次に、第4条に係る市長の発議権についてです。
常設型の
住民投票制度を導入する際の課題として、住民、市長、議会の十分な話合いが行われず、制度が乱用される可能性があるといったことが指摘されております。また、議会は議決等により、市長は議決、予算の執行等により、それぞれ権限を行使することができることから、
間接民主制を補完する
住民投票制度である場合、議会や市長は一定の
意思決定権を有しており、権力の乱用を防止する観点から、住民からの請求に限定することが望ましいという考え方もあります。とは言え、将来に大きな影響を与える市政の重要な課題について議会と市長との意見の調整が図れない場合や、住民の総意を明確に把握する必要がある場合に、議会や市長からの提案によって
住民投票を行うことが必要であることも
一定理解をいたします。ただし、
地方自治法では、議会、市長に対して
個別事案に対する
住民投票条例を議案として提出することを認めており、議会、市長からの発議に関しては、本条例によらず、
地方自治法に委ねてもよいと考えます。あえて本条例に規定する場合においても、今回、提案されている制度において、議会の発議に関しては
地方自治法の個別の
住民投票条例の
議案提出に関して、
議員定数の12分の1以上の賛成をもって提案でき、過半数の賛成による議決をもって実施することができるという規定に準じたものとなっていますが、市長の発議に関しては、
地方自治法の「議会に
住民投票条例を議案として提出し、
出席議員の過半数の賛成による議決で議案を可決し、
住民投票を実施することができる」という規定を緩和する形で、議会の議決なく発議できることとなっています。
住民投票制度の整備に対して、市長が議会の審議を迂回して、直接、住民に自らの案、立場の正当化を求める危険があるという
問題指摘もあることから、市長が
住民投票を発議する場合、
地方自治法が規定する「議会の議決を要する」という要件を緩和する必要性はないと考えます。
山下市長は、このような
制度利用を行うことはないと答弁されておりましたけれども、この制度は、
山下市長だけを対象としてつくられるものではありませんので、どのような方が市長になっても問題のない制度としておくことが必要と考えます。
以上の2点について問題があると考えることから、本議案に反対をいたします。
24
◯中谷尚敬議長 17番
吉波伸治議員。
25 ◯17番
吉波伸治議員 それでは、議案第46号、生駒市
市民投票条例の制定についての
賛成討論をいたします。
市民投票とは、
投票資格を有する市民が市政の重要な事項についての賛否を投票し、その結果が示した市民の意思を市長、議会、市民、3者が尊重することで、より民意が反映された市政を推進していこうという制度です。かかる
市民投票を定める
市民投票条例の制定について、残念ながら、反対する市民もおられます。しかし、誤解の上に立って反対されている場合が少なくありません。そこで、
市民投票についての誤解を解きながら、
市民投票条例制定の意義を述べていきたいと考えます。
誤解の1つ目は、この条例は
外国人に
選挙権を付与するものだというものです。その誤解の原因は2つあります。1つは、
市民投票権と
選挙権を混同していることです。この条例は、
外国人にも市政の重要な
事項1つについての賛否を投票するという
市民投票権を付与するものであり、市長や議員を選ぶ選挙での
投票権を付与するものではありません。言うまでもなく、選挙での
投票権、つまり
選挙権について定めているのは
公職選挙法という国会が制定・改定する法律であり、
地方自治体が制定・改定する条例では
選挙権について定めることはできません。誤解の原因のもう1つは、参政権イコール
選挙権としていることです。確かにこの条例は
外国人にも参政権の一部を付与するものですが、参政権とは、
選挙権と被
選挙権の他に直接請求権、
市民投票権なども含まれ、この条例は参政権のうち
市民投票権のみを
外国人にも付与するもので、
選挙権と被
選挙権を始め、直接請求権などは付与しません。
誤解の2つ目は、
外国人に
市民投票権を付与することが
外国人選挙権付与に道を開くことになるというものです。この誤解については、先に述べたように、
選挙権について定めている
公職選挙法を制定・改定するのは国会であり、生駒市だけでどうこうすることはできないことを考慮していただければ解けるものと思います。
誤解の3つ目は、悪意を持った団体、勢力、国家等が生駒市を混乱させるのにこの条例を悪用できるというものです。その誤解の原因は、この条例に基づく
市民投票は拘束力を持つ、つまりその
市民投票の結果に基づいた市政を必ず実行しなければならないと考えることによります。しかし、この条例に基づく
市民投票は、本条例の逐条解説に記載のとおり、拘束型ではなく、諮問型です。諮問というのは良好な市政を進めるための意見を求めるということであり、
市民投票の結果、示された意見が生駒市を混乱させようという悪意を持つものであれば、何ら受け入れる義務はありません。本条例の第26条は、「議会及び市長は
