上越市議会 > 1997-03-04 >
03月04日-01号

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  1. 上越市議会 1997-03-04
    03月04日-01号


    取得元: 上越市議会公式サイト
    最終取得日: 2022-12-25
    平成 9年  第2回(3月)定例会        平成9年第2回上越市議会定例会会議録(1日目)                                   平成9年3月4日(火曜日)出 席 議 員    1番   杉  本  敏  宏  君        2番  大  島  武  雄  君    3番   山  岸  行  則  君        4番  吉  村  信  幸  君    5番   渡  辺  明  美  君        6番  近  藤  彰  治  君    7番   市  村  孝  一  君        8番  藤  塚  和  生  君    9番   永  島  義  雄  君       10番  小  林  林  一  君   11番   樋  口  良  子  君       12番  牧野島      清  君   13番   宮  沢  武  男  君       14番  小  林  克  美  君   15番   坪  井  正  澄  君       16番  鳴  海  寿  一  君   17番   石  平  春  彦  君       18番  西  沢  幹  郎  君   19番   早  津  輝  雄  君       20番  船  崎  信  夫  君   21番   関  原  忠  良  君       22番  星  野     実  君   23番   田  村  恒  夫  君       24番  新  保  清  司  君   25番   本  城  文  夫  君       26番  山  田   力之助  君   27番   山  口     昇  君       28番  小  林  章  吾  君   29番   渡  辺   一太郎  君       30番  市  川  文  一  君説明のため出席した者 市    長  宮  越     馨  君 助    役  山  口  弘  司  君    助    役  藤  原   満喜子  君 収入役     松  苗  正  彦  君    教育長     斉  藤     弘  君 総務部長    川  合  恒  夫  君    財務部長    飯  塚   美喜雄  君 企画政策部長  横  田  直  幸  君    福祉環境部長  金  津  光  雄  君 農林水産部長  伊  藤   三津雄  君    商工観光部長  下  村     紘  君 建設部長    永  井  紘  一  君    都市整備部長  滝  澤   彌一郎  君 ガス水道局長  滝  沢  和  夫  君    教育次長    田  畑  耕  一  君 総務部次長   月  岡     勲  君 教育委員会         高  橋  孫左エ門  君 委員長 代表監査委員  田  中     厚  君 監査委員    藤  本  政  一  君職務のため出席した事務局職員 事務局長    伊  藤     保  君    参    事  白  石  行  雄  君 議事係長    渡  辺     豊  君    主    事  高  原   るみ子  君 主   事   川  瀬   ゆかり  君議 事 日 程 第1 会議録署名議員の指名 第2 会期の決定 第3 議案第1号より第50号及び報告第1号より第4号本日の会議に付した事件 第1 会議録署名議員の指名 第2 会期の決定 第3 議案第 1号 平成9年度上越市一般会計予算    議案第 2号 平成9年度上越市国民健康保険特別会計予算    議案第 3号 平成9年度上越市診療所特別会計予算    議案第 4号 平成9年度上越市索道事業特別会計予算    議案第 5号 平成9年度上越市下水道事業特別会計予算    議案第 6号 平成9年度上越市老人保健特別会計予算    議案第 7号 平成9年度上越市直江津駅南地区土地区画整理事業特別会計予算    議案第 8号 平成9年度上越市農業集落排水事業特別会計予算    議案第 9号 平成9年度上越市ガス事業会計予算    議案第10号 平成9年度上越市水道事業会計予算    議案第11号 平成8年度上越市一般会計補正予算(第6号)    議案第12号 平成8年度上越市下水道事業特別会計補正予算(第5号)    議案第13号 平成8年度上越市直江津駅南地区土地区画整理事業特別会計補正予算(第2号)    議案第14号 平成8年度上越市農業集落排水事業特別会計補正予算(第3号)    議案第15号 平成8年度上越市ガス事業会計補正予算(第2号)    議案第16号 平成8年度上越市水道事業会計補正予算(第2号)    議案第17号 人権を尊び部落差別などあらゆる差別をなくし明るい上越市を築く条例の制定に           ついて    議案第18号 上越市部制条例の一部改正について    議案第19号 議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例等の一部改正につ           いて    議案第20号 議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例の一部改正について    議案第21号 上越市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正           について    議案第22号 特別職の職員の給与に関する条例の一部改正について    議案第23号 教育長の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例の一部改正について    議案第24号 職員の旅費に関する条例の一部改正について    議案第25号 上越社会文化施設運営基金条例の一部改正について    議案第26号 上越市市税条例及び上越市都市計画税条例の一部改正について    議案第27号 上越市立幼稚園条例の一部改正について    議案第28号 上越市奨学基金条例の一部改正について    議案第29号 上越市白山会館条例の一部改正について    議案第30号 日本スキー発祥記念資料館条例の一部改正について    議案第31号 旧師団長官舎条例の一部改正について    議案第32号 上越市こどもの家条例の一部改正について    議案第33号 上越市高齢者住宅整備資金貸付条例及び上越市障害者住宅整備資金貸付条例の一           部改正について    議案第34号 上越市インドアゲートボール場条例の一部改正について    議案第35号 上越市妊産婦及び乳幼児の医療費助成に関する条例の一部改正について    議案第36号 上越休日急患診療所条例の一部改正について    議案第37号 上越市下水道条例の一部改正について    議案第38号 上越市農業集落排水条例の一部改正について    議案第39号 上越市ガス供給条例の一部改正について    議案第40号 上越市水道事業給水条例の一部改正について    議案第41号 上越市簡易水道事業給水条例の一部改正について    議案第42号 上越市農村公園条例の一部改正について    議案第43号 上越市働く婦人の家条例の一部改正について    議案第44号 上越観光物産センター条例の一部改正について    議案第45号 上越市住宅新築資金等貸付条例の廃止について    議案第46号 上越市都市公園条例の一部改正について    議案第47号 上越市消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の一部改正について    議案第48号 新潟県消防団員等公償組合規約の変更について    議案第49号 財産の取得について    議案第50号 工事請負契約の締結について(多機能型拠点施設新築工事)    報告第 1号 専決処分した事件の承認について(平成8年度上越市一般会計補正予算(専第1           号))    報告第 2号 専決処分した事件の承認について(平成8年度上越市一般会計補正予算(専第2           号))    報告第 3号 専決処分した事件の承認について(平成8年度上越市農業集落排水事業特別会計           補正予算(専第1号))    報告第 4号 専決処分した事件の承認について(損害賠償の額の決定について)          午前10時0分 開会及び開議 ○議長(市川文一君) これより平成9年第2回上越市議会定例会を開会いたします。 各位には御多忙の折、御参集いただき深く感謝いたします。 これより本日の会議を開きます。 △日程第1 会議録署名議員の指名 ○議長(市川文一君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。 本日の会議録署名議員は、会議規則第81条の規定により、議長において杉本敏宏君及び坪井正澄君を指名いたします。 △日程第2 会期の決定 ○議長(市川文一君) 日程第2、会期の決定を議題といたします。 お諮りいたします。 今期定例会の会期は、本日から3月21日までの18日間といたしたいと思います。 これに御異議ありませんか。          〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(市川文一君) 御異議なしと認めます。 よって、会期は18日間と決定いたしました。 △日程第3 議案第1号より第50号及び報告第1号より第4号 ○議長(市川文一君) 日程第3、議案第1号より第50号及び報告第1号より第4号を一括議題といたします。 提出者の説明を求めます。 宮越市長。          〔市 長 登 壇〕 ◎市長(宮越馨君) おはようございます。本日、ここに平成9年第2回市議会定例会を招集し、新年度予算を初めとする諸案件を御審議いただくに当たり、私の市政運営に臨む所信の一端と予算編成の基本的な考え方及び重点施策の方針などを明らかにし、議員各位の御理解と御協力をお願いいたしたいと存じますが、それに先立ち、まずロシア船籍タンカー「ナホトカ号」の沈没による重油流出事故災害について申し上げさせていただきます。 このことにつきましては、既に先月の臨時会でも概要を御報告申し上げたところでありますが、それ以降も、町内会関係者を初めとする市民の皆さん、消防団や消防署など関係機関の皆さん、ボランティアの皆さん、そして友好姉妹都市の皆さんなど、大変多くの方々から回収作業に御協力をいただくとともに、各方面から回収用資機材や義援金など、心温まる御芳志をいただきました。また、県内外の子供たちからも義援金や励ましのお便りをたくさんお寄せいただきました。この場をおかりしまして重ねて深く感謝とお礼を申し上げます。 また、議会の皆さんにおかれましても、さきの臨時会において、今回の災害に関する意見書を採択され、早速関係方面へ要望活動等行われたことに対し、敬意をあらわす次第であります。 振り返って、今回の災害に伴う回収作業はまさに厳寒期におけるものであり、日々刻々変わる天候に一喜一憂させられております。去る2月11日に実施させていただいた「重油一掃、一斉クリーン作戦」にいたしましても、市民の皆さんを初め、ボランティアの皆さん、消防団等関係団体の皆さん、総勢4,100人余りにも及ぶ多くの方々の協力を得ながら、あいにくの強風と雨にたたられて、所期の目的を達成することができなかったことも御案内のとおりであります。 天気予報に細心の注意を払いながらの回収作業を土、日を中心として続けてまいりましたが、去る2月23日の「ふるい一斉クリーン作戦」は幸い天候にも恵まれ、予定どおり回収が進み、当面おおむねの回収作業を完了することができましたので、一つの区切りとさせていただいたところであります。しかし、石原や砂利原の回収困難箇所及び海水浴場等、砂の中に散在している重油の回収除去については、今後引き続き皆さんと協議しながら速やかに対応してまいりたいと考えておりますし、春先の連休前後には海岸清掃とあわせた大がかりなクリーン作戦を計画しているところであります。 なお、重油回収に御協力いただいた故坂詰一春さんに対し、国、県とともに、市としても、私が「災害時における社会奉仕活動従事者に対する褒賞」として、表彰状とお見舞いをお届けしてまいりましたことを御報告させていただきます。 このたびの事故は、漁業、観光資源等に多大な被害を与えており、経済活動や自然環境にも深刻な影響を及ぼしており、このようなことから、市民、地域住民の生活の安定と自然環境保全のためにも、このたびの事故が速やかに災害として取り扱われ、被害に対して完全な補償がなされるよう、また原因者、当事国に対しても毅然とした姿勢で臨まれるよう、市の立場で、さらには関係自治体とも連携しながら事故災害発生以来、国、県に強く訴え、要望してまいりましたし、今後とも要請し続けてまいりたいと考えております。 このような事故が二度と再び起こらないことを願うとともに、このたびの災害の一日も早い終結宣言ができるよう、議員各位並びに市民の皆さんの御理解と御支援、御協力をお願い申し上げ、重油流出災害の概要報告とさせていただきます。 さて、まことに早いもので、私が市長に就任させていただいてから既に3年余りが経過いたしました。振り返ってみればこの間、「1年1期」という日々新たな気持ちで全力投球を続けてまいりましたが、景気の低迷が長期化する厳しい経済環境の中で、高齢化の進行や産業構造の変化など、社会の大きな変革に常に的確な対応を求められてきたのであります。幸いにして私は、皆様の深い御理解と温かい御協力をいただきながら、さまざまな施策を適切に講じてきたところであり、特に開かれた対話の市政を推進する中で、公約のほぼすべてを実施または着手あるいは検討に入ることができ、加えて数多くの新規事業を積極的に展開することができました。ここに改めて感謝申し上げたいと存じます。 平成9年度予算におきましても、後で詳しく申し述べますが、これまでの施策をさらに充実させるとともに、福祉対策を初めとして、それぞれの分野に数多くの新規施策を盛り込み、私が政策の基本に掲げている「のびやかな産業・文化・生活快適都市」を目指して、引き続き精いっぱい努力してまいりたいと考えております。 当地方の長年の悲願であった北陸新幹線は、これまでの精力的な運動が実を結び、ついに「長野・上越間フル規格着工」が決定し、また北越北線の開業や上信越自動車道建設の着実な推進、さらには直江津港の急速な伸展など、数々のビッグプロジェクトが進行する中で、上越市は今まさに“飛躍の時代”を迎えようとしております。そして、上越市が持つこれらの好条件を最大限に生かしつつ、まちづくりのグランドデザインである「のびやかJプラン」を市民の皆さんの参加をいただきながら策定し、またプランの前期10年間の推進役を担う「上越市第4次総合計画」を策定したところであります。しかし、地方分権という時代の大きなうねりの中、国際化や情報化、そして高齢化や少子化など私たちを取り巻く環境がさらに大きく変化し、そのスピードもますます加速していくことが予想され、持続的発展可能なまちづくりを目指して市政運営の確かなかじ取りをしていかなければならないという、私に課せられた使命の重さを考えるとき、改めて身の引き締まる思いがいたします。 平成9年度予算も、このような決意のもとで編成を行ったところでありますが、まず予算編成の背景となった経済情勢等について触れますと、政府が発表した「平成9年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」によれば、我が国経済は回復の動きを続けており、そのテンポは緩やかであるものの、民間需要は堅調さを増していることから、民間需要中心の自律的景気回復への基盤が整いつつある。ただし、雇用情勢については、改善しつつあるもののなお厳しい状況が続いているとし、国内総生産(GDP)の実質成長率を平成8年度は2.5%程度、平成9年度は1.9%程度と見込んだのであります。 こうした経済見通しのもとで編成された平成9年度国家予算は、消費税率の改定や特別減税打ち切りなどにより租税収入が12.6%増加するものの、引き続き7兆4,700億円もの膨大な赤字国債を発行せざるを得ない状況となっており、財政構造改革を最優先の課題として歳出の圧縮に努めながら、政策的経費である一般歳出では平成に入ってから最も低い1.5%増と、緊縮型で編成されたのであります。 また、地方財政計画もおおむね国と同一の基調で策定され、歳入歳出規模は2.1%増、うち投資的経費は伸び率ゼロと、抑制された内容となっているのであります。 当市の平成9年度予算も、同様に極めて厳しい財政環境のもとでの編成となりましたが、市政全般にわたる総点検・総見直しを進め、これまで以上に工夫を凝らしながら、限られた財源を、今まさに必要とされている行政分野に重点的かつ効果的に配分した結果、福祉を初めとしてそれぞれの分野において内容の充実した予算を編成し得たものと確信いたしております。 平成9年度予算編成に当たっての私の基本的な考え方について申し述べますと、まず第1点目は福祉充実型予算、すなわち市民・生活者の立場に立った福祉の充実に重点を置いて編成いたしました。 改めて申し上げるまでもなく、福祉の充実は私が常に最優先に取り組んでいる行政課題であります。詳しい内容等については後ほど申し述べますが、新年度においても訪問入浴サービスやショートステイ、幼児の入院医療費に対する助成制度の拡充など、これまでの施策を発展充実させるとともに、デイサービスセンターの新設や介護者用自動車改造に対する助成あるいは乳幼児健康支援デイサービスの開始など、数多くの新規施策を盛り込んだところであります。 第2点目は高速道路網や直江津港など、流通基盤の整備状況を視野に入れながら、地域産業の振興に力点を置きました。 新年度では、平成8年度の検討結果を踏まえて産業振興基本計画を策定するとともに、企業団地基本計画の策定や流通業務団地の準備を進めてまいります。また、ベンチャー企業の支援・育成や上越市版マイスター制度の創設など新たな観点に立った産業振興策も盛り込んだところであります。 そして、これらの施策を総合的、体系的、効果的に推進するため、物流政策担当のセクションを新設するなど組織を通商産業部として改編することとし、執行体制の強化充実を図りました。 第3点は、教育の充実と文化の振興に重点を置いたということであります。 上越市のあすを担う子供たちがよりよい環境の中で学び、遊び、育つことができるように努めることは私たちの責務であります。新年度では、直江津中学校体育館建設など施設の整備を進めるとともに、教育相談等の充実を図り、また学校内における教育活動では得がたい“ゆとり”を体験する「上越子どもの船」は新たに九州コースを加えて実施したいと考えております。 また、文化振興の面では、文化政策課を新設し、文化振興行政を総合的に推進することといたしましたが、この中で小林古径邸復元に向けての取り組みも図ってまいりたいと考えております。 第4点目は生活快適都市の実現に向けて、より一層社会基盤の整備促進に努めてまいります。 特に生活環境の向上に直結する下水道整備においては、公共下水道の建設に前年度当初比4.7%増、農業集落排水事業には61.4%増と大幅増の予算づけを行い、整備の推進を図っておりますが、こうした中で三郷・三郷西部地区の排水施設が待望の供用開始を迎えることとなりました。 これらの結果、平成9年度の建設事業費は、一般会計、下水道事業会計など合わせて前年度より8.5%増の約191億4,700万円となり、国の公共事業費伸び率1.3%及び地方財政計画の投資的経費伸び率0.0%を大きく上回るものとなっております。 第5点目は地方分権の確立、そして行財政改革の推進と健全財政への配慮についてであります。 地方分権の流れの中で、まず新潟県から市町村に対して権限の一部移譲が、この4月から実施されることになりました。みずからが必要とする施策については、みずからの能力と責任において実行するという、すなわち責任行政の確立に対する自覚を新たにしながら、その担い手となる職員の企画政策能力や問題処理能力の向上を図るため、各種研修の充実などに意を用いたところであります。 そして、この地方分権を着実に実現していくためには、常に市政の総点検・総見直しを行い、安定した財政の確立を図っていくことが不可欠であります。 先ほど申し述べましたとおり、財政環境は大変厳しい状況にありますが、本格的な高齢化社会の到来を迎え、福祉の充実や社会資本の整備など、行政需要は増大の一途をたどっております。 しかしながら、私はこのようなときにこそ財政節度の堅持が何よりも重要であり、その中で時代の要請に的確にこたえた予算とするよう努めなければならないと考えております。したがいまして、この基本的な考え方に立って、新年度予算におきましても限られた財源の中で主要事業のシェア配分見直しも図りながら、より一層重点的かつ効果的な予算配分に努めたところであります。 なお、上水道整備事業に対するルール繰り出しの増加などに伴い、いわゆる通常分の市債は前年度より増加することになりましたが、計画的な繰上償還を行うなど、市債残高の抑制にも引き続き配慮したところであります。 以上申し述べました基本的な考え方に立って平成9年度予算の編成を進めた結果、一般会計歳入歳出予算は481億8,587万円となり、平成8年度当初に比べ3億2,819万円、0.7%の増加となりました。 また、特別会計の予算は、合わせて442億1,393万円、9.5%増で、一般会計と特別会計の総額では4.7%増の923億9,981万円となりました。 平成9年度予算においては、財源の極めて厳しい中、市民福祉の充実など、今まさに必要とされている施策の財源に充てるため、また固定資産税の還付などやむを得ない支出要因もあり、財政調整基金から7億円の繰り入れを計上いたしましたが、今後の財政運営に当たって新たなる緊張感を持って対処していきたいと考えております。なお、平成8年度につきましては、これまでの財政運営の中で、幸いにして当初予定した5億円の繰り入れを行わなくても済む見通しとなりましたことを申し添えさせていただきます。 続いて、新年度の重点施策並びに新規事業の主なものについて御説明いたします。 まず最初に、「グリーンアメニティ30万人都市機能づくり」についてであります。 今上越市では、これからの限りない発展を約束する大規模プロジェクトが着々と進展しております。高速交通網では、待望久しい北陸新幹線、長野-上越間の「フル規格着工」がついに決定したところであり、鋭意建設を進めてきた北越北線は、「ほくほく線」として間もなく開業の運びとなり、上信越自動車道も平成11年度の全線開通を目指して建設が進められております。 また、年間貨物取り扱い量が1,000万トンを突破するなど飛躍を続ける直江津港は、昨年8月、21世紀を展望する新たな「直江津港港湾計画」が承認され、70ヘクタールに及ぶ大型公共埠頭やLNG火力発電所の立地などを中心として日本海ゲートウエーにふさわしい港づくりがいよいよ本格的に始まることとなりました。 さらに、かねてから県へ要望しておりましたドーム型の全天候多目的スポーツ施設も、先般その整備が決定されたところであります。 このような中、30万人都市機能の整備を見据えたまちづくりの指針となる「のびやかJプラン」を策定いたしましたが、新年度では引き続き市民の参加を得ながらプラン実現の新たなステップとなる仕組みづくりを進めてまいります。すなわち、まちづくりリーダーの養成や仲間づくりを促進するため「まちづくり市民大学」を設置するほか、戦略プロジェクトの構築などシンクタンク機能を担う「まちづくり懇談会」を設置し、さらに計画策定や事業実施段階において専門家から具体的なアドバイスを得る「まちづくりコーディネート事業」も進めてまいりたいと考えております。 「みどりの生活快適都市・上越」を着実に実現していくため、平成8年度は省エネ・リサイクル型都市基本構想の策定に取り組んでおりますが、新年度では引き続き事業化に向けた実施プログラムを策定するほか、市民が森林を守りながら、森林浴や林間スポーツなど健康とゆとりのライフスタイルを創出する「市民の森」整備構想も策定したいと考えております。また、自然環境を生かした体験と遊びの場を提供する「子どもの国整備事業」は、8年度に策定する基本構想に基づいて実施設計を行います。さらに、美しいまちづくり環境モニター事業や、商店等の協力を得ながらリサイクル推進店制度にも新たに取り組みたいと存じます。 道路や下水道を初めとする都市基盤の整備も引き続き力いっぱい進めてまいります。 特に下水道整備は、これまでも最重点施策として取り組んでまいりましたが、公共下水道の建設に8年度当初より4.7%増68億5,253万円を、また農業集落排水事業には9地区分、61.4%増の33億5,027万円、合わせて18.3%増の102億円余りを計上して、さらに整備推進を図ります。この結果、公共下水道では3.3%の普及率アップを図り、平成9年度末における普及率は23.1%に達する見込みとなりました。また、農業集落排水は、新たに津有中部地区と高士西部四辻地区で着工するとともに、金谷地区と有田地区の計画作成を行います。 道路整備の面では、道路・橋梁及び都市計画街路の新設改良等に、市内で行われる県の道路整備に対する負担金も含めて、合わせて32億9,000万円余りを計上いたしました。これは、8年度当初に比べ8.7%増、一般会計普通建設事業費の約4割近い規模であり、この中で道路網の整備を推進してまいりたいと考えております。なお、平成8年4月1日現在の道路整備率等は、改良率が県内20市中第3位の72.1%、舗装率が第6位の86.1%、そして幅員5.5メートル以上の市道整備率は第2位の35.0%と良好な水準となっていることなどから、事業全体のシェア配分の見直しを図る中で土木課所管の道路整備費を若干抑制いたしましたが、これにより生じた財源は福祉施策の充実などに振り向けたところであります。 また、冬期間における交通確保と歩行者の安全確保を図るため、歩道用ロータリ除雪車などを増強するほか、現在市と県がそれぞれ別々に管理している消雪パイプについて、管理を一元化し、路面状況に応じたきめ細かな対応を図るため、県と共同で集中管理システムを構築することといたしました。 まちの玄関であり、顔でもある駅及びその周辺の整備についてでありますが、高田駅周辺整備では、いよいよ駅前広場の築造に着手いたします。また、駅前通りに城下町高田のシンボルである「雁木」の整備を目指して基本設計等を行うことといたしました。 一方、直江津駅では、海と港をテーマとし、客船“飛鳥”をイメージした橋上駅舎の建設と自由通路の建設工事に本格的に着手し、周辺街路とともにその整備を推進してまいります。 商店街を初め既成市街地の活性化などのため、多くの皆さんの御意見をお聞きしながら準備を進めてまいりました多機能型拠点施設の建設工事も本格的に始めます。南出張所を初めFM放送局や市民サロン、公園や地下駐車場など多様な機能を併設した施設であり、市民交流の核施設としてもその完成が待たれるところであります。 本町6丁目・7丁目地区の整備につきましては、よりよいまちづくりに向けて地元の皆さんと研究を重ねているところであります。新年度も引き続き研究・検討を進めるとともに基本構想策定に取り組みたいと考えております。 景観への配慮は、特にこれからのまちづくりを進める上で必要不可欠の要素であります。緑豊かで良質な生活空間の創出と、自然景観や歴史景観を生かしたまちづくりを進める指針として新たに緑の基本計画策定に取り組むほか、都市景観形成基本計画の策定を進めてまいります。また、中屋敷藤野新田線(愛称・謙信公大通り)にダブルグリーンを形成するため観光物産センター前の植栽を行うほか、公共施設への案内標識などについて表示方法等の調査・研究と整備計画策定に取り組みたいと考えております。 次に、「豊かさを実感できる地域産業づくり」についてであります。 新食糧法が施行されてから1年余りが経過いたしました。先ごろ発表された平成8年産の全国のコメ食味ランキングで、上越産のコシヒカリが最上級の特Aにランクされ、またかねてから国などに要望してきた「ODAを活用したコメの海外援助」が決定するなど明るい兆しはあるものの、政府米が適正在庫の2倍の300万トンに達するなど、全体としては多くの課題が残されております。 このような情勢の中、生産性の高い農業を確立し、より品質の高い米の生産を図るため、基盤整備や土づくりを推進するとともに農業担い手に対する支援や農産物の販路開拓など、各種施策を総合的に実施いたします。 新年度では、大区画ほ場整備や農道整備などに負担金・補助金合わせて3億6,000万円余りを計上し、生産基盤の整備促進を図るほか、堆肥散布機及び米粒判別機などの導入に対して助成するなど、上越米のより一層の品質向上に対する取り組みを支援してまいります。