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  1. 港区議会 1999-03-04
    平成11年第1回定例会−03月04日-01号


    取得元: 港区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-21
    平成11年第1回定例会−03月04日-01号平成11年第1回定例会  平成十一年 東京都港区議会議事速記録 第一号   平成十一年三月四日(木曜日)午後一時一分開会     一 出席議員(三十七名)       一  番  藤 田  五 郎 君      二  番  秋 元 ゆきひさ 君       四  番  鈴 木  武 昌 君      五  番  結 城  光 江 君       七  番  小 斉  太 郎 君      八  番  湯 原  信 一 君       九  番  杉 原  としお 君      十  番  岸 田  東 三 君       十 一番  熊 田  ちづ子 君      十 二番  星 野   喬  君       十 三番  大 谷  たき子 君      十 四番  木 村  のり子 君       十 五番  藤 本   潔  君      十 六番  滝 川  嶂 之 君       十 七番  佐々木  義 信 君      十 八番  鈴 木  洋 一 君       十 九番  井 筒  宣 弘 君      二 十番  きたしろ 勝 彦 君       二十一番  風 見  利 男 君      二十二番  沖 島  えみ子 君       二十三番  清 水  良 英 君      二十四番  山 越   明  君       二十五番  西 山  信 男 君      二十六番  渡 辺  専太郎 君       二十七番  大 蔦  幸 雄 君      二十八番  鈴 木  たけし 君       三 十番  川 村  蒼 市 君      三十一番  北 村  利 明 君
          三十二番  栗 橋  伸次郎 君      三十三番  清 水  一 郎 君       三十四番  遠 山  高 史 君      三十五番  上 田 あつひで 君       三十六番  横 山  勝 司 君      三十七番  植 木   満  君       三十八番  伊 東  徳 雄 君      三十九番  真 下  政 義 君       四 十番  島 田  幸 雄 君     一 欠席議員       六  番  林    健 司 君     一 説明員       東京都港区長    菅 谷 眞 一 君    同  助   役 上 田 曉 郎 君       同   助   役 永 尾  昇  君    同  収 入 役 入戸野 光 政 君       同   教 育 長 中 村 勝 弘 君    同 政策経営部長 渡 邊 嘉 久 君       同街づくり推進部長 本 村 千代三 君    同 保健福祉部長 加 藤  武  君       同 みなと保健所長 永 見 宏 行 君    同 環境保全部長 武 田 愼 次 君       同  区民生活部長 高 杉 眞 吾 君    同 教育委員会                                事務局次長  宮 崎 武 雄 君     一 出席事務局職員       事務局次長   武 井 雅 昭 君     議 事 係 長 日 詰 由 三 君                                         他五名             ───────────────────────────       議  事  日  程           平成十一年三月四日午後一時 日程第 一  区長報告第 一 号 専決処分について(損害賠償額の決定) 日程第 二  区長報告第 二 号 専決処分について(田町駅東口駅前広場地下自転車駐車場建設工事請負契約の                  変更) 日程第 三  区長報告第 三 号 専決処分について(田町駅東口駅前広場地下自転車駐車場建設工事請負契約の                  変更) 日程第 四  議 案 第 一 号 東京都港区職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例 日程第 五  議 案 第 二 号 東京都港区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例 日程第 六  議 案 第 三 号 東京都港区職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例 日程第 七  議 案 第 四 号 東京都港区中小企業融資利子補給基金条例 日程第 八  議 案 第 五 号 東京都港区再開発地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部                  を改正する条例 日程第 九  議 案 第 六 号 東京都港区中高層階住居専用地区建築条例の一部を改正する条例 日程第 十  議 案 第 七 号 東京都港区立福祉会館条例の一部を改正する条例 日程第十 一 議 案 第 八 号 東京都港区立障害保健福祉センター条例の一部を改正する条例 日程第十 二 議 案 第 九 号 東京都港区感染症の診査に関する協議会条例 日程第十 三 議 案 第 十 号 東京都港区女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例 日程第十 四 議 案 第十 一号 東京都港区心身障害者福祉手当条例の一部を改正する条例 日程第十 五 議 案 第十 二号 東京都港区療養資金貸付条例の一部を改正する条例 日程第十 六 議 案 第十 三号 平成十年度東京都港区一般会計補正予算(第三号) 日程第十 七 議 案 第十 四号 平成十年度東京都港区国民健康保険事業会計補正予算(第一号) 日程第十 八 議 案 第十 五号 平成十年度東京都港区老人保健医療会計補正予算(第一号) 日程第十 九 議 案 第十 六号 平成十一年度東京都港区一般会計予算 日程第二 十 議 案 第十 七号 平成十一年度東京都港区国民健康保険事業会計予算 日程第二十一 議 案 第十 八号 平成十一年度東京都港区老人保健医療会計予算             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) ただいまより平成十一年第一回東京都港区議会定例会を開会いたします。  今回の応招議員はただいま三十七名であります。したがいまして、本定例会は成立いたしました。  お諮りいたします。今期定例会の会期は本三月四日から十八日までの十五日間としたいと思いますが、ご異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(真下政義君) ご異議なきものと認め、さよう決定いたしました。             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) これより本日の会議を開会いたします。  ただいまの出席議員は三十七名であります。  会議録署名議員をご指名いたします。十二番星野喬君、十三番大谷たき子君にお願いいたします。             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) 報告事項がありますので、報告いたします。  まず、議員の死亡について、死亡届が提出されておりますので職員に朗読させます。   〔日詰議事係長朗読〕             ───────────────────────────         死  亡  届                           港区白金台三丁目十七番四号                             港区議会議員   菅  野    一  右の者平成十年十二月六日死亡しましたのでお届けします。  平成十年十二月十日        右届出人  菅  野  文  子  港区議会議長 真 下 政 義 様             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) ただいまご報告いたしましたとおり、議員菅野一君におかれましては、平成十年十二月六日急逝されました。この際、港区議会を代表して、慎んで哀悼の意をあらわしたいと存じます。  故菅野一君は、各位におかれましてもよくご存知のとおり昭和五十八年、衆望を担って港区議会議員に当選され、爾来、四期十五年余の長きにわたって議会活動に心血を注いでこられました。  その間、建設常任委員長、芝浦・港南等地域対策特別委員長文教常任委員長防災対策特別委員長などの要職を歴任し、人を包み込む暖かい人柄と、社会奉仕の精神を持って日夜、区政の発展と区民福祉の向上に取り組んでこられました。  港区は今、大きな変革のただなかにあります。区政を取り巻く情勢が厳しければこそ、君の一歩先を行く行動力が何より必要な時でありました。我々の期待もむなしく、突然の訃報に接しまして、誠に痛恨にたえません。  故港区議会議員菅野一君の功績に対しましては、平成十年十二月二十二日の閣議において、勲五等瑞宝章の受賞が決定されたところであります。  私はここに、港区議会を代表して、衷心からご冥福をお祈りいたします。  故菅野一君のご冥福を祈り、黙とうを捧げたいと思います。全員、ご起立をお願いいたします。  黙とう。   〔黙とう〕 ○議長(真下政義君) 黙とうを終わります。ありがとうございました。ご着席ください。             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) 次に、職員に定例会招集の報告をさせます。   〔日詰議事係長朗読〕             ─────────────────────────── 十港政総第五七一号   平成十一年二月二十二日  港区議会議長 真 下 政 義 様                          港 区 長     菅   谷   眞   一       平成十一年第一回東京都港区議会定例会の招集について  本日、別紙告示写しのとおり、標記定例会を三月四日に招集しましたので通知します。             ─────────────────────────── 東京都港区告示第二十号  平成十一年第一回東京都港区議会定例会を三月四日に招集します。   平成十一年二月二十二日                          港 区 長     菅   谷   眞   一             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) 次に説明員の異動について、区長から通知がありましたので、職員に朗読させます。   〔日詰議事係長朗読〕             ─────────────────────────── 十港政総第四六四号
      平成十年十二月九日  港区議会議長 真 下 政 義 様                          港 区 長     菅   谷   眞   一       説明員について  地方自治法第一二一条の規定に基づき、説明員について下記のとおり通知します。 一 新  規   収入役                           入 戸 野  光  政 二 異  動   政策経営部長                        渡  邊   嘉  久   参事                            井  伊   俊  夫   街づくり推進部都市計画課長 事務取扱 街づくり推進部長   本  村  千 代 三 三 解  除   政策経営部長                        入 戸 野  光  政             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) 次に例月出納検査の結果について、報告書が監査委員から議長の手元に提出されておりますので、その概要を職員に朗読させます。   〔日詰議事係長朗読〕             ─────────────────────────── 十港監第八一号   平成十年十二月十日  港区議会議長 真 下 政 義 様                         港区監査委員     大   野   高   正                         同          高   橋   元   彰                         同          川   村   蒼   市       平成十年十一月例月出納検査の結果について  地方自治法第二三五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。 一 検 査 の 範 囲   (一) 検 査 対 象  区一般会計、国民健康保険事業会計老人保健医療会計歳入歳出外現金、基金   (二) 検 査 場 所  港区監査事務局   (三) 検 査 期 間  平成十年十一月二十四日から十一月二十六日まで 二 検 査 の 結 果  本検査においては、収入役から提出されました平成十年十一月例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。             ─────────────────────────── 十港監第九二号   平成十一年一月十一日  港区議会議長 真 下 政 義 様                         港区監査委員     大   野   高   正                         同          高   橋   元   彰                         同          川   村   蒼   市       平成十年十二月例月出納検査の結果について  地方自治法第二三五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。 一 検 査 の 範 囲   (一) 検 査 対 象  区一般会計、国民健康保険事業会計老人保健医療会計歳入歳出外現金、基金   (二) 検 査 場 所  港区監査事務局   (三) 検 査 期 間  平成十年十二月二十二日から十二月二十五日まで 二 検 査 の 結 果  本検査においては、収入役から提出されました平成十年十二月例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。             ─────────────────────────── 十港監第九九号   平成十一年二月十日  港区議会議長 真 下 政 義 様                         港区監査委員     大   野   高   正                         同          高   橋   元   彰                         同          川   村   蒼   市       平成十一年一月例月出納検査の結果について  地方自治法第二三五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。 一 検 査 の 範 囲   (一) 検 査 対 象  区一般会計、国民健康保険事業会計老人保健医療会計歳入歳出外現金、基金   (二) 検 査 場 所  港区監査事務局   (三) 検 査 期 間  平成十一年一月二十五日から一月二十七日まで 二 検 査 の 結 果  本検査においては、収入役から提出されました平成十一年一月例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) 例月出納検査の詳細については、報告書を議長の手元に保管しておりますので、随時ご閲覧願います。  以上にて報告を終わります。             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) この際、区長から所信表明のため、発言を求められておりますので、これをお許しいたします。   〔区長(菅谷眞一君)登壇〕 ○区長(菅谷眞一君) 私の所信を申し上げる前に、一言申し上げます。  去る昨年十二月六日逝去されました区議会議員菅野一さんに対し、ここに慎んで哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈りいたします。  平成十一年第一回港区議会定例会の開会にあたり、私の所信の一端を申し上げ、区民並びに区議会の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。  国連は、今年を「国際高齢者年」と定め、高齢者の独立、参加、自己実現などを促進し、すべての世代のための社会を実現することを目指しております。  昨年秋、向井千秋さんらとともにスペースシャトル・ディスカバリーによる宇宙飛行をした七十七歳のジョン・グレンさんは年齢に関係なく夢が実現できることを身をもって示し、私たちを元気づけてくれました。年齢を重ねるにつれて生じる体力などの衰えを肯定的にとらえた「老人力」という言葉が注目されました。区内にも「老人力」を楽しみながら元気に活躍する方々が多数おられます。高齢者の豊かな経験と知恵を港区政に生かしていくことが大切であります。  本年一月、世界の経済・金融市場では、欧州の競争力の強化を目指して、ドイツ、フランスなど十一ヵ国に単一通貨「ユーロ」が導入されました。世界各国は、通貨・金融市場の混乱に揺れた昨年の低迷状態から脱しようと模索を続けております。国内では、実質経済成長率が二年連続でマイナスとなることが確実視されております。この戦後最悪の不況は区民生活にも暗い影を投げかけております。とりわけ、小規模事業者の経営環境が悪化しております。  昨年四月から自由・公正・国際化の三原則を目標に抜本的な金融システム改革、すなわち日本版金融ビッグバンが進められております。我が国の金融機関は、これまでのいわゆる護送船団方式による国の規制と保護から離れ、自由競争の世界での存亡をかけて、大規模な再編成を繰り返しております。これまで我が国を支えてきた経済のシステムが大きな転換点を迎えております。  一方、区においては自治権拡充運動の集大成である都区制度改革の実現、地方分権の推進、介護保険制度の導入のための土台づくりが緊急の課題となっております。区民の多様な活動が芽生えつつある中で、昨年十二月には特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が施行されました。区民と知恵を出し合い、協力し合って地域の課題解決を図る区民との協働が今後の区政を支える大きな原動力となってまいります。  それでは、これまでの区政に対する取り組みについて申し上げます。  第一に、基本構想の将来像を構成する三つのまちづくりの各分野に沿って、この一年の取組みについて申し上げます。  はじめに、「住みつづけられるまち」の分野についてであります。念願の高輪地区と港南地区を結ぶ品川駅東西自由通路「レインボーロード」が開通いたしました。地震等の災害に備え、倒れた建物の中から被害者を救出するために日本災害救助犬協会と、また、ボランティアの受け入れ体制等を整備するため、港区社会福祉協議会とそれぞれ協定を結びました。さらに、高齢者や障害者の避難場所を確保するために、区内のホテルと覚書を交わしました。  また、地域振興の原動力となっている商店街を活性化するために港区商店街振興組合連合会が発行する港区内共通商品券のプレミアム分について補助する「いいまち・いいみせ」商品券支援事業を実施し、全国的に注目を集めました。さらに、資金調達が困難な区内の中小企業を支援するため、昨年二月から五回にわたり緊急特別枠融資を実施いたしました。  次に、「ともに健やかにくらせるまち」の分野についてであります。障害者福祉の拠点施設「障害保健福祉センター」を開設し、各種相談や機能訓練等のデイサービス事業を行うとともに、障害者の自主的な活動を支援してまいりました。昨年九月には箱根に「大平台みなと荘」を開設いたしました。自然と触れ合い、健康を増進し、元気を回復する区民の保養施設として好評をいただいております。  次に、「いきいきとしたふれあいのあるまち」の分野についてであります。麻布地区の望ましい教育環境づくりのために城南中学校と三河台中学校を統合し、六本木中学校として開校いたしました。さらに、区民に生涯学習の場と機会を提供するため、「生涯学習センター」を開設いたしました。また、財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団の事業に新たにスポーツ振興を加え、スポーツを通じた地域コミュニティの形成を推進してまいりました。  以上、三つの分野に沿って、これまでの区政に対する取組みについて申し上げました。  第二に、基本計画の改定について申し上げます。現行基本計画の策定後、区を取り巻く状況が大きく変化し、経済情勢の先行きも不透明になりました。また、計画策定時の想定を超える区政の課題に的確に応え、安全で快適な活力ある地域社会の形成に努める必要が生じております。したがいまして、現行計画との継続性を保持しつつ、計画事業の達成状況などを考慮し、基本計画を改定することにいたしました。改定にあたっては、素案を策定する過程で区民説明会を開催するなど、幅広く区民の意見や意向の把握に努めました。その後、区議会をはじめ「区長と区政を語る会」などでご意見をいただき、二月に平成十一年度を初年度とする八ヵ年の「港区基本計画」を策定いたしました。  第三に、行財政改革の取組みであります。未曾有の財政危機に対処するため、平成九年度から十一年度までの三ヵ年を計画期間とする「財政構造改革指針」に基づき、区民並びに区議会のご理解をいただきながら、全庁挙げて財政の健全化に取り組んでおります。昨年七月には計画期間の折り返し点として、「財政構造改革中間のまとめ」を作成し、これまでの達成状況と今後に残された課題を整理し、お示しいたしました。  一方では、平成八年度から「みんなといきいき区政推進計画」に基づき、内部努力や事務事業の見直しなど行政改革の取組みを進めてまいりました。昨年四月には他の自治体に先駆け、組織機構改革を実現し、執行体制を大胆にスリム化いたしました。その結果、管理職ポストを八十から六十五へ大幅に縮小いたしました。さらに職員定数配置計画を着実に実現し、職員数六十人を削減いたしました。  今後も地域社会を取り巻く状況の大きな変化に的確に対応するためには行財政改革の不断の取り組みが必要であります。したがいまして、基礎的自治体としての港区にふさわしい区政運営を目指し、区民との協働や区民参加による区政の推進など新たな視点に立ち、平成十一年度から三ヵ年を計画期間とする「第二次みんなといきいき区政推進計画」を策定いたしました。  それでは、基本構想のまちづくりの各分野に沿って、平成十一年度の主要な事業を中心に順次申し上げます。  第一に、「住みつづけられるまち」の分野についてであります。まず、「住宅・住環境」についてであります。港区にはマンションが多く、その中には建替えの時期を迎えたものも増えております。そこでマンションの実態調査を実施し、建替えを円滑に進めるための支援策を国や東京都に要請するとともに、区としての支援体制を整えてまいります。さらに中堅ファミリー層の定住を促進するために区内でマンション等を購入する世帯に対し融資をあっせんし、利子を補給する事業の実施に向けて準備に取りかかります。区民向け住宅を確保するとともに、災害時に備えた災害対策住宅を整備するために近隣の方々の理解を得ながら港南荘の建替えを進めます。また、住宅供給を行う事業者に対し、事業費の一部を助成する都心共同住宅供給事業を虎ノ門四丁目地区を対象として実施いたします。  次に、「都市整備」についてであります。緑や水は、私たちに季節の移り変わりを知らせてくれるとともに、生活の場にうるおいを与え、街の魅力を高めてくれます。