千代田区議会 1997-06-04
平成9年第2回定例会(第1日) 本文 開催日: 1997-06-04
改めて、修正基本計画、行財政効率化推進大綱の策定に対しての区議会の活発なご論議に深く感謝の意を表する次第です。
次に、都区制度改革についてでありますが、平成10年の法改正に向けて、本年秋までに自治省と具体的協議が行われる見込みであり、制度改革実現への運動はまさに正念場を迎えております。
本区といたしましては、これまで具体的な条件整備に取り組んできたところであり、今後とも遺漏なきよう努力してまいる所存であります。
次に、難視聴対策と情報化施策についてでありますが、テレビの難視聴問題は、本区においては長年、懸案事項の1つでありました。
その対策の一つである都市型CATVについても、その有効性は十分認識しつつも、本区における事業性にさまざまな問題があるために、これまで導入するには至りませんでした。しかし、最近の規制緩和の流れの中で事業化の環境が整いましたので、修正基本計画の中で都市型CATVの導入支援を計画事業として位置づけたところであります。今後、都市型CATV事業者の事業展開に対して側面的な支援を積極的に行うとともに、積年の課題であるテレビ難視聴問題を解決してまいりたいと考えております。
また、都市型CATVの活用も含めた地域情報化の課題に対しましても、順次取り組んでまいる所存であります。
次に、さきの臨時会でも触れましたが、このたび私は、「日本人メキシコ移住100周年記念式典」等に出席するため、去る5月10日から1週間、鈴木前議長、神田囃子保存会10名の皆様とともにメキシコを訪問してまいりました。
滞在中は、在メキシコ日本大使館の公使や江戸っ子会という日本人グループが私たちの世話役としてご活躍いただきましたおかげで、厳しい日程でありましたが、大変有意義な文化・芸能交流を行うことができました。
特に、記念式典や日墨学院での神田囃子保存会の皆さんの演奏は、メキシコに日本の伝統芸能を紹介する大変よい機会となりました。音楽に国境はないと申しますとおり、メキシコでの盛大な歓迎ぶりから、神田囃子の演奏が大変好評であったという印象を持って帰国いたしました。
ご協力いただきました関係者の皆様に、改めて感謝申し上げる次第であります。
また、千代田区とメキシコとの関係につきましても、現地の日本大使館が窓口となり、さらに友好親善交流が図られるよう検討を進めており、具体的な交流内容につきましては、区議会を始め国際交流・平和事業推進懇談会、メキシコ大使館等関係者のご意見を十分承りながら取りまとめてまいりたいと考えております。
次に、今後のまちづくりの指針となります「千代田区都市計画マスタープラン」についてでありますが、今年度末の策定に向けて鋭意取り組んでいるところであります。
去る3月には、地域別構想の素案を広報により区民の皆様にお知らせしたところであり、現在、引き続き、これらの実現方策について検討を進めております。
7月には地元説明会等を開催し、区民や企業の皆様のご意見をいただきながら、具体的で実効性のあるマスタープランにしてまいりたいと考えております。
一方、本区の文化や歴史に育まれた豊かな景観資源を生かし、風格と気品に満ちた都市景観を形成するための「景観形成マスタープラン」や、緑化や緑地の一層の充実を図るための「緑の基本計画」につきましては、このたび各検討委員会から報告を受けたところであり、今後、マスタープランと整合を図りながら本年度中に策定してまいります。
次に、「箱根千代田荘」の改築についてでありますが、本年5月末で解体工事を完了し、いよいよ7月から改築工事に着手する運びとなりましたので、本
定例会にその契約議案を提案したところであります。
開設は平成11年7月を予定しておりますが、新たな千代田荘が区民の余暇並びに世代間の交流の場として、真に区民の皆様方から喜んでいただける施設となるよう、努力してまいりたいと存じます。
次に、(仮称)神田公園出張所・区民館についてでありますが、このたび実施設計が終了し、出張所は去る5月26日に仮庁舎に移転し、今月中旬から解体工事が開始される予定となっております。さらに、11月から新築工事に着手し、平成11年5月に新しい出張所・区民館がオープンする予定になっております。
今後、新たな施設が地域コミュニティの重要な核となり、区民の期待にこたえられる施設となるよう、皆様のご意見を伺いながら事業を進めてまいりたいと考えております。
次に、
内幸町ホールについてでありますが、7月1日から供用開始を予定いたしておりますが、それに先立って6月20日から28日までの9日間、演劇・演芸及びコンサートなど区民参加も含めた盛りだくさんのイベントを企画し、オープニングを飾ることにしております。
今後このホールが、千代田区の新しい文化並びにコミュニティの発信拠点として、また、多くの方々に親しく利用される施設となるよう、努力してまいる所存であります。
次に、「福祉施策」に関してでありますが、私は、3期目の区長就任に際して「23区で一番やさしい福祉の実現を目指したい」と申し上げました。これは、この千代田のまちが思いやりとやさしさにあふれた心豊かなまちになるよう、区政の先頭に立って頑張ることを区民の皆様に改めてお約束した言葉でもあります。
このため、本年度における具体的な福祉施策として、地域福祉乗合タクシー「風ぐるま」の運行をスタートさせました。準備期間が短かったにもかかわらず、区民の多くの皆様方から支持を受け、これまでの福祉バスの乗車実績を大きく上回り、利用者から評価されております。
また、今年度は、地域福祉計画の改定の年に当たります。
現在、区民の皆様からの福祉に関するアンケート結果に基づいて、少子高齢社会を踏まえた福祉施策の構築を目指して検討を進めております。今後、介護保険制度の動向をも念頭に置きつつ、区民の皆様のご意見を伺いながら、精力的にこの作業を進めてまいりますが、その際に区政運営の根底に福祉の心を大切にし、人にやさしいまちをつくり上げていくという視点を重視してまいりたいと考えております。
以上、当面する諸課題への取り組み状況を申し述べましたが、区議会におかれましても変わらぬご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
次に、今回ご提案いたしました諸議案のうち、初めに「平成9年度東京都千代田区一般会計補正予算第1号」についてご説明申し上げます。
まず、第35回区民体育大会を区制50周年記念行事として実施するため所要の経費を、また、番町小学校体育館の耐震診断結果に基づき、耐震補強工事を必要とするため、耐震補強設計委託経費をそれぞれ追加計上いたしました。
次に、麹町小学校に隣接する麹町二丁目の土地を公共用地として購入するための経費を、また、昨年度購入した麹町保育園に隣接する一番町公共用地を暫定利用するため、その整備経費を、さらに、都市型CATVを活用したテレビ難視聴対策及び地域情報化施策を検討するための協議会運営等の経費を、加えて旧淡路小学校校舎を解体するとともに、校舎内に保存しておりました埋蔵文化財等の搬出・保管経費をそれぞれ計上いたしました。
これらの財源につきましては、特別区税及び繰入金に求めております。
この結果、今回の補正額は歳入歳出とも、16億4,253万6,000円となり、本年度の一般会計予算の総額は、477億1,003万3,000円となりました。
次に、条例案件についてご説明申し上げます。
まず、「災害に際し応急措置の業務等に従事した者に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例」についてでありますが、本案は、非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令の一部を改正する政令の施行に伴い、補償基礎額及び介護補償額を引き上げるほか、厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴い、規定を整備するものであります。
次に、「東京都千代田区難病患者福祉手当条例の一部を改正する条例」についてでありますが、本案は、手当の支給対象疾病名について規定を整備するものであります。
次に、契約案件についてでありますが、区立千代田荘改築に伴う「改築工事、改築空調設備工事、改築電気設備工事及び改築給排水設備工事」の各請負契約の締結並びにタワー飯田橋通りの道路整備工事の請負契約を締結するため、いずれも東京都千代田区議会の議決に付すべき契約及び財産の取得または処分に関する条例第2条の規定に基づき、議決を得るものであります。
このほか、報告案件として、「平成8年度東京都千代田区一般会計予算の繰越明許費に係る歳出予算の繰り越しについて」であります。
何とぞ諸議案につきましては、慎重ご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、平成9年第2回区議会
定例会開会のごあいさつといたします。(拍手)
4:
◯議長(鎌倉つとむ君) これより各会派の代表質問に入ります。
初めに、自由民主党議員団を代表して、19番満
処昭一君。
〔満
処昭一君登壇〕
5: ◯19番(満
処昭一君) 平成9年第2回
定例会に当たりまして、自由民主党議員団を代表して質問を行わせていただきます。
西暦2000年をあと3年に控え、世界の政治状況と経済状況はかつてないほどの変化が訪れております。
イギリスではメイジャー政権からブレア政権にかわり、混迷をきわめたザイールでは、カビラ新政権が誕生しました。また、経済面では、イギリスの政権交代の重大な原因となったわけでありますが、ECの通貨統合の動きが加速されております。また、予定されていたことではありますが、香港の中国返還が来月に迫っております。
世界が大きく変わってきている、そんなことを感じさせる世の中の動きではないでしょうか。
日本においても、戦後50年を経て、いろいろな面で転換期を迎えていると言っても過言ではないでしょう。敗戦の廃墟の中から立ち上がり、不撓不屈の精神で頑張ってきた日本。時にはエコノミックアニマルなどという批判を受けたこともありましたが、とにかく貧しさを乗り越え、生活は豊かになり、企業は世界を代表する有力なものに成長してきました。
しかしながら、私は今、人々が満ち足りた充足感の中にあると実感しているかというと、甚だ疑問に感じるのであります。
オウム真理教事件は人々を驚愕させました。最近では奈良県月ケ瀬村少女失踪事件や神戸市須磨区小学校6年生殺人事件など、異常な犯罪は後を絶ちません。
産業界、官界においても、住専問題や石油をめぐる泉井事件、オレンジ共済事件や厚生省の岡光事件などに続き、最近も、動燃爆発事故とその後の動燃事業団の相次ぐ不手際や事実を隠し、さらには、野村証券や第一勧業銀行の総会屋問題など不祥事が続いております。
特に、動燃爆発事故については、その原因究明を求めて、千代田区議会としても意見書を提出したにもかかわらず、動燃事業団のその後の対応については憤慨の念にたえません。
なぜこうした事件が起こるのか。こうした背景には何があるのか。私なりに考えてみました。そして、これらに共通して感じるのは、「本来目的の喪失」であります。
人間らしく生きるために何をなすべきか。原子力の安全確保とは何なのか。総会はなぜあるのか。こうしたそもそもの目的を見失っているところにその原因があるのではないでしょうか。
さて、政府与党は財政構造改革会議でいろいろ検討を行い、昨日、公共投資の減額など歳出削減の具体策を最終報告としてまとめました。報道によれば、さらにこの報告に関連し、首都機能移転構想の凍結なども伝えられております。
私はこれらを「本来あるべき姿」を求めるものとして評価したいと考えております。特に首都機能移転構想の凍結については、区議会としても、拙速を戒め、十分論議を尽くし、決すべきものと再三にわたり意見書を提出してきたところであり、このような動きはまさに歓迎すべきものと考えているところであります。
振り返って、区政はその「本来目的」をきちんと見据えておりましょうか。
「区政の本来目的」、すなわち「住民本位の区政運営」を忘れてはならない、私はそう考えるのであります。
「区政は区民のもの」、これは区長の信条でありますが、今後ともぜひこの方針のもとに目的を見失うことなく、区民福祉の向上に努めていただきたいと考えます。
また、今年は千代田区制50周年の年であるとともに、地方自治法制定50周年の記念の年でもあります。
一つの節目を通過する中で、都区制度改革についても正念場を迎え、さらに、住民福祉は身近な基礎的自治体へと地方分権の潮流を十分踏まえつつ、住民本位の区政運営に努めていく。こうした基本的考えのもと、当面の区政の重要課題のうち、地方分権の推進と平和事業や国際交流事業の推進、さらに、先月、衆議院を通過した介護保険制度についても、順を追って質問をいたします。
まず、地方分権の推進に関する最近の状況を踏まえ、お伺いいたします。
地方分権の推進は、国民一人一人が真にゆとりと豊かさを実感でき、個性豊かで活力ある地域社会を実現していくために、地方公共団体の自主性及び自立性を高めようとするものであり、中央集権型システムの限界が叫ばれて久しい今日、今や時代の大きな流れとして不可欠の課題となっております。
地方分権が真に実現されることにより、地方公共団体は各地域の実情に合った施策を、住民ニーズに的確に対応しつつ、独自にかつ責任を持って進めていくことができ、それが今まさに求められているわけであります。
そうした流れの中、地方分権の実現を目指して平成7年5月に制定された地方分権推進法は、早期実現を目指して5年の期限をつけて時限立法とされております。
推進法に基づき、同年7月に地方分権推進委員会が設置され、推進委員会の審議・勧告を経て、政府は地方分権推進計画を定め、推進計画に基づく施策の実施状況を推進委員会は監視するという、極めて具体的な流れが示されております。
今や、地方分権は現実のものとして動き始めております。
こうしたスケジュールの中、地方分権推進委員会は、昨年3月に提出した中間報告を土台にして、昨年12月、「分権型社会の創造」と題する第1次勧告を内閣総理大臣に提出をしました。この勧告は、機関委任事務制度の廃止と新しい事務の区分、分権型社会にふさわしい国と地方の関係について新たなルールの創設、及びこれらの考え方に沿った主要な行政分野における改革のあり方について、具体的な指針を示したものであります。
中央集権型行政システムから地方分権型行政システムに改めるその理念や、今後の大筋の方向性について、基本的に評価できるものであります。
しかしながら、中間報告より後退した部分があるなど、その内容を見ると憂慮すべきものが数多く身受けられます。例えば、従来より中央集権型行政システムの中核的制度との批判の強かった機関委任事務制度を廃止し、それに伴う新しい事務区分として法定受託事務の考え方が中間報告の流れに沿って示されておりますが、中間報告よりも法定受託事務の範囲が広がっております。また、国と地方の関係についての新たなルールについても、国と都道府県の関係のルールを示すにとどまっていることなどであります。