また、上越農協との連携により生産調整と経営安定の両立を図る担い手農家の活動を支援する「認定農業者モデル活動支援事業」を新たに実施するほか、「新規就農支援特別対策事業」や「ニューファーマー確保推進事業」など後継者の育成対策にも取り組んでまいります。 園芸振興の面では、「園芸・特産品振興5カ年計画」に沿って、産地形成を図るために新規参入や規模拡大に対する支援を行い、また人材育成を図るためのアドバイザーの設置や園芸農家と地元消費者による連携取り組みへの支援、さらには流通活性化を図るための学校給食連携調査を実施するなど、総合的な施策を段階的に進めてまいります。 活力ある農村づくりを目指して西部中山間地域で進めている「食と健康のむらづくり」リフレッシュビレッジ事業では、桑取地区のセンター施設の建設に着手いたします。 また、新田園集落「アーバンビレッジ事業」は横曽根、小猿屋地区の実施計画の策定を行うほか、農業に関するビジネスや試験機関等の集積を図り、食糧の中核基地整備を目指した農業ビジネス拠点構想(アグリプレックス構想)の策定を行い、農村地域の新たな振興を図りたいと考えております。 景気は緩やかな回復基調にあると言われているものの、その足取りは鈍く、個人消費も低迷状況が続いているなど、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。当市においても、既存商店街では郊外型大型店の進出などにより売り上げ減少の影響を受けており、また製造業の生産縮小や廃業も少なからず生じているなど、地元商工業は極めて厳しい状況にあると認識しております。 このため私は、景気対策特別資金の期限延長や利率引き下げなど、貸付条件の緩和措置を講じつつ、総額144億6,000万円余りに上る市制度資金の融資枠を確保したほか、商店街が行うイベント等に対して引き続き助成するとともに、新たにポイントカードシステムの設置にも助成することといたしました。 また、8年度の検討結果を踏まえて産業振興基本計画を策定するとともに、伝統技術等の伝承や後継者の育成を図る、いわゆる上越市版マイスター制度の創設やベンチャー企業に対する助成措置も講じたところであります。 企業団地等の整備については、下五貫野企業団地が好評のうちに完売となり、西田中企業団地は昨年12月から分譲を開始いたしました。新年度では新たな団地整備に向けて基本計画を策定するととに、流通業務団地造成に向けて測量等を行うこととしております。 世界各地から熱い注目を集める図們江流域との経済交流促進を図るためには、直江津・ザルビノ間の航路実現が欠くことのできない条件であります。このため、昨年の現地訪問の成果などを踏まえて、航路開設の可能性や貨物輸送試験船運航の方策等について調査・検討を行いたいと考えております。 そして、これら商工業振興政策及び物流政策を総合的、体系的に進めるため、先ほども申し上げましたとおり、通商産業部として組織を改編し、執行体制の強化・充実を図ったところであります。 次に、「心のふれあいと民生安定をめざした地域社会づくり」についてであります。 少子化及び高齢化がますます進行する中で、すべての市民が地域社会において、家族との触れ合いを大切にしながら安心して暮らすことができるようにするためには、福祉行政は質的にも量的にもさらに充実させなければならない分野であります。 当市においても、高齢化率が平成8年4月現在で17.3%と年々上昇しており、特に高齢者の介護問題は老後生活における最大の不安要因となっております。万一、介護が必要な状態になった場合でも、尊厳をもって過ごすことができるような介護施策を展開することが、今日の行政に求められている大きな課題であります。 このため、私は「上越市社会福祉計画」に基づいて、これまでも精力的に施設整備を推進してきたところでありますが、このような中で寝たきり老人や痴呆性老人の介護対策として取り組んできた老人保健施設「高田の郷」が今春開所の運びとなりました。さらに、新年度では在宅介護支援センターが新たに3カ所オープンし、合わせて6カ所となり、訪問看護ステーションも1カ所ふえて5カ所でサービスを行うほか、有田地区にデイサービスセンターを建設することといたしました。 なお、参考までに申し上げますと、これらの整備推進に伴って社会福祉計画の達成率は、特別養護老人ホームが279床で目標の97%に、老人保健施設は208床で95%に、デイサービスセンター及びケアハウスはそれぞれ80%以上に達することとなり、在宅介護支援センターは目標の4カ所を上回る6カ所となります。 また、ホームヘルプサービスでは早朝・夜間サービスの拡充や土曜・日曜サービスの推進を図るほか、好評の訪問入浴サービスでは延べ4,000人、ショートステイでは延べ1万3,355人と枠を拡大してサービスの充実に努めてまいります。 さらに、車いす等を利用している障害者や高齢者の外出を容易にするため、介護者の自動車改造等に対して助成制度を創設するほか、在宅障害者の福祉サービス利用援助や介護相談等を行う障害者生活支援事業にも新たに取り組んでまいります。 児童を取り巻く環境は、保護者の就労形態の多様化や核家族化の進行等に伴い大きく変化してきております。このような社会状況の中で、次代を担う子供たちが健やかに成長していくことができるよう支援することは、特に少子化傾向が定着した今日、他に優先して取り組まなければならない課題の一つであります。 このため、乳児保育や延長保育等の取り組みを推進するとともに、若いお母さん方から好評の地域子育て支援事業は、新たにやちほ保育園を加えて5カ所で実施するほか、放課後児童対策事業も新たに東本町小学校を加えて5カ所で実施することといたしました。 また、病気回復期にあって登園できない児童を一時的に保育する乳幼児健康支援デイサービス事業を他に先駆けて実施し、保護者が安心して就労できるよう支援してまいります。 なお、ほたる保育園が園舎の改築を計画しておりますので、債務負担行為を設定して建設費に対する助成を行うことといたしました。 改めて申し上げるまでもなく、健康は私たちにとってかけがえのない財産であります。1人1人の健康のレベルアップを図り、市民が安心して暮らせる地域づくりを目指して精力的に進めてきた健康回復5カ年計画推進事業も3年目を迎えます。新年度ではこれまでの各種調査結果をもとに、食生活や日常生活習慣の改善について、住民と一体となり活動を進めてまいります。 また、昨年4月から開始した1・2歳児の入院医療費助成は、対象年齢を6歳就学前まで拡大し、保護者の負担軽減と子育て支援を図るほか、学童に対する風疹の予防接種を集団接種から個別接種に切りかえ、より一層きめ細かな対応を図ってまいります。 休日等における救急医療体制につきましては、医師会を初め関係者の御協力をいただきながら、充実を図ってきたところであります。昨年9月から輪番病院が6病院体制に増強されたのに引き続き、新年度では休日休患診療所の開設日をこれまでの日曜、祝日等に加えて土曜日も午後4時から9時まで開設し、内科及び小児科の診療を行うことといたしました。 急テンポで変化を続ける現代社会の中で、さまざまな課題を解決していくためには、女性と男性が家庭や社会のあらゆる分野で平等に参画し、ともに社会の発展を支える男女共同参画の意識づくりやシステムづくりが必要となっております。このため、新年度では「女性大学院」を開校するほか、女性問題啓発情報誌の発行など、女性の自立と人材育成をさらに進めたいと考えております。 防災対策につきましても、引き続き万全を期してまいります。年次計画で取り組んでまいりました防災計画の見直しや災害救助物資の備蓄、同報無線の整備などを推進するとともに、災害対応の最前線に立っておられる消防団員の待遇改善を図ったところであります。 次に、「のびやかな感性を持った人づくり」についてであります。 30年後を見据えた「のびやかJプラン」を推進していく上で、将来の上越市を担う子供たちの教育環境の整備は極めて重要な施策の一つであります。 学校教育では、子供たちが安心して、楽しく通うことができる学校づくりを目指し、いじめや不登校などの問題に総合的に対処するため、学校訪問カウンセラーを3名増員して11名にするとともに、新たに直江津地区に北教育相談所を開設して不登校児童・生徒への相談・指導体制を充実いたします。また、「上越市いじめをなくする会(仮称)」が伊藤準君を追悼して刊行する図書を購入し、関係機関及び関係者に配布する経費も予算化したところであります。 今年度から実施いたしました「上越子どもの船」事業は、参加校をふやし、新たに九州コースを加えるなど、“ゆとり”を体験する中で伸びやかな感性を育んでいきたいと考えております。また、新たに「わたしたちの川・海ふれあい体験活動」を展開し、環境を守り、郷土を愛する心の育成にも努めたいと存じます。 さらに、読書を通して情緒豊かな子供たちの育成を図るため、新たに毎月第4土曜日を「上越こども読書の日」と定め、図書館、子どもの家及び子ども文庫が連携をとりながら、地域ぐるみで子供たちの読書への関心を高める活動を展開するほか、中学校の学校図書館に司書を配置する経費も予算化いたしました。 学校施設整備では、2カ年計画で直江津中学校の体育館改築を行うことといたしましたが、改築に当たってはピロティを設け、雨天や冬期間の運動場等として幅広く活用できるよう機能の充実した施設にしたいと考えおります。また、年次計画で進めてきた直江津地区学校給食の自校調理方式への切りかえを5校で実施いたしますが、これにより平成10年度からは市内の全小・中学校が等しく自分の学校で調理されたおいしい給食を受けられることとなります。 本年10月、新潟県内6会場の一つとして、当市において全国生涯学習フェスティバルが開催されることになりました。多彩な学びの場を設定して、多くの市民の皆さんから企画の段階から参加していただき、生涯学習の楽しさや大切さを実感していただける機会を提供したいと考えております。 日本スキー発祥記念資料館は、今議会に名称変更などの条例改正を提案しているところですが、先日増築工事を完了し、「スキー発祥の地」にふさわしい施設として新装オープンいたしました。新年度には長野冬季オリンピックをも視野に入れ、さらに幅広い層の方々からおいでいただけるよう、引き続き展示内容の充実を図ってまいります。なお、展示内容等の大幅なグレードアップに伴い、このたび観覧料の改定をお願いしたところであります。 また、近代数寄屋づくりの傑作、小林古径画伯の旧宅は復元検討委員会からの御提言を踏まえ、市民の皆さんの御理解・御協力をいただきながら復元に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 平成6年度から年次計画で取り組んでいる市史編さん事業は、現在資料の収集や執筆、編成作業を進めておりますが、新年度には双書を発刊いたします。 今年度から2カ年計画で全天候型への改修に着手した陸上競技場は、サッカーなどにも利用できる多目的な競技場として生まれ変わります。新年度では、竣工記念事業として日本陸上界のトップ選手とサッカー・アルビレックス新潟の選手を招き、高度な技術を披露していただくとともに、市民ぐるみのイベントを開催したいと考えております。また、年々盛んになる「上越レガッタ」の開催にあわせ、大学生チームを招いてエキジビジョンレースも計画いたしました。 長野冬季オリンピックは、開幕まで1年足らずとなりました。これまでも「長野オリンピックアシスト委員会」を組織し、その成功に向けて支援を行ってまいりましたが、新年度はリージョンプラザ上越のアイスアリーナを練習会場として受け入れができるよう整備するのを初め、オリンピック会場での一本づえスキーのデモンストレーションや、聖火リレーの誘致を図る中でレルヒ祭を盛大に開催するなど市民ぐるみの支援体制を推進し、「日本スキー発祥の地」として当市を世界に向けてアピールしてまいりたいと存じます。 文化会館では、毎年数多くのすぐれた芸術鑑賞の機会を提供しておりますが、新年度では世界最高峰のソプラノ歌手「キャスリーン・バトル」の公演会を開催いたします。日本海側の都市では初めての公演であり、市民の皆さんに最高レベルの芸術を堪能していただけるものと考えております。 なお、先ほども申し上げましたが、これら文化に関する施策を総合的に推進するため文化政策課を創設することとしたところであり、今後とも文化振興に対する取り組みを積極的に進めてまいりたいと存じます。 次は、「歴史文化都市にふさわしい観光づくり」についてであります。 「謙信浪漫 越後・くびき野・庭園都市 上越」を基本コンセプトに、当市の観光戦略を再構築した第1次観光振興5カ年計画に基づき、新たな観光拠点の整備やイベントの充実、宣伝活動の強化などを進めてまいりました。 昨年の観桜会では、桜の植樹や駐車場の確保・整備などに努めた結果、目標の100万人を上回ることができました。新年度も引き続き1万本の桜が咲き誇るまちづくりを進めるとともに、全国における桜の名所の市町村が一堂に会して「さくらサミットin上越」を開催するなど、らんまんの春を一層にぎわいのあるものにしてまいりたいと存じます。 また、今日の高田の基盤を築いた松平忠輝公の遺徳をしのび、忠輝公ゆかりの地である伊勢市や高山市などから関係者を招いて交流事業を開催いたします。 金谷山公園は、「レルヒの杜」を基本コンセプトに、家族で憩うことのできる観光・レクリエーションゾーンとして整備を進めてまいりたいと考えております。新年度では、子供から大人まで人気の高いバイスクルモトクロス(BMX)のコースを建設することといたしましたが、これにあわせて平成10年度にはBMX全国大会の誘致も計画しているところであります。 また、親鸞聖人上陸の地を「聖人観光コース」の出発点にふさわしい施設とするため、引き続き展望台や駐車場などを整備するほか、なおえつ海水浴場及びたにはま海水浴場の公衆便所を水洗化するなど、施設の整備を進めてまいります。 さらに、これらの観光施設へより多くの誘客を図るため、大型観光案内板や誘導看板の設置、ミニ観光案内所の開設などを進めるとともに、各種メディアを通じた宣伝活動や観光物産展の開催など、県内外へのPRを強力に推進してまいります。 当市の観光を推進する母体として、このたび「上越観光コンベンション協会」が設立される運びとなりました。市としても協会の活動を積極的に支援し、力を合わせて観光イベントの開催や物産宣伝やコンベンションの誘致を図るなど、「600万人観光」の実現を目指してより一層の努力を続けてまいりたいと存じます。 そして最後に、「開かれた市政、開かれたまちづくり」であります。 改めて申し上げるまでもなく、「開かれた市政」は市民の視点で、市民とともに市政を進めるという私の基本的な姿勢であり、のびやかJトーク及びJウオークの開催など、昨年10月からスタートした情報公開条例、そしてこの3月1日から施行した行政手続条例の制定などはその実践の一例であります。 さらに、新年度には市民の目の高さで市政全般を評価する制度についての検討調査会を設けたいと考えております。 今春、地方外交の促進を目指した「ワールド・パートナーシップ・フォーラムじょうえつ」が開催されることになりました。このフォーラムは、約15カ国の在日大使夫妻を迎えて中央経済界の方々と討議を行うもので、当地域にとって初めての国際会議となるものであります。のびやかJプランの基本方向「外に向かうまちづくり」の一つであるコンベンション都市機能形成の契機になるとともに、国際化に対する意識啓発や経済面への波及効果も大きいものと期待しているところであります。 また、これまで積み上げてきた交流の成果を踏まえつつ、琿春市、浦項市及び丹東市とさらに交流を深めるとともに、リリエンフェルト市とは長野オリンピックへの一本づえスキーデモンストレーション参加の機会を通してより、より一層友好を深めてまいりたいと存じます。 国内における交流と情報の受発信基地である東京事務所は、中央官庁を初め首都圏の企業や当市出身者とのパイプ役などとして、活動の翼を着実に広げております。そして、さまざまな交流の広がりに伴い事務所が手狭になっておりましたが、幸いにしてこのたび若干広いスペースを確保することができましたので、機能の充実を図りながら、これまで以上に活用を図ってまいりたいと考えております。 「画一と集権」から「多様と分権」を目指した地方分権推進委員会の第1次勧告が、昨年12月、内閣総理大臣に提出されました。時代はまさに本格的な大改革・大競争の時代を迎えようとしており、従来の概念や習慣を根底から転換し、全く新しい発意・発想に基づいた効率的で積極的な、それでいて弱者に優しい市政運営が求められております。 時代のニーズにかなった行政組織の見直しや職員意識の改革を含め、自治体運営にしっかりとした経営感覚を持つことこそ、これからの厳しい都市間競争を勝ち抜く唯一の方法であります。これらは、言葉を変えて申し上げるならば、私が常々提唱している「変化・刷新」であり、「行政のイノベーション」であります。 いずれにいたしましても、上越市は現在、歴史の大きなうねりの中に置かれております。明治以来の政治や行政の仕組みを改革する「地方分権」を背景に、相次ぐ大型プロジェクトのメリットを最大限に生かしながら、上越市の将来をしっかりと見据えたまちづくりを進めていかなければならないと、覚悟を新たにしているところであります。 以上、平成9年度の予算編成に当たっての基本的な考え方及び主要事業について申し述べてまいりましたが、新年度も上越市の発展を確かなものとするため、私は全力を尽くして市政運営に当たる決意でおりますので、議員並びに市民の皆さんの一層の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。 議案第1号は、平成9年度上越市一般会計予算であります。まず、歳入についてその概要を御説明申し上げます。 歳入の根幹をなす市税につきましては、総額193億2,225万円を計上いたしました。これは、前年度当初比3.2%の増であります。 以下、税目ごとに概要を申し述べたいと存じますが、予算額等はそれぞれ現年課税分について申し上げます。 まず、個人市民税均等割は、8年度決算見込み及び過去の推移等を参考に納税義務者を前年度当初比0.7%増の4万8,950人と見込み、1億2,139万円を計上いたしました。 所得割につきましては、人事院勧告及び民間給与の妥結状況等を勘案し、所得の種類ごとに伸び率を推計した結果、所得の伸びを2.4%増と見込みましたが、平成6年度から行われてきた特別減税が取りやめになったほか、平成6年の税制改革に伴う減収補てんのため県民税の一部が市へ税源移譲される税制改正が見込まれることから、その影響額を調整した結果、前年度当初比では8.0%増、決算見込み比で11.0%増の60億8,225万円を計上いたしました。 次に、法人均等割は、平成8年12月末の登録法人数をもとにそれぞれの税率区分により積算し、前年度当初比2.9%増の4億2,362万円を計上いたしました。 法人税割では、景気回復の足取りは引き続き緩やかなものの堅調に推移しており、各種研究機関の予測を初め、市内の主要企業への景気予測調査及び法人の決算状況等により積算した結果、前年度当初比7.1%増の23億1,801万円を計上いたしました。 3年ごとの評価替えの年に当たる固定資産税は、総額80億4,410万円、前年度当初比2.1%の減であります。 土地については、負担水準の高い土地の税負担を抑制しつつ、負担水準の均衡化を図る税制改正が見込まれることから、その影響額等を積み上げて前年度当初比0.1%減の31億1,713万円を計上いたしました。 家屋は、今回初めて評価基準が引き下げられたため、在来分については減価になり、新築及び増築分の増加要因があるものの、全体では前年度当初比5.3%減の34億3,148万円を計上いたしました。 償却資産については、市内主要企業23社から設備投資の状況を調査するとともに、県内企業設備動向調査結果等を参考に、前年度当初比1.6%増の14億9,549万円を計上いたしました。 軽自動車税は、RV系車など軽四輪乗用車の新型車に人気が集まり、登録台数も増加傾向にあることから、前年度当初比4.6%増の1億9,339万円を計上いたしました。 市たばこ税は、全国的な嫌煙運動の高まりの中で、喫煙者率が低下していますが、個人市民税と同様に県たばこ税の一部が市へ税源移譲される見込みのため、前年度当初比22.6%増の8億8,479万円を計上いたしました。 都市計画税は、固定資産税の見込みに準じ前年度当初比2.2%減の9億7,354万円を計上いたしました。 その他の税につきましては、8年度決算見込額等を参考に計上いたしました。 なお、参考まで申し上げますと、県からの税源移譲は、市民税分で約8,100万円、たばこ税で約1億5,900万円、合わせて2億4,000万円程度になるものと試算しております。 地方譲与税は、前年度当初比39.7%減の6億7,930万円を計上いたしました。消費譲与税は、4月からの消費税率改正に合わせて廃止されますので、本年3月までの実績が交付される7月譲与分だけの計上としたほか、それ以外についてはそれぞれこれまでの推移や国が示した伸び率等を参考に積算いたしました。 利子割交付金は、前年度当初比8.1%増の2億5,700万円を計上いたしましたが、8年度決算見込額と国が示した伸び率を参考に積算したものであります。 地方消費税交付金は、4億5,200万円を計上いたしましたが、これは4月の地方消費税創設に伴い県から交付されるものであります。新年度は導入初年度のため、国が徴収してから県に入るまでのタイムラグなどにより一部の計上となりました。 特別地方消費税交付金は、前年度当初比158.9%増と大幅な伸びになりましたが、これは地方消費税の創設等に伴い平成11年度をもって廃止されるまでの間、県と市町村の配分比率が8対2から5対5に改定されることによるものであります。 地方交付税でありますが、普通交付税に前年度当初比3.1%減、交付決定額に対して3.6%減の47億6,000万円を、また特別交付税にはこれまでの推移等を勘案して、前年度と同額の9億7,000万円を計上いたしました。 これは、地方財政計画で示された交付税総額等を参考に、下水道事業に係る財源手当の一部が交付税から起債に変更されるなどの要因を調整して積算したものであります。 使用料及び手数料は10億1,573万円で、前年度当初比4.4%の減であります。 これは、各施設の使用料及び証明手数料でありますが、日本スキー発祥記念資料館の観覧料については、展示内容の充実に伴い改定をお願いするものであります。 国庫支出金では、各種補助事業の推進によるものでありますが、道路関係の補助事業の多くが地方特定道路事業に振りかえられたことなどにより、前年度当初比12.2%減の33億2,400万円の計上となりました。 県支出金は、農業構造改善事業(リフレッシュビレッジ)の増や「とも補償」などで、前年度当初比9.1%増の23億511万円を計上いたしました。なお、県からの事務の移譲に伴う交付金として353万円を計上いたしました。 財産収入では、土地建物貸付収入、基金運用利子及び仲町4丁目地内ほかの土地売払収入などで1億2,263万円を計上いたしました。 繰入金は、前年度当初比3.4%減の10億4,328万円であります。 主なものとしては、先ほど申し上げましたとおり財政調整基金から7億円を繰り入れることとしたほか、減債基金から2億5,000万円を繰り入れて市債の繰上償還に充てることといたしました。また、上越社会文化施設運営基金は、その利子を上越科学館の運営費の一部に充当しておりますが、現下の超低金利に伴って利子収入が大幅に減少していることなどから、運営財源の不足を補うため繰り入れを行うものであります。 市債は42億6,530万円で、前年度当初比3.1%の減であります。 新年度において地方消費税交付金原資の未平年度化に伴う財源不足に対処するための臨時税収補てん債を計上したほか、いわゆる通常分市債につきましては、老人デイサービスセンター建設、陸上競技場改修事業などまさに必要なものを厳選し、引き続き抑制に努めました。 以上のほか、各歳入項目につきましても、それぞれ過去の推移や8年度の実績等に基づいて慎重に推計して積算計上したところであります。 次に、歳出でありますが、その内容について款を追って御説明いたします。 なお、今議会に部制条例の一部改正も提案しておりますが、女性政策に関する予算及び文化振興に関する予算などについて、それぞれの行政目的に合わせて計上科目の変更を行いました。これに伴い関係予算の実質的な前年度比較等を容易にするため、予算に関する説明書の平成8年度欄も同様に組みかえて表示をいたしましたが、以下説明もそれに沿って行いたいと存じますので、あらかじめ御了承ください。組みかえて表示した予算の内訳は、それぞれ該当する款の冒頭に注記いたしました。 議会費は3億6,264万円で、前年度比5.6%の減であります。 議会市政調査会補助金及び視察旅費など議会活動に必要な経費のほか、事務局運営費を計上いたしました。 なお、減額の主な要因は、議員定数が30名と2名減員となったことなどによるものであります。 総務費は55億1,859万円で、前年度比1.6%の増であります。 まず一般管理費では、町内会長に対する事務委託料の引き上げを図ったほか、地域住民の触れ合いの場である町内会集会場の建設補助金と便所水洗化補助金は合わせて14件分、1,440万円を計上いたしました。 地方バス路線運行維持費補助金は11路線14系統分として2,672万円を計上いたしました。この中で、廃止代替バスの運行費につきましては、これまで地元関係町内等も負担を求められていたところですが、公共交通機関の円滑な運行を確保し、特に交通手段を持たない子供や高齢者等の生活の足として利便を図る上から、この地元負担につきましても市で助成することといたしました。 また、平和を願う事業として原爆記録写真展の開催や、広島市で開催される平和記念式典に中学生を派遣する経費を計上したほか、男女の出会いの場を提供するハローハート事業も内容を充実して引き続き実施し、「飛鳥」による「姉妹都市等友好親善の船」では室蘭市を訪問して一層の友好を深めたいと考えております。 なお、一連の見直しを進める中で、市長交際費を初め各職の交際費を1割削減いたしました。 広報広聴費では、市政に対する理解を深めていただくため、広報じょうえつやこども広報を発行するとともに、市民の皆さんの声を聞くため、のびやかJトークを初め、のびやかJウオーク、市政モニター等に要する経費を計上したほか、市民の目の高さで市政全般を評価する制度についての検討調査会に要する経費も計上いたしました。 財産管理費では、市庁舎の営繕費や施設の維持管理経費などを計上いたしました。 次に、企画費でありますが、まず東京事務所では、上越市出身者など縁故者とのネットワークを育て広げるJネット事業に新たに取り組むなど、交流と情報の受発信基地としての機能をさらに高めながら幅広い活動を展開してまいります。 また、地方分権推進事業では、この4月、開発行為許可、届出受理、完了検査等に関する事務や土地区画整理区域内の建築等の許可等に関する事務、商店街振興組合設立認可等に関する事務や身体障害者への補装具の交付に関する事務など、37事務205項目にわたる事務が新潟県から上越市に移譲されますが、これを契機としてさらに地方分権に対する意識の啓発を図るとともに、地方分権推進調査会を設置し、分権型社会における住民自治の取り組みなどについて研究したいと考えております。 ボランティア推進事業では、今回の流出油回収作業においても、多くのボランティアの御協力をいただきましたが、さらに市民の皆さんが気軽に参加できる気風を醸成するため、ボランティア入門講座の開設、ボランティアアカデミー(仮称)の開校及びボランティアハンドブックの発行などに取り組みます。 国際化の推進では、地方外交の促進と広域観光を目指した「ワールド・パートナーシップ・フォーラムじょうえつ」を開催するほか、友好・姉妹都市である中国・琿春市、韓国・浦項市及びオーストリア・リリエンフェルト市との友好親善をさらに深めてまいります。長野オリンピック会場においてリリエンフェルト市の皆さんと一緒に一本づえスキーのデモンストレーションを計画しているほか、琿春市、浦項市及び近年地元企業が進出している中国・丹東市からは市長を招請し、今後の交流・協力関係を一層深め、また浦項市で開催される環日本海中学生スポーツ交流大会に市内中学生のサッカー選抜チームを派遣し、次世代の交流を図ります。さらに、町ぐるみで平和運動に取り組んでいるオーストラリアのカウラ市からもお招きを受けておりますので、訪問して交流を図りたいと考えております。 このほか、市内在住外国人向けに生活情報誌を作成するとともに、昨年設立された上越国際交流協会の活動にも引き続き援助してまいります。 地方拠点都市整備関係では、上越地域広域行政組合に対する運営費負担金と基金造成の出資金を計上いたしましたが、組合では引き続き圏域住民の一体感の醸成に向けてさまざまな事業を計画しているところであります。また、次代を担う若者にとって魅力ある就業機会を創出する業務拠点地区及び物流拠点としての優位性を生かした流通業務団地の整備推進にも引き続き取り組んでまいります。 次に、自前のまちづくり推進事業関係でありますが、「のびやかJプラン」の実現に向けて、総合的・体系的・組織的なまちづくり政策を確立するため、「上越市まちづくり懇談会」や「まちづくり市民大学」の設置及び「まちづくりコーディネート事業」に取り組みます。