区は古川を親水性のある河川としてよみがえらせることを目指して、当面、東京都と共同で新広尾公園を整備してまいります。さらに、氷川公園の全面改修、三田台公園の用地を購入するための調査など、公園の整備を進めてまいります。  新橋・虎ノ門間の環状二号線の整備と市街地再開発事業については、昨年十二月都市計画決定が告示されました。今後、施行者である東京都に対し、青年館等跡地への事業拡大など、地域の人々の意向が反映されるよう一層働きかけてまいります。六本木一丁目西地区、六本木六丁目地区、白金一丁目東地区の市街地再開発事業については、不燃化や耐震性を向上させ、災害に強いまちづくりを目指すとともに、区民が安心して住み、働くことができる文化性の高い快適なまちとなるよう指導・誘導してまいります。  麻布十番公共駐車場は、本年六月に開業を迎えます。交通安全都市にふさわしい違法駐車の解消や地域商店街の活性化に役立つよう利用を促進してまいります。住宅市街地整備総合支援事業の対象区域内にある芝浦アイランドの整備については、全国で初めての高層住居誘導地区として指定し、住宅・都市整備公団などによる住宅建設の誘導に努めてまいります。都市計画道路についても、年度に引き続き補助七号線仙台坂上付近、補助三百十号線芝浦アイランド地区、品川駅東口地区を対象に整備し、地域の安全性と利便性を一層向上させてまいります。  現在、建設が進められている地下鉄工事については、開業に合わせ、福祉のまちづくりに配慮した高輪支所と地下鉄駅との連絡通路を設置いたします。田町駅については、東口の駅前広場を整備するとともに、新たな東西自由通路の再整備に向けて努力をしてまいります。  また、阪神・淡路大震災から既に四年の歳月が過ぎました。地域の連帯意識の有無が人間一人ひとりの生死を分けるという貴重な教訓を私たちは学習いたしました。住民防災組織と消防団や事業所、PTA等が連携する地域防災ネットワークづくりを一層推進してまいります。  次に、「地域産業」についてであります。長引く不況により区内の中小企業は一層厳しい環境に置かれております。中小企業者の資金調達を支援するための緊急特別枠融資事業を引き続き実施してまいります。新たに受注拡大設備融資事業として区内の中小工事業者に設備工事等を発注する区内の中小企業者に低利の融資をあっせんし、中小企業の活性化を支援してまいります。さらに区内の消費を喚起し、商店街を活性化するための「いいまち・いいみせ」商品券支援事業も引き続き実施いたします。  第二は、「ともに健やかにくらせるまち」の分野についてであります。  まず、福祉についてであります。福祉については、これまでの行政による措置から、行政に限らず、民間事業者やNPO、ボランティアなどによる協働の福祉へと多様に転換しつつあります。平成十二年四月から導入される介護保険制度は介護を社会全体で支え、利用者の希望を尊重した総合的なサービスが安心して受けられる仕組みを構築するものであります。今日まで高齢者の実態調査やモデル事業の実施など準備を進めておりますが、保健と福祉の一層の緊密な連携など解決しなければならない課題もあります。  本年四月には組織を改正し、執行体制を整備するなど、介護保険の円滑な導入に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。  昨年九月、飯倉福祉会館を利用されている区民の方から三億円の寄付をいただきました。このご厚意を尊重し、早期の完成を目指して飯倉福祉会館を改築してまいります。来年二月には高齢者の在宅介護サービスの拠点として、芝三丁目に高齢者在宅サービスセンター及び在宅介護支援センターが完成いたします。旧氷川小学校の校舎や校庭を活用し、特別養護老人ホームと高齢者在宅サービスセンター、あわせて児童館等の建設に向けて調査を開始いたします。  ノーマライゼーションの理念のもと、障害者が住み慣れた地域の中で自立した生活が送れるような社会の実現が求められております。これから自立を目指す障害者を、既に自立している障害者が自らの経験を活かして支援するピアカウンセリングなど障害者の自立支援体制を充実してまいります。  少子化傾向が続く中、区民が安心して子供を生み、育てられる環境を整えるため、「港区子育て支援計画」、いわゆる港区版エンゼルプランに基づき、保育園の開園時間の拡大や保育内容の充実等、子育て支援を進めてまいります。
     次に、「健康」についてであります。生涯を通じていきいきと健康に暮らすためには、区民一人ひとりが自分の健康は自分で守り、つくるという意識を持ち、努力することが大切であり、子供のときから健康に関する知識を身につけることが必要であります。そこで、「こども健康読本」を作成し、区内の小学校高学年の児童を対象に生活習慣病やエイズ、喫煙、飲酒、薬物の乱用防止などに関する正しい知識の普及に努めます。  医療法人による建設を財政的に支援してまいりました区内で最初の老人保健施設「ルネサンス麻布」がこの三月に完成いたします。住み慣れた地域で家庭復帰を目指すための施設として本年四月から事業を開始いたします。  港清掃工場の還元施設として東京都からの補助金を活用し、老朽化の著しいスポーツセンターのプール棟の改築を進めます。また、港南四丁目の都営住宅の改築に合わせ、地域の人々の交流と健康づくりのための施設を建設いたします。  次に、「環境」についてであります。今日地球規模での環境保全や資源循環型社会の実現が緊急の課題となっております。港区は平成十二年四月の清掃事業の移管に向け、リサイクルを推進し、資源を活用するため十一年度にびん・缶・古紙の家庭系の資源回収事業を区内全域に拡大してまいります。また、港清掃工場の建設にあわせて設置されたびん等の資源化施設を活用し、ごみの減量、資源の再利用を促進してまいります。  環境基本条例に基づき、区民や事業者とともに環境行動指針を策定し、さらに区が率先して環境問題に対処するため、国際的に認められた環境改善の手法であるISO一四〇〇一の認証取得を目指してまいります。区民、事業者と区が協働して清潔できれいな街をつくるために環境美化推進協議会を発足させ、地域の美化活動に貢献されている区民を表彰し、環境美化推進重点地区を指定してまいります。さらに、駅周辺などでのポイ捨て防止の意識を啓発するため、美化推進モニュメントや啓発プレートを設置いたします。  第三は、「いきいきとしたふれあいのあるまち」の分野についてであります。  まず、「文化」についてであります。  区内には祖先の貴重な文化財が数多く残されております。区民の文化財や郷土史への関心を促すことは、地域への愛着を高め、地域の絆を強めるものであります。今後とも、区民の文化財を保護する意識の育成に努めるとともに文化財を展示、公開し、郷土史を学習する区民の活動を支援いたします。  次に、「生涯学習」についてであります。  これまで懸案となっておりました区立幼稚園での三歳児保育については、昨年の「区立幼稚園配置計画の基本方針」の中で私立幼稚園と十分に協議し、段階的に実施していくことを決定いたしました。本年四月からは中之町幼稚園で三歳児保育を実施いたします。幼稚園教育の振興や子育て支援の観点から私立幼稚園の保護者に対する補助金を増額いたします。不登校の児童・生徒に対しては、一人ひとりに合わせた指導をし、学校への復帰を支援するため、適応指導教室を設置いたします。また、生涯学習に関わる施策を総合的に展開するため、生涯学習推進計画を策定するとともに、その推進体制を整備いたします。あわせて区民からの要望に応じて、職員が講師として出向く生涯学習出前講座を実施いたします。  昨年四月、統合によって新たに誕生した六本木中学校は平成十二年三月に教科ごとに特色ある専用の教室で授業を行う港区として初めての教科教室型の新校舎が完成いたします。また、幼児・児童・生徒が望ましい教育環境の中で学校生活を送れるよう、引き続き幼稚園及び小・中学校の適正規模・適正配置に取り組んでまいります。  次に、「コミュニティ」についてであります。  区の支援している財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団は、既存の制度や行政の枠を超えた新しい観点から機動的かつ弾力的なサービスを担うという設立趣旨に沿って、地域コミュニティの振興を図っております。今後とも、引き続き財団の活動が充実していくよう支援してまいります。  また、港区を含む臨海部五区が協力し、今後、不足が見込まれる火葬場に葬儀式場を併設した臨海部広域斎場の建設に取り組んでまいります。  次に、「人権」についてであります。このたび策定した基本計画では新たに「人権」という大項目を設けております。人権尊重社会の確立に向けた施策を積極的に推進するとともに、あらゆる分野へ男女がともに参画できる男女共同参画社会を目指してまいります。さらに、平和な社会を築き、平和を守る取組みを進めてまいります。  以上、基本構想の将来像を構成するまちづくりの三つの分野に沿って主要な事業を中心に申し上げました。  ところで、これらの事業を実施し、住みつづけられるまちを実現していく上で、特に重要かつ当面する課題への取組みについて申し上げます。  第一は、区民とともに歩む区政の推進であります。  区民本位の区政を実現するためには、区民とのより良い信頼関係に立って、区民の理解と協力を得ながら区政運営に取り組む必要があります。そのため区政運営の公平性を一層確保し、透明性の向上を目指し、区民に区政のさまざまな情報を積極的に提供してまいります。地方分権時代にふさわしい活力ある地域社会の実現のためには、防災対策や環境問題など地域の課題を区民とともに解決していくことが重要であります。区は、これまで果たしてきた役割を見直すとともに、区民と対等な関係に支えられた良きパートナーシップを築き、区民との協働関係を確立する必要があります。そのため、区民との協働のあり方や取り組み方法などについて具体的に検討してまいります。  また、港区内の事業者やそこで働く人々の中には社会貢献活動へ参加する意識が高まりつつあります。事業者やそこで働く人々に地域の課題に取り組むパートナーとして理解と協力を求めながら連携することも必要であります。NPOやボランティア活動等との連携も視野に入れ、区民の自主的な活動を支援し、区民との協働を積極的に進め、区民とともに二十一世紀の港区を築いてまいりたいと考えております。  第二は、自立した区政の推進であります。  区が区民に身近な自治体として自己の判断で決定し、責任を持って施策を展開していくためには国や東京都からの権限の移譲と適正な財源配分が不可欠であります。昨年五月、「地方自治法等の一部を改正する法律」が公布され、特別区の長年の悲願であった都区制度改革が平成十二年四月に実現することとなりました。今回の都区制度改革における最大の移管事業である清掃事業については昨年十二月、一般廃棄物の収集・運搬を各区が実施し、可燃物の中間処理を特別区が共同処理することで東京都と合意いたしました。これからは事務事業の移管に向け万全の準備をするとともに、都区財政調整制度の改善など税財政改革に向けた課題の解決に一層努めてまいります。  また、地方分権推進委員会は昨年までに五次にわたる勧告を提出しております。その主な内容は、国と地方公共団体との間に対等・協力の新たな関係を築くため機関委任事務を廃止し、自治事務と法定受託事務に再構築することや、国の地方公共団体に対する関与の新たなルールづくりなどであります。今通常国会には地方分権推進計画を踏まえた関連法案が提出され、地方分権もいよいよ実行段階に入ります。都区制度改革と同様、その準備を着実に進めてまいります。都区制度改革や地方分権の推進によって地域の自己決定権が高まると同時に、自己責任の原則が強く要求されます。さらに権限の移譲と財政自主権の強化に努め、基礎的な地方公共団体としての自主性・自立性の向上を目指して努力してまいります。  第三は、行財政改革の実行であります。  平成十一年度予算は財政構造改革の総仕上げの予算として歳出削減とともに歳入の確保に努め、三十億円の財源不足を解消し、財政調整基金に依存しない財政運営を定着させることができました。しかしながら、景気に左右され、国や東京都の財政運営に大きな影響を受ける区の財政は、今後とも健全化を目指す必要があります。平成八年度から三ヵ年にわたる「みんなといきいき区政推進計画」が節目を迎え、「第二次みんなといきいき区政推進計画」へとさらに引き継ぐことにいたします。区民をはじめ、区議会の皆様のこれまでのご理解とご協力に心から感謝申し上げます。  今後とも、区民福祉の一層の増進に向けて、組織の簡素化、効率化や職員数の削減など、内部努力を一層徹底し、二十一世紀の地方分権、いや、地方主権の時代にふさわしい執行体制を確立してまいります。さらに、区民との協働関係の確立や、区民の視点に立った行政サービスの推進など二十一世紀の港区にふさわしい行財政システムの確立を目指し、行財政改革を引き続き積極的に推進し、活力ある簡素で効率的な区政運営を目指してまいります。  最後に、これからの港区を展望して一言申し上げます。  いよいよ来年は西暦二〇〇〇年であります。自治体にとって地方分権の推進、介護保険制度の導入など歴史的大変革の年となります。特別区にはさらに都区制度改革が加わります。まさしく自治体ビッグバンの到来であります。地方分権は明治以来百三十年余の中央集権体制を改革し、国と地方公共団体を対等・協力の関係に再構築するものであります。区は都区制度改革の実現と相まって、国や東京都と対等の区民に身近な政府として、これまで以上に地域の特性にかなった施策を展開していく責任が生じます。いよいよ個性豊かな地域づくりを目指す時代に入ってまいります。「先駆都市・港区」を目指して、これからも地域のさまざまな問題に先駆的に取り組み、さすが港区と言われる誇りと名誉を大切に努力してまいります。  しかし、区政を航海に例えますと、これからの航行は必ずしも順風満帆とは申せません。自治体ビッグバンが進む中、逆巻く荒波の中を進まなければならないこともあります。厳しい状況にあらばこそ、困難な課題に堂々と立ち向かっていく気概と勇気が必要であります。私は、今後とも「区民本位の区政」、「やさしさと思いやりのある区政」、「将来を展望した夢のある区政」、この三つの基本姿勢を堅持しつつ、変革の時代に対応した区政運営に取り組んでまいります。そうして、基本構想が港区の将来像として掲げる「やわらかな生活都心−住みつづけられるまち・港区−」を目指し、日に日に新たな気持ちで努力をいたします。区民並びに区議会の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。  以上をもちまして、私の所信とさせていただきます。 ○議長(真下政義君) 区の一般事務について質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。十九番井筒宣弘君。   〔十九番(井筒宣弘君)登壇、拍手〕 ○十九番(井筒宣弘君) ただいま名誉ある港区議会の真下議長から発言のお許しをいただきましたので、二十一世紀を目前に控え、世紀末の平成十一年第一回定例会に臨むにあたり、私は、港区議会最大会派の自民党議員団を代表しまして、菅谷区長、中村教育長に質問させていただきます。  こうして改めて演壇から議席を見渡しますと、二十九番の席に先ほど黙とうを捧げました菅野一議員の姿が見当たらないことに気がつきます。机の上の一輪の花がいかにもあの優しい笑顔のようにほほえんでいるように感じます。私より一期先輩の昭和五十八年当選以来四期にわたり、一貫して地域住民の代表として、そのもてる力を十二分に発揮してご活躍なされました。今ごろは、天国で港区議会に思いをはせていることでしょう。  天国に行くと三つのことに驚くという言葉があります。一つは、来ているはずの人が来ていないことに驚く。二つ目は、絶対に天国にいないと思っていた人が来ていて驚く。そして三つ目は、そんな自分も天国に来ていることを知って驚くの三つであります。これは人の本当の姿はわからないことの例えですが、菅野先生は今ごろ何に驚いているでしょうか。  十五万港区民のために働いている一人の議員として、衷心よりご冥福をお祈りいたします。  それでは、ただいまから質問に入りますが、私の頭で考え、私の言葉で質問いたしますので、簡潔で役所言葉でないわかりやすいお答えを心から期待するものであります。  それでは、本題に入りたいと思います。  まず最初の質問は、先ほどの所信表明で述べられておりました全国三千三百余りの地方自治体をリードする「先駆都市・港区」を新しい世紀へ橋渡しをする、大変意義のある区長として、新しい時代の区長像について、区長の素直なお考えを伺いたいと思います。  私は常々、区長には四つの顔があると考えております。一つは政治家の顔です。区長も我々議員と同じく十五万人の区民から公選された代表者であります。区民の代表者として、区民の利益、地域の利益を最大化する役割を担っております。第二の顔は経営者というか、社長の顔です。特別会計を含めて一千億の予算規模のもと、職員数二千五百名余りを率いる組織の経営者として、区民の信託に応える顔であります。三つ目の顔は、特別区区長会の構成員としての顔であります。他の二十二区の区長に勝るとも劣らぬ、何ら遜色のない卓越した手腕を持って会議体に参画する顔でございます。  最後の顔は外交官としての顔であります。言わずとしれた国際都市港区は、外国大使館が多数あり、また外国人の方々もたくさん住んでおり、中国北京市朝陽区をはじめ、国際交流が大変盛んであります。公式、非公式な席をはじめ、外国の方と接するときの顔であります。私が考える四つの顔、それぞれについて区長の感想と、今後どのような理念のもと、考え、行動されるのか、ご披露願いたいと思います。  次は、予算に関して質問いたします。平成十一年度予算は、今定例会で審議いたしますが、議案となる前の予算編成について伺います。私がここであえて申し上げるまでもなく、予算とは一定期間中、いわゆる当該年度の行政活動の財政的計画であると同時に、住民に対してどのような行政施策が実施されるかを一覧表にして表し、住民の納めた税金がどう使われ、還元されようとしているかを示すものであります。  予算編成の流れは、区の最高意思決定機関である庁議において決定された予算編成方針に基づき、それぞれの所管課が予算見積もりを財政当局に提出し、その後、各担当レベルや部課長のヒアリングを経て、その後、区長査定の後、予算案としてまとめられ、議案として議会に提出され、審議されるわけでございます。まさしく予算編成は区長の政策理念を自らの手で具体化し得る最も重要な場面ではないでしょうか。私は、この一連の予算編成の流れにおいて、予算査定に着目し、区長査定の前段として、だれがどのように、またどのような考え・基準に基づき、そしてどのような点に留意して査定を行っているのか、そして、最後の区長査定において、区長はどのように査定を行っているのか。予算の調製権者、議会への提案権者である区長にお尋ねしたいわけであります。  こうした区の予算編成過程は、区民にとっても不透明でわかりにくいものであります。そこで私は、予算や財政に関する情報公開を積極的に進め、区民は区政の主体であるという発想から、公聴会のような区民の声を聞く機会を積極的に活用し、予算編成過程にできるだけ区民の意思が反映されるよう努めることが肝要と思いますが、区長はいかがお考えでしょうか。  また、予算査定には常に新しい見方、考え方を入れるべきと考えておりますが、査定の結果により所管課の事業運営に支障が生じることも当然考えられるわけでございますが、区が提供する公共サービスが区民の生活にどのような効果をもたらしているか。歳入の大宗を占める特別区税の増収が見込めない中、減量化過程でそのしわ寄せが区民に及ばなかったかどうか。また、組織の士気が低下することがなかったか。時代が求めている行政需要を切り捨ててしまわなかったかどうかについて、それぞれの所管課からの当初予算見積もりと比較し、多面的かつトータル的な評価をし、区民の前に明らかにすべきと考えますが、ご所見を伺います。  次の質問は行政改革についての質問であります。  昨年の四月に簡素で効率的な区行政の執行体制を目指して大規模な組織、機構改革が実施されました。新しい組織になり、はや一年が経過するわけですが、区長は現在どのように評価しているか、忌憚のない感想をお聞かせください。  一方、港区版の行政改革大綱であります、「みんなといきいき区政推進計画」に基づき、全庁一丸となって行政改革に取り組んでいることには素直に評価したいと考えます。しかし、なお一層の事務事業の見直し、区民サービスの向上を目指して、さらなる改革が今求められております。このような中で、第二次の「みんなといきいき区政推進計画」が策定されました。この計画の着実な推進に大いに期待するところであります。  私は、内部努力中心の改革ではもう限界に来ていると感じております。今こそ議会と行政が一体となって根底から改革することが必要ではないでしょうか。そこで、区長にお尋ねいたしますが、計画を着実に推進していくためには、区民の理解と協力が不可欠であると考えます。その目的達成のため、どのようなことを考えていらっしゃるのか、具体的な方策を伺います。  地域社会の変化、区民意識の変化に伴い、行政需要が多様化しております。このような区政を取り巻く環境の中で、区民は従来にも増して、「みんなといきいき区政推進計画」を着実に実現するという区長の気迫、それを区民は待望しております。区長は、不退転の決意を持って職員の先頭に立って旗を振る気迫をお示しになる必要があると考えますが、区長はいかがお考えになるか。どうぞご遠慮なくお答えをいただきたいと思います。  現在、我が区が当面する難局を前にして、私は一層その感を強くする次第であります。以前、私がしたカエルの話を思い出してください。どうか機を逸することなくご尽力されることを希望しております。自民党議員団は粉骨砕身、全面的な協力を惜しむものではありません。  次の質問は、区税等公金の収納システムについての質問です。  納税制度、国民健康保険の制度、国民年金の制度は、国民一人ひとりが十分に自覚し、支え、維持、さらには発展させるべきであろうと思います。その基本は信頼であり、公平であります。それぞれについて特別の事情、理由がある場合はともかく、納める人と納めない人、支払う人と支払わない人があることを放置することは許されません。これらの三公金の徴収率は、港区は大変悪い結果になっております。区税について申せば八〇・八%で、新宿区に次いで二十二番目です。一番徴収率の高い杉並区の徴収率は九〇・一%ですから、一〇%近く悪い徴収状況です。そして、二十三区平均徴収率の八七・五%になれば、港区の財政運営に大きな力になります。  国民年金については検認率は二十三区中八番目に悪い七六%です。一番良い千代田区では九一%ですから、一五%もの差があることになります。また、国民健康保険については、現年分だけでは、八五%と二割近くの未納があります。ここ数年二十三区中では最悪の状態が続いているところでございます。これらの数字を他の都心区と比較しても、さらには類似区と比較しても何ら共通することがありません。つまり、都心区であるからとか、また、十五万人前後の人口の区であるという理由はないということです。結局、港区独自の現象ということになります。もちろん、港区としても工夫、努力はそれなりにしていることは承知していますが、その実効は上がっていないのが現状です。とにかく最低のラインであります。  昨年十月から国民健康保険で徴収嘱託員制度を採用いたしました。そして、その結果は大変良い成績と聞いております。しかし、このことを考えてみますと、理解に苦しむものがあります。つまり、職員にはできないが、嘱託員にはできるということは、一体どう理解したら良いかということであります。つまるところ、要はやる気があるかどうかということであるように思われます。徴収率、収納率などについては、職員の意識、住民の意識、組織の問題、景気の動向、制度の問題などその他いろいろ考えられます。いずれにしても、総合的見地に立って、組織を挙げて対策を講ずるべきであります。  本日は組織について申し上げますが、それは集金課という専門の組織をつくることではないでしょうか。行革の時代でもあります。行政費用の大きな削減になります。一軒の家に同じ区役所の職員の方が朝昼晩と入れ替わり立ち替わり出かけるむだがなくなり、効率的だろうと思います。