令和 6年 6月定例会 開議 午前10時
○議長(松本正治君) おはようございます。出席議員、定足数以上であります。 これより議事日程第2号により、本日の会議を開きます。 欠席の届出が
山内政夫議員よりあっておりますので、御報告いたします。 日程第1、一般質問を行います。 まず、3番、
山内貴史議員。
◆3番(
山内貴史君) 登壇 皆様、おはようございます。生まれ育った平戸のために思いと人をつなぐ、新時代の
山内貴史でございます。
一般質問初日トップバッターということで、緊張感を持って行いますので、皆様には1時間ほど、お付き合いのほどをよろしくお願いいたします。 改めて、市議になってから2年半が経過し、市民の皆様におかれましては、日頃の活動に対しまして御理解と御協力を頂き、感謝とお礼を申し上げます。 また、新年度を迎え、市長をはじめとする理事者の皆様には、協働の
まちづくりのため、今後も変わらぬ御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。 また、来る来月7月13、14日には
プロ野球九州独立リーグ、
北九州下関フェニックスが、昨年同様に赤坂球場にて公式戦を行います。どうかプロの技術を子供たちに見せたい、市外各地からたくさんの応援者も来られます。市民の皆様の応援で平戸を元気にしていただきたいと、
教育委員会の
担当所管課をはじめ振興公社、そして
商工会議所や観光協会の皆様が、
平戸活性化につなげるため、一生懸命に
取り組みをされております。どうか7月13、14日には公式戦の応援に赤坂球場へお越しくださいますよう、よろしくお願いを申し上げます。 また、先日の
大相撲夏場所では、平戸海が9勝6敗の好成績を上げ、昨年11月の九州場所から4場所連続の勝ち越し、次の
名古屋場所での新三役昇進が有力となりました。実に大変喜ばしいことであり、この平戸市の広告塔である平戸海関にはさらなる高みを目指していただき、今後の御活躍を期待いたすところでございます。 さて、私は今回、2項目について通告をいたしております。 まず初めに、水産行政における磯焼け対策と魚礁・
漁場整備についてですが、近年の
地球温暖化に伴い、北極海及び南極大陸で氷の氷解が進行し、赤道海域の海水位が上昇する現象が発生。南太平洋の諸島では、消滅の危険さえ危惧されるような事態となっております。 海水温が上昇すると二酸化炭素の吸収力が下がるため、大気中に
温暖化ガスがより多くとどまることになります。熱くなった海洋と熱波が魚や鯨といった海洋生物の行動を変化させる。こうした生物が冷たい水を求めて移動すると、食物連鎖が乱れ、魚介類の生息域にも大きな変化を見せ、近年、本市周辺でも沖縄近海に生息している魚類が見られるようになるなど、確実に海の変化が現れてきました。 その気候変動は、海水温の上昇等により、水産資源や漁業、養殖業にも影響を与えます。海水温の上昇が主要因と考えられる近年の現象として、ブリやシイラ等の分布域の北上があり、ブリについては、近年、北海道における漁獲量が増加しております。特に回遊魚の生育水域の変化は大きく、本来、北洋漁業の代名詞であるサンマが減少の一途をたどっているのも現実であります。また、海水温の上昇に伴う原因なのか、まだ解明されていない事項に、磯焼け現象が挙げられます。 磯焼け原因は、海流の変化やウニなどの藻食動物による食害、大量の河川水や砂泥の流入など様々な説が問われています。また、その一方では、海岸の環境汚染により海水が濁ってしまい、光が不足することによって海藻の光合成が不活発となり、磯焼けが発生するのではないかと考えられている海域もあります。 磯焼け現象は、本市にかかわらず全国各地で発生していますが、特に西日本の内海を中心に広範囲に広がっており、根付の魚介類を中心に、本市の水産物の中心であるアワビ、サザエ、ウニ等の
水揚げ減少幅は想像を絶するところであります。改めて市内の磯場が磯焼けとなり、白い岩場や砂地が連続している状況で魚介類の減少は著しいものとなっており、本市の基盤産業である水産業を営む漁労者の生活を逼迫しております。各漁協ともに様々な手法を講じて対応している模様でありますが、簡単に解決できる問題でもなく、また、漁協や漁民の力で回復できる仕事ではないことも事実であります。 そこで、お尋ねをいたします。 磯焼け対策について、現在、水産庁及び
県水産部の対応状況と今後計画されている長期対策についてどのような報告を受けているのか。また、現段階での本市における漁協への
取り組みや助成状況など、今後の対応方針について併せてお尋ねをいたします。 なお、再質問、道路行政については、質問席からさせていただきますので、議長のお取り計らいのほどよろしくお願いいたします。
◎市長(黒田成彦君) 登壇
山内貴史議員の御質問にお答えいたします。 国の磯焼け対策については、
水産基本計画や
漁港漁場整備長期計画で計画や戦略が位置づけられ、具体的な取組内容については、藻場・
干潟ビジョンや磯焼け
対策ガイドラインが策定されており、長崎県では、長崎県
水産業振興基本計画や長崎県における磯焼け
対策ガイドライン等を策定し、国や県はこれらの計画等に沿って各種取組が実施されております。 本市においては、
漁業者等で構成された
志々伎地区、舘浦地区、田平地区、平戸地区、
前津吉地区及び古田地区の6つの活動組織が、市も負担金を拠出する国の
水産多面的機能発揮対策事業を活用し、海藻の食害となるウニの駆除等を行い、藻場の保全に取り組んでおります。また、離島部の度島、的山、大根坂及び高島の4集落が、国の
離島漁業再生支援交付金を活用して、同様に
ウニ駆除等に取り組んでいるところでございます。 今後も、両事業の
事業最終年度までは引き続き支援してまいりたいと考えております。
◆3番(
山内貴史君) 今、市長の答弁で、それぞれ国、県の基本計画の下に本市においても対策事業を用いて、各組織、各地域がウニ駆除に取り組んでいるということで分かりました。 磯焼けが起こると、魚の産卵や稚魚の育成が阻害され、次第に魚や海の生物が減少し、回復には長い年月がかかります。現在、その対策の一つとして、海藻を食べる魚を捕獲し、飼料とする
取り組みをされている自治体があります。それは、長崎県壱岐市であります。 今回、議長の了解の下に皆様の手元に資料を用意させていただいております。これからは少しの間、壱岐市の事業について説明をさせていただきたいと思っております。 壱岐市は、皆さん御承知だと思いますけれども、人口約2万4,000人と本市と類似した農林水産を基盤とする自治体でございます。その壱岐市の水産の水揚げにおいて、平成20年には344トンあった漁獲量が、令和4年には67トンに減少し、経営体数も289名が今では109名と激減しております。 そこで、壱岐市の
農林水産部は、壱岐市の内海域の磯焼けについて調査を行い、原因をある程度抽出しております。その原因の一つとして、アラメ・カジメ類の生態ではなく、ワカメも食害により育成できない状態であること。魚類の食害が激しくなる秋の時期にアラメ・カジメ類が幼体のみになっている海域で藻場が消失する可能性があるということ。これらを踏まえ検討し、令和元年度には
磯根資源回復促進事業を創設しております。周辺の海域で植食性の魚類である
イスズミ、アイゴが増加。また活動も活発化しており、磯焼けの主な原因は、
イスズミによる食害である可能性が高いことから、そこで
イスズミの駆除を推進するため、漁協を通じて、捕獲した
イスズミ、アイゴ1匹当たりに補助金を出し、積極的な捕獲を行いました。 また、翌年の令和2年度には、県、市、そして市内の5つの漁協が構成員となる壱岐市
磯焼け対策協議会を設立しております。磯焼け
対策推進体制を一元化し、効果的に磯焼け
対策関連事業を行うことで、藻場の早期回復を図ることを目的とするものでございます。その2つの事業を一元化し、令和元年度から令和4年までの4年間で、壱岐市が行う全事業での
イスズミ駆除の実績が2万7,455匹であります。このことから、4年間の
イスズミ駆除により守られた海藻の量は約1,235トンと計算されるそうでございます。
イスズミの寿命は約45年もあるため、今年も来年も再来年もその先も、最低でも毎年1,235トンの海藻が守られる計算となります。 私はこの事業を本当にすばらしく感じておりまして、
イスズミ、アイゴ1匹当たりに補助金をつけ、積極的に捕獲して、磯焼け対策を行いながら、漁労者の生活の足しにする。本当にこれはまさに一石二鳥のことだと思っております。漁労者にとっては、特にコロナ禍から今なお続いている燃油高騰、水揚げの低迷、魚価の低下など、負の連鎖により経営体数も減ってきているのが現実であります。 そこで、まずは、この壱岐市の事業について、部長の率直な意見をお尋ねいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) おはようございます。それでは、お答えいたします。 壱岐市の磯焼け対策については、令和5年度磯焼け
対策全国会議等でも事例報告がされており、
草食性魚類による食害が磯焼けの主な原因であることを明らかにし、漁業者自らが
草食性魚類の駆除を積極的に取り組める仕組みが構築実践されております。 令和5年には、駆除に取り組んだ一部の海域で、海藻の一種である
ホンダワラ類が繁茂するなどの効果が現れており、本市の磯焼け対策を検討する上では、非常に参考になる事例だと認識をしているところでございます。
◆3番(
山内貴史君) 今部長のおっしゃるとおり、壱岐市は近隣でありながら同じ海域でもありますので、非常に参考になる事案じゃないかと、私はそのように思っております。 私は、将来の平戸の海のためにも、基盤産業である水産業を守るためにも、本市でこの事業を研究することを推奨しますけれども、部長の見解をお尋ねいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 本市におきましては、これまでも一部の海域では、漁業者が刺し網を用いて
草食性魚類のブダイ、アイゴ等の駆除に取り組んでおります。まずは、本市で実践されている
取り組みと壱岐市の
取り組みについて、手法や効果の比較検証を行うなど、壱岐市の
取り組みの研究を進めてまいりたいというふうに存じております。 以上です。
◆3番(
山内貴史君) 現在、本市の水域においても、
イスズミなどの
藻食性魚類が多大に増えているということもお聞きしております。ぜひ各組織等と協議しながらですけれども、研究していただければとそのように思っているところであります。 なお、壱岐市は、この事業に対して一財、一般財源のみの予算で行っておりまして、昨年度、本年度ともに約3,000万円ずつを投入しておりまして、累計この4年間で約1億円の一財の負担を行っております。異常なくらいの多額の予算だと思うんですけれども、そのくらいつぎ込むほど、壱岐市の水産並びに漁労者へどうにかしないといけないという思いがあるからだと私は強く感じております。しかしながら、この平戸市も壱岐市と同じように海に囲まれ、水産業が基盤産業でありますので、漁労者の経営体数も壱岐市以上であります。 何を申し上げたいかと申しますと、同じようにとは言いませんけれど、この壱岐市の事業も研究していただきながら、ぜひ取り上げていただきたい事業だとそのように思っているところであります。もちろん各組合、
水産振興協議会等の協議も必要だと思いますけれども、このことについて、副市長どう思われるかお尋ねいたします。
◎副市長(松田隆也君) 今御紹介あった壱岐市の磯焼け対策の
取り組みは、島内の全海域で行われていることが、藻場の回復につながっている一因だと、非常にいい
取り組みだと認識しております。 このため本市で取り組む際にも、
草食性魚類の食害が認められる全海域を対象として、対策を講じることが重要であることから、市内の漁業組合で構成する平戸市
水産振興協議会等の御意見を伺いながら、非常に高い評価を検証しながら検討してまいりたいと思っております。
◆3番(
山内貴史君) 副市長、ぜひ
水産協議会、そして各組合等と協議していただきながら研究して、いい
取り組みをしていただければとそのように思います。 また、壱岐市においては、同時に
磯焼け対策協議会において、
藻場増殖ブロックを活用した事業を行っております。皆様に配付している2枚目の表面の資料になりますけれども、これは、海藻の生えている海域に
藻場増殖ブロックを投入して、種子が付着した後にそのブロックを引き上げて、磯焼けした各地域へそのブロックを投入し、磯場の再生を図る事業であります。 また、壱岐の海域における
母藻供給ネットワークの構築に向けた連携協定があります。資料3枚目の表面になります。これは、5つの漁協が連携して、母藻が育成している各地区から
栽培漁業センターへ母藻を提供することで
藻場造成に必要な種糸の生産を後押しし、壱岐市全域で不足している母藻を各地域で共有し合いながら、藻場の造成に取り組むことで、壱岐市全体での藻場の早期回復を推進するものであります。単純明快な手法であるんですけれども、この工法もすばらしく感じます。この事業についても部長の意見をお尋ねいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 本市では、海域によって海藻の密度に濃淡があり、海藻がない海域で藻場の回復に取り組む際には、他海域から母藻を入手するなどの手法を取らざるを得ない状況にあります。このため壱岐市の
栽培漁業センター、これは市の施設ですが、このセンターを中核として母藻を共有する
ネットワークは、本市には栽培施設がありませんので同様の
取り組みはできませんが、どのようなことができるのか、今後、県にも問合せをしながら、研究してまいりたいというふうに考えております。
◆3番(
山内貴史君) 今おっしゃった、まずは栽培の種類や栽培の施設などの県への問合せをしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 実際、この事業を行ってから4年間の歳月が経過しているわけでございますけれども、先日、壱岐市に経過をお尋ねしました。そしたら、この2つの事業を掛け合わせすることにより、藻場の再生が確実に成果として出ているとのことでありました。 その結果としては、資料3枚目の裏面になりますけれども、1点目として、
プロジェクト対象範囲には、約276haの広大の藻場が繁茂している。 2点目として、
クレジット認証された
CO2吸収量は約974トンにもなり、これは約80haの杉林における
年間CO2の吸収量に相当します。 3点目として、漁業者と連携し、
駆除方法等に創意工夫を重ねたことにより、本来捕獲が難しいとされている
イスズミの大量駆除を可能とした。 4点目として、藻場の回復による魚類の蝟集効果、地元の
小中高校生を対象とした
海洋環境学習の推進など、多様な価値の創出が期待される。 5点目として、本
プロジェクトの継続的な実施が、
カーボンニュートラルへの貢献だけでなく、