また、北陸新幹線の予定駅周辺整備や円滑な都市交通のあり方も含めた「新都市市街地機能強化整備構想」を策定するほか、市民が森のオーナーとなり木を育て自然を守りながら、新たなライフスタイルを生み出す「市民の森」整備構想策定や、「子どもの国整備事業」実施設計などに要する経費を計上いたしました。 交通安全対策費では、交通安全教室を開催するほか、施設の整備など交通安全環境の充実に必要な経費を計上いたしました。 職員研修所費では、引き続き中央省庁やシンクタンクへ職員を派遣するとともに、新たに新潟県警察本部等との相互人事交流も進めます。また、環日本海時代を見据え、(財)環日本海経済研究所への派遣研修や海外姉妹都市交流を行うなど、本格的な国際化に向けて職員の資質向上を図り、「分権時代」を担う人材育成を積極的に進めてまいります。 文化会館運営費では、文化活動事業費に3,900万円余りを計上いたしましたが、日本海側の都市では初めてとなる「キャスリーン・バトル」の公演を初めとして8事業を計画いたしました。 明るい子どものまち推進費では、多目的な利用が可能な子どもの家をさらに1カ所建設するほか、わんぱくラリー、ファミリー綱引きなどの諸事業を展開いたします。また、毎月第2土曜日の「上越こどもの日」の施設利用促進を図るとともに、新たに第4土曜日を「上越子ども読書の日」と定め、図書館等と連携しながら読書普及活動にも取り組んでまいります。 電算システム費では、インターネット、イントラネットの利用研究を進めるとともに、庁内LANの整備費や財務情報など各種情報処理システムの経費を計上いたしました。 表彰費では、市政の進展、産業の振興及び地域社会の発展などに尽力された方々を表彰し、その功績をたたえるための経費を計上いたしました。 電源立地対策費では、発電所立地に伴う地域振興策の一環として、特産品開発の調査・研究を行うほか、エネルギー等の有効利用による栽培漁業の試験研究を引き続き実施するとともに、地域漁業の振興に資するため漁業振興計画を策定いたします。 女性政策費では、新たに「女性大学院」を開設して人材育成に努めるとともに、「じょうえつ女性シンポジウム」の開催や女性問題啓発情報誌の発行、さらには男女共同参画社会に向けた意識調査も実施するなど、女性が主体的に社会参画していくための条件整備を行ってまいります。 文化振興費は、新設することといたしました文化政策課の所管事業費でありますが、文化に関する施策の総合調整を図るとともに、これまでも積極的に取り組んでまいりました各事業を一層推進いたします。 この中で、小林古径邸復元事業は復元検討委員会からの提言を踏まえ、基本設計等を実施するほか、坂口謹一郎博士顕彰事業として、「酒と文化の研究所」創設計画等について検討を続けてまいります。 増築工事が完了した日本スキー発祥記念資料館では、引き続き展示室の改装工事を行い、日本スキー発祥の地にふさわしい施設として整備を進めます。 また、市史編さん事業では、これまでの成果を市史双書として発刊するほか、高田城三重櫓など各施設の利用促進も図ってまいります。 選挙費では、市長選挙などに要する経費を計上いたしました。 住居表示整理費では、地元と協力しながら大和地区西部の住居表示を実施したいと考えております。 統計調査費では、卸・小売業を対象に商業の実態を明らかにする商業統計調査など8種類の調査と住宅統計調査の準備費を計上いたしました。 総合文化施設運営費でありますが、先ほども申し上げましたとおり、長野冬季オリンピックへの支援としてアイスアリーナを選手の練習会場に提供したいと考えております。リンクのアイスマットを取りかえるほか、市民にとって世界の一流選手に間近に触れる絶好のチャンスでありますので、見学や交流の場として利用いただくため観覧席を増設いたします。また、上越科学館では特別展として夏休みに「たまごと生命の不思議展」(仮称)を開催するほか、各種スポーツ教室など40の自主事業を実施して利用促進を図ります。 民生費は83億7,477万円で、前年度比2.9%の増であります。 社会福祉総務費では、地域で日夜御活躍いただいている民生委員・児童委員の活動報償金の引き上げを図ったほか、社会福祉協議会及び福祉団体等に対する補助金や旧看護学校跡地を年次計画で買い取る経費、市民いこいの家の管理運営に要する経費などを計上いたしました。 心身障害者福祉関係では、援護施設入所措置費のほか補装具給付費や日常生活用具給付費、デイサービス事業など各種福祉サービスの充実を図りました。また、障害者の自立と社会参加を支援するため、先ほども申し上げましたが、新たに障害者生活支援事業や介護者用自動車改造費助成にも取り組んでまいります。 次に、老人福祉費では、デイサービスセンターを新たに安江地内に建設するほか、ホームヘルプサービスでは、土・日サービスとともに早朝・夜間サービスを実施し、サービスの拡大強化に努めるとともに、在宅寝たきり老人日常生活用具給付事業の対象品目をふやすなど、各種給付の充実を図ってまいります。さらに、利用者から好評の短期入所や訪問入浴サービスも大幅な利用者の拡大を図り引き続き実施いたします。 また、在宅介護支援センターは新たに3カ所が今春開設の運びとなっておりますが、その運営について援助するほか、春日山ゲートボール場に屋根つきパーゴラを新設し、また高田西老人趣味の家では床の張りかえを行うなど、きめ細かい対応を図ってまいります。 児童福祉関係では、まず乳児保育、延長保育、障害児保育などに積極的に取り組み、保育ニーズの多様化にこたえてまいります。また、新たに「乳幼児健康支援デイサービス事業」を県下でいち早く実施するとともに、地域子育て支援事業や放課後児童対策事業も開設箇所数をふやして実施いたします。 さらに、老朽の著しいほたる保育園の改築に対して補助することとしたほか、私立保育園の運営費、保母等の給与改善費等についても助成し、保育の充実と資質の向上に努めてまいります。 このほか、私立母子寮では緊急避難的な入寮希望者等を一時的に受け入れる子育て支援短期利用事業にも取り組んでまいります。 なお、保育料につきましては引き続き軽減措置を講じ、保護者負担の軽減に配慮いたしました。 衛生費は35億2,446万円で、前年度比5.2%の増であります。 保健衛生総務費では、社会福祉法人が行った老人保健施設建設に対する補助金などを計上したほか、訪問看護ステーションがさらに1カ所開設されることになりましたので、これについても補助することといたしました。 母子衛生費では、各種指導、相談や健康診査の充実を図り出産、育児を支援してまいります。また、昨年から開始した幼児の入院医療費に対する2分の1の助成制度については、対象年齢を6歳就学前まで拡大することといたしました。 予防費では、各種健診の会場数をふやすなど受診しやすい態勢整備を行うとともに、女性の健康づくり推進のために骨粗鬆症健診をふやすほか、痴呆について正しい知識を持っていただくため、痴呆を考える講演会や男性のためのがん予防教室も引き続き実施してまいります。 さらに、平成7年度から取り組んでいる健康回復5カ年計画事業では、モデル地区の各種調査結果に基づいて、地域づくり保健活動に取り組むとともに、健康づくりのためのマンパワー育成を図ります。また昨年多くの方々から関心をいただいた「健康まるごとフェスタ」も開催いたします。 このほか、学童の風疹の予防接種についても、個別接種に切りかえて実施する経費も計上いたしました。 環境衛生費では、上越市の生活環境や自然環境の現況を把握し、今後のまちづくりに生かしていくため、モニターを公募して「美しいまちづくり環境モニター事業」に取り組みます。また、「環境基本計画」を周知するためパンフレットを作成配布するなど、環境に対する理解と意識の啓発に努めるとともに、合併処理浄化槽設置に対する補助金は、希望者の増加にこたえて必要枠を確保いたしました。 有価物の集団回収は、ごみの減量化及び資源の有効利用を図る上で大きな役割を果たしております。このため、地域の子供会等が行う回収に対する交付金を大幅に引き上げ、より一層回収の推進を図ることといたしました。なお、空き缶の散乱防止や資源の再利用に対する意識啓発を図る目的で設置した空き缶回収機は、資源ごみの分別収集などが軌道に乗る中でおおむねその目的を達成したこと、また機械も老朽化していることなどから廃止することといたしました。 診療所費は、中ノ俣診療所の運営経費のほか、中ノ俣・上綱子両地区住民の市街地通院者の週2回輸送を継続して実施いたします。 上水道費では、柿崎川ダム建設事業に対する上越地域水道用水供給企業団と上水道老朽管更新事業繰出金のほか、新たに上水道安全対策事業についても所要の経費を計上いたしました。 休日急患診療所費では、第1次救急医療体制の整備を進める一環として、日曜、祝日等のほか、新たに土曜日の午後4時から9時まで開設するなど、救急診療の充実を図りました。 清掃費では、ごみ、し尿処理にかかる上越地域広域行政組合への負担金を計上いたしましたが、組合では新年度から3カ年計画で1日処理量240キロリットルの能力を持つし尿処理施設の建設に着手する予定となっております。また、資源ごみ分別収集に要する経費やごみ処理容器購入費及びごみ集積施設設置費に対する補助金を計上したほか、新たにリサイクル推進店認定制度を創設し、ごみの減量化及びリサイクルの取り組みをさらに進めてまいります。 労働費は3億7,897万円で、前年度比1.5%の減でありますが、これは中小企業勤労者福祉サービスセンター設立基金積立金が、年次計画に伴って前年度より減少したことなどによるものであります。 中小企業の事業主と従業員の福利厚生の充実を目的に昨年4月スタートした勤労者福祉サービスセンターは、そのサービス内容が大変好評であり、会員数は2月10日現在、253事業所、2,480人に達しておりますが、新年度も運営費の補助や基金積み立てを行い取り組みを支援してまいります。また、技術革新の著しい中、地元企業に働く労働者の技術向上を図るため、高田高等職業訓練校と上越地域職業訓練センターの運営費等の助成にも配慮いたしました。 農林水産業費は24億1,553万円で、前年度比4.4%の増であります。 農業委員会費では、農業者年金基金法に基づく管理経費のほか、農地利用関係の調整に要する経費を計上いたしました。 農業総務費では、芙蓉荘などの管理運営費のほか、認定農業者に対する支援措置として利子の助成や農林水産業振興資金の利率を引き下げるとともに、預託に必要な経費を計上いたしました。また、新たな観点から農業・農村の活性化を図る農業ビジネス拠点の基本構想も策定してまいります。 次に、農業振興費では、産地間競争の一層の激化に対応するため、上越農協が行う土づくりや品質管理の徹底による上越米の品質向上に対する取り組みへの助成を初め、流通環境検討協議会(仮称)による有利販売の可能性の検討など、上越米のイメージアップと販路拡大のための総合的な施策を実施いたします。 生産調整につきましては、生産者・地域の意向を反映させる「とも補償」事業を活用するとともに、認定農業者と上越農協との連携により取り組みを支援する認定農業者モデル活動支援事業を新たに実施するなど、行政と生産者、生産者団体が一体となって対応してまいります。また、複合経営の確立を図るため、新たに園芸・特産品振興モデル事業に取り組むこととし、産地の形成・モデル活動の支援・流通の活性化などに重点を置いた施策を総合的に行ってまいります。 さらに、リフレッシュビレッジ事業では桑取地区のセンター施設の建設に着手するとともに、サテライト施設の実施設計に要する経費も計上いたしました。 農地費では、農村総合整備事業により三郷地区及び桑取・谷浜地区で集落道や排水施設などの生活環境整備を行うほか、市内各所で進めている圃場整備を初め、各種土地改良事業等に対して負担金・補助金を計上し、農業基盤の整備を促進してまいります。また、新田園集落「アーバンビレッジ事業」を推進するため、横曽根・小猿屋地区では農村活性化住環境整備事業の実施計画を策定いたします。 農村総合整備モデル事業費では、上越東部地区で生活環境基盤を中心に整備を進めてまいりましたが、本年度の集落道などの整備をもって事業終了となる予定であります。 林業費では、平成11年に予定されている上信越自動車道の開通などで南葉高原キャンプ場の利用増が見込まれることから、施設整備を引き続き進めるとともに、これらと連携した林業体験学習の場や交流拠点等を検討する「森と高原に遊ぶゾーン」基本計画を作成するほか、林道4路線や作業道の開設等も進めてまいります。 また、松くい虫の被害防止に係る経費も計上し、春日山・林泉寺、高田公園、寺町などで緑の保全に努めてまいります。 水産業費では、有間川漁港の整備を引き続き行います。 商工費は64億9,552万円で、前年度比1.5%の増であります。 商工振興費では、各種制度融資の一層の充実を図るとともに、景気対策特別資金については期間を本年12月まで延長することといたしました。 また、大型店の進出に対して地元商店街が実施するイベントや研修等を支援するとともに、ポイントカード会が行うポイントカードシステム設置に助成するなど、商店街の振興を図るほか、地元に根差し育ってきた伝統的技術等の保存・伝承と後継者育成などいわゆるマイスター制度の導入により地場産業の振興、活性化を支援してまいります。 さらに、優良企業誘致のための説明会やポートセールスを東京事務所や関係機関と連携を図りながら精力的に取り組むほか、LNG利活用による新たな産業の創出など地場産業の振興を図るための産業振興基本計画を策定するとともに、地域産業の技術高度化や新分野への進出を推進するため、中小企業者等が行う研究開発事業に対しても助成や融資制度を創設し、支援してまいりたいと存じます。 このほか、高速交通網の整備や直江津港の機能整備に伴う流通関連企業等の進出に対応するため、新たな企業団地造成基本計画の策定や流通業務団地造成の準備を進めるとともに、図們江流域との経済交流促進を図るため直江津・ザルビノ間の航路開設に向けた貨物輸送試験船運航調査も行います。 次に、観光費では、コンベンションの積極的誘致や民間レベルでの観光事業を進めるため、官民一体となって「上越観光コンベンション協会」を設立し、一層の観光振興を図ってまいります。 観光拠点の整備では、金谷山公園の整備に着手することとし、家族で楽しめるバイスクルモトクロスコースの建設と山麓線側斜面整備の実施設計を行うほか、親鸞聖人上陸の地に展望築山や駐車場の整備を行い、またなおえつ、たにはま海水浴場等の公衆便所水洗化も進めてまいります。 また、観光客の利便と観光都市としてのイメージアップを図るため、観光誘導看板や大型案内板も引き続き設置いたします。 このほか、「100万人観桜会」の定着を図るため、官民一体で「1万本の桜が咲き誇るまちづくり」を推進する一方、全国における桜の名所の市町村が一堂に会して「第9回さくらサミット」を開催するとともに、「松平忠輝公ゆかりの地交流事業」など魅力あるイベントを実施するほか、物産展やキャラバン隊派遣など、観光都市上越を積極的にアピールする経費も計上いたしました。 土木費は86億2,222万円で、前年度比4.1%の減であります。 これは、公共下水道建設費に対する財源手当ての一部が地方交付税算入方式から下水道事業債に変更されたことに伴って下水道事業特別会計への繰出金が減少したこと、また直江津駅南地区土地区画整理事業の事業費減に伴って同会計への繰出金が減少したことなどによるものであります。 まず、建築指導費では、個人木造住宅の耐震診断に要する費用の一部を助成し、地震等の災害による建築物の被害防止を図ってまいります。 道路橋梁総務費では、要望のあった私道整備15件に対する補助のほか、県道路事業負担金を計上いたしました。 道路橋梁新設改良費では、上信越自動車道と山麓線に接続する中田原下箱井線や金谷山公園線など、地域道路網の整備と市民生活に密着した生活関連道路の整備を引き続き進めるほか、戸野目川激特関連事業に伴い、上小町橋等の機能強化も含めた整備費を計上いたしました。 除雪費では、歩道用ロータリ除雪車2台と除雪ドーザ1台などを購入し、効率的な除雪を図るとともに、歩行者の安全確保と狭隘道路の交通確保等に努めてまいります。また、消雪パイプの管理一元化と地下水の効果的な利用を図るため、新たに消雪施設集中管理システム導入も進めてまいります。 河川費では、前川改修事業を継続実施するとともに、関川下流部の桜づつみモデル事業も進めてまいります。 港湾費では、直江津港港湾改修事業負担金及び港湾整備構想策定調査費のほか、直江津港の積極的なPR活動のためビデオ作成の経費も計上いたしました。 次に、都市計画総務費では、都市整備の体系的指針となる都市マスタープランの策定を引き続き行うとともに、景観デザイン事業では都市景観形成基本計画策定事業を継続し、景観づくり実行のための手引書も策定してまいります。 土地区画整理費では、本町大町地区の清算事務を進めるとともに、高田駅前広場築造や多機能型拠点施設の建設を進めてまいります。また、高田駅前の雁木整備に向けて設計を行うほか、直江津駅前地区及び本町6・7丁目地区の市街地整備計画調査に要する経費や、新たに開始される木田新田土地区画整理事業(仮称)に対する補助金を計上いたしました。 街路事業費では、直江津駅前通り線など6路線の整備を進めますが、このうち直江津駅前通り線整備事業の中で取り組む直江津駅橋上化事業では仮駅舎、仮ホームの建設を行い、自由通路建設と一体的に事業促進を図ります。このほか、中屋敷藤野新田線など、県が実施する街路事業に対する負担金も計上いたしました。 公園費では、新たに緑の基本計画策定と新南公園整備の基本設計を行うほか、かに池公園整備も進めてまいります。 下水道費では、引き続き下門前都市下水路整備を進めるとともに、公共下水道事業に対する繰出金を計上いたしました。 住宅費では、前年度着手した中通住宅の建設を9月中旬完成を目指して推進するとともに、既存住宅の維持改修を計画的に進め、輸入住宅の展示も引き続き行ってまいります。また、新年度では今後の改修計画策定の資料とするため、新たに改良住宅の耐震性診断も実施いたします。 消防費は12億5,557万円で、前年度比2.7%の増であります。 平成7年度から地域防災計画の策定を進めているところでありますが、平成8年度の震災対策編に引き続き、新年度では地区防災カルテの作成や風水害対策編及び一般災害対策編の防災計画書の作成を行うこととしております。 また、同報無線戸別受信機の増設や防災行政無線中継局の設置、災害救助用物資の備蓄や自主防災組織に対する防災資機材購入補助、さらには防火水槽、消火栓及び器具置き場の整備などを進めてまいります。なお、災害対応の最前線に立っておられる消防団員の報酬及び費用弁償について改善を図ることといたしました。 教育費は60億4,032万円で、前年度比3.8%の増であります。 事務局費では、事務局運営に要する経費のほか、来年2月に開催される長野冬季オリンピックを支援するため上越アシスト委員会への交付金を計上いたしました。 教育センター費では、いじめや不登校などに対応するため学校訪問カウンセラーを8名から11名に増強するほか、新たに直江津地区においても社会教育館に北教育相談所を設置し、不登校児童・生徒適応指導教室を開設いたします。 私学振興費等では、私立学校、幼稚園の運営に要する経費を補助するほか、保護者の経済的負担の軽減に配慮いたしました。 小学校費及び中学校費は学校教育全般にわたる経費であります。教材としての消耗品や備品の充実を初め、教育用コンピューターを小学校9校に配備いたしますが、これにより市内30校すべての配備が完了することになりました。さらに、情報通信社会への対応能力をはぐくむため、インターネットへの接続を初め学校間等をコンピューターネットワークで結ぶなど情報教育の充実を図ってまいります。また、中学校に司書を配置し、図書館教育の推進にも努めてまいります。 「上越子どもの船」事業は、新年度には九州航路も加え、実施校も4校から12校へとふやしながら、子供たちに主体的で豊かな体験の場を提供してまいります。 施設面では、3年計画で進めてきた直江津地区学校給食の自校調理方式への切りかえが最終年度となり、5校で実施するとともに、老朽化の著しい直江津中学校体育館を2カ年計画でピロティを備えた体育館に改築いたします。このほか、各学校の施設整備もさらに進めてまいります。 社会教育総務費では、本年10月に県内6会場の一つとして当市で開催される第9回全国生涯学習フェスティバルにかかる経費などを計上いたしました。「人の輪、まなびの輪、のびやか上越」の基本テーマのもと、多彩な学びの場を設定して多くの市民から学びの楽しさや大切さを実感していただける機会を提供いたします。 公民館費では、多様化するニーズに対応して健康講座や歴史体験講座などを新たに開講するほか、高齢者や障害者が利用しやすいよう分館の施設整備も進めてまいります。 図書館費では、図書資料の充実に努めるとともに、原画展等の各種展覧会や読み聞かせ講座を開催いたします。また、新年度からは毎月第4土曜日を「上越こども読書の日」として定め、子どもの家、子ども文庫と連携をとりながら子供たちの読書への関心を高めてまいります。 博物館費では、春に斉藤真一が描く「越後瞽女日記展」を、秋に“ふるさと再発見”という観点から「久比岐野歴史散歩」と題して特別展を開催いたします。また、観桜会期間中には歌川広重の「東海道五十三次展」を開催するほか、美術品の購入経費も計上いたしました。 水族博物館費では、夏の特別展として毎年好評のイルカショーに加えて「日本海人魚伝説展」を開催するとともに、展示魚類の充実にも努めてまいります。 史跡保存調査費では、春日山城跡整備として史跡の路の整備のほか、御屋敷跡復元調査研究や、史跡用地購入に要する経費を計上いたしました。 体育振興費では、陸上競技場の全天候型改修を記念して日本陸上界のトップ選手とサッカーのアルビレックス新潟の選手を招いてエキジビジョンゲームなどを開催するほか、上越レガッタ開催時に在京の大学チームを招いてエキジビジョンレースを行うための経費も計上いたしました。 体育施設費では、前年度からの陸上競技場の全天候型改修を竣工させるとともに、スタンド整備も行います。このほか、各競技施設の整備も引き続き進めてまいります。 災害復旧費は2万円で、存目計上であります。 公債費は50億8,352万円で、前年度比3.0%の減であります。 これは、平成8年度までに借り入れた市債の元利償還金及び一時借入金利子であります。新年度におきましても、減債基金を活用して計画的に繰上償還を実施してまいります。 諸支出金は、1,370万円を計上いたしました。 これは、災害により罹災した市民に対する援護資金の貸付金であります。 予備費は、1億円を計上いたしました。 これは、年間を通じての補正財源の一部として計上したものであります。 第2表は、債務負担行為でありますが、ほたる保育園建設費補助金、リフレッシュビレッジセンター施設整備事業、直江津中学校屋体改築事業及び土地開発公社の借入金に対する損失補償について、それぞれ債務負担行為を設定するものであります。 第3表は、地方債でありますが、平成9年度における地方消費税交付金の未平年度化に伴う補てんと建設事業等の財源に充てるため、市債を発行するものであります。 議案第2号は、平成9年度上越市国民健康保険特別会計予算でありますが、予算規模を前年度に比べ2.8%増の65億9,500万円といたしました。 本会計は、高齢者等構造的な問題に加え、依然として高水準にある医療費や老人加入率の上限設定による影響の拡大などにより財政状況は厳しいものになっております。 このため、財政の健全化と安定化を図るため、9年度では財政調整基金の積み立てを目的に一般会計から1,500万円の繰り入れを行うことといたしました。 歳入歳出予算の主なものについて御説明いたしますと、まず歳出についてでありますが、全体の94.5%を占める保険給付費及び老人保健拠出金については、近年の医療費の動向等を勘案し、保険給付費は前年度とほぼ同額の45億9,484万円を、老人保健拠出金は前年度比7.5%増の16億3,704万円をそれぞれ計上いたしました。 続いて歳入でありますが、国民健康保険税は、最近の経済動向及び市民税における所得の伸び等を勘案して、前年度比1.6%増の27億6,595万円を計上いたしました。 国庫支出金では、保険給付費及び老人保健拠出金等に係る法定負担金と、保険者の財政力に応じて交付される財政調整交付金を合わせて22億7,251万円を計上したほか、療養給付費交付金には退職被保険者の保険給付に係る社会保険診療報酬支払基金からの交付金9億6,642万円を計上いたしました。 繰入金は、保険基盤安定繰入金及び財政安定化支援事業繰入金など合わせて3億290万円を一般会計から繰り入れるものであります。 議案第3号は、平成9年度上越市診療所特別会計予算でありますが、予算規模を前年度に比べ0.7%増の550万円といたしました。 これは、谷浜診療所の運営に要する経費を計上したものであります。 議案第4号は、平成9年度上越市索道事業特別会計予算でありますが、予算規模を前年度に比べ17.1%増の3,516万円といたしました。 この予算は、リフト及びボブスレーの運営費でありますが、新年度ではボブスレーコースの修繕を行うなど、さらに安全で快適に利用していただけるよう努めてまいります。 議案第5号は、平成9年度上越市下水道事業特別会計予算でありますが、予算規模を前年度に比べ6.6%増の90億57万円といたしました。 下水道の早期整備を望む多くの市民要望にこたえるため、新年度の建設事業費には前年度比4.7%増の68億5,253万円を計上し、100ヘクタールの管渠整備と終末処理場の施設増設を実施いたします。この結果、9年度末には整備面積は690ヘクタール、普及率は23.1%に達する見込みであります。 第2表は、債務負担行為でありますが、終末処理場の施設増設について債務負担行為を設定するものであります。 第3表は、地方債でありますが、管渠整備費等の財源に充てるため、市債を発行するものであります。 議案第6号は、平成9年度上越市老人保健特別会計予算でありますが、予算規模を前年度に比べ8.1%増の106億3,561万円といたしました。 医療費の積算に当たりましては、これまでの実績及び受診状況等を勘案し、前年度に比べ8.1%増の105億7,168万円を計上したところであります。 議案第7号は、平成9年度上越市直江津駅南地区土地区画整理事業特別会計予算でありますが、予算規模を前年度に比べ63.6%減の2億679万円といたしました。 新年度は、主に駅の南北を連絡する自由通路の仮設工事と基礎工事を進めてまいります。 議案第8号は、平成9年度上越市農業集落排水事業特別会計予算でありますが、予算規模を前年度に比べ63.7%増の35億4,201万円といたしました。 新年度では、新たに津有中部と高士西部四辻の2地区で事業を開始し、合計9地区で整備を進めてまいります。また、保倉東部地区では処理場建設に着手いたします。さらに、平成5年度から整備を進めてまいりました三郷・三郷西部地区ではいよいよ供用開始の運びとなりました。 第2表は、債務負担行為でありますが、保倉東部地区の排水処理場建設について債務負担行為を設定するものであります。 第3表は、地方債でありますが、農業集落排水事業の財源に充てるため、市債を発行するものであります。 議案第9号は、平成9年度上越市ガス事業会計予算であります。 新年度では、防災対策の強化に努めるほか、保安の確保と需要家サービスの向上を目指し、施設及び導管網の整備などを重点に予算を編成いたしました。 収益的収入では、ガス販売量の目標を8年度決算見込みの1.5%増、3,369万立米とした売り上げのほか、受注工事収益など総額38億5,121万円を計上いたしました。 収益的支出では、原料ガスの購入代金、マイコンメーター取りつけなどの保安対策費、また受注工事費など総額37億5,677万円を計上し、損益では4,506万円の純利益を予定するものであります。 次に、資本的支出では、エコシティを目指す市営ガス事業として環境保全、省エネの見地から、低公害の天然ガス自動車を率先して導入し、今後の普及促進に寄与していきます。また、防災対策として昨年からの継続事業であるガスホルダー建設、非耐震性老朽管更新のほか、供給区域拡大に伴い上源入、春日山、春日新田などに導管を布設するなど、総額24億4,516万円の事業費を計上いたしました。この財源として企業債及び工事負担金など16億7,329万円を見込み、不足額の7億7,187万円については、内部留保資金で補てんし、収支の均衡を図りました。 議案第10号は、平成9年度上越市水道事業会計予算であります。 新年度では、引き続き渇水・防災対策に重点を置き、浄水場の増強や配水管整備など施設の充実を主体に予算を編成いたしました。 収益的収入では、給水量の目標を8年度決算見込みの0.5%増、1,971万立米とした売り上げのほか、受注工事収益など総額39億8,155万円を計上いたしました。 収益的支出では、受水費、修繕費などの一般経費及び受注工事費その他で総額38億990万円を計上し、損益では4,607万円の純利益を予定するものであります。 次に、資本的支出では、2カ年の継続事業として和田浄水場を増設するほか、浄水場間の連絡幹線となる導管布設、石綿管更新その他で総額41億8,140万円の事業費を計上いたしました。