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  1. 天理市議会 2019-09-01
    09月17日-03号


    取得元: 天理市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-29
    令和元年  9月 定例会(第3回)      令和元年 第三回天理市議会定例会会議録(第三号)---------------------------------------  令和元年九月十七日(火曜日) 午前九時三十分 開会---------------------------------------議事日程(第三号)一 日程  日程第一 一般質問---------------------------------------本日の会議に付した事件 議事日程のとおり---------------------------------------出席議員(十五名)                  一番   仲西 敏議員                  二番   石津雅恵議員                  三番   西崎圭介議員                  四番   大橋基之議員                  五番   寺井正則議員                  六番   鳥山淳一議員                  七番   内田智之議員                  八番   今西康世議員                  九番   榎堀秀樹議員                  十番   市本貴志議員                 十一番   岡部哲雄議員                 十三番   荻原文明議員                 十四番   山田哲生議員                 十五番   東田匡弘議員                 十六番   加藤嘉久次議員---------------------------------------欠席議員(一名)                 十二番   飯田和男議員---------------------------------------説明のための出席者              市長       並河 健              副市長      藤田俊史              教育長      森継 隆              市長公室長    岡本匡史              市長公室特命理事 吉川尚光              総務部長     寺田具視              総務部次長    加藤道徳              くらし文化部長  城内 薫              危機管理監    中本浩司              くらし文化部                       薮内康裕              次長              健康福祉部長   米田敏宏              健康福祉部                       上村克樹              次長              環境経済部長   東  博              環境経済部                       金守和史              次長              建設部長     岡林 功              建設部次長    出口 勝              教育委員会                       木村昌訓              事務局長              教育委員会                       青木 仁              事務局次長              監査委員                       長岡律子              事務局長              会計管理者    松原眞紀子              上下水道局長   山本雄彦              上下水道局                       平畠教幸              次長              上下水道局                       岩田全喜              次長議会事務局職員ほか出席者              事務局長     中田憲良              事務局次長    赤埴陽一              事務局係長    河合宏明              書記       上田泰司              書記       村田 俊---------------------------------------                      午前十時零分 開議 ○議長(大橋基之議長) 休会前に引き続き会議をいたします。 これより日程に入ります。--------------------------------------- ○議長(大橋基之議長) 日程第一、一般質問を行います。質問通告が来ておりますので、順次発言を許します。 一番、仲西敏議員。     〔一番 仲西 敏議員 登壇〕 ◆一番(仲西敏議員) ただいま議長の許可を得ましたので、質問通告書によりまして一問一答方式で一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 質問の件名は三点ございます。一番目はまちづくりの推進への取り組み、二番目に観光振興、三番目が農業・農村環境の維持に係る施策の三点でございます。なお、答弁によりましては質問を深めてまいりたいと思いますので、御了承いただきますようよろしくお願いいたします。 それでは、一点目でございます。まちづくりの推進への取り組みについてであります。 現在、我が国の少子高齢化は急速に進んでおります。人口の急激な減少と高齢化を背景として、高齢者をはじめとする住民が安心できる、健康で快適な生活環境を実現することが非常に大切なことでございます。地域性を活かした、にぎわいのある住みよいまちづくりを進めるためには、その中心となる拠点への都市機能の再整備は非常に大切なことだとされております。 奈良県は、この背景を踏まえまして、広域的な観点から地方創生に資する駅などの拠点を中心としたまちづくりを進め、その特色に応じた機能の充実、強化を図るとともに、拠点間相互の連携を強化することによって、県全体として総合力を発揮した都市形成を目指されております。 そのまちづくりに対して、各自治体ではいろんなアイデアに熱意を持って取り組んでおられます。その方針が県の方針と合致するプロジェクトについては県・市で連携協定を締結し、協働でプロジェクトを実現するため、本市では平成二十六年十月、県とのまちづくりに関する包括協定が結ばれております。にぎわい創出のため、魅力ある公共空間の整備と活用を図ることを目的に、天理駅周辺地区基本構想が平成二十八年三月に策定され、県補助金が支出されております。また、天理駅周辺地区においてまちづくりを推進するため、都市再生整備計画を策定し、国交省の社会資本整備総合交付金制度を活用した整備がなされております。都市再生整備計画に基づいて実施される事業は都市再生整備計画事業と呼ばれます。事業費の一部に国から社会資本整備総合交付金が交付されております。天理駅前広場整備事業は、総事業費十四億円余り、国土交通省が地方自治体に交付する社会資本整備総合交付金が主な財源でございます。この計画の目標は三点、にぎわいのある駅前空間の創出、産業振興へのつながり創出、魅力ある文化発信拠点の創出ということでございます。現在、天理駅前広場コフフン、二〇一七年四月一日にオープンしております。二年と六カ月近くが経っております。子どもたちからシニアにまで、多世代で新しい価値を生む場所として全国的に注目をされております。 そこで、質問をさせていただきます。都市再生整備計画事業に係る天理駅前広場の現状について、市長、どのように捉えておられるのか、現状を踏まえてお聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) ただいま仲西議員から御質問をいただきました、天理駅前広場をはじめとする周辺の現状ということでありますけども、天理駅前広場コフフンは平成二十九年に、御指摘のとおり社会資本整備総合交付金や県の補助金などを活用して整備されたものであります。地方都市にありがちな駅ビルをつくるのか、それとも過度に広いロータリーだけあるのかというような二択ではなく、多世代が集う中で市の魅力を発信し、にぎわいを創出するという駅前の新たな形を発信しようということで、この間事業を進めてまいりました。本年で三年目を迎えまして、地元や市民団体、また大学などの御協力も得て、子育て世代をはじめとした多世代の数多くの来訪者でにぎわっておりまして、全国の自治体であったり鉄道会社、まちづくり関係の事業者などの視察も相次いでいるところであります。 また、議員からも御紹介いただきましたが、本県がきっかけとなって、県内の三十九市町村の中で本市が一番最初に県と市の連携協定を結べたということが、今後さまざまな地域での県・市の連携にもつながっていくというふうに思っております。ステージでは市の魅力でありますダンスや音楽、雅楽などのイベントが多くの来訪者を得て開催されておりますが、それぞれこれまで関係者の間では知られていたものの、雅楽であったり、あるいはマーチングであっても、見たことがなかったというような方もたくさんいらっしゃった中で、天理の魅力を共有し、またそれぞれの活動の幅も広げていただいていると思っております。その他、星空映画上映会やプロレスなども行われ、天理駅前広場としても新たな可能性が広がっており、それが県内各地、また県外からの来訪者にもつながっております。 南団体待合所におきましては「わくわくいちょう体操」や「健康太極拳」、「介護予防体操」、「いきいき百歳体操」など健康に関するワークショップが非常にたくさん行われておりまして、「ママにこ子育て相談」や「ママヨガ」など幼児や母親向けの子育て支援の場としても機能しております。そのほか、シティオーケストラによる団体待合所でのクリスマスコンサートが開催されるなど、幅広い世代の方が集まり同じ体験をすることによってコミュニティを醸成するという場にもなっておりまして、若手による活用も進み、最近ではいろんな悩み相談などにも応じるような事業も開始されているところであります。イベント数だけをとりましても、平成三十年度が四百三十八件と前年度より大幅増となっておりまして、そして重要なことは、行政主体で進めているということよりも、この大半が市民の皆様方の自主的な活動であるということから、この場が多くの市民の生活にも根付いてきていると考えております。今週の金曜日にもラグビーワールドカップのパブリックビューイングがございますので、ぜひ議会からもたくさんお越しいただけたらと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) ただいま市長から説明ありましたように、本当にたくさんの想像以上のイベントが相当な数、年々増えているんじゃないかなと、私もそのように感じます。また、地域の市民が参加されている現状というのが非常に大事なところかなと僕は思うんです。ただ、そういう成果をいろんな産業振興に結び付けるような、そういう工夫が必要ではないかなと私は考えております。 これは全体ですけど、天理市の中心市街地の駅前でのにぎわいづくり、それから文化発信はすばらしい成果だと思います。そこで、産業振興について、市長がいまの状況についてどのように捉えられているのかお聞きしたいなと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 市外、県外への人口流出というところを食い止めて定住・移住を促進するため、また、地域のコミュニティを守るためにも、やはり市内と、そして奈良県の産業が元気でなければ地方創生というのは成り立たないということからいたしますと、以前には公というものはそういう私のビジネスのところとはあまりかかわらないというような姿勢もあったところでございます。これは、特定の利益に肩入れしてはいかんということでありますが、地方創生においては産業をどうやって一緒になって盛り上げていくかというところが非常に重要な要素でありまして、天理駅前広場コフフンについてもそれに寄与するべく努力をしているところでございます。コフフンショップにおいては、市内、また県内のさまざまな産品を販売、発信しておりますほか、これまでものづくりに関するセミナーであったり、さまざまなものを商工会あるいは税理士の皆さんだったりと連携しながらやってきております。また、至近の距離に産業振興館もございますので、こちらの方と連携をしている。そういった場を市内の事業者の方もぜひ活用したいということで、市内で奈良県産の木材を使っていろんな家などを建てておられる事業者が、ぜひそういう木育と、また自分たちのお仕事の発信もしたいということでお使いいただいたり、また、奈良匠の会という形で、同じように県内で取り組んでおられる皆さん方が、ぜひ奈良県全体の工務店を集めたような発信の機会をここでつくりたいというようなことをおっしゃっていただきまして、そういうこともやっていただいております。そのほか、音楽教室をされている方、また市内の若手農家の皆さん、いろんな方々が自分たちの取り組みを共有する場としてお使いいただいているところでございまして、こういったことはどんどん積極的にやっていきたいなと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) ただいま産業のつながりというところで市長からるるお話がございました。本当に大切なことでございます。民間活力を天理駅前広場のこのすばらしい実績、業績の中で産業振興に結び付ける、これは民間がこぞってお金も出す、人も使うねんと、そういう取り組みというのは行政だけではできません。民間活力のさらなる創意工夫で産業振興の成果に結び付けるよう頑張っていただきたいと思います。 続きまして、天理駅前広場がいま注目されているのはソフト面だと思うんです。いわゆるハブ機能というのか、「支え合いのまちづくり」、市長のキャッチフレーズでございます。このハブとしての機能、日常的に子どもたちが遊び、学生たちが自習をし、多世代が活動する場として日常の市民生活に根付いて、各種イベントも大変増えて、これだけにとどまっていないんです。この中でいろんな活動が、天理駅前広場から、各公民館も含めていろんなところに広まっておる。これはソフト化というか、また後で絞らせていただいて質問しますので、この部分については支え合いのまちづくりに向けたハブとしての機能について、市長、お答えを願いたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 支え合いのまちづくりをはじめとして、天理駅前広場コフフンがさまざまな地域の活動と結び付きながらハブの機能を果たしていくべきだというのは、まちづくり協議会でも当初から非常に重要なテーマとして取り上げておりました。何個か例を申し上げますと、いま市内全体で、一緒に食事をとることによって多世代が交流しようという食堂の事業が進んでおります。