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  1. 千代田区議会 1989-09-21
    平成元年第3回定例会(第2日) 本文 開催日: 1989-09-21


    取得元: 千代田区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-02
    千代田区議会議事録 トップページ 詳細検索 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成元年第3回定例会(第2日) 本文 1989-09-21 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 81 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長佐藤義明君) 選択 2 : ◯四番(城井健介君) 選択 3 : ◯区長木村茂君) 選択 4 : ◯都市整備部長望月章司君) 選択 5 : ◯土木部長堂下慶三君) 選択 6 : ◯議長佐藤義明君) 選択 7 : ◯一番(石渡しんこう君) 選択 8 : ◯区長木村茂君) 選択 9 : ◯福祉部長八田和之君) 選択 10 : ◯都市整備部長望月章司君) 選択 11 : ◯一番(石渡しんこう君) 選択 12 : ◯都市整備部長望月章司君) 選択 13 : ◯議長佐藤義明君) 選択 14 : ◯二十一番(中村かく君) 選択 15 : ◯区長木村茂君) 選択 16 : ◯区民部長加藤忠君) 選択 17 : ◯土木部長堂下慶三君) 選択 18 : ◯議長佐藤義明君) 選択 19 : ◯二十五番(木村正明君) 選択 20 : ◯区長木村茂君) 選択 21 : ◯区民部長加藤忠君) 選択 22 : ◯福祉部長八田和之君) 選択 23 : ◯都市整備部参事黒澤功君) 選択 24 : ◯福祉部長八田和之君) 選択 25 : ◯二十五番(木村正明君) 選択 26 : ◯区長木村茂君) 選択 27 : ◯議長佐藤義明君) 選択 28 : ◯議長佐藤義明君) 選択 29 : ◯区民部長加藤忠君) 選択 30 : ◯議長佐藤義明君) 選択 31 : ◯三番(大宮正義君) 選択 32 : ◯区長木村茂君) 選択 33 : ◯都市整備部長望月章司君) 選択 34 : ◯議長佐藤義明君) 選択 35 : ◯三十五番(野口つた子君) 選択 36 : ◯区長木村茂君) 選択 37 : ◯都市整備部参事黒澤功君) 選択 38 : ◯三十五番(野口つた子君) 選択 39 : ◯都市整備部参事黒澤功君) 選択 40 : ◯議長佐藤義明君) 選択 41 : ◯二十七番(福山和夫君) 選択 42 : ◯区長木村茂君) 選択 43 : ◯総務部長(小藪俊雄君) 選択 44 : ◯福祉部長八田和之君) 選択 45 : ◯土木部長堂下慶三君) 選択 46 : ◯建築公害部長(石津達太郎君) 選択 47 : ◯教育長(井澤一弘君) 選択 48 : ◯二十七番(福山和夫君) 選択 49 : ◯区長木村茂君) 選択 50 : ◯総務部長(小藪俊雄君) 選択 51 : ◯議長佐藤義明君) 選択 52 : ◯議長佐藤義明君) 選択 53 : ◯十七番(竹田靖子君) 選択 54 : ◯教育長(井澤一弘君) 選択 55 : ◯十七番(竹田靖子君) 選択 56 : ◯教育長(井澤一弘君) 選択 57 : ◯議長佐藤義明君) 選択 58 : ◯議長佐藤義明君) 選択 59 : ◯助役(川又元彦君) 選択 60 : ◯議長佐藤義明君) 選択 61 : ◯三番(大宮正義君) 選択 62 : ◯議長佐藤義明君) 選択 63 : ◯議長佐藤義明君) 選択 64 : ◯議長佐藤義明君) 選択 65 : ◯助役(川又元彦君) 選択 66 : ◯三番(大宮正義君) 選択 67 : ◯議長佐藤義明君) 選択 68 : ◯議長佐藤義明君) 選択 69 : ◯議長佐藤義明君) 選択 70 : ◯助役(川又元彦君) 選択 71 : ◯三番(大宮正義君) 選択 72 : ◯議長佐藤義明君) 選択 73 : ◯議長佐藤義明君) 選択 74 : ◯議長佐藤義明君) 選択 75 : ◯議長佐藤義明君) 選択 76 : ◯議長佐藤義明君) 選択 77 : ◯議長佐藤義明君) 選択 78 : ◯議長佐藤義明君) 選択 79 : ◯議長佐藤義明君) 選択 80 : ◯議長佐藤義明君) 選択 81 : ◯議長佐藤義明君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 1989-9-21:平成元年 第2回定例会(第2日目)本文 819号    午後一時二分開議 ◯議長佐藤義明君) ただいまから平成元年第三回東京都千代田区議会定例会継続会を開会いたします。  これより一般質問に入ります。  通告順に発言を許可します。  最初に、四番城井健介君。    〔城井健介君登壇〕 2: ◯四番(城井健介君) 第三回定例会に際しまして、自由民主党議員団の一員として一般質問をさせていただきます。  住宅の施策についてお伺いします。  これにつきましては代表質問で質問されておりますが、視点を変えて質問させていただきます。  土地を新規に取得して集合住宅がつくられても、千代田区内では家賃が百五十万とか二百万というありさまで、到底庶民の手の届くところではありません。住宅都市整備公団の住宅でも、公有地上に合築ができたとしてもその価格は恐らく家賃は二十万を越すものと考えられます。都営住宅にしても、区民住宅にしても、もし原価に対応して家賃が計算されたならば同じようなものでなるでしょう。今、私たちは街づくり方針のもとに、行政、区民、企業の三位一体のもと、当面五万人回復を目標に住宅の設置を努力しています。しかし、例えば、再開発の中の地権者ならば、計画の進展の中で有利な家賃を設定できるでしょうが、地権者以外のための住宅はどうしても高家賃にならざるを得ないのであります。その再開発にたまたま公有地が含まれていて公営住宅が設置できれば、またちょっと話は変わります。しかし、公営住宅だけで五万人の区民回復は不可能であります。絶対に区民、企業の協力が必要であります。  このような中で、新聞報道によれば、次の国会において都心における住宅の設置を促進する臨時措置法が上程されるとのことであります。区長が住宅設置促進地域を提案することができ、それをフォローする意味で容積率のアップとか、税法上の措置などの住宅供給を促進するための幾つかの誘導策が示されているとのことであります。このような臨時措置法が上程される運びには、国、都、都心三区の共同調査が実施されている中でその成果の反映であり、我が千代田区の理事者におかれましても多大の努力をされたと仄聞いたし、その御努力に大いに敬意を表する次第であります。  このような臨時措置法ができますれば、当然、千代田区側の受け皿といいましょうか、体制が問われてくるわけであります。街づくり方針を持っている千代田区にとって、住宅設置をどのように具体的に行うかを決めなければならないでしょう。つまり、街づくり方針をもとに、より具体的な住宅設置推進プランを持つときにきていると考えますが、この点について理事者のお考えをお聞かせください。  また、私たち議会や行政の努力で整理すべき公共施設適正配置の案件もおのずからできる限り早い時期に結論を出さない限り、住宅設置推進プランの全体像がつかめないのではないでしょうか。この点についてもお伺いいたします。  いろいろな会合の中に参加して感じますことは、千代田の将来について多くの人たちが懐疑的になっていることであります。あるいは無力感が広がっているといってもよいと思います。ある人は住む人がなくなってしまう千代田区の未来を論じてもしょうがないじゃないか、ある人は千代田区の人たちは二またこう薬的に、片方では未来を論じ、片方では幾ら高く土地が売れるかに関心があるのではないかと極論する人さえもおります。具体的な住宅設置推進プランを持って多くの人々に覆いかぶさる千代田区に関する暗い考え方、暗影を吹き払う必要があります。区民に自信を持たせることが必要であります。  さて、住宅設置を推進するにしてもですが、その家賃が高くなることは逃げることができない現状であります。経済原則を越えて計画を考えることは空論に等しいものと考えられます。この点についての解決の方法については大規模な開発に関して街づくり協力金があり、適当な家賃の住宅供給のための検討が街づくり懇談会で行われているところであります。  ほかに、この現状に対して住宅供給を推し進める方法として給与住宅があります。つまり社宅であります。今、多数の企業が都心に集中しておりますが、その従業員は遠距離からの通勤であり、一亘変事が生じた場合に、その対応にそれぞれの企業が悩んでいるところであります。千代田区においてさえ、例えば大地震が起きれば、ほとんどの職員が登庁することができず、遺された区民は行政のサービスをえられないものと考えられます。非常時の防災体制を確保する意味からも、区職員を含め一定の要員が区内に住んでいなくてはなりません。基本的には、中枢管理機能を持つ千代田区丸の内を中心とした地域の機能を中断させることなく保持できるかという点であります。  この点を解決する方法として給与住宅があります。千代田区の住居設置の施策の一つとして給与住宅設置の推進を図るのが適当と考えますが、いかがなものでしょうか。給与住宅はみずから企業が建設することにより、企業の福利厚生事業の一環として負担可能な家賃設定ができるものと考えられます。一企業で給与住宅設置のために五百億から一千億に近い投資が考えられていると伝え聞きます。さらに、給与住宅の設置に対する誘導策を考えることによって、都心においてそれを欲しておる企業に便宜を図ることになり、企業をして街づくり方針に協力していく誘因にもなるのであります。相互に繁栄する三位一体の考え方と合致するものであります。  また、いわゆる従来の社宅は単一の企業のそれであり、社内の関係が持ち込まれたりして、地域との連帯観念が薄く、これらの点が問題点として指摘されてきたところです。そこで単一の企業の社宅ではなく、多数の企業を導き入れる新しいタイプの社宅を設置し、地域コミュニティをつくる考え方が必要と考えられます。  いずれにしても、高い家賃を避けられないこの千代田にとって、つくった住宅を機能させるためには都心に要求されている給与住宅設置を推進していくための方策を区の施策として推進することが肝要だと考えます。これは街つぐり事業が進行していく上でも重要な施策であると考えますが、区長及び関係理事者はいかがお考えでしょうか。
     さらにもう一点、協力金についてお尋ねいたします。  海外視察等の研修でも研究されてきました協力金でありますが、協力金を集めるに当たり、その説得性については街づくり懇談会においても論議されておるところであります。広く解釈していえば新しい税金でもありますし、これを公平に集めるには困難が伴います。いずれの企業をも理解でき、かつ企業にもメリットをもたらすようなものが期待されます。街づくり方針にのっとった千代田区の住宅設置推進プランはぜひ必要でありましょうし、その中で給与住宅の提供というような見返りも、この協力金を理解してもらい、実施する際に必要でしよう。  お聞きしたいことは、これを実施する際、よりどころとする法的根拠というものがあるかどうかという点であります。世に言う住宅付置義務という言葉がありますが、義務といえば反対に義務違反という言葉があり、かなりの法律にのっとった責務が生じるように考えられるところですが、実際は付置義務を担保していくには多くの課題があると考えられます。  そこで、現在、街づくり懇談会等で論議されている協力金についてどのように受けとめ、本区の住宅政策の中に、いかに位置づけていくのか、お考えがあったらお聞かせください。  次に、八月一日の水害について質問させていただきます。  この点についても代表質問にて触れられておりますので、代表質問とは違う視点で質問させていただきます。  防災という視点から、昨年は水害被害地図が発表されましたし、区自体の水害防災計画が持たれ、着実に防災対策が進展しているわけでありますが、今回の被害の状況を考えますと、幾つかの点でしっかりと区民に知らせておくべきことがあると思います。区民が周知することにより、一つは被害を軽減することができることですし、一つは行政に対する信頼感の喪失を軽減することができるからだと思います。  まず、都市型水害であるという点です。つまり降雨と被害が同時に発生する、同じ雨量でも田園型に比べて都市型の方が出てくる水量が多く、被害が大きいということです。降った雨は森や水田、畑に吸い込まれることなく、瞬時に下水管に川に殺到します。そして量の増え方が急激であり、被害を大きくしています。そして川から溢水するというよりも下水がのみ込めず、道路冠水から被害が始まるパターンです。したがって、ほとんどの被害者が有効な対応策がとれない現状であります。ですから、この都市型水害は大変危険であり、八月一日の雨量以上の降雨があれば人命にも関係するものと考えられます。  次に、日本橋川の流域周辺がかなりの低地であるということです。今回で新三崎橋でAP五・一メートルを記録しました。APという高さから一・一メートルを引けば海抜の高さになるそうでありますから、この水位の高さは海抜四メートルということになります。この高さ以下の土地は三崎町、神保町、西神田を含めて一平方キロ以上あると考えられます。特に神田神保町三丁目から一ツ橋二丁目にかけては海抜二・五メートルしかありませんから大変危険な地帯であります。しばしば日本橋川の水位が流域の地盤よりも高くなってしまうということは区民に知らせるべきだと思います。  次に、下水道の能力劣化の点であります。この点は昭和六十二年の東京都千代田区地域防災計画風水害編にも書かれておる通りであります。下水道が完備した地域に能力を越した降雨のために被害が発生したというふうに区民の方々に思われては筋が違うと思います。下水道施策が旧式化した地域に強い雨が降って被害を大きくしたというべきであります。昭和初期に埋設されたもの、老巧化が進み、管渠の破損、不等沈下の発生が見られるのであって、現在の都市化が進展した千代田区に相応する下水道が整備されていれば、あるいは被害が発生しなかったかもしれないし、それ相応に被害が軽減されたかもしれないのであります。  もう一点は、被害地のほとんどが下水道が自然流下式であることです。下水管に雨が流れ込み、一定量を越えると川に合流するシステムですが、自然流下式ですから地盤高は当然川の水位よりも高くなくてはなりません。西神田のポンプ場の設置が西神田近辺の内水被害を一掃したように喧伝されたのは残念なことでありました。これからは行政側の信頼性を回復する努力が必要でしょう。西神田のポンプ場とは関係ない飯田橋の被害者が、今回の被害は西神田のポンプが作動しなかったためだからよく調べてほしいと依頼されました。西神田のポンプは飯田橋の地域の下水を吸い上げてはいないのであります。低い地盤の江東や墨田の流域が近年水害がなくなったのは強制排水システムによるからであります。日本橋川の治水レベルが七十五ミリの対応になるのはあと二十年でしょうか、三十年でしょうか。幸いにして七十五ミリ対応ができ上がったとしても、この地域の地域的特性、経済上の特性から、下水を強制排水システムに変換すべきものと考えます。  以上の点は、被害を軽減する意味でも、区民の行政に対する信頼を回復する意味でも区民に周知されるべきものと考えます。  関係理事者はこの点についてどうお考えでしょうか。お考えをお聞かせください。  質問を終了します。(拍手)    〔区長木村茂君登壇〕 3: ◯区長木村茂君) 城井議員の御質問にお答えいたします。  住宅施策への取り組みについてでございますが、御指摘のとおり高地価が直接的に住宅価格の上昇をもたらし、特に低中所得層においては、都心に新たに住宅を持つことは極めて困難となっており、まさに住宅問題は土地問題であると言えるところでございます。住宅供給策を推進していく上で、地価対策の有効適切な施策の展開など、土地問題への積極的な対応が緊急かつ重要な課題として、これまでも国等の関係機関に対し必要な要請を行ってきたところでございます。  このような現実を踏まえつつ、良質な住宅を確保し、住環境の改善と向上を図り、多様な人々が住み、住み続けることができる社会を構築していくことによって、とりわけ街づくり方針に示す都市像の一つである生活都心の実現を期していくことが区政に課せられた最重要課題と認識いたしております。そのためにはお説のとおり住民、企業、行政による三位一体のまちづくりを信頼と協力を基調として推進していくことが何よりも大切でございます。  また、御指摘の企業による給与住宅の供給、住宅付置等につきましても、住宅政策の有効な方策として十分な検討を要するものであり、それぞれが知恵と工夫を出し合い、共通の理解のもとに実行性のある施策として築き上げていくことが肝要かと存じます。また、都心部における厳しい土地、住宅事情の中で、計画性を持った住宅供給策を確立し、実行していくためには、区みずからの努力はもちろんのことでありますが、法制度にも深くかかわるところが多くを占めております。  そこで、都心部の住宅機能確保のための方策について、国等と共同で調査、研究を実施してきたところであり、その調査結果を含め、現在、国におきまして法制度の体系的な整備に精力的に取り組んでおるところであります。  今後とも国、東京都等関係機関との一層の連携を強め、地域特性を踏まえた関係法令の弾力的な運用と総合的な施策の確立に努め、あらゆる方策を探求し、かつ着実に実行してまいる所存でございます。  詳細につきまして、また、他の事項につきましては、関係理事者をもって答弁いたさせます。    〔都市整備部長望月章司君登壇〕 4: ◯都市整備部長望月章司君) 城井議員の住宅施策に関する御質問につきまして、区長答弁を補足してお答え申し上げます。  御指摘のとおり都心部を含め東京圏の住宅価格は高地価を反映し、一生働いても自分の家が持てない状況はまさに重要な社会問題でございます。住みなれた地域社会に住み続けることができるために、また、都心活動層など新しい居住層も住むことができるために、都心にふさわしい住宅を計画的に供給していくことが定住性を高め、活力ある地域社会を構築し、街づくり方針に示す都市像の実現につながるものと考えております。そのためには、都心部の土地利用の実態や住宅事情を十分踏まえた先見性と実効性ある施策を確立し、具体的な施策を推進していくことが今こそ取り組むべき緊急な課題と強く認識しているところでございます。  しかし、土地問題を含め、幾多の課題を克服していくためには、国、東京都、そして基礎的自治体である区との一体となった取り組みがなければなりません。土地、住宅施策は法制度に深くかかわる部分があるだけに、都心部の特性を踏まえ、諸施策の弾力的かつ有機的な運用を図る上からの現行の法体系の検討が重要と考えます。建設省、東京都、都心三区により実施してまいりました大都市都心部における住機能の確保に関する調査、研究におきましても、こにの視点を基本に据え、現行法制度の見直しを行っております。その主な内容といたしましては、立体用途規制、用途別容積制の導入、住宅容積率のアップや住宅供給を前提とした諸規制の緩和などにより、極力地価の住宅価格への影響を低減する方策を図り、低中所得層が負担可能な住宅供給策も含め、新たな観点からの提言がなされております。  御質問の街づくり方針をもとにした住宅設置プランの策定につきましては、お説のとおりであり、その重要性を強く認識しているところでございます。この調査研究の内容にも国自治体と連携した住宅供給制度のシステムを確立し、その中に地域住宅計画を区が策定することとされております。この調査結果を含め、国におきましては大都市都心、その周辺部への住宅供給の制度化を平成二年度の最重要事業として、現在、法制度の整備に入っているところでございます。  したがいまして、これら国の動向を注視するとともに、本区の住宅事情の現実を改めて調査、分析し、的確な見通しのもとに、中、長期的視点に立った実効性ある計画の策定に向けて、また、公共住宅につきましては、公共施設適正配置の中でも鋭意検討してまいる所存でございます。  次に、給与住宅につきましては、企業におきましても優秀な人材を確保するためにも、また、職住近接の必要性の面からも、ここ数年、積極的な姿勢ですすめられており、その傾向は年々強まっております。区といたしましても、新規住民層を受け入れ、定住人口を確保する意味からも、また、御指摘の非常時への対応の点からも、その供給を促進するための誘導策を住宅政策の中に位置づけていくことが必要であり、具体策につきましては企業等の考えや新たな施策等にも留意しつつ、十分検討してまいりたいと考えております。  次に、住宅付置と協力金についてでございますが、法令による義務づけということになりますと、その法的妥当性や現行税制度との整合性、さらには再開発地区計画制度等の協議を前提とした既存の制度等との関連など、なお、検討を要する多くの課題がございます。実効が担保され、実りのある方策としていくためには、その妥当性につき明確な論理的整理はもちろんのこと、何よりも企業の理解と協力、そして社会的コンセンサスが大切でございます。区民の総意により策定された街づくり方針の理念である住民、企業、行政による三位一体となったまちづくりを推進していく中で、相互の信頼と協調を基調として建設的な論議をまず深めていくことが重要と考えております。街づくり懇談会等の場におきましても、企業も交え、広い見地から御意見を十分いただき、検討を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしく御了承のほどお願い申し上げます。    〔土木部長堂下慶三君登壇〕 5: ◯土木部長堂下慶三君) 城井議員の御質問のうち、八月一日の水害についてお答えいたします。  七月三十一日夜から八月一日にかけての降雨は二百五十ミリに達するまれに見る雨量でした。また、その間、一日早朝には短時間に異常な豪雨があり、日本橋川沿いの地盤の低い地域に被害を及ぼす結果となりました。その要因は、保水機能の低下によって豪雨となった時間帯に下水管の排水容量を超える雨水が集中する現象が生じたこと。また、下水管等を通じて排出する日本橋川の水位が満潮時と重なって、異常な高さまで上がったために自然排水機能が停滞した点も御指摘のとおりと考えます。  このような情況に対処するため、今回、水害を踏まえ、関係機関と積極的に協議を重ね、現在、次のような方策で検討に入っております。  まず、長期的には、今回の水害を生じた地域を含め、日本橋川両岸の地盤の低い地域を対象に自然流下地域をポンプ排水地域に変更することであります。このための基礎調査を今年度下水道局において実施することになりました。また、この対策に加え、過渡期対策として既設の西神田排水機所の機能の向上と新たな排水機所の設置及びこれに関連した下水管の補強など、自然排水のバックアップ方策についても、今年度中に調査することになりました。区もこれらの対策に必要な施設用地の確保に向けて調査を進めているところであります。  一方、このような都市型水害に対応するためには地域住民の理解と協力が不可欠であります。そのためには地域の地形や施設のシステムなど必要な情報を的確にお知らせするとともに、今後の対策等を含め、住民と一体となって取り組んでいく所存でありますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。 6: ◯議長佐藤義明君) 次に、一番石渡しんこう君。    