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○議長(丸山広司君) なお、
報道関係者から写真撮影の申出がありましたため、傍聴規則に基づいて議長においてこれを許可いたしましたので、御了承願います。
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△日程第1
会議録署名議員の指名について
○議長(丸山広司君) 日程第1、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員は、会議規則第81条の規定により、議長において
池田明弘議員及び
荒木法子議員を指名いたします。
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△日程第2 市政に対する
一般質問(続)
○議長(丸山広司君) 日程第2、市政に対する
一般質問を行います。
昨日に引き続き、通告順により発言を許します。
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△質問項目
目指すべき
行財政運営について
○議長(丸山広司君) 目指すべき
行財政運営について、
関充夫議員。
〔関充夫君登壇〕
◆関充夫君
長岡令和クラブの関充夫です。通告しました目指すべき
行財政運営について、一括方式にて質問いたします。
長岡市では、昨年までの決算審査においても国の
健全化基準をクリアしており、至って健全で
財政状況は大丈夫ですという説明でした。ところが、昨年11月の
議員協議会で長岡市の
財政状況について説明があり、平成28年度以降、市税収入の伸び悩みや合併算定替の縮減等に伴う
地方交付税等の減少により歳入が大きく減少する一方、歳出は横ばいで推移し、財政収支が悪化している旨の説明がありました。まとめとして、合併算定替の縮減に合わせて
財政運営を行っている中で、的確に見込むことが難しい
包括算定経費の減少などで
普通交付税が見込みを大幅に下回ったことによるものということが言われました。今後は財政が厳しく、
有識者懇談会を立ち上げ、目指すべき行財政の姿を検討してもらうということも言われました。
昨年12月定例会においては、
荒木法子議員や
関貴志議員がこの
議員協議会での行財政の問題を取上げ、
一般質問をされました。その後、今年2月の当初予算説明時の
議員協議会では、最後に今後の
財政見通しが説明され、何も対策を講じないと令和3年度から毎年15億円以上の収支不足が生じ、令和5年度に
財政調整基金が枯渇する見通しを説明されました。私にすれば、長岡市の
財政状況は大丈夫と言われてきたのに、急に
財政状況が悪く、
行財政改革に手をつけないといけないとはどういうことなんだろうという思いです。折に触れ、財政面が厳しいのではと言ってきましたので、
行財政改革に向かうことには賛成ですが、その手順を含め、市の認識を確認する意味から今回質問する次第です。さきの定例会での
荒木法子議員や
関貴志議員と重複する点もありますが、改めて長岡市の行財政について伺います。
最初に、長岡市の財政の現状認識について伺います。昨年の
決算審査特別委員会でも冒頭で歳入不足を質問した際に、
普通交付税の積算で乖離が生じ、見込みを下回ったと答弁されておりました。しかしながら、3年連続で乖離を生じる積算をしてきたわけです。単年度収支ですので、歳出と歳入が合えばいい。合わせるのに、足りない額は
財政調整基金から繰り入れればいい。期末には入札残や執行残で基金からの繰入額も減るなんていう考えはなかったものと思いたいのですが、ここ数年来、毎年
財政調整基金を繰り入れての当初予算編成をしてこられました。さらに、
地方交付税算定の
見込み違いで
財政調整基金からの大幅な繰入れを起こしてきたわけです。この3年間で頼みの
財政調整基金も大幅に減少し、
決算審査特別委員会でも
財政調整基金に頼らない歳入に見合った歳出をと言っておりましたら、扶助費が増加し、厳しい状況と言われておりました。ここに来て、いよいよ
財政調整基金も国の示す目安と同程度のぎりぎりの額となり、さらに崩せる状況でなくなったのか、急に財政が厳しく、
行財政改革に取り組まなければならないというようなことのように感じております。全国の他市同様に、長岡市も言うまでもなく人口減少、特に
生産年齢人口は減少して税収が伸び悩んでいますし、高齢化の進展と
子育て支援での扶助費の増加も理解できます。
しかし、歳入の
見込み違いとともに私が問題と思うのは、長岡市は一般会計の予算が1,300億円余りもある中で、他の同規模の都市と比べて多額の予算でありながら、一方で
経常収支比率の適正率は70%から80%と言われていますが、長岡市は94%と高い点です。こういった
経常収支比率が上昇した状況の中で、本来行政としてすべき事業以外のことをやり過ぎてきたのではないでしょうか。また、国・県からの補助金が入るということで、補助事業をやり過ぎてきたのではないでしょうか。きちんと最少の経費で最大の効果を生み出してきたのか、投資対リターン、税収増になるような事業を展開したのかを検証してきたのでしょうか。合併後の多大な
公共建築物所有による
維持管理費の増大も要因と考えられますが、さらにここ数年前から新規の
公共施設を建設し、
公共施設の面積を増大してきました。施設の
維持管理費の増加や起債の償還などが
財政運営に少なからず影響を及ぼしているように感じています。
そこで改めて伺いますが、市として
行財政改革に踏み込まなければならないほど
財政状況が厳しくなったと説明しておられますが、その原因と現在の
財政状況をどう認識しておられるのかをまずお伺いいたします。
次に、今後の見通しについて伺います。2月の
議員協議会で、今後の
財政見通しとして、令和3年度以降、毎年15億円から20億円の収支不足が生じるということでした。試算の考え方としては、令和2年度の当初予算を基に想定される一定の前提条件により機械的に試算したものとも言われておりました。例えば歳出の
普通建設事業費は、過去の決算を基に今後予定されている大規模事業を加味しての試算となっています。こういった歳出試算から歳入不足が生じ、
行財政改革に取り組まなければならないというわけです。
民間事業者に置き換えてみれば、資金も尽き、お金の工面もできないのに、今までと同じ考えややり方ができるのでしょうか。間違いなく倒産します。これからも今までと同様に
右肩上がりを前提とした旧来型の行政運営を考えておられるように思います。
お金がなくても、行政としてやらなければならないことがありますし、全額ではありませんが、
義務的経費の不足分は国からの交付税として措置されているわけです。行政としての
義務的経費以外の市としての独自の政策的な経費を執行し過ぎてきたように思います。要は、行政として余計な分野に手を出し過ぎたことから財源不足に陥ったのではないでしょうか。
民間事業者で言えば、本業以外のところに首を突っ込み過ぎ、大損をこいた状況です。何でこういう状況になったのか、自らの反省と方向修正をまず考えなくてはならないものと思っております。その上で、
外部有識者に検討してもらうのは結構なことですが、市が政策として運営方針を持ってやってきたわけですので、その結果が今の
財政状況を招いたわけですから、自ら正すべきところは正すという修正こそ必要と思うところです。
さらに、不足分の捻出は、税収が上がらないから
ランニングコストを主とした
義務的経費を縮減することで、ちりも積もれば山となり、生み出せるということでしたが、
公共施設等総合管理計画で進めるべき施設の総量の削減も進まない中で可能なのでしょうか。そもそも税収が上がらないのは、冒頭で述べたように
人口減少時代に突入し、特に
生産年齢人口が増えていかないことに起因しています。既存の事業から削れ、削れの縮減一方では、自治体としての活力、魅力を減少する負の
スパイラルに陥る懸念もあります。
財政運営というのは、ある
意味自治体経営です。経営という観点こそ今後は必要だと思っています。
その経営という観点から言えば、
政策的投資こそ検証しなければならないものと思っています。
政策的投資として行ってきた事業でいえば、例えば
中心市街地の活性化における再開発事業では、路線価は上昇せず、市が床を取得したことで
固定資産税も上がってきていません。さらに、
観光交流事業の様々な政策展開が税収増加につながってきているようには思えませんし、箱物を所有したことでの所有者としての
維持管理義務の発生で、さらに税金を投入しなければならないという負の
スパイラルを招いているように感じております。人口減少も前から言われておりましたが、こういう状況になることはデータを一番持っている長岡市が分からないことはないはずです。問題は、旧来型の考えで行政運営を行ってきたことではないでしょうか。もちろんそれを認めてきた議会にも責任の一翼があると思うので、改めてここで質問しているわけです。
そこでお聞きしたいのは、15億円から20億円不足するという根拠です。今定例会の
一般質問での答弁で、新年度は歳入が減少する中で
財政調整基金からの繰入額を今までより大幅に圧縮したと言われておりましたが、それを踏まえても令和5年度に
財政調整基金が枯渇する見通しではなかったのではないでしょうか。さらに、令和3年度からは毎年15億円から20億円不足が生じる試算ではなかったのではないでしょうか。そういった厳しい状況の中で、これからも今までと同じような
自治体経営をしていくのかということです。収支均衡を実現する考えも述べられていましたが、どのように収支均衡を図る考えなのか、今後の見通しについて長岡市の考え方を改めて伺います。
最後に、今後の
行財政運営に関しての提案を交え質問いたします。多くの
地方自治体が
市民ニーズの多様化でサービスの向上に努めてきましたが、このところ財政面で苦労してきています。そこで、幾つかの
地方自治体では、官民連携の手法を積極的に取り入れ、現状を打破しようと頑張っております。長岡市においても全国のほかの市と同様に、税収や
地方交付税が伸び悩む中で、どうすればいいかを考えていかなければならないものと思っています。一つの方向として、国も
地方自治体に積極的に進めているPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップと言われる官民連携の推進があるものと私は思っています。2015年に内閣府は人口20万人以上の自治体に、PPP/
PFI導入の
優先検討規程の整備を要請し、さらに該当する金額の建設、改修で導入しない場合は、評価結果を公表する指針を出しています。国においてもPPP/
PFI手法を導入するように言われているわけです。このPPP/PFIの推進こそ、市長のよく言われている
長岡版イノベーションにつながるものと思うところです。
このところ長岡市では、財政が厳しい理由として歳入が上がらないことを言われておりますが、長岡市では寄附や購入で実に多くの土地、建物を保有しています。人口も減り、地価の上昇も見込めない時代に、なぜこれだけ多くの土地、建物を所有しているのでしょう。土地、建物は民間なら資産になりますが、行政においては資産でないどころか、
