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2018-01-26 長崎市:平成30年長崎駅周辺再整備特別委員会 まとめ
2018-01-26 長崎市:平成30年長崎駅周辺再整備特別委員会 本文

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  1. 長崎市議会 2018-01-26
    2018-01-26 長崎市:平成30年長崎駅周辺再整備特別委員会 まとめ


    取得元: 長崎市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1      長崎駅周辺再整備特別委員会 調査報告書のまとめ(委員会終了後)  長崎駅周辺地区は、市民のみならず多くの人が行き交う場所であり、新幹線整備を契機と して、国際観光文化都市長崎の玄関口にふさわしい長崎駅周辺の再整備の推進に寄与するこ とを目的として調査を行うこととし、長崎駅周辺再整備に係る諸問題を把握し、利便性の向 上や安全性の確保、交通結節機能の強化、周辺地区との連携などの諸方策について鋭意検討 を行った。  以下、調査の過程で出された主な意見、要望を付して、本委員会のまとめとする。 1 長崎駅周辺再整備事業について (1) 九州新幹線西九州ルート   ア 概要と進捗     本ルートは、博多-長崎間の整備計画決定を踏まえ、平成24年6月に異なる軌間の    新幹線と在来線を直通運転できる軌間可変電車フリーゲージトレイン)方式により    武雄温泉-長崎間の用地・土木構造物に係る工事実施計画(その1)が国の認可を受    け、線路については博多-新鳥栖間は鹿児島ルートを共用し、新鳥栖-武雄温泉間は    在来線を活用、武雄温泉-長崎間はフル規格の線路を走行する計画となっている。ま    た、武雄温泉-長崎間の駅としては、武雄温泉駅、(仮称)嬉野温泉駅、(仮称)新大    村駅、諫早駅、長崎駅の設置が予定されている。建設主体独立行政法人鉄道建設・    運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」)であり、平成29年5月には、武雄
       温泉-長崎間の軌道や電気施設などに係る工事実施計画(その2)も認可されたとこ    ろである。     本ルートに係る事業費は約5,009億円、事業費ベースによる平成28年度末の進捗率    は約34%であり、平成29年1月末現在の工事発注率は97%である。現在、市内のトン    ネル及び明かり部(地表面に出てくる区間)の合計6つの工区全てにおいて工事の発    注が完了し、工事が進められている。また、財源スキームとしては、整備新幹線の建    設費負担は国が3分の2、地方が3分の1で、長崎県域内は基本的に長崎県の負担だ    が、市街化区域である長崎駅部から浜平2丁目付近までの約1.361キロメートルにつ    いては、本市も長崎県負担額の20%を負担することとなっており、実績としては、平    成29年度の予算額までを合計すると約8億1,500万円の負担となっている。   イ フリーゲージトレイン開発状況     前述したように、本ルートはフリーゲージトレインを走行させる計画で認可を受け    たものであるが、平成26年10月に開始された耐久走行試験中に不具合が発生したこと    に伴い、平成28年3月29日に関係6者(与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム    検討委員会、佐賀県、長崎県、九州旅客鉄道株式会社(以下「JR九州」)、鉄道・運    輸機構、国土交通省)により、平成34年度の開業のあり方については、武雄温泉-長    崎間にフル規格車両を投入し、博多-武雄温泉間を走行する在来線特急武雄温泉駅    で対面乗りかえを行うリレー方式により開業することなどの合意がなされた。     その後、平成29年7月14日に開催された国土交通省軌間可変技術評価委員会にお    いて、車軸の摩耗対策について、耐久走行試験に移行するためには、新たな対策を立    案し、その効果を確認することが必要とされるとともに、経済性の検証として、一般    の新幹線と比べたフリーゲージトレインのコストは約1.9倍から約2.3倍と見込まれ    るとされた。また、同年7月19日に国土交通省により行われた軌間可変技術評価委員    会の開催結果に係る地元説明会の中では、今後、さらに車軸の追加改良と検証に年単    位の検討が必要との考え方が示され、平成34年度の先行車両の導入及び平成36年度末    の量産車の導入は、事実上困難な状況となっている。   ウ 駅舎デザイン実現案     長崎駅舎駅前広場等デザイン基本計画に基づき新幹線駅舎の設計及び建築をする    よう要望していたものに対し、事業主体である鉄道・運輸機構から、平成29年11月14    日に駅舎デザイン実現案について、長崎県知事及び長崎市長に対し提示がなされた。    今後、この案をもとに鉄道・運輸機構実施設計に着手することとなっている。     鉄道・運輸機構から提示された提案書の中では、長崎の新たな玄関口として、長崎    らしさを体現できる駅舎として、国道側から見た駅舎のパースが示されており、長崎    港に向かって南北に高さを変えることで海への方向性を感じさせる上屋架構、長崎ら    しさを感じるレンガ調タイルを使用し、リズム感や陰影を創出する柱型、駅前広場の    東西軸と一体的な空間となってまちのにぎわいをつくる改札外コンコース、発着する    新幹線の様子を広場から眺めることができ、駅とまちの劇場関係をつくり出す透明感    のあるガラススクリーン、ホームにおり立つ来訪者を柔らかな光で暖かく迎え入れる    丸みを帯びた膜屋根としたなど、デザインについて説明がなされた。 (2) JR長崎本線連続立体交差事業    本事業は、鉄道の高架化による東西市街地の一体化と、踏切の除却により交通混雑や   踏切事故の解消を図るものである。