賃料は、区の令和6年度の税外収入として約6,000万円の見込みがあるということです。
地価の高い港区において、区の財源確保策の一つとして、区有地や区有施設のポテンシャルの高さを生かすためにも、今後も活用可能床の整備を期待しておりますが、安定した税外収入の確保策として、区有施設の整備での活用可能床の整備の方向性について、区長のお考えを伺います。
次は、港区の震災復興対策についてです。
予算特別委員会では、1,000億円を目標に積み立てている震災復興基金について、いざ首都直下地震が発生した際の活用額について伺いました。今年、元日に発生した能登半島地震では、支援自治体である熊本市、浜松市が民間事業者と連携し、住家被害認定調査において、ドローンなどを用いた調査を実施して、遠隔地から被害判定を支援する取組を行ったり、また、携帯電話の基地局の復旧が困難な中、人工衛星による通信、スターリンクが避難所などに無償で提供されたと報道されました。
能登半島地震を契機に、こうしたドローンや衛星電話などをはじめとする最新技術を災害対応や防災対策に導入して活用していくような取組がさらに全国で加速化していくと言われている中、先月15日には、大分県でデジタル分野などの先端技術を防災に活用するための検討会が開催され、能登半島地震の被災地で避難所の情報共有が円滑に進まなかったことなどの課題について話し合われたということです。
この検討会は、自然災害が相次ぐ中、デジタル分野などの先端技術を活用することで、災害への対応力を強化しようと、大分県が4年前から開いているものということで、この検討会で浮かび上がった能登半島地震の課題として、避難所などの情報を一元的に管理することができなかったことが紹介されたということです。
総務費の審議では、新技術の一つであるドローンの活用は運用上、課題があるということでしたが、平時から今後の大規模災害に対する被災の想定をしつつ、震災後の人命救助やインフラ復旧、被災者対応なども念頭に、港区の地域特性を踏まえて、デジタル技術など、積極的に最新の技術を活用していくべきと考えますが、区長のお考えを伺います。
次は、災害医療の平時の準備体制について伺います。
能登半島地震の発生を受け、代表・一般質問、予算特別委員会においても様々な視点で討論が行われましたが、首都直下地震等の大規模災害において、区民や帰宅困難者が適切に医療を受けることができるよう、区レベルでできることを明確にした上で、備えを万全にしておかなければなりません。
能登半島の被災地においては、発災直後からDMATやJMAT、日本赤十字社などの医療救護班が続々と集結して、壊滅状態に陥った医療機能を懸命に支えています。
また、自治体においても、石川県からの要請を受けて、全国の保健師が各地の避難所において被災者の健康相談や自宅への家庭訪問等を行い、被災者の健康管理を支えていまして、港区の保健師たちもいずれ派遣されると伺っています。そのときには、ぜひふだんの経験を十二分に生かして頑張ってきてほしいです。
港区が令和元年度に、区内12医療機関とトリアージ機能を有した災害時の救急医療救護所に関する協定を締結してから6年ほどが経過しました。また、港区内には災害拠点病院が4つもあるなど、災害医療体制においても非常に充実したエリアです。備えあれば憂いなしなどの精神で、発災直後の医療体制を維持するために、平時から災害の備えについて区としてどのように取り組まれているのか、区長のお考えを伺います。
次は、定期接種化前の
HPVワクチン接種費用助成の区の考え方について伺います。
国の厚生科学審議会でエビデンスに基づいた十分な議論を経た上で、予防接種の定期接種化が決定されます。定期接種化を国が責任を持って進めるためには、このプロセスは必要不可欠です。予防接種以外にも、国の議論が進まないからという理由で、各自治体が独自に実施する施策もありますが、とりわけ予防接種に関しては健康に影響するものであり、安全性の担保が判断材料であることを忘れないでいただきたいと思います。
現在、男性のHPVワクチンは、定期化に向けた安全性の議論をする前段の検討資料が作成されている最中です。自治体の判断は、その結果を待つべきと考えております。
区民の健康を一番に考えたときに、予防接種健康被害に対する救済制度では、定期接種か任意接種かで救済内容が異なります。定期接種化前の
男性向けHPVワクチン接種費用の2分の1の補助を決めた東京都や、東京都の補助があるからと導入を決定した自治体があるようですが、自治体が区民に対して負うべき責任を考えることなく導入を決定することは、無責任であると我々は考えております。定期接種化前の
HPVワクチン接種費用助成の区の考え方を改めて区長にお伺いします。
文化芸術施策の展開について伺います。
心を揺さぶる感動をつくることに定まった形は必要ありません。音楽や舞台のようなシアター形式で魅了するもの、
六本木アートナイトのように、まち全体で非日常空間を生み、想像力と感性を育むもの、新しい生活様式や価値観から付加価値を見いだし、質の高い経済活動の源泉にもなります。
港区の文化芸術施策は幅広く、様々な施策を行っています。文化・歴史資源も多く、港区の地域特性を最大限活用した発信地としての役割を今まで以上に進めていっていただきたいと思います。
その中核拠点として、自らの育つ施設を目指した崇高な理念を高く上げた
みなと芸術センターの指定管理事業者の公募が5月下旬に始まる予定です。
区民アンケートによると、約7割近い区民が高い作品を鑑賞できることに期待を寄せております。興味を持ってもらうことや足を運んでもらうことが、まず文化芸術を身近に感じる第一歩であることから、施設に求められていることを忘れず、
エンターテインメント要素で関心を引くことも忘れず、区民期待に応えられる内容を確実に提供できるポテンシャルを持った事業者が選ばれることを望みます。人の心を豊かにし、事業コンテンツの充実を第一とした
みなと芸術センターとなるよう、お願いいたします。
また、茶道や華道のような受け継がれた伝統も、落語のような大衆芸能も、文字で表現する文学も立派な文化であり、芸術です。港区を題材とした文学賞創設や、港区民を対象とした芸術コンクールなども文化芸術施策には必要であり、産業や観光として港区の魅力を一段と高められるに違いありません。観光資源にもつなげられる文化芸術振興をどのように展開していくのか、区長に伺います。
次は、都心区の強みを生かした国産木材活用の意義や効果を広める取組について伺います。
港区における国産木材活用の取組は、全国を牽引するものであり、日本の森を守り、そして、その産業を後押しするだけでなく、
温室効果ガス排出削減の取組に向けての気運醸成にも多くの期待が寄せられております。
14年前、みなと森と
水ネットワーク会議創設、そして、翌年の13年前には、
みなとモデル二酸化炭素固定認証制度の運用を開始し、全国的にも先駆的な港区の取組への期待はいまだに大きいものであります。
港区の先駆的な取組を契機に、国も、令和3年に脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律へ改正し、脱炭素社会の実現に木材利用促進を位置づけ、木材利用促進の対象を公共建築物から民間建築物にも拡大することになりました。
そして、国、地方公共団体と事業者等による建築物における木材利用促進のための協定制度も創設されています。今までの長年実績を積み重ねてきた港区への熱い期待が寄せられる中、これからもさらなる木材活用を促進していくことが求められています。
国産木材活用における今までの区の取組について、その成果をどう評価し、今後進めていくのか、区長のお考えを伺います。
次は、子どもへのサービス充実についてです。
病児保育の充実についてです。民生費のやなざわ委員からの質問があったように、アフターコロナとなった現在、病児保育の需要は非常に高まっています。今年1月から1つの施設で病児保育室の定員を拡大するなど、区の拡充を図る取組は大きく評価しています。
一方、需要を満たすまでには、病児保育室での二方向避難の確保など、施設設置基準なども保育園と同等に厳しく、新たな設置に向けての課題があることも理解はしているものの、やはり子育て家庭の多様なニーズに応えるために、区として病児保育事業を推進していく必要があると思います。
また、現在の病児保育室についても、より利用したい人が利用できるように、運用面にも改善に向けた工夫が必要と考えます。
区は、既存の病児保育室について、より利用しやすくなるような新たな機能の付与など、運用改善をどのようにするのか、また、拡大に向けては、新施設の設置の検討をこれまで以上に進めてもらいたいと考えますが、区長のお考えを伺います。
次は、子育て世帯への多様な食事支援についてです。
区は、子育て世帯への様々な食事支援に取り組み、支援ごとの課題解決に力を入れています。来年度予算に、臨時事業として、新たに
ひとり親フードサポート事業を計上しています。これは、児童扶養手当の受給者を対象にしたサービスで、食材やレトルト食品が郵送で届くものです。家事や食費の負担軽減を目的としていますが、ひとり親世帯はフルタイムも多く、家庭内で孤食化している可能性があります。
また、区は、NPO法人など各団体が任意で取り組む子ども食堂に対して補助金を交付するなどの支援をしています。しかし、区内の子ども食堂については、毎日開催されているところはなく、利用者が利用したい日程や時間帯で支援を受けることはできません。
また、これらの事業は、
児童扶養手当受給者や低所得世帯に対するもので、港区の所得のある世帯の多くの港区の子どもたちの孤食等の食事支援にまでは行き届いていないのが現状です。
区が提供する子育て応援商品券は、所得制限を設けず、全ての子育て世帯に対して給付していただき、それぞれの所得層ごとの苦労がある中で、区からサービス対象に見てもらえたことに対して、多くの子育て世帯から喜びの声が聞こえてきますし、ひとり親世帯である我が家も、基本、大体の支援は対象外ですので、この子育て応援券のありがたさは身にしみるものであります。
話を食事支援に戻しますが、港区に住む人は子どもも大人も多忙です。一生懸命働いている区民は、仮に所得につながったとしても、それはいろいろな犠牲を払っての結果で、親が忙しく働いているゆえに、家に帰れずいる間、毎日コンビニで夕食を済ませたり、おにぎりのみを食べたりするだけの子どもが実は多くいると考えます。
所得のある世帯に対しては食費負担の軽減などは不要なのかもしれませんが、子どもの食事が孤食化しないよう、また、きちんとした食事が取れるよう、子どもの見守りという視点で、例えば、地域の飲食店を利用して、店舗の人に見守っていただきながら食事ができるなど、子育て世帯の食事支援はより多様であるべきと考えます。
地域の飲食店をはじめ、NPOや民間企業など、様々な主体と連携をして、より多様な食事支援に取り組んでいただきたいと思いますが、区長のお考えを伺います。
次は、青少年に関わる地域人材の育成支援についてです。
区は、地域ぐるみで高校生世代を支えることが重要と考え、来年度から高校生世代の居場所づくりの具体的な検討に取り組むとしています。地域には、中学校区域ごとに港区
青少年対策地区委員会があり、青少年である高校生世代への支援に対しても協力が期待されます。
しかし、港区
青少年対策地区委員会は地域ボランティアでもあり、これらの地域の方に大きなリスクとなる事態は避けなければいけません。港区
青少年対策地区委員会に関わる地域ボランティアの方々に対して、人権研修や危機管理研修等の最低限の育成支援は区が取り組む必要があるのではないかと考えますが、区長のお考えを伺います。
次は、高齢者支援についてです。
まずは
高齢者福祉理美容サービスの充実についてです。
区は、現在、在宅で生活する65歳以上、かつ要介護3以上の人を対象に、
福祉理美容サービスを実施しています。1回の利用者負担額は500円で、年間6回まで、理容師や美容師が自宅まで出張し、高齢者の健康保持の一助とするとともに、介護家族の軽減につなげています。
理容師はカットやシェービングを、美容師はカットやソフトメークを行い、令和4年度の年間の延べ利用件数は939件に上るということです。おなじみの理容師や美容師が通い続けるケースも多く、慣れた方が髪を整えてくれることから、本人はもとより、御家族からも大変好評をいただいていると聞いております。
こうした取組を要介護3以上に限定せず、多くの高齢者が理美容店に通うことも対象に加えてほしいという声が上がっております。高齢者が慣れ親しんだ地域の理美容店に通いやすくすることで、介護予防や認知予防への効果にも期待できるのではと考えますが、現在の
高齢者福祉理美容サービスの対象や内容を一層充実してはどうかと思います。区長のお考えを伺います。
次は、ふれあい相談員の体制や支援内容の展望について伺います。
港区内の高齢者人口は、今後も増加していきます。ひとり暮らしの高齢者も増えるほか、高齢者のみで構成される世帯も増えていくことから、こうした方々への直接的なアプローチ、アウトリーチが重要になってきます。
こうした中、区では、令和6年度予算案において、ふれあい相談業務の充実を掲げております。その充実の内容は、区内全体のふれあい相談員11人を計5名増員させ、全体で16名とするものです。訪問の対象世帯についても拡大します。これまでは、介護保険や区の高齢者サービスを利用していない70歳以上のひとり暮らし高齢者と75歳以上の高齢者のみの世帯でしたが、来年度からは、ほかの世代の家族と同居している80歳以上の高齢者を加えるものであり、ふれあい相談員による支援には、これまで以上に期待が寄せられております。
民生費の質疑において、今回、充実の目的が、高齢者本人のみでなく、障害、子ども、生活困窮などの分野を超えた複合的な支援が必要な世帯を把握し、早期に福祉総合窓口や関係機関等と連携しながら、適切な支援につなげていくためであることが分かりました。訪問対象の世帯が拡大されることによって、新たな福祉ニーズの掘り起こしにつながり、介護サービスをはじめ、必要な高齢者サービスへの適切な接続に期待を寄せているところです。
区では、来年度からふれあい相談員業務を拡充することになりますが、今後も高齢者人口のさらなる増加が見込まれる中、ふれあい相談員の体制や支援内容の展望について、区長のお考えを伺います。
次は、終活の支援体制の構築と体制づくりについてです。
高齢化の急速な加速によって、死亡者数が増加する多死社会にも私たちは目を向けなければいけません。誰しも必ず訪れる死に関して、なかなか前向きな話題にしづらいことも事実ですが、重要なテーマの一つです。人生の終わりについて考える活動である終活についてお尋ねしたいと思います。
終活の課題は、終末期ケアはもとより、孤独死、高齢者の住環境、意思決定のサポート、遺産相続、遺品整理など、死後の業務などは多岐にわたります。多くの高齢者が体力も気力も低下する中で、適切な終活を進めていくために、行政のサポートは欠かせません。ひとり暮らしに限らず、家族がいたとしても、意外とこうした終活に関する話はされていないことが多いのではないでしょうか。多死社会の中にいる私たちにとって、高齢者などに向けた終活に関する区の支援については、喫緊の課題であると考えます。
港区においても、終活の支援体制を構築する体制づくりを進めていただきたいと考えますが、区長のお考えを伺います。
次は、キャッシュレスシステム導入効果を公表していく取組について伺います。
PayPayポイント還元キャンペーンが、好評につき、予定より早く終了しました。行政が行う事業でこのように人気による前倒し終了というようなことはこれまでになく、ここまで好評で終了した事業を企画し、期待に応えられるように頑張ってきた担当部署を評価したいと思います。
この取組の結果、これまでにないぐらいの行列ができた店舗があったと聞いています。これからの産業振興政策を進めるに当たり、このように大人気で惜しまれて終了した施策であったことは、広く周知をしていただきたいと思います。
個々の事業だけでなく、商店街活性化や商店街加盟に大きなプラスになりますし、これは行政から各商店へフィードバックする案件であることは間違いありません。PayPayや電子スマイル商品券などのキャッシュレスシステムを導入することによる効果を示すことで、商店街新規会員の獲得にもつながり、事業者支援にも確実につながると考えます。施策の効果を店舗等に広く公表していく取組について、どのように区長はお考えなのか、見解を伺います。
次は、地域の担い手となるエリアマネジメントの構築について伺います。
区は、平成29年3月に改定した港区まちづくりマスタープランに基づき、地域の魅力、価値の継続的な向上に資するエリアマネジメント活動の取組を推進しています。
現在、港区では、町会組織の人手不足が課題となっている中、地域の担い手として新たな枠組みの方々の参加も必要と言われています。
令和5年12月に公表された港区エリアマネジメントガイドライン(素案)には、地域と長期的な関係を築くことを意識することをポイントの一つとして挙げられており、地域の町会・自治会、学校、地元との相互理解を促進し、また、既存の地域における活動が希薄である場合には、新たな団体が地域活動の担い手となる可能性についても触れています。
人手不足が課題の町会との調和を促し、希薄になってきている地域ネットワークの構築課題解決の一環として、このガイドラインが実現していくことを期待しています。区として温もりを持ち合わせた地域の魅力を引き出し、活力ある取組にしていってほしいと思いますが、区長のお考えを伺います。
次は、六本木三丁目児童遊園周辺エリアの安全対策についてです。
港区では、大きな開発とともに、まちのにぎわい拠点が少しずつ移行してきています。今後も続く為替や物価高、労働基準の関係で工期が長引くことも想定され、寂しくなっている区画の安全面での配慮等が必要となっていくと考えます。
六本木三丁目児童遊園周辺がいよいよリニューアルされるときがやってきました。地元の要望を取り入れながら、照明や防犯カメラの強化、見通しの確保など、ハード面では安全対策を講じるなどの工夫をするとのことですが、現在、夜間施錠している児童遊園の柵がなくなることで、深夜から朝にかけて飲酒でたむろする人が増えることなどが懸念事項として挙がっています。
この件は、総務費で池田委員が路上禁酒ゾーンの設定の可能性や安全対策について聞いていますが、六本木三丁目児童遊園リニューアルに伴う安全対策について、区長のお考えを伺います。
次は、国公立、私立、インターナショナルスクールに通う子どもたちを持つ家庭に向けての行政サービス充実について、子どもの学習調査について伺います。
これまで国の調査結果などを参考にしながら施策を組み立てることがあると思いますが、全国の平均値や動向などを参考にして事業構築することになじむ施策もあれば、そうでないものもあると思います。
特に港区のように、私立やインターナショナルスクールが数多く所在する都心区では、その事業構築において、全国平均化された調査結果を参考値とするには、実態とかけ離れたものになりかねないと考えます。
そうした中、今回の子どもの学習費調査は、港区在住の区立の港区の小学校や中学校以外の年齢の児童・生徒に対して調査した、区立以外の方にも調査対象があるということで、今までの区立のみを対象にした調査では取得できなかった、私立、インターナショナルスクールに通う年齢の児童・生徒の相当なサンプル数が見込めて、より港区の実態を把握するに値する非常に興味深いものになると思います。今回の子どもの学習費調査の意義と狙いについて、区長のお考えを伺います。
次は、(仮称)北青山三丁目地区スポーツ施設の整備についてです。
港区の課題、施設展開できる場所に制限があり、青山エリアでのスポーツ施設整備は、地域の長年の大きな願いの一つでした。待望のこの施設を契機に、港区でのスポーツのネットワークが広がっていくことを願っています。
港区スポーツセンターほど大きくはないものの、北青山三丁目地区スポーツ施設新設を契機に、区には一歩進んだ取組も積極的に進めてほしいと思います。今回の施設整備のコンセプトにおいて、特徴的な点や今後の新たな取組など、区長のお考えを伺います。
最後に、スポーツが学校教育に果たす役割について伺います。
区全体で様々なスポーツ振興が行われる中、学校教育においても発達段階に応じて様々なスポーツを学校の授業でも取り扱っています。
授業以外でも、休み時間に体を動かす時間や場所を確保したり、部活動の指導に当たったりするなど、学校の先生方の日頃からの苦労は課題の一つとして挙げられています。
区は、その部活動に部活動指導員を導入して、専門性の高い継続的な指導を担保するとともに、国立競技場での連合運動会、連合体育大会の実施、ボルダリングの設備の設置など、教育委員会としても今まで以上に子どもたちの体力向上に意欲的に取り組んでいると承知し、それは大きく評価しております。コロナ禍により、子どもの体力低下が全国的な問題となっている今こそ、体力向上は非常に重要な取組です。
一方で、スポーツには、体力向上以外にも様々な効果があります。港区が目指すスポーツを通した学校教育により、子どもの未来に何を与えていこうと狙っているのか、教育長のお考えを伺います。
以上で、自民党議員団の総括質問を終わります。
○区長(武井雅昭君) ただいまの自民党議員団を代表してのゆうきくみこ委員の総括質問に順次お答えいたします。
最初に、基金についてのお尋ねです。
まず、基金の積極的な活用についてです。区は、これまでも新型コロナウイルス感染症や記録的な物価高騰から区民生活や区内産業を守り抜くために、ちゅうちょなく基金を財源として活用し、必要な対策と支援に全力で取り組んでまいりました。
今、震災への区民の不安が高まっています。未知の感染症への備えも重要です。私は、あらゆる事態に迅速に対応し、区民の暮らしや生命を守るために、これからも基金を積極的、また、効果的に活用してまいります。
次に、基金の確実な運用についてのお尋ねです。区では、基金総額のうち、災害時などに必要となる額と突発的な財源不足などに対応するための財政調整基金額を除いて、元本を損なうリスクがなく、国債と同等の格付で国債に比べて高い利回りとなる高速道路債などの安全性の高い債券による運用を行っております。
また、金利変動の影響を軽減し、毎年度の購入額を平準化するラダー型運用を行うことで、金利が上昇した際に債券の時価が減少するリスクにも対応しております。
今後も、安全性を最大限に確保した上で、より多くの収益を得ることができる金融商品や運用方法について積極的に研究し、港区公金管理アドバイザーと議論を重ね、検討してまいります。
次に、請求書のオンライン申請についてのお尋ねです。請求書のオンライン申請における本人確認について、電子申請サービスであるLoGoフォームにおいて、個人はマイナンバーカード、法人は商業登記電子証明書を用いて電子署名することで行えることを確認できましたので、区は、本年6月までに、オンライン申請が可能となるよう準備を進めております。
マイナンバーカードや商業登記電子証明書のない申請者については、引き続き
オンライン申請実現方法を検討してまいります。
次に、区有施設における活用可能床の整備の方向性についてのお尋ねです。区は、にぎわいや地域の活性化、全国連携を推進するとともに、税外収入を確保するため、札の辻スクエア2階及び3階に活用可能床を整備し、その一部を生活物資を扱うスーパーに貸し付けております。
3階の未貸付け部分については、昨年11月まで新型コロナウイルスワクチン接種会場として利用しており、現在は民間事業者への貸付け準備を進めております。
引き続き区は、活用可能床の整備の可能性について、当該用地の容積率や日影規制などの建築制限、まちづくりの方針などを踏まえ、税外収入の確保策として積極的に取り組んでまいります。
次に、震災対策における新技術の活用についてのお尋ねです。区では、現在、SNSに投稿された画像などの情報をAIにより収集するシステムや、災害時の情報収集や意思決定、情報発信を迅速かつ効果的に行う地域災害情報システムの導入及びタッチパネル式の大型モニターの配備による災害対策本部のデジタル化を積極的に進めております。
来年度には、避難行動要支援者へシステムから一斉に架電し、その情報を集約するシステムを導入するほか、駅周辺滞留者対策推進協議会との連絡体制を確保するための衛星通信機器の導入も予定しております。今後も、デジタル技術をはじめ、震災対策に積極的に最新技術を活用してまいります。
次に、災害医療の平時の準備体制についてのお尋ねです。区では、区内の災害拠点病院、3師会等が参画する港区災害医療連携会議を通じて、災害医療に関する最新の情報共有や、災害時を想定した体制の検討等を行っております。
また、昨年9月から11月にかけて、緊急医療救護所に関する協定締結医療機関において、テント設置訓練を順次実施するとともに、11月には、トリアージを主とした実践的な災害医療合同訓練を実施いたしました。
今後も、区内の災害拠点病院等との連携を密にし、緊急医療救護所等への医薬品の備蓄や、災害時の対応をまとめたアクションカードの整備など、災害時に備えた医療提供体制の整備を着実に進めてまいります。
次に、定期接種化前の
HPVワクチン接種費用助成の区の考え方についてのお尋ねです。男性へのHPVワクチン接種は、任意接種のため、健康被害が生じた場合の給付額が定期接種と比べて低く、死亡した場合の一時金では、定期接種が4,530万円に対し、任意接種は754万2,000円と、約6分の1となっております。また、国において男性への接種に関する専門の相談体制支援や医療体制が整っていないなど、制度として十分ではありません。
このため、区は、区民の安全・安心を確保する立場から、現時点で男性へのHPVワクチン接種の費用を助成し、接種を推奨することは考えておりませんが、今後も国の動向を注視するとともに、国に対しては検討を早めるよう、機会を捉えて働きかけてまいります。
次に、文化芸術施策の展開についてのお尋ねです。区には、数多くの美術館や博物館、劇場などがあるほか、泉岳寺などの歴史的資源も豊富で、文化芸術施策を進める上での区ならではの強みです。これらの文化・歴史的資源を観光施策に活用し、国内外の人にアピールすることは、区の魅力をさらに高める効果があると考えております。
文化芸術資源を活用した観光とアートが融合した回遊性のある事業の展開や、港区にふさわしい文学賞の創設を検討するなど、観光振興も見据え、区の魅力がさらに多くの人に伝わる文化芸術施策を積極的に進めてまいります。
次に、国産木材活用における区の取組の成果についてのお尋ねです。みなとモデル制度は、都市と地方が連携して地球温暖化防止を目指す日本で唯一の取組であり、農林水産省が事務局を務めるウッド・チェンジ協議会でも、先進的な事例として取り上げられました。
また、みなと森と水ネットワーク会議の加入自治体は、これまでで最多の85自治体となり、認証建築物は200件を超えるなど、区の取組が確実に浸透してきており、国や他の自治体からも高く評価されているものと認識をしております。
今後も、高度な知見を有する木質化アドバイザーの活用により、民間事業者の木材使用量の拡大を支援するなど、より多くの協定木材等の活用を積極的に図ってまいります。
次に、子どもへのサービス充実についてのお尋ねです。
まず、病児保育の充実についてです。区は、現在、閉園予定の保育園跡地等を活用し、感染症ごとに保育する隔離室を多く備えた新たな病児保育室の開設の検討を進めております。