そこで、伺います。
区としては、この第1次勧告をどのように評価されているのでしょうか。また、地方公共団体の関係、すなわち都と区の間の分権についてはどのように考えているでしょうか。
次に、地方分権の推進に当たって事務権限の委譲のみならず、国庫補助負担金の整理・合理化や地方税財源の充実確保などの財政問題は必要不可欠なものと考えられます。事務権限の地方公共団体に対する委譲にあわせて財源も委譲されなければ、地方分権は絵にかいたもちになるわけであります。
第1次勧告においては、事務権限に関する改革の検討を先行させたとのことで触れられておらず、今月末か来月上旬に予定されている第2次勧告で扱うと聞き及んでおります。また、第2次勧告では、財政問題とあわせて第1次勧告で積み残しとなった地方公共団体の行政体制の抜本的見直し、必置規制の整備・合理化、地方事務官制度や国の地方出先機関の見直しについても取り扱われるとのことであります。
これら第1次と第2次の勧告をあわせて、地方分権推進委員会としては、地方分権を総合的に推進するための具体的な指針がすべて提示されたことになるとしているようであります。国の各省庁とのヒアリング等も進められているようですが、ともすると実現可能な勧告という余り、地方分権の名だけであって実のない結果にならないことを強く望むものであります。
そこで、お尋ねいたします。
近々予定されている第2次勧告に対して、区としてどのように対応していくのか。また、受入体系の整備についてどのように考えているのか。考え方をお聞かせお願いいたします。
次に、平和施策と国際交流について区長の考えを伺います。
千代田区は平成7年3月、区民の総意として「国際平和都市千代田区宣言」を発表し、地域から積極的に平和施策を推進していくと誓ったところであります。
この宣言を受け、千代田区制50周年に当たることし3月には、「国際平和都市千代田区宣言」を永続的に祈念するとともに、この千代田区から平和への気球を発進していくというシンボルとして、「平和祈念モニュメント」が区役所前に設置されました。
50年前、千代田区は太平洋戦争による直接の戦火を受け、愛するまちは焦土と化し、区民は命を奪われ、傷つき、そして財産を失って逃げ惑いました。
幸いに、今日の千代田区は、戦後を支え頑張ってこられました方々の英知と努力により、日本の首都東京の中心として、そして世界に誇れる安全で便利なまちとして発展を遂げております。
私たちは、平和を愛し、千代田区を愛し、そして歴史と文化に育まれた千代田区を、このシンボルモニュメントとともに次代に継承していかなければなりません。
また、本事業に並行して進められてまいりました「千代田区戦争体験記録集」と「平和啓発ビデオ」も、この3月に完成されました。
この企画は、「風化していくさきの大戦での区民の体験や千代田区の惨状を記録として書きとどめ、未来に向かって戦争と平和を考えていく資料にしてほしい」という区民の願いを受けて編集されたものであります。
今日ある千代田区の歴史をつづる貴重な1ページでもありますので、広く活用できるよう、一層の工夫を願うものであります。
具体的な活用方策については検討されている状況があればお答えをお願いいたします。
このほか平和事業として区民各層から構成された、広島、長崎、沖縄への平和使節団の派遣、「平和への理解は子供から」という理念に基づく児童館での「平和の集い」など、平和宣言を受けた施策が区民参加で進められております。特に、平和使節団派遣事業を継続することによって、各都市との交流を深め、幅広い市民交流へつながることを期待しております。
私たちは、地域から平和施策の推進に取り組んでいくために、区民と行政が一体となって一歩一歩粘り強く継続して進められていくことが大切であると考えております。
平和宣言から2年、一定の定着を見ております千代田区の平和事業が、今後、一層区民各層に浸透し、平和を地域から築き上げる力になるよう念願していますが、区長は、今後の方針としてどのように考えているかをお伺いをいたします。
さて、千代田区は国際都市として、世界の恒久平和に貢献しながら、地球市民間の相互理解と人類の共存共栄に向けた施策を積極的に推進していく立場にあり、このことが区民の国際理解をさらに促進し、また、千代田区の開かれた地域社会形成に寄与すると考えるものであります。
この視点から、国際都市千代田区にふさわしい施策として、まず、この千代田区を構成する諸外国の人々と積極的に交流し、生活の場から相互理解を進めながら、協力関係を構築し、交流の環を広げていくことが大切と考えます。
去る5月には、英国ウエストミンスター市の中学生がホームステイで千代田区を訪れ、平成7年に本事業が始められてから2回目の相互訪問が行われたことになり、千代田区の中学生海外交流教育、国際理解教育への成果はもとより、区の関係交流施策を大きく前進させるものと考えております。
このウエストミンスター市が存在する英国の大使館は千代田区に設置されております。
去る4月には、大使館側の試行とはいえ、千代田区民が英国の大使館中庭に招待され、異文化に触れ、学ぶことができました。
これは、元英国外交官のアーネスト・サトー氏による桜寄贈記念100周年を来年に控えての一環としての計画とのことですが、千代田区民に庭を開放していただいたことは、これまでの当区と英国とのさまざまな交流が大きく寄与した結果であろうと考えております。
もちろん、大使館は一国の機関であり、たとえ存在するといえども、一自治体に交流の窓を開くことは容易なことではないと思いますが、このような催事は、区民一人一人が主体的に参加でき、地域からの国際理解、交流促進に大変有益と考えております。
こうした交流は、区がさらに工夫と努力をすることによって、幅広く展開できるのではないでしょうか。
また、利便性が高く、安心して活動できる当区には諸外国の大使館が多く設置され、区民の参加と協力のもと、地域から交流を進めていく窓口になる要素が存在しております。大使館との相互協力は、国際理解の促進と交流の促進に大きな力となると考えます。
また、千代田区はメキシコ大使館と一定の交流の積み重ねがあり、ことしの「日本人メキシコ移住100周年記念」に当たり、メキシコ政府から国を代表する彫刻家の作品が当区に寄贈され、その贈呈式には、国賓として来日されたセディージョ大統領がみずから参列されました。
この事業の一環として5月には、区長、議長並びに千代田区の伝統芸能である神田囃子がメキシコ合衆国で行われた記念式典に政府から招待され、文化の交流に大きく貢献されました。ご尽力いただきました関係者に敬意を表する次第であります。
外国との交流を進展させていくには、地域間、市民間で共通認識を持ち、相互の交流を進めていこうとする熱意と協力の姿勢が必要であります。
もちろん、今後の国際交流にはより広い視点を持って異民族、異文化を理解し、交流を進めていかなければなりません。
具体的に諸外国との市民交流も検討していく時期にあると考えますが、区長はどのように考えておられるでしょうか。
また、国際交流の展開はさまざまな考え方や方法が存在すると思いますが、これまでの積み重ねに視点を置いて、今後どのように推進していくのかの方針をお示し願います。
次に、介護保険制度についてお伺いいたします。
現在、我が国は高齢社会への道を、他国に例を見ない急な速さで走り続けています。戦後の復興から高度成長期に至り、それと並行して進行した生活環境の向上と医療技術の飛躍的な発展を基盤として、国民の平均余命が大幅に延伸されました。
このため、我々の生涯におけるライフ・ステージも日常生活の支え方も変化を余儀なくされております。これまで日本の社会では、「老いては子に従え」とのことわざに見られるように、老いた親と働き盛りの子供夫婦が同居することによって高齢に達した親の老後の生活を支えてきました。
しかし、核家族化、少子化、そして住環境問題、女性の社会進出などによってこのようなスタイルが変容し、家族だけの力で年老いた両親の日常生活を支えることが困難になっております。
このため、国家規模の介護システムを構築することが急がれることとなり、健康維持のための国民健康保険制度、所得保障としての国民年金制度に次いで、今世紀最後の国家レベルの保険として「介護保険制度」が発意されたのであります。
現在、政府は平成12年からの介護保険制度の導入を目指して、今国会に「介護保険法案」を提出しています。そして現在、参議院で審議しているわけであります。
この法案が成立すると、千代田区も介護保険の運営主体になるわけです。この制度は、介護を要する人たちに対する考えを、これまでの「みとる介護」から「日常生活を支える介護」へと転換する必要性を示しております。
このため、現在までの区の高齢化の進行状況を勘案すると、財政負担やサービス体制の確立など、この制度導入に当たってはつまびらかにしておかなければならない課題が山積していると思われるのであります。
そこで、区長にお伺いいたします。
まず、介護保険制度の導入について、自治体の長としてどのように認識し、また、評価されているかをお聞かせいただきたいと思います。
次に、現在、国会において審議中の「介護保険法案」の規定内容が概括的であり、今後の政府との調整によって明らかにされる部分もありますが、この制度をよりよい制度として確立していくために今後、国などにどのような視点を重視して要望・提案を行っていこうとしておられるのか、その決意も含めてお答えをください。
また、この制度を生かすも殺すもサービス内容次第だと考えられます。
ハード面の施設サービスの充実も大切ですが、施設建設そのものにもおのずと限界があります。主流はどうしても在宅サービスを中心とした人的なソフト面でのサービスであり、その質と量の確保は不可欠です。
今世紀の最終年である2000年に到達するまでには、社会福祉協議会など地域における福祉資産の活用も含めて、どのような体制づくり、組織整備を進めていこうとしているのか、明確な道筋をお示し願いたいと思います。
いずれにいたしましても、これまでの我が国は健全な福祉国家の樹立に向けて努力してまいりました。高齢社会における福祉国家の確立を我が国の成果として内外に示すためにも、この介護保険制度を国民すべてが豊かな福祉国家実現の証として実感できるものとしなければなりません。
区長自身が先頭に立って、この制度を本区の特性に見合ったものとして充実・発展させてほしいと思っております。
以上、区政を取り巻く課題の中から、特に時代の大きな流れをとらえた三つの課題について質問させていただきました。
これまでの取り組みや経緯を踏まえるとともに、冒頭申し上げました「住民本位の区政運営」にも十分意を用いた答弁を期待して、自由民主党議員団の代表質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔区長
木村茂君登壇〕
6:
◯区長(
木村茂君) 満処議員のご質問のうち、地方分権の推進について、まずお答えを申し上げます。
地方分権推進委員会の第1次勧告に対しまして、どのようにこれを評価するかとのことでございますが、中央集権型行政システムから地方分権型行政システムへと改めることを基本に、機関委任事務制度の廃止を初め、分権型社会における国と地方公共団体との関係についての新たなルール、また、主要な行政分野での改革のあり方などについて指針が示されたことは、基本的には評価できるものと考えております。
しかしながら、全般的に分権の受け皿として都道府県が中心となっておること、中間報告より法定受託事務の範囲が広がっておること、さらに、国の地方公共団体に対する関与が大幅にまだ残っておる点など、その内容は決して十分とは言えないと認識をいたしております。
次に、都と区の間の分権に関してでございますが、現在、都区制度改革の正念場を迎えており、区が基礎的地方公共団体となるべく全力を傾注しておるときでございます。
まず、この制度改革を実現し、そして、地方分権推進に即した都区の役割分担を明確にし、地域における総合的な行政運営が、住民に最も身近な区において処理できるよう権限委譲がなされ、都区の対等・協力関係が築かれる必要があると考えております。
次に、第2次勧告に対してどのように対応していくのかというご質問でございますが、早急に、特別区の区長会を通じ、地方分権推進委員会に対して、第2次勧告に当たっては区市町村を中心とした地方分権の基本理念を明確に提示することを求めてまいりますとともに、地方公共団体の自主性・自立性を高める見地から、国税から地方税への税源委譲による安定的・恒久的な財源の確保など、国と地方公共団体の財政関係の見直しを強く求めていく考えでございます。
次に、地方分権に備えての受入体制の整備に関してでございますが、地方分権の推進により、区が地域の実情に沿った施策を住民参加のもとに責任を持って総合的に展開できることが期待されております。そうしたことからして、住民ニーズを的確に把握し、これに基づきさまざまな施策を独自に企画・立案する政策形成能力を養っていくとともに、執行体制の整備が求められております。このような体制を整備していくことが肝要であろうかと考えております。
次に、平和施策と国際交流についてお答えを申し上げます。
平和施策につきましては、平成7年3月に区民の総意として発表いたしました「国際平和都市千代田区宣言」の精神を受け、地域から進められておる平和事業を区民と一体となって積極的に推進してまいったところでございます。
千代田区戦争体験記録集「語りつぐ 平和への願い」並びに平和啓発ビデオ「平和への願いをこめて」の完成も、その中の1つでございまして、区民の平和への熱い願いと、多大なご尽力が結集された貴重な成果であると考えております。
平和施策の推進につきましては、ご指摘のとおり、区民と行政が一体となって、一歩一歩粘り強く継続していくことが大切であると認識をいたしております。そこで、平和使節団につきましても、事業を継続していく中でさらなる発展を図ってまいりたいと思っております。
加えて、平和を願う熱い思いと生命の尊さを、次代を担う、21世紀の地球を守る多くの人々に伝えていくために、区民とともに地道な努力と創意工夫を続けてまいりたいと考えております。また、国際交流につきましては、千代田区は世界に開かれた国際性豊かな文化都市の形成を目指しております。そのためには、地域レベル、また、区民レベルでの国際交流が極めて重要であることは論をまちません。
このたびのメキシコ合衆国との交流をきっかけとして、友好関係をさらに推進するとともに、区民の自主的な参加による区民交流にこれを発展させる必要があると考えております。
このように、国際交流を推進するために、さまざまな契機を大事にし、生かすことによって、広く外国の都市と、また人々と、区民主体による交流を実現したいと考えており、これを支えるための国際ボランティアの育成・支援などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
なお、平和施策、国際交流の推進につきましては、今後とも議会並びに国際交流・平和事業推進懇談会のご意見、ご提言をいただきながら、着実にこれを進めてまいりたいと考えております。