市本議員も非常に熱心にやっていただき、また議長はじめ議会の皆様方も毎回御参加をいただいて、仲西議員御本人もあさひこども食堂の方で頑張っていただいているわけでありますが、これについても当初、そもそも子ども食堂とは何だというところについて、あまり市内でも認識が広くなく、地域の皆さんから協力を得ていくにはもっともっと意義を理解してもらわないといけない。単に貧困対策だったりとか、あるいはそこに行くと誤解されるんじゃないかと、いろんなお話があったときに、そもそも何なんだろうというようなことを地域のNPOの皆さんとも連携して、この場においてセミナーをやり、あるいはボランティアを募り、そして次の年には、その間にどれだけ市内で広がってきたのかというような共有の会も持たせていただく中で、いま市の中でこの食堂に関する取り組みが徐々に広がってきているというふうに思っております。 そして、支え合いの中でいま我々が非常にもう一つの柱で重視しております認知症予防につきましても、活脳教室というのをメディカルセンターと五つの公民館で展開をしておりますが、これについても公文と慶応義塾大学と連携をいたしまして、この南団体待合所の場所を使っていろいろと啓発、そしてまた協力者をお願いするというようなことをやらせていただき、それが各地域の取り組みへとつながっているというようなことからしますと、市のハブとして機能はし始めているのかなというふうに思っているところでございます。 そのほかにもパークサイドキッチン、こちらの方で市内・県内産品を使用した料理を提供し、生産者と消費者を結んでいったり、あるいは国民文化祭障害者芸術文化祭、こういった機会にも活動の拠点として活用された。そういうところが注目されて、いまでは二階堂高校の皆さん方が、学内で文化祭をやるんじゃなくて地域の皆さんと一緒にやるところに意義があるということで、こちらで文化祭を地域の事業者の皆さんと一緒にやられるといったようなことがございました。また、もともと東側だけでなく西側も盛り上げていこうというような議論があったわけでございますけども、今年の夏には市民の皆さんの自主的な事業として「ウエストサイド・パーク・フェスティバル」というのも行われてまいりまして、一歩一歩でございますけれどもハブとしての機能、そしてまた周辺へのにぎわいづくりというところが進んできているかなと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 駅前広場のハブ機能は私、非常に注目しておるので、どのようにこれが広がっていくのかなというのが本市にとってもキーワードかなと思います。 続きまして、本市のAIRモデル事業、この取り組みがございます。昨年十二月、Art‐Space TARNが駅前本通り商店街でオープンしております。これは空き店舗を活用しているというリノベーション、後でまた触れますけど、AIR事業で招聘したアーティストの展覧会が非常に好評を博しておる。非常に立地がいいんです。商店街の中でああいうことをされている。そこでいろんな方の目に触れる。入って、覗いて、そこでコミュニケーション、そこに新しい出会いといろんな発見と、会話とかが発生するわけです。これが商店街の中につくられたということに、私は非常に敬意を表したいと思います。このAIRモデル事業はまだまだ一カ所だけではという、点ではなくこれを線に結び付けようと思ったら複数要ります。AIRモデル事業、Art‐Space TARNの成功をいまどういうふうに捉えられているのか、それとあわせて、今後に向けてこの辺をどのように考えられているのか、市長、お聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) AIRモデル事業とArt‐Space TARNについてでございますけれども、いま奈良県が「なら歴史芸術文化村」を杣之内町に建設中でございまして、令和三年度中に開村予定ということになっております。これを単に県の新しい施設ができてくるというふうに捉えるのではなく、やはりこの機会に芸術文化の力をもって市内を活性化させる。そしてその場所だけでなく、山の辺の道を結んで天理の東西南北に広げていく中で、コフフンから本通り商店街にかけての一帯が「なら歴史芸術文化村」につながるところをアートのエリアとして位置付け取り組んでいこうという、まず最初の一歩が、このアーティスト・イン・レジデンスの事業であり、その拠点としてのTARNであったわけでございます。 平成三十年度よりAIRモデル事業として民間のゲストハウス、こちらは総務省の地域経済循環創造事業交付金を活用して整備をしたものでありましたが、市内にアーティストの方に滞在いただいて、そして市民の皆さんと交流する中で作品を作っていく。その発表の場としてArt‐Space TARN、こちらは先ほど問の中でも言っていただきましたが、空き店舗を活用した場所でございます。そういうような形で事業を進めてきております。国内、海外よりそれぞれ二名の方に昨年度はお越しいただいてやったわけでございますけども、これまでに市内の芸術協会に所属されている皆さんであったり、あるいは障害者芸術文化祭でも活躍いただいた脳性麻痺の書家の川上さんによりますパラアート展、いろんな取り組みをやってくる中で、書道だったり写真展であったり、やはり本通り商店街を歩いておられる方からそのまますぐ見える場所でございますので、既に四千六百人の方々に来ていただいております。市内に移住されたアーティストを含め、相当幅広く活躍されている芸術家の皆様方にも高評価をいただいておりまして、ぜひここを使って自分たちもやっていきたい、あるいはやられたアーティストが自分の仲間だったり御家族だったりに紹介する中で、じゃあ私もやろうというような展開も見えているところでございまして、ますますその動きというのは広げていきたいと思っておりますし、今年に関しても六月から建築系のアーティストの方が、天理の街がどういった歴史的な構造なのかというような調査をされ、昨日発表されたところでございますが、後半は天理大学在学中のフランスのコンテンポラリーダンサーの方が天理に来られて表現をされるというふうになっております。 今後の展開なんですけども、やはり市が主催というよりも、コフフンと同じように市民の中からそういう芸術文化活動を担っていこうという方が生まれてこなければならないということで、いまTARNでワークショップなどをやっておるんですが、それにサポートスタッフとして参加いただいた方々をこれからどんどんチームとして編成していき、来る文化村開村のときには主導的な役割を果たしていただきたいなというふうに思っております。そういった方々の活躍を行政も応援していくとともに、またほかの場所でどういった拠点が見つかってくるのかという市民の皆さんの主体的な活動についても、引き続き応援していきたいなと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) まさに市民が主役の取り組みというのか、その辺の視点に私、すごく注目しております。本市AIRモデル事業に、市民が主役として参画をしていく中での事業の推進、これがまた一つポイントになるのかなと思います。 続きまして、県の事業でございますけども、杣之内町で「なら歴史芸術文化村」、これは令和三年度中に開村というふうに聞いております。このビッグプロジェクトの立地する本市が、いま市長が述べられました本市芸術文化エリアAIRモデル事業プロジェクトのこれに向けての取り組みについて、市長のお考えをお聞きしたいと思います。
    ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 「なら歴史芸術文化村」につきましては、予算面等についてはもう完全に県事業であるわけなんですけれども、やはり県としても地元と一緒に盛り上げていきたいというお気持を持っていただいておりまして、ソフト事業の構築というところを中心に、私自身もいま、なら歴史芸術文化構想等検討委員会に委員として参加させていただいております。そこで先ほど申し上げましたAIRモデル事業やTARNでの市の取り組みというのを皆さんに申し上げますと、この委員会、そうそうたるメンバーが入っておられますけども、こういうことが本当に大事なんだということで高く評価をいただいているところでございます。 そして本年七月には、県と天理大学の方でも文化村に関する連携協定が締結されまして、天理大学の図書館や天理参考館、やはりすばらしい、世界に誇る宝を持っておられますので、こういったところを積極的にどんどん打ち出していく場として「なら歴史芸術文化村」も活用されたらということであったり、また、学生の皆さんが課業の中にしっかりと組み込まれたような形で、文化村で活動するといったことについて合意がなされました。また、県におかれても、いま全国の芸術系の大学ともさまざまな連携の取り組みについて協議をされているところでありまして、そういったところが天理大学との縁がつながってくるきっかけになればなというふうに思っております。 そして、加えて先ほどとくり返しになりますが、やはり駅周辺地域から山の辺の道、観光にとって非常に重要な拠点であります。今般「なら歴史芸術文化村」内に建設される農村交流拠点は国交省の重点道の駅という形で指定もされたわけでございまして、産業振興、観光振興の点でもこの拠点が活きてくればなというふうに思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 県のビッグプロジェクトの立地する本市としては、最大限に知恵を出して、本市の振興に結び付けるように取り組みをお願いしたいと思います。 いま、第一番目の項目の、一応まとめのような形での質問になりますけども、この十四日、東大寺金鍾ホールで地域フォーラムがございまして、市長のすばらしい話がございました。いわゆるまちづくりの推進にソフト部門のリノベーション化、これはいま全国津々浦々で各自治体が取り組みを進めておる、本当に大きな一つのキーワードでございます。これのリノベーション手法、いまあるものを活かしながら必要に応じ時代に適したあり方を変えて、新しい機能を付加する、これについて市長が金鍾ホールで述べられた。私もきちっと心に刻ませていただきました。その手法を踏まえて、ハードというのはお金がかかるじゃないですか。ソフト部門で、リノベーション化について市長のお考えをお聞きしたい。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 議員が冒頭に申されましたとおり、やはり本市も例外でなく少子高齢化というところには直面をしておる。人口が減ってくるということは、どうしても実入りが下がってくる。その他諸事情もありまして、今後我々として財政的な見通しというところは決して楽ではなく、いま必死に改革努力を続ける中で、しっかりと市民サービスを守りながら、いろいろと生活のために、必須の整備をしないといかん拠点をつくっていこうというのが今後の基幹になっております。では、その予算に限りがあるので、単に従来型の発想で削ればどうなっていくのだろうかということになりますと、市民サービスはどんどん劣化していって、余計その市に活気がなくなる。こうすると悪循環になってしまうところをどう工夫ができるのかというのが非常に大切な中で、やはりいま我々が持っておる既存の施設などについても、市民の皆さんであったり、あるいは民間のビジネス関係者の皆さんと一緒にどれだけ活かしていって、そしてそれを活用できるのかというのが鍵であるということから、先般の地域フォーラムでは公民館を例に、私どもがいまやっております移動販売の事業であったり、あるいは活脳教室であったり、これを御紹介させていただきました。また、これが市の持っている施設というだけに限定されることなく、先般のJR柳本駅の場合では、JRが持て余してしまっていた無人駅がいま新たに地域の皆さん方の活性化の拠点というような形になっており、市としても観光の重要な拠点になってくるだろうというような部分でございます。なので、相反するということではなくて、いままでの使い方をより良くしていくためにも、もっとほかに幅を広げられないんだろうかというようなことを柔軟に考えていきながら活用していき、できるだけ市内の活気が失われないように改革努力についても継続していこうというのが現在我々の方針でございます。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) カタカナ、和製英語がいっぱい飛び交ってますけども、要はいまあるものを本当にいまの時代にマッチしたような形で有効的に活用していくということなんです。市長がいままさにおっしゃったような、公民館が生涯学習の場やったのが、こども食堂はじめ、活脳教室もはじめ、本当にいろんな取り組みをされている。これがまさにソフトのリノベーシヨン化です。それを本当に注目しておるんです。まだまだいろんなことが、市の公共施設もたくさんございます。バブル期にいっぱいできました。それをやはり市民にもっとアピールして、もっともっと参加していくような形で、本当に全国的に注目されるような市の取り組みに結び付けていけたらなと考えております。 大きな項目の二番目、観光振興についてでございます。観光というのは昔から非常に大切な産業分野と言われていますけども、十キロ北へ行ったら奈良市で、あれだけ全国からすごいインバウンドで、世界観光都市です。十キロ南のこの天理市で、その辺が非常に私らは残念やなと思います。天理もたくさんの観光拠点、歴史文化拠点がございます。その辺を踏まえまして、本市のいまのところの観光施策の状況、その辺の課題も含めてお聞きをしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 環境経済部長。 ◎環境経済部長(東博) 天理ならではの魅力を統一的なブランドイメージとして広く内外に発信し、観光客の誘致促進、交流人口の増加、そして移住・定住促進など新しい人の流れを創出することを目的に、平成二十七年度から地方創生交付金等を活用して天理ブランディング事業「めぐみ めぐる てんり」に取り組んでまいりました。 内容といたしましては、ブランディングウェブサイトを立ち上げ、天理で暮らしさまざまな活動をされている人に焦点を当てたドキュメンタリー映像やコラムを制作して、定期的にアップしております。また、天理市PRタブロイド紙やポスターを制作して、駅や人の集まるさまざまな場所に張り出し、本市の多様な魅力の見える化に努めるなど、その地域ならではの魅力に関心を寄せる感度の高い方々にも響くよう情報発信に取り組んでまいりました。また、実際に現地に訪れていただく周遊観光には、その方法といたしましてウォークまたはノルディックウォーク、サイクリングなどがあります。トレイルセンターを拠点として地域団体とのパートナーシップによるイベントを開催し、新たな周遊観光の道筋というものをつけてまいりました。さらに、山の辺の道を中心として、本市の魅力を知っていただくきっかけを行政主体で行う段階から市民の皆様が主体となった持続可能なにぎわいづくり、日常の活動を活性化させる自主的な取り組みへと転換を図っております。今後も、天理駅前広場コフフン、Art‐Space TARN、トレイルセンター、新たな周遊観光の拠点となりますJR柳本駅舎、そして令和三年度に開村する「なら歴史芸術文化村」などの各拠点をつないでいくことが重要となります。そして、集客が地域を一層活性化させ、経済効果にもつながっていくよう、地域の皆さんや関係者団体とも連携しながら取り組んでまいります。