本事業は、平成20年12月の都市計画決定、平成22   年2月の事業認可を経て事業に着手しており、事業主体は長崎県であるが、本市が事業   主体である長崎駅周辺土地区画整理事業と一体的に実施している。事業区間は、松山町   から尾上町までの約2,480メートルで、竹岩橋踏切梁川橋踏切宝町踏切及び幸町踏   切の4つの踏切を除却し、長崎駅と浦上駅を高架駅とするものである。    当初の事業期間は平成21年度から平成32年度まで、事業費は約431億円、事業費ベー   スによる平成28年度末の進捗率は約53%であったが、用地交渉の難航や駅舎デザインの   決定の遅れ、土壌汚染対策などの影響により、平成29年11月に事業期間が平成33年度ま   で、事業費が約459億円となるなど事業認可の変更がなされた。 (3) 長崎駅周辺土地区画整理事業    本事業は、新幹線や在来線の鉄道施設の受け皿を整備するとともに、街路や駅前交通   広場などの基盤整備土地利用の転換・有効利用を図り、国際観光文化都市長崎の玄関   口にふさわしい都市拠点の形成を図るものである。公共施設として、新駅舎の東口及び   西口に駅前交通広場を、国道202号に面した場所に多目的広場を整備する予定で、道路   としては区域内外に5路線を建設する予定である。また、施行地区は長崎市大黒町、尾   上町、八千代町及び西坂町の各一部で、施行面積は約19.2ヘクタール、地権者(土地所   有者)数は11名、事業費は約154億円、事業期間は平成21年度から平成35年度まで、減   歩率は平均で約38%である。    進捗状況としては、新駅舎の西側地区から順次仮換地指定を行っており、平成28年度   末の事業費ベースでの進捗率は約17%である。また、平成29年度は、駅前広場等の設計、   電線共同溝の工事、上下水道工事などを行うこととしている。なお、平成21年度認可時   の事業費の内訳としては、道路築造費が約19億円、長崎駅東西駅前交通広場が約11億円、   多目的広場が約3億円、国道改良費等が約6億円、宅地整備費が約8億円、水道や下水   道などの埋設管設置費が約16億円、建物などの移転費が約58億円、調査設計費が約19   億円、その他経費として工事雑費や事務費などが約14億円、合計して約154億円の事業   費となっているが、その後の物価変動等も踏まえ、今後精査が必要である。   以上、長崎駅周辺再整備事業について、本委員会では次のような意見・要望が出された。  ○ 九州新幹線西九州ルートについては、フル規格で新大阪まで直通運転となるよう努力   してほしい。  ○ 九州新幹線西九州ルートについては、フル規格導入に対する市民・県民の判断を仰ぐ   機会をつくるため、一旦立ちどまって再検討すべきである。  ○ 各団体間での協議においては、専門的なコーディネーターを活用するなどして、消去   法的な対応ではなくプラスオン的な対応をしてほしい。  ○ 事業の説明に当たっては、市民に理解してもらうため、パースなどイメージが湧くよ   うな資料を示してほしい。  ○ 世界遺産に関連する二十六聖人殉教地への動線については、観光面から県と具体的な   交渉を進めてほしい。 2 長崎駅周辺再整備事業に関連する事業について (1) 都市計画道路大黒町恵美須町線(市道大黒町筑後町1号線)整備    本事業は、慢性的な道路渋滞の解消及び安全な歩行者空間の確保を行うとともに、長   崎駅周辺再整備事業により想定される交通需要に応じた道路整備を行うものであり、旭   大橋東口交差点から長崎中央郵便局までの区間において、現在の延長約100メートル、   幅員約11メートルの2車線を、延長約110メートル、幅員約26メートルの4車線と右折   帯の合計5車線に拡幅するものである。    事業期間は平成26年度から平成32年度まで、事業費は41億円であり、整備効果として   は、交通需要に応じた車線数へ拡幅することによる道路混雑や渋滞の解消、国道202号   の自動車交通を浦上川線や旭大橋線へ誘導することによる長崎駅前交差点交通負荷   の軽減、将来の交通需要増大への受け皿の整備と長崎駅周辺とまちなか地区の連携の強   化が期待されている。    進捗状況としては、平成26年度から平成28年度まで建物調査及び用地交渉を行ってお   り、平成28年度末の事業費ベースでの進捗率は約0.8%である。 (2) 長崎駅周辺の浸水対策
       本事業は、長崎駅北側の八千代町電停付近と駅前高架広場下駐車場付近が地盤が低く   潮位の影響を受けやすいため、大潮満潮時と大雨が重なった際は道路が冠水し一時的に   交通が寸断される浸水被害が発生することから、長崎駅周辺土地区画整理事業と連携を   とりながら浸水被害を防ぐための雨水施設を整備するものである。    整備内容としては、海水の逆流を遮断するためのフラップゲートを設置するとともに、   フラップゲート閉鎖時の雨水を貯留するための貯留管を設置することとしている。また、   近年の大雨のうち平成26年7月の降雨については、国庫補助事業の採択基準である「10   年に一度発生する確率の大雨」を上回っていたことから、30年に一度発生する確率に相   当する大雨にも対応できるよう、長崎市の単独事業として雨水貯留管を補完する雨水排   水ポンプを設置することとしている。    事業費は約30億円、事業期間は平成25年度から平成33年度までで、延長ベースの進捗   率は平成28年度分の完了時点で約30%である。    なお、現況の地盤高は、区画整理事業区域内が2.1メートルから2.2メートル程度、道   路の高さは、長崎駅前付近の国道が2.7メートル程度、八千代町側が2.0メートル程度、   浦上川線付近が2.3メートルから2.4メートル程度、旭大橋の側道部分が2.2メートルか   ら2.3メートル程度となっている。今回の整備に伴い、区画整理区域内の宅地について   は2.8メートルから2.9メートル程度、道路については2.3メートルから3メートル程度   にかさ上げする計画となっており、長崎港の過去の最大潮位は、平成24年9月17日の台   風16号による高潮で記録された瞬間値2.26メートルとなっているが、貯留管などの整備   を行うことで、八千代町付近など既存の道路高が変更できない箇所を除き、区画整理区   域において、昭和57年の長崎大水害と同等の雨が降った場合でも、浸水しない計画とな   っている。   