今後も、全ての病児保育室へのヒアリング等から把握した課題や利用者のニーズを踏まえ、病児保育室を運営している医療機関とともに、送迎支援や利用日の拡大など、これまでにない新たな機能の検討を重ね、病児保育を利用したい人が利用できるよう、さらなる充実に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に、子育て世帯への多様な食事支援についてのお尋ねです。地域の身近な飲食店を利用した子育て世帯への食事支援は、孤食の解消や子どもの見守りなどの観点に加え、家庭と店舗の顔が見える関係性が育まれ、地域コミュニティーの活性化も期待できると考えております。
引き続き
ひとり親フードサポート事業のほか、NPO法人や民間企業、地域の飲食店など様々な機関とつながり、子育て世帯の事情に応じた多様な食事支援の実現に向け、積極的に検討を進めてまいります。
次に、青少年に関わる地域人材の育成支援についてのお尋ねです。区は、
青少年対策地区委員会の事業において、活動中のけがや病気などの危機管理対応や個人情報の管理に加え、子どもの基本的人権を尊重し、当事者の視点で取り組むことが重要と考えております。
来年度から、みなとキャンプ村事業や、各地区委員会で取り組むバスハイクや、スキー教室等の実施前に、個人情報の取扱いや子ども一人一人の人格を尊重する基本的な人権に関する研修等を行い、積極的な地域人材の育成に取り組んでまいります。
次に、高齢者支援についてのお尋ねです。
まず、
高齢者福祉理美容サービスの充実についてです。区では、現在、寝たきりなど、外出困難な要介護状態の高齢者を対象に、出張理美容サービスを実施しております。介護予防や認知症予防の観点から、対象や内容をさらに拡充することにつきましては、他自治体の取組状況などの情報を収集するとともに、関係団体の意見も丁寧に伺いながら、効果的な事業の在り方について調査研究をしてまいります。
次に、ふれあい相談員の体制や支援内容の展望についてのお尋ねです。区は、来年度から、ふれあい相談員の訪問体制を拡充し、訪問対象を単身世帯の高齢者だけでなく、家族と同居する高齢者へと拡大いたします。これにより、障害、子ども、生活環境など複合的な支援が必要な世帯を早期に把握し、速やかに必要な支援につながることができると考えております。
今後、ふれあい相談員の訪問により、高齢者を含む世帯の生活実態を把握し、高齢分野だけではなく、対応が困難な複雑化、複合化した福祉課題への対応に生かしてまいります。
次に、終活の支援体系の構築と体制づくりについてのお尋ねです。区では、現在、高齢者相談センターにおいて、エンディングノートや遺言の作成方法などの終活をテーマとした区民向け講座を開催しております。
また、高齢者による相続や葬儀などの死後事務に関する窓口や電話での相談に対し、港区社会福祉協議会や医療機関などと連携し、内容に応じた情報提供や関係窓口の案内などをしております。
終活の相談につきましては、引き続き高齢者に身近な高齢者相談センターが窓口となるほか、必要な支援策については、高齢者支援課が関係機関と連携し検討するなど、効果的な体制づくりを推進し、終活支援を一層充実をしてまいります。
次に、キャッシュレスシステム導入効果を公表していく取組についてのお尋ねです。物価高騰が続く中、毎回3万人以上が申し込むプレミアム付き区内共通商品券には、区民から高い期待が寄せられております。
また、みな得ポイント還元キャンペーンでは、対象店舗合計のPayPayによる決済額が昨年度に比べ約7割増加するなど、両事業には消費者や店舗から好意的な意見が寄せられております。
短期間に大きな消費を創出する両事業の効果を商店会や各店舗に周知することは、商店会加入の魅力を高め、新規会員の獲得につながるなど、商店街活性化に寄与することから、港区商店街連合会と連携して、店舗等への事業効果の公表に取り組んでまいります。
次に、地域の担い手となるエリアマネジメントの構築についてのお尋ねです。区は、地域の魅力・価値を高めるエリアマネジメント活動を促進するため、今月、港区エリアマネジメントガイドラインを策定いたします。
さらに、区内のエリアマネジメント団体で構成される港区エリアマネジメント連絡会を昨年11月に立ち上げ、各団体が持つにぎわいを創出するためのノウハウなどを共有するとともに、団体間の連携の強化を図るため、議論を重ねております。
今後は、エリアマネジメント団体が、ガイドラインも踏まえて、地域と連携したお祭りなど、にぎわいを創出する活動を継続的に行うことで、町会や自治会等を支える新たな担い手となるよう支援してまいります。
最後に、六本木三丁目児童遊園周辺エリアの安全対策についてのお尋ねです。区は、六本木三丁目児童遊園等の再整備に当たって、地域の方々で構成する六本木三丁目児童遊園周辺地区整備検討会を立ち上げ、安全・安心な児童遊園、公衆便所及び道路の整備計画に加え、再整備後の維持管理に関する検討を重ねております。
引き続き六本木地区の安全・安心をより一層向上させるため、今月から児童遊園等の整備に着手するとともに、地域の方々の御意見を丁寧に伺いながら、デジタルサイネージを活用した六本木安全安心憲章の周知・啓発や、青色防犯パトロールの強化などに加え、麻布警察署や地域団体との連携による安全対策を構築してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
○教育長(浦田幹男君) ただいまの自民党議員団を代表してのゆうきくみこ委員の総括質問に順次お答えいたします。
最初に、子どもの学習費調査についてのお尋ねです。委員からは区長に伺うとありましたが、私から答弁をさせていただきます。
子どもの学習費調査では、私立学校やインターナショナルスクールに通う児童・生徒の割合が高いという区の特性を踏まえ、区立学校と私立学校等に通う児童・生徒それぞれに約3,500人と同数のサンプルを抽出し、調査することで、港区全体とともに、学校の種別ごとの教育費負担を的確に把握してまいります。
また、文部科学省が実施する、全国を対象とした子どもの学習費調査の項目と整合性を図ることで、全国と港区を比較し、港区の教育費負担の特徴や傾向をつかむことができると考えております。
この調査により、義務教育期間の子どもの教育費負担の実情を網羅的に把握、分析し、今後の教育施策に生かしてまいります。
次に、(仮称)北青山三丁目地区スポーツ施設の整備についてのお尋ねです。こちらも私から答弁をさせていただきます。
(仮称)北青山三丁目地区スポーツ施設は、誰もが身近な場所で気軽にスポーツを楽しむことができるよう、十分な天井高を確保した多目的競技場をはじめ、多種目のスポーツで利用できる施設として整備をしてまいります。
具体的には、新たなスポーツとして着目をされているeスポーツ、区立スポーツ施設としては初となるゴルフ練習場、多くの人がランニングやウオーキングを楽しんでいる地域性を踏まえたランニングステーション機能などを導入いたします。本施設の整備により、赤坂・青山地域のスポーツ環境の一層の充実を図ってまいります。
最後に、スポーツが学校教育に果たす役割についてのお尋ねです。スポーツは世界共通の文化であり、心身の健全な発達、健康・体力の保持増進、精神的な充足感の獲得など、人々が健康で文化的な生活を営む上で不可欠なものです。
教育委員会は、子どもたちにスポーツの楽しさや仲間と目標を達成することの喜びを味わわせることで、生涯を通じて学び続けるための資質を育んでおります。こうした資質をこれまで以上に育むことができるよう、全幼稚園、小学校へのボルダリングウオール設置等に加え、公私立の小・中学生を対象としたMINATOリズムダンスフェスタの開催や、学校2020レガシー推進事業にも取り組み、誰もがスポーツの魅力を感じることができる環境の充実を図ってまいりました。
引き続き教育委員会は、港区ならではの取組を通して、子どもたちが豊かな人生を送ることができるようにしてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○委員(ゆうきくみこ君) ありがとうございました。
以上で、自民党議員団の総括質問を終わります。
○委員長(うかい雅彦君) 自民党議員団の総括質問は終わりました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(うかい雅彦君) 次に、みなと未来会議を代表して、琴尾委員。
○委員(琴尾みさと君) よろしくお願いします。みなと未来会議を代表して、琴尾みさとが、区長、教育長、そして、議長に質問させていただきます。
少子化についてです。
厚生労働省が、先日、2023年の出生数を発表いたしました。2023年の出生数は75万8,631人と、過去最少を更新。少子化と日本国民の人口減少がまた一段と進みました。
令和6年第1回東京都議会定例会の知事の施政方針の中で、小池百合子東京都知事は、「我が国では、少子高齢化、人口減少など、先送りにし続けてきた構造的な課題がいよいよ先鋭化してきています。このままではさらなる国際競争力の低下は免れません。そこで追い打ちをかけるように、相次ぐ戦争や深刻さを増す気候変動など、将来を脅かす危機も高まってきています。明るい未来への道筋が見えないことに対する、人々が感じる不安。これに目をつぶり、何も手を打たないことは政治の責任放棄と言えましょう。世界の動き、そして時代の行く末をしっかりと見定め、社会の形を抜本的に変えていく覚悟が必要であります」と述べられました。
また、政府のこども未来戦略においても、そのサブタイトルには、次元の異なる少子化対策の実現に向けてと掲げ、それを実現するため、こども・子育て政策を定めています。
つまり、今までこども・子育て政策の中に、少子化のほか、高齢化、核家族化やコミュニティーの希薄化、経済的貧困などの問題認識がありましたが、今般、その中にあった少子化という問題を国家がトップレベルの問題に掲げ、それを解決するための取組内容、つまり、少子化対策をこども・子育て政策の中でまとめた形です。
国や東京都が少子化をトップレベルで問題と捉え、政策を進めようとしている中、港区では、今年の基本計画や事業計画の中にも、区としての少子化対策に一切触れていません。もちろん、区のホームページを検索しても、一切そのワードが出てきません。むしろ絶対に少子化対策と書かないという強い意思すらも感じています。
少子化対策は国の政策で、あるいは東京都の政策でありますが、その先で子どもを産み育てたい方々への支援や、安心して産み育てられる地域社会を構築することは、まさに基礎自治体の役割であります。少子化というこの国難に対する区の取組姿勢として、事業計画の中にも少子化対策という言葉をしっかりと明示し、区民とともに少子化対策を進めていくのだというメッセージを積極的に区民に発信し、区民とともにこの国難を乗り越えていくのだという強い意志を示していく必要があるのではないのでしょうか。
人が行動を起こすときに大切なのは、ビジョンや安心して行動できる環境などがそこにあるときだと思います。子どもを産み育てたいと思った方々が、この港区で安心して産み育てられるのだと共感していただけるよう、港区はしっかりと少子化対策を進めているよ、そのためにこども・子育て政策を進めているのだよと、未来に不安を抱えている方々に区が積極的にメッセージを発信して示していく必要があると思います。区の見解を伺います。
少子化問題を抱えている日本において、労働者の人員不足、社会保障制度の崩壊などが指摘されています。しかし、私たちは、労働人員の増加をさせるために子どもを産むわけでもありませんし、社会保障制度のために子どもを産むわけでもありません。私たちは、子育てをしたい、自分の家族をつくりたいなど、そういった思いから子どもを産み育てるのではないのでしょうか。子どもを望まない方ももちろんいらっしゃいますし、望んでいても恵まれない方もいます。様々な御事情がある中でも、子どもを望まれる場合は、望む方々が希望する人数を産み育てられるような社会を目指すべきです。
区として、希望出生数は取られていませんが、毎年定期的に希望出生数と港区の出生数をはかることで、その差を縮めていくことを目安に少子化対策を目指していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、離婚前後の支援についてです。
民生費では、実績であまり利用されていないのが明らかにされました。始めてまだ3年近くなので認知度の問題もあるかとは思いますが、課長から御答弁いただきましたとおり、対象の方々の置かれている状況はケース・バイ・ケースで、利用しづらい実態があります。
港区が令和2年4月から始めた3つの事業についてですが、ADRは養育費や面会交流等に関わる取決めをするのに利用されているものではありますが、合意書の法的効力は、公正証書や調停調書に比べて低いと言われています。
そして、同時にスタートした港区面会交流コーディネート事業、養育費保証利用助成は、公正証書がなければ利用はできません。いずれも利用実績が少なく、利用しづらいのであれば、少しでも利用しやすいように見直していく必要があります。
そこで、離婚前支援として、公正証書の作成を区として支援することはいかがでしょうか。ADRと比べ、養育費未払など相手が約束を守らない場合に強制執行で給与差押え等ができる公正証書は、大変有効です。社会問題になっている養育費不払い問題は、公正証書を作成せずに離婚したことから、養育費が支払われず、シングルマザーの貧困につながっている一つの大きな原因でもあります。親権、面会問題も、公正証書があれば、よりスムーズな対応が行えるかと思います。
現在、ADRの助成には5万円の助成を行っていますが、公正証書作成費も、手数料など費用がかかるので、助成があれば助かります。より安心感を持って新たな一歩を踏み出すために、ひとり親の貧困問題を少しでも解消していくためにも、より効力のある公正証書への支援を行っていくべきと考えますが、区の見解を伺います。
次に、ひとり親家庭ホームヘルプサービスと、多様なライフスタイルや家庭環境に対する考え方の転換への区の対応について伺います。
ひとり親家庭ホームヘルプサービスについて、シングルマザーの方から御相談をいただきました。この方は、現在、保育園と小学校に通うお子様2人を育てており、御自身のお母様と同居しております。ある日、子どもたちをお母様に預けて外出する必要がありましたが、お母様は御高齢のため、預けるには不安だということで、この事業を活用したかったが、親族が同居しているので利用できませんとのことでした。利用できる条件としては、住民票登録にパートナーや親族がいる場合は受けられないのが今の現状です。御高齢のお母様に預けるのが不安という気持ちも分かりますし、近年、晩産化が進み、子どもが小さくても親御さんが御高齢という、こういったケースもあり得るかと思いました。
自分自身も以前、実家に子どもと一時期戻った際に、両親と同居していることで受けられないサービスも多くありました。しかし、両親は共働きで、私の子どもの面倒を見る余裕すらもなく、一人で子育てした経験もあり、実態や本質的な課題というのは住民票だけではかれるものではないのではないかと思っています。
なぜシングルマザーが親族などの同居人やパートナーと一緒にいることで支援が受けられないのかというと、一緒に住んでいれば、当たり前に子どもを見てもらえるでしょうという前提に事業が設計されています。
そもそもこの事業ができるきっかけは、いつも忙しいシングルの御家庭にお子様との時間を大切にしてもらうためと伺いました。この事業が始まったのは、約40年以上前です。40年前だったら、家庭に親がいなければ見てもらえる環境が当たり前だったのかもしれません。今は共働きは当たり前だし、晩婚化が進み、高齢出産の方も多く、その御両親も御高齢というケースは珍しくありません。シングルマザーは貧困世帯も多いため、シェアして暮らしている場合もあります。また、親と一緒に暮らしていても、親との関係がよくなければ、同居であれども頼めないこともあります。
パートナーと同居しているからといって、必ずしも子どもを見てもらえるわけではなく、パートナーと子どもの関係性ができていなかったり、もし再婚を考えているのであれば、パートナーとの時間も大切です。子どもがいたら申し訳ないかな、嫌がられないかなど、後ろめたさを持っている人もいるから、子どもの置き去りが起こってしまい、時折テレビで見るような悲しいニュースにつながってしまったりするのではないのでしょうか。
また、住民票になくても、実態としては同居されている御家族もあれば、逆に、住民票に登録されていない場合もあります。実態というのは、住民票だけではかれるものではありません。私たちの生きるこの時代は、様々な生き方を選択できる時代でもあり、昔の当たり前が当たり前ではなく、前提の設定が一昔も二昔も前のこととなっています。
この事業だけではなく、多様性のある、きめ細やかな政策がこれからさらに求められてくるのではないのでしょうか。少子高齢化によって、今後さらに期待される女性活躍、それによって、さらに進むであろう晩婚化、晩産化、核家族化など、多様な家族の形、ライフスタイルの多様化がより進む中で、時代の変化に対応した考え方を施策に反映し、事業計画の見直しを行い、アップデートしていくべきと考えますが、区の見解を伺います。
次に、基金運用についてです。
歳入でさいき委員が取り上げていた基金運用について質問します。港区は、黒字が続き、2,000億円もの基金、言わば区の貯金がたまっている状況にあります。そのうち1,000億円を債券で運用しておりますが、保有しているのは道路債と呼ばれる債券が大半で、利回りは僅か0.1%にとどまっています。
一方で、大分県国東市では、運用方針を見直し、0.2%だった利回りを直近で1.2%などにまで劇的に改善させています。港区の1,000億円の債券の利回りの1%でも確保できれば、毎年10億円の自主財源が生み出されることになります。
しかし、基金の在り方などを検討するアドバイザー会議が年2回しか開かれる予定にありません。また、基金運用を所管する会計室の会計管理者と会計室長が兼務している状況にもあります。
区民の貴重な財産に関わる話だからこそ、港区運用利回りの改善やリスクマネジメントの体制など、今後の公金管理の在り方について、人員体制を強化し、運用収益の向上を目指していくべきと考えますが、区長の見解をお聞かせください。
また、区長は、今定例会の我が会派の代表質問で、運用に当たっては、金融や経済の情勢などを考慮しながら、運用収益の向上を図るために新たな金融商品の選択や運用期間などについても検討しておりますと答弁しています。運用収益を向上させていく決意について、区長の見解をお聞かせください。
次に、議会BCPについてです。
能登半島地震が発生し、災害に対して常に備えることの重要性が再確認されています。議会において、未曾有の災害や事故などの発生した際、議会の役割を明確にし、適切に遂行できるようにあらかじめ計画をするBCPがあります。
兵庫県芦屋市では、議会機能継続計画を策定しており、災害時において議会がどのような役割を果たし、執行機関との役割を分担するのかといったことを明記しています。BCPは、つくることによるメリットもありますが、BCPをつくる過程においても、災害に備える意識が高まり、防災・減災につながることも期待されています。
芦屋市のBCPでは、災害の初動対応について議員の規範を定めるなど、具体的な内容が盛り込まれ、災害から2日以内には、議会に災害対策本部の設置をする旨の方針なども定められています。いざというときの行動指針を明確にしておくことで、災害時にも速やかな議会復旧と市民生活の復興を目指すことができるようになります。
災害はまさに時を選んではくれません。議会費において、議会BCPについて区議会事務局に質問した際も、議員側の積極的な議論が要請されました。それも踏まえ、議会BCPの策定など、災害への備えを万全にするためにも、議論をリードしていただきたいと考えますが、議長のお考えをお聞かせください。
観光振興施策についてです。
昨年、令和5年第3回定例会一般質問で、我が会派の玉木議員から、港区観光協会補助金が隣接区と比較して規模が大幅に少ないことを指摘し、港区観光協会がより多くの事業を実施できるよう、区補助金の積極的な投入を質問いたしました。
武井区長からは、港区観光協会の現在の人員体制では新たな事業実施は困難であることを認めた上で、港区観光協会の自立した組織運営の実現に向け、テーマ部会による検討状況も踏まえ、引き続き支援していくとのことでした。
そして、来年度予算の港区観光協会補助金は、約3,870万円で、前年度比110%、371万5,000円の増となりました。主な増額理由は、観光冊子の発行とホームページコンテンツの充実化で、事務局体制支援は、前年度比104%の微増にとどまりました。
一方で、港区観光協会とは別に、港区観光政策担当の予算は、令和5年度、1億4,099万9,000円から、来年度、2億212万6,000円と、前年度比143%と大幅に増加いたしました。
このことからも、港区が観光振興に力を入れてくださっていることは理解いたしますが、区長も認めているとおり、現在の港区観光協会の人員体制では新たな事業実施は困難であり、港区観光協会の人員体制の支援強化をお願いしたいと思います。
そこで伺います。今後の港区観光協会の事務局機能強化については、テーマ部局による検討状況も踏まえて支援するとのことでしたが、現在の検討状況をお聞かせください。
そして、港区と同様に、来年度の東京都の観光予算である、未来を見据えた魅力的な観光都市は、前年度263億円から16%増加の306億円が計上されました。東京都予算案を見ると、東京の多彩な食のプレゼンテーションや、江戸情緒あふれる景観創出事業、東京ナイトタイム魅力創出プロジェクトなどのほか、美容体験型観光の普及・促進や、東京に長期滞在しながら都外の観光地を日帰りで訪問する、東京をゲートウェイとした日帰り旅行という新たな観光スタイルの魅力発信といった特徴的な新規事業もあり、合計新規22事業が提案されました。
こうした東京都の観光予算を拝見し、改めて観光振興が観光事業者だけでなく、商店街も含めた産業振興、アクセシブル・ツーリズムやサステナブル・ツーリズムといったまちづくり、伝統文化など、分野横断的な取組の必要性を痛感いたしました。
来年度、東京都は、美容体験型観光といった新たな観光資源の開拓に取り組むとされており、より一層東京都とも連携し、港区観光協会に加えて、商店街連合会やまちづくりを担う開発事業者、文化芸術など、分野横断的な観光施策が重要になると思います。
東京都の観光施策との連携、各種補助金の活用、そして、分野横断的な観光施策の推進について、区長のお考えをお聞かせください。
次に、ドッグランです。
みなと未来会議が区長に提出した要望書の中にもありましたが、ドッグランの設置が、試験的ではありますが、今回の予算に盛り込まれたことを大変うれしく思っております。ドッグランを設けてほしいと、様々な議員からも声が上がっておりました。引き続き前向きに御検討いただきたいと思います。
今回、区は、公園における小規模なドッグランの基準を新たに定めましたが、さらにドッグランを増やしていくために、公園以外でも、大規模な再開発等においてドッグランの設置を誘導していくような考えがあるのでしょうか。伺います。
次に、子どもたちの遊び場についてです。
港区の子どもの人口や学童利用者も増えております。そのため、小学校の休み時間に遊べるスペースが制限されていたり、港区における子どもたちの運動不足が問題となっている中で、まだまだ解消できるような環境が整っていないのが現状です。
そんな中で、放課GO→クラブで利用できる遊び場、スペースが、学校によってきちんと固定化されているところもあれば、日によって変わってしまうような学校もあります。放課GO→クラブにおける子どもたちの遊び場の安全管理の観点や、子どもたちが安心して遊べる環境のためにも、遊び場、スペースの可能な限り固定化、確保をしていただく必要があるかと思います。
そこで、区長に伺います。放課GO→クラブの活動場所は、学校側とどのように調整をして決めているのか、伺います。
次に、避難所における女性のプライバシーについてです。
防災については、石渡議員からも各款審議で質問がありましたが、ここでは、避難所における女性のプライバシーについて質問いたします。
国が男女共同参画の視点から策定している防災・復興ガイドラインの中の避難所チェックシートには、授乳室を用意するという項目があります。授乳スペースなど、用意すればそれで終わりという話ではなく、災害時には、着替えや授乳の際、のぞかれる、盗撮される、わいせつ行為を受けるなどの事例が発生しています。
そういった災害時の女性の安全やプライバシーを守るアイテムの一つに、授乳服があります。一般的には、服に授乳がしやすいように切込みが入っています。モーハウスという授乳服の大手の製品ですと、これに加えて、肌が見えずに授乳することができる、まさに着る授乳室です。授乳服や授乳ケープなど、こうした女性の安全のためのアイテムとその導入に関してはどのようにお考えなのでしょうか。伺います。
次に、マンション防災についてです。
マンション防災における共同住宅の町会・自治会と協力した取組を支援についてです。我が会派の代表質問でさいき議員から、マンション防災の重要性から、マンション自治会の設立要件緩和を訴えました。
港区のマンション防災の取組は、防災組織の結成を促進し、災害対応力を強化するため、6階建て以上、かつ20戸以上の高層住宅、3階から5階建て、かつ10戸以上の中層住宅、高層住宅及び中層住宅を含む全ての共同住宅の3類型に分け、住宅の規模に応じた支援を展開しています。
高層住宅への支援は、防災組織の結成が条件となりましたが、例年七、八件の申請があると聞いています。令和6年度予算に高層共同住宅の防災組織への資器材助成メニューに、荷物を運ぶための電動階段運搬車が追加されました。これは、令和6年能登半島地震を受けて追加されたものと伺い、区長の防災に込める姿勢を感じられました。
しかし、共同住宅の2割弱を占めている中層住宅への震災対策は、携帯トイレ、アルファ化米、水の3点のままであり、高層住宅だけでなく、中層住宅への拡充も検討していただきたいと思います。
そして、令和6年度東京都予算では、共同住宅、いわゆるマンションの在宅避難環境の整備促進と、町会・自治会との合同防災訓練の促進を提案しています。東京都は、昨年、マンション防災をより一層強化するため、平成24年から実施してきたマンションの防災整備状況を認定する制度の名称を、東京都LCP住宅から東京とどまるマンションに変更いたしました。港区でも、芝浦を中心に14棟が登録されていますが、港区としてどのように東京都のマンション防災と連動をした取組を支援しているのでしょうか。
また、区内でマンションの自治会の設立要件緩和を求める意見がある中で、東京都が提案する町会・自治会との合同防災訓練の促進を港区としても進めていくべきです。
そこで伺います。東京都の共同住宅在宅避難を促進する東京とどまるマンション登録制度や、町会・自治会と共同住宅の合同防災訓練の取組との連携について、区のお考えをお聞かせください。
次に、地域に根差した緑を守る取組についてです。
環境清掃費の質疑で、玉木議員から、本定例会で付託された旧服部金太郎邸の請願に関して、旧服部金太郎邸敷地を対象に、仮の建築計画での基本緑化面積の試算結果を示し、緑化指導の充実を質問しました。
