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2016-01-20 長崎市:平成28年長崎駅周辺再整備特別委員会 本文
2016-01-20 長崎市:平成28年長崎駅周辺再整備特別委員会 まとめ

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  1. 長崎市議会 2016-01-20
    2016-01-20 長崎市:平成28年長崎駅周辺再整備特別委員会 まとめ


    取得元: 長崎市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 (3) まとめ   長崎駅周辺地区は、交通の要所として、また、交流やにぎわいの拠点として、市民のみ  ならず多くの人が行き交う場所であり、新幹線整備を契機とした長崎駅周辺地区の再整備  は、本市の重要な課題である。   そのため、本委員会では、国際観光文化都市長崎玄関口にふさわしい新たな都市拠点  の形成を目指した長崎駅周辺の再整備の推進に寄与することを目的として調査を行うこ  ととし、国、県、市及び事業者が相互に連携しながら進めている各種事業土地利用計画  の現状及び課題を把握するとともに、利便性の向上や安全性の確保、交通結節機能の強化、  周辺地区との連携などの方策について、鋭意検討を行った。   以下、調査の過程で出された主な意見、要望を付して、本委員会のまとめとする。 1 長崎駅周辺整備事業について (1) 九州新幹線西九州ルート    昭和48年11月に全国新幹線鉄道整備法に基づき整備計画が決定され、その後、平成24   年6月に武雄温泉-長崎間が軌間可変電車方式により認可された。なお、武雄温泉-長   崎間で認可を受けている内容は、用地及び土木構造物関係で、軌道、建築及び電気設備   関係は、事業の進捗に合わせ、今後、認可申請がなされる予定である。    また、ルートの概要は、博多-新鳥栖間が九州新幹線鹿児島ルートと共用、新鳥栖-   武雄温泉間は在来線を活用、武雄温泉-長崎間はフル規格の線路を敷設し、フリーゲー
      ジトレインを導入する計画である。    このフリーゲージトレインは、車輪の間隔を変えることで異なる軌間の線路を直通で   きる車両として、現在、開発が進められているもので、国土交通省の試算によると、現   在の特急かもめ最速タイプと比較した場合、所要時間が約28分短縮される見込みであ   る。    建設主体は、独立行政法人鉄道建設運輸施設整備支援機構(通称、鉄道・運輸機構)   で、事業期間は認可からおおむね10年程度である。なお、平成27年1月の政府・与党申   合せ「整備新幹線の取扱いについて」において、武雄温泉-長崎間は、フリーゲージト   レインの技術開発を推進し、完成・開業時期を平成34年度から可能な限り前倒しするこ   ととしている。    事業費は、建設費の3分の2を国が、3分の1を地方が負担することとなっており、   この地方負担のうち、長崎市の負担区間は長崎駅部から浜平2丁目付近までの1.361キ   ロメートルで、負担率はこの負担区間における長崎県負担額の20%である。    なお、長崎市内建設費は延長比で試算すると約1,100億円で、そのうち、地方債を   含む市の負担額は他都市の事例等をもとに試算すると約13億円となっている。    工事の進捗状況としては、平成27年2月に市内6つの工区全ての発注が完了しており、   現在、新長崎トンネル(東工区及び西工区)、久山トンネル(西工区)の工事が進められて   いる。 (2) フリーゲージトレイン開発状況    フリーゲージトレインは、新規路線の建設に係るコスト軽減建設期間の短縮が図ら   れ、新幹線在来線とを直通で運転することにより乗りかえが不要となり、利用者の負   担軽減が期待できるものである。    1次試験車両が完成した平成10年以降、国内外でさまざまな試験を行い、その結果を   踏まえた技術評価を適時実施しながら車両の開発が進められている。    平成26年4月からは、3次試験車両により、九州新幹線熊本-鹿児島中央間などにお   いて、車両の安全性や線路への影響を確認するための性能確認試験が行われ、同年10   月からは、新幹線軌間変換在来線を繰り返し走行する、いわゆるスリーモード耐久   走行試験を行っていたが、台車の一部の部品に部分的な欠損と微細な摩耗痕の発生が確   認されたため、同年12月6日から試験を一時休止している。    