以上、長崎駅周辺再整備事業に関連する事業について、本委員会では次のような意見・  要望が出された。  ○ 浸水対策については、現在想定している雨量で対応できるのか再検討してほしい。ま   た、大雨の際、避難場所として高架広場が必要である。  ○ 災害が起きてからではなく、現在起きている他都市の災害の状況も把握した上で、将   来を見据えて国に要求するなど積極的な政策を打ち出してほしい。  ○ 今の計画では、地球温暖化による海面上昇や異常気象に対応できないため、計画を変   更して地盤高を上げるべきである。 3 長崎駅周辺のまちづくりについて (1) 長崎駅周辺の施設整備   ア JR九州による開発計画     JR九州は、平成28年8月31日に長崎駅周辺開発イメージ図を公表した。そのイ    メージ図によると、中央部に新駅舎、その東側にJR九州開発予定の建物のイメー    ジが示されている。イメージ図の公表に当たりJR九州からは、建物は商業施設、オ    フィス、ホテルを想定しており、具体的にはこれから検討するが、長崎の陸の玄関口    として、駅周辺がにぎわいのある地域となるよう努力したい、また、長崎のランドマ    ークになる施設を目指したいとの意向が示されている。   イ 県営バス新長崎ターミナル(仮称)     新駅舎北側の約600平方メートルの敷地に3階建ての建物が計画されており、1階    部分に待合所、案内・発券機能等が配置されることとなっている。また、前面道路上    には4バース程度の乗り場が配置され、現在のターミナルと同程度の1日当たり約    300便の発着が想定されており、開業は平成34年を予定している。   ウ 新長崎警察署(仮称)     新駅舎北西側の3,950平方メートルの敷地に地上7階建ての建物が計画されており、    平成32年度の開庁予定である。   エ 交流拠点施設     長崎市は、事業費約147億円で、長崎駅西側の約24,000平方メートルの敷地に、国    内外から多くの来訪者を呼び込むとともに市民交流を促進するMICE施設、都市ブ    ランドの向上を図るホテル及び地域のにぎわいと活力を生み出す民間収益施設の複    合施設である交流拠点施設の整備を計画している。     MICEの誘致ターゲットについては、3,000人規模を中心とした中規模学会・大    会や長崎市の特色を生かした医学や平和などの会議としている。また、施設概要とし    ては、コンベンションホールが3,000平方メートル程度、イベント・展示ホールが4,000    平方メートル程度でいずれも分割利用が可能な平土間として、また、会議室は20室程    度で延べ面積が約2,500平方メートル程度、駐車場は300台とする要求水準のもと、平    成29年3月から公募型プロポーザル方式により交流拠点施設整備運営を行う事業    者の公募を実施し、平成29年11月に市が優先交渉権者を決定した。 (2) 長崎駅舎駅前広場整備イメージ    長崎市及び長崎県は、平成28年3月に、平成34年度の新幹線開業に向けた駅舎、駅前   交通広場多目的広場、街路等に関するデザインの基本的な考え方を「長崎駅舎・駅前   広場等デザイン基本計画」として取りまとめ、市民に公表・周知した。また、同年7月   には、県知事と市長が、同計画に基づき駅舎の設計・施工を行うよう鉄道・運輸機構に   要望を行っている。    長崎駅舎駅前広場整備イメージとしては、長崎駅舎駅前広場等デザイン基本計   画の中でイメージパースが示されている。また、駅前広場については、長崎駅前広場等   設計業務委託に係る受託者選定の際に、プロポーザル案として現受託者からもイメージ   パースが示されている。    発着ホームと改札口の位置関係については、駅のホームからエスカレーター、階段及   びエレベーターで1階へおり、改札口を出て、東西方向コンコースへ向かうようにな   っており、JR九州の改札口に係る基本的な考えとしては、改札口は1駅に1カ所であ   ること、高架化された駅の場合、ホームと改札口の階数は異なることとなっている。 (3) 西町踏切の遮断時間    新幹線の開業後、特急電車が運行しなくなったと仮定した場合に、西町踏切の遮断時   間がどれだけ減少するのか長崎市が独自に試算した結果、特急電車が運行しなくなった   場合の列車が最も多く通過するピーク時の1時間における西町踏切の遮断時間は、現状   の12分6秒から7分55秒となり、35%減少するものと想定している。   以上、長崎駅周辺のまちづくりについて、本委員会では次のような意見・要望が出され  た。  ○ 地域の連携において町界及び町名の考え方は重要であるため、まちが発展していくた   めの仕組みづくりとして、商店街及び自治会と協議の上、しっかり議論をしていくべき   である。  ○ 旭大橋の低床化の先行きが見えない中、長崎駅周辺地区にぎわいを浦上川右岸地区   へ及ぼし、一体的な発展・振興を図るために、長崎駅中央通り線の延長線上に架橋を検   討してほしい。 4 長崎駅周辺再整備地区周辺地域との連携について (1) 長崎駅前地区まちづくり協議会との連携    長崎市では、長崎駅周辺の再整備に当たり、隣接する周辺地域との連携を図るため、   駅前商店街地元自治会が中心となって組織された長崎駅前地区まちづくり協議会の   会合に平成28年5月から平成29年7月まで8回参加し、情報提供や意見交換を行ってい