維持管理費まで発生している負の資産とも言えます。以前に売却すべきことも質問しましたし、今定例会の当初予算の先日の
一般質問でも未利用地の売却を進めるべきと質問がなされておりました。しかし、
公共施設等総合管理計画もできたのに、一向に施設や土地の削減が進んでいません。なぜなのでしょう。
1つは、土地、建物の評価額、簿価からの考えを脱し切れないものと思っています。PPPの手法で考えると、
サウンディング調査の実施で民間活用の道を探る方法があります。例えば前橋市では
サウンディングによる提案を採用して、
小学校跡地を民間が
体験型施設としましたし、また道の駅の新設でも活用しました。かすみがうら市では、廃校施設の見学会を開催し、6校のうち4校を利活用することができました。このように他市の事例からも分かるように、遊休資産の活用で歳入を上げることができるのです。長岡市においても、管理するだけでも人件費や
維持管理費がかかる建築物や土地がたくさんありますし、その
維持管理費が減ることと税収が入ることを考えれば、大きな魅力と言えます。
また、官民連携を進めることは歳出削減にも結びつきます。例えば民間の
スイミングクラブで小・中学校の
水泳指導授業委託を受け持ってもらうことで、プールという設備維持や
指導者不足を補いつつ、
民間事業者の雇用拡大と税収増にもつながるわけです。また、愛知県高浜市では、将来の働き方改革やRPAの今後の進展を見据えて庁舎を自前で整備せず、民間が整備した建物を庁舎として民間からリースするという方式を取りました。所有しないことのメリットを生かしたわけです。多くの自治体が
経営ツールとしてPPPの手法を採用し始めています。民間の知恵と資金を利用するだけでなく、官と民がお互いの得意とする分野で連携することで行政の支出を抑え、
市民サービスを向上させるという本来の
行政ミッションを果たすことになります。他市の場合、ほかにも足利市や茨木市では
財産活用課を、武蔵野市や島田市では
資産活用課を設けて、市民の財産である
公共施設や土地などを活用して歳出削減を図るとともに、収入を上げようとする取組も始めております。
ランニングコストの削減だけに目を向けず、市有財産の活用に活路を求めて税収増を図るという市有財産の活用こそ進めていくべきときです。
さらに言えば、
財政的危機を踏まえて、盛岡市や前橋市では
資産経営課を設けていますが、これは行政も民間に見習うべく、経営という視点を持たなければならないときに来ているものと私は思っています。ただやみくもに節約せよ、削りなさいということで削減を図るのではなく、
民間事業者でできることは民に任せていくことで、職員の仕事量の軽減や施設の総量、事業数の削減を図り、コストダウンを図っていかないと、
市民サービスの低下や職員のモチベーションの低下で行き詰まっていくのではと懸念するところです。PPPが万能とは思いませんが、自治体が行政経営という感覚を持ち、政策を実行していくことが大切ですし、その感覚を持てる自治体がPPP/
PFI推進で歳出削減と歳入確保を図ろうとしているわけです。
また、専門の課を設けるまでもなく、すぐできる取組もあります。例えば長岡市においては、一部の支所地域において
民間事業者に市道の
包括的管理業務を委託していますが、他市においては
公共施設においても
包括的施設管理業務を民間業者に行ってもらっています。施設ごとの契約業務の削減と
民間事業者の高い技術力が施設の維持管理と
市民サービスの向上につながっているわけです。さらに、
サウンディングを進化させ、随意契約を保証した
民間提案制度を取り入れ、民間提案を積極的に活用し、歳出削減を図るとともに費用対効果の最大化を図る自治体もあります。歳出削減をお題目のように唱えるだけでなく、実効性や有効性のある政策が必要です。そのためにもPPPをより推進する体制づくりとともに、実行することこそ急務と思っています。
PPPの活用は、組織や人員についてもいい効果があります。過日の新潟日報の長岡版に部局の統廃合に関する記事が載っていましたが、私も部局の統廃合は
行財政改革の必須と思っております。昨年11月の
議員協議会では職員数のことに触れられ、2,434人いる職員のうち支所に24.5%の職員がいることを問題視されているように聞こえましたが、支所自体は市の支所設置条例で定められた設置であり、支所の職員数自体は10年前と比較して大きく減っております。支所の職員数を問題にする前に、行政として何をしていくのか、どうすることにより
市民サービスと市民の安全と安心を図っていくのかを示さなければならないのではないでしょうか。市役所全体で見ても、10年前と比べて廃止した部もありますが、新しく設置した部もあり、数的に大きな変化はありませんが、正規職員の数は減り、臨時職員で調整している状況と捉えられます。
昨年4月においては、職員全体数4,442人のうち45%が臨時職員等となっています。それを踏まえれば、職員数が減りながら部局数に変化がないのは、正規職員1人当たりの仕事量が増えるか、逆に仕事内容が薄くなっているのではないかと思うところです。例えば職員数を減らした他市の場合、窓口業務を民間委託したように、民間でできることは
民間事業者に委ねることをしていかないと、職員数の削減は進まないものと思います。行政として、行政職員でしかできない仕事に注力していくべきです。市民協働条例も策定しているわけですから、市民との協働をさらに深化し、住民自治力を上げ、小さな行政を目指していかなければならないものと思います。そのようにしていかないと、職員数の減少は進んでいかないのではないでしょうか。
さらに長岡市の場合、観光コンベンション協会を市の外郭団体として設置し、職員も派遣しながら、観光・交流部という部局を行政組織の中にも設けるといったことをしております。そこまで行政として観光交流に力を注いでいるわけですが、政策的に設けられた
観光交流事業や
中心市街地整備による投資でどのようなリターンが得られたのでしょうか。財政がこういう状況になる前に、
政策的投資に対するしっかりとした投資対効果の検証が必要と思っています。私は
政策的投資をするなと言っているわけではありません。やるなら自治体の経営という視点をきっちりと持った上で、常に執行部がよく言われる費用対効果、さらに市民に対するリターンを検証しつつ進めなければならないものと考えます。
市長は、イノベーションとしきりに言われますが、それこそ技術革新が進み、窓口業務の無人化やRPAを活用した業務の効率化などが進み、マンパワーが減少するようになれば人員の削減も進めるべきですが、現状ではまだまだ人の力に頼らなくてはならないはずです。そこで、正規職員に頼らずにできる仕事や分野に関しては
民間事業者に業務委託するなどして、行政が直接関わる仕事を減らさない限り、職員数の減少は図れないものと思います。肥大化した今の行政組織を
民間事業者の力を借りながら、小さな行政を目指していかないと、いつまでたっても歳出削減は進んでいかないものと思います。そのために、まずしっかりと行政としての義務を果たす組織の立て直しを考えた部局の統廃合をすべきではないかと考えています。
るる述べさせていただきましたが、基本的に私の言いたいことは、効果の検証なしに政策的経費を投入してきた結果が今の状況ではないかということです。そこを変えていかなければならないわけで、そのためには自治体の経営という概念が必要ということです。自治体の経営ということを考えれば、全てを行政でやることから、
民間事業者との連携を密にした中で、民に任せられるのは
民間事業者に任せて、小さな行政を目指していくべきではないかということです。PPPの最後のPはパートナーシップです。いわば官と民の協働で新しい未来を築こうということです。ぜひ長岡市でもPPPが一層進むことを願うわけですが、長岡市としてPPPの推進に対してどのように考えていられるか、市の考えをお聞きします。
○議長(丸山広司君) 磯田市長。
〔市長磯田達伸君登壇〕
◎市長(磯田達伸君)
関充夫議員のただいまの御質問にお答え申し上げます。
初めに、長岡市財政の現状認識についてお答えいたします。本市の
財政状況は、平成28年度以降、市税収入の伸び悩みあるいは
地方交付税等の減少によって歳入が減少している一方で、歳出がおおむね横ばいで推移しております。結果的に財政収支が悪化してきているということであります。この間の財源不足については、
財政調整基金を取り崩して対応してきておりまして、大変厳しい状況であると認識しているところであります。収支の悪化につきましては、
普通交付税の合併算定替の縮減に合わせて
財政運営を行っている中で、あらかじめ的確に見込むことが難しい
包括算定経費の減などにより、
普通交付税が見込みを下回ってきたことが直接的な要因であると考えております。財政健全化の指標である実質公債費比率などは健全な水準を保っておりますが、早期に行財政全般の再構築を行うことで、安定的で持続可能な
財政運営が可能になると考えているところであります。そこで、このたび
行財政改革に着手したということでございます。
関充夫議員からいろいろまた御指摘もいただきました。やるべきこと、やるべきでないこともずっとやってきた、そういうものが累積してこのような結果になったのではないかとかいろいろ御意見も賜って、確かにそういう部分もあるのかなというふうに思っている次第であります。マクロ的にといいますか、地方全体に国のお金が回ってきていないという中で、特に首都圏を除く地方都市、
地方自治体がいずれも
財政状況が悪化しているという全体的な傾向はあるわけで、個々の政策そのものに原因がある場合もありますが、必ずしもそれだけではなくて、そうした大きないわばお金の流れ、国から地方への資金の流れ、財源の流れというものがやはりだんだん詰まってきているという状況はあるというふうに認識しております。もちろんそれは全国市長会等で、そういうことでは地方創生は実現できないということで要望はしているわけでありますが、ただ与えられた条件の中でどうしてこれを生き抜いていくか、持続可能な
財政運営をやっていくかということで、現状、
行財政改革に着手する必要があるというふうに思っているわけであります。
今後の見通しということであります。現在進めております
行財政改革については、必ずしも一律削減とかそういう考え方ではなくて、時代のニーズにしっかり対応していくために、御指摘のように必要でない政策はやめ、そして必要な政策を打っていくという今までの業務の在り方や手法を新しい発想で変革して、新しい価値を創造していくということに私は主眼を置いていきたいというふうに考えております。これまでも産業分野を中心に
長岡版イノベーションというふうなスローガンを上げているわけでありますが、まさにこのような考え方を
行財政運営の中にもしっかりと生かしていきたいというふうに思っているところであります。職員に対しても、培ってきた経験や知恵を存分に活用して、新しい発想と技術で新しい行政サービスをつくり上げていこうと呼びかけてきているわけであります。市内部におきましてもこのような視点を持ちながら、現在収支改善に向けた方策等の検討を行っているところであります。