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) その観光の部分で、観光客の入込数がどれぐらいというのはつかんでおられるのかをお聞きしたい。 ○議長(大橋基之議長) 環境経済部長。 ◎環境経済部長(東博) 石上神宮をはじめとする山の辺の道周辺の観光客数は、年間約二十万人とも言われておりますけれども、ここ数年着実に増加している状況にあります。特に、トレイルセンターでは、平成二十九年のリニューアルで産品の購入や味わうことの魅力が加わったこと、また指定管理者による積極的な活性化の取り組みなどによりまして、年間来館者約七万人だったものが、現在では約十五万五千人に増加しております。また、山の辺の道周辺では、欧米やアジア圏など多様な国の方々の姿も目にする機会が以前にも増して多くなってまいりました。 地域のきずなづくりと発信の拠点として今年四月に新しく生まれ変わったJR柳本駅舎も、トレイルセンター同様食事や産品の購入ができるようになり、八月末までの来館者数は約四千人と、観光客や地域の皆さんなど多くの方々に利用いただいております。さらに、これまでなかった経済効果も生んでおります。 今後、奈良公園周辺の観光客を取り込むためにも、周辺市町村や県とも連携してそれぞれの拠点をつなぎ、そして多様な主体による地域資源を活かした取り組みにより、また、通過型から体験型、滞在型の観光への転換を図ることによりまして、今後さらに訪れていただく方々が増えてくるものと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) いろいろ取り組んでおられるということがわかりました。ただ、先ほどのところで触れましたけれども、県の事業で「なら歴史芸術文化村」が令和三年度に開村と、これは大きな観光拠点です。その観光拠点が確実にできるわけです。また、将来的には大阪万博も世界からお客さんが来られる。こういう近未来を踏まえて、本市の観光施策、これはちょっと大きい話になってるかわからんけど、いま部長の方から、るる取り組んでおられる説明がございましたけれども、ビッグプロジェクトが続きます。当然、奈良市とか桜井市だけじゃなくて、我が郷土天理、ここに何とか観光客を呼び込む、その辺の意気込みというのか、具体的な話はちょっとあれなので、市長、その辺をどういうふうに考えられているのかお聞きしたいなと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) いま、観光についてはあり方が多様化してきていると思っております。従来でしたら名所をめぐっていくというところが主体であったのが、いまでは誰と触れて何が体験できるのかというようなことが付加価値として非常に大事だということであります。インバウンドにつきましても、自然や歴史的建造物、食事や買い物というだけでなくて、やはりそこの土地の文化に触れること、それを体験すること、地域住民と交流することというのが重要な要素になっておりまして、山の辺の道を中心とする本市の観光については、これまでですと地元の経済効果につながりにくい日帰りハイキングというようなものが主体になった通過型でございましたけれども、いかに来訪者の滞在時間を伸ばしていくかというところが課題であると思っております。先ほど来お答えしておりますとおり、駅前広場コフフン、Art‐Space TARN、トレイルセンター、JR柳本駅というような形で拠点の整備については進んできており、それぞれ市民の皆さんの活発な活動が行われているところでございまして、これを観光産業の方にもどうつなげていくか。そして課題の一つでありました宿泊、こちらについては駅前に制作工房付きのゲストハウスができました。また、国道二十四号線沿いにはグランヴィリオホテル奈良「和蔵」と、新たな施設がオープンされました。そして、「なら歴史芸術文化村」の方には隣接してマリオットホテルグループのホテルもできてくるということになっております。この文化村内ではさまざまな文化財や伝統工芸技術の展示のみならず、ワークショップ等の体験メニューが予定されておりますので、やはりそれをしっかりと充実させる。また、地元産品を使った食事やお買い物もできるような拠点にしていくことによって、これまでの通過型の観光から滞在型の観光へとシフトしていこう、そして周辺市町村との連携というところが非常に大事であります。いま、県の方としても、文化村から山の辺の道、そして桜井市にある「なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)」、こちらを一体化してアグリツーリズムを展開していこうというような形で御相談も受けているところでありまして、引き続き周辺市町村や県、また民間の事業者の皆さんとも連携しながら取り組みを進めていきたい。それによって、御指摘にもございました、文化村の開村の前後にワールドマスターズゲームズが予定されており、また大阪万博も開催される。こういった大きな人の動きを、しっかり本市を含めたエリアに取り込んでいくようにやっていきたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 本当にいろんな取り組み、私が注目しているのはアグリツーリズムです。農業でできるいろんな商品を、天理に来たら、ここでできた良質なおいしいものが、おいしい水とおいしい緑、こういう食材で、レストランまた直接販売、いろんなところでアグリツーリズムというのは大きな可能性を秘めているんじゃないかな。農業従事者、農業振興についても大きなインパクトのあるような取り組みに結び付けていただけたらなと思います。 次に三項目め、農業・農村環境の維持に係る施策についてであります。 御案内のとおり、国の農業従事者への直接支払い制度がずっと続いております。これは民主党政権のときでもございました。安倍内閣にかわりまして、内容もちょっと変わりまして、現在、多面的機能支払交付金という制度で、国が直接支払い制度として農業支援に取り組みをされております。本市も農業の集落の維持、発展につきましていろんな取り組み、支援をされておるということを聞いておりますけども、その多面的機能支払交付金なるものはどういうものであるのかなというふうなことで、概略で結構でございますけども、お聞かせ願いたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 環境経済部長。 ◎環境経済部長(東博) お尋ねの多面的機能支払交付金事業の概要についてお答えさせていただきます。 この事業は、農村地域の過疎化・高齢化に対し、農村環境の保全維持と農村協働活動の継続的な維持、担い手の負担軽減を目的に、平成十九年に農地・水・環境保全向上対策事業として始まり、平成二十六年に現在の多面的機能支払交付金事業として法制化されました。また、本事業は、先ほど議員おっしゃったように、中山間地域等直接支払交付金、環境保全型農業直接支払交付金と並ぶ日本型直接支払制度の一つであります。多面的機能支払交付金事業は大きく二つの事業から成っております。一つは農地維持支払、もう一つは資源向上支払です。このうち農地維持支払は農村の供用施設である農道、水路、そしてため池の草刈りや泥上げ、点検など基本的な管理を行うものです。また、資源向上支払は先の農地維持支払が基本的な管理であったものに対して、共用施設の軽微な修繕や農村環境の保全などにより高度な取り組みを行う共同活動、そして共用施設の更新・大規模修繕を行う長寿命化の二つの活動に分けて取り組んでいただいております。 以上のように、多面的事業は三本の柱、農地維持、共同活動、長寿命化の三つの活動から成っております。多面的事業はいわゆる交付金事業で、対象となる活動組織の構成員が維持管理する農振農用地面積十アール当たり、農地維持では田が三千円、畑は二千円、共同活動では田が二千四百円、畑が一千四百四十円、また長寿命化では田が四千四百円、畑が二千円となっております。これらの交付金は、毎年活動組織からの申請により交付、そして年度末に各活動組織での決算、総会等での承認を得て報告をいただいております。この活動につきましては五年を一つのサイクルとした活動で、五年の活動終了年に次年度以降の活動計画を策定し、それをもって更新いただいております。なお、財源につきましては、国が五〇%、県二五%、市二五%となってございます。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 非常に幅広い概要を部長の方からお答えいただきました。 いまの本市の現状、各農村、各大字集落ごとにいろんな組織をつくっておられます。本市としては、その集落の多面的機能支払交付金の組織としての数はどれぐらいあって、年間の事業費というのはどの程度なのかということをお聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 環境経済部長。 ◎環境経済部長(東博) お尋ねいただきました多面的事業の本市における現状についてお答えさせていただきます。 本市の活動組織は、主に集落単位を一つとして組織化していただいております。昨年度の実績といたしまして三十二の組織が活動され、農地維持につきましては一千七百七十四万三千五百円を交付いたしました。共同活動は三十二組織のうち二十七組織が活動に取り組まれ、九百二十万五千六百三十二円を、また長寿命化は三十二組織のうち二十三組織が取り組まれ、一千八百三十三万二千三百六十四円を交付いたしました。本年度につきましても三十一組織が取り組みを実施される予定でございます。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 三十二組織、また項目によったら三十一組織ということで取り組みをされているということをお聞きしました。 私がいろいろ聞いているのは、御高齢の方が非常に目につくんです。八十代のような方もおられます。若い方が非常に少ないというようなところだと私、つかんでおるんですけれども、担い手、これは必要なんです。どのように担い手をつくっていくのかなということも課題だと私は思うんですけども、また本市の集落営農の数をもっと増やしていくのか、生産法人化も目指されているというふうに聞いておりますけども、その辺のところの課題と今後に向けてのお答えをお聞きしたいなと思います。 ○議長(大橋基之議長) 環境経済部長。 ◎環境経済部長(東博) 平成十九年の事業開始以来、十年余りが経過いたしました。その間、平成二十六年の法制化を経て安定した事業となっており、活動組織の数も二十組織足らずから三十一組織となっており、この点では一定の成果を得ていると考えております。 課題といたしましては、議員おっしやいますように、事業の目的であります集落の高齢化による担い手の確保、担い手への農地の集約化をいかにして進めるかということであろうかと思います。この点において、現在活動組織のある集落、南檜垣、和爾、下山田の三地区では営農組合が設立され、さらに三法人を構成員とする天理市集落営農組織等連絡協議会が平成二十九年十月に発足されました。視察研修や各法人の生産、技術方法などの取り組みや課題を共有するなど、営農への取り組みを密にされ、活動というものが広がっております。また、それぞれの組織におきましても、農業者と非農業者とが協働して作業に取り組み、コミュニティの発展や担い手の集約化に寄与しております。今後も組織の運営が円滑に進んでいくように、組織へのフォローアップを続けてまいりたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 農業振興は非常に大切なことでございます。地道な取り組みをお願いしたいと思います。 最後の質問になりますけども、農業環境の維持をするための御努力は本当に並大抵ではございません。そこで、いわゆるイノシシ、鹿、またアライグマ、カラスも含めて、鳥獣の被害が相当な数に上がっている。イノシシ、鹿で六百頭を超えるというようなことも伝え聞いております。その辺の対策、またアライグマは平坦部に多いと思います。私も畑をしておりまして、いろんな被害を受けております。そんなことで、被害状況及びその対策、捕獲従事者というんですか、私も十一月、県の方でわな猟の講習もございます。私が呼びかけて、この九月一日には耳成高校で狩猟免許を取りに行っていただいた地域の方もございます。そんなことで、捕獲従事者への支援もあわせてお聞きしたい。 ○議長(大橋基之議長) 環境経済部長。 ◎環境経済部長(東博) 農業を続けていくという上におきましても、鳥獣害防止というものは極めて重要な課題であると思っております。その対策といたしましては、国からの鳥獣被害防止総合対策交付金を受けまして、これまでに被害が多い集落に対して農地にイノシシや鹿の侵入を防止するための防護柵の設置補助を行ってまいりました。また、昨年度より効率的な捕獲を実証するために、ICTを活用した遠隔監視操作システムを搭載した囲いわなを設置するスマート捕獲を杣之内町木堂地区において取り組んでおります。加えて、市内各地で出没して被害をもたらしているアライグマ対策として、アライグマ防除計画に基づいて貸し出す捕獲おりを今年度新たに十基購入いたしまして、現在三十基を備えております。個体数の抑制に加えて、里山地域と野生獣生息地の間に緩衝帯をつくり侵入を防止する獣害に強い里山づくり事業を平成二十九年度から萱生町で実施しておりまして、野生獣被害の低減にも努めております。これらの取り組みによりまして、平成三十年度のイノシシと鹿の捕獲頭数は六百七十六頭と、着実に獣害頭数の削減につながっております。 また、有害鳥類につきましては、被害が大きい地域に対して、奈良県猟友会への委託により空気銃所持者を集めた捕獲隊を設置し、有害鳥類、カラスでございますけれども、そちらの捕獲を実施しております。今後も事業補助金を活用して、鳥獣害対策に取り組んでまいりたいと思っております。 さらに、捕獲従事者への支援につきましては、市内二十九カ所に設置している箱わなの設置、管理に対して、また猟友会会員で組織される「鳥獣被害対策実施隊」による年二回の地域を限定した一斉集中捕獲に対してなど、継続的な捕獲活動を展開していただけるように猟友会へ補助させていただいております。 しかしながら、全国的に狩猟者の人口の減少が続いておりまして、これは本市においても同様であります。加えて、猟友会会員の皆さんの年齢構成では、六十歳以上が約八割を占めております。このことから、狩猟免許の新規取得に係る試験手数料や講習会の経費を引き続き支援させていただいて、防除や捕獲を担う人材の確保に努めていきたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 以上で質問を終わりますが、御答弁いただきました項目内容につきましては、検討等も含めまして今後確実に取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、降壇いたします。ありがとうございました。 ○議長(大橋基之議長) 次に、十三番、荻原文明議員。     〔十三番 荻原文明議員 登壇〕 ◆十三番(荻原文明議員) それでは、一般質問を行います。市長並びに関係各位に一括質問方式でお尋ねいたします。 まず、市行政が設置する委員会・審議会の設置・運営あるいは公開基準を作成することについてお尋ねいたします。 