〔石渡しんこう君登壇〕 7: ◯一番(石渡しんこう君) 平成元年第三回東京都千代田区議会定例会におきまして自由民主党の議員の一人として質問させていただきます。  まず、秋葉原駅周辺の再開発について、基本計画の策定という段階に当たりお尋ねいたします。  御存じのように、秋葉原駅の周りには神田市場跡、旧国鉄貨物跡地という都心にはまたとない大規模空地が出現したことに伴い、これを有効活用する企画が秋葉原地域整備構想として六十三年十二月にまとめられたところであります。今現在の秋葉原は、世界の秋葉原と呼ばれるほど国際化しており、エレクトロニクス社会の二十一世紀を展望するならば、その未来は洋々たる可能性をはらんでおります。秋葉原は電気屋の町であり、現在三百軒から四百軒の店舗に加え、売場面積が一坪のパーツ店及び支店を入れると千軒近くの店があると言われております。これは恐らく世界に類のない電気関係だけの特異な町であり、それだけに特別の潜在的なパワーを持った地域でもあります。将来、世界の、そして日本の産業のどの分野でもどの面においても必要とされるのがICであり、コンピューターであり、エレクトロニクスであります。エレクトロニクス商戦の最先端にある秋葉原が特に注目されるゆえんであります。今後、世界の各国が先端技術に自国の将来を託せば託すほど秋葉原は脚光を浴びるはずであります。  また、電気屋街という単一業種事情を考慮に入れないとしても、秋葉原は将来の都心部及び首都圏の重要拠点と認識してもよいと思います。現にJRでは山手線、京浜東北線、総武線、中央線、地下鉄では日比谷線、新宿線、将来的には常磐新線もあります。それぞれが連絡しており、ほとんど日本全国へ一回の乗りかえで行動できる利便性を持っております。それに道路網は完備しており、例えば昭和通り、靖国通り、蔵前通り、中央通り、外堀通り、それから首都高速道路など東京の幹線道路のほとんどが通過または付近を通っています。市場と旧国鉄の六ヘクタールに及ぶ空地が一体となって結合するならば、新しい都心として再開発されるに十分な立地条件が満たされると考えます。今の秋葉原の欠点は整備構想の中でも指摘されていますが、潤いに乏しいことであります。人の住める都市というのは居住と労働がバランスよく共存し、施設、例えばショッピングセンター、水と緑憩いの場所などを必要とします。しかし、秋葉原には居住スペースを含め、潤いを与える施設が絶無に近い状況です。また、秋葉原の持つもう一つの欠点は、東西南北に神田川と斡旋道路によって分断され、なかなか思うような発展や広がりを持たないということであります。  基本構想は神田市場、旧国鉄の六ヘクタールの両跡地の出現を機会に東西南北一帯の一大開発を目指し、最先端情報センターを初め複合的ショッピングセンター、居住空間、駐車場や緑と水辺を含めた企画を提示しており、秋葉原及び周辺住民に大きな夢を与えるものとして私も大いに賛同するものであります。この構想は現実性のある都心の再開発であり、電気屋街という特殊な未来を先取りする計画であり、千代田の将来の一端を託するに足るものと考える次第です。  ところで、昨年十二月に公表された秋葉原整備構想の内容及びその考え方に対して電気街の住民のその後の反響はいかがなものでしょうか。秋葉原付近に住む一部の方々から、私の聞き及ぶところでは、この構想の存在も内容も知らない人が圧倒的に多く、また、知っている人でも希望的構想で行政のお手並拝見という態度で総じて冷淡な感じを受けます。無論意欲をお持ちの住民や電気街の方々もおられますし、万世橋街づくり協議会で真剣に討議されているとも聞いております。  しかしながら、総じて言うならば、この構想が地元の熱烈な歓迎と反響を呼び起こしたという印象は薄く、秋葉原の未来を決める構想としては地元の関心度が低調であることが心配される感じを受ける次第であります。  ところで、ここに皮肉なことですが、先般万世橋に葬祭場建設の区案が公表されると、すかさず地元住民や電気街の人々の反対陳情が出され、継続となっている状況であります。住民、電気街の反対に対するパワー、熱気には驚かされるものがありました。理由は総論賛成、各論反対ということで、千代田区には絶対必要でありますが、地元万世橋には建設は反対であるとのことです。しかし、秋葉原再開発という利益を伴う一大事業の巨大さが地元住民の人たちや電気街の人々に無関心で迎えられたことは、あの葬祭場建設反対のパワーをみせられたことを思うと残念です。もちろん地元の人々の視野の狭さも指摘されることと思いますが、同時に、あの構想が無関心で迎えられたことは秋葉原の人々の心をつかむのに何かが欠けていたのではないかと考える次第でございます。  そこで私なりに秋葉原の生い立ちや歴史を振り返ってみる必要があると思います。電気街のエネルギーの源を探ってみますと、歴史的に見て終戦直後多くは露店商として始まっております。当時は神田駅から須田町交差点より淡路町、小川町を経て駿河台下へ約四百軒近くの電気露店商が並びました。商品、部品も軍の放出、進駐軍の横流し、バッタ商品、倒産品などいろいろありました。また、買う人も不良品と知って買い、自分で直すというのが常でした。そして直した商品をまた露店商に買ってもらうという流通もありました。電気屋街の人たちからしかられるかもしれませんが、倒産品や不良品、また、進駐軍の横流しを扱うたくましい商魂を持ったパーツ屋や部品屋のエネルギーが今日の秋葉原をつくり上げたといっても過言ではないと考えます。もっとも大震災当時や戦前からの卸問屋も中央通りにはありましたが、秋葉原繁栄の基礎をつくったのはその巨大なエネルギーでありました。そして、その後三種の神器の時代、IC、オーディオの時代など、さまざまな時代を経過しますが、そのパワーは現在も脈々と続いております。現在の電気街の主な販売戦略は売場拡大で販売員もメーカーの社員を手伝わせ、経費を抑え、売場面積を確保し、消費者に安く売る戦略をとっており、激しい商戦を展開しております。その結果、居住スペースのカットは当然のことながら、つくれば当然多くのお客様が期待できる飲食店や喫茶のスペースも電気屋街にはなく、駐車場すらも満足にないのが現状でございます。これらはすべて売場面積の拡大競争の中に削減されているわけであります。  私は決してこのような秋葉原電気街を非難しているのではありません。世界の秋葉原という名称や言葉につられることなく、承認的現実の上に、そろばんの厳密な計算の上に秋葉原が成り立っているという現実を指摘したかったからであります。御存じのとおり、本区は秋葉原再開発予定地域の中に区有地を以ておりません。JRが旧国鉄貨物跡地を持ち、都が神田市場跡地を持ち、この地の再開発に大きな発言権を有しているのに比べ、本区はその意味での発言権は全くないと言ってもいいと思います。もし本区に発言権があるとすれば、地元区であること、地元自治体としての計画を持っていること、そしてその計画が住民から強い支持を受けていることにあると思います。  今、私は秋葉原電気屋街に流れるたくましい商魂の伝統について申し述べましたが、この地で日々激しい商戦をくり広げている人から見れば、区のつくった再開発構想は少々きれい事過ぎるに受けとめられ、また、感じているのではないでしょうか。構想の中では、高度情報拠点、インテリジェントビル、コンベンション施設、スポーツ・カルチャーセンター、アミューズメント施設、都市アメニティの形成などがうたわれていますが、これは秋葉原の未来に夢を持たせるよりも、逆に理解を妨げ、この構想に冷淡な態度をとらせる原因をつくっているような気がしてならないのです。  その中で、特に理解を得ることが難しいのが居住スペースです。なぜこの地域に人が住まなければならないのか、住居より効率的な使い方があるのではないか、また、住むとしたらどんな人が住むのか、さまざまな疑問が予想されます。また、逆に、構想の中には、今の時点においても地元の熱烈な支持を必ず呼び起こすものもあります。駐車場、駅舎の改修による動線の確保、広場などがそれです。  以上のことを踏まえまして、また、再開発整備構想が再開発基本計画マスタープランに移行しようとしている時期を考慮して、何点かの質問をさせていただきます。  まず第一に、地元の意見聴取についてですが、単に地元の意見を聞いてマスタープランに組み入れるということにとどまらず、地元にマスタープランのための組織を育成し、地元が独自でプランを作成するように仕向けるべきと考えますが、いかがでしょうか。秋葉原地域の人々は十分その力量とパワーを持っていると思います。  第二に、居住スペースの確保に関してですが、本区が定住人口の確保のため、居住空間を創出していくために必要性を関係者に十分説得しなければならないことは当然ですが、そこにとどまらず、その住宅が電気街などとの営業と結びつけて工夫される必要があると思います。例えば、二十四時間営業のための従業員社宅とか、国際化に対応するため企業幹部社員社宅であるとか、また、個々の部屋の広さや家賃なども含み秋葉原の営業の実態と一致する合意点を見つけ出す必要があると考えますが、いかがでしょうか。  第三に、秋葉原再開発の総体の容積にかかわる件ですが、いかに大規模な再開発とはいえ、構想の中で提示されたすべての施設を収容することは不可能と思われます。必要性の高い施設を大胆に大きくとり、秋葉原に設置することの必要性の薄い施設、例えば、スポーツカルチャーセンターなどは他に譲る必要があると考えますが、いかがでしょうか。また、跡地の中に区道の有無はいかがなものでしょうか。その使い道はどんなものがありますか。  終わりに、この再開発が秋葉原地域に限定されることなく、回避性を持たせ、周辺の再開発計画を策定し、これと整合性を確保することで計画のすそ野を広げ、区民の中により大きな支持を得るよう努めるべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、福祉についてお尋ねいたします。  私が昭和六十三年第一回区議会定例会において質問した中で、身体障害者に対する健常者双方の心の壁を取り除く必要性を定例会においてお願いし、また、福祉部長の答弁も、三つの壁のうち一番難しいのが心の壁の問題であるとのお答えをいただきました。今、千代田区では、物質的壁の横断歩道の段差や音による周知、また、公衆便所などいろいろ区の努力によって改善されつつあり、まことに感謝にたえません。何とぞこの前向きの努力を継続していくことこそ何よりも重要なことと思います。  しかし、今、私の心に非常に重きをなしているのが心の壁の問題であります。幾ら物理的な壁や制度上の壁を乗り越えても、人と人、人類と人類の壁を乗り越えなければ、障害者や高齢者という弱者の春は来ないと考える次第です。今、千代田区には障害者と高齢者の人口比率は非常に高くなっている現状です。特に、最近では千代田区は社会的弱者が住みにくくなってきている現状です。健常者でさえ住みにくいこの千代田では社会的弱者が住むためには、健常者の心の支えが必要だと考えます。一般的な考えですと、こんな高い土地に住まなくても、もっと静かで空気もよく、緑の多いところに住む方が弱者のためとおもわれている節が多分にあると思います。しかし、弱者にこそ、生まれた土地が必要だし、友人、知人も欲しいし、ふるさとに住み、生活するという望みを託しているのです。特に、障害者や高齢者ほど新しい土地や知らない場所は危険と不安がいっぱいで、かえって精神的苦痛があると思われます。  今、諸外国では福祉と環境に施策の重点を置いている国が多く、例えば、アメリカ、カナダ、ヨーロッパの先進諸国では地域の人々や、町の人、また、各地のボランティアが非常に温かい心で接し、道を歩く人でも、一面識のない人たちでも、常に障害者や弱者に対し何げなく言葉をかけ、手を差し伸べ、笑顔を絶やさず接しているのです。これは国民性のなせることかもしれませんが、その他に重要な点は、幼少のころからの教育のたまものだと思います。  国際都市を目指す千代田としては、今の現状ではまことに恥ずかしい限りです。区としても区民、特に小学生、中学生に社会的弱者に対しての教育や指導が大切であり、思いやりのある情緒的教育がこのような時代だからこそ必要だと思います。弱者に対する考え方、接し方や話し方などの具体的対応が、現代風に漫画でも用いて詳しくパンフレットや雑誌PR誌などを区でつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねします。  身体障害者や弱者に対する対応の仕方を周知し、心の壁を取り除くために大変効果ある方法と思いますが、いかがでしょうか。ましてや千代田区は昼間人口百万人以上で、特に千代田区は、先ほどの質問の中にもありましたが、秋葉原駅という都内、いや日本でも有数の交通の結接点を控えております。この一番人も乗り物も集中する地域において、残念ながらまちに安心して歩いている、また、豊かでゆとりのある態度で買物や散歩をしている障害者や高齢者が見られないのは秋葉原駅の構造にも問題がありますが、まちの道路障害物や建物や標識、地下鉄の階段にも原因があると思います。  そこで、先般発表されました秋葉原地域整備構想の中へ、もう一歩踏み込んで研究し、構想を完全なものにしていただきたいと思います。千代田区は教育と文化のまち、そして身も心もビューティフルな区のスローガンに恥じない社会的弱者が安心して住める国際都市づくりをお願いして質問を終わらせていただきます。  区長及び関係理事者の明快なるご答弁をお願いいたします。(拍手)    〔区長木村茂君登壇〕 8: ◯区長木村茂君) 石渡議員の御質問にお答え申し上げます。  秋葉原地域の開発につきましては、昨年十二月、区が整備構想を策定したところでございます。これは大規模跡地の利用のあり方についての区の提案とも言うべき緩やかな性格のものでございます。秋葉原駅の東西に位置する二つの跡地は、その規模の大きさ、立地条件等を考えますと、周辺の営業やまちづくりに多大な影響を与えるものでありますので、その利用計画策定に当たっては、御指摘のように周辺地域の整備課題と有効にリンクさせる必要があろうかと考えております。また、何よりも東西一体の総合的開発を確保するためには関係機関が一体となって計画を策定することが重要でございます。  そうした趣旨から、区は本年度開発基本計画を策定することとし、六月には、地元関係者や関係機関も含めた検討会議を設置したところでございます。  御指摘のありました点につきましては、今後、関係機関と連携を図りながら、また、地元関係者の意向を十分にお伺いしながら、計画づくりの中で、より具体的に検討を進めてまいりたいと考えております。なお、詳細につきましては、また、他の事項にわたる点につきましては、関係理事者をもって答弁をいたさせます。    〔福祉部長八田和之君登壇〕 9: ◯福祉部長八田和之君) 石渡議員の御質問のうち、障害のない人達の障害者に対する心の壁の解消等についてお答えいたします。  言うまでもなく障害を持つ人も、持たない人もともに生きる福祉のまちづくりを実現していくためには、いわゆる心の壁の解消を図っていくことが極めて重要でございます。区といたしましても、このような考えに立って、これまで障害者の日、記念事業として、講演会、映画会等を実施、また、区民文化祭に富士見福祉会館や福祉作業所の利用者の手作づくり作品を出展、さらに、富士見福祉会館における盆踊り大会に地域住民を参加させるなど、心の壁の解消するため諸方策を積極的に推進してまいったところでございます。心の壁の解消方策として、御指摘の子供のころからの教育が大切であるという点についてはまことに同感でございます。このため本区の学校教育の場におきしても、これまでも子供の発達段階に即して、心と体を鍛える子をテーマにした人権尊重教育の研究実践や、小中学校の児童、生徒による地域のボランティア活動、地域のお年寄りとの触れ合いの機会など、各種の指導の中で子供のころからの思いやりや、温かい心を育てる教育の推進が行われていると承知をいたしております。  また、御提案のPR誌等の作成につきましては、教育委員会や関係部局とも協議し、研究してまいりたいと存じます。  なお、福祉のまちづくりの実現のためには、これまで申し上げましたソフト面の対策とあわせて物理的な壁の解消を図っていく必要がございます。区ではこうした考えに立って、本年三月障害者や高齢者等が安全で快適に生活できるための福祉環境整備要綱を策定し、現在、同事業を推進すべく精力的に取り組んでいるところでございます。  いずれにいたしましても、障害者や高齢者等が安心して住める福祉のまちづくりの実現を目指し、今後も物心両面の各種の対策を積極的に推進してまいりますので、御了承いただきたいと存じます。    〔都市整備部長望月章司君登壇〕 10: ◯都市整備部長望月章司君) 石渡議員の御質問のうち、秋葉原地域再開発について区長答弁を補足してお答え申し上げます。  まず、地域意向の把握についてでございますが、現在、区が取り組みを進めておりますマスタープラン策定のねらいは、既に策定されている秋葉原地域整備構想の理念をもとにして、この地域全体の整備の骨格を明らかにすることでございます。また、これにあわせまして、どのような機能を導入すべきかを検討し、構想で例示してあるものの中から選択をしていく予定でございます。その際に、千代田区が地元自治体として地域の意向を十分に把握し、これを反映させていくことは非常に重要な問題であり、第一義に意を用いるべきものと認識しております。このため、基本計画策定検討会議のメンバーにつきましても、地域重視の方向で構成を行ったところでございます。また、地元商店街の皆さんとの勉強会に出席し、その意見の収集に努めているところでございます。特に、最近は地元商店街の一部や地元町会で自発的に秋葉原について考えようという気運が高まりつつあります。  したがいまして、今後、地域ミーティングなどの方法も考えながら、地域とともに開発プランをつくるという姿勢で努力していきたいと考えております。  次に、居住スペースの確保についてでございますが、定住人口の確保という本区に課せられた命題を解決していくためには、この開発区域内に少しでも多くの居住スペースを確保していかなければなりません。その際に御指摘のような企業共同社宅や地元従業員住宅も含め検討する必要があると認識しておりますので、今後のプランニングや計画実施の過程で論議していきたいと考えております。  次に、開発区域内への導入機能についてでございますが、この問題は、今後、検討会議や地域意向の把握、また、実現可能性の面から慎重に検討を進めるべきものであると考えております。  したがいまして、現時点で何を取捨選択するかは未定でありますが、限られたスペースの中でこの地域に求められるものを重点的に配置していくことは効率的な土地利用の面からも当然配慮していく必要があると認識しております。  次に、この開発基本計画と周辺との関連性の確保の問題でございますが、さきに策定した基本構想も今回検討中の基本計画も、この地域周辺はもちろんのこと東京都及び首都圏域を視野に入れて作業を進めております。また、街づくり協議会の論議や神田駅周辺整備、中央通りカラー舗装計画などにおいても秋葉原の整備を側面から援助したり、その先駆けとして周辺整備を進めるといった考えに立脚し、検討が進められております。  今後は秋葉原に隣接するお茶の水駅、神田駅とリンクした周辺整備も含め、多くの住民の方々や来街者に支持される計画案として検討してまいりますので、御了承いただきたいと存じます。  最後に、障害者や高齢者に配慮した整備構想を策定すべきであるとの御指摘でございますが、千代田区の街づくり方針におきましても、「人にやさしいまち」の形成が必要であることを明記しており、その後策定いたしました福祉環境整備要綱においても、都市機能や都市施設が福祉的配慮を加えたものとなるようその考え方がまとめられております。  したがいまして、今後、整備構想策定に当たりましては、当然、福祉の心を生かす施設及び機能展開に意を用いてまいる考えでございますので、御了承いただきたいと存じます。 11: ◯一番(石渡しんこう君) 自席からもう一度質問させていただきます。  最後に、私、秋葉原の整備構想の質問の中で、中に区道があるかないかということを聞いたんですが、まだお答えいただいてないんで、それだけお願いします。    〔都市整備部長望月章司君登壇〕 12: ◯都市整備部長望月章司君) 大変答弁がおくれて申しわけありません。  区道がございますので、十分活用考えてまいります。 13: ◯議長佐藤義明君) 次に、二十一番中村かく君。    〔中村かく君登壇〕 14: ◯二十一番(中村かく君) 平成元年第三回定例会に当たり、自由民主党議員団の一員として一般質問をいたします。  私は昭和五十六年第二回定例会において、環境思想の確立を願い、「環境はあなたの心でつくられる」を信条のもとに、環境づくりと道徳教育の関連性を訴え、また、昭和五十八年に、そして六十年第二回定例会にては環境行政の重要なことを訴えてまいりました。千代田区は昭和五十九年三月まで環境部が設けられ、同年四月の組織改正によって建築公害部と区民部生活勤労課に分けられました。組織改正のときも、その論議において環境部の廃止は環境行政の後退ではないかと強く訴えたことを覚えています。  本年の先進国首脳会議では、地球の温暖化、フロンガス、酸性雨、熱帯雨林等の地球環境の問題が議題とされたと報道されました。また、海部首相は米国訪問の際にも、飢餓を含む世界環境問題が話題であったことは御案内のとおりであります。また、本年九月十一日から三日間「地球環境保全東京会議」が開かれました。本年九月六日行われましたオランダの総選挙は環境選挙と言われています。環境選挙と申しますと、原発反対とか賛成の選挙かと受け取りがちですが、オランダの場合は酸性雨、排ガス、産業廃棄物、化学肥料、地球の温暖化が主なる標的で、その対策費捻出の方法をめぐって選挙が行われたということであります。オランダは国土の半分が海抜以下であり、地球の温暖化は国の存亡にもかかわりますので重要なことであり、また、自然を愛する国民性が環境行政に深い関心を示したものと思います。環境を行政レベルで分けますと、地球温暖化、熱帯雨林保護、オゾン層の破壊等はマクロのものであり、国対応と言えますが、また、生活圏における水、空気、緑、ゴミ、安全はミクロのものとされ、地方自治体対応と言えます。しかし、この両者は一体的なものであって、その因果関係は複雑多岐であります。そのためか、環境行政は地味で難しく、終わりなき戦いと言えます。  私は、地方自治体の受け持つミクロのものを取り上げ質問いたしたいと思います。  まず、安全のことから入らせていただきます。  千代田区内を走る道路の延長は国道九千六百五メーター、都道二万六千七百八十六メーター、区道十三万一千四十九メーターとなっています。そのうち区道の占める割合は七三%であり、少ない予算と少ない人員での管理は並々ならぬものがあると思います。土木部の御苦労を感謝いたします。土木部の事務事業には、環境事業と言えるものがたくさんあります。そのうち放置自転車対策、屋外広告物、道路占用許可、道路清掃等は安全で美しいまちづくりが目的であり、生活環境の範疇に入ると言えます。本年の区長会要望書に放置自転車対策費の要望がなされていました。これは周辺区から強い要望によるものと推測いたします。千代田区は他区に比べ放置自転車台数が少ないのか、その対策はまことに貧弱であります。放置台数の多寡によって、その対策基準とすることは過ちであると思います。千代田区のごとく街来者や通勤、通学の多い町は歩道に小さな物が置かれましても危険度は人の通らない町の数十倍にもなります。例えば、十台の自転車が放置された歩道を十人の人が通れば、十人が迷惑と危険を感じます。同じ十台であっても千人の人が通行すれば千人の人が迷惑と危険を感ずるのであります。昼間人口百万と言われるまちです。放置自転車対策には受け入れる場所の問題もありますが、場所がなければやれないと、その対策は放棄できるものではありません。これからは自転車ばかりでなく、オートバイの放置もふえてまいります。オートバイはその排気量により税の徴収が区扱いのものにつきましては警察と区との間に意見の相違があり、軽オートバイの排除には円滑が欠かれていると聞きます。交通法規も、区の道路管理の目的も、安全な交通確保であり、両者が安全ということで一致した理念をもっておりますから、進んで安全を確保する行動があってよいのではないでしょうか。安全は文章ではなく、行動によって守られるものであります。  また、路上陳列と置き看板、屋外広告でありますが、これくらい美観と安全を阻害しているものはありません。土木部は道路修景事業を担当しています。その趣旨は道路の景観と快適性を向上させ、美しく安らぎと潤いのある街路整備の推進であると書いてあります。現況の舗装道路であっても、路上陳列と置き看板と、先ほど申しあげました放置自転車が路上から消えたら道路の安全と美観は七〇%達成されたと言えます。路上陳列などは長年の慣習もあり、対策しにくい点のあることは承知いたしておりますが、二十一世紀に引き継がれるまちであるならば、今から理解と協力を求めていく必要があると思います。道路はすべての人々が使用できる共有の財産であります。道路の持つ連続性やその発生によって国道、都道、区道とその管理は分けてありますが、管理の目的は安全な通行を確保することであります。  次に、屋外広告物でありますが、屋外広告物四メートル以上の物に対しては建築法によって安全に対する規定があるそうですが、四メートル以下に対してその安全基準はないそうです。強風や地震で心配されるのは木造物等に簡単に取りつけられた、その多くが四メートル以下であります。使用料の徴収は安全に関係なく、道路上空への突出面積でありますから、言いかえれば、安全の確認もなく、道路上空使用を許可していることになります。一考を要する問題と思いますが、いかがでしょうか。
