◎市長(朝長則男君) (登壇) ただいま上程されました令和3年度佐世保市
一般会計予算をはじめとする各議案の提案理由説明に先立ち、令和3年度における市政運営の方針について説明させていただき、市民の皆様並びに議員の皆様のより一層の御理解と御協力を賜りたいと存じます。 昨年は、
新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行によって、社会全体がかつて経験したことのない混乱に包まれた1年でありました。我が国においても、感染の急速な拡大に伴い、全国を対象として
緊急事態宣言がなされ、外出自粛や休業要請などにより生活様式の変容を余儀なくされ、本市においても市民生活に大きな影響が生じました。 こうした中、一刻も早く市民生活や地域経済を守るため、
新型コロナウイルス感染症対策のため新たに創設した組織体系をもって関係機関等と連携し、感染症対策や経済対策に取り組んでまいりました。 現在も日々、新たな感染例が確認されている状況でございますが、感染された方の一日も早い御回復をお祈りしますとともに、感染防止のための各対策や「新しい生活様式」の実践に御協力いただいている市民の皆様、事業者の皆様、議員の皆様並びに、最前線で献身的な努力をされている、医療従事者をはじめ市民の健康と生活を支えてくださっている多くの関係者の皆様に、心からの感謝とおねぎらいを申し上げます。 また、令和2年7月豪雨をはじめ、昨年も全国各地で記録的な豪雨や台風などによる自然災害が相次ぎ、大きな被害をもたらしました。本市でも、6月下旬から7月中旬にかけて、記録的な豪雨に見舞われ、道路崩壊や大規模な地滑りが発生しました。特に、台風9号・10号の襲来に際しては、広い範囲で停電が発生するとともに、高島・宇久島では船舶の係留施設が破損しその運航に支障が生じるなど、早期の復旧に努めてまいりましたが、市民の皆様の生活に、大きな影響が生じてしまいました。改めまして、被災された皆様にお見舞い申し上げますとともに、一刻も早い完全復旧に努めてまいります。 さて、世界経済は、
新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年の成長率は戦後最悪のマイナス4.3%となる見通しであり、2021年は
新型コロナワクチンの迅速な接種等により回復の見通しがあるとされ、ワクチンの普及状況等に回復の鍵があります。 また、我が国の経済の見通しにおいても、
総合経済対策の実施等により、令和3年度中には経済の水準がコロナ前の水準に回帰することが期待されているものの、引き続き、感染症が内外経済を下振れさせるリスクに十分注意する必要があるとされております。 日銀長崎支店の発表では、本県におきましても、景気は感染症の影響から引き続き厳しい状況の中、緩やかに持ち直しているものの、足元では
新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響が見られているとの判断がなされております。
新型コロナウイルス感染症につきましては、本市においても、12月中旬以降、急激に感染者が増加し、既にこれまで三百数十名の感染者が確認され、複数のクラスターも発生しております。非常に緊迫した状況にあるものと判断したことから、昨年末より、本市独自のフェーズ4に移行し、市内の感染状況に応じた非常事態に準ずる対応をしてまいりました。その後、徐々に感染状況が落ち着きつつあることに鑑み、2月22日付で、56日ぶりにフェーズ3に移行したところでございます。長崎県からの警戒警報は発令中であり、いまだ予断を許さない状況にございますので、今後の動向に注視しながら引き続き緊張感を持って対策に当たる所存でございます。 対策に当たっては、感染症の発生後早い段階から「佐世保市
新型コロナウイルス感染症対策本部」を立ち上げ、私が本部長として、全庁横断的に情報の共有・方策の指示を行いながら、対策に当たってまいりました。 また、昨年4月には、副市長を「
新型コロナウイルス感染症特別対策室」及び「佐世保市
緊急経済雇用対策本部」のそれぞれのトップとして任命し、感染症対策並びに経済対策に係る迅速な体制を構築することで、7月には「「新たな生活様式」を踏まえた本市の対応指針」を定め、「コロナに負けない元気なまち」を目指して、各対策に取り組んでまいりました。 市議会におかれましても、「
佐世保市議会新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置され、市議会としての体制を整備していただきました。感染症に係る本市の対応に御助言、御協力を賜り、迅速に各種対策を進めることができましたことを御礼申し上げます。 本市の感染症対策の取組においては、
新型コロナウイルス感染症特別対策室が中心となって、県や医師会、関係機関等と連携しながら、検査体制の整備や医療提供体制の強化を進めてまいりました。 この間、
緊急事態宣言に伴う
市立小中学校等の臨時休業や台風・豪雨災害に係るコロナ禍での避難所設置などの新たな事態もございましたが、対策本部を中心として、それぞれに有効な対策等を取ってきたところでございます。 先般、1月6日には長崎県から特別警戒警報が発出され、本市においても病床の逼迫が続いていたことから、医療関係者の負担を減らし、医療体制を確保するため、1月16日に「
医療緊急事態宣言」を発出し、改めて市民の皆様に基本的な感染症対策の徹底をお願いしてまいりました。市民の皆様の御協力もあり、危機的な状況は、一定回避できたものと判断し、2月21日をもって
医療緊急事態宣言を解除したところでございます。 なお、最近の大
規模クラスターの発生を受けて、デイサービスを実施している障がい者や高齢者の入所施設のスタッフの方々に対するPCR検査を行うこととし、2月16日より順次実施いたしております。 次に、本市の感染症に係る経済対策については、国、県の施策と併せ、切れ目のない対策を段階に応じ適切に展開することとし、
①緊急支援段階・
②安定化支援段階・
③計画的支援段階の3段階により、市民・事業者等への支援に取り組んでまいりました。 これまで、第1段階及び第2段階として、全市民一律の
特別定額給付金のほか、事業者への本市独自の給付金など、主に給付事業により、経済的支援を行いました。また、続く第3段階においては、42億円を超える規模での「させぼ振興券」発行事業を行うとともに、観光需要の回復、農水産品の消費拡大などに係るキャンペーンを実施することにより、地域経済の回復を図ってまいりました。 しかし、国の