市民投票の結果を尊重しなければならない。」となっており、議会及び市長は
市民投票の結果に拘束される旨の条文とはなっていません。万が一、悪意を持った勢力等が
市民投票を悪用しようとすれば、市長や議会が、悪意ある
市民投票の結果には拘束されませんと宣言すれば済むことです。
なお、念のために述べておきますと、悪意を持った勢力等が
市民投票を悪用しようとしても、
投票資格者数(今年5月15日現在で9万7,951人)の6分の1(5月15日現在で1万6,326人)の厳格な法定署名を集めなければ
市民投票は実施できません。
誤解の4つ目は、国防、外交など国政に関わる事項についても
市民投票できるというものです。しかし、本条例第2条に記載されているとおり、国政に関わる事項は
市民投票の対象とはならず、たとえ実施要件の
投票資格者総数の6分の1以上の連署をもって国政に関わる事項の
市民投票の実施が市長に請求されても、実施されることはありません。
市民投票の対象となるのは、あくまで市政の重要な事項です。分かりやすく言い替えると、
市民投票は市が実施する重要な住民サービスの是非を問うものであって、国が実施する施策の是非を問うものではありません。
ただし、本条例第2条は、国が実施する施策であっても、例外的に、本市に重大な影響を与えるもの、つまり過去の他自治体で実施された
住民投票の例に準じて言えば、生駒市での原発や軍事基地の設置などについては、それの是非を問う
市民投票を実施して本市の意思を表示して、国政に反映させることができるとしています。
しかし、万一、悪意を持った勢力等が国政を動かすために
市民投票を利用しようとしても、先に述べたように、その結果には拘束力がないので、その悪意ある目的の達成は不可能です。また、本条例第2条2項は、悪意を持って取り上げられた事項など、
市民投票を行うことが適当でないという合理的理由がある事項については
市民投票を行わなくてもよいとしています。そのため、悪意ある
市民投票は実施されません。
誤解の5つ目は、乱用されて市民混乱、市政混乱という弊害をもたらす欠陥を持つ制度であるというものです。これも、その心配は全くありません。市が議会に提出した資料によれば、現在、
投票資格者に
外国人を含んでいる常設型
住民投票条例を制定している市町村は33、
投票資格者に
外国人を含まない常設型
住民投票条例を制定している市町村は25ありますが、実際に常設型
住民投票が実施されたのはごくわずかであり、乱用どころか実施されずに宝の持ち腐れになっていることの方が問題であって、乱用される心配のないことは事実が証明しています。
誤解の6つ目は、
市民投票は間接民主主義、別名、議会制民主主義を軽視、否定するものだというものです。
民主主義という政治形態は、元々、直接民主主義でした。民主主義が誕生した古代ギリシャのアテネでは、特別な役職を除く大多数の役員は抽選で市民から選ばれ、議決機関には全市民が参加していました。それが直接民主主義です。しかし、人口が多い国や地域では、直接民主主義は物理的・時間的に行うのは不可能です。そこで、今日では間接民主主義が一般的となっています。しかし、それは民意を吸い上げられないこともあることから、それを補完するためにリコール、条例制定請求等の直接請求、住民監査請求、請願、そして、
市民投票などの直接民主主義も行われているのです。
市民投票は間接民主主義の不十分さを補うために実施されるものであって、議会制民主主義を軽視、否定するものではありません。
以上、
市民投票についての主な誤解を解いてまいりました。古代ギリシャという世界の一角で誕生した民主主義という政治の思想形態をグローバルスタンダードに成長させることに貢献したジャン・ジャック・ルソーは次のように言っています。「理性、判断力はゆっくりと歩いてくるが、偏見は群れをなして走ってくる」。私たちがついつい偏見にとらわれてしまうのは、洋の東西を問わず、今も昔も変わらないようです。
市民投票についての誤解も
市民投票に対する偏見から生じていると思われます。
市民投票に反対されている方々も、今一度ゆっくりと、偏見なく、
市民投票条例案をお読みいただけないでしょうか。さすれば、
市民投票条例制定の意義がお分かりいただけるものと思います。
国政、市政を問わず、どんな施策が行えるかはもちろん大切ですが、それがどのように決められるかはもっと大切です。日頃は市民から信託を受けた市長と議会が市政を推進しますが、決定的に重要な施策についての是非は、市民が自ら、直接、全員で決めなければなりません。そのために実施されるのが
市民投票です。
今から約10年前の2003年秋、学研高山第2工区開発の是非を問う
住民投票条例の制定を求める直接請求が有権者の約6分の1もの署名を添えて行われましたが、当時の市長、議会の反対で却下されてしまいました。それ以来、生駒市に民主的な市政を確立するために不可欠な常設型
市民投票条例の制定は生駒市民の悲願でした。それが今、実現しようとしています。