     放置自転車、路上陳列、置き看板、屋外広告物は、いずれも通行人にとっては迷惑な危険なものであります。区は各角度からそれに対応されていますが、成果をおさめることはできません。その責任を土木部とすることは解決にも、前進にもなりません。国、郡、区の三者にあるとのとらえ方で対応しなければ根本的な解決にはならないと思います。慣習的な要素の多い点もありますので、問題を大きくとらえながら、きめ細かい進め方が必要かと思います。二十一世紀を展望したまちづくりを標榜する区としては、解決しなければならない問題であると思いますが、そのお考えをお尋ねいたします。  次に、ゴミ問題についてであります。  東京は二十一世紀を目指し、東京改造が進められています。昭和六十一年に発表された東京都再開発方針によると、二十三区内で百五十二カ所の開発促進地域と百六カ所の誘導地域があります。これらの開発地域の目的は、副都心としての機能強化や商業振興と駅前開発、また防災と産業振興を目指した再開発が挙げられております。そのどれもが安全、活気、安らぎを求めたものであります。その促進と成功を願うものでありますが、それらの開発にごみ問題がどれだけ論議され、計画されているかに疑問を持つものであります。  六十年十月の国勢調査による区の昼間人口は百万九千二百九十一人であります。ごみの量は約十四万六千トン、一人当たり年間約百四十五キロとなります。平成二年の人口予測は百三万五千八百四十一人で、五カ年間で二万六千五百五十七人増となります。その上、国際都市、情報都市を目標としています。情報都市は二十四時間都市であり、夜も昼も活動している不眠のまちであります。ごみは社会の活動が活発になれば、それに比例して多くなります。活動人口が増加するばかりでなく、活動時間帯も倍加されるので、二十四時間都市から出るごみの量は過去の一人当たりのごみの量では計算できないものであります。  まちづくりと言われる再開発プランにごみ問題が重視されなかったのは、今まで住民も企業もごみは行政の行う物としてきたことにあると思います。もちろんこれからも行政の行う重要な役目には変わりありませんが、思いを昔に戻して、都市化のすすまなかった時代と申しますか、その時代は自分のごみは自分で始末していました。庭の隅に穴を掘り、残滓を入れ、土に返し、また焼却し、灰とし、肥料にし、土に返しました。都市化や文化生活は個人でできるごみの処理場を失って、集団処理に移行されたのであります。都区制度が確立されてもごみは都と区の分担作業で処理されます。二十三区は収集運搬を、最終処理は都の受け持ちです。動物が口から物をとり、胃腸にて栄養を摂取し、不要物を肛門から排泄します。社会の活動も加工したり、移動し、生産して経済や文化を成長させ、そして利用価値のなくなったものをごみとして排出します。動物の機能とよく似たところがあります。動物は肛門が詰まり、腸に排泄物がたまれば命を落とします。ごみも末端処理機能がその機能を失いますと都市も文化も滅亡させる力があると思わなければなりません。都の埋立地はあと二、三年で満杯と聞きます。東京都のごみ埋立は東京湾であり、その拡張も計画されているでしょう。また、焼却場の建設も計画されるでしょうが、湾の埋立てには限界があり、また、焼却場の建設も内陸では地価が高く、ごみとなると反対の声が高くなり、計画どおり進まないのが実状であります。思い過ごし的な発言でありますが、例えば、二十三区のごみ収集がスムースに行われても、埋立と焼却の処理機能がストップすれば、各区のごみは自区内の保管となるでしょう。冒頭申し上げましたが、各区は再開発により活性化をもくろんでいます。地域の活性化は大切なことでありますが、活性化は一面ごみの排出量がふえることでもある認識が必要であり、その対応に考えが及ぶべきであると思います。都市化された社会で、自分のごみは自分で処理することは不可能でありますが、減量ならば可能なはずです。現に、各区が実施している有価物の回収は、減量政策の範たるものでありますが、しかし、ごみの量はこれをもってしても増加するばかりであります。その国の文化をはかるのに紙の消費量が多ければ文化が高いと言われた時代もありました。しかし、これからは、文化の尺度はごみの減量に取り組む姿勢をもって評価される社会となってほしいものであります。  ごみの減量には数多くの手法があります。有価物回収、再生利用、包装容器の企業責任による再利用、過剰包装や使い捨て商品の自粛等々数多くありますが、自由経済社会にあって行政指導で行うことは困難な面が多く、現在は回収業者とボランティア活動に依存しているのが実情であります。ごみ問題は、企業も家庭もともに考えるときにきたと思います。清掃事務所を中心とした清掃協力会があります。各町会はそれなり会費を納めています。また、役員には町会から選ばれた方々で、この方々は清掃事業に関心のある方々と受けとめています。千代田区にはたくさんの企業本社があり、企業と住民の知恵をおかりしたり企業と住民の約束事も必要ならばできる区であります。千代田区は二十三区の筆頭区であり、清掃事業事務移管が予想されることでもあり、ごみ問題を研究する機関を設けてみることはいかがでしょうか。二十二区に先駆けることは都にも各区にも主導的な発言ができるのではないでしょうか。ごみ問題は都が行うべき仕事の助っ人ではありません。文化的生活を営むものの大切な行為であると申し添えておきたいのであります。区はごみ問題をどのように認識し、これからどのように取り組まれるのかお尋ねいたしておきます。  次に、水と緑についてお伺いいたします。  最近、東京砂漠とか、ヒートアイランド現象という文字が目に移ってまいりました。ヒートアイランド現象は、ビル建築や道路舗装などが都市化され、地表の温度が高くなり、その上、自動車の排ガス、冷房装置などから放出される人工熱や、大気汚染物質による温室効果で熱が空中にたまり、熱く乾ききったことだそうであります。二十三区のエネルギーの消費量は日射エネルギー量とほぼ同じだとされています。電気需要の三分の一はクーラーに使われているそうです。また、コンクリートの蓄熱作用はコンクリートが太陽に一時間当たりますと、一センチの割合で内部に熱が蓄積され、冷えるにはその反対の時間を要するとされています。  都会の日中の温度を下げるには、緑と水しかないと言われています。千代田区は皇居を中心としたまちなので、緑も水も皇居を中心に配置されています。特に、番町地区には個人住宅の庭にたくさんな緑を見ることができます。地域環境の大きな財産であります。この保護対策も重要な課題であります。神田地区には緑が少のうございますが、日本橋川、神田川が流れています。この川の緑化を図るため水辺の緑化推進を実施いたしております。実施されたものに和泉橋北側護岸があります。今、緑のツタがコンクリートと護岸に垂れ下がっています。このツタの材料はビニールであります。いろは緑ですが、模造のツタでありました。区計画が示す緑とは植物の意味であったと私は理解いたしましたので、全くショックでした。区はツタの試作が成功しなかったので、景観を重視して、とりあえず模造ツタとしたものと理解したのであります。緑化は植物であるということをいま一度確認していただきたいのであります。植物は空気を浄化する作用があり、色の黄色いヒマワリは一酸化炭素を酸素にかえる最も強い花とされています。水は大気に湿りを与え、そして砂漠化を防ぎます。東京はここ数年湿度が下がりつつあるそうです。最近、女性の肌が乾くため、お化粧品も乾きを防ぐものが売られていると聞きます。都市再生にはいかに水を入れるかが大きな課題となるでしょう。人間が長く生存するためには自然を学び、自然と共存できる環境をつくることであります。実施計画に空気、水、緑は区民の生命を守り育てるとともに、区民社会活動の糧となるものであると記されています。命を守るとまで評価されている水と緑の扱いがお粗末に見えてなりません。水と緑の施策を強く求めるものであります。  以上、安全、ごみ、水、緑と最も身近な環境行政について質問いたしましたが、環境行政はあらゆる施策の下敷きになるものであり、ややもすると開発の邪魔になるからと軽視する向きもあります。環境を軽視した都市は今そのつけが回ってきています。区が憲章とまで位置づけた街づくり方針に環境行政は大きな位置を占めるものと思います。街づくり方針のかかわり合いなどを含めてお答えいただくことを期待し、私の質問を終わります。(拍手)    〔区長木村茂君登壇〕 15: ◯区長木村茂君) 中村かく議員の環境行政についての御質問のうち、水と緑についてお答えを申し上げます。  近年、国際レベルで地球規模の環境問題が論議され、地球の温暖化、フロンガスによるオゾン層の破壊、森林の砂漠化など、憂慮すべき状況にあることは私もよく承知しておるところであります。  安全で快適な地域環境づくりは改定基本計画及び街づくり方針の基本理念であり、潤いと安らぎのある人の住むまち、住めるまちを創出していくためには、水と緑は極めて重要な要素であることは御指摘のとおりであり、十分認識いたしておるところでございます。  区といたしましては、このことを踏まえ、昨年三月緑化方針を定め、現在、地域緑化のモデルとなり、先導的な役割を果たす公共施設の緑化について全庁的に取り組むとともに、区民や企業の理解と協力を得るため、緑化思想の普及、啓発に努めておるところでございます。  また、水辺の保護、再生につきましても、河川や外堀等を貴重な快適空間として整備保全を図るとともに、公園の中などにも自然と親しめる水辺を取り入れるなど工夫し、鋭意努力しておるところであります。  区政の推進に当たっては、今後とも安全で快適な地域環境づくりに最大限の努力を傾注してまいる所存でございますので、よろしく御了承のほどお願い申し上げます。  他の事項につきましては関係理事者をもって答弁いたさせます。    〔区民部長加藤忠君登壇〕 16: ◯区民部長加藤忠君) 中村かく議員の御質問のうちごみ問題についてお答えをいたします。  都市の再開発や国際化、情報化の進展に伴い昼間人口が増大し、それとともにごみの量も増加することは御指摘のとおりであります。東京都区部におけるごみの排出量は、昭和五十九年度までの数年間は微増あるいはほぼ横ばいで安定していましたが、昭和六十年度以降、年平均六%ベースで増加しています。昭和六十三年度に東京都区部から発生したごみの総量は四百七十八万二千トンで、昭和五十九年度と比較しますと、この四年間で約百万トン、二六%も増加したことになります。  ごみの急増の主な原因は、情報化に伴うOA機器の普及で紙類を中心とするごみが急増したことや、円高の影響で古紙の価格が暴落したため古紙の回収ルートが衰退し、大量の紙がごみとして排出されるようになったことなどが挙げられております。都では、可燃ごみの全量焼却に向けて清掃工場の新設、建てかえ等をすすめておりますが、焼却率は八〇%で、残りは可燃ごみでありながらそのまま埋め立て処分されており、現状のベースでごみがふえ続けますと、平成七年度まで使用を予定している埋立処分場も、その前に満杯になるおそれも出てきたということであります。  このような状況に対して、都は危機感を持ち、この六月からごみ減量キャンペーンを大々的に開始したところであります。このためのポスターやパンフレットを作成し、各種イベントの開催等都民の理解と協力を求めるためのキャンペーンが行われております。これに対しまして区でもできる限りの協力をし、PRなどに努めているところであります。  このように区といたしましても、将来のごみの収集、運搬業務の区移管をも考慮しますと、ごみの減量の問題は今後とも区政の大きな議題であると認識しているところであります。区では、ごみの減量と資源化を目指すと同時に、ごみ問題に対する住民意識を高めるため有価物の集団回収事業として昭和四十九年度以来引き続き実施しております。都では、最近この再利用運動について実施団体に対する報償金制度や区に対する交付金制度の見直しを打ち出しておりますが、再利用事業がごみの減量、資源の有効利用等極めて重要な意義を持っており、区としても引き続きより効果的な方法で実施できるよう都や他区と充分連携を保ちながら検討してまいりたいと存じます。  ごみ減量の問題は住民だけの問題ではなく、企業、事業者の理解と協力が不可欠であります。御指摘の包装容器の再利用や、過剰包装、使い捨て商品の抑制、自粛等につきましては、今後、国や都とも連携しながら、物の生産、流通、消費の各段階にわたって機会あるごとに働きかけてまいりたいと存じます。  今後とも、このごみ問題につきましては各町会ごとに選出された環境美化推進の制度の活用や、年末におけるごみ対策、環境週間事業実施のための連絡会など機会をとらえ、住民一人一人の理解と協力を求めてまいりたいと存じます。  なお、御提案のございましたごみ問題を研究する機関、考える場の設置につきましては、今後の研究課題として受けとめさせていただきたいと存じますので、御了承くださるようお願いいたします。    〔土木部長堂下慶三君登壇〕 17: ◯土木部長堂下慶三君) 中村かく議員の御質問のうち、路上の安全についてお答えいたします。  道路はだれもが自由に利用できる共有の資産であるとともに、住民の快適な生活環境を向上させる上で、重要な都市空間であることは御指摘のとおりでございます。道路の管理上、住民や来街者の安全の妨げとなる障害物の除去や道路環境の整備等を行うことが行政の責務であると考えております。  これらの観点から、放置自転車を初め、路上陳列、置き看板などの諸課題に対処するため、常にパトロールを実施し、歩行者空間や道路環境の整備に向けて指導を重ねているところでございます。  また、自転車駐車場の設置につきましては、当区の土地の実情を踏まえると多くの制約がございますが、今後とも設置に向けて努力するとともに、屋外広告物につきましても、建築基準法や東京都の屋外広告物条例等により、安全性の確保や環境の美化、向上になお一層努めてまいりたいと考えております。  今後、これらの対応をより効果的に進めるため、全庁的な協力体制のもとに関係諸機関との連携や、住民の理解と協力を得て、より安全で快適な道路環境の整備を図ってまいる所存でございますので、よろしく御了承のほどお願いいたします。 18: ◯議長佐藤義明君) 次に、二十五番木村正明君。    〔木村正明君登壇〕 19: ◯二十五番(木村正明君) 一九八九年第三回定例会に当たり、日本共産党区議団の一員として一般質問を行います。  最初に、有価物の集団回収事業問題について質問いたします。  東京都は新聞などを自主的に回収している二十三区内の子供会、町会に、回収量に応じて出している報償金を大幅にアップすることを明らかにしました。これまでの一キログラムの〇・六円を五倍の三円にするというものであります。これは、このままでは資源の再利用運動の低下も招きかねないと資源回収の奨励推進のため値上げに踏み切ったと言われております。  今日、OA化の進行に伴うオフィスからの紙や過剰包装による紙も加わり、紙ごみの量は爆発的にふえております。東京二十三区内で一年間にごみとして処理する紙の量は百六十八万トン、これは樹木に換算しますと実に三千三百六十万本にもなるといわれています。現実は、本来資源として再利用可能な紙が、本当のごみを押しのけて埋立場をいっぱいにしているのであります。森林破壊による砂漠化など環境問題が大きな国際問題となり、その中で日本が木材の乱獲で世界一の環境破壊者と国際的な批判を受けている今日、古紙の再利用問題を国民的な運動として進めていくことは重要な課題であります。こういう中で打ち出された奨励金のアップ自体は当然であり、正しく評価すべきであると考えております。しかしながら、その一方で重大な問題をはらんでいる点を指摘せざるを得ません。それは東京都から区への交付金を打ち切るという問題であります。もともと十五年の歴史を持つ回収事業は住民、業者、行政が一体となり、発展させてきたものであります。都の一方的な交付金打ち切りは、この三位一体性を崩壊させかねないものであり、紙ごみを真剣に減らすつもりなのかと、東京都の姿勢に疑問を抱かざるを得ません。  現在、集団回収事業において業者の方は車両一台当たり二万七千円、月三十四台で区と契約をしております。しかし、紙をすべて回収するためにはどうしても月四十台以上の車の出動が必要であり、その上、臨調行革で三カ月分をボランティアとされているため、事実上一台当たり約一万七千二百円でやらざるを得ない状況に置かれております。ある業者の方は、千代田に生まれ、育った者として、この仕事に誇りを持っている、だから、ほかの仕事を断っても月の三分の一はこの事業に費やしていると言われました。現に、この事業のために車を一台購入された方もいます。断じて五百万以上にも上る交付金カットは許せるものではありません。もともと交付金カットという重大な問題を打ち出すに当たり、区の声も、業者の声も一切聞こうとせず、一方的通告だけでよしとする都の態度は、民主主義の点からいっても許されるものではありません。そして区への交付金カットが強行され、それがそのまま業者の方にしわ寄せがいけば、営業自体が成り立たなくなってしまいます。現在、一台当たり一万七千二百円で区内の渋滞した道を古新聞の量にかかわらず、男性二人できめ細かく丸一日かけて回収しているのであります。業者の方の汗と努力に報いるためにも、都の区への交付金カットどうしてもやめさせなければなりません。  同時に、この問題は業者の営業に重大な影響を及ぼすにとどまらず、区民の利益を損なうことにつながりかねない点も重視しなければなりません。業者の方が当然のこととして採算を考慮に入れれば、古新聞の量が少ないところには回収に行けなくなり、新聞はたまる一方、住民の矛盾は深まるばかりであります。十五年にわたって有価物の集団回収に取り組んでこられた業者の方と区民の利益を擁護するためにも、区として東京都に対し、不当な非民主的な今回のやり方を改めるよう強く要求すべきではないでしょうか。  同時に、それでも交付金カットを強行しようとするならば、最低でもこれまでの区と業者との契約水準を保障するように区として責任をもって対応すべきではないでしょうか。あわせて答弁を求めます。  次に、老人福祉問題について質問いたします。  病院に行くたびにあの人はまだ生きるつもりでいるのかしら、このような目で見られているようでひけ目を感じる。こう言われたのは、毎月二回通院されている八十歳になられたお年寄りの言葉であります。病気になったら病院に行く、こういう当たり前の権利さえお年寄りにひけ目を感じさせるその背景に、高齢化社会危機論があることは明らかであります。老いは自然の摂理です。老いることが悪であるかのごとく宣伝するこの高齢化社会危機論の大キャンペーンのおかげで、一体どれほどのお年寄りが肩身の狭い思いをされておられることでしょうか。  一九六三年老人医療に対する最初の立法として老人福祉法が生まれました。老人は多年にわたり社会の発展に寄与してきた者として敬愛され、かつ健全で安らかな生活を保障されるものとすると、その理念が高らかにうたわれたわけであります。それ以降、各種老人ホームの建設、老人健診などの事業が進められ、さらに、全国的な老人医療費無料化運動の中でついに一九七三年、老人福祉法が改正され、老人医療費の無料化が実現したわけであります。ところが八〇年代に入るや、財政再建、行政改革を旗印とした臨調路線が始まり、次々と福祉が切り捨てられてまいりました。八三年二月から、老人医療費が有料化にされ、八四年十月からは十割給付だった健康保険の本人給付が九割に切り下げられました。さらに、八六年四月から年金額が切り下げられ、八七年一月、老健法改悪で自己負担が大幅に引き上げられたわけであります。八三年の老人保健法では、国民は自助と連帯の精神に基づき、常に健康の保持、増進に努める、老人の医療に要する費用を公平に負担するものとすると規定いたしました。老人福祉法の理念と比べ、何という際立った対照をなしているのでしょうか。実は、ここに社会保障に対する国の責任を投げ捨て、基本原則を個人の自助努力と相互連帯に置きかえ、権利としての社会保障を救貧的なものにつくりかえようとする社会保障をめぐる今日の重要な特徴があるわけであります。  このような福祉切り捨ての根底に、軍備の増強を義務づけている日米軍事同盟があることを指摘しなければなりません。八三年六月、アメリカ国防総省は、軍拡のためどこからかそこへ回す金をもって来なければならない、社会保障分野こそ、まさにその源であると言いました。まさに軍事優先の政治こそ豊かな高齢化社会の建設を妨げている最大の元凶なのであります。青壮年期に戦争を体験した高齢者こそ、だれよりも戦争を憎み、平和を求め、生きることのとうとさを心に刻みつけている人々であります。軍拡のための財源づくりである消費税や一連の社会保障の切り捨ては、平和を願う高齢者に対する二重三重に冷酷な仕打ちではありませんか。眼科と内科と神経科に通院しているあるお年寄りは、月初めに八百円ずつ支払うので、娘に申しわけないとうつむいておられました。自民党のある大臣が言うように老人は枯木ではありません。人生最後まで笑って生きる権利があるはずであります。  昨日の招集あいさつの中で述べられましたように、総合的な区民福祉の向上を図ることが、今、私に課せられた最大の使命と考えておられる区長として、八〇年代の福祉の現状を事実の問題として後退していると認識されておられるかどうか、そうであるなら、その後退を仕方ないと思っておられるのか、それとも何とかカバーしようと努力されるおつもりか、答弁をお願いいたしたいと思います。  さて、国会で継続審議となっている年金法の改悪、さらに老人保健制度の見直しも八〇年代の新たな福祉切り捨ての攻撃として、また、二十一世紀にも及ぶ大改悪として断じて認められないものであります。