緊急事態宣言の延長下において、様々な経済活動が制約される中、本市を取り巻く環境は、しばらくは大変厳しいものと想定しており、私も市長として、何としても市民の皆様の生命・財産を守るため、感染症対策や経済対策を優先的に実施してまいる所存であります。 これらの取組を進めるに当たっては、令和3年度前半は
感染症対策期、後半は実質的な経済活動時期という考え方を基本とし、その感染状況・地域経済状況を的確に把握し、適時かつダイナミックな対応を取ってまいりたいと思っております。 特に、感染症の収束への切り札とされるワクチンの接種につきましては、国の承認後、速やかに市民の皆様に接種を受けていただけるよう、新たに「
ワクチン接種推進チーム」を設置し、現在5名体制で業務を行っておりますが、適宜、体制の強化を図り、併せてチームを中心とした、全庁横断的な体制により、遺漏がないよう、しっかりと取り組んでまいります。 まず初めに、医療従事者への先行接種が2月22日から開始されておりますが、本市といたしましても、医師会をはじめとした医療関係者の皆様と綿密な打合せをしながら、接種体制や相談体制の確立及び接種券の印刷・発行など、接種に向けた準備を進めているところであり、個別接種を中心としつつ、集団接種、職域での接種を組み合わせて実施することといたしておりますが、接種の予約やワクチンの管理などを一括して行うことにより、市民の皆様にとって分かりやすく、また、接種実施医療機関の負担を軽減する方向で検討しているところでございます。 今後も引き続き、相談対応や行政検査、積極的疫学調査の実施、啓発活動等を継続し、感染症の収束に向け、職員の総力を結集して取り組んでまいる所存であります。 ウィズコロナ時代から、さらにその先のポストコロナ時代を見据えていく上では、様々な分野において、この感染症対策を行う中で生まれた新たな気づきによって、新たな技術を用いながら、新たなスタイルに変化させ、さらなる価値へとつなげていくことが日本全体で求められております。本市においても、このような社会の潮流に遅れることなく、様々な対策を講じていくことといたしております。 まず、企業のIT化を含むデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの支援をはじめ、スタートアップ・ベンチャー企業の育成等のための産業支援センターの機能強化、サテライトオフィスの誘致促進など、「ポストコロナ」社会への変化を見据えた取組も進め、強靱かつ自律的な地域経済を目指してまいります。 さらに、国の地域未来構想20やカーボンニュートラルなどの政策をいち早く取り入れ、自治体新電力会社である「株式会社西九州させぼパワーズ」社を通じて、拠点となる指定避難所等に太陽光発電パネルと蓄電池を整備し、併せ、同社、市、周辺市町、カーディーラー、タクシー会社及び個人と連携した非常時におけるEV車を用いた避難所電源確保の仕組みを構築し、脱炭素に貢献するだけでなく、避難所非常用電源のバックアップ電源として利用することなどで、「新たな生活様式」に対応した、社会的な環境整備のための取組を推進してまいります。 また、このような中、政府においては、感染症対策を契機として、手続のオンライン化等、行政のデジタル化に係る取組を加速させており、本市においても、これら行政のデジタル化に取り組んでいくため、昨年11月に「デジタル・ガバメント準備室」を設置し、教育委員会においては、GIGAスクール構想に対応するため、「スマート・スクール・SASEBO推進室」を設置いたしております。 本市においては「佐世保市ICT戦略」において、デジタル技術を最大限に活用し、市民の利便性向上と効率的な行政経営の両立に取り組むことといたしておりますが、ポストコロナ時代に向けて行政サービス等の変革を図っていくには、この戦略を一層バージョンアップし、行政サービス等にデジタル技術をより浸透させ変化させていく必要があります。 このため、「デジタル・ガバメント準備室」と情報部門等を再編し、新たに「DX推進室(仮称)」を設置し、新たなICT戦略を策定・推進し、行政運営の効率化と市民の利便性の飛躍的な向上の両立を目指すとともに、ポストコロナを見据えた「新たな日常」構築に向け、行政手続のオンライン化や公金支払いのキャッシュレス化など、様々なデジタル化の取組を一層強化し、行政サービスのデジタル化をウィズコロナ時代における感染予防対策・手段としてのみならず、ポストコロナ時代への新たな原動力として加速化、深化させてまいります。 さて先般、総務省が発表した2020年住民基本台帳人口移動による報告書によると、本市の転出超過は、一昨年2019年の1,395人から、509人増加の1,904人で、全国でワースト4位、県内でも長崎市に次ぐ厳しい状況でございました。 改めてその傾向を見てみますと、本市からの転出者数はここ数年変わらない水準を維持している一方、本市への転入者が減少、特に若い世代の転入者の減り方に特色ある傾向が見受けられました。 新型コロナウイルスが地域経済に与えた影響は大きい中、求人数の減も転入者減の要因の一つでありながら、解雇などの離職等を理由とする市外への転出は、例年並みに抑制できているのではないかと想定できます。 このことは、雇用主の皆様方の努力はもちろん、国・県及び本市による雇用・経済対策には一定の成果があるものと昨年の移動人口による数字上からは感じております。 一方、人口の課題は、出生率を向上させ、転入超過の流れに誘導することが基本的な改善方法だと思います。 その中でも、今回の顕著な傾向から見えた課題のとおり、若い世代を外部からのいわゆるUJIターン政策としてさらに積極的に呼び込む必要があると考えます。 そのためには、地場企業や産業の振興、新たな雇用を創出する企業誘致並びに本市の魅力、情報を発信すること等はもとより、経済対策だけでなく、様々な分野で政策の総動員的な展開が必要と改めて決意をいたしております。 まずは
