千代田区議会 2016-11-30
平成28年第4回定例会(第2日) 本文 開催日: 2016-11-30
千代田区議会議事録 トップページ 詳細検索 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成28年第4回定例会(第2日) 本文 2016-11-30 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別
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戸張孝次郎議員) 選択 2 : ◯16番(永田壮一議員) 選択 3 : ◯区長(石川雅己君) 選択 4 :
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 選択 5 :
◯保健福祉部長(松本博之君) 選択 6 :
◯地域振興部長(立川資久君) 選択 7 :
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 選択 8 :
◯政策経営部長(歌川さとみ君) 選択 9 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 10 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 11 : ◯19番(
たかざわ秀行議員) 選択 12 : ◯区長(石川雅己君) 選択 13 :
◯子ども部長(保科彰吾君) 選択 14 :
◯地域振興部長(立川資久君) 選択 15 : ◯19番(
たかざわ秀行議員) 選択 16 : ◯区長(石川雅己君) 選択 17 :
◯子ども部長(保科彰吾君) 選択 18 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 19 : ◯12番(
木村正明議員) 選択 20 : ◯区長(石川雅己君) 選択 21 :
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 選択 22 :
◯保健福祉部長(松本博之君) 選択 23 :
◯地域振興部長(立川資久君) 選択 24 :
◯まちづくり担当部長(坂田融朗君) 選択 25 : ◯12番(
木村正明議員) 選択 26 : ◯区長(石川雅己君) 選択 27 :
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 選択 28 :
◯地域振興部長(立川資久君) 選択 29 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 30 :
◯まちづくり担当部長(坂田融朗君) 選択 31 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 32 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 33 : ◯13番(小枝すみ子議員) 選択 34 : ◯区長(石川雅己君) 選択 35 :
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 選択 36 :
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 選択 37 : ◯13番(小枝すみ子議員) 選択 38 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 39 : ◯13番(小枝すみ子議員) 選択 40 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 41 : ◯13番(小枝すみ子議員) 選択 42 :
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 選択 43 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 44 : ◯5番(大串ひろやす議員) 選択 45 : ◯区長(石川雅己君) 選択 46 :
◯地域振興部長(立川資久君) 選択 47 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 48 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 49 : ◯24番(小林やすお議員) 選択 50 : ◯区長(石川雅己君) 選択 51 :
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 選択 52 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 53 : ◯6番(米田かずや議員) 選択 54 : ◯区長(石川雅己君) 選択 55 :
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 選択 56 : ◯オリンピック・パラリンピック担当部長(立川資久君) 選択 57 :
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 選択 58 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 59 : ◯9番(山田丈夫議員) 選択 60 : ◯区長(石川雅己君) 選択 61 :
◯子ども部長(保科彰吾君) 選択 62 :
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 選択 63 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 64 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 65 : ◯25番(桜井ただし議員) 選択 66 : ◯区長(石川雅己君) 選択 67 :
◯地域振興部長(立川資久君) 選択 68 : ◯25番(桜井ただし議員) 選択 69 :
◯地域振興部長(立川資久君) 選択 70 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 71 : ◯14番(小林たかや議員) 選択 72 : ◯区長(石川雅己君) 選択 73 :
◯地域振興部長(立川資久君) 選択 74 :
◯まちづくり担当部長(坂田融朗君) 選択 75 :
◯政策経営部長(歌川さとみ君) 選択 76 : ◯14番(小林たかや議員) 選択 77 : ◯区長(石川雅己君) 選択 78 :
◯まちづくり担当部長(坂田融朗君) 選択 79 :
◯政策経営部長(歌川さとみ君) 選択 80 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 81 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 82 : ◯7番(大坂隆洋議員) 選択 83 : ◯区長(石川雅己君) 選択 84 :
◯地域振興部長(立川資久君) 選択 85 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 86 : ◯8番(池田とものり議員) 選択 87 : ◯区長(石川雅己君) 選択 88 :
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 選択 89 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) 選択 90 : ◯議長(
戸張孝次郎議員) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 午後1時00分 開議
◯議長(
戸張孝次郎議員) ただいまから平成28年第4回千代田区議会定例会継続会を開会します。
これより各会派の代表質問に入ります。
初めに、自由民主党議員団を代表して、16番永田壮一議員。
〔永田壮一議員登壇〕
2: ◯16番(永田壮一議員) 平成28年第4回区議会定例会に当たり、自由民主党代表質問をいたします。
初めに、三笠宮崇仁親王殿下は、昨年、百寿をお迎えになりました。皇室のいやさかを願う一国民として、殿下の一層のご長寿を祈念しておりましたところ、思いもむなしく薨去されましたことは、まことに哀惜にたえません。ここに謹んで心から哀悼の意を表します。
それでは、1点目の質問に入ります。
平成27年度決算と今後の予算執行についてお聞きします。
第3回区議会定例会において、平成27年度決算が継続審査になりました。これは予算執行における不透明な意思決定の過程、積算根拠といった手順・手続における問題に起因するものです。
平成27年度予算は、本区の人口が全国的な傾向と異なり、しばらく増加するとの予想から、子育て施策、福祉に対する行政需要の拡大、老朽化した公共施設整備への対応によって過去最大規模の予算額になっています。
このように拡大行政サービスを提供するため、おおむね適正な予算執行がなされていますが、決算審議の過程で一部の事業に対する問題が2点明らかになりました。
1つは千代田会館10階改修工事費用の積算根拠、2つ目はかがやきプラザの照明、オブジェに高額な和紙アートを選定した過程についてです。この2点の問題が解決に至らなかったため、監査請求決議を議員提出議案として、自治法98条第2項の監査委員による事務事業監査を求め、監査結果を踏まえた審査を行うことにしました。
事務事業監査の結果は、本定例会での決算審査の中で明確になるでしょうが、監査の指摘内容によっては、区政に対する区民の信用を損なう可能性もあるでしょう。
決算認定については、区民の利益を守るため、詳細にわたり慎重に審査し、議会と執行機関が議論を重ね、早期に課題解決を図り、次年度予算に反映させなければなりません。
以上の指摘を踏まえ、3点質問します。
1、千代田会館10階はなぜ長期間放置されていたのか。それをこの時期に使用することを決めた理由は何か。
2、事務処理上の間違いを完全になくすのは難しいことは理解するが、防ぐ対策と責任の所在はどうなっているのか。
3、重要事項と思われる課題について、議会に説明がないまま予算計上、執行されることが予算・決算特別委員会での紛糾につながっているようだが、議会との意思疎通について、どのように受けとめ、改善していくのか。
次に、介護保険制度についてお聞きします。
総務省による昨年の国勢調査では、我が国の人口は約1億2,710万人で、大正9年の調査以来、初の減少に転じたことが明らかになりました。人口が減少すれば、当然、高齢者人口の割合が増加していき、最も多い年齢層の団塊の世代が後期高齢者となる10年後には、4人に1人が75歳以上になる超高齢社会が到来します。これまで国を支えてきた世代が給付を受ける側になるため、医療・介護・福祉サービスへの需要が急激に高まり、社会全体で支えてきた介護保険制度のバランスが崩れ、これまでどおりの運用が困難になっています。
本区では、人口の増加傾向がしばらく続くと予想されるものの、高齢者も増えていくので、現役世代の負担も考え、財源に基づいた福祉施策の充実が期待されるところです。
要介護、要支援になるリスクは75歳以上から上昇し、認知症高齢者も要介護に比例して増加します。さらに、75歳以上のひとり暮らしの高齢者が男女ともに増えていることで、社会からの孤立、健康管理が難しいことから、孤立死を招くなど、深刻な状況になっています。
こうした背景から、増大する介護サービスの提供について、厚生労働省では要介護状態からの改善に取り組み、結果を出した自治体への財政支援を検討しており、利用者からは、今後審査が厳しくなるのではないかという懸念が生じています。
現行制度では、要介護に応じてサービスの支給限度基準額が定められているため、介護度が変わってしまうと希望どおりのサービスが受けられない等、在宅介護に支障が出ることも考えられます。サービスを提供する介護事業者も問題を抱えていて、人材不足が深刻化しています。厚労省の試算では、4年後に25万人の人材が不足すると言われていることから、質の高いサービスを安定的に供給することが難しい状況です。
このように、高齢化で高まる介護サービス需要に対応していくため、厚労省は11月25日、社会保障審議会介護保険部会で、現役並みに所得の高い高齢者については2割から3割負担とすること、介護職員の待遇改善策として報酬を月1万円上乗せする等、制度の見直しを提案しました。
財源、人材といった課題を解決する有効な手段がない状況では、利用者への負担増の理解を求めなければならない一方、区として救済策を検討し、できるだけ柔軟に対応していくべきでしょう。一番大切なのは、高齢になっても安心して住みなれた地域で、健康で暮らしていけることで、要介護、要支援状態になっても適切な介護サービス、自立支援、介護予防といったサービスを受けられる体制を整える必要があります。個々においては、国民の義務である健康増進に努めることで、介護される側になっても、元気になって自分が支える側になるという心構えが必要です。
事故によるけが、遺伝による病気以外の多くの病のもとになる、体に悪い生活習慣は、改善することで病気を予防することが可能です。偏った食事、運動不足、過度の飲酒、ストレスなど、好ましくない習慣は、年齢を問わず自分自身で変えることができるものです。
現在の介護保険制度を維持していくには、結局は個人の意識による健康増進に頼るしかないのですが、自助努力が及ばなくなっても、手厚い公助で安心して暮らせる環境づくりは行政の重要な役割の1つです。
以上の指摘から、4点質問します。
1、介護保険の認定については適切な審査が求められるが、調査をする人によって介護度に差が出ることや、厳しい審査でこれまでどおりのサービスが受けられなくなる懸念、介護サービスそのものがわかりづらいことについて、どのように対応しているのか。
2、厚労省は、高齢者の自立支援、介護予防を進めるため、各自治体の介護費、要介護の認定率を比較できる施策を検討しているが、本区は他地域と比較してどのような状況か。
3、介護人材不足について、人材育成、助成等対策はあるか。
4、本区の高齢者の介護予防、自立支援、独居対策、健康増進事業の実施状況はどのようになっているのか。
続いて、区有施設・未利用地の利活用について質問します。
本区には低未利用の土地、建物を数多く所有しており、その維持管理に多額の費用と労力を使っています。一部は定期借地の貸し付けや売却で活用を図ってきましたが、まだ多くの未利用の財産が残っているのが現状です。地価が高く、価値ある区有財産が有効活用されないまま維持管理費用がかさんでいることは、区民の利益を損なうことになり、早急な対策を求めたいところです。
一方、こうした土地、建物の利活用が進まない理由は、対応する行政需要が見出せない財産については、既に貸し付け、売却が進んでおり、残っている財産については、活用の余地はあるものの判断が困難なものだと思われます。特に廃校になっている校舎には長い歴史があり、卒業生、地域の愛着が深いことから、新たな目的での使用に理解を求めるのは難しく、感情面、地域対策といった課題、ほかには土地の面積・周辺環境による利用条件があり、すぐに結論を出せないことは十分理解できます。
そのため、長期的な活用方針を出せない財産については、地域に密着した「公益的な暫定利用」といった比較的容易に合意形成可能な活用方法で対応していくことが多くなっています。空き地を固定化した公園ではなく広場にしたり、元校舎を保育所、文化芸術活動の拠点にするといった暫定的な利用です。しかし、あくまで暫定利用であって、長期計画に基づいた活用方法を決定していかなければなりません。
実際、暫定利用については期限を設けて再検討しているものの、ほとんどが延長となり、実質的には固定化しているのが現状です。延長を続けながら別の利用方法を検討するのも1つの策かもしれません。しかし、多数の区民の行政需要を満たす長期的な活用方針を示し、賛否が分かれても地域の理解を得られるよう粘り強く説得し、実行することも必要です。
現在、子育て支援、高齢者福祉の行政需要が拡大しており、未利用財産を優先的に活用するべき課題となっています。ほかにも、学校等大規模用地は、私学への貸し付け、交換、売却をしたり、狭小、不整形の土地については、緑化や駐車場として活用することは比較的理解を得やすいことの1つではないでしょうか。
全国的に見ると、財政状況が厳しい自治体では、未利用地を一般競争入札により売却し、財源を確保することが進んでいます。本区でも、不要と判断された土地は売却、交換も視野に入れ、想定売却額を常に把握しておくべきだと考えます。また、公の役割として、将来の行政需要に対応するために区有財産を残すことを第一としながらも、より積極的な活用方針を打ち出すことで地域の活性化を図るべきだと考えます。もちろん、新たな施策のために未利用地を利活用するには、行政は主体となりながら、パブリックコメント等、民間の知恵や活力を取り入れた多様な手法を取り入れて進めていかなければならず、大変な労力と時間が必要になることは理解しています。
区有施設の有効活用については、中学校でのスポーツ開放、小学校でのコミュニティスクールによる校庭、体育館の活用が主なものです。これには全ての公立学校が対応しているわけではないこと、優先団体、抽せん方法が、各学校固有の条件があり、運用方法が違っていてわかりづらいという指摘があります。教育活動が第一でありながら、地域サークルへの開放拡大は、児童・生徒の学校活動、部活以外の選択肢が増えることも期待されます。今後、より幅広い運用が求められる中で、できるだけ統一した基準を作成できないでしょうか。
以上の課題について、3点質問します。
1、低未利用財産についての活用方針は、将来の行政需要に対応するため、種地の確保という理由で長期間新しい動きがないようですが、今後どのような活用を図っていくのか。将来のため保有という理由で、実態としては放置しているのではないか。
2、低未利用財産の想定売却額を把握しているのか。売却予定がなくても、土地交換、信託の交渉はいつあるかわからないので、地価公示価格、解体工事費用を把握している必要があると考えるが、どうか。
3、小学校、中学校の校庭、体育館の地域開放の運用方法が、各学校で違っていてわかりづらいので、できるだけ統一できないか。また、優先団体の選定理由が不明なため、他の団体が不公平と感じることがあるようだが、改善策はあるのか。
最後に、商工振興施策について質問します。
平成26年度に消費税が8%になったことを受け、消費者負担の軽減対策として「消費生活支援事業」、いわゆるスタンプカード事業が実施され、平成27年度をもって惜しまれつつ終了しました。運用については、加盟店舗数の問題、地域商店での買い物につながらない、不便な換金方法、スタンプを適当に押してしまうという不正使用等、課題が多くありましたが、楽しみにしていた区民も多く、一定の成果は上げています。
先送りになったとはいえ、平成31年には消費税は10%になる予定です。この時期に合わせて、新たな「消費生活支援事業」が必要だと考えますが、どうでしょうか。スタンプカードをそのまま復活させることは、上記の問題から困難と思われるので、既存の電子マネーカードを利用して、区独自のポイントを付加する等、以前からさまざまな代替案を検討していたようですが、進んでいないところを見ると、実現は難しいのかもしれません。
事業者への直接的な商工振興施策には、「商工融資事業」という融資のあっせんと、「商工団体等支援事業」があります。これは、商店街等、区内商工関係団体が実施するイベント、地域ににぎわいを創出する事業に対する支援で、単に補助金を出すのではなく、自主的な活動を継続できるよう促す施策になっています。こうした施策を生かすには、区民、来訪者が快適に過ごせる安心・安全な環境づくりが必要です。環境美化については、統一感を持ったまちづくりの第一歩となる連続性のあるカラー舗装、街灯のLED化、フラワーポットの設置で明るく清潔な環境づくりを進めれば、にぎわい創出に寄与できるでしょう。
一方、人が集まるほどに、ごみ・たばこ・ガムのポイ捨て対策に苦慮することになります。店舗付近の清掃程度は日常的に行っていても、商店街、町会全体の美化を維持するとなると、地域のみでは限界があります。特に路上にこびりついたガムは厄介で、誰もが踏んでしまい不快な思いをした経験があるはずです。最近では、立ったまま除去作業ができるガム取り棒や薬剤があるので、行政として貸し出しや提供をしてはどうでしょうか。
商店街には、環境美化と同様に安全対策も大切です。特に防犯カメラの設置は、犯罪捜査だけでなく、抑止力の面からも有効です。カメラ設置については、都、区から6分の5の補助があるものの、維持管理については商店街、町会が長期にわたる負担を背負うことになります。
地域や学校から防犯カメラの要望があっても、こうした財政的な問題で及び腰になっていることが多いのが現実です。商店街だけでなく、通学路、ひいては区内全域の安心・安全、防犯対策に行政の積極的な関与が求められています。また、「走る防犯カメラ」とも言われるドライブレコーダーは、警察とタクシー・トラック協会が連携して、ひき逃げ、当て逃げ、暴走行為、逃走犯の検挙に実績を上げています。個人の車にもドライブレコーダー設置が浸透すれば、犯罪、事故発生時の情報収集に協力してもらうことも可能になります。最近は自転車に装着可能なものもあるので、個人のプライバシー保護に十分配慮しながら、街頭犯罪撲滅に向けて広く活用されていくことが期待されます。
地域性を反映する商店街を維持し発展させることは、とても大切です。各店舗の経営は自己責任でも、行政として可能な支援事業、環境整備は、まだたくさんあるはずです。そこで5点質問をします。
1、平成31年、消費税10%になるに当たり、消費生活支援事業を新たに考えているのか。検討していた電子マネーカードの導入計画はどうなっているのか。
2、経営相談では一時的な商工融資のあっせんだけでなく、幅広い支援が必要だと考えるがどうか。
3、商店街の環境美化について、地域で統一したカラー舗装、場所によっては浸水性、保水性のある舗装、土のまま固めて舗装できる土系舗装など、研究して取り入れていくべきだと考えるがどうか。
4、明るくきれいな環境ほど、ごみのポイ捨てが少なく、犯罪も少ないという傾向がある。街灯のLED化、フラワーポットの設置への助成、歩道についたガムを除去する装置、薬剤を商店街、町会に提供できないか。
5、防犯カメラ設置に対して、行政として積極的に支援できないか。カメラの電気代、データの管理等、長期にわたる維持管理は、民間主体では限界があります。また、設置場所の所管、電源の問題で国と都の調整が困難になっていることについて、どのように対応していくのか。
以上の質問について、区長、関係理事者の明快な答弁を求め、自由民主党代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
3: ◯区長(石川雅己君) 永田議員の平成27年度決算と今後の予算執行についての質問のうち、議会との意思疎通についてお答えを申し上げます。
平成28年第3回区議会定例会における27年度の決算審議において、一部の事業の予算執行について、意思決定の過程や積算根拠など、事務処理に関するご指摘、ご批判をいただいたわけでございます。
決算審議の過程において、議会と執行機関が十分に論議をし、共通認識を持つことができず、理解してもらえなかったことは大変残念なことであります。
結果として事務監査請求の決議がなされ、本定例会に決算が継続審査に至ったことは、事実として真摯に受けとめさせていただきたいと思います。
今後、区有財産の活用に当たりましては、あらかじめ議会に諮り、文化モニュメント等の購入については、その選定過程から手順を含め、十分に説明を行うことが肝要であろうと考えております。
今後の予算執行や来年度の予算編成に当たっては、こうした観点から、議会にご理解をいただけるように努め、よりよい区政運営が実現できるよう取り組む所存であります。どうかご理解とご協力のほどをよろしくお願いを申し上げます。
次に、低未利用財産についてのご質問にお答えいたします。
議員もご指摘のとおり、低未利用財産にはそれぞれに歴史的な背景があり、地域の方々の強い愛着や思いがあります。実態として放置しているのではないかというご指摘がありますが、具体的な活用に当たっては、意見調整や手続手法の検討、具体案の合意形成までに時間がかかるということは、ぜひご理解を賜りたいと思います。
今後の具体的な活用を検討している低未利用財産についてでありますが、ご指摘のとおり、保育施設では、これまで民間事業者が自ら民間所有の土地や建物を探して提案する形でありましたが、今後はそれを待つまでもなく、低未利用財産の活用も必要であると考えております。
昨年度の段階では、低未利用地は22カ所あり、その中で暫定利用しているものが18カ所でありました。暫定活用をしている土地も含め、今後の活用を検討した結果、旧神田保育園仮園舎を認可保育所誘致のために活用する運びになったことについては、既にご案内のとおりだろうと思います。
今年度も引き続き検討を重ねた結果、旧和泉橋出張所についても、現在、建物が老朽化し、倉庫的な活用にとどまっている状況であることから、解体をして、認可保育所の誘致に活用する方針とさせていただきたいと思います。
今後、具体的なプランをまとめ、区議会にお示しするとともに、地域への説明を丁寧に行うなど、適切な手順・手続に基づいて鋭意進めてまいりたいと思います。
なお、詳細その他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。
〔教育担当部長小川賢太郎君登壇〕
4:
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 永田議員のコミュニティスクールなどの学校施設の利用に関するご質問にお答えいたします。
昌平童夢館、神田さくら館、麹町小学校、富士見みらい館の4つの小学校をコミュニティスクールとして位置づけています。コミュニティスクールは、学校施設を地域の生涯学習やコミュニティ活動の拠点として、地域ぐるみの活動の核となることを目的としています。あくまで学校施設の目的外利用として、学校教育に支障のない範囲で貸し出しております。
コミュニティスクールでは、それぞれの学校に町会やPTA、青少年委員などの地域の方で構成する自主組織「コミュニティスクール運営委員会」が設置されており、各種事業の企画や実施のほか、施設の利用調整などを行っているところでございます。施設の利用に関しては、コミュニティスクールのある学校なら、どこでも予約が行えます。一方、コミュニティスクールが組織されていない学校においても、学校施設の目的外利用として、地域のスポーツや学習活動などの場として貸し出しています。コミュニティスクールの有無にかかわらず、団体の登録要件や予約開始日などのルールは同様でございますが、コミュニティスクールのない学校では、各学校に直接利用を申し込まなければなりません。ご指摘のとおり、施設の運用はできるだけ統一することが望ましいと考えており、今後、事務的な課題を整理して、可能な限り窓口を一本化できるよう調整を図ってまいります。
次に、学校利用の優先団体についてですが、その地域や学校の歴史的伝統的な経緯を経て、特色ある活動を行っている団体であり、その活動は学校と密接にかかわっています。地域によりますが、少年野球や剣道、吹奏楽などの団体がございます。一方、近年活動を始めた団体などからも、学校施設の利用に関するご要望を伺っております。学校施設の利用については、これまでの経緯経過や学校関係者、地域の声などを十分に踏まえつつ、地域共有の活動の場として、ご指摘のように不公平と感じることのないように運用してまいりたいと考えております。
〔保健福祉部長松本博之君登壇〕
5:
◯保健福祉部長(松本博之君) 永田議員の介護保険制度についてのご質問にお答えいたします。
初めに介護認定についてですが、認定に当たりましては、まず、認定調査員の訪問調査及び主治医意見書を、全国一律の判定ソフトにより統計的な手法を用いて集計して一次判定を行います。その後、医療・保健・福祉の専門家から成る介護認定審査会において、一次判定で評価し切れない介護の手間や主治医意見書の内容を加味した上で、要介護度の判定を行っております。制度の信頼性を高めるためにも、引き続き、適切な介護認定審査に努めてまいります。
認定後のサービス提供に当たりましては、ケアマネジャーにより、個人個人に合ったケアプランを作成することとなります。このため、ケアマネジャーが本人やご家族に対して、いかにわかりやすくサービス内容の説明を行い、理解を得るかが重要です。区では、ケアマネ事業所に対して個別に訪問指導を実施するほか、ケアマネ連絡会等を通じて制度改正内容の解説や事業者からの質問に答えており、適切なケアプラン作成に向けた積極的な支援を行っております。
次に、介護サービス給付費と要介護認定率の他地域との比較についてです。
介護サービス費の給付月額は、65歳以上の第1号被保険者1人当たりで、本区が約2万4,500円に対し、全国及び東京都の平均では約2万1,500円となっており、本区の支出額がやや多くなっております。また、要介護認定率は、本区は20.5%で、全国平均の18%、東京都平均の18.2%に比べ、若干高くなっております。認定率は、介護予防や自立支援に向けた取り組みの強化などで下がる傾向があることが認められており、一層の介護予防の充実を図ってまいります。
次に、介護人材不足に対する対策についてです。
介護人材の不足は社会問題となっており、本区では国に先駆け、平成20年度から介護施設等の人材確保・定着・育成に対する支援などを行っております。給料や住居手当の増額、資格の取得、非正規職員の正規職員化などへの助成により、直接職員の処遇向上を図るほか、基準職員数を上回る増配置に助成を行い、夜間勤務や早朝勤務の軽減による労働環境の改善にも支援しております。これらの支援策につきましては、必要に応じて改善を図りながら、継続して取り組んでまいります。さらに、今後は、「かがやき研修センター」において、福祉関係の資格を有しながら就業していない、いわゆる「潜在介護職」の仕事復帰支援などにも取り組み、介護人材の育成を進めてまいります。
最後に、介護予防、自立支援等の事業実施状況についてです。
本区では、介護保険制度の中で、筋力向上、転倒予防、栄養改善などの介護予防事業を実施しているほか、一般財源により「シルバートレーニングスタジオ」等を実施しております。また、壮年期から高齢期までの一貫した健康づくりを進めるため、高齢介護部門と健康管理部門との連携のもと、世代を超えた活動への取り組みを推進しております。
高齢者総合サポートセンター「かがやきプラザ」では、ひとり暮らし高齢者安心生活支援などの独居対策事業に加え、健康な高齢者が社会活動に参加するさまざまな機会を提供しております。今後も、健康増進・介護予防事業から要介護認定・介護サービス提供まで、国の介護保険制度の動向を踏まえながら、本区独自の施策展開を図ってまいります。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
6:
◯地域振興部長(立川資久君) 永田議員の商工振興施策に関するご質問にお答えいたします。
まず、「消費生活支援事業」の後継事業についてであります。
現在、国は、マイナンバーカードを活用した「マイキープラットフォーム」による新たな地域経済活性化手法として、自治体ポイントによる商店街の購買力の増大を図れないか検討しております。これは、かねてより区が検討しておりますICT機能を活用した新たな共通ポイント制度にも通じるものであります。区では、国の検討状況を注視しつつ、真に区民や商店街に役立つ「消費生活支援事業」を構築してまいる所存であります。
次に、経営相談についてであります。
中小企業者が事業経営で抱えている諸問題に対して、中小企業診断士による適切な指導・アドバイスを行い、経営安定化を支援する目的で経営相談を実施しております。商工融資だけでなく経営全般について相談をお受けしておりますが、事業内容の周知が十分でない面もございますので、関係機関とも連携しながら、改めてその周知に努めてまいります。また、相談内容につきましても、中小企業者が抱える課題解決に真に役立つものとなるよう、東京都中小企業診断士協会、金融機関等関係団体と協議しながら、一層の工夫に努めてまいります。
次に、防犯カメラの設置に対する支援についてであります。