四年前、中曽根内閣のもとで年金水準が引き下げられ、政府発表の数字によっても老齢年金の平均月額は旧法が適用される大正生まれの人は十四万円であるのに対し、新法適用者は九万九千円に国民年金では四万一千円が二万八千円に切り下げられました。その上、四月からの消費税導入で新たな負担が押しつけられているところへ、またもや年金大改悪であります。  今回の法案の問題点は、第一に、老齢年金の支給開始年齢を六十歳から六十五歳へ引き伸ばそうとするてんであります。六十歳定年制度さえ義務化できない自民党政府のもとで、支給開始年齢六十歳は労働者、国民の老後保障に関する最低限の要求であり、絶対に譲れない国民の基本的権利であると言えます。人生八十年として、実に四分の一の年金を取り上げようとする今度の改悪は、老後の生活設計そのものを破壊し、国民生活にはかりしれない影響を及ぼすことは明らかであります。  第二の間題点は、保険料の大幅値上げなど大収奪が行なわれようとしている点であります。厚生年金の保険料率を男性は二・二%、女性は二・三五%もアップ、国民年金の保険料は九〇年度八千四百円、それ以降毎年四百円ずつ値上げをするというものであります。さらに学生を強制的に国民年金に加入させて、年に十万円余の保険料を負担させようとまでしています。法政大学に通っている私の知り合いの青年は家賃だけでも毎月五万円近くかかり、学業とアルバイトの両立に悩んでいます。そのような学生に月八千四百円の保険料などとても不可能であります。保険料のために学生の本分である学業を犠牲にし、アルバイトの量をふやすか、親に新たな負担を強いるしかありません。結局政府のねらいが百六十万人とも言われる学生の強制加入で年間一千六百億円以上の保険料の増収を図る点にあることは明らかです。ほかにも制度間の財政調整の形で厚生年金などに赤字の鉄道共済年金を救済させ、本来の国の責任を回避しようとするなど、多くの問題を抱えております。  仮に、今度の年金改悪案が強行された場合の計算をしてみますと、驚くべき結果になります。二十歳から毎月欠かさず四十年間保険料を納め、六十五歳から基礎年金を受けた場合、支払った保険料に匹敵する年金額を受けることのできる年齢は、実に九十七歳であります。私たち国民は人様の物を十円でもとればそれはどろぼうであります。今度の政府の改悪案では政府発表のモデルを基礎に計算しても一人一千万円の年金が取り上げられるのです。これを国民からの大収奪と言わず、一体何と表現すればよいのでしょうか。三番町の一人暮らしのお年寄りが、笑いながらこう言われました。せめて葬式の費用ぐらいは他人に迷惑をかけないようにとこつこつ貯金をしているんですが、なかなか大変です。倹約しながら年金だけで生活している方ですが、目が悪くて入院されたり、九万円以上の固定資産税で思うようにお金がたまらないそうです。今、何よりも求められているのは国民年金月三万円以下という給付水準を引き上げ、安定した老後保障を確立することではないでしょうか。そのためには、国民の老後保障は国の責任で行うという点を明確にして、国民の社会連帯という考えで国民に負担を強いることは絶対にやめなければなりません。直ちに年金改悪をやめるよう国に強く働きかけるべきではないでしょうか。答弁を求めます。  次に、老人保険制度の見直しについてであります。  厚生省がねらっている見直しの一つが医療機関にかかった際のお年寄りの自己負担を引き上げることであります。引き上げ内容は全く白紙の状態だと今の段階では言っておりますが、これ以上自己負担が加われば、ますます医療を受けにくくなることは明らかであります。  もう一つの焦点は、老人医療費に占める国の負担を一層後退させ、労働者が加入する保険からの拠出金を大幅にふやそうとしていることであります。労働者へのしわ寄せが強まっていくことは必至です。  見直しのもう一つの重大問題は、お年寄りの医療を差別する診療報酬制度を一層強化しようとしている点であります。現在は、診療にかかった料金の合計が保険から支払われる出来高払い方式がとられています。これに対して、慢性疾患などを対象に、病名やその程度によって保険から一定額しか支払われない定額払い方式の導入が検討されていると言われます。好適な医療制度を持っている国で、このようなお年寄りを差別している国は一つもありません。前定例会で老人入院見舞金制度の確立を要求した際の答弁の中で、区長は我が国は現在でも既に世界有数の長寿国であり、西暦二千年には高齢化比率も一六・三%を超えるものと推計されており、本格的な高齢化社会の到来が目前に迫っていると、盛んに危機感をあおられました。しかし、サミット七カ国の人口比率の将来推計を見ますと、西ドイツ、イギリス、フランスは既に日本の十年先の高齢化社会に到達しております。二十一世紀全般を通じての世界一高齢化国は西ドイツであり、日本はほぼ七カ国平均にすぎません。しかも、西ドイツでは、日本をはるかに上回る高齢化が予測されながらも、週三十五時間労働へ向けた前進を具体化するなど、日本における危機論とは全く正反対の対応をしているわけであります。また、前回の答弁の中で、中長期的展望のもとに無理のない範囲で御負担をお願いすると言われました。しかし、この無理のない範囲の負担という美名のもとに、八三年に老人医療費が有料化され、八七年一月には老健法改悪で自己負担が引き上げられました。そして、また見直しであります。ある御夫婦は十万そこそこの年金を受給しています。御主人が痴呆性で七月に三多摩のある病院に入院されましたが、一カ月の医療費は実に十四万円であります。区長のいう無理のない範囲での負担とはどういう基準に基づき、一体だれが判断するのでしょうか。ぜひお答えいただきたいと思います。  区民の置かれている現状にしっかり目を向け、国の制度改悪に区民の立場で反対すること、同時に、国が社会保障に責任を持とうとしない今日、福祉の後退をカバーする制度、例えば、老人入院見舞金制度などを確立すること、このことが今自治体に強く求められているのではないでしょうか。答弁をお願いいたします。  最後に、特別養護老人ホームについて質問をいたします。  この問題が言うまでもなく区民の最も切実かつ緊急な課題であることは、区全体の共通の認識であります。にもかかわらず、それがなかなか実現できない、その最大の障害は一体何でしようか、その一つに、用地の問題があると思います。本来、土地というものは国民共有の財産であります。生活の場であり、営業の場であります。ところが、東京二十三区全体の土地の値段でアメリカ全土を購入でき、おつりが三十兆円以上もくるという異常な事態が区民の要求実現を阻んでいるわけであります。私は、このような異常な事態をつくり出した今の国の政治に対する強い憤りを禁じ得ません。区長はこの事態をどのようにお考えでしょうか。見解をお伺いいたします。  たとえ寝たきりになったとしても、適切な機能訓練で再び動けるようになること、それがお年寄りに新たな生きがいを生み出すと言われます。このような区民の期待と要求を背景に、用地取得、基本構想の側面でどこまで進行しているかについてお答えいただきたいと思います。  特養ホームの問題を取り上げるたびに、私はみずからのことが何もできなくなったときその人が最も喜ぶ世界に生きられるようにすることこそ行政の責任ではないかとつくづく感じるわけであります。  区長並びに関係理事者の方の答弁をお願いし、私の質問を終わります。    〔区長木村茂君登壇〕 20: ◯区長木村茂君) 木村議員の老人保険制度の見直しについてお答え申し上げます。  人生八十年時代と言われる高齢化社会を迎えておる今日、多年にわたり社会に貢献してこられました高齢者に対する福祉の増進を図り、生き生きとした老後の生活を保障することは政治の重要な課題であると認識をいたしております。しかしながら、それを推進する政策については、国あるいは自治体の置かれている社会経済情勢の中で、国民大多数の合意のもとに、高齢化社会に即した新しい仕組み、役割分担を構築し、国民に信頼される制度とする必要がございます。  高齢化の進展する中で増加することが避けられない老人医療費につきましても、こうした考えに基づき、国民全体が公平に負担を分かち合うことで老人医療費の一部負担金制度が実施されております。さきの六月議会で無理のない範囲の公平な負担ということで御答弁申し上げましたが、私は通院一カ月八百円、あるいは入院一日四百円が妥当かどうかという点については、国会の場で論議され、この制度が既に六年余にわたって制度的に定着いたしておること、さらに、減免制度も設けられておるなど可能な限り高齢者に対する影響を少なくするよう配慮していることからも、国民の皆様に御理解を得ておるものと考えております。  また、御提言の老人入院見舞金制度につきましては、法の趣旨、理念から、実質的に法の一部負担金に肩がわりするような制度としては極めて困難でございます。  さらに、国に対する共通の要望につきましては、地方自治六団体あるいは区長会を通じ、住民福祉を擁護する立場から、今後とも努力をしてまいりたいと存じますので、よろしく御理解のほどお願い申し上げます。  詳細及び他の事項につきましては、関係理事者より答弁いたさせます。    〔区民部長加藤忠君登壇〕 21: ◯区民部長加藤忠君) 木村議員の御質問のうち、有価物集団回収事業についてお答えいたします。  本区の有価物集団回収事業は、都の支援を受け、ごみの減量と資源の再利用を図ると同時に、ごみ問題に対する住民意識を高めるため、昭和四十九年七月以来実施しておりまして、実施団体や回収業者の協力を得て、年間回収量四百五十トンから五百トン程度の実績を上げております。このように再利用運動はごみの減量や資源の有効利用等の上からも極めて重要な意義を持っておりますが、昨今のごみの排出量の急増に加えて近年、再生資源価格の低落により、再利用運動の停滞が懸念されることから、都においては実施団体の活動意欲をより高め、運動の一層の拡大を図るため、実施団体に対する報償金を大幅にアップする一方、従来、区へ交付していた再利用運動支援のための交付金を来年度から打ち切るとの見直し策が本年八月に打ち出されました。  今回の都の見直し策のうち、報償金の引き上げは実施団体にとってかねてからの要望のあるところであり、その実現は大きなメリットでありまして、実施意欲を高めるものと受けとめておりますが、区に対する交付金のカットについては、この交付金を主要な財源として、回収車の雇い上げをしている区といたしましては、事業に対する影響は大きく、この事業実施の根幹に触れるものと受けとめております。この事業実施における都心区の実状については、かねてから近年における居住者の大幅減少による回収量の低下や、月一回回収するまでの保管場所の問題、さらには、交通混雑の中での回収時の集積場所の確保の困難性等、都心区ならではの特殊性を都に対し説明し、交付金が事業遂行上、不可欠なものである旨を強調し、その存続方を要請してまいったところでありますが、今回の見直しの通知に接し、まことに残念に思っております。  したがいまして、都交付金のカットにつきましては、本事業の重要性に鑑み、現在都に復活方を強く要請しているところでありますが、今後も関係区と一体となり、関係協力団体ともども本事業が引き続き継続実施できるよう都に対して働きかけてまいる所存であります。  また、交付金のカットが実施された場合の区としての対応につきましては、本事業が行政、実施団体、回収業者の三者の協力関係のもとに成り立ち、長年行われてきた経緯や、町会活動等地域振興に果たす役割にも十分配慮し、関係者の意見、要望も聞きながら、引き続き実施できるよう、その方策、手法を検討してまいりたいと存じますので、御了承くださるようお願いいたします。    〔福祉部長八田和之君登壇〕 22: ◯福祉部長八田和之君) 木村議員の御質問のうち、年金制度の改正及び特別養護老人ホーム等の基本構想策定についてお答え申し上げます。  公的年金制度は、長期にわたる拠出と給付を内容とするものであり、国民一人一人の老後の生活設計に大きな影響を与えるものですから、長期的に安定し、国民が信頼できるような制度であることが重要でございます。  今回の改正は高齢化の一層の進展に伴い、年金を取り巻く社会経済情勢は従前にも増して大きく変化していく中で、国民の社会連帯の考え方を基盤としつつ、現役勤労世帯の負担が過重とならないよう適性な給付水準を維持するとともに、適正な負担をしながら制度自体を公平かつ安定的でゆるがないものにしていく観点から、所要の制度改正がされるものと聞き及んでおります。  厚生年金の支給開始年齢の引き上げと、保険料の引き上げにつきましては、給付と負担のバランスを考慮して引き上げたものと聞いております。今回の改正案では、この支給開始年齢を平成十年度から一歳引き上げて六十一歳とし、その後段階的に六十五歳に引き上げるスケジュールが明示されております。また、その実施時期については別の法律で定めることとされています。区といたしましても、この支給開始年齢の引き上げにつきましては弾力的措置とともに、政府が六十歳代前半層の雇用の環境整備に積極的に取り組むことにより、国民の不安を払拭することが必要であり、また、強く期待をしているところであります。  学生の強制加入につきましては、無年金者層の発生を防ぐこととなり、これにより真に国民皆年金が実現することと存じます。しかしながら、一般の自営業者と比べ、学生の生活実態には多くの特殊事情があるため、その取り扱いについては御指摘のとおり幾つかの問題点がございます。このため、区といたしましては全国都市国民年金協議会を通して、学生の適用に関しては十分な配慮をされるよう国に対して要望しておりますし、国においても、所得のない学生については申請免除制度を現在検討していると聞いてございます。  次に、年金の給付水準につきましては、我が国では保険料を納付して年金を受ける、いわゆる社会保険方式が基本となってございます。制度の成熟段階であると同時に繰り上げ支給を選ぶ実情から、低い年金額を受けている人もおられますが、前回改正で導入されました基礎年金は各制度に共通の給付として、いわば最大公約数の給付を行うものであり、すべての国民に共通した老後生活の基礎的な部分を保障するものとして、年金審議会等を通じて広く各界の意見を聞いて妥当な金額として定められたものと認識いたしております。また、保険料の支払総額と支給総額の比較の御指摘がございましたが、年金額は国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため速やかに改定の措置が講じられるよう義務づけられていると同時に、前年の物価変動に応じて年金額を改定する物価スライド制や二十歳前の傷病に基づく障害基礎年金の支給制度等がございますので、金融機関等に預金した場合との単純な計算比較は非常に困難でございますので、御了承いただきたいと思います。  その他いろいろと問題点を御指摘いただきましたが、いずれにしても法案自体がまだ具体的審議に入ってございません。したがいまして、この年金制度が長期的に安定し、国民が信頼できる制度となるよう国会の場において十分な論議を尽くし、ゆるぎない制度となるよう期待しているところでございます。    〔都市整備部参事黒澤功君登壇〕 23: ◯都市整備部参事黒澤功君) 木村議員の御質問のうち、特別養護老人ホームの用地問題についてお答え申し上げます。  特別養護老人ホームの用地確保につきましては、国鉄清算事業団の用地を早期に取得すべく取り組んでいるところでございます。取得に当たっては、東京都の全面的な協力が不可欠でありますので、東京都と協議を重ねているところでございます。何とぞ御了承くださるようよろしくお願い申し上げます。  なお、地価問題でございますが、都心部を端緒とした急激な地価高騰は、区民生活や公共施設の建設等区の施策を推進する上で大きな障害となっております。しかし、最近は、土地取引規制の強化や、国公有地の一般競争入札処分の凍結等により比較的安定した状態にあります。  区といたしましては、区長会を通して国公有地も土地取引規制の対象とするよう国に要望するなど地価抑制に努力してきているところでございますので、あわせてよろしくご了承賜りたいと存じます。    〔福祉部長八田和之君登壇〕 24: ◯福祉部長八田和之君) 特別養護老人ホームのことについて答弁漏れがございましたので、補足させていただきます。  特別養護老人ホーム等の基本構想策定の進捗状況でございますが、年度内に構想を策定すべく現在鋭意検討中でございまして、特に入所施設としての特別養護老人ホームのほかに、地域福祉推進の拠点的施設として併設を予定してございます在宅サービスセンターでございますが、この中に、今特に緊急に求められてございます在宅の方に対する食事サービスの問題、あるいはショートステイの問題などの事業内容についても、この在宅サービスセンターの業務となるよう現在、含めて検討中でございますので、よろしくご了解いただきたいと思います。 25: ◯二十五番(木村正明君) 自席より再質問させていただきます。  まず、有価物集団回収事業についてなんですが、この話、区への交付金カットという話を聞いたとき、非常に重要だと、二つの点について感じたんです。一つは、業者の方の営業が成り立たなくなると同時に、かなり業者の方は、この仕事に誇りを持ってやられているんですね。例えば、新聞の回収に行って、戻って来て、そしてまた、回収に行った後新聞をいつものところに出した方がいて残っている。そういう苦情が来たら、自分が今やっている仕事をさておいても、また取りに行くという、そこまでとても誠実にやられておられるわけですね。ですから、こういった業者の方の努力を水の泡にしてしまうようなこと許されるのか、それが一つありました。  もう一つは、これは同時に、区民の利益にもかかわってくるという点で非常に重要だと思ったわけです。今、理事者の方からも前向きの答弁いただきまして、ぜひ何としても今の水準を後退させないということでお願いしたいと思います。  それから、老人福祉の問題なんですが、今の老人保健法、外来八百円と、入院一日四百円というのが定着していると言われました。私、何軒かお年寄りを抱えるお宅を訪問して話を伺いました。最初入院されたとき、一日四百円は非常に安い、助かったと最初言われるんです。私もよかったですねと話を聞いたんですけれども、ずっと話を聞いていくうちに、だんだん固定資産税がきついとか、葬式の費用にためようと思ったんだがなかなかたまらないとか、年金が十万で医療費が十四万だという話が聞こえて、だんだん本音を話してくるわけですね。ですから、定着していると言われましたが、高齢化社会危機論というキャンペーンで、本音が言えない状況にされているんじゃないかというふうに感じたわけです。ですから、定着しているというよりも、無理にそういったキャンペーンで定着させている、これが実情じゃないかと非常に痛感したんですね。  こういったいろんなお年寄りの話を聞いてせめて病気になって医者に行く、そのときぐらい安心して医者にかかれる、肩身の狭い思いをさせないで、堂々と医者にかかれる、こういう状況をつくるのが、本来は国の責任だと思うんです。しかし、その国が、なかなか国の責任ということじゃなくて、自助努力とか、連帯の精神とかいって徹底して責任を持とうとしない今日、やはり最低限の自治体としてお年寄りに安心して医者にかかれる、安心して入院できるという状況をつくるのがどうしても必要じゃないかと思うんです。それで、基本姿勢を伺うということで老人保健法、年金改悪について聞きましたし、そして自治体独自の役割として見舞金制度などを求めているわけです。ですから、まず最初に、高齢化社会危機論というのがどれだけのお年寄りを傷つけているのか、この点の認識をどうしてもしっかりする必要があると思うのです。その辺をふまえてもう一度お願いしたいということです。  それから、年金改悪を取り巻く社会経済情勢と言われましたが、社会経済情勢は大丈夫なんです。高齢化社会というのは、これは事実ですから、これは私も認めます。しかし、危機論というのはでたらめなんですね。既に西ドイツ、イギリスなんかでは、日本よりも先に高齢化社会に到達していますし、これから五十年、百年を展望しても、OECDの資料でさえ、日本はサミット参加の七カ国の平均なんです。しかも、そういった国より日本は生産力が高いわけですから、全く危機ということはないんですね。ですから、その辺の客観的な事実と、お年寄りが置かれている現実、これにしっかり目を向けていただいて、国の改悪に対してきっぱりと反対ということで働きかけると同時に、区民の置かれている現実に目を向けて、その制度改悪による福祉の後退分を何らかの形でカバーする、そういう区民の側の立場に立った、そういった決意をぜひお聞かせ願いたいと思います。    〔区長木村茂君登壇〕 26: ◯区長木村茂君) 木村議員の再質問にお答え申し上げます。  現在、国民の医療費全体のうちに占める老人の医療費というのは大変なパーセンテージになっておるわけです。それを決して抑制しようというわけじゃないんですけれども、六年余前に、老人医療費の一部負担をお願いする、適正かどうかはそれぞれ人によって受けとめ方は違うと思いますが、一応、初診料は、その月の最初にかかるときに八百円、内科に行って、また眼科に行けば八百円かかりますが、ともかく病院に行って初診料は八百円ということですみます。入院すれば一日四百円、これは卑近な例ですけれども、御自宅に住まっておっても毎日三度の食事はするわけですから、病院に入院して、食事代が四百円といってはなんですけれども、一日四百円の実費をいただく、これは適正な額ではないか、こういうふうに思います。受けとめ方はそれぞれ違うと思います。  いま一つ、年金問題ですが、先ほど福祉部長が答弁いたしましたとおり、西暦ですと二〇〇〇年から経過期間が十年、二〇一〇年に六十五歳以上、六十五歳から給付という、そういう法案でございますが、これから国会で審議されるところですのでその審議の経過等よく見守ってまいりたい、こう思っております。
