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  1. 長崎市議会 2017-01-23
    2017-01-23 長崎市:平成29年長崎駅周辺再整備特別委員会 まとめ


    取得元: 長崎市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1          長崎駅周辺再整備特別委員会 調査報告書のまとめ  長崎駅周辺地区は、市民のみならず多くの人が行き交う場所であり、新幹線整備を契機と して、国際観光文化都市長崎の玄関口にふさわしい長崎駅周辺の再整備の推進に寄与するこ とを目的として調査を行うこととし、長崎駅周辺再整備に係る諸問題を把握し、利便性の向 上や安全性の確保、交通結節機能の強化、周辺地区との連携などの諸方策について、長崎駅 前地区まちづくり協議会九州旅客鉄道株式会社JR九州)及び各交通関係機関との意見 交換会における説明や意見も参考にしながら、鋭意検討を行った。  以下、調査の過程で出された主な意見、要望を付して、本委員会のまとめとする。 1 長崎駅周辺再整備事業について (1) 九州新幹線西九州ルート    本ルートは、博多-長崎間において軌間可変電車であるフリーゲージトレインにより   国の認可を受け、独立行政法人鉄道建設運輸施設整備支援機構(通称、鉄道・運輸機   構)が主体となり建設が進められている。フリーゲージトレインによる博多-長崎間の   所要時間は、国土交通省の試算によると最速で1時間20分であり、現行の在来特急の最   速1時間48分より28分短縮されることとなる。また、国が費用対効果を予測するために   想定した駅は、速達(平均的)で長崎駅、諫早駅、武雄温泉駅、佐賀駅、新鳥栖駅及び   博多駅である。    また、フリーゲージトレインの開発が不具合によりおくれており、量産車両の生産が
      平成34年度の開業に間に合わないことから、武雄温泉駅で新幹線と在来線を乗りかえる   リレー方式により、平成34年度に暫定的に開業する予定である。    事業費は約5,000億円、予算額ベースによる平成27年度末の進捗率は約30.9%である。   現在、市内のトンネル及び明かり部(地表面に出てくる区間)の合計6つの工区全てに   おいて工事の発注が完了し、用地協議や工事が進められている。 (2) フリーゲージトレイン開発状況    平成10年に一次試験車両が完成後、さまざまな試験が行われ、平成26年3月には三次   試験車両が完成し、同年10月から、新幹線区間軌間可変区間及び在来線区間を繰り返   し走行する3モード耐久走行試験に切りかえたが、車軸等に不具合が確認されたため同   年12月から試験が一時休止されている。    その後、改良された部品による台車での回転試験など、室内検証試験が実施されてい   たところであるが、平成28年11月18日には、軌間可変技術評価委員会が開催され、不具   合対策の検証結果などについて審議が行われた。同委員会からは、現時点においてはこ   のまま耐久走行試験に移行する条件が満たされていないことから、検証走行試験等の実   施とコスト削減策の検討を行った上で、平成29年初夏をめどに取りまとめ、改めて同委   員会を開催し耐久走行試験の再開について評価するとの審議結果が報告された。    また、関西圏まで乗り入れて初めて新幹線の効果があるため、フリーゲージトレイン   の開発状況リレー方式での暫定開業の期間等については、引き続き国の動きを注視し   情報収集に努めることとしている。 (3) JR長崎本線連続立体交差事業    長崎県が事業主体である本事業は、本市が事業主体である長崎駅周辺土地区画整理事   業と一体的に実施しており、事業区間は、松山町から尾上町までの約2,480メートルで、   竹岩橋踏切梁川橋踏切、宝町踏切及び幸町踏切の4つの踏切を除却し、長崎駅と浦上   駅を高架駅とするものである。    事業期間は平成21年度から32年度まで、事業費は約431億円、予算額ベースによる平   成27年度末の進捗率は約38%である。    平成28年3月には従来の線路の横に仮設の線路を設置し、全線を仮線へ切りかえた。   現在、仮線にて列車の運行を行いながら、従来の線路の撤去や高架構造物の工事を行っ   ている。 (4) 長崎駅周辺土地区画整理事業    本市が事業主体である本事業は、新幹線や在来線の鉄道施設の受け皿を整備するとと   もに、街路や駅前交通広場などの基盤整備土地利用の転換・有効利用を図り、国際観   光文化都市長崎の玄関口にふさわしい都市拠点の形成を図るものである。公共施設とし   て新駅舎の東口及び西口に駅前交通広場を、国道202号に面した場所に多目的広場を整   備する予定で、道路としては区域内外に5路線を建設する予定である。また、施行地区   は長崎市大黒町、尾上町、八千代町及び西坂町の各一部で、施行面積は約19.2ヘクター   ル、地権者(土地所有者)数は12名、事業費は約154億円、事業期間は平成21年度から   35年度まで、減歩率は平均で約38%である。    進捗状況としては、新駅舎の西側地区から順次、建物の移転や整地工事などを行い、   平成27年度末の事業費ベースでの進捗率は約15%である。また、平成28年度は、駅前広   場等の設計、電線共同溝の設計、鉄道施設等の撤去工事、上下水道工事などを行うこと   としている。 (5) 長崎駅周辺まちづくり基本計画    本計画は、今後のまちづくりの骨格について市が定めたもので、市の上位計画や関連   計画である長崎市総合計画、長崎市都市計画マスタープラン、長崎市景観基本計画など   を踏まえ、長崎駅周辺まちづくり委員会からの提案をもとに、平成23年2月に策定され   たものである。    また、本計画を踏まえ、まちづくりのルールを法的に担保するために、平成23年7月   に都市計画決定した「長崎駅周辺地区計画」は、交流とにぎわい都市拠点の形成を図   るとともに、古くからの市街地との連携強化により長崎市中心部の活性化を図ることを   目的としており、方針として「土地利用の方針」「地区施設整備方針」「建築物等の整   備方針」「緑化に関する方針」の4項目を掲げている。    また、主な建築物等に関する事項として、建築物の敷地面積の最低限度を地区ごとに   2,000平方メートル、1,000平方メートル及び500平方メートルと定め、壁面位置の制限   を箇所により5メートル、2メートル、1メートルと定め、建築物等の高さについては、   最高限度を31メートルと定めている。   以上、長崎駅周辺再整備事業について、本委員会では次のような意見・要望が出された。  ○ 長崎の基幹産業は観光であるため、10年後、20年後あるいは100年後の長崎を考えた   際、新幹線がフル規格で開業されるまでの間のおくれがどれほど長崎の経済に影響する   のかを真剣に考える必要がある。  ○ フリーゲージトレインの開発が順調に進んでいないのであれば、開発のめどを示すよ   う国へ強く要望するべきである。  ○ フリーゲージトレインの安全性の問題やこれまでの開発費が約450億円という膨大な   費用を勘案すると、フリーゲージトレインの開発を早い段階でやめるべきである。  ○ 連続立体交差事業の対象とならない西町踏切の安全対策は引き続き講じること。 