• トリエンナーレ(/)
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  1. 港区議会 2017-06-07
    平成29年第2回定例会−06月07日-06号


    取得元: 港区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-21
    平成29年第2回定例会−06月07日-06号平成29年第2回定例会  平成二十九年 港区議会議事速記録 第六号(第二回定例会)   平成二十九年六月七日(水曜日)午後一時開会     一 出席議員(三十四名)       一  番  玉 木  まこと 君      二  番  榎 本  あゆみ 君       三  番  山野井  つよし 君      四  番  兵 藤  ゆうこ 君       五  番  丸 山 たかのり 君      六  番  池 田  たけし 君       七  番  黒 崎 ゆういち 君      八  番  小 倉  りえこ 君       九  番  赤 坂  大 輔 君      十  番  榎 本   茂  君       十 一番  横 尾  俊 成 君      十 二番  清 家  あ い 君       十 三番  ちほぎ  みき子 君      十 四番  やなざわ 亜 紀 君       十 五番  有 働   巧  君      十 六番  鈴 木  たかや 君       十 七番  土 屋   準  君      十 八番  大 滝   実  君       十 九番  いのくま 正 一 君      二 十番  杉 浦  のりお 君       二十一番  なかまえ 由 紀 君      二十二番  阿 部  浩 子 君       二十三番  近 藤  まさ子 君      二十四番  ゆうき  くみこ 君       二十五番  二 島  豊 司 君      二十六番  池 田  こうじ 君       二十七番  熊 田  ちづ子 君      二十八番  風 見  利 男 君
          二十九番  七 戸   淳  君      三 十番  杉 本 とよひろ 君       三十一番  林 田  和 雄 君      三十二番  清 原  和 幸 君       三十三番  うかい  雅 彦 君      三十四番  井 筒  宣 弘 君     一 欠席議員  な し     一 説明員       港   区   長  武 井 雅 昭 君    同 副  区  長     田 中 秀 司 君       同 副  区  長  小柳津  明  君    同 教  育  長     青 木 康 平 君         芝地区総合支所長                麻布地区総合支所長       同          新 井 樹 夫 君    同             堀   二三雄 君         環境リサイクル支援部長兼務           産業・地域振興支援部長兼務         赤坂地区総合支所長               高輪地区総合支所長       同          森   信 二 君    同             野 澤 靖 弘 君         子ども家庭支援部長兼務             街づくり支援部長兼務         芝浦港南地区総合支所長       同          浦 田 幹 男 君    同 福祉施設整備担当部長  佐 藤 雅 志 君         保健福祉支援部長兼務       同 みなと保健所長  阿 部 敦 子 君    同 街づくり事業担当部長  坂 本  徹  君       同 企画経営部長   安 田 雅 俊 君    同 用地・施設活用担当部長 齋 藤 哲 雄 君       同 防災危機管理室長 高 橋 辰 美 君    同 総 務 部 長     北 本  治  君         会計管理者       同          奥 野 佳 宏 君    同 教育委員会事務局次長  新 宮 弘 章 君         会計室長事務取扱       同 選挙管理委員会委員長 島 田 幸 雄 君     一 出席事務局職員       事 務 局 長    大 滝 裕 之 君    事務局次長    河 本 良 江 君                               議 事 係 長  吉 田 一 樹 君                                              他五名             ───────────────────────────       平成二十九年第二回港区議会定例会議事日程          平成二十九年六月七日 午後一時 日程第 一  会議録署名議員の指名 日程第 二  会期の決定 日程第 三  諸般の報告 日程第 四  代表質問・一般質問        ゆうき くみこ 議員(自民党議員団)        横 尾 俊 成 議員(みなと政策会議)        池 田 たけし 議員(公明党議員団)        いのくま 正一 議員(共産党議員団)             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) ただいまより平成二十九年第二回港区議会定例会を開会いたします。  今回の応招議員はただいま三十四名であります。したがいまして、本定例会は成立いたしました。             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) これより本日の会議を開会いたします。  ただいまの出席議員は三十四名であります。             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) これより日程に入ります。  日程第一、会議録署名議員をご指名いたします。十五番有働巧議員、十六番鈴木たかや議員にお願いいたします。             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) 日程第二、会期の決定を議題といたします。  お諮りいたします。今回の定例会の会期は、本日から六月十六日までの十日間といたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(うかい雅彦君) ご異議なきものと認め、さよう決定いたしました。             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) 日程第三、諸般の報告がありますので、ご報告いたします。  まず、職員に定例会招集の報告をさせます。   〔河本事務局次長朗読〕             ─────────────────────────── 二九港総総第六百七十四号 平成二十九年五月三十一日  港区議会議長 うかい 雅 彦 様                                     港区長  武 井 雅 昭       平成二十九年第二回港区議会定例会の招集について(通知)  本日別紙告示写しのとおり、標記定例会を六月七日(水)に招集しましたので通知します。             ─────────────────────────── 港区告示第百八十号  平成二十九年第二回港区議会定例会を六月七日に招集します。   平成二十九年五月三十一日                                     港区長  武 井 雅 昭             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) 次に、区議会事務局長の異動がありましたので、職員に文書を朗読させます。   〔河本事務局次長朗読〕             ───────────────────────────   参 事  北 本  治    区議会事務局長を免ずる     平成二十九年三月三十一日                                   港区議会議長 うかい 雅 彦   参 事  大 滝 裕 之    区議会事務局長を命ずる     平成二十九年四月一日                                   港区議会議長 うかい 雅 彦             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) それでは、新たに事務局長に就任いたしました大滝裕之さんをご紹介いたします。 ○議会事務局長(大滝裕之君) 区議会事務局長を命じられました大滝裕之です。どうぞよろしくお願いします。             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) 次に、説明員の異動について、区長、教育長及び代表監査委員からそれぞれ通知がありました。この通知は、お手元に配付してあります。  なお、朗読は省略し、詳細については、これを速記録に登載することにいたしたいと思いますので、ご了承願います。 (参 考)             ─────────────────────────── 二九港総総第百三号 平成二十九年四月三日
     港区議会議長 うかい 雅 彦 様                                     港区長  武 井 雅 昭       説明員について(通知)  地方自治法第百二十一条の規定に基づく説明員について、別紙のとおり通知します。  (別紙)  一 新規(平成二十九年四月一日付)   芝地区総合支所長 兼務 環境リサイクル支援部長           新 井 樹 夫   福祉施設整備担当部長                        佐 藤 雅 志   みなと保健所長                           阿 部 敦 子   総務部長                              北 本  治   参事 みなと保健所保健予防課長事務取扱               播 磨 あかね   産業・地域振興支援部   税務課長                 吉 田 宗 史   麻布地区総合支所     まちづくり担当課長            佐 藤 雅 紀   赤坂地区総合支所     区民課長                 阿 部 徹 也   芝浦港南地区総合支所   まちづくり担当課長            海老原  輔   産業・地域振興支援部   観光政策担当課長             冨 永  純   保健福祉支援部      障害者福祉課長              横 尾 恵理子   子ども家庭支援部     保育・児童施設計画担当課長        西 川 杉 菜   企画経営部        全国連携推進担当課長           鈴 木 雅 紀     同          用地・施設活用担当課長          山 田 康 友   総務部          人権・男女平等参画担当課長        江 村 信 行  二 異動(平成二十九年四月一日付)   高輪地区総合支所長 兼務 街づくり支援部長             野 澤 靖 弘   街づくり事業担当部長                        坂 本  徹   働きやすい職場づくり推進担当部長 総務部人材育成推進担当課長事務取扱                                     所   治 彦   麻布地区総合支所     副総合支所長 兼務 麻布地区総合支所管理課長                                     上 村  隆   街づくり支援部      都市計画課長               冨 田 慎 二   環境リサイクル支援部   環境課長                 湯 川 康 生   企画経営部        区長室長                 有 賀 謙 二   芝地区総合支所      まちづくり担当課長            杉 谷 章 二     同          区民課長                 安 藤 俊 彰   麻布地区総合支所     協働推進課長               鈴 木  健   芝浦港南地区総合支所   協働推進課長               大 浦  昇   産業・地域振興支援部   産業振興課長               柳 澤 信 幸   保健福祉支援部      福祉施設整備担当課長           小 笹 美由紀     同          高齢者支援課長              山 本 睦 美     同          介護保険課長               大 原 裕美子     同          国保年金課長               関 本 哲 郎   みなと保健所       生活衛生課長               村 山 正 一     同          健康推進課長               白 井 隆 司   子ども家庭支援部     児童相談所設置準備担当課長        保 志 幸 子     同          保育課長                 重 富  敦     同          子ども家庭支援センター所長        中 島 由美子   街づくり支援部      住宅課長                 増 田 裕 士     同          開発指導課長               村 上 利 雄     同          土木課長                 小 谷 武 彦     同          土木計画担当課長             小 林 秀 典     同          地域交通課長               西 川 克 介   環境リサイクル支援部   みなとリサイクル清掃事務所長       加 茂 信 行   企画経営部        企画課長 兼務 企画経営部オリンピックパラリンピック推進担当課長                                     野 上  宏     同          財政課長                 荒 川 正 行   総務部          契約管財課長               茂 木 英 雄  三 解除(平成二十九年三月三十一日付)   芝地区総合支所長 兼務 街づくり支援部長              波多野  隆   高輪地区総合支所長 兼務 環境リサイクル支援部長          横 山 大地郎   総務部長                              渡 邊 正 信   みなと保健所長                           吉 田 道 彦   参事 みなと保健所保健予防課長事務取扱               稲 垣 智 一   みなと保健所       生活衛生課長               菅 根 克 己   企画経営部        区長室長                 新 宮 弘 章   麻布地区総合支所総合支所長 兼務 麻布地区総合支所管理課長    大 滝 裕 之   総務部          契約管財課長               中 島 博 子   麻布地区総合支所     協働推進課長               山 本 隆 司   子ども家庭支援部     保育担当課長               増 田 玲 子   赤坂地区総合支所     区民課長                 沼 倉 賢 司   子ども家庭支援部     保育・児童施設計画担当課長        松 井 義 人             ─────────────────────────── 二九港教庶第百五十号 平成二十九年四月一日  港区議会議長 うかい 雅 彦 様                                   港区教育長  青 木 康 平       説明員について(通知)  地方自治法第百二十一条の規定に基づく説明員について、下記のとおり通知します。          記 一 新規(平成二十九年四月一日付)   教育委員会事務局次長                        新 宮 弘 章     同          庶務課長                 中 島 博 子     同          教育政策担当課長             藤 原 仙 昌     同          学務課長                 山 本 隆 司     同          生涯学習推進課長             増 田 玲 子     同          指導室長                 松 田 芳 明 二 異動(平成二十九年四月一日付)   教育委員会事務局     学校施設整備担当課長           瀧 澤 真 一 三 解除(平成二十九年三月三十一日付)   教育委員会事務局次長                        益 口 清 美     同          庶務課長                 佐 藤 雅 志     同          教育政策担当課長             山 田 康 友     同          学務課長                 新 井 樹 夫     同          学校施設担当課長             奥 津 英一郎     同          生涯学習推進課長             横 尾 恵理子     同          指導室長                 渡 辺 裕 之             ─────────────────────────── 二九港監第百一号 平成二十九年四月三日  港区議会議長 うかい 雅 彦 様                                港区代表監査委員  高 橋 元 彰       説明員について(通知)
     地方自治法第百二十一条の規定に基づき、下記のとおり通知します。          記 一 新規(平成二十九年四月一日付)     監査事務局長                          横 山 大地郎     副参事(監査担当)                       沼 倉 賢 司 二 解除(平成二十九年三月三十一日付)     監査事務局長                          塚 田 浩 一     監査事務局長 副参事(監査担当)事務取扱            塚 田 浩 一             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) 次に、平成二十九年二月、三月及び四月の例月出納検査の結果について、過誤のないことを確認した旨の報告書がそれぞれ監査委員から議長の手元に提出されております。  二月の例月出納検査の結果について、その概要を職員に朗読させます。   〔河本事務局次長朗読〕             ─────────────────────────── 二八港監第九百六十四号 平成二十九年三月九日  港区議会議長 うかい 雅 彦 様                                  港区監査委員  高 橋 元 彰                                  同       徳 重 寛 之                                  同       井 筒 宣 弘       平成二十九年二月例月出納検査の結果について  地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。          記 一 検査の範囲   (一) 検査対象 区一般会計、国民健康保険事業会計後期高齢者医療会計介護保険会計、雑部金、基金   (二) 検査場所 港区監査事務局   (三) 検査期間 平成二十九年二月二十四日から二月二十八日まで 二 検査の結果   本検査においては、会計管理者から提出された平成二十九年二月(平成二十九年一月分)例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) なお、三月及び四月の結果については、ただいまの報告と同様の内容でありますので、朗読は省略し、詳細については、これを速記録に登載することにいたしたいと思いますので、ご了承願います。  また、報告書は議長の手元に保管しておりますので、随時ご閲覧願います。 (参 考)             ─────────────────────────── 二九港監第百四号 平成二十九年四月十二日  港区議会議長 うかい 雅 彦 様                                  港区監査委員  高 橋 元 彰                                  同       徳 重 寛 之                                  同       井 筒 宣 弘       平成二十九年三月例月出納検査の結果について  地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。          記 一 検査の範囲   (一) 検査対象 区一般会計、国民健康保険事業会計後期高齢者医療会計介護保険会計、雑部金、基金   (二) 検査場所 港区監査事務局   (三) 検査期間 平成二十九年三月二十四日から三月二十八日まで 二 検査の結果   本検査においては、会計管理者から提出された平成二十九年三月(平成二十九年二月分)例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。             ─────────────────────────── 二九港監第二百三十一号 平成二十九年五月十九日  港区議会議長 うかい 雅 彦 様                                  港区監査委員  高 橋 元 彰                                  同       徳 重 寛 之                                  同       井 筒 宣 弘       平成二十九年四月例月出納検査の結果について  地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。          記 一 検査の範囲   (一) 検査対象 区一般会計、国民健康保険事業会計後期高齢者医療会計介護保険会計、雑部金、基金   (二) 検査場所 港区監査事務局   (三) 検査期間 平成二十九年四月二十四日から四月二十六日まで 二 検査の結果   本検査においては、会計管理者から提出された平成二十九年四月(平成二十九年三月分)例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) 次に、法人の経営状況に関する書類が区長から議長の手元に提出されております。朗読は省略し、通知については、これを速記録に登載することにいたしたいと思いますので、ご了承願います。  なお、詳細については、書類を議長の手元に保管しておりますので、随時ご閲覧願います。 (参 考)             ─────────────────────────── 二九港総総第六百一号 平成二十九年五月三十一日  港区議会議長 うかい 雅 彦 様                                     港区長  武 井 雅 昭       法人の経営状況に関する書類の提出について  地方自治法第二百四十三条の三第二項の規定に基づき、下記法人についての経営状況に関する書類を提出します。          