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◯副議長(梅原和喜君)
出席議員半数以上であります。これより議事日程第5号により本日の会議を開きます。
日程1
市政一般質問
について、前日に引き続き、個人質問を行います。32番
浅田五郎議員。
〔浅田五郎君登壇〕
2 ◯32番(浅田五郎君) 岬の教会について、まず市長にお尋ねいたします。
市長は、国際都市の市長として国際交流はもちろん、その地域との関係はこれまでもずっと大切にしてきたようです。そこで、今一番と言っていいほど長崎にとって政治の大きな課題は県庁跡地をどうするかではないでしょうか。400年前、県庁跡地に威容との大きな見出しで、ことしの2月7日長崎新聞に特集岬の教会が取り上げられました。長崎の岬の突端にあった教会施設を総称して、私は岬の教会と呼ぶことにしたい。
キリシタン史研究の日本の第一人者である
片岡弥吉先生は、自分の発表した論文にこんな一節を述べております。片岡氏の長女で
キリシタン研究者片岡千鶴子先生、現在、純心大学の理事長を務めておられますが、この方は、長崎の歴史の根幹の場所であり、宗教だけでなく文化や経済の中心地であった活動も総称して岬の教会と名づけたと父の思い出を代弁いたしております。長崎は日本初の
キリシタン大名、大村純忠が
イエズス会の要望で1571年に開港いたしました。岬の波止場の近くに
イエズス会宣教師により小聖堂が建設され、この聖堂が後の岬の教会の起源とされております。長崎最初の6町と、茂木を1580年に、大村純忠が
イエズス会に寄進した翌年、聖堂の後に教会が完成したのであります。そこに
イエズス会の本部が置かれたと、
イエズス会本部の石碑が旧県庁の玄関前に置かれていました。現場主義世界駆ける
フランシスコ法王、令和元年5月31日の朝日新聞の国際版の記事です。その中の一部に、11月、思い入れある日本へとあります。法王はことしの11月に日本を訪問する予定だ。訪問される先はまだ明らかではないが、広島、長崎の被爆者との交流と平和をアピールすることが考えられるといたしております。加えて、法王に日本を特別の国と感じさせているものがあります。その理由は、法王の
出身修道会イエズス会の足跡であります。16世紀末の
キリシタン弾圧で同会の宣教師を含む26人が長崎で処刑されました。法王は長崎について問われると、日本二十六聖人記念館に勤める修道士のアントニオ・ガルシア氏の名を挙げ、もう90歳になる私の古い友人だと語っております。ガルシア氏と
フランシスコ法王は、法王就任前の1987年に日本を訪れたときから交流が続いているそうです。長崎にある
イエズス会ゆかりの地を訪ねる可能性があると、
イエズス会所属で法王庁の
菅原教会法学部長は述べていると報じております。
日本イエズス会は、キリスト教の普及の原点は
長崎県庁跡地の岬の教会にあったとしております。大村藩が当時の長崎と茂木の領地を
イエズス会に寄進したことは歴史が証明いたしております。
イエズス会ゆかりの地は、
県庁跡地そのものではないでしょうか。おもてなしの心がある
中村法道知事が県庁跡地でこの場所こそ
イエズス会の教会岬の教会跡です。聖地として残しております。ぜひカトリックの巡礼地としてご使用ください。長崎県
トップセールスマンとして県庁跡地で中村知事と
フランシスコ法王がお話しできることを考えただけで私は興奮いたします。生きた政治をぜひ実現させてほしいものであります。被爆地市長がそのためにどのように努力をするべきで、県庁跡地が国際都市としての時代の変革を呼び込むそのことを察知して、すぐにでも行動すべきではないでしょうか。
そのためには、県庁跡地での
市立文化ホールは建設場所を最初の予定どおり、この市役所にと、みずから県に申し出るべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
市の財産処分について、既に売却も終わり、事業も動いていますが、やすらぎ伊王島について、財産処分は平成29年4月から令和の今日まで2年しかたっていません。長崎経済界の方、ニュースで知った一般市民の方々から、市民の財産の取り扱いにしては余りにも無責任ではないのか、なぜ市議会に鑑定士を呼んで慎重に審議しなかったのかと多くの意見をいただきました。そうした意見は今もあります。新しい田上市長4期目のスタートの議会でありますので、市の財産処分についての検証をするために、古い事案のようでありますが、まだ多くの市民の財産である公有地がありますので、新しい問題としてお尋ねいたします。売却施設、宿泊施設棟3棟、コテージ14棟、最大定員628名、部屋数121室、温泉施設、これらを指定管理者として
株式会社KPGHOTEL&
RESORTに非公募で委託し、平成29年4月以降は、この会社に長崎市
ヴィラ・オリンピカ伊王島、長崎市
伊王島灯台記念館、長崎市
伊王島海水浴場を、この3施設は1年間指定管理者としての運営を行うようにして、非公募で平成29年4月までに民間移管を前提にして交渉して売却したのであります。問題は、
不動産鑑定士が評価した額は13億1,000万円、それが収益還元法で出した評価額から未達成の修繕費を差し引いている。要は、いずれ改修をしなければならないから、宿泊棟施設は無料で土地代だけですというのが、結局は13億円が4億3,600万円で売却したことになります。そもそも収益還元法はそうした修繕費も織り込んで価格を出す手法でありますが、なぜ後から修繕費を追加で差し引いたのでしょうか。
不動産鑑定士は資格を持った権威ある方で、その鑑定士が平成28年時点で
建物宿泊施設などの耐用年数は本館21年、別館15年、凪の音ホテルが11年残ってあります。そうした事実を考慮して決定した額が収益還元法により13億1,000万円です。その決定額を無視して、土地代だけの4億3,600万円の売却額は、納税者の汗の結晶である市民の財産を軽々しく扱ったのではないかと思われます。こうした現実について、議事録を見ても、売却する対象にあるべきなのに、鑑定士が評価した際は考慮されてと聞きますが、議会への理事者からの報告は、改修費が削除されていたのはなぜなのか。要するに、建物を修繕改修すると市の負担がふえるのでという理由だろうと思いますが、なぜ鑑定士に詳しい事情を聞かなかったのか。13億1,000万円の詳しい根拠も理解せずに、理事者の判断で4億6,300万円まで値引きしたのは問題ではないのか。このような計算の処理は、当該鑑定士の意見を尊重してよかったのではないのかと思われます。通常、特に公的機関の財産の処分については極めて厳しい取り扱いが要求されるものでありますが、通常定められた計算式の中で考慮すべき修繕費、改修費について議会にも報告しないままに、土地代だけで処分した法的手続などを含めて、その経緯をまずお尋ねいたします。
次に、市財政と大型事業についてお尋ねいたします。
私は、誇り高い長崎市と思っていたのが、全国の市町村で転出超過数が最多となり、
人口減少日本一、一体長崎市の政治は何をしていたのかと、県民、市民はびっくりしたでありましょう。特に、
ふるさと長崎を離れて全国各地で活躍している長崎出身の人たちにとっては、極めてがっかりして、
ふるさと長崎はどうなっているのだろうかという心配をしているんじゃないかと思われます。市長、あなたが市長に就任されて3年後の平成22年、2010年の人口が44万3,766人でした。それがことしの1月には41万5,000人となっており、もう3万人減っています。黙っていたら、国の推計では2030年に37万5,000人まで減少する見込みとなっています。さらに、その15年後の2045年には31万人まで落ち込んでいく予想が立てられています。本当に事態は極めて深刻な状況だと言えましょう。このような人口減少、少子化、高齢化が進むと、必然的に税収の減収につながり、
行政サービスが市民の要望に応えることができないことを指摘しているのであります。私もそのように思います。また、その原因の多くが、雇用の課題として有効な仕事の数が全国的に低く、雇用条件に合った雇用の場が少ないことから、若い世代の長崎離れが続いていること、三菱がよもや発祥の地から出ていくとは考えていなかったのでありましょうし、それにかわる企業を考える余裕がなかったことも事実だと思います。そこで、長崎市は、今、定例会に人口減少を打開するために子育て支援などの補正予算を計上し、これら人口減に対応したいとしていますが、ここの内容については委員会で議論するとしても、やはり長崎市の財政は、これからのことを考えると、本当に大丈夫なのかと心配になるのであります。本市の財政状況は厳しい状況であることに変わりなく、当初予算の市税、使用料などの自主財源は766億円、36%で、相変わらず3割
自治そのものであり、同じ人口規模である中核市の平均の50%と比較すれば、財政力は引き続き弱いまま推移するのではないでしょうか。先ほどの人口減を考えれば、さらに地方交付税や税収の先細りが懸念されてまいります。また、歳出についても、人件費、公債費、扶助費の義務的経費は1,319億円で61.9%となっている状況で、依然として高い割合を示しております。また、一方で、借金である地方債残高は、今年度末で一般会計2,641億円となり、これは昨年度の残高2,486億円と比べて155億円も大幅に増加しており、人口1人当たりの借金も58万3,000円から63万9,000円と、5万6,000円の増となっています。また、これら借金の償還に係る金利を1日当たり496万円、約500万円長崎市は支払っています。このような状況にあるにもかかわらず、これから長崎市は長崎駅の隣に固定資産税も
びた一文市税に貢献しない
MICE施設をつくる。民間とすみ分けができるという感覚は、既に企業家でなく、税金で生活してきたお役人の発想としか思えてなりません。そして、人口減も考えずに、20階がだめなら19階建ての新庁舎を公会堂跡地につくる。そして、岬の教会である県庁跡地には
文化ホールをつくる計画になっていますが、本当に財政は大丈夫なのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
小学校の教科書採択については、自席から質問をさせていただきます。
本壇からの質問はこれで終わります。ご清聴ありがとうございました。=(降壇)=
3 ◯副議長(梅原和喜君) 市長。
〔田上富久君登壇〕
4 ◯市長(田上富久君) 明政クラブ、
浅田五郎議員の質問にお答えします。
まず、2点目の市財政と大型事業についての(1)
MICE施設・新市庁舎・
市文化ホールといった大型事業に対する財政見通しについてお答えします。
今後、少子高齢化が進展し、人口が減少していく中で、将来にわたって健全な行財政運営を行うためには、いかに後年度の負担を適切に見込むかが非常に重要であり、特に公債費が将来世代に与える影響については、財政運営を行う上でも適切に把握し、管理していく必要があるものと認識しています。こうしたことから、長期的な公債費の償還計画も視野に入れながら、5年間を期間とする
中期財政見通しを策定していますが、その際、大型事業の実施に伴う公債費の増加や、人口減少による市税や交付税への影響、高齢化による
社会保障経費の増嵩のほか、
生活インフラを維持するための通常の投資事業なども織り込んだ上で財政見通しを策定しています。直近の平成30年度に策定した
中期財政見通しにおいては、大型事業が本格化することで、令和3年度までは歳入歳出ともに高い水準で推移し、一部の年度においては、財政運営のための基金を活用しながらの財政運営となる見込みですが、今後5年間においては、財政運営のための基金は200億円程度を維持できるものと見込んでいます。また、
臨時財政対策債を除く毎年の
地方債償還額につきましては、今後のピークを令和6年度の180億円と見込んでいますが、これは過去のピークであった平成13年度の306億円の6割程度であり、額にして年当たり126億円下回っていることから、