行政運営の透明性の向上、効率化等を図るとともに、住民の市政への理解と信頼を深め、市政に対する市民参加を促進するため、委員会・審議会等の設置・運営について、会議の公開を原則とする運営指針並びに会議等の公開基準を定め、住民に対してこれを明示する基本的事項を定める指針を作成することについてお尋ねいたします。その中でも、委員会、審議会は原則公開し、傍聴を可として、会議資料は会議録とともに公開すること、委員の公募、女性委員の比率を高めること、会議日程は事前に周知することを含む指針の作成についてお尋ねいたします。 次に、公契約条例の策定についてお尋ねします。 行政サービスにおける財政や人員の削減が費用対効果、歳出削減の成果とされ、行政運営の市場化、民営化が推進されるもとで、民営化、非正規職員が増加してきました。公契約条例は、公契約における企画設計、入札契約の適正化、透明性を促すだけでなく、公契約に関係する労働条件、福祉・社会政策の改善だけではなく、そのことにより地域経済の好循環を促進し、地域の循環型経済を発展させる波及効果も期待されています。理念条例ではなく公契約、公共調達を通じて社会経済の活性化を促進する、実効性のある公契約条例の制定が求められています。 公契約締結後の施工過程は、民・民関係不介入の原則、賃金労働条件は労使で自主的に決定すること、賃金は最低賃金法で規制されているというのがこれまでの行政の見解でありました。地元事業者、地元資材優先使用という地域要件の規定や、下請代金の現金支払い、設計労務費の現金支払い、下請負選定書・雇用通知書の提出などの契約締結後の実施状況の把握と規制を行うことが不可欠となっています。 そこで、この間お尋ねした中で、奈良県条例の実施状況を見て検討するという御答弁をいただいていました。その後、どのように検討されたのかお尋ねいたします。 また、ILO九十四号条約の批准を国に要望すること、そして地元企業の育成、工事・業務委託等の公契約における賃金、下請代金の下限の独自設定、契約書の提出・関係者への周知、履行確認、公契約審議会の設置、(内部)通報者保護などの内容を含む公契約条例の制定についてお尋ねいたします。 次に、会計年度任用職員制度の導入についてお尋ねいたします。 二〇一七年の地方公務員法改正を受け、二〇二〇年四月から地方自治体で働く職員に大きな影響をもたらす一般職の会計年度任用職員制度が施行されます。非正規職員の賃金労働条件の改善で安定した行政サービスの向上に役立つ制度にすること、そのために雇用契約更新の回数制限はしないこと、会計年度任用職員制度の整備に当たり、雇い止めや賃金・労働条件の引き下げなどの不利益変更は行わず、臨時非正規職員の任用の制度上の改善を図るという法改正の趣旨に沿い改善すること、賃金(手当)・労働条件(休暇)、労働保険・社会保険は正規職員との均等待遇を基本とすること、正規職員と同様の業務を行っている場合の欠員は、正規職員を採用すること、短時間勤務の設定は本人の希望を重視すること、業務に必要な勤務時間を確保するためにフルタイム勤務が必要な職については、引き続きフルタイムで任用すること、条例や規制の改正は職員組合と合意をもとに進めることについてお尋ねいたします。 最後に、まちづくりについて、総合計画、都市計画マスタープランにおける市西部地域のまちづくりの具体的方針と立地適正化計画の位置付けとその内容の整合性についてお尋ねいたします。 市西部地域は工業系地域、住居誘導地域、農地集落地域が混在しています。そして、高齢化の中で、交通や買い物で困難な地域と利便性が高い地域とが存在しています。一方で、住民の中では、都市計画マスタープランや農業計画でもあらわれているように、自然の豊かさを残すべきだという住民意識があります。この三十年、市西部地域はロードサイドショップや、あるいは住宅地の開発が進み、一変しました。そこで、市西部地域のまちづくりを進めるための住民との協働を、その一歩は具体的にどのように進めようとしているのか、その考えをお尋ねいたします。 また、子育てや高齢者、福祉関係施設、文化・スポーツに関係する施設の充実とともに、既存施設の利用料の無料化などでいつでも利用できる、利用を高めることが必要です。また、自主的住民グループとそこへの住民参加は健康寿命を延ばすことにもなる。住民グループへの、住民の自発性を促す行政的支援を行うことが必要となっています。これについてのお考えもお尋ねいたします。 また、そのためには、総合計画や都市計画マスタープラン作成時に一人ひとりの住民の意見や要望を聞くことが必要です。町ごとの住民懇談会の開催や、単位自治会ごとの住民アンケートの実施など、より多くの、一人ひとりの住民が意見表明できる機会を積極的に設けていくことがその第一歩と考えます。これについてのお考えをお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) ただいま荻原議員より御質問いただきました四点につきまして、順次御説明をさせていただきます。 まず第一に、委員会・審議会の運営についてでございます。審議会等とは、地方自治法第百三十八条の四第三項の規定に基づき、法律または条例により設置される附属機関、または有識者等からの意見を市政に反映させるため、要綱等により設置された協議会等と考えておりますが、本市では現在七十の審議会等が設置されております。うち八つが法により設置が義務付けられているもので、三十二が条例により設置されているもの、三十が要項等により設置されているものということでございまして、そのほかにも事業者の選定時に随時設置されている場合もございます。 審議会等の委員数や開催頻度につきましては、会議の内容や特性を勘案し、それぞれに基準等を定めて運営を行っておりまして、女性活躍の観点からも女性委員の比率を高めるべく女性活躍推進会議を設置するなどの取り組みを進めているところでございます。 会議及び会議資料は、情報公開推進の観点からも原則公開と考えておりますが、中には個人情報や入札の公平、公正の確保等の観点から、内容によって非公開または一部非公開としている場合もございます。会議の傍聴につきましては、会議の公正かつ円滑な運営に支障が生じないように、この点には留意が必要であると考えております。 一方で、会議及び会議資料の公開等は、市民協働のまちづくりを推進するために、やはり重要な視点であるというふうに思っておりますので、積極的な対応が求められていることから、今後は天理市情報公開条例に基づき、審議会等の公開に関する基準を設けてまいりまして、そして運用していきたいと考えております。 続きまして、公契約条例の策定についてであります。平成二十七年に施行されました県の公契約条例の実施状況についてでありますが、対象となる公契約が予定価格三億円以上の建設工事、予定価格等が三千万円以上で契約期間が六カ月を超える業務委託及び指定管理となっております。これにより、平成三十年度の締結件数が建設工事で十二件、業務委託で八件、指定管理で一件にとどまっている状況であります。対象が規模の大きな工事等のみのため、条例の波及効果が限定的であること、また県内の状況として、当該県条例施行以降の違反行為というのは、現時点まででは皆無であること、また今後本市の大型工事発注件数も減少見込みであることから総合的に判断いたしまして、いま少し状況は見たいというふうに思っております。 一方、下請契約書につきましては、これはやはり民間契約でございますので、提出はされておりません。しかしながら、特定公契約業務でございますので、最低賃金また社保加入等の遵守を約する誓約書の写しの提出は必須としておりまして、定期報告を受注者に課しているところでございます。 建設業法で不当に低い代金での下請けの禁止がうたわれ、本市指名登録受付時の経営事項審査、経審でございますが、こちらで社保加入の確認を実施しております。さらに、入札契約適正化法での施工体制台帳作成の義務化等によりまして、条例の有無にかかわらず対応可能な状況でありまして、本市としてはこれを適切に運用しております。ただし、下請契約書の公表につきましては、やはり民間契約でありますので、判断いたしましてこれは困難であるというふうに思っております。 そして、ILO九十四号条約でありますが、これは公的な機関が発注する事業について、適正・公正な賃金・労働条件の確保を契約に明記し、その水準についても同一産業・同一業種で確立してる労働協約や最低賃金など法令よりも有利な水準とすることを義務付けた条約でございます。 民間部門の賃金などの労働条件等については、労基法や最低賃金法などの法を遵守することは当然でございますが、やはり労使当事者間での合意が原則でありまして、政府が介入すべきでないという考え方のもと、我が国については未批准となっております。 このような状況のもとで、地域経済の振興を図るべく公共関連事業等に従事する労働者に適正な賃金が確保されるように、まず国において公契約における適正な労働条件を確保する観点から、同条約に関する議論を深めていくべきだというふうに考えております。 続きまして、会計年度任用職員制度の導入についてでございます。こちら、令和二年四月一日から会計年度任用職員制度に移行するに当たり、会計年度任用職員の選考については、国が示す事務処理マニュアルにのっとり、原則公募を行う予定です。 他方、おおむね現在任用している臨時職員等の非正規職員からの任用が見込まれ、雇用の継続性の確保という点からの配慮は、やはり行政サービスの向上という点からも必要であるというふうに思っております。 また、制度適用後の再度の任用に当たりましても同様に公募を行う予定でありますが、経験等を考慮し、人物重視で選考を行っていきたいと考えており、ケースによっては同一人物が連続して任用されることもあり得ると考えております。 また、現在任用している臨時職員等の非正規職員を会計年度任用職員として任用する場合、給与、保険等について国が示すマニュアルにのっとって運用する予定であります。制度の趣旨に反した不利益をこうむることがないよう十分に検討し、職員組合とも協議をした上で適正に事務を進めていきたいと存じます。 続きまして、まちづくり、特に西部地区についてでありますが、天理市都市計画マスタープラン、こちらは天理市第五次総合計画に基づきまして平成二十五年度に策定されたものであります。市西部地域のまちづくり方針としては、議員からも御指摘ございましたが、田園環境と調和した豊かな住環境のあるまちづくり、安全で便利な生活を支える道路と水路の整ったまちづくり、新しい市街地形成を計画的に誘導するまちづくり、田園環境を守り、活用するまちづくり、田園景観と下ツ道・中ツ道の歴史を大切にしたまちづくり、利便性の高さを活用できる交通機関が整ったまちづくり、この七つの方針のもと進んできているところであります。今後も既存のインフラ施設に新たな可能性を見出しながら、現状の土地利用を踏まえて、中長期的な視点から実現可能で効率的、効果的なまちづくりの計画をよりわかりやすくお示ししていきたいと考えております。 これらをより確かなものとし、より良好な街区の形成を推進するため、本市のまちづくりの基礎となる都市計画マスタープラン(第三次)の策定に着手をしています。策定期間は令和元年度から令和三年度までの三カ年でありまして、現在策定中の天理市第六次総合計画や奈良県都市計画区域マスタープラン、また、平成三十年度に策定いたしました天理市立地適正化計画との整合を図りつつ、計画の策定を進めてまいります。 その策定に当たりましては、学識経験者をはじめとする専門家による策定委員会、あるいは庁内検討部会での提案、審議、検討により本計画の骨子である全体構想を策定するとともに、議員から重ねて御指摘をいただきました地域住民の皆様方の意向を反映させるための地域アンケート、高校生アンケートの実施を予定しております。その分析結果をもとに、全体構想をより効率的、効果的に実現できるよう、各委員会や中学校区ごとの地域別まちづくり懇談会やまちづくり市民会議の開催を予定しております。地域ごとの土地利用の特性を分析することで、具体的な現実化の方策を策定した上で、パブリックコメントの実施をもって成案といたします。 現在、市の西部地域では、京奈和自動車道の郡山・下ツ道ジャンクションを含む大和区間の供用開始をはじめ、名阪側道の整備完了など、インフラ整備による広域的な交通ネットワークが形成されたことにより、国道二十四号線や国道二十五号線沿線の準工業地域を含むインターチェンジ周辺におきまして産業用地としての土地利用が進んでおります。中小規模の商業施設や宿泊施設などの土地活用も活発化しております。加えて、地区計画を定めた区域において大型商業施設の立地が進んでおり、住環境におきましても北大路線の仮供用開始により生活の利便性を支える市内中心部へのアクセス向上が図られたところでございます。 こういった状況のもとで、先ほど申しました都市計画マスタープラン(第三次)の策定におきましても、西部地域の良好な住環境と農業、工業、商業が共存する地域的特性を最大限活用しながら、地域の皆様のアンケート調査や二階堂小学校区、前栽小学校区で構成される西中学校区の地域別まちづくり懇談会やまちづくり市民会議において、市民の皆様方が積極的に計画策定に参加いただくことで、皆様の御意見をしっかりと活かした計画をつくっていきたいと存じます。 また、平成三十年に策定いたしました天理市立地適正化計画では、二階堂駅周辺地域を居住誘導区域として指定しております。本区域はまとまった規模の工業地に隣接していることから、住環境の保全、向上を図るとともに、職住の近接性を活かし、安定した定住の維持、促進を図るなど、天理駅周辺にほど近いエリアであるということも踏まえまして、しっかりと新しい生活スタイルの確立を目指すエリアとしていきます。二階堂駅周辺の居住誘導区域におきましては、日ごろの買い物等を区域内で完結させることが可能となるように、日常生活に必要な施設の維持を図る地域ともしておりまして、地域生活拠点の形成も目指していきたいと存じます。 今後もまちづくりの進め方としては、総合計画や都市計画マスタープラン等に沿って進めていくことになりますが、これまで申しましたとおり、いずれの計画におきましても地域を担うさまざまな世代の皆様方の積極的な参画を得ることが大事だというふうに考えております。 ○議長(大橋基之議長) 荻原議員。 ◆十三番(荻原文明議員) まず、公契約条例についてお尋ねいたします。 市長は先ほど、奈良県条例はいま波及効果が限定的だというふうにおっしゃいました。それが今後引き続き検討したいという主な理由だというふうにいまお伺いしたんですが、実効性のある条例をつくって、地域循環型の活性化、地域づくりにどう役立てていくかというところで労働条件にもう一歩踏み込んだ条件設定、賃金の設定や下請代金の設定等を具体的に書き込む必要があるというふうに思います。 いまの御答弁では、先ほど私、申し上げたように、これまでの民事不介入、労使間で労働条件を決定するとか、最低賃金法で決められているとかという枠を超えなければ、実効性のある公契約条例はできないわけなんです。なぜ公契約条例が必要かといえば、先ほど申し上げたように、ただ単に労働条件や下請条件の改善だけではなく、そのことが波及効果として地域経済を活性化していく、そして住民福祉や社会政策としての条件を整えていくということが求められて、この公契約条例によって実現できるわけですから、そういう観点で、もう一歩踏み込んだ条例制定についての検討が必要ではないかというふうに思いますので、そういう観点での公契約条例の制定について、改めてもう一度お尋ねいたします。 それから、まちづくりについてお尋ねいたします。