◆池田明弘君 長岡市公明党の池田明弘です。通告に従い、ひきこもり支援の強化について、
外国人労働者についての2項目について、一括にて質問させていただきます。
まず初めに、ひきこもり支援の強化について伺います。ひきこもりの長期化、高年齢化による8050問題が各地で深刻化、顕在化しています。先月28日に、川崎市で児童ら20人が殺傷されるという大変ショッキングな事件が起きました。事件前、親族が訪問看護を受ける際、自宅に引きこもる容疑者がトラブルを起こさないか、14回にわたって市に相談し、助けを求めましたが、適切な支援に結びつかず、事件を防ぐことができませんでした。8050問題の名づけ親で、大阪府豊中市の
社会福祉協議会の勝部麗子さんは、事件について、ひきこもりの長期化で家族関係が膠着した段階では、第三者の
専門スタッフが家庭訪問などをし、ひきこもりの当事者にアプローチする
アウトリーチをしなければ解決できない状態となっていることが多いと指摘しています。川崎市の事件から4日後の今月1日には、練馬区で元
農林水産省事務次官である76歳の父親が44歳の長男を刺した事件が発生。逮捕された父親は、死亡した長男が川崎市の事件のように人に危害を加えるかもしれないとも思った。長男の暴力は中学から始まり、引きこもりがちで身の危険も感じたという趣旨の供述をしています。この事件について、勝部さんは「親が子どものひきこもりや家庭内暴力に悩みながらも親戚や近所に打ち明けられず、自分で何とかしなければいけないと孤立を深めるケースは多い。公的な制度にも明るい方だったはずが、そういった方でさえ相談窓口にたどり着けない社会的孤立の象徴だと思った」と話されています。ここで確認したいことは、事件はひきこもり状態だから起きたのではなく、社会の中で属する場もなく、理解者もなく、追い詰められ、社会から孤立した結果、引き起こされたということです。そして、当事者を抱えた家族も周囲に相談することができずに、同じように孤立し、苦しんでいたということです。
内閣府が本年3月に発表した調査によると、40歳から64歳のひきこもり状態の人は約61万人で、2015年に実施した調査の15歳から39歳の若年層のひきこもり推計者数の54万人を上回りました。ひきこもりになった年齢は40歳以上が57.4%、きっかけは「退職したこと」が最も多く、「人間関係がうまくいかなかったこと」、「病気」などと続いています。また、ひきこもり期間は7年以上が約50%と長期化していることも鮮明になりました。一方、家の生計を立てているのは父母が34.1%に上り、8050問題の深刻さが裏づけられました。そのほか悩み事に関しては、「誰にも相談しない」が4割を超えており、調査でも中高年のひきこもりの人がいる世帯が社会から孤立しやすい傾向にあることがわかります。また、一定の就労期間がある人においてもひきこもりが起こっていることから、いつでも誰にでも起こる可能性があることが示されました。さらに、
就職氷河期世代にひきこもりが多いことから、社会的要因も背景にあることがうかがえます。
そこで、初めに内閣府の全国調査と最近の事件を受けたひきこもり問題に対する市の認識を伺います。
次に、長岡市における実態調査について伺います。内閣府が2015年に実施した若年者を対象にした調査も合わせたひきこもりの総数は、推計115万人となっていますが、専門家は今回の内閣府の調査方法では一番控え目な結果が出るとし、これまでの自治体単位で行われている調査の傾向から、実態は200万人以上いると推測しています。長期間の社会的孤立で声を上げることを諦めている方に手を差し伸べるため、そして今後の施策展開のためにも実態調査を実施すべきと考えますが、市のお考えをお聞かせください。
次に、
専門相談窓口の設置と切れ目のない支援体制の構築について5点伺います。これまでも長岡市の関係各課において、ひきこもりの方への支援を進めていただいていることは十分承知しているところではございますが、内閣府の
調査対象年齢である15歳から64歳での出現率は約1.5%であり、その多くの方が長い間相談できずに行き詰まっています。相談に来られた方には対応するといった待ちの姿勢から、潜在化する社会的孤立から一人でも多くの方を少しでも早く社会につなげるためには、早期発見と切れ目のない支援体制の構築が必要であると考えます。
1つ目の質問は、
専門相談窓口の設置についてです。現在長岡市では、ひきこもりを専門にした窓口はなく、ひきこもり状態にある人を抱えた家族はどこにどういう助けを求めたらいいのか全くわからず、悩みながらも諦めていることが多いのではないでしょうか。専門窓口が設置されることによって、家族や関係者の方の相談先が明確になり、さらに庁内においてもひきこもりに関する相談、対応、実績の情報などが集約、蓄積される体制ができると考えます。市民に一番近い存在である市役所において、ひきこもりの支援拠点となるような専門窓口を設置すべきと考えますが、市の考えをお聞かせください。
2つ目は、訪問支援についてです。川崎市の事件についての勝部さんの指摘にもあるように、家庭に閉じこもっている人へ支援の手を届けるには
精神保健福祉士、臨床心理士など専門家による本人への
アウトリーチ、すなわち訪問支援ができる体制が必要だと考えますが、市の考えをお聞かせください。
3つ目は、
居場所づくりと家族への支援についてです。さまざまな要因で社会活動を回避された方が孤立から一歩踏み出し、社会とつながるためには家を出るための
スモールステップとしての居場所が必要です。また、引きこもっている本人が苦しいのは当然のことですが、親も自分を責め、相談できないまま孤立し、苦しんでいます。筑波大学の斎藤環教授は、「ひきこもり支援の8割は、家族間での対話を成功させることに尽きる。ひきこもり問題がこじれるのは、家族間の対話の欠如にある」と指摘しています。家族への支援として家族会などにつないだり、関係機関の職員などを通じて分断された本人と家族との気持ちのずれを調整することができれば、家族の循環を変え、家族間の対話に結びつけていけるのではないでしょうか。ひきこもりに悩む方が外出をする
きっかけづくりや、同じ悩みを持つ方同士や経験者との交流の場として、居場所の設置や家族への支援体制が必要だと考えますが、市のお考えをお聞かせください。
4つ目は、不登校児童・生徒への対応体制と
義務教育終了後の連携についてです。若者のひきこもりの一番大きな原因として考えられるのが不登校です。不登校については、学校と教育委員会で連携しながら、学校に行けない
子どもたちの
居場所づくりなど、さまざまな対応を進めていただいています。しかしながら、基本的にその対応は担当の先生とその学校の裁量によるところがほとんどではないでしょうか。ひきこもりの初動は、その子や家族の人生において重大な影響を及ぼす可能性があると考えます。
子どもたちを取り巻く環境も多様化、複雑化しており、教育現場の皆さんだけでは対応し切れない状況も多くあると思います。先ほど提案させていただいた支援拠点との連携も含め、教育と福祉の連携をもう少し強化してはいかがでしょうか。また、それにより、ひきこもり状態が続く
子どもたちが
義務教育終了後も切れ目のない支援を継続的に受けられるようになると考えますが、市のお考えをお聞かせください。
5つ目は、検討会の設置についてです。全国に先駆けて、2001年にひきこもりの専門窓口を開設した和歌山県田辺市では、相談窓口に加え、ひきこもり検討委員会を設置し、官民で
支援ネットワークを構築しています。ひきこもりになる要因はさまざまであり、抱える問題が複雑なケースが多いようです。ひきこもり問題に本腰で取り組むためには、既存の支援策では対応し切れないことも考えられます。
庁内関係部署はもちろん、医療、福祉、教育、労働などの官民の関係者が互いに連携しながら、専門知識や経験を深めるための検討会を設置し、縦割りの対応を超えた段階に応じた適切な支援ができる体制を構築すべきだと考えますが、市のお考えをお聞かせください。
次に、専門的なスキルを持った人材の育成について伺います。ひきこもり支援とは、人や社会とのつながりの回復、再生をお手伝いすることだと思います。そのために一番大事なのは、そこにかかわる支援者です。専門の知識はもちろんのこと、引きこもる人の気持ちや特性を理解し、寄り添いながら、相談者のニーズに適切に対応できる人材の育成が重要だと考えますが、市のお考えをお聞かせください。
この項の最後の質問は、市民へのひきこもりについての理解と相談体制の周知についてです。冒頭の痛ましい2つの事件は、社会にひきこもりに対する偏見や差別の動揺を広げ、さらに当事者や家族を追い込み、外へつなげる機会を遠ざけてしまったのではないでしょうか。ひきこもりは誰にでも起こり得ることで、特別なことではありません。不登校や職場になじめなかったこと、人間関係がうまくいかなかったことなどがきっかけになる方もいれば、精神疾患も含めた病気が原因になっている方もいます。一方で、ひきこもりを自己責任とする社会的風潮が当事者と家族の孤立を招き、家族関係を悪化させ、ひきこもりを長期化、複雑化させた一面もあると思います。こうしたひきこもりの背景や状況について、市民に正しく理解を広め、家族の中だけで解決を求めず、第三者の協力を求めることの必要性や市の相談体制を周知することが相談者を増加させ、当事者や家族の孤立を防ぐことに結びついていくのではないかと考えますが、市の考えをお聞かせください。
続いての質問は、
外国人労働者についてです。
初めに、
外国人労働者の
受け入れ方針について伺います。国は、少子高齢化の進展に伴う人手不足の対応策として外国人材の
受け入れ拡大を目的とした入管難民法を改正しました。これについて、私は昨年12月の
産業市民委員会で市の認識を確認したところ、
地方でも優秀な外国人が活躍する環境が整うのであれば産業界の人材確保や多文化共生の面から望ましいとしながらも、長岡市としては国の環境整備の動向と企業や地域の状況など、情報収集をしながら対応したいという趣旨の御答弁がありました。それから6カ月が経過し、1月に市長をはじめ関係者でベトナム・ホーチミン市に視察に行かれ、4月には法律が施行されています。この間、