その後、平成27年12月4日に軌間可変技術評価委員会が開催され、現時点での不具合   の原因と対策案に関する検討結果が報告され了承された。    また、その後の国土交通省記者会見では、「完成・開業時期を平成34年度から可能   な限り前倒しするという政府・与党申合せは守りたい」「量産車は、平成34年度までに   は全てそろわない」「今後の進め方については、まだ具体的な案はないが、長崎県、佐   賀県とも調整していきたい」との発言があっている。    さらに、平成27年12月11日に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームが開催され、   九州新幹線西九州ルートの今後の対応を協議する検討委員会が同プロジェクトチーム   の下部組織として設置されることとなった。    フリーゲージトレインの開発については、引き続き、国の動きを注視し情報収集に努   めることとしている。 (3) JR長崎本線連続立体交差事業    本事業は、鉄道を高架化し東西の市街地を一体化させるとともに、踏切を除却し、交   通混雑や踏切事故の解消を図るもので、長崎駅周辺地区の再整備事業として、長崎駅周   辺土地区画整理事業と一体的に行うものである。    長崎県の事業として取り組まれており、事業区間は松山町から尾上町までの約2,490   メートルで、竹岩橋踏切梁川橋踏切宝町踏切及び幸町踏切の4カ所の踏切を除却し、   長崎駅と浦上駅を高架駅とする計画である。    また、事業期間は平成21年度から32年度まで、全体事業費は約431億円で、そのうち、   地方債を含む市の負担額は、県と同額の約74億円、鉄道事業者であるJR九州の負担金   は約29億円を見込んでいる。    進捗状況としては、平成26年3月に、長崎駅構内にあった車両基地を佐世保市の早岐   駅へ移転する工事が完了し、平成27年7月には松山町から茂里町までの区間の下り線が、   また、同年12月には同区間の上り線が仮線へ切りかえられている。 (4) 長崎駅周辺土地区画整理事業    本事業は、新幹線在来線鉄道施設の受け皿を整備するとともに、街路や駅前交通   広場などの基盤整備土地利用の転換・有効利用を図り、国際観光文化都市長崎の玄関   口にふさわしい都市拠点の形成を図るものである。    長崎市の事業として取り組まれており、施行地区は長崎市大黒町、尾上町、八千代町   及び西坂町の各一部で、施行面積は約19.2ヘクタール、地権者(土地所有者)数は12名、   減歩率は平均で約38パーセントである。    また、事業期間は平成21年度から35年度まで、全体事業費は約154億円で、そのうち、   地方債を含む市の負担額は約37億円、県支出金は約9億円、土地区画整理事業により生   み出される保留地の売却費用は、約52億円を見込んでいる。    公共施設としては、新駅舎の両側に駅前交通広場を、国道202号に面した場所に多目   的広場を整備し、道路は施行地区内外に5路線を整備する予定であり、新幹線建設事業   及びJR長崎本線連続立体交差事業により整備される新しい長崎駅舎は、現在の位置か   ら浦上川の方向へ約150メートル移動することになる。    また、施行地区内の公共施設用地以外は、1街区から15街区に区分しており、そのう   ち、5つの街区は新幹線在来線などの鉄道施設の区域で、2つの街区は駅前交通広場   の一部となる。これらを除いた、いわゆる土地利用が可能となる宅地は8つの街区で、   その面積は約9.4ヘクタールである。    この8つの街区の計画高は、計画道路の高さ、防災面、宅地内排水等を勘案し、2.8   メートルから2.9メートルの間で造成する計画としており、この高さを基本としつつ、   換地を受ける地権者と協議しながら最終的な宅地の高さを決定することになる。なお、   長崎港における過去の最高潮位は、2.19メートルである。    進捗状況としては、新駅舎の西側地区から順次、仮換地の指定、建物等の移転及び整   地工事や上下水道工事などを行っている。    以上、長崎駅周辺整備事業について、本委員会では次のような意見・要望が出され   た。   ○ 新幹線の平成34年度開業を逆算してまちづくりを行っており、また、新幹線の開業    は若者の雇用につながる企業の誘致など、広範囲に影響を及ぼすものであるため、フ    リーゲージトレイン開発のめどや新幹線の開業時期、フリーゲージトレイン安全性    について、十分確認をとりながら事業を進めるべきである。   ○ 市としても、最終的にはフル規格を望んでいるのであれば、フリーゲージトレイン    の開発が困難となった場合はフル規格とするという確約を取ったうえで、事業を進め    るべきである。   ○ 新幹線の整備に係るこれまでの経過は十分にわかるが、世界遺産登録の決定により、    今後、交流人口の増加が見込まれ、長崎市の状況は大きく変わろうとしている。フリ    ーゲージトレインの時間短縮がたった28分で、乗車料金も上がれば、福岡まで移動す    る手段としては、高速バスを利用する方がふえるのではないか。フリーゲージトレイ    ンの開発状況次第では、時期を見極めて市の考えを国に訴える必要がある。また、佐    賀県、諫早市、大村市との連携を強化し、新幹線の整備を進めること。   ○ 新幹線により長崎から乗りかえなしで関西圏へ乗り入れができるよう、積極的に取    り組むこと。   ○ 連続立体交差事業の対象とならない西町踏切について、十分な安全対策を講じるこ    と。
      ○ 宅地の造成に当たっては、過去の最高潮位である2.19メートルも視野に入れ、浸水    しないよう十分な対策を講じること。 2 長崎駅周辺整備事業に関連する事業について (1) 都市計画道路大黒町恵美須町線(市道大黒町筑後町1号線)    本路線は、慢性的な交通渋滞の解消及び安全な歩行者空間の確保を行うとともに、長   崎駅周辺整備事業により想定される交通需要に応じた車線数への拡幅や、国道202号   の自動車交通を浦上川線及び旭大橋線へ誘導することにより、長崎駅交差点の交通負荷   の軽減を図るために整備を行うものである。また、本整備により、長崎駅周辺とまちな   か地区との連携強化も期待されている。    整備区間は、旭大橋東口交差点から長崎中央郵便局までの延長約110メートルで、現   在の延長約100メートル、幅員約11メートルの2車線を、延長約110メートル、幅員約26   メートルの4車線と右折帯の合計5車線に拡幅整備するもので、平成26年6月に事業認   可を取得し、社会資本整備総合交付金を活用して事業を進めている。    事業主体は長崎市で、事業期間は平成26年度から32年度まで、全体事業費は41億円で、   そのうち、地方債を含む市の負担額は、18億4,500万円である。 (2) 長崎駅周辺浸水対策    長崎駅周辺地域は、地盤高が低く、大潮の満潮時には潮位の影響を受けやすいため、   短時間の集中豪雨が発生した場合、道路が冠水し、一時的に交通が寸断される浸水被害   が発生している。    そのため、予想を大きく上回る集中豪雨にも対応できる雨水排水施設を長崎駅周辺土   地区画整理事業と連携して整備している。    具体的には、長崎駅周辺土地区画整理事業施行地区内においては、潮位が高いとき   に浦上川から道路側溝への海水の逆流を遮断するためのフラップゲートの設置、フラッ   プゲートの設置により地区内の雨水の排水ができなくなるため、潮位の影響が続く約2   時間分の雨水を貯留するための雨水貯留管の設置及び10年に一度発生する確率の大雨   を超える大雨が発生した場合に備え、雨水貯留管を補完するための雨水排水ポンプの設   置を行うこととしている。    また、長崎駅前高架広場下区域及び八千代町電停区域においては、雨水貯留菅の活用   及び既存水路の改修等を行うことで、浸水を防止することとしている。    以上、長崎駅周辺整備事業に関連する事業について、本委員会では次のような意   見・要望が出された。   ○ 市道大黒町筑後町1号線の三差路は、交通渋滞の大きな原因となっているため、一    方通行や左折のみとするなどの対策が必要である。   ○ 長崎駅周辺土地区画整理事業施行地区内の宅地は、2.8メートルから2.9メートル    の高さに造成されるが、造成の対象とならず、また、雨水排水施設が整備されない既    存の周辺道路に係る浸水対策も検討すべきである。   ○ 気象状況が変化している今、過去の実績で10年に一度の大雨を想定していては、今    後の大雨に対応できなくなるため、基準をしっかり見定めた浸水対策を講じること。 