議員ご指摘のとおり、来街者や消費者にとって、安全・安心な商店街であるためには、防犯カメラの設置が有効であります。昨今、防犯カメラの設置台数が急激に増えており、設置団体の維持管理経費の負担の増加が懸念されているところでございます。過重な負担が防犯意識の高まりを抑制することのないよう、補助率の引き上げを検討してまいります。また、設置場所につきましては、通学路にも配慮したものとなるよう、設置団体と協議してまいります。
なお、都道上、または国道上の街路灯等にカメラを設置する場合、電源の確保が課題となりますが、電源供給のもととなる分電盤を管理する東京電力に調査の協力を求め、街路灯の電源に影響はないとの結果がえられれば、技術的には設置が可能であるため、国や都との調整を進めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、設置団体のさまざまな負担を軽減し、地域の発意による取り組みを今後も積極的にサポートをしてまいります。
〔環境まちづくり部長細越正明君登壇〕
7:
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 永田議員の商店街の環境美化に関するご質問についてお答えいたします。
区では、商店街などを含む区道路線を単位とした道路整備に当たり、保水透水性コンクリートブロックによるカラー舗装や街路灯のLED化などを標準的な仕様として取り組んでいます。なお、議員ご指摘の土系舗装は、主として公園などの園路に適した工法であり、一般的な歩道や街区道路等での使用にはなじまないものでございます。
また、商店街等の美化活動への支援については、当該商店街がアダプト団体に登録し、継続的に道路の清掃や植え込み等の花植えなどのアダプト活動を行う際、清掃用具や花の苗などの提供を行っております。
次に、歩道のガム痕の除去装置についてですが、区では区道等の維持管理用として、業務用の高圧洗浄機を所有しております。この機材を、区内の商店会による自主的な道路美化活動に際し、貸し出しした実績もございます。区は、こうした地域自らの取り組みについて、積極的に連携、支援していく考えでございます。今後さらに、区の保有する洗浄機の活用が地域主体の美化活動の一助となるよう努めてまいります。
〔政策経営部長歌川さとみ君登壇〕
8:
◯政策経営部長(歌川さとみ君) 永田議員の平成27年度決算と今後の予算執行について、区長答弁を補足してお答えをいたします。
まず、千代田会館10階を長期間活用していなかった理由についてです。
この場所は監査委員事務局が使用しておりましたが、平成19年の新庁舎移転後の用途は決まっておりませんでした。千代田会館が建築後40年以上経過しており、いずれ建てかえることになるため、旧公会堂とあわせて区分所有は続けることが得策であるが、用途のない場所に多額の経費を負担することは避けるべきとの判断がございました。そのため、長期間区分所有に伴う維持経費のみを負担するにとどまっていたのが実情でございます。
そのような経緯があった中で、改修工事予算を計上した理由でございますが、かがやきプラザ建設工事に万が一遅延が発生した場合に、社会福祉協議会とシルバー人材センターの仮移転先の確保ということでございました。これは、平成27年度に緊急輸送道路沿道に位置する西神田併設庁舎の耐震改修工事を行うことが必須となったことに端を発しております。西神田併設庁舎が東京都と千代田区の区分所有であったことから、耐震改修に当たっては、工事の時期、負担について東京都と協議を行いました。
協議の時点では、千代田区所有部分を利用する千代田区社会福祉協議会及びシルバー人材センターは、旧区役所本庁舎跡地に建設される「かがやきプラザ」の竣工時に、かがやきプラザ内に移転することが決まっておりました。協議の結果、西神田併設庁舎の耐震工事実施に際し、東京都所有部分を利用する理容学校の運営に支障を来すことがないよう、平成27年11月から耐震改修工事を開始することとなりました。
以上のような状況のもとで、不確定要素はあるものの、万が一かがやきプラザの竣工時期がおくれた場合のリスクを考え、千代田会館10階会議室の使用を決定したものでございます。
次に、事務処理上の間違いを防ぐ具体的な対策等でございます。
その対策といたしまして、定期監査結果報告等でいただいた指摘事項について、管理監督者と職員が一緒に事案を確認し、「発生原因」を分析し、「再発防止策」を明記したシートを事項ごとに作成し、「失敗事例集」として集約した上で、庁内で情報共有を図ることとしております。指摘事項を単にその所管だけの問題としないことで再発防止につながるものと考えております。
また、チェック体制の強化と職員の知識のさらなる向上のため、区長の補助機関である職員の管理監督者は、その責任者としての役割を十分認識し、自己検査の実施方法を改善するなど職員全体の意識改革を進め、日常業務において知識や経験を継承するよう工夫をしております。
ご指摘をいただきました2点の問題につきましては、事務監査報告の内容、ご指摘等を踏まえた改善に努めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、不適切な事務処理が大きな事故につながりかねないという危機感を持ち、区民の信頼を損なうことなく、区民生活を支えるという区の責務を果たすため、適正な事務処理の遂行に努めておりますので、ご理解のほどよろしくお願いをいたします。
次に、低未利用財産の想定売却額等の把握についてのご質問でございますが、区においては、平成26年度に低未利用地も含めた区有施設の状況を整理し、公有財産白書を取りまとめてございます。また、低未利用地の現在額については、公有財産管理規則に基づき、毎年、地価公示価格等も含めて、区内部における基礎資料として整理をしているところでございます。
9: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 議事の都合により休憩します。
午後1時43分 休憩
午後1時55分 再開
10: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
各会派の代表質問を続けます。
自由民主党新しい千代田を代表して、19番
たかざわ秀行議員。
〔
たかざわ秀行議員登壇〕
11: ◯19番(
たかざわ秀行議員) 平成28年千代田区議会第4回定例会に当たり、自由民主党新しい千代田を代表し、質問をいたします。
千代田区議会第3回定例会本会議において、地方自治法98条第2項の規定により、監査委員に対し特別監査を求める決議、議員提出議案第12号「監査請求に関する決議」が議決されました。
理由として、高齢者サポートセンター「かがやきプラザ」所管の「和紙アート」について、財産に関する調書に記載されていないこと、取得にかかる金額の妥当性及び執行機関の意思決定過程が不明確であり、予算の適正な執行という点において重大な疑義があること。また、千代田会館10階改修工事に伴う支出については、その目的が不明確であり、工事価格の積算根拠について妥当性を欠き、予算の適正な執行という点において重大な疑義があることの2点により、千代田会館10階改修工事の目的及び経費並びに「和紙アート」の取得にかかる金額及び執行機関の意思決定過程について監査を求めたものです。
「和紙アート」については、本庁舎建設の折にも取得されており、取得金額などさまざまな指摘があり、議論されたと認識をしております。
ちなみに、千代田区役所本庁舎の「和紙アート」は、1階エントランス合わせガラス1,460万円、1階エレベーターホール光壁850万円、2階光壁300万円、7階光壁290万円、10階光壁1,200万円で、総額4,100万円となります。高齢者サポートセンター「かがやきプラザ」には、縦型照明485万円、丸型照明351万円、玄関タピストリー262万円など、総額約1,100万円となっております。
区民の皆様から我々のもとに寄せられた意見の中で、肯定的な意見はわずかで、その他全てが否定的なご意見でした。子育て施策、福祉関係に予算を使うべきというものが多く、肯定的な意見も「かがやきプラザ」1階は多世代交流の場所であり、区民の憩いの場となる、教育と文化のまち千代田区としては、予算との兼ね合いもあるだろうが、文化的芸術作品があってもよい、ただ、区内、区外にはさまざまな分野において多くの芸術家がいる、選択肢はなかったのか、といったご意見がありました。
千代田会館10階については、千代田会館で屋上の貯水タンク改修の折、区分所有の10階に対し工事の打診があったとのことです。区としては、使用予定がないと工事をしなかった経緯があると聞いています。それを今回、事務所仕様に改修するために水回りや配管を含め、約5,000万円もの費用がかかり、その上、使用するに当たっては空調工事3,000万円が必要となることが明らかになりました。普通に考えても、坪100万円以上かかる仕様変更工事は考えられません。
そこでお尋ねいたします。
議会により「監査請求に関する決議」が議決され、間もなく監査結果が出されるものと思います。行政のトップとして、「監査請求に関する決議」の議決を受けて、どのように受けとめ、考えているか、お聞かせください。
次に、基本構想についてお尋ねします。
平成13年10月、第3次長期総合計画「千代田区第3次基本構想~千代田区新世紀構想~」が策定され、区議会本会議にて議決されました。基本構想は、千代田区においてさまざまな施策展開を実行していくための全ての計画の最上位の理念となっています。目標年次を平成30年代とし、目標定住人口が5万人となっています。
昭和30年、高度経済成長に伴い、宅地の業務地化が進み、その後バブル期に入り、オフィス需要の高まりにより、さらに商業地化が加速され、定住人口の減少が進み、コミュニティの衰退だけでなく、自治体としての存立自体、憂慮される事態となりました。昭和53年6月、千代田区として初めて長期総合計画「基本構想」を策定しました。その後も定住人口減少が続き、3万人を切るのではと心配される状況となりました。このような状況に対処するため、平成4年6月、基本構想を改定し、人口回復を目指しました。そして平成13年、第3次基本構想が策定されました。さまざまな施策により、平成12年、人口は増加に向かう傾向が見え始めました。このように基本構想は、10年から15年で見直されています。長期総合計画として、現在は、千代田区第3次基本計画2015「ちよだみらいプロジェクト」が展開されています。区民サービス向上のためには、最上位理念である基本構想のもと、基本計画が策定され、それぞれの施策が展開されていくことが重要であると考えます。
区政を取り巻く環境は、第3次基本構想策定時と大きく変わってきています。
日本は、人口減少時代に入ってきました。しかし、千代田区においては、目標年次前に定住人口5万人を達成し、6万人にならんとしています。現在、千代田区は、都内の人口増加率は最も高くなっています。今後も増加傾向は続くものと想定されています。千代田区第3次基本計画2015「ちよだみらいプロジェクト」に掲げられている目標数値も、既に達成されたものも見られます。
定住人口の減少が危惧された時代には、保育園の待機児童問題はありませんでした。しかし、現在、本区では待機児童ゼロをうたいながら、実は隠れ待機児童が477人という数字を、ことし9月、厚生労働省が公表しました。これは、東京都認証保育所利用者も含まれている数字ですが、隠れ待機児童が相当数いることを示しています。
また、定住人口の85%は共同住宅に住んでいる状況の中、コミュニティ、防災の面からも、さまざまな課題が新たに出てきています。多く区民は5年以内に移動するという流動的な住民も増えています。目標人口5万人の基本構想は、さまざまな面でずれが生じてきていると思います。基本構想の中の施策の道筋は、安全で安心できる、いつまでも住み続けられるまち、福祉の心が通い合う、安心と支えあいのまち、心豊かに学び、文化をつくり出すまち、人と人との触れ合いを大切にする、個性あふれるまち、となっています。これらの道筋実現のためにも、目標人口を見直すことは、基本構想策定の重要なファクターではないでしょうか。
そこでお尋ねします。
策定から15年、行政を取り巻く環境も大きく変化してきた現状と、さまざまな面でずれが生じてきています。第4次基本構想の策定が必要だと考えますが、見解を伺います。
次に、観光協会についてお尋ねします。
本年、千代田区議会第1回定例会において、観光協会の組織体制について多くの問題があることが明らかになりました。予算特別委員会では、参考人として、常務理事兼会長から聴取をいたしました。月200時間を超える残業の実態があり、黄葉見酒のイベントでは500万円の赤字となったこと、不透明な委託の状況があり、定款違反なども見受けられました。その結果、観光協会の予算のうち、昨年より増額された1億4,000万円を減額修正し、子育て施策に振りかえる附帯決議をつけての採択となりました。
改善されるべきはされなければなりません。しかし、第3回定例会において、いまだに月100時間超の残業の実態、アドバイザリー契約に対する支払いの不適切な実態などが明らかになりました。残業については、大手広告代理店の残業時間が大きな社会問題となったことはご承知のとおりです。36協定の締結は、月45時間程度が標準と聞いています。特殊な業務もあることから、観光協会は、月80時間で締結したとのことでした。せめて協定違反にならないよう、行政もサポートすべきでしょう。
平成28年10月3日、地域振興部資料3によりますと、整備した規定等の欄には、次のことが示されていました。36協定の締結・届け出、定款を変更し、社員総会にて承認、各種規定(役員報酬、会員規定、処務規定)を整備、未整備だった決算関係の財務諸表を作成、会計専門スタッフを配置し、経理事務を迅速化、職員の出退勤管理の適正化──タイムカードの導入だそうです。これは、裏を返せば、36協定は締結していなかったし、届け出もなかった、定款違反の状態だった、役員報酬などの規定がなかった、決算関係の財務諸表もなかった、経理事務専門がいなかった、タイムカードもない状態だった、ということになります。果たして組織として成り立っていたのか、大いに疑問があります。トップのコントロールがきいているのかも疑問です。
この資料の中には、観光協会が担う施策と主な取り組み内容(案)という形で、多様な主体との連携・充実、情報発信機能の強化・充実とされ、平成31年・32年は、平成32年のオリンピック・パラリンピック開催地として、必要な観光施策を推進する、となっています。
区長は、招集挨拶の中で、「北の丸公園周辺地域検討会」の中の発言として、「東京オリンピック・パラリンピックに伴うまちづくりは、4年に一度行われるスポーツ大会の、いわゆる「為にする開発」であってはならないと申し上げました」とあります。これは観光施策にも当てはまることではないかと思います。もちろん、必要な施策はあります。しかし、観光協会は、組織としての体制を改め、しっかりとした組織づくりをすることが先決だと考えます。
そこで伺います。
不適切な会計処理がなされている団体に、今年度も、昨年同様の予算9,000万円を超える補助金がつけられています。区長は、このことに対し、どのような見解をお持ちか伺います。
最後に、幼稚園の適正規模について伺います。
近年、子育て世代の増加により、保育園の隠れ待機児童はもとより、地域によっては、幼稚園に入れない児童も出てきていると聞いております。子ども部では、待機児童対策として、こども園や家庭的保育などを進めてきました。国の示す幼稚園の適正規模は、1クラス35人とされています。事務事業概要によりますと、現在、各区立幼稚園、こども園の在園数は、麹町幼稚園・九段幼稚園は各クラス35人で満杯状態。番町幼稚園は、3歳34人、4歳34人、5歳30人とほぼ適正範囲内。お茶の水・千代田・昌平、各幼稚園には余裕がありますが、いずみこども園は、3歳35人、4歳32人、5歳32人。ふじみこども園は、3歳50人、4歳50人、5歳50人となっています。
麹町・九段・番町はそれぞれ3歳児2クラス、ふじみこども園は全て2クラスとなっています。それぞれ小学校併設園となっており、クラスを増やすことが難しいところも多いと思いますが、幼稚園待機児童を出さないためにも対策は必要だと思います。
明らかに地域によって偏りがあります。麹町・九段・番町幼稚園・ふじみ・いずみこども園は、児童数が多くなっています。場合によっては、幼稚園・こども園の新設、あるいは増設が必要になるかもしれません。本区では、国の基準よりもゆとりを持って保育に当たっています。幼稚園・こども園もゆとりは必要だと思います。
そこでお尋ねいたします。
本区における幼稚園・こども園の適正規模は、国基準と考えていますでしょうか。また、幼稚園・こども園において、待機児童を出さないための対策は考えているのでしょうか。現在満杯状態の園に対し、増設は可能か、新設は考えているか、お答えください。
以上、明快な答弁を求め、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
12: ◯区長(石川雅己君) たかざわ議員の「監査請求に関する決議」の議決についてのご質問にお答えいたします。
お話しのように、さきの第3回区議会定例会におきまして決算が継続審査に至ったことは、真摯に受けとめております。本定例会中に報告されるであろう、事務監査の内容や議会からのご指摘をしっかり受けとめ、これまで以上に透明性の高い適切な事務処理ができるように努めてまいります。
具体的には、区有財産の活用に当たっては、あらかじめ議会に諮り、文化モニュメント等の購入については、その選定過程から手順を含め、今後とも議会にご理解いただけるよう、十分に説明を行ってまいります。
今後も、区政課題の解決に向け、よりよい区政運営が実現できるよう取り組む所存でありますので、ぜひともご理解、ご協力のほどをよろしくお願いを申し上げます。
次に、基本構想についてのご質問にお答えいたします。
ご案内のとおり、平成14年に策定された現在の第3次基本構想は、目標年次をおおむね20年後、すなわち平成30年代としております。また、現行の基本計画である「みらいプロジェクト」は、平成36年までの10カ年であります。ご案内だろうと思います。
基本構想策定時に区政の大きな課題の1つが定住人口の確保であり、構想では、目標人口5万人を挙げておりました。その目標が達成されたことから、新たな構想を策定すべきとのご指摘があることも、私は承知をしております。しかし、基本構想が挙げた将来像や基本方針、施策の道筋等については、現行の基本計画であるみらいプロジェクトにより具体化と実現を目指しているところであります。したがいまして、現時点で新たなる計画を、策定について言及する段階ではないと考えておりますので、ぜひご理解を賜りたいと思います。
なお、その他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。
〔子ども部長保科彰吾君登壇〕
13:
◯子ども部長(保科彰吾君) たかざわ議員の幼稚園の適正規模に関するご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、子育て世代の増加によりまして、特定の幼稚園に応募が集中することは、これまでもたびたび発生しております。来年4月入園の3歳児募集結果を見ても、全体では定員に「空き」がございましたが、幼稚園・こども園8園のうち、2園について定員超過となりました。
幼稚園は保育所とは異なり、国の定めた幼稚園設置基準により、1学級の園児は35人以下で、かつ、1学級につき1保育室が必要と定められてございます。したがいまして、幼稚園の定員を増やすためには、定員35人未満の幼稚園の定員を見直すか、学級数そのものを増やすことが考えられますが、本区の幼稚園は全て小学校の併設園として整備されており、保育室の増設工事は極めて困難なのが実情でございます。
なお、幼稚園を新設するためには、園舎本体の整備だけではなく、保育所と違い、園庭が必須となってございまして、地価が高く、用地条件の厳しい本区におきましては、幼稚園の新設は、認可保育所よりも新設が厳しいのが現状でございます。
そうした中で、昨年度、次世代育成支援計画を見直す中で、幼稚園の需要数を再精査しつつ、35人未満の設定の幼稚園の環境や、園児に与える影響などを考慮し、今年度から昌平幼稚園と千代田幼稚園の3歳児の定員10名を15名とし、ふじみこども園の3歳児短時間保育の定員を20名から25名として、合計15名増やしたところでございます。
あわせまして、保育園の需要も勘案しながら、本年4月に、富士見地区に、短時間保育と長時間保育を一緒に実施できる、区内初の保育所型認定こども園を開設したところでございます。今後とも、保育園需要のみならず、幼稚園需要をも勘案した計画的な保育定員の拡充に取り組んでまいりたいと存じます。
なお、ご指摘にありました、保育所の「隠れ待機児童」につきましては、乳幼児人口推計に基づく計画的な保育供給に取り組んだ結果、平成27年度に引き続き、平成28年度も、23区で唯一、厚生労働省基準ではございますけれども、待機児童ゼロを達成しているところでございます。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
14:
◯地域振興部長(立川資久君) たかざわ議員の観光協会に関するご質問にお答えいたします。
本年3月の予算審議の結果を真摯に受けとめ、議決後直ちに、審議の中でご指摘のあった事項等を確認し、協会とともに事業改善を進めてきたところでございます。主な改善事項としては、議員のご質問にもございましたが、過剰な超過勤務を防止するために36協定を締結し、労働基準監督署に届け出たこと、また、理事者数が定款の定めを超えていたため、現行の理事者数へ定款内容を変更し、社員総会にて承認を得たこと等であります。
このほかにも、各種規定の整備や財務諸表の作成を初め、会計専門スタッフを配置し、経理事務の迅速化を図ったこと、タイムカードを導入し、職員の出退勤管理の適正化を図ったこと等がございます。
しかし、社団設立以来、整備されていなかった財務諸表を整えるために時間を要し、職員の時間外労働が増えたことや、契約手続等において、再度不適切な状況を把握したため、地域振興部長名で観光協会会長宛てに文書にて適正な処理を行うよう要請いたしました。区の観光施策の中核を担う観光協会として、正すべきところは正し、議会の信頼を回復できる組織として、また、着実に観光施策を推進していけるよう、引き続き指導・支援してまいります。
15: ◯19番(
たかざわ秀行議員) 19番たかざわ秀行、自席より再質問させていただきます。
本日、監査請求結果報告が出るようでございますので、詳細に関しましては、予算特別委員会でやらせてもらうといたしまして、基本構想について、基本構想の人口目標は既に達成されております。
基本構想というのは理念でございますので、そうちょくちょく変わるものではないという認識で、私も、おります。ただ、目標人口を達成した今、新たな目標人口あるいは想定人口をもって次々と計画がつくられ、施策に展開されていくものだと思っております。したがいまして、今まででも、10年から15年たつと、基本構想自体、変わってきております。そういう面において、定住人口の目標あるいは想定が大きなファクターになるのではないか。そのことについて、さまざまなずれが生じてきているのではないかと思っております。
現在、ちよだみらいプロジェクト2015という計画が展開されているわけでございますけども、これは5年ごとに見直すということになっております。ただ、既にもう、挙げられた数字に対しまして、目標を達成したものもございます。そういうことからして、改めて基本構想から見直すべきではないか。第4次基本構想というものを、策定に入ったほうがいいんではないかという思いを持ちまして、質問をいたしました。そのことに関しまして、もう一度ご答弁いただければと思います。
それと、幼稚園なんでございますが、その地域地域によって大変ばらつきが出てきております。それに対して、現在、ふじみにはこのような対策をとりましたというお話は、ご答弁ございましたけども、もう一つ、いずみこども園も満杯な状態に近いというふうに認識しております。そちらのほうの対策、なかなか新設は難しいというお話でしたので、そちらのほうはどのような対策を考えておられるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
以上2点、再答弁を願います。
〔区長石川雅己君登壇〕
16: ◯区長(石川雅己君) たかざわ議員の再質問にお答えいたします。
この問題は、再三にわたりまして、たかざわ議員を含めてご議論がなされていることは、私は承知をしております。しかし、確かに目標人口という意味ではオーバーしておりますが、やはりそういう考え方のもとにさまざまな施策をやっているというのが現状でございますので、その部分について、変わったから直ちに計画を見直すという考え方は、私は持っておりません。
そして、もう一方では、ご承知のとおり、自治法で基本構想が議会の議決というところから外れたというのはどういう意味があるかということを、よくお考えいただきたいと思います。
重ねてこれ以上申しませんが、何ゆえに、いわゆる自治法上の議決案件から外れたのかということも含めて、よく考えていただきたいと思います。(発言する者あり)
以上でございます。
〔子ども部長保科彰吾君登壇〕
17:
◯子ども部長(保科彰吾君) たかざわ議員の幼稚園に関します再質問にお答えを申し上げます。
先ほども申し上げましたとおり、幼稚園につきましては、定員35名未満の幼稚園の定員を見直すか、もしくは認定こども園の誘致ということでお答えをさせていただきました。
和泉地区につきましては、いずみこども園がございます。ご案内のとおり、こども園は長時間、短時間、両方受け入れるという仕組みでございます。したがいまして、当面の課題といたしましては、長時間児、短時間児の区分の見直しが一つはあろうかと思います。あともう一つは、現在の次世代育成行動計画にも記載してございますとおり、保育所型認定こども園を、一応2園誘致するという形になってございますので、その誘致も含めまして、何らかの形で幼稚園の定員充足を目指してまいりたいというふうに考えてございます。
18: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 次に、日本共産党区議団を代表して、12番木村正明議員。
〔
木村正明議員登壇〕
19: ◯12番(
木村正明議員) 私は、日本共産党区議団を代表し、質問いたします。
安倍内閣は、11月15日、南スーダンPKOに派兵される自衛隊に、「駆けつけ警護」などの新任務を付与することを閣議決定しました。20日には、青森の第11次隊の第1陣が現地入りしたところであります。自衛隊は誰と戦うのか。南スーダンの政府軍は、国連軍への攻撃にも関与しており、自衛隊が向き合うのは政府軍となります。最新の国連専門家委員会の報告書は、「乾期が始まる11、12月に暴力がより悲惨な形で激化する可能性が高い」と述べています。そこへ、危険な任務を背負って自衛隊が投げ込まれることになります。南スーダンが、「殺し殺される」最初のケースになりかねません。
青森の県民所得は、47都道府県中46位。一方、自衛隊入隊率は、人口1,000人当たりトップであります。「経済的徴兵制」の著者であるジャーナリストの布施祐仁氏は、「経済的事情から自衛隊に入隊する若者は少なくありません」と語っています。戦地に送られるのは、まさにそうした若者たちであります。
我が党区議団は、政府に対し、南スーダンから直ちに撤退すること、非軍事の民生支援に徹すべきであることを強く、冒頭、求めるものであります。
さて、アベノミクスのもと、超富裕層はますます富み、国民全体の所得が低下する中、中間層は疲弊し、貧困層が増大しています。格差と貧困の克服は、今や国民的課題になっています。この課題に対し、石川区政の16年間はどう向き合ってきたでしょうか。私は、石川区政の行財政構造改革を振り返り、区民への具体的支援策を提案するものであります。
石川区政の特徴の1つは、低所得世帯の暮らしを支えてきた施策の廃止と縮小でした。例えば、生活保護世帯への見舞金の廃止です。夏と冬の2回、それぞれ氷代、餅代として各世帯に4,000円を支給する温かい制度でしたが、2005年度になくしました。この年は、高齢者福祉手当もなくなりました。東京都の事業でしたが、千代田区独自の上乗せで、寝たきり3カ月以上の方に3万円から5万5,000円を支給していた制度であります。
奨学資金は2006年度から廃止です。さらに、現行の居住安定支援家賃助成制度は、かつての定住支援家賃助成制度の助成期間と助成額を縮小したものであります。これらの施策は、貧困と格差が広がる中、改めて政治の光を当ててしかるべきものであります。
2つ目の特徴は、人件費削減と一体で進められた業務の民間任せです。かけ声は、「官から民へ」でした。窓口業務や用務業務などの委託は、常に「偽装請負」がつきまといます。正規職員から非正規雇用への置きかえは、官製ワーキングプアを広げました。
3つ目が、受益者負担の強化と公共施設の廃止です。施設使用料の値上げ、障がい者の宿泊訓練、がん検診などに自己負担が導入されました。千代田公会堂や校外施設も次々廃止されたわけであります。
3つに特徴づけられる石川区政のコスト第一の行財政構造改革は、全体として貧困と格差の拡大につながるものではなかったでしょうか。見解を求めるものであります。
重大なのは、「構造改革」と区民との矛盾が、今日広がっていることです。軽井沢少年自然の家や箱根千代田荘、中堅所得層のための借上型区民住宅の存続、公会堂の復活を求める区民の声が広がっています。区議団の「区政アンケート」では、「がん検診の無料化」は常に高い区民要望の1つになっています。中でも、家庭の経済格差で子どもたちにしわ寄せが行くことだけは避けなければなりません。
2つ提案します。
1つは、区独自の給付型奨学金の創設であります。23区の中で、区独自の奨学金制度を持たない区は、千代田区を含め、5区程度ではないでしょうか。区長は、「奨学金は国や都の仕事だ」と廃止しました。しかし、他区はこの間も独自に奨学金制度を前進させてきたのです。例えば足立区では、厳しい要件はありますが、100万円まで償還を免除する、事実上の給付型の奨学金を開始しました。世田谷区も独自の制度をスタートさせようとしています。千代田区でも独自の給付型奨学金制度の創設を求めるものであります。
いま一つは、入学準備金の支給です。小中学校の新1年生を持つ生活困窮世帯にとって、学用品等の入学準備経費をつくるのも一苦労であります。準備金の立てかえをしなくて済むよう、就学援助を入学準備金として、入学前の2月から3月に支給することは、保護者の切実な要望になっています。文部科学省でさえ、昨年8月、「児童・生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給することができるよう十分配慮」せよという「通知」を出しているではありませんか。
既に多くの自治体で支給改善に踏み出しています。本年第2回定例会での牛尾議員の提案に「十分に研究させていただく」と答弁がありました。いつまで「研究」を続けるおつもりでしょう。来年度からの実施を求めるものであります。
次に、まちづくりについて伺います。
安倍政権のアベノミクス成長戦略は、「世界と戦える国際都市の形成」など、都市を競争力強化の舞台の1つに位置づけ、都市再生政策を進めています。2020東京オリンピック開催や、「世界で一番ビジネスのしやすい国際都市づくり」などを口実に、国際競争拠点都市へと超高層マンションが乱立する「東京大改造」を進行させています。都心千代田区は、その渦中に置かれています。
今、区内では、バブル期を思わせるような建築工事があちこちで見られます。「都心回帰」とも言えるこの現象は、新たな都市問題を引き起こしつつあります。人口や資本が都市に集中することで生まれる「過密問題」や「環境問題」であります。学校や保育園などの生活インフラ不足、災害に脆弱なまち、特に千代田区で顕著なコミュニティの衰退などにあらわれています。
「区政アンケート」には、こうしたまちづくりに不安と疑問の声を寄せる方が少なくありません。例えば日本テレビの大型開発の動きに対し、「四番町のビルが次々壊されていき、番町の街並みががらりと変わりそうで不安だ」、こうした声がありました。また、「30年に満たない建物を取り壊し、新築する。用途も規模もほぼ同じ。環境への負荷はいかばかりか」といった声もありました。