外国人労働者の受け入れについてどのような情報収集や検討をされ、今後どのような方針で対応をされるのかお聞かせください。
次に、
外国人市民が暮らしやすいまちづくりについて伺います。外国人材の受け入れを進めるのであれば、労働力としてではなく、人として受け入れを行うべきと考えます。すなわち就労の面だけではなく、生活、医療、教育といった人として当然かかわりのある事項について
受け入れ態勢を整備する必要があると考えます。長岡市は、
外国人市民が暮らしやすいまちづくりをどのように考えているのでしょうか。生活面としては、既に市役所窓口に
多言語通訳コールセンターを導入、地球広場における
生活相談環境の整備、翻訳機器の設置などを進めておられることは評価するところでありますが、そのほか医療や教育の面についてはいかがでしょうか。
そこで、1つ目の質問は医療支援についてです。暮らしの安心には適切に医療が受けられる環境整備が欠かせません。外国人患者はなれない土地で不安を抱えながら医療機関を訪ね、どんな症状があるのかを説明し、診療や検査の結果の説明を聞き、どのような治療や服薬をするのかを理解しなければなりません。医療用語が難しいこともあり、母国語で聞いてもわからないこともありますので、単なる通訳ではなく、医療通訳が必要となります。一方、病院側としてはいつ来るかわからない患者のために各国語の医療通訳を雇うのは、単独の医療機関としては難しいと思います。外国人と医師らの意思疎通を仲立ちする医療通訳者の人材確保や費用負担をどうしていくのか、
インバウンド対策も含め、外国人が適切に医療を受けられる環境整備について、現状における市の考えをお聞かせください。
2つ目は、教育現場における対応についてです。早くから
外国人政策を進めてこられた滋賀県湖南市の取り組みについて講演を聞く機会がありました。その中で、日本語教室が充実するのに比例して
外国籍児童・生徒が増加し、指導教員が不足し、日本語指導が不十分で
外国籍児童・生徒のエスケープによる学級崩壊が頻発、学級崩壊に伴う日本人児童・生徒の学習権の保障も課題になったという趣旨のお話があり、長岡市は大丈夫なのだろうかと不安に思いました。現在は、市独自の取り組みとして国際交流課の
外国人児童生徒支援事業によって母語を話せる
有償ボランティアを派遣して支援が行われているようですが、今後
外国籍児童・生徒が増加した場合にはどのような対応をされるのか。日本語指導に当たる教員や支援員等の養成や確保などについて、現状における市の考えをお聞かせください。
○議長(丸山広司君) 磯田市長。
〔
市長磯田達伸君登壇〕
◎市長(磯田達伸君) ただいまの
池田明弘議員の質問にお答えいたします。私からは、ひきこもりに関して
居場所づくりと家族への支援について、そして
外国人労働者の本市の
受け入れ方針についてお答えを申し上げたいというふうに思います。
まず、昨今ひきこもりが非常に注目されているということであります。このひきこもり自体を否定的に捉えて、あるいはそこにレッテルを張って問題視する、非難をしていくということは避けなければならないというふうに感じております。もちろん
池田明弘議員の質問はそういう意味ではございませんが、長岡市としてそのように考えているということでありまして、結果的にそういうことが本人や家族を追い詰める、あるいは孤独を深めていくということにつながりかねないというふうに考えているところであります。そういう中で、事情や程度は個々に異なり、状況に応じた適切で多様な対応が求められているということで、
池田明弘議員からはいろんな御提案をいただいたところであります。まさしくそのとおりであるというふうに感じているところであります。例えば、安心して過ごせる居場所が大切ではないかというふうな御提案もいただきました。現在市内には、NPO法人や医療機関等が運営する
地域活動支援センターやデイケアがありまして、電話相談や家庭訪問に応じるほか、さまざまな障害や悩み、課題を抱えている方々が集まって、軽作業をしながら交流する場を提供し、社会参加の
きっかけづくりを行っております。こうした取り組みを支援したり、情報発信したりしながら、官民協働で対応に努めているところであります。家族支援につきましても、市内には幾つかの家族会やNPO団体がございます。同じ悩みを共有できる存在は大変心強いものでありますので、こうした団体の存在や活動の実態を周知して、市としても連携を図りながら、本人と家族に寄り添った支援にさらに力を入れていきたいと考えているところであります。
次に、
外国人労働者に対する本市の
受け入れ方針についてでございます。最新の市内企業1,000社のアンケート調査では、外国人材に関心のある企業の割合が半数近くを占めております。非常に関心が高くなっているというふうに思っているわけであります。受け入れ企業からは、欠かせない人材であるという高い評価がある一方で、手続の煩雑さ、あるいは
受け入れ態勢への不安からいろんな情報提供などの支援を望む声が強くなっていると感じております。現在市内で働く外国人は合計で大体1,550名おられますが、このうち大学や企業で働く専門性の高い、いわゆる高度外国人材が100名ほどおられます。このほか、留学生も年々増加しておりますので、このような人材が長岡で活躍することは、市内企業の成長はもとより、経済成長が著しい外国でのビジネス展開にも発展いたしますので、地域経済の活性化に大きくつながるものだというふうに考えているところであります。そこで、現在製造業をはじめとして福祉、建設などさまざまな分野の企業と今後の取り組みあるいは課題についての意見交換を実施しております。まずは関係機関と一緒に協議会を立ち上げて、企業向けの外国人材の受け入れセミナー、あるいは留学生の企業見学会などに取り組んでまいります。このほか、外国人が暮らしやすい長岡に向けて、ベトナム語通訳員の配置、あるいは
多言語通訳コールセンターを導入したところであります。今後さらに外国人材とその家族も含めた必要な支援を充実させることによりまして、多文化共生社会をしっかりと長岡に根づかせていきたいと考えているところであります。
残りの御質問につきましては、
福祉保健部長、教育部長、観光・交流部長からお答えを申し上げたいと思います。
○議長(丸山広司君) 近藤
福祉保健部長。
〔
福祉保健部長近藤知彦君登壇〕
◎
福祉保健部長(近藤知彦君) 私からは、ひきこもり支援の強化につきまして、市長が答弁した以外の所管する御質問についてお答えします。
初めに、内閣府の調査と最近の事件を受けた市の認識についてお答えします。内閣府の調査結果につきましては、推計ではありますが、その数もさることながら、長期化や高年齢化など、中高年における状況の深刻さがうかがえるものと認識しております。こうした状況の中、川崎市や東京都練馬区で起きた事件により問題が改めてクローズアップされたところでありますが、事件と直接結びつけるような誤解や偏見が広がることは決してあってはならないことと考えます。ひきこもりは状態をあらわす言葉であり、それ自体を一くくりにして論ずるのではなく、個々の事情に応じたきめ細やかな対策が必要となる課題であるというふうに認識しております。
次に、実態調査の実施についてお答えします。アンケートや聞き取りなどにより、つぶさに実態を把握することは確かに望ましいことではありますが、一方で現状を知られないよう、誰にも言わず抱え込んでしまうということもこの問題の特質であり、調査や実態把握が困難な側面もあります。したがいまして、市としましては保健師や地域包括支援センターなどによる訪問活動の中で支援を求めている人をしっかりと把握し、支援に結びつけてまいりたいと考えております。
次に、
専門相談窓口の設置についてお答えします。現在、アオーレ長岡の福祉相談窓口や支所の福祉窓口、健康課や地域拠点にあるこころの相談窓口、地域包括支援センター、障害者相談支援センター、長岡市パーソナル・サポート・センターなどでさまざまな相談を受け付けており、関係機関の連携、協力のもと支援につなげております。専門窓口を設置し、一本化、明確化していくことも一つの方法ではありますが、市といたしましては現在のきめ細やかな相談支援体制を今後も推進していくとともに、市民に相談窓口を周知し、相談しやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
次に、訪問支援についてお答えします。本市は、これまでも各地区を担当する保健師や地域包括支援センター、障害者相談支援センターなどの
専門スタッフが連携して、多様化する健康・福祉・医療などの課題を抱える人とその家族を包括的に支えていく体制づくりに取り組んでおります。ひきこもりの支援についても、こうした体制の中で相談や訪問支援を行うことで、早期に適切な対応を行い、長期化と当事者や家族の孤立化を防ぐように努めてまいります。
次に、検討会の設置についてお答えします。本市では、ひきこもりに限らず、さまざまな困難ケースについてケース検討を行っており、個々の内容に応じて関係機関につなぐなど、横断的に連携しながら支援を行っているところです。検討会の設置につきましては、今後の相談状況や内容を見ながら、その必要性について検討していきたいと考えております。
次に、専門的なスキルを持った人材の育成についてお答えします。専門スキルは、適切な対策を実施する上で必須と考えますので、各相談機関で相談業務に当たっている職員に対して県が実施しているさまざまな研修の受講を促すとともに、本市の保健師については相談対応業務での事例を積み重ね、臨床心理士等の専門家のアドバイスを受けながら、さらなるスキルアップに努めたいと考えております。
