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  1. 天理市議会 2023-12-01
    12月14日-04号


    取得元: 天理市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-19
    令和 5年 12月 定例会(第4回)      令和五年 第四回天理市議会定例会会議録(第四号)---------------------------------------  令和五年十二月十四日(木曜日) 午前十時零分 開会---------------------------------------議事日程(第四号)一 日程  日程第一 一般質問---------------------------------------本日の会議に付した事件 議事日程のとおり---------------------------------------出席議員(十六名)                  一番   今西康世議員                  二番   東田匡弘議員                  三番   榎堀秀樹議員                  四番   大橋基之議員                  五番   鈴木 洋議員                  六番   藤本さゆり議員                  七番   西崎圭介議員                  八番   鳥山淳一議員                  九番   内田智之議員                  十番   寺井正則議員                 十一番   神田和彦議員                 十二番   村木 敬議員                 十三番   石津雅恵議員                 十四番   井上伸吾議員                 十五番   山田哲生議員                 十六番   市本貴志議員---------------------------------------欠席議員(なし)---------------------------------------説明のための出席者              市長           並河 健              副市長          藤田俊史              教育長          伊勢和彦              市長公室長        上田茂治              総務部長         上田義之              くらし文化部長      西辻健一              危機管理監        上土居能一              健康福祉部長       加藤道徳              健康・こども家庭局長   山本年秀              環境経済部長       谷 文広              建設部長         井上典正              教育委員会                           奥村紀一              事務局長              教育次長         山口忠幸              会計管理者        奥村良子              上下水道局長       前田典昭議会事務局職員ほか出席者              事務局長         松原茂幸              事務局次長        青木一朗              事務局係長        上田泰司              書記           生駒健太---------------------------------------                          午前十時零分 開議 ○議長(大橋基之議員) 休会前に引き続き会議をいたします。--------------------------------------- ○議長(大橋基之議員) これより日程に入ります。 日程第一、一般質問を行います。質問時間は、答弁を含め六十分以内となっておりますので、御了承願います。質問通告が来ておりますので、順次発言を許します。 十番、寺井正則議員。     〔十番 寺井正則議員 登壇〕 ◆十番(寺井正則議員) 議長の許可を得まして、これより質問通告書に従いまして一問一答方式で一般質問を行います。理事者並びに関係部局におかれましては、的確で前向きな答弁をよろしくお願い申し上げます。 今回の質問は四件ございます。一つ目は、アピアランスケア支援事業について、二つ目には、デジタル障害者手帳の導入について、三つ目には、認知症施策について、そして四つ目には、RAMPSの活用についてであります。 まず一つ目の質問でございます。がん患者のアピアランスケア支援事業についてであります。 がん医療の進歩により、治療を継続しながら社会生活を送るがん患者が増加しております。治療に伴う外見、アピアランスの変化により、身体的、精神的な負担とともに、社会生活上の不安を抱えている方も多くなっております。アピアランスの変化とは、爪とか皮膚障害、また脱毛等であります。アピアランスケアとは、医学的・整容的・心理社会的支援を用いて外見の変化を補完し、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケアと定義されており、一つ目には、実際的な外見加工への支援、二つ目には、外見の変化に関わる本人の認知変容を促進することなどが挙げられております。 奈良県では、患者支援の観点から、がん治療に伴う外見変化を補完するための医療用ウィッグ乳房補整具を購入した方に購入費用の一部を助成する事業を令和五年度に創設しております。令和五年十月現在において、奈良県におきましても十三の市町村がこの助成事業を実施されております。具体的には、橿原市、大和郡山市、桜井市、五條市、上牧町、広陵町、王寺町、河合町、安堵町、三郷町、高取町、明日香村等であります。 この事業は全国的にも広がりを見せております。抗がん剤などをはじめとした薬物療法や放射線療法の副作用、外科療法により外見が以前より変化したことによる苦痛を軽減するために行われるケアであります。がんを治療された方の中には、一生懸命につらい治療を頑張ったが、外見が大きく変化したため周りの人からどう思われるか気になる、自分ではないような気がしてつらいなど、自分らしさが失われてしまったと感じ、社会参加をためらったりする人も少なくありません。 自分らしく人生を謳歌するため、その苦痛を少しでも軽減できるよう、そのような苦痛や悩みを抱えている方に対して、医療用ウィッグ乳房補整具の購入について助成金で支援を行うものであります。がんで闘病されている患者支援のために、医療用ウィッグ乳房補整具の購入について、助成金で支援を行うアピアランスケア支援事業に取り組むことについて、市長の所見をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) 大変重要な御指摘を頂きまして、ありがとうございます。 令和五年度より開始された第四期がん対策推進基本計画におきましては、がんとの共生の分野で、がん患者等の社会的な問題への対策の一つとして、アピアランスケアが明記をされております。本市も、がん治療によって、脱毛など、外見に様々な変化が生じ、精神的なダメージを受けたり、社会復帰の際の妨げになってしまうということがやはり課題であると考えておりまして、治療に伴う外見の変化に対するサポートは重要と考えております。 奈良県の補助内容としては、助成額が一人一回一万円または購入費用の半額で、乳房補整具については、一回の外科的治療等による乳房の切除に伴い購入されたものを左右それぞれ一種類とみなして補助するというものであります。 本市もこの補助制度を活用し、自分らしさの喪失の苦痛と経済的負担の軽減を図り、がん治療と社会参加を両立できる環境を整えられるよう前向きに準備を進めておりまして、来年度から事業を開始したいと考えております。 ○議長(大橋基之議員) 寺井議員。 ◆十番(寺井正則議員) ありがとうございます。新年度から実施していただけるということでございます。このサポートの重要性というものを認識するという御答弁でございました。他市が行っていたのに天理市が実施していただいていなかったということは不思議に思いましたけども、それだけやはりコロナ禍の対策を早急にやるということに力を入れていただいておったので、五年度の事業には至らなかったということで理解しております。来年度からしっかりと実施していただきたいと思います。 それでは、次に、二点目の質問に移らせていただきます。デジタル障害者手帳の導入についてであります。 新型コロナウイルスの分類が感染症法上の五類に移行し、まちや観光地などに出て行きやすくなりました。以前より外出する機会が増え、すっかりコロナ前の生活に戻った感もあります。外出機会が増えた障害のある人にとって、外出時に欠かせないのが障害者手帳であります。手帳を電車やバスなど交通機関や映画館などの施設で見せると、割引などの各種サービスを受けられます。ただ、手帳のフォーマットは自治体が個別に定めており、約二百八十種類あるとのことであります。事業者側は、確認する際に負担になっておりました。 そこで、大阪市のコンサルタント会社ミライロが提供するアプリ「ミライロID」というスマートフォン向けデジタル障害者手帳の開発にこの会社が動いたということでございます。ユーザーは、障害者手帳の情報、福祉機器の使用、求めるサポートなどを登録することができ、割引やサポートを得られるといいます。障害者手帳は、障害者にとって、紛失のリスクや、提示する際に心理負担があるといいます。デジタル化することで、こうした課題を解消することができます。 日本には約九百万人以上の障害者がおられるそうです。アプリに対応する企業は、鉄道やバス、タクシーなど交通機関を中心に、現在、三千事業者に増えております。映画館やカラオケ店のほか、外食などの企業も導入しております。さらに、サッカーJリーグの観戦や様々な観光スポットでも割引が得られるようになっております。今後、さらにコンテンツを強化し、障害者の外出や消費を促進していくということであります。事業者にはより高いレベルのユニバーサル対応が求められるようになり、社会全体でユニバーサル対応が進めば、より多くの障害者の社会参加につながることが期待されております。 このミライロIDというスマートフォン向けデジタル障害者手帳を導入することについて、市長の所見をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 御指摘がございましたミライロIDについては、現在、コミュニティバスいちょう号で御利用を頂いているところであります。提案いただいておりますミライロIDを利用いただきますと、紙の障害者手帳を持ち歩くことなく、スマートフォンの画面に手帳の情報が表示され、その画面を提示いただくことで各種サービスを受けることができるようになると。非常に便利なツールであると考えております。 今後、本市におきましても、紙の障害者手帳を提示する必要がこれまであった施設においては、手帳の提示に代えましてミライロIDを利用できるように進めてまいります。 ○議長(大橋基之議員) 寺井議員。 ◆十番(寺井正則議員) ありがとうございます。本市においてもしっかり進めて、推進していくという答弁を頂いております。私も資料を調べましたら、天理のコミュニティバスが導入しているということでございましたけども、あれは奈良交通が、要するに三千事業者が導入しているということで、奈良交通が導入されているので活用できるようになったということでございましたね。しっかりと利便性向上のためにデジタル障害者手帳の導入を推進していただきたいと思います。 それでは、次の質問に移らせていただきます。認知症施策についてであります。 全国的に認知症高齢者が増える中、二〇二五年には認知症の人が五人に一人、約七百三十万人に達すると予測され、誰もが認知症になる可能性があり、誰もが介護する側、される側になり得る、極めて身近な問題であります。認知症の人が尊厳を保持しつつ、希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進するための共生社会の実現を推進する認知症基本法が先の国会で成立いたしました。二〇〇七年には、名古屋で、認知症の方が線路内に入り、はねられるという事故が起き、このとき家族には一次判決で全額七百二十万円の損害賠償が請求されました。その後、家族だけに責任を押しつけることはおかしいという世論の高まりもあり、二〇一六年に支払い義務を否定する逆転判決が確定。それでも、事情によっては家族が責任を問われる余地を残した判決は大きな波紋を呼びました。 認知症になっても安心して暮らしていけるまちを目指して先進的に取り組んでいる認知症神戸モデルが注目されております。神戸市では、損害賠償保険とともに、早期受診を支援する認知症診断助成制度をセットで組み合わせるなど、より充実した仕組みを整えております。認知症神戸モデルとは、新たに創設する診断助成制度事故救済制度を組み合わせて実施し、その財源は、超過課税の導入により市民の皆様から御負担いただくこととする全国初の取組であります。ますます高齢化社会の進展が見込まれる中、認知症はもはや個人の問題ではなくなっております。 昨日も認知症の予防についての御答弁がございましたけども、改めて、本市においても特に認知症予防に力を入れていただいているということは承知もしておりますが、先進的に取り組んでいただいておるということは承知しておりますが、認知症施策の本市の現状についてまずお尋ねしたいと思います。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 本市では、認知症予防を代表する事業として、公文学習療法センターと活脳教室を行っております。この取組は、成果連動型支払いを取り入れた全国初の取組でありまして、参加者のおおむね九割を超える方の認知機能が維持・改善されたという結果がございまして、高齢者からも親しまれております。 この教室の運営には、高齢者をフォローしていただいている市民の皆さんに研修を受けていただき、サポーターとして関わることで市民同士が支え合う事業となっております。支援として、認知症初期の集中支援、当事者や御家族が専門職、保健師と一緒にお茶を飲みながら気軽にお話ができる認知症カフェなども開催し、少しでも認知症当事者の方や御家族、関係者の皆様の負担を軽減することができるよう取り組んでいるところでありまして、本日、この事業を視察したいということで、タイの方から、知事をはじめ、マレーシアとの境のところですけれども、視察にもちょうど来られるということであります。 ○議長(大橋基之議員) 寺井議員。 ◆十番(寺井正則議員) ありがとうございます。活脳教室については、全国初の取組ということで、九割の方が改善もされておると。大変先進的な取組で、先進地視察に本市にいろんなところからお見えになっているということも私も承知しております。大変本市の取組は先進的な取組で、予防事業に特化したモデルで、ある意味では、神戸モデルを取り上げさせていただいておりますけども、天理モデルともいうべき画期的な予防事業であるということで私も承知しているところでございます。 先ほど神戸モデルのことを若干取り上げました。もうちょっと詳しい内容について言及させてもらいたいと思います。 本市と神戸市とは、人口規模も違い、同列で検討するわけにはいきませんが、認知症は、加齢に応じて多くの方がなり得る病気であります。認知症には様々な疾患があり、それぞれの症状に応じ、その生活に備えるためには、早期受診が大切であります。神戸市では、認知症診断助成制度として、六十五歳以上の市民の方に自己負担ゼロで医療機関における二段階方式の認知症診断を実施しております。第一段階、認知機能診断では、認知症の疑いがあるかないかを見るための検診で、第二段階、認知症機能精密検査は、認知症の疑いのある方は専門の医療機関で精密検査を受けて、認知症かどうかの診断を行うというものであります。 さらに、認知症の方が事故に遭われた場合に支援が受けられる認知症事故救済制度を実施しております。認知症の方が事故に遭われた場合、自動車事故は対象外になるそうですが、市が保険料を負担して賠償保険に加入、二十四時間三百六十五日対応のコールセンターが、事故が起こった際、迅速に相談に応じる。事故を未然に防止するため、日常生活を見守り、非常時の駆けつけサービスを含むGPSの導入費用も負担しているということでございます。 認知症神戸モデルを参考に認知症対策に取り組むことについて、市長の所見をお尋ねします。神戸市では、市民一人当たり四百円の超過課税の導入により、認知症診断助成制度損害賠償保険を組み合わせて実施しているとのことですが、本市に置き換えた場合にどのようになるのかについてもお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 神戸市が取り組んでおられる神戸モデルは、認知症対策として非常に有効な市民サービスだと存じますけれども、一方、本市での導入については、超過課税を伴う市民負担が増加するという点については慎重に検討を要する案件ではあるというふうに思っております。 神戸モデルを仮に導入した場合ですが、本市に置き換えますと、一人当たり四百円の超過課税の導入によりまして、概算で約一千二百万円の歳入となります。これは、均等割納税者と均等割及び所得割の納税者、これが二万九千四十七人ですので、それに四百円を掛けたという形でございまして、四百円だけであればそんなにというふうにおっしゃっていただく市民の方もいらっしゃるかとは思うんですけれども、ただ、やはり重要施策だからという形で超過課税がいろんな種類で増えてまいりますと、全部合わせれば、「あれ、天理市だけ税金が重いぞ」と、こういうことにもなりかねない。 費用といたしましては、認知症診断助成制度損害賠償保険を導入いたしますと、仮に神戸市と同じ受診率で、九%であるそうですが、これでございましたら、概算一千五百五十万円ですので、一千二百万円歳入があるのに対して、一千五百五十万円ですから、三百五十万円ほどの持ち出しが市に生じるという形になるんですけれども、二〇%受診されますと、これが約二千八百万円、三〇%が受診された場合は三千九百三十万円の費用という形で、やはり受診率向上とともに市の持ち出しというのは増えていかざるを得ないという点はございます。六十五歳以上の全高齢者が検査対象となりますので、やはり受診率や賠償保険の登録者数によって、その歳入には変動があるという点は留意しなければならないと考えております。 ○議長(大橋基之議員) 寺井議員。 ◆十番(寺井正則議員) ありがとうございます。神戸モデルは大変有効な施策であるという認識を示された上で、やはり四百円といえども、この超過課税については慎重に取り組まなければならないという見解を示していただきました。また、具体的に、受診率に応じての出費ということも説明していただいたわけでございます。 いま、詳しく説明していただいたわけでございますけども、次の質問に移らせていただきますが、六十五歳以上の市民を対象に、認知症診断の第一段階、認知機能診断だけでも国保の特定健診のように実施できないものかと思うわけでございます。本人や近親者、家族などが認知症の疑いがあるかどうかを知るだけでも不測の事態に備えることができると思います。活脳教室などに参加される人は意識の強い方々で、全体から見ればごく少数であり、診断結果を踏まえて、第二段階、認知機能精密検査に移行されたり、認知症かもしれないとの意識を持つことにより不慮の事故などを防ぐことになるのではないかと思いますが、市長の所見をお尋ねいたします。
    ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 議員がおっしゃいますとおり、認知症かもしれないなというその疑念は、生活していく上で、当事者及び御家族にとってすぐには理解し難いことであり、不安が募るものというふうに考えております。まずは、本市が現在実施している各種事業のブラッシュアップを行いながら、並行して、認知症への理解促進のため啓発強化も進めていきたいと考えております。 たとえば認知症かもしれないと心配される方にとって、現段階の自分にどういった支援があるのか、どういった対応が必要なのかなど、大まかな目安がセルフ判断可能な認知症ケアパスの活用や、日頃からかかりつけ医の先生をしっかり持っていただくことを推奨する取組をまず進めたいと存じます。本市では、一定数、かかりつけ医を持っていらっしゃらない方がいらっしゃる現状でございまして、保健分野と福祉分野が連携し、健康づくりなど一体的に取り組む事業として、アウトリーチ健康状態不明者に訪問していく予定でございますが、こういった機会も活用して、相談できるかかりつけ医をしっかり持ちましょうということを周知してまいります。自分または家族の状況に異変を感じた場合に、かかりつけ医と相談することで認知症診療医療機関につないでいただけるということを御理解いただくことも非常に重要でありまして、かかりつけ医を持ちましょうということをまず壮年期、更年期への啓発充実の柱としていきたいと考えております。 やはり認知症の傾向というのは、不安を感じますと一層悪化をするという悪循環になりますので、本市では、若年性の認知症と自己認識されながら、いろんな活動に積極的に取り組んでいらっしゃる、そういう方もいるわけでありまして、直ちに不安に陥ってということではないんですよという、その安心感であったり、横の連携というところも広げていければなと考えております。 ○議長(大橋基之議員) 寺井議員。 ◆十番(寺井正則議員) ありがとうございます。どちらかといえば認知症機能診断に否定的な御答弁だったと。しかし、これを否定するだけではなしに、柱としては、かかりつけ医をしっかり持っていただいて、そして、そういう認知症の疑いがあれば、要するに専門医につなぐようにしていただくようにするのが一番いいのではないかという市長の答弁であったかと思います。何よりも、認知症かもしれないという負担、不安を与えないということも重要であるという見解も示していただきました。 だけど、私は、先ほど言いましたように、特定健診と同じように、この第一段階の検査だけでもできないものかというふうには思いました。というのは、自分は大丈夫やという過信の下に、免許返納されないで、そして事故を起こされるケースなんかが大変増えておりますよね。だから、自分は大丈夫という過信がそういう事故を起こされるのであって、それがもし認知症かもしれないという診断が出ておれば、免許証をぼちぼち返さなあかんのではないかという考えに至ることもあると思いますので、いまはまだ本市においてもそこまで深刻な状況になっておりませんけども、将来、もうすぐ五人に一人が認知症になられるという社会情勢の中で、安心・安全を確保するためにも、当事者も当事者外の方も、双方の安心・安全を確保するためにも、こういった取組も検討する余地はいまはないかもしれませんけど、いまは予防事業の天理モデルにしっかり取り組んでいただいているということでございますけども、将来的にはまた検討していただかなあかんような余地もあるのではないかというふうに思っております。 それでは、次の質問に移らせていただきます。 神戸市は、認知症対策を全市民共通の課題として超過課税を導入されましたが、今後、本市においても、将来、市民共通の行政課題を解決するためにもちろん市民の理解を得ることが重要でありますが、超過課税導入の手法を検討されるようなことがあるのか。市長の所見をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 先ほど第一段階の認知症機能診断だけでもというお話を頂きました。ざっくりと九%算出したら一千五百五十万円というふうに申しましたけども、第一段階検査というのは、お一人当たりの単価が六千六百二十円ということであります。本市の人口が、いま六十五歳以上人口が約一万七千名余りでありまして、九%の一千五百三十八人がこれを受けられて、掛け算すると、一千万円余りということでありますので、四百円のこの超過課税を導入すれば、計算上、神戸市と同じぐらいの割合についてはこの第一段階検査を受けていただけるということであります。 一方、市民の皆さんも、物価高騰の中、生活事情も厳しい中ということでありますので、まさにそこは議員がおっしゃいましたとおり、全市民共通の課題であるから、それは多めに払っても仕方がないというような御理解が進んでいくかどうかというところが非常に重要でございます。いま、私どもがほかにこの超過課税の導入を検討する案件というのはないわけでありますけども、やっぱりこっちも大事だろうというのが二、三個出てきた場合にどうするんだというようなことも含めて、これは継続的にぜひ協議をさせていただく中で、ただ、やはりこの高齢化社会の中で、認知症対策については、全市民で分かち合ってでもという機運を御一緒に高めていただけましたなら、またその状況に応じて対応していくものと考えております。 ○議長(大橋基之議員) 寺井議員。 ◆十番(寺井正則議員) ありがとうございます。私も、この物価高騰が続く中、またいろんな利用料、保険料等上がっている中で、やはりこういった課税に関わることについては、市民から理解がいまの現状では得難いものであろうというふうに感じております。ただ、本市は、ふるさと納税でありますとかクラウドファンディングで、こういう行政施策に協力したいという方に協力いただいて実施していることがございますので、いまはこういったことにしっかり取り組んでいただいて、市民のより理解を得ながら施策を進めていっていただきたい。いま市長申されたように、将来、どうしても市民共通の課題があって、これは市民の皆さんの協力を頂くという理解を頂いて実施するということが来るかもしれないということも含んで答弁いただいたというふうに承知いたしました。 それでは、最後の御質問に移らせていただきます。これは教育委員会にお尋ねしたいと思います。精神不調アセスメントツール、いわゆるRAMPSの活用についてであります。GIGAスクール構想の実現により、全国の小中高校では、児童生徒、教師もタブレット端末の整備が大きく進みました。そこで、タブレット端末を使い、自殺リスクを早期に予測できる精神不調アセスメントツールを活用することについて質問いたします。 若者の自殺対策は急務であります。本市においてはそんな深刻な状況ではございませんけども、全国的には若者の自殺対策は急務であるということでございます。思春期は実に鬱症状や統合失調症などの精神疾患の発症のピークで、心の不調を抱えることも珍しくないそうでありますが、周囲の大人にそうした知識がなく、見過ごしてしまうことも少なくないとされております。 そうした中、子どもの自殺リスクを見つけるための評価システムが開発され、地方自治体の学校などで導入が始まっております。若者が抱える死にたい、消えたい気持に気づき、彼らを自殺から遠ざけ、救いたい、そんな思いの下、開発されたのが、タブレット端末を使って自殺リスクや心の不調を可視化するシステム「RAMPS」であります。この名前は、Risk Assessment of Mental and Physical Status、この心身状態の評価という頭文字を取ったものでございますが、これは、精神科医でもある東京大学大学院教育学研究科の佐々木司教授、帝京大学医学部の北川裕子助教らが開発をし、一昨年に完成してから、現在では、新潟、東京、茨城の学校など、全国約百校で導入されております。 保健室来室時や健康診断の際に、タブレット端末やスマートフォンで質問に回答してもらうことで、自殺リスクや心身の不調が自動で可視化される。回答時間も把握でき、どの回答にどれぐらい時間をかけているのかを見て、生徒の心の揺れ動きも把握できる。研究では、助けを必要とする子ほど「助けて」と言わないことが分かっております。児童生徒は生活時間の大半を学校で過ごします。だからこそ、学校は、自殺リスクや精神不調を早期に発見するために最適な場所であり、支援の手を届けやすい場所でなければならないと考えます。 特に、いち早く新潟県がRAMPSを導入したきっかけは、二〇一七年度は、前年の二・五倍となり、十人の中高生が亡くなったことにありました。主に使用する場所は、学校の保健室で訪れた児童生徒にこのソフトが入ったタブレット端末を手渡し、まず示される十問程度の質問に答えていきます。「食欲はあるか」などの比較的答えやすい質問から始まり、徐々に「生きていても仕方がないと考えたことはあるか」や「自分で自分を傷つけたことはあるか」といった質問に変わっていきます。次に、この結果を基に、精神不調のリスクが疑われる児童生徒に対しては、養護教諭やスクールカウンセラーがタブレット端末に示される質問を児童生徒にしていきます。内容は、最初に答えてもらった十問程度の回答結果に応じて変わっていき、たとえば「生きていても仕方がないと考えたことがある」と答えた子どもには、「死んでしまいたいと思ったり、眠ったまま二度と目が覚めなければいいと思ったことがあるか」や「死の準備をしたり、自殺しかけたことがあるか」などと、さらに踏み込んでいきます。そして、最後に、タブレット端末上に自殺リスクが三段階で示されるというものです。 このソフトを活用することで、踏み込みにくい質問でも気軽に話せる雰囲気をつくれるほか、教諭の知識や力量、個人的経験値にばらつきがあっても、やり取りの質を担保できるものとなっております。また、紙媒体ではなく、タブレット端末を活用するメリットとして、タブレット端末の使用は児童生徒には既になじみがあること、そして、児童生徒が「はい」や「いいえ」の選択をするまでにどれだけ迷い、どれぐらいの時間をかけていたのか、回答時間も把握でき、心の葛藤や揺れ動きも把握することができるというのです。結果はクラウドシステムを介してその都度収集・保存され、即時的に学校教員にフィードバックされますので、自ら不調を訴えられない、場合によっては保健室に行けない児童生徒が不調を表現するための一つのツールにもなり得るのであります。そして、自殺リスクを客観的に評価し、可視化することで、必要に応じて、担任の教諭や保護者、医療関係者、関係機関とも協力することができ、早期の適切な支援につなげていくことができます。 既に活用している学校では、全く問題ないと思われた子どもの自殺リスクが明らかになったり、何となく心配と思われてた子どもが、実際には自殺の計画まで立てているほど深刻だったりしたケースがあったということであります。また、養護教諭の方でも、客観的で明確に可視化された結果に基づき保護者に説明ができるので話がしやすいとの声や、児童生徒からも、「死にたい気持を初めて言えた」「あえて聞かれないと言えなかった」との声もあったそうであります。児童生徒の心の不調を掌握し、自殺リスクを見つけるための評価システムである精神不調アセスメントツール(RAMPS)を活用することについて、教育長の所見をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議員) 教育長。 ◎教育長(伊勢和彦) お答えいたします。 児童生徒の精神の不調は、議員がおっしゃられるとおり、自殺という選択につながることがあると考えます。そのときの心理状況は、ひどい孤独感、自分自身に対する無価値感、強い怒り、苦しみが永遠に続くという思い込み、心理的視野狭窄があります。そして、その思いを誰にも言えず、これは本当に議員がおっしゃったとおりなんですが、抱え込んでいることがほとんどです。 今回紹介いただいたタブレット端末やスマートフォンを活用して精神の不調を早期に発見するRAMPSのようなシステムは、児童生徒にとって容易に回答することができるため、非常に有用なシステムであり、児童生徒の精神の不調を早期にキャッチすることができ、自殺防止対策には極めて重要であると教育委員会としては考えております。 また、奈良県教育委員会では、全ての小中学生に「人権を確かめあうアンケート」を十二月に実施しております。これは、不登校等の原因にもなり、自死にもつながりかねないいじめや人間関係、相談できる人の有無などに関する調査です。さらに、一月には、希望する学校に対して「こころと生活等に関するアンケート」を行っています。議員がおっしゃられたとおり、タブレット端末の整備が全国的に進みましたが、奈良県は、全国でも珍しく、全ての小中学生と教員にグーグルアカウントが配布されています。いま申しましたこの二つのアンケートもオンラインで実施されています。 議員から御意見があったように、子どもたちを守るための具体的な方策をこれからも重要と考え、研究していくことは、教育委員会としてはぜひ進めていきたい。そして、本市において、本教育委員会は、前述した二つのアンケートの活用、フィードバックの充実に加えて、RAMPSの試行的な導入も含め、自殺防止対策についてさらに検討を進めていき、昨日市長がおっしゃられた子どもたちを守る天理市でありたいと考えております。貴重な御意見ありがとうございました。 ○議長(大橋基之議員) 寺井議員。 ◆十番(寺井正則議員) ありがとうございます。このRAMPSについて、大変有用なシステムであるという見解も示していただきました。また、具体的な方策を進めていきたいというふうに前向きな答弁を頂いたと理解いたします。子どもたちを守る天理市でありたいという見解も頂いております。 私、先ほども申し上げましたけども、児童生徒は生活時間の大半を学校で過ごしております。だからこそ学校は自殺リスクや精神不調を早期に発見するために最適な場所でなければならないと思います。そしてまた、支援の手を届けやすい場所でなければなりません。自殺リスクを客観的に評価し、可視化することで、必要に応じて担任の教諭や保護者、医療機関とも共有することができ、そして、早期の適切な支援につなげることが大変重要なことであるというふうに思っております。 教育長申されたとおり、子どもたちを守る天理市でありたいという思いを実現していただけるように、またこういった施策についても真剣に取り組んでいっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(大橋基之議員) 次に、十二番、村木敬議員。     〔十二番 村木 敬議員 登壇〕 ◆十二番(村木敬議員) それでは、十二月の議会の一般質問をさせていただきます。九項目にわたってさせていただきます。よろしくお願いします。 一つ目、女性の生理用品について。生理の尊厳を尊重する天理市へ。 経済的な理由から生理用品を購入できない状態を生理の貧困と呼んでいます。コロナ禍では、家計が苦しくなった女性、バイトがなくなった女学生など、様々な経済的困窮で生理用品を購入できず、取替えの回数を減らしたり、ほかのもので代替したりと、衛生的には問題のある対処を余儀なくされたとの調査がありました。現在、物価高騰が家計を直撃して、さらにこの状況が悪化していないかと危惧されます。このような生理の貧困はこれまでにもあったと考えられます。また、いまこのように生理の貧困が顕在化したことは遅きに失したとも考えられます。なぜこのことがここまでなおざりにされてきたのかを問わなければなりません。それは、生理に対する認識の貧困がもたらしたものではないでしょうか。 新婦人新聞の記事に、「文科省は十一月十六日、参院文教科学委員会で、公立高校の入試の受験日と生理が重なった生徒に対し、追試は可能とする通達を年内に都道府県などに出す考えを明らかにした。病気や事故などを理由とする追試要件に生理による体調不良が加わる」と書かれていました。公平でなければならない入試で生理による体調不良が考慮されていなかったことは、まさしく生理に対する認識の貧困ではないでしょうか。さらに、十代の女性の将来がかかった入試に際して、生理での体調不良によって不利な立場に立たされることは構造的な差別です。 生理は、科学的、生物学的には、人類の種の保存のための生殖に関する重要な現象です。この生理の生命現象に対する認識を改め、生理の貧困から生理の尊厳へと、いまこそ天理市においても踏み出すべきです。 そこでお尋ねします。生理の尊厳には、学校、公共施設、駅などのトイレに、天理市が予算化して、トイレットペーパーのように生理用品が置かれるべきだと考えますが、市長の認識をお伺いします。 二点目です。金融、中小企業・個人事業主に対する融資についてお伺いします。 資金繰りに困っている中小企業・個人事業主対策について、九月の経済産業委員会でも質問させていただきましたが、コロナ禍で実施された中小企業に対するいわゆる無利子・無担保のゼロゼロ融資が返済期日を迎え、中小企業・個人事業主は資金繰りに困窮しているのではないかと危惧されます。また、いま、コロナは五類になりましたが、原材料の価格が急騰し、中小企業・個人事業主はそれを商品などの価格に転嫁できずに、収益を圧迫しているのではないかとも危惧されます。過去の負債の返済と現在の収益を圧迫する原材料の高騰の負担、この二つの負担の軽減策がいま求められているのではないかと考えます。 ゼロゼロ融資は、現在、新規には受け付けられず、借換えのみが実施されているとのことです。また、ゼロゼロ融資の条件がこれまで有利だったので、天理市の行っていた中小企業・個人事業主への融資は申込みが少ない状態であったと担当部署の職員の方から聞いております。ゼロゼロ融資の新規貸付けが行われていない現在の状況では、天理市が中小企業・個人事業主の融資資金需要に応えなければならないのではないかと考えます。 そこでお尋ねします。コロナ禍の社会混乱が少し落ち着き、社会経済活動が以前に戻りつつあるように表面的には見える現在、中小企業・個人事業主への相談体制の強化、また、金融対策が必要であると考えますが、どうお考えですか、お聞かせください。 最後に、少し非課税世帯の方のことになるんですが、七万円の給付金支払いについて、今年中にとの市長や関係部局の方々の対応、御尽力に心から敬意を表します。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、次に参ります。三、インボイス制度について。 十月から始まったインボイスの影響について、二〇二三年六月の天理市議会第二回定例会で、決議案第四号として、インボイス制度導入の延期・見直しを求める意見書が採択・可決されました。中小企業・個人事業主の方々に寄り添った決議案だと思いました。しかしながら、願いかなわずに、十月一日よりインボイス制度が施行されました。残念です。しかし、諦めず、声を上げなければと考えています。 まず、そもそも消費税の実質は付加価値税であり、人件費や利益などに税金がかかってきます。その結果、事業者は人件費の圧縮をします。政府が行ってきた労働法制の緩和と消費増税が車の両輪となって雇用の破壊を招き、現在のコスト型経済の日本の疲弊を生んでいます。その一方で、大企業が五百兆円を超える内部留保を蓄え、輸出大企業が約一・九兆円に達する消費税の還付金を受け取っているとの推計値があります。 さて、インボイス制度が十月一日から始まりました。これまでは、消費税の逆進性を考慮して、それを緩和するために免税制度が設けられていました。この免税制度がこれまであったのは、憲法二十五条の生存権の規定に理念があると考えます。すなわち、税制度においては、応能負担の原則として、累進的に税の負担を決めることが最低限の生活を保障することにつながるからです。 具体的に申しますと、一千万円以下の売上げの零細中小業者・個人事業主は、これまで消費税免税事業者でした。しかし、インボイス制度が始まった現在、インボイスがなければ、仕入れなどで消費税として支払った額を税額控除できなくなります。すなわち、免税事業者と課税取引をした事業者はインボイスをもらえないので、仕入れ等税額控除ができなくなります。ここがいままでと違います。この損失をどこが負担するのかをめぐって混乱が起こると考えられます。たとえば商品売買について考えれば、免税事業者が負担するなら売値を値下げせざるを得なくなりますし、免税事業者の相手方が負担するなら買値が値上げになります。この負担が取引の力関係によって決まれば、弱い立場の事業者にしわ寄せが行きます。さらに、取引の力関係で、税額控除をしたい取引先の求めに応じ、零細業者が取引を継続してもらうためにインボイス登録をすれば、課税事業者になるので、消費税分が業種によっては一か月分の利益に相当し、その利益が失われることも起こります。 