多くの外国人との意思疎通を図るため、区は、多言語対応や、日本語の習得機会を提供するとともに、「やさしい日本語」を用いて、外国人に対する防災訓練や、
地域のイベントへの参加を促してまいりました。
来年度から、
職員向けに、やさしい日本語を活用した、公文書作成を
支援するシステムを
整備し、外国人への情報伝達の更なる充実を図ります。
本年四月には、「出入国管理及び難民認定法」の改正により、新たな在留資格が追加されることから、港区の外国人
人口も
増加することが想定されます。
区がこれまで進めてきた「多文化共生社会」の
実現に向け、多言語での
情報提供などの
取組を一層推進してまいります。
優れた文化芸術は、人生を豊かにし、心のやすらぎと多様性を育み、平和にも寄与するものと考えています。
区は、劇場やホール、美術館、博物館など、多彩な文化資源に恵まれている
地域特性を生かし、文化芸術団体や、大使館、企業と連携して、
子どもから
高齢者まで、誰もが身近に文化芸術に親しむことができる
取組を推進しています。
本年五月に開催予定の
東京を代表する文化の祭典「六本木アートナイト」の中で、
障害者や、
子ども、外国人に配慮した
取組を積極的に取り入れ、港区ならではの文化プログラムを展開してまいります。
区で初めての文化芸術の専門
施設として、浜松町二丁目に
整備を予定している「(仮称)港区文化芸術ホール」については、七年後の開設をめざし、準備を進めてまいります。
以上の
取組により、健康で心豊かにいきいきと暮らせる
まちを
実現してまいります。
最後に、第三の
テーマ「安全・安心に過ごせる快適でにぎわいある
まちを
実現するための
取組」について申し上げます。
平成十八年六月三日に、
区民向け住宅シティハイツ竹芝のエレベーター事故によって、当時高校二年生の尊い命が失われました。
区は、昨年三月に、命の重さと尊さ、安全確保の大切さを胸に刻み、この事故を決して風化させないよう、事故が発生した六月三日を「港区安全の日」と定めました。
「港区安全の日」が、多くの
区民や区
職員にとって、
施設の安全を考える機会となるよう、講演会や研修を充実させ、安全に対する区の姿勢が揺るぎないものであることを、区の内外に発信し続けてまいります。
昨年は、六月の大阪府北部地震、七月の西日本豪雨、そして、九月には、震度七を記録し、大規模な停電を招いた北海道胆振東部地震と、全国各地で大きな災害が発生しました。
大阪府北部地震では、
小学校のブロック塀が倒壊し、登校中の小学生の尊い命が失われました。このことを受け、区は、
緊急対策として、すべての区有
施設の塀の点検を行い、安全性が懸念される塀やフェンスを撤去、改修しました。民有地に設置されたブロック塀等の除去とそれに伴う新設についても、昨年十一月から、新たな助成
事業を開始しました。
災害時に、
支援を必要とする人々が迅速に避難できるよう、
地域の
皆さんと緊密に連携し、災害時の避難行動の
支援体制を充実させてまいります。
また、来年度から、在宅人工呼吸器使用者が、災害による停電時に、自宅で機器を作動できるよう、自家発電装置の給付を開始します。
避難所での夏の酷暑対策のため、冷風機や扇風機を配備するとともに、避難者の連絡手段の確保のため、スマートフォン対応の充電器を配備し、避難所機能を強化してまいります。
犯罪等のない安全な
まちづくりを推進するため、区は、
地域や、
警察署・消防署など関係機関の
皆さんと共に、防犯パトロール、生活安全キャンペーンを実施しています。
まちの美観を損ね、治安の悪化を招きかねない落書きをなくすため、消去
事業者の派遣規模を
拡大するとともに、新たに落書き防止のための防犯カメラの設置に関する
支援を本年四月から開始します。
また、港区の繁華街から客引き行為をなくすため、新たに、警察官OBを非常勤
職員に任用するとともに、六本木地区において、早朝の巡回指導を実施するなど、
区内のパトロール体制を強化し、誰もが安心して過ごすことができる
まちを
実現します。
現在、区は、屋外の受動喫煙防止対策のため、「みなとタバコルール」を定め、指定喫煙場所の
整備や巡回指導を実施しています。
屋外の受動喫煙の防止には、路上喫煙者の多くを占める在勤者への対策が効果的です。路上喫煙をしないよう、社員に周知啓発する
事業者の
増加に向け、みなとタバコルール宣言登録
事業を推進してまいります。
来年四月に、「
東京都受動喫煙防止条例」の全面施行により、屋内における受動喫煙の規制が強化されます。これまで以上に屋外での喫煙が増える可能性があるため、区は、本年十月から、駅や飲食店周辺の巡回指導を強化します。
区は、昨年三月に、「港区シティプロモーションシンボルマーク」を制定し、港区観光大使をはじめ、多様な主体との
協働を推進しています。さらに、VR技術を活用した港区ワールドプロモーション映像の制作など、一般社団法人港区観光協会と連携しながら、港区の魅力を国の内外に向け、発信するための