3 長崎駅周辺地区まちづくりについて (1) 都市再生総合整備事業    平成20年12月に国土交通大臣から、長崎市中央部臨海地域の約1,360ヘクタールが、   都市再生総合整備事業の都市・居住環境整備重点地域として指定され、平成21年度末に   は、県と市が共同でこの重点地域における都市・居住環境整備基本計画を策定している。    都市・居住環境整備重点地域のうち、特に重点的に取り組むエリアとして、長崎駅周   辺エリア松が枝周辺エリアまちなかエリア及び中央エリアの4つのエリアを設定し、   エリアごと整備計画を策定している。    長崎駅周辺エリアは、土地区画整理事業施行地区も含め、118ヘクタールを設定し   ている。平成24年度末に策定した長崎駅周辺エリア整備計画では、平成25年度から29   年度までに完成を想定している短期整備プログラム実施事業として、県庁舎整備、魚   市跡地における水辺のプロムナード整備防災緑地整備及び長崎駅前電停のバリアフリ   ー化が計画されている。    また、平成30年度から34年度までに完成を想定している中期整備プログラム実施事   業としては、九州新幹線西九州ルートJR長崎本線連続立体交差事業駅前交通広場   の整備、中央郵便局前の旭大橋線の東伸などが計画されている。    また、平成35年度から44年度までに完成を想定している長期整備プログラム実施事   業としては、長崎駅周辺土地区画整理事業、旭大橋の低床化、新駅舎から元船方面への   歩行者デッキの整備などが計画されている。 (2) 長崎駅周辺まちづくり基本計画    本計画は、今後のまちづくりの骨格について市が定めたもので、市の上位計画や関連   計画である長崎市総合計画、長崎市都市計画マスタープラン、長崎市景観基本計画など   を踏まえ、また、学識経験者や長崎駅周辺土地区画整理事業施行地区内の地権者、地域   住民の代表者等で構成する長崎駅周辺まちづくり委員会からの提案をもとに、平成23   年2月に策定している。    本計画による具体的な取り組みとして、長崎駅を中心とした交通結節機能の強化、新   たに創出されるにぎわい駅前商店街まちなかなどに波及させるための交通動線や   歩行者動線の整備、長崎の玄関口として地区内外から特長的な眺望を確保するとともに、   個々の施設や建築物が全体として調和し、一体感のある美しい街並みの形成、緑化推進   による環境負荷が少ない低炭素型のまちづくりの先導、交流やにぎわいを創出する都市   機能の誘導などが掲げられている。 (3) 長崎駅周辺地区計画    本計画は、まちづくりのルールを法的に担保するもので、平成23年7月に都市計画決   定したものであり、土地利用の方針として、3つの地区に区分し、適切な土地利用を誘   導することとしている。    また、地区施設整備方針として、長崎駅周辺土地区画整理事業による都市計画道路   及び駅前交通広場の整備とあわせて、多目的広場歩行者専用道路を整備することとし   ている。    さらに、建築物等整備方針として、建築物等の用途、壁面の位置の制限及び敷地面   積の最低限度壁面後退区域における工作物の設置の制限、建築物の高さの最高限度な   どを定めているほか、緑化に関する方針としては、建築物の緑化率の最低限度を定めて   いる。 (4) 長崎駅周辺エリアにおけるデザイン調整取り組み   ア 長崎駅周辺エリアにおけるデザイン調整     長崎駅周辺エリアを、新しい長崎の玄関口にふさわしい魅力あるまちなみ景観と機    能的な都市空間とすることを目的として、平成25年度から県と市が共同でデザイン調    整に取り組んでいる。     体制としては、平成26年2月に県・市のほか、都市デザインに関する専門家やJR    九州、鉄道・運輸機構で構成する「長崎駅周辺エリアデザイン調整会議」を設置し、    デザイン指針の策定や建造物のデザイン案に対する評価などを行うこととしている。    また、同年4月には、その下部組織として、県や市、都市デザイン専門家などで構    成する「長崎駅舎駅前広場等デザイン検討会議」を設置し、駅舎や駅前交通広場等    の公共施設デザイン検討を行うこととしている。さらに、その下部組織として、具    体的な実務を担当する作業部会を設けている。