    27: ◯議長佐藤義明君) 議事の都合により暫時休憩いたします。    午後三時十九分休憩    午後三時五十六開議 28: ◯議長佐藤義明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  二十五番木村正明君の再質問に対する理事者の答弁を続けます。    〔区民部長加藤忠君登壇〕 29: ◯区民部長加藤忠君) ごみ処理の問題はこの有価物集団回収事業をも含めまして、今後とも地域環境整備の観点からも、区民生活に密着した区政の重要課題の一つであると認識いたしております。  したがいまして、この件につきましては、都に対して強く要請すべきことは要請し、また、関係区や実施団体、業者団体とも今後十分対応策を協議し、対処してまいりますので、御了承を賜りますようお願いいたします。 30: ◯議長佐藤義明君) 次に、三番大宮正義君。    〔大宮正義君登壇〕 31: ◯三番(大宮正義君) 平成元年第三回定例会に当たり、私は自由民主党議員団の一員として一般質問をさせていただきます。  前日の代表質問、本日の城井議員の質問に関連した質問でございます。  日本経済の世界的な広がりとともに国際化、情報化が進展し、東京は我が国の中心としてだけでなく、世界の金融や情報の中枢的役割を担う都市へと発展してきました。このことは経済の構造の変化のもとで企業本社の東京集中、外資系企業の東京進出等にみられるオフィス需要の増大などにより、業務系開発も活発化し、土地利用の転換も大幅に進んでおります。こうした状況は都心区において地価高騰を中心とした土地問題を初め、住み続けることを困難にさせ、コミュニティの崩壊を招き、特に中堅所得者層の住宅確保を極めて難しくするなど、千代田区においては、都市としての性格や存立にもかかわる問題を発生させております。本区は、この状況に照らし街づくり方針を策定し、四つの都市像の実現をうたい、具現化に向けて、住民、企業、行政の三位一体によりまちづくり推進を掲げました。そして生活都心の実現を第一に掲げております。これは歴史的に築かれてきた千代田区のそれぞれの地域特性に見合うように現在まで良好な住宅地として、あるいは住、商混在地として形成され、発展を続けてきた地域については今後も居住と職域が調和のとれたまちづくりを進めていくという基本を明らかにしたものであります。また、そうすることによって、千代田区を各種機能が共存する魅力的な活力ある都心としていくことができるものであります。千代田区を居住の場として豊かな都市をつくっていくためには、住宅を初めとする居住環境の整備に最善を尽くさなければならないと考えております。住宅は生活の基盤であり、都市を形づくる基本的要素であります。区民の住宅を守り、供給ないしは誘導を図り、その水準の向上を図ることは千代田区のまちづくりの根幹であると考えます。  しかし、今日の住宅問題は深刻な局面にあります。この問題を東京圏域に広げて概観してみますと、さきに社団法人都市開発協会がまとめたマンションの価格調査によりますと、七十五平方メートルのマンション平均価格は五千五百万で、サラリーマン平均年収六百三十七万円の八・六倍もの高水準で、無理なく買えるのは年収の四ないし五倍という目安から見ると、全く購入できない状態にあると言えます。これを地域別に見ていくと年収に対する倍率は通勤一時間とされる東京駅から十ないし二十キロ圏では十・七倍、四十ないし五十キロですら六・五倍となっております。これは戸建てはもちろんマンションすら通勤圏内で購入できない状況を意味しております。  これらのことは一例として掲げましたが、住宅問題には土地問題にあるのですが若干、この問題をまとめてみたいと思います。  第一に、住宅費を大幅に上昇させ、低所得者層のみならず中堅所得者層の住宅問題を深刻なものにしているということであります。さきにも若干述べましたが、昭和六十三年における都内の一億円未満の住宅の平均価格は五千百三十七万と、都内勤労者の平均年収の八・二倍にもなっており、勤労者が都内に住宅を取得することが極めて難しくなっております。  第二に、狭少な住宅を増加させているということであります。望ましい規模の住宅では高価格のため、四十平方メートル前後の民間借家が大幅に増加しているということであります。このことは住宅の質や居住環境の改善と逆行し、良質な住宅ストック形成の方向に反しております。  第三に、公共住宅の供給を困難にしているということであります。都のデータによりますと、都営住宅用地の取得面積も昭和六十一年度、昭和六十二年と毎年四〇%の割合で減少し、六十年度から六十二年度の三年間で取得した用地、約十八ヘクタールも八十六%は国公有地であったそうであります。また、公社公団も六十年度から六十二年度までの三年間で取得した土地は三十四ヘクタールでありますが、七〇%が国公有地であるそうであります。これらのことは都内で用地を取得することが困難な状況を示しているということであります。首都圏、都内において住宅問題の事例の一端を示してまいりましたが、千代田区においては業務地化の進行により定住人口の減少を加速させ、職と住のバランスが失われつつあり、従来からの問題が拡大しております。特に、本区においては、中堅所得者層の住宅難、世帯分離等の対策に焦眉の課題と言えます。  そこで、改めて本区において固有の住宅政策を持つべきであると提案するものであります。  我が国の公共住宅政策は、低所得層のための公営住宅法、中堅勤労者以上の階層を対象とした持家政策としての住宅金融公庫法、中堅勤労者のための日本住宅公団法によって進められてきており、低、中所得者層の住宅確保に果たした役割は大きいものがあります。しかし、今日では、これらが有機的に機能し得ない状況にあります。  そこで民間部門をも含めた住宅政策を持つべきものであると考えるのです。もとより住宅供給は公共部門と民間部門の適切な役割分担のもとに進められるべきものと思います。しかし、民間市場を通じて適正な負担で良質な住宅確保することが難しい現状では、区が積極的に役割を果たしていかなければならないと考えられます。区が民間エネルギーを適切に誘導し、個人を含む民間部門の住宅供給と、その保全管理が適切になされるような施策とあわせて区みずからの住宅供給計画など住宅政策を持つべきものだと考えられます。もちろん住宅政策は国、都、他の公的機関、また民間部門と連携、協調が必要ですが、区長の見解をお示しいただきたいと思います。  次に、都民住宅についてお尋ねいたします。限られた都市空間や土地問題の現状など、東京の地域的な特性から考えると、民間住宅、公共住宅を問わず良質な賃貸住宅の供給を重視した住宅政策を展開することが重要であります。これらの賃貸住宅は、単身者向け、世帯向け、あるいは高齢者向けなど、多様で魅力のある都市型住宅として供給される必要があります。得に、低、中所得者層が負担可能な家賃の住宅として提供されることが重要であり、それを誘導していくための政策が推進される必要があります。  この点に関して、東京都住宅政策懇談会は六十三年十月の中間報告で新しい形の公的住宅の供給として都民住宅の提案をしております。この提案は、中堅所得者層を対象にした住宅の確保が重要な課題となっているが、公共住宅の直接供給に加え、民間の能力を活用しながら、中堅所得者層が適正な負担で入居できるような住宅の供給を誘導するという観点からであります。この都民住宅の供給方式は、一、民間オフィスビル建設の際、容積率をサービスして業者に住宅を上乗せしてもらい、都などが借り上げる。二、都有地を活用して、原則として都住宅供給公社が建設管理する。三、都有地の土地信託で民間に建設してもらうなどであります。この都民住宅は、従前の公営住宅法等によらない中堅所得者層向けの新しい形の公的住宅と言えますが、財政上、都市計画上、土地問題等検討すべき事柄も多々あると思います。  そこで、関係理事者にその評価をお尋ねしたいと存じます。  今、千代田区は魅力ある都心づくりに努めておりますが、魅力ある都心とは、歴史と伝統の重みの中で、諸機能が複合的に集積し、さらに、多様な人、物、事に触れ合う機会に恵まれているということだと思います。そして、都市は人々の交流のために発生したいものであるから、居住が根底にあると言わなければならないでしょう。都心居住に関して、国を初め都においても真剣に検討されており、千代田区の努力も相まって法制度面での準備もされていると新聞紙上をにぎわしております。  世界都市東京は都市整備のモデルでなければなりません。そのためにも意図的に生活都心の形成に努める必要があります。この意味で、千代田区の総合的な住宅政策の確立と住宅政策の根幹とすべき中堅所得者層向けの住宅供給についての見解をお尋ねして、私の質問を終わらさせていただきます。(拍手)    〔区長木村茂君登壇〕 32: ◯区長木村茂君) 大宮議員の御質問にお答えいたします。  住宅政策と都民住宅についてでございますが、御指摘のとおり、近年の大都市、都心部を中心とした地価の急激な上昇が住宅の高価格をもたらし、中堅所得層におきましては所得と住宅価格との間に大きな乖離を生じており、もはや都心部に住宅を取得するということは言うに及ばず、賃貸住宅に住むことも極めて困難な状況にございます。申すまでもなく、千代田区においては地価の急騰と業務地化の進行する中で、人口の減少が続いており、これが地域社会や区民の方々の生活環境にさまざまな影響を及ぼしております。良質な住宅と快適で安全な生活環境を確保することにより、多様な人々が住み、活動する地域社会を構築していくことが、まさに本区の街づくり方針に示す生活都心を実現することにつながると考えております。そのためには、都心の特性を踏まえた都市計画や建築行政からの新たな手法が必要であり、現在、国におきまして検討を進めている大都市、都心部を対象とした法制度の導入は、極めて大きな意義を有するものと期待をいたしておるところでございます。特に、急がれる中堅所得層を対象とした住宅の供給は、この検討内容の重要な柱となっており、また、昨年十月の東京都住宅政策懇談会の中間報告にある都民住宅につきましても、その必要性を協調いたしております。  本区といたしましても、これらの新しい動きにも十分注意し、都心実態を踏まえた法制度の有機的な運用とともに、さらに、きめ細かな対応策を区独自の制度として探求し、実効性ある施策をこれからの住宅政策の中で位置づけてまいりたい、こう思っております。  また、再開発事業など市街地の整備、更新を推進していく実践的な取り組みにおいて、地域住民の方々や民間企業とともに住宅の供給を促進していくことも重要でございます。国等の関係機関はもちろんのこと、民間部門との連携と協調が本区のまちづくりの推進にとって、これからの住宅政策の展開の基本となるものであり、その重要性につきましては、お説のとおりでございます。  今後とも、御質問の趣旨を踏まえ、都心にふさわしい多様な住宅の供給を図り、真に豊かな地域社会の構築に全力を傾注してまいる所存でございます。  なお、詳細につきましては、関係理事者をもって答弁をいたさせます。    〔都市整備部長望月章司君登壇〕 33: ◯都市整備部長望月章司君) 大宮議員の御質問のうち、私どもに関する部分についてお答え申し上げます。  まず、住宅政策についてでございますが、本区を取り巻く住宅事情は、土地問題を初めまことに厳しい状況下にあります。良質な住宅を供給し、安全かつ快適な住みよい住環境を確保していくことが区政に課せられた最重要課題と認識しております。夜間人口流出に歯どめをかけ、さらには新たな居住層を受け入れていくことにより、活力ある地域社会を築き上げ、街づくり方針に示す都市像を実現していかなければなりません。  この観点から、国等の関連機関と連携し、都心部における新たな住宅供給策の検討に取り組んでまいったところでございます。今日の検討の結果の一端として国において都心部の住宅確保に関し、新たなる法制度の創設に向け、取り組んでいるところでございます。  区におきましては、これらの動向を踏まえ、総合的な住宅政策を確立し、中長期的視点に立って計画性と実効性のある施策を協力に推進してまいります。その際、特に中堅所得層を対象にとらえた住宅供器策を中心に据えて十分検討してまいりたいと存じます。  次に、都民住宅についてでございますが、昨年十月、東京都住宅政策懇談会の中間報告におきまして、早急に取り組むべき対策として提言されたものでございます。その内容は、中堅所得層を対象とした住宅の確保が重要な課題になるが、公共住宅の直接供給に加え、民間の能力を活用しながら中堅所得層が適性な負担で入居できるような住宅の供給を誘導する必要があるとされております。この都民住宅の提言の趣旨につきましては、これからの住宅政策の方向として意義あるものと考えます。  しかしながら、御指摘のとおり、財政上、都市計画上、また、さらには供給方式等につきまして検討すべき多くの課題があるものと考えております。中堅所得層に対する住宅供給につきましては、都民住宅も含め、広く住宅施策にかかわる今日的課題であり、これからの住宅施策においても、この都民住宅の趣旨を踏まえ、検討していく必要があると考えております。  今後とも、国等関係機関との連携をさらに強めるとともに、住民、企業、行政がそれぞれの役割のもとに三位一体によるまちづくりを進めていく中で、総合的な住宅施策の推進に努めてまいりますので、よろしく御了承願います。 34: ◯議長佐藤義明君) この際、会議時間を延長いたします。  次に、三十五番野口つた子君。    〔野口つた子君登壇〕 35: ◯三十五番(野口つた子君) 一九八九年第三回定例会に当たり、一般質問を行います。  法務省は、借地、借家法の見直し作業を続けてきましたが、ことし三月、借地・借家法改正要綱試案を発表しました。そして、これに対する関係団体から意見を求めた上で、本年秋から最終的な法改正要綱の作成作業に入り、一九九〇年、来年末の通常国会に改正法案を上程したいとしております。  私は、昨年の第二回定例会でも借地・借家法改正問題を取り上げ、法改正のねらいは民間活力の名で大企業本位の都市再開発を促進するために見直しが行われていると指摘いたしました。借地・借家法の見直しについて大企業本位の都市再開発を促進するための法改正が進められたならば、借地、借家人を法律で追い出すだけでなく、町破壊も一段と進められてしまうことは明らかであります。千代田区も住民も住み続けられるまちづくりのために頑張っているのですが、国が法律を変えることによって区民追い出しに拍車をかけることになったら、これは重大問題であると言わなければなりません。  今、千代田のまちの中では、いろいろな問題が起こり、まちも様変わりしてきております。先日、一人暮らしの婦人が話を聞いてほしいと訪ねてまいりました。その方は、現在借地して千代田区内に長年住んでおります。今、住んでいる家は木造であり、古くなってしまった。周りの家は建てかえられ、高いビルになっている。不動産業者は売ってくれとしょっちゅう来ているが、売ってしまえば引っ越さなければならないし、知らないところへ行って住むのは嫌だし、ここにずっと住んでいたいのだけれど、どうしたら一番よいだろうかということでした。また、他区へ転出してしまったけれど、町会の人たちとつき合いを続けたいので、町会員として残り、町の行事には参加している人、今までのつき合いを続けていきたいからと、毎日のように千代田区へ出かけて来る人などさまざまです。このような中で、町会の構成員も変わりつつあります。長年住んでいた人が町会から去っていく中で事業所の会員がふえ、その中には、底地買いや土地の買収をしている不動産業者が町会員として町会の行事に参加するという状況も出てきております。区民は住み続けたいという気持ちは強いのですが、相続問題が出てくれば高い税金をどうするかで悩み、結局は、家や土地を手離すしかないというのも現状であります。数年前までは相続税の対象にならなかったような宅地が、評価額が上がったために、今では相当額を支払わねばならないほど、土地、家屋に対する税の負担は重くなってきております。一億円といったら大変な金額であり、とても稼げる金額ではありませんが、事土地の値段のことになりますと、一億円とか、数億円という言葉が平気で話になるなど金銭感覚まで狂ってしまっているのが地上げ問題、立退問題であります。  このような現状の中で、借地・借家法改正要綱試案が出されました。まず、正当事由についての問題です。現行の借地・借家法は契約期日がきても、地主、家主がみずから使用するなどの場合以外は契約更新を拒否できないことになっており、地主、家主が自由に借地、借家人を追い出すことができないよう正当事由については厳しく制限しております。これは土地の貸借が物品の貸借と違い、借り主にとっては生活と営業を続ける上での根本にかかわる重要な問題であることから、法制度上の権利として確立されてきたものだからです。それが借地・借家法改正要綱試案では、地主、家主が契約更新を拒否したり、解約することができるように正当事由を改め、契約更新拒否を自由にできるようにしようとしております。これは地主、家主が実際に自分で使う必要がない場合でも、つまり現在の法律でいう正当事由に当たらなくても、借地、借家人を追い出し、貸マンションや貨ビルを建てることもできるようにするというものです。借地、借家人が契約期間が満了になったとき地主、家主から再契約しないと言われ、更新できないとしたら、また、それを法律で認めるとしたら、借り手の法は引き続いて住むことも、営業を続けることもできなくなってしまいます。現在の法律で厳しく制限されている正当事由を緩めてしまったら、それは借地、借家人を追い出しやすくすることにほかなりません。  さらに、改正要綱試案では、借主が立退料を払うのと引きかえに明け渡すということを法律で明文化しようとしています。これでは金で借地、借家人を追い出しやすくすることでもあります。しかも、立退料は双方が合意の上で決めた金額ではなく、貸主側が一方的に決めた額で立退きを迫られることです。  さらに、重大なことは、店舗に対する扱いです。借家で店舗として借りている場合には、正当事由の制限をなくし、家主が契約の更新を拒否したり、解約の請求をするのに何の理由も要らないようにするというのです。ただし、この場合でも、借家人が請求すれば家主は明け渡し補償金を支払わなければなりません。商売をしている人は店舗の場所を次々と移し変えるわけにはいきません。借家人は、家主に契約の更新を認めてもらわなければ立退かなければなりませんから、何としても更新を認めてもらうためには、家主の言うとおりの条件をのむしかありません。ということになれば、家賃をどんどん引き上げられても黙って言うとおりにするしかないということになるのではないでしょうか。現在でも不動産業者が底地と家屋を買収し、新たな家主として借家人に請求してきた家賃は、前の家主との契約の六倍以上の金額であり、実際に月百万円が少し欠ける金額を要求してきているところもあります。その理由は、その場所が地価の評価額の高いところであること、商売が繁昌しており、利益を上げているのだから当然の要求だと言ってきております。  このように、今でさえ法外な家賃の引き上げを要求しても当たり前とする家主の声が当然であるとする法改正になったら、区民は、商売を続けていくことができなくなってしまいます。改正要綱試案では、家賃の改定を早く決めるために、紛争解決のための第三者機関を別途検討しているとのことですが、異常に値上がりした地価に見合う家賃や、地代を決めることになったら、逆に混乱や紛争を大きくすることにもなりかねません。改正要綱試案は現在の借地権を借地人の権利を弱める方向で手直しした上で残し、さらに、これとは別に、企業向けの定期借地権を新しくつくりたいということです。定期借地権とは、法定更新制度のない、つまり契約期間がきたら事情のいかんを問わず権利のなくなる借地権ということです。定期借地権は契約期間中に投資を回収できれば、それで計算が合う企業のためのものです。こうして、一たん地主にとってより有利な借地権がつくられると、普通借地権で新たに土地を貸す地主は少なくなってくるでしょう。これからも普通借地権は残りますが、契約途中や切りかえ時に定期借地権に切りかえることができるともしています。これは借地人の承諾なしにはできないことになっていますが、地主の要求を受け入れざるを得ないように結果はなってしまうのではないかと言われております。  私は、借地・借家法改正要綱試案の幾つかを取り上げて述べました。どれをとってみても、借地、借家人を法律で追い立てやすくなる内容であり、このような法改正には絶対に同意できません。区長は、このような借地・借家法改正要綱試案についてどのように受けとめておられるのか、まずお伺いをいたします。  また、改正要綱試案は、大企業のための都市再開発を促進し、千代田区や区民が進める住めるまちづくりをつぶしてしまう役割を果たすのではないかと思いますが、このことについての区長の見解をお尋ねいたします。  今回の借地・借家法改正要綱試案は、小地主、家主の要望に沿ったものであるかのように宣伝しています。本当にそうでしょうか。実際に、小地主、家主が借地、借家人との紛争を抱えている人もありますから、問題を早く解決したいと望んでいるのも事実であると思います。しかし、地主家主協会の会長はといえば、千代田区内の地上げで有名になった不動産会社三正の社長であります。このような人たちが小地主、家主を代表しているのですが、彼らが地上げをしているところでは小地主、家主と言われる人たちは、こういう不動産会社の人たちの買収の対象となって買い上げられてしまっております。借地、借家人が追い出されれば、土地の買収は進み、地価もさらに引き上げられると思います。高い地代を払っても利益を上げることができるのは大手企業です。都心から区民を追い出した後には、高い地代でも、家賃でも採算がとれる企業が残ることになります。借地・借家法改正要綱試案はまさに地上げ法案と呼ぶにふさわしい内容ではないでしょうか、こんな悪法をつくらせてはなりません。  現行の借地・借家法は制定されて以来、借地、借家人の正当な権利と暮らしを守る上で大きな役割を果たしてきました。貸主と借主の間で利害が対立することはよくありますが、借地、借家問題は、当時者双方の話し合いによって円満に解決するのがほとんどであり、そうすることが現在の借地、借家法の精神でもあります。  今、借地、借家人を初め商店主など、生活と営業を守ろう、まちを大企業に乗っとられるなと、借地、借家法の改悪に反対する運動が大きく広がってきております。まちの中では、不動産業者を通じて改悪を前提とした動きがあちこちにあらわれてきています。だからこそこんな改悪を許したら大変だと改悪反対に立ち上がっているのです。住み続けられるまち、人間の息吹が通い合うまちを守り続けていくのならば、大企業が中心になり、住民や、中小業者いじめの借地・借家法改悪はやめさせなければならないと思います。そして区民、国民の要望に沿った土地問題、住宅問題の解決を図ることが重要であると思います。  区長は、開会のあいさつの中で、本区を取り巻くさまざまな社会経済情勢が大きく変化する中で、人の住むまち、住めるまちにこの千代田区を再生していくことが区政に課せられた最重要課題でありますと述べておられます。ならば、まち破壊を合法的と進めようとするたくらみである借地・借家法改悪には、区としても歯どめをかけるはっきりとした反対の姿勢を示すべきではないかと思いますが、区長の明快な答弁を求めまして質問を終わります。(拍手)    〔区長木村茂君登壇〕 36: ◯区長木村茂君) 野口議員の御質問にお答えいたします。  借地・借家法の改正問題につきましては、現在、法務省は借地法、借家法改正要綱試案を公表し、この試案についての意見を各界から求めているところでございます。  今回の改正の基本とするところは、現在の多様化した借地、借家関係に対応した新しい当時者関係をつくろうという趣旨と理解をいたしております。土地の高度利用を目指した都市再開発政策とは、その意味からして、その目的を異にすべきものと考えております。  借地法及び借家法の改正は、区民生活や本区のまちづくりに深いかかわりを持つものでありますので、今後、どのような内容で改正要綱試案が作成されるのか、その過程を十分に注視してまいりますので、御了承のほどお願い申し上げます。  なお、詳細につきましては関係理事者をもって答弁いたさせます。    〔都市整備部参事黒澤功君登壇〕 37: ◯都市整備部参事黒澤功君) 野口議員の御質問に区長答弁に補足してお答えいたします。  借地法、借家法の改正問題につきましては、現在、法務大臣の諮問機関である法制審議会民法部会で審議と継続しているところでございます。今回の改正要綱試案は、現在の借地法、借家法が大正十年に制定され、その後、昭和十六年の改正から半世紀になろうとする時間の経過の中で、社会的背景の変化、特に借地、借家当時者関係の調整の見直しを行おうとするもの、言いかえるならば、もっと公平な法調整のあり方を探ることが大切であるとの趣旨に基づくものであります。借地、借家関係は必然的に長期にわたる法律関係であり、したがって、その検討も長期的視野に立って行われる必要があるものと考えております。  改正の検討に当たりましては、広く国民の声を反映させていくという観点から、昭和六十年十一月に借地、借家法改正に関する問題を取りまとめて公表し、意見を求めたところでございます。これに続きまして、ことし三月には、これまでの検討結果を踏まえて作成された借地・借家法改正要綱試案が公表され、現在、この試案に対する意見を求めているところでございます。そしてその意見の集約をこの秋に行い、おおむね一年をかけて慎重に審議を進め、その後に法律改正要綱案を作成する予定であると聞いております。  