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  1. 千代田区議会 2019-06-19
    令和元年第2回定例会(第2日) 本文 開催日: 2019-06-19


    取得元: 千代田区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-02
    千代田区議会議事録 トップページ 詳細検索 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 令和元年第2回定例会(第2日) 本文 2019-06-19 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 70 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長小林たか議員選択 2 : ◯18番(はやお恭一議員選択 3 : ◯区長石川雅己君) 選択 4 : ◯子ども部長大矢栄一君) 選択 5 : ◯保健福祉部長歌川さとみ君) 選択 6 : ◯まちづくり担当部長大森幹夫君) 選択 7 : ◯政策経営部長清水 章君) 選択 8 : ◯18番(はやお恭一議員選択 9 : ◯政策経営部長清水 章君) 選択 10 : ◯議長小林たか議員選択 11 : ◯議長小林たか議員選択 12 : ◯12番(木村正明議員選択 13 : ◯区長石川雅己君) 選択 14 : ◯子ども部長大矢栄一君) 選択 15 : ◯保健福祉部長歌川さとみ君) 選択 16 : ◯環境まちづくり部長松本博之君) 選択 17 : ◯まちづくり担当部長大森幹夫君) 選択 18 : ◯12番(木村正明議員選択 19 : ◯保健福祉部長歌川さとみ君) 選択 20 : ◯まちづくり担当部長大森幹夫君) 選択 21 : ◯議長小林たか議員選択 22 : ◯19番(米田かずや議員選択 23 : ◯区長石川雅己君) 選択 24 : ◯子ども部長大矢栄一君) 選択 25 : ◯環境まちづくり部長松本博之君) 選択 26 : ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 選択 27 : ◯議長小林たか議員選択 28 : ◯議長小林たか議員選択 29 : ◯16番(内田直之議員選択 30 : ◯区長石川雅己君) 選択 31 : ◯地域保健担当部長(渡部裕之君) 選択 32 : ◯環境まちづくり部長松本博之君) 選択 33 : ◯政策経営部長清水 章君) 選択 34 : ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 選択 35 : ◯16番(内田直之議員選択 36 : ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 選択 37 : ◯議長小林たか議員選択 38 : ◯15番(永田壮一議員選択 39 : ◯区長石川雅己君) 選択 40 : ◯地域振興部長(細越正明君) 選択 41 : ◯オリンピック・パラリンピック担当部長(小川賢太郎君) 選択 42 : ◯環境まちづくり部長松本博之君) 選択 43 : ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 選択 44 : ◯15番(永田壮一議員選択 45 : ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 選択 46 : ◯議長小林たか議員選択 47 : ◯22番(嶋崎秀彦議員選択 48 : ◯区長石川雅己君) 選択 49 : ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 選択 50 : ◯22番(嶋崎秀彦議員選択 51 : ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 選択 52 : ◯議長小林たか議員選択 53 : ◯議長小林たか議員選択 54 : ◯23番(河合良郎議員選択 55 : ◯区長石川雅己君) 選択 56 : ◯地域振興部長(細越正明君) 選択 57 : ◯政策経営部長清水 章君) 選択 58 : ◯23番(河合良郎議員選択 59 : ◯地域振興部長(細越正明君) 選択 60 : ◯議長小林たか議員選択 61 : ◯4番(小枝すみ子議員選択 62 : ◯区長石川雅己君) 選択 63 : ◯地域振興部長(細越正明君) 選択 64 : ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 選択 65 : ◯4番(小枝すみ子議員選択 66 : ◯区長石川雅己君) 選択 67 : ◯地域振興部長(細越正明君) 選択 68 : ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 選択 69 : ◯議長小林たか議員選択 70 : ◯議長小林たか議員) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午後1時00分 開議 ◯議長小林たか議員) ただいまから令和元年第2回千代田区議会定例会継続会を開会します。  これより各会派の代表質問に入ります。  初めに、千代田区議会自由民主党を代表して、18番はやお恭一議員。     〔はやお恭一議員登壇〕 2: ◯18番(はやお恭一議員) まず初めに、昨晩、山形県沖を震源とする強い地震が発生いたしました。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げますとともに、少しでも早く円滑な復旧がなされることをお祈り申し上げます。  遠くない将来、首都直下型地震の発生も想定される中、当事者意識を持って、区政においても、その対策にしっかりと取り組んでまいります。  それでは、質問に移らせていただきます。  新緑の季節とともに、令和の時代が幕を開けました。新しい元号のもと、これまでの「自由民主党議員団」と「自由民主党新しい千代田」の2会派は合併し、「千代田区議会自由民主党」として議事機関の最大会派となりました。議事機関である区議会は、執行機関に対し、常にニュートラルな見地に立ち、一定の立場にとらわれず、その功罪を見きわめ、是非を判断していくべき存在です。今後は、我々14名の議員は、最大会派として、そのような自覚を持ち、真摯に、謙虚に、区政課題にしっかりと向き合ってまいります。  それでは、令和元年第2回区議会定例会において、千代田区議会自由民主党を代表して質問をさせていただきます。  元号は変わりましたが、いつの世においても、子どもたちが元気に成長できる環境を整え、健やかに育っていくことは、我々大人に課せられた使命です。また、人生100年時代と言われる中、高齢者一人一人に寄り添った丁寧な支援も、今後ますます必要となります。  本区の現況を見ても、子どもの人口の増加による保育所や学童クラブの需要、高齢者人口の増加に伴う医療や介護への要望は高まる一方です。加えて、障害者の状況に応じたきめ細やかな個別対応を求める声も聞かれ、行政にも期待が寄せられています。  このような諸課題に柔軟に対応するには、区の執行体制をしっかりと確立していくこと、これこそが重要であると認識しています。(スクリーンを資料画面に切り替え)  区の執行体制の確立という点においては、職員の人材確保や人材育成を中心に、官民の役割分担、民間開放の考え方、それに関連した職員定数、組織整備、予算編成について、これまで私は、さまざまな機会を捉えて意見を述べてきました。  そして、このような課題については、昨年度、取りまとめがなされ、一定の評価をしているところです。しかし、取りまとめは通過点にすぎません。今後は、取りまとめた内容がどのように運営されていくのか、また、実行した結果どのような成果があり、一方で、どのような改善が必要になってくるのかなど、区政とのかかわり合いを引き続き注視していきたいと考えています。(スクリーンを元に戻す)  まず、千代田区第3次基本計画2015「ちよだみらいプロジェクト」についてお伺いします。(スクリーンを資料画面に切り替え)  基本計画「ちよだみらいプロジェクト」は、第3次基本構想に掲げた行政運営の指針を実現するための区の最上位計画とされています。  基本構想とは、市町村における総合的かつ計画的な行政の運営を図るためのものとして、1969年の地方自治法改正により、第2条第4項に、その策定が地方自治体に義務づけられました。また、同項には、基本構想の策定に当たっては議会の議決を経ること、また、市町村の事務処理を、その構想に即して行わなくてはならないことも定められました。  その後、2011年の地方自治法改正により、第2条第4項が削除され、地方自治法の基本構想の策定義務がなくなったことは、記憶に新しいと思います。しかし、法改正と同日付で、総務大臣より、引き続き個々の自治体の判断で、地方議会の議決を経て基本構想の策定を行うことが可能である旨の通知が出されました。本区においても、基本構想は総合的かつ計画的な行政の運営を図るための大切なものであることから、通知に基づき、その策定、変更または廃止については、議会の議決に付すべき事件と位置づけ、「千代田区議会の議決に付すべき事件に関する条例」を制定しているところです。  自律した基礎的自治体として、行政活動について定めた基本構想や基本計画の策定は不可欠であり、このことが住民自治の確立と、住民との信頼関係の構築につながるものと考えます。
     そこで伺います。改めて、基本構想と、その配下にある基本計画とは、本区において、どういう位置づけで、目的・意義は何であるのか、区の見解をお答えください。(スクリーンを元に戻す)  平成27年3月に策定された基本計画は、つくって終わりではないことは言うまでもありません。基本計画に基づき、着実に施策を展開していくことで、それを実現し、計画に掲げた目標を達成していくことが重要だと考えます。しかし、現在、区の施策が展開されている中で、一部の取り組みにおいて、さまざまな混乱を招いている状況にあります。例を挙げますと、「計画に記載している取り組みと異なる取り組みを行う」、「計画どおりに施設整備計画が進まない」、「各施策の進捗状況や達成度が見えにくい」などを初めとした種々の課題が見受けられます。  そこで伺います。基本計画に基づく取り組みの進捗管理はどのように行っているのか、また、進捗管理の必要性及び現状と課題などの認識についてお答えください。  次に、基本計画と密接な関係にある人口ビジョンの見直しの必要性と今後の活用について伺います。  平成27年の最新の国勢調査の結果では、調査開始以来初めて日本の人口が減少となりました。しかしながら、本区では、都心回帰などによる人口の増加が続いています。中でも、就学前の子どもや高齢者など、比較的行政サービスを必要とする年齢層の増加が顕著と聞き及びます。また、本区の人口が増えている背景には、マンション建設などの社会経済状況の変化に加え、「子育てしやすいまち、高齢者にやさしいまち」を目指して、積極的に適切な施策展開をしてきたことが功を奏したとも言われています。  これからも、「住みたいまち」を目指して、効果的かつ独自的な施策を展開していくためには、人口推計は、今後の施策展開を図るための重要な要素となります。現在、本区の人口は、基本構想に掲げる目標人口5万人を上回っており、最新の人口推計について作業中とのことです。また、前回の人口推計では、推計後すぐ上振れとなったとも聞きます。  そこで伺います。今後も増えていくことが見込まれる本区の人口において、基本構想や基本計画に掲げられる目標想定人口を、現在作業中の人口推計で更新される数値に見直す必要があると考えますが、区の見解をお答えください。  また、基本計画では国勢調査の人口をベースとし、分野別計画では住基人口をベースとして、それぞれの推計をしていますが、なぜそのような手法をとっているのか、お答えください。(スクリーンを資料画面に切り替え)  次に、基本計画の見直し作業と今後の取り組みについて伺います。  基本計画は、10年という長い計画期間を設定していることから、社会経済情勢の変化に対応するため、5年で見直すこととなっています。ちょうど今年度は見直しの時期となっておりますが、新たな人口推計を踏まえた社会情勢の変化や、予算決算の単年度事務事業評価などのこれまでの取り組みの成果検証を踏まえ、「区の施策の方針変更を行うのか否か」、「計画に記載している現状と課題及び取り組みについて更新を行う予定はあるのかどうか」、改めて伺いたいと思います。  見直し作業の進捗状況とスケジュール及び見直し後の施策展開をどのように示していくのかについてお答えください。(スクリーンを元に戻す)  最後に、今後の財政見通しと複数年予算について伺います。  基本計画では、平成27年度から10年間の区民需要や行政運営に必要となる費用等を見据え、中長期的な視点から、計画期間の財政フレームが示されました。基本計画が折り返しに来た今、改めて、計画策定の財政フレームに目を向けると、さまざまな視点からの整理が必要であると感じます。  まず、基金についてです。基本計画策定当初には、平成29年度末の基金残高は約731億円と推計されていましたが、平成29年度決算時には約1,141億円となっており、推計を上回る差異が生じています。これは、先ほど申し上げたように、施設整備が計画どおりに進んでおらず、大きな財政負担となる計画が後ろ倒しになっていることが要因と思われます。したがって、今後の基金の活用については、再度、整理する必要があるのではないでしょうか。(スクリーンを資料画面に切り替え)  次に、一般会計の予算規模についてです。  基本計画では、平成27年度から今年度まで5カ年の一般会計予算規模の平均は、約530億円と推計されていました。しかし、実際の予算規模は約567億円で、特に昨年度と今年度に関しては600億円を上回る規模となっております。また、今年度の予算の概要で示された令和元年度から令和5年度までの財政の見通しでも、年度平均624億円程度となっており、増加傾向にあることから、今後は、予算規模の把握も重要になってきます。  特に子どもの人口や高齢者の人口の増加などに伴い、保育所の運営補助経費や給付費などの扶助費が増加していくことが懸念されています。このような状況を踏まえ、各項目の今後の推移なども十分に把握する必要があります。  加えて、令和元年度予算では、事業の継続性や財政の見える化を推進するため、新規・拡充・主要事業の各事業別の複数年予算が示されました。令和2年度の予算編成に当たっては、人口推計や今後の施設整備の計画を踏まえた現在の基本計画の見直し作業に伴い、財政見通しの整理とあわせ、今後の区政運営のビジョンを示していく必要があると考えます。(スクリーンを元に戻す)  そこでお伺いします。令和2年度の予算編成に当たっては、人口推計や基本計画の見直しに伴う今後の区の施策展開を実現する観点から、人員や組織と連動させつつ、どのように取り組んでいくのか、区の考えをお答えください。また、それに伴い、今後の財政見通しと複数年予算の示し方、その目的・意義について、改めて、その考え方をお答えください。  次に、障害者施策の現状と今後の方向性について伺います。  「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」を控え、障害などのある方もない方も分け隔てなく相互に理解し暮らすことができる地域社会の実現を目指す機運が高まっています。それらの情勢を踏まえ、区長は、多様な意思疎通の手段を確保することが最も重要と考え、平成28年に、「千代田区障害者の意思疎通に関する条例」を制定しました。迅速に条例化したことに関しては、一定の評価に値すると考えます。しかしながら、実際には具現化することが難しいと判断できる理念条例と思えましたので、障害などのある方への意思疎通の具現化をしっかりと考えるよう、お願いしました。  その後、本区では、「筆談器」や「代読・代筆サービス表示」を、区立施設の窓口に配備するなど、さまざまな意思疎通の手法の具現化が実施されてきました。  一方で、意思疎通の手法では難しい障害などのある方について、一人一人の特徴を理解し、場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための個別の調整や変更が最も重要になります。  障害者差別解消法では、このような取り組みを「合理的配慮の提供」とし、障害などのある方への手助けや必要な配慮についての意思が伝えられたとき、負担が重過ぎない範囲で、対話に基づいた必要かつ合理的な対応をすることを行政には義務づけ、民間事業所には努力義務としています。  そこでお伺いします。障害などのある方の理解促進と合理的な配慮に関する本区の取り組み状況や民間事業所への啓発について、これまでどのような取り組みをしてきたのでしょうか。そして、どのような課題が明らかになったのでしょうか。お答えください。  また、これらの障害などのある方に関する施策や事業は、計画に関連して整理されなければならないと考えます。  昨年、「障害のあるなしにかかわらず、その人らしさが尊重され、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる千代田区の実現」を基本理念とした「千代田区障害福祉プラン」が策定されました。同プランでは、3つの基本方針と5つの基本目標を掲げて、取り組むべき施策展開を明らかにしていますが、具体的な取り組みについては明らかになっていない印象を受けます。  そこでお伺いします。今後、障害者施策に関する具体的な取り組みについて、どのように計画に反映していくのでしょうか。その手法やスケジュールについてお答えください。  次に、障害児の保育についてお伺いいたします。  区の第1期障害児福祉計画の現況を確認すると、障害者手帳を所持している障害児の保育園での受け入れ状況は、平成28年度は2名、平成29年度も2名と記載があります。  そこでお伺いします。現状の区内における保育園での障害児の受け入れに際しての課題についてお答えください。  一方で、障害児を養育されている保護者の方々には、毎日お子さんのお世話に追われながらも、家庭の経済状況や将来的な生活を考えると働かなければ、という不安に駆られながら日々を暮らしておられるケースも少なくないのではないでしょうか。杉並区など、積極的に障害児保育室を整備している自治体もあるように、今後、本区でも、そのニーズを見込みながら、整備をしていく必要があるのではないかと思います。そうした意味では、今後、新設していく保育所の中で、障害児保育室の併設も検討すべきではないでしょうか。  そこでお伺いします。区内で、障害児を抱える保護者の就労を支援するために、障害児保育室を整備する考えはあるのでしょうか。また、今後、新設する保育所への併設を検討する可能性はあるのでしょうか。お答えください。  最後に、まちと自動車の接点である駐車場のあり方についてお伺いいたします。  戦後、急速なモータリゼーションに伴い、路上駐車の増加と交通渋滞が大きな社会問題となりました。千代田区においては、その改善に向けて、駐車需要を満たすべく駐車場の整備が進められてきました。  しかし、近年、高齢化などに伴う自動車保有台数の減少、3環状道路整備の進展に伴う都心流入車両の低減、交通利便性のさらなる向上などが相まって、駐車場整備のあり方も大きな転換期を迎えていると言えます。また、加えて、「歩行者優先の安全で安心で賑わいあるまちづくり」という観点から、都市空間を再構築する必要性も高まっており、まちを構成する要素として、駐車場の配置適正化は、今後のまちづくりにおける大きな課題になりつつあります。  そこでまず、マンションにおける駐車場の状況についてお伺いします  千代田区には、住む世帯の約9割が集合住宅に居住しています。早期に都市化が進んだ千代田区では、番町・麹町地域を中心に、古くからマンションの建築が進んできました。また、昨今は、神田地区においてもマンションの建設が多く見られるようになっています。一定の規模を超えるマンションを新築する際には、東京都の駐車場条例や集合住宅駐車施設附置要綱により、一定数の駐車場設置が義務づけられています。一方で、自動車保有状況の変化などを踏まえ、附置義務台数の算出基準の見直しなど、これまでは附置義務の緩和策が図られてきました。  千代田区の高度な交通利便性や、自動車保有のコスト、住民の高齢化や、車の所有志向の鈍化などにより、既存のマンションでは、建築当時と比べて駐車場需要が大きく低下し、稼働率が低くなっていると聞き及びます。しかし、稼働率が低くなっても、メンテナンスの経費は変わりません。これがマンション管理組合の運営に大きな影響を与えているのではないかと思われます。  そこでお伺いします。駐車場条例は、都内一律の都の条例なので、区の取り組みには限界があると思います。しかしながら、本区では、区民のほとんどが集合住宅に住まうだけに、こうした既存マンションの課題や実態に即した現実対応が図られるよう、取り組みを進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。区の見解をお答えください。(スクリーンを資料画面に切り替え)  最後に、駐車場の適正な配置と今後のまちづくりについてお伺いします。  都市再生緊急整備地域では、活発な民間開発の進展に伴い、多くの駐車場の供給がなされてきました。しかし、マンションと同様、こちらについても駐車場の稼働率が低い水準にとどまり、結果として駐車場の余剰が発生しています。そのため、国は、平成30年、都市再生特別措置法を改正し、「都市再生駐車施設配置計画制度」を創設しました。  これは、「建物単位」ではなく「区域単位」で附置義務駐車施設の位置と規模を最適化する配置計画を、都市再生緊急整備協議会が作成できる制度です。新たに附置義務駐車施設を設ける建築主は、この計画に即して駐車施設を設けることになります。したがって、地域の実情に応じたきめ細かな附置義務の緩和や、歩行者優先の街区を目指した駐車場の配置など、まちづくりと一体になった人と車の接点である駐車場施設の整備が可能となると考えます。(スクリーンを元に戻す)  そこでお伺いします。今後、とりわけ神田地域でまちづくりを進める際には、こうした「都市再生駐車施設配置計画制度」を活用する考えはあるのでしょうか。そのお考えをお聞かせください。  以上につきまして、区長並びに関係理事者の明快な答弁を求め、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔区長石川雅己君登壇〕 3: ◯区長石川雅己君) はやお議員の基本計画、すなわちちよだみらいプロジェクトの見直しに関しまして、基本構想、基本計画の必要性と位置づけ、人口ビジョンの見直しの必要性と今後の活用について、私から答弁をいたします。  議員もご指摘のように、基本構想は、望ましい千代田区の将来像を描き、これを実現するための施策の道筋を示すものでありまして、基礎的自治体として、自主・自律を基本とする責任ある行政運営を進めるための指針であることは、ご案内だろうと思います。  10カ年の基本計画、いわゆるちよだみらいプロジェクトは、この基本構想において設定した区政の将来目標や基本的な施策を実現するために必要な手段、施策を体系的に明らかにしたものであり、区として進むべき方向を、区民の皆様方に示したものであると私は考えております。  人口の増加に伴い、基本構想あるいは基本計画、いわゆるみらいプロジェクトの目標人口や想定人口を見直すべきではないかというご指摘があります。