最後に、市民への理解と相談体制の周知についてお答えいたします。本市といたしましても昨今の事件を受け、市民の誤解や偏見が広がらないよう、県や関係機関と連携しながら講演会やセミナーを開催し、正しい理解の促進を図りたいと考えております。また、どこに相談したらよいかわからないといった声も聞かれますので、今あるアオーレの福祉相談窓口や各地域のさまざまな相談機関で相談が受けられ、関係機関につないでいるということが十分に浸透するよう周知を図り、本人や家族が身近なところで気軽に相談できる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
私からは以上です。
○議長(丸山広司君) 小池教育部長。
〔教育部長小池隆宏君登壇〕
◎教育部長(小池隆宏君) 私からは、まず不登校児童・生徒への対応についてお答えいたします。
学校及び教育委員会の不登校児童・生徒への対応は、心の安定を図る教育相談、段階的な学校への復帰を目指した
居場所づくり、学校に通えない間の学習支援等を中心にサポートを行っています。具体的には、学校ではカウンセリング、定期的な家庭訪問、教室以外の
居場所づくり、登校時の学習支援や課題点検などを、教育委員会においては教育センターでの面接や電話相談、適応指導教室での人間関係づくりや学習支援などを行っております。また、関係機関との支援会議においては必要に応じて医療・福祉関係者の参加を要請し、専門的な見地から助言を得ています。今後も専門機関とつながり、本人や家族に寄り添う支援体制を構築してまいります。この春に市内中学校を卒業した不登校の生徒84人のうち79人は高校へ進学し、2人は心のケアの継続が図られる医療機関につながっており、高校や医療機関によるサポートが続くものと考えています。教育委員会としては、小・中学校における不登校がひきこもりに直結するとは考えておりません。ただし、卒業後に進路が決まらず在家となる生徒や高校を中退した生徒への十分なケアやサポートは大変重要であると考えております。したがいまして、卒業後の相談窓口の周知に努め、引き続きサポートを受けるための関係機関との連絡体制を構築し、支援を継続できる体制を整えていきたいと考えております。
次に、
外国人労働者の受け入れに関する御質問のうち、教育現場における対応についてお答えいたします。現在各学校では、日本語指導が必要な児童・生徒に対し必要となる指導について計画書を作成し、その計画に基づき個別指導等を行っております。長岡市独自の取り組みといたしましては、
池田明弘議員からも御紹介がありましたとおり、国際交流課が実施する
外国人児童生徒支援事業により、学校や保護者の要請を受け、母語を話せる
有償ボランティアを就学前に16時間、中学校卒業までに90時間を上限に派遣しております。将来的には外国人材の活用など、さらなる
外国人市民の増加が見込まれますが、5月末現在で長岡市立学校に在籍する日本語指導が必要な児童・生徒は19名であり、昨年度よりやや減少している状況です。今後も推移を注視しながら、当面は各学校への多言語翻訳機の導入を検討し、あわせて先進都市の事例などを研究いたしまして、より多面的な支援について検討してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
○議長(丸山広司君) 伊藤観光・交流部長。
〔観光・交流部長伊藤美彦君登壇〕
◎観光・交流部長(伊藤美彦君) 私からは、
外国人市民の医療支援についてお答えします。
現在本市には2,400人を超える外国人が暮らしており、国際交流センター地球広場において
外国人市民の暮らしをサポートしております。医療機関の受診について相談があった場合は、英語での会話が可能な医療機関の紹介や多言語で表記された問診票をお渡しするなど、
外国人市民がスムーズに受診できるよう支援をしております。医療機関受診時に同行する通訳の派遣については現在実施しておりませんが、病気やけがにより不安を抱えている外国人にとって医療通訳が同行することは大きな安心につながると考えます。また、
外国人市民のみならず海外からの観光客にとっても有用であり、市としましても医療通訳の体制づくりは課題であると認識しておりますが、体制づくりには人材の確保や派遣のルールづくりなど解決すべき問題も多いと考えております。今後当市にとってどのような形態が適しているかも含めまして、関係機関の御意見をお聞きしながら研究し、そして誰もが暮らしやすく活躍できる多文化共生社会を推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(丸山広司君)
池田明弘議員。
〔池田明弘君登壇〕
◆池田明弘君 御答弁ありがとうございました。2点ほど再質問させていただきます。
ひきこもりへの支援拠点の関係につきまして、現状はそれを設置する検討はないという趣旨の御答弁だったと思います。また、身近なところでの相談という角度の御答弁もありましたけれども、ひきこもり状態にある方が今の社会情勢の中で身近な機関に相談できる体制があることももちろん大事なんですが、世間にその状態をみずから明かすことができない心理状態からして、身近なところにあるというよりはちょっと離れたところにあることも必要なのではないかなという視点も必要かと思います。また、支援拠点が必要であるという理由の一つとして、ひきこもりの問題がこれだけ長期化しているということは、課題解決の支援体制が不十分でしっかりできていないということもあると思うんです。さまざまな窓口で対応することは大事なんですが、それらの対応の経験値をきちんと累積して、対応の幅を広げる体制をつくっていくことが大事だと思います。柏崎市では、昨年新たに支援センターができたことによって、新たに40件の相談があったという実績も聞いておるところでございます。これだけ全国で問題になっている中で、新たな体制としての支援拠点の設置は必ず必要だと思っておりますので、その辺についてもう1回御答弁をお願いしたいのが1点。
それから、先ほど教育部長から不登校がひきこもりへの直接の原因になっていないというような言い切った表現で御答弁いただいたわけですけれども、各自治体のひきこもりの関係の相談窓口、もしくはそういったホームページを見ますと、不登校が大きな原因であるということはどこでも掲げているわけでありまして、不登校が直接ではないかもしれないですけれども、かなりのウエートで原因になっていることは確かな事実であると思いますので、改めてその辺の認識について御答弁をお願いいたします。
○議長(丸山広司君) 近藤
福祉保健部長。
〔
福祉保健部長近藤知彦君登壇〕
◎
福祉保健部長(近藤知彦君) ひきこもりの専門窓口をつくるべきではという御質問にお答えします。
議員も御指摘のとおり、ひきこもりの要因ですとか解決手段というのは決して1つではなくて、さまざまな要因が重なっているわけですので、その点現在市の各種相談機関は、例えば心の問題に強い相談機関ですとか、福祉・医療・健康にトータルに対応できる機関ですとか、あるいは就労支援に強い機関、そういった関係する市の支援窓口はそれなりにそろっておりますので、関連機関で情報を共有して、どういうふうにつないでいくかというところがポイントになると思っております。その際に専門窓口があって、一本化してトータルでコーディネートできるということが必要なのか、既存の各機関で連携し、情報共有を進めていくのがいいのかと、その辺は今後の議論のポイントだと思っておりますので、今後ふえてくるであろう相談の状況ですとか、あるいはスタッフのスキルアップの状況などを見ながら、目標としてはお悩みの方がどこで相談ができ、適切な支援を受けられるか、こういう対策あるいはその環境づくりをしっかりとやっていくところだと思っておりますので、そういう観点で今後も検討してまいりたいと思っております。
私からは以上です。
○議長(丸山広司君) 金澤教育長。
〔教育長金澤俊道君登壇〕
◎教育長(金澤俊道君) 先ほど教育部長のほうから答弁がありました、不登校がひきこもりに直結するものではないという部分について少しお話をさせていただきます。
ちょっと誤解の部分もあるかと思いますが、小・中学校で不登校になっている
子どもたちは全て発達段階、成長段階にある
子どもたちであります。私たちの不登校支援というのも学校に来るように支援するのが不登校支援ではなくて、その子が社会で自立する、また人間関係を育むことができる、そういった支援を行いながら、その中で力をつけて結果的に学校に来れるといったことが小・中学校における不登校の
子どもたちへの一番大事な支援だというふうに考えているわけです。その中で成長期において力をつけて、高等学校で元気に通学している子どもはたくさんおりますので、そういう意味で今現在の不登校が直結する問題ではないということでございます。ただ、議員御心配の旨もよく理解できるのは、長い時間人とかかわらないために外へ出にくくなったりとか、もしくはそれが発達の問題であったりして、適切なスキルアップをさせてあげられないということが、ひきこもりの要因につながることは理解をしております。ですが、私どもとしてはそういった目で
子どもたちを見たくない、また親御さんにもそういう意識になっていただきたくないということが先ほどの意図でございますので、適切な支援をしながら自立できる
子どもたちを育てていきたいと考えております。
以上でございます。
────────────────────────
△質問項目
柏崎刈羽原発の再稼働問題について
官製談合問題について
○議長(丸山広司君) 次の質問に移ります。
柏崎刈羽原発の再稼働問題について、官製談合問題について、関貴志議員。
〔関貴志君登壇〕
◆関貴志君 関貴志でございます。
柏崎刈羽原発の再稼働問題について並びに官製談合問題について、2項目にわたって一問一答方式にて一般質問を行います。この2項目については、本年4月に執行された長岡市議会議員選挙において大変多くの市民の方の関心を集めた項目であると肌で感じてまいりました。この市民の皆さんの意向も交えながら、本日は質問を行います。
まず、
柏崎刈羽原発の再稼働問題についてであります。約2年半前になりますけれども、2016年10月に行われました市長選挙において、磯田市長は、原発に関しては市民の不安が解消されない限り原発は再稼働すべきではないと公約を掲げて当選をされました。私は、当選された直後の12月議会において、この公約を文字どおり受け取れば、市民の不安が解消されない場合は長岡市としては
