長崎市議会 2016-01-20
2016-01-20 長崎市:平成28年長崎駅周辺再整備特別委員会 まとめ
また、車の動線についても、それぞれの空間において別々に確保することとしてい
るほか、将来、西側を経由する
路線バスも想定しながら、検討を進めている。
さらに、国道202号の東側に位置する
交通会館の1階部分にある
高速バス等の乗降
機能は、東口
駅前交通広場の出口となる道路のうち、
新幹線と
在来線の高架下付近に
バスベイ方式で確保するよう、現在、長崎県交通局と協議を進めている。
イ
検討案2
基本的な
導入機能は
検討案1と変わらないが、
検討案1との違いは、東口
駅前交通
広場の一般交通空間の中に自動車整理場を確保せず、そのかわりに、一般車の乗降機
能を充実させ、一般車の待ち合いのためのロータリー機能を確保する案となっている
点である。この場合、一般車両の駐車場は西口に配置する計画となり、
駅舎東側に面
した
環境空間が、
検討案1に比べて広く確保できるようになる。
(3)
長崎駅前電停のバリアフリー化も含めた国道202号の横断の考え方
現在、
長崎駅前の国道202号の車道幅員は39.5
メートル、12時間交通量は約4万5,000
台であり、平成22年度の九州内の駅前における前面の幹線道路の交通量で比較しても、
長崎駅前の国道202号の交通量が最も多い。
また、新たに創出される交流や
にぎわいを
駅前商店街方面へ波及させ、長崎
駅周辺と
駅前商店街との連携を図る上でも、国道202号の横断をいかにして確保するかが重要な
課題として挙げられている。
バリアフリーの基本的な考え方としては、平面横断を基本に考えているが、現在、次
の2つの案について、警察や道路管理者などの
関係者と協議を行っている。
ア 横断歩道とデッキの併用案
駅周辺の大骨格となる
東西軸として確保する
歩行者動線の延長線上に横断歩道を
設置し、国道を平面で横断できるようにする。なお、電停北側の歩道橋は撤去し、電
停南側は既に設置されている国道横断のためのエレベーターを活用する形でデッキ
横断とする。この平面横断とした場合は、車道幅員が37
メートルで計画されているも
のの、交通量が多いため、交通混雑の問題が課題として挙げられている。
また、現在の高架広場は、将来的には撤去する計画であるため、高架広場を撤去し
てもデッキの連続性の機能は確保することとしている。
イ デッキのみの案
どうしても平面横断が困難な場合には、電停の両側の歩道橋を利用したデッキ横断
となる。その場合、電停へはエレベーターで移動することとなるが、電停の南側にエ
レベーターを設置する案と電停の北側にエレベーターを設置する案の2パターンが
考えられる。
この場合、電停へのアクセスはエレベーターのみとなり、仮に階段によるアクセス
も残す場合は、国道の拡幅が必要となることが課題として挙げられている。
(4)
長崎駅前電停の改善策
電停は、通常、上り線用及び
下り線用のホームにそれぞれ分かれているが、バリアフ
リー化のため
長崎駅前電停を蛍茶屋電停のように上り線と
下り線の間に設ける島式化
については、次の2つのケースをもとに軌道
事業者と協議を行った経緯がある。しかし、
軌道
事業者からはいずれも難しいとの見解をいただいている。
ア ケース1
電車は左側通行とし、進行方向の右側に電停を配置するケースである。
この場合、運賃の支払い等の旅客扱いは、進行方向の右側となるものの、乗車に関
しては問題ないが、降車の際、中乗りタイプの車両では、運賃を支払うために一旦運
転席付近へ移動し、運賃を支払った後、再度、中ドアまで戻って降車することとなる。
そのため、旅客へのサービス低下や、停車時間の延長に伴う遅延が発生し、運行ダ
イヤにも影響することが課題として挙げられている。
イ ケース2
電車は一部区間で右側通行とし、進行方向の左側に電停を配置するケースである。
この場合、旅客扱いは、進行方向の左側となり問題はないが、一部区間で右側通行
となることにより、電車の運転保安上の信号制御が複雑となり、また、対向車との接
近による衝突事故などが懸念されるため、電車の運転面や安全面でのリスクが高くな
ることが課題として挙げられている。
以上、長崎
駅周辺地区における
交通結節のあり方について、本
委員会では次のような
意見・要望が出された。
○
駅前交通広場の整備に当たっては、限られた狭い範囲で、さまざまな機能を盛り込
むには限界があるため、機能の選択が必要である。
○ 団体貸し切りバスに乗車する
観光客の動線や今後の団体貸し切りバスの利用数を
見込んだうえで、もっと駅に近い西口に団体貸し切りバス専用の駐車場を設けるべき
である。
○ 駅舎内の
自由通路は、東西方向の連携を図るため、列車が運行していない時間帯も
通り抜けができるよう
JR九州と協議してほしい。
○
東西軸に街路樹を植えた場合、その管理が必要となる。街路樹ではなく人工芝で対
応したり、街路樹を置かず、その面積分を
駅前交通広場に有効活用するなど検討する
こと。