市民サービスを低下させることなく、必要な施策に取り組むことができるものと考えています。
今後についても、将来にわたって健全な財政運営を行うために、後年度の負担を適切に把握しながら、
市民サービスの向上と未来への投資にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)=
5
◯企画財政部政策監(酒井英生君) ご質問の1点目、岬の教会についての(1)
県庁舎跡地の遺構の重要性に対する見解についてお答えいたします。
1571年に6町による町立てが行われて以降、
県庁舎跡地は岬の教会や、江戸時代は
長崎奉行所西役所が建てられ、幕末には西役所内に海軍伝習所が開設されるなど、長崎発祥の礎となった場所であり、また、その後の長崎発展の場所ともなった歴史的に重要な土地と認識をしています。さらに、地理的にも出島に隣接し、中心商業地に近く、まちの活性化に資する重要な場所であるということも認識しております。一方、
県庁舎跡地の遺構については、平成22年度に確認調査が実施されており、旧
県庁舎本館部分に近世をさかのぼる埋蔵文化財が残存する見込みは乏しいとの見解が示されております。
県庁舎跡地活用については、平成26年に
県庁舎跡地活用検討懇話会から
ホール機能が
主要機能候補の1つとして提言されたことから、
県庁舎跡地での長崎市の新たな
文化施設整備について、県市で協議してまいりました。そして、昨年11月に旧
県庁舎本館跡地部分において新たな文化施設を整備することや、石垣については現存する貴重な遺構であることから、これを保存することなどを共通認識として確認しております。なお、県においては、
県庁舎跡地の遺構について、平成22年度と今回予定している確認調査により、おおむね遺跡全体についての確認ができるものと説明をされています。その上で、県では現在進められている解体工事において、
埋蔵文化財専門職員を常時立ち会わせ、慎重に遺構・遺物の有無の確認をされています。建物が解体撤去された後も、専門家の意見をもとに必要な確認調査が実施されます。こうした調査の結果、重要な遺構が発見された場合には、その価値を評価し、さらに詳細な調査が必要な場合は、本格的な調査の実施を検討するとされています。県において以上の見解が示されていますが、市としてもしっかりとした調査は必要と考えており、県に対し、新たな文化施設の
整備予定場所の地下埋蔵物についての価値判断を求めているところです。
次に、ご質問の1点目、岬の教会についての(2)
市文化ホールの建設場所についてお答えいたします。
県庁舎跡地における新たな
文化施設整備の検討について、これまでの経過からご説明いたします。平成25年1月に、公会堂について建物の老朽化や耐震性能の不足並びに文化施設としての機能面の不足などから、公会堂は解体し、新たな文化施設により市民の
芸術文化活動の発表、鑑賞の拠点を確保すること、それから新たな文化施設の整備場所については、現市庁舎跡地を念頭に考えていることを市の方針として決定し、公表いたしました。その後、平成26年に県が設置された
県庁舎跡地活用検討懇話会から、
県庁舎跡地活用策として、
ホール機能、
多目的広場機能、歴史・
情報発信機能の3つの
主要機能候補が提言されました。あわせて、その提言において、長崎市の新たな文化施設など周辺の施設との機能分担について十分配慮の上、検討することとされています。この提言を踏まえ、長崎市は新たな文化施設については近隣での重複を避け、効率的に整備できることや、現市庁舎跡地への建設と比較して、
市民文化団体からの早期の完成の要望に応えられること、
県庁舎跡地に、より一層のにぎわいを生み出すことができることなどから、長崎市が検討している新たな文化施設と県の懇話会提言の
ホール機能について調整できるのではないかと考え、県に対し、1,000席から1,200席の規模で音楽や演劇に利用できる多機能ホールを提案しました。その後、平成28年2月に県議会において知事より、広場、交流・おもてなし、
文化芸術ホールの3つの機能を中心に検討したいとの考えが示されました。途中、県において
交流拠点施設の動向を見きわめる必要があると判断され、協議が中断した時期がありますが、昨年11月に市が運営する新たな文化施設を旧
県庁舎本館跡地に整備することなどを県市の共通認識として確認したところです。
長崎市としましては、市民や文化団体の皆さんのニーズに応えられるさまざまな文化発表の場、あるいは
文化芸術鑑賞の場として、質が高く、誰もが使いやすい施設となるよう、新たな文化施設の整備を着実に進めてまいりたいと考えております。公会堂廃止から4年以上が経過し、一日も早い施設整備の要望を受けておりますので、早期整備が見込める
県庁舎跡地において、県と協議を進めているところです。
以上でございます。
6
◯文化観光部長(股張一男君) ご質問の3点目、市の財産処分についての(1)やすらぎ伊王島の売却のア.処分の経緯と透明性についてお答えいたします。
やすらぎ伊王島につきましては、旧伊王島町時代の平成元年に
伊王島スポーツリゾート開発株式会社が
ルネサンス長崎伊王島を開業しましたが、その後の経営難により廃業するに至りました。その後、旧伊王島町が町有財産として同施設を取得し、現在の
株式会社KPGHOTEL&
RESORTの前身であります
株式会社ケーピージーエコロジックリゾート・長崎が管理運営を行い、平成15年7月に営業を再開しました。再開当初は収支赤字になるなど非常に厳しい運営状況でございましたが、平成15年度に同社がみずから温泉井戸の掘削及び温泉設備の整備を行い、天然温泉の供用を開始することで集客に努め、経営改善を図りました。また、
株式会社KPGHOTEL&
RESORTは魅力的な商品造成や広告、宣伝を積極的に行うことで、着実に利用者数や収益を確保するなど、地域経済の活性化に寄与してきました。雇用の面でも、平成28年4月の時点では203人を雇用し、その従業員全てが長崎市からの雇用で、そのうち50人が伊王島、高島からの雇用であるなど、地元雇用に積極的に取り組み、地域に大きな貢献を果たしてきました。
議員ご指摘のやすらぎ伊王島の売却の経緯でございますが、やすらぎ伊王島のような長崎市の宿泊施設は、本来、民間事業者に任せるべき分野であり、民間移譲による自由度が高い効率的な運営のほうが地域の活性化をより推進できることや、平成14年度から平成26年度までの長崎市への
利用料金受入金と市の施設整備や維持補修に係る経費の差引額が約10億4,700万円のマイナスであり、さらに当該施設の老朽化に伴い、今後の維持補修や施設整備に多額の費用が必要となり、市の財政負担が大きくなることが懸念されたことから、平成26年度から民間移譲について本格的な検討を開始いたしました。次に、売却額でございますが、まず、市有財産は適正価格での売却が原則であり、長崎市では
鑑定評価額を適正価格としております。ただし、この適正価格によりがたい場合は、地方自治法第237条第2項及び同第96条第1項第6号の規定によりまして、財産の減額譲渡として議会にお諮りし、議決いただくことで、適正価格から減額して売却することが認められております。やすらぎ伊王島につきましては、平成27年度に13億1,000万円の
鑑定評価額が示されましたので、その額が適正価格でございます。しかしながら、
施設売却時点で長崎市が実施すべき施設整備に係る経費が約9億6,800万円残っており、また、今後の地域の観光振興及び雇用確保の観点から、売却後10年間の事業継続を条件としていたことから、向こう10年間で新たに必要となる
施設整備費2億1,500万円、合わせまして約11億8,300万円が売却後の
施設整備費として必要でありました。そこで、本件においては、市の政策的な判断によりまして、
鑑定評価額13億1,000万円から、今後、長崎市が実施すべき施設整備に係る経費約11億8,300万円を減額し、その額が減額要素のない土地の
鑑定評価額を下回るため、土地の
鑑定評価額相当4億3,600万円を売却額としたものでございます。つまり、今回の場合、
適正価格そのものを変更したわけではなく、適正価格を市の政策的な判断により減額し、適正価格によらない額で売却することから、財産の
減額譲渡議案として議会にお諮りし、議決をいただいたものでございます。やすらぎ伊王島の売却に当たりましては、平成27年11
月市議会定例会の
所管事項調査において、やすらぎ伊王島の老朽化に伴う施設整備の負担増の状況や、移譲の考え方、
株式会社KPGHOTEL&
RESORTとの交渉の現状とともに、売却額の考え方を事前にご説明し、その後の平成28年2
月市議会定例会の公の施設の
廃止条例議案の審議におきましても、売却額の考え方、民間移譲に係る方針、売却先の選定の理由、売却予定時期や売却予定額などをご説明させていただくなど、説明を尽くしてまいりました。そして、最終的には、平成28年6
月市議会定例会に財産の
減額譲渡議案を提出し、民間移譲に係る方針や売却先選定の理由、売却後10年間の禁止事項や地元雇用の確保などの売却条件、そして物件の現況、契約方法をお示しし、さらに先ほどご説明いたしました売却時点及び今後必要と見込まれる維持補修・整備の費用約11億8,300万円を考慮し、土地・建物を含めた施設全体の
不動産鑑定評価額13億1,000万円から減額し、土地のみの
不動産鑑定評価額相当4億3,600万円で譲渡することをご説明させていただいた上で、適正価格によらず財産の譲渡を行う必要性と妥当性をご審議いただき、議会の議決をいただいております。
このように、やすらぎ伊王島の売却については、地方自治法に基づく財産の
減額譲渡議案の考え方にのっとりまして十分にご説明し、透明性を図ってきたものと考えております。
次に、同じく3の(1)やすらぎ伊王島売却のイ.外部の専門家の意見聴取についてお答えいたします。
先ほどもご説明いたしましたが、市有財産は
鑑定評価額での売却が原則でございます。したがって、適正価格である
鑑定評価額そのものを修正または変更し、それを最終的な適正価格とみなす場合であれば、外部の専門家の意見などを聴取する必要もあろうかと考えます。
しかしながら、今回のように適正価格を政策的な判断の上で減額し、適正価格によらない額で売却しようとする場合、地方自治法第237条第2項及び同法第96条第1項第6号の規定によりまして、財産の
減額譲渡議案を提出し、議会でお諮りし、議決いただくことで売却が認められます。したがって、外部の専門家の意見聴取はしておりません。
以上でございます。
7 ◯32番(浅田五郎君) 初めに、不動産の伊王島の問題についてちょっとお尋ねをいたします。
今、部長のほうは適正な評価をして議会の承認を得たからということを言っていますけど、問題は、あなたたちがお願いをして、鑑定士が13億1,000万円の評価をしたわけです。それはなぜかというと、あなたたちが議会では言わなかった、平成28年のときに、建物のホテルなんかは、例えば耐用年数なんか本館は21年間もあるんです。別館でも15年あると。凪の音ホテルでも11年間耐用年数が残っているわけです。そうしたものの収益を考えていくならば、この方たちの13億1,000万円というのはあながち間違いじゃなかったわけです。そのことをあなたたちが勝手に自分たちの判断だけで、これは4億3,600万円の土地だというけれども、それはやはり税金を納めている市民の財産であるものに対して、軽々しくこういった値段をしたのはどういうことかということを私が尋ねているわけなんです。
あなたたちは、議事録をずっと読ませていただいても、耐用年数の問題等についての具体的な説明もないままに、議会の承認を得たと言っていますけれども、私は議会に責任を持たせるんじゃなくて、あなたたちがもっと真剣に考えなければならないことがたくさんあったんじゃないかと思うんです。例えば、固定資産税のほうの鑑定に、専門家の意見を入れなかったというんだけど、もっと大事なことは、長崎市有財産評価委員会があるわけです。この方々も審議した。ところがこのメンバーは、