次に、介護保険問題についてでございます。
まず、制度導入についての認識と評価についてのご質問でございますが、日常生活の場において介護を必要とする高齢者に対し、社会的な仕組みとして十分な医療サービス、また社会福祉サービス、これを提供していくことは、本格的な高齢社会に備えるためには極めて重要な課題であると認識をいたしております。
今回、審議されております介護保険法案は、サービス内容の量と質を確保していく上での具体的な計画や財源確保の見通し等が現時点では必ずしも明らかになっておらない、こういう問題点はございます。しかし、国民の共同連帯の理念に基づき、今後の介護問題を解決する上で本制度創設の意義は大きく、その基本とする理念は十分評価に値すると考えております。
次に、今後の国等への要望についてでございますが、この制度が国民の共同連帯を前提に構築されておるものであることからして、その導入に当たっては、国民を初め地方自治体や福祉関連機関等の十分な理解と合意が不可欠であると考えております。このため、これまでも他区とも協議を重ね、特別区長会を通じ、厚生大臣へ4たびにわたる要望を行ったところであります。
今後の対応につきましては、制度実施に当たって十分な事前協議を前提にしながら、基盤整備の手順、また自治体における過重な財政負担を回避すること、また、介護サービスの水準確保が十分なされること等に重点を置いて働きかけてまいります。
次に、具体的な実施体制についてでございますが、今後の福祉サービスを幅広く柔軟に提供していくためには、社会福祉協議会等民間福祉団体やいわゆるシルバー産業との協調が求められてまいりますが、介護保険制度の導入はこうした傾向にさらに拍車をかけることが予測をされるところでございます。
民間シルバー産業の健全育成方につきましては、これからの国・都の対応や産業界の動向に期待することとなります。
一方、本区におきましては、既に地域福祉の実践体制強化を目途として、千代田区社会福祉協議会における人的強化を積極的に支援することといたしております。
また、区内部における対応組織の整備につきましても鋭意検討してまいりますが、いずれにいたしましても、「保険あって介護なし」の状態に陥ることのないよう、制度実施に至る過程において適切かつ着実に体制づくりを進めてまいりたいと考えておりますので、ご了承のほどお願いを申し上げます。
なお、詳細につきましては、関係理事者をもって答弁をいたさせます。
〔総務部長
高崎謙作君登壇〕
7:
◯総務部長(
高崎謙作君) 満処議員の平和事業と国際交流の推進につきまして、区長答弁を補足してお答え申し上げます。
千代田区戦争体験記録集の活用方法でございますが、現在、区立小・中学校におきまして、平和学習教育の中でクラスの生徒全員に1冊ずつ渡るように配布をいたしております。
さらに、図書館、私立学校、平和事業関係者、庁内各課等へ配布をしたほか、広く講読希望者にも低廉な価格で頒布する態勢をとってございます。
また、平和啓発ビデオにつきましては、ビデオ広報で放映するほか、広く区民の方々に貸し出しを行い、各種団体の会合、研修の際に積極的にご活用いただきたいと考えております。
いずれにいたしましても、今後ともあらゆる機会をとらえて積極的にPRを行い、広範な活用を図ってまいりたいと考えております。
次に、国際交流についてでございますが、メキシコ政府からのモニュメントの寄贈を受けるとともに、日本人メキシコ移住100周年記念式典に神田囃子が出演するなど、千代田区とメキシコとの友好親善が進展しております。この機会をさらに区民レベルの市民交流に発展させるため、今後、議会や国際交流・平和事業推進懇談会のご意見、ご提言をいただきながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
8:
◯議長(鎌倉つとむ君) 議事の都合により暫時休憩いたします。
午後1時56分 休憩
午後2時22分 開議
9:
◯議長(鎌倉つとむ君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問を続けます。
拓く会議員団を代表して、4番
小枝すみ子さん。
〔4番
小枝すみ子君登壇〕
10: ◯4番(
小枝すみ子君) 1997年第2回
定例会に当たり、拓く会議員団の一員として代表質問をさせていただきます。
地方分権推進委員会の第2次勧告が来月7月に出されるということで、大詰めの論議がされています。
先ほど自由民主党の代表質問でもありましたが、質問の趣旨については全くそのとおりだというふうに思いますが、機関委任事務が廃止されるというふうに言われていますけれども、それらのどの部分が法定受託事務になるのか、自治事務に分類されるのかによっては全く意味合いの違ったものになるというふうに言えます。権限、責任が国に残る法定受託事務では、よほど例外的なものとでもしない限り、地方分権というふうには言えません。また、国と自治体との関係が上下関係から対等関係になるための仕組みとして、「行政紛争処理委員会」の設置が検討されているのに対し、中央省庁は猛反発しているため、消されてしまいそうだというような報道もされていました。
巻町の原発問題であるとか、あるいは徳島県木頭村の細川内ダムの問題であるとか、かつての逗子市池子の米軍住宅の問題もそうでしたけれども、ある意味では沖縄の基地問題もそういう意味合いも含んでいると思うんですが、自治体や住民といわゆる政権が主張するところの国の利益とが対立する事態がままありました。巻町の例を除けば多くの場合、自治体は国の政策を変更させることができませんでした。
もっと悪いことには、公共事業などに寄りかかって運営している自治体の首長や中央省庁からの天下りに依存している自治体は、住民の声よりも国の声に従順になってしまって、まさに国の出先機関と化してしまっているような場合があります。
このような不幸な事態を解消し、各自治体が三ゲン、すなわち権限、財源、人間、この三ゲンを獲得して自立して判断していくことができる制度の仕組みづくりは、健全な市民社会をつくるためにどうしても実現しなければならないことだと思います。
自治体は万能ではありません。むしろ多くは未熟だと思います。市民も市民主権を担える力を十分に身につけてはいません。だから中央官僚に任せておいた方が大きく間違えることはないというような極論があります。しかし極端に言えば、住民自治のもとで決められたことであれば、仮に誤った判断をしたら、その結果はそこの市民に返ってくるのですから、そこで学び、次に生かせばよいのだと私は思います。そのようにして「責任ある市民参加」という方法を市民が身につけていくに違いありません。また、責任ある自治体運営の方法を自治体が身につけていくに違いありません。
そういった視点からも、21世紀への第一歩として徹底した地方分権の推進、市民主権のための地方主権の確立を強く求めるものです。
今回は、それらの視点、自覚に基づいて5つの点にわたり質問をさせていただきます。
第一に、都市計画マスタープランについてです。
1992年、都市計画法の改正の中で位置づけられたマスタープランは、都市計画における地方分権の第一歩であり、この分野で自治体や住民がどの程度の意思と判断力を持っているかをはかる、いわば試金石であると言っても言い過ぎではありません。
千代田区においては現在、都市整備部と街づくり公社が中心となって街づくり協議会等で論議をし、現在、地区整備方針のたたき台を各家庭に配布し、はがきアンケートにより意見聴取しているという状況にあります。
この難しい課題に取り組んでおられる職員の方々には大変ご苦労さまなことだと存じますが、残念ながら、地域においても役所内においても、存在感がまだないというふうに感じています。
後の質問でも申し上げますが、今、都心の自治体も住民も不在のところで、都心とはどうあるべきか、都心居住とはどういうのが好ましいのかということが論議をされています。このようなときだけになおさら、このまちをどうしたらいいのか、住民の意思がとても大切だと思うのです。
せっかく法の裏づけを持つマスタープランも、自治体の考え方一つで抽象的な意味のない紙切れにもできるし、まちを守る武器にもできるし、また、まちを破壊する引き金にもなる、私はそのように考えています。
住民が住めるまち、住み続けるまちをつくる。これは87年のまちづくり方針以来、行政にとっても住民・議会にとっても共通する一番大切なテーマであったはずです。方法論においては、公適配や用途地域の見直しなど考え方に対立もありました。そうした中で一定の共通項を導き出してきたはずです。
先日、主婦の人々数人で集まって、マスタープランのたたき台を読んでみました。率直な感想は、意味不明な表現が多いということでした。
まずは、マスタープランとは何なのかという説明がありません。私たちがつくる私たちのまちの憲章である、あるいはまちづくりの憲法であるということがうたわれていません。都市計画の自治と地方分権においてどんなに大切なものなのかということが伝わってこないのです。また、これは住民がみずからの手でつくるものだということも伝わってきません。
したがって、住民の皆さんが考える住みたいまち、住み続けられるまちとはどんなものですか、皆さんの言葉で語ってくださいというメッセージもありません。その上、言葉・表現が大変難しいのです。
神奈川の真鶴町では、「夜光虫が見えるまち」というのが基本方針であり、キーワードなのだそうです。また、住民から寄せられた100件以上の質問・意見のすべてにまちが回答をしたというふうに聞いています。
このマスタープランを読んだ女性が言っていました。「通りにお年寄りがちょっと休めるいすがあったらいいね」、あるいは「季節が感じられる草花が道端に少ないと思う」、そして「こんなことはマスタープランにはふさわしくない内容かな」と言いました。
日ごろ感じている素朴な意見を言ってはいけない、あるいはいいづらい、全体としてそういうたたき台になっています。
用語としても、例えば「中高層の沿道型複合市街地」とは何だろうか。「市街地更新」とは。また、「中高層」と「中層・中高層」とはどんなふうに違うのだろうかとか、「良好な住環境の確保と低未利用地の高度利用」とは何だろうなど、わからない住民が悪いのか、あるいは住民にわかるように書かない行政が悪いのか。これは、まずは行政に頑張っていただくしかありません。住民の多くはこれでは意見の出しようがなく、意見やアンケートが返ってこないからといって、区民はこの案で了承していると言われては困ります。
そこで、もっと平易な言葉で記述をするか、もしくはマスタープランの広報とあわせて用語解説集、わかりやすいQ&Aを配る必要があると考えます。いかがでしょうか。
多くの区民は今、マスタープランに関心がないかもしれませんが、自分が住んでいるところがどうなっていくのかには関心があります。これをただ運命として受容していくしかないのだとあきらめている住民の気持ちを、どうマスタープランに引きつけ、自分たちのまちのルールを自分たちで決めてみようという意識を喚起していくのか、これこそが行政の仕事・役割ではないでしょうか。
この機をもっと大切にして、千代田区のまちづくりにとってここが正念場とぜひ頑張っていただきたいと思います。
また、一つのアイデアですが、まちづくりコーナーに地域別の方針を大きく張り出して、曜日を決めてマスタープランデーとし、だれにでも参加をしてもらう。コンサルタントや行政の担当者と気軽に話せる場を開放してはどうでしょうか。
ポストイットなどで意見を張り出していったら、アンケートはがきよりは盛り上がるかもしれないし、住民の連帯感もできるのではないでしょうか。
以上、具体的にお聞きしましたが、試行錯誤のプロセスを考えると、住民がつくる住民によるマスタープランとするためには、もう少し時間をかけて策定した方がよいのではないかと思いますが、ご答弁をお願いいたします。
2点目に、建設省主導の都心居住論について伺います。
第一の質問とも大きく関連をいたしますが、この間、2月20日の建設大臣の発表以来噴き出している国主導の都心居住キャンペーンと法改正について、幾つかの点にわたり質問をさせていただきます。
この法改正の趣旨を非常に端的に述べているコメントがありました。
「大都市中心部の土地有効利用を推進するには、先祖の代からたまたまそこに住んでいた人たちの既得権をどこまで認めるかといった都市経営をめぐる哲学が絡む」、さらには「社会資本が整備された地域では、土地の価値は高まるのだから、社会資本サービスの利用料金としての固定資産税負担も高くする必要がある。小規模宅地には税の減免措置があるが、売れば大金を入手できる人が税負担に抗議するのは公正と言えるだろうか」と。
これを言っているのは、容積率緩和の仕掛け人とも言われる上智大学教授の岩田規久男さんです。5月20日号の読売新聞のコメントでした。
このような論調を、千代田区としては行政・議会・住民、そして町会挙げて酷税とも言える固定資産税の軽減を求めてきた、その成果であるこの措置自体をも絡めてのこういった論調については明確な反論をしていく必要があるのではないかというふうに思います。
容積率緩和を主張する人々の都心居住論にはどうも、都心に住む人々が既得権を主張して環境のよいところに悠々とあぐらをかいて暮らしているから他の者が住みたいと思っても住めないという、対立的なとらえ方がされているように思います。
これはひどい話です。このような経済学者のみならず、問題は今回の改正都市計画法案の提案者である亀井建設大臣が、国会の論議の場において「よい住環境を求める都心住民はエゴである」と繰り返し繰り返し答弁しているということです。
例えば5月16日、衆議院建設委員会での新進党の樽床議員の「居住環境が悪化するのでは」という質問に対して、「都心の便利なところに自分が居住しておって、そうして日照の問題を含めて、一切自分は快適な状況についていかなる制限も受けないという主張が健全な市民として通用するものかどうか。自分さえよければいいという、自分がそこに住んでおるわけですから、私は基本的意識の問題があると思います」。
これに対し、樽床議員は全く同感であると次のように相づちを打たれました。「要は、大臣のおっしゃる意見というのは、そのぐらい、日本国民であるならば、人のことも考えろ、端的に言うとそういうことであって、自分の権利だけを主張するのではない。それが今の日本がおかしくなった原因ではないか。こういうご趣旨であろうというふうに理解をするわけでありますが、個人的には私も全く同じ意見を持っております」と、このような調子で衆議院での2日間の論議は、民主・共産・社民のごく一部の反対の中、終えられていきました。
区長にもぜひ、この論議の過程で交わされたところの議事録をご一読いただきたいわけですが、都心の住民は、便利で快適なところをひとり占めして、他者を排除しているから他の者が住めない、羨望というかひがみに近いトーンに貫かれているのです。都心住民の現実が伝わっておりません。