本条例は、18歳以上の若者、また、
外国人にも
投票権を付与するものです。言い替えると、生駒市の良好なまちづくりに若者の力を一層結集させるとともに、
外国人に協力を求めるものです。それは、更に言い替えると、若者や
外国人の存在を尊重し、信頼を寄せるということです。今、経済等の格差拡大に苦しむ若者が増えています。また、隣国との関係も悪化しています。そんな困難な状況の中にあって、若者の存在を尊重し、信頼を寄せるということは、若者を励まし、彼らの希望を大きくすることにつながります。また、
外国人の存在を尊重し、信頼を寄せるということは、異なる国、異なる民族の共存への道を開くことになります。民主主義を確立させる
市民投票条例は同時にそのような役割をも果たすものです。かかる
市民投票条例の制定と、それに基づく
市民投票の実施は、生駒市を一段と誇りある自治体へと引き上げます。
多くの市民の皆様のご賛同をいただけることを願い、また、議員各位のご賛同をお願いして、
賛成討論を終わります。
26
◯中谷尚敬議長 2番
吉村善明議員。
27 ◯2番
吉村善明議員 それでは、議案第46号、生駒市
市民投票条例の制定についてに対して反対の立場から討論させていただきます。
この議案は、市政に関わる
重要事項について、生駒市
自治基本条例第44条及び45条の規定による
市民投票の実施に関し必要な事項を定めることにより、市民の市政への参画を推進し、もって市民自治の確立に資することを目的として上程されました。
反対理由として、まず初めに、この制定しようとしている条例は、
外国人参政権ではないと言うものの、長い将来を見据えたときに、間違いなくそれに一歩近付くことになると危惧するからです。決して
外国人の方を差別しようというのではなく、日本に永住され、日本国を愛しておられる
外国人の方々には、是非、手続きを経て
日本国籍を取得していただき、堂々と参政権を得ていただきたく思います。残念ながら、今現在、日本の国益と他国の国益とは相反する関係にあるのが現実です。
次の理由として、この条例が制定されるということは議会不要論になるということだからです。なぜなら、市民の方々の意見に耳を傾け、聴取するのは私たち議員の仕事ではないでしょうか。18歳以上の市民、定住特定
外国人の方々、また、市政に関わる重要な事項だけではなく、生駒市に在住されている市民全ての方の様々なご意見をしっかりとお聞きし、議員自らその意見に納得すれば、しっかり市政に反映できるよう努力し、また、おかしいなと思えば、その方に納得してもらえるように働きかける。それが私たち議員の大切な仕事だと思うからです。この議案に賛成される議員の方々は、その大切な議員の仕事を今回制定しようとしている
市民投票に託しますということになるのではないでしょうか。今一度、議員の皆様にはしっかりお考えくださることをお願い申し上げ、私の反対討論を終わります。
28
◯中谷尚敬議長 12番塩見牧子議員。
29 ◯12番 塩見牧子議員 それでは、議案第46号、生駒市
市民投票条例の制定について賛成の立場から討論を行います。
従来、ある重要な市政課題について市民が
住民投票を実施したいと思えば、
地方自治法第74条の直接請求の規定にのっとり、
住民投票条例を制定するしかありませんでしたが、条例制定には議決が必要であるため、直接請求から投票実施まで時間を要し、また、議決の結果次第では、どれだけお金と時間と労力をかけて市民が署名を集めても実施に至らないことがありました。1979年から今年1月末までに全国で600件以上もの
住民投票条例制定の直接請求があったにもかかわらず、その可決率はわずか18%にすぎず、本市においても、2003年の学研高山第2工区のニュータウン開発の是非を問う
住民投票条例の制定を求める直接請求があり、有権者の50分の1の8倍以上に当たる1万5,574筆の署名が集まったにもかかわらず、議会が否決した経緯があったことは先ほどの吉波議員の討論にもあったとおりです。これを、あらかじめ常設の
住民投票条例を定めておくことにより、直接請求から投票実施までの迅速な対応を可能にするとともに、有権者の6分の1以上と、請求のハードルは
地方自治法に基づく直接請求よりも高いものとはなりますが、住民が請求すれば必ず実施ができるようにするのが本条例案の趣旨です。
さて、先ほどの吉村議員から議会不要論になるとの懸念も示されましたが、常設型、個別型を問わず、
住民投票条例の制定については議会制民主主義の否定だ、議員の職務放棄だというような意見が根強くございます。しかし、市民が市長や議員を選ぶとき、100%、政策が一致する候補者を選ぶことは不可能に近いと言わざるを得ません。多くの場合、七、八割方、政策が一致するから、あるいは有権者が最も重要だと思う政策分野において主張が一致するからということで投票しているのではないでしょうか。行政や議会の意思と市民意思にねじれが生じることはあって当然で、もちろんそのようなねじれが生じないよう、行政も議会も、絶えず住民と接点を持ち、合意形成を図りながら丁寧に政策を決定していくことが求められます。だからこそ、我々議会も議会基本条例を制定し、その中で市民懇談会を規定しておりますし、年に1回と言わず、もっと拡大して開催していくべきと考えますが、それでもねじれが解消できない場合の市民の権利として、意思を示す機会が与えられるべきと考えます。