旧服部金太郎邸に代表されるような屋敷林の緑地を守ることができないのか、民間の土地に対して区ができることは何なのか、こうした課題を突きつけられているのだと思います。
そして、東京都の来年度予算案では、地域に根差した緑を守る区市町村の取組の強化を後押しするとともに、所有者の名前など、屋敷林の歴史を残すといった取組を実施するとのことです。具体的には、緑あふれる公園緑地等整備事業補助制度、特別緑地保全地区買取等補助制度、ツリーバンクの創設などです。
全ての東京都事業が港区で活用できるわけではないことは承知しておりますが、区民や地域に根差した緑を守る取組を、ぜひ港区としても政策課題として捉え、東京都の事業も参考にしながら、屋敷林の緑地を買取り、公園用地とすることを検討していただきたいと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。
次に、公立幼稚園の役割とニーズに応えるための方針についてです。
幼稚園は、年々、園児数が減少してきています。こういった背景を受けて、区は、幼稚園の魅力向上策として、イングリッシュティーチャーやお弁当の導入、また、預かり保育など様々な取組を行っています。
しかし、園児は減少傾向となる一方です。本村幼稚園について、令和6年10月園児募集について、2桁を割る場合には、令和7年度の募集は行われず本村幼稚園は休園とのお知らせを受け、陳情書が出されております。判断の猶予期間の延長や、もっと効果的な広報活動等を求められており、内容は共感できるものでした。この件に対して柔軟に対応していただきたいと思いますが、区の考えを伺います。
幼稚園の園児数が減っているのは、区民のニーズにマッチしていないからではないでしょうか。共働き世帯は増加し、保育ニーズが増えましたが、その中でも、子どもに教育を行いたいと思っている御家庭は多く、それを重ね合わせてみると、つまり、幼稚園では時間帯が遅かったり早かったり、3歳からの受入れがなかったりと、本来、幼稚園に対する魅力、ニーズはあるのに、環境の変化に対応できていないのが課題なのではないのでしょうか。区民の税金を使って運営している区立幼稚園は、区民のニーズをしっかりと把握し、そのニーズに沿って運営していくべきと考えます。ニーズに合う環境を整えれば、保育園という選択肢だけでなく、幼稚園に行かせたいという方もいらっしゃるのではないのでしょうか。保育園ニーズを踏まえた幼稚園の運営の在り方を検討していただきたいと思いますが、区の考えを伺います。
次に、保育士待遇改善についてです。
こども誰でも通園制度が、2026年から本格実施されます。親が働いているかどうかを問わず、子どもを一時的に預けられることから、区民にとってはとてもありがたい施策となるかと思います。
子育て施策は充実してきていますが、それを支える保育士の確保はいかがでしょうか。保育士の確保は、港区のみならず、全国で問題になっています。保育園に慣れない子どもを1人でも預けるということは、どのような状況になるのかというと、いつもの園児の活動に加えて、保育園に慣れなくて泣いている子どもたちをあやしながら、大人数の子どもを見ることになります。保育士にとってさらなる負担を課していきますが、それによって保育士の給料がどれぐらい上がるのでしょうか。年々、保育士に求められているものは増えていく一方で、賃金はあまり上がっていません。民生費で取り上げた保育士の給料の事例も、ほんの一部です。国や東京都でもベビーシッターの助成はなされ、需要も上がってきていることから、保育士の確保はさらに困難になってくるかと思います。
流山市では、子育て世帯の転入を支えるため、保育士の確保の取組をしています。主にはこちらの補足資料でも入れさせていただきましたが、こういった取組をされております。未就園児の預かりや質を上げていくための研修、障害を抱えたお子様が増えている現状などの、保育士に求められていることは年々増えていく一方です。保育士の給与にしっかりと上乗せできるように対応していきながら、港区でもこのような取組を行っていただき、保育士への待遇改善、そして保育士の質の向上を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、外部人材の処遇改善についてです。
本予算特別委員会の各款審議において、我が会派から区の業務に現場で従事する民間企業の従業員の処遇改善について、度々質問、要望してまいりました。現在、区施設217か所で指定管理制度を導入しており、現場で業務に従事している従業員は、昨年度末時点で2,403名と、区の職員数を上回っています。この方たちは、区施設で区民に直接対応されており、区の顔と言える存在です。しかし、この労働環境は、雇用主である事業者の責任とされ、区では、最低賃金水準の設定と労働関係法令が遵守されているのかのチェックしかしていません。
そして、最低水準賃金額を超えているかの確認は、所管課で行っているものの、詳細な時給までは把握していないとのことです。一般事務、給食調理が1,160円、看護師や保育士、保健師といった専門職でも、1,460円といった最低賃金水準を満たし、労働関連法令を遵守していれば、それでいいのでしょうか。最低賃金を満たしているだけではなく、業務に見合った処遇がなければ、公務員になり代わり、現場で区民サービスを行ってくれている従業員の仕事への満足度や質の高い区民サービスにはつながりません。
また、指定管理事業者の再委託先の従業員に関しては、労働環境モニタリングの対象外で、ノーチェックになっています。区が選定しておきながら、事業者の責任、事業者任せというのはあまりにも冷たい対応なのではないのでしょうか。
指定管理者制度導入の本来の目的は、民間企業のノウハウを生かし、従来、公務員が担ってきた業務の費用対効果を上げるというものだったはずです。それがだんだんと公務員組織をスリム化し、あれもこれも民間に投げていく、安く人を使う、ややもすると、官製ワーキングプアと言われている状況が広がっています。
指定管理者だけでなく、委託先企業で働く従業員の処遇も、同じく質の高い区民サービスを担保できる処遇になっていません。しかし、業務委託に関しては所管課が管理しており、賃金水準の設定やモニタリングもありません。区が求める成果物に対し委託事業者にお金を払っており、一定の成果を上げさえすれば、従業員の処遇には口を出していない状態になっております。業務委託は、質の高いサービスが求められる教育現場にも導入されており、在り方を見直すべきと強く思います。
人件費や業務量などの労働環境について、企業任せでノーチェックではなく、区として手厚い基準を設けるべきです。そのためには、指定管理料や委託料でもしっかりと手当てしていくべきです。働く方の人権問題であるとともに、区民サービスの質にも関わる問題です。賃上げやワーク・ライフ・バランスが求められている中、区は率先して範を示し、区の業務に現場で当たってもらっている従業員の労働環境を改善すべきです。雇用環境の実態を調査し、早急に改善すべきです。区長の見解を伺います。
次に、港区の魅力向上におけるマーケティングについてです。
区の事業の目的は、区民を増やしたい、観光客、インバウンドを増やしていきたい、港区の魅力バリューを上げていきたい、区民の生活の質を向上していきたい等々、様々なゴールがありますが、それぞれを実現していくためのアプローチは目的によって違えど、その目的のゴール、目標達成のためには、まず、実態調査をし、調査結果に基づいて企画し、それを実行します。そして、その実行結果をしっかりと捉えてチェックし、その結果に基づいて必要な修正を行い、さらに効果的に行っていく、この一連のプロセスが必要ですが、全てのプロセスにはマーケティングの視点が重要です。
例えば、区民を対象にある事業を行う場合、その内容をしっかりと対象の区民の方々に認知していただかないと、期待効果は得られません。そのために有効なプロモーションやブランディング、マーケティング戦略が必要となってくるのです。また、一般的には一つの視点だけでやるとうまくいかない場合もあるので、部門横断的に横串を刺して検討することも必要になってくると思います。このようなマーケティング活動によって、港区の魅力を一層効果的に発信できるようになるのではないかと考えます。
今現在、広報に対する目標や評価、効果検証というのは定期的に取られているのか、伺います。
また、既に様々な情報発信を行っていることは認識しておりますが、区としては、広報をどのような目的、意義があると考え、発信されているのでしょうか。また、今後どのようにされていくのかを伺います。
最後に、子育てしやすい環境の充実に向けた調査研究のアンケート調査について要望いたします。
区が行った調査、子育てしやすい環境の充実に向けた調査研究というものがございます。こちらのアンケート調査は、少子化対策のために行っていたのではなく、子育て政策を検討するための材料の一つとして実施したということを伺いました。
少子化対策といっても幅広いことから、子育て政策が少子化対策として捉えられる見方もありますが、これまでもきちんと名目として少子化対策という言葉を掲げて行っているアンケートはありません。
そして、それに近しい、希望する子どもの人数を取ったこのアンケートにたどり着きました。このアンケートは、出産や子育てへの支援と子育て世帯への施策について、今後参考にしていくためのアンケートとなっておりますが、この調査実施方針の中で、出産・子育ての中心的当事者となる可能性が高い20歳から49歳までの女性を対象としていて、対象を女性に限定しています。
しかし、内閣府の男女共同参画局も、男性の育児参加が第2子、第3子を産むかどうかに影響し、その重要性を提唱しています。男性も子育ての当事者となる時代であり、男性の育児参加が少子化対策を講じていくために極めて重要な要素です。女性だけでなく、男性の意見のアンケートを取るべきだと考えます。
そのため、過去、男性のみに意見、アンケートを取ったことがあるのか、今後取られる予定があるのかをお聞かせくださいと質問させていただく予定でした。この質問の趣旨は、子育ては女性だけでするものではなく、男女共にするものだから、女性の声のみならず、男性の声も今後酌み取って、これからの区政のために生かしていく材料にしてもらいたいという思いを込めてつくった質問です。
この質問の答えとしては、これまでも男性に対してアンケートを取ることはしていないし、これらも予定をしていないことを既に御回答していただいております。なのであれば、なおのこと要望させてください。このアンケートを行ってくれたこと自体は評価しています。この対象は女性のみであることで、女性の思いしか反映されないこと、男性、女性それぞれにアンケートを取っていれば、より実態に近い有効的な判断材料になったのではないのでしょうか。アンケート結果だけで施策の全てが決まるわけではないことは理解しておりますが、少なからずとも、アンケートの取り方次第で施策立案に影響が出てくるものと思います。もし影響がないのであれば、そもそもそのアンケートを取る必要もなかったはずです。今この港区で暮らす方々の御意見を聞いて、より適切な政策立案をしてもらいたいと思います。
行政と議会の両輪でと、この前、議会でも区長より発言がありましたとおり、よりよく高め合える関係性が必要であるとお伝えしたかったから、この場をお借りして申し上げました。この日本は民主主義であり、選挙で選ばれた議員には質問する権利もあります。港区議会会議規則第61条には、議員は、区の一般事務について、議長の許可を得て質問することができるとされています。議員は、議長の許可を得て質問するものであり、担当課や区長の許可を得て質問するものではありません。今後御配慮いただけることをお願いして、質問を終わります。
○区長(武井雅昭君) ただいまのみなと未来会議を代表しての琴尾みさと委員の総括質問に順次お答えいたします。
最初に、少子化対策についてのお尋ねです。
まず、積極的なメッセージを発信していくことについてです。区は、今年度改定の港区基本計画や港区地域保健福祉計画において、保育の質のさらなる向上や、子育て世帯への切れ目のない支援の展開など、少子化対策につながる、区が目指す子ども・子育て政策の新たな方向性や目標等を区民に向けてお示しをしております。
今後も、広報みなとや区ホームページ、SNS等を活用し、港区での安心した子育てを区民が実感できるよう、区の子ども・子育て政策を分かりやすく積極的に発信をしてまいります。
次に、定期的に希望出生数と区の出生数をはかることについてのお尋ねです。区は、今年度実施した港区子ども・若者・子育て支援に関する実態調査において、保護者、中学生、高校生、若者を対象に、希望する子どもの人数のみでなく、結婚に対する希望や、将来子どもが欲しいかなど、将来を見据えた多様な世代の考えについても調査するなど、より具体的な実態把握に取り組んでおります。
調査の結果等を踏まえ、誰もが安心して望む人数の子どもを産み育てられる港区を実現できるよう、引き続き実態の把握に努め、多様な考え方に応じた積極的な少子化対策を充実してまいります。
次に、離婚前後の支援についてのお尋ねです。養育費保証利用助成や親子交流コーディネート事業の利用には、夫婦の公正証書等による取決めが必要であるため、事業の効果的な利用につながっていないことが課題です。
今後は、離婚後の養育費確保や親子交流の円滑な実施を促進し、子どもの心理的負担の軽減や安定した生活の確保につなげていくため、夫婦間の取決めに必要な公正証書の作成費用の助成について検討してまいります。
次に、多様なライフスタイルや家庭環境の変化に対する区の対応についてのお尋ねです。区は、これまで誰もが安心して子育てができるよう、出産費用助成の増額や
ひとり親フードサポート事業の実施、ベビーシッター利用支援事業の対象年齢の拡大など、多様なライフスタイルや家庭環境の変化に即した施策を実施してまいりました。
今年度実施した港区子ども・若者・子育て支援に関する実態調査で、フルタイムで就労する母親の割合が増加していることや、希望する子どもを見てもらえる親族等がいる割合の減少など、変化する子育て家庭のニーズや実態を把握いたしました。
来年度に予定しております(仮称)港区子ども計画の策定では、こうした調査結果を生かし、既存の子育て施策の見直しも含めて、誰もが希望に応じて仕事や出産、子育てを共に選択でき、自分らしく豊かに過ごす、多様な生き方や働き方を実現できるよう、積極的に取り組んでまいります。
次に、基金運用についてのお尋ねです。
まず、公金管理の在り方についてです。本年は、8年ぶりに国のマイナス金利政策からの転換が想定されているため、港区公金管理アドバイザー会議を3月及び4月の日銀の金融政策決定会合後の5月に臨時に開き、年3回以上開催する方向で現在調整を進めております。
区では、公金管理に当たっての前提条件として、元本を損なうことがない、安全で確実な運用を最優先に考えております。そのため、公認会計士と金融アナリストから成る港区公金管理アドバイザーの助言を得て、金融商品の選定や金融機関の健全性の判断などを行う現在の人員体制については、適切なものと考えております。
次に、運用収益を向上させることについてのお尋ねです。区では、安全で確実な運営を行うことを最優先にしておりますが、今後金利が上昇することにより、債券の時価が減少するリスクなども考えられます。
区民の財産である基金を損なうことなく、かつ、より多くの運用収益を得られる金融商品や運用方法について、引き続き港区公金管理アドバイザーの助言を得ながら検討してまいります。
次に、港区の観光振興施策についてのお尋ねです。
まず、港区観光協会の事務局機能強化についてです。現在、一般社団法人港区観光協会では、多くの会員企業を有する強みを生かした新たな観光振興につながる自主的な事業の創出に向け、水辺部会、ナイトタイムエコノミー部会、寺社部会の3つのテーマ部会において、事業者同士の活発な意見交換を行っていると聞いております。
今後、各テーマ部会で検討された具体的な事業が実行できるよう、事務局機能の強化と併せ、区としての支援を検討してまいります。
次に、分野横断的な観光振興施策の推進についてのお尋ねです。区は、東京都の観光行政を補完する役割を担う公益財団法人東京観光財団の補助金を活用し、観光冊子を作成し、配布しております。また、作成した観光冊子は、データ版を東京観光デジタルパンフレットギャラリーで公開するなど、連携を図っております。
今後も、東京都との連携を強化するとともに、一般社団法人港区観光協会や、今年度策定する第4次港区観光振興プランで掲げる、港区商店街連合会や大学、大使館、全国連携自治体など12の団体等とも連携をした、分野横断的な観光振興施策を推進してまいります。
次に、ドッグランについてのお尋ねです。区は、小規模ドッグランの設置を実現するため、区立公園におけるドッグラン設置の基本的考え方を今月改定し、公園における小規模ドッグランを試行的に整備してまいります。
さらに、開発事業等の機会を捉え、整備される公園やオープンスペースなどを利用した小規模ドッグランの設置を誘導してまいります。
次に、放課GO→クラブの活動場所についてです。学校施設内にある放課GO→クラブでは、専用室のほか、体育館や校庭などを活動場所として利用しております。学校と放課GO→クラブでは、定期的に打合せをする中で、放課GO→クラブの活動計画を確認し、利用する場所の調整をしております。
今後も、放課後の居場所として、児童が自分のやりたい遊びや活動を伸び伸びとできるよう、活動場所を設定してまいります。
次に、避難所における女性のプライバシー保護についてのお尋ねです。区では、区民避難所で避難生活を送る女性のプライバシーを保護するために、授乳、更衣用のテントや、人目を気にせず授乳ができるケープ、女性専用のトイレテントを備蓄しております。
引き続き、令和6年能登半島地震における避難所の状況も踏まえながら、女性が安心して区民避難所で生活を送ることができるよう、避難所環境の充実に取り組んでまいります。
次に、マンション防災についてのお尋ねです。区では、マンションの防災対策を強化するため、アドバイザーを派遣し、防災組織の結成や防災マニュアルの策定を進めるなど、きめ細かな支援に取り組んでおります。
東京都の東京とどまるマンション登録制度は、防災マニュアルの策定や訓練、備蓄を促し、マンションの防災力の向上につながるものです。
共同住宅の防災力を高めることを目的とした、区及び東京都の事業が共に効果を発揮できるよう、共同住宅で訓練を計画する際には、地域の町会・自治会と連携して実施できるよう調整するなど、実効性ある防災対策を推進してまいります。
次に、地域に根差した緑を守る取組についてのお尋ねです。区は、港区都市計画公園・緑地の整備方針に基づき、区民の憩いや交流が図られるとともに、災害時には地域集合場所となるなど、防災活動拠点としての機能を確保するため、都市計画公園の事業認可を取得し、用地買収を計画的に進めております。
用地の取得に当たっては、国庫補助金や都市計画交付金など財源を確保し、現在、三田台公園を整備しております。
屋敷林などの緑地等を買い取る制度は設けておりませんが、引き続き地権者との用地交渉を丁寧に進めるとともに、財源を確保しながら、都市計画公園の早期完成を目指し、都市緑地の保全、確保に努めてまいります。
次に、保育士の待遇改善についてのお尋ねです。区は、これまでも保育従事職員宿舎借り上げ支援事業において、東京都の基準額に月額約3万円を上乗せして補助を行うなど、区独自の処遇改善に取り組んでまいりました。
国のこども未来戦略では、保育士の処遇改善についてさらに改善を進める方針が示されており、東京都の保育士等キャリアアップ補助金についても、来年度から内容の拡充が予定されております。
区は、引き続きこうした国や東京都の動向に加え、他自治体の事例なども積極的に収集し、あらゆる角度から、区内で勤務する全ての保育士の安定した処遇改善に取り組み、保育の質を向上させてまいります。
次に、区立施設に従事する職員の雇用環境の実態調査と改善についてのお尋ねです。指定管理者制度を導入している施設については、区は、自らモニタリングを行うほか、労務管理の専門家である社会保険労務士による労働環境モニタリングも実施し、雇用状況を含む施設の労働環境を把握するとともに、改善に向けて必要な対応を指定管理者に求めております。
また、令和4年10月からは、指定管理者制度導入施設の保育士等の賃金を引き上げるため、指定管理料を増額するなど、区独自に対応しております。
引き続き必要な人員の追加配置や人員増加に伴う人件費の指定管理料での対応など、質の高いサービスの安定的な提供に向けて、指定管理者を支援してまいります。
次に、港区の魅力向上におけるマーケティング等についてのお尋ねです。
まず、広報に対する目標、評価と効果検証についてです。区では、あらゆる人が分かりやすく情報を受け取ることができる広報を目標に、多様なツールを活用した情報発信に取り組んでおります。
効果検証については、定期的な区政モニターアンケート調査を評価ツールとして使い、約7割の区民に区政情報が届いているという結果が出ております。
このほか、昨年度より、SNS運用に知見のある民間人材を広報戦略支援員として採用し、分野ごとに設けた18のXアカウントについても定期的に効果を検証しており、分析結果を全庁に示すことで、投稿スキルの向上を図り、情報発信の強化に取り組んでおります。
最後に、広報の目的、意義と今後の取組についてのお尋ねです。区の広報は、区の取組や事業、魅力などを広く周知し、利用を促すとともに、区の考え方などをお示しするなど、区と区民との信頼関係を構築するために必要不可欠なものです。
区では、幅広く即時に情報を伝えるために、SNSでの日々の発信やSNS広告の積極的な活用など、戦略的かつ効果的な情報発信に取り組んでおります。
来年度は、誰もが簡便に情報を探すことができ、迷わずに目的を達成できる利便性の高いホームページのリニューアルや、インターネット配信に特化した、訴求力のあるショート動画の活用に取り組み、さらに便利で効果的な広報を積極的に推進してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
○委員長(うかい雅彦君) 間もなく午後2時46分となりますので、黙祷のため、ここで休憩といたします。自席にてお待ちください。
午後 2時42分 休憩
午後 2時47分 再開
○委員長(うかい雅彦君) 委員会を再開いたします。
○教育長(浦田幹男君) ただいまのみなと未来会議を代表しての琴尾みさと委員の総括質問に順次お答えをいたします。
区立幼稚園の役割とニーズに応える方策についてのお尋ねです。
まず、本村幼稚園の休園についてです。本村幼稚園では、これまでも本村小学校での体験給食や大使館ボランティアによる英語活動の実施、子育てサポート保育の時間延長など、様々な魅力向上策に取り組んでまいりましたが、園児数の減少が続いている状況です。
こうした状況も踏まえ、令和6年度には、他の園で試行実施をしていた夏季等休業中一時預かり事業の実施や、幼稚園NTの配置、弁当配送事業の開始など、本村幼稚園のさらなる魅力向上策の実施を予定しております。
園児募集の停止については、新たな魅力向上策の効果や年度途中の入園状況も踏まえ、慎重に検討してまいります。
最後に、保育園ニーズを踏まえた、区立幼稚園の運営の在り方についてのお尋ねです。これまで実施をしてきた子育てに関するアンケート調査の結果等から、共働き世帯など、保育の必要性がある家庭においても、幼稚園利用の希望が一定数あることは認識をしております。
こうした家庭のニーズも踏まえ、今年度からは、区立幼稚園子育てサポート保育の実施時間の延長や、夏季等休業中の一時預かり事業の試行実施など、保育ニーズを高める取組を進めてまいりました。
今後、国の幼稚園教育要領の趣旨も踏まえながら、幼稚園教育にふさわしい保育時間や、認定こども園などの多様な施設運営形態を調査し、区立幼稚園の在り方を検討してまいります。
よろしく御理解のほどお願いをいたします。
○議長(鈴木たかや君) ただいまのみなと未来会議を代表しての琴尾みさと委員の総括質問にお答えいたします。
災害時の議会BCPについてのお尋ねです。区議会として災害時に速やかに対応するために、備えを充実させておくことは極めて重要なことと考えております。
私たち区議会議員は、コロナ禍において様々なことを学び、対応してまいりました。具体的には、国の緊急事態宣言に先立ち、議会内の情報共有や行政との連絡調整のための連絡会議を立ち上げました。さらには、感染予防対策として、議会棟に登庁しなくとも、資料や情報を即時に共有できるタブレット端末を導入するなど、積極的にICT化を進めてまいりました。
区議会議員は、災害時の要支援者の方の状況など、地域の実情に精通しており、地域の皆さんとの信頼関係の下、確かな情報を行政に伝え、また、行政の情報を地域の方々に的確に伝えることができる存在です。
こうした迅速かつ先進的な取組や、議員ならではの災害時の対応も踏まえて、議会運営を継続的に行うための準備や、それぞれの議員が各地域で得られる生きた情報を、災害時の復旧復興にどのように役立てられるかを議員各位と相談をしてまいりたいと考えております。
引き続きの御協力をお願いいたします。
○委員(琴尾みさと君) ありがとうございました。
様々なことを各款審議でも質問させていただいたのですけれども、取り上げていないのですが、例えば、スタートアップだったり、様々な、防災だったり、本当に力を入れてくださっている予算案になっていると受け止めております。
ただ、この質問でもさせていただきました少子化対策についてですけれども、やはり私たち子育てをしている区民だったり、これから子どもをもうけたいと思っている方々が本当に希望を持って産むためには、まさに私は政治でそれを解決していかない限りは、少子化問題というものは解決できないと思っております。
しかしながら、この港区においては、本当に様々な子育て政策を行っていることも十分承知しております。まさにそれが少子化対策のためで、皆さんが希望を持って産みたい、育てたいと思っていただけるように、文字として発信し、また、区長もそのリーダーシップを発揮していただきたいとお願いして、質問を終わります。
○委員長(うかい雅彦君) みなと未来会議の総括質問は終わりました。
議事の運営上、暫時休憩いたします。
午後 2時52分 休憩
午後 3時15分 再開
○委員長(うかい雅彦君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
総括質問の質疑を続行します。
次に、公明党議員団を代表して、丸山委員。
○委員(丸山たかのり君) よろしくお願いいたします。
初めに、震災時のトイレの問題についてお伺いいたします。
初めに、避難所におけるトイレ問題についてです。
令和6年能登半島地震により、避難所におけるトイレ問題が依然として重要であることが再認識されました。上下水道管路に大きな被害が出たため、断水でトイレが流せず、避難所でも簡易トイレを使わざるを得ない場所があり、飲食を我慢する被災者の方もいらっしゃったそうです。
港区の学校施設など、区民避難所のトイレについては、マンホールトイレの利用を原則としておりますが、下流側の下水道管路や処理場が被災した場合は使えないおそれがあります。