不動産鑑定士を初め、外部のそのような専門家は1人も入っていないんです。市の職員だけの長崎市有財産評価委員会なんです。みんなでぐるになってどうしたのか、利権が走ったのかはわからないけど、13億1,000万円という鑑定士がはっきり出した数字より4億3,600万円に下げて売買したとは、一体何なのかということなんです。そのことを私は重要視しているわけです。皆さん方が財産の管理している、要するに長崎市有財産評価委員会をしていて、ここだって1人だって公定の専門家の
不動産鑑定士もいないんですよ。それからほかのそれに類する専門家も入っていない。みんな市の職員だけなんですよ。そんな中で、これは4億3,600万円だとあなたが言ったり、市長が言ったり、副市長が言ったら、部下はそう言わざるを得ないでしょう。なぜもっと真剣に財産の価値を評価し、13億1,000万円の評価した鑑定士の人格とか名誉とかいうものは全くあなたたちは無視しているんですよ。少なくとも、あなたたちはこの方にお金を払ってやったわけですから、この方々の資料もいただいたけれども、この問題については、やはりおかしいと言っています。その辺についてはどうですか。
8
◯文化観光部長(股張一男君) 再質問にお答えいたします。
先ほども答弁しましたとおり、やすらぎ伊王島につきましては、
施設売却時点で長崎市が実施すべき施設整備に係る経費、それから事業の継続条件であります売却後10年間において新たに必要となる
施設整備費が見込まれたことから、そういったことから適正価格からこれらの要素を減じた額で売却をしております。仮に議員が言われるように適正価格自体、つまり
鑑定評価額自体を変更する場合には、議員ご指摘のとおり、再度の
不動産鑑定士への意見聴取などをやる必要もあっただろうとは思いますけれども、今回につきましては、先ほど申し上げましたとおり、適正価格を変更したわけではなくて、市の政策的な判断により、適正価格から減額した額を売却額としようとしたことから、先ほど申しました地方自治法第237条第2項及び同第96条第1項第6号の規定によりまして、財産の減額譲渡として議会にお諮りしたものでございます。
そのようなことから、先ほど長崎市有財産評価委員会の件もありましたけれども、本件につきましては、専門家の意見を聴取する必要はなかったものと考えております。
以上でございます。
9 ◯32番(浅田五郎君) このような財産の処分であるがゆえに、専門家の意見を聞かなきゃならないんです。あなたたちの部下と職員だけで長崎の財産を自由勝手にやられたら困ってしまうんです。こういう問題だからこそ、あなたたちは専門家の声を聞く。その証拠に、専門家にお願いして13億1,000万円の数字を出していただいたじゃないですか。それを無視して、あなたたちは今度は身内の長崎市有財産評価委員会で4億3,600万円ですよ。こんな市民の税金を無駄遣いして売買することはあり得ないですよ。だから長崎の一般市民にしても、経済界の人たちも、おかしいんじゃないのかなと言っているわけです。
1つ、さらにあなたに尋ねます。指定管理者だからといって、公の普通財産を特別に随意契約で取引していいのかどうか、これも問題でありますが、これについてどう思われるか。さらに、財産を購入する場合は、買い手はこのくらいの値段でとか、あるいは財産を購入するにはいろいろ買い手の意見があるでしょう。どの程度の数字を出していただきましたか。それについてちょっとお尋ねいたします。
10
◯文化観光部長(股張一男君) 再質問にお答えいたします。
まず、今回、
株式会社KPGHOTEL&
RESORTを非公募というか、随意契約ということに最終的になりました。この理由でございますけれども、1つは、同者がやはり開発当初から収支赤字になる、そういった厳しい運営状況の中で、みずから温泉井戸の掘削、それから温泉設備の整備、これを行って、天然温泉の供用を開始して、大きく経営改善に努めたという実績、また、同者は魅力的な商品造成、それから広報宣伝等を積極的に行うことで、着実に利用者数をふやしていったという中で、雇用の面でも、先ほど申しました平成28年4月の時点では203名を地元から、いわゆる長崎市から雇用していたという、地元雇用に積極的に取り組み、地域に大きく貢献したというところが大きな理由でございます。それから、相手との交渉の中で提示された額ということでございますけれども、向こうの
株式会社KPGHOTEL&
RESORTから、一旦、口頭で額はいただきました。しかしながら、それは鑑定評価書もいただいたわけでもございませんし、我々も、先ほど浅田議員がおっしゃったとおり、市費を投じて
鑑定評価額をやったわけです。その額が13億1,000万円という、これがまさに鑑定士が良心に基づいて出された額ということで、我々はそれを適正額と受けとめております。その後は政策判断により、まさに減額したという経過でございます。
以上でございます。
11 ◯32番(浅田五郎君) あなたは、今、そういう言い方をするけど、経済界が福岡から長崎に進出してくるわけですから、それは民間人が関西から長崎に進出しようとするには覚悟が要りましょうから、温泉を掘ることも必要でしょうし、あるいはホテルをちゃんとやることも必要でしょうし、長崎に遊びにくるわけじゃないんですから、やはり金かけて、投資して、長崎に金もうけしようとやってくるわけですから、ならば、長崎の職員を雇ったというけど、それは大阪から雇うわけにいかんでしょう。要するに、長崎にたくさんの仕事は進出してくるけど、全部長崎の労働者の時給が安いから、長崎に来るということも忘れないでください。少なくとも、長崎市で職員を雇ってというのは当たり前じゃないですか。どこから連れてくるか、大阪から連れてきますか、福岡から連れてきますか。伊王島にそれだけ働く人がおれば、50人どころじゃない、100人でも200人でも、全部伊王島から雇うでしょう。それを貢献度なんていう必要ないんですよ。相手は経済で進出してくるわけですから。金もうけしようと思って長崎に出てくるわけですから。平等公正で透明であるかということが問題なんです。
今、あなたの話を聞いておったら、少なくとも、そういうところに随意契約でやったというのは、これもおかしいなと思うんだけど、それは指定管理をやっていただいたということでよしとするにしても、私は、昨日、長崎市職員の方と連絡とって、じゃ、相手の
株式会社KPGHOTEL&
RESORTは幾ら予算組んで大体考えてきたのと聞きましたら、9億9,000万円の値段をつけていますよ。それをあなたのところは4億3,600万円なんですよ。相手は9億9,000万円の価値があるということを認めているんですよ。市の職員に私がきのう連絡とったわけだから、うそでも何でもないわけです。少なくとも、この会社が大阪から長崎に来てやろうとする覚悟を決めた以上は、この評価がどのくらいするかということははっきりしていますよ。自分たちで鑑定士を雇うでしょう。鑑定書を持ってきていないかもわからないけれども、少なくとも9億9,000万円の値段をつけているんですよ。それをあなた方はそれよりさらに5億円も安く、4億3,600万円で売っているんですよ。一体何ですか。しかも、そこには、あなたが言うように、その長崎市有財産評価委員会に責任者というのは誰もいないでしょう。みんな市の職員じゃないですか。市の職員だけで財産の評価をすること自体が市民に対する冒涜ですよ。
市長、このことについてどう思われますか。私と部長とのやりとりの中で、あなたが管理する市有財産がこういう形の中で相手にわたっている。相手は一生懸命仕事をしているから、その方に対しては申しわけないけれども、事実は事実として、長崎市の財産がどのような形で処分されるかということだけは、きちっと我々議会人の1人として、これはしっかりしてもらいたいと思うんで、市長のご意見を聞かせてもらいたい。
12 ◯市長(田上富久君) 浅田議員の再質問にお答えいたします。
先ほどから文化観光部長が説明させていただいておりますように、経過、また理由等も含めてご説明させていただきました。法令に基づいたきちんとした議会との手続も経て決定したものであって、そしてその手続にのっとってこれまで進めてきたものと考えております。
以上です。
13 ◯32番(浅田五郎君) 最終的には議会が承認したからということで逃げようとしているけど。〔発言する者あり〕私は、このことは司法の皆さん方とも相談しながら、長崎のこの問題については、しっかり今から調査していきたい。そのことだけは申しておきます。
余りにも田上市政の長崎市有財産の取り扱いが極めて不明瞭である。考えてみてくださいよ。財産の、それを管理するというのか、意見を述べ合う委員会のメンバーが、土地の関係の鑑定士もいなければ専門家もいない、市の職員だけですよというんです。そんなことがあっていいのかどうか、そういうことを含めて、今後、この問題についてはきちっとさせてもらいたい。
議会にしても、議会が何でもかんでも承認したから仕方がないんだという、議会に責任を負わせるようなことはやめたほうがいい。もう少しやはり正々堂々とやるべきだと思います。
次に、先ほど長崎市の岬の教会について、部長は市長の対応を受けてあるんでしょうけれども、市長、岬の教会について、今、多くの方々が実は皆さん方に対してお願いをしているじゃないですか。各種団体が皆さん方にお願いし、それぞれ経済団体、あるいは高見大司教あるいは片峰前学長、そうした方々が、もう一度、県庁跡地については十分審議させてほしいということを言っているんです。そして、そういう中で、時間をとるからといって、MICEのときのあの
文化ホールがどういう形になるかということで、昨年の11月まで凍結されておった。何とかあなたのほうが形をつけてから、市長とそういう話ができたと思うんだけれども、さらにその後、こういった県庁跡地をどう考えるかという会ができて、高見大司教だ、あるいは片峰前学長だとか、考古学会の方々、それから長崎大学医学部の教授であるかつての小島の養生所残す市民の会の皆さん方、多くの方々が、少なくともあそこはもっともっと長崎の財産として、1つの
文化ホールでなくして、違った形でこれを残すべきじゃないのかと。先ほど私が申しましたが、要するに今度の法王が所属している
イエズス会の歴史から考えてみても、今、あそこに文化ホールを建てたほうがいいのか、やはり違った形であそこを生かしたほうがいいのかということについては、部長の話でしたけれども、あなたのご意見もちょっと聞かせてもらいたいなと思うんですが、どうですか。岬の教会を含めて、あなたがあの場所をどのように、個人としてでもいい、市長としてどのように考えているのか。いや、文化ホールでも結構なんですよというものか、やはりあそこは時間をかけてでも、長崎の歴史のスタートの地点であるならば、ひとつ時間を置いてというよりも、長崎市もここに建てようとしていたんだから、ここでもいいじゃないかというぐらいのお気持ちになっていないのか、その辺、どうですか、お尋ねいたします。
14 ◯市長(田上富久君) 浅田議員の再質問にお答えいたします。
県庁跡地のある場所が歴史的に長崎市にとって非常に重要な場所であるという認識は、これは長崎市民の皆さん共通の認識でもあろうと思います。そういった中で、県庁跡地をどういうふうに活用していくのかという議論は、これまでも特に所有者である県を中心にさまざまな議論が進められてきました。
そういった中での経過については、先ほど政策監からお話をさせていただいたとおりですけれども、そういった中で、県庁が建っていた部分の内側に文化施設をつくるということで、今、解体工事が進められていくわけですけれども、発掘・埋蔵物調査についてもしっかりとしていただくという形になっております。また、その埋蔵物が出てきた場合の価値の判断についても、しっかりとしていただくということを市からもお願いさせていただいております。そういった中で、今後のさまざまな作業が進んでいくものと考えております。