いずれにいたしましても、今般の新型コロナウイルスによる経済への影響が国のほうでも心配が出てまいりました。長岡市も現実いろいろな現象が出てきております。こうした状況も想定しながら、それを受け止めながら、それを克服していくということも必要なわけで、今後、持続可能な行財政のあり方に関する
有識者懇談会におきまして、外部の専門的、客観的な視点からの御提言も頂きながら、新しい時代に向けた改革をしっかりと進めてまいりたいと考えているところであります。
PPPの推進というふうなお話でありました。パブリック、公共とプライベート、私の領域、官民の連携ということであります。それを積極的に活用することによって効率性が生まれてくるのではないかというふうな御指摘かと思います。市有財産のことについても御指摘いただきました。市有財産は、今使わないもの、将来も使う予定のないものは積極的に売却してまいります。売却の速度を速めていきたいというふうに思います。それと、
公共施設については、民間に管理を委ねることができるものはこれからも管理をしっかりと任せていきたいというふうに思います。
一方で、最近ちょっと私が懸念しているといいますか、考えているところは指定管理者制度なんですね。特に支所地域における指定管理者制度というものが、果たして今のような形でいいのかどうかというのはちょっと迷っているところでありまして、私は効率性も大事だけれども、そこの地域で働く方々にとっての職場であり、あるいは地域のお金が地域に回るという仕組みの中で、こういった指定管理者制度で公募して、外部からいろんな業者が入ってくるというような形が果たしてそれでいいのかなという疑問をちょっと持ち始めておりまして、これについては
有識者懇談会のほうでもぜひまた議論してもらいたいなというふうに思っているところであります。私は、ぜひ地域のお金が地域で回り、そして地域の方がそういった
公共施設で働いて運営にも力を出していただける方法もこれからの選択肢の一つではないかなというふうに思っているわけであります。そういった観点で、道路の包括管理業務委託はそういった趣旨でもあるわけであります。
いろいろな形で長岡市も民間委託あるいは民営化ということでPPPというものを推進してきているわけでありますが、例えば観光コンべンション協会と観光・交流部の関係にありますように、第三セクター的な民間部門を立ち上げても、果たしてそれが本当に実質的に効率を追求するような機能を果たしているかというと、御指摘いただきましたように、必ずしもそうではないという部分もありますので、そこはむしろきっちりと市が責任を持って運営したほうが、それこそ効率性、経営の考え方を導入してやれば、市が直営で管理したほうがいいという施設もあるわけで、一律的にPPPであれば効率的である、あるいはコスト削減になるという考え方は私は取れないのではないかなというふうに思っているわけであります。
お話の中で、支所の職員数の話がありました。私は、あの職員数の表は別に支所の職員数が出ていることが
行財政改革の対象になっているという意味で出しているわけではもちろんないわけで、御指摘のあった、そもそも支所というのは何をなすべきかということを考えるべきだというのは私も本当にそう思います。そういう意味で、支所地域にとって何が必要なのかというふうに考えますと、例えばかねてから議員が主張されていたのは、職員がもっと地域に出ていったらどうかということをおっしゃっていましたよね。最近はおっしゃらないようでありますが、それは市の職員がもうだめだからというか、当てにならないからそういうふうにもう言わなくなったのかなと、何かちょっとひがんでいるのでありますが、私は決してそうではなくて、市の職員は力がありますし、意欲のある職員もいますので、そういう職員が支所という館から積極的に外に出たとき、例えば地域共生の地域をどういうふうにつくっていけるか、進めていけるかということは、私は非常にある意味そこに大きな期待もかけているわけでありまして、そういう意味では今までの支所の在り方を考え直して、これから人口減少がさらに進む支所地域において本当に何が必要かということを真剣に考えたとき、支所の役割、職員の役割というものはやはりあるんだろうなというふうに思います。そこで、民間に任せるということではなくて、やはり市の職員が責任を持って地域のいわば支え役として活躍するということもあり得るんじゃないかというふうに思っておりまして、まさしくそこは今回の
行財政改革の中で支所の在り方というか、支所の役割というものをしっかりと考えて、組織というものをそういうふさわしいものにしていきたいというふうに思っております。
小さな行政ということも言われましたが、長岡市の職員数はどんどん減っておりまして、現実的にはどんどん小さくなっている。むしろ私は、もうこれ以上本当に小さくしていいのかと思うくらいのもので、そうするとそれはまた役所をでかくするのかと言われても困るのですが、やはり公の行政が担う部分をどんどん切り詰めてシンプルにして、義務的なもの、あるいはセーフティーネット的なところだけしっかりやればいいということであれば、それはそういう方法もあるかも分かりませんが、それではこの地域が立ち行かなくなっておりますので、そこはむしろ民間に任せるよりも市が頑張る、頑張らせてもらうという部分もこれからはやはりしっかり見出して頑張っていきたいというふうに思っているわけであります。いずれにいたしましても、時代のニーズや個々の事業に見合った最適な進め方、PPPについても手法を検討していきたいというふうに思っております。
組織については、行政管理課を中心としてそれぞれの所管が自らの問題として、場合によってはプロジェクトチームをつくりながらタスクチームとして動いていくような形で、こういったPPPも含め、
行財政改革の課題については取り組んでまいりたいというふうに思っている次第であります。
答弁は以上であります。
────────────────────────
△質問項目
鳥獣被害対策について
インバウンド対策について
○議長(丸山広司君) 次の質問に移ります。
鳥獣被害対策について、
インバウンド対策について、深見太朗議員。
〔深見太朗君登壇〕
◆深見太朗君 市民クラブの深見太朗です。通告どおり、
鳥獣被害対策について、
インバウンド対策についての2項目を分割にて質問させていただきます。
初めに、
鳥獣被害対策について質問させていただきます。鳥獣被害と一言で申しても、その種類は、熊、イノシシ、猿をはじめ、鹿、カラス、ハクビシンなど、我々の生活に被害を与える鳥獣は多々存在しております。その中でも近年特に被害が多くなってきております熊、イノシシ、猿を中心に今回は質問をさせていただきたいと思います。
ニュース、報道などで御存じだとは思いますが、昨年は県内でも魚沼を中心に熊の出没が相次ぎました。また、イノシシにおいても昨年は東京23区内に出没し、話題となりました。当市においてもここ近年、熊は栃尾地域を中心に、イノシシは長岡西部地域を中心に出没が増えており、農作物被害額は参考額ですが、平成28年で674万円、平成29年で1,060万円、平成30年で1,401万円と年々増えてきております。そして、何より問題なのが、今ほどの農作物被害額を参考額として紹介させていただきました理由であります。この被害額は、あくまで農作物を作っておられる方々の被害額であり、個人で農業をされておられる方の中には、毎年のように鳥獣被害に遭い、農業をやめてしまわれる方も少なくないからです。そして、農業をやめてしまわれた方々の被害額は算出できず、この数値には含まれておりませんので、それらを加味した実際の被害額はもっと多いと思われます。
また、国全体では、農林水産省の調査による国内の鳥獣による農作物の被害額は、平成28年度で約172億円、平成29年度で約164億円、平成30年度で約158億円と試算されており、この数字だけを見ると減少傾向にあるように思われますが、被害額が減少しておる大きな理由は今ほど述べたとおりであります。また、農林水産省の鳥獣被害の現状と対策によると、鳥獣被害は営農意欲の減退、耕作放棄・離農の増加など、被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしているとあります。こうしたことから、鳥獣による被害を止めなければ今後も被害が増加し、当市の農業、特に中山間地域の農業は大打撃を受けることになるでしょう。これらの鳥獣被害を減らしていくためには、基本的には銃器やわなによる捕獲しかないと考えます。わなによる捕獲は、対象鳥獣によって時期が異なりますが、わなの設置は対象鳥獣の動きが活発になる春から秋にかけて、銃器による捕獲は2月から3月の冬期となっております。それらを踏まえて、最初の質問をさせていただきます。
本年度の捕獲状況と、来年度の見通しについてお聞きします。熊、イノシシ、猿の本年度の捕獲状況はどうか。特に本年の雪がない状況においての捕獲状況は、例年に比べてどうかお聞かせください。また、本年のように記録的に雪が少ない状況では、春以降の鳥獣の出没が多くなるのか少なくなるのか、どのような予測を立てられているのかお聞かせください。
続きまして、
鳥獣被害対策室についてお伺いいたします。
鳥獣被害対策を強化していくためには、鳥獣の出没頻度の高い地域への周知や情報共有、猟友会との連絡体制の徹底はもちろんですが、それらをはじめとする多くの組織や行政同士との連携強化が必要であると考えます。中越農業共済組合NOSAIは、鳥獣害空撮プロジェクトというプロジェクトを立ち上げ、ドローンに赤外線カメラを搭載し撮影することにより、空中から猿やイノシシが農作物を加害する姿の撮影に成功しております。このように
鳥獣被害対策を行っている組織との連携や、これらの組織の結びつけ、例えば猟友会が銃器による捕獲をする前に、ドローンにより鳥獣のいる位置を空から確認するなどの連携が今後の
鳥獣被害対策の強化には必要であり、そのためには行政の体制を充実させることが必要不可欠だと考えておりました。
そうした中、当市では令和2年度より農水産政策課内に
鳥獣被害対策室が設置されるとの組織改定案が示されました。これは拡大する鳥獣被害に対して、当市が今まで以上に対策を強め、鳥獣被害を減らしていくという考えの下、設置されると認識しておりますし、来年度は
鳥獣被害対策が強化されると期待しております。
そこで質問です。来年度より新たに設置される
鳥獣被害対策室によって、
鳥獣被害対策がどのように強化されるのかお聞かせください。
続きまして、長岡市鳥獣被害防止計画についてお伺いいたします。長岡市鳥獣被害防止計画は、平成25年度に作成され、本年度に改定されました。この改定により、本年度から令和3年度までの鳥獣被害防止計画が示されたわけですが、これを見ると少し疑問に感じるところがありますので、質問をさせていただきます。長岡市鳥獣被害防止計画には、対象鳥獣の捕獲計画として令和元年度から令和3年度までの捕獲計画数が記載されておりますが、その中で最も疑問なのがイノシシの捕獲計画数です。この計画によりますと、イノシシの捕獲計画数は年間40頭、令和元年度から令和3年度までの3年間で120頭と計画されておりますが、長岡技術科学大学の山本准教授によりますと、「イノシシは1回の出産で4頭から5頭出産し、しかも年2回出産するため、1匹の雌から年間に10頭前後の子どもが生まれます。そのため、イノシシの数を減らし、被害を減少させるには、年間に生息数の約7割を捕獲しないと頭数が減少していかない」とのことでした。年々被害が拡大している現状や出没頻度の高い地域の声を聞くと、長岡市鳥獣被害防止計画の対象鳥獣の捕獲計画数は少ないと感じます。