今、区民の中に、環境第一とした持続可能なまちづくりをという流れが生まれていることに注目すべきであります。この間の街路樹を保存する運動も、その1つと言えるのではないでしょうか。「世界と戦える国際都市づくり」か、それとも環境第一に、コミュニティの再生につながる「持続可能なまちづくり」か。どちらの流れに身を置くかが、今、区政に問われているのではないでしょうか。
千代田区住宅基本条例は、後者の流れに立ったものと言えます。「区民は、基本的人権が尊重されるとともに、安全かつ快適な環境のもとに住み、住み続けていくため、貴重な都市空間をともに分かち合い、互いに協力する責務を有している」と述べています。この条文から導き出される住民の権利は、第1に快適な住環境のもとで暮らせる権利、第2に区のまちづくり計画の策定に参画できる権利、第3に環境に影響を与える開発事業に意見を表明する権利、に集約できると考えます。持続可能なまちづくりを進めるには、この3つの権利が区民に保障されなければなりません。その立場で、大型開発から環境を守るルールを提案したいと思います。
1つは、「荒川ルール」の千代田版の策定です。荒川区では、千代田区の早期周知条例の趣旨に加えて、興味深いルールを定めています。例えば、建設計画の周辺住民で構成される「地域関係者会」の規定です。地域関係者会は、建設計画に対する要望を「意見書」という形にまとめ、区長に提出します。区長は、「意見書」の内容を踏まえて事業者と協議をし、事業者は、「意見書」への「回答書」を区長に提出します。あわせて、地域関係者会が、「意見書」をまとめる際、助言をしてくれる学識経験者を派遣する制度を規定しているところも注目に値します。
いま一つは、千代田区独自の環境アセスであります。港区のアセスが参考になります。調査項目は、交通量、電波障害、風、日照などのほかに、史跡・文化財、地球環境、コミュニティなども対象にしています。特徴は、事業者に2つのことを義務づけていることです。1つは区民説明会を開くこと。もう1つは、そこで出された区民の意向を踏まえて、「環境影響調査書案」をつくることです。区民は、事業者が作成した「環境影響調査書案」に対する意見を、縦覧期間中に「意見書」としてまとめ、区長に提出できる仕組みとなっています。
両者に共通しているのは、居住環境に影響を与える開発事業に対し、住民が「意見を表明する権利」の具体化として、「意見書」という形で保証し、その仲介役を区長が担っていることであります。まちづくりを住民がコントロールするツールとして、有効ではないでしょうか。ぜひ、具体化を求めるものであります。
次に、介護保険制度について質問します。
2015年度に4つの大改定が行われました。(スクリーンを資料画面に切り替え)
1つは、要支援1、2のヘルパーとデイサービス事業を保険給付から区市町村の事業に移したことです。2つ目は、特養ホームの新規入所を原則要介護3以上に制限したこと。3つ目は、一定以上の所得者の利用料を1割負担から2割負担に引き上げ、4つ目に、非課税者の施設食事・部屋代にも預貯金などの新たな要件を加えて、全体として給付が減らされ、負担が増える改定となりました。
今定例会には、介護給付抑制と負担増に反対している「認知症の人と家族の会」から要望書が寄せられています。そこには、介護家族の「生の声」が添付されていました。
この4つ目の改定である食事代・部屋代の補助がなくなった方の声では、例えば「月11万3,000円の負担増。毎月10万円不足し、貯金を崩さないと生活していけない」。あるいは、「月7万4,000円増の負担増。これまでの倍になった。赤字は預金を取り崩している。この先が心配」。こうした声が紹介されていました。身につまされます。
この間の介護保険制度の改定については、介護保険制度創設時の老健局長だった堤修三氏も、「団塊世代にとって介護保険は「国家的詐欺」となりつつあるように思えてならない」と述べるほどであります。
今回は、15年度の4つの改定のうち、区の事業となった「新総合事業」に絞って質問します。来年4月から本格実施となります。
国の示したガイドラインによると、新総合事業は幾つかのサービスに類型されています。まず「現行の相当サービス」。次に、「多様なサービス」として、訪問型サービスへ。これは人員等を緩和し、ヘルパーも資格が不要になります。それから、ボランティアなど住民主体となるサービスB、ボランティアが中心、住民主体で提供されるサービス。そして、保健師など専門職による短期集中の予防サービスCであります。(スクリーンを元に戻す)
注意すべきは、「保険給付」から区の「事業」になったことで、事業の性格が大きく変わったことであります。介護保険制度では、要介護や要支援の認定を受ければ「保険給付」を受ける権利を得ます。保険者である区は保険給付を提供する義務を負います。また、サービスは法令で基準が定められ、一定の「質」が保障されます。一方、区の「支援事業」、総合事業となるとどうでしょう。まず、保険の上での受給権がありません。サービスの全国一律の基準がなくなり、サービスの質は自治体ごとに異なることになります。
千代田区は、昨年度から既に新総合事業に移行しています。現状はどうでしょうか。
まず、緩和した基準によるサービスAについてであります。15%程度の単価が下がりました。指定事業者は、これまでと同様なサービスを提供しながら、報酬単価が下げられているわけであります。事業者の経営への圧迫が心配されます。利用者からは送迎がなくなったことへの不満の声も聞こえてきました。
次に、ボランティアなどの住民主体のサービスBは、人材確保が困難をきわめているのではないでしょうか。仮に確保できても、サービスの質の低下をもたらしかねません。
以上を踏まえると、区政に求められるのは、利用者の受給権を守り、サービスの質を維持することであります。
4点伺います。
第1に、現行相当サービスは、報酬単価、基準を堅持すると同時に、訪問・通所とも全ての利用者が「現行相当サービス」を利用できるようにすべきであります。ボランティアなどの多様なサービスは、代替でなく、現行相当サービスを提供した上でのプラスアルファとして位置づけることを求めるものであります。
第2は、基本チェックリストについてであります。(スクリーンを資料画面に切り替え)
この「チェックリスト」をサービス利用の手続の冒頭に位置づけています。
活用の仕方はこうであります。
相談に見えた被保険者に対して、「事業のみ利用する場合は、基本チェックリストで迅速なサービス利用が可能であること」。つまり、このチェックリストで申請したほうが早くサービスを受けられる、このように説明するとあります。そして、このチェックリストを活用・実施し、利用すべきサービスの区分の振り分けを実施する、こうあります。まるで要介護、要支援の認定を申請しないよう、そして総合事業に誘導するかのようにうかがえます。問題は、こうしたやり方で、区民のサービスの受給権が守れるのかどうかという問題であります。チェックリストを申請者の「振り分け」の道具に使ってはなりません。
区は、現在、チェックをどう扱っているのでしょうか。更新者の場合の扱いはどうなるでしょうか。答弁を求めます。
第3は、介護予防ケアマネジメントの扱いについてであります。国の「ガイドライン」によると、まず、ケアプランについて「明確な目標設定と本人との意識の共有」が重要だとし、目標を達成するための期間を設けます。その上で、「モニタリング・評価」で事業の実施を把握し、目標と乖離した場合にはケアプランを変更し、「順調に進行した場合は事業を終了」。その際、高齢者が「セルフケア」を継続できるよう、必要な情報提供・アドバイスを行う、というふうになっています。つまり、新総合事業者のケアマネジメントでは、まず、このモニタリング・評価で順調に進行した場合は、サービス事業を受けるのを終了させ、あとはセルフケア、自らケアするように移行できるような仕組みとなっているわけであります。ケアマネジメントは、必要なサービスを継続して利用できるようにすべきであり、「自立支援」の名で期限を区切ってサービスからの「卒業」を押しつけることのないよう、求めるものであります。(スクリーンを元に戻す)
第4は、総合事業の事業費についてであります。上限額は、75歳以上の伸び率とされています。これがサービスを抑制に導くおもしになっています。千代田区の来年度の総合事業の上限額と見込み額はどうなっているでしょうか。また、国に対し、財源確保を求めるべきであります。答弁を求めます。
最後に、中小企業、特に個人事業主への支援についてであります。
私たちが行った個人事業主を対象にしたアンケートで、売り上げが、昨年と比べ1割減から3割減が圧倒的に多く、今後の経営について「見通しが立たない」と答えた方が少なくありませんでした。個人事業主の要望が多かった2つのことを、改めて求めます。
1つは、実態調査を行うことです。「アンケート」では25%の方が、「まず個人事業主の声をよく聞いてほしい」と回答していました。ところが、前定例会の答弁では、区内44商店街に行ったアンケート調査や国の統計調査で間に合うし、個人事業主の意見は、区が実施している経営相談で十分だという態度でありました。個人事業主の皆さんがどんな問題で苦労しているかを、区が具体的につかまずして、ニーズに沿った商工振興対策をどうして打ち出せるでしょうか。実態調査を重ねて求めます。
いま一つは、6割の事業主が要望していた「大型チェーン店の進出抑制」のできるルールづくりであります。区の中小企業振興基本条例は、大企業と中小企業について、次のように定めています。「大企業者は、千代田区が中小企業と大企業が共存する地域であり、両者の共存共栄が地域の発展に不可欠であることを認識し、中小企業の振興に協力するよう努めるものとする」、こうあります。
条例は、大企業と中小企業との共存共栄を図る立場から、大企業に対し中小企業への振興に協力を求めているわけであります。その協力の具体化の検討を、振興基本計画の中にしっかり位置づけるのは当然ではありませんか。答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
20: ◯区長(石川雅己君) 木村議員の行財政改革に関するご質問にお答えいたします。
この千代田区の行財政改革が、木村議員がおっしゃる、全体として貧困と格差を招いたんではないかというご指摘だろうと思います。本区の行財政構造改革の狙いは、一言で申し上げるならば、「区民の目線に立ち、区民満足度の高い区政運営を確立する」ということが大きな目標であります。その具体的なものとして、幾つか申し上げます。国はもとより、他の自治体に比較いたしましても、子育て施策についてはかなり、私は、充実していると思う。あるいは、ご質問の中で随分高齢者のお話が出ました。介護保険一つとってみましても、横出し・上乗せをして、結果として介護保険料の標準が下がり、都心部で最も低い介護保険標準保険料になっている。このことは、全体として見た場合には、かなり低所得者へ配慮をしているということになるのではないかと思います。
したがって、私自身、コスト第一という考え方はさらさら持っておりませんし、これからも、そうした意味で真に必要な、時代に合わせた行政サービスを、高齢者あるいは低所得者に配慮しながらの施策をやっていくということに、考え方は変わらないと思います。
幾つかの例示が出ましたけれども、私のほうで申し上げたことのほうが、むしろ低所得者対策としては効果がある。あるいは、ご承知のとおり、介護保険の制度が変わって、施設利用についてはかなり低所得者にも配慮をした形で激変緩和をやっている。このことのほうが、私は、むしろ必要なんだろうと思っております。
いずれにいたしましても、限りある財源や人材で、よりよい区民サービスを行うというのが、区政運営の基本でありまして、そして、時代に合わせた新たな行政サービスについて、的確に、きめ細かく配慮しながら行っていくということが、我々のこれまで取り組んできた内容だろうと思います。
来年の予算編成については、多分そうした考え方のもとに編成を行うということになると私は信じております。
これからも、基礎的自治体の責務として、区民サービスがより充実するように、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
その他の詳細及び他の事項については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〔教育担当部長小川賢太郎君登壇〕
21:
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 木村議員の区独自の給付型奨学金の創設等に関するご質問にお答えいたします。
国においては、低所得者の大学生らを対象とする給付型奨学金の創設に向けて制度設計を進めており、東京都においても、平成32年度までの学校教育の基本方針となる「東京都教育施策大綱」の骨子案の中で、経済的理由によって進学などに支障が出ないようサポートする都独自の給付型奨学金制度の創設を盛り込んでおります。
区といたしましても、返済しなくてもよい「給付型」奨学金創設に対するニーズが高まっているものと認識しております。区独自の給付型奨学金制度として、どのような制度が求められているのか、今後とも国や他の自治体等の動向を見きわめながら、検討すべき事項であると考えております。
次に、就学援助費の入学準備金の支給時期を早めることについてでございますが、就学援助費の支給は7月と翌年の4月の2回に分けて保護者の口座等に振り込んでおります。現状では、就学援助費が前年の所得状況をもとに算出しているため、住民税額が確定する6月以降に事務手続をしております。ご指摘のとおり、特別区でも今年度より中学校の入学準備金を小学6年生時に支給できるよう実施、または検討している区が4区ほどございます。
本区といたしましても、入学準備金の支給時期はなるべく早いことが望ましいと考えており、さまざまな課題を検証しつつ、具体的な方策について検討を進めてまいります。
〔保健福祉部長松本博之君登壇〕
22:
◯保健福祉部長(松本博之君) 木村議員の介護保険の「新しい総合事業」についてお答えをいたします。
制度改正によって従来の保険給付から総合事業に位置づけが変わりました要支援認定者に対する訪問介護・通所介護について、本区では、従来と同様の内容・料金の「現行相当サービス」と基準が一部緩和され料金が安い「サービスA」を選択できるようにしております。このうち、特に訪問介護では、想定以上にサービスAを選択される方が多く、現行相当サービスが想定の4分の1にとどまる一方、サービスAは想定の4倍の利用実績となっております。
なお、ボランティア等が提供する「サービスB」につきましては、サービスの安定供給等の課題もあり、現在、検討中でございます。
次に、基本チェックリストについてですが、65歳以上の第1号被保険者であれば、どなたでも要介護認定を申請できる仕組みは、全く変わっておりません。基本チェックリストによる判断は、総合事業によるサービスだけを希望される場合に、介護認定を省略して迅速なサービス提供を可能とするものであり、更新の場合でも同様であります。
次に、介護予防ケアマネジメントについてですが、本区では、高齢者あんしんセンター職員による訪問・面接を行い、おおむね1年ごとに、現行サービスの継続がよいのか、別のサービスに変えたほうが効果的なのか等を、丁寧にモニタリング・評価しております。
なお、総合事業のうち短期集中型予防事業に該当する「筋力向上マシントレーニング」や「口腔機能向上プログラム」などは、自立可能性のある方に対して、自らの力で運動や健康維持に関する具体的な方法を習得していただく目的で実施しているものであり、短期集中型という事業の性格上、サービス終了後には、セルフケアへの移行を目指すものでございます。
次に、総合事業の上限額についてですが、本区の来年度の上限額は約1億4,500万円で、この範囲内で事業を円滑に実施できる見込みでございます。
このような状況でございますので、国に対して現時点で財源確保を求める予定はございません。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
23:
◯地域振興部長(立川資久君) 木村議員の中小企業、個人事業主への支援に関するご質問にお答えいたします。
まず、個人事業主の実態調査についてであります。
個人事業主からの経営に関するさまざまなご意見の中でも誰もが抱える内容が、さきの定例会にて答弁申し上げた44の商店会へのアンケート並びに区内中小企業者・商店街ヒアリングの結果に集約されているものと考えております。それ以外の個人的な経営の問題については、まずは現行の経営相談の機能拡充を図る中で、問題の内容を酌み取ることが可能ではないかと考えております。これまで、庁舎内における経営相談を原則としておりましたが、中小企業診断士の業務の範囲内で、出張相談も可能でありますので、今後、そのPRに努めてまいります。これにより、個々の経営課題について、迅速かつ専門的な見地から解消に向けた支援ができるものと期待しております。
次に、中小企業振興基本条例に基づき、大企業の中小企業への協力の具体化の検討を、商工振興基本計画に位置づけることについてであります。本区の大丸有地区に代表される大企業が集積するメリットを、うまくビジネスにつなげている中小企業者もいらっしゃいます。このように、国内、さらには世界有数の大企業と地域経済の担い手である中小企業とが手を携え、良好なビジネス関係を築くことは、地域振興への貢献も大きいと考えます。
一方、議員ご指摘のように、特に小売業において、大型チェーン店が地元の中小企業と競合している事例もございます。チェーン店を初めとする大企業にどのような協力を求めることができるか、商工振興基本計画改定作業の中で、研究・検討を進めてまいります。
〔まちづくり担当部長坂田融朗君登壇〕
24:
◯まちづくり担当部長(坂田融朗君) 木村議員のご質問のうち、住環境を維持するためのまちづくりのルールに関するご質問にお答えいたします。
他の自治体の取り組みとしてご指摘のようなルールを定めて運用しているということは、承知をしております。また、そのようなルールは、それぞれの地域の都市計画状況や土地利用の実情、また土地所有者や居住者等の価値観等、地域特性が反映されてルール化がなされているものと思っております。
千代田区においては、住民や地域の関係権利者がまちづくりの当事者として参画し、合意形成の過程を経て共有されたまちの詳細ルール、これを定めました地区計画を基本にまちづくりを進めることが肝要であると考えております。これによりまして、新たに当該地域に参入する方々にも、まちのルールを事前明示し、地域環境の維持、向上を図っております。
あわせまして、千代田区では、個別具体の建築行為から生じる住環境に関する紛争を未然に防ぎ、当事者間の自主的な解決を図るため、「建築計画の早期周知制度」を、他の自治体に先駆け、「条例」により制度化してきたところでございます。この制度は、区の紛争予防条例の適用案件はもとより、都の紛争予防条例の適用案件についても、地域関係者に対する説明会の開催や意見書の受理・回答などを通じて、計画に対する理解を深めているところでございます。
したがいまして、他の地域で運用されているまちづくりルール、これも大いに参考にさせていただきますが、とりわけ多様な土地利用が考えられる千代田区においては、現行のルールに適性があるものと考えております。
地区計画には時間を要しますが、今後とも丁寧に進めてまいりたいというふうに思っております。
25: ◯12番(
木村正明議員) 12番木村正明、自席より再質問いたします。
まず行財政構造改革、区長からご答弁いただきました。介護保険制度で低所得者対策を十分やっていると。それなら激変緩和ではなくて、制度として低所得世帯を恒常的に支援する制度であってしかるべきだと思うんですよ。年金カット法案で、今後年金はどんどん下がっていくんですから、あれが通ると。年金が増える見通しが全くないもとで激変緩和措置がなくなると、これは大変な事態になりますので、それはぜひご検討をいただきたいと。
それから、教育委員会に伺います。入学準備金が「研究」から「検討」に変わりましたが、これは来年4月実施を踏まえての検討なのかどうか、ちょっと、はっきりお答えいただきたいと思います。
それから、商工振興問題で1点伺います。墨田区の中小振興策は非常に有名な話であります。あそこが転機になったのは、区の職員180人でまちに出て、9,000事業者の実態調査を行ったと。で、中小企業は何で困っているのか、どういう支援を求めるのかをつかんで、それ以降、墨田区の中小企業振興施策は変わったということでした。しかし、千代田区は中小企業診断士に任せると。構造改革とはそういうものなんですよ。地元に職員が実際に入るということを、全部民間に任せるんですよ。委託に任せるんです。これが、やはり行財政構造改革の問題点の大きな1つだと思いますね。職員が実際に入らないと、区民の個人事業主の声をつかまえないと、理解できないでしょう。やはり墨田区を見習っていただきたい。これ、2つ目です。
それから、(ベルの音あり)あれっ。まちづくりの問題では、1つ、地域関係者会で専門家を派遣する制度、これ、千代田区のまちみらい千代田はマンションに派遣するけれども、地域に派遣できないですよ。専門家を地域に派遣する制度、これがあれば、建築の専門家とやりとりできるんですよ。そうすれば意見書もまとめられる。こういう制度をぜひつくっていただきたい。
以上です。
〔区長石川雅己君登壇〕
26: ◯区長(石川雅己君) 木村議員の再質問にお答えいたします。
木村議員が、この千代田区のさまざまな施策が格差を生んでいるという認識を持っている限り、私は、今のことに対するお答えは難しくなる。なぜかと申しますと、それぞれいろんな、さまざまな意見がありますけど、真に困っている、あるいは、特に高齢者については介護保険の問題は非常に気になるところである。しかも、できるだけ低所得者の人も利用しやすいということが、ある面では、焦点を絞って、そういうことを進めていくということが、ある面では私は格差の是正になるんだろうと。
したがって、木村議員がおっしゃるように、一つ一つこの事業が廃止になったから格差があるというご議論については、ぜひ撤回をしていただきたい。そういう中でこれからの問題を考えていきたいと思います。(発言する者多数あり)
〔教育担当部長小川賢太郎君登壇〕
27:
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 木村議員の入学準備金の再質問に対してお答えいたします。
現時点で実施している2区ございますが、いろいろ事務的な面、あるいは運用面でいろいろと教えていただいて、今、課題を検証している真っただ中でございます。
我々としても、先ほど申し上げましたとおり、できるだけ早く支給することが望ましいということを考えてございますので、ぜひそのような方向でできるためにはどうすればいいか。できない理由ではなくて、できる理由を今探して、鋭意努力しておりますので、現時点で明快にいつからということはなかなか申し上げにくいんですけれども、私どもの事務の手順の中で、どのようにすれば取り入れられるかということを鋭意検討してございますので、どうかご理解を賜りたいと思います。(発言する者あり)
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
28:
◯地域振興部長(立川資久君) 木村議員の実態調査に関する再質問にお答えいたします。
小規模事業者等の実態につきましては、平素より、区商連、商工連、東京商工会議所千代田支部など各団体から、さまざまな機会を捉えて状況をお聞きし、把握に努めております。今すぐ実態調査を行う必要はないものと考えております。(発言する者あり)
29: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 議事の都合により休憩します。(発言する者あり)あ、失礼。
〔まちづくり担当部長坂田融朗君登壇〕
30:
◯まちづくり担当部長(坂田融朗君) 木村議員の再質問にお答えいたします。
地域に専門家を派遣する制度、これについて検討したらどうかということでございます。専門家、さまざまな分野がございますが、また、さまざまな方もいらっしゃいます。(発言する者あり)そういう中で、この千代田という土地は法人所有が相当高いというような特徴であるとか、不在地主が大変多いというような特徴もございます。なかなか、その難しさもございます。そういう意味では、他の地域との特性というものをしっかり踏まえて、ひとつ研究をしてまいりたいというふうに思います。(「研究」と呼ぶ者あり)こちらは「研究」です。よろしくお願いいたします。(発言する者あり)
31: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 議事の都合により休憩します。
午後3時11分 休憩
午後3時26分 再開
32: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、会議時間を延長します。
各会派の代表質問を続けます。
ちよだの声を代表して、13番小枝すみ子議員。
〔小枝すみ子議員登壇〕
33: ◯13番(小枝すみ子議員) 平成28年第4回定例会に当たり、ちよだの声を代表して、CO2削減と区内開発問題を中心に質問をさせていただきます。
CO2の問題は、見えないものを数字であらわす、大変わかりにくいものですので、少々画像を多目に使うことになりますが、あらかじめご了承いただきたいと思います。(スクリーンを資料画面に切り替え)
「千代田区地球温暖化対策地域推進計画2015」、これですね、これに関する考え方と、進めていくことで、果たして本当に低炭素型の「環境モデル都市」になるのか、ということについてお伺いをいたします。
千代田区が「地球温暖化対策条例」を施行したのは2008年、今から約8年前ということになります。2020年までに区内CO2排出量を1990年比で25%を削減すると、大変踏み込んだ約束をいたしました。日本初のこの条例に対し、私たち「ちよだの声」も、今後の取り組みに大いに期待をいたしました。
ところが、条例がスタートしたと同じ年に、東京警察病院と前田建設本社があった、飯田橋西口地区計画において、「全国初CO2排出量削減数値を地区計画に明記する」と。全国初であると、ある特定のメディアが写真入りで大きく取り上げました。議会よりも、都市計画審議会よりも早く、私たちは、この新聞の記事でこのことを知ることになりました。果たして石川区長のCO2削減は、「目的なのか」「方便なのか」、私は、その真意をはかりかねるようになったのはそのときからでした。
おおむね次のようなからくりになります。
床面積が、オフィスの部分だけで1.8倍、ここでいうと18万平方メートルになります。そして、平米当たりの排出量は6割に削減ということで、大変画期的な数値目標を立てました。しかし、総量では8%増えます。それも住宅部分は抜きです。一方で、千代田区は、2020年までに総量で25%の削減、約束しています。平米当たりではなくて、総量で減らすということになっているので、どうしたら最後の帳尻が合うのかということを考えるわけです。
次の画像です。(スクリーンの資料画面を切り替え)
読めますかね。千代田区地球温暖化対策条例の前文、区内の中学生が書いたものです。子どもたちの未来のために、子どもたちの目線でこの取り組みを行おうという、大変すばらしい考えでした。
次のようなメッセージです。(スクリーンの資料画面を切り替え)「今よりもっと千代田区を緑でいっぱいにして「緑の区、千代田区」と呼ばれたいね。」「そうだね。経済だけでなく環境対策でも中心地となる千代田区になりたいなあ。」「千代田区が動いて、周辺の地域に、全国に、環境への取り組みを働きかけていこう」。大変すばらしいです。
再び、このエコカレンダーなんですけれども、(スクリーンの資料画面を切り替え)、千代田区の温暖化に関する解説が述べられています。「最近、「昔と比べて暑くなってきたね」「強い雨が降るようになってきた」「今まで身近で見ることができた動植物が減り、新たな動植物を見かけるようになった」と感じたことはありませんか?これらの現象は地球温暖化が進むと多く見られると言われています」。
実際、日本の温度は100年で1.1度平均気温が上昇していると、気象庁の解説にありました。熱帯夜が増え、猛暑日も増え、1日100ミリ以上の大雨日数も増えているとあります。先日、トランプアメリカ次期大統領の暴言で、かえって世界の注目を浴びることになった、「京都議定書」に次ぐ「パリ協定」での数字と比較をしても、日本の上昇率は世界平均よりやや高く、そして都民区民の実感としても、待ったなしの課題というふうに感じております。
次です。(スクリーンの写真画面を切り替え)
この、最近で、ちょっと見づらいですけれども、新しいビルがどんどん取り壊されている、ほんのごく一部の例ですけれども、写真に取り上げました。
この千代田区という、皇居も入れて、わずかに11.66キロ平米の小さな小さな敷地の中に、1990年以降、石川区長の登場以降、どれだけの大規模なオフィスビルと大規模なマンションが開発をされたことでしょうか。
都市は絶えず更新をされていく。そのままでいることはあり得ないということは、私も理解をしております。しかし、世界の先進国のどこにこれほど安易につくって、安易に壊すことが許容されている国があるんでしょうか。昨今、とりわけ築30年前後の堅牢な、このような高層ビルが次々と解体されて、床面積を倍増させ、巨大ビルに早変わりするという事象を見ることが多くなりました。それも、「環境に優しい省エネ型ビル」、お決まりのキャッチフレーズを見るたびに、従来のビルを省エネ型にリニューアルするほうがずっと環境的なはずなのに、まだまだ使えるものを壊すのは、本当に「もったいない」と、多くの人が心の中でつぶやいていると思います。
千代田区は、子どもたちには、3R、リユース、リデュース、リサイクルと教育をしながら、自らの公共施設づくりやまちづくりにおいては、使えるものでも壊して建てるの「促進派」となっております。これは、千代田区政最大の自己矛盾と言えるのではないでしょうか。
これが日立本社ですね。(スクリーンの写真画面を切り替え)
日立本社。見えないね。赤坂プリンス、20年。三井物産、39年。これは長銀ね。20年ですね。そんな感じです。
他の国々では、建物の寿命をどのくらいに見ているかということについて、建築の専門家に聞いてみました。(スクリーンの資料画面を切り替え)
住宅建築の更新周期ということですが、イギリスでは142年、アメリカでは96年、フランス86年、ドイツ79年、日本、何と30年。平均ということでしたけれども、このように壊して建てる、壊して建てるを促進することは、幾ら原単位当たりの排出量を、千代田では2割削減をしたとしても、床面積がそれ以上に増えているのですから、CO2の排出量が削減されるわけがありません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
緑色の業務部門は、基準年である1990年排出係数で10万トン、平成26年係数では3割増大という数字になっています。(スクリーンの資料画面を切り替え)
「千代田区地球温暖化対策地域推進計画2015」でも、業務部門だけでは8.1%上昇、他の産業部門等の削減数値により何とか相殺しているという結果です。
さらに、このグラフにある前提数字も、素直に理解がしづらいところがあります。なぜかというと、平成25年以降は、岐阜県の高山市や群馬県の嬬恋村で区民やボランティアが植樹活動を行えば、千代田区で排出したCO2を相殺するということになったからです。これでは、Think global,Act rocalという言葉がありますが、地球規模の問題を足元から変える努力をしていこうという、そういった子どもたちの宣言も、千代田区の開発を聖域化し、いつの間にか、森林がいっぱいの他県にわざわざ木を植えるという行為、これは、それだけならいいことですけれども、それが千代田区のビル開発の帳尻ということになると、これはやっぱり矛盾が来る。東京の真ん中が熱くなって、大量のエネルギーの消費や、熱の放出をすることに対して、大人の都合、数字合わせというそしりはないでしょうか。
また、さらなる大きな疑問は、CO2排出量の中に、建設及び解体に伴うCO2排出量が、電気代、ガス代、水道代にかかる一部分しか参入されていないのではないかということです。日本の廃棄ごみの2割が建築産業廃棄物で、不法投棄の7割が建築廃材と言われております。たとえゼロエネルギービルZEBで建てたとしても、解体は、CO2排出量の実質的な増加に大きな影響を及ぼしているはずです。千代田区役所では、トイレのウオシュレットの電気まで節約するわけですが、建物の解体にかかる莫大なCO2の排出量の少なくない部分を計算から除外しているのは、いかにもちぐはぐなことだと思います。「人々の活動に伴って排出する二酸化炭素増加」というならば、新築建材の、例えば製鉄や鉄筋をリサイクルして、さらに鉄に加工するといった作業も、コンクリート材を解体して、それを廃棄するという作業も、膨大なエネルギー量がしっかりと換算をされていなければ、その数値は正当性に欠けるのではないでしょうか。