以上です。
15 ◯32番(浅田五郎君) 私は市長に、少なくとも岬の教会という歴史的な場所があるだけでも、あの県庁跡地というのは長崎の大きな売りの場所になるんじゃないかと思っているわけです。交流人口を求めてMICEなんかをつくろうとしているあなたが、こういった場所に文化ホールよりも、公会堂を見てもわかるように、行事があるときは夜でもライトがつきますけど、普通はあいてないんですよ。真っ暗なんですよ。第一、地元の江戸町商店街も築町商店街も、皆さん、本当に
文化ホール反対していますよ。あなたは住民投票なんかで、そういうことを消してしまったから、本当の意味での声は聞いていないと思うんだけど、やはりあそこは岬の教会としての歴史、このことを私は、今あなたは真剣に考えなければ後悔するんじゃなかろうかなと思うんです。あなたがただ一言、私ども長崎市としては
文化ホールはそこはご遠慮申し上げて、長崎市役所跡に建てますと、そう言うと、もっともっと違った角度であの調査ができるでしょう。例えば、遺構がという話が出ますけど、二十六聖人、あそこには26人の十字架の遺構というのか、これがそのときつり下げた十字架だという十字架はないんです。十字架を立てた穴もないんですよ。何もないんです。そのかわり、あそこは長崎県は文化財に指定している。しかも、この二十六聖人にどういう努力があったかというと、
イエズス会の皆さん方が、あの2,500万円の募金が集まらない。当時、北村徳太郎先生がこの会長で、田川務市長が副会長をしてこの募金を集めたと。2,500万円の金はなかなか集まらなかった。そこで、
イエズス会がその募金を全部出したと。そして、そのかわりに、その裏に、今、2つの塔ができて日本二十六聖人記念館が建っておる。その土地を市は提供した。そして、今、その公園のそういったプレートなんかは、全部長崎市が財産として
イエズス会から寄贈していただいて、今の二十六聖人のあの公園があるわけです。遺構とは、少なくとも敷石があったとか、がけがあったとか、そういうもんじゃないんですよ。この岬の教会はあそこに岬の教会があったというだけで価値があるんです。
この中にはカトリック教の信者の方がおられましょうけれども、私はその方々みんなそう思っていらっしゃるんじゃないかと思うんです。少なくとも、あそこから長崎の宗教の、あるいは全国へ宗教が普及していったことは事実なんです。ですから四ツ谷にある
イエズス会の教会には、そういった絵がたくさんあるんです。
私は岬の教会というのは長崎の財産として残すべきだと、そのように考えておりますが、もう1つ、市長の意見を聞かせてもらいたい。
16 ◯市長(田上富久君) 浅田議員の再質問にお答えいたします。
先ほど申し上げましたように、県庁跡地の場所というのは、県庁跡地から今の市役所あたりまでというのが、長い岬があった場所、その突端でありまして、まさしく長崎という地名の由来にもなったという説がある場所でもあります。そういう意味では、あの場所はこれからも長崎のある意味での発展の礎になった場所、あるいは長崎が世界の歴史に登場していく発祥の場所になったところということで、今後とも長崎にとって重要な場所であると思いますし、市民にとっても大事な場所であると思います。今回、石垣が保存されるという方向性の中で、また、出島表門橋のほうから見たときにも、出島があって、石垣が見えるといったような風景というのは、やはりそういった長崎の歴史が始まったころの歴史を思い起こさせるものになっていくと思いますし、また、あの場所が今後の未来に向けても市民の皆さんに親しまれ、また活用される場所となっていくように、県のほうでも考えていると思いますけれども、市としてもいろいろな形、今回、文化施設ということになれば、それも活用しながら、多くの皆さんがあそこに親しみ、また、あの場所の意味を知りながら、今後、長崎の未来のまちづくりをしていく、そういった場所として市民の皆さんにも親しんでいただけるように、市としてもいろいろな努力をしていきたいと考えております。
以上です。
17 ◯32番(浅田五郎君) 今、市長の答弁を聞きまして安心いたしました。ただ単に公会堂の代がえの
文化ホールでなくして、県がいろいろ考えておりますので理解できるというような話でしたので、十分理解をしたいと思います。
7月12日に長崎大学が環境科学部国際交流プログラムとして、2019年長崎まちづくりインターンシップ発表会をやるわけです。この中に恐竜博物館と
長崎県庁跡地広場計画が出ているんです。市の職員はこれを知りませんでした。私は大学の教授と話しましたら、何を言ったかというと、文化ホールだけじゃないんですよと。あそこにはいろんな申し込みとお願いがあっておりますと。例えば長崎大学の医学発祥の地だということのコーナーも必要でしょうし、県産品を売買するような場所も必要でしょうし、いろんなことを、私ども、この大学の人は考えているから、こういうことをやるといっているんです。ですから、長崎県から頼まれたんですかと聞いたら、はい、長崎県からそういうことをやってほしいということだったということです。だから、私は長崎市が文化ホールを県庁の代がえ地じゃなくして、もっと違った角度で長崎県は長崎県として考えているのかなと。長崎市ははしごを外されているんじゃないのかと逆に心配しているんです。ですから、もう少し、やはり県市協調の中で、少なくともあそこが岬の教会という価値が出てくれば、もうあそこに
文化ホールなんか建てないで、ここに建てますといえばいいんですよ。そのことが長崎市として、人口減の激しい長崎が交流人口をふやすための大きな力になるんじゃなかろうかと思っておりますので、くれぐれもよろしくお願いいたします。
あと4分しかありませんが、私は長崎市役所の問題が残っておるんですが、これはこれから審議されますので多くは申しませんけれども、長崎市役所の跡をどうするかというのは、私は
文化ホール以外はないと思っているんです。ただ、公会堂を既に壊しただけに、その辺がちょっと問題があるのかなと私は考えているんです。ですから、片一方で資産を残しながら、あれは戦後復興のあかしである公会堂とか水族館とか図書館だとか、そういった一連のものなんです。県立図書館も大村へ持っていかれた。公会堂もなくなった。そして、今、右往左往をしておると。そういう中で、長崎市が、今、何が足らないかというと、グランドデザインがないんです。長崎をどうするのか、どんなまちにするかということは、あなたは人間都市だとか世界都市だとか言っておるけれども、それよりも高層の建物を建てるような平地を、少なくとも市有財産としてきちっとこれから管理してもらいたいと思うんです。例えば、公会堂を壊して市役所を建てるから何が起こるかというと、あそこの公園の代がえ地が市役所の別館なんです。金額にして約10億円。この10億円の土地がそのまま公園化されていることは、ほとんど市民の方は知らないんじゃないかと。公会堂がなくなってしまって、市役所が建ったら、代がえ地としてこの別館の跡地は公園になるんですよと。6メートルほどの高低の高い公園になる。そういうことになるし、例えば、今は一方通行で上からしかおりられないけれども、今度は市役所のできる下から上らなきゃならないと。そのために民有地を買収しておる。それが8億円かかるんです。そういう金が思いつきみたいな形で、やれ、公会堂に、市役所が何だかんだというだけで、そういった金がたくさん使われているんです。商工会議所跡地、あれは市役所の財産です。あるいは、今、水産農林部がある金屋町の土地も長崎市の財産で、こういった財産をどうするのかというのは、これからですというような形の中での県庁の移転もだめでした。市役所をという話もありました。しかし、そのように、私は長崎で何が欠けているかというと、そういったグランドデザインが全くないんです。そのことを最後の4年間できっちり仕上げするのは、MICEをつくるとか、19階を建てるとか、そういう問題じゃなくして、やはりグランドデザインをつくらなきゃならないんじゃないかと、そのように私は考えております。
教育問題について、時間がありませんが、次の機会に、教育厚生委員会のメンバーでありますが、やりますが、教育長、言葉だけ残しておきますが、要するに教科書の問題なんですが、教科書というのは文部科学省が認めているからいいというんじゃなくて、子どもたちに与えるためには、無償であるがゆえに責任ある教科書を与えなければならないと思うんです。自虐悲観的で日本人はだめなんだ、だめなんだというような教科書を採用されては困るわけで、そういった教科書が今まで使っていた教科書なんです。そのことも念頭に置きながら、この8月31日まで教科書の検定がされます。採択がされます。そのときにひとつ皆さん方の声を全部集約しながら、きちっとした教科書の採択をしてほしいということだけを申し上げておきたいと思います。改めて議会の委員会でその問題については尋ねていきたいと思います。
ご清聴ありがとうございます。これで終わります。
18 ◯副議長(梅原和喜君) 次は、5番山谷好弘議員。
〔山谷好弘君登壇〕
19 ◯5番(山谷好弘君) 初当選で初質問をいたします。市民クラブで立憲民主党の山谷好弘でございます。
私は昨年12月末まで長崎市役所に勤務しておりました。大学卒業後、民間企業に勤め、その後、平成11年に伊王島町役場に就職し、長崎市との合併により約20年、長崎市職員として長崎のまちづくりに取り組んでまいりました。伊王島町は町民数千人の小さな町で、町民の誰もが知り合いという間柄で、身近な問題からさまざまな要望に応えておりましたが、長崎市役所に来まして、45万人都市という事業の大きさに圧倒され、一つ一つの事業が市民の皆様にどれだけご理解いただけているのか、はかり知れないところもございました。田上市長が施政方針で掲げる今後の市政運営において大切にしたいことの1つに現場の大切さがあります。全ての職員があらゆる場面で現場を大切にする意識を強く持って取り組んでいきたい。そのためには、職員が元気で笑顔で働ける環境を整えることは、
市民サービスの向上につながるとても大切なことであると私は考えます。
新しく議員になって、実は新人議員同士で長崎のまちを考えるための令和会を結成いたしました。会派、党を飛び越え、お互いが切磋琢磨できる場ができましたので、こちらにいらっしゃいます大勢の先輩議員のご意見を聞きながら、また、教えを聞きながら、令和の新しい時代から、まずは市役所が活気あふれる明るい職場として、そして、暮らしやすい長崎、若者に選ばれるまちを目指して頑張りますので、よろしくお願いいたします。
本日はたくさんの市民の皆様がご傍聴にお見えになっておりますので、市長を初め理事者の皆様のわかりやすいご明解なご答弁をお願いいたします。
まず第一は、市職員の働き方改革についてであります。
私は、働き方改革の鍵は、1人の職員が1つの事業を担当するという仕事のやり方ではなく、例えば5人組のチームで5事業を担当し、みんなで知恵を出し合い、事業を推進するようなチームプレー、そういったものが大事だと考えております。このほかにも、事務処理のAI化やペーパーレス化などといった、これらの働き方を変えない限りは、たとえ時間外勤務を制限したとしても、隠れ残業や仕事の持ち帰りなど、職場からの過労死、メンタル疾患をなくすことはできないと考えております。
長崎みなとメディカルセンターに勤務しておりました男性医師が死亡したのは、過重な労働時間の改善を怠ったためとし、判決は男性の業務を過重とした上で、業務と死亡には因果関係があると認定した新聞の記事は、皆さん、記憶に新しいところでございます。
国は昨年6月、働き方改革の一環として、法律で原則月45時間、年360時間の残業時間の上限を設け、本年4月から適用になっております。臨時的な特別な事情があり、労使が合意する場合でも、年720時間以内、1カ月は休日を含め100時間未満、2カ月から6カ月のどの平均でも月当たり休日労働を含めて80時間を限度とする必要があります。原則45時間を超えることができるのは年間6カ月までです。