      る。    主な意見として、国道横断・動線については、国道の平面横断、アミュプラザなどと   の2階動線、動く歩道の整備などに関する意見が、地元振興については、駐車場の整備   や街路灯の設置、電線の地中化、西坂公園への動線整備などに関する意見が、広場整備   については、多目的広場が整備されれば高架広場は不要である、おくんちなどの出し物   ができるような広場としてほしいなどの意見が、公共交通については、路線バスは国道   で処理すべき、文明堂付近にバスベイがほしい、国道横断距離が長くなるような路面電   車の改良は望まないといった意見が、また、その他の意見として、新幹線のフル規格化   や、浸水対策、町名の変更などについての意見が出され、それぞれの意見について、事   業の進捗に合わせて検討を行うとともに、継続的に協議会に参加し、意見交換を重ねる   こととしている。 (2) 市民ワークショップに係る報告    長崎市では、駅前広場などの設計を行うに当たり、長崎駅を自分たちの駅として一緒   に考えてもらうとともに、設計やその後の工事、利活用段階において、市民の声をでき   る限り反映させるため、設計業務の進捗に合わせて2回の市民ワークショップを開催し、   駅前広場に対する市民ニーズの把握を図った。   ア 第1回長崎駅前広場ワークショップ     平成29年2月5日に開催し、長崎駅周辺の整備内容について理解してもらうための    全体事業説明や、駅前広場などの設計業務における設計チームプロポーザル案の紹    介を行うとともに、ワークショップを行った。     ワークショップには、さまざまな年齢層、職業から男女80名が参加し、駅前広場に    期待することとして、交通、にぎわい・活動、おもてなし・観光、景観の4つの視点    から意見を出し合い、議論が行われた。     主な意見として、交通については、国道の平面横断の実現、交通施設の乗りかえの    利便性やわかりやすさの向上、まちと駅が遠くなることに対する工夫、バリアフリー    化などの意見が、にぎわい・活動については、日常的に憩える場所、子どもの遊び場、    にぎわいを生む仕掛けづくりなどの意見が、おもてなし・観光については、待ち合わ    せスポットの充実、わかりやすいサインの配置、インフォメーション施設などの意見    が、景観については、駅前から西坂の丘や稲佐山への眺望、海からの景観、駅から海    が見えるという魅力の活用、新しい長崎に来たといえるような空間づくりなどの意見    が出たところである。   イ 第2回長崎駅前広場ワークショップ     平成29年7月9日に開催し、駅前広場の設計の進捗状況について報告し、他都市に    おける駅前広場などの公共空間有効利活用事例について紹介するとともに、ワーク    ショップを行った。     ワークショップには、第1回と同様、さまざまな年齢層、職業から男女45名が参加    し、駅前広場の利活用をテーマに、ロールプレイング方式で子ども、学生、高齢者、    外国人など、さまざまな立場に立って考え、どの空間に何が必要かといった意見を出    し合い、イメージを共有した。     主な意見として、西口高架前広場については、託児所や川や海の雰囲気を生かした    憩える場所などの意見が、東口高架前広場については、休憩所、誘導サイン、トイレ    などについての意見が、驛の広場については、長崎のシンボル、雨にぬれない屋根、    マーケットなどの意見が、多目的広場については、子どもの遊び場、ダンスや音楽が    できるステージ、木陰などの意見が、コンコースについては、多国籍対応窓口、イン    フォメーションの設置などの意見が、東西軸については、マーケット、屋台、飲食ス    ペースなどの意見が、川辺については、浦上川が見えるオープンカフェ、カヤックな    どの意見が、また、その他の意見として、Wi-Fi防災対策が必要であるといっ    た意見が出たところである。   以上、長崎駅周辺再整備地区周辺地域との連携について、本委員会では次のような意  見・要望が出された。  ○ ワークショップの中でSNSに投稿したくなるシンボルの設置を望む意見が出てい   るが、市として長崎のシンボルとなるようなものを考えて市民に提示し、意見を聞くべ   きである。  ○ より市民にとって使いやすい駅、市民の意見が反映された駅をつくるためには、ワー   クショップのテーマの設定の仕方や市民の参加者層について考えていく必要がある。  ○ ワークショップ開催の前提として、交流拠点施設の建物や駐車場などの内容も含め、   きちんと市民に情報を提示した上で意見を聞くべきである。  ○ 駅前広場ユニバーサルデザインとするためには、障害者や障害者団体から設計前に   意見を聴取し、設計後、供用開始後にも段階的に意見を聴取すべきである。 5 長崎駅周辺地区における交通結節機能のあり方について (1) 国道202号の横断方法の検討   ア 長崎駅前(国道202号)における交通の特徴     長崎駅前の交通量は、近年実施された幹線道路整備の効果もあり、平成11年の1日    当たり7万9,648台をピークに減少傾向にあるが、交差点を平面横断化した中央橋交    差点と比較すると、1日当たりの最大交通量は、長崎駅前交差点中央橋交差点の約    2.5倍、車道幅員についても、長崎駅前交差点中央橋交差点の約2倍となっており、    長崎駅前交差点中央橋交差点と比較して、交通量、幅員ともに大きいことから、平    面横断には不利となる要素を抱えている。     また、長崎駅前の交通量と車道幅員は、1日当たりの交通量が5万8,695台で、車    道9車線と路面電車の軌道があり、九州内の他の主要駅と比べると、博多駅前につい    ては、博多口が9車線で平面横断となっているが、長崎駅前の交通量は、博多口の約    1.9倍となっている。また、熊本駅前(東口)については、車道6車線と路面電車の    軌道があり、平面横断とデッキ横断が併用されているが、長崎駅前の交通量は、熊本    駅前(東口)の約5.3倍となっている。さらに、鹿児島中央駅前(東口)では、車道    8車線と路面電車の軌道があり、地下横断となっているが、長崎駅前の交通量は、鹿    児島中央駅前(東口)の約2.8倍となっており、道路幅員が広く交通量が多い状況に    ある。   イ 交通シミュレーション     国道202号の横断方法の検討には交通シミュレーションを活用した。交通シミュレ    ーションとは、広域での将来の交通量を推計した結果を用いて、駅周辺など、対象と    なる狭いエリアの道路の混雑状況をコンピュータ上で再現するものである。将来の交    通量は、予測の前提となる現在の交通量を示す交通シミュレーション上のモデルが、    実際の交通量と齟齬がないか妥当性を確認した上で、新たに整備される道路などの条    件を加えて予測するものである。   ウ 検討結果     平面横断が実現できないか、横断歩道の設置位置を変えたパターン別に検討を行い、    道路管理者である県や交通管理者である県警と協議を行った結果、横断歩行者の安全    性確保、円滑な交通の確保を両立させることができないことから、長崎駅前に平面横    断を実施することは困難であると判断した。 (2) 長崎駅周辺のバリアフリーと歩行者の負担軽減   ア 電停バリアフリー(国道202号の平面横断不可の場合)     現在、長崎駅前では、電停へのアクセスが階段のみとなっているため、国道202号