取組を積極的に進めています。
現在、国においては、新たな経済活動の一つとして、外国人観光客を中心に、夜間の消費活動を喚起する「ナイトタイムエコノミー」の推進について、検討が行われています。
区は、夜の
まちににぎわいをもたらす観光振興と安全・安心の両立を図りながら、
地域経済の活性化にもつながる、港区ならではの「ナイトタイムエコノミー」に取り組んでまいります。
東京、ひいては日本をけん引する港区の街並みは、
時代の流れとともに、先駆的で魅力的な
まちに変貌し続けています。
新橋・虎ノ門地区では、環状第二号線の開通を契機として、沿道の街並みの形成が進んでいます。「
東京メトロ虎ノ門ヒルズ駅」の
整備や、晴海と虎ノ門を結ぶバス高速輸送システム(BRT)の導入が
決定するなど、
まちを取り巻く
環境が大きく変化するとともに、
地域では
まちづくりの機運が高まっています。区は、
地域の
皆さんの意向を反映した「新橋・虎ノ門地区
まちづくりガイドライン」を本年七月に策定し、
まちの魅力が更に高まるよう、
地域の個性を生かした
まちづくりを計画的に誘導してまいります。
また、来年の春に暫定開業を予定している「JR高輪ゲートウェイ駅」周辺では、新たな
まちの
整備が進んでいます。駅周辺の
まちづくりが円滑に進むよう、昨年十二月に、私を本部長とする「高輪ゲートウェイ駅周辺
まちづくり推進本部」を立ち上げ、町の名称や、
総合支所の管轄区域、区立小・
中学校の学区域の検討を開始しました。
区内の
地域特性に応じた「
まち」の将来像を、区、
区民、
事業者が共有し、
環境と都市機能のバランスに配慮した快適でにぎわいのある
まちづくりを推進します。
活発な都市活動により生じた大量のごみの減量をめざすため、
区民、
事業者との
協働によって、
日常生活や
事業活動の場面で、リデュース、リユース、リサイクルの3Rを推進しています。
来年度は、食品ロスの実態を把握するため、
区民への意識調査を実施し、削減に向けた効果的な
取組を検討してまいります。
また、海洋ごみの中でも、マイクロプラスチックによる生態系への影響が国際的な問題となっています。プラスチック廃棄物の縮減と、正しく処分することの重要性を訴えるパネル展や、清掃車のラッピングによる啓発活動を実施するとともに、
障害者就労
支援施設が作成したマイバッグの活用を推進し、
区民、
事業者と共に、
環境にやさしい循環型社会を構築してまいります。
地球温暖化への歯止めをかけるため、主な要因である二酸化炭素の排出量の抑制に取り組んでいます。これまでも、
環境負荷の少ない再生可能エネルギーの利用を促進するため、昨年四月から、福島県白河市と連携し、太陽光発電によって作られた電気を区有
施設へ供給してきました。
本年四月には、山形県庄内町の風力発電、青森県平川市の木材資源を活用したバイオマス発電によって作られた電気を、区有
施設に導入することで、
環境負荷の少ない
まちづくりを更に推進してまいります。
「泳げる海、お台場」を
東京二〇二〇
大会のレガシーとして次世代に継承し、二〇二四年のパリ
大会へバトンをつなぐことを目的として、昨年六月に、フランスのパリ市と連携協定を締結しました。その具体的な
取組として、昨年七月から八月にかけて、海水浴イベントである「お台場プラージュ」を六日間開催しました。
セーヌ川のほとりに人工のビーチを設置する「パリ・プラージュ」は、パリの夏の風物詩になっています。その魅力を存分に取り入れた「お台場プラージュ」は、パリの洗練された雰囲気と、世界に誇れるお台場の眺望が混ざり合う、港区ならではの海水浴イベントになりました。
本年八月に予定している「お台場プラージュ」では、
東京二〇二〇
大会のトライアスロンのテストイベントと同時開催をめざしています。
東京都や、パリ市、公益社団法人日本トライアスロン連合など、関係団体との連携を強化し、お台場の魅力を存分に発揮できるイベントを
地域の
皆さんと共に、実施してまいります。
以上の
取組により、安全・安心に過ごせる快適でにぎわいある
まちを
実現してまいります。
最後に、これまで述べてまいりました施策の着実な推進に向けた、今後の
区政運営について申し上げます。
私は、
区民一人ひとりが担い手となり、共に
地域社会を創り上げていくことが必要と考えています。
区では、より多くの
区民が
区政に
参画できるよう、
基本計画や、
施設の
整備計画の策定にあたって、
区民意見の募集や、説明会、ワークショップを開催しています。
今後も、施策の展開にあたっては、
区民の
参画を積極的に求め、丁寧な合意形成を図りながら、開かれた
区政を推進してまいります。
企業の力を
地域の発展と活性化につなげるため、昨年九月に、「港区企業連携推進方針」を策定し、企業との積極的な連携に取り組んでいます。
区は、企業が集積する恵まれた地の利を生かし、