言うまでもなく、働き方改革の大きな目的は、労働者の仕事による過労死やメンタル疾患を出さないための残業規制であり、職員一人ひとりに過重な精神的負担をかけない楽しい職場づくりが大切と考えます。そのためにも、理事者の皆様にはそれぞれの職場でしっかり職員の声をお聞きし、働き方改革に取り組まれますようお願い申し上げます。
まず、長崎市役所の職場環境の状況でございます。〔パネル表示〕この表は、長崎県、長崎市の残業等の表でございます。上から正規職員数、再任用職員数、嘱託員及び臨時職員数、時間外勤務の対象職員数となっておりますのは、管理職以外の職員と再任用職員でございます。5の欄にあります平成30年度の月45時間を超えた職員数は698人で、全体の22.7%になります。前年度より1.4%増加しており、6の欄にあります同じく平成30年度の過労死ラインとなります月80時間を超えた職員につきましても212人、前年度より0.8ポイント増加しております。ちなみに、長崎県は月45時間を超えた職員数は534人で全体の14.1%、月80時間を超えた職員数も全体の3.7%で、ともに長崎市よりも低い数字になっております。7の欄の平成30年度の時間外勤務手当、総時間は年間43万7,000時間、前年度より1万6,000時間、金額にして約2,100万円増加しております。8の欄の平成30年度の時間外勤務手当の総額は、決算見込み額で約11億2,000万円となります。長崎県より職員数は約700人も少ないのに、約1億円も多い、本当に残念な結果となっております。また、9の欄にメンタル疾患による10日以上の病休休暇は、平成31年4月30日現在で30人、そのうちに休職者数は15人となっております。さらに、平成30年度のメンタルヘルス相談件数は、上司からも含めて205件、希望降任者は12人です。
このような状況の中で、長崎市は、昨年度、条例を改正して、時間外勤務の上限を原則月45時間に定めました。ただ、業務内容や職員数の見直しは本当に適正に行われたか疑問が残ります。業務量が多いのか、職員数が足りないのか、なぜという疑問が残ります。
私が複数の職員にご意見をお聞きしたところ、余計な会議資料が多い、残業する人としない人のばらつきが多い、ベテラン、中堅、新人の適正な人員配置になっていない、降任希望者が多い、ペーパーレス化されていない、もともと本年4月から業務内容や人員配置の見直しが適正に行われているのかどうかなどの多くの意見がありました。ちなみに、市役所の中の平成30年度の時間外労働時間上位の所属を申しますと、1位が交流拡大推進室で1人当たり月平均81.4時間、2位が
交流拠点施設整備室で1人当たり月平均63時間、3位が設備課で1人当たり54.5時間、4位が財政課、5位が観光政策課、6位が観光推進課となっております。
それでは、改めて1つ目の質問、1.市職員の働き方改革についての(1)適正な人員配置についてご質問いたします。
平成29年度の月45時間を超えた職員数は664人に対し、平成30年度は698人で、前年度に比べふえております。また、80時間を超えた職員数についても、前年よりふえております。依然として本年4月の1カ月、ことしになっての1カ月間の時間外勤務は減っておらず、45時間を超えた職員数は163人、また、過労死ラインであります80時間を超えた職員数は34人、このように現状が変わらない中で、原則月45時間、年360時間の残業制限を本当に守ることができるのでしょうか。あるいは、守れなかったときの具体的な対応をどう考えているのかお伺いいたします。
次に、1.市職員の働き方改革について、(2)職員力の取り組みについてお尋ねいたします。
最近の若手職員は、市民による不当要求行為の対処法を知らないようで、窓口や電話で脅迫めいたことを言われ、どう対応すればよいかわからないようです。自治振興課の警察OBなどによるさすまた研修や窓口での対応実践研修などが行われていますが、クレーマーに1人で対応しているなど、対応に苦慮されている職員もいるとお声を聞いております。以前、高島行政センターで職員が刺された事件、生活福祉課に包丁を持った市民の方が来たなど、今後、同じような事件が起きないとも限りません。また、新人職員が何もわからないまま、即戦力として業務についている状況、職員力という言葉を最近は聞かなくなったというお声も耳にしています。
しかしながら、悪い話ばかりではなく、長崎市の職員の育成を真剣に取り組んでいる政策もございます。それは長崎市景観専門監の働きであり、行政に設置された景観デザインという専門的な観点から、長崎市が行う公共事業のデザインの指導と管理、それからもう1つは職員の育成というものをミッションにしております。私もその中で指導され、市役所時代に仕事にやりがいを見出した1人でございます。しかしながら、この働き方だけでは全ての職員の育成というものは追いつきませんし、専門監とお仕事を一緒にされた職員や、関連した研修に参加された職員以外の手を挙げられない職員には効果がないように感じます。
市民も職員もスムーズに気持ちのよい窓口対応ができるよう職員を研修すること、そして新人職員を入った年から即戦力として扱うのではなく、ベテラン職員や中堅職員につけ、指導しながら育てるということ、メンタル疾患により診察を受けている職員や相談している職員の職場でのフォローについてお考えをお聞かせください。
次に、1.市職員の働き方改革について、(3)36協定の締結についてお尋ねいたします。
使用者は、原則として1日に8時間、1週間で40時間を超えて働かせてはいけません。これは法定労働時間として決まっております。この決められた時間以上に労働させるためには、労働基準法第36条により労働者と協定を結ぶことが必要になります。このことを36協定といいます。残業させる場合は、この36協定を締結し、労働基準監督署長に届け出る必要があります。36協定の締結は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、このような労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者となっております。協定書の時間内に時間外労働がおさまってない場合、労働基準法第32条の違反となり、使用者には6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
公務職場であっても、労働基準法別表第1の中に、きょうは持ってきておりませんが、1号から15号の事業所、長崎市ではいこいの里、あと各事業所ありますが、そういったところは、使用者と労働者が36協定を結ぶとなっております。
私は、該当する事業者30カ所のうち数カ所を調査いたしましたが、協定書の期限は1年、時間数は法定限度いっぱいの月45時間、年360時間でございました。36協定の有効期間は1年間とされておりますので、長くても1年以内ですが、1カ月単位の締結も可能でございます。
長崎市において、1号、3号、12号から15号までに掲げる事業に従事する職員及び組合員は使用者と36協定を締結し、監督機関に届け出る必要がございます。そこで、この36協定の締結に当たり、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合、いわゆる使用者と職員が締結している場合の代表者の選出方法及び締結後の労働者への周知をどういうふうにやっているのかお聞かせください。
次に、2.花のあるまちづくりについて、(1)桜まつり期間中のライトアップについてお尋ねいたします。
ことしの桜は雨が少なかったこともあり、3月下旬から4月中旬まで花見を楽しむことができました。また、長崎の主な名所である立山公園では、夜遅くまで夜桜を楽しむ市民でにぎわっておりました。市民からは、夜桜をもっと楽しむために、桜のライトアップ事業ができないかなという声が多く上がっております。長崎県内では大村公園が桜の名所として有名ですが、ここでは桜まつり期間中にライトアップを行っております。〔パネル表示〕このフリップは大村公園のライトアップの様子でございます。ライトアップはポール型のライトアップの器具で桜を一本一本照らして、約10メートル間隔でそれを設置しております。金額は30万円から50万円とお聞きしております。先日、大村公園に調査にまいりましたが、先ほども申しましたけど、10メートル間隔でライトアップで照らして、白い桜の花がひときわ浮き上がって、昼間とはまた趣が違う風情を感じることができました。
長崎市の桜の名所として立山公園の桜のライトアップ事業について取り組まれるお考えがないのかお尋ねいたします。
次に、2.花のあるまちづくりについて、の(2)ながさき紫陽花(おたくさ)まつりについてお尋ねいたします。
田上市長が施政方針で掲げる「夢のある長崎を市民の皆さんと一緒になってつくる」、これからはまさに市民主体の取り組みが求められるのではないでしょうか。先日も新聞の投書欄に紫陽花(おたくさ)まつりに対する市民の声がございました。祭りと銘打つにはほど遠い。眼鏡橋周辺にフラワーポットに植えられたアジサイが少し飾られているだけで、観光客の方も「がっかり、これで祭りとはね」とぼやいておられました。市民からはもっと市民ぐるみの大がかりなお祭りにならないかというご意見もございます。しかも、近くの花壇は雑草が生えておりました。
ここにもきれいなアジサイが飾っておりますが、アジサイは長崎市の花です。シーボルトがハイドランジア・オタクサという名前をつけて世界に知らせた花です。この長崎LOVERSにフラワーズというのをちょっと書いてますが、私も花が好きです。ハウステンボスなどでは、アジサイの祭典が開催され、1,250種類のアジサイが咲き誇っております。私もまちなかをアジサイで埋め尽くすような祭りができればなと思っております。また、紫陽花(おたくさ)まつり期間中にアジサイのライトアップや、市民の投票で紫陽花(おたくさ)グランプリを企画し表彰するなど、市民ぐるみの楽しいお祭りにしていけないかと考えております。しかしながら、市民ぐるみのお祭りを盛り上げていくためには、市役所の担当課や関係課が準備に当たるだけでは難しいと考えております。
そこで、市民一人ひとりの自分のまちをきれいにするという意識を徐々に高めていただき、あわせて地域コミュニケーションの場ともなる市民ぐるみの取り組みにしていくためにも、自治会や企業、学校などに参加を呼びかけ、アジサイの苗を市役所で準備し、参加される自治会や企業に育て方を指導し、市民の皆様に街区公園や沿道で育てていただくことを提案いたしますが、市の考えをお伺いいたします。
次に、2.花のあるまちづくりについて、(3)ながさきグリーンキャンペーンについてお尋ねいたします。
ながさきグリーンキャンペーンは、花と緑に関する理解と知識を深め、豊かな潤いのある社会の創造と文化の向上を目的として、毎年3月に開催されております。今年まで33回が開催されておりますが、平成27年度までは松山町にある市営松山陸上競技場で開催しておりました。平成28年度からは場所を浜町アーケードへ移し、期間も規模も縮小しております。キャンペーンは、「やはり野外がいい。子どもたちが乗る汽車やふれあい動物園もよかったのに」というお声も耳にいたします。
松山町から浜町アーケードに場所を変えた理由と、今後、松山競技場、あるいは三菱グラウンドの横の浦上川周辺の歩道、あるいは水辺の森公園など、期間や規模を今より拡大して開催するお考えがないのかお尋ねいたします。
以上、市長を初め理事者の皆様のご答弁の後、自席より再質問いたします。ありがとうございました。=(降壇)=
20 ◯副議長(梅原和喜君) 市長。
〔田上富久君登壇〕
21 ◯市長(田上富久君) 市民クラブ、山谷好弘議員の質問にお答えします。
まず、1点目の市職員の働き方改革についての(2)職員力の取り組みについてお答えします。