2 長崎駅周辺再整備事業に関連する事業について (1) 都市計画道路大黒町恵美須町線(市道大黒町筑後町1号線)    本路線の整備概要は、旭大橋東口交差点から長崎中央郵便局までの区間において、現   在の延長約100メートル、幅員約11メートルの2車線を、延長約110メートル、幅員約26   メートルの4車線と右折帯の合計5車線に拡幅するものである。    事業期間は平成26年度から32年度まで、事業費は41億円、整備効果としては、交通需   要に応じた車線数へ拡幅することによる道路混雑や渋滞の解消、国道202号の自動車交   通を浦上川線や旭大橋線へ誘導することによる長崎駅前交差点交通負荷の軽減、将来   の交通需要増大への受け皿の整備と長崎駅周辺とまちなか地区の連携の強化が期待さ   れている。    進捗状況としては、平成26年度及び27年度に建物調査を行い、平成27年度末の事業費   ベースでの進捗率は約0.5%である。 (2) 長崎駅周辺の浸水対策    本事業は、長崎駅周辺の平たん部は地盤高が低い低地地区であるため、潮位の影響を   受けやすく大潮の満潮時と大雨が重なった際は道路が冠水し一時的に交通が寸断され   る浸水被害が発生することから、長崎駅周辺土地区画整理事業と連携をとりながら浸水   被害を防ぐための雨水施設雨水貯留管等の整備を行うものである。    また、平成26年7月の降雨が国庫補助事業の採択基準である10年に一度発生する確率   の大雨を上回っていたことから、30年に一度発生する確率に相当する大雨にも対応でき   るよう、単独事業として雨水貯留管を補完する雨水排水ポンプを設置することとしてい   る。    事業費は約30億円、事業期間は平成25年度から33年度まで、進捗率は平成27年度分の   完了時点で約11%である。 3 長崎駅舎駅前広場等デザイン基本計画について    本計画は、長崎駅舎駅前広場等デザイン検討会議における議論を踏まえ、駅舎や駅   前交通広場等に関するデザインの基本的な考え方を県と市で取りまとめ、平成27年度に   策定したものである。
       駅舎のデザイン基本計画では、駅舎の上屋の柱の数を最小限とし、新幹線と在来線を   一体的な屋根で覆い大きなホーム空間を創出すること、長崎駅の大きな特徴である海の   存在や雰囲気をホーム上から体感できるような演出を行うこと、港に近いという立地特   性や新幹線と在来線双方が乗り入れる日本で唯一の頭端駅であるという特徴を生かし、   長崎でしか味わえない眺望を確保することなどを定めている。    また、駅前広場等デザイン基本計画では、改札口から国道202号までの約230メート   ルにおいて幅員約20メートルの歩行者動線を整備するなどの「駅周辺の大骨格となる象   徴的な東西軸の創出」、歩行者動線を大切にした広場レイアウトとするなどの「市街地   や水辺への回遊を引き出す重層的な歩行者動線の創出」、市民の日常的な憩いの場やイ   ベントとしても利用できる「街の広場」や駅利用者と来訪者を迎える「驛(えき)の広   場」を整備するなどの「駅前を市民の憩いと活動の舞台とする広場群の創出」、バスや   タクシー乗り場を駅の近くに集約して配置し、路面電車電停のバリアフリー化を図り、   雨天時にも移動しやすい乗り継ぎ動線をつくるなどの「駅からの明快な乗り継ぎを可能   とする交通広場の配置」などを定めている。   以上、長崎駅舎駅前広場等デザイン基本計画について、本委員会では次のような意見・  要望が出された。  ○ 日常生活で駅を利用している市民の視点が欠落しないよう、障害を持った方や高齢の   方など、さまざまな方の意見を早急に聞き十分調査をした上で設計に取り組むべきであ   る。  ○ 長崎駅は終着駅であり車両を正面から見ることができる点が唯一他の駅とは全く違   うことから、観光客の誘客につながることも視野に入れた駅舎のデザインについて検討   する必要がある。  ○ 駅周辺の電停、バス停、駅前商店街などから新駅舎までの動線の全てに上屋を設置す   るべきである。  ○ 在来線と新幹線のホームの高さが違うため、横に移動することができず、改札も1階   に予定しているとのことであるが、JR九州は、駅舎に隣接した場所に商業施設の建設   を予定しているため、人の流れとして改札を2階に設けそのまま2階レベルで商業施設   へ移動したほうが誘客に有利であれば、2階に改札を設ける可能性があるため、無理で   あると断念せず、実現するための努力をするべきである。 4 長崎駅周辺再整備地区周辺地域との連携について (1) 周辺地域との連携に係る計画   ア 都市再生総合整備事業     平成20年12月に国土交通大臣から、長崎市中央部・臨海地域が都市再生総合整備事    業の都市・居住環境整備重点地域として指定され、平成21年度末には、県と市が共同    でこの重点地域における都市・居住環境整備基本計画を策定している。また、都市・    居住環境整備重点地域のうち、特に重点的に取り組むエリアとして、長崎駅周辺エリ    ア、松が枝周辺エリアまちなかエリア及び中央エリアの4つのエリアを設定し、エ    リアごとに整備計画を策定している。     長崎駅周辺エリア整備計画では、長崎駅周辺再整備地区周辺地域との連携に関連    した施策として、長崎駅から西坂・諏訪の森方面への歩行者動線の整備、駅前商店街    の活性化、浦上川の東西の連携強化のための中央郵便局横旭大橋線の東伸や旭大橋    の低床化、新駅舎と離島航路を結ぶ動線の整備などが位置づけられている。   イ 長崎駅周辺まちづくり基本計画     平成23年2月に策定した本計画の5つの方針の一つに「既存市街地との連携を図る    まちを形成する」と定めており、その具体的な取り組みとして、路面電車やバス等の    公共交通機関を活用した交通動線の充実を図ること、近接する駅前商店街や日本二十    六聖人殉教地などとの連携に資する歩行者動線の充実を図ること、駅前商店街、西坂    公園、八千代町街区、魚市跡地などとの連携を図り、地区で創出されるにぎわいを波    及させるようなまちづくりを行うこととしている。   ウ 長崎駅舎駅前広場等デザイン基本計画(再掲)     本計画における周辺地域との連携に関連したデザインの方策として、市街地や水辺    への回遊を引き出す重層的な歩行者動線を創出することと定め、市街地や臨海部、周    辺の史跡等への円滑でわかりやすいアクセスを可能とすることや、地上レベルの移動    を基本とし、デッキ動線と併用することで歩行者の移動選択性を向上させ、駅周辺の    回遊を活性化させることとしている。 (2) 周辺地域の現状と必要な方策   ア 大黒町地区     現状及び課題としては、新長崎駅が現在の位置から浦上川方面へ約150メートル移    動すること、長崎駅と大黒町方面の市街地は交通量が非常に多い国道で隔てられてい    ること、交通会館バスターミナル機能新駅周辺へ移転すること、西坂公園が観光    客の誘引機能を十分に発揮していないことなどが挙げられている。     これに対し必要な方策として、国道横断が円滑となる歩行者動線の整備、西坂公園    のPR及び駅と西坂公園を結ぶ動線への観光客の誘導、これらの動線上に位置する商    店街等の魅力向上が挙げられている。   イ 元船町地区     現状及び課題としては、本地区内には十分な高度利用がなされていない土地が多い    こと、地区と駅部との結節点がホテルニュー長崎横の横断歩道のみであること、地区    内の主要な歩行者動線は国道202号及び浦上川線の歩道であり一定の整備が済んでい    ることなどが挙げられている。     