生物多様性の回復に寄与すると成果が出始めているわけでございます。 改めて、今回の
カーボンニュートラルの貢献など、これだけ多くの成果に結びつき、水産業に寄与できる事業を行っていることは、壱岐市がそれだけ先進していることだと感じております。 ここで、県時代に
市民生活部で環境部門に携わっていた貞方部長に、壱岐市の
カーボンニュートラルについての総評をお尋ねいたします。
◎統括監(貞方学君) 山内議員の御質問にお答えをいたします。 平戸市におきましても、
地球温暖化による海水温の上昇やガンガゼ、
イスズミ等の食害により藻場の減少が顕在化してきたために、
水産業振興の観点から、このような食害魚等の駆除など、磯焼け対策に従前から取り組んできたところでございます。 一方で、近年、
地球温暖化を抑制する環境政策、
カーボンニュートラルの観点から、CO2の吸収源となる藻場の再生に取り組む自治体が全国的に広がってきている状況でございます。 そして、その手法として注目されているのが、今御紹介があった壱岐市も取り組んでおられますが、海洋版J─
クレジットと言われる
ブルーカーボンクレジット認証制度でございます。これは、
漁業者等の共同体が
藻場再生を実施した際に、その面積などに応じて
クレジットを発行し、これを民間企業に売却した代金で、さらなる磯焼け対策を講じるというスキームでございまして、県内では五島市が先行しており、議員が御紹介された壱岐市、佐世保市がこれに続いている状況です。 この
取り組みは、
藻場再生、磯焼け対策という
水産業振興対策が、同時に
地球温暖化対策にもなるということから、ゼロカーボンを標榜する本市にとりましても、一挙に2つの政策課題を解決できるという意味で、非常に意義あるものと考えております。 しかしながら、平戸市には磯焼け対策の実績、また、そのノウハウの蓄積はございますけれども、
ブルーカーボン認証に対する知見というものは、今のところございません。 このような中、幸いなことに、今年度から長崎
県水産部におきまして、
ブルーカーボン認証に向けた新規事業が立ち上がっており、その実証事業の場所として、県営漁港の水域を検討されているようでございます。 この平戸市も県営漁港を多数有しており、水産業は基幹産業でもあります。本市はその有力な候補地になり得るのではないかと思いますので、まずは積極的な情報収集を図りながら、これからどのように施策の推進に取り組んでいけばよいのか、水産課や市民課と一緒に検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆3番(
山内貴史君) 統括監、ぜひ平戸も海に囲まれている島ですので、この
ブルーカーボンをどうにか制度を持ってこれるような
仕組みづくりをよろしくお願いいたします。 本市も2050年までにCO2の
実質排出量をゼロとするゼロカーボンシティひらどを表明しておりますので、本市もこのような
取り組みをできれば、このゼロカーボンシティひらどに寄与できるものと感じるところでございます。 次に、本市における
根付魚介類漁のうち、魚礁による
漁場整備についてですが、ある程度の水深に投石や
大型魚礁を設置する方法で、根着魚のクエ、ハタ類の高級魚を捕獲していますが、
県水産部の
魚礁マップを見る限り、県内地域の水域と比較して、圧倒的に
魚礁整備が少ないことが目に映ります。五島、壱岐、対馬、西彼杵、島原などと比較しても、これらの地区は全体的に赤色に染まり、平戸周辺はところどころに赤色の点が記された程度でございます。 そこで、
大型魚礁の設置や投石の事業では、長崎県の
漁業振興事業が主体的に実施されている事業でありますけれども、年間を通じ、
自治体受入れの打診をされていると思います。しかし、なぜこちらの地域においては、他の自治体の周辺より明らかに整備箇所が少なく見受けられますけれども、何か問題があるのか。部長にお尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 県の担当部局に照会をしたところ、まず、
大型魚礁の設置数が他海域と比べて少ないことについては、単一の漁協からの要望があっても、その海域全体を所管する
組合長会等の意向を確認しないと、県としては実施できないとのことでございました。 県北海区については、定置網の魚道が変わる等の懸念や各漁協の様々な事情等もあり、海区全体の意向としては、これまでも消極的であると伺っております。 また、
藻場礁等の増殖場の整備については、現在計画中のものも含めて、
本市周辺海区と各海区間において、
設置箇所数に大きな差はないということでございました。 以上でございます。
◆3番(
山内貴史君) 今、部長の答弁の中で、各組合の様々な諸事情があり、海区全体の意向としては消極的であるということでしたけれども、部長の答弁のとおり、県全体の比較をしてみますと、藻場礁の設置は平均でありますけれども、魚礁設置においては、近年明らかに極端な差が出ていると感じております。 そこで、魚礁と藻場礁の違いの工法について、説明をお尋ねいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 魚礁につきましては、多くの魚が生息する場所や漁場として用いられる場所のことで、
大型魚礁については、地先、
共同漁業権外の海域において、数十mから百数十mの水深帯に設置する比較的大きな規模の魚礁のことでございます。 次に、藻場礁についてですが、海藻の生育増殖を目的として海底に設置する、主に
コンクリート製の
人工構造物のことで、太陽光が届く沿岸地先の10m程度の浅場に沈設することで、魚介類の産卵場やすみか、隠れ場などの機能を有しているものでございます。 以上です。
◆3番(
山内貴史君) 今の説明のとおり、魚礁の種類も水深によって、用途によって様々な構成がありまして、水深が深い箇所には魚礁、水深が浅い箇所には藻場礁といった事業が展開されてきました。 遡りますと、この平戸市の
共同漁業権内において、昭和50年代から平成26年までは、少なからずとも、毎年、魚礁及び磯焼け対策整備が行われてきました。的山大島や大根坂、田平、横島、生月北部、早福には
魚礁整備を、また、度島、中野、獅子、志々伎には
藻場造成や築磯整備の実績があります。しかしながら、魚礁と藻場礁はもちろんのこと、砂地に投入されていることから、砂に埋もれたり、老朽化したりと、機能低下しているとの話もお聞きしました。これではせっかくの効果も意味をなさないと思うんですけれども、このことについて、市も現状把握をする必要があると思いますけども、所管課の見解をお尋ねいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) 平成17年度の
市町村合併以降、本市は国の事業を活用して、平成26年度までに魚礁を9施設、
藻場礁等を8施設の計17施設を設置しております。 なお、平成27年度以降につきましては、市の
事業対象区域であった
共同漁業権海域において、県が主にマダイ等の広域性の魚種を対象とした増殖場を整備しております。そのため、市独自での魚礁等の設置は行っていない状況でございます。 市が過去に設置した魚礁等の現況についてですが、令和2年度に市内漁協に対して
アンケート調査を実施いたしました。回答として、過去に設置した
藻場礁等において、ネットの破損等や不具合が生じているとの回答いただいておりますが、具体的な調査の実施までには至っておりません。 以上です。
◆3番(
山内貴史君)
アンケートを取ったが、現況、調査の実施までには至っておられない。そして、調査をしたところ、ネットの破損等や不具合も生じているということでありますけれども、もちろん追跡調査については経費もかかることから、現状は難しいかと思うんですけれども。しかし、水深が浅めである、先ほども説明した築磯とか藻場礁などのところの潜水可能な箇所については、現状把握の意味でも、漁協と連携をして調査的なことを行うことは可能だと思うんですけれども、漁業管理として、私はこの追跡調査も必要なことだと思っております。 実際に私も今回、漁民の方や組合へ話を聞きに参りましたけれども、魚礁に対して、各漁協も漁労別に考え方も違うと理解はしております。ただ、
魚礁整備を行いたい地先もあれば、魚礁は駄目でも
藻場礁整備ならよいという地先の話も伺っております。だから、一概に魚礁設置を行ったほうがいいという話でもないというのも理解できます。 そこで、実際これまで、この
魚礁整備については、各漁協や
水産振興協議会に対し、
ヒアリング等の聞き取りを行っているのかをお尋ねいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 令和2年度に県の
漁港漁場整備計画策定に係る意見等の提出依頼に基づき、市内漁協に対し、
漁場整備に係る
アンケート調査を実施しております。調査の結果、増殖場の整備を望む回答が、複数の漁協、市内の6漁協のうち3漁協から寄せられましたので、県に対して、これらを踏まえ、新たな増殖場の整備や過去に整備した魚礁等のメンテナンスについて実施してほしいと、市としての意見を伝えております。 以上です。
◆3番(
山内貴史君) 調査の結果、増殖場の整備を望む回答が、複数の漁協、6分の3あられたということですけれども、令和2年度に県の依頼に基づき調査を行ったとのことですけれども、冒頭から申したとおり、近年、気候変動により漁業の変化も激しく著しく変わっておりますので、本市においても、毎年独自に市内漁協に対し
アンケート調査を行うなどして、現況を把握することが肝要だと思うんですけれども。そして、県とその調査結果については共有をしていくべきではないでしょうか。その見解について、部長にお尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) 県に伺いましたところ、県も令和3年度以降は、各漁協に対しての要望調査等は行っていないとのことでしたので、本市としましては、市内漁協に対して定期的に
アンケートを行うなどして現況把握をし、県での事業実施の検討について働きかけてまいりたいと思います。 以上です。
◆3番(
山内貴史君) ぜひ定期的に事業実施に向けて、現場の意見を踏まえながらですけれど、まずは現況の確認をしていただければとそのように思います。 改めて、これからの話になりますが、長年にわたり
魚礁整備をしてまいりました。しかしながら、近年、魚礁設置においては減少もしております。やはり毎年、県予算もありながら、行うべく事業を行えないのは非常にもったいなく感じるわけであります。率直に申せば、もっと県と連携・
取り組みを行い、県の予算を本市に持ってきていただければとそのように思っております。もちろん各漁協の考え方も違うと理解はしておりますから、ただ、現場の意見を踏まえて、全体での調整をしていけば、必ず着地点があると思っております。このことについて、副市長に見解を求めます。
◎副市長(松田隆也君) 先ほどの部長の答弁にもございましたけれども、平成27年度以降につきましては、市独自の魚礁等の設置を行っていない状況でございます。 今、議員から御紹介ありましたように、様々な事業を使いまして、県が実施しているこの増殖場の整備につきましては、広域性の水産生物の増殖を対象としていることから、地元自治体の負担が生じず、本市内の地先海域の
藻場造成にも寄与していることから有効な手段でございますので、市内漁協からの具体的な要望が出た際には、県に対して積極的に要望してまいりたい。その辺は議員とも意見は一致しておりますので、よろしくお願いします。
◆3番(
山内貴史君) この魚礁設置については、毎年、県と漁協が話合いをしているということもお伺いしているんですけれども、今副市長が言ったように、市内漁協から具体的な要望があった際には、県に要望するなど、後押しをまた行政としてよろしくお願いいたします。 再度申し上げますけれども、県の
魚礁マップを見る限り、本市の周辺海域には、まだまだ
漁場整備を開発できる場所が、志々伎漁協管内を中心に他地域も多く存在していると思います。 そこで、所管課として、
共同漁業権内で漁業振興対策の根幹と言える漁場つくりをどのように捉えているのか。また、一本釣りやはえ縄漁の漁師は、漁場を対馬海域まで求めていき、多量の燃料を使いながら、危険を承知で遠出をしている市内漁業者もおられます。近場で漁場を整備することで、燃料経費にもつながると思いますが、現況をどのように捉えているのか、併せてお尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) 近年の磯焼けによる藻場の衰退や水産資源の減少と漁獲変動などにより、他地区海域まで数日かけて漁に出られるという漁業者もおられるという現状は伺っており、本市の持続的な生産体制を確保していくためには、本市沿岸周辺海域における漁場づくりは重要な課題であると考えております。 県の増殖場整備が、市内地先の
共同漁業権海域内においても進められておりますことから、市内漁協からの具体的な要望が出た際には、県事業を優先して、増殖場での整備について要望してまいりたいと思います。 県の増殖場での整備が困難な場合には、遠方まで出漁されている漁業者が実際にどれぐらいいるかなどについて聞き取り調査等で把握していくとともに、受益者の規模や費用対効果等の分析検証などを見極めながら、市での事業化に向けて研究をしてまいりたいというふうに考えております。 以上です。
◆3番(
山内貴史君) 今回、この
漁場整備も含めてなんですけど、しっかりとした
漁場整備で魚の管理ができていれば、こういう一本釣りやはえ縄漁の漁労者の皆様が、遠出で行くことも少なくなるんではなかろうかと思うんですけれども、職種によっては行かないといけないところもあるから、一概には言えないんですけれども。再三になりますけれども、各漁協との連携共有をしながら、遠方漁業者のためにも、
漁場整備の強化に向けて、事業化へ研究をよろしくお願いいたします。 ただ、磯焼け対策や
漁場整備といった漁場の環境整備だけではなく、本来の肝心な魚のことも考えなければなりません。そこで、ここからは放流事業についてお尋ねをいたします。 以前、メディア等で志々伎漁協管内でのヒラメ放流と定置網での捕獲が放送されていました。そこで、現在、ヒラメやクエの放流を実施していると伺いましたが、年間どれだけの稚魚放流を行っているのかお尋ねいたします。また、昨年度行った所管課の稚魚放流事業も併せてお尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) 本市が実施した魚類の放流実績については、令和元年から令和5年までの5年間で、ヒラメは合計8万尾、カサゴは合計約11万尾の人工種苗の放流に取り組んだところでございます。
◆3番(