区内開発の量的なデータの説明がどの冊子の中からも見つからない中で、平成26年、木村議員に対する担当部長の答弁に、その手がかりを見つけることができました。
それは、1990年から2012年までの22年間で、千代田区内のオフィスビルは、450万平方メートル増加、伸び率は34%の拡大ということでした。CO2の増加は、これに対して8%、1平方メートル当たりCO2排出量は、約20%削減されたという報告でした。
約20年間で450万平米といってもさっぱりわからないというふうに思うと思いますので、(スクリーンの写真画面を切り替え)この霞が関ビル、これが15万平方メートルの床面積なんですね。これが30棟、22年間で千代田区に建ち上がったということになります。この霞が関ビルは、高さ147メートル、約50年前に建ったものです。
そして、昨年改定された新たな計画で、この2015の数字は、これよりもはるかに過激な数字になっているのに、私は驚きました。
次です。(スクリーンの資料画面を切り替え)これが計画ですけど。
今後10年間に新築される床面積が54万2290平米と──見えないですかね。私のごちゃごちゃ、ごちゃごちゃ書いてある、これ。これが54万2290平米とあるんですけれども、23年の実績をもとにしているということで、先ほどの22年間だと、1年に20万平米なんですね。これが2倍以上の数字、2.5倍ですから、これからの20年で、霞が関ビルが40棟建つという、そういうふうな想定になります。千代田区の中だけです。
日本のビルは、30年、40年しかもたない欠陥ビルばかりなのでしょうか。先ほど来、尺度で使わせていただいている「霞が関ビル」は、50歳のお誕生日を迎えたところですが、リニューアルを施して、100年利用に耐えられるように修繕の手を加えたそうです。当初の建築とリニューアルにかかわった建築家の方から伺ったのですから本当です。
ライフサイクルコストの中で、新築にかかる費用、通常は17%くらいなんだそうですが、建築費用を十分に見た上で、しっかりと修繕計画を立て、メンテナンスをしていけば、建物を100年持たせることは十分に可能であるということです。
さらに、壊して建てる日本の建築文化を変えるには、減価償却費用の考え方や、コンクリートの法定耐用年数を60年とするような税法上の考え方を変えなければ変わらない、本当に地球温暖化防止対策を考えるのであれば、「地球温暖化負荷税」、いわば「建物解体税」を創設するなどして早期の解体を抑制する、まさに長寿命化を誘導することではないかということもおっしゃっていました。
私も以前オランダに行ったとき、300年から400年の住宅を、繰り返し内部を改修して活用し、それがむしろエリートの夫婦のステータスで人気があるので家賃も高いと聞いたことがあります。日本では、いつになったらそのような時代がやってくるのでしょうか。区長はどのようにお考えか、まず前提としての価値観、社会観についてお答えをいただきたいと思います。
ちなみに、ライフサイクルコスト、LCCという考え方が、建物の一生涯にかかる費用全体を100とすると、新築費用は17、運転エネルギー費用が20、保全費用が37、修繕費用が20、その他税金、保険などが100ということで、言っただけではわからないと思うので、書きたかったですが、時間がなかったので、そういう100の中のLCCという組み立てですね、この考え方を公共施設や民間開発でも頭に入れて進めていく必要があるということでした。(スクリーンを元に戻す)
大変スクラップアンドビルドが激しい千代田区の中でも、東京駅の駅舎は102歳、ニコライ堂は125歳、学士会館は88歳、国会議事堂は80歳、法務省は121歳など、大変すばらしい100年建築がまだまだ頑張って魅力を発揮しています。千代田区も、もっとそうした建物を維持・継続することにこそ税金を注ぎ、そして固定資産税の軽減や、維持・管理のサポート、相談、表彰、ほかにも神田一ツ橋中学校のように、リノベーションで美しく整備された学校のPRや、神保町のタキイ種苗のビルのように、壊さずに、斬新な技術でリノベーション、維持を試みているオーナーのサポート、フォーカスなど、千代田区行政の価値観の中に、壊さないで使うことを支えたり、褒めたり、かつ評価する部分も、もっと必要なのではないでしょうか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
ゼロエネルギービルZEBも大変すばらしいことですが、壊さないで使うこと、省エネ型の最新機器の導入にも惜しみない支援をするなど、維持することへの評価にもっと軸足を置いてほしいと思います。
以上の観点に立ち、5点の質問をいたします。
1点目。8年前よりCO2削減の先導的自治体として名乗りを上げた千代田区は、その使命を区民にわかりやすく、かつ誠実に果たしているというふうに言えるでしょうか。コンサル担当による数字合わせに終始してはいないでしょうか。お答えください。
2点目。2000年以降、環境アセスの一部廃止などにより、開発の規制緩和と大規模化が一層加速をしています。1990年代、2000年代、2010年代ごとに、供給オフィス床面積の年間平均数値と、CO2排出量の伸び率を明らかにしてください。区民とともに、具体の数字を「見える化」して、進行管理を行う仕組みが必要なんではないでしょうか。
3点目、耐用年数以前のビルの解体が続いています。建築廃棄物の処理について、CO2排出量に換算されているのでしょうか。抜本的には、建築解体税創設などを国に働きかけ、リニューアルや機器の更新にこそ補助金を充実させるべきではないでしょうか。
4点目です。高さ日本一のビルになるというふうに言われている常盤橋地区再開発プロジェクト、390メートルの高さで、これですね、延べ床68万平方メートルになるということで、この未来建築ですが、CO2排出量について、開発前の状況と再開発後の想定排出量及び解体工事と建設工事にかかる排出量を明らかにしていただきたいんです。大阪市における「あべのハルカス」よりも高い日本一のオフィスビルになるというふうに言っていますけれども、当の、今、日本一の阿倍野地区再開発は、もう既に大失敗によって2,000億円の大赤字を出し、70年代の開発なのに、今の市長や都市整備部長が市民にわびに回るような事態になっているんです。ある種の国家プロジェクトであろうとも、さまざまな観点から検証し、数値を「見える化」にすることが必要だというふうに考えます。よろしくお願いします。
5点目です。平成25年より飛騨の高山において取り組み始めた「地方との連携」によるカーボンオフセットのための費用とCO2排出量の数値を明らかにしていただきたいと思います。この間の実績値、今後の見通しはどの程度なのか、いつ、何のために、この仕組みを改定計画の中に取り入れたのか、意思決定過程についてもお答えください。
次に、区内樹木による「CO2吸収」効果の数値化について伺います。
私たちは、さきの定例会の陳情審査の中で、さまざまなことを学ばされました。とりわけ身近な緑については、意識をしなければ守れない、そして増やせないことを学びました。その中で、他の自治体、とりわけ板橋区のプランというのが大変光っていました。「いたばしグリーンプラン」。
よろしくお願いします。(スクリーンを資料画面に切り替え)
これは詳しく説明できませんが、目標と現状も数値化されていて、大変具体的になっています。この中に、緑による「CO2吸収」効果ということで、樹木のCO2排出量が、平均すると、高木1本当たり、年間33.4キログラムの吸収量があるということで、板橋区においては、年間4500トンのCO2吸収効果があるというふうになっていて、これは890世帯分ということなんですね。このように定量化して、数値で「見える化」することで、住民も、緑を維持保存することに協力する思いが高まり、その恩恵を具体的に共有しやすくする効果があるのではないでしょうか。千代田区においても、この間の委員会で確認をされているように、今後の樹木に関する総合的指針策定に当たって、このようなことをしっかりと示していってはいかがかと思います。お答えをお願いいたします。
最後に、復興小学校の史料及び建築資料の取りまとめについて伺います。
あ、戻してください。(スクリーンを元に戻す)
この件については、さきの決算委員会におきまして、文化振興課長より次のような答弁を得ています。「文化財で預かっている手持ちの史料については、目録が11月ぐらいにでき上がってまいります。平成30年度に調査報告書として取りまとめる、そういう内容になっています」とのことでした。これ自体は、私は大変評価をしております。手持ちの史料、つまり文化財が持っているところの教育の史料は、これはたまたま公共施設適正配置構想時に、当時の岡部館長という方が、統廃合され解体されていく中で、それらの貴重な史料を紛失しないようにと保管管理してくださっていたので、今、たまたまここにあった。四番町にあったので日比谷にあるということなんですね。私たちは、このときの判断に心から感謝をしなければいけないというふうに思います。
その上で気になるのは、学校があったので、そのまま放置されているほうの史料なんです。その史料については、いずれいずれといって手がついておりません。今回、30年度に向けての調査報告書から取りこぼされてしまわないように、教育委員会のこの判断をお願いしたいというのが、今回の質問です。
先日、アーツ3331で「復興小学校」という勉強会がありました。「関東大震災と復興小学校」という著書を出版された、東京大学大学院教育学研究科研究員の小林正泰先生の大変興味深いお話を伺うことができました。
お願いします。(スクリーンを資料画面に切り替え)
これはたまたま錦華小学校ですけれども、千代田区内にあった復興小学校は、どれもこんな感じだったんじゃないかと思いますが、とりわけ錦華小学校については、大正期の15年間の中で3つの小学校を経験したそうなんです。なぜならば、関東大震災で壊れただけじゃなくて、火事でも焼けたそうなんですね。そういうことで、本当に地域が団結してお金を出し合って学校を守ったというようなことも言っていました。
ここに、一番下のところに、見えますでしょうかね、寄附総額が1万八千幾らと書いてあって、震災による備品被害額が2万6,000。こんなふうに、当時のお金では大変な金額だったと思うんですけれども、出し合ったと。
これは、(スクリーンの資料画面を切り替え)これ、錦華じゃないんですけれども、廊下のところをこういうふうに間仕切りしてくださいというふうに丸で書いてあるんです。これは何かというと、ミニ博物館──昔は「ミニ」と言わないから、小博物館みたいなものを子どもたちのためにつくりたいので、廊下を仕切って、ここにつくらせてくださいというふうに、建設局のほうに届け出ているということで、これもよく見えないかもしれませんけれども、教員の人たちが、建築計画に対して、そういう思いを込めて、広いスペースを望むべくもないので、せめてこういう形で子どもたちの環境をつくってあげたいんだということが切々と書かれているという、そういった文章です。こういったものが学校のところに残っているということに、私は大変感動し、どきどきしたというようなことです。(スクリーンを元に戻す)
ぜひ、これから30年の報告書づくりに向けて、こうした千代田区にとって、教員と文化の歴史ということが、もう本当に光を放つ、今、本当にレガシーだというふうに思うんですね。そういったところを、(ベルの音あり)ぜひ視野に入れて頑張って、取りこぼしなく、専門家の力で収集をしていただきたいということを申し述べて、今回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
34: ◯区長(石川雅己君) 小枝議員の千代田区の低炭素社会実現への取り組みについてのご質問に、概括的にお答えいたします。
まず、そのお答えをする前に、千代田区という、そのまち、地域、日本社会の中での位置づけを考えますと、まちの更新というのは、私は、避けて通れない、そういう位置づけの地域だろうと思います。
ところで、そうしたまちの更新あるいはまちづくりは、我々の捉えている考え方は、開発事業そのものを指すのではなく、地域のさまざまな課題を解決する、地域経営のプロセスというふうに我々は考えております。その意味で、千代田区は、「まちづくり」をエンジンとして、水や緑、低炭素化などの環境への取り組みを促進することによって、千代田区全体のまちの価値というのは、私は、向上してくるのだろうと思います。
恐らく今世紀、考えますと、世界の大都市において、「環境対策」が、未来の大都市の評価をしていくという、私は、キーワードになるだろうと思います。そのような意味で、ご承知のとおり、条例を出して環境対策を取り組んでいるわけでございます。
ところで、今月発効したパリ協定は、国や地域が自主的に削減目標を定め、5年ごとに改定することが義務づけられております。このことは、世界規模で問題を共有し、身近な地域で活動することの重要性を再認識したというものでありまして、まさに私たちが議会の議決をいただきまして、平成19年に、千代田区地球温暖化対策条例を制定した趣旨とも、私は、パリ協定は合致しているだろうと思います。
もちろん、この条例に基づきます「地球温暖化対策地域推進計画2015」を策定して、地域を構成するさまざまな主体が、その活動を再点検し、さまざまな手法を駆使してエネルギーの効率的な利用やCO2の削減に取り組んでもらいたいと思っております。
確かに、業務部門が占めるCO2の排出量の比重が高い地域であることは否定できません。旺盛な都市活動に応じて、建物の更新のスピードが速いところがありますが、むしろその機会を捉えて、最新の省エネ機器の導入やエネルギーの共有化、緑地・空地の創出などを要請して、低炭素型社会の地域づくりに取り組んでいるわけでございます。また、更新後の敷地や道路の地表面の温度を低下させて、ヒートアイランド対策なども、この開発に合わせて事業者にお願いをしているわけでございます。
繰り返し申し上げますが、千代田区のまちづくりというのは、単に開発事業そのものも指すのではなくて、地域のさまざまな課題を解決する地域経営のプロセスであるということをぜひご理解を賜りたいと思います。
今後とも、あらゆる機会と手段を用いて、環境対策としてトップランナーにふさわしい取り組みを着実に実行してまいりたいと思います。
なお、詳細な数字等のこと、その他の事項については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〔教育担当部長小川賢太郎君登壇〕
35:
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 小枝議員の教育史料についてのご質問にお答えいたします。
教育委員会では、平成5年に実施した小学校・幼稚園の適正規模化・適正配置に伴い、それぞれの学校に保管・保存されていた諸資料を収集・整理し、一部の学校を除き、現在は、日比谷図書文化館、教育研究所、統廃合後の各学校の記念室などで保管・保存しているところでございます。
教育委員会といたしましても、学校や教育に関する史料の重要性は認識しており、各学校で保管・保存している教育史料につきましても、各学校を含めた関係部署が積極的に連携・協力し、必要な保存、収集、記録等ができるように努めてまいります。
〔環境まちづくり部長細越正明君登壇〕
36:
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 小枝議員の「開発事業とCO2削減」に関するご質問に、区長答弁を補足してお答えいたします。
まず、低炭素型社会における先導的自治体としての取り組みですが、千代田区がエネルギーの大消費地であることを十分に踏まえて、建物単体対策はもちろん、エネルギーの面的利用や再生可能エネルギーの活用、地方との連携などを柱に、あらゆる手段によって低炭素社会への転換を率先して進めていく考えでございます。
これらの取り組みの進捗状況をCO2排出量として、広報紙やホームページで毎年公表しております。さまざまな主体ともこうした情報を共有し、力を合わせながら、低炭素社会の形成に向けた取り組みを進めてまいります。また、地域推進計画等の策定時には、学識経験者や区民・環境団体・事業者等から成る地球温暖化対策推進懇談会の意見を踏まえ、コンサルタントを活用し、わかりやすい計画としております。
次に、オフィス床面積とCO2排出量についてですが、オフィスを含む業務部門の床面積は、1990年代は年平均で約25万平方メートル増加し、2000年代は、年平均で約19万平方メートルの増加、2010年代は、2014年までの5年間で年平均約2万9000平方メートルの増加となっております。一方、業務部門のCO2排出量は、地域推進計画では1990年当時、約163.5万トンであったものが、2008年には約212.8万トンまで増加し、その後4年間は減少傾向でしたが、近年は約170万トン台でほぼ横ばいに推移しています。
改めて床面積との関係を申し上げますと、1990年度から2014年度までの業務床は437万平方メートル増加し、1990年度比32.6%の伸び率となっています。一方、CO2排出量は、1990年度比5.7%、9.4万トンの増加となっております。これは、省エネ対策等によって単位面積当たりのエネルギー消費量が下がってきたことによるものであると推測されます。
2020年度の条例目標達成に向け、環境事前協議制度の導入、再生可能エネルギーや未利用エネルギーの活用等により、さらなる低炭素化を各事業者に働きかけております。
次に、建物の解体とCO2排出についてですが、通常、CO2排出量の実績値の算出には、解体廃棄物の「処分」の部分は含まれないこととされています。ただし、解体の工事作業、廃棄物の中間処理や、これに伴う運搬については、産業部門や運搬部門のCO2排出量として実績値に含まれております。また、炭素税の考え方は既に取り入れられており、広く国民全体が負担することになるよう、エネルギーの原材料である石油等に「地球温暖化対策のための税」が賦課されております。これに重ねて、解体工事のみに対して課税強化を国に求める考えはございません。
次に、常盤橋地区再開発プロジェクトとCO2排出についてですが、再開発後のCO2排出量は、当該プロジェクトに関する環境アセスメント資料から約5.35万トン-CO2と公表されております。再開発前のCO2排出量や、解体工事・新築工事に伴うCO2排出量については公表されておらず、区として数値を持ち合わせておりません。
なお、CO2排出量は、建物の仕様・運用方法や、工事の手法・期間等によって大きく変動いたします。特に、当該再開発は、複数の建物を解体・新築するため、解体工事完了は8年後、4つの建物全てが竣工するのは12年後でございます。その間には、工事にかかわる技術や省エネ・創エネ等の技術の進歩も十分考えられます。こうしたことも踏まえながら、事業者と議論を重ね、より一層の低炭素化を誘導・推進してまいります。
次に、岐阜県高山市との森林整備協定によるCO2吸収の取り組みについてですが、この取り組みは、平成24年度から33年度までの10年間で、高山市有林約100ヘクタールを整備し、この森林整備により育成した森林のCO2吸収量を、区のCO2排出量との間で相殺するものでございます。平成26年度までの3年間で、約250万円の費用をかけ、約33ヘクタールの森林整備を実施し、通算で約600トンのCO2が吸収されたと岐阜県より認定をされております。
引き続き、森林整備面積を拡大し、地方との連携による低炭素化への意識向上や、カーボン・オフセットの推進に寄与させていきたいと考えております。
また、この取り組みは、平成22年に策定した「地球温暖化対策地域推進計画」の施策の1つである「地方の森林整備への協力」として検討がなされ、平成24年に事業開始に至ってものであり、平成25年の同計画改定の際にも、引き続き実施するものとして位置づけられております。
次に、区内樹木による「CO2吸収」効果の数値化に関するご質問にお答えいたします。
樹木によるCO2吸収量については、現状では定量的な把握は困難ですが、開発の機会を捉えて、空地と緑をつくり、歴史的建造物の保存・再生を図った旧博報堂「テラス・スクエア」のような大規模緑地の創出を図っており、これらの緑地・空地はCO2の削減、生物多様性の取り組みに寄与していると考えております。引き続き、緑地・空地の創出に努めていくとともに、CO2吸収効果のわかりやすい見える化の方策について検討をしていきたいと考えております。
37: ◯13番(小枝すみ子議員) 13番小枝すみ子、自席から1点だけ再質問させていただきます。
常盤橋のこのプロジェクトのことを聞きました。これは非常にわかりやすい話で、28万平米が68万平米、つまり2.何倍になるわけですね。2割のCO2削減をしても、(ベルの音あり)これは当然オーバーするわけです。それがどういうふうになっているのか、数字を明らかにしてほしい。概念論よりも、考え方はいろいろある。でも数字を明らかにしてほしいということを私は申し上げているんです。飯田橋のときは遅いからだめ。今は早いからだめ。じゃあ、いつ明らかにしてくれるんですか……
38: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 時間です。
39: ◯13番(小枝すみ子議員) 数字を見える化してください。
40: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 時間です。はい。
41: ◯13番(小枝すみ子議員) 以上です。
〔環境まちづくり部長細越正明君登壇〕
42:
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 小枝議員の再質問にお答えいたします。常盤橋再開発の数値を明らかにしなさいということだと思います。
先ほどご答弁申し上げましたとおり、私どものほうといたしましては、この再開発前のCO2排出量や解体工事、新築工事に伴うCO2の排出量については、公表されておりません。したがいまして、区としてはその数値は持ち合わせておりません。(発言する者あり)
43: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 次に、公明党議員団を代表して、5番大串ひろやす議員。
〔大串ひろやす議員登壇〕
44: ◯5番(大串ひろやす議員) 平成28年第4回定例会に当たり、公明党議員団を代表して質問を行います。
質問の趣旨は、都市と農山漁村のあり方、また地域との連携・交流はいかにあるべきかを問うことにあります。具体的には、欧州で行われているグリーン・ツーリズムの考え方を参考に基本的な考え方を整理すること。その上で、地方との連携・交流の方針を明確にし、事業を推進していくことについて、提案も含めて、質問を行わさせていただきます。
最初に、地方創生について触れておきたいと思います。
平成26年11月に、まち・ひと・しごと創生法が成立いたしました。第1条の目的には、「東京への人口の過度の集中を是正し」との文言が記述されております。いわゆる東京一極集中の是正であります。これは、都市と地方を対立的に捉えるのではなく、都市と地方がともに共存共栄という関係を構築していくということであると理解しております。つまり、今、都市と農山漁村のあり方や地方との連携・交流について、お互い理解を深め、その理念と目的を共有し、事業を推進していくことが共存共栄につながるということではないかと思います。逆を言うと、都市と地方との関係をおろそかにすれば、都市と地方がともに衰退していくということでもあります。そういう危機感を都市と地方がともに持つことに、このたびの地方創生の意義があるのではないでしょうか。
さて、都市と農山漁村のあり方、また、地方との連携・交流についての基本的な考え方であります。このことについては、グリーン・ツーリズムという考え方を参考としてまず示したいと思います。
グリーン・ツーリズムとは、西欧諸国から導入された概念で、西欧では、農山漁村の資源(自然、食、文化、歴史など)は社会的な共通の資本・財産であるということから、社会や国として守っていこうという考え方であります。都市と農山漁村のあり方として、考え方は明確であります。この点、日本はどうだったのでしょうか。和歌山大学観光学部教授の藤田武弘氏は、以下のように述べています。
「戦後経済の回復と発展を旗印に、農山村の労働力は「金の卵」として都市産業に吸収されていき、農山村には、いわゆる「三ちゃん」(じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃん)しか残らなくなりました。こうした動きは、まず「人の空洞化」を生みました。それは耕作地放棄などの「土地の空洞化」を生み、地域資源の維持管理が後退する「むらの空洞化」につながり、ついには農村で暮らし、農業で生計を立てる意味や誇りを喪失させる「誇りの空洞化」にまで行きついたのです」と。大変厳しい指摘であります。
農山漁村の資源(自然、食、文化、歴史など)を社会の共有財産として守っていこうなどという考えは全くなかったのであります。農山漁村に対する西欧と日本の考え方には大きな差がありました。藤田氏は、今では、日本も農山漁村に対する「まなざし」が変化してきており、ようやく日本型のグリーン・ツーリズムとして広がりを見せてきたと述べています。
グリーン・ツーリズムの意義と特徴について確認しておきたいと思います。お二人の学生の方の論文から引用させていただきます。
上智大学外国学部の多屋昌美さんは、卒業論文の中でこう述べています。「グローバリゼーションの中で人々は「物質的な豊かさ」を手に入れたが、人とのかかわり、自然との触れ合いの中で得られる「心の豊かさ」を失いつつあった。本稿では、それらの社会的課題を解決する対策の1つとして、「緑豊かな農山漁村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動」であるグリーン・ツーリズムを取り上げ、グローバリゼーション、経済効率一辺倒の社会にかわる真の豊かな社会のあり方を提示する」と。
また、桜美林大学の大谷尚美さんは、新しい観光のあり方としてグリーン・ツーリズムを取り上げます。「大衆消費社会とは、工業生産が飛躍的に増大し、大量生産、大量消費の経済活動によって人類史上未曾有の経済的豊かさを実現した社会である。その中で、それまで裕福な階級の間に限られていたレジャーが、大衆にも広まってきた。中でも、レジャーの中で人気を博したのが観光であり、大衆消費社会がマス・ツーリズム(大衆化された観光)の発展に拍車をかけた。しかし、1970年代にはマス・ツーリズムの拡大により、観光地の文化、環境の破壊、犯罪や売春、観光地域の住民に対する観光者の経済的、社会的優位性といった問題が顕著となってきた。国際ツーリズムの発展に伴い、観光や大規模な観光開発による自然環境の破壊、汚染も広がった。この問題は、国際観光が広がっている現在でも共通の問題と言える。こうした中で新しい観光のあり方として注目されたものが、グリーン・ツーリズムである」と。
お二人とも的確な指摘をなされ、グリーン・ツーリズムの意義を明確に述べられています。
改めて、グリーン・ツーリズムの意義と特徴を要約しますと、都市と農山漁村が連携・交流することにより、農山漁村の資源である豊かな自然、食、文化、歴史を守り、育み、地域の人々と触れ合い、地域の活性化にもつなげていくこと。そして、そのことは都市と地方がともに失いかけてきた「心の豊かさ」を取り戻すことができますし、また、必要な新しい観光のあり方にもつながっていくということになると思います。
日本も、ヨーロッパまでとはいかなくても、徐々にグリーン・ツーリズムが定着できるような環境が整いつつあります。例えば、週休2日制の定着、リフレッシュ休暇導入等、今後、連続休暇の増加が見込まれること。国民の価値観が効率至上主義の反省から、「物の豊かさ」より「心の豊かさ」を重視する傾向にあること。国民の旅行感が受動的なものから、より能動的で人口実現に向けた旅を希求する方向にあること、などであります。
具体的なグリーン・ツーリズムの例ですが、兵庫県篠山市丸山地区での古民家の再生があります。古民家を宿泊できるように再生し、地域の食文化、生活文化を体験できるようにしたところ、大変人気となり、多くの方が訪れるようになったそうであります。今月11日には菅官房長官も視察に訪れ、古民家の再生が大きくニュースとして取り上げられました。
同じように、古民家の再生ということでは、ちよだプラットフォームの立ち上げからかかわってこられた丑田俊輔氏が五城目町で行っている、「シェアビレッジ」があります。消滅の危機にある古民家を「村」に見立てて再生していくプロジェクトです。
この古民家ですよ。(スクリーンを写真画面に切り替え)
五城目にある古民家。築133年です。維持管理が大変だからということで、消滅の危機にあった。しかも、ここの古民家がある地域は、五城目の朝市が発祥したところ、520年前だそうですよ。そういう歴史のある地域、また古民家。
それを、資金はクラウドファンディングで調達して、この築133年のカヤぶきの古民家を「シェアビレッジ町村(まちむら)」としてオープンしたんです。都会と田舎のシェアリングコミュニティを構築するとしています。既に862人ものサポーターが集まっています。
ホームページには、先ほど申し上げましたが、五城目の朝市は520年も前にこの場所から始まったとのこと。そして、カヤぶきの古民家を初め、このような歴史と文化を守りたいとありました。
はい。(スクリーンの写真画面を切り替え)
ちよだプラットフォームの立ち上げからかかわってくれた丑田俊輔さんの画像ですね。これは、五城目WalkerというPR誌の1ページですけれども、丑田さんです。先日、たまたまですが、丑田氏とお会いする機会があり、直接、シェアビレッジを含む、五城目町での取り組みについてお話をお伺いすることができました。(スクリーンを元に戻す)
福島県喜多方市山都地区宮古集落は、「そばの里」としてまちおこしが行われています。そのコンセプトは、農家の日常が経験できる母屋でおそばが提供される。集落全体がおそば屋さん。3番目に、宮古集落のロケーションがすばらしく、自然を満喫できるなど、集落の自然と食文化を守るまちおこしであります。
今回、質問するに際し、グリーン・ツーリズムの現場を直接見て、直接お話を聞こうと、宮古集落へ議員団として、日帰りの強行日程となりましたが、行ってまいりました。訪問した先は、おそばを提供してくれる農家です。
これは、母屋でおそばを提供してくれる農家の方のところです。(スクリーンの写真画面を切り替え)
お店と違いますので、お品書きもないし、レジもありません。だから、本当に、何ていうんですか、おもてなしを受けているという雰囲気になります。対応してくれた方は、喜多方市山都総合支所産業課長さん、それから山都地区グリーン・ツーリズム推進協議会の方、そして農家のご夫婦であります。(スクリーンを元に戻す)
ご主人にお話をお伺いしました。「標高400メートルを超え、寒暖の差が激しい風土は良質のそばが育つ条件です。宮古では、どこの家でもハレの日のおもてなしにそばを振る舞うのがならわしでした。そのおいしさが口コミで広まり、自分たちの打つそばがこんなに喜ばれるならと、まちおこしとして始めました。もともと客商売にはなれていないので、接客のための研修も行いました」と。「困っていることは?」と聞くと、「集落には、そばを提供してくれる農家は、ピーク時14軒であったが、今は9軒となってしまいました。高齢化や後継者がいないことが悩みです。しかし、一番の問題は風評被害です」と。今も風評被害があることに正直驚きました。
このように一生懸命、村や地域の自然、また、食と文化を守り、来られる方々との交流を大切にしながら働いている住民の方々がいます。本当に、都市と地方との連携・交流という施策を通して何とか応援できないものかと思います。短い時間で決して十分とは言えませんが、宮古集落を訪問して、改めてグリーン・ツーリズムの大切さを実感することができました。
都市と農山漁村のあり方、また、地方との連携・交流とはいかにあるべきなのか。参考としてグリーン・ツーリズムの意義と特徴、また、その取り組みの具体例を紹介させていただきました。
そこで、区長に、都市と農山漁村のあり方、地方との連携・交流について、基本的な考え方をお伺いいたします。
次に、地方との連携・交流事業の今後の進め方についてであります。