      イ 長崎駅周辺エリアデザイン指針     本指針は、長崎駅周辺エリアを対象として、今後、エリア内で整備される駅舎や駅    前交通広場など、空間を構成するさまざまなもののデザインについて、市民、事業者    及び行政が共有するべき方針や取り組み等を定めたもので、平成27年3月に策定して    いる。     長崎駅周辺土地区画整理事業施行地区内は、新たなまちをつくることとなるため、    軽微なものを除く全ての建築行為等について、また、その外側の範囲は、既にでき上    がった市街地であるため、一定規模以上の建築行為等について、デザイン指針による    調整を図ることとしている。   ウ 長崎駅舎駅前交通広場等デザイン検討状況     平成26年度から、「長崎駅舎駅前広場等デザイン検討会議」において作業を進め    ている。     新しい長崎駅の構造は、ホームが2階、改札口が1階となり、改札口を通過した後、    西口及び東口の2カ所から駅舎の外へ出ることとなる。列車が運行している時間帯は、    駅舎内の東西間を自由に行き来できる自由通路(ラッチ外コンコース)が設置される。     また、駅舎上屋デザインは、長崎駅が港に面した頭端駅であるという特徴を踏ま    え、新幹線在来線を一体的な屋根で覆う大屋根方式とし、屋根を支える柱の本数を    2本とし、屋根の主たる材質として膜を用いることなどを基本としている。     なお、長崎駅舎駅前交通広場等デザインについては、今後、さらに検討を深め    ることとしている。    以上、長崎駅周辺地区まちづくりについて、本委員会では次のような意見・要望が   出された。   ○ 新幹線の開業により創出されるにぎわいが周辺の商店街へ波及するよう、人や車の    動線を確保するための対策に当たっては、地域の方の意見を十分に聴くこと。   ○ 新駅舎やJR開発予定地商業施設が入る際は、地元の既存商店街との連携を図り、    競合して地元商店が廃業にならないよう配慮すべきである。   ○ 駅周辺再開発に合わせ、反対側に位置する大黒町商店街の活性化についても、同時    に計画を策定し対応してほしい。   ○ 駅周辺に居住している市民の住環境の改善につながるような駅周辺地区の整備に    取り組んでほしい。   ○ 山頂から見た駅の夜景は、ある程度はっきりしたものとなるため、駅舎や駅前交通    広場等を整備するに当たり、夜景を演出するデザインについても十分検討すること。   ○ 長崎らしい港が見える長崎駅をつくるためには、解放感ある眺望が必要であるため、    既存の建設物についても総合的に検討すること。また、日本で一番西の端の駅である    ことをアピールするような工夫ができないか検討すること。   ○ 駅舎のデザインについては、長崎らしさを表現するため、教会をイメージしたステ    ンドグラスや昔の長崎駅舎三角屋根を取り入れてほしい。 4 長崎駅周辺地区における交通結節のあり方について (1) 長崎駅周辺地区の現状   ア 長崎駅前     JR長崎本線改札口を出るとすぐにJR九州かもめ広場があり、かもめ広場と    国道との間に駅前交通広場がある。     路線バスのバス停は、国道上、市道上及び駅前交通広場内にあり、高速バスの乗降    場は、国道に面した交通会館に、定期観光バス乗降場は、駅前交通広場内にある。    また、国道の中央部にある路面電車の電停へは歩道橋を利用してアクセスしている。     現状の課題は、路線バスのバス停が分散しており、特に観光客にとってバスの乗降    場所がわかりにくいこと、駅前交通広場が確保されているものの、面積が狭く、駅前    交通広場内でバス、タクシー、一般車などのさまざまな交通がふくそうし、混雑して    いること、人のたまり空間や緑などの環境空間が少ないこと、長崎駅前電停がバリア    フリー化されていないことなどが挙げられている。   イ 路線バス     市内には長崎バス県営バスの2社が運行しており、長崎駅前を通過する通過型と、    長崎駅前が発着となる起終点型の2つの運行系統がある。長崎駅前では上り下りの合    計で1日に約4,400本が運行しており、このうち、通過型が約4,000本、起終点型が約    400本である。   ウ 高速バス     現在、交通会館内に9つの乗降場があり、福岡や北九州などの県外行きの高速バス、    佐世保や小浜・雲仙方面行きの県内バス及び空港行きのバスが発着しており、本数は    1日に約310本である。   