山内貴史君) 過去5年間でヒラメが計8万尾、カサゴが11万尾ということでありますが、少し掘り下げてお尋ねをいたします。 このヒラメ、カサゴの稚魚放流ですね、成魚になるまでの生存率、いわゆる捕獲率をお尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 ヒラメとカサゴは、令和元年度より一部の種苗に標識を施して放流を行い、その標識を目印とした放流効果調査を行っております。 ヒラメについては、佐世保魚市等で水揚げされた魚の調査を行ったものの、本標識を施したヒラメはまだ確認されておりません。ヒラメは放流してから漁獲されるまでに2年から3年以上を要することから、今後、採捕される可能性は高いと考えております。 なお、国の研究機関が公開している、我が国周辺水域の水産資源に関する評価結果によれば、令和4年の長崎県全体におけるヒラメの漁獲物に占める放流魚の割合は12.5%であり、同等の結果が得られると見込まれます。 カサゴについては、放流海域で試験操業を行った結果、漁獲物に占める放流魚の割合は、令和4年は13%から19%、令和5年は23%であり、種苗放流が資源の底支えに寄与していることが確認をされております。 以上です。
◆3番(
山内貴史君) 成魚になってからの捕獲率については、ヒラメが12.5%、カサゴが約20%という確率になりますけれども、捕獲できなくても、成魚になるとどこかで産卵するわけでございますので、私はこの放流事業が一番確率の高い漁法だとそのように思うんですけれども、部長どのように思いますか。御意見を伺いたいと思います。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) 種苗放流は、資源管理の一環として実施しているものであり、一定の放流効果が認められる魚種については、種苗放流は資源管理を行う上で有効な手法であると認識をしております。 放流効果を高めるためには、休漁日や禁漁区の設定等の漁獲管理と一体となった種苗放流の
取り組みが重要であり、例えば県が実施するクエの種苗放流事業については、放流海域において1kg未満の小型魚は再放流することを要件とする措置が講じられております。本市が種苗放流を行う場合も、漁業関係者と協議を行った上で、漁獲管理の実践等について検討してまいりたいと考えております。 以上です。
◆3番(
山内貴史君) 近年、水揚げが著しく減少している中で、漁業者の気持ちを考えますと、漁獲管理も頭を悩ますところではないかとそのように思いますけれども、種苗放流が有効的になるためにも、しっかりと漁協関係者と協議していただくように、よろしくお願いいたします。 ただし、放流する稚魚の数値ですけれども、先ほど答弁の中に、成長するまで2年から3年かかるということでありますので、毎年毎年、二、三年、1万尾、2万尾ずつ入れても、結局そのパーセントでいえば、なかなか追いつかないのが現状ではなかろうかと思うんですけれども。話戻るんですけど、放流する稚魚の数値ですけれども、先ほどの捕獲率で考えますと、1万尾単位では元が取れない。10万尾単位で数年続けて放流すれば、元が取れるんではなかろうかという話も伺っております。小さい数をちまちま放流するのではなく、長期的かつ今以上の投資が必要であり、漁協及び漁場に対して、将来を見据えた種苗放流を計画的に実施していくべきだとそのように考えますけれども、所管課の考えをお尋ねいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 市は、県が策定をした第8次長崎県栽培漁業基本計画に基づき、地域水産資源環境調査事業等により種苗放流に取り組んでいるところでございます。 種苗放流は、放流費用に見合う利益が得られるのかという観点から、放流規模等を検討する必要があります。また、種苗放流の効果を高めるためには、漁獲管理と一体となった
取り組みが重要であり、特にヒラメについては、クロマグロのように数量管理に取り組む魚種の候補になっていることから、放流規模や実施期間については、国や県の動向を注視しながら慎重に検討してまいりたいと考えております。 なお、本市の事業においては、近年、カサゴを対象とする漁業者が減少をし、受益者が限られていることから、令和6年度よりカサゴの放流を廃止をし、近年漁獲対象とする漁業者が増えているクエの放流に取り組むことで、現場のニーズに応じた種苗放流の計画的な実施により、漁業所得の向上を図っていきたいと考えております。 以上です。
◆3番(
山内貴史君) 今言われた漁業の所得向上を第一に考えていただきながら、実りある種苗放流の計画を実施していただきたいと思います。 そして、市の事業については、受益者のニーズに応えて所得向上に努められるとのことでありますけれども、改めて放流の尾数なども含め、各組合や
水産振興協議会などとの協議、共有した上で、新しい放流事業の方針を考えていくことが重要ではなかろうかと思うんですけれども、それについても部長の意見をお尋ねいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) 議員御指摘あったとおり、種苗放流事業の実施に当たっては、関係者への意見を聞き、協議を行うことが重要であると認識をしております。 本市においては、これまで、県北地域栽培漁業推進協議会等を通じて、漁業関係者と協議の上、種苗放流に取り組んでまいりました。今後は、種苗放流の計画等について、新たに
水産振興協議会とも意見交換を行い、より漁業者のニーズを踏まえた対策が講じられるように努めてまいりたいと考えております。 以上です。
◆3番(
山内貴史君) 先ほどの答弁の中で、捕獲率が1割から2割と聞いて、驚くぐらい少ないなと、私の感想はそうなんですけれども、ぜひ漁業者のニーズを踏まえた対策を講じていただきますよう、よろしくお願いいたします。 この水産については最後になりますけれども、市長に、今回一連の磯焼け対策、
魚礁整備、そして
漁場整備と、この総括をお尋ねいたします。
◎市長(黒田成彦君) 今回の議員から他地区の優良事例など、極めて具体的かつ効果的な紹介いただきました。今後、提案された内容等については、本市の
水産振興協議会とともに意見交換を行って、これまでの
取り組みをより有効なものにできるよう、いろんな手法とか比較検証を行いながら、今後の施策推進の参考として研究してまいりたいと思います。
◆3番(
山内貴史君) 今回、近隣自治体であります壱岐市の事案について、今回取り上げをしましたけれども、同海域といっても、海流や水深、そして気象条件などが違いもありまして、同じような事業が本当に当てはまるかというのもちょっと疑問には感じますけれども、ただ、本市の基盤産業であります水産業が、少しでも現状が好転するように、先進している事業について研究することは無駄ではないとそのように思っているわけでございます。 今日も傍聴のほうに若い漁青連の方も来られていますので、今後、この水産の一翼を担う若い人たちが、いかに水産業に残って営みを続けれるような仕組みを考えていただければとそのように思っているわけでございます。 とにかく、今後も本市の
共同漁業権内において、磯焼け対策、
魚礁整備、
漁場整備を各組合、
水産協議会と十分に連携を取りながら、今後の水産業の発展に寄与していただきたいと願うところであります。 そして、次の質問に行きたいんですけれども、ちょっと時間の配分が遅くなりましたので、道路行政については、次回の持ち越しとさせていただきますので、部長よろしくお願いいたします。 これにて、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(松本正治君) 以上で、
山内貴史議員の一般質問を終了いたします。 10分間休憩いたします。 休憩 午前10時48分 再開 午前11時00分
○副議長(池田稔巳君) 会議を再開いたします。 引き続き一般質問を行います。 次は、16番、吉福弘実議員。
◆16番(吉福弘実君) 登壇 改めて、おはようございます。新波クラブの吉福弘実でございます。4月の人事異動で新しい部署に着任されました部長をはじめ職員の方々、公務員としての使命感の中、日々精進されますよう期待をいたしております。 それでは、今回4点について質問をさせていただきます。 まず、4番目の人口減少対策についてでございますが、一部の地域を除き全国の自治体で懸念されている問題でございますが、人口減少に歯止めがかかる、こうした特効薬というのはあるわけではございませんけれども、本市もこの問題については、総合戦略を基本に真摯に取り組んでおられることと十分承知いたしております。 現状は、本市でも1年間に約500人ほどの人口が減少をしている。また、全国では長崎市、こういった規模の市が1年間に1つ消滅している。そういった状況であると言われております。 去る4月25日の長崎新聞に掲載されておりました記事で、民間組織ではございますけれど人口戦略会議、このシンポジウムで将来的に消滅可能性があるとみなした744の市町村が公表されました。本県も11の市町が含まれていました。今後30年後のことということでございますけれど、自治体運営が立ち行かない、そういった状況を示すとのことです。 過去、2014年時の報道では、消滅可能自治体は896の自治体を公表されました。よって、数字的には改善が見られると評価をされましたけれど、その要因は、外国人の増加で少子化基調は変わっていないとの警告を鳴らされております。 全国では対策を講じて人口増につながった自治体、こういった紹介もテレビ、新聞等で紹介をされておりますが、それが本市にもできるかといえば、リスクも大きいことでもあるし、少しでも緩やかな減少になるような政策は今後も必要だと、再度認識をいたしております。市長をはじめ行政全体で取り組んでおられることとは思いますけど、こうした報道を受け、特に他の自治体の首長とも意見交換をされる機会が多い市長に改めて考えをお尋ねをいたします。 1番目の田平港の八幡地区の整備事業、2番目の企業誘致、3番目の新規就農者、後継者対策については、質問席より行いますので、よろしくお願いいたします。
◎市長(黒田成彦君) 登壇 吉福議員の御質問にお答えいたします。 議員御指摘のとおり、去る4月25日、民間組織である人口戦略会議が2020年から2050年までの30年間で、子供を産む中心世代である20歳から39歳の女性人口の減少率が50%以上となる自治体、いわゆる消滅可能性自治体の数が、全市区町村の40%に当たる744団体であるとの報道がなされ、本市もその団体の一つとして上げられています。 人口戦略会議による分析レポートでは、分析結果について、各自治体の人口の実情と課題を考える上で参考にしていただきたいとの記述があり、消滅可能性自治体という言葉の取り方によってはマイナスイメージがありますけども、本レポートの公表によって、私たち地方自治体の背中を押し、
取り組みを促進させたいとの思いがあるものと認識しています。 消滅可能性自治体については、平成26年にも本市を含む896団体が公表されましたが、それを受け、本市では同年、庁内に平戸市人口減少対策本部の設置、平成27年には、平戸市ずっと住みたいまち創出条例に基づく平戸市ずっと住みたいまち創出本部に移行し、人口減少対策を協議するとともに、本市の特色を生かした新たな産業による雇用の促進、地域資源を生かした賑わいのある魅力的な産業の振興、子供を産み、育てやすい環境の充実を目指す子育て支援、まちの活気を取り戻すための定住・移住促進の4つを基本目標とした平戸市総合戦略を策定し、これまで取り組んでまいりました。 4つの基本目標の
取り組みについて具体的に申し上げますと、基本目標1の雇用の促進では、企業誘致や創業支援などによる新たな雇用の創出。 基本目標2の産業の振興では、農林水産業をはじめとした産業担い手確保対策や観光振興。 基本目標3の子育て支援では、子ども・子育て環境や教育環境の整備充実。 基本目標4の定住・移住の促進では、移住定住環境整備や持続可能な集落形成の
仕組みづくりなどに取り組んできており、これらの結果、このところ本市へのUIターン者が毎年度100人程度移住してきていることなどもあって、国立社会保障・人口問題研究所が公表している将来推計人口を上回ってきていることから、一定の人口減少抑制効果があったものと認識しております。 しかしながら、人口減少のスピードを弱めるところまでには至っておらず、消滅可能性自治体の一つに数えられている状況でもありますが、市民がこれからも住み慣れた平戸で安心して住み続けられるよう、引き続き各施策に取り組んでまいります。
◆16番(吉福弘実君) ありがとうございました。順番をちょっと変えて質問したいと思いますけど、人口減少対策については最後に質問させていただきたいというふうに思います。 1番目の田平港八幡地区の整備でございますけれど、現在、田平港の八幡地区においては、護岸の整備と併せて道路が整備をされておるようです。 ここは、過去のいきさつを少し申せば、かれこれ三、四十年前から、当時の観光協会の会長が、平戸口のですよ、観光協会の会長が、駐車場を生かして、そこで、やっぱり
観光施設そういう場所をつくろうということで、漁業とかそういったことで交渉され、思いをされておられましたが、何らかの事情もあったんでしょうけれど、計画が頓挫してできなかったという経緯がございます。 こうした中、計画は昔からございましたけれど、今回、今至った経緯、事業の目的についてお尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えいたします。 事業の目的につきましては、田平港シーサイドエリアから田平公園までの接続道路を整備することにより相互利用を図り、平戸瀬戸の景観のすばらしさ、物理的利便性、観光地空間の連続性など田平港の持つ資源を十分に生かすこと、また、田平公園の利用促進など地域活性化を目的としております。 この目的達成のために、平成24年度から県知事要望を継続して行ってきております。要望後、県関係部局との協議、打合せ等を重ね、事業実施に向け、平成29年度から測量や設計、埋立申請等の手続を終え、令和元年度から工事着手に至っております。 護岸については、管理者である県が荒天時の波浪・越波対策として護岸の新設や消波ブロックを設置することとしております。 護岸背後の道路については、市管理となりますが、工事につきましては、施工性や費用面を考慮した上で、一括した工事発注が有利なため、県が発注者となり、市は道路部分等を費用負担しておるとこでございます。 以上です。