新型コロナウイルス感染症対策や経済・雇用対策を優先的に実施し、今お住まいの市民の皆様の生活をしっかり守り、昨年からスタートいたしました「第7次総合計画」を確実に推進することで、発展的な佐世保市をつくることができると信じております。 改めて「第7次総合計画」は、これからの佐世保市が目指す将来の都市像を掲げ、その実現に向けた基本的な姿勢や中長期的な展望を明らかにしたもので、全ての市民と行政にとって共通のまちづくりの指針であり、市民の皆様の満足度向上の道しるべとなるものでございます。 「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環スパイラルを実現し、「海風 薫り 世界へはばたく“キラっ都”SASEBO」を本市の誇り高い将来像として、その実現に向け推進してまいります。 あわせて、私が市民の皆様のシビックプライド(市民や都市としての誇り)の向上を図るため、中長期的視野で進めている重点施策「八つのリーディングプロジェクト」にも力を入れてまいります。 これらの将来像を実現するためには、しっかりとした他都市に負けない安全・安心な都市基盤を守る必要があると考え、昨年3月、国土強靱化に係る本市の指針として「佐世保市国土強靱化地域計画」を策定いたしました。 近年、激甚化に至る災害が全国で相次いでおり、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が示され、これに合わせ、しっかりと本市の取組を強化し、災害に対して強く、しなやかな都市基盤を構築してまいります。 それでは、第7次総合計画に掲げた「しごと」、「ひと」、「まち」、「くらし」と、これに「行政経営」を加えた五つの分野の、第7次総合計画における取組内容と、その取組を牽引するための重点施策「八つのリーディングプロジェクト」について、説明申し上げます。1 しごと-活力あふれる国際都市- 「しごと」の分野として、まず、「観光商工政策」では、将来にわたって活力ある地域社会を支える地場産業を支援し、地域資源を生かした産業づくりと交流人口の拡大を進め、活力とにぎわいにあふれるまちづくりの実現を図ってまいります。 観光の振興においては、マイクロツーリズムの観点から、まずはリピーターとなり得る九州内など、近隣地域から徐々に誘客範囲を拡大し、観光客誘致に取り組んでまいります。海外からの誘客につきましては、継続的に情報発信を行いながら、
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために行われている入国制限が緩和される状況になり次第、インバウンド誘致による地域活性化に注力してまいります。引き続き、「西海国立
公園九十九島」と「ハウステンボス」の連携強化による認知度向上と集客強化を図り、「海風の国」佐世保・小値賀観光圏のブランドコンセプトに基づいた滞在交流型観光を推進します。 また、世界文化遺産「黒島の集落」や「鎮守府」・「三川内焼」という二つの日本遺産の観光ブランドを活用し、佐世保の魅力発信に取り組むとともに、長崎県の「まちづくり応援事業」の認定を受けた江迎地区など観光地域づくりを進めてまいります。 広域連携による周遊観光の推進では、広域圏の観光情報や周遊ルートを掲載したデジタルマップを活用し、周遊企画、SNSを効果的に活用した観光情報の発信を行い、地域の認知度向上と圏域内の周遊促進を図ってまいります。 また、西海国立
公園九十九島水族館「海きらら」については、令和2年度策定の長寿命化計画に基づく老朽化対策を行うとともに、リニューアルの検討を引き続き行ってまいります。 地場企業の振興については、関係金融機関と連携を図り、低利で利用しやすい従来の制度融資と合わせてDX資金を創設し、資金調達面での中小企業のIT化に向けた設備投資の促進を図ってまいります。 また、産業支援センターにおいては、市内中小企業の経営支援を強化するとともに、専門家による企業のIT化を含むDXへの取組支援や、スタートアップやベンチャー企業の育成に加え、サテライトオフィスの誘致促進にも努めてまいります。 「農林水産政策」では、地域の特色を生かした「産品」と、元気な「担い手」の育成による、農林水産業の活性化を図ってまいります。 農林業の振興においては、西海みかんや長崎和牛に続く特産品の創出と、産品のさらなるブランド力の向上を図るとともに、これらを支える農地などの生産基盤の整備に引き続き取り組んでまいります。 加えて、農業への新規参入希望者に対する本市独自の研修制度の実施や、初期費用に対する支援など、就農のきっかけづくりに取り組み、新規就農者の確保に努めるとともに、森林整備の推進を図るため、効率的な林道の路網整備に着手いたします。 水産業の振興においては、水産資源の維持増大を図るため、水産センターの機能強化を推進するとともに、付加価値の高い種苗の研究開発に取り組みます。 また、水産市場に隣接する水産加工団地用地について、売却に向けた取組を行い、当地の利活用を進めてまいります。 「企業立地政策」では、製造業及びオフィス系企業など魅力ある雇用を生み出す企業立地を実現させ、市外への人口流出抑制及びUJIターンによる流入人口増加を図ってまいります。 佐世保相浦工業団地については本市の核となるような製造業を誘致し、市中心部においては民間で行われるオフィスビル整備などへの支援に取り組むとともに、立地企業の操業に対しできる限りの支援を行い、多様な就労の場を確保してまいります。2 ひと-育み、学び、認め合う「人財」育成都市- 「ひと」の分野として、「子ども未来政策」では、「第2期新させぼっ子未来プラン」に基づき、子どもを安心して産み、楽しく育て、子どもが健やかに成長できるまちづくりを進めてまいります。 まず、母子保健の推進と安心な育児環境の充実において、妊婦健康診査における多胎妊産婦への支援の拡充を図るとともに、産後ケアにおける利用期間の延長等による利便性の向上など、妊娠、出産、子育てに至る切れ目のない支援を推進いたします。 地域での子どもと子育ての支援においては、地域での自主的な子育て支援のアイデア活動への助成を通じ、子育て世代を支えていく機運の醸成を図ってまいります。また、子ども・子育てを通じ人が集い、つながり合う場の創出を目的として、中央