計画は、策定時点において、将来を見据えた最善の策でありますが、時を経て、取り巻く環境、社会状況の変化に伴い、より効果的、効率的な方法が見込める場合には、当初計画にないことも取り組んでいく、施策として取り組んでいくということは、どうしても計画の性格上宿命であろうと思いますので、この辺についてはご理解を賜りたいと思います。  本区が自主、自律を基本とした責任ある行政運営を進めていくための指針としてつくり、平成13年10月にご議決をいただきました、この構想は、今なお実現すべき将来像が描かれていると私は考えております。基本計画を含め、人口推計の結果、大幅に社会経済状況が変わり、施策の方向を大きく変えなきゃならない場合は、基本計画の更新ということもあるということは、私も基本的に認識しております。しかし、現段階では、そのような、まだ、状況なり判断をするべきではないと思っております。  ただし、議員ご指摘のように、自治体の計画というのはつくって終わりではありません。やはりご指摘のとおり、計画の進捗状況、あるいは、新たに生じた課題と、その解決方法を、区民に改めて示すということは、常に取り組まなきゃならないことでありまして、それが計画の大きな改定という状況になるかどうかは、もうちょっと慎重に見きわめさせていただきたいと思います。  そして、一方では、今年の予算でもお示しいたしましたように、予算、施策を、単に単年度ではなくて複数年度、3年間程度でもって、施策、基本的な事項を、3年間、お示しをいたしました。このことは、将来の行財政運営におきまして、どのように執行体制、定数をするかということもあわせて、実はお示しをいたしましたので、このことをしっかりと議会にも議論をいただき、判断をいただいたわけですから、きちっとこのことを十分に踏まえながら、今後の執行体制をきちっと確立をしていきたいと思っております。  なお、詳細及び他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。     〔子ども部長大矢栄一君登壇〕 4: ◯子ども部長大矢栄一君) はやお議員の障害児保育に関するご質問についてお答えいたします。  障害児の保育については、現在、医師から、集団生活が可能という診断があり、保育所が人員的に対応可能な場合、区立・私立保育所ともに障害児の受け入れを行っております。現状では、集団生活が困難なお子さんについては、居宅訪問型保育事業、いわゆるベビーシッターがご自宅に訪問し、障害児を保育する事業を実施しているところです。  また、近年、発達障害を抱えるお子さんは非常に増えており、保育園に通園しつつ、子ども発達センター(さくらキッズ)にも通っているお子さんも増えております。  現在の課題としては、発達障害を含めた何らかの障害を抱えた児童の受け入れが、各保育園、こども園で急増しており、各園での障害児保育への対策が急務となっております。そのため、各園の保育士に対し、計画的に障害児保育の研修を実施したり、子ども発達センター(さくらキッズ)との連携を強化してまいります。  次に、障害児保育室の整備や併設についてですが、重度心身障害児を預かる場合、一定の大きさを有する保育室のスペース、医療的行為が必要な児童に対しては、児童1人に対し1人の看護師か保育士が必要になるなど、保育所の人員体制も整える必要があります。また、居宅訪問型の保育以外に、新たに障害児保育室を設けるかについては、障害児福祉計画の改定に伴い、あわせて実施する障害児の実態把握や保護者のニーズの聞き取りなどを行った上で、今後の対応について検討をしていきたいと思います。     〔保健福祉部長歌川さとみ君登壇〕 5: ◯保健福祉部長歌川さとみ君) はやお議員の障害者福祉に関するご質問にお答えをいたします。  まず、障害等のある方への理解促進と合理的な配慮に関する取り組み状況等についてです。  議員ご指摘のとおり、障害等のあるなしにかかわらず、ともに支え合う地域を実現していくためには、地域を構成する人々が障害等について正しい知識を持つ必要があります。昨年度、差別や偏見をなくし、障害等のある方の気持ちに寄り添って「心のバリアフリー」を実践する千代田区独自の障害者サポーターを養成するための講座として、「ハートクルー」を開催いたしまして、60名余りの方にご参加をいただき、講座の修了者をハートクルーとして登録いたしました。修了登録された方々には、過度の負担とならない範囲で、障害特性を踏まえた配慮や支援を行っていただきたいと考えております。  また、手話通訳や要約筆記、代読や代筆など、障害等のある方の意思疎通を支援するコミュニケーション支援事業を実施するほか、区や関係団体が主催する講演会等には、手話通訳や要約筆記者等を手配して、参加される障害等のある方への支援として、また、意思疎通の手段をごらんいただくことにより、障害等への理解促進も図っているところです。  さらに、本年度は、区内の住民や在勤者、在学者に向けた、「(仮称)合理的配慮のガイドブック」を発行する準備を進めております。引き続き、手話通訳や要約筆記者を民間事業者等に活用していただくための助成制度の利用促進とともに、障害等のある方への理解促進と合理的な配慮の啓発を、より一層推進してまいります。  次に、千代田区障害福祉プランへの反映手法とスケジュールですが、本年度に、3障害と難病の手帳等をお持ちの全世帯にアンケート調査を実施し、その結果を、来年、令和2年度に改定する障害福祉プランに反映してまいります。引き続き、障害等のあるなしにかかわらず、誰もがひとしく、かけがえのない個人として尊重され、自らのことは自分自身で決定することができ、それぞれが持てる力を発揮して、積極的に社会とかかわりを持ちながら、住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられる、地域共生社会の実現を目指し、施策を推進してまいります。     〔まちづくり担当部長大森幹夫君登壇〕 6: ◯まちづくり担当部長大森幹夫君) はやお議員のまちづくりと駐車場施策の質問にお答えいたします。  まず、マンションの附置義務についてですが、既存マンションの駐車場については、近年、居住者の高齢化や、保有に対する意識の変化に伴い、当初、附置義務として設置した車両台数に対し、現在、利用率が低下しているケースが見受けられます。また、都心部においては、土地の有効利用を図る観点から、機械式駐車施設が広く普及しており、安全対策の強化や、保守点検などによる維持管理費用の負担が課題となっていることも、ご指摘のとおりです。  そのため、既存マンションのそうした利用実態に応じた駐車施設の維持管理が可能となるよう、駐車場条例の附置義務緩和の認定基準が、今般、設けられたところです。  マンションの規模により認定権者の所管行政庁は、都と区、異なりますが、こうした緩和認定が可能かどうかの具体的検討や駐車場管理運営計画などの提出書類の作成、管理規約の変更、法的なチェックなどについては、専門的な知識も必要となってまいります。そのため、まちみらい千代田のマンション施策と連携し、相談体制を整えるとともに、管理組合などからの求めに応じて、必要な知見を持つアドバイザーを派遣するなどしながら、既存マンションに対する支援を図ってまいります。  次に、駐車施設配置計画制度の活用についてですが、都市再生特別措置法の改正により、都市再生緊急整備地域において、「建物単位」ではなく「区域単位」で附置義務の規模や位置を最適化する駐車施設配置計画を、国・都・区・警察などから成る都市再生緊急整備協議会で策定することが可能となりました。  今後は、立地の特性や地域の実情に応じてきめ細かく駐車場の附置義務を緩和したり、荷さばきや自動二輪車などの駐車用途への対応、隔地や集約化による、通りや街並みの連続性の確保、歩行者優先の街区を目指した駐車施設配置など、まちづくりと協調しながら、制度の活用を図ることができればと考えております。  まずは、神田地域において、本制度の施策効果が得られると思われる区域を具体にモデル地区として選定し、都市再生駐車施設配置計画の策定に向けた取り組みを進めてまいります。     〔政策経営部長清水 章君登壇〕 7: ◯政策経営部長清水 章君) はやお議員の基本計画見直し及び財政見通し等についてのご質問に、区長答弁を補足してお答え申し上げます。  まず、基本計画に基づく取り組みの進捗管理の必要性、現状、課題等の認識についてでございますが、計画に基づき、着実に施策を展開していくため、進捗管理は大変重要と考えております。一方で、計画の目指す将来像に対して、達成状況を把握するための指標の設定が難しいことなどの課題があると認識をしております。  進捗管理の手法につきましては、短期的な事務事業評価と中長期的な施策評価を並行して実施しております。事務事業評価につきましては、毎年度の事務事業の実績や成果を検証し、次年度予算に対応を明示するなど、各年度の予算・決算を連動させた進捗管理を行っております。施策評価につきましては、事務事業評価結果も踏まえつつ、基本計画に掲げる37の施策が、目指すべき10年後の姿に向けて、どの程度進捗しているかについて、指標の達成状況やアンケート結果等を踏まえ、2カ年を1サイクルとして、2サイクル実施しているところでございます。  今後とも、施策の進捗管理を徹底していくことで、効果的・効率的な行政運営を一層推進してまいります。  次に、人口ビジョンの見直しについてでございます。  人口推計は、比較的長期の推計を行う際には、国や都においても、国勢調査人口をベースとしてございまして、本区のみらいプロジェクトにおきましても、より実態に近い統計情報をもとに推計を行うという観点から、国勢調査人口をベースに推計しているところでございます。  一方、住民基本台帳人口をベースといたします推計は、直近の傾向を捉えやすいという特徴があることから、サービス量の推計や中期的な事業実施計画に適しております。  このように、それぞれの特徴を踏まえ、計画の期間や目的によって適切な手法を選択しており、推計の時点や手法によって推計値が異なることで、直ちに施策の方向性に大きな違いを生じさせる懸念はないものと考えております。  次に、基本計画見直し作業の進捗状況とスケジュール、そして今後の施策展開についてでございます。  昨年度と今年度で実施をしております施策評価の中で、基本計画に示す、指標の実績値、満足度、重要度に関する区民アンケート結果、人口推計も含めた社会情勢の変化に伴う分析などを踏まえまして、内部の検討会議において、今後の方向性について議論を進めているところでございます。  今後、中長期的な取り組みの視点を踏まえまして、毎年度の予算において、どのようにわかりやすくお示しをするか、こうした点を含めまして、庁内論議を深めてまいりたいと考えております。  次に、今後の財政見通しと複数年予算についてお答え申し上げます。  本区は、地方公共団体として、将来にわたり安定的に行政サービスを提供し続ける責務がございます。このためには、健全で持続可能な財政基盤が前提となりますことから、中長期的な視点で今後の財政見通しを立てることは、大変重要なことでございます。また、職員一人一人がこのような視点を持って職務を行う必要もございますことから、今年度予算編成におきましては、主要な事業等において、複数年度の予算を試行的にお示ししたところでございます。  一方、来年度の予算編成におきましては、今年度に実施いたします人口推計や基本計画の見直しの作業結果を踏まえますとともに、施設整備事業等の進捗状況の精査や、人口の増加に伴う新たな財政需要を的確に反映させていく必要があることは、はやお議員ご指摘のとおりでございます。  今後、本区の貴重な税財源を、効率的、効果的に執行するための人員、組織体制のあり方も含めまして、庁内論議を精力的に進めてまいります。さらに、予算編成におきましては、中長期的な視点からの検証を改めて行い、適正な財政規模の精査を行ってまいります。 8: ◯18番(はやお恭一議員) 18番はやお恭一、自席より再質問をさせていただきます。  種々いろいろ答弁いただきまして、まずは、本当に三位一体での対応をしていただいた、それは一定の評価というよりも、過大するぐらい一生懸命、執行部初め、やっていただいたことについては評価しております。  ただ、(ベルの音あり)先ほどずっと質問をしてきましたけれども、当初の基本構想は5万人、それが今、6万5,000人になっている。非常に相関関係が、人口というのが関係する。そしてまた、施設計画がおくれている。そして、一番お金がかかる若年層と、そして高齢者が今後増えていく、そういう人口バランスの中で、どういうふうに有効に財政を活用していくのかというところについて、いま一度、今回ここで答えられないにしても、体制をつくって検討するぐらいなことの、今、段階に来ていると考えているんですね。ここは、今、断片的な答弁ではなく、しっかりと総合的な視点に立って、今まですごく、我々、議会のほうでも、執行機関と詰めてきたことですから、いま一つ、このところについてご答弁をお願いいたします。     〔政策経営部長清水 章君登壇〕 9: ◯政策経営部長清水 章君) はやお議員の再質問にお答え申し上げます。  本区の人口が増えてきているという状況、一方では、施設整備計画の進捗がおくれているという事実、さらには、今後、高齢者数も増加していくであろうと思われること、そういった状況を踏まえまして、今後の財政運営をどのように行っていくか、貴重な税財源をどのように活用していくかということについて、総合的な視点を持ってお示しをすべきだというご指摘と承っております。  ご指摘の点をしっかりと受けとめまして、今後、特に多額の財政負担を生じる施設整備計画の進捗、さらには高齢者の状況等もしっかりと見きわめまして、中長期の視点から、改めて財政の見通しを検討し、検証し、総合的な視点を持って今後の財政の状況をわかりやすくお示しをしてまいりたいと思っております。 10: ◯議長小林たか議員) 議事の都合により休憩します。     午後1時47分 休憩
        午後1時58分 再開 11: ◯議長小林たか議員) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  各会派の代表質問を続けます。  日本共産党区議団を代表して、12番木村正明議員。     〔木村正明議員登壇〕 12: ◯12番(木村正明議員) 私は、日本共産党区議団を代表し、質問いたします。  4月の区議選で、我が党が掲げた公約のうち、3つの問題を取り上げ、区長と教育長に答弁を求めるものです。  最初は、消費税の10%増税についてです。  今定例会に提案予定の補正予算並びに幼児教育無償化に関する条例は、いずれも、消費税増税に伴う影響の緩和策として打ち出されました。そのため、本定例会は、消費税の10%増税に対する立場そのものが問われることになります。  まず、消費税増税の3つの大問題を指摘するものです。  第一は、家計を直撃し、消費を冷え込ませ、暮らしと経済に破局的な影響をもたらすことです。(スクリーンを資料画面に切り替え)  この表をごらんください。消費税の8%への増税以降、平均実質賃金は、392万円から382万円に約10万円も引き下がっています。その結果どうなったか。(スクリーンの資料画面を切り替え)  これはOECDの統計です。今や、主要国で賃金が減っている唯一の国になってしまいました。(スクリーンの資料画面を切り替え)  賃金が下がれば、財布のひもはかたくなります。2人以上の世帯の実質家計消費支出は、2013年平均の363.6万円から2018年平均の338.7万円へと約25万円も冷え込みました。(スクリーンを元に戻す)  政府自身が景気の「悪化」を認めるもとで消費税を増税したことは、過去に例がありません。10月に増税を強行すれば、それは、歴史的にも前例のない無謀な行為となります。  第二の問題点は、貧困と格差を広げることです。(スクリーンを資料画面に切り替え)  なぜ貧困と格差が広がるのか。それは、低所得者ほど負担が重い税だからです。これは、総務省の「全国消費実態調査」です。これによると、年収200万円以下の世帯の消費税の負担率は、税率8%で収入の8.9%、10%になると10.5%になり、収入の1割が消費税で消えてしまいます。ところが、一番右側の年収2,000万円以上の世帯では、負担率は1.4%から1.8%に増えるだけ。消費税の持つ逆進性は明らかです。(スクリーンの資料画面を切り替え)  貯蓄ゼロ世帯も年々増えています。これは日本銀行金融広報中央委員会が毎年実施する「家計の金融行動に関する世論調査」です。貯蓄ゼロ世帯は、2人以上世帯で30.9%。単身世帯では48.1%、半数近くが「貯蓄ゼロ」です。貧困の深刻化は明らかで、老後に備えて2,000万円も貯蓄できるはずがありません。  第三の問題点は、税制のゆがみを拡大することです。(スクリーンの資料画面を切り替え)  消費税導入後の30年間の、この税収の推移をごらんください。この間、消費税率は3%から8%に上がりました。にもかかわらず、国の税収はほとんど変わりません。1990年度が60.1兆円、2018年度が59.1兆円です。消費税の増税分はどこへ消えたのか。法人税と所得税の最高税率の引き下げ等による減収の穴埋めに消えてしまったわけであります。  安倍政権になってからも、「成長戦略」の一環として法人税率が引き下げられました。14年度、15年度、16年度、18年度と連続する引き下げで、地方税を含めた減税額は実に4兆円に達しているわけであります。(スクリーンの資料画面を切り替え)  こうした減税などで生まれた利益の多くは、労働者への賃金に回されず、企業の中にただため込まれました。大企業の内部留保は、今や440兆円を超えています。この内部留保額は、日本経済の倍以上の規模を持つアメリカをも上回ると言います。(スクリーンを元に戻す)  区長は、第1回定例会で、「あらゆる階層の方が全て公平に負担をするという意味で、消費税の意味はあると思います」と答弁されました。家計を直撃し、低所得層ほど重い負担を課し、税制のゆがみを拡大する消費税が、やはり公平・公正というご認識は変わりませんか。見解を求めます。  区長は、さらに、「将来、社会保障は増えてまいります。そのためにも、現在の世帯、そして将来の世帯も、公平に社会保障の財源を負担するという意味では、消費税の引き上げはやむを得ないもの」とも述べられました。(スクリーンを資料画面に切り替え)  ぜひ区長にはこの表をごらんいただきたいと思います。日本も世界も、社会保障費の財源は、消費税、つまり付加価値税だけではありません。保険料や、他の税金も充てられています。社会保障には所得の再分配という機能があります。その機能を発揮するのに、貧困と格差を広げる消費税を財源にするのは、最もふさわしくないのではないでしょうか。(スクリーンを元に戻す)  今問われているのは、社会保障の財源をどこに求めるのかです。貧困にあえぐ低所得層ほど負担の重い消費税増税に求めるか、力のある大企業や富裕層に応分の負担を求めていくのか。どちらが公平・公正かは、おのずと明らかではないでしょうか。「社会保障の財源は消費税」しかないという思い込みから抜け出していただき、都心から「消費税増税中止」の発信を求めるものであります。  関連して、消費税増税に対する「対策」について伺いたいと思います。(スクリーンを資料画面に切り替え)  この表が政府の景気「対策」です。消費税増税分5.7兆円をも上回る総額6兆円の「対策」です。「増税分を全て国民にお返しする」と打ち出したものですが、「全てお返しするなら、最初から増税するな」という声が上がるのももっともではないでしょうか。  軽視できないのは、「対策」そのものが複雑で、不公平をさらに拡大するものになっていることです。臨時会で議題となった住宅ローン減税や自動車減税もそうです。住宅や自動車を特定期間に購入できる所得階層しか恩恵はありません。  また、食料品など一部を8%に据え置くことで減収となる補填を、給与所得控除の縮小に求めることも重大です。(スクリーンの資料画面を切り替え)  このグラフをごらんください。これ以下の所得には課税されない、課税最低限を国際比較したものです。日本は先進国で、この課税最低限が最も低く、他国と比べ、低所得者でも課税されています。給与所得控除が縮小されたら、さらに、これまで非課税だった低所得者も課税されることになってしまうのではないでしょうか。(スクリーンを元に戻す)  さて、幼児教育無償化も区民から不安の声が寄せられています。その声は、消費税増税を財源にしていることに加え、次の4つに特徴づけられます。  1つは、保育の質の低下への不安です。国の最低基準を満たさない認可外保育施設も補助対象とし、指導監督基準さえ満たさない施設も、5年間、補助対象にしたことです。「保育の質」を保てない施設に、国がお墨つきを与えるとの懸念の声が絶えません。  認可外保育施設の質をいかに担保するのか。区の考えをお聞かせください。  2つは、保育園への入所希望者が増えて、待機児童が増えるのではないかという不安です。千代田区は、今年3月、「次世代育成支援計画策定のためのニーズ調査報告書」をまとめました。「無償化となった場合の利用」希望者は、区立保育園、私立認可保育園、認定こども園と、いずれも増加しています。待機児童が解消できない要因として、保育所不足とともに、保育士確保の困難さが指摘されています。  無償化により保育ニーズは間違いなく高まります。それに対応できるだけの認可保育所の増設や、保育士の処遇改善等を図れる見通しはあるのでしょうか。答弁を求めます。  3つは、公立保育園が民営化されないか、との不安です。公立保育園の運営費に対する国の補助が2004年になくなって以降、全国的に公立保育園は減少しています。(スクリーンを資料画面に切り替え)  さらに、今回の「無償化」の費用負担は、この表のように、私立保育所や認可外保育所には国が半分負担するのに、公立保育園は全額自治体の負担です。財政的理由から、公立保育園の民営化に拍車をかけることになりかねません。(スクリーンを元に戻す)  子育て世代の区立園へのニーズは極めて強いものがあります。民営化は考えていないと断言していただけますか。答弁を求めます。  4つ目は、不公平さへの不安です。(スクリーンを資料画面に切り替え)  この表をごらんください。収入階層区分で1,100万円前後の世帯には1人当たり50万円前後の費用を費やします。ところが、年収260万円以下の収入階層に費やす費用は、わずか1万5,000円です。所得の低い層ほど負担の大きい消費税を財源としながら、支出は所得の低い階層ほど少ない。不公平だとの声も当然ではないでしょうか。(スクリーンを元に戻す)  さらに、重大なのは、保育料に含まれていた給食費が実費となることです。そのため、保育料を減免されてきた低所得世帯は、逆に負担増になりかねません。給食費については、引き続き助成を求めるものであります。答弁を求めます。  次は、まちづくり問題です。区民の3つの願いに照らし、まちづくりのあり方を伺います。  第一は、災害に強い、安全なまちへの願いです。昨日も山形県沖を震源とする強い地震が発生いたしました。被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げるものです。  今、日本列島は、地震の活動期に入ったと言われています。なぜ地震が多いのでしょうか。日本付近では、大陸プレートである北米プレートとユーラシアプレートがぶつかり合い、海洋プレートの太平洋プレートとフィリピン海プレートがその下にもぐり込んでいるからです。そのため、常に圧力を受け、ゆがみが蓄積する構造にあります。しかも、日本の多くの都市や集落は、揺れやすい平野部や、湾岸部を埋め立て、造成した陸地につくられてきました。自然現象である地震が災害をもたらすのはそのためです。