◆16番(吉福弘実君) 田平公園の下の駐車場の利用状況というのは、今少ないんだろうというふうに思っておりますけれど、今現在、平戸瀬戸市場を中心に大変にぎわっているというのは皆様御存じのとおりでございますし、シーサイドエリアと結ぶことによって、この駐車場も相互利用が図れることだろうというふうに思っております。また、そうでなくてはならないんだろうというふうに思いますが、現在のこういった両施設の利用状況、接続することによってどのような効果が得られるのか、想定されているのか、お尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 田平港シーサイドエリアにつきましては、平成24年2月に展望レストランを含む平戸瀬戸市場が開設されたことや、近隣食堂への集客等により活性化が図られ、田平港一帯を訪れる観光客が大幅に増加しております。 一方、田平公園の駐車場につきましては、平戸大橋を含む平戸瀬戸が眺望でき、憩いの場として魅力的な場所であると認識しておりますが、現状は、駐車場に至る道路が一部狭く、また入り口が分かりにくいことから、利用者は極めて少ない状況でございます。 このようなことから、両施設を結ぶことでお互いのアクセスが容易になり、シーサイドエリアを訪れた観光客が、田平公園まで足を運び休憩をする。または、田平公園を訪れた人が散歩がてらにシーサイドエリアに買物や食事に行く。このような相互利用が図られ、にぎわいを生み出すものと考えております。 以上です。
◆16番(吉福弘実君) 防波堤の整備というのは、国の事業で整備をされておられる。その事業完了後10年間は改良することができない、防波堤をですよ。防波堤を整備されていますけれど、その防波堤というのはお話を聞くと、事業完了後10年間は扱うことができない、改良することができない。そういうふうなお話を聞いております。仮に行うことはできないでしょうけど、補助金等の返還等が問題が起きてくる。そういった可能性があるということで現在に至っているんだろうというふうにお聞きしますが。 また、工事は県が行っているとのことでございますけれど、今後の完成予定はどのようになっているのか。それと、工事の概要、そして今後の進捗状況、こういったところがあればお尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 工事の概要につきましては、護岸部の整備が延長約90mであり、既存の護岸の前面に新たにコンクリート擁壁を施工することで、波浪に耐える構造とし、さらに越波対策として消波ブロックを設置する計画となっております。 また、背後の道路については、護岸部の延長に両施設へのすりつけ区間約60mを加えた延長約150m、全幅員6.5mであり、利用者の安全を考慮した幅員1.5mの歩道つきの道路整備を計画しております。 進捗状況につきましては、令和元年度に工事を着手し、令和7年度の完成を目指しておりまして、現在の進捗率は、工事費ベースで7割程度となっております。 以上です。
◆16番(吉福弘実君) 令和7年度完成の予定というふうに今御答弁がありましたけれど、要は完成後の利用プラン、完成後あそこがつながった場合どうなるかというのは、恐らく県よりもそのプランを示しなさいというふうなことが言われておるというふうに聞いておりますけれど、今現在あそこが完成したときに具体的なプランというのはお持ちなのか、お尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) 現在、具体的なプランはございませんが、美しい自然景観を生かす
取り組み等が計画をされるよう、道路供用開始前には広報紙やホームページ等で道路開通の情報を発信していく考えでございます。 以上でございます。
◆16番(吉福弘実君) 今現在ですね、プランがないというふうなお話でございましたけれど、こういったことが、県レベルに聞こえると非常に市長も苦笑いされていますけれど、非常によくないんじゃないかなというふうに思っております。県からは示しなさいということが来ているんだというふうにお聞きしていますので、改めて、繰り返しは言いませんけれど、このプランというのはしっかりとつくるべき、そして今言うことを公表されるなら公表するようにしっかりと示さなければ、県当局にとって申し訳ないというか、そういったことも懸念しますので、しっかりと完成後のプランというのはつくっていただくべきとそういうふうに思っておりますので、よろしくお願いします。 それでは、次の質問をいたしますけど、企業誘致について質問をいたします。 人口減少が叫ばれる中、地元で働きたい。しかし、働く場所がない。こういった言葉というのは、行政に関わる方々、我々も含めてですけど、よく耳にされておられるというふうに思っております。なかなか若い人が定住をしにくい現状の中で、企業誘致というのは、本市にとっては必要不可欠な課題であろうというふうに思っております。雇用創出効果が一番高く、定住人口の確保対策としては、重要な施策であろうというふうに考えておりますけど、近年の企業誘致、大体理解はしていますけれど、そういった企業誘致の内容は計画どおり行われているのかお尋ねをいたします。
◎文化観光商工部長(小出圭治君) お答えいたします。 企業誘致の
取り組みにつきましては、第2次平戸市総合計画の後期基本計画におきましても、基本
プロジェクトの仕事を広げる
プロジェクトに企業誘致の推進を掲げ、新たな工業団地の整備と併せて企業訪問活動に取り組んでおります。 令和4年度までの実績といたしましては、2社の企業誘致が実現しております。1社目は、田平町で農業を主な事業としておりますモロフジファーム株式会社でございまして、本社を福岡市から本市に移転し、平成30年9月1日から操業されております。現在は、主に水耕栽培のレタスやニンニクを生産販売されております。 2社目はKTX株式会社で、本社が愛知県江南市に所在する製造業であります。主に自動車部品、防災製品などを製造しており、令和3年に田平町古梶免の工業団地を一括購入し、令和4年4月1日から長崎平戸ラボラトリーズとして操業されているところでございます。
◆16番(吉福弘実君) 工業団地の誘致企業というのは、過去にもずっと整備をされてこられたわけでございますけれど、お聞きしたところ、市内の工業団地というのは、過去の整備された工業団地というのは、全て現在利活用されていると、そういうふうな状況だということにお聞きしております。いわゆる塩漬けの土地というのはないというふうな状況であろうと、そういったことをお聞きしますので、関係者の努力を評価いたしたいというふうに思っております。 現在、新たに工業団地の整備が計画されておられるとこでございますけど、その進捗状況、分かる範囲というか、申される範囲で結構でございますけどお尋ねをいたします。
◎文化観光商工部長(小出圭治君) 新たな工業団地の整備につきましては、田平町上亀免に整備する計画で、開発面積は約4.7ha、整備面積は2haといたしております。現在、実施設計及び開発許可申請業務などを行っており、今年度につきましては、長崎県知事の開発許可を得て、整備予定地の立木伐採を予定しております。 今後の予定にいたしましては、令和7年度に整備工事に着手し、令和8年度に工事完了、令和9年度に販売を開始したいと考えているところでございます。
◆16番(吉福弘実君) 令和8年度に整備を完了し、令和9年度より販売開始の予定ということでございますけれど、幸いにして、令和7年度に本市にとっては大変ありがたい、平戸のインターチェンジが完成をする予定でございますけれど、誘致の条件としては、非常に大きなプラスになるんだろうというふうに理解をいたします。 整備後の誘致活動というのも、これを機にしていただきたいというふうに思いますけれど、その誘致活動というのはどのような活動方法というか、そういったモデルというか、そういった考えがあるのかどうかお尋ねをいたします。
◎文化観光商工部長(小出圭治君) 誘致活動についてでございますが、令和5年度実績としまして、福岡県及び関西地区、東海地区、関東地区の企業を対象に18社、延べ23回の訪問を行っております。 対象業種としましては、半導体部品及び自動車部品製造など、今後も安定した成長が見込まれる製造業を中心としておりますが、一方では、商店街等の空き店舗などを対象にオフィス系企業の誘致にも力を入れ、誘致活動に取り組んでいるところでございます。 特に西九州自動車道平戸インターチェンジの開通が令和7年度に予定されており、開通すれば自動車産業や半導体産業が集積している熊本県を含む北部九州への交通アクセスが改善されますので、平戸インターチェンジの開通もアピールポイントとして積極的に活用しながら誘致活動を進めていきたいと考えております。
◆16番(吉福弘実君) 企業対象18社とか延べ23回の訪問とかそういったことをされて努力をされているということでございますけれど、企業誘致は、新たな企業が本市に進出することで新たな雇用や、特に技術者の移動等が見込まれるわけでございます。人口減少の抑制にもつながってくるだろうというふうに思いますが、最後に統括で人口減少対策を聞きますけれど、その点についてはどう考えておるのかお尋ねをいたします。
◎文化観光商工部長(小出圭治君) 企業誘致の効果といたしましては、新たな雇用の場が生まれることにより、若年層の流出抑制、UIターン者の受入れ、場合によっては企業内の異動転勤などによる本市への転入が見込まれます。また、新卒者が誘致企業に就職することで若年層が定着し、家族が増えることを想定いたしますと、企業誘致が実現することにより、定住人口の確保、ひいては人口減少の抑制につながるものと考えております。 そうしたことから、引き続き工業団地の整備と併せて企業誘致活動に取り組んでまいりたいと考えております。
◆16番(吉福弘実君) この問題について市長にお尋ねをしますけれど、もちろん地場産業というのは非常に育成も大事なことだというふうに思っております。民間の資本の力というのが、人口減少対策には特に必要であろうというふうにも思っております。企業誘致は本市にとって大変大事な人口減少対策の一つになるんだろうというふうに考えておりますが、市長の思い、人口減少対策として、そして企業の誘致として、市長の思いというものをお聞かせいただければというふうに思います。
◎市長(黒田成彦君) 人口減少を抑制するには、その地域において生活を営む、また安心安全で持続的な家族形成を行うことが重要であると思っております。その中では保障された所得が見込まれる企業や産業育成が大事であることは間違いがありません。 新しい職種やこれから成長する産業を本県、本市に呼び込んでいくことは重要な政策課題と思っておりまして、そのための道路網の整備、そして工業団地の整備が前提条件となると思っております。幸い、関連企業の経営者等に話を聞きますと、災害が少ないこと、また、地震とか河川氾濫が少ないことが、平戸市とりわけ田平地区のアドバンテージとなっておりまして、水が少ないのがちょっと残念なんですけども、一方で水を使わないプレスとか安定基盤の中でのそういった管理業務という企業体は、この立地を大変有効だというふうににらんでおりまして、いろいろ企業誘致担当者の報告を聞くにつけて、なかなかこの田平の上亀周辺、高速道路インターから10分以内で到達できるところというのは有効な場所かと思っております。 このことをはじめ新しい企業分野を誘致すること、それから、今後も市内のオフィス系を、いわゆるITも含めたオフィス系企業を誘致することによって、性別や世代関係なく就労できるような環境整備にも努めてまいりたいと思っておりますし、私自身も県の産業振興財団評議員をしておりますので、そういった関係部局との連携を密にして、情報収集を怠ることなく、トップセールスも含めていろいろな経営者と面談をし、平戸の魅力を訴えて働く場の確保に努めてまいりたいと思います。
◆16番(吉福弘実君) ぜひとも民間の資本、力というのは絶対必要なもんだというふうに思っておりますので、ぜひとも市長の力量を発揮していただければというふうに思って、次の質問に入らせていただきます。 3番目の質問でございますけれど、過去にもこの件については質問させていただきました。新規就農者、また、後継者の支援策についてでございますけど、令和6年の6月議会で質問をさせていただきました。現在もこの地で就農したいということで私の近くにも研修をされております。その方たちは農地を求め、そして空き家を求めて、大きな投資をされるということで、福岡のほうから来て研修をされておるようでございますが、そういった方々、近年の数字で結構でございますが、新規就農者等の状況、今後の状況等を近年の数字だけで結構ですのでお尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えいたします。 過去5年間における新規就農者数でありますが、令和元年度以降38名の方が就農されております。その内訳ですが、令和元年度が6名、令和2年度が14名、令和3年度が6名、令和4年度が10名、そして令和5年度が2名となっております。 なお、現在、アスパラガスで2名、イチゴで1名、肉用牛で2名の方が就農研修に取り組まれているところであり、そのうち3名の方が本年度中に研修を終え、新たに就農する予定となっております。 以上です。
◆16番(吉福弘実君) 新たに現在3名の方が就農予定をされているということでございますけれど、農業に興味を持って就農される方々、特に施設園芸であったり、畜産では大きな資金を投じて就農をされるわけです。行政も手厚い支援ということでされているというのは私も十分承知をいたしておりますけれど、しかしながら、だからこそできることでもあるんだろうというふうに思っております。先ほど紹介したように、他県からも来られて就農される方々もおられるわけでございますけど、就農に当たっての本市の支援策というのを再度お尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 新規就農者に対する支援についてでありますが、まず研修体制としまして、本市では行政や農協などの関係機関に加え、生産者で構成される生産部会と連携した就農支援体制を構築をしており、就農希望者に対する相談対応のほか、就農インストラクターによる技術指導などを行っております。 次に、資金面についてでありますが、本市において農業に携わる環境がない中で、新たに就農する方や親元が農業を営んでいるものの、独立して営農する方は新規就農におけるリスクが大きい状況にあります。 このことから、就農前後の経営が不安定な期間における生活費に対する国の給付金制度に加え、市の上乗せ支援を行うほか、営農に必要となるハウスなどの施設整備費に対し、国、県、市を合わせた補助率が8割となるよう上乗せ支援を行うことで、新規就農者の負担軽減を図っているところでございます。 なお、親元で就農する方については、経営規模の拡大や生産性の向上などに伴う施設整備を行う場合において、国、県の補助事業と併せて事業費の3分の2を支援をしているとこでございます。 以上です。