この財源として企業債及び工事負担金など29億9,876万円を見込み、不足額の11億8,264万円については、内部留保資金で補てんし、収支の均衡を図りました。 議案第11号は、平成8年度上越市一般会計補正予算であります。 歳入歳出予算総額から2億7,011万円を減額し、予算規模を479億2,756万円といたしました。 今回の補正の主なものは、国の補正予算に対応して、農村総合整備事業及び県営事業負担金の補正を行うほか、退職手当及び小林古径画伯の作品購入に係る経費を補正するものであります。 また歳入では、収入見込みに基づき市税を補正するとともに、財政調整基金繰入金を減額いたしました。 それでは、歳出予算から款を追って御説明いたします。 総務費は、2億4,617万円の補正であります。 一般管理費では、10名分の退職手当を追加するほか、生活保護費等に係る国・県支出金の精算返還金を計上いたしました。 財産管理費は、財政調整基金の預金利子変動に伴う積立金の補正であります。 選挙執行費では、新潟県知事選挙費委託金の交付決定に合わせて補正を行うものであります。 民生費は、3,577万円の補正であります。 社会福祉総務費では、上越保健医療福祉専門学校の校舎改装工事費の一部を補助するほか、消費税の引き上げに伴い、老齢福祉年金受給者及び高齢の低所得者等に臨時福祉特別給付金が支給されることになりましたので、その対象者の把握に要する経費を補正するものであります。 児童措置費及び母子福祉費は、3歳未満児措置数の増などで保育単価が増額になりましたので、所要額を計上いたしました。 衛生費は、1,762万円の減額補正でありますが、上越地域水道用水供給企業団の柿崎川ダムの浄水場建設事業費と老朽管更新事業費がそれぞれ変更になりましたので、繰出金の補正を行うものであります。 農林水産業費は、1億7,509万円の補正であります。 農業振興費では、新生産調整の円滑な推進のため、地域の合意に基づき、農業者が相互に補償し合う「とも補償」に補助内示がありましたので、必要経費を計上したほか、生産性の高い水田営農の確立を図る水田総合活用促進事業に追加内示がありましたので、所要額を計上いたしました。 農地費は、三郷地区及び桑取・谷浜地区で進めている農村総合整備事業に国の補正予算による追加内示がありましたので、所要額を計上したほか、圃場整備を初めとした各種土地改良事業につきましては、事業費の決定及び国の補正による追加に伴って負担金を補正するものであります。 商工費は、1,345万円の減額補正であります。これは、下荒浜地区企業団地基本計画の策定を予定していたところでありますが、その後保倉川放水路の計画が発表され、またそれに接続する潟川改修も計画されるなど状況が流動的なため、今年度の策定を見送るものであります。 土木費は、1億7,771万円の減額補正であります。 土木総務費は、県から派遣を受けている職員の人件費を補正するものであります。 道路橋梁費は、県道路事業負担金の決定により補正するものであります。 土地区画整理費は、本町大町地区土地区画整理事業の清算金徴収交付事務が平成9年度になるため減額するほか、高田駅前地区沿道土地区画整理事業では補助事業費の確定と支障物件移転計画の変更により事業費を組み替えするものであります。 街路事業費では、直江津駅前通り線などの事業費の確定等により減額及び組み替えを行うほか、県街路事業負担金についても整理するものであります。 公園費は、高田公園内の建物移転に要する事業費の組み替えを行うものであります。 下水道費は、東雲町及び下門前都市下水路建設費について事業費を組み替えるものであります。 教育費は、5,487万円の補正であります。 事務局費では、死亡退職者1名に係る退職手当を計上いたしました。 博物館費では、小林古径画伯の最盛期のすぐれた作品を購入する機会を得ましたので、この機会を逸することなく購入する経費を計上いたしました。 災害復旧費は、3,480万円の減額補正でありますが、事業費の決定等により補正するものであります。 公債費は、8,946万円の減額補正でありますが、市債利子並びに一時借入金利子を減額するものであります。 次に、歳入でありますが、市税は決算見込みに基づき個人市民税及び法人市民税の補正を行うものであります。 地方交付税は、国の補正予算に伴い、普通交付税の調整額相当分が追加交付されましたので、補正するものであります。 分担金及び負担金では、災害復旧事業費の決定により分担金を減額するほか、保育所措置費負担金は、所得税の制度減税による影響もあって減少したものであります。 国庫支出金及び県支出金は、各種補助事業等の交付決定により補正するものであります。 繰入金では、退職手当に係るガス水道事業会計の負担金を計上したほか、財政調整基金からの繰り入れは本年度の収支見通しに立って取りやめることといたしました。なお、これにより本年度末における財政調整基金の保有高は約17億4,400万円となる見込みであります。 諸収入は、本町大町地区土地区画整理事業における清算徴収金の減額と退職手当に係る広域事務組合ほかの負担金であります。 市債は、各事業費の決定等に伴い補正するとともに、減税補てん債及び国の補正に伴う補正予算債を追加するものであります。 なお、歳入歳出差し引き4億4,898万円の不足は予備費を減額して、収支の均衡を図りました。 第2表は、繰越明許費でありますが、このたびの国の補正に伴って追加計上した事業を初めとして、それぞれ年度内完了が困難な見通しであるため繰越明許費を設定するものであります。 第3表は、債務負担行為の補正でありますが、三郷地区の農村総合整備事業などについて債務負担行為を追加するものであります。 第4表は、地方債の補正でありますが、歳入予算に計上した市債と同額の限度額補正を行うものであります。 議案第12号は、平成8年度上越市下水道事業特別会計補正予算であります。 歳入歳出予算総額から3,496万円を減額し、予算規模を83億1,999万円といたしました。 この補正は、汚水幹線整備事業等について事務費を組み替えるほか、市債の利子確定に伴い、公債費を減額するものであります。 なお、歳入は一般会計繰入金を増額して収支の均衡を図りました。 第2表は、繰越明許費でありますが、汚水幹線整備事業等について繰越明許費を設定し、事業費の一部を繰り越すものであります。 議案第13号は、平成8年度上越市直江津駅南地区土地区画整理事業特別会計補正予算でありますが、歳入歳出予算総額から92万円を減額し、予算規模を3億1,722万円といたしました。 この補正は、今年度完了を目指していた換地処分事務が平成9年度にずれ込む見込みとなったため、清算徴収金及び交付金を減額するものであります。 第2表は、繰越明許費でありますが、直江津駅自由通路建設事業について繰越明許費を設定するものであります。 議案第14号は、平成8年度上越市農業集落排水事業特別会計補正予算でありますが、歳入歳出予算総額に1億1,868万円を追加し、予算規模を22億1,799万円といたしました。 この補正は、国の補正予算により事業費が追加になりましたので、所要額を補正して事業の推進を図るほか、市債利子の確定に伴い公債費を減額するものであります。 なお、歳入には県支出金、市債のほか、一般会計繰入金を増額して収支の均衡を図りました。 第2表は、繰越明許費でありますが、保倉東部及び保倉西部地区の農業集落排水事業について繰越明許費を設定するものであります。 第3表は、債務負担行為の補正でありますが、高士東部地区の農業集落排水施設建設事業について債務負担行為を追加するものであります。 第4表は、地方債の補正でありますが、歳入予算に計上した市債と同額の限度額補正を行うものであります。 議案第15号は、平成8年度上越市ガス事業会計補正予算であります。 まず、収益的収入でありますが、ガス販売量は、年度当初気温が低目に推移したことなどによって、当初予想より2.3%の増加が見込まれ、ガス売り上げで6,864万円、集合住宅新設工事の増加に伴う受注工事収益で2,196万円など、合計9,052万円を増額補正するものであります。 収益的支出では、販売量増加に伴う原料ガスの購入代金3,733万円、工事量の増加による受注工事費2,166万円をそれぞれ増額し、あわせて消費税の計数整理を行うものであります。 資本的収入では、起債対象工事及び区画整理関連工事の減少に伴い、企業債3,000万円、工事負担金4,826万円をそれぞれ減額し、資本的支出では導管工事費の減少とガスホルダー工事費確定により、合わせて1億4,918万円を減額補正するものであります。 議案第16号は、平成8年度上越市水道事業会計補正予算であります。 収益的収入では、渇水から2年経過し需要が回復したことなどから、給水量は当初予想より2.4%の増加が見込まれ、給水収益で6,669万円、集合住宅新設工事の増加に伴う受注工事収益で5,168万円などを増額補正するとともに、消費税の計数整理を行うものであります。 収益的支出では、配水量増加と原水の高濁度により薬品費で459万円、共同施設管理分担費の確定により530万円、工事量の増加による受注工事費で5,096万円、合計6,086万円を増額補正するものであります。 資本的収入では、老朽管更新事業の確定に伴い、企業債で4,810万円、出資金で4,240万円、また下水道関連工事の増加に伴い、工事負担金で588万円をそれぞれ増額し、資本的支出では工事費6,087万円を増額補正するものであります。 議案第17号は、人権を尊び部落差別などあらゆる差別をなくし明るい上越市を築く条例の制定についてであります。 上越市同和対策審議会の答申を受けて、同和問題の根本的かつ速やかな解決その他の人権擁護に関する基本的な事項を定め、その施策を積極的に推進し、差別のない明るい社会の実現を図るため、条例を制定するものであります。 議案第18号は、上越市部制条例の一部改正についてであります。 交通体系の整備、火力発電所立地など、社会・経済情勢の変革に的確に対応するため、現行の商工観光部の組織及び事務を大幅に見直し、物流対策、ベンチャー企業育成など新たな機能を加え、通商産業部として再編整備するほか、文化振興懇談会の提言を踏まえ、市民文化の振興と文化施策に対する市民の多様なニーズに対応するため、文化振興を新たに企画政策部の分掌事務とするなど組織の整備・充実を図るものであります。 議案第19号は、議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例等の一部改正についてであります。 厚生年金保険法等の一部を改正する法律により、国家公務員等共済組合法の題名改正等が行われ、平成9年4月1日から施行されるのを受け、同法を引用している条例について所要の改正を行うものであります。 議案第20号から第23号までは、議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例などの一部改正についてであります。 上越市特別職報酬等審議会の答申に基づき、市議会議員の報酬及び市長等三役の給料を改定し、あわせて非常勤特別職の報酬及び教育長の給料を改定するものであります。 議案第24号は、職員の旅費に関する条例の一部改正についてであります。 日帰り旅行における日当の支給規定を見直し、改正するものであります。 議案第25号は、上越社会文化施設運営基金条例の一部改正についてであります。 金利の変動に伴う運用益金の減少に対応するため、基金の処分規定を設けるとともに、基金の額を定額から予算の定める額に改めるものであります。 議案第26号は、上越市市税条例及び上越市都市計画税条例の一部改正についてであります。 平成9年度の固定資産評価替えに伴い、税負担増加の緩和措置を図る等の地方税法の一部改正が見込まれるため、固定資産税及び都市計画税の第1期納期を繰り下げるものであります。 議案第27号は、上越市立幼稚園条例の一部改正についてであります。 昭和63年度以降据え置かれていた保育料について、私立幼稚園との格差是正及び運営費の増嵩等を勘案し、引き上げるものであります。 議案第28号は、上越市奨学基金条例の一部改正についてであります。 育英事業を充実するため、基金を積み増しするものであります。 議案第29号は、上越市白山会館条例の一部改正についてであります。 「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に規定する特定事業のうち、設置根拠となる規定が平成9年3月31日で失効するため条文を整理するものであります。 議案第30号は、日本スキー発祥記念資料館条例の一部改正についてであります。 日本のスキー発祥の地『上越市』を全国的にアピールするため、展示内容のグレードアップを図ったことに伴い、名称を「日本スキー発祥記念館」に改めるとともに、観覧料を一部引き上げるほか、行政組織の整備に合わせ所管を教育委員会から市長部局へ移管するものであります。 議案第31号は、旧師団長官舎条例の一部改正についてであります。 利用者の利便を図るため、利用時間を延長する場合の使用料の規定を設けるほか、行政組織の整備に合わせて所管を教育委員会から市長部局へ移管するものであります。 議案第32号は、上越市こどもの家条例の一部改正についてであります。 春日野2丁目に建設を進めているこどもの家が3月末に完成することに伴い、4月1日の供用開始に合わせ、名称を「かすがのこどもの家」とし、その位置を定めるものであります。 議案第33号は、上越市高齢者住宅整備資金貸付条例及び上越市障害者住宅整備資金貸付条例の一部改正についてであります。 貸付対象者の負担を軽減し、快適な居住環境づくりを進めるため、貸付金の利率を引き下げるものであります。 議案第34号は、上越市インドアゲートボール場条例の一部改正についてであります。 「インドアゲートボール場」の利用の拡大を図るため、利用時間を見直し、午後9時までに延長するものであります。 議案第35号は、上越市妊産婦及び乳幼児の医療費助成に関する条例の一部改正についてであります。 幼児に対する医療費助成の対象を「満3歳到達月まで」から「満6歳到達月の年度末まで」に拡大し、入院に要した医療費のうち、自己負担額の半額を助成するものであります。 議案第36号は、上越休日急患診療所条例の一部改正についてであります。 救急医療体制の充実を図るため、新たに土曜日を開設し、診療日、診療科目、診療時間を定めるものであります。 議案第37号は、上越市下水道条例の一部改正についてであります。 消費税率の引き上げ及び地方消費税の新設により使用料の額を改定するほか、下水道法の改正により下水道の暗渠部分に電線の設置が可能になったことから、占用規定の整備などを図ったものであります。 議案第38号から第41号までは、上越市農業集落排水条例などの一部改正についてであります。 消費税率の引き上げ及び地方消費税の新設により使用料等の額を改定するものであります。 議案第42号は、上越市農村公園条例の一部改正についてであります。 四ケ所及び増沢に農村総合整備事業で整備を進めている農村公園がそれぞれ3月末に完成することに伴い、4月1日の供用開始に合わせ、名称を「四ケ所公園」及び「丸山公園」とし、その位置を定めるものであります。 議案第43号及び第44号は、上越市働く婦人の家条例及び上越観光物産センター条例の一部改正についてであります。 利用者の便宜を図るため、利用時間を延長して使用できるようにし、延長時間の使用料を定めるものであります。 議案第45号は、上越市住宅新築資金等貸付条例の廃止についてであります。 「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に規定する特定事業のうち、貸付事業の根拠となる規定が平成9年3月31日で失効することにより、条例を廃止するものであります。 議案第46号は、上越市都市公園条例の一部改正についてであります。 占用物件の区分を改めるとともに、電線類の埋設の促進を図るため、使用料を改定するものであります。 議案第47号は、上越市消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の一部改正についてであります。 消防団員の待遇改善を図るため、報酬年額等を改定するものであります。 議案第48号は、新潟県消防団員等公償組合規約の変更についてであります。 構成団体である西蒲原郡南部消防事務組合及び糸魚川地域消防事務組合が組織を改編し、組合名称を変更することから、当該部分を改めるものであります。 議案第49号は、財産の取得についてであります。 史跡春日山城跡を公有地化するため用地を買い入れるものであります。 報告第1号は、1月18日に専決処分いたしました平成8年度上越市一般会計補正予算でありますが、歳入歳出予算総額に2,000万円を追加し、予算規模を481億9,768万円といたしました。 この補正は、1月2日に沈没したロシア船籍タンカー『ナホトカ号』から流出した重油が本市にも漂着するおそれが極めて高くなったため、1月18日に「上越市重油流出事故災害対策本部」を設置し、回収作業等の応急対策の準備を開始いたしましたが、これに伴い、作業に必要なドラム缶等の資機材を初め、プレハブ小屋借上料等の経費について補正したものであります。 なお、この財源につきましては、保険金等による補償が決定されるまでの間、上越市災害対策基金2,000万円全額を取り崩してこれに充てることといたしました。 報告第2号は、2月7日に専決処分いたしました平成8年度上越市一般会計補正予算であります。 リージョンプラザ上越のアイスアリーナが1997年世界ショートトラックスピードスケート選手権大会出場選手の練習会場となったことに伴い、防護マットを補充購入する経費を補正したほか、直江津港が年間貨物取り扱い量1,000万トンを達成した記念事業に対する負担金を補正したものであります。 この財源としては、予備費を減額して収支の均衡を図りました。 報告第3号は、昨年12月27日に専決処分いたしました平成8年度上越市農業集落排水事業特別会計補正予算であります。 歳入歳出予算総額に257万円を追加し、予算規模を20億9,931万円といたしました。 この補正は、昨年9月9日に発生した庁用自動車による交通事故の示談が成立いたしましたので、相手方に対する損害賠償金と庁用自動車の買いかえに要する経費を計上したものであります。 歳入には、保険金を充当して収支の均衡を図りました。 報告第4号は、同じく昨年12月27日に専決処分いたしました損害賠償の額の決定についてであります。 今ほど報告第3号で御説明いたしました損害賠償の額を決定したものであります。 続きまして、後送分としてお手元に配付いたしました案件につきまして御説明申し上げます。 議案第50号は、工事請負契約の締結についてであります。 多機能型拠点施設新築工事を8億5,575万円で、大成・久保田・大栄共同企業体と指名競争入札の方法により工事請負契約を締結するものであります。 以上、提案理由を申し上げましたが、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。 ○議長(市川文一君) この際、暫時休憩いたします。          午後0時14分 休憩          午後1時30分 再開 ○議長(市川文一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次発言を許します。 17番、石平春彦君。          〔石 平 春 彦 君 登 壇〕 ◆17番(石平春彦君) 私は、市政クラブを代表して、今議会に提案されました議案のうち、議案第1号平成9年度上越市一般会計予算について、議案第17号人権を尊び部落差別などあらゆる差別をなくし明るい上越市を築く条例の制定について並びに議案第18号上越市部制条例の一部改正について、以上の3点について総括質疑を行います。 まず、質疑に入る前に、このたびの重油流出災害事故に対する取り組みについて一言申し上げておきたいと思います。冬の日本海特有の厳寒と荒天の極めて厳しい気象条件のもとで、連日重油回収に当たっていただいた関係機関の皆さんや市民のボランティアの皆さん、そして通常業務を遅滞なくこなしながら、連日大挙して現地に張りつき、災害対策と回収作業の両面にわたり御尽力をいただいた市職員の皆さんに心から感謝を申し上げます。 とりわけ市長におかれては、いち早く災害対策の初動態勢を整えられ、連日現場での指揮をとられながら自衛隊の出動要請などを初め、的確で迅速な対応を講じられ、厳しい気象条件の中で被害を最小限に食いとめられました。一方で、上越地方の関係自治体をまとめられ、被害の拡大防止と原状回復、補てん・補償、再発防止などの抜本的対策の速やかな実現に向けて国、県並びにロシア大使館に対し、すばやくかつ強力な要請活動を行われました。この時期は、予算編成という最重要な業務を抱えながらの連日連夜の取り組みであり、まさに寝食を忘れた行動ではなかったかと推察をいたします。その御尽力に心から敬意を表し、深く感謝を申し上げるものであります。 この間、私ども議員もボランティアとして重油回収作業に参加するとともに、臨時会で意見書を採択し、国に対する要望活動を重ねてまいりました。今後も必要な取り組みを最大限行い、きれいな海となぎさを取り戻し、守っていきたいと考えております。 先ほど市長が述べられたように、現状は一区切りついたと言っても、終結したわけではありません。漁業、観光資源等に多大な被害が及んでおりますが、今後とりわけ海水浴シーズンに向けて悪影響が残らないよう万全な対策を講じていただくことを改めて要望しておきたいと思います。また、私たちの誇る「上越の海」は上越市域だけで成り立っているわけではありません。一体的な評価を受ける周辺自治体のエリアも含めて上越全体の海や海岸がきれいさを取り戻せるように、ぜひともリーダーシップを発揮していただくよう重ねてお願いを申し上げます。 それでは、具体的な質疑項目に移りますが、最初に議案第1号平成9年度上越市一般会計予算についてであります。まず、財政の健全化についてでありますが、景気の低迷が依然として続き、先行きの不透明な厳しい経済環境のもとで、9年度予算についてもその編成作業に多大な苦労をされたことは、ただいまの提案理由の中からもうかがい知ることができるのであります。一方では厳しい財政事情があり、他方では少子・高齢化、情報化、国際化、そして分権化という時代基調の中で、立ち向かわなければならない課題は山積し、さらにライフスタイルや価値観の多様性を反映して、市民のニーズも年々増加しております。 しかも、過去の長期の借金体質が足を引っ張るという構図になっているわけであります。このような中で、計画的、総合的に施策を展開し、事業を新設あるいは充実させ、それでいて財政を健全化させるというのは並大抵のことではありません。まさに神わざに近いと言えるかもしれません。市長はこのことについて、常々財政節度の堅持を言われ、市政の総点検、総見直しの中で、執行体制の効率的整備と事務事業の重点的かつ効果的な予算配分、そして通常分の起債の抑制、さらに計画的な繰上償還による市債残高の抑制などの方針を示してこられました。私どもも大いに賛意を示すところであり、市長就任以来の3年間で改善の兆しが見えてき、絶対評価における大幅な改善はいまだ難しいものの、全国都市比較による公債費比率の相対評価並びに住みよさランキングでは大幅にランクアップしたことは、12月議会の一般質問でも述べたとおりであります。 そこで、9年度予算編成においても、その方針のもとで行われたことと理解をいたしておりますが、それらの編成基調の中でどのような点に意を用いられたか、そしてそれは予算にどのように反映されたのか、共通認識を持ちながら難局に立ち向かっていくためにも、もう一歩踏み込んで苦心の跡を明らかにしていただきたいと思います。 次に、地方分権推進についてでありますが、平成7年5月に地方分権推進法が成立し、さらに昨年12月20日には地方分権推進委員会の機関委任事務の廃止を骨子とする第1次勧告が出され、国の関与の問題など幾つかの論点を抱えておりますが、いよいよ権限移譲が具体化する方向に大きく前進いたしました。今後、ことし前半にも税財源問題などを骨子とする第2次勧告が出され、これをもとに政府が地方分権推進計画を策定する運びになっているわけであります。当市においても、地方分権推進法の成立後、直ちに地方分権推進活動が予算化され、以後2カ年にわたりシンポジウム開催や意識調査の実施、全国的に注目されたパンフレットの発刊など市民啓発に取り組むと同時に、行政組織の企画政策能力の向上など分権の受け皿づくり、地方主権の主体性づくりに積極的に取り組んできたことは、大変意義深いものであると考えております。 そのような中、この4月から県からの権限移譲が一部行われるということは、大変喜ばしいことであり、一層の推進を期待するところであります。しかし、一方で権限が移譲されただけでは不十分であり、財源移譲と組織の整備、人材確保が必要不可決であります。したがって、何がどのように移譲されるのか、県からは交付金として353万円入りますが、これで十分なのか、県の関与はどのように変わるのか、市民の生活において何がどのように変わるのか、組織の整備と人材確保はどう考えているのかなど、その行財政的影響と対応方針を明らかにしていただきたいのであります。 次に、高度情報化社会に対応する情報基盤整備の考え方についてであります。新年度から名称を改め、約3,500万円増と大幅にアップしたOA化推進事業に関連してお尋ねをいたします。資料によれば、新年度に光ファイバーによる庁内LANを構築し、本庁と出先機関を高速デジタル回線で接続、同時にインターネットに接続。また、パソコンを順次導入しておおむね5年以内に本庁職員2人に1台のネットワーク環境を実現するというものであります。 私は、過去の一般質問で情報公開制度の導入を契機に、コンピューターによる新たな情報管理システムの開発と庁内LANの構築、そしてそれらを含めて情報化全般の中長期の政策形成や地域情報ネットワーク整備などを総合的に推進する情報政策課の設置を提言いたしました。その後、電算課は情報システム課に発展的に改組され、またインターネット環境が急速に進展する中で、その利用実験や普及事業にも業務が拡大されました。上越教育大学を通じてインターネットに接続しWWWサーバを立ち上げ、市民の協力によってホームページを開設、自治体のユニークで先進的な取り組みとして全国的な注目を浴びる中、世界に上越市の情報を発信し、大きな成果をおさめてまいりました。さらに、小中学校においては9年度で全校への教育用パソコン導入が完了し、教育現場における情報基盤が一応整備されるのであります。平成8年3月には文部省のパイロットモデル事業として、上越学習情報ネットワーク整備計画が策定され、その中では教育現場のみならず、今後の地域全体の情報ネットワーク整備の方向性が示唆されております。そして今、新たに行政組織内におけるコンピューター・ネットワークが立ち上がろうとしており、高度情報化社会に対応する情報基盤整備への一歩を踏み出すものとして大いに期待が持たれるのであります。 しかし、その一方においては、わずか1年半にして市民に対するインターネット普及事業が唐突とも言える形で中止され、この間醸成された市民の行政に対する信頼感と協力関係を損ねる結果となりかねず、今後の地域情報化推進にとって禍根を残すのではないかと危惧されます。また、時代の趨勢は、行政のOA化から地域における情報基盤整備へと急速に進展しておりますが、当市の場合、その将来展望がいま一つ見えてまいりません。したがって、このたびのOA化推進事業は、情報政策全体の中でどのような位置にあるのかを含め、情報基盤整備の考え方を明らかにしていただきたいのであります。 次に、議案第17号人権を尊び部落差別などあらゆる差別をなくし明るい上越市を築く条例の制定について質問をいたします。この条例は、同和問題の根本的解決を目指す部落解放基本法制定要求の全国的な取り組みと、その一環としての自治体における条例制定機運の盛り上がりを受けて提案されたものと理解をしております。私も過去の一般質問において、今なお部落差別の悲惨で深刻な実態があることを訴え、部落解放基本条例の制定の必要性を提言してまいりました。我がクラブとしても重ねて要望してまいりましたので、このたびの提案については喜びを持って迎えるものであります。市長を初め、条例案検討に御尽力いただいた関係各位に敬意と感謝を申し上げます。 そこで、共通認識を持っておかなければならないことは、今も申し上げた中での条例でありますので、その性格として人権問題全体を視野に入れながらも、とりわけ同和対策を中心的、重点的な課題として位置づけているという点であります。それは、条例の名称を初めとして条文の至るところに部落差別あるいは同和問題という表現が特に用いられていることからも理解できるのでありますが、この点も含めて提案に至る経過と制定の趣旨を明らかにしていただきたいのであります。 次に、議案第18号上越市部制条例の一部改正について質問をいたします。今回の機構改革は、一言で言えば企画政策部の拡充と商工観光部の通商産業部への発展的改組ということだと思いますが、そのような機構改革を行った基本的な考え方をまずお示しいただきたいと思います。 