いずれにいたしましても、借地、借家法の改正問題は、区民の生活や本区のまちづくりにも大きなかかわりがございますので、今後とも重大な関心をもって、その動向を見守ってまいりたいと存じますので、よろしく御了承賜りたいと存じます。 38: ◯三十五番(野口つた子君) 自席から再質問させていただきます。  今、法務省が要綱試案を発表して、これについての検討をしている。各界各層の関係団体のいろいろな意見を聞く、その中でつくっていきたいということならば、都心の千代田でのいろいろな意見というのは大変重要ではないかというふうに思います。ですから、そういう点で、この問題について区長はどういうふうに意見をお持ちなのか、それをまた、国に言うということは大変重要なことではないかというふうに思います。この問題についてお伺いしたいと思います。  それから、先ほども皆さん質問の中でおっしゃておりましたけれども、都心で住みたいと思っても、なかなか住宅を持つような、借りられるような、住めるような住宅を持つことはできないという現状があるというのは、多くの方が認めているところなんです。しかし、区民は、千代田区に住んでいきたい、営業を続けていきたい、そういう意見を持ってそういう方向をつくり上げていくために努力をしていく、そういう状況なわけですが、ならば、本当にそういうことで法律が有効に働くのならばよろしいのですが、逆に、住めない条件をどんどんつくり出していくという法律に変えられたならば、これは大変な状況になるんじゃないか。その点についてははっきりとした態度を区としてお持ちいただかなければならないんじゃないかと思うんです。その点についてお伺いします。  それから、改正について、国の方で検討しているのだから見守るというお答えですけれども、一体改正をだれのためにやろうとしているのか、そこをはっきり見詰めなければならないと思いますし、ただ、どういう内容であれ、見守っていくというのでなくて、本当に私たちのためにならない法改正であるならば、それは変えてもらうという、私たちのためになるような法律に直していくという働きかけがどうしても必要じゃないかと思うわけです。そういう点では、国がやっていることだからお任せということで、やられっぱなしということでは、区が目指す方向が逆につぶされてしまう結果になるんではないか、そういう点で、私は改悪と申しましたけれども、今度の借地・借家法の改悪問題、これについて区としてもきっぱりとした態度をとっていただかないと大変なことになるんではないか、そういうことでもう一度区長の答弁をお願いいたします。    〔都市整備部参事黒澤功君登壇〕 39: ◯都市整備部参事黒澤功君) 野口議員の再質問にお答えいたします。  借地・借家法は、人間の生活に重大なかかわりを持つ法律であり、また、その改正は本区のまちづくりにも大きなかかわりを持っているものでございます。今回、行われている法制審議会の審議は、借地・借家法の基本理念、すなわち今日及び将来の社会経済情勢のもとにおいて、貸主、借主双方の公平な利害の調整のあり方はどのようなものであるべきかという見地から行われるべきであり、また、行われているものと認識しておりまして、各界各層の御意見をお聞きしているというところでございます。借地・借家法の見直しは、現在の多様化した当時者のニーズに応じてその利害の公平の調整を図ることができる制度にするということでございますので、その見直しもそういう見地から行われているわけでございますけれども、今後、法制審議会において慎重に、そしてまた、十分な審議が行われることを期待しておりますとともに、その審議その後の動きにつきましても重大な関心をもって見守ってまいりたいと存じますので、よろしく御了承をお願いいたしたいと存じます。 40: ◯議長佐藤義明君) 次に、二十七番福山和夫君。    〔福山和夫君登壇〕 41: ◯二十七番(福山和夫君) 千代田区議会第三回定例会に当たり、一般質問をいたします。  まず初めは、原爆被害者援護法制定と非核平和都市宣言についてであります。  核兵器をめぐる情勢は、核兵器の廃絶を求める世界の世論の中でINF全廃条約の成立から二年近くを経過しています。しかしながら、今日の情勢は新しい緊張緩和の時代とか、新時代の到来などと評するさまざな論調がある中で、実際には、核兵器を所有することで、核兵器による威嚇によって国際的な有利な地位を占めようとする勢力は、こぞって核兵器の必要性をこれまで以上に強調し、巻き返しに乗り出しています。  ことし七月のアルシェサミットは、予見し得る将来、十分かつ効果的な核戦力と通常戦力を適切に組み合わせることによる抑止戦略以外には安全保障の道はないことを宣言し、これまでのサミットの中でも、とりわけ露骨に核抑止力の立場を振りかざしています。唯一の被爆国である日本の政府もこれに加わり、核兵器緊急廃絶を求める日本国民の意志を踏みにじりました。そもそも抑止力とは、ディターレンスの訳語で、脅迫して思いとどまらせるの意味です。核抑止力論とは、強大な核兵器で相手を脅かし、恐怖心を起こさせることによってこそ戦争を防止できるという考えです。核抑止力論は、相手よりも強力な核兵器を持つことが核戦争を防ぐ平和の保障だとする理屈で、核軍拡を合理化し、実は際限のない核軍拡競争の悪循環をもたらしました。また、核抑止力論は、核兵器を保有するだけでなく、アメリカの歴代大統領が公言しているように必要と考えた場合には、それを先制使用するという立場でもあります。ヨーロッパでNATOは戦術核兵器の近代化を推進しつつあり、海のINFの交渉の場に持ち込むことに反対し、アジア、太平洋地域では逆に強化しています。核戦争を宇宙にまで広げるSDI戦略防衛構想の開発も進められています。さらに、軍事同盟につながる国々への海と空からの核兵器持ち込み、配備も依然として続けられています。最近、明らかになった米空母タイコンデロガ号の沖縄海域での水爆搭載機水没事件は、日本に核兵器が自由に持ち込まれ続けていることを証明するとともに、沖縄海域の放射能海洋汚染も憂慮されています。  このような情勢のもとで、ことし八月に開かれた原水爆禁止世界大会は例年以上に緊張感のあるものになりました。特に、来年一九九〇年被爆四十五周年には原爆被害者援護法の制定をと訴える被爆者の方々の活動にはある種の覚悟というものさえ感じられました。被爆者の方は被爆者に五十年はないと言います。それは原爆で傷つき、高齢化に加え、加齢現象に見舞われている被爆者に、その命の保障がないという意味であり、また、被爆五十周年の年まで核戦争がない、被爆者を再びつくらない保障が現在何一つ実現していないからであります。被爆者は核戦争の生きた証人として、みずからが体験した苦しみを世界のどこでも二度と再び繰り返さないでほしい。その政治的決意のあかしとして原爆被害に対する国家補償をしてほしい。苦痛をおして被爆の体験を語り、人々を核戦争阻止と核廃絶の行動に立ち上がらせています。  あさって九月二十三日はビキニ水爆実験で犠牲となった久保山愛吉さんの三十四回目の命日に当たります。東京、夢の島の第五福竜丸保存館にある慰霊碑には「原爆の犠牲者は私で最後にしてほしい」という遺言が刻まれています。被爆者が「核戦争を起こすな、核兵器をなくせ、再び被爆者をつくるな」と言い、原爆被害者援護法をすぐつくれというとき原爆被害者援護法は被爆者の命と暮らしを守るだけでなく、新たな核戦争被害を未然に防ぐための立法であり、核時代の人権宣言でもあります。  被爆者はその証言の中で、原爆が人間にとって何なのか私たちに教えています。ある男性の被爆者は証言します。十五歳のとき長崎で被爆した。一瞬のうちに家がつぶれ、外にはい出すと火の海でした。壊れた屋根の下から母親の声が聞こえた。屋根に穴をあけ上半身だけ突っ込んでみると、母親がはりの下に挟まって動けない。助け出そうとしたが力が足りなかった。火が迫り、母親が逃げろと言い、炎の中で最後の別れを告げた。火に追われて逃げる中で、その火の中から般若心経を唱える母親の声に断腸の思いであった。逃げる道で顔じゅう血だらけで眼球の飛び出してしまった人が「助けてくれ、連れて逃げてくれ」と叫んでいた。自分自身傷だらけでとても助けるどころではなかった。一人はうように逃げる自分の背中に、その人の畜生と言う声が追ってきた。そのとき自分は人間でなくなった。  広島で被爆した六十二歳の女性は話します。自分自身が外出先で被爆、重傷を負った。父親は爆心地から六百メートルの市電の停留所で被爆、全身を焼き尽くされ、耳は炭と化しのどの奥まで焼けただれて五日後に死んだ。当時十四歳だった弟が土手っぷちに穴を掘り材木を置き、父の遺体をガソリンをかけて焼いた。翌朝骨を拾いに行くと胸から上がまだ焼けてなくて、もう一度焼き直した。この姉弟のまた上の姉は、新婚で身重であったが、夫とともに無傷で姉弟を探しにきた。その夫は翌年死亡、胎内被爆した女児も亡くなった。その姉は再婚したが、体に異常があらわれ、こんな体では悪いとみずから離婚した。その後闘病生活ばかりでコーヒーかす状の物をしきりに吐き、白血球が減少し、心臓を除くあらゆる臓器の障害に苦しみ、皮膚がんに侵され、二十年以上入退院を繰り返し、一九七〇年に亡くなった。姉弟はこの姉の生きているうちにと原爆症の認定を申請したが、三度目に異例の死後認定となり、三万五千円、これが国が亡き姉に贈った金額のすべてだった。これらの証言をする被爆者、現在も慢性的な苦痛の中で、ちょっとした体の不調でも原爆のせいではないかと思い煩い、いつ原爆症が出るか、子や孫への影響は、体の中に原爆を抱えて生きている。原爆は今に至るまで被爆者の体、暮らし、心にわたる被害を及ぼし続けている。原爆は人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許さない、核兵器はもともと絶滅だけを目的とした狂気の兵器、人間として認めることのできない絶対悪の兵器だと告発します。だからこそ、原爆被害者援護法は第一の柱に「再び被爆者をつくらないとの決意を込め、原爆被害に対する国家補償を行うことを趣旨とする」と明記しています。原爆被害への国家補償を行うことは、核戦争被害を国民に受認させないと国が誓うことであり、再び被爆者をつくらないための大前提となるものです。この大前提を実現してこそ、原爆による死が意味あるものになり、原爆による苦しい生が意味あるものになります。被爆者は原爆から生き残った私たちにとって、それは歴史から与えられた使命だと考え、この使命を果たすことだけが被爆者が次の時代に残すことのできるたった一つの遺産なのですと訴えます。  アメリカの原爆投下は人類史上初の核戦争被害をもたらしました。その行為が無差別、非人間的で国際法に違反することは一九六三年十二月七日の原爆訴訟東京地裁判決が究明したところです。日本政府も一九八四年八月二十一日の国会答弁書で国際法の精神に反するものだと認めています。原爆被害は一九七八年三月三十日の孫訴訟最高裁判決でも、さかのぼれば戦争という国の行為によってもたらされたものなのです。非人間的な国際法違反の原爆被害が戦争の結果生じたものである以上、その被害の補償を戦争を遂行した国の責任で行われなければならないのは当然のことでしょう。日本政府はサンフランシスコ条約において、連合国に対するすべての損害賠償請求権を放棄し、原爆被害についての請求権をもこれに含めました。これは原爆被害を無視しただけでなく、原爆投下責任の追求を事実上放棄したものです。対米請求権を放棄した政府は、みずからの責任に基づく援護法制定をより一層急ぐべきでした。それにもかかわらず日本政府は戦後、米占領軍とともに原爆被害を隠し続けたばかりでなく、被爆者にとって最も援護の必要だった戦後の十二年間、何の援護政策もとらないまま放置しました。この時期に多くの被爆者が亡くなっているのです。その後一九五七年、原子爆弾被害者の医療等に関する法律、一九六八年、原子爆弾被害者に対する特別措置に関する法律が制定されましたが、最大の被害者である直接死没者について弔慰金や葬祭料などの補償はなく、諸手当の支給要件に所得制限規定を残すなど、とても被害への国家補償と言えるものではありません。原爆被害者対策基本問題懇談会は、その意見で、被爆者対策は広い意味における国家補償の見地に立って講ずべきものであると述べながら、現行二法がそれを満たすものとしました。そしてさらに、国民は戦争被害をひとしく受認しなければならないとして、援護法の制定を拒否したのです。国家補償の原爆被害者援護法がいまだに実現しないのは、原爆被害を今なお受認させ続けていることにほかなりません。広島、長崎の犠牲がやむを得ないものとされ、受認を強要されるのであれば、それは核戦争を許すことにつながります。原爆被害者援護法の制定は、国が原爆被害を補償することによって核戦争被害を拒否する権利を打ち立てるものです。  今、この原爆被害者援護法の制定が急がれるとともに、実現の可能性も大きく広がっています。戦後四十年目にして国が初めて行った死没者調査も近く発表されます。死没者の実態が明らかになれば、国は何らかの対応を迫られます。国民も援護法を支持しています。一九八五年の朝日新聞世論調査では、八七%が制定すべきだと答えています。また、原爆被害者援護法制定要求に関する国会議員の賛同署名は現在、衆議院三〇四名、参議院百九名と多数になっています。現内閣でも海部俊樹総理大臣を筆頭に、中山外務、松永通産、大石郵政、福島労働の各大臣、水野総務、石井国土の二長官の七名が署名しています。七月の参議院選挙の結果、参議院では野党が団結して援護法を支持すれば確実に可決されます。衆議院でもこれら署名議員が賛成すれば可決成立します。予算の上でも軍事費は二千四百五十億円も来年度増額される見込みです。この増額分を回せば十分可能です。この好機を生かし、国民の世論と運動をさらに広げていけば、被爆四十五周年の来年には必ず原爆被害者援護法制定を実現できる確信があります。ことし十一月には被団協の大行動も準備されています。  そこで区長に伺います。  第一に、原爆被害者援護法について区長はどのように評価されるのか、賛同されるのかどうか御意見をお聞かせください。  第二に、被爆者は国内ばかりか、外国にまで出かけて、みずから命のあるうちにと被爆の実態を証言し、初めて核兵器とは何なのかわかった。同じ人間としてその存在すら許すことができないものだという理解を広めています。日本国民は世界唯一の被爆国民でありながら、その実態を隠されてきました。実態を知っているとは言えません。千代田の区民が平和を考える上で被爆者の証言を聞き、学ぶことは有意義だと思います。区として、成人学校その他の事業の中に計画していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  第三に、平和教育の問題です。例えば小学校教育の中で折り鶴を教えながら広島の佐々木禎子さんの物語をするというのがあります。禎子さんは二歳のとき被爆し、小学校の運動会の選手にまでなったが、白血病で倒れる。お友達が鶴を千羽折れば治ると励まし、本人は治りたい一心で毎日折り続け、千羽を越え、千三百羽まで折ったが助からなかった。子供たちはこの話から人の命のとうとさと原爆の恐ろしさをよく理解すると言います。そしてアメリカやフランスでは日本の子供たちから送られたその名前やメッセージを書いた折り鶴を教材に核兵器と平和の問題を学習し、その折り鶴を送ってもらったクラスから日本の子供たちに返事を出す運動があるそうです。子供の成長にあわせて、自分の国、日本に戦争の歴史、原爆による被爆の歴史があること、そして世界で唯一の被爆国として、その役割があることを知らせること、平和の問題で世界の子供たちと理解し合える、連帯できることを体験させることはすばらしく、また、大切なことではないでしょうか。  千代田区でも、練成中学には、長崎の被爆者であり、キリスト者であった永井隆博士の「玉の緒の命の限り吾はゆく、寂かなる真理探求の道」という書が飾られています。永井博士は医師として原爆症の研究と被爆者の治療に献身され、みずからも原爆症によって亡くなられました。文学者としても著名な方です。この書は、昭和二十四年、永井隆博土の生き方に感激した練成中学の一期生の有志が激励とお見舞いのはがきを差し上げたところ、永井博士より返事の手紙とともに贈られたものだそうです。この一期生の中の一人の方は、私たちにとって戦争は学童疎開であり、空襲であり、食糧難であり、焼け跡だった。生活の中で戦争が何なのか、考えなくてもわかった。練成中学も焼け土を自分たちで掘り起こして建てたのだと言われます。千代田区にも関東大震災のとき火の中から町を守った佐久間町住民が、東京大空襲のときは町を守るためにおびただしい犠牲となるなど、戦争での悲しい歴史があります。  しかし、現在の千代田区で戦争のあった痕跡さえ見つけ出すのは困難です。子供たちは生活の中で戦争を知ることはありません。戦争も核兵器も、その恐ろしさを知ってこそ、それを避ける決意と、そのための知恵と勇気と努力が生まれます。私は、この永井博士の書に練成中学で初めて出会ったとき、千代田区の教育の中に、戦後日本の教育に不可欠の平和、核兵器の問題がそこに位置づいていたことに感激しました。  教育基本法は、その前文で「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。」としています。平和を希求する人間の育成は教育の大きな柱であります。今、日の丸、君が代だけが押しつけられようとするときに、改めて「教育と文化のまち千代田」の教育の中に平和教育を位置づける必要があると思います。区長の御意見を伺います。  第四に、千代田区は法外援護として、原爆被害者見舞金年間一万円を支給し、地区の組織には社会福祉協議会より三万円が助成されています。他区市においては見舞金ばかりでなく、地区組織に自治体から十六区、十三市で助成金が支給されています。区内の被爆者が連帯できるように交流の場を設けるなど、より積極的な施策も行われると聞きます。千代田においても、このような充実を図ることができるかどうか質問いたします。  第五に、思想、信条の違いを越えて広島荒木市長、長崎本島市長の言動が国内外から注目されています。木村区長自身が非核、平和の問題で国際的に都市が連帯するイギリス・マンチェスター市、スペイン、コルドバ市、イタリア・ベルジア市などで開かれてきた世界平和都市市長会議、非核自治体国際会議、また、都内の非核・平和宣言都市首長懇談会などに参加し、千代田区が積極的役割を果たす意思をお持ちでしょうか、所見を伺います。  そして最後に、非核・平和都市宣言の問題です。日本共産党区議団は、現代において最も崇高な課題である非核・平和の問題で、我が千代田区が非核・平和都市宣言の実現で、これにこたえるよう定例会のたびに求めてきました。  さきに述べた幾つかの施策の基礎として非核・平和都市宣言が必要だと考えますが、いかがでしょうか、区長は三月定例会における我が党の代表質問に、平和都市宣言につきましては、昨年の第三回定例会で採択された陳情の趣旨を踏まえ鋭意検討を進めていると答えています。区長の言われる平和都市宣言の内容には、ただいま私の御提案した施策等を包括するものと考えていられるのかどうか、改めてお答えを求め、世界に広がる「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒバクシャ」の声に答える積極的回答を希望して、この項の質問を終わります。  次に、都心千代田区にまで波及しました八月一日の水害にかんがみ、都市水害防止対策について質問いたします。
     七月三十一日から八月一日未明にかけて、関東地方を襲った集中豪雨は、一時間当たり雨量で都内の渋谷、七十四・五ミリ、中野七十ミリ、善福寺、石神井、池上、上目黒の各地で六十ミリを記録しました。このため石神井川、善福寺川、妙正寺川、神田川、目黒川などがあふれ、全都で床上浸水二千百三棟、床下浸水二千六百九十八棟、合計四千八百一棟の被害となりました。千代田区でも一時間当たり五十二・五ミリの降雨量となり、河川の溢水は免れたものの、内水、つまり下水の逆流によって床上浸水九十二戸、床下浸水百四十一戸の被害となり、がけ崩れも一ケ所ありました。この中には床下浸水とはいえ、飯田橋二丁目のマンション「トーアホワイトハウス」では、地下四メートルの地階駐車場が水没、乗用車四十五台が被害というのも含まれています。これら都心の水害は、一般に河川の未改修がある上に、無計画な再開発によって遊水池、保水機能が損なわれ、アスファルト舗装によって雨水が地中に吸収されずに大量に短時間に河川、下水に流れ、逃げ場を失った水が下水道から逆流するなど都市型水害と言われています。今回の全都の被害地域も以前から集中豪雨による危険が指摘されており、たびたび被害を招いていました。住民の命と財産を守るべき国、都、区など行政の責任は明白です。現状での対策と今後の対応を見直す必要があります。  国、政府の姿勢は専ら自然任せの状態です。宇野前首相の六月五日所信表明演説でも、自然災害についてもほぼ克服されるに至りましたと現実離れしています。また、一九八八年度の国土庁の防災白書でさえ、一つの災害で数百という多人数の人的被害を出すことは極めて少なくなったと言ってよいという認識です。現実は、防災白書にいわく、昭和六十二年度末における河川整備状況を見てみると、大河川では戦後最大洪水に対して、はんらん防御区域は全体の約五八%であり、中小河川では、当面の整備目標である時間雨量五十ミリに対して浸水対策で二九%、土砂災害対策で一八%が整備されているのにすぎないのです。死者、行方不明者二百九十九人を出した一九八二年の長崎水害は、たった七年前のことです。全国で土石流の危険渓流七万四百三十四、急傾斜地崩壊危険箇所六万二千五百七十もあります。どこで被害が出ても不思議ではありません。たまたま被害が少なく済んでいるのはまさしく天運です。この天運をもって、ほぼ克服されたとする政府の態度は、予算の中にもあらわれています。一九八七年から一九九一年の第七次治水事業五カ年計画は八兆円で、第六次計画より二千五百億円削減されています。災害関係事業費、地方単独事業費を第七次二兆一千四百億円、第六次一兆九千六百億円加えて見ても合計で七百億円の削減です。治山事業も六百億円、海岸事業も六百億円の削減です。  これら災害対策事業は大変おくれており、地価高騰もあって、本来なら増額こそ必要になるはずです。アメリカの要求による軍事予算が拡大される一方で、国民の命と財産を災害から守る予算は削減されています。自治体は住民を守る立場から、政府に対し、重要河川、中小河川及び都市河川の整備等に重点を置く第七次治水事業五か年計画を現実に即するものに見直すよう要求する必要があると思います。  東京都鈴木知事は、「世界都市東京を語る」の中で、治水事業は政治の基本と述べています。しかし、世界都市と胸を張るには、今回の水害に明らかなように恥ずかしい状況です。中小河川の改修のおくれは著しく、治水安全度達成率は一九八八年度でやっと五〇%です。しかも、水害を繰り返す神田川は政府の総合治水対策特定河川の一つに指定され、都はことし五月、神田川流域の総合的な治水対策・暫定計画をまとめました。一九九五年度をめどに一時間当たり五十ミリの雨量に対処することを目的としたものです。今回のように七十ミリを越える雨量に対応できるのは二〇二五年、二十一世定も四半世紀になって初めて七十五ミリ対応となるのです。これはかつて降雨量は一時間当たり五十ミリは三年に一度、七十五ミリは十五年に一度という経験則をもとにして立てた計画で、一九八一年以後七十五ミリ級の集中豪雨が三回も起きている気象条件では、見直さなければなりません。臨海部副都心開発など国内外大企業優先の東京大改造ではなく、災害に強い東京への改造こそ急務なのではないでしょうか。八月十日夕の集中豪雨は、世田谷上祖師谷九十二ミリ、杉並区久我山八十ミリ、中野区五十一ミリを記録し、再び浸水しました。