記 一 財団法人港区住宅公社   平成二十九年度財団法人港区住宅公社収支予算書 二 公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団  (一) 平成二十九年度公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団事業計画書  (二) 平成二十九年度公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団収支予算書             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) 以上にて報告を終わります。             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) 日程第四、区の一般事務について、質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。最初に、二十四番ゆうきくみこ議員。   〔二十四番(ゆうきくみこ君)登壇、拍手〕 ○二十四番(ゆうきくみこ君) 平成二十九年第二回港区議会定例会にあたり、自由民主党議員団を代表して、武井区長、青木教育長に質問いたします。  昨年生まれた赤ちゃんの数は九十七万六千九百七十九人、現在の形で統計をとり始めた約百二十年前の一八九九年以来、初めて百万人を割り込んだことが、今月二日、厚生労働省の人口統計でわかりました。十五歳から四十九歳の女性が生涯に産む子どもの数をあらわした全国の合計特殊出生率は一・四四で二年ぶりに低下しました。厚生労働省は人口規模が大きい団塊ジュニア世代が既に四十代となって主な出産世代ではなくなったこともあり、今後も人口減少と少子高齢化がさらに深刻化するのは必至であるとしています。  一方で、本年一月に厚生労働省より出された外国人雇用の届出状況のまとめによると、外国人労働者の数は、ついに百万人を突破し、四年連続で過去最高を更新しました。人口減少や高齢化で深刻な担い手不足に悩む現場の労働力を確保しやすくする狙いとして、移民受け入れについての議論は尽きませんが、今後の日本の傾向は、少子化を何とか最小限にとどめながらも、テクノロジー、そして外国人の力をかりていかなければならない状況は、現状を見ても受け取れます。  港区の状況は、合計特殊出生率が二十三区最高値の一・四四、マンション開発などによりファミリー層の転入が増え、区内で生まれる子どもたちは年々増加しています。港区内の在住外国人は総人口に対する比率が高く、全体の約八%を占めており、こちらも今後さらに増加が予想されることから、国籍等の多様化に対応した環境づくりが求められています。グローバル化が進み、IT化、多様性が求められるようになった上に、変化のスピードもこれまでになく速くなっています。  昨今、世界で頻発して多くの罪なき命が奪われているテロ。日本は比較的安全とされているにもかかわらず、十五歳から三十九歳の若い世代の自殺率はこの二十年間ずっと上がり続けていて、世界でもトップに位置する深刻な状況にあり、これから先の生活が悪くなっていくという将来の希望への閉塞感が、日本でも世界でも大きな困難として凝縮されあらわれているのがわかります。  東京の中心である私たちの港区には、昔から住んでいる人もいれば、日本中や世界中から夢と希望を持って集まってきている人もいます。豊かな可能性を持った人材が集まる港区の特異な環境を最大限に発揮して、私たち自民党議員団は、武井区長とともに、住んでいてよかった、住み続けたいまち、そして活力とやさしさに満ちたまちの実現に向けて邁進してまいります。  それでは、最初の質問です。  今後の区財政のあり方について伺います。
     区は、発生が予測されている首都直下地震等の大震災が発生した場合、震災発生直後から、国や東京都に先駆け、一刻も早い復旧復興のために、万全の備えとして震災復興基金を設置しました。今までの震災対策基金残高百二十億円を震災復興基金として、新たに三百八十億円積み立て、五百億円確保し、平成三十年以降から毎年百億円ずつ積み立てて、五年かけて一千億円を確保するというものです。一千億円という大きな規模の震災復興基金を、いつ起こり得るか私たちの文明ではわかり得ないときの備えとして、区民生活の再建、事業の再開及び地域の再生を実現するために必要なものと考え、評価いたします。  一方で、経済状況の激しい変化や人的災害等のリスクも増え、世界情勢が不安定な中、予期せぬリスクへの対応なども予想されます。こうした中、この震災復興基金としての一千億円の積み立てを確かなものにするため、どのように必要性を共有していくのか。今後の財政のあり方について、区長のお考えを伺います。  次に、テロや武力攻撃等に対する危機管理について伺います。  北朝鮮による弾道ミサイル発射や、頻発するテロ事件により多くの尊い命が一瞬で奪われるなど、世界各地でのこれらの脅威は、日本においても身近なものとして緊張感が高まっています。このような情勢の中、テロの脅威の高まりやミサイル発射の可能性などを踏まえて、区も区民の安全・安心のために有事への対策を講じる必要があると考えますが、区長の見解を伺います。  港区における情報セキュリティ対策に関する取り組み状況について伺います。  去る五月、世界中を襲った過去最大規模のサイバーテロが大きく報じられました。今回の攻撃では、欧米やロシアなど世界百五十以上の国や地域で二十万件を超える被害が発生し、病院、鉄道、物流などの重要インフラが集中的に狙われました。あらゆるものがインターネットにつながるIoTが世界に浸透している一方で、インターネットを通じてインフラへの攻撃が広く拡散し、混乱に拍車をかけたとも言われています。  今回の事件は、インターネットの普及により便利な社会が実現する一方、セキュリティの脅威にもさらされていることがわかる典型的な事例です。特に、標的型攻撃メールについては、企業における顧客情報の流出などの事件が後を絶ちません。これからは、インターネットやICTの活用による利便性の向上と、情報システムを守る情報セキュリティの両立がますます重要になってきます。  港区でもウイルス対策など情報セキュリティの確保について対策が講じられていると思います。今後さらに巧妙化し、世界規模でも発生する外部からの攻撃も踏まえ、十分な備えをしていくべきだと考えますが、区における情報セキュリティに対する取り組み状況について伺います。  次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた効果的な取り組みと体制について伺います。  東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会まで、いよいよ残すところ三年にまで迫ってきました。区では、本年四月に東京二〇二〇大会に向けた気運醸成やレガシー創出に向けた区の取り組みを横断的に調整するための専管組織を企画経営部に設置し、体制を強化しました。今年度から、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が実施する応援プログラムの認証を受けた区民の取り組みに対する助成事業が開始されます。地元の要望を受けた企画や文化プログラムの実施、暑さ対策のための実証実験などの取り組みをとても評価しています。  しかしながら、大会運営の費用負担の件が連日ニュースで取り上げられているものの、大会そのものへの盛り上がりはこれからといった印象を受けます。また、区の体制は強化されたものの、大会開催までに三年しかないことを考えると、まだまだ十分とは言えないと思っています。  東京二〇二〇大会までの取り組みは、区政のあらゆる場面において、かけがえのない経験や知見を得る最大のチャンスです。大会組織委員会や東京都の役割分担も今後本格的に具体化し、区の担う役割もますます重要なものとなっていく中、区としてどのように効果的なものにしていくのか、また、どのような体制で臨むのか、区長のお考えをお聞かせください。  次に、他団体に派遣された職員の有効活用について伺います。  区の人口は二十五万人を超え、今後もこの増加傾向が続くことが推計されている中、さまざまな行政需要もこれに比例して増大していくと予想されています。このような中、区民の期待に応えるために職員の皆さんは日々職務に励んでくださっており、とても感謝しています。  一方、人口が増加して行政需要が増え、さらに区への期待・要望も多様化、複雑化してきているのは、課題として取り上げられていますが、職員一人ひとりにかかる責任や期待が高くなることで、これまで以上に一人の職員が貴重な人材、組織にとっての財産として重みが増すと考えます。  区は、東京都や特別区人事・厚生事務組合、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に職員を派遣しており、その数も五年前から比べると増加していると聞いています。派遣先の組織の知識やノウハウを得た人材はとても貴重です。行政需要が高まる中、今後、派遣経験を積んで鍛えられて帰ってきた職員をどのように活用していくのか、区長のお考えを伺います。  次に、区有施設における地球温暖化対策について伺います。  区は、区有施設整備において、港区区有施設環境配慮ガイドラインに基づき、省エネ性能の高い設備機器や再生可能エネルギーの導入等、高い環境性能を実現してきました。本年四月に、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律により、建物の設備機器等の省エネ基準が強化され、東京都も環境配慮の基準を改正しました。これを受けて、区も区有施設環境配慮ガイドラインの省エネに関する基準について見直す予定だと聞いています。  区は今まで、テクノロジーの進化による省エネの推進と、国産木材を活用することで、環境配慮とは別のくくりとして取り扱っていました。省エネ対策と協定木材の活用は、ともに地球温暖化対策の効果的な手段であります。今回、港区区有施設環境配慮ガイドラインを改定する際は、この両手法が一体的に認識されるよう、区有施設全体で省エネ対策を徹底し、協定木材をさらに積極的に活用して、地球温暖化対策を推進していただきたいと考えますが、区長のお考えを伺います。  次に、港区総合交通戦略における二〇二〇年に向けた取り組みについて伺います。  現在区では、港区コミュニティバス、台場シャトルバス、港区自転車シェアリングなどが地域交通手段として網羅されています。これらの地域交通は、採算性や効率性、またそれぞれがウイン・ウインの関係でいることができるよう配慮されてつくられてきました。  先日の五月二十二日には、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まであと三年となるこのタイミングで、満を持してということで、港区総合交通戦略の素案が提示されました。これには港区の置かれている現状分析から、課題の抽出、解決手段とスケジュールが提示されています。課題解決のための施策をパッケージ化してわかりやすくすることで、早期解決を図れる期待ができる点を評価しています。この港区総合交通戦略は、十年の計画期間を前期四年と後期六年に分けられていることからも、東京二〇二〇大会に向けて照準を合わせているものとなっていると考えます。きちんと実現させるためにどのように取り組んでいくのか、区長の見解を伺います。  次に、三田・高輪地区まちづくりガイドラインについて伺います。  本年三月に港区のまちづくりの基本的な方向性を示す、新たな港区まちづくりマスタープランが策定されました。港区まちづくりマスタープランは、将来都市像と目指すべきまちの姿、区内全域と五つの総合支所単位の地区別の目標や取り組みについて記載しています。  区内では、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向け、国家戦略特区などを活用した都市再生プロジェクトが多数実施、予定され、急速にまちが変化しようとしています。特に、品川駅とJR山手線新駅周辺は、鉄道車両基地跡地の大規模な開発事業のほか、羽田空港の国際化の強化、リニア中央新幹線の工事着手、都市計画道路環状第四号線とその周辺のまちづくりの動きもあり、現在、最も注目されている地域だと言ってもいいと思います。  そうした中、区では、三田・高輪地区において、まちづくりガイドライン策定の検討が進んでいると聞いています。まちづくりガイドラインは、全体の動きに的確に対応しながら、身近で計画的なまちづくりを誘導していくためのものと認識していますが、区長は、今後これをどのように進めていくのか、お考えを伺います。  次に、区民が感じ取れる全国連携の取り組みについて伺います。  区は、昨年四月に自治体間連携の専管組織を設置し、さまざまな分野で全国各地との連携を進めてきました。新しい取り組みとして、区施設を活用しての観光PRと特産品の販売、またパネル展を実施するなど、連携自治体のPRや特産品の販売を実施し始めました。こうした取り組みは、区役所や区の施設を訪れた区民にとって、待ち時間にほかの自治体の情報を知り得ることができたり、ふだん手に入らない特産品に触れることができるよい機会となり、連携する自治体にとっては、区民にPRするよい機会となります。  本年四月に、一年をかけてリニューアルした区役所の食堂がオープンしましたが、しつらえはよくなったものの、内容は今までとかわりばえせず、リニューアルの効果が見えづらいのが残念なところであります。区と連携する自治体の食材を使用するなど、多くの自治体と連携する中での地方の特色を都会で発揮できる工夫を、食堂、コンビニエンスストアなど、区施設の眠るポテンシャルを有意義に生かして、区民や職員など、より多くの方々が感じ取れるように取り組んでいってほしいと思いますが、区長のお考えを伺います。  次に、待機児童解消緊急対策の推進体制について伺います。  区は、待機児童解消を区政の最重要課題に位置づけ、区立認可保育園や港区保育室の整備、私立認可保育園の誘致、小規模保育事業所の開設、居宅訪問型保育事業の実施など、さまざまな手法を用いて保育定員の拡大に取り組んできました。  本年四月の保育定員は七千二百七十九人。待機児童数が二百七十四人とピークであった七年前の平成二十二年と比較すると、保育定員は二倍以上に拡大しています。しかしながら、年間三千人の子どもが港区で生まれている、この数年の状況下においては、定員拡大が保育需要の伸びに追いつかず、平成二十七年四月に三十人まで減少した待機児童数は、ことし四月の時点で百六十四人まで増加してしまっているのが実態です。  こうした中、先月、武井区長は、港区待機児童解消緊急対策として、平成三十年四月までに保育定員を約千人拡大していくことを表明しました。定員拡大の手法として、民間事業者の土地・建物の所有者から物件を公募し、保育運営事業者とのマッチングにより、私立認可保育園や小規模保育事業所などの整備を促進するという新たな取り組みも含まれています。武井区長が課題解決のために力を入れて働きかけてくださっていることに、心から感謝しています。  一方で、昨年一年間の拡大幅は二百七十三人、その前の年は三百六十八人というこれまでの実績を踏まえると、千人の定員拡大は非常に高い目標であることがわかります。区は、本年四月に子ども家庭支援部の組織体制を強化し、人員についても増強しているものの、千人の定員拡大には相当なマンパワーが必要となるのは確実であり、現在の所管部門の体制でしっかりと対応できるのか懸念されます。保育定員拡大の目標の確実な達成に向けて、どのような体制で臨んでいくのか、区長のお考えを伺います。  次に、児童相談所及び(仮称)港区子ども家庭総合支援センターの整備について伺います。  昨年、児童福祉法の改正により、今年度から特別区でも児童相談所を設置することが可能となりました。区は、児童虐待等の相談の増加、重篤化に一層積極的に対応するため、平成三十三年四月に児童相談所を設置した、(仮称)港区子ども家庭総合支援センターを整備することとし、本年四月にはそれに向けた専管組織を配置して、本格的に準備を進めているということです。  平成二十八年度に子ども家庭支援センターが新規に受理した相談件数は、前年度に比べて二十二件多い九百四十八件です。そのうち児童虐待相談は四百七十七件、児童虐待の事実が判明した件数は三百三十八件で、前年度比二十九件増加しています。また、継続的な支援が必要な児童数は、昨年度末も四百七十四人と、およそ五百人の児童が助けを必要としています。  区では、さまざまな機関との連携と協力のもと丁寧な対応を行っているとのことですが、不安定な環境で暮らす子どもたちがまだまだ大勢いるという事実があり、社会の大人たちの責任は重大です。こうした中、区が子ども家庭総合支援センターを設置することで、迅速に切れ目のない支援をさらに充実していってくださることに大変期待しているところです。設置準備に当たっては、庁内での関係部署協議のほかに、実際に児童相談所で働いている方、児童福祉などを専門とされている方の幅広い経験や知識などを取り入れながら、港区の子どもたちのために水準の高い機能を持つ施設を整備していただきたいと思います。  また、乳児院や児童養護施設、里親など、親と離れて暮らす子どもたちの実態も十分理解した上で、計画策定をどうぞよろしくお願いいたします。児童相談所及び(仮称)港区子ども家庭総合支援センターの整備の検討状況を伺います。  最後に、キャリア教育における生き方を学ぶ授業について伺います。  今、子どもたちには、将来、社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現させるための力が求められています。また、本年三月に告示された新しい学習指導要領の改訂の方向性では、何を理解しているか、理解していることをどう使うかにとどまらず、どのように社会・世界とかかわり、よりよい人生を送るかなど、学習や生活等において主体性が重要視されているほか、学校教育が社会と連携・協働しながら、未来のつくり手となる資質、能力を育む社会に開かれた教育課程の実現が示されています。  こうした中、子どもたちが自ら人生を切り開いていく資質、能力を育てる上で、地域や企業と連携したキャリア教育の充実が必要であると考えます。現在のキャリア教育での生き方を学ぶ授業についての特色ある取り組みについて、教育長のお考えを伺います。  以上で質問を終わります。   〔区長(武井雅昭君)登壇〕 ○区長(武井雅昭君) ただいまの自民党議員団を代表してのゆうきくみこ議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、今後の区財政のあり方についてのお尋ねです。  震災復興基金の積み立てについては、震災後、被災者支援など区民生活の速やかな再建への備えとして、一時的に多額の経費が必要になることから、年度当初の予算執行に関する説明会をはじめ、港区基本計画の後期見直しの機会などを捉え、管理職に限らず、全ての職員に説明し、この基金の必要性について意識の共有を図ってまいりました。  また、区民サービスの質を維持しつつ、震災復興基金を着実に積み立てるために、これまで以上に積極的な歳入の確保や創意工夫による経費節減に全庁を挙げ、取り組みを進めているところです。引き続き、この取り組みを強化し、港区ならではの質の高い行政サービスを安定的に提供するとともに、あらゆる世代が将来にわたり安心できる財政基盤を堅持してまいります。  次に、テロや武力攻撃等に対する危機管理についてのお尋ねです。  区では、テロや武力攻撃等に備え、避難方法などについて区ホームページ等で周知するとともに、区内警察署や消防署と連携した、区有施設での不審者対応訓練や大規模テロを想定した初動対応に対する図上訓練などを、より実践的に実施しております。  テロや弾道ミサイル落下などが発生した場合は、区民や来街者に対し、関係機関と連携し、必要に応じて防災行政無線やJアラートによる安全確保のための行動を促します。万が一、大規模テロの発生や国が武力攻撃を認定した場合は、港区国民保護計画に基づき、国や東京都と連携し、私を本部長とする国民保護本部を設置し、区民や来街者を迅速に避難誘導する等、安全を確保してまいります。  次に、情報セキュリティ対策に関する取り組み状況についてのお尋ねです。  区は、情報システムに対するサイバー攻撃への対策として、現在、外部からの不正アクセスや攻撃に対し、標的型攻撃への対応を含む最新のセキュリティ機器の設置により侵入を防止しております。情報機器に対しては、常時最新のウイルス対策を施すとともに、システムについて二十四時間三百六十五日の監視を行うことで、ウイルス等の疑いを検知した場合にも、迅速な対応が可能となっており、全国的に見ましても地方自治体としては高い水準のセキュリティ対策をとっていると考えております。人的な情報セキュリティ対策についても、全職員を対象に、今回のサイバー攻撃の事例を含めた最新の情報セキュリティに関する研修や、外部からの標的型攻撃メールに対する訓練を実施しております。引き続き、組織全体で情報セキュリティの一層の向上に努めてまいります。  次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた効果的な取り組みと体制についてのお尋ねです。  区は、区民とともに東京二〇二〇大会の気運醸成及びレガシーの創出に向けた取り組みを推進するため、本年五月、港区東京二〇二〇応援プログラム推進助成事業を開始し、区民等が企画、実施する事業への支援を行っております。また、地元企業との連携により、新橋SL広場に東京二〇二〇大会開幕までのカウントダウン装置の設置を進めるなど、区民の力、民間の力を取り入れた事業を積極的に推進しております。東京二〇二〇大会に向けましては、区立幼稚園、小・中学校も含めた全庁体制によって強力に推進してまいります。  次に、他団体に派遣された職員の有効活用についてのお尋ねです。  東京都をはじめとする他団体への派遣を終了した職員は、児童福祉分野においては港区子ども家庭支援センターの相談業務に、環境政策分野においては地球温暖化対策の業務に、都市整備分野においては港区まちづくりマスタープランの改定業務に従事するなど幅広い分野において活躍しております。派遣先で培われた知識や経験、人的ネットワークを十分に活用することは、組織力の強化にもつながっております。今後も、派遣先で貴重な知見を得た職員の能力を効果的に活用することにより、質の高い区民サービスを実現してまいります。  次に、区有施設における地球温暖化対策についてのお尋ねです。  区は、みなとパーク芝浦をはじめ、近年開設した区有施設で、国の基準を大きく上回る省エネルギー性能を達成し、低炭素化を図ってまいりました。また、区が協定を締結する自治体から産出された協定木材については、区が民間建築物に求める基準の五倍の量を使用する基準を設け、床や壁などの内装のほか、備品についても積極的に使用してまいりました。  区では現在、国や東京都が設定した二酸化炭素排出量の削減目標を踏まえ、区有施設環境配慮ガイドラインの改定を検討しておりますが、建築物の省エネルギー基準を強化し、LED照明や高効率の空調機器を導入するなど、さらなる低炭素化を図ってまいります。  また、協定木材についても、今後積極的な利活用を進めて使用量を拡大し、協定自治体の森林の持続的な整備を促すことにより、地球温暖化対策として一体的に取り組んでまいります。  次に、港区総合交通戦略における二〇二〇年に向けた取り組みについてのお尋ねです。  港区総合交通戦略では、東京二〇二〇大会に向けた、これは計画期間の前期四年間でありますが、その取り組みとして、ユニバーサルデザインを踏まえたバリアフリー化を集中的に推進することとしております。そのため、区内の福祉施設などへの徒歩経路である生活関連経路のバリアフリー化の一〇〇%達成を目標としております。  