(スクリーンを資料画面に切り替え)  この図は、平田直東大地震研究所教授による、災害をもたらす災害誘因と災害素因の関係を示したものです。地震や津波など自然現象の力が「災害誘因」、災害を拡大するのが「災害素因」です。人口や、資本の蓄積、構造物の脆弱さが災害を拡大します。災害を拡大する「素因」として、片寄俊秀大阪人間科学大学教授は、「増殖する地下街」、超高層ビル・マンション、そして原発などを例示しています。(スクリーンを元に戻す)  政治には、地震を災害にさせない役割があります。ここで問いたいのは、人口や資本の東京への集中を進めて、都心を災害に弱いまちにしてきた政治のあり方についてであります。  既に東京には、国内資本金10億円以上の大企業のうち、50.1%が集中しています。その上、東京オリンピック誘致以来の高層ビル建設ラッシュはすさまじく、災害素因である人口と資本の蓄積を強めつつあります。  今、国は、臨海部から東京駅付近まで地下鉄を通し、秋葉原駅から延伸したつくばエクスプレスと直通運転させる構想を検討しています。(スクリーンを資料画面に切り替え)  また、東京都の都民ファーストでつくる「新しい東京」は、国家戦略特区を使い、東京の大改造を進めようとしています。28のプロジェクトが進められており、その1つが、兜町から大手町にかけての国際金融都市の実現です。この目玉が丸ビル3棟分に相当する「常盤橋プロジェクト」にほかなりません。(スクリーンを元に戻す)  人口減社会に突入した日本社会では、東京へのこうした集中が、地方の経済の衰退と自治体の弱体化をもたらしていることを、私たちは知らなければなりません。災害を減らすために、ヒト・モノ・カネの都心への集中の是正に踏み出す転機に来ているのではないでしょうか。見解を求めるものです。  第二は、子どもの豊かな成長を育めるまちへの願いです。児童の増加で、図書室や特別教室、事務室等を教室に充てざるを得ない小学校が生まれています。また、今年度も、希望する認可園に入れなかった子ども数は約200人ほどいました。もちろん、区は、この間、認可園を誘致し、定員も1,000人近く増やしてきました。それでも希望園に入れないのは、認可園の供給が間に合わないからです。  この10年間で、就学前の子ども数は約1,900人から3,700人へと2倍に増えました。背景にあるのがマンションの急増です。区内の年間着工戸数は、少ない年で1,200戸、多い年は実に1,500戸です。子どもたちの豊かな保育環境を守るために、マンション建設を市場原理に委ねたままでいいのか、これが問われています。  子どもたちの健やかな成長の保障は行政の責任であります。人口が局所的に一度に増えることがないよう、マンション建設を、開発エリア、規模、時期などでコントロールする仕組みが必要なのではないでしょうか。区長の答弁を求めるものであります。  第3は、誰もが住み続けられるまちへの願いです。2つ提案します。  1つは、少数者が排除されないまちづくりを基本にすることです。住み続けられるまちづくりは、生活に根差した要求こそ原点です。そのためには、住民一人一人の意向と条件を大切にしながら進めていくことが必要になっています。  市街地再開発事業などの大型開発は、環境を激変させます。3分の2以上の合意を重視する余り、少数者の願いが切り捨てられてはなりません。  マンション等の建てかえについても、このことが言えるのではないでしょうか。そこに長く住んでいれば、居住者の愛着が生まれます。俗に、「目をつぶっても歩ける」という「慣れ」は、高齢者にとってこの上ない生きるための大切な条件となっています。住み慣れた空間の中で生活する安心感は、居住者にとってかけがえありません。私は、そこに温かい目を注いだ優しいまちづくりを心から願うものです。  少数者の意見、特に社会的弱者と言われる方たちの声を酌み取り、それをまちづくりに反映させる。これは行政の責務であります。いかがでしょうか。所見を求めます。  いま一つは、中低所得世帯向けの借上型公共住宅の供給です。なぜこうした住宅が求められるのか。区民ニーズが強いからです。廃止された、あるいは廃止予定の借上型区民住宅の居住者にとっては、なおさらです。今後も、幅広いニーズが予想されます。マンション大規模修繕等の仮住宅としての活用も考えられますし、有効な「空き室対策」にもなり得るでしょう。  住宅基本条例は、「現在及び将来にわたり、すべての区民が人間として尊重され、ともに暮らし、ともに生活できる、人間性豊かな地域社会を築き上げていく」とうたっています。中低所得世帯向けの借上型公共住宅は供給しないという、この条例に反した方針は撤回すべきであります。答弁を求めます。  最後は、国保問題です。  2年連続、9割の世帯で国保料が下がりました。区民の暮らしを守る努力の一つとして評価できるものであります。引き下げられた要因の一つが、公費の投入です。千代田区も、1億7,000万円余の法定外繰入を実施しました。しかし、残念ながら、それでも高過ぎる国保料という基本的性格は変わっていません。さらなる引き下げを求めるものです。それには2つの仕事が必要です。  1つは、自治体の努力を敵視する国の態度を改めさせることです。国の経済財政諮問会議は、6月、「骨太方針2019(原案)」をまとめました。その中で、国保の法定外繰入について、次のように述べています。(スクリーンを資料画面に切り替え)  「法定外繰入等の解消について、国保財政を健全化する観点から、その解消期限や公費の活用等解消に向けた実効的・具体的な手段が盛り込まれた計画の策定を求める。さらに、法定外繰入等の1人当たりの額が大きい都道府県を含め、法定外繰入等の早期解消を促す」と述べているわけです。  仮に、法定外繰入をなくせば、千代田区では、1人当たり1万数千円の値上げになるのではありませんか。こうした不当な値上げ圧力をはね返していかなければなりません。(スクリーンを元に戻す)  地方自治体の頭越しに国保料値上げを押しつける安倍政権のこうしたやり方は、地方自治を侵害する行為そのものです。区民とともに抗議の声を上げることを求めます。  今一つの仕事は、高すぎる国保料となる最大の要因、「均等割」という仕組みをなくすことです。千代田区の「均等割」は、1人当たり年間4万8,000円余り。子どもにも負担を課す、まさに人頭税です。協会けんぽ並みへの国保料引き下げは、均等割の廃止で実現できます。  均等割の廃止を国に求めることを提案します。同時に、廃止に至るまで、千代田区独自の力で、せめて、子どもの均等割を減免する制度の創設を求めるものであります。  全国では、約25の自治体が子どもの均等割の減免に踏み出しました。千代田区では、約4,500万円で、子どもの均等割分の全額免除を実現できます。1,100億円の貯金を持つ千代田区に、それができない財政的理由はありません。区長、いかがでしょうか。答弁を求め、質問を終わります。(拍手)     〔区長石川雅己君登壇〕 13: ◯区長石川雅己君) 木村議員の消費税増税に関します私の認識と、そして中止を求めるという、2つのご質問にお答えいたします。  消費税に関しましては、これまでも何回も私の考え方を申し上げてきたところでありまして、その考え方は変わっておりません。すなわち、我が国の社会保障制度を安定的、持続的に運営していくためには、財源が担保されねばならないということは、木村議員もご認識があるだろうと思います。そのために、一定の国民への負担を求めることは避けて通れません。  安定的な財源とは、景気に左右されない、そして、現役も高齢者も含めて、あらゆる階層から広く負担を求めるということだろうと思います。そのためには、消費税というのは最も、私は、すぐれているものだろうと思っております。  大変残念なことに、過去に2回、増税の時期を延期をいたしましたが、これ以上、この問題について、将来世帯に負担を先送りするというのは避けなければならないということを、私は、基本的に思っております。  いずれにいたしましても、消費税に対する逆進性というご議論があることはわかっております。そのために、今回は、そうしたことについて、かなり低所得者対策としてさまざまな対策を講じているというふうに、私は、認識しております。さまざまなご議論がありますけど、社会保障というものをきちっと持続的、安定的に運営できるようにするためには、財源問題は、私は、避けて通れないし、広く薄く負担をしていただくことが一番肝要だろうと思っております。  なお、詳細及び他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。     〔子ども部長大矢栄一君登壇〕 14: ◯子ども部長大矢栄一君) 木村議員の幼児教育無償化についてのご質問についてお答えいたします。  今年10月から実施される幼児教育・保育の無償化は、生涯にわたる人格形成や、その後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性と、子育てや教育にかかわる費用負担の軽減を図るという少子化対策に鑑み、3歳から5歳までの全ての子どもたちの幼児教育・保育を無償化するものです。  まず、認可外保育施設の質の担保ですが、この点は、制度検討時から議論されており、質の担保が課題であることはご指摘のとおりです。  今回、認可外保育施設を無償にしたのは、やむを得ず、認可外保育施設を利用せざるを得ない、代替的な措置であることを踏まえ、一定の基準を満たしていない施設については、無償化を契機に質の確保、向上を図ることが重要であると認識しています。  無償化により、高まる保育ニーズへの対応や保育士の処遇改善の見通しについてですが、3歳児から5歳児は、そのほとんどが幼稚園や保育園等に通っていることから、無償化の影響というより、むしろ昨今の人口動向を見据え、今後の需要数を推計し、その需要を満たすための認可保育所を積極的に誘致し、待機児童対策に取り組んでまいります。  次に、保育士の処遇改善は、これまでも良好な子育て環境が享受できるよう、処遇改善加算として、国や都の制度に上乗せし、区独自に奨学金返済支援助成、宿舎借り上げ事業等、多くの補助を実施してまいりました。今後も、必要に応じて保育士の処遇改善を図ってまいります。  次に、区立園の民営化についてですが、本区は、区立保育園4園、区立こども園2園あります。今後、社会状況の大きな変化がない限り、6園の民営化の予定はありません。  最後に、3歳児から5歳児までの食材料費について、本区では、食材料費は保育料に含まれるという考え方に立っていますが、保育料は応負担であるため、保護者の収入によって保育料がゼロにもなり、食材料費を保育料から明確に区分することは困難です。  そのため、今般の制度開始に当たり、国は食材料費を原則として保護者の負担にするとの新たな見解を示しましたが、食材料費の考え方は、前述のとおりであることを踏まえ、区独自の施策として、議論に議論を重ねた結果、3歳児から5歳児の食材料費は区が負担し、保護者から食材料費は別途徴収しないことといたしました。     〔保健福祉部長歌川さとみ君登壇〕 15: ◯保健福祉部長歌川さとみ君) 木村議員の国民健康保険制度に関するご質問にお答えいたします。  現在、国において、都道府県内の保険料水準の統一や法定外繰入の削減などの取り組みを優良事例として、全国展開すべきとの提言があることは承知しております。  平成30年度の国保制度改革に伴い、都道府県は財政運営の責任主体として標準保険料率を自治体ごとに示す一方、区市町村は、引き続き保険料の決定・徴収等を担うことになりました。ご案内のとおり、本区は独自の保険料算定を行い、2年連続で加入者の約9割の世帯で国保料の引き下げを実現しているところです。  今後も、本区は、基礎的自治体として区民生活の安心を支える役割を果たすとともに、保険者として、国民健康保険制度の持続可能性の確保に努めてまいります。  次に、均等割についてですが、設定されている国保の保険料が所得の低い加入者の経済的負担となっていることは、議員ご指摘のとおりです。しかし、国保の賦課方式については、被保険者全体の相互扶助の観点から、法令により均等割を含めることが必須条件となっているため、均等割を賦課しないことは法制上困難であると考えております。  また、均等割の減免は、国の通知に基づき、加入者が被災されたなどの場合に適用するものとされており、18歳未満の被保険者であることのみをもって、区独自で一律に減免を行うことは、法の趣旨に抵触するおそれがあると考えております。  いずれにいたしましても、国民健康保険の制度上の課題であり、まずは制度設計者である国の責任で制度改善を進めるべきものと認識しております。今後も、国に対して、区長会や東京都国民健康保険連携会議等を通じて、子育て世帯への経済的負担の軽減措置等を検討するよう要望してまいります。     〔環境まちづくり部長松本博之君登壇〕 16: ◯環境まちづくり部長松本博之君) 木村議員の借上型公共住宅に関するご質問にお答えいたします。  議員ご指摘の部分は、住宅基本条例の前文に記載されておりますが、区といたしましては、借上型公共住宅を供給しないことが住宅基本条例に反してはいないと考えております。  その理由は、区で管理する公共住宅の整備状況は、23区の中でも際立って高く、区の住宅施策の基盤である区営住宅については、供給戸数水準を今後も維持し、特に昭和期に建設した区営住宅の建てかえに向けた取り組みを計画的に推進することとしているためです。  また、借上型区民住宅の供給を実施したのは、夜間人口が著しく減少し、住宅供給も極めて少なかった時期のものです。現在では、区内でも民間住宅の供給が進み、集合住宅に一定の空き室が生じていると思われますが、この解決は、一義的には所有者等に委ねられるものであり、空き室対策として区が借り上げる考えはございません。
     議員ご指摘のマンション建てかえ時、あるいは大規模改修時の仮住まいに対する課題は認識しておりますが、これを区が借り上げて供給する方法で解決することは考えておりません。     〔まちづくり担当部長大森幹夫君登壇〕 17: ◯まちづくり担当部長大森幹夫君) 木村議員のまちづくりに関するご質問にお答えします。  まず、災害に強い安全なまちづくりについてですが、都市は、人や物資が集まることで成立している空間で、集中、集積する力は都市を特徴づけます。国際ビジネスセンターとして国内外の有力な企業が集積する大丸有地域は、我が国の経済活動の中心です。また、電器・サブカルチャーの秋葉原、古書店の神保町、スポーツ用品・楽器店の小川町など、個性的な商業機能が集積することで集客力が増すとともに、地域の特性を形づくっています。  人材や技術、物資、資金、情報などが集まり、交流することで、都市は成長するものと認識しており、一概に「やめさせる」ものとは考えておりませんが、ご指摘の点については、一自治体で対応できるものではなく、地方創生による日本全体の活力向上をもってなし遂げられるもので、国の施策展開によるオールジャパンでの取り組みによって解決される課題であると認識しております。  一方、減災の視点から言えば、東京湾北部地震、冬の夕方の被災想定では、千代田区は、火災による死者は1名ですが、建物被害等による死者は約270名に上ります。地震による犠牲者を少なくするためには、都市機能の更新によって耐震化を進めていくことが重要です。  また、複数の路線が乗り入れる駅における人々の移動、滞留については、災害時の安全確保が強く求められております。とりわけ多くの人々が移動、滞留する東京駅周辺では、「大手町・丸の内・有楽町地区都市再生安全確保計画」を策定し、ハード、ソフト両面で帰宅困難者対策や災害対応力の強化に向けて、官民連携の取り組みが進められております。  さらに、秋葉原駅・飯田橋駅・御茶ノ水駅周辺の開発においても、広場の創出、電線類の地中化などのハード面とともに、帰宅困難者対策などのソフト面でも、地域防災力の強化に取り組んでおります。今後、複数の鉄道路線が乗り入れる交通結節点の機能強化、安全性の強化に寄与する「駅まち一体開発」の推進などにより、一層の都市の防災性向上を図ってまいります。  次に、マンション建設の総量規制についてですが、千代田区では、およそ9割の世帯が集合住宅に居住しており、マンション総量を規制することは、すなわち住宅供給の抑制にほかなりません。早くから都市化が進んだ千代田区では、旧耐震基準の高経年マンションや老朽ビルが多く存在しており、都市計画や都市づくり政策を通して機能更新を図りながら、地域の生活環境や防災力の向上を推進してきたところでございます。  引き続き、防災性や環境性能に課題がある市街地の機能更新は推進してまいりますが、「第3次住宅基本計画」で、住宅政策は「量的拡大から質の向上」へ転換されており、マンションなど住機能の誘導については、住まいの質や住環境の向上に資する取り組みに傾注してまいります。  最後に、少数者等の意見についてですが、市街地再開発事業は、都市の生活環境や防災力の向上、憩い・賑わいの広場空間の創出や面的な耐震化の促進など、個別建てかえでは解決できない、地域の課題について、都市計画の観点から支援する有効な手法の一つと認識しております。  都市再開発法では、地権者及び区域面積のそれぞれの3分の2以上の同意で、都から市街地再開発事業の組合設立認可を得れば、法的には事業実施が可能になります。また、区分所有法やマンション建替え円滑化法では、区分所有者の5分の4以上の決議で、建てかえや敷地売却が可能となります。  こうした合意形成の基本は、土地所有者や区分所有者の皆様で十分に話し合い、選択し、判断すべきものであると考えております。行政としては、少数の者の意見も多数の者の意見も大事にしながら、共生の理念で地域の課題解決につながるまちづくりに努めてまいりますが、推進すべき事業については、法に基づき適正に対応してまいります。 18: ◯12番(木村正明議員) 12番木村正明、自席より再質問いたします。ちょっと、国保の問題で再質問いたします。  均等割を賦課しない、これは法律上、確かにできないです。ですから、国に対して法改正を求めていく。ただ、同時に、自治体として減免はできないのだろうかという提案でした。  なぜかというと、やはり不公平感は、もう際立っているんですよ。均等割には、基礎分と支援金分がある。何で生まれたばかりの赤ちゃんにまで75歳以上の方の医療費を負担させるんだと。おかしいでしょ。これね、国保しかない仕組みなんですよ。だとしたら、せめて子どもがいる世帯の均等割は、千代田区独自の判断で減免できないかと。法令に抵触する可能性があるとかというご答弁があったけれども、実際、二十五、六の自治体は減免に踏み出しているんですよ。それは、国保税のところは地方税法、国保料のところは国保法に基づいて、その首長さんは、特別の理由、あるいは特別の事情があると判断したら減免できるんだと、この規定を使ってやっているんです。で、多子世帯は、これは特別の事情だと、そういう解釈をして、独自に減免に踏み出しているんですよ。  それで、ぜひ、こういうほかの自治体の、何ていいましょうか、実績や検討状況もぜひ調査の対象にして、まだ23区ではそう踏み出したところはないから、ぜひ千代田区が先陣を切って検討をして、踏み出していただけないかと。まず調査し、検討するということ自身はやっていただけないか。これが質問です。  それからもう一つ、マンションの問題で、ちょっと突然振って恐縮ですけれども、(ベルの音あり)総量規制というよりも、大規模なマンションが一気につくられると、当然、学校や、あるいは保育所のインフラに影響するので、例えば建設時期をずらしてもらうだとか、建設戸数を減らしてもらうだとか、そういったコントロールというのを、インフラ整備の状況を踏まえたコントロールという、できる仕組みができないかという質問だったんですよ。  それで、できるのか、できないのか。で、もし、今後検討してみるのか。その辺、ご検討いただけたら、ご答弁いただけたらありがたいです。  以上です。     〔保健福祉部長歌川さとみ君登壇〕 19: ◯保健福祉部長歌川さとみ君) 木村議員の再質問にお答えをいたします。  繰り返しになりますが、千代田区は、基礎的自治体として区民の生活を支えるということを第一に考えていると同時に、保険者としての適正な運営ということを両立させていきたいということでございます。  今ご提案のございました、いろいろな形で工夫をすることによっての次世代育成ですかね、多子世帯等への支援というものも、総合的な観点、区の立場として考えるべきだというご主張でございます。これは、当然、受けとめることではあるかと思いますが、まずは研究するということであれば、その研究もしないということではございませんので、実態等の調査もいたします。で、総合的な観点での判断ということになりますので、その辺はご了承いただきたいと思います。     〔まちづくり担当部長大森幹夫君登壇〕 20: ◯まちづくり担当部長大森幹夫君) 木村議員の再質問にお答えいたします。  繰り返しの答弁で恐縮ですが、マンションは、千代田区においては住宅そのものという認識でございます。そうした住宅の供給抑制、こういったものを、現時点でできるというふうには考えてございません。 21: ◯議長小林たか議員) 次に、公明党議員団を代表して、19番米田かずや議員。     〔米田かずや議員登壇〕 22: ◯19番(米田かずや議員) 令和元年第2回区議会定例会におきまして、公明党議員団を代表して質問させていただきます。  初めに、小学校、幼稚園、保育園の通学路、散歩ルート等についての安全確保であります。  先月の5月28日、神奈川県川崎市多摩区登戸駅付近で、小学校のスクールバスを待っていた、小学生の児童や保護者らが、近づいてきた男性に相次いで刺されるという通り魔事件が起こり、お二人のとうとい命がお亡くなりになり、負傷者も18人に上る痛ましい事件が発生いたしました。  また、5月8日、滋賀県大津市の県道交差点の歩道で、信号待ちしていた保育園児らの列に乗用車が突っ込み、園児13人と保育士3人が救急搬送され、うち園児2人のとうとい命が亡くなるという痛ましい事故が起こりました。ここで、改めまして、お亡くなりになられた方に対し、心よりご冥福をお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方に対して、一日も早い回復を祈念させていただきます。  これまで児童等が犠牲になった通学路での事故同様、今回も、運転者の重大な過失が大きな原因ということは言うまでもありませんが、一方で、児童、園児への安全確保について、いま一度、再考しなければならないと考えます。2012年以降、通学路の安全確保については、我が党の主導により、文部科学省、国土交通省、警視庁等の連携により、各種対策が講じられてきました。本区においても、学校、保護者、地域、関係機関と連携し、児童、園児の交通安全対策に尽力し、効果を上げてこられたことは評価いたしますが、今回の事故、事件を契機に、児童、園児の通学・通園路、散歩ルート等についても、学校、幼稚園、保育園、こども園や現場の教諭、保育士だけに委ねることなく、関係機関とも連携して、悲惨な事故から子どもたちを守っていくための具体的な安全対策を講じるべきと考えます。  そこで、お伺いいたします。  私たち議員団としても、5月14日、区長に対し、散歩ルート等の安全確保を求める緊急要望を提出いたしましたが、今回のこのような悲惨な事故や事件を受け、区として、どのように受けとめ、今後どのような対策を行っていくのか、お聞かせください。  対策を行う際は、保育施設における散歩ルートや通園ルートを、自主的な総点検を行うことは当然ですが、その際には、子どもの目線も必ず入れて行うとともに、安全管理者である警察などの関係機関や幼稚園、保育園、こども園、保護者などとの連携強化と、情報交換や情報処理を行うことが肝要と考えます。