一日の浸水で畳を入れかえたばかりでまた水をかぶり、「もううんざりだ、大雨のたびに浸水して、世界都市が聞いてあきれる」「東京都は新庁舎を建てる金があるなら、もっと水害対策に力を入れろ」と怒りの声が上がっています。  千代田区も一九八一年以来、今回も含めて七回も都市型水害を経験しています。八月一日の浸水は、前述のとおりですが、八月十日は幸い無事でした。しかしながら、もし、上流の護岸かさ上げなどがされ、溢水もせずに流下してきたら、また、高潮などと重なったら中野、杉並区の住民と同じように被害を繰り返し受けていたでしょう。人ごとではありません。国、都の対応のおくれている中で、被害を抑え、これ以上被害を繰り返さないためにも、区の対応が迫られていると思います。  区長に質問いたします。  第一に、国に対し、治水事業予算の削減をやめ、拡充するよう、また、河川事業に対する都県への補助金が一九八四年度の十分の七・五から一九八九年度十分の五・二五に引き下げられていますが、これを速やかにもとに戻すように求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。  第二に、特に都の事業で神田川と善福寺川の合流点近くの環状七号線地下に貯水量二十四万トンの調節池をつくる事業は、増水時、神田川、日本橋川の水位を抑える上で重要です。国に対して千代田区からも特段の補助を求め促進する必要があると考えますが、どうでしょうか。  第三に、都区において単独に実施している遊水池、貯留池、舗道の透水性舗装、透水ます、雨水一時貯留施設等の雨水流出抑制対策の事業にも補助を広げるよう求める必要があると思います。お考えをお聞かせください。  第四に、大型ビル、駐車場などの敷地及び地下に透水性施設、貯留池等の建設促進が指導されていますが、現在、区内の現況はどうでしょうか、また、今後の対応をお聞かせください。  第五に、西神田、三崎町の被害者住民からは、江東ゼロメータ-地帯でも浸水がないのに都心千代田区で洪水騒ぎと言われています。西神田仮排水機所、銭瓶町、桜橋、汐留のポンプ場などの能力で対応できないのであれば、強制排水ポンプを本格的設置することを考えなくてはなりません。先ほど城井議員へのお答えで、既に強制排水地域への変更のための調査が明らかになりました。そこで、そのための現在予測できる問題点、具体化の可能性、めどなどをお知らせください。  第六に、区の防災計画第二部第四章建物対策について伺います。  第一節で、「河川沿いの低地の建物について浸水防止措置を講ずるよう指導する」とあります。浸水実績図の公表等地域住民に危険を正しく認識してもらう上で、どのように徹底されているのか、また、高層化、インテリジェント化していく中で配電盤の水没などは、エレベーター、空調、情報機器などの機能停止につながり、パニックを招くおそれがあります。これらの問題を含めたチェックリストなどを提供するなど親切な指導が必要だと思いますが、いかがでしょうか。  第二節で「出水危険の著しい地域において高床式の建物を建築する者に対し、建築費の一部を助成する方策について各種金融制度の中で検討していく」とあります。しかし、地方では有効でしょうが、都心千代田区で高床式建物を期待することは現実的でありません。むしろ既存建物に防水板などの対策を講じる者に助成するなど見直しを希望しますが、いかがでしょうか。  第四節の、土のうの配置ですが、改善が必要です。私自身の七年前浸水時の救援活動の経験でも、六十センチ、七十センチと冠水すると、日中でも土のうが見えません。水中を手探りで探すことになります。冠水時ブイなどの浮上によって位置を知らせること、また、素人では、土のうだけで止水することは困難です。防水シートの併用が有効で、当該地域の希望者にあらかじめ配布するなどの対応が必要です。すぐにでも実現できるものと思いますが、御検討していただけるでしょうか。  第七に、被害を最小限に防ぐ上で早い情報が必要です。今回、千代田区も防災連絡体制のあいまいさが指摘されました。昨日二十日未明の警報発令時にどのように対処されたのか、この苦い経験に学んでどのように改善されたのか、お聞かせください。  第八に、当面、都の対策のおくれを区行政と住民の協力で対応しなければなりません。区と住民が相互理解を深め、住民の要求を生かす集会の場が必要ではないでしょうか。  以上の質問に具体的な回答をお願いして、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔区長木村茂君登壇〕 42: ◯区長木村茂君) 福山議員の御質問にお答えいたします。  まず、原爆被爆者に対する援護に関する問題でございますが、戦後四十余年、いまだに原爆被爆の後遺症に苦しんでいらっしゃるお方がおられますことは、まことに胸の痛む思いでございます。二度とこのようなことがあってならない。その誓いを新たにするものでございます。  これらの方々に対する援護につきましては、現在、原子爆弾被爆者の医療に関する法律並びに、原子爆弾被爆者に対する特別措置法の二法に基づき実施されており、また、その内容につきましても、原爆被爆者対策基本問題懇談会の意見に基づき毎年改善が図られておりますことは御案内のとおりであります。  この問題は、原則として、広い意味の国家補償の見地から、適切妥当な措置が講じられる必要があろうかと考えられますが、現行法との整合性及び各種福祉手当との関連もあり、今後の国会における法案の取り扱い等について十分見守ってまいりたいと存じております。  次に、非核・平和都市宣言についてお答えをいたします。  当区の平和都市宣言につきましては、本年第一回定例会において御答弁申し上げましたとおり、昨年区議会で採択されました陳情の趣意を念頭に、現在鋭意検討を続けているところでございます。  また、平和関連施策につきましては、平和都市宣言の実施を契機に、その精神を具現化するような諸事業を研究してまいりたいと存じますので、御了承を願いいたします。  なお、詳細につきましては、他の事項と合わせ、関係理事者をもって答弁いたさせます。    〔総務部長小藪俊雄君登壇〕 43: ◯総務部長(小藪俊雄君) 福山議員の御質問のうち、水害対策についてお答えいたします。  まず、区の防災計画の中の建物対策についてでございますが、今回の水害に見るように、地下室等への浸水を防止することは大変重要な問題と考えます。地下室等への浸水防止には、御提言のとおり、防水板の設置が有効であろうかと存じます。区内で既に防水板を設置しているビル等もございますので、これらを参考に、ビルの所有者等に対し、防水板のPR等を図ってまいりたいと存じます。  次に、災害防止のためには、いち早い情報の伝達が必要でありますが、区民に対し早期に情報を伝えるため、今回の教訓を生かし、それ以後、気象警報が発令された場合、早急に防災行政無線を通じ連絡通報を行っているところでございます。去る九月二十日未明の台風二十二号の際にも実施いたしました。  次に、住民の要求を生かすための、区と住民との集会の場をという御提言でございますが、区民の方々の個々の御相談にはこれまでも十分個々に対応しておりますし、区の被災者に対する諸施策のPRにつきましては、「区のお知らせ]や、被災地域の町会を通じ周知を図っているところでございます。  今後ともきめ細かい対応に努めてまいる所存でございますので、よろしく御了承願います。    〔福祉部長八田和之君登壇〕 44: ◯福祉部長八田和之君) 福山議員の御質問のうち、原爆被爆者団体に対する助成金の支給や原爆被爆者の交流の場の設定についてお答えいたします。  助成金につきましては、地方自治法その他関係法令等に照らし、団体の性格、規模、構成員の状況、団体としての意見決定の実態、団体の財政状況、事業内容、あるいは他の補助団体との整合性等の諸条件を総合的に検討の結果、現状では社会福祉協議会において行うことが妥当であるとされて、現在交付されておるところでございます。  また、交流の場の設定につきましては、助成金との関連もございますので、社会福祉協議会とも協議をする必要があろうと存じておりますので、御了承賜りたいと存じます。    〔土木部長堂下慶三君登壇〕 45: ◯土木部長堂下慶三君) 福山議員の御質問のうち、八月一日の水害と都市水害防止についてお答えいたします。  まず、治水事業に関して、国の予算の拡充、補助率の引き上げ、及び補助対象事業の拡大についてであります。  都市における総合治水対策は、河川改修、下水道施設の整備及び雨水流出抑制等の重要な事業であり、その推進が必要であります。  その早期実現には、御指摘の治水事業に関連する予算の拡充、補助率並びに対象事業の拡大等が不可欠であります。  そこで、各区共通の要求事項として、特別区長会から国に要望書を提出し、現在働きかけているものであり、今後も引き続き要望を行っていく所存であります。  次に、雨水流出抑制対策のうち、民間への要請でございます。これまで透水性舗装及び浸透ます等による対策ら主に多くの協力を得てきたところです。今後は、大規模再開発及び大型ビルの建設等に合わせ、貯留施設等の流出抑制対策を要請してまいりたいと考えております。  第三に、雨水の強制排水区域への変更に伴う今後の見通し等についてでございますが、変更となった場合、本格的な排水ポンプ場が必要となることから、その用地の確保が大きな問題になるかと考えております。  今年度は、これらの課題を含め、変更地域の選定、施設の規模等に関する基礎調査を東京都下水道局で行うことになっております。  最後に、土のうの配置についてでございますが、配置場所は、地元の要望、歩行者への配慮など多くの制約がございます。区民が利用しやすく、また、視認性等を考慮した配置は、防水シートの活用とあわせて検討してまいりたいと存じますので、よろしく御了承のほどお願いいたします。    〔建築公害部長石津達太郎君登壇〕 46: ◯建築公害部長(石津達太郎君) 水害の危険が高い地域の建築物について、浸水防止措置を講ずべきではないかとの御質問にお答えいたします。  従来から、区内における集中豪雨や、台風による浸水地点を図示した水害を等分布図を建築課の窓口に掲示して、設計者、建築の相談者に周知するよう努めてまいりましたが、今回、八月一日の水害を契機に一層周知徹底を図るため、新たな建築に際し、標識設置の届け出の際、すべての設計者等に対しても直接千代田区内の水害発生地点図をお渡しし、注意を喚起しております。  また、チェックリストなどの作成等につきましては、浸水が建築物や設備機器に及ぼす影響と、その適切な防護策を研究していく必要があり、建築の実情に精通した設計者、専門家等関係団体とも協議し、それらの意見を参考にしながら検討を行ってまいりたいと考えております。    〔教育長井澤一弘君登壇〕 47: ◯教育長(井澤一弘君) 福山議員の御質問のうち、平和教育についての御質問にお答えいたします。  国際平和は広く国民の願うところであり、国民主権及び基本的人権の尊重とともに、平和主義は日本国憲法の三大原則の一つでもあり、学校教育では、この憲法の精神を基調とする教育基本法に基づきまして、平和的で民主的国家及び社会の形成者の育成を目指しているところは御案内のとおりでございます。  本区におきましても、人権尊重教育や国際理解教育の推進等において、児童生徒に対してあらゆる学習の機会を通じまして、平和を愛し、広く国際社会に貢献できる人間の育成に努めているところでございます。  たとえば、小学校六年及び中学校の歴史の分野では、我が国の原爆の被害、平和の大切さや意義について、また、公民分野では、国連の働きを通じて、国際理解、世界平和について学習し、理解を深めておるところでございます。  これらのことは、学習指導要領にも示されているところでございますが、平和を希求する人間の育成は教育の大きな柱でもございますので、今後とも学校教育のあらゆる機会、あらゆる場を通じて平和を愛する心を培うよう、さらに努力をしていくつもりでございますので、御了承いただきたいと存じます。 48: ◯二十七番(福山和夫君) 自席から再質問させていただきます。  被爆者援護法が今大変大きな問題になっている中で、区長は、「平和都市宣言」というふうにおっしゃいました。この平和都市宣言のイメージの中に、私の先ほど申し上げたものが入るものかどうか、その区長の描いているイメージがもう一つ伝わらないんです。ですから、そういう意味で、区長の今こうあるべきだというお気持ちがどういうものか、改めて伺いたいと思います。  それから、あと、水害問題のところで、私は住民との対話集会をしたらどうかというふうに御質問して、個々の被害者の要求については聞いていますというお話があったんですが、私が申し上げたのは、今、国や都の対応がおくれている中で、これはそれを補うものとして、区と住民が団結してやっていかなければならない。ですから、その被害の状況についていろいろ手当てをしていただくためにどうなのかということではなくて、住民の知恵をかりるといいますか、そういうものもあるでしょうし、同時に区からいろいろと、こういうことで協力をしてほしい、こういう話し合いの場があってしかるべきだし、そのことは、今ある被害者区民の、これだけ高い税金を払っていて、なぜ水害に遭わなければならないのか、行政は何をやっているのか、こういう声にこたえることにもなると思うんです。杉並区などではそういう集会があって、加えて、これは区だけで対応できないということで、東京都も参加して実施しています。その結果、いろいろとかなり厳しい答えが出てくることが実際あると思うんですが、今度の水害の現場での、たび重なる水害で住民の方はかなり訓練されたといいますが、その対処も、実は、失礼な言い方だけども、消防署の方よりもはるかに手際いいという状況もありますし、こうしてくれた方がもっとうまくいくんだという、そういう知恵を持っていらっしゃるんですね。ぜひそういう意味での集会を希望しましたので、その点だけ改めて伺いたいと思います。    〔区長木村茂君登壇〕 49: ◯区長木村茂君) 非核三原則は日本の国是でございます。世界の恒久平和の達成、これはまた、日本国民全体の悲願でもございます。したがいまして、争い事といいますか、戦争のもとになる飢餓とか貧困、これを地球上からなくすようにということで、歴代内閣はOPAの予算を増額するなどして、世界に貢献する日本と、こういうことで頑張っております。  私はいつも申し上げるんですが、千代田区政も、すべての道は平和に通ずると、こういうことで、無論、区民福祉の向上を念頭に置くことはもとよりですが、やはり諸外国と友好親善を、交流を深めることによって世界平和に貢献していくと、こういう基本姿勢でこれからも対処してまいりたいと、こう思っております。    〔総務部長小藪俊雄君登壇〕 50: ◯総務部長(小藪俊雄君) 福山議員の水害対策の問題について、対話集会の問題について再答弁いたします。  治水防災対策につきましても、これまでも区民からの意見要望につきましては、担当窓口や区政懇談会において十分承っております。今後ともこうした区民の意見要望等につきましては、幅広く積極的に得られるべく努力してまいる所でございます。  なお、お説のとおり、区民と行政との相互理解という点は非常に重要なことであると認識いたしております。 51: ◯議長佐藤義明君) 議事の都合により暫時休憩いたします。    午後五時三十四分休憩    午後五時五十二分開議 52: ◯議長佐藤義明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般質問を続けます。  十七番竹田靖子君。    〔竹田靖子君登壇〕 53: ◯十七番(竹田靖子君) 今の日本の状況と見てみますと、政治は言うに及ばず、経済も文化も、オーバーに言えばありとあらゆるものが「国際化」という一つの言葉でくくられています。  中曽根内閣の時代に行われた戦後の総決算路線で、首相直属の臨時教育審議会が設置され、教育の見直しを図る中で、教育の場での国際化がうたわれたことも例外ではありません。その基盤は、二十一世紀に向かい国際社会に生きる日本人の育成という位置づけに置かれています。聞く人にとっては非常に響きのいい言葉ですが、いざふたをあげてみると、その中身を見たとき、国際交流の最も大事な根っこである互恵平等のつき合いができるようなものかといえば、残念ながら「否」と言わざるを得ません。  「世界の中の日本人、国際化への対応」の答申の中で、日本人として国を愛する心を持つとともに、狭い自国の利害のみで物事を判断するのではなく、広い国際的、人類的視野の中で人格形成を目指すという基本に立つ必要がある。なお、これに関連して、国旗、国歌の持つ意味を理解し、尊重する心情と態度を養うことが必要であり、学校教育上適正な取り扱いがなされるべきであると述べている箇所があります。まず、このくだりを読めば、なぜ日本の国際化と国旗、国歌がストレートに結びつくのか不思議でなりません。  そして、新指導要領の中では、これをさらに発展させ、適正な取り扱いと称して、日の丸、君が代を掲揚、斉唱しないことに対する罰則規定を盛り込むに至っては、まさに国際化に名をかりた「国粋化」の押しつけと言えるのではないでしょうか。アジアの国々との友好は、かつて日本がアジアを侵略した歴史を私たちがありのままに深く認識するところから始まります。その侵略の象徴が日の丸と君が代です。侵略されたアジアの国々が今もその歴史的事実を教えている中で、日本の経済侵略に対する反発から、日本の国旗が焼かれたりしていることを考えるとき、日本の教育がともすればその事実を覆い隠そうとしている限りは真の友好関係は生まれません。  そこで、これからの国際社会の中で交流をしようとする小中学校の子供たちに対してどう国旗、国歌の持つ意味を理解し、尊重する心情と態度を養わせるのかを伺いたいと思います。  また、世界の中の日本人としての自覚を促すのであれば、今や世界は、肌の色や言語の違いを越えて、全人類が平和と友好を基礎とした地球国を目指さなければ、何事も解決し得ない状況にきています。  ところが、そうした中で、日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を破った東郷平八郎元師が今回から歴史上の人物の一人として、小学校社会科に例示されました。その登場した理由は、日清・日露戦争を通じ、日本の国際的地位が向上した欠かせない人物であると文部省は述べています。とするならば、小学校六年生に対し、日本の地位を向上させるには、戦争に勝つことですと説明をして理解をさせようとしているのでしょうか。しかも、返す力で、日本の公害の原点である足尾銅山鉱毒事件を一身をなげうって告発した田中正造翁を切り捨てました。しかし、世界的規模で環境が汚染されている今、私たちの地球をどう守らなければならないのか、その先駆者たる田中正造の生き方を通して、次代を担う子供たちが学ぶことこそ、まさに世界の中の日本人としての自覚を促し、実践しなければならないことを知ることができるすばらしい教育ではないでしょうか。  そして、日本の企業が、日本の国内で公害のたれ流しを指摘されるや、東南アジアの地に工場を移し、その結果、多くの現地の人たちに被害が出ているという公害輸出の状況を私たち多くの大人たちが見過ごしておいて、何で狭い自国の利害のみで物事を判断するのではなく云々という教育上の精神を子供たちにはぐくむことができるのでしょうか。  理科や社会科の授業を通じて、子供たちが公害先進国である日本の現状を学び、教訓を酌み取って、世界の人たちに向かって、どこの国においても二度と再び繰り返さないようにと地球国の一員として呼びかけ、ともに活動していく人間に成長するような教育を施すことが、広い国際的、人類的視野の中で人格形成を目指す基本に立つという趣旨の上で求められているのだと考えます。  二十一世紀に向かって、子供たちがどんな社会で、どのように生きていくのが幸せなのか、そのためには、どんな教育がふさわしいのかを、私たち大人は自分の責任として、今まさに考える必要に迫られているのです。  また、新しい学習指導要領は、前回の改訂のゆとりと充実の延長線上にあって、質の見直しを図っているわけですが、普通常識的には、ゆとりと充実が達成された上で、改めて見直しという作業が行われるはずです。しかし、現在の教育現場は、皆さんよく御存じのように、ゆとりはなく、ましてや充実にはほど遠いのが現状です。熾烈な受験戦争の中で、塾から帰っても、ふろに入る時間、寝る時間も惜しんで勉強し、起きぬけに朝食も満足にとれずに登校する毎日では、子供らしいゆとりや充実した時間を持つことはできません。  そして、人間として必要な日常生活、集団生活の基本的ルールやマナーは、他者との関係やさまざまな機会を通して、生きた形で学ぶことが最も望ましいことなのです。なのに、その時間はありません。  前回の改訂時に示された豊かな人間性を育てるという目標をもっと尊重して、お互いを認め合い、友人とのいろいろな体験、出会いを通して、ともに成長するための機会を積極的につくることが、国が重点的に打ち出した道徳教育にかわるものとして大切な視点だと考えます。無論、この過程は、周囲の大人たちにとってはまどろっこしく、そして忍耐と幾多の努力を必要とするものです。人間を育てることは促成栽培では決してできないのです。  よく、子供は親の背中を見て育つと言われます。子供は、その感受性と鋭い洞察力で大人のやっていることを常に見ていることを考えれば、大人社会や家庭の姿をなぞるように子供たちは育っていくのに違いありません。とするならば、まさに大人の価値観やその行動が、これすなわち教育なのであって、私たち大人自身が最も道徳的であらねばならないと考えます。それこそが子供に対して最も説得力のある教育ではないでしょうか。  子供社会は大人社会の反映でもあります。そのことを認識せずに、単に学校教育の中で国家によって手っ取り早く子供を従わせるための道徳教育を振りかざすことは、全く見当違いではないでしょうか。その御意見を求めます。  今回の新学習指導要領は、二十一世紀に向かっての学校教育における教育課程の国による基準として重要な役割を担って登場しました。教育の主人公はあくまでも子供たちです。このことを忘れて真の教育は成り立ち得ないのです。登校拒否、校内暴力、いじめ、どれ一つとっても解決への答えは現在出ておりません。そして、今回の新しい指導要領によって解決できる保証があるわけでもありません。心ある大人たちが教育に関して悩み、苦しんでいる以上に、子供たち自身の悩みや苦しみが大きいと言っても過言ではないでしょう。その苦悩を出発点として教育をとらえ直さない限り、子供たちが現在受けている重圧から開放される教育は成り立たないのです。  さて、昔、私たちが子供だったころ、知らず知らずのうちにアジアの人たちに対しては、優越感を、また、欧米の人たちには劣等感を植えつけられました。そして、また、子供時代の体験や経験が先入観念として大人になっても心に刻まれています。  そこで、千代田区内の他国の子供たちとの交流を通して、小さいときからお互いの存在を認め合い、またお互いの習慣や考え方を学び合う機会をつくることが内容の伴った国際化教育であり、また、国際的と言われるにふさわしい自治体の役目であると考えます。手始めに、小学校の運動会や学芸会、そして、展覧会等の折、ぜひ欧米の子供やアジアの子供たちを招待して、子供同士の親善や交流をより一層図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  また、小中学校の社会科の学習の中で、政治の仕組みというところがあり、よく国会見学をすると聞いていますが、国政を学びに行くというより、建物を見に行くというようなところがあります。今、基礎的自治体である千代田区は、ほかの二十二区とともに特別区制度改革を通じて地方自治の確立を目指している大切なときです。まさに住民自治とともに、議会制民主主義の政治の原点は区政にありと言えましょう。  そこで、私は住民にとって最も身近な政治の仕組みを学ぶ機会として、社会科見学に区議会の傍聴を取り入れたらいかがかと存じます。  さて、最後に、昨日の公明党の新学習指導要領に関する代表質問に対して、教育長が「本年度から区内小中学校長、教頭を初め各学校の代表を構成メンバーとする新教育課程移行措置委員会及び新教育課程指導計画資料作成委員会を設置し、」と答弁されておられましたが、文部省による指導要領をただ上意下達することで事足れりとすることではなく、教育現場での視点で考えようとする教育委員会の姿勢を示したものと前向きに受けとめております。しかし、新教育課程の移行及びその後の実施に向けて携わるメンバーが、校長、教頭を初めとする各学校の代表のみで構成されたことは、教育は、教育の専門家である教育者に任せておけば間違いないと判断された結果と考えますが、今回の指導要領に盛り込まれた生涯学習の出発点が小中学校の教育である以上、地域や家庭とともに教育を考えるという視点に立って、将来地域や家庭の代表をオブザーバーとして加えるという開かれた学校教育を目指すための努力を教育委員会がさらに進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。  以上で一般質問を終わります。(拍手)    〔教育長井澤一弘君登壇〕 54: ◯教育長(井澤一弘君) 竹田議員のご質問にお答えいたします。  御質問の第一点は、小中学校の子供たちに対して、国旗、国家の意味をどのように理解させ、尊重する心情と態度を養うかとのお尋ねでございます。