公園内に屋内遊び場を整備します。 幼児教育・保育の充実においては、引き続き、既存施設の老朽化に伴う改修等に合わせた利用定員の拡充を図るほか、新たに、医療的ケア児の受入れに際し、看護師等を配置している施設に経費の一部を補助するなど、幼児教育・保育における量の確保と質の向上に取り組みます。 また、欲しい情報を必要な方に的確に届けるための「子育て応援アプリ」を活用した情報発信を行ってまいります。 「教育政策」では、学校教育や生涯学習環境の場において、子どもたちを含む市民が生涯を通じて学び、文化、スポーツ等に親しむことができる環境の充実を図ってまいります。 学校教育の充実においては、確かな学力を身につけさせるために、教職員の資質向上などの学力向上施策を推進してまいります。まず、国のGIGAスクール構想を先進的に進めるため、全ての児童生徒に1人1台端末を整備しましたが、さらに本市独自の「スマート・スクールSASEBO構想」に基づき、整備した端末を学校や家庭での学びに効果的に活用し、新しい学びの実現に向け、教職員研修及びICT支援員の配置拡充、セキュリティー強化など、ICT活用のための支援に努めてまいります。 また、学校規模の適正化や通学区域の見直しを行うとともに、学校学期制については、学校、児童生徒、保護者との関係を考慮して、新しい3学期制に向けた制度設計を行い、円滑な制度移行の準備を進めることで、児童生徒の望ましい教育環境の確保を図ってまいります。 年々増加する不登校等の様々な課題に対応するために、スクールソーシャルワーカーをさらに増員し、継続事案の対応並びに定期的な巡回訪問による早期対応に努め、教育相談の充実を図ってまいります。 豊かな心を育むまちづくりにおいては、4月1日からコミュニティセンターを設置することとなりますが、これまで同様に主催講座の開催や職員研修を実施するなど、社会教育活動及びコミュニティの基盤形成を図ってまいります。 生涯学習・生涯スポーツの充実においては、市民が身近にスポーツに親しむことができる環境づくりを推進するために、東京2020オリンピック・パラリンピックの聖火リレーや事前キャンプ受入れに向けた取組等を行います。また、スポーツ施策を中長期的かつ横断的に推進するために、「スポーツ推進計画」を策定いたします。 歴史文化の保存・活用については、新たに福井洞窟ミュージアムを本年4月にオープンさせるとともに、立神音楽室を含む立神広場については、日本遺産「鎮守府」の情報発信拠点となる歴史
公園として着実に整備を進めてまいります。3 まち-西九州を牽引する創造都市- 「まち」の分野として、「都市政策」では、少子高齢化・人口減少社会の中で、新たな本市の都市計画マスタープランに基づき、地域の活力の維持に努めます。 居住誘導の推進においては、特に市街地では「立地適正化計画」を策定し、拠点性が高く、災害リスクが少ない場所に、居住や医療・福祉・商業等の都市機能を確保し、地域公共交通と連携して、市民が安心して住み続けられるよう、コンパクト・プラス・ネットワーク型のまちづくりを進めます。 空き家の適正管理の促進、活用につきましては、必要に応じて関係法令に基づく助言や指導を行うとともに、老朽化した危険な空き家に対して除却費の一部補助などを行い、良好な居住環境の確保を図ってまいります。 地域の特性に応じたまちづくりの推進においては、防災性の向上や住環境の改善のため、車みち整備事業や斜面密集市街地対策事業等を地元まちづくり協議会と協働して行い、地域に求められる道路等の都市基盤の整備を進めてまいります。
公園の機能充実においては、「緑の基本計画」を見直し、都市
公園の整備及び管理の方針を定めるとともに、
公園施設長寿命化計画に基づく対策事業の推進や、
公園施設の再編に取り組んでまいります。 「水道政策」では、新上下水道ビジョンの経営理念に基づき、公衆衛生と生活環境を支える水道政策の確実な推進を図り、健全経営に努めてまいります。 水の安定供給の推進においては、水源開発や水道施設の計画的な更新・再構築及び維持管理を行うとともに、適切な水質管理を行い、安全・安心な水の常時供給を推進します。 公共下水道の普及推進と安定処理については、公共下水道の早期整備を推進し、施設の計画的な維持管理を行うとともに、処理水の適切な水質管理を行います。 また、上下水道共に、自然災害や事故等の発生に対し迅速に対応できるよう、引き続き、危機対応力の向上に努めてまいります。 「土木政策」では、拠点間の連絡強化や、市民生活や経済活動を支える道路ネットワークを充実させ、活力あるまちづくりを推進し、また、激甚化・頻発化する自然災害などから市民の安全を守るための社会インフラの整備や、災害危険箇所の周知により、安全で安心なまちを築いてまいります。 暮らしと成長を支える道路ネットワークの充実においては、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に掲げるミッシングリンクの解消、4車線化及びダブルネットワークに資する西九州自動車道の延伸や4車線化事業、計画段階評価へ着手された東彼杵道路の早期事業化等の事業進捗を図ります。 また、幹線道路を補完しネットワークを形成する県道整備への協力や市民生活に密着した市道整備についても、道路整備プログラムに基づき進めてまいります。 道路施設の老朽化対策については、予防保全型のメンテナンスへの移行により、長期的なライフサイクルコストの低減を目指した長寿命化を図ります。 さらに、現在の道路維持管理手法を積極的に見直し、AI、ICT等の新技術の活用による効率化を図り、それらの技術を活用できる人材育成、技術継承なども進めてまいります。 命を守る斜面地・浸水対策の推進においては、急傾斜地の崩壊を防止する対策工事を行い、また、河川については、緊急性の高い箇所から計画的な対策を実施するとともに、県が実施中の日野川など二級河川の改修工事に対し協力しながら早期完成を目指します。あわせて、河川の樹木伐採や浚渫についても、緊急度に応じ計画的に進めてまいります。 さらに、排水ポンプ等の施設の老朽化対策についても、長寿命化計画に基づき更新を行ってまいります。 一方、ソフト対策として、災害危険箇所や避難場所等を示す洪水及び土砂災害のハザードマップを作成し、市民への周知を図ってまいります。 「環境政策」では、廃棄物の適正処理による生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るとともに、環境によい行動を自ら選び、取り組む「環境市民」を育成することで、持続可能な循環型のまちづくりを行います。 環境保全活動の推進においては、「させぼエコプラザ」を中心に、様々な年代が利用できるICTを活用した多様な環境教育プログラムの実施や自然観察会の開催などにより、環境教育・環境学習の推進や自然環境の保全を図ります。また、多様化する環境問題や世界的な脱炭素化の潮流を踏まえ、環境基本計画の改定に着手します。 ごみの減量化と適正処理の促進においては、引き続き効率的で安定したごみ処理を行うとともに、施設の延命化など総合的な整備に取り組み、計画的なごみ処理を推進します。 さらに、「食品ロス削減推進法」に従い、啓発活動等を通じて一層の食品ロス削減推進に努めるとともに、事業系ごみの一層の減量化・資源化を図るための調査を行います。 