もちろん、これには法的な問題、制度の問題、優先順位の問題など当然考えられるわけでありますが、法の趣旨、公平性、効率性などを考えますと、やはり英断をもって実行すべきではないでしょうか。区長の所見をお伺いいたします。  昨年の地球温暖化防止京都会議でも見られましたように、環境保全に関する要請は世界的な盛り上がりを見せ、資源循環型社会への転換を迫る動きも年々とどまるところを知らない潮流になってまいりました。  しかるに、我が国の一般廃棄物の排出量は、平成五年度時点で五千万トンに達し、そのほとんどがリサイクルに寄与せずに最終処分場に持ち込まれるために、最終処分場の残余年数はわずか八・一年にすぎないと言われております。中でも最終処分場の払底が叫ばれて久しい東京都では、事業系一般廃棄物と産業廃棄物を除いた排出量が、全国排出量の八%に相当する約四百万トンに達しております。この中でペットボトルを除く一般廃棄プラスチックは、構成比で一〇%、量で四十四万トンを占めると都では分析しています。このような背景のもとに、都では目下二十三区への清掃事業移管に伴い、清掃事業、リサイクル事業を一体的に実施できる方向を目指して、リサイクル推進計画を進めておりますが、「その他プラスチック」のリサイクルに関しては、どのような具体的施策がなされるでしょうか。そこで各区でも清掃事業の移管に伴い、独自のリサイクルシステムづくりを進めることになり、表題の協議会の設立を準備中でございます。  ご承知のとおり、ペットボトルのリサイクルを開始するに当たり、都は容器包装リサイクル法で定められた特定事業者の義務量の範囲を超えた独自の「東京ルール」を施行しました。「その他プラスチック」のリサイクルでは、新たなルールづくりが必要と考えられます。また、リサイクル技術に関しても現在認定されている油化、高炉還元剤以外にも幾つかの技術が早晩認定される方向にあります。  そこで、資源回収についてお尋ねいたします。港区では四月一日から古紙・びん・缶の資源回収を区内全域で週一回行うとともに、可燃ごみの収集を週三回から二回に変更する、いわゆる「東京ルールI」を実施することとしております。そのために町会や自治会に区と清掃事務所の職員が説明会に出席したり、チラシの配布などされているようであります。環境を保全するためには、私たちの日常生活や事業活動などを通して、いま一度見直しを行い、心がけていかなければならないことが多くあります。例えば、余分のものは買わない。電気などのエネルギーの節減に努める。車のアイドリングをしない。そしてごみを捨てる前には資源化できるものは徹底して分別し、再生品化、あるいはエネルギー化することであります。このようなことは、少し気をつければすぐにできることであります。  そこで私は環境保全の観点から資源回収に絞ってお尋ねしたいと思います。この「東京ルールI」を港区が実施することになった背景、あるいは考え方として、ごみ減量化による東京湾最終処分場の延命化や、リサイクルへ、単身者や時間が制約的な区民が参加しやすいこと、清掃事業の移管を前にしてのごみ減量のためのシステムの構築等が考えられます。  二十三区の中では既に品川区と足立区が区内全域で「東京ルールI」により、びんと缶、それに古紙を回収しており、四月から港区と同様、文京区が「東京ルールI」を行うとのことであります。東京都は、二十三区全域でこの「東京ルールI」を行いたいと表明していますが、必ずしも区側の協力は得られていないようであります。その理由としては、既存の集団回収システム等への影響や清掃事務所による直営システムへの抵抗が区側にあるようです。このような状況の中で、なぜ港区は、見方によっては拙速をとうとぶとも言える決断をされたのかとも思いますが、現在の環境問題を考えると、先駆的決断をされたように受けとめております。口で環境問題を言うのは簡単なことですが、実行は簡単なことではありません。菅谷区長がこのような時期に、平成十一年度予算編成で不況に打ち克つための緊急対策の次に、環境にやさしい区政の推進のための予算を手厚く組まれたことを、自民党議員団として高く評価したいと思います。  そこで二点お伺いいたします。  一点目は、「東京ルールI」の実施体制についてお伺いいたします。清掃事業の移管を一年後に控えた現在では、東京都清掃局の清掃事務所が清掃事業の一環としてこの資源回収を実施するわけであります。一方、港区は集団回収、拠点回収、分別回収などの独自の資源回収事業を行ってきております。したがって、一見すると、東京都と港区が同じ港区内で資源回収をばらばらにやっていくように思えるのであります。区民にとってわかりやすい、参加しやすいシステムでなければなりません。港区と清掃事務所との連携、あるいは協力体制はどのようになされているのでありしましょうか。区民の立場からすれば、何をどのようにして、いつ、どこへ出したら良いのかがわかりやすくなくては混乱することになります。「東京ルールI」は区内全域で準備期間が少ない中で実施するとのことでありますので、万全な配慮をあわせて要望するものであります。  資源回収の二点目の質問は、回収の見込量についてであります。従来、港区が取り組んできた資源回収方法による量はどの程度であり、「東京ルールI」による十一年度の回収量はどの程度見込まれているかということであります。既に九、十年度のモデル実験の検証結果から、港区では資源化率はモデル地域では二四%程度であり、かなりの効果が期待できます。ごみの減量努力は、区民、行政に課せられた重要な使命であります。現在のままごみ削減の努力をしないでいると、今後の環境問題や財政負担の面でも大きな代償を支払うことが予想されます。ごみが多ければ、当然、職員の定数も削減不可能であり、行政改革の趣旨からもかけ離れて公的部門の役割が増大していくことになります。そのためにも、これからはごみそのものを出さない。出したら、その中から資源物は分別を徹底してリサイクルをしていくというルールがきちんと守られなければなりません。そのことを強く申し上げて、次の質問に入ります。  次の質問は、区長と都知事の関係について質問いたします。  今年は、四年に一度の統一地方選挙の年であります。青島都知事の突然の不出馬宣言により、首都東京に新しい知事が誕生することになりました。青島知事の評価や、だれが都知事にふさわしいか述べることは控えますが、いずれにせよ、選挙結果は九百六十万有権者の審判にゆだねられることになりました。  そこで区長にお尋ねいたしますが、区長は新しく誕生する都知事、だれがなるかわかりませんが、都知事との関係について、どのような関係を構築していこうと考えているのか。希望でも結構ですから、お考えをお伺いいたします。  二〇〇〇年、来年の四月ですけれども、都区制度改革の実現により、名実ともに港区は基礎的な普通地方公共団体になります。二十三区一体の統一行政から各区の独自性や自主性の発揮がますます求められます。同じ地方公共団体の首長として、都知事と対等に伍していくためには、区長の以前にも増した交渉力や行動力が不可欠と考えますが、区長の決意のほどをお聞かせください。  次に、教育長に中学校教育のあり方について質問いたします。  教育の井筒と言われて久しいわけでございますが、教育の分野については大変範囲が広く、とても短い時間で質問できるものではありません。今回は、中学校教育のあり方というテーマに絞って質問させていただきます。昨年は、港区立の中学校において不幸な事件が発生した年でありました。特に最近はいじめ、不登校、むかつく、キレルといったように、生徒と中学校は絶えず問題を抱えており、大変憂慮すべき事態であります。  昨年の十月三十日、有楽町の東京国際フォーラムにおいて開かれた全国中学校長会にご臨席された天皇陛下は「教える者と教えられる者との心の触れ合いを大切にしつつ、人々の期待に応えていくことを願います。」とお言葉を述べられました。会場を埋め尽くした校長の心にはどのように響いたことでしょう。教育問題は、学校・家庭・地域が一体となって取り組むことが重要であると異口同音に言われます。私も教師と生徒の心の通った教育が大切であると常々感じているところであります。学校の役割は、子供たちの変化に伴い、それに合わせて学校も教師も変わらなければならないと考えますが、教育長はいかがお考えでございますか。  教育の地方分権化とも言うべき中教審の答申「自ら学び、自ら考え、主体的に判断する力をはぐくむ」「開かれた学校」、また、新学習指導要領の「特色ある学校づくり」「総合的な学習を新設」といったように、二十一世紀に向けた「教育改革」の方策が打ち出されております。港区教育委員会としては、それらの目標に対してどう実現していこうとしているのか。簡単で結構ですのでお答え願います。また、二〇〇二年から実施される新学習指導要領を前にして、何か新しいことを計画されているようでしたら、併せてご披露願います。  最後に、地方分権と議会について、私の考えを述べさせていただきます。地方自治法制定五十年が経過した平成九年、地方分権推進法が制定され、その勧告に基づき、明治維新、戦後改革を経て第三の改革である地方分権が着実に進められております。地方議会は、分権の担い手として、住民の期待に応える住民自治実現のため奮起しなければなりません。また、議会の役割が増大する中で、議員としての職責も変わってくるものと考えられます。地方議会は首長とともに、地域住民の代表として自治体の運営に責任を持っていると言っても過言ではないでしょう。分権改革が進みつつある今日、自治体の議会と議員は、本来の機能をどのように発揮して、地域住民の負託に応えることができるのか。その具体的な方策は何かが改めて問われるのであります。  私は、昭和六十二年に区議会議員に初当選以来、連続三期務めることができました。これもひとえに区民の皆様、並びに先輩、同僚議員の皆様のおかげであったと感謝しております。その間、常任委員会の委員長をはじめ、現在は運営委員長を務めさせていただいております。分権時代の到来を迎え、このすばらしい港区議会の伝統を守り、より一層充実させるため、私は第十四期の港区議会を構成する議員になりましたら、たゆまぬ努力と研鑽により資質を磨き、港区議会発展のため、微力ではありますが、誠心誠意、努力する所存であります。  以上で私の質問を終わります。  最後までご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。   〔区長(菅谷眞一君)登壇〕 ○区長(菅谷眞一君) ただいまの自民党議員団を代表しての井筒宣弘議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、新しい時代の区長像についてのお尋ねであります。  区長である私には、ご指摘のとおり、十五万区民の代表者や区の経営者、特別区区長会の構成員、国際交流のための外交官としての顔があります。また、もとをただせば一人の区民としての顔もあります。どの立場にも共通することは、区民のだれもが安心して、住みつづけられるまち、将来に夢のもてる港区の実現に向け、日夜、新たな気持ちで努力することが求められます。  時代の先行きは不透明でありますが、私は、今後の区政運営に当たって、「区民本位の区政」、「やさしさと思いやりのある区政」、「将来を展望した夢のある区政」、この三つの基本姿勢を堅持し、区民の信頼と期待に応えるよう、地域のさまざまな問題に先駆的に取り組んでまいります。  次に、予算編成についてのお尋ねであります。  まず、区民の意見の反映についてであります。区民の声を直接聴く機会としては、区長と区政を語る会や区政モニター懇談会などがあります。私は、こうした区民の声や議会、各種団体のご意見、ご要望などを十分踏まえながら予算編成に取り組んでおります。今後とも予算編成に当たっては、世論調査の結果を的確に分析し施策に生かしていくなど、さまざまな機会を活用しながら、ご指摘のように、区民の意見を反映できるよう心がけてまいります。  次に、予算の評価と区民への公表についてのお尋ねであります。  区民とのよりよい信頼関係を築くためには、区政のさまざまな情報を積極的に提供していくことが必要であります。予算についても、ご指摘のとおり、多面的かつトータルな評価を区民の前に明らかにすることは重要であると考えております。このため、財政状況に関しては、定期的に年二回公表しております。  また、現在取り組んでいる財政構造改革を達成するためには、区民のご理解とご協力が不可欠であることから、昨年、「財政構造改革中間のまとめ」を作成し、「広報みなと」にも掲載いたしました。平成十一年度予算の発表に当たっても、区としての評価がわかりやすく区民に伝わるよう、予算概要の内容を見直し、新たに「予算のポイント」などについての説明を加えました。今後とも区財政への理解を深めていただけるよう、財政状況や予算の内容をわかりやすくお知らせしてまいります。  次に、行政改革についてのお尋ねであります。  まず、組織機構改革の評価についてであります。昨年四月の機構改革で、私は、思い切った簡素で効率的な執行体制を実現いたしました。同時に、区民の皆さんにとってわかりやすい組織、清掃事業を初めとする新しい行政需要に的確に対応できる、時代の変化を先取りした組織を目指しました。私としては、おおむねわかりやすく、機動性の高い組織を実現し、効果的に運営できたと考えております。また、東京都や他の特別区の組織改正の内容が報道されるにつけ、改めて他の自治体に先駆ける施策として、大胆にスリム化した組織機構改革を内外にアピールできたと考えております。今後とも地方分権の推進や都区制度改革など、時代の変化に的確に対応できるよう組織機構の簡素化、効率化に努めてまいります。  次に、行政改革推進のための具体的方策についてのお尋ねであります。  社会経済情勢の変化や区民の要望に的確に応えていくためには、行政改革に積極的に取り組み、区民の理解と協力のもと、区政運営の簡素化、効率化を一層推進する必要があります。このため、開かれた・分かりやすい区政の実現を目指し、外部監査制度の導入をはじめ、区政運営のさまざまな情報の提供や区政の諸活動を説明する責任を果たしていくことなど、区政運営の公正の確保と透明性の向上に取り組んでまいります。あわせて区民協働の視点を重視し、区民が区政運営に参加できる仕組みづくりなど、「区民本位の区政」の実現を目指してまいります。  次に、「みんなといきいき区政推進計画」の実現についてのお尋ねであります。  私は、平成八年一月、港区版・行政改革大綱「みんなといきいき区政推進計画」を策定し、今日まで積極的に行政改革を推進してまいりました。今後、都区制度改革、地方分権、介護保険制度などの実施や区民要望の多様化に適切に対応していくためには、行政改革の不断の取り組みによる区政の刷新が不可欠であります。このため、本年二月、地方分権時代にふさわしい、活力ある簡素で効率的な区政運営の実現を目指し、「第二次みんなといきいき区政推進計画」を策定いたしました。もとより、行政改革の実現には、職員一人ひとりの意識改革と日々の努力の積み重ねが重要であります。私は、職員の先頭に立ち、リーダーシップを発揮し、本計画の実現に誠心誠意取り組んでまいります。  次に、公金の収納システムについてのお尋ねであります。  税や保険料の収納は、確実かつ公平であり、また、効率性が求められております。収納部門のあり方については、平成十年四月から、納税課、国民健康保険課、国民年金課が区民生活部に再編成されたのを契機に検討を始めております。収納部門の一元化に当たっては、それぞれの法体系や制度の違いから、多くの解決しなければならない課題があります。現在、平成十二年四月を目途に、国民健康保険課、国民年金課の組織統合を予定しております。これらの状況を踏まえ、公金取扱い部門がともに連携し、効果的な収納方法について検討してまいります。  次に、資源回収についてのお尋ねであります。  まず、「東京ルールI」の実施体制についてであります。平成十二年四月からの清掃事業の実施に当たり、資源循環型社会を目指した資源回収事業の取り組みは不可欠であります。区では、平成六年度から月二回の分別回収の拡大に努めるほか、集団回収や拠点回収などのさまざまな事業を実施してまいりました。平成十一年四月の「東京ルールI」実施に向けて区は、広報紙によるPRに努めております。と同時に、清掃事務所と連携し、地元説明会や個別の説明など十分な周知に努め、事業の混乱が生じないよう万全を期しております。  また、事業の実施に当たり、民間事業者の活用を図るとともに、区民の理解と協力を得ながら、円滑な事業の実施に向けて体制を整備してまいります。  次に、資源回収量の見込みについてのお尋ねであります。  ご指摘のとおり、今後ごみの減量に努めることは、区の重要な使命であります。平成九年三月に策定した港区リサイクル推進計画では、平成十一年度の年間資源回収量を約千八百トンとしております。この四月から「東京ルールI」を区内全域で実施した場合には、びん・缶・古紙で約一万三千二百トンの回収量が見込まれます。したがいまして、この「東京ルールI」を実施することにより、資源回収量は大幅に増え、より一層ごみの減量が期待できるものと確信しております。
     最後に、区長と都知事との関係についてのお尋ねであります。  特別区の長年の悲願であった都区制度改革が平成十二年四月に実現し、区は制度上も東京都の内部団体から基礎的自治体に位置付けられます。区は、自主性、自立性を高め、国や東京都と対等の、区民に最も身近な政府として、これまで以上に地域の特性を踏まえた施策を展開する必要があります。  区長と都知事は、ともに区民、都民によって直接選挙により選ばれた立場であります。お互いに自主、自立、対等、協力という新たな関係を基本に、ともに地方自治の担い手として、住民福祉の向上のため、さまざまな課題に積極的に取り組んでいくことになります。私は、地方主権の時代の区長として、その責任の重さを一層痛感し、区民の期待に応え、信頼される区政の推進に努力していく決意であります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  なお、教育にかかわる問題については、引き続き教育長から答弁いたします。   〔教育長(中村勝弘君)登壇〕 ○教育長(中村勝弘君) ただいまの自民党議員団を代表しての井筒宣弘議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、「中学校教育の在り方」についてのお尋ねであります。  まず、「中学校教育の役割」についてであります。中学校教育の目的は、小学校における教育の基盤の上に、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと、個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと、また、公正な判断力を養うことなどが挙げられています。中学校教育の役割は、こうした目的を達成するために、徳・知・体のバランスのとれた教育を展開し、豊かな人間性を育成することにあると言えます。ご指摘のように、教師をはじめとするさまざまな人との温かな心のふれあいを体験することは、豊かな人間性の育成に大きな意味を持つものと考えます。社会がどのように変化しようと、教師と生徒の心の通い合いなくして教育は成り立たないと考えます。こうした教育の普遍ともいうべき部分をさらに充実させると同時に、子供たちの変化に対しては、学校も教師もそのニーズに応じて柔軟な対応をすることが大切であると考えます。思春期前期の多感なこの時期を、学校・家庭・地域が一体になって育てていきたいと考えております。  最後に、「教育改革と新学習指導要領への対応について」のお尋ねであります。  第十五期中央教育審議会の答申を受け、区では、「真の学びの舎」としての学校を実現する努力をしております。教員の資質・能力の向上を図る研修の充実、国際化、情報化に対応する学校教育の質的改善、さらに総合的な学習の時間の開設を見通した実践指導資料等の作成を進めております。  さらに、家庭や地域との連携を基盤にした「開かれた学校づくり」や地域の人材を活用するための人材バンクの整備等、子供たちの変化に対応した取り組みを進めております。また、平成十四年度からの新学習指導要領の全面実施に向けて、新教育課程研究委員会を発足させ、教育課程編成資料等の作成にも着手いたしました。今、教育は量から質へ、抽象から具体へ、間接から直接体験へ、その質的転換が迫られています。来るべき二十一世紀をたくましく生き抜く子供たちの育成に一層努めてまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○議長(真下政義君) 十六番滝川嶂之君。   〔十六番(滝川嶂之)登壇、拍手〕 ○十六番(滝川嶂之君) 平成十一年第一回定例会に当たり、港区民クラブを代表して、当面の重要課題につきまして質問いたします。区長及び教育長の明快なるご答弁をお願いいたします。  最近、新聞やテレビを通じて、よく「成熟社会」という言葉を見聞きします。成熟社会の定義そのものは、まだまだ熟し切れたとは言えませんが、私なりに考えますには、いわゆる右肩上がりの時代が終わりを告げ、少子高齢化や人口減少、経済の低成長とサービス化、価値観の多様化、自然環境の重視、情報化の進展などを要素とした、これからのトータルな社会像をイメージするものだと認識しております。  こうした成熟社会を迎えるに当たって、現在は、日本の社会全体がまさに転換への苦しみを味わっている時期だと思うのです。これまで営々として築き上げられてきたさまざまな社会経済システムは制度疲労を起こし始め、その仕組みや運用のあり方が根本までさかのぼって問い直されています。例えば、行政改革、財政構造改革、金融システム改革、社会保障制度改革など枚挙にいとまがありません。  私は、地域医療に従事する者でもありますが、最近、医療の現場においても新たな動き、インフォームド・コンセントという考え方が非常に重要視されてきました。ご承知のように、これは状況をしっかりと把握した上で、患者さんに対して、病状やそれに対する治療方法の選択肢等を事前にきちんと説明し、患者さんの理解と合意を得ながら、適時適切な対応をしようとするものです。患者さんと医師とのさらなる信頼関係づくりの一つだと思います。そうした関係があるからこそ、患者さんも本当に納得して、苦い薬を飲んだり、体にメスを入れることにも理解が得られるのではないでしょうか。  私は、自治体運営も、ある意味ではこうした医師と患者との信頼関係に似たものがあるのではないかと思えるのです。最近の行政を取り巻く情勢を見ると、変革という大きなうねりがピークに達しています。二〇〇一年の省庁再編に代表される行財政改革の推進、長年の懸案だった情報公開法案の今通常国会成立の見通しなど、行財政運営に当たっての基軸が大きく変革しつつあります。地方自治に目を向けても、「行財政改革」「地方分権」「情報公開」「介護保険」等をキーワードとして、現存する「人、もの、金、情報」といった地域資源をいかに効率的・効果的に活用していくか、これまで以上に自治体の経営手腕が問われています。  併せて、自己決定と自己責任の原則を軸に据えながら、住民ニーズを的確に把握し、住民との協働関係を着実に築き上げていくかがポイントとなってきております。こうした中で、区は、改定基本計画や十一・十二年度実施計画、さらには第二次いきいき推進計画を発表いたしました。これらは今後の区政運営の道筋を示す一つのビジョンであり、私は、区民と区政を結び付けるとても重要な処方せんを示されたと思います。  そこでお伺いしますが、最近のようなかつて経験がしたことがないほど厳しい行財政環境における行政運営は並大抵のことではありません。このような状況だからこそ、なおさら区長の確固たるリーダーシップと経営手腕が問われているのです。十五万区民の夢と希望を乗せた、この「港丸」を今後どのように舵取りしていくのか。改めて区長の決意をお聞きしたいと思います。  次に、十一年度予算案についてお伺いします。  先般、区は十一年度予算案を示されました。今回の予算編成の基本的な考え方を見ると、十一年度予算は、港区における財政構造改革総仕上げの予算として位置付けられています。他の多くの自治体では、最近になって現在の財政構造の欠陥に慌て、軒並み前年度歳出予算規模を下回るという苦渋に満ちた予算編成を強いられているように思います。ところが、港区では、既に三年前からいち早く財政構造改革への取り組みに着手し、十一年度予算編成においては、当初見込まれていた三十億円の財源不足を解消した上で、一般会計ベースで前年度五・一%増の予算を組んでいます。