そこで質問です。計画している捕獲数が鳥獣被害を減らしていくには少ないと感じますが、この捕獲計画数にされた考え方をお聞かせください。
また、長岡市鳥獣被害防止計画には、食肉や皮革としての利用検討とあり、農林水産省も捕獲鳥獣のジビエ利用を推進しております。捕獲した鳥獣のジビエや皮革としての利用は私も賛成でありますし、実際に鳥獣をジビエ等で活用することは大事なことではありますが、そのためには安定供給や処理、加工施設など多くの課題があると思います。
そこで質問ですが、鳥獣の食肉や皮革としての利用をどのように考えているのか、現在の考えで構いませんのでお聞かせください。
最後に、当市における今後の鳥獣害対策についてお伺いいたします。ここまで農作物被害を中心に質問させていただきましたが、残念ながら鳥獣被害、特にイノシシや熊の被害は、農作物以外にも拡大しております。実際に市に寄せられる目撃、痕跡情報は、熊が栃尾地域を中心に平成29年度に142件、平成30年度は少し減って67件、本年度が2月21日までの統計で176件、イノシシが平成29年度は22件、平成30年度には34件、本年度が同じく2月21日までで76件と年々多くなってきております。特にイノシシに至っては、農地だけではなく、雪国植物園などの公園施設や長岡カントリー倶楽部などの民間施設にも被害が広がっております。また、本年度の6月と11月に、私の母校でもあります青葉台中学校付近にも出没しており、学校敷地内に侵入したとも聞いております。
鳥獣被害は確実にその範囲を広めており、対策を強化しなければ、今後は農作物被害にとどまらず、最悪の場合、人的被害にまでつながるでしょう。そして、被害を及ぼす鳥獣の中でも、熊、イノシシ、猿の怖いところは、人間を殺傷する力を持っているということです。実際に国内では、熊やイノシシに襲われて命を落とされた方もいらっしゃいます。これらの被害を減らそうと、鳥獣の出没頻度の高い地域は電気柵の導入やわなの設置などをし、対策を頑張っておる地域も多数ありますが、残念ながら鳥獣の出没頻度の高い地域は高齢化や人口減少に悩む中山間地域が多く、それらの対策をいつまでも継続できるかと言われれば、厳しいものがあると思います。それぞれの地域が高齢化や人口減少などでその対策を維持できなくなれば、被害を受ける地域が拡大し、いずれは市街地にも広がっていきます。人的被害が起こる可能性も高くなるでしょう。そうなる前に、現在鳥獣の出没頻度の高い多くの地域がまだ対策を講ぜられる今のうちに、自分のところは出ないから知らない、出没するところが対応すればいいんだろうみたいな他人事ではなく、市全体の課題と捉え、対策を強化していくことが重要であると考えます。
そこで最後の質問です。鳥獣被害は拡大していく可能性が高いと考えますが、今後どう対応していくのか、市の考えをお聞かせください。
○議長(丸山広司君) 磯田市長。
〔市長磯田達伸君登壇〕
◎市長(磯田達伸君) ただいまの深見議員の御質問にお答えいたします。私からは、
鳥獣被害対策室の設置、そして今後の
鳥獣被害対策についてお答え申し上げます。
今議員からるる地域の実情をお話しいただきまして、私も昨年末から新年にかけていろんなところで地域の集会にお邪魔したときに、御要望は何ですかと伺うと、中山間地では鳥獣対策のことが最初に出て、最後までそれがずっと続くという、そういった状況を何度か経験しまして、これはぜひ力を入れたいなというふうに思って、今回も組織と予算にそれなりに力を入れるという形をとらせていただいております。ただ、絶対的な効果といいますか、本当に明らかな効果が出る対策は何なのかということは、すぐに出てくるものでもないというところもありまして、つまり大量捕獲、大量に駆除することが、果たして本当にいいのかどうかという議論も一方ではありますので、そこはやはり個体数の適正管理等、どこまでそれが必要なのかということは見極めていかなければならないというふうに思っているわけであります。
それにしてもやはり地域の現状を踏まえますと、農産物被害の数字以上に住民の皆様に深刻な影響を及ぼしております。安心して住み続けるためには、解決すべき大きな地域課題だと捉えております。
そこで、これまで長岡市は鳥獣被害については、個体数管理については環境部、人身被害については危機管理防災本部、農作物の被害には農林水産部というふうな形でやっておりましたが、このたび農林水産部に
鳥獣被害対策室を設けまして、そこが一元的に窓口になりながら全体を回していくと。分担はそれぞれありますが、全体を回す役割というものを一元化したわけでございます。御要望なり、お問合せなりは農林水産部の新しい組織にしていただければというふうに思っております。
そこで、具体的な取組の中身でありますが、猿につきましては、各群れの適正頭数を保つために、テレメトリー調査あるいは集落アンケート、専門家の指導に基づきまして、箱わなを増設して捕獲を強化いたします。また、イノシシと熊につきましても出没件数が増加しておりますので、御指摘の人的被害も懸念されるということから、
鳥獣被害対策実施隊の活動の充実を図ります。対策を強化したいと考えておりますが、御指摘のイノシシの捕獲頭数は、基本的には猟友会をはじめとした捕獲隊の能力といいますか、可能な数に合わせて計画では出ておりますので、それが目的に合致している規模なのかどうかというのは、やはりおっしゃるように疑問だというふうにも思っております。そういう意味では猟友会との連携を新年度に入ったらさらに深めまして、捕獲頭数がどのぐらいまで伸ばせるのか検討しながら、また場合によっては必要な予算措置を議会にお願いしていきたいというふうに思っております。
こうした対策と併せまして、電気柵で農作物を守る、被害を減らしていくという、そういった試みもさらに継続したいということと、野菜や果実を片づける。柿の木に柿の実がいっぱいなっていて、下のほうは取るんだけど、上のほうを全然取らずにいると、猿がそこを目がけて集まってくるというふうな状況も聞いております。そういったものをきれいに片づけるといった、あるいは茂みをなくして隠れる場所をなくすなどといった集落全体にいわば里山的な整備された環境を取り戻して、鳥獣を寄せつけない取組を継続的に、持続的に行っていきたいということで住民の皆さんに呼びかけていきたいというふうに思っております。そういう意味で、住民の皆さんの先進地の視察の実施や専門家による研修会等を増やしまして、正しい知識と集落の合意を図りながら、住民協働で被害対策を推進してまいりたいというふうに考えているところであります。
私からは以上でありまして、残りの御質問につきましては
農林水産部長からお答え申し上げます。
○議長(丸山広司君) 安達
農林水産部長。
〔
農林水産部長安達敏幸君登壇〕
◎
農林水産部長(安達敏幸君) 私からは、市長答弁以外の御質問についてお答えしたいと思います。
初めに、本年度の捕獲状況と来年度の見通しについてお答えいたします。本年度の捕獲数は、2月末時点で猿27頭、熊18頭、イノシシ約30頭となっており、猿と熊につきましては、昨年度より増加いたしました。一方、イノシシにつきましては、今冬は少雪のためイノシシの動きが活発で、姿を確認してもすぐやぶなどに逃げ込むなど捕獲が困難となっており、昨年度に比較すると20頭ほど減少しております。また、春先以降につきましては、少雪であったため餌の確保は容易だったことから冬を越しやすく、例年より個体数の増加が予想され、被害拡大についても懸念があると考えております。
次に、長岡市鳥獣被害防止計画についてお答えいたします。この計画は、国の鳥獣被害防止特別措置法に基づき、
鳥獣被害対策実施隊の設置をはじめ、被害防止の指針として策定しております。先ほど市長がお答えいたしましたが、イノシシなどの捕獲計画数につきましては、捕獲活動を担う
鳥獣被害対策実施隊の活動実績や活動状況を考慮して定めたものであり、一方で猿と熊につきましては、生態系保護の観点から個体数を適正に管理する必要があることから、数は明記せず、被害状況に応じた必要最小限の有害捕獲を行うと定めております。
次に、捕獲後の利活用についてお答えいたします。現在捕獲されたイノシシ等は、ほとんどが埋設、焼却により処理されております。これらをジビエ等で有効利用することは、有害鳥獣の捕獲意欲が向上し、結果として農作物被害や生活環境被害の軽減につながることが期待されます。しかしながら、御指摘のように処理施設や安定供給、販売先確保など課題も多く、全国的に見ても依然低い水準にとどまっております。市といたしましては、今後も有効利用について研究してまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(丸山広司君) 深見太朗議員。
〔深見太朗君登壇〕
◆深見太朗君 続きまして、
インバウンド対策についてお伺いいたします。
今、新型コロナウイルスの影響により、中国、韓国からの入国者に制限がかかるなど、外国人観光客が日本に来づらくなってきておりますが、これらの騒動もいずれ対策が進み、収束するものと考え、質問をさせていただきます。
現在、日本には多くの外国人観光客が訪れており、その訪日外客数は平成25年に1,000万人を超え、その後は
右肩上がりに伸びており、観光庁の統計によりますと、平成28年には2,403万人、平成29年には2,869万人、平成30年には3,119万人もの外国人の方が日本を訪れております。また、新潟県においても外国人観光客が増えており、新潟県が発表しておる本県外国人宿泊数調査の結果によりますと、平成28年度までの統計ですが、新潟県の外国人宿泊数は平成26年度が約13万7,000人泊、平成27年度が約18万8,000人泊、平成28年度が約19万3,000人泊と年々増加しております。それに対し、当市の外国人宿泊数は平成26年度が1万537人泊、平成27年度が1万2,086人泊、平成28年度が1万2,765人泊と増加はしておりますが、県の総宿泊数の10%にも満たないのが現状であります。
当市はインバウンドを伸ばすべく、平成30年3月に策定されました長岡市観光戦略プランに、観光戦略の一つとしてインバウンド観光の推進を挙げております。それによりますと、「長岡市の強みである「長岡花火」を軸としながら日本酒や錦鯉といったコンテンツを併せた海外へのプロモーションを強化し、新潟県や他の市町村、関係団体や民間企業との連携を図りながら、海外からの誘客の拡大を図っていきます。また、受入れ環境の整備も併せて行う必要があり、外国人に分かりやすい案内表示や生活文化・地域住民との触れ合いを体験するといったプログラムと宿泊を合わせた体験型・滞在交流型の民泊について、検討していきます。こうした長岡らしい「顔の見えるインバウンド」と併せて、病気や災害といった緊急時を含めた滞在中における、きめ細かな対応をしていくための取り組みを進めます」としております。これを踏まえて質問をさせていただきます。
初めに、現在の