平成18年策定の観光ビジョンでは、千代田区へ来ていただく観光と交流、そして来街者を増やすための区の魅力向上が主な内容となっています。これはこれですごく大事でありますが、区民の方が農山漁村へ赴く交流はわずか3行の記述にとどまっています。それは、「全国市町村との連携・交流」の項の最後のところにあります。「市町村レベルの事業展開の中で、交流が芽生え、千代田区民もグリーン・ツーリズムなどにより地方の豊かな自然を体験できるなど、地方との連携には大きな可能性があります」と。地方との連携・交流を「大きな可能性」と表現したことは評価したいと思いますが、その意味するところをもう少し具体的に記述してもらいたかったと思います。多分、今まで申し上げましたグリーン・ツーリズムの意義と特徴、また、その取り組みの効果を「大きな可能性」と表現したものと思います。
もう1つ、平成23年策定の商工振興基本計画には、「地域間交流の活性化」の項に、1)農商工連携による地方都市との交流促進、2)災害被災地との連携強化、3)区内活動拠点の整備支援とあります。こちらは項目だけの記述となっています。
これらを根拠として、現在、千代田区の地方との連携事業は、区、NPO、大学、企業、商店会、観光協会、社会福祉協議会など、それぞれが実施主体となり、大変多くの市町村と連携・交流を行っています。千代田区内におけるものが大半となっています。その内容は、姉妹都市交流あり、災害協定による連携あり、フードバレーあり、文化スポーツ関係ありなど、まことに多岐にわたっています。区の所管も、地域振興部を初め政策経営部、子ども部、環境まちづくり部、保健福祉部と、全ての部において、この連携事業は行われています。
地方との連携・交流事業は、以上のように行っている内容も、所管もさまざまであり、その範囲は極めて広くなっています。ゆえに、ややもすると、連携・交流事業のゴールが見えにくくなってしまわないか心配でもあります。ゴールのビジョンを欠いた施策の展開では成果は得がたいからであります。よって、庁内はもちろん、連携を希望する相手の自治体とも理念や目的を共有することはとても大事となります。
そこで提案ですが、都市と農山漁村のあり方について、その考え方を整理し、地方との連携・交流を進めるための方針を定めてはどうでしょうか。先ほどの「大きな可能性」を方針として示すものです。仮称「地方との連携・交流推進方針」の策定です。
さらに、もう1つ提案があります。それは担当課の設置であります。庁内各部門の連携を積極的に支援し、各部門が主体的に事業を推進できるようにしてはどうでしょうか。具体的には、1)窓口・相談機能。これは、千代田区との連携を希望する自治体に対する区の窓口であり、また、庁内各部門の相談窓口となります。2)情報収集・発信機能。SNSなどを活用した情報の発信などであります。3)調整機能。これは、双方の課題や要望を整理し、連携・交流に向けて調整を行います。4)政策立案機能。施策の実現や課題解決に向けた政策立案支援です。
以上、4つの機能を担う担当課の設置です。
2つの提案をさせていただきました。地方との連携・交流事業について、今後どのように推進していくのかお伺いします。また、仮称「地方との連携・交流推進方針」の策定と担当課の設置を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。
次に、グリーン・ツーリズムも含めた地方との連携・交流についてであります。
現在、区が主体となってグリーン・ツーリズムを行っている事業はありませんが、子ども部が行っている、小学校の5年生が対象の、各小学校合わせて約500名が参加しています嬬恋村自然体験交流教室は、その内容からも、グリーン・ツーリズムと言えます。また、先ほど大変多くの市町村と連携・交流を行っていると申し上げましたNPOや大学、企業などが行っている事業の中にも、グリーン・ツーリズム型のものもきっとあると思います。千代田区では、今はまだ少ないかもしれませんが、今後、グリーン・ツーリズム型の連携・交流は間違いなく増えてくるでしょう。その交流のあり方もさまざまであると思います。10人いたら10通りのグリーン・ツーリズムがあるかもしれません。また、観光も、従来のマス・ツーリズムから、徐々にではありますが、同様に、確実にグリーン・ツーリズムの比率は増えてこようかと思います。その背景は、先ほど述べたとおりであります。
今後、グリーン・ツーリズムの考え方に共感し、農山漁村に行き、連携・交流や活動を希望する在勤、在学も含めた区民の方が出てこようと思います。その際、区として何らかの支援はできないものか。支援するとなれば一般の観光とは区別するため、何らかの審査も必要となるでしょう。都心の千代田区がグリーン・ツーリズムを通して農山漁村との連携・交流を促進していくことの意味は極めて大きいものがあります。
そこで、グリーン・ツーリズムも含めた地方との連携・交流を今後どのように推進していくのか、お伺いします。また、区民の方がグリーン・ツーリズムを通して地方との連携・交流や活動を行う場合、区として何らかの支援はできないか、お伺いいたします。
次に、人材育成についてであります。
先月、高齢者のかがやき大学にコミュニティデザイナーの山崎亮氏が講師となり、「まちの幸福論」というテーマで講演がありました。70名の高齢者の方が参加されたそうです。また、先々週の19日には、社会福祉協議会ボランティアセンター主催の「つなカフェ」がありました。そこには、雑誌「ソトコト」の編集長、指出一正氏がメーンゲストとして参加されてトークイベントが開催されました。山崎氏も指出氏も、全国の農山漁村の地域でまちおこしを陰ながら支えている、いわば仕掛け人のような方です。お二人に共通していることは、「住民の主体性」を大切にしていることです。
山崎氏は、「まちの幸福論」という本の中で、以下のように述べています。「至れり尽くせりの環境ができてしまうと、そこに暮らす人はお客さんに変わってしまう。その結果として住民の主体性は失われていく。これが住民同士のつながりを断ち切り、日本のまちを疲弊させてしまった大きな要因だと思えてならない」「まちづくりに携わる者は、住民をお客さん扱いしてはならないし、住民もまた楽な生活を与えてもらおうなんて思ってはならない。まちの幸せをつくるための原点となるのは、「このまちは自分たちのものだ」という住民の覚悟だ。至れり尽くせりの開発や支援は、自分たちの生活を考えていく創造性をまちの人たちから奪うことにもなってしまう」と。私もそのとおりだと思います。
山崎氏、指出氏そして五城目の丑田氏のように、地域の住民が主体的にまちおこしの活動ができるように支える人材がぜひとも必要であります。地方との連携を進めるに当たり、農山漁村から東京に来られている人が、地元に帰ってまちおこしの活動がしたいとの相談があれば、ぜひとも協力し、そのための支援として研修を行ってはどうでしょうか。また、区民の方が同様に、農山漁村での活動を希望される場合も同様であります。幸い、千代田区には、ちよだプラットフォームや農商工連携サポートセンターがあり、その蓄積とネットワークもあります。事業の趣旨に共感し、講師を引き受けてくださる方もいることと思います。実際、先ほどの丑田氏は、プラットフォームと協力し、既に研修の講師役を引き受けてくださっているとお聞きしました。地方との連携・交流を行うに人材育成はセットであります。
そこで、今後、地方との連携・交流を支える人材の育成を区としてどのように行っていくのか、お伺いいたします。
以上、都市と農山漁村のあり方、地方との連携・交流について質問させていただきました。
区長並びに関係理事者の前向きな答弁を期待し、公明党議員団の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
45: ◯区長(石川雅己君) 大串議員の地方との連携、都市と農村のあり方に関するご質問に、概括的に、私から答弁を申し上げます。
今、大串議員からもお話がありました、丑田さんについては、ご案内のとおり、私も11月の下旬にお会いしております。彼は、まさに大串議員がお話しのように、プラットフォームで事業を立ち上げるためのシェアオフィスの一員として、おりました。一方、五城目の町長には、ぜひプラットフォームにシェアオフィスとして場所を借りたらどうですかという、私も示唆をいたしまして、そういうことがつながって、丑田氏は、ご承知のとおり、五城目の小学校の廃校のところを使って、かなり事業を立ち上げております。特に秋田は教育県ということでございますので、さまざまに五城目の学校を使って事業起こしで、今、2年たって6社か7社があそこに張りついております。まさに、ある面では、千代田区が地方との連携の人材養成という、そういう役割をプラットフォームが担っているんだろうと思います。
これからも、そうした意味で、あのプラットフォームという組織が、ある面ではNPOの商工連携の拠点であったり、それからさまざまな人材を養成し、そして企業を起こす、そういう仕掛けの拠点でありますので、さまざまに地方とのそうした人材育成のネットワーク化を図るように、これからもしっかりと我々はバックアップをしていきたいと思っております。
ところで、都市と地方との関係について、連携ということで申し上げるならば、都市と地方は対立関係ではなく、共存共栄の中にこそ育まれるべきであるというのは、私は、何回も申し上げているわけでございます。特に、大都市の千代田区というのは、人材はもとより、食料やエネルギーなど、経済活動、生活全般にわたって地方との関係は切っても切れない関係であろうと思います。そして、人口減少社会にあって、地方都市の衰退が懸念される中で、いずれそのことは回り回って、回り回って大都市である我々のところにも及ぶという、そういう、私は危機感を持って地方との連携に、これからも相当力を入れていかなきゃいけない。その中には、人材という問題もあれば、大串議員がおっしゃるようなグリーン・ツーリズムという考え方もあると思います。いずれにいたしましても、今後、そうしたことに相当な力を入れていきたいと思います。
ところで、こうしたことを体系的に整理するということがまず求められていると思います。地方との連携については、今、40プロジェクトぐらいがつながっておりますが、それがきちっと整理ができていない。そこで、地方との連携についての基本的な考え方、整理を、地域振興部を中心にして整理をし、そうしたことの状況を踏まえて、専門の担当の組織をつくっていくことになろうかと思います。ぜひ、29年度、そうしたことをしっかりと取り組みながら、議員ご指摘のような地方との連携を実のあるものにつくり変えていきたいと思います。
なお、詳細その他については関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
46:
◯地域振興部長(立川資久君) 大串議員のご質問に、区長答弁を補足してお答えいたします。
まず、グリーン・ツーリズムも含めた地方との連携・交流の推進についてであります。
現在、ちよだフードバレーネットワークや商店街、町会などが開催する各種イベント等を通じて、地方の産品を都心で消費することで、地方の歴史や文化など地方都市の魅力に触れていただく機会が設けられております。
一方、議員ご提案のように、グリーン・ツーリズムの精神に基づき、都市と地方との連携・交流を促進するため、千代田区の在住・在勤・在学者が農山漁村等に出向き、現地の住民や生産者と触れ合う中で、心の豊かさを涵養できる機会を創出することが大変重要であります。
ちよだフードバレーネットワークを担うNPO法人農商工連携サポートセンターでは、区民等が国内の農山漁村等に出向き、農作業などを体験するツアーを、昨年度、12回開催いたしました。今後は、グリーン・ツーリズムを十分に意識し、こうした取り組みが一層充実したものとなるよう支援してまいります。
また、都心から地方への新たな人の流れをつくり出すための事業を、当該NPOやまちみらい千代田等と検討し、改定作業中の商工振興基本計画に盛り込む予定であります。なお、ご提案の「地方との連携・交流推進方針」についても検討をしてまいります。
次に、地方との連携・交流を支える人材育成についてであります。
議員のご質問及び区長答弁にもございましたが、地方都市の活性化に貢献できる人材の育成・輩出については、既にプラットフォーム株式会社が運営するインキュベーション施設において実績がございます。また、先ほどのNPOにおいても、都市農村交流に関する講演会に講師を派遣しましたり、人材育成講習会、人材活用セミナーなどを頻繁に開催し、地方との連携・交流を継続的に支える人材の育成に努めております。
今後、地方との新たな交流が生まれ、関係が充実していく中で、地方との連携を支える担い手を育成する取り組みを一層充実してまいります。
47: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 以上で、各会派の代表質問を終わります。
議事の都合により休憩します。
午後4時37分 休憩
午後5時00分 再開
48: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問に入ります。
通告順に質問をお願いします。
初めに、24番小林やすお議員。
〔小林やすお議員登壇〕
49: ◯24番(小林やすお議員) 平成28年第4回区議会定例会において、自由民主党議員団の一員として一般質問をいたします。
今日の質問を準備するに当たり、資料としてのテレビニュースをビデオデッキのハードディスクに保存してありました。そのデータをDVDに録画して、終了後、オンタイムのテレビ画面に戻したところ、画面には高齢者の運転による事故のニュースがあらわれました。「えっ。たしか、スイッチは切ったはずなのに間違えたかな」と思った次の瞬間、あ、そうか、今日も高齢者ドライバーの事故があったのだとわかりました。(発言する者あり)
この10年間の統計では、交通事故全体の発生件数は減っていますが、免許を保有する高齢者が増え、高齢者の事故は倍増しています。最近の高齢者ドライバーによる大きな事故としては、11月10日に栃木県下野市にある、自治医科大学付属病院の駐車場から出ようとした84歳男性の運転する車がバス停に突っ込む暴走事故があり、女性3人が巻き込まれ、港区の女性が亡くなり、2人が負傷する事故がありました。警察では、ハンドル操作とアクセルの踏み間違いと見ています。
同じく病院の関係では、12日に立川市で83歳の女性が運転する車が、病院駐車場から出るとき、料金所のバーを押しのけてそのまま直進、車道と植え込みを突っ切って歩道に乗り上げ、歩道を歩いていた男女2人をはね、お気の毒にもお2人はお亡くなりになりました。警察によると、車内には小銭が散らばっており、精算機に料金を投入しようとした際、誤ってアクセルを踏み込んだ可能性があるとしています。
翌日の13日には、小金井市で、交差点を自転車で横断中の女性に、81歳男性の運転する車が左折する際に女性をはね、自転車女性は頭部を強く打って、亡くなりました。原因はドライバーの加齢による視野の低下などが考えられます。
また、翌日の14日午前8時ごろ、茨城県つくば市で77歳男性の軽トラックと64歳男性の軽乗用車の事故に、近くを走っていた79歳男性の軽ワゴンも巻き込まれ、64歳男性が亡くなりました。
また、その翌日の9時ごろには、京都府宇治市で82歳男性の車が郵便局に激突。アクセルとブレーキの踏み間違いかと思われます。
さらに、その日10時ごろには、山梨県上野原市で、82歳男性の車が住宅に突っ込みました。幸いけが人はなく、運転の男性は、駐車場にとめようとした際にブレーキとアクセルを踏み間違えたと話しています。
そして、認知症の事例では、11月20日に、中国自動車道で、70歳男性の車がひょうご東条インターチェンジから加西インターチェンジまで約20キロを逆走し、兵庫県警高速隊に保護されました。男性は、逆走をしていた認識はなかったと話しています。(スクリーンを写真画面に切り替え)
画像のように、返納について家族に言われても、まだまだ大丈夫、返納は自尊心が許さないと思う方が多いようです。
以上のごとく毎日のように起こる高齢者ドライバーによる重大交通事故は、加齢による危機対処のおくれ、加齢による認知機能の低下、加齢による視野の低下などが挙げられ、それらが原因で、高速道路の逆走、一時停止をしない、ペダルの踏み間違いなどが起こります。(スクリーンを元に戻す)
現在70歳以上のドライバーには、無事故でも3年ごとに免許更新と高齢者講習が義務づけられ、来年3月からの改正道路交通法では、75歳以上で事故を起こした人に認知症の簡易検査をして、認知症のおそれありと判断されれば、医師の診断が義務づけられ、認知症と医師が判断すれば、免許証が取り消しになります。ただし、この検査はアルツハイマー型の認知症を調べるもので、それ以外の認知症の方はクリアしてしまいます。
そんな中、神奈川県藤沢市にある、鎌倉時代末期に起こった浄土教の一宗派、時宗総本山の他阿真円上人が11月15日に藤沢署を訪れ、運転免許証を自主返納いたしました。
上人は、大正8年生まれで97歳。時宗の開祖一偏上人から数え、74代目の法主であり、90歳を過ぎてからは運転をやめましたが、ご本人は100歳まで免許を持っていたいと思っていたところ、10月に横浜市内で87歳男性の運転するトラックが児童の列に突っ込み、1人が亡くなり、7人が重軽傷を負った事故が起きたのをきっかけに、返納を決意したそうです。そして、上人は、自主返納には自治体の支援も必要だと語っています。
以前から高齢者ドライバーの高速逆走やブレーキとアクセルの踏み間違え事故はありましたが、横浜の痛ましい事故によって、その危うさを人々が再認識したのは確かであります。
最近では、自動車メーカーも事故を未然に防ぐ技術として、自動ブレーキや車線逸脱警報機能の標準装備化を進めていますが、高額のためオプションでの装着が多く、全ての車に装備されていません。今後は、アクセルの踏み間違え、防止技術の開発を急いでいただきたく思います。
高齢者ドライバーの事故は、年齢では一律に語ることはできません。警視庁によりますと、去年運転免許証を返納した都内の65歳以上の高齢者は3万5,707人で、一昨年に比べ8,000人余り増え、これまでで最も多くなりました。(スクリーンを写真画面に切り替え)
運転免許証は、各種手続などで、身分証明書としてさまざまな場面で活用されてきました。24年度からは、画像のように免許証を自主返納すると、希望により、有料ですが運転経歴証明書が発行され、身分証明書として使えます。(スクリーンの写真画面を切り替え)
この運転経歴証明書は免許証に似た形状で、自主返納から5年以内であれば申請可能であり、無期限で使えます。紛失しても、再発行も可能です。車は20世紀最大の発明の1つで、これだけ利便性のよい乗り物の運転資格を手放すのは難しいと思いますが、交通インフラの整った都心区千代田では、返納は進むと思います。(スクリーンを元に戻す)
これらの重大事故事例の中には区民に関するものはありませんが、いつ区民の高齢者ドライバーが加害者になるかもわからない状況の中で、千代田区としては、区民を重大犯罪者にさせないため、また、区民等が被害者にならないため、いずれの立場に立っても不幸な話であり、区民保護の立場に立ち、さまざまなインセンティブを付与するなど、区としても免許証返納について促進する方向で考える必要があると思います。
免許証返納については、警視庁ホームページでは幾つかの特典が紹介されていて、千代田区内では帝国ホテルの直営レストラン10%割引などの特典もありますし、おばあちゃんの原宿として有名な巣鴨地蔵通り商店街でも割引がありました。そのほかでは、引っ越し料金の割引、デパートの配送料無料、定期預金の金利優遇などがあります。
区民が免許証を返納するに当たり、区民限定インセンティブの一つとして、運転経歴証明書の発行手数料を区が負担する、または福祉バス「風ぐるま」の時限付き無料パスの付与、区民宿泊施設の1泊招待券の進呈などが考えられますが、いかがでしょうか。
なお、返納時に特典を付与するには、年齢を何歳にするかなど議論の余地もありますが、区として運転免許証の返納促進に向けて検討すべきと思います。
以上、高齢者ドライバーの自動車運転による重大事故防止及び区民等が被害者にならないため、早急に検討すべきであると訴え、私の一般質問を終わります。(発言する者あり)(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
50: ◯区長(石川雅己君) 小林(や)議員の高齢者の運転免許証返納に関するご質問にお答えいたします。
ご質問にもありましたように、近年、高齢者ドライバーによる悲惨な交通事故が後を絶たず、そうした報道を耳にするたびに、私も胸が非常に痛みます。75歳以上の高齢者の免許保有数も年々増加をしておりまして、高齢化が進む我が国におきまして、国を挙げて取り組まなければならない大きな課題だと認識しております。
国は、ご質問にもありましたように、来年3月に、認知症のおそれのある75歳以上の高齢運転者に対しまして、医師の診断を義務づけるなど、認知症対策を強化した改正道路交通法の施行に向けて、検討を開始していると聞いております。まずは改正道路交通法の円滑な施行を期待いたしますとともに、自動車の運転に不安を感じる高齢者の移動手段をきちっと確保するなど、社会全体で高齢者の生活を支える体制を整備していくこともあわせて考えていかなければならないと思います。
議員ご指摘の運転者自らが免許証を返納しやすい環境というのは、まさにこうした高齢者に優しい社会が構築されていることだろうと思います。国や警察の動向も見きわめながら、区としても何らかの方途を検討すべき時期に来ていると思っております。
なお、詳細については、関係理事者を持ってご答弁をいたさせます。
〔環境まちづくり部長細越正明君登壇〕
51:
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 小林やすお議員の高齢者の運転免許証返納に関するご質問について、区長答弁を補足してお答えいたします。
自らの意思で長年所持している運転免許証を返納するということは、便利な移動手段を減らすだけではなく、その方の生活環境を大きく変えることになり、軽々に決断するものではないと認識しております。そのため、区といたしましては、道路交通法の改正を視野に入れ、さまざまな機会を通じて高齢者やそのご家族に対して注意喚起と周知徹底を図ることで、高齢者が免許証を返納しやすい環境を構築してまいります。
議員ご提案の免許証返納時のインセンティブ付与は、返納促進策として有効であると考えております。また、全国の自治体において、タクシーチケットやバス・鉄道の交通プリペイドカードの交付、商店街での割引やギフトカードの提供、さらには美術館等の無料券の配付など、さまざまな取り組み事例があることも承知しております。まずはその有効性について検証するとともに、高齢者ドライバーを含む区民の安全安心の観点から、千代田区における地域特性を考慮した方策について検討してまいります。
52: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 次に、6番米田かずや議員。
〔米田かずや議員登壇〕
53: ◯6番(米田かずや議員) 平成28年第4回区議会定例会におきまして、公明党議員団の一員として一般質問させていただきます。
本年の夏、ブラジル、リオデジャネイロで開催されたオリンピック・パラリンピックに、日本中が熱狂いたしました。オリンピック競技では、金メダル12個、銀メダル8個、銅メダル21個、合計メダル数41個を獲得し、過去最高数となり、パラリンピック競技でも、銀メダル10個、銅メダル14個を獲得するなど、多くの国民を喜ばせてくれました。中でも柔道競技で千代田区出身のベイカー茉秋選手が金メダルを獲得したときは千代田区中が沸き上がり、大いに盛り上がったことは記憶に新しいところです。
4年後は東京です。リオ大会以上の日本選手の活躍が自然と期待されます。また、その競技を観戦できることを思うと、今から胸が躍ります。
2020年の東京大会は千代田区が直接競技にかかわるわけではありませんが、さまざまな施策を進める大きな契機です。ただ単にスポーツの祭典というわけでなく、文化プログラムも重要な位置づけとなっており、健全な精神の育成には、スポーツだけでなく文化的イベントも必要だと、1992年のバルセロナ大会から、開催都市には文化プログラムの実施が義務づけられています。2012年のロンドン大会では、「アンリミテッド」というタイトルで行われた障がい者アーツを含むさまざまな文化イベントが、開催都市のロンドンだけでなく英国全土で繰り広げられ、大会を盛り上げたとあります。千代田区にも国内外に誇れる文化と芸術がたくさんあります。これからの4年間で、文化的プログラムを重点的に推進していくことと発信していくことが必要なことと考えます。
そこでお伺いいたします。リオ大会も終わり、東京まで4年を切りました。実際に先月から東京2020文化オリンピアードも始まっており、全国に展開していきます。区長の招集挨拶にもありましたが、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた基本的な考え方と、千代田区ならではの文化の発信についてお聞かせください。
次に、オリンピック・パラリンピックを生かした教育についてお伺いいたします。
東京都教育委員会及び生活文化局は、幼児・児童・生徒がオリンピアンやパラリンピアン等との直接交流により、オリンピック・パラリンピックの理念や価値を理解し、スポーツへの関心を高め、夢に向かって努力したり、困難を克服したりする意欲を養い、進んで平和な社会や共生社会の実現に貢献できるようにする目的で、「夢・未来プロジェクト」を昨年より実施しております。
その内容は3つの事業に分かれており、1、「YOKOSO」プロジェクト。我が国のオリンピアン、パラリンピアンまたは著名な指導者を学校に派遣し、夢、希望、感動との出合いや自己実現に向けての努力、困難に立ち向かう意欲等を育成することを狙いとして、特別講演、競技紹介、実技指導等を実施する。
2、「WELCOME」プロジェクト。在日の外国人アスリートを学校に派遣し、外国人との交流を通じた国際理解の推進、スポーツへの興味・関心の向上等を狙いとして、外国の文化・習慣の紹介、スポーツを通じた交流等を実施する。また、日本人のマナー講座の講師を派遣し、外国人に対する挨拶や日本文化を紹介する方法等を実践する。
3、「自分にチャレンジ」プロジェクト。パラリンピアンを学校に派遣し、パラリンピック競技等の障がい者スポーツへの興味・関心の向上や、障がいのある人への理解を深めることを狙いとして、特別講演や障がい者スポーツの体験教室等を実施する。また、近隣の特別支援学校の児童・生徒との交流を実施することにより、共生社会の意義を学ぶとあります。
千代田区でも、平成27年は、番町幼稚園、お茶の水小学校、平成28年は、九段幼稚園・九段小学校で実施され、大変に好評でした。このほかにも、夢の課外授業など、区の幼稚園、小・中学校で行われており、毎回、生徒に感動と希望を与えております。区としても、オリンピック・パラリンピック教育の推進として、各学校・園に対し、30万円を上限としながら、伝統・文化やアスリートの招聘、体力向上の取り組みなど、各学校・園の事情に合わせて実施しており、和泉小学校では本年の10月に、2004年アテネパラリンピック金メダリスト、盲目の高橋勇市さんを招聘し、講演と体験授業をしてくださり、生徒に大きな感動を与えてくれました。
講演の中で、「小学校では皆さんのように目が見えて、運動が好きでした。けれど、高校生になり、だんだん目が見えにくくなり、ふさぎ込んでしまった。そのときに母親に励まされて頑張った」などの障がいを乗り越えた話をしてくださり、体験授業では6年生が校庭でアイマスクをしながら実際に歩いてみる体験、また高橋選手が補助の方と一緒に走っている姿を見せてくれました。6年生もアイマスクを体験しているので、そのすごさを改めて実感し、どんな障がいがあっても負けないで努力するすばらしさ、諦めないで頑張るすばらしさを勉強できたと伺いました。
また、11月に、2000年シドニーパラリンピック、男子バスケットボール日本代表キャプテン、根木慎志選手を招聘し、講演と体験授業をしてくださりました。
ここでも、生徒の感想の中で、「障がいがあっても、根木さんが諦めないでチャレンジをして、シドニーパラリンピックに出場したと聞いて、私も根木さんのように諦めないで何事にもチャレンジしていきたいです」、「私はオリンピックのことは大体知っていたけれど、パラリンピックのことは名前ぐらいしかわかりませんでした。けれども、根木選手に会って、パラリンピックに興味が出てきました。パラリンピックでも、オリンピックと同じようなことをするのにとても驚きました。そして、根木選手は諦めない力を持っていたので、私も根木選手のように諦めないことを頑張っていきたいと思います」など、多くの生徒に勇気と感動を与えるだけでなく、オリンピック・パラリンピックのすばらしさを実感し、夢や希望を持つことの大事さと、障がい者理解、ボランティアマインドを学ぶ、よい機会になったと思います。
このように、オリンピック・パラリンピック選手による講演と体験授業は、生徒の心をつかみ、今後の人生によい影響を及ぼすことは間違いないと思います。
先ほど紹介した以外にも、オリンピアン、パラリンピアンの招聘は、平成24年度から、女子レスリング金メダリストの吉田沙保里選手など、すばらしい選手20名を招聘していただいております。今後もこの事業を継続していくと聞いております。大いに期待しております。
そこでお伺いいたします。来年度の招聘する選手はもう既に決まっているのでしょうか。これから選考するのであれば、パラリンピアンの方を中心に招聘することを提案いたします。オリンピアンの選手を招聘しても十分にすばらしいのですが、パラリンピアンの選手を招聘することにより、先ほどの生徒の感想にもありましたように、どんな障がいがあっても負けないで努力するすばらしさ、諦めないで頑張るすばらしさを勉強できたなどを学ぶだけでなく、思いやりの心、障がい者への理解を深める教育につながると思います。ご所見をお聞かせください。
次に、ボランティアの養成です。
言うまでもなく、どのオリンピック・パラリンピック大会でも、ボランティアの存在なくして成り立ちません。ロンドン大会では、さまざまな背景や能力を有する人々がボランティアに応募し、大会ボランティアには約24万人、都市ボランティアには約2万4,000人の応募がありました。これらの応募者から選考された約7万人の大会ボランティアを「ゲームズメーカー(大会を創る人)」、約8,000人の都市ボランティアを「ロンドン・アンバサダー」と呼び、大会期間中、それぞれがプロフェッショナルとして誇りを持って活動し、大会を成功に導きました。また、大会終了後にボランティアのネットワークが引き継がれ、ボランティア募集情報が継承されることで、大多数の人が大会後も継続的にボランティア活動に参加しています。
リオ大会においては、約5万人が大会ボランティアとして大会運営に携わるとともに、約1,700人のシティ・ホストが国内外からの旅行者や観客の案内・誘導を行いました。ボランティア及びスタッフの一人一人が活動を楽しむことで大会全体を盛り上げ、明るく親しみやすい対応により、楽しい雰囲気を醸成したと言われています。
東京の組織委員会でも、今月に、東京大会に向けたボランティア戦力(案)を作成し、動き出しています。基本的には、大会ボランティアは組織委員会が、都市ボランティアは都が募集・研修・運営を行いますが、競技会場を有する自治体と十分に連携し、大会の成功を実現できるよう、一体的な取り組みと推進を検討していくとあります。
千代田区は、柔道、ウエートリフティングなど、競技会場になります。当然、連携しながら進めていくものだとは思いますが、千代田区のボランティアの養成も必要になると思います。東京大会のビジョンのコンセプトの1つに、多様性と調和があります。大会後も見据え、多様な人材の活躍を促進していくことが重要であり、年齢、性別、国籍、障がいの有無にかかわらず、さまざまな方が生き生きとボランティアとして活躍するとともに、大会後もボランティア活動を継続できるような取り組みが重要と考えます。千代田区のボランティアもそうあるべきだと思います。それが区長の招集挨拶の中にもありました、千代田区に住み、集う多様な方々がそれぞれの立場や障がいの有無を乗り越え、互いの価値観や文化を受け入れ、交流できる共生社会につながり、千代田区ならではのオリンピック・パラリンピックレガシーにつながると考えます。千代田区のボランティア養成についてご所見をお聞かせください。
次に、路面下空洞調査についてお伺いいたします。