これに対し必要な方策として、土地の高度利用がなされていない要因の一つに、駅    からの人の流れの軸線上から当地区が外れているということが考えられること、また    今後、長崎駅周辺再整備、県庁や県警本部等の移転、長崎と天草地方の潜伏キリシタ    ン関連遺産世界遺産登録による離島への訪問客の増加等により当地区に新たなに    ぎわいが生まれることが期待されることから、これを当地区の活性化につなげる方策    として、駅周辺地区から当地区への歩行者動線の強化、駅周辺地区と元船・大波止方    面とを結ぶ二次交通の整備が挙げられている。   ウ 旭町地区     現状及び課題としては、浦上川の幅は約100メートルであるが、旭大橋は形状によ    りその距離が約700メートルあるため、実際の距離以上に駅周辺地区との距離感があ    り立地特性が生かされていないこと、水産業関係の工場等が残っており土地利用の転    換が進んでいないことが挙げられている。     これに対し必要な方策として、連続立体交差事業により踏切を除去するとともに仮    線用地を道路化することによる長崎駅部へのアクセス性の向上、市道大黒町筑後町1    号線の拡幅に伴う旭大橋経由のバスの増便、旭大橋の低床化が挙げられている。     なお、旭大橋の低床化は、県市共同で進めている都市再生総合整備事業の中で整備    を図るべき都市基盤施設として位置づけられているが、管理者である長崎県からは、    インフラ施設の長寿命化が求められている中、補助金の交付を受けた際の耐用年数に    達していない早い時期での、解体・撤去は厳しいとの意見も出されている。しかし、    西口の利用促進や稲佐橋の渋滞緩和、浦上川右岸地区の活性化を図る上で、旭大橋の    低床化は必要不可欠であることから、今後も早期実現を目指して県に対し強く働きか    けることとしている。   エ 三菱重工業株式会社幸町工場用地
        本用地は、工場の再編に伴い移転することが決定され、平成30年度以降に更地にで    きる状況が整う予定である。跡地の活用については、三菱重工業、長崎県及び本市に    よる意見交換がなされてきたところであるが、今後は、三菱重工業が主体となり検討    されることとなる。   以上、長崎駅周辺再整備地区周辺地域との連携について、本委員会では次のような意  見・要望が出された。  ○ 長崎駅周辺再整備地区の再開発も大切だが、その近隣商店街の将来も考えた対策が必   要である。今後も積極的にまちづくり協議会へ出向き、地元の方々を盛り上げて、地元   の方々でできるところは自分たちでしてもらい、行政が手伝う部分は手伝うというよう   なすみ分けを行いながら、周辺地域とともに発展するように取り組むべきである。  ○ 周辺地域の方とJR九州との連携を図るために、行政が仲介役となり調整を行う必要   がある。  ○ 長崎駅周辺まちづくり基本計画を平成23年に策定していながら、今日まで何をしてい   たのか疑問に思う。国道横断や電停のバリアフリー化の問題など基本的な考えがまだ固   まっていないまま、デザインだけが先走りしないよう慎重に取り組むべきである。  ○ 今後、本市が観光客数の入り込みをどれぐらい目指しているのか、また、どれくらい   交通量がふえるのかということをしっかりと見込み、シミュレーションをした上で方策   を講じてほしい。  ○ 浦上川を挟んで両側の対岸とともに発展することが重要である。浦上川の右岸と左岸   を一体とした人の流れについても検討するべきである。  ○ 三菱重工業長崎造船所幸町工場、中部下水処理場及びクリーンセンターの跡地の活用   次第では長崎のまちの姿が変わってくるため、議会との連携も図りながら慎重に取り組   んでほしい。  ○ 旭大橋低床化の早急実現が難しいのであれば、駅前の交通渋滞の解消や西部地区への   にぎわいの波及のために新たな橋の整備について検討してほしい。 5 長崎駅周辺地区における交通結節機能のあり方について (1) 長崎駅前の現状   ア 交通施設の配置状況     駅構内には、定期観光バスの乗降場、タクシー乗り場、24台分のタクシープール、    79台分の駐車場、67台分の駐輪場などがある。また、道路上においては、国道202号    の中央部に路面電車の電停があり、路線バスの乗降場は5カ所に分散されている。高    速バスは交通会館1階の長崎ターミナルにおいて発着している。   イ 公共交通利用状況     平成27年度の観光客数は過去最高の約670万人で、来崎した手段について交通機関    別に見ると、自動車利用が6割、JR利用が2割、航空機及び船舶利用がそれぞれ約    1割である。     長崎駅におけるJR利用者乗り継ぎ状況としては、過去のパーソントリップ調査    によると約4割が公共交通へ乗り継いでおり、そのうち路面電車は約18%、バスは約    17%とほぼ同じ割合である。     バスの利用状況としては、長崎駅前における路線バスの平日の運行本数は1日当た    り約4,400本であり、その約9割の約4,000本は駅前を起終点としない通過型である。     高速バスは、交通会館1階の長崎ターミナルに乗り場が6カ所あり、1日当たりの    発着本数が310便、利用者数は約5,000人である。     路線バスについては、長崎駅周辺におけるバス停6カ所の合計での乗降客数が1日    当たり約2万1,000人で、そのうち北部方面行きである長崎駅前バス停での乗降客数    は約8,400人と全体の4割近くを占めており、駅構内バス停での乗降客数は約400人と    少なく、駅前南口バス停駅前東口バス停及び交通会館前バス停の乗降客数は、それ    ぞれ約3,000人台でほぼ同等の利用となっている。     路面電車長崎駅前における通過本数は、平日は1日当たり約720本で、長崎駅前    を通過する1系統と3系統はおおよそ五、六分間隔で運行されている。また、長崎駅    前電停は全ての電停の中で1日当たりの乗降客数が最も多く約7,000人である。   ウ 駐車場・駐輪場の利用状況     駅構内の駐車場は、一マス当たりの駐車回数を示す回転率が7.5から10であり、市    営桜町駐車場の回転率3と比べると非常に高いことから、多くの方に利用されている    状況である。また、平日・休日ともに満車の79台には至らないが、休日の夕方はほぼ    満車状態である。     駐車場利用者アンケートによると、アミュプラザの利用が約半数を占め、駅利用は    2割前後である。また、平日・休日ともに30分以下の利用者が約半数で、平日は1時    間以内の利用者がほとんどである。 (2) 長崎駅前の課題と対応案   ア 新たに整備される駅前交通広場に対する各交通事業者の考え     まず、バス事業者においては、西口のバス停では主に都心部を循環する路線での利    用が中心となること、一般車両とふくそうしない配置が必要であること、国道202号    上の長崎駅通過型の系統はこれまでどおり国道上での処理が基本となることなどの    考えが示されている。     次に、軌道事業者においては、長崎駅部への乗り入れは困難であること、長崎駅前    電停のバリアフリー化が必要であるが、駅前電停を駅側に寄せるサイドリザベーショ    ンは時間的なロスが課題であること、利便性向上のため軌道の3線化が必要であるこ    と、電停の島式化は安全面や運用面から困難であることなどの考えが示されている。     