また、必要に応じて、ガードパイプやガードレール、園児らが活動する区域であることをドライバーに知らせる「キッズゾーン」を設置すべきと考えます。見解をお聞かせください。  また、子どもの死因の第1位は、交通事故を含む「不慮の事故」であります。大人には見えていても、子どもには見えないことがある、「子どもの目線」が重要であります。東京都では、幼児の視野を体験できる眼鏡を作製し、配布しております。このチャイルドビジョンを、交通安全教室で活用したり、チャイルドビジョンを保護者や保育士などに配布するなどしております。  また、愛媛県松山市では、「危険な場所を知り、回避する」といったソフト対策も重要であることから、市内の小学校で、「“子ども目線”による交通安全マップ」を作成し、交通事故防止に向けた意識啓発に取り組んでいます。また、学校の合意が得られたマップは、市のホームページで公表し、誰でも確認できるようになっています。  実際に、小学生の子どもを持つ保護者の方からも、「子どもたちに通学路の危険箇所マップを作成させてほしい。保護者の安全パトロールでは気づけない危険箇所があるはず」と、ご意見もありました。  本区も、子ども目線の重要性、子どもの行動の特性について理解し、安全対策を講じるべきと考えます。あわせて見解をお聞かせください。  次に、住宅政策についてであります。  住宅施策は、あらゆる住民福祉の根幹であります。さらに、ひいては社会全体の活性化や経済の発展にもつながっており、我が党としてもその進展を大いに期待するものであります。  我が国の公共住宅にお住まいの方は、年々高齢化が進んでおり、千代田区においても同様で、高齢化が進んでおります。ご高齢の単身の方や、年金のみ世帯の方も増えており、就労していた当時の所得と比べると、低所得になってきています。その中で、長年居住し、居宅内の修繕費用を負担するのは苦しくなっていると伺っています。  国では、このような状況も踏まえ、国土交通省は、平成29年の民法改正に伴い、賃貸住宅の契約の参考となる「賃貸住宅標準契約書」を改訂いたしました。この賃貸住宅標準契約書の中では、「畳表の取りかえ、障子紙、ふすま紙の張りかえ、給水栓、LED照明の取りかえ」が、居住者が自ら負担してできる修繕の一覧表から外されました。このことにより、居住者の負担が大きく軽減されることになりました。  この改訂を受け、公明党として、UR賃貸住宅においても、居住者の負担軽減を申し入れた結果、平成30年12月25日、石井国土交通大臣は、都市再生機構が管理するUR賃貸住宅においても、居住者負担を大きく軽減する新たな方針を発表いたしました。これまで居住者に負担を求められていた修繕内容が、81項目から11項目に削減され、居住者の方に喜ばれています。  また、都議会公明党も、昨年の12月28日に、東京都住宅供給公社に国の取り組みに沿った改善を申し入れるだけでなく、議会質問などで積極的に推進してきた結果、平成31年3月27日に、東京都住宅供給公社が、「公社の賃貸住宅の修繕負担区分の見直し」を発表し、これまでの34から、UR同様、居住者に負担を求める修繕内容を11項目とする見直しを発表し、令和元年9月2日から適用する予定でございます。  本区の区営、区民住宅の現在の使用者負担区分では、畳床の取りかえや、ふすま骨、縁の取りかえ等、多くの項目が、今現在、居住者の負担となっております。  そこで、お伺いいたします。  国土交通省の賃貸住宅標準契約書や東京都住宅供給公社の修繕負担区分の改訂を受け、本区の区営、区民住宅等の修繕負担区分を見直す必要があると考えます。区としての見解をお聞かせください。  また、見直すに当たっては、国土交通省の賃貸住宅標準契約書等の内容を参考にすることは当然ですが、居住者の具体的なご意見、ご要望を踏まえることも重要と考えます。あわせてお答えください。  次に、災害時トイレ対策についてお伺いいたします。  昨年は異常とも思える自然災害が多発いたしました。6月には大阪府北部地震、28日から7月8日にかけては西日本を中心に全国の広い範囲で、台風7号と活発な梅雨前線による平成30年7月豪雨、そして9月に入ってからも、初旬には台風21号が西日本を中心に全国を襲い、6日には北海道胆振地方を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生し、厚真町では、北海道で初となる震度7を観測し、甚大な被害が発生いたしました。国でも災害救助法を適用するなど、大きな災害が続きました。  また、昨日も、山形や新潟で大きな地震がありました。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。  大きな災害が起こるたびに避難所が開設され、多くの被災者を受け入れています。避難生活が数日続くと、必ずトイレの問題が取り上げられます。  平時において、排せつ物はトイレを通して汚水処理施設に運ばれ、適切に処理され、臭気や害虫の発生・侵入を抑えることができますが、ひとたび災害が発生し、水洗トイレが機能しなくなると、排せつ物の処理が滞ります。そのため、排せつ物における細菌により、感染症や害虫の発生が引き起こされます。また、避難所等において、トイレが不衛生であるために不快な思いをする被災者が増え、その上、トイレの使用がためらわれることによって、排せつを我慢しようとすることにより、水分や食品摂取を控えることにつながり、被災者においては栄養状態の悪化や脱水症状、静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)等の健康障害を引き起こす方もいます。避難所の施設によっては、和式便器のトイレが多く、また、仮設トイレにおいても和式便器が多いことにより、足腰の弱い高齢者や車椅子使用の身体障害者にとっては、トイレの使用が極度に困難となります。また、おむつ等の確保も課題となり、脆弱性の高い人たちにとっては、衛生環境の悪化は生命にかかわる問題となり得る可能性もあります。  このように、トイレの課題は、多くの健康被害と衛生環境の悪化をもたらし、同時に、不快な思いをする被災者を増やすことになり、人としての尊厳が傷つけられることにもつながります。被災者支援の中で避難生活におけるトイレの課題は、今まで以上に強い問題意識を持って捉えられるべきであります。トイレの課題は、区市町村における関係部局の連携により、事前の取り組みが進められるべきであります。また、区市町村においては、災害時のトイレの確保・管理計画を作成し、その計画を実効性のあるものとするため、地域防災計画等に反映させることが求められると、内閣府の避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインにうたわれています。  多くの人が集まる避難所では、清潔で、安全で、明るいトイレが、50人につき1つ、長期化する場合は20人につき1つ必要と言われております。災害時の避難者数は、東日本大震災で40万人、熊本地震では18万人でした。必ず起きると言われている国難級災害、首都直下型地震では700万人、南海トラフ地震では950万人とも言われております。本区でも、大規模災害が起こった際には、多くの方が避難所に集まると考えます。  そこで、お伺いいたします。  本区でも、避難所にマンホールトイレや携帯トイレ等を備蓄するなど、いざというときのために備えていますが、いざ被災したときには、トイレ不足が予想されます。本区として、今後、災害時のトイレ不足にどのように対応していくのか、基本的な考えをお聞かせください。(スクリーンを写真画面に切り替え)  そのようなトイレ問題を解決しようと、トイレトレーラーを活用した災害派遣トイレプロジェクトという取り組みがあります。このトレーラーなんですが、そのトレーラーは、4つの広々とした個室に洋式便器を配置しており、プライバシーが十分に確保されており、換気扇や清掃用の排水溝なども配置され、長期の使用でも衛生状態を維持できます。(スクリーンの写真画面を切り替え)車体を牽引するだけで、少ない人手で使用場所への移動が可能、充電式バッテリーが搭載されているため、被災直後の断水下でもすぐに使えます。また、外部電力との接続や、ソーラーパネルからの太陽光充電機能により、数カ月に及ぶ避難生活でも使え続けます。(スクリーンの写真画面を切り替え)このトレーラーを、全国の1,741区市町村に配備しようというのが、災害派遣トイレプロジェクトでございます。災害が起こった際、このトレーラーが被災地に速やかに集結することができれば、災害時のトイレ不足を大きく解消することができます。  実際にプロジェクトに賛同し、既に導入している自治体もあります。静岡県富士市、西伊豆町、愛知県刈谷市です。既に発注し、トレーラーを製造中の自治体が岡山県倉敷市です。また、現在検討中の自治体が約300あると伺っています。(スクリーンの写真画面を切り替え)  そこで、導入した静岡県富士市の防災課の課長に、導入した経緯と実用例を伺いました。富士市は、いずれ来るであろうと予測されている南海トラフ地震による甚大な被害を想定しており、さまざまな対策を講じています。中でも、人の命や尊厳にかかわる災害時のトイレの問題の解決には、このような取り組みが全国に広まることが必要だと考え、このプロジェクトに賛同し、参加を、昨年の4月、決めました。導入されてから、平時は地域のお祭りや運動会、防災イベントなどに活用し、これまで、市内外へ17回派遣し、延べ1万人を超える方が使用したと伺いました。  そして、7月には、平成30年豪雨で大きな被害受けた岡山県倉敷市へ実際に派遣し、避難所となっている倉敷市福田第二小学校へ50日間設置いたしました。(スクリーンの写真画面を切り替え)派遣先の避難所の方々からは、とても好評で、特に女性の方々からは、とてもきれいで明るく、衛生的だと喜ばれ、とても感謝されたと伺いました。実際に倉敷市からも感謝状をいただいたと伺いました。  富士市の市長も、この取り組みが広がり、災害時のネットワークを築いていきたいと語っておりました。また、派遣を受けた倉敷市の防災・商工課の担当の方にもお話を伺いました。福田第二小学校に約300人の方が避難されていたのですが、当然、トイレが足りておらず、問題になっており、トレーラーが派遣されてからは、問題が解消され、避難されている皆さん、特に女性や高齢者のストレスが解消され、非常に助かったと伺いました。(スクリーンを元に戻す)  また、購入に至った経緯を商工課の方に伺うと、倉敷市の観光地の商店街にある、まちづくりセンタービルが老朽化で解体することが決まっていました。ただ、そのビルのトイレを、倉敷に来られる多くの観光客の方が利用しており、商店街の方々より、次の建物が決まるまで、公衆トイレか、仮設でもよいので、残してほしいと要望を受けておりました。行政側も、どのようなトイレをつくろうかと検討しているときに災害が起こり、派遣されたトレーラーの存在を知り、利便性を考え、導入を決めたと伺いました。当然ですが、次の建物が決まった際は移動させ、イベントや公園に活用する。また、他の自治体で災害が起こり、トレーラーの派遣要請を受けた場合は、速やかに派遣すると伺いました。  このトレーラーにかかる費用は約1,500万円程度必要で、安くはないのですが、富士市の場合は、クラウドファンディングを活用し、市内事業者・市民の方より660万円、市外の方より約580万円、合計1,240万円を集めることができたと伺いました。また、他の自治体も、クラウドファンディングで目標額を募ることができたと伺いました。  先ほども述べましたが、このように全国の1,741区市町村が1台ずつトレーラーを配備し、被災地に全国から速やかに集結できたなら、災害時のトイレ不足問題を大きく解消できると考えます。  そこで、本区もこの取り組みに賛同し、他自治体が被災した際には提供でき、また、平時の際は、子どもの遊び場での活用や、お祭り、防災イベントで活用できるトイレトレーラーを備蓄してはいかがでしょうか。区としてのご所見をお聞かせください。  以上、通学、通園、散歩ルート等の安全確保について、住宅政策、災害時のトイレ対策について、質問させていただきました。区長、教育長、関係理事者の前向きな答弁を期待しまして、公明党議員団の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔区長石川雅己君登壇〕 23: ◯区長石川雅己君) 米田議員の子どもたちの通学、登園、散歩ルート等の安全確保についてのご質問にお答えいたします。  議員のご質問にもございましたように、先月、滋賀県大津市の交差点で衝突事故を起こした軽自動車が、散歩中に信号待ちをしている園児らへの列に突っ込み、多数の園児が死傷をするという痛ましい事故が、また、川崎市では、路上でスクールバスを待っている小学生の児童や保護者が男に襲われ、多数の死傷者が発生するという事件が発生をいたしました。  いずれの事件・事故も、幼い子どもたちが犠牲となってしまったもので、私にとっては、やりきれない思いであります。お亡くなりになりました方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、子どもたちを初め、被害に遭われた方々の心と体の傷が一日も早く癒されることを願うものであります。  私たち千代田区は、これまでも、学校、保護者、地域の方々、警察、道路管理者、教育委員会などが連携をして、小中学校の通学路の合同点検を実施するなど、児童の安全対策については、継続的に必要な対策を行ってきたわけであります。  今回の事件・事故を受け、保育園等の園児を含め、改めて児童の安全対策を見直し、ハード、ソフト両面から、児童が安全に外出できるよう、さらなる総合的な安全対策を進めるよう指示をしたところであります。  ちょうど十数年前に、ご承知のとおり、大阪府池田市の小学校内で発生した無差別殺人事件は、私たちにさまざまな教訓を与えました。この事件のときも、子どもたちの安全対策については、単に校内だけではなく、通学路も含め、何回となく議論をいたしました。そして、当時はまだ各小学校のPTA間の連携が乏しかったわけですが、子どもたちの安全という共通の強い思いにより、地域の方々、商店街等のご協力をいただきまして、ご案内のように、いざというときに子どもが駆け込む、こども110番というマークを統一いたしまして、実は通学路等での安全対策をやったわけでございます。  こうした思いを、これからも、時にはまちが変化をしておりますんで、通学路の安全点検、あるいは、いざというときに駆け込む110番を含めて、さまざまに、保護者、子どもたち、学校当局で一緒になって、再度、この110番の店舗についても、時代に合わせて見直すなど、そういうことも含めて、教育委員会に具体的に指示をしたところであります。  なお、詳細及び他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。     〔子ども部長大矢栄一君登壇〕 24: ◯子ども部長大矢栄一君) 米田議員の子どもの安全確保のご質問に、区長答弁を補足してお答えいたします。  区立、私立園における公園等への外出時の安全対策として、幼児の場合は、列の前後に保育士を配置することで、全ての幼児に対して保育士の目が届くようにしています。また、幼児同士で手をつなぐ、あるいはリングロープを握るなどにより、列の乱れと自由行動を防ぐ取り組みも行っています。  自分で歩行が難しい乳児の場合は、一定数の乳児を乗せて移動することができる、通称「避難車」を活用して、安全な移動に心がけます。  さらに、可能な限りガードレールがある道路を選んで移動するとともに、信号で待機する場合は、ガードレールがある場所の内側で待機するなどの対策も実施しています。  今回の事故を受けて、各園では、以上のような安全対策の再確認を行うとともに、保育園等の園児の外出時における緊急安全対策として、区立、私立各施設長に集まっていただき、散歩ルート等における危険箇所の抽出と情報共有を行っております。  その後、情報提供された危険箇所については、保育士による詳細な現地調査を行い、写真と地図による可視化を図っており、今後は、警察や道路管理者等の協力を求め、ガードレールやガードパイプの設置などにより、危険箇所の改善に努めていく予定です。  ご質問にあったキッズゾーンについては、現在、国が検討を行っている段階であり、まずは詳細な情報の把握に努め、その後、庁内及び警察機関等と設置について検討してまいります。  また、子どもの目線や行動特性を理解した安全対策については、保護者会や保育士の研修等において、チャイルドビジョンを活用することにより、子どもの視界の狭さや子どもの目線の高さでは見えないものなどを再認識することに努めております。今後、さらに、どのような取り組みができるかを研究してまいります。  次に、通学路の危険箇所のマップの作成についてですが、子ども自身に犯罪を予見・回避する能力の向上を図るため、全小学校で「地域安全マップづくり」に取り組むとともに、集団下校訓練時には、通学路における危険箇所の確認を行っており、今後もこうした取り組みを継続していきたいと思います。  最後に、以上のような取り組みを行うとともに、園児の外出時の見守りを強化するための人員強化や、園外活動時のバス借り上げの回数増加など、総合的な安全対策を早期に検討してまいります。     〔環境まちづくり部長松本博之君登壇〕 25: ◯環境まちづくり部長松本博之君) 米田議員の住宅政策に関するご質問にお答えいたします。  国土交通省が賃貸住宅標準契約書を改訂したのをきっかけに、UR都市再生機構や東京都住宅供給公社が修繕負担区分を見直している状況につきましては、区としても情報を把握しているところです。  本区の区営・区民住宅については、まだ修繕負担区分の見直しは行っておらず、同じく見直しを行っていない都営住宅と同様の基準で、入居者負担の修繕を実施しているところですが、議員ご指摘のとおり、区営・区民住宅の居住者の高齢化も進んでおり、4割以上が65歳以上の方々となっているのも事実です。こうしたことも踏まえますと、本区でも、修繕負担区分の見直しの必要性は十分認識しております。  東京都においても見直しの検討を開始すると聞いており、都営・都民住宅における修繕負担区分の見直しの動向を注視しながら、このたびの見直しの趣旨に沿って、本区としても区営・区民住宅の修繕負担区分の見直しに取り組んでまいります。  区営・区民住宅の居住者の方からは、ご意見、ご要望を日々お寄せいただいておりますので、修繕負担区分を見直す際には、そうしたご意見、ご要望を踏まえながら検討をしてまいります。     〔行政管理担当部長吉村以津己君登壇〕 26: ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 米田議員の災害時のトイレ対策についてのご質問にお答えをいたします。  大規模地震などの災害が発生した際、断水により水洗トイレが使えなくなり、結果として不衛生な状況を招くこととなります。また、仮設トイレも含め、利用可能なトイレに大勢の利用者が並ぶことや、トイレの汚れなどにより、被災者が排せつを我慢しようと水分や食事を控えてしまい、栄養状態の悪化や脱水症状、エコノミークラス症候群などの健康被害を引き起こし、その結果、特に高齢者・障害者の方にとっては、生命にかかわる問題になり得ることは、議員ご指摘のとおりと認識をしております。  また、多くの区民が避難してくる避難所においては、国や他自治体からの支援を受け、比較的早期に仮設トイレの設置がされたとしても、発災時の初期段階においては、トイレが十分確保されない可能性があることも、議員ご指摘のとおりと考えております。
     そのため、本区では、現在、まずは、トイレが機能せず、仮設トイレが設置されるまでの間の対応として、議員ご案内のとおり、各避難所に携帯トイレを備蓄するとともに、下水道に直結するマンホールトイレを整備し、対応しているところでございます。また、乳幼児や高齢者、障害者で、必要な方が用いることができるよう、おむつについても、必要数をあらかじめ各避難所に備蓄しているところでございます。  その上で、実際の被災地を職員が訪れ、災害現場の生の声を伺い、その後の対策について、さまざまに検討を加えているところでございます。  議員ご提案のトイレトレーラーについては、プライバシーが十分確保された室内であり、換気扇や、清掃用の排水溝なども整備され、衛生状態が維持できる仕様となっていること、また、車体を牽引することで、被災地に派遣して運用することも可能であり、平時には、イベント等の場でも活用できることなどの利点は認識をしてございます。  一方で、1台当たり1,500万円という購入費用や、購入後の維持管理費、平時の保管場所や具体の活用方法などの課題もあると考えております。  こうした状況を踏まえ、まだまだ導入自治体自体、多くありませんが、実際にトイレトレーラーを導入した各自治体に、その活用状況を問い合わせるなど、情報収集を行い、こうした他の自治体の事例を、具体の事例を参考に、保管場所の問題や、被災時に想定されるさまざまな課題を検証した上で、試行的に導入することを含め、検討してまいります。 27: ◯議長小林たか議員) 以上で各会派の代表質問を終わります。  議事の都合により休憩いたします。     午後3時17分 休憩     午後3時28分 再開 28: ◯議長小林たか議員) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、会議時間を延長します。  一般質問に入ります。通告順に質問をお願いします。  初めに、16番内田直之議員。     〔内田直之議員登壇〕 29: ◯16番(内田直之議員) 千代田区におけるSDGsへの取組みとヒートアイランド対策について、質問いたします。  質問に先立ち、昨夜午後10時22分ごろ、山形県沖を震源とする地震があり、村上市で震度6強、鶴岡市では震度6弱が観測されました。負傷者も確認されており、一時、約2,000人が避難されたとも報道されています。村上市では、土砂崩れや、ブロック塀が崩れる被害も出ています。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。  私たちは、自然災害大国に暮らしています。千代田区も例外ではなく、これまでも、直下型や海溝型の地震、大水害に繰り返し襲われてきました。これらの災害は必ず起こると想定し、備えることが必要であると改めて感じました。(スクリーンを資料画面に切り替え)  初めに、SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2015年9月の「国連持続可能な開発サミット」において採択された、国際社会共通の目標です。国連加盟193カ国が2030年までに達成すべき17の目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。シンプルなコピーと17色のカラフルなアイコンが印象的なコミュニケーションツールです。  我が国では、2016年5月に、安倍総理大臣が本部長、全ての国務大臣がメンバーとなる、「持続可能な開発目標推進本部」が設置され、2016年には「実施指針」が、2018年には「アクションプラン2019」が取りまとめられました。このアクションプランは、今年開催されるG20サミット、第7回アフリカ開発会議等に向け、SDGsと連動した、官民挙げた「Society 5.0」の推進、SDGsを原動力とした地方創生・循環型社会の構築、SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメントの3本の柱に沿って推進していくものです。(スクリーンを元に戻す)  日本政府がSDGsを国家戦略として位置づけ、積極的に取り組んでいる中、「実施指針」では、地方自治体の参加が強く要請されています。