まず、こうした亀井建設大臣の都心住民エゴ論、よい住環境を求める人は郊外へ行ってくれと、これは実際にそのように言っているんですけれども、この論理についての区長の見解をお聞きをいたします。
そもそも平成5年の住宅調査によりますと、都心住民の環境は既にかなり厳しい住宅環境に置かれていることがわかります。都心3区の住宅のうち、戸建て住宅は9万8,020戸のうち1万8,700個と2割弱にすぎません。その戸建て住宅も極めて小さいもので、環境のよいところに住んでいるわけではありません。千代田区の戸建て住宅の33%は敷地面積50m2以下、74%は敷地面積100m2以下です。日当たりは都心3区の住宅総数9万8,020個のうち、5時間以上は336%、そして千代田区では3時間未満の住宅が4割を占めています。
つまり、このような中で頑張っている最後の住民を追い出すことになりかねないのが今回の法改正であり、ここに貫かれる哲学であると、この意味でも、都心住民も諫早のムツゴロウと同じではないかと思うのです。
さらにもう1点、単身者やディンクスなら日照のないマンションでも住むと建設省は見込んでいますが、都の住宅白書の住まいに関するアンケートによると、日当たりや風通しを望む率が全世帯で915%、単身者で793%、ディンクス、いわゆる夫婦のみの世帯で930%、決して低くはないのです。過密高層マンション化は都心のコミュニティにとって命とりになりかねません。
ここに新設された高層住居誘導地区という600%住居地域の指定は、千代田区では「使える」、「使えない」、いや「使わせない」とさまざまな言われ方がされていますけれども、メニューが1つふえるだけと言っていてよいのでしょうか。
去る4月30日、この法律に先駆けて、建設省と東京都が23区長に呼びかけて、都心居住推進本部が設置をされ、住宅・都市整備公団が事務局となり、新宿アイランドラタワーに本部が開設されたと聞きました。
この中には、高層住居誘導地区の指定が設立の目的として明記をされ、ご丁寧にも趣旨に賛同する区の出席を求めるとして、世田谷、大田、中野、杉並、足立の5区が欠席をする中、千代田区長みずからが出席し、発言をされました。
区長みずからが出席した区は4区だけで、その中でも豊島区の区長は3つの点からの異議を申し立てました。地方分権に逆行するということ、1992年の都市計画法の改正の趣旨に反するということ、住環境を損なうということなどの理由でした。他の自治体からもその後、疑問の声が相次いだというふうに伺っています。
私は、当初からこのような会議に参加するのは問題があるというふうにも申し上げましたが、区長はどのような趣旨でこの会議に参加しているのか、また、さきのような建設大臣、建設省、あるいは経済学者の発言があって、この会議に黙って参加していくのでは余りにも弱腰といいますか、そのような考え方に千代田区も賛成しているととられるだけだと思いますが、申し入れか脱退か、何らかのアクションを起こされなくてよいのか、区長の考え方をお聞きいたします。
かの高層マンション群で有名な高島平の容積率が193%です。その3倍に当たり、日影規制もなし、斜線制限、前面道路幅員規制も商業地域並みの600%規模のマンションが、人間が、特に千代田区が重視しているファミリー世帯が住める環境になるのかどうか。世界的にも例のない話ですので、ぜひご検討いただきたいと思います。
砂漠に住宅があっても人は住めません。よい住まい、人が住める理想的な都心とはどういう都市を言うのか、住環境論も含めて区長の哲学を伺わせていただけたらと思います。
3点目に、公園づくりについてお聞きをいたします。
千代田区では毎年、何カ所かずつ公園の改修を行っており、ことしは(仮称)内神田公園と、来年は神田橋公園、千鳥が淵小公園を改修することになっています。
私たちはよく、改修がすべて終わった後で、住民や利用者の方からいろいろなクレームを聞かされることがあります。もちろん「きれいになったね」、「おしゃれになったね」という声だってあるわけですから、よくできている、工夫をされている面も否定はいたしません。しかし、問題はそのプロセスにあるのではないかと思います。
日ごろ公園を使っている利用者は、子供もお年寄りもさまざまな思いを持って地域の公園を見つめています。よい感情ばかりではありません。使いづらいと思っている人もいます。段差が多いと思っている人もいます。タイルが滑りやすいと思っている人もいます。しかし、多くは発言する場もなく、行政の手によっていつの間にかリニューアルをされてしまうのです。だから終わった後で、「桜の木が切り倒されてかわいそうだね」とか、「車いすにとってかえって危険な構造になってしまっている」とか、「子供たちが気に入っていたところがなくなって、サラリーマンのたまり場になってしまった」というような不満を、私たちは後で聞かされることになるのです。
これまでのような町会サイドからの根回しとか、そういった形ではなくて、地域の関心を持つ方々がだれでも来られるように、地域の掲示板などに広報したり、回覧をしたりして、よりよい公園、地域に愛される公園をつくるため意見交換を行う場を持つべきではないでしょうか。
力のあるまちではいろいろなアイデアが出てくると思います。住民ボランティアで「花壇の整備」をしようという話も聞いたことがあります。地域の子供たちがかいた絵入りのタイルを張っているような公園もありました。何千万、何億円の税金をかけてつくるのですから、住民の声を反映しないのではもったいないと思います。
千代田区には、このように過去に住民参加でつくった公園というのは果たしてあるのでしょうか。ご答弁を求めるものです。
4点目に、千代田区政のジェンダーチェックについて伺います。
本年より男女平等推進課が設置をされ、男らしさ・女らしさに固定され、とらわれることのないジェンダーフリーな環境づくりが進められていくことを期待いたします。
生物学的な男女の差とは違う社会的につくられた性差、このことをとらえてジェンダーというふうに言いますが、このような社会的につくられた性差が男も女も生きる上で障害になっている、これを一つ一つ見直していくことが男女平等な社会へとつながるのではないかという意味で、近年ポピュラーな表現となってまいりました。
けれども、長い長い歴史の中で培われてきた風習でもあり、社会の制度・仕組みの中にもしっかり根づいてしまっている性的差別・性別役割分業の意識や仕組みは、そう簡単にお互いに変わるものではありません。
そこで一つ提案ですが、課の男女平等推進本部としての機能を充実するため、これを機に千代田区政のジェンダーチェックをしてみたらいかがでしょうか。
いわば行政による行政の自己点検をしてみるのです。とても楽しく気軽に話し合える内容なので、新人の職員も含めて自主参加の希望を募れば、意欲的な職員の参加が得られ、学習にもなり、横のつながりもできていくことにもなるのではないだろうかと思います。
いろいろな項目が考えられます。育児休業制度は男性もとれるのに、とる人がいないのはなぜか。夫婦別姓論議が足踏みをしていますけれども、通称使用が認められている会社は3割に満たないというふうに言われていますが、千代田区にも例はないようなのですが、なぜか。なぜ保母はいるのに保父はいないのか。なぜホームヘルパーはみんな女性なのかなど、ほかにも無数にあるはずです。
これらについての現状認識と対策についてのご見解、そして、ジェンダーチェックへの取り組みの意欲についてお聞きをいたします。
最後に、地域福祉計画の見直しについて伺います。
さまざまな論議がある中、介護保険法が現在、参議院において審議をされています。今国会での成立は困難かとも言われておりますが、賛成をする側においても、反対をする側においても、「保険あれども介護なし」の心配が叫ばれております。
年金生活者までが月々平均2,500円の負担を追わされて、かつ家族が介護の負担から解放されないのでは、国民は納得できません。
高齢者が一人でも自立して生活できるサービスの給付、それに見合った認定がなされなければなりません。しかし、それ自体、自治体によってサービス格差ができるだろうと言われていますが、要は、施設やマンパワーの基盤整備が十分ではない自治体は認定が自然と厳しくなるという事態が避けられないからです。
5月22日付読売新聞によりますと、お隣の中央区の担当者が、「都心は人口が密集しているので、効率面から民間のシルバー産業が参入しやすい。当面はサービスの確保は心配ない」とコメントしたのに対し、業者側は「深夜のサービスでは人材の確保が大変。現状でもぎりぎりの状態」であると答えている記事がありました。
千代田区もホームヘルパーの委託などを考え始めているようですが、福祉は人です。マンパワーの確保・育成は最終的に自治体行政の責任です。
今年度中には地域福祉計画の改定があります。こうしたマンパワーや施設といった基盤整備のための方針を決めることになります。ある程度これまでの福祉行政サービスのスクラップ・アンド・ビルドを行う必要もあるのだろうと思います。そのためにも第一に必要なのは、この計画改定作業に当事者主義を貫くことです。机上のプランに終わらせることのないよう、介護を現実に担っている人、サービスを必要としている人、現にボランティア活動をしている人、保健婦の方やリハビリを担当してくださっている療法士の方々、ホームヘルパーの方々などの参加を得て、まさに我がこととしてひざ詰めの論議をすることが必要です。
中でも一番大切なのは、現に介護を担っている人々を中心に、公募での参加を呼びかけられるかということです。そのためにはその時間帯、介護者を派遣しなければ、出てくることはできません。そうしたことができるかどうかということです。そのような住民サービスの手法に理解がある学者の参加も必要でしょう。
以上の点につき、ぜひご検討をお願いをいたします。
以上5点、大きな柱にわたりまして質問させていただきましたが、区長並びに関係理事者のご答弁を求めまして、私の代表質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔区長
木村茂君登壇〕
11:
◯区長(
木村茂君) 小枝議員の、都市計画マスタープラン及び都心居住論のご質問についてお答えを申し上げます。
まず、本区のまちづくりの基本的な指針となる都市計画マスタープランにつきましては、住民の皆様方のご意向、また、地域の特性、これを十分反映して、わかりやすく実効性のあるプランとすることが重要であると考えております。
そのため、これまでさまざまな取り組みを行ってきたところでございますが、今後とも広範な意見の把握に努めますとともに、鋭意そのご意見が反映されるような方向で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、都心居住論についてお答えを申し上げます。
まず、基本的見解についてでございますが、これまで続いてきた都心の人口空洞化を防ぐためには、職住のバランスをとり、経済的な活性化、またコミュニティの維持増進、さらには防災対策など都心としての機能を再生させることが重要であると考えております。
こうした観点から区は、これまであらゆる機会と場を通じ、都心居住の促進について国や都に働きかけ、同時にまた、区独自の取り組みも幅広く展開してきたところでございます。
特に、都心居住につきましては、その中身におきまして一定の居住環境の確保と都心としての利便性・優位性等を勘案した上で、現在、本区にお住まいの皆様方が引き続き安心して住み続けられるようにしていくことが最も大切であると認識をいたしております。
一方ではまた、これまで本区に居住されておった多くの方々が区外に転出されておることを勘案しますと、これらの皆様方に戻っていただくことを中心に、新たな区民の増加策を図ることも重要なことであり、こうした認識のもとに今後とも引き続き定住対策には積極的に取り組んでまいる所存でございます。
次に、「高層住居誘導地区」につきましてでございますが、改正法案は出されておりますものの、指定基準等が明確になっておりませんので、本区での活用の可能性等につきましては、今直ちに判断しかねますが、いずれにいたしましても、容積率の増加に伴う周辺環境への影響等を十分考慮しながら、都心居住を推進していく手法として検討していくこと必要があると考えております。
次に、4月30日開催の会議への出席趣旨でございますが、法改正の内容につきまして、都市計画マスタープランに沿った適切な運用が図られるよう要請いたしますとともに、「推進本部」における検討が区の主体性を十分尊重して行われることを確認するため、出席をいたしたものでございますので、ご了承を願います。
次に、都心区のまちづくりにつきましては、やはり「住み続けられるまち、住みたくなるまち」を基本に据え、現在検討中の都市計画マスタープランに沿って、住民を初め地域を構成する皆様方とともに、21世紀を展望したよりよいまちづくりに全力を尽くすことであろうかと認識をいたしております。
なお、詳細及び他の事項につきましては、関係理事者をもって答弁をいたさせます。
〔総務部長
高崎謙作君登壇〕
12:
◯総務部長(
高崎謙作君) 小枝議員のご質問のうち、区政のジェンダー・チェックについてお答えいたします。
男女共同参画社会の実現のためには、法律や制度面での男女平等を進めることが大事であることは言うまでもありませんが、それにもまして社会を構成する個人、特に行政に携わる我々職員がジェンダーに敏感になることは、非常に重要だと考えております。
しかし、ご指摘のとおり、社会や文化がつくり上げてきた「男は仕事、女は家事・育児」、あるいは「男だから強く、たくましく、女だからおとなしく、控えめに」といったジェンダー意識を変えることは極めて困難なことであると認識しております。
次代を担う子供たちを健康に育て、男性も女性も互いに持っている力を尊重し、発揮し合って、心豊かに暮らせる社会を実現するために、粘り強い継続的な取り組みが何よりも必要であるということを実感しているところでございます。
育児休業制度等の具体例を挙げてのご提案につきましては、既にジェンダーの視点も含めて庁内でも各事業をチェックし、男女共同参画社会実現のための区の基本的な方針を明らかにした男女平等推進行動計画を策定したところでございます。しかしながら、なお不十分な点につきましては、全庁的な組織であります男女平等推進委員会におきまして検討をしながら、ご提案の趣旨に沿って行動計画を推進し、改善に努めてまいりたいと考えておりますので、ご了承のほどお願い申し上げます。
〔福祉部長
篠田公一郎君登壇〕
13:
◯福祉部長(
篠田公一郎君) 小枝議員の地域福祉計画の見直しについてのご質問にお答えします。
介護保険法案の国会審議が進められている中で、本制度の受け皿となる区のサービス供給体制の整備、特に介護ニーズの増加、多様化に対応したホームヘルパーなどのマンパワーの確保、育成はご指摘のとおり、早急に取り組むべき課題と認識しております。
そこで現在、改定作業を進めております地域福祉計画の中でも、介護保険制度の導入をにらんだ計画づくりが必要であると考えております。