「港湾政策」では、佐世保港において、環境の保全に配慮しつつ、計画的な整備、適正な管理及び利用促進を行うことで、港湾の適正な利用と保全、本市の発展を図ってまいります。 人流と物流を支えるみなとづくりにおいては、三浦地区において市民・観光客が集い、にぎわいを創出する交流拠点となるまちづくりを推進するとともに、鯨瀬埠頭における港湾施設の再編事業に併せて、民間活力の導入を含めた土地活用を図ってまいります。また、クルーズ客船の対応においては、日本船社へのポートセールス及び寄港の受入れに注力しつつ、外航クルーズについては、運航再開に備え、必要な準備を進めてまいります。 あわせて、岸壁等の利用調整や必要な支援を行うことで、物流の活性化を図ってまいります。4 くらし-地域が社会を築く安心都市- 「くらし」の分野として、「市民生活政策」では、身近な絆の象徴である地域コミュニティの活性化や、人を大切にし、支え合う仕組みづくりを進めるとともに、交通事故や消費者被害に遭わない環境整備の充実により、誰もがいつまでも安全・安心で快適に暮らせる市民生活の実現を図ってまいります。 地域コミュニティに係る取組については、新たな地域拠点となりますコミュニティセンターの利用促進に努めるとともに、地域課題の解決に取り組まれる地区自治協議会の地域運営の確立を目指し、必要となる調査研究を実施します。 安全安心施策の推進においては、交通安全シミュレータ機器の活用や、消費生活等講座との連携により、高齢者や子どもを対象とする出前型教育の拡充を図ります。また、犯罪被害者の支援について、関係機関と連携の下、担当者研修や広報・啓発に取り組んでまいります。 災害援護事業においては、近年の災害発生状況を鑑み、これまで1日分としていた食料等の現物備蓄を3日分に拡大し、災害に対する備えの拡充を図ります。 また、市民の利便性の向上のみならず、本市の行政のデジタル化を強力に推進する上でも重要なマイナンバーカードの普及促進に努めます。 「保健福祉政策」では、健康を支える環境や地域医療の体制など、保健・医療・福祉サービスを総合的に提供できる体制をつくり、地域共生社会を目指して、誰もが共に支え合い、幾つになっても健やかに安心して暮らせるまちづくりの実現を図ってまいります。 健康づくりの推進においては、官民連携で市民の皆様の食や運動など健康づくりを応援する健康寿命延伸プロジェクトにおきまして、ウオーキングや検診の受診などによりポイントを獲得する「させぼ健康ポイント事業」を実施し、新しい生活様式を実践しながら気軽に楽しく健康づくりに取り組むきっかけづくりや、健康づくりを継続する方への支援を推進します。 また、国民健康保険事業の重症化予防の取組については、慢性腎臓病(CKD)対策として、かかりつけ医や腎臓専門医との連携強化及び医師・歯科医師・薬剤師等多職種連携による取組をより一層推進し、新規人工透析導入患者や高血圧の有所見者を減らし、医療費の抑制を図ってまいります。 質の高い地域医療体制の充実においては、
新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた適切な救急医療体制の維持と良質で適切な医療・介護の提供に向けた支援を進めてまいります。あわせて、地域医療を守るための取組として医療人材の確保により医療サービスの維持を目指すなど医療提供体制の適正化に努めるとともに、新たな診療形態であるオンライン診療についても研修会等を通じた検討を行ってまいります。 高齢者になっても健康で自立した生活ができる環境づくりにおいては、医療・介護などが切れ目なく一体的に受けられる体制、いわゆる地域包括ケアシステムのさらなる拡充と深化を図り、団塊の世代が後期高齢者となる2025年、さらには団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年を見据え、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを継続できる社会を築いていくことを目指します。 また、この地域包括ケアシステムをはじめとする地域共生社会の実現に向け、第3期佐世保市地域福祉計画に基づき、地域における福祉課題の解決に努めてまいります。 障がい者の自立と社会参加の環境づくりにおいては、佐世保市障がい者プランなどで策定した取組を着実に実施し、障がいのある人もない人も、共に生き、共に過ごすことのできる共生社会の実現を図ってまいります。 「消防政策」では、火災や自然災害並びに救急・救助に迅速かつ的確に対応するとともに、火災予防対策を推進することで、住む人と佐世保を訪れる人たちの安全・安心を守ります。 火災対策の推進においては、西消防署江迎・鹿町出張所の建設のほか、通信指令システムを効果的に運用するとともに、消防車両や資機材、消防水利を有効に活用してまいります。 また、激甚化する台風や大雨などの自然災害対策については、中隊本部や分団に水害救助用セーフティーボートを追加配備するとともに、新たに消防局訓練場及び災害用ドローンの整備を行い、災害による被害の軽減に努めてまいります。 消防団の充実強化においては、統合再編及び新格納庫の建設を進め、地域防災の中核となる組織づくりを目指します。 救急・救助の高度化においては、応急手当の普及啓発と病院前救護体制の充実に努め、生存率の向上を目指すとともに、
新型コロナウイルス感染症等の対策を適切に行い、市民が安心して利用できる救急救助業務を継続してまいります。 火災予防対策の推進においては、防火訓練などを通じて、市民に火災予防を呼びかけるとともに、住宅用火災警報器の設置や維持管理を推進することで火災の早期発見を図り、生命及び財産の保護に努めてまいります。 「防災危機管理政策」では、災害や緊急事態から市民の生命及び財産を守り、また防災関係機関と連携して、被害を最小限に抑える環境・体制を整え、災害や緊急事態に強いまちの実現を図ってまいります。 災害や緊急事態に対応できる体制の充実強化においては、総合的な防災・危機管理体制の確立のため、「佐世保市危機対策会議」の弾力的運用を図ることとし、大規模自然災害等の危機事象に対し、事前対策も含め、全庁的にマネジメントできる体制を構築してまいります。 また、災害対策本部の運用につきましても、迅速な設置を行い、機動的に活動できる体制といたします。 