推進に向けた体制には、「SDGsを全国的に実施するためには、広く全国の地方自治体及びその地域で活動するステークホルダーによる、積極的な取り組みを推進することが不可欠である」ことも明記されています。  それでは、質問いたします。  SDGsは、基本的にはグローバルレベルの国際的な枠組みとして掲げられた、持続可能な開発目標です。地方自治体の目標としては容易でないとは思いますが、持続可能な地域社会の実現や、行政におけるパラダイムシフトのツールとしては、大変有効であると考えます。見解をお聞かせください。  日本政府は、地方自治体へのSDGs導入を支援するために、多様な政策を展開しています。その一つに、「SDGs未来都市」があります。「SDGs未来都市」とは、SDGsの理念に沿った、基本的・総合的取り組みを推進しようとする自治体の中から、特に環境・社会・経済における新しい価値創出を通じて、持続可能な開発を実現するポテンシャルが高いとして選定されたものです。この未来都市に先行するプログラムとして、「環境モデル都市」や「環境未来都市」があります。ご承知のとおり、「環境モデル都市」は、持続可能な低炭素社会の実現に向け、先駆的な取り組みにチャレンジする都市であり、「環境未来都市」は、環境や高齢化など、人類共通の課題に対応し、環境価値、社会的価値、経済的価値を創出する先導的なプロジェクトに取り組んでいる都市です。  千代田区は、「環境モデル都市」に選定され、環境モデル都市行動計画を策定し、地球温暖化対策に取り組んでいることは承知しています。  「SDGs未来都市」は、多くの点で、先行する2つのプログラムの理念を継承しています。「環境モデル都市」に選定された23都市のうち、つくば市や横浜市、北九州市など、SDGs未来都市にも9都市が選定されています。また、政府は、2020年までにSDGsに取り組む自治体を、30%まで伸ばす目標を掲げています。  それでは、質問いたします。  「環境モデル都市」である千代田区は、「環境未来都市」の構想を意識しながら、環境・社会、経済の3つの側面にすぐれた持続可能な都市の実現に向けて、地球温暖化対策を進めているはずです。なぜ、「SDGs未来都市」に応募しなかったのでしょうか。また、今後は、SDGsに取り組む自治体になるのでしょうか。見解をお聞かせください。(スクリーンを資料画面に切り替え)  2019年1月発行の「日経グローカル」に、全国815市区を対象に、SDGs先進度の取り組みランキングが掲載されています。持続可能性の視点から、環境、社会、経済の3つの側面について評価されています。1位は京都市、2位が北九州市であり、我が千代田区は87位という結果でした。815市区の中で87位が、よいのか悪いのか、微妙なところではありますが、トップランナーでないことだけは明確です。課題先進国の日本の中で、千代田区は、都市機能においては、課題先進地域と言えます。首都である東京、その中心に位置する千代田区は、環境価値、社会的価値、経済的価値の3つの価値を創出する、日本モデルの先導的な役割を果たさなくてはなりません。(スクリーンを元に戻す)  昨年、岩佐議員からも同様な質問があり、庁内議論を進めるとの答弁がありました。SDGsは2030年までに達成すべき目標であり、スピード感も重要です。  それでは、質問いたします。  行政運営のトップランナーであるべき千代田区が、SDGsへの取り組みランキングでは87位と評価されました。まずは、この評価について、見解をお聞かせください。また、現在検討されている「都市計画マスタープラン」や、今後改定を迎える「千代田区基本計画」は、当然、SDGsと関連した計画となろうかと思います。進捗をお聞かせください。  次の質問に移ります。  ヒートアイランド現象とは、都市化による地表面被覆の人工化や、エネルギー消費に伴う人工排熱の増加により、地表面の熱収支が変化して引き起こされる熱大気汚染であり、都心部の気温が、郊外に比べて高くなる現象を言います。この現象は、かなり昔から知られており、19世紀には、ロンドン、パリなど欧州の多くの都市で、市内の高温な現象が報告されています。東京では、周辺地域と比較して、過去100年で、平均気温が3度も上昇しています。  これまで、千代田区でも、「ヒートアイランド対策計画」に基づき、多くの施策が推進されていることは承知しています。一方、都市機能を集積し、高層化を図るアップゾーニングと、それにより生まれた空間に自然を回復するダウンゾーニングは、都心にしかできない手法であると考えます。近い将来、環境に配慮されたZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)や、緑やビオトープが広がるオープンスペース、親水性を取り戻した神田川や日本橋川の実現を期待しています。  それでは、質問いたします。  ヒートアイランド現象は、ここ千代田区の環境問題の中で最も顕在化している課題であり、東京都と連携した長期的・広域的な対策が必要です。見解をお聞かせください。(スクリーンを資料画面に切り替え)  昨年の夏、日本列島が記録的な暑さに見舞われたことは記憶に新しいところです。全国の気象ポイント153地点のうち48地点で記録を更新しました。また、埼玉県熊谷市では、7月23日に最高気温41.1度を記録し、全国歴代1位となっています。このような異常な暑さは、人の健康や生命にも重大なリスクを及ぼしました。気象庁は、この暑さに対し、「命の危険のある暑さ。一つの災害と認識している」とコメントしています。  消防庁によりますと、昨年7月の全国における熱中症による緊急搬送人員数は5万4,220人で、前年同月と比べ、約2万7,500人も多くなりました。死亡者数も133人となり、1カ月の熱中症による緊急搬送人員数及び死者数としては、平成20年の調査開始以来、過去最多とのことです。そこで、近年指摘されている「夜間熱中症」を念頭に、気象庁のデータより、千代田区における熱帯夜の日数推移を調べてみました。今から100年前の1919年の5年間の移動平均は1日、50年前の1969年は13日、直近の2018年では25日と、大幅に増加しています。昨年単年では42日にも及んでいます。(スクリーンを元に戻す)  千代田区では、「災害対策基本条例」を担保し、より実効的な災害対策を推進するため、「災害対策事業計画」が策定されていることは承知しています。平成30年度には、風水害対策と火山対策に関する施策目標が新たに加わりました。ぜひ、次回改定時には、最も人的被害が予想される熱中症対策も入れていただきたいと思います。  それでは、質問いたします。  暑熱対策や熱中症対策は、区民の生命と生活を守る喫緊の課題であり、千代田区政における最重要課題の一つと言えます。昨今の記録的猛暑を災害と位置づけ、災害対策と施策目標を設定すべきであると考えます。見解をお聞かせください。  最後に、私はこれまでも、ヒートアイランド対策を初めとした暑熱対策や熱中症対策の重要性について述べてきました。その中で、ドライミストの有効性についても触れてきたところです。ミスト装置は、霧状の水を噴霧し、気化熱を利用して、周囲の気温を2度から3度低くさせるもので、比較的少ないエネルギーで冷却効果が得られるため、環境負荷も少なくて済みます。  靖国通りの商店街の一部では、来年の東京2020大会に向けて、区の補助制度を活用して、ミストを設置する動きがあると聞いています。とりわけ、マラソンコースの沿道では、観戦される方々に、安全かつ快適に過ごしてもらいたいと、真剣に暑熱対策を考えられています。設置後には、電気代や水道代などのランニングコストの課題も発生すると思われ、千代田区には、地域の思いを受けとめ、十分な支援をしていただくとともに、積極的な暑熱対策と熱中症対策を求めたいと思います。  東京2020大会を控え、多数の来街者が見込まれます。この大会は、言うまでもなく、世界的に注目されるイベントであり、競技会場やマラソンコースを擁する千代田区では、大会成功に向けて、区民や千代田区を訪れる方々の安全を守る責務があります。  それでは、質問いたします。  東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、千代田区はどのような暑熱対策や熱中症対策を行っていくのか、(ベルの音あり)お答えください。また、即効性が期待できるドライミストのさらなる設置など、現実的な対応も提案いたします。見解をお聞かせください。  以上、区長並びに関係理事者のお考えを伺い、質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)     〔区長石川雅己君登壇〕 30: ◯区長石川雅己君) 内田議員のSDGsの2つの質問にお答えいたします。  すなわち、このSDGsは、持続可能な地域社会の実現に有効ではないかという第1点と、なぜ「未来都市」に応募しなかったのか、あるいは、今後、この問題について取り組む自治体になるのかというようなご質問だと思います。  SDGsは、持続可能で多様性と包摂性のある社会をつくっていくという国際目標であり、本区が目指す共生社会の実現と同じ方向性であると私は認識をしております。  一方では、この持続可能性のあるSDGsそのものを、大きな方針として、本区の基本構想や基本計画をつくり直すということは、現段階では考えておりません。したがって、「地方創生」のための一つの手段である「SDGs未来都市」に応募しなかったのも、このような理由であります。  むしろ、本区の基本計画が示す方向性は、SDGsと軌を一にしており、ここに掲げた施策を推進していくことが、結果的に、この国際的な目標につながるんだろうと思っております。  なお、詳細及び他の事項については、関係理事者をもって答弁いたさせます。     〔地域保健担当部長渡部裕之君登壇〕 31: ◯地域保健担当部長(渡部裕之君) 内田議員の熱中症対策に関するご質問にお答えします。  近年、地球温暖化に伴い、記録的な猛暑が続いております。特に昨年の夏は、関東甲信越地方で初めて6月に梅雨明けすることから始まり、酷暑が続き、千代田区でも39.0度という、観測史上3番目となる最高気温を記録いたしました。  議員ご指摘のとおり、この異常とも言える酷暑により、熱中症による救急搬送人員数及び死亡者数が、例年と比較して非常に多くなっております。  このような状況の中、千代田区は、平成23年度より、熱中症対策を健康危機管理の一環と位置づけて取り組みを進め、特に熱中症が心配される高齢者に対して、「高齢者熱中症予防訪問事業」を行うとともに、安全・安心メールなどを活用した熱中症に対する注意喚起や、区内各所に休憩や水分補給などができる「ひと涼みスポット」の設置などの熱中症予防に取り組んでおります。  また、東京2020オリンピック・パラリンピック大会を見据えた「千代田区オリンピック・パラリンピック推進プロジェクト」に基づき、外出中に気軽に立ち寄れ、夏季日中猛暑時のシェルターとなる「ひと涼みスポット」のさらなる拡充や、外国人の方に対する熱中症予防の普及啓発パンフレットやポスターなどの多言語化を行い、熱中症予防の対策を進めてまいります。  今後も、東京都や庁内関係部署、消防署などの関係機関と連携、協力を図り、区民や、千代田区を訪れる方々の健康を確保するため、熱中症対策にしっかりと取り組んでまいります。     〔環境まちづくり部長松本博之君登壇〕 32: ◯環境まちづくり部長松本博之君) 内田議員のヒートアイランド対策のご質問にお答えいたします。  初めに、東京都と連携した長期的・広域的な対策の必要性についてですが、ヒートアイランド現象は、長年にわたる都市形成の結果として生じてきた環境問題であり、区全域がヒートアイランド化している本区の最重要課題の一つであります。対策に取り組むに当たりましては、議員ご指摘のとおり、長期的な視点を持ち、まちづくり全体に視野を広げた総合的な対策を講じていかなければなりません。このため、区の取り組みを継続・強化するとともに、東京都とも足並みをそろえて対策を講じてまいります。  次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えた暑熱対策・熱中症対策についてですが、区はこれまで、新築建築物等への緑化指導や、遮熱性舗装、保水性舗装などのヒートアイランド対策に積極的に取り組んでまいりました。  東京2020大会に向けては、これらの取り組みを継続するとともに、東京都などが競技会場周辺で実施する暑熱対策を含めたラストマイルの取り組みに積極的に協力するなど、競技会場周辺の暑熱対策の強化に向けて、関係機関とも十分な連携を図ってまいります。  また、ドライ型ミストにつきましては、これまでの議員からのご提案を踏まえ、実証実験を経て、昨年度から、夏季の期間、区が公園等に設置するとともに、区内事業者がドライ型ミストを設置する費用への助成を拡充し、平成30年度からの2カ年度で10カ所以上のドライ型ミスト設置を目指しているところでございます。  東京2020大会と、その後も見据え、今後も積極的な暑熱対策を図ってまいります。     〔政策経営部長清水 章君登壇〕 33: ◯政策経営部長清水 章君) 内田議員のSDGsへの取り組みについてのご質問に、区長答弁を補足してお答え申し上げます。  まず、ご指摘いただきました誌面における千代田区の順位についてでございますが、発行元によりますと、本件調査は、区市町村ごとの特性にかかわらず、全国一律の指標により算出したものであり、取り組みの「深さ」までは必ずしも捉え切れていないとのことでございます。  指標に差が生じた主な要因といたしましては、農業・水産業等の1次産業の算出額や、SDGsの担当部署の有無、環境基本計画の有無、自治会加入率、有給休暇取得率などが主な要因と考えられております。  本区におきましては、SDGsの担当部署は有しないものの、環境に関する担当部署におきましては、全国で初めて制定をいたしました、CO2排出量の削減対策目標を掲げました「地球温暖化対策条例」を所管しておりまして、積極的にCO2排出量の削減に取り組んでいるところでございます。  このほか、区内建築物の省エネルギー化や温暖化配慮行動の促進など、条例に基づく取り組みを着実に進めており、今回の調査で評価されていない地域特性を踏まえた、区独自の取り組みも推進しているところでございます。  今後とも、本件調査の順位にかかわらず、持続可能な都市を目指し、さまざまな取り組みを行ってまいります。  次に、基本計画や都市計画マスタープランとの関連や進捗についてのご質問にお答え申し上げます。  SDGsは、住民の福祉の増進を図ることを目的としているため、本区においても、共感できるものでございまして、SDGsという世界共通の物差しをもって、持続可能な開発の取り組みについて、客観的な進捗など、指標を用いてはかり、比べ、計測して改善点を探るという手法につきましては、本区の基本計画等の基本コンセプトと軌を一にする、関連性の高いものであると考えてございます。  また、本区におきましては、基本構想、基本計画を初め、都市計画マスタープランなどの各種計画が既に策定をされており、現在、これらに基づき、具体的な取り組みがさまざまに進められている状況にございます。今後、基本計画や都市計画マスタープランの見直し作業を進めていく中で、SDGsと既存計画との整合や、既存政策との関連につきまして、再点検を行ってまいります。     〔行政管理担当部長吉村以津己君登壇〕 34: ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 内田議員の昨今の記録的猛暑を災害と位置づけるとともに、「災害対策事業計画」に盛り込むべきではとのご質問にお答えをいたします。  日本でも、近年、気温が40度を超えることも珍しくなくなり、本区でも、昨年、35度以上の猛暑日を12日記録しております。  また、昨年7月から9月までの区内3消防署での熱中症による緊急搬送は107人を数え、前年度比約2.7倍と大きく増加するなど、「猛暑」による影響は年々増加しておりますが、107名の搬送者のうち区民の搬送者は9名であり、いずれも重篤な状況ではありませんでした。これは、毎年の「猛暑」に対する区の取り組みにより、対応策が広く区民に浸透し、効果を発揮しているものと認識をしております。  しかし、全国的な「猛暑」に対しては、気象庁が昨年7月23日に異例の記者会見を開き、「命の危険がある暑さ。一つの災害と認識している」と、国民に対して猛暑による危険を呼びかけるに至りました。  区としては、区民の安全・安心を守る立場から、今年度も引き続き、「猛暑」に対する注意喚起を徹底するなど、「猛暑」対策の普及啓発に取り組んでまいります。  なお、今後、「災害対策事業計画」の改定時に「計画」の中に加えてはとのご提案ですが、基本的に、「猛暑」における対策は、不要不急の外出を控え、室内でのエアコン等の有効な活用や水分補給など、区民それぞれが取り組むべきものと考えており、それゆえに、正しい対処方法の普及啓発が何よりも大切であると認識をしております。  一方で、「災害対策事業計画」は、震災や風水害、火山の噴火などによる大規模災害時に速やかに応急体制を確立し、確かな復興を実現するための区の責務を明らかにしたものとなっております。  今後、次回の改定時に本計画に「猛暑」を盛り込むことについては、東京都を初め、他の自治体の例も参考にしつつ検討してまいりたいと考えております。 35: ◯16番(内田直之議員) 16番内田直之、暑熱対策について再質問をいたします。  熱中症予防の対策を進めていることはわかりましたけれども、猛暑を災害と位置づけるか否かについては、明確な答弁をいただけませんでした。  猛暑は、地震やテロと違って予測可能な災害とも言えます。改めて見解をお聞きします。  また、火山灰による被害軽減と同じように、猛暑対策も、災害対策・危機管理課で検討すべきと思います。こちらも見解をお聞かせください。     〔行政管理担当部長吉村以津己君登壇〕 36: ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 内田議員の再質問にお答えをいたします。  猛暑を災害として位置づけるべきではということでございますが、当然ながら、気象庁での見解もございます。区としても、猛暑については、災害と同じ考え方を持つということでございます。  それから、災害対策・危機管理課で、猛暑に対しても対策をとっていくべきというようなご質問だったかと思いますけれども、当然ながら、私どものほうでも、さまざまに区民の方々に猛暑の危険性を周知するとともに、どういった対策が有効であるかということについては、日々研究をしながら、対策を施していきたいというふうに考えてございます。 37: ◯議長小林たか議員) 次に、15番永田壮一議員。     〔永田壮一議員登壇〕 38: ◯15番(永田壮一議員) 令和元年第2回定例会に当たり、一般質問をいたします。  初めに、第126代天皇陛下ご即位にお祝いを心より申し上げます。  質問1点目、雑踏事故対策についてお聞きします。
     多数の人が集まる大規模イベントの会場とその周辺では、雑踏の中で予想される事故への対策が不可欠です。(スクリーンを写真画面に切り替え)  雑踏事故における我が国の歴史を遡ると、江戸時代後期、文化4年(1807年)の永代橋落下事故があります。事故の日は、富岡八幡宮の祭礼日で、橋の上は群衆で飽和状態になり、重量に耐え切れなくなった橋が崩壊し、1,400人以上が落下による犠牲になったと伝わっています。当時の惨状を詠んだ有名な歌があるので紹介します。  「永代と かけたる橋は 落ちにけり きょうは祭礼 あすは葬礼」。  このとき既に橋がかけられて100年以上経過しており、危険な状態であったことを、幕府も把握していました。(スクリーンの写真画面を切り替え)  それからちょうど90年後の明治30年(1897年)、当時大橋と言われていた両国橋で、両岸から集まる花火の見物客による圧力で、落下防止の柵である欄干が崩れ、200人が落下、多くは屋形船に救助されたものの、30名余りの犠牲者が出ています。(スクリーンの写真画面を切り替え)  昭和に入っての雑踏事故は、昭和29年(1954年)、皇居一般参賀の入場規制による一時停止の解除後に、先頭が後方圧力により転倒、将棋倒しが発生し、65名の重軽傷、16名が犠牲になる大惨事が起きています。(スクリーンの写真画面を切り替え)  最近発生した大規模雑踏事故では、平成13年の明石花火大会歩道橋事故が記憶に鮮明に残っています。花火大会終了後、帰宅のため駅に向かう群衆と、終了後も会場へ向かおうとする群衆が、歩道橋上で衝突した圧力で将棋倒しになり、さらに、後方からの圧力で次々と人が倒れ込む群衆なだれが発生しました。犠牲になった11名は全て子どもと高齢者という雑踏弱者で、重軽傷者は247名にも及んでいます。(スクリーンを元に戻す)  平成の時代になっても発生している雑踏事故の構図は、江戸時代から全く変わっておらず、経験知と勘に頼って個別に対応してきたので、過去の教訓が生かされないままでした。明石花火大会事故以降は、群集行動による事故発生メカニズム解明の学術的な研究が進み、具体的な対策への取り組みが始まっています。  雑踏事故の発生原因である群集密度の実験で、1平米当たり10人から14人と密度を高めていったときの身体的・精神的苦痛を調査したところ、1平米12人で全身の身動きがとれなく、息苦しく不安になる。14人では呼吸が困難になり、生命の危機を感じ、パニック状態になる、という実験結果が出ています。  歩行時においては、1平米2名以上になると追い抜くことが難しく、前方に歩調を合わせることになり、5名になると、満員電車と同じでほぼ動けなくなります。  群集流動の研究では、高密度での滞留が事故に直結することから、会場の地形、周辺環境、アクセスを考慮の上、人の流れを円滑にして、滞留をなくす方策を考えています。1平米10人という超高密度群集滞留が起きると、群集波動現象といって、個人の意思とは関係なく、群衆内で揺れが発生し、群衆なだれ、転倒、将棋倒しといった事故に直結します。  対策としては、来場者と退場者の衝突を避ける動線の分離、一方通行化が有効です。  混雑による滞留だけでなく、観覧滞留という現象もあります。明石花火大会では、歩道橋上で立ちどまり、花火見物を始めたことで群集滞留が起き、そこに、終了と同時に退出者、入場者の歩道橋への流入が重なって、超高密度滞留となり事故が起きています。(スクリーンを写真画面に切り替え)  ビューポイント、撮影スポットに立ちどまることで滞留が予測される場所には、移動を促す対策が必要です。そのため、近年では、滞留禁止の呼びかけはもとより、歩道橋や橋の欄干に目隠しが設置されるようになりました。(スクリーンを元に戻す)他に滞留を防ぐには、交通手段、利用駅を分散するために、案内表示には、ルートだけでなく、距離、時間といった具体的な情報を示すこと、露天、物品販売による別ルートへの誘導が考えられます。  東京五輪大会会場となる日本武道館では、交通アクセスが九段下駅に集中するので、周辺の混雑緩和対策が必要です。詳細なルートと時間を案内すれば、市ヶ谷、飯田橋、さらに竹橋、半蔵門へ誘導、分散させることが可能です。特に事故の発生が想定される田安門前歩道橋は、一方通行等の規制が必要です。長期的には、代官町通りのみたけ橋歩道橋も含め、撤去したほうがいいと思われます。  雑踏事故防止には、心理的側面も研究する必要があります。長時間の高密度滞留は、恐怖感、不安感が増し、生命の危険から回避するため、通常の精神状態ではあり得ない自己中心的な行動、パニックが生じ、連鎖することで、被害拡大につながるおそれがあります。