柏崎刈羽原発の再稼働をとめるという内容であると受けとめまして、どのようにしてそのとめる算段を行っていくのかという旨等々の公約に関する質問をしてまいりました。この公約は従前の森市長時代の長岡市の原発政策よりも相当慎重、反対という方向に踏み込んだ公約であると多くの市民の方は理解し、私もそう理解していたわけでありますが、結果として前市政と取り組み内容は何ら変わらないという答弁がされました。1年たった時点で、私は再度この公約についてお伺いをしたわけであります。市長選で掲げられた公約ですから、まさか一般論を述べられたわけではないとは思っていましたけれども、なかなか公約の内容について真意がつかめなかったわけでありますが、この公約の内容をお伺いしたところ、当時の
原子力安全対策室長の答弁ではありますが、この公約というのは多くの市民の不安が解消されない場合は再稼働をとめる思いも公約に含まれているという多少歯切れが悪いような答弁であったかと思います。つまり市民の不安が解消されない場合は再稼働をとめるんだという意思が、1年たった後でありましたが、明らかになったものだと思います。
そういった答弁を踏まえまして、その後この時点においては、現在もそうですけれども、長岡市は
柏崎刈羽原発が仮に再稼働するとなった場合、とめることができない、これは行政側も認めているわけでありますけれども、そういう状態を早く脱するために再稼働をとめる手段を市として早く獲得すべきであると議論を重ねてきたわけであります。再稼働をとめる仕組みづくり、もう少し具体的に言いますと
柏崎刈羽原発が再稼働に向かう場合、再稼働プロセスに長岡市が、主にこれは国・県、事業者が相手になると思いますけれども、これらとどのようにかかわるのかという手続を議論すべきと主張してまいりました。しかしながら、長岡市側の答弁としては、国の審査や県の検証が続いており、原発の安全性や手続を含め、再稼働について議論できる材料がそろっていないという答弁が繰り返されたわけであります。まずは、この再稼働をする場合の手続についてお伺いをいたします。
1つ目は、いわゆる茨城方式についてであります。茨城県にあります東海第二原発では、立地自治体である東海村とその周辺の5市、合わせて6市村が昨年の3月、再稼働する場合には事前にこの6市村の了解をとるといういわゆる事前了解権を含む協定を事業者である日本原電と締結いたしました。非常に画期的な協定だということで、当時は大々的に報道されたわけであります。私は従来からこの茨城方式と同じ仕組みを長岡市も構築をすべきだと、原発から30キロ圏内の市町村が一致してもよろしいでしょうし、長岡市単独でもいいかと思うんですけれども、このような仕組みづくりが必要だということで訴えてきました。実際、茨城県でそのような協定が結ばれたものですから、この茨城方式を当地域でも構築すべきだと訴えてまいりましたが、この茨城方式の運用を注視していきますという答弁が続いております。茨城方式を注視すること自体に私は反対するものではありませんが、東海第二原発の審査状況、それから
柏崎刈羽原発の審査状況を見ますと、ほぼ横並びで進んでいる状況だと思います。事業者は再稼働を目指して適合性審査の申請をするわけですけれども、この審査状況を見ますと東海第二原発、そして
柏崎刈羽原発は、ほぼ横並びで今進んでいるのではなかろうかと思います。そのような状況で注視をしていた、注視自体は悪いわけではないのですが、注視を続けていくとほぼ2つの原発が同時にゴールに迫ってくるということも十分にあり得ます。こういった時間的なことから考えますと、茨城方式の運用を見きわめている時間的余裕はないだろうと私は思うわけであります。長岡市としてこの茨城方式の運用を注視するということについて、再度見解を求めます。
○議長(丸山広司君) 星
原子力安全対策室長。
〔
原子力安全対策室長兼
危機管理防災本部長星雅人君登壇〕
◎
原子力安全対策室長兼
危機管理防災本部長(星雅人君) 安全協定と再稼働の事前同意権に関する御質問と受けとめましたけれども、茨城県の東海第二原発周辺6市村の安全協定の特徴は、これまでも繰り返し述べておりますが、現地確認や追加の安全対策を行い、納得するまで協議を継続することができる、こういったことなどで、原発の徹底した安全対策の確保にあるということを確認しております。長岡市の安全協定につきましても同様に、原発の徹底した安全対策を要求し、事業者に直接物が言える仕組みができているという点では変わらないものというふうに考えております。他地域の状況の注視というところで申し上げますと、今ほど議員がおっしゃいました事前了解のところがどのような形で実際に運用されていくのか、合意形成が図られていくのか、こういったことも含めて注視をしていくというふうに申し上げたところでございます。いずれにしましても、市といたしましてはやはり安全確保が目的だというふうに考えておりますので、国・県、事業者に対しまして主張すべきところはしっかりと伝えるということが市の基本姿勢でございます。今後も茨城県だけではなくて、ほかの地域の状況ももちろん注視してまいりますが、現在の安全協定をしっかりと運用するというふうに考えております。
以上です。
○議長(丸山広司君) 関貴志議員。
〔関貴志君登壇〕
◆関貴志君 事業者に直接物が言える点では同じというのは、私もそれは確かにそう思いますが、これは本年3月議会でも申し上げましたけれども、決定的かつ重大に違うのがこの事前了解権があるかないかという違いであります。物が言えても、それを先方が受け入れてしっかりと対処するのかどうかというのは確証がありません。茨城方式のすばらしいところは、もし6市村の要求が実現しない場合は再稼働できませんというのが協定として成り立ったというところであります。これは長岡市と大きく違うところでありますので、同じ点を強調されて言えば、それは間違いではないんですけれども、違う点のほうがはるかに大きいんだということを私は申し上げておきたいと思います。3月議会でも申し上げましたが、私も直接現地に行って調査をしてきたのでありますが、皆さんも現地に行かれたということはお聞きしていますけれども、しっかりと調査をされたのかというのは少し疑問であります。聞くところによりますと、茨城県に出向かれたというのは別の視察項目でお出かけになるんだけれども、直前にこの協定締結があったので、この協定の件についても、ついでと言っては言葉は悪いですけれども、せっかくなので聞いてきたという調査であったやにお聞きしていますが、茨城方式についてどの程度調査をされたのかお聞かせください。
○議長(丸山広司君) 星
原子力安全対策室長。
〔
原子力安全対策室長兼
危機管理防災本部長星雅人君登壇〕
◎
原子力安全対策室長兼
危機管理防災本部長(星雅人君) 視察については、市町村による原子力安全対策に関する研究会の活動の中でしっかり行ってきました。そして、茨城県の実際に担当されている部署の方に直接お話をお聞きし、質疑、意見交換をしてまいりました。ですので、先ほど申し上げた私どもの見解というのは決して間違っているものではないという認識でございます。そもそも法律上、原子炉などの施設の安全確保というのは国が一元的に管理監督するものでございまして、自治体には事業者に対して安全対策を要求する法的権限はないというふうに理解しています。一方で原子力災害に対しては自治体が対応することになっておりまして、このために原子力発電所が立地する自治体などでこのような事業者と安全確保に関する協定を結んでいるという実態でございます。この安全協定につきましては、市町村による原子力安全対策に関する研究会において、いわゆる紳士協定であるということを確認しておりますが、現協定に基づいて平時の連絡会、非常時の通報連絡、現地確認、事業者に直接物が言えるなど、原発の安全確保のための有効な手段として実績を重ねておりまして、このたびの山形県沖の地震でもこの協定に基づいた情報連絡、通報連絡等がきちんと生かされているというところでございます。
以上です。
○議長(丸山広司君) 関貴志議員。
〔関貴志君登壇〕
◆関貴志君 研究会の皆さんもしっかりと現地で確認してきたという答弁でありましたけれども、皆さんの言っていることは間違いだと私は言っておりませんが、この事前了解権の件について大事なところが欠落していると思います。それを指摘して、次の質問に移りたいと思います。
再稼働に関する手続に関して、長岡市としてはまだ議論ができないという答弁が繰り返されてきている理由の一つとして、県の検証がまだ進んでいる、それから知事の判断もどうなるかわからないということをこれまで繰り返し述べられてきました。直近の3月議会では、国の審査や県の検証のめど、住民の意思を確認するプロセスなど、今後の見通しについては全く見通せないという答弁が繰り返されてきたわけであります。しかしながら、県の3つの検証を取りまとめる総括委員会の委員長は、報道によってちょっと時期は変わりますけれども、3年後の知事選までに検証委員会として結論を出すということは、共通してたびたび明言をされておられます。知事は、検証委員会の結果が出たら自分の考えをまとめまして、県民に民意を問うということを言っているわけなので、今のところ3年後の知事選が大変大きな山場になってくるということが当然想定されるわけであります。これまでは全く見通しが立たないと言ってこられましたけれども、だんだんと見通せる状況になってきた。特に県の動きについてはある程度見通せる状況になったと思いますけれども、長岡市としてある程度見通せる状況になったというふうな判断を今持っておられますでしょうか。
○議長(丸山広司君) 星
原子力安全対策室長。
〔
原子力安全対策室長兼
危機管理防災本部長星雅人君登壇〕
◎
原子力安全対策室長兼