計画策定に向けたこれまでの取り組みといたしましては、平成8年度に実態調査を実施し、区内に在住する高齢者、心身障害者、児童などの生活実態や区の各種サービスに対する意見・要望等を調査しております。
このほかに、本年2月に開催しました「地域福祉のつどい」では、来場者を対象にアンケート調査なども実施したところでございます。
現在、これらの調査を集計・分析している段階でございますが、今後は、調査結果などを踏まえて、きめ細かく住民の意向を把握し、計画に反映させていくことが大切であると考えており、民生児童委員会、長寿会、共助会等の会議の場を積極的に活用するなど、あらゆる機会を通じて、情報提供・意見聴取を実施してまいります。
また、計画策定における住民参加につきましては、現在、福祉関係団体のメンバーやボランティアなど地域で活動されている方々、学識経験者、区の関係課長を構成員とした検討委員会の立ち上げを準備しており、その検討内容を区民や区議会の皆様にお示しし、ご意見を伺っていく予定でございます。
ご質問のございました委員の公募につきましては、実際に家庭で介護に当たっている方々などの意見や体験などをお聞きし、多角的な視点から計画の見直しを図る必要があり、公募委員を含めた委員会の構成について、さらに検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくご了承願います。
〔住宅都市整備部長瀧見浩之君登壇〕
14:
◯住宅都市整備部長(瀧見浩之君) 小枝議員のご質問のうち、都市計画マスタープランについて、区長答弁を補足してお答えをいたします。
まず、都市計画マスタープランの広報・周知のあり方、みずからまちのルールを決めることへの住民意識の増進への課題についてでありますが、去る3月20日に特集号で広報いたしました都市計画マスタープランの地域別構想のたたき台につきまして、出張所の管轄区域を基本にした地域をゾーンに区分し、まちづくりの方向性について簡明にお示しをいたしたところでございます。
そのため、法的位置づけや限られた紙面の都合等から専門的な言葉を一部使用せざるを得ない箇所もありましたが、できる限り具体的かつわかりやすいものとするよう努めたところであり、平易な言葉遣いにはこれからも十分留意してまいりたいと思っております。
まちづくりへの取り組みの住民意識の増進への課題につきましては、これまで、都市計画マスタープランの役割、全体構想について、以前の広報でお示ししたほか、シンポジウムの開催や各種まちづくり関係の住民説明会などを通じ、常日ごろから留意して取り組んでいるところであります。
今後、7月には住民説明会を各出張所ごとに開催することとしており、その中でよりわかりやすく都市計画マスタープランの実現方策までの素案をお示しし、幅広いご意見をさらにいただくことを考えております。
ご提言の用語解説集、わかりやすいQ&A、それらにつきましては、今後の説明会資料や広報等において工夫してまいりたいと存じます。
また、街づくり協議会や地元まちづくり検討組織など、地域での自主的かつ主体的にまちづくり活動に取り組んでいる団体や区民等に対しまして、このマスタープランをご理解いただくことは特に重要と考えておりますので、今後とも、地域のまちづくりを支援する「街づくり推進公社」とも十分連携をとり、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
次に、都市計画マスタープランに対する区民意見の提案方法についてでありますが、ご提言のまちづくりコーナーの開放、ポストイットを活用した意見把握等につきましては、これまで街づくり協議会の場でワークショップを開催し、ポストイットによる意見把握を行った経緯がございます。
また、去る2月に開催された街づくり公社主催のイベント「千代田区まちづくりネットワーク97」、ここにおきましても、地域別構想のパネルを展示し、相談コーナーを開設するほか、ここにおきましてポストイットの活用等の意見把握も行ってきております。
今後とも多様な方法で住民意識の把握に努め、具体的で実効性のあるマスタープランとするよう努めてまいりたいと思います。
次に、都市計画マスタープランの策定にもっと時間をかけるべきではないかとのご質問でございますけれども、まちづくりは日々刻々と進展していることから、早期に区民の皆様にお示しする必要があり、議会でのご審議等をいただきながら、予定どおり平成9年度末の策定に向けて全力を傾けてまいりますので、よろしくご了承のほどお願いいたします。
〔土木部長
高木省三君登壇〕
15:
◯土木部長(
高木省三君) 小枝議員のご質問のうち、住民参加の公園づくりについてお答えいたします。
公園を整備・改修する場合、地域住民並びに利用者の声を聞き、それらを整備・改修工事に反映させるべきことはご指摘のとおりでございます。
本区の公園の整備・改修におきましても、地域住民並びに利用者の方々の声を反映すべく、説明会を行う等努力を重ねてまいったところでございます。
そのほか例を申しますと、今年度、整備を予定しております(仮称)内神田公園の整備計画の作成に当たっては、利用圏内の地元の方々に協議会をつくっていただき、自主的なご検討をいただくとともに、より積極的にご意見を反映しながら整備内容を決定いたしております。
また、このほか一般の公園利用者の方々のご協力をいただき、アンケート調査を実施し、その結果を公園づくりに生かしていく試みなども行っております。
公園づくりの基本は、でき上がった後の公園がよりよく利用されることであり、地域住民並びに利用者の方々の声に即した公園づくり進めることが何よりも重要と考えております。
今後も、なお一層創意と工夫を凝らし、地域住民並びに利用者の方々の声に耳を傾けながら、公園づくりを進めてまいりたいと考えております。
ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。
16: ◯4番(
小枝すみ子君) 自席から再質問をさせていただきます。
都心居住推進会議、4月の30日に行われたこの会議についてでありますけれども、区長は確かに、多少建設省のことをちょっとよいしょもしながら、しかし住環境は守ってくれということはおっしゃってられたようで、やはり区長は住民の一人であり、代表であるわけですから、住んでらっしゃる地域が住居地域かどうかわかりませんけれども、また日が当たるところか、何階建てかもわかりませんけれども、やはり人が住んでいく上で必要最低限な環境のベースというものは、きっと体験としてわかっていらっしゃるというふうに私は思っているんですが、一番最初に例として申し上げた岩田規久男という経済学者の方のような論調、また、亀井大臣のような論調、こういう都心の便利なところに住んでいる──確かに住んでいるんだけれども、私たちは逆に不便や大変な税金や、それから環境的な悪さ、空気も悪さも含めて、これを一定程度飲み込んで、その上でそれでも好きだから、あるいは昔から住んでいるから、住み続けている。
このことに対して、便利なところにいるんだから、これは環境だ何だというのはエゴだという言い方については、これはやっぱりちょっとひどいんじゃあ──また、そういう認識で法律がつくられていくということに対して、実体論としても把握されていないんじゃないかというふうに思うわけなんですね。
この4月30日の会議以降、渋谷区とかそれから新宿区では、あわてて要望書という形でこの推進本部に要望を出したというふうに聞いています。そのぐらい危機感を持っていい会議なわけですね。
当然、この高層誘導地区というのは決定権者は東京都ですから、区や住民が、まあ意見は聞いてもらえるかもしれないけれども、権限というのを持っていないわけですよね。そういう意味でも、区と住民の発言権をというのをどう担保していくのか、あるいはもうこれはうちの地区では活用しないよという意思表示、あるいはもうこの本部には参加しませんと、私たちの進める都心居住はこういうものであるというものを打ち出していかないと、これは認めたものというふうに思われても仕方がない。それは住民にとっては非常に迷惑なんじゃないかというふうに思うんです。
その辺についてはお答えがありませんでしたので、ちゃんと答えていただきたいんです。
それと、固定資産税についても区長、先頭になって運動してきたわけですよね。これは私たち、まあ野党的立場をとっておりますけれども、だから批判しているのではなくて、住民が挙げて頑張ってきた主張がこういった経済論の中で、便利なところに住んでるんだから固定資産税が上がるのは当然という言い方で言われてしまうということに対しても、もっと明確な反論がなくてはいけない。そう主張していかないと、これまでやってきたことが、こういったマスコミや学者のプロパガンダに負けてしまうんじゃないかというふうに思うんです。
これについても、ちゃんとした答弁をいただきたいというふうに思います。
それと公園なんですけど、公園のことについては、今度の(仮称)内神田公園については参加でやっているというようなことですけれども、いつでも区のやり方というのは、ある特定の団体を、一部の住民を協議会というような形で集めてやる方法をとっておられるんですけれども、千代田区の人口というのは、ご存じのように少ないですよね。これをあるところで切って、この一部の人にだけ説明をするという方法がうまくいかないということは、公適配とかいろいろな形で経験しているわけだと思うんです。
町会長なり何なりが参加しているところで、その情報がまちへいかないからといって、これは町会長たちの責任ではなくて、これは区の責任なわけですね。だから、一般住民がもっと気軽に参加できるような住民参加の場ということをもっと考えていかないといけないというふうに思うんですけれども、住民参加の方法としてこれまでの協議会、あるいは町会、団体、そういった形での参加の方法で十分なのか、もっと一般住民が参加できないのか。
例えば、よく公園なんかに行くと今ごろの季節でも滑り台がものすごく熱くて、もう卵を落とせば目玉焼きができるというぐらい熱くなるような状況があるんですね。これはどこの地区でも言われてるんですけど、もうちょっと木陰につくるとか素材を変えるとか、工夫できないのと、こんな意見ももっと──それは例にすぎませんけれども、反映できる公園づくり、オープンな場での協議ということを考えられないのか。
この2点についてお聞きをいたします。
〔区長
木村茂君登壇〕
17:
◯区長(
木村茂君) 小枝議員の再質問にお答え申し上げます。
4月30日の会議ですけれども、私が発言を求めたでなくて、向こうから発言を要請された。で、私と品川区の高橋区長、それから目黒の河原区長、それから豊島の加藤区長、あと助役さんとか担当部長とかなものですから、区長自身出席した区を名指しされたのではないかと思うんですよね。
私、東京都並びに千代田区の都市計画マスタープランとの整合性はきちっと踏まえてもらいたい、それから「住環境を破壊するとは言いません」と言った。「破壊する」というきつい言葉じゃありませんけれども、良好な住環境と両々相まって、この法律が生かされるようにと。
答弁者の方では、各区の地域事情というんですか、まちづくり方針、それに沿って行うように努めますと、はっきりそれは答弁がございました。
それからエゴの問題ですけれども、私もよく再開発の地域で、あの人がこう言ってるからおれは絶対判押さないとか、準備組合へ入らないとかと、やっぱり連帯感というか地域をよくしようというときに、かたくなにあれしてる人はほんと、今エゴと言えばそうかもしれませんけれども、小枝議員仰せのように、50m2以下のところで、もう地上げ屋もけ飛ばして、千代田区が好きだから私はここに住み続けたいのよというのは、これはエゴじゃないと思うんですよね。
だからそういう場合の言葉の選びは、やっぱり若干慎重を欠いたかなとも思うんですけれども。
〔土木部長
高木省三君登壇〕
18:
◯土木部長(
高木省三君) 住民参加の公園づくりについての再質問にお答え申し上げます。
公園については、千代田区の公園は比較的狭いところが多ございまして、どうしても地元の方方の多様な要望にすべて応え切るということはできないという限界がございます。
しかしながら、私どもできるだけ多様な要望に応えるべく、説明会の場、あるいはアンケートを実施したり、あるいは協議会を設けたりして、そういった要望の把握に努めているところでございます。
その要望を集約する段階で、やはり何らかの形で地元の方々に取りまとめていただく必要もございます。そういった意味で、ある意味でオピニオンリーダーの方にできるだけいろいろご協力いただきながら、お話をまとめていくということは必要になるケースもございます。
そうした意味で、必ずしもすべての要望に応え切れているとは言い切れない部分があるかとは思いますけれども、私もできるだけ努力してまいるつもりでございますので、よろしくご理解のほどを申し上げます。
19:
◯議長(鎌倉つとむ君) 次に、日本共産党区議団を代表して、24番
木村正明君。
〔
木村正明君登壇〕
20: ◯24番(
木村正明君) 私は日本共産党区議団を代表して質問いたします。
5月11日付朝日新聞の社説は、会期末をあと2週間を残すところとなった国会を「ところてん国会」と論じました。まともな審議もなく、ただ数の力で悪法をスイスイ通過させる様子は、確かにところてんを押し出すようであります。国民に9兆円もの負担を強いる97年度予算の通過を皮切りに、国民の8割が反対する消費税増税が実施され、米軍用地特別措置法の改悪も衆参合わせてわずか10日の審議という短期日で強行されました。
この「数の暴力」は、同時に国民生活を直撃するものです。医療保険法や児童福祉法の改悪、「保険あって介護なし」の危険性の強い介護保険法案の導入などは、いずれも国民の生活と健康に密接にかかわる問題です。これらは、国で決まれば自治体は直ちに条例や制度として具体化が迫られるだけに、区としての見解とともに国への働きかけも求められます。
また、都政はどうでしょうか。国政が9兆円の負担を押しつけようとするもとで、その防波堤となるべき都政は、18年間続いた自民党都政による巨大開発路線が破綻し、7兆円もの借金を抱える深刻な事態となっています。重大なことは、「オール与党」と化した都政が、破綻をもたらした根本原因にメスを入れるのでなく、そのツケを都民への新たな犠牲転嫁で乗り切ろうとしていることであります。
その1つが、「来年度予算に反映する」としている「財政健全化計画」です。この計画は、来年度に90億円もの公共料金を一斉に値上げするとともに、シルバーパス、老人医療助成、私立学校経常費補助、中小企業制度融資などの11項目を、廃止を含め「制度の根本にまでさかのぼって見直す」ことを打ち出しました。
都民無視は、内容のひどさだけにとどまりません。その進め方も民主主義を踏みにじるやり方です。都民生活に重大な影響を与えるだけに、その施策の内容について都民の審判を仰ぐのが当然であります。ところが、都の考えは、夏から本格的に具体化を進め、実施は来年度からというものです。これは、目前に迫った都議選と2年後の都知事選の間に実施するということであり、徹底して都民の審判を避ける卑劣な手法にほかなりません。多くの都民が不安と怒りの声を上げるのは当然であります。