補足資料1ページを御覧ください。教育費の款別質疑で合併処理浄化槽について取り上げました。長い管渠が不要のため、地震等の災害に強く、被災しても、応急対応により復旧が容易なため、導入を検討すべきことを訴えさせていただきました。
区として、能登半島地震での課題を踏まえて、避難所におけるトイレ問題について取り組むべきです。武井区長のお考えをお伺いいたします。
次に、マンショントイレの問題についてお伺いいたします。
在宅避難においても、トイレ問題は重要な課題です。港区は今年度、区民1人当たり20回分の携帯トイレを配布されたことは、震災時のマンションのトイレ問題に対する対策として、先駆的で大変すばらしい取組だと高く評価しております。特に高層マンションでは、震災時に配管、排水管が破損したり、詰まることがあることから、自宅のトイレが使えない問題に対する対策になります。
一方、トイレの利用再開、復旧については、配管、排水管の破損等がないことの確認が必要であるところ、その方法が確立していないことが課題でありました。東京都は、2月28日の都議会公明党の斉藤やすひろ議員の一般質問に対する答弁の中で、発災後のトイレの利用再開に向けた点検方法の例等を示すガイドラインを来年度作成すると答弁されたそうです。
当該ガイドラインを含めて、災害時のマンションにおけるトイレ問題に対する周知・啓発に取り組んでいただきたいのですが、区長の考えをお伺いいたします。
次に、防災訓練におけるVR・AR技術の活用についてお伺いいたします。
最新のデジタル技術を取り入れて、いつか訪れる災害への備えを強化することは重要です。補足資料の2ページを御覧ください。東京消防庁は、最新のバーチャルリアリティー技術を活用し、360度の立体映像と揺れ、風圧、熱などの演出による、地震、火災、風水害の疑似体験ができるVR防災体験車を積極的に派遣しております。利用者は、車両に設置してある座席に座り、VRゴーグルを着用して約3分間災害を体験でき、揺れや臭いなどが演出されます。実際にVRで災害を体験した参加者からは、地震が何度も起き、食器が落ちて割れるなど、家の中がめちゃくちゃになっていく様子や家の外の風景がリアルで臨場感があり、ためになったとのことです。
また、拡張現実、ARを活用した防災訓練についても実施され始めております。補足資料の3ページを御覧ください。日本防災技術センターのAR火災煙体験アプリでは、ARゴーグルを着用し、煙の発生箇所を目に映る任意の場所に設定することで、火災発生から時間の経過とともに天井面から煙が徐々に降下してくる様子がリアルに再現され、低い姿勢で避難する必要性や、煙で視覚が奪われることが実感できます。コントローラーの向きに合わせて消火剤が放出され、消火に成功すると火は消えますが、失敗すると煙が迫ってくるので、緊張感を持って訓練できると好評のようです。
区は、令和6年3月修正予定の港区地域防災計画に、防災住民組織や地域防災協議会の防災訓練等において、ARやVRなどの最新技術も活用し、防災知識の普及に努めることを盛り込むこととしております。
今後は、各地区総合防災訓練でも、VR・AR技術を積極的に活用していただきたいですが、武井区長の考えをお伺いいたします。
次に、デコ活についてお伺いいたします。
補足資料の4ページを御覧ください。環境省は、昨年4月、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素国民運動の愛称を「デコ活」に選んだと発表しました。脱炭素を意味するデカーボナイゼーションとエコを組み合わせたもので、脱炭素運動の定着が狙いで、約8,200件の公募作品から各界の著名人らが選定したとのことです。LED照明や住宅の断熱化など、環境に優しい製品・サービスの利用やごみの削減といった、具体的な取組方を示し、国民に新しいライフスタイルへの転換を促す試みとなっております。
補足資料の5ページを御覧ください。既に幾つかの企業、自治体、団体、個人がデコ活宣言して、日々デコ活に取り組んでおります。都内では、東京都や北区がいち早くデコ活宣言しております。
港区でも、個人や企業に脱炭素を促すデコ活に該当する取組を既に様々実施しております。例えば、みなとエコチャレンジは、個人が家計簿をつけるように、自宅の再生可能エネルギー100%電力の利用や、電気・ガス・水道使用量などを入力することで、エネルギー使用量を見える化し、ポイントもためることができるため、楽しみながら脱炭素に取り組める事業として高く評価しております。
他方で、参加者がなかなか増えないという課題があり、デコ活を周知・啓発することにより、参加を促す効果が期待できるのではないかと考えます。
また、区の既存の脱炭素の取組について、デコ活に改めて位置づけることで、総体的なPR力を高めることもできるのではないかと考えております。
質問は、デコ活の周知・啓発に区としてどのように取り組まれるつもりか、武井区長にお伺いいたします。
次に、みなと障がい者福祉事業団についてお伺いいたします。
区は、これまでみなと障がい者福祉事業団に、令和元年度から令和5年度までの5年間、区職員を派遣してまいりました。その経緯と目的は、赤字経営が続いていたということで、区の就労支援サービスを委託された民間事業者ではありますが、区民福祉サービスを保つために重要な役割を果たす事業者と判断し、その事業の維持・継続ができるよう、運営費補助を行い、再建に取り組んでこられたことは理解をしております。そして、今年度、その目的を達成したため、区のサポートが終了する予定と伺っておりますが、経営面が改善されたとはいえ、その運営体制など不安な面もあります。
補足資料の6ページを御覧ください。例えば、パン工房Quatreなど、これまで運営維持のために、やむを得ないとはいえ、利用者から喜ばれていた事業が縮小されるなど、ほかに事業改善の方法があったのではないかという声もいただいております。また、職員の質や利用者への対応など、改善を求める声も伺っております。
こうした課題の改善を、これまでは区が直接関わり、運営に携わってきたものが、今後は事業者の責任で運営されることに対する不安は残ります。当然、委託する以上は、事業者独自の運営が望ましいと考えますが、区や区民の声がきちんと届くような透明性を期待するところです。そのためには、自由度を担保した上で、区は今後も積極的な関わりを持つ必要があると考えます。
そこで質問は、みなと障がい者福祉事業団の運営に区は今後どのように関わっていくのか、見解をお伺いいたします。
次に、多胎育児支援についてお伺いいたします。
補足資料の7ページを御覧ください。全国の多胎児の出席率は、年によって多少のばらつきはあるものの、毎年総出生数の約1%となっており、港区も同様の傾向で、30組前後の多胎児が誕生しております。
しかし、一度に双子、三つ子が生まれて、ハッピーだと周囲が感じるのと裏腹に、多胎育児の困難さに直面し、苦悩を抱える家庭が多く存在しております。一般社団法人日本多胎支援協会が2018年に公表した調査報告書では、多胎家庭での虐待死の発生頻度は、1人の子どもを産み育てる家庭と比べ2.5から4倍以上にもなるという結果が出ていることからも、多胎育児の困難さは、私たちが想像するよりもはるかに大きいと感じます。
例えば、一時預かりやベビーシッターを予約するのには、2名分の枠を取る必要があり、そもそも空きが少ない状況で、一度に2名分の枠を取ることが難しいことや、共感してもらえる仲間がそばにいなくて孤立感を感じてしまうなど、当事者の意見を聞くと、多胎育児特有の困難さを私たちはまだまだ理解ができていないのではないかと感じております。
こうした声を聞くと、多胎育児の支援の在り方を根本的に見直す必要があるのではないかと考えます。そのためには、これまで産後ドゥーラなど、支援する専門家の意見を反映させることが主だと聞いておりますが、そこに多胎育児当事者の声を把握し、どこに課題があるのかをきちんと調査する必要があるのではないでしょうか。こうした取組は、単に多胎育児を特別扱いするということではなく、そこに光を当てていけば、おのずと育児支援サービスの全体的な向上につながるものと考えます。
そこで質問は、多胎育児支援について、当事者の意見を反映させた支援の在り方を検討するべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、働き盛り世代の健康づくりの取組についてお伺いいたします。
補足資料の8ページを御覧ください。東京都は、令和6年度予算案において、都民の主体的な健康づくりにつなげるため、区市町村が行うインセンティブ、動機づけを用いた健康づくりの取組に対して、東京都がさらなるインセンティブを提供し、区市町村の取組を支援することで、健康づくりにつながる環境を整備するとしております。
経済界や医療関係団体などでつくる日本健康会議のデータポータルによると、2020年時点で健康づくりポイント制度などを導入するインセンティブ事業を行っている自治体は全国1,024に上り、都内に限ると、62区市町村中21の自治体で導入済みとのことです。
また、企業の中には、独自の健康づくりのインセンティブを設けているところも増えてきております。国内最大手の証券会社である野村證券株式会社では、30代以上の全社員が、年1回の定期健診の代わりに人間ドックを受診します。毎年9月末までに社員が、がん検診を含む人間ドックの受診を完了する場合に、アマゾンなどのショッピングでも使える健康ポイントが付与されるというインセンティブを用意し、9月末までに8割以上の社員が受診を完了しており、効果が上がっているとのことです。働き盛り世代の健康づくりの取組として参考になるのではないかと思います。
いつまでも生きがいや趣味を持ち、豊かで健康に長生きするためには、若いうちから生活習慣を改善するほか、健診やがん検診で早期発見し、早期治療により病気の重症化を防ぐことが大切です。仕事に打ち込めるのも、健康な体があってこそであり、働き盛り世代の健康づくりのために、インセンティブを含めて推進していただきたいです。
質問は、働き盛り世代の健康づくりのために、区として今後どのように取り組まれるつもりかお伺いいたします。
次に、花粉症対策についてお伺いいたします。
花粉症は、国内で約3,000万人が罹患する日本で最も多いアレルギー疾患であり、国民病と言っても過言ではありません。また、花粉症が経済に与える損失は5兆円とも言われており、国全体で考えなくてはいけない課題として、政府もその対策に動き出しました。
国では、昨年4月に花粉症に関する関係閣僚会議を設置し、これまで各省庁別に様々な対策に取り組んできたものを、縦割りを廃することで効果的に実行し、直近の飛散期を見据えた施策のみならず、今後10年を視野に入れた施策を含めて、花粉症という社会問題を解決するための道筋を示すとしております。
補足資料の9ページを御覧ください。また、昨年10月には、花粉症対策初期集中対応パッケージを策定し、その中で、発症・曝露対策、発生源対策、飛散対策を3本柱とした、具体的な施策が示されました。
こうした取組が広く周知され、正しい情報が伝わり、適切な治療や対処、予防行動につながることが重要であり、花粉症に悩む区民のために区が果たす役割は大きいと考えます。区は、国や東京都の動向をつかみ、医療機関と連携し、必要な情報を丁寧かつ正確に区民に届けていく必要があります。また、区民が相談できるような取組も必要ではないでしょうか。
そこで質問は、今後区として、花粉症対策にどのように取り組んでいかれるのか、見解をお伺いいたします。
次に、経営者保証によらない融資についてお伺いいたします。
従前、中小企業が融資を受ける際の慣行として、経営者による個人保証、経営者保証つきとされることが多く、経営者や起業家の個人財産が取立て対象になるため、新規事業や起業をためらう要因や、事業承継時の後継者探しにも悪影響になっていると、長年にわたり指摘され続けてまいりました。
補足資料の10ページを御覧ください。公明党の推進などもあり、昨年6月、中小企業信用保険法が改正され、信用保証協会に支払う保証料に上乗せすれば経営者保証を解除できる制度、事業者選択型経営者保証非提供制度が、いよいよ令和6年3月15日から申込み受付開始となります。
中小企業庁では、この制度を活用するため、3年間に限り、上乗せ保証料の軽減措置も実施されます。東京都では、国の上乗せ保証料の軽減措置に対応した制度融資の新たなメニューを創設するとのことです。
また、金融庁は、金融機関向け総合的な監督指針を改正し、金融機関が経営者保証を求める理由や、どのような改善をすれば解除の可能性が高まるかなど、融資契約の際に説明し、内容を記録することを義務づけました。改正後の監督指針は、令和6年4月1日から適用となり、金融庁への報告が求められ、違反事例は行政処分の対象となります。
民間金融機関の融資の約7割は経営者保証つきとされ、大変画期的な取組と言えます。区としてもこうした仕組みの普及に向け、金融機関を通じ、事業者に幅広くPRしていただきたいです。
また、区の制度融資においても、国の制度改正を踏まえた対応を早急に進めるべきと考えます。
質問は、区内中小企業への経営者保証なしの融資制度について、区としてどのように取り組まれるつもりか、武井区長にお伺いいたします。
次に、モビリティ利用者の指導取締り強化の要請と、ルールやマナーの周知についてお伺いいたします。
補足資料の11ページを御覧ください。モペットと呼ばれるペダルがついたフル電動自転車は、ペダルをこがずにモーターの動力のみで走行でき、原付バイク、原動機付自転車と同じカテゴリーに区分されます。公道で走行するためには、原付バイク同様の原動機付自転車の免許が必要で、車道通行、歩道走行不可、ヘルメットの着用義務、自賠責保険の契約が必須の要件として満たされなければなりません。
さらに、モーターの出力が600ワットを超え、1,000ワット以下のタイプでは、原付二種に区分され、2段階右折の必要がなく、法定速度も時速60キロメートルとなります。
また、電動キックボードがラストワンマイルの乗り物として登場しております。2023年7月1日の道路交通法の改正により、最高速度表示灯が備えられていることなどの保安基準を満たすものは、特定小型原動機付自転車として、ヘルメットの装着も任意、免許も不要となり、通行は、車道、自転車専用通行帯や自転車道ですが、歩道走行モードで時速6キロ以下に制御された車両は、歩道も走行可能となり、モードの切替えこそ必要ではあるものの、車道、自転車道、自転車レーン、そして歩道と、いろいろな空間を走れる状態となっております。
まちをゆっくり散歩するように自転車に乗る人、出勤時間に遅れまいと保育園に必死に向かう人、時間内に配達完了を目指すフードデリバリーの人、ペダルはついているが、こがずに指先だけで時速60キロメートルが出るなど、多様化したモビリティが歩道、車道空間にあふれて、それぞれの都合で勝手に多様な走り方をしているのが現状の道路状況です。
質問は、混沌としている道路通行空間ですが、歩行者をはじめ、自転車、電動キックボードなど、それぞれが安全な通行を保てるよう、警察に対し、自転車や各種モビリティ利用者への指導取締りの強化を要請することや、販売店にも協力していただくなどにより、電動キックボードやペダル付電動自転車などの利用者に対し、車種ごとの正しいルールやマナーの周知により一層御尽力していただきたいと思いますが、区のお考えをお伺いいたします。
次に、不登校対策の今後についてお伺いいたします。
令和6年度予算特別委員会でも様々な会派から質疑がありましたが、港区の不登校児童の数は、令和3年度と令和4年度を比較すると、区立小学校で1.4倍、区立中学校で1.3倍に増加したとのことです。
不登校対応として、適応指導教室つばさ教室にて、学校復帰を目指して通室する児童・生徒に適切な相談指導及び支援を行うほか、児童・生徒の状況に配慮した環境づくりに取り組んでいる、また、来年度は学びの多様化学校を設置する予定と伺っておりますが、より不登校になる前の予防策が重要になると思います。
予防策として、区では、今年度より全区立校にスクールソーシャルワーカーを配置し、教室に行きづらくなった児童・生徒が学校内で落ち着いて学習できる環境、校内別室の設置についても、区立小学校1校、中学校2校をモデル校として実施しております。補足資料12ページに、校内別室のイメージ図を載せております。
第3回定例会の代表質問で、COCOLOプランの取組について伺う中で、校内別室の設置校の拡大について質問させていただきました。その際、校内別室については、今後モデル校の成果を検証し、実施校を拡充するとともに、特別な教育課程を編成して教育を行う不登校特例校の新設についても検討してまいりますとの御答弁をいただきましたが、その後の進捗についてお伺いいたします。
最後に、いじめや不登校の兆候を見逃さない施策についてお伺いいたします。
現在、区では、各幼稚園、小・中学校にスクールカウンセラーを週一、二回派遣し、幼稚園の保護者の相談や、いつでも児童・生徒がカウンセラーに相談できるような体制を整えております。相談できる環境があることは安心につながりますが、相談するまでに至らない事項については、発見できないケースや、カウンセラーと話せる機会の頻度について課題があるかと思います。
そこで、当事者である児童・生徒が負担なく気軽に回答でき、いじめや不登校につながる兆候の早期発見となるスクールコンケアというツールを御紹介いたします。補足資料の13ページ、14ページを御覧ください。このスクールコンケアというツールは、生徒の登校時と下校時に、その日の気分をタブレット上で選択してもらうことで、心理状態を把握することができます。状態に異変があった場合は、その生徒について先生に通知が行くだけでなく、生徒にも誰かへの相談を勧める通知が行くようになっております。
このようなツールを導入することで、日々、生徒全員の様子を把握できるようにすることが、いじめの未然防止や再発防止、不登校への兆候把握につながると考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
○区長(武井雅昭君) ただいまの公明党議員団を代表しての丸山たかのり委員の総括質問に順次お答えいたします。
最初に、震災時のトイレ問題についてのお尋ねです。
まず、避難所におけるトイレ問題についてです。区では、区民避難所などへマンホールトイレを整備しているほか、区民避難所で使用する組立て式簡易トイレや女性用のトイレテントを備蓄しており、国のガイドラインが定める避難者約50人当たり1基の基準を超えるトイレを確保しております。また、このほかにも、簡易トイレが設置されるまでの間に使用する携帯トイレを、全避難所において3日分を備蓄しております。来年度は、福祉避難所へ高齢者や障害者に配慮した簡易トイレの備蓄を進めてまいります。
また、本年の能登半島地震を受け、トイレ問題について新しい方式や機種が開発されることも予想されます。引き続き災害時における避難所のトイレの確保、充実に努めてまいります。
次に、マンションのトイレ問題についてのお尋ねです。昨年9月から実施している区民を対象とした携帯トイレの無償配布においては、漫画を用いて分かりやすく解説したチラシを同封し、配管、排水管の破損等によりトイレが使えなくなることや、震災時の携帯トイレの使用方法などについて周知をしております。
また、マンション防災の手引書である港区マンション震災対策ハンドブックを配布し、震災時のトイレの使用における注意点を周知しております。
引き続き、総合防災訓練や防災講座及び区ホームページなど、様々な機会を捉え、在宅避難におけるトイレの準備や使用について周知・啓発を強化してまいります。
次に、総合防災訓練におけるVR・AR技術の活用についてのお尋ねです。区では、昨年度に麻布地区での総合防災訓練において、東京消防庁にVR防災体験車の派遣を依頼し、VRにより地震の揺れや家具の転倒などを疑似体験する訓練を実施いたしました。
また、今年度は、関東大震災100年継承プロジェクトの一環として、芝地区の会場で、VRを使用して地震発生時の危険性と対策を学ぶブースを設置したほか、他の地区においても、ARを活用した火災の消火や浸水を疑似体験する訓練を実施し、どの世代からも非常に好評をいただきました。
引き続き機会を捉えて実体験に限りなく近い体験が可能な、VRやARによる総合防災訓練の充実に努めてまいります。
次に、デコ活についてのお尋ねです。区は、これまでも環境イベントへの参加など、区民の環境に優しい行動にポイントを付与し、エコ製品と交換するみなとエコチャレンジや、オフィスの省エネ活動の推進等のエコ宣言をした事業者を区のホームページ等で紹介するなど、区民や事業者のライフスタイルや脱炭素型の事業活動への転換を後押ししてまいります。
これは、国のデコ活と目的を同じくするもので、今後も、区は、こうした取組の充実とともに、国のデコ活と併せて、ホームページやSNS、イベント等で広く発信することで、相乗効果を図り、区民、事業者の脱炭素につながる行動及び環境保全活動の意欲を促進してまいります。
次に、みなと障がい者福祉事業団との関わりについてのお尋ねです。区は、職員を派遣し、人員体制の見直しや経費の縮減、事業の統廃合など、財政再建に向け、事業団職員とともに取り組んでまいりました。その結果、単年度収支は4年連続で黒字を維持しています。また、接遇や虐待防止研修の実施、ジョブコーチに関するセミナーの受講に加え、人事考課や昇給制度の導入など、職員の意欲や能力を高め、質の向上と自立した組織運営に取り組んでまいりました。
区の障害者就労支援を推進する上で不可欠な事業団が安定した質の高い事業運営を継続できるように、区職員派遣終了後も意見交換の場を設け、必要に応じて様々な面からサポートしてまいります。
次に、多胎育児支援についてのお尋ねです。区は、出産・子育ての負担や不安が特に大きい多胎児家庭を支援するため、助産師等が妊婦面談を行う中で、各家庭のニーズを直接把握することに努めております。
多胎児を出産予定の妊婦には、産後の育児に具体的なイメージを持てるよう、妊娠期からふたごの会に参加していただき、各家庭の状況を踏まえ、産前産後の家事支援や産後ショートステイの利用などにつなげております。
今後も、こんにちは赤ちゃん訪問や乳幼児健診、育児相談などの様々な機会を捉え、多胎児家庭が必要とする支援を直接把握し、産後ドゥーラのさらなる拡充も含め、ニーズに即した支援策を積極的に展開し、多胎児育児を支援してまいります。
次に、働き盛り世代の健康づくりの取組についてのお尋ねです。働き盛り世代の日常は、子育て期とも重なり、公私共に多忙な時期になります。そこで、来年度は、働き盛り世代の実態を把握するため、健診の受診状況や、健康づくり、メンタルヘルス等に関する調査を実施いたします。
また、事業所などと協働して実施をすることが効果的であることから、港地域産業保健センターや3師会、健康づくりに取り組む企業等が参画するネットワーク会議を設置し、働き盛り世代の健康づくりに関する課題や今後の取組について検討してまいります。
働き盛り世代の健康づくりの取組は、個人の健康増進だけではなく、地域企業の活性化にもつながることから、積極的に強化をしてまいります。
次に、花粉症対策についてのお尋ねです。国は、発生源対策、飛散対策、発症・曝露対策を3本柱とする施策を示し、適切な花粉症予防行動などを呼びかけています。
区においても、より多くの区民に知っていただくために、国のポスターやリーフレットを活用し、花粉症の原因や予防対策などを区ホームページで周知しております。
また、東京都アレルギー疾患医療専門病院である東京慈恵会医科大学附属病院と連携し、花粉症治療や医療相談体制についての周知も検討し、適切な花粉症予防行動や対症療法の早期開始を呼びかけるなどの普及啓発に取り組んでまいります。
次に、経営者保証によらない融資についてのお尋ねです。法人企業の借入れの保証を経営者個人に求める融資は、事業者の積極的な事業展開や円滑な事業継承などの阻害要因となっており、国が新たに創設した信用保証料の上乗せにより、経営者保証をつけずに融資を受けられる制度は、大きな前進であると受け止めております。区は、この制度について、金融機関などと連携し、区内事業者に広く周知をしてまいります。
また、国が実施する上乗せ保証料の軽減措置や、それに対応した東京都の新たな制度融資の内容などを踏まえ、区としての対応策を検討してまいります。
最後に、モビリティ利用者の指導取締り強化の要請と、ルールやマナーの周知についてのお尋ねです。区は、自転車や電動キックボードの利用者が、交通ルールや利用マナーを正しく理解して利用していただけるように、区ホームページや広報みなとなどに掲載するとともに、昨年12月には、交通管理者である警視庁に対して、啓発や指導取締りの強化を文書により要請いたしました。
今後も警視庁やシェアリング事業者と連携した街頭キャンペーンの実施や、販売店に対しては正しい利用に向けた普及啓発の協力を求めるなど、全ての人が区内の道路を安全に安心して利用できるよう、様々な取組を連携して進めてまいります。
よろしく御理解のほどお願いをいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
○教育長(浦田幹男君) ただいまの公明党議員団を代表しての丸山たかのり委員の総括質問に順次お答えをいたします。
最初に、不登校対策の今後についてのお尋ねです。今年度、校内別室を設置した芝浦小学校、三田中学校、港南中学校では、不登校傾向にある児童・生徒が教員や校内別室指導支援員、スクールカウンセラーから、個々の状況に合った支援を受けたことで、安心感を持って過ごし、自分の学級に復帰できたという好事例の報告が上がっております。
今後、教育委員会では、校内別室に加え、学びの多様化学校開設の準備、フリースクール等との連携強化、適応指導教室の一層の充実を進め、児童・生徒の実態に応じた不登校対策を推進してまいります。
最後に、いじめや不登校の兆候を見逃さないための施策についてのお尋ねです。現在、各学校では、いじめの早期発見、不登校の未然防止を図るため、タブレット端末を活用し、毎年6月と11月に、子どもたちの自己肯定感や学級への所属感を調査しております。また、毎月、学校生活アンケートを実施し、児童・生徒一人一人の実態を丁寧に把握しております。
さらに、教育委員会では、みなと保健所と連携し、タブレット端末でのメンタルチェックシステム、こころの温度計の活用について検討しております。
引き続き様々なツールの効果を見極めながら、いじめや不登校の未然防止策の強化を進めてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○委員(丸山たかのり君) いずれも前向きな御答弁だと受け止めました。実現までぜひよろしくお願いいたします。
本予算案は、武井区長の5期20年にわたる区政の集大成という思いで質疑に臨ませていただきました。我々公明党議員団の質問は、区民の方々の小さな声を拾い上げて、どのように提案すれば実現できるかまでチームで練って打ち出させていただいたものばかりでございます。それに対して武井区長は、本委員会中、真摯に耳を傾けて、誠実に答えてくださっているという姿が大変印象的で、それはこれまでの武井区長が一貫して見せてこられた区政に取り組まれる姿勢そのものだと感じております。
他方で、今定例会中、議会内外でそうした武井区長を何とかおとしめようとする、人権否定にもつながるような、そうした発言が数々あったことは、怒りを通り越して、あきれております。特に某委員がSNSにアップした当予算特別委員会に関する記事に関しては、公明党創立者が国会で発言したなど、全くのうそを数々並べたもので、事実誤認を指摘しても訂正に応じない、悪質極まりないものでございます。