今月8日未明に、福岡市博多区の道路が、広さ30メートル四方、深さ約15メートルにわたって陥没した事故が起きました。幸いにも死者はなく、大惨事にも至りませんでしたが、道路5車線が全面通行止め、周辺では停電や断水が相次ぎ、ガスの供給も止まり、いわゆるライフラインがストップしてしまいました。事故後すぐに福岡市、警察、関係各位の素早い対応と努力で、大きな二次災害もなく早期復旧したことは、国内だけでなく海外でもニュースに取り上げられました。本区においても参考にすべきところがあったと思います。
地下鉄が多く通っている本区も他人事ではなく、区民の方より、千代田区内は大丈夫かとの問い合わせをよくいただきます。今回の博多の大陥没は、工事に伴う事故ではありましたが、未然に陥没を防ぐ必要があります。そのため、本区も今年度よりレーダーによる路面下空洞調査を実施しており、昨年の第3回定例会で質問して以来、早期に実施していただいたことを高く評価したいと思います。また、来年度以降も年次計画を立てて取り組んでいくと伺っております。現在調査中で結果はまだ出ていないかと思いますが、今回の博多の陥没を受けて、多くの区民の方も注目しています。既に23区内では、葛飾区、新宿区、板橋区、港区などが路面下の空洞調査の結果と補修状況をホームページで公表しています。
そこで提案ですが、本区も安心して区道を通行していただくためにも、調査結果を受けて、区のホームページ等でレーダーによる路面下空洞調査を実施していることと、そしてその結果と補修などの対応について公開をしてはいかがでしょうか。ご所見をお聞かせください。
次に、危機管理について伺います。
路面下空洞調査は、これまで空洞の原因となる下水道の老朽化に着目された維持管理の視点で議論されてきました。しかし、3.11の東日本大震災や先日の博多の大陥没事故を契機に、災害時に
道路機能を寸断させる道路陥没には、危機管理の視点も必要ということがわかりました。今回、路面下空洞調査を行っている路線は、千代田区が指定する緊急道路障害物除去路線の一部であり、防災、減災に向けた具体的なアクションが開始したと理解しています。調査で見つかった空洞は、陥没の危険度まで診断して、危険度の高いものから補修していくことと思いますが、調査で得た結果をどのように活用していくのか、担当部局の考えをお聞かせください。
また、補修までさまざまな要因で時間を要する空洞については、地震等で陥没するおそれがあると考えられるので、例えば区が地域防災計画で定めている緊急道路障害物除去体制の中に危険箇所として伝達することで、覆工板や土のうの準備をしていくなど、具体的なアクションが可能になると考えます。このように、調査の結果をしっかりと防災計画の応急措置等に盛り込むことで、より具体的な減災が進むと考えます。ご所見をお聞かせください。
以上、東京オリンピック・パラリンピックについてと福岡市道路陥没をうけてについて質問させていただきました。区長、教育長並びに関係理事者の前向きな答弁を期待し、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
54: ◯区長(石川雅己君) 米田議員の2020年東京オリンピック・パラリンピックに関する基本姿勢についてのご質問にお答えいたします。
リオ2016競技大会は閉会し、いよいよ4年後の東京2020年大会に世界の注目が集まっております。私は成熟した都市で開催される東京五輪の祭典につきましては、パラリンピックの重要性をきちっと認識しております。そこで、4年前にロンドンパラリンピックで金メダルを獲得した秋山里奈選手を区の「トークの集い」に招聘したことがございます。秋山選手は、当時明治大学に通い、視覚障がい者として競泳に出場し、金メダルをとった選手であります。
秋山選手は、諦めないことを象徴する言葉として、夢を諦めないことの大切さを金メダルという形で証明できて本当にうれしいと話しておりました。何度も挫折を繰り返し、それを乗り越えてきた秋山選手ですが、そのつらさや苦しさを感じさせず、明るくさわやかな姿でお話をされ、多くの方が感動を覚えました。私も当日参加いたしましたけど、今でもその姿が鮮明に私の脳裏に残っております。パラリンピック精神とも言える、「失われたものを数えるな。残されたものを最大限生かせ」という哲学を学び行動することの大切さを、改めてあらゆる場面で発信していく必要があると思います。そして、心のバリアフリーを進め、障がいのあるなしにかかわらず、心のバリアを取り除く必要があると思います。
議員ご指摘のように、その思いをまずは子どもたちに伝えるために、各学校において、パラリンピック選手との触れ合う機会を、教育委員会としてぜひ設けていただくことがこのオリンピックを迎える大切なことだろうと思っております。教育委員会に期待をいたしたいと思います。
そして、選手と生徒との交流は、諦めない心、思いやりの心を育む大切な機会になると思います。また、オリンピック等における文化振興の位置づけも大切だと思います。東京オリンピック・パラリンピックを機会に、千代田区ならではの伝統文化の見える化とともに、音楽や絵画などを通じたイベントを開催することで、多くの人々に感動を与えるようなことをしっかりと考えていきたいと思います。
文化の発信については、区長会でも検討を始めております。他の自治体との連携も視野に置き、これから鋭意内容を詰め、議会にもご説明をし、両方で積極的にこの問題を取り組んでまいりたいと思います。
これらの一連の施策を促進することで、共生社会や豊かな社会の実現を加速させ、次世代につなげていくことになると私は信じております。そのことにより、オリンピック・パラリンピックレガシーの創出を実現してまいりたいと思います。
なお、詳細、他の事項については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〔教育担当部長小川賢太郎君登壇〕
55:
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 米田議員のオリンピック・パラリンピックを生かした教育についてのご質問に、区長答弁を補足してお答えいたします。
本区では2020年の東京オリンピック・パラリンピックを貴重な教育の機会であると捉え、東京都と連携を図りながら、オリンピック・パラリンピック教育を進めております。オリンピック・パラリンピック教育で育成すべき資質や能力について、心の教育、共生社会、スポーツ志向、伝統文化、国際教育の5つの視点を区独自に掲げ、教育活動を行っております。
議員ご指摘のパラリンピアンと連携した教育は、障がい者理解を促進する共生社会の視点に位置づけ、取り組んでいるところでございます。具体的には、パラリンピアンを授業にお招きし、実際にお話を伺ったり、競技の様子を見たりする中で、障がいのある方への理解を深めるとともに、困難なことがあっても最後まで諦めないことの大切さや、夢に向かって努力をし続けているすばらしさなどを学んでおります。また、車椅子体験やバリアフリーに配慮したまちづくりに関する学習を通じて、障がい者の視点などを学んでいます。
ご提案いただきましたパラリンピアンを中心とした学校への招聘につきましては、現時点では未定でございますが、来年度もパラリンピアンを招聘する方向で調整を進めてまいります。オリンピック・パラリンピックは、子どもの心や体の成長のためのまたとない機会であり、可能な限り、オリンピアン、パラリンピアンを招聘して、体験的に学習する機会とするなど、積極的に取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック担当部長立川資久君登壇〕
56: ◯オリンピック・パラリンピック担当部長(立川資久君) 米田議員のオリンピック・パラリンピックに関するご質問のうち、ボランティアの養成についてお答えいたします。
オリンピック・パラリンピックにかかわるボランティアは、大会期間中に競技会場や選手村などで競技運営のサポートにかかわる大会ボランティアと、駅や観光地などで案内を担当する都市ボランティアの2種類となっており、ロンドン大会においては、約7万8,000人のボランティアが活躍しましたことは、議員ご指摘のとおりでございます。
東京大会では、大会ボランティアと都市ボランティア、合わせて9万人以上の活躍が想定されているところでございます。千代田区におきましては、例えば江戸東京ガイドの会と連携したガイドボランティア育成セミナーの実施、おもてなしランナー協会が実施する英会話講習会等への支援、高齢者や障がいをお持ちの方も安心して外出できるよう、介助に必要な知識と技術を学ぶおもてなしボランティア養成講座の実施など、これまでもボランティアの養成に取り組んでまいりました。大会ボランティアについては組織委員会が、都市ボランティアについては東京都が、それぞれ募集や研修、運営を行いますが、千代田区内においても日本武道館を初めとする競技会場が予定されております。そのため、多様性や障がいの有無、多言語化にも配慮したおもてなしの心を持ったボランティアである外国人おもてなし語学ボランティア養成講座を実施するなど、大会期間中だけでなく、レガシーとして次代につなげていくことができるよう、大会組織委員会、東京都と連携しながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〔環境まちづくり部長細越正明君登壇〕
57:
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 米田議員の空洞調査に関するご質問についてお答えいたします。
路面下空洞調査の実施状況につきましては、今年度から3カ年で、交通量が多く、幹線やその補完する路線となる、幅員11メートル以上の区道について実施する予定でございます。そのうち、今年度は緊急道路障害物除去路線等を中心とした、18路線の調査を実施しています。こうした調査状況に関する情報は、日々道路を利用する区民等の安全安心にかかわる重要なものであると認識しております。したがいまして、その情報提供につきましては、区民等の皆様に、正確かつ適切に理解されることを念頭に、その方法も含め、検討してまいります。
次に、こうした調査結果の活用についてですが、区道内には、上下水道、ガス、電気、通信といった、道路占用企業者のインフラ設備が多く埋設されており、発見された空洞等の原因究明及び対策のためには、こうした各企業者の協力が不可欠となります。したがいまして、調査結果につきましては、企業者等と調整した上で、空洞等の速やかな復旧や安全確保等に活用するとともに、今後の道路整備に当たっての指標の1つとして活用してまいります。
また、地域防災計画では、災害発生時の緊急輸送路確保として、国道・都道管理者との連携を図りつつ、区道に関しては区内建設業者団体である千代田土木防災協会の協力を得て、千代田区緊急道路障害物除去路線の障害物除去を行う体制となっております。当該団体とは、発災を想定した訓練などを行っており、空洞調査で得られた情報についても、こうした日ごろからの連携の中で活用してまいりたいと考えております。
58: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 次に、9番山田丈夫議員。
〔山田丈夫議員登壇〕
59: ◯9番(山田丈夫議員) 第4回区議会定例会に当たり、自民党議員団の一員として一般質問をいたします。
初めに、スマートフォンに関連して、2点質問いたします。
この夏、南米初となるリオデジャネイロオリンピックが開催され、日本人選手団が金メダル12、銀メダル8個、銅メダル21個と、史上最多の合計41個のメダルを獲得し、日本中に感動を与えてくれました。その感動が4年後の2020東京オリンピック・パラリンピックに引き継がれますが、都心に位置する本区も、関係団体と連携しながら、東京オリンピックの成功に向けた取り組みを進めていかなければなりません。
もちろん、本区は既に東京オリンピックに向けて、東京オリンピック気運醸成事業やフリーWi-Fi、案内サインの整備充実など、さまざまな取り組みを始めております。私はこれに加えて、歩行の障害となるばかりか事故にもつながりかねない「ながら歩行」の改善に向けた歩行者のマナー向上に取り組む必要があると考えます。
近年、海外からの旅行者が増え続けていますが、去る10月、国土交通省は海外旅行者が初めて2,000万人を超えたと発表しました。このように、現在でも外国人旅行者が増えているわけですから、オリンピック開催ともなれば、国内旅行者を含め、予想がつきません。本区では、日本武道館の柔道、東京国際フォーラムのウエートリフティング、皇居外苑の自転車競技と、3つの競技が行われることが決定しており、会場周辺は大変な混雑が見込まれます。とはいえ、混雑緩和のための歩道拡幅など、ハード面の整備は容易ではありません。しかし、来街者を含め、歩行者の歩き方について意識啓発を図ることによって改善できることもあるのではないでしょうか。
その1つとして、歩行者の安全かつ快適な歩行を阻害する要因になっている歩きスマホの改善、スマホのマナー向上が考えられます。自転車のマナーを例に取り上げるまでもなく、一口にマナー向上、周知徹底と言っても、なかなか根づくものではありません。地道に粘り強く取り組んでいくことが大切であります。
ながら歩きのうち、歩きたばこについては、生活環境条例に基づくパトロール等、区の積極的な取り組みによって、非常に少なくなりました。歩きスマホについても同様の対応が必要であると考えます。
石川区長は、平成25年第2回定例会の招集挨拶で、「歩きスマホの危険性を呼びかけるマナー啓発用カードを配布し、周知を始めるとともに、公共交通各社に注意喚起を初め、適切な対応をした」と述べられています。その後の状況はいかがだったのでしょうか。また、皇居周辺の歩道において、ランナーと歩行者との衝突事故を踏まえ、公共空間活用検討会皇居周辺地域委員会において、「ながら通行は控えましょうという新たなマナーを設けた」とも述べられています。東京オリンピックまで4年を切りましたが、オリンピックを契機として、将来にわたって、来街者が安全かつ快適に移動できるよう、ハード面のバリアフリーのみならず、ソフト面の取り組みもおろそかにはできません。
そこで、歩きスマホの対応について質問させていただきます。
さきに紹介したとおり、区は歩きスマホの改善に取り組んでこられましたが、オリンピックとその先を見越した、安全で快適な歩道空間の確保という観点から、歩きスマホについて実態を把握しているのか、具体的な対応をされているのかお聞かせください。
次に、スマートフォンをめぐる子どものトラブル防止についてお尋ねします。
スマホの保有率は日本国民全体で60%を超え、20代の若者の所持率は94%に上るそうです。また、スマホを所有する15歳から59歳の男女562人を対象に実施したアンケート調査によると、「自分はスマホに依存していると思いますか」との質問に、「かなり依存している」、「やや依存している」と答えた人の割合が合わせて8割を超えており、特に、若い世代を中心にスマホ依存が進行しているとのことです。
ちなみに、パソコンで「スマホ依存」を検索すると、たくさんの情報が掲載されていますが、まず、目につくのは、子どもへのスマホ依存に関する情報です。スマホはいつでもどこでも使えるため、子どもが熱中し、成績低下や不登校など、日常生活にさまざまな支障を生じることがあります。また、特に気をつけたいのは、LINEを初めとするSNSです。友人関係を維持したいがためにのめり込んだり、返信しないと仲間外れにされるという強迫観念が生じると言われています。
このように、スマホには、便利さの背後に、生活の乱ればかりか、事件・事故に巻き込まれかねない危険性が潜在しています。もとより、子どものスマホ使用については、家庭での指導が第一でありますが、学校も子どもの変化を早期に把握できるのではないかと思いますので、家庭とも緊密に連携しながら対応していくことが大切であると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
教育委員会、特に学校関係者は、スマホの長時間使用などの問題をどう捉え、児童・生徒や保護者にどう注意喚起されているのか、お答えください。
最後に、旧和泉橋出張所の今後の活用策についてお尋ねをいたします。
先ほどは自民党の代表質問で、区有施設、未利用地の利活用についての答弁の中で区長から、旧和泉橋出張所の活用について、新たな方向づけが示されました。私はかねがね旧和泉橋出張所については効率的な活用がされておらず、一日も早く区民のための施設として生まれ変わってほしいと思っていたところでございます。区長のご答弁については、およそ私の考えていたことに沿ったものでありましたが、より具体的な内容について質問をいたします。
和泉橋出張所は、平成14年春に現在の地に移転し、それに伴い、旧和泉橋出張所は、その後14年余り、手つかずのままとなっております。今は安全生活課等の資材置き場として利用されているようですが、建物の前面にカラーコーンや工事用のA型バリケードが雑然と並べられ、入り口のガラスドアや外壁に老朽化が見られるなど、かつての面影もありません。
私たち地域住民は、買い物やJRの利用などで頻繁に和泉橋を渡って秋葉原方面に足を運びますが、その際、いかにも空きビルと化した旧出張所が目に入ります。そのため、地域の皆様から、旧出張所はどうするのか、何になるのかなどと心配する声をいただきます。
また、和泉橋地区では、近年子育て世代のファミリー層が増えていることから、お子さんを保育園に入園させたいと希望する方も多くなっており、なかなか希望する園に入園することができないという声もいただいております。今後、このような声はますます増えていくものと思われます。
区長は常々子育て施策の象徴的な取り組みとして、待機児童ゼロを堅持していくと述べられております。そのために、昨年度末には次世代育成支援計画を見直して、保育の需要と供給を増やし、来年の4月には、旧神田保育園仮園舎を活用して誘致した認可保育園が開設する予定と聞いております。このような努力については評価をしておりますが、今後の子育て世代の保育ニーズに応えるためには、さらなる保育所の誘致に取り組む必要があると思います。
今年の5月に、区が平成29年4月に開設する保育所について、麹町地区と神田地区で1施設ずつ民有地を活用した提案を公募したところ、保育事業者から応募がなかったとのことです。その原因はいろいろあるでしょうが、国や都も待機児童対策には力を入れているため、千代田区以外の自治体においても保育所誘致が活発となっており、各自治体で保育所事業者の奪い合いのような状況になっているとも言われております。加えて本区では、地価や賃料の高さが保育所の誘致における高いハードルになっているとも思われますので、保育事業者の争奪戦において大きなハンデになるのではないでしょうか。したがって、今後の保育所誘致に当たっては、民有地を活用した事業者からの提案に頼るだけではなく、区が所有する低未利用地や施設を利用するなど、さらなる努力が必要であると思います。
さらに、地域のまちづくりという観点から、区に必要な施設を設置したり、誘致したりするときには、地域のニーズを見きわめて、地域バランスも考えて考慮すべきだと考えます。和泉橋地区には、保育需要の高まりに比べて保育所が少ないという状況がありますので、その点も考慮していただくことを期待しております。区の低未利用地等を活用した保育所誘致については、今年第3回定例会で我々自民党議員団の代表質問においても松本議員が質問を行い、前向きな答弁がありました。改めて旧出張所の活用策について質問させていただきます。地域のまちづくりや保育の需要についてどのようにお考えか、お聞かせください。
以上質問いたしましたが、明快な答弁をお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
60: ◯区長(石川雅己君) 山田議員の歩きスマホへの認識について、まずお答えを申し上げます。
ご質問の中でもございましたが、区がこの問題を非常にいろんな角度から検討した背景を申しますと、実は平成25年に区内の小学生がある駅でスマホですか、あるいはケータイですか、それを見てホームを歩いているときに転落したという、そういうことがございまして、我々としては、この問題を放置できないということで、25年に、実は、鉄道事業者、あるいはスマホ等を生産している通信事業団体、あるいは道路管理者、あるいは警察も含めて、この問題をどのように取り組むかという議論をやりました。そして、結論は、何とか、まず継続的に意識啓発、歩きスマホは危ないよという意識啓発をしようということで、このようなマークで、ポスターあるいは駅頭で、よく生活環境条例の歩きたばこ、ポイ捨て禁止とあわせて、かなり周知をやってきております。そのときにも議論があったのは、歩きたばこと同じように、もっと踏み込んだ、いわゆる過料というようなことをやるべきだという議論もあったんですけど、まずはとにかく千代田区という一自治体で事をやるのは難しいから、意識啓発を積極的にやろうということで、今日まで及んでおります。
もちろん、区内の子どもさんあるいはここに働きに来ている方々にもさらに一層、山田議員がお話しのように、マナーの意識啓発を相当これからもしっかりとやっていきたいと思っております。特に、最近のスマホについては、ゲームアプリが相当普及してきておりまして、より一層この問題について、区政も、さまざまな道路を所管している管理者、警察等も含めて、積極的にこの問題について、さらに一層取り組んでまいりたいというふうに、まず思っておりますので、ぜひ、この辺についてはご理解を賜りたいと思います。
それから、保育所につきましては、単に場所があるからということで、実はだめなわけですね、公有地を活用しても。問題は、非常に、保育士が集まらないという状況がございます。したがいまして、いかに保育士を集めるかという意味で、従来考えておりました保育士への確保の対策以上に踏み込んだことを今子ども部で考えておりますので、多分そうしたことも含めて、議会にも十分にご説明をさせていただきたいと思います。単にハードだけではないと。かなり、相当、従来よりも確保対策を相当強く、もっと踏み込んだことをやらないとだめだという私は認識を持っておりまして、所管も一生懸命そういうことを考えておりますので、そうしたことと含めて議会にも十分にご説明をさせていただきたいというふうに思っております。
他の事項あるいは詳細については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〔子ども部長保科彰吾君登壇〕
61:
◯子ども部長(保科彰吾君) 山田議員のご質問のうち、旧和泉橋出張所の活用についてお答えいたします。
まず区の喫緊の課題でございます保育所誘致のためには、低未利用区有財産の活用が必要であるという認識は、議員と同じでございます。そのため、庁内でさまざまな検討を重ねた結果、ご指摘にもありましたように、老朽化した旧和泉橋出張所の建物を解体し、認可保育所を誘致する方針といたしました。また、これは、和泉橋出張所地域の保育ニーズの高まりと保育所の配置状況の地域バランスなど、地域のまちづくりの観点を考慮して検討した結果でございます。
スケジュールなどの具体的なプランの詳細につきましては、今後区議会にご報告させていただきますとともに、地域の皆様にも丁寧に説明をしてまいりたいと考えてございます。
〔教育担当部長小川賢太郎君登壇〕
62:
◯教育担当部長(小川賢太郎君) 山田議員のスマートフォンの長時間使用などの問題についてのご質問にお答えいたします。
まず、本区の児童・生徒の携帯電話やスマートフォンの保有率は、小学校6年生で約70%、中学校3年生で約95%となっています。スマートフォン等の一日当たりの使用時間は、小学生は「1時間以上3時間未満」と「3時間以上」がともに約10%、中学生では、「1時間以上3時間未満」が約35%、「3時間以上」が約15%となっており、長時間使用する傾向が見られます。
議員ご指摘のとおり、スマートフォン等の長時間使用は、児童・生徒の睡眠不足による生活習慣の乱れや、学習に集中する時間の減少による学力低下を招く可能性があると認識しております。また、使い方によっては、SNSにおける仲間外れや誹謗中傷等のいじめ、さらには事件・事故に巻き込まれる危険性もございます。
そこで、本区では、全学校で情報教育全体計画を策定し、子どもの発達段階に応じて、スマートフォンの使い方などを含めた情報モラルを育成する指導を行っています。また、スマートフォンなどの便利さだけでなく、危険性も踏まえることが大切であるとの認識に立ち、全学校で「親子で学ぶ情報モラル教室」を、年に1回以上実施しています。これに加え、昨年度より家庭におけるスマートフォン等のSNS使用に関するルールづくりを促進する、「SNSの我が家ルールづくり運動」に取り組んでいます。今年度の調査では、SNSに関するルールを策定している家庭は、小学生で約55%、中学生で約70%となっております。今後も、子どもたちの健やかな成長に向けて、学校と保護者が連携を深めつつ、取り組みを充実させてまいります。
63: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 議事の都合により休憩します。
午後6時06分 休憩
午後6時20分 再開
64: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続けます。
25番桜井ただし議員。
〔桜井ただし議員登壇〕
65: ◯25番(桜井ただし議員) 平成28年第4回定例会において、自由民主党議員団の一員として一般質問をいたします。
質問に入る前に、10月27日、薨去されました、三笠宮崇仁親王殿下に対し、心から哀悼の意を表したいと思います。三笠宮様は天皇陛下の叔父様として、大正、昭和、平成の激動の世の中を生き抜かれる中で、自らの信念を貫かれた方でした。心からご冥福をお祈りしたいと思います。
さて、11月22日午前5時59分、福島県沖を震源地とする震度5弱の地震が発生いたしました。東日本大震災以後最大となる1メートル40センチの津波が押し寄せ、一時は海水が沖合に引いていく映像や川の水が逆走していく河川遡上の映像が映し出されると、5年前の悲劇が頭をよぎりました。震災は忘れたころにやってくるといいます。今回も、現地では川を見に行く人がいたり、ゆっくりと歩いている人、川の脇では車の渋滞が起きていたりと、東日本大震災から積み上げてきた教訓が生かされているか、私たちも災害対策をいま一度確認することが大切だと思います。区民のとうとい命と貴重な財産をしっかりと守っていくという強い決意を申し述べ、質問に入りたいと思います。
今回の質問は、街の美化活動について伺います。
まちを美しくする活動は、そこに住み、働く人たちにとっても、また、その地域を訪れる人たちにとっても、誰もが願う大切なこととして行われてきました。また、ごみのないきれいなまちには犯罪が少なく、ごみが散乱する汚れたまちには犯罪が多いと言われており、安全安心な社会をつくる上でも大切なことであります。
さて、千代田区においては、安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例、いわゆる生活環境条例に基づき、第9条で「何人も、公共の場所においてみだりに吸い殻、空き缶等その他の廃棄物を捨て、落書きをし、又は置き看板、のぼり旗、貼り札等若しくは商品その他の物品」、これは「置き看板等」ですね、「を放置してはならない」と定めており、公共の場所で区の許可なく路上に物を放置することは、道路法や屋外広告物法でも禁止されております。
しかし、繁華街に限らず、駅やオフィス街、ホテル周辺においても、違法な広告物や落書きなどは後を絶ちません。違法広告物には、駐車場や不動産物件の紹介が主でありますけども、ほかにもホテル周辺のピンクチラシや捨て看板など、その形態は多岐にわたっています。また、落書きにおいては、空き室のシャッターを初め、電話ボックス、郵便ポスト、東電のトランスなど、スプレー缶を使って、落書きや張り紙などを行っています。
お願いします。(スクリーンを写真画面に切り替え)
いたずら書きの、シャッターに書いたところですね。こんなようなものが非常に多いということでございます。
閉じてください。(スクリーンを元に戻す)
不動産の違法なチラシや看板については、区内の同業者で構成する全日本不動産協会の千代田支部によって定期的な見回りや、違法業者への指導をされていると伺いました。
映像をお願いします。(スクリーンを写真画面に切り替え)
はい。まあ、このような、これはカラーコーンのところに取りつけたものですよね。また、これは電柱のところに取りつけたようなもの。こういったものを──はい。では、閉じていただけますか。(スクリーンを元に戻す)協会が写真を撮り、業者に指導しているということだそうでございます。しかし、同協会によると、記載されている連絡先には広告代理店が多く、なかなか指導にはつながらないと。つながることが少ないということでありました。
また、このような違法状態にある中で、区や業界団体から指導を受けたときは撤去するものの、区や業界団体がいなくなると再び設置するという、いわゆるイタチごっこの状態になるため、取り締まりが難しいことをよく聞きます。
さて、2020年のオリンピック・パラリンピックを見据え、区民の間には、自分にできるおもてなしは何かといった話題が飛び交うようになってきました。子どもからお年寄りまで、誰もが手軽に活動ができて、東京オリンピック・パラリンピックに参加することができること。このときの話では、みんなで掃除をしよう、清掃しよう、まちをきれいにしよう、気がついたところから始めようじゃないかということでありました。私たちが住み、働くこの地をいつもきれいにすることは、単にまちがきれいになることだけではなく、まちの安全安心につながる大切なことだからです。
また、区民や企業に働く方々で構成する区内10地区の環境美化・浄化推進団体は、生活環境条例に基づき、月に2回程度、定期的にパトロールを実施し、路上障害物などに対する指導・警告・清掃活動、条例の啓発活動を行っており、成果を上げています。しかしながら、まちの環境美化のために違法な路上障害物を徹底して除去することは喫緊の課題であり、このような生活環境条例の取り組みにとどまることなく、法に基づき、厳しい権限で取り組んでいく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
そこで、まず、組織について伺います。
千代田区では、違法業者に対して生活環境条例によって注意、指導はできますが、違法広告物の撤去はできません。窓口も地域振興部安全生活課が担当しますが、撤去を行うのは道路監察の権限の行使となり、環境まちづくり部総務課占用係が行うこととなっています。千代田区も以前は注意、指導から撤去までができる組織となっていましたが、組織改正が繰り返される中で、残念ながら現在のような組織になってしまったようです。この結果として、区民にとってはとてもわかりづらい組織となり、機能しにくい組織になっているかと思います。千代田区には、ただでさえ、国道、都道、区道と、道路管理者が異なり、区民にとっては、どこへ連絡したらよいのか、迷うところがあります。違法広告物について撤去も前提として、相談窓口を一本化すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
区民にとってわかりやすく、迅速に対応してもらうために、組織の見直しも含め、検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか、お答えいただきたいと思います。
次に、都は、屋外広告物法に基づく屋外広告物条例で、路上障害物を禁じており、屋外広告物の撤去に関する事務は、事務処理特例条例によって区が行っていると思いますが、今後、道路監察の権限に基づき、協力に取り組む姿勢、お考えがあるのでしょうか。まずはお伺いしたいと思います。
さて、新宿区では、路上障害物による通行の障害の防止に関する条例を新たに制定し、本年12月1日より施行、運用します。これは路上看板に特化した23区初めてとなるもので、所有者に撤去するよう指導、勧告を行い、これに同意した者が路上障害物を除去していない場合は、通行障害の防止を目的に、それを除去し、一時保管する取り組みとなっています。これまで区は、設置者に対して、道路法や屋外広告物法に基づき、路上障害物の除去を指導してきましたが、区による撤去の強制力がなかったため、路上看板が再び設置されるケースが多かったといいます。このように、本区においても新宿区と同様に厳しく取り組むお考えがあるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