さらに、国立競技場への経路となるスタジアム通りや区内の主要観光施設周辺の歩道のバリアフリー化、主要なターミナル駅での乗りかえ案内サインの統一などにより、乗りかえ利便性の向上を図ってまいります。これらの取り組みは、国や東京都等と連携し、二〇二〇年までに確実に実施してまいります。  次に、三田・高輪地区まちづくりガイドラインについてのお尋ねです。  品川駅及びJR新駅周辺は、多くの開発や環状第四号線の整備などが進められ、首都東京の広域的な交通結節点として注目されております。区は、この地区に隣接する三田・高輪地区において、まちづくりガイドラインを策定し、地域主体のまちづくりを進める必要があると考えております。現在、地区内の住民へのアンケート調査、町会・自治会、商店街や企業等に対するヒアリングや意見交換会を実施するなど、高輪地区総合支所と街づくり支援部が連携して積極的に地域の中に入り、地域の方々とともに策定作業を進めております。  区は、豊かな緑や歴史が息づくたたずまいなど、当地区の特性や意向を踏まえた個性あるまちの将来像づくりに取り組み、港区まちづくりマスタープランに掲げるうるおいある国際生活都市の実現を目指してまいります。  次に、区民が感じ取れる全国連携の取り組みについてのお尋ねです。  区は、これまでもみなと区民まつりや港区政七十周年記念式典などにおいて、区と連携・交流関係にある自治体の特産品や新鮮な野菜の提供などに取り組んできました。また、みなとパーク芝浦内のコンビニエンスストアでは、芝浦港南地区の子どもたちとの交流がある福島県柳津町の特産品を販売するなど、食を通じて連携自治体を身近に感じていただく取り組みを積極的に広げております。  ご提案の区役所本庁舎の食堂などの活用は、食材を通じて区民の皆さんが全国各地とのつながりを感じるきっかけになると考えております。今後、連携自治体の食材を使用したメニューの提供について、運営事業者と協力して実施するとともに、より多くの人が全国連携の成果を感じ取れるよう、各地区総合支所の食堂や福祉売店の活用についても検討してまいります。  次に、待機児童解消緊急対策の推進体制についてのお尋ねです。  区は、待機児童解消緊急対策として、平成三十年四月までに約千人の保育定員拡大に取り組んでおります。そのため、保育施設用地として活用可能な区有施設等について、施設等を所管する全ての部署において検討いたしました。その結果、区有地、国有地等において港区保育室を五施設開設し、定員を新たに約五百四十人拡大し、居宅訪問型保育事業においても七十人の定員拡大を行い、年度当初から計画しております二百八十人の定員増と合わせまして、現在、約八百九十人の定員拡大を予定しております。  今後、民間事業者の土地・建物所有者からの物件と保育運営事業者とのマッチング事業による整備も含め、保育施設をできるだけ早く整備できるよう、各地区総合支所をはじめとして、全庁一丸となって取り組んでまいります。また、待機児童解消緊急対策に必要な職員体制については、必要に応じて庁内の人材を配置できるよう対処してまいります。  最後に、児童相談所及び(仮称)港区子ども家庭総合支援センターの整備についてのお尋ねです。  区は、平成三十三年四月の本施設開設に向け、現在、施設整備計画の策定に取り組んでおります。幅広い知見を取り入れるため、学識経験者、医師、弁護士、児童相談所長経験者、児童福祉施設長などによる専門部会を本年四月に設置いたしました。また、児童相談所や児童養護施設等の視察により、社会的養護が必要な子どもの状況把握に努め、検討を深めております。区では、今後、専門部会での検討を踏まえ、これまで以上に支援力の高い児童相談体制や、区民が利用しやすい各部屋の機能などを詳細に検討し、平成三十年一月を目途に、施設整備計画を策定してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。   〔教育長(青木康平君)登壇〕 ○教育長(青木康平君) ただいまの自民党議員団を代表してのゆうきくみこ議員のご質問にお答えいたします。  キャリア教育における生き方を学ぶ授業についてのお尋ねです。  現在、各学校では、子どもたちに自分らしい生き方を学んでもらうため、地域においてさまざまな経験や体験を持つ方々をゲストティーチャーとして招き、授業を実施しております。具体的には、昨年度、お台場学園では、リオデジャネイロ二〇一六オリンピック・パラリンピック競技大会に出場した地元企業の女子重量挙げ選手を招き、オリンピックを目指す中で努力してきたことなど、実体験を通して話していただきました。  また、今年度は、赤坂小学校において、青少年対策地区委員会の方に、地域活動に参加する意義や志、地域貢献の大切さなどにつきまして講義いただく予定です。今後も、子どもたちが将来に夢や希望を持ち、自ら人生を切り開いていけるよう、地域と連携しながら生き方を学ぶ教育をさらに充実させてまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○議長(うかい雅彦君) 次に、十一番横尾俊成議員。   〔十一番(横尾俊成君)登壇、拍手〕 ○十一番(横尾俊成君) 平成二十九年第二回港区議会定例会にあたり、みなと政策会議を代表して、区長並びに教育長に質問・提案させていただきます。  私が港区に住み、生活し、また議員として活動する中でつくづく感じることは、港区の行政サービスがいかに充実しているかということです。日々、区長をはじめ職員の方々が努力し、十分な区税収入があることも功を奏して、他の自治体に決して劣らない施策を提供できていることに、改めて敬意を示したいと思います。  一方で、もう少し改善できるのではないかと思うこともあります。一つは、逆説的になりますが、ともすれば行政サービスが提供され過ぎているのではないかということ。もう一つは、先進的な施策がなかなか導入されないということです。  私は、国内七十三カ所、海外十二カ所の合計八十五カ所で、ごみ拾いやまちづくりのサポートを行うNPOを経営しております。港区のある地域の清掃活動をしていたときのことです。そこでは、みなとタバコルールの啓発員の方がたばこのごみを拾っていました。私たちのボランティアグループがごみ拾いのためにそこを通ると、一言「ここはいいですよ」と言われました。恐らく親切心で言っていただいたのだと思うのですが、私は何とも言えない気持ちになってしまいました。  私たちは楽しいから、好きでごみ拾いをしている。一方、彼らは、私たちの税金で仕事としてやっている。極端に言えば、私たちのようなボランティアグループがたくさんあれば、ここに税金を使わなくてもよいかもしれないですし、そもそも多くの人がポイ捨てをしなければいいはずだ。そして、浮いたお金をもっと別の場所で使い、そこで雇用を生み出せばいいのではないか、そう思いました。もしかしたら、こうした問題はポイ捨て以外にも、放置自転車の問題など、ほかにもたくさんあるのではないか。行政が自らさまざまなサービスを担うのではなく、むしろ市民の力をもっと生かす・育むことにこそ力を注ぐべきではないか、そんなふうに考えました。  先日、私のNPOはパリで表彰されました。理由は、パリのまちをボランティアの力で長年きれいにしたこと。そして、ここに使うべき税金を減らすことに貢献したことでした。行政がサービスをやり過ぎず、もっと市民に任せてうまくやれば、税金の節約、またそれだけではなく、やりがいの創出にもつながる。そんな可能性を改めて感じました。  では、節約した税金は一体どこに費やせばいいのでしょうか。私は先駆的な公共サービスだと考えます。近年のIT技術やそれに付随する各種サービスの目覚ましい発達は、民間が日々実験し、失敗を繰り返す中で生まれています。一方、行政が何か新しいことを始める場合には、一般に長い検証を繰り返し、できない理由や失敗するリスクを考えて、なかなか踏み切らないことが多いと思います。  例えば、フリーWi−Fiの導入について。これについては、私も六年前の定例会で提案しました。もし当時すぐに始めていたら先駆的で、かつ外国人の集客にも一定程度役立ち、観光振興に貢献したと考えられます。しかし、今となってようやく始めるのであれば、既に先行者利益はなくなり、当然となってしまっています。区民から預かった税金ですから、その使い道について慎重な検討を行うのは当たり前ですが、慎重になり過ぎると、時に大きなチャンスを逃してしまうことにもつながります。  行政は大きなリスクを背負うことはやるべきではないというのはもっともである一方、少子高齢化で課題が山積することが見えている世の中にあっては、これまでの発想とは異なる解決策を出すことが求められます。技術革新、クリエイティビティがキーになります。そのためには、成功につながる多少の失敗も必要だと思います。  港区は日本の、東京の中心であり、収入には余裕があります。そんな中、社会全体の問題を解決するかもしれない先駆的な公共サービスの導入を目指し実験を繰り返すのは、港区の責務であるような気もします。それが区長のおっしゃる参画と協働をより一層推し進めることにもつながるのだと思っています。そうしたことを踏まえて、質問と提案に入ります。  初めに、企業・NPO・行政と区民が協働する仕組みづくりについてです。
     少子高齢化が進み、職員の数が削減される中、また、人々の志向がどんどん多様化していく中、行政が全ての区民ニーズをつかみ、そこに対応していくことは、今後ますます困難になっていくと予想されます。一方、企業等も同様で、近年では一企業だけではなく、NPOや大学とともに商品やサービスを開発したり、行政との関係を新たに構築したりする中で、生活者のニーズを捉えようとする動きが出てきています。  そんな中、区にも企画課の中に企業連携の担当者を明確に定め、企業等との連携をさまざまに模索していることについては大変評価しております。実際、港区政七十周年記念事業においては、森永製菓株式会社、さわやか信用金庫といった区内の企業の方々にご協力いただいたプロジェクトが成功をおさめたと聞いています。今後、このような事業をさらに進めていってほしいと思います。  お隣の渋谷区では、企業や大学などと協定を結び、彼らのリソースを区の課題解決に生かしてもらう取り組み、シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定を進めています。これまでに、LINE株式会社、キユーピー株式会社、京王電鉄株式会社、サッポロホールディングス株式会社、青山学院大学などといった企業・大学と協定を結び、サービスの開発を行っているということです。例えば、LINE株式会社とは、行政サービスのIT化などに共同で取り組むとしており、協定の範囲は、区民向けのソーシャル・メディア・コミュニケーション、区内の小・中学校を対象としたリテラシー教育、電子商取引、シェアリング・エコノミー・サービスの実現、区役所職員のワークスタイル改革、人材開発や研修プログラムによる人的交流といった領域に及びます。早速、子育てや防災などの行政情報をコミュニケーションアプリLINEを通じて区民へ提供する取り組みが始まっているようです。  「渋谷をつなげる30人」というプロジェクトもスタートしました。これは区の課題をクリエイティブなアイデアで解決するため、区に関係する企業・NPO・行政・区民など多様なセクターから三十名が参加し、約半年かけてプロジェクトを立案・実行するプロジェクトです。初年度は、子ども、スポーツ、働き方など六つのテーマごとにチームをつくり、それぞれが区政に関する「問い」を立て、その問いに答える形で区の課題解決につながるプランを立てています。  具体的には、高齢化に伴う担い手不足に悩む町会をNPOの力で活性化する企画や、セクターを超えた話し合いの場を定期的につくる企画、さらにこれからの地域のエネルギーのあり方をみんなで考える企画などが生まれているそうです。このプロジェクトの特徴は、企業と行政が個別につながるのではなく、そこから一歩進み、企業・NPO・行政・市民がフラットにつながって、同じ立場からまちをよくするためのアイデアを出し合うこと、さらにそれを具体化するための動きにまで行政が寄り添って支援をするところです。連携が実効性のあるものになるのはもちろんのこと、このプロジェクトが行われることで多様な意見をまとめ、新たなアイデアをつくるためのファシリテーション能力を持った人材の育成にも役立ちます。市民パワーがどんどん強化されていくのです。港区でもこのように企業・行政・NPO・市民がフラットに、継続的に話すことができる場を設け、さらに行政がプロジェクト化まで支援する仕組みをつくってはいかがでしょうか。区長の見解をお聞かせください。  次に、ソーシャル・インパクト・ボンドの導入についてです。  繰り返しになりますが、今後、社会課題の増加が予想される日本において、それらを税金だけで解決することは困難だと考えられます。そこで今、社会課題の解決の担い手の一つであるNPOなどが生み出す社会的インパクトを可視化し、寄附や社会的投資を促進する取り組みが注目されています。  行政だけでは担い切れないサービスを専門性の高いNPOなどに事業を委託、もしくは協働し、事業の成果に応じて行政が対価を支払う仕組みがソーシャル・インパクト・ボンドです。ここでは、当初の事業資金は民間の投資家が負担します。そして、事業が成功し、その成果によって行政の財政支出が削減されれば、もしくは区民からの納税や社会保険費の支払い等が増えれば、その金額の一部が行政から投資家へのリターンとなって支払われます。成果が上がらなければ、行政は投資家へ支払う必要はありません。  これまでの行政サービスでは、行政が事業の実施前に資金を拠出するため、事業の成功・失敗にかかわらず費用が発生していました。事業が失敗した場合には予算が無駄になることから、先駆的な施策の導入に二の足を踏むケースが見られたかと思います。一方、ソーシャル・インパクト・ボンドでは、事業リスクを民間の投資家に移転するため、行政は事業実施後、合意した成果が上がった場合のみ資金を拠出することになります。この仕組みは、既に幾つかの自治体で試験的に導入され、受刑者の再犯防止、ホームレスの社会復帰、児童養護、若者の就労支援などでの実験が進んでいます。  例えば、横須賀市では、これを利用し、日本財団、それから一般社団法人ベアホープと組んで、特別養子縁組の推進を目指すパイロット事業の実施に取り組んでいます。横須賀市には二つの児童養護施設があるものの、それだけでは足りず、市外の施設も利用している状態で、行政の経済的負担は大きくなっていたとのことでした。このことから施設養護から家庭養護への移行をさらに加速させるためにプロジェクトをスタートしたということです。  港区にもマイノリティ向けの支援をはじめ、行政として十分に支援し切れていないけれど、専門のNPOなどがこつこつと事業を進め、小さく成功をおさめつつある事業が幾つかあります。そうした事業に対し、このソーシャル・インパクト・ボンドを活用したサポートを行い、行政サービスの向上につなげることは意味があるかと思いますが、区長のご意見をお聞かせください。  次に、アートやテクノロジーを生かしたまちづくりについてです。  近年、地域活性化のため、さまざまな都市で、まちぐるみで国際美術展やアートフェスティバルが開催されています。新潟県越後妻有地域の大地の芸術祭、瀬戸内国際芸術祭などのトリエンナーレ、また、東北の復興の一環で企画された宮城県石巻市等でのReborn-Art Festivalが有名です。区でも、生活の中でアートを楽しむというライフスタイルの提案と、大都市におけるまちづくりの先駆的なモデル創出を目的に、二〇〇九年より六本木アートナイトが開催されています。これらは主に一時的なイベントの要素が強いですが、アートの視点を日常のまちづくりに生かすことを仕組み化している事例もあります。オーストリアのリンツ市にあるアルスエレクトロニカです。  リンツ市では一九七〇年から八〇年にかけて、産業の空洞化や大気汚染の問題が深刻化し、産業が不況に陥るという問題に直面しました。当時、一二%から一五%という高い失業率の中で産業を革新し、新しい雇用を創出する必要がありました。リンツ市ではさまざまな取り組みを実施しましたが、とりわけユニークだったのは、伝統的な工業都市から近代的な文化芸術都市へと転換するという決意をし、主に文化的インフラ整備に投資したということでした。近代的で文化的な都市に成長するために市民の意識を変え、市民が新しい動きについていけるように支える努力をしたのです。そこでできたのがアルスエレクトロニカです。  ここでは、メディアアートに関する世界的なイベントを毎年開催するだけでなく、市民やアーティスト、クリエーター、起業家、科学者たちとまちの景観やデザイン、さらに新たな行政サービスなどを考える常設のラボを備え、行政だけでは考えつかないクリエイティブな発想で社会課題を解決することに一役買っています。定期的にワークショップを開催し、行政サービスの改善や企業の商品開発などに役立てているほか、教育機関とも連携し、アートやテクノロジーに関する子どもたちへの教育も行っているということです。これまで閉鎖された工場がイノベーションを起こすためのオフィスに変化したり、メディアやインターネットを家具と統合させた、新しいショッピングモールの提案が行われたりと、成果を上げています。  日本でもアルスエレクトロニカは広告会社の株式会社博報堂などと組み、ワークショップのプログラムを継続的に実施しています。世界中の若手アーティスト、研究者、起業家、社会活動家から厳選された多様な価値観を抱いたメンバーが、設定された課題に対して問題提起を行っています。昨年には慶應義塾大学の研究室とも協働したということです。  区にもかつて赤坂地区でアートとまちづくりを融合させた、赤坂メディアアート展という先駆的な取り組みがありましたが、継続的な取り組みにはなっておりません。社会課題が複雑化・定着化し、新たな視点での課題の解決が求められる時代においては、まちづくりの現場にこれまでとは違う発想を取り入れる努力が必要です。区でもアートやテクノロジーの視点を生かした取り組みを行うべく、アルスエレクトロニカのような常設の機関を設けてはいかがでしょうか。  また、六本木アートナイトは、区としても運営に参画している以上、この企画がより区の行政課題の解決につながるよう、誘導していく必要があるかと思います。現在は一過性のイベントになってしまっておりますが、例えば、区が課題を共有し、ワークスペースを提供した上で、一年がかりでアーティストや技術者などにプロジェクトを提案・実行してもらうなどの方法もあるか思いますが、区長のお考えをお聞かせください。  次に、さまざまな人の声を行政に生かすシステムの導入についてです。  区では、さまざまな手法・機会を捉えて区民の声を聞く取り組みを行っています。港区基本計画の策定に向けたみなとタウンフォーラムでは、参加者を無作為抽出で募集するなど、新たな手法を活用して、区民参画の裾野をさらに広げていることについては評価いたします。しかし、こうしたイベントの多くは日中に行われるため、せっかく選ばれても参加できる層にはどうしても偏りが出てきてしまいます。また、障がいを持った方、性的マイノリティの方、仕事や家事で忙しいお母さんなど、さまざまな理由で外に出て意見を述べることが難しい人たちの意見については、十分に聞けていないのが実情です。ダイバーシティが国際都市の必須条件となっている今日において、そうした人たちの意見をより積極的に聞き、まちづくりに取り入れていくことが必要なのではないでしょうか。  先日、車椅子に乗ってまちを移動するという体験をしました。実際乗ってみると、思った以上にまちには車椅子で行きづらい場所がたくさんあり、障がいを持つ方々の不安は大きいことがわかりました。また、同時に車椅子で行きやすい道をつくるということは、高齢者がつまずかず、またベビーカーも押しやすい道、健常者にとっても歩いていて気持ちのいい道であることがわかりました。障がい者の方が活躍する場所をつくるべく、ユニバーサルデザインのコンサルティングを行う株式会社ミライロという会社は、数十人の社員のうち、社長を含む約四割が障がいを持った方で構成されていますが、ここでは商業施設やレジャー施設、ホテル、結婚式場のバリアフリーの提案やアドバイスを行っており、行政にも積極的に意見を述べたり、計画策定にかかわったりしているとのことでした。これから行政は、なかなか声を上げられない人、また、マイノリティの人たちからの声を待つのではなく、むしろこちらから出向き、こうした事業者とも連携して、積極的に話を聞きに行く姿勢が求められると思います。  千葉市役所では、市の幹部五十人が車椅子の操作や介助を体験する研修を受けるなど、二〇二〇年の東京パラリンピック競技大会の競技会場を抱える都市として態勢を整えています。また、渋谷区では、NPO法人ピープルデザイン研究所が主催し、日常生活に不自由を感じている人たちの目線でさまざまな問題や課題をあぶり出し、解決策を導き出すピープルデザインカフェという公開のディスカッションイベントが行われていますが、職員はこうしたイベントに積極的に出向いています。NPOに協力を仰ぎ、区役所の部長、課長などの管理職と二十代から三十代の職層にピープルデザインの考え方を取り入れた研修も行っているそうです。  また、さまざまな人の声を行政に生かすべく、アプリを導入して、誰もが匿名の中で気軽に意見を述べることができるオンライン上の場をつくるという方法もあります。先日来提案している千葉市の「ちばレポ」は、ICTを活用し、市民と行政がまちの課題を共有し、ともに解決していく仕組みです。会員登録を行った市民がまちで見つけた困り事を撮影することで、その困り事が市のデータベースに送られ、担当する部署ごとに自動的に分類されるというものです。  そんな「ちばレポ」の導入を港区でも検討することについてお尋ねした際、担当課長のご答弁は、「各地区総合支所で職員が住民の声を丁寧に聞いている」というものでした。しかし、総合支所を訪れてまちの声を届けてくださるのは決まった方となりがちです。例えば、日中働いているサラリーマンの方や、子育てに忙しいパパやママは、まちに対して困り事を感じていたとしても、平日、区役所の窓口に訪れることは難しい状況にあります。また、区役所を訪れて声を届けることは、とても勇気が要ることです。そうした気持ちの障壁が、本当は感じている困り事を埋もれさせてしまっていることにもつながっているのではないでしょうか。  各地区総合支所での現在の丁寧な対応については理解していますが、さらに一歩進んで、区民全体でまちづくりを行うためにも、やはり港区版の「ちばレポ」導入をご検討いただきたいと考えております。まずは総合支所単位でこのような仕組みを試験的に導入する方法が考えられますが、この点について、区長の考えをお聞かせください。  次に、区民の声データベースの活用についてです。  現在、区では、区民の声を区政に取り入れていくため、さまざまな施策を行っています。インターネット、電話、ファックス、窓口といった多様な方法で区民の意見・提案を伺っており、区民の方が比較的時間を問わずに使用することが可能となっています。区民からの意見と区の対応を見える化し、区民の参加意識を高めるため、区民の声センターなどに寄せられた意見の一部をデータベース化して、インターネット上に公開することにも対応していただき感謝しております。  そこで、今回ご提案したいのは、区民の声センターなどにいただいた意見や提案を蓄積し、公開するだけでなく、性別、年代、生活環境などの情報とあわせて、情報をビッグデータとして分析・解析することです。大量に寄せられる意見をデータとして分析することで、区民に今どのようなことが求められているのか。そして、次起こり得る問題は何かを予測することができます。  民間では、このような取り組みは既に行われています。例えば、大阪ガス株式会社は過去数百万件にわたる修理履歴や機器の型番データを保有しているほか、コールセンターに寄せられる修理依頼の内容も同時に蓄積しています。これらの情報を組み合わせることで、ケースごとに必要となる部品を自動的に割り出すことに成功しているということです。また、富国生命保険相互会社は、年間六十万件にも及ぶ顧客の声を分析して苦情を自動抽出し、きめ細やかに対応する仕組みを整え、サービスの改善や開発などに役立てていると言います。  