◆16番(吉福弘実君) 補助率が8割というのは、他市に比べると非常に好条件であるんだろうと、ふるさと納税であったり、市長が英断でこういったことで図られているというのは私もお聞きしていますけれど、非常に就農者にとってはありがたい話だろうというふうに思っております。 好条件で、そして就農されておられると思いますけれど、就農支援者の募り方ですね、今後もいろいろあるんだろうと思いますが、過去に話題になった1,000万円プレーヤーになりました。市長に言わせるとクラウンとか、この頃はレクサスというふうに市長は言われていますけれど、そこは余談ですけど、1,000万円プレーヤーというのは、本当に響きのよい言葉でした、ある農家の方が言われたことでしょうけど。本当は私は1,000万円残らんばいかんというふうに思うんですよね。1,000万円の売上げじゃのうして、1,000万円がやっぱり残るというような経営をやらなければいけないんだろうというふうに思いますが、そういった現在の就農者を募るための情報発信、こういったことはどのようにされているのかお尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) 就農希望者への情報発信についてでありますが、本市独自のホームページや募集冊子により、既に本市で就農された方の事例や就農支援制度の内容、就農した場合の資金シミュレーションなどを紹介をしております。 また、電話やメールによる就農相談やオンライン面談による相談会の実施、都市圏等で開催される就農フェアへの参加などを行っているほか、昨年度は県と連携し、オンライン就農セミナーや産地見学ツアーを開催したところでございます。 以上でございます。
◆16番(吉福弘実君) 特にこの問題について、令和5年度の6月議会でも質問させていただきましたけれど、農業技術者、こういう方々が経営知識または情報の交換をしながら、切磋琢磨してそういった場所をつくる必要がある。ぜひともこういう方々に成功してもらわなければならないというのは、市長はじめ担当の皆さんもそうだと思いますが、そういう意味で6月議会で質問しました。 その中で部長答弁では、新規就農者同士、そういう方々が技術をはじめ意見交換の
仕組みづくりをしたい。そうした前向きな答弁がございました。それから、市長からも答弁があり、市長も複数の農業者が募って法人化、市長もよく言われますけど法人化、こういったことを期待したいと、そういった答弁がございました。 私も思うのですが、継続して営農ができるように、こういう方々が営農ができるように、組織づくりをぜひとも今は部会としてあるんでしょうけれど、そうじゃなくして、こういう方々が成功するような組織づくりをしてあげるべきだろうと。そういった考えがないのか、再度お尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 新規就農者同士の技術をはじめとした様々な意見交換ができる機会の創出につきましては、議員から前回の一般質問において御提案いただいたところでございます。これを踏まえ、こうした場のきっかけづくりとして、昨年度は若手農業者の社会参加や仲間づくりを目的に、奉仕作業として紐差のJA平戸集荷センター周辺等の草刈りと、その後の交流会を企画をし、新規就農者に声をかけたところ、草刈りには11名の方が、交流会には6名の方が参加いただいたところでございます。 この企画を担当した職員からは、参加者は同時期に就農を開始したことや年代も近いこともあり、さらに仲間意識が強まり交流が深まったという現状や、会員数が減少していた青年農業者連絡協議会にこの交流会を通じ、新規就農者の中から新たに2名の方が加入したとの報告を受けているところであります。 今後もこうした機会の場づくりを支援していくことで、議員御指摘の新規就農者の交流の場の拡大につなげていけるのではないかと考えているところでございます。 以上です。
◆16番(吉福弘実君) この問題については、市長の施政方針の中でも
取り組みたいというふうなことが言われておりましたので、ぜひともしてほしいと思っておりますが、本市の基幹産業である農業、特にこうした新たな
取り組みをされる方々を持続的に安定した経営をされるために、まず第1次産業に関わる方々を確保していくというのは、さっきから述べているように本市の人口減少対策、先ほど市長の答弁でも100名ほどのIターン、Uターンがおられるというようなお話もございましたけど、本市の人口減少の対策に直結する大事な
取り組みだというふうに思っております。再度、こういった思いというのはどうなのかお尋ねをいたします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) お答えします。 農林業センサスにおける本市の農業就業人口で見ると、平成27年では1,931人でありましたが、令和2年には1,394人と高齢化による離農や人口減少を要因として大きく減少しております。 本市の基幹産業である農業就業人口の減少は、産地の縮小だけでなく、農村集落の維持にも大きく影響し、集落の衰退も招く結果につながるものだと考えております。 その一方で、先ほどから申し上げておりますとおり、本市の農業施策を通して、意欲のある若い新規就農者の方たちが育ち、農業の産地を下支えしている状況にもあることから、これまでの支援を継続していくとともに、時代に即した、行政としてやれるべき施策を取り入れながら進めてまいりたいというふうに考えております。 以上です。
◆16番(吉福弘実君) ぜひともこういう方々が何名もずっと就農されて今後も就農されるわけですけど、やはり繰り返し言いますけど、莫大な投資をして、そして私の近くの方は今サラリーマンですけれど、サラリーマンを辞めて夫婦で農業に取り組むと、そういった方々がおられましたけど、一点だけお尋ねしますけれど、例えばアスパラをされているとか畜産をされている、いろいろあるんでしょうけど、こういった施設の作物を途中で変更するというようなことは、条件的にもいろいろあるんだろうと思いますが、可能なのかどうなのかお尋ねをします。
◎
農林水産部長(度嶋悟君) 例えばハウスを整備をして、例えばアスパラをやっていた方が、例えばイチゴに切り替えたりとかなったとしますと、当然ながら設備等々も違いますし、当然補助をもらって整備したとなれば、その辺の返還対象になることも想定されますので、もしそういうふうなことが懸念される場合は、事前に担当者のほうに相談をしていただければというふうには考えております。当然返還等も想定されるかなと思いますので、よろしくお願いします。
◆16番(吉福弘実君) もちろんその事業というか、その品目で投資をしていくわけですので、簡単に変更ができるとは思いませんけれど、そういったのも可能性としてなきにしもあらずというのはお聞きしていますので、ぜひとも柔軟な対応ができる範囲では対応していただければなというふうに思っております。 それでは、再度、人口減少対策について質問しますけど、冒頭述べましたけれど、私も人口減少を身近に感じることとして、独居老人が増えた。若者、子供たちが少なくなった。それから空き家が増えてきた。また、農地の荒廃が進んでいる。自治会での組織の活動、なかなか世話役がいなくなって自治会の活動もままならない。こうしたことが、我々身近に起きているのが現状でございます。 行政を預かる者として、こういった現象をどういうふうに捉えておられるのか。例えば市税が減る。交付税の算定基礎が減る。こういったことが影響があるんだろうというふうに思いますけれど、こういった点について、行政側からとして人口減少をどう捉えておるのかお尋ねをいたします。
◎財務部長(桝田俊介君) 今の財源といいますか、市の財源としての考え方を申し上げます。 まず、普通交付税は本市の歳入の約40%を占め、大宗を占める収入でございますが、この普通交付税を算定する国勢調査人口も多くの費目の算定の基礎となっております。そういったことから、今、人口が減少することによって、この普通交付税というものは逓減していくものと思っております。例えば算定したんですけれども、人口1人減ることによって、普通交付税が約20万円減るというような試算もしておるとこでございます。また、市税の個人住民税につきましても、人口の減少によって税収も影響が出てくるものだろうというふうに考えておるとこでございます。 以上でございます。
◆16番(吉福弘実君) 当然市税が減り、地方交付税が減るんだろうというふうに思いますけど、人口減少によって交付税とか市税が減少していく。市の財政運営に何らかの影響がする可能性があるんだろうというふうに思いますけど、すぐさまとは申しませんけれど、今後の施策の展開の中で影響が出てくるんだろうというふうに思いますけど、その点についてはどうなんでしょうかね、お尋ねをいたします。
◎財務部長(桝田俊介君) 市の財政運営に当たりましては、毎年財政計画を策定しながら行っております。現在のところ、本市では比較的良好な財政運営となっております。 しかしながら、人口減少が進むことによって、今後財政運営、ひいては施策展開に影響が出てくる可能性がありますので、財政運営に当たっては、現在も行っておりますけれども、より有利な地方債の借入れや経常経費の節減はもとより、施策に当たってはその内容の精査と、国、県の補助金の積極的な活用など、人口減少の影響を最小限にとどめてまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆16番(吉福弘実君) 人口減少対策というのは、企画部門だけでするわけでなく、全庁的に取り組むべき問題であり、言うまでもないと思いますけれど、今年度が第3期の総合戦略を策定することとなっておるというふうにお聞きしますが、具体的にはどのようなプロセスを持って策定されるのか、再度お尋ねをいたします。
◎財務部長(桝田俊介君) お答えいたします。 第3期平戸市総合戦略の策定につきましては、議員言われますとおり、全庁的に取り組んでいく必要があり、平成27年3月に制定した平戸市ずっと住みたいまち創出条例に基づき、市長を本部長とする、ずっと住みたいまち創出本部を庁内で設置しており、5月31日に第1回本部会議を開催しておりまして、策定の考え方及びスケジュール等について確認をしたところでございます。 策定に当たりましては、第2期の評価検証を行いつつ、市民
アンケートや産官学金労言など、各界の委員で構成する平戸市総合戦略推進委員会において御意見を頂きながら、今年度末までに策定したいと考えておるところでございます。 以上でございます。
◆16番(吉福弘実君) 人口が1人減ると算定すると、20万円ぐらいは地方交付税が減るんだろうというふうな算定基礎とおっしゃいましたけれど、市長にお尋ねをしますけど、人口減少については全庁で取り組んでおられるということは私も十分十分承知をいたしております。もちろんそういった
取り組みをしていかなければならないというふうに思うんですけれど、先ほど言いました企業誘致であり、また新規就農者、後継者対策問題、こういうのも人口減少の足かせにはなってくるんだろうというふうに思っておりますけれど、総じて、市長は平戸市、平戸丸のかじを取って16年をたとうとされているわけですけれど、次のことは聞きませんけれど、16年たとうとして平戸丸のかじを取っていかれると。そういった中で、今後、総括的に、この人口減少対策については、重複するかもしれませんけど、市長の総括的な答弁をお尋ねをいたします。
◎市長(黒田成彦君) 人口減少そのものが、市政の財源確保等に対する影響等は、先ほど部長が答弁したとおりでございます。実際、人口減少というのはどこの自治体でも顕著に現れておりまして、今人口の取り合いみたいなゼロサムゲームになっている状況でもあります。 そうした中、当該自治体に住む住民だけで経営するのではなくて、いわゆる交流人口や関係人口を増やしていく。つまり市外の人たちとどう関わっていくかが重要なターニングポイントかなと思っています。つまり訪れたことのない地域に引っ越しをしたいと思いませんので、まずは平戸市というものを多くの方に知っていただき、その魅力を共有してもらう。その関係人口から交流人口という行き来をする関係につなげていきながら、いつかここで住んでみたい、仕事をしてみたいという、そういったチャンスを感じられる、魅力ある第二のふるさと、第三のふるさとにしていくことが重要かなと思っております。 そういった中で、いろんな移住者の声とかを聞いてみますと、もちろんいろんな立場立場はありますが、総じて家庭においては、女性、奥さんが気に入ったまちには御主人もついてくる、夫もついてくるようなケースが多く見られます。つまりその地域における女性の笑顔とか幸福の実感とかいうものがしっかりと保障されていて、それが世代間や地域を越えて伝えられるような空気づくり、環境づくりというのが、ある意味人を引き寄せる場所なんだなと思いますし、共働きできちんと生計を立てて喜びや感動、そしてそれが家族形成につながるようなものであるとするならば、それが今後の課題解決の一つのヒントになるのではないかなと思っております。 いずれにしましても、冒頭に答弁させていただきましたとおり、実際住む市民の皆さんが、これからも安心して住み続けられるよう、今後も企業誘致や新規就農対策はじめ各種施策を積極的に推進し、個人個人の所得向上に努めてまいりたいと思っておりますし、今年度策定する第3期平戸市総合戦略も総合戦略推進委員会に諮りながら盛り込んでいきたいと考えております。 人口減少はまさしく待ったなしの予断を許さない状況でありますけども、消滅可能性自治体を脱する気概を持ちながら取り組んでまいりたいと思います。
◆16番(吉福弘実君) 今回4つの点について質問をさせていただきました。ぜひとも全ての項目が形としてなるようにお願いをいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○副議長(池田稔巳君) 以上で、吉福弘実議員の一般質問を終了いたします。 しばらく休憩いたします。午後の会議は1時30分に再開いたします。 休憩 午前11時51分 再開 午後1時30分
○副議長(池田稔巳君) 会議を再開いたします。 引き続き一般質問を行います。 次は、10番、針尾直美議員。