また、
住民投票は、あくまである政策について、その形成過程において住民意思を示す手段であって、その実施を最終決定するのは我々議会です。本条例案においても、投票結果は尊重義務にすぎず、議決を拘束するものではありません。議会制民主主義のルールの範囲内において本条例案は定められているものであって、決して議会制民主主義を否定するものではないということをまず申し上げたいと思います。
次に、市長発議について議決を要しないことについて意見を述べたいと思います。
全国の自治体で制定されている常設型
住民投票条例の約4分の1は、首長提案に際して議会の同意や承認、協議の規定を設けておりますが、その他多数の制定事例は議会同意を必要としておりません。先の
企画総務委員会では、市長が1人だけで
住民投票の実施を可能にできることについて、市長権限を強めるのではないかとの疑義がございました。確かに現行では、首長が
住民投票を実施したいと思えば
住民投票条例案を議案として議会に提出し、議決を得る必要がありますので、投票の実施そのものに関してはそう言えなくもありません。しかし、投票の対象となる施策の実施に関しては、首長は、本来、
住民投票を経ずしても条例案なり予算案なりを提出できるところを、あえてその前に市民意思を確認しようということですから、市民との関係においては、むしろ首長の独断を抑制することになり、市長の発議規定については納得できる範囲にあると判断いたしました。
一方、市長発議に関して、議会同意が不要であれば制度の乱用につながるのではないかとの意見もございました。基本的に、私は、民主主義の実現のために必要なコストは一般の施策実施のコストと同列に扱うべきではないという考え方ですが、それでも、現実問題として、投票実施には費用が生ずるのも事実ですから、何でもかんでも投票にかけるような首長であるならば、こちらから願い下げ、議会が不信任を突き付ければいいことです。議会が市長をけん制する方法はちゃんと制度として用意されていて、それを行使すればいいだけの話であるのに、それを理由に政策形成過程への市民参加の機会まで奪い取ってしまうことの方が問題だと考えます。
そして、本議案で最大の争点になっているのは
投票資格要件、永住
外国人等への
投票資格の付与に関してでしょう。
先の
企画総務委員会では、永住
外国人等に
投票資格を与えることは
外国人の参政権の付与につながるとの意見も上がっておりましたが、
地方自治法第10条では、市町村の区域内に住所を有する者を住民と規定しておりますし、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を分担する義務を負うと定められております。これは、同法第11条に定める地方公共団体の選挙における参政権を有する日本国民たる地方公共団体の住民とは区別されております。すなわち、政治に参加するという広い意味では
住民投票も参政権と呼べなくもありませんが、代表性を持つ者としての、政策の決定権を有する議員を選ぶ参政権とは異なるということであります。
委員会では、
投票資格を得るには、常設型
住民投票条例を持っていたら自国の国益を考える
外国人が移住して、署名を集めて
住民投票を実施するという意見もありましたが、
投票資格を得るには在留
外国人でも5年を超えて日本に滞在し、かつ、3カ月を超える生駒市在住が条件として必要ですし、その対象となる方は日本人と結婚している方や、技術や人文知識を持って企業にお勤めの方、留学生などで、そのような意図を持って投票を実施することは、現実的に考えて、あり得ないことです。これまでに地方公共団体で制定された常設型
住民投票条例の約3分の2が永住
外国人等への
投票資格を規定しているにもかかわらず、いまだかつてそのような事例は見られないこともこれを証明しております。また、仮にそういうことになったとしても、やはり施策の実施や予算を認める決定権は議会にあるのですから、これも問題ないのではないでしょうか。
最後に、今回の
市民投票条例案が条例によって定められていなかった違法性のある審議会の答申を受けているとして、この議案そのものが無効であるというようなご意見に対して反論しておきたいと思います。
本来、首長は、審議会等に諮らずとも条例案や予算案を提案できる権利を有しております。また、答申を受けたからと言って、100%、答申どおりの案を議会に提出しなければならないというものでもございません。この国の制度がそうなっているのですから、審議会の無効性が、即、議案の無効にはならないということを申し上げ、本議案に対する
賛成討論を終わります。
30