防災・減災、国土強靱化の取組については、政府が示した5か年加速化対策を念頭に、洪水、土砂災害、地震等による人命・財産の被害防止、最小化のため、災害インフラ等の取組をハード・ソフト両面から推進することにより、本市域の強靱化を図ってまいります。 また、防災行政無線については、市民へ確実に情報を伝達するため、戸別受信機を希望する世帯に無償貸与を行い、段階的かつ計画的に全市域の環境整備を図ってまいります。 さらに、災害時の分散避難の推進を含め、市民が適切な避難行動を取れるよう、災害情報配信サービスをはじめとする情報伝達補完手段の広報周知を図ってまいります。 あわせて、地域の災害特性に応じた住民参加型の地域型防災訓練を引き続き実施し、地区防災計画策定及び地域の防災活動の支援を推し進めるほか、町内会公民館等の自主運営地域避難所としての活用にも理解を求め、地域住民の災害対応能力の向上を図ってまいります。 以上が四つの都市像を実現するための令和3年度における主な取組内容となります。 これら事業の推進に当たりましては、健全な行財政運営の下、行政活動による効果を最大化していく必要があります。5 行政経営 「行政経営」においては、まず、市民ニーズ等に応じた政策課題に適切に対応しつつ、より効率的で効果的な行政サービスを提供するため、子ども未来部や土木部内の組織再編など、行政体制の整備を行ってまいります。 的確な分析による戦略的な行政経営の推進においては、効果的な施策展開を図り、事業の取捨選択を促進していくことにより成果を生み出し、行政活動の効果の最大化を図ってまいります。 地方創生の重要施策である移住政策において、地方への移住や就業に対しての関心の高まりを好機と捉え、恵まれた自然環境や多様性等、人を引きつける本市及び連携自治体の特性や魅力を活用した周遊型ワーケーション等の事業を新たに創設します。 地域の重要な都市基盤である公共交通については、コロナ禍における各公共交通事業の経営が苦しい中ではありますが、「佐世保市地域公共交通再編実施計画」における施策をしっかりと実施することで市民の足を守ります。あわせて、次期計画策定に向けた検討を進めます。 文化の振興では、アルカスSASEBO、市民文化ホール及び島瀬美術センターを、公益財団法人佐世保地域文化事業財団で一元管理いたします。 これまでの実績を踏まえた「民間の発想ならでは」による特色や魅力を高めたイベントを展開し、多様な文化芸術に触れる機会の提供を充実させてまいります。 市民の多文化交流の推進については、人の移動が制限される中、オンラインを積極的に活用した姉妹都市等との交流事業を行うとともに「多文化共生社会」の進展を図ってまいります。 市民の視点に立った行政基盤の構築においては、改革改善を推進できる人材の育成のための取組として、佐世保市人材育成基本方針に定める「求められる職員像」の実現を目指し、様々な課題に対応した職員研修を行うとともに、「庁内公募制」による人材の登用にも取り組んでまいります。 広報・広聴の取組としては、昨年10月に策定した「佐世保市広報戦略」に基づき本市全体の広報力の向上を図るとともに、全庁的な広聴力の向上にも力を入れ、効果的な広聴の推進に努めてまいります。 ICTを原動力としたまちづくりの推進については、ポストコロナ時代を見据えICT戦略をバージョンアップし、各施策におけるデジタル化への取組を加速いたします。 また、「書面、押印、対面」の在り方を見直し、行政手続きや届出がインターネットを利用して行うことができるよう、行政手続のオンライン化、キャッシュレス化などを進め、市民サービスの向上、業務効率化に取り組みます。 健全で持続可能な財政運営の推進においては、第7次総合計画のマネジメントスキームに合わせた財政計画の策定及びそれに基づく予算編成を行ってまいります。 また、税負担の公平化と税収の安定確保を図るため、適正かつ公平な課税を行うとともに、クレジット納付収納等の活用促進や徴収体制の一元化の検討を行い、徴収率の向上に努めてまいります。 また、資産管理につきましては、資産活用基本方針に基づき遊休財産の利活用を進め財源確保を図るとともに、「第1期公共施設適正配置・保全実施計画」に沿った施設の適正規模への見直しと計画的な保全により財政負担の軽減と平準化を図ってまいります。 効果的で効率的な行政運営の推進については、最終年度となる「第6次佐世保市行財政改革推進計画(後期プラン)」を着実に進めてまいります。 取り巻く社会経済情勢の今後の変化を見据え、国等のデジタル変革の動き等を的確に捉えながら、次期行革プランを策定して、業務の効率化と併せ、その仕組みを改革し、行政サービスの安定的な提供を図ってまいります。 基地との共存共生の推進においては、国や米軍等と連携・調整しながら、自衛隊や米軍の防衛施設に起因する様々な制約や負担をできる限り軽減する対策に取り組んでまいります。 基地政策の最重要課題であります「前畑弾薬庫の移転・返還」につきましては、国に対し、米側との協議をさらに加速させ、移設事業全体の工程を早急に示していただくよう強く求めてまいります。 また、移転先となる江上・針尾地区をはじめ、関係する地域の負担軽減と地域振興につきましても、議会の御理解をいただきながら、引き続き取り組んでまいります。 さらに、崎辺東地区においては、海上自衛隊の大規模な施設整備が始まることから、国に対し、地域住民の生活環境に配慮することや適時適切な地元説明会を実施していただくことを求めてまいります。 次に、地方創生を牽引し、新しい時代へ飛躍するための重点施策「八つのリーディングプロジェクト」について説明をいたします。 まず、一つ目の「名切地区再整備」については、本市初めてのPark-PFI事業として、中央
公園のリニューアル工事に着手します。 民間事業者によって、子ども遊び場をはじめ、様々な魅力的でにぎわいある施設が整備されます。令和4年4月には、市民の皆様だけでなく、本市を訪れる観光客にとっても、西九州地域のシンボリックな
公園として生まれ変わる予定です。 二つ目の「俵ヶ浦半島開発」については、「九十九島観光
公園」が、来月末に暫定オープンを予定しております。 ここでの九十九島の大パノラマは、市民の皆様のみならず、本市を訪れる観光客の方々にこれまでにない景観を体感していただけるものだと思っております。 また、感染症の影響でお時間をいただいておりましたが、本格利用を見据えた
公園整備の民間事業者からの事業提案や、西海国立