インバウンド対策についてお伺いいたします。確認の意味も含めて、現在当市が行っているインバウンド受入れの対策をお聞かせください。
続いて、市内観光地を紹介するホームページについてお伺いいたします。当市は、長岡市観光戦略プランでも言っておるとおり、長岡花火や日本酒、錦鯉、そのほかに馬高遺跡の火焔土器や越路のもみじ園、河井継之助、山本五十六など歴史・文化、食、自然など、ほかの観光地にも負けない観光資源が多くあると思います。そして、それらの観光資源は様々な方法でPRされております。その中でもインバウンドを呼び込むに当たり最も効果的なのは、ホームページだと思います。旅行に行く際、その地がどんなものであるか、その地がどんな場所であるかなどをパソコンやスマホでその場所のホームページを調べるのは今や当然のことです。当市の観光地においても当然そのほとんどがホームページを有しており、内容も手が込んでおるものが多数あります。しかしながら、
インバウンド対策という観点で見ると、外国語対応していないものが多く、
インバウンド対策になっていないのが現状です。
そこで質問です。外国人観光客を呼び込むには、市内観光地のホームページを外国語表記できるように改善することが必要と考えますが、市のお考えをお聞かせください。
続いて、市内観光施設での外国語対応についてお伺いいたします。今後インバウンドを増やすためには、当市の観光施設を訪れた外国人観光客に当市の魅力を伝え、再度当市に足を運んでもらったり、帰国された後、周りに当市の魅力を波及してもらうことも重要であると考えます。そのためには外国語での対応が必要不可欠であり、大きな観光ツアーなどでは通訳の方が同行されることはありますが、基本的には各施設での対応が求められます。現在は、スマホの機能や翻訳機などで簡単に翻訳してくれる方法があります。しかしながら、それを外国人観光客に応対する方々が使いこなせるかというと疑問が残ります。
これは私の実体験でありますが、私は長岡まつり大花火大会の際、観覧席の設営を手伝わせていただいております。その中で、昨年こんなことがありました。15時の開場と同時に入場された中国人の方が炎天下の中、1時間ぐらいずっと自分の席で座って待っておられました。その方に、「再入場できるので、一度出られますよ。その際は半券をお持ちください」、たったこれだけが伝えられなかったのです。もちろんスマホを持っておりましたが、いざというときにはやはり使い慣れていないので使えない、むしろそのことがあることすら頭に浮かばなかったのが実情でした。当市の中でも最も外国人観光客が多く訪れ、外国語対応が進んでおる大花火大会においてもまだまだ足りない部分があります。長岡まつり以外の観光イベント、観光施設ならなおさらのことでしょう。
そこで、各観光施設でスマホや翻訳機などを使い、外国人観光客に対応するためには、使用方法や使用体験などをセミナーなどで指導し、周知することが必要だと考えます。特にスマホを利用しての対応の場合は、支給されたスマホではなく、その対応に当たられる方がふだん使用しているスマホを使っての対応が望ましいと考えますが、市のお考えをお聞かせください。
最後に、当市における今後の
インバウンド対策についてお伺いいたします。今年は2020東京オリンピック・パラリンピックが開催され、大花火大会においても例年以上に外国人観光客が訪れることが予想されます。そして、今年の夏から秋にかけて、ながおか花火館や機那サフラン酒本舗などがオープンし、当市の観光に対する環境は大きく変わります。しかしながら、当市は今まで観光業を主として発展してきた都市ではありません。ゆえに観光に対して、まだまだ足りない部分は多くあろうかと思います。近年、日本全体で伸びてきたインバウンドに対しては特に足りないと感じます。ですが、逆を返せば、当市の観光業にはまだまだ伸び代があるということだと思います。その中でもインバウンドは大きな成長分野として期待されております。今後、インバウンドを伸ばし、当市の観光業を成長させるには、インバウンド対応を常に意識し、行政だけではなく、企業や団体、市民と今まで以上に連携し、一体となってインバウンドを増やすんだという機運を高め、市全体で対応を考え、実行していくことが必要不可欠だと考えます。
そこでお聞きします。今後のインバウンドに対する市の考えをお聞かせください。
○議長(丸山広司君) 伊藤観光・交流部長。
〔観光・交流部長伊藤美彦君登壇〕
◎観光・交流部長(伊藤美彦君)
インバウンド対策についてお答えいたします。
インバウンドにつきましては、新型コロナウイルスの影響が広がっており、一日も早い収束が望まれております。当市としましては、事態の収束後に向けて着実な準備を進めていきたいと考えております。
その中で、現在市で実施しております主な対策としましては、市内12か所の観光施設にWi─Fi環境を提供し、来訪者の情報検索等の利便性を図るほか、平成30年度から2か年にわたり長岡の観光資源の魅力を訪日外国人に伝える観光通訳ボランティアの研修を行い、即戦力となる人材の育成に努めております。
次に、市内観光地のホームページについてお答えします。インバウンド対応には、ホームページをはじめとする情報発信ツールの多言語化が必要であると認識しております。現在、市の取組として可能なところから多言語化を進めているところですが、見込まれる効果や優先順位などを考慮しながら今後も継続的に取り組むとともに、観光施設を有する関係機関や
民間事業者等への働きかけを行うなど、来訪者目線の情報提供に努めてまいりたいと考えております。
次に、観光施設への外国語対応についてお答えいたします。来日外国人の皆様がおもてなしの心を感じながら、安心・快適に長岡でお過ごしいただけるよう、施設管理者の外国語対応力の向上が求められております。議員から御提案のありました案内者御自身のスマホや多様なアプリを活用したコミュニケーション能力の向上は、誰もが手軽に始めることのできる有効な多言語対応方法の一つだと認識しております。そのためには、各施設管理者をはじめ、観光ボランティアの方々、イベントスタッフなどへの情報提供も重要となりますので、有効なスマホアプリや関係団体等で開催される研修会等を紹介、周知するなどしてまいりたいと考えております。
最後に、今後の
インバウンド対策についてお答えします。インバウンド事業を向上させるには、地域資源の磨き上げや効果的な情報発信とともに、来訪者の満足度を高める受入体制の整備が必要であると考えております。そのためには行政だけでなく、市民やNPO法人、
民間事業者、関係機関等と連携、協力しながら取り組んでいくことが肝要となります。多様な団体と連携した体験型コンテンツの構築や、市民を巻き込んだおもてなしの充実など、全市一体となった取組を推進し、
インバウンド対策に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
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○議長(丸山広司君) この際、20分程度休憩いたします。
午後2時10分休憩
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午後2時30分開議
○議長(丸山広司君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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△質問項目
子どもたちを犯罪から守るための対策について
○議長(丸山広司君) 次の質問に移ります。
子どもたちを犯罪から守るための対策について、田中茂樹議員。
〔田中茂樹君登壇〕
◆田中茂樹君 市民クラブの田中茂樹です。通告に従いまして、一括方式にて質問いたします。
昨年5月、川崎市で登校中の小学生など19人が殺傷される事件がありました。また、一昨年の5月には新潟市で小学2年生の幼い命が奪われたことは皆様御承知のとおりだと思います。同じ2年生の娘を持つ私には非常に耐え難い怒りと悲しみしかありません。新潟市の事件を受け、政府は登下校防犯プランを取りまとめました。また、川崎市の事件を受け、金澤教育長から「児童生徒の安全確保の一層の徹底について」という通知が各学校に出されました。警察庁によれば、13歳未満の子どもが被害者となった刑法犯の認知件数は、平成14年以降は減少傾向にあるようですが、いつ
子どもたちが犯罪に巻き込まれるか分かりません。そこで、子どもを犯罪から守るための防犯対策について、
子どもたちに身近な家庭や学校をはじめ、地域、そして自治体の3つの観点から、以下質問いたします。
1つ目は、家庭、学校における防犯対策についてお伺いいたします。
まずは、家庭での対応についてお伺いします。平成23年3月、熊本県のスーパーで3歳の女の子がわいせつ目的で近づいてきた男に殺害されるという事件が起こりました。幼い子を1人でトイレに行かせたことを被害者の両親は悔やんでも悔やみ切れない思いだと思います。私の娘も、若い風変わりな男にしつこくつきまとわれて怖い思いをしたという経験をしました。もしあのとき娘から目を離していたらと思うと、今でもぞっとします。常に子どもの手を握り、目を離さないことは難しいと思いますが、幼い子どもを持つ保護者には特に注意していただきたいと思います。
また、昨年11月、大阪市内の小学6年生の女の子がSNSで知り合った男に誘拐され、栃木県小山市で無事保護されるという事件がありました。警察庁によれば、平成30年には1,811人の18歳未満がSNSを通じた犯罪被害に遭っており、そのうちスマートフォン、携帯電話を使用して被害に遭ったのは1,632人と全体の9割を占めたそうです。このような事件は、親が口うるさい、家出したいという親への不満や、周囲に相談できない悩みを子どもがSNSに書き込むことが発端となっているそうです。
千葉大学の藤川大祐教授は、「SNSが
子どもたちにとって家庭や学校の不満を吐き出す逃げ場となっていて、SNSで知り合った人は危ないと分かっていても、オンラインゲームなど共通の趣味があれば信頼関係ができてしまう」と述べ、また、ゲーム大手グリーの小木曽健さんは、「ネット上でよい人か悪い人かを見分けるのは大人でも至難の業であり、人生経験のない子どもには不可能だ」と述べています。私はSNSが全て悪いのではなく、また
子どもたちにSNSを絶対に使わせないというものでもないと思います。子どもの心のすき間に対し、保護者など身近な大人がいかに寄り添えるかということが大切だと思います。そして、保護者自身がSNSの恐ろしさを改めて理解し、使用のルールや身の守り方など、親子でしっかりと話し合うべきだと思います。そういった観点から、長岡市SNSセーフティープログラムには大変期待しています。子どもから手を離すな、目を離すな、そして心を離すなというのは子育ての基本です。子どもの命を守るために、保護者がしっかりと防犯意識を高めていくべきではないでしょうか。そこで、家庭における防犯意識の啓発などをさらに進めていくべきだと考えますが、本市のお考えをお伺いいたします。
次に、学校での対応についてお伺いします。一昨年の秋、犯罪研究の第一人者である清永賢二日本女子大学教授を訪ね、お話を伺う機会がありました。清永氏は、「