       の平面横断が不可能となった場合、エレベーターによるバリアフリー化が必要となる。    バリアフリーに関する基準は、道路の移動円滑化整備ガイドラインにより、エレベー    ターについては、内法幅・奥行きを1.5メートル以上、階段については、有効幅員を    1.5メートル以上、二段式の手摺りを両側に設置し、階段横の通路については、車椅    子が通行する幅員を1メートル以上、電停幅については、幅員1.5メートル以上を満    たす必要があり、現況2メートル程度の電停の幅を約4メートル程度に拡幅する必要    がある。電停の拡幅とあわせ、現在やや狭くなっている車線の幅を十分に確保すると、    約5.5メートル国道を長崎駅側に移動する必要が生じる。     電停拡幅には、軌道及び車道の駅側への移動が必要となるが、交差点に近く、特に    大波止側から北に向かう車線について、円滑な交通を確保できる道路線形とする必要    があること、平面横断と比べ、建設費や維持管理費などのコストが大きく、また工期    も長期化すること、また、工事に際しては、円滑な道路交通の確保、路面電車の運行    維持、歩行者の国道横断機能の維持などの施工条件をクリアする必要がある。そのた    め、今後の対応としては、デッキやエレベーターの規格、電停の幅員について道路管    理者、軌道事業者、障害者団体などと協議、調整を進めることや、円滑な交通が確保    できる道路線形について道路管理者や交通管理者と協議を行うこと、また、歩行者の    安全性や円滑な交通を確保しながらの施工計画などについて、並行して検討を進める    こととしている。   イ 新幹線駅舎に係るバリアフリー意見交換会     平成29年8月25日に、新幹線の事業主体である鉄道・運輸機構から示された新駅舎    ができる長崎駅、諫早駅、(仮称)新大村駅のレイアウト案や駅構内の設備の設計案    について、県障害者団体、関係自治体と意見交換が行われた。     レイアウト案については、駅舎内の床には点字ブロックが設置され、改札口を通過    した利用客は改札内コンコースに入っていくこととなるが、コンコース内では、点字    対応の構内案内図やトイレ案内図が設置されるほか、音声による案内がなされる計画    となっている。また、ホームについては、エレベーター内はもちろんのこと、エスカ    レーター、階段においても音声による案内がなされる計画となっている。     駅構内の設備案については、駅構内1階に音声付触知案内図板や二段手すり、段差    明示タイル、コンコース階待合室、多目的室が設置され、また、駅構内の便所設備は、    多機能便所や非常時を伝えるフラッシュランプ、警報ランプが設置されることとなっ    ている。また、駅構内ホームには、内部が見えるようにシースルーにするとともに、    車椅子での移動が円滑になるよう貫通型のエレベーターを設置することが示された。    さらに、エスカレーターについては、乗降時の不安を解消するために3枚水平ステッ    プとすること、ホームの柵や床などに、文字のほか点字で号車番号や車両の進行方向、    出口案内を行うことが示されている。     各団体から出された主な意見として、多目的室について、自由に使えるように施錠    しないほうがよいのではないか、駅のホームや待合室等に案内図・号車図が欲しい、    ホームの号車案内やトイレの各種ボタンについて、色のほかコントラストの区別や点    字等、文字で識別できるようにしてほしい、電光掲示板は視覚に障害がある方に見え    やすい位置に配置してほしい、エレベーター内で事故が起きたときに、聴覚障害者に    対してはモニターなどで状況がわかるような対応をしてほしい、事故による遅延があ    ったときなどの案内は電光掲示板に表示してほしい、既に開業している他の駅の課題    を反映させてほしい、手すりの形状(断面)は円形だが、支えにするとき力を入れら    れないといった意見が出されており、それぞれの意見については、事業主体である鉄    道・運輸機構により再検討されることとなっている。   ウ 駅舎から国道までの移動における負担軽減策の検討     新駅舎の改札と国道202号との距離が約230メートルとなることに対する負担軽減    策として、起終点型の路線バスのバスベイを整備すること、歩きたくなる空間や動く    歩道(2階デッキ)を整備することなどの検討を行った。     まず、起終点型の路線バスのバスベイの整備については、交通広場内に路線バスを    引き込むことで、歩行距離の短縮を図るもので、メリットとしては、民間事業の採算    内で実施可能な場合は費用を要しないことや、駅外と連続的につながることが挙げら    れる。一方、デメリットとしては、バス事業者の都合によりサービスが提供できない    状態となりうることが考えられる。次に、歩きたくなる空間については、イベントの    開催やオープンカフェ、露店等の設置により、楽しみながら歩くことができる空間と    することであり、メリットとしては、広場のにぎわいや情報発信の場にもなりえるこ    と、デメリットとしては、直接的な歩行距離の短縮とはならないことが挙げられる。    最後に、動く歩道(2階デッキ)については、物理的に歩行距離の短縮を図るもので、    地上に設置すると浸水による故障、歩行者動線の分断という問題が発生するため、設    置する場合は2階デッキとなると想定している。