次に、文化政策課、女性政策課をそれぞれ企画政策部に新設、移管したねらいを明らかにしていただきたいと思います。我がクラブとしても文化政策については、教育委員会サイドの狭義の文化振興だけでなく、まちづくりや行政の文化化なども含めた総合的な施策として取り組むために、担当セクションの市長部局への設置を要望してまいりましたし、女性政策についても基本的には福祉の観点にとどまらず、男女共同参画型社会の形成に向けて総合的に取り組むべきものであると認識をしております。この点に関しての市長のお考えをお尋ねするものであります。 最後に、通商産業部3課の位置づけを現行との比較と相互の関連の視点から具体的に明らかにしていただきたいのであります。商業振興政策及び物流政策を総合的、体系的に進めるためという理由そのものは大変重要なことで、新たな課題に立ち向かう市長の積極的姿勢に敬意を表しますが、これまでの業務体制を一気に変えることで混乱はないか、スムーズに新体制に移行し、期待される力が発揮できるのか少々不安であります。特に観光対策では、今まで企画を担当する部署のほかに観光課として独立した体制だったものが、商業観光課として縮小されたという印象をぬぐえません。一方で、観光振興5カ年計画の実施2年目として、600万人観光の実現を目指して推進する事業は拡充されております。新たな観光拠点の整備やイベントの充実、宣伝活動の強化、県内外へのPRの強力な推進、コンベンションの誘致などなどでありますが、そのほかにも特にことしは長野冬季オリンピックに関連する誘客活動もあるはずであります。果たしてこのような組織体制で間に合うのか、手薄になるという懸念はないのか、この辺についての市長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 以上、よろしくお願いいたします。 ○議長(市川文一君) 宮越市長。          〔市 長 登 壇〕 ◎市長(宮越馨君) お答え申し上げます。 最初に、財政健全化に向けてどのような点に意を用いたかとのお尋ねでありますが、改めて申し上げるまでもなく、財政健全化の基本はまず産業の振興を図り、市がさまざまな行政活動を行う上での基本的な財源である市税の増収を図ることによって、安定した財政基盤を確立していくことが最も重要な視点であります。もちろんこのことは、とりわけ景気の低迷が長期化している現下の経済情勢の中で、一朝一夕に実現できることではありませんが、10年、20年という中長期的な視点に立って戦略的な取り組みを展開していくことが重要であると考えているところであります。 このため、私はこれまでも企業団地の造成を初めとして、中小企業振興対策や農業振興対策など、産業の振興と雇用の創出に向けてさまざまな施策を総合的に講じてきたところでありますが、さらに新年度ではこれまで以上に産業の育成、振興に力点を置いて予算編成に当たったことは、先ほどの提案説明でも申し上げたとおりであります。すなわち、組織を通商産業部に改編し、執行体制の強化、充実を図りながら、産業振興基本計画や新たな企業団地計画の策定、流通業務団地や直江津-ザルビノ間航路開設に向けての取り組み、ベンチャー企業の育成や優良企業の誘致など、さまざまな商工業振興政策及び物流政策を推進するとともに、安心して働くことのできる環境整備のため、未満児保育を初めとする児童保育の充実や乳幼児健康支援デイサービス事業の開始など、数多くの施策を予算化したところであります。いずれにいたしましても、常に先を見据えながらこれらの施策を総合的、体系的、計画的に推進していくことにより地域産業の振興、活性化を図り、もって市財政の基礎体力向上を図ってまいりたいと考えております。 また、もう一つの重要な視点は、財源の極めて厳しい中にあって、行政改革を進めつつ、節度ある財政運営を図らなければならないということであります。私は、市長就任以来率先して市政の総点検、総見直しに取り組みながら主要事業のシェア配分の見直しも大胆に行うなど、限られた財源の効果的な配分に努めてまいりました。平成9年度もこうした視点に立って、先ほども詳しく申し述べましたが、事業選択には十分な配慮を行いながら、福祉を初めとして今まさに必要とされている行政分野には、より一層重点的な財源配分を行ったところであります。そして、これにあわせて後年度の財政負担となる市債の新規発行を抑え、計画的な繰上償還を行うことにより、市債残高の抑制に努めたところであります。 ちなみに申し上げますと、国の地方財政対策の枠組みの中で、減税補てん債や臨時税収補てん債の発行など、市債残高が増加せざるを得ない状況にありますが、そうした中でいわゆる通常分の市債にかかる市民1人当たりの残高は、起債許可年度ベースで見た場合、平成5年度が約25万2,000円、6年度が25万1,000円、7年度が24万3,000円、そして8年度の見込みが23万7,000円と、これまでの取り組みの効果により年々減少しており、平成9年度も8年度とほぼ同水準で推移するものと見込んでおります。 また、市債の金利引き下げにつきましても、これまでも既に対応してきたところでありますが、このたび金融機関側との交渉の結果、さらに多くの市債について引き下げが実施されることとなり、これにより平成9年度で約4,800万円、償還完了時まででは実に2億9,300万円もの利子負担軽減が図られることになったのであります。行政需要が増大の一途をたどる中で、地方分権時代に即したまちづくりを進めていくためには、強固な財政基盤をつくり上げていくことが不可欠であります。私は、今後とも産業の振興に精いっぱいの力を注ぎながら、バランスのとれた税源の涵養を図り、また総点検、総見直しを引き続き推進するとともに、市債残高の抑制にも努めるなど、財政の健全化に向けて細心の注意を払いながら最大の努力を重ねてまいりたいと考えております。 次に、新潟県からの権限移譲についてのお尋ねでありますが、新潟県では地方分権の流れをより確かなものとするため、住民サービスの向上の観点から地域住民の生活と密接に関連する事務について、現行法令・制度の範囲内で4月1日から県下各市町村に対して38事務の権限が移譲されることになっております。そのことは御案内のとおりであります。新潟県からの権限移譲をどう進めていくかにつきましては、去る平成7年12月1日に市長会、町村会、新潟県の3者から成る権限移譲合同検討会が設置され、地方分権の推進と新潟県から市町村への権限移譲の円滑な実施を図るため、具体的な課題の整理や移譲方法等についての検討を行ってまいりました。この間、6回に及ぶ検討会や市長会、町村会ごとの協議を経て、昨年9月30日に新潟県知事、市長会長、町村会長の3者間で移譲事務、移譲時期などについての覚書が取り交わされたのであります。 今回の移譲事務は、身体障害者手帳の交付を受けている18歳未満の児童への補聴器、車いす等の補装具の交付申請を初めとし、5ヘクタール未満の土地区画整理組合の設立及び施行認可、都市計画施設の区域や土地区画整理区域内の建築許可、さらには市街化調整区域内の開発行為の許可、そして商店街振興組合の設立認可等々、民生、保健衛生、まちづくり、産業などにわたる幅広い分野の個別事務から構成されております。これまで市町村を経由して新潟県での決定を待たなければならなかったものが、4月1日以降はそれぞれの市町村で完結処理できることになり、申請から決定までに要する期間が大幅に短縮されるなど、市町村の行政現場でのサービス向上に大きく寄与することになるものと評価しているところであります。 また、権限移譲に伴う事務説明も昨年10月から逐次実施され、さらに地方分権の受け手側としての行政の体制づくりもかねてから積極的に推進してきたところでありますが、今後とも引き続き職員研修等を重ね、分権型社会への対応に努めてまいりたいと思います。 一方、権限移譲に伴う財源措置につきましては、地方財政法第28条の趣旨にのっとり、市町村での事務処理に要する経費については、合理的な積算によってそれぞれの市町村に交付することとされております。その交付金は、新潟県の現行の処理経費を基本として事務処理件数に応じて交付する変動費、パトロール、指導監督、報告事務等に対する固定費、さらには初年度に限っての研修会などの準備経費に分けてそれぞれ積算され、それらの合計額が措置されるものであります。今回の権限移譲は、新潟県と市町村が一体となって進めるものでありますが、引き続きその拡充、推進に努力してまいりたいと存じます。 次に、庁内OA化とインターネット事業など、情報基盤整備の考え方についてお答えいたします。従来、庁内で組織的にコンピューターを活用しておりましたのは、費用効果の関係で省力化が図れる住民記録や課税情報など、大量なデータを反復して取り扱う業務が中心でありました。しかし、最近のパソコンの低価格化により、今までより広い分野での活用が費用効果の面で可能となってまいりました。あわせてパソコンの機能が高くなったこととネットワーク技術の進歩により、情報の共有と高度利用が容易となりました。そこで、平成6年度から開発に着手してまいりました財務情報システムについてはパソコンをネットワークする方法で、平成10年度の予算編成業務から運用を開始したいと考えておりますし、このことも踏まえて庁内ネットワークの整備と計画的なパソコンの配備を予定したところであります。なお、これを有効に活用するための職員研修も継続的に実施してまいります。 また、インターネット事業につきましては、平成7年度より市民ボランティアの皆さんの協力を得て情報発信を行ってまいりましたことは御案内のとおりであります。地方分権の時代を迎え、情報の提供、収集、交換などにインターネットを積極的に活用する必要性も痛感しておりますので、庁内ネットワークの整備を機会にインターネットとの接続を行うことにより、全庁的な利活用の環境を整え、より多くの情報の提供と活用を図ってまいりたいと考えております。さらに、インターネットの双方向性機能を生かすために、新たなコミュニケーションの手段としての活用方法についても研究を重ね、行政サービスの向上と双方向行政に役立つよう情報基盤の整備に積極的に取り組んでまいる所存であります。 次に、人権を尊び部落差別などあらゆる差別をなくし明るい上越市を築く条例制定の経過と趣旨についてお答え申し上げます。御承知のとおり同和問題は、憲法が保障する基本的人権の尊重にかかわる重要な問題であり、昭和40年の「同和問題の解決は国の責務であり、国民的課題である」とした同和対策審議会の答申により、国においてはその精神に沿って昭和44年に同和対策事業特別措置法を制定し、その後も3度にわたる特別法により四半世紀を超える長期の部落差別撤廃に向けての各種施策を展開しております。また、各自治体においても同和問題の根本的解決を目指し、各種の特別対策など積極的な取り組みが図られてきたところであります。当市においても同和問題の解決は行政の重要課題であり、また責務であるとの認識から同和対策審議会の答申を指針に、同和地区の生活環境の改善、社会福祉の充実、職業の安定、教育文化の向上などを推進するとともに、人権意識の啓発に力を注いでまいりました。 また、この間同和問題の根本的解決を目指して部落解放基本法の制定要求が全国的に繰り広げられてまいりました。当市議会においても平成元年12月には部落解放基本法の制定に関する意見書を議決して国に提出される等、部落差別の解消に向け、積極的に取り組んでいただいているところであります。 一方、近年多くの自治体ではあらゆる差別の撤廃等、人権擁護をうたった条例の制定が行われており、平成9年2月現在で同和地区を有する全国1,125市町村のうち、約41%に当たる464市町村が条例を制定しており、条例名称に若干の違いはあるものの、人権と同和問題に係る積極的な取り組みがなされているところであります。しかし、同和地区における物的な生活環境及び周辺の基盤整備が進んだものの、いまだに心理的差別が依然として根深く存在していることから、その早期解決に向けた対策が強く望まれているのが現状であります。 こうした中で、国においては現行の地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、いわゆる地対財特法が本年3月31日に失効することに当たり、45特定事業の中、15事業を延期するという法改正の措置がとられることとなっております。さらに、地対財特法期限切れを前にして、さきの12月臨時国会において同和問題、人種、性別、信条等によるさまざまな差別の解消、その他の人権擁護に関する施策を推進する人権擁護施策推進法が制定され、新たな取り組みが始まっております。人権問題は、1995年の人権教育のための国連10年がスタートし、平和問題、環境問題とともに国際社会における大きな課題ととらえられており、21世紀は人権の世紀とも言われているところから、今回の推進法の制定はもとより、当市における条例の制定も広い意味でその方向に沿ったものと思っております。 このような経過等を踏まえて部落差別等、あらゆる差別をなくすとともに、人権擁護のための施策を総合的、体系的、積極的に推進する上で、新たな条例制定が必要と判断し、昨年11月28日上越市同和対策審議会に条例の制定について諮問したところであります。審議会では4回にわたる審議を重ねられた結果、本年2月6日に条例の制定が必要であるとして、諮問案の一部を修正した条例案の答申をいただきましたので、この答申に基づき当市における人権問題、同和問題の基本的な施策を積極的に推進し、差別のない明るい社会の実現を図るために条例制定を提案いたしたものであります。 次に、同和対策を特筆している意味についてでありますが、同和問題は歴史的発展の過程において形成された基本的人権にかかわる深刻な社会問題であります。この根本的解決を目指し、国、地方を挙げて今ほど答弁いたしましたとおり、長期にわたり、しかも各種施策を積極的に取り組んでまいったところであります。しかし、昨年5月の総務庁地域改善対策協議会の意見具申でも述べられているように、依然として結婚問題を中心に差別意識が根深く存在し、人権侵害の事象もあるとされており、このような現状を踏まえて本条例においても同和問題を大きな取り組みの一つの柱に置く必要があると判断しているものです。 このほか女性、障害者、子供、外国人差別等、あらゆる差別の解消なども含む幅広い人権分野を包含した普遍的な条例としたものであります。今後も同和問題を初め、人権擁護の推進につきましては、同和対策等審議会や人権擁護関係団体の意見を聞きながら総合計画を策定し、人権が尊重される社会づくりに積極的に取り組んでいきたいと考えておりますので、御理解と御協力を賜りたいと存じます。 次に、上越市部制条例の一部改正についてお答え申し上げます。最初に、今回の機構改革の基本的な考え方でありますが、行政組織機構は簡素で機能的であることを基本とし、あわせて新たな行政課題や多様化する市民のニーズに対して柔軟に迅速かつ的確に対応できる弾力性と総合性を備えたものでなければならないと思います。そこで、現在の当市を取り巻く現状に目を向けて見ますと、直江津港の年間貨物取り扱い量が1,000万トンを超えたことに端的にあらわれているように、港湾及び高速交通体系の整備は物流など社会経済情勢を大きく変化させております。文化施策については、スポーツや国際交流などの進展に伴い市民のニーズは多様化しており、これにこたえるためには従来の法令や先例に頼るのみでは対応し切れない状況にあります。さらに、4月には県から権限移譲で地方分権の動向が本格化するなど、市行政が対応すべき内容は大きくさま変わりしている中にあり、市の行政組織は必ずしもこれに的確にこたえ得るものではないと判断し、主として商工観光部を通商産業部へ組織を再編強化するとともに、市民文化の担当組織を新たに設置するなど、これまで以上に効率的、計画的、体系的な行政運営を推進するために、機構の一部を改正しようとするものであります。 次に、企画政策部に文化政策課を新設し、女性政策課を福祉環境部から移管した考えについてでありますが、昨年8月に私たちはのびやかJプランを手にすることができました。本プランは、上越市の将来の都市像であるみどりの生活快適都市・上越を実現するための具体的な戦略プロジェクトであり、新しい市民文化の創造なども快適で個性豊かな活力に満ちた地域社会を創造する重要な要件と位置づけられております。そこで、昨年5月に市民代表の参加により文化振興懇談会を設置し、市民文化のあり方や文化行政の実施主体と組織体制などについて論議をお願いしてまいりましたが、昨年末に文化行政はまちづくりと一体のものであるとの観点から市長部局に文化振興セクションを新設することなど、4項目から成る提言をいただきました。今回その提言を踏まえ、さらにのびかやJプランの整合性をも視野に入れながら、企画政策部に文化政策課を新設するものであります。これに伴い、主に教育委員会社会教育課が中心となって所管している事務事業を移管することとなりますが、市長部局と一体化、連携することにより、まさに全庁的な体制整備を図ることができるものと確信をしているところであります。 次に、女性政策課の企画政策部への移管の考えでありますが、私は平成6年4月、当時の民生部女性児童課の女性政策係にかえ、女性政策室を新規設置し、さらに平成7年3月末には上越市女性行動計画、じょうえつ女性アクションプランを策定したのを期して、同年4月には女性政策課を新設するなど、男女共同参画型社会実現のための施策を拡充してきたところであります。女性に関する施策は、これまで健康づくりや福祉の向上の側面を中心に進められておりましたが、広く女性の地位向上と男女の快適な共生を目指した総合的、体系的な施策が求められる現状から、そして上越市女性行動計画に基づく具体的な実施計画や事務事業をのびやかJプランとの整合性を図り、一層の連携、推進を図る意味から、政策部門を所管する企画政策部に移管するものであります。 最後に、通商産業部3課の位置づけについてお答え申し上げます。まず、通商産業部設置については、近年の飛躍的な交通体系の整備、また火力発電所の立地など、当市を取り巻く社会経済情勢の劇的な変革に対応するため、物流対策、ベンチャー企業の育成など、新たな機能を付加する一方、既存の商店街の振興や中小企業などにもきめ細かい対応を図るなど、現行の商工観光部の組織及び事務を大幅に見直し、通商都市・上越の発展を目指して再編整備するものであります。具体的にはまず通商産業企画課を設け、部の基幹となる通商産業施策の企画立案を行うほか、各種イベントの実施、雇用促進など、勤労者福祉の充実を図ることとしております。また、交通体系の整備等により、年間貨物取り扱い量が1,000万トンを超えるなど、日本海側のゲートウエーとして揺るぎない地歩を固めている直江津港を一大拠点として、飛躍的な伸びが見込まれる物流に着目した流通業務団地の整備、企業立地の促進などに積極的に対応するため、通商産業企画課内に物流対策室を設置いたします。さらに、これらの動きと関連の深い商工業関係の担当を商業部門と工業部門に大別し、高度化、専門化している施策への対応を図ります。 まず、商業部門では商業観光課を設置し、従来の施策を一層充実させる一方、中小企業の経営指導の充実など、強力な推進体制を整備いたします。加えて商業と関連の深い物産振興、さらに商業振興と密接不可分な観光部門の3者を一体化することにより、有機的な連携が図られるものと考えております。特に今年、地元経済界が進める観光コンベンション協会との関係では、同協会が進める事業展開は飲食、宿泊、会場提供、観光などの業種が相互に連携し、全体が活性化することにありますが、その意味からも市の組織は商業と観光が一体の方が的確であると考えております。 また、観光施策は平成7年度に策定した第1次観光振興5カ年計画により基本的な考え方が整理され、これに基づいた具体的な事業が進行し、成果をおさめております。観光対策が手薄にならないかとの御懸念もいただいておりますが、以上申し上げたようにその心配はないと考えております。 工業部門では工業振興、工業団地整備などの業務に加え、新しい地場産業を創出するニュービジネス・ベンチャー企業を育成するため、ベンチャー中小企業課を設けるなど、時代の流れを先取りし、体制整備を図ることといたしました。いずれにいたしましても、地域産業の振興は若者の定着や雇用の創出、税源の涵養などの観点から当市の発展にとってはかり知れない効果を生み出すものであり、このたび設置する通商産業部は通商産業都市・上越の推進母体であると考えていただきたいと存じます。 以上です。 ○議長(市川文一君) 3番、山岸行則君。          〔山 岸 行 則 君 登 壇〕 ◆3番(山岸行則君) 私は、社会民主クラブを代表して、今議会に提案されました平成9年度一般会計予算を中心に質問いたします。 平成9年度一般会計予算総額481億6,587万円の予算は大変緊縮型であり、かつ歳入項目も相当厳密に行われております。また、歳出に至っても総枠としては厳しい財政事情に見合った予算計上であり、総体的には評価するところであります。しかし、財政再建の方向性や先行き不透明な予算編成もありますので、これから順を追って質問をいたします。 まず、平成9年度予算の歳入項目からであります。一つは、個人市民税の中の所得割の伸び率についてであります。今年度は60億8,225万円であり、8年度より4億4,929万円の増であります。しかし、特別減税の廃止に伴い4億4,464万円の増であり、税率改正などを含めると、総合として4億9,000万の増となり、その上に今年度の所得上昇分をプラスすれば、単純にいって平成8年度の所得割であります56億3,290万円に6億以上のプラスとならなければならないはずであります。しかし、個人市民税の所得割が62億以上の予算に普通はならなければならないはずでありますけれども、今年度の予算を見ますと、60億8,225万円であり、1億以上の不足という計算状況が出てきます。確かに8年度の決算見込みから計算すると、6億以上の増であります。なぜ8年度の決算見込みからすると当初予算から含めて1億5,000万からの収入減となり、それがそのまま9年度の伸び率の低下に引き継いでくるのか、その辺の理由がいま一つわかりませんので、何の部門がその辺の所得の伸び率を抑えてきている原因になっているのか、その辺をまずお聞きをしたいと思います。 次に、法人市民税の法人割についてのお尋ねであります。9年度の予算規模は23億1,801万円であり、8年度より1億5,400万の増であります。しかし、個人市民税とはこれは今度は逆に8年度の決算見込みは23億8,394万円にもかかわらず、9年度の予算でいきますと、この8年度の決算見込みよりも逆に少なくなってくるという状況になっておりまして、最近の緩やかな景気回復傾向から見ますと、8年度の決算見込みよりも、いわゆる23億8,394万円よりも一般的にはさらに多くの税収が見込まれるのではないかと思われますけれども、予算計上からと減収の状況になっておりますけれども、この辺私ども一般の素人から見るならば、建設部門や製造部門を含めて全体的に緩やかに景気は上向きになっているという状況にありますし、ただ全国的に言えば2年ほど前からいわゆるバブル時の負債などを含めた金融業など、保険業なども含めたそういう部門は確かに厳しい状況になっているというふうには思いますけれども、それらが逆に8年度の決算見込みである状況から含めて6,593万円からの税収減とならざるを得ない原因なのかどうか、その辺の計算根拠についてお聞きをしたいと思います。 三つ目は、使用料の予算削減についてであります。8年度の当初予算は10億7,683万円の予算計上になり、8年度は10億6,198万円であり、9年度は10億1,573万円の年度予算が年々減収をする予算であります。これはこの間、私どもも指摘してきましたように、決算状況の中でも指摘しましたように、この間の過剰な予算見積もりに対して現状に合った厳密な予算に基づく内容であろうと思っております。したがって、過去のようにただ単なる前年度踏襲型の予算編成ではなく、厳密に分析をした結果であるだろうというふうに思っておりますので、予算計上のあり方からすれば私どもは逆に大いに評価をいたします。しかし、これからの上越市を考えた場合、後ほどまた提起をさせていただきますけれども、先ほどから市長も言われておりますように、交通体系なども含めた利便性を有効に活用して、私の言葉で言わせていただければ昼間の流動人口をどうやってアップをさせながら、それらの方々を上越市にどうやってやっぱり定着をさせていくかというのが、これからの行政としても必要になってくるんだろうと思います。 先ほど石平議員も質問されておりましたように、例えば上越市は観光5カ年計画を計画して、それらを逐次実行されているという状況の中において、これら昼間の流動人口を多くしながら上越市の各種の施設や観光地を見ていただきながら、使用料や手数料をアップさせていくというのが一つの戦略としてなければならないんだろうと思います。残念ながら今回の予算から見ると、その辺の努力がいま一歩不十分な予算内容になっているのではないかなというふうに指摘をせざるを得ないのでありますけれども、その辺の見解についてお聞きをいたします。 四つ目は、市債発行の起債総額との関係でございます。今年度は42億6,530万円であり、前年度よりも1億3,650万円の減額であります。起債の内訳や予算総体から見れば、極力抑えようと努力されていることは十分理解できますし、今年度も2億5,000万からの減債基金を充当して繰上償還しようとしている内容なども私どもも十分理解をしますし、評価をするところであります。しかし、通常分の25億9,210万円と交付税に100%算定基準となる今年度の臨時税収補てん債や補助率カットや財源対策債など、有効に利用すべき起債もあることは事実であります。起債総枠は42億6,530万でありますので、私どもから見れば、起債総枠を単純に減らしていくためには今年度の元利償還の中身でいきますと、繰上償還の2億5,000万と通常分の27億4,000万、足しますと約30億の元利償還になっていくという状況であります。厳密に言えば29億九千何万だと思いますけれども、約30億の元利償還になっていくという状況でありまして、しかし42億からの起債を起こし、元利償還が30億ぐらいであるとなると、結局起債残高が12億ぐらい多くなるという状況になるわけでありますので、私はこれはやっぱりほぼとんとんに抑えていくのが、今日の上越市の置かれている財政状況からして組んでいくべき姿ではないのかなという感じがいたします。 ただし、今年度はそうは言っても先ほどから説明されておりますように、100%交付税に算定基準をされる臨時税収補てん債などは、これは今年度、単年度の中身でもあり、ある面ではやむを得ない中身でもあるんだがなというふうにも思いますので、それらをプラスしたとしても37億から38億がある程度の限度になるのではないかなと。その意味では4億程度はまだやっぱり起債の発行額としては高いのではないかというふうに見受けられるわけでありますけれども、その辺の中身についてお聞かせいただきたいと思います。 歳入面の最後に、市債の拠点基金分と臨時税収補てん債と地方交付税の関係についてであります。拠点基金分については、これは既にこの間私どもも何回か言ってきておりますけれども、今年度も3億2,330万円であります。この内容はもう十分御存じのように、上越地域の広域行政組合に拠点都市事業の運営資金としての積立金として上越市が拠出をする内容であります。しかし、この内容についてはさきの広域行政のところでも上越市の委員が質問をされていると思いますけれども、この低金利の時代の中で、かつ地方の財政が大変厳しい状況の中で積立金方式の運用が、私どもとすれば率直に言ってやめるべきであるというふうに思っております。確かに、起債の50%弱である47%から48%は交付税に算定基準されることは十分わかります。しかし、今上越市でもって起債を起こして借りている金利が、行政の皆さんのお話を聞きますと、約3%の金利であるという、それに対して広域行政組合の基金の積み立てをしながら運用している利息が1.95%であるという状況でありまして、単純に言って1%以上の利息が市民の税金で逆に賄っていると、こういう制度のあり方そのものは非常にやっぱり矛盾をしていると思います。しかし、これは今年度でほぼ終わるんだという状況だと思いますけど、少なくともこういう運営の仕方をやめるべきであって、やめることによって上越市の起債もふやさないでいいという状況になってくるんでありますので、その辺の見解についてお聞きをしたいと思います。 歳入面の最後の中身でございますけれども、これは臨時税収補てん債と地方交付税の関係についてであります。この制度は、今年度初めてであり、いわゆる消費税の5%アップのうちの1%が地方消費税の交付金として県と市町村に配分をされる。しかし、今年度は実施当初であるために全額が入らない、その不足分としてこの起債の発行を認めているという内容だというふうに聞いております。