武井区長がバブル崩壊後の失われた10年、20年間の区財政が最も厳しい、言わば港区政の冬の時期を乗り越え、本予算案の歳入が示しているような、潤沢かつ安定的な区税収入へと転換されてきたことは高く評価しております。
冬は必ず春となるという言葉があります。あらゆる区民にとって春の訪れとなるような予算執行になることを切に望んでおります。
最後に、古事記、日本書紀にも名前が記されている王仁博士の競技かるたの冒頭に読まれることの多い有名な和歌が、武井区長並びに本予算案に対する期待感を表すのに、話し言葉で話すよりもふさわしいと思ったので、読んで終わりたいと思います。
難波津に咲くやこの花冬ごもり 今を春べと 咲くやこの花
以上で質問を終わります。
○委員長(うかい雅彦君) 公明党議員団の総括質問は終わりました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(うかい雅彦君) 次に、みなと政策会議を代表して、清家委員。
○委員(清家あい君) みなと政策会議の総括質問を武井区長並びに浦田教育長にさせていただきます。
まず初めに、一言述べさせていただきます。私は、3.11のあった年に初当選し、港区議会議員として今日まで13年間、区民のために働いてきました。その前は新聞社の事件記者として7年働いていましたが、子どもを産むこととキャリアを捨てることの苦渋の選択を迫られ、出産後は港区役所に永久に保育園に入れないと言われ、日本社会に絶望しました。誰にも同じ思いをさせたくないと思いました。
女性が子育てと仕事を苦労することなく両立できる世の中にしなければ、少子化は止まらない、この国は立ち行かなくなるという強い危機感を持って、この13年、ここにいる多くの議員の仲間、職員の方々皆様と一緒に現場を走り回り、区民の声を誰よりも聞き、政策を実現してきました。
初当選したとき3歳だった娘は、16歳になりました。私が小さな頃から私を見守り育ててきてくれた港区の地域のお父さんやお母さんたちも、今はシニア世代となりました。超少子高齢化、国際競争力の低下、人手不足と、日本はこれから本当に厳しい時代を迎えます。私たちの世代が責任を持って、新しい発想で、人が大切にされる、みんなが安心できる社会をつくっていかなければいけないと思っています。
港区は、世界中のインテリジェンス、企業、大使館が集まる、圧倒的なポテンシャルにあふれた国際都市です。豊かな緑と水辺、歴史的な遺産、昔ながらの人情あふれる地域コミュニティーという財産があります。この可能性をつなぎ合わせ、新しいビジョンをつくり、日本を支え、世界をリードする港区を力を合わせてつくっていきたいと思います。
質問に入ります。港区基本構想についてです。
港区基本構想は、平成14年に前区長が策定されて以来、22年間一度も更新されていません。基本構想とは、目指すべき姿や進むべき方向を示す都市経営ビジョンであり、各自治体の最上位にある指針です。港区ホームページでは、策定後10年ないし15年後を展望し、目指すべき港区の将来像を描き、その実現のための施策の大綱を示すものとされています。今年1月に改定した令和3年度から8年度港区基本計画や各施策、来年度予算案も全てこの22年前のビジョン、港区基本構想の下に、総合的、体系的にひもづけられています。
この20年で時代は大きく変わりました。飛躍的なテクノロジーの進化、グローバル化が進み、東京一極集中が進みました。港区は20年で約20の再開発があり、人口が10万人以上増えました。新しい若い世代の住民が増え、全体の9割がマンション住まいになりました。まちは激変しました。
港区の都市経営ビジョンである港区基本構想を、平成から令和へアップデートする必要があると思います。港区基本構想を20年以上更新しない理由と見解をお伺いします。
次に、基金、特に災害復興基金についてです。
私は、議員になってから一貫して、港区は基金を積み増していくのではなく、社会課題を解決するために未来に投資してほしいということを強く訴えてきました。スタートアップの発想を注力して、社会課題を解決していかなければ、未来がないです。
平成12年に地方分権一括法が施行されて以降、地方分権が進み、港区は日本の成長、発展を牽引するために、自主性を発揮することを強く期待される立場になりました。失点がなければよいという考え方をなくし、日本が沈んだら最後は港区も沈むという覚悟を持って、先進的な政策を港区から推し進めていくべきです。
13年前に約1,200億円だった港区の基金残高は、今、約2,000億円になりました。基金残高が2,000億円に膨らむ主な理由は、災害後の復興に充てるために、約1,000億円確保している震災復興基金です。損壊した住宅の解体、撤去、修復など、国や都の支援を待たずに区独自で復興対応できるように、いつでも引き出せるようにとのことですが、今後、建築コストや土木コストの急激な上昇が見込まれ、さらに災害時は港区だけが被災するわけではない中で、人手不足の中、工事発注ができるというシミュレーションはできているのでしょうか。
インフレにより基金の大半は、年率3から5%、工事コストは年率10から20%の財務価値が低減していくという指摘もあります。災害時にしか発動できない基金を最も多く積み上げているのは、中長期的に見て、区民の利益につながりません。自由度の高い財政調整基金と都市整備基金の2種類にシンプルに大別するなどして、柔軟な基金運用と基金使途を確保することが、財務戦略の観点から重要ではないでしょうか。基金を積み増していくより、政策的投資や資産マネジメントを重視する都市経営手法に転換すべきです。
基金、特に震災復興基金1,000億円の在り方の見直しをすべきと考えますが、見解をお伺いします。
次に、防災についてです。
令和4年に東京都が10年ぶりに首都直下地震などの被害想定を見直したことなどを受けて、港区では、今月、港区地域防災計画を修正すると伺っています。港区では、首都直下地震により建物全壊が約800棟、エレベーター閉じ込めが台数1,300台以上、死者は127人、帰宅困難者約53万人などが想定されています。
今年元日に能登半島の地震の報を受けたときに、今の港区の防災計画で本当に大丈夫だろうかと強い危機意識を持ちました。
私は、港区議会議員として、港区の防災計画の審議にも携わっていますし、地域の防災協議会のメンバーでもあります。計画と地域の実態とを積み重ね合わせてみたときに、現実に首都直下地震が起きたときに、今の計画がどこまで機能するのだろうかと不安を感じます。
一番問題なのは、港区では急激に新しいマンション住民が増えているにもかかわらず、区がその層とつながる仕組みを持っていないことです。町会・自治会の住民加入率は把握されていませんし、マンション防災組織の設立が111団体とのことですが、区内には分譲マンションが約1,700棟、賃貸マンションは約2,000棟あります。区役所は町会・自治会とはつながっていますが、住民の過半数を占めるマンションの新住民の人たちは町会・自治会ともつながっていないため、実際に災害が起きたときに、彼らがどう動くのかが分からない。そして、繁華街の来街者たちがどう動くのかが分からない。そして、地方と違って、区役所の職員がほとんど区内に住んでいない。災害住宅の職員が防災訓練や地域の行事に参加していないので、まちとつながっていない。多くの人が地域避難所に詰めかけてくれば、今、町会・自治会ごとに避難所運営マニュアルをつくって、防災訓練をしている防災計画は機能しなくなります。避難所に来ないでくださいとチラシで呼びかけている町会もあれば、それを知って、うちの避難所もたくさん人が詰めかけてしまったらどうしようと驚いている町会もあります。
総務費で質問しましたが、そもそも区が出している避難の流れのチャートがよく分からないので、町会・自治会の中でも実際にどう動いてよいか分からなくなっていますし、区が町会などに示している、全員まず地域集合場所に集まって安否確認をするというのが、余震のおそれがある中、危険ではないかという声も上がっています。実際には、ほとんどの住民は在宅避難か、区民避難所に駆け込むの2択だと思います。来街者は広場に行くと思います。
分かりやすい計画にして、日頃から分かりやすく発信すること。エレベーター閉じ込め対策を含め、リアルなマンションごと、地域ごとの避難マニュアル、避難訓練をきちんとする仕組みをつくること。そのための顔は見えないけれども、港区の圧倒的多数であるマンション新住民の人たちとコミュニケーションを取るための戦略的な広報ツールを持つこと。区内在住の職員を増やし、日頃からまちの行事や防災訓練に参加してもらうこと。無電柱化のスピードアップや舟運の促進、ドローン活用など、減災に思い切った投資をすること。マンション住民9割、多くが新住民という港区の特殊な現実に合った防災計画になれば、今の被害想定を短期間で半減できると思います。
質問です。マンション住民9割の港区では、全国に先駆けて都市型防災モデルを確立する必要があります。テクノロジーを活用し、現在の防災計画を現実的に見直し、減災に向けて投資をしていくべきです。被害想定の半減をいつまでにどのように実現する考えか、お伺いします。
次に、スーパーアプリの導入についてです。
この質問の趣旨は、先ほど述べたように、防災の観点からも非常に重要な、港区の圧倒的多数であるマンション新住民とコミュニケーションを取るための戦略的広報を行うために、地域通貨ポイントを使って、スーパーアプリのような統一基盤を導入したらどうかというものです。
具体的には、今、港区では、部署ごとにそれぞれにアプリが立ち上がっていて、それぞれのアプリの使い勝手や効果にも大いに疑問があります。これらを一つの統一基盤のアプリにして、例えば、予防接種の予約ができ、そこでアンケートに答えると地域通貨ポイントがもらえ、それが商店街などで使える。同時に、この日に行われるまちの避難訓練や地域ボランティアに参加すれば、地域通貨ポイントがもらえますという通知が届く。入手したアンケートの結果は、区の事業効果検証や政策立案の科学的根拠として役立たせるというように、オートメーションで区の政策が回っていくような仕組みを検討すべきではないかということです。
ただ、こうした複数の部署にまたがる区政のDX化に直結することは、トップが指示しなければ動かせないことなので、何年も前からDXの専門官を区政を統括する副区長クラスに置いて、区政のグランドデザインを描き、トップダウンで指示を出すべきだということを要望していますが、実現しません。
ということで、現状では答えようのない質問になりますので、2つに分けて質問します。港区では、港区防災アプリ、ごみ分別アプリ、みなと母子手帳アプリなど、様々なアプリが立ち上がっていますが、それぞれに開発コストやランニングコストがかかり、区民は個別のアプリをそれぞれインストールしなければなりません。
令和6年開始予定の高齢者のための健康アプリ、チャレンジみなとは、開発経費が600万円で、運用経費が1,400万円ということです。区民、利用者の使い勝手を考えると、1つのアプリで全ての機能に対応できるスーパーアプリを導入した方がよいと思います。スーパーアプリは様々な部署にまたがり、区政全体のDX推進に直結するものだと考えますが、見解をお伺いします。
続いて、デジタル地域通貨を導入する自治体が増えています。その自治体の域内だけで使用できる地域通貨は、確実に区内の商店街などでの消費を呼び込むことができます。また、健康ポイントやボランティアポイントなど、区民の積極的な地域活動に対して区がポイントを付与し、それが地域通貨として区内店舗で使用できる仕組みを整えることで、商業振興と地域活性化を同時に進めていくことができます。スーパーアプリの導入時は、そのシステムにデジタル地域通貨の機能も付加していただくことを要望します。
これも要望ですが、港区では、民間との人事交流はJRとURだけで、2,260人の常勤職員のうち、民間から3人しか社員の受入れをしていません。女性管理職の比率は2割です。もっと民間企業と人材交流を進め、女性管理職や若手登用を増やし、多様性のある区役所改革を進め、組織の硬直化を防ぐべきです。
次に、今後の区民ニーズと定住促進指導要綱についてです。
人口推計によると、港区では今後、全世代で人口が増える見通しで、令和16年には約32万人に達すると推計しています。現状では、未就学児や子育て世代の転出超過が見られますが、今後は再び子育て層が戻ってくる見通しということです。
これだけ人口が増えると、介護施設、障害者施設、学校、学童クラブなど、増える年代層に合わせた区民ニーズが不足することになり、それを整備していかなければなりません。推計がずれ、後手後手に回ることは、区民にとって死活問題となるので、確実な予測調査、それに基づいた整備計画が必要です。
13年前に私が区議会議員になった頃、港区の保育園待機児童がワーストだった大きな原因は、芝浦アイランドができて、約4,000世帯1万人の住民が一気に増え、多くが子育て層であったにもかかわらず、そこに整備された保育園が定員約200人の芝浦アイランドこども園1園だったことです。そのため、赤坂エリアまで待機児童が増えました。港区は、芝浦アイランドに高齢層が入ってくると思っていたそうですが、なぜそんなに予測が外れるのか。予測の精度を上げるために何が改善されたのか、いまだに分かりません。
また、健康やウエルビーイングがキーワードとなる時代に、全世代にとって既に不足の声が高い運動場や公園など体を動かす場所、人口が増えればペットも増えるので、求める声の高いドッグラン、現状では港区にはほとんどないですが、本来必要であるはずの、新旧住民が交わる多世代交流拠点など、必要なニーズは多数あります。
そこで質問です。議会でも多数意見が上がってきた、再開発の際に住宅附置義務や生活利便施設の導入を促す区定住促進指導要綱の係数などの見直しについては、現在、今後見直しが行われると伺っています。各所管課による施設整備のニーズがしっかり反映されるよう、事業者としっかり協議を行いながら施設の整備を実現してほしいと思っていますが、定住促進指導要綱に基づく協議をどのように進めていくのか、区の見解をお伺いします。
次に、少子化対策についてです。
子育ては、どんなに大変でも、振り返れば、子どもと過ごせた日々が人生で一番幸せな時間で、かけがえのない宝物です。少子化対策の根本は、これから出産を選択する人たちが子どもを持つことが人生のリスクにならないと思えるようにすることだと思います。子どもに障害があったり、離婚したり、自分が病気や事故に遭ったりしたときにも、社会が子どもをしっかり支えてくれるという安心感がなければ、なかなか子どもを持つ選択ができない時代です。そのためのトータルのサポートができるように、少子化対策のチームを編成する必要があると思っています。
仕事をしていてもしていなくても、子どもに障害があってもなくても、全ての子どもが良質な保育と乳幼児教育を受けられるように、幼稚園と保育園と障害児保育は一体で計画を立てて整備がされるように長年訴えてきました。来年度予算では、認可外保育の補助の見直しも行ってくださり、選択肢はさらに増えましたが、区立幼稚園などは存続の危機にあったり、全体のニーズと今ある資源の適正マッチングがなされるように、保育園と幼稚園の壁は完全に取り払われるべきです。誰もが通える誰でもこども園化を目指すべきです。
障害児保育や病児保育についても、誰もがいつでもきちんとアクセスできるように、今すぐ集中的に改善するべきところだと思います。良質な公教育と、教材など家庭負担の無償化、多子世帯支援、離婚相談窓口の改善なども今すぐにやるべきです。
少子化対策のチーム編成をして、責任者を置き、出生率の目標設定をし、PDCAサイクルを回していくべきと考えますが、見解をお伺いします。
次に、障害者福祉政策についてです。
障害者福祉ニーズが急増しているのに、追いつきません。人口が急増すれば、障害者も急増します。障害児の親たちが高齢化し、さらに障害児の子育て世帯が共働きになり、保育ニーズも上がり、ショートステイ一つをとってもほとんど予約が取れない状態で、議会にも請願が提出されました。
障害者グループホームが不足し、来年度予算案で1施設増やす目標の予算をつけていただきましたが、放課後等デイサービスなども全て不足し、港区の地価が高騰する中で、補助金が全国一律の制度になっていることからも、なかなか民間誘致が難しい状況です。また、人手不足も深刻で、開設しても職員が足りない、移動支援の人材も足りないという状況です。そうしている間にも、本当に追い詰められていく人たちがいます。港区の地価高騰や人手不足に対し、どう対応していくのか、お伺いします。
次に、動物愛護についてです。
港区では、飼い犬が1万3,607頭、飼い猫はどれだけいるのか分かりませんが、子どもの数よりペットが多いと言われる時代です。人口が増えれば、ペットの数も増えます。
私は、今まで何十頭という犬に囲まれて育ってきて、今は猫と一緒に生活していますが、ペットは家族です。病気になれば、介護にお金も労力もかかり、災害時にはペットと同室でないと避難できない状況にも置かれます。
ドッグランについては、小規模のドッグランを増設する方向という考え方が示されましたが、災害時のペットの避難や、行き場のないペットの保護や譲渡の仕組みについても構築していく必要があります。今後は相談も増えていくと思います。
そうした動物愛護の専門官として、みなと保健所に動物愛護管理担当職員を配置すべきだと考えますが、見解をお伺いします。
次に、地域交通についてです。
「ちぃばす」について、今定例会でも多数質問が上がりましたが、区民の交通手段を今後どうしていくのかは大きな課題です。人手不足で麻布東ルートが30分から60分間隔になったり、労働体系についても指摘がありました。運転手の不足は全国的な課題で、無人運転の社会実験を始める自治体や、デマンド交通に切り替える自治体も増えています。
ラッピング広告など財源となるものは徹底的に実施した上で、収支の赤字は仕方のないことと考え、利便性を優先する考え方に転換するべきだと思います。また、デマンド交通導入を進めていくべきです。見解をお伺いします。
次に、登下校の安全対策についてです。
港区では、業務委託で区内各所を巡回移動し、対象者に指導を行っている事業が複数あります。青色パトロールが約1億5,700万円、客引き行為等防止巡回指導員が約3億1,800万円、みなとタバコルール指導員が3億4,700万円、放置自転車対策業務委託が3億5,400万円、そのほか、資源持ち去り防止業務委託、受動喫煙防止対策巡回等業務委託などがあり、合わせて約12億円に上ります。
一方で、児童の通学路の安全対策については、シルバー人材センターから計53人配置で、計5,897万5,000円となっています。
みなとタバコルールについては、罰則を導入すれば効率化されますし、放置自転車対策は、区民が利用しやすい場所に駐輪場を整備するべきです。部署がまたがるために複数に分かれているのだと思いますが、1人の人で複数業務が可能です。同じ人に登下校の誘導員の仕事を組み入れることも可能だと思います。シルバー人材センターの方々の配置に加えて、追加で配置することもできると思います。
港区では、再開発事業などで工事現場も多く、多くの学校のPTAなどから、道路の危険箇所の安全対策について誘導員の増員をお願いされます。御田小学校では、建て替えに伴い、400人以上の児童が旧御田小学校から三光小学校の仮設校舎に徒歩で大移動することになりますが、まさに全員が通ることになる大久保通りで、白金一丁目西部中地区再開発事業が始まります。1日に最大120台のトラックが往復することになります。白金の丘学園の小・中学生の多くも同じ道を通ります。
近隣住民などから、ただでさえ混み合っている大久保通りの安全確保について、強い心配の声が寄せられています。スクールサポートスタッフなどで誘導員の確保を行うということですが、万全の対応をしていただきたいです。
ただ、この場所に限らず、多数の小学校から声が寄せられています。実際に4年前、虎ノ門では、工事現場付近で小学生の男児の死亡事故が起きました。みなとタバコルールの巡回指導や放置自転車の取締りより、子どもの安全確保の方に予算をかけ、人員を配置すべきではないでしょうか。通学する子どもの見守りのため、シルバー人材センターの方々による登下校誘導員も地域の高齢者の方々に協力していただいていますが、猛暑などの天候もあり、担い手となっていただける方が見つかりにくいと聞いています。子どもの通学路の安全に対しより重点的に見守り誘導員スタッフが配置されるようにするべきと考えますが、見解をお伺いします。
次に、教育についてです。
今後の方向性についてお伺いします。今定例会でも多数質問が上がりましたが、多くの学校現場から教員不足を心配する声が上がっています。学級が荒れ、担任がいなくなり、代替人材を探すのも大変という状況です。民間との人材交流を進め、港区教育人材バンクをつくるなどして、多様な人材が学校現場に関われるような仕組みをつくって、学校現場をサポートする体制をつくるべきだと思います。
特別支援教育の問題もあります。まず、芝浜小学校の特別支援学級の学区割りについて、お台場学園まで海を渡っていかなければならないことに、災害時に障害児の子どもを送迎するのは不安が大きいという声が上がっていますが、特別支援学級だということを考えても、より近い港南などを選択肢とするべきです。寄り添った対応をお願いいたします。
また、急増する不登校については、来年度、東京都予算案でフリースクールなどに補助が出ることになっています。港区でも、様々な理由でフリースクールやインターナショナルスクールなど、公立学校以外の場所で学ぶ選択肢を認め、そうした子どもたちへのサポートを広げていくべきです。
また、発達障害児などの天才教育の一環である学びの達人については、不登校児童も対象にしていくということですが、対象を小学校低学年からに広げていただき、プログラムも充実していただきたいです。
タブレット端末の利用ルールについては、様々な学校、保護者から御意見をいただいていますが、学校や保護者がコントロールできる形にしなければ危険です。電源が入らないなど本体に問題があり、授業が困難という子どもや職員が多発するというのは大きな問題だと思いますので、徹底していただきたいです。
未来を担う子どもたち一人一人が大切にされる、能力を最大限に伸ばしてあげられる新しい教育の仕組みをつくるべきだと思います。港区として、今後の教育の方向性について、教育長の見解をお伺いします。
最後に、国際理解教育についてです。
シンガポール修学旅行について、特別委員会が設置され、様々な議論が行われてきました。決定のプロセス、発表の仕方、根拠の曖昧さ、優先順位など、様々に問題があったと思います。公立小・中学校の英語教育の集大成として、語学研修という形にする。修学旅行は文化教育など日本を学ぶものにする。小学校の宿泊行事を2年連続箱根ニコニコ学園にしないで、1年は平和教育で広島などに行けるようにする。留学支援は公私立問わず対象となるよう、高校生の留学支援をしてほしい。これまで様々な意見が議会でも上がってきていますが、全体を改めて見直すべきだと思います。
また、公立小・中学校の英語教育についても、中学校卒業までに本当に英語がしゃべれるようになるプログラムにするべきです。
今後の国際理解教育の方針について、教育長の見解をお伺いします。
○区長(武井雅昭君) ただいまのみなと政策会議を代表しての清家あい委員の総括質問に順次お答えいたします。
最初に、港区基本構想についてのお尋ねです。港区基本構想は、区民の幅広い意見を踏まえて議論され、現在は策定の義務づけは廃止されましたが、当時の地方自治法の規定に基づき、平成14年に区議会の議決を経て策定されました。
区はこれまで、現行の基本構想の理念や将来像である、「やすらぎある世界都心・MINATO」を目指し、基本構想にひもづく港区基本計画を羅針盤として適宜改正し、着実に区政運営を推進してまいりました。
現在の港区基本計画では、中・長期的な目指すまちの姿として、誰もが住みやすく、地域に愛着と誇りを持てるまちを区民とともにつくり上げましたが、今後はさらなる先の時代を見据えた港区の将来ビジョンを検討してまいります。
次に、震災復興基金についてのお尋ねです。震災復興基金は、首都直下地震等が発生した際、国や東京都からの財政措置や支援を待つことなく、区民生活の再建や産業、まちの復興を自らの力で一刻も早く進められるよう、発災直後に必要な経費を確保するために設置しております。
区が、区民が必要とする日常的なサービスを提供しながら、震災後の速やかな復旧復興事業を実施するためには、あらかじめ必要な経費を十分に確保しておくことが重要であると考えております。
次に、首都直下地震等の被害を半減させるための取組についてのお尋ねです。現在、令和6年3月までの修正を進めている港区地域防災計画では、令和12年度までに首都直下地震等による人的・物的被害をおおむね半減させることを目標としております。
具体的には、家具類の転倒、落下物の対策により居宅の安全を高めることで、この実施率を現在の85.8%から100%にすること、また、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率を、現在の94.3%から100%とするなどを目標としております。
区は、こうした減災目標の達成に向けて、家具転倒防止器具等の助成や特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修工事費用の助成など、想定される被害の半減につながるよう、着実に取り組んでまいります。
次に、スーパーアプリの導入についてのお尋ねです。区は、スーパーアプリを導入している自治体の情報収集や事業者にヒアリングを実施するなど、スーパーアプリの導入について検討してまいりました。
その結果、スーパーアプリは多くの機能を一つのプラットフォームで提供するため、導入できる事業者が限定されること、また、機能の追加や改修する際の調整が増え、サービス提供までに時間を要すること、運用保守に多大なコストが発生することが分かりました。
そのため、現在は業務ごとに最適なアプリを選定し、区民に速やかにサービス提供するとともに、港区LINE公式アカウント上に個別に導入しているアプリを一覧化し、利用者の検索性向上に努めております。
次に、今後の区民ニーズと定住促進指導要綱についてのお尋ねです。大規模な民間開発事業は地域に対する影響が大きいことから、良好な市街地環境の整備に対する貢献が求められております。
区では、これらの開発事業に対しては、定住促進指導要綱に基づき、関係部署で構成する連絡協議会を開催し、地域のニーズや行政の課題を開発事業者に伝え、課題解決に寄与する施設の整備を促しております。
今年度末に予定しております定住促進指導要綱の改正を踏まえ、地域のニーズが反映され、貢献する開発事業となるよう、今後も開発事業者と協議し、実現してまいります。
次に、少子化対策についてのお尋ねです。区は、希望する人数の子どもを安心して産み育てられる環境を実現するため、子ども家庭支援部が司令塔となり、各地区総合支所、各支援部が連携し、新たな保育サービスの拡充、障害児の支援、ひとり親支援の充実、再開発事業では、新たに子育て支援施設の設置を誘導するなど、少子化対策を含む多様なニーズに応えた子育て支援策を推進しております。