初めに、職員の育成については、長崎市では「自ら考え、自ら発信し、自ら行動する職員」を育成方針とし、特に新規採用から10年間は基礎知識の醸成期間として、毎年、研修を実施しています。その中でも、採用初年度においては、複数回にわたり研修時間を設けて、公務員として必要な基礎的内容から公用文の書き方などの実務的内容まで幅広い研修を実施しています。
職員の接遇に関する部分についても、採用後すぐに接遇の養成講座を受講した先輩職員が言葉遣いや挨拶の仕方、また、窓口や電話でのクレーム対応について、ロールプレイングを用いた研修を行っています。さらに、今年度からは強化を図る目的で、10月の後期基本研修の中でも接遇研修を実施して職員のスキルアップを図っていくこととしています。また、窓口業務がある地域センターなどの各部署においても、より業務に密着した知識の習得を目的とした研修を実施しています。
不当要求行為に対応するための取り組みについては、窓口などでの暴力に対する心構えや護身術、さすまたの使用・操作方法を身につける受傷事故防止研修を実施しています。この研修は、平成28年度までは窓口業務を担当する職員などに対して実施していましたが、平成29年度からは新規採用職員に対して実施しています。そういった中で、業務の都合で採用年度に受講できなかった職員に対しては、翌年度の研修を受講するよう設定を行い、知識と技術の習得を図っています。
新規採用職員や若手職員へのサポート体制については、長崎市ではメンター制度を取り入れています。この制度は、新規採用職員及び初めて異動を経験した職員に対して、所属の先輩職員をメンターという支援員に指名し、新規採用職員等への助言や指導を行うことで、職員が新しい環境で不安になることなく、円滑に自立していくことを目的に実施をしています。
次に、メンタルヘルス不調となった職員へのフォローの取り組みについては、管理監督者である課長、係長へのメンタルヘルス研修を通じて対応方法を習得させるとともに、心療内科医や臨床心理士による相談窓口の設置や、保健師による新規採用職員などへの個別面接を行っています。事案により対応はさまざまありますが、所属長などと人事担当職員や産業保健スタッフが情報共有を行い、対応を図っている事例もあります。
今後とも、日常業務におけるOJTによる指導や年次別の研修により職員を育成するとともに、職員へのフォローもあわせて行うことで、職員が健康で能力を発揮し、よりよい市役所となるよう取り組んでいきたいと考えています。
以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)=
22 ◯総務部長(柴原慎一君) ご質問の1点目、市職員の働き方改革についての(1)適正な人員配置についてお答えいたします。
45 ◯議長(佐藤正洋君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。37番平 剛志議員。
〔平 剛志君登壇〕
46 ◯37番(平 剛志君) 新会派、令和長崎の平 剛志です。初めての一般質問ではありますが、今回は30分という時間の制限がありますので、質問通告に基づき、安心して暮らせる公共交通の仕組みについて、(1)斜面地域・団地への公共交通確保の考え方の件に絞り質問させていただきます。市長並びに理事者の皆様の簡潔な答弁をお願いいたします。
初めに、年号が平成から令和に変わり、長崎市議会には独自のカラーを持った新人議員が8人加わり、これまでの市政を支えてきた先輩方とともに新しい4年間の船出となりました。あわせて、さきの選挙で当選し4期目を迎えた田上市長とともに、長崎市議会と市政が両輪となって、これからの長崎市の方向性を議論し、未来を担う子どもたちとって、夢と希望を持てるまちづくりに取り組まなければならないと思っております。しかしながら、現在、長崎市はさまざまな課題を抱えています。1月に総務省から発表された統計では、長崎市の人口流出が2,376人と報告がありました。人口流出は行政だけで解決できる問題ではありませんが、官民一体となれるように、長崎市がリーダーシップをとり、民間からのアイデアにも耳を傾けながら暮らしたいと思わせる魅力あるまちづくりのために、ぜひ大胆な子育て政策やAIを活用したスマートシティへの取り組みなど、次世代を見据えた政策提案に期待しています。
さて、ここから、今回、市から提案されたこれから4年間で取り組む重点プロジェクトの中の「安心して暮らせる公共交通の仕組みをつくる」についてお話しいたします。さきの5月13日に行われた市議会臨時会の市長挨拶の中で、田上市長は、長崎の未来の基盤となる経済、まちの形、まちを支える仕組みという3つの分野の進化を目指すとおっしゃられていました。今回、提案されたこれから4年間で取り組む重点プロジェクトもその3つの分野の進化版の提案ではないかと考えています。
そこで、その中にあったまちをつなげるプロジェクトの目的「どこに住んでも暮らしやすいまちにする」についてお尋ねしたいのですが、その前に少しだけ、なぜ今回この質問に至ったのかをお伝えします。平成23年、私が住む長崎市北部の斜面地にある小さな団地の自治会では、団地造成から40年がたち、住民の高齢化が進み日常生活が大変になってきました。そこで、自治会では役員会を重ね、団地内に公共交通を新設してほしいと長崎市に相談しました。残念ながら、そのときは団地の規模が小さい、利用人数が少ない、採算面から考えても運行は無理と断られました。その後、私自身が自治会長を引き継ぎ、相乗りタクシー案や公共交通空白地有償運送などを検討するなど、団地住民のための生活の足を提案したのですが、持続・継続できる方法が見つからず、その小さな団地では年数だけがたってしまい、高齢化はさらに進んでしまいました。また、現在、市内各地で進めている地域コミュニティのしくみづくりですが、私自身も2つの地域の準備委員会のメンバーとして2年前から携わり、そのほかの地域でも協議会メンバーから話を聞いています。各地域の住民話し合いの場でさまざまな暮らしの課題が出されていますが、どの地区でも話が上がるのが、暮らしやすさにつながる公共交通のこと、いわゆるコミュニティバスや乗り合いタクシーの話題が議題に上がっています。先日、話し合いに参加したとき、ある70歳代の市民に話を聞いたところ、買い物に行く、病院に行く、友だちと遊ぶなど、当たり前の生活が大変になってきたと悩みを話されていました。
坂のまち長崎には、市役所からも見えるとおり、山際の斜面にびっしりと生活のための家屋が建ち並んでいます。平地が少ない長崎のまちならではの光景として、観光客には長崎らしさとして映っていますが、現実的には斜面地で暮らす人たちの高齢化が進み、暮らしやすいまちとは言いがたい状況が年々進行しています。ただ、斜面地に暮らす多くの人は、長年暮らしてきた思い出が詰まった家屋で生涯を過ごしたいという人も多く、まさに今回のこれから4年間で取り組む重点プロジェクトの目的にありました「どこに住んでも暮らしやすいまちにする」という市が提案するプロジェクトの目的につながるわけです。
皆さんもご存じのように、斜面地が多い長崎市では、独自の取り組みとして、平成14年から市内5地区で乗り合いタクシーの運行を行っています。平成14年に住吉の丸善団地地区と矢の平・伊良林地区、平成16年に北大浦地区と金堀地区、平成21年には西北地区と、現在市内では5地区で市民のための公共交通として市のサポートを受けながら乗り合いタクシーが運行されています。この5つの地域では、年間延べ25万人が利用し、毎日700人以上が日常生活の足として利用しています。この5つの乗り合いタクシーの運営予算は合計で年間約2,000万円です。この乗り合いタクシーが運行されている地域では、住民と行政、そして地元事業者との三位一体となった取り組みが実現しているわけです。実際に運行している地域の住民の1人は、病院や買い物に行くのが楽になったと話していました。また、運行を担う地元の事業者関係者は、地域で運行する乗り合いタクシーは公共交通の要素が大きく、地元への貢献としてお手伝いをさせていただいていると話していました。それとは逆に、先日、私が同席した乗り合いタクシーの実現を目指す自治会の検討会では、自治会の住民が、団地の高齢化が進み団地内の公共交通実現は待ったなし。最近の高齢ドライバーが起こす交通事故のニュースを見ると他人ごとではない。家族からも免許返納を言われるが、急な坂が多い団地なので、日常生活を考えると免許返納に踏み切れないと言われていました。
さて、ここまで話したことを踏まえてお尋ねいたします。
市長はよく暮らしやすさという言葉を使ってお話をしますが、今まで暮らしてきた場所で生涯暮らしたいと望む多く住民にとっては、住みなれた自宅での生活がまさに市長の言われる暮らしやすさなのです。
この重点プロジェクトのミッションに掲げた「安心して暮らせる公共交通の仕組みをつくる」とは、どのような仕組みなのか。また、どのような安心して暮らせる公共交通のアイデアをお考えなのか、お聞かせください。
改めてお伝えしますが、私が市民から聞いているだけでも、外海、琴海、北陽、大園、横尾、野母崎、式見地区の住民の方が、地域住民の暮らしやすさを支える公共交通の実現を望んでいます。これから4年間、重点プロジェクトの中でどのようにこの問題に取り組んでいくお考えなのかをお聞かせください。
以上、本壇からの質問とさせていただき、答弁をお聞きした後、自席より再質問をさせていただきます。=(降壇)=
47 ◯議長(佐藤正洋君) 市長。
〔田上富久君登壇〕
48 ◯市長(田上富久君) 令和長崎、平 剛志議員の質問にお答えします。
1点目の安心して暮らせる公共交通の仕組みについての(1)斜面地域・団地への公共交通確保の考え方についてお答えします。
長崎市の公共交通の現状ですが、暮らしやすさを示す指標の1つとして、バス停や駅などから歩いていける範囲にどれだけの人が住んでいるかをあらわす公共交通の徒歩圏人口カバー率というものがありますが、長崎市は約80%で、これは全国平均の約41%、50万都市の平均である約62%と比較しても利便性が高いまちとなっています。一方で、公共交通機関を取り巻く現状は、公共交通機関の利用者数が減少し、各運行事業者は赤字路線を黒字路線の収益で補うとともに、運輸部門の赤字をそれ以外の収益で賄いながら、路線の運行を維持されている状況です。
このように厳しい状況にあっても、人がどこに住んでいても行き来しやすく暮らしやすいまちにしていく上では、公共交通のネットワークの維持は重要な課題であり、持続可能な公共交通機関へと転換していく必要があることから、長崎市としても公共交通の維持に積極的にかかわらなければならないという認識のもと、まちをつなげるプロジェクトを重点プロジェクトとして位置づけ、今後の4年間で市民が安心して暮らせる公共交通の仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えています。
地形的な制約などから路線バスの乗り入れができない、いわゆる公共交通空白地域における現在の取り組みとしては、運行事業者へ補助金を交付する形で乗り合いタクシーを5つの地区で、また、合併地区等でコミュニティバスやデマンド交通を9地区で運行していますが、利用者の減少などによって長崎市の財政負担も年々増加している状況にあります。こういった中、公共交通の維持は全国的な課題でもあり、国においても法律の改正も含めた新たな対応策が検討されています。こういった国の動向も注視しながら、例えば地域の身近な人同士がタクシーに乗り合わせて1人当たりの運賃を軽減する相乗りタクシーや、自家用車を利用する公共交通空白地有償運送など、交通事業者や地域の皆様と連携し、地域の実情に合わせた新たな仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えています。
以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)=