エ 路面電車     長崎駅前は、現在、1系統と3系統の2つの系統で運行しており、上り下り合計で    1日に約720本が運行している。     平成26年度の輸送人員の合計数は、約1,744万7,200人であるが、長崎駅前電停にお    ける乗降者数は、全37電停のうち最も多く、1日に約7,200人が利用している。 (2) 長崎駅前交通広場等検討状況    一般車駐車場の取り扱いも含め、東口、西口の駅前交通広場への導入機能及びレイア   ウト等の考え方については、デザイン検討会議交通事業者などの関係者と、次の2つ   の案をもとに検討を進めている。   ア 検討案1     新駅舎の1階部分に改札口及び自由通路が設置されるため、基本的な歩行者動線は、    1階レベルを主動線として考えている。この自由通路の延長線上には、駅周辺の大骨    格となる東西軸として、広い幅員の歩行者動線を確保する計画である。     まず、新駅舎東側のうち、東西軸の南側にあるJR九州開発予定地内には、JR    九州の協力のもと、観光客などの来訪者を迎えるおもてなしの広場として、「駅の広    場」を配置し、また、国道側に面した場所には、市民の日常的な憩いの場やイベント    などにも活用できる「街の広場」を配置することとしている。     東西軸の北側の駅前交通広場のうち、駅に近いエリアには、人々のたまりの場など    の環境空間、タクシーの乗降場、タクシープール、定期観光バス起終点型の路線バ    スといった公共交通を主体とした空間を配置する。     また、国道側のエリアには、一般車の降り場、駅利用者のための一般車の短時間駐    車場である自動車整理場、団体バスの駐車場といった一般交通を主体とした空間を配    置することとしている。     なお、車の動線については、駅前交通広場内での交通のふくそうを避けるため、公    共交通空間と一般交通空間との動線を可能な限り分けることとしている。     路面電車の電停は、国道上の現在の位置から基本的に変えないこととし、また、通    過型の路線バスも、引き続き、国道上に配置することとしている。     また、新駅舎東口から国道までの距離が約200メートルあるため、この距離の移動    に当たっては、歩行者支援システム(動く歩道等)の導入を検討している。     次に、新駅舎西側のうち、東西軸の南側のエリアには、タクシーの乗降場やタクシ    ープール、一般車の降り場などの機能を有した交通空間を配置することとし、東西軸    の北側のエリアには、東口駅前交通広場が完成するまでの暫定的な利用も考慮して、    短時間駐車場である自動車整理場とする交通空間と環境空間の両面から検討を進め    ている。
        また、車の動線についても、それぞれの空間において別々に確保することとしてい    るほか、将来、西側を経由する路線バスも想定しながら、検討を進めている。     さらに、国道202号の東側に位置する交通会館の1階部分にある高速バス等の乗降    機能は、東口駅前交通広場の出口となる道路のうち、新幹線在来線の高架下付近に    バスベイ方式で確保するよう、現在、長崎県交通局と協議を進めている。   イ 検討案2     基本的な導入機能検討案1と変わらないが、検討案1との違いは、東口駅前交通    広場の一般交通空間の中に自動車整理場を確保せず、そのかわりに、一般車の乗降機    能を充実させ、一般車の待ち合いのためのロータリー機能を確保する案となっている    点である。この場合、一般車両の駐車場は西口に配置する計画となり、駅舎東側に面    した環境空間が、検討案1に比べて広く確保できるようになる。 (3) 長崎駅前電停のバリアフリー化も含めた国道202号の横断の考え方    現在、長崎駅前の国道202号の車道幅員は39.5メートル、12時間交通量は約4万5,000   台であり、平成22年度の九州内の駅前における前面の幹線道路の交通量で比較しても、   長崎駅前の国道202号の交通量が最も多い。    また、新たに創出される交流やにぎわい駅前商店街方面へ波及させ、長崎駅周辺と   駅前商店街との連携を図る上でも、国道202号の横断をいかにして確保するかが重要な   課題として挙げられている。    