危機管理防災本部長(星雅人君) 今ほど見通しに関する御質問がございました。県のほうでは、知事が検証の結果が示されない限り、手続を含めて再稼働の議論は始められないという姿勢を堅持されております。また、私ども市としても研究会実務担当者会議の場におきまして県に対して検証のめど、それから住民の意思を確認するプロセス、再稼働の手続につきまして説明を求めておりますけれども、やはり現時点では具体的に示すことができない、先行きも見通せないという説明を受けている状況でございます。市といたしましても、柏崎刈羽原子力発電所の国の審査、県の検証が続いている現時点におきましては手続を含めてなかなか議論できるという状況にはないというふうに考えております。今後県からその手続が何らかの形で示されれば、しっかりと議論をしていきたいというふうに考えております。
以上です。
○議長(丸山広司君) 関貴志議員。
〔関貴志君登壇〕
◆関貴志君 今ほど、今までになかった部分に踏み込んだ答弁があったと思います。県から今後の見通しについて話があった場合には長岡市としても手続を始めるといった趣旨の答弁は今までなかったはずであります。確認なんですけれども、もし県からそういった今後の再稼働に向けての手続が示された場合、長岡市として手続の議論を始めるという趣旨の答弁だったと思いますが、その手続ということに関しては、私が従来申し上げてきましたように、長岡市が再稼働にどうかかわっていくのか、そして仮に長岡市が再稼働に反対した場合に再稼働をとめるという仕組みづくりも今の再稼働手続の答弁の中に含まれているかどうか確認させてください。
○議長(丸山広司君) 星
原子力安全対策室長。
〔
原子力安全対策室長兼
危機管理防災本部長星雅人君登壇〕
◎
原子力安全対策室長兼
危機管理防災本部長(星雅人君) 今ほどの御質問ですけれども、何よりも大事なのは今続いている国の審査、県の3つの検証でございます。この審査結果、検証結果が明らかになった上で判断や検討がされていくものと思いますので、その結論次第ではいろんな選択肢や手段が考えられるのではないかというふうに考えております。私どもとしては、その結論を待ってしっかりと検討してまいりたいというふうに思います。
○議長(丸山広司君) 関貴志議員。
〔関貴志君登壇〕
◆関貴志君 今ほど国の審査結果や県の検証結果が出てからという答弁でありましたが、それでは全く遅いです。県の検証は2021年までとか、報道によっては知事選の直前、2022年とかという報道がなされているかと思いますが、その検証結果が出てから長岡市として、じゃあ再稼働にどのように関与していくのかという議論を始めるというのでは、全くもって時間的に間に合わないと私は思います。冒頭申し上げましたように、市長の公約があるわけでありまして、この公約をしっかりと実現するためにはあらゆる事態を想定して、あらかじめ対処しておくということが必要なのではないでしょうか。見通しがつかないから何もしないということでは、公約実現に大変不透明感が漂います。しっかりと対応しなくてはいけないので、少なくとも検証が終わってからなんていうのでは、私は少し話にならないのではないかなというふうに今思いましたが、後段も同じような論点で質問しますので、とりあえずは次の質問に移ります。
○議長(丸山広司君) 安達
農林水産部長。
〔
農林水産部長安達敏幸君登壇〕
◎
農林水産部長(安達敏幸君) 私からは、市長答弁以外の御質問についてお答えいたします。
まず、農地中間管理事業の成果と今後の課題についてお答えいたします。長岡市におきます農地中間管理事業の成果といたしましては、平成30年度の集積率は64.5%となり、国の56.2%、県の62.8%を上回っているところであります。一方で、今後の課題といたしましては、担い手農家の平均耕作面積が約10ヘクタールに達するなど、機械設備や労働力の確保の面から見て受け手である担い手農家への集積・集約に限界が見られ始めたことがあると思います。今後、後継者がいないことによる出し手農家の増加なども予想され、農地利用の最適化を図る上では集落や地域内での話し合いの重要性が指摘されています。国におきましては、地域における農地マスタープランである人・農地プランの実質化を求めており、長岡市におきましても今後農業委員会やJAなどと連携し、集積・集約に関する集落や地域の話し合いの場をつくっていきたいと考えております。その中で集落や地域の将来に向けた設計図を検討していただき、計画的な担い手への集積につなげてまいりたいと考えております。
次に、生産調整転換2年目の見通しについてお答えいたします。長岡市におきましては、国による生産目標数量配分が廃止された平成30年産の目標作付面積につきまして、平成28年産の生産数量目標をもとに約1万1,233ヘクタールとし、農家に協力を求めてまいりました。その結果、実際の作付面積は約1万1,271ヘクタールとなり、目標は上回ったものの、約38ヘクタールの増加にとどまりました。2年目となりました令和元年産につきましては、引き続き平成28年産の目標をベースにしつつ、米の集荷・出荷業者などから現実的な需要量を聴取し、売り切れる量として目標作付面積約1万1,807ヘクタール、生産数量目安は約6万1,739トンといたしました。平成30年産の実績と比較いたしますと、目安数量で約1,443トン、面積で約536ヘクタールのそれぞれ増加となっておりますが、引き続き長岡産米の市場ニーズが高いことなどから売り切れる数量であると考えております。
一方で、主食用米の消費量が毎年約10万トン減少すると見込まれているなど、厳しい環境が続いておることから、長岡市といたしましては長岡産米のさらなるブランド化を図るとともに、各地域の水田農業推進協議会を通じまして経営所得安定対策の活用を図り、米以外の戦略作物、地域振興作物及び非主食用米の生産振興などについても力を入れてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、農業を取り巻く環境は依然厳しいものがあります。長岡市におきます持続的な農業経営や農家所得の向上に向け、引き続き関係機関と連携し、しっかりと取り組んでまいります。
以上であります。
────────────────────────
△質問項目
市政の諸課題について
長岡の教育について
○議長(丸山広司君) 次の質問に移ります。
市政の諸課題について、長岡の教育について、加藤一康議員。
〔加藤一康君登壇〕
◆加藤一康君 民成クラブの加藤一康であります。通告に基づきまして、市政の諸課題についてと長岡の教育についての2項目について、分割方式で質問をいたします。このたびの質問につきましては、私の通常の政治活動、あるいはことしの4月に執行されました長岡市議会議員選挙を通じまして、市民の皆様方から市政執行に対するいろんな御意見や御指摘をいただきました。それは、人口減少と高齢化の進展の中で、効率のよい市政運営を心がけるのは無論のこと、多額な投資を伴う事業については財政不安の見地から時期的な見直しを含め、市政運営を行ってほしいという内容のものでありました。同時にこのことは、執行部に向けた要請だけではなく、二元代表制の一方である我々市議会の役割も重要となる中で、従来にも増して熱心な政策議論を展開する本来の議会の姿に戻さなければ
地方議会の存在価値そのものを問われるという指摘もあり、議員や議会に対する市民からの厳しい視線と取り巻く環境の厳しさを痛感した選挙期間であったと位置づけております。以上の認識に立って、通告したとおり分割方式で一般質問を行い、市当局の見解を賜りたいと存じます。
まず最初の質問は、市政の諸課題についてであります。この項の最初に次期長岡版総合戦略の質問を行うわけですが、その前に現戦略の中間評価についてお伺いをしたいと思います。国と
地方が総力を挙げ、
地方創生の名のもとに策定した長岡リジュベネーションは、平成27年度から31年度の5カ年の期間で7つの戦略から目標や施策の基本的な方向、具体的な施策をまとめたものであります。当初から
地方が成長する力を取り戻し、急速に進む人口減少を克服するための計画でしたから、市民各層の中でもとりわけ若者からの関心や期待が非常に高かったと認識をしております。長岡リジュベネーションは、計画年度からいわゆる長岡市肝いりの政策であったわけでありますし、今年度は計画の最終年度になります。6月3日の議員協議会で示された中間評価の報告資料は、当初の市民の期待とは裏腹の内容であったと言わざるを得ません。さらに、後日の新聞の見出しには「数値目標は大幅下方修正」「とまらぬ人口減」「観光誘客低迷」の活字が躍り、このたびの中間評価についても「未達成相次ぐ」という表現となったことは、期待が高かっただけに厳しいマスコミ報道は当然のことだと受けとめております。
以下、現戦略の中間評価について3点にわたり質問をいたします。1つ目の質問は、
地方創生関連の交付金を活用した事業について、国からの財政支援と市財政の負担割合をお聞かせください。
2つ目に、若者定着の実態について転出超過数のデータはどこのものを引用されたのか。転出も転入もそれぞれ超過数などの数値管理のもととなるデータと若者定着の実態把握、手法も含め、各年度別にお示しいただきたいと思います。
3つ目は、交流人口の目標値が達成できなかったことについて、具体的な取り組み経過と過程、効果が上がらなかった詳細な理由についてお聞かせ願いたいと思います。また、交流人口の戦略の中で誘致活動に取り組んだものの、結果として観光誘客低迷ということは何に原因があったのでしょうか。観光客数、市の認知度の数値も目標未達という結果になったわけですが、基準値が高過ぎたのか、それとも現総合戦略の数値設定に誤りがあったのか、取り組み状況を含め、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
次に、次期長岡版総合戦略の策定、2期方針案への対応についてであります。国の