最後に、違法広告物を区民が撤去できる仕組みづくりについてお尋ねします。
私は平成15年第4回定例会の一般質問で、区民と行政の連携による美化活動の推進について質問をいたしました。このときは紀尾井町地区のホテルや都道府県の宿泊施設の宿泊者を狙って、ピンクチラシが毎日電柱や電話ボックスの中に張られ、多くの方から苦情が寄せられていました。当時、区では、日時を決めて区の職員立ち会いのもとに、違法な広告物除去の活動をしていました。しかし、ピンクチラシは後を絶たず、何とか行政が立ち会わなくても区民が合法的に撤去できる仕組みづくりをつくってほしいと質問いたしました。
その後、平成16年3月に、要綱によって、違法広告物撤去活動員の設置内容が示されましたが、残念ながらその後の成果については余りアピールされなかったように思います。現在の違法広告物撤去活動員としての登録数や活動実態がどのようであるのか、お聞かせいただきたいと思います。
さて、昨今、違法広告物の除去については、どこの自治体も頭を悩まし、オリンピック・パラリンピックを見据え、より効果的で、住民参加ができる仕組みづくりを考えています。
八王子市では、屋外広告物条例の制定に合わせて、違反屋外広告物除却協力員制度を設け、簡易物の除却ができるよう、ボランティアの方々には身分証明書を発行しています。
また、神戸市では、平成5年度より、全国に先駆けて、自治会やまちづくり協議会などの団体と協定を結び、路上の違法広告物を除去する制度──神戸市はり紙、はり札、立て看板除去要綱ですが、を設けています。お話を伺ったところ、初めはピンクチラシの除去からだったそうですが、その後、より多くの地域住民に参加してもらうために手続を簡素化したり、撤去活動の強化が図られたそうです。ボランティアの名称も「はがし隊」という名称で募集し、成果を上げています。
映像をお願いします。(スクリーンを写真画面に切り替え)
これがはがし隊ですね。この、ちょっと小さくて見えないですね。2段目のところに何が書いてあるかというと、「除去した物件の処分等について」というのがあります。これは、除去した違法物件は、ごみの分別ルールに従って処分してくださいということで、その取った人たちに、処分しても構わないよということを言っています。で、トラブル防止のために、その立て看板だとかのぼりだとかというものについては市が処分をしますということをうたっています。(スクリーンを元に戻す)
そのほかにも、川崎市、伊勢崎市など、全国に増えつつあります。23区においても、足立区、品川区、目黒区などで、協力員の募集を行っていますが、どこも監察担当が窓口に行っています。先ほど組織のところで述べましたが、本区においても見直すよい機会だと思いますが、いかがでしょうか。
目黒区では、違法広告物のうち、対象は簡易な張り紙の除去に限っています。品川区では、協力員に身分証明書を発行、活動時には腕章も携帯します。またトラブル時の対応や保険の加入まで細かく規定をしています。
足立区においては、張り紙、広告旗、立て看板まで幅広く対象を定めており、どの区も活動するときの人数を決めていますが、その人数は自治体によって、まちまちです。
さて、千代田区においては、早い段階から活動員についての要綱制定をしていましたが、より多くの参加をお願いするためには、いま一つ工夫をする必要があります。
そこで伺います。
まず、活動員の対象を、環境美化団体や町会、業界団体にも広げ、運用しやすくすること、そして、チラシなどの違法簡易広告物については、事前に活動員としての登録を済ませた個人や団体によって除去できるものとし、捨て看板や半固定式の路上看板などについては、新宿区のように区が監察権を行使してしっかりと除去することが必要であると思いますが、いかがでしょうか。このように、区民にとってわかりやすく、運用しやすい制度に変えていくことは大切なことだと思います。東京オリンピック・パラリンピックを見据え、区民とともに、区民が主体的に取り組む美化活動を行政はしっかりとサポートする必要があると思います。区として何ができるのか、お示しください。
区長及び関係理事者の明快な答弁を求め、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
66: ◯区長(石川雅己君) 桜井議員のまちの美化活動に関するご質問にお答えいたします。
議員ご指摘のとおり、生活環境条例の前文にもうたってありますように、区民が主体的に美化活動に参加をするということが生活環境条例の大きな狙いだと思います。そうした思いで、お話がありましたように、現在、区内10地区の環境美化・浄化推進団体で合同パトロール等を行っていただきながら、路上の喫煙への注意や、路上放置物に対する指導・警告、清掃活動、生活環境条例の啓発活動などを行ってきたわけでございます。改めまして、この当初考えていたものをもう一遍、再度しっかりと立て直ししなきゃいけないと思います。ご指摘のように、まちの皆さんがある程度こうしたことに主体的、自主的にできるという仕組みも実は導入してあったわけですけど、必ずしも効果がないということをご指摘いただいておりますので、改めましてこの条例をつくった基本に立ち返って、さまざまに、2020年のオリ・パラを考えますと、もう一度原点に立ち返って対応してまいりたいと思っておりますので、少し時間をいただきたいと思います。
なお、その他の事項については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
67:
◯地域振興部長(立川資久君) 桜井議員のご質問に、区長答弁を補足してお答えいたします。
まず、路上障害物除去に関する対応についてであります。本区においては、区の占用許可を受けていない置き看板等の路上障害物につきましては、生活環境条例に基づき、是正指導、改善命令等を適宜発することで、自主的な撤去を広告主に求めてきたところでございます。
路上障害物の撤去は、議員ご指摘のとおり、道路法に基づく道路管理者による道路監察権や、屋外広告物法に基づく都の屋外広告物条例による対応が必要になります。この一連の流れがわかりにくい、迅速に対応していないのではないかとの議員のご指摘を踏まえ、改めて職員の兼務命令や指導員の集中により手順を再構築し、指導から撤去まで一貫した取り組みを実施してまいります。
次に、新宿区の条例についてであります。この条例も、撤去する路上等障害物の種類を明らかにし、地域の特性を踏まえたものであるとはいえ、議員ご指摘のように路上等障害物による通行の障害の防止に特化しているところに特徴がございます。一方、数次にわたる勧告の際に、路上等障害物が除去されていない場合には、区が除去することについて同意を求めることとしており、一部報道に強制撤去と見受けられる記事もありましたが、同意なく撤去することはできない内容となっております。千代田区におきましても、新宿区の例を参考にしながら、従来からの指導改善を行うことで、自主的な撤去を求めていくことにあわせ、撤去も前提とした取り組みを検討してまいります。
次に、違法広告物撤去活動員についてであります。議員ご指摘のように、平成16年3月に創設した制度であり、17年度までの2年間で、9つの環境美化・浄化推進団体から107名のご登録をいただきましたが、現在は10の環境美化・浄化推進団体そのものが活動を順調に進展し、450もの加盟団体からご参加いただき、参加人数も増え続けていることもあり、現在は活動員の制度は休止しております。
除却が容易な張り紙、張り札も、本来、屋外広告物条例の対象となっており、許可の有無を確認できないものを区民の皆様がその場で撤去することは困難であります。事前に違法広告物であることが確認できていれば、区が委任した区民の皆様が直接撤去を行うことが可能でありますが、撤去の際、広告事業主との間でトラブルが発生する危険もあり、やはり区の職員の立ち会いが必要と考えます。
現在、活動員活動にかわるものとしまして、生活環境条例に基づき構成された、環境美化・浄化推進団体の皆様の一部から、職員がいないときでも条例に基づいた指導を行っていることを示す証明書が欲しいというご要望をいただいており、要綱の見直しにより、交付する準備を進めております。まずは、これを区民の皆様による違法広告物に対するご指導にご活用いただければと存じます。
68: ◯25番(桜井ただし議員) 25番桜井ただし、自席から再質問させていただきます。
もう時間がありませんので。大変前向きなご答弁をいただきました。ありがとうございました。1つだけ。
今、部長からお話がありましたけども、除去した広告物を、先ほど紹介しましたけど、神戸の場合は、そのまま、除去した人たちがその場で廃棄しても構わないといったような事例もあります。また、その除去できる、いろいろと、こう、細かなところまで決めなくちゃいけないことがあると思いますけども、(ベルの音あり)ぜひ、検討していただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
69:
◯地域振興部長(立川資久君) 桜井議員の再質問にお答えいたします。
チラシやビラのような簡易撤去の対象となっているものにつきましては、そういった対応は可能でございますので、手順・手続を定めまして、区民の皆様と行政が一体となって、そのような取り組みを進めてまいりたいと思います。
70: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 次に、14番小林たかや議員。
〔小林たかや議員登壇〕
71: ◯14番(小林たかや議員) 平成28年第4回定例会に当たり、一般質問をいたします。
石川区政4期16年が終わろうとしています。ちよだの声では、16年を総括しましたところ、石川流の行政運営はダブルスタンダードであるとの印象を持っています。見る角度によっては全く違い、見ようによっては、一方の行為を隠れみのとして進めております。誰のための、何のための事業なのかを先に示して進める姿勢が足りません。行政運営を率直に見直すべきではないでしょうか。では、始めます。
ワテラスにおける淡路公園の芝生地中ゴミについてお伺いいたします。
今年の5月にワテラスの淡路公園で、芝生を剥がして、調査らしきことをしている様子が見受けられました。そして、8月になると、公園の芝生全域にフェンスが張られ、フェンスに「外構3年目の点検に伴う修復工事のお知らせ」と張り出されました。お知らせによると、修復工事は、芝生区域を2分割して2期工事で進められ、1期は9月1日から24日間、養生期間は12月24日まで、2期工事は来年5月中旬から6月初旬まで、養生期間が8月末までと、大変長いものでした。これでは、丸1年間、芝生の半分は使用できません。なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。
お願いします。(スクリーンを写真画面に切り替え)
こちらがそうです。何か調査らしきことをしております。5月の24日。荒れた芝です。出てきた廃材のホースみたいのが出てきました。掘り返される地面。大工事です。こんなに、もう、芝生の下はこんなになっていました。集められた廃材はたくさんになります。9月15日。半分が使えない現状です。子どもは半分で遊んでいます。半分使えません。半分使えないんです。来年の8月末まで。はい。(スクリーンを元に戻す)
ワテラスの住民に芝生についての話を聞くと、以前から芝生の張りかえを今まで3回もやっているが、うまく芝生がつかず、今回、本格的にやるようになったとのことでした。
ここで質問します。一体、芝生の下から出てきたものは何なのかをお答えください。
次に、(発言する者あり)それから、調査して、内容の確認を行ったのか、その後、地質調査をして、芝生広場が安全であるのか確認したかをお答えください。
次に、淡路町二丁目再開発組合から、淡路公園の引き渡しを受けたときに、なぜわからなかったのか。引き取りの検査は行ったのか。全て再開発事業者任せになっていたのではないか。お答えください。
次に、公園新設時の整備費は幾らだったか。今回の改修は幾らなのか。誰が払うのか。
次に、なぜ3年も経過して、こんな事態になっているのか。再開発組合は淡路公園の引き取り後、2年は瑕疵担保責任を負います。今回の事例は2年を超えており、区が修復をしていないならば、組合または工事請負人の故意または重過失によると思われます。原因は何なのかお答えください。
次に、淡路公園の芝生以外の場所は安全なのか、お答えください。
ここまでは公園について質問していましたが、この再開発では、公園を私的な公園のように維持管理しているようなやり方を疑問視しました。再開発で整備した特別区道も、公園と同じ仕組みで、公道が私道化してしまっているような維持管理がされています。公共の施設は公共が責任を持って、しっかりとした維持管理をしなくてはなりません。
そもそも淡路公園を含めて、淡路町二丁目再開発では、公共施設、公園、公共広場、区道は、再開発組合が整備・工事して千代田区に引き渡し、改めて区が維持管理を組合に任せております。その仕組みは、淡路エリアマネジメントという組織を設置して、現在は淡路エリアマネジメントが維持管理を行っています。
当初は、淡路町二丁目再開発に関する公共施設、千代田区と淡路町二丁目再開発組合で締結を結んでいました。再開発が完了し、組合が解散したため、淡路エリアマネジメントが全てを引き継ぎました。淡路エリアマネジメントの構成員は、再開発組合と安田不動産株式会社の二つの組織でした。この組合が解散した現在は、安田不動産1社となっております。実質、淡路エリアマネジメントは、安田不動産株式会社です。再開発に関するいろいろな議論の中で、再開発後の地域のコミュニティ活性化と維持管理を担っていく組織として構想されて、淡路エリアマネジメントは設立されました。今回のような公園内の芝生の地中障害や維持管理されているはずの特別区道では、違法駐車が頻繁に起きています。これではまるで区道が駐車場化していて、私道と同じような状況です。適正に維持管理されているとは思えません。
お願いします。(スクリーンを写真画面に切り替え)
これですね。これですね。はい。(スクリーンを元に戻す)
ここで質問します。再開発事業に公共施設の引き渡し時の問題と対策について、どのように認識して、どのように対策しようとしているのかお答えください。区は公共施設の新設や維持管理を再開発事業に任せて、費用を節約していると考えているんですか。私は、再開発事業という名のもとに公共施設の維持管理をほとんど丸投げしてしまうのは、区民の安全や利益を脅かすものだと思います。今後どこで再開発が行われても、公共施設は区が維持管理すべきものだと考えます。ご見解をお示しください。
次に、外神田一丁目計画基本構想と万世橋出張所建替えのダブルスタンダードについてお伺いいたします。
11月5日土曜日午後2時から、外神田一丁目公共施設整備計画の万世橋出張所新築計画の説明会が、本年7月に続き、開催されました。会場の万世橋出張所6階の会議室は、あふれんばかりの区民でいっぱいになりました。説明が終わり、質疑応答になると、質問が相次ぎました。今で何回か区民へ説明はされたものの、地域住民には理解されていなかったのでしょう。予定時間をオーバーして、やっと終わりました。経過・施設概要の説明と答弁は、万世橋地域の町会長を中心とした建設協議会の会長と出張所長が行いました。
今回の説明の位置づけは、説明に異議がなければ、実施設計に入る予定でした。しかし、説明された1階のインフォメーションセンターよりも、地元の住民にとっては、特に老人や身体の不自由な方、不慣れな方の利用のためには、1階に出張所が欠かせないという意見が多く出ました。役員側からも、出張所は1階のほうが適切であると思っているとの発言もあり、出張所の機能と位置については再度検討するとの回答でした。また50年先の状況を見越して施設を計画すべきであると。今、たくさんの外国人客が来ているからといって、慌ててその対応を前面に出した施設計画は違うと思うとか、会長が1階のスペースに大手コーヒーチェーン店を入れるという発言があったので、区民施設で民間企業の営業をやらせることができるのかとか、誰がそれを決めたのかなど、計画に疑問が投げかけられました。
区は、外神田一丁目計画基本構想があるにもかかわらず、地元には構想の一部である万世橋出張所を先に建てかえると言って安心させ、議会に対しては、万世橋出張所の先行建てかえは構想の目指すところを具現化すると言ってきました。これが今回指摘するダブルスタンダードの1つです。
万世橋出張所建てかえは、個別の建てかえを無理やり全体の計画に合わせているので、二重基準の無理が露見し、今回の説明会では当然異論が出て、計画は変更を余儀なくされています。石川区長のご見解と、今後万世橋出張所の建てかえにどのように対応するつもりなのか、お答えください。
次に、外神田一丁目計画基本構想と提案のあった万世橋出張所の建てかえは、地元説明会で出た意見・要望と施設に関するコンセプトが明らかに違います。提案は、全区域の中で、この地域が置かれている現状を解決するための施設として位置づけており、なおかつ、地域活性化施設としての役割も担わせようとしています。地元側は、この施設は住民の便益施設、区民サービス施設として、まず、あるべきとしております。これらの考えが混在し、1つの限られたスペースの施設では、無理が生じております。両方の利便性の主張が混在している現状では、計画は成り立ちません。今後どのように対応するつもりか、お答えください。
これらを拙速に検討し、年度内に施設計画をまとめ上げようとすると今回のように異論が噴出し、大きな間違いを犯すおそれがあります。もう一度まちづくりの専門家の意見などを聞き、地元、若手の住民の方々の意見を集め、計画を練り直すことが必要と考えますが、区のご見解をお示しください。
最後に、万世橋出張所建てかえ時の課題3点、都有地の取得、国道事務所との協議調整、国と都の水辺空間活用に向けた河川協議はどのようになっており、現時点ではどう解決するつもりかお答えください。水辺空間活用の基本構想として、万世橋出張所の建てかえの際には、区民にとっても、地域の企業者、来街者にとっても水辺を生かし、周辺環境や歴史を生かした、未来に向けて希望のある地域活性化の拠点を目指さなくてはならないと考えていますが、いかがでしょうか。区のご見解をお伺いします。
最後に、外国人の食習慣に適切に対応する「食のおもてなし」についてお伺いします。
お願いします。(スクリーンを写真画面に切り替え)
これは東京都のムスリム旅行者ハンドブックですけれども、旅行者ハンドブック、千代田区にはありません。
昨年の訪日外国人は、前年比47%増の1,973万人で、消費金額は前年比71%増、3兆4,000億になります。これらはいずれも過去最高を記録しています。訪日外国人の急増により、現場では食のおもてなしにさまざまな課題がありますので、お伺いいたします。(スクリーンを元に戻す)
1、インバウンド食のもてなしのため、料飲組合や食品衛生協会と有識者を入れた協議会を設置して課題を整理し、講座や講習会、勉強会、セミナーを開催してはどうですか。千代田区独自のものをやったほうがいいと思います。
次に、区の訪日外国人の食に関する情報は、観光案内所を経由しています。直接個々の店に当たって、区内商店街等での外国人の食に対する対応を現状調査してはいかがでしょうか。特に、訪日外国人が集中する東京駅、秋葉原駅、神保町駅をターゲットに進めてはいかがでしょう。
次に、調査結果を踏まえて、協議会でインバウンドおもてなしに関する基本方針を策定し、基本方針にのっとって、実際に進めてはいかがでしょう。
最後に、訪日外国人にとって、千代田区の食に関する情報をとるには、ハードインフラとソフトインフラ整備が必要です。無料公衆無線LANサービス、Wi-Fi整備は、現在どのように展開が進んでいて、今後どのようにするおつもりなのでしょうか。食のマップはどのように展開するおつもりか、お答えください。
以上の点について、区長並びに関係理事者の明快な答弁をお願いし、質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
72: ◯区長(石川雅己君) 小林たかや議員の外神田一丁目計画基本構想と同公共施設整備計画に関するご質問にお答えいたします。
万世橋出張所・区民館の建てかえにつきましては、連合町会など地域の総意として、早急に検討するよう区長宛てあるいは議会にも要望書が出されたのを受けまして、その出張所・区民館を先行して建てかえを整備することにしたものでありまして、これは議会側も基本的にはそういう認識を私は持っていると思っております。
で、新しい施設に盛り込む機能については、地域の皆さんで構成をされておりますあり方検討会や建設協議会で熱心にご議論いただいて、まとめていただいたところであると思っております。もちろん、ご議論の中で、さまざまなご意見もありますので、今後そうしたご意見を踏まえて、あり方検討会あるいは建設協議会の中で柔軟に対応していただけると私は思っております。そして、お話のように、もう一度一から計画を練り直せというご意見であれば、そのことは、そういう考え方はございません。
なお、詳細その他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
73:
◯地域振興部長(立川資久君) 小林たかや議員の外神田一丁目計画基本構想と同公共施設整備計画につきまして、また、食のおもてなしに関するご質問に区長答弁を補足してお答えいたします。
まず、外神田一丁目についてであります。
区長答弁にもありましたが、万世橋出張所・区民会館の建てかえにつきましては、平成25年11月に、万世橋地区町会連合会並びに万世呉竹会会員の総意として、早急に検討するよう区長宛てに要望書が提出され、また、区議会議長宛てに陳情書が提出されました。陳情審査の結果、陳情者の意向を受け、その方向で推進していくよう執行機関に申し入れがございました。
区は、地域の総意である要望書、また陳情審査の結果を重く受けとめ、都有地取得及び施設設計に必要となる予算を計上し、先行して建てかえ整備に動き出したことはご案内のとおりでございます。
また、外神田一丁目計画基本構想では、目指すべき方向性として、神田須田町・淡路町と、秋葉原駅周辺地域のにぎわいを連続させ、地域を活性化させることを目指し、神田須田町・淡路町の歴史性や、秋葉原駅周辺地域の国際的な商業地、観光地としてのポテンシャルを最大限生かした導入機能の検討を行う必要があるとしております。そして、その例示として、外国人観光客に対応した電気街のインフォメーションセンターを挙げております。
一方、新施設に盛り込む機能につきましては、出張所・区民会館のあり方検討会及び町会、長寿会、PTA、障害者支援団体等から成る建設協議会で一からご議論いただき検討を進めてきたものであり、行政が勝手に決めたものではございません。その結果、先ほどの例示で示されたインフォメーションセンターのような機能が必要だとのご意見もあり、設計概要案に盛り込んだものでございます。また、将来の外神田一丁目全体の開発に備え、川岸の歩行者ネットワーク確保のためのスペースも用意することになりました。したがいまして、基本構想との整合性は図られているものと認識いたしております。
なお、建設協議会での検討結果についての地元説明会でいただいた「出張所事務室は1階に配置すべき」等のご意見につきましては真摯に受けとめ、建設協議会にフィードバックしながら、できる限り設計に反映していく方向でございます。
次に、「食のおもてなし」についてであります。
まず協議会議の設置ですが、既に区内8カ所の観光案内所等で構成する、千代田区観光案内所連絡会において、ムスリム対応等に関する情報共有を図りますとともに、諸課題について現場目線で検討を行っております。さらに区の支援についてもご要望をいただいており、その1つがハラール料理の提供が可能な飲食店の情報発信や、それをまとめたエリアマップの作成であります。
情報発信やエリアマップの作成はもちろん必要ですが、まずは地域全体におもてなしの心を醸成するために、ムスリム等に関する正しい知識を普及していくことが重要であります。その意味で、議員ご提案のムスリム旅行者受け入れのためのセミナーの開催は有意義であり、実施に向けて検討してまいります。
次に、外国人への飲食提供に関する現状調査については、議員ご提案のように対象エリアを絞って行うことが望ましいと考えます。今後、商工関係団体とどのような方法が効果的か協議してまいります。
次に、インバウンド食のおもてなしに関する基本方針についてであります。地域の飲食店にムスリム等に関する正しい知識が普及することによって、業種別団体等において制定に向けた機運が醸成されることが肝要であります。地域の発意があってこそ、おもてなしの心が自然と根づき、来街者が再び訪れたいと思うまちになるからであります。
次に、無料公衆無線LANサービス、CHIYODA Free Wi-Fiについてであります。アクセスポイントは、今年度末までに、既にある区内公共施設11カ所に加え、駅周辺及び観光案内所を含む観光スポット36カ所程度に設置予定であります。
なお、来年度も引き続きアクセスポイントを増やしてまいる予定です。また、最初のアクセスページに観光情報へのリンクを張るなどして、旅行者に有用な情報の提供にも努めてまいります。
〔まちづくり担当部長坂田融朗君登壇〕
74:
◯まちづくり担当部長(坂田融朗君) 小林たかや議員の淡路公園に関するご質問にお答えします。
まず、今回、芝生広場内の地中から発見された地中ごみでございますが、主にコンクリート片やワイヤーの一部でございます。これらは、公園整備から3年が経過し、広場内の芝生の根つきが十分でないことから、管理組合側が自主的に調査を実施したところ、確認されたものでございます。そのため、当時の施工会社の責任のもと、現在、詳細調査、補修整備を行っておるところでございます。
安全性については、地質調査等を行い確保されておりますが、このたびの調査にあわせ、地表下20センチメートル以上の土壌を取りかえることで、一層の安全性を担保することといたしました。
次に、引き渡し時になぜ地中ごみの存在がわからなかったかということでございますが、再開発事業においても、引き渡しを受ける公共施設にあっては、区が直接発注する工事と同様の検査を行っております。しかし、施工図面、写真等、必要書類の検査、現地調査からは確認ができなかったということでございます。
次に、公園整備の当初整備費用は、約1億3,700万円であり、再開発組合が負担をいたしました。また、今回の調査補修にかかる費用は、施工会社が工事施工中の不具合を認め、自らの負担で整備することとなっています。
次に、地中ごみが混入した原因につきましては、当該箇所が建設工事実施中にポケットパークとして暫定利用されていたことから、そこに使用していたワイヤーやコンクリート片の一部が土中に混入したものと推測されます。また、芝生以外の植え込み地等についても地中を点検し、ごみはないことを確認しております。
なお、ご指摘の周辺区道上の違法駐車につきましては、当初から再開発組合が対処することではないため、区として警察と協議し、駐車禁止の指定に伴う看板の設置や標識の整備などの対応を進めているところでございます。
次に、再開発事業による公共施設整備と維持管理についてですが、従来から再開発事業には、道路や公園、広場等、地域の環境改善に資する公共施設整備は必須であり、整備後の引き渡しについても、行政が直接発注した施設同様、必要な検査を経てなされるものです。
施設の維持管理については、都市の成熟化に伴って、近年はまちを「つくる」ことと「育てる」ことを一体として取り組むことで、継続的に地域の良好な環境や、地域の価値、魅力の向上を図ることが大切になっています。いわゆるエリアマネジメント活動です。その活動形態は、地域特性に応じて多様ですが、地域が主体的に公共空間の維持管理に参画することは、質の高い公共空間の創出や利便性の改善、地域防災、防犯力の向上、集客力の向上による地域経済の活性化等に寄与し、コミュニティの基盤を強くするものと考えております。
まだまだ組織体としての活動基盤の弱さも見受けられますが、今後ともこのような地域主体のまちづくりの取り組みをさまざまな角度から支援してまいりたいと考えております。
〔政策経営部長歌川さとみ君登壇〕
75:
◯政策経営部長(歌川さとみ君) 小林たかや議員のご質問のうち、万世橋出張所の建てかえ時の課題3点についてお答えをいたします。
まず、都有地の取得につきましては、現在も協議中であり、今年度中の取得を目指して取り組んでいるところでございます。
次に、東京国道事務所については、外神田一丁目計画全体の中での移転を検討しているところから、現状では明確な配置案は決まっておりませんが、現在地からの移転についてはご協力をいただけることになっております。
最後に河川の協議についてですが、現状で具体的な案を護岸・河川管理者と調整しているものはありませんが、神田川の水辺空間を意識した歩行者ネットワークの構築など、今後具体的に必要となる時期に関係各署との協議を行ってまいりたいと考えてございます。
76: ◯14番(小林たかや議員) 14番小林たかや、自席から再質問します。
何点かありますが、まず万世橋出張所のところで、国道事務所の移転についてですけど、私が調べたところでは、国道事務所の上層部は、話は聞いていないと。下の方と話しているんじゃないでしょうかね。それで、聞いていないし、区の施設には入らないと、はっきり上層部の方から私は情報を得ているんですけど、どうなっているんですか、お答えください。
それから、万世橋出張所。石川区長は、今、区民がやっていると、区民の積み上げ、部長も積み上げと言っていますけど、じゃあ何で地域住民の方がここへ来て、大きな変更を言って、変更するんですか。役員までが1階のほうがいいと言っているんですよ。決定は3階なんですよ。そんなことがこんなところに起きて、何で合意ができたと言えるのか。区長は区民にやらせて、言いにくくしていて、ここまで持ってきちゃった責任があるんですよ。それを反省しないと、これは進みませんよ。
それから──お答えください。ワテラスのほうですけれども、良好な管理だと部長は言いましたけれどもね、今だって、特別区道に、今日も駐車していたんです。そうしたら、駐車違反のあれが張ってありましたよ、神田警察の。だけど、警察は、どけてください。ここは駐車違反と張ってあるの。これは特別扱いというんです、こういうのは。普通、区道上にずっととまっていたら、駐車員が持っていくんですよ。持っていきもしない。お願いの張り紙が、神田警察の張り紙が張ってあるだけ。こんなことは──私道といいます、こういうのは。ちゃんと指導してください、本当に。(発言する者あり)
それと、公園引き受け時に検査していないから向こうに丸投げしているから、見ない。とんでもない。廃材置き場だったところで出てくるのは当たり前だ。そういうのを公共が、公園というのは公共が維持管理するのが公共の責任じゃないですか。そんなの、エリアマネジメントに任せちゃって、それがこれから夢のある管理だ何だなんて言ったら、区は自分たちの責任を放棄して、これからどんどんやるぞということになりますよ。そんないいかげんな管理をされたら、区民の安全安心なんていうのは、全くないですよ。安定もないです。今は、僕が言ったように、1社の、安田不動産株式会社だけですよ。企業は1社になっているんです。それが悪いとは言いません。それを厳しく管理するには、区が入っていかなくちゃだめなんですよ。少なくともこれは、次の協定のときには、協定を書きかえて、区がちゃんと責任を持ってやるというふうにやるべきです。協定書の期限が来ますからね。この協定書に従って、もう、区道もそうです。全部、区が管理すべきなんだ。協定が切れるの。(ベルの音あり)切れますからね。それをちゃんと、協定の、どうするかもお答えいただきたいと思います。
〔区長石川雅己君登壇〕
77: ◯区長(石川雅己君) 小林たかや議員の再質問にお答えいたします。
私たちは、あり方検討会あるいは建設協議会でのご議論を賜って、それをこちら側としては図面に落としたわけですけれども、当然その過程の中で、さまざまなご議論が出てきた場合には修正することはやぶさかでないということを申し上げているんです。ただ、小林たかや議員が言っているように、もう一度、一から計画を練り直せということは到底考えておりませんので、それはぜひご理解を。(発言する者あり)そうでないと、今まで、せっかく代表のメンバーがきちっと、さまざまな意見を聞いて積み上げたことを否定するような議論は控えさせていただきたい。(発言する者あり)
その他は、関係理事者に答えさせます。(発言する者あり)
〔まちづくり担当部長坂田融朗君登壇〕
78:
◯まちづくり担当部長(坂田融朗君) 小林たかや議員の再質問にお答えいたします。