◆10番(針尾直美君) 登壇 皆さん、こんにちは。議席番号10番、新波クラブの針尾直美でございます。 このところ、なぜか生きづらさを抱える方や生きづらさを抱える方を支えている方とお話しすることが多くありました。自然豊かなこの平戸で、こんなにも生きづらさを感じている方がいるのかと重い気持ちになりました。外海にある遠藤周作の沈黙の碑に刻まれた「人間がこんなに哀しいのに主よ海があまりに碧いのです」という言葉を思い出しました。豊かな自然に恵まれていながら、いかんともし難く、つらさの中にいて、自然の豊かさがかえって苦しみを増すような感覚。平戸だけでなく、全国的に生きづらさを感じる人が増えていると言われています。 令和元年度に報告された子供・若者白書によれば、自分自身に満足しているかの問いに対し、満足していると回答した諸外国の若者の平均が80.1%だったのに対し、日本の若者は45.1%。満足していると答えた日本の若者は、半分にも満たないという結果でした。 人々の生活そのものや生活を送る中で直面する困難、生きづらさの多様性・複雑性から表れる支援ニーズと、これまでの福祉制度、政策の間にギャップが生じているという現状を背景として、国は重層的支援体制整備事業を創設しました。また、不登校対策としてCOCOLOプランを取りまとめるなど、国は様々な対策を講じております。 平戸市も国の政策に呼応して、生きづらさの解消に策を講じておられることに敬意を表しますとともに、もう一歩踏み込んだ政策で、皆さんの心が平戸の自然の豊かさと同じように豊かになるためにできることはないだろうか、一緒に考える時間にできればと思います。そういった思いで、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まず初めに、重層的支援体制整備事業についてです。 1番目に、実施状況と実施内容についてとしておりますが、ここでは、実施に至った、取り組んでみようと思った経緯と事業内容についてお伺いしたいと思います。 県内で重層的支援体制整備事業、移行準備事業も含めてですが、この事業に取り組んでいるのは長崎市、佐世保市、五島市、西海市、佐々町、そして平戸の僅か6自治体であると伺っています。事例も少ない中、取り組んでみよう、挑戦してみようと手を挙げられたことを大変うれしく思います。 ただ、重層的支援体制整備事業と言われても、どういう事業なのか、包括的支援とどう違うのだろうなど、なかなかイメージしづらいと思います。壇上からは、まずこの事業の全体像をお聞かせいただくとともに、なぜ取り組もうと思われたのか、期待するものは何かについて、併せてお伺いできればと思います。 それについての再質問及び大きな2番目の不登校対策については、質問席より順次行いますので、議長のお取り計らいをよろしくお願いいたします。
◎市長(黒田成彦君) 登壇 針尾議員の御質問にお答えいたします。 地域住民が抱える課題が複雑化・複合化する中、従来の支援体制では対応が困難な事例が増えてきた背景などから、属性を問わない包括的な支援体制の構築を市町村が創意工夫をもって円滑に実施できる仕組みが必要となっています。 そこで、国においては、既存の相談支援等の
取り組みを生かしつつ、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施する事業として、重層的支援体制整備事業を創設されております。 平戸市におきましても、少子高齢化や高齢者単身世帯の増加、地域のつながりの希薄化などが進み、相談世帯の複雑化・複合化した支援ニーズが増加し、その対応に苦慮している状況があります。 そうしたことから、高齢、障害、子育て、生活困窮など、属性が異なる関係機関が一体となって包括的に問題解決を図るため、多様な支援ニーズに対応できる相談窓口を福祉課に設置するとともに、誰もが住み慣れた地域で世代や分野の垣根を越えてつながり、生きがいのある暮らしをともに充実させながら、安心して暮らせる地域共生社会の実現のため、この事業に取り組むことにいたしました。 以上です。
◆10番(針尾直美君) 包括的な支援体制を構築するために、相談支援事業、参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施するとのことですが、それぞれの事業についてもう少し詳しくお聞かせください。
◎福祉部長(尾崎利美君) お答えいたします。 相談支援につきましては、複雑化・複合化する相談世帯の課題を包括的に受け止め、高齢、障害、子育て、生活困窮などの関係相談支援事業所等が一体となって相談世帯の課題を整理し、課題解決に向けた支援を行うことを目的としており、支援会議の主催、支援プランの作成、進捗管理など支援のコーディネートを行うものです。 参加支援につきましては、御本人や世帯が地域や社会との関わり方を選択し、自らの役割を見出すために、多様な接点を確保することを目的とした事業となっております。既存の事業には、障害分野における就労継続支援B型事業や生活困窮分野における就労準備支援事業、高齢者のいきいきサロンや通いの場など参加支援の
取り組みなどがありますが、現在においては、いずれも属性を越えた活用はできておりませんので、このような事業や活動を希望する方々に活用していただけるような
仕組みづくりが必要だと考えております。 また、地域づくりに向けた支援につきましては、世代や属性を越えて交流できる居場所の整備や既存の
取り組みを生かしたコーディネート及び多様な主体が出会い、さらなる展開を生む機会となるプラットフォームの形成、地域における活動の活性化を図る
仕組みづくりが求められております。 これらの3つの事業を一体的に実施し、課題解決に向け取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆10番(針尾直美君) 先ほどの市長の答弁に、属性を問わない包括的な支援体制の構築というのがございました。属性を問わない。つまり属性によって縦割りで対応してきた。これまでは、例えば子育てのことで相談に行った。よく聞いてみると、親の介護についても悩んでいた。そういうときには、介護のことは介護保険班に相談してくださいというような形だったのが、今までのは、つまり相談者が自分の既存の制度に合わせて相談窓口を探して相談に行くという感じだったのが、体制が整えば、どこの窓口から入ったとしても、包括的にワンストップでいわゆる断らない相談体制、相談支援が可能ですよということになるんだなと思います。 また、参加支援については、社会とのつながりをつくるための支援でしょうけれど、先ほど、現在のところ属性を越えた活用ができていないということが課題だと言われていると部長の答弁でございましたが、国も属性を越えた活用ということを進めておりますので、
仕組みづくりは必要ですが、果たしてちょっとここで疑問なのが、参加支援の対象者にどんな参加支援が必要なのか、それぞれにどういう参加支援が必要なのか。そもそも参加支援が必要な対象者というのを把握できているんだろうか。そこら辺を考えますと、国も言っているアウトリーチというのも必要になってくるのかなというふうに考えます。 地域づくりに向けた支援については、誰もが相談し、支え合う、誰かが担うというのではなくて、誰もが担うという地域づくり、居場所づくりに向けた
取り組みがあるかと思います。今ある各地域でどこがプラットフォームとしての役割を担うのか。これから調整をしていかれるかと思いますが、この3つの支援を一体的かつ重層的にとはいっても、とても大きい大変な事業だと思います。さらっと説明はされましたが、すごいボリューミーな事業になるのかなと思います。組織体制、人員体制は大丈夫かなと、とても心配になりました。 そこで、質問の2番目の移行に向けた組織体制及びスケジュールについてでございますが、それについてどう考えておられるのか。現在、移行準備事業に取り組んでおられるというところですが、取り組むに当たって組織体制の見直しはあったのか。また、移行までのスケジュールはどのように考えておられるのかお教えください。
◎福祉部長(尾崎利美君) お答えいたします。 重層的支援体制整備事業における主管課であります福祉課におきましては、今年度に専門職である社会福祉士を職員及び会計年度任用職員各1名ずつを配置しております。令和8年度からの事業実施に向け、重層的支援会議の主催や関係機関会議等への参加、包括的な視点でのコーディネート方法などについて準備を行い、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制づくりに努めていきたいと考えております。 以上でございます。
◆10番(針尾直美君) 現在、福祉課に2名の社会福祉士さんがいらっしゃるということですね。そこを配備したということだと思うんですけど。社会福祉士という国家試験は、比較的取得難易度が高いと言われていますし、その分、ほかの福祉関係の職種に比べて、報酬というのも比較的高いと言われています。会計年度任用職員の場合、経験を積んでも、毎年賃金が上がるということではないので、なくてはならない人材を確保し続けることができるのかという点で少し不安がありますし、職員については専門職による加算などがあるのかどうかというところもちょっと気になるとこではありますが、懸念材料はさておいて、重層的支援体制整備事業は福祉部だけで担うというのは難しいと思います。関係機関、それはもちろんのこと地域を巻き込んでいかないといけないと思いますし、地域共生社会の構築という点からも、3番目の地域づくりに向けた支援は重要な
取り組みではありますが、なかなか高いハードルではないかなと感じています。新たに資源をつくり出すという考え方もあると思いますが、まずは、既存にある、今ある資源をいかに活用するかということが重要ではないかと思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
◎福祉部長(尾崎利美君) 地域づくりに向けた支援につきましては、既存の地域資源の活用が大変重要だと考えており、社会福祉協議会や地域で行っている各種活動などをできるだけ活用し、地域全体で支える体制づくりを行ってまいりたいと考えております。 今後におきましては、既存資源の洗い出しや先進自治体の
取り組みを参考に、新たな地域資源の掘り起こしやプラットフォーム化を図り、地域資源の有効活用に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆10番(針尾直美君) そうですね、知らなかったけどあったという、知られていない既存の資源というのもあることだと思います。まずはそういったものを洗い出して活用できるか、どう活用するかというところから
取り組みを始めるということは大切なことだなと思います。 人と人とのつながりそのものが、セーフティネットの基礎となるという言葉がよく言われますが、まさに地域のつながりこそが、地域共生社会の基になるものだと思います。持続可能な地域社会とするための地域づくりに向けた支援。もちろんここにいらっしゃる皆さん全てが当事者なんだということを改めて皆様で確認し合い、自分にできることはないかというふうに考えるようになれば、これもこの事業に取り組んだ大きな成果であるのかなと。それぞれが地域でどういう支えができるのか、支えられる側だけではなくて、どういうことで支えられるかということを考えてもらいたいと思いますが、市民にもこの事業について、多分、今まで広報等でも確認しましたが、特にまだ移行準備だからということもあるかと思うんですけど、何も知らされていないので、こういう事業に取り組んでいますよというようなお知らせをするということで、住民が自分は何をしなきゃいけないかなという考えるきっかけづくりになればなと、そんなことを期待して、3番目の移行に向けた課題についてお伺いします。 昨年度から移行準備事業に取りかかっている。既に1年以上が過ぎたわけですが、取り組んだことによって新たに見えてきた課題などがあるのでしょうか。あればそれも教えていただきたいと思います。お願いいたします。
◎福祉部長(尾崎利美君) お答えいたします。 支援を必要とされる方におきましては、複雑化・複合化した課題を抱えているケースが多くございます。例えば行政サービスの未利用者や地域とのつながりを拒否されている方々へのアプローチの方法や支援方法等の対応が難しく、なかなか解決に向かいにくいなど課題はあるものの、関係機関や関係者等との情報の共有、協議を行いながら、課題解決に向けた対応や支援を行っているところでございます。一人一人の困り事や心配事に対して、丁寧にかつ寄り添った支援対応に努めております。 今後におきまして、日頃から関係者との連携を強化し、誰もが住み慣れた地域で生きがいを持って安心して暮らし続けることができる地域づくりに努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆10番(針尾直美君) 行政サービスの未利用者、それから社会参加を拒否される方、やはりつながりというのを拒む方というのがいらっしゃって、その方たちとどうつながっていくかというのはなかなか難しいということだと思いますが、つなぐためには、まず関係機関や関係者、つながりの支援、支援をする、支援をコーディネートする側が情報の共有や協議を行って連携を取っていくということから始めるということだったと解しました。 厚生労働省が進める地域共生社会の定義は、「制度・分野ごとの縦割りや支え手、受け手という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が、我が事として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて丸ごとつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を指しています」と書いてあります。 一人一人が地域をつくる主体であるということを理解しながら、つながり合うことが、よりよい社会、より幸せな社会をつくることになるということだなと思います。重層的支援体制整備事業が、その推進役、それを押し進める機会となることを期待して、次の不登校対策についての質問に移ります。 不登校対策については、地域共生社会の実現のためにも優先して行われるべき、取り組むべき課題であると思っています。子供たちに安心して暮らせる環境を提供するのは、大人である私たちの務めです。 昨年10月に公表されました、令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、小中学校の不登校児童生徒数が約30万人。そのうち学校内外で相談支援等、指導等を受けていない、関わりがない児童生徒数が約11万4,000人に上り、過去最多となっていること。いじめ重大事態の発生件数も923件と過去最多となり、さらに、そのうち約4割が事前にいじめとして認知されていなかったことなど、極めて憂慮する状況にあるということが判明したと書かれていました。 不登校の児童生徒約30万人という数が、在籍児童生徒数のどれぐらいの割合になるかと見てみますと3.2%、小学校・中学校分けてみますと小学校で1.7%、中学校ではなんと6%という割合になることになります。 では、全国から平戸に目を向けてみますと、平戸ではどうなのでしょうか。 質問の1番目、不登校児童生徒の実態とその対応への基本的な考え方についてですが、まず平戸市の不登校児童生徒数の推移についてお伺いいたします。令和元年度から令和5年度までの不登校児童生徒数を小学校・中学校別にお教えください。
◎教育長(松永靖君) では、お答えいたします。 令和元年度から令和5年度までの順に、小学校では10名、8名、6名、6名、14名となっています。中学校では、令和元年度から順に18名、19名、27名、36名、41名と急増しております。 以上です。
◆10番(針尾直美君) 令和5年度だけ見てみますと、小学校は14名と中学生41名ですので55名。教育長が言われたように急に増えているな、急増しているなという感があります。ただ、これを割合にすると、全国に比べて若干低い値にはなっていますが、決して少ないとは言えないと思います。 では、不登校に至った原因というのは何なんでしょうか。もちろん一人一人違うと思いますが、主な原因について、どのように認識されているかということをお伺いいたします。