政府は、激変緩和策として、段階的に、三年間は免税事業者との取引についても八割は税額控除を認め、その後、三年間の免税事業者との取引についても五割の税額控除を認めています。また、免税事業者がインボイス発行のため、インボイス登録をして課税事業者になる場合も、条件はありますが、課税売上げの二割の消費税でよいとする特例が、今年も含め、四年間は適用されます。しかし、激変緩和策の後には、重い消費税の痛みや苦しみが襲ってきます。インボイス登録をしなければ取引してもらえない零細中小企業・個人事業主は、重い消費税の負担を強いられ、廃業に追い込まれ、路頭に迷うことになります。現に、日本のポップカルチャーを担う人たちもその危機に立たされています。以上のことから、インボイス制度は弱い者いじめであり、憲法二十五条違反だと言わざるを得ません。 そこでお尋ねします。現在、天理市では、上下水道事業と補助金拠出団体の天理市シルバー人材センターが、いま問題になっているインボイス制度によって免税事業者との取引が発生する、またはその可能性があるとのことですが、どのように対応されていますか。また、これからどのように対応されますか。もしそのほかにもそのような取引があるのなら、併せて教えてください。以上、答弁を求めます。 次に、四番目として、図書館に教科書を常設展示することについて。子どもたちが学ぶ教科書をよりよいものにするための提案としてお話しさせていただきます。質問させていただきます。 義務教育で使用される教科書は、一九六三年から一九六九年にかけて、義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律によって順次無償配付されました。これは憲法二十六条の具体化であり、国の責務であります。教科書の選択は、学校で使用する教科書を決定することであり、その権限は、公立学校で使用される教科書については、その学校を設置する市町村や都道府県の教育委員会にあります。今年の天理市での採択を見学しましたが、公開の場で厳粛に採択が行われていました。 さて、教科書は広く市民の皆様に公開されることによって、子どもたちの学びのためのよりよい教科書とすることができると考えます。そのためには、図書館で教科書を常設展示することが役立つと考えます。また、公開されることによる市民の意見、特に保護者の意見が教科書採択に反映されることが望ましいと考えますが、どうお考えでしょうか。 次に、五番として、奈良県県域水道一体化について。奈良県県域水道一体化に関する法定協議会について、今回の議会に意見書として提出した奈良県広域水道企業団設立準備協議会(法定協議会)の情報公開を求める意見書(案)に基づいて一般質問させていただきます。 山下知事は、七月二十一日に行われた法定協議会において、水道料金の一体化、二〇二五年からの一体化の開始についてこだわらないとの見解を披露したと聞き及んでおりましたが、今回、十月五日に行われた法定協議会についての天理市の報告では、統合形態は事業統合、統合時期は二〇二五年四月、料金統一は統合当初から実施(例外としてセグメントを実施する)。これは多分大淀町の水道料金のことではないかと思います。以上三点の枠組みの維持が確認されたとのことです。その上で、これから検討する論点として、統合後の水道料金について、見直し期間を従来五年としていたのを三年とする。また、あらかじめ企業団規約に料金の考え方、算定方法等を明記しておく。企業団への途中参加を認める場合の諸条件について早急に整理する。企業団に参加しない団体への用水供給率単価について早急に整理する。企業団議会の議員定数について、公平性の観点から、給水人口を考慮した定数とするとの四点が示されたとのことです。これらが水道事業の一体化の現在の議論です。 しかしながら、第二回の法定協議会は非公開で行われています。水道事業が、本来、基礎自治体の任務であり、基礎自治体の住民自治そのものであるとの認識に立ったとき、その任務や自治を投げ捨てることにもなる水道事業の一体化の議論が住民や議員に非公開であるのはあまりにも民主的な手続を逸脱しているとの非難を免れないのではないでしょうか。さらに、議論の前提である一体化での水道料金の積算根拠はいまだ不明のままです。山下知事は、情報公開を積極的に進めると就任式で述べていたはずです。現に、前例として、大阪都構想の法定協議会では、全ての会が開催告知され、市民も自由に傍聴可能で、動画、議事録、配付資料、全てウェブ公開されました。住民にとって、その自治が遠ざかるかもしれない議論が、いま断片的にしか知らされていないこと、また、「由らしむべし、知らしむべからず」との体で行われていることは、適正な手続であるとは言えません。 そこで、民主的で適正な手続を求めて、一、水道料金の積算根拠を公開すること、二、参加者、会議資料、議事録など、全ての資料をウェブ公開すること、三、傍聴を可能とし、マスコミフルオープンとすること、四、協議の内容は、広報紙やホームページ、説明会などを通して、随時、住民に知らせること、以上のことを市長に法定協議会で働きかけていただきたいのですが、御見解を伺います。 六番として、ファシリティマネジメントについて質問します。天理市民会館、学校、公民館などに絞ってお尋ねします。 天理市は、ファシリティマネジメント、訳して公共施設等総合管理計画で、これからの公共施設の在り方を考える政策を推進しようとしています。いくつかの論点について質問したいと思います。 まず、建築的な論点です。天理市民会館と市内の全ての学校は、耐震補強が必要なものについては耐震補強工事などが既に行われ、公民館については、山田公民館、祝徳公民館を除いて、耐震診断の結果、安全確認され、地震対策については安全であると考えてもよろしいのでしょうか。これまでの説明では、建築的な寿命が到来する時期を定例会などでお示しいただき、これからのことをどうするかお考えのようですが、コスト的には、長寿命化するほうが財政的には優しいのではないでしょうか。さらに、長寿命化の工事は規模が小さく、継続的にできるので、地元中小工務店などに発注して、地域経済にも貢献するのではないでしょうか。いずれも公共施設は天理市の貴重な財産です。もし長寿命化ができないとするなら、その調査結果を複数の専門家に科学的に検証していただき、市民の皆さんの理解を得るべきです。 次に、学校教育の論点です。少子化で生徒数が少ないのなら、まず、少人数学級の導入に踏み出し、教育環境の改善、教員の労働環境の改善などを推し進め、豊かな教育環境で子育てしやすい環境をつくるべきではないでしょうか。 次に、社会教育の論点です。公民館は社会教育法に基づいて設置された社会教育機関です。地域住民の生涯にわたる学習権を保障する存在です。それは、地域の人たちの活動の場所となり、それが地域の活性化にもつながっています。人生百年時代にはぜひとも必要な施設です。さらに、非常時には、祝徳公民館、山田公民館を除き、防災拠点としての役割も果たします。 次に、芸術・文化の論点です。天理市は音楽芸術に秀でた都市です。日本のみならず、世界的な音楽家を育んだ都市です。我が天理市には音楽芸術を愛する天理市民の力があるのだと考えます。声楽家にとって体が楽器であるように、また、器楽奏者にとっての楽器が自分の体の一部であるように、市民会館は、音楽を愛する天理市民にとっては楽器なのです。声楽家が楽器である体を大切にするように、器楽奏者が自分の体のように楽器を大切にするように、天理市民は市民会館を大切に思ってきたのです。天理市民会館は天理の音楽芸術文化に必要な存在であると考えますが、御見解をお願いいたします。 次に、地域での公共施設の役割、存在についての論点です。公共施設は、存在自体が地域の共同体の象徴であり、共同体のよりどころです。また、地域の共同体を守るとりででもあります。その存在がなくなることは、地域共同体の衰退につながります。 以上、五つの論点についての見解を求めます。 次に、(仮称)子ども応援・相談センター~ほっとステーション~について質問します。 学校教育と行政の関係について質問いたします。学校の主人公は子ども、先生、保護者です。まず、保護者からの意見は、学校運営上、有意義なものは、その意見を参考にして、よりよい学校にしていくのが本来の姿ではないでしょうか。それが苦情の場合でも、第一には学校が対応することが主体的な学校運営の上では必要なはずです。そこへ行政が第一に乗り出すのは、その主体性を奪うことになります。学校からの要請があれば、行政が関与して問題に対応すればよいと考えます。また、「子ども応援・相談センター」という名称からは、子どもの相談を聞くところなのかと一般には受け取られるのではないでしょうか。むしろ「保護者応援・相談センター」というほうが実態を表しているのではないでしょうか。そこが誤解を与えるような気がします。お考えをお聞かせください。 以上、答弁を求めます。 次に、八として、天理市が若者の個人情報を自衛隊に提供していることについて質問します。 天理市が、十八歳と二十二歳の若者の住所、名前の個人情報を自衛隊に本人に無断で紙媒体の名簿を提供していることは憲法十三条に違反すると考えます。以下、その理由を述べます。 昨年十二月十六日に閣議決定された、いわゆる安全保障三文書により、自衛隊は専守防衛を投げ捨て、敵基地攻撃能力を持つに至りました。憲法第二章、戦争の放棄に規定されている憲法九条に明らかに違反しています。一片の閣議決定で憲法の解釈改憲を行うことは、憲法の最高法規性を無視した暴挙です。日本は再び戦争ができる国づくりに向かっています。その人的基盤を担うのが自衛隊です。明らかに専守防衛の自衛に徹した自衛隊から変貌した軍隊です。その自衛隊に天理市の青年の個人情報である紙媒体の名簿を本人に無断で提供していることについては、少なくとも本人の同意を要件にするべきです。 天理市の十八歳、二十二歳の若者の住所、名前の個人情報を自衛隊に無断で紙媒体による名簿提供は、防衛省、総務省の地方自治法二百四十五条の四の一項に基づく技術的助言としての通知に従って行われていると聞いています。また、自衛隊法九十七条、自衛隊法施行令百二十条を法的根拠に、住民基本台帳法十一条に基づいてその名簿提供が依頼されたとも聞いております。さらに、今年四月一日付での個人情報保護法の改正により、同六十九条の規定による法令に基づく場合に当たれば本人同意の必要はないとの個人情報保護委員会の見解が示されたとも聞いております。 しかし、住民基本台帳法は、二〇〇六年の改正に伴い、個人情報保護の観点から、記載の情報を原則非公開としています。例外として、同法十一条一項で、国の機関が法令で定める事務の遂行のために必要である場合には閲覧が可能とされています。このことから、自治体、すなわち天理市が名簿提供することは、国の機関、すなわち自衛隊が閲覧することとはその要件が異なるので、住民基本台帳法では定めのない個人情報の外部提供という法外なことになります。ゆえに、自衛隊法九十七条、自衛隊法施行令百二十条を法的根拠に、住民基本台帳法十一条に基づいて天理市が名簿を提供することは、適法を担保するものではありません。また、六十九条の法令に基づく場合にも該当しません。 以上のことから、十八歳、二十二歳の若者の個人情報は、憲法十三条が保障するプライバシーの権利であり、天理市が行っている十八歳、二十二歳の若者の個人情報を自衛隊に本人に無断で紙媒体の名簿で提供していることは、憲法十三条に違反すると考えます。市長はどのようにお考えかお尋ねします。また、防衛省、総務省の通達はあくまでも依頼であり、義務ではないことも申し添えておきます。 以上、答弁を求めます。 最後に、九番として、二〇二三年三世代同居・近居住宅支援事業について質問します。 令和三年度、三世代同居・近居住宅支援事業実施要綱に基づく追加の一般公募と追加支給をすることについてお尋ねします。 本市は、二〇二三年八月申請のあった二〇二一年度の三世代同居・近居住宅支援事業実施要綱に基づく住宅助成金二十万円を二〇二三年度予算により遡及交付しました。これは、二〇二一年度において申請書を不受理としたものを、二〇二三年度に理事者への直接の意見具申があり、それを受けて精査した結果、二〇二一年度の不受理の判断は著しく合理性に欠け、運用方法が公平性に欠けていたと判断したためとされています。したがって、このような判断をしたのであれば、公平性を確保するために、二〇二一年度については、改めて追加の一般公募を行い、追加支給をするべきです。市長はこれについてどのようにお考えでしょうか。お尋ねします。 以上、九項目について質問させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) ただいま村木議員より九項目について一括で御質問を頂きました。七番目の(仮称)子ども応援・相談センターにつきましては教育長より、そして、そのほかのものについては私から順次お答えをさせていただきたいと存じます。 まず一番目の生理の貧困対策、これは非常に重要だというふうに考えておりまして、これまで備蓄物資として市が保有しているもののうち、消費期限が近いものを活用して無料配布というのを行ってきておったわけですが、議員から御指摘の状況というところも市も重く受け止めまして、生理の貧困対策として、小学校、中学校、児童館などの施設を中心に、皆様に気軽に利用いただけるよう、来年度、予算措置も含めて対応していきたいと考えております。 次に、中小企業・個人事業主の皆様に対する対策ということであります。市内の事業者におかれては、コロナ禍において利用が集中いたしましたセーフティネット保証制度や県支援によるゼロゼロ融資の返済期限を迎えられている方も多く、物価・エネルギー高騰の影響も重なって大変苦しい状況にあるというのは全く御指摘のとおりであります。本市では、昨年度から今年度にかけて、国の制度融資を受けられた市内事業者を対象に、事業継続に向けた支援金を給付したほか、エネルギー高騰対策に対しては、国の支援が行き届いていなかったLPガス使用事業者に対する支援事業も実施をし、対応してきたところであります。 御質問いただいた事業者向けの融資制度に関しましては、国が緊急的に実施していたセーフティネット保証制度四号の新規受付が終了し、同制度内の借換えのみが対象となったほか、同五号については、対象が全業種から元の指定業種のみに戻るなど、コロナ以前の制度体制の回帰の方針というのが見られているわけであります。こうした状況を受け、市融資制度に対する需要が高まっておりまして、令和二年度の九件から、令和三年度では四十二件、令和四年度には七十三件と、年々増加をしています。コロナ禍が始まった令和二年の上旬からは、制度内での借換えを認め、第五類への移行に併せてこれが終了したところでありますが、それ以降も、おおむね計画どおり、返済は市の融資制度に関しては進めていただいておりまして、借換え制度の終了についてのお問合せ等は現状では頂いてはおりません。 市融資制度では、奈良県信用保証協会及び市内金融機関との連携の下、融資利率に対する二分の一の補給に加え、本来であれば事業者が御負担いただく保証料を全額負担することで、事業者の大幅な負担軽減と、金融機関のリスクの低減による円滑な貸付けを実施しております。今年度は信用保証協会等とも協議を重ねまして、事務手続の見直しを進めたことで、融資の申込みから決定までの日数も大幅に短縮することができたため、事業者のよりスムーズな資金繰りを支援することができる状況となりました。 今後も、市内事業者の皆様の状況や国の動向を注視しながら、関係機関と連携し、適切な金融支援が行えるよう取り組んでまいります。 続きまして、インボイス制度についてであります。 まず、本市の上下水道局でありますけれども、取引事業者に対してアンケートを実施いたしました。結果、回答があった事業者二百五十五件のうち、インボイスに対応済みと回答された事業者が九五%に当たる二百四十二件でありました。また、令和五年十月及び十一月の二か月間、課税取引総額二億八千万円であるわけですが、このうち九九・五%がインボイスの対応がされた取引でありました。まだインボイスが導入されて二か月という状況でありますが、議員からも御指摘があった、向こう三年間は仕入れ税額の八割、その後の三年間は五割を納税額から控除できるという経過措置もございますので、現状では上下水道局には大きな影響は生じてはおらん段階であります。ただし、今後、インボイス未対応の事業者との取引については、インフラの維持に必要となる緊急や夜間の工事に対応していくため、地元事業者の皆さんをしっかりと守っていくことが重要であると考えておりまして、その取引を回避することは考えておりません。独禁法に定める禁止条項にも抵触をするおそれがあることから、インボイス未対応の業者に対し、消費税相当分の値下げ交渉を行うことも考えておりません。経過措置もあることから、控除できない消費税については上下水道局で負担をしていくという方針を現状では考えております。 次に、シルバー人材センターでありますが、同センターの会員のほとんどが免税事業者でありまして、個人事業主と同等の扱いであることから、インボイス制度の対象とはなっております。同センターでは、会員にインボイス制度の負担を強いることは、高齢者の社会参画という本来の設置目的を妨げることになりかねないということでありまして、公益社団法人という性格から、同センターが負担をすることは難しいため、十月以降は、増加する消費税相当分は、これは発注者負担という形で対応しております。しかしながら、現在のところ、発注者の皆様から理解を得られており、これによる発注減少等の影響は見られないという報告を受けております。引き続き同センターの運営状況を把握して、インボイス制度の影響については注視をしてまいります。 続きまして、図書館に教科書を置くことについてであります。 例年、五月から六月にかけて、天理市立小中学校の採択予定の教科書の見本展示というのを行っておりましたが、令和二年度からは、コロナ対策で密を避けるために蔵書を分散配置していたために、これが中断をしておりました。しかしながら、来年度より、通常どおり、この同時期において教科書の見本の展示を再開する予定となっております。ただ、本市の図書館は相当手狭でございまして、ずっと置いておくということになると、なかなかほかの図書との関係が難しいという現場の声もあることから、常設展示については教育総合センターの方で行っていきまして、そこで閲覧をできる状態を確保したいというふうに考えております。 次に、県域水道の一体化についてでありますが、市民の皆様にとって水道はなくてはならない重要インフラでありまして、適切な情報公開は必要不可欠であるというふうに考えております。これまでも一体化に向けた会議の場で、私からも透明性や公平性が担保された議論が重要であるという意見を機会があるごとに申し上げているわけでありまして、それで、議員にも、いまこんな状況ですよということを共有させていただいているわけですが、その共有を続けることはもちろん、やはり透明性、公平性を担保した議論をということは言い続けていきたいと考えております。 続きまして、ファシリティマネジメントについてであります。 主に市民会館、学校、公民館について言及を頂きました。まず市民会館についてでありますが、これが本市における芸術、音楽、文化の拠点であることは、まさにおっしゃるとおりでありまして、私もこのクリスマスイブに予定をされている第九の演奏会、こちらに参加をする予定でありますので、やはりそういった皆さんがいかにこの場所を大切に思ってくださっているか、その他、パフォーマンスフェスティバル等もございますが、常々感じているところでございます。 ただ、一方、近年の利用状況としましては、文化センター、こちらは三百人が収容人数でありますけども、こちらで収容できる行事というのが多くなっているという状況もございます。市が直接関わっていて、三百人を超える規模のものというのは、以前でしたら戦没者追悼式とかもあったんですけれども、大分人数が減ってまいりまして、いまは二十歳の記念式やパフォーマンフェスタ等で、そのほかということになりますと、主に市内の学校関係の皆さんの定期演奏会等が多い状況でありますが、ただ、先ほど申し上げたとおり、第九等、有志の活動もあるところであります。 しかしながら、この建物という点でございます。