まず、違法駐車に関することでございますが、これは専ら権限としては警察権限でございます。したがいまして、その権限をもエリアマネジメントが行使するということはございませんので、ご了承いただきたいと思います。
次に、公共施設、公園等の維持管理でございますが、これにつきましては、この再開発が実施をされるいわゆる施工の前から、地域住民の方々、学識経験者、そして学校関係の方々、そういう方々が議論を尽くして、こういう維持管理、自らが維持管理、公共施設を使い、そしてその世話をするというようなことを町会その他、地域団体の中で決めてスタートしておるところでございますので、その意思を尊重したいと思います。(発言する者あり)
〔政策経営部長歌川さとみ君登壇〕
79:
◯政策経営部長(歌川さとみ君) 小林たかや議員の再質問にお答えをいたします。
東京国道事務所の配置については、先ほど申し上げましたとおり、現状では明確な配置案は決まっておらないというところでございます。また、上層部の方は知らないというふうにお答えになったというふうに、のご質問でございますけれども、明らかに、明確に決まっていないものについて答えられないということだと思っておりまして、私どものほうはあそこの場所が全体の中でどういうふうに使うべきかというお話を国道事務所ともしておりまして、その基本的な考え方についてはご理解をいただいております。ただ、国でございますので、国道事務所が簡単に決められるものではないという意味でお答えがあったのではないかというふうに理解をしております。(発言する者あり)
80: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 議事の都合により休憩します。
午後7時17分 休憩
午後7時30分 再開
81: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続けます。
7番大坂隆洋議員。
〔大坂隆洋議員登壇〕
82: ◯7番(大坂隆洋議員) 平成28年第4回定例会に当たり、自由民主党議員団の一員として一般質問をいたします。今回は、中小企業診断士として専門分野である、商工振興関連の質問をいたします。(発言する者あり)
最新の大手シンクタンクによる経済レポートを見ると、我が国の景気は踊り場を脱しつつあるとの判断がされています。これは輸出が持ち直していることと、雇用情勢が堅調に推移していることが大きな要因です。一方で、先ほど最新版が公表された中小企業の月次景況観測を見ると、売り上げは11カ月連続でマイナスになっているなど、厳しい数値が出ているのが現状です。景気全体では堅調とされている雇用についても、中小企業では人材不足が懸念されており、大きなマイナス要素となっています。
ここ数年、大企業が過去最高益を記録してきた陰で、これまで必死に耐え忍んできた中小企業の現状は変わっておりません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)2015年度は、中小企業も大きく経常利益を上げたことが報道されましたが、その要因を分析すると、売上高は伸びておらず、人件費や設備投資といった経費の削減によって利益を上げたものであり、まさに我慢の結果と言えます。今後、その収益構造を改善していくことが最大の課題であり、こうした中小企業や小規模事業者の事業活動を支えることが基礎的自治体である千代田区の役割であると考えます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
来年2月に、平成23年12月に策定された千代田区商工振興基本計画が改定の時期を迎えます。これは、千代田区の商工振興にとって1つの節目となるものです。計画は、ちよだみらいプロジェクトの商工振興部門における分野別計画に位置づけられるものであり、平成4年に施行された、千代田区中小企業振興基本条例を踏まえたものとなっています。
画面をお願いします。(スクリーンを資料画面に切り替え)
前回の改定では、「コミュニティを大切にし、魅力あるまちを創造します」というテーマのもと、1、地域特性を生かした千代田区の「顔づくり」、2、多様な地域、主体との連携を目指す「絆づくり」、3、個々の才能を開花させる「人づくり」、4、中小企業の基盤を強化する「土台づくり」、この4つを商工振興の課題と設定しました。そして、17の基本施策と43の事業を計画の内容に盛り込んでおります。大変、非常に見づらくなっておりますけれども、こうした、見てのとおり、さまざまな支援事業を網羅した、多岐にわたる内容となっております。
画面を戻してください。(スクリーンを元に戻す)
今回の改定を行うに当たって、よりよい計画にするためには、前回の振り返りが必要であるということは、言うまでもありません。課題に洗い出しということでは、今年6月からこれまで4回開催されている商工振興連絡調整会議の中でも行われておりますが、一方で詳細にわたる区内企業に関する統計データをタイムリーに取得することが難しいという現状もあります。定量的に評価を下す過程において、客観性と信頼性が高い詳細なデータがないということは、千代田区の商工振興施策を評価する上で大きな障害となってくるのではないかと考えております。
そこで質問いたします。平成23年に策定した千代田区商工振興基本計画には、17の基本施策と43の事業が掲げられています。この商工振興基本計画のこれまでの成果と今後の課題について、区ではどのように整理をし、認識しているのでしょうか、お答えください。
次に、商工振興基本計画の改定に向けてお伺いいたします。
現在、商工振興連絡調整会議において、それぞれ専門分野を持っている有識者を交え、活発な議論が行われております。さまざまな課題に対する具体的な解決方法の提案もあり、非常に中身の濃い議論がされています。一方で、現行の商工振興基本計画では43の事業が規定されているように、商工振興支援の課題は多岐にわたっており、支援の仕方も無数に存在するものであります。全体として大きな方向性やビジョンを示した上で基本計画を策定しなければ、進むべき道を見失い、千代田区の商工振興自体が迷走してしまいかねないものと考えます。千代田区をどのような地域にするのか、どのような産業を呼び込むのか、さらに広い視野に立つならば、本来はまちづくりの視点につながった枠組みで考えていかなければならないものでもあります。
例えば、事業者を区内に増やしたいということ1つとっても、創業者を増やすのか、ある程度軌道に乗った事業者の提案を促すのか、はたまた大規模な再開発による大企業の移転を期待するのか、それぞれでとり得る対策は変わります。近隣区でも、事業者を呼び込むために、その地域の特性をもとに、さまざまな施策に取り組んでいる状況であり、手をこまねいていれば、奪い取られてしまいます。千代田区で事業を行う大きな魅力として、交通の便がよいという点が認識されておりますが、情報技術が発達した昨今では、それがだんだんと優位性を持たなくなってきています。かえって家賃の高い千代田区は魅力が低くなるという危機感を我々は持たなければなりません。
そこで質問いたします。今回の商工振興基本計画の改定は、千代田区の商工振興の今後の方向性を決める非常に重要なものです。この商工振興基本計画をどのような方針で改定するのか、その基本的な方向性とビジョンについて、区長の考えをお聞かせください。
次に、現在、千代田区で実施されている商工振興施策の課題と利便性の向上について質問をいたします。
現在、商工融資あっせん事業を柱に、幾つかの支援事業が行われています。本年、産業競争力強化法に基づく千代田区の創業支援事業計画が国に認定されたことを契機に、まちみらい千代田を初め東商千代田支部や金融機関など、中小企業を支えるさまざまな支援機関の連携が進んできており、これは非常に歓迎すべきことと考えていますが、それぞれの役割が重複し、窓口も複数存在するなど、現状はまだ交通整理が行き届いておらず、ワンストップ化の実現に向けた取り組みが必要となっています。
また、この創業支援事業計画が認定されたことによって、創業者は会社設立の際の登録免許税の軽減措置や融資を受ける際に信用保証協会の保証枠が広がるなどの優遇が受けられることになりましたが、いま一つ周知が不十分であると感じます。この創業支援事業だけでなく、商工振興に関しては周知が不十分なものが多く、ホームページなどを見てもなかなかわかりづらいというのが現状ではないでしょうか。まちみらい千代田を初めとした支援機関だけでなく、民間の支援事業者と密接に連携をとりながら、わかりやすい事業を展開していく必要があると感じています。
そこで質問いたします。現在、千代田区では、中小ビル支援や地方との連携支援など、幾つかの商工振興に関する事業を行っています。これら事業の課題について区ではどのように捉えているのでしょうか、お答えください。
次に、商工振興に関する事業の柱となっている商工融資あっせん制度について質問いたします。
現在、区内33の金融機関を対象に取り扱われているこの制度は、いわば中小企業、小規模事業者にとって、命綱とも言える制度です。大企業に比べて信用力のない中小企業、小規模事業者にとって、公的機関である信用保証協会に保証をしてもらい、金融機関から無担保かつ低利で融資を受けられるこの制度は、多くの中小企業、小規模事業者にとって、最も身近な資金調達の方法となっています。同時に千代田区では、中小企業診断士による経営相談も、融資あっせん申し込みのときに無料で受けられることとなっており、融資を受けると同時に経営上の不安や課題を気軽に相談できる体制がとられています。
一方で、この融資あっせん事業の利用率が近年減少傾向にあり、中小企業診断士による経営相談の稼働率も低調です。また、経営者のもとに出向く出張相談も行っていますが、この制度はほとんど利用されていないのが現状です。融資の実績向上に向けては、抜本的な資金需要の喚起が必要な部分もありますが、潜在的な需要はあるはずであり、制度そのものの利便性を向上させることにより、融資の利用率、相談の件数増を図っていく必要があるのではないでしょうか。
融資のメニューについても、事業規模や限度額などに応じて、利率や融資期間などが違うものが幾つか用意されていますが、その結果、全体がわかりづらくなってしまっているということもあるのではないでしょうか。
ここで質問いたします。商工融資あっせん事業と経営相談事業について、課題と今後の改善についてどのように認識しているのでしょうか、区の考えをお示しください。
最後に、創業の融資あっせんについて質問をいたします。
画面をお願いします。(スクリーンを資料画面に切り替え)
これは、千代田区の起業資金融資あっせんの条件を一覧表にまとめたものです。昨年の第3回定例会でも質問いたしましたが、千代田区において新規に創業しようとする方がこの制度を利用して資金調達をする場合、その企業の代表者が区民の方である場合、見ていただくとわかると思いますが、名目利率の隣に利子補給率というのがありまして、これが区から補給される利子補給の割合です。で、実際、本人が負担するのは本人負担率のところを見ていただければいいんですけれども、区民の方の場合0.4%、そして借り入れのときにかかる信用保証料は、全額、区からの補助が出ることになっております。一方、代表者が一般の区分になる場合は、利子の本人負担率は1.4%、信用保証料は全額が自己負担となります。区民と一般の方ではこれだけの差がある制度となっています。
同様に、創業融資について近隣区の状況を見てみると、新宿区では、本人負担率は0.7%、商店会の加入や、新宿区が指定する文化創造産業での創業で0.5%になります。また、保証料は2分の1の補助が出ます。港区では、保証料の補助はありませんが、本人負担率は0.4%で、千代田区の一般区分より1ポイント、条件がよいことになります。中央区でも、本人負担率0.4%で、保証料は3分の2が補助となります。比較すると、都心の近隣区では創業融資に関して、千代田区よりも条件が悪い区はありません。また、より創業者を呼び込みたいと考えている地域では、保証料全額補助を行っているところも多くなってきており、台東区などでは本人負担率0%に加え、信用保証料の全額補助を行っております。
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こうした状況を考えると、何か特別な事情がない限り、千代田区で事業を起こすことはそれだけで損をするということになってしまいます。ちよだみらいプロジェクトでは、めざすべき10年後の姿として、「起業しやすいまちとして活力に満ちあふれている」と掲げています。これを実現するためには、利子補給と信用保証料補助のあり方を変えていく必要があるのではないでしょうか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)現状では、創業を考えている人に対し、千代田区内で創業を勧めることはできません。新しい事業者が区内で育たなければ、まちの活力は下がり、にぎわいもなくなってしまいます。
そこで質問いたします。千代田区の商工融資あっせん事業における起業資金融資において、一般区分の利子補給率や信用保証料がほかの地域と比べて不利な状況となっており、抜本的な改善が必要です。近隣区と比べても遜色のない水準に利子補給率と保証料の補助を行う必要があると考えますが、区の考えをお聞かせください。
以上、商工振興基本計画の改定、商工振興施策の課題について質問をいたしました。区長並びに関係理事者の前向きな答弁をお願いし、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
83: ◯区長(石川雅己君) 大坂議員の商工振興基本計画に関するご質問にお答えいたします。
まず商工振興基本計画の改定方針等についてでありますが、ちよだみらいプロジェクトにおいて、商工振興部門のめざすべき10年後の姿が描かれております。すなわち企業が起業しやすいまち、異業種交流や情報交換の場が充実し、努力をする中小企業が事業展開しやすいまち等の4つの事項を踏まえまして、中小企業、商工業の振興策を、目下、鋭意検討しているわけでございます。
新しい商工振興基本計画は、このような方針を踏まえ、来る2020年東京オリ・パラ、さらにはその後も見据えて、千代田区に住み、働き、学び、集う全ての人々にとって、地域が活性化しにぎわいが生まれる実感が持てることを目指して、今、鋭意作業しているところであります。
なお、詳細その他の事項については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
84:
◯地域振興部長(立川資久君) 大坂議員の商工振興計画の改定並びに商工振興計画施策に関するご質問に、区長答弁を補足してお答えいたします。
まず、現行の商工振興計画の成果と課題についてであります。現行の計画では、「コミュニティを大切にし、魅力あるまちを創造します」という理念のもと、さまざまな施策を推進してまいりました。例えば、「顔づくり」の企業支援の充実という施策については、区内の各創業支援事業者と連携し、それぞれの強みを生かし、多様な支援を行う仕組みを創設しました。また、「絆づくり」の地域間交流の活性化という施策につきましては、農商工連携による地方都市との交流を促進し、地方都市との共存共栄の関係を推進してまいりました。また、「人づくり」の、まちづくりの担い手育成という施策については、千代田まちづくりサポートの実施により、地域活動団体の活性化を支援してきました。さらに「土台づくり」の、商店、商店街の活性化という施策については、商店、商店街が実施する自主的かつ主体的な取り組みを支援することで、集客効果を高め、地域のにぎわいを創出してまいりました。
一方で、我が国の景気は緩やかな回復基調が続いているとはいえ、個人消費の低迷などが地域経済にも影響し、本区においても区内事業所数が減少しております。地域経済の担い手である中小企業が事業を安定的に継続するための支援や、区内における創業をよりしやすくする環境の整備など、地域経済を活性化するための強力な取り組みが今まで以上に必要となっていると認識しております。
次に、中小ビル支援や地方との連携支援などの事業についてであります。
中小ビル経営支援では、昨年度、相談事例の収集や類型化などに取り組んでまいりましたが、相談件数が低調であり、支援の浸透、波及には、課題を残した形となりました。今後、事業効果をより高めるためには、まず事業の周知に工夫をすること。そのためには各種の支援を実施する関係機関相互の連携を強化するとともに、各種支援メニューを包括するような情報提供のあり方などを検討し、支援を必要とする中小ビル経営者に適時適切な支援が行き届くよう努めてまいります。
また、地方との連携については、地方の食材を初め産品を区内で消費し、地方都市の魅力をPRすることを事業の主眼としておりますが、都心ではなかなか得られない体験や生産者等との交流を通して、地方都市への新たな人の流れを生み出す取り組みなどを検討し、地方との連携をより一層推進してまいります。
次に、商工融資あっせん事業と経営相談事業それぞれの課題と今後の改善についてであります。
商工融資あっせん事業につきましては、議員ご指摘のとおり融資メニューが複雑かつ多岐にわたり、利用する事業者にとって必ずしもわかりやすい内容とはなっていないことが課題であると認識しております。そのため、あっせん事業に寄せられる主な相談と対応する融資メニューとを類型化し、利用者にわかりやすくご案内するなどの工夫を講じてまいります。経営相談につきましては、創業に関する相談が増加しておりますが、議員ご指摘のとおり、出張による経営相談については、事業の周知不足が課題となっております。中小企業者の経営支援をより一層充実していくためには、これらの課題を的確に把握し、既存事業の見直しも含め、利便性を高める事業構築を図ってまいります。
次に、企業資金融資に係る利子補給と保証料についてであります。議員ご指摘のとおり、商工融資あっせん事業の利子補給や信用保証料補助については、在住区民が経営する事業所により手厚い優遇制度となっております。しかし、区内の産業をより活性化させるためには、現行制度を見直す中で、区外からも広く起業者を呼び込むための支援策が必要であると認識しております。今後、商工振興基本計画の改定作業の中で十分な検討を行い、具体化をしてまいりたいと考えております。
85: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 次に、8番池田とものり議員。
〔池田とものり議員登壇〕
86: ◯8番(池田とものり議員) 平成28年第4回区議会定例会において、自由民主党議員団の一員として一般質問を行います。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会まで、4年を切りました。千代田区内にも競技会場が予定されていることから、多方面で整備検討会が開かれています。とりわけ、最も注目される競技の1つである柔道の競技会場とされる日本武道館の周辺は、大会開催期間中の多様な来街者に対応しなければなりません。そうした多くの来街者に、千代田区で気持ちよく過ごしてもらい、また千代田区を訪れたいと感じてもらうための1つに、高齢者や障がい者、そして外国人などにも配慮した、清潔で快適なトイレが求められます。一日のうちに何度となく使用する、日常生活ではなくてはならない空間であります。また、トイレは、まちの印象を決める重要な要素ともなっております。今回、私は、このトイレの整備についてお聞きいたします。
今年度、新規事業として、民間トイレの実態調査を行い、その結果を踏まえ、民間トイレの一般開放など、オリンピック・パラリンピック開催時のトイレ対応について検討していく予定であるとお聞きしています。そして、区内の公衆トイレの整備に必要な調査でもあると認識しています。さきのリオ五輪では、史上最多の205カ国が参加し、文化や生活習慣の違う人々が世界中から集まり、基本的なトイレの使い方にも大きな差異が生じることもあったと推測されます。トイレの形状から、便座のあるなし、紙を流す流さない、紙を使わず手で洗うなど、トイレ事情は違うものの、日本での正しいトイレの使い方を示す表示も検討されるのではないでしょうか。区では、国内外の先進事例や、2012年のロンドンオリンピック・パラリンピック開催時におけるトイレ対応について、どのような工夫や対策を講じたのかについてなど、さまざまな調査を実施しているとお聞きしています。そうしたトイレ対策に前向きな姿勢は評価したいと思います。しかしながら、現状においては、千代田区内の公衆トイレの整備は、必ずしも良好に進んでいるとは言えない状況ではないでしょうか。
そこでお尋ねいたします。
1点目は、区の公衆トイレの使いづらさについてです。
平成16年、公衆トイレのあり方についての提言により、公衆トイレは、これまでの30カ所から、有料トイレ1カ所を含む20カ所に適正配置がなされ、公衆トイレの維持管理を実施しています。今年度までに、公園トイレを含め、13カ所のトイレのリフレッシュや建てかえ整備を行い、来年度からは、今年度実施されている民間トイレの調査を踏まえて、来街者に向けたサインの整備や設備の改善などを予定しているようですが、どこの公衆トイレも改善箇所が見受けられました。
幾つかご紹介いたします。(スクリーンを写真画面に切り替え)
九段坂の公衆トイレです。ごらんのように、階段があります。表示も薄くなっております。男性か女性か、どちらかがわかりません。
これは、一ツ橋の公衆トイレです。こちらも表示板がかすれて、わかりづらかったです。(発言する者あり)
皇居ランナーも多く使われる、竹橋の公衆トイレです。一番手前にあるバリアフリートイレのドアが修理中になっていました。男性用のトイレの中の窓枠の外にごみが放置された状態です。
富士見二丁目にある牛込見附の公衆トイレです。真ん中のバリアフリートイレの便座が修理中で、使いづらそうでした。
錦町の神田橋の公衆トイレです。昼間に訪れましたが、中へ入っても薄暗い状態です。また、女性用のトイレが直接見えてしまうような位置でした。(発言する者あり)
三崎町の新三崎橋ぎわの公衆トイレです。バリアフリートイレがありますが、その中の呼び出し用ボタンが見当たらず、不便を感じるところがありました。
東神田の美倉橋の公衆トイレです。外観は非常にきれいでした。中に入りまして、バリアフリートイレの便座のふたがとれたままでした。また、周囲の植え込みにごみが投げ込まれている状態です。
千鳥ヶ淵の公衆トイレです。公衆トイレでは最も広く、利用しやすそうでありました。こちらも皇居ランナーがよく利用されています。(スクリーンを元に戻す)
そのほかさまざまに公衆トイレを見てきましたが、最も目についたのが、男女の表示板のわかりづらさです。ちょうど利用しようとした男性が、どちらが男性用かわからず、うろうろして、戸惑っていたところを何度か目にしました。維持管理をしっかりできるために適正配置したのではないでしょうか。
また、それぞれの公衆トイレで、一日のうち、ほとんどの箇所が午前中と昼ごろとの2回、清掃が行われています。場所にもよりますが、夜間の利用が多いところは、時間帯を考えて清掃できないものでしょうか。これでは、清潔で快適な空間とはとても言いがたいです。
衛生面やバリアなど、使いづらさには複合的な要因があるかと思います。障がい者も利用する誰でも入れるトイレの整備に当たっては、区の担当者だけでなく、障がいをお持ちの方の意見もしっかりと反映することが必要だと考えます。
一見バリアフリー対応がなされている箇所についても、例えば車椅子利用の方の視点で見直すと、使いづらい部分があるかもしれません。また、目が不自由な方の立場に立って見直すと、使いづらい部分があるかもしれません。障がい者団体や区内のバリアフリーマップを作成している団体から意見をお聞きしながら整備を進めることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。また、外国人へのサインの整備はいかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。
2点目は、東京マラソンコース周辺への公衆トイレの整備についてです。
毎年2月に実施されている東京マラソンは、ご承知のとおり、千代田区内にもマラソンコースが設定され、3万人以上のランナーに対して、コース沿道から熱い声援が送られています。これまでのゴールは東京ビッグサイトだったため、最終ランナーが通過した数分後の午前中には、交通規制も解除となりました。来年の2月26日の大会は、一部コースが変更され、ゴールが東京駅前になります。そのため、一時待機時間も含め、規制時間が長くなる箇所があります。ゴール周辺の区内沿道での声援は、これまで以上に盛り上がることと思います。しかしながら、そうした盛り上がりに水を差すのが、大会ボランティアや声援を送る方々のトイレ問題です。大会当日は、コース周辺のコンビニエンスストアなどのトイレには、多くの方が列をなしています。寒い時期のトイレの順番待ちはとてもつらく、切実であります。そこで、民間トイレの調査を踏まえ、コース周辺において、トイレの空白地帯に新たな公衆トイレを整備することが必要なのではないかと考えますが、いかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。
3点目は、神保町周辺における公衆トイレの整備についてです。
神保町駅においては、バリアフリー対策のため、専大前交差点近くの空き地にエレベーターが設置される予定であります。高齢者や障がいをお持ちの方、子育て世代の方などの利便性が向上することが期待されます。実は、設置予定のエレベーターをおりた先の構内近くには、トイレが設置されておりません。そこで、エレベーターの整備に合わせて、地上部に区が公衆トイレを整備することを提案いたします。それにより、駅利用者の利便性の向上を図ることができるだけでなく、専大前交差点付近は新たに来年の東京マラソンのコースに入るため、先ほどの東京マラソン開催時におけるトイレ対策にも寄与できると考えます。区の見解をお聞かせください。
最後に、神保町交差点付近のバリアフリー化の整備についてお聞きします。
区長は、招集挨拶の中で、東京オリンピック・パラリンピックに伴うまちづくりは、4年に一度行われるスポーツ競技大会のいわゆる「為にする開発」であってはならない。地域の魅力を磨き上げることで、「風格あるまち千代田」が実現できるもの、とのお考えを示されました。
世界最大の本のまちとして知られている神保町古書店街で、10月末に開催される「神田古本まつり」には多くの方が訪れ、まさに世界に誇る千代田の大きな魅力となっています。多くの方が東京メトロ、都営地下鉄を利用して来街されますが、高齢者や、車椅子やベビーカーを利用される方々から、駅の昇り降りが大変、エレベーターが遠いなど、バリアフリー対策がおくれているのではないかとの声が寄せられています。神保町交差点付近には、エレベーターが整備されていないのです。世界に誇る本のまちであるからこそ、バリアフリーに関しても、来街者に優しいまちづくりの観点から、世界に誇れるような整備が必要ではないでしょうか。地域の魅力をさらに引き上げるため、風格あるまち千代田の実現に向けた区長のお考えをお聞かせください。
以上、これまでの、そしてこれからの世代をつなぐため、千代田のレガシーになるべく、公衆トイレの整備とバリアフリーについて、4点お伺いしました。区長並びに関係理事者の明快な答弁を求め、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
87: ◯区長(石川雅己君) 池田議員の、駅のバリアフリー化に関するご質問に、まずはお答えいたします。
区では、平成15年に策定をいたしました千代田区交通バリアフリー基本構想に基づきまして、区内の鉄道事業者と連携を図りながら、高齢者や障がい者はもとより、誰もが安心して移動しやすいまちの実現に向けて取り組んでいるところであります。さらにこの基本構想の中身は、皇居を除く区内全域を重点整備地区と指定いたしまして、区内の全ての鉄道駅に1路線、ワンルートのバリアフリールートの確保を推進するという内容になっております。多分大都市で初めてこういう計画をつくって、進んだと思います。
現時点でこの基本構想の達成状況を申し上げますと、整備状況は延べ51駅中41駅でありまして、80%の整備率になっております。そして、未整備の10駅についても、平成32年の東京オリ・パラ大会までに整備できるよう、各鉄道事業者が精力的に工事を実施しているところでございます。
加えまして、さらなる利便性の向上を目指しまして、既存の民間の建物の更新あるいは周辺の再開発の機会を捉えまして、そうした事業者にぜひ、エレベーターまたはエスカレーターを設置していただくようかなり強いお願いと誘導をしてまいりまして、これまで40駅と申しますか40カ所、実はでき上がっております。もちろんこれだけでは十分だというふうには思っておりませんので、これからも複数のルートの整備を、鉄道事業者だけではなく、民間のビルの更新等に抱き込むように、継続的に働きかけてまいりたいと思います。
また、公衆トイレにつきまして、さまざまにご指摘をいただきました。全くそのとおりだろうと思います。私は、公衆トイレは、まちの文化度を示すという思いもあります。そして、それぞれのご家庭を訪問されたときのご家庭のトイレのありようは、その家の風格と価値をつくっていくものだというふうに思っております。したがいまして、精力的に公衆トイレのユニバーサル化を含め、さまざまな対応を、民間の協力を得ながら、オリ・パラまでに進めてまいりたいというふうに思っております。
なお、内容の詳細及びその他の事項については、担当理事者をもって答弁をいたさせます。
〔環境まちづくり部長細越正明君登壇〕
88:
◯環境まちづくり部長(細越正明君) 池田議員のご質問について、区長答弁を補足してお答えいたします。
まず、公衆トイレにつきましては、平成16年の公衆トイレのあり方に関する提言に基づき、有料トイレ1カ所を含む20カ所の公衆トイレについて、維持管理を行っております。一方、近年、区内では外国人観光客などの多くの来訪者が見られ、異なる文化や生活習慣を持つ方々に対する取り組みが必要であることは、議員ご指摘のとおりでございます。
区では、現在、民間が管理するトイレも公共的なトイレとして活用できないか、民間トイレの実態調査を実施しているところでございます。
今後、この調査結果を踏まえ、外国人を含めた来訪者が円滑にトイレを利用できるような案内方法、高齢者や障がい者の方にもより使いやすい設備への改善などについて、関係団体の方のご意見を伺いながら、公衆トイレのリフレッシュ等、具体の検討を行うとともに、清掃方法等の改善も図ってまいります。
次に、東京マラソンのコース周辺でのトイレ整備についてです。東京都からは、開催時における仮設トイレ等の敷地提供について要望を受けており、区としても前向きに協力している考えでございます。
ご質問のコース沿道への公衆トイレの設置につきましては、今回の東京マラソン開催時の仮設トイレの利用状況、さらには沿道の既存施設等のトイレの有効性などを検証し、公衆トイレに見合う機能の確保について検討してまいります。
次に、神保町駅の新設エレベーター整備箇所付近での公衆トイレの整備につきましては、当該敷地を所有する東京都交通局では、敷地の利用状況等に鑑み、地上部にトイレを整備することは困難との見解でございます。区といたしましては、まずは駅構内のトイレを誰もが利用しやすい環境となるよう、東京都に対して要望してまいります。
次に、神保町駅のバリアフリー化につきましては、三田線側にある神保町一丁目再開発区域内のエレベーターに続き、専大前交差点付近で新宿線側にエレベーター整備を、東京都交通局にて行っております。これにより、未整備だった半蔵門線もバリアフリーに対応するものとなります。さらに、一ツ橋二丁目地内のビル建てかえに伴い、施設内エレベーターを活用することで、新たなルート整備がなされることから、周辺地域の利便性はさらに向上していくものと思われます。
89: ◯議長(
戸張孝次郎議員) お諮りします。本日は以上で延会したいと思いますが、異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
90: ◯議長(
戸張孝次郎議員) 異議なしと認め、決定します。
次回の継続会は、明日12月1日午後1時から開会します。
ただいま出席の方には文書による通知はしませんので、ご了承願います。
本日は以上で終了いたします。延会いたします。
午後8時13分 延会
会議録署名員
議 長 戸 張 孝次郎
議 員 永 田 壮 一
議 員 内 田 直 之
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