最後に、タクシー事業者においては、西口・東口ともに一般車両とふくそうしない    配置が必要であること、東口のタクシープールは20台程度が必要であることなどの考    えが示されている。     なお、現在、交通会館にあるバスターミナル機能については、新幹線と在来線の高    架に挟まれた敷地約600平方メートルの土地に移転し、新長崎ターミナルとして3階    建ての建物を長崎県が建設する予定としている。1階部分に待ち合いスペース、案内、    発券機能などを配置し、乗り場はトランジットモール線に四、五バース程度を設置す    る計画としている。現在のターミナルでは、主に県外を結ぶ高速バス等や県内の都市    間を結ぶ路線の発着拠点として、一日当たり約300便が発着しており、長崎県交通局    以外のバス事業者としては県内2社、県外6社のバスが発着しているが、新ターミナ    ルにおいても、基本的には現在と同様の発着数を想定しているとの考えが示されてい    る。   イ バスにおける課題と対応案     課題としては、西口を通るルートの新設が必要となること、高架広場下バス停は発    着便数が多くバスベイ容量が不足していること、案内サインの不足やバス停の分散に    より乗降場がわかりにくいことなどが挙げられている。      また、課題への対応案として、西口・東口の駅前交通広場路線バスのバス停を新    設することやそのルートについてはバス事業者と協議し検討を進めることとしてい    る。     なお、バス停の集約については、交通管理者、道路管理者及びバス事業者との検討    の結果、北部方面行きのバス停は、ホテルニュー長崎前の駅前南口バス停を高架広場    下の長崎駅前バス停に集約することは可能であること、駅前商店街側でのバス停の集    約については、交通管理者や道路管理者の意見やバスベイ設置箇所の状況等を総合的    に勘案すると困難であること、交通会館側でのバス停集約については、市道への影響    や、関係者との調整、またはバスベイの規模や位置の変更が必要となること、南部方
       面行きの駅前東口バス停駅前南口バス停は、その利用状況や事業者の意見等から、    そのまま残す必要があること、バス停の位置の変更に当たっては、その周辺の経済活    動や日常生活に大きな影響を与えることから、慎重に検討を進める必要があるとの考    えが示された。   ウ 路面電車における課題と対応案     課題としては、長崎駅前電停は歩道橋の階段からのみのアクセスしかなくバリアフ    リー化が図られていないこと、南向きの1号系統と3号系統が同じホームを利用して    いることから電停の前方に停車する車両が出発しなければ、後方に停車する車両の進    行方向の信号が青であっても出発することができず、運行時間のロスが生じているこ    となどが挙げられている。     なお、サイドリザベーション及び軌道の3線化に係る検討結果は、次に記載のとお    りであるが、バリアフリー化については、引き続き検討を行うこととしている。   エ サイドリザベーションの検討     青信号や赤信号等の信号サイクルの時間について、信号サイクル長(信号が青、黄、    赤色とワンサイクルして切りかわるまでの時間)を現状に固定した場合及び青信号時    間を現状のまま確保した場合において、路面電車が国道を横断して駅側に寄るための    十分な時間を確保しつつ、国道202号の青時間や桜町方面の市道の青時間が十分確保    できるのか、また、交通渋滞が発生しないかなどを検証した。     課題としては、軌道専用信号の青時間を確保することにより、一般車両の青時間が    大幅に減少するため、交通渋滞を助長する可能性があること、路面電車が国道を2回    横断する必要があるため、電車自体の青時間が大幅に減少し、利便性が大きく低下す    ること、バス利用者は、必ず軌道を横断する必要があるため、路面電車との接触事故    が懸念されること、東口駅前交通広場へ進入する車両と路面電車が交錯するため、車    両の滞留による交通渋滞や接触事故が懸念されること、軌道と車道との交差角が鋭角    であるため、二輪車の転倒事故が懸念されること、多目的広場の面積が大きく減少す    るため、その代替確保が必要となることが挙げられている。     また、交通管理者、道路管理者、軌道事業者バス事業者からは上記の課題をクリ    アすることは困難であるとの意見が出され、以上を踏まえた検討の結果、サイドリザ    ベーションとすることで、駅側から電停へのアクセス性が大きく向上するとともに、    電停のバリアフリー化が可能となるが、信号時間による試算結果やもろもろの課題、    各管理者、事業者の意見等を総合的に勘案するとその実現は困難であるとの見解が示    された。   オ 路面電車軌道の3線化の検討     南行きの軌道を2線とし、北行き1線を合わせた3線化とした場合の課題としては、    3線化に伴い国道の占用面積が増加するため、道路交通へ影響を与えない道路の幅員    や線形の確保が必要であることが挙げられている。     また、交通管理者である長崎県警からは、3線化を実施するためには、車両を安全    で円滑に流すための車線数や幅員並びに線形を確保する必要があるという意見が、ま    た、道路管理者である長崎県からは、長崎県警と同様の意見に加え、電停のバリアフ    リー化が3線化よりも優先する課題であるとの意見が出されている。また、軌道事業    者からは、3線化はぜひ実現したい、電停の幅は可能な限り広く確保したいとの意見    が出されている。     以上を踏まえた検討の結果、3線化の実現にはさきに述べたとおりの課題があるも    のの、長崎駅前電停の1日当たりの利用者数が7,000人以上と市内の電停で最も多く、    新幹線の開業に伴いさらなる利用者の増加が想定されるため、長崎駅周辺の再整備に    あわせて利用者の利便性向上のための環境改善を図ることは重要であることから、電    停のバリアフリー化乗降客数に対して不足している電停を拡幅し、3線化とするこ    となどについて、各管理者や事業者と調整を図りながら、実現に向けてより具体的な    検討を進めていきたいとの考えが示された。   カ タクシー、一般車両、二輪車における課題と対応案     課題としては、交通広場が狭くさまざまな交通がふくそうしていることが挙げられ    ており、対応案としては、タクシーについては、西口・東口ともに駅から近い場所に    乗降場を設置すること、円滑に移動するためにタクシープールを乗降場の近くに整備    することとしている。また、一般車両駅前交通広場内に駅利用者のニーズに対応し    た乗降場や駐車場を整備することとしている。二輪車の駐車場は、駅近くの高架下な    どに整備することで検討を進めている。   キ 国道とのアクセス向上策の検討     新駅舎の改札口から国道202号までの距離が約230メートルと長く、円滑な移動方法    について検討する必要があるが、現時点では、動く歩道の設置、オープンカフェなど    を配置し歩きたくなる空間の創出、電動無人バスなどの輸送車両の導入などについて、    それぞれのメリットやデメリットを勘案し、さらなる検討を進めることとしている。   