特に、夏の暑さによる不快感の心理的影響は、冬よりも大きく、我慢の限界が早いこと、興奮度が高いイベントも事故発生の可能性が高まる要因になります。  一方、奉祝、慰霊祭といった厳粛な性格のイベントでは、心のゆとりを持って参加するので協力を得られやすく、混乱が起きにくいようです。  警備については、企画段階で主催者が危機意識を持つことが第一で、来場者数・入退場、交通アクセスの動線・滞留場所の予測、誘導計画、警備本部の設置による情報収集、情報共有・群集心理の把握、子ども、高齢者などの雑踏弱者への配慮といった複合的な要素を考慮した対策が求められます。  実際の警備活動では、群衆に対して、現状通知、行動要請を明確にして、協力と安心感を与えることが大切です。同時に、SNS、ホームページによるリアルタイムで具体的な情報提供も有効です。  警備活動の中心となるのは警備員ですが、交通整理係で権限がないので、警察、消防との連携が大切です。警察は、警察法、警察官職務執行法、道路交通法、消防は、消防法による法的根拠を持って強制力を伴う活動ができます。  関係者の連携には、警備本部を設置し、情報収集、情報共有した上で、統一した行動をとらなければなりません。救急活動については、受け入れ病院との連携、緊急車両の円滑な誘導、救護所の設置、情報が交錯しないよう一元的な通報、連絡体制が必須です。事故が発生すると自粛ムードが続きますが、来場者が、安心・安全、快適にイベントを楽しんでもらうことが第一であって、中止や縮小といった消極的な対応はできるだけ避けるべきでしょう。  自然災害を完全になくすことは不可能ですが、人災である雑踏事故は、安全対策によって防ぐことができます。それだけに、イベントの主催者や指導的立場である行政としての役割はとても重要です。  そこで、5点質問をします。  1、災害対策・危機管理課では、雑踏事故に対する安全対策について、どのような認識を持っているのか。事故が発生した場合、イベント開催責任者、道路管理者として、民事、刑事責任が問われることもあるが、想定しているのか。  2、本区主催のイベントで、特に動員数の多い「さくらまつり」での雑踏事故対策はどのように行っているのか。観光協会、警備会社に丸投げになっていないか。  3、本区主催ではないが、区内で開催される10月の即位礼正殿の儀パレード、東京2020オリンピック・パラリンピック大会開催時の具体的な雑踏対策、警察、消防との連携体制はどのようになっているのか。  4、大型イベント時の歩道の動線の分離、一方通行化の判断、指導体制、また、事故の原因となり得る歩道橋は、長期的には撤去することが望ましいと考えるが、どうか。  5、五輪開催時に、本区庁舎、区有施設で、何か特別な警備体制をとるのか。  続いて、定年延長について質問をいたします。  令和元年5月15日、政府主催の第27回未来投資会議において、「元気で意欲ある高齢者の方々に、その経験や知恵を社会で発揮していただけるよう、70歳までの就業機会の確保に向けた法改正を目指していく。その際、それぞれの高齢者の特性に応じた多様な選択肢として、定年延長や継続雇用制度の導入に加え、他の企業への再就職、自営、起業、社会貢献活動への支援など、幅広い選択肢を用意する必要がある」という議論があり、総理からは、70歳までの雇用確保の努力を促す法案について、労働政策審議会における審議を経て、来年の通常国会に提出する準備を進めるよう、指示がありました。  厚生労働省による31人以上の企業での60歳以上の常用労働者数のデータを見ると、平成21年には216万人だったものが、平成30年には363万人と、9年間で1.7倍に増え、70歳以上は18万人から46万人と2.6倍に増えています。70歳以上でも働ける制度のある企業は、25.8%ありました。  昨今、労働力不足により定年そのものが撤廃され、シニア人材の奪い合いが始まると言われていますが、60歳以上の労働者のほとんどが、もともとの職場で、厳しい条件での再雇用が実態です。平成19年の雇用対策法改正で、求人票には、原則として「年齢不問」と表記することが義務づけられましたが、実際の採用はそうはいきません。  生涯現役社会の実現とはいっても、定年を過ぎた高齢者が働き続けることは容易ではなく、さらに、自分が求める仕事と出会うことは難しいのです。また、シニア向け求人サービス会社はありますが、求人情報は非常に少なく、管理職経験者でも、「何でもやる」「給料は幾らでも構わない」といった気持ちの切りかえがなければ見つからないようです。  新卒者の就職先選びでさえ、「定年廃止、延長制」がある会社が判断基準になるように、目先の利益より安定性を求める時代に回帰しています。  高齢者の再就職は困難であるからこそ、希望すれば誰もが働くことができる環境づくりに行政の支援が必要だと考え、4点質問します。  1、区職員の退職者の再就職、就労支援体制はどのように行っているのか。  2、庁内の再任用、任期付採用といった多様な採用方法は、どのように機能しているのか。  3、高齢者施策は、福祉の視点からのみ行っているが、社会の担い手として人材活用するには新たな視点が必要だと考えるが、どうか。  4、政府の70歳定年延長の方針を受け、区としてどのように受けとめ、対応をしていくのか。  以上、区長並びに関係理事者の答弁を求め、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔区長石川雅己君登壇〕 39: ◯区長石川雅己君) 永田議員の定年延長に関する2つのご質問、すなわち、高齢者は、福祉の視点からのみではなくて、人材活用という新たな視点を考えたらどうだというのが第1点、第2点は、政府の70歳定年延長方針を区はどのように受けとめているかという、この2点について、私から答弁をいたします。  お話しのように、我が国は急速に少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少していることは、ご案内のとおりだろうと思います。  そのためには、高齢者が、積み重ねた経験や知識を生かして、意欲や能力に応じて地域社会で活躍できる環境を整えていくことが必要だという議員のご指摘はもっともだろうと思います。  私たちは、高齢者一人一人の価値観や状況を踏まえ、多様な就労、あるいは社会参加の形態が確保されるよう、行政としても、この問題について積極的に支援をすることが肝要だろうと思います。  その1つが、まさにシルバー人材センターだろうと思いますし、さまざまに、シルバー人材センターがますます社会参加、あるいは活動の場として発展するように、あるいは、地域包括ケアという観点からも、これからシルバー人材センターが発展をできるように、私どもは、あらゆる場面で支援をしてまいりたいと思います。  この考え方は、まさに高齢者が介護や福祉の「受け手」というだけではなくて、できる範囲で高齢者が高齢者を支えるという、そういう仕組みにもつながってくるんだろうと思っております。  次に、政府がお話ししております、「70歳定年延長の方針」についてでありますが、昨今の労働人口の減少という社会の中で、人材や雇用の流動化ということは、避けて通れないと思います。そのためには、限られた労働力というのを、どのように社会全体で分かち合うかという時代になっていると思います。  議員ご指摘のように、公務員制度という制約はありますが、高齢者、豊富なスキルを有する65歳以上の方々についても、千代田区として積極的に登用するなどのことを、前向きに検討をしてまいりたいと思います。このことが、ある面では、区政の中で、高齢者の活躍の場があることが、私は、次の世代への健全な社会へつながっていくことにもつながるだろうと思います。  なお、詳細、その他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。     〔地域振興部長細越正明君登壇〕 40: ◯地域振興部長(細越正明君) 永田議員の「さくらまつり」における雑踏事故対策についてのご質問にお答えいたします。  「さくらまつり」は、区が主催するイベントの中でも特に来場者数が多く、国内外から毎年100万人を超える方々が、千代田区の桜を満喫されています。このため、区は、来場者の安全を第一に、雑踏事故対策に特段の配慮を払っております。  具体的には、まず、「さくらまつり」の実施前に、警察・消防・警備委託会社・イベント実施団体等の関係者が一堂に会して、事業全般に関する会議を実施しており、その中で、期間中の安全対策については、詳細を確認しています。  また、靖国通りの九段下交差点から田安門にかけての歩道は通行量が多く、特に大学の卒業式や入学式の日程が重なる週末などは、往来に支障を来す時間帯もあり、警察の協力のもと、車道を1車線封鎖して歩道扱いとしたり、さらには、千鳥ヶ淵緑道沿いの区道を、さくらまつり期間中は、関係車両以外を通行どめとするなど、臨時の通行対策を行っています。  さらに、緑道を中心とした会場周辺の警備に関しては、1日最大48人の警備員を配置し、混雑が予想される場所において、来場者が立ちどまらないように、日本語と英語で案内するなどの対策を行っているところであり、この中で、例えば緑道内での不測の事故を防ぐため、来場者に対してスムーズな移動を促すような適切なアナウンスなどを検討してまいります。  今後も引き続き、警察・消防等の関係者と連携を密にして、さくらまつりでのノウハウを生かして、10月に予定されている奉祝パレードなど、区内における雑踏事故対策に万全を尽くしてまいります。     〔オリンピック・パラリンピック担当部長小川賢太郎君登壇〕 41: ◯オリンピック・パラリンピック担当部長(小川賢太郎君) 永田議員の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会期間中の雑踏対策についてのご質問にお答えいたします。  東京2020大会の各競技会場での観戦客の歩行ルートは、原則として一方通行となっており、入場と退場のルートを物理的に分けることにより、観戦客の滞留や混乱を防ぐ計画となっております。  また、各競技会場では、予選・決勝戦などのセッションごとに観戦客の入れかえが行われ、その際には、会場に配置されている大会スタッフにより、安全な誘導や案内が行われることとなっています。  複数の駅からアクセス可能な皇居外苑会場につきましても、現在、歩行ルートの策定に向け、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と警察との間で協議が進められております。  ご指摘のような雑踏事故が発生することのないよう、区といたしましても、観戦客の方々に安全・安心に観戦していただくため、東京都や大会組織委員会、警察などの関係機関と緊密に連携し、積極的に情報を収集・提供するとともに、必要な対策を講じてまいります。  次に、東京2020大会期間中の本庁舎、区有施設における警備体制についてお答えいたします。  現時点では、都や大会組織委員会から、特段の情報や方針等は示されておりませんが、区民や来街者の皆様の安全を第一優先とし、警察等とも連携をとりながら、区として適切に対応してまいりたいと考えております。     〔環境まちづくり部長松本博之君登壇〕 42: ◯環境まちづくり部長松本博之君) 永田議員のご質問にお答えいたします。  大型イベント時の安全対策は、基本的には、主催者側が、来場者を円滑に誘導することや、一般交通への影響を最小限とすることなど、多くの視点からの対策を講ずる必要がございます。その際、区では、交通管理者である警察と連携し、イベントの規模や時間帯、周辺の施設や交通状況などを踏まえ、歩行者動線の分離や一方通行化など、事故防止に向けた安全対策を図るよう指導しております。  今後は、これまでの事例から導かれた成果を大いに参考にし、より一層の安全対策に努めてまいります。  次に、横断歩道橋については、交通量が特に多い道路において、車両と歩行者との交通事故防止の観点から、必要に応じて設置されてきましたが、場所によっては、イベント時の歩行者の殺到による事故も確かに懸念されます。また、高齢化が進行する中では、平面で道路を横断できることが人優先のバリアフリーへとつながるものと認識しております。  一方、周辺小学校の通学路となっている場合もあり、児童の安全確保として有効な面も有しております。横断歩道橋の撤去につきましては議論のあるところですが、地域における歩道橋の利用実態や車両通行、イベント時の安全性等を十分に考慮し、ご指摘の2つの歩道橋を含め、引き続き検討をしてまいります。     〔行政管理担当部長吉村以津己君登壇〕 43: ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 永田議員のご質問のうち、まず初めに、雑踏事故に対する安全対策について、どのような認識を持っているのかというご質問にお答えをいたします。  イベント等で人が大勢集まる雑踏において事故が発生した場合、イベント主催者が、民事上・刑事上の責任を負う可能性が高く、事故を未然に防ぐことが非常に重要であると認識をしております。また、事故防止の対策ではございませんが、区では、自治体総合賠償責任保険に加入をしているところでございます。  次に、兵庫県明石市の花火大会における雑踏事故など、過去の同様の事故における発生原因等について、さまざま検証された結果によりますと、イベントの種類・規模、来場者数等にかかわらず、あるきっかけで群集密度が過密になり、群集滞留が生じることが事故の主な発生原因とされていることは、議員ご指摘のとおりでございます。  こうしたことを踏まえ、区としては、イベント時の群集密度が過密になり群集滞留を招かないよう、例えば必要に応じて動線を一方通行にし、警備員の適正な配置による流動性の確保を図るなど、あらかじめ考えられるリスクを想定し、万全の警備体制を整えるなど、十分な対策をとることが重要と考えてございます。  区でも、毎年多くのイベントが開催されており、区が主催するイベントも数多くあります。また、東京2020オリンピック・パラリンピック大会時にも、区内に競技会場が設けられ、多数の観戦者が本区を訪れることになることから、さきに述べたことを踏まえ、改めて、庁内の関係部署に対し、事故防止のために主体的に対策を講じるよう指示の徹底を図ってまいります。  加えて、警察・消防、区内の医療機関等の関係機関との連携を一層強めるとともに、さまざまな状況を想定した警備体制の構築を図り、区内で開催されるイベント等で雑踏事故が起きることのないよう努めてまいります。  次に、定年延長に関するご質問に、区長答弁を補足してお答えをいたします。  初めに、区の再任用期間満了者や早期退職者の再就職を可能とするための再就職支援体制についてですが、区では、公務員の再就職に関する社会的関心の高まり、区の外郭団体等への再就職に関し、透明性・公平性を確保するという観点から、退職管理制度の見直しを行い、平成30年9月より、職員の再就職手続を厳格化いたしました。  この見直しに伴い、人事担当課が民間企業等に職員を紹介・推薦する取り組みを開始しましたが、定年退職者の約7割は区での再任用を希望しており、取り組み初年度中の紹介・推薦の実績は1件にとどまるのが現状となっております。引き続き、民間企業等への職員の再就職ニーズの把握に努めてまいります。  なお、再任用期間満了者や定年退職者で再任用を希望しない職員、早期退職者については、現状では、区での継続的な任用を希望する方はありませんが、民間企業も含め、就労の継続を希望する場合は、個別に希望を聴取し、就労支援をしてまいります。  次に、庁内の再任用、任期付採用といった多様な採用方法は、どのように機能しているかとのご質問ですが、区では、毎年、定年退職者数を見据え、計画的な職員採用を行ってきております。  一方で、ベテラン職員の能力を区政に反映するため、平成30年度から、職員が定年退職後、65歳まで、フルタイムでの再任用を選択できることとし、希望者を任用しており、定年前の職責と同様に区の重要な責務を担い、若手職員等後輩の指導育成や、ベテラン職員の能力継承にも寄与しているものと考えております。  また、任期付職員についても、複雑・高度化する行政課題や喫緊の課題を速やかに解決していくため、年齢の上限を定めず、採用しております。この制度では、民間における実務経験や専門知識の伝授・継承に役立つものと考えております。  次に、区長答弁にもありましたが、少子高齢化が進む中、少ない労働力を社会全体で分かち合う時代が到来をしております。現に、近年、民間における良好な雇用状況を反映し、特別区の採用試験受験者数も低下傾向にあります。  一方、複雑多様化する区民要望に応えるためには、多様な雇用形態による人材活用が、これまで以上に求められていると認識をしております。  こうした状況の中、職員の定年延長についても、一億総活躍社会を目指す我が国において、国家公務員においては、段階的に65歳まで引き上げることが検討されております。今後、こうした国の動きを踏まえ、地方自治体においても、国と同様に、今後延長されていくものと考えております。区としては、具体な実施時期なども含め、引き続き、国や他自治体の動向を注視し、特別区人事委員会での検討も踏まえ、遺漏なきよう適切に対応してまいります。  このように、民間等の人材も含め、年齢にとらわれない多様な雇用形態による人材の活用などについても、引き続き取り組み、区民満足度の高い行政サービスが、安定的、継続的に提供できるよう努めてまいります。 44: ◯15番(永田壮一議員) 15番永田壮一、自席より再質問させていただきます。  ただいまの答弁で、高齢者の人材活用については、福祉的な視点からシルバー人材センターが活用されているということでしたが、今後、より、さらに高齢者の人材を活用していくに当たっては、シルバー人材センターだけでは、就労支援という視点からでは物足りないと、限界があると感じますが、さらにもっと進んだ、高齢者に対する施策、福祉の視点を超えたような考え方があるのかどうか、答弁を求めます。     〔行政管理担当部長吉村以津己君登壇〕 45: ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 永田議員の再質問にお答えをいたします。  先ほどもご答弁の中で若干申し上げましたけれども、区の中でも、任期付職員の採用という採用形態がございます。そういった中で、能力のある、また、元気のある高齢者については、積極的に活用をしていきたいというふうに考えてございます。 46: ◯議長小林たか議員) 次に、22番嶋崎秀彦議員。     〔嶋崎秀彦議員登壇〕 47: ◯22番(嶋崎秀彦議員) 令和元年第2回定例会において、千代田区議会自由民主党の一員として、一般質問をさせていただきます。  新たな元号である「令和」となって、早いもので1カ月半がたちました。  戦争と動乱の時代から平和へと繁栄をなし遂げた「昭和」という時代に比べ、改めて「平成がどのような時代であったのか」と振り返ってみますと、想像を絶する大災害が多く発生し、やはり「平成は災害の時代であった」と言えるのではないでしょうか。  こうした数知れない自然災害の中にあって、気象現象の変化に伴い、近年、日本列島の各地で、これまでに記録されたことのないような豪雨と、それに伴う水害が各地で発生しています。
     例えば、昨年7月には、西日本を中心に河川の氾濫、浸水害、土砂災害をもたらし、死者が200人を超え、「平成最悪の水害」とも呼ばれた「西日本豪雨災害」がありました。(スクリーンを写真画面に切り替え)  こうした豪雨が一たび東京23区に降り注ぐと、都心部では、地表がコンクリートやアスファルトで覆われているため、雨水が地面に浸透されにくく、そのまま下水道に流れ込みます。非常に衝撃な映像だというふうに思っております。  その結果、下水道処理能力を超えた場合には、下水道から水が溢れ、都市型水害と呼ばれる、大都市特有の水害をもたらします。先日、関東地方でも梅雨入りが発表され、これから本格的なシーズンとなる10月ごろまでには出水期となり、大規模な豪雨災害がいつ発生してもおかしくない状況であります。(スクリーンを元に戻す)  そこで、本区における都市型水害発生時の対応について、区の取り組みをお伺いいたします。  まず初めに、水害発生時の対応について伺います。  都市型水害の発生原因の一つとも言われる、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれるものがあります。狭い範囲で短時間にたくさんの雨が降ることから、急激な状況変化によって重大な災害を引き起こします。  先日、早稲田大学の関根正人教授らの研究グループが、23区で30分後に発生する浸水をリアルタイムで予測するシステムを開発したと報道がありました。大変私は、報道を拝見し、興味を持ちました。(スクリーンを資料画面に切り替え)  このシステムでは、道路や下水道・河川のネットワークや建物情報のほか、貯水施設や下水道施設などの都市基盤情報をコンピュータにあらかじめ組み込み、国土交通省や気象庁の豪雨予報データを入力することで、リアルタイムで浸水予測ができるというものです。  システムの運用は、2020年オリンピック・パラリンピック前を目指しているとのことですが、豪雨被害の軽減や住民等への情報提供に期待が持てるとともに、オリンピック・パラリンピックでは、世界中から観戦客・観光客が、雨の多い時期に訪れますが、彼らに対する安全上の「おもてなし」となり、スムーズな大会運営に活用できるものとして期待されています。しかし、こうしたシステムが本格稼働するまでの間においても、水害対策を施すことは大切です。(スクリーンを元に戻す)  そこで、現在、区では、どのように降雨情報・河川情報を把握し、庁内での情報共有を図っているのか。また、把握した情報を、どのように区民へ周知徹底しているのか。加えて、関根教授らの研究グループが開発した浸水予測システムが本格運用を迎えた際、本区の水害対策に活用することを検討しているのか、伺います。  次に、水害からの復旧時の対応について伺います。  長い歴史の中で育まれた地域コミュニティは、現在、その様相が変わってきました。それこそ昔は、米やみそ・しょうゆを近所で貸し借りし、そして、急な雨が降ってきた際には、隣近所の洗濯物を取り込むなど、「向こう三軒両隣」の関係がありました。しかし、今では、プライバシーの問題もあり、隣同士のコミュニケーションもなくなったといった声も、地域によっては聞こえてまいります。  以前、区民集会運営協議会でもご講演をいただいた、防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏は、「近助の精神」、近くて助けるという考え方を提唱しています。顔の見える近くにいる人が、困っている近くの人を助けるというものです。これは、ふだんからほどよい距離感で隣人に関心を持ち、「困っているな、変だな」と思ったら、いつでも声をかけ、助け合う。決して傍観者にならないということです。災害発生直後は、消防、民生委員や区職員がすぐ駆けつけることができず、助けるということが困難な状況が想定されます。そのときには、町会等の地域コミュニティで、向こう三軒両隣を助け合う仕組みが重要だと考えます。安心・安全なまちをつくるためには、この地域コミュニティを育てる、隣人同士の絆をさらに強固なものにしていくことが大切であり、防災は、そのためのきっかけとなると考えます。  先月行われた「千代田区・区内三消防署合同水防訓練」でも、区民や事業所の方が訓練に参加していました。さまざまな立場の方が一緒に訓練を行うことはとても大切だと考えます。  そこで、今後、このような訓練に多様な立場の方の参加を促すよう呼びかけていく考え方があるか、まずお伺いをいたします。  