◯中谷尚敬議長 3番山田耕三議員。
31 ◯3番 山田耕三議員 議案第46号、生駒市
市民投票条例の制定について反対討論をいたします。
本市市民が中心となり、まちづくりを行うことは賛成ではありますが、
自治基本条例も5年を迎えるに当たり、市民からの意見を聞いた上で見直しがあれば行い、本条例案との整合性を行い、その後、本案を提出すべきであると思います。
この制度は、市民が市の政策に関わる
重要事項について賛成か否かを投票できるものであります。市政に関わる
重要事項とは、市民の福祉に重要な状況を与えるものと定義付けられ、本市の権限に属さないものは含まれないとあります。ところが、ただし書以降には、「本市の権限に属さない事項であっても、意思として明確に表示しようとする場合にはこの限りでない。」とあり、幾らでも拡大解釈ができます。これは、市民の生活にとって、将来、重大な影響があると言えば、本市に権限のないことでも何でも行えてしまえます。市政に関わるものに限定する理由は、議会、市長はこの投票結果を尊重することになるからです。
本案には、市民と議会と市長を同列に扱い、請求発議ができるとあります。市民が請求をするためには、署名をたった1カ月で1万6,000人以上集めねばなりません。議会は議員の2分の1以上の賛成が必要です。しかし、市長は自ら発議ができます。つまり、市長が自ら、生駒市の
重要事項で市民に賛否の意思を問う必要があるのですよと言えば幾らでも
市民投票が行えるのです。
山下市長は、自らが考える
重要事項を例に挙げ、そのような行為はされないと示しておられました。ですので、今は心配無用でしょう。しかし、将来、生駒市長が同じように考えるかどうかは分かりません。自らの目的を達成するために発議をちゅうちょなく出されるような方がもしも市長に選ばれてしまった場合はどうなるのでしょうか。この場合、市民自治推進
委員会に意見を求めることができても、市長を止めることはできないのです。
最後に、
投票資格者は、
国民投票法に準じて18歳以上の
日本国籍を有する者とすべきです。外国の方々が生駒市に住み、行政サービスを享受することと、条例や政策に対する賛否について行うことは別物であると考えます。まちづくりに、外国の方も含め、住民の参加をいただくことは大いに賛成ですが、条例や政策を決定し、行うのは日本国民にのみ与えられた権利です。
以上の理由により、本議案に反対いたします。
32
◯中谷尚敬議長 4番樋口稔議員。
33 ◯4番 樋口稔議員 議案第46号、生駒市
市民投票条例の制定についてに
賛成討論を行います。
生駒市では、生駒
自治基本条例が
生駒市議会の全会一致で制定され、平成22年4月から施行されました。この条例には
市民投票制度の規定が設けられています。すなわち、市民、行政、議会が一丸となって、これからの生駒市の将来に向かって、住みよいまちづくりを進めていくために必要な基本理念や基本ルールを定め、参画と協働のまちづくりを実現するために、この
市民投票条例、以下、原案と言いますが、必要であると考えます。
以下、具体的に原案に対する賛成理由を3点申し上げます。
まず、1点目は、原案に定められた
市民投票制度は
外国人に地方参政権を付与する制度ではないと考えています。
外国人に地方参政権(地方
選挙権と被
選挙権)を付与することは現行の法律ではできません。この
市民投票制度は、永住資格を持つなど、一定の要件を満たす
外国人にも
投票資格を付与していますが、それは、この投票制度が市民福祉の向上に深く関わっているからです。
2点目は、原案では
市民投票を行う対象事業を以下のように定めています。すなわち、現在又は将来、市民の福祉に重大な影響を与えるもの、また、その可能性のあるものとしています。例えば市の合併や名称の変更、大規模公共事業の実施などです。つまり将来の生駒市をどんなまちにするのか、また、したいのか、広く市民の意見を聞こうというものです。市民の皆様が投票して、賛否の意思を市長や議会に示すことができる制度です。
3点目は、
住民投票が行われて、議会意思とは異なる結果が出され、それが具現化されると議会が否定されたことになる、民主的に選ばれた議会を無視するのは民主主義の否定につながりかねないと主張し、反対する方がおられます。そうでしょうか。本来、民主主義は市民が自分たちに関わることを自分たちで決めるという自己統治を意味します。したがって、直接民主制こそが民主主義の基本です。歴史的に見て、議会制とは、市民全員が集まって話し合うことが難しいという規模の問題などから便宜的に導入された制度であります。あくまでも主権は市民の側にあるものであり、市民の代表者によって構成される議会は、市民が行使するはずの決定権を信託されているにすぎません。この
間接民主制を補完するのが
市民投票制度であると考えます。
以上3点によって原案に賛成いたします。以上です。
34
◯中谷尚敬議長 次に、
議員提出議案第7号について発言を許可します。
11番
浜田佳資議員。
35 ◯11番
浜田佳資議員 それでは、