ク 交通結節機能整備計画案     整備の考え方としては「駅から他の公共交通手段への乗り継ぎ利便性の向上」「来    訪者にもわかりやすく、移動がしやすいレイアウトの実現」の2つの柱をもとに、西    口へは、タクシー、路線バス一般車両の乗降場を配置し、東口へは、駅舎に近いほ    うからタクシー、起終点型の路線バス定期観光バス一般車両、団体バスの乗降場    を配置し、駅通過型の路線バス路面電車は現状のとおり国道上で乗降する計画とし    ている。今後は、この計画案をもとに交通事業者などの関係者と協議を重ねるととも    に、デザイン検討会議や市民の意見を取り入れながら配置や規模などについて検討を    深めることとしている。   ケ 長崎駅前における国道202号の平面横断の検討     歩行者が横断できる十分な時間が確保できるのか、また、交通渋滞が発生しないか    など、青信号や赤信号等の信号サイクルの時間について複数のパターンで検証を行っ    ている。     その結果、国道を平面で横断する場合の課題について、まず、横断歩道を設置する    ことにより、歩行者信号を45秒以上確保する必要があることから、信号サイクル長を    変えずに車両の青時間を短くするか、または、車両の青時間を変えずに信号サイクル    長を伸ばすといういずれかの対応が必要であること、そのうち、信号サイクル長を変    えない場合は車両の青時間が約30%短くなり、交差点通過台数が大きく減少すること    により、交通渋滞を助長する可能性があること、また、車両の青時間を変えない場合    でも、赤時間が長くなることで赤信号時に滞留する台数が大きく増加することや、前    後の交差点と信号サイクル長がずれることにより交通渋滞を助長する可能性がある    こと、さらに、高齢者や障害者等に配慮する場合には、歩行者信号をより長くとる必    要があることから、車両の青時間の確保はさらに厳しくなるとの課題が挙げられてい    る。     また、交通管理者である長崎県警や道路管理者である長崎県からは上記の課題をク    リアすることは、現状の交通状況を勘案すると困難であるとの意見が出された。     以上を踏まえた検討の結果、平面横断においては、現状の交通量のままでは、その    実現が困難であると考えられるが、今後、詳細な交通シミュレーションを実施し、関    係機関と協議を重ねた上で、平面横断の可否について最終的な判断を行いたいとの考    えが示された。     なお、高架によるデッキ横断となった場合は、地上レベルの東口駅前交通広場等と    の連続性を確保することが重要となること、また、周辺の民間施設と接続することで、
       快適な歩行者空間の確保や回遊性の向上が図られるため、民間施設の計画の具体化に    あわせて協議や調整を行うこととなり、また、昇降設備についても、必要なスペース    や輸送人数、維持管理等を勘案しながら、エレベーター及びエスカレーターの設置に    ついて具体的に検討することになるとの考えが示された。     さらに、今後の周辺の道路整備等により交通量が減少した場合には、平面横断の可    能性も出てくるため、将来的に平面横断に対応できるような施設計画としておく必要    があるとの考えも示されている。   以上、長崎駅周辺地区における交通結節機能のあり方について、本委員会では次のよう  な意見・要望が出された。  ○ 国道の横断策を検討するに当たっては、歩行者の安全確保が第一であるため、デッキ   による横断とし歩行者と車を分けるべきである。  ○ デッキ横断とした場合、エレベーターを電停の乗降用2基も含め4基設置する場合の   建設費用が8,000万円とのことだが、歩行者の安全を確保するためには、エレベーター   とエスカレーターの両方を設置する必要がある。また、車椅子対応のエスカレーターも   あるため、十分研究すべきである。  ○ 長崎駅前の北に向かう交通量を軽減するためには、西側への車の誘導について対策を   講じる必要がある。  ○ 駅周辺における観光客の流れについて文化観光部と連携して実態調査を行った上で、   国道の横断方法やバス・路面電車の停留所の位置について、歩行者の安全な動線の確保   を念頭に検討するべきである。  ○ 軌道の3線化については、必要な軌道敷の幅について早急に把握し実現に向けて検討   してほしい。  ○ 何らかの形で路面電車の電停へのアクセス向上を図るのであるならば、その分の費用   負担を軌道事業者にお願いする必要もあるのではないか。  ○ 駅前のバス停を集約することによりバスへの乗車方法やバス停の位置がわかりやす   くなれば、バス停までの移動距離が若干長くても多くの方がバスを利用する可能性があ   る。また、駅前商店街近くにバス停を設けることにより、まちの活性化につながる可能   性があるという視点も勘案して検討してほしい。  ○ 駅構内に入るタクシー会社をふやすことにより市民の利便性が向上するため、タクシ   ープールなどの基盤整備を行う市は、公共性の面からもその活用について意見を述べる   機会があってもいいのではないか。東口専用と西口専用を分けたり、当番制とするなど、   多くのタクシー事業者が構内で客を乗車させることができるような方策を検討するべ   きである。また、タクシープールの必要台数などについても、事業者と十分調整の上、   整備してほしい。 6 長崎駅周辺地区における広場計画について (1) 駅前広場の現状    かもめ広場は、全体面積が約1,200平方メートルで、そのうちイベント広場は約530   平方メートルであり、管理は長崎ターミナルビル株式会社が行っている。利用率は年間   約230日、約6割で、展示会や販売会、コンサートなどで利用されている。    高架広場は、有効面積が約1,700平方メートル、管理者は長崎県である。現在、イベ   ント等による利用は原則認められていないため、団体旅行等の集合場所や休憩場所とし   て利用されている。    この2つの広場の課題としては、かもめ広場と高架広場の連携が図られていないこと、   駅利用者や市民の憩いの場としてのスペースが余り確保されていないこと、高架広場は   現在イベント等の活動ができないこと、かもめ広場はイベント等での利用が多く、来訪   者を迎える空間が不足していることなどが挙げられている。 (2) 新たに整備する広場の計画    広場に求められる機能としては、「地区の骨格を形成し、周辺の都市機能を支援する   市街地拠点機能」「憩い・集い・語らいの場としての交流機能」「周辺環境との調和や都   会の喧騒を軽減する景観機能」「来訪者や利用者のためのトイレ等の設置やインフォメ   ーションセンターなどのサービス機能」「災害時の避難場所としての防災機能」の5つ   の機能を想定している。    これらを踏まえ、新たに整備する街の広場は5つ全ての機能を、驛の広場及び東口・   西口の高架前広場は交流機能、景観機能及びサービス機能を有した広場として整備する   予定としている。    街の広場の面積は、現在のかもめ広場及び高架広場を合わせた面積の2倍以上である   約6,900平方メートル、管理者は長崎市である。市民にとっての憩いと活動のメーン広   場であり、高架広場の代替として整備することとしている。    