また、子育てしやすい環境の充実に向けた調査や、港区子ども・若者・子育て支援に関する実態調査などの結果から、結婚に対する考えや将来希望する子どもの人数など、将来を見据えた多様な世代の実態を把握しております。
引き続き出生率等の数値を把握し、注視をしながら、若い世代が結婚や子育てに対し夢や希望に満ちた展望を抱き、誰もが安心して望む人数の子どもを産み育てられる港区を実現するため、全庁一丸となり、全力で少子化対策に取り組んでまいります。
次に、障害福祉政策についてのお尋ねです。区は、今後の障害者の増加が見込まれる中、障害者が必要なサービスを受けられるよう、様々な施策を障害福祉計画に計上し、今後3年間で着実に進めてまいります。
障害福祉サービスの事業者を誘致する取組として、来年度、グループホームの整備費助成や、障害児通所支援事業所の運営費補助の拡大に加え、相談支援事業所の賃料補助を開始いたします。
また、職員確保の取組として、移動支援事業者等への給与の上乗せ補助の開始や、研修受講費用助成を拡充いたします。
今後も、地価の高騰や人手不足に対し、区独自の取組を迅速に進め、障害福祉サービスの担い手確保に全力で取り組んでまいります。
次に、動物愛護についてのお尋ねです。区では、各地区総合支所とみなと保健所が連携し、地域特性に応じた動物愛護の取組を推進するとともに、ドッグランの増設やペットの防災対策について、庁内関係部署が協力した課題解決に取り組んでおります。
また、昨年度から、みなと保健所と福祉部門が連携し、行き場のないペットの問題の早期把握に取り組んでおり、保護や譲渡の仕組みについても検討を進めております。
さらに、専門的な知見が必要な際には、東京都動物愛護相談センター等の獣医師から助言を得られる環境を整えております。
今後、庁内外の連携をさらに強化し、動物愛護の体制を整備してまいります。
最後に、「ちぃばす」の在り方とデマンド交通の導入についてのお尋ねです。区は、「ちぃばす」の利便性向上のため、ルートの改善やダイヤ改正のほか、バスの現在の位置情報等が分かる「ちぃばす」アプリの導入や、コミュニティバス無料乗車券の発行など、サービスの向上に努めてまいりました。
今後も、区民に親しまれ、生活を支える交通手段となるよう、利用ニーズや地域からの要望などを踏まえ、「ちぃばす」の利便性とサービス向上に努めてまいります。
デマンド交通につきましては、新たな交通手段として有効な施策の一つであると考えております。引き続き他の自治体の先進事例など情報収集に努め、検討してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁をいたします。
○教育長(浦田幹男君) ただいまのみなと政策会議を代表しての清家あい委員の総括質問に順次お答えいたします。
最初に、登下校の安全対策についてのお尋ねです。教育委員会では、子どもの安全を地域で守るという考えに基づき、登下校誘導業務をシルバー人材センターに委託し、地域の高齢者に担っていただいておりますが、会員数が伸び悩んでいること、登下校誘導業務は負担が大きいことなどから、人材確保が難しい状況であることも聞いております。
教育委員会では、現在、港区と同様の状況にある区に対して、登下校誘導業務に関する調査を行っております。他区の事例も参考にしながら、登下校の児童の安全を確保する登下校誘導員を継続的かつ効果的に配置することができるよう、様々な手法について検討してまいります。
次に、教育についてのお尋ねです。
まず、今後の方向性についてです。今年度、教育委員会は、港区学校教育推進計画を改定し、今後の港区の教育の取組を示しました。本計画では、教員の負担軽減の推進、特別支援教育の充実、タブレット端末の活用、不登校対策をはじめとする喫緊の教育課題に対する取組を示しております。
具体的には、小学校教科担任制の実施や、部活動指導員の配置による学校現場への支援、幼児期以降の成長を見通した特別支援教育の充実、端末を使いこなす力や情報モラルの向上、学びの多様化学校新設による不登校生徒の学びの保障などの取組です。
教育委員会は、今後も一つ一つの課題に対し、学校、児童・生徒の実態をしっかりと把握し、中・長期的な視野を持ち、教育の港区の名にふさわしい、夢と生きがいを持ち、自ら学び考え行動し、未来を創造する子どもを育む教育を推進してまいります。
最後に、国際理解教育についてのお尋ねです。教育委員会は、国際科、英語科国際の授業や海外派遣事業などの区独自の取組を通して、国際社会に対応できる人材の育成を目指してまいりました。
こうした取組を一層充実させるため、来年度、新たに全ての幼稚園への外国人講師の派遣や、中学校での海外修学旅行、区内在住の学生への留学支援に取り組んでまいります。
今後、グローバル化がさらに進展する中で、多岐にわたる様々な取組を、英語によるコミュニケーション能力の向上、異文化に触れる体験、自国の歴史や文化の理解の3つの柱で体系化し、港区ならではの国際理解教育を推進してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○委員(清家あい君) ありがとうございました。質問は以上です。
○委員長(うかい雅彦君) みなと政策会議の総括質問は終わりました。
この際、お諮りいたします。議事の運営上、時間を延長したいと思いますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(うかい雅彦君) 御異議なきものと認め、時間は延長されました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(うかい雅彦君) 次に、港区維新・無所属を代表して、榎本茂委員。
○委員(榎本茂君) 我が会派は、改革政党である日本維新の会と、また政策を同じくする無所属議員から成る会派です。
予算審議を通じて、4時間の持ち時間の全てを使い、各款において数多くの質疑を重ねさせていただきました。我が会派の総括質問を行わせていただきます。
本日は、東日本大震災からちょうど13年目となります。お亡くなりになった多くの被害者の方には心より哀悼の意を示させていただくとともに、いつ発生するかもしれない首都直下地震への備えに対し、決意を今新たにするところであります。
あの日のことを今でも昨日のように思い出すことができます。マンションはエレベーターが全て停止し、コンビニエンスストアやスーパーマーケットからは発災後数時間で全ての食料品がなくなり、ガソリンスタンドの燃料は1日で空になりました。
港区は震度5弱の揺れでしたが、首都直下地震の想定は震度6強と、このときをはるかに超える想定です。あの日は停電もしませんでしたが、首都直下地震では、東京湾の沿岸に位置する火力発電所が同時被災するため、大規模な長期停電が想定されています。時間帯によっては、大量の帰宅困難者でまちはあふれ返る可能性もあります。
東京の都心に位置する港区は、他の例のない特異な自治体です。超高層マンションが建ち並び、昼間人口は区民数をはるかに上回ります。私たちは、この港区の特性に合わせた防災体制を構築し、備えなければいけません。私たちは、マンション防災の研究を東日本大震災の前から積み重ねてきました。マンション防災は、私たち会派の取り組む政策の中で、最も私たちが専門性を有し、長年にわたって研究、そして、実践してきた革新的政策です。
防災に関する質問からさせていただきます。
港区では、高層マンション防災の基本として、7日間の在宅避難という、7日間の部屋の中から過ごすことを区民に求めています。同時に、7日分の食料や水などの備蓄も区民にお願いしているところです。1日3食を7日分で21食、水は1日3リットルを7日分で21リットル備蓄することになっています。これは1人分ですので、4人家族ですと、食料は84食、水は84リットルです。実際にこれだけの量を目の前にすると、非常に大きな保管スペースが必要になることが分かります。大体バスタブ1個分と、プラス半分ぐらいです。
収納スペースが限られるマンションにおいて、現実的にこれだけの量の水や食料をマンション内に備蓄することは、私としては現実的な話ではないと、当時から思っておりました。
この在宅避難の7日の論拠は、停電の想定日数の7日、停電7日というものを論拠としてつくられた計画です。しかし、いつの間にか東京都は、停電の想定日数を7日から4日に変更しました。この停電日数の想定が半減した理由を教えてください。
また、停電の想定日数が4日に変更になったことに対応して、在宅避難日数や備蓄の数量は変更になるのでしょうか。多くの住民が7日分というマンション内に備蓄することが困難な量を求められていて、実際にははなから諦めている現実があるのですから、区として方針変更があるならば、それは迅速に行われるべきです。回答を求めます。
次に、元日に発生した能登半島地震において、輪島地区で地下1階地上7階建てのビルが倒壊した映像を覚えていらっしゃる方は多いと思います。この建物が倒壊した原因は、この建物が昭和47年、1972年竣工という旧耐震基準の建物であったため、建物を支える基礎、地下にくいを打っている基礎と上部に建っている建物とが、鉄筋でつながっていなかったのだそうです。つまり、柱が折れたというよりは、基礎ぐいの上に載っていただけのビルが、基礎と鉄筋でつながっていないため、単に倒れたものであるという話を聞きました。皆さん御存じのように、このビルは隣の民家を押し潰しています。
そこで質問です。区内にこの旧耐震基準で造られた建物はどのぐらいあるのか、区は把握していますでしょうか。能登半島地震のように倒れてしまう建物は、近隣住民にとって大きな脅威です。基礎と建物がどのように接続されているかなど、調査をすぐにでも行うべきだと考えます。回答を求めます。
次に、エレベーターの閉じ込め事故対策についてです。
私が一昨年の定例会で初めて取り上げ、予算化していただいたのがエレベーターの閉じ込め救出訓練の予算でした。このことには感謝しております。
しかし、実際には多くの抵抗があり、業界の抵抗などがあって、進んでいない現実があります。首都直下地震の想定震度で発生するエレベーターの閉じ込め事故に対応するエレベーター会社の救助体制は、震災の発生から、夜間・休日などの一、二名の対応勤務時間であった場合、その救助にかかる時間は数日を要する可能性が多分にあります。
例えば、エレベーター会社1拠点で800基を管理していたとすると、8基に1基の割合で閉じ込め事故が発生する可能性を東京都が想定しているわけですから、一、二名の保守要員で実に100基の閉じ込め事故に対応する必要がある。そのような事態も想定していかなければいけません。エレベーター会社は、近隣の拠点や同業他社からの応援で賄うと言っていますが、同業はどこでも手いっぱいのはずです。首都直下地震の場合は、環七から内側が流入制限が課せられ、近隣からの応援を得ることは現実的に困難です。
また、区の答弁にありました、防災チェアが閉じ込められたときの安心につながるという考え方は、想像力の欠如であると我々は考えております。人間は真っ暗闇の個室の中で長時間耐えられるほど強くはないと思います。他人と同じ空間に閉じ込められて、簡易トイレがあるから安心だと思う女性がどれほどいるでしょうか。我々は、ビルごと、マンションごとに、防災センターや、住民が自分たちの建物のエレベーターから自力で救出できるスキルを身につけることが最優先であるという考え方を、これからも曲げるつもりはありません。
次、質問です。現在、マンションだけを対象としている閉じ込め救出訓練ですが、1年が過ぎて実施しているマンションはいまだに少ないというのが現実です。もっと理解を深め、広げるために、商業ビルやホテルなどにも支援の輪を広げ、エレベーターからの救出スキルの普及気運を高める必要があると考えております。区の考え方を伺わせてください。
次に、東北の地震においても、能登半島の地震においても、橋梁、橋と道路の間に大きな段差が発生するとのことで、自動車の通行ができない事態が多く発生したことが報告されています。橋梁、橋の橋脚というのは、基礎がしっかりしているのに比べて、道路というのは地面にアスファルトを塗っただけで基礎がないため、そこで地震によって、橋は沈下しないが、道路が陥没して、そこに段差ができてしまって、自動車が通ることができないということです。
港区は水辺の区ゆえ、橋は多く、その橋が道路の段差の発生によって自動車が通行できない事態が起きると、支援体制に大きな支障が発生します。道路の管理は、区道は区、都道は都、国道は国と、管理は港区だけの問題ではありませんが、区の防災体制にこのことは大きく影響する事態ですので、どのような対応をお考えなのか、回答をください。
次に、マンション住民は、住み替えによる移動が多く、防災組織をつくっても、人が入れ替わることで、その組織の知識やスキルを維持し続けることは困難です。そのため、マンション住民が震災時に何をすればよいか、誰もが一目瞭然に分かる、現実的な行動の指標となるマニュアルを用意することは重要と考えています。
しかし、震災時の対応マニュアルは、著作権の問題などから用意できているマンションが少ないというのが現実です。区がパターン化した基本となるマニュアルを用意し、積極的に行動指標を示すべきです。回答を求めます。
次に、区民の95%が集合住宅に住んでおり、その住民による建物ごとの秩序の維持が重要であることは論をまたないところです。
しかし、区では、集合住宅が自治組織をつくろうとしても、既存町会にまず加盟することを優先するものと規定しています。既存町会に加盟するということは、既存町会に対して会費を払うということで、町会に会費を払えば、マンションで自治を行う原資はなくなってしまいます。つまり、マンションでの自治活動を阻害する政策であって、区の決まりは明らかに区の防災方針、マンション自治を進めるという方針と矛盾しています。
集合住宅が自治組織をつくろうとする場合と、町会の設立の場合とで必要となる会員の割合が違うことも、明らかに集合住宅に対する差別であって、区民の95%の住民を軽視する施策です。
マンションの場合は、マンションの自治組織が集合住宅の防災を担うのです。区は、集合住宅住民による防災体制を本当に必要だと思っているのでしょうか。御答弁を願います。
もし集合住宅の住民による防災体制が必要だと考えているのであれば、なぜ住民の組織づくりの基準に、到達困難な苛酷なハードルを集合住宅だけに課すのか。これまで幾度となくお願いしてきていますが、もっと容易に自治組織を設置できるように、引き続き区として考えていっていただきたいと強く願っています。
次に、震災時に弱者である要支援者の把握と避難行動計画の策定は、防災計画の基本中の基本であると考えています。しかし、全くと言っていいほど、計画は不十分です。今後いつまでにどのような体制をつくろうとしていらっしゃるのか、区長のお考えを伺わせてください。
次に、防災備蓄の計画に対し、区内の95%の住民が住む集合住宅に対しては、マンション住民は自宅における在宅で住民の個々が行う自助の努力となっておりますが、地域防災においては、備蓄庫を地域の防災組織が管理しています。マンション以外の住民の備蓄は3日となっていて、マンション住民は7日であるため、在宅避難のマンション住民は、区の備蓄を利用しないことが前提です。あくまでも部屋の中で自分でためたもので食べていく、これが前提です。これも明らかに集合住宅の差別です。
また、震災の発生が平日の日中であった場合、帰宅困難者の数は住民数をはるかに上回り、備蓄食料では到底追いつきません。より多くの人間が食料不足で困らない方法は、区内に大量に流通している食料を活用することです。以前より申し上げているように、港区に多くある冷蔵・冷凍倉庫の中の肉や魚、野菜、冷凍食品という、これらを地域資源として位置づけ、活用することは、自宅のローリングストックを提唱している区の考え方と同じです。震災時は倉庫の荷主から区が食料を買い取れる、そのような仕組みが必要です。つくるべきです。区長の考えを伺わせてください。
次に、3歳児健康診査においては、長年の努力の結果、23区最低と言われ続けていた受診率が改善し、その中で、弱視の検査においては、令和4年度の2,254名の受診者の中から260名の子どもが精密検査を受け、治療の機会を得ることができました。喜ばしいことだと思っております。
しかし、いまだ受診率は84.8%。つまり、まだ15%の子どもに相当する400人が受診しておらず、割合からすると、40名近い子どもが弱視の治療の機会を逸している。これが現実です。
そこで、改めてお願いします。保健所で行う3歳児健康診査だけでなく、保育園など、あらゆる健康診断の場で、この40名の子どもたちを救うための弱視検査を行い、一生に一度のかけがえのない治療のチャンスをつくっていただきたいのですが、区長のお考えを伺わせてください。
次に、昨年の暮れに、芝浦アイランドのモノレール駅を近隣の企業など民間の力で造る民設駅設置の可能性を探る勉強会を行う上で、区にも参加してほしいとお願いし、区民ニーズの調査を行うとの条件の答弁をいただきました。そして、それは今年に入り、慎重に行うということになり、現在では、区民ニーズ調査を行う予定は未定となっております。
区に対し、主体的にこの駅を造ってくれと言っているわけではないにもかかわらず、地域が自主的に検討する動きに対し、区が抵抗する理由が私には分かりません。芝浦アイランドにモノレール駅を地域企業が設置することで、地域の価値を高め、その生まれた差益で建設費を生み出すという民設駅の構想に対し、区長の考えを伺わせてください。
最後に、要望を1つ付け加えさせてください。区民から、区立保育園の卒園式で国旗が掲揚されていなかったとの陳情がありました。幼稚園、小学校、中学校と変わらず、保育園においても同等に卒園式や入園式においては国旗を掲揚するようお願い申し上げます。
質問は以上です。
○区長(武井雅昭君) ただいまの港区維新・無所属を代表しての榎本茂委員の総括質問に順次お答えいたします。
最初に、防災についてのお尋ねです。
まず、停電の想定日数と在宅避難に必要な備蓄についてです。令和4年5月に東京都防災会議が公表した、首都直下地震等による東京の被害想定報告書では、電力会社へヒアリングをした結果を基に、約4日の停電日数を想定していると聞いております。
区としては、電気が復旧したとしても、ガスや水道の復旧作業に1週間以上の時間を要することや、物流機能が停止し、食料等の供給が滞ることが想定されるため、在宅避難に備えて7日分以上の備蓄を呼びかけております。
次に、旧耐震基準の建築物についてのお尋ねです。区が把握をしております旧耐震基準の建築物の数ですが、令和3年3月末現在で、特定緊急輸送道路沿道建築物が約380棟、一般緊急輸送道路沿道建築物が約390棟となっております。
また、住宅土地統計調査を基にした推計とはなりますが、住宅においては約2万5,000戸となっております。
また、くいと建築物がどのように接続されているかの調査につきましては、くいと建築物の接合部分が地中となるため、現在の技術では詳細な調査によっても正確に把握することは困難でありますが、区といたしましては、建築物の耐震化助成制度の利用促進に努めるなど、建築物の耐震性の向上に取り組んでまいります。
次に、エレベーター閉じ込め対策についてのお尋ねです。エレベーター閉じ込め対応訓練は、区民が日常的に使用している共同住宅のエレベーターにおいて、地震発生時にエレベーターに閉じ込められてしまった場合を想定し、対応や救出作業を体験するものとして行っております。
そのため、商業ビルやホテルでの実施や支援は予定しておりませんが、エレベーター閉じ込め対策の重要性について、様々な機会を通じ、周知啓発に努めてまいります。
次に、震災時における幹線道路の通行についてのお尋ねです。区は、阪神・淡路大震災や東日本大震災などによる橋梁の甚大な被害を踏まえ、橋梁の耐震補強工事や落橋防止システムの設置を計画的に実施してまいりました。
震災時には区の職員による巡回点検を行い、橋梁と路面との段差が生じていた場合には、救援救護活動や緊急物資の輸送に支障がないよう、迅速に応急補修を行います。
次に、マンション防災マニュアルの策定についてのお尋ねです。区では、マンションなどの共同住宅の居住者等が防災計画や避難計画の策定などを行う際、共同住宅防災アドバイザーを派遣しております。毎年度5回までの派遣を行うほか、共助のための体制づくりを推進する場合は、最大10回まで派遣延長することが可能です。
マンション住民の行動の指標となる一つのパターンによる基本マニュアルの用意は予定をしておりませんけれども、それぞれのマンションの規模、あるいは居住者の実情に応じた個別の防災計画の支援を作成するなど、きめ細かな支援に努めてまいります。
次に、共同住宅の住民による防災体制の必要性についてのお尋ねです。共同住宅において住民が防災組織を結成し、共助の意識を強めていくことは、共同住宅内の防災力の向上につながる必要なものであり、今後も支援をしてまいります。
次に、個別避難計画の策定についてのお尋ねです。区では、避難行動要支援者3,500名のうち、これまで延べ1,745名の個別避難計画を策定しておりますが、御本人から同意を得られず、計画の作成に至っていない方がまだ多く存在しております。このような計画作成の重要性や意義などを理解していただくために、さらなる働きかけが必要であると考えております。
区では、来年度、避難行動要支援者へ一斉に電話をし、安否などを確認し、速やかに支援につなげるシステムの導入を予定しております。この導入を契機といたしまして、改めて避難行動要支援者へ丁寧に個別避難計画の作成の必要性を呼びかけ、早期の計画作成に努めてまいります。
次に、地域資源の活用についてのお尋ねです。区では、災害時の食料確保のため、備蓄食料の充実に努めるとともに、災害時における食料等の提供について、民間事業者と協定を締結しております。
区内の冷蔵・冷凍倉庫に保管されている生鮮食料品の災害時の活用については、停電などによる適切な温度管理が困難なことが想定されるなど、衛生管理上の課題があることから、倉庫管理を行っている事業者から意見聴取を行うなど、活用の可能性について調査研究してまいります。
次に、保育園などあらゆる健診の中で弱視検査を実施することについてのお尋ねです。弱視検査を実施するためには、保護者が視能訓練士や医師などから検査や問診の結果について詳細な説明を受け、その後の精密検査や治療のための眼科受診へと迅速かつ確実につなげられる体制が重要です。
また、弱視検査は、視覚の安定する3歳児への実施が有効であると、港区医師会にも確認をしており、区では3歳児健診における実施を基本に取り組んでおります。
3歳児健診以外の場で効果的に弱視検査を実施するためには、確実に精密検査につなげるための体制整備や専門職の確保、対象年齢の設定等が必要なため、今後、医師会や有識者と検討してまいります。
最後に、モノレール民設駅の構想についてのお尋ねです。区は、芝浦港南地域の域内交通の課題改善や利便性向上に向け、様々な取組を実施しております。地域の方々から、民設駅を含めた域内交通の課題改善に向けたまちづくりに関する御相談があった際には、丁寧に対応してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○委員(榎本茂君) 御答弁ありがとうございました。
各款の審議とあまり変わらないということで、少し残念ではありますが、一部前向きな御答弁をいただいたことは感謝いたします。
あと、私の個人的な日記みたいなSNSに対して、議会で先ほども少しクレームのようなものがありましたけれども、あくまでもやはり直接言ってくれば、間違えがあれば訂正するのにやぶさかではないのですが、議長や事務局から訴えられるぞというような恫喝のようなものには断じて屈するつもりはございません。
○委員長(うかい雅彦君) 港区維新・無所属の総括質問は終わりました。
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○委員長(うかい雅彦君) 次に、共産党議員団を代表して、風見委員。
○委員(風見利男君) 総括質問を行います。
土地利用規制法についてです。
この法律は、防衛関係施設、海上保安庁の施設、原発など583を重要施設と指定し、その周辺1キロメートルを特別注視区域あるいは注視区域に指定し、その区域の土地や建物の所有者の氏名、住所、国籍等を調査、不動産登記簿、住民基本台帳等の公簿、収集することができます。必要であれば、所有者から報告さえ求めることができます。憲法違反の法律です。
昨年12月26日付で内閣府から区長に意見照会があり、土地利用規制法に基づくニューサンノー米軍センター周辺の1キロメートルの区域を注視区域に指定し、個人情報を収集するために、区長宛てに区域が示され、意見を求められています。
区長は、国において適切に行われるものと認識しているとした上で、区民の基本的人権やプライバシー権などの自由や権利の尊重を求めたといいますが、反対の意思は示していません。
ニューサンノー米軍センター周辺1キロメートルというと、南麻布、白金など約2万6,000世帯、4万7,000人の区民が住んでいます。関係地域の皆さんには事実を知らせること。説明すること。答弁を求めます。
学校を含む区施設のトイレの在り方についてです。
整備が進んでいると思いますけれども、これからのトイレは最低限洋式で、温水洗浄便座、便座クリーナー、自動水栓、水せっけん、ハンドドライヤー、サニタリーボックス、呼出しボタンを設置すること。女性トイレの個数を1.5から2倍にすること。女性トイレの洗面台に生理用品を常設すること。答弁を求めます。
震災対策についてです。
港区基本計画の区民意見には、防災行政無線が聞こえないと声が上がっています。豪雨のときはますます聞こえにくくなります。
3月8日の東京新聞に、元日の令和6年能登半島地震では、珠洲市などで防災行政無線の屋外スピーカーが停電により使えなくなっていたと報道されています。余震が続く中、行政発信の避難情報が十分伝わらないということです。東日本大震災でも無線が使えなくなりましたが、残念なことに、教訓が生かされていませんでした。この教訓を生かし、港区で防災ラジオを全世帯に無料配布すること。
また、区民から、ACアダプターが壊れた、メーカーに問い合わせたら3,500円料金を取られたと訴えがありました。防災課に問い合わせると、本来無料で交換するとのことです。壊れたACアダプターは無料で交換することを周知徹底すること。それぞれ答弁を求めます。
滞納問題での情報の共有についてです。
歳入の質疑の中で、滞納についての庁内での共有についての問題提起がありました。私は、2017年度予算委員会で、滋賀県野洲市の滞納してありがとう条例を紹介し、滞納する人にはそれなりの理由がある、滞納はよいことではないと思うからこそ、なかなか相談にも来られない、庁内全体で市民の困り事を解決するのが市の重要な役割であり、滞納した市民と一緒に生活再建の道を進めている取組を紹介し、港区も区民に寄り添った対応を求めました。
その後も何度も質問してきました。答弁は、野洲市のような区民生活を支える仕組みができている、今後も関係課や関係機関との連携を密にして、きめ細かい相談ができるように取り組んでいくとのことでした。
歳入の質疑を聞いていて、答弁と違うことが今でも起きていることに耳を疑いました。野洲市の取組を参考に、全庁挙げて区民に寄り添った行政に徹すること。答弁を求めます。