区民からの要請を受けて対応する区政から、課題が発生するのを未然に抑制する課題抑制型の行政を目指し、広聴にかかわるビッグデータの分析・活用を検討していただきたいと考えますが、区長のご意見をお聞かせください。  なお、AI技術を活用し、スマートフォン上などで住民と対話しながら行政の情報発信を行うサービスを導入することについては、前回の予算特別委員会の審議のときに提案し、「情報収集を進める」とのご回答をいただきました。こちらは引き続きお願いいたします。  次に、若者の声を行政に反映する仕組み、若者委員会の導入についてお伺いします。  前回の予算特別委員会で、私は岐阜県美濃加茂市が設置した、若者委員会を取り上げました。これは、岐阜県美濃加茂市とNPO法人僕らの一歩が日本を変える。が協働して設置した自治体の組織です。この委員会は、市から正式に任命を受けた、市にゆかりのある二十五歳以下の若者で構成されており、委員は任期中、美濃加茂市の行政に携わります。任期は一年で、定期的に市長とのミーティングや地域調査、それを踏まえた政策提言、さらに提言の実行までを担っています。実際に実行する際は、行政の予算がつき、委員会のアドバイザーとして登録されている美濃加茂市出身のアーティストやデザイナー、経営者の方との協力により政策が実行に移されます。地域貢献したいという意欲のある若者が、自分たちの実現したいまちのアイデアを実行できる場所になっています。  ことしの三月に若者委員会が発足し、若者九人が市から委員として任命されました。委員の中には美濃加茂市に住む学生はもちろん、東京に住む学生や社会人もいて、それぞれの生活の中で時間をつくり、委員としての活動を行っているそうです。現在は、政策提言の下地づくりのフィールドワークをしたり、日常生活における気づきや疑問を委員同士で共有するべく、毎週議論を重ねているということです。  同様の事例に、愛知県新城市に若者議会があります。これは平成二十七年度に市長の諮問機関として立ち上げられました。十六歳から二十九歳の人たちが議員となり、定期的に集まって議論を重ね、政策提言までを行います。政策の実現にあたっては、実際の市議会とも意見交換を行うそうです。任期は一年で、委員は市内在住、もしくは通勤・通学する者とされています。若者の声を積極的に市政に反映し、人口流出が進む市を未来に向けて再構築していこうと始められたこの取り組みには、数十人が参加しているそうです。実際に一千万円の予算が与えられ、その使い道をみんなで決めるのですが、平成二十七年度には若者の議員が市立図書館の改修などを提案しました。平成二十八年度の委員の半数は高校生で、平日の夜に市の施設や議場に集まって議論しました。視察や子育て世代へのアンケートも行い、平成二十九年度予算に総額九百五十五万円の七事業を提案しました。  これらの仕組みのよい点は、若者が自分たちの手で実施したい政策を実施できるということです。現状のパブリックコメントのように、既に進んでいる事柄に対して意見を集めるだけでなく、自分たちのアイデアを提案し、政策にし、さらに行政のバックアップのもとで実行することが可能となっています。こうした事業を通じて、まちや自治体の成り立ちについて具体的に考えることは、選挙に行こうという呼びかけよりも、よほど投票率の向上にもつながります。若者にアイデアを求め、反映される体験により、自分たちのまちに対するコミットメントや愛着がより高まっていくのです。  そこで、こうした事例を参考に、区においてもNPOなどの民間と協力して、若者委員会の設置を行ってみてはいかがでしょうか。機関としての設置、もしくは外部からのアドバイザーとして若い人材を登用することを通じて、若者の声を行政に具体的、継続的に反映させる仕組みをつくることについて、区長のお考えをお聞かせください。  次に、同性パートナーシップ条例の制定と、性的マイノリティに関する区の各施策への反映についてです。  以前より港区議会でも多くの議員から、LGBTの方々の生きづらさの解消のため、渋谷区の渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例に倣って、いわゆる同性パートナーシップ条例を制定するべきだという提案が行われてきました。渋谷区で始まった同性パートナーにパートナーシップ証明書を発行するという施策は、世田谷区、那覇市、宝塚市、札幌市、伊賀市等に既に波及しています。また、こうした動きを受け、死亡保険金を同性パートナーにも受け取り可能にする生命保険会社や、マイル共有を可能とする航空会社、家族割を適用する携帯キャリア各社など、LGBTをはじめとした性的マイノリティに対する企業の取り組みも目立ってきました。  しかし、LGBTの多くの人たちが悩み、まだ解決できていない問題があります。その一つが住宅への入居です。同性パートナーは一般に民間住宅に入居しづらいと言われています。私が当事者たちに聞いた限りでは、男性同士には貸せないと言われ、二倍の管理費を請求されたというケースもあったとのことです。大家さんに性的マイノリティであることを伝えると、断られたというケースも散見されます。  そんな中、世田谷区では区営住宅に同性パートナーも入居できるような解釈をしたということです。沖縄県那覇市でも新たにLGBT、同性カップルでも市営住宅に入居できることを明確にしました。LGBTの方々を支援する団体を通じて、九百六十五人を対象にアンケートを実施したところ、行政に望むこととして、半数以上が公営住宅への入居を挙げました。区営住宅への入居は、パートナーシップ証明書の有無にかかわらず、幅広く応募できるようにすると言います。中野区では、中野区住み替え支援事業協力不動産店の協力のもと、転居希望者に物件の情報提供を行うなどさまざまに支援しています。  二〇二〇年には東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。五輪憲章には性的指向による差別禁止が盛り込まれています。そんな中、生まれながらにして性同一性障害などに悩む人たちなどを差別せず、彼らの生きづらさを解消していくことは、多様性を前提とした国際社会の一員たる区としても当然のことと考えます。東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の会場となり、多くの外国人が訪れる港区がLGBTに優しいまちづくりを行うことは必要だと思います。  港区でも同性パートナーシップ条例を早期に制定するべきだと考えますが、たとえ条例がない段階でも、同性パートナーが区営住宅に入居できると明言することは意味があると思います。条例上は、異性のパートナーや親族に限るとは明記されていません。  区では、人権・男女平等参画担当がLGBT当事者を招いた講演会を実施するなど、声を聞くための取り組みをさまざまに行っており、大変評価しております。今、区は、そうして聞いた声なき声を生かし、各所管と連携し、実際に施策に移していくステージにあると思います。今後、区として具体的な施策にどのように反映していくのか、区長の見解をお伺いします。  次に、企業の協力のもと、みんなで防災を進める取り組みについてです。  東日本大震災の発生から六年がたちました。主に東北地方に甚大な被害をもたらしたこの地震は、首都圏にも少なくない影響を与えました。公共交通機関がとまり、外出先に取り残された人々が家に帰れず、帰宅困難者が大量に発生しました。このような問題に対し、地震後、行政は、地震が起きた場合、従業員に事業所内にとどまり、無理に帰宅しないよう指導することにしました。行政が企業のBCPを支援するなどした結果、企業の意識は変わり、対策は進みつつありますが、一方で、駅や路上など外出先で地震に遭遇した人をどうするかについては、悩ましい問題として残っています。  二〇一一年にウェザーニュースが行った、東日本大震災における帰宅困難者調査というアンケートによりますと、通勤にふだん電車で一時間半以上かけている人に注目してみると、三月十一日、半数以上は駅や会社、飲食店などに六時間以上とどまっていたことがわかりました。帰宅困難な状況に陥ったとき、飲食店や会社にとどまる人は大勢います。区では昼間人口が夜間人口に比べ五倍近くにもなります。そのため膨大な数の帰宅困難者が生まれ、一斉に公共施設に押し寄せるとキャパシティーを超え、混乱を生じるおそれがあります。そこで重要なのは、足りない部分について、民間企業に協力を仰ぐという姿勢です。  現在、東京都では、災害時帰宅支援ステーションというものを設け、コンビニエンスストアやファミリーレストラン、ガソリンスタンドなどに対し、災害時には、水道水、トイレ、テレビ及びラジオからの災害情報を提供してもらうよう依頼しています。しかし、その数は現在、都内で一万程度にとどまっております。  内閣府の調査では、東日本大震災の帰宅困難者の数は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県南部の合計で五百十五万人にも上りました。一方、港区では、災害時に逃げ込める商業施設やビルなどを独自に認定していますが、協力企業はまだ少ない状況です。さらに認定した場所にしても、一気に帰宅困難者が来ては困るという理由から、その名前をホームページなどでは公表しないでほしいというところもあるようです。このような状況を打破するためには、災害時帰宅支援ステーションや災害時に逃げ込める商業施設やビルを一気に増やすことが必要です。そのためには、各企業やビルのオーナーが進んで対策を講じ、それを公表したくなるような仕組みづくりが必要です。  そこで、ご提案したいのが、防災対策ステッカーです。これは各企業や店舗などに、その企業が災害対策をしているか。その際、具体的に収容可能な人数は何人なのか。食料や飲料水はあるのかを数字やイラストで記したステッカーを入り口に張ってもらうという取り組みです。これを進めることで、企業側は値段などだけではない価値を生活者に示すことができ、生活者側は、災害対策の視点から企業を選ぶことができるようになります。食べログなどのサイトに表示してもらえれば、生活者は防災対策をしている店舗やビルをみずから選ぶことができるでしょう。こうした取り組みを区の防災アプリに反映させることも一考の価値があると思います。インターネットを使って飲食店を案内する事業者や、各地区総合支所とも連携した仕組みづくり行えば有効かと考えますが、区長のお考えをお聞かせください。  次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした、誰もが住みやすいまちづくり及び教育施策についてです。  東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まで三年に迫った今、スポーツ活動を行う事業者や団体が集積する港区が率先して東京二〇二〇大会を盛り上げ、さらにスポーツ資源を活用したまちづくりを行う可能性についてお聞きします。  先日、株式会社横浜DeNAベイスターズ、株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社横浜スタジアムの三者は、神奈川県横浜市とスポーツ振興と地域経済活性化等に向けた包括連携協定を締結しました。これは株式会社横浜DeNAベイスターズの手がけるスポーツ事業の資産を活用した観戦型スポーツ興行及び参加型スポーツ振興を軸として、まちに新たな人の流れを創出し、地域経済の活性化を目指すものです。スポーツだけでなく、産業の創出、市民サービスの向上を通じて、地域や行政の課題の解決を図るとしています。  横浜市は、横浜スタジアムの近くにある市指定の有形文化財をスポーツの拠点施設とし、一階にさまざまな人が利用できるカフェとショップ、二階に株式会社横浜DeNAベイスターズがクリエーターとともに新たな事業をつくるシェアオフィス、三階にミーティングルーム、四階を球団事務所として貸し出すこととしました。この事業では、市民の健康づくりのためランニング・ウォーキングガイドの制作に取り組んだり、子どもから高齢者まで幅広い世代が参加できるスポーツイベントを定期的に開催し、コミュニティの構築を図ったりしています。小学校の給食に横浜DeNAベイスターズの選手が実際に青星寮で食べているカレーライスを提供し、選手と一緒に食べる取り組みはメディアにも取り上げられ話題になりました。  区では現在、港区スポーツまちづくりプロジェクトを実施しています。このプロジェクトは、港区が日本におけるラグビー発祥の地であるという歴史的な背景もあり、ラグビーの認知とまちづくりを同時に目指したものです。大変有効な取り組みだと考えますが、スポーツ団体が多数存在している区では、今後、ほかのさまざまなスポーツとも連携できる可能性があると思います。  東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けては、特に障がい者スポーツの競技団体との連携が有効です。例えば、日本車椅子バスケットボール連盟や日本障がい者バドミントン連盟など、パラリンピックに関係する競技団体は、区に多数事務所を構えています。こうした団体と協働し、競技の発展とまちづくり、それに教育を同時に志向することは、人々の障がい者への偏見をなくすことや彼らの力を再評価することにつながります。また、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に、彼らにユニバーサルデザインにつながるまちの計画策定等にかかわっていただくことで、マイノリティも含めて、皆が住みやすい、多様性にあふれたまちの構築に役立つと思います。区長部局では、区の各種計画への提言や健康づくり事業への参画、企業研修等での競技の活用促進、また、教育部門では小・中学校へのパラリンピアンの派遣などが考えられます。各種の競技団体とも連携し、今後、区としてこうした取り組みをどのように進めていくのか、区長並びに教育長のお考えをお聞かせください。  次に、食を通じた放課後の子どもの居場所づくりについてです。  先日、地元の小学校の有志のお母さんたちが始めた新しいまちの食堂みっけに行ってきました。ここは保護者の帰宅が遅い子どもたちを集め、まちの皆さんと一緒に夕食を食べたり、勉強を見てもらったりする場所です。子どもの貧困にフォーカスを当てた、子ども食堂とはちょっと違うコンセプトで、保護者の負担や放課後にひとりぼっちになってしまう子どもたちのストレスを軽減するものとなっています。毎週一回開放される食堂には三十人近くの子どもたちが来ていて、地域に住む人々と一緒になってご飯を食べていました。参加する大人たちは、食事の準備はもちろんのこと、食後は子どもたちの宿題を手伝ったり、一緒に遊んだりして楽しいひとときを過ごしておりました。  現在、子どもたちが家族とともに食事をする機会が減少し、孤食が増えていることが問題となっています。夕食を誰と一緒にとるかを聞いた独立行政法人日本スポーツ振興センターの調査結果を見ると、子どもだけ、もしくは一人で食べる孤食の割合が増加しています。少し古いデータになりますが、平成十二年度は小学生の孤食率が一・四%、中学生のそれは五・一%だったのに対し、平成二十二年度はそれぞれ、五・九%、一四・三%に増加しています。また、孤食が増える背景には、共働きの家庭が増え、親同士の交流もなくなって、何かあったときに近所に頼れる人がいなくなってしまったことも影響しています。保護者間、また地域の人たちとの間にも、頼りたいときに気軽に頼れる関係を構築することが、子どもの孤食だけでなく、保護者のメンタルケアにもつながると考えます。私は、食を通じた子どもの居場所づくりを促進するべく活動している団体に、区として体制をつくり、支援していくべきだと思っています。  渋谷区では、食事の提供を通じた子どもの居場所づくりの活動に積極的な支援を行っています。渋谷区社会福祉協議会とともに食事を提供しつつ、食後には地域に住む大人たちに勉強や趣味を教えてもらう、渋谷区こどもテーブル事業を昨年の十一月からスタートさせました。ここでは、子どもたちは地域の大学生から勉強を習ったり、高齢者からは趣味の将棋を教わることができるそうです。既に区内に十二カ所つくられ、成果を上げ始めています。ほかにも文京区では、こども食堂の運営費として一カ所あたり年間二十万円の補助を始めたり、品川区では、子ども食堂に関心を持つ人同士の連携を促すネットワークづくりに着手したりしているようです。  赤坂のみっけは、民間に借りていた場所が先方の都合で使えなくなり、現在、赤坂地区総合支所の管理課長にお願いし、公共施設など新たに使える場所を探しているところです。お母さんたちの思いを酌み取り、動いていただいていることには大変感謝しております。しかし、当会派の阿部議員がかかわっているNPO法人みなと子ども食堂もそうですが、場所を探したり、運営体制を整えたり、資金を集めたりすることは、ボランティアの力だけでは難しい部分があります。地域課題の解決に一役買っているこうした活動に対して、区もより積極的に支援する体制を整えるべきだと思いますが、区長の考えをお聞かせください。  次に、港区版隣人祭りの導入についてです。  言うまでもなく町会は、防犯パトロールや清掃活動、お祭りなどのイベントの運営などを行う、地域コミュニティの核を担う組織です。町会は任意加入が前提の団体ですが、昨今では加入をやめたりする世帯も増えており、全国的に加入率が低下しています。新しく引っ越してきた人たちにとっては、入りにくい場所となっているとも言われています。朝日新聞のアンケートでは、町会が不要と答えた人の割合が半数近くになったとのことです。  そんな中、一九九九年にフランスで始まった隣人同士のコミュニケーションを強化して、地域コミュニティを強固にする隣人祭りという取り組みは参考になります。祭りといっても、集合住宅の中庭や近くの広場などに、近くに住む住民や企業が料理や飲み物を持参しておしゃべりをするというシンプルなもので、行政機関などが率先して日時を決め、枠組みをつくって、新住民を含めた近隣住民のコミュニケーションの場をつくろうとするものです。集まって何をするかは自由、コンテンツは自分たちで決められるので、町会やNPOなどの開催主体にとっては多大な負担にはなりません。  この運動は、一九九九年フランス・パリの小さなアパートで起きた高齢者の孤独死をきっかけに、住民たちが建物の中庭に集まり、交流のための食事会を行ったことから始まりました。最初の年は約一万人がフランス各地の隣人祭りに参加しましたが、二〇〇三年にはヨーロッパ全域に広がり、二〇〇八年には約八百万人が参加するまでに発展しました。  この六月四日には、渋谷区で隣人祭りをヒントに渋谷おとなりサンデーというものが実施されました。初回となることしは、町会・自治会の抱える地域コミュニティの構築・維持の課題解決を図ること、また、地域コミュニティの活性化を目的に、区内全域で個人・企業・町会などに広く参加を呼びかけました。具体的には、まちの合同清掃活動やご近所さんと食べ物を持ち寄ったピクニックなどが行われました。渋谷おとなりサンデーのウェブサイトは誰もが自由に投稿できるプラットフォームの機能を持ち、町会・自治会に限らず、誰もが渋谷おとなりサンデーの企画をつくり、ここでシェアすることができます。場所が必要な場合には、警察への道路使用許可申請などについても区が積極的に動いてくださり、今後、六月の第一日曜日に定期的に開催されるということです。隣人祭りには義務や強制はないので、新しく引っ越してきた人や、今まで町会に参加することをためらってきた方でも気軽に参加することができます。また、これが町会に加入するきっかけともなります。そこで、この隣人祭りを港区でも取り入れてはいかがでしょうか。区長のご意見をお聞かせください。  次に、議会によるペーパーレス化、ICT化の効果についてです。  現在、区役所と議員との間のやりとりや重要事項の説明は、基本的には全て書類で行われており、多くの紙を消費しています。また、議場や委員会室では理事者の説明が行われた後、審議が行われますが、議場や委員会室にはパソコン、iPadなどの電子機器の持ち込みは認められていません。そのため、理事者による説明も議員による提案も全て紙ベースとなり、内容がその場でイメージしづらい場合もあります。企業などではさまざまな仕事のプロセスがIT化されている現在にあって、議会はやや取り残されている状況です。  先日、区議会の視察で逗子市に行ってきました。ここでは議員が有志のワーキングチームをつくるところからスタートし、クラウド上にアップロードした情報を議員全員が貸与されたタブレット端末で共有する仕組みを二年がかりで整えたそうです。ペーパーレスにつながっただけでなく、議案資料の差し替え作業による職員の労務負担の軽減、わからないことを即座に調べられることなどによる議員の質問力の向上、また、行政資料が全て端末から読み込めるため、市民へ正確で速く見やすい情報提供などが可能になったということです。クラウド上にファイルが残るため、災害時にパソコンからデータが失われ、なくなるおそれもありません。  逗子市の視察で対応していただいた議員に聞くと、タブレット端末の導入についてはメリットしかなかったとのことでした。もちろん、セキュリティの問題、外への通信がリアルタイムで行われることによって生じる問題もありますが、それはその部分を強化したり、ルール等を設けたりすればよいかと思います。今後、区議会で検討チームをつくって進めることは意味があるでしょう。  そこで、区長にお聞きします。行政は区議会に先行し、一部タブレット端末の導入をして業務の効率化を図っておりますが、その効果はいかがでしょうか。セキュリティ対策はどのように講じているのでしょうか。また、仮に区議会側が導入した場合、行政側の効率化につながる可能性はありますでしょうか。それぞれお伺いします。  次に、港区の電力を一〇〇%再生可能エネルギーにすることを目指し、さまざまな取り組みを行うことについてです。  RE100という国際イニシアチブをご存じでしょうか。RE100とは、Renewable Energy 100%の略で、事業に使うエネルギーを一〇〇%再生可能エネルギーによって調達することを目標に掲げる企業が加盟するものです。二〇一四年に発足したこのRE100には、ことしの一月末時点で世界の九十社近くが加盟しています。ここにはスイスのネスレ、スウェーデンのイケア、アメリカのナイキなど、日本でもよく知られている企業が数多く含まれています。多くの加盟企業は一〇〇%達成の年を同時に宣言しており、おおよそ二〇三〇年から二〇五〇年までの間にそれを目指すとしています。ここでの再生可能エネルギーとは、水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスを指し、原子力発電は含まれません。  一〇〇%達成に向けては二つの方法があります。一つ目は、自社の施設内などで再生可能エネルギーを自ら発電すること。もう一つは、市場で発電事業者や仲介供給者から購入することです。購入の場合には、発電所との電力購入契約、電力事業者とのグリーン電力商品契約、グリーン電力証書の購入のいずれの方法でも可能です。世界各地に事業所等がある企業は、その全てで一〇〇%を達成しなければなりません。日本でもことし四月、株式会社リコーが中期経営計画のスタートにあたり中長期的な環境目標を設定し、その中で、二〇三〇年までに再生可能エネルギーの割合を三〇%以上に、また、二〇五〇年までには一〇〇%にすることを宣言しました。そして、日本の企業で初めてRE100に加盟しました。  海外では、自治体でもこのRE100を宣言する傾向にあります。アメリカの幾つかの州、カナダ、ヨーロッパの百以上の地方がこれまでに温室効果ガスの八〇%から一〇〇%の削減、もしくは再生可能エネルギー調達一〇〇%の目標を掲げております。私が以前議会で紹介したアメリカのポートランドも先日、二〇五〇年までに一〇〇%を目指すと発表しました。二〇一二年に二〇五〇年までの一〇〇%達成を目指すとしたデンマークの特徴は、経済成長を続けながらエネルギー消費量が減少していることにあります。