驛の広場は、現在のかもめ広場と同様の位置づけであることから、開発を行う民間事   業者により整備される予定であり、開発予定地や東西軸を介し、街の広場と連続させた   空間とし、にぎわいの連携を創出するものとして整備される予定である。    高架下に面した東口及び西口の高架前広場の面積は、それぞれ1,000平方メートル程   度で、まとまったオープンスペースを設け、インフォメーション機能や公共交通への乗   り継ぎや待ち合い機能を確保する予定としている。この広場の管理者は、今後、県、市   及びJR九州で調整することとしている。 (3) 設計業務委託受託者の広場設計提案    街の広場、高架前広場及び東西軸については、平成28年度から約2年半をかけて長崎   駅前広場等設計業務委託の中で設計を行う予定であり、長崎駅周辺エリデザイン調整   会議や長崎駅舎駅前広場等検討会議などとの調整を図るとともに、関係者や市民の意   見を踏まえながら、最終的な市の設計案を決定していく予定としている。 (4) 広場設計の進め方    広場の設計に当たっては、実際に利用する市民の意見を計画に反映し、多くの市民が   参画できるよう、市民の意見を設計へ反映させる取り組みとして設計デザイン検討ワー   クショップ、施設の利活用の方向性と運用体制のルールを明確化する取り組みとして利   活用検討ワークショップ、市民と一緒に駅前をつくり新しい駅前に対する愛着を育む取   り組みとしてモノづくりワークショップを開催する予定である。 (5) 在来線開業時及び新幹線開業時における整備状況    在来線が開業する平成30年度末は、東口駅前交通広場が整備されていないため、現在   の駅前交通広場をそのまま活用することとし、新しい在来線駅舎までのアクセスとして   仮設の歩行者通路を設置する予定としている。しかしながら、現在の駅前交通広場から   新しい在来線駅舎までは一定の距離があることから、西側に交通広場を整備し、さらに   道路においては、西通り線及び中央通り線の一部を整備することで、浦上川線や旭大橋   線からのアクセスが可能となるようにする予定である。また、西口駅前交通広場には、   公共交通一般車両の乗降場及び駐車場などを整備する予定としている。    また、新幹線が開業する平成34年度は、西側の整備に加え、北側の宅地造成や、東口   駅前交通広場の整備が完了する予定であるが、多目的広場やバスベイ等の国道側の整備   については、交通規制や施設の切りかえなどを段階的に行いながらの整備となり一定の   期間を要することから、この時点では工事中となる予定である。   以上、長崎駅周辺地区における広場計画ついて、本委員会では次のような意見・要望が  出された。  ○ これまで市内に大型商業施設ができたことにより、中心市街地の売り上げが減ってい   る状況にある。駅周辺に新たな大型商業施設ができることにより、既存の商店街の売り   上げが減ることにならないよう、市内の商業環境のバランスを考えた展開についてもJ
      R九州と協議し、できるだけ競合しないよう調整してほしい。  ○ 県がJR九州と連携協定を結んでいるように、市としてもJR九州と連携協定を締結   してともに開発を行う意識を高める必要がある。  ○ 広場計画におけるサービス機能として、フリーで使えるWi-Fi環境の整備も検討し   てほしい。  ○ 車が国道202号から駅前交通広場へ安全に進入することができるようにするため、ま   た、バスベイやタクシーベイのスペースを現在の計画よりも広く確保するため、東西軸   の幅をもう少し狭くできないのか検討してほしい。  ○ 国道202号の平面横断を検討している箇所をデッキ横断とする場合は、駅前商店街側   から駅舎近くまで安全に移動ができるようデッキを駅舎まで延伸するべきである。また、   東西軸の幅員を狭くして、その部分にデッキを設けることにより、バスやタクシーの乗   降場の上屋として活用ができるためあわせて検討してほしい。  ○ 駅舎からは西口側の出口が近いため、多くの方は西口側から出入りすることが想定さ   れる。団体客とそれ以外の方の混雑を整理するためにも、西口に団体客のための観光バ   スや貸し切りバスの専用駐車場が必要である。  ○ 駅ビルの壁面を後退させその下を歩行者空間とし、その壁面にデジタルサイネージ等   を設置するなどの工夫や、歩行者が終電の時間まで雨にぬれずに安全安心に移動できる   仕組みについてJR九州と協議してほしい。  ○ JR九州は、ホテル、商業施設、オフィス機能を備えた施設の整備を計画されている   が、市も交流拠点施設の機能としてホテルを検討している。重複する機能を十分精査し、   まちづくりに取り組む必要がある。  ○ 長崎駅周辺土地区画整理事業区域における土壌汚染問題は、人体に影響がないとはい   え、JR九州の土地であっても市が調査結果を速やかに市民に開示し、安心したまちづ   くりを進めていることを示すべきである。 7 関係機関等との意見交換会    長崎駅周辺の再整備に関係する長崎駅前地区まちづくり協議会、九州旅客鉄道株式会   社及び各交通関係機関との意見交換会を実施し、考え方や課題、提案などをいただいた。    その概要は、次のとおりである。 (1) 長崎駅前地区まちづくり協議会との意見交換    本協議会は、新駅舎が西側へ移動することにより、大黒町から駅舎までの距離が300   メートル離れ、また、再整備事業JR九州の再開発により大きな商業施設やイベント   広場などが駅周辺に整備されることにより人の流れが大きく変わることに対し危機感   を感じていることから、長崎駅前商店街や地元自治会が協力してまちを活性化させるこ   とを目的に設立されている。毎月開催する定例会はこれまで2回開催している。    協議会からは、新幹線開業を機に整備される新しいまちと既存の古いまちをどう融合   させるのか、また、再整備の図面では国道202号までしか載っていないが、整備範囲に   長崎駅前商店街が含まれているのかといった市の計画が全く見えないとの意見が出さ   れた。さらに、日本二十六聖人殉教地への車椅子の方の動線、自動車交通が浦上川線へ   流れ県庁舎などの各施設が建設された後の国道202号の交通量の見込み、駅周辺におけ   る駐車場・駐輪場の全体数の把握状況、バスターミナルの移転計画、交通会館が今後ど   うなるのかなどについても市の考えなどを聞き協議をしたいが実現できていない状況   であるとのことであった。    また、国道202号の横断に係る課題としては、駅と商店街を結ぶ動線について、300   メートルの距離を余り距離感を感じることなく行き来できるのか、路線バス路面電車   にスムーズに乗りかえができるのか、交通弱者である障害者や高齢者、幼い子どもを連   れた親たちが、雨風に関係なく快適に行き来することができるのか、駅前商店街や駅前   から他の市街地や観光施設への移動が、簡潔でわかりやすく、利用しやすいようにする   にはどうすればよいのかということが挙げられた。    さらに、屋根つきの動線の整備、動く歩道の導入、新駅の改札が1階であることから   平面横断によるバリアフリー化の実現が必要であるとの意見や国道202号の交通量が以   前より減っていることから、スクランブル交差点とすることや路線バスのバス停を集約   して整理できないかとの意見も出された。 (2) 九州旅客鉄道株式会社との意見交換    九州旅客鉄道株式会社は、JRとして発足した当初は長崎本線と大村線とを合わせて   1日に約90本の列車を運行していたが、平成28年は約190本に本数をふやし、これまで   輸送サービスの改善に積極的に取り組まれている。    今回、開発予定地である長崎駅の高架下約1.3ヘクタールには、鉄道事業のために必   要な機能である機器室、乗務員の事務所、支社等の機能を配置する予定としている。    また、区画整理事業の区域、約19.2ヘクタールのうち、現在のアミュプラザ長崎の敷   地や高架下の用地を含む、約4.8ヘクタールの土地については、平成28年8月31日に九   州新幹線西九州ルートの開業効果の最大化を図ることを目的とする包括的連携協定を   長崎県と締結しており、土地を有効に活用し魅力的な施設をつくるとの考えが示された。    また、本市が検討している新たな長崎駅周辺の動線等については、鉄道を利用される   方の駅から先の交通手段や周辺における交通処理が円滑に行われることが特に重要で   あると考えているが、計画の中に基本的な機能配置は考慮されているとの見解であった。    しかしながら、周辺には今後、交流拠点施設の建設や新県庁舎、県警本部、長崎警察   署、バスターミナルの移転が計画されていることから、駅周辺の交通量やその負荷への   対応が重要であり、今後は、これらの計画の進展を加味しながら、駅周辺の動線等を検   討し深めていくことが大切であるため、今後、長崎駅周辺エリデザイン調整会議等を   通して、駅前交通広場等の整備に向けて、十分な連携を図りたいとの考えが示された。 (3) 長崎電気軌道株式会社との意見交換    長崎の路面電車は、その軌道敷が緊急車両用の通路として活用できるなどの理由から、   軌道敷内の車両の通行を抑えた交通形態となっており、路面電車の定時性や速達性が守   られているという経緯がある。    サイドリザベーションやトランジットモール線への乗り入れについては、どちらも電   車が一般車線を横断するための信号待機が発生し、長崎駅前で乗降しない利用者にとっ   て時間のロスが生じることにより速達性の面から不便となり、電車の利用者が減少する   ことが懸念されること、また、時間的ロスを解消するために増便を行えば運転士などの   人件費も増加し企業の存続にかかわることなどの理由から困難であるとの考えが示さ   れた。    また、サイドリザベーションとした場合は、信号サイクルの変化が必要となり交通渋   滞の悪化が懸念されることや、サイドリザベーションとする場合は、軌道が国道を斜め   に横断する形になり、バイク等のスリップ事故が発生しやすい状況となるのではないか   と危惧されるとの意見も出された。    なお、サイドリザベーションが困難であれば、軌道の3線化について前向きに検討し   たいとの意向を確認した。    歩行者の安全で快適な動線については、駅前電停のバリアフリー化が図られてないこ   とが一番の課題であるが、国道を平面横断とした場合は、信号の停止時間の関係上、交   通渋滞が発生すること、横断距離が長いため高齢者等が1回で渡ることができるのかな   どの課題が考えられるとの意見が出された。 (4) 長崎県交通局との意見交換    新長崎ターミナルをトランジットモール線と新幹線及び在来線の高架が交わる部分   に整備し、既存のターミナルと同様に県外高速や県内の都市間輸送、空港線などに利用   する予定としていること、また、新駅の西口側から入り、東口の交差点から出ていく予   定であるとの考えが示された。
       構内等への乗り入れについては、既存の長崎駅前通過型の市内線等について、乗り入   れに伴う所要時間の増加が見込まれることから、基本的には現在の駅前高架下の停留所   での乗降を予定しているが、利用者の利便性や東口交通広場の計画等を見ながら具体的   に今後検討したいとの考えが示された。    停留所の位置・配置については、既存の交通会館前の降車専用バス停と駅前東口バス   停は、利用客の利便性から統合が望ましいが、そのほかのバス停は基本的に現在の位置   で問題ないとの考えが示された。    長崎駅周辺の車両の流れや動線については、新長崎ターミナルへは全て西口側から入   り東口の交差点から出て行くということを想定しているため、東口の交差点の特に右折   左折について整理してほしいとの要望が出された。    駅舎側と各公共交通機関の停留所との間における利用者の安全・快適な誘導について   は、市内線は基本的に既存のバス停での乗降を考えており、新駅舎との距離が現在より   も長くなることから、特に高齢者や障害者、観光客等にとって移動を容易とするために   も、わかりやすい動線サインなどの整備や雨風をしのげる施設の整備が必要であるとの   意見が出された。    また、新長崎ターミナルへのアクセスについて、わかりやすいサイン等を含めた動線   の整備、利用者が雨風をしのげるシェルターなどの施設を整備してほしいとの要望や交   通事業者としてダイヤの編成やさまざまな問題点などについての検討を行うに当たり、   仮設の停留所の設置や工事のタイムスケジュール、各年度における整備段階の姿などを   早目に示していただきたいとの要望が出された。    なお、既存のターミナルは、建設後かなりの年数が経過しており、昨年行った耐震診   断では基準をクリアできない結果が出たため、壊す方向で検討しており、その跡地につ   いては、市場調査等も含め用途や利用形態など、今後、検討を進めることとしていると   のことである。 (5) 長崎自動車株式会社との意見交換    新しくできる西口及び東口バス停は、特にJRを利用される観光客の方が観光地やホ   テルへ行くなど観光客の利用に特化した観光地ルートの循環バスなどの運行が妥当で   はないかとの意見が出された。    なお、通過型のバス4,000本のうち、一部もしくは全部を駅構内に入れる場合は、列   車が到着するまでの待機時間や出入りの際の交通整理、信号制御の課題や、駅で乗りお   りしない乗客の時間的ロスの観点から、利便性、快適性、迅速性が損なわれる可能性が   考えられることから、駅構内でのバスの乗りおりについては、目的別、利用者別にダイ   ヤやバスの形態のすみ分けを行い、従来の高架下にある長崎駅前バス停、新たに整備す   る西口及び東口のバス停をうまく整理して使うことが一番有効ではないかとの考えが   示された。    停留所の位置・配置については、ホテルニュー長崎前の駅前南口バス停長崎駅前バ   ス停の距離が近く、交差点もありバスが滞留しており、また、市役所方面から来たバス   が合流する場所でもあるため、駅前南口バス停から駅構内の車道の出口付近までを一体   化した大きなバスベイとした方がよいのではないかとの意見が出された。    また、駅前南口バス停駅前東口バス停は、現状でも駅から遠い場所にあるが、駅舎   がさらに150メートルセットバックすることで、さらに遠くなり「駅前南口」や「駅前   東口」と実態的には呼べないような状況になるのではないか、両バス停の距離も離れて   おり、例えば、大波止経由のバスから市役所経由のバスに乗りかえたい場合は、長崎駅   前が乗り継ぎ結節点の機能を果たしておらず、宝町バス停で乗りかえているため、今回   の駅前の再開発により、バス停の位置を見直し、バスの結節地点として利用されるよう   な利便性の高いバス停を検討してほしいとの要望がなされた。    