以上が、国政、都政の流れの今日的特徴です。この中で、区政にはどのような対応が求められるでしょうか。私は、7つの問題で区長と関係理事者の見解を問いただすものであります。
第1は、高齢者福祉の問題です。
低金利政策に加え、消費税の増税が、月平均4万6,000円という年金暮らしの高齢者にとって、どんなに手痛い打撃となっているかは想像に難くありません。それに追い打ちをかけるような医療保険の改悪です。薬剤費が上乗せされた上、2年後には入院費が現行の1.7倍にはね上がります。患者負担を重くし、医療を受けにくくする「医療抑制」によって、医療保険の赤字を減らすなどというのは、本末転倒ではないでしょうか。
こうしたとき、支援の手を差し伸べるのが自治体の務めであります。ところが、都が打ち出した計画は正反対でした。臨海開発計画に今後1兆6,000億円以上の都民の血税を注ぐ一方、高齢者の足ともなっているシルバーパスの取り上げ、老人医療助成の見直し、さらには高齢者福祉手当までカットの対象としたのであります。「まるで早く死んでくれと言われているようだ」というある高齢者のつぶやきは、恐らく多くの高齢者の思いを代弁しているのではないでしょうか。
2兆円もの負担増を強いる医療保険改悪とともに、国政と足並みをそろえる都の高齢者いじめの計画にも反対の声を上げていただきたいと思います。区長の見解を伺います。
第2は、まちづくり問題です。
都市計画法・建築基準法の改正案が5月21日、衆院建設委員会で可決しました。その内容は2つの柱を持っています。1つは、都心部に「高層居住誘導地区」を創設し、容積率や斜線制限などを緩和することです。対象地域は400%の容積率が指定されている地域で、対象建築物は最大800%の容積率が可能となります。もう1つの柱は、マンションの共用の廊下・階段を容積率制限の対象から外すことです。これにより、従来の1.2倍程度の規模のマンションが建設できるとしています。
これらは、80年代以降の苦い経験を全く無視するものであります。「民間活力」の活用を大義名分とした建築規制の緩和が、80年代後半のバブル期の乱開発・狂乱地価につながりました。そのときの区民の深い傷跡はいまだに癒えていません。また、規制緩和が都心部を一層過密にし、居住環境の悪化をもたらすことも必至です。
建設省は、法改訂の目的を「良質な共同住宅の供給促進を図り、職住接近の都市構造を実現するため」と説明しています。しかし、同省は今年2月には「民間の都市開発投資の拡大を通じて低迷する我が国経済の活性化を図る」と、もう一つの目的を語りました。亀井建設大臣は「景気対策の決定打」とも語っており、土地の流動化を図り、大銀行の不良債権を救済するという意図をもうかがわせます。都市計画を当面の経済対策に従属させることは、将来の居住環境を犠牲にすることにつながるのではないでしょうか。
マンション住民の願いに照らしても、今度の改正案は承認できません。区のマンション実態調査を見ても、「建てかえに当たっての行政への要望」は、第1に融資制度の充実であり、第2に住民間の意見の調整役でありました。規制緩和は、良好な住環境を願うマンション住民に背を向けるものであります。
今回の都市計画法・建築基準法の改正案を区長はどうお考えでしょうか。見解を求めます。
また、区内に「高層居住誘導地区」の対象地区はあるのでしょうか。あわせて答弁を求めるものです。
さて、こうした国の動向を受け、「都心居住推進本部」が4月30日に設置されました。我が党はこれに先立ち、4月23日に区長に申し入れを行いました。それは、重大な問題点を持つ「都心居住推進本部」の設置を決める「都心居住推進会議」には参加しないよう求めるものでありました。その際、指摘した問題点は3点です。1つは、地方分権に反すること。2つは、容積率の緩和などを各区に強いるものとなっていること。3つは、不良債権処理のための実行組織になる疑いがあることです。
この「都心居住推進本部」に特別区の中で5区が参加を見送りました。ところが、木村区長は積極的に参加したわけであります。そうである以上、次の3つの質問に明確にお答えいただきたいと思います。
第1。「推進本部」は建設省、東京都、特別区、住都公団の4者で構成されています。その本部の業務の進め方として、「個別プロジェクトの推進方策の検討、調整等」が明確に掲げられました。これにより、個別プロジェクトの調整に建設省が直接関与することになります。また、推進本部の幹事は建設省と東京都、住都公団だけであり、特別区はどこも入っていません。これらは地方分権に反することではないでしょうか。
第2。「土地の有効・高度利用」のための規制緩和が狂乱地価と住環境悪化を引き起こしたという80年代の教訓は、「推進本部」にどう生かされているんでしょうか。
第3。「推進本部」の設置目的は、「都心居住に資する民間事業者等のプロジェクトの支援」とあります。民間開発事業者による住民追い出しと環境悪化の押しつけが大きな問題となっているとき、これでは行政が開発事業者の立場に立つことになるのではないでしょうか。必要なのは、住民本位の利用規制計画を打ち立て、規制を強化することであります。答弁を求めます。
第3は、子育て世代への支援についてであります。
1つは、昨日国会で成立した児童福祉法の改正についてであります。これについては3月
定例会でも福山議員が質問しました。その際、法案の問題点を大きく言って3点指摘しました。1つは、措置義務を応諾義務に変えることで、国と自治体の責任があいまいになること。2つ目には、保育所の性格も「措置施設」から「利用施設」になることで、保育料も保育コストの父母負担が原則になること。3つ目は、保育行政にサービス競争を持ち込むことで、サービスも保育料次第になってしまうこと。以上の3点でした。
福祉部長の答弁は、「具体的な保育制度の内容が示された段階で、区の負担増とならないよう、そして、保護者への十分な配慮がなされるよう、都と連携を図りながら対応していく」というものでありました。これは逆であります。まず保護者の負担増に配慮し、そして区の負担増とならないよう、具体的な保育制度が決まる前に国に働きかける。この姿勢が福祉部長には求められているのではないでしょうか。
公的責任の明確化と公費負担の拡充を図ることを国に強く求めるべきであります。答弁を求めます。
2つ目は、保育料値上げ問題です。区長会は昨年12月、保育料の1.3倍から1.7倍もの大幅値上げを内容とする厚生部長会の報告「保育料のあり方について」を了承しました。しかし、23区中、千代田区を含め12区が4月実施を見送りました。これは、父母や保育関係者の運動の成果であります。保育所運営は団体委任事務であり、保育料の決定はあくまでも区独自に判断すべきものです。教育費や長引く不況、高物価など、保育料の捻出に苦労している子育て世代の置かれた現状を踏まえれば、値上げは許されません。答弁を求めるものです。
3つ目は、子供の遊び場の確保です。平河天神の児童遊園の廃止に伴い、子供たちの遊び場確保を求める住民の声が強まっています。今の児童遊園は昭和40年代までに設置されたものです。1975年以降は設置されていないだけに、住民の遊び場確保の声は切実であります。
そのためには、3月区議会での答弁のように、「今後あらゆる機会をとらえて子供たちの遊び場の確保に努める」という一般的位置づけだけでは、確保どころか現状維持さえ困難なのではないでしょうか。それは、「確保に努める」という答弁の一方で、富士見出張所の建て替えが隣接する子供の広場の廃止を前提にしていることでも明らかです。住民の意向に基づく子供の遊び場の整備計画を持って、全体のまちづくりなどの中で確実に確保していくことを求めるものであります。
4つ目は、家賃助成制度の創設です。3月
定例会での都市整備部長の答弁は、「財政負担と長期的な定住への効果」という2点で、現時点での制度化に難色を示されました。しかし、区の住宅白書では、民営借家に住むファミリー世帯はわずかに530世帯であります。そのうち、高家賃などで苦労されている世帯を対象とすれば、財政的には十分可能ではないでしょうか。また、「長期的な定住の効果」について言えば、現在劣悪な居住環境や高家賃で苦しむファミリー世帯にとっては、行政の支援がないことが定住したくとも定住できない要因となっているのであります。今後供給していく公共住宅とあわせて、家賃助成制度の創設で、住宅条例でもうたう「区民の住み続ける権利」を守っていただきたいと思います。
第4は、教育問題です。
その1つは、教育分野での「財政健全化計画」の内容についてであります。少子化を理由に212校ある都立高校を2008年までに40校削減する方針を打ち出しました。本来、生徒数の減少は教育環境の充実のチャンスのはずであります。ましてや、都立高校ではやっと40人学級が実現したばかりです。世界の流れである30人学級にするなら、統廃合どころか最低でもあと3校の増設が必要です。
また、同時に示された私立学校の経常費の削減は、保護者への負担増をもたらします。都の行う私学助成は、公立学校の標準的運営費を基準に、経常費の2分の1を補助する制度です。これは、高校生の6割が私学に通うなど、東京での私学の役割の大きさを踏まえ、改善されてきました。都は、生徒数減の中でも予算額がふえていることを見直しの理由にしていますが、公立学校との父母負担の格差が2.38倍になっているのが現実です。千代田区では、区立小学校から私立中学校への進学率が約41%、区立中学校から私立高校への進学率は約53%です。憲法・教育基本法で保障された「教育の機会均等」の観点からも、補助を増やすことが本当の姿ではないでしょうか。
以上の2つの問題で、区長の所見を伺います。
2つ目は、学校図書館の充実についてです。こどもの権利条約は、子供用図書の制作及び普及の奨励など、学校図書館にかかわる多くの条項を盛り込んでいます。この条約に照らしても学校図書館の充実は不可欠です。全国的には市の約3割が正規、臨時を問わず、学校図書館に司書を置くようになりました。
こうした現実を踏まえて、参議院の文教委員会では、不十分とはいえ、学校図書館法改正案が可決されました。これまで、司書教諭について附則で「当分の間置かないことができる」という規定を、2003年3月31日までの間と期限を定めたわけであります。千代田区立の小・中学校では、司書教諭が配置された学校は一校もありません。おくれは明瞭です。今度の法改訂を受け、直ちに司書教諭を置くための具体化を急ぐ必要があるのではないでしょうか。
また、学校図書館法第4条は、学校図書館の運営について、児童・生徒、教師の利用のために資料の収集・提供、分類・配列と目録整備、読書会などの実施、利用指導などを行うと列挙しています。これだけの仕事を教科や学級担任を兼任している司書教諭の片手間ではできません。司書教諭に加えて学校司書の配置を求めるものです。あわせて答弁を求めます。
第5は、不況対策についてです。
東京都信用金庫協会が昨年12月、都内の中小企業の経営者にアンケート調査を行いました。経営環境の整備で何を望んでいるかを聞いたところ、全体の56.3%が「消費税の軽減」、続いて「所得減税による消費需要の喚起」と回答しています。この結果からも、橋本内閣による史上空前の9兆円もの負担増が、いかに多くの中小業者の願いに逆行するものであるかは明らかであります。
重大なことは、東京都もまた中小企業に追い打ちをかけるように、「財政健全化計画」の中で制度融資の切り下げを打ち出したことです。「『金融の自由化』で状況が変化している」というのがその理由ですが、さきの調査でも、28%の経営者が「各種融資制度の充実」を挙げています。
長引く不況の中での中小企業の必死の努力を、まさに政治が台なしにしてしまおうとしています。95年度1年だけを見ても、千代田区の中小企業が利用した都の制度融資は約1万2,000件、1,663億円に上っています。区は「中小企業振興条例」の立場から、制度融資の切り下げでなく充実をこそと都に強く求めるべきではないでしょうか。
さて、不況の中、中小・零細業者の仕事確保は切実であります。それだけに区が、中小・零細業者向けの発注を意識的にふやしていくことが重要であります。区の「契約事務規則」では、例えば予定価格30万円未満の建物・工作物の修繕などは、庶務担当課長や出張所長、パークサイド館長などの事務としています。少額でも、その発注が多くの区内零細業者に行き渡るように工夫する必要があります。そのためにも、可能な限り分類発注にすることを求めるものであります。
次に、バブル崩壊後、被害が急増している変額保険など銀行の過剰融資について質問をいたします。
変額保険は、バブル末期に「相続税対策になる」と、銀行の融資とセットで売り出されました。保険料を株などで運用し、その実績によって保険金額や解約返戻金が変動する生命保険であります。千代田区でも、多くの金融機関と保険会社が変額保険のリスクを何ら説明することなく、「一流の信用」で安心させながら、強引に区民に過剰融資を押しつけてきました。バブルが崩壊した現在、株の運用実績は下落し、被害者は解約しても借金返済には足りません。銀行の融資利息だけが日々かさんでいきます。
ホテルオーナーズシステムという不動産共同投資も同様な手法です。金融機関が「相続税対策になる」と、不動産のオーナーになるための過剰融資を行いました。バブル崩壊による資産価値の下落で、被害者はにっちもさっちもいかない状況であります。区民にとって最大の心配事である相続税問題を最大限利用したこの手口は、まさに銀行による「詐欺的押しつけ融資」であります。ある被害者は「地獄のような毎日」と話されました。中には、自らの命を絶った痛ましい事件さえ起きています。銀行の社会的責任は重大であります。
「相続税対策どころか、生活は破壊され、返済のためにただ無意味に働かされている」。これは、約2億円の過剰融資を押しつけられ、借金返済のめどもないまま、ただ融資利息の返済だけに負われている、ある区民の声であります。区長は、こうした実態が区内に少なからず存在していることをご存じでしょうか。
住専処理のとき、銀行救済にあれだけの熱心さを見せた大蔵省は、銀行の悪徳による被害者救済にはなかなか本腰を入れようとしません。金融取引における消費者保護法の実態は、割賦販売業者は割賦販売法、貸金業者には貸金業規制法の適用を受けますが、銀行だけは適用されないのが現実であります。銀行を規制する法的な消費者保護立法を国に求めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。
この問題での区の対応はどうでしょうか。区の法律相談に来たある区民は、その「対応が『どっちもどっち』だと真剣に相談にのってくれなかった」と言いました。区の相談窓口が、だまされた区民の立場での対応となっていないようであります。区は被害者の立場に立った法律相談に心がけるべきではないでしょうか。
最後に、契約のあり方、特に区の設ける「予定価格」に関して質問します。現在は、毎年改訂される都の「積算表」を使って計算されています。問題は、バブル期と異なり、「積算表」作成時と実際に使用される時期とで「時差」が生まれることです。そのため、実勢価格より高い価格でなければ落札できない仕組みとなっています。この放置は税金の使い方として許されません。