平成十六年に耐震補強したものの、老朽化が残念ながら進行してしまっております。先日、専門の事業者に当時の耐震診断時のデータを基に躯体の劣化度を確認いただいたところ、これから長寿命化するには、これは無理がある建物であるという結果でございまして、今後、耐用年数を迎えての長期継続利用は難しいということが判明をいたしました。長寿命化をすれば、安価で長く既存の施設を利用できると思われがちでありますが、政府が定めておりますこの長寿命化というのは、建物の躯体の骨組みだけぐらいの状態にして、壁や屋根は一新させるというのが長寿命化でございまして、費用は、新築と比べれば安いんですけども、おおむね七割程度はかかるということでありまして、また、この七割の費用を投じて長寿命化しても、建物の年齢がゼロ歳に戻るというわけではないというのが状況であります。ですので、議員がおっしゃるとおり、その劣化度調査をほかの方にたとえば見ていただいて、「まだ使える可能性あるじゃないか」と言っていただければ、我々としても大変うれしいと。ですので、もし本当に使えるのであれば、ぜひそういった見解なども寄せていただきたいところなんですが、ただ、現状では、書面の時点でも、これは駄目だというふうに言われてしまっているのが事実であります。 この点につき、建て替えについても、私も何とか守っていけないかという気持は全く同じでありまして、この議会の中でも、そういった気持を持っておられるほかの議員が民間手法も導入して改築することは可能かどうかという自主提案も寄せていただいたことがあったんですけれども、結果的には、やはり本市では採算性の観点からは、民間資本でホールの部分は下げられるというのは難しいと。ですから、土地の一部にほかの民間施設を建てるとかということは考えられても、ホールの要素については公費で対応いただかないといけないと。近年の建築単価の高騰というところを考えれば、少し前でしたら三十億円前後ぐらいで建てているところもありますけども、四、五十億円とか、相当の金額は確保しないといけないだろうと、こういうことでありました。そして、市民会館の建て替えというところは、残念ながら、有効な起債や補助も特にございませんので、これをもし建て替えるということになりましたら、それだけの額を本市が負担できるか、ここに全てはかかっているわけでございます。 そうした中、今後の子育て関係や扶助費などの福祉関連を中心に、やはり経常経費がどんどん高まっていく。そして、小学校をはじめとする他の公共施設の更新の必要性も出てきておりますので、これを総合的に考えた上で、できるのかどうか。我々も、文化・芸術の場を確保することが重要であるという認識は当然あるんですけれども、ただ、これがもし五十億円前後という話になってしまうと規模が大き過ぎると。学校をたとえば諦めて、そっちを最優先にするとかということになれば、それは可能性はあるかもしれませんけども、それはやはり優先順位からしたらいかがなものかというところが率直に苦しい胸の内であります。 そういった中、たとえば文化センター、これは規模は小さくなりますが、そこで音楽の音響なども十分ではないという指摘も頂いておりますので、そういった機能を少し強化するとか、それは建物を建てることと比べれば、内装を充実させるとかピアノを買うとかというのは全然金額の桁が、一桁どころか二桁ぐらい違いますので、あるいは民間施設の活用であったり、近隣市町村との連携も含めて、いますぐに市民会館をどうこうしたいというわけではないですけれども、耐用年数というところに向けては、やはり今後の対応を検討せざるを得ない状況だということであります。 そして、学校の方です。これも全国的には統廃合の議論が進んでしまっている。奈良県内においても、多くの自治体で統廃合の議論が進んでいる。しかし、本市では、これまで校区を中心に地域コミュニティが形成されたということを踏まえて、子どもたちを育成することを中心に、多世代の交流拠点を学校に集約していくことで、小規模だけれども、地域連携型の学校として守っていけないだろうか。これがいまの考え方であります。文科省の定義に沿えば、おおむね十二学級を下回るのは小規模校ということになりますので、率直に前栽小学校以外は全てが小規模校という状況になっていくわけですが、しかし、だからといって、単純に数で合わせて統廃合をすりゃいいという思いは全くございませんで、小規模なんだけれども、地域のため、子どもたちのためになる学校の今後の在り方はどうなんだということを真剣に考えていきたい。 ただ、先ほどと同じ建築という点でいきましたら、耐用年数を迎える学校の状況、これは市民会館と同じく、耐震化当時のデータを基に劣化度を確認したんですけども、こちらもやはり建物としては駄目だと。ですので、トップバッターとしては、山の辺小学校、そして柳本小学校の東校舎ということになるんですけれども、物理的には使えなくなっていってしまうと。そういった中で、どうすれば本市のやりくりがしんどい状況で、この有利な補助金の活用も含めてやれるんだろうということを文科省の方にも確認に行きました。そうすると、学校というのは地域の中でやはり防災の拠点にもなる重要な部分であるので、社会教育、生涯教育、あるいはいろんなホール、そういったものと機能を複合化して統合する場合には、より有利な補助金もあるよと、こういったことを御教示を頂いたわけでございます。この小規模の地域連携型の学校としてであっても、今後二十年ほどのうちに更新時期を迎える学校を全て残していくというのは極めてハードルが高い。だけれども、何とかそれに挑戦できないだろうかということをいま我々は考えているわけでありまして、そうすると、必然的に学校以外のほかのものまで手が回らない状況というのは、これは認めざるを得ないわけであります。 そこで、公民館という点については、社会教育の場、生涯教育の場として非常に重要であるのは全く同じ意見であります。特に高齢化が進む中で、高齢者の皆さんが生き生きと活動いただいて、地域でより集まれる居場所がある。これは、健康寿命の延伸の点でも非常に大事だ。だけれども、学校を残すので手いっぱいで、公民館に手が回らないぞという状況になってしまった場合に、使えないからといって活動がなくなってしまう、こういった状況は何としても避けたいということで、いま、学校施設も有効に活用しながら、どうすれば公民館でいままで育んでいただいた活動を続けていけるのか。しかも、それが単に続けるという観点だけでなく、子どもたちとも一緒に学ぶ中で、より楽しい、たくさんの方が参加いただけるような、双方にとってプラスになるような道はないのかということを考えているわけであります。 ただ、その中で、教員の皆さんの負担を増やす状況ではないというのは、そのとおりでありまして、ゆえに、先進自治体の視察に行って、授業における学校教育を一部、学童やアフタースクールを二部、ほかの地域活動を三部という形で、きちんと先生方の責任の範囲をもう少し、もう一度再定義する。授業における子どもたちに向き合えることに先生方がそれが可能な環境というのを整えていこうと、こういったことでいま検討を進めております。 いま申し上げましたことは、タウンミーティングでの今年の主要テーマでございまして、先般から区長連合会等で申し上げておりますが、引き続き、学校運営協議会、市のPTA協議会も含め、幅広い市民の皆さんに問題提起をしていきまして、守るべきは活動だ。大事にしていただいた活動をどうやって一緒に守っていけるんだろうか。これを御相談していきたいというふうに考えております。 時間の関係で、少し短めに答弁をさせていただきます。 自衛隊の方に若者の個人情報を提供していることについての法的根拠の考え方、防衛省人事教育局と総務省自治行政局からの通知については、これは議員がさっきおっしゃっていただいたとおりなので、くり返すことはいたしません。そこの法令の定めるところという読み解きをどうするかというところで御指摘があったと思うんですけれども、閲覧と紙で渡す部分で違うじゃないかという御指摘でありましたが、基本的には、やはり個人情報を共有できる状態であるということがよしとするのか駄目とするのかということが一番なんだと思っております。閲覧はできるけど紙では渡しませんというのは、実際そういう自治体があるのも知っておりますが、ひたすら書き写しておられるだけでありまして、無駄な作業を強いているということ以上でも以下でもないというふうに思っております。 ただし、それが、もし今後司法の場で、議員がおっしゃるようにこれは違憲だと。政府からはこういう見解が示されておるので、我々はそれに基づいてやっておりますけども、違憲だという判断が示されたならば、当然そちらに従うということは申し上げたいと思いますし、やはり本人の意思で拒否できる機会を設けることというのは個人情報保護の観点からも重要だというふうに認識をしておりますので、対象年齢の氏名、情報を提供するということを事前告知した上で、情報提供を望まない方からは除外申請の受付というところを行っているわけでございます。ただ、令和四年、五年は除外申請はなかったということでございますけれども、それは引き続きしっかり対応できるようにしていきたいと思います。 三世代同居支援、これは議員が完全におっしゃるとおりですので、ほかにも当該年度で我々の運用によって対象にならなかったという方がいれば、これは救済しなければならないということで、広報紙やホームページにおいて遡及して対応できるようにいたします。 では、教育長からの答弁、あと一項目させていただきます。 ○議長(大橋基之議員) 教育長。 ◎教育長(伊勢和彦) 子ども応援・相談センターではなくて、保護者応援・相談センターの名称がいいんじゃないかと言われました。なるほどと思いました。ありがとうございます。保護者も応援したい、そして教職員も応援したい。それが子ども・子育てを応援することにつながると改めて考えました。いまの意見をこの二十五日にある定例教育委員会でみんなに論議させていただきたいなと思っています。 ただ、その応援センターは、教職員の保護者対応の負担を軽減するという趣旨であることも間違いありません。そこにも申し述べたように、アンケートを教職員に取ったときに、八割の教員が保護者対応に負担を感じている、七割の教員が過去に理不尽なクレームを受けたと感じている。そのために一日以上休んだりした教員が四分の一にわたる。そして、何よりも、今年度、保護者対応が原因で、七月から九月にかけて退職、休職した教員は十二名に上り、その補充が県レベルでもすぐには賄えない。やはり保護者対応の在り方を抜本的に変えることが子どもも教職員も守ることにつながると考えております。 もちろん議員がおっしゃるように、学校現場では日常的に保護者とのつながり、子どもとのつながりが大切でありますし、お互いが安心して、信頼できる関係の中で教育をつくり上げていくことが大切だと考えています。そして、様々なトラブルがあるからこそ、教員と保護者が子どもの成長に向けて何が大切かを一緒に考えていける、そういうパートナーとなることができるんだと考えます。しかし、いったん教員と保護者のボタンの掛け違いが起こると、割合にしてはそんな全ての保護者ではありません。ごく一部の保護者なんですが、解消までにとてつもない時間と労力と精神的な負担が生じます。いま、今週も教育委員会が補い切れないで抱えている案件三件は、夜の十時、十一時、十二時というふうに今週はなっております。教員が子どもに向き合う時間、授業に向き合う時間をつくることが、やはり子どもの授業の保障、教育の保障、そして教員のやりがいにつながると思っています。 残念なことは、経験の浅い、若い教員が育つ前に職を離れていってしまうという事例がここ最近、数件見受けられますし、子どもと親の意見を一生懸命聞きながら、板挟みになって全力で取り組んでいた教員が限界を超えて休んで、現在も休んでいるという状況も複数回あります。やはり行政の役割と学校の役割を分担することが必要ではあると。しかし、問題解決に当たっては、学校として教育相談センターが連携していくと、そういうことが大事かなと思っています。 先日も申しましたように、この取組に対して、十一月に学校運営協議会地域コーディネーターの合同研修会や市のPTAの役員会において現状の方向性を説明して、おおむね理解を頂いているところです。さらに、今月実施します、二十日に学校の管理職、学校教員のリーダーの意見交換会なんですが、これは複数回行っています。さらに続けていこうと思っていますし、この相談センター設立までに、様々な立場の方の意見を伺いながら青写真を固めていきたい。そして、それが学校現場にとってもよりよい取組になる、そんな準備を進めていきたいと考えています。 いま、議員から頂いたように、多くの皆様にこのセンターに対する意見を頂いて、このセンターがみんなにとって意義深いものとなるようにつくり上げていきたいと、そのような決意でおります。どうぞまた御指導、御助言よろしくお願いします。 以上です。 ○議長(大橋基之議員) 制限時間が来ておりますので、まとめでお願いできますか。 ◆十二番(村木敬議員) 質問をちょっとだけしてもいいですか。二つだけ手短に。 ファシリティマネジメントのことなんですが、天理市民会館は、天理市の名誉市民である中山正善真柱の肖像があって、天理教と天理市政の象徴である建物でもあると思います。その意味で、世界的な音楽家もたくさんいらっしゃるので、クラウドファンディングなんかも利用して、そういう天理の市民会館を残していこうという運動もしていただければありがたいと思います。 それとあと一点、名簿のことについてなんですが、最高裁は、学生が大学に提供した名簿についても、このような個人情報が自己が欲しない他者にはみだりにこれを開示されたくないと考えることは自然なことであり、そのことへの期待は保護されるべきであるから、このような個人情報はプライバシーに関わる情報として法的保護の対象となるべきであるという見解を以前の判例で述べたこともあります。そのことも加味して、あくまでもこれは依頼であって、義務ではないので、市長の裁量でできれば早く対応していただければと思います。 以上二点。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) まず、市民会館のことであります。もちろん本市が行っている文化・芸術活動に、いまでもクラウドファンディングや、あるいは企業版ふるさと納税で御協力を頂いているのは、これは事実でございまして、これは数百万円単位には上っているところであります。そのこと自体はとてもとてもありがたいと思っているんですが、やはり数百万円単位でございまして、数十億円単位というところとは金額に相当の乖離はあるところでありまして、そちらに名誉市民である中山正善氏の銅像のお話もございましたが、やはりあの市民会館を建てる際には、当時、相当程度教会本部からの寄附金を頂いておるわけでありまして、その寄附金自体が激減してしまっている現状というところもやはり踏まえざるを得ない。ただし、我々としてどうすれば文化・芸術活動を守っていけるのかということは、これは真摯に考えていきたいと思っておりまして、ぜひいろんなお知恵をお借りしたいと思っておりまして、名簿に関する判例については、これは中国政府の要人が訪日した際の大学における安全確保のための判例というふうに承知をしておりまして、警察方面から警備の都合でそれを取ってくれというふうに言った事例と、政府としては法令に基づきというふうにおっしゃっている部分で、直ちにこの判例が適用されるケースというふうには少なくとも政府は捉えていないと認識をしております。ただし、おっしゃる判例がこちらの方にも適用されるんだという司法の判断が示されるのであれば、もちろんそちらにしっかりのっとっていきたいと思います。 ○議長(大橋基之議員) しばらく休憩いたします。午後一時より再開いたします。             午後前十一時四十二分 休憩             午後一時零分 再開 ○議長(大橋基之議員) 休憩前に引き続き会議をいたします。 引き続き一般質問を行います。 次に、五番、鈴木洋議員。     〔五番 鈴木 洋議員 登壇〕 ◆五番(鈴木洋議員) 議長の許可を頂きましたので、ただいまから一問一答方式で一般質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 本日は、大地震と二次災害に対する防災ということについて、それから、地方創生の観点からの学生支援についてということで質問をさせていただきます。 初めに、南海トラフ大地震の被害想定ということについてでありますが、今日、最も心配されているのが、南海トラフを震源とする広範囲に及ぶ巨大地震の発生ですが、南海トラフ地震は、我が国で発生する最大級の地震であり、その特徴は、極めて広域にわたり強い揺れと津波が発生すること、津波の到達時間が極めて短い地域が存在する、時間差を置いて複数の巨大地震が発生する可能性があること、被害は広域かつ甚大となること、南海トラフ巨大地震になった場合は、被災の範囲は超広域にわたり、被害想定はこれまで想定されていた地震とは全く様相が異なることなどが挙げられます。このため、国、県、自治体及び地域住民など、様々な主体が連携を取って、計画的かつ速やかに防災対策を推進する必要があるとされています。 東日本大震災の教訓を踏まえ、それまでは南海トラフを震源とする大地震については、東南海及び南海大地震を個別に想定していた対策について、国は平成二十五年に、新たに南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法へと改正し、連動型の巨大地震に備える検討がなされるようになりました。言うまでもなく、東海沖及び東南海沖において巨大地震が発生した場合は、関東地方、東海地方、中部地方にも甚大な被害が想定されます。これに加えて、南海道沖において巨大地震が同時、また、小さくない時間差において発生した場合も考える必要があります。南海道沖の広範囲を震源とする巨大地震の場合、近畿、四国、また九州に至るまで、沿岸部を中心として、多大な人的被害、家屋倒壊、インフラやライフラインの被害が想定されるものと思います。そうした南海トラフ巨大地震について、内閣府に設置された南海トラフの巨大地震モデル検討会は、平成二十四年、新たな被害想定を発表しました。そして人的被害を最小限にしていくため、国土強靱化基本法も策定し、公共インフラの耐震化や更新なども進められ、関係する都道府県、自治体においても、それぞれに被害想定を基にした防災対策の基本方針及び国土強靱化計画が策定されてきました。 ところで、本市は、平成十六年の奈良県地震被害想定調査報告書を受け、県指定のモデル事業として、平成十九年天理市地震防災対策アクションプログラムが策定され、国の防災戦略の考え方及び県のアクションプログラムに準じ、十の施策の柱の設定と二百二十七のアクション項目を定めました。特に、奈良盆地東縁断層を震源とする内陸型の大地震では、天理市においても死者四百三十四名、家屋倒壊が一万二百四棟に及ぶとされたことから、人的被害をできる限り減らすことを目的として、また、基本となる天理市地域防災計画の実効性を高め、防災対策を体系化して、速やかに実施するために策定されたものでした。当初、十年計画でありましたが、途中、現市政へと移行し、また、平成二十五年からの国の動きに対応する形となり、県も市も、国が示した最大規模の巨大地震が発生した場合の被害想定に基づき、防災環境の整備に努めてきたものと思います。本市が平成二十八年十二月に発行した奈良盆地東縁断層を震源とする大地震に対する市民への啓発チラシがありますが、そのようにして策定されているものと思います。 ここで、南海トラフ大地震が起こった場合の被害想定に関して国の発表している内容について、以下の点を確認したいと思いますが、一つには、これはあくまでも考え得る最大の地震の場合の被害想定であるということです。連動型の南海トラフ地震は過去に幾度も起こっておりますが、その中でも考え得る最大規模の巨大地震が起こった場合、このぐらいの被害想定になるということを国が発表しているということであります。それが一点。 それから、巨大地震が起こる確率ということでありますが、令和三年の中央防災会議が出した南海トラフ地震防災対策推進基本計画においても、政府の地震調査研究推進本部の長期評価を改めて示し、マグニチュード八から九クラスの地震の三十年以内の発生確率は七〇%から八〇%としていることです。