その具体的な中身を見ても、我が会派がこれまで事前の予算要望や議会における質疑を通じて求めてきました商品券発行支援の継続、緊急特別枠融資の拡大など景気浮揚のための産業振興策、さらには環境対策等の当面の緊急課題にも配慮されたものとなっているように思います。厳しい情勢ながらも、非常にめり張りの効いた予算として大いに評価するとともに、財政構造改革にいち早く取り組んだ区長の先見性に敬意を表したいと思います。  また、この間、区長の陣頭指揮のもとで、職員の方々が一丸となって、より一層の内部努力の徹底、創意工夫による執行体制の見直し、事務事業の見直しに取り組まれてきた結果だと思います。  そこで、お伺いしますが、区長は、この三年間、まさに血のにじむような努力をされたことと拝察します。財政の健全化に関して、この二年間にはできなかった新たな取り組みを十一年度予算で行っているものがあるとすれば、どのような点かお聞かせいただきたいと思います。いずれにしても、これまでの皆さんの労を多としながらも、見方をかえれば、財政構造改革は一つの軌道に乗ったにすぎません。引き続き厳しい社会経済情勢が予想される中では、より一層の創意工夫が求められます。例えば、職員定数の削減は現行計画が完了するまで、あと七年間もあるのです。その他、具体的な事項については、今後予算特別委員会においても審議されると思いますので、これまでの取り組みをさらに継続・発展させていただけることを切望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  次に、都区制度改革について伺います。  ご承知のように、昨年五月に地方自治法の一部改正が行われ、平成十二年四月より、特別区は法律上明確に基礎的な地方公共団体として位置付けられることになりました。法的には大きく前進したところですが、実際に基礎的な地方公共団体に移行するにあたっては、幾つかクリアしなければならない課題があることもご承知のとおりです。事業移管にかかわるもので最大の課題でありました清掃事業については、さまざまな紆余曲折があったものの、何とか関係者間の合意が得られ、今日しっかりとした道筋が見えたところでございます。  しかしながら、もう一つの課題である税財政制度の見直しについては、いまだに検討途上であり、最終的な姿がはっきりしていません。制度改革実施まで残すところわずか一年となった現在、一体どういう方向で決着が図られていくのでしょうか。我々区側から見れば、現行の都区財政調整制度の財源となっている調整三税、さらには都市計画税は、もともと区の固有財源ではないかという認識が強く、財調制度によって自主財源の確保が思うようにならないというのが実感であります。こうした中で、今回の見直しによって、都区財調制度がどのように変わるのか、言葉を換えれば、今後の区の財源確保をどのように図っていくのかが地方主権を実現するための試金石となります。  現在、都区の検討会の場では、都区間の財源配分のもとになる大都市事務の範囲について、都区間でなかなか合意が得られず、現行の財源配分割合である調整税率四四%をめぐり、都区双方の見解に大きな隔たりがあるやに聞いています。十二年四月の制度改革に間に合うのか。時間切れで区側に不利な結果になってしまうのではないかと危惧せざるを得ません。  そこで区長に伺いますが、現在、税財政制度の見直しに当たって、何が問題なのか。また、具体的な内容がいつごろ確定するのか、現段階での見込みで結構ですから、お聞かせいただきたいと思います。  次に、行財政改革について何点かお伺いします。  これまでも各常任委員会において、「第二次みんなといきいき区政推進計画」に関して質疑を重ねてきました。行財政改革というと、何となく節約・抑制・リストラといったイメージが先行し、定数削減や経費削減といった量的な面での縮小均衡ばかりが取り上げられがちです。実際的にも、これまで何度が行政改革が取りざたされた時期がありましたが、結果的に若干の定数や経費の削減で終わってしまったことも事実です。しかし、これからの行財政改革とは、地域特性を踏まえながら、住民ニーズを的確にとらえ、いかに質的向上を図っていくかという視点がこれまで以上に重要になってくるものと考えます。つまり、地域住民と行政が一体となった協働体制をどのように構築していくのか。まさに地方分権時代、成熟社会に相ふさわしい地域住民と自治体とのあり方そのものが問われていると思います。  こうした点から第二次いきいき計画を見ると、第一次計画と比較して、総論部分である大綱と各論部分である実行計画を区別し、今後区が目指すべき行財政改革の指針やスタンスを明確に、かつわかりやすく示されたことは、以前よりも非常に意義があることだと思います。また、個別施策を見ても、質的改革の面で、例えば我が会派がこれまでも指摘してきた情報公開制度の見直し、外部監査制度の導入、さらにはISO一四〇〇一認証取得などについて、計画に計上された点は時宜を得たものだと思います。その意味で、第二次計画は、より洗練されたものになっていると思います。しかし、計画そのものが幾ら良くても、そこで挙げられた見直しの一つ一つが本当に計画の趣旨に沿った形で実現されているか、具体的な成果が上がっているのかが重要だと思うのです。  そこで、区長にお伺いしますが、増補版も含めた第一次計画について、個別事項の実現度合いも含め、どのように評価・総括されているのか。また、そうした第一次計画の成果や反省点を踏まえ、第二次計画の策定に当たって、何に重点を置いて検討されたのか、ご所見をお聞かせください。  次に、幾つか個別の施策についてお伺いしたいと思います。  まず、第一次計画で掲げられた「伊豆健康学園の運営方法の見直し」についてであります。ご承知のように、伊豆健康学園は、昭和三十一年以来、公教育の一環として、身体虚弱な児童の健康の回復と増進を図ることを目的として開設されました。その意味では、これまで伊豆健康学園が担ってきた役割を否定するものではありませんし、積極的にその機能を評価すべきものと考えております。  しかしながら、昨年十二月に報告された「健康学園検討会報告」を見ると、例えば入園児童数はわずか十九名に対し、職員数は三十三名配置されているという現状、入園児童の減少に伴う少人数教育の弊害、児童一人当たりの運営経費の増大、行政・学園・家庭の連携等の課題が指摘されています。その上で、課題解決の具体的な方策として、他区との共同運営や事務委託の必要性、職員の適正配置、経費の大幅削減や受益者負担を含めた抜本的な運営の見直しの必要性についても述べられています。  そうした検討内容については理解できますが、それでは実際、いつ実施に移されるのでしょうか。少なくとも計画上では、いまだ実施時期が明確にされていません。具体的な成果を得るための、もう一歩の踏み込みに欠けているように思います。抜本的な運営の見直しを図るべきだと考えます。  そこで、教育長にお伺いしますが、検討会報告に掲げられた具体的な方策をいつごろを目途として、具体的にどのように実施されるつもりなのか、ご所見をお聞かせいただきたいと思います。  次に、第二次計画に掲げられている「情報公開制度の見直し」についてお伺いします。  既に第一次計画においても、情報公開制度の手続き等の改善に取り組まれており、進捗状況もAランクと報告されています。こうした改善は、区民のためにもぜひとも引き続き取り組んでいただきたいと思います。情報公開は、先ほども触れたように、行政の公正の確保と透明性を高めるという観点から、これからの自治体運営におけるキーワードの一つであります。国レベルにおいても、ついに情報公開法が実現されることになります。内容的には一〇〇%というわけにはいかないでしょうが、大きな前進だと考えております。  さて、こうした情報公開制度は、我が国では、昭和五十七年に山形県金山町で産声を上げ、その後、じわじわと他の自治体へも広がってきました。さまざまな自治体で試行錯誤を繰り返しながらも、今日では地域社会にしっかりと根づいてきたものと思います。ある意味で今回の法制化の動きは、そうした地域社会における情報公開に向けての動きが結集したものではないでしょうか。  一方、港区では、平成元年七月に制度導入されており、十年が過ぎようとしています。我が区の情報公開制度もちょうど十年という節目を迎えているとともに、時を同じくして、国レベルの情報公開法の成立という新たな動きもあります。まさに新たな仕組みづくりへと再構築していくべき時期となっているのではないでしょうか。  さきの定例会においても我が会派の西山議員が指摘しましたが、区民参加システムを構築していこうとするならば、その基盤整備として情報公開のあり方やもっと広い意味での情報提供のあり方が問われているものと思います。こうした視点も踏まえた上で、第二次計画では情報公開制度の本質部分にかかわる見直しを掲げられたものだと思います。その点、大いに評価しているところです。  そこで区長に伺いますが、今後、十二年度に条例改正も含めた見直しを実施するとされていますが、区の情報公開制度を具体的にどのように見直されようとしているのか。現段階における方向性をお聞かせいただきたいと思います。  さて、次に、地域における医療と福祉のあり方について、行政サービスの質的向上を図るという観点から三点ほど伺いたいと思います。  冒頭にも申し上げたように、私自身が医療に携わるものであり、地域のあらゆる世代の方々から、直接生の声を耳にする機会が数多くあります。こうした中で、港区のような都心地域における高齢者の医療と福祉のあり方や、その連携体制の整備について、以前から私も問題意識を強く持ってまいりました。  第一に、高齢者に関する保健福祉施策についてであります。介護保険制度の導入まで残すところわずか一年となりました。まさに「待ったなし」の状況にあります。平成十年版の厚生白書によれば、寝たきりや痴呆、虚弱となり、介護や支援を必要とする要介護高齢者は、現在、全国で二百万人、二〇二五年(平成三十七年)には五百二十万人に達すると予測されています。介護保険制度の必要性やその意義については、今さら申すまでもありません。ここで指摘したいのは、介護保険もさることながら、もっと広い意味でこれからの地域における高齢者保健福祉施策について各自治体がどのようなビジョンを持っているかが問われているのだと思うのです。  高齢者施策に限ったことではありませんが、少子高齢化社会の進展、家庭機能の弱体化等により、社会福祉制度全般が大きな転換期を迎えています。中央社会福祉審議会においても、これからの社会福祉のあり方について、個人の自立支援、利用者による選択の尊重、サービスの効率化等の視点から、抜本的な見直しが検討されていると聞いています。こうした中で、現行の区における高齢者施策はどのような実情にあるのでしょうか。介護問題に加え、一方では元気な高齢者に対する施策もまたクローズアップされてきます。介護保険制度の導入は、単体としての制度導入にとどまらず、保険給付適用外の施策も含め、現行の高齢者施策の抜本的な見直しを行うための絶好の契機だと思います。  時代背景や将来予測を踏まえれば、施策を単に量的に拡大していくだけでは、いつかは財政的にも、供給体制の確保という点でも破綻を来してしまうでしょう。行政が行わなければならない真のサービスとは何か。その優先順位をどのように設定するのか。また、公民の役割分担とは何か。翻ってサービスを受ける側の自立性・自己責任の範囲はどこまでかなどがポイントになるはずであります。  そこでお伺いします。この機をとらえて、高齢者保健福祉施策のあり方について、どのように再構築されていくつもりなのか。また、限られた時間の中でどのような検討体制で、いつまでに全体像をお示しいただけるのか。区長の基本的な考え方をお伺いいたします。  第二に、地域保健福祉計画の改定についてであります。さきに発表された改定版では、新たに「総合的な施策推進のための基盤整備」という章を設け、その最初の項目に、地域保健・福祉・医療の連携体制の整備を掲げられています。先ほど指摘した高齢者施策の再構築とも合致するものであり、タイムリーなものと認識しております。とりわけ、地域の医療機関との関係については、介護保険制度における要介護認定をはじめ、福祉と医療とがこれまで以上に深く連携していかなければならないものと思います。  さて、そうした中で、主要事業として「港区地域保健福祉医療推進会議」の設置を掲げられております。推進会議の設置を否定するものではないのですが、最近こうしたたぐいの会議や連絡会のようなものがいささか乱立ぎみであり、せっかく関係者が一堂に会しても、形式的な意見交換や情報交換程度に終始し、課題解決に向けた実践力が欠けているような気がしてなりません。推進会議を設置し、積極的に活用していくならば、この会議に対して、具体的に何を期待するのか。また、具体的な地域の医療機関との連携策とは何なのか。例えば地域の医師や病院とのしっかりとした支援体制のシステムをどのように構築していくのかを、もっと計画で明確にすべきではないかと考えます。  そこで区長にお伺いしますが、この推進会議はいつごろ設置する予定なのか。また、特に医療機関に対して何を期待し、具体的な施策において、どのような連携を図ろうとお考えなのか。基本的な認識をお聞かせいただきたいと思います。  第三に、保健所のあり方について伺います。  平成十年四月の組織改正により、保健部門と福祉部門の連携強化という観点から部の統合が図られるとともに、保健所も従前の三保健所体制から一保健所体制に統合されました。保健所の統合問題について、私は、平成九年第三回定例会においても新たな一保健所体制により、地域保健、医療サービスの水準をどのように維持向上させていくのかを質問してきたところです。  平成九年に地域保健法が全面施行されたことにより、地域保健の広域的・専門的・技術的な拠点として保健所の機能強化が図られるとともに、地域における身近な保健サービスのあり方に関する法制度上の基盤整備が行われました。このことにより、先ほど触れた高齢者施策はもとより、少子化対策や障害者への支援という観点からも、これからの保健サービスの展開に当たって、保健・福祉・医療サービスの連携、一体的な提供という視点がますます求められているところです。  そこで、区長にお伺いします。一保健所体制になってからほぼ一年がたちますが、この間の保健所運営において、何か問題がなかったか。また、機能的な面では3カ所に分化しているわけですが、区民が利用しやいようにまとめるなどして、さらなる機能強化を図っていくようなお考えはないのか、お伺いします。  次に、いつまでも住み続けられるまちづくりという観点から、定住人口の確保策についてお伺いします。  バブル期の激しい地価高騰等の影響により、人口減が目立っていた都心部において、やっと人口回復の兆しが見え、港区においても、ここ数年人口が確実に増え始めております。非常に喜ばしい限りであります。先日、ある新聞で「自治体は、これまで地域振興の観点から企業誘致に奔走していたが、これからは個人も誘致していく時代である。」という記事を目にしました。まさにこれからは、いかに魅力ある住宅施策を展開できるかが自治体の知恵の出し所であり、その意味では自治体間の競争がますます激化してくるのではないかと考えます。  そのような中で、港区においても、ハード面における住宅確保策として学校の跡地利用、例えば旧竹芝小学校跡地に区民住宅を建設するなどして努力を重ねてきておられることは存じております。しかしながら、これからは、単に量の確保としての住宅建設から、よりソフトな施策への展開が求められているのではないでしょうか。引き続き大幅な税収増が期待できず、逆に恒久的な減税の影響がじわじわと生じてくる中では、現行の財政規模を維持することすら困難になってくるはずです。こうした視点から十一年度予算案を見ると、新規事業として「マンション等利子補給事業の実施準備」があります。これは若年世帯層の定住を促進するため、区内でマンション等を購入する世帯に対して、金融機関への購入資金融資のあっせんをし、その利子の一部を補給するというものだと思います。特に住宅ローン金利が低水準のまま推移し、また、今回の税制改正により、二年間の時限措置ながらも、新たな住宅ローン控除制度が創設されるなど、現在は住宅取得に向けた追い風が吹いています。事実、最近ではマンションの需要も着実に増えてきていると聞いております。  こうした時の流れを確実にとらえて、利子補給事業のようなソフト面での定住人口確保策を実施するには、今が絶好のチャンスだと思うのであります。区自らがハード面の施策として住宅を確保しようとすれば、莫大な経費と時間を必要としますが、利子補給等によって民間の資源を活用していけば、比較的少ない財源を呼び水として効果的な定住人口確保策を展開していくことが可能となるのではないでしょうか。こうした知恵を絞り出していくことこそが、これからの自治体経営に求められているものと思います。  そこで、区長にお伺いします。この利子補給の内容として、どの程度の水準を想定されているのか。また、先ほどの区長の所信表明でも準備に取りかかる旨の発言がありましたが、実施計画では、十一・十二年度を調査段階としています。一刻も早く事業を開始すべきだと考えます。具体的な実施時期をいつごろに設定されているのか。ご所見をお聞かせいただきたいと思います。  最後に、要望ということで若干つけ加えますが、だれもが住み続けたいと思えるようなまちづくりは、単なる住宅施策にとどまりません。先ほど触れた高齢者施策の充実、幼稚園や保育園の機能強化はもとより、港区版エンゼルプランにあるような子育て環境の総合的な整備、中小企業の振興を含めた地域経済の活性化、さらに、例えば今後開発が予定されている芝浦アイランド地区等における環境と調和のとれたまちづくりの実践など、あらゆる機会や場面をとらえた総合的な地域政策が求められているのです。二十一世紀は成熟社会の時代と言われています。港区においても、そうした社会にふさわしい、だれもが将来に夢と希望を持てる地域づくりが展開されることを念願して、私の質問を終わります。   〔区長(菅谷眞一君)登壇〕 ○区長(菅谷眞一君) ただいまの港区民クラブを代表しての滝川嶂之議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、今後の区政運営に臨む私の決意についてのお尋ねであります。  二十一世紀を目前にして、特別区は、都区制度改革の実現、地方分権の推進、介護保険制度の導入など大変革の時代を迎えております。一方で、社会の成熟化の進展を背景に、区民の意識も大きく変化しております。地域の課題を区とともに担おうという区民の多様な活動が芽生えつつあります。区民との協働を充実したものにするためには、インフォームド・コンセントの考え方と同様に、施策について区民に対し説明する責任を果たしていくことも重要であります。  私は、区民との協働を区政運営の大きな柱と考え、区民とともに二十一世紀の港区を築いてまいりたいと考えております。厳しい状況にあらばこそ、さまざまな課題に毅然として立ち向かう気概と勇気が、困難状況を逆にチャンスに変えることにもなります。転換期の区政の舵取り役として、積極果敢に先駆的な取り組みを打ち出し、個性豊かな地域づくりのために全力を尽くしてまいります。  次に、平成十一年度予算編成における財政健全化に向けた新たな取り組みについてのお尋ねであります。  平成十一年度予算は、財政構造改革総仕上げの予算として三十億円の財源不足を解消し、財政調整基金に依存しない財政運営を定着させることができました。新たな取り組みとして、十八の事務事業を見直すとともに、内部努力についてもより一層徹底しております。また、国の減税措置に伴い、特別区税収入が減少しますが、減債基金の取り崩しなどによって財源を確保することで、起債額を平成四年度以降最低の水準に抑え、将来の財政負担を軽減しております。さらに、地方主権の時代にふさわしい新たな自主財源が確保できるよう、「たばこ自動販売機設置税」の創設に向け、具体的な調査を開始いたします。  次に、都区制度改革における税財政制度の見直しについてのお尋ねであります。  税財政制度における大きな検討事項としては、都区間配分に関する事項と区間配分に関する事項とがあります。このうち都区間配分については、ご指摘のように、財源となる調整三税の配分割合をめぐって大きな隔たりがあり、合意に向け、今後双方の見解をどのように調整していくかが大きな課題となっております。  一方、区間配分については、算定方法の改善合理化の具体策について検討しておりますが、いまだ意見が一致していないため、さらに検討することにしております。本年十一月には、税財政制度に関する最終の調整を行う予定になっております。いずれにいたしましても、制度改革は目前に迫っております。都心区特有の需要など、区にとって必要な財源が確保できるよう、他の都心区とも共同して主張し、対応してまいります。  次に、みんなといきいき区政推進計画についてのお尋ねであります。  まず、第一次計画についての評価と第二次計画の重点項目についてであります。第一次計画におきましては、三百十項目にわたる計画事項の実現に全庁挙げて取り組んでまいりました。その結果、他の自治体に先駆けた組織機構改革の実現や職員数の削減などの徹底した内部努力、事務事業の見直しなど、計画事項の約九割を達成したことは大きな成果であります。しかしながら、区を取り巻く社会経済情勢の変化や、地方分権の新時代に的確に対応していくためには、既成の考えにとらわれない行政改革の不断の取り組みが必要であります。  そこで、本年二月に、これまでの行政改革の取り組みをさらに継続・発展させた「第二次みんなといきいき区政推進計画」を策定いたしました。重点項目としては、これからの区政が目指すべき区政の透明性の向上、区民との協働関係の確立、質の高い行政サービスの提供などを中心に策定してまいりました。私は、本計画を区政運営の羅針盤として地方分権時代にふさわしい、活力ある簡素で効率的な区政運営を実現してまいります。  次に、情報公開制度の見直しについてのお尋ねであります。  区の情報公開制度は、実施後十年を経過し、社会情勢の変化と運用実績を踏まえ、平成十二年度に見直すこととしております。見直しの主な方向性としては、区民の区政への参加を一層促進するため、行政の説明責任の明確化や財団等の情報公開について、多くの方々の意見を参考に検討しております。今後とも情報公開制度が公正かつ透明な行政を実現するための制度として、広く区民に定着し、利用されるよう制度の見直しに努めてまいります。  次に、高齢者に関する保健福祉施策についてのお尋ねであります。  まず、保健福祉施策の再構築についてであります。これからの高齢者保健福祉施策は、本格的な高齢社会の到来を迎え、高齢者が人としての尊厳を持って家庭や地域の中で自立した生活が送れるよう支えることが重要であります。このため、介護保険制度導入後も保険給付適用外のサービスを含めて、総合的、効率的に保健福祉施策を展開する必要があります。今後、港区地域保健福祉推進本部において、適切な保健福祉サービスが提供できるよう、本年九月を目途に再構築してまいります。  次に、港区地域保健福祉医療推進会議の設置についてのお尋ねであります。  港区地域保健福祉計画の理念である「生涯健康づくり都市」を目指すためには、保健、福祉、医療が連携して事業を推進する必要があります。そのため、保健、福祉、医療に携わる方々の参加と協働による協議の場が必要であります。現在、設置されている港区地域保健医療推進協議会を改め、新たに「福祉部門」を加えた協議の場として、「港区地域保健福祉医療推進会議」を平成十一年度当初に発足させたいと考えております。この会議では、かかりつけ医機能や、地域医療連携システム、ボランティア活動などの充実に向けた諸課題について協議していただきたいと考えております。高齢者等の多様なニーズに、一体的かつ効果的なサービスが受けられるよう、地域に根ざした連携体制を確立してまいります。  次に、みなと保健所の機能強化についてのお尋ねであります。  地域保健法の全面施行に伴い、昨年四月に保健と福祉の連携強化と簡素で効率的な執行体制を目指し、三保健所を一保健所に再編整備いたしました。保健所の執行体制については、旧保健所の庁舎を使用しているため、事業を実施しているため場所の理解が得にくい等の問題があります。今後とも保健所の執行体制をわかりやすくPRしてまいります。事業の実施に当たり、情報提供の充実や区民に親しまれる保健所を目指して、区民との協働関係を深める等保健所の機能強化に努めてまいります。  最後に、マンション等利子補給事業の実施についてのお尋ねであります。  住宅取得支援事業の一つであるマンション等利子補給事業は、中堅ファミリー層が安心して子供を生み育てていける住宅の確保と、地域コミュニティの活性化を促すことをねらいとしております。事業内容につきましては、住宅取得資金が不足しがちな若年世代や、中堅ファミリー層に融資をあっせんするとともに、利子の負担を少なくするなど、住宅の取得が容易となる制度とするよう検討しております。なお、事業の実施時期につきましては、制度内容の細部を決定し、金融機関との調整を進め、早期実施に努めてまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  なお、教育の問題に関しましては、引き続き教育長から答弁いたします。   〔教育長(中村勝弘君)登壇〕 ○教育長(中村勝弘君) ただいまの港区民クラブを代表しての滝川嶂之議員のご質問にお答えいたします。  みんなといきいき区政推進計画についてのうち、伊豆健康学園の運営方法の見直しについてのお尋ねであります。教育委員会では健康学園検討会報告を受け、課題解決の具体的な方策について検討しております。  他区においても健康学園の児童数が減少し、また、財政状況が厳しくなる中で、同様な見直しを迫られている区があります。共同運営や事務委託については、それらの区と協議を進め、平成十一年度に具体的な結論を出し、平成十二年度には、その実現に向け取り組んでまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○議長(真下政義君) 議事の運営上、暫時休憩いたします。                                       午後二時五十八分休憩                                        午後三時二十分再開 ○議長(真下政義君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。  一般質問を続けます。