バリアフリーの基本的な考え方としては、平面横断を基本に考えているが、現在、次   の2つの案について、警察や道路管理者などの関係者と協議を行っている。   ア 横断歩道とデッキの併用案     駅周辺の大骨格となる東西軸として確保する歩行者動線の延長線上に横断歩道を    設置し、国道を平面で横断できるようにする。なお、電停北側の歩道橋は撤去し、電    停南側は既に設置されている国道横断のためのエレベーターを活用する形でデッキ    横断とする。この平面横断とした場合は、車道幅員が37メートルで計画されているも    のの、交通量が多いため、交通混雑の問題が課題として挙げられている。     また、現在の高架広場は、将来的には撤去する計画であるため、高架広場を撤去し    てもデッキの連続性の機能は確保することとしている。   イ デッキのみの案     どうしても平面横断が困難な場合には、電停の両側の歩道橋を利用したデッキ横断    となる。その場合、電停へはエレベーターで移動することとなるが、電停の南側にエ    レベーターを設置する案と電停の北側にエレベーターを設置する案の2パターンが    考えられる。     この場合、電停へのアクセスはエレベーターのみとなり、仮に階段によるアクセス    も残す場合は、国道の拡幅が必要となることが課題として挙げられている。 (4) 長崎駅前電停の改善策    電停は、通常、上り線用及び下り線用のホームにそれぞれ分かれているが、バリアフ   リー化のため長崎駅前電停を蛍茶屋電停のように上り線と下り線の間に設ける島式化   については、次の2つのケースをもとに軌道事業者と協議を行った経緯がある。しかし、   軌道事業者からはいずれも難しいとの見解をいただいている。   ア ケース1     電車は左側通行とし、進行方向の右側に電停を配置するケースである。     この場合、運賃の支払い等の旅客扱いは、進行方向の右側となるものの、乗車に関    しては問題ないが、降車の際、中乗りタイプの車両では、運賃を支払うために一旦運    転席付近へ移動し、運賃を支払った後、再度、中ドアまで戻って降車することとなる。     そのため、旅客へのサービス低下や、停車時間の延長に伴う遅延が発生し、運行ダ    イヤにも影響することが課題として挙げられている。   イ ケース2     電車は一部区間で右側通行とし、進行方向の左側に電停を配置するケースである。     この場合、旅客扱いは、進行方向の左側となり問題はないが、一部区間で右側通行    となることにより、電車の運転保安上の信号制御が複雑となり、また、対向車との接    近による衝突事故などが懸念されるため、電車の運転面や安全面でのリスクが高くな    ることが課題として挙げられている。    以上、長崎駅周辺地区における交通結節のあり方について、本委員会では次のような   意見・要望が出された。   ○ 駅前交通広場の整備に当たっては、限られた狭い範囲で、さまざまな機能を盛り込    むには限界があるため、機能の選択が必要である。   ○ 団体貸し切りバスに乗車する観光客の動線や今後の団体貸し切りバスの利用数を    見込んだうえで、もっと駅に近い西口に団体貸し切りバス専用の駐車場を設けるべき    である。   ○ 駅舎内の自由通路は、東西方向の連携を図るため、列車が運行していない時間帯も    通り抜けができるようJR九州と協議してほしい。   ○ 東西軸に街路樹を植えた場合、その管理が必要となる。街路樹ではなく人工芝で対    応したり、街路樹を置かず、その面積分を駅前交通広場に有効活用するなど検討する    こと。   ○ 一般車両と団体貸し切りバス等の動線の切り分けや、左折・右折の考え方について、    交通渋滞が生じないよう総合的に十分検討し、早い段階で交通事業者や警察などの関    係機関と協議すること。   ○ 観光客などの駅利用者の利便性や、路面電車が長崎の特徴的な乗り物であることな    どを考慮し、路面電車をトランジットモール線の中に入れることや電車の軌道を駅側    に少しずらすなど、路面電車を駅へ近づける方策について、市民の意見も聴取したう    えで、再度、軌道事業者や警察等と協議すべきである。   ○ 国道202号の横断に当たっては、バリアフリーの観点から平面横断を考えていると    のことだが、自動車の交通量が九州でも特に多い道路であり、また、横断距離も長い    ことから、平面横断の方が危険である。