次に、さきに述べた「近助」の考え方も踏まえた上で、水害発生の際の復旧に向けた体制はどうなっていて、具体的にどう取り組んでいくのか、お答えください。  次に、水害を未然に予防することで減災する考え方について伺います。  水害を防ぐための対策として、ハード対策とソフト対策に分けることができると考えます。ハード対策では、雨水の処理能力を高めることが挙げられます。東京都では、区部の浸水対策として、1時間50ミリの降雨に対応する下水道幹線やポンプ所などの施設整備を計画的に進めてきたところです。しかし、1時間50ミリを超える集中豪雨が増加する中で、1時間75ミリの降雨に対応する対策を推進していると伺っております。  一方、ソフト対策としては、洪水ハザードマップの作成と、その普及啓発が有効であると考えます。昨年、第3回区議会定例会で、我が党の桜井議員の質問に対し、洪水ハザードマップを作成し、区内全戸に配布するという答弁をいただいております。いよいよ出水期に入り、具体的にいつごろ洪水ハザードマップを全戸配布する予定があるか、お伺いいたします。  先般、他区の洪水ハザードマップが報道されたときに、かなり刺激的な取り上げ方をされていました。本区においては、区民の皆さんに誤解・不安を与えないようにしていただきたいと思います。  また、今年も台風等の到来により大雨が想定される中で、水害予防のための方策と、その効果について伺います。  次に、過去の災害事例を見ると、大雨が降ることにより地盤が崩れやすくなり、大規模な土砂災害が発生することもありました。本年3月、東京都が本区の土砂災害警戒区域等を公表し、今後、指定を行っていくとのことです。区民の皆さんに対して不安をあおるものにならないよう、丁寧に周知啓発し、しっかりと理解してもらうことが必要だと考えますが、区の見解をお伺いいたします。  多くの人が一度は耳にしたであろう、「天災は忘れたころにやってくる」という言葉は、明治・大正・昭和を生きた自然科学者の随筆家、寺田寅彦氏の言葉だと言われています。昨年の災害事例を思い出すまでもなく、今や「天災は忘れる間もなく」次から次へとやってきます。災害対策は、発生した災害を検証することで、課題を整理し、それを今後の対策に生かすということの繰り返しを地道に行っていくことが大切です。  東京では、本年秋にはラグビーワールドカップが開幕し、来年にはいよいよオリンピック・パラリンピックが開催されます。これを、外国人を初め、多くの方が、本区にも訪れるきっかけになってほしいと思います。  浸水予測システムのようなデジタル手法と、地域コミュニティのような、ある意味、アナログな手法を組み合わせることで、区民・事業者・在勤者の一人一人が正しい知識をもっと生かし、しっかりと災害に備えることが、来訪者の安全にもつながると思っております。  日本人は昔から災害に畏敬の念を抱いていました。災害に対しては、いたずらにおびえることなく、向き合っていくことが大切であると申し上げ、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔区長石川雅己君登壇〕 48: ◯区長石川雅己君) 嶋崎議員の都市型水害発生時の対応の質問のうち、荒川の堤防決壊に伴う洪水対応についてお答えをいたします。  台風の発生に伴い、荒川の堤防が決壊するような氾濫が予想される豪雨の場合には、ご案内のとおり、タイムラインに沿って、72時間前から危機管理対策本部を設置し、区として対応をしていくことはご案内のとおりだろうと思います。  その上で、実際に、荒川の堤防が決壊した際においては、本区に、実際、洪水が到達するまで、約12時間から24時間程度かかるというふうに想定をしております。そして、一旦浸水をいたしますと、水が引くまでに2週間程度の期間を要するとも言われております。  こうした大規模な洪水が起きた場合には、過去の洪水災害の例を見るまでもなく、命を守るために、いち早く浸水想定区域から区域外に逃げることが大切だということはご承知だろうと思います。  そのために、区といたしましては、豪雨等の際には、洪水に関します情報収集に努めるとともに、お話しのような新たな浸水情報システムも含めて、しっかりと情報収集をし、結果として空振りになったといたしましても、早目早目に区民の生命を守る観点から避難情報を発していきたいというのが考え方であります。  そして、今後、今作成しております、全戸に配布いたします予定のハザードマップにつきましても、できるだけ丁寧に区民の皆様方にご説明をし、このハザードマップの位置づけ、役割、そうしたことをも含めて、丁寧に説明をしてまいりたいと思います。  なお、詳細については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。     〔行政管理担当部長吉村以津己君登壇〕 49: ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 嶋崎議員の都市型水害発生時の対応に関するご質問について、区長答弁を補足してお答えをいたします。  まず初めに、区での降雨情報・河川情報をどのように把握しているのかについてでございますが、本区を流れる河川では、上流地域の著しい都市化の進展及び河川の改修等に伴う、遊水機能の低下と不浸透面積の拡大によって、河川への流入量の増加や流達時間の短縮等を招き、豪雨時に河川水位の急激な上昇が顕著となっております。  このような中、区では、広域的な情報と地域に密着した情報の正確かつ迅速な収集を行うよう努めております。  広域的な情報としては、逐次、気象情報を気象庁から入手するとともに、民間事業者にも気象情報の分析をお願いしております。また、神田川上流区の降雨量・河川水位情報についても収集をしているところでございます。  さらに、地域に密着した情報として、水位計を日本橋川の雉子橋、新三橋、神田川の後楽橋の3地点に設置し、雨量計を、本庁舎、外濠公園総合グラウンド、和泉橋出張所の3地点に設置し、常時監視体制をとっております。  次に、庁内での情報共有については、地域防災計画に定める事前行動計画、いわゆるタイムラインに沿って、危機管理対策本部会議、災害対策本部会議などを設置し、区長報告・庁内各課と情報共有するとともに、区民・事業所等へも情報の提供を行っております。  具体的な区民等への情報の提供方法については、防災行政無線、安全・安心メール、ホームページ、ツイッター、フェイスブックなどの手段を用いているところでございます。  避難情報の中で、「避難準備・高齢者等避難開始」が発令となった場合、自力で避難することが難しい高齢者や障害のある方に対しては、避難行動要支援者名簿を活用し、出張所の職員・町会・民生委員等の連携により、逃げおくれのないように対応してまいります。  次に、早稲田大学の関根教授らの研究グループが開発した浸水予測システムを、本区の水害対策に活用してはどうかとのご質問ですが、このシステムは、情報収集の手段として非常に有効であると考えており、本格運用の際には、導入に向けて検討していきたいと考えております。  次に、訓練に多様な立場の方の参加を促すべきではとのご質問にお答えをいたします。  過去の災害事例を検証してみると、テレビ、インターネット、市町村からのメールや防災行政無線等を避難のきっかけとした人がいる一方、消防団、自主防災組織、家族・近隣住民からのよびかけがきっかけとなった人も多数ございます。  議員ご案内の危機管理アドバイザー山村武彦氏の提唱する「近助の精神」は、まさに「千代田区災害対策基本条例」に定めた「協助」と考え方を一にするものであり、日常より顔の見える関係を築いておくことが重要であることは明らかであります。  その上で、訓練については、水防訓練、各避難所で行う訓練、毎年3月に行っているシェイクアウト訓練などを行っており、事業所・マンション住民なども含め、幅広く参加の呼びかけを行っておりますが、今後も引き続き、多様な方々が訓練に参加されるよう広く呼びかけを行っていきたいと考えてございます。  次に、復旧時の対応についてお答えをいたします。  水害からの復旧に向けた体制・具体的な取り組みについてですが、区は、発災から72時間までは、災害対策本部において、総合調整を図りつつ、情報収集・伝達、連絡調整、区民対応、帰宅困難者対応、物資・輸送など、職員をそれぞれの役割に振り分けて対応を行い、72時間が経過した後は、平常時の各組織別の対応に順次移行していきます。  その上で、防災関係機関と連携し、必要に応じ、国や東京都などの支援や災害ボランティアの力もかりながら、住民と協力して、水害で被害を受けた家屋等の清掃などに取り組み、早期に洪水前の生活水準に戻るよう努めてまいります。  次に、水害予防による減災についてお答えをいたします。  ハード対策についての下水道整備は、東京都が計画的に進めていると聞いており、引き続き、本区の要望を東京都に伝えてまいります。一方、ソフト対策については、洪水ハザードマップを、本格的な台風シーズンを見越し、8月中に全戸配布し、ホームページ、出張所等の窓口でも、区民等に周知してまいります。  また、洪水で浸水した際の深さが一目でわかるよう浸水深プレートを、まずは区内の浸水想定区域内の公共施設5カ所に表示し、ハザードマップの見える化を図ってまいります。これから出水期を迎えるに当たって、ハザードマップ・浸水深プレートにより、水害時における区民の避難に役立てていただくとともに、区民の皆さんに、水害時のとるべき行動について正しく理解をしていただくよう、今後も丁寧な普及啓発に努めることで、人的な被害をゼロにとどめていきたいと考えております。  さらに、本年3月に、東京都が、本区の土砂災害警戒区域等の指定予定区域を公表し、今後、指定を行う予定となっております。指定の根拠となっている、いわゆる土砂災害防止法は、平成11年に発生した広島市・呉市を中心とした集中豪雨によって発生した土砂災害で、多数の犠牲者が発生したことが契機となっております。  東京都では、多摩地域、区部、島嶼と、順次調査に入り、公表・指定を行っておりますが、ある意味、機械的に調査されることから、100を超える箇所を指定された区もございます。アスファルトで覆われた都心部では、土砂災害は考えにくい部分もありますが、区民の方にはいたずらに不安をあおらないよう、7月に東京都と共同で住民説明会を実施することを皮切りに、丁寧に説明をしてまいりたいと考えてございます。  また、今後は、「地域防災計画」の見直しも検討し、本区の実情に即した対策・取り組みを盛り込んでまいります。 50: ◯22番(嶋崎秀彦議員) 22番嶋崎秀彦、自席から再質問をさせていただきます。  全体的なご答弁は評価をさせていただきますけれども、期待したのは、実は水害防災訓練、水防訓練の件です。  毎年、本当に関係各位がいろいろとご努力いただいているんだけれども、やはり今の千代田区の状況が、新しい住民の方が増えたということで、そこら辺の、もうちょっと具体的に、例えばまちみらい千代田を活用して声をかけるとか、もうちょっとそういう具体的なご答弁がいただけるのかなと思って期待していたんですけれども、含めて、ご努力をいただきたいというふうに思いますので、そこのところをもう一度ご答弁をいただきたいと思います。     〔行政管理担当部長吉村以津己君登壇〕 51: ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 嶋崎議員の再質問にお答えをいたします。  水防訓練の場において、さまざまに、新しい住民も含めて、大勢の区民の方に参加をしていただいてはいかがかというようなご質問だったと思いますが、これまでの水防訓練、確かに議員ご指摘のとおり、関係機関の方が、ある意味、中心となって行われておりました。今後は、区内の3消防署とも協議をしまして、広く区民の方にも参加をしていただいて、水防に対する知識の普及啓発、あるいは、水害に遭った際の、どういう行動をとっていただけることが最善なのかということも含めて、その仕組みを、改めて考えていきたいというふうに考えてございます。 52: ◯議長小林たか議員) 議事の都合により休憩します。     午後4時57分 休憩     午後5時08分 再開 53: ◯議長小林たか議員) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  23番河合良郎議員。     〔河合良郎議員登壇〕 54: ◯23番(河合良郎議員) 千代田区議会自由民主党の一員として、久しぶりに質問をさせていただきます。今回は、キャッシュレス決済が飛躍的に増えている今日、本格的なキャッシュレス社会到来に向けて、東京都や国との連携、本区の現状や課題、方向性を質問いたします。  経済産業省が2014年4月に公開したキャッシュレス・ビジョンによると、我が国のキャッシュレス決済の活動が加速している背景には、日本再興戦略改訂2014において、キャッシュレス決済の普及による利便性、効率性の向上等を掲げたことが発端であると言われています。それを受けて、日本再興戦略2016では、2020東京オリンピック・パラリンピック大会を視野に入れたキャッシュレス化推進策の具体案を示しています。2017年5月にはFinTechビジョンを公開、フィンテックとは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、金融においてテクノロジーの力を使った新しいサービスをあらわす言葉です。このフィンテックが付加価値を生み出すためには、キャッシュレス化の推進が不可欠であると結論づけています。  また、内閣官房が未来投資戦略2017と2018年6月に公表した未来投資戦略2018では、2025年、大阪・関西国際博覧会までにキャッシュレス決済比率を40%とする目標を設定、将来的には世界最高水準の80%を目指すとした支払い方改革宣言が提示されました。人手不足や地域活性化、生産性向上など、社会課題の解決へつなげていくことを目指すキャッシュレス化の推進が重点分野フラッグシッププロジェクトとして位置づけられました。東京都においても2020改革プランの中で、キャッシュレス化の推進を図るとしています。  2017年、国内のキャッシュレス決済額は約79兆円で、消費支出の約29.6%を占めるまでになり、飛躍的に増加しました。本区でも軽自動車税、特別区民税、都民税、国民健康保険料を、携帯電話で納付できるモバイルレジサービスを実施しているほか、総合窓口やコミュニティサイクルちよくるでのクレジットカードや交通系ICカードでの支払いや、電子証明書つきマイナンバーカードによる各種証明書のコンビニ交付など、キャッシュレス化に向けてのインフラを整備しているところです。  しかし、国や東京都など、支払いの多くは現金や証紙による納付となっており、電子マネーや今後急速に活用が予想されるQRコード、モバイル決済については、ほとんど導入されていないのが現状です。  2016年度の税制改正により、クレジットカードによる納税が行える制度が創設され、対象が国税にまで広がりました。また、電子マネーやモバイル決済等のキャッシュレスツールによる納税は、地方自治法第231条の2第6項及び地方自治法施行令第157条の2に規定する、地方公共団体の長が指定代理納付者を指定することで取り扱いが可能となりました。しかし、総務省から、法制上の取り扱いについて明確な位置づけを示す通達が明示されないことや、現金と異なり弁済発生時期が電子マネーやモバイル決済の方式により異なることなど、課題は多くあるようです。  そこでお尋ねします。区民の利便性を高めるために、本区として今後どのようにキャッシュレス化を進めていくのか。また、国や東京都と協議連携しながら解決していかなければならない問題もあると考えますが、現在の状況と今後の方向性をお答えください。  キャッシュレス・ビジョンでは、「日本全国、どこでも誰でもキャッシュレス」のスローガンを掲げ、6つのロードマップを示しています。自分に合った電子マネーが選択可能であること。公共サービスを含め、キャッシュレス対応施設・店舗が多く存在すること。電子マネーで支払うとお得である。現金の管理コスト削減ができること。さまざまな決済手段によりレジの概念がなくなること。個人間送金はデジタルで行われるようになること。データの利活用による利便性の向上等がキャッシュレス社会の姿として確立していることなどです。  2020東京オリンピック・パラリンピック大会では、訪日外国人旅行者を4,000万人と推定し、その消費によって約8兆円規模の市場を生み出すことを目標としています。2018年1年間の訪日外国人客数を延べ人数で見てみると、アメリカからは214人に1人、中国からは169人に1人、韓国からは7人に1人、台湾からは5人に1人、香港からは3人に1人、オーストラリアからは45人に1人の割合で日本を訪れています。  訪日外国人旅行者、特に欧米の旅行者は、旅行先ATMでの現地通貨の引き出しや、クレジットカード等での決済が定着をしています。また、中国や韓国ではモバイル決済処理が急速な広がりを見せています。諸外国のキャッシュレス比率を見てみると、韓国が96.4%、イギリスが68.7%、中国60%、オーストラリア59.1%、シンガポール58.8%など、日本の近隣諸国がベスト5に多く含まれています。これは注目すべき点です。ちなみに既存の金融インフラが既に普及している日本では19.8%です。2020東京オリンピック・パラリンピック大会に向けては、訪日外国人旅行者増加を見据えた海外発行クレジットカード等の利便性の向上や、クレジットカード等を消費者が安全利用できる環境の整備、また公的分野での電子決済利用拡大など、早急に対応しなければならない課題があると考えます。  ビザ・ワールドワイド・ジャパンの調査によると、外国人旅行者の間では、小規模小売店でのカード決済が利用しにくいという調査が出ています。訪日外国人旅行者による消費拡大を促すには、早急な国内のキャッシュレス環境の整備が必要です。  そこでお尋ねをいたします。本区として、国のキャッシュレス化補助金政策、POSレジシステム導入支援とか、クラウド会計ソフト導入支援等の利用拡大を積極的に推進するために、区商連等を通じて広く周知するべきと考えます。また、キャッシュレス端末設置費用や手数料等のコスト削減問題も、商店街単位で広域的な取り組みが必要と考えます。国の助成制度や税制優遇措置の動向を把握しながら、本区としてのキャッシュレス化推進に向けた支援制度を早急に実施すべきだと考えます。本区の見解をお答えください。  キャッシュレス決済の安全・安心・安定については、日本人は不安を持っているとの見解もあります。本区で電子マネーやモバイル決済をさらに普及させていくには、ICチップ電子証明書マイナンバーカードを活用した自治体ポイントの付与も考えられます。マイナンバーカードの普及にも貢献できます。総務省はマイナンバーカードを利用した地域キャッシュレス化を進める実証事業を始めています。クレジットカードのポイントや航空会社のマイレージなどを、商店街で使える自治体ポイントに変換したり、ボランティア等の景品として行政ポイントを付与したり、自治体の給付(プレミアム商品券)等に活用できます。また、銀行口座やクレジットカードを通じてポイントをチャージすることもできます。  そこでお尋ねします。本区としては、マイナンバーカードの普及促進とともに、マイナンバーカードを活用した自治体ポイントの付与など、今後の新たな動きに対応していく考えはあるのでしょうか。消費喚起を促すプレミアム商品券の付与などの取り組みは、商店街や地域活性化にも寄与すると考えます。本区の見解をお答えください。  最後に、ICTの活用による業務改革の取り組みについてお尋ねをいたします。東京都は3つのレス、はんこレス、キャッシュレス、ペーパーレスを土台とした総務事務改革に取り組んでいます。内容は、はんこレス、電子決定の推進。ペーパーレス、令和2年度までにコピー用紙の使用量を20%削減、ペーパーレス会議実施率90%。キャッシュレス、支出収入におけるキャッシュレス化の拡大です。  そこでお尋ねいたします。東京都の3レスの取り組みについて、本区の状況と目標をお答えください。  私の質問が千代田区のキャッシュレス化普及の転機となることを願い、質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)     〔区長石川雅己君登壇〕 55: ◯区長石川雅己君) 河合議員のキャッシュレス化に関する本区の方向性についてのご質問にお答えいたします。  電子マネーは、少額の支払い等において小銭の取り扱いが不要となり、現金を持たなくても迅速な支払いが可能になるなど、利用者の利便性が高まる決済手段であります。特にスイカやパスモなどを初めとする交通系電子マネーについては、私も必ず鉄道を利用するときは使っておりまして、切符を販売するコーナーを見ますと、ほとんどの人が切符を買っていないというぐらいの状況になっておりまして、相当キャッシュレス化が広がっているということは十分に認識しておりますし、こんな便利なものはないなという思いもあります。  一方、キャッシュレス化の手法については、新たな手法がさまざまに登場してきている状況がございまして、最近のICT技術の進歩や普及状況などを見据え、今後加速化するだろうキャッシュレス化について、しっかりと行政として取り組むことを検討してまいりたいと思いますし、まず、行政事務でこのことをきちっと導入することが肝要だろうと思っております。  なお、詳細及び他の事項については、関係理事者をもって答弁いたさせます。     〔地域振興部長細越正明君登壇〕 56: ◯地域振興部長(細越正明君) 河合議員のキャッシュレス化に関するご質問とマイナンバーカードに関するご質問に、区長答弁を補足してお答えいたします。  初めに、国のキャッシュレス化補助制度の周知と区による支援制度の実施についてですが、この秋に予定されている消費税率の引き上げを契機に、国はキャッレス決済の導入を促進する施策を展開しています。具体的には、本年10月から来年6月までの間、中小・小規模事業者に対して、キャッシュレス化決済に必要な端末機器の無償導入や決済手数料の補助を行うとともに、キャッシュレス決済した消費者に対してポイントを付与する予定でございます。現状は、スイカを初めとするさまざまな交通系電子マネーに加え、中国で先駆的に普及が拡大したQRコード決済も昨年から国内において複数の決済業者があらわれ、若者を中心に利用され始めているのはご案内のとおりでございます。  デジタル技術を駆使した決済手法は、便利で手軽に利用できるものであり、高齢者を初めとする幅広い世代に支持され、普及してきたものと認識しています。こうした現状を踏まえ、区は区商連等の会合を通して積極的に周知しているところでございます。  一方、区による民間事業者に対するキャッシュレス化に向けた支援制度の実施につきましては、一自治体の取り組みとしては限界がございます。その要因の1つとして、事業者が支払う手数料の問題が挙げられます。この手数料の多寡が中小・小規模事業者にとって大きな負担になることは周知の事実でございます。各個店の売り上げにも影響することから、キャッシュレス化決済の導入は事業主の経営判断に委ねられます。こうした課題を念頭に置きながら、まずは、国の補助金の効果と補助金終了後の影響も含め、中小・小規模事業者のキャッシュレス化の普及の度合い等を見きわめつつ、区として今後の施策の方向性を検討していく必要があると認識しています。  次に、マイナンバーカードの普及促進とマイナンバーカードを活用した自治体ポイントに関するご質問でございます。普及促進につきましては、2021年3月からマイナンバーカードを健康保険証として利用できる法改正がなされ、これを機にマイナンバーカードの取得率が飛躍的に高まることが期待されております。区は、引き続き取得率アップに向けて、区の広報紙やホームページで利便性の周知をしてまいります。また、マイナンバーカードを用いた自治体ポイントについては、2020年度に国が全額負担するポイントプレミアム分を付加する自治体ポイントシステムを実施するとの報道がなされております。さらには、マイナンバーカードを常時携帯しなくても、スマートフォンのアプリで自治体ポイントを使うことができるシステムも検討しているとのことでございます。区は、こうした国の動きを注視するとともに、引き続き情報収集に努め、実施の可否について検討してまいります。     〔政策経営部長清水 章君登壇〕 57: ◯政策経営部長清水 章君) 河合議員のICTの活用による業務改革の取り組みについて、お答えを申し上げます。