     三十一番北村利明君。   〔三十一番(北村利明君)登壇、拍手〕 ○三十一番(北村利明君) 私は、一九九九年第一回定例会に当たり、日本共産党港区議員団を代表し、質問いたします。  最初の質問は、大企業の利益を保障するため、区民に悲鳴を上げさせる区政ではなく、地方自治法の本旨に沿った「住民の安全・健康及び福祉を保持する」立場から質問します。菅谷区政は、この三年間、かぎ括弧つきの「財政構造改革指針」、「みんなといきいき区政推進計画」によって区政を行ったとしていますが、その内容たるや区民にとっては誠に冷たいものでありました。この三年間で百億円も予算を削減し、削った区民にかかる事業は約三百項目にもわたるものであります。その傍ら、大手ゼネコンの利益を保障する十番駐車場工事の推進、大企業の行う再開発事業に対する補助金の支出、アイランド地内の補助三百十号線、本来ならば都支出によって行わなければいけない工事、これを肩代わりすることによる事業推進等々のむだ遣いを行ってまいりました。  共産党は、昨年末から「港区民アンケート」を行いました。行政に対する区民の関心が高まっているあかしをあらわすかのように八百通を超える回答が寄せられました。その中から幾つかを紹介いたします。中小企業・商店への助成に関して、五十歳代の男性は、「大企業でなく、中小企業や個人商店を守ってほしい」。また、豪華庁舎の典型といわれた都庁舎の坪当たり単価一・七倍を費やし、百二十七億円かかった赤坂支所、百三十四億円かけた高輪支所について、六十歳代の女性から「赤坂支所を見て、『えっ、これが支所』とびっくりした。初めは通り過ぎていた。支所とは思えない」。三十歳代の女性は「表面建物の外壁に見られるファッションビルの必要性はない」。七十歳代の女性は「わざわざエレベーターに乗らないと高輪支所まで行けない。一階は全く有効に使われずむだ」との意見も寄せられています。  さらに、学校修繕費が七五%カットされたことによって、三十歳代の女性は「特に子供の成長・教育に関する予算は削ってほしくありません」と。町会への補助金三五%カットについて、町会役員は「区はいろいろな仕事を押しつけて、こんなものまで削るなんて」との嘆き。さらに都心四区で港区だけが廃止した「敬老祝金」について、七十歳の女性は「祝金をとっておいて孫にお年玉をあげることもできなくなった」などと、今、紹介いたしました区民の皆さんの声は、寄せられたアンケートのごく一部ですが、今までの区政に対する批判の声として受けとめられる内容のものです。区長にも区民の皆さんの悲鳴に近い声、また、区政に対する批判・提言は多く寄せられているはずです。  区長は、これらの区民の皆さんの声をどのように区政に反映させたのか。私には全く見えてきません。今、多くの人々は大不況のもとで苦しんでいます。ところが、区長は、この区民の苦しんでいる姿をしり目に「偽りの財政危機論」を振りまき、自ら推進してきた大企業の利益を保障しつつ、「みんなといきいき区政推進計画」を強引に推進し、これでも足りずとばかりに、「第二次みんなといきいき区政推進計画」や、これと整合させた「一九九九年・二〇〇〇年実施計画」も発表しました。これらの内容は、福祉・教育関連事業のカット、それを縮小し、さらに福祉・教育関連事業を利益を求める大企業等に提供する内容であります。区民はたまったものではありません。区民の立場に立って、福祉・教育の分野でまじめに仕事をしてきた区職員にとってもたまったものではないでしょう。  区長の言う「財政危機論」は、我が党議員団の指摘で明らかになっているように、今日の大不況の元凶である異常なバブル経済時と比べてのことであり、今の区税収入は、バブル経済前の安定した収入に戻ったのであり、さらに区税収入のほぼ一年分に相当する基金を積み立てている港区で、区長の言う「未曾有の財政危機論」は成り立たないのであります。区長は、不況を最大限に都合のいいように活用し、区民に財政危機論を振りまいていることになりはしないでしょうか。  「みんなといきいき区政推進計画」の初年度九七年度の特別区民税収入等で当初予算を超える四十六億円の増収が、また、九八年度当初予算に東電等の道路占用料三億一千万円等々増収がはっきりしているものも計上せず、「財政危機論」を振りまいていることは、区民にとって許すことができない内容であります。さきに区民の声として紹介したように、大手ゼネコンのもうけを保障した、殊さら豪華な支所建設、一台当たり四千九百万円もかかった麻布十番駐車場建設事業、これらは順調にいっても四十三年後にしか累積黒字にはならない等のむだ遣い。これらの事業を反省し、見直しすることなく推進してきたことは大変なことです。  ちなみに、中野区では地下鉄十二号線工事と並行して駐輪場工事が進められ、当初十一億円の工事費が都との協議の結果、七億円に引き下げることが実現するなどの努力がなされました。中野区でできたことは港区でもできるはずです。福祉・教育関連事業は削る一方、「六本木六丁目」「六本木一丁目西地区」「白金一丁目東地区」等、ゼネコンの利益を保障する再開発事業関連予算は九八年度約一億七千万円組まれていたわけでありますけれども、九九年度では何と七億一千万円に引き上げたのであります。  さらに、実施計画の質疑で明らかになったのでありますが、例えば十三年度から実施する「住宅取得支援事業」、この事業を推進するための調査費に、ソフト開発と称して、一千七百四十万円強を注ぎ込むなど「むだ遣い」をさらに進めようとしています。区長は、地方自治を基本に区民が納めた税金は区民のために使うとの当然の立場に立つならば、「みんなといきいき区政推進計画」はいかに区民にとってむごいものであったかが見えてくるはずです。住民福祉の原点に立って仕事をしている職員像が見えてくるはずです。  また、いかに今の区政が住民を軽視し、大企業本位かも見えてくるはずです。区長は、地方自治法の本旨に沿った「住民の安全・健康及び福祉を保持する。」ことに重点を置き、区民の目線に立って事務を見直し、「みんなといきいき区政推進計画」でカットした事業の復活を行うべきです。また、「第二次みんなといきいき区政推進計画」を区民に押しつけることなく、区民が要求している「自治法」の本旨に従った区民本位の改革を、情報提供を積極的に区民に行い、住民参加を保障するもとで練り上げていく必要があると思いますが、それぞれ答弁を求めます。  関連しての質問をします。  区長は、再開発補助制度で企業利益の伴うものへの支出を抑える等の見直しを早急に行う必要があります。また、既に提案してきたところですが、財源確保対策を早急に行うべきです。東京電力等では、道路占用によって大きな利益を得ています。また、これらの大企業の占用料は、公共事業という一般占用料と比べて極端に低く抑えられています。これを適正化することによって、新たに約四十六億円の財源が確保できるとの提案を私ども日本共産党は行ってまいりました。当港区議会の最大会派からも同様の提案はされているところです。区長は、区民関連施策を低下させることなく、新たな行政需要に応えていくためにも、これら関連企業にかかる占用料の適正化を急ぐ必要があります。独立した自治体の長にふさわしい答弁をそれぞれ求めます。  次の財源確保策として、大手不動産等が行う大型開発に伴う開発利益を社会還元させることについてであります。既に定住促進要綱によるものもありますが、品川駅東口等で試行されたように、大企業等はそれぞれの事業ごとにそれに伴う社会的責任を持ち、それによる義務を認識しなければならない時代に入ってきています。区は、この企業義務を明確にし、定住促進要綱の充実、あるいは新たな社会還元要綱の策定を行う必要があると思うが、答弁を求めます。さらに、国庫支出金を国基準に基づいて支出するよう国に強く求めるべきであります。公立保育園運営費等ごく一部だけでも約二十五億円の歳入増になります。今までの取り組み状況、今後の対応についても答弁を求めます。  次の質問は、都区制度改革に関連しての清掃事業についての質問であります。  大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」の開放型冷却塔の冷却水から一億三千万ピコグラムの異常に高いダイオキシンが検出され、全国に大きな衝撃を与えました。最近では、所沢市の産業廃棄物の焼却施設周辺のダイオキシン汚染が大きな社会問題になっています。野菜価格が暴落し、生産農家の経営に深刻な影響を与え、安全な食品を食べたいという消費者の間に不安が広がり、ダイオキシン規制が大きな課題となっています。  東京都が行った母乳のダイオキシン濃度調査によれば、三十歳代前半の初産婦の母乳は厚生省基準の八・七倍に相当する結果も出ています。大量生産・大量消費・大量廃棄という企業の「後は野となれ山となれ」式の浪費システムがごみ問題の解決を困難にしてきました。ダイオキシンの発生を抑えるためにも焼却しないことであります。  二〇〇〇年四月の地方自治法の一部改正法の施行によって、清掃事業が区に移管され、区が責任を持つことになります。東京都が進めている全量焼却から徹底した分別によるリサイクルの促進によって、焼却するごみを徹底して減量していく必要があります。今年の四月から、従来、港区が独自にやっていた資源回収をやめ、都の資源回収モデル事業の方式を全区で実施することになります。都のモデル事業の資源回収は、古紙・びん・缶の三種類であり、これでは徹底した分別、リサイクルの促進からすれば極めて不十分です。  二〇〇〇年四月に標準を合わせ、徹底した分別収集を行うべきです。そのためには先進的な市町村などの取り組みを教訓にすべきです。例えば、埼玉県の久喜市と宮代町で運営している久喜宮代衛生組合は、資源回収では新聞、雑誌、雑紙、段ボール、牛乳パック、古衣料、タオルシーツ、びん、缶、ペットボトル、乾電池、プラスチック類など、二分類十二種分別収集に取り組んだ結果、人口が六万人も増えているにもかかわらず、焼却するごみが八割に減っているそうであります。狛江市でも徹底した分別収集・リサイクルで九七年度の資源物の回収は前年度の二・四倍になり、可燃ごみは前年度比で九七%になっているそうです。  港区でも集団回収団体の資源回収は別として、スーパーなどで牛乳パックの回収やペットボトルの回収をしています。牛乳パックは港区が委託した業者が回収、ペットボトルは都清掃局が回収しています。この施策は継続しながらも、四月からの資源回収でも牛乳パックやペットボトルの回収、古布など、資源となるものは徹底して分別し、リサイクルさせるべきです。答弁を求めます。  資源回収に関連して、企業責任を明確にさせるための法改正を求めることについての質問です。  例えば、ペットボトルについてみると、年間二十一万八千八百万トンも製造されているプラスチック包装材のペットボトル。再生され、商品として再利用されているものはわずか数パーセントにしかすぎません。九七年四月から容器包装リサイクル法が実施されても、ペットボトル業界はそれまで自粛していた一リットル未満の小型ペットボトルの自主規制を九六年に廃止してしまいました。その結果、九六年には五億七千万本だった小型ペットボトルは、九八年には三十一億二千万本にも急増しました。五百ミリリットルのペットボトルが自動販売機でも売られるようになり、一層廃棄物が増えています。そして、大半が最終処分場に捨てられているのです。メーカーは生産し流通に乗せれば、回収や処分は行政任せ。これではごみ問題は解決しません。企業責任で減量・リサイクルを徹底させる法改正を強く求めるべきであります。答弁を求めます。  清掃事業に関連して、港清掃工場の操業に伴うダイオキシンの調査について質問いたします。  二〇〇〇年四月には港区に移管されることになっています。東京都の清掃工場での排煙のダイオキシン調査にとどめず、区内全域で定点を定め、大気、土壌の調査を定期的に実施すべきです。答弁を求めます。  続いての質問は、都区制度改革に伴う第二の質問です。国民健康保険についての質問は、都区制度改革に伴う関連法改正で国民健康保険事業での調整条例が廃止されることになります。その対応をどうするかについては、二十三区で各ブロックの代表による「特別区国保制度改革検討会」が設置され、昨年十月に「都区制度改革に伴う特別区国民健康保険事業の円滑な移行を図るための方策について」との「中間のまとめ」が発表されました。  それによると、「本来、各区ごとに独自の保険料算定を行うことが可能な制度に移行するにもかかわらず、二十三区間の均衡を図る調整を行うものであることから、その調整の内容、方法等については合理的なものであると同時に、調整の結果の実効性を担保できるような仕組みを構築する必要がある。」としています。その後も「特別区国保制度改革検討会」では答申に向けての検討が進められているとのことであります。仄聞するところによれば、調整を図る仕組みについては、一部事務組合が最善の方法であるとの論議が支配的であるとのことです。一部事務組合になれば、港区の事務が一部事務組合に移ってしまい、一部事務組合の中に執行機関と議会ができることになり、港区民、港区議会の関与ができなくなってしまいます。そうなれば住民、議会、行政が自治権拡充の長年の運動でやっと実現した都区制度改革、自主性、自立性を持った地方自治体としての港区を実現したことが何だったのかということになってしまいます。議会、住民にすべての情報を公開し、区民の世論と運動で自治権拡充の本来の目的である自主性、自立性の方向を目指すべきです。答弁を求めます。  次の質問は情報公開制度の見直しについてであります。  戦後の日本国憲法が地方自治を確立したことにより、広範な住民の権利が保障されることになり、現在では住民参加が地方自治の基本的な体制になってきました。先ほども紹介したように、日本共産党港地区委員会が行った『区民アンケート』に八百人を超える方々からの回答が寄せられました。一昨年も同様のアンケートを実施しましたが、今回の回答は二倍を超えました。「今の政治を何とかしたい」との声にもあらわれているように、区政への住民参加の意識、関心は大きな高まりを示しています。  一九九八年『区政モニターアンケート調査』によると、区政運営への区民参加の推進方法についての回答は、「重要施策について、決定する前に情報提供を行い、区民の意見をその施策に反映すること」が七三・五%、「基本計画など区の重要な計画について、中間段階での情報提供を行い、区民の意見を計画に反映させること」が六五・七%となっており、その他にも「区民の意見聴取をするには、まず区民に情報提供しなければなりません。現状ではそれが不十分です。」との意見などが大勢を占めています。  また、同アンケート調査の情報提供への要望についての回答は、「施策の計画・立案の背景や検討内容に関する情報」が五九・〇%と一番高く、「すべての事業・施策について、区民に情報提供するのは当たり前」との意見もあり、区民は区政運営に関するあらゆる段階での情報を積極的に公開することを強く望んでいます。行政への住民参加を広げていくためには「区民の知る権利」の保障、十分な情報公開が決定的に重要であります。そもそも「知る権利」は憲法の保障する国民の基本的人権の一つであることは言うまでもないことであります。  港区は『第二次みんなといきいき区政推進計画』の中で、条例改正を含めた情報公開制度の見直しを行うとしています。『港区情報公開条例』は第一条の目的で、「この条例は、区政情報の公開を請求する区民の権利を明らかにするとともに…区民の知る権利を保障し…区政への区民の参加の促進を図り…地方自治の本旨に即した区政を推進する」としています。しかし、「区民の知る権利」は最大限に保障されたものになっていないのが現状であります。「税金をだれが何のために、だれに使ったか」、主権者である住民に行政が明らかにすることは当然のことであります。しかし、大問題になった食糧費の問題でも、会食の伴う東京都などとの行政間の打ち合わせの書類が、起案者の氏名や参加者氏名と思われるものが墨で塗りつぶされて公開されています。このような場合、区民の税金の支出については、目的・対象を明らかにするのは当然であり、個人情報であっても非公開の対象は、「特定の個人が識別され、または識別され得るもの」とするのではなく、個人のプライバシーを明らかに侵害する場合に限るべきであります。答弁を求めます。  同時に、区の事務事業について、いわゆる意思形成過程の情報、国や地方公共団体との関わりで職員が作成したり収集した情報などについて、非公開としないものとしての条例は「公平又は適正な意思決定を著しく妨げるおそれのあるもの」とか、「区などとの協力関係を著しく損なうおそれのあるもの」としていますが、「おそれのあるもの」などの文言は拡大解釈につながることになりかねません。「著しく妨げる場合に限る」などに改め、非公開決定者の証明責任を明確にすべきであります。答弁を求めます。  また、公社など区の出資団体についても、情報公開を積極的に進めるべきであります。答弁を求めます。  また、区の「説明責任」を明確にするために、あらゆる行政情報を対象にした作成・管理・迅速な検索体制の確立が必要であり、条例制定以前の文書についても目録の作成を急ぎ、「文書不在」などという事態はなくすことが必要であります。それぞれの答弁を求めます。  次に、公営・公設による住宅供給についての質問です。  我が党も一定の評価をしているように、港南荘住宅の建替えは当初の計画を大幅に見直す中で建設費を約八十億円も節約することができ、さらに制度見直しによって、一般財源を極力抑えた計画となり、事業が推進されているところであります。区長は、この努力を最大限生かしていくことが、職員の努力、また、区民の要望に応えていくことになると思います。区長は、基本計画で公的住宅の供給事業に背を向けました。これに対し、多くの批判が続出し、公的住宅の供給を求める区民の要望、さらに議会からも強く要望が出されていたにもかかわらず、平成十一年・十二年、一九九九年、二〇〇〇年度実施計画・公的住宅の供給推進でも港南荘以外には新たな住宅建設は盛り込まれていません。港南荘での教訓を生かし、制度的手法を生かし「公的住宅供給」に取り組むべきであります。議会での質疑でも明らかになっていますが、公的住宅の定住性の高さ、とりわけ低家賃住宅の定住性は、例えばお台場でのおのおのの住宅の退去率は住宅・都市整備公団住宅では七・三八%、東京都住宅供給公社では三・二五%、都営住宅では〇・七六%で示されているように、公営住宅ほど安定した定住性が確保されるのであります。区長は、公営住宅等公設住宅の事業を放棄するのではなく、学校跡地等の遊休地などを活用し、公営・公設住宅の確保に努める必要がありますが、答弁を求めます。  次の質問に移ります。  二月十八日、六本木防衛庁跡地処分についての諮問が関東財務局長により国有財産関東地方審議会に出されたとのことです。これを受けて、「防衛庁本庁桧町庁舎跡地処分部会」が審議会のもとに設置され、その臨時委員として永尾助役が任命されたとの報告がなされました。区は、部会に出された情報等はもとより、六本木跡地計画に係る情報は、つぶさに区民・議会に提供し、区民の立場から区としての考えを、区民・議会の意見も踏まえ策定し、定住推進の立場から、この審議会のもとにつくられた部会に臨むことが必要と思うが、区長の答弁を求めます。  また、芝浦アイランド計画について、東京都住宅局は超高層住宅建設を前提にした計画を示してきました。区長も知ってのとおり、旧交通局跡地計画に対し、芝浦三・四丁目町会からの請願が出され、満場一致で採択されています。その内容は、要旨、避難広場を兼ね備えた住宅開発とのことです。私は、都が示してきた計画に対し、広く区民の意見が反映されるようアンケート調査を芝浦地区の住民を対象に行いました。今まで寄せられている回答は、共通しているものとして、一つとして、広域避難場所として確保してもらいたい。二番目として、芝浦地区には病院が一軒もなくなった。総合病院の計画も盛り込んでもらいたい。三として、保育園・児童館の建設を。等々の意見が寄せられています。区長は、議会・住民の意見に沿った計画になるよう東京都に強く求めていく必要があると思いますが、答弁を求めます。  次の質問は、「建築紛争予防条例」に係るものです。  最近港区では、バブル時期と比べて勝るとも劣らない建築紛争が多発しています。最近の紛争に至る経過で特徴的なことは、建築主等は「行政手続法」を盾にして建築確認を早めるよう建築主事に求め、住民への説明が不十分なまま主事は確認をおろさざるを得ない状態になっていることに起因するものです。それによって、「建築確認」を得た建築主等は、住民への説明不十分なまま強行に工事に着工することにより、紛争はますます激化する事態になっています。区は、この紛争予防条例の本旨を建築主等に徹底するなどの手段を改めて行うとともに、紛争を予防する手立てをしっかりと講じるべきであります。強行着工によるトラブルを未然に防ぐことが今早急に求められていることであります。そのために区の関係する部署との連携を密にし、建築主等が実質的に住民説明をおろそかにして強行着工しない装置をつくるべきであります。区民を紛争から救うためにも早急に条例改正を行うべきです。区長の答弁を求めます。  関連しての質問です。  建築基準法の改正により民間機関でも「建築確認」「検査」が今後可能になります。民間機関に確認申請が出された場合、区の「紛争予防条例」や、あるいは「定住促進要綱」等々に基づく指導はどうなるのか。民間に確認事務が移行することにより、区の施策に不都合が生じることは明らかであります。早急に関係条例、要綱等の見直しを区民利益を守る立場から行うべきです。区長の答弁を求めるものであります。  次の質問は介護保険についてであります。  二〇〇〇年四月の実施に向け、事業主体である区の準備が進む中で、介護保険は、制度がわかってくればくるほど問題点も明らかになってきています。現状でも「ホームヘルパーの派遣時間や日数が減らされた」「デイサービスの待機者が多く利用できなくなった」といった福祉の後退が起きています。介護保険の導入で本当に安心して介護が受けられるのかといった不安が高まっています。  介護保険制度の一番の関心が保険料であります。厚生省の試算では、平均で月二千五百円程度、ところがこれでは運営できない自治体が次々と判明してきています。このままだと保険料と利用料と合わせた住民負担は大変なものになり、少なくない低所得者が保険料・利用料が払えないために制度から排除されることは明らかです。