この数字を聞くと、本当にこれは近い将来必ず来るんだなというふうな数字ではあるのでありますが、一方で、この南海トラフの地震だけが別の算定方式で被害確率を出しているということがございますので、一方で、ほかの地震と同様の過去に起きた地震の発生間隔の平均から確率を出すということにいたしますと、二〇%から二五%程度であるということは言われております。いずれにしても、これだけの確率だから恐ろしいんだということではなくて、その確率いかんによらず、冷静に備えるということが必要であろうと考えております。 次に、平成二十五年の被害想定公表において注目すべき点は、それまでは南海トラフ大地震は、震源地を海溝部に近い海域に想定していたということであります。よって、奈良県では、たとえばそのときの震度は五程度というふうに言われていて、事実、過去もそういうことであろうと思います。しかし、陸側でそれが起こった場合は奈良盆地でも震度六強を想定しているということが問題のところでございます。天理市においても、令和二年の天理市国土強靱化計画においては、このことは盛り込まれています。しかしながら、先ほど申し上げました平成二十八年に作成した市民向けの啓発資料では、そのことは反映されてはいません。また、天理市総合防災マップでは、大雨などの浸水域を示すマップはございますが、起こり得る巨大地震が発生した場合の被害想定などは示してはおりません。南海トラフを震源とする大地震の際に、市民がどの程度の震度が起こり得るのかを認識できる資料がないことを指摘しておきたいと思います。 広範囲に及ぶ連動型の南海トラフ巨大地震が懸念される理由としては、東海沖を震源とする東海地震は安政大地震以降起こっていないということがあります。昭和の東南海地震及び南海地震は、一九四四年、四十六年にそれぞれ起こっていますが、南海トラフの東部では起こりませんでした。その九十年前に当たる安政大地震では、遠州灘沖から東部を震源として起こり、翌日に南海道沖の広範囲に起こりましたが、以来、既に百七十年を経過しております。ゆえに、東海沖だけで起こるのではなく、広範囲にわたる連動型が懸念されていることとなっているものと思います。 前置きが長くなりますが、あえて安政大地震についてどのような地震であったのかを少し確認しておきたいと思いますが、一八五四年の安政大地震では、旧暦の十一月四日午前九時頃、東海沖地震が起こり、遠州灘沖にマグニチュード八・四とも言われる巨大地震が発生し、東海地方を中心に実に大きな被害をもたらしました。その三十二時間後の翌日の夕方、今度は南海道沖の海域で同規模の大地震が発生し、津波や家屋倒壊など、甚大な被害が近畿、四国、九州にまで及び、大阪では川が逆流し船を沈める、また、橋を壊す等の被害がございました。このときの死者は、推定でございますが、一万人にも及ぶと言われております。その二日後には、大分と愛媛県間の豊予海峡でも地震が起こっています。 この安政大地震は、そのさらに百五十年前に起こった宝永大地震についで、広範囲に至る地震でありましたが、確かに大和では震度五くらいであろうと言われています。ですが、ここで見落としてはならないのは、この南海トラフの大地震が発生する五か月前の旧暦六月十五日には、木津川断層を震源とする伊賀上野大地震が起こっているということです。実は、大和では、この伊賀上野の地震が最も被害をもたらしたと言われており、震度は六強くらいとされ、奈良、郡山などで約三百名が死亡しています。 今日の研究では、南海トラフ地震の本震と内陸の活断層を震源とする地震には関連性があるとされており、一九四四年十二月七日にマグニチュード七・九の昭和東南海地震が発生した後、約一月後の一月十三日には、確率的には大変低いとされた深溝断層と横須賀断層を震源として三河地震が発生し、二千三百名が亡くなっています。内陸の活断層が震源となる地震の確率は非常に低いものとされています。しかしながら、熊野灘付近を震源域とする南海トラフ地震が発生した場合には、奈良盆地東縁断層や生駒断層、中央構造線断層などがある奈良県では、その前後に内陸型の大地震が起こることも考える必要があろうと思います。必ず来るとされる巨大地震に対する備えについては、でき得る限りのことを尽くしても足りないということはないと思われますので、以下、大切な点について質問をいたしたいと思います。 まず初めに、南海トラフ地震の本震が起こった場合、特に最大級の大地震の場合の本市における震度はどのぐらいであると想定しているのかを改めてお尋ねいたします。これは、六月議会において、山田議員からの質問に対し、市長より答弁されていることではありますが、その際は、奈良県下で最大六強、天理市では震度六弱を想定していると申されています。また、確率は低いものの、奈良盆地東縁断層を震源とする内陸型大地震が起こった場合は、平成十六年の県の被害想定を基に、死者約四百三十名、倒壊家屋一万二千棟を想定と答弁されています。しかしながら、地震ハザードステーションにおいては、本市西部で震度六強以上が最大六%は可能性があるとされているところです。また、奈良盆地東縁断層に加え、生駒断層、中央構造線断層などもあり、内陸型大地震の確率は極めて低いとはされていますが、いま申し上げたように、海溝型大地震との連動が指摘されていることもあり、また、同様に低い確率でも、熊本大地震や北海道地震なども起こっています。そうしたことを踏まえ、どのくらいの震度や大地震の可能性を評価し、想定すべきなのかを改めてお聞かせを頂きたいと思います。 ○議長(大橋基之議員) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) 鈴木議員の御質問にお答えをさせていただきます。 南海トラフ大地震における内閣府が公表した奈良県の被害想定では、最大震度六強となっており、天理市においても震度六弱が想定されているところです。また、国における南海トラフ地震の最近の調査によりますと、内陸型と海溝型の二パターンが議員御指摘のとおりございまして、東海、東南海、南海沖の広範囲にわたり連動される可能性も考慮しております。 奈良県におきましては、海溝型のパターンの場合、近隣府県と比べまして、相対的に被害は軽微であると想定されますけれども、被災地支援を期待される可能性もあるわけでございます。また、内陸型では、本市においても一部が震度六強と想定をされておりまして、家屋の倒壊や人的被害など、大きな影響が考えられるところです。さらに、広範囲にわたる連動型の巨大地震が起きる状況も想定しておく必要がございます。 本市の地震ハザードマップにおきましては、南海トラフ地震の記載はありますけれども、東縁断層帯の方が非常に大きくなっている反面、こちらの部分は記載が小さい部分もございますので、また、ホームページの啓発も分かりにくい部分もございました。今回の議員の御質問を機に、最新の被害想定等も踏まえて、デジタル媒体も用いた啓発を十分に行えるよう努めてまいります。 ○議長(大橋基之議員) 鈴木洋議員。 ◆五番(鈴木洋議員) 海溝型の巨大地震、また、連動する可能性のある内陸型大地震の可能性と申しますか、確率云々のことではないと思っております。そうしたことをやはり想定して、防災対策に努めていくということをお聞かせいただいたものと思わせていただきます。 自治体としての被害想定では、その認識と設定のいかんによって、防災対策の推進をする程度に関わることであろうと思います。被害想定がまずあって、そこから大地震やその他の災害に対しての理解を深めるための啓発や広報があり、防災に対する講習や訓練も成り立つものと思いますので、そのような認識については明確にしていただくことをお願いしたいと思います。 次に、被害想定を踏まえた市民への啓発、広報についてでありますが、ただいまホームページのことも少しおっしゃっていただきましたが、本市のみではなく、県民の大地震に対する危機感は少し薄いのではないかと感じております。それは、古い情報により、南海トラフ地震があっても、奈良では大きな被害をもたらすような震度にはならないと、そのように思っている方が多いことによるのではないかと思っております。最大級の被害想定を示して危機をあおることには問題があると思いますが、地震に対する研究も進んでおり、一方で、予知はできませんし、分からないことも多いわけでありますが、市民の地震についての理解を図り、被害想定についても認識いただくよう努めていくことが大切です。 現在の啓発の資料や広報に関しては、大地震への理解と備えということについて十分ではなく、課題が多いと考えておりますが、特に南海トラフ大地震への理解促進と、大地震への防災対策の資料の作成やその啓発活動について、どのように展開を頂けるのかお尋ねをいたします。 併せて、先ほどもおっしゃっていただきましたホームページの課題。それから、もう一つ重要なことは、災害が起こった場合に、御家庭においても、避難所ができるまでとか支援が届くまでの時間を、最低三日間は食料と水などを備蓄するようにというようなことがこれまで言われてきておりまして、近年も内陸型の大地震が幾度も起こっておりますことから、一般市民にもそのような認識は定着してきているんじゃないかなというふうに思います。ただ、そのあたりは、やはりライフラインの復旧の最も早い電気の回復まで一週間かかるということもありますので、そうしたことも含めての啓発が必要であろうと思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 本市におきましては、令和五年十月に開催した山の辺校区の防災訓練におきましても、奈良県東縁断層帯による大きな地震に対する避難所運営訓練を実施いたしました。今後は、南海トラフ大地震に対しても想定を考慮するなど、市民の方々にも危機感を共有できるような取組を推進してまいります。 また、市ホームページ等、デジタルを用いた啓発も実施してまいりますが、現在のホームページは、なかなか市民の皆さんがぱっと見た形で重要と感じていただける内容が集約されていないということでありますので、特設コーナーという形で集めまして、情報伝達する仕組みを構築してまいります。そして、それら項目に地震に対する啓発、情報の伝達方法も工夫をしていきたいと考えております。 次に、家庭での備蓄についてですが、いま、最低三日間の備蓄を啓発しているんですけれども、災害の規模によっては一週間分の備蓄も必要であるというふうに考えております。これは、どこが大きな被害になるかということによって国の支援の届き方は違うわけでありまして、特に、南海トラフの場合で、他の都道府県でより甚大な被害が生じていて、そちらに優先的に物資が行った場合に、奈良県にどれだけ早く来るかと、こういうことも考えますと、一週間分ということも重要であります。ただ、一方で、一週間分の保管場所があるのかというと、御家庭によってはなかなか難しい部分もあろうかと。ですので、最低三日間だということをまず御理解を頂く中で、たとえば缶詰、乾麺、フリーズドライ製品なども日常的に使用しながらためていくというような備蓄の保管方法、これをぜひ奨励するなど、市民の皆さんの意識付けに努めたいと考えております。 ○議長(大橋基之議員) 鈴木議員。 ◆五番(鈴木洋議員) 内容でちょっとかぶることもございますので、このまま進めさせていただきますが、次に、自主防災組織ということですが、本市では、現在、百三十一か所に自主防災組織がつくられています。そうしたことについては、市民の意識が高いということを示しているものと評価できるものと思いますが、問題は、それぞれに防災訓練を行って、住民の共助の仕組みが構築するということに機能しているかという、そういうことであろうと思います。そもそもの被害想定の啓発、教育がまたなされているということも大切なことであろうと思います。多くの自主防災組織に対して、人を派遣して訓練・啓発を行うことも難しいわけでありますから、一方で、手をこまねいていては、せっかく防災組織があっても機能しないということになりますので、今後の訓練と啓発に関して、現状に加えて、新たな取組の方向などございましたらお聞かせを頂きたいと思います。よろしくお願いします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 議員御指摘いただきましたとおり、自主防災組織が百三十一組織ございますので、結成率としては九四・八%と高い数字にはなっております。本市では、自主防災組織との連携を図っていくため、年に一回、自主防災組織の研修会を開催し、会員の皆様に風水害、地震等の知見を深めていただき、自助・共助に基づく自主防災組織の必要性というところを共有しているところであります。本年六月に開催した研修会では、災害救援レスキューアシスト代表理事の中島武志様を講師に招きまして、被災地支援のプロが教える天理市に大地震が起きたときにすべきこと、こういったテーマを基に、災害時において自主防災組織の皆様がまず何をしなければならないかという項目を盛り込んだ講演を行いました。ほか、毎年校区ごとに開催している市の防災訓練や、地域の防災リーダーとして防災活動に従事いただくことを目的に、防災士育成事業への補助を行っており、現在、補助制度を活用された市内の防災士が七十一名でございます。 一方、各自主防災組織単位での訓練も取り組んでいただいておりますけれども、積極的に活動いただいているところとそうでないところの温度差というのもあるのは、これは現実であります。地域での自主防災組織のスキルアップについては、組織を立ち上げたものの何をすればいいのか、マンネリ化で悩んでいるという御意見の組織に対して、県の安全・安心まちづくりアドバイザー派遣事業なども活用できるよう、実施協力や派遣要請など努めております。また、本市におきましても、地域自治会及び自主防災組織から講師の派遣依頼を受けまして、防災安全課の職員が講師として、訓練の運営協力も実施をしております。本市の自主防災組織内でも、先進的な取組などを紹介することで組織の機運を高めていただけるよう努めているところであります。 ○議長(大橋基之議員) 鈴木議員。 ◆五番(鈴木洋議員) ありがとうございます。先ほども申しましたが、そもそも被害想定とか、そういう大地震についての理解が深まって、そのぐらいのことがあり得るということの理解が広まるところに自主防災訓練等々の活動も本当になされていくんじゃないかなと思います。かなりたくさんの方に南海トラフ大地震が起こったときの震度はどのくらいやと思いますかというようなことを私の周りの人に聞きましても、大概の方は震度五程度というふうに想定するとおっしゃいます。それは、過去がそうであったということもあろうと思いますが、この平成二十五年の被害想定以前はそれ以上のことを言われてなかったということがありますので、やはり市民の大多数の認識はそこにとどまっているというふうに考えております。でありますので、自治体としてそのあたりの啓発を進めていただいて、これはやっぱりやらないといけないなというふうに、危機をあおるということじゃないんですけれども、そういう形で、大地震への理解を深めていただくということをお願いしたいと思います。 次に、備蓄物資でありますが、これも先ほど、家庭での備蓄はかぶっておるんですが、市内の指定避難所における備蓄物資及び防災備蓄倉庫の備蓄物資がありますが、現状、保有、保管している備蓄物資について、大規模地震やその他の災害に備えるものとして、品目と量的に十分であると評価できるのかどうか、また、課題としてはどういったことがあるのかをお聞かせいただきたいと思います。そして、行政としては、市民から十二分な支援があると期待されても、それは限度もございますので、市民がそれぞれに備えていることが、先ほどの話でございますが、大切なことです。ですから、行政としては、これだけの備えをしている。なので、御家庭ではこれだけを備えてくださいというような適切な奨励の仕方ということが必要ではないかなと、そんなことを思っております。 家庭ということについて申しますと、先ほども市長も申されましたが、一週間ぐらいは備蓄、命に関わるものは備えていただきたいということを奨励すべきだというお話も賜ったと思っております。そういう中で、一週間援助がないことも想定して、食料や水はもちろんのこと、避難所や自宅の屋内では、生活できない日数が長くなる場合を考慮して、災害用に備えておくといいんじゃないかなというふうに思われる、たとえばカセットコンロとか、十分な量のボンベ、鍋ややかん、シュラフ、簡易ベッドなどを備えていると、実際の災害時に役に立つ品々は様々あると思います。 自治体としての備蓄物資の品目、量は、ホームページにも表が掲載されていますが、表だけを見ても、どの程度避難に備えた備蓄物資があるのかをなかなかイメージできないということもありますので、市民に対する明確なメッセージという形での示し方ということも必要ではないかと思います。御答弁のほどどうぞよろしくお願いします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 本市におきましては、各指定避難所に設置をしている防災倉庫及び長柄運動公園内の防災倉庫に衣類、毛布、食料等を備蓄し、非常時の対応に努めております。ほか、発電機の保管、マンホールトイレの整備など、停電時や断水時に備えた対応にも努めております。 ただし、やはりこういったものだけで不足する飲料水、食料、生活物資などの供給を受けるため、複数の民間事業所等とも防災協定の締結や防災協力事業所登録も実施をしています。備蓄物資の不足分をカバーする以外に、食料や水など、賞味期限のある物資の期限切れ等の問題解消にも努めております。 加えて、被災時においては、地方自治体が正確な情報把握に時間を要する、また、民間の供給能力が低下をすること等から、地方公共団体のみでは対応し切れないということを国の方も想定しておられまして、必要不可欠と見込まれる物資を調達し、緊急に輸送するプッシュ型支援というのが最近では計画をされております。ただ、これについても、被害が広範囲に及ぶ場合には、十分支援が届くまで時間がかかるということも認識をしておかなければなりません。本市において、公的な備蓄物資のみでは必ずしも十分とは言えないというのが議員御指摘のとおりでありまして、その点から言いますと、市民の皆さんへの啓発が非常に重要であります。 また、これは御自宅で持っているということが前提になってきますが、避難所で不足することが想定されている簡易ベッド、あるいはキャンプ用のテントなどの物資供給も重要であります。そのほか、常備薬、離乳食、ミルク、生理用品等、発生時にはすぐに手に入りにくく、人によっては必要性が異なってくるような備蓄品、こういったものもありますよということを重ねて啓発をしてまいります。 農水省は、備蓄量として、自宅での避難生活を想定し、最低三日分、できれば一週間分の備蓄が必要ということを言っておりまして、この点、一週間分ということになりますと、避難者全員の分が十分倉庫の中で確保できている状態とは言えないため、各家庭において必要となる食料等の備蓄を継続してお願いしてまいります。この農水省が二〇一四年に策定した備蓄ガイドというのがございまして、それは、ふだん使いの食料品を多めに買い置きしていただき、そして、使った分を買い足すローリングストック法と呼ばれる備蓄方法、これが推奨されているわけでございます。ぜひ今後とも、市の防災訓練や、あるいは研修会の機会など、あるいはこの天理市の総合防災マップなども通じまして、このローリングストック法についても啓発をしてまいります。 ○議長(大橋基之議員) 鈴木議員。 ◆五番(鈴木洋議員) ありがとうございます。特に連動型の地震が発生いたしますと、先ほど申しましたような安政大地震というのは、一つで安政大地震といっているのではなくて、前後三日間で順番に壊れていったと。あるいは、その前後に、五か月前には内陸型の大地震が起こっておったり、一年後には江戸地震も起こっております。そういう中で、次々と起こる可能性があるような巨大地震の可能性があるということでありますから、そうなると、高速道路はもちろんのこと、一般生活道路においても通行困難となるような場合も想定されますので、やはり農水省が示しているような、最低三日ですけれども、一週間は持ってくださいというような啓発の仕方はぜひお願いしたいと思います。 次に、大地震の際の二次災害、特に火災への備えということについてでありますが、火災が大地震のときに発生することによって、甚大な人的被害、家屋損壊、損失につながります。