いまいろいろ御答弁いただいて、天理市第六次総合計画や都市計画マスタープラン等、天理市立地適正化計画についてもそうなんですが、この間やられてきたアンケートや住民懇談会では、市民一人ひとりが感じている意見とか、あるいは要望が本当に酌み尽くされたと言えるのかどうかというところで、もっと踏み込んで、本当に市民一人ひとりが意見を述べる機会を、時間はある程度かかったとしてもつくる必要があるんじゃないかというふうに思うんです。中学校区で住民懇談会をされても、これまでの経験からいくと、なかなか人が集まらない、参加者が限定されているというのが現状ではないかというふうに思うんです。そこで、市の職員の皆さんが、たとえば町単位で、あるいは自治会単位で出かけていくということはなかなか困難な面もあります。ですから、アンケートをするにしても抽出アンケートではなくて、本当に全住民が回答できるようにアンケート調査を行っていただきたいというふうに思うんです。それでこそ住民が持っているさまざまな意見が反映される、いろんなまちづくりが行えるのではないかというふうに思います。 もう一点は、特に市西部地域でいえば、天理市立地適正化計画では二階堂駅あるいは前栽駅を居住誘導区域として、そこを中心として行っていくということなんですが、特に西地区についていえば、庵治町は近鉄の結崎駅に最も近接しているし、ファミリー公園前駅とも近くにあるという条件があるわけですから、そういうところも活かしたまちづくりが必要ではないかというふうに思うんですが、まず二点、公契約条例とまちづくりについて改めてお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 議員御指摘のとおり、適正な労働条件を確保するということが持続可能で健全な地域の産業を育成していくという点は私も全く認識を共有しているつもりでございます。一方でいま県内の公契約条例の適用状況を見ますと、件数だけでいえば非常に限定的になっているところがございまして、私どもとしても、先ほど答弁でも申しましたが、最低賃金あるいは社保加入の遵守を約束する誓約書をきちんと確認する、あるいは入札契約適正化法、こういったことのもとでの台帳作成の義務化、こういう法令についてしっかりと遵守されていっているということについては努力を続けているところでございます。そういった中、どこまでしっかりと対応できているのかというところも見定めまして、今後引き続き検討していけたらというふうに思っております。 また、まちづくりについてのお問い合わせで、ちょっと私、一回目のお答えで文化・スポーツ施設に関する部分が抜け落ちておりましたので、その点をあわせてお話をさせていただきます。 まず、住民の皆様方のご意見を極力酌み取った形で策定すべきだという点は、認識は一致しているかなというふうに思っております。私もこれまで、こういった計画策定に限らずタウンミーティングなども重ねてきたところでございまして、通学路の安全確保の話であったり、あるいは防犯対策、また浸水対策、こういったことについては直にタウンミーティング等でのやりとりを通じて意見交換をさせていただく中でやってまいりました。実際に計画を策定していく際には、どの程度まできめ細かくできるかというところが非常に大事でございますが、ただ一方で、議員がおっしゃっていただいたように、開催してもなかなか来られる方が限定的だというお話がございました。市民の皆様方にもまちづくりに関心を持っていただくような機会をつくっていくことが非常に大事だというふうに思っております。そういう点からは、いま市民主導でいろんな食堂事業をやっていただいたり、あるいは有志の皆さんで天理未来ミーティングというのが、いま南団体待合所でも開かれておりますが、そういう自主的にまちづくりのことを議論するようなグループの育成というようなところについても、私どもも極力協力をしていけたらなというふうに思っております。また、その中で抽出的なものだけでなく、やはり具体的な御提案、御要望というところが、できるだけしっかりと見ていけるように、アンケートの作成のときには留意をしていきたいと存じます。 そして、近鉄結崎駅や近鉄ファミリー公園前駅にも近い、こういった地理的特性も踏まえてというところであります。先ほどの文化・スポーツに関する施設というところにもつながりますが、二階堂校区については公民館が体育施設も併設していて運動場もあると、非常に恵まれた状況であります。そのほか、嘉幡のコミセンもあります。二階堂の学校開放についても非常に多くのスポーツ関係の皆さん方が使っていただいているところでございまして、先ほどの質問でもお答えしましたが、やはり既存施設をどんどん市民の皆様方に御活用いただくように、利用料金というところに関しては二の次で、積極的に活用していきたいと思っております。 そこで、周辺市町村との連携ということでありますが、私ども定住自立圏というのを川西町、三宅町の方とは結んでおりますので、実際に川西町や三宅町の施設を天理市民の皆様方が同じように使える状況であります。あるいは磯城郡の町にお住まいの皆さん方も天理の施設を使っていただけるというようなことでありまして、今後もそういう相互の利用促進というところは一緒にやっていきたいと思いますし、足の部分、こちらについては、まさに同じ観点から結崎にコミュニティバスを回していこう、やはり市と町の境を越えて交通は結んでいくべきだということもこの定住自立圏の構想から生まれてまいりました。引き続き、そういったまちづくりについても、周辺町村との連携というところを一層大事にしていきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 荻原議員。 ◆十三番(荻原文明議員) まちづくりについてはできるだけきめ細かい住民意向調査をお願いしたいと思います。 最後に、公契約条例について改めてお尋ねしたいんですが、いまるる言われた労働保険の問題とか社会保険の問題は、たとえば二、三十年ぐらい前から特定企業の下請けに入ろうと思えば指名願を市町村に出しておくのが最低条件で、そのためには労働保険、社会保険にも加入しておかなければ下請けに入れないという状況が続いておりました。ですから、それとあわせて、二〇一四年には品確法と入契法の改正が行われ、建設業法の改正によってそうしたあたりは既に国の方でも整備をされてきているわけです。 そういう状況の中で、これを改めて公契約条例で追認しても、これでは意味がないわけですから、やっぱり先ほど私が申し上げたような、官民で契約するまでは各自治体が責任を持ってやるけれども、契約した後については民民の関係だとかあるいは賃金・労働条件はどうして決定するとか、最低賃金については法律で守られているとかいう、これまでのいわば公契約締結後の施工過程については、行政としてはもう介入すべきでないという原則を改めない限りは、この公契約条例は意味がないわけなんです。ですから、そこのところを、公契約締結後に自治体としてどのようにかかわっていくのかということがこの公契約条例の要なんです。ですから、三原則といいますか、そこの原則を、改めて法的な問題も含めて十分検討した上で、大きく言えば民事不介入というところをもう一歩踏み込んで行政としてかかわりを持っていただきたいというふうに思いますので、この点について改めて御見解をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 関係法令の状況等については議員がいま述べていただいたとおりでありますが、やはりそれが遵守をされているというところをしっかりとチェックするという点については、私ども市としても非常に大事なことだと思っておりまして、引き続きやってまいります。 それで、一歩踏み込んでというふうにおっしゃっていただいた点については、まさにILO九十四号条約の批准についてとも関連する議論かなというふうには思うわけでございますけども、労使当事者間の民間の契約というところについて、どこまで行政が踏み込んでいくのかというところについては、少し国全体としての議論も必要かなというふうに思っておりまして、またその中で皆様方にも御鞭撻をいただき、その中で市としてもしっかりと国全体の議論というのを注視していきたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) しばらく休憩いたします。午後一時より再開いたします。             午前十一時三十五分 休憩             午後一時零分 再開 ○議長(大橋基之議長) 休憩前に引き続き会議をいたします。 引き続き一般質問を行います。 次に、五番、寺井正則議員。     〔五番 寺井正則議員 登壇〕 ◆五番(寺井正則議員) 議長の許可を得まして、これより一問一答方式により一般質問を行います。理事者並びに関係部局におかれましては的確で前向きな答弁をお願いいたします。 それでは、私の今回の一般質問は四点ございます。まず一点目はワンストップサービスの充実について、二点目は高齢者への肺炎球菌ワクチン接種について、三点目はキャッシュレス・消費者還元事業の取り組みについて、そして四点目はマイナンバーカードの普及促進についてお尋ねいたします。 まず初めに、ワンストップサービスの充実についてであります。 家族を亡くした際に必要な手続をワンストップでできる自治体の窓口「ご遺族支援コーナー」が広がりを見せております。今年五月十四日付神戸新聞NEXTの記事に、身内の死後の諸手続を案内、神戸市「おくやみコーナー」好評と出ておりました。その記事をそのまま紹介させていただきたいと思います。 神戸市内の区役所に今年から設置された「おくやみコーナー」が好評だ。身近な人が亡くなった後の諸手続について、担当職員がわかりやすく案内。十連休明けから全区役所・支所に拡大して運用している。今年一月、人口の多い東灘・北・西区役所から運用を開始。三区役所では四月末までに計八百四十八件、うち相談のみが百五十件の利用があった。利用者を対象にしたアンケートで、取り組みをどう思うか尋ねたところ、回答者百八十五人のうち九割超が「良いと思う」と答えた。区役所や支所の手続は、印鑑登録証の返還から市税の相続人代表者の指定まで多岐にわたる上、複雑なものがあったり、故人によって必要な手続が異なったりして遺族の負担が大きいという。同コーナーでは、担当職員が故人の情報を聞き取り、必要となる手続を抽出した上で届け出先などを案内。故人の氏名や生年月日、住所など基本情報を入れて各種申請書を印刷する。利用者はくり返し記入しなくて済む。パスポートの返納やクレジットカードの解約など、区役所、支所以外で必要な手続も紹介してくれる。 同コーナーは、大分県別府市が二〇一六年五月に設置して以来、導入する自治体が相次ぐ。政令指定都市では神戸市が初めてで、県内では三田市に次いで二例目。 このような記事が紹介されておりました。身近な方が亡くなられた後の手続は故人によって異なり、また複雑なものもあり、複数窓口での手続が必要になります。「おくやみコーナー」はこのような御遺族の負担を軽減するために設置するもので、具体的には御遺族への丁寧なヒアリングにより必要な手続を抽出、窓口を案内します。複数の手続を行う必要がある場合、故人の住所、氏名などを複数の申請書に何度も記入する必要がありましたが、「おくやみコーナー」では必要な情報を案内係がサポートして入力し、複数の申請書に印字してお渡しできます。最も標準的なパターンとして、後期高齢者医療の手続、介護保険の手続、税に関する手続だけでも約十枚の申請書の記入が必要ですので、その手間が省けます。 また、市役所以外の手続についても、必要な手続がわからない方に対して主な手続の一覧を紹介し、届け出先を御案内します。さらに、現在問題となっている空き家・空き地対策として登記名義人死亡時に相続登記が未了の場合、将来的に所有者不明となる可能性があるため、相続登記を促すとともに、空き家、空き地の活用相談が無料でできるようにしています。 神戸市では「おくやみコーナー」の関連資料として、チラシとパンフレットを作成しホームページ上でも紹介するとともに、パンフレットについては各区役所でも配布しています。 市役所での死後の手続が簡素化されることは、とてもいいことです。いろんな窓口をたらい回しにされたり、同じ説明を何度もさせられたり、しかも同じ建物の中にある同じ役所でのことであります。遺族の方の心労や体力的な負担は、これまでとても重いものでした。それが少しでも緩和されるとしたら、多死社会の中で一人でも多くの遺族が煩わしさから開放されることは、これが本当の便利な行政サービスではないでしょうか。 そこで、数点お尋ねしたいと思います。本市における死亡時の行政手続は、現状はどのようになっているのかお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) くらし文化部長。     〔くらし文化部長 城内 薫 登壇〕 ◎くらし文化部長(城内薫) 寺井議員の御質問にお答えいたします。 家族が亡くなると、死亡届に始まるさまざまな手続や届け出が必要になります。亡くなられた方の生前ないし死亡時の状況、財産の種類・内容等によって必要となる届、手続は異なるだけでなく、戸籍法による死亡届が死亡の事実を知った日から七日以内に届け出る必要があるとされるなど、必要な届、手続の中には行うべき期間が設定されているものも多くあります。 そのため、これまでは御遺族の方の便宜に供するため、死亡届提出後に市役所で行う手続の主なものをA4一枚にまとめた「ご遺族の方へ」という一覧を配付しております。また、市民課及び保険医療課で行う手続については、昨年一月に開設いたしました総合窓口において、来庁された方が移動することなく手続が完了するような運用を行っております。 なお、本市における死亡届の件数は、平成三十年度の一年間で六百五十三件と、高齢化の中、毎年少しずつ増加傾向にあります。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。本市において平成三十年度の一年間で六百五十三件といいますと、平均にならしますと多い日で日に二件程度ということになります。それでもいま申されましたように、高齢化の中で毎年少しずつ増加傾向にあるというお答えもいただきました。 そこで、先ほど紹介させていただきましたけども、大分県別府市や三重県松阪市、兵庫県三田市や、いま紹介しました神戸市などで「おくやみコーナー」が設置されております。遺族の負担を考慮し、死亡に伴う手続の利便性の向上のために「おくやみコーナー」を設置することや、また、わかりやすいチラシやパンフレットの作成について、市長の見解をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) ただいま寺井議員に御提案いただきました「おくやみコーナー」を独立した形で常設することは、本市の規模からいたしますと人員配置の点やスペースの点からも検討を要しますが、愛する御家族が亡くなられたときの御心情に配慮し、御遺族の負担を軽減するため、現在の総合窓口におけるワンストップサービスの充実化を図ること、そして現在進めておりますスマート自治体行政のデジタル化の中で対応、充実させていくことの大切さは、議員御指摘のとおりかと考えております。 以前、議会の方でも出生時の届け出を可能な限りワンストップ化ということで御提案いただき、それを実行いたしましたところ、多くの市民の皆様から御好評をいただいているところでございまして、今後各部署の死亡にかかわる業務内容を調査し、また、他市の事例等の研究をした上で、まずは現行の総合窓口を活用する形で可能な限りの改善策というのを検討いたしまして、実質的なワンストップサービスにより移動等のお手間をおかけすることがないよう、市民の利便性向上を図っていきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。