     東京都における総務事務改革についてご紹介をいただきました。本区執行機関内部における事務処理におきましても、同様の取り組みを行っているところでございます。以前は紙ベースによる文書作成、意思決定を行っていたところでございますが、新庁舎移転を機に、文書管理電子決裁システムを導入し、判子の押印という事務処理を極力なくしております。また、平成27年度からはタブレット端末を利用したペーパーレス電子会議、庁内の電子会議を試行的に導入しております。なお、紙の削減に関しましては、CES(千代田エコシステム)に基づき、毎年、各課において削減目標を定め取り組んでいるところでございます。  一方、キャッシュレスにつきまして、公金収納に関しましては、先ほど河合議員にご指摘をいただきました状況でございまして、また、支出に関しましては、既に口座振り込みが原則となっておりまして、キャッシュレス化が進んでいるところでございます。さらに、かつて、随分前になりますが、職員の給与も現金支給者がおりまして、毎月の支給日に膨大な事務が発生しておりましたが、現在では全員が振り込み、キャッシュレスとなっているところでございます。  このような状況を踏まえまして、今後の具体的な目標は定めてはございませんが、事務作業の効率化につきましては、引き続き研究を進めてまいります。 58: ◯23番(河合良郎議員) 23番河合良郎、自席から再質問をさせていただきます。  今のご答弁をずっと聞いていると、なかなかそのキャッシュレス化に向けて、本格的な議論を庁内でしていないのかなという感じは受けました。これから世の中が、いわゆる単なる現金を使わないというだけではなくて、本格的にそのシステムも含めてキャッシュレスというシステムがこの日本の社会を変えていくという、2020年オリンピックから、そういう傾向が非常に強くなる社会になるだろうと。その中で、どうやってそのキャッシュレスの、いわゆる銀行の金融機関がお金をキープするのではなくて、第三者がいろんな手段を使って、区民とか国民のお金を右から左に動かす。もしくはそこで商売をする。手数料を取ると。そういう流れになっていくわけですね。その辺の認識をもう少し持っていただきたいなと思ってはおります。  それで、一つ、商店街のほうの、これはインバウンドの対策として早急にやらなきゃいけない問題かなと思うんですけども、非常に使い方が、何というかな、日本はまだ現金主義のお店が多いですから、商店の中でいわゆるキャッシュレスの対応というのを早急にやっていかなきゃいけないという場合に、個店に対してその支援をするというのはなかなか難しいでしょう。ただ、商店街の単位とか、いわゆる広域的に、今までのイベントのいわゆる補助金も含めて、少し発想を変えながら、いわゆる外国人旅行者に対して、地域としてどういうおもてなしも含めて、使い勝手のいいこのまちにしていくかということが大事だと思うんですけども、その辺のお考えをもう一度、再答弁いただけますでしょうか。     〔地域振興部長細越正明君登壇〕 59: ◯地域振興部長(細越正明君) 河合議員の再質問にお答えいたします。  キャッシュレス化に対する議論が足りないのではないか、また、特に、この商店街において早急にこういったものを普及したらどうかというようなご質問の趣旨だと思います。  まずキャッシュレス化に関する議論につきましては、これまでも庁内でもさまざまにやっております。まだまだ形にはなっておりませんけれども、これにつきましては引き続き鋭意取り組んでまいりたいと思います。  また、このキャッシュレス化の流れというのは十分認識しておりまして、この流れというのは当然とめられないと思っております。したがいまして、これにつきましては、早晩区としても何らかの考え方を示さなければいけないと思っております。  また、商店街につきましては、先ほどご答弁申し上げましたように、当然その商店、個店等の連携、考え方もございます。ただ、委員ご提案のような、その個店、個ではなくて広域的にというようなご指摘もいただきましたので、その辺につきましては、区商連、区振連等とこれからじっくりと時間をかけて検討していきたいと思います。 60: ◯議長小林たか議員) 次に、4番小枝すみ子議員。     〔小枝すみ子議員登壇〕 61: ◯4番(小枝すみ子議員) 2019年、令和元年第2回定例会に当たり、一般質問をいたします。  まず最初は、新人職員(パワーアップ)研修についてです。かつて千代田区に鈴木理生(まさお)さんという図書館の職員がいらっしゃいました。彼を慕う多くの方は、「鈴木りせいさん」、「りせいさん」と呼んでいたようです。(スクリーンを写真画面に切り替え)  こちらに画像を出していただきました。職員でありながら、都市の歴史家として活躍した方で、江戸の歴史に関する著書が多数残されています。これはその一部です。鈴木さんは一般職の方だったようですが、図書館の職務を担いながら、膨大な資料に当たって、そして江戸の都市史の研究家として、地質学、考古学、江戸の川の研究、江戸のコミュニティを機能させるルールなどについて、新たな歴史像を提示した方と言われています。  鈴木さんは、職員の新人研修の際、バスを仕立てて区内各所をめぐり、土地にまつわるさまざまなおもしろいお話をしてくださったそうです。これが当時、職員のモチベーションを高めることにもなったというお話を何人かの先輩職員から伺いました。私は、鈴木さんが千代田区を退職されたその翌年の1987年、昭和62年に千代田区に就職をいたしましたので、残念ながらその研修は受けてはいませんでした。(スクリーンの写真画面を切り替え)  この新人研修を受け、影響を受けたお一人は、区役所退職後、この鈴木さんの知見も引き継ぎながら、地域の勉強会の講師や観光・グルメ雑誌で、神田の歴史資源について写真などの豊富な画像や文献を示しながら、都市史研究家として伝承をしてくださっているようです。ここに出しましたのは、本当は中まで出したかったんですけれども、肖像権もありますので、こういった書店で見かける雑誌の中に、何ページかを特集として、神田の地域の歴史を語ってくれていると。そういうことですね。(スクリーンの写真画面を切り替え)  次です。また、「千代田区史跡散歩」という、ここに掲示していただいた、これは1992年に書かれた本なんですけれども、岡部喜丸さんという方が書いています。この方も千代田区の職員で、一般職から税務課などを経験した後に、昭和44年、教育委員会社会教育課文化係に配属されたことから、文化係長ということになって、文化係長というのは、イコール千代田区立四番町歴史民俗資料館館長ということになりまして、職務上、手元にある膨大な資料や文献を読み込んで、専門家のようになられた。そんな足跡になっています。  私はその同時期に教育委員会におりましたので、この方はよく覚えています。当時、ただ1人活躍をされていた社会教育主事の、女性なんですけれども、先生や、担当課長、係長、地域の方々、校長先生退職の方々と、地域の歴史にかかわる話に盛り上がっていたような、そうした時代の空気を、その時代を共有しています。バブルの真っ盛りでしたので、担当課長が銀行協会の保存の要望書を持って交渉に、先方に出かけ、真っ赤な顔して帰ってくる。そんな時代の風景でした。この本の後書きにはこう書かれています。「区内を訪れる人々のうちで、ふるさとの殿様の屋敷はどこであったかという問い合わせが多く」「そのため、文久年間の大名屋敷の一覧表をつけました」とあります。地方行政というのは、文献や情報、知識が脈々と引き継がれ、そこに行けば情報があり、そこに預ければいつまでも保存をされ後世に譲り渡してくれるだろうと、そういう信頼感と安定感を抱かせ、期待されているところなのだというふうに感じます。(スクリーンを元に戻す)  そこで質問します。区庁舎にも若い職員が増えました。これからもしばらくは増やしていくという、この今だからこそ、こうした元職員や、あるいは元学芸員など、地域の歴史や特徴を大いに知る先輩方を、ようこそ先輩と講師に招き、千代田区の歴史と魅力を知る新人研修を実施して、地域愛、郷土愛を高めつつ職務を担っていただく一助としてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。  そしてもう1点、今後、専門職の新規採用も増えていくと考えます。その際、千代田区のような小規模自治体は、たった1人の専門職が特定部門の職場に採用されて定年までというふうになりがちです。例えば第1ブロック、千代田、中央、港、新宿などで交流をし、他自治体のよい面など互いに刺激を受け合いながら連携をとれるようにすることで、さらに職域を活性化することが重要ではないかと思いますが、お考えを伺います。  質問の大項目2番目です。ボタンの掛違えをなくすにはどうしたらよいかということについて、お考えを伺います。  去る4月21日に行われた千代田区議会議員選挙の結果を見ると、2つの点で特徴的だったと感じています。1つは投票率に見る特徴です。4年前の選挙では47.97%だったんですが、今回は48.06%へと、投票率はほぼ同じ、やや微増なんですけれども、地域別の内訳を見ますと、4年前に比べて番町・麹町のエリアが、かつての麹町区と呼ばせていただくと、その6投票所全ての投票率がアップをしています。4年前は、このエリアで50%を超えたところは1カ所もなかったんですけれども、今回は2カ所でこれを超えました。ところが一方、神田エリアの10カ所の投票所は、4年前、6地区すなわち半分以上が50%以上だったにもかかわらず、今回は6投票所から3投票所に、つまり激減をしました。  2つ目の特徴はエリア別の議員数という点です。単純な比較ですけれども、25人議員総数のうち、旧麹町区の議員数が14人になったということ、私が知る限り、初の東西逆転ではないかと思います。投票率が下がった地域は、コミュニティが薄れてはいないか、区民から議会が遠くなっていないか、検証してみる必要があります。  それにしても、神田地区における投票率の低下は余りにも激し過ぎました。そして、麹町中のエリアも同じです。コミュニティのあり方やまちの持続性の問題としても謙虚に受けとめる必要があります。  ちなみに投票率を調べる過程で驚いたのは、50年前、昭和42年の区議会議員選挙の資料なんですけれども、有権者が7万1,271名、投票率は77.02%、丸の内を除くと、どの地域もほぼ8割に近い投票率でした。千代田区民は、地域に根差しながら一流の論理性を持つ方が多数いるように感じています。また、このまちの将来について思案をし、悩んでもいます。そうした区民の意見を真摯に傾聴する機会が、区行政においても区議会においても、その双方において十分でないというのが現状のように私は思います。  私は今回の質問タイトルに「ボタンの掛違え」という言葉を使いましたが、1991年、平成3年の公共施設適正配置構想、いわゆる公適配をめぐる住民との大論争を除くと、前任期、すなわち平成最後の直近の4年間ほど、ボタンのかけ違えの件数が多かったことはなかったというような印象を私は持っています。番町地域まちづくりの問題、神田地区再開発の個々の問題、街路樹伐採の問題、東郷公園工事に関する問題、その他多数です。  私が伺った地域住民の意向は、大まかに集約すると次のようなものでした。1、まちづくりのしっかりとした議論ができるテーブルをつくってほしい。そこには行政だけでなく、あらゆる立場の議員が来てほしい。2、未来の子どもたちのことを考えてほしい。今だけの判断で公有地を開発してしまうのでなく、公有地を増やし、次世代につなげてほしい。3、千代田区は、区役所やお濠の環境ばかりに熱心で、区役所から遠いところのことは見捨てている。これでは、まちの将来が見えないから、あなたの土地を売ってくれと言われると、売ってしまおうかなという気持ちになってしまう。そして、こんなふうに言われる地域エリアの投票率は一様に低く、区政への期待度も低いのだろうと私は感じました。  実感として感じるのは、地域の悩みが区政の中枢に伝わっていないということです。みらいプロジェクト、10年計画の中身さえも、地域で共有されていません。千代田区の情報伝達が町会のみに集中し過ぎていることも、ただでさえ負担の多い町会の負担を重くしています。地域別、エリア別、せめて6出張所別の恒常的な区政懇談の場が必要です。それは、かつてのまちづくり協議会とは一味異なるけれども、イメージは似ています。例えば、出張所の一室を防災コミュニティセンターなど銘打って、福祉、教育、まちづくり情報コーナーを設け、給茶器なども置いて、いつでも気軽に交流できるようにして、町会代表はもちろんのこと、無作為抽出の住民も組み合わせ、女性、障害者、外国人、企業・大学の方、NPOの方々もメンバーとして、例えば「○○町」──万世橋でも神保町でもいいんですけれども、「地域まちづくり懇談会」というふうな会議を立ち上げる。その部屋の利用は、名前を書けば誰でも使えるようにする。学生が勉強で使っても構わないというふうに。かつて各出張所に青少年商工ホールみたいなものがあったんですけど、管理方法はそんなイメージです。会議において大切なのはファシリテーターになる人物です。安定したファシリテーターの存在が、対立する意見を調整し、せめて6割以上が納得できるバランスのよい考えにまとめ上げていくことができ、遅過ぎない段階で計画を調整し、行政もエネルギーのロスを防ぐことができるのではないでしょうか。  以上、地域別、エリア別の熟議ができる区政懇談の場と、十分な協議ができるファシリテーターの配置により、ボタンのかけ違えのない区政を推進する方策について、区のお考えを伺います。  以上です。ありがとうございました。(拍手)     〔区長石川雅己君登壇〕 62: ◯区長石川雅己君) 小枝議員の新人職員の研修については私から答弁をいたします。  私が区長に就任して以降、新人研修はこれまでと大幅に変えました。それは、職員が区内を探訪し、そしてさまざまな方々とお話を聞き、そしてそのことをしっかりと身につけていただきたいという思いであります。それはなぜかといいますと、基礎的自治体は国政や都政とは違い、まさに直接住民や区民の方々とさまざまな課題を議論し、お話をお聞きしながら政策をつくっていくべきだという、そういう思いで区内の探訪という、住民との接点を持つような、そういう研修をさせていただいております。これは、どのような職場へ異動しようと、このマインドは絶対に持っていただきたい。そして、さまざまな区民の方々との接点を持つことが政策をつくっていく原点になるだろうという思いで、こうしたことをさせていただいております。  これからも、時代に合わせてテーマをどうするかは別として、まず職員が、新しい職員がまちへ出て、住民やいろんな方々のご意見を聞きながら、それを課題や問題意識として持って、これからも区政を担っていただきたいということでやっておりますので、今後もそうしたことを前提にこの研修を進めてまいりたいと思っております。  なお、その他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。     〔地域振興部長細越正明君登壇〕 63: ◯地域振興部長(細越正明君) 小枝議員の、ボタンのかけ違えのない区政に関するご質問にお答えいたします。  区は、区民や地域団体関係者、学識経験者から成る地域コミュニティ活性化検討委員会の提言を受けて、地域に住み、働き、学び、集う全ての人や団体が、「住みやすいまち、居心地のよいまち」をつくるという共通目標に向かって、相互に連携、協働し、地域課題の解決に向けて主体的に活動できる環境を整えることを目標に、さまざまなコミュニティ施策を展開しています。  その施策の1つとして、平成29年度から地域の課題解決への支援施策として、連合町会をベースにしたモデル地区を選定し、検討する際には専門家であるファシリテーター等を配置して、会議の運営や資料の作成、成果の取りまとめ等を行っています。また、これらの成果を地域で共有するため、町会はもとより、商店街や大学、NPOを初めとするまちづくりグループなど、区内で活動するさまざまな団体や個人が参加する「ちよだコミュニティ・ラボライブ」を開催しています。この取り組みは継続的に実施しており、8月、9月には番町・麹町地区において開催を予定しています。  こうした機会を活用して、地域の課題をテーマに多様な参加者のもとで議論していくことが、一見、遠回りのように見えますが、地域の合意形成に寄与するものと考えています。コミュニティ施策に即効薬はありませんが、今後も引き続きモデル地区の成果を検証しながら、誰もが住みやすい、居心地のよいまちの形成に努めてまいります。     〔行政管理担当部長吉村以津己君登壇〕 64: ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 小枝議員の専門職の採用後の任用について、他自治体との間で人事交流を実施し、職域を活性化してはどうかとのご質問にお答えをいたします。  特に専門職については、その性質上、配置する職場が限られることは議員ご指摘のとおりでございます。しかしながら、本区の職員は日ごろから区政に対し高い問題意識を持ちその職務に当たっており、配置される職場が限られているとしても、活性化は図られているものと認識をしております。  その上で、議員ご提案の他自治体との間での人事交流は、職員にとって非常に意味あるものと考えております。現在も人材育成の観点から、若い職員を中心に、事務職、専門職にかかわらず、東京都や特別区一部事務組合あるいは被災地などに積極的に人材を派遣しており、こうした派遣の経験が、その後、職員の職務にさまざまな形で生かされております。今後も、職種にとらわれることなく、職員を23区内の他自治体も含め幅広く派遣し、交流を図ってまいります。 65: ◯4番(小枝すみ子議員) 4番小枝すみ子、自席から再質問させていただきます。  1点目の職員研修に関してなんですけれども、区長になってからそのように取り組んできましたよということでしたけれども、区長が捉え切れていないのは、地域愛とか、また土地に対する、この間、神田の住民の方が、まちづくりマスタープランの議論のときに、土地に対するリスペクトという言葉を使ったんですけども、じゃあ、その地域の土地に対するリスペクトって何なのかといったら、やっぱり地域資源が何なのかということに精通していかないとわからない。で、23区の中でも、恐らく全国の中でも、千代田区というのは在住の職員が一番少ない自治体であろうと思います。そこの特徴を考えると、やはりちょっと現場へ行っていらっしゃい、探訪していらっしゃいというんじゃなくて、そういったことに知見を持つ先輩職員方を講師に呼んでみたらどうですかということを申し上げたことに関しては、再答弁をお願いいたします。  それから、専門職の、例えば第1ブロックでの交流ということを申し上げたんですけども、若干ちょっとそらした答弁をされていて、被災地は大変結構だと思いますが、文化財とかそういうふうなのを考えたときに、やはり似たような、隣接する自治体との交流を、(ベルの音あり)働きかけていく、背中を押していく、そして外のまたいろんなところも見ながら、新しくいろんなことを学び、かつ伝えというような、少し区を超えた人事交流を、ちゃんと問題意識を持ってやったらどうなんでしょうということを聞いているわけなんです。まあ、やっていますよという話じゃありません。それが2点目。  3点目が、ボタンのかけ違えなんですけれども、私は1つ、場所についても言ったんですけど、これはここでは全然この場では熟さない話ですので、しつこくというか、提案をし、かつ区長や部下の皆さんの職員の方々の意見も聞きながらイメージをつくっていきたいというふうには思いますけれども、熟議ができる区政懇談の場というふうに申し上げて、出張所の一部にちゃんとそういう拠点を設けたらどうですかということも言いました。そのことも含めて、検討いただけるかどうか答弁願います。(ベルの音あり)     〔区長石川雅己君登壇〕 66: ◯区長石川雅己君) 小枝議員の新人研修への再質問についてお答えいたします。  もちろん、ただ新人がまちへ行って住民から聞くだけじゃなくて、どういう聞き方をし、どういうことを課題として学んできたらいいか、その報告やなんかもつくる、そういうきちっとしたアドバイザーというんですか、そういう方を使ってやっております。ですから、どういう方を使うかということは、これは我々に任せていただきたい。この人を使えというような言い方はちょっと違うと思います。ただ、必ず、地域へ出たときに課題をどういう形で掘り起こすかだとか、まちの人との接点をどう持つかというようなことについて、きちっと専門家がアドバイスし、講師として雇っているということだけは間違いないと思います。  その他は関係理事者をもって答弁いたさせます。     〔地域振興部長細越正明君登壇〕 67: ◯地域振興部長(細越正明君) 小枝議員の再質問にお答えいたします。  再質問の趣旨は、この場所、具体的には出張所にそういった熟議ができる場所をつくるべきではないかというようなご質問だと思います。  先ほどご答弁申し上げました、今まさに我々も、この地域と一緒にどうやって問題を解決するかという部分を、こういった、先ほど申し上げたコミュニティ・ラボライブという形でやっております。試行錯誤しているという状況でございますので、こういった、今まで、今やっているものも含めて、その検討の先にどういったことができるのか、それは改めて検証したいと思います。     〔行政管理担当部長吉村以津己君登壇〕 68: ◯行政管理担当部長(吉村以津己君) 小枝議員の再質問にお答えをいたします。  繰り返しの答弁の部分もございますけれども、本区の職員につきましては、地域課題や区民要望について、常に高い問題意識を持って職務に当たっていることはご理解をいただきたいと存じます。  なお、第1ブロック、特に第1ブロックを例に挙げてご質問されておりましたけれども、人材の交流につきましては、23区の他自治体も含め、幅広く派遣をすることで交流を図ってまいりたいと考えてございます。 69: ◯議長小林たか議員) お諮りします。本日は以上で延会したいと思いますが、異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 70: ◯議長小林たか議員) 異議なしと認め、決定します。  次回の継続会は、明日6月20日午後1時から開会します。  ただいま出席の方には文書による通知はしませんので、ご了承願います。  本日は以上で終了します。延会します。     午後5時58分 延会                     会議録署名員                        議 長  小 林 たかや                        議 員  長谷川 みえこ                        議 員  小 枝 すみ子 発言が指定されていません。 Copyright © Chiyoda City, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...