議員提出議案第7号、子どもの
医療費助成を通院も中学生卒業までに拡充するとともに、
窓口無料とすることを求める
意見書について
賛成討論を行います。
まず、子どもの
医療費助成の拡充と
窓口無料化については、本
意見書において、また、議案提案理由でも詳しく述べられているように、必要性は高いと考えます。
次に、財政上の点について。先の
委員会審査で、県の一部補助を考慮して、市の負担は年間約2億円とされ、そのことをもって本
意見書を否定する見解もあろうかと思われます。しかし、市負担の程度については、県負担や国の制度となった場合など様々な状況が考えられ、必ずしも前述の負担があるとは限りません。その上、そもそもこの問題は、基本的に、財政全体のやりくりの中で何に優先的に使うかの問題として考えるべきものであります。子どもの命と健康は優先すべき課題だと考えますが、本
意見書に賛同されない方はそうは考えないのでしょうか。
なお、就学前については、元々生駒市は無料としていたのであることを忘れてはなりません。これに一部有料を導入することに賛成の方は、その根拠に財政の持続可能性を挙げていましたが、この部分の年額4,000万円で財政の持続可能性が危険にさらされるというものではないし、そういうことを言っていますと、重要な新しい施策、そういったものは一定の額が必要でありますが、そういったことができなくなるということになりかねません。しかし、それでは、税金はそもそも何のためにあるのかという問題になってくるのであります。確かに財政は重要でありますが、それが優先されれば本末転倒であります。
さらに、窓口での支払なしの無料にすると、安易に医者に連れていく過剰診療とか、いわゆるモラルハザードを招くとの批判もありますが、病態が急変しやすい子どもの命と健康をしっかり守るためには、医者にかかり過ぎより、かからなさ過ぎ、手遅れが危険であります。重症化しないためにも、保護者がちゅうちょしないように窓口での無料化が必要であります。その上、この点を強調することは保護者の方に失礼であるとともに、一部の不届き者のためにその他のほとんどのまじめな保護者が不利益となり、結果的に子どもの命と健康がないがしろにされかねない、そういったことにつながるものであります。
また、
窓口無料化がモラルハザードを招き、小児科医の疲弊、小児科医療の崩壊をもたらしているとの見解もありますが、医師不足や医療崩壊の問題は小児科に限った話ではなく、日本の医療システムや医師育成システムの問題であります。
子ども医療費の
窓口無料化を小児科医療の崩壊の元凶とすることは相当ではありません。既に全国36都府県で窓口負担なしで受診できます。近畿2府4県では奈良県のみ窓口の無料化を行っていませんが、奈良県の小児科医療は問題なく、他の2府3県がこのために崩壊しているという事実があるのでしょうか。もちろんこういった問題が一切ないとは言いません。しかし、それは
窓口無料化と切り離して対応すべき問題でありまして、現にそうしているところがあります。
最後に、子育て支援の在り方と
医療費助成についてですが、少子化の中で子育て支援は特に重要となっており、総合的かつ的確・迅速に行うことが必要であります。この点、子育て支援の総合的構築が
医療費助成の拡充等の前提として必要との見解もあろうかと思いますが、
医療費助成は、安心の子育てのために子育て支援全体の中で重要な位置を占めるものであり、どのような総合的子育て支援を構築する場合であっても
医療費助成を拡充することは外すことができず、子育て支援を総合的に考えることと本
意見書は全く矛盾しないものと考えますし、そもそも個々の子育て支援策を
一つ一つ実現し、拡充してきた歴史、成果をも先ほどの見解は否定することを意味すると考え、不当だと思います。もし、総合的な全体像を示さないと個別の課題を要求できないとしたら、例えば日本の総合的電力計画を示さないと原発反対を主張できないかのようになりますが、これは明らかに不当であると考えますが、いかがでしょうか。
以上、るる述べました理由により、本
意見書に賛成するものであります。以上です。
36
◯中谷尚敬議長 12番塩見牧子議員。
37 ◯12番 塩見牧子議員
議員提出議案第7号、子どもの
医療費助成を通院も
中学校卒業までに拡充するとともに、
窓口無料とすることを求める
意見書について反対の立場から討論を行います。
本議案は、通院に係る医療費についても
中学校卒業まで助成すること、また、窓口負担のない助成制度とすること等を求めるものです。これらが実現すれば、確かに子育て世代の経済的負担の軽減にはなりますが、国保会計や他の被用者保険の会計に及ぼす影響は小さくありません。先の
市民福祉委員会でも、通院補助を中学生にまで拡大することで、市の負担は、県の2分の1補助があったとしても7,500万円増すということでしたし、現行制度における500円の負担金がなくなれば、中学生までで約1億円の歳入減になるとのことでした。さらに、国保会計においては窓口で一部負担金を支払うことが原則になっていますが、これを現物給付にすることで2,000万円強の国からのペナルティも発生するとのことでした。