いま市長の答弁にありましたように、愛する御家族が亡くなったときの心情に配慮し御家族の負担を軽減する、このことが大変大事であるという見解を示していただいたわけでございます。人口規模で考えても「おくやみコーナー」を設置することが難しいという話もございましたけども、天理市は「ご遺族の方へ」という、これを手続のときに配っていただいています。それよりもさらに先進的な取り組みとして、たとえば神戸市はこういう、お悔やみ手続御案内ということで、わかりやすいパンフレットも作成されておりまして、総合窓口でいまやっていただいているわけですけども、そういったところでこういうわかりやすいものを置いておくというのも大変先進的な取り組みではないかなと思います。こういうことを参考にしていただいて、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。特に私、この記事で注目しましたのは、「おくやみコーナー」を設置された自治体で、大変うれしい取り組みであるということで市民の方がお喜びになっているという事実もございまして、取り上げさせていただきました。また前向きに取り組んでいただけたらというふうに思っております。 それでは次の質問に移らせていただきます。高齢者への肺炎球菌ワクチン接種についてであります。 肺炎は日本人の死因の第三位を占める重大な疾患であります。肺炎は高齢になるほど重症化しやすく、人口の高齢化に伴い年々死亡率も増加しております。特に高齢者の死亡率が高い肺炎予防のための定期接種制度が二〇一四年十月から五年間行われました。 肺炎球菌ワクチンの定期接種は、六十五歳以上の全人口をカバーする五年間の経過措置を設け、対象者は六十五歳から百歳までの五歳刻みの各年齢になる方で、生涯に一回だけ制度を利用した接種が可能ということでした。 国としては五年間、毎年同じ年齢の方を対象に実施することで六十五歳以上の全員の接種を目指しており、これまで六十五歳以上の全ての対象者に接種の機会が与えられました。しかし、接種率が伸び悩んだため、国は、今年度から五年間、二〇二三年度まで経過措置を延長することを決めました。 厚労省の検討会では、制度が十分に知られていないのではないかという指摘も出ており、二〇一九年一月十一日に発表された厚労省の事務連絡には、経過措置延長の決定とともに、さらなる接種率向上のための取り組みを自治体に求める内容の記載も見受けられました。 この件は、平成三十年九月開催の文教厚生委員会においてもお尋ねしております。本市の接種率も四〇%台と伺ったと承知しております。本市の医療費削減効果に関しては、文献から試算すると、平成二十九年度の六十五歳の方全員がワクチン接種を行った場合、肺炎関連の医療費が外来医療費及び入院医療費として七百七十四万五千五百六十円削減され、ワクチンの委託料を差し引くと二百八十七万八千六十円削減されるものと推計されると答弁をいただきました。接種率を上げて肺炎を予防することは、高齢者の健康寿命延伸につながるのみならず、国保の医療費削減にも寄与できることを示されましたが、まだ具体的な国の詳細な情報が来ておりませんでしたので、今後、国の通知が届き次第、他市の動向及び本市の財政状況等も踏まえながら、救済措置の可能性について検討していきたいとのことでございました。 そこで、本年度から経過措置が延長になりましたが、国のさらなる接種率向上の意向を受け、本市におけるさらなる取り組みについての考え方及び具体的な方法についてお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 平成三十年度の本市におきます高齢者肺炎球菌ワクチン接種率は約四三%で、平成二十六年度から約四二%前後で推移をしておるところでございます。予防接種の勧奨といたしましては、年度当初に予防接種の目的や自己負担金、接種期間、接種できる医療機関等を記載した色付きのはがきを対象の方に送付し、そのはがきを医療機関に持参していただいて予防接種を受けられるようにということでやっております。ホームページや年二回の広報紙への掲載、医療機関でのポスター掲示などあらゆる機会を捉えまして、今回の国の経過措置延長も踏まえて接種の勧奨に努めていきたいと存じます。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) 再度、予防接種の実施対象者に続けてされているわけでございますが、今年度六十五歳の対象者への通知は、期限が終了するころにまだ接種を受けていなければ再度お知らせをする考えがあるのでしょうか。七十歳以上の対象者は前回に接種を受けていなければ、通知を二回受けていることになります。六十五歳の対象者も、年度末ごろに未接種であれば再度通知することが情報通知の公平性の観点からも、また昨年までとは違う、さらなる接種率向上の取り組みとして必要不可欠なことと考えますが、所見をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 議員御指摘のとおり、六十五歳の対象者に二度目の通知をすることは接種率向上につながる有効な取り組みと思っております。医療機関の御協力をいただきながら、より多くの対象者に予防接種の必要性を御理解いただけるよう、わかりやすい表現にするなど工夫を凝らした二回目のはがき通知を行い、またその他啓発も含めまして接種の勧奨に努めてまいります。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。接種率を高めるためには丁寧な周知が必要でございます。未接種者への個別勧奨と再勧奨を行う、コール・リコールというそうでございますけども、未接種者に手紙や電話で再度接種を勧奨するということでございますが、このコール・リコールの効果は実証されております。受診率の高い国では、このコール・リコールを導入しているのが一般的ということでございます。 特に、国も十分な周知をするためにも、接種率を上げるためにも送付する方法で周知することを求めておりました。一人でも多くの対象者の方がワクチン接種をしていただくことが、先ほども申し上げましたけども、本人が肺炎にかかりにくくなるだけではなく、国保医療費の削減にもつながるということでございます。これまでと同じ対応をしていては、接種率の向上にもつながりません。五年間の延長をされた背景を考えた上で、対象者の方へ十分な周知をお願いしておきたいと思います。 それでは、次の質問に移らせていただきます。キャッシュレス・消費者還元事業の取り組みについてであります。 いよいよ十月一日に消費税率が一〇%に引き上げられますが、これに伴う消費の冷え込み対策として、経済産業省はキャッシュレス・消費者還元事業を十月一日から実施いたします。経済産業省の発表しているキャッシュレス社会の推進の中で、日本のキャッシュレスの現状について、世界各国のキャッシュレス決済比率が進展している国は四〇%から六〇%台であるのに対し、日本は約二〇%にとどまっているとしております。また、世界的なキャッシュレスの流れを踏まえ、キャッシュレスを通じたデータの利活用により国全体の生産性が向上し、実店舗等、消費者、支払いサービス事業者がそれぞれ付加価値を享受できる社会の実現を目指すとしております。経済産業省の「キャッシュレスビジョン」の中で、キャッシュレスに取り組む理由について、今後我が国は少子高齢化や人口減少に伴う労働者人口減少の時代を迎え、国の生産性向上は喫緊の課題であり、キャッシュレスの意義について、キャッシュレスの推進は消費者に利便性をもたらし、事業者の生産性向上につながる取り組みとしております。消費者には、消費履歴の情報のデータ化により家計管理が簡易になる、大量に現金を持ち歩かずに買い物ができるなどのメリットがあります。事業者には、レジ締めや現金取り扱いの時問の短縮、外国人観光客やキャッシュレス決済が利用できたらもっとお金を使うという調査結果があるくらいで、キャッシュレス決済になれた外国人観光客の需要の取り込み、データ化された購買情報を活用した高度なマーケティングの実現などのメリットが期待されております。 キャッシュレス・消費者還元事業は、消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引き上げ後の九カ月間に限り中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援する事業であります。これは、加盟店で対応したキャッシュレス決済、いわゆるクレジットカードやデビットカード、各種電子マネー、QRコード決済などを行うと、五%あるいは二%の還元が受けられるということであります。ちなみに、ポイント還元等の原資は国から補助が出ております。加盟店側にも、決済端末が無料で設置でき、二〇二〇年六月までは手数料の三分の一を国が負担するなどのメリットがあります。 経済産業省は九月六日、消費税増税に伴うキャッシュレス決済のポイント還元制度の審査を通過し、登録済みとなった店舗が、二日時点でございますが約二十八万店になったと発表しました。五日までに登録申請した中小事業者は約五十八万店で、最近は一日一万店を超えるペースで増えているといいます。 そこで、本市における中小・小規模事業者のキャッシュレス決済の導入状況についてお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 環境経済部長。 ◎環境経済部長(東博) キャッシュレス決済の導入状況につきましてお答えさせていただきます。 クレジットカード、電子マネーのほかスマートフォンを使ったQRコード決済など、支払いにおいて現金の取り扱いのないキャッシュレスの推進が、国際的な流れの中で、国内でも消費の転換点が起きようとしており、地域経済が都市部とますます差をあけられないためにもしっかりと推進、導入していくことが重要であります。 キャッシュレスの推進は、実店舗などの無人化・省力化、消費の活性化、ポイント還元など多くのメリットがございます。また、今月から始まるラグビーワールドカップ、来年の東京オリンピック・パラリンピック、二〇二五年の大阪万博と、国際的なビッグイベントを控え、インバウンド需要が拡大していくことが期待される中、その必要性はますます大きくなってきております。 経済産業省の「キャッシュレスビジョン」の調査によりますと、二〇一七年日本のキャッシュレス決済比率は二一・三%となってございます。本市の中小・小規模事業者に限定した導入状況の数字は出ていないものの、本通り商店街にある店舗のQRコード決済の利用状況を調べましたところ、約四割以上の店舗がキャッシュレス決済を導入しているということでございます。今後もさらなるキャッシュレス決済導入に向けまして支援してまいりたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。現状、本通り商店街においては約四割以上導入されているということでございました。今後、中小企業の負担がゼロで、キャッシュレス端末の導入支援など国の支援事業が公表されておりますけども、そういった国の事業の活用状況についてお尋ねしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 環境経済部長。 ◎環境経済部長(東博) キャッシュレス・消費者還元事業、いわゆるポイント還元事業は、来月十月一日からの消費税率引き上げに伴う需要平準化対策でありまして、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引き上げ後の九カ月間に限り中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元などを支援するもので、次の三つの支援がございます。 一つ目は消費者へのポイント還元です。対象店舗において登録されましたキャッシュレス決済で支払いをすると、最大で五%のポイント還元を消費者が受けられるものです。 二つ目といたしまして、加盟店への決済手数料の一部補助です。キャッシュレス決済を導入するには、サービスの加盟店になり、決済金額に応じた決済手数料を支払う必要がありますが、期間中はその手数料の三分の一を国が補助するものでございます。 三つ目はキャッシュレス決済端末導入時の支援でございます。登録決済事業者を通じてキャッシュレス決済端末を導入する場合、その費用を決済事業者が三分の一、国が三分の二を負担することで、自己負担なしで購入することができるものです。 経済産業省が今月発表いたしました、十月からのポイント還元制度の加盟店舗数は全国で約五十八万店、全国約二百万店の約四分の一程度でございますが、今後ますます増えていく見込みとなっております。 国の支援事業の活用状況といたしましては、商店街組合の青年部層の呼びかけでキャッシュレス決済導入勉強会が行われ、また、天理市商工会においてもキャッシュレス決済事業者による導入セミナーやポイント還元セミナーを開催し支援を行っていただいており、現在、市内でのポイント還元制度の加盟店舗数は約九十店舗となってございます。引き続き国の支援事業の活用を行い、商工会と連携をとりながら進めてまいりたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。いま消費者についてのメリット、また事業者についてのメリットについても説明していただきました。 そこで、キャッシュレス決済において消費者に五%が還元されるということでございまして、消費者へのわかりやすい周知も必要であると思います。また、地元商工会活性化につなげるという視点も大変重要でございます。これらについて市長のお考えをお尋ねしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 議員御指摘の消費者の皆様への周知につきましては、対象店舗に対して消費者向けのチラシやポスターなどの店頭用広報キットを配付されるとともに、対象となる決済手段の一覧表が経済産業省のホームページでも公表されることとなっております。また、今月中旬には対象店舗を検索するための地図アプリも公表される予定でございます。本市といたしましても、チラシやポスター、SNSを活用し、消費者にわかりやすい広報に取り組んでまいります。 また、キャッシュレス化の促進を図ることは商工会や地域経済の活性化に弾みをつけると考えており、キャッシュレス決済を広く浸透させるために、中小企業・小規模事業者の導入が鍵となっております。 他方、キャッシュレス決済が進まない事情といたしましては、一般的に指摘される世代間のデジタル・デバイドのほか、決済手数料の負担問題がございます。政府の調査では、二〇一七年度、法人の中小企業において売上高に占める経常利益の割合が約三・七%となっておりまして、市内事業者からもキャッシュレス決済に伴う手数料で利益のほとんどがなくなってしまうというようなお声を聞くこともございます。こういった不安を少しでも解消するために、商工会や商店街協同組合が中心となり、産業振興館も活用いただきながら、キャッシュレス決済導入のためのセミナーや決済事業者による手数料補助制度、キャッシュレス決済端末の導入等の説明会を開催しております。 