◎教育長(松永靖君) お答えいたします。 不登校に至った原因は様々あると思われます。昨年度行いました調査結果から見ますと、第1の理由は、生活リズムの不調、乱れ、小学生5名、中学生13名。第2が友人関係、小学生5名、中学生11名となっております。生活リズムの不調、乱れには、メディア依存を入り口とするものだったり、朝起きられない、朝食が食べられない、立ちくらみがするなどの症状を訴える起立性調節障害を起因とするものなどが考えられ、様々な要因が絡み合ってのことと推察しております。子供自身も保護者も、正直、原因が分からないというケースがあることも、現在の不登校の大きな特徴と言っていいのかもしれないと思っております。 以上です。
◆10番(針尾直美君) 教育長がおっしゃるとおり、様々な要因が絡み合って不登校ということになっていると思いますので、これが原因ですと特定することが難しいということ理解できますし、子供自身も何が原因だったのかということが分からないケースがあるというのが現在の不登校の特徴であるということも聞いたことがございます。 原因を探ることに大きな意味はないのではないかなと私は思ってはいるんですが、あえてこの質問をさせていただいたのは、今年3月に公表されました不登校の要因分析に関する調査研究の中で、不登校のきっかけ、要因に関する教師、児童生徒、保護者の回答を比較していたものがありましたが、学業の不振、宿題の提出については、この3者の回答割合がほぼ同じ、近い値であったんですね。その一方で、いじめ被害、教職員への反抗・反発、教職員からの叱責については、教師と児童生徒、保護者の回答割合に結構大きな違いが見られました。 先ほどの教育長の答弁の中で、第2が友人関係という中に、もしかしたらいじめというのも入っているのかもしれませんが、例えばこのいじめ被害についてですけど、これが要因であると回答した教師の割合は僅か4.2%。24人に1人ぐらいがいじめに起因するものがあるんじゃないかという回答。児童生徒は26.2%、保護者は29.2%。子供、それから保護者に関していうと、3人から4人に1人がいじめが要因であると回答している方がいるということを考えると、認識のずれがあるなと感じました。子供が正直に先生にいじめだということを言わなかったので、認識ができなかったということもあるかもしれないので、そこで認識のずれができてきた。でも、もしそうだとすると、子供と生徒間の信頼関係はどうだったのかなということもまた併せて疑問になる、心配になるとこだと思います。 また、私の知り得る範囲で、いじめ被害を原因として不登校になったということを複数の保護者の方からお聞きしたことがあります。それなのに、なぜか分かりませんが、なかなかいじめという言葉が、それが要因だということが表に出ないということに少し違和感を感じております。いずれにせよ、先生方には先ほど紹介しました調査結果で、先生方と子供、保護者に認識のずれがあるということ、いじめだけに関してじゃないですけれど、そういう認識のずれがあるということを頭に置いて対応していかないとずれてしまうのかなというところがあります。 また、いじめている側の児童生徒については、もしかしたらいじめの意識がないかもしれない。学校ではいじめについて学ぶ時間もちゃんと取られているようですので、いじめが悪いということは、多分皆さん分かっていると思います。ただ、これぐらい言っても問題ないんだろうとか、これぐらいしないとあの人分からないからということで、そういうふうに考えて、これはいじめではないと自分の中では認識しながらいるということもあるのかなと思います。大人社会でもパワハラだと言われて、初めてこれがパワハラだったのかと気づくような例もありますので、認識にずれがあるという可能性は否定できません。いじめている側にいじめの認識がないにせよ、それが本当にいじめではなかったにせよ、受けた側がいじめだと感じているという事実はあるわけです。そういった場合は迅速に、そして丁寧に対応しないと、いじめられた、もしくは、いじめられたと思っている、そう思っている子供側だけではなくて、いじめた、もしくは、いじめたと思われた児童生徒にとってもためにはならないと思いますので、そういう事案があったときには、そういう可能性があるようなときには迅速な対応が必要だと思います。 子供が決死の覚悟で先生にいじめられたことを報告したけど、なかなか対応してもらえなかった。早く対応してもらえればと悔しがっている親御さんの声を耳にしたことがありました。このことなんですけどね。 いじめはないほうがいいですが、確かにある、存在するということは、そういう可能性を認識しながら当たらないと、ないにこしたことはないんですけど、必ずあると思う。人と人が関わるんですから、実際いじめてなくても、いじめだと思ったとかということは日々あるかと思います。不登校の要因はもちろんいじめだけではありませんし、先ほどもありましたように、いろんな要因が絡み合っていますが、何度も言いますが、いじめ等については、早期の対応があれば複雑化しないで済むということもあると思いますので、不登校の要因分析に関する調査研究の結果を見て、意識のずれが本当にあるんだなということを私も感じましたので、平戸にもその認識のずれというのはきっとあると思いますので、あえて原因について探るのはと思いましたけど、あえてここで触れさせていただきました。質問に戻ります。まだ1番目の質問でした。 不登校児童生徒の実態とその対応への基本的な考え方についての後半部分です。不登校への対応について、平戸市ではどういったことに重きを置いて、対応、支援に当たっているのかお伺いいたします。
◎教育長(松永靖君) お答えいたします。
教育委員会といたしましては、全ての子供たちが元気に、そして楽しく学校へ通える環境を整えることを第一に考えております。学校の支援体制、構築、これをずっと進めてきているところです。 ただ、学校には登校できるけども、教室には入れないとか、情緒が不安定な子供などの割合も年々増えてきております。その子供たちの教育機会の確保のためにも、本年度、教育支援施設を田平中学校内に新設することなどその充実に努めております。そのようなことも含めて、立ち止まらずに前に進みながら、新しいものも文科省から出されたりしていますので、そのときはそれに向けて取り組むような動きを取っております。 以上です。
◆10番(針尾直美君) 冒頭でも申しましたが、不登校が非常に深刻な状況であることから、文部科学省は誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランというのを昨年3月に取りまとめ公表されましたが、平戸市ではこれを受けて、何らかの新しい
取り組みをされたのか、また、される予定があるのかについても併せてお伺いします。
◎教育長(松永靖君) 今のCOCOLOプラン、文科省が出しましたけども、これにつきましては、校内教育支援センターの設置という形でCOCOLOプランの中にあるプランを一つ取り入れております。田平中学校に新しく教育支援教室というのを設置しております。ということで、COCOLOプランについては
取り組みをスタートいたしました。
◆10番(針尾直美君) ありがとうございます。COCOLOプランでは、1つ目に、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えること。2つ目に、心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校で支援すること。3つ目に、学校風土の見える化を通して、学校をみんなが安心して学べる場所にすることというのを上げられていますけれども、今教育長がおっしゃる田平の施設というのは、ちょうど1つ目の学びの場を確保するということに通じるのかなと思います。 それから、先ほどおっしゃいました、子供たちが元気に楽しく学校へ通える環境づくりをするということに関しては、第3番目の学校をみんなが安心して学べる場所にするということに通じるかと思います。こういうCOCOLOプランにも書かれてあるような
取り組みを平戸でもされているということを大変うれしく思いますし、日々の努力に感謝をいたします。 田平の中学校内に教育支援施設を新設されて学びの場が1つ増えたわけですが、以前から「のぞみ」という適応指導教室もございました。不登校児童生徒は、現在どのように学んでいるのか。2番目の学びの現状と課題についての質問に移ります。 学びの現状として、のぞみの利用状況、また田平中学校内に教育支援施設を新設したその経緯と目的をお教えいただくとともに、その他、公的支援だけではなく民間のフリースクールを利用したり、ICTを活用した学習指導などは行われているのか。こういうことも含めて、学びの現状と課題についてお聞かせください。
◎教育長(松永靖君) 学びの現状と課題について、今4つほど質問がありましたので、順にお答えしたいと思います。 旧宝亀小学校を活用した教育支援教室、通称のぞみと言いますけど、その利用者は、小中合わせて令和元年度から令和5年までの順で10名、7名、7名、10名、そして14名となっていて、少しずつ増えている状況にあります。 しかし、不登校傾向にある子供の全てがのぞみに通級しているわけではありません。学びの機会を与える意味でも、学校へ通えない子供たちには、学校を通してのぞみの通級を進めております。そういった意味ではのぞみの存在意義は大きいと考えております。支援員も現在、教員を退職した2名の方を採用し、小学生、中学生どちらにも対応できるように学びの機会を確保しております。 2つ目ですけども、本年度から田平中学校内に新設しました校内教育支援教室、通称ひかりと言いますけども、学校には通えるけども教室は入れないときもあるといった、不登校の初期段階の傾向を示すような子供を対象としております。 早速、現在田平中の6名の生徒が通級しておりますが、それ以外の学校からでも受入れ可能としており、今まで保健室や空き教室でその時間空いている先生が面倒を見ていたのを、新たに1人の専属の支援員を配置し、支援を行っております。この支援員も教員免許を持っており、学習のサポートや相談に乗るなどの支援を行うことができる体制を取っております。 3つ目ですけども、次に民間のフリースクールについては、平戸市内には存在していないため、現在利用している児童生徒はおりません。ただ、昨年度、佐世保市内にあるフリースクールを利用している生徒がいたため、生徒、保護者の要望に応じて、出席取扱いという形を取り、学校と
教育委員会がその対応に当たった経緯はございます。 ICTによる支援につきましては、ほとんどの不登校児童生徒に対し、自宅でタブレットを使っての支援を行っております。自主的な学習での使用をはじめ担任とのリモートによる遠隔での会話、さらには、子供が望む場合は、教室での授業をオンラインで配信することにも活用しております。 以上です。
◆10番(針尾直美君) 様々なツールを生かして学習の場を提供していただいているということですが、教育長が不登校傾向にある全ての児童生徒がのぞみに通級しているわけではないとおっしゃられたとおり、地理的な問題から、のぞみに通うことが難しかったり、ニーズにずれがあったりということで、全ての児童生徒が学びにつながっているという状況ではないようですし、田平中学校にひかりが新設されたことは、学びの場の新しい提供として大変ありがたいことですが、まだまだ足りないと思います。例えばフリースクールとか、これは民間で佐世保はしているわけですけど、そういうことも平戸にその資源が少ないのかなと思います。 学校とのつながり、友達とのつながりを切らさないという視点から考えますと、校内に別の居場所、学びのある場があるということは大変重要なことだと思いますので、田平の中学校内にこういう施設ができたということは大変うれしいことだと思います。この新設されたひかりの状況を見ながら、他の学校でも同じような
取り組みができないものか。また、別の新しい形での学びの場、居場所の提供、そういう場所を提供することができないものか。御検討いただきたいと願っています。 それと、ひかりには教職員免許を持った専属の支援員を配置しているということでしたが、相談体制ということを考えると、親とかもですね、いろんな相談体制を考えますと、その他にカウンセリングを行える心理系の専門家がいるとなおいいなと思います。 スクールカウンセラーは県教委から全ての小中学校に配置されていますが、1校当たりの時間が短いから、相談しても次の相談までに時間が空くというようなことがあって、問題の解決につながりにくいというか、相談しようと思ったけど、相談してもなと思ったというようなこともちょっと耳にしたことがあります。全てに十分に対応するということは難しいかもしれませんが、もう少し相談体制を整えることができたらなと思います。より充実していただくよう県教委にも働きかけたり、平戸独自で何かプラスで支援ができないものかということを考えていただければ幸いです。御検討いただきますようにお願いしまして、次の質問に移ります。 次は、予兆の把握・早期発見のための
取り組みについてですが、COCOLOプランでは、2番目に心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校で支援するということが掲げられております。子供たちの心身の状態の変化への気づきや相談支援のきっかけづくりというのを増やすために、1人1台端末を活用することなどが推奨されているようですが、小さなSOSを見逃さない。早期発見・早期支援はとても重要なことだと思います。予兆の把握・早期支援のために、平戸市ではどのような
取り組みがなされているのでしょうか。例えば心の健康観察アプリなどの導入など新しい
取り組みについては、お考えはないでしょうか。
◎教育長(松永靖君) お答えいたします。 現時点では、議員がおっしゃるようなアプリによる対策は講じておりません。しかし、いつでも相談という県の相談先データをタブレット内に保存しており、小学生は電話とメールにて、中学生は電話とメール、そしてLINEで相談できるようにしております。 また、学校では、紙媒体による定期的な生活
アンケート調査を繰り返し、その予兆発見や未然防止のための対策を行っております。 また、スクリーニングや教育相談を組織的・計画的に実施しており、職員間でその情報を交換、共有の場を多く設定しております。学校によっては毎週、そして少ないところでも月に一、二回は実施しているというふうに報告を受けております。 いずれにしましても、子供の本音が聞き出せるような環境や状況をいかにつくり出せるか、いかに教職員が子供から信頼される人間関係をつくり上げておくかが大切なことで、相談や