地方創生に沿って2期方針案の策定に向けたスケジュールが示されました。先ほど来申し上げている中間評価の内容が余りにも期待していたものとかけ離れた結果になった状況下で、国の政策と同一歩調をとることは補助金目当てあるいは計画ありきの感は否めず、単に計画年度が終わったという時期的なものをもって直ちに次期長岡版総合戦略の策定に踏み切るということは、本来の計画の狙いからしても適性を欠くということになりはしないか、市の考えをお聞かせいただきたいと思います。
次に、行財政改革への取り組みについてお尋ねをいたします。この件につきましても6月3日の議員協議会で説明がありました。説明を聞きながら、行財政改革への取り組みが時期的なものを含めなぜ今なのかという素朴な疑問を感じたわけであります。さらに申し上げれば、行財政改革に係る検討体制の説明資料では、目的、視点、柱に分けて記載をされていたわけでありますが、それよりも大事な行財政改革の定義についての記載や説明がないのはなぜでありましょうか。行革の定義は、私が思うには市民から預かった税金を効率よく使うことを基本に、サービスの質を上げながらコストを下げることによって生み出された財源で新たな行政需要や新規事業へ対応を図ることだと思います。これから行う行財政改革に係る検討では、何を、どこまで、いつまでといったような具体的な議論や意見がこれから出るでしょうが、市民には行革の定義づけも含めわかりやすい表現を用い、今後は市政だよりや各種広報媒体を使って問題点や視点をより鮮明かつ具体的に表現されたほうが市民からの理解も得やすく、当然のことながらいつの時代も社会経済情勢の変化と市民ニーズの多様化に伴って新たな課題が発生した際に、時代の要請に的確に対応していく行財政改革の取り組みであるべきと考えます。主要施策の再考や組織機構の改編は必要ないのか、財源が不足するのであれば何で不足するのか、予定されている主要事業の維持管理費まで含めたトータルな建設事業費を開示し、財源不足額も含め市民にわかりやすく説明責任を果たす体制づくりが大切であり、逆に示さなければ市民の理解や協力は得にくいものになると思っております。
そこで、1点目の質問ですが、今回の行財政改革に関して、市民の理解を得るための活動や取り組みについて市の見解を伺うものであります。
次に、行財政改革の目的について、次期長岡版総合戦略の下支えと未来への投資をしっかりと行うとのことでありますが、この記載について少なからず疑問も抱いております。なぜなら行財政改革本来の目的はというと、先ほど来話をしておりますけれども、
地方自治法にも書いてあるとおり、
地方自治体の役割は住民福祉の増進のために存在し、最少の経費で最大の効果を上げることでありますから、総合戦略の下支えと未来への投資のための財政基盤の構築や大型建設事業等の財源捻出という手段に走ってはいけないと考えますが、いかがでしょうか。市当局の御見解をお伺いするものであります。
3つ目は、行財政改革に当たり、市民は大型事業より市民生活に密着した事業を優先してほしいと思っていますが、この点について市の考えを伺うものであります。
この項最後の質問ですが、6月3日の議員協議会で示された行財政改革に係る検討体制の資料には行財政改革本来の目的や定義づけがなされていないところがしっくりこないところだと私は思っています。理事者側は当然のことだと思うことでも、市民の理解を得るというところに軸足を置くのであれば、ここは丁寧な説明があってしかるべきと考えます。そこで、市民理解が得られるような財政基盤の安定を最優先にすべきではないでしょうか。大型開発事業等に係る費用等についても補助金に頼り過ぎたり、財政見通しの延長線上に置いてから議論をするのではなく、これから予定されている行財政改革の中で改めて財政検証をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。市の考えを伺うものであります。
以上で最初の質問を終わります。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(丸山広司君) 磯田市長。
〔
市長磯田達伸君登壇〕
◎市長(磯田達伸君) ただいまの加藤一康議員の御質問にお答えいたします。私からは、市政の諸課題について総括的にまずお答え申し上げたいというふうに思います。
急速に進む人口減少への対応として、国は現総合戦略につきまして2060年に1億人程度の人口を維持するというふうな枠組みを継続するという考え方を示すとともに、
地方においても必要な見直しを検討してほしいと求めてきております。そこで、長岡市としても現戦略を見直しまして、長岡の現状と実態に合った政策展開をしていきたいと考えているところであります。
行財政改革についてでありますが、長岡市の財政状況は実質公債費比率、将来負担比率といった資産状況的な面では県内でも上位の健全性を保っておりますが、近年では市税や
地方交付税などの一般財源が減少する一方で、児童、高齢者、障害者、生活困窮者などに対する支援、いわゆる社会保障関係経費が増加しているため、収支が悪化していくという状況、いわゆる財政の硬直化、自由に使える財源が減少してきているという状況にございます。また、こうした基本的な傾向に加えまして、合併して市域が余りにも広くなったという条件もあります。合併効果として期待されている行政コストの削減が進んでいないという事情もあるということであります。結果的に平成30年度決算においても基金を取り崩す見込みとなっておりまして、今後も同様な傾向が続くと想定されますので、行財政改革は喫緊の課題であると認識しているところであります。
そこで、改革を進めるに当たっての基本的な考え方でありますが、まず市民生活を守る、長岡市の福祉、健康、教育、子育て環境を向上させるための財源をしっかりと確保していく。その上で、これからの長岡の発展、
子どもたちや若者がまちの将来に希望が持てるようなまちづくりをしていくための投資、未来への投資にも着実に取り組んでいける財政基盤をつくることが、このたびの改革を進める基本的な考え方ではないかと捉えております。改革に当たっては、聖域はつくらずに事務事業あるいは政策の徹底的な検証と見直しを行ってまいりますが、当然ながら未来への投資についても既存施設の廃止、統合、縮小、あるいは民間事業者や新しい事業手法の導入、規模の適正化や財源の確保、管理コストの削減など、あらゆる面から徹底的に検証して進めていきたいと考えているところであります。
残りの御質問につきましては、
地方創生推進部長、総務部長からお答えを申し上げます。
以上であります。
○議長(丸山広司君) 渡邉
地方創生推進部長。
〔
地方創生推進部長渡邉則道君登壇〕
◎
地方創生推進部長(渡邉則道君) 私からは、総合戦略について市長答弁以外の御質問についてお答えいたします。
初めに、
地方創生推進交付金等を活用した事業についてお答えいたします。長岡版総合戦略は、人口減少に対し市民と目標を共有し、全市一丸となって取り組む指針として策定しております。あわせて、具体的なメリットとして幾つかの事業が
地方創生推進交付金等の対象事業に認められ、国から財政支援を受けております。平成27年度から平成30年度までの4カ年度で総事業費で6億9,000万円、財源内訳として国からの交付金が5億1,000万円、市単独事業費1億8,000万円となりまして、市の財政負担割合は約26%となっております。
次に、転入・転出の状況についてお答えいたします。この数値は、市の住民基本台帳の人口移動をもとにしておりまして、総合戦略を策定した平成27年度は転出超過が807人、平成28年度は66人、平成29年度は251人、平成30年度は443人という推移になっております。増減を繰り返しておりますが、基準年と比較すると若干改善しているという状況でございます。
次に、戦略の柱の一つである、交流における目標値である観光入り込み客数についてでございます。これは、県が調査対象に指定した観光施設及び行事、祭り、イベントについて集計した数値を成果目標としております。県が公表した最新の入り込み客数は、平成29年度の715万人でありまして、目標を下回る状況にあります。この理由としましては、市全体の約3分の1を占める寺泊地域への入り込み客数が大きく落ち込んでいること、あわせて県立近代美術館や県立歴史博物館、国営越後丘陵公園といった集客力の高い施設における入り込み客数の落ち込みが挙げられます。また、新たな観光拠点として期待される道の駅ながおか花火館(仮称)、また摂田屋地区の機那サフラン酒本舗については現戦略に基づく取り組みでございますが、現在整備中であるため、まだ効果が発揮されていないといったことも理由の一つであると考えております。
次に、次期総合戦略への対応についてお答えをいたします。まち・ひと・しごと
創生法においては、
地方公共団体は国の総合戦略を勘案し、
地方版総合戦略を策定することが求められております。国の次期総合戦略の策定方針案においては、国は2060年に1億人程度の人口を維持するなど、現在の総合戦略の枠組みを次期においても継続する考えを示しております。市としては、国の示す総合戦略に即し、現戦略の見直しを進めていく一方、
地方創生を効果的に進めるためには長岡市の独自色も出していく必要があると考えております。また、総合戦略は市にとって大きなメリットである国の交付金を最大限活用するため、切れ目なく取り組んでいく必要があり、今年度中に次期戦略を策定するためには現戦略の効果検証を進めながら、次期戦略の策定を並行して進めていきたいと考えております。実際の策定作業では、現戦略の評価、検証の状況によりまして次期戦略の施策等を随時修正していくこととしております。議会に対しても議員協議会など、さまざまな機会を捉え御協議いただき、まずは現戦略の評価をしっかり行い、これを踏まえ次期戦略の策定に取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
○議長(丸山広司君) 近藤総務部長。
〔総務部長近藤信行君登壇〕
◎総務部長(近藤信行君) 続きまして、私からは行財政改革に関する質問についてお答えいたします。