しかし、最近の国のやり方からしますと、すべてこういう格好で交付税で賄うから起債発行してもよろしいですという状況になっておりますけれども、まさに国の交付税の算定基準の財源の総枠が全く決まっているという状況の中で、同じ枠の中で、同じパイの枠の中において、ただ地方団体とすれば地方交付税に算定されるものであるから、基準に算定されるから借りた方が確かに算定基準が高くなるために交付税としてはいいのかもしれませんけれども、しかし国の財源、総枠が決まっているという状況の中におけるこのような起債発行のあり方そのものというのは、これは上越市だけの問題ではないですけども、国の制度そのものの問題でありますけれども、しかしそのことを活用している上越市の市長としてどういう見解をお持ちなのか、ぜひお聞きをしておきたいと思います。 次に、歳出面について何点か質問いたします。まずは、農業、都市計画、企画部門における各種調査設計委託料についてであります。この調査設計委託料も平成7年度、8年度、9年度と継続しているものもありますし、今年度新たに採用するのもありますけれども、総じて言えることはこの調査設計委託料がどういうものとして生かされ、今後どういう格好で結びついていくのかというのが、いま一つはっきりしないという中身が非常に多いように思うのであります。例えば農業ビジネス拠点等の検討委託料は、農業機関の集積ということを想定しているそうでありますけれども、じゃどういう地域にどういうものを想定しようとしてこの検討委託を行おうとしているのか、私どもは今回いただいている資料からするといま一つはっきりしないのであります。また、都市計画の業務拠点地区整備計画調査委託料などは、この間の調査とどこが違っていて、今後どういう内容に進めていくのか、この間の調査の中身も私どもはまだ十分わかりませんし、それらのとの整合性が全くわからないという状況になっています。ただ、わかるのは、リージョンプラザの今駐車場の前のところにいわゆる業務集積地域としてオフィス的につくろうとしているというのは、それは前の計画でわかるんでありますけれども、それが今までの8年度までの調査でどこまできて、この9年度の予算の調査で何を今度は進んでいくのかというところが十分わからないという状況がございますので、これらの中身も含めて企画部門の新都市市街地地域機能強化整備構想策定委託料だとか、農業関係でいく、これは環境部門との関係になるんだと思いますけれども、優しい農業農村に関する調査研究委託料などについてもその辺をお聞かせいただきたいというふうに思っております。 次に、環境衛生部門の人員の減についてであります。これは、私の勘違いかもしれませんけれども、予算上からすると恐らく退職される方を減らしてあるために、そして新規の採用を新卒や新たな異動の部分で賄うのかもしれませんけれども、予算計上だけを見ると、削減されているような感じがいたします。私は、これは先ほど市長の答弁にもありましたけれども、昨年環境基本条例が成立して、今それに基づいて上越市は環境基本計画を策定している段階にあるという状況でありまして、したがって今後上越市の行政活動、大きく言えばすべての上越市のこれから行っていくのはこの環境部門を通って、環境にクリアするものかどうかを通って行政が運営をされていくというふうに思っておりますので、その意味では環境部門のスタッフの増加があっても減はあり得ないというふうに思っているところでありますけれども、その辺の関係についてお聞かせいただきたいと思います。 それから、超過勤務の内容についても、これもそうでありますけれども、平成8年度の当初予算では2億7,628万円でありましたけれども、今年度は3億600万円であります。しかし、8年度の12月の補正でいくと、8年度の決算見込みは4億1,000万でありますので、8年度の決算見込みからすれば9年度の当初予算は1億程度少ない。このまま推移をしていくならば大いに結構でありまして、よく努力をされているという状況になるんでありますけれども、特別の災害がない限り、ほぼこのまま進めていっていただきたいと思いますけれども、当初予算は8年度よりも既に若干ふえていると、2,972万円ほどふえているという状況もございますので、この辺の予算の考え方についてお聞きをしておきたいと思います。 最後に、先ほど石平議員も質問されておりましたけれども、観光面の中身であります。私は、この予算を見る限りにおいては、いわゆる昼間の流動化人口も含めて、この辺の増加政策の対応がいま一歩乏しいのではないのかなという感じがしております。既に市長も十分御存じのように、もう国内や海外をも含めて今すべての人たちが余暇を有効に活用する時代に入っておりますし、産業的にも第1次、第2次産業が大きく減退をし、第3次産業が急激にふえているという状況でありますので、まさに今年度の上越市の予算にもありますように、流通部門やオフィス部門や観光政策や、また今年度予算のベンチャー企業などに積極的に力を入れようとされているというところでありますので、まさにその状況だと思います。 ただ、残念ながら上越市の高速交通体系を見合って、少なくとも私が見る限りにおいては平成11年末か12年に開通するであろうと言われている上信越自動車道、この開通ぐらいに見合った上越市の観光対策をいま一歩やっぱり強化をしていかなければならないんではないか。高速交通体系の中において、直江津港やほくほく線がこの3月に開通をし、上信越自動車道も開通をするという状況になっていけば、紛れもなくこの上越市のところに人も物も通るのでありますので、その人も物もおりていただく政策をきちっとやっぱりやっていく。そのための人がおりていただく部分としては、事業であり、観光であるだろうと。その観光部分については、おりていただいて、見ていただく施策をやっぱり充実強化をしていかなきゃならないという状況でございますけれども、どうしても厳しい予算の状況の中では非常に御無理なお願いなのかもしれませんけども、今の今年度の予算状況を見ると、その観光施策の内容がいま一歩不十分なんではないのかという感じがいたしますので、その辺の見解をお聞きをいたします。 以上です。 ○議長(市川文一君) 宮越市長。          〔市 長 登 壇〕 ◎市長(宮越馨君) お答え申し上げます。 最初に、個人市民税の所得割の伸び率が少ないのではないかとのお尋ねでございますが、所得割につきましては人事院勧告及び民間給与の妥結状況等を勘案し、所得の種類ごとに伸び率を推計し、58億4,081万円を計上いたしました。これは、前年当初比で9.7%の増、決算見込み比で12.5%の増となっております。なお、この中には特別減税の取りやめに伴う増収分として4億4,464万1,000円のほか、平成6年の税制改革に伴う減収補てんのため、県民税の一部が市へ税源移譲される税制改正の見込みに伴う増収分として8,132万8,000円、合わせて5億2,596万9,000円が含まれております。この影響分を除いて平成8年度決算見込額と比較した場合、2.3%の増となっており、これは当地方における民間給与の伸び率2.6%及び全国民間主要企業の賃上げ状況の伸び率2.8%と比較しても妥当な数値であると考えております。 次に、法人市民税の法人税割が決算見込額より不足となっている要因についてのお尋ねでありますが、まず平成8年度の決算見込みについて申し上げますと、電機産業の円安効果、通信業はインターネットブームや携帯電話など移動体通信の急速な普及、また金融業については住宅専門金融会社向け債権の有税償却処理等に伴い、当初予算比で約2億2,000万円、10.2%の大幅な増収の見込みとなりました。しかし、市内の主な企業への平成9年度業績見込みアンケート調査や各種研究機関の予測及び法人の決算状況等によると、電機・通信業が8年度と同じ高い水準で推移する見通しはなく、特に金融業については住宅専門金融会社等不良債権を放棄または貸し倒れ損失として処理したことにより、9年3月期決算予想は前期に比べ27.2%減となること。また、電気供給業も昨年1月に実施した6.4%の電気料の値下げが大きな負担となり、加えて円安と原油価格の上昇により原料費が増加しているため、3月期決算が前期に比べて28.3%減の予想がなされております。平成9年度の法人税割の算定に当たりましては、これらの調査結果をもとに業種別に伸び率を推計し、前年当初比では7.1%増の23億1,801万円の計上となりましたが、決算見込み比で2.8%減となったものであります。 次に、使用料の予算額が前年度に比べて減額になっている理由のお尋ねでありますが、平成9年度予算における使用料は7億2,554万円で、前年度に比べて6.2%、4,755万円の減で計上いたしました。使用料は行政財産や公の施設の使用、利用の対価として、その使用者、利用者から負担していただくものであり、新年度の予算計上に当たりましては、過去の実績と平成8年度の決算見込みに基づいて積算したものであります。減額になった主な内訳を申し上げますと、水族博物館2,692万円、リージョンプラザ662万円、総合博物館603万円、僻地保育所325万円などとなっております。このうち僻地保育所は遊光寺保育園が黒井保育園とともに新たにやちほ保育園に統合されることに伴う減であります。 使用料は、施設の維持管理費や建設に当たり、発行した市債の償還に充てる貴重な財源の一つであります。そのため、市ではこれまでも多くの皆さんから気軽に楽しく利用していただけるように、上越こどもの日を制定して第2土曜日には減免の措置を講じたのを初め、水族博物館と屋台会館の共通入館券を発行するなど、利用促進を図ってきたところであります。 しかしながら、こうした施設の利用はその年の天候などによって大きく左右される側面もあり、平成6年の渇水、翌7年の水害によって減収になったのは、それぞれ決算報告のときにも御説明したとおりであります。いずれにいたしましても、多くの方から利用していただくことが施設の設置目的にかなうものであり、ひいては使用料の増収につながっていくことでありますので、今後とも施設の管理運営並びに利用促進にはさらに工夫を凝らしてまいりたいと考えております。 続いて、市債発行に対する御質問でありますが、私は市長就任以来、常に財政の健全化を念頭に財政運営を行ってきたことは、先ほども石平議員にお答えしたとおりであります。また、その一つが市債の新規発行の抑制であることも幾度となく申し上げてまいりました。その一方で、市民生活に欠くことのできない生活基盤の整備を進めていくことも私の責務であり、それに伴う市債は財源の一つとして節度を保ちながらも効率的、効果的に有効活用していくべきものであると考えております。 平成9年度ではこのような考え方のもとに、市債総額を前年度に比べて1億3,650万円、3.1%減の42億6,530万円といたしました。この内訳として、いわゆる通常分が9,210万円増の25億9,210万円、補助率カット及び財源不足補てん分としての臨時公共事業債が1億9,540万円増の5億7,390万円、また地方消費税交付金の未平年度化に対応するため、新たに発行する臨時税収補てん債が7億7,600万円などとなっております。この一方、特別減税の打ち切りに伴い、前年度12億円を計上していた減税補てん債はなくなりました。 この中で、通常分の市債が増加した主なものを御説明申し上げますと、まず水道事業会計に対する出資金として石綿セメント管の老朽管更新事業で、平成8年度は1億950万円に対して、平成9年度は1億6,710万円で5,760万円の増、また地震対策として浄水場間の連絡管整備と老朽管更新の安全対策事業で2,310万円が増額になっているほか、新たにリフレッシュビレッジ事業で9,500万円、建設2年目に入る中通住宅建設事業で8,870万円、さらに今年度から2カ年事業で実施する直江津中学校の体育館建設が6,870万円などであります。この中には、上水道事業や義務教育施設整備事業債のように、ルールにより起債とせざるを得ないものも含まれております。 これに対して減額になったものとしては、事業終了等に伴い黒井保育園が8,060万円、スキー発祥記念館7,430万円、公民館高士分館1億3,540万円などであります。このほか補助率カット及び財源補てん分として臨時公共事業債が、平成8年度が3億7,850万円に対して平成9年度が5億7,390万円と1億9,500万円程度増加しておりますが、これは地方財政全般にわたる財源不足を地方債により補てんするという国の方針に基づいて行うものであり、やむを得ないものと考えております。当市の場合、増加した大部分は県事業として行う圃場整備事業で、平成8年度に比べて1億2,430万円の増になっております。このように国における地方財政対策の中で多くの市債を発行せざるを得ない状況にありますが、いわゆる通常分につきましては平成9年度においても真に必要なものを厳選し、引き続き新規発行の抑制に努めたところであり、おおむね妥当なものと考えております。 続いて、起債残高がふえる内容で、財政再建が可能かについてでありますが、平成9年度末における市債現在高の見込みは439億8,115万円で、平成8年度末の許可ベースにおける現在高の見込み427億765万円に比べて12億7,300万円程度増加する見込みであります。このうちいわゆる通常分の起債は、平成8年度末では315億7,718万円、平成9年度末では316億3,072万円と5,300万円程度の増加にとどまり、残りの大部分12億2,000万円は臨時公共事業債や臨時税収補てん債などの発行によるものであります。しかしながら、臨時税収補てん債は元利償還金の100%が交付税算入されることになっており、臨時公共事業債も現時点では決定しておりませんが、平成8年度までの例によれば80%算入されるはずでありますので、この面での心配はないものと考えております。今後とも産業の振興を進めていく中で、税源の涵養を図り、また財源の重点的配分による経費支出の効率化に徹するとともに、市債残高の抑制に努め、財政の健全化に向けて努力してまいります。 次に、地方拠点都市地域振興整備基金の造成について廃止する意向がないかとのお尋ねでありますが、この基金制度は地域の自主的発展が見込まれる地方都市及びその周辺都市を一体とした圏域の総合的、重点的な振興整備を促進することを目的に制定されているところであります。当地域では、平成6年9月の地方拠点都市地域の指定を機に上越地域広域行政組合が選定され、あわせて国、県の指導もあって圏域の一体的整備に資する広域行政のソフト事業を展開していくために基金造成を進めておりますことは、御承知のとおりであります。そして、この制度のもとで国及び県の支援による出資金の借り入れを前提に現在全国で175圏域、県内では8圏域において基金造成が進められているのであります。同組合の基金総額は20億円で、平成7年度から9年度の3カ年間に構成市町村出資金が18億円、そして既に出資済みの県助成金2億円をもって造成を進めており、現在の積立額は14億1万5,000円で、その造成率は70%に達しております。国では基金造成の支援策として市町村出資金の85%を起債によることとし、その元利償還金については当市の場合、平成8年度では47.3%が交付税措置されているのであります。 一方、基金運用益につきましては、経済事情や金融政策の影響もあり、平成7年度の造成開始時の平均金利は1.88%、また平成8年度においても1.95%という超低金利のもとではその果実が極めて少ないことから、私も予算編成におきましては山岸議員と同じような問題意識を持って、多面的かつ慎重に検討を重ね、その際行財政改革の観点から国、県とも論議いたしたところであります。そもそもその基金造成の意義は、経済や財政環境が拡大基調下にある中、財政支出上の技術的な手法として考えられ、定着したものであり、その運用益によってさまざまな事業を主体的に実施できることにメリットがあります。また、その事業の財源として自主的一般財源的な性格であるのが特徴であります。 しかしながら、今日の財政、金融などの諸情勢の中、多くの運用益が期待されず、また原資となる資金調達が借入金という実態からすると、いわゆる逆ざや現象となることの問題が指摘されているところでありますが、当基金造成につきましては国、県の支援を受け、実施される目標の最終年度でもあり、当初の計画どおり基金造成をすることとしたものであります。 こうした中で、12市町村の共通財産となる基金がつくられることは、長期にわたる地域づくりの財政基盤の安定につながるものと考え、総合的に判断して全体的な基金造成計画の達成を図りたいと思料しているところであります。したがって、その効率的な運用につきましては当然のこととし、当市としても上越地域広域行政組合の意向を尊重しながら十分な研究を重ねるとともに、経済・金融情勢等を常に注視しつつ、安定財源の確保と充実に向けて最大限の努力をしてまいる所存であります。 次に、臨時税収補てん債と地方交付税の関係についてのお尋ねでありますが、御承知のとおり本年4月から消費税が3%から5%に引き上げられ、そのうち1%相当分は地方消費税として新たに地方団体の財源となって、都道府県と市町村に折半され、さらに市町村へは人口と従業者の全国におけるシェアによって地方消費税交付金として配分されることになっております。平成9年度の地方財政計画では、地方消費税は1兆30億円、臨時税収補てん債は1兆2,000億円が計上されており、このうち市町村分としては地方消費税交付金が4,192億円、臨時税収補てん債は7,200億円程度とされております。臨時税収補てん債は平成9年度が地方消費税導入の初年度であるため、国が徴収し、県を通して市町村へ交付になるまでの時間のずれがあり、一部の交付となるため、その不足分を地方債の発行によって補てんするものであり、今年度は7億7,600万円を計上したところであります。 なお、平成10年度では平年度化されることになるため、臨時税収補てん債での財源措置は平成9年度限りと考えております。また、この元利償還金に対する財源措置は平成10年度以降、普通交付税の基準財政需要額に100%算入される予定であり、地方への負担はない見込みであります。 次に、歳出に関連することでありますが、1番目の農業、都市計画、企画部門における各種調査・設計委託料はどういうものを目指そうとしているのかということでありますが、多くの市民の皆さんから御参加いただき、完成したのびやかJプランによる「みどりの生活快適都市・上越」のまちづくりがいよいよスタートいたしました。御案内のとおり、のびやかJプランは30万人都市機能を有する美しいまち、外に向かうまち、躍動するまちを基本方向とする総合的、体系的、計画的なまちづくりのグランドデザインでありますが、そこには農業を初めとする産業振興、都市計画、環境、都市デザイン、さらには住まいと福祉、文化など、多岐にわたってそれぞれが連携し合うバランスのとれた構成になっているのであります。 そこで、お尋ねの委託料につきましては、Jプランに即したまちづくりを具現化していく役割を担ういわゆる体系的なリーディングプロジェクトの事業化の手法として位置づけられているものであります。 主な調査委託について、そのねらいを御説明申し上げます。まず、農業部門における調査委託では、農業ビジネス拠点等の検討委託を行い、健康、環境、安全、さらには技術、情報、交流機能を高め、食糧基地と新たな農業ビジネス拠点を創造するための基本構想を策定するものであります。 また、農業構造改善事業コンサルタント委託は、Jプランの顔づくりである山並みグリーンエンジョイパーク整備事業に位置づけられているリフレッシュビレッジ事業の調査であります。これは、西部中山間地域の活性化を図るために取り組んでいるハード事業と連携を図る地域資源活用方策や地元研究会活動の指導、助言、さらには整備施設を運営する第三セクターの設立などのソフト施策を見出すためのものであります。 次に、地域環境に優しい農業、農村に関する調査研究委託でありますが、これは新農政プランの施策の柱である環境保全型農業の確立を図るため、美しいまちづくりと調和した上越型環境保全農業と農村整備のあり方を検討するものであります。地域環境に係る影響要因や影響評価などを主な研究内容として、地域環境に優しい農業への提言などをまとめるものであります。 次に、都市計画部門の都市マスタープラン策定業務の委託についてでありますが、平成4年に都市計画法が一部改正となり、地方分権型まちづくりとして住民の皆さんに最も身近な自治体が市町村の都市計画に関する基本的な方針、いわゆる都市計画のマスタープランを定めることとなりました。このマスタープランにおける計画論、フレーム論などは既に策定したのびやかJプランと一体的に整合するものであります。したがいまして、具体の都市計画としての土地利用計画、施設配置計画、市街地整備計画などから構成される市街化区域及び市街化調整区域の区域区分、いわゆる線引きの見直しを進めるためのものであります。 また、都市景観形成基本計画策定業務委託についてでありますが、都市景観を形成する豊かな自然環境とすぐれた町並み、そしてゆとりの住まい空間などの創出は、私が目指すまちづくり政策の重要な柱であるグリーンアメニティそのものであります。まちづくりや景観づくりは長い時間軸の中で、市民や事業者の皆さんと行政が協働で築き上げていくものであり、そのための具体的な目標や形成手法などを織り込んだ指針を策定するものであります。 次に、業務拠点地区整備計画調査委託についてでありますが、平成6年9月に上越地方拠点都市地域に指定されました上越業務拠点地区、いわゆるオフィスアルカディアにつきましては、さきに基本構想の策定を完了したところであります。本調査は、都市計画道路中屋敷藤野新田線を新たな業務軸として、官公庁施設やコンベンション施設等を誘導していく中核業務拠点地区の事業化を目指すものであり、そのための地形測量等を実施するものであります。 次に、企画部門における調査委託についてでありますが、まちづくり政策推進調査等委託料では、市民生活の文化性を高め、落ちつきとゆとりの時代に向けた新しいライフスタイルを創造していくための市民の森整備構想を策定いたします。また、現在基本構想を策定している自然環境を生かした体験と遊びの場となるこどもの国では、引き続きその事業化に向けた実施設計などを行うものであります。これらは、それぞれの地域の特性を生かし、豊かな自然の中で土と森や小動物にも触れ合い、健康、レクリエーションを初め、環境、教育に至る新たなふるさと交流ゾーンを形成し、活力と魅力あるまちづくりを進めるものであります。 次に、新都市市街地機能強化整備構想の策定では、昨年12月に北陸新幹線の早期着工の決定を見るなど、まちづくりを進める環境が大きく前進したことから、新都市機能の形成が期待される新幹線予定駅周辺整備や既成中心市街地との連携強化、さらには都市内公共交通システムのあり方を一体的にとらえ、調査、検討を進めるものであります。いずれにいたしましても、地方分権という時代の大きなうねりが続いていく中、まちづくりはますます専門化、加速化が要求されてまいります。そのためにも遅滞することなく、有効な調査を加えつつ、的確に対応でき得る総合的な施策を確立し、あわせて事業化の促進にも努めてまいりたいと存じます。 次に、環境衛生部門の人員と今後の環境政策の関係についての御質問でありますが、環境衛生部門に限らず、予算説明書の各款項目ごとの職員数は事務の整理上、現行人員を基準に退職予定者等を調整の上、計上しているため、実際の配置予定人員とは異なっている場合があります。各課の具体的な人員配置については、事業内容、事業量及び組織機構の見直し並びに退職、採用を含めた全体の中で調整しておりますが、お尋ねの環境衛生部門については環境基本条例を制定し、その基本計画の策定という環境行政の重要な取り組みを進めている現状等を十分認識しながら、その中心的役割を担う部局であることも勘案して、それに見合う職員配置を考えているところであります。 次に、超過勤務に対する人員対策と職員の健康管理についてであります。時間外勤務手当については、選挙執行費と除雪費を除く一般会計予算で9.8%、2,478万円の増、特別会計を含めると10.8%、2,972万円の増となっており、当初予算比較では増額になっておりますが、平成9年度は平成8年度の執行見込額、すなわち実績をベースにマイナス25%、会計別では一般会計で4万時間、9,780万円、特別会計を含めた場合は4万3,000時間、1億466万円を縮減するものであります。当初予算対比で増となっているのは、これまでの前年伸率方式を改め、実績ベースで新たに見直して予算計上したものであり、むやみに増額しているものではないことを御理解いただきたいと思います。これまでも事務処理方法の見直しや事務の簡素、合理化などに鋭意取り組んできましたが、平成9年度においても一層その推進に努めるとともに、嘱託職員の活用や業務の民間委託等も検討していきたいと考えております。 また、人員対策につきましては、業務量と職員配置の現状をきちんと精査、把握の上、部局間のアンバランスの是正及び必要な場合の増員措置など、適正、的確に対応していきたいと考えております。健康管理につきましても、時間外勤務の縮減に努めるとともに、水曜日の定時退庁と休日出勤の振りかえの徹底、年次有給休暇の連続取得促進など、総労働時間の縮減に十分配慮した執務環境を整備していきたいと考えております。 観光振興5カ年計画を踏まえ、流動化人口の増を目指した政策予算に乏しい内容と思うがとの御質問でございますが、平成7年度に当市の観光戦略の土台となる第1次上越市観光振興5カ年計画を策定し、これに基づき観光拠点の整備やイベントの充実、宣伝活動の強化などを進めております。昨年の観桜会では目標の100万人を上回る成果を上げ、8年度の観光客数も前年度と比較して約45万人の増となる見込みであります。 さて、上越市は今まさに飛躍の時代を迎えようとしております。すなわち上信越自動車道の建設や上越魚沼地域振興快速道路の調査区間、整備区間の指定拡大、直江津港大型公共埠頭の建設やLNG火力発電所の立地、さらには北陸新幹線長野-上越間のフル規格着工決定など、全国的にもたぐいまれな大規模な公共プロジェクトがメジロ押しであります。これらプロジェクトの実現により、首都圏、関西圏、中京圏と直結し、時間的距離も大幅に短縮されることによってビジネス機会の増大を初め、観光、文化などあらゆる分野の交流が活発化いたします。さらに、九州航路のデイリー化や釜山定期コンテナ航路の週2便体制の実現に伴って、直江津港を拠点とした交易の拡大に一層大きな期待をいたしているところであります。 このような情勢の中で、私はプロジェクト効果に的確に対応するため、通商産業部を設置し、総合的、体系的、計画的に事業を推進する体制の強化と機能の充実を図ることにいたしたものであります。そして、観光振興5カ年計画を踏まえ、特に観光費は3億5,445万円を計上いたしました。これは、平成5年度の観光費から屋台会館建設という特殊要因を除いて比較すると、74.5%増であり、8年度と比較して22.8%増となっているのであります。そのほか主な交流人口増を図るための関連予算を加えると4億4,247万円となり、次のような施策を進める充実した予算を組んだのであります。 まず、当市観光の推進母体ともなる上越観光コンベンション協会が設立されますが、コンベンションの誘致を初め観光宣伝や物産展、観光イベントの開催など、その活動を支援し、人、物、情報などを積極的に上越市に呼び込みます。 次に、上信越自動車道が本年秋に中郷村まで開通となりますが、近年の観光行動は高速交通体系の整備とモータリゼーションの進展により、ますます広域化しております。そのため、他の自治体、観光地と連携して誘客を図ることが求められており、全線開通をにらみ、単なる通過地点とならぬよう開通記念イベントや宣伝活動に長野県も含めた沿線9市町村と広域連携し、観光客の誘致などに対応してまいりたいと考えております。 さらに、長野オリンピック冬季競技大会の開催まで1年足らずとなりましたが、オリンピック観光客及び選手などの誘致も視野に入れて長野オリンピックアシスト委員会の支援や、リージョンプラザ上越のアイスアリーナを練習会場として提供できるように整備するとともに、日本スキー発祥記念資料館の展示充実と聖火リレーの誘致を図り、レルヒ祭を盛大に実施したいと考えております。 また、観光施設の充実を目指して親鸞聖人上陸の地の整備を今年度完成させるとともに、上信越自動車道の全線開通や山麓線の整備を視野に入れながら、金谷山公園の整備計画を進めているところでありますが、平成10年にバイスクルモトクロス(BMX)の全国大会が当市で開催することが決定したので、その施設整備の一環として新年度ではまずコースの建設に着手をいたします。 このほか交流人口の増を図るため、上越市出身者や縁故者とのネットワークを育て、広げるためのJネット事業、さらに地方外交の促進と広域観光を目指した「ワールド・パートナーシップ・フォーラムじょうえつ」や琿春市、浦項市、リリエンフェルト市との友好姉妹都市交流事業を積極的に取り組むことにしております。このように観光振興5カ年計画に基づき、近年になく交流人口の増加を目指して数々の観光施策を実行する予定であり、今後ますます充実させていきたいと考えております。 以上です。 ○議長(市川文一君) この際、暫時休憩いたします。          午後2時59分 休憩          午後3時15分 再開