設置のメリットとしては、歩行距離    の短縮により、直接的に身体的負担が軽減することに加え、国道を横断するデッキと    接続することで、駅から電停及び大黒町間の移動がスムーズになることが挙げられる。    一方、デメリットとしては、身障者や高齢者にとっては乗りおり時に危険を伴うこと    もあり負担軽減策にはなりにくいこと、東西軸や多目的広場などにぎわいを生み出す    べき地上レベルの空間において、人の移動量が低下する可能性があること、地上レベ    ルの動線に比べ建設費や維持管理費が大幅増となること、駅前広場の開放感や景観が    阻害されるおそれがあることなどが挙げられる。     以上の負担軽減策については、それぞれメリット・デメリットがあるが、周辺地域    との連携や、国道上の公共交通機関との結節といった面からも重要な課題であるため、    今後、検討を深めていくこととしている。   エ 車椅子を利用した場合の国道横断(エレベーター利用)に要する時間の試算     現在の電停南側と大黒町側に設置されている歩道橋のエレベーター間の距離80メ    ートルを車椅子で移動する所要時間について、稼働状況をもとに調査し、平面横断し    た場合との比較を行ったところ、エレベーターを利用した場合の所要時間は最短で3    分6秒、最長で4分54秒であった。なお、同様の距離を平面で移動した場合は、最短    は信号待ちがないと仮定した場合の1分40秒、最長は信号を1回待った場合の4分28    秒となり、最短同士を比較すると1分26秒、最長同士を比較すると26秒、エレベータ    ーを使用した場合が長くかかるとの試算となった。 (3) バス停配置計画及び運行ルートに係るバス事業者の意見    バス停配置計画について、新たに整備される東西の交通広場においては、西口駅前交   通広場には、路線バスを4台分、東口駅前交通広場には、路線バスを4台分、定期観光   バスを2台分、路線バス待機用として2台分を確保することとしている。また、国道202   号周辺部においては、現在のホテルニュー長崎前の南口バス停と高架広場下にあるバス   停を統合し、広場に面する位置に5台から6台分を設置する計画としている。さらに、   大黒町側については、現在の長崎県交通会館付近に3台分、市役所方面行きの東口バス   停に2台分、大波止方面行きの南口バス停に2台分を確保する計画となっている。    以上の計画について、市との協議の中でバス事業者からは、西口駅前交通広場経由の   路線は周辺環境を見ながら引き続き検討したい、東口駅前交通広場については、通過型   バスの乗り入れは時間的ロスによる市民の利便性の低下が大きく、基本的に考えていな   い、長崎駅を起点・終点とする起終点型のバスについては、需要を見きわめながら乗り   入れを検討したい、起終点型の待機バスのバースは2台分では不十分であり、団体バス   や送迎バスの待機場が必要である、市内循環バスの導入については十分な検討が必要で   ある、タクシーや一般車との交錯は避けたいなどの意見が出た。また、国道202号周辺   部については、駅前商店街前に南部方面行きの乗降可能なバス停を整備することが望ま   しく、市役所方面の東口バス停、大波止方面の南口バス停はそのまま残したいとの意見   が出たところであり、今後、駅起終点型バスの検討を含め、運行ルートについて引き続
      きバス事業者と協議、調整を図っていくこととしている。 (4) 年度別整備状況    平成29年度から平成31年度にかけては、新幹線及びJR長崎本線連続立体交差事業の   工事が進められる中、長崎市は、道路改良工事、上下水道工事などを進めることとして   おり、また、新しい長崎警察署については、平成29年10月に建設着手されている。    在来線駅舎の開業を予定している平成31年度末(JR長崎本線連続立体交差事業の事   業期間の変更に伴い、平成30年度末から1年開業が遅れる予定)については、在来線駅   舎の開業にあわせて、長崎駅西側部分の長崎駅中央通り線や長崎駅西通り線の一部、西   口駅前交通広場が完成することとなっている。また、歩行者動線については、現在の駅   前交通広場付近から新しい駅舎の改札口まで、仮設の歩行者通路でアクセスすることと   なっている。さらに、建築工事としては、新しい長崎警察署などの工事を想定している。   なお、駅舎の東側については、現在の在来線が高架化されることに伴い、鉄道施設の撤   去に着手することとなっており、また、高架広場の撤去工事に向け、高架下にある長崎   駅前バス停を北側へ仮移転することとなっている。    平成32年度については、駅西側に新しい長崎警察署が開庁し、西口歩行者専用道路に   ついても道路工事に着手することとしている。東側については、東口駅前交通広場など   において、貯留管や上下水道といった埋設管工事を予定しており、また、その北側の宅   地部分についても、造成工事を進めていくこととしている。さらに、現在の駅前広場に   おいては、国道を横断する歩道橋を残しつつ、高架広場の撤去工事を予定しているが、   可能な限り交通広場の機能を確保することとしている。なお、JR九州の新駅ビルにつ   いても、建築に着手しているものと想定している。    平成33年度については、駅西側は全ての工事が完了し、駅東側については、上下水道   などの埋設管工事や宅地造成工事に加え、国道部分のバス停や歩道橋に関連した工事、   東口駅前交通広場の整備などを進めていく予定としている。また、県交通局のバスター   ミナルについても、建築に着手しているものと想定している。    新幹線開業予定の平成34年度については、国道や多目的広場は整備中であるものの、   東口の駅前交通広場については一定の交通機能が確保できるよう整備を進めることと   している。    平成35年度末には、全ての整備が完了する予定である。   以上、長崎駅周辺地区における交通結節機能のあり方について、本委員会では次のよう  な意見・要望が出された。  ○ 国道202号の横断について、全て平面横断とすることが難しいならば、まず、長崎駅   側から電停まで平面横断することができないか社会実験をしてほしい。また、将来的に   は全てを平面横断ができるよう検討してほしい。  ○ 国道202号の横断について、デッキ横断しかできないならば、エレベーターやエスカ   レーターを駆使し、障害者や高齢者に十分配慮した方法を考えてほしい。  ○ 国道202号の平面横断は困難であることが明確となったことから、早急に立体横断施   設の検討を進めるべきである。  ○ バリアフリーの取り組みの中に、ハード面の充実だけでなく、車椅子利用者へのサポ   ートなど、ソフト面について障害者の視点から検証する仕組みを加えてほしい。  ○ 長崎駅から観光地への交通手段として、民間事業者の意見も聞きながら水上交通の検   討をしてほしい。  ○ 長崎らしい海に面した頭端駅の特徴を生かすため、また、浦上川線、県庁側、まちな   かへのポンプの役割を果たすためにも、南口改札を設置すべきである。  ○ 新幹線開業までに全ての事業を完成させるのではなく、変化に対応しながら中長期的   なスパンでの完成を目指すべきである。  ○ 駅を中心に自動車、バスが集中するという基本的な構造が変わらなければ、全ての事   業者が満足する解決方法というのは難しいため、西口へのバスの乗り入れの検討も含め   市が意見調整をし、言うべきことは言っていくという姿勢が必要である。  ○ 長崎駅周辺の整備だけにこだわった結果、長崎市全体で経済的にマイナスとならない   よう、専門家の意見を聞きながら俯瞰的な視点から科学的な検証をしてほしい。 6 在来線開業に向けた整備計画について (1) 在来線開業時の状況    連続立体交差事業により高架化が完了し、在来線駅舎の開業を予定している平成31   年度末には、在来線駅舎の西側に、西口駅前交通広場、長崎駅西通り線、長崎駅中央通   り線の一部が整備された状況となる。高架切りかえ完了時の駅への自動車動線は、西側   の浦上川線や南側の旭大橋線を利用し、新たに整備される駅西口を活用する計画であり、   現在の交通広場機能についても、利用できる状態に維持する予定である。歩行者動線に   ついては、駅の西側においては、交通広場から改札までの距離が近くなり、現在と比較   しても、利便性が大きく向上することとなる。また、駅の東側については、現在の駅前   交通広場を活用しながら、そこから駅舎まで工事中の区域内に仮設の歩行者通路を設置   し、歩行者動線とする計画となっているため、在来線の新駅舎開業から新幹線開業まで   の間は、国道からアクセスしやすい現在の交通広場を活用しつつ、西口における交通運   用が中心となる。 (2) 整備期間中の仮設動線の事例    JR大分駅においては、連続立体交差事業のため、地上の旧駅から高架の新駅へと切   りかえが行われ、長崎駅の場合と比較すると、駅前広場から営業中の駅へと至る部分で、   高架工事が行われているという状況が類似しており、工事期間中は継続して工事区域内   に仮設通路を設置し、駅利用者の安全な動線を確保しながら、工事を実施したところで   ある。 (3) 在来線開業後から新幹線開業までの歩行者動線イメージ    在来線開業後から新幹線開業までの歩行者動線の位置について、在来線の改札口と現   在の駅前広場を連絡する仮設通路は、今後、施工方法の検討を進める中で、具体的な調   整を行うこととなっている。また、仮設通路の整備に当たっては、バリアフリーに配慮   することや、路面舗装の実施、誘導・案内看板の充実など、駅利用者が安全・快適に移   動できるよう、鉄道事業者などと調整していくこととしている。 (4) バス事業者の意見    市との協議の中でバス事業者からは、5の(3)の意見に加えて、国道202号周辺部につ   いて、北部方面行きのバス停の場所は、現在と同様、高架広場下付近がよいとの意見が   出された。また、県警からの「バス停の配置は一般交通との交錯を回避する観点から、   南部方面行きの交通会館側バス停は南口、東口と統合し廃止したほうがよい」との提案   に対し、南部方面行きの交通会館側バス停は残すべきとの見解が示された。さらに、同   じく県警からの「北部方面行きのバス停は現高架広場下付近ではなく東口駅前交通広場   側に配置したほうがよい」との指摘に対し、長崎バスからは、北部方面行きバス停を東   口駅前交通広場側に移動する場合は、ホテルニュー長崎前の現南口バス停は残すべきと   の意見が、県営バスからは、北部方面行きのバス停を東口駅前交通広場側に移動する場   合は、ホテルニュー長崎前の現南口バス停の廃止は可能との意見が出されたところであ   る。    東口・西口の両駅前交通広場への路線バスの乗り入れについては、長崎バス、県営バ   スとも、路線バスの利用者の多くが長崎駅前を通過する形で利用している現状を踏まえ、   乗り入れた場合は時間的ロスにより利用者の利便性が低下すること、また、駅周辺の再   整備に伴う土地利用や人の流れが見えない中では経営的な判断が下せない状況である   ことなどから、慎重な意見にとどまっているが、駅利用者の利便性向上を図るためにも、   今後とも引き続き、バス事業者と協議、調整を行っていくこととしている。
      以上、在来線開業に向けた整備計画について、本委員会では次のような意見・要望が出  された。  ○ 新幹線開業までの仮設通路については、ただ平面にするというだけではなく、車椅子   が通りやすくするなど、バリアフリーに十分配慮してほしい。  ○ 現状においても渋滞が発生しているアミュプラザの立体駐車場の出入り口付近につ   いて、今後開発を予定しているJR九州から早期に情報提供を受けながら、渋滞緩和策   を考えてほしい。  ○ 駅周辺の案内板については、平仮名を振るなど誰もが理解できるような整備をしてほ   しい。  ○ 在来線高架切替から新幹線開業までは一定の期間があることから、その期間中の駅前   広場の利用形態や歩行者動線について、市民や駅利用者にわかりやすく説明すべきであ   る。 