アンケートが単なる一作業に終わることのないように努めることが重要であると考えております。保護者や子供の悩みや不安、つまずきを知る上でも、アプリ等がより有効であると判断した場合には、導入に向けて、先ほど言われたアプリ等も含めて、検討、導入に向けて動いてみたいなと思っております。 以上です。
◆10番(針尾直美君) ありがとうございます。ただ、いつでも相談というのが、電話とかメールでできるということでしたが、なかなかそこへ行くまで、そこに行くということであれば、予兆というよりも、何か相談したいことがあるのかなというのもありました。それから、定期的な
アンケート調査もされているということで、ただ、紙ベースということで、先ほど言われた週に1回とか、月1で先生たちが共有しているということ。大変先生方は忙しくてトイレに行くのもままならないというような状況があることを聞いたこともあるんですけど、そんな中でこういった会議をされているということは本当に頭が下がる思いですが、集計などの業務とか会議で、さらに負担が増えてくるということは、働き方改革とかを考えますと少し心配にもなりますし、もしもアプリとか便利なもので代用することができるということがあれば、せっかくある端末を有効活用して、少しでも先生方の負担を減らすということに向かえばいいかなと思います。子供にとって元気に楽しく通える学校はもちろん大切ですけど、先生方にとっても元気で明るく通える学校、負担があまり大き過ぎないようなことで、ほかのいろいろな資源も入れながら負担を減らしていくということも必要なのかなと。ちょっと相反するみたいで難しいところであると思うんですけど、そういうことも必要だなと思います。 次の質問です。不登校の第一次予防として、毎日喜んで通学したくなるような学校の魅力化、第二次予防として、早期発見がありますが、不登校になってしまった場合、児童生徒自身へは現在どのような支援が行われているのでしょうか。
◎教育長(松永靖君) お答えいたします。 各学校においては、不登校の程度に応じた対応に努めております。不登校の初期段階であれば、まめな電話連絡と励ましの声かけ、それから家庭訪問や相談対応などを行い、対話を重視した対応に努めております。 長期的な不登校に陥ってしまうと、なかなかその対応にも難しさが見られますけども、いつもいつもではなくて、適度な家庭訪問とオンラインによる学びの機会の提供、のぞみや関係機関への接続など多くの関係者と連携し合う体制を取っております。いずれにしましても重要なことは、保護者と緊密な連携を図る。そしてそれを続けるということだと考えております。 以上です。
◆10番(針尾直美君) 長期的な不登校に陥る前にということでの対策は大変重要かと思います。先ほど適度な家庭訪問というふうに言われましたが、家庭訪問というのをされているということなんですね。もし家庭訪問に行って会えなかったとしても、子供には来てくれたという事実が残ると思います。そのときに会えなくても来てくれたということで心が少し動く。そういうこと、来たんだなということを感じるということで、多少なりともそこの心に変化が起きてくると思うので、適度なというお話ですけど、適度な家庭訪問というのも続けて、つながりということを何より大切にしていただければと思います。 また、先日、テレビで不登校が長期化している児童生徒が、健康診断を受けられなかったことで、見つかるはずだった病気が見過ごされて、その後の人生に大きな影響を及ぼすことになったという報道を見ました。心の健康はもちろんのことですが、まず体の健康がなければと思います。見逃されるようなことはあってはならないと思いますが、不登校児童生徒の健康診断は、平戸市ではどのように対応しているのでしょうか。
◎教育長(松永靖君) 本市の小中学校におきましては、不登校に限らず、欠席により定期健康診断ができなかった児童生徒に対しては、学校で検査等ができる内容については、登校できた日に行うようにしております。また、別日に養護教諭が学校医や学校歯科医へ連れていったり、保護者が直接連れていったりする場合もあります。不登校の程度によっては、全ての検査が行えないこともありますけども、時期が遅れてでも個別に対応をしっかり取るように配慮しております。 以上です。
◆10番(針尾直美君) 今登校されたときにというふうな話もありましたが、できない子は病院に連れていくということもあったということですけども、長く続いて健康診断がずっと行われないということがないように、そこはしっかりと対応していただければと思います。 不登校児童生徒への支援、それから健康診断等についてはよく分かりましたが、本人だけでなく一緒に暮らす家族、特に保護者への支援も重要な対策の一つだと思います。先ほど児童生徒への対応、支援についての中で保護者との連携が重要だと考えているということがありましたが、連携も必要ですけど、保護者自身への支援が必要になってくるのではないかなと思いますが、保護者への支援はどのように行われているのでしょうか。
◎教育長(松永靖君) お答えします。 担任はもちろんですけども、養護教諭、管理職などの校内の様々な教職員が保護者と接する機会を設けたり、スクールカウンセラーに入ってもらったりしております。保護者に対してもスクールカウンセラーに入ってもらうということです。 また、特別支援学校からの定期相談会の情報を提供したり、こども未来課や福祉課と連携して家庭訪問を行うなど、様々な方面からアプローチをかけ、接触が困難な保護者に対しても根気強く対応を続けておるところです。 以上です。
◆10番(針尾直美君) 保護者についてもスクールカウンセラーで対応しているということでありますが、いよいよ専門職によるカウンセリングとかの重要性が増してくると思いますので、専門家に入っていただくこと、関係機関と連携していくことというのは大変大切だと思うし、そこにはプラスアルファで平戸にもしかしたらプラスでできることがあるんじゃないかと思ってしまいます。いろいろ支援をしていただいていることに本当に敬意を表したいと思います。 重層的支援体制整備事業についての質問の中で、福祉部長がつながりを拒否される方へのアプローチが、対応が難しいというような話がありましたが、不登校の児童生徒やその保護者との関わり方にも同じような課題があるのではないかと思います。 しかし、つながりを拒否する、そういう方にこそ支援が必要とされているのかもしれないと思います。どうかつながりというのを諦めず、一歩でも近づいていただきますようにお願いし、最後の質問に移りたいと思います。 最後に、関係部局との連携強化についてです。どのような対応を講じているのか。また、今後どのような連携強化を図ろうと考えているのか。
教育委員会の部分と福祉部が担う部分とあるかと思いますが、どのように連携を行っているのか。連携強化について、それぞれの立場から御回答いただければと思います。お願いいたします。
◎教育長(松永靖君) まず、
教育委員会のほうからですけど、まずは一番身近にいる教職員がしっかりと寄り添って対応することが先決であると考えております。その上で心の専門家であるスクールカウンセラーや人と環境に働きかけるスクールソーシャルワーカーの力も借りながら、子供、保護者に対して親身に対応を続けているところです。 しかしながら、関係機関と連携を取ったほうがよりよいと判断した場合は、こども未来課や福祉課との情報共有、連携を図りながら進めていくケースもあります。 さらに、極端な事例になりますと、医療機関や警察、児童相談所との連携を図る場合もあります。その子供や家庭の事情によって、どの関係機関とつながるかがベストかということを慎重かつ迅速に見極めながら行っていくことが重要だなと、つくづく最近感じております。 以上です。
◎福祉部長(尾崎利美君) お答えいたします。 先ほどの教育長の答弁と少しかぶるとこがありますけれども、福祉部の対応を答弁いたします。 児童生徒への不登校に対する働きかけにつきましては、こども未来課や福祉課など福祉部局におきましても対応しているところでございます。 具体的には、各学校の担任教諭をはじめとした先生方やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど、子供に接する教育関係者におきまして、対応が困難であり、共同で関わりを持ったほうが望ましいケースの場合には、こども未来課へ照会があっております。 また、こども未来課を通じて専門相談等につなげたほうが望ましいと教育関係者が判断した子供につきましては、こども未来課がその内容につきまして状況を把握し、対象者に適切な専門機関の紹介をするなどが主なものです。 このように日常的に学校や
教育委員会から福祉部局のこども未来課や福祉課などに情報が寄せられることが多くあるとともに、逆の場合もございます。例えば支援しているケースの中で、以前からこども未来課が子供の家族も含めて関わりがあった家庭につきましては、個人情報に十分配慮した上で、教育関係者と情報を共有し、その対応に当たることがあるほか、不登校の児童生徒を確認した場合は、早急に情報共有及び支援の方向性について確認をするように努めております。 いずれの場合におきましても、対象の子供及び保護者に対しまして、共同あるいは役割分担により個別に家庭訪問や学校訪問、さらには相談対応、専門機関紹介などの支援を行って相互の連携を図っているところでございます。 また、その個別対応の前後には要保護児童対策地域協議会の個別ケース検討会など、いずれも個別ケース会議を開催しております。その上で教育関係者をはじめとする様々な関係機関と情報の共有や支援方針等につきまして協議検討を行い、児童生徒及び保護者に寄り添った支援に努めております。 今後も関係機関との連携をより緊密にし、時機を捉え、なおかつ適切な支援になるよう努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆10番(針尾直美君) それぞれの立場から支援がされているんだなということが分かりましたが、そこから漏れてしまうということもあるかと思うので、縦割りではなく横の連携を進めながら、専門的なことは適切にリファーして、チーム学校、チーム平戸で子供のためにできることということをさらに進めていただければなと思います。私たちも含め大人がそこに力を注いでいかなきゃいけないと思います。 内閣府の少子化に関する国際意識調査、5年に1回されているようですが、2020年の調査で、自国は、自分の国は子供を産み育てやすいと思うかという問いに対して、日本ではそう思うと回答した人が32%、約6割強がそうは思わない、子供を産み育てやすいとは思わないと回答しています。一方、フランスは育てやすいと思うというのが82%、ドイツが77%、スウェーデンではなんと97%を超える人が、子供を産み育てやすいと思うと回答しています。日本とは対照的な結果でした。 内閣府の担当者は、この結果を、日本は若い世代を中心に生活の安定や将来の見通しが弱く、子供を持つことをためらう要因になっていると分析しています。生活の安定や将来が見通せない社会に生きる子供が、生きづらさを感じないというのはないと、生きづらさを感じるというのは当然のことかもしれません。果たして平戸はどうなんだろう。子供たちの笑顔、元気は、その地域の元気のバロメーターだと思います。子供たちが安心して生活できる。例えば不登校になっても、学びの場や居場所でしっかりと元気がチャージできる、そんな平戸であるといいなと思います。子供たちに安心して生活できる環境を提供すること、それから地域で子供たちを守ることは私たちの責務です。 過去にも子育て支援について質問したことがございますが、その中で、どちらかというと乳幼児に関しての中心とした質問だったと思います。保育料の無償化をはじめ、平戸ではとても手厚い子育て支援がされていると思います。ただ、小中学生への支援は十分なのかなと思うことがあります。子供たちの生きづらさについて、もっと支援するべきではないかと思いました。 少し長くなりますが、長崎県のひきこもり地域支援センターが「つながらんば」という不登校ひきこもり社会資源ガイドブックというのを出しています。その中で平戸はあるかなと思って見てみましたら、その中にひきこもり相談支援機関の地図というのがありまして、平戸の地図を見てみましたが、近くでは江迎にワワワの親の会、小佐々町に不登校・ひきこもり支援団体「のんさん」、佐々町にこもれびというのがありましたが、平戸にも地図に丸があったので見てみましたら、県北保健所となっていました。保健所が悪いというわけではないんですが、不登校ひきこもりの社会資源というのが平戸にはないんだな、充実してないんだなと思いました。 教育長が以前、佐世保のフリースクールに通っていた生徒がいたと言われていましたけれども、佐世保まで行かないと、そういう支援が受けられないという現状なんだなということ。それから、のぞみ、ひかりという支援施設があることはうれしいことですが、自由に行き来ができる居場所というのもないなと感じました。 今年、大分の玖珠町に町立の学びの多様化学校が開設しました。小中一貫校で義務制では九州初の特例校です。小学生は川遊びをきっかけに魚や水質について調べる独自の学習を始めたり、学校を盛り上げるイベントのアイデアをみんなで持ち寄って、生徒の希望者が実現に向けて
プロジェクトチームを立ち上げて、子供たちにタイトしているそうで、子供たちに合わせた柔軟な授業、
取り組みを行っているようです。 もう一つ、生徒指導提要というのがあるんですが、そこに「不登校生徒児童への支援は、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自ら進路を主体的に捉え、社会的に自立する方向を目指すように働きかけることが求められます」と書いてありました。 提要の中でいう社会的自立とは、「依存しないことや支援を受けないということではなくて、適切に他者に依存したり、自らが必要な支援を求めたりしながら、社会の中で自己実現をしていくという意味である」と定義されています。依存しないことではなくて、適切に依存したり、SOSが出せることが、自立するために大切な力ということです。 SOSが出たとき、それを受け止めるための体制を整えること、より強固にすることが重要です。予算や人材、何をするにもいろんな壁が立ちはだかります。だけど、試されるのは本気度です。子育てについては、まだまだすべきこと、できることがあると思います。 午前中の一般質問の人口減少の中で質問でありましたが、スウェーデンの人口減少の予防的社会政策の考え方に、子供に向けられる人的資本に対する投資が必要だとあります。不登校対策も含め子供に対する政策をさらに推進していただきますようにお願いいたしまして、本当は市長に言葉を頂きたかったんですが、時間がなくなりましたので、私の一般質問は終わります。ありがとうございました。
○副議長(池田稔巳君) 以上で、針尾直美議員の一般質問を終了いたします。 10分間休憩いたします。 休憩 午後2時29分 再開 午後2時40分
○議長(松本正治君) 会議を再開いたします。 引き続き一般質問を行います。 次は、5番、吉住龍三議員。