    ○議長(市川文一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 28番、小林章吾君。          〔小 林 章 吾 君 登 壇〕 ◆28番(小林章吾君) 私は、自由クラブを代表して、さきに市長に通告いたしておきました議案第1号平成9年度上越市一般会計予算について、3点にわたって質疑を行います。 今議会に提案された予算を審議するに先立って、行財政運営に対する市長の厳しい認識と抱負は、提案理由を通し十分理解した上で御質問するのであります。 第1点の質問は、地方公共団体の予算編成に当たって、それを大きく左右する財源の一つである国県支出金に関する問題であります。申すまでもなく、国県支出金は国庫負担法に基づく負担金、補助対象事業に採択された事業に対する補助金に大別され、補助事業にあっては当該補助金に、場合によっては県費補助が対象となり、これに地方債及び市税等一般財源が付加され、一つの事業予算が構成されていることから、その多寡が住民の生活環境施設整備を速やかに推進させ得るか否かのかぎであると言っても過言ではないと考えるものであります。 国の財政事情は、バブル崩壊後、税収の落ち込み、国債の償還の増加等々に追われて逼迫の一途をたどり、そのしわ寄せが経済振興の基盤ともなる公共投資を初め、福祉関連費の増額さえも抑え込まねばならない状況をつくり出していることも明らかであります。そうした状況下、市長は財源確保に苦労されていることは十分うかがえ、敬意を表するにやぶさかではありません。しかし、歳入の確保が予算編成の基盤であることを考えれば、本予算における特定財源、特に国県支出金についてお尋ねしないわけにはいかないのであります。 論点を明確にするために、国庫支出金に絞って質問させていただきます。平成7年度に比較して約15%の減、前年比では約12%、合わせて2年度間で約7億円の減額に達するのであります。その影響によるものでしょうか、住民の皆さんの要望が高い土木関係歳出予算については、平成7年度比較9%、前年比5%、2年度間に13億円の落ち込みを示しているのであります。高田駅前関係事業費の年割りの異動やその他の事業の完了の影響も、さらには従来は補助対象事業として国から補助金が支出されていた道路整備関係費の一部が、国の財源不足に伴って地方特定道路整備事業という起債事業に振り向けられた特殊要因による結果であろうと理解するとともに、地方債依存度を前年並みに抑えようとされた苦心を多としつつも、国庫補助金の推移と単純にリンクさせ、道路新設・改良では8%ないし6%の減額については、事業費、事業内容ともに伸長していくことが住民の期待にこたえるものであり、自主的工夫もなされたと考えますが、今後の行政対応を含め、市長の御認識をお聞かせいただきたいのであります。 一般的に申し上げて、事業の完了を待って新規事業を採択させていく継続的な地方の努力が現況では難しい、また多機能型拠点施設に見られるように、財源は地方交付税算入の有利性も当然検討された結果でしょうが、地方債のみという実態、例えば複数の施設の抱き合わせ、アロケーションによる補助採択の獲得を目指すなど、財務経験の深い市長にとって残念な限りだと推察するがゆえにお考えをお聞きするのであります。 なお、提案理由の説明では、普通建設事業費について、一般会計、下水道事業会計等特別会計を合わせて8.5%増の191億4,700万円とされていますが、申し上げている数字は、国が環境整備対策事業の重点施策として積極的に進められている公共下水道事業、農業集落排水事業特別会計、すなわち起債償還が通常分50%、臨時財政特例債100%と使用料で構成された建設事業費を外した数字であることを申し添えます。 第2は、商工振興貸付金についてのお尋ねであります。市長が、新たな税源確保対策として、企業の誘致策を初めとする経済活動の活性化に積極的に取り組んでおられることは承知しております。そこで、大幅増額を予算化された商工振興貸付金について、上越市の現況をどう把握された結果の決断であったのかお伺いしたいのであります。 提案理由によれば、各種制度融資の一層の充実を図るとともに、景気対策特別資金については12月まで延長するほか、地元企業が実施する各種事業を助成すると述べております。ここに一つの資料があります。昨年末の10月から12月の商況調査ですが、競合の激化や景気回復のおくれから、採算面で好転した企業13.2%、悪くなったと回答した企業は2.5倍の31.9%であり、好転したと答えた企業の理由に消費税引き上げ前の需要あるいは廃業、閉店セールの結果が多くを占めたことは、まさに寂しいの一言に尽きるのであります。市長は、かかる状況を踏まえて行政がなし得る施策に知恵を傾けて予算計上なさったところでありましょう。ところが、平成7年度決算では約9億円の不用額を生じております。経済需要が大きく喚起されなければ、金利が幾ら安くても資金需要は伸びないと判断せざるを得ないのであります。言いかえれば、継続的に増額することも大事ではありますが、景気回復に有効に作用するかが問題なのであります。 そこで、第2の質問の1点目は、貸付実績についてであります。平成8年12月末で結構ですので、貸付実績をお示しください。 2点目は、新規に考えられた貸付内容についてであります。具体的にお聞かせください。 3点目は、市の資金面による景気刺激効果の予測についてであります。貸付期間の延長、利率調整等の対策が、景気刺激にいかに有効に寄与するものか、市長の経験則からお考えをお聞かせください。 第3の質問は、小林古径邸についてであります。市長が、市民福祉の一環として文化的側面にも着目され、各種展示会の開催、施設の整備に努められ、今議会に補正予算として小林古径の作品を新たに収蔵する経費を計上されるなど、意を用いられていることは承知しております。ところで、懸案でありました上越市に小林古径邸を復元再建する事業費として560万円を計上されておりますが、この計画についてお尋ねいたします。 1点目は、予算計上された費目であります。小林古径画伯は、故人とはいえ、日本を代表する日本画家であり、文化人であります。この郷土出身の大芸術家が深い愛着を持って住み、その設計は高名な建築家、吉田五十八の手による邸宅を移築したいという願望には、それにふさわしい本来の利用の仕方もまたお考えであったろうと思うのであります。その観点に立つとき、この利用の方策、管理形態によりましょうが、文化政策に立脚するとしたら、市長部局に属する施設と位置づけるより、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づいて教育委員会の機関と考える方が妥当だと思料するのですが、総務費に移行計上された理由について御説明ください。 2点目は、復元の方策であります。特にお聞きしたいことは、当地は近年少雪傾向にあるとはいえ豪雪地帯であり、これに対応した技術的検討結果であります。私が申し上げるまでもなく、この建物は遠く平安の昔から発展してきた数奇屋建築から新興数奇屋へと展開していった時期の建物で、外側からはガラスに見え、内部からは障子に見える雪見障子など、当時の施工技術を知るためには重要な遺産であります。平成4年10月20日から24日にかけて催された見学会には、3日間で1,100人以上の人々が訪れ、別れを惜しんだと聞いております。また、この家は、吉田五十八が40歳の1934年に完成したもので、五十八の初期の作品に属するとも聞いております。竣工時、延べ面積約222平方メートル程度の住宅ではありますが、現在五十八の初期の作品はごく少数しか現存していないだけに、貴重な建物であることは事実であります。 私の調べでは、当時早稲田大学建築史研究室、中川武教授が中心になり、かなり学術的にも調査されたと聞いております。当市でも構想検討委員会の結論、復元基本構想策定委託の内容を踏まえての基本設計委託と思われますが、前段申し上げた技術的見地を中心に今まで検討したと思われる計画概要、技術的見地からの検討結果、建設期間などについて明らかにしていただきたいと思います。 以上です。 ○議長(市川文一君) 宮越市長。          〔市 長 登 壇〕 ◎市長(宮越馨君) お答え申し上げます。 まず最初に、平成9年度一般会計予算についての国、県補助金の推移と建設事業費等についてのお尋ねでありますが、まず国、県負担金及び補助金等の推移について申し上げますと、一般会計では平成7年度当初予算が58億1,900万円余り、8年度が55億6,400万円余り、そして9年度は54億500万円余りとなっております。しかしながら、市民の生活環境の向上を図るため、私は特に重点施策として整備を推進している公共下水道や農業集落排水など特別会計を含めた推移は、平成7年度当初が124億9,200万円余りで、前年度当初に比べ4.8%増、平成8年度は126億6,500万円余りで1.4%増、そして平成9年度は137億9,600万円余りで8.9%増となっており、とりわけ公共下水道事業と農業集落排水事業に対する補助金は、事業の積極的な推進に合わせて平成7年度では前年度に比べ63.2%増、平成8年度は15.0%増、平成9年度は39.6%増となっているのであります。 先ほど提案説明の中でも詳しく申し述べましたが、私は新年度予算においても国、県補助金の獲得に努め、限られた財源の中で工夫を凝らしながら、生活快適都市の実現に向けてより一層社会基盤の整備、促進に取り組んでいるところであります。その結果、平成9年度の普通建設事業費は、一般会計では前年度当初より3.3%増の87億4,000万円余りを、下水道事業会計などを合わせた合計では8.5%増の約191億4,700万円を確保したところであり、またこの中で道路事業費についても市道及び都市計画街路の新設改良等に県営事業負担金もあわせて、前年度より8.7%増の32億9,000万円余りを計上して、引き続き力いっぱい整備を推進してまいりたいと考えております。 そして、こうした取り組みの結果、一例を挙げれば、これまで整備が立ちおくれていた公共下水道の普及率が9年度末には23.1%に達する見込みであり、また農業集落排水では三郷・三郷西部地区において待望の供用開始となるなど、市民の生活環境は着実に向上しつつあると考えているところであります。このように当市の社会生活基盤の整備状況等を見ていくには、一般会計の比較のみでその全貌をとらえることは困難であり、特別会計も含めたトータルで見ていくことが肝心であると考えております。また、これらの建設事業の財源となる市債につきましては、後年度負担の増嵩を抑えるため、引き続き新規発行の抑制に努めたことは、先ほども申し上げたとおりでありますので、御理解をいただきたいと存じます。 なお、参考までに申し上げますと、一般会計における国、県補助金の減は本町大町地区土地区画整理事業及び高田駅前地区沿道土地区画整理事業の補助事業が終了もしくは終了に近づいたこと、直江津駅南地区土地区画整理事業も造成等が完了し、自由通路建設を残すのみとなったこと。ちなみに、高田駅前地区沿道土地区画整理事業では、2億3,100万円の減額であります。直江津駅南地区土地区画整理事業では、1億6,000万円の減額になっています。また、国の方針等もあって道路事業の一部が地方特定道路事業として補助金事業から起債事業にシフトしていること、さらには災害復旧事業の有無など、各年度のそれぞれの事情によるものであります。いずれにいたしましても、国、県補助金等は市の事業を推進する上で重要な財源の一つでありますので、その獲得に当たっては今後とも引き続き最大限の努力を重ねてまいる所存であります。 次に、商工振興費貸付金の増額理由についてお答え申し上げます。市の融資制度は、中小企業者の経営安定及び施設設備の新増設にこたえるため、金融機関と協調し、できる限り低利で返済期間の長い条件で必要な資金を提供し、中小企業の活性化や産業の振興に寄与することを目的としており、商工振興施策の重要な柱の一つであります。平成8年度では52億8,200万円の預託金を計上し、金融機関の協調額を含めて総額162億9,000万円余りの融資枠を確保しました。平成7年度末残高109億円と平成8年度新規融資の約570件、37億円を合わせて約146億円余りの融資に応じてまいりました。 景気は緩やかな回復基調にあると言われるものの、当地域では依然として景気の停滞感が強いことに照らし、取り扱い期間を本年末まで延長することとした景気対策特別資金は、年度末残高481件、28億5,000万円が見込まれるところであります。しかし、地元企業では先行きに対し慎重な見方をする傾向が強く、新規設備投資も手控え状態が続き、当初見込んでいたよりも資金需要は伸びず、結果として9億円余りの不用額が生ずる見込みであります。 平成9年度の予算編成に当たっては、平成8年度における不用額の見込みも十分加味しながら資金需要動向に配慮し、預託金は8年度より1億2,000万円ほど多い54億290万円を計上し、総額144億6,000万円余りの融資枠を確保したところであります。景気回復がおくれる中で、経営の安定に資するため、市預託金の持ち出しを多くして低金利分の景気対策特別資金の需要増加を見込み、今年度より8億9,900万円余り多い20億4,200万円の預託金を計上し、融資枠を今年度より15億円多い43億円といたしました。 また、他の資金についても今年度の利用実績を踏まえるとともに、今後の景気回復基調にも対応できるよう配慮したものであります。さらに、新技術、新製品等を研究開発する中小企業への支援、育成策として研究開発企業育成資金融資、いわゆるベンチャー融資を創設するための預託金6,200万円を計上し、融資枠1億2,500万円とするなど、制度の拡充にも努めることとしました。今後とも経済情勢を的確に把握し、中小企業の経営安定、中小企業の育成振興に力を注いでまいりたいと考えております。 次に、小林古径邸建設に関連する御質問でありますが、平成7年度の部材購入を受けまして、今年度には専門家や市民代表など14人から成る小林古径邸復元構想検討委員会を設置し、復元の場所や方法、活用などについて検討いただいております。建設の計画概要につきましては、現在検討委員会で提言のまとめを行っており、また同時に専門的立場で基本構想の策定をコンサルタントに委託しているところであります。現段階ではまだ提言をいただいておりませんし、基本構想についても最終報告がありませんので、それらがそろった時点で皆さんにも御報告したいと考えております。 ただ、現在の検討過程の中で、雪対策や繊細な数奇屋づくりに対するいろいろな意見もあったと伺っております。コンサルタントからは現代の技術、技法をもってすればそれらはクリアできるとの感触も得ているところであります。吉田五十八氏が設計した近代数奇屋づくりの傑作であるということも念頭に入れながら、今後は基本設計の段階で建設位置や復元の手法などの技術的な検討を行ってまいりたいと考えております。また、建設期間等につきましては提言と基本構想を踏まえ、新年度に実施する基本設計なども見ながら、平成11年度の完成を目途に準備を進めたいと考えております。さらに、建設費については民間、市民の皆さんからも協力を仰ぐことなども視野に入れながら検討を進めていきたいと考えております。 なお、検討委員会では小林古径画伯に関する資料はもとより、その作品についても収集すべきとの意見も受けて、このたび補正予算で購入するべく審議をお願いしているところであります。 なお、所管を教育委員会が適当ではないかと御意見ございましたが、提案理由にも申し上げましたとおり、文化政策課で幅広く市民参加のもとで、文化振興を促進するための一環として取り組んでいきたいと、このように考えています。 以上です。 ○議長(市川文一君) 1番、杉本敏宏君。          〔杉 本 敏 宏 君 登 壇〕 ◆1番(杉本敏宏君) 私は、日本共産党上越市議団を代表して、さきに通告してあります次の二つの点について質疑をいたします。 一つは、議案第17号人権を尊び部落差別などあらゆる差別をなくし明るい上越市を築く条例の制定について、議案第29号上越市白山会館条例の一部改正について、議案第45号上越市住宅新築資金等貸付条例の廃止についてであり、二つ目は議案第1号平成9年度上越市一般会計予算についてであります。 まず、同和問題です。我が党は、党の創立当時からこの部落問題の解決のために一貫して努力してまいりました。この上越市議会におきましても、故大滝和司氏が部落問題解決、同和対策推進のために努力されてきましたことは御承知のことと思います。今回提案されております条例案、提案についてという文書を先ほどいただきましたけれども、その中の制定の要旨の冒頭に、同和問題の解決は依然として厳しい状況にありと述べておりますし、また先ほどの石平議員の質問、これに答えられた市長の答弁、この中でも同和問題の解決がまだまだ先が遠いような言い方をされておりますので、まずこの現状認識が正しいのかどうか、ここから話を始めさせていただきたいと思います。同和対策が現在どういう位置にあるのか、同和対策というのはどういう対策なのか、これをはっきりさせなければ、この厳しい状況にありということの解明もできないと思うからであります。 部落問題というのは、御承知のように封建的な身分差別の残存物であります。今から75年ほど前に始まった水平社運動を初め、この身分差別の解決を目指す運動が進められ、とりわけ戦後の民主化運動の中で解決に向けての国民世論が高まり、一定の前進が図られてまいりました。しかし、国の一般対策だけでは問題の早急な解決に必要な事業や施策を実施することが困難であることから、特別対策が実施されてきたわけであります。さきの市長の石平議員への答弁の中にもありましたけれども、1960年に国の諮問機関として同和対策審議会が設置され、1965年8月に出した答申に基づいて、1969年、昭和44年でありますけれども、同和対策事業特別措置法が制定され、その後幾多の改定を経て今日に至っているわけであります。 これらの法律、これはその名前のとおり一般対策を補完する過渡的、特例的な行政上の特別措置を実施するためのものでありました。御承知のように、一般行政の補完としての行政上の特別措置というのは、そのような特別措置を必要としない状況を一日も早く実現することが目的でつくられているわけであります。事実、この特別措置法のもとで部落問題は解決に向けて大きく前進してまいりました。そこで、残された問題の解決のために、一般対策への円滑な移行のための最終法として、1987年地域改善対策事業にかかわる国の財政上の特別措置に関する法律、地域改善財特法というふうに略称、呼ばれておりますけれども、これが5年間の時限立法として制定されたわけであります。1987年から5年間たてばこのような特別措置をもうとる必要がないという認識がこの時点であったわけであります。 この法律は、本来ならば1992年度末をもって終了することになっていたわけでありますけれども、部落解放同盟などからの圧力で、さらに5年間延長されることになりました。その延長された5年目の期限が、本年3月31日であります。したがって、この地域改善財特法の期限が切れると同時に、同和行政も終結するというのが法の精神であります。1992年度から5年間延長される際になされた国会の附帯決議に基づいて、1993年7月、総務庁の地域改善対策協議会、地対協といいますが、この中に設置された総括部会が同年10月から同和対策事業の進捗状況などの調査を行いました。そして、この調査の分析結果に基づいて1995年12月20日、「同和問題の早期解決に向けた方策の基本的な方向」という文書を発表し、さらにこの基本的な方向に基づいて昨年3月28日、総括部会報告書が公表されたのは御承知のとおりであります。 これと並行して93年には総務庁地域改善対策室も、同和地区実態把握等調査を行っております。この調査の最終報告書、95年3月に刊行されておりますけれども、同和地区の住宅、居住環境や生活実態に見られた格差は、同対法以来の、この時点ですと25年ほどでありますけれども、この間に投入された総額13兆円を超える同和対策事業の実施と、あわせて同和地区住民の努力によって既に多くの分野で解消されており、国民の意識の中に残っている誤った意識や偏見も急速に薄らぎ弱められてきていることを明らかにしております。さきの総括部会報告書も、住宅、道路等の物的な生活環境については改善が進み、全体的には同和地区と周辺地域との格差は見られないとし、国民の意識状況についても同和問題に関する国民の差別意識は着実に解消に向かって進んでいると述べております。 石平議員の質問に答えた市長の答弁の中で、差別が残っている問題の一つとして、結婚問題が話されました。資料がありますので、ちょっと見てみますが、1993年の総務庁調査の結果ですが、同和関係住民のうちで、同和地区に居住している夫婦のうちで、いずれか一方が同和地区外の者であるという比率であります。同和地区にいながら同和地区の外の方と結婚したという方の比率でありますが、70歳以上の方は17.1%です。確かに70歳以上、50年前二十歳ぐらいだった人たち、こういう人たちには相当の差別があったのだなということがわかると思います。ところが、これが60歳代では23.5%、50歳代では33.4%、40歳代では48.4%、30代になりますと60.4%、29歳以下になりますと72.8%であります。明らかな差別というのは、このように大幅に年齢が下回るごとに改善されてきているのが明らかではないでしょうか。 もう一つ、よく差別の問題として挙げられるものに、高校進学率があります。これは、1992年のデータでありますけれども、同和地区の高校進学率は91.2%です。全国平均の高校進学率は95.9%、4.7%にまで縮小してまいりました。こういうふうにこれまでの多くの方々の努力によって部落問題は、既に多くの分野で解消に向かっているというのが国の基本的な考え方であります。また、それは全国部落解放運動連合会、全解連という解放運動の団体がありますが、そこの考え方でもあり、我が党もまたそのような認識に立っております。ただ、部落解放同盟だけが逆に同和問題の解決は依然として厳しい状況との認識に立って、これまでも部落解放基本法等の制定を主張してきていたわけであります。 さて、全国を見渡してみますと、この間に愛知県知立市、福井県小浜市を初め、同和事業の終結を宣言する市町村が相次いでおります。また、高知市、神奈川県、大津市などでは同和対策の部や課を廃止しております。これは、95年報告書にあるようにこれらの対策は着実に大きな成果を上げており、同和問題の解決に向けた生活環境の改善を初めとする基盤整備はおおむね完了したと考えられる。また、差別の解消に向けた国、地方公共団体、その他多くの関係者、そして一人一人の国民の努力の成果も各分野にあらわれてきており、今日の状況を踏まえるとき、従来の対策を漫然と継続していたのでは、同和問題の早期解決に至ることは困難であり、同和問題について人権問題という本質からその問題を整理し直した上、その解決に取り組むべき新たな段階に入ってきているという現状認識から当然出てくる帰結であります。 同和行政を終結、完了し、一般行政に移行することこそが、今求められているのであります。特別措置法に基づく同和対策を終了させるということは、同和行政そのものを終結させることであり、議案第29号上越市白山会館条例の一部改正あるいは議案第45号の上越市住宅新築資金等貸付条例の廃止は、まさに国のこういう方向に沿った地域改善財特法廃止になるわけですけれども、その方向に沿った同和行政を終結、完了し、一般行政に移行するという典型的な事例であります。 以上の全体状況を踏まえた上で、以下に質問をいたします。まず一つは、これまでも述べましたように同和対策の早期終結と一般対策への移行に向けて、地域改善対策事業にかかわる国の財政上の特別措置に関する法律が本年度3月に終結いたします。一方で、議案29号、議案第45号のように一般対策への移行措置をとりながら、他方一般対策移行に逆行する条例を制定しようというのはどういう理由でしょうか。 二つ目に、さきに示しましたように部落問題に対する国の基本認識は、93年の同和地区実態把握調査、95年の同和問題の早期解決に向けた方策の基本的な方向、96年3月の地対協総括部会報告書などで明らかにされております。この条例制定は、同和問題に対する上記の国の現状認識を踏まえたものでしょうか。上越市は、部落問題の現状をどのように認識しているのでしょうか。 三つ目ですが、同和行政を終結、完了し、一般行政への移行が求められている今の時期に、このような条例を制定することは時代錯誤だとは思いませんか。この条例は、差別を解消するものではなく、逆に差別を固定化するものとならないでしょうか。賢明な市長の明快な御答弁をお願いいたします。 さて、二つ目の問題ですが、議案第1号平成9年度上越市一般会計予算についてであります。四つの質問をさせていただきます。市長は常々開かれた市政ということを主張してこられました。きょうの提案理由の説明の中でも、引き続き市民の参加を得ながらプランの実現の新たなステップとなる仕組みづくりを進めてまいりますなどと市民参加を強調されております。これまでも各種の審議会、委員会がつくられて、そこに市民の方が参加しているわけでありますけれども、この市民の選出の方法であります。今度の提案の中にも、例えば市民の目の高さで市政全般を評価する制度についての検討調査会を設けたいというような形で、幾つかの組織をつくられる、市民参加による組織をつくられる意向を表明されておりますけれども、このような委員会、調査会の委員の選出方法、とりわけ市民の方々の選出の方法であります。どのように選出されるのかお示しいただきたいと思います。 情報公開条例の制定に当たりましては、検討調査会が設けられました。この検討調査会は5人の委員を市民の中から公募いたしました。はがきで申し込んで、市役所で抽せんをして5人を選んだわけであります。私も当時議員ではありませんでしたので、この調査会の委員に申し込みをいたしましたけれども、委員にはなれませんでした。しかし、あのやり方というのは非常にいいやり方ではなかったのだろうかというふうに考えておりますけれども、その後あのような形で市民の皆さんから公募をするという形が余り見えないものですから、今度の検討調査会、どのような選出方法をとられるのか、お話しいただきたいと思います。 二つ目、金谷山の公園化計画というのが挙げられております。今回の提案の中、随所に森林を守るとか緑を大切にするとかというふうに言われております。金谷山の自然でありますけれども、これは上越市の特に高田の市街地のすぐ近くにある貴重な自然であります。私は、高校の時代に生物部というところに所属しておりました。春から秋にかけてあの金谷山一帯あるいはその奥の方に足を伸ばしたわけでありますけれども、これから雪解けであります。雪が解けますと、すぐにカタクリの花がき咲き始めますし、ギフチョウというチョウが舞い始めます。こんな低いところにこういうのがいるのかというような、そういう貴重な自然の残っているところであります。また、6月ごろになりますと、これは男山の方から北に向かっての尾根でありますけれども、アカシジミとかウラナミアカシジミとか、こういう小さなシジミチョウの仲間がたくさん飛び交います。こういう自然の残されている金谷山一帯、公園化されるのは決して否定するものではありませんけれども、こういう自然を残した上で検討を進めていただきたい、そういうふうに今計画が進められているのかどうか、お示しをいただきたいと思うのであります。 公園をつくるといって木を切るという事例が後を絶ちません。例えば植樹祭をやるといって木を全部切って平地にして、そこへ桜の木を植えて植樹祭という、こういう事例もたくさんあるわけです。また、上越市の西側にあります南葉山、南葉高原キャンプ場がありますけれども、あそこももとはうっそうとした雑木林でありました。今はキャンプ場の中、ほとんどの木が切られてしまって土が表面に出ている状況であります。本当に森林を愛して、自然を愛して、自然を享受するということであるならば、森林を切り開くのではなくて、それを生かした形でこそ開発を進めていくべきではないか、金谷山の公園化計画がそういう方向で進められているのかどうか、御回答をいただきたいと思います。 三つ目ですが、直江津港に関連いたしまして、航路開設の可能性や貨物輸送試験船運航の方策等について調査検討を行いたいというふうに述べられております。以前に委員会審議の際に一度お話ししたことがあるのですが、直江津港のPRということで看板を立てるという話がありました。当時その看板の図案を見せていただきましたところ、直江津港の宣伝ではなくて、九州航路と北海道航路の宣伝の文言があったのでありますけれども、そのときも私はこれは本来企業のやるべき仕事ではないのかと、行政がやるべきこととはちょっと異質ではないのでしょうかというお話を担当者の方にさせていただきました。今回の航路開設の可能性あるいは貨物輸送試験船運航の方策、これは船会社が、企業がやるべき仕事ではないのだろうか。本当にこれは行政がやらなければならない仕事なのかどうか、市長の御見解をお示しいただきたいと思います。 四つ目ですが、上越市いじめをなくする会(仮称)が伊藤準君を追悼して刊行する図書を購入し、関係機関及び関係者に配布する経費も予算化したとあります。伊藤準君の事件、大変痛ましい事件でありますから、ここから多くの教訓を引き出して、これからの学校教育に生かしていかなければならないのは言うまでもありません。しかし、私は別の面からこの問題を考えてみました。いじめをなくする会(仮称)となっております。仮称となっているわけですから、恐らくまだ結成されていない会なのではないかと思うわけですが、これについてもできればお答えをいただきたいと思います。 