49 ◯37番(平 剛志君) 答弁ありがとうございました。それでは、再質問をさせていただきます。
まず、最初に確認させていただきたいのですが、先ほど答弁でありました公共交通の徒歩圏の人口カバー率というのが、長崎市が80%という数値が出ておりますが、これは全国的に見てもかなり高い水準であります。
改めてちょっとお聞きしますが、市としては、答弁のように公共交通が利便性の高いまちという認識なのでしょうか、お聞かせ願えますでしょうか。
50 ◯まちづくり部長(片江伸一郎君) 再質問にお答えします。
今、お話になっております公共交通徒歩圏人口カバー率、これにつきましては、国土交通省が示しております公共交通の利便性を定量的にあらわす1つの指標でございます。一定の便数を有する駅とか電停、バス停、そういったところからの徒歩で行ける範囲内にどれだけの人が住んでいるかということをあらわすものですけれども、長崎市と同じようなといいますか、例えば東京とか福岡とか大都市圏のところを比べれば、もともと公共交通の質が違う、担っている主力の公共交通機関そのものが違うということで、なかなかそことの比較は難しいと思いますけれども、私どもとしましては、中核市としての同じような人口規模を持つ地方都市と比べる中におきましては、長崎市のこの人口カバー率80%は非常に高い率であって、利便性が高い都市であると考えております。
以上でございます。
51 ◯37番(平 剛志君) 答弁ありがとうございます。その公共交通の徒歩圏人口カバー率ですが、参考までに近隣の都市を調べてみました。
例えば長崎市が80%に対して、お隣の佐賀市は42.2%、宮崎市は59.1%、北九州が81.5%で、長崎市と大体同じくらいの数値になっております。福岡市が、長崎市が80%に対して85.7%と、長崎市より6%高い数値です。ご存じのように、福岡市はバスがあり、JRがあり、地下鉄がありと、長崎市より公共交通のカバー率が高いのは納得できますが、坂のまち長崎市に住む市民の感覚としては、利便性が高いまちという数値はなかなか受け入れられない認識のものだと思っています。
そこで、現状把握のためにお答えいただきたいのですが、答弁にありました財政面のことを少しお聞かせ願いたいと思います。現在、市内の5地区で乗り合いタクシーが運行されていますが、近年、ここ4年ぐらいで負担がどれだけ増加しているのか教えてください。また、1地区当たりの平均で幾らぐらい行政の負担が必要となっているのか教えてください。
52 ◯まちづくり部長(片江伸一郎君) 再質問にお答えいたします。
乗り合いタクシー5地区に対する補助金でございますけれども、過去4年間ということで、実績のある平成27年度から平成30年度までの数字でご説明いたしますと、平成27年度におきましては869万円というところから、平成30年度におきましては1,441万円というところまで増加をしております。4年間の増加分といたしましては572万円というところでございまして、1地区ということにならしますと、大体114万円ほどの増加ということで把握しております。
以上でございます。
53 ◯37番(平 剛志君) 財政の負担が年々増加している状況はわかりました。ただ、市民の暮らしやすさには必要なサポートだと思いますので、現在運行している地域のサポートを引き続きお願いいたします。
続いて、もう1つお尋ねいたします。
地域の実情に合わせた新たな仕組みづくりに取り組んでいきたいとありましたが、どのような新たな取り組みを考えているのか、また、長崎市としてどのように市民の声に耳を傾けて取り組んでいくお考えなのかをお聞かせください。
54 ◯まちづくり部長(片江伸一郎君) 再質問にお答えいたします。
実際、具体的な取り組みとしましては、公共交通に対しての課題を持っていらっしゃる地域では、同じようにいろんな悩みを持っていらっしゃるわけですけれども、やはり地域のそれぞれの状況が異なりますので、具体的にそれぞれの地域でどういったやり方が適切なのかということにつきましては、今後、検討していく話になりますけれども、例えば、先ほど市長の答弁にもありましたとおり、一例としましては相乗りタクシーでありますとか、公共交通空白地有償運送といったことも出させていただきました。ただ、こういったものにつきましても、例えば相乗りタクシーにつきましては、料金の精算の仕方であったりとか、全く見知らぬ人がその場で初めて乗り合わせることに対する抵抗感があったりとか、公共交通空白地有償運送につきましても、例えばタクシー事業者のサービスエリアに関しましては、それがなかなか適用することができないとかいうようなことがございます。まさに地域の実情であるとか、利用者の方の意向によって、そこでできる、できないとかが出てくるわけでございます。
長崎市としましては、地域のほうからご相談があったりとか、我々のほうがここは何とかしなきゃいけないんじゃないかという疑問があった場合におきましては、問題はわかっていながらも、どうしていいかわからないというのが地域の皆様方の実情だと思いますので、それに寄り添いまして、交通事業者とも連携をする形で、それぞれの地域に合った仕組みを一緒に相談に乗りながらつくり出していきたいと考えております。
以上でございます。
55 ◯37番(平 剛志君) ありがとうございます。先ほど本壇から私がお伝えしました地域コミュニティのしくみづくりの協議会の中でも、乗り合いタクシーとかコミュニティバスの件はよく出てきます。ただ、地域コミュニティのしくみづくりの予算の中では、やはりこの乗り合いバスとかコミュニティバスがなかなか足りないという状況がありますので、同時進行で市民からの声を聞いて、そういう地域コミュニティのしくみづくりとも連携しながら進めていただければと思っております。
最後に、要望をちょっとお伝えして終わりにしたいと思いますけれども、実は今回の一般質問ですけれども、私のちょっと身近な方からの話が発端でした。実は、私が自治会の役員をしているときに、ある地域のご婦人と、そのときは70歳ぐらいのご婦人とちょっとお話をしていたときに、乗り合いタクシーの話をしていたときに、そのご婦人が、地域のショッピングセンターに行って、キャベツ1個を買い切らんという話が出たんです。それで何でですかという話をしていたら、たまたま私が住んでいる地域というのが、バス停から急斜面が結構続いていて、階段が約200段近くあります。その200段の階段を重い荷物を持って上るのがなかなか難しいと。なので、買い物に行ったときは、確かに食べたいものはたくさんあるんだけれども、重さを考えて選んでしまうという話をされていました。実際に200段ぐらいといえば、諏訪神社の長坂を入れた階段の数が193段です。結局、県道沿いから、毎日、あそこの坂を重いショッピングバッグを持って、ご老人が歩いていっているというイメージと同じ形です。それで、この話ですけれども、一見、郊外地区の話のように思われるかもしれませんけれども、実はベッドタウンと言われる住宅街での話です。ちょうど昭和40年代、昭和50年代に、当時、ニュータウンと言われ、高度成長期に団地が数多くつくられました。しかしながら、半世紀がたち、当時の家を建てた20代、30代の皆さんが、既に70代、80代となっています。私が住む、先ほどご意見がありました滑石団地の上床地区でもそうですけれども、ほかにも女の都団地や小江原団地、西山台、南部で言うと平山台や晴海台、ダイヤランドなどもそうです。上げたら切りがないのですが、長崎市内には路線バスだけではカバーし切れず、網の目のような公共交通を必要としている地区がまだまだたくさんあります。平成21年からここ10年ほどは、長崎市内で乗り合いタクシー事業の新しい路線はできていませんが、10年前よりは乗り合いタクシーを要望する声は確実にふえております。
そこでですが、ぜひ地域からの要望に応えて、まずは要望する地域での実証実験に向けた予算の計上をぜひ要望したいと思っています。突然始められる事業でないことは重々承知しております。私たち議員も地域を回り、市民の声を聞いていきます。初めに話したように、こういう公共要素の高い取り組みは、市議会と行政が両輪となって取り組むべき事業だと私は思っています。ぜひ地域から上がってくる声を聞き、まずは実証実験ができるように予算の計上をお願いしたいと要望しておきます。
今回の一般質問は要望をお伝えして、質問を終了とさせていただきます。
56 ◯議長(佐藤正洋君) 次は、35番久 八寸志議員。
〔久 八寸志君登壇〕
57 ◯35番(久 八寸志君) 公明党の久 八寸志でございます。質問通告に基づき質問いたしますので、市長並びに関係理事者におかれましては、誠意ある答弁をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、大きな項目の1.防災行政について、(1)警戒レベル運用開始への取り組みについてお尋ねいたします。
今、九州では活発な梅雨前線の影響により、災害級の大雨となっています。鹿児島では、今月1日早朝、土砂崩れにより70代の女性が犠牲になられ、尊い命が失われました。本当に心からご冥福をお祈り申し上げます。
熊本、宮崎、鹿児島の3県では、一時約55万世帯121万人以上に避難勧告が出されました。4日にかけて大雨が続くおそれがあり、引き続き、土砂災害や川の氾濫などに厳重な警戒が必要な状況となっています。
ここで大事なことは、災害警戒情報が住民の安全確保に確実に結びつくことだと思います。広島市は、昨年発生した西日本豪雨災害において住民がどのような避難行動をとったのかアンケート調査を行っています。その分析によりますと、当時、市内に避難勧告が出されたときに、住民が実際に逃げるといった直接の行動につながったのは約1,000人中31人であり、わずか3.6%であったそうです。避難勧告が出ていることは93%の人が知っていたようですが、逃げようとする実際の行動につながっていないことが浮き彫りとなりました。その結果、既に防災情報が発表されていたにもかかわらず、多くの人が逃げおくれ、犠牲となってしまいました。
この教訓から、政府は、猛威を振るう自然災害から命を守るために、ことし5月末に警戒レベル5段階として、人々が直感的に理解できて避難行動にすぐに結びつく情報提供として警戒レベルの導入が決められました。先ほどの広島市の例で言えば、避難勧告はレベル4の段階になり、「今すぐ避難」が住民がとるべき行動になります。そのような、情勢が逼迫しているような緊急性のある情報であれば、住民の避難行動も変わっていたかもしれません。
長崎市として、この避難行動のあり方についてどのように取り組んでいこうとしているのかお示しください。
次に、大きな項目の2.高島のサンゴについて、(1)サンゴ育成装置設置の取り組みについてお尋ねいたします。
長崎市のグリーンツーリズム団体であるやったろうde高島の2019年の活動は、3月31日よりシュノーケリングピクニックが始まっていて、さらにゴールデンウイークには80人前後の人が福岡を中心に県外から訪れたとお聞きしています。こんなに早くからにぎわったことは今までになはく、6月以降においても、既にことしの夏の予約が県外を中心に入ってきていて、7月13日の海開きを待たずして、予約のメールや問い合わせのメールが寄せられているそうです。この現象は年々増加傾向にあり、特にシュノーケリングピクニックとして3月後半から12月まで稼働することは、今まで夏だけにぎわっていた高島の夏の楽しみ方が大きく変化した取り組みの1つであります。また、ここ数年で最も大きな特徴として、サンゴが生息する全国的にも珍しい海水浴場であることに加え、34種類ものサンゴが生息していることが、宮崎大学の深見教授の調査によって昨年の夏に明らかにされたことです。サンゴが生息していてきれいであることは誰もが認めることでありましたが、サンゴの名称が判明し、沖縄と長崎のサンゴの大きな違いなどにおいても検証していただき、生息している中には絶滅危惧種がいることなども判明するなど、単なるきれいで珍しい海水浴場から、サンゴを通して海の体験学習が安全安心な環境のもとにできるなど、新たな価値観が加わることになりそうです。