エンディングサポート事業についてです。
身近に頼れる家族や親族がいない高齢者が増えています。自分が亡くなった後のお墓のこと、家財道具の片づけなどどうなるのか心配との声を聞くことが増えています。
名古屋市では、あらかじめ預託金を預かり、利用者が亡くなったときに、葬儀、納骨及び家財道具の処分、行政官公庁への届出などを行う事業を社会福祉協議会に委託をしています。死後のことだけでなく、定期訪問のほか、月1回の電話による安否確認、入退院の付添いなども行います。
横須賀市では、2015年から、金銭的なゆとりがない、身寄りもいないひとり暮らし高齢者を対象に、葬儀や納骨の生前契約を支援しています。市内の葬儀業者の協力で、割安なプランも設定しています。担当者は、市民の死後の尊厳を整える責任があると話しています。
エンディングサポート事業、今、全国に広がっています。揺り籠から墓場まで、責任を持って支援するのが港区の役割です。早急に港区でも実施すべきです。答弁を求めます。
臨海斎場の火葬炉の増設についてです。
3月5日の都政新報に、臨海斎場は2030年度までに火葬炉を10基増やす予定との報道がありました。2017年7月の報告資料では、2030年に6基となっていました。増設は歓迎ですけれども、いつどこで決まったのか。計画の前倒しを行うこと。答弁を求めます。
都心型銭湯設置に向けた取組についてです。
来年度予算に、浴場組合に新たな公衆浴場の設置に向けた検討を支援する予算が計上されました。これは民間ビルを使って新たな公衆浴場を設置するための調査検討を始めるものです。
港区がJTから購入した南青山一丁目の土地の隣の都営住宅が廃止になりました。ビル内での銭湯もいいのでしょうが、この土地も候補地としてぜひ検討してはいかがでしょうか。その上で東京都に要請してはいかがでしょうか。答弁を求めます。
新紙幣発行への対応支援についてです。
予算特別委員会では、チャレンジ商店街店舗応援補助金の補助対象との答弁でした。補助金の対象となることを、チラシなどを作って、7月の新紙幣発行前に広く周知をすること。
身近に商店街がなく、どこに入ったらよいか分からない地域もあります。商店街に入りたくても入れないということがないように、賛助会員や近隣の商店街情報も含めて、区商連任せにせずに、港区が責任を持って周知すること。それぞれ答弁を求めます。
神宮外苑再開発事業の抜本的な見直しについてです。
現在、神宮外苑は、屋根つきのラグビー場を建設するため、希少なヒトツバタゴの群落が生息する建国記念の森に工事用仮囲いを設置。アマチュア野球で長年使われてきた第2球場を解体しました。
再開発計画に対し、都民や専門家、著名人の批判が急速に広がっています。坂本龍一さんは、死去の直前に、小池都知事に「目の前の経済的利益のために、先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきでありません」と、再開発の見直しを訴える手紙を出しました。
伐採中止を求めた市民団体の声明には、浅田次郎、加藤登紀子、秋吉久美子の各氏らが名を連ねました。作家の村上春樹さん、漫画家のちばてつやさんらも再開発を批判し、サザンオールスターズは、昨年9月、坂本さんの思いを受け継いだ曲「Relay〜杜の詩」を配信しました。スポーツ関係者も、ラグビー場と野球場の移転、建て替えを批判しています。再開発の中止を求めたインターネット署名は、23万人を超える賛同が寄せられています。
イコモスは昨年9月、異例のヘリテージ・アラートを出しました。日本イコモス国内委員会は、イチョウ並木の枯損やヒトツバタゴの群落の生育状況を具体的に指摘し、再開発の施行認可撤回と環境影響評価の再審などを東京都に要請しています。建築、造園、都市計画、環境などの専門家有志数百人も、アセスメントのやり直しを求めています。日本イコモス国内委員会など、見直しを求める人たちと事業者との直接の話合いが必要です。事業者、東京都に話合いの場を持つように要請すべきです。答弁を求めます。
私立学校等の学校給食費を含む教育費の負担軽減についてです。
学校給食費、補助教材費、修学旅行費を公費負担とした完全無償化を進める先進的な自治体があります。山梨県早川町、京都府伊根町など、13自治体があると報道されています。港区も先進自治体に学び、鉛筆1本からの無償を目指して検討を進めるように、これはお願いをしていきたいと思います。
昨年9月から区立小・中学校の給食費無償化がスタートし、皆さんに喜ばれています。ところが、私立学校等に通う子どもたちは対象外です。いろいろな事情があって学校に行けない不登校の子どもも対象になっていません。
教育委員会の答弁を聞いていても、なぜ拒否するのか、理解ができません。港区に住み、生活し、当然のことながら、税金を納めている納税者です。等しく施策を受ける権利があります。
教育費負担に関するアンケートを実施するとのことです。早急に実施し、給食費を含め、教育費用の負担軽減策に踏み出すこと。答弁を求めます。
幼稚園や認定こども園に通う1号認定の子どもの昼食代の在り方についてです。
予算特別委員会での答弁は、本当にひどいものでした。幼稚園でも認定こども園でも、どこに通っていても、1号認定の子どもは同じサービスを受けられて当然です。私立幼稚園には給食費の補助をしています。区立幼稚園に通う1号認定の子どもをなぜ差別するのですか。この異常な状態を一刻も早く解消すべきです。区立でも私立でも、お弁当でも給食でも同じ支援をすること。お弁当なら給付を、給食費は全額助成すること。答弁を求めます。
入学祝い金の支給についてです。
小学校も中学校も入学時には多額のお金がかかります。ある区立中学校の女子の場合です。制服代4万9,500円、体育着、トレーニングウエア上下、半袖シャツ、半ズボン2万900円など、最低限必要なものだけでも9万3,610円かかります。そのほかに、かばんかスクールバッグ、スクールベルト、水着、ワイシャツや体育着、靴下などは1枚では済まないので、10万円は優に超えてしまいます。それ以外にも、部活の費用が多額にかかります。
小学校でも、帽子、体育着上下、赤白帽、上履き、水着、当初教材、ランドセル、制服の学校もありますから、7万円から10万円かかります。
子育てするなら港区なのですから、港区の将来を担う子どもたちの入学をみんなで祝福しませんか。入学祝い金の支給を求めます。答弁を求めます。
最後に、学校の運動場の利用枠の拡大についてです。
港区は、運動場などが少なく、土日祝日、ナイター枠を取るのは大変です。新しい場所の確保が急がれますが、既存の施設の有効利用で利用枠の拡大は一部可能です。青山運動場の時間を麻布運動場と同様にすること。埠頭少年野球場は年間通じて8時から20時に改正すること。答弁を求めます。
以上で質問は終わりますけれども、答弁によっては再質問をすることを述べて、質問を終わります。
○区長(武井雅昭君) ただいまの共産党議員団を代表しての風見利男委員の総括質問に順次お答えいたします。
最初に、重要土地等調査法についてのお尋ねです。区は、本年1月に内閣府へ意見書を提出し、国の責任において区民へ重要土地等調査法に関する情報を効果的に発信するとともに、内閣府で設置しているコールセンターの積極的な周知や、必要に応じ住民説明会を開催するなど、区民からの問合せに十分に対応するよう求めております。
今後、法律の概要や注視区域の候補となっている現状などを区ホームページ等で速やかに区民へ提供し周知するとともに、国に対し、区民への説明などきめ細かな対応を働きかけてまいります。
次に、区有施設のトイレの在り方についてのお尋ねです。区有施設のトイレについては、バリアフリーやユニバーサルデザインに配慮し、安全で快適なトイレ整備を進めております。そのため、区では、区有施設トイレ整備基準を定め、トイレごとに施設用途や様々な利用者を想定し、温水洗浄便座や自動水栓の衛生器具等を整備しております。
便座クリーナーやサニタリーボックスなどの衛生用品につきましては、設置を進め、充実を図っております。また、女性用トイレの個室数は、施設の利用実態や利用者の要望等を踏まえて確保しており、生理用品については、設置場所を拡大してまいります。引き続き清潔で使いやすいトイレの整備に努めてまいります。
次に、震災対策についてのお尋ねです。
まず、港区防災ラジオの無償配布についてです。港区防災ラジオには、音声のみのラジオと文字表示機能つきのラジオがあります。区では、音声のみのラジオを約2万2,000円、文字表示機能つきのラジオを約3万6,000円で調達しておりますが、いずれも区民の方へ1,000円で配布しており、住民税非課税世帯や生活保護受給世帯にはいずれも無償で配布をしております。引き続き港区防災ラジオの配布について周知をしてまいります。
次に、港区防災ラジオACアダプター交換の周知徹底についてのお尋ねです。ACアダプターに不具合があった場合は、防災課及び各地区総合支所協働推進課窓口において、無償で新たなACアダプターに交換をしております。窓口で区民にラジオを配布する際、無償交換が可能であることを確実にお伝えしてまいります。
次に、滞納問題の情報共有についてのお尋ねです。区は、特別区民税・都民税や国民健康保険料を滞納している場合、それぞれの担当部署から御本人へ連絡を行っておりますが、全ての滞納の状況についてお申出がない場合があります。
このため、滞納がある方に対しては、ほかの納付や支払いの状況などを丁寧に伺うとともに、子育てや介護、就労など、生活における悩み事も詳しくお聞きしながら、福祉総合窓口や港区生活・就労支援センター等と連携して、問題解決を図っております。
今後も滞納者に寄り添い、関係機関等と連携を図りながら、滞納の解消や生活再建に向けて支援をしてまいります。
次に、エンディングサポート事業についてのお尋ねです。区では、現在、高齢者相談センターにおいて、終活をテーマとした区民向け講座を開催するほか、死後事務に関する相談に対し、港区社会福祉協議会等とも連携し、内容に応じた情報提供や関係窓口を案内するなど、高齢者の終活支援に取り組んでおります。
引き続き終活についての支援を推進するため、関係機関との連携を図るとともに、他自治体の取組事例に関する情報を収集してまいります。
次に、臨海斎場の火葬炉増設についてのお尋ねです。臨海斎場については、今年度、将来の火葬需要に対応するため、さらなる火葬炉の増設を視野に入れた調査を実施いたしました。調査の結果、6基増設する計画を10基増設する新たな方針案が、先月7日開催の臨海部広域斎場組合議会の懇談会の場で、構成区である港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区に示されました。
増設する火葬炉の供用につきましては、工事事業者の働き方改革や資機材不足などを踏まえ、必要な期間を設定しております。
また、方針案では、火葬炉とは別に、利用ニーズの高い式場の増設計画を早期に実施する計画としております。
新たな方針案については令和6年度中に策定する予定としておりますが、火葬炉や式場の増設工事が早期に実現するよう努めてまいります。
次に、都心型銭湯の設置に向けた取組についてのお尋ねです。都心型銭湯の設置は、昨年5月に設置した、区内公衆浴場の経営者等で構成する港区公衆浴場経営対策会議において検討され、公衆浴場の減少が著しい都心港区において、既存の民間ビル等に公衆浴場を設置する手法により、新たな公衆浴場の設置を目指すとの報告をいただいております。
都心型銭湯の設置については、候補地も含め、今後、港区浴場組合が詳細を調査、検討することとしております。
次に、新紙幣発行への対応支援についてのお尋ねです。本年7月の新紙幣発行に伴う商店会加盟店舗におけるレジ等の機器更新は、既存のチャレンジ商店街店舗応援補助金において支援する予定としており、港区商店街連合会の理事会等での説明に加え、補助対象であることを明確にしたチラシや区ホームページ等で丁寧に周知をしてまいります。
併せて、商店会のない地域の店舗は、港区商店街連合会の賛助会員となることで補助制度を利用できる旨を区ホームページや連携金融機関等を通じて周知し、各店舗における新紙幣発行前の機器入替えを支援するとともに、商店会加盟店舗及び連合会の賛助会員獲得につながるよう、取り組んでまいります。
最後に、神宮外苑の再開発事業についてのお尋ねです。区は、港区の優れた景観であるイチョウ並木を適切に保全するよう、事業者を指導しております。
また、より多くの方々に神宮外苑地区の再開発計画に関する正しい情報が届くよう、さらなる説明会の開催などを昨年9月に事業者に対し文書で要請するとともに、説明会等で出された意見などを真摯に受け止め、対応を検討するよう求めております。
今後も多くの方からの意見や要望などに真摯に耳を傾け、可能な限り事業計画に反映するよう、東京都と連携しながら、強く求めてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
○教育長(浦田幹男君) ただいまの共産党議員団を代表しての風見利男委員の総括質問に順次お答えいたします。
最初に、教育費の負担軽減の在り方についてのお尋ねです。
まず、アンケートを早期に実施することについてです。子どもの学習費に関するアンケート調査は、今月中に実施する予定です。その結果から、港区の子どもに係る教育費の負担の実情を網羅的に把握、分析し、どのような形の支援が必要か検討してまいります。
次に、幼稚園児の保護者に弁当代を支給することについてのお尋ねです。区では、来年度から、区立幼稚園で実施をする弁当配送事業において、配送に係る経費を負担する予定です。
また、私立幼稚園では一部の園で給食を実施しており、お子さんが給食実施園に通い、一定の所得以下などの要件を満たす世帯に対しては、副食費の補助を行っております。
現時点で公私立幼稚園において一律に昼食に必要な費用に対する負担軽減を行うことは予定しておりませんが、園児の保護者への支援の在り方について、今後の課題としてまいります。
次に、入学祝い金の支給についてのお尋ねです。区は、経済的な理由で就学が困難な家庭への支援として、今年度から就学援助の対象を私立学校に拡大し、公私立を問わず、小・中学校の新入学時に係る学用品費等として、小学校は6万4,300円、中学校は8万1,000円を支給しております。
小学校や中学校への入学時の入学祝い金の一律支給については予定しておりませんが、児童・生徒の保護者への支援の在り方について、今後実施をする子どもの学習費に関するアンケート調査の結果を踏まえ、検討してまいります。
最後に、運動場の利用時間の拡大についてのお尋ねです。青山運動場は、近隣住宅と隣接していることから、これまで近隣の皆様と協議を重ねる中で、利用時間を季節ごとに設定するなど、拡大をしてまいりました。利用時間の拡大を望む声も踏まえ、引き続き粘り強く近隣の皆様と協議をしてまいります。
また、埠頭少年野球場については、利用者から御意見を伺い、近隣にも配慮しながら、利用時間の拡大を検討してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○委員(風見利男君) 何点か再質問させていただきます。
重要土地等規制法についてです。区長に意見照会が来たときに、関係住民の意見を聞いた上で返事をすべきだったのです。区長といえども、個人の財産に関することやプライバシーに関すること、監視することまで国が勝手に調査、収集することを了解することはできないはずです。今からでも関係住民に事実を知らせること。説明すること。当然のことで、ぜひやっていただきたい。
次に、神宮外苑のことなのですけれども、日本イコモス国内委員会の石川幹子先生が、2022年10月29日から2023年11月29日まで、146本のイチョウを一本一本調査しました。著しく悪くなっているのが4本あります。事業者の調査は5年前で健全だというわけです。ですから、これでは駄目なので、本当にきちんと調査をした人たちを交えて、やはり事業者と話合いをしていくという、これが一番大事なので、ぜひそこはしっかり事業者に伝えていただきたいと思うのです。
次に、幼稚園に通っている子どもの給食費なのですけれども、認定こども園に通う1号認定の子どもは、8月の休みも預かり保育で給食費を無償にするのです。同じ1号認定でなぜ幼稚園の子どもたちは対象外にするのか。これは大問題なわけで、ぜひそこはしっかりお答えいただきたいと思うのです。
防災ラジオの件なのですけれども、防災行政無線が聞こえないと、区民に情報が伝わらないわけです。やはり災害のときに何をしたらいいか迷っているときに、区民に正確な情報がしっかり流れることが大事なわけで、ここは本当に、今、1,000円で配っている、生活保護の方、住民税非課税の方は無償で配っているというのですけれども、やはり残りの方々に全員に配るという。それが本当に区民の安全・安心を守る重要な手だてになると思うので、ぜひそこは再度お答えいただきたい。
入学祝い金は、先ほどアンケートをする中に、私はやはり教材ですから、入学した後のことを調査するのだと思うのですけれども、入学する前の、そのような入学するに当たっての準備も含めて、アンケートの中で調査をするということなのですか。そこをお答えいただきたい。
○区長(武井雅昭君) ただいまの共産党議員団を代表しての風見利男委員の再質問に順次お答えいたします。
まず、重要土地等調査法についてのお尋ねです。区は、本年1月に内閣府へ意見書を提出いたしました。国の責任において、区民へ重要土地等調査法に関する情報を効果的に発信するとともに、内閣府で設置しているコールセンターの積極的な周知や、必要に応じ住民説明会を開催するなど、区民からの問合せに十分に対応するよう求めております。
注視区域の指定は我が国の安全保障のための措置であり、国が責任を持って判断し、実施すべきものであると認識をしております。
こうした中、措置を行う国が責任を持って区民への丁寧な説明を行うよう、意見書を提出いたしました。引き続き国に求めてまいります。
次に、震災対策について、港区防災ラジオの無償配布についてのお尋ねです。防災ラジオにつきましては、様々な情報入手手段の一つとして、必要な方に御利用いただけるよう、1,000円で配布しているものでございます。
引き続き防災ラジオの配布事業について周知し、必要な方に利用していただくよう努めてまいります。
最後に、神宮外苑の再開発事業についてのお尋ねです。国際イコモスによるヘリテージ・アラートの発令や、著名人の再開発計画への懸念の表明などにより、全国的に本計画への関心度が高まっております。
区は、より多くの方々に正しい情報が行き届くよう、さらなる情報発信などについて、改めて事業者に対し文書で要請するとともに、説明会で出された意見などを真摯に受け止め、対応を検討するよう事業者に求めております。今後も多くの意見に耳を傾け、可能な限り事業計画に反映するよう強く求めてまいります。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
○教育長(浦田幹男君) ただいまの共産党議員団を代表しての風見利男委員の再質問に順次お答えいたします。
教育費の負担軽減の在り方についてのアンケートについてでございます。アンケートについては、事前に入学する前に用意するものも含めて、調査をしてまいりたいと考えております。
次に、幼稚園児の保護者に弁当代を支給することについてでございます。芝浦アイランド認定こども園は、1号認定の子どもと2号認定の子どもを一体的に保育していることから、1号認定の子どもにも給食費を提供しており、昨年9月から給食費を無償化しているものでございます。
区立幼稚園では給食を実施しておらず、認定こども園とは運営形態が異なることから、現時点で一律に昼食について給食費相当額を支給することは予定しておりませんが、保護者の支援の在り方の中で今後の課題とさせていただきます。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○委員(風見利男君) 区長、土地利用規制法なのですけれども、内閣府からこの区域を指定したいのですということが来ているわけですよね。ですけど、そこの人たちはそのことを何も知らないわけです。国は全部決まってから初めてホームページで公表するわけで、今どうなっているかというのは全く知らないのです。そこを区民に知らせるというのは、私は当たり前だと思うのです。時間がないので再質問はこれで終わりますけれども、ぜひそれは徹底していただきたい。お願いしておきたい。
○委員長(うかい雅彦君) 共産党議員団の総括質問は終わりました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(うかい雅彦君) 次に、港区れいわ新選組の森委員。
○委員(森けいじろう君) 初めに、区の職員体制の充実について質問いたします。
地方自治法改正により、来年度からは会計年度任用職員にも勤勉手当が支給可能となり、今年度分も、特別区で期末手当を引き上げる方針となったことは評価できます。ただし、現実としては、勤勉手当の支給対象となるのは、週の労働時間が15.5時間以上、過去に6か月以上の勤務実績があるなどが条件となり、全ての会計年度任用職員が対象となるわけではございません。
勤勉手当の支給対象者は、月額に換算すると6,000円程度増額とはなりますが、平均年収で見ると、勤勉手当の支給対象の方で、多い方でも300万円台から500万円台、少ない方だと100万円台という方も多く、会計年度任用職員の給与はまだまだ低いというのが実態です。
港区の経常経費での人件費に関しての状況によると、港区は16.7%となっており、この数字は全国平均の25.2%、東京都平均の22.2%を大きく下回り、23区内でも最も低い値となっております。区の職員の人件費を低く抑えられているということです。
一方で、定員管理の状況の人口1,000人当たりの職員数については、港区8.31人に対し、全国平均8.21人、東京都平均6.02人となっており、全国平均に近い値が出ております。その分析欄には、指定管理者等の民間の力や会計年度任用職員等の多様な人材を効率的に活用、簡素で効率的な執行体制を確保などとの記載もあり、低賃金で多くの人材を雇用しているという内容に見受けられます。財政的にも恵まれている港区が率先して人件費を削減していく必要性があるのか、疑問を持ちます。
港区は、今後も人口増加が見込まれており、また、今後行政に求められる様々な課題が複雑化、多様化していくことを考慮しても、人件費削減の非正規雇用の拡大や民間委託の推進ではなく、区職員の人員体制の充実が優先されるべきではないでしょうか。正規職員の枠を広げることや非正規職員の処遇改善こそが必要な状況であると考えます。
そこで伺います。特別区職員の給与等は、特別区人事委員会の勧告を基に、23区の共通事項として決定しているとのことですが、充実した区民サービスの提供、継続の観点からも重要な役割を担っている会計年度任用職員のさらなる処遇改善に、独自に採用した港区が独自に取り組むべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
併せて、正規職員の採用枠の拡大をはじめ、区職員の充実した人員体制の構築に関する区の見解をお聞かせください。
次に、重度の身体障害を持つ、れいわ新選組、木村英子議員が国会でも取り上げた一時避難施設バリアフリー化と介護について伺います。
能登半島全体で高齢化率が5割を超える地区が多く、障害者の方は1万人以上いますが、避難所が見つからず、壊れて危険な自宅にいる方も少なくありません。
原因の一つに考えられるのが、一時避難所のバリアフリー化の遅れです。一時避難所にはバリアフリートイレの設備がないことが多く、周りに迷惑をかけたくないと、トイレや食事を我慢してしまうことで体を壊し、災害関連死を容易に引き起こす状態にあります。
一時指定避難所は全国で約7万か所あり、そのうちの約4割が公立の小・中学校ですが、主な避難場所となる体育館にバリアフリートイレがある学校は約4割しかなく、避難所のバリアフリー化が進んでおりません。
避難所のバリアフリー化は、障害者や高齢者だけではなく、子どものいる方や妊婦など誰にとっても必要なことです。障害者の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍と推計されており、バリアフリー化は必須の状況です。
そこで伺います。港区の一時避難所に当たる区民避難所は、現在、58か所ありますが、築年数が古い建物は、避難所としてのバリアフリー化が十分とは言えません。高齢者や障害者などに配慮した避難所運営が求められると考えますが、区の見解をお聞かせください。
福祉避難所では介護する職員が足りず、新たな受入れができていないところも出てきており、一次避難所や自宅で避難生活をしている方も同様に介護者不足で、支援の必要な障害者や高齢者の方たちが災害関連死の危険と隣り合わせの状況です。
そもそも平時より介護職員が絶対的に不足しているため、災害などの緊急時の人手不足がさらに深刻になっております。平時に加え、災害時に支援の必要な方々の命を守るためにも、人手不足解消のための介護職員の待遇改善を早急に行うべきです。
先日発表された介護職員の報酬改定では、ほんの少ししか賃金が上がらず、それどころか、訪問介護の報酬に関しては減額されるというありさまです。23区内では、介護報酬の単価はほぼ同じであるため、介護職員が住む場所として、家賃の高い港区は避ける傾向にあり、家賃の高い港区にとってはより深刻な問題です。
そこで伺います。平時はもちろん、災害時についても介護職員の確保が不可欠です。抜本的な港区独自の対策が必要と考えますが、災害時を含めた介護職員の確保についての区の見解を伺います。
次に、まちづくりの観点からの気候変動対策について伺います。
資源エネルギー庁の資料によると、2020年度の日本の再生可能エネルギー電力比率は19.8%ですが、対して、ドイツ、イギリス、スペイン、イタリアなどは40%を超えており、中国も27.7%となっております。また、デンマークでは80%以上となっており、首都のコペンハーゲンは間もなく2030年に脱炭素を達成する見通しとの情報もあります。日本は、G7をはじめとした他の国々に後れを取っている状況です。
港区の予算概要に示されているグラフを見ると、2030年以降が技術革新等となっており、何か大きな技術的な進歩がないと達成が難しいと見受けられます。2050年カーボンニュートラルは世界的な約束であり、できないでは済まされません。
港区は、特に再開発による高層建築物が多く、その建築物から多くの二酸化炭素が排出されております。まちづくりは公園、道路等の基盤整備、緑の創出、強靭なまちへの誘導等、まちづくりを進める意義は多大です。
しかし、二酸化炭素排出量の約7割は民生業務部門から出ており、その半数は大規模建築物といったこともあります。区の目標達成のみならず、日本全体の2050年カーボンニュートラルの達成のためにも、大きな割合を占める港区としては、今後も区内各地で実施が見込まれる再開発等の大規模開発、大企業への二酸化炭素排出量を削減することが必要不可欠です。
そこで伺います。まちづくりを推進していく中で、まち全体でのZEB化実現や、高層建築物の一次エネルギー消費量の削減、地域冷暖房施設の増設等、まちづくりの観点からも脱炭素に向けた対策を積極的に取り組んでいくべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