子どもの
医療費助成制度は、周辺市町村が実施すれば採り入れるという自治体間競争の中で拡大している傾向にありますが、それがために、財政力指数の低い自治体ではかなり無理をして予算を工面しているということが指摘されております。また、窓口負担をゼロにすることによって、病気を予防する注意や努力を怠りがちになる事前的モラルハザード、ちょっとしたことで病気だと医療サービスを受けようとする事後的モラルハザードが受診者に生じかねません。そうすれば外来受療率が上昇し、小児科医療人材不足が加速したり、更なる自治体の財政負担が増したりする懸念も指摘されております。
ようやく生駒市の国保会計においては基金がストックできるようになってまいりましたが、助成対象の拡大と
窓口無料化を全て行えば、また、それもできなくなりましょうし、保険料の値下げも遠のいてまいります。助成をするにしても、対象年齢をどこまでとするのか、
窓口無料とセットでいいのか、慎重に検討すべきだと考えます。
併せて、子育て支援のための子どもの医療へのアクセス改善という点では、医療費を窓口で支払えない世帯があることよりも、受診させなければいけない状態であるにもかかわらず、ネグレクトによって受診させられないことの方が事態は深刻であり、虐待や、仕事を休めない家庭への支援等も含め、どのような支援に予算を投入すれば医療を本当に必要とする子どもの医療アクセスを増やせるか、多角的かつ総合的に検討すべきと考えます。
助成制度の創設だけをその政策とする本
意見書にはにわかに賛成し難いということを申し上げ、反対討論とするものです。
38
◯中谷尚敬議長 次に、
議員提出議案第8号について発言を許可します。
10番竹内ひろみ議員。
39 ◯10番 竹内ひろみ議員
議員提出議案第8号、
集団的自衛権に関する
憲法解釈を変更しないことを求める
意見書について
賛成討論を行います。
集団的自衛権の行使容認は、
提案理由説明でもあったように、憲法9条の規範的核心に反するものであり、国の在り方を根本から変えるものです。
そもそも
集団的自衛権の行使は限定できないものですが、自民党と公明党による与党協議では、これまで限定的と言ってきましたが、最近では
集団的自衛権の枠さえ越え、国連の集団
安全保障での武力行使を認める議論まで出ています。一体どこまで広がるのかという強い懸念とともに、本来のねらいが明らかになってきたと言えるでしょう。
さて、
集団的自衛権の行使容認が他国に対する抑止力として早急に必要であり、憲法改正を待つ余裕がないので解釈変更での容認を認めるという見解があります。しかし、この見解は、自国を防衛する権利である個別的自衛権と、自国の防衛とは関係のない
集団的自衛権の違いが認識されていない上に、武力による抑止は相互に武力の増強、軍事対決の悪循環を招き、その結果、より不安定で危険な状況を招くことは人類の戦争の歴史から明らかですが、このことが認識されていません。今必要なのは、このような武力による抑止でなく、積極的・戦略的な外交ではないでしょうか。
また、この見解は、国の基本となる憲法を時の内閣による解釈変更という形での事実上の恣意的変更を認めることを意味しますが、それは他の国にとって、日本が立憲主義を否定し、法的安定性が失われた国、法による支配でなく、人による支配という予測不可能で危険な国であるということを示すことになります。それは、国際社会における日本への信頼を覆すことになり、日本を含む広範な諸国の協力によって平和と安定を構築することが著しく困難となります。立憲主義に基づく行動こそが各国の信頼を得、日本の安全を確保するものです。憲法か、国民の命かという議論もありますが、以上述べたことから、憲法に基づく行動こそが国民の命を守る道です。
よって、
集団的自衛権に関する
憲法解釈を変更しないことを求める本
意見書に賛成するものです。以上です。
40
◯中谷尚敬議長 2番
吉村善明議員。
41 ◯2番
吉村善明議員 議員提出議案第8号、
集団的自衛権に関する
憲法解釈を変更しないことを求める
意見書についてに対して反対の立場から討論いたします。
個別的自衛権も
集団的自衛権も、元々日本が持っていることは国連憲章にも、日米安保条約等でも明らかになっています。しかし、今まで日本はそれを行使してきませんでした。その背景には、世界の警察官であるアメリカが日本に何かあれば助ける義務があるからということでした。しかし、今、日本を取り巻く情勢は変わってきました。北のミサイル。中国の軍事費も4倍に。逆に、アメリカは軍事費50兆円削減と内向きになり、他国を守るより自国を守る方向に変化し、日本にとって、より厳しい国際情勢になってきているのが現実です。
そんな情勢の中、私たちの国が武力攻撃を受けたら守ってください、しかし、あなたの国が攻撃されても私たちは守りませんという今までのような
憲法解釈でいいはずがありません。また、