国も4月に、むだ遣いなどの国民の声を背景に、公共工事のコストを削減する行動指針を決めました。今
定例会にも契約案件が提案されています。予定価格を常に見直し、実勢価格に見合ったものにしていくよう求めるものであります。
以上、7点にわたって質問させていただきました。明快な答弁を求め、質問を終わります。
〔区長
木村茂君登壇〕
21:
◯区長(
木村茂君) 木村議員のご質問のうち、高齢者福祉問題について、まずお答えを申し上げます。
現在の低成長経済社会においては、かつてのような潤沢な財源を確保することが困難であり、国も、また地方も健全な財政運営と効率的な行政執行を図るため、それぞれ懸命な努力を重ねつつございます。
ところが、行政の施策展開が、社会の動向、とりわけ経済状況に左右されることは、残念ながら極めて現実的な事実でございます。
このたびの国における医療保険制度の改正法案や都における財政健全化計画と、これに基づく老人福祉手当や老人医療費などの見直し方策は、今後長期的に続くと予測される厳しい財政状況のもとで、限られた財源を効果的に使用していくために
選択された対応策の一つであると考えております。
自治体の長といたしましては、社会経済状況と施策展開のはざまに立って苦慮するところでございますが、社会的弱者に対しては、施策転換による負担増ができるだけ軽微なものにとどまるよう配慮する必要があると考えております。
このため、今後は都に対しても区民生活、とりわけ社会的弱者に対する施策の見直しは慎重に行うとともに、実施に当たっては十分な論議を尽くすよう申し入れをしてまいりますので、ご了承ください。
次に、まちづくりの問題についてお答えを申し上げます。
今回の都市計画法及び建築基準法の改正内容には、都心区がこれまで要望してまいりました内容も含まれておることから、本区における住宅供給の促進策の一つともなることを期待いたしております。
なお、「高層住居誘導地区」の対象地区につきましては、指定基準が明確になっておりませんので、現時点での選定等はできない状況にございます。
いずれにいたしましても、指定地区につきましては、地区の特性や実情を踏まえ、周辺環境への影響を十分勘案し、検討していく必要があると認識をいたしております。
次に、「東京都心居住推進本部」につきましては、去る4月30日に開催されました「都心居住推進のための会議」に参加した建設省、東京都、特別区及び住宅・都市整備公団において、各区の自主性を尊重することが共通理解とされておりますので、ご了承ください。
次に、都が行う私学助成について「財政健全化計画」の一環として保護者負担を増やすのではなく、むしろ補助を増やすのが本筋ではないかとのご質問でございますが、ご案内のように東京都は大変厳しい財政状況の中、教育分野にありましても施策を種々検討し、私学補助経費の見直しを掲げておるところでございます。
ご指摘のとおり児童・生徒数の減少する中、私学の運営には厳しさが増すことは、一面において予測されることでございます。私学の学校運営は、単に学校経営という側面だけでなく、将来の日本の中学校、高等学校教育の方向性を含めて、重要な課題と認識をいたしております。また、学校に通う子弟を抱える保護者の経済負担も決して少なくないものと考えられます。しかしながら一方で、その負担軽減として都の補助金の増額ではなく、私学も自助努力が求められておることも事実でございます。いずれにいたしましても、今後、東京都の対応を注視してまいりたいと考えておりますので、ご了承を願います。
なお、詳細及び他の事項につきましては、関係理事者をもって答弁をいたさせます。
〔総務部長
高崎謙作君登壇〕
22:
◯総務部長(
高崎謙作君) 木村議員のご質問のうち、まず不況対策に係る区内中小業者への発注についてお答えいたします。
区の購入する物品及び工事などの発注につきましては、これまでも区内中小業者の受注機会の確保に配慮してきたところでございます。今後も、中小企業者を取り巻く厳しい情勢を踏まえ、分類発注に配慮するなど、極力受注機会の増大に努めていく所存でございますので、よろしくご了承願います。
次に、銀行の過剰融資に係る質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、バブル期には変額保険などさまざまな保険や金融商品が売り出されたり、資産活用や節税を目的としたビル建設に対して金融機関の融資が行われ、バブル崩壊後、社会問題化していることはマスコミでも報道されたところであり、大きな借金を抱え、苦しんでいる方々が区内にいることも十分に承知しております。
一日も早く、法的な手続等により関係者が救済されることが求められておりますが、社会的信用が特に重視される保険・金融機関に対しましては、千代田区に住み続けたい、事業を継続したいという切実な願いを持つ区民の立場に立った対応が行われることを期待するところでございます。
また、消費者を保護する面から、銀行を規制する法的な消費者保護立法を国に求めるべきとの点につきましては、既存の法体系の活用や新たな対応策について、関係機関とも連携をとりつつ、区民の立場に立った法律相談に努めることなども含め、区で対応できるものにつきましては適切な対応を研究し、対処してまいりたいと考えております。
次に、契約に係る「予定価格」についてお答えいたします。
区が発注する工事の予定価格は、設計に基づき積算された金額を基準に設定をしております。積算に当たっては、都の積算書、最新の公表された物価資料などを数値として使用いたしております。都の積算書につきましては、物価水準の変動などにより設定単価が不適当になったと認めたときは、年度の途中でありましても、その都度改訂され、実勢価格に見合うものにしてございます。それにあわせ、区の工事費積算につきましても、実勢価格に近づけるよう努力をしているところでございます。
また、競争性を高めるため、入札・契約方法の改善として、制限を付した一般競争入札の試行を取り入れたところでございます。
公共工事につきましては、内外価格差・官民格差などが指摘され、政府はコスト縮減対策に関する行動指針を策定いたしました。都におきましても、積算基準の見直しを柱に、コスト縮減の行動計画の策定を目指しております。
区といたしましても、国や都の情報の収集・交換を積極的に図り、工事コストの縮減に取り組んでいく所存でございますので、よろしくご了承願います。
〔地域振興部長
須永和隆君登壇〕
23:
◯地域振興部長(
須永和隆君) 木村議員の不況対策に関するご質問のうち、東京都の制度融資の見直しにつきまして、お答え申し上げます。
東京都の財政健全化計画の中で、今後の都政の方向性を定めていく上で、そのあり方を論議することが重要と考えられるものとして例示されている事業の一つに、中小企業制度融資があります。
問題点として挙げられている内容といたしましては、「金融の自由化、都市銀行等の中小企業分野への融資姿勢の積極化などの状況の変化を受けて、今後は、製品開発、創業支援等の政策目標に沿った融資制度に重点を移し、将来の東京の経済の担い手となる成長産業分野への企業を育成する方向を一層強化していく必要がある」となっております。
しかしながら、都では、制度の根本にまでさかのぼった見直しをしていくとしておりますので、今後どのような論議がなされていくか、注目していかなければならないと考えております。
ご指摘のとおり、東京都の制度融資を利用している区内の中小企業者は多く、その影響も大きいことから、中小企業にとってよりよい方向性が示されるよう、区といたしましても、機会をとらえつつ都に要望してまいりたいと考えておりますので、ご了承いただきたくお願い申し上げます。
〔福祉部長
篠田公一郎君登壇〕
24:
◯福祉部長(
篠田公一郎君) 木村議員の子育て世代への支援についてのご質問のうち、児童福祉法の改正及び保育料の値上げについてお答えいたします。
まず、児童福祉法の改正についてでございますが、国が示した法律案改正理由の趣旨は、児童福祉法は戦後間もない昭和22年に制定され、50年を迎えようとしております。その間、少子化の進行、夫婦共働き家庭の一般化、家庭や地域の子育て機能の低下など、児童や家庭を取り巻く環境は大きく変化しております。今回の改正では、こうした変化を踏まえ、子育て環境の整備を図り、次代を担う児童の健全な成長と自立を支援するため、児童家庭福祉制度を再構築するものとされております。
ご指摘の保育所制度の改正につきましては、措置制度のあり方を、従来の行政処分による措置による入所という仕組みを、今後は保護者が子供の個性や保護者の就労状況に適合した保育所を希望し、
選択できるよう改めようとしているところであります。
また、今回改正の公的責任による入所につきましては、区市町村が申し込みを受けたときは、保育サービスの提供義務を負うことになり、国は保育所の運営費の一部を負担することとし、公的負担の面で努力するものと理解しております。
また、保育料につきましては、それぞれの年齢ごとの保育コストを基礎として、家計に与える影響を考慮し、特に低所得者への配慮を行いながら、一方、急激な負担増とはならないよう、現行10段階を簡素化する方向で検討しているとのことであります。
しかしながら、保育制度の具体的な改正内容につきましては、現時点では予算面を含め明らかにされておらず、今後、国は具体的な内容について検討を進めていくことになります。
そこで、事業の実施主体であります特別区といたしましては、制度の改正が保育サービス水準の確保や国庫負担の増、さらに利用しやすい保育制度等につながっていくべきであると考えており、去る5月9日、特別区長会はこの趣旨を厚生大臣あて、緊急に要望書として提出したところでございますので、ご了承願います。
次に、保育料についてお答え申し上げます。
千代田区の保育料は、昭和59年4月に改訂されて以来、今日まで13年間据え置かれてきました。昨年、区長会より下命を受けた厚生部長会は、保育料のあり方について慎重に検討を重ねた結果、特別区の負担する保育園の運営経費が拡大していること、国が基準とする保育料との差が増大していること、他の自治体との保育料のバランスがとれていないこと、保育園を利用する世帯と利用しない世帯との負担の公平性などを踏まえ、保育料の適正化を図る観点から改正が必要であると報告し、区長会で了承されております。
千代田区の保育料のあり方については、都心区としての地域特性や区民、保護者への十分な理解を得ることが必要であり、今後さらに引き続き検討してまいりますので、ご了承願います。
〔住宅都市整備部長瀧見浩之君登壇〕
25:
◯住宅都市整備部長(瀧見浩之君) 木村議員のご質問のうち、まちづくりの問題について区長答弁を補足し、あわせて子育て世代への家賃助成制度についてお答えをいたします。
まず「東京都心居住推進本部」についてですが、この組織は、都心居住を推進するための制度のあり方の検討のほか、主に個別の都市開発プロジェクトについての調整等を行うために設置されたものでありますが、個別プロジェクトの具体的な検討方法については、いまだ定まっておりません。現時点では、検討会を設け、個別に検討していく案が出されておりますが、この検討会には関係区は当然参加することとなっております。
また、各区の対象プロジェクトにつきましても、明確になっておりませんが、本区を初め各区からは、区の意向を最大限尊重して選定していくことを、国や都に強く意見を申し述べている現状でございます。
本区といたしましては、環境面の配慮や計画内容を十分考慮し、都市計画マスタープランに沿った総合的なまちづくりの観点から、区が推進していくことを認めた個別プロジェクトについて推進本部での適切な検討、調整等が行われることを期待したいと考えております。
いずれにいたしましても、地域の特性を十分踏まえ、区の意向が反映されるよう、地方分権の流れに沿った区の主体性を持って慎重に対処してまいりたいと考えておりますので、ご了承願います。
次に、家賃助成制度についてお答えをいたします。
子育て世代の定住化を促進するには、その生活基盤である住居の確保がまず重要であることは十分認識をいたしております。本区におきましては、住居における適切な広さと適正な家賃のバランスの点から、民間住宅の供給と区民の需要とが合致せず、若年ファミリー層の居住が非常に厳しく、また困難であり、転出を余儀なくされるケースも見受けられる事実があることは認識をいたしているところでございます。
家賃助成制度については、前回の
定例会でもご答弁させていただいたように、財政状況が非常に厳しい現況や定住促進への効果性など、制度化には多くの諸課題があり、また現在、住宅政策全体の見直しをすべきとのご指摘がある中で、さらに十分調査、検討すべき状況であると考えております。
したがいまして、子育て世代への定住施策は、本区にとってもコミュニティの活性化にもつながる重要な課題でもありますので、このことを十分認識しつつ、今後、住宅基本計画改訂の中で総合的に検討してまいる考えでございますので、よろしくご了承のほどをお願いいたします。
〔土木部長
高木省三君登壇〕
26:
◯土木部長(
高木省三君) 木村議員の子育て世代の支援に関するご質問のうち、子供の遊び場の確保についてお答えいたします。
児童遊園は都市公園を補完する役割を持ち、子供の遊び場として貴重な空間となっております。したがいまして、地域的に身近な都市公園の整備が必ずしも十分でない千代田区におきましては、児童遊園の整備充実は当然に必要であるとの認識は持っております。しかし、当区が置かれている現状を考えますと、用地買収等を伴う新たな児童遊園の整備は極めて困難な状態にあります。
そこで、今後の子供の遊び場の確保につきましては、大規模再開発や各種のまちづくりの中でその機能を確保するなど、さまざまな工夫が必要であると考えているところでございます。ご了承のほど、よろしくお願いいたします。
〔教育長井澤一弘君登壇〕
27: ◯教育長(井澤一弘君) 木村議員のご質問のうち、学校図書館にかかわる事項についてお答えいたします。
ご指摘いただきましたように学校図書館は、子供たちに読書の喜びや楽しさを伝え、主体的な学習態度を身につけさせる意味においても極めて大切な役割を果たしていることでございます。
特に21世紀の教育に向けて、自ら課題を見つけ、自ら学び、考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、すなわち「生きる力」を育成しようとする学校教育におきましては、情報を収集・選択し、自分なりにまとめ、表現する学習活動が重要であり、学校図書館の役割はさらに大きなものになるものと認識しております。
現在の子供たちは、情報メディアの発達や過熱した受験競争等により、読書離れの傾向にあることは否定できません。しかし、本区の小・中学校におきましては、図書委員による図書の貸し出しを始め、国語・社会・理科及び