日本では、まだこのRE100を自治体として宣言しているところはありませんが、例えば、世田谷区では自治体間連携で群馬県川場村と提携し、川場村の木質バイオマス発電による電気を区民向けに販売する仕組みが整えられています。  港区には、脱炭素社会の実現を目指す企業がたくさん存在します。地の利を生かし、こうした企業のRE100への加盟をサポートしたり、自治体間連携で近隣の市町村から再生可能エネルギーを購入できるようにしたり、電力の小売業者と連携して公共施設でのRE100を実現させたりしながら、自治体としてRE100を目指し、再生可能エネルギーの活用を、日本の中心にある都市として率先していってほしいと思います。みなとモデル二酸化炭素固定認証制度で公共施設での国産木材の導入を積極的に進める区長の次なる一手としてこれを進めることについて、区長のお考えをお聞かせください。  最後に、消防団の訓練場所の確保についてです。  先日、区内の各地区ではポンプ操法大会が行われました。生業の傍ら地域防災に携わっている多くの消防団員が統制のとれた迅速な動きを披露し、日頃の訓練の成果を発揮していました。自分たちのまちは自分たちの力で守るという志で在住・在勤・在学の多くの人たちが自主的に行う、こうした活動に区や消防署が積極的に支援をしてくださっていることについては大変感謝しております。  一方、消防団が直面しているのは、その訓練場所が確保しづらいことです。訓練は仕事が終わり、夜間に行うことが多いため、公共の場などを一時的にお借りして、電気を照らして行うことになります。訓練に必要な直線道路を確保することは極めて困難であり、照明設備の設置に毎回多くの時間をとられてしまいます。私が所属する消防団も現在使っている場所が開発のために使えなくなる事態が目前に迫っています。  そこでお願いしたいのは、今後、開発が行われる場合には、ぜひ消防団の意見を聞き、計画の中にできるだけ訓練場所の確保を入れていただくことです。開発の場合には、例えば訓練場所の確保を地域のまちづくりに貢献する要件の一つに入れて誘導すること、また、公共施設の建設の際には、必ず夜間照明をとは言いませんが、ぜひ訓練できる場所をあらかじめ設計に織り込んでおいてほしいと思います。区長のお考えをお聞かせください。  以上で質問・提案を終わります。ご清聴ありがとうございました。   〔区長(武井雅昭君)登壇〕 ○区長(武井雅昭君) ただいまのみなと政策会議を代表しての横尾俊成議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、企業・NPO・行政と区民が協働する仕組みづくりについてのお尋ねです。  区は、これまでもみなとタバコルールのクリーンキャンペーンや総合防災訓練など、区民、在勤者、学生にとどまらず、地元企業等が参加する協働の仕組みを総合支所中心に築いてまいりました。また、大使館と実務的な意見交換を行う会議の設置や区内大学、企業と連携協定を締結するなど、地域特性や各主体の強みを生かしながら、地域の活性化に寄与する協働の取り組みを進めております。今後も、これまで進めてきた参画と協働をさらに深めるとともに、それぞれが対等な立場で自由に議論ができ、それを成果につなげることのできる協働の仕組みづくりに努めてまいります。  次に、ソーシャル・インパクト・ボンドの導入についてのお尋ねです。  社会的課題に取り組む事業に対し、投資家から資金を調達する新たな仕組みであるソーシャル・インパクト・ボンドの導入につきまして、この新しい発想に基づく、また、産業振興の視点からも大変興味深い取り組みであると考えております。国のモデル事業や先行自治体の取り組み事例を参考に、調査・研究してまいります。  次に、アートやテクノロジーを生かしたまちづくりについてのお尋ねです。  区は、文化芸術の力を生かし、コミュニティづくりなどの地域課題の解決や、子どもや外国人への配慮などを一層進める文化プログラムに取り組んでおります。一例といたしまして、区内の文化芸術団体からの提案により、障害のある人によるパフォーマンスなどを、年間を通じて展開しております。また、六本木アートナイトにおいても、区は商店街などの資源を活用しながら、アートを日常生活に取り入れ、まちづくりの先駆的なモデル創出に取り組んでおります。区は、今後も、文化芸術団体と連携し、アートなどを活用した魅力あるまちづくりを推進してまいります。  次に、さまざまな人の声を行政に生かすシステムの導入についてのお尋ねです。  区では、各地区総合支所を中心に職員がまちに出て、地域の課題を的確に把握し、区民をはじめ、地域社会の担い手である多様な人々とともに、地域の課題を地域で解決する努力を重ねてまいりました。「ちばレポ」のようにICTを活用して地域からリアルタイムで寄せられる声を区と区民が共有することは、区民の声をより迅速・的確に区政に反映するための有効な手段の一つであると考えております。これまでの総合支所中心の取り組みを一層充実させるとともに、さらに日常生活上の課題を迅速に解決するため、ICTを活用した広聴手法の導入について、調査・研究してまいります。  次に、区民の声データベースの活用についてのお尋ねです。  区に寄せられる多くのご意見・ご要望を的確に施策に反映させるには、蓄積したデータを分析し、課題を抽出することが不可欠です。区はこれまで、区民の皆さんから寄せられる、区政に対するさまざまなご意見を、広聴システムにより速やかに全庁で情報共有し、迅速な対応を行うとともに、意見・要望の分類や分析、傾向の把握をしてまいりました。今後、広聴活動で把握した意見・要望の分析をさらに進め、港区政策創造研究所の機能も有効に活用して、課題を先取りした施策の策定につなげられるよう検討してまいります。  次に、港区版若者委員会の導入についてのお尋ねです。  参画と協働を区政運営の基本方針としている区では、地域が抱える課題の解決に若者の意見を取り入れるため、さまざまな取り組みを進めております。みなとタウンフォーラム及び各地区区民参画組織の参加者募集では、十八歳以上の人を対象に参加を呼びかけ、また、各地区総合支所で実施している、区長と区政を語る会では、区内在学の中学生や大学生等を対象として開催し、若者世代から港区の現状や未来についての意見を聞いております。  また、今年度実施する港区民世論調査におきましても、区で生活する若年層の声をより幅広く捉えることを目的として、調査対象年齢を二十歳から十八歳以上と引き下げることといたしました。今後も、若者の声を区政に反映できるよう取り組み、東京二〇二〇大会に向けたボランティア活動に積極的に参加してもらうことや、地域活動の担い手として活躍してもらうことなど、若者の力を生かす、さまざまな機会をつくってまいります。  次に、性的マイノリティに関する区の各施策への反映についてのお尋ねです。  区は、第三次港区男女平等参画行動計画に性的マイノリティに関する意識啓発を掲げ、性的マイノリティの方の人権を尊重し、差別や偏見をなくすため、講演、映画、講座、広報紙等を活用した意識啓発に努めております。また、この行動計画に基づき、性的マイノリティの方の人権を擁護するため、国民健康保険の被保険者証の性別の表記方法に改善を加える等、さまざまな配慮や工夫を積み重ねているところです。さらに、区に寄せられる当事者の声や、性的マイノリティに関する人権課題について、現状の把握に努めております。引き続き区民等に多様な性のあり方の理解を求めるとともに、性的マイノリティの方々の尊厳を守るための取り組みを推進してまいります。  次に、企業の協力のもと、防災対策を進める取り組みについてのお尋ねです。
     区内八カ所の駅周辺滞留者対策推進協議会に加盟している事業者約百六十社は、発災時、駅周辺の滞留者の安全確保のため、避難誘導や交通機関の被害状況の情報提供など、積極的な災害対応に向けた活動を行います。このような活動が、防災意識の高い企業として区民や来街者に周知され、イメージアップにつながるよう、区は、ホームページや広報紙でお知らせしてまいります。また、帰宅困難者受け入れ協定締結事業者につきましては、一次滞在施設であることを、区民に事前に案内できるよう、事業者への協力を求めてまいります。  次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした誰もが住みやすいまちづくりや教育施策についてのお尋ねです。  東京二〇二〇大会は、共生社会の実現に向けて、障害者スポーツの競技団体や障害者スポーツを支援している企業、大学との連携を推進する絶好の機会であり、区は、障害者スポーツを積極的に応援している区内の電気メーカーや、テレビ局、大学などとの連携に取り組んでおります。  また、港区スポーツセンターの床面を改修し、車椅子バスケットボールなどの競技ができるよう、障害者スポーツの推進に向けた環境整備にも取り組んでおります。区は、今後も、障害者スポーツの競技団体や障害者スポーツを支援している企業等との連携、協働を一層推進し、多様な人が共生する地域社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。  次に、食を通じた放課後の子どもの居場所づくりについてのお尋ねです。  区は、区内で子ども食堂の活動を行っているNPOに対し、いきいきプラザの利用登録団体として、活動場所を提供するとともに、区のNPO活動助成事業を通して、資金面での支援を行っております。同様の取り組みを行っている地域の団体等につきましても、区有施設の利用による活動場所の提供等の支援が可能です。今後は、子どもの放課後の居場所づくりを目的として、地域で活動している団体等の実態を把握し、協働による取り組みについて検討してまいります。  次に、港区版隣人祭りの導入についてのお尋ねです。  人口が増加している中で、良好な地域コミュニティの形成は大変大切なことと考えております。区では、区民センターやいきいきプラザでの区民の交流事業、ご近所ラボ新橋や麻布地区のちょこっと立ち寄りカフェ、赤坂・青山ふれあいサロンなど、誰もが気軽に集える身近な交流事業を地域の状況を踏まえて実施しております。また、町会・自治会等では、子どもまつりや餅つき、お花見や打ち水などの各種イベントを通じて、地域の絆づくりに向けたさまざまな活動を行っています。今後も、交流事業を充実し、各地域で根づいた自主的なコミュニティ活動を支援し、隣人同士のコミュニケーションや地域の連帯感の醸成に取り組んでまいります。  次に、議会のペーパーレス化、ICT化の促進についてのお尋ねです。  区では、ペーパーレス会議の実施により、紙資料の削減や事務の効率化を順次進めております。このペーパーレス会議では、庁内の他のシステムと同様に、外部のネットワークと切り離した環境の中で、職員のみがアクセスできるサーバーを設置するなどのセキュリティ対策を講じております。議会でのペーパーレス化への対応につきましては、議会での検討状況にあわせ、検討してまいります。  次に、港区の電力を一〇〇%再生可能エネルギーにすることを目指し、さまざまな取り組みを行うことについてのお尋ねです。  区は、港区地球温暖化対策地域推進計画に基づき、区民等に対し、太陽光発電システムや太陽熱温水器等の助成を行うとともに、区有施設においても太陽光パネル設置など、再生可能エネルギーの利用を積極的に進めております。また、全国では、太陽光や風力等の再生可能エネルギー事業に参入する自治体も増えております。区では、これらの状況を踏まえた効果的な導入方法について、現在調査を行っており、地球温暖化を防止するため、できる限り再生可能エネルギーの利用拡大を目指し、全国の自治体との連携による電力の導入に取り組んでまいります。また、区民や区内事業所へ再生可能エネルギーの利用を働きかけることで、区全体での普及を図ってまいります。  最後に、消防団の訓練場所の確保についてのお尋ねです。  消防団の皆さんが訓練場所の確保に大変ご苦労されております。消防団の訓練場所の確保は、東京消防庁が担っている中で、消防団の活動は、地域の防災力を向上させ、区民の安全を確保するために欠くことのできないものであることから、区は、区立芝公園、区立港南緑水公園、みなとパーク芝浦に訓練場所を確保するとともに、区道を利用するなど、積極的に訓練場所の確保に努めております。さらに、三田三・四丁目地区の再開発においても、開発事業者に対し、訓練場所の確保を促すなど、大規模開発の際に、空地等を利用できるよう、積極的に働きかけております。今後とも、東京消防庁と連携し、訓練場所の確保に努めてまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。   〔教育長(青木康平君)登壇〕 ○教育長(青木康平君) ただいまのみなと政策会議を代表しての横尾俊成議員のご質問にお答えいたします。  東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした誰もが住みやすいまちづくりや教育施策についてのお尋ねです。  教育委員会では、昨年十二月に、お台場学園において、日本トライアスロン連合等との協定締結記念としてパラリンピアンを招いたトライアスロン教室を開催しました。参加した児童・生徒からは、車椅子バイクに乗ったうれしさやパラリンピアンの技術に対する感動とともに、自分も頑張ろうという励みにつながったと声が上がりました。  また、区民を対象に、昨年十二月には、区内企業と連携したパラリンピアンによるパワーリフティング教室を開催するとともに、本年五月には、高田千明ご夫妻をお招きし、障害者スポーツを身近に感じて理解を深めるためのイベントPARA・DOを株式会社フジテレビジョン、東京都と協働で実施しました。上半身の力で重いバーベルを持ち上げる姿や、視覚障害という困難を克服し、家族全員で夢を追いかける姿に、歓声や拍手が沸き起こり、会場全体がパラリンピアンを応援する雰囲気に包まれました。  このように教育委員会ではさまざまな事業を通じて、障害者スポーツの普及啓発や東京二〇二〇大会に向けた気運醸成に積極的に取り組んでおります。今後も、区民、事業者、各種スポーツ団体など、さまざまな主体と連携し、障害者スポーツを推進していくことで、障害の有無にかかわらず、誰もが生涯を通じてスポーツを楽しみ、スポーツで元気になるまちを実現してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○議長(うかい雅彦君) 議事の運営上、暫時休憩いたします。                                       午後二時三十八分休憩                                           午後三時再開 ○副議長(近藤まさ子君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。  一般質問を続けます。次に、六番池田たけし議員。   〔六番(池田たけし君)登壇、拍手〕 ○六番(池田たけし君) 平成二十九年第二回港区議会定例会において、公明党議員団を代表して、武井区長、青木教育長、島田選挙管理委員会委員長に質問させていただきます。  昨今、世界では、テロリズムによる凶悪な事件が各地で相次いで起こっています。先日も、ソフトターゲットと呼ばれる繁華街やイベント会場など、多くの人が集まる場所を狙ったテロ行為によって、一般の市民の方の命が奪われる事態が発生しております。ここに、テロ行為により犠牲となられた皆様、並びに家族の皆様に対し、衷心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。  昨年夏、新たに東京都に小池百合子都知事が誕生いたしました。本来であれば、東京都政を推進するリーダーとして衆人の範たるべき東京都知事の政治と金をめぐる不透明な問題は、都政に寄せる都民の意識、感覚とはかけ離れた状態が続き、結果、都政の不信と混乱、停滞を生み出しました。  都議会公明党は、都政の信頼回復と議会改革を打ち出し、自らが改革の先頭に立って先鞭をつけるべきであるとして、次のように改革案を提示いたしました。まず、議員報酬の二割削減。そして、政務活動費の減額と情報公開。さらに、費用弁償と議員特権の全廃を打ち出し、二月二十二日の東京都議会本会議の初日において、この公明党案が全会派一致での賛同を得て、改革先陣の第一歩を踏み出しました。また、教育の機会均等、経済的負担の軽減を目指して、私立高校の授業料の実質無償化を達成し、家庭の負担軽減に寄与しております。  公明党は、地方から国政まで「希望が、ゆきわたる国へ。」とのスローガンのもと、人間主義を中心とした政策を推し進めていくとの決意を改めて申し上げ、質問に入ります。  初めに、衆議院議員小選挙区区割り改定に伴う選挙事務の運営についてお伺いします。  現在、今国会において、衆議院議員定数の見直し及び一票の格差を是正するための公職選挙法の一部を改正する法律案が審議され、今国会で成立することが確実となりました。成立した場合、約一カ月の周知期間を経て、新たな衆議院議員の定数と選挙区で選挙が執行されることになります。  今回の改正案は、衆議院議員の定数を十人削減して四百六十五人にするとともに、衆議院小選挙区選出議員の選挙区における人口格差の是正措置について、平成三十二年以降、十年ごとに実施される国勢調査の結果に基づき、いわゆるアダムズ方式により配分することを定めています。  また、人口については、日本国民の人口によることとし、平成二十七年の国勢調査の結果に基づいて定数削減を行うとともに、今後五年間、格差が二倍以上とならないように区割り改定を行うことを定めています。その結果、港区を含めて全国では十九都道府県、九十七選挙区で区割りを見直す内容となっています。今回の区割り改定の審議に当たって、区長は、東京都知事を通じて、地域コミュニティを分断する区割りを避けるよう要望したと伺っています。しかし、その後は意見照会もないままに、本年四月十九日に衆議院議員選挙区画定審議会から内閣総理大臣に改定案についての勧告が提出されたと聞いているところです。  今回の勧告の内容について、区長はコメントを発表していますが、衆議院議員は国を代表する議員であるとともに、選挙区選出という地域の住民の代表として、地域の声を国政に反映させる面も有していることからも、港区が東京一区と二区に分割され、自治体としての一体感を損ないかねない今回の勧告に対して、さまざまな混乱が危惧されるところです。  一方、この法案が成立し施行となった場合には、選挙執行を適正かつ迅速に対応していかざるを得ない状況であります。また、今回の改定は、先ほど述べたとおり、平成二十七年の国勢調査による日本国民の人口をベースに対応したものでありますが、さらに平成三十二年には、再度、選挙区の見直しがあるとも聞いており、選挙制度に対して区民の混乱を招くとともに、選挙を執行する上でも大きな負担になることは、想像するのにかたくありません。  そこで質問は、このような状況の中で選挙管理委員会は、勧告された内容をもとに、分割が予定されている地域に対して、既に情報提供されていると伺っていますが、今後、複数選挙区の運営によって負担が大きくなる選挙事務を、どのようにミスなく進めていくお考えなのかお伺いします。  また、分割されることによって、区民が選挙に対して混乱を生じかねない状況にあると思われますが、どのように区民に対して周知されていくのか、あわせてお伺いいたします。  次に、港区におけるガバナンス強化の取り組みについてお伺いいたします。  ことし三月十五日、港区政が誕生して七十周年を迎えました。また、地方自治法は日本国憲法と同時に施行され、先月五月三日で七十年が経過したところです。地方自治に関する規定は、現行の憲法において初めて規定されました。以前は国の権限が強い中央集権的とも言われた地方自治法でしたが、時代の移り変わりとともに、平成十二年の地方分権一括法の施行により、国の下請の象徴であった機関委任事務は廃止され、国と地方自治体は対等な関係となりました。地方自治の本旨である、地方政治を住民の意思に任す住民自治を、これからも時代に応じて具体化し、深化させていくことは、私たち地方議会の使命であり、その責任もますます大きくなってまいります。  その上で、地方自治体が質の高いサービスを提供し、地域の実情に応じた政策を自由自在に進めていくために欠かせないのが、ガバナンスの強化であります。近年、相次いだ地方自治体の不明朗な支出や無駄遣いなどにより、住民から行政に対して、厳しい視線が向けられています。こうした不適切な支出を根絶しなければ、政策執行に必要な住民の信頼を得ることはできません。  今国会において可決され成立した改正地方自治法は、都道府県知事と政令指定都市の市長に対し、首長が内部チェックの方針を定め、それに基づく評価報告書を毎年作成し、議会に提出する義務を課すことや、監査制度の充実強化として監査委員による監査基準の策定・公表を義務づけるなど、地方自治におけるガバナンスの強化に力点が置かれております。こうしたガバナンス強化は、区政における改革の一環として、これからも進めていかなくてはなりません。  現在、港区では、監査委員による定期監査や工事監査などの各種監査に加え、平成十三年度から包括外部監査制度を導入し、毎年度、テーマを設定した監査を実施するなど、多角的な視点によって事務の適正化を確保しており、その取り組みについては高く評価いたします。  そこで質問は、無駄を削減することはもとより、地方自治の可能性をさらに広げ、区民への説明責任を果たすために、これからもガバナンスの強化に取り組んでいくことが重要だと認識しておりますが、今後、どのような形でガバナンス強化を進めていくお考えなのか、区長の見解をお伺いいたします。  次に、港区の入札制度の改善に向けた取り組みについてお伺いいたします。  本年三月三十一日、東京都は二〇一七年度試行実施の建設工事に適用する入札契約制度改革の実施方針を決定し、プレス発表しました。方針では、1)工事規模や業種を問わず、全ての案件で予定価格の事前公表を入札後の事後公表とすること。2)参加要件のうち、数社の協力体制で入札に参加できるJV、ジョイントベンチャーの結成義務を撤廃すること。3)財務局の発注案件は、入札参加希望者が一者の場合は入札の原則取りやめること。4)低入札価格調査制度の全面導入を図ることなど、東京都が長年積み上げてきた入札制度を根本から覆す内容となっています。  まず、予定価格の事前公表を入札後の事後公表とする考えは、入札金額が安ければよいという前時代的な公共事業の考え方に由来しており、また、入札参加者を根本的に信頼しない姿勢のあらわれとも言えます。この方針で最も欠けているのは、工事や物品などの品質の確保という視点であるように感じます。  国土交通省の公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議では、各発注者に共通する重要課題であるダンピング受注、請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結の防止、入札不調への対応や中長期的な担い手の育成及び確保等の視点が重要としています。こうした国の考え方にも矛盾すると言えます。また、数社の協力体制で入札に参加できたJV、ジョイントベンチャーの結成義務を撤廃することは、中小零細企業が東京都発注の案件に参加できない可能性が増加することになります。  さらに、参加希望者が一者しかなかった入札、一者入札を原則取りやめとしています。こうした改革の方針は、入札に参加してきた事業者側に混乱を招き、公共事業の執行が遅れかねないとの懸念が出ており、東京都の事業に関係する中小零細企業からは、受注機会の減少や受注計画が立たないとの声が上がっています。  さて、都議会公明党は、四月十三日に関係団体との意見交換会で意見聴取を行いました。翌十四日には小池東京都知事に対し、東京都の公共事業や中小企業の経営にかかわる重要な問題であることから、都知事自ら直接、現場の意見を聞く機会を持っていただきたいと要請いたしました。また、1)入札不調後の再入札時の工期延長や、制度変更に伴う入札システムの事業者負担などを公表すること。2)予定価格の事前公表と最低制限価格制度の廃止に伴うダンピング、過度な安値受注対策や過剰な競争が懸念されるため、慎重に対応すること。