関東大震災は特にそうであり、阪神大震災のときも大変な火災の被害がありました。人命を第一に考え、人的被害を軽減させるためには、火災への備えは大切な課題であると思います。令和元年の内閣府から出されている南海トラフ巨大地震の被害想定において、火災に対する防災対策として、感震ブレーカーの設置の効果を示しています。そこでは、感震ブレーカーの設置率一五%であった場合、火災による焼失家屋倒壊数は七十三万二千棟、火災による死者数約一万四千人で、設置率が、これが五〇%になりますと焼失棟数五十八万三千棟まで減少、死者一万一千人で、設置率が一〇〇%になると焼失家屋は三十七万一千棟と半減し、死者も六千三百人と半数以下となると示しています。この数字は、南海トラフの地震の中でも陸側ケースの冬の夕方の発災、また、風速八メートルというケースのモデルであります。 東日本大震災の本震による原因の判明した火災百八件のうち、過半数は電気関係の出火であったそうです。電気機器からの出火や停電が復旧したときの通電火災は、災害時火災の大きな原因であります。感震ブレーカーにはいくつかのタイプがありますが、ブレーカータイプは高額である。また、そもそも電気による火災のリスクが高いことを知らないといったことによって、平成三十年の時点での設置率は一五%にとどまっています。感震ブレーカーに関することは消防行政が対応していると思いますが、自治体にあっては、啓蒙・啓発を行うことは大切であろうと思います。県下でも、複数の自治体が設置に際して助成をしている事例もあることから、本市においてもそうした取組をお願いしたいと考えます。 本市にも、道路幅の狭い住宅街もあれば、古い昔からの家並みの地域も多く、火災が発生した場合には、類焼により火災拡大も懸念されますので、一般住宅の耐震化の推進の取組と併せて、火災対策にも取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございますか。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 感震ブレーカーは、地震発生時に自動的にブレーカーが遮断されるなど、火災発生を抑制する上で非常に有効であると考えております。本市では、毎年校区ごとに開催している市の防災訓練や、地域で行われる防災研修、自主防災組織での研修会などで同機の説明や重要性についての啓発を行っているところであります。 市の補助制度を使っての普及促進については、県内においても一部自治体で補助制度があるというふうに認識をしておりますが、現実には執行率はやはり伸びていないということでありまして、まずは感震ブレーカーの有効性を理解していただくための広報を実施しつつ、政策的な面も含めて考えていきたいと存じます。 ○議長(大橋基之議員) 鈴木議員。 ◆五番(鈴木洋議員) ありがとうございます。ぜひそうした火災対策にも引き続き取り組んでいただきたいというふうに思います。阪神大震災の際、地震では全く被害がなかったのに、大分離れた住宅での火災が広がり、自宅、施設が消失した方の話を直接聞いています。地震で助かっても、二次災害により被災するケースは大変悲惨であります。自然に対して逆らうことはできませんが、人間の備えにより防げる二次災害は、啓発と対策への取組次第で防げるものと思いますので、善処をお願いしたいと思います。 それでは、次に、もう一つの質問でございますが、地方創生の観点からの学生支援についてということでございます。 特に、学生の奨学金返還支援についてということに絞って質問をさせていただきますが、九月議会においても質問しておるわけでありますが、特に学生の奨学金返還支援ということについては検討をぜひお願いしたいと考えております。前回も申し上げましたように、今日、私立大学を取り巻く環境は、想像を超える少子化によって、かなり深刻な状態となっています。最近では、新聞報道において幾度もそうした問題が取り上げられるようになっており、十二月四日の日経新聞においても、私立大学が他校との再編や統合を検討している大学が広がっているとの報道がありました。アンケートに回答した二五%、百三十三校の大学から、再編、統合に関心があると答えているということです。これは、単体では経営が成り立たなくなるということを懸念している大学がそれだけ増加しているということであります。 文科省では、二〇二二年に六十三万人であった大学入学者が、四十年以降には五十万人程度と減ることを推計しており、総入学定員の二割が過剰であることから、単純に百六十校の大学が不要、また、なくなってもおかしくないということであります。そうしたことから、本市にある天理大学にあっては、小規模大学でありますので、今後の経営が極めて厳しい局面に来ているということは間違いございません。 そういう中で、入試広報にとって大きなプラスとなるこうした学生の奨学金返還支援の施策を自治体が取っていただくことは、親や本人の安心につながり、大学を選んでいただける大きな理由ともなるものです。当然に全ての学生に対し支援するものではなく、卒業後、本市に三年なり五年以上住んでいることを前提として、若者が本市に定着する上での支援としての施策であります。幾人かの学生が、そうした施策がなければ天理に住むことがなかった若者が本市で暮らし、家族を形成して定着していることになれば、市にとっては大きなメリットがあるものと考えます。 大和郡山市でも今年度から支援を実施されておりますが、大和郡山市の場合は三年に限定しておりますけれども、また、様々条件がございます。その枠組み、条件の仕方次第で、大きな予算を割くことなく学生を支援する施策が可能であると考えますが、いかがでしょうか。どうぞよろしくお願いします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) まず、学生支援ということで、市内にある天理大学も念頭に御質問いただいたと思いますが、もし制度設計をしていくに当たっては、やはり公平性を考えますと、天理大学に限らず、市内在住のあらゆる学生は対象にしなければならんのだろうというふうに考えております。既に実施をされている自治体においても、地域の事情、職種、定住条件、所得制限など、要件は様々ということでありますが、先般、報道で若干ございましたけども、日本学生支援機構の調査によりますと、給付型を含め、何らかの奨学金を受給している学生が二十年度で四九・六%だったということで、これは相当高い人数だというふうに思っております。 そこで、議員がどのぐらいの規模の支援を想定されているかというところにもよりますけれども、おおむね、自治体によりますけども、上限が二十万円から二十五万円ぐらいを年間にされているところが多いのではなかろうか。その掛け算でどれだけで掛けてくるかなんですが、五年をもし上限として捉えて、一年百名というふうに捉えましても、初年度が二千万円、五年後には一億円という形になってまいりまして、これをやった場合は、半額まで特効措置があるということでありますけれども、一億円となってくると、特交措置で満額いただけても、やはり五千万円からはかかってくると。 こういったことの中、保育の第二子以降の無償化、医療費の無償化など、様々な子育て施策が求められる中、持続可能な行政運営の中でどれだけぐらいまではできるかということをよくよく総合的に考えていかなければならないと。やっていますということだけではやはり仕方がないのでありまして、その金額と期間が学生にとって実際にその場所を選ぶかどうかの意思決定に作用するぐらいのものでなければならんのだろうということを考えますと、あまり薄い支援になり過ぎてしまいましたら、あまり実はそれには影響がなかったということにもなってしまいますから、先ほど申し上げた経常で五千万円から増えるということになってしまいますと、これはなかなか厳しい。そういった中で、どういう要件設定であれば出せる範囲になるのか。これはまた議員も継続的にこれは御質問も頂いておりますので、率直に情報共有もしながら御相談していけたらと思います。 ○議長(大橋基之議員) 鈴木議員。 ◆五番(鈴木洋議員) ありがとうございます。制度の設計の仕方いかんによって、いろんなこれはケースが考えられて、全国で六百十五の自治体が取り組んでおりますが、ちなみに大和郡山は、大和郡山市に本社がある会社に勤めるということを条件されておるということもございまして、今年から始まっているんですが、令和五年度の実績で、八人に対して百六万円の支援ということでございます。ですから、天理の場合は企業があまりございませんので、また、たとえば天理教の勤務者などはこれには該当しないと考えますので、人数的には非常に少ないんじゃないかなということを想定するんですけれども、いずれにしても、住んでいた時間が三年なり五年なり、今後も住み続けるというようなことを条件にするわけで、直ちに大きな枠を予算取りせなあかんというような話ではなくて、設計の仕方でいくらでも、それは小さいところを始めて、それが天理に住む理由につながっていくというようなつくり方もできるんじゃないかなと考えておりますので、一緒に考えていきたいと私の方は思っておりますので、よろしくお願いします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。 ○議長(大橋基之議員) 次に、十一番、神田和彦議員。     〔十一番 神田和彦議員 登壇〕 ◆十一番(神田和彦議員) 議長のお許しを頂きましたので、一般質問通告書に従いまして、一問一答方式で質問をさせていただきます。市長並びに関係部局の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。 一つ目の質問でございます。六月、七月と、計二回販売されましたプレミアム付イチカチャージ券。六月議会では、売手、買手側の購入制限の緩和などについて質問をさせていただきました。九月議会では、現状の天理市内に流通しているイチカの流通額、その使用額、未使用額についての御質問をさせていただきました。この十二月議会においては、ちょうど第三回目の販売が行われた後のタイミングになります。第三回目のチャージ券の売上げの状況、天理市の在庫、そして、販売店舗から流通したイチカの取り込み数、そして利用率、そして、三回目が終わった段階での現在天理市内でのイチカの総流通額、そして、その利用率と残っている未使用の率を教えていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) 神田議員の御質問にお答えをさせていただきます。 以前御質問も頂いた、六月、七月に販売の二〇%還元のプレミアム付イチカチャージカードは、約五千四百万円分が非常に好評で、直ちに完売したということであります。これを受けて、十一月六日に販売開始の第三回目は、一人当たりの購入上限を二万円に変更し、購入者のポイント還元率を一〇%に下げることによって販売総数を増やし、限られた予算の中でより多くの方が購入できるように対応を取りました。流通総額は、第三回目のプレミアム付チャージカード販売分を含め、そして既に交付している子育て世帯支援事業と出産・子育て応援ギフトのクーポン券など、全てのイチカ事業のポイントを合わせますと約二億二千三百万円。うち一億六千九百万円が使用されており、使用率は七五・八%であります。よって、今後、約五千四百万円のポイントが流通する見込みであります。 ただし、御質問いただいた三回目の販売分については、還元率が一〇%に下がってしまったということで、前ほどは売れませんで、現在の販売状況が総額一億二千百万円のうち、二千三百十万円にとどまっております。これが販売店舗に購入を頂いた額ということでありますが、そういたしますと、使用期限が二月二十九日に迫っておりますので、ここはいま物価高騰対策、様々なメニューも必要でございますから、我々が公費でげたを履かす九百万円分の部分については、いったんこの店舗の販売を十二月十五日までで打切りまして、その分の創生交付金の執行残は、子ども食堂への支援や公共交通事業者の燃料費高騰対策への支援などとして、新たな施策に充当するため、最終日の議会において上程をしていきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議員) 神田議員。 ◆十一番(神田和彦議員) 御回答ありがとうございました。先ほどもそうなんですが、利用率というところで七十五・八%というふうに御回答いただきまして、ざっとまだ二十何%が未使用で残っているというところであるわけですが、私も実際、九月議会の段階ではスマホの方に残っておりまして、議会が終わり次第、すぐ飲食店で使わせていただいた次第なんですけども、ただ、それでも二月二十九日までの使用期限があるという中で、九月議会のときには、私、期間が迫ったらどうなるんですかという御質問をさせていただいたときに、取り込んで、まだ額が残っている方には早く使ってくださいねとアナウンスが来るというふうに聞いております。 そういった中で、これは、ここで言うのが不適切か分からないんですが、実際、まだ未使用が二十何%残っている中で、実際、イチカの加盟店は四百店舗ほどあると。そういった中で、イチカのまだ未使用のものも天理市内には流通していると。かつ二月末までの使用期限が差し迫っているという中で、それこそ、このイチカ加盟店四百店舗が、企業努力次第によっては、この残り二十数%を取り込むチャンスがすぐ近くまで来ているというふうなところは、私のこれは考えなんですけれども、ちなみに企業努力という言葉が正しいか分からないんですが、ここでこの天理市内に流れているイチカを取り込む努力を各事業者にはぜひともしていただければと思うところはあるところでございます。私も商工会に登録している一人ですので、また若手のメンバーについてもアナウンスをしていければというところでございますので、どうか引き続きよろしくお願いいたします。 そして、このイチカの話もそうなんですが、私、六月も九月も同じ質問を大体くり返させていただいているんですが、そのまま二つ目の質問に移らせていただければと思います。 天理市内の総合計画におきまして、市営施設のファシリティマネジメントも実際議論が進みつつあります。多くの先輩議員の皆様の議事録も拝見しておりますと、みんなの学校プロジェクトに多くの御意見を頂いておるというのが拝見できます。他の市町村にない先進的な取組であると考え、その中でまた六月、九月に続きまして質問をさせていただければと思います。 六月議会においては、セキュリティー対策、体育館へのエアコン設置、学校の水泳指導について御質問をさせていただきました。九月には、セキュリティー対策の進み具合をお伺いさせていただきまして、体育館の次は給食室のエアコン設置のお話も当時はさせていただいたと思っております。そして、私もこういったみんなの学校プロジェクトの中で、実際、私も上の子どもは小学校におるんですが、子どもを持つ親の心理といたしましては、少しでも子どもたちにはいい教育環境下で学びを受けてほしいというのが親心であります。 昨日、鳥山議員からも、コンクリートの耐久性の問題で、学校の建て替えがどうしても差し迫っているところがある。また、あるいは市長からも、そのタイミングで公民館機能、公民館サービスを小学校の方に移していかなければならないと、財政面を考えてもということでお話があったと思います。そういった中で、早いところであれば令和九年から令和十年には工事をしていかなければならないと。そうなった場合、それに向けて、逆算して令和七年ぐらいまでには構想としてまとめていかなければならないというお話があったわけですが、またこれも子どもを持つ親の立場といたしまして、こういう話が出るとふと気になってしまうのは、自分の子どもが小学校に入ったときに、この工事がどのタイミングで行われて、自分の子がどのタイミングでバッティングするのだろうか。あるいは、そのときの卒業生、あるいはそのときに入学するときに体育館は実際使えるんだろうかとか、あるいはよくありがちなのか、工事が始まったときに、うちの子はひょっとしたらプレハブで授業を受けるのかななどなど、保護者の皆様からするとそういった質問が非常に多く出てくるのが主かなと思っております。 そういったところで、昨日の鳥山議員の質問の続きにはなってしまうかもしれませんが、令和七年に向けて、そういった建て替えであったりとかというところの部分に関しまして、具体的なスケジュール、逆にいま分かっている限りで教えていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 地域連携型小規模校として各校を守っていきたいという考え方の部分は、鳥山議員の御質問にお答えしたとおりなので、重複する部分は避けますけれども、耐震を行った際の資料を基に、書面の躯体簡易調査を行った結果として、山の辺小学校、柳本小学校、そして少し時期はずれますけども、二階堂小、櫟本小、西中と、こういったところでコンクリートの中性化が進んでいる部分があり、いますぐ倒壊ということではないですが、長寿命化の施工は難しいというのが現状であります。 令和七年度に事業化ぐらいをしないとというお話をさせていただきましたが、これは、いま、山の辺小学校が一番最初に来ますけど、それが令和九年度から十年度に、校舎の部分によって若干異なるんですけども、それが六十年の耐用年数なので、その時期を過ぎた頃には、それは新しいものになってないと駄目だと。それから逆算して設計と建てるのを考えると、令和七年度の後半か末ぐらいには、こういう形で建てましょうという構想をある程度立てた上で実際に事業化に向かっていかなければ、令和九年、十年というところには間に合わないだろうと。まだここまでの段階であります。 ただし、山小で言いましたら、体育館は、あれは長寿命化で修繕をさせていただいた。そのときに、山の辺小学校の卒業式を体育館で行えなくて、医療大学の方に当時お世話になったということがございました。直近で言いましたら、北中を建てるときに、あれは仮設校舎を建てたわけですが、どういう形で建て直すかによっても、仮設校舎の規模であったり配置の仕方というのは変わってまいりますので、やはり七年度に向けて構想をつくっていくに当たって、我々もできるだけ学習環境に影響が少ないようなやり方があるのかないのか、あるいは壊して建てるということであったとしても、どういう順番であれば、生徒をこっちの方に逃がして、少しでも仮設の部分だったりが少なくできるのか。これは工事費用にも関わってまいりますので、そこも含めて、まだここから工夫の段階であります。なので、令和七年度自体で直ちにどこかが使えなくなるということはないというふうに思っておりますが、八年度なり九年度なりに着工されれば、そのときに在校されている方には一定の影響はあるであろうと。ですので、どう工夫をしていきますかということでございます。まだ、ですから、抽象的な答えになって申し訳ありません。 ○議長(大橋基之議員) 神田議員。 ◆十一番(神田和彦議員) ありがとうございます。私も山小のPTAをしておりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。 そういった中で、これはまた昨日の質問の中にもあったわけですが、このみんなの学校プロジェクトを進めるに当たりまして、先日の学校運営協議会のこれからの天理市を考える、これからの教育を考えるという御説明ございましたとおり、できましたら今後とも各種団体、地域の皆様、学校の先生等に、保護者の皆様、公民館の皆様に、御丁寧な説明をぜひとも引き続きよろしくお願いいたします。 そして、同じく学校絡みの質問にはなるんですが、質問二の方に移らせていただきます。 六月に一度、水泳指導というところで質問させていただいたんですが、それに絡む質問なのですが、現在、朝和小学校のプールが老朽化のため使えないというところで、スイムピアの方に移っていらっしゃると。約二年もしていくと、他の学校のプールも使用が難しくなってくるというところで、六月の「まほろば」だと思うんですが、天理市の各中学校校区でプールの指導を統合して考えているというふうな記載もいただいて、御返答も当時は頂いたかなと思っております。