こういう会が、文章からいいますと、刊行したとなっておりませんで、刊行するというふうになっておりますから、これから刊行されるんだろうと思うんであります。そうすると、まだ刊行されていない、その刊行する団体もまだできていない可能性がある、そういう図書を市が購入して配布するということを決めてしまうというのは、ちょっと早過ぎるのではないかという疑問であります。刊行された段階で中身を関係者でじっくりと検討して、必要ならば補正予算を組んで購入すれば足りることではないかと思うわけです。このような予算の組み方について市長の答弁をお願い申し上げます。 以上です。 ○議長(市川文一君) 宮越市長。          〔市 長 登 壇〕 ◎市長(宮越馨君) お答え申し上げます。 最初に、なぜこの時期に条例制定するかとのことでありますが、同和対策の特別措置については、昭和44年に同和対策事業特別措置法、同対法が制定されて以来、本年3月31日で失効することとなる地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、地対財特法まで3度にわたり特別法が制定され、四半世紀余りの間、住宅、道路、下水道等、生活環境の改善を初めとする物的な基盤整備は着実に成果を上げてまいりました。しかし、高等学校や大学への進学率に見られるような教育の問題や不安定就労の問題、さらに産業面の問題など格差がなお存在している分野が見られるのが現状であります。特に結婚問題については、今ほどお話ありましたが、平成5年に総務庁が実施した同和地区実態把握等調査においても、過半数以上の人が何らかの差別意識を持っているという結果が出ており、このような状況を踏まえた中で、国においてはこの時点での一般対策移行は難しいとの判断から、地対財特法の15特定事業を、なお5年間延長する必要があるとして、法的措置を講じる決定をしたところであります。 また、これに先立って昨年12月には同和問題を初めとする人権擁護に関する施策を推進するための人権擁護施策推進法を制定し、新たな取り組みを始めており、一方同和地区を有する地方自治体においても同和行政の実効性を高め、部落差別を初めとするあらゆる差別の撤廃を目指し、人権擁護をうたった条例が全国的に制定されてきております。このような動向を踏まえ、当市においても同和問題を初め、人権擁護に関する基本的な施策の積極的な推進を図り、差別のない明るい社会を実現するため条例の制定を行うもので、その経過や趣旨は先ほど石平議員に詳しくお答えしたところであります。そこでも申し上げましたが、今回の条例制定は市同和対策審議会の答申にありますように、同和問題を初めとするさまざまな差別の発生やいじめ問題なども起きているこの時期に必要と考え提案したものであることを御理解をいただきたいと存じます。 次に、部落問題の現状認識についてでありますが、総務庁の地域改善対策協議会が昨年5月に同和問題の早期解決に向けた今後の基本的なあり方について意見具申を行っております。これが、これまでの同和地区の実態調査や協議会の検討結果等を取りまとめた最新のものであることは御案内のとおりであります。この意見具申の基本認識及び現状について要約してみますと、住宅、道路等の物的な生活環境、いわゆるハード面の改善が進み格差は見られないものの、高等教育終了者比率、就労状況、年収等、いわゆるソフト面についてはまだその差は大きいとされています。また、同和問題に関する国民の差別意識は着実に解消に向かっているものの、特に結婚問題を中心に依然として差別意識は残っていると指摘しています。さらに、同和地区の人であるということから、約3割の人が何らかの形で人権を侵害されたとしていますが、この場合公的機関への相談は少数にとどまっているのが実態と言われています。そして、今後の差別解消に向けての重点施策の方向として教育及び啓発の推進、人権侵害による被害の救済等の充実強化などが挙げられているところであります。 当市においても、地区の皆さんの意向や周辺環境整備の実態から見て、総務庁の地域改善対策協議会から出された意見具申の内容とほぼ同様の傾向にあるものと考えております。以上のようなことから、部落問題は決して完全な解決に至っているわけではなく、現在でもなお心理的差別を中心に存在していると認識しており、今後は教育や啓発活動を重視し、お互いに学習する中から人権意識の高揚を図り、差別をしない、差別を許さない社会意識の醸成を進めることが重要な課題と考えているところであります。 次に、今の時期での条例制定は時代錯誤で差別を固定化するものとならないかとのことでありますが、同和問題は御承知のように日本社会の歴史的発展の過程において恣意的に形成された身分階層構造に基づく差別であって、これと密接に関連する不安定就労や結婚問題に代表される心理的な差別が依然として存在するなど、今日における重大な人権問題であると認識しております。また、同和問題の解決には基本的人権を保障された国民一人一人が同和問題は人権問題であるというその本質からとらえ、自分自身の課題として解決を図っていかなければならないものと考えております。したがって、この条例を制定することにより、市民に対する啓発効果が高まり、差別をなくし、人権意識の向上と人権尊重の社会的環境の醸成が図られるものと考えております。 また、石平議員にもお答えした本条例の制定に至るまでの経過や条例の目的等を御理解いただき、その目指すところはあらゆる差別のない明るい上越市の実現でありますので、少なくとも差別の固定化につながるものとは考えておりませんし、人権に係る条例制定はこれからの時代の方向に沿ったものであると判断をしております。 次に、一般会計予算に関連する御質問にお答え申し上げますが、最初に市政全般を評価する制度の検討調査会の委員の選出が形だけの市民参加にならないよう、どのように選出するかとの御質問にお答え申し上げます。さきの12月議会で田村議員のオンブズマン制度導入についての一般質問に対し、行政サービスの適正化、公開性、迅速性など、行政の質の向上を図る意味から市政全般を評価する制度の検討に着手する方向性でお答えし、9年度当初予算に制度の検討調査に要する経費を計上いたしました。私は就任以来、責任ある開かれた市政を推進し、市民参加の市政運営に最大限努め、その効果は十分発揮されているものと考え、オンブズマン制度の早急な導入を控えていたところであります。 しかし、首相の諮問機関である第25次地方制度調査会の答申を受けて、国においても地方自治体の外部監査制度導入を視野に入れ始めたことに代表されるように、国、地方を問わず、行政に対する信頼性の回復を図る動きの中で、より一層の市政への信頼性の向上を担保するため、オンブズマン的機能もあわせ持った市政全般を評価するシステムを検討すべきと判断いたしたものであります。このシステムを当市の行政環境、地域特性及び市民の要望に適合したより実効性のあるものにするため、現行の類似制度の分析なども含め、多方面から検討、調査してまいりたいと存じます。このため、専門知識をお持ちの大学教授などの有識者を初め、各界各層の皆さんから広範にわたり御意見をお聞きする検討調査会の発足に向けて準備を進めてまいる所存であります。公募も一応考えております。(「公募もするんですね」と呼ぶ者あり)公募するということも考えています。一部です、全部じゃありませんけれども。全体委員数を大体15人ぐらいに考えておりまして、そのうち一部公募を考えております。 次に、金谷山公園化計画に当たって自然をどのように残される考えかについてお答えいたします。金谷山は、松平光長の時代には重臣の別荘地として利用されたと言われております。さらに、光長の母高田姫が建立したと言われる薬師堂の薬師祭りやそのすぐれた眺望などから、お月見などで人々に親しまれてきたと言われております。そして、今も豊かな自然いっぱいの西部中山間地における公園として、家族連れを初めとして多くの市民が散歩やピクニック、ボブスレー、スキーなどで訪れ、オールシーズンにぎわっております。金谷山公園整備計画につきましては、上信越自動車道の全線開通や山麓線の整備を視野に入れて、金谷山公園がこれまで以上に幅広く遠方からも訪れる人の交流の地として、レルヒの杜を基本コンセプトに家族で憩うことのできる観光・レクリエーションゾーンとして、魅力アップを図るための計画を進めているところであります。 計画に当たって、金谷山は四季を通じて私たちの目を楽しませてくれる野草や樹木、昆虫、野鳥が生息しており、植生調査などを参考にこの豊かな自然を破壊することのないよう、配慮しているところであります。基本的にはスキー場など現在利用している場所で、桜やハーブなど新たな観光的魅力を加味した植栽も行いながら施設づくりを考えてまいります。新年度事業として山麓線に面した斜面でバイスクルモトクロス(BMX)コースの建設を行いますが、近年のアウトドアブームの中で、子供から大人まで身近な場所で自然に親しみながら、気軽に自転車のクロスカントリーを体験していただきたいと考えております。この施設は、大きな地形変更を伴わず、音や排気ガスの心配もない自転車のスポーツであります。環境に優しく、金谷山公園の豊かな自然と調和することからも計画した要因の一つであることを申し添えさせていただきます。 次に、航路開設の可能性や貨物輸送試験船運航の方策等について調査検討を行うことは、行政がやらなければならない仕事かとお尋ねでございますが、私は昨年9月、環日本海交流の実効性を上げるため、中国の大連市や琿春市などを訪れるとともに、北朝鮮の羅津・先鋒自由経済貿易地帯で開かれた国際投資フォーラムにも参加し、ポートセールスや新たな航路の可能性などについて関係者と意見交換を行ってまいりました。特に図們江流域開発地域の玄関口となるロシア・ザルビノ港や羅津港などを視察し、直江津港と対岸港とのアクセスを探る必要性を強く感じたのであります。それは、直江津港とザルビノ港との距離は約820キロであり、3月6日から定期コンテナ航路が週2便体制となる釜山港とほぼ等距離であります。したがって、直江津港から見てザルビノ港は物流戦略上大変重要な位置にあるからであります。 また、昨年黒龍江省産の大豆600トンが直江津港に輸入されましたが、その貨物船が黒龍江省撫遠港を出港してからアムール川経由で直江津港に入港するまで14日かかっております。これを97年末に開通、運用が始まると言われております琿春市からザルビノ港までの鉄道を利用し、さらにザルビノ港-直江津港間の航路で運ぶことができれば、大幅な時間短縮やコストダウンにつながると考えております。 このような背景の中で、御案内のように上越市と琿春市と昨年4月29日に国際経済文化交流関係についての協定を結び、人材派遣や青少年スポーツ交流などを行っておりますが、さらに緊密な経済交流を促進する必要があると思っております。また、中国側も主に吉林省の物流の出入り口としてザルビノ港の使用について熱心に検討されていると同時に、上越市にも強い協力への期待を寄せていることを感じ取りました。 一方、重要港湾直江津港は昨年末年間貨物取り扱い量が1,000万トンを超えましたが、高速交通網の整備に伴う環日本海のゲートウエーとして、また大交流時代の国際貿易港として大きな期待が寄せられており、市としてもこれらにこたえ、ますます発展させていかなければならないと考えております。これらの情勢に呼応するために、直江津港とザルビノ港との間に航路を実現することが肝要ではないかと考えております。そのためには、当地域や長野県など背後地の物流の状況や中国、ロシアとの物流の可能性などを確認する作業が必要であり、民間はもとより、行政サイドにおいても先行的に実現への諸調査を進めることが極めて重要であることから、予算化したものであります。 ○議長(市川文一君) 斉藤教育長。          〔教 育 長 登 壇〕 ◎教育長(斉藤弘君) 杉本議員さんからの発言通告書には、2の(4)は教育長が答弁するようにというふうに指示がございましたので、私の方から答弁をさせていただきます。よろしくお願いします。 杉本議員からの伊藤準君を追悼して刊行する図書の購入計画についてお答えを申し上げます。初めに、準君を追悼して出版物を刊行することについての経緯について説明をいたします。一昨年の11月27日、あの痛ましい自殺事故が発生し、遺族、学校、教育委員会がそれぞれつらく、厳しい対応に追われる中で、遺族である伊藤さんから、準君の自分にかわっていじめをなくしてほしいという切なる願いを世に訴えるために、三者が協力して出版物を刊行したいとの申し出がございました。教育委員会としては、このあってはならない不幸な事故を二度と繰り返さないことをかたく誓うとともに、いじめ根絶を社会に訴えるために、この出版を協力して進めることにいたしました。出版を進めるに当たりまして三者が同じテーブルについて、それぞれの思いを忌憚なく語り合うことによって認め合えるところは認め合い、協力すべきところ協力し合い、正すべきところは正していくことができるよい機会となると判断をいたしました。これは1年前からであり、そのときから作成委員会が設けられておりました。 次に、出版物の内容と購入計画について説明いたします。この出版に当たって三者で数回にわたる打合会を持ち、その内容、発行期日、出版社の選定、著者の名称等について検討をいたしました。著者の名称については、三者の思い、願いが共通する名称にしようということで、上越市いじめをなくする会(仮称)といたしました。実際は、今までは上越市いじめ根絶対策委員会という組織がございまして、その中でいじめに対する対策を検討してまいりましたが、事この本の発行にいたしましては上越市いじめをなくする会、その名称を今使わせていただいているところであります。出版につきましては新潟日報事業社が、私たちの出版計画どおりに全面的に出版を引き受けてもらえるということでお願いをすることにいたしました。発行日は伊藤さんの希望どおり、ことしの5月5日で出版社からも了承してもらいました。 その主な内容は、不幸な事故に遭遇しての思いや対応、いじめ根絶に向けてのそれぞれの考え方等について座談会で交わされた内容、識者や市民の方々からの提言、三者及び市内の学校での取り組み等の資料、これまでのいじめに関する判決事例等であります。以上のように教育委員会も当事者としてこの出版の準備、内容の検討、原稿の執筆等にかかわってきておりますので、刊行前でも出版物の内容や単価について十分に把握できる立場にあります。 最後に、出版物の購入計画についてでありますが、教育委員会といたしましては今回の痛ましい事故に厳しく学び、再発防止を強く願って上越地区の小中学校を初め、教育関係機関に配布することとし、購入冊数を検討いたしました。また、5月5日に発行予定でありますので、発行と同時に関係機関にお届けして活用してもらえるよう、当初予算に計上いたしました。 以上です。 ○議長(市川文一君) 1番、杉本敏宏君。          〔杉 本 敏 宏 君 登 壇〕 ◆1番(杉本敏宏君) ただいま市長の方から検討調査会、一部公募もするという御回答をいただきました。この調査会に限らず、市民が参加する委員会等において、今後ともこういう公募の形をぜひとるようにしていただきたいという要望をさせていただきたいと思います。 航路開設等の問題ですけれども、企業がやるべき仕事と行政がやるべき仕事というのは、やはり区別しなければならないのではないのかなというふうに思うわけです。もちろん行政がやる仕事を委託したりなんかする場合は別ですけれども、そうじゃないのに企業がやるというのもおかしな話ですし、その逆に企業のやる仕事に行政が手を出すというのも、またちょっとやり方としてはおかしなことではないのかなというふうに思うわけです。そういう点で本当にこれが企業には任せておけない、行政がやらなければならない仕事なのかどうかというところをお聞きしたかったわけですけれども、もう一度その辺のところの御回答をお願いしたいと思います。 それから、今の図書の問題ですけれども、私も提案理由、議案書を見たときに、こういう本が刊行されて関係者に配るんだから、そんなに悪いことではないなというふうに考えておりました。それでも中身はどうなのかなということで、教育委員会の方にも問い合わせをしたりしたわけですけれども、その中で考えたのは、こういう問題だからこういうやり方でもいいんだということで、果たして行政の問題として過ごしていいだろうかという、こういう疑問です。ないとは思うんですけれども、全く別の団体が同じようなことで、まだ刊行されていない図書を買ってくれということで、予算計上を迫るというようなことがないでもないだろうと。そういったときに、そうするとどういう口実でこれを断るのかなという疑問を持ちまして、これはやっぱりきちっとしておくべきではないかというところからこういう質問を出した次第です。そういう点で、今ほど教育長さんから御回答いただきましたけれども、行政全体の執行という立場から市長のお考えをお聞かせいただければ幸いに思います。 同和の問題ですけれども、私は石平議員への市長の答弁なども踏まえて、そして差別が残っていると言われる問題についても、数字も挙げて実態はそうではないんではないかというふうにお示ししたわけですけれども、回答では例えば先ほどの結婚の問題でもどんぶり勘定で話をされました。問題は、解消の方向に向かっているかどうかということになるわけですから、トータルで、全体でもって見てどうかということではなくて、私が先ほど示したように年代的に見ていって、若年層ほどそういう差別意識が薄れてきているのが如実に見える、そういうデータが発表されているわけですから、そういうものに基づいてやっぱり議論し、物を考える必要があるんではないかというふうに思うわけです。それをああいうふうな形で、トータルでこれこれこれだけだからまだ差別意識は大きいんだというのは、ちょっと当たらないのではないかというふうに思います。 それで、私は最初の質問で、同和行政終結、完了して一般行政へ移行することこそが、今求められていることではないかという政府、国の現状認識に基づく方針などから質問したわけでありますけれども、今残されている差別が完全になくなったというふうには国も言っていないわけですし、私どもそういうふうには見ておりません。しかし、今残されている差別という問題、先ほどの結婚問題などにもまだまだ残っているわけですけれども、国はこれをどういうふうに解決しようとしているかというと、一般行政の中でこれを解消するというふうに言っているわけであります。わざわざ特別の立法なり、特別の措置なりは縮小する、なくしていくというのが基本方向ですから、そういう方向でこの問題を見ていく必要があると思うんです。 同対法以来の28年、国と国民挙げての同和対策の結果が大きく前進してきているという、ここにやっぱり正当な評価を与える必要があると思うんです。その上に立って今残された問題をどう解決するのか、一般行政の中でやることこそが正しい方向ではないかと思うわけです。そういうふうに私ども考えておりますし、国もそういう方向になっているわけでありますけれども、この問題でやはり部落解放同盟、解同というふうに略称呼ばさせていただきますけれども、ここの人たちだけが同和行政の継続を求めているわけです。なぜ今の時期に大方解消に向かっている中で、同和行政を継続しなければならないのか、この問題を明らかにしないと、今の問題の解決にならないのではないかと思いますので、少し話をさせていただきますが、部落解放同盟、今度の条例案の中でも同和対策等審議会となっていましたか、この審議会に部落解放同盟上越支部の代表者ということで、別枠で委員を置けるようになっておりますので、そういう点からも部落解放同盟というものが、どういう組織で何をやっているかということをやはり明らかにしておかなければならないと思います。 私ども日本共産党は、先ほども申しましたが、戦前の水平社運動以来、この部落問題に携わってまいりましたし、実は部落解放同盟の結成にも大きな関与をしておりました。しかし、1960年代の半ばごろからですけれども、この解放同盟の中の方々の中に部落民以外はすべて差別者だという、こういう考えが非常に大きくなってまいりました。私は決してそうは思いません。部落民以外はすべて差別者だというようなことはあり得ないと思うんですが、彼らはそういうふうに主張して、部落排外主義というふうに言いますけれども、これを掲げて各地の地方自治体や教育界、宗教界、マスコミ、出版、企業などに対して暴力的な差別糾弾闘争というものを繰り返してまいりました。 この差別糾弾闘争、去年の2月8日に最高裁で、八鹿高校暴力事件という民事訴訟の判決がありました。八鹿高校というのは、兵庫県の八鹿町というところにある高校で起きた暴力事件です。この八鹿高校暴力事件というのは、今から23年前の1974年、兵庫県八鹿町の八鹿高校を舞台に解同が引き起こした教育史上前例のない集団暴力事件です。部落民以外は差別者で暴力的差別糾弾は当然という無法行為の頂点としての事件でした。八鹿高校の教師の中には解同のこういう特異な部落排外主義、あるいはそれをもとにした解放教育の押しつけに抵抗する教師の集団、約70人がおりましたけれども、この教師集団を数百人が押しかけ取り囲み、真っ昼間、襲撃、監禁、暴力の限りを尽くし、瀕死の重傷者を含む61名の犠牲者を出したという事件です。この事件の民事訴訟に対する判決が2月8日に行われたわけですけれども、被害者の主張を全面的に認め、解同に慰謝料の支払いを認めたわけであります。          〔「質疑しなさい、質疑を」と呼ぶ者あり〕 ○議長(市川文一君) 杉本さん、ちょっと質疑の範囲を超えていますので、注意します。 ◆1番(杉本敏宏君) こういう団体の下部組織を今条例でつくられる審議会の中に特別枠を設けて入れるということになっているわけですけれども、市長はこういう解放同盟の全国に組織があるわけですが、そういう実態を承知の上でこういう措置をとられようとしているのか、御回答をいただきたいと思います。この八鹿高校暴力事件以外にも徳島県の小松島市議糾弾事件、大阪の矢田事件、広島の戸手商業高校暴力事件などなども数限りない事件を引き起こしてきているわけであります。 今、えせ同和という言葉があります。なぜえせ同和がはびこるのか。同和ということを前面に出せば行政やそのほかに圧力をかけることができる、だからえせ同和が出てくるわけであります。その大もとをつくったのが、今ほど述べました部落解放同盟の暴力糾弾闘争、これであったわけです。私はそういう点で、市長がこの条例の中にこういう解同の特別席を設けるということ、同じことになりますが、御承知の上でやろうとされているのかどうか、見解をお示しいただきたいと思います。 上越市の同和対策事業にかかわっての費用ですが、国と地方自治体がこれまで同対法以来、13兆円の国費をつぎ込んだということは、先ほどもお話ししました。この13兆円のお金が……。          〔「共産党の演説聞いてるんじゃないんだよ、主張だけ聞いているんじゃな           いんだよ。質問しなさいよ。質問してないじゃないか」と呼ぶ者あり〕 ○議長(市川文一君) 杉本さん、趣旨はよくわかりますので、手短にお願いします。 ◆1番(杉本敏宏君) 上越市の同和対策事業費見てみますと、負担金補助及び交付金という項目があります。このところを見ますと、解放運動団体に対する補助金が宮越市長の就任された94年のときには250万円でありました。それが、今日提案されております予算案では300万円に膨れ上がっております。解放同盟の上越支部というのは、私の聞いているところでは会員数は十数名というふうに聞いておりますが、十数名の団体に300万円もの補助金が払われる。ちょっと異常ではないかと思うのですが、市長の御見解を伺いたい。 それから、同様にこの同和対策事業費の中には講師の謝礼というのが毎年19万円ずつ盛られておりますし、旅費、これは94年度が40万、95、96年が52万、そして今度の97年度は59万円盛られております。こういう金額が、先ほども言いましたように十数名の団体に対して出されているんだとすれば、余りにも法外ではないのか。市長はどう思われるか、お考えを示していただきたいと思います。          〔「何質問してるんだ」「何でもやっていいってもんじゃないんだよ」「議長、           質疑打ち切りさせなさいよ」などと呼ぶ者あり〕 ◆1番(杉本敏宏君) そのほかにもたくさんの項目がありますけれども、そのほかのことについてはまた委員会でも質問をさせていただきますが、このように部落の同和対策をめぐる問題というのは終結、完了し、一般行政への移行を求められているこういう時期に、上越市では逆に今申しましたようにそれぞれの予算がどんどんふえているという、こういう状況であります。したがって、こういうふうな国の方針と逆の方向に動いている上越市の同和行政について市長はどういうふうに考えておられるのか、もう一度お考えを示していただきたいと思います。 ○議長(市川文一君) 宮越市長。          〔市 長 登 壇〕 ◎市長(宮越馨君) お答え申し上げます。 まず、審議会等のいわば公募という形を含めた市民参加のことについては要望ということでありますが、これは私の基本的な開かれた市政のスタンスによって、そのような方向で堅持していく決意でございます。特に市政モニターなどは全員が公募になっているということから、一層開かれた市政をそういった意味でも充実しているところであります。 それから、直江津港、ザルビノ港の航路開設について、民間いわゆる企業と行政との区分というものについて、これはむしろ行政でやるのはおかしいじゃないかという御指摘のような感じを受けましたが、私は決してそこのところは、このような問題については、一つは行政で行う考え方の理念としましては、公共性、普遍性というものが基本であると思っています。広く一般にそういった調査とか研究したものは御利用いただけるという、そういう材料をどうつくるかという一般的な概念がするものについては、これは行政サイドで行っても構わないと、こう思っています。個々具体的に収益とか利益を追求するという形の分野においては、これは民間で当然やるべきでありますから、その辺の実態判断、これを的確にした上で、今回のケースは行政サイドで行うに順当ではないかと、こう考えたわけであります。 それから、中国、琿春市と昨年4月29日に国際経済文化交流都市という調印をさせていただいたことを受けて、その図們江流域との交流が一層こういったことによって増進するだろうと、こういう考え方が期待をできるわけでありまして、これは民間よりもむしろ私ども行政が先導的にやる性格のものであると、このように判断して取り組むと、こういうことでございます。 それから、いじめ対策について先ほどの御質問の趣旨でありますが、未刊行の段階からこのような予算計上して云々という話でありましたが、これは突然出てきた問題ではなく、継続されていた事業でありまして、先ほど教育長も答弁されましたが、いわゆる三者が協力してこういう出版物を刊行していきたいと、こういうことでありますから、市といたしましてもこれは一つの事業主体という形でありますから、それは計画的にやっていくことが適当であると、このように思っております。御指摘のように、刊行物が発刊されてからでよろしいんではないかという考え方も、これは一般論としては否定はしませんが、このように意図的に、計画的にそういう事業を行っていくという、そういう流れがはっきりと見えて、しかも5月5日ということがはっきりとしておりますから、これは有効性あるいは適切性あるいは計画的、こういった事業が順調に推移していくという実態判断からも、私どもが当初予算に計上をお願いして実行するのが適当であると、このように考えております。 それから、同和問題については通告いただいていない後半のお話については、若干具体的にお答えできる準備をしておりませんが、いずれにしても同和問題については先ほど答弁させていただいたとおりでありまして、杉本議員の見解として承っておきたいということでありますが、いずれにしても適切に私どもは対応していると、このように考えておりますので、御理解いただければありがたいと思っています。 以上です。 ○議長(市川文一君) 以上で通告による質疑は終わりました。 ほかに質疑はありませんか。          〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(市川文一君) これにて質疑を終結いたします。 ただいま議題となっております議案第1号より第50号及び報告第1号より第4号は、お手元に配付いたしてあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。 なお、本日までに受理した請願はお手元に配付の請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託しましたから、報告をいたします。 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。                   午後4時50分 散会 地方自治法第123条第2項の規定により署名する。      上越市議会議長   市 川 文 一      上越市議会議員   杉 本 敏 宏      上越市議会議員   坪 井 正 澄...