3)中小零細企業への影響を考慮して、低入札価格調査制度の下限額四千万円を現行案から引き上げるべきとの要望を行いました。小池東京都知事は、「中小零細企業を守るための入札制度にしたい。その思いは皆様と共有している。各団体からヒアリングさせていただく。要望をしっかり受けとめる」と応じています。  五月二十六日の小池東京都知事の定例会見では、今回の見直しについて、公明党からも意見をいただいたとして、六月施行実施の東京都発注工事で、低入札価格調査制度適用範囲の下限額が四千万円と低額だった設備工事については、二億五千万円以上に見直すと表明されました。六月から試行実施される入札契約制度改革の実施方針は、多くの問題点を含んでおり、二十三区担当課長会でも議論して、東京都へ改善を求めるべきと考えます。  港区の入札制度は、総合評価制度の導入や区内事業者育成を掲げた優れた制度になっています。東京都の見直しはともあれ、区の入札制度は堅持していくべきと考えます。  そこで質問は、東京都の入札契約制度改革が試行実施される中、港区の入札制度の改善に向け、どのように取り組まれるのでしょうか。武井区長のお考えをお伺いいたします。  次に、超過勤務縮減に向けた区職員の働き方改革についてお伺いいたします。  区職員の働き方改革について、我が会派では、さきに行われました第一回定例会の一般質問でも取り上げ、区職員の長時間労働の是正と、労働環境の整備による職員の意識改革や業務の効率化の観点から質問してまいりました。これまで、職員の超過勤務縮減への取り組みとして、ノー残業デーやエンジョイマイライフ週間の実施、また、昨年度から時差出勤制度を本格的に導入するなど、働き方改革への前向きな姿勢がうかがわれます。現在、区では、遅くとも午後八時には完全退庁するという方向も検討されているとのことですが、一方では、一斉消灯後も再度点灯する部署も多く、意識改革とあわせて組織全体の課題として取り組むことが、何よりも重要であります。  区は、超過勤務縮減に向けた職員の意識改革を促す対策として、今年度から新たに働きやすい職場づくり推進担当部長を新設されました。業務改善に向けた体制が、より一層強化されていくことを期待するところであります。こうした超過勤務縮減に向けた働き方改革を進めていく上で大事な視点は、一斉消灯や一斉退庁の設定だけではなく、業務の改善・見直しを同時に行うことです。これによって、実質的な超過勤務縮減につながっていくものと考えます。  第一回定例会で、我が会派の質問に対して区長から、「一斉退庁時間の設定やICTを活用したテレビ会議システムの導入、効率的な会議運営のあり方、超過勤務縮減に向けた職員の意識改革を促す方策などについて、検討を進めていく」旨の答弁をいただきました。働き方改革を進めるに当たり、全庁を挙げた一斉消灯への取り組みに加え、会議のあり方や業務フローのマニュアル化、さらには意識改革に向けて職員研修を行うなど、さまざま工夫を重ねていかれることを切に願うものであります。  そこで質問は、今や国や東京都を挙げて取り組みが本格化する働き方改革を、今後、区として具体的にどのように進めていくお考えなのか、区長の見解をお伺いいたします。  次に、性的少数者の理解促進について二点お伺いいたします。  性的少数者とは、恋愛の対象、つまり性的指向が異性ではなく同性、両性であるほか、全性愛、無性愛、非性愛と呼ばれるものもあります。また、身体上の性と自身が認識している性が異なるというトランスジェンダーや、性別を男女に限定できないエックスジェンダーがあります。最近の民間の調査では、こうした性的少数者は十三人に一人であり、その中の約七割が学校でいじめを受け、約三割が自殺を考えたことがあったということです。  港区では、昨年十二月六日、自らも性的少数者であり、パリコレモデルでテレビで活躍するアイヴァンさんの講演と、映画「パレードへようこそ」を上映し、性的少数者への偏見をなくし、理解を啓発するイベントを開催しています。人権を獲得するための意識啓発や運動の歴史の一端を知ることは大変重要であり、多様性を受け入れる土壌を醸成することが必要です。  さて、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会は、いよいよ三年後となりました。もとよりオリンピック憲章では、あらゆる差別を禁止していますが、二〇一四年に性的指向による差別禁止を明記し、改定しました。そして、リオデジャネイロ二〇一六オリンピック・パラリンピック競技大会では、金メダリストを含む五十人を超える選手が性的少数者であることを公表しました。このことで、同じ悩みで苦しんでいる多くの子どもたちには大きな希望になったとも言われています。東京二〇二〇大会の組織委員の発言にも、「五輪は日本が多様性を知り、経験するきっかけになる。LGBT、性的少数者について理解ある人たちの人的レガシーも育みたい」とありました。  そこで質問は、東京二〇二〇大会を踏まえ、さらなる性的少数者への理解促進を図るべきと考えますが、港区の今後の取り組みについて、区長の見解をお伺いいたします。  日本国憲法第十四条は、法の下の平等をうたっていますが、時代の変化とともに、世界では多様性を尊重する法整備も進んでいます。国連では二〇一一年に、性的指向による差別問題に取り組む決議が採択されました。二十三区の中では、世田谷区、渋谷区でパートナーシップ制度を導入し、文京区、台東区では、男女平等に関する条例の中で、性的指向、性自認を明記し、文京区では区職員や教員用の対応指針もつくっています。十年以上も前に区内の都立高校において、身体上は男性であるトランスジェンダーの生徒が女子の制服着用を許可され、このことを契機に明るく前向きに生きることができていると、当事者からのお話も伺いました。港区においても、身体上の性と自身が認識している性の食い違いが生じて悩む多くの方々がいます。そうした差別や偏見から守るためにも、港区は他区同様の取り組みが求められます。  そこで質問は、港区男女平等参画条例に性的少数者の人権の尊重を明記すべきと考えますが、区長のお考えをお伺いいたします。  次に、屋内の受動喫煙防止対策について伺います。  平成二十八年九月に十五年ぶりに改定された厚生労働省のたばこ白書によると、喫煙と因果関係が確実にあるとされる病気として、がんのほかに脳卒中や心筋梗塞、糖尿病などが挙げられ、毎年、喫煙により約十三万人、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙だけでも約一万五千人が命を落としているとされています。  また、国立がん研究センターも平成二十八年八月三十一日に、受動喫煙により肺がんになる危険が高まることは確実だとする調査結果を公表しました。  国際オリンピック委員会、IOCは、世界保健機関、WHOと共同で、平成二十二年からたばこのない五輪を推進し、ロンドン二〇一二大会とリオデジャネイロ二〇一六大会では、受動喫煙の防止策として、法律でレストランなどの屋内は全面禁煙と決めました。東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、政府は、公共の建物内や飲食店などの屋内も原則禁煙とする法整備を含めた、受動喫煙を防止するための対策の強化に乗り出しています。WHOによれば、日本の受動喫煙対策は世界でも最低レベルであり、東京二〇二〇大会に向けて、国際水準並みの受動喫煙対策は急務です。  川俣幹雄九州看護福祉大学教授などが本年二月に実施した、全国の男女一万人を対象とした調査によれば、受動喫煙を不快と感じる人は、全体で八二・二%となり、非喫煙者では九〇%で、喫煙者でも四四・九%との結果でした。また、受動喫煙した場所は、飲食店が最多の六二・一%で、飲食店の従業員は受動喫煙のリスクが医療従事者の二倍に上り、質問した全業種で最多でした。したがって、特に飲食店における受動喫煙防止対策を施すことは、利用者にとっても従業員にとっても重要です。  区では、平成二十六年七月より、港区内で暮らす人や働く人、訪れる人など全ての人が守るべきルールとしてみなとタバコルールを条例で定めました。指定喫煙場所を除く屋外の公共の場所で路上・歩行喫煙や吸い殻のポイ捨てをしないことを、罰則を定めるのではなく、マナーとして順守させることで受動喫煙防止対策を講じています。  また、禁煙等に取り組んでいる区内のさまざまな施設を、みなとタバコ対策優良施設として登録し、受動喫煙を防止する環境づくりを推進しています。前述のように、受動喫煙による健康被害は科学的に立証されており、特に港区は、二十三区において飲食店が最多であることから、区は積極的に屋内における受動喫煙対策を講じるべきです。  小池東京都知事は、東京都における受動喫煙防止対策にスピード感を持って取り組むことを強調し、屋内全面禁煙を内容とする受動喫煙防止条例の制定にも意欲を見せていると報じられております。また、今月二十三日告示予定の東京都議会議員選挙に向けて、主要各党は同様な条例制定を公約に掲げています。具体的な受動喫煙防止対策を講じるに当たり、何よりも、たばこの煙が深刻な健康被害を招くという認識を深めていくことが重要と考えます。  そこで、まず屋内の受動喫煙対策として、飲食店等の事業者や従業員に対して、受動喫煙の健康被害についての普及啓発を図るべきです。また、これまで飲食店等において喫煙していた利用者に対して、喫煙の自由を保障するための一定の配慮をしつつ、受動喫煙防止の効果を上げるために、飲食店が集中している地域において、各地域の町会や商店街と協議して、指定喫煙場所を増設するべきです。  質問は、国や東京都の屋内を禁煙とする法整備の動向を見据えて、区として、屋内の受動喫煙防止対策にどのように取り組まれるつもりかお伺いいたします。  次に、腹膜透析が必要な障がい者に対する今後の取り組みについて伺います。  腎機能障害、腎臓病の原因には、遺伝性の腎炎や感染症によるもの、そして糖尿病や高血圧などの生活習慣病を原疾患として引き起こされるものなどがあります。近年では、生活習慣病から慢性腎臓病を発症し、その症状がさらに進行することにより、体内の老廃物の排出や水分とミネラルのバランス調整を行う腎機能が失われていき、そして人工透析に至るという事例が増加しています。  腎疾患の治療としては、まず生活習慣の改善を行い、さらに食事療法や薬物療法があわせてとられますが、初期には自覚症状が少ないため、病識のないままに自己管理によるところが多く、生活習慣の改善が進まず、症状が進行するに至ります。高齢化社会にあって、持病を重篤化させないこと、健康寿命の期間を延ばすことは、生活の質の面でも、また増大する医療費の削減といった面でも大切なことであります。  一般社団法人日本腎臓学会は平成二十八年三月に、国民、国や地方など行政、国民健康保険の保険者団体や医師などの医療従事者などに向け、疾患の因となる喫煙や飲食の習慣、塩分摂取量、体重の管理、健診での異常の早期発見、確実な治療による重症化予防、また各自治体が行った積極的な予防の取り組み例など、広範囲で詳細かつ具体的な生活習慣病からの新規透析導入患者の減少に向けた提言を発表いたしました。社会にとって喫緊の課題との意識がうかがえます。  腎機能が不全となると、人工透析を行うことになります。現在、透析を行っている方は、直近の調査で三十二万人余りとなっています。透析は、実施方法により血液透析と腹膜透析の二種類に分けられ、患者の症状の重篤度やライフスタイルにより治療法を選択していきます。血液透析は、クリニックや病院などの透析医療施設に設置された装置を使い、週に二回から三回、一回に四時間から五時間をかけて、増加体重分の水分の排出を人工透析膜を使って行います。一般的には、一日おきに急激で効率の高い治療を行います。対して腹膜透析は、患者自身の腹膜を透析ろ過膜として在宅で行います。腹腔内に留置カテーテルを通して透析液を注入して、老廃物のろ過を行います。行動の自由度が高く、働きながらでも行うことができます。  日本では透析設備や透析膜が先進的に発達しており、実務に携わる臨床工学技士の体制も整えられているため、透析医療施設で行う血液透析が主流ですが、腹膜透析は拘束されることが少なく、旅行などの移動の自由が保たれます。しかし、一日数回連続して行う腹膜透析終了後に出る廃液と空の透析液バックの廃棄、次のバックの交換を行う場所が必要となります。このバック交換場所を紹介するサイトでは、全国の四十二施設が紹介されております。東京では東京スカイツリーや三鷹の森ジブリ美術館などが紹介されており、バック交換場所と身体障害者手帳での施設利用割引の有無が示されています。ホテル等の客室数日本一、美術館、博物館や歴史的観光資源あふれる港区ですが、このサイトで区内施設は掲載されていません。  日本では血液透析が主流ですが、外国では状況はさまざまです。移動の自由があるため、外国から日本への旅行中に腹膜透析を行う方もおります。二〇一六年の訪日外国人数は二千四百万人を超え、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、今後ますます増えていくと思われます。また、旅行の内容も買い物だけではなく、日本を楽しむ、体験するといった方向へ移っており、滞在期間も延びております。  そこで質問は、国内外を問わず人工透析を行う方へのバリアフリーの観点から、バック交換場所の拡大のため、医療機関と連携し、腹膜透析を必要とする方の実態を把握することが重要です。区の今後の取り組みについてお伺いいたします。  次に、待機児童解消のための都市公園の活用促進について伺います。  本年四月二十八日、国や自治体が整備した公園の設置・管理について定めた都市公園法が改正され、早ければ六月中にも施行される見通しです。本改正により、平成二十七年から国家戦略特区だけに認められていた都市公園内の認可保育園を含む社会福祉施設の設置が、全国のどの公園にも設置可能となります。公園内保育所は、保育園を増やしたいが土地の確保が難しいという都会の現状を改善するものであり、待機児童の解消を目指す取り組みの一つとして重要です。  本年四月一日時点で、港区内の認可保育園に申し込みながら満員で入所できなかった待機児童数は百六十四人で、昨年同時期の六十四人から大幅に増加しています。区では、港区待機児童解消緊急対策として、平成三十年四月までに保育定員を約千人拡大するとし、現在計画している(仮称)港南緑水公園内保育園のほか、公園などを活用した保育施設の整備等をメニューに掲げています。  保育園設置に当たって、敷地面積、接道条件や園庭の確保、その他一定の満たすべき条件があると思います。しかし、建設用地確保の観点から、都立公園、区立公園の利用の可能性を探ることは、待機児童解消が大きく前進するものと考えます。公園内保育所の最大のメリットは、公園を利用できるため、園庭がない多くの区内の認可保育園が抱える課題が解決できることです。一方、保育園の設置には地域住民の理解は欠かせず、実際、これまで特区制度を活用して公園に保育園を設置しようとした自治体では、子どもの声による騒音や遊び場が失われる懸念を理由に、反対運動も起きていました。  都市公園の設置目的は、地域住民の屋外における休息やレクリエーション活動を行う場であるとともに、良好な都市景観の形成や都市環境の改善を図ることで、あわせて災害時における避難地等としての機能もあり、公共オープン施設として確保しなくてはならないのは確かです。この点、ことし四月、都内で初めて特区制度を活用して開設された荒川区の都立汐入公園内の認可保育園では、公園に遊びに来た親子が休憩できる交流サロンや、屋上部分をゲートボールなど地域の催し物に使用できるように整備し、一般開放するスペースを設けています。地域との交流を図り、かつ、都市公園の機能を維持しながら保育園を設置できた先例として、大変に参考になるのではないかと考えます。  また、改正都市公園法第七条第二項の規定に基づき、占用物件として認められる社会福祉施設として、保育園のほかに通所介護施設なども含まれています。保育園単体ではなく、高齢者の通所介護施設などと組み合わせることで、地域の多様な福祉ニーズにも応えることができるとともに、地域住民から保育園設置の理解も得やすくなるのではないでしょうか。  質問は、区として待機児童解消のための都市公園の活用促進にどのように取り組むつもりか、お伺いいたします。  次に、港区総合交通戦略(素案)についてお伺いいたします。  先日公表された港区総合交通戦略(素案)の目的には、交通関係の諸課題全般に対応可能な計画として港区総合交通戦略を策定し、必要な交通施策、まちづくり施策を定め、実施プログラムを示すとともに、快適な道路・交通ネットワークの形成の実現に向け、交通事業と街づくりが連携した総合的かつ戦略的な交通施策を推進していくとあります。
     区では、これまで地域交通に関して、平成二十年十月の港区地域交通サービス取組方針及び平成二十一年三月に策定された港区地域交通サービス実施計画に基づき、「ちぃばす」の新規五路線や台場シャトルバスの運行に取り組んできました。そして、本年四月には、地域交通課を設置して組織強化が図られ、既存の地域交通にとどまらず、広く交通安全なども含んだ地域交通全般に、総合的かつ戦略的に取り組んでいく体制も整いました。  我が会派としても強く継続を要望してまいりました台場シャトルバス、お台場レインボーバスは、区が五年間で一億円を上限とする運行経費を補助するという新たなスキームで事業継続したように、港区の地域交通に対する取り組みが、まさに第二段階に入ったという思いを強くしています。  さて、この港区総合交通戦略(素案)ですが、戦略目標として、1)公共交通ネットワークの整備と交通結節点の利便性向上、2)道路ネットワークの整備と交通の円滑化、3)快適に楽しく歩ける環境の整備の三つが掲げられており、それぞれ実現するために施策の集合体である施策パッケージという新たな概念が盛り込まれています。これは、区で行っている「ちぃばす」、お台場レインボーバス、港区自転車シェアリングなどの取り組みを、目標実現に向かって重層的、総合的に取り組んでいくことでもあるように思われます。  個別の施策では、観光というキーワードに結びつく施策も多数見えてきており、港区観光協会の諸会合においても、「ちぃばす」の観光周遊ルートについての強い期待が寄せられています。「ちぃばす」以外にもお台場レインボーバス、自転車シェアリングなど、区で実施している交通手段には観光振興に資すると考えられるものが多数あります。また、現在区で整備を進めている広告付きバス停上屋の設置なども、間接的に観光に資することになると考えます。区の地域交通の資源を総動員して、文字どおり総合的、戦略的に観光振興を図っていただきたいと考えます。  そこで質問は、港区総合交通戦略(素案)の重点課題にも取り上げられている、「ちぃばす」による観光・商店街振興について、どのように進めていかれるのか、区長のお考えをお伺いいたします。  次に、新技術を導入した電線類地中化の推進についてお伺いいたします。  我が会派はこれまでも、電線類地中化の推進については、機会あるごとに議会で取り上げてまいりました。電線類地中化の大きな効果としては、第一に、都市防災機能を強化する観点から、過去の大地震でも指摘されたように、災害時における電柱の倒壊で道が塞がれ緊急車両が通れないという状況をなくすことや、電気や通信などの生活インフラを守ること。第二に、安全で快適な歩行空間の確保の観点から、歩行空間が広がり、ベビーカーや車椅子が移動しやすくなること。第三に、良好な都市景観の創出の観点から、視線を遮る電柱や電線がなくなることにより、まちの景観がよくなることです。  こうした観点から、現在、東京都では東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、電線を地中に埋める無電柱化を急ピッチで進めようとしています。既に東京都は、今年度予算において、区市町村に対する無電柱化補助制度が拡充されており、新設された無電柱化チャレンジ支援事業では、新規に無電柱化を始めたり、先駆的に低コスト化を積極的に取り入れる区市町村に対して、費用の一部を東京都が肩代わりする方針が示され、財政面に加えて技術支援も行うことが、この支援の大きな特徴となっています。  本日、最終日となりました東京都議会平成二十九年第二回定例会において、新設条例として東京都無電柱化推進条例案が提出されていますが、この条例は、東京都が無電柱化にどう取り組むかという基本理念と、基本的な方針や目標を定め、計画的に進めていくことが大きな柱となっています。その上で、都道だけではなく、都道とクロスしている区市町村道について、補助の対象を広げていくことが明らかにされています。  現在、港区が管理する区道の電線類地中化率は約二一%となっており、必要性の高い地域でも未整備路線が残っているのが現状です。区は、こうした現状を踏まえ、その背景にあるさまざまな課題を抽出した上で、平成二十六年三月、港区電線類地中化整備基本方針を策定しました。整備方針には工事費の削減を初め、工期の短縮や限られた道路空間の中で進めるため、効率的かつ新たな整備手法や整備方式を活用することが明記されています。  区道の地下には、下水道管やガス管、通信回線、さらには残置管などが複雑に絡み合って埋設されているため、電線類地中化を進めるに当たっては、予備設計から詳細設計、埋設物を探査し、支障物件の移設や引き込み管の設置、ケーブル敷設、電柱撤去、舗装工事と幾つもの工程を経て、完成に至るまで相当の工事期間と労働コストがかかることも、地中化が進まない大きな要因となっています。  最近、東京都建設局の新技術情報データベースに、地中レーダーを用いて掘削対象区域を非破壊で探査し、埋設管や残置管の位置を連続的に三次元で可視化することが可能な新技術が登録されていると伺っています。こうした技術を活用することによって、三次元地下マップを作成することが可能となり、予備設計に入る前の段階で導入すれば、さまざまな埋設管の位置情報を正確に把握した上で、精度の高い設計をすることができるのではないでしょうか。今後、区としても、最新の探査技術を活用することも視野に入れ、電線類地中化への設計精度の向上が必要と考えます。また、電線類地中化の工事には、予期せぬ工事中断による工事期間延長が少なくないと聞いていますが、工期延長を未然に防ぐことで、実質的な工期の大幅短縮、労働コスト削減を図ることも重要と考えます。  そこで質問は、東京都が進める補助金を積極的に活用しながら、従来の手法に加え、こうした新たな探査技術を積極的に活用し、区道における電線類地中化を安全により一層加速させていくことが必要であると考えますが、区長の見解をお伺いいたします。  次に、教員の働き方改革と部活動指導員制度について伺います。  文部科学省が本年四月に公表した公立小・中学校教員の勤務実態調査によると、過労死の目安とされている週六十時間を超えて働いている教員は、小学校で三三・五%、中学校で五七・七%に上り、平日の平均勤務時間は小・中学校ともに一日当たり十一時間を超えています。  また、経済協力開発機構、OECDが平成二十四年から平成二十五年に三十四カ国・地域を対象に実施した調査では、日本の教員の勤務時間は各国平均より週十五時間ほど長いという結果になっています。長時間勤務を放置すれば、教員の身体的・精神的負担が増すばかりで、授業内容を工夫したり、いじめの兆候を見つけたりする心の余裕まで奪われかねません。もはや教員個人の善意と努力だけでは改善を期待できる状況ではなく、国を挙げて進めている働き方改革は、学校でも急務と言えます。  学校スタッフに占める教員の割合は、米国が五六%、英国五一%に対して、日本では八二%と突出しており、授業だけでなく生活指導や書類作成など、業務が多岐にわたると指摘されています。したがって、深刻化する教員の長時間勤務を改善し、教員が最も大切な、生徒と向き合う時間の確保を進めるためには、その過重な負担を専門家らで分かち合う、チームとしての学校の視点が重要と考えます。  とりわけ、練習試合や大会出場で土日を費やすことになる部活動の担当は大きな負担であり、さきの文部科学省の調査では、中学校教員の土日の部活動の指導時間は、十年前の二倍に膨れ上がっています。