今後ますます進むと考えられますキャッシュレス化の流れの中で、天理市が取り残され、地元消費が市外にこれ以上流出しないように、むしろ機会と捉え、本市の地域経済の活性化にしっかりと取り組めるよう、商工会、各種団体との連携を密にしながら取り組んでまいります。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。いま、市長の意気込みのような答弁をいただきました。本市がこのキャッシュレス化の流れの中で取り残され、地元消費が市外にこれ以上流出しないように、むしろ良い機会と捉えて本市の地域経済の活性化にしっかりと取り組めるように商工会、各種団体等と連携を密にしながら取り組んでいきたいという、決意のような御答弁をいただいたわけでございます。 特にキャッシュレス化が進まない理由の中で、やはり一般的に指摘されている消費者側の視点でのデジタル・デバイドの対策であります。この間テレビを見ておりましたら、東京の方で消費者向けのセミナーを開催されたという報道もされておりましたので、業者の方にはいろいろされているんですが、消費者対策という観点、デジタル・デバイドという観点でまたキャッシュレス決済のセミナーのようなものも検討していただければと思います。テレビのコマーシャルで皆さん印象に残っていると思いますけども、外国人の観光客がお店で買い物されて、カードいけますか言うて、できません言うたら、結構ですって行かれるコマーシャルが大変印象的でございますけども、先ほど申されたように、関西においてはラグビーが終わりましてからもまた大阪万博もありまして、いろんな海外の方も来られると思いますので、そういったインバウンドで来られる観光客の取り込みも含めて、遅れることなく取り組んでいただきたいと思います。 それでは、次の御質問に移らせていただきます。マイナンバーカードの普及促進についてであります。 ITメディアニュースで次のように報じられております。 政府は九月三日、デジタル・ガバメント閣僚会議で、ポイント制度の導入を含むマイナンバーカードの普及策を議論した。マイナンバーカードの取得者が、民間事業者のキャッシュレス決済サービスの利用額を前払いすると、全国共通のポイント、いわゆる「マイナポイント」が付与される仕組みを想定。ポイントの原資は国費で賄うという。十月の消費増税に伴う需要減を軽減する目的もあり、二〇二〇年度の導入を目指している。 ポイントの付与にはマイナンバーカードの本人確認機能と「マイキーID」を利用する。マイナンバーカードには電子証明書が記録されており、ネット上の手続などで利用者本人かどうかを確認する仕組みがある。いわゆる公的認証サービス、JPKIというそうですが、マイナンバーそのものは利用しないということであります。利用者はJPKI対応のICカードリーダーにパソコンを接続し、マイナンバーカードをセットしてマイキープラットフォームポータルサイトでマイキーID(任意の英数字八桁)を設定すると、ポイント制度の対象になるということでございます。マイキーIDを設定した利用者が「◯◯ペイ」といった民間のキャッシュレス決済サービスの利用額を前払いするとマイナポイントが付与される仕組みで、ポイントは提供する店舗やオンラインショップでの買い物に使えるという。付与率や連携する決済サービスなどは今後詰めるということでございます。 総務省によると、マイナンバーカードの交付枚数は約一千七百七十二万枚、人口に対する交付率は約一三・九%にとどまる。これは、本年九月一日時点の数字でございます。ポイント制度の導入のほか、マイナンバーカードを健康保険証として使える仕組みなどを整え、利便性を高めることで普及を促す。 そして、菅官房長官は九月三日、閣僚会議後の記者会見において、二〇二二年度中にほとんどの住民が所有することを想定していると説明した等と報じられておりました。 市区町村における交付円滑化や、国家公務員や地方公務員、公立学校教職員らのマイナンバーカード取得促進なども計画。また、国家公務員等に対しては、被扶養者もあわせて二〇一九年度中にマイナンバーカードの取得を勧奨するとのことであります。また、マイナンバーカードで図書館カードの代替えや、病院等の診察券のかわりなど、多種多様な利用方法が検討されております。 二〇一六年一月一日、マイナンバー制度がスタートいたしました。マイナンバーとは、日本国民全てに十二桁の個人番号を付与し、国民の利便性の向上、行政の効率化、公正、公平な社会の実現を目指し、まずは社会保障、税、災害対策分野に利用範囲を限定して導入された仕組みであります。マイナンバーがあることで各種情報を正確に名寄せできるため、社会保障・税関係の申請時に行政の必要書類が削減されたり、所得状況が明らかになることで税金の負担を公平、公正に整えたりというメリットがあります。 マイナンバーカードは、本人の写真や住所、そしてマイナンバーが記載された身分証明書になるカードであるだけではなく、ICチップ内蔵の多機能カードとして活用できます。このカードを使うと、住民票の取得などの行政手続が便利になり、本市においてもコンビニ交付サービスを実施していただいているところでございます。 そこで、本市におけるマイナンバーカードの普及状況についてお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 議員御指摘のとおり、現在、国においてデジタル社会、行政の電子化の早期実現に向けて必須のツールとしてのマイナンバーカードの利活用の計画が強力に進められているところであります。マイナンバーカードは、本人確認のための身分証明書として利用するほか、いま御紹介もいただきましたが、本市においては市民の利便性向上のため、住民票や印鑑証明がコンビニでも取得できるサービスを平成二十八年から実施しております。さらに、今年六月に示された国の方針によりますと、令和四年度中にほとんどの住民がマイナンバーカードを保有することを想定した上で、令和三年三月から健康保険証としての利用のほか、戸籍との連携、あるいはハローワークでの使用などさまざまな状況が想定され、また経済対策としても利活用が予定されておる。 しかしながら、マイナンバーカードの国全体の交付率は一三・九%にとどまっておりまして、本市では七月末現在で人口六万五千五百三十九名に対する交付件数が一万五百六十一件で、交付率は若干国の方を上回っておりますが、一六・一%という状況であります。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。デジタル社会、行政の電子化を早急に実現するために必須のツールとしてマイナンバーカードの利活用が大変重要であるというお考えを示されました。 現状、本市においては全国平均より若干いいものの、交付率は一六・一%ということでございました。その上で今後、普及促進についてどのように取り組んでいかれるのかお尋ねしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 現在、国の方では利活用施策にあわせて普及促進策も推し進められておりまして、今年度中に公務員の先行取得の勧奨、出張申請の受付等の実施がうたわれております。 本市におきましても、公務員の先行取得に向け、八月に一回目の職員向けの取得支援を実施いたしましたほか、市外在住の職員には、取得に必要な範囲での職免を付与する等の措置を実施しております。 今後は、月に一度の夜間窓口延長や休日開庁に加えまして、普及促進のための体制強化を行った上で、自治会等への出張申請受付を実施するなど、マイナンバーカードの市民への普及に努めつつ、行政電子化の利便性をしっかりとお届けできるようにしたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。いま答弁いただきました月に一度の夜間窓口延長とか、また休日開庁、さらに自治会等への出張申請受付などを実施していただくということでございます。今年五月からデジタル手続法も施行されまして、ますますスマート自治体、またいろんなことが目まぐるしく変わっていく中で遅れることなく、市長のリーダーシップのもと、一生懸命取り組んでいただきたいということを申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(大橋基之議長) 次に、六番、鳥山淳一議員。     〔六番 鳥山淳一議員 登壇〕 ◆六番(鳥山淳一議員) 議長のお許しをいただき、一問一答方式にて質問を行います。理事者をはじめ、関係各位の御答弁をよろしくお願いいたします。件名につきましては、魅力のある住みよいまちづくりに向けてということで、障害を持たれた方の生活支援について、そしてより良い教育環境に向けての二点でございます。 まず、一点目の障害のある方の生活支援についてお伺いいたします。 全国的な数字では、障害のある方は総数で九百三十六万人、人口の約七・四%の方が何らかの障害を持たれているとされています。本市におきまして障害をお持ちの方の人数は、平成二十九年では約三千二百名、内訳では、大体の数字でございますが、身体に障害のある方が二千三百名、知的に障害のある方が五百八十名、精神に障害のある方が三百五十名おられます。平成の時代の後半に、ノーマライゼーションの理念がかなり進んでまいりました。障害者自立支援法や障害者総合支援法などさまざまな障害福祉の法律が障害のある方の自立と共生の社会を目指し、生活と就労の支援の充実を施策化していきました。いま、さまざまな支援が障害のある方にされています。本市の障害がある方への生活支援はどのように行われているのでしょうか。お伺いしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) 本市における支援でございますが、障害のある方のニーズや障害区分に基づき、相談支援事業所等と連携しながら、やはりその方にとって必要かつ適切なサービスを行っていくということでやっております。御自宅での生活に御不安がある方には家事援助や身体介護、通院介助等の居宅系サービスを、楽しく地域での生活を送りたいという方には移動支援や日中一時支援等の地域生活支援を受けていただいております。また、就労に向けての訓練を受けたい、支援を受けながら働きたいという方には就労移行支援や就労継続支援を受けていただくとともに、特に自立に向けた就労についての御相談については、なら東和障害者就業・生活支援センター「たいよう」や庁舎地下にございます「しごとセンター」と連携をして対応しているところでございます。 また、本市独自の取り組みとしては、平成三十年度よりテレワークを活かした、勤務地にとらわれない働き方の支援事業を行っているところであります。 医療費への支援といたしましては、心身障害者医療費や自立支援医療、そして精神障害者医療費等への助成を行っております。特に精神障害者医療費につきましては、それまで以前には一級の方のみが対象でしたけれども、平成二十九年度より二級の方まで拡充をして対応をさせていただいております。そのほか、手話通訳派遣等のコミュニケーション支援、自宅の浴槽で入浴するのが困難な方に訪問入浴サービス、義肢や車椅子、身体介護用のベッド、そしてストマ用品が必要な方へはその費用助成を行っております。 また、社会参加を促す取り組みとしては、合同レクリエーションやはばたき祭を開催しているところでございます。これらは、障害がある方へのサービスとしては一部のものでありますけれども、今後もノーマライゼーション及びリハビリテーションの理念を持って、障害の有無にかかわらず、皆さんが共生社会の中でしっかりとお暮らしいただけるように、御本人、また御家族に寄り添った支援を心がけてまいります。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) ありがとうございました。さまざまにつながりのある支援の方をしていただいているところです。 障害のある方の障害の重度、軽度もございます。重度の方の御家族の方が大変高齢化しており、そのことが全国的にも深刻な問題となってきております。本市でも家族の方が非常に将来を心配されていることをよくお聞きします。障害のある方を地域の中でどのように支えていくかが今後の課題となってきていますが、本市では地域の連携、地域で支えるというようなことをどのように進めていかれるのか、お聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 議員御指摘のとおり、障害がある方またはその御家族の生活を地域全体でどう支えていくのかということについては、非常に重要な課題であると認識をしております。 本市では、障害がある方の重度化、高齢化や親亡き後を見据えまして、居住支援のための機能、すなわち相談、緊急時の受け入れ・対応、体験の機会・場、専門的人材の確保・養成、地域の体制づくりという五つの機能を備えました地域生活支援拠点等の整備に向けまして、現在本市と桜井市、宇陀市、田原本町、三宅町、川西町、山添村、曽爾村、御杖村で構成されております、東和圏域の自治体及び関係機関等と協議を重ねているところでございます。本市の第五期障害福祉計画の中では、地域の社会資源の整備状況等を踏まえて、関係機関等と検討し、平成三十二年度末までに地域生活支援拠点等を一カ所整備していくとしておりまして、令和二年度末までに市内で一カ所の整備をしていきたいと考えております。今後は、先進地等の事例を研究し、県内自治体とも情報共有しながら、障害がある方が使いやすい地域生活支援拠点となるように、その整備に向けて努力していきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) ありがとうございました。地域生活支援拠点は、障害のある方が本当に望まれているもので、また家族の方がよりどころとされるものだと思います。令和二年度末までに一カ所整備の方向で行かれるということをお聞きして、大変期待を持てるところでございます。これについてはボランティアの方や、いろんな支援をつないでいく、いわゆるコーディネーターに当たる方の育成の方にもあわせて力を入れていただきますようにお願いして、整備に向けて進んでいただけたらと思います。ありがとうございます。よろしくお願いします。 続いてですが、教育関係のことで、教育環境の整備の点から、各中学校区における小中連携の状況についてお尋ねしたいと思います。 大変社会の流れが激しくなり、そして早いこの時代に、子どもたちを取り巻く状況としては少子化が進み、そしてコミュニケーションが地域の中で少なくなっている、そのために集団や仲間づくりがしにくくなっているなど、いろんな問題が出てきています。自尊感情を高めたり、将来につなぐ生きる力を身につけるということが普通にできなくなり、そのことを大人が考えていかなければならないような時期になってきております。 令和元年度の「奈良県の教育」がございます。県の教育委員会が出している方針でございますが、この「奈良県の教育」の中に「目指す人間像」というのがあり、その一番目に「自他を尊び、地域を尊ぶ人 ~『自尊』『他尊』『地尊』の人づくり~」というのがございます。まさに、自分を大事にする、他人を大事にする、そして自分の住んでいる地域を大事にする自尊、他尊、地尊、これはすばらしい目標だなと思いながら見ておりました。この中で、地域の中でつながっていくことがさらに求められています。そういったときに、小学校と中学校の連携について、文科省の方では小中連携・一貫教育の目的について、取り組みは学校、市町村、地域住民とさまざまな思いを込めながら、いろんな特色で進められている多様性があるとしながらも、その取り組みを進めた市町村においては一定の成果が見られていると中教審答申で出されているところでございます。 