まず、市民の理解を得るための取り組みについてですが、今回の行財政改革についても実施に向けては市民の理解と協力が不可欠であると認識をしております。今後検討状況に応じ、市政だよりやホームページなどを通じて行財政改革本来の目的や定義づけも含めて適宜情報を提供するとともに、御意見もお伺いし、議会の協力が得られるよう最大限努めてまいりたいと考えております。また、議員各位からの理解と協力も非常に重要なことであると認識をしております。6月3日の議員協議会では、これから始まる行財政改革の考え方を説明させていただきましたが、今後はその検討状況等も随時お示しし、御意見も伺ってまいりたいと考えております。
次に、このたびの行財政改革の基本的な姿勢についてですが、位置づけとしましては次期長岡版総合戦略を実効性あるものとし、かつ持続可能な安定した行財政基盤を構築するためのものになります。人口減少を抑制し、
地方創生を実現するためには未来への投資をしっかり行っていく必要はありますが、一方で市民生活の維持、安全・安心の確保は最優先で行うべき課題であると考えております。このため、今後とも市民生活に密着し、安全・安心を守るために必要な事業は引き続きしっかりと取り組んでまいります。いずれにしましても、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を上げるという使命を念頭に置き、建設経費の財源を捻出するのか、あるいは市民生活の維持を優先するのかという二者択一の議論から行う改革ではなく、限られた財源を効果的に活用するため、全体のバランスに考慮しながら検討を進めることが最も重要であると考えております。そのため、検討期間も二、三年を要するものと考えているところです。
最後に、大型建設事業についてお答えします。今回の行財政改革については、聖域を設けることなく、あらゆる分野を対象とする予定です。検討の柱立てとしましては、行政運営の効率化、施設管理の最適化、財務体質の強化の3つに加えて、新しい米百俵として戦略的な未来への投資や市民生活に身近な建設事業のあり方についても検討していきたいと考えております。その中で現在計画されている大型建設事業についても進捗状況を踏まえながら、財政面はもとより、建設後の管理運営のあり方や費用対効果を高める方策など、幅広い視点から検証していきたいと考えております。
以上です。
○議長(丸山広司君) 加藤一康議員。
〔加藤一康君登壇〕
◆加藤一康君 二、三点にわたり再質問をしたいと思います。
1つは、国からの財政支援のお話がありました。これは6月3日の議員協議会で説明を受けたわけでありますけれども、総事業費6.9億円の中で市が26%の1億8,000万円という負担割合だということです。こういった割合を含めても中間評価そのものが、国の補助金が多いから言うわけではありませんけれども、これが全て市の単費で行ったときの評価がああいう評価だったときにはもう少し、渡邉
地方創生推進部長もこれからしっかりとした評価をしていかなくてはならないということですが、もう1年を切っているわけですから、これは5年間の計画の中で計画の当初段階、あるいは中間の折り返し地点でどういった姿になっていくかということについてももう少し早目の段階で準備していく必要があったのではないかなというふうに思います。具体的には、寺泊地域あるいは県立近代美術館を含めた入り込み客数の話がありましたけれども、
地方創生の長岡リジュベネーションをつくった具体的な戦略の中で入り込み客数がふえた部分をやっぱりもう少し主張していただきたいんです。これだけのお金をかけて、観光入り込み客数の増だけではございませんけれども、インバウンドとかということも含めて、当初はいかがでしょうかということに対し、そういったことにも成果を上げたいんだという具体的な取り組みの意思表示もあったわけですから、私も今回お聞きしました。それに対して施設の入り込み客数は、これから花火館、摂田屋云々の施設を整備すれば少しは右肩上がりになるんだということでは、私は最初の総合戦略策定の成果としては非常に不満を感じているところでございます。例えば観光入り込み客数の部分についてこの5年間で特にこれに取り組んだけれども、うまくいかなかった、あるいは成果として1つ、2つ挙げていただければなというふうに思っています。
行財政改革につきましては、近藤総務部長のほうからもいろいろ話がありました。要は市政だより、あるいはいろんなことから、4月の選挙期間中を通じましてどうしても大型事業などが目立つわけです。そうなりますと、市民の皆さん方は、例えばひとり暮らしの高齢者の皆さんは冬期間の除雪を含めた過ごし方に非常に不安を持っている。あるいは、若い世代の子育て中の保護者につきましても室内施設はあるけれども、例えば今雪のない時期、降雪前までの期間中に、公園で遊んでいる子どもの姿というのはあまり多く見かけられない。となると、長岡市の公園というものはどういう位置づけになっているのだろうかとか、細かな話ですけれども、遊んでもトイレがない公園がふえてきたとか、そういう市民ニーズの把握ということについてもしっかりと市民のところに軸足を置いたものがなければ、どうしても派手な、あるいは巨額の投資をするというような事業だけが目立ってしまうと。そうすると、子育て世代あるいは高齢者世代の皆さん方は自分たちが少し横に置かれていってしまうのではないかという不安にさいなまれるわけでございます。そういったところに関する、一言で言えば市民ニーズの把握につきましても、今後さらに意を用いていただきたいなというふうに思っておりますので、お考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○議長(丸山広司君) 伊藤観光・交流部長。
〔観光・交流部長伊藤美彦君登壇〕
◎観光・交流部長(伊藤美彦君) 今ほどの観光入り込み客数の部分について、交流人口の成果指標にしているところでございますけれども、その中で今議員からうまくいかなかった点、また成果があった点というものを示すべきではないかという御質問でございます。うまくいかなかった点でございますけれども、実際このたびの入り込み客数というのは県の統計に基づいて指標にしているところでございます。県の統計という中で、それがうまく反映できたかどうかという部分では、例えば観光誘客、観光PR活動におきましては東京、上野等で広域観光フェア、それから大阪等でも食博覧会に出展しております。こういったものがうまいこと即効性のある数字にあらわれたかどうかというところは、私どもとしてもよく検証しなければならない部分があるのかなと考えております。また、成果という部分では実際にこのリジュベネーション、それから長岡市観光戦略プランというものを表でやっているところでございますけれども、その中でやはり広域連携が必要という部分の中で、例えば与板ビール園を開設して、これは今現在入り込み数もふえておるところでございます。それから、昨年度新たに米百俵フェスを行い花火、食、音楽といったことで大勢の方から来ていただくことができました。また、ことしも継続的に実施するということでございますので、今後こういったものの成果もあらわれるのではないかなと考えているところでございます。
以上です。
○議長(丸山広司君) 近藤総務部長。
〔総務部長近藤信行君登壇〕
◎総務部長(近藤信行君) 今ほど議員のほうから高齢者あるいは公園の現状ということを例に触れられて、御意見をいただきましたけれども、私たちのほうもそう考えておりまして、こういったもっと身近な各地域で暮らしている皆さんの声を、市民ニーズの把握としてしっかり聞かなくちゃいけない。その一方で、市政だよりとか、そういった広報のほうでも説明をしっかりさせていただくと。これからこの行財政改革も具体的に進めていくわけですけれども、その両方については必ずやらせていただきたいと思っております。
以上です。
○議長(丸山広司君) 加藤一康議員。
〔加藤一康君登壇〕
◆加藤一康君 御答弁いただきまして、近藤総務部長のほうからはしっかりと受けとめてやっていくというお言葉ですので、くどいようですけれども、ぜひそこはお願いしたいなと。まだまだ申し上げればいっぱいあるんですけど、きょうは時間の関係もありますから、例を一、二挙げたわけでございます。
先ほど伊藤観光・交流部長のほうから話がありました。最初の総合戦略の中間評価のときに与板ビール園の客数のトレンドといいましょうか、そういったことはどのような経過をたどっているかとか、そういったものが出てきて最初の総合戦略の中間なり最終的な検証になるのではないでしょうか。そこが抜けているので、何をやったか、どのくらいの入り込み客数があったかということの把握がなぜ今回の中間評価で出てこなかったのかということが私がお聞きしたいことなのです。県の統計ということを再三おっしゃっているみたいですけれども、別に私は県の計画と県の統計からの入り込み客数を聞いているわけではないんです。長岡市がつくった計画に対する観光入り込み客数はどうであったのかということはしっかりと把握すべきでしょうと。それがなくて、次期の総合戦略策定に進むのであれば、それはスケジュールに従ってという言葉はそのとおりになりますけれども、私が申し上げているとおり、本来の目的を見失うのではないかということを心配しているんです。スケジュールでは5年たったから次といったときに一回足をとめて、こういう成果があった、こういう反省点があったということで、そこから次期総合戦略を立てるのであればいいんですけれども、私はそこをあまり境界といいましょうか、1期から2期に進むそのところをささっとやってしまいますと総合戦略を計画した本来の狙いから適性を欠いていくのではないかということを心配しているんです。答弁は要りませんけれども、私の心配しているところですので、次期総合戦略を計画されるときにはぜひその辺についても意を用いていただきたいなというふうに思っております。