そこで、文部科学省は学校教育法施行規則を改正し、本年四月より、中学・高校の部活動に地域の文化・スポーツ指導者らが学校職員として積極的にかかわれるという部活動指導員制度を開始しました。部活動指導員は、従来の外部指導者とは異なり、学校職員として報酬が支払われるほか、顧問につくこともできるので、大会など学校外での活動への単独引率などが職務として可能となります。  ただ、日本教育新聞社が本年四月に実施した全国の市区町村教育長へのアンケート調査の結果によれば、部活動指導員を新たに導入する、増やすと答えた割合は五%を切り、検討中が七割近くと最も多く、また、適任の人が確保できそうにないとの回答も、二割近くに上ったとのことです。  また、西島首都大学東京准教授などのグループが東京などの市区町村教育委員会に対して、本年二月から三月に実施した調査の結果によれば、中学校の外部指導者数を把握している自治体は七一・一%にとどまり、外部指導員の確保方法について、学校に任せている自治体は八二・一%にも上るとのことです。部活動業務を軽減することから教員の働き方改革を推進するためには、「チーム学校」の視点から、教育委員会がスポーツ競技団体や芸術団体などと協力して積極的に部活動指導員を育成し、各学校への配置の充実を図るべきではないでしょうか。  質問は、区として、教員の働き方改革の必要性についてどのように考え、また部活動指導員制度にどのように取り組まれるつもりか、青木教育長にお伺いいたします。  次に、認知行動療法の教育への活用について伺います。  認知行動療法とは、相談者の認知、つまり物事の受け取り方や感じ方が、過剰な自己防衛や自己を否定する捉え方に陥っていることに気づかせ、柔軟な発想で問題に対処できるよう手助けする、抑うつ感や不安感を緩和させる精神療法です。実際の治療では、精神科医との面談を行い、十六のセッションを通して自身のリジリエンス、回復力・自発的治癒力に働きかけて、上手にストレスに対処できるように相談者自身を向かわせます。結果、薬剤だけに頼らなくて済むようになり、医療費の削減にもつながっていきます。  認知行動療法は、患者数が百万人を超えるうつ病などの気分障害の治療や自殺防止に有効であることから、我が党が働きかけ、二〇一〇年に気分障害に対して実施した場合に保険適用となりました。さらにその後、不安障害や強迫性障害、PTSD、心的外傷後ストレス障害なども加わり、適用の範囲が広がりました。このことからも、認知行動療法は、強いストレスのもとに置かれている相談者の状態改善に有効、効果的であることがわかります。  しかし、医師などによる一回四十分から五十分の面談を十六セッションと、継続的に行う治療を取り入れる医療機関が限られており、療法を行える精神科医も不足している現状です。このクリニックの医師などが臨床で行う個人精神療法を高強度、定型的認知行動療法に対し、治験の中から療法をもととして一般に広く応用できる簡易型、低強度認知行動療法が注目されています。これは個人の病の治療としてだけではなく、職場や組織の中でのコミュニケーション能力の向上や、メンタルヘルス、人間関係などから起こる悩み解決のためのカウンセリングの方法として有効であるとされています。職場などで認知行動療法の考え方を効果的に用いて、専門家でなくても、研修を受けた方が実施でき、柔軟に考えることで悩みを乗り越えていくための方法や、問題解決に向かって行動を選択していく方法、あるいは他者に自分の気持ちを素直に伝える方法などがプログラムされています。  さらに、教育の現場においてもこのプログラムが活用されてきており、群馬県のある私立高校では、スポーツ進学コースの生徒にアプローチを行った結果、心身の健康を高め、モチベーションやコミュニケーション能力の向上に成果を上げています。また、他の学校ではクラス全体の人間関係が改善し、いじめの対策に役立ったとの事例もあります。港区の教育現場においては、学校ではスクールカウンセラーによるカウンセリング、学童クラブや放課GO→では担当者の方が子どもたちの悩み相談を行っていますが、この認知行動療法の教育プログラムによって、さらに小学校の高学年から中学・高校の成長期、思春期の子どもたちの物事の捉え方の視野を広げ、しなやかな心を育むことに役立つと思われます。  また、教員はメンタルヘルスのストレスチェックを受け、必要に応じて面談・カウンセリングを受けておりますが、勤務時間が長く、ストレスを抱えるその精神的な負担は多く、病気で休職されている教員の八割ほどが精神疾患を原因としており、うつ病や抑うつ状態に陥っておられます。これは港区内だけではなく全国的な傾向ですが、このような状況に陥らないための予防先としても考えられるのではないでしょうか。人は誰もがストレスとともに生きています。ストレスと向き合い、さらには成長の糧とできるよう、子どもたちに教育が行われる現場として、また教員の職場としての学校で、相談者とともに考え、解決策を探り、レジリエンスをもたらす認知行動療法の教育プログラムを生活指導主任への研修会などで行っていくことについてお伺いいたします。  最後に、学校における和食文化の継承と給食の役割について質問いたします。  二〇一三年十二月、日本人の伝統的な食文化・和食がユネスコ無形文化遺産に登録されました。無形文化遺産とは、芸能や伝統工芸技術などの形のない文化であって、土地の歴史や生活風習などと密接にかかわっているものを指します。ユネスコの無形文化遺産保護条約は、この無形文化遺産を保護し、相互に尊重する機運を高めるため、登録制度を実施してきました。和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことをきっかけに、和食の評価は世界的にも高まり、海外への和食店の出店数が増えています。  日本に先立ち、二〇一〇年にはフランスの美食術などが無形文化遺産に登録され、さらにスペイン料理、地中海料理も登録されています。フランス、スペインでは登録後、児童・生徒たちへの食文化の継承が重要視され、学校での食文化教育が熱心に行われています。  これらの国では、学校で学んだ内容を児童・生徒が家庭に持ち帰って親に伝え、それが家庭に浸透し、食文化が継承されていくと考えているようです。日本国内では、社会環境の変化や食文化の多様性が目立つ中で、学校給食で和食文化を見直し、次代への継承に取り組む活動が進んでいます。その活動は、子どもたちに給食を通じて和食を提供することで、和食のすばらしさや食材に対する理解を深め、和食に親しんでもらう取り組みであります。  和食には四つの特徴があると言われています。一つ目は、多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重、二つ目は、健康的な食生活を支える栄養バランス、三つ目は、自然の美しさや季節の移ろいの表現、四つ目は、正月など年中行事との密接なかかわりです。  日本女子大学学術研究員の伊藤美穂氏の話では、学校給食の食器の種類や数の不足は献立作成の大きな妨げになると指摘されています。日常の給食で使う食器を全て和食器に切りかえることは困難ですが、港区では今年度、和食器六十セットを購入し、区内二十八の小・中学校で利用する予定と発表されています。学校給食の献立に和食の割合を高めることも大変重要と考えます。  そこで質問は、今後、給食を通して和食の継承をどのように進められるのかお伺いいたします。  以上で質問を終わります。   〔区長(武井雅昭君)登壇〕 ○区長(武井雅昭君) ただいまの公明党議員団を代表しての池田たけし議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、港区におけるガバナンス強化の取り組みについてのお尋ねです。  区は、現在、港区事務執行適正化委員会において、不適正事務が発生した場合の迅速な情報伝達・共有の仕組みの構築など、独自の内部統制の体制を整備しております。平成三十二年四月に施行予定の改正地方自治法では、内部統制の方針策定、議会への報告書の提出等が規定されております。今後、改正法の趣旨を踏まえ、区民への説明責任や区の適正な事務執行を確保するための取り組みについて、具体的に検討してまいります。  次に、港区の入札制度の改善に向けた取り組みについてのお尋ねです。  区は、これまでも、入札・契約手続における公正性や透明性を確保するために、予定価格の事前公表や制限付一般競争入札を実施してまいりました。また、区内事業者を優先するための区内事業者限定による入札の実施や、良好な労働環境確保のための最低賃金水準額の設定など、入札・契約制度の改善に取り組んでまいりました。今後も引き続き、これまでの区の取り組みを検証し、区内事業者の皆さんのご意見も伺いながら、公正性、透明性の高い入札・契約制度となるよう、より一層の改善に努めてまいります。  次に、超過勤務縮減に向けた区職員の働き方改革についてのお尋ねです。  職員が仕事と家庭生活の調和を図り、意欲と能力を十分に発揮するためには、超過勤務の縮減に取り組むことが重要です。現在、区では、本年七月からの実施を目指し、超過勤務の原因と対策を検証し、業務の効率化に向けた取り組みを検討しております。具体的には、会議運営の見直しや、意思決定過程の迅速化・簡素化に加え、超過勤務の縮減目標の設定や、年次有給休暇の取得促進などの取り組みを実施する予定です。こうした取り組みを全庁一丸となって徹底することにより、全ての職員にとって働きやすい職場を実現し、より質の高い区民サービスの提供につなげてまいります。  次に、性的少数者の理解促進についてのお尋ねです。  まず、意識啓発についてです。区は、第三次港区男女平等参画行動計画において、性的マイノリティに関する意識啓発を掲げ、性的マイノリティの方への理解や配慮を促すことが重要なことと捉え、当事者を招いた講座や講演会を開催する等、意識啓発に取り組んでおります。三年後には、あらゆる差別の禁止を掲げた東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。これを契機に、区としましても、さらに性的少数者の理解促進をはじめとした人権施策の推進に取り組んでまいります。  次に、男女平等参画条例への明記についてのお尋ねです。平成十六年三月に制定した本条例の第三条では、基本理念として、「すべての人の人権を尊重し、性別による差別的取り扱いの解消を図ること」を掲げております。この規定は、制定当時、新しい課題として捉えられていた性同一性障害をはじめとする、性的指向や性自認に係る性的少数者を対象に含めた趣旨で盛り込まれたものです。引き続き、条例の趣旨の一層の普及に努め、性的少数者の尊厳が守られるように、理解促進のための取り組みを進めてまいります。  次に、屋内の受動喫煙防止対策についてのお尋ねです。  平成十五年五月に健康増進法が施行され、屋内の受動喫煙防止対策が努力義務として規定されました。これを受け、区は、事業所や飲食店など、多くの人が利用する施設における受動喫煙防止対策を推進していくため、みなとタバコ対策優良施設への登録を広く呼びかけてまいりました。受動喫煙に関する意識の高まりもあり、現在、五百五十を超える施設が登録しております。さらに、ことし三月には、登録している飲食店をガイドブック「港区煙のないレストラン」にまとめ、四月から、区の施設のほか、地下鉄各駅やホテルなど二百七十カ所で配布し注目を集めております。今後も、区内企業や飲食店等の関係団体に受動喫煙防止への理解と協力を求めていくとともに、国や東京都の動向についても情報提供してまいります。あわせて、完全分煙となる屋内型の喫煙場所の整備も進めてまいります。  次に、腹膜透析を行っている障害者に対する今後の取り組みについてのお尋ねです。  区において、人工透析が必要な障害者の多くは、通院による血液透析を行っております。自宅や職場等で本人が行う腹膜透析については、透析液のバックを交換するため、感染が防止できる清潔な場所を、一日に数回、一回当たり三十分程度確保する必要があります。区は、過去五年間に約二十件の腹膜透析のための透析液加温器の給付を行っておりますが、今後、腹膜透析を行っている障害者の実態の把握に努めてまいります。  次に、待機児童解消のための都市公園の活用促進についてのお尋ねです。  区では、国家戦略特区制度の活用を前提として、区立港南緑水公園内への私立認可保育園の整備に着手し、整備を進めております。本年四月には都市公園法が改正され、特区制度によらない保育施設等の設置が可能となりました。現在、区内には港南緑水公園のほか、区立公園が四十六園、都立公園が四園あります。今後も、公園機能を維持しつつ、地域の理解と協力を得ながら、保育所整備に向けた区立公園や都市公園の活用の促進に向け、取り組んでまいります。  次に、港区総合交通戦略(素案)についてのお尋ねです。  港区総合交通戦略(素案)では、「ちぃばす」の運行による観光・商店街振興を重点施策として掲げております。これは、「ちぃばす」事業の収支向上を図るとともに、港区観光振興ビジョンで掲げた「ちぃばす」を活用した観光施策の実現を図るものです。現在、素案に対する区民意見を募集しておりますが、これと並行して港区観光協会や港区商店街連合会とも意見交換をさせていただく予定です。今後、交通事業者など関係者間での調整を進め、「ちぃばす」の運行による観光・商店街振興の具体策を検討してまいります。  最後に、電線類地中化の推進についてのお尋ねです。  区道における電線類地中化率は、平成二十八年度末で約二一%となっており、平成二十七年度末の二十三区の平均七%に対し、三倍の高い整備率となっておりますが、地中化率一〇〇%を目指す上では、なお低い水準にあります。現在、区は、平成三十五年度を目途に、約十五キロメートルの優先整備路線について、電線類地中化の完了を目指して取り組みを進めております。電線類地中化を進める上では、工事費削減や工期短縮、限られた道路空間の中での整備手法の検討などの課題があります。国や東京都が開発を進めている地上機器の小型化や地中の浅い部分への管路埋設など、新技術を積極的に活用し、目標の早期達成に向け取り組んでまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育にかかわる問題については、教育長から、選挙管理委員会にかかわる問題につきましては、選挙管理委員会委員長から答弁いたします。   〔教育長(青木康平君)登壇〕 ○教育長(青木康平君) ただいまの公明党議員団を代表しての池田たけし議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、教員の働き方改革と部活動指導員制度についてのお尋ねです。  児童・生徒への生活指導の充実や、授業準備時間の十分な確保のためには、教職員の勤務時間管理の適正化や、業務負担軽減が必要であると考えており、現在も教育委員会と各学校で連携して取り組んでおります。  また、指導を担当する教職員の過重な負担の実態が指摘されている中学校の部活動につきましては、現在、各学校における外部指導員の活用が、教職員の負担軽減はもとより、生徒の健康な体づくりに向けた部活動の活性化につながっております。  今後は、地域の人材等の協力を得て、学校運営の充実を図るために教育委員会事務局内に設置した学校支援地域本部と学校が連携をとり、校長の監督のもと、技術的な指導に従事する部活動指導員を確保するとともに、休養日の設定や、部活動指導員による大会引率についても検討する等、部活動を指導する教職員の負担軽減に取り組んでまいります。  次に、認知行動療法の活用についてのお尋ねです。  現在、各学校では、いじめや不登校等、さまざまな問題行動の未然防止に向けて、スクールカウンセラーの面接や、よりよい学級集団づくりにつなげるため、児童・生徒を対象にアンケートを実施しております。物の考え方や受け取り方に働きかけて気持ちを楽にしたり、行動をコントロールしたりする認知行動療法は、さまざまな問題行動の誘因となる児童・生徒の心理面に大きな効果をもたらすものと考えております。このことから、児童・生徒の生活指導を担う生活指導主任を対象とした研修など、認知行動療法の教育現場での活用について、今後検討してまいります。  最後に、学校における和食文化の継承と給食の役割についてのお尋ねです。  教育委員会では、伝統的な食文化の理解や食文化を通じた郷土への関心を深めるなどの観点から、米飯給食を週三回以上実施し、その中で、ご飯、汁、おかずの組み合わせを基本とした和食による学校給食を提供しております。  また、学校給食の食器として、和食器や日本伝統工芸品である木製漆汁椀を使うことで、児童・生徒が食器に描かれている流水模様や松竹梅などの伝統的な文様の意義を理解し、日本の食文化への親しみや関心が一層深まるものと考えております。今後も、学校給食を通して、これまで以上に次世代への和食文化の継承と、食育を推進してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。   〔選挙管理委員会委員長(島田幸雄君)登壇〕 ○選挙管理委員会委員長(島田幸雄君) ただいまの公明党議員団を代表しての池田たけし議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、衆議院議員小選挙区区割り改定に伴う選挙事務の運営についてのお尋ねです。  まず、選挙事務の進め方についてです。選挙管理委員会には、管理する全ての選挙について、遺漏なく適正に執行する責務があります。衆議院議員選挙は、任期満了のほか、解散総選挙による選挙執行も想定されることから、万全の体制で期日前投票や当日投・開票事務等を執り行うことが必要であります。そのため、区民など有権者にとって、わかりやすい期日前投票所や公営ポスター掲示場の設置、投票所入場整理券、選挙公報の配布、開票方法などさまざまな課題解決に向け、既に選挙区が分割されている他の特別区の対応を参考に、検討を進めております。  また、投票管理者や指定施設管理者など関係者に情報提供を行うとともに、事務従事者説明会等を通じて、選挙事務制度の変更の周知徹底を図り、迅速で適切な選挙事務となるよう努めてまいります。  次に、区民への周知についてのお尋ねです。選挙管理委員会では、平成二十九年四月に内閣総理大臣宛に提出された衆議院議員小選挙区区割勧告の情報をもとに、港区明るい選挙推進協議会委員をはじめ、分割の対象となった地域や区民に対し、あらゆる機会を通じて情報提供に努めてまいります。今後とも、区民の間で選挙区割りについて、情報不足より混乱が生じないよう、適切な時期に広報みなと、区ホームページ等でお知らせするとともに、港区明るい選挙推進協議会とも連携して、よりきめ細かな情報提供や新たな区割りの地図を配布するなど、わかりやすく、効果的な周知・啓発を推進してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○副議長(近藤まさ子君) 次に、十九番いのくま正一議員。   〔十九番(いのくま正一君)登壇、拍手〕 ○十九番(いのくま正一君) 二〇一七年第二回港区議会定例会にあたり、日本共産党港区議員団を代表し、質問いたします。  七月二日投票で東京都議会議員選挙が行われます。この都議選は、今後の東京を決める重要な政治戦であると同時に、国政にも大きな影響を与える選挙となります。私たちは、日本共産党を伸ばして都民の利益を第一にする東京都議会をつくること、安倍政権の暴走政治に対して首都東京から厳しい審判を下し、暴走政治にストップをかけるため、染谷ふみ子さんを先頭に奮闘する決意です。  安倍首相は、五月三日の改憲派集会第十九回公開憲法フォーラムへのメッセージの中で、憲法第九条に自衛隊を明記した新憲法を二〇二〇年に施行したいと表明しました。自衛隊を憲法第九条に書き込むことは、戦争放棄の第九条第一項や、戦力不保持の第九条第二項と矛盾するもので、従来の歯どめをなくし、海外での武力行使を無制限にすることにつながり、憲法第九条の基本精神が根本から壊されてしまいます。  安倍自公政権には二つの大問題があります。第一に、安全保障法制、戦争法の強行を境に暴走政治に全く歯どめがなくなってしまっています。何を考え、何を合意したかを処罰の対象とし、心の中を処罰する現代の治安維持法、共謀罪の強硬姿勢、沖縄県名護市辺野古の新基地建設の無法なごり押し、法治国家とは到底言えないやり方です。  第二に、モラルが崩壊したぼろぼろの姿になっています。八億円もの国有地の値引きが行われた学校法人森友学園疑惑では、首相夫人付き職員に全責任を負わせ、自身は保身に走っています。続いて発覚した学校法人加計学園の国家戦略特別区域の認定問題でも、安倍首相自身のかかわりが重大な疑惑として浮上しています。稲田防衛大臣は、南スーダンに派兵された自衛隊の日報をめぐる虚偽答弁や、学校法人森友学園問題でも法律的な相談を受けたことはないという虚偽答弁を重ねてきました。今村復興大臣は、東日本大震災で被災したのが東北でよかったなどと暴言を吐き、辞任に追い込まれました。安倍政権が教育勅語を学校教材として活用を否定しないと閣議決定したことは、モラル崩壊の極みです。教育勅語は国民に対して国の非常時には命を投げ出せと命令したもので、日本国憲法の国民主権と相入れません。だからこそ、戦後衆参両院で排除・失効決議が採択されたのです。  今回の都議選は、都政改革を前に進めるのか、暮らし・福祉に冷たい都政を許すのかが対決軸です。都議選の最大の争点は、豊洲新市場への移転を強行するか、築地市場の本格的再整備に踏み出すかです。政府・農林水産省は、土壌汚染対策法にかかわって、東京都が汚染の除去の措置を行わず、盛り土等のみを行った状態で東京都中央卸売市場の用地とすることについて想定し得ないとしています。豊洲新市場の土地は東京ガス株式会社の工場で、一九五六年から三十二年間にわたって石炭・原油からガスの製造が行われてきました。大量のタールが生み出され、地面に直接流して作業していました。タールの中には発がん性物質のベンゼンが溶けています。これまで一定の土壌汚染対策をしても地下深くしみ込んだ汚染は取り切ることはできません。  ことし三月十九日には、豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議による再調査で、環境基準の百倍のベンゼン、環境基準を上回るヒ素、シアン化合物などが二十七の再調査地点のうち二十五地点で検出したと発表し、四月の調査でも同様の結果でした。小池都知事も先日の東京都議会で、汚染土壌の除去ができていないことを都民に謝罪しました。汚染を取り除くことができない土地への市場移転など、とんでもありません。  昨年九月、日本共産党東京都議会議員団の調査によって、豊洲新市場の主な建物の下には盛り土がされておらず、地下空間があることが判明しました。東京都が約束していた汚染土壌の完全除去、盛り土して安全確保は両方とも果たされませんでした。東京都の専門家会議も将来想定されるリスクとして、地下空間には気化した水銀、ベンゼン、シアン化合物を含むガスの地下ピット内への侵入が発生する。一階床面のコンクリートひび割れが生じて、一階部分への空気の侵入、拡散が発生すると指摘しているのです。  自民党などは築地市場も汚染されている、老朽化しているなどと攻撃しています。しかし、猛毒の土壌汚染地の東京ガス株式会社工場跡地と築地市場を同列に論ずること自体、ごまかしであり、都民を欺くものです。築地市場は八十年の間、有害物質による食品汚染など一度も起きていません。安全性は一貫して証明され、築地ブランドとして世界に誇れるのです。老朽化については、自民党・公明党都政が整備に必要な予算をつけなかったことが原因であり、改修をすればよいことです。  東京都の市場問題プロジェクトチームの小島座長は、築地市場の改修は可能と試算しています。改修案は、施設を段階的に移転更新し、調査に一年半、各施設の移転改築に五年半かければ可能としています。豊洲新市場を開場すれば、年間の赤字は約百四十億円ですが、築地市場を改修する場合は、赤字額は二十億円程度としています。築地での再整備が費用面からも一番の選択なのです。それでも自民党は全く無反省のまま、豊洲市場の安全は証明されたと、豊洲市場への早期移転を最大公約に掲げています。公明党も豊洲移転に向け、着実かつ確実な前進に取りかかるべきと主張し、早期決断を迫っています。  都民ファーストの会は、豊洲市場移転問題についてどう考えるか態度を明らかにしていません。同時に都民ファーストの会は、移転推進の公明党と選挙協力しています。都議選の最大争点について方針を示せないのは、都政に責任ある態度とは言えません。都民に白紙委任状を渡せと言うのは余りにも無責任です。日本共産党は、豊洲新市場への移転をきっぱり中止するよう強く求めます。  日本共産党東京都議会議員団はこの四年間に十六の条例提案を行い、都民要求実現に大きな力を発揮しています。認可保育園増設のために用地費を補助する条例案を提出。また、都有地の活用を一貫して提案し続けました。条例案は自民党、公明党などが否決しましたが、用地費補助はその後一部実現しました。また、活用可能な都有地を具体的に示す中で、東京都としても都有地活用の新たな取り組みもスタートさせました。港区内でも活用に向かっています。  日本共産党東京都議会議員団は、特別養護老人ホームの増設へ、この四年間で十回の代表質問で取り上げ、土地確保策や介護職員宿舎の借り上げなどの提案も行ってきました。その結果、東京都は二〇二五年までに六万人分増やす目標を設定するようになりました。  また、高校生の学費負担軽減を求め、この四年間で二十回にわたる質問を行ってきました。小池都知事が東京都独自の給付型奨学金を公約したことに着眼し、節々で質問してきました。今年度の予算で、私立高校生の三割を占める年収七百六十万円未満の世帯に対し授業料無料化が拡大され、都立高校生の給付型奨学金も創設されました。日本共産党の提案が実を結んだものです。  東京都議会改革では、議員報酬とは別に議会に出るたびに一日一万円から一万二千円支給されてきた費用弁償が廃止されました。二〇一五年三月の東京都議会から日本共産党東京都議会議員団が他会派とともに何度も廃止の条例案を提案、二年間にわたって自民党や公明党などにより否決されてきましたが、ついにことし三月の東京都議会で廃止が決まりました。  石原・猪瀬・舛添の三代の東京都知事のもとで都民の税金の使い方は大きく変えられました。石原都政の前の年の一九九八年度決算と二〇一五年度決算を比較すると、東京都の民生費の割合は、全国四十七都道府県で三位から三十二位に転落しました。中でも老人福祉費は二位から四十二位に転落しました。一方、土木費の割合は四十位から二十一位にアップしています。関越自動車道から東名高速道路までの間の十六キロを結ぶ東京外郭環状道路の建設工事が始まっています。多数の住民の立ち退き、環境破壊をもたらす高速道路です。十六キロの整備費は一兆六千億円、一メートルあたり一億円にもなります。自民党、公明党などの東京都議会議員がつくる外郭環状道路建設促進議員連盟は、この外環道の延伸を求め、東名高速道路から東京湾岸道路までの区間について、早期に計画の具体化を図ることと要望書を提出しています。東京都議会で自民党議員の質問に対して、小池都知事は、東名高速道路から東京湾岸道路間におきましても計画の早期具体化に取り組んでいくと答弁。自民党、公明党と同じ立場に立っています。