そして、さらに新たな取り組みとして、本年5月29日、高島海水浴場内において、やったろうde高島の関係者の方々により、サンゴの環境保全を目的にしたサンゴ育成装置を2基、海水浴場内70メートル沖の水深6メートルに間隔をあけて設置が行われました。今後は高島に生息するサンゴを移植し、育成することになるとお聞きしています。実際にこの取り組みを受け、長崎市は関係者の方々と連携をとってきたのか、そしてどう評価しているのか。また、7月以降においては、サンゴ育成装置に移植を行う予定とお聞きしていますが、本市として記録に残す考えはあるのかお尋ねしたいと思います。
以上で本壇からの質問を終わり、ご答弁をいただいた後に、意見を深めるために自席にて再質問をさせていただきます。ありがとうございました。=(降壇)=
58 ◯議長(佐藤正洋君) 市長。
〔田上富久君登壇〕
59 ◯市長(田上富久君) 公明党、久 八寸志議員の質問にお答えします。
まず、2点目の高島のサンゴについての(1)サンゴ育成装置設置の取り組みについてお答えします。
サンゴ育成装置は、直径2メートルのドーム型の棒状の鉄にサンゴの骨格の主成分である炭酸カルシウムを発生させ、サンゴの着床を促進する装置であり、サンゴの保全と育成を目的として、高島でシュノーケリングを実施しているツーリズム団体が主体となって、企業と大学の協力を得て、ことし5月に高島海水浴場内に2基設置したものです。
装置の設置に当たっては、長崎市はツーリズム団体、技術開発を行った企業及び大学と、海水浴場利用者の安全面などに配慮しながら設置に向けた協議を行ってきました。
高島のサンゴについては、昨年7月に専門家による調査が行われ、34種類のサンゴが確認されています。海を魅力とし、海水浴場に毎年約1万人の方々が訪れ、海水浴場内にサンゴが自生するという非常に珍しい状況を持っている高島にとって、サンゴは大切な地域資源の1つであり、今回のサンゴ育成装置の設置によってサンゴの保全と育成が図られることで、高島のより一層の魅力向上につながるものと考えています。
今後、ツーリズム団体が装置の設置によるサンゴの着床だけではなくて、さらなる育成の加速化を図るために、サンゴの断片を育成装置に移植させる取り組みを行う予定となっており、サンゴの成長には3年程度の期間を要するということですので、サンゴの成長過程の確認については、モニタリングの実施主体であるツーリズム団体との情報共有を図っていきたいと考えています。
サンゴは高島の地域活性化に貢献する有効な資源であり、交流人口の拡大に寄与するものと認識をしていますので、長崎市としては高島のサンゴの魅力発信に努めていきたいと考えています。
以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)=
60 ◯危機管理監(里 則義君) ご質問の1点目、防災行政についての(1)警戒レベル運用開始への取り組みについてお答えいたします。
平成30年7月に発生した西日本豪雨では、200名を超える死者、行方不明者が発生するという豪雨災害としては平成最大の人的被害をもたらしました。この豪雨では、気象庁が大雨特別警報を発表する可能性があるとの緊急会見を行ったり、避難指示などの避難行動を促すさまざまな情報が発信されたものの、住民の避難行動に結びつかず、自宅にとどまる住民が相次いだため、被害が拡大しました。
この災害を受け、住民の主体的な避難行動を支援するために、国はガイドラインをことし3月に改定しています。これは、防災情報を5段階の警戒レベルに区分する方式に変更することで、住民が避難を判断しやすい体制づくりを進めようとするものです。この警戒レベルは数字が大きくなるほど危険性が高くなります。警戒レベル4は避難指示や避難勧告相当を、警戒レベル5になりますと、特別警報発令など、住民は命を守る最善の行動をとるということを示しています。
こうした中、運用開始後の6月7日に西日本を中心に局地的に激しい雨が降り、広島県、山口県、愛媛県3県の一部では警戒レベル4をつけた避難勧告が初めて発令されましたが、約20万人が対象となった広島市では、実際に避難所へ避難したのは計228人、約0.1%にとどまり、このことは警戒レベルを市民にいかに周知していくか、また、レベルに連動していかに避難の必要性を判断してもらうか、今後の課題を残しています。
警戒レベルでの防災情報の提供に係る広報につきましては、これまでに内閣府や気象庁から新聞やテレビなどを通じてたびたび行われています。長崎市におきましても、既に広報ながさきやホームページへ掲載するなどしておりますが、運用開始から間もないこともあり、引き続き、防災訓練や防災マップづくり、防災講話など、さまざまな機会を捉えて繰り返し周知に努めていく必要があると考えています。
いずれにいたしましても、市民の皆様が日ごろから地域に潜む災害リスクを把握し、みずからの判断で避難行動をとることが重要であり、長崎市としましては、そうした防災意識の高い社会の構築を進めてまいります。
以上でございます。
61 ◯35番(久 八寸志君) 一通りのご答弁ありがとうございました。それでは、再質問させていただきます。
最初に、災害行政についてからいかせていただきます。今回、今ちょうどまさに九州は大雨で、避難が本当にまだまだ心配な日が続いているところでございます。本壇の中でも申し述べたように、警戒レベル5というのが、今回、大きなテーマでございます。
5月末ぐらいからスタートしていると聞いておりますので、実際はどのくらいの方へ長崎市において周知が進んでいるのかといったところについて、まずはどう思われているかお尋ねしたいと思います。
62 ◯危機管理監(里 則義君) 再質問にお答えいたします。
周知につきましては、現在、私たちもホームページ、あるいは国からの情報等をもとに周知に努めているところであり、まだ始まったばかりでございますので、まだ浸透はしていないことではあるかと考えております。
しかしながら、今回、7月1日午前の時点で121万人以上に警戒レベル4、避難勧告が出されたという報道がなされております。こうしたように、さまざまな地域の災害情報というものがテレビ等を通じて頻繁に出されてくると思いますので、そうした意味では、市民の皆様の理解とか関心は高まってくるのではないかと考えております。
以上でございます。
63 ◯35番(久 八寸志君) そういった意味では、毎日のように報道、テレビを見て、皆さん、危機というか、本当に近くの県で起こっている災害でございますので、長崎では大丈夫だろうかということは当然思われることと思います。
ただ、このレベルにおいての告知というのがまだまだ当然進んでいないわけであって、実際、この情報をしっかり届けないといけないというのがあります。
そこで、長崎市として、このレベル4の情報が、実際、今、市民の皆さんに伝えた場合に、どのくらいの影響力があるのか、もしくは、逃げることにおいて手助けをしてくれるのか、そういった分析はどうでしょうか。
64 ◯危機管理監(里 則義君) 再質問にお答えいたします。
これまでの避難勧告であったりとか避難準備情報の統計を申し上げたいと思いますが、昨年、特別警報が出されまして、特に琴海地区、外海地区、三重地区を対象にした発令を行いました。この際に避難率というのが1.9%でございます。比較的土砂災害に係る避難指示・勧告・避難準備情報というものは、なかなか避難行動に結びついていないという状況がございます。
ただ、一方、台風等による徐々に迫ってくる災害に関しましては、避難率も3.5%ということで、若干でございますが避難率は上がるという状況ではございます。
今回の、熊本あるいは鹿児島にかけて線状降水帯というものが居座った状況にあります。先ほども申し上げましたように、かなりの避難対象になっている状況がございますので、やはりそういった災害種別にかかわらず、もっともっと私たちも地域に出向きまして、そこら辺の周知をやっていかなければならないと考えております。
以上でございます。
65 ◯35番(久 八寸志君) そうですね。周知をしっかりやっていくということが、多分、繰り返し繰り返し重なっていくことに大事なことがあるのかなとも思います。
それで、先ほど、周知のあり方として広報ながさきの6月号に実は掲載されているということであります。ただ、この広報ながさきは、今、16万部配られているということで聞いておりますが、実際は自治会に入っていらっしゃらない方が3割いらっしゃるので、どうしてもこの3割の方に広報ながさきが届いていないという現状があるかと思います。
そういったところで、届けたい情報が届いていないということに対してどのように対応していこうとお考えでしょうか。
66 ◯危機管理監(里 則義君) 再質問にお答えいたします。
自治会に入られていない方々に対する周知ということでございますけれども、市全体に対するお知らせという観点で申しますと、今後、私たちとしましては、週刊あじさい、あるいはそういったようなテレビ報道であったりとか、テレビでの企画、こうしたものを、今後、計画することによって展開していきたいと思いますし、また、全世帯に生活便利ブックというものを配布しております。また、あわせてNTT株式会社との協定により配布している防災・医療タウンページ、こうしたものも警戒レベルの項目を追加記載することによって、さらなる周知を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
67 ◯35番(久 八寸志君) 実は広報ながさきに載せていただいて、そして、それをカバーするために、例えばお昼にあっている放送ですかね、そういったことでカバーをしていこうということであるんですけど、視聴率とかそういったところをちょっとお聞きしたら、実際は5.4%ぐらいしかないということでありました。また、生活便利ガイドブック、これも今入っている情報の中にはこのレベルの話は入っていないと。2カ年に一遍つくるということで、当然、まだ時間がかかります。これはやはりどうしても時間を急いでいただかないといけない情報の伝え方ではないかなと思います。
あともう1つお聞きしていたのが、マイ避難シールというものをお配りされているということでお聞きしております。これは避難所を自分個人がどのように考えて、そしてどこに避難するのかというのを市のほうがおつくりになられたと聞いております。この取り組みについてどのくらい進捗があって、どのくらい反響があるのか、まずお聞きしたいと思います。
68 ◯危機管理監(里 則義君) 再質問にお答えいたします。
このマイ避難所運動というものは昨年9月から実施しております。契機となりましたのは、私たちが防災講話等、あるいは防災マップづくりで地域に出向いて行った際に、近くの避難所がどこにあるのか知らないというご意見を多くいただきました。こういったご意見をもとにシールというものをつくらせていただいております。
これは、避難のタイミングであったりとか避難する場所、それぞれをご家庭の中で話し合っていただいて、必要事項をシールに記載していただき、それを冷蔵庫とか目に見やすいところに張っていただくことによって、有事の際は迅速な避難行動をとっていただきたいと考えているものでございます。配布に当たりましても、その記載の方法など詳細につきましては、私たちのほうで説明を行いながら、遺漏のないように考えております。
本日はこれをもって散会いたします。
=散会 午後3時16分=
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
議 長 佐藤 正洋
副議長 梅原 和喜
署名議員 山谷 好弘
署名議員 山崎 猛
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