学校を
地域で支える
学校支援ボランティアや、がん患者に対する
支援など、多くの分野で企業と連携した
事業を展開しています。
今後も、区と企業の相互の強みを生かし、柔軟な発想や新たな着眼点を持った魅力ある
事業を創出してまいります。
港区は、全国各
地域との連携を進めています。
阿波踊りを縁とした白金北里通り商店会と、徳島県阿南市との連携は、新たな人の流れと、にぎわいを生み出し、
地域の活性化につながっています。
区役所一階の福祉売店「はなみずき」では、全国各地の
障害者就労
支援施設等で生産した商品を販売しています。また、昨年六月には、港区、渋谷区、杉並区、北区、葛飾区の五区が合同で区役所一階ロビーにおいて、同じく
障害者就労
支援施設等で生産した商品の販売会を実施しました。
昨年七月からは、
区民と全国各
地域を直接つなげる
取組として、全国の十五の自治体の
協力の下、各地の農産物や、特色ある品物を販売する「全国連携マルシェin
芝浦」を定期的に開催し、
地域に新たなにぎわいが生まれています。
北海道宗谷
地域の八町一村で構成される宗谷町村会との連携は、今年で、四年目を迎えます。豊富町や利尻富士町との連携による
区内銭湯でのイベントでは、港区にいながら日本最北の温泉郷の魅力を感じることができ、多くの
区民の
皆さんに喜んでいただいています。
来年度は、
区民が宗谷
地域に一定期間滞在し、現地で仕事をしながら地元の人たちとの交流や、学びを通じて暮らしを体験できる「(仮称)宗谷
地域版ワーキングホリデー」を実施します。
また、本年八月には、
区内の
子どもたちが
東京都の島しょ
地域を訪れ、地元の
子どもたちと触れ合う機会を設け、人と人との相互交流を深めてまいります。
連携には、信頼と行動が必要です。今後も、これまで以上に、お互いの顔が見える関係性を築き上げ、区と全国各
地域が共に発展し合える全国連携を推進してまいります。
これまで述べてまいりました「
参画と
協働」、「企業連携」、「全国連携」を更に推し進め、「
行政の力」、「
区民の力」、「民間の力」、「全国各
地域との連携の力」の「四つの力」を組み合わせ、港区の持つ総合力を生かした
区政運営を力強く展開してまいります。
現在、ICTは加速度的に進化しています。
今年度は特に、「港区AI元年」と銘打ち、多言語AIチャットによる外国人向けの情報発信や、業務自動化ツール(RPA)の導入
拡大など、各分野でAIをはじめとする先端技術の活用を推進しています。
AIなどのICTを積極的に活用し、効率的な
事務処理を進め、迅速で、質の高い
区民サービスを提供してまいります。
本年九月二十日に、「ラグビーワールドカップ二〇一九」が日本で開幕します。
ここ港区は、日本ラグビー発祥の地であるとともに、ラグビーの聖地「秩父宮ラグビー場」が立地しています。
世界で活躍するトップ選手と
区民との交流
事業を積極的に展開するとともに、
大会の素晴らしさと感動を分かち合う場を提供するなど、ラグビーに対する熱き想いを
区民の
皆さんと共有してまいります。
東京二〇二〇
大会の開催まで一年余りとなり、
大会の開催に向けた準備が本格化してまいりました。
大会の開催に向けては、
東京都や
東京二〇二〇組織委員会が、
大会開催期間中にこれまでに前例のない大規模な交通規制を検討しています。
区としても、
行政サービスや、
地域の行事への影響などをあらかじめ把握し、
大会開催時に
区民生活に対する影響が最小限となるよう、必要な対策を講じてまいります。
世界中のオリンピアン、パラリンピアンが港区に集う、この絶好の機会を捉え、
区民一人ひとりの心に刻まれる
大会となるよう、気運醸成を積極的に図ってまいります。
「
平成」に代わる新たな
時代の幕開けとともに、日本初の開催となるラグビーワールドカップと、
東京で五十六年ぶりとなるオリンピック・パラリンピック競技
大会が二年連続で開催されます。
この二つの
大会は、港区の経済や、
区民生活に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。こうした中、新たな
時代を迎えるにあたり、多くの方々が、心新たに、それぞれの未来に思いを馳せているのではないでしょうか。
私も、清新な気持ちで、
区民一人ひとりが、自ら描いた未来を
実現させ、幸せを実感できるよう、
地域に寄り添い、
地域の力を結集し、誰もが快適にいきいきと暮らすことができる
地域共生社会の
実現に、全力で取り組んでまいります。
区民の
皆様、並びに
区議会の
皆様のご理解とご
協力を、心からお願い申し上げます。
これをもちまして、私の所信とさせていただきます。
───────────────────────────
○
議長(池田こうじ君) 以上にて、本日の
日程は全部終了いたしました。
本日の
会議は、これをもって散会いたします。
午後一時三十二分散会...