子どもたち自らが危機を乗り越えるための安全基礎体力を身につけることが、犯罪から身を守る上で最も大切だ」と述べていました。安全基礎体力とは、犯罪に遭わないようにするための知識、危険を察知して遠ざける能力、身の丈に合った自衛力の3つを指すそうです。万が一、危険な目に遭ったとき、怖くて動けなかったり、大声が出せなかったり、防犯ブザーをうまく操作できないといったことも十分考えられることから、子どもの発達段階に応じた実践的な防犯訓練と安全教育を行うべきだと清永氏は主張していました。
平成30年5月、警察庁がまとめた「新潟市の事件を踏まえた登下校時の子供の安全確保策について」というレポートによれば、
子どもたちに対して防犯指導や防犯訓練を実施しているが、防犯意識が十分に備わっていないことや、いざというときに対応できていないケースがある点が課題であり、
子どもたちへの実践型防犯指導の充実が求められると清永氏の主張と同様なことが指摘されていました。本市における学校での防犯訓練は、校内に侵入した不審者対応の訓練が主な内容であり、安全に関する授業も訓練が終了した後で、警察関係の方からの講話を聞く内容が中心のようですが、清永氏や警察庁が指摘しているように、実践的な内容に改善を図っていただければと思います。
小宮信夫立正大学教授は、「危ない人かどうかを見分けるのは難しいが、危ない場所かどうかを見分けるのは簡単だと思う。被害者にならないために、周りの景色から危険な場所か安全な場所かを見分ける力が重要だ」と主張しており、犯罪が起きやすい危険な場所とは、犯罪者が入りやすいところと犯罪が見えにくいところだと説明しています。また、小宮氏は、「新潟市の事件もまさにその2つの条件が重なったところだ」と指摘しています。
平成27年7月、奈良県のリサイクルショップのトイレに1人で行った小学6年生の女の子が誘拐され、監禁される事件がありました。奈良学園大学の松井典夫教授によれば、「6年生ともなれば1人でトイレに行くのは当たり前のことで、事件を回避する手だては女の子の危険予知と回避力しかなかったのではないか」と述べています。つまり危険な場所かどうかの判断が鍵だったということです。
小宮氏によれば、周りの様子から危険を予測する能力を身につけるには、危険な条件となる場所を
子どもたち自身が確認しながら作成する地域安全マップが最も有効であると述べています。本市の安全マップの作成状況は、小学校52校、中学校20校、小・中共有の学校もあるそうですが、PTAや地域の方が情報を集めて作成したり、職員が地域を回って作成したり、子どもが参加して作成したりと様々であります。
子どもたち自身が歩き、確かめながら作成する方法が最も効果的だとすれば、作成方法や利用方法など幾つか改善の必要があるのではないでしょうか。教員や
子どもたちの負担を考えると、新たな教育機会を設けることや現行のカリキュラムに追加することは現状では厳しい状況であることは十分承知しておりますので、今ある取組が効果的なものかどうかを改めて見直し、実効性のある安全教育と対策をさらに深化させていくべきだと考えますが、本市のお考えをお伺いいたします。
家庭や学校は、子どもが生活の多くの時間を過ごし、主体的に安全について考え、学ぶ機会を与えてくれる最も重要な場所だと思いますが、家庭や学校などにおける防犯対策について、本市の取組状況や今後の方向性などお考えをお伺いいたします。
2つ目は、地域などにおける防犯対策についてお伺いします。
初めに、地域コミュニティにおける防犯活動についてお伺いします。イギリスでは、子どもの登下校については親が送迎することが普通だそうですが、日本の場合はそうではありません。現在、長岡市では193名のセーフティーリーダーをはじめ、地域の多くの皆様の御協力で登下校時の見守り活動が行われており、
子どもたちが安全に登下校できています。地域の皆様には本当に感謝しております。
しかし、警視庁のある調査によれば、小学生以下の子どもが犯罪被害に遭った場所は自宅から500メートル以内が最も多く、時間帯としては平日の帰宅後が最も多いとのことで、見守り活動が終了した後の防犯対策が課題だという指摘がありました。また、現在長岡市にはこども110番の家が1,752か所あるとのことですが、こども110番の家がどこにあるのか、また実際に飛び込めるのかという疑問の声があります。警察庁のレポートには、子どもが駆け込んだ場合の受入れ側の対応について十分な研修がなされていないことが課題だという指摘もありました。緊急時には、こども110番の家じゃなくても、どこでも飛び込んで助けを求めることが大切であり、重いランドセルを背負って逃げることを考えると、子どもも大人も訓練を行っておく必要があるのではないでしょうか。
静岡県では、万が一犯罪に遭遇したときに自分の身を守る方法を体験しながら学ぶ体験型防犯講座「あぶトレ!」を開催しています。平成26年11月には島田市の商店街の主催で、犯人役の大人が
子どもたちを全速力で追いかけ、
子どもたちが店舗に駆け込み、店員に事情を伝えるという訓練を行った事例があります。地域には現在自主防災訓練がありますが、地域の防犯訓練も必要ではないでしょうか。このような地域の防犯活動への支援をさらに拡充すべきだと考えますが、本市のお考えをお伺いいたします。
次に、防犯に積極的な地域づくりについてお伺いいたします。先日、松野議員からも防犯カメラの設置について
一般質問がございました。警察庁のレポートでは、見守り活動を補完し、犯行の死角を解消するには、市町村による防犯カメラの整備が効果的だという指摘があり、防犯カメラの効果によって犯罪が減ったというデータもあります。しかし、通り魔は防犯カメラに関係なく犯行に及びます。また、誘拐、わいせつ目的で甘言を弄して誘い込む犯罪者は、あえてカメラのないところに誘い込みます。このようにカメラも抑止力に限界があり、コストもかかります。近年では、ドライブレコーダーも犯罪検挙に効果を発揮していますが、抑止効果としてはどうでしょうか。むしろこの地域は防犯カメラが設置してありますという掲示や看板が地域の至るところにあり、どこにカメラが仕込んであるのか分からないような、まち全体が犯罪者を監視しているまちこそが犯罪者の脅威であり、防犯効果が高いと専門家は指摘しています。
また、ごみが散乱し、落書きが多いところに犯罪が多く発生するという割れ窓理論を踏まえ、クリーン作戦や花壇づくり、各家庭の門灯をつける一門一灯運動など、地域が協力して真剣に防犯に取り組む姿勢が大事だと思います。
そのような中、本市では日頃から防犯活動に熱心な希望が丘地区に、希望が丘安全安心ステーションが開設されたことは御承知のとおりです。見守りパトロールの拡充や防犯マップの作成など、住民が一丸となって安全・安心な地域を目指すこのような取組が本市全体に広がってほしいと思います。このような防犯に積極的な地域づくりをさらに進めていくべきだと考えますが、本市のお考えをお伺いします。
そして、何よりも犯罪者を地域に入れないこと、地域から犯罪者を出さないことが最も大切です。地域の中で不審な者に気づき、危険を回避する状況をつくり出すためには、何よりもお互いに顔が見える関係をつくることです。そのためにも多くの人が町内会行事などに積極的に参加し、隣近所の声かけをするなど、住民同士のコミュニケーションづくりが大切だと思います。コミュニティの語源には、みんなと一緒に住むために私自身がしなければならないことという意味があるそうです。まちのために何ができるのか、他人事ではなく、住民の積極的なまちづくりと防犯対策が望まれるところでありますが、地域における防犯対策や地域づくりについて、本市の取組状況や方向性などお考えをお伺いいたします。
3つ目は、自治体の防犯対策についてお尋ねいたします。
本市が行っている防犯対策事業は、防犯啓発活動のほか、防犯灯の設置補助、防犯協会、防犯組合など各種団体への補助や活動支援、事業所との安全・安心に関する連携協定、NPO法人と連携した安全・安心情報の発信など、市民協働で多岐にわたって行われております。即効性は弱いかもしれませんが、状況をお聞きする限り、徐々に効果を出している点は大変評価できるところであります。長岡市防犯推進に関する条例の第3条、市長の責務には、防犯に関する啓発活動や地域の自主的な防犯活動に対する援助のほかに、防犯を目的とする環境の整備があります。市民の力では対応が難しい、予算規模や事業規模が大きい防犯環境の整備は、自治体、行政が行っていただくほかありません。
平成27年11月に愛知県警は、愛知県や名古屋市、教育委員会やNPO法人の協力の下、名古屋テレビ塔に実際の町並みをつくり、そこで防犯訓練、安全学習を行う日本初の施設体験型防犯教室「BO─KENあいち」を開催しました。このイベントに携わった清永教授から、「長岡は防災の先進地だから、防犯もうまくいくはずだ。防災施設とセットでBO─KENあいちのような施設整備を行うとよいのではないか」とアドバイスを頂きましたが、このような施設を整備するにはかなりのコストがかかります。しかし、自治体や行政の防犯に対する本気度が伝わってくる事例の一つではないでしょうか。
また、子どもが多く集まる場所や施設として、一般的に公園が挙げられるかと思います。公園は
子どもたちだけでいることも多く、特に死角が多い公園や奥まったところにあるトイレは非常に危険であります。このように防犯の観点で公園を整備すること、あるいは手作り公園を行う町内にアドバイスなどを行うべきと考えますが、子どもが集まる場所や施設における防犯対策について本市のお考えをお伺いいたします。
また、本市ではオープンイノベーションの実証実験として、希望が丘地区の小学生を対象とした見守り実証実験を行っており、アプリのダウンロードなど多くの方々の協力が必要だという課題もあるようですが、防犯の取組としてはとても効果的な取組だと大変期待しています。長岡市はものづくりの企業も多く、4大学1高専という若い力など様々な技術が生み出される土壌のあるまちですから、防犯に特化したイノベーション、新しい仕組みがこの長岡から生み出されることを私は期待しています。現在のIoTを活用した見守り実証実験はもとより、4大学1高専や企業の高度な技術力を生かした新しい仕組みづくりについて、本市のお考えをお伺いいたします。
最後に、長岡市防犯推進に関する条例についてお尋ねいたします。奈良県や宮城県など一部の都道府県では、子どもを犯罪から守る条例が制定されており、本市においてもこのような条例の必要性を個人的には感じるところでありますが、子どもだけではなく、高齢者を狙った特殊詐欺など市民の安全・安心を脅かす犯罪はいつ起こるか分かりません。市民の防犯意識の高揚と防犯活動の推進は、行政の縦割りを超えて取り組むべきと考えます。本市の本条例も平成10年3月に施行されて以来、今年で20年以上が経過する中で、犯罪の複雑化や防犯の担い手が多様化しているなど、時代の変化とともに評価をしていくべきだと思いますが、本条例に対する本市の考えをお伺いいたします。
子どもたちを犯罪から守るための対策について幾つか提案をしましたが、手段を考え、講じるのは市長をはじめ執行部の大事な役割であります。