長崎駅周辺の車両の流れや動線については、現在、バスが1車線を塞いで渋滞を起こ   している現状もあるため、もう1車線外にバスベイを整備し、後続車両が追い越して進   行できる設計が必要であること、駅周辺の整備について、工事の全体スケジュールやバ   ス停の移設、仮設バス停での運用予定があるのかなど、運行ダイヤの組みかえの関係上、   全体的なスケジュールを早目に示してほしいとの要望がなされた。    駅舎側と各公共交通機関の停留所との間における利用者の安全・快適な誘導について   は、本来であれば物理的に駅に近い場所にバス停があることが最善であるが、駅構内に   充実した案内を設置することにより目的地までのアクセスがわかり、さらに、その動線   に軍艦島やグラバー園などの観光地や長崎の名物の情報を掲示するなどソフト面での   仕掛けによりお客様に飽きさせない、疲れさせない工夫を行えば、三、四分歩いても苦   にはならないのではないか、また、おもてなしやお出迎えといった気持ちも込めて、2   次交通の乗り場などまでの動線には上屋を設置してはいかがかとの意見が出された。 (6) 一般社団法人長崎県構内タクシー協会との意見交換    長崎県構内タクシー協会は、長崎駅、佐世保駅、浦上駅、長与駅など県内の13駅にお   いてJR九州から承認を受けた18事業者で組織している。    現在、JR九州の承認を受け長崎駅構内で乗車できるタクシーは、ラッキー自動車が   96台、エキマエタクシーが63台、中央タクシーが44台の合計203台であるが、駅前交通   広場が非常に狭くバスや一般自家用車が錯綜しているため、駅構内の交通混雑を防ぐた   めに自主規制により1日当たりの駅に入る台数を合計55台に減らして運用している。    駅前交通広場においては、バス、タクシー、一般車両、搬入車両の動線や駐停車場に   ついて、交通安全のため、また、世界遺産登録を見据えた観光コースなど、今後、観光   タクシーのバリエーションがふえることも見据えて、東口だけでなく西口についてもで   きる限りふくそうしない配置としてほしいとの意見が出された。    また、現在、タクシーおり場が駅の先である交番付近に設けられているが、乗客の心   理として、改札を過ぎた先でおろすことが運用上困難であるため、新たに整備する駅前   交通広場では、おり場の配置について配慮してほしいこと、また、駅構内には2次交通   である路面電車、バス、タクシーの乗り場の案内について丁寧でわかりやすいものを設   置するとともに、乗り場には、雨にぬれない屋根を整備してほしいこと、ホテルニュー   長崎前にある駅前南口バス停は、交差点の直近にあるため、交通がふくそうし非常に危   ないため、安全面からもできる限り交差点付近へのバス停の設置は避けてほしいなどの   要望が出された。    さらに、タクシーの乗り場については、小型車とワンボックスタイプの車を分けるこ   とにより、利用者へのサービスが向上すること、また、東口と西口のタクシー乗り場の   管理については、JR九州による一括管理とした方が、苦情などへの対応がスムーズに   なるのではないか、タクシープールの台数については、20台で足りるのか判断しかねる   が、20台から25台程度が望ましいとの要望が出された。 8 委員会からの提言   以上、本委員会の調査項目についてまとめたが、長崎駅周辺再整備事業は、百年に一度  のまちづくりとも言うべき最も重要な事業であり、国際観光文化都市長崎の陸の玄関口と  して、交流とにぎわい都市拠点として、また、交通の結節点として、その機能を果たす  べく計画を策定し確実に推進する必要がある。   本事業は、新幹線が開業する平成34年度に合わせて進めるべきものであるが、特に都市  計画道路大黒町恵美須町線や連続立体交差事業との関係はあるものの土地区画整理事業  の整備においては、その進捗率が20%に達しておらず、事業を推進するに当たりさまざま  な課題が山積みしている状況である。   そのような中、本委員会においては、特に重要な課題として次の5つについて早期対応  を求める次第である。   まず1点目は、駅舎が西側に150メートル移動することに対する交通結節機能の強化が  十分とは言えないことである。本来であれば、駅前交通広場内に、路線バス路面電車、  タクシーなどの2次交通の乗降場を集約して整備することが望ましいが、交通事業者から  は意見交換会において、路面電車路線バスを駅舎の近くまで入れ込むことは難しい、ま
     た、バス停については、国道202号上での集約が望ましいとの意見が出されているところ  である。バス停の整備に当たっては、観光客及び市民にとってわかりやすく、安全でスム  ーズに乗りおりができることとあわせ、バス、タクシー、一般車両などがふくそうしない  ことや交通渋滞が発生しないことが必須であるため、バス停の整備にあわせた国道202号  の拡幅についても検討されたい。   2点目としては、駅前商店街の振興や日本二十六聖人殉教地へ観光客を誘導するための  歩行者動線の整備である。交通会館については、解体する考えもあるとのことであり、交  通会館の解体後の周辺の交通状況やにぎわいの創出も視野に入れて、バス停などの設置に  ついて県や長崎駅前地区まちづくり協議会と連携を図りながら早急に検討を進められた  い。   3点目としては、都市計画道路大黒町恵美須町線の整備について、進捗率も低く事業が  進展していないことである。本道路整備は、長崎中央郵便局が移転して初めて事業が進展  するものであるため、市は責任をもって移転先を確保し、事業の推進に努められたい。あ  わせて、国道202号の交通渋滞解消のためには、本道路整備と並行して旭大橋の低床化が  不可欠であるため、引き続き早期実現に向け県に対し強く働きかけるよう要望する。   4点目としては、長崎駅部の開発について全体の事業スケジュールが見えない点である。  駅部開発は、交流拠点施設用地を有する長崎市と駅東側に換地を有するJR九州が中心的  事業者であるが、JR九州との意見交換会では、JR九州の開発計画の内容はまだ決まっ  ておらず、今後、検討するとの意見であった。JR九州の開発計画やスケジュールを少し  でも早く示していただくため、JR九州へ積極的に働きかけ十分な連携を図られたい。さ  らに、交通関係者から、駅前交通広場の整備スケジュールや各年度における整備段階の姿  を早く示してほしいとの意見が出されていたことから、関係機関等と十分な連携を図り、  互いに情報を共有し、相互理解を深めながら計画的に事業を推進されたい。   最後に5点目としては、新幹線の建設の問題である。フリーゲージトレインの実現につ  いて先が全く見えない状況である一方、市は新幹線が開業する平成34年度に合わせ、交流  人口の拡大やにぎわいの創出を見込んだ長崎駅周辺再整備事業を進めている。新幹線の整  備効果を最大限に引き出すためには、乗り継ぎをすることなく関西圏まで移動ができる安  全な新幹線の開業が重要であることから、理事者におかれては、地元自治体として全線フ  ル規格での新幹線早期開業について国へ強く働きかけるよう求める次第である。   以上の要望を踏まえ、理事者におかれては、市民や関係者へ長崎駅周辺再整備事業につ  いて丁寧に説明した上でその意見を聴取し、十分な検討を重ね、将来にわたり市民が安心  して安全に過ごせるまちづくり、多くの来訪者を迎え入れる温かいまちづくりを目指して  引き続き取り組まれたい。 長崎市議会 ↑ ページの先頭へ...