減免制度の重要性がますます明らかになってきています。  一月二十七日の衆議院予算委員会で日本共産党の児玉健次衆議院議員の保険料の減免について、「生活が貧困な場合も含めるべき」という質問に対し、宮下厚生大臣が「基本的にはその方向だ」との答弁がなされました。経済的事情が減免理由に含まれる答弁を引き出せたことは、これまでの運動の成果であり、大変画期的なことであります。介護保険制度は、国民に二兆円以上の新たな負担を押しつける一方、国の支出はこれまでの福祉制度に比べて三千七百億円、これは九五年単価でありますが、も軽減されています。国民に新たな負担を求めるというのに、国の負担を切り下げるなど本末転倒であります。低所得者への保険料・利用料金の減免制度については、国の責任で行うよう求めるべきであります。港区としても保険料の設定、保険料・利用料の減免制度に早急に取り組むべきであります。答弁を求めます。  もう一つの大きな問題である「認定」については、港区でも九八年九月三十日から十一月三十日まで「要介護認定モデル事業」を百人を対象に実施しました。その結果、四名の方が一次判定結果から二次判定結果で変更になっています。また、七名の方が再調査が必要との結果も出ていました。変更されたケースは、いずれも一次判定が実際と比べ軽い判定結果になっています。厚生省の行った調査でも要介護制度が実態より低く判定されるケースが続出。コンピューターの一次判定への疑問が二千件近く寄せられています。認定方法については、心身状態のみの八十五項目の調査票に基づくコンピューター判定では問題があることは、早くから指摘されていることであります。  厚生省は今回のモデル事業の結果から基準を見直すというもののモデル事業は今回が最後、十月には本番の介護認定が開始されるわけでありますから、このままでは実態とかけ離れた判定がされるケースが多数出るのは明らかです。国の認定ソフトで介護サービスを絞り込む方法ではなく、身近な区で判断ができるよう保証されなければなりません。  具体的な質問をします。  区はこうした立場に立ち、区民の介護を守るためにコンピューターの一次判定の基準の公開を国に求めること。また、認定の抜本的な見直しを国に求めること。また、港区としても実態に合った認定になるよう、二次判定において申請者の実態を十分に把握した判断をすべきです。さらに、現在福祉サービスを受けている方で、介護認定から外された方については、サービス低下にならないよう独自の対策を立てるべきであります。以上三点についてもそれぞれ答弁を求めます。  次に、特別養護老人ホームについての質問です。  特別養護老人ホームの整備については、二〇〇二年までの一館という計画です。二月現在、特別養護老人ホームの待機者は四百九十一人です。二年も三年も待たないと入れないというのが現状です。これでは保険料を払ったのに入所資格のある方が特養ホームに入れなくなることは明らかです。待機者に見合った整備を早急に行うべきです。答弁を求めます。  東京都は二月五日、特別養護老人ホームへの都独自の助成を「介護保険との整合性を図る」ことを口実に、二〇〇〇年度に廃止する方針を明らかにしました。特別養護老人ホームへの都加算措置は、国の配置基準を上回る職員の増配置が中心です。このような事態になれば、そのしわ寄せは、すべて利用者と職員にかかってきます。「長い間遠くの病院で寝たきりだった母が二度もディズニーランドに行けるなんて……。平成六年に入所して以来、母にはたくさんの奇跡が起きました。自力で食事をし出したこと。寂しげな無表情が信じられないほど多弁になり、柔和で幸福そうな顔つきに変わったこと、よく笑うこと等々……母にも娘の私にも『白金の森』は奇跡の森のようです」。これは文集に寄せられたある家族の言葉です。職員が減らされたら、こうした手厚い介護はできません。現行の介護水準を後退させるような東京都加算の廃止、これをやめさせ、都加算事業の継続を東京都に強く求めるべきであります。答弁を求めます。  今回の要介護認定モデル事業で特別養護老人ホームの入所者四十五人のうち十二人が「自立」「要支援」と判定されました。この十二名の方は、介護保険導入後は、特養ホームへの入所資格はなく、五年の経過措置が過ぎるとホームから追い出されてしまいます。区内区外合わせて五百二十八人の方が特別養護老人ホームに入所していますから、多くの方がホームから追い出されることになります。こうした方たちの中には、住むところがない人やひとり暮らし、高齢者だけの世帯、また家族と同居していても、身体的問題だけでなく、いろいろな事情で在宅介護はできなくて入所している方がほとんどです。軽い認定でも、希望すれば特養ホームで生活できるよう港区としても努力すべきです。そのために区が独自に特養ホームにベッドを確保し、引き続きホームでの生活ができるよう対応すべきです。答弁を求めます。  「自立」「要支援」と判定された方の介護費用は、今は措置費によって賄われていますが、介護保険導入後は、それはなくなるわけです。措置費に見合う新たな報酬が保障されなければ、施設側にとって大きな負担になってしまいます。「自立」「要支援」と認定された方たちの入所を保障するために措置費に見合った財政負担を国に求めるべきです。答弁を求めます。  次に、中小企業振興策について質問いたします。  日銀が二月十七日発表した国内銀行預貸金調査では、一九九八年十二月末の総貸出残高は、前年同月比二・一%の減少で、下げ幅は統計がさかのぼれる一九七八年三月以来、最大となっています。金融機関の貸し渋り・資金回収の動きが強まっていることをあらわしています。特に中小企業向け同四・五%減と最大のマイナス幅となっており、中小企業の窮状は、二月に実施された緊急特別枠融資にもあらわれています。あっせん総額十億円、あっせん限度額一千万円の第四次緊急特別枠融資には、二月十九日の締め切りまでに千二百十一件の申し込みがありました。融資枠は百五十件です。昨年二月から緊急特別枠融資が実施されていますから今年の二月で第六次、しかも昨年十月からは政府の「中小企業金融安定化特別保証制度」が実施されているにもかかわらず、いまだ千五十件を超える人たちが融資を受けられない状況であります。こうした状況から緊急特別枠融資は三月実施だけにとどめず、引き続いて実施すべきです。答弁を求めます。  第二の質問は、信用保証協会の保証料を区で負担することについてであります。保証料が個人負担の場合は借受人利率が幾ら低くても、借受人の負担は二倍、三倍に跳ね上がってしまいます。昨年第四回定例会での区長答弁は、「信用保証料に対する補助は、利子補給とあわせて借受人の負担を総合的に考慮して決定しております」となっています。二十三区では全額補助は十三区、三分の二補助が一区、二分の一補助が四区となっており、港区と同様の借受人負担〇・四%のところでも中央区、目黒区、渋谷区などでは保証料が全額補助となっています。既に江戸川区の直貸しを始め、実質的な直貸しともなる信用保証協会の保証が不要の融資を行っているところや、北区では来年度より無利子融資を始めると言います。せめて他区並みに港区でも保証料を区で負担すべきです。答弁を求めます。  第三の質問は銀行の貸し渋り、債権回収の問題です。公的資金の大盤振る舞いを受けている大銀行が「一円たりとも回収ロスを出すな」と中小企業向け融資の露骨な回収を組織ぐるみで進めていた実態が二月十二日の衆議院予算委員会で明らかになりました。少し長くなりますが、我が党の佐々木憲昭議員が明らかにした東海銀行の内部文書を引用させていただきます。  「貸出先の業況を注視し、資金繰り急迫、業況悪化を認めるときは、直ちに保全強化・回収に全力を挙げ、一円たりとも回収ロスを出さないよう最善の努力をしなければならない」、「債権回収に躊躇してはならない。当行が引けば倒産の引き金を引くかもしれないと心配する前に、当行の回収を最大にすることを優先しなければならない」との徹底した資金回収の姿勢が銀行側からの文書で示されていました。こうした状況は第一勧業銀行やさくら銀行の内部文書でも示されているように、多くの銀行がこうした文書を一斉に出しているとしか考えられません。区内の業者が信用金庫に三百万円の融資を求めたら、「三百万円の定期を組めば、融資をしますよ」と言われたという。定期を組むお金があれば、融資など受けません。全くひどい金融機関の実態です。中小企業の意見なども聞き、銀行の貸し渋りや債権回収の実態を調査し、こうした事態が起こらないよう各銀行に申し入れを行うべきであります。答弁を求めます。  第四の質問は、中小企業経営安定対策連絡会議についてであります。昨年の第三回定例会において、墨田区の区内中小企業の経営安定化対策の具体的な例も挙げ、港区でも中小企業経営安定対策連絡会議を早急に開き、融資に関すること、仕事の確保策などの具体化を求めました。その結果、十二月四日、連絡会議が開催され、平成十年度港区経営安定緊急対策実施状況、今後の取り組みについてなどが討議されました。しかし、一月中に再度連絡会議を開催し、「訪問による区内業者への受注要請を検討」するなど、その具体化を図ることとなっていましたが、三月になるというのにいまだ具体化されておりません。中小企業の悲鳴があなた方は聞こえないのでありましょうか。区内中小業者の現状を察するなら、管理職の業者訪問など全庁挙げて取り組む計画を実行に移すべきであります。至急中小企業経営安定対策連絡会議を開催し、今後の取り組みを具体化し、その内容を議会、区民の前に明らかにすべきであります。答弁を求めます。  第五に商工課の体制の問題についてです。緊急特別融資枠の実施、中小企業金融安定化特別保証制度の受け付け、地域振興券の取扱業者受け付けなど、この間、商工課の職員は仕事に忙殺されています。四万件の区内業者の九九%を占める港区経済を担っている中小業者のための施策を充実させるためにも、職員の増員を図り、体制を強化すべきであります。答弁を求めます。  区長に対する最後の質問になりますけれども、学校施設に関連しての質問になります。これについては、教育長の方からも答弁をいただきたいと思います。  私ども共産党議員団は、深刻な実態にある教育施設等について出されている、学校長・園長会の予算要望に沿って昨年の予算委員会、十一月定例会等で早急に改善を求める立場から質問してまいりました。しかし、小学校に対する改修要望では二十校の要望に対して、前倒して改修されたものもありますが、一部改修されたものは六校あるのみで、「危険性・緊急性は認められない」として未改修のままになっています。中学校・幼稚園についても同様に先送りされています。飯倉小学校では、「夏場、教室の室温が四十三度にも上昇する」。また、六本木中学校の「障害を持っている子供たちの教室には冷房がない」。さらに高輪台小学校では「万年塀の耐震性に不安がある」等々、校長先生方の「学習に不都合がある」、「危険性がある」等の切々とした訴えを無視してきたことは重大です。  我が党議員団は、今度の質問に先立ち幾つかの学校を訪問し、実態を調べてまいりました。高輪台小学校では「窓ガラスにひびが入っているのは九十六枚もある。ひびが入っているものを全部修理すると、学校に配分されている予算を全部費やしてしまう。そのためにセロテープで押さえている。できればサッシにしてほしい」。さらに、「屋上の防水は一部行われたが、いまだ中央部に水がたまっている」。「万年塀は一部修理したが、指摘したところだけ。修理したすぐわきに穴があいている所がある。」等々の訴えが現状でありました。また、東町小学校では、「一階のトイレの両面のタイルが浮いていて、危険防止のため幅広テープで応急処理をしている」現状や、「屋上運動場の外壁が東側・西側それぞれ部分的にはがれていて危険」な状況、「壁にひびが入っていて非常に危険」な状況等々、これらの実態を教育委員会はつかんでいるのかどうか、甚だ疑問であります。  また、設置者である区長が知っていて、もしこのまま放置しているならば、大変なことになります。学校の設置者である区長は、区の技術職員を動員し、実態調査を早急に行うべきです。先ほど紹介した区民の声、「子供の成長・教育に必要な予算は削ってほしくありません」。これは区民の切実な声です。  教育委員会は、学校施設の実態をそのまま区長に伝えてきたのか。区長は早急に教育施設の営繕等予算措置をとるべきであります。それぞれ答弁を求めます。  我が党の志位書記局長は、衆議院予算委員会の総括質問で「危険校舎の増大を放置していていいのか」との質問を行いました。文部省は、「調査をしてさらなる努力をする」との答弁を、また、小渕首相は「責任を負って対処する」との答弁をしています。区長は、国・都の補助金等の措置についても、その実態を調査し、適切な措置を国・都に求めるべきであります。区長の答弁を求めます。  最後の質問は議長に対しての質問であります。  戦争法案であるガイドライン関連法案については、議長に求めるものでありますが、既にこの内容は「周辺事態措置法案」を初めとするガイドライン関連法案は、日本の防衛とは何の関係もなく世界に乗り出す米軍の戦争や、軍事干渉に日本を総動員する内容のものであります。これは憲法の平和的原則を踏みにじるばかりか、これまでの日米安保条約の建前にさえ反する内容にほかなりません。政府は、後方支援だから、武力行使と一体でないから、戦争参加を意味しないと言っていますが、日本が支援することになっている「補給」「輸送」「修理及び整備」「医療」「空港及び港湾業務」等々は、軍事用語では「兵タン」を示しております。政府がどう解釈しようと国際法上は戦争行為そのものではないでしょうか。これらのことは、自治体にも米軍の軍事協力を求めるもので、民間に働く住民にも業務命令で事実上強制動員がかけられることになることは歴然としています。  議長は、日本の平和と安全、国民の権利と民主主義を守る立場から、今定例会で意見書を採択すべきであります。議長の積極的な答弁を求めます。  これで質問はおわりますが、答弁によっては再質問することをあらかじめお伝えし、質問を終わります。   〔区長(菅谷眞一君)登壇〕 ○区長(菅谷眞一君) ただいまの共産党議員団を代表しての北村利明議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、「みんなといきいき区政推進計画」についてのお尋ねであります。  まず、計画事業の見直しについてであります。区は、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を上げるという自治体運営の基本原則に立ち、区民サービスの向上に取り組んでいかなければなりません。これまで「みんなといきいき区政推進計画」及び「財政構造改革指針」に基づき、組織機構改革などの内部努力や事務事業の見直しなど、行財政改革に取り組んでまいりました。計画計上した事務事業については、厳しい財政状況を踏まえるとともに、社会情勢や区民ニーズに的確に対応するため、必要性、緊急性、効果性などの視点から見直してまいりました。  したがいまして、計画した事業の実施については、現段階で見直すべき状況にはないと考えております。今後とも限られた財源を効率的・効果的に配分するとともに、時代の変化や区民要望に的確に対応し、真の区民福祉の増進のため、活力ある簡素で効率的な区政運営を実現してまいります。  次に、住民参加の計画実行についてのお尋ねであります。  「第二次みんなといきいき区政推進計画」では、これまでの行政改革の取り組みを継続・発展させるとともに、「区民本位の区政」の実現を目指し、行政情報の積極的な提供や区民が区政運営に参加できる仕組みづくりなどについて取り組むこととしております。計画の実行に当たりましては、情報の提供に努めるとともに、区民の意見に十分配慮しながら適切に対応してまいります。  次に、市街地再開発補助制度についてのお尋ねであります。  区は、住民が安心して快適に暮らせる街の実現を目指し、定住性の高い住宅の供給や道路・公園などの都市基盤の整備を図り、災害に強い街づくりに取り組んでおります。現在の厳しい財政状況においても、最少の費用で最大の効果を上げるため、効率的な補助事業に努め、定住人口の確保や都市基盤の整備などの事業に対し重点的に補助してまいります。特に各地区の小規模地権者の特性に配慮し、事業への貢献度を評価する制度の導入により、補助対象項目の見直しなど、適切な補助事業の執行に努めてまいります。  次に、道路占用料の適正化についてのお尋ねであります。  道路占用料は、十年四月、料金の算出基礎である固定資産税評価額が減少する中で、一・五倍を限度として引き上げました。その結果、道路占用料の歳入は総額十一億円余であります。今後の占用料のあり方については、現在二十三区の担当課長会の検討課題となっております。また、検討を促進するため、他の都心区にも働きかけてまいりました。従前から都区一体で検討してきた経緯などがあり、難しい側面もありますが、引き続き区の独自性が出せるよう、他区と連携を図りながら検討を進めてまいります。  次に、開発利益の社会還元についてのお尋ねであります。  これまでも大規模な開発に当たっては、民間開発事業者に一定の社会還元を求め、地域の特性に考慮した公共施設の整備や定住促進のための住環境の整備を求めてまいりました。定住促進のために開発者に対し、定住促進指導要綱に基づき、一定の住宅付置及び定住性の高い住宅を要請してきました。  また、公共施設や都市基盤整備についても、計画の内容、開発規模、周辺への影響等を考慮して、関係者に応分の負担を求めてきております。今後とも厳しい財政状況の中で、開発者の理解と協力のもとに、定住促進指導要綱を活用し、一定の協力を求めてまいります。  次に、国庫支出金についてのお尋ねであります。  国庫支出金については、「財政構造改革中間のまとめ」でもその状況を明らかにしたように、単価差、規模差などによる地方公共団体の超過負担が大きな問題となっております。地方公共団体が不当な財政負担を強いられることは、地方自治の趣旨からも問題であり、国基準に基づいた国庫支出金の措置を求める必要があります。特別区区長会では、国に対する要望活動の中で、重点要望として超過負担の問題に取り組んでいますが、依然解消しておりません。今後とも地方公共団体の財政自主権、国と地方との財政秩序の確立などの観点から、超過負担の解消に向けて国等に働きかけてまいります。  次に、都区制度改革についてのお尋ねであります。  まず、清掃事業についてであります。ご指摘のとおり、資源回収事業については、資源となるものは徹底して分別し、きめ細かなリサイクルの取り組みが必要であります。ペットボトルにつきましても、牛乳パックと同様に拠点回収を実施しておりますが、必ずしも区民の十分な理解と協力が得られていないのが実態であります。今後さらに対象品目の拡大など参加しやすいシステムの確立などに努めてまいります。  企業責任を明確にするための法整備につきましては、現在の容器包装リサイクル法などの適用範囲の拡大など、企業の責任についても引き続き検討し、必要に応じて国等に要請してまいります。  ダイオキシン類の調査については、清掃工場の煙突での排ガス調査だけでなく、工場周辺の大気中の調査も実施してまいります。また、東京都環境保全局が白金の環境測定局においても測定しております。今後、それら調査の結果を踏まえながら検討してまいります。  次に、国民健康保険料率の調整組織についてのお尋ねであります。  今回の都区制度改革では、特別区の自主性・自律性を強化する観点から、国民健康保険事業にかかわる東京都の調整条例が廃止されます。このため、各区は、独立の保険者として国保事業の運営ができることとなります。しかし、二十三区は財政や医療費などに大きな格差が生じております。この状況から直ちに各区が独自の保険料率で運営することは、各区の区民生活に多大な影響を及ぼすことが予想されます。この大きな変化を緩和するため、当面二十三区で保険料率の統一を図ることとなりました。このため、調整する組織が必要であります。しかし、その調整組織はできるだけ各区の自主性・自律性を確保できる組織が望ましいと考えております。その趣旨に沿った組織の設置を強く主張してまいります。  次に、情報公開制度の見直しについてのお尋ねであります。  まず、公費支出に関する個人情報の公開についてであります。平成九年六月三十日の庁議決定で「個人情報の取り扱いに関する情報公開基準」を決定いたしました。公務員が公務として行ったものについては、所属名、職名、氏名は保護すべき個人情報に当たらないものとして原則公開しております。今後は、制度の見直しに当たって、公務員の公務に関する情報の規定整備について検討してまいります。  次に、意思形成過程情報等の公開についてのお尋ねであります。  「意思形成過程における情報」や、「国又は地方公共団体との協議等に関する情報」には、多種多様なものがあります。これらの情報の公開については、公正で適正な意思決定が確保できること、特定の者に利益を与えたり、不利益を及ぼしたりしないことなど、さまざまな角度からの検討が必要であります。ご指摘の公開しないことができる区政情報の規定については、今後制度の見直しの中で、学識経験者等の意見を参考にしながら慎重に検討してまいります。