     今回の学習指導要領改訂の中で、御指摘のとおり、国際化への対応が取り上げられました。それから、基本方針の第四の柱として、「我が国の文化と伝統を尊重する態度の育成を重視するとともに、世界の文化や歴史についての理解を深め、国際社会に生きる日本人としての資質を養う」とうたわれております。  児童生徒が将来、国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長していくためには、まず、日本人としての自覚を養い、国を愛する心を育てる事が大切であると考えております。  国際社会の中で、自国を愛し、お互いの国々を尊重する上で国旗や国家はいずれの国においても、その国の象徴として大切にされており、お互いに尊重し合うことが必要ではないかと考えております。  学校におきましては、国旗を掲揚し、国歌を斉唱する場といたしましては、入学式や卒業式等の儀式的な行事が中心となりますけれども、これはみずからの学校や地域社会、さらに、国家への所属感を深める上で大切な機会となっております。  このような意義を十分理解させ、それぞれの行事のねらいや、児童生徒の発達段階に応じてお互いを尊重する心情を培いながら国際理解を深める指導へと発展させていくことが大切ではなかろうかと存じますので、御了承いただきたいと存じます。  次に、道徳教育のあり方についてのお尋ねでございますが、道徳教育は、単に子どもたちだけに強いるべきものではなく、大人自身も襟を正し、道徳性豊かな人間像を目指していくことが大切であることは御指摘のとおりでございます。  学校における道徳教育を進めるに当たりましては、まず、教師と児童、また、児童相互の人間関係を深めることを第一の基盤とし、豊かな体験を通して、児童の内面に根差した道徳性を育成を図るよう配慮していかなければならないと考えております。  また、家庭や地域社会との連携を密にしながら、日常生活における基本的な生活習慣や望ましい人間関係の育成などにかかわる道徳的な実践が促されるよう指導してまいりたいと存じます。  次に、千代田区内の他国の子供たちとの交流についての御提案でございますが、御案内のように、本区におきましては、既に中学校の海外交流事業や、国内の姉妹都市との子供たちとの交流活動、また、区内の小中学校を訪れます外国人来訪者に児童会、生徒会等が対応する活動等さまざまな交流を既に行っているところでございます。今後、御提案のような形で身近な交流の機会を持つことも意義あることと認識しております。  本区には、数校の外国人学校に小中学生も在学しておりますので、これらの学校の児童生徒や、区内に住む外国人の子供たちについての実情を調査しながら、御提案の意向を踏まえ検討していきたいと考えております。  次に、区内の小中学校児童生徒による区議会見学についての御提案についてお答えいたします。  御案内のとおり、社会科見学や郊外学習は、各学校の指導計画に従って実施されているものでございます。現在、区内のほとんどの小学校におきまして、社会科の学習の一環として、小学校三年生を対象に、自分たちの地域を学習するという意味合いで千代田区めぐりを実施し、主として国会議事堂、憲政記念館等の見学を初め区役所等の見学も取り入れているのが現状でございます。  御提案の区議会の見学につきましても、身近な政府と言われます区政についての生きた学習の場としての区議会の見学は有効なものと考えられますので、各学校での指導計画について、校長会での学校長の調整を図りながら、さらには、今後、区長部局や区議会の御意向を伺いながら検討してまいりたいと存じます。  最後に、新教育課程移行措置委員会及び指導計画作成委員会に父母の代表を参加させることについての御提案でございますが、当委員会は、区立幼小中学校にかかわる新教育課程の移行期間中における学習指導及び新教育課程の編成と円滑な実施を図るために必要な資料等を作成することを目的としたものでございまして、検討内容は、主として各教材等の専門にわたる指導技術面が中心となっておるわけでございます。したがいまして、委員会の構成もこの趣旨に合うように、各教科、道徳、特別活動等の分野を代表する学校長を初めとする教職員から構成したわけでございます。  このような性格上、保護者の方々が委員あるいはオブザーバーとして加わりますことは、会の趣旨にはなじみにくいものと考えられますので、この点はぜひ御理解いただきたいと存じます。この点を御理解いただいた上で、さらに各学校におけるよりよい教育の実現を目指す上から、今後も引き続き保護者会や授業参観等の場を通して、地域、保護者の方々の適切な御意見をいただきながら、地域に開かれた学校を目指していきたと、このように考えておりますので、よろしく御了承のほどお願い申し上げます。 55: ◯十七番(竹田靖子君) 自席から再質問させていただきます。  先ほどの国旗、国歌の問題ですけれども、これはどうも私の質問に対してのお答えとすれば、ちょっと認識がすれ違っているというふうに思います。この点に関しては、これから長い道のりもありましょうし、やっぱりお互い共通の基盤に立つ意味での認識を持つための努力をしていきたいというふうに思っております。  それから、再質問なんですが、新学習指導要領案の中に、年間指導計画の作成を、法的拘束力のある学習指導要領に盛り込んだというこなんですけれども、その指導計画は各学校が決めて教育委員会に提出する、それを提出したものに対して、教育委員会は、現場の自主性を大切にするのか、それとも、むしろチェックを強める方向性、ときと場合によっては教育委員会側の意見を強力に推し進めるという場合もあるのか、それはいかがなものか、そのお答えをお願いいたします。    〔教育長井澤一弘君登壇〕 56: ◯教育長(井澤一弘君) 竹田議員の御質問のお答えいたします。  各学校におきまして学習指導要領に基づいての計画を立てるわけでございますが、当然その学校長が主体的に判断をしていくと。それで、ただ千代田の場合には、やはりそういう委員会を設けていうことは、千代田区としての一つの基準的なものを考えるという形でこの委員会を作成したわけでございます。したがって、主体的に、弾力的にといっても大幅に逸脱しない限り、教育委員会の方からどうこうせいという気持ちがございません。 57: ◯議長佐藤義明君) 以上で一般質問を終わります。  これにより日程に入ります。  日程第一ないし日程第四を一括議題に供します。千葉事務局長をして朗読いたさせます。  ──────────────────────────────────────  議案第三十六号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例  議案第三十七号 災害に際し応急措置の業務等に従事した者に係る損害補償の条例の   一部を改正する条例  議案第四十二号 千代田区と五城目町との姉妹提携について  議案第四十三号 千代田区と五城目町の施設の相互利用について    〔千葉事務局長朗読〕  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  資料……議案第36号、37号、42号、43号 58: ◯議長佐藤義明君) 執行機関より提案理由の説明を求めます。    〔助役川又元彦君登壇〕 59: ◯助役(川又元彦君) 議案第三十六号、職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例について御説明を申し上げます。  本案は、本年六月二十八日付で雇用保険法の一部が改正されたことに伴い、条例の規定を整備する必要があるため御提案するものであります。  なお、この条例の施行日は、平成元年十月一日であります。  次に、議案第三十七号、災害に際し応急措置の業務等に従事した者に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例について御説明を申し上げます。  本案は、非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令の一部を改正する政令が本年五月二十六日に公布施行されたことに基づき条例の一部を改正するものであります。  改正内容について申し上げますと、応急措置の業務に従事した者に係る補償基礎額の最低額を六千六百円から六千八百円に、最高額を一万一千二百円から一万一千五百円に引き上げ、また、従事者が死亡もしくは負傷した場合の扶養親族に係る補償基礎額の加算額を配偶者については、五百円を五百三十三円に、また、配偶者がない場合の扶養親族については、三百三十三円を三百五十円に引き上げ、また、扶養加算の対象となる子及び孫等の適用範囲については、従来十八歳未満であったものを、十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日までに緩和するものであります。  そのほか、元号の改正に伴い、昭和を平成に改める必要のある部分について規定を整備するため御提案するものであります。  なお、この条例は公布の日から施行するものであります。  次に、議案第四十二号、千代田区と五城目町との姉妹提携について御説明を申し上げます。  本案は、千代田区と五城目町との間に、区民福祉の向上に資することを目的として姉妹提携関係を締結する必要があるため御提案するものであります。  自然環境豊かな五城目町との交流を図り、相互の住民の友情と信頼を基礎に、交流の促進と協力を通じて総合的な区民福祉の向上と個性豊かな活力あふれる地域社会の発展のための姉妹提携関係を締結するものであります。  次に、議案第四十三号、千代田区と五城目町との施設の相互利用について御説明を申し上げます。  本案は、千代田区と五城目町との姉妹提携関係を充実発展することにより、区民の福祉向上に資するため、住民施設の相互利用について五城目町と協議する必要があるため御提案するものであります。  地方自治法第二百四十四条の三第二項の規定に基づく五城目町との協議の内容について申し上げますと、相互利用の対象とする施設は、千代田区が、千代田荘、湯河原千代田荘、嬬恋自然休養村及び軽井沢少年自然の家、五城目町が、林業協業センター、休養センター及び開発センターとし、使用条件は、当該施設設置団体と同様とするものであります。  このほか、相互利用実施のための細目につきましては、千代田区長と五城目町長とが協議して定めるものであります。  以上四議案について御説明申し上げましたが御審議の上、原案どおり御議決賜るようお願い申し上げます。 60: ◯議長佐藤義明君) ただいまの議案中、議案第三十六号につきましては、地方公務員法第五条第二頃の規定により、あらかじめ人事委員会の意見を聴取しておきました。千葉事務局長をして朗読いたさせます。    〔千葉事務局長朗読〕  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  資料……元特人委任第106号 61: ◯三番(大宮正義君) ただいまの議案は、いずれも企画総務委員会に審査を付託されんことを望みます。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 62: ◯議長佐藤義明君) 大宮正義君の動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 63: ◯議長佐藤義明君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  日程第五ないし日程第八を一括議題に供します。千葉事務局長をして朗読いたさせます。  ──────────────────────────────────────  議案第三十八号 東京都千代田区老人福祉手当条例の一部を改正する条例  議案第三十九号 東京都千代田区心身障害者福祉手当条例の一部を改正する条例  議案第四十号 東京都千代田区難病患者福祉手当条例の一部を改正する条例  議案第四十一号 東京都千代田区児童育成手当条例の一部を改正する条例    〔千葉事務局長朗読〕  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  資料……議案第38号、39号、40号、41号 64: ◯議長佐藤義明君) 執行機関より提案理由の説明を求めます。    〔助役川又元彦君登壇〕 65: ◯助役(川又元彦君) 議案第三十八号から第四十一号まで一括して御説明を申し上げます。  この四議案は、いずれも社会経済事情の変化に伴い手当の月額を引き上げるほか、議案第四十号については、難病患者福祉制度の充実を図るため手当受給の対象を拡大するための疾病の名称の変更及び二疾病を新たに規定に追加するため御提案するものであります。  改正の内容について申し上げますと、初めに議案第三十八号、東京都千代田区老人福祉手当条例の一部を改正する条例は、手当の月額を本年十月分から、七十歳以上の場合は三万九千円を四万一千円に、六十歳以上七十歳末満で所得が基準額以下の場合は三万三千円を三万四千五百円に、また、所得が基準額を越える場合は、二万二千円を二万三千円に、さらに重度心身障害者手当受給者は二万二千円を二万三千円にそれぞれ引き上げるものであります。  次に、議案第三十九号、東京都千代田区心身障害者福祉手当条例の一部を改正する条例は、心身障害者の障害の程度に応じて定められている手当の月額を本年十月分から一万一千五百円を一万二千円に、六千五百円を七千円に引き上げるものであります。  次に、議案第四十号、東京都千代田区難病患者福祉手当条例の一部を改正する条例は、難病患者福祉手当の月額を本年十月から一万一千五百円を一万二千円に引き上げるとともに、受給対象疾病を拡大するため、「血友病」を他の類似性疾患を含む「先天性血液凝固因子欠乏症」に改め、新たに「好酸球増多症候群」を加えるとともに、平成二年一月一日からは、さらに「原発性胆汁性肝硬変」を受給対象疾病として加えるものであります。  次に、議案第四十一号東京都千代田区児童育成手当条例の一部を改正する条例は、児童育成手当の月額を本年十月から、育成手当は九千五百円を一万円に、また、障害者手当は一万一千五百円を一万二千円に引き上げるものであります。  以上、四議案について御説明申し上げましたが、御審議の上、原案どおり御議決賜るようお願い申し上げます。 66: ◯三番(大宮正義君) ただいまの議案は、いずれも福祉保健委員会に審査を付託されんことを望みます。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 67: ◯議長佐藤義明君) 大宮正義君の動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 68: ◯議長佐藤義明君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  日程第九を議題に供します。千葉事務局長をして朗読いたさせます。  ──────────────────────────────────────  議案第三十五号 平成元年度東京都千代田区一般会計補正予算第一号    〔千葉事務局長朗読〕  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  資料……議案第35号 69: ◯議長佐藤義明君) 執行機関より提案理由の説明を求めます。    〔助役川又元彦君登壇〕 70: ◯助役(川又元彦君) 議案第三十五号、平成元年度東京都千代田区一般会計補正予算第一号について御説明を申し上げます。  今回御提案いたしました予算額の内容につきましては、区長の招集あいさつの中で申し上げておりますので、補正額の概要についてここでは御説明を申し上げます。  まず、歳出といたしまして、総務費で、一千五百四十五万円、産業経済費で七百二十一万円、土木費で一千七百六十二万八千円、教育費で四千百二十五万六千円、諸支出金で五十億円をそれぞれ追加計上をいたしました。  これに対します歳入といたしまして、特別区税で八千百五十四万四千円、特別区交付金で五十億円をそれぞれ追加いたしました。  したがいまして、今回の補正予算の額は、歳入歳出とも五十億八千百五十四万四千円となり、本年度予算額の累計は三百五十七億二千四百六万六千円となりました。  何とぞ御審議の上、原案どおり御議決賜りますようお願い申し上げます。 71: ◯三番(大宮正義君) ただいまの議案は、十八名をもって構成する予算特別委員会を設置し、審査を付託されんことを望みます。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 72: ◯議長佐藤義明君) 大宮正義君の動議に御異議ありませんか。
       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 73: ◯議長佐藤義明君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  お諮りいたします。予算特別委員会委員の選任につきましては、委員会条例第五条の規定によりまして、        一  番  石渡しんこう君        三  番  大宮 正義君        四  番  城井 健介君        五  番  紙谷  武君        六  番  山名  勇君        七  番  山田ゆうじろう君        九  番  川島ひろゆき君        十四 番  山田こうぜん君        十六 番  橋口  太君        十七 番  竹田 靖子君        二十一番  中村 かく君        二十二番  西角 清忠君        二十四番  鎌倉つとむ君        二十七番  福山 和夫君        三十 番  吉野  大君        三十一番  桜井きよし君        三十三番  小林  昇君        三十六番  鈴木 栄一君  以上十八名を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 74: ◯議長佐藤義明君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま御指名申し上げました十八名の方を予算特別委員会委員に選任し、審査を付託することに決定いたしました。  議事の都合により暫時休憩いたします。    午後六時三十二分休憩    午後六時三十九分開議 75: ◯議長佐藤義明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  ただいまの休憩中に開会されました予算特別委員会で正副委員長が互選されましたので、その結果を報告いたします。    予算特別委員会      委員長     吉野  大君      副委員長    中村 かく君      副委員長    城井 健介君 がそれぞれ選任されました。  日程第十を議題に供します。千葉事務局長をして朗読いたさせます。  ──────────────────────────────────────  陳情第1-17号 消費税廃止に関する陳情    〔千葉事務局長朗読〕  ────────────────────────────────────── 76: ◯議長佐藤義明君) お諮りいたします。陳情第1-17号につきましては、消費税対策特別委員会に審査を付託いたしたと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 77: ◯議長佐藤義明君) 御異議なしと認めます。よって、陳情第1-17号につきましては、消費税対策特別委員会に審査を付託することに決定いたしました。  日程第十一を議題に供します。千葉事務局長をして朗読いたせます。  ──────────────────────────────────────  陳情第1-13号 神田地区東北新幹線高架下問題に関する陳情    〔千葉事務局長朗読〕  ────────────────────────────────────── 78: ◯議長佐藤義明君) お諮りいたします。陳情第1-13号につきましては、東北新幹線対策特別委員会に審査を付託いたしたと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 79: ◯議長佐藤義明君) 御異議なしと認めます。よって、陳情第1-13号につきましては、東北新幹線対策特別委員会に審査を付託することに決定いたしました。  次に、本日までに受理いたしました請願四件、陳情五件につきましては、お手元に配布の請願・陳情付託一覧表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に審査を付託いたしましたから、報告いたします。  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  資料……請願・陳情付託一覧表 80: ◯議長佐藤義明君) 以上をもって本日の日程全部を議了いたしました。  お諮りいたします。明日から議事の都合により休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 81: ◯議長佐藤義明君) 御異議なしと認めます。よって、明日から休会することに決定いたしました。  継続会開会日時は改めて御通知申し上げます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後六時四十二分散会      会議録署名員        議 長  佐 藤 義 明        議 員  吉 野   大        議 員  桜 井 きよし 発言が指定されていません。 Copyright © Chiyoda City, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...