実際、あれから六月、九月、本日十二月と進んできた中で、あれからプール指導というところ、いまからになりますと来年度のお話になってくると思うんですが、来年度に向けたプール指導についての、特に老朽化を今後迎えていくであろうプール、そこの学校の、それこそ移動手段であったりとか、あるいはそれに伴う予算もろもろであったり、逆に現状で分かっていることがございましたら、教えていただければと思います。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) プールについて、前回からの進展ということでありますが、まず、来年の朝和小学校のプール授業については、今年と同様にスイムピアでございますけれども、今年はまだ移動の時間がどのぐらい食うかというところであったり、どのぐらい固めて時間を取るかというところが、初年度でありましたので、十分ほかの学校と比べて授業時間を確保するということができていなかった。これについては、確実に他校と同等に授業時間を確保させていただくということと、あと、プール指導者の配置の方もスイムピアと準備をしていくという点は、これは朝和のPTAの皆さんにも御説明をしております。移動にかかるのはやはりバスですけども、その点は、そんな極端に今年と予算が増減するとは思っておりませんで、これは令和六年度の予算案でまた御協議をさせていただきます。 同じ南中校区なんですけれども、柳本小学校と井戸堂小学校のプールも近く耐用年数を迎えてくるということで、これについては、やはりプールを全ての学校で維持するというのは、比較的稼働率が低いことから考えても、難しいというのはお答えしたとおりで、南中校区のどこを拠点のプールという形にしてほかの学校を集めてくるか。これはまだいま検討している途中であります。ただし、その際には、バス移動ということがございますので、それが動線で入ってきやすいとか、あるいは駐車させておきやすいとか、そのあたりも考慮して考えていきますのと、柳本小学校については、東側校舎自体も老朽化をしてくるので、それをもし建て替える際には、プールのところも含めて、その敷地をどうするかということを考えないといけないというのが大きな要素にはなってまいります。ですので、まだここに集約できるというところまでいっていないんですけれども、ファシリティの御相談をしていく際できちんとお話をしていきたいと思いますし、これが南中校区だけかといいますと、櫟本もプールが大分老朽化をしてきておりますので、たとえば山の辺についてはプールは新しいというところもありますから、どこが中学校区において比較的新しいかというのを見ながら、集約の方向性をお諮りしてまいります。 ○議長(大橋基之議員) 神田議員。 ◆十一番(神田和彦議員) いつもながら同じような質問をして、誠に申し訳ございません。御回答ありがとうございます。それこそ子どもたちのお母さんからしますと、当然ながら、心配になるのももちろんですし、それに合わせて必要なものを買い出しにも行かなければならないでしょうし、あるいは、お母さんによっては、それによってお迎えというのが低学年の場合、出てくる可能性もなきにしもあらず、あるかなと思うんですが、お母さんからすると、極力こういったお話を早め早めに御丁寧に頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 三つ目の質問に移らせていただきます。 現在なんですが、それこそスマホがあればタクシーを一瞬で呼べるアプリも現在あるわけでして、私もこの十月に本当に数年ぶりに東京に行くことがありまして、スマホで五分もしないうちにタクシーが自分の目の前まで来るのかというのを大変驚いたのを覚えているんですが、お恥ずかしながら、先月の十一月、この市役所で、朝、打合せがあるにもかかわらず、ちょっと寝坊ぎみで、慌てて車に乗ろうとしたところ、車のバッテリーが上がっており、朝から家から出れないと。当然、自転車でも間に合わない。バスの時間も全然合わない。タクシーしかないんだと。タクシーを頼んだけど、タクシーも拾えない。非常に困ったと。天理市内で久々に行き詰まったわけなんですが、何とかそのときはぎりぎり遅刻せずに間に合ったところがあるのですが、そういったところ、私もいまから約十五年前に天理市に来させていただきまして、天理市というのはやはり車社会だなというのを非常に実感した瞬間だったところではあるんですが、本題の方に入らせていただきます。 基本的に天理市内は車社会であるというのがあると思うんですが、天理市内には当然ながら公共のインフラとしてバスもあるわけですし、民間のバス、タクシー会社もいらっしゃるわけでございます。そういった中で、十二月からチョイソコの導入実験が始まったわけでございます。それこそ奈良テレビの方でもユーチューブの方にも出ておりましたので、私も拝見させていただいたんですが、それこそ実証実験をするに当たって、現在の登録者数と、そして、停留所の選定に関しましての選定の理由、あるいは従来の天理市がやっている公共インフラのかかっている予算から今回チョイソコへというところだと思うんですが、そういったところで、現在の公共インフラからチョイソコに変えることによってこれだけ変化が生じるんだよというところの予算変化等もぜひとも今回教えていただければと思います。よろしくお願いします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) チョイソコの実証運行を十二月一日から実施しております。八日までの一週間の数値なんですけども、利用者二百十八名、車両一台一日当たり平均十二名という形でありました。チョイソコを御利用いただくには事前の会員登録が必要となっておりまして、これも十二月八日現在で、少し前で申し訳ないんですが、会員登録者数が一千八百四十六名。このうち、ぎんなん号、以前からのデマンドタクシーの会員登録をしていただいていた方が一千六百五十一名なんですけども、新たにチョイソコという形で会員登録をされた方が百九十五名でございまして、その後も、自治会の会長であったり、あるいは民生の関係であったり、毎日、実証実験にも参加を頂いておりますので、徐々にこのチョイソコの実証実験に向けて新規の登録者が増えてきている状況ではございます。 今回の実証実験の停車場の場所なんですけれども、これは、まだ本格運行に行く前の試験的な段階でありましたので、既存のデマンドタクシーぎんなん号の停留所とコミバスのいちょう号の停留所をあくまで仮のものとして、今回は停留所として設定をさせていただきました。ただ、これが内訳として、住宅地の停留所が百九か所、目的地停留所が十一か所という形であります。しかし、本格運行に向けては、現在、各校区の区長に、地域からの追加の停留所設置の御要望もお伺いをしておりまして、できるだけこれは増やしていきたいというふうに思っております。もちろんハイエースを使っている関係で、それが入れないような細いところはちょっと難しいんですけども、あと、見通しが悪くて危険だとか、注意事項はお知らせをした上で、ここに増やしたいというところについては、できるだけ御要望に沿えたいというふうに思っております。 ただ、今回の実証実験でも非常に多くお声を頂くのが、特に櫟本と柳本で、柳本も、式上の方はいいけれども、何でこっちはないんですかというのを柳本町の方からお伺いすると。櫟本もほぼ同じです。これがなかなか御説明が十分でなかったところもあると思うんですが、そもそも国の補助金を得て、近畿運輸局に御許可いただいて運行するんですけども、制度自体が鉄道や路線バスでカバーされていない交通空白地を解消するためということだったので、電車の駅であったり路線バスの停留所がある場所というのは空白地帯ではないので、このチョイソコの停留所としては外れちゃっているんです。ただ、とは言いながらも、じゃ、いまの電車と路線バスで十分暮らせるのかというと、そこに疑問を感じてというか、不安を感じていらっしゃる方もいらっしゃるというのは、これは事実だと思いますので、どのぐらいまでであれば空白地域ということで国の補助のルールからも逸脱しないのか、ここは改めてしっかりと見ていく必要があると思っております。ですが、民業との兼ね合いがあるという点はしっかりと御理解を頂きたいと思います。 本格導入に係る経費なんですけれども、現在運行中のコミバスとデマンドタクシーに係る経費が、令和四年度実績では約七千万円であります。できるだけこのとおりぐらいでやりたいというふうには思っておりますが、いま、地域の方からは、じゃ、週末はどうなるんだとか、もうちょっと時間枠を増やせないのか、こういった御要望を頂いているところなので、大幅な増額にならないように検討を進める中で、来年度予算でまたこれはお話をしていきたいというふうに思っております。 また、できるだけ停留所を設置する周りの店舗だとか、あるいはクリニックだとか、事業者からも協賛金だったりが得られるような、そういうビジネスモデルもできないだろうかと。こういうことも併せながら、持続可能な体制というのを、今回、奈良トヨタと協定に基づいてやっておるんですが、引き続き連携協力してやっていきたいと思います。 ○議長(大橋基之議員) 神田議員。 ◆十一番(神田和彦議員) 御回答ありがとうございます。どうかまたこの議論がしっかり進みまして、より新しい天理市の公共交通機関なってくれればと思うところでございます。 これは補足なんですが、私も、実際、このチョイソコができたときに登録の方をさせていただきまして、そこでやらかしまして、いきなりパスワードにロックがかかりました。これはやばいと思いまして、電話番号に問合せをさせてもらいました。そうしますと、担当の方が非常に御丁寧な対応をしてくれましたので、ぜひとも、何かございましたら、問合せ番号に対応しますと。私はパスワードを間違え過ぎましてロックがかかりまして、お電話で「すいません、どうしたらいいですか」というところ、すごい丁寧な対応をしてくださいましたので、またこれを聞いていらっしゃいます市民の皆様も何かございましたら、問合せの番号にお電話いただくと非常に丁寧に対応してくれますので、どうぞよろしくお願いします。 これで私の質問は以上とさせてもらいます。ありがとうございました。 ○議長(大橋基之議員) 次に、十三番、石津雅恵議員。     〔十三番 石津雅恵議員 登壇〕 ◆十三番(石津雅恵議員) 議長のお許しを頂きましたので、一問一答方式で質問をさせていただきます。 まず一つ目は、歳入増加策についてお聞きします。 現在、人口減少により税収が減少しているにもかかわらず、社会保障関係費等は増加の一途をたどっています。とりわけ生産年齢人口の減少が自治体の税収減をもたらしていますが、そこで様々な工夫を凝らし、歳入を確保する必要があると考えます。移住や企業誘致を促進して税収を上げることも大切ですが、税金によらない収入、つまり税外収入、ふるさと納税やクラウドファンディングをいま以上に増やしていくことも重要と考えます。 ふるさと納税は、二〇〇八年、過疎化などにより税収が減少している地域と都市部との地域間格差、税収の不均衡を是正することや、地方の活性化を促すことを目的としてつくられました。スタートしてから十五年が経ち、ふるさと納税も進化し、返礼品として各地の名産品を受け取るだけではなく、ガバメントクラウドファンディング、また、企業型ふるさと納税など、それぞれの自治体が推進したいプロジェクトをPRして寄附を募る仕組みが新たな寄附として現れました。ふるさと納税においても、物から事へといったニーズが多様化しており、自治体が地域の実情に応じた課題に対して創意工夫を図る解決策を提示し、そこに対して共感をする人たちが増え、寄附金につながっていると考えます。 そこで、本市の現時点でのふるさと納税等の外部からの収入と、どのような手段での集め方をされているのかをお聞かせください。お願いいたします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) ふるさと納税等についての石津議員の御質問にお答えをします。 令和五年度の十一月末時点の寄附金の受入れ状況でありますが、四千三百二十二件、七千六百九十三万五千円ということになっております。これは、昨年度の同月末時点と比べますと、約二千八百万円の増という形であります。ただし、十月に総務省の制度改正に伴う地場産品基準や経費率の厳格化というところがありまして、マスコミなどで返礼品の取下げや寄附金額の値上げなどの懸念について相当報道がありましたので、改正前に駆け込み寄附が相次いだということも大きな要因であるというふうに考えております。 実際、九月期の受入金額が二千六百四十五万五千円だったんですが、前年度同月は七百七十一万七千円だったので、約三・五倍なんです。ただ、この影響で、全国的な見込みとすると、その分、本来の年末需要というのは下がるというふうにも予想されることから、その動向を注視しつつ、寄附者に向けてできるだけ下がらないようにPRに取り組んでいるところであります。 募集の方法は、主にインターネット上のポータルサイトに返礼品を掲載し、クレジット決済やマルチペイメント決済で御寄附を受けるのが主流となっておりまして、本市においても、現在、大手四サイトのほか、航空マイル会社をターゲットとしたANA、関東圏の交通系IC・Suicaユーザーに向けまして、JR東日本の各サイトを合わせた六サイトで運営をしております。インターネットを使用されない方や、ふるさと納税に不慣れな方については、郵便によるカタログや申込書の送付、お電話での聞き取りにて代理申込みを行うなど、柔軟に対応しているところでございます。本来の応援寄附という性質に鑑みまして、できるだけ丁寧できめ細かい御案内をすることで、数ある自治体の中から本市を選んでいただいてよかったと感じてもらえるように努めているところであります。 そして、ふるさと納税型のクラウドファンディングや企業版ふるさと納税についても取組を広げています。特に企業版につきましては、ポスターやSNSによる広報活動に加えまして、令和五年度からは、完全成功報酬型の委託により、専用サイトへの掲載と企業への寄附募集の営業を委託し、積極的にPRを行っております。また、本来、行政というのは寄附の強要はしてはいかんのですけど、政策その他でお世話になっているところに対するセールスというのは私自身もいまできるだけ取り組んでいるところでありまして、本年度はこの企業版ふるさと納税、現時点で、予定分も含めてなんですが、十二社の企業から合計一千二十万円の寄附を賜ったということであります。 特に、最近でございますと、瑞山との交流を再開して、中学生が来てくれた。来年何とか送りたい。送るためなんだけども、来年度予算は相当厳しくてどうしようということを悩んでおったところ、五百万円そういった重要なことについては支援すると言っていただいた企業がございまして、また近くこれは発表もさせていただきますが、またそういうことはできるだけ頑張りたいと思っておりますので、議員もぜひお力をお貸しいただきたいと存じます。 ○議長(大橋基之議員) 石津議員。 ◆十三番(石津雅恵議員) ありがとうございます。ふるさと納税のふるナビとか、そういう個々に対するきめ細かな対応、大変ありがたいと思います。まだまだ高齢者の方ではネットが使えない方というのはいらっしゃいますので、ぜひそういう方々にも天理を分かっていただくことが大事かなと思います。 もう一つ、企業版ですけれども、やはり企業に応援していただくということは企業がいい面ももちろんあると思いますので、そして、入ってくる金額も大きいですね。ですので、そういう方にやっぱり天理市の魅力を分かっていただいて、やりたいことに一緒に共感していただけるような会社を私自身も一生懸命探していきたいと思いますので、ぜひまた引き続き頑張っていただけたらと思います。ありがとうございました。 いま聞かせていただいたんですけれども、またこの先、今後、少しいろんな制度改正などがあって、さっき聞かせていただきましたら、ちょっと下がってしまうのではないかという不安もありますけれども、今後、新たな歳入の増加についてのお考えなどがあったらお聞かせいただけたらと思います。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) やはり全国的にふるさと納税に関しては獲得競争が激化をしておりまして、増加をさせるためには、それもどうかと思いますが、まずは魅力的な返礼品を開発することがどうしても必要不可欠であるというのは、これは率直なところです。 本市の主力といえば、一にも二にも柿なんですが、全体で年間三千件を超えるお申込みを頂いておりまして、地元出荷組合を含む五事業者の御協力の下、制度開始当初の二品から十一品に取扱いを増やして対応しております。今年度は、都市部の少人数の御世帯、あまりたくさん頂いてもという方向けに、食べ切りができるぐらいの少ない数のパッケージというのも追加をいたしまして、そういうニーズに合わせた返礼品の開発というところも取り組んでおります。 そして、今年度から、食べ物以外で取扱いを開始した点といいますと、木製のおもちゃの返礼品、これが子育て世帯の皆さんに非常に好評を頂いておりまして、特に寄附コース五万円から九万円台の高額なおままごと用セットのキッチンが大変人気となっております。これが毎月二十件程度、九月には約百六十件のお申込みをこの木製玩具については頂きました。 ほかに、商品以外にも、体験型の返礼品として、四Hクラブの若手農家の皆さんにお声かけをし、イチゴの産地として初めてイチゴ狩りのチケットの出品を頂いたほか、これは県内の他市でも事例があるんですけども、ゴルフのプレー券、これを何とかできないかということで、いま、市内のゴルフ場と折衝を開始しております。 ほか、広報PRについては、前述のJR東日本が運営するポータルサイトの追加に加えまして、同社が横浜駅構内で運営する十店舗、JREモールカフェにおいて、本市の返礼品の展示や試食提供も行い、希望されれば、その場でふるさと納税ができるというようなキャンペーンにも参加をいたしました。同社は、駅構内での広告やSuicaユーザーへのアプローチが可能でございますので、特に寄附者は圧倒的にこの関東圏が多いということで、そこに向けたPRというところもやっていっております。 ふるさと応援寄附金や企業版ふるさと納税は、やはり地方創生の観点からも非常に重要な自主財源でございますので、しっかり天理のファンを増やす、産品のPR、返礼品調達による経済効果につなげていけるように、うちは相当総務省のルールに厳格に真面目にやっておるわけなんですけれども、できるだけこの競争の中で取っていけるように頑張りたいなと思います。 ○議長(大橋基之議員) 石津議員。 ◆十三番(石津雅恵議員) きめ細やかな御返事を頂戴しまして、ありがとうございます。木製のおもちゃなんかでしたらば、外国製品でも出ているんですが、大変高額でございます。やはり日本の木で小さい頃からそれを手になじませて遊ぶということはすごく大事だと思いますので、ぜひ、売りの一手だと思いますので、よろしくお願いいたします。 いろんなジャンル、私も先ほどサイトを見せていただきました。たくさん出ておりました。やはりこれは担当課の皆様のたゆまぬ努力のたまものと私は感謝申し上げたいと思っております。ある先進地の方へ行かせていただいたときに、市の職員がおっしゃったことが、「私たちはふるさと納税の担当をしていますが、ほとんど市庁舎にはおりません。ほぼ外へ出ておる状況ですので、市庁舎に何かを尋ねていただいてもお返事できないので」というお話を頂きました。やはり業者や出品者の皆様のところに足を運んで、じかにお話を聞いたり、目を見て、そこから何か新しいものをつくっていきましょうかという形は大変大事かなと思っています。その先進地のところはやっぱり上位でして、一位、二位のところの大きな市ではあるんですけれども、やはりそんな方々であってもそうやって地道な努力を欠かさずやっていらっしゃるということをお聞かせいただきましたので、いまもしていただいていますけれども、より一層また力を入れていただけたらいいなと私は思っております。また、そこから新しい商品の開発とか新しい出品者への何かアプローチができたらいいなとは思っています。 やはり柿やイチゴというのが天理の中では有数の出品物かなと思っております。毎回、県外の方からは、「柿がない」「イチゴを頼みたいけどないねん」というお話を頂いて、時期を分かっていらっしゃらないというのがまず一つなんですね。