子どもたちを犯罪から守り、市民の安心・安全なまちづくりのために、自治体はこれからもしっかりと防犯対策を行うべきと考えますが、本市の防犯への取組状況や今後の方向性など、本市のお考えについてお伺いいたします。
もう一度我が子を抱き締めたいという愛する我が子の命を奪われた両親の気持ちを思うと、本当に涙をこらえ切れません。二度とこのような悲劇を起こさず、未来ある
子どもたちの命を守ることは我々大人の使命であります。市長は、市民の安全を守るという言葉を幾度となく使われております。未来を担う市民は子どもであります。
子どもたちの安全を本気で考え、
子どもたちを何が何でも守るんだという気概をぜひお示しいただきたいことをお願い申し上げ、質問を終わります。
○議長(丸山広司君) 磯田市長。
〔市長磯田達伸君登壇〕
◎市長(磯田達伸君) ただいまの田中議員の御質問にお答えいたします。私からは、地域における防犯対策と自治体における防犯対策についてお答え申し上げます。
田中議員からるる
子どもたちを犯罪から守るための具体的な御提案を頂きまして、本当にありがとうございます。一つ一つがその課題を明らかにし、そしてそれに対する解決策について自らお考えになった御提案だというふうに受け止めております。そういったものも全て参考にしながら、私も
子どもたちを守る防犯活動の取組が市内各所で広がっていくようにしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
SNSの話もありました。SNSについては、親に対する不満とかのはけ口にもなっているというふうな御指摘もあって、必ずしもSNSを禁止することがいいわけではないなと。SNSがあるために家族というものの一体感がむしろ守られているというケースもあるというふうな感じもいたしまして、難しいものだなというふうに思っております。しかし、架空の世界と現実世界の違いというものを子どもが毎日の生活、遊びや学びの中で体感していくということは大事で、長時間SNS、架空の世界に浸って、いわばそちらのほうがリアルだというふうに感じるようなことになると、やはりそちらのほうに引き寄せられていろいろな犯罪に巻き込まれるということもあるのかなというふうに思っております。そういう意味では、いかに
子どもたちにいろいろなリアルな体験をさせて、現実的な喜びとか、あるいは危険というものを体感させるかということが大切なんだなと田中議員のお話の中から今感じたわけであります。
そういう意味で、学校で行われる防犯あるいは犯罪に対するいろいろな教えというものは、ある意味学校は現実世界とちょっと違う、架空の世界じゃありませんけれども、原則の世界あるいは抽象度の高い世界でありますので、やはり本当に防犯となると、その危険性は地域にあると。地域の個々の、先ほど言われたトイレであり、公園の茂みであり、そういったところに危険性というものがあるわけで、それはぜひ地域の力で
子どもたちにそういったマップを作る作業の中で教えるとか、日常的に近所の大人が子どもに教えるということもやはり大切なのかなというふうに思った次第であります。
そこで、地域における防犯についてのお話がございました。現在、長岡市は防犯協会をはじめとする116の団体、9,000人が登下校時の子どもの見守り活動、あるいは通称青パトと言っておりますが、防犯パトロールなど、地域の実情に合わせた防犯活動を行っていただいております。このような地域の自主的な防犯活動によりまして、市内の刑法犯の発生は平成14年が4,364件でピークだったわけでありますが、昨年は1,093件と大幅に減少しているわけであります。御協力いただいている地域や関係者の皆様に、私からも本当に心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
さらに今年度は、安全・安心な地域づくりの活動拠点、御紹介いただきました希望が丘安全安心ステーションを開所いたしました。地域住民が主体となった地域安全マップの作成、あるいは犯罪被害防止や交通事故に遭わないための意識の向上などの取組を行っていただいております。こうした活動が取りも直さず防犯訓練を日常的に行っているのと同じような効果が出ているというふうにも聞いています。地域コミュニティを形成して、もしものときに子どもが近所の家へ飛び込める環境にもつながっていくのではないかなということで、御指摘いただいた顔の見える関係、コミュニティづくり、そして地域共生社会というものが子どもの安全に強く深く関わっていくということを、またここで実証していただいているのかなというふうに思っているわけであります。
長岡市としても、こうした地域住民主体の活動に対しまして支援を行いながら、この検証を行って、さらにほかの地域にも展開できる形がつくっていけるのではないかなと思っておりますので、安全・安心な地域づくりを、これをまたモデルにしながら推進したいと強く思っているところでございます。
それと新しい技術を使った子どもを守る仕組みというお話もございました。現在、オープンイノベーションの事業の中で、希望が丘地域におきまして、子どもの見守りをテーマとする実証実験を行っております。子どもが所持するIoTタグを住民がスマートフォンにインストールしたアンテナ機能のあるアプリケーションで検知して、そして児童の所在地を親に教えるというものであります。この実証実験においても住民の皆様から自分に子どもがいない方にアプリケーションを入れてもらい、それはちょっとそんなのを入れるのは嫌だという人もいるかも分かりませんが、それについては積極的に協力していただけるということで、多くの方々から御協力いただいているわけであります。今後は実証実験の結果を分析して、果たして市域全体に導入できるかどうか、あるいはもっと違う仕組みができるのかどうか、4大学1高専をはじめとした産・学・官の英知を集めながらオープンイノベーションで取り組んでいきたいというふうに思っているわけであります。
残りの御質問につきましては、市民協働推進部長、教育部長からお答え申し上げます。
以上であります。
○議長(丸山広司君) 竹内市民協働推進部長。
〔
市民協働推進部長竹内正浩君登壇〕
◎市民協働推進部長(竹内正浩君) 私からは、家庭における防犯意識の啓発と自治体の防犯対策、そして最後に長岡市防犯推進に関する条例についての御質問にお答えします。
初めに、防犯意識の啓発に関する御質問にお答えします。安全で安心なまちづくりにコミュニティの力は欠かせません。中でも最も身近で小さなコミュニティ単位である家庭での防犯意識の醸成は、防犯力を身につけたり、向上させる、学校や地域の防犯意識醸成の基礎となるものと認識しております。防犯意識を醸成するため、本市ではNPO法人の協力を得てメールやツイッターを使ったフェニックス安全安心情報を活用して、犯罪被害の防止に役立つ情報を保護者や家庭に向けて発信しており、現在のメール登録者数は2万6,000人を超えております。また、そのほかにもコミュニティセンターやPTA、老人クラブ、事業所などの会合で防犯出前講座を開催し、昨年は延べ3,000人を超える市民に犯罪被害防止や防犯対策の紹介等、情報発信をいたしました。市では、今後も引き続き市民の防犯意識が高まるよう、多様な情報媒体や機会を通じて、あらゆる世代に向けて家庭の中で防犯の話題が上る機会が増えるよう、さらに情報発信の強化に努めてまいりたいと考えております。
次に、自治体における防犯対策についてお答えします。公園整備においては、大きくなった樹木や建物の陰などで外部から見えにくいといった、いわゆる公園内の死角をなくしていくことが防犯対策として極めて重要と考えています。そのため、市では防犯上支障となる見通しの悪くなるような樹木を伐採し、低い樹木や花壇にする、あるいは照明をLEDに換えて、夜間でも明るくするといった対策に取り組み、公園など子どもが集まる場所の防犯対策とその活動支援に取り組んでおります。今後も引き続きこの活動に取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、長岡市防犯推進に関する条例についての御質問にお答えします。本条例は平成10年に制定し、地域の防犯活動について、市長、市民、事業所の責務を明確にしたものであります。市ではこれまでこの条例を基に、犯罪発生などを含めた社会情勢の変化に柔軟に対応し、また地域の実情に合わせて防犯対策を進め、先ほど紹介いたしました取組など様々な施策を展開し、初めに市長がお答えしました成果を上げているところであります。今後も長岡市防犯推進に関する条例の理念や内容を踏まえ、検証しながら、市と市民と事業所が協働で犯罪の複雑化や担い手の変化などの社会情勢の変化に合わせ、市民や地域に最適な施策を展開することで、犯罪を起こさせない安全で安心なまちづくりを進めていきたいと考えております。
以上です。
○議長(丸山広司君) 小池教育部長。
〔教育部長小池隆宏君登壇〕
◎教育部長(小池隆宏君) 最後に、私からは子どもの安全に関する教育についてお答えいたします。
一昨年の新潟市や昨年5月の川崎市での児童に対する事件を受け、今年度は多くの小学校が防犯に焦点を当てた避難訓練を実施しております。例えば警察等と連携しながら安全な登下校の方法を学んだり、校内に侵入した不審者からの避難方法を学ぶなど、緊急に対応できる
子どもたちの能力を高める取組を行っております。また、小学校では、毎年通学路の安全点検を保護者や地域住民と一緒に行い、ほぼ全ての学校で安全マップを作成しており、児童や地域に配布したり、町内の子ども会で危険な場所の確認に親子で活用するなど、防犯意識の向上に役立てています。
さらに、教育委員会としましては、先ほど御紹介もありましたとおり、昨年5月に保護者や地域が学校と連携して
子どもたちの安全・安心を確保するための教育長メッセージを全保護者に配布しております。防犯指導においては、実際の場面を想定した体験的な学びが、いざというとき適切に行動するために大変有効であると考えております。今後は、こうした効果的な取組を周知し、市内の学校に広めていきたいと考えております。
以上でございます。
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△質問項目
第2期長岡市まち・ひと・し
ごと創生総合戦略における若者定着について
○議長(丸山広司君) 次の質問に移ります。
第2期長岡市まち・ひと・し
ごと創生総合戦略における若者定着について、大竹雅春議員。
〔大竹雅春君登壇〕
◆大竹雅春君 市民クラブの大竹雅春です。通告に従い、一括方式にて質問します。
1月24日の
議員協議会で説明を受けました第2期長岡市まち・ひと・し
ごと創生総合戦略案の戦略1は、若者定着です。「若者の地元定着やU・Iターンを促進するため、若者自らが魅力を生み出すまちづくりを進めます」とし、数値目標では、若者定着を促進し、若年層の転入者に対する転出者超過率を抑制し、市内4大学・1高専・15専門学校卒業者の市内就職率を伸ばすとしています。