最後に、さらなる基金の活用について伺います。
令和3年度の財政力指数を見ると、全国平均0.5、東京都平均0.74に対し、港区は1.22と、圧倒的な状況です。経済収支比率についても、最新の数値では60%台に突入しており、67.6%と良好な値となっております。
言うまでもないことではありますが、財政面からは様々な課題に対し、より積極的な投資が可能な状況ということは明らかです。資金が潤沢な港区こそが、複雑化、多様化する社会問題への先行投資をはじめ、内需拡大と格差是正に関する政策もより一層講じていくべきと考えます。
とりわけ2050年カーボンニュートラルに向けて、待ったなしの環境関連や、介護職員不足の問題をはじめとした福祉関係をはじめ、多くの課題において区独自の大胆な政策が求められております。
人材に関しても課題と考えます。これまでどおりの新卒採用の継続や人件費削減の観点からの非正規採用の推進ではなく、新卒採用に加え、就職氷河期世代、障害者の積極的な採用や、デジタル人材の確保をはじめ、区職員全体の3分の1を占める非正規職員の処遇改善、正規登用等、人材確保、育成等に関する抜本的な計画を立案すべきと考えます。
区職員の職場環境の充実なくして、区民サービスの充実はあり得ません。これら課題に対する政策の立案、遂行のためにも、基金の積極的な活用が必要です。
そこで伺います。複雑化、多様化する多くの課題に対し、これまで以上に積極的、計画的な基金の活用が求められます。財政調整基金の有効活用に加え、例えば、廃止された基金や実質的に運用されていない基金の代わりに、人材確保、育成に関する基金を創設するなど、特定目的基金の使途の見直しや再編についても必要と考えますが、区の見解をお聞かせください。
○区長(武井雅昭君) ただいまの港区れいわ新選組の森けいじろう委員の総括質問に順次お答えいたします。
最初に、区の職員体制の充実についてのお尋ねです。
まず、会計年度任用職員のさらなる処遇改善についてです。会計年度任用職員については、常勤職員と同様に、特別区人事委員会勧告に基づいて報酬額を改定しております。また、区では、昨年度、専門性の極めて高い職の報酬額等を見直したほか、保育園等の職についても、初任給の経験加算の上限を引き上げるなど、区独自の処遇改善を進めております。
今後も、報酬額の見直しを図るなど、会計年度任用職員の職場環境を整備し、充実した区民サービスの提供に努めてまいります。
次に、充実した執行体制の構築についてのお尋ねです。近年の急激な社会経済状況の変化に伴い、より複雑化、高度化する行政課題に迅速に対応するため、常勤職員の力だけでなく、高い専門性を有する民間主体の力や、AIなどを積極的に活用し、課題解決に効果的かつ効率的な執行体制を柔軟に整備することを基本的な考え方としております。
今後も、区政の課題解決に関わる政策立案など、常勤職員が担うべき業務に必要な職員数を配置することに加え、高い専門性を備えた会計年度任用職員の採用や、指定管理者制度など、専門職や民間のサービス提供主体とも連携を図り、それぞれの強みを生かし、きめ細かく質の高いサービスを提供してまいります。
次に、高齢者や障害者などに配慮した避難所運営についてのお尋ねです。区では、高齢者、障害者の方々などに配慮し、区民避難所へ簡易ベッドや車椅子の方が利用しやすい広さを持ったマンホールトイレ用のテント、介助者のスペースを確保したバリアフリー構造の簡易トイレなどを備蓄しております。
また、こうした対策と併せ、避難所運営を担う地域防災協議会とも連携し、声を掛け合って、高齢者や障害者の方などを助け合える支援体制の充実に努め、あらゆる人たちが安全で安心して避難所生活を送ることができるよう、環境づくりに取り組んでまいります。
次に、災害時を含めた介護職員の確保についてのお尋ねです。区は、人材不足が深刻な介護職員の確保を図るため、来年度から介護職員の住宅確保に対する補助金額を、現在の月額3万円から7万1,750円に、補助率を2分の1から8分の7に増額いたします。
また、この補助要件を、施設から10キロメートル以内の近隣地域に居住し、災害発生時に勤務する施設等に参集することとしており、災害時の対応力の強化につながるものと考えております。
引き続き今後の補助の活用状況やその効果等を検証し、災害時を含めた介護職員の増加につながる効果的な支援策を検討してまいります。
次に、まちづくりの観点からの地球温暖化対策についてのお尋ねです。区は、大規模建築物に対して、低炭素まちづくり計画に基づき、エネルギーの合理化や高効率化を図る地域冷暖房やコージェネレーションシステムの導入を促進しております。
さらに、都市開発諸制度を活用する大規模建築物には、エネルギー消費量削減基準を一般建築物よりも厳しく義務づけ、二酸化炭素排出量を削減しております。
引き続きまちづくりの機会を捉え、省エネルギー性能の向上や再生可能エネルギーの導入に加え、緑豊かな空間形成や、「ちぃばす」におけるEVバスの導入など、あらゆる手段を講じて脱炭素化を推進してまいります。
最後に、特定目的基金の使途の見直しや再編についてのお尋ねです。区は、公共施設整備など、将来の財政需要に備え、特定の目的のため基金を設けておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した令和2年には、区民の生命と区内産業を守るため、いわゆる震災復興基金の使途を拡大する基金条例の改正を行い、直面する課題に迅速に対応いたしました。
今後も、喫緊の課題の解決や区民サービスの向上に向けて、必要な場合には、特定目的基金の使途の見直しや再編を検討してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○委員(森けいじろう君) ありがとうございます。
よく言うことですけれども、人材はコストではなく、財産です。港区らしい、先見性に富んで、品格のある政策を期待し、質問を終わります。
○委員長(うかい雅彦君) 港区れいわ新選組の総括質問は終わりました。
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○委員長(うかい雅彦君) 次に、参政党の会のとよ島委員。
○委員(とよ島くにひろ君) 参政党の会のとよ島くにひろです。よろしくお願いいたします。
私は、予算特別委員会の衛生費の際に、厚生労働省の発表したアドバイザリーボードの資料から、新型コロナウイルスワクチンを接種した後、時間がたつにつれ、打てば打つほど新型コロナウイルス感染症の陽性になる確率が上がっていくというデータを示しました。つまり、あのワクチンの効果も含め、もろもろの対策は一体意味があったのかどうか、検証すべきであると考えております。
先日、新型コロナウイルスワクチンのmRNA技術の機能を強化した、自己増殖型レプリコンワクチンが国内で開発されました。このレプリコンワクチンを薬事承認しているのは、日本だけです。また、そもそも新型コロナウイルスワクチンを5回も6回も7回も複数回、今でも接種しているのは、日本だけです。いまだに国民がマスクを着用している。その確率が高いのも、日本だけです。コロナ禍が過ぎ去った今、改めて過去を振り返り、修正をするべきだと思っております。
まちには、いまだに新型コロナウイルス感染症の名残が残っております。先日、国会図書館に行きました。そこの食堂には、アクリル板がいまだに置かれております。これ、いつまで置くつもりなのでしょうか。そのときに、職員の方に聞きました。このアクリル板はいつまで置くつもりなのかと。もう取った方がいいのではないかと言ったら、上の人から言われていて、取れないのだと。何とかしてくださいよと言われました。
いまだに私の娘の小学校では、全校生徒が講堂に集まるときは、全員にマスクを強制しているそうです。
さらに、私のお寺には、ヤクルトを届けに来るヤクルトレディーがおります。今でもコロナ禍のごとく、バイクを運転しながらマスクを着用しておりました。そして、届けに来るときもマスクを着用している。なぜ着用しているのかと。美しいお顔が見えずもったいないではないかと言ってみたところ、これもまた会社に言われておりますと。だから外しづらいので、会社のサービスセンターに電話してくださいと名刺を渡されました。
いまだに新型コロナウイルス感染症を恐れている人も一部いますので、問合せしたところ、会社の方針として基本的に着用を推奨しておるということなのですが、推奨が半ば義務化されている、このような状況になっているところが一部あるわけです。
マスク着用は、そもそも強制するものではありません。マスクの長期の着用による酸素不足で脳に悪影響があるという科学論文もあります。特に子どもは、酸素不足が深刻化すると、非常に脳に悪いと言われております。
しかし、長い間、コロナ禍が続きまして、そして、その間、様々ないろいろな強制がありました。ですから、マスクをつける癖がついて、タイミングを逃し、今さら外せなくなっている大人も子どももいらっしゃいます。
このマスクやアクリル板など、特に感染予防効果があるのか、科学的根拠も不明確なまま、どのような状態で、どのようになれば、これを強制することをやめられるのか。
ここで質問です。コロナ禍で半ばそういった強制がある、マスクやアクリル板のこういった対策をいまだに自主的に変えることができなくなっている区民に対して、もうしなくてもいいぞというメッセージを改めて行政として出してもいいと思います。それがなければ、だらだらと続いていく可能性のあるこの状態、これは看過できないと思いますが、これについて区としての考え方を伺います。
続いて、資料1枚目を御覧ください。この1枚目の資料には、港区の心筋炎・心膜炎の人が何人ぐらい、この5年間で発症したのかというグラフなのですが、明らかに今までは70人、60人台ぐらいだったのが、ワクチンを打った年からほぼ倍増しているし、さらに、2022年には、2年目には2.5倍ぐらい増えています。驚くべき、倍増どころの騒ぎではない状態なのですが、統計的に言えば、新型コロナウイルスワクチンが心筋炎などの状態を引き起こすということは明らかに見えると思いますけれども、少し危ないということで、新型コロナウイルスワクチンを一回止めましょうということにならないかというと、このメカニズム、なぜそうなるのかということが確実に分かったわけではないと。ただ、統計的にはこのようなデータが出ているという状態なので、止めることができないのですが、しかし、そのような論文も出ているわけです。
これは論文のタイトルをここで御紹介するので、参考にしていただければいいかと思いますが、タイトルは、「リボヌクレアーゼ2がワクチン心筋炎を引き起こす引き金になる可能性」、こういった論文も出ている。これは『セル』という医療系の雑誌に掲載されており、シンガポールの研究でケースレポートとして載っております。掲載されたのは、2023年6月9日です。参考にしていただければと思います。
この内容の詳細は差し控えますが、簡単に言えば、ワクチンの成分が作用して、結果的に心臓の筋肉を痛めつけているという内容でありました。
さらに、2枚目の資料を見てください。心筋炎・心膜炎だけではなく、別の病気も増えているというデータであります。これは、川西市という市議会で配付された資料の一部抜粋なのですけれども、これはどのような内容かといいますと、右側を参照していただくと、欧州医薬品庁、これ、EMAというのですが、2021年8月の段階では、月経の異常に対して因果関係はないと。ワクチンと因果関係はないと言っていたのですが、1年後の2022年10月に、因果関係がある可能性はあるという話になったのです。
これを受けて、日本国内では、新型コロナウイルスワクチンを接種することによって、月経異常が起こることがあり得るということを発表する学者が日本国内に出てきたのですが、その声を打ち消すかのごとく、2023年3月10日には、月経異常というものが起こるという話は誤情報であると厚生労働省が発表してしまっているわけです。これ、欧州の方では可能性はあると言っているのに、それは誤情報だとわざわざ言っているわけです。
国ぐるみでこういった都合の悪い情報を隠しているとしか言いようがないのですが、ただし、誤情報だと言っていたのに、それから9か月後、2023年12月8日には、影響があり得ると、厚生労働省も言い直しているわけであります。
資料の3枚目を見ていただくと、これは一般社団法人こどもコロナプラットフォームの調査結果によると、接種後、7割の女性が月経異常を経験しており、そのうち35.5%の女性が、1年たってもなお月経異常が元に戻っていないとのデータが出ております。これ、非常に多いと思うのですが、厚生労働省は、僅かにそのような人もいらっしゃるとしています。あり得るということを言っていたのですが、全く僅かではなく、35.5%の女性が月経異常を経験しているというデータです。これは、どこが僅かなのかと逆に聞きたいというところです。
○委員長(うかい雅彦君) 持ち時間を超えていますので、発言をまとめてください。
○委員(とよ島くにひろ君) では、最後に質問だけ。新型コロナウイルスワクチン接種後、港区において、心筋炎・心膜炎の顕著な急増が確認されておりますが、港区独自に調査を行うというのはいかがでしょうか。
○区長(武井雅昭君) ただいまの参政党の会のとよ島くにひろ委員の総括質問に順次お答えいたします。
アフターコロナの対応についてのお尋ねです。
まず、新型コロナウイルス感染症5類移行後のマスク等の感染対策に関する区の考え方についてです。現在、マスク着用やアクリル板の設置などの感染症対策は、国の通知に基づき、行政が一律の対応を求めるのではなく、個人や事業者の主体的な選択を尊重するとともに、感染防止対策が効果的な場面等が示されております。
引き続き個人や事業者の主体的な選択が尊重されるよう、区ホームページなどで状況の変化を捉えた判断の参考となる情報発信をしてまいります。
最後に、新型コロナウイルスワクチンと心筋炎・心膜炎の関係性を区独自に調査することについてのお尋ねです。厚生労働省は、心筋炎等の発症リスクについて、新型コロナウイルスワクチン接種後より新型コロナウイルス感染症の罹患後の方が高いと考えられること等を踏まえ、接種による効果がリスクを上回るとしております。
区では、新型コロナウイルスワクチンと心筋炎の関係性について、独自の調査を行うことは考えておりませんが、引き続き副反応が生じた方に対し、予防接種健康被害救済制度に基づき丁寧に対応してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○委員長(うかい雅彦君) 参政党の会の総括質問は終わりました。
以上にて、総括質問を終わります。
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○委員長(うかい雅彦君) これより、令和6年度予算4案について、各会派の態度表明を行います。
初めに、自民党議員団を代表して、ゆうき委員。
○委員(ゆうきくみこ君) 自民党議員団を代表して、態度表明を行います。
武井区長から提出されております令和6年度予算4案は、目まぐるしく変化する時代の中、財政基盤を堅持し、港区の将来を見据えた着実な施策を進めていただけるための総合力のある区政運営ができると考えております。
我が自民党議員団が各款審議で行った質問、提言を十分に受け止めていただき、より港区の実態に沿った、そして、時代に合った事業の執行をお願いし、議案第21号 令和6年度港区一般会計予算、議案第22号 令和6年度港区国民健康保険事業会計予算、議案第23号 令和6年度港区後期高齢者医療会計予算、議案第24号 令和6年度港区介護保険会計予算の4案につきましては、原案のとおり賛成いたします。
○委員長(うかい雅彦君) 次に、みなと未来会議を代表して、琴尾委員。
○委員(琴尾みさと君) よろしくお願いします。
令和6年度港区予算4案について、みなと未来会議の態度表明を行います。
物価高騰やコロナ禍で受けた影響で苦しんでいる区民や区内産業への支援、一向に改善されない少子化問題、将来に不安を抱えている人がたくさんいる中で、過去最大の規模となる当初予算を掲げました。
アフターコロナの中、支援を必要としている区民や事業者が安心して暮らせる港区を力強く後押しし、行政サービスのさらなる充実に努めてください。
また、今年は石川県能登半島地震から始まった年となりました。日常備蓄の大切さを再確認するとともに、この教訓を生かし、集合住宅、昼間在勤者、外国人が多いなど、港区の特徴に合わせた防災対策、災害対策の推進を要望いたします。
また、区の政策に対する発信も大変重要です。発信することはもちろんのこと、対象者へ情報を届けることにより、安心して生活や子育てをしていくこととなり、区民の安心感や希望へとつながります。そこから生まれるにぎわいによって、まちに笑顔と元気があふれる港区の実現を求めています。
みなと未来会議所属議員が提案、要望したことは積極的に反映し、指摘した事項は真摯に向き合い、よりよい政策へとつなげてください。
今年度よりも明るく希望が持てる来年度になることを信じて、令和6年度予算案4案につきましては、いずれも賛成いたします。
○委員長(うかい雅彦君) 次に、公明党議員団を代表して、丸山委員。
○委員(丸山たかのり君) よろしくお願いいたします。
待ったなしの少子高齢化の中、めり張りをつけつつ、あらゆる世代に目配りをし、区の進むべき方向性を明示した上で、防災対策、子育て支援、国際理解教育などをはじめ、積極的な予算編成になっていると思います。
令和6年度予算案の審議におきまして、我が会派として意見、要望、そして、提案を述べさせていただきましたが、これらが十分反映されるよう要望いたしまして、令和6年度予算案4案につきましては、いずれも賛成いたします。
○委員長(うかい雅彦君) 次に、みなと政策会議を代表して、清家委員。
○委員(清家あい君) みなと政策会議の態度表明を行います。
令和6年度予算案については、認可外保育園補助やドッグラン増設、高齢者の住宅確保支援など、私たちの意見を様々に反映していただきましたが、多くの課題が部署ごとの縦割り体制など、構造的な問題により、根本的な解決に至りません。
社会課題を解決し、これからの未来を築いていくために、新しいビジョンとリーダーシップの下、今後積極的な予算編成が行われるようになることに期待し、令和6年度予算4案については、賛成いたします。
○委員長(うかい雅彦君) 次に、港区維新・無所属を代表して、榎本茂委員。
○委員(榎本茂君) 港区維新・無所属を代表して、態度表明をいたします。
令和6年度予算の審議を通じましては、様々な意見、また、提案をさせていただきました。一部の政策では前向きな御答弁や方針を伺うことができましたが、残念ながら、我々の取り組んできた革新的政策においては、残念としか言いようがない回答であったことは痛恨の極みです。
関東大震災から100年が過ぎ、防災体制の構築は待ったなしであります。しかし、区民の95%が住むマンションにおいて、昭和から続く既存町会の仕組みを優先する政策がかせとなり、大半のマンションに自治組織がつくれておらず、防災マニュアルもないのが現実です。今、地震が発生したら大混乱は必至です。
そして、子どもの一生を左右する弱視検査において、3歳児健診が都内最下位を脱出できたことは評価しても、いまだ400人近い子どもが未受診であり、それを保育園など、健康診断において弱視検査を行い、補うことを長年にわたり要求してきましたが、この提案を断固として拒否する姿勢は理解しがたいものがあります。他の自治体では、内科医が行っているのです。
世界が時代の大きな変化を迎える社会において、区民のニーズを的確に捉え、行政はセクショナリズムを廃止し、柔軟な行政サービスを提供していかなければいけません。
令和6年度一般会計においては、我が会派の革新的政策である要綱において、我が会派の方針が受け入れられなかったことを理由に、反対させていただきます。
港区国民健康保険事業会計、後期高齢者医療会計、介護保険会計の3案につきましては、いずれも賛成いたします。
○委員長(うかい雅彦君) 次に、共産党議員団を代表して、風見委員。
○委員(風見利男君) 共産党議員団の態度表明を行います。
元旦に発生した能登半島地震で、多くの貴い命が奪われました。今議会で家具転倒防止器具の支給制限をなくすこと、プライバシーを守るためのインスタントハウスや段ボールハウス、女性や高齢者、障害者が安心して使えるトイレトレーラーなどの導入など、区民の命とプライバシーを守る提案に後ろ向きの答弁に終始しています。
また、学校給食の無償化については、私たちのこれまでの幾度もの粘り強い質問と運動で、区立については実現しましたが、私立などは対象外とするなど、全く理解できません。
失われた30年と言われ、経済は停滞、暮らしは大変です。賃金はピーク時から64万円も落ち込み、30年前の水準に、年金生活者の実質可処分所得は過去12年間で23万1,000円も減少しています。こんな中、国民健康保険料が1人当たり2万7,253円の値上げになるなど、さらに区民の負担は増えるばかりです。
その一方、大企業が進める市街地再開発事業には、多額の税金が使われています。税金は、区民サービス向上のために使うべきです。基金にため込むのであれば、区民に返金すべきです。
こうした区政を切り替え、区民の暮らし、福祉、教育などを応援する区政に転換する決意を述べて、予算4案には反対いたします。
○委員長(うかい雅彦君) 次に、港区れいわ新選組の森委員。
○委員(森けいじろう君) 港区れいわ新選組の態度表明を行います。
令和6年度一般会計についてですが、本委員会での質疑を今後の政策立案、区民サービスに反映、考慮されることを要望し、賛成いたします。
国民健康保険事業会計については、反対です。新型コロナウイルスが5類となり、以前の生活に戻りつつありますが、物価高騰の影響は続いております。実質賃金は22か月連続マイナスとなっており、依然として物価上昇に賃金の伸びが追いついていない状態です。区民生活に直結する保険料率上昇は避けなければなりません。据置きの努力を行い、区民生活を下支えするべきだと考えます。
介護保険会計についても反対いたします。介護保険料率上昇抑制の努力をされていると認識しておりますが、他の特別区でも厳しい状況の中で、未確定ながら複数の区が据置きの見通しとの情報もあります。一方で、訪問介護報酬の減額という制度改悪もなされている状況です。これ以上区民負担を強いることは避けなければなりません。さらなる基金の活用等、さらなる努力により介護保険料率上昇を回避すべきと考えます。
後期高齢者医療会計につきましては、賛成をいたします。
○委員長(うかい雅彦君) 次に、参政党の会のとよ島委員。
○委員(とよ島くにひろ君) 参政党の会からの質問、要望等が積極的に反映されることを期待し、予算案には賛成いたします。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の問題、特にコロナワクチンの問題というのは、国家ぐるみの問題であり、また、これは世界も絡んだ非常に大きな問題だということ、そこの部分に私は何度も触れておりますけれども、にわかには信じられないと思いますが、そこら辺のところをもう少し認識を深めていただければと思っております。
また、教育委員の、教育の問題のお話をさせていただきましたけれども、歴史教科書の問題です。この歴史教科書の問題、これは歴史教科書をどんな教科書を選ぶのかということで、教育委員の方々に、今ある、今使っている教科書の問題点というものを指摘させていただきました。
ですので、今後、教育委員の皆様は、歴史教科書採択という重責を感じていただき、今後の採択に向き合うことを期待するところでございます。
また、教育委員の選ぶ、教育委員の任命から、議会の承認という部分のところの過程において、1週間少し早めに発表していただいておりましたので、大きな一歩だと思いまして、ここは前向きに捉えております。
参政党の会からは以上です。
○委員長(うかい雅彦君) 以上にて態度表明を終わります。
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○委員長(うかい雅彦君) これより採決を行います。
採決の方法は、起立をもって行います。
まず、「議案第21号 令和6年度港区一般会計予算」について採決いたします。
原案について、可決することに賛成の方は御起立願います。
(賛成者起立)
○委員長(うかい雅彦君) 起立多数と認めます。よって、「議案第21号 令和6年度港区一般会計予算」は、原案のとおり可決することに決定いたしました。
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○委員長(うかい雅彦君) 次に、「議案第22号 令和6年度港区国民健康保険事業会計予算」について採決いたします。
原案について、可決することに賛成の方は御起立願います。
(賛成者起立)
○委員長(うかい雅彦君) 起立多数と認めます。よって、「議案第22号 令和6年度港区国民健康保険事業会計予算」は、原案のとおり可決することに決定いたしました。
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○委員長(うかい雅彦君) 次に、「議案第23号 令和6年度港区後期高齢者医療会計予算」について採決いたします。
原案について、可決することに賛成の方は御起立願います。
(賛成者起立)
○委員長(うかい雅彦君) 起立多数と認めます。よって、「議案第23号 令和6年度港区後期高齢者医療会計予算」は、原案のとおり可決することに決定いたしました。
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○委員長(うかい雅彦君) 次に、「議案第24号 令和6年度港区介護保険会計予算」について採決いたします。
原案について、可決することに賛成の方は御起立願います。
(賛成者起立)
○委員長(うかい雅彦君) 起立多数と認めます。よって、「議案第24号 令和6年度港区介護保険会計予算」は、原案のとおり可決することに決定いたしました。
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○委員長(うかい雅彦君) 以上をもちまして、本委員会の審議は全て終了いたしました。
この際、私から一言御挨拶を申し上げます。
本委員会は、連日に長時間にわたり、幅広い角度から精力的に審議を重ねてまいりました。限られた時間ではありましたが、区政の諸課題を的確に捉えた、大変有意義で深みのある質疑ができましたことに深く感謝を申し上げます。
委員会運営に当たりまして、なかね副委員長、兵藤副委員長、各会派の理事の皆様並びに委員の皆様方の御理解に、心から感謝を申し上げます。
また、武井区長をはじめ理事者の皆さん、並びに区議会事務局の皆さんの御協力に厚く御礼を申し上げます。
本委員会での質疑が、新年度予算、新たな区政運営に反映されることを期待いたしております。
以上をもちまして、私の挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。(拍手)
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○委員長(うかい雅彦君) これをもちまして、令和6年度予算特別委員会を閉会いたします。
午後 5時57分 閉会...