○ 一般車両と団体貸し切りバス等の動線の切り分けや、左折・右折の考え方について、
交通渋滞が生じないよう総合的に十分検討し、早い段階で
交通事業者や警察などの関
係機関と協議すること。
○
観光客などの駅
利用者の利便性や、
路面電車が長崎の特徴的な乗り物であることな
どを考慮し、
路面電車をトランジットモール線の中に入れることや電車の軌道を駅側
に少しずらすなど、
路面電車を駅へ近づける方策について、市民の意見も聴取したう
えで、再度、軌道
事業者や警察等と協議すべきである。
○ 国道202号の横断に当たっては、バリアフリーの観点から平面横断を考えていると
のことだが、自動車の交通量が九州でも特に多い道路であり、また、横断距離も長い
ことから、平面横断の方が危険である。障害を持った方、高齢の方、地元の
商店街の
方など、さまざまな方の意見を聴取し、再度、安全・安心に横断できる方法について
検討すべきである。
○ 高架広場があることにより、これまで安全・安心に駅前バス停、電停、
駅周辺の商
店街へ誘導することができている。また、高架広場は、災害時の避難場所としても活
用できるため、高架広場は引き続き必要である。高架広場の存廃については、地元の
方の意見も十分聴いたうえで、検討すべきである。
○ 現在、駅前電停は、上り線用と
下り線用のホームがそれぞれあるため、体が不自由
な方が、間違えて反対側のホームにおりた場合、向かい側のホームに移動するために
再度階段を
上り下りするか、軌道を渡らなければならない状況にある。駅前電停のバ
リアフリー化に当たっては、障害を持った方や高齢の方などの意見を十分聴き、電停
の島式化やエレベーターの設置について、再度、軌道
事業者と協議すべきである。
5 市民への周知及び意見反映について
長崎駅
周辺土地区画整理事業については、平成20年12月に
都市計画決定を行う前から出
前講座や商工会議所等の関係団体との意見交換を開催するなど、計画の周知に努めており、
都市計画決定の際は、市内7カ所で都市計画説明会を開催した。
また、
都市計画決定後も、ホームページへの掲載、パンフレットの作成、模型の展示な
ど、あらゆる機会を捉えて計画の周知に努めるほか、長崎
駅周辺まちづくりシンポジウム
やワークショップを開催し、
まちづくりに対する情報の提供や意識啓発に努めるとともに、
直接、市民が参加できる
取り組みも行っている。
また、今年度は、
新幹線開業まで継続的に進められる長崎
駅周辺地区の各施設の計画、
設計、工事の各段階において、市民、行政及び
事業者等がどのようにかかわり、また、市
民がどのような形で参加できるかを整理した市民参加プログラムの策定を進めている。
実際に利用される市民や、交通、商工関係の団体などの意見を酌み取り、計画に反映し
ていくことは非常に重要であるため、引き続き市民が参加できるような機会を設け、市民
と一緒に
まちづくりに取り組んでいくこととしている。
以上、市民への周知及び意見反映について、本
委員会では次のような意見・要望が出さ
れた。
○ 市民の目線というのは非常に大事であるため、市民ならではの気づきなどの意見を吸
い上げ、事業に取り入れる仕組みをつくる必要がある。
○
駅周辺を整備することにより、市民がどのように便利になり、暮らしやすいまちがで
きるのかということを基本に
まちづくりに取り組んでほしい。
6
委員会からの提言
以上、本
委員会の調査項目についてまとめたが、理事者におかれては、
委員会における
調査の過程で各委員から出された意見・要望を十分に踏まえ、高齢の方、障害を持たれた
方、地域住民の方などさまざまな立場の方の意見を聴取しながら、
駅前交通広場の効果的
な機能配置、
駅周辺の
商店街の活性化、国道202号の安全な横断、電停のバリアフリー化
及び駅前の
交通渋滞の解消など、諸施策の推進に積極的に取り組まれるよう強く要望する
次第である。
また、
九州新幹線西九州ルートの整備については、
フリーゲージトレインに対して安全
性や効率性の面からその導入について疑問視する意見がある一方、全線
フル規格を望む意
見もあることから、これらの意見を真摯に受けとめ、県を初めとする関係自治体との連携
を密にして慎重に取り組まれるよう努められたい。
昨年の明治日本の産業革命遺産の世界遺産への登録や今後の長崎の教会群とキリスト
教関連遺産の世界遺産候補への推薦、さらには、平成34年度の
九州新幹線西九州ルートの
開業を機に、多くの人が行き交い、新たな
にぎわいが創出されることとなる長崎駅及びそ
の
周辺地区の再整備は、まさに、百年に一度の
まちづくりとも言うべき長崎の将来を担う
大変重要な事業である。
事業の推進に当たっては、市の
まちづくり部門、交通部門、都市計画部門を初め、所管
の垣根を越えた
プロジェクトチームを立ち上げるなど、全市一体となって検討を深め、着
実に事業を進めるとともに、より一層の事業効果が発揮できるよう努めることを要望する。
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