公園九十九島動植物園「森きらら」移転の是非については、令和3年度中には、その方向性を示してまいります。 三つ目の「クルーズ船入港体制整備」については、昨年、浦頭地区の岸壁と旅客ターミナルが完成し、クルーズ客船を受け入れる体制が整ったことから、既存の三浦地区と合わせ、本格的なクルーズ再開後におけるスムーズな運営が行えるよう、周辺環境の充実を図ってまいります。 また、地域経済効果につなげる取組の推進及び地域課題への対応を引き続き実施するとともに、徹底した感染予防対策による観光案内やにぎわいづくりなどに取り組むことで、国際クルーズ拠点形成による集客効果の最大化を図ってまいります。 四つ目の「特定複合観光施設(IR)誘致」については、長崎県の実施方針に基づき、本年1月から事業者公募がなされており、夏頃までには、IR事業者が選定されることになります。 事業者の選定後は、区域認定申請に向け、県及び事業者と連携しながら、九州・長崎IRが目指す姿を具体に記した区域整備計画の作成に注力してまいります。また、立地自治体として、市民の皆様への丁寧な説明を行うとともに、市議会の御協力を賜りながら、IR誘致を着実に推進してまいります。 五つ目の「基地との共存共生」については、自衛隊による崎辺地区の利活用が進む中、地域の交通環境の改善に資する前畑崎辺道路の建設工事が本格化いたします。また、前畑弾薬庫の針尾島弾薬集積所への移転・集約に係る工事用道路については、国による調査や測量が進められてまいります。 六つ目の「企業立地・新工業団地整備」については、コロナ禍で厳しい経済状況が続く中、企業の動きを見ながら「佐世保相浦工業団地」への誘致活動を積極的に進めてまいります。 七つ目の「英語が話せる街佐世保」については、引き続き市民協働の下、新たに小学生を対象にした、グローバル社会で活躍できる次世代リーダーへの第一歩に挑戦する「グローバルキッズ・チャレンジ事業」に取り組むなど、様々な事業を展開してまいります。 八つ目の「世界で最も美しい湾クラブ加盟の九十九島・世界文化遺産(黒島の集落)・日本遺産(佐世保鎮守府、三川内焼)の活用」については、その魅力をメディアやSNSを通じて、全国・全世界に発信してまいります。 また、世界文化遺産「黒島の集落」については、黒島天主堂が2年間の耐震化・保存修理工事を終了し、2月24日にリニューアルオープンを迎えたことから、引き続き、観光客の受入れ態勢整備に取り組んでまいります。さらに、本市の歴史的魅力を伝える二つの日本遺産については、構成する自治体や関係機関等と連携した情報発信に努めてまいります。 これまで申し述べました本市取組の実現と併せて、本市のまちづくりの基盤として極めて重要な水の安定的な供給のため、早期の完成が必要となる石木ダム建設事業につきましては、本市の水源不足の抜本的解決策として、事業主体である長崎県を中心に事業実施に取り組んでいるところであります。 昨年には国を当事者とした事業認定取消訴訟において、原告側が控訴審判決を不服として提起した上告について、最高裁判所が棄却の決定を行いました。これにより事業認定取消訴訟における司法判断が確定し、石木ダムの必要性が、司法判断においても改めて認められたところであります。 建設予定地では、ダム本体工事に向けた契約もなされるなど、着実な事業の進捗が図られているところであります。 新規水源確保は、水の安定供給や老朽化した水道施設の更新において必要不可欠なものであり、さらには昨今の感染症対策で求められる公衆衛生の役割や疲弊した市民生活や地域経済の中での渇水の影響を考えますと事業の必要性・緊急性はますます高まってきているものと考えております。 私といたしましては、何としても石木ダムによる水源確保を早期に実現しなければならないと考えており、議会の皆様方と思いを一つにし、一体となって進めていくことが最も大切なことと考えております。 以上、施政方針につきまして説明申し上げましたが、その方針に基づき新年度の当初予算を編成しましたので、その概要を説明いたします。 令和3年度の国の一般会計の政府予算案は、前年度当初比3.8%増の106兆6,097億円と過去最大を更新し、3年連続で100兆円を超えております。 感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りつつ、ポストコロナの新しい社会の実現を目指し、中長期的な成長力強化の取組を推進していくこととされ、いわゆる「15か月予算」の考え方で、令和2年度第3次補正予算と一体として編成されております。 骨太の方針2020に基づき、歳出改革の取組を継続されたものの、
新型コロナウイルス感染症対策もあって、財政健全化の目安となる基礎的財政収支(プライマリーバランス)は20.4兆円の赤字となり、前年度から10.8兆円悪化しております。 地方財政計画につきましては、通常収支分の財政規模は前年度比1.0%減の89兆8,060億円で、歳入では、国の加算など地方交付税の原資を最大限確保することにより、地方交付税総額について前年度を0.9兆円上回る17.4兆円を確保され、
新型コロナウイルス感染症の影響により地方税等が大幅な減収となる中で、地方の一般財源総額は0.5%減の63兆1,432億円となっております。 歳出では、地域社会のデジタル化を集中的に推進するための「地域デジタル社会推進費」が新たに計上されたほか、防災・減災、国土強靱化の推進として、「緊急自然災害防止対策事業費」、「緊急防災・減災事業費」、「緊急浚渫推進事業費」について、事業期間の5年間延長や拡充がなされ、「まち・ひと・しごと創生事業費」も継続されるなど、引き続き、地方の取組を後押しするものとなっております。 しかしながら、令和3年度末の国と地方を合わせた長期債務残高は1,209兆円程度に達する見通しであり、地方においても国の取組と基調を合わせ、歳出全般にわたり徹底した見直しが求められているところであります。 本市においては、人口減少による税収などの減少に加え、高齢化による社会保障関係費の自然増や、公共施設の維持管理・施設更新経費などの増加など、経常的な行政サービスの増大に加えて、
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、大幅な財源不足が見込まれております。 こうした中、本市の予算編成におきましては、今後、