集団的自衛権は、日本にとって安全に影響が出るというときにのみ発動するという権利であるのです。まるで
憲法解釈を変更すると、すぐにでも戦争するかのように言われる方もおられるようですが、それは違うと思います。また、お互いに
集団的自衛権があるということで抑止力にもつながるのです。憲法のために国があるのではなく、国、国民の安心・安全のために憲法があるのです。そのための
憲法解釈の変更だということです。
したがって、
議員提出議案第8号、
集団的自衛権に関する
憲法解釈を変更しないことを求める
意見書については反対いたします。
42
◯中谷尚敬議長 12番塩見牧子議員。
43 ◯12番 塩見牧子議員 それでは、
議員提出議案第8号、
集団的自衛権に関する
憲法解釈を変更しないことを求める
意見書について賛成の立場から討論を行います。
本
意見書の提案理由は、
集団的自衛権を行使するなということではなく、安倍内閣が恣意的に
憲法解釈を変更しようとしていることに対して異を唱えることが趣旨であるということでしたので、この1点に絞って申し述べます。
ご存じのとおり、他の法や政令と異なり、憲法の改正に当たっては、その発議は衆参両院の3分の2以上の国会議員の賛成をもって可能となり、内閣総理大臣に発議権はありません。また、憲法の解釈は、一時的な解釈権は国権の最高機関である国会にあり、それが矛盾を来した場合に最高裁の違憲審査権が用意されているわけですが、内閣にはその権限もありません。しかるに、安倍内閣は、本来の手続きによらず、閣議決定で憲法の解釈を変えようとしておりますが、この行為は立憲主義、三権分立の原則にのっとれば、どのような解釈をもってしても許されるものではありませんし、そもそも憲法は内閣の審査の対象外であり、自公の与党協議で検討したり、内閣で慎重審議したりできるものではないはずで、このこと自体、国会を無視していると言わざるを得ません。
もっとも、解釈変更は憲法の条文改正ではないため、議案として国会の憲法審査会で審議されることすらない、実にこそくな方法です。だからこそ裏口入学などと厳しく批判されているわけですが、問題は、閣議決定だけで
集団的自衛権の行使について憲法改正と同じ効力を持たせることによって、その他の法改正や法案提出において解釈憲法に基づいた内閣提出が可能になってしまうということです。自衛隊法を始め、あらゆる関係法令がなし崩しに制定、改正されることにつながりかねません。
法は権力を縛るものであり、それを権力者自らが勝手な解釈を行い、コントロールできるようにしてしまえば、立憲主義は成り立たなくなります。安倍内閣が行おうとしている解釈変更は、その立憲主義を空洞化させることであり、極めて危険です。
国際情勢がいかなる状況にあろうとも、我々、法治国家のもとに存立する議会の一員は、法をないがしろにするようなことはあってはならず、
集団的自衛権の行使を可能にしたいのであれば、憲法改正の正当な手続きをきちんと踏み、主権者である国民の直接民主主義である国民投票で過半数以上の賛成を得るべきということを断固主張すべきであるということを申し上げ、本議案の
賛成討論といたします。
44
◯中谷尚敬議長 次に、
議員提出議案第9号について発言を許可します。
1番沢田かおる議員。
45 ◯1番 沢田かおる議員
議員提出議案第9号、
特定秘密保護法の廃止を求める
意見書について
賛成討論を行います。
秘密は何でしょうか。この法律では、秘密は秘密とされています。
特定秘密保護法の怖さは、秘密が何か分からないこと。このことだけでも不安になり、安心して暮らせるとは言えません。何が秘密なのか分からなければ、知らずにその情報を知ろうとしたり、話してしまったりする可能性もあります。その結果、理由も分からずに、秘密を知ろうとした、話したとして逮捕されるのではと懸念されます。
日本弁護士連合会作成の「エッ! これがヒミツ? あれもヒミツ! あなたも「秘密保護法」にねらわれるQ&A」のハンドブック、「私たちは秘密保護法の廃止を求めます」のチラシがとても分かりやすいので、内容の抜粋とともに私の意見を述べさせていただきます。
秘密保護法の内容は、我が国の
安全保障に著しい支障を与えるおそれがある情報を政府が特定秘密に指定し、秘密を扱う人、その周辺の人々を政府が調査・管理する適性評価制度を導入し、秘密を漏らした人、それを知ろうとした人は厳しく処罰される(10年以下の懲役)などを柱としています。
秘密が何か分からないのに、安心してマスコミは取材できるのでしょうか。正当な内部告発も、秘密に触れるかもしれないと、できなくなるかもしれません。秘密の範囲は防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止とありますが、曖昧な規定で、どのように広げて解釈されるか分かりません。市民運動や住民運動のようなものまで、無限定に広がるおそれがあります。そういった運動をすることにより捕まるのではないかと参加をためらう人も出てくるでしょう。原発関連情報も隠される可能性があります。