     以上の都政の実態と厳しさを増す区民の生活実態を踏まえ、具体的に質問します。  築地市場の豊洲新市場の移転はきっぱり中止し、築地市場の再整備に本格的に踏み出すことが、食の安全面からも、維持管理費用の面からも明確になってきたと思います。そうした立場で、武井区長から東京都に対して要望すべきです。答弁を求めます。  東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を、暮らし・環境と調和した国際平和と友好を促進する大会として成功させることが特に重要です。この間の報道を見ても、東京都は決まっている競技場整備費負担以外に六千億円を超える負担が強いられることになりかねません。IOC基準を大きく超える競技施設の見直しなど、競技場整備費の節減が必要です。費用の内訳や検討過程を透明化し、都民参加でチェック、削減するよう公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と東京都に要望するべきです。答弁を求めます。  東京都内で認可保育園等を希望しても、一次選考で不承諾等になった子どもたちは二万八千人を超えています。土地の確保、保育士の処遇改善を進めるよう東京都に要望すべきです。答弁を求めます。  港区内の保育環境の改善のため、園庭、お庭やプールがある区立保育園の増設を行うべきです。答弁を求めます。  二〇一五年度の東京都の高齢者の生活実態調査では、高齢者に対する必要な施策や支援の要望のトップが、特別養護老人ホームなどの施設の充実です。介護人材の賃金引き上げへ、東京都独自の助成制度をつくるよう要望すべきです。答弁を求めます。  子どもの貧困対策を抜本的に強化するため、ひとり親家庭等への児童育成手当を増額すること。答弁を求めます。  東京都シルバーパスは高齢者の社会参加の促進に大切な役割を発揮してきました。年間所得が百二十五万円以下の方は千円でパスを受け取ることができますが、百二十五万円を超えると、いきなり二万五百十円へと負担がはね上がります。そのため、パスを利用する人の割合は年々低下し、今では半分以下の高齢者しか使えていません。  区長から東京都シルバーパスの改善について、次の二点について東京都へ要望すること。1)より多くの高齢者が千円でシルバーパスを利用してもらえるようにするとともに、所得の中間段階の高齢者へ新たに三千円負担のシルバーパスをつくること。2)新交通ゆりかもめにもシルバーパスを使えるようにすること。答弁を求めます。  豊洲新市場の主な三つの施設の建設工事は、スーパーゼネコン三社を中心とする三つの企業グループが、それぞれ競争なしの一者入札で、落札率平均九九・八七%という高値で落札しています。日本共産党東京都議会議員団の追及を受けて、東京都は一者入札を排除する制度改革に踏み出しました。港区でも一者しか入札がない場合がありますが、そのまま入札や見積もり合わせで行われています。一者入札を改めるべきです。答弁を求めます。  関連して入札監視委員会設置についてです。東京都は二〇〇二年に東京都が行う入札及び契約手続の公正性・透明性を確保することを目的に、東京都入札監視委員会を設置してきました。しかし、東京都が第三者機関として設置している有識者らの東京都入札監視委員会が、落札率が九九・九%となった豊洲市場の施設建設工事を審議対象にしていなかったことが、日本共産党東京都議会議員団の質問で明らかになりました。入札・契約適正法に基づいて設置されている東京都入札監視委員会の歴代委員長が東京都財務局幹部のOBであり、当時は市場当局トップの東京都中央卸売市場長だった東京都OBが委員長を務め、審議する入札案件も委員長と東京都側が選んでいたことも判明しました。現在、委員長は辞任し、大学教授と弁護士で構成しています。港区でも、契約手続の公平性・透明性を確保するために、入札・契約適正化法に定める第三者機関による入札監視委員会を設置すべきです。答弁を求めます。  若者を使い捨てるブラック企業対策や、就職氷河期世代の就職支援を強化するよう東京都へ要望すること。答弁を求めます。  若者・子育て世代の大きな負担となっている家賃への助成事業を創設するよう東京都へ要望すること。答弁を求めます。  区として、給付型の奨学金制度を実施すること。答弁を求めます。  十七年間凍結されている都営住宅の新規建設を再開し、当面二千戸を急いで建設するとともに、民間賃貸住宅やUR住宅の空き家を借り上げ型都営住宅にするなどして、都営住宅を大幅に増やすよう、東京都へ要望すべきです。答弁を求めます。  大企業の内部留保が三百兆円を超える一方、非正規労働者の増加と実質賃金の目減りが続いています。現在の最低賃金は、東京でも九百三十二円にしかなりません。一日八時間、月二十日間働いても十五万円程度で、健康で文化的な最低限度の生活ができません。中小企業支援策と一体に、最低賃金を直ちに時給千円以上に引き上げるとともに、千五百円を目指すよう国に要望すべきです。答弁を求めます。  どの子も伸びる教育を目指し、三十五人学級を早期に全学年に広げるよう、教育長として国へ要望すべきです。答弁を求めます。  次に、国土交通省の羽田新飛行経路案について質問します。この問題は、定例会ごとに質問してきました。新飛行経路案を知った区民は住宅の真上を低空で飛ぶなんて認められないとの声が広がっています。港区の上空を約六百メートルから四百メートルの低空で飛ぶことで、騒音、落下物、万が一の墜落など被害が心配されます。着陸態勢に入り車輪を出す高度は六百メートルから四百メートルくらいだと元パイロットも指摘しています。港区の上で車輪を出す可能性もあり、落下物の危険性はより増すことになります。  この間、区や区議会からの要請によって、教室型の説明会が高輪、青山・赤坂、港南地域で開かれました。五月二十九日の港南地域の説明会では、国土交通省は説明会の案内で、港南地域の町会・自治会の皆様を対象と極端に参加対象を狭め、港南地域以外の方の参加はご遠慮くださいと念を押す始末です。説明会の進め方も、これまでの取り組み報告、パネル展示による情報提供だけで、質疑はしない方式を明示していました。  港区からも区民を参加対象にすることや、質問を受けて回答するよう要請がされ、その結果、区民は対象にすること、質問があれば受け付けて回答するという設定になっていました。しかし、当日の説明会では、港南地域の方が、着陸準備での車輪の出し方、外国から飛行してくるので、本当に事前のコントロールが可能なのか。新聞報道で同時着陸の二機がニアミス情報が出る可能性指摘等々の質問が出ました。これに対して国土交通省からは具体的な回答はありませんでした。質問者から大事な点になると曖昧で抽象的なことしか言わない。そんなことでいいのかと厳しく指摘されました。司会者がそろそろ残りの時間もあるので、パネル展示にて説明しますと質疑を打ち切ってしまったのです。  パネル展示はこれまでの説明会資料と同じで、新しい資料は一つもありませんでした。二十時にはパネル展示を見る方がほぼいなくなったので、参加者がもとの全体質疑を続けてほしいと要請し、国土交通省は対応したくないようでしたが、二十時十五分ごろからマイクを使って全体の質疑が再開されました。終了時間の二十時三十分となり、説明会は終了しました。結局、参加者の質問には、具体的に焦点をあてた回答は不十分でした。  質問します。国土交通省に対して、以下を強く要請すること。1)港南地域での教室型説明会を引き続き開催すること。2)高輪、青山・赤坂地域でも教室型説明会を再開すること。3)未開催の麻布、芝地域で教室型説明会を開催すること。4)説明会にあたっては、区民等を参加対象とすること。質問には具体的に答えること。5)港区民の合意が得られないまま、計画をごり押ししないこと。答弁を求めます。  最後に、消防団の訓練場所の確保について質問します。  五月二十一日、二十八日に行われた区内各消防団のポンプ操法大会では、各分団の日頃の訓練の成果が発揮され、参加した区議会議員や町会・自治会役員からも歓声が上がりました。大会に向けて各分団が深夜にまで訓練していますが、その訓練場所がなかなか確保できていません。  芝消防団長は大会の閉会にあたっての謝辞で、各分団の訓練場所は歩道であったり、企業の空き地で行っているが、通行人や住民からうるさいなどと苦情があちこちで出ており、本当に苦労して訓練している状況を話し、港区や関係機関のご尽力をお願いしたいと呼びかけました。この呼びかけには、行政も議会も関係機関も知恵をひねり出す必要があると思います。港区の土木関係部署や民間企業の場所提供など、あらゆる知恵を発揮して、訓練場所の確保へ取り組んでいただきたい。私たちも協力は惜しみません。答弁を求めます。  以上で質問を終わります。答弁によっては再質問させていただきます。ありがとうございました。   〔区長(武井雅昭君)登壇〕 ○区長(武井雅昭君) ただいまの共産党議員団を代表してのいのくま正一議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、築地市場の移転中止を東京都へ求めることについてのお尋ねです。  築地市場から豊洲市場への移転につきましては、設置主体である東京都が、本年四月に市場のあり方戦略本部を設置し、物流面、機能面、土壌・地下水の安全性、ランニングコスト、築地市場現在地再整備など、さまざまな観点から検討を行っております。このため、東京都に対し、移転中止の申し入れを行うことは考えておりませんが、区民や区内事業者に対する影響については引き続き注視をしてまいります。  次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の経費節減等を東京都等へ要望することについてのお尋ねです。  東京二〇二〇大会の開催準備及び運営については、国、IOCとの協議を踏まえ、東京都及び東京二〇二〇組織委員会の責任において検討が進められております。関係団体によるコスト管理を適切に行うため、新たに組織委員会の中に、組織横断的な(仮称)共同実施事業管理委員会が設置されることになりました。こうしたことから、東京都等に対し、大会の経費節減等の申し入れを行うことは考えておりませんが、区民が納めた都税の使われ方について、引き続き注視をしてまいります。  次に、待機児童対策推進のための東京都への要望についてのお尋ねです。  区は、これまで東京都に対し、特別区長会を通じて、保育所整備のための未利用都有地の積極的な提供や、保育士の人材の安定確保のための取り組みを要望してまいりました。さらに、本年四月に開催された小池都知事と東京都内区市町村長との待機児童解消に向けた緊急対策会議においても、都有地の積極的な提供とともに、民間の建物を保育所整備のために賃貸した場合の固定資産税等の減免措置の拡充について、私から要望いたしました。今後も、区の待機児童対策への支援について、東京都に要望してまいります。  次に、園庭やプールのある区立保育園の増設についてのお尋ねです。  現在、元麻布二丁目において、平成三十二年一月の開設に向け、園庭を確保した区立認可保育園の整備を進めております。この園庭は、近隣の私立保育園などにも外遊びやプール遊びの場所として活用してもらうことを予定しております。  次に、介護人材の賃金引き上げに関する東京都独自の助成制度に関する要望についてのお尋ねです。  国は本年四月から、介護人材を確保するため介護報酬を改定し、介護職員処遇改善加算の拡充を行っております。このため、東京都に対して、独自の助成制度に関する要望をすることは考えておりませんが、都心区である港区の実情を反映させた港区介護保険レポートにより、引き続き介護人材の処遇改善を国に提言してまいります。  次に、子どもの貧困対策の強化についてのお尋ねです。  区では、ひとり親家庭の支援のために、本定例会で年収約三百六十万円未満のひとり親世帯等の第一子について、保育園、幼稚園等の保育料を無料化する条例改正案を提出いたしました。児童育成手当の改定は予定しておりませんが、今後も、ひとり親家庭への経済的安定の支援も含め、子どもの未来応援施策を全庁挙げて推進してまいります。  次に、シルバーパスの改善についてのお尋ねです。  ご質問にありました要望の趣旨は、引き続き東京都に伝えてまいります。  次に、一者入札を改めることについてのお尋ねです。  区では現在、入札・契約手続の競争性、公正性及び透明性を確保するため、電子入札により入札参加希望者が他者の入札参加状況を知り得ない中で、一定の資格を有する希望者を入札に参加させ、最も有利な条件を提示した入札者と契約を締結することができる制限付一般競争入札を実施しております。このため、現行制度を維持しながら、引き続き公正性、透明性の高い入札・契約制度の改善に努めてまいります。  次に、入札監視委員会の設置についてのお尋ねです。  区では、現在、電子入札による制限付一般競争入札を実施し、入札・契約手続の競争性、公正性、透明性の確保に努め、予定価格の事前公表や区内事業者限定による入札の実施、労働者の最低賃金水準額の設定など、入札・契約制度の改善に積極的に取り組んでまいりました。今後、入札及び契約手続の公正性、透明性をより一層確保するため、他自治体の実施状況を把握するなど、入札監視委員会の設置について調査研究をしてまいります。  次に、就職支援を強化するよう東京都へ要望することについてのお尋ねです。  区は、東京都と連携して作成した冊子、ポケット労働法の発行を通じて、区内企業に対する法令遵守の啓発に努めております。また、若年者向けの就職応援セミナーなどにおいても、東京都と連携することにより就職支援の強化に取り組んでおります。こうしたことから、東京都に対し、若者を使い捨てるブラック企業対策など就職支援を強化することについての要望は考えておりませんが、今後も、東京都などの関係機関との連携や就職支援の充実を図ってまいります。  次に、若者・子育て世代の家賃助成制度についてのお尋ねです。  東京都における若者・子育て世代に対する新たな家賃助成制度創設のご要望についてですが、区として現在考えておりませんけれども、国や東京都と連携をしながら、若者や子育て世帯の支援を充実させてまいります。  次に、都営住宅等を大幅に増やすよう東京都に要望することについてのお尋ねです。  区は、これまでも都営住宅の建て替えの際に、区内にある都営住宅の従前戸数を維持するよう東京都に要望してまいりました。また、都営住宅の地元割り当て戸数の増加についても要望してまいります。東京都に新規建設を求めるということにつきましては、このような要望をすることで現在は考えておりません。  次に、最低賃金の引き上げについてのお尋ねです。  最低賃金は、最低賃金法に基づき、学識経験者などの公益の代表者や労使双方の代表者を委員とする最低賃金審議会において、賃金の実態調査結果などを参考にしながら、審議を行い決定されております。このため、区が国に対して、最低賃金の引き上げを要望するということは考えておりませんけれども、指定管理者制度導入の施設や工事請負契約などの労働者の人件費に対して、区が定める最低賃金水準額を適用するなど、今後も労働環境の改善に努めてまいります。  次に、国土交通省の羽田新飛行経路案についてのお尋ねです。  まず、教室型説明会の各地での開催についてです。区は、これまでも国土交通省に対し、羽田空港の新飛行経路案について、区民等の疑問や不安の声を受けとめ、丁寧な説明を行うよう求めてまいりました。教室型説明会につきましては、既に実施した高輪、赤坂・青山、港南地域において再度開催することや、未実施の芝、麻布地区で開催することについて、地域からの要望等も踏まえ、引き続き国土交通省へ強く要請をしてまいります。  次に、説明会における参加対象者と具体的な回答についてのお尋ねです。五月二十九日に開催された港南地域での説明会では、国は当初、参加対象者を地域住民に限定しておりましたが、区が国土交通省に要請を重ねた結果、地域外の区民等も参加できるようになりました。今後も説明会の開催にあたりましては、在勤者や在学者を含む区民等を参加対象とするよう、また、区民からの質問に対しては、趣旨を捉え具体的に回答するよう、引き続き国土交通省に申し入れてまいります。  次に、区民の合意を得ないで計画を進めないよう要請することについてのお尋ねです。区は、これまでも羽田空港の新飛行経路案について、区民等へのきめ細かな情報提供を行い、十分な理解を得た上で計画を進めるよう、国土交通省に強く要請してまいりました。今後も引き続き区民等のご意見を踏まえながら申し入れてまいります。  最後に、消防団の訓練場所確保についてのお尋ねです。  消防団を所管する各消防署では、交通量の少ない区道や都有地、民間企業の敷地の借用など、訓練場所の確保に努めております。また、区でも、区立芝公園、区立港南緑水公園、みなとパーク芝浦に消防団の訓練場所を確保してまいりました。さらに、三田三・四丁目地区の再開発において訓練場所の確保を開発事業者に促すなど、大規模開発の際に、空き地等を利用できるよう働きかけております。今後も、消防団が活発に活動できるよう、東京消防庁とも連携をしながら、積極的に訓練場所の確保に努めてまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。   〔教育長(青木康平君)登壇〕 ○教育長(青木康平君) ただいまの共産党議員団を代表してのいのくま正一議員のご質問に順次お答えします。  最初に、給付型奨学金の実施についてのお尋ねです。  国は、新たに大学生向けの給付型奨学金を創設し、平成二十九年度から一部先行実施しております。また、東京都では、国が授業料の一部を充てる費用として学校に支給する就学支援金とは別に、私立高校生への給付型奨学金を拡充しております。区としての給付型奨学金の創設につきましては、このような国や東京都の新たな制度導入後の効果や課題などを踏まえ、他の自治体の動向なども参考にしながら引き続き研究してまいります。  最後に、三十五人学級の全学年での実施を国へ要望することについてのお尋ねです。  三十五人学級を全学年に拡大することにつきましては、昨年度も全国都市教育長協議会を通じて、国に対し、少人数学級の早期実現に向けた法整備を要望しております。また、特別区教育長会といたしましても、小学校第一学年と同様に第二学年以降、段階的に三十五人学級となるよう公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の改正を国に要望するよう、東京都に申し入れております。今年度も引き続き国及び東京都に対して、要望してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○十九番(いのくま正一君) 時間もありませんので自席で、再質問が一つ、それから発言が一つです。  消防団の訓練場所の確保ですけれども、先ほどほかの質問者に答弁したのと同じ内容だったと思います。開発動向に合わせてということでしたけれども、消防団の皆さんは、歩道でやっているという分団については、すぐにやってほしいということですので、何年もかかって確保するということではなくて、知恵を出し合って、すぐにも確保するように、そういう立場で努力してもらいたい。これについては再質問させていただきます。  給付型奨学金についてですけれども、この間もずっと質問してきましたが、区としては、研究するという態度でした。私たちは給付型奨学金について、経済的に困難な方々が、区が実施することによって、少しでも安心して高校や大学に通えると、そういう状況をつくろうということで、今、私たち日本共産党港区議員団として、今定例会での条例提案を準備しているところです。ぜひ各会派の皆様にも協力、共同提案を呼びかけますので、そのときには、ぜひ具体的に検討していただければと思います。  以上で質問を終わります。   〔区長(武井雅昭君)登壇〕 ○区長(武井雅昭君) ただいまの共産党議員団を代表してのいのくま正一議員の再質問にお答えいたします。  消防団の訓練場所確保についてのお尋ねです。  先ほど区としての訓練場所の確保についてのお答えをいたしましたが、公園等で整備しましたのは、ホースを展開して十分な訓練ができるよう、直線で百メートルの距離がとれるという、いわば大規模なものでございます。すぐにということですが、これだけの規模のものをすぐに整備するというのはかなり難しいというふうに考えておりまして、ある一定の期間はかかると思います。ただ、訓練内容に応じた活動場所の確保という面については、より機動的な対応が図れる面があろうと思います。そうした観点も含めまして、区といたしましても、積極的に協力する立場からも、また近隣住民の皆さんのご理解を得るということからも協力をしてまいるということでございます。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○議長(うかい雅彦君) 以上にて、本日の日程は全部終了いたしました。  本日の会議は、これをもって散会いたします。                                       午後四時四十三分散会...