7 長崎駅周辺地区における広場計画について (1) 長崎駅前広場が目指す姿    新たに整備される駅や広場が、長崎のまちとつながり人々のための場所となるよう、   広場づくりの考え方、長崎駅前広場が目指す姿を4つの視点から整理した考えが示され   た。   ア 拠点性の視点     新しく整備される広場が、来訪者などに対して駅からまちなかへ人を送り込むポン    プの役割を担うこと、市内観光やイベント情報が手に入り、まちに向かう動線が分か    りやすいことなどが必要であり、駅が目的地化しまちへ人が流れない状況は避けなけ    ればならないとの考えが示された。   イ 居場所の視点     市民の憩いの場となり、日常的に使う空間として定着するとともに、日常と非日常    がともに成立している空間であること、また、快適に過ごせる空間であり、イベント    開催時以外には人がいない広場とならないようにする必要があるとの考えが示され    た。   ウ 利活用の視点     多様な人が多様な目的で訪れる場、建物や広場がつながりを持っている場、自由な    表現の場となることで、単なる通過動線としての広場とならないようにしたいとの考    えが示された。   エ 独自性の視点     空間や環境としての個性があり、空間の仕掛けでコトが起きる広場、おくんちなど    まちの歳時記の受け皿となる広場となる必要があるとの考えが示された。 (2) 西口駅前交通広場の検討(案)    整備に当たっての方針として、明快な歩行者動線として、充実した案内サインにより   周辺地域への移動円滑化を図ること、歩行者通路屋根の設置や周辺施設との連携により、   公共交通までのぬれない動線を整備することとしている。また、歩行者にとって快適な   空間の創出として、ベンチや植栽を配置し、ひと休みできるようなたまり空間を整備す   ること、沿道施設と一体となった滞留やにぎわいをつくり出すこととしている。    また、案内サインの設置計画については、市内地図と周辺案内図を一緒に表示した総   合案内サイン、周辺案内図を表示した案内サイン、交通機関の乗り場や路線図等を表示   した交通関係案内サイン、周辺主要施設への誘導のための誘導サインを設置し、改札口   から出てくる歩行者にとって必要な情報が的確に得られ、目的地に円滑に移動できるよ   う、わかりやすく見やすい位置に配置していくこととしている。 (3) 東口駅前交通広場の検討(案)    まず、拠点性の視点として、広場が駅からまちへのポンプの役割を担うためには、駅   を出た人々が、わかりやすい動線で快適に移動できるような環境を整備する必要がある   ため、公共交通の乗り場までの雨にぬれない動線を整備するとともに、公共交通の乗り   場案内や案内サインにより、必要な情報を提供しながら目的地まで円滑に誘導したいと   の考えが示された。次に、居場所の視点として、多目的広場の国道側に、緑地やベンチ   などによるくつろげる空間を整備したいとの考えが示された。また、利活用の視点とし   て、多目的広場に給排水、電力などを備えた市民活動の空間を整備したいとの考えが示   された。最後に、独自性の視点として、長崎らしさを象徴するモニュメントを設置し、   多目的広場を長崎の歳時に使用できる空間としたいとの考えが示された。   以上、長崎駅周辺地区における広場計画について、本委員会では次のような意見・要望  が出された。  ○ 長崎の玄関口にふさわしい、それ自体が観光・撮影スポットとなるようなモニュメン   トを整備すべきである。  ○ モニュメントについては、例えば二十六聖人殉教地と関連性があるものとするなど、   周囲の景観を生かしてストーリー性を持たせてほしい。  ○ 障害者や高齢者のためにも、大黒町側から車椅子で2階デッキに上がって、そのまま   平面で長崎駅まで行けるような屋根つきの動線をつくるべきである。  ○ 高齢者や身障者、大きな荷物を持った方のため、動く歩道の導入について十分検討し   てほしい。 8 委員会からの提言   以上、本委員会の調査項目についてまとめたが、長崎駅周辺再整備事業は、国際観光文  化都市長崎の陸の玄関口を形づくる百年に一度の大事業であり、利便性の向上や安全性の  確保、交通結節機能の強化を図るためには、周辺地区を初めとする市民の意見を聴取・集  約した上で計画に反映させ、その計画を確実に実施する必要がある。理事者におかれては、  市民ワークショップなどにおける意見の聴取に当たり、前提となる十分な情報をパースな  どのわかりやすい形で提供することを要望する。加えて、交通結節点における公共交通の  役割を果たすため、西口へのバスの乗り入れの検討も含め、交通事業者を含む関係者間の  意見調整を積極的に行うよう努められたい。   また、本事業は、新幹線が開業する平成34年度に合わせて進められているものであるが、  その前提であったフリーゲージトレイン開発の見通しは厳しく、また、JR長崎本線の連  続立体交差事業についても、事業期間の延期が明らかとなったところである。そのような  中で、対面乗換方式とはなるものの平成34年度の新幹線開業の計画は変わっておらず、他  の整備事業への影響は避けられないことから、理事者におかれては、新幹線開業に支障を  きたさないよう十分工程について精査されたい。また、新幹線については、本来の時間短  縮効果を発揮するため、周辺自治体等と連携し、フル規格による山陽新幹線への直接乗り  入れの実現を国に強く働きかけるよう要望する。   さらに、平成34年度の新幹線開業は大きな節目ではあるが、開業以降も長崎駅を取り巻  く状況は常に変化していくことが想定されるため、新長崎駅開業後の人の動きや交通量の  変化に留意し、旭大橋の低床化や都市計画道路浦上川線の延伸などが一日も早く実現され  るよう県に事業の推進を働きかけるとともに、状況の変化に対応しながら、国道202号の  平面横断の実現に努力を重ねるよう強く求めるものである。   以上の要望を踏まえ、理事者におかれては、市民や関係者へ事業について丁寧に説明し  た上でその意見を聴取し、また、その意見・利害が対立する場合には、市がリーダーシッ  プを発揮して意見調整しながら十分な検討を重ね、長崎駅周辺再整備事業に引き続き取り
     組まれたい。 長崎市議会 ↑ ページの先頭へ...