障害を持った方、高齢の方、地元の商店街の    方など、さまざまな方の意見を聴取し、再度、安全・安心に横断できる方法について    検討すべきである。   ○ 高架広場があることにより、これまで安全・安心に駅前バス停、電停、駅周辺の商    店街へ誘導することができている。また、高架広場は、災害時の避難場所としても活    用できるため、高架広場は引き続き必要である。高架広場の存廃については、地元の    方の意見も十分聴いたうえで、検討すべきである。   ○ 現在、駅前電停は、上り線用と下り線用のホームがそれぞれあるため、体が不自由    な方が、間違えて反対側のホームにおりた場合、向かい側のホームに移動するために    再度階段を上り下りするか、軌道を渡らなければならない状況にある。駅前電停のバ    リアフリー化に当たっては、障害を持った方や高齢の方などの意見を十分聴き、電停    の島式化やエレベーターの設置について、再度、軌道事業者と協議すべきである。 5 市民への周知及び意見反映について   長崎駅周辺土地区画整理事業については、平成20年12月に都市計画決定を行う前から出  前講座や商工会議所等の関係団体との意見交換を開催するなど、計画の周知に努めており、  都市計画決定の際は、市内7カ所で都市計画説明会を開催した。   また、都市計画決定後も、ホームページへの掲載、パンフレットの作成、模型の展示な  ど、あらゆる機会を捉えて計画の周知に努めるほか、長崎駅周辺まちづくりシンポジウム  やワークショップを開催し、まちづくりに対する情報の提供や意識啓発に努めるとともに、
     直接、市民が参加できる取り組みも行っている。   また、今年度は、新幹線開業まで継続的に進められる長崎駅周辺地区の各施設の計画、  設計、工事の各段階において、市民、行政及び事業者等がどのようにかかわり、また、市  民がどのような形で参加できるかを整理した市民参加プログラムの策定を進めている。   実際に利用される市民や、交通、商工関係の団体などの意見を酌み取り、計画に反映し  ていくことは非常に重要であるため、引き続き市民が参加できるような機会を設け、市民  と一緒にまちづくりに取り組んでいくこととしている。   以上、市民への周知及び意見反映について、本委員会では次のような意見・要望が出さ  れた。  ○ 市民の目線というのは非常に大事であるため、市民ならではの気づきなどの意見を吸   い上げ、事業に取り入れる仕組みをつくる必要がある。  ○ 駅周辺を整備することにより、市民がどのように便利になり、暮らしやすいまちがで   きるのかということを基本にまちづくりに取り組んでほしい。 6 委員会からの提言   以上、本委員会の調査項目についてまとめたが、理事者におかれては、委員会における  調査の過程で各委員から出された意見・要望を十分に踏まえ、高齢の方、障害を持たれた  方、地域住民の方などさまざまな立場の方の意見を聴取しながら、駅前交通広場の効果的  な機能配置、駅周辺商店街の活性化、国道202号の安全な横断、電停のバリアフリー化  及び駅前の交通渋滞の解消など、諸施策の推進に積極的に取り組まれるよう強く要望する  次第である。   また、九州新幹線西九州ルートの整備については、フリーゲージトレインに対して安全  性や効率性の面からその導入について疑問視する意見がある一方、全線フル規格を望む意  見もあることから、これらの意見を真摯に受けとめ、県を初めとする関係自治体との連携  を密にして慎重に取り組まれるよう努められたい。   昨年の明治日本の産業革命遺産の世界遺産への登録や今後の長崎の教会群とキリスト  教関連遺産の世界遺産候補への推薦、さらには、平成34年度の九州新幹線西九州ルートの  開業を機に、多くの人が行き交い、新たなにぎわいが創出されることとなる長崎駅及びそ  の周辺地区の再整備は、まさに、百年に一度のまちづくりとも言うべき長崎の将来を担う  大変重要な事業である。   事業の推進に当たっては、市のまちづくり部門、交通部門、都市計画部門を初め、所管  の垣根を越えたプロジェクトチームを立ち上げるなど、全市一体となって検討を深め、着  実に事業を進めるとともに、より一層の事業効果が発揮できるよう努めることを要望する。 長崎市議会 ↑ ページの先頭へ...