     次に、出資法人等の情報公開についてのお尋ねであります。  現在、区の情報公開条例では、出資法人等については、対象とする実施機関に含まれておりません。しかしながら、財政的な支援を行っている財団法人等の情報公開については、条例の趣旨に基づき、情報公開に努めるよう指導する責務があると考えます。今後、制度の見直しに当たって、区の役割を明確にするよう検討してまいります。  次に、区政情報の検索体制の確立についてのお尋ねであります。  情報公開制度の適切な運用に当たっては、情報の管理及び検索方法の充実が重要であります。現在、区政情報検索システムの導入を計画しており、このシステムによって区政情報をより早く検索できるなど、区民サービスの向上を図ってまいります。  なお、条例制定以前の文書目録の作成については、文書管理システムの導入を視野に入れながら、引き続き検討してまいります。  次に、公営・公設による住宅供給についてのお尋ねであります。  まず、公営住宅等の区民向け住宅の供給についてであります。中堅ファミリー層を中心として、活力あるコミュニティーを形成するため、多様な区民が住める区民向け住宅の確保・供給は今後とも必要であります。供給に当たっては、区有地を活用し、定期借地権制度などにより、区財政に影響を与えない手法をとってまいります。さらに、都営住宅の区への移管を計画的に進めるとともに、移管後の区営住宅については、用地を有効に活用し、区営住宅を含めた区民向け住宅の戸数を確保してまいります。  次に、六本木防衛庁跡地処分についてのお尋ねであります。  六本木防衛庁跡地については、区に残された国有地の一つとして大きな関心を持っております。今回、助役が「国有財産関東地方審議会臨時委員」に任命されました。この機会をとらえ、地域の特性を生かしつつ、定住促進を基本とし、また、地域の活性化、防災面等にも配慮した総合的な土地利用のあり方について、区の意見の反映に努めてまいります。今後、区議会等に情報を提供し、意見、要望を伺いながら、定住を促進し、安全で快適な街づくりとなるよう、国に要望してまいります。  次に、芝浦アイランド計画についてのお尋ねであります。  芝浦アイランド計画につきましては、昭和六十二年に「特定住宅市街地総合整備促進事業」として整備計画が決定されました。その間、都心居住の推進に向け、アイデアコンペの実施など、都と区が協働してさまざまな検討を進めてまいりました。東京都では、策定後十年以上経過している整備計画を社会経済状況の変化に対応して見直しております。また、本年二月には事業を促進するため、高層住居誘導地区の都市計画決定がなされております。区としては、一時避難場所などの防災機能の整備や居住機能を支援する公共公益施設の整備など、居住機能を中心とした街づくりを求めております。今後とも議会や区民のご意見・ご要望が計画に反映されるよう、東京都に強く働きかけてまいります。  次に、建築紛争予防事務についてのお尋ねであります。  まず、紛争予防条例に係る強力な行政指導方についてであります。区としては、紛争解決に努力しつつ、建築確認の時期については、紛争解決への経過を見ながら対処してきました。しかしながら、未解決事項を残しながら建築確認を求められた場合には、確認がおりたことを理由として強行着工することのないよう、区としても強力な指導に努めております。今後とも紛争解決のため条例の趣旨が十分守られるよう、関係部署が緊密な連携を図る体制を整備してまいります。  次に、建築基準法改正に伴う紛争予防条例改正等の必要性についてのお尋ねであります。  建築基準法の改正に伴い、民間機関への確認申請についても、従来どおり紛争予防条例や要綱の対象とするため、条例等を改正してまいります。また、紛争予防条例等を適切に運用するため、行政機関と民間機関とが連携しながら協議会の設置を検討してまいります。いずれにしても、住民に一番身近な区の責務として、区民の利益を守る立場から区が中心となって行政指導ができるよう努めてまいります。  次に、介護保険についてのお尋ねであります。  まず、保険料・利用料の減免制度についてであります。低所得の方々に対する配慮については、国において検討しております。区としても適切な対応を国に要望してまいります。また、介護保険法に従い、負担の公平と介護サービスの提供に支障を来さないよう対応してまいります。  次に、一次判定基準の公開と見直しについてのお尋ねであります。  要介護認定については、認定の正確性・公平性を確保するために区市町村の意見など要介護認定モデル事業の結果を踏まえ、適切な基準を確立するよう国に対して要望してまいります。  次に、二次判定についてのお尋ねであります。  要介護認定に当たっては、国の定めたマニュアルに基づき、申請者の状態を正確に把握し、公正な認定を行うよう努めてまいります。  次に、認定外の人への福祉サービスについてのお尋ねであります。  認定外とされた人への福祉サービスについては、介護保険事業計画検討委員会などの意見を踏まえ、必要なサービスが不足することのないよう配慮してまいります。  次に、特別養護老人ホームの整備についてのお尋ねであります。  特別養護老人ホームについては、港区基本計画に基づき、着実に整備してまいります。  次に、特別養護老人ホームの都加算事業についてのお尋ねであります。  介護保険制度の開始に伴い、現行の保健福祉サービスの水準が低下することのないように、都加算事業の継続を東京都に要望しております。  次に、特別養護老人ホームの継続入所についてのお尋ねであります。  特別養護老人ホームは、要介護の認定を受けた高齢者が入所する施設であります。しかし、介護保険法施行後五年間は、要介護認定外の高齢者も引き続き入所できます。これらの高齢者については、それぞれの状況に応じた対応を検討してまいります。  次に、措置費に見合った財政負担についてのお尋ねであります。  特別養護老人ホームに既に入所の介護認定を受けられなかった方に対する経過措置期間中の介護保険給付については、施設の運営に支障が出ることのないよう国に要望してまいります。  次に、中小企業振興策についてのお尋ねであります。  まず、緊急特別枠融資の継続実施についてであります。長引く不況の中で、経営の安定に努力している区内中小企業者を支援していくことが第一に求められております。そのため、臨時措置としての緊急特別枠融資を実施してまいりました。また、国も事業資金の調達を支援するため「金融安定化特別保証制度」を創設し、その効果があらわれてきております。したがいまして、緊急特別枠融資につきましては、これら国・東京都等の施策及び景気の動向を見て検討してまいります。  次に、信用保証協会の保証料の区負担についてのお尋ねであります。  信用保証協会の保証料は、本来的に企業が負担すべきであるという考えは、昨年の第四回定例会でお答えしたとおりであります。したがいまして、港区では利子補給に重点を置いております。ご指摘の他区の例は、臨時的な景気対策融資に限られたものでありますので、その点につきましては、後年度負担も考慮の上、慎重に検討してまいります。  次に、貸し渋りや債権回収に関する銀行への申し入れについてのお尋ねであります。  港区中小企業経営安定対策連絡会議の決定に基づき、二月二十三日、東京商工会議所港支部との共催により「港区金融機関懇談会」を開催いたしました。この懇談会には、港区制度融資取扱金融機関のほか、政府系金融機関及び東京信用保証協会も出席しております。その際、意見及び情報の交換を行うとともに、融資の適正な執行と、今後の事業への協力について要請いたしました。今後も引き続き必要に応じ、機会あるごとに要請してまいります。  次に、中小企業経営安定対策連絡会議についてのお尋ねであります。  昨年十二月に実施した連絡会議の決定に基づき、中小企業経営安定緊急対策の今後の取り組みとして、本年二月、三月に緊急特別枠融資を実施するとともに、先ほどご答弁申し上げました「港区金融機関懇談会」を開会いたしました。ご指摘の訪問による区内業者への発注要請につきましては、早急に具体化に向けて連絡会議を開会し、検討してまいります。  次に、商工課の体制強化についてのお尋ねであります。  ご指摘のとおり、商工課は現在さまざまな臨時的な緊急事業に対応しており、忙しさを増しております。そのため、商工課では従来から協力体制にある商店街連合会や工業団体連合会などの商工団体との連携を深め、協働体制を確立する中で日常の業務に取り組んでおります。関係団体と連携を図ることにより、現体制でより効率的な区政運営に努めてまいります。  次に、学校施設の改善についてのお尋ねであります。  まず、予算措置についてであります。将来を担う子供たちのために教育環境を整備することは重要であり、予算編成方針でも重要課題の一つとして掲げております。学校施設の改修経費や維持補修費については、修繕の必要性・緊急性などを総合的に勘案し、適切に予算措置しております。  最後に、国・東京都の補助金等についてのお尋ねであります。  小中学校の維持補修費については、都区財政調整制度の中で算定されております。また、新築・増築などの施設整備に対しては、法律等に基づき国庫支出金を受けることができます。国庫支出金の算定には国は必要かつ十分な金額を基礎とするとされています。しかし、実際は超過負担が発生し、区財政を圧迫する一因にもなっております。これまでも超過負担の解消を目指して要望活動等を行っておりますが、今後とも取り組みを強化してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育にかかわる部分については、引き続き教育長から答弁いたします。   〔教育長(中村勝弘君)登壇〕 ○教育長(中村勝弘君) ただいまの共産党議員団を代表しての北村利明議員のご質問にお答えいたします。  学校施設改善についてのうち、施設修繕及び実態把握のお尋ねであります。  厳しい財政状況のもとで、学校の維持補修経費が減少していることはご指摘のとおりであります。学校長等からの要望事項は多岐にわたっており、実施に当たっては、実態を調査し、学校運営に支障のないよう財政部門と連携協議し、危険性のある緊急工事を優先しながら対応しております。また、小修繕の対応としては、各学校に一定の金額を配当し、学校の自主的な管理執行にゆだねております。  学校施設の実態調査につきましては、施設課の協力を得ながら実態把握に努めております。今後とも学校長等と協議の上、厳しい財政状況下ではありますが、教育環境の整備の観点からも、危険性、緊急性及び必要性などを考慮し、学校運営に支障を来さないよう創意工夫を図り、適切に対応してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○議長(真下政義君) 北村議員の議長に対する質問にお答えいたします。  ガイドライン関連法案に関して、意見書の採択をするべきであるとのお尋ねでありますが、この問題は、地方自治体や民間にも深くかかわりのある内容を含んでおります。ご質問にもありましたが、私といたしましても、我が国の平和と安全、また、国民の権利や民主主義を守ることは大切であると思っております。各会派の皆さんの、それぞれのご意見を十分伺いながら対処してまいりますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。   〔三十一番(北村利明君)登壇〕 ○三十一番(北村利明君) ただいま答弁をいただいたわけでありますけれども、予算委員会も控えていますので、深い討論については予算委員会の中でやっていきたいというふうに思います。ただ、今の答弁で幾つかの問題点、並びに要望については指摘すると同時に、区長に要望しておきたいと思いますけれども、教育長のただいまの答弁については、学校管理を束ねている教育委員会としては、全くいただけない内容なので、具体的に問題点を指摘すると同時に、教育委員会の再答弁はお願いしたいということを前提にして、再質問を展開していきたいと思います。  一つは、区長が言う「いきいき推進計画」の見直し、いわゆる復活の部分ですけれども、これは見直さないということだけははっきりした。区民が困っているのをしり目にして、先ほども指摘したわけですけれども、自らが行ったむだ遣いに対しては何ら反省することなく、区民へのしわ寄せだけは強引に押し進めると。それに対する復活要求をしているにもかかわらず、それについては心も動かさないということに対しては、これは予算委員会の中で深く姿勢を追及していきたいというふうに思います。  それと同時に、「第二次いきいき推進計画」ですけれども、これは第一次とも連動するわけですけれども、区長は効果的な行政云々ということ。また、区民の立場に立って区政運営は行っている云々ということは言っているわけですけれども、私もこの予算委員会、並びに推進計画等の質疑の中で、区民と行政を現場で支えている区の職員にとっては息も絶え絶え、地獄への推進計画じゃないかと。これは私が言っているんじゃなく、職員の中にこういう声が広がっているわけですけれども、そういう声に区長は率直に耳を傾け、心を動かすべきだと。先ほど第二次のことでは、区民の要望については、配慮はするという表現で答弁がなされたわけですけれども、そうなると、区長自らが記者会見をした。広く区民に情報を伝え、区民とともに施策の展開を組んでいくということにも今の瞬間は背を背けた。区長自らが出したことに対して背いた答弁になっていると思うので、これについても私は問題点だけの指摘にとどめておきたいというふうに思うわけです。  それで、先ほどこれらの施策展開をする上で、国庫支出金などの調査云々ということで求めたわけですけれども、区長も知ってのとおり、今年度の最終補正でいわゆる都心共同事業について、国は前倒しをして事業を推進しろということを要求してきたわけです。それに対しては区長はいち早く応えているんです。応えた結果、どういうふうになってくるかというと、これは若干問題点をはっきりさせておいたほうがいいと思うので、明らかにしたいと思いますけれども、芝三丁目東地区の区画整理事業の中で行われている都心共同住宅供給事業についての問題なんですね。これは超大手不動産であります三井不動産が施工者として行っている事業です。言うなれば、三井不動産の利益を追求する形の事業なわけですけれども、これに対して港区は、来年度予算で一億七百万円強の予算を組んでいたわけです。  ところが、国は、これは国といっても建設省ですけれども、建設省は国の予算が余ったと。ゼネコン型の公共事業に対しての予算が余ったと。だから港区も前倒ししてこの事業を推進しろということで組まれたのが今回の補正予算なんですね。「困った困った」と言って、「財源不足だ、財源不足だ」と言いながら、国のそういうゼネコン向け型の事業に対しては国の言いなりになって、一年度前倒しで事業を推進すると。区民の切実な要求については、先ほどのような冷たい返事しかしない。これについては、私は全くいただけない区長の基本姿勢かなと思いますので、これについても私は問題点を指摘しておきたいということと。  もう一つ、答弁は要りませんけれども、港清掃工場の稼働に伴う定点測定の関係です。これは既に議会でも報告されているわけですけれども、港南地域での定点測定、それと一般的に行われている白金の職員住宅のところにある測定、これを基準にして、測定結果を見守っていきたいというような答弁だったというふうに私聞き取ったわけですけれども、これでは足りないと。いわゆるダイオキシンは社会そのものに大きく不安を与える問題として浮上してきているわけで、やはり私たち区民の命と健康を守るという立場を区長自らが持っているならば、東京都任せにすることなく、港区でも定点測定をしっかり行う。あるいは東京都に定点測定を、土壌汚染も含めて強く求めていくと。そういう姿勢が私は区民を守る立場につながるかと思いますので、これについて、もし答弁が必要ならば、区長はしっかり答弁をしていったほうがいいのではないかなというふうに思います。  その他いろいろ問題点はいっぱいあるわけですけれども、時間の関係もあって、多くは、先ほども言ったように予算委員会の中で展開したいと思いますけれども。  最後に、学校の実態調査、並びに営繕関連の予算化については、区長は必要な予算措置はやっているんだというのが区長の答弁だったんです。それで教育委員会も予算当局といろいろ調整して緊急性の高いものからやっているんだと。なおかつ、営繕費は学校に配分している予算があるんだから、それで十分足りるんだというような趣旨の答弁を教育長はしていたんだけれども、それとあわせて営繕関係の職員の協力も得て実態調査もしているんだということを言っているけれども、その実態調査がどのような立場でやって、どのような調査結果が出たのか。この際明らかにしていただきたい。  併せて、先ほども私、具体例で言いました。全部を述べている時間がありませんので特徴的なことを言いますけれども、高輪台小学校、九十六枚のガラスにひびが入っていると。それをセロテープで張って応急処置をしている。しかし、学校に配分されている予算では、そのガラスを直すだけで配分されている予算は全部使い込んでしまうんだと、全部消化されちゃうと。そういう苦労を現場にさせているんですね。私は、やはり教育長といえども、教育委員会といえども、主権者である区民の方向に目を向けるならば、先ほどのような答弁はあり得ない。区長の方向に目を向けているから、いわゆる区長の予算措置なり、学校現場の現状を正しく区長に報告することなく、区長に錯覚を起こさせるような答弁をさせているんです。あなた、どこに目をつけて仕事をしているんですか。区民の方向ですか。子供たちの方向に目を向けていますか。先ほどの答弁から見ると、区長の顔色をうかがった目線での仕事しかしていない。したがって、先ほど私は公開を求めたわけですけれども、営繕でどのような調査結果が出て、それを正しく区長に伝えているかどうかということが一点。  それと、あなたは営繕関係の予算を学校に配分しているもので十分だという趣旨のことを言ったけれども、十分じゃないからこういう問題が起きてきているんじゃないですか。おまけに高輪台小学校の窓枠はゴムの弾力のつく窓枠じゃなくパテですよ。パテは知ってのとおり、風化してくるとぼろぼろになって弾力性がなくて、窓ごと落ちてくる性格を持っている。耐震性にも欠けているガラスの窓に張りつける装置ですよ。今ほとんどがアルミサッシなりにしてゴムの弾力性のあるものになっているじゃないですか。先生は、全部サッシにしてもらいたいけれども、せめて割れているガラスぐらいは早急に直してもらいたい。これは高輪台の例で言ったけれども、先ほど言ったのは、そのほかの学校の例も言いましたけれども、それらについては的確に答えていただきたい。どのように現状を把握しているか。これについてはしっかりした答弁をいただきたい。  あとについては、もし区長がこの際答弁しないで、予算委員会の中で明らかにしていきたい、しっかりした区長の姿勢を示したいということならば、私は時間の関係で強く求めることはいたしません。要望として受けとめていただいても結構です。 ○議長(真下政義君) お諮りいたします。議事の運営上、あらかじめ時間を延長したいと思いますが、ご異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(真下政義君) ご異議なきものと認め、時間は延長されました。   〔教育長(中村勝弘君)登壇〕 ○教育長(中村勝弘君) ただいまの再質問にお答えいたします。  実態調査のまず結果でございますけれども、教育委員会で優先順位をつけまして、その結果を財政当局と協議を進めまして、その結果として予算措置をしているというのが実態でございます。  それから、ご指摘の危険性の高い修繕工事等につきましては、再度調査する中で安全確保のために適切に対処してまいりたいと存じますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。   〔三十一番(北村利明君)登壇〕 ○三十一番(北村利明君) 二時間しゃべっちゃえという要望もありますけれども、私は問題がはっきりすればいい。あなたは実態を調査すると言ったの、何を聞いていたんですか。これが実態ですというのは、優先順位をつけて区長に届けたのが実態だと。私はそんな実態を聞いているわけじゃないんですよ。今、教育現場がどうなっているかと。あなたは正確に知っているんですか、つかんでいるんですかという問いかけをしたわけです、一番最初に。つかんでいるなら、そういう時期に区長に伝えているのかどうか。優先順位をあなたのところで勝手につけて区長にやっていると。あなたのところの恣意的な優先順位に従ったものしか財政課は反映しませんよ。私が言っているのは、学校現場が本当に危険な状況も生まれている。その実態を正しく区長に伝えると。設置者に伝えると。そのための実態調査をやりなさいと。あなたはやっていると言うから聞いたんだよ。やっていないのね、それは。やっていないならやっていないで早急に、やはり新学期をもうそろそろ迎えるわけだから、それまでの間に安全な校舎に生まれ変わるよう最大の努力をしていただきたい。区長は出していると言っているんだから。出しているものが足りないだけの話だと思うんだよ。そういうことでしっかりした答弁をしてくださいよ。なかなか事の本質をとらえないで、ただ時間が短い長いだけを判断するような一つの気風もあるけれども、あなたはそれに惑わされないでしっかりした答弁をしてください。   〔教育長(中村勝弘君)登壇〕 ○教育長(中村勝弘君) 再びお答えいたします。昨年、各学校あるいは幼稚園から、修繕あるいは工事の要求が出てまいります。その時点での実態調査を施設課の協力のもとで行っていたということは、先ほど申し上げたとおりでございます。先ほどご質問いただいたいろいろの数々のご指摘の点につきましては、再答弁で申し上げましたとおり、再度調査する中で適切に対処してまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 ○議長(真下政義君) 十四番木村のり子君。   〔十四番(木村のり子君)登壇、拍手〕 ○十四番(木村のり子君) 平成十一年港区議会第一回定例会に当たり、公明党を代表して区長に質問いたします。  質問に入ります前に、昨年十二月、志半ばにして急逝されました故菅野一議員に対しまして、心からご冥福をお祈り申し上げるものでございます。  では質問に入ります。  まず初めに、行財政改革についてお伺いいたします。平成十一年度予算は、「財政構造改革総仕上げの予算」と位置づけられております。三十億円の財源不足を解消し、財政調整基金に頼らない財政運営を定着させ、さらに起債額を平成三年度以来の低水準に抑えたとしており、その努力は多とするものであります。また、十一年度予算に計上された氷川小学校跡地の特養ホームの建設、緊急融資・プレミア付き商品券の発行、さらに住宅取得の利子補給などの取り組みについては、時宜にかなった施策の推進であり、評価するものであります。  そこでお伺いいたしますのは、今後の行財政改革の取り組みについてであります。区長は、所信表明において次のように述べております。「今後も地域社会を取り巻く状況の大きな変化に的確に対応するためには、行財政改革の不断の取り組みが必要であります。したがいまして、基礎的自治体としての港区にふさわしい区政運営を目指し、区民との協働や区民参加による区政の推進など新しい視点に立ち、平成十一年度から三ヵ年を計画期間とする『第二次みんなといきいき区政推進計画』を策定いたしました。」このように述べております。  従来、行財政改革の内容とは、大幅な区税収入の落ち込みを踏まえて、財政の硬直化を是正するための人件費を含む経常的経費の削減であり、また、不要不急の事務事業の見直しであり、さらにまた、組織機構の簡素化などを柱とするものでありました。今回の所信表明に述べられている今後の行財政改革の中心をなすものは、従来の行財政改革とは異なり、「新たな視点」、つまり「区民との協働や、区民参加による区政の推進」などがその内容とされております。これは従来の行財政改革の方向転換ではないかとも思われるのであります。  日本経済の先行きは極めて不透明なものであり、厳しい財政環境が当分の間続くのではないかと想定される状況のもとで、財政の改革を中心に据えた行財政改革に全力で取り組まずして、果たして少子高齢社会の多様な区民ニーズに応えていける十分なる財源の確保ができるものかどうか、危惧を感ずるところであります。  確かに平成九年度、十年度、十一年度の3ヵ年で財政構造改革指針の目標である財源不足を解消し、財政調整基金に頼らない財政運営を定着させることについては、つまり財政再建については目標を達成したところであります。しかし、目標の達成に当たっては、内部努力とともに、一方において税制改正などによる特別区税の伸びが当初の見込みを一割程度上回ったことも、その要因として見逃せないところであります。今、行政に求められていることは、より一層の内部努力の徹底ではないかと思われます。  例えば、平成九年度決算の審査意見書においては、次のように述べられております。経常収支比率について、「平成九年度は財政構造改革の取り組みによって若干向上したが、なお九〇%を上回る高水準にある」、また、「経常収支比率の適正化に向け、なお一層の財源の確保を図るとともに、徹底的な経常経費全般の節減が不可欠である」、さらにまた、「経常的経費の節減については、人件費の割合が高いことから、人件費の抑制及び削減が不可欠である」などの指摘がなされております。今後の行財政改革の推進に当たっては、所信表明で述べられている「新たな視点」、つまり「区民との協働や区民参加による区政の推進」も大切な視点ではありますが、やはり中心に据えるべき課題は、より一層の内部努力による財政の構造改革であり、組織機構の簡素化・効率化ではないかと思いますが、区長の見解をお伺いいたします。  次に、少子高齢化における子育て支援の充実について伺います。  既に繰り返し指摘されているところでありますが、一人の女性が一生の間に生む子供の平均人数は、人口を維持するのに必要な二・〇八を大幅に割り込み、一・三九にまで落ち込む異常な事態が続いております。この事態を打開するためには、実効性の高い抜本的な少子化対策が不可欠であります。そこで我が党は、今国会において子育て家庭の経済的負担を軽減するために児童手当の抜本的見直しを提案しております。支給額については、現行の第一子五千円、第二子五千円、第三子一万円を、第一子一万円、第二子一万円、第三子二万円の倍額にする。また、支給期間については、現行の三歳未満を中学卒業までの十五歳とする。さらに所得制限を撤廃するというものであります。年間の総事業費は約一兆四千億円とも推定されております。確かに巨額な事業費ではありますが、高齢化のますますの進行を踏まえたときに、少子化対策の実効性ある施策として期待されているところであります。これは国レベルでの子育て支援の施策でありますが、今回提案いたしますのは、港区における子育て支援の一環としての、現行の乳幼児医療費助成制度について、年齢の拡大を図るべきではないかということについてであります。結論から言えば、対象者を現在の就学前までの乳幼児から中学生までに拡大すべきではないかという提案であります。  東京二十三区のうち、医療費助成について、就学前までの実施区は港区を含めて十九区、そのうち所得制限のない区は、港区を含めて十一区であります。この実態からは、港区の取り組みは進んでおり、評価されるべきものであります。現行の乳幼児医療費助成の事業費は、港区においては、九年度実績で約二億円、対象者は約五千五百人であります。一人当たり三万六千円の助成になるのであります。都の補助金は約二千七百万円であり、区の財政負担は年間約一億七千万円となっております。子育て支援の充実のために一歩進めた施策の推進が望まれるところであります。  