この小中連携九年間を見通した視点としては四つございまして、子ども理解の一貫性、子どもについての見方を交換していこう。そして二点目は教育目標の一貫性と学習目標の設定、地域性を踏まえた、育てていきたい子ども像、これをお互いに共有していく。そして三点目は学習指導の継続性、学習指導面での小中のつながり、四点目が学習内容の系統性、教科による積み上げの大切さ、この四点を小中連携九年間を見通した視点として挙げられております。そして、この小中連携というのは、その地域の小学校と小学校、小小連携にもつながっていくところでございます。 このような中で、地域に根差した取り組みや小学校・中学校九年間を見通した小中連携が大切であると思いますが、本市の小中連携のあり方はどのような形でしょうか。 また、二学期を迎えました。二学期を迎えた中で、不登校対応に特化した連携がありましたらと思いまして、それについてはどうでしょうか。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 鳥山議員の御質問にお答えいたします。 本市におきましては、以前から各校種間連携に力を入れており、中学校進学へのハードルを低くする取り組みを行ってきました。たとえば、小学六年生が中学校で授業を受ける取り組みや部活動体験といったもの、またそれとは逆に、出前授業や、中学校の教員が小学校に出向いて児童向けの学校説明会を行っている学校もございます。中学校区ごとに学校目標を小中学校で統一したり、生徒指導について、特別支援教育や道徳の授業のあり方について話し合ったりする研修会を開催しております。今後は、現在進めている取り組みをさらに進め、子どもたちが安心して、楽しく通えるような学校にしていきたいと考えています。 不登校児童生徒につきましては、不登校連絡シートを活用したり、不登校対策委員会、生徒指導主任者会等での連携を図っております。また、夏季休業中に教育総合センターとまなび推進課の担当者が各校を訪問して児童生徒の状況確認や学校の対応についてのアドバイスも行っております。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。
    ◆六番(鳥山淳一議員) ありがとうございました。 県内の小中連携をちょっと調べてみたんですが、教育課程で中学校と小学校が同じ目標、同じものを持って進めているところもございます。地域との連携、そして教職員の協働、特色ある教育、キャリア教育といったところで、小学校、中学校が同じ目線で進められている取り組みがございました。私が覚えているところでは、平成二十三年、二十四年に天理市で小中連携の取り組みがございました。市内の中学校と三小学校が「四つ葉プロジェクト」といった取り組みをされたことがあるんです。ここに冊子があるんですけども、これは小中連携で魅力ある学校づくりということで、三つの小学校、一つの中学校でそれぞれの目標を決めて小中連携をしてまいりました。この中で、児童生徒、保護者のアンケートを、小学生は五年生、六年生、中学生は全員に年二回実施されたことがありました。それと同時に、教職員も年間、特に夏季休業中が多かったんですが、一カ所に集まって、または分散会を開いて交互に意見を交換するといったことが二年間取り組まれてまいりました。本当に小学校によって中学校の先生がわからないとか、中学校の先生が小学校の先生の顔がわからないとかいうようなことは、それまで非常に気にしているところだったんですが、その二年間で中学校の先生、そして小学校の先生それぞれが顔を合わすこと、そして中学校の課題を知る、小学校の課題を知るといった、そういう取り組みがされました。このことがすぐに学力向上や不登校対応につながっているわけではありませんし、そういう数字も確認はし切れていないところなんですが、一つの目標を持って小学校、中学校が連携をして歩んでいたということは言えるというふうに思います。こういう取り組みはなかなかできない部分もあるんですが、いまいろんな意味でつながっていくこと、小学校、中学校の九年間を見通した教育活動、地域でのかかわりを持っていくといったこと、このような推進をひとつ御検討いただけたらというふうに思うところです。またよろしくお願いしたいと思います。 続きまして、登下校の通学路の安全対策等についてお聞きしたいというふうに思います。 登下校時に非常に痛ましい犯罪や交通事故が起こり、関係者の心配が絶えないところでございますが、地域における関係者と安全対策対応についての連携、そして通学路の定期点検や危険箇所の点検、不審者情報への対応、このような安全対策について、または安全教育についてどのように進められておられるのか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 御質問にお答えいたします。登下校においての安全確保につきましては、幼児児童生徒を極力一人にしないという観点から、集団登下校や保護者、地域ボランティア等の同行等により、地域全体で見守る体制の整備を行ってきました。また、幼児児童生徒に危険予測・回避能力を身につけさせるための安全教育の推進を行っております。 一方、教育総合センターでは、登下校時の見回りと不審者に関する情報の共有、警察との連携を図り、登下校時における安全確保対策も進めています。 地域におきましては、「地域みまもり隊」や「青パト」、登下校ボランティア等により安全確保に努めていただいております。 さらに、情報機器を用いた安全対策としまして、子どもたちの登下校の時間管理ができる「ついたもん」等のシステムを小学校九校中六校が利用しています。 昨年度の新潟の事件、本年度の大津の事故と、子どもが犠牲になる事件、事故が相次いでおりますが、本市教育委員会といたしましては、通学路につきましては下校時に一人になってしまう場所、過去に不審者・変質者目撃情報のあった場所のほか、歩道がなかったり、あるいは交通状況によっては通行するのに危険な場所等、幼児児童生徒の安全のための一斉点検を行いました。現在は、小学校の登校時の集合場所についての調査を行っております。今後、この点検から認識された危険場所等につきましては、関係機関と協議して対策を講じていきます。また、防犯カメラにつきましては、校門、裏門等に不審者侵入に対応した防犯カメラを設置してありますが、通学路への防犯カメラの設置につきましては、今後関係課と協議してまいりたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) 一つだけお聞きしたいんですが、情報機器を用いた安全対策についてなんですが、これはそういうシステムを利用して情報発信、たとえば不審者情報をその時間、保護者に流すということをされていると思います。特に小学校九校中六校がそういうシステムを利用して情報を流しておられるかなと思うんですが、あとの学校についても不審者等の情報については同じようなところで流されておられるんでしょうか。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 不審者情報に関しましては、教育総合センターと防災安全課等が流しておりまして、これは「いま帰りました」というのを通知するシステムと、私の方では聞いて把握しております。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) わかりました。不審者情報については各家庭の保護者に速やかに伝わっているというふうに思いますので、情報を流すということが一つ大事な部分でもありますので、関係各課とも連携の上、重ねて安全対策をしていただきますようにお願いいたします。 次に、教師の働き方改善についてお尋ねしたいと思うんですが、学校での教育活動については来年に教育課程が変わり、英語が五、六年生で教科化され、三、四年生で外国語活動として教育課程に加わってきます。中学校は再来年だと思いますが、また道徳が特別の教科として教科化されています。これ以外にも、いわゆるプログラミング教育というのも入ってくるわけなんですが、まさにITという部分では大きな転換期を迎え、教育の内容も変わっていく変革の時期だと思います。どれも本当に必要な学習に間違いはないんですが、その分教師にこれまで以上の負担がかかってくるということがございます。 二年前か三年前かきちっと把握してないんですが、現在の教師の勤務実態調査というものがありました。一カ月に八十時間以上時間外勤務を行っている教師が小学校で約三割、中学校では約六割に上るといった実態がその調査で明らかにされてきています。より良い子どもたちとの関わりを進めていき、教育活動に専念できるような勤務の改善については、どのように進めていかれるのでしょうか。御回答よろしくお願いします。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 教師の働き方改革についてお答えいたします。 社会の急激な変化が進む中で、子どもたちが予測困難な未来社会を主体的に生き、社会の形成に参画するための資質、能力を育成するため、学校教育の改善、充実が求められております。また、学習指導だけでなく、学校が抱える課題はより複雑化、困難化しています。 このような中、先ほど議員の御指摘のありました平成二十八年に実施された教員勤務実態調査からも看過できない教師の勤務実態が明らかになりました。このため、教師のこれまでの働き方を見直し、自らの授業力を向上させ、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うことができるようにすることを目的として、学校における働き方改革を進めております。 本市教育委員会といたしましては、一昨年度より夏季休業中の学校閉校日の設定、また午後七時以降は学校に電話をかけないように保護者への協力依頼もいたしました。その他ノー残業デーの設定、出退勤のパソコン管理、中学校の部活動指導員の導入と活動時間・日数の制限等、国・県の方針に従って進めているところでございます。また、平成二十九年度より丹波市小学校に校務支援システムをモデル的に先行導入しておりますが、成績や出欠の管理の一体化により、他の業務に回せる時間を増やすことができ、業務の効率化につながっております。 今後は、県が推奨する校務支援システムの導入や、中央教育審議会が出した、「教師の業務を減らす、学校・地域等と役割分担する」といった内容についての方策等も検討していきたいと考えています。 出退勤の現状についてでありますが、本市教育委員会といたしましては、先生方には必要以上に早く出勤したり、遅くまで残ることのないように周知はしているものの、まだまだこなさなければならない業務量が多いというのが現実であり、午後六時か七時に帰途につけたとしても、その分持ち帰り業務が増えてしまっているという現状、また、教頭先生や中心になる教師により負担がかかるといった現状もあります。 教師の働き方改革についての今後の方向性ですが、本市教育委員会といたしましては、国・県に歩調を合わせながら、柔軟な思考で、教職員一人ひとりが天理市で働くことにより、充実感を持てる、元気が出ると思える改革を着実に進めていければと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) ありがとうございました。勤務時間の出退勤調査をされておられると思うんですけども、本市の先生方の大体の勤務時間は出ておるんでしょうか。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 県の調査で、何時に入校して何時に退校するのかということの情報は記憶しておりますが、そこでは、推定して大体朝七時半ぐらいに入校して夜の七時半ぐらいに退校するというのが平均的な小中の職員と、私の方では記憶しております。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) いずれにしましてもやっぱり十時間、十一時間の勤務時間になっていると思いますし、昔は学校、本当に遅くまで電気ついてたんですが、そのことは決して質のいい勤務ということにつながってこないというふうに皆さん捉えておられるんですが、こういった長時間勤務の解消に校務支援システムが県でも導入されるというお話でしたが、具体的に校務支援システムの方をお聞きしたいと思うんですが。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 県が進めようとしている校務支援システムでございますが、いま丹波市小学校が使っているのとほぼ同じで、子どもたちの出欠状況は、いまは一度出席簿に書いたものをまた通知表に写し、指導要録に写しということで何度もしなければならないものが、一度入力したらそれが全て帳票に反映されるというものでございます。成績の方も、通知表、指導要録と、あとは中学校であれば調査書と、三回転記する必要がない一元化されているものです。それ以外には、子どもたちの活動の記録とかもデータ化されることが可能になると思っております。全てはいま把握して説明できないですが、少なくともそれはできて、情報によりますと大体一日三十分ぐらい、年間に直すと百時間は勤務時間を減らせるということが言われております。丹波市小学校の先生方の感覚もそのようなものであるとは聞いております。 ○議長(大橋基之議長) 鳥山議員。 ◆六番(鳥山淳一議員) ありがとうございました。いわゆる事務処理が少しでも減っていくことが、年間にしてみれば、ものすごい時間につながっていくことをいまお聞かせいただけたと思います。県も勤務時間等の校務支援システムの導入ということでございますので、より学校の先生方の長時間勤務が緩和できますように、またお願いをしたいというふうに思います。やはり効率よく学校の事務処理を進めていくことが一番短縮につながるように思います。学校現場では、団塊の世代の先生方が大量退職されました。非常に若い世代の先生が増えておられます。いわゆるリーダーとなるような先生方が少なくなってしまい、これから教師としてのいろんな経験を積んでいかれる先生方が多い現状でございます。このことからしても、また管理職の先生方の大変さも伺えるかなというふうに思います。先ほど、七時になれば学校を閉めるんだと、ノー残業デーをつくる、そして一方では、私立の学校にも教師の働き方についていろんなことが検討されているというふうにも聞いておりますので、中学校の部活動でありますとかそういった部分もいろんな工夫をしていただいて、長時間労働の軽減に向けてもらったらと思います。また、コミュニティスクール、学校運営協議会制度がございます。これはやっぱり教育環境を変えていく一つの大きなものだと思いますので、地域人材の発掘や協力依頼ということをそういったところでしていきながら、より良い教育活動、天理市の学校のますますの向上をしていっていただけたらと思います。 本当にいろいろお答えいただきありがとうございました。これで私の一般質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(大橋基之議長) 以上をもって一般質問を終わります。 以上で本日の日程は終了いたしました。 なお、明日より十九日まで休会し、二十日午前十時より再開いたします。 本日の会議はこれをもって散会します。                      午後二時二十四分 散会...