早いこと注文してくださいよとは言うんですけども、それを分からずして、食べたいときに頼みたいみたいな、そんな感覚の方もいらっしゃいますので、それやったら私が送りますということで、個々には送らせてはいただいているんですけども、いま現在、おてつたびなどを使っていただいて、柿とかイチゴ、イチゴはあれですけど、柿などはお手伝いに民間から来ていただいていると思います。 私がちょっと探しましたところ、他の自治体では、市の職員が地域の産業に一緒にお手伝いをしているというところがございます。基本的には、公務員というのは地方公務員法で副業が原則禁止となっているそうですけれども、市で独自の要領を策定して、副業を認めているところがあるそうです。近くでしたら、五條市は柿の栽培と収穫のお手伝いの副業、有田市は、JAや農業委員会と協力して、市の職員のお勤め以外の時間、たとえば土日であるとか、何かそういうときに、お仕事に行って手伝ってくださいということとか、あと、青森県の弘前市でしたらば、リンゴは有名ですけれども、それ以外で、弘前市内の市立高校の部活動の指導ですとか、あと、伝統芸能というか、弘前ねぷたの絵師のお手伝いなどにも行っていただいているそうです。ですので、民間から来ていただくというのも一つなんですが、地元のことに携わってくださっている職員の方々で余裕があったりとか、ちょっと柿に興味があるとか、農産物に興味があるとか、いろんなことを思ってくださっている方に少しでもお手伝いいただいたならば、柿の生産なども増えたり、イチゴの生産農家にも少し手助けになったり。それに関しては、料金は発生するそうです、ちゃんとアルバイト料というふうに頂いているみたいなんですけれども、そういうこともされているというところがあるそうです。 市内のあるまちでは、昔二十軒ほどあった柿農家が、いま現在三軒というお話を聞かせていただきました。一つは、高齢であるので来年にでもやめなあかんかなというところ、一つは、知り合いの分だけ作っているところ、もう一つは、嫁がれているけれども、あるのでしょうがなく稲作と柿は作っていますというところがございました。その方々にお尋ねしたところ、続けていくのは厳しいですかということを聞きましたら、後継ぎがいていないということは一番には理由として挙げられたんですが、本当のところは、労力に対して対価が認められないと。だから、頑張ったんだけども、これだけの収入。稲作もそうですけども、金額との相違が一番のネックだという現場でお声を聞かせていただきました。ですので、そういうことがないようにしていただくためには、柿に関しましても、現在は萱生町の方々に頑張っていただいているんですけれども、何か名のり出ていただくのであれば、ほかの町の、たとえば渋谷町であるとか岩屋町とか、柿を作っていらっしゃるところはほかにもございますので、そういう方々にも参入していただけるような方向、それについては、そうやって職員が出ていって、お手伝いしましょうかとかいうところで、励ましのお手伝いがあるのであれば、また頑張っていただけると思います。このままいくとなくなってしまうというわけですので、そうならないような手だてをぜひお願いしたいと思っております。 あと、ブランディングというところでして、最近、有田市は、自治体認定フルーツということで、「有田みかんの中の有田みかん」という名前をつけまして、ふるさと納税に挙げられております。これは、園地の審査とか、甘さとか酸味の検査、あとは、食に精通した方々が、官能検査というんですけども、どういうときに使ったらいいとか、どういうみかんであるかとかということを厳正に基準を決められて、それをクリアしたミカンがそのミカンになるそうです。これも、私、見た目に見たら、普通のミカンなんですけど、そうやってつけていただいて選別されたミカンかと思うと、すごく付加価値が上がると思いました。 現在、天理市でもめぐみめぐるてんりの認定の事業者というのをつくってくださっていますね。それも、もっと私はブランドとして動かせていけたならば、また変わってくるのではないかと思います。それについて、自負されながら一生懸命つくっていただいているということは私も理解しているんですけれども、もっと売っていただくことによって、付加価値の部分で天理市も有名になるし、また頼みたいなとかいうふうな、人間の心理ってそんなものだと思います。何かちょっとプレミアムやったりとかすると、豊かな気持になりますので、おいしいものを作っていただいていますので、ぜひそういう売り方をしていただけたらと思います。 ここからは私の要望なんですけれども、ふるさと納税に関してはそういう状況でやっていただけたらいいと思いますが、昨今、外国人観光客の方に対しての宿泊税というのをされているところがございます。いまのところは大都市圏のみとなるんですけれども、京都市なんかを見ますと、一万円以下の宿泊料金であっても二百円をお取りになっています。金額によって値段が上がったりもするんですけれども、天理というところの宿泊施設で、なかなか普通と比べれば安価であるかと私は思っているんですが、その中から、外国人の方でパスポートを持ってこられた方、その方がお泊まりになられる際には協力をしてくださいということで、たとえ百円でも二百円でも取っていただけるのであれば、またその税収という部分で変わってくると思います。どれぐらいの方が泊まられているかということをホテルにお尋ねしたところ、やはりまあまあ泊まられています。昨日も中国人の方を四十人泊められていましたとかいうお話も聞かせていただきますので、すぐにはできることではなくて、この近辺でもそういうことはされておりません。東京都とか大阪府とか、大都市になりますので、これから先の一つの考え方として、来ていただいた方に、外国の方に協力をしていただくというのがまず一つかなと思っています。 それと、あとは、観光ポスターに、前回も私はこれは御提案させていただいたんですが、QRコードをつけていただけましたら。どこでも結構です。「天理へようこそ」と書いたポスターに少しQRコードを貼っていただく。そうしたところで、そこにちょっと入っていただくと、サポーターとして、「どうですか」「寄附してみませんか」というような、そういう導入ができたらばいいかなと思っています。それに関しては、返礼品とかはもちろんございません。金額に関しても、御自分で決めていただくか、安い金額でいいと思います。できる範囲の金額、ちょっと山の辺の道を歩いて、帰りしなに見たから、ちょっと歩かせてもらって楽しませてもらったから入れとこうかとかいう感じで、気軽にしていただけるところ。漏れ落ちがないように、全て来ていただいた方には何かしていただけたらと私は思っているんです。なので、そのきっかけづくりの一つとして、そういうものをつけていただくならば、観光地へ伺った方々が、そうしたらやったらいいかもしれないねというふうに思っていただけるかもしれませんので、何もしてなかったらそのまま帰ってしまうだけですけれども、そういうのがちょっとあると、応援したくなるような気持も高まるのではないかと思いますので、たくさんおしゃべりしましたけれども、こういう御提案、御要望を聞いていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。 二つ目のお話になりますけれども、市の職員の方々の働き方についてお尋ねいたします。 まず一つは、市民の対応です。職員の数がいま現在減少しています。人手不足の問題に向けた業務プロセスの改善も進める必要がありますけれども、多くの自治体では、他の自治体のいい先進的な事例から多くを学びながらも、実行できる人材がいないという課題にも直面しています。また、高齢者人口が増えておりますので、きめ細やかな対応を求められる場合も増えてきているかと思います。現在、本市では、デジタル化でワンストップ窓口であるとか、また、コンビニの証明書の発行など、手続がスムーズにできるようになりましたので、私たち市民は大変便利になりました。そしてまた、職員の方の不足というところに関しても、有利には働いていると思いますけれども、その他の部署などで業務効率化をされているところがありましたらお尋ねしたいと思います。お願いいたします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 少子高齢化によって子どもと現役世代が減少していく中でございます。また、経常収支が厳しいという本市の状況からすれば、持続可能な財政運営のためには、やはり職員数も合理化していくことというのは不可避な状況でございます。 ただ、その一方で、市民サービスを維持し、より向上させていかなければならないということで、働き方の多様化、そして、各職場において、いままでにない新しい働き方を追求していく必要があると考えております。これまでも取り組んでまいりましたが、特に今年度については、再度業務の効率化、改善に向けての提案募集を各部局において行いまして、中には、各課でそれぞれの施設の営繕を行っていたものを部局内の一つの課で一元管理をするということで業務の効率化を図っているという事例もございます。電子決済を導入すること、あるいはテレワークを実施しやすい環境にもなって、窓口デジタル化による職場環境の効率化、こういったことも組み合わせまして、いま、職員ができるだけ働きやすい環境をつくっていきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議員) 石津議員。 ◆十三番(石津雅恵議員) ありがとうございます。デジタル化、プラスアルファ電子決裁をしていただいたり、テレワーク、多様な対応をしていただいているということで、柔軟な行いに理解をいたしました。 私は、先日、ある課へ伺ったときに、職員の方がずっと電話の対応に追われているというのを見受けました。職員不足の中、忙しくされておりますのに、仕事がはかどっていないという様子を目の当たりにしたんですけれども、それについて、内容までは聞こえてきませんので分かりませんが、市の職員の対応が悪かったり、何か不手際がある場合にはもちろん丁寧に説明をして謝罪をするということは必要でありますが、昨今、一方的な不満や恨みから、行政職員らが狙われる行政対象暴力というのが後を絶たないそうです。 警察庁の調べでは、摘発されたのが、大体、昨年は四百件、この五年間で五倍に上がっているそうです。近年目立つのが、市民の中でも、暴言や暴力行為で経済困窮のはけ口になっている可能性などがあって、そのような行為を市のお電話でぶつけるということもあるそうです。それがたくさん調べましたら出てまいりました。そういうことに関しましてどうしていくべきかということで、各自治体で取決めを決めて対処方法を考えていらっしゃるそうですが、北海道の北見市では、通話録音装置の運用に関する取扱い要綱を策定したり、あとは、北広島市とか京都府の向日市なんかでは、電話の録音機能を設置しているというふうに聞いています。向日市に関しましては、固定電話に不慣れな新人世代が電話対応に恐怖心を抱く固定電話恐怖症という言葉があるそうでして、そこから通話の録音や情報の一括管理を行うということで、安心・安全の職場環境が整備され、結果として市民のサービス向上にもつながっていくというふうにお聞かせいただきました。 たくさんのお電話がかかってくる中で、何か万が一トラブルになったときに、いつかかってきたのか、また、誰だったのかとか、あとは、こう言ったのに、ああ言ったけどとかということになることを考えますと、やはり業務の効率化の改善という点から見ると、電話の対応というところに関しましても少し何か措置をしていただけるのであれば、職員の労働環境の安心と安全を守ることができるのではないかと考えますけれども、市長の見解をお聞かせいただけますでしょうか。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) とても大切な御指摘をありがとうございます。 この間、学校現場における保護者対応については相当議論しておりますが、職員の日々の業務における市民からの電話応対に関しましても、やはり相手から不当な要求や暴言などを受けることがあると認識をしております。職員がそうした理不尽な言葉を投げかけられる事象から組織としてしっかりと守っていかなければならない。現在の対応としては、通話を録音する装置の運用により、暴言などをくり返し電話される部署においては個別に電話機を設置することで対応しておるんですけれども、今回御提案いただいたことを機に、市役所全体に対して、通話内容を録音できるということについて、既に導入されている他府県の市町村の例も参考にしながら、可及的速やかに導入をしたいと思っております。 ○議長(大橋基之議員) 石津議員。 ◆十三番(石津雅恵議員) ありがとうございます。可及的速やかにつけていただけるということで御理解させていただきたいと思います。現在では、高齢者のお宅なんかですと、オレオレ詐欺なんかがありまして、必ずすぐには出てこられない状況をつくってくださっていると思います。企業でもそういうところがございますので、決して一般的に見ると特別なことでは私もないと思いますので、ぜひ業務の改善という点ではつけていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。 最後ですけれども、市職員のハラスメント相談についてお尋ねしたいと思います。 ハラスメントとは、相手の嫌がることをして不快感を覚えさせる行為全般のことを指すわけですけれども、職場においてはセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントなどがよく問題に上がります。あと、マタニティハラスメント、パタニティハラスメント、ケアハラスメントの三つをまとめて、職場における妊婦・出産・育児休業等に関するハラスメントとも呼ばれているそうです。そのような内容になっているんですけれども、天理市としまして、いま現在のハラスメントの相談体制はどのようになっているのか、また、どのくらいの件数があるのかをお聞かせいただけたらと思います。お願いします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) ハラスメント等に関する相談窓口については、市長部局、教育委員会、上下水道局の各人事担当課でございます人事課と教育総務課、総務経営課に設けております。相談の受付はいずれかの課に直接相談でもいいですし、ほかには、電話、手紙、ハラスメント専用のメールなどで行うことができまして、実際の相談においては複数名で聞き取りを行いますが、相談者が同席を希望する職員がいれば、同席も含めて対応しております。 ハラスメントの認定に当たっては、天理市職員のハラスメント防止に関する要綱に基づきまして、天理市職員ハラスメント苦情処理委員会を開催し、その中で審議を行っております。相談の件数ですが、令和四年度が窓口に一件、メール二件、今年度は電話一件、メールでの相談が一件となっております。また、年に一度実施している自己申告書の内容を確認する中で、職員がハラスメントを疑われる訴えを記載している場合には、本人または関係職員に聞き取りをして、早期に発見・解決できるようにしております。 ○議長(大橋基之議員) 石津議員。 ◆十三番(石津雅恵議員) ありがとうございます。いま件数をお聞きしましたところ、少ないかなと私は判断いたしました。これは、いいことであればいいんですけれども、たとえば相談できなかったりとか、言うのが恥ずかしいとか、多分いろんな思いの方もいらっしゃるのではないかと思います。ですので、この数が全てとは思っていただかなくて、あくまでも軟らかい部分まで手が届くような状況をつくっていただきたいと私は思っておりまして、たとえば、いま三部局言っていただきましたが、たとえば自分の上司に嫌がらせをされていると思って、それを相談に行くのは自分の上司になるわけですね。ほんなら、それを言いにくい。そしたら、違うところに言いに行こう。人事課にたとえば言いに行きましょうと。言いに行った場合に、人事課のたとえばその担当してくださった方は、たとえばその方のお知り合いの方に言ってこられた方は、何か嫌がらせをされているとなったときに、相談しにくいと思うんですね。なかなか、人対人の話になりますので、本当は言いたいけれど、言う先が自分が嫌がらせをされている人であるとか、これは仮定の話なので聞いていただいたらと思いますけれども、仮定としてそういう場合、言いにくい状況をつくっているからこそ、人数が少ないともしも考えるのであれば、それは改善の余地があると私は思っています。ですので、自分の言える範囲内で三部局に言う。あとは、ストレスチェックをする、カウンセリングを受けてみるというところで済む話であればそれはいいんですけれども、それプラスアルファ、先ほどの学校でも第三者に誰か対応してもらうというお話がありましたので、そういうところ、この市庁舎の中の体制としても、何か第三者機関に対応していただける。また、第三者の専門的な知識、それは心の問題だけではなくて、いろんなことに対応してくださる方、いろんな方々にお願いすることになると思うんですけども、そういう方々に的確な意見をもらうのがいいとは思います。そういうところで市長の御見解を頂けたらと思うんですが、何か思うことをお伝えいただけたらと思います。お願いいたします。 ○議長(大橋基之議員) 市長。 ◎市長(並河健) 議員がおっしゃるとおり、やはり第三者的な立場の人の意見を取り入れる、あるいはお話ができるというのはとても大事だというふうに思っております。 本市における第三者機関の相談といたしましては、特定非営利法人大学院連合メンタルヘルスセンターというところに委託をしておりまして、月二回、心の健康相談というのを実施しております。これは、職員が直接臨床心理士等の資格を持ったカウンセラーに予約をして面接相談を行えるというものでありまして、ハラスメントの相談も含めて、心に関するあらゆる問題について継続的にサポートしていくというシステムであります。 令和四年度は延べ六十一件の相談がありまして、今年度も上半期で延べ三十三件の相談がありました。労働安全衛生法で義務付けられるストレスチェックで、高ストレス者と判定された職員が希望すれば、医師などの面接指導も受けられるような体制も取っておりますが、引き続き、悩みを抱え込まなくていいような職場環境を整えることに向けて取り組んでまいります。 ○議長(大橋基之議員) 石津議員。 ◆十三番(石津雅恵議員) ありがとうございます。第三者に入っていただいて、いろいろな相談ができるというのが分かりましてよかったです。 現代の若い方というのは、なかなか対面でお話をすることが難しかったりとかいうことがございます。ですので、なるべくメールや文字でのやり取りで、言葉で自分の中の何かが吐き出せる方という方もいらっしゃると思いますので、そういう軟らかい部分にも対応していただけて、相談して解決ができて、また仕事頑張ってみようというふうな形になればいいんですけども、相談もせずに辞めてしまって、また人が足らなくなるというのを私はすごく危惧しておりまして、私が対応して、市の職員、皆さんとお話しする中で、やはり皆さんすごく一生懸命お仕事してくださっています。私が投げかけた問題に関しても、すごく心から対応してくださっているのを私はいつも実感しております。そんな方々に何か一つ違ったことで辞めてしまうような方向に向いたりとか、いろんな病んでしまうとかということはすごくもったいないと私は思っていまして、天理市のために一生懸命頑張っていただいている方に、いろんな、こういうこともできます、こういうところもあるから遠慮しないで言ってください、こういうふうにいろんなことを言っていいんですよという形をもっと取っていただけたら、皆さん頑張っていただけるのではないかなと思っています。それが全て市民へのつながりにつながっていく、市民の皆さんに笑顔で対応していただけるという方向に向いていきますので、ぜひまた前向きに御検討よろしくお願いいたします。 私の方からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(大橋基之議員) 以上をもって一般質問を終わります。 以上で本日の日程は終了いたしました。 なお、明日より十七日まで休会し、十八日午前十時より再開いたします。 本日の会議はこれをもって散会いたします。                       午後二時四十六分 散会...