そんな中、2月1日の新潟日報1面に、本県は日本人の転出者が転入者を8,162人上回る「転出超過」で、超過数が全国で最も多かった。本県が最多になったのは64年ぶり。人口流出に歯止めがかからない。県新潟暮らし推進課は「東京圏への一極集中がさらに加速し、深刻に受け止めている。本県の課題は進学や就職を機に若者が流出すること。若者に魅力的な職場を増やし、U・Iターンのアピールに一層力を入れたい」との記事が載りました。このことについて明治大学の市川宏雄名誉教授は、「比較的人口規模が大きい新潟県は、早くからインフラが整ったことで東京とつながり、産業などがうまくいったのではないか。それが、ふと気づくと東京に人も産業も集まったという感じだろう。危機感を持って、早く行動しないと生き残れない」と警鐘を鳴らしています。
また、2月17日の新潟日報では、新潟の高卒就職者は徐々に県外就職が増えており、ハローワーク新潟管内では2019年3月卒の県外就職率が22.6%、前年から7.6ポイント上昇し、4人に1人が県外に就職したことになると報道されました。ハローワーク長岡に確認したところ、長岡管内の県外就職率はここ四、五年は10%程度で推移しているとのことですが、この流れは長岡に起こるかもしれません。
政府は2014年9月、まち・ひと・しごと創生法を制定し、内閣にまち・ひと・しごと創生本部が設置され、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンを策定するとともに、その法律に基づき、5か年の目標や施策の基本的方向等をまとめて、第1期まち・ひと・し
ごと創生総合戦略を策定しました。また、地方公共団体においても、地方人口ビジョン並びにまち・ひと・し
ごと創生総合戦略が策定されました。景気回復に加え、地方に安定した仕事をつくるという施策もあり、有効求人倍率は全国で1を超え、多額の地方創生関係交付金により、やる気を持って事業に取り組む自治体は財政上の裏づけを得られました。しかし、依然として地方の高齢化と人口減、東京圏への人口一極集中という問題は解消されていません。このような状況の中で、若年層の社会減が進んでいることについて市の考えをお伺いします。
12月議会の
一般質問でも取り上げましたが、高校との協働を進めることが中・長期的に地域の課題解決につながると考えます。長岡でも、長岡青年会議所が2013年より情熱あふれる若き力で来場された方々と会場を盛り上げ、一緒に楽しむとともに、学生の新しい価値感や発想を取り入れ、様々な事業に対し、まちづくりや市民協働を深く考えてもらうことを目的としたNagaoka高校生フェスタを7年間開催されました。高校生がスタッフとなり、出場者も高校生のイベントで好評でしたが、高校生が主体となった事業にできるよう、さらなる進化を目指し、新しい展開を検討しているそうです。これは一例ですが、近年まで生徒たちの進学や就職に重きを置く学校側がイベントに消極的であったため、数が限られています。高等学校との協働について、長岡市ではどのようなことが行われてきたかをお伺いします。
文部科学省は、生徒の学びの質向上のために、高等学校と地域が協働し、高校生が地域の産業や文化への理解を深めるための機会を提供することは、地方創生の観点からも重要であると通知しています。そして、経済
財政運営と改革の基本方針2018においては、地域振興の核としての高等学校の機能強化を進めることが重要課題への取組として位置づけられ、まち・ひと・しごと創生基本方針2018においては、高等学校が地元市町村、企業等と連携しながら、高校生に地域課題の解決等を通じた探究的な学びを提供する取組を推進すること等が明記されています。
この構想を具現化したイベントとして、南魚沼市にある国際情報高校の発表会を視察しました。雪国で米どころでもある地元魚沼の魅力を世界に発信しながら、大学との連携を通じて地域が抱える課題、さらには関連する世界の地域課題について、グローバルな視点から考察、提案できる人材の育成を目指した活動をしており、生徒全員が四、五人でチームを組み、地域を盛り上げるプレゼンテーションを行いました。約60個のテーマには、長岡市内の高校生であろうと思われる長岡花火を取り上げたものもありました。その活動を助けているのが、南魚沼の「未来の人財創出コンソーシアム」です。雪国青年会議所、愛・南魚沼みらい塾を窓口に、南魚沼市、南魚沼まちづくり推進機構、協同組合新潟県異業種交流センター、ハローワーク、市内企業、団体が一丸となって地域全体を大きなキャンパスに見立て、市内4高校を中心に小・中学校とも連携し、教えることと教わることが大人、子どもが関係なく自由に行き来できる新しい南魚沼版教育を展開し、生徒の興味関心と地域の課題を効果的にマッチングし、新しい価値を創造する人材を育成していくという組織です。県立高校とも協働できると思わせるすばらしい発表会でした。会場で関係者とお話しすることができて、支援する組織の必要性を強く感じた機会となりました。
高校、大学、地域が連携する人材育成モデルを多角的な視野から調査研究し、全国各地で実績を上げている大正大学の浦崎教授によると、「高校と地域の多様な主体が連携し、高校生の興味関心と地域の課題やフィールドを丁寧にマッチングするには、組織、コンソーシアムが必要であり、その設立は急がないと地域間競争に負けてしまう」と提言されています。長岡市では、既に多くの部署で地域課題を解決するような取組をしていますが、高等学校を入れることで大きな化学反応が期待されます。文科省からの通知にあるように、高校側も自らの魅力化を検討しています。
12月議会では、高校生との取組について、その必要性を賛同いただき、その居場所についても磯田市長からは「市内のあらゆる高校の生徒、中学生、そして小学生も含めて、多くの学生や若者からNaDeC BASEあるいは将来できる米百俵プレイス(仮称)に来てもらい、そこで出会って、楽しみながら新しいことに挑戦できるスペースをつくっていきたい」と答弁をいただきました。市民協働のまちとして、あらゆる世代の力を結集してまちづくりをしてきた本市ですが、今までの実績を生かし、長岡市が主体性を発揮しながら、各団体が連携し、部局横断で取り組むべきと考えます。今後、高等学校との協働による取組を強化していくことが、若者の定着やU・Iターンを促進していく上で有効であると考えますが、高等学校との協働における今後の方向性について市の考えをお伺いします。
続いては、奨学金返還支援についてです。近年、教育費や奨学金に関するニュースが多数報じられました。発端は、2016年4月にNHKで放送された奨学金の返還に困っている若者のショッキングなニュースでした。この報道は、2017年度から急遽始まった給付型の奨学金や大学の授業料無償化が検討されるきっかけにもなりました。全国大学生活協同組合連合会の報告によると、大学の学費は4年間で国公立と私立で200万円程度の差があります。また、生活費は実家住まいと一人暮らしの差額が4年間で約273万円とかなり大きな額です。一人暮らしを始める際の初期費用も加算すれば300万円を超えます。一人暮らしの場合は、実家住まいと比べて学費と同等か、それ以上に生活費の負担が大きく、大学に通いながら生活費を全額アルバイトで稼ぐことは極めて困難ですから、仕送りで穴埋めをして、それでも足りなければ奨学金で賄うことになります。実家住まいの若者は、在学中や就職後も負担額は大幅に減ります。長岡など地方から東京圏に進学し、そのまま就職した若者は、奨学金返還に困っている可能性が高いということです。
大学等への進学率の上昇や景気低迷などの社会情勢を反映して、奨学金の貸与規模は年々拡大傾向にあります。その7割を占める日本学生支援機構の奨学金は、学生数に対する奨学金貸与割合が平成17年度では4人に1人、平成27年度には2.6人に1人まで増加、約1.5倍に膨れ上がっています。また、労働者福祉中央協議会の調査結果では、奨学金借入総額の平均は313万円、月々の返済額は平均1万7,000円で、返還期間は平均14.1年。23歳で大学を卒業したとすると、37歳まで年間20万円以上の返還が続く計算です。返還の負担感について苦しいと回答した人が4割弱もいて、奨学金の返還で悩んでいる若者が多いことを知りました。
そのような中、学生の地方就職を奨学金支援によって促す仕組みが10年ほど前から始まっています。Uターン就職の学生に対し、奨学金返還の一部を肩代わりする仕組みです。30県以上で整備されており、新潟県は2016年度からスタートして、2019年度は144名、うち長岡市在住者は15名です。その必要性から2度条件を改定して支援制度を継続しています。
また、大学進学などで借りた奨学金の返還を企業が肩代わりする事例が増えてきました。新社会人にとっては、奨学金の返還に追われず、安心して働けるようになり、企業側にとっては優れた学生の確保に向けたアピールポイントにつながります。広島市に本社を置き、スーパーマーケットチェーンを展開する株式会社イズミは、2019年春に入社する新入社員を対象に奨学金返還を支援する制度を導入しました。卒業後の奨学金返還は新入社員にとって負担が大きく、その負担を軽減し、優秀な人材を長期雇用するためだそうです。制度では、勤務3年目、5年目、7年目の計3回、夏の賞与に10万円ずつ加算して支給。5月に同制度の導入を公表して以降、面接時やアンケート実施時に質問をしてくる学生が多く、学生からの評価は高いと反響を実感しているそうです。2019年入社とほぼ年齢が変わらない2017年や2018年に入社した社員からも導入要請があり、今後検討する計画だそうです。
お隣の柏崎市のウェルカム柏崎ライフ応援事業は、Uターンではなくても地元に住民登録があり、住んでいる人を対象にしている奨学金返還制度で、2016年度に9名からスタートして、2019年度は34名がこの制度を利用しているそうです。担当者によれば、本人からの問合せはもちろん、両親からの問合せも多いそうです。
2月20日、アオーレで行われた「やっぱ!長岡業界研究フェア」を視察した際、参加していた40名の学生に「今奨学金を借りている人は」と聞いたところ、7割の学生が手を挙げました。「この中で、自分が卒業してから返済する人は」の問いには、そのほぼ全員が手を挙げて、正直びっくりいたしました。休憩中に新潟経営大学の学生と話す機会があり、奨学金返還支援制度について考えていると伝えると、「ぜひお願いします。本当に僕らにとっては切実な問題なんです」と返事が返ってきました。私自身、高校での成績が規定に足らず、奨学金を借りることができなくて親に大変迷惑をかけました。親に返済してもらうのが多かった私たちの時代、この議場にも奨学金を借りていた方も多いと思いますが、今とは本当に状況が違っているというところです。
この4月からは、住民税非課税世帯の
子どもたちの進学を支援するため、授業料、入学金の免除、減額と返還を要しない給付型奨学金の大幅拡充により、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校を無償化する。しかしながら、無償化の効果は数年先にしか現れず、これまでに奨学金を借りた大多数の若者が自分で奨学金を返還しているという状況が続きます。米百俵のまち長岡らしい、地元企業にも応援してもらえる奨学金返還支援のための制度を創設することは、長岡で働こうとする若者、そして迷っている若者に対しエールを送ることになり、働くモチベーションにもつながると考えますが、本市の考えをお伺いいたします。
長岡市議会議員 池 田 明 弘
長岡市議会議員 荒 木 法 子...