医療費助成を十五歳の中学生まで拡大し、所得制限なしにすると対象者は倍近くになり、また、区の財政負担もそれに応じて増えるわけであります。現在の財政状況のもとで一つの事業について年間の財政負担がいきなり倍近く増大することについては、かなり厳しい課題であります。そこで、医療費助成の拡大については、財政負担を勘案しつつ段階的に年齢を引き上げていく。また、暫定期間として所得制限も取り入れていくということを踏まえて、推進してはどうかと提案するものであります。少子化対策については、現在、国レベルにおいても地方自治体レベルにおいても実効性ある取り組みが強く求められております。「先駆都市・港区」を掲げる菅谷区長の英断を強く期待するものでありますが、区長の見解をお伺いいたします。  続いて、保育問題について二点、緊急一時保育、零歳児の特例保育の実施についてお伺いいたします。  本年一月十九日から二十九日にかけて、区立保育園で実施した「仕事探しのための緊急一時保育」は、連日新聞紙上に掲載され、大きな反響を巻き起こしたことは記憶に新しいところであります。日本経済はバブルの崩壊以降低迷し、長引く不況は一向に回復の兆しが見えていません。このような状況の中で、品川区の保育園では区内中小企業で働くお母さんを対象として年末に緊急保育を実施し、また、港区でも初めての試みとして、子供を抱えたお母さんの仕事探しを側面から援助いたしました。区内保育園十六園全園で三歳から五歳までのお子さん四十八人を四日間預かり、その間にお母さんは職業安定所や職業技術専門学校に通って職探しや技術を身につけるための方法等について自ら行動したのでした。現行保育園の運営形態の枠の中で、職員の創意工夫によって新たな事業展開がなされたことについては評価するものであります。以前から保護者から出産や疾病等で一時的に児童を保育できない場合の緊急一時保育に対する要望は高いものがありました。そこで、公立保育園において、今後ともこのさまざまな形での住民ニーズに対応した「緊急一時保育」を行うべきと考えますが、区長の考えを伺うものであります。  次は、零歳児の特例保育の実施についてであります。聞くところによりますと、平成十年度の児童福祉法の改正により、保育園の開所時間が十一時間になるとのことで、現行の十時間三十分の開所時間が三十分延長されることは、働くお母さんにとっては大きなメリットと言えます。また、台場保育園では四月から延長保育が開始され、区内の公・私立保育園十九園のうち九園に拡大されることは非常に喜ばしいことであります。しかしながら、零歳児については満一歳の誕生日に達するまでは保育の基本時間である午前八時半から午後五時までしか利用できず、十一時間開所のメリットを享受することができません。労働基準法では生後満一年に達しない零歳児を育てるお母さんには育てるための時間を権利として保証するとともに、使用者にも育児時間中の女性を就業させてはならないと規定されております。しかしながら、実態として機能していないのが現実です。  一方、女性の社会進出によりフルタイムで働くお母さん方は増大しております。また、経済不況のあおりで勤労条件は厳しいと同時に、長時間化の傾向にあり、五時までの保育時間では勤務に支障が生じております。そのためには行政として何らかの方策が必要と考えられます。そこで零歳児についても、満一歳以上の児童と同様に十一時間の特例保育実施の可能性についてお尋ねいたします。  次に、障害者施設の整備について二点、お伺いいたします。  昨年度、港区障害保健福祉センターが開所され、障害者施策は大きく前進したところであります。しかし、今後、養護学校等を卒業する障害者の受け入れ先を考えるとき、現在の施設だけでは将来的に対応できなくなることは明らかであります。数年後は定員をオーバーし、十年後には百人近い超過が予測されております。このような状況に対応するためには、作業や訓練を行う施設の整備はもとより、就労の場の確保などさまざまな施策を展開していくことが重要であります。とりわけ、障害者の重度化、また高齢化が進行する中で、入所施設の必要性はますます高くなっていくものと思われます。  既にご承知のことと思いますが、東京都は都心に施設建設が困難なため、やむを得ず遠隔地に施設を確保してまいりました。現在、港区の知的障害者が入所している施設の七割以上が都外の遠隔地にあります。「もっと身近なところに入所施設が必要」という保護者の皆さんからの声もあり、港区としてもこれらの声に応えるべきではないでしょうか。こうした中で港区として、入所施設の整備の必要性についてどのように考えているのか伺うものであります。また、民間の自助努力により整備する場合に、他の自治体でも行っているように、区として区有地の無償貸与などの支援を行う考えはないのかも併せて伺います。
     次に、住宅施策について三点、お伺いいたします。  初めに、住宅取得者のための『住宅ローンの利子補給制度』の早期実施についてお尋ねいたします。平成八年三月、そして平成十年六月の定例議会で我が党が要請してきた『住宅ローンの利子補給制度』が「港区基本計画」と「港区実施計画」にのせられました。区の前向きな取り組みについては評価いたします。この計画について、区民は大変に喜んでおります。いつから実施するのかという問い合わせの声が寄せられており、施策の早期の実現が望まれております。  先日の新聞報道によれば、東京二十三区の人口が五年ぶりに八百万人を突破、三十三年ぶりに転入者が転出者を上回る社会増が三万人を超えたことが都の統計部による東京都の人口の動きでわかったとありました。都は、「詳しい分析はこれからだが、全体的に見て、地価の下落や『家賃補助制度』など各区が打ち出した人口流出策などが功を奏したのではないか。」としております。住宅対策についての自治体からの発想や取り組みは評価されるべきであり、自信を持つべきであると考えるものです。  ところで、『住宅ローンの利子補給制度』の実施時期でありますが、計画によりますと平成十一年度と十二年度が調査となっており、実施はそれ以降になっております。すべての政策に共通する重要な点は、その施策の実施時期がタイムリーであるかどうかであります。都民の職住近接意識は高く、加えて地価が下落し住宅ローンの利率が低い今こそが、その最大のチャンスと考えるものであります。二十三区を見ますと、既に実施している区が何区もあります。したがって、区民にとってその準備のために二年もかかるということは理解に苦しむところであります。実施時期の前倒しを望むものでありますが、区長の考えをお伺いいたします。  なお、この制度の概要は、ローン限度額約二千五百万円、本人負担は利子の一%、融資期間は約二十年間とし、目標世帯数は平成十八年度までに九十六世帯分とのことであります。この対象者については、中間所得層となっておりますが、私たちは以前から、これから結婚を迎える単身青年層を中心にすることを望んでまいりましたが、このことも十分配慮していただきたいことを再度要求するものでありますが、区長のお考えをお伺いいたします。  三点目は、我が党が以前から要請してきた『都心活動層』と呼ばれる単身者向け住宅の建設拡大についてお伺いいたします。  区有地を有効利用し、区の財政に負担をかけない「特定公共賃貸住宅制度」を利用した『港区港南荘住宅』の建設がようやく着工の運びとなりました。二十三区初の単身者向け特定公共賃貸住宅が二十戸、併設して計画されております。住宅規模は約十一坪、新婚世帯でも居住可能な広さであり、最終家賃が八万円前後と聞いておりますが、大きな反響を呼んでおります。公的住宅が財政に負担をかけないで建設できることが可能となった現在、神明小学校跡地を初めとした区有地の有効利用等による住宅建設の推進を望むものであり、単身者向け住宅の併設供給の拡大を要請するものであります。区長のお考えをお伺いいたします。  次に、環境対策について三点、環境ISO、エコプラザ、そして港区ダイオキシン対策についてお伺いいたします。  環境対策については、我が区では平成八年に「港区環境基本計画」、平成十年に「港区環境基本条例」を策定いたしました。本年設置された環境審議会において「港区環境行動指針」が審議中であり、三月には答申が出されるものと伺っております。その指針の中で、港区、事業者、区民とそれぞれ環境に対する具体的な役割と責任が示されます。港区としては、その行動指針を受けて、十一年度中に環境に対して港区行政の役割と責任を明確にした「庁内環境率先行動計画」を策定するものとしております。この庁内行動計画は、港区が行うすべての公共事業、事務事業において、環境への負荷をできる限り低減することを具体的に定める計画であり、早期の策定が待たれるところであります。  さらに、我が党が昨年から主張してきた、環境ISOの認証取得も積極的に取り組むとしております。この環境ISOの目的は、環境に対し、計画・実践・点検・見直しと改善というサイクルで、企業や自治体が自ら環境に対して継続的に改善していくことにあります。「従来からの慣習で良い」といった現状維持の体質に陥りがちな自治体にとって、環境ISOの考え方は、自治体の体質改善になり、それがそのまま区民サービスの向上へとつながっていくものと期待されるのであります。本年に入って板橋区と埼玉県が相次いで環境ISOの認証を取得し、新宿の都庁舎も平成十一年度中に認証取得を目指しております。  そこで、まず環境ISOについて伺います。環境ISOの認証取得に当たっては、トップの強いリーダーシップと全職員が環境に対して高い意識を持つことが重要と言われております。港区が環境ISOの認証取得に対し、職員の意識改革をはじめとして多くの課題が考えられますが、具体的にどのように進めていくのか。さらに認証取得の時期についての目標を伺います。  続いて、エコプラザについて伺います。  今回の港区基本計画の中にエコプラザについて、「リサイクルをはじめ環境全般に関する情報、体験及び交流の場としてのエコプラザを設置する」とあります。エコプラザについては、早くからその設置が要望されておりますが、併設施設の計画などの事情から、今なお旧鞆絵小学校の校舎の一部を使った暫定施設による運営を余儀なくされております。今後、早期の建設が望まれますが、環境に対しての区民参加の拠点となる施設を目指すべきと考えます。  運営については、環境に関心のある区民の方が自由に集い、語り、学べるような開放的なものとし、また、設備については、雨水を利用し、トイレや洗浄用水などに使い、太陽光を利用した発電を導入するとともに、太陽熱を活用した給湯システム、夜間電力を活用した蓄熱システムを採用するなど、現状で考えられる地球環境にやさしいシステムを駆使した施設とすべきと考えます。以上について区長の見解をお伺いいたします。  最後に、港区のダイオキシン問題についてお伺いいたします。  昨年十二月に京都において人類の生存にかかわるおそれのある環境ホルモンに関する国際シンポジウムが開催されました。世界各国から研究者、専門家、NGOなど多くの方々が参加し、活発な討論が行われたと聞いております。環境ホルモンを世界中の人々に広めるきっかけとなった「奪われし未来」の著者の一人であるジョン・ピーターソン・マイヤーズさんも参加し、「地球温暖化は外の世界への脅威であり、内分泌かく乱化学物質である環境ホルモンは、内なる世界の脅威だ」と発言しております。環境ホルモン問題は、地球規模での広がりがあり、また、食物連鎖や母体を通して現在の子供たちに、あるいは将来の子孫にまで影響が及ぶおそれがあると言われております。したがって、絶対的な科学的解明が出るまでに対策を待つというのでは、多くの区民に不安が高まるだけと言わざるを得ません。  環境ホルモンの一つであるダイオキシン類の毒性については、発がん性、催奇形性や免疫毒性等が指摘されております。さらに生殖機能に関係があるのではないかとの指摘もあり、人類の生存に大きな脅威を与えている事実を否定する人はおりません。これまでにダイオキシンが大量に飛散した事例として、イタリアのセヴェソにおける農薬工場爆発事故によるダイオキシンの飛散、ベトナム戦争における米軍が使用したダイオキシンを大量に含んだ枯葉剤の散布があります。それらによって直接死に至るということより、子孫への影響が大きな問題となっているのが事実であります。  また、ダイオキシンは体内に入った場合、なかなか体外に排出されにくく、脂肪分に溶けて蓄積されやすい性質を持っているのが特徴ですが、母親が子供を産むときに親の体内から約半分のダイオキシンが子供へと受け継がれていると言われており、世代を超えて受け継がれる毒性こそ注目しなければなりません。よって、世界保健機構であるWHOでは、一九九〇年に設定したダイオキシンの耐容摂取量、つまり健康影響の観点から、人が一生涯摂取しても影響がないとされている一日当たりの摂取量、体重一キログラム当たり十ピコグラムを、昨年五月に一〜四ピコグラムへと強化したのであります。四ピコグラムは当分の間における耐容摂取量の上限値とし、究極的な目標として人の摂取レベルを一ピコグラム以下に低減することとされております。日本におけるダイオキシン類の耐容摂取量は、厚生省が十ピコグラムであり、環境庁が五ピコグラムであります。WHOの新指標を受けて、厚生省と環境庁はようやく統一基準の策定へと動き始め、過日のダイオキシン対策関係閣僚会議を経て、さらに加速されるようになったことは、ご承知のとおりであります。  ところで、厚生省の調査によれば、食品から摂取される日本人のダイオキシン類一日当たりの平均摂取量は、体重一キログラム当たり二・四ピコグラムに達しているとあります。既に触れたとおり、ダイオキシン類は体内に入ると簡単に排出されず、脂肪や肝臓内に蓄積されていくものであります。ごく微量であっても、体内に深刻な影響を与えるおそれがあるだけに手遅れにならないうちに適切な規制を定めておくことは極めて重要であると言えます。さきに述べたダイオキシン類の生殖機能への影響については、若い男性の精子の数が三十年前に比べて激減しているとの報告がなされておりますが、女性にあっても、ダイオキシン類の影響で子宮内膜症患者が増すと聞いております。事実アメリカでは出産可能な年齢の女性十人に一人、五百万人以上が不妊症で、その大半が子宮内膜症と言われております。我が国においてもそれはこの四年間に二倍になったと、厚生省の病院に診察を受けにくる患者調査でその実態が浮き出されております。  そしてまた、母乳については、乳児への影響として母乳保育の赤ちゃんは人工乳で育てられた赤ちゃんよりもアトピー性皮膚炎を発症しやすいという報告書が厚生省から出ており、長崎大学医学部の調査によれば、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は二十年前の七倍に急増しているとあります。ダイオキシン類の発生抑制は急務の課題であります。  昨年十二月、環境庁は、東京都が実施したダイオキシン類の調査結果を発表いたしました。年平均値は調査対象の二割が国に定めのあるダイオキシン類に係る大気環境指針の一平方メートル当たり〇・八ピコグラムの指針値を超えたとあります。既に平成八年における大都市の平均値は一・〇二との報告もあります。平成九年度の東京都内の最高値は清瀬市の一・四ピコグラム、平成十年度での最高値も清瀬市であり、その数値は〇・七九ピコグラムであります。東京都の調査地点には港区も入っているわけですが、港区白金の平成十年度に実施した三回の調査の平均値は〇・二五ピコグラムで、調査した二十地点のうちで低いほうから二番目になっております。  そこでダイオキシンの排出が懸念される小型焼却炉の実態について伺います。昨年七月一日、東京都は「小型焼却炉に係るばいじん及びダイオキシン類排出抑制指導要綱」を施行いたしました。この要綱の対象となるものは、港区内には五十四ヵ所あります。早急にその実態調査を行うべきと考えます。  質問するに当たり、一部の小型焼却炉の実態を調査いたしました。この調査した小型焼却炉は一基当たりの排出量は少ないものの、周辺環境に与える影響は少なくありません。事実、近隣からの苦情やダイオキシン問題があって、既に使用を中止したものが数多くありました。しかし、現在使用されているものについては、都の要綱にあるように年一回以上の測定義務が課せられております。また、この要綱の対象外とされている焼却炉についても、監視及び指導を行うべきと考えるものです。事実、今回の焼却炉の調査において目撃した要綱対象外の焼却炉で異様な臭いの立ち込めたものがあり、明らかに炉内いっぱいにビニール袋が投げ込まれているものがありました。このような使用実態についても、時間がかかっても調査が行われるべきと考えるものです。区の考えを伺います。  質問の二点目は、区民への啓発です。改めて言うまでもなく、ダイオキシン問題は大量生産、大量消費、大量廃棄という社会経済システムや、ライフスタイルを問い直す一つの警告と受けとめるべきであります。環境の保全についてできることから取り組むことが解決への第一歩であります。区民や事業者がダイオキシン対策としてどのような行動をとれば良いのか。一つには焼却炉設置者に対する焼却炉の取り扱いについての指導・啓発です。また、区民に対するダイオキシン類についての情報提供等を行うべきと考えます。子供たちや将来の子孫の安全を守るためにも具体的なダイオキシン対策は一刻の猶予もないと考えます。区長の見解をお伺いいたします。  ご清聴ありがとうございました。  この席をおかりいたしまして、一言お礼を述べさせていただきたいというふうに思います。三期十二年、貴重な経験をさせていただきましたことは、心から感謝でございます。行政の皆様方、そしてまた諸先輩、同僚の皆様には大変にお世話になりました。ありがとうございます。心から御礼申し上げます。以上でございます。   〔区長(菅谷眞一君)登壇〕 ○区長(菅谷眞一君) ただいまの公明党議員団を代表しての木村のり子議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、行財政改革についてのお尋ねであります。  私は、これまで「みんなといきいき区政推進計画」に基づき、平成十年四月実施の組織機構改革や職員定数配置計画の着実な推進など内部努力を徹底し、区民の理解と協力を得ながら行財政改革を進めてまいりました。本年二月には、これまでの行財政改革の取り組みを継続・発展させた、「第二次みんなといきいき区政推進計画」を策定いたしました。  もとより、行財政改革は、行政運営の簡素化、効率化を推進し、真の区民福祉の増進を目指すことにあります。このため、組織の簡素化など内部努力の徹底や財政の健全化に向けた取り組みを継続し、積極的に進めることが何より重要であります。今後とも二十一世紀の分権時代にふさわしい区民サービスの提供に向けて、活力ある簡素で効率的な区政運営を実現してまいります。  次に、子育て支援の充実についてのお尋ねであります。  急速に進む少子化時代にあって、子育て家庭に対し支援することは、大変に重要なことであります。乳幼児の医療費助成につきましては、所得制限を設けず、小学校就学前の乳幼児を対象に、他区に先駆けて、子育て家庭の立場に立った助成を実施してまいりました。  また、昨年十月には、二十三区で唯一の児童手当条例を制定し、積極的に子育て支援に取り組んでおります。さらに、現在、子育て支援の具体的な行動目標等を体系化し、有効かつ効果的に支援できるようエンゼルプランを取りまとめております。今後も厳しい財政状況ではありますが、できる限り時代に即した子育て環境の整備に努めてまいります。  次に、保育問題についてのお尋ねであります。  まず、緊急一時保育についてであります。女性の社会進出に伴い保育サービスの多様化が進んでいる中で、従来の保育制度では対応できない保育需要が高くなっております。現在、緊急一時保育については、私立愛星保育園へ委託して実施しております。今後は区民要望を十分把握する中で、公立保育園における新たな緊急一時保育の取り組みを検討してまいります。  次に、零歳児特例保育の実施についてのお尋ねであります。  共働き家庭が一般化する中で、零歳児を抱える保護者からの時間延長を望む声が増加しております。このため、本年四月から区内の全保育園において保育時間の拡充を行うほか、新たに台場保育園でも延長保育を行ってまいります。零歳児特例保育についても条件整備に努める中で、早期の実現に向けて努力してまいります。  次に、障害者施設の整備についてのお尋ねであります。  まず、入所施設の整備の必要性についてであります。入所施設は、障害の重度化、高齢化が進む中で、計画的に整備する必要があります。今後とも入所施設の設置主体である東京都に対して、区長会等を通じ整備の促進を要請してまいります。  次に、民間障害者施設への区有地の無償貸与などの支援についてのお尋ねであります。  区有地は貴重な区民の財産であり、貸与の方法など管理面の諸課題を解決する必要があります。今後、他団体の状況等を調査してまいります。  次に、住宅施策についてのお尋ねであります。  まず、住宅取得支援事業の早期実施についてであります。この事業につきましては、制度創設に向け事業の概要を検討してまいりました。今後、具体的な利子補給率や補給期間等を決定し、金融機関等との調整を進め、事業の早期実施に努めてまいります。なお、若年の単身者が結婚後住みつづけるため、区内に住宅を購入する場合は支援対象とするよう検討してまいります。  次に、単身者向け住宅の建設拡大についてのお尋ねであります。  港南荘の建替えに当たっては、若い世代も入居可能な単身者向け特定公共賃貸住宅を供給する予定であります。これは、活力あるコミュニティーの形成を目指す都心区としての特性を国に訴え、二十三区として初めて設置が認められたものであります。今後の区民向け住宅の供給に当たっては、区有地を活用し、定期借地権制度や買取償還制度等により、区財政に影響を与えない手法で整備してまいります。整備に際しましては、中堅ファミリー層を中心に都心区の特性を踏まえ、単身者も含めた多様な階層の区民がともに住みつづけることができるよう配慮してまいります。  次に、環境対策についてのお尋ねであります。  まず、ISO一四〇〇一の認証取得についてであります。ご指摘のように、区民などの参加を得ながら、港区環境審議会において、区、区民及び事業者の具体的な役割についての環境行動指針を作成しております。今後、広報「みなと」等を通じて、広く区民などの意見を反映するとともに、区としても自ら率先して取り組むため、平成十一年度からISO一四〇〇一の認証取得に向けて、庁内率先行動計画の策定に全庁的に取り組んでまいります。平成十三年度中の認証取得を目指し、職員のより一層の環境意識の向上に努め、環境にやさしい区政を実現してまいります。  次にエコプラザについてのお尋ねであります。  エコプラザは、区民の方々が環境問題や資源循環型社会について、自由に意見の交換や研究発表などを行う場として広く活用し、区、区民、事業者が相互に交流が図れる施設として位置づけております。厳しい財政状況ではありますが、創意と工夫を凝らし、具体的な施設の整備や運営についても広く区民の意見を計画に反映してまいります。ご指摘の雨水利用や太陽エネルギーの活用などについても、環境にやさしい視点から可能な限り取り入れてまいります。  最後に、ダイオキシンの問題についてのお尋ねであります。  小型の焼却炉は、燃焼温度が比較的低いものが多く、ダイオキシン類発生の原因の一つとされております。一定規模以上の小型焼却炉については、東京都公害防止条例に基づく届出の対象となっており、現在、施設の規模、焼却内容等調査を進めております。ご指摘のとおり、届出義務のない小規模で簡易な小型焼却炉も相当数使用されており、ダイオキシン類の発生が懸念されます。これらについても、職員による聞き取り調査を行い、実態の把握に努めるとともに、適切な指導をしてまいります。また、国や東京都と連携し、その発生抑制などを含めたダイオキシン問題についての情報を広く区民の方々に提供してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○副議長(佐々木義信君) お諮りいたします。本日の会議はこれをもって延会いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(佐々木義信君) ご異議なきものと認め、本日の会議をこれをもって延会いたします。                                       午後五時四十二分延会...