選択教科などの授業において、読書や調べ学習等で学校図書館を活用し、本に親しみ、利用する学習活動を工夫しておるところでございます。
例えば昌平童夢館におけるまちかど図書館と学校図書館との連携によって、また、ある学校では、環境整備の工夫で、子供たちがいつでも本が読め、借りられる図書館となり、読書量がふえたという報告がされております。
ご指摘の学校図書館への司書教諭の配置につきましては、全国都市教育長協議会でも文部省に繰り返し要望してきたところでございます。このたび、平成15年3月をめどに、学校図書館に司書教諭を配置することなどを内容とする「学校図書館法改正案」が5月9日に参議院において、昨日衆議院において可決されました。そこで、今国会で成立いたしましたので、これを受けて国や都レベルでも体制整備が図られていくものと思われますが、本区におきましては、各学校における学校図書館を活用した学習活動をより一層工夫してまいりますと同時に、学校図書館への司書教諭等の配置につきまして、国や都の動向を十分把握しながら前向きに対応していきたいと考えておりますので、ご了承いただきたいと思います。
28: ◯24番(
木村正明君) 自席より再質問をさせていただきます。
東京都の財政健全化計画につきましては、それぞれの分野ごとに質問させていただきました。実は、この計画の中では、区市町村に対する補助金の見直しという項目も含まれているんですよね。その補助率2分の1を上回るものについては見直していくと。今度の計画については、そういう特別区への財政的な面も含めて大きな影響が生まれてくることが予想されますので、そういった問題も含めて、ぜひ積極的に働きかけていただきたいというふうに、まずちょっと要望しておきたいと思います。
それで、その上で何点か質問させていただきます。
まず第1番目であります。都市計画法、建築基準法の改正案について。この改正については、都心区として要望してきたものも含まれているというご答弁でしたが、具体的にはどういう要望がどういう形で反映されてきたのでしょうか。それが1点であります。
それから、都心居住推進本部、これが4月30日に設置されました。各区の自主性を尊重するというのが共通認識だというご答弁でありました。確かにこの推進本部の設置要綱ですか、これを拝見いたしますと、やはりこのような旨がうたわれています。その設置要綱にわざわざこういうことをうたわなければならないような危険性というのを持っていると思うんですよね。この推進本部の幹事というのは、やはり常時国と都と住都公団が入っていて、それで関係地区の開発のときにはその区だけ呼んでやると。これは、地方分権の流れの中での最も身近な自治体が中心になってまちづくりをしていくという、そういう今の流れから見ると、この本部の設置のあり方自体が異様ですね。主客転倒ですか、こういう印象を受けざるを得ないんですよ。ですから、やはりその辺を、共通認識だから心配ないという区長のご答弁では、推進本部の持つ危険性というのをなかなか払拭できないでいます。
その辺ちょっと具体的に、地方分権に反するのではないかということで、先ほどの質問の中で、本部の幹事の構成、それから建設省が個別のプロジェクトチームに直接関与できる道を開いたという、この2点で地方分権に反するのではないかという質問をしたんだけれども、地方分権の流れに沿うようということで、さらっという答弁だったので、この2点での明確な答弁を再度求めておきたいと思います。
それから、この問題でもう1点伺いたいのは、個別のプロジェクトを推進本部に例えばある自治体が、特別区が持ち込むと。そこでいろいろ調整をされるということなんだけれども、要するにそのプロジェクトというのは民間事業者のプロジェクトでしょ。これまで民間事業者がいろいろ開発するときに、住環境の問題、近隣への影響ということで、そういう再開発の場合、当然行政が中立的な立場でその調整役といいますか、近隣住民と事業者との間の調整役という役割を果たしてきたのがこれまでだと思うんですよ。そうではなくて、行政が持ち込むということは、行政がまさに開発事業者の側に立って今後進めていくというふうになると、これは住環境への影響という点では非常に否定的な役割を果たすことになるんじゃないかというふうに思います。その点で、そうでないというんだったら、ぜひ詳しくご説明いただきたい。
それからもう一つ、家賃助成の問題でありますけれども、今後総合的に検討していくというご答弁でした。具体的にいつごろまでに検討されるのか、この際伺っておきたいと思います。
それから、子供の遊び場の確保の問題でありますけれども、確かに千代田区の現状を見た場合、どんどん児童遊園とか空間をつくっていくというのは大変な作業だと思うんです。だからこそ、ほかの自治体以上の意識的な取り組みですか、これが求められてくると思うんですよね。そうでないと、現状維持さえ難しい。
確かに廃止されるというのは、それなりの理由がありますから、廃止は絶対だめだということでは、それはないんだけれども、やはりきちんとした計画を持ってつくっていくというふうにしないと、これは現状維持さえ難しくなる。そういう状況だと思うんです。
先ほど、一定の遊び場を確保していく上での計画も必要じゃないかという質問をさせていただいたわけだけれども、ご答弁は大規模再開発とか、そういう中でつくる。これはあくまでも受動的ですよね。大規模再開発がなければ児童遊園ができないのかと。そういうものじゃないと思うんですよ。その辺はきちんとやっぱり一定の計画化ですか、これが必要じゃないかという趣旨での質問でしたので、その辺、再度お願いしておきたいと思います。
それから、最後であります。銀行の、金融機関の過剰融資の問題で総務部長からご答弁いただきました。私は区長のご答弁をいただきたかったんです。というのは、この問題というのは、一人で思い悩んでいらっしゃる方、たくさんいるんです。ある方から連絡を受けて、以前ですね、そういう実態を伺ったわけなんだけれども、思い悩んでいる方がたくさんいらっしゃるんです。
要するに金融機関がですよ、区内の銀行ほとんどこういった、あの当時ですね、この変額保険や、いわゆる不動産共同融資、これにかかわっていますから。大銀行ですね。被害者の数というのは相当いらっしゃると思います。しかし、現実は一人で思い悩んでいらっしゃる方も相当いるんです。そういうときだけに、区民の方、相続税対策と言われたら、当然耳をかさざるを得ない状況だったわけですからね。やはり銀行が加害者であって、そして融資を押しつけられた区民は被害者だと、こういう立場での区長の答弁を伺いたかったんです。
要するに、だまして融資を押しつけてきたわけですね。危険性を言わないで。ですから今、全国的には、その変額保険の裁判の中で少しずつ、金融機関の説明不足ということで、変額保険の被害者が勝訴をかちとっているという事例も幾つか生まれ始めてきました。
ですから、これ、借金で、融資の利息で日々追われているという、この苦労は本当にすさまじいものです。そういう事例だけに、ぜひ区長としてこの問題についての──先ほど区の法律相談でも、区民の立場に立った対応を今後続けるというお話でしたけれども、やはり区長の答弁として、この問題での見解なり、その態度というのを表明していただければというふうに思います。
以上です。
〔区長
木村茂君登壇〕
29:
◯区長(
木村茂君) 木村議員の再質問の一番最初の部分についてお答えを申し上げます。
現在、東京都は財源不足が3,100億かな、公債費が5,300億とか、もう本当に来年度予算の編成もままならないということで、つい先だってですから、5月29日に財政健全化に向けた当面の取り組み方針というのを発表したわけですから、これから各区とも連携を十分とりながら、東京都に対して十分論議を尽くしていただくというふうなことを図ってまいりたいと、こう思っております。
〔総務部長
高崎謙作君登壇〕
30:
◯総務部長(
高崎謙作君) 木村議員の銀行の過剰融資につきましての再質問に、区長の意を体してお答え申し上げます。
ご指摘のとおり変額保険等、あるいはまた不動産融資を受けて、大きな借金を抱えて苦しんでおられます区民の方が多数おられることは、区の相談窓口等でも聞いておりますし、私どもも十分承知しているところでございます。この問題について裁判が起こされ、600例とか聞いておりますけれども、そういう中で、今ご指摘のように銀行、あるいは保険会社の責任が問われているものもございます。しかし一方で、過失相殺という形で、借受人の方々の責任といいますか、そういうこともまた求められている事例もございます。
そういう状況を踏まえながら、なお区に居住継続して努力されている方々の立場に立って、法律相談等も含めまして、区でできること、あるいは国、都に要望すべきこと等につきまして、関係者と十分に協議、検討いたしまして、対処してまいりたいと思いますので、ご了承願います。
〔住宅都市整備部長瀧見浩之君登壇〕
31:
◯住宅都市整備部長(瀧見浩之君) 木村議員の再質問にお答えいたします。
まず最初に、都心区として要望してきた事項も今回の法改正の中に含まれている事項は何なのかという1点目の質問でございますけれども、ご案内のように千代田区におきましては、住居系の地域におきましては、法定容積の最高の400%が指定されておりまして、これまでの経過の中で、この容積アップ等に対する要望が多々あった事実がございます。そうした中で、必要があって指定容積率を上げる場合には、やむを得ず商業系の用途地域に変更してきたと、こういう経緯もあるわけでございます。今回の法律改正がこのような課題の解決につながる可能性があるというようなことも一部では期待できる要素があろうかと思います。
さらに住居系用途地域における斜線制限、こういったようなことが、やはりさまざま住民の皆さん方の要望の中であったわけでございますけれども、今回このような法改正の中で商業地域と同様の扱いになってくると、こういうことで一定の容積緩和が図れる。また、区といたしましては、それに伴う住宅の一層の増進が図れると。このような期待を持っている部分が含まれているという意味で申し上げたところでございます。
それから、2点目の東京都心居住推進本部の運営の問題でございますけれども、幹事に特別区が入っていないのは地方分権に反するのではないかというようなご指摘の点でございますけれども、この推進本部の運営自体が個別プロジェクトについて対応していく、また、あるいは各制度的なものについて検討していくという、こういうような位置づけの中で、個々の本部会議の運営の中で、参加する区が個々になっていくと、こういうような位置づけの中で、幹事が連絡調整を行うために設けられているという、そういう意味で特別区については東京都が代表して各区の連絡調整を行うと。こういうことで、現時点の出発の時点では特別区が幹事になっていないと、こういうことでございます。
それから、さらにこういった本部会議の運営の仕組みが地域の発想なり、地域の実情を反映するという意味で主客転倒ではないかと、こういうようなご指摘の点でございますけれども、構成員自体は対等の立場で参加し、協議に当たると、こういうことが確認されておりますし、区の主体的なまちづくりを尊重すると。こういうことも先ほど区長がご答弁申し上げましたとおり、基本的なところで確認されておりますので、こういう点等は当区といたしましても十分踏まえた上で参画し、また協議に当たっていきたいと、このように考えております。
それから、3点目の近隣調整の問題。これは当然、事業者、あるいは地域の自治体、これが十分に対処すべき課題であると。こういうことに対する心配もあるんではないかというようなご指摘の点でございますけれども、当然各個別プロジェクトにつきましては、事業者が近隣関係住民と相互の立場を尊重し合いながら、互譲の精神をもって主体的に解決すると。これは原則でございますけれども、こういう紛争が生じたときには、当事者が迅速かつ適正に調整するよう努めることとされているという、これは基本的なこととして確認をされてございます。
推進本部におきましては、このような枠組みを前提とした上で、土地の有効かつ高度利用による都心住宅の供給促進が十分図られるよう協議を経た上で、事業者及び関係行政機関に対して調整を進め、さらに助言をしていくと。こういうようなことが基本的な役割となっておりますので、その点ご了承いただきたいと思います。
最後に、子育て支援策としての家賃助成の具体化の目途というようなご指摘でございますけれども、これは先ほどもご答弁させていただきましたとおり、現在、さきの本会議等におきまして、住宅政策全般に対する見直し、それから住宅基本計画のあり方を含めた住宅基本計画の改訂の方向性、こういったところをご指摘いただいておりますので、そういうようなところを十分踏まえた上で、なるべく早く結論が見出せるように努力していきたいと、このように考えております。
〔土木部長
高木省三君登壇〕
32:
◯土木部長(
高木省三君) 木村議員の子育て世代の支援に関するご質問のうち、子供の遊び場の確保についての再質問にお答えいたします。
21世紀を間近に控え、国際化、情報化、あるいは高齢化、少子化、いろいろな問題が進展する中で、絶対的に土地を必要とする子供の遊び場等の確保については、各種の行政需要に優先して、これを計画的に整備していくということはなかなか難しい状況であるということで、先ほどのような回答をさせていただきました。
しかしながら一方で、先ほどご説明しましたとおり、大規模再開発、あるいは老朽化した大規模なビルの改築等が今後目白押しでございます。そうした中で、子供の遊び場等の確保は、今後の千代田区の定住人口の確保にも非常に寄与することでございますので、できるだけの努力をしてまいりたいと、このように考えております。
したがいまして、確かに何もしないで眺めているだけではじり貧状態になろうかと思いますけども、そうではなくて、いろいろなチャンスを間近に見ながら、虎視眈々と計画的に対応していくと、このように私どもは考えております。
それからまた将来、例えば土地をいろいろ確保できるようなチャンスがあるような場合、児童遊園、あるいは公園のロケーションを見ながら、場合によっては優先的にこういった公園的な機能に使わせていただくよう手を上げてまいりたいと、このようにも考えております。どうかご理解のほどをよろしくお願い申し上げます。
33:
◯議長(鎌倉つとむ君) 以上で各会派の代表質問を終わります。
お諮りいたします。本日はこの程度をもって延会いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
34:
◯議長(鎌倉つとむ君) ご異議なしと認めます。
よって本日はこれをもって延会することに決定いたしました。
継続会は6月5日午後1時から開会いたします。ただいまご出席の方には文書をもってご通知いたしませんから、さようご了承願います。
本日はこれをもって延会いたします。
午後4時25分 散会
会議録署名員
議 長 鎌 倉 つとむ
議 員 鈴 木 栄 一
議 員 荻 生 誠
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