新型コロナワクチン接種も予定されていることから、その収束の後、年度後半から本格的に景気が回復していくという基本的な考えの下、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りながら、ポストコロナの新しい社会の実現を目指すとともに、第7次総合計画を着実に実行していくこととする、「ポストコロナ時代を見据えた健全財政と圏域の活性化の両立」を掲げ、改革を進めつつ、財源の重点的な配分に努めたところであります。 「第6次行財政改革推進計画」の後期プランに基づく改革・改善の実行により財源を捻出し、社会保障や教育など市民生活の基盤を支える施策について所要の財源を確保した上で、第7次総合計画のまちづくりの方向性である、「しごと」・「ひと」・「まち」・「くらし」の取組を牽引するための、八つのリーディングプロジェクトの推進や、新しい生活様式などのポストコロナ対応事業に優先配分いたしました。 当初予算の概要でありますが、一般会計は1,177億2,816万円で、社会保障関係費の増への対応に加え、第7次総合計画で目指すまちづくりに貢献する事業やリーディングプロジェクト等への重点配分を行ったものの、九十九島観光
公園の造成工事の完了や一部地域におけるアナログ式からデジタル式への更新終了による防災行政無線整備事業の減などもあり、前年度当初予算に比べ2.6%の減となっております。 次に、特別会計は859億1,195万円で、住宅事業特別会計における事業費の増や競輪事業特別会計における車券売上金の増などにより、前年度当初予算に比べ10.0%の増となっております。 次に、企業会計は231億3,530万円で、下水道事業会計における事業費の増などにより、前年度当初予算に比べ2.1%の増となっております。 したがいまして、本市の予算総額は2,267億7,541万円となり、前年度当初予算に比べ2.3%の増となっております。 最後に、補正予算、条例議案、一般議案及び報告案件につきまして説明申し上げます。 まず、令和2年度補正予算議案でありますが、一般会計、特別会計及び企業会計合わせて6件を提案いたしております。 次に、条例議案につきましては、職員定数に関するもの、事務分掌に関するものなど21件を提案いたしております。 一般議案といたしましては、工事請負契約に関するものなど6件を提案いたしております。 報告案件といたしましては、市長専決処分に関するものなど10件でございます。 なお、各議案の詳細につきましては、配付いたしております予算説明資料、条例議案等に関する資料を御参照いただきたいと存じます。 以上、令和3年度における施政方針及び本日提案いたしました議案の説明を述べさせていただきました。 市長として、4期目の任期も折り返しの2年が経過いたしますが、私はこれまで、市民の皆様の期待に応えなければいけないという使命感で市政運営のかじ取り役を担わせていただきました。 そのような中、
新型コロナウイルス感染症の出現とその世界的大流行(パンデミック)により、市民の皆様においても、これまでとは全く異なる日常や経済悪化状況に耐えていただくことを余儀なくされており、何としても、市民の生命と財産を守るため、この施政方針で申し述べました各政策を力強く推進してまいりたいと決意をいたしております。 シビックプライドの向上を図り、地域の絆をこれまで以上に大切に考えていただきながら、本市の明るい未来のために、どうぞ市民の皆様、議員の皆様の御支援、御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。 続きまして、貴重な時間を拝借いたしまして恐縮に存じますが、去る2月12日に佐世保重工業株式会社から新造船事業の休止が発表されたことに関し、本市の対応等も併せまして、御報告をさせていただきます。 佐世保重工業株式会社におかれては、コロナ禍の影響長期化による受注環境のさらなる悪化や、中国、韓国の造船所における政府支援などによる低船価攻勢により、同社の造船コストでは受注を継続できないとの苦渋の判断の下、新造船事業を休止し、それに伴い250名の希望退職者を募ることを表明されております。 今後は佐世保の立地条件や修繕ヤードとしての設備の優位性を生かし、修繕船事業を柱にした事業再構築を実施されるとのことであります。 戦後の本市の製造業、とりわけ造船分野において、その中核を担い、地域経済を牽引してこられた同社の事業再構築については、本市の主要産業である造船業の将来的な継続に向け、「選択と集中」を決断されたものと受け止めております。 今回、佐世保重工業株式会社におかれましては、修繕船事業の強化へかじを切られるとのことでありますが、本市は米海軍佐世保基地をはじめ海上自衛隊や陸上自衛隊が所在する基地のまちであり、同社もその前身が海軍工廠であったという歴史的背景も踏まえますと、本市における艦艇をはじめとする船舶の修繕機能は今後も需要が見込まれるものと認識をいたしております。 その一方で、今回の事業再構築により希望退職者を募られることから、従業員やその御家族の皆様、また、新造船事業休止に伴い、佐世保重工業株式会社からの受注機会の減少が見込まれる協力企業におかれましては、不安を抱かれる方も多くいらっしゃるものと考えております。 本市といたしましては、地域経済への影響を最小限にとどめ、皆様の不安を払拭するべく、地元のハローワークや長崎県との連携による協議を進めており、雇用支援や造船技術を生かした事業展開や新たな事業再構築への支援をはじめとした協力企業の事業継続のための支援に取り組んでまいります。 本件がコロナ禍の中で地域経済へ及ぼす影響は決して小さいものではありません。 本市においては、2月25日に対策本部を立ち上げており、今後、必要な対策を講じてまいりますので、市民の皆様、議員の皆様におかれましても、御理解・御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。 以上でございます。
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△日程第65 請願第18号
○議長(崎山信幸君) 次に、日程第65請願第18号を議題といたします。 ただいま議題となっております案件につきましては、お手元に配付いたしております
常任委員会付託案件表(第2号)のとおり、文教厚生委員会に審査を付託いたします。 文教厚生委員長は、審査の結果を3月5日17時までに議長に報告を願います。 以上をもって本日の日程は全て終了いたしました。 次の本会議は3月1日10時から開きます。 なお、当日は9時30分から全員協議会を開催いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 11時09分 散会...