次に、2点目の長岡の教育についての質問に入りたいと思います。教育を取り巻く社会情勢は大きく変化をしております。学力、学習意欲、規範意識、体力、運動能力などに関するさまざまな課題も指摘されております。こうした中で、これからの教育に当たっては個々の課題について適切に対応するとともに、学校、家庭、地域など社会を挙げて教育に取り組むことがこれまで以上に必要とされており、教育全般にわたる総合的な取り組みが求められていると思っております。このような中、長岡市の教育施策である「熱中!感動!夢づくり教育」に取り組んで15年目の節目を迎えようとしております。「熱中!感動!夢づくり教育」は、長岡の学校教育において大きな方向性を示していると思いますが、10年以上が経過した中でこれまでの事業の検証は行われてきたのか、またその全体的な評価について御所見を賜りたいと思います。教育現場が多忙感をきわめている中において、市教委が示す方向性や共通実践事項等を受けて各学校でカリキュラムに取り組んでおりますが、教育現場は日々の授業や行事等を消化することに追われ、土台、心棒が明確になっておらず、教育活動が淡々と行われてはいないかということについて市教育委員会の評価をお聞きしたいと思っております。
この項の最後の質問になりますが、長岡の教育の目指すべき方向についてお尋ねをいたします。これまで長岡の教育というと「熱中!感動!夢づくり教育」を主体とした内容でありますが、市教育委員会としては教育施策の現場での実践性を重視しているというふうに感じております。昨今の教育現場は多忙をきわめておりますから、次から次へとさまざまな問題の対応に追われ、教員の物の見方や考え方が強力に狭められ、日々の課題や現象に振り回されているという指摘もあります。教育現場にとって大切なことは、教育の本質をしっかり踏まえることは申すまでもなく、逆に本末軽重をはっきり見分ける哲学的な考え方を身につけていかなければならないと思っております。一般論で申し上げますが、近年教育活動の現場等で理念や教育哲学的なことに対する存在意義が相対的に低くなってきていると指摘をする関係者もいらっしゃいます。教育哲学そのものは、教員の日々の教育活動、教育的行為の根底に存在し、その知見を日々の教育活動に生かしていくことが深い教育の実践にもつながると思います。
そこで、教育長にお尋ねをいたします。以上の状況から教育現場における課題と、授業を含めた教育実践の現場における教員の教育哲学や理念的なものの必要性についてはどのようにお考えでしょうか。お考えをお聞かせいただきたいと思います。
最後に、金澤教育長に質問いたします。私は、これまで教育長交代の都度、新任の教育長から長岡市民あるいは教育関係者に対してみずからの教育方針を市議会本会議場から発信してほしいと願ってきました。できれば3月の定例会では恒例化してもらいたいくらいの気持ちで申し上げてきましたが、諸般の事情からそれはきょうまで実現はいたしませんでした。長岡の教育のあり方について、市の教育委員会のトップは何を考え、どのような教育を進めていこうとしているのか、多くの市民や関係者の関心の高いことだと私は思っております。このようなことから、今後の長岡の教育のあり方や指針、方針、教育にかける教育長御自身の思いと所信の一端を述べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。ぜひ御理解いただき、所信を述べていただきたいことを強く要望いたしまして、私の一般質問を終わりたいと思います。
以上であります。
○議長(丸山広司君) 小池教育部長。
〔教育部長小池隆宏君登壇〕
◎教育部長(小池隆宏君) 私からは、長岡市の教育施策の評価についてお答えいたします。
「熱中!感動!夢づくり教育」は開始から15年目を迎えましたが、毎年時代の変化や学校教育現場の声を反映しながら工夫、改善を図ってまいりました。10年の節目を迎えるに当たっては、児童・生徒、保護者、教員への意識調査やヒアリング等を通じて事業評価を行いました。その際の児童・生徒に対する意識調査では、学校に行くのが楽しい、授業で「わかる」、「できる」と感じる、住んでいる地域が好き、長岡が好きなどの項目で開始当初の数値を上回りました。また、学校の特色ある教育活動を支援する学校・子どもかがやき塾事業により平和学習の成果としての平和劇の発表、地域の特産品の栽培とPR活動など、すぐれた教育実践が行われ、この中には全国規模の表彰を受賞した活動も多数あります。このような点から、「熱中!感動!夢づくり教育」は大きな成果があったと考えています。また、長岡の
子どもたちを育んでいる全市立学校において、全教職員の共通理解のもと、しっかりと実践してほしい内容について学校教育の共通実践事項として示しています。各学校では、共通実践事項や子ども、保護者等の願いなどを踏まえ、校長の学校運営の方針や教育目標の実現を図る詳細な教育計画を立案し、日々の教育活動を行っています。そして、直接教育活動に携わる学校現場の教職員の思いも込められ、児童・生徒の成長につながる有益な教育活動が着実に行われているものと考えております。
私からは以上でございます。
○議長(丸山広司君) 金澤教育長。
〔教育長金澤俊道君登壇〕
◎教育長(金澤俊道君) 長岡の教育のあり方や指針、教育にかける私自身の思いについて述べさせていただきたいと思います。
教育の目的は、
子どもたちが将来社会で生きていくために必要な力を育むことにほかなりません。その力は、単に知識や技能にとどまらず、判断力、発表力、創造力、忍耐力、思いやりの心など、いわゆる数値であらわせない非認知能力を含め、全人的なものであり、これは教師と子ども、人と人とでしかできない尊い営みであるというふうに考えています。子どもは学校のみならず、家庭、地域で育つものです。しかし、学校教育とそこで出会う教師の影響は大きなものがあります。教育は人なりと言われます。よい教育のためには、よい教師が不可欠であるということです。そのために、教師には教育に対する情熱と子どもに対する深い愛情が不可欠であると考えています。そして、自分なりに教育にかける信念を持つことも大切であると考えています。自分の教育の理念や信念を一言で言うことは大変難しいところですけれども、私が大事にしてきたことの一つとして子どもの心に火をつけるというものがあります。これは、アメリカの教育者であり、牧師であるウィリアム・アーサー・ウォードという人が言った言葉で、「平凡な教師は言って聞かせる。よい教師は説明する。優秀な教師はやって見せる。しかし、最高の教師は子どもの心に火をつける」につながるものであります。どんなに上手に教え込んでも、反復練習をさせても、本当に子どもの力となって自信となるのはみずから進んで物事に取り組み、失敗しながら成果を得たときだからであります。これは、私の教職経験の中で数多くの先輩、同僚、
子どもたちとかかわりながら、
子どもたちの姿から学び、確信となったものであります。
現場の教師は学者や研究者ではなく、教育の実践者ですので、哲学といった学問的なところまでは高められないかもしれませんけれども、私が現場でかかわっていた教師はそれぞれ教育に対する思いや考えを持っておりました。これは、経験を通してさらに深まっていき、信念や信条となっていくものだと信じております。多忙と言われる中で、教師同士の刺激し合う関係や先輩、同僚に学ぶ機会は減ってきています。その中で若い教師は自分の教育に対する思いや信念を振り返ったり、同僚との関係で深めていったりすることができにくくなっているかもしれません。「熱中!感動!夢づくり教育」事業の一つである教員サポート錬成塾というのは、若手教員を退職校長が1年間マンツーマンで指導するものです。ここで指導に当たっている退職校長は、いずれも豊富な教職経験と教育にかける強い信念を持っています。錬成塾の本当の狙いは、単に授業力を向上させるというものではなく、若手の教師がそういった指導者とかかわることでまさに自分なりの教育にかける信念を形成し、人間力を向上させるところにあります。私の子どもの心に火をつける教師になってほしいという話は、若手教師に講話をする際に自分の信念として語っているところであります。教育に対する熱い情熱と信念、そして子どもに対する愛情を持った教師を育てていきたいと思っています。
最後に、これからの長岡の教育の方針でありますが、みずからの信念どおり、
子どもたちの心に火をつける教育を進めていきたいと考えています。そして、心に火をともした中で基礎的、基本的な知識、技能の習得はもちろん、一人一人の個性や可能性を最大限に伸ばす教育を学校教育のみならず、社会教育、家庭教育、そして幼児教育との連携を大切にしながら、オール長岡で進めていきたいと考えています。これからは教育現場で培った経験を最大限に発揮して、米百俵のまち長岡の教育を進めるという誇りを持って、未来ある
子どもたち一人一人が健やかに輝きながら成長でき、幸せをつくり出していけるよう教育行政を進めてまいります。
以上でございます。
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○議長(丸山広司君) 以上をもって、市政に対する一般質問を終結いたします。
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△日程第3
議案第66号 令和元年度長岡市
一般会計補正予算
議案第67号 令和元年度長岡市
介護保険事業特別会計補正予算
○議長(丸山広司君) 日程第3、議案第66号及び第67号の補正予算2件を一括議題といたします。
これより質疑に入ります。質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(丸山広司君) 質疑なしと認めます。
本案は、関係常任委員会に付託いたします。
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△日程第4
議案第68号 長岡市
もみじ園条例の制定について
議案第69号